西オーストラリア州理財公社 有価証券報告書
| 提出書類 | 有価証券報告書 |
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| 提出者 | 西オーストラリア州理財公社 |
| カテゴリ | 有価証券報告書 |
EDINET提出書類
西オーストラリア州理財公社(E06033)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第１項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2023年12月27日
【会計年度】 自 2022年７月１日 至 2023年６月30日
【発行者の名称】 西オーストラリア州理財公社
(Western Australian Treasury Corporation)
【代表者の役職氏名】 Kaylene Gulich
(西オーストラリア州理財公社最高執行役員)
【事務連絡者氏名】 弁護士 松 添 聖 史
弁護士 渡 邊 大 貴
【住所】 東京都港区六本木一丁目９番10号
アークヒルズ仙石山森タワー
ベーカー＆マッケンジー法律事務所
(外国法共同事業)
【電話番号】 (03)6271-9900
【縦覧に供する場所】 該当なし
注(1) 本書中、別段の記載がなければ、「WATC」又は「公社」とは西オーストラリア州理財公社を意味する。
(2) 本書中、別段の記載がなければ、「豪ドル」又は「ドル」と表示されたすべての金額はオーストラリア・ドルを意味
する。2023年12月19日現在のオーストラリア・ドルの東京における対顧客外国為替相場の仲値は１オーストラリア・
ドル＝95.79円である。
(3) 西オーストラリア州理財公社、西オーストラリア州及びオーストラリア連邦の会計年度は７月１日から翌年６月30日
までである。2023年６月30日に終了した会計年度は本書中2022/23年又は2022/23年度と表示されており、他の会計年
度についても同様である。2022年12月31日に終了した暦年は本書中2022年と表示されており、他の暦年についても同
様である。
(4) 本書中、表中の数字は四捨五入されているため、合計は各々の数字の総和と必ずしも一致しない。
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第１ 【募集（売出）債券の状況】
該当事項なし
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第２ 【外国為替相場の推移】
(1) 【最近５年間の会計年度（又は事業年度）別為替相場の推移】
該当事項なし
(2) 【当会計年度（又は事業年度）中最近６月間の月別為替相場の推移】
該当事項なし
(3) 【最近日の為替相場】
該当事項なし
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第３ 【発行者の概況】
１ 【発行者が国である場合】
該当事項なし
２ 【発行者が地方公共団体である場合】
該当事項なし
３ 【発行者が国際機関又は政府関係機関等である場合】
(1) 【設立】
１ 設立及び法的地位
西オーストラリア州理財公社(以下「WATC」という。)は、1986年西オーストラリア州理財公社法(以下「公社法」とい
う。)に基づき、当分の間州大蔵次官により構成される法人として1986年７月１日に設立された。
1998 年11月に公社法の改正が行われ、WATCを州大蔵次官により構成される法人として設立した規定が廃止され、かわり
に同様の機能、責任及び説明義務を有する６名から成る取締役会を創設する規定が設けられた。
WATC は公営企業であり、公営機関としての地位、免責特権及び特権を享受する。
２ 企業統治
WATC の取締役会(以下「取締役会」という。)は、公社法(改正済)に基づくWATCの業務遂行に責任を持つ。
WATC が、西オーストラリア州（以下「州」という。）、顧客及びその他の関係者のためにその業務を確実に遂行するた
め、取締役会は(大蔵大臣の承認を受けて)WATCの戦略的な方向付けを定め、方針及び原則を設定し、その下でWATCは運営
を行う。
WATC の担当大臣：2023年５月下旬に退任するまでの本年度の大半の期間、WATCの担当大臣は、文学士、法学士、立法議
会議員、首相、大蔵大臣のマーク・マガウワン氏であった。2023年６月、ビジネス学士、立法議会議員、副首相、大蔵大
臣、運輸・観光大臣であるリタ・サフィオッティ氏がWATCの担当大臣に指名された。
取締役会が設定する組織統治方法は、WATCの法的義務の遵守、WATCの業務運営、WATCの業績の監督を可能にするもので
ある。取締役会はWATCの運営管理及び戦略的指揮の実施については、最高執行役員の責務と考え、同人を信頼する。
取締役会の構成
取締役会の構成員は、公社法第5B条に基づき決定され、以下のとおりである。
(ⅰ) 会長－大蔵次官
(ⅱ) 副会長－大蔵次官が適宜任命する大蔵省職員
(ⅲ)WATC の最高執行役員又は最高執行役員代理、及び
(ⅳ) 大蔵大臣が任命する商業又は財務経験を有する３名以内の者。任命取締役である。
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任命取締役の在任期間は任命書に明示された期間(３年以内)であるが、適宜再任される。
2023 年６月30日現在のWATCの取締役は以下のとおりである。
名前 役職 任命日 任期満了
法定(2014年２
マイケル・バーンズ 取締役会会長 法定
月17日)
法定（2017年７
マイケル・コート 取締役会副会長 該当なし
月１日）
法定（2019年２
(1)
最高執行役員 法定
ケイリーン・グリッチ
月４日）
フィリッパ・ホブソン 取締役 2020年２月17日 2025年12月31日
スーザン・マーフィー 取締役 2019年１月１日 2024年12月31日
ウェイン・ゼクリッチ 取締役 2023年１月１日 2025年12月31日
注：(1) 最高執行役員は執行責任を持つ唯一の取締役である。
取締役会の秘書役は、チーフ・ファイナンシャル・オフィサーのマーク・コールドウェル氏であった。
取締役会の責任
取締役会は公社法に基づくWATCの業務遂行につき責任がある。業務は以下のとおりである。
(ⅰ) 金銭を借入れ、西オーストラリア州の公的部門に対し金銭を貸付ける。
(ⅱ) 公社法の目的とする借入計画を策定・実行する。
(ⅲ)WATC の財政に関する権限と義務を管理する。
(ⅳ) 債務管理、資産管理及びプロジェクト・ファイナンス、ストラクチャード・ファイナンスを含む財務事項につき助言
を行う。
(ⅴ) 大蔵省及びその他政府機関の投資を管理する。
(ⅵ) 政府機関の財務リスク管理を補佐する。
この役割を果たすため、取締役会はWATCの業務を管理し監督する。すなわち、
(ⅰ) 毎年のWATCの「戦略的開発計画書」及び「公社の目的声明書」を(大蔵大臣の承認を得て)検討し設定する。
(ⅱ)WATC の実績を監視する。
(ⅲ) 会計、リスク管理、予算、法令遵守、情報技術及び内部管理方針、システム、報告手順が適切になされているかを確
認する。これらには、「リスク管理方針」及び「事業継続計画」が含まれる。
取締役会委員会
その責務を実行する助けとして、取締役会は監査委員会と人事・報酬委員会を設けている。
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監査委員会
監査員会はWATCの取締役会の小委員会であり、取締役会への助言を行う。監査員会の権限、任務及び責任は監査員会憲
章に概略が説明されている。監査委員会の目的は、取締役会が以下に関する監督責任を遂行する手助けをすることであ
る。
・WATCの金融口座及び財務書類の作成及び完全性
・WATCが財務報告及び不正行為リスクの特定及び管理に利用する、内部統制、方針及び手続
・外部監査人による財務書類の年次監査
・外注した内部監査機能の実績及び業務範囲
・財務報告及び不正に関する情報システムの品質、完全性及び信頼性。
監査委員会は取締役会と監査人（外部及び内部）の間のコミュニケーション手段として行為し、取締役会が監査人の活
動から生ずる重要な事項及び情報に確実に注意を向けるようにする。
監査委員長は各会合の後で、委員会の所見及び勧告を含めて、取締役会に報告を行う。
2023 年６月30日現在の監査委員会のメンバーは、以下のとおりである。
氏名 役職
フィリッパ・ホブソン 委員長
マイケル・コート 委員
スーザン・マーフィー 委員
監査委員会の書記役は、シニア・リスク・アドバイザーのフィリップ・メタクサスであった。
監査委員会のメンバーは、非執行取締役である。
WATC の外部監査はアーンスト・ヤングのサービスを利用する会計検査庁長官により行われ、年次監査を行う。内部監査
機能はプライスウォーターハウスクーパースに外部委託されている。
人事・報酬委員会
人事・報酬委員会は最高執行役員を含むWATCの全職員の雇用条件に適用される包括的な報酬及び方針について検討を行
い取締役会に助言を行う。
取締役会の承認を得て、人事・報酬委員会は外部の報酬制度の専門家を利用し、最高執行役員を含むWATC職員の適正な
報酬の水準及びその他の雇用条件につき助言を受ける。
任命取締役に支払われる報酬及び手当は、公共部門検査官の助言を受けて大蔵大臣が決定する。最高執行役員の勤務条
件は、大蔵大臣の同意を必要とする。
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2023 年６月30日現在の人事・報酬委員会のメンバーは、以下のとおりである。
氏名 役職
マイケル・バーンズ 委員長
マイケル・コート 委員
ケイリーン・グリッチ 委員
フィリッパ・ホブソン 委員
スーザン・マーフィー 委員
ウェイン・ゼクリッチ 委員
報酬委員会の書記役は、人事マネージャーである、レベッカ・リッジウェイであった。
３ 西オーストラリア州政府との関係
州の中央借入機関として、WATCは州及び西オーストラリア州内の準政府機関に代わり、オーストラリア国内及び国外に
おいて借入を行う。多数の地方政府機関もWATCを通じての借入を選んでいる。
1998 年改正公社法により、WATCは、投資を含む金融資産及び負債の管理につき西オーストラリア州の政府機関を補佐す
ることが可能となった。
４ 州保証
公社法第13条第１項に基づき、WATCが公社法のもとで負担した又は引受けた金銭債務は西オーストラリア州を代表する
大蔵大臣により保証される。公社法第13条第１項によって生じる保証に基づく大蔵大臣のいかなる金銭債務も、同法第13
条第２項に基づき必要な範囲で使用される西オーストラリア州統合基金に請求され、支払われる。
５ 法規制
WATC の機能を規制する法規制は以下から成る。
(a) 公社法(改正済)及びそれに基づく諸規則
公社法は、WATCの権限並びにその借入及び貸付機能を規定する。
借入の全ての責任は、WATCの取締役会が負う。
大蔵大臣はWATCへの書面による通知をもって、その借入の権限行使に制限を加え、また適宜かかる制限を変更するこ
とができる。WATCの債務は、WATCがかかる制限に違反したことを理由として、又はかかる制限の影響により、強制執行
不能となることはない。WATCと取引を行う者は、WATCがかかる制限に従っていたか又は従っているかにつき調査する義
務はなく、また考慮する必要はない。
(b) 2006 年財政管理法
州及び特別立法に基づく公的機関の財政管理及び監査に関する規定、並びに、各省庁及び特別立法に基づく公的機関
による年次報告に関する規定が設けられている。
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(c) 統一表示枠組み
統一表示枠組み（UPF）は、オーストラリアの州、特別地域及び連邦の政府が詳細な政府全体の財務書類（比較ベー
スでの予測及び結果の両方を含む。）を開示することを求める。UPFは、オーストラリア会計基準AASB第1049号「政府全
体及び一般政府部門財務報告」の要件と共に、財務上の必要額の予測及び結果の透明性のある開示を全ての管轄法域に
おいて確実に利用可能にする。信用格付会社による妥協のない州財政の監視も行われる。西オーストラリア州の政府全
体の財務開示（予算書を含む。）は、本書において詳述される西オーストラリア州公的部門財務実績に関する説明の基
礎を構成する。
６ 日本との関係
なし。
(2) 【資本構成】
WATC の2022年６月30日及び2023年６月30日現在の資本構成(監査済)は以下のとおりである。
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
借入金
短期債務(６月30日から1か月以内に満期を迎える債務)
8,102.1
－国内借入 8,297.0
0.0 253.5
－海外借入
8,102.1
8,550.5
長期債務(６月30日から12か月を超えて満期を迎える債務)
－国内借入 41,688.0 43,175.9
0.0 0.0
－海外借入
41,688.0 43,175.9
６月30日現在額面価額 49,790.1 51,726.4
６月30日現在公正価値 47,481.7 50,257.5
資本
留保利益 164.0 150.7
3.0 3.0
準備金
資本合計 167.0 153.7
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(3) 【組織】
2023 年６月30日現在、WATCは88名の職員を雇用していた。
2023 年６月30日現在のWATCの取締役及び上級職員は以下のとおりである。
取締役
マイケル・バーンズ 取締役会会長
マイケル・コート 取締役会副会長
ケイリーン・グリッチ 最高執行役員
フィリッパ・ホブソン 取締役
スーザン・マーフィー 取締役
ウェイン・ゼクリッチ 取締役
上級職員
ケイリーン・グリッチ 最高執行役員
ロス・モールトン チーフ・オペレーティング・オフィサー
スティーブン・モーホール 顧客サービス本部長
ピーター・シーズ 部長（法務及びガバナンス）
ヴィンス・シンキナ 部長（金融市場）
マーク・コールドウェル チーフ・ファイナンシャル・オフィサー
ケヴィン・ミドルトン チーフ・リスク・オフィサー
ルーク・トマス チーフ・インフォメーション・オフィサー
デービッド・レッツ 部長（助言サービス）
リサ・ブラディ 部長（コーポレート・トレジャリー・サービス）
リチャード・マッケンジー 部長（戦略）
レベッカ・リッジウェイ 人事マネージャー
2023 年６月30日現在のWATCの組織構成は以下のとおりである。
ケイリーン・グリッチ
最高執行役員
ロス・モールトン
スティーブン・モーホール
チーフ・オペレーティング・
顧客サービス本部長
オフィサー
財務、総務及びトレジャリー
助言サービス 金融市場
オペレーション
コーポレート・トレジャリー・
リスク管理 情報及び通信技術
サービス
マーケティング及び
戦略 法務及びガバナンス
コミュニケーション
人事
プログラム管理室
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(4) 【業務の概況】
１ 概要
WATC は西オーストラリア州の中央借入機関であり、公社法に基づき、オーストラリア内外においてあらゆる通貨での借
入を行い、WATCから金銭を借入れることを法的に授権されている準政府機関、地方自治体及びその他の自治体（州政府を
含む。）への貸付を行い、借入計画を立案及び実行し、またWATCの財政に関する権限と義務の管理をなす権限を賦与され
ている。この幅広い役割の中に、WATCの主たる業務は資金調達・債務管理、資産・投資管理、財務助言サービス、財務リ
スク管理並びにトレジャリー・マネジメント（資金管理）サービス及びシステムを含む。
ヴィジョン、目標、価値観
WATC は、西オーストラリア州において一元化された財務サービスを提供し、健全な財務結果を達成するために顧客であ
る公共部門と協働する。
ヴィジョン
西オーストラリア州の公共部門のために最良の財務ソリューションを提供していると認められること。
目標
WATC の2022/23年度の戦略的な重点は、以下の主要な戦略目標が中心であった。
・高品質で費用効率の高い商品及びサービスを西オーストラリア州の公共部門に提供する。
・顧客の借入ニーズを満たす資金を確実に調達するために国内外の資本市場への迅速なアクセスを維持する。
・公社法及びWATCの取締役会のリスク選好に従いWATCの業績を最適化する。
価値観
WATC は以下の企業価値に従い、全ての事業の取引を行う。
誠実性（Integrity） － 開かれていて、誠実で説明責任を果たし、最高の職業上、倫理上の基準を忠実に守るこ
と。WATCは約束を尊重する。
パートナーシップ（Partnership） － 成果の達成に向けて、顧客及び同僚に協力して業務を行うこと。
アダプタビリティ（Adaptability） － 創造的に考え、継続的に改善することに挑戦すること。
アチーブメント（Achievement） － 西オーストラリア州のために価値ある成果を提供に重点を置くこと。
リーダーシップ（Leadership） － 西オーストラリア州の長期的利益に貢献するために、その知識と経験を利用する
こと。
主要な業務分野
WATC は、以下の業務分野を通じて、業務を運営し、サービスを提供する。
・助言サービス：西オーストラリア州の公的部門に対して、金融リスク及びコーポレートファイナンスの助言サービスを
提供し、州の包括的な目標も実現するとともに、顧客が自身の目標を達成する助けとなる財務上の決定を十分な情報を
得たうえで行うことを支援する。
・コーポレート・トレジャリー・サービス：公的部門の顧客と協働し、借入金融、投資、外国為替、トレジャリー管理、
財務リスク管理及び助言サービスにおける、包括的な一連の高品質、費用効果の高い金融商品及びサービスを提供する
ことにより、健全な財務結果を達成する。
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・財務、総務及びトレジャリーオペレーション：会計、総務、トレジャリーオペレーション、決済、給与計算及びビジネ
ス サポートを提供する。
・金融市場：国内及びグローバルな資本市場における負債資金調達業務、資産負債管理、WATCの流動性ポートフォリオの
管理、顧客を代理しての投資運用、外国為替管理取引並びに経済分析及び金融市場分析を実行する。
・人事：取締役会、執行役員、部門長及び従業員に戦略的な人事サービスを提供する。このサービスは従業員のライフサ
イクルのあらゆる側面を対象とし、WATCの戦略目標に沿って支援する。
・情報及び通信技術：効果的、効率的かつ安全な情報管理、情報システム及び情報技術を提供し、WATCの事業運営を支援
し、事業目標と目的を達成する。
・法務及びガバナンス：WATCの借入及びその他契約（金融市場の契約及び顧客との契約を含む。）のオリジネーション及
びドキュメンテーションの監督及びそれらに関する指針を提供し、健全なコーポレート・ガバナンス慣行を確保する責
任を負う。
・マーケティング及びコミュニケーション：WATCの社内外のマーケティング及びコミュニケーション活動の開発、実施及
び管理を手助けし、支援する。
・プログラム管理室：組織全体にわたる変化の影響に関する総合的な視点を維持しながら、ビジネスの改善を生み出すプ
ロジェクト及びイニシアチブのポートフォリオを管理する。
・リスク管理：WATCの業績への悪影響を避けるために、市場リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスク及び流動性
リスクを測定及び監視し、執行役員及び取締役会に全てのリスク及びコンプライアンス事項への指針を提供し、かつ組
織内でのリスクに関する良い文化の発展に寄与する。
・戦略：WATCの金融市場及び顧客サービス活動に関連して、州、顧客及び諸機関の見通しから効率性及び財務的成果を改
善させる戦略的イニシアチブを開発及び進展させる。
２ 2022/23年度業績の概要
西オーストラリア州は、当年度中、州債務を返済するという特異な状況にあったが、予測不可能な世界経済及び市場状
況を免れることはできなかった。複数の課題にもかかわらず、WATCは、変化する状況の中で財務リスクを適切に管理しな
がら、顧客を支援するために、高品質で費用対効果の高いサービスを提供することに二期続き熱心に取り組んだ。
欧州では、ロシアのウクライナ侵攻によって引き起こされた不安定化が、紛争が長期化する中に引き続き感じられ、燃
料及び食料の安全保障が関心の中心となった。世界中の中央銀行は、新型コロナウイルス時代の支援策、供給サイドの制
約及びウクライナ戦争によって引き起こされた、一世代で最高となるインフレとの戦いを続けている。
緩慢な規制、ずさんな経営、急速な金利上昇の影響が合わさったことによる米国の中堅銀行２行の破綻後、2023年３月
及び４月は、異常に激しいボラティリティの期間となった。その後、スイスの大手銀行クレディ・スイスが破綻したこと
で、銀行システムへのより大きな悪影響の恐れが生じた。規制当局が問題の米国銀行にある預金の保証及び支払い能力の
ある金融機関への流動性支援に迅速に介入し、クレディ・スイスがUBSに買収された時点で、懸念は和らいだ。
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利上げは主要経済国全体（日本及び中国は例外）でほぼ全面的に適用されたが、当初、インフレの反応は遅かった。世
界経済の減速を受けて、インフレは2023年に緩和し始めたが、依然として中央銀行の目標を大幅に上回っており、評論家
らはハードランディング又はソフトランディングの可能性を推測している。オーストラリアでは、引き締めサイクルを受
けてオーストラリア準備銀行（RBA）がキャッシュレートの目標を2022年６月の0.85％から１年後には4.10％に引き上げ
た。インフレは最近緩和しており、市場はさらなる利上げに向けてプライシングを大幅に緩めているが、RBAは追加の引き
締めが必要になる可能性があると警告している。2023/24年度の金利予想については、評論家の間では依然として意見が分
かれている。
このような世界的な活動の中で、西オーストラリア州は、さまざまな経済的課題に対処し、抵抗するために、オースト
ラリア州の中でも独特の立場にあり続けている。持続的な経済成長、バランスシートの修復、好調な歳入に支えられ、州
は2022/23年度の厳しい経済状況に積極的に対応した。州政府は６年連続で財政黒字を達成しており、今後数年間もさらな
る黒字が予想されている。失業率は歴史的に低い水準を維持している一方、就業率は高かった。全体として、金利上昇が
経済活動に影響を与えるため、オーストラリアの経済成長は新年にかけて鈍化すると予測されているが、西オーストラリ
ア州においては州のコモディティに対する需要（及びその価格）が強いため、景気低迷はそれほど顕著ではないと予想さ
れている。
厳密には2022/23年度中に起きたことではないが、2023年７月上旬、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは西オー
ストラリア州の強力な財務管理を反映して、西オーストラリア州及びWATCの信用格付を、Aaa、アウトルック「安定的」に
改定した。これは、2022年６月にS&Pグローバル・レーティングによる同様の格付引上げに続くものであった。その結果、
西オーストラリア州は現在、州又は準州の中で主要国際格付会社の両社から唯一、トリプルAの信用格付けを取得してい
る。世界的に見て、西オーストラリア州はこのような格付を獲得した極めて数少ない地域の１つである。
金利の変動は政府債券の利回りに影響を与え、WATCの10年物の利回りはこの１年で3.49％から4.88％の範囲で推移し
た。州が資産投資の資金を余剰現金で賄い、既存の債務を返済する方向に動いたため、WATCは既存債務の満期借換えのた
めに、当年度中に指標銘柄債及び変動利付債を42億豪ドル発行した。2022/23年度末までに、WATCは498億豪ドルの債務を
管理し、重要なバランスシート指標の継続的な管理による公的部門の強力な流動性を反映して12か月以内に満期が到来す
る負債の割合は16％、流動資産ポートフォリオのカバー率は234％となった。どちらの数値も、取締役会の目標であるそれ
ぞれ20％未満及び100％超を大幅に上回った。
今年のハイライトは、WATCのサステナビリティ・ボンド・フレームワーク（「本フレームワーク」）及び初のグリーン
ボンドのローンチである。どちらの発表も、WATCとパートナーとの長年にわたる取り組みの集大成であり、州全体で行わ
れた積極的な活動の広さ及び深さを示した。近年、WATCは西オーストラリア州政府、産業界及びより幅広いコミュニティ
との連携、そして環境及び社会の成果を継続的に改善するための集団的な取り組みを示してきた。
業務の面では、新財務管理システムの導入を通じてプロセス及びシステムの効率を実現することに集中し、WATCの職員
は非常に忙しかった。また、WATCのウェブサイトも刷新し、投資家、顧客、将来の職員がWATC、その商品及びサービスに
関する情報に加え、西オーストラリア州に関する最新情報にアクセスできる、最新かつダイナミックなエントリーポイン
トを提供した。
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WATC は地方政府顧客と協力して、地方政府向け部門への貸付に対するより包括的で財政的に持続可能なアプローチを確
保するために、「地方政府貸付フレームワーク」を更新して提供した。この変更の期間中、スムーズな移行を確保するた
めに、より充実したサポートと教育リソースが顧客に提供された。2022/23年度中、WATCは、58件の地方政府の融資申請を
審査し、西オーストラリア州全域の地域社会を支援するために１億5,200万豪ドルの新規借入を承認した。
WATC の顧客重視のチームは、西オーストラリア州の多数の公的団体・企業を支援するためにWATCの知識と経験の共有を
継続し、合計50件の助言業務を完了した。助言の提供及び取引の実行を通じて、顧客の外国為替リスク管理を支援した。
さらに、教育イベント及び研修セッションを開催することで顧客を支援した。300名を超える顧客の担当者が、WATC主催の
教育及び研修プログラム、業界フォーラム及び経済プレゼンテーションに参加した。
３ 目標に対する成果
WATC が目的を確実に達成するために、WATCの取締役会は州大蔵大臣の同意のもと、年間の業績目標を設定する。これら
の目標は挑戦的なものであり、達成されれば、WATCの顧客及び州に真の利益がもたらされることを保証する。
主要業績評価指標
業績目標は、公社法第16I条第１項に基づき毎会計年度開始時に大蔵大臣に対して提出される「公社趣旨声明
（Statement of Corporate Intent）」の一部を構成する。
金利の節減予想
WATC は顧客及び州へ価値を届けることを目指す。
目標：節減 ＞ 0.00％
結果：節減 ＞ 0.00％
目標達成：州債の一元管理により、引き続き顧客と州に対して大幅な金利削減を実現した。当年度、全般的な金利の上
昇サイクルのために、顧客に対する金利削減予想はグラフに示すとおり増加した。
顧客満足
WATC は、公的部門の顧客に対して、金融ソリューションの提供において最善を尽くすよう努力する。
目標：顧客満足90％
結果：顧客満足100％
目標達成：WATCは、引き続き顧客に価値ある金融ソリューションを提供した。調査対象となった全ての顧客が、コスト
効率が良く、効果的なWATCの商品及びサービス、並びにそれらが顧客のニーズに合致する方法に満足している。
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管理費比率
WATC は、コスト効率の良さを保ちつつ、高品質の商品及びサービスの提供を約束する。
目標：管理費比率 ＜ 0.050％
結果：管理費比率 ＝ 0.040％
目標達成：WATCは、管理費純額の抑制を維持することにより、引き続き州に対して規模の利益を提供した。WATCの管理
費は昨年並みを維持したが、顧客の債務が減少したため比率が上昇した。それにもかかわらず、管理費比率は目標を十
分下回った。
税引前利益
WATC は、コスト効率の良い商品とサービスを提供しつつ、十分な利益の維持を目指す。
目標：利益 ＝ 31.9百万豪ドル
結果：利益 ＝ 37.6百万豪ドル
目標達成：州の集中金融サービス提供者としてのWATCの目的は、利益を最大化することではなく、州のために費用対効
果の高い商品及びサービスを提供することである。WATCの目標を上回る税引前利益は、管理費が予想を下回り、金利上
昇により投資収益が予測を上回ったことによってもたらされた。
職員のエンゲージメント評価
WATC は、全ての職員がその最善を尽くすことを奨励され、そのように支援される環境の構築に尽力する。
目標：職員エンゲージメント評価 ＞ 65％
結果：職員エンゲージメント評価 ＝ 66％
目標達成：今年度の結果は目標を満たしたが、職員のエンゲージメントは、前年の結果よりわずかに低下した。様々な
戦略が当会計年度を通じて実施されており、組織全体の職員のエンゲージメントを支援した。
５年間のKPI（主要業績評価指標）の概要
2022/23 年度 2021/22 年度 2020/21 年度 2019/20 年度 2018/19 年度
金利の節減予想
達成 達成 達成 達成 達成
＞0.00％
顧客満足の評価 100 ％ 100 ％ 99 ％ 100 ％ 100 ％
管理費比率 0.040 ％ 0.039 ％ 0.040 ％ 0.038 ％ 0.034 ％
税引前利益 37.6 百万ドル 25.0 百万ドル 31.7 百万ドル 40.7 百万ドル 41.7 百万ドル
職員のエンゲー
66 ％ 70 ％ 60 ％ 該当なし 56 ％
ジメント評価
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５年間の財務情報
2022/23 年度 2021/22 年度 2020/21 年度 2019/20 年度 2018/19 年度
（単位：百万ドル）
財務実績
法人税相当額控
37.6 25.0 31.7 40.7 41.7
除前の利益
財政状態
資産合計 49,692.8 51,207.9 61,892.2 64,658.5 59,483.4
資産増加率(％) -3.0 -17.3 -4.3 8.7 6.2
負債合計 49,525.8 51,054.2 61,739.3 64,506.4 59,337.9
資本 167.0 153.7 152.9 152.1 145.5
４ 顧客への価値の提供
WATC では、西オーストラリア州の公的部門顧客の具体的な必要性を支援するために高品質でコスト効率の良い広範囲に
わたる金融商品及びサービスを提供する。
債務商品及びサービス
WATC の主要な商品及びサービスは以下を含む。
・ 西オーストラリア州全体の新規の社会・経済インフラ・プロジェクトに対する資金調達
・ 既存債務の借換え、及び
・ 流動性及びキャッシュフロー管理目的の資金調達。
WATC の一連の負債商品は、様々なストラクチャーの幅広い満期をカバーし、顧客に柔軟な返済を提供する。
顧客と協力することにより、WATCは、幅広い州の借入戦略の中で、最も適切な債務商品の推奨を確実にする。
顧客債務
2022/23 年度州予算として発表された州の借入プログラムに沿って、WATCは顧客の借入の年間増加額（純額）を15億ドル
と予測した。しかし、政府の優先事項及びイニシアチブの進展する性質、並びに西オーストラリア州経済の好調さによ
り、当年度中の顧客の借入は、29億ドルも現実に減少した。
2023 年６月30日現在の顧客の債務残高合計は、2021/22年度末現在の478億ドルから減少し、449億ドルであった。
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地方政府への貸付
目的
地方政府部門における責任ある、かつ財政的に持続可能な貸付を支援する。
貸付フレームワークの改革
WATC は、西オーストラリア州全域の地方政府に対する第一の定期借入資金提供者として、地方政府部門へ責任ある財政
的に持続可能な貸付を通じて、地域社会を支援することに取り組んでいる。包括的な見直しの結果、地方政府の顧客のよ
り総合的な信用評価を提供し、WATCが長期にわたりこの部門の財政的持続可能性を支え続けることができるようにするた
めに、地方政府の貸付フレームワークに変更が行われた。
この変更は2022年７月１日に発効し、包括的な移行計画を通じて顧客に提供された。この計画には、教育プレゼンテー
ションやウェビナー、eラーニング・リソース、よくある質問への回答など、さまざまなコミュニケーションが含まれる。
成果
2023 年６月30日現在、西オーストラリア州の地方政府によるWATCに対する債務残高合計は６億4,230万豪ドルで、
2022/23年度中に3,950万豪ドルの純増であった。同年度中、WATCは地方政府の顧客向けに合計１億5,210万豪ドル、58件の
新規貸付を承認した。
将来に向けて － 州政府商取引企業改革
「州政府商取引企業(GTE)改革プログラム」は、GTEのガバナンス体制を見直し、説明責任を標準化
する枠組みを開発し、GTEと西オーストラリア州政府とのつながりを強化することを目的として、
2018年に西オーストラリア州政府によって設定された。
広範な調査と協議を経て、大蔵省は、「2023年政府貿易企業法」を策定し、施行した。この法は
2023年７月１日より、WATCを含む西オーストラリア州全域のGTE事業体に影響を及ぼす。
1986年西オーストラリア州理財公社法の各条項はGTE改革の影響を受けており、WATCは引続き大蔵省
と緊密に連携して、新しい枠組みへの切れ目のない移行を確保する。最終的には、この改革によ
り、以前の法では除外されていたコモディティリスクを含む、より広範囲のビジネスリスクを評価
し、管理して、顧客を支援することが可能となる。WATCは顧客と協力し、これらのリスクを特定し
て理解を深め、財務上の影響及び感応度を定量化し、利用可能な緩和戦略を検討する。
助言サービス
WATC の助言サービスチームは、企業や財務のリスク管理について、独立した専門的な助言を提供し、顧客が十分な情報
に基づいた財務上の意思決定を行うように顧客をサポートする。チームメンバーは、高品質で簡潔な財務分析、モデリン
グ及びシナリオを提供し、顧客及び州の双方にとってより良い結果が得られるよう、顧客と協力して取り組む。
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顧客との関わり
助言のエンゲージメントは、WATCの専門知識、経験、公的部門に対する理解を、顧客それぞれの独自のビジネス知識と
統合する。昨会計年度は、WATCは50件の顧客とのエンゲージメントを完了し、さらに13件のエンゲージメントを進行中で
あり、新しい州のインフラストラクチャーの提供における支援の分析を含め、幅広い顧客及びプロジェクトを対象とす
る。
顧客エンゲージメントの一部として公社は以下を提供した：
・ プロジェクトファイナンスの助言及びモデリング
顧客に金融サステナビリティのより明確なビジョンを提供するために、WATCは金融モデル及びシミュレーションを
開発、認証し、資産とプロジェクト投資を評価し、プロジェクトファイナンスの選択肢の分析を手助けした。
・ ビジネスケース及びコストベネフィット分析
WATC は、顧客のプロジェクトへの投資決定を支援し、投資と資産を評価し、さらに規制環境で業務を行う顧客が適
切な価格設定フレームワークを決定するために、ビジネスケースの包括的な財務分析を開発した。
・ 資産負債管理
WATC は債務構造分析と助言、資産負債モデリング、投資方針ガイダンスを提供し、顧客が債務と財務リスクを効果
的に管理できるよう支援した。
インフラストラクチャーWAパネルへの指名
背景
インフラストラクチャーWA（IWA）は、１億豪ドルを超える費用の州政府のインフラストラクチャーの提案を評価する責
任がある。2022/23年度中、IWAはオーストラリア中から財務及びエンジニアリングの専門コンサルタントを幅広くアドバ
イザリーパネルの職に招聘し、WATCはIWAパネルの一員として選出された。
指名
IWA パネルへの指名は、WATCの助言サービスチームが以下で必要とされるスキルと経験を持っていることを認識した：
・ 異なる15の経済及び社会インフラストラクチャー部門にわたり業務を行う、
・ 複雑な金融及び経済モデリングを提供する、及び
・ 輸送及びインフラストラクチャーのモデリングを実行する。
WATC は、西オーストラリア州のインフラストラクチャーに焦点を当てた筆頭金融アドバイザーとして、政府機関及び政
府系貿易企業に対し、ビジネスケース、便益・コスト比率及び提案を含む幅広いインフラストラクチャー問題について適
切な助言を行ってきた豊富な経験を持ち、また、IWA、首相府と内閣府及び大蔵省を含む、重要な利害関係者への専門的な
コンサルティングや提案も提供する。
WATC は「インフラストラクチャー・オーストラリア優先リスト」上の西オーストラリア州のプロジェクトのおよそ４分
の１（26件中６件）につき、助言又は検討を行ってきており、このリストへの加入を２件直接助言した。
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長期財政計画
目的
地方政府向けのより良い長期財政計画を支援する。
顧客
ある地域の地方政府顧客は、長期財政計画（LTFP）モデルを開発し、統合された計画と報告の枠組みを支援し、予算の
枠組みの中でインフラストラクチャーとサービスレベルの計画を正確に評価するための支援を求めていた。
成果
WATC は、以下の機能を含むLTFPモデルのソリューションを開発した：
・ 自己資金によるサービスレベルの感応度を評価するためのシナリオ・セレクター、変数を柔軟に変更し、独立した財
務結果に基づいて部門を評価する機能を提供する。
・ 効果的なシナリオのテスト、意思決定、報告のための一連のダッシュボード、カウンシルへのプレゼンテーション及
び社内の報告要件も満たす。
・ 資産管理計画の要件に対応し、重要な設備投資の意思決定を支援するグラフ。
・ シャイアーの財政的持続可能性についての洞察を提供する財務健全性指標比率の計算。
WAT と契約し、WATCがエクセルベースのLTFPモデルを開発することで、この地方政府顧客は、予算・インフラ計画、料金
予測、財務管理の能力を高めることに成功した。このモデルにより、成長仮定の評価、シナリオ評価、長期的な財政と資
産の持続可能性の分析が可能になった。
データ入力と仮定を更新するためのステップ・バイ・ステップのユーザーガイドをWATCが作成するのを受けて、顧客の
財務チームは現在、予算編成、計画立案、報告プロセスをサポートする重要なリソースとしてこのモデルを使用してい
る。
外国為替業務
WATC の外国為替業務では、大蔵大臣指示第826号に準拠した外国為替エクスポージャーの特定、測定及び管理を支援する
様々な商品及びツールを顧客に提供している。
WATC は、ホールセール外国為替市場、多通貨資金決済システム、資本市場情報及び財務管理システムに直接アクセスで
きる。これらのシステムとデータをWATCの経験と専門知識と組み合わせることで、顧客は外国為替リスクを完全な支援を
受け、これを把握し、重要性と管理に関して十分な情報に基づいた意思決定を行うことができる。当会計年度中、WATCは
18の顧客のために、10通貨で５億5,000万ドルを超える外国為替取引を実行した。
資産・投資運用サービス
WATC は、投資商品及び財務管理サービスを提供することにより、州及び顧客の財務の管理を支援する。これらの商品と
サービスは、個別のビジネス要件に合わせてカスタマイズされ、金利及び信用リスクなどの金融リスクの管理を支援す
る。
また、WATCは顧客の短期・中期の投資ニーズの管理を支援するため、投資商品の研究・開発にも取り組む。
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顧客は、WATCの豊富な経験と専門知識、WATCの金融市場における事業規模に伴うシステム、価格、監視体制から利益を
うける。
投資管理
2023 年６月30日現在の顧客の運用資産総額は、５つの投資ポートフォリオ全体で67億ドルであった。WATCはこれらの各
投資ポートフォリオを、定義されたリスクパラメータとパフォーマンスベンチマークを含む、顧客が承認した方針の枠組
みに従って運用した。WATCはまた、顧客２社のために、バックオフィス・トレード・キャプチャ及び財務管理サービスの
報告を提供した。
顧客のフィードバック
WATC にとり継続的な開発と改善はどちらも非常に重要であり、その製品及びサービスがWATCの顧客に付加価値を与え、
顧客の要件に適合していることを確認するために定期的にフィードバックを求める。５月から６月にかけて、WATCは金融
サービスを専門とする調査・コンサルティング会社であるピーター・リー・アソシエイツを関与させて、WATCの州政府顧
客を独立して調査した。今年のWATCの結果は「非常に良好」であり、回答からは次のことが確認された。
・ WATCの提供物は顧客のニーズに密接に一致していた。
・ WATCとの取引は効率的かつ費用効果が高かった。
・ 顧客サービスの評価は前年よりも明らかに強かった。
・ WATCは全ての顧客のセグメントにわたって付加価値をもたらした。
・ WATCは、西オーストラリア州の公的部門に高品質でコスト効率の高い製品とサービスを提供するという目的を達成し
た。
独立した調査に加えて、WATCは助言業務が完了した直後に、顧客からの直接のフィードバックを求めた。例年と同様、
2022/23年度の結果は非常に良好であった。顧客は、提供した助言の質、プロジェクトへの付加価値、チームの全体的な能
力とサービスに対して非常に高い満足度を示した。
WATC の助言サービス・チームの有効性は、顧客が再契約を行うレベルからも明らかである。既存の顧客は定期的にWATC
のチームを任命して新しいプロジェクトに取り組んでおり、これによりWATCの継続的な有効性がさらに証明されている。
顧客の教育
目的
西オーストラリア州の公的部門全体のクライアントに関与し、情報を提供する。
成果
WATC は、以下を含む教育及びトレーニング プログラムを通じて300を超えるクライアントと関わった。
・ 外国為替セミナー
外国為替リスク管理の問題についての認識と理解を高めるために、４回のセミナーが開催された。公的部門全体の組
織から合計69名の顧客の担当者が参加した。
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・ 経済プレゼンテーション
オーストラリアの大手銀行のチーフエコノミストによる２回のプレゼンテーションが開催され、金利、通貨及び経済
に関する見解をWATC顧客及びWATCチームに発表した。更に、WATC社内チーフエコノミストのクレイグ・マクギネス氏
がオンライン経済プレゼンテーションを行い、西オーストラリア州政府のインフラプロジェクトと技術調達に影響を
与える世界的な要因についての貴重な洞察を提供した。200名を超える顧客担当者がさまざまな経済プレゼンテーショ
ンに参加した。また、WATCのエコノミストは、顧客の組織に対して多数の経済プレゼンテーションやブリーフィング
を提供し、顧客の独自の関心分野に焦点を当てることを可能にした。
・ 業界イベント
WATC は、会計年度を通じて公的部門の顧客に対して様々な業界イベントを主催した。厳選されたイベントには、WATC
のサービスと参加した顧客担当者の役割に沿ったプレゼンターとトピックが含まれた。
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公的機関の対公社債務額面残高純額 ― 2023年６月30日現在
(単位：千豪ドル)
2022年７月１日 2022/23年中の 2023年６月30日
公的機関名
現在の残高 貸付金額－純額 現在の残高
オールバニ市議会
7,277 (1,955) 5,322
アーマデール市議会 37,241 328 37,569
アシュバートン地方議会 1,792 (493) 1,299
オーガスタ・マーガレット・リバー地方議会 15,705 (1,138) 14,567
バッセンディーン町議会 355 646 1,001
ベイズウォーター市議会 3,465 13,051 16,516
ベルモント市議会 12,832 (594) 12,236
ビバリー地方議会 2,257 (139) 2,118
ボッディントン地方議会 2,113 (357) 1,756
ボイアップ・ブルック地方議会 94 (22) 72
ブリッジタウン・グリーンブッシュ地方議会 1,681 14 1,695
ブルックトン地方議会 811 (142) 669
ブルーム地方議会 7,231 556 7,787
ブルームヒル-タンベラップ地方議会 1,814 (132) 1,682
ブルース・ロック地方議会 221 2,074 2,295
バンベリ市議会 11,593 (2,339) 9,254
バンベリ水道公社 5,807 (798) 5,009
バッセルトン市議会 46,175 2,067 48,242
ケンブリッジ町議会 1,107 (1,107) 0
キャニング市議会 23,884 4,666 28,550
ケーペル地方議会 4,425 (336) 4,089
カナマー地方議会 84 (32) 52
カーナーヴォン地方議会 219 1,660 1,879
チタリング地方議会 3,450 2,800 6,250
クレアモント町議会 8,142 (2,727) 5,415
コックバーン市議会 10,000 (2,500) 7,500
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(単位：千豪ドル)
2022年７月１日 2022/23年中の 2023年６月30日
公的機関名
現在の残高 貸付金額－純額 現在の残高
コリー地方議会
1,536 (203) 1,333
幹線道路コミッショナー 0 130,000 130,000
クールガーディ地方議会 2,310 (2,310) 0
クーロウ地方議会 171 6,116 6,287
コリジン地方議会 1,410 (90) 1,320
コートスロー町議会 2,811 (350) 2,461
郊外住宅局 6,370 (4,517) 1,853
クランブルック地方議会 71 (35) 36
カバリング地方議会 966 322 1,288
キュー地方議会 751 (94) 657
カンダーディン地方議会 988 (93) 895
カーティン工科大学 23,571 (2,700) 20,871
ダルワリン地方議会 3,619 (304) 3,315
ダンダラガン地方議会 2,404 (163) 2,241
ダーダナップ地方議会 2,449 6,307 8,756
デンマーク地方議会 1,676 256 1,932
ダービー・ウェスト・キムバリー地方議会 3,067 (382) 2,685
ドニーブルック・バリングアップ地方議会 339 (66) 273
ダウリン地方議会 1,265 (104) 1,161
ダンブレイアン地方議会 204 (20) 184
ダンダス地方議会 242 (52) 190
東ピルバラ地方議会 2,393 11,116 13,509
イディース・コーワン大学 35,885 (1,814) 34,071
発電及びリテール公社 161,130 0 161,130
電力ネットワーク公社 7,356,082 69,050 7,425,132
エスペランス地方議会 2,512 (250) 2,262
エクスマウス地方議会 3,453 (354) 3,099
FES省 34,138 (2,967) 31,171
フリマントル市議会 21,912 (1,909) 20,003
フリマントル港湾局 147,104 (11,191) 135,913
ジンジン地方議会 1,843 0 1,843
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(単位：千豪ドル)
2022年７月１日 2022/23年中の 2023年６月30日
公的機関名
現在の残高 貸付金額－純額 現在の残高
グノーワンジェラップ地方議会
625 (105) 520
ゴスネルズ市議会 15,274 (8,117) 7,157
グレータージェラルトン市議会 24,436 (4,275) 20,161
ホールズ・クリーク地方議会 2,647 (908) 1,739
ハーヴェイ地方議会 1,164 (182) 982
住宅局 4,225,708 (1,012,166) 3,213,542
アーウィン地方議会 6,022 (560) 5,462
ジェラムンガップ地方議会 737 254 991
ジューンダラップ市議会 2,808 (910) 1,898
カラムンダ市議会 8,986 (1,230) 7,756
カルグーリー・ボールダー市議会 6,672 (1,016) 5,656
カラサ市議会 17 27 44
カタニング地方議会 3,143 442 3,585
ケラーバリン地方議会 1,570 519 2,089
ケント地方議会 848 (133) 715
キンバリー港湾局 7,942 (1,734) 6,208
コジョナップ地方議会 5,249 187 5,436
コンディニン地方議会 2,718 (402) 2,316
クリン地方議会 980 (96) 884
ウィナナ市議会 15,853 (2,261) 13,592
レイク・グレース地方議会 1,460 (246) 1,214
ラバトン地方議会 1,842 (335) 1,507
マンジマップ地方議会 5,675 (596) 5,079
メルヴィル市議会 1,609 (226) 1,383
メレディン地方議会 585 (96) 489
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(単位：千豪ドル)
2022年７月１日 2022/23年中の 2023年６月30日
公的機関名
現在の残高 貸付金額－純額 現在の残高
ミッド・ウェスト港湾局
6,820 (677) 6,143
ミンジェニュー地方議会 252 (55) 197
教育大臣 388,568 9,441 398,009
漁業大臣 5,465 (1,465) 4,000
ムーラ地方議会 699 (101) 598
モラワ地方議会 447 (28) 419
モスマン・パーク町議会 5,051 (317) 4,734
マウント・マグネット地方議会 7 (7) 0
マウント・マーシャル地方議会 958 (48) 910
ムキンブディン地方議会 1,239 (171) 1,068
マンダリン地方議会 9,194 (732) 8,462
マーチソン地方議会 1,923 (201) 1,723
マードク大学 2,692 (469) 2,223
マレー地方議会 3,165 1,286 4,451
ナンナップ地方議会 493 265 758
ナランビーン地方議会 817 (75) 742
ナロジン地方議会 1,284 236 1,520
ネッドランズ市議会 2,709 (1,137) 1,572
ノーサン地方議会 5,701 1,331 7,032
ノーサンプトン地方議会 1,128 (182) 946
ナンガリン地方議会 399 (45) 354
ペパーミント・グローブ地方議会 691 (36) 655
ペレンジョリ地方議会 211 (41) 170
パース市議会 705 (705) 0
ピルバラ港湾局 142,198 (3,625) 138,573
ピンジェリー地方議会 3,060 (1,227) 1,833
プランタジネット地方議会 2,070 (422) 1,648
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(単位：千豪ドル)
2022年７月１日 2022/23年中の 2023年６月30日
公的機関名
現在の残高 貸付金額－純額 現在の残高
ポートヘドランド町議会
0 23,901 23,901
公共輸送局 3,048,958 385,457 3,434,415
クァレーディング地方議会 410 (66) 344
ラヴェンソープ地方議会 840 (144) 696
地域電力公社 803,353 46,158 849,511
ロッキンガム市議会 6,627 (1,222) 5,405
サーパンティン・ジャラデール地方議会 5,275 (1,254) 4,021
シャーク・ベイ地方議会 771 (70) 701
サウスパース市議会 16,414 (3,162) 13,252
大都市南部地域議会 5,030 (3,230) 1,800
南部港湾局 6,194 (1,389) 4,805
サビアコ市議会 6,104 (501) 5,603
スワン市議会 26,757 21,299 48,056
タミン地方議会 136 (42) 94
2004年ローン(共同会社)法第6(1)条に基づき権限を行
20,072 1,103 21,175
使する農業・食品大臣
西オーストラリア州を代理する大蔵大臣 24,986,945 (2,100,000) 22,886,945
スリー・スプリングス地方議会 106 (62) 44
トゥーディエー地方議会 5,591 (318) 5,273
トゥレイニン地方議会 529 135 664
西オーストラリア大学 177,958 (5,824) 172,134
アッパー・ガスコイネ地方議会 985 (127) 858
ヴィクトリア・パーク町議会 15,477 (3,039) 12,438
ヴィクトリア・プレインズ地方議会 265 1,442 1,707
ヴィンセント市議会 13,735 (674) 13,061
ワギン地方議会 466 (63) 403
ワンダリング地方議会 0 76 76
ワナルー市議会 65,334 0 65,334
ワルーナ地方議会 1,791 (129) 1,662
水道公社 5,429,046 (388,700) 5,040,346
ウェスト・アーサー地方議会 523 163 686
西オーストラリア州土地局 176,625 (55,325) 121,300
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(単位：千豪ドル)
2022年７月１日 2022/23年中の 2023年６月30日
公的機関名
現在の残高 貸付金額－純額 現在の残高
ウィックピン地方議会
356 (46) 310
ウィリアム地方議会 590 (74) 516
ウィルナ地方議会 2,824 (322) 2,502
ウォンガン・バリデュー地方議会 2,052 (137) 1,915
ヤルカチェム地方議会 47 (23) 24
ウィンダム・東キンバリー地方議会 5,899 (967) 4,932
ヤルグー地方議会 129 (82) 47
イルガーン地方議会 857 (96) 761
1,373 (198) 1,175
ヨーク地方議会
合計 47,801,403 (2,914,672) 44,886,731
(注) 四捨五入のため合計は一致しない。
５ 成功する財務管理
WATC は、州の借入要件を満たし、顧客の資金ニーズの変化に対応するために、金融市場のボラティリティの上昇と不確
実性に対応するために不可欠なアプローチである、柔軟性と適応性を維持する。
WATC は、顧客の資金需要に応えるための資金調達において、国内外の資本市場から借入を行う。これらの資本市場は、
インフレ率の上昇の恐れ、中央銀行の引き締めサイクル政策の影響を引き続き受けている。
WATC においては、これらの影響は主に金融市場におけるボラティリティの上昇と利回りの上昇によって感じられた。
WATCの適応性は、このような困難にもかかわらず、WATCが当年度顧客の借入、借換え、返済の全ての必要をうまく管理
し、実現することができたことを確認した。
経済、市場の状況
依然として不均一ではあるものの、世界経済の成長は、2022年後半の鈍化の後、2023年初頭には上向いた。この上昇
は、2022年後半にパンデミック関連の規制が解除されたことによる中国の力強い回復によって牽引された。サプライ
チェーンの混乱の緩和及びエネルギー価格の下落も活動の改善を助けた。
しかし、中国経済は第２四半期に勢いを失い、金融引き締め政策が先進国の経済活動の成長を鈍化させている。2023年
７月の国際通貨基金の最新予測では、通年の世界経済成長率は2022年の3.5％から2023年には3.0％に鈍化すると予想され
ている。
インフレ率は2022年に記録した数十年ぶりの高水準からは低下しているが、中国を除く大半の主要国では依然として高
止まりしている。中央銀行はインフレ抑制のため、2022/23年にかけて金利を大幅に引き上げた。コアインフレ率が依然と
して高止まりし、労働市場が逼迫していることから、各国中央銀行の引き締めサイクルは終わりとは言えないものの、終
わりに近づいているように見受けられるが、さらなる利上げの可能性は排除できない。
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中央銀行金利の急速な上昇と高インフレにより、オーストラリア国内外で新規借入コストがここ10年で最高水準へと大
幅に上昇した。2023年初頭、金利上昇により米国の地方銀行システムも不安定になった。
オーストラリアの経済成長は2022年後半も堅調に推移した。しかし、2023年第１四半期には成長が急激に減速した。雇
用が堅調に伸び、失業率が50年ぶりの低水準を維持しているにもかかわらず、高インフレと金利上昇が家計の実質可処分
所得及び支出に打撃を与え続けているため、経済成長はさらに鈍化する可能性が高い。オーストラリア準備銀行（RBA）は
2022年５月から2023年６月にかけて、キャッシュ レート目標を400ベーシスポイント引き上げて4.10％とし、過去10年で
最高水準に達した。RBAはインフレ率を2022年後半の30年以上ぶりの高水準から引き下げることに一定の成功を収めたもの
の、2023年６月四半期の年間消費者物価指数（CPI）インフレ率は6.0％と高止まりし、目標幅である２％から３％を大き
く上回った。RBAは他の中央銀行と同様、利上げサイクルの終わりに近づいていると思われる。しかし、労働市場が非常に
タイトで生産性の伸びが弱いため、RBAは賃金の伸びがインフレ率のさらなる上昇に波及するリスクを警戒している。
西オーストラリア州は州内の経済が好調で、2022/23年の商品輸出額は2,704億ドルと過去最高を記録したため、2023年
６月の州の失業率は3.6％と非常に低く、就業率は68.5％と全国平均を大きく上回っている。
金融市場活動
不確実な状況下での柔軟な対応
2022 年５月の2022/23年度の西オーストラリア州予算発表後、WATCは2022/23年度借入計画を発表し、その中で顧客借入
の15億ドル増加の見積もりを強調した。しかし、州の強固な財政状況を反映し、年間を通じて顧客の借入金は29億ドル減
少した。
顧客の要求の実現
大幅な債務削減を可能にする州の強固な財政状態のプラスの影響にもかかわらず、WATCは逆照会、入札、シンジケー
ションを通じて金融市場のあらゆる要素にわたって活動を続けた。そうすることで、WATCはすべての顧客の要求を満た
し、次のことを実現した。
・債務返済による債券及び変動利付債（FRN）の発行残高の全体的な減少を管理しつつ、WATCの年間資金調達タスクを首
尾よく完了した。
・WATCの借入プログラムの一環として、新たなFRN５年物をローンチ、価格を設定した。
・WATC初のグリーンボンドを販売、ローンチ、価格設定した。
新たな５年物FRNは2023年１月にシンジケートにより発行され、2028年３月８日満期である。この発行はローンチと価格
設定は同日であり、投資家の強い需要を生み出した。クロージング時には、入札総額は50億ドルを超え、オーストラリア
における単一満期のFRN銘柄としては最大の注文高となった。最終的な発行額10億ドルは23の機関に割り当てられ、国内銀
行のバランスシートと資産運用会社から十分な支援を受け、97.5％が国内投資家に発行された。
流動性及び短期の要求に対する資金調達は、WATCの国内短期記名株式及びユーロ・コマーシャルペーパー・プログラム
を通じて引き続き行われた。
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州債
WATC は、個人投資家及びオーストラリアへの移住申請の一環として指定投資対象としての州債の購入を希望する人に州
債を提供している。2023年６月30日現在の州債残高は1億7,300万ドルであった。
信用格付
2023 年６月30日現在、WATCの借入金は、S&Pグローバル・レーティングスからAAA、及びムーディーズ・インベスター
ズ・サービスからAa1と、高い信用格付を受けている。
将来に向けて：信用格付のアップグレード
2023年７月、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは西オーストラリア州及びWATCの信用格付を
見通し「安定的」のAaaに引き上げた。これは可能な最高の信用格付であり、2022年６月にS&Pグロー
バル・レーティングにより同様の引上げが行われたことに続くものであった。堅調な財務管理、持続
的な財政黒字、州債務の減少が格付引上げの要因として強調された。ムーディーズ・インベスター
ズ・サービスのアップグレードの時点で、西オーストラリア州は、主要な国際格付会社の両方から最
高の信用格付を獲得した国内唯一の州又は準州であった。
投資家との関わり
2023 年５月、2022/23年度の西オーストラリア州予算の発表後、西オーストラリア州元首相兼大蔵大臣のマーク・マガウ
ワン氏は、大蔵次官のマイケル・バーンズ氏、WATCのCEOであるケイリーン・グリッチとともに、シドニーにおいて国内の
投資家と市場仲介者に向けたプレゼンテーションを行った。主なハイライトには、州予算と新しい取組みに関する情報に
加え、西オーストラリア州の経済、輸出実績、事業投資及び労働市場に関するデータが含まれた。
将来に向けて：投資家カンファレンス
WATCは、コモンウェルス銀行グローバル・マーケット・カンファレンスと連携して、今年後半に国内
外の代表者を迎える予定である。10月に予定されているこのイベントは、西オーストラリア州全域で
見られる経済の多様性、持続可能性への取組み、業界のイノベーションを紹介することを目的として
おり、プレゼンター主導のセッション、１対１の交流、地域と都市部の両方の現場訪問が含まれる予
定である。
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財政運営の成功に向けた継続的計画
将来に向けて：経済見通し
オーストラリア準備銀行を含む中央銀行は引き締めサイクルの終わりに近づいているが、金融政策の
効果には遅れがあり、金利上昇の影響は2023/24年度における世界成長へのさらなる足かせとなるだ
ろう。
国内では、家計支出の伸びの低下により、オーストラリア経済の成長は2023年初めに急激に鈍化し
た。金利上昇が家計のキャッシュフローを圧迫し続けるため、家計支出は2023/24年度に下方圧力に
さらされることが予想される。
高水準の家計債務は、失業率の上昇がローン延滞の急増につながる可能性を意味しており、金融の安
定に影響を与える可能性がある。
西オーストラリア州の経済成長は、主に家計支出の伸びの鈍化と輸出の成長鈍化により、2023/24年
度にかけて鈍化すると予想されている。これは民間企業と公的部門の投資の力強い成長によって相殺
される見込みである。州は進行中の世界的な逆風に対して脆弱であるが、強力な経済ファンダメンタ
ルズは、州が潜在的な課題に耐える有利な立場にあることを意味する。
サステナビリティ・ボンド・フレームワークの発表
２年以上にわたって西オーストラリア州のさまざまな政府機関全体の関連作業の調整を行った後、WATCは2023年５月に
サステナビリティ ボンド フレームワーク(「本フレームワーク」)を発表した。このローンチに続き、WATCは、本フレー
ムワークに基づく初のグリーンボンドの発行を通じて、持続可能な金融市場に参加する意向を発表した。
本フレームワークの主な目的には、脱炭素化の取組みに関する有意義な情報の提供を通じて、2050年までに温室効果ガ
ス排出実質ゼロを達成するというパリ協定に対する州のコミットメントを支援し、国連の持続可能な開発目標の目標を前
進させることが含まれる。
本フレームワークの発表を支援するために、WATCの代表者が12都市において国内及び海外の機関投資家69名と面会を
行った、集中的な投資家エンゲージメント プログラムが５月下旬に完了した。このプログラムは、持続可能な金融市場へ
のWATCの参加に対する意識を高め、WATCの持続可能な金融プログラムと西オーストラリア州政府のより広範な環境、社
会、ガバナンス(ESG)クレデンシャルとの関係を強調し、特にESGラベルの発行を求める投資家を含む西オーストラリア州
政府の投資家層を拡大することを目的とした。
プログラムの成功は、本フレームワークと発行計画に関して合計297件の書面による質問状を提出した投資家からの高い
関与レベルによって明らかに証明された。
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グリーンボンド発行の成功
投資家エンゲージメント プログラムに続き、2023年６月８日にローンチされたWATCの最初のグリーンボンドは大成功を
収めた。引き受けは大幅に超過し、19億ドルの発行額に対して60億ドルを超える投資家入札（うち25％はオフショア投資
家から）を受けた。需要の多さを理由に、発行プロセス中に初値ガイダンスは引下げられ、グリーンボンド認証を必要と
する投資家を含む多数の新規投資家が参加した。
WATC 初のグリーンボンド発行は、主要、金融、環境に関するさまざまな報道機関に大きく取り上げられ、肯定的に乗じ
られた。
将来に向けて：WATC初のグリーンボンドの支援
WATCのグリーンボンドの発行を支援するため、WATCはサステナビリティ・ボンド・フレームワーク報
告書を毎年発行することを約束している。この報告書には、資金が対象となるプロジェクトにどのよ
うに配分されたかの詳細並びにプロジェクトの詳細、実施状況及びインパクト指標が含まれる。この
報告書はWATCのウェブサイトで閲覧できる。
将来に向けて：借入プログラムの見積もり
2023/24年度の新規資金プログラムは５億ドルと見積もられている。加えて、満期を迎える指標銘柄
債及びFRNが約53億ドルあり、そのうち５億ドルは事前資金調達済みである。この結果、2023/24年度
の総定期資金調達計画は53億ドルとなる。
WATCの資金調達元は、年度中の様々な市場環境及び市場構成に左右される。資金調達は、WATCの価格
設定、流動性及び貸付目標を満たすために必要に応じて修正されることがある。WATCの将来予想期間
における借入プログラムの詳細は以下の通りである。
2023/24 年度 2024/25 年度 2025/26 年度 2026/27 年度
定期資金需要
（十億ドル） （十億ドル） （十億ドル） （十億ドル）
新規資金プログラム (推定)
0.5 0.7 0.5 0.6
満期予定 5.3 5.9 7.4 6.0
控除：事前資金調達 -0.5 0.0 0.0 0.0
満期 + 新規資金の合計
5.3 6.6 7.9 6.6
債務返済 0.0 0.0 0.0 0.0
定期資金調達合計 5.3 6.6 7.9 6.6
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将来に向けて：資金調達戦略
WATCは、2023/24年度の州の資金調達及び債務管理の要件を以下の方法で実現する予定である。
・ 投資家の需要に応え、顧客の変動金利借入要件を満たすために、発行済みFRN満期への発行を継
続しながら、５年から７年の範囲の満期幅で最大２件の新FRN満期を発行する機会を検討する。
・ 借換えと新規資金需要を条件として、2032年時点でのWATC債券満期カーブのギャップを埋めるこ
とを目的として、新たな指標銘柄債券ラインの確立を目指す。
さらに、WATCは以下を継続する：
・ 顧客への貸付の資金を提供するためにイールドカーブ全体で発行する。
・ 既存の指標銘柄債券ラインの流動性を高めるために、当該債券の発行量を増やす。
・ 可能であれば、市場におけるWATC債券ラインの活動を支援する。
・ 逆照会、タップ、入札及びシンジケーションを通じて、WATCの固定金利ディーラーパネルにより
発行を行う。
WATCは、国内の短期記名式株式及びオフショアのユーロ・コマーシャル・ペーパー・プログラムを通
じて約35億ドルの発行済み短期ペーパーを維持することで、短期の資金調達と流動性の要求を満たす
ことを目指す。また、WATCは、さまざまな資金調達プログラムを通じて行われる債券発行が、1936
年所得税評価法第128条Fに基づく源泉利子税の免除要件を満たす方法で発行されることを保証する。
６ WATCの業績の最適化
WATC は、確実にビジョンを達成し、中核的な目標を提供し、顧客と州に価値を提供するために、WATCのシステム、能力
及びプロセスを継続的に改善することに取り組んでいる。
WATC は1986年西オーストラリア州理財公社法に基づき、業績の最適化に努めている。ダイナミックな環境の中で事業を
展開するWATCは、常に様々なリスクと機会に直面している。WATCは、その業務運営に明確なガバナンス構造を提供する、
取締役会が承認するリスク管理とコンプライアンスの枠組みの中で仕事をすることにより、これらを管理する。
州の流動性の管理
州の金融資産及び負債の管理において、WATCは大蔵省及びWATCの顧客と密接に協力し、確実に州の流動性を効果的に管
理する。WATCの取締役会は、WATCのバランスシート及び州の流動性の継続的かつ効果的な管理を確保するために、WATCと
州の両方の主要な債務指標を監視する。2022/23会計年度中、州は高い水準の流動性を維持し、WATCの債務指標の目標を確
実に達成した。
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ハイライト:
・ 12ヶ月以内に満期を迎える負債は、16％
目標：20％未満
結果：目標を達成
・ 流動資産ポートフォリオのカバー率は、234％
目標：100％を超える。
結果：目標を達成
リスク管理
WATC は、ダイナミックな金融市場環境の中で事業を行う。この環境は、WATCの事業運営及びWATCの責任を果たす能力に
重大な影響を与える可能性のある、機会とリスクの両方をもたらす。WATCの事業は、市場リスク、信用リスク、流動性リ
スク、資金調達リスク、オペレーショナルリスク、風評リスク、戦略リスクなど、業務に関連した幅広いリスクにさらさ
れている。
WATC は、取締役会承認のリスク管理及びコンプライアンス・フレームワークを有しており、コーポレートガバナンス及
び組織的なシステムやプロセスとともに、重要なリスクを特定、評価、管理、監視、報告するための健全な構造を提供す
る。
2022/23 年度の業績は、全て取締役会が承認したフレームワークとリスク選好度の範囲内でうまく管理され達成された。
リスクマネジメントの強化
2023/24 年度中、WATCは、エンタープライズ・リスク・マネジメントへのアプローチを引き続き進化・成熟させ、組織全
体のリスクを特定、評価、伝達、管理、分析する方法を強化した。これには、システムとプロセスの改善も含まれた。
「地方政府貸付改革」の一環として、WATCは、部門への責任ある貸付を提供するために信用評価プロセスを改良し、更新
した。
WATC の経営リスク委員会は、WATCが直面している現在のリスクと新たに生じるリスクの両方を引き続き監督している。
財務リスクを検討する、WATCの資産・負債委員会は、より厳しい信用環境の中で継続的な市場変動を通じて、当年度中リ
スク管理設定の適切性を確保してきた。
WATC の「オペレーショナルリスク及びコンプライアンス委員会」は発足２年目を迎え、引き続き価値ある全社的な監督
及び継続的改善を生み出し、非財務リスク、プロセス及び手続きの管理を進化させる。
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業務改善
価値向上プログラム
WATC は、「価値向上プログラム」を通じて、より正式な先進経路を確立している。これは、システムプロセスと非シス
テムプロセス見直し、向上させるための機敏なビジネスプロセス改善ツール、テクニック、戦略を利用する。
当会計年度を通じ、全部門にわたる事業価値の高い改善はすべて優先され、実現された。本年度のハイライトは、コー
ポレート・レポーティング・ダッシュボードの大幅な改善により、商品パフォーマンスの可視性が高まったことである。
残りの改善は、2023/24年度に予定されているWATCの中核トレジャリー・システムの更新を通じて実現される見込みであ
る。
変更諮問委員会（チェンジ・アドバイザリー・ボード）
2021/22 会計年度の導入以来、変更諮問委員会（CAB）は、WATCにおいてシステム変更管理を支援する新しいアプローチ
を提供してきた。CABは、最短時間で最高の価値を提供することに基づいて、どのシステム変更を進めるべきかを決定す
る。2022/23年度中、CABは複数のシステム変更の評価、優先順位付け、承認、リソース確保、スケジュール管理を支援
し、WATC全体の効率よ効果を向上させた。
デジタル情報管理
WATC のデジタル情報管理プロジェクトは、以下により、情報管理をさらに改善しるために、より良い働き方を実現する
ためのハイレベルな戦略と優先順位をつけたロードマップを開発することを目的とする。
・ 情報が一貫して十分に構造化され、より広範なアクセスとコラボレーションができることを確保する。
・ 情報の紛失リスクを低減する。
・ 西オーストラリア州記録局の要件に沿った情報セキュリティ及びコンプライアンスを管理する。
プロジェクトの第一段階は、情報源、システム及び資産の幅広い見直しで構成され、2022年に完了した。この調査か
ら、WATCは2022/23年度中に情報アーキテクチャのプロトタイプ及びガバナンスのフレームワークを開発し、これはビジネ
スとの整合性及び使いやすさを確認するためのテストを行っている。初期テストの結果は良好で、組織全体への今後の展
開の指針として利用される。
効率性及び費用対効果
WATC は、顧客にとり費用対効果の高いソリューションでありつつ、質の高い商品とサービスを提供することを確認する
ために、管理コスト比率の主要業績評価指標を使用する。この比率によって、WATCの管理効率及び顧客の借り入れの資金
調達の費用対効果を監視することができる。これは、WATCの顧客が負担しなければならない平均的な管理上の間接費を測
定する。2022/23年度の管理費比率は0.040％となり、目標の0.050％未満を下回った。これは、顧客と州に価値を提供しな
がら、費用対効果が高いことを確認する。
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情報・通信技術
サイバーセキュリティ
情報通信技術は、WATCの事業活動と継続的な成功に不可欠である。サイバー脅威や攻撃のリスクがますます高まる中、
WATCはサイバーセキュリティへの注力を引き続き強化する。ISO27002のコントロールフレームワークに加え、エッセン
シャル8のような緩和策を用いることで、WATCはセキュリティ脅威の予防、検出、対応においてサイバーセキュリティ態勢
を成熟させ続けている。
将来に向けて：業績の最適化
WATCの新技術・変革戦略の一環として、2023/24年度にWATCは以下に重点を置く：
・ WATCのサイバーセキュリティ能力のさらなる成熟
・ WATCの情報システムの最適化を継続
・ WATCのデジタル情報管理の改善
WATCはまた、リスクマネジメントのアプローチを引き続き進化させ、価値向上プログラムを組織全
体に拡大していく。
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(5) 【経理の状況】
以下に掲げる2023年６月30日に終了した２年間についての財務データは、WATCが公表する監査済の財務書類に基づくもの
である。
WATC は、2006年財政管理法に基づき、適切な会計帳簿を作成しなければならない。会計検査庁長官はいつでもWATCの検査
をすることができ、最低年１回一定の財務情報を監査しなければならない。
WATC は６月30日に終了する12か月間のWATCの活動に関する年次報告書を、大蔵大臣が毎年６月30日から90日以内に議会に
上程できるように、大蔵大臣宛てに提出しなければならない。同報告書は、その報告の対象である期間のWATCの財務書類及
びその他所定の情報を含まなければならない。
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包括利益計算書
2023 年６月30日終了の年度
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
収益
収入
投資収益 100.3 26.2
公的機関からの受取利息 1,374.9 1,002.1
2.7 2.7
手数料収入
収入合計 1,477.9 1,031.0
収益合計 1,477.9 1,031.0
費用
費用
借入に係る支払利息 1,376.6 890.6
起債費用 1.1 1.4
減価償却費 0.2 0.2
無形資産償却費 0.3 0.9
管理費用(注４) 19.5 19.2
42.6 93.7
公正価値の変動(純額)(注５)
費用合計 1,440.3 1,006.0
法人税相当額控除前の利益 37.6 25.0
法人税相当額費用(注６) 11.3 7.5
当期純利益
26.3 17.5
当期包括利益合計 26.3 17.5
包括利益計算書は、付随の注記と併せて読むべきである。
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財 政 状 態 計 算 書
2023 年６月30日現在
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
資産
現金性資産(注７) 207.9 233.2
投資(注８) 5,036.5 4,215.2
受取債権及びその他金融資産(注９) 304.0 242.3
公的機関への貸付金(注10) 44,142.4 46,515.1
税金資産(注11) 1.1 1.2
有形固定資産(注12) 0.4 0.6
0.5 0.3
無形資産(注13)
資産合計 49,692.8 51,207.9
負債
未払債務及びその他金融負債(注15) 2,009.0 785.5
借入金(注16) 47,481.7 50,257.5
納税債務(注17) 18.6 7.4
16.5 3.8
引当金(注18)
負債合計 49,525.8 51,054.2
純資産 167.0 153.7
資本
留保利益 164.0 150.7
3.0 3.0
準備金
資本合計 167.0 153.7
財政状態計算書は、付随の注記と併せて読むべきである。
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資 本 変 動 表
2023 年６月30日終了の年度
(単位：百万豪ドル)
準備金 留保利益 資本合計
2021年７月１日現在残高 3.0 149.9 152.9
当期純利益 0.0 17.5 17.5
当期包括利益合計
0.0 17.5 17.5
所有者としての立場での所有者との取引：
0.0 (16.7) (16.7)
所有者への分配
合計 0.0 (16.7) (16.7)
2022年６月30日現在残高 3.0 150.7 153.7
3.0 150.7 153.7
2022年７月１日現在残高
当期純利益 0.0 26.3 26.3
当期包括利益合計
0.0 26.3 26.3
所有者としての立場での所有者との取引：
0.0 (13.0) (13.0)
所有者への分配
合計 0.0 (13.0) (13.0)
2023年６月30日現在残高 3.0 164.0 167.0
資本変動表は、付随の注記と併せて読むべきである。
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キャッシュ・フロー表
2023 年６月30日終了の年度
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
営業活動からのキャッシュ・フロー
公的機関への貸付金受取利息 1,309.1 996.5
投資受取利息 108.0 59.4
投資資産売却及び満期手取金 4,684.4 4,719.2
投資支払 (5,340.0) (3,968.5)
公的機関への貸付金 (8,386.0) (8,706.6)
公的機関からの貸付金返済 11,300.6 10,885.2
公的機関を代理してのその他支払い (0.5) 0.0
借入による手取金 15,965.5 15,859.5
借入金返済 (18,201.6) (19,462.5)
手数料収入 2.9 2.8
支払利息及びその他資金調達費用 (1,382.2) (1,134.5)
管理及び起債費用 (20.9) (20.4)
0.0 (3.7)
税相当額支払
営業活動に（使用された）／よる現金(純額)(注20ｂ)
39.3 (773.6)
投資活動からのキャッシュ・フロー
有形固定資産支払 0.0 (0.3)
(0.4) (0.2)
無形資産支払
投資活動に使用された現金(純額)
(0.4) (0.5)
財務活動からのキャッシュ・フロー
0.0 (16.7)
配当支払い
財務活動に使用された現金(純額)
0.0 (16.7)
現金及び現金同等物の（減少）/増加(純額) 38.9 (790.8)
677.8 1,468.6
期首現金及び現金同等物残高
期末現金及び現金同等物残高(注20ａ) 716.7 677.8
上記には、以下が含まれる
州政府へのキャッシュ・フロー
配当支払い 0.0 (16.7)
0.0 (3.7)
税相当額支払い
州政府への現金(純額)
0.0 (20.4)
キャッシュ・フロー表は、付随の注記と併せて読むべきである。
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財務書類に対する注記(2023年６月30日終了年度)
( 注１) 西オーストラリア州理財公社（WATC）は、1986年西オーストラリア州理財公社法に基づき、州の中央融資機関とし
て、1986年７月１日に設立された。WATCの所在地は、西オーストラリア州、パース、セント・ジョージズ・テラス225、
12階である。
概要
2023 年６月30日に終了する年度のWATCの財務書類は、オーストラリア会計基準に基づき作成されている。「オースト
ラリア会計基準」という用語は、オーストラリア会計基準委員会(AASB)により発行された基準及び解釈を含む。財務報
告はまた国際財務報告基準にも準拠する。
これらの会計書類を作成するにあたり、WATCはその業務運営に関係する場合、AASBが発行する施行日からの新基準及
び修正基準並びに解釈を採用している。
オーストラリア会計解釈は、AASB1048「基準の解釈及び適用」を通じて採択され、国際会計基準審議会（IASB）の解
釈に対応するもの、及びオーストラリアにおいてのみ適用されるものに分類される。
基準の早期採用
WATC は、大蔵大臣指示(TI)第1101号「オーストリア会計基準及びその他発表の適用」により特に認められない限り、
オーストラリア会計基準又は解釈を早期に採用することはできない。2023年６月30日に終了する年次報告期間について
発行済み又は修正済みである（が施行されていない）オーストラリア会計基準のうち、WATCにより早期採用されている
ものはない。
( 注２) 重要な会計方針の概要
(a) 会計の一般制度
(ⅰ)WATC は、大蔵大臣の指示により適用されるオーストラリア会計基準、AASBの枠組み、会計基礎概念に関する記述
及びその他公式見解に従った一般目的の財務書類を作成する非営利報告団体である。この内いくつかのものは大蔵
大臣の指示により、適用、開示、フォーマット及び用語の改訂のため修正される。
財務管理法及び大蔵大臣の指示は財務書類を作成するにあたっての法的規定であり、オーストラリア会計基準、
AASBの枠組み、会計基礎概念に関する記述及びその他公式見解に優先するものである。
もし何らかの修正が必要とされ、報告結果に重大な財務的影響を及ぼす場合は、修正内容の詳細及びその財務的影
響につき財務書類の注記に記載される。財務書類に修正はない。
( ⅱ)別途記載しない限り、財務書類の数字は豪ドルで表示され、すべての金額は百万豪ドル単位に四捨五入されてい
る。
(ⅲ) 財務書類の作成にあたり採用された会計方針は、別途記載しない限り、表示のすべての期間を通じて統一的に適
用されている。
( ⅳ)比較情報は、当年度の表示と一致するよう調整されている。
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(b) 作成の基礎
財務書類は、以下に注記するもの除き、取得原価主義を用いて発生主義により作成されている。
WATC はその職務を果たすために投資、公的機関への貸付金及び借入金を維持し、AASB９「金融商品」の規定に準拠
し、これらの金融資産及び金融負債を損益を通じて公正価値するものとして指定することを選択している。WATCは、
その業務を毎日公正価値ベースに基づき管理しているので、これを選択する資格基準を満たしている。AASB９に基づ
き、すべてのデリバティブ金融商品もまた、損益を通じて公正価値ベースで計上されている。もともと、金融資産及
び金融負債の評価に使用される市場取引レートは信用リスクの割引を含む。
WATC は、対応する財務書類の勘定項目の資産/負債の大部分を回収/決済する意図及び認識される能力に基づき、流
動性の順に財政状態計算書を表示する。
重要な会計上の判断及び見積り
財務書類に認識される金額に最も大きな影響を及ぼす会計方針を適用する過程においてなされた判断は、投資、公
的機関への貸付金及び借入金の測定のために呼び値に代わり中間価格を使用することに関連する。
WATC はこれらの金融資産及び負債のリスクの危険性を最小化することを目指す。これらの項目のリスク・ポジショ
ンが相殺される範囲で、WATCがそれらを保有するならば、なんらかのオープン・ポジション(正味残高)に適用される
呼び値とともに中間価格が使用される。
金融資産及び金融負債の価値評価においてなされる主要な仮定は、注19において開示される。
(c) 収入
収入は、受領済み又は受領可能な対価の公正価値で認識され、かつ測定される。収入は次に示すように認識され
る。
手数料収入
提供したサービスに関する手数料収入はサービスが提供された期間に認識される。
利息
受取利息は生じたときに実効利率法を用いて認識され、ポートフォリオ管理において実現する類似性質の項目を
含む。金融資産に関する実現損益もまた、利息として認識される。
(d) 有形固定資産
原価が5,000豪ドル以上の有形固定資産の項目は、資産として認識され、資産を利用するコストは耐用期間にわた
り費用化(減価償却)される。原価が5,000豪ドル未満の有形固定資産の項目は、包括利益計算書に直接計上される
(個々が類似項目の一群の一部を構成し、全体としては重要である場合を除く。)。
有形固定資産のすべての項目は、当初、原価で認識される。当初の認識の後、有形固定資産は、原価から減価償却
累計額及び何らかの価値の減損を差引いて記帳される。減価償却は定額法を用いて予想耐用年数を基に計算される。
各種減価償却資産に使用される予想耐用年数は下記のとおりである。
2023年 2022年
・コンピュータ機器
３～５年 ３～５年
・その他機器 ５～10年 ５～10年
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減損
有形固定資産の帳簿価格は、事象又は環境の変化が帳簿価格の回収不能の可能性を示唆したときに、減損につき検
討される。個別では多額のキャッシュ・インフローを生み出さない資産については、回収可能額は資産が属する現金
をもたらすユニットについて決定される。このような兆候があり、帳簿価格が回収可能額の見積もりを上回る場合、
資産又は現金を生み出すユニットは回収可能額に減額される。
有形固定資産の回収可能額は、公正価値から売却費用を控除した額と減価償却後の取替原価の大きい方である。
減損損失は包括利益計算書において認識される。
(e) 無形資産
コンピュータ・ソフトウェアは、WATCが財務書類に計上する唯一の無形資産である。資産利用の原価は、耐用期間
にわたり費用化(償却)される。
別個に取得した無形資産は、取得日の原価で資産化される。当初の認識の後、各種類の無形資産にコスト・モデル
が適用される。これら資産の耐用期間は有限として査定される。無形資産は期間３年で償却される。
減損の兆候がある場合、無形資産の減損が検査される。耐用期間もまた、年次ベースで検査され、適用ある場合、
見込みベースで調整が行われる。
(f) 投資
WATC は、投資を損益を通じて公正価値評価する金融資産として分類する。WATCは満期保有又は売却可能に分類され
る投資を保有しない。
投資は、約定日の公正価値で当初認識され、その後報告日現在に適用される公正価値で測定される。本方針から生
ずる未実現収益(損失)は包括利益計算書の勘定に記帳される。公正価値は、投資がリスクを相殺するポジションに保
有される範囲で、市場で値付けされた中間価格を用いて、それ以外は買い呼び値を適用して、算定される。オースト
ラリア連邦及び州政府の投資は、ポートフォリオ管理の目的から保有されている。これらの投資は一般的に満期まで
12か月を超えるものであるが、通常の業務においてはWATCの指標銘柄債券を経済的にヘッジするために利用され、
従って12か月以内に換金される予定で保有される。
(g) 公的機関への貸付金
公的機関への貸付金は、約定日の公正価値で当初認識され、その後報告日現在に適用される公正価値で測定され、
貸借対照表において資産に記帳される。本方針より生ずる未実現収益(損失)は包括利益計算書の勘定に記帳される。
公正価値は、公的機関への貸付金がリスクを相殺するポジションに保有される限りは、市場で値付けされた中間価格
を用いて、それ以外は買い呼び値を適用して、算定される。一般的な状況では、公的機関への貸付金は、満期時に更
新又は再貸付される。
(h) 借入金
借入金は約定日の公正価値で当初認識され、その後報告日現在に適用される公正価値で測定される。本方針より生
ずる未実現収益(損失)は包括利益計算書の勘定に記帳される。公正価値は、借入金がリスクを相殺するポジションに
保有される限りは、市場で値付けされた中間価格を用いて、それ以外は売り呼び値を適用して、算定される。一般的
な状況では、借入金は、満期時に乗換えられるか借換えられる。起債費用は発生したときに包括利益計算書に計上さ
れる。
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(i) デリバティブ金融商品
デリバティブはもっぱら金利及び外国為替リスクを経済ヘッジするために利用される。デリバティブはすべて、約
定日付で公正価値で貸借対照表において認識される。デリバティブはすべて、取引目的で保有されるものとして分類
されている。デリバティブの帳簿価格は、契約の有効期間中、公正価値で再測定される。本方針より生ずる未実現収
益(損失)は包括利益計算書の勘定に記帳される。
(j) 外貨換算
外貨建取引は、約定日に適用される為替レートで約定日付で豪ドル建勘定に記帳される。報告期間末日現在、すべ
ての貨幣性資産及び負債は、2023年６月30日現在の為替レートで換算されている。為替差益(損)は、包括利益計算書
に記帳される。WATCの機能通貨及び表示通貨は、ともにオーストラリア・ドル(豪ドル)である。
(k) 資金調達コスト
資金調達コストは負担したときに費用として認識される。支払利息は生じたときに認識され、関係のあるポート
フォリオ管理において実現する類似性質の項目を含む。金融負債に関する実現損益もまた、利息として認識される。
(l) 職員給付
(ⅰ) 病気休暇
病気休暇については、与えられた権利ではなく、また会計年度中に取得された病気休暇は、通常の病気休暇枠の
使用を超えないと予想されるため、引当金を設定していない。
(ⅱ) 年次休暇
この給付は報告日までの職員のサービスについて報告日現在で認識され、決済時に適用する予定の報酬率を用い
て、債務が決済されるとき支払われる予定の金額の現在価値で測定される。
(ⅲ) 長期有給休暇
報告日から12か月以内に決済が予定される長期有給休暇債務は、職員給付引当金として認識され、債務が決済さ
れるとき支払われる予定の額面金額で測定される。報告期間末日から12か月を超えて決済が予定される長期有給休
暇債務は、職員給付引当金として認識され、報告日までの職員が提供したサービスに関して行われる将来支払予想
額の現在価値で測定される。将来の支払予想額を査定する際には、将来の予想給与水準、職員離職の経験値及び勤
続年数を考慮する。将来支払の予想額は、予測将来キャッシュ・アウトフローと可能な限り近い満期の条件をもつ
国債の報告期間末日現在の市場利回りを用いて割引かれる。
(ⅳ) 老齢退職手当
州政府職員老齢退職年金委員会(GESB)及びその他の基金提供者が法的な要件に従い、以下に詳述する年金制度を
管理する。職員に対する個別の制度への加入に関する適格基準は、開始日と実施日により異なる。
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適格な職員は、1987年以来新規加入者を受付けていない確定給付年金制度である州年金制度、又は1995年以来新
規加入者を受付けていない確定給付一時金制度であるゴールド・ステート老齢退職手当制度(GSS)に拠出する。こ
れらいずれの制度にも加入していなかった、2007年４月16日より前に雇用を開始した職員は、ウェスト・ステート
老齢退職手当制度(WSS)の非拠出加入者になった。2007年４月16日以降に就業した職員は、GESBスーパー制度
(GESBS)の加入者になった。2012年３月30日から、WSS又はGESBSの既存加入者及び新たな職員は、自身の好きな年
金基金提供者を選択できる。WATCは1992年連邦政府年金保証(管理)法に従い、職員に代わりGESB又は他の基金提供
者への拠出を行う。これらの積立て制度への拠出は、州年金制度又はGSSの加入者ではない職員に関するWATCの退
職手当負担債務を消滅させる。
WATC はまた、以前は公的部門の者であった現在のスタッフの以前の勤務の結果、非積立型年金債務を有する。こ
れら将来の支払債務は、報告日現在、貸借対照表において引当てられている。この制度に基づく負債は、予想ユ
ニット法を用いてマーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティングにより毎年計算される。予想される将来支
払いは、予想将来キャッシュ・アウトフローに可能な限り適合する満期条件を持った国債の市場利回りを用いて、
報告日付で現在価値に割引かれる。
GSS 、WSS及びGESBS（当期勤務の退職手当費用はWATCからGESBに支払われる。）は、拠出型制度と定義される。
GSS、WSS及びGESBSに基づく当期勤務の退職手当負担債務は、GESBへの雇用主の拠出支払いと同時に消滅する。
GSS は、職員及び政府全体の報告の目的で、確定給付制度である。しかし、代理人の見解からは、給付の振替と
は別に、AASB119のもとでは、確定拠出制度と定義される。
確定給付制度の年金費用は、以下の要因から構成される。
・ 当期勤務原価
・ 利息費用(割引の繰入れ)
・ 保険数理損益
・ 過去勤務債務
確定給付制度の保険数理損益は、直ちに包括利益計算書において収益又は費用として認識される。
確定拠出制度の年金費用は、拠出が期限を迎えたときに認識される。
(m) 配当政策
WATC の配当政策は、堅実な商業慣行に矛盾せず、かつWATCの財政的健全性を損なわない適切な配当をWATCが州に行
うことを確保するよう定式化されている。WATCの方針は、配当としてWATCの税引後利益の75％を州統合勘定に支払う
旨を定める。ただし、大蔵大臣の承認する調整を受ける。現会計年度の配当金は、取締役会により宣言され、翌会計
年度に支払われる。
(n) 法人税
WATC は課税相当額制度(TER)の中で事業を行っている。これにより、法人税に関して相当額が州大蔵省に支払われ
る。州政府が承認したTERの指針及び指示は、税金に関する負債の算定を決定する。
TER への参加の結果、WATCはオーストラリア会計基準AASB112「法人税」を遵守することが求められている。
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ある会計期間の法人税費用又は収入は、資産及び負債の課税標準とその財務書類上の帳簿価格の一時的差異、並び
に未使用の税損失に帰すべき繰延税金資産・負債の変動により調整された当該期間の課税所得に対する支払うべき税
金である。
繰延税金資産及び負債は、資産が回収又は負債が清算されたときに適用が予想される税率(制定済み又は実質的に
制定された税率を基礎とする)で、一時的差異について認識される。当該税率は、繰延税金資産又は負債を測定する
ために控除可能かつ課税可能な一時差異の累積額に適用される。資産又は負債の当初認識から生ずる特定の一時的差
異には例外がある。繰延税金資産又は負債が、取引の時点で、経常利益又は課税損益のいずれにも影響を与えない取
引において生ずる場合、これら一時的差異に関連して繰延税金資産又は負債は認識されない。
繰延税金資産は、控除可能な一時的差異及び未利用の税金損失を利用できる将来の課税額が利用できる可能性が高
い場合に限り、これらの一時的差異及び損失について認識される。
その他包括利益に認識される金額に起因する当期及び繰延税金残高は、その他包括利益に認識され、資本に直接起
因するものは直接資本に認識される。
繰延税金資産の帳簿価格は各報告日において見直され、繰延税金資産の全部又は一部の使用を可能とするような十
分な課税利益が今後利用できない可能性がある場合、減額される。
(o) 資産の減損
各報告日現在、WATCは資産の減損の兆候がないかを査定する。減損の兆候がある場合、WATCは回収可能額の正式な
見積もりを行う。資産の帳簿価格が回収額を上回る場合、当該資産は減損しているとみなされ、回収可能額まで減額
される。
回収可能額は、公正価値から売却費用を差引いた額と減価償却後の取替原価の大きい方である。減損のリスクは、
一般に、資産の減価償却が著しく低く評価されている場合、取替原価が下落している場合、又は耐用期間に大幅な変
更がある場合に限られる。各種類の資産は、減価償却累積額が資産の将来の経済的利益の消費水準又は満了を反映し
ているかを検証し、取替原価の下落による減損リスクの有無を評価するために、毎年見直しが行われる。
(p) 受取債権
受取債権は原価で認識される。受取債権は一般に30日以内に決済されるため、帳簿価格は公正価値に近似する。徴
収不能額の引当金は、資産の減損の兆候がある場合に引き当てられる。WATCの顧客の性質に起因する未徴収である金
額の兆候はない。
(q) 未払債務
未払債務は、WATCが資産又はサービスの購入の結果、将来の支払いをなす義務を負うことになったときに、支払う
べき金額で認識される。帳簿価格は公正価値に近い。なぜなら30日以内に一般的に決済されるからである。
(r) 現金及び現金同等物
貸借対照表の現金資産は、銀行預金及び手持現金から構成される。帳簿価格は、その性質上短期であるため、公正
価値に近い。キャッシュ・フロー表の目的上、現金及び現金同等物は、手持ち現金及び当初満期が３か月以内の直ち
に周知の金額の現金に交換可能な短期預金を含み、価値の変動リスクが小さいものである。
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(s) 未払賃金(給与)
未払給与は、職員に払うべきであるが会計年度末において未払いの金額を表す。なぜなら、ある会計年度の最後の
給与期間末は会計年度末と一致しないからである。未払給与は会計年度末から２週間以内に精算される。WATCは未払
給与の帳簿価格は公正価値と同額であると考える。
(t) スワップ公正価値準備金
WATC は、顧客の長期資金需要を満たすために調達した中・長期債務に対する金利及び外為エクスポージャーを低減
するために、金利及び通貨スワップを締結する。
会計基準に従い、スワップの公正価値の変動は、包括利益計算書に計上される。この方針により生み出された純利
益を独立して特定するために利用できる任意の資本準備金が設定されている。これは将来、取引の満期において留保
利益に振替えることができる。
( 注３) 会計方針変更の開示
オーストラリア会計基準の最初の適用
WATC は、2022年７月１日以後に開始する年次報告期間から有効なすべてのオーストラリア会計基準を採択した。WATC
に重要な財務上の影響を与えたものは無かった。
発行済みであるがまだ有効でないオーストラリア会計基準の将来の影響
WATC は、TI第1101号「オーストリア会計基準及びその他発表の適用」又はTI第1101号の適用除外により特別に認めら
れない限り、オーストラリア会計基準を早期採用することができない。WATCは、発行済みの以下のいずれのオーストラ
リア会計基準も早期に適用していない。適用ある場合、WATCはこれらのオーストラリア会計基準をその適用日から適用
する予定である。
以下の新基準及び修正はWATCに影響を与えると予想されない。
AASB 修正 影響を受ける基準
AASB17 「保険契約」
AASB2020-1 「オーストラリア会計基準の修正－流動負債及び固定負債の分類」
AASB2020-3 「オーストラリア会計基準の修正－2018年-2020年の年次改正及びその他修正」
AASB2020-6 「オーストラリア会計基準の修正－流動負債及び固定負債の分類－効力発生日の繰延
べ」
AASB2021-7 「オーストラリア会計基準の修正－AASB10及びAASB128の修正の効力発生日並びに編集上
の訂正」
AASB2022-1 「オーストラリア会計基準の修正－AASB17及びAASB9の最初の適用－比較情報」
AASB2022-9 「オーストラリア会計基準の修正－公的部門の保険契約」
以下の新基準及び修正の影響は、まだ完全には決定されていない。
AASB 修正 影響を受ける基準
AASB2021-2 「オーストラリア会計基準の修正－会計方針の開示及び会計上の見積もりの定義」
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( 注４) 管理費用
職員給付費用
以下の職員給付費用が管理費用に含まれる。
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
給与
11.8 11.1
労働災害補償費用 0.2 0.1
退職年金費用 1.4 1.1
(0.1) (0.1)
長期休暇引当金
13.3 12.2
管理費用
職員給付費用 13.3 12.2
サービス及び契約 3.0 2.6
設備保守 0.8 1.9
宿泊費 1.0 0.9
1.4 1.6
その他コスト
19.5 19.2
( 注５) 公正価値変動(純額)
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
未実現利益/（損失）－投資
3.0 (123.0)
未実現利益/（損失）－公的機関への貸付金 (424.1) (3,731.8)
未実現利益/（損失）－借入金 311.1 4,593.7
67.4 (832.6)
未実現利益/（損失）－デリバティブ
公正価値変動（純額）
(42.6) (93.7)
金利変動の加算
投資利息 100.3 26.2
公的機関からの利息 1,374.9 1,002.1
(1,376.6) (890.6)
借入利息
98.6 137.7
損益を通じて公正価値評価される金融資産及び金融負債の純
56.0 44.0
利益
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WATC は長期目標を達成するためポートフォリオ基準で営業を管理する。総額22.0百万豪ドル（2022年：33.5百万豪ド
ル）の実現損失は受取利息及び支払利息に反映される。公正価値変動の純額は、原証券の期間中実現されるべき未実現
公正価値の調整を表す。
( 注６) 法人税相当額
会計上の利益に対する見かけ上の法人税相当額費用は、下記のとおり、会計上の法人税相当額費用と一致する。
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
法人税相当額控除前の会計上の利益 37.6 25.0
税率30％の法人税相当額(2022年：30％) 11.3 7.5
法人税相当額費用 11.3 7.5
以下の増減から成る法人税相当額費用：
当期法人税相当額費用 11.1 7.4
0.2 0.1
オリジネーションに関する繰延税金利益
法人税相当額費用総額
11.3 7.5
繰延税金資産：
1.0 1.2
職員引当金
合計(注11)
1.0 1.2
( 注７) 現金性資産
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
銀行預金
207.8 233.2
0.1 0.0
海外銀行口座
207.9 233.2
平均残高 222.5 231.3
受取利息 6.9 0.8
平均利率 3.11％ 0.35％
現金性資産は銀行口座に保有する資金のみを表示し、金融市場投資は含まない。WATCの指標銘柄債券ラインの満期を
円滑に行うため、債券の満期前には翌日物銀行口座に通常より大きい現金残高が残されている。
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( 注８) 投資－公正価値
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
投資－デリバティブ以外
投資は以下から構成される。
短期金融市場への投資 2,782.7 2,465.2
2,253.8 1,750.0
政府債券
合計 5,036.5 4,215.2
満期による分類
３か月以内 945.7 875.4
３か月から12か月 2,529.8 1,775.0
１年から５年 1,027.7 834.2
533.3 730.6
５年超
合計 5,036.5 4,215.2
金利更改による分類
３か月以内 945.7 875.4
３か月から12か月 2,529.8 1,775.0
１年から５年 1,027.7 834.2
533.3 730.6
５年超
合計 5,036.5 4,215.2
格付別投融資額の割合
AAA 6.45 ％ 0.00％
AA 71.57 ％ 94.44％
A 19.08 ％ 5.56％
2.90 ％ 0.00％
BBB
100.00％ 100.00％
平均残高
4,176.5 3,264.6
受取利息 93.4 25.4
平均利率 2.24％ 0.78％
WATC は、その余剰資金を西オーストラリア州理財公社法に従い投資する。評価方法の詳細な情報は注19に記載されて
いる。すべての投資は損益を通じて公正価値評価する金融資産として分類されている。
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( 注９) 受取債権及びその他金融資産
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
未収受取利息
294.6 229.8
外貨建債権 0.0 2.7
9.4 9.8
その他債権
304.0 242.3
未収受取利息は顧客になされた貸付及び金融機関の投資に関連した発生利息から構成される。その他債権は2023年６
月30日より前に行われ、2023年６月30日より後の期日で決済される金融商品取引を示す。
( 注10) 公的機関への貸付金－公正価値
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
10a. 公的機関への貸付金－デリバティブ以外
44,142.4 46,515.1
満期による分類
３か月以内 1,103.9 1,236.7
３か月から12か月 5,513.2 4,846.5
１年から５年 23,165.0 25,888.7
14,360.3 14,543.2
５年超
合計 44,142.4 46,515.1
金利更改による分類
３か月以内 14,534.1 15,539.4
３か月から12か月 5,115.2 5,169.1
１年から５年 12,112.7 13,299.2
12,380.4 12,507.4
５年超
合計 44,142.4 46,515.1
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(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
10b. 公的機関への貸付金－デリバティブ
(19.9) (4.3)
満期による分類
３か月以内 (0.0) (0.6)
３か月から12か月 (0.7) (1.7)
(19.2) (2.0)
１年から５年
デリバティブ合計(注15) (19.9) (4.3)
金利更改による分類
３か月以内 (14.0) (2.3)
３か月から12か月 0.3 (0.5)
(6.2) (1.5)
１年から５年
デリバティブ合計(注15) (19.9) (4.3)
平均残高 44,703.4 49,576.8
受取利息 1,374.9 1,002.1
平均利率 3.08％ 2.02％
WATC は州政府及び西オーストラリア州内の地方政府機関に資金を貸付ける。通常の場合ではこれらの貸付金は更新又
は再貸付される。州政府への貸付金(全体の98.6％(2022年：98.7％))は州により保証されており、他方地方政府への貸
付金(全体の1.4％(2022年：1.3％))は証書により担保されており、地方政府法の規定に基づき、地方政府の一般会計に
対し請求できる。2023年６月30日現在、地方政府への貸付金に減損の兆候はなかった(2022年：ゼロ)。公的機関への貸
付は組織的市場において標準化された形式では取引されていない。評価方法の詳細な情報は注19に記載される。
( 注11) 税金資産
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
繰延税金資産
1.1 1.2
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( 注12) 有形固定資産
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
設備(原価)
1.2 1.5
0.8 0.9
控除：減価償却累計額
有形固定資産合計
0.4 0.6
調整表
設備
期首残高 0.6 0.5
加算 0.0 0.3
処分／除去 (0.3) (1.6)
減価償却 (0.2) (0.2)
0.3 1.6
処分に関する累積減価償却
期末残高
0.4 0.6
( 注13) 無形資産
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
無形資産(原価)
1.8 7.4
1.3 7.1
控除：償却累計額
無形資産合計
0.5 0.3
調整表
無形資産
期首残高 0.3 1.0
加算 0.5 0.2
処分 (6.1) (4.1)
償却 (0.3) (0.9)
6.1 4.1
処分に関する累積償却
期末残高
0.5 0.3
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( 注14) 資産の減損
2023 年及び2022年６月30日現在、有形固定資産及び無形資産の減損の兆候はなかった。
WATC は、本報告期間中、無期限の耐用年数を持つのれん又は無形資産を保有しておらず、また報告日現在、利用可能
となっていない無形資産はない。
( 注15) 未払債務
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
未払利息（償却原価）
462.3 427.2
1,173.4 217.0
その他未払債務（償却原価）
1,635.7 644.2
その他金融負債（公正価値）（注10b及び注16b） 373.3 141.3
2,009.0 785.5
未払債務は未払利息並びに債務商品及び未提示手形に関連する種々の未払勘定から成る。未払利息は金融機関に対す
るものである。その他未払債務は、2023年６月30日より前に開始し、2023年６月30日より後の期日で決済される金融商
品取引を含む。その他金融負債は注19においてより詳細に説明する。
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( 注16) 借入金－公正価値
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
16a. 借入金－デリバティブ以外
47,481.7 50,257.5
満期による分類
３か月以内 527.3 2,651.5
３か月から12か月 7,553.6 5,900.2
１年から５年 24,318.5 26,458.6
15,082.3 15,247.2
５年超
借入金合計（公正価値） 47,481.7 50,257.5
金利更改による分類
３か月以内 7,710.6 10,663.8
３か月から12か月 5,857.6 4,102.4
１年から５年 18,831.2 20,244.1
15,082.3 15,247.2
５年超
借入金合計（公正価値） 47,481.7 50,257.5
16b. 借入金－デリバティブ
353.4 137.0
満期による分類
３か月以内 0.1 (2.2)
３か月から12か月 (6.7) (13.4)
１年から５年 138.2 (26.1)
221.8 178.7
５年超
デリバティブ合計（注15） 353.4 137.0
金利更改による分類
３か月以内 132.6 118.0
３か月から12か月 17.2 17.9
１年から５年 50.7 (116.9)
152.9 118.0
５年超
デリバティブ合計（注15） 353.4 137.0
平均残高 47,983.1 52,978.2
支払利息 1,376.6 890.6
平均利率 2.87％ 1.68％
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WATC は国内及び海外資本市場で資金を調達する。西オーストラリア州理財公社法第13条第１項に基づき、WATCの財務
上の債務は西オーストラリア州の代理として大蔵大臣により保証されている。WATCの借入は種々の市場及び満期にわた
り多様化されている。評価方法についての詳しい情報は、注19に記載されている。
借入金－額面金額
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
６月30日からの期間12か月以下の債務
国内 8,102.1 8,297.0
0.0 253.5
海外
8,102.1 8,550.5
６月30日からの期間12か月を超える債務
41,688.0 43,175.9
国内
41,688.0 43,175.9
６月30日現在残高(額面金額) 49,790.1 51,726.4
海外借入
海外借入は、豪ドル建及び外貨建借入を含む。外貨建借入は2023年６月30日及び2022年６月30日現在適用される為替
レートを用いて換算されており、以下のとおりである。
2023 年６月30日現在の為替レートによる換算額
2023 年６月30日から 2023 年６月30日から
12 か月以内の返済分 12 か月超の返済分
外貨建借入 ( 単位：百万豪ドル)
無し 無し 無し
2022 年６月30日現在の為替レートによる換算額
2022 年６月30日から 2022 年６月30日から
12 か月以内の返済分 12 か月超の返済分
外貨建借入 ( 単位：百万豪ドル)
174.5 百万米ドル 253.5 無し
報告日現在において、全ての外貨建借入について、経済上のヘッジ、スワップ又は先物契約が結ばれるか、外貨建資
産に投資されている。従って、海外借入の通貨換算によって生ずる為替差益(損)は、外貨契約、海外投資又は連続した
貸付について発生するこれに対応する差損(益)と相殺され、為替差益(損)の純額は発生しない。
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( 注17) 納税債務
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
当期法人税相当額債務 18.6 7.4
18.6 7.4
当期法人税相当額債務は、2023年及び2022年の納税債務に関連する。
( 注18) 引当金
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
年次休暇
1.3 1.5
長期有給休暇 2.2 2.1
退職手当(確定給付制度) 0.0 0.2
13.0 0.0
配当引当金
16.5 3.8
配当引当金は、2022年６月30日終了会計年度に対して連結口座に支払われる配当を指す。
これは税引後の相当利益の75％として計算される。
ゴールド・ステート老齢退職手当制度
会計方針
保険数理上の損益は発生した年度において包括利益計算書に直ちに認識される。
本制度情報
本制度によりもたらされる利益の性質
以前の州年金制度加入者の一部がゴールド・ステート・スーパー（老齢退職手当制度）に移行した。彼らの移行さ
れた給付に関して、加入者は退職、死亡又は傷病の場合に一時金で給付を受取る。これは雇用期間中の給与に関係づ
けられ、公的部門の雇用を離職後の支払猶予期間中指数化方式で計算される。
規制上の枠組みの説明
本制度は2000年州老齢退職年金法（西オーストラリア）及び2001年州老齢退職年金規則（西オーストラリア）に基
づき運用される。
制度は老齢退職年金産業（監督）（SIS）法の正式な対象ではないが、西オーストラリア州政府は、（政府覚書に
おいて）制度をSIS法制の精神に基づき運用することを約束している。
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義務が免除された公的部門老齢年金制度（SIS法に定義される。）として、本制度は最低資金要件に従わない。
憲法で保護された年金基金（所得税評価法に定義される。）として、本制度は税金を払う必要がない。
本制度のガバナンスに対する他の法人の責任の説明
政府職員老齢年金委員会（GESB）は本制度のトラスティーであり、本制度のガバナンスの責任がある。トラス
ティーとして、GESBは本制度の受益者の最善の利益のためにのみ行為する法律上の義務がある。GESBには以下の役割
がある。
・本制度の管理及び本制度の規則に従って必要ある場合に受益者への支払い、
・本制度資産の運用及び投資（本報告の負債は資産により裏付けられない）、及び
・上記の政府覚書の遵守。
リスクの説明
本制度によりWATCは多数のリスクにさらされる。確定給付に関連するより重要なリスクは以下の通りである。
・給与リスク ― （将来の給付額がそれに基づく）賃金又は給与が仮定よりも急激に上昇し、確定給付額及び関連
する雇用者拠出を増加させるリスク。
・インフレーション・リスク ― （繰延給付の物価スライド制に影響を与える）インフレーションが仮定よりも高
くなり、確定給付額及び関連する雇用者拠出を増加させるリスク。
・法律上のリスク ― 確定給付を提供するコストを上昇させる法律の変更が行われるリスク。
重要な事実の説明
本年度中に確定給付債務に影響を与える制度の改正、縮小又は清算はなかった。
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有価証券報告書
確定給付負債/(資産)(純額)の調整表
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
期首の確定給付負債/（資産）（純額）
0.2 0.3
(+) 当期の勤務費用
0.0 0.0
(+) 純利息
0.0 0.0
(+) 過去の勤務費用/削減
0.0 0.0
(+) 決済による(利益)/損失
0.0 0.0
(-) 本制度資産の実際の利回りから受取利息を控除
0.0 0.0
(+) 人口動態の仮定変更から生ずる実際の（利益）/損失
0.0 0.0
(+) 財務上の仮定変更から生ずる実際の（利益）/損失
0.0 0.0
(+) 債務実績から生ずる実際の（利益）/損失
0.1 (0.1)
(+) 資産上限の効果の調整
0.0 0.0
(-) 雇用主拠出 (0.3) 0.0
確定給付負債／(資産)(純額)
0.0 0.2
本制度資産の公正価値調整表
期首の本制度資産の公正価値 0.0 0.0
(+) 受取利息
0.0 0.0
(+) 本制度資産の実際の利回りから受取利息を控除
0.0 0.0
(+) 雇用主拠出
0.2 0.0
(+) 本制度参加者による拠出
0.0 0.0
(-) 支払い給付
0.2 0.0
(-) 税金、プレミアム及び費用
0.0 0.0
(+) 振替による
0.0 0.0
(+) 蓄積部門への拠出
0.0 0.0
(+) 決済
0.0 0.0
(+) 為替レート変動 0.0 0.0
期末の本制度資産の公正価値
0.0 0.0
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有価証券報告書
確定給付債務（DBO）の調整表
期首の確定給付債務の現在価値 0.2 0.3
(+) 当期の勤務費用
0.0 0.0
(+) 利息費用(支払利息)
0.0 0.0
(+) 本制度参加者による拠出
0.0 0.0
(+) 人口動態の仮定変更から生ずる保険数理上の(利益)/損
0.0 0.0
失
(+) 財務上の仮定変更から生ずる保険数理上の(利益)/損失
0.0 0.0
(+) 債務実績から生ずる保険数理上の(利益)/損失
0.1 (0.1)
(-) 支払い給付
(0.3) 0.0
(-) 税金、プレミアム及び費用
0.0 0.0
(+) 振替による
0.0 0.0
(-) 蓄積部門への拠出
0.0 0.0
(+) 過去の勤務費用/削減
0.0 0.0
(+) 決済による利益/損失
0.0 0.0
(+) 決済
0.0 0.0
(+) 為替レート変動 0.0 0.0
期末の確定給付債務の現在価値
0.0 0.2
資産上限の効果の調整
資産上限は、確定給付負債/（資産）の純額へ影響を与えない。
本制度資産の公正価値
移転済給付を補助するために現在の職員のためのゴールド・ステート・スーパーの資産は存在しない。従って、以
下は存在しない。
・本制度資産の公正価値、
・本制度資産の割当資産、
・雇用主により発行される金融資産、
・雇用主が使用する資産、及び
・資産-負債を一致させる戦略。
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有価証券報告書
報告日付の重要な保険数理上の仮定
開始年DBO及び当年度の確定給付コストを決定する仮定
2023年 2022年
割引率
3.35％ 1.50％
予想給与増加率 2021/22年 - 2.00％
2022/23年 3.50％ 2.00％
その後 3.50％ 3.00％
CPI(消費者物価指数) 2021/22年 - 1.75％
2022/23年 3.00％ 1.75％
2023/24年 3.00％ -
2024/25年 3.00％ -
その後 2.50％ 2.00％
評価日現在のDBOを決定する仮定
割引率 3.55％ 3.35％
予想給与増加率 2022/23年 3.50％ 3.50％
CPI(消費者物価指数) 2022/23年 3.50％ 3.00％
2023/24年 5.80％ 3.00％
2024/25年 3.00％ 3.00％
その後 2.50％ 2.50％
割引率は2030年５月満期の州政府債券に基づいている。使用される減少率(例えば、死亡率及び退職率)は、2020年６
月30日現在のスキームの保険数理的な見直しに基づき、オーストラリア政府保険数理表（ALT 2015-17）及びMercer公的
部門年金生命表（退職所及び配偶者年金受給者）により更新されている。
2023 年６月30日現在で使用された給与増加の仮定は、年率3.50％(2022年：3.50％)である。
感受性分析
複数のシナリオに基づく2023年６月30日現在の確定給付債務は、以下のとおりである。
シナリオA及びBは割引率の感受性に関係する。シナリオC及びDは予想給与増加率及び物価指数の感受性に関係す
る。
シナリオA：年率0.5％低い割引率の仮定
シナリオB：年率0.5％高い割引率の仮定
シナリオC：年率0.5％低い予想給与増加率及び物価指数の仮定
シナリオD：年率0.5％高い予想給与増加率及び物価指数の仮定
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有価証券報告書
基準のケース シナリオA シナリオB シナリオC シナリオD
割引率 割引率 給与 給与
年率マイナス 年率プラス 年率マイナス 年率プラス
0.5％ 0.5％ 0.5％ 0.5％
割引率 年率3.55％ 年率3.05％ 年率4.05％ 年率3.55％ 年率3.55％
給与増加率 年率3.50％ 年率3.50％ 年率3.50％ 年率3.00％ 年率4.00％
確定給付債務
0.02 0.02 0.02 0.02 0.02
(単位：百万豪ドル)
確定給付債務は上記で概説した仮定の変更により再計算されているが、その他すべての債務は維持される。
上記の表での給与の仮定は長期給与の仮定である。短期の仮定もシナリオC及びシナリオDに記載のとおり、また調
整されている。
資金調達の取決め
WATC は要求に応じて支払い給付に見合う拠出を行う。
予想拠出
(単位：百万豪ドル)
2024年
予想雇用主拠出
0.0
確定給付債務の満期構造
WATC の確定給付債務の加重平均デュレーションは5.4年である。
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( 注19) 金融商品及びリスク管理
リスク管理ガバナンス
WATC の取締役会（取締役会）は、1986年西オーストラリア州理財公社法に基づきWATCがその職務を遂行することに責
任を持つ。
これらの職務を遂行するにあたり、取締役会は適切なリスク管理方針、システム、報告手順を確実に整えるようにす
る。この点からその義務の遂行を助けるために、取締役会は、市場リスク、信用リスク、流動性及び資金調達リスク並
びにオペレーショナル・リスクを対象とするリスク管理方針を実施している。
WATC は、月次ベースで会合を行い、リスク管理に関する以下の機能に責任をもつ、資産及び負債管理委員会（ALCO）
を創設した。
・WATCのリスク管理プロセス及び戦略についての助言の提供、
・WATCがリスク・エクスポージャーの水準を合意された水準に維持することに関する事項についての助言、
・WATCに影響を与える可能性のあるリスクの進展に関する助言の提供、及び
・WATCのリスク管理方針の毎年の見直しから生ずる勧告に関する助言の提供。
WATC は顧客へ提供する財務サービスに関連するリスクを負う。これらのサービスは貸付、財務リスク管理及び投資業
務を含む。WATCが管理する主要なリスクは、以下のとおりである。
・金利リスク、
・為替レート・リスク、
・信用リスク、
・流動性リスク、
・資金調達リスク、及び
・オペレーショナル・リスク
WATC は、下記の「必要資本」の項に記載のとおり、これらのリスクの軽減を賄う適切な資本を確実に維持する。
WATC は、その方針として、巨額の為替レート・リスクを負わず、すべてのその他財務リスクから生ずる損失のエクス
ポージャーを最小化することを目指す。
WATC は、顧客の資金調達需要を満たすため調達する債券の外国為替及び金利のエクスポージャーを低減するために、
金利及び通貨スワップを締結する。会計基準に従い、スワップの公正価値の変動は包括利益計算書上に計上される。未
実現の損益はWATCの現金利益又は損失を意味しない。
金利リスク
金利リスクは、金利の変動が損失の原因となるリスクである。
WATC の金利リスクは、主に取締役会が設定するVaR(バリュー・アット・リスク)を通じて、制御される。VaRはポート
フォリオの価値が、一定の確率を前提として一定期間に下落する可能性のある金額を定量化したものである。
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WATC は金利リスクの最小化を非常に重視する。当然のことながら、貸付及び市場支援業務から生ずるWATCの金利リス
ク・エクスポージャーはすべて、経済上ヘッジされている。これらのヘッジング契約の効果は、WATCのVaRを最小にする
ために継続的に見直しを受ける。
VaR 及びその他金利リスクに敏感な尺度を使用する市場エクスポージャーは、毎日評価される。リスクの制御は、毎
月、また必要ある場合より頻繁に実施されるストレス・テストの使用により、さらに向上する。ストレス・テストは、
極端な市場の状況において発生する可能性のある損失見込み額の目安を与える。ストレス・テストはまた、WATCが金利
の動きに敏感なカーブ上の範囲を強調する。
WATC の市場リスクに関連するVaR測定を以下に詳述する。
バリュー・アット・リスク（VaR）
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
年間１日平均残高
1.1 1.3
年間最低値 0.4 0.7
年間最高値 2.3 2.8
年度末残高 0.9 1.8
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金利リスク・エクスポージャー
以下の表は、報告日現在のWATCの金利リスク・エクスポージャーの詳細である。
加重平均 ３か月から
コール ３か月以内 １年から５年 ５年超 無利息 合計
実効利率 12 か月
2023 年 (％) (単位：百万豪ドル)
金融資産：
現金及び現金同等物 3.11 207.9 207.9
受取債権 304.1 304.1
投資 2.24 945.7 2,529.8 1,027.7 533.3 5,036.5
14,534.1 5,115.2 12,112.7 12,380.4 44,142.4
公的機関への貸付金 3.08
207.9 15,479.8 7,645.0 13,140.4 12,913.7 304.1 49,690.9
金融負債：
未払債務
－デリバティブ以外 1,635.6 1,635.6
－デリバティブ 0.1 (6.0) 157.3 221.8 373.2
7,710.6 5,857.6 18,831.2 15,082.3 47,481.7
借入金 2.87
- 7,710.7 5,851.6 18,988.5 15,304.1 1,635.6 49,490.5
加重平均 ３か月から
コール ３か月以内 １年から５年 ５年超 無利息 合計
実効利率 12 か月
2022 年 (％) (単位：百万豪ドル)
金融資産：
現金及び現金同等物 0.35 233.2 233.2
受取債権 242.4 242.3
投資 0.78 875.4 1,775.0 834.2 730.6 4,215.2
15,539.4 5,169.1 13,299.2 12,507.4 46,515.1
公的機関への貸付金 2.02
233.2 16,414.8 6.944.1 14,133.4 13,238.0 242.4 51,205.8
金融負債：
未払債務
－デリバティブ以外 644.0 644.0
－デリバティブ 120.2 18.5 (115.4) 118.0 141.3
10,663.8 4,102.4 20,244.1 15,247.2 50,257.5
借入金 1.68
- 10,784.0 4,120.9 20,128.7 15,365.2 644.0 51,042.8
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為替レート・リスク
外国為替リスクは、為替レートの変動による損失のリスクである。WATCの方針は、営業目的の外貨建銀行口座の少額
な残高を維持する必要から発生するわずかなエクスポージャーを除き、為替リスクを一切負わないというものである。
実務上、WATCの外貨建て債務はすべて、以下の１以上の形態で、外貨建資産に対応させるか、裏付けられている。
・外貨建貸付、
・クロス・カレンシー・スワップに基づく外貨建債権、
・先物為替契約による外貨建債権、及び/又は
・外貨建投資。
WATC はまた、西オーストラリア州理財公社法第９条（１）項(g)に従い、顧客に代わり、外国為替取引及び通貨オプ
ションを引受ける。各市場取引は、顧客との取引により相殺され、WATCは為替リスクを負わない。
信用リスク
信用リスクは、取引相手がWATCに対する財務上の義務を果たさないことによる財務上の損失リスクである。
WATC の制定法は、西オーストラリア州の公的部門の機関又は成文法によりWATCからの借入を承認された企業体への貸
付のみを許可する。WATCは公的部門の機関へのエクスポージャー（融資残高）をカバーするための資本を、WATCとかか
る機関との関係の性質を理由として、分けて確保していない。その結果、WATCの信用リスクの管理は、投資、デリバ
ティブ及び地方政府の取引相手方に主に重点を置く。
WATC は、WATCの信用エクスポージャーの多様性を確保し、また取引相手の信用の質の最低基準を設定することによ
り、信用リスクの軽減を意図する包括的な信用リスク管理方針を維持している。WATCはまた、デリバティブ商品に関す
る信用リスクを相殺規定及びクレディット・サポート・アネックス（CSA）を持つISDA基本契約書の利用により軽減す
る。
投資の信用エクスポージャー（格付別）
(単位：％)
2023年 2022年
AAA
6.45 0.00
AA 71.57 94.44
A 19.08 5.56
2.90 0.00
BBB
100.00 100.00
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デリバティブの信用エクスポージャー（格付別）
AA 92.94 101.15
7.06 (1.15)
A
100.00 100.00
流動性リスク
流動性リスクは、過度の損失又は資金調達コストを負担することなしに、期限の到来したときに財務上の責任を果た
すために利用可能な十分な資金を保有するWATCの能力に関係する。
WATC は、以下を含む多くの方法でこのリスクを最小化する。
・流動資産の保有及び/又はスタンドバイ枠は、最低水準以上を確保する。
・キャッシュ・フロー予測を毎日作成する。
・悪い市場状況につき、シナリオ分析を実施する。
・あらゆる市場及びあらゆる借入期間で、資金調達活動を多様化する。
・日中流動性需要に対処するために、日中当座貸越枠へアクセスする。
流動資産の最低レベルを維持することにより、WATCは不測の巨額の正味キャッシュ・アウトフロー又は一時的な市場
混乱を満たす十分な流動性を確実に持つようにする。
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流動性表
以下は、見積り利息支払いを含み、相殺契約の影響を除外した、金融負債の契約満期を示す。
３か月から
３か月以内 １年から５年 ５年超 合計
12 か月
2023 年 (単位：百万豪ドル)
金融負債：
借入
949.0 8,676.6 28,288.8 18,546.4 56,460.8
－デリバティブ以外
949.0 8,676.6 28,288.8 18,546.4 56,460.8
デリバティブ
－デリバティブ未払債務 101.4 372.4 931.2 231.9 1,636.9
89.9 294.3 706.1 140.4 1,230.7
－デリバティブ受取債権
デリバティブ（純額） 11.5 78.1 225.1 91.5 406.2
合計 960.5 8,754.7 28,513.9 18,637.9 56,867.0
３か月から
３か月以内 １年から５年 ５年超 合計
12 か月
2022 年 (単位：百万豪ドル)
金融負債：
借入
2,992.5 7,058.8 30,030.6 18,108.9 58,190.8
－デリバティブ以外
2,992.5 7,058.8 30,030.6 18,108.9 58,190.8
デリバティブ
－デリバティブ未払債務 335.3 254.5 871.5 204.2 1,665.6
395.1 308.0 676.5 113.8 1,493.3
－デリバティブ受取債権
デリバティブ（純額） (59.7) (53.4) 195.0 90.4 172.2
合計 2,932.8 7,005.3 30,225.6 18,199.3 58,363.0
資金調達リスク
資金調達リスクは、資金調達が必ずしもいつでも利用できるとは限らないリスクである。これは資金調達枠の多様化
が不足している場合、又は特定期間の資金需要が過度である場合に発生する可能性がある。
このリスクはWATCが資金調達活動を国内及びオフショアの市場全体並びに借入期間を多様化すること並びに流動性の
高い投資ポートフォリオを維持することにより最小化される。
取締役会は、ALCOに、適切な資金調達枠及び資金源を確実に維持するよう求める。さらに、取締役会は、資金調達リ
スクの適切な管理を確実にするために、経営陣がその枠内で運営しなければならない最短債務満期及び流動性カバレッ
ジ目標を定める。
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オペレーショナル・リスク
オペレーショナル・リスクは、内部プロセス、人員及びシステムの不十分若しくは失敗又は外部の事象から生ずる損
失リスクである。
WATC のオペレーショナル・リスク管理方針は、オペレーショナル・リスクを特定、評価、制御及び監視する方法を記
載する。この方針の主要な目的は、以下のとおりである。
・オペレーショナル・リスクが一貫した方法で管理されることを可能とする文化を促進する。
・オペレーショナル・リスク管理に関して職員が自分たちの責任を明確に理解するようにする。
・事業目標が満たされるように、効果的にオペレーショナル・リスクを特定し、管理する。
・WATCのオペレーショナル・リスク・エクスポージャーに対応した資本レベルを算定する。
必要資本
WATC の資本方針に基づき、確定した最低資本金額が、市場リスク、信用リスク及びオペレーショナル・リスクをカ
バーするために留保されなければならない。WATCは留保利益及び準備金を資本とみなす。
WATC の必要資本総額は、顧客への貸付の水準及びプロファイル、市場支援業務の取引高及び適切な資金調達/ヘッジ
商品の利用可能性の関数として、時間の経過により変動する。従って、資本保有レベルを慎重に管理するために、WATC
は必要資本の予測（通常３年超）を行う。この情報は、予測期間の予想されるエクスポージャーをカバーするのに利用
できる十分な資本を確保するために保有されるべき最低資本金額を取締役会が決定するのに利用される。
WATC の必要資本の見直しは最低１年に１度は行われる。
マネジメント
投資、公的機関への貸付金、借入金及びデリバティブ金融商品は損益を通じて公正価値評価されるものとして指定さ
れている。残高は、貸借対照表における公正価値で記録され、未実現の損益は包括利益計算書に計上される。公正価値
は金融資産と負債がリスクポジションを相殺して保有される限度において、市場で取引される中間価格を用いて導かれ
る。信用リスクは公正価値を決める決定的な要因ではない。なぜなら、WATCの負債は州を代理する大蔵大臣により保証
されており、従って公正価値の変動は主に価格とイールドの市場に関連した動きに原因があるからである。
自らの戦略を遂行するにあたって、WATCは資本市場からのネットの借り手である。満期構造及び商品利用の面での
WATCの資金調達の選考は、最低コストで資金を調達するために投資家の選考と均衡しなければならない。この点から、
WATCは、資金調達ポートフォリオの満期プロファイルを貸付ポートフォリオの満期プロファイルに近づけることによ
り、ある程度の市場リスクを受け入れる。負担する残りの市場リスクを経済上ヘッジし、かつ最小限にするためにス
ワップ、金利先物契約及び先物等のデリバティブ商品が使用される。
これらの契約で交換される金額は、デリバティブの想定元本金額とその他条件を参照して計算される。与信額は取引
相手方の不履行の場合の報告日におけるWATCの与信評価額を表わす。WATCはデリバティブ取引から生ずる与信エクス
ポージャーを決定するため、APRAの「カレント・エクスポージャー・メソッド」を採用している。2023年６月30日現
在、WATCは、取引の相手方は全てその債務を履行すると確信している。
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金利リスク管理に使用されるデリバティブ商品の想定元本金額、公正価値及び与信額の詳細は以下のとおりである。
(単位:百万豪ドル)
想定元本金額 公正価値 与信額
2023年６月30日現在
先物 440.9 0.0 0.0
金利スワップ 11,312.8 (373.3) 353.9
2022年６月30日現在
先物 1,758.2 0.0 0.0
金利スワップ 13,275.5 142.2 136.1
金利スワップは、変動利率のエクスポージャーを生み出すために固定金利の指標銘柄債券及び金利スワップを発行す
ることにより、資金調達リスク及び金利リスクを管理するために随時利用される。時には変動から固定へのスワップも
WATCの公的機関への貸付に適合させるため変動金利借入から固定金利借入へと変更するのに利用される。金利スワップ
では、WATCは相手方とあらかじめ決定された間隔で、合意された想定元本金額を参照して計算される固定金利額と変動
金利額の差を交換することに合意する。金利スワップもまた、期限付変動金利資金を公的機関へ貸付けるために利用さ
れる。2023年６月30日現在、WATCはこの方法で総額15,789.9百万豪ドル（2022年：17,271.0百万豪ドル）の資金を貸付
けていた。
金利先渡契約は、期限の到来した時点で現金支出に対する確定した収益又は費用を保証するためにWATCにより利用さ
れる。これらの契約は特定の期間中、想定元本金額に対する金利を設定する。先物契約は、本来金利先渡契約と同じ目
的で利用される。WATCが利用する契約は、銀行手形、３年及び10年の債券契約である。
WATC は豪ドルへのスワップ後の全て込みの費用が同様の国内借入より低い場合に外貨建借入を行う。WATCはポート
フォリオに基づき金利リスクを管理する一方、借入取引の一環として外貨建借入における為替リスクを管理する。2023
年６月30日現在、WATCは豪ドル建固定先物債務は保有せず、0.01百万豪ドルの外国通貨スワップ及び先渡し契約を保有
していた（2022年：250.8百万豪ドルの豪ドル建固定先物債務と共に、326.0百万豪ドルの外国通貨スワップ及び先渡し
契約）。さらに、WATCは顧客のために、117.7百万豪ドル（2022年：277.4百万豪ドル）の外国為替取引を取決めてい
た。これら取引は顧客に引続いて貸付けられ、従ってWATCはリスクを負わない。これらの外国為替先物取引による公的
機関からの受取債権及び第三者への支払いに関する0.5百万豪ドルの公正価値(2022年：1.9百万豪ドル)は、それぞれ注
10b及び注16bに含まれている。
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全ての金融資産及び金融負債が報告日において公正価値で認識されている。評価のために、WATCはキャッシュ・フ
ローを現在価値に割引くため可能な限り市場取引金利を使用する。市場取引金利がない株式は、適切なゼロ・クーポ
ン・イールド曲線を使って評価される。これには、市場に近似させるために信用リスクに対する十分な考慮を含む。６
月30日現在、WATCが評価目的で使用した市場金利は以下のとおりである。
2023年６月30日現在 2022年６月30日現在
クーポン
市場金利 市場金利
翌日
― 4.10％ 0.85％
90日間 ― 4.35％ 1.73％
180日間 ― 4.64％ 2.57％
2022年10月20日 ― ― 1.54％
2023年10月16日 ― 4.34％ 2.98％
2024年７月23日 ― 4.48％ 3.17％
2025年７月23日 ― 4.42％ 3.54％
2026年10月21日 ― 4.28％ 3.69％
2027年10月21日 ― 4.23％ 3.77％
2028年７月20日 ― 4.24％ 3.81％
2029年７月24日 ― 4.31％ 3.93％
2030年10月22日 1.50％ 4.38％ 4.03％
2031年10月22日 1.75％ 4.45％ 4.11％
2033年７月20日 4.25％ 4.48％ ―
2034年10月24日 ― 4.65％ 4.32％
2041年７月23日 2.25％ 5.06％ 4.38％
Proxy2047年 ― 5.12％ ―
公正価値の階層
以下の表は、公正価値で記録される金融商品の評価方法による分析である。異なるレベルは、以下のように定義され
ている。
レベル１：特定の資産又は負債について、活発な市場での公表価格
レベル２：直接的（すなわち、価格として）又は間接的（すなわち、価格から導かれる）な、資産又は負債について
観察可能な、レベル１の中に含まれる公表価格以外の情報、及び
レベル３：観察可能な市場データに基づかない、資産又は負債についての情報（観測できない情報）
公正価値階層のレベル間の移動は、報告期間末に起こったとみなされる。2023年６月30日終了年度中にレベル間の移
動はなかった。
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レベル１ レベル２ レベル３ 合計
2023年６月30日
損益を通じて公正価値評価されるものとして
(単位：百万豪ドル)
指定された金融資産
投資 1,977.5 3,059.0 - 5,036.5
公的機関への貸付金 85.1 44,057.3 - 44,142.4
- (19.9) - (19.9)
デリバティブ金融資産
資産合計 2,062.6 47,096.4 - 49,159.0
損益を通じて公正価値評価されるものとして
指定された金融負債
借入金 37,488.1 9,993.6 - 47,481.7
- 353.4 - 353.4
デリバティブ金融負債
負債合計 37,488.1 10,347.0 - 47,835.1
レベル１ レベル２ レベル３ 合計
2022年６月30日
損益を通じて公正価値評価されるものとして
(単位：百万豪ドル)
指定された金融資産
投資 1,691.9 2,523.3 - 4,215.2
公的機関への貸付金 56.4 46,458.7 - 46,515.1
- (4.3) - (4.3)
デリバティブ金融資産
資産合計 1,748.3 48,977.7 - 50,726.0
損益を通じて公正価値評価されるものとして
指定された金融負債
借入金 38,471.3 11,786.2 - 50,257.5
(1.1) 138.1 - 137.0
デリバティブ金融負債
負債合計 38,470.2 11,924.3 - 50,394.5
レベル２資産又は負債の価値を決定するために使用された評価技術は、レベル１インプットを用いた一連のゼロ・
クーポン・イールド・カーブの生成又は特定のカーブのスプレッドでの資産・負債の評価である。インプットはWATCの
指標銘柄ライン上の価格、銀行手形スワップ・レート、金融市場レート、為替レート、発行者レート及び指標銘柄レー
ト間の観察されるスプレッド、カーブ上の特定ポイントのカーブ間の観察されるスプレッドを含む。これらのインプッ
トは観察可能な基準に対する見積もりの結果を改善するために毎日修正される。
投資は、利用可能な場合識別可能な資産の活発な市場の公表価格を用いて、又は適切なゼロ・クーポン・イールド・
カーブを利用した割引キャッシュ・フロー・ベースで評価される。
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公的機関への貸付金は、WATCのゼロ・クーポン・イールド・カーブを利用した割引キャッシュ・フロー・ベースで評
価される。
デリバティブ金融資産及び負債は、金利スワップ、金利先渡契約及び外貨スワップなどの店頭デリバティブを含み、
WATCのゼロ・クーポン・イールド・カーブを利用した割引キャッシュ・フロー・ベースで評価される。
借入金は、利用可能な場合識別可能な負債の活発な市場の公表価格を用いて、又はスワップのゼロ・クーポン・イー
ルド・カーブを利用した割引キャッシュ・フロー・ベースで評価される。
( 注20) キャッシュ・フロー表に対する注記
20 ａ．現金の一致
キャッシュ・フロー表においては、現金は手持ち現金、銀行預金、金融市場商品への投資、銀行当座借越の純額を
含む。キャッシュ・フロー表の各報告期末に示された現金は、以下のとおり財政状態計算書の関連項目と一致する。
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
銀行預金(注７)
207.8 233.2
短期金融市場投資 508.8 444.6
0.1 0.0
海外銀行口座(注７)
716.7 677.8
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20 ｂ．営業活動による現金(純額)と当期純利益合計の一致
(単位：百万豪ドル)
2023年 2022年
当期純利益
26.3 17.5
減価償却費 0.2 0.2
無形資産の償却 0.3 0.9
受取債権の増加 (65.6) (2.1)
未払利息の増加/(減少) 103.4 (30.9)
その他の債務の増加 0.1 0.4
納税債務の増加 11.1 7.4
繰延税金債務の減少 0.1 0.1
職員給付の増加 (0.5) 0.0
法人税相当額費用 0.0 (3.7)
公正価値調整 (0.5) (0.2)
プレミアム/ディスカウントの償却 (101.3) (183.0)
顧客機関を代理してのその他受領 42.6 93.7
投資の増加(減少) (655.5) 750.7
貸付の増加 2,914.6 2,178.5
(2,236.0) (3,603.0)
借入の減少
営業活動による(使用された)現金 39.3 (773.6)
( 注21) 取締役及びその他経営幹部の報酬
WATC は経営幹部に大臣、WATCの取締役及び上級役員を含むことを決定した。しかし、WATCは大臣に報酬を支払う義務
はない。大臣の報酬に関する開示は州財政の年次報告書に含まれている。
取締役の報酬
WATC の現在の取締役は、M.A.バーンズ（会長）、M.J.R.コート（副会長）、K.P.グリッチ（最高執行役員）、D.D.ブ
ランビー（取締役）、W.ゼクリッチ（取締役）、P.ホブソン（取締役）及びS.L.マーフィー（取締役）であり、K.P.グ
リッチ以外は、執行責任を持たない。当該年度中、報酬、給与、退職給付金及びその他の給付金の総額が下記の範囲に
入る取締役の人数は以下のとおりである。
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有価証券報告書
2023年 2022年
0
2 2
*
20,001豪ドル～ 30,000豪ドル
―
2
40,001豪ドル～ 50,000豪ドル
1 2
50,001豪ドル～ 60,000豪ドル
1 1
450,001豪ドル～460,000豪ドル 1 1
* ゼクリッチ氏は年度途中でWATCに入社したため、この給与は年度の一部のみを表示する。
ブランビー氏は年度途中でWATCを退社したため、この給与は年度の一部のみを表示する。
(単位：豪ドル)
2023年 2022年
WATC取締役の報酬総額
600,989 590,358
内訳：
短期雇用給付 539,498 531,978
その他長期雇用給付 10,240 10,781
退職給付 51,251 47,599
ここに含まれる退職給付金は、取締役に関してWATCが負担する退職給付費用を示す。
州年金制度の加入者である取締役はいない。
その他経営幹部の報酬
その他の経営幹部は、V.シンキナ（金融市場部長）、S.L.ラフ/M.コールドウェル（チーフ・ファイナンシャル・オ
フィサー兼会社秘書役）、K.S.ミドルトン（チーフ・リスク・オフィサー）、S.J.B.モーホール（顧客サービス本部
長）、R.A.モールトン（チーフ・オペレーティング・オフィサー）及びR.L.リッジウェイ(人事マネジャー)である。当
該年度中、報酬、給与、退職給付金及びその他の給付金(権利の支払いを含む。)の総額が下記の範囲に入る取締役以外
のその他経営幹部の人数は以下のとおりである。
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有価証券報告書
2023年 2022年
180,001豪ドル～190,000豪ドル
- 1
200,001豪ドル～210,000豪ドル 1 -
＊
230,001豪ドル～240,000豪ドル 1
1
240,001豪ドル～250,000豪ドル 1 1
260,001豪ドル～270,000豪ドル 1 -
270,001豪ドル～280,000豪ドル 1 1
300,001豪ドル～310,000豪ドル - 1
310,001豪ドル～320,000豪ドル - 1
320,001豪ドル～330,000豪ドル 1 -
330,001豪ドル～340,000豪ドル 1 -
* コールドウェル氏は年度途中でWATCに入社したため、この給与は年度の一部のみを表示する。
(単位：豪ドル)
2023年 2022年
その他経営幹部の報酬総額
1,882,154 1,557,887
内訳：
短期雇用給付 1,668,588 1,386,256
その他長期雇用給付 35,503 24,300
退職給付 178,063 147,331
ここに含まれる退職給付金は、取締役以外のその他経営幹部に関してWATCが負担する退職給付費用を示す。
州年金制度の加入者であるその他経営幹部はいない。
(単位：豪ドル)
2023年 2022年
取締役及び経営幹部の報酬総額
2,483,143 2,148,245
内訳：
短期雇用給付 2,208,086 1,918,234
その他長期雇用給付 45,743 35,081
退職給付 229,314 194,930
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( 注22) 監査人の報酬
(単位：豪ドル)
2023年 2022年
財務書類及び経営指標の監査について会計検査庁に支払われる
226,050 197,600
報酬・未払報酬額
( 注23) 関連当事者間取引
WATC は、西オーストラリア州により完全に所有され、支配されている。WATCの関連当事者には以下を含む。
・全ての大臣及びその身近な家族、並びにそれらが支配又は共同支配する事業体
・全ての上級役員及びその身近な家族、並びにそれらが支配又は共同支配する事業体
・州政府全体の統合財政書類に含まれる、その他法定機関及び州政府の部局（それらの関連機関を含む）
・州政府全体の財政書類に含まれる事業体の関係会社及び合弁会社
・政府職員老齢退職年金委員会（GESB）。
政府関連事業体との重要な取引
州の中央借入機関としての役割において、WATCは、州の保証が付された資金を各種州政府機関に貸付ける。2023年６月
30日現在、機関への貸付総額の98.6％（2022年：98.7％）が州政府の機関への貸付であった。貸付はWATCの借入コストに
管理費を賄う利鞘を加えて提供され、様々な満期を持つ。満期構造、利息及び平均金利の詳細は、注10に示す。
さらに、WATCは通常業務において、様々な政府部局及び機関からサービスを受けている。これらの取引は独立当事者間
ベースで行われており、GESBへの年金支払及び大蔵省への宿泊施設賃料の支払を含む。
関連当事者との重要な取引
WATC は経営幹部若しくはその身近な家族又はそれらの共同支配する事業体との間で重要な関連当事者取引を行わなかっ
た。
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( 注24) 補足説明
24 ａ．2022/23年の実績と予算との比較
実績 予算 差額 注釈
(単位：百万豪ドル)
収入
投資収益 100.3 35.0 65.3 1
公的機関からの受取利息 1,374.9 1,419.1 (44.2) 2
2.7 2.1 0.6
手数料収入
1,477.9 1,456.2 21.7
収益合計 1,477.9 1,456.2 21.7
費用
借入に係る支払利息 1,376.6 1,397.8 (21.2) 4
起債費用 1.1 3.5 (2.4)
減価償却費 0.2 0.3 (0.1)
無形資産の償却 0.3 0.5 (0.2)
管理費用 19.5 21.7 (2.2)
42.6 0.0 42.6
公正価値変動(純額) 3
1,440.3 1,423.8 16.5
法人税相当額控除前の利益
37.6 32.4 5.2
法人税相当額費用 11.3 9.6 1.7
当期純利益 26.3 22.8 3.5
包括利益合計 26.3 22.8 3.5
注釈：予算額との差異の理由
１．投資収益が予算より増加した理由は、投資残高が予想より大きかったこと及び金利が高かったことによる。
２．公的機関からの受取利息が予算より減少したのは、公的機関顧客の借入プログラムが予想より低かったことによ
る。
３．公正価値変動(純額)及び受取利息、支払利息の関係は注５で述べられている。予算は未実現の利益又は損失を独立
して認識しない。
４．借入に係る支払利息が予算より減少した理由は、金利及び債務水準が予想より低かったことによる。
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24 ｂ．2022/23年と前年度との比較
2023年 2022年 増減 注釈
(単位：百万豪ドル)
収入
投資収益 100.3 26.2 74.1 1
公的機関からの受取利息 1,374.9 1,002.1 372.8 2
2.7 2.7 (0.0)
手数料収入
1,477.9 1,031.0 446.9
収益合計 1,477.9 1,031.0 446.9
費用
1,376.6 486.0
借入に係る支払利息 890.6 4
1.1 (0.2)
起債費用 1.3
0.2 0.0
減価償却費 0.2
0.3 (0.6)
無形資産の償却 0.9
19.5 0.3
管理費用 19.2
42.6 (51.2)
93.8
公正価値変動(純額) 3
1,440.3 1,006.0 434.3
法人税相当額控除前の利益
37.6 25.0 12.6
法人税相当額費用 11.3 7.5 3.8
当期純利益 26.3 17.5 8.8
包括利益合計 26.3 17.5 8.8
１．投資収益が前年度に比し増加(74.1百万豪ドル)したが、これは主に金利の上昇による。
２．公的機関からの受取利息は、主に金利の上昇の効果により、前年度より増加(372.8百万豪ドル)した。
３．公正価値変動（純額）は、主に金利の変動により、前年度から変化（51.2百万豪ドル）した。
４．借入に係る支払利息は、金利の上昇の結果、前年度より増加(486.0百万豪ドル)した。
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( 注25) 契約
2023 年６月30日現在、契約済み未払いの約定はない(2022年：無し)。
( 注26) 後発事象
WATC の2023年６月30日付財務書類に重大な影響を及ぼすような後発事象は、貸借対照表日以後発生していない。
( 注27) 偶発債務
2023 年６月30日現在、偶発債務はない(2022年：無し)。
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(6) 【その他】
2023 年６月30日以降、本書の提出日までに発生した重要な事実はない。
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(7) 【西オーストラリア州の概況】
１ 概要
(a) 位置、面積及び人口
西オーストラリア州はオーストラリア大陸の約３分の１を占めており、2,530,000平方キロメートルの面積を占め、
これは西ヨーロッパ全体を上回る面積である。海岸のほぼ全域に沿った狭い平野及び州の内陸部全体を覆う「グレー
ト・プラトー」として知られる台地の主要な２地域からなる非常に平坦な地形である。西オーストラリア州は南部地域
の地中海性気候から州北部の熱帯気候まで変化に富む気候を有している。
2023 年３月、西オーストラリア州の推計人口は約290万人であり、オーストラリアの人口2,650万人の10.8％を占め
た。西オーストラリア州は、2023年３月までの１年間に全ての州及び特別地域の中で最も急速に人口が増加し、国全体
の増加率（2.2％）をかなり上回る2.8％であった。西オーストラリア州はオーストラリアの州及び特別地域の中で４番
目に人口が多い州であった。
オーストラリア連邦
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(b) 政治及び外交
オーストラリア連邦と各州との憲法上の関係
西オーストラリア州は、北部特別地域及びオーストラリア首都特別地域とともに、オーストラリア連邦を構成する
６つの主権を有する連邦州の１つである。ニュー・サウス・ウェールズ、ビクトリア、クィーンズランド、南オース
トラリア、西オーストラリア及びタスマニアの６つの英領植民地が、連邦制度による州として統合された1901年１月
１日に、オーストラリア連邦は連邦国家として誕生した。連邦議会は、国防、社会福祉、外交、貿易・通商、通貨及
び銀行業務等の国益に関する一定の事項について法律を制定する権限を持つ。連邦議会は関税及び物品税を課す専権
を与えられている。憲法上は各州が所得税を賦課する権限を留保しているが、1942年以降、オーストラリア連邦政府
が所得税を賦課する唯一の当局になった。各州議会は、憲法に基づきオーストラリア連邦政府に付与された事項以外
のあらゆる事項につき権限を有している。各州が有する権限には以下の事項がある。教育、公衆衛生、警察及び裁
判、運輸、道路及び鉄道、工業、鉱業、農業、公共事業、港湾、林業、電気、ガス、水道及び灌漑。
西オーストラリア州政府
西オーストラリア州の行政権は、王位（総督が代理する）及び議会に付与されている。総督が州の統治主権の代表
者であり、行政評議会の助言を得て州行政の統治権を行使する。行政評議会のメンバーは、首相の助言を得て総督が
任命する。行政評議会の主たる目的は西オーストラリア州の行政に関連する事項につき、総督に助言を行うことであ
る。適用ある場合、行政評議会は、自己の権利においては法的地位を持たない内閣の決定に法的形式を与える。内閣
は、立法議会の大多数を占める政党又は連立政党に属する議員から選任される大臣で構成される。内閣は行政府の運
営の基礎であるが、憲法において認識されておらず、その決定は個別の大臣により有効とされる範囲を除き法律上の
効力を有さない。
州議会
立法議会及び立法評議会から構成される議会が西オーストラリアの立法府を構成している。
2021 年３月、オーストラリア労働党が政権党に再選された。それ以前は、オーストラリア自由党が2008年９月及び
2013年３月の選挙後、国民党（西オーストラリア）との連立で政権を担った。首相は、ロジャー・クック閣下であ
る。西オーストラリア州議会の現在の構成は以下のとおりである。
立法評議会 議員数 立法議会 議員数
オーストラリア労働党 22 オーストラリア労働党 53
自由党 7 自由党 2
国民党(西オーストラリア) 3 西オーストラリア国民党 4
西オーストラリア大麻合法化党 2
グリーンズ党(西オーストラリア) 1
1
無所属
合計
36 合計 59
出典：西オーストラリア州議会
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立法評議会
立法評議会は州内６の選挙区を代表する36名で構成され、審査機関として機能する。任期は４年間である。
立法議会
立法議会には59の選挙区をそれぞれ代表する59名の議員が在籍している。議員は議会の存続期間(４年の任期を限
度とする。)をその任期として選出される。
州の首相は立法議会に議席を有し、議員の過半数を有する政党又は政党連合の党首が就任する。歳入の調達又は公
金の歳出に係る法律は、すべて立法議会にこれを提出しなければならない。
行政府
行政府は、18世紀の大英帝国で発展し一般に「議員内閣制」として知られている制度を基礎にしている。内閣は、
立法議会の過半数を占める政党又は政党連合に属する議員の中から選ばれた各省大臣で構成される。州憲法上、少な
くとも１名の大臣が立法評議会の評議員の中から選ばれなければならない。西オーストラリア州では、他のオースト
ラリアの州と同様、首長たる大臣は「首相」に任命される。
(c) インフラストラクチャー及びサービス
西オーストラリア州は、信頼のおける港湾、道路、空港、通信及びエネルギー供給などの国際的レベルのインフラス
トラクチャーを有している。西オーストラリア州は、また、拡大しつつあるアジア市場への近接性から利益を得てお
り、十分に確立した高い品質の教育及び住宅に加えて、高い技術力をもった革新的な労働力を擁している。西オースト
ラリア州はまた、包括的な事業サービス及び社会サービスを提供する。
２ 経済
(a) 最近の経済動向の概要
西オーストラリア州の経済（州総生産（GSP）で測定）は、2022/23年に3.5％成長し、これはこの９年間で最も高い
成長率となった。2022/23年において、西オーストラリア州の州内経済（州最終需要で測定）は、新型コロナウイルス感
染症によるパンデミック以降、累計で17.0％成長した。これは、オーストラリア国内の全ての管轄区域の中で最も力強
い成長であり、国の成長率10.8％を大きく上回った。西オーストラリア州のGSPは、2018/19年以降、オーストラリア全
体の成長の20.7％を占めており、これは人口シェアのほぼ２倍であり、パンデミック下での縮小を回避した本土唯一の
州である。
2022/23 年のGSPの成長は、国内経済と純貿易部門の両方の堅調な増加に支えられた。特に、金利の上昇と消費者物価
の上昇にもかかわらず、家計消費は、好調な所得と人口の増加、住宅価格の上昇（プラスの資産効果をもたらす）に支
えられ、拡大を続けた。さらに、州のコモディティに対する強い海外需要及び記録的な農産物の収穫を反映して、商品
の輸出はここ５年間で最も強いペースで増加した。
2022/23 年、西オーストラリア州の１人当たり名目GSPは157,390ドルで、全州・特別地域中最高であり、オーストラ
リア全体の１人当たり名目国内総生産の97,435ドルをかなり上回っていた。
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経済指標の概要
６月30日終了の各年
2022/23年
オーストラ
リア全体に
最近 占める西
５年間の オーストラ
年平均 リア州の割
2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 成長率 合
実質GSP/GDP
(％) (％)
(単位：百万ドル)：
西オーストラリア州 376,299 380,717 393,223 404,762 418,775 2.5 17.4
オーストラリア 2,198,775 2,191,416 2,237,695 2,333,221 2,403,614 2.2
１人当たり名目GSP/GDP
(単位：ドル)：
西オーストラリア州 108,696 116,449 134,388 146,493 157,390 9.9 該当なし
オーストラリア 77,563 77,779 81,515 90,553 97,435 5.5
小売業（連鎖数量測度）
(単位：百万ドル)：
西オーストラリア州 37,456 38,251 41,909 43,642 44,014 3.0 11.1
オーストラリア 355,128 355,288 375,585 386,946 396,270 2.5
人口(単位：百万人) ：
西オーストラリア州 2.660 2.713 2.749 2.792 2.879 1.9 10.8
オーストラリア 25.335 25.649 25.685 26.014 26.639 1.3
消費者物価指数の
年間伸び率(％)：
パース 1.6 0.1 4.2 7.4 4.9 3.6 該当なし
1.6
オーストラリア -0.3 3.8 6.1 6.0 3.4
出典：オーストラリア統計局、目録5220.0、8501.0、3101.0及び6401.0
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(b) 産業構造及び最近の主要産業の状況
西オーストラリア州は、過去50年の間に、州の豊富な鉱物及びエネルギー資源並びに東アジアの急速な都市化及び工
業化により促進された国際的な需要に牽引され、農村を中心とした経済から、様々な鉱物・エネルギー製品の第一級の
生産者兼輸出者へと移行してきた。
鉱業部門は、生産額で見て州最大の産業であり、投資及び輸出を通じて経済成長に大きな影響を与えている。鉱業部
門は、2022/23年の州名目GSPの44.9％を占めており、名目GSP合計の4,454億ドルのうち、2,000億ドルに相当した。
その他の主要産業には「建設業」及び「保健及び社会扶助」があり、それぞれ5.1％及び4.6％を占めた。州の経済は
「鉱業」が大きな割合を占めるが、部門内は多様であり、建設資材（鉄鉱石等）、蓄電池材料（リチウム及びニッケ
ル）及びエネルギー（石油及びガス）の割合が大きい。州はまた、多くの企業が水素への転換によって輸出を計画して
いる再生可能資源の豊富な埋蔵量を有している。
鉱業部門は規模及び生産額にもかかわらず、資本集約的生産構造であるため高い労働生産性が特徴であり、したがっ
て2023年８月までの年間平均では州の総労働人口のわずか10％しか雇用していない。州の総雇用に一番大きい割合を占
めるのは、「保健及び社会扶助」（13.6％）であり、「建設業」（9.4％）、「小売業」（8.5％）及び「教育及び訓
練」（8.1％）も人口のかなりの割合を雇用している。
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(1)
産業別西オーストラリア州内総生産（粗付加価値）
６月30日終了の各年(時価)
2022/23年
西オースト
ラリア州の
粗付加価値 2022/23年
に占める割 国民生産に
産業 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 合 占める割合
(単位：百万ドル) (％) (％)
農業、林業、漁
6,069 5,378 6,458 10,232 11,116 2.5 18.2
業
鉱業 107,227 130,634 172,106 185,662 200,022 44.9 58.1
製造業 13,890 14,740 15,461 17,367 18,412 4.1 13.3
電気、ガス、水
4,998 4,895 4,954 4,902 5,407 1.2 11.3
道及び廃棄物
建設業 17,251 17,145 18,594 20,514 22,782 5.1 13.4
卸売業 6,489 7,096 8,032 9,078 12,046 2.7 11.9
小売業 8,287 8,615 9,751 10,541 11,851 2.7 10.9
4,655 4,213 4,705 5,136 6,070 1.4 10.4
宿泊及び飲食業
運輸業、郵便及
10,404 10,664 10,665 11,814 14,368 3.2 12.7
び倉庫業
情報メディア、
2,600 2,595 2,632 2,886 3,089 0.7 5.7
電気通信業
金融及び保険業 10,780 10,880 11,614 12,608 14,082 3.2 7.9
賃貸及び不動産
5,278 5,215 5,858 6,831 7,319 1.6 11.4
業
専門家、科学技
14,022 14,453 15,212 17,192 19,262 4.3 10.5
術サービス
管理及び支援
6,350 6,917 6,959 8,046 8,826 2.0 10.7
サービス
行政及び安全 9,798 10,165 10,610 11,175 11,935 2.7 9.5
教育及び訓練 9,656 9,814 10,055 10,631 11,714 2.6 10.1
保健及び社会扶
15,417 15,814 16,864 18,817 20,528 4.6 10.6
助
芸術及び娯楽
1,367 1,323 1,371 1,666 1,798 0.4 9.9
サービス
その他サービス 4,466 4,360 4,730 5,373 6,206 1.4 15.7
住宅所有 17,669 17,571 18,319 20,231 22,521 5.1 10.8
全産業合計 276,674 302,489 354,948 390,704 429,354 96.4 17.8
全産業税金マイ
ナス製品補助金 10,133 10,786 12,427 14,149 15,278 3.4 9.8
合計
全産業統計誤差
-239 -169 -740 -90 715 0.2 -40.5
合計
州内総生産合計
286,568 313,107 366,635 404,762 445,348 100.0 17.4
(2)
注：(1) 粗付加価値（GVA）は基準価格表示生産価値から購入者価格での中間消費価値を差引いたものである。産
業別総生産を記載するために、この用語が使用される。基準価格表示生産価値は、個々の産業の産出全体
にわたる物品税及び補助金の発生による変動に起因する歪曲を除去する。時価表示の州のGVAは直接まと
められないので、オーストラリアの産業別GVAは要素所得の割合を用いて州に配分されている。
(2) 四捨五入のため、合計は計数の和に一致しない場合がある。
出典：オーストラリア統計局、目録5220.0
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対外貿易
西オーストラリア州は輸出指向の経済であり、2022/23年の州の純輸出は西オーストラリア州のGSPの49.4％を占め
たが、これに対してオーストラリア全体ではわずかは5.4％であった。2022/23年において、西オーストラリア州の製
品輸出名目価値は11.9％増加し、2,690億ドルとなり、オーストラリアの商品輸出総額の45.5％に相当した。この年
間増加は、それぞれ、世界的なガス供給の懸念及び好調な需要により牽引された石油、ガス及びリチウムを含む、コ
モディティ価格の上昇、並びに鉱業と農産物の生産増を反映する。
西オーストラリア州の貿易収支（名目）
輸出 輸入 貿易収支
(単位：百万ドル)
６月30日終了の各年
2019年 162,318 32,618 129,700
2020年 184,337 33,952 150,385
2021年 223,001 34,457 188,544
2022年 240,382 41,200 199,182
2023年 268,957 46,480 222,477
出典：オーストラリア統計局、目録5368.0
西オーストラリア州の主要な製品輸出品目は、鉱物及びエネルギー製品（主に鉄鉱石、液化天然ガス、リチウム、
金、アルミナ並びに原油及び石油製品）であり、さらに農産物（主に小麦、キャノーラ及び大麦）及び精密製造品で
ある。2022/23年の西オーストラリア州の輸出相手先の上位５か国は、中国、日本、韓国、シンガポール及び台湾で
あり、州の総商品輸出の約83.7％を占めた。
西オーストラリア州の主要輸出品目(2022/23年)
品目 金額(百万ドル) 構成比(％)
鉄鉱石 122,505 45.5
機密品目（例：液化天然ガス） 68,913 25.6
粗鉱物（例：リチウム） 20,063 7.5
金 20,004 7.4
小麦 6,648 2.5
アルミニウム（アルミナを含む） 6,282 2.3
24,543 9.1
その他
合計
268,958 100.0
商品輸出合計の構成比（％）は四捨五入のために100％にならない可能性がある。
出典：オーストラリア統計局、目録5368.0
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中国は西オーストラリア州の最大の輸出先であり、2022/23年の西オーストラリア州の輸出総額の54.5％を占め
る。中国の巨大工業部門が西オーストラリア州の大量の原材料、主として鉄鉱石、機密品目（液化天然ガスを含
む。）、小麦、粗鉱物（主にリチウム）及び金を必要とする。2022/23年の中国への年間輸出額は、2021/22年の
1,342億ドルから1,466億ドルに増加した。
日本は西オーストラリア州の第２の輸出先であり、2022/23年の西オーストラリア州の輸出総額の13.4％を占め
た。日本への主な輸出には、機密品目（大部分は液化天然ガス）、鉄鉱石並びに小麦、キャノーラ及び大麦を含む農
産物がある。2022/23年の日本への輸出額は、2021/22年の305億ドルから361億ドルへと増加した。
西オーストラリア州の主要な輸出先（2022/23年）
国名 金額(百万ドル) 構成比(％)
中国 146,615 54.5
日本 36,097 13.4
韓国 18,965 7.1
シンガポール 12,824 4.8
台湾 10,562 3.9
タイ 4,159 1.5
米国 3,889 1.4
香港 3,726 1.4
インドネシア 3,868 1.4
インド 3,154 1.2
英国 1,429 0.5
出典：オーストラリア統計局、目録5368.0
2022/23 年の西オーストラリアの主な海外からの輸入品は、石油、機密品目、乗用車及び金（精錬及び再輸出用）
であった。輸入額は2022/23年に12.8％増加し、465億ドルになった。西オーストラリア州の輸入元の上位５か国（金
額ベース）は、中国、米国、マレーシア、シンガポール及び日本である。
経済の見通し
2023/24 年度予算で概説したとおり、2023/24年の西オーストラリア州のGSP成長率は2.25％と緩やかになると予想
される。これは、主に家計が必需品でない買い物を控えること及び政府消費が鈍化すること（多くの支援策が解除さ
れるため）による国内経済の成長鈍化を反映している。また、輸出量が安定し、海外旅行パターンがパンデミック以
前に戻ることが成長の足を引っ張る（西オーストラリア州民の海外休暇での支出は、伝統的にインバウンド旅行を上
回る）ことにより、純輸出の減少を反映している。
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西オーストラリア州の家計消費は、2021/22年の6.1％増に続き、2022/23年も3.5％増と堅調な伸びを示した。一部
の耐久消費財（自動車購入など）に対する西オーストラリア州の家計消費は、堅調な人口及び所得の増加とともに消
費の伸びを支えている。同時に、海外旅行への支出は2022年初めの国境の再開を受けて回復を続けており、輸送費
（自動車及び航空運賃を含む）は2022/23年の家計消費に2.0％ポイント寄与し、成長に対する最大の要因となった。
支出の伸びは、主に金利上昇の影響を反映して、2023/24年には緩やかになると予想される。それでも、堅調な人口
増加及び州内所得の増加に支えられ、成長は続くと予想される。
企業投資は2021/22年の4.8％増に続き、2022/23年は4.3％増の492億ドルとなった。2023/24年度予算では、
Scarborough/Pluto Stage 2 及びクルックスLNGプロジェクトの建設工事が活発化するため、2023/24年の企業投資の
伸びは6.75％に上昇すると予測している。予算では、（Jansz-Io及びWestern Rangeなどの）大型プロジェクトに加
え、脱炭素化投資の大幅な増加に支えられ、2025/26年まで堅調な成長が続くと予測している。予測期間中の投資
は、企業が現在の高水準の生産を維持し、さらに追加しようとするため、資源部門における現在の事業を維持するた
めの資本支出によっても支えられる。
住宅投資は、2021/22年の1.6％増の後、2022/23年は2.5％減となった。2023/24年度予算では、住宅建設産業が建
設中の大量のパイプライン（2023年６月期時点で26,480戸を建設中）を処理し続けるため、2023/24年の住宅投資は
6.5％増加すると予測する。
予算案では、2024/25年度の住宅投資は、現在の工事残がほぼ完了する見込みであること、また、現時点での新規
投資の先行指標が弱含みであることを反映して、軟調に推移すると予測された。しかしながら、州人口の増加と経済
全体の持続的な活動に支えられ、2025/26年の投資は回復し、2026/27年には安定した成長に戻ると予測されている。
既存住宅市場における販売は、2023/24年から現在まで好調を維持し、昨年同期と同じような推移であった。賃貸
市場は、この10年以上の最低水準に近い掲載件数で引き続きさらに逼迫し、2023年10月の空室率は0.7％へと低下し
た。既存市場と賃貸市場の好調な状況は、住宅価格及び賃貸価格の両方の上昇をもたらし、価格（とりわけ、賃料）
に対する現在の上昇圧力は、現在建設中の多数の住宅建設が完了し、住宅在庫に加わるようになる時点で緩和すると
予想される。
2022/23 年の純輸出総額（商品とサービスを含む）は3.8％増となり、鉱業及び農産物を含む商品輸出の増加に支え
られた。2023/24年の純輸出総額の成長は1.25％に減速し、2024/25年には1.0％へとさらに緩和すると予想される。
成長の鈍化は、主要な生産者が生産能力に近い水準で操業していることを反映しているが、観光客及び留学生による
州内支出よりも、西オーストラリア州民による海外での支出が多いため、サービス貿易が成長の足かせとなる見込み
である。
c) 物価指数（CPI）
(1)
パースのCPI の伸びは2022年12月までの年末期に8.6％のピークに達したが、その後2023年９月には4.8％に急低下
した。この大幅な低下は主に商品品目によるもので、パンデミック後に世界のサプライチェーンが正常化したためであ
る。休暇旅行並びに食品、ノンアルコール飲料の価格上昇も大幅に緩和された。
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2023/24 年度予算時点と同様に、パースのCPI伸び率は2024年６月までに3.5％にさらに鈍化すると予想されている。
これは、世界的なサプライチェーンの改善が引き続き価格に反映され、（金利上昇の結果）商品インフレを緩和する消
費者需要の伸びの鈍化、新築住宅価格の上昇の緩和及び航空便の追加運航による旅行価格の正常化を反映する。2024/25
年度、CPIの伸びはオーストラリア準備銀行の目標範囲である2％から3％の範囲内に戻ると予想される。
脚注：(1) CPIとは、電力副指数を除くCPIのことである。これは、一連の家庭向け電気料金控除により、パースのCPIが大き
く変動していることを反映している。
(d) 労働市場及び賃金
西オーストラリア州の雇用は、過去２年間の力強い成長の結果労働市場が依然として逼迫しているため、2023年10月
に157万4千人と過去最高水準に達し、失業率は2023年10月までの12か月間で記録的な低水準となる平均3.6％であった。
労働市場は2023年に逼迫が続いた。これは、2023年10月までの１年間の平均失業率が現在の記録が始まって以来、最
低水準に近い3.6％であること（2008年に3.0％）で明らかであるが、一方、求人広告（Jobs and Skills Australiaによ
る測定）は前回の鉱山投資ブームの時期に近い水準に達している。
2023 年10月の雇用は年平均で2.3％増加し、2022年10月の5.1％から低下した。労働供給が限定されているため、人々
が長時間労働できるフルタイムの雇用増の傾向が見られる。2023年10月の年平均成長率にフルタイム雇用が2.9パーセン
テージポイント寄与し、パートタイムは0.5パーセンテージポイント減少した。2023年８月までの年間平均成長率（最新
データ）では、産業全体の雇用の伸びは「鉱業」、「建設」及び「教育・訓練」で最も高い。
西オーストラリア州の労働市場への参加率は、労働需要に伴い2023年も歴史的に高い水準を維持している。就業率は
2021年６月以降、10年間の平均を上回っており、10年間の平均68.3％に対し、2023年10月までの１年間の平均は、69％
であった。西オーストラリア州の就業率は、10月に全州の中で最も高い状態を維持している。
西オーストラリア州の雇用は今後の予想期間に継続すると予測され、2023/24年度予算では雇用は2023/24年度に１％
増加し、その後2026/27年度までに1.5％増と上昇すると予測されている。失業率は予測期間中、2023/24年度に４％、そ
の後2026/27年度に4.5％に向かう見込みである。
西オーストラリアの賃金は、州の賃金価格指数（WPI）の増減の測定によると、2023年９月四半期に過去最高の1.9％
の伸びを記録した。逼迫した労働市場環境に加え、連邦及び州の最低賃金と賞与賃金の決定、高齢者介護労働者の15％
の賃上げ、州政府の現行賃金政策の展開がこの伸びを押し上げた。2023/24年度予算では、WPIの年平均成長率は2023/24
年度に４％まで上昇し、その後は労働市場のキャパシティが緩和するにつれて緩やかになると予測している。
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西オーストラリア州の産業別雇用人口
前年から
(1) (2)
(2)
2023年８月 年変化率
の増加数
(単位：千人) (％)
29.8 -2.9 -9.0
農業、林業、漁業
154.7 11.3 7.9
鉱業
90.1 7.5 9.0
製造業
16.1 -3.1 -16.1
電気、ガス、水道及び廃棄物
144.9 11.2 8.4
建設業
44.8 7.5 20.2
卸売業
132.0 -9.1 -6.5
小売業
101.2 1.5 1.5
宿泊及び飲食業
79.8 3.6 4.8
運輸、郵便及び倉庫業
13.6 -1.3 -8.9
情報メディア及び電気通信業
32.7 -2.1 -6.1
金融及び保険業
24.7 0.3 1.0
賃貸及び不動産業
121.6 5.6 4.8
専門家、科学技術サービス
45.3 -2.4 -5.0
管理及び支援サービス
83.8 -20.6 -19.7
行政及び安全
124.6 9.9 8.7
教育及び訓練
211.0 9.7 4.8
保健及び社会扶助
29.4 1.4 5.0
芸術及び娯楽サービス
67.1 5.9 9.6
その他サービス
合計 1,547.1 33.8 2.2
注：(1) 2023年８月までの１年間の平均。オーストラリア統計局は産業別雇用人口データを２月、５月、８月及び
11月のみ発表する。
(2) 年間の平均増減率（2023年８月までの４四半期の平均と2022年８月までの４四半期を比較）。
出典：オーストラリア統計局、目録6291.0.55.003
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西オーストラリア州及びオーストラリアの労働力
６月30日終了の各年度の平均
2023年６月
までの５年 2023年６月の
間の平均 西オーストラ
2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 年間伸び率 リア州の割合
労働人口(単位：千人)：
(％) (％)
西オーストラリア州 1,453 1,466 1,501 1,550 1,588 2.1 11.1
オーストラリア 13,406 13,543 13,702 13,867 14,349 1.8
総雇用数(単位：千人)：
西オーストラリア州 1,364 1,377 1,410 1,492 1,532 2.7 11.5
オーストラリア 12,718 12,781 12,848 13,274 13,842 2.2
就業率(％)：
西オーストラリア州 68.4 67.6 68.2 69.4 69.1 該当なし 該当なし
オーストラリア 65.7 65.3 65.8 66.0 66.8 該当なし
失業率(％)：
西オーストラリア州 6.1 6.1 6.1 3.7 3.5 該当なし 該当なし
オーストラリア 5.1 5.6 6.2 4.3 3.5 該当なし
出典：オーストラリア統計局、目録6202.0
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３ 財政
(a) 法的枠組
西オーストラリア州の財政を統制する法は、主として以下に規定されている。
・1889年憲法、
・1899年改正憲法、
・2006年財政管理法（FMA）、
・2000年政府財政責任法（GFRA）、
・大蔵大臣の貸付認可法（必要により複数年）及び供給法（通常の供給手配が会計年度の後半へと延期される選挙後
の予算の場合、通常複数年）
・歳出法（年次）、
・法人（法定機関）を設立する授権法、
・2023年州政府商取引企業法（GTE法）、及び
・定期的な借入法（直近は2017年借入法）。
州の財政システムの中核には、議会のみが課税をなし、統合勘定よりの金銭の支出を認可（充当）する権限を持つと
いう基本的原則がある。
1889 年憲法及びFMAに基づき、統合勘定、大蔵大臣特別目的勘定及び大蔵大臣貸付勘定（「公共会計」と総称す
る。）として知られる法定の会計並びに個別の政府機関が管理する特別目的会計が創設されている。
より大企業に発展した州政府商取引企業（GTE）を別として、大部分の公的機関はFMAの対象である。FMAは州の公共
財政の管理、運営及び報告を提供するが、他方大蔵大臣の指示は、収入、支出及び財産の会計処理、報告基準及び同法
の目標及び目的を達成するのに必要なその他事項として、これらの事項の最低水準の要件を規定する。FMAは、公的機関
に発生主義で会計帳簿の詳細を維持し、オーストラリア会計基準に従い作成された監査済年次財務書類を大蔵大臣が議
会に提出するにより、公的資金についての説明責任を果たすことを要求する。
FMA の対象ではないGTEは、GTE法により規定される自身の統制、財務管理、監査及び報告の要件を有している。
大半の政府機関は６月30日を報告日とする。予算の目的で、６月30日以外の報告日である政府機関（職業訓練専門学
校等）は、６月30日までの管理用の決算書若しくは直近の財務書類を使用するが、これらの財務書類の使用は州政府の
政府全体の統合財務書類に大きな影響を与えない。
会計検査庁長官がGTEを含む政府機関及び政府全体の会計書類の監査、並びに州議会への監査発見事項の報告につい
て責任を負う。
2006 年会計検査法が会計検査庁長官の職位を創設し、会計検査庁長官の任命、任期、職務、責任及び権限に関する要
件を詳述する。同法はまた、会計検査庁長官の独立性を保証する。
州と銀行との取引は、主に現在オーストラリア・コモンウェルス銀行にある中央公共銀行勘定を通じて行われる。公
共銀行勘定で取引する機関は自己資金を自己の細分銀行勘定を通じて管理する。いくつかの機関はその制定法により、
公共銀行勘定以外に資金の預入又は投資をすることができる。
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1889 年憲法により統合勘定が創設される。1889年憲法第64条に基づき、別の成文法により担保されていない税金、財
産税、関税、賦課金等から州へ支払うべき金額は、すべて統合勘定へ払込まねばならない。統合勘定は毎年の歳出法に
定める目的のために使用される。有効な法により行われた歳出は、行政府が統合勘定から金員を取り出すための必要な
根拠である。
統合勘定からの歳出は２つの種類に分けられる。年間歳出と特別（又は自動的）歳出である。
年間歳出は、歳出法に基づき議会により毎年承認され、特定サービスのため又は特定会計年度の目的で統合勘定から
の特定金額を充当する。これら歳出の詳細は、歳出法を補足し、項目別の統合勘定支出明細を含む、「予算書第２」中
の「統合勘定見積書及び見積書を補足する政府機関情報（予算財務書類）」に記載される。
２つの年間歳出法があり、１つは経常サービスのためのものであり、もう１つは資本目的のためである。経常的歳出
及び資本的歳出は、交換できない（すなわち、経常的又は資本的のいずれかで未使用の金額は他方に交換することがで
きない。）。会計年度末に未支出の歳出予算は失効する。会計年度について毎年の歳出法に基づき承認された金額及び
目的を超過する支出は、FMAに基づき承認することができる。但し、かかる支出は、前年度の歳出法により充当された総
額の３％を超えないことを条件とする。これらの支出は自動的に充当される。３％の上限を超える支出は、大蔵大臣の
貸付認可法により認可されなければならない。
自動的歳出は無期限であり、会計年度末に失効しない制限なしの歳出を含む法令を議会が承認した場合に発生する。
かかる歳出は通常公務員の権利を保護するために行われ、州議会議員及び特定の公務員の給与等から、各種老齢退職手
当、年金支払、各種契約の下での債務及び債務返済費用の資金までを対象とする。歳出は統合勘定から支払われ、事実
上予算書に含まれるが、各会計年度の歳出法により充当される金額から分離して計上される。
年間予算が通常遅延する選挙の年においては、新会計年度の当初４か月間について、歳出法により前年に充当された
総額の35％が、又はその他の年においては、20％と２か月を上限として、金銭の自動的提供が利用できる。自動的提供
は、歳出法又は供給法が成立すると、失効する。
年間歳出と自動的歳出に加えて、大蔵大臣は、FMA第23条に基づき、省が受取った特定の歳入はその省が留保できる
ことを規定する決定を行うことができる。かかる歳入は統合勘定の貸方に記入されない。しかし歳入及び対応する歳出
は、政府機関が行ったサービスの費用総額を議会で議論するため予算書に含まれる。
GFRA は、大蔵大臣に対して、会計基準、一般に公正妥当と認められている会計原則に従う完全発生主義ベースで、か
つ国内及び国際的に認められた統計基準を利用する政府財政統計ベースで、州の財政についての報告を求める。これら
の要求は、オーストラリア会計基準AASB第1049号「政府全体及び一般政府部門の会計報告」に一致する表示の使用と共
に導入された。
GFRA は、効率的かつ包括的な財政の枠組みが州財政管理のために毎年適切な状態であることを確保する。この枠組み
の中心は「州政府財務戦略説明書」であり、これを通じて州政府は公的部門全体の財務目標を少なくとも毎年（各暦年
に１度）明確に表現しなければならない。一連の財政目標が業績測定のために使用され、中期の予想期間の財務戦略を
運用する。オーストラリア会計基準に基づき作成される州財政年次報告書も要求される。
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歳出（通常、部門内の政府機関が行うインフラストラクチャーへの投資）を支援するために借入が必要な場合、借入
法を通じて議会が借入額を制限する。借入法により、大蔵大臣は、公共目的のために借入法のその時の未使用額合計を
超過しない範囲で、金員の借入をなすことができる。これらの法はまた、借入法の権限に基づき調達した関連する債務
返済費用に、恒久的に統合勘定の現金を充当する。
一部のその他の州の機関（法人化されたGTEを含む。）はまた集中借入合意により独立して借入を行うことができ
る。借入権限は、授権法規及びGTE法により付与され、年間予算及び中間検討プロセスを通じて内閣により承認されてい
る。かかる借入は全て、西オーストラリア州理財公社を通じて、州及び授権された機関を代理して実行される。
(b) 予算事項及び財政政策
2000/01 年度以後、州の予算の中心は、オーストラリア統計局の政府財政統計(GFS)基準により定義される一般政府部
門及び政府全体（すなわち公的部門全体）の発生主義会計である。この基準の使用は、すべてのオーストラリアの政府
（連邦、州及び特別地域）による、公的部門財政の統一表示枠組み(UPF)の目的でGFS発生主義会計を採用する決定を反
(1)
映する。2000年３月、オーストラリア・ローン評議会 は発生主義UPFに合意した。
2007 年10月、オーストラリア会計基準委員会（AASB）は、AASB第1049号「政府全体及び一般政府部門の会計報告」を
発表した。この基準は、2008年７月１日以降に開始する報告期間に適用される。2008年３月、州、特別地域及び連邦政
府はAASB第1049号の概念及び表示形式を満たすためのUPFの変更に合意した。UPFが発表され、2008/09年予算の発表
（2008年５月８日）以降この形式で使用されている。AASB第1049号は、発生主義のGFS及びオーストラリア会計基準に基
づく２つの従前の政府全体の財務シリーズを１つの表示へと「調和」させる。これらの形式間の財務合計の差異は大き
くない。本書の記述はすべてAASB第1049号に基づき作成された、又はそれに従った情報及びデータに基づく。
GFS の財政表示について以前そうであったように、AASB第1049号の開示はストック及びフローの情報から成り立つ。
フローは時間を通じて発生し、歳入及び歳出（損益計算者又は包括利益計算書に示される。）並びに現金の支払及び受
取（キャッシュフロー計算書）を含む。財政状態計算書（又は貸借対照表）は資産及び負債のストックを測定する。
発生主義による予算表示は、政府機関を
・一般政府部門、
・公的金融企業、
・公的非金融企業
に分類する。
一般政府部門の大半の機関は、その財政上の義務を果たす上で議会からの歳出に依存し、従って州政府の政策決定及
び財務管理により直接影響を受ける機関のグループである。
大蔵省は、州財政の管理者としての役割から、GFRAにより要求される財務戦略説明書を組込んだ毎年の州予算を作成
する責任がある。予算に含まれる資産投資計画（AIP）及びその他財務計画は、州政府が定めた指針と政策の範囲内で作
成される。
脚注：(1) 各州、特別地域及び連邦の大蔵大臣で構成される。連邦大蔵大臣が議長を務める。
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一般政府部門の歳入は、以下を含む。
・ 租税、
・ 連邦政府からの経常的交付金及び資本的交付金(一般目的及び/又は特定目的)、
・ 財・サービスの販売収入、
・ 公的企業の配当金及び税相当額支払い、
・ 鉱業及び採掘産業の事業者からのロイヤルティー、及び
・ 利息収入、罰金、州への資産譲渡等のその他収入。
一般政府部門の歳出は、給与、減価償却、老齢退職年金、経常及び資本移転、利子及びその他営業費用を含む。これ
らの歳出は、補助金計画の交付費用、並びに
・ 教育、
・ 保健(病院を含む。)、
・ 法の執行及び秩序(警察、裁判所及び矯正サービスを含む。)、
・ 公社への補助金（必要ある場合）。
等の重要な政府サービス提供の経費を対象とする。
資本の性質を持つ支出は、病院・保健所、学校・教育施設の建設、土地取得及び公営住宅供給並びに政府建物の建設
及び維持など事業に関するものである。資本支出は、州の財務書類において日々の営業費用とは明確に区別することが
できる。
西オーストラリア州は、オーストラリアの他州及び特別地域の大半と同様に、「見出し」の予算指標として一般政府
部門の営業収支の純額に重点を置く。営業収支(純額)は資本資産の取得費用を含まないが、非現金項目(例えば、発生済
の退職年金権利及び資本減耗(減価償却))を含む。発生済費用全額を含めることにより、営業収支(純額)は公共サービス
を提供する全費用を含む。これは、時間的経過に沿った州政府の財務方針の持続性を測る良い尺度となり、また公共
サービスの現在の水準を示す。営業収支の純額は、UPF報告の一部としての連邦、すべての州及び特別地域により提示さ
れる予算情報において明らかであり、UPF報告は連邦、州及び特別地域等、地域ごとの直接比較を可能とする。
一般政府部門の投資/貯蓄収支は貸付純額の合計により測定される。この合計は、損益計算書の歳入全額と減価償却
以外の歳出費用全額を含む。この合計はまた、資本支出(純額)を含むが、資本の使用(すなわち、減価償却)を含まな
い。重ねてであるが、すべてのオーストラリアの管轄地域は、UPF予算及び年度中のその他政府全体の財務開示において
この合計を含む。
(c) 州政府の財政戦略
州政府の財務戦略は、一般政府の営業黒字を経常支出の慎重な管理を通じて達成し、これらの黒字を債務の権限及び
州の将来に向けた投資に充当することに重点を置く。この戦略は州政府の財政目標を通じて運用される。
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財政目標
州政府の財政目標は、
・ 今後の予測期間中、平均ベースで、一般政府部門の営業黒字（純額）を維持する。
・ 以下により、規律ある一般政府歳出管理を維持する。
－ 公的部門の賃金を州政府の賃金政策に合わせる。
(1)
－ 主要なサービス提供機関の経常支出をリソース契約 にある予算支出の限度額に合わせる。
・ 公的部門全体の正味財産（すなわち、純資産）を維持又は増加させる。
以下の表において各目標を説明する。2022/23年度の経費管理目標を除き、2023/24年度から2026/27年度までの全期
間において、州政府の財政目標の全てが満たされると予測される。
(a) (b)
2022/23 年度実績 及び2023/24年度予算予測 の財政目標との整合性
2022/23 年 2023/24 年 2024/25 年 2025/26 年 2026/27 年
実績 予算推計 後続年度 後続年度 後続年度
今後の予測期間中平均ベースで、一般
政府部門の営業黒字（純額）を維持
・一般政府営業収支（純額）（百万
5,120 3,293 2,367 2,540 2,883
ドル）
－整合性 達成 達成 達成 達成 達成
以下を通じた規律ある一般政府歳出管
理の維持
・公的部門の賃金を州政府の賃金政
策に合わせる
－整合性 達成 達成 達成 達成 達成
・主要なサービス提供機関の経常支
出をリソース契約の予算支出の限
度額に合わせる。
－整合性 未達成 達成 達成 達成 達成
公的部門全体の正味財産の維持又は増
加
・公的部門全体の正味財産（十億ド
152.0 144.8 148.1 152.0 156.3
ル）
(c)
達成 達成 達成 達成 達成
－整合性
注：(a) 2023年９月28日に公表された2022/23年度州財政年次報告書。
(b) 2023年５月11日に公表された2023/24年度予算。
(c) 2023/24年度の目標は、2022/23年度の推定実績1,387億ドルに基づいて達成される見込みであった。2022/23年の予
想を上回る支出（1,520億ドル）の影響は、2023年12月に公表予定の州の2023/24年度中間レビューの一部として、
更新済み予測に反映される予定である。
脚注：(1) リソース契約は、政府機関が提供するサービス、並びに達成すべき業績及び財務目標を詳述する公式文書で
ある。
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西オーストラリア州の信用格付
ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、2023年７月11日付で、西オーストラリア州の信用格付をAaa（アウト
ルック「安定的」）に引き上げた（以前はAa1であった）。これは、S&Pグローバルが2022年６月27日付で、州の長期債
務格付をAAA（アウトルックは「安定的」）に引き上げた（それ以前は、AA＋「安定的」）のに続くものである。これら
の格付の引き上げは、西オーストラリア州は両主要国際格付会社からトリプルAの信用格付を受けている唯一の州又は特
別地域であることを意味する。
財政結果
州財政年次報告書（ARSF）において公表された2021/22年度及び2022/23年度の一般政府の損益計算書、貸借対照表及
びキャッシュフロー計算書の詳細を以下の表に示す。これらの表はまた2018/19年の過去の実績並びに2023/24年の予算
推計も提供する。これらはそれぞれ西オーストラリア州の直近の通年実績及び予算予測である。
ARSF に注記された重要な結果は、以下のハイライトを含む。
・ 一般政府部門は2022/23年度に51億ドルの営業黒字を記録した。この結果は直近の2023/24年度予算で見積もられ
た42億ドルの黒字よりも８億9,400万ドルも高く、以下の両方を反映する。
－ 主に税徴収の増加及び2023年６月の公営住宅に対する連邦政府の追加資金の受領により、予想歳入を５億
ドル上回ったこと。
－ 主にタイミングと再分類の問題により、予想よりも３億9,400万ドル少ない支出結果となったこと。
・ 営業黒字は、資産投資プログラムを通じた政府によるインフラ投資のための重要な非債務財源を提供し、
2022/23年年度には総額92億ドル（2021/22年度の72億ドルから増加）を記録した。
・ 2023年６月30日現在の公的部門全体の純債務は274億ドルで、直近の予算の予想より５億2,100万ドル低かった。
2019/20年度から施行されたリース会計の変動を調整して、この結果は４年前の純債務の水準より100億ドル以
上低く、４年連続の純債務の減少である。
2023/24 年 度予算の財政予測
2023/24 年度及び現時点での将来の見積もりは以下の通りである。
・ 2023/24年度について33億ドルの営業黒字（2022/23年度は42億ドルの黒字であった）が予測されており、将来の
見積もり期間についての見通しは24億ドルから29億ドルの営業黒字を予測する。
・ 州政府は、以下を含む、優先度の高い一連のイニシアチブに対処するために引き続き州の強固な財政状態を利用
している。
－ 2023年７月から各世帯に最低400ドルの補助金を提供する、７億1,500万ドルの生活費パッケージ。
－ 州の主要送電網を脱炭素化する州政府計画の実現など、気候変動対策に30億ドル。
－ 州の医療・精神医療制度への27億ドルの追加投資。
－ 全国障害者保険制度への13億ドルの追加拠出を含む、より強固な地域社会を支援するための16億ドルの追
加支出。
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－ 住宅供給と住宅選択を促進する、７億5,000万ドルの追加。
－ 既存の税制支援債務５億ドルの追加返済（昨年度の返済総額は21億ドルであった）。
－ 経済インフラと多様化のイニシアチブにさらに４億6,300万ドルを提供。
・ 2023/24年度からの歳入増加の減少（主に保守的なロイヤルティ収入の見積もりを反映）及び今後４年間の記録
的な資産投資プログラム390億ドルが予想されることを反映し、公的部門全体の純債務は2027年６月30日までに
359億ドルへと緩やかに増加すると予測される。それにもかかわらず、西オーストリア州の純債務の軌跡は他州
よりもかなり平坦であり、州経済（州内総生産）に占める純債務の割合は、2026/27年に9.7％に達すると予測
されている。
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一般政府 損益計算書
2018/19年
2019/20年 2020/21年 2021/22年 2022/23年 2023/24年
(1)
実績 実績 実績 実績 予算推計
実績
(単位：百万ドル)
取引の結果
歳入
租税 8,616 9,055 10,153 11,634 12,427 11,915
経常的交付金及び補助金 8,588 9,379 9,421 11,946 12,817 13,389
資本的交付金 856 642 1,131 1,515 2,081 3,353
財・サービス販売 2,734 2,776 2,821 3,027 3,296 3,149
利息収入 168 124 110 127 333 265
公的企業からの収入
他部門からの配当 1,350 392 1,362 612 145 1,423
税相当額 642 732 956 906 705 785
ロイヤルティー収入 6,713 8,450 12,181 11,091 11,045 7,982
その他 701 614 2,015 799 752 957
歳入計 30,367 32,162 40,151 41,658 43,601 43,218
歳出
給与 12,269 12,887 13,469 14,279 15,727 15,671
老齢退職給付
当期コスト 1,213 1,276 1,323 1,469 1,759 1,776
退職手当利息 135 89 60 75 160 165
その他雇用コスト 380 401 422 327 387 372
減価償却 1,718 1,751 1,741 1,846 1,977 2,150
サービス及び契約 2,528 2,590 2,686 2,877 3,080 3,754
その他総営業費用 5,383 5,391 5,602 6,337 6,620 6,350
利息
リースに係る利息 153 142 134 133 146 133
その他利息 859 737 654 646 809 741
経常移転 3,922 5,003 7,458 6,662 7,358 8,024
資本移転 489 228 763 988 458 788
歳出計 29,050 30,493 34,313 35,638 38,481 39,925
収支(純額) 1,317 1,669 5,838 6,019 5,120 3,293
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その他経済フロー－営業利益に
含まれるもの
資産／負債に係る純利益 59 -27 -173 -149 -302 -194
貸倒引当金 2 -126 -51 -9 -41 -14
会計方針の変更/過年度の訂正 -173 -44 9 -379 63 -
その他経済フロー合計 -112 -197 -215 -537 -280 -208
営業利益 1,205 1,472 5,623 5,482 4,841 3,085
その他エクイティの増減すべて
営業利益に組替えられない項目
再評価 -1,374 392 1,827 6,379 9,712 2,379
生命保険数理純利益/損失－老
-814 5 1,072 769 100 -191
齢退職給付
エクイティに直接認識する利
- -1 2 - - -44
益
公的企業部門の純資産の変動 -1,554 217 1,620 6,771 5,340 840
その他すべて - -239 - - - -
その他エクイティの増減すべて
-3,742 373 4,520 13,919 15,153 2,984
の合計
純資産の増減合計 -2,536 1,845 10,144 19,402 19,993 6,068
主要な財務数字総計
収支(純額) 1,317 1,669 5,838 6,019 5,120 3,293
控除：非金融資産の正味取得
非金融資産の購入 2,540 2,553 2,614 3,308 3,870 3,189
在庫変動 - 38 70 421 -349 -113
非金融資産のその他変動 146 -15 1,337 94 10 246
控除：
非金融資産の売却 100 1,476 90 110 86 119
減価償却 1,718 1,751 1,741 1,846 1,977 2,150
非金融資産の正味取得合計 869 -651 2,189 1,868 1,468 1,052
貸付／-借入(純額) 448 2,320 3,649 4,151 3,652 2,241
注：(1) 2018/19年のデータは、収益及び費用に影響を与えるオーストラリア会計基準（AASB第15号「顧客との契約からの収
益」）及びリースの測定（AASB第16号「リース」）の影響に合わせて調整されており、比較と傾向の情報を提供して
いる。
(注) 四捨五入のため、合計は計数の和に一致しない場合がある。
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一般政府 貸借対照表（６月30日現在）
(1)
2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
2019年
実績 実績 実績 実績 予算推計
実績
(単位：百万ドル)
資産
金融資産
現金及び預金 601 513 5,230 5,603 3,734 2,632
貸付金 713 715 729 708 697 763
投資、貸付金及びプレース
4,470 5,924 2,105 4,659 5,776 3,983
メント
売掛債権、未収入金 3,999 3,938 5,942 5,568 5,080 4,064
株式及びその他エクイティ
他の公的部門企業への投
40,745 40,962 42,581 49,353 54,693 52,206
資－持分法
他の公的部門企業への投
10,000 10,602 11,751 12,934 15,482 20,939
資－直接投資
他の企業への投資 20 22 30 34 49 39
その他金融資産 8 8 8 9 9 9
金融資産合計 60,556 62,684 68,376 78,868 85,520 84,635
非金融資産
土地 35,600 35,183 37,821 39,714
43,904 42,938
有形固定資産 45,344 45,652 47,428 53,231
60,872 57,130
使用権資産 1,746 2,484 2,394 2,452
2,365 2,287
サービス譲歩資産 - 800 798 892
1,006 849
生物学的資産 3 109 54 14
9 14
在庫
土地在庫 - - - - - -
その他在庫 71 108 179 600 251 261
無形資産 626 568 586 595 646 612
売却目的分類資産 43 21 107 57 32 21
投資資産 7 7 7 - - -
その他 245 229 352 440 347 403
非金融資産合計 83,686 85,162 89,726 97,995 109,431 104,515
資産合計 144,242 147,847 158,102 176,863 194,950 189,149
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負債
預金 686 1,472 1,333 1,271 1,538 2,667
貸付金受取 343 326 309 291 273 332
借入金
リース負債 2,902 2,722 2,753 2,818 2,734 2,681
サービス譲歩負債 - - 5 - - -
その他借入金 26,589 26,389 26,451 25,858 23,883 23,757
未積立年金 7,062 6,818 5,516 4,524 4,408 4,863
その他従業員給付 3,197 3,543 3,875 4,101 4,354 4,229
買掛金、未払金 1,425 1,463 2,537 2,841 2,677 2,814
その他負債 1,445 2,674 2,740 3,174 3,104 2,989
負債合計 43,649 45,408 45,520 44,879 42,973 44,333
純資産 100,593 102,438 112,582 131,984 151,977 144,817
内訳：
払込エクイティ - - - - - -
累積剰余金 6,850 7,587 14,298 20,557 25,498 28,049
その他準備金 93,743 94,851 98,284 111,427 126,479 116,768
純資産 100,593 102,438 112,582 131,984 151,977 144,817
覚書事項
正味金融資産 16,907 17,276 22,856 33,989 42,546 40,302
正味金融負債 33,837 34,288 31,476 28,298 27,628 32,842
正味債務
債務総額 30,520 30,910 30,851 30,239 28,429 29,438
控除：流動性金融資産 5,784 7,152 8,063 10,970 10,207 7,377
正味債務 24,736 23,758 22,788 19,269 18,223 22,060
注：(1) 2018/19年のデータは、収益及び費用に影響を与えるオーストラリア会計基準（AASB第15号「顧客との契約からの収
益」）及びリースの測定（AASB第16号「リース」）の影響に合わせて調整されており、比較と傾向の情報を提供してい
る。
(注) 四捨五入のため、合計は計数の和に一致しない場合がある。
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一般政府 キャッシュフロー計算書
2018/19年
2019/20年 2020/21年 2021/22年 2022/23年 2023/24年
(1)
実績 実績 実績 実績 予算推計
実績
(単位：百万ドル)
営業活動によるキャッシュフ
ロー
現金受取
税金受取 8,911 8,996 9,847 11,332 12,622 11,931
交付金及び補助金受取 11,082 11,825 12,167 15,637 17,235 19,127
財・サービスの売却による
2,599 2,611 2,858 3,007 3,338 3,133
受取
受取利息 173 119 88 111 287 265
配当及び税同額 2,092 1,071 2,331 1,544 1,023 2,203
その他 7,659 10,825 12,694 14,271 13,797 11,186
現金受取合計 32,517 35,447 39,985 45,903 48,303 47,846
現金支払
賃金、給与、補足及び年金 -13,766 -14,192 -14,851 -15,848 -17,339 -17,732
財・サービスの支払 -8,215 -8,494 -8,904 -9,876 -10,066 -10,499
支払利息 -1,014 -905 -803 -752 -885 -855
交付金及び補助金支払 -5,635 -6,641 -8,456 -8,852 -9,837 -10,815
配当及び税同額 - - - - - -
その他支払 -1,679 -2,004 -1,828 -2,136 -2,350 -1,672
現金支払合計 -30,310 -32,237 -34,842 -37,464 -40,476 -41,574
営業活動による純キャッシュフ
2,207 3,211 5,143 8,439 7,827 6,272
ロー
投資活動によるキャッシュフ
ロー
非金融資産への投資からの
キャッシュフロー
非金融資産の購入 -2,540 -2,553 -2,614 -3,308 -3,870 -3,189
非金融資産の売却 100 1,476 90 110 86 119
非金融資産への投資からの
-2,441 -1,077 -2,524 -3,199 -3,784 -3,070
キャッシュフロー合計
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金融資産への投資からの
キャッシュフロー
現金受取
政策目的 33 64 14 18 114 10
流動性目的 308 56 86 93 48 16
現金支払
政策目的 -790 -862 -1,210 -1,208 -2,738 -5,777
流動性目的 -66 -38 -94 -70 -75 -
金融資産への投資からの
-516 -780 -1,205 -1,168 -2,651 -5,751
キャッシュフロー合計
投資活動による純キャッシュフ
-2,956 -1,857 -3,728 -4,366 -6,435 -8,821
ロー
財務活動によるキャッシュフ
ロー
現金受取
貸付金受取 17 17 18 18 18 18
借入金 61 845 198 57 188 116
預金受取 - - - - - -
その他財務活動受取 253 312 233 195 316 37
財務活動による現金受取合計 330 1,174 449 270 522 172
現金支払
貸付金支払 -17 -17 -17 -18 -18 -18
借入金返済 -513 -1,379 -45 -646 -2,151 -112
預金支払 - - - - - -
その他財務活動支払 -407 -492 -503 -585 -689 -458
財務活動による支払い合計 -937 -1,888 -566 -1,248 -2,858 -588
財務活動による純キャッシュフ
-607 -714 -117 -978 -2,336 -417
ロー
現金及び現金同等物の純増 -1,355 640 1,298 3,094 -944 -2,966
期首現金及び現金同等物 6,360 5,005 5,645 6,943 10,037 7,994
期末現金及び現金同等物 5,005 5,645 6,943 10,037 9,093 5,028
主要な財務数字総計
営業活動による純キャッシュフ
2,207 3,211 5,143 8,439 7,827 6,272
ロー
非金融資産への投資からの純
-2,441 -1,077 -2,524 -3,199 -3,784 -3,070
キャッシュフロー
現金黒字/-赤字 -233 2,134 2,620 5,240 4,043 3,202
注：(1) 2018/19年のデータは、収益及び費用に影響を与えるオーストラリア会計基準（AASB第15号「顧客との契約からの収
益」）及びリースの測定（AASB第16号「リース」）の影響に合わせて調整されており、比較と傾向の情報を提供してい
る。
(注) 四捨五入のため、合計は計数の和に一致しない場合がある。
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公的部門 損益計算書 総計
2018/19年
2019/20年 2020/21年 2021/22年 2022/23年 2023/24年
(1)
実績 実績 実績 実績 予算推計
実績
(単位：百万ドル)
取引の結果
歳入
租税 8,097 8,529 9,606 11,065 11,843 11,360
経常的交付金及び補助金 8,588 9,379 9,421 11,946 12,817 13,389
資本的交付金 856 642 1,131 1,515 2,081 3,353
財・サービス販売 31,299 37,076 41,172 36,437 38,400 41,622
利息収入 639 555 478 445 868 917
ロイヤルティー収入 6,713 8,450 12,181 11,091 11,045 7,982
その他 1,193 1,077 2,556 1,276 1,288 1,485
歳入計 57,385 65,706 76,545 73,776 78,341 80,108
歳出
給与 13,382 14,051 14,676 15,540 17,169 17,234
老齢退職給付
当期コスト 1,323 1,392 1,454 1,598 1,920 1,953
退職手当利息 135 89 60 75 160 165
その他雇用コスト 350 356 404 612 637 600
減価償却 3,714 3,908 4,235 4,775 5,120 5,283
サービス及び契約 3,290 3,385 3,549 3,925 4,144 4,645
その他総営業費用 29,518 35,027 38,936 34,049 37,135 39,569
利息
リースに係る利息 245 231 209 203 217 203
その他利息 1,583 1,333 1,116 986 1,490 1,638
経常移転 2,777 3,693 5,629 4,737 5,337 5,851
資本移転 302 194 741 856 274 443
歳出計 56,619 63,659 71,008 67,357 73,604 77,585
766 2,047 5,537 6,419 4,738 2,523
収支(純額)
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その他経済フロー－営業利益に
含まれるもの
資産／負債に係る純利益 254 -408 471 -1,013 12 -193
貸倒引当金 -16 -198 -64 -15 -57 -57
会計方針の変更/前年度の訂正 -309 -79 -98 167 137 -
その他経済フロー合計 -72 -685 309 -861 92 -250
営業利益 694 1,362 5,846 5,558 4,830 2,273
その他エクイティの増減すべて
営業利益に組替えられない項目
再評価 -2,277 850 3,251 13,099 15,118 4,032
生命保険数理純利益/損失－老
-850 -22 1,071 747 80 -189
齢退職給付
エクイティに直接認識する利
-102 - -24 -2 -35 -47
益
その他すべて - -345 - - - -
その他エクイティの増減すべて
-3,229 483 4,298 13,844 15,164 3,795
の合計
純資産の増減合計 -2,535 1,845 10,144 19,402 19,993 6,068
主要な財務数字総計
収支(純額) 766 2,047 5,537 6,419 4,738 2,523
控除：非金融資産の正味取得
非金融資産の購入 4,965 5,188 5,816 7,181 9,235 10,405
在庫変動 614 2,088 -330 1,302 311 19
非金融資産のその他変動 273 94 1,403 187 196 370
控除：
非金融資産の売却 654 1,736 499 529 483 462
減価償却 3,714 3,908 4,235 4,775 5,120 5,283
非金融資産の正味取得合計 1,484 1,727 2,155 3,367 4,139 5,049
-718 320 3,382 3,052 599 -2,526
貸付／-借入(純額)
注：(1) 2018/19年のデータは、収益及び費用に影響を与えるオーストラリア会計基準（AASB第15号「顧客との契約からの収
益」）及びリースの測定（AASB第16号「リース」）の影響に合わせて調整されており、比較と傾向の情報を提供し
ている。
(注) 四捨五入のため、合計は計数の和に一致しない場合がある。
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公的部門 貸借対照表 総計 （６月30日現在）
(1)
2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
2019年
実績 実績 実績 実績 予算推計
実績
(単位：百万ドル)
資産
金融資産
現金及び預金 1,517 2,346 7,113 8,384 6,404 5,196
貸付金 4,782 5,259 5,621 4,423 3,156 3,500
投資、貸付金及びプレース
19,567 25,495 19,670 13,752 16,498 15,078
メント
売掛債権、未収金 5,825 5,923 7,480 7,264 7,151 5,671
エクイティ‐他社への投資 1,920 1,844 2,776 2,302 2,553 2,621
その他金融資産 13 15 9 16 17 16
金融資産合計 33,624 40,882 42,669 36,139 35,779 32,083
非金融資産
土地 43,809 43,544 46,015 48,613 52,879 52,839
有形固定資産 101,099 101,650 105,501 116,593 131,521 127,791
使用権資産 2,081 2,997 2,856 2,915 2,773 2,647
サービス免許資産 - 1,015 1,005 3,125 3,398 3,044
生物学的資産 345 317 264 212 229 223
在庫
土地在庫 1,852 1,809 1,566 1,590 1,471 1,795
その他在庫 4,345 6,433 6,104 7,406 7,717 6,771
無形資産 1,028 1,019 1,097 1,007 1,032 1,080
売却目的分類資産 59 37 112 66 40 33
投資資産 67 33 28 14 16 14
その他 381 424 523 599 952 598
非金融資産合計 155,066 159,279 165,069 182,140 202,029 196,835
資産合計 188,691 200,161 207,738 218,280 237,808 228,918
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負債
預金 11 12 13 19 23 19
貸付金受取 343 326 309 291 273 332
借入金
リース負債 3,983 3,500 3,474 3,574 3,427 3,284
サービス免許負債 - - 348 325 309 329
その他借入金 59,072 64,711 61,741 51,555 49,384 49,200
年金 7,165 6,920 5,606 4,603 4,486 4,965
その他従業員給付 3,577 3,981 4,343 4,585 4,873 4,680
買掛金、未払金 7,211 9,978 10,021 11,119 11,810 10,453
その他負債 6,736 8,294 9,300 10,225 11,245 10,839
負債合計 88,098 97,723 95,156 86,296 85,831 84,102
純資産 100,593 102,438 112,582 131,984 151,977 144,817
内訳：
払込エクイティ - - - - - -
累積剰余金 26,673 27,083 34,118 40,329 45,177 48,715
その他準備金 73,920 75,355 78,464 91,654 106,801 96,102
純資産 100,593 102,438 112,582 131,984 151,977 144,817
覚書事項
正味金融資産 -54,473 -56,841 -52,487 -50,157 -50,052 -52,018
正味金融負債 54,473 56,841 52,487 50,157 50,052 52,018
正味債務
債務総額 63,410 68,549 65,885 55,765 53,417 53,164
控除：流動性金融資産 25,867 33,100 32,404 26,558 26,058 23,774
正味債務 37,543 35,449 33,482 29,206 27,358 29,389
注：(1) 2018/19年のデータは、収益及び費用に影響を与えるオーストラリア会計基準（AASB第15号「顧客との契約からの収
益」）及びリースの測定（AASB第16号「リース」）の影響に合わせて調整されており、比較と傾向の情報を提供し
ている。
(注) 四捨五入のため、合計は計数の和に一致しない場合がある。
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公的部門 キャッシュフロー計算書 総計
2018/19年
2019/20年 2020/21年 2021/22年 2022/23年 2023/24年
(1)
実績 実績 実績 実績 予算推計
実績
(単位：百万ドル)
営業活動によるキャッシュフ
ロー
現金受取
税金受取 8,392 8,470 9,294 10,760 12,035 11,373
交付金及び補助金受取 11,082 11,825 12,167 15,637 17,235 19,127
財・サービスの売却による
23,683 27,978 29,970 28,674 30,454 31,348
受取
受取利息 661 565 466 440 786 919
配当及び税同額 - - - - - -
その他 8,807 11,965 13,901 15,696 15,288 12,533
現金受取合計 52,625 60,802 65,797 71,208 75,798 75,299
現金支払
賃金、給与、補足及び年金 -15,062 -15,441 -16,177 -17,251 -18,922 -19,462
財・サービスの支払 -23,069 -27,762 -28,895 -29,104 -30,998 -31,859
支払利息 -2,169 -1,864 -1,688 -1,413 -1,658 -1,779
交付金及び補助金支払 -4,129 -4,810 -5,632 -6,636 -7,013 -7,643
配当及び税同額 - - - - - -
その他支払 -4,600 -5,256 -5,635 -5,497 -6,336 -5,768
現金支払合計 -49,029 -55,132 -58,026 -59,901 -64,926 -66,510
営業活動による純キャッシュフ
3,596 5,670 7,771 11,307 10,872 8,789
ロー
投資活動によるキャッシュフ
ロー
非金融資産への投資からの
キャッシュフロー
非金融資産の購入 -4,965 -5,188 -5,816 -7,181 -9,235 -10,405
非金融資産の売却 654 1,736 499 529 483 462
非金融資産への投資からの
-4,310 -3,453 -5,317 -6,653 -8,752 -9,943
キャッシュフロー合計
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金融資産への投資からの
キャッシュフロー
現金受取
政策目的 21 64 14 18 114 10
流動性目的 6,495 12,044 12,774 10,863 9,157 8,716
現金支払
政策目的 -19 -63 -17 -21 -110 -10
流動性目的 -8,784 -14,195 -12,616 -8,709 -8,851 -9,005
金融資産への投資からの
-2,286 -2,150 154 2,151 310 -289
キャッシュフロー合計
投資活動による純キャッシュフ
-6,597 -5,603 -5,162 -4,502 -8,442 -10,233
ロー
財務活動によるキャッシュフ
ロー
現金受取
貸付金受取 - - - - - 77
借入金 21,444 20,848 29,482 22,466 22,051 21,042
預金受取 - - - - - -
その他財務活動受取 98 231 232 191 290 7
現金受取合計 21,542 21,078 29,714 22,658 22,341 21,126
現金支払
貸付金支払 -17 -17 -17 -18 -18 -18
借入金返済 -19,990 -18,397 -30,138 -26,077 -24,313 -21,464
預金支払 - - - - - -
その他財務活動支払 -397 -448 -560 -618 -785 -532
現金支払合計 -20,404 -18,862 -30,716 -26,713 -25,115 -22,014
財務活動による純キャッシュフ
1,138 2,217 -1,002 -4,055 -2,774 -888
ロー
現金及び現金同等物の純増 -1,863 2,284 1,607 2,750 -344 -2,332
期首現金及び現金同等物 10,573 8,710 10,994 12,600 15,351 13,939
期末現金及び現金同等物 8,710 10,994 12,600 15,351 15,007 11,606
主要な財務数字総計
営業活動による純キャッシュフ
3,596 5,670 7,771 11,307 10,872 8,789
ロー
非金融資産への投資からの純
-4,310 -3,453 -5,317 -6,653 -8,752 -9,943
キャッシュフロー
現金黒字/-赤字 -715 2,217 2,454 4,655 2,120 -1,155
注：(1) 2018/19年のデータは、収益及び費用に影響を与えるオーストラリア会計基準（AASB第15号「顧客との契約からの収
益」）及びリースの測定（AASB第16号「リース」）の影響に合わせて調整されており、比較と傾向の情報を提供し
ている。
(注) 四捨五入のため、合計は計数の和に一致しない場合がある。
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(d) 連邦と州の財政上の関係
オーストラリアの連邦制度は、他の国の連邦制度といくつかの点で実質的に相違している。
(1)
・ オーストラリアの税収入について連邦政府が優位性を有しており、その結果連邦からの資金移転に対する全州
(2)
の依存度が高い。
・ 州間での交付金の配分により、支出及び課税基盤の相違にもかかわらず、州は同等のサービスを提供することが
可能となっている。
・ 上記の通り、統一表示枠組み（UPF）は、全てのオーストラリアの州及び連邦の政府が詳細な政府全体の財務書
類（比較ベースでの予測及び結果の両方を含む。）を開示することを求める。UPFは、オーストラリア会計基準
AASB第1049号「政府全体及び一般政府部門の会計報告」の要件と共に、資金調達の必要額の予測及び結果の透明
な開示が全ての管轄法域において利用できることを確実にする。格付会社による州財政の厳しい監視もある。西
オーストラリア州の政府全体の財務開示（予算書を含む。）は、本書において詳述される西オーストラリア州公
的部門財務実績に関する説明の基礎を構成する。
連邦政府は州に対する財政的保護を提供し、必要がある場合州を支援する。例えば、
・ クイーンズランド州の洪水の後のインフラストラクチャー再建のために、すべてのオーストラリアの所得税納税
者に2011/12会計年度につき臨時洪水税の賦課を導入した。
・ オーストラリア連邦最高裁判所が1997年に州売上税を憲法上無効とした際に、州を代理して「セーフティ・ネッ
ト」の取決めに基づき税を徴収した。
・ 世界金融危機の影響が残る中、2009年に州の借入について（有料で）保証を提供した。
・ 2019/20年以降、GST（物品サービス税）の下限70％を実施した（2024/25年度以降75％に引き上げる。）。これ
により、西オーストラリア州が受取るGST資金が人口比率による割合を下回るのを防ぐことができる。
・ 2020年から2022年の間、「COVID-19に対する全国的パートナーシップ」を通じて、COVID-19に関連する病院業務
及びその他公衆衛生業務の費用の50％を賄うことに同意した。COVID-19が病院業務全体に与える影響の不確かさ
を鑑みて、連邦はまた、全ての州の病院に対する連邦の資金供与を継続的に確実に増やすために、病院業務への
資金供与の最低保証を定めた。
・ 2021年及び2022年にCOVID-19のロックダウン及び旅行制限により影響を受けた事業に対する州支援プログラムへ
の共同出資に合意した。
脚注：(1) 以下の「州」という用語には、特別地域を含む。
(2) オーストラリア高等裁判所の最近の判決（Vanderstock & Anor 対ビクトリア州）は、電気自動車に対す
る州の道路使用者負担金は「物品税の義務」であり、従って連邦政府が物品税を課す独占的な権限を有す
るため、憲法に違反するとの判決を下した。この判決より、州政府が歳入を増加させる能力はさらに制約
を受けることとなった。これらの制約の全体の範囲はまだ決定されていない。
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有価証券報告書
以下の表は、西オーストラリア州への連邦政府からの交付金の詳細を示す。
(1)
連邦からの交付金
2022/23年 2023/24年 2024/25年 2025/26年 2026/27年
実績 予算推計 将来推計 将来推計 将来推計
(単位：百万ドル)
一般目的交付金
GST歳入 6,306 6,484 7,179 7,535 8,907
(2)
1,482 660 500 387 286
北西大陸棚交付金
一般目的交付金合計 7,788 7,144 7,679 7,922 9,193
7,110 9,598 7,159 6,615 6,041
ひも付き交付金
連邦からの交付金合計 14,898 16,742 14,838 14,537 15,234
注：(1) 経常的交付金及び資本的交付金を含む。
(2) 原油物品税からコンデンセートの免税の除外に対する連邦の補償を含む。
(注) 四捨五入のため、合計は計数の和に一致しない場合がある。
出典：西オーストラリア州2023/24年予算書及び2022/23年州財政年次報告書
(e) 税制
2023/24 年度州予算の中で西オーストラリア州政府は、2023年５月11日から、集合住宅の計画外購入に対する譲渡税
割戻しを、評価額65万ドル未満の住宅については100％、65万ドルから75万ドルの住宅については100％と50％の間、75
万ドル以上の住宅については50％に増額し、割戻しの上限は５万ドルとする予定であると発表した。州政府はまた、譲
渡税割戻しが法改正により譲渡税コンセッションに変更され、これにより購入者は支払った税金を払い戻されるのでは
なく、前払いで補助の恩恵を受けることができると発表した。このコンセッションは2025年６月30日に終了する。
2023 年10月10日、西オーストラリア州政府は、計画外の譲渡税コンセッションが、2023年８月31日から2025年６月30
日までに売買契約が締結される建設中の集合住宅を含むように拡大されることを発表した。譲渡税コンセッションは、
65万ドル未満の住宅については75％、65万ドルから75万ドルの住宅では75％から37.5％、75万ドルを超える住宅では
37.5％が支払われ、割戻しの上限は５万ドルである。この拡大は、2023/24年度中間期財務予測報告書で正式に報告され
る予定である。
これらの譲渡税のコンセッションを制定する法律は、2023年11月に議会を通過した。
(f) 借入協定
西オーストラリア州は西オーストラリア州理財公社が発行した債務を保証する。連邦と州の間の1994年財政協定によ
り、西オーストラリア州は自己の名において国内外市場で何らの制限も受けずに借入を行うことができる。かかる州の
借入業務は西オーストラリア州理財公社が引き受ける。
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(g) 借入及び偶発債務
未償還債務
西オーストラリア州大蔵大臣は西オーストラリア州理財公社が発行した債券を保証する。州はまた、貸借対照表にま
だ記録されていない将来事象により引き起こされる負債を負担する可能性がある（以下の「西オーストラリア州の偶発
資産及び偶発債務」を参照のこと）。
西オーストラリア州の偶発資産及び偶発債務
偶発資産及び負債は、一定の条件下で将来具体化する可能性のあるベネフィット及びコストの可能性である。これら
の不確実な性質に鑑み、一般政府及び公的部門全体の統合財務書類は、以下に注記する重要な定量化可能又は定量化不
可能な偶発資産及び負債について引当金を設定していない。
本項で説明される偶発事象についての詳細は、関連する機関の年次報告書にも記載されている。
以下の表は、2023年６月30日終了年度の、西オーストラリア州の重要な定量化できる偶発資産及び偶発債務を示して
いる。州の貸借対照表において既に定量化されている債務及び未積立年金債務はこの開示において除外されている（こ
れらの債務は既に明白に記録されているため）。州の公的部門の機関もまたさまざまなより少額の（重要でない）偶発
債務を保有する可能性があるが、これらは公的機関の年次報告書において開示されている。
１．６月30日現在定量化可能な偶発資産及び負債
以下の重要な偶発資産及び負債が公的部門全体で認識されている。
定量化可能な偶発資産及び偶発債務（６月30日終了年度）
2023年 2022年
(単位：百万ドル)
偶発資産
(a)
26 21
一般政府
16 3
公的非金融企業
合計 42 24
偶発債務
(b)
451 424
保証、補償及び抵当に基づく偶発債務
(c)
52 56
公立大学年金給付制度に関連する偶発債務
(d)
719 753
その他の偶発債務
合計
1,222 1,233
(注) 四捨五入のため、合計は計数の和に一致しない場合がある。
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(a) 偶発資産
シナジー社（州の発電・リテール公社）は現在、供給業者と契約上の紛争を抱えている。係争の結果が確実でない
ため、2023年６月30日時点で1,500万ドルと見積もられる偶発資産が開示されているが、認識はされていない。
WA保健省は、主に西オーストラリア州内の病院において処置されるオーストラリアの他の管轄地域からの住人に関
する州を越える受領についての1,000万ドル（2022年６月30日：800万ドル）の偶発資産を保有している。
部門全体で保有する多数の少額の偶発資産は、1,700万ドル（2022年６月30日：1,600万ドル）の残額から成る。
(b) 保証、補償及び抵当に基づく偶発債務
公共信託受託者共通基金
公共信託受託者共通基金への預託は毎年６月30日付で第三者のために保有される残高を含む。共通基金に保有され
る残高への保証は2023年６月30日現在、合計４億3,900万ドル（2022年６月30日：４億1,200万ドル）であった。
水道公社
水道公社は契約に基づき水道公社の任務を保証するために、通常の業務の中で銀行保証を発行している。2023年６
月30日現在、これらの保証の金額は1,200万ドル（2022年６月30日現在から変わらず）であった。
(c) 公立大学年金給付制度に関連する偶発債務
2000年州退職年金法(SSA)により、1987年州政府雇用者退職年金法及び1938年退職年金及び家族給付法が廃止された。
これらの法に基づき運用されてきた制度はSSAの下で継続する。州はこれらの制度の下で支払われる給付を保証する。こ
の保証のもとでの州政府雇用者の資格は、貸借対照表上の未積立の年金債務の一部として認識される。しかし、公立大
学の雇用者は、（連邦政府が実行する高等教育機関の国の管理を認めて）州政府全体の報告及び予算上は、州の雇用者
ではない。
公立大学年金給付制度の保証は、2023年６月30日付でこれらの給付制度の年金数理的査定価値をもとに5,200万ドル
（2022年６月30日：5,600万ドル）である。
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(d) その他偶発債務
アスベスト被害補償基金
2015年10月16日に、連邦大蔵大臣及びすべての州・特別地域の大蔵大臣はアスベスト被害補償基金（AICF）のデ
フォルトリスクを分担する方法につき合意した。デフォルトリスク合計に対する各州及び特別地域の分担は、（連邦
が合意したとおり、デフォルトリスクの３分の１の責任を負った後）基金の創設以来、各法域において支払われた請
求額の割合を反映する。2007/08年から2022/23年までに、全請求の約14.3％が西オーストラリア州で提出され、これ
は3,040万ドルの見積もり偶発債務に相当する。デフォルトリスクを分担する取決めは、ジェームス・ハーディーPty
リミテッド（AICFに直接責任を持つ。）が管財人の管理下に置かれ、これ以上補償の支払いのために当該ファンドに
拠出できなくなった場合のみ発動する。
幹線道路局長
道路建設の目的で買収された土地の所有者により、請求が提起されている。2023年６月30日現在の２億7,000万ドル
（2022年６月30日：３億6,400万ドル）の偶発債務は、主に道路建設の目的で買収された土地の所有者が申し立てた請
求に関するものである。偶発債務は所有者の請求額と独立評価に基づき幹線道路局長により決定された予想価格の差
額を反映する。
西オーストラリア州計画委員会
「メトロポリタン、ピール及びグレーター・バンベリ地域スキーム」の運用に基づき、土地保有者に補償の支払い
が生ずる可能性のある土地、又は西オーストラリア州計画委員会（WAPC）の土地資産ポートフォリオとして取得する
不動産に対する留保がある。同委員会は、毎年、かかる補償及び取得の優先順位を定める。土地保有者はWAPCが提供
する補償に対して、仲裁又は裁判所への訴訟のいずれかにより争う場合がある。かかる紛争の解決はWAPCの通常の事
業の一部であり、生じる追加支払はメトロポリタン地域改良基金及び地域土地取得資金の財源の中で管理されてい
る。この偶発債務の現在の推定は、２億200万ドル（2022年６月30日：１億5,000万ドル）である。
ネイティブ・タイトル
南西部ネイティブ・タイトルの和解
南西部ネイティブ・タイトル和解のための先住民土地利用協定(ILUA)に基づき、かつ特定の条件の成就を条件
として、州が管理するNoongar族の土地基金（最大4,700万ドル）は、Noongar地域会社及び州の主要な土地/ヘリ
テージ機関の間の有効なパートナーシップの発展を通じて、和解の土地、共同管理及びヘリテージの目的を満た
すため、10年間で利用される予定である。この金額の一部（2023年６月30日現在で570万ドル）は、州の貸借対照
表で認識されている。
Yamatji ネーション先住民土地利用協定
Ymatjiネーション先住民土地利用協定に基づき、州は、和解の経済発展の目的を満たすため、Yamatjiネーショ
ンを代理する慈善信託のトラスティーに、協定地域内の鉱業不動産から受領する地代の割合を計算した年間支払
額を提供することに合意した。これらの支払は、2022年７月１日から2032年６月30日までの10年間に行われる
が、その現在の見積もりは、約900万ドルである。
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その他請求
その他のネイティブ・タイトルの定量化できない偶発債務が、本項の以下で開示されている。
住宅補償保険
住宅補償保険（HII）の偶発債務は、鉱山、産業規制及び安全省が管理する。HIIの将来の請求債務（FCL）は、2023
年６月30日現在で保険数理上の査定が行われている。FCLは現在有効なHII保険契約について将来発生する可能性のあ
る事象の結果生ずる可能性のある将来の請求費用の見積額である。FCLは約5,400万ドル（2022年６月30日：4,200万ド
ル）と査定されている。HIIに対する定量化できない偶発債務の開示も後述される。
地域社会
地域社会省は、結果が確実ではない多数の係属中の訴訟の当事者である。ステート・ソリシターズ・オフィスは、
これらの訴訟の結果によるが、総額3,500万ドル（2022年６月30日：3,100万ドル）の補償が原告に対して支払われる
可能性があると見積もっている。
WA保健省
WA保健省には、3,800万ドル（2022年６月30日：3,500万ドル）の偶発債務がある。これは主に、他のオーストラリ
アの管轄地域の病院で処置される西オーストラリア州の住人についての州を越えた費用請求（1,400万ドル）及び南部
大都市医療サービスの交渉に基づく施設運営の問題（1,800万ドル、正式な契約紛争メカニズムに関する契約運営プロ
セスの継続的一部である。）に関連する。
各種政府機関
その他の定量化できる偶発債務には、様々な各政府機関に対する総額3,900万ドル（2022年６月30日：4,400万ド
ル）の様々な法律上及び契約上の請求権を含む。
６月30日現在定量化不可能な偶発資産及び負債
１．定量化不可能な偶発資産
係争中の訴訟
多数の政府機関が現在異なる訴訟に関与しており、全て異なる段階にある。訴訟の多様性及び性質並びにこれら訴
訟の結果に関する不確実性のため、有利な結果が現れる場合に公的機関に与えられる可能性のあるベネフィットの見
込みを信頼できる程度定量化することはできない。
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２．定量化不可能な保証、担保、補償及び債務保証
家庭外ケア及び青少年宿泊サービスの非政府提供者に対する身体的・性的虐待保険の適用
2017年に「児童性的虐待への制度的対応に関する王立委員会報告書」が発表され、2018年に過去の児童性的虐待の
被害者に対する法定制限期間が撤廃されて以来、過去の児童性的虐待に関わる損害賠償や補償を求める組織に対する
請求が大幅に増加している。こうした請求の増加の結果、いくつかの保険会社は、リスクのある子どもたちに社会
サービスを提供する非政府組織、特に家庭外ケアや青少年ホームレス支援サービス提供者に対する身体的・性的虐待
の保険適用を取り下げた、又は取り下げる意向を示している。
州政府は2021年後半に一時的な補償の提供を承認した。これに基づき、必要不可欠なサービスの提供を確保するた
め、保険を確保できない事業者が、他の管轄区域と協議しながら長期的な対応を検討する間、継続できるようにする
ものである。業界との協議を経て、2022年11月初旬に、適格な事業者に対する補償が大蔵大臣によって認可された。
この対応の実施は、補償期間内に発生し、将来の時点で発生する可能性のある事象に関連する潜在的な損害に対す
る、州の定量化不可能な責任を意味する。州に対する追加費用は、賠償請求がなされて解決した場合に、発生ベース
で評価され、資金が提供される。
金公社
1987年金公社法に基づき、大蔵大臣は、金公社が支払い提供すべき貴金属の現金同等物（第三者のために保有する
金属を含む。）を含む、全ての金融債務の支払いを保証する。この保証に関連する支払いの可能性はほとんどないと
評価されている。
住宅補償保険
2013年11月１日以降、州は建設業者又は建設グループの死亡、破産状態又は失踪から生ずる財務上の損失を新たに
発生するコスト基準でカバーする新たな住宅補償保険（HII）の条項を全額引き受けている。この取決めは、2025年12
月31日まで延長されている。2015年７月１日から、HII保険契約の保険料（保険会社手数料を控除後）は、鉱山、産業
規制及び安全省が管理するHII再保険勘定に払込まれ、これらの保険契約から生ずる請求及び関連費用は、再保険勘定
から充足されている。この項目に関連する定量化された偶発債務は本項上記に開示されている。
３．定量化不可能な偶発債務
訴訟
多数の政府機関は現在異なる訴訟手続きに関与しており、すべてが様々な段階にある。請求の多様性及び性質のた
めに、これらの訴訟のありうる結果については不確実性があり、州が法的責任があると判明した場合、影響の可能性
を確実に計量することはできない。
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バロー島採掘権変動協定
1985年バロー島採掘権変動協定法は、ロイヤルティ（事業の最終暦年とその後の３暦年間の、生産額から適格な再
生費用と廃坑費用を引いた額の約40％に相当する）の払い戻しを求める。還付の費用はロイヤルティ収入の割合に
従って連邦政府と西オーストラリア州政府の間で分割される。多額のロイヤルティを返金する必要があるが、生産額
が検証及び監査され、対象となる費用が支払われ、検証及び監査されるまで、還付額を正確に計算することはできな
い。
臨時従業員の長期勤続休暇権利
1958年長期勤続休暇法に基づき、10年以上雇用され、継続勤務要件を満たす臨時従業員は、長期勤続休暇を受ける
権利を有する。政府機関が、臨時従業員の長期勤続休暇についての義務を信頼性をもって測定できていた場合には、
これらの債務は、州政府全体の貸借対照表において認識されてきた。しかしながら、多くの事業体は、報告日時点
で、現在の又は元の臨時従業員の長期勤務休暇についての義務を信頼性をもって測定することができていない。この
件の財務的影響は現在評価中である。
汚染用地
2003年汚染用地法（「用地法」）に基づき、政府機関は、汚染用地を知りえたとき、及び疑いのあるときは、水・
環境規制省（DWER）に報告を求められている。用地法に基づき、DWERはこれらの場所を人の健康、環境及び環境問題
へのリスクを基準に分類する。ある場所が「汚染 － 要改善」又は「汚染の可能性 － 要調査」に分類された場合、
政府機関は調査又は改善修復の費用につき責任をもつ場合がある。DWERは政府機関により報告されている場所の分類
をまだ終えていない。政府機関が分類過程の結果を査定できないため、ありうる財務上の影響額を見積もる、又は支
出の金額又は時期に関する不確実性を明確にすることは不可能である。政府機関は、汚染用地が特定されるのに伴
い、それを改善修復する進行中の管理計画を持つことを求められている。
外国人購入者譲渡税及び外国土地所有者税
ニューサウスウェールズ州は、外国人購入者に対するサーチャージは連邦政府によりニュージーランド、フィンラ
ンド、ドイツ、南アフリカ、インド、日本、ノルウェー及びスイスと締結された国際租税条約と矛盾していると判断
した。ニューサウスウェールズ州は、影響を受ける国の個人にはサーチャージが適用されなくなり、2021年１月１日
からサーチャージを支払った者には払戻しが行われると発表した。西オーストラリア州は、現在クイーンズランド州
控訴裁判所で係争中の事項を含め、他の管轄区域の動向を監視している。
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森林契約
林産品委員会（FPC）は、将来契約される供給義務を満たすのに利用されるはずの、現在の松資源の不足の可能性を
確認した。これは西オーストラリア州の住宅産業に影響を与えるとは予想されない。2023年６月30日現在、可能性、
時期及び不足可能性の金額についての不確実性の程度は高く、従ってFPCは将来起こるかもしれない潜在的な義務の信
頼に足る見積りの大きさを決定することができない。
州政府による針葉樹の土地拡張に対する３億5,000万ドルの投資（2021/22年度予算の一部として発表）は、長期的
な松材供給の制約リスクの緩和に役立つであろう。FPCは、必要ある場合、緩和戦略を策定及び実施するために更なる
分析を行っており、今後の報告日付の追加の開示又は引当金の必要につき監視を継続する。
金公社
地下水の汚染
過年度において、AGRマッセイ精錬所のニューバーン敷地内で地下水の汚染が発生した。AGRジョイント・ベン
チャー・パートナー（西オーストラリアン造幣局及びオーストラリア・ゴールド・アライアンスPty Ltd）は、当該土
地の修復及び復旧の責任を負った。2010年３月29日のAGRマッセイ・パートナーシップの解散に伴い、西オーストラリ
ア造幣局は将来のいかなる債務についても全責任を継承した。これまでに発生した費用は財務書類に費用計上されて
いる。金公社は、進行中の修復がもしある場合、その潜在的な財務的影響の見積もりの評価を行っている。
預託プログラム
金公社は、預託プログラムを通じて、安全に保管され保険がかけられている貴金属資産に米国の投資家が投資する
ことを可能にしている。米国内の特定の州で制定された法律に基づき課される義務を金公社が遵守していない可能性
がある範囲を決定するために、現在調査が進行中である。金公社は関連当局との連携を進めているところである。コ
ンプライアンス違反による潜在的な財務的影響（もしあれば）を定量化することは可能ではない。
ホテル検疫補償金の支払い
2016年公衆衛生法は、同法157条(1)(h)、182条又は190条(1)(f)若しくは(g)に基づく権力の行使又は行使とされる
もののために、個人が損失又は損害を被った場合の補償の権利を定める。現在、１件の賠償請求が検討中である。金
額は未確定である。
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キースタート社
要追加返済（RAR）契約は、1990年代後半から2000年代前半にかけてキースタート社が独自に発行した契約である。
これらは実質的に他のキースタート社の貸付契約と同様であるが、RARの追加要件としてカウンシル・レート（財産
税）、水道公社費用、その他いくつかの支出の支払いを含んでいる。キースタート社は、これらのRAR契約が共有持分
口座でどのように管理されてきたかについて問題を指摘した。共有持分口座では、カウンシル・レートと水道公社費
用の責任は、共同所有者（キースタート社の顧客）と住宅局の間で分担されている。オーストラリア証券投資委員会
は2022年７月にこの問題の通知を受けた。この是正措置で検討されている問題は以下の通りである：
- RAR契約の対象となる顧客が、（不動産の共同所有者としての当事者間の権利と義務に基づき）不動産の自治
体（シャー/カウンシル）、水道、その他の支出に対して住宅局からの拠出金を支払う義務があるかどうか。
- キースタート社がローンのRARファシリティを正しく運用したかどうか、そうでなかった場合、その結果、顧
客が損失を被ったかどうか（「ローンへの影響」是正と呼ばれる）。
住宅局は、この件に関する立場を検討中である。住宅局の審査が終了するまでは、キースタート社の負う責任やそ
の金額について決定的な見解を示すことはできない。
ネイティブ・タイトル（先住民権原）の解決
オーストラリア連邦の1993年ネイティブ・タイトル法は、1975年10月31日以後に発生したネイティブ・タイトルの
権利及び利益の損失又は損害に対して補償を支払う全ての管轄地域の政府の法的責任の可能性を構成する。現在西
オーストラリア州では、30件のネイティブ・タイトルの請求の申立て及び138件のネイティブ・タイトルの決定があ
る。
州は、ネイティブ・タイトル保有者の経済的・社会的発展の願望をより良く支えるネイティブ・タイトルとの契約
の交渉を継続しており、州に対する賠償責任の完全かつ最終的な解決を引き続き提供する。交渉は、裁判所が決定す
る和解（これは全ての当事者にとり費用及び時間がかかる）よりも好まれる。現在、連邦裁判所では２件のネイティ
ブ・タイトルの補償請求が行われており、この内の１つは、訴訟以外の和解を選択肢として調停中である。
上記で開示した定量化されたネイティブ・タイトルの偶発債務に加えて、現行の契約に基づきまだ終了していない
土地及び建物の譲渡は、定量化不能な偶発債務である。
公共輸送局
進行中の訴訟
公共交通施設の建設のための土地の取得の命令に関し、第三者から最高裁判所に３件の別個の請求があつた。請求
は後日に審問が行われる予定である。請求の規模は和解交渉及び/又は裁判所の決定に従う。
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パース空港Pty リミテッド
2022年４月に、公共輸送局（PTA）は、パース空港Pty リミテッドに対して、PTAが空港線運営協定に基づく義務に
違反した結果又はそれを原因として、パース空港Pty リミテッドが被る又は負担する損失又は損害に関して補償を供
与した。PTAはこの補償に基づく請求に対する州のエクスポージャーを減らすために適切な保険を備えている。
南部港湾局バルク・ローダー
南部港湾局は、BHPビリトン・ニッケル・ウェスト社向けのバルクのニッケルを積込む契約を締結している。BHPビ
リトン・ニッケル・ウェストは、現在エスぺランスからバルクのニッケルを輸出していない。しかしながら、この状
況は変わるかもしれない。港湾局の責任状況は決定されておらず、契約の取決めに基づく請求がある場合の財務上の
影響（あるとすれば）を決定するために現在利用可能な情報は十分でない。
アスベスト関連リスク
シナジー社（発電及びリテール公社）
シナジー社は、様々な年代の火力発電所のポートフォリオを運営している。これらの火力発電所の多くは、市場が
アスベストの危険性を認識するより前に、その絶縁性と耐火性のためにアスベストを利用した。シナジー社は、適切
にアスベストを管理する最新の工程を有し、継続的にこれらのリスクに対処している。しかし、アスベストから生ま
れる病気、例えば石綿症は進むのに長い年月がかかる可能性がある。そのためシナジー社は、過去において同社の火
力発電所の１つにおいてアスベストに接触した労働者及びその他請負人に対して債務を負う可能性がある。シナジー
社の作業場の１つにおいてアスベストに晒されたことから発生する可能性がある診断が未確定の疾病に対してシナ
ジー社は偶発債務を保有する。この債務の大きさは不確実で、何らかの正確性をもって計量することはできない。
ホライズン・パワー社
ホライズン・パワー社が所有する発電所及び住宅などの多くの不動産には、アスベストが含まれている。ホライズ
ン・パワーは、継続的なアスベストハザードの特定とリスク評価のための確固たる管理及び監視プロセスを有してお
り、これらの物件所在地での修理、保守及び解体作業中の、安全な作業システムを実施する。ホライズン・パワー
は、職場におけるアスベストの管理及び制御のための行動規範及び定期的なコンプライアンス調査の権限を含む関連
規則を順守しており、全ての現場からアスベスト材料を除去する長期的な目標を持っている。
現在、ホライズン・パワーは、RiskCoverの対象とならないアスベストの曝露に起因する疾病について、現在又は過
去の従業員及び請負業者からの請求はない。将来、何らかの請求が発生した場合、ホライズン・パワーは、労災補償
及び公的賠償責任保険又はRiskCoverで適切にカバーされる可能性が高い。
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住宅局
住宅局による共有持分住宅費の拠出額の過少支払い又は不払いの可能性が判明した。当会計年度中に、この負債の
範囲を確認するために多大な努力が払われたが、さらなる調及びと分析が行われているため、現時点で是正額を定量
化することはできない。
児童の性的虐待の被害者による民事訴訟に関する法定出訴期間の撤廃－2018年民事責任法の改正（児童性的虐待訴
訟）
過去の児童性的虐待の被害者による民事訴訟の法定出訴期間を撤廃するための「2018年民事責任法の改正（児童性
的虐待訴訟）」が2018年７月１日施行された。法定出訴期間の撤廃により、虐待が発生した組織（州設立の機関を含
む。）は損害賠償請求の可能性にさらされる。この改革の実施は、州に対する定量化できない債務を意味する。
同法の結果、保険の対象ではない更なる請求権が生じる可能性があり、これは結果として生じる訴訟の解決に合わ
せて発生ベースで査定され、資金の積立てが行われる予定である。州政府はまた、「組織的児童性的虐待の被害者に
対する全国救済制度及び民事訴訟」に基づく将来の請求のために、資金を保有する口座を設定した（詳細は、2022/23
年度州財政に関する年次報告書の別紙５に説明されている）。
国家救済スキーム
本スキームの当初の設計では、申請書に記載された機関が廃止されたが、政府機関が廃止された機関と共同で虐待
の責任を負う場合、政府機関は最後の砦（FoLR）として活動し、廃止された機関の救済分を支払うことに同意するこ
とができる。連邦政府が委託した「２周年レビュー」からの提言の結果、拡大されたFoLRの取り決めが2021年12月に
実施され、これにより廃止機関と責任を共有していない政府機関が廃止機関の救済金支払いを引き受けることに同意
できる。
司法省が認識している国家救済スキームの引当金（2023年６月30日現在、４億6,600万ドル）は、西オーストラリア
州政府が以下のものに対して補償金を支払う可能性がある拡大FoLRの引当金を除外している。
・地域のスポーツ・グループ及びその他の地域組織
・就業中に性的虐待を受けた18歳未満の労働者（これは中小企業やビジネスフランチャイズライセンスから発生す
る可能性がある）。
現時点では、拡大された規定による影響を確実に見積もるためのデータや情報が不十分であるため、偶発債務とし
て開示している。
州全体の建造物被覆監査
2017年９月、鉱山、産業規制及び安全省は、可燃性の建造物被覆による危険性について全ての政府省庁及び機関に
連絡し、それぞれの建物ポートフォリオについて監査を行うことを要求した。2023年６月までの最近の結果は、レ
ビューされた範囲の建造物の結果であり、52の建造物について詳細なリスク査定の後合格であり、27の建造物は修繕
措置が必要であるとされ、８つの建造物について修繕措置が完了としている。州政府は年間予算において必要な修繕
の発生費用に対処するために、資金を取り分けている。
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水道公社
水道公社は、オーストラリア・エネルギー・マーケット・オペレーター（AEMO）が運営する西オーストラリア州卸
売電力市場（WEM）の市場顧客である。水道公社のWEMへの参加及びその後の電力購入は、プルデンシャルサポートの
要件を満たすことを条件としている。必要な信用支援のレベルは、実際の電力購入量に基づき、70日間に水道公社が
AEMOに支払うと予想される最大額（純額）に相当する。
グリフィン石炭
州政府は、2026年６月までサウス・ウェスト連系系統の石炭火力発電施設の発電容量を確保するため、２億2,000万
ドルを割り当てた。プロセス契約では、将来の支払いは州の裁量に委ねられており、現時点では定量化できない。
アボリジニ土地信託建物保険
アボリジニ土地信託が所有する、又はアボリジニ土地信託の責任の下にある土地上の建物と家財は、州の約10％を
カバーする。アボリジニ問題計画局は既知の不動産状況の保険価値を評価し、これらの不動産には建物の再調達価格
又は取り壊し費用で保険がかけられている。これらの建物には再調達価格で全額保険がかけられないリスクがある。
当局は引き続き開示要件に対処するためにリスクカバーと協力し、保険の必要性を毎年見直す。
その他偶発債務
既に完了している、又は間もなく完了するインフラストラクチャー・プロジェクトに関連する工事又は業務に関し
て請求が発生する可能性がある。請求は通常、交渉期間があり、取り下げられる、その後（２当事者間で合意される
金額で）和解される、又は訴訟による等の代替的な解決過程へ進む。費用が交渉され、請求が解決した場合、これら
は財務書類に反映される。
その他偶発債務は、様々な法令に基づき一定の状況下で、随時発生する可能性がある。かかる将来の債務の可能性
についての状況は変動し、法に基づく条項により義務の可能性が発生する場合、より詳細に数量化される可能性があ
る。
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(8) 【オーストラリア連邦の概況】
１ 政治及び外交
(a) 国家組織及び政党
オーストラリア連邦は1901年１月１日に、ニュー・サウス・ウェールズ、ビクトリア、クイーンズランド、南オース
トラリア、西オーストラリア及びタスマニアの６つの英領植民地が、英国議会で制定されたオーストラリア連邦憲法に
基づいて「連邦」の州として統合されることによって、連邦国家として誕生した。これら諸州に加えて、オーストラリ
ア首都特別地域(首都であるキャンベラを含む。)、オーストラリア北部特別地域、ノーフォーク島、ココス(キーリン
グ)諸島及びクリスマス島などの特別地域(Territories)がある。ココス諸島及びクリスマス島は連邦政府により直接統
治されている。
オーストラリアにおける連邦の立法権は、上院及び下院で構成される連邦議会に付与されている。オーストラリアに
おいて国王の権威を代表する者は連邦総督である。上院議員及び下院議員は共に全有権者の義務投票によって選出され
る。上院議員は６年を任期として６州から12名ずつ選出される。各州から選出された上院議員は３年ごとにその半数が
改選される。さらに、オーストラリア首都特別地域及びオーストラリア北部特別地域からそれぞれ２名ずつの上院議員
が選出されており、これら４名の上院議員の任期は次回の下院の総選挙までとなっている。下院は、３年を超えない期
間を任期とする151名の議員により構成される。各州の下院議員の定員はほぼその人口に比例している。一定の場合には
連邦総督は上下両院を同時に解散することができる。
下院が先議権を有する予算法又は税法に関する場合を除き、上院は下院と同等の権限を有している。税法及び政府の
経常サービスに関する予算法については、上院は修正権は有しないが、これを否決し又は修正要求を付して下院に差し
戻すことができる。
憲法上、連邦議会は特定の事項、例えば国防、外交、外国及び州相互間の貿易・通商、外国会社、オーストラリア内
に設立された商社又は金融会社、関税及び物品税、郵便・電信・電話といった郵政事業、通貨、銀行業務、保険、移
民、年金及び社会サービスに関する法律を制定する権限が与えられている。これらの権限のうちいくつかは州議会の権
限を排除して専権として連邦議会に与えられている。その他の権限は連邦議会と州議会によって並行的に行使されてい
るが、連邦議会によって制定された法律は（その権限の範囲内で）、連邦法と州法との間に不一致がある場合はいつで
も州法に優先する。連邦議会に付与されていない権限は、憲法上一定の制限を受けるが州に帰属する。
連邦の行政権は憲法上形式的には総督に付与されている。連邦行政評議会が、オーストラリアの統治に関して総督に
助言することを目的として設けられている。この評議会は首相及び他の国務大臣によって構成されている。各大臣は両
院いずれかの議員であり、例外的な場合を除き、下院において過半数を占める政党又は連合政権に属する政党の党員で
ある。連邦政府はこれらの大臣によって構成されており、実際上の行政権は首相と国務大臣により行使されている。
2022 年５月21日に行われた直近の連邦選挙で、アンソニー・アルバニージー率いるオーストラリア労働党が政権を樹
立した。労働党がオーストラリアで連邦政府の過半数を達成したのは、2007年以来初めてである。
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2022 年11月23日現在、連邦議会の現在の議席の構成は以下のとおりである。
上 院 下 院
オーストラリア労働党（政権） 26 オーストラリア・グリーンズ党 4
連合（野党） 32 オーストラリア労働党 77
オーストラリア・グリーンズ党 12 センター・アライアンス 1
ジャッキー・ランビー・ネット
2 無所属 10
ワーク
ポーリン・ハンソンのワン・ネー
2 カッター・オーストラリア党 1
ション
統一オーストラリア党 1 クイーンズランド自由国民党 21
無所属 1 オーストラリア自由党 27
国民党 10
合 計 76 合 計 151
出典：オーストラリア議会
オーストラリアにおける司法権はオーストラリア高等裁判所、その他の連邦裁判所並びに州及び特別地域の裁判所に
付与されている。一定の限定された事項に関して、高等裁判所は第一審裁判管轄権を有している。高等裁判所はまた、
連邦裁判所並びに各州及び特別地域の上級裁判所からの上訴につき管轄権を有する。
(b) 外交関係
オーストラリアの外交政策の基本は、自由で民主的な国家として繁栄し、オーストラリア並びに諸外国にとって平和
で繁栄的な環境の形成を助けることにある。オーストラリア政府は、他国との関係において体制の違いは無視できない
が、逆にそれだけがオーストラリアの政策を決定するものではないと考えている。共通の価値観並びに思考があれば協
調は容易であるが、それがないからといっても共通の利害関係さえあれば協調できないという訳ではない。
したがって、オーストラリアは、すべての諸外国、なかんずく、オーストラリアと目的を同じくする諸国と友好的、
協調的な関係を樹立し、世界の緊張緩和を目指す国際的な動きを全面的に支援するのをいとわない。国際連合、英連
邦、その他の国際機関への加盟もオーストラリアの外交政策の重要な柱となっている。上記諸機関並びに二国間関係に
おいては、オーストラリアは近隣諸国との協調、世界の一般的緊張緩和及び国際平和並びに安全保障の促進を通じて安
全保障の推進と発展を目指している。
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次の表は、2023年12月現在、オーストラリアが加盟している主な国際機関を示す。
主な金融機関
加盟年
・世界銀行グループ
- 国際復興開発銀行
1947
- 国際金融公社
1956
- 国際開発協会
1960
- 投資紛争解決国際センター
1991
- 多数国間投資保証機関
1999
・国際通貨基金（IMF） 1947
・アジア開発銀行 1966
・欧州復興開発銀行 1991
・アジアインフラ投資銀行 2015
主な非金融機関
加盟年
・国際連合
1945
・関税及び貿易に関する一般協定 1948
・イギリス連邦 1931
・経済協力開発機構 1961
・アジア太平洋経済協力（APEC） 1989
・ASEAN地域フォーラム 1994
・世界貿易機関 1995
・アジア太平洋フォーラム 1996
・環インド洋連合 1997
・G20 1999
・MIKTA（メキシコ、インドネシア、韓国、トルコ
2013
及びオーストラリア）
２ 経済
(1)
(a) 国の経済見通し
2021/22 年度に4.3％増加したオーストラリアの国内総生産（GDP）は、2022/23年度には3.1％に鈍化し、2023年９月
までの１年間はさらに2.2％に低下した。この期間の成長鈍化は、政府消費と家計消費の鈍化によるところが大きい。
2023/24年度の連邦予算では、生活費の圧力が家計を圧迫し、世界経済の成長鈍化を反映して、GDP成長率は2023/24年度
末までに1.5％に低下し、この傾向が続くと予測している。
全国的には、家計消費は2022/23年度にかけて５％増加したが、これはパンデミックによる落ち込みからの回復、並
びに家計のバランスシートの堅調さ、パンデミック後の旅行やサービスの回復を一部反映している。しかし、年間成長
率は2023年９月に2.2％に急減速し、金利上昇及び生活費が家計を圧迫するため、2023/24年度末には1.5％に減速すると
予想される。
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住宅投資は２年連続の増加に続いて2022/23年度には減少したが、これは建築工程の終盤における労働力不足が引き
続き新築住宅の完成を妨げているためである。しかし、2023/24年には、住宅建設産業が引き続き受注残を処理するた
め、住宅投資の減少は緩やかになると予想される。資材不足及びサプライチェーンの問題はほぼ解決されたとはいえ、
これまでの活動や新築住宅需要も金利上昇や建築コスト（特に人件費）の影響を受けている。
西オーストラリア州の労働市場の動向は、全国的な動向とほぼ一致している。オーストラリアの雇用者数は、2023年
10月に過去最高の1,420万人に達した。2022/23年度の雇用者数は年平均で4.3％増加し、2023年６月の四半期に3.2％増
加した。雇用は2023/24年度の最初の４ヵ月間も続いており、2023年10月に雇用は年平均で3.0％増加した。2023/24年度
の最初の４か月間の失業率が平均3.7％であったことが示すように、全国的な労働市場は逼迫している。
労働市場の状況は、世界経済と国内経済の逆風が強まり、労働需要が減少することが予想されるため、予測期間中は
緩やかになると見込まれる。雇用の伸びは、世界経済の低迷と金利の上昇がオーストラリアの経済成長に影響を与える
ため、2023/24年度及び2024/25年度に１％と緩やかになると予測される。失業率は2024年６月四半期の平均で4.25％、
その後2025年６月四半期には4.5％に上昇するが、依然としてパンデミック前の５％前後を下回ると予測される。賃金上
昇率（賃金価格指数により測定）は、2023/24年度に４％及び2024/25年度に3.25％と予測され、労働市場の逼迫が賃金
の上昇に反映される。
総合消費者物価上昇率は、2022年12月までの年度末に7.8％でピークに達し、その後2023年９月には5.4％へと減速し
た。連邦は、政府のエネルギー価格救済計画の影響もあり、インフレ率は2024年６月までに3.25％に低下すると予測し
ている。これにより総合インフレ率は0.75パーセントポイント低下すると予想されている。
公共消費は、パンデミック中の医療及びその関連支出の増加を反映し、2021/22年度は6.8％増加した。その後、成長
率は2023年９月までに1.6％に鈍化し、連邦予算では短期的に成長率は引き続き抑制されると予想している。公共投資は
2023年９月まで年率８％増加し、州政府及び連邦政府が公共インフラプロジェクトの大規模なパイプラインに取り組ん
でいることから堅調な推移が続くと予想されている。
脚注：(1) この見通しは2023/24年度連邦予算及び2022/23年度最終予算結果 から抜粋したものである。
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(b) 産業構造及び主要産業の最近の状況
次の表は、2022/23年に終了した５年間の国内総生産を産業構成要素別に示したものである。
産業別粗付加価値国内総生産 － ６月30日終了年度(時価)
(単位：百万ドル)
2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
農業、林業、漁業 41,206 39,876 48,050 62,426 61,044
鉱業 191,864 203,552 224,142 316,846 344,351
製造業 109,112 111,536 115,298 125,827 138,018
電気、ガス、水道及び廃棄物 47,846 46,818 46,136 44,860 47,963
建設業 144,022 141,909 145,372 153,706 170,488
卸売業 71,008 74,191 81,309 84,200 101,200
小売業 79,319 82,253 90,739 94,378 108,445
宿泊及び飲食業 44,227 38,759 40,633 43,456 58,099
運輸、郵便及び倉庫業 89,391 88,829 85,989 95,272 113,579
情報メディア及び電気通信業 44,523 45,224 46,519 50,625 54,034
金融及び保険業 146,198 147,422 153,717 161,035 178,743
賃貸及び不動産業 55,734 55,207 57,735 63,806 64,031
専門家、科学技術サービス 131,930 139,683 147,635 165,312 183,501
管理及び支援サービス 67,863 68,266 66,531 75,694 82,683
行政及び安全 101,861 106,963 111,823 118,337 126,093
教育及び訓練 92,211 96,495 100,403 104,894 115,615
保健及び社会扶助 139,694 145,445 157,643 176,558 193,360
芸術及び娯楽サービス 15,777 14,512 14,179 15,975 18,156
その他サービス 34,398 31,952 32,148 34,134 39,628
住宅所有 173,350 179,855 185,755 193,335 207,780
全産業合計 1,821,534 1,858,747 1,951,756 2,180,676 2,406,811
全産業税金マイナス補助金合
128,508 125,851 137,145 152,545 156,182
計
全産業統計誤差合計 0 0 0 0 -1,766
合計 1,950,042 1,984,598 2,088,901 2,333,221 2,561,228
出典：オーストラリア統計局、目録5220.0、表10
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(c) 通貨・金融制度
通貨制度
オーストラリア連邦の憲法は発券権を連邦政府に与えている。オーストラリア通貨の発行量に関する法令上の制限
は存在せず、需要に応じて発行量は自由に変動させうる。オーストラリアの銀行券はオーストラリア準備銀行(「準
備銀行」)によって５ドル、10ドル、20ドル、50ドル及び100ドルの券種で印刷及び発行され、準備銀行の全支店にお
ける発券センターを通じて商業銀行に配付される。
銀行制度
オーストラリアの銀行制度は、中央銀行(準備銀行)、商業銀行、貯蓄銀行及び特殊銀行で構成されている。一般
に、中央銀行である準備銀行の義務、権限、業務は諸外国の中央銀行の場合と同様である。すなわち紙幣の管理及び
発行、通貨及び流動性の管理政策、連邦政府証券の市場操作、連邦のための金融並びに国庫代理業務及び為替管理の
運営等である。また、準備銀行は銀行預金者の利益を保護する義務がある。準備銀行のすべての負債の支払に対して
は、連邦が法的責任を負っている。
その他の金融機関及び資本市場
銀行以外の金融機関のうち比較的重要なものは、生命保険・損害保険会社、年金基金、金融会社、恒久住宅信用協
会、信用組合、融資業者及び短期資金市場の公認ディーラーである。これらの金融機関はオーストラリアの金融部門
の資産の過半を占める。1980年以来、キャッシュ・マネジメント・トラストが民間部門における投資先として重要性
を増してきている。これらの機関は共に広範囲な金融サービスを行い、金融制度の発展並びにオーストラリア経済の
発展に重要な貢献をしてきた。
３ 貿易及び国際収支
(a) 概況
オーストラリアの経済において、外国貿易は重要な役割を果たしている。2022/23年までの５会計年度におけるオー
ストラリアの貿易・サービス収支は次の表に示すとおりである。
貿易・サービス収支（時価）
(単位：百万ドル)
2018/19年 2019/20年 2020/21年 2021/22年 2022/23年
輸出 470,190 475,656 459,074 593,271 686,209
輸入 -421,934 -400,406 -370,269 -459,869 -547,404
純輸出 48,256 75,250 88,805 133,402 138,805
出典：オーストラリア統計局、目録5302.0、表30
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(b) 商品及び地域別輸出入
2022/23 年までの５年間のオーストラリアの産業別輸出入の構成は次のとおりである。
主要商品別輸出 － ６月30日終了年度
(単位：百万ドル)
2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
輸出(FOB価格)
農業及び水産養殖 14,032 13,206 17,606 27,979 34,434
農業に対するサービス 2,587 971 648 2,396 5,375
森林及び材木 666 607 404 168 110
商業漁業 421 520 535 680 716
石炭鉱業 69,595 54,620 39,195 113,845 127,426
原油及びガス採掘 59,272 57,718 38,848 85,674 106,330
金属鉱業 90,159 117,263 167,588 148,963 139,070
その他鉱業 2,070 1,682 1,178 5,078 20,331
食品、飲料及びタバコ製造 31,372 33,183 28,433 33,688 36,013
繊維、衣料、履物及び
2,068 1,757 1,692 2,151 2,275
皮革製造
木製品及び紙製品 3,234 2,660 2,262 2,780 2,624
印刷、出版及び記録メディ
305 284 226 247 244
ア
石油、石炭、化学及び
14,885 14,770 11,654 13,934 16,242
関連製品製造
非金属鉱産物製品製造 242 232 252 319 319
金属製品製造 47,254 47,610 49,003 51,660 53,758
機械及び機器製造 15,671 15,967 14,607 16,262 18,165
その他製造業 2,364 2,662 3,940 4,104 5,101
その他(上記以外) 16,422 16,264 16,953 21,191 21,916
輸出合計 372,621 381,989 395,024 531,126 590,439
出典：オーストラリア統計局、目録5368.0、表32a及び表35a
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主要商品別輸入 － ６月30日終了年度
(単位：百万ドル)
2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
輸入(税関価格)
農業及び水産養殖 1,856 2,061 2,031 2,034 2,301
農業に対するサービス 11 13 14 21 22
森林及び材木 153 120 154 125 30
商業漁業 178 175 163 169 177
石炭鉱業 60 73 47 70 104
原油及びガス採掘 13,776 9,698 6,608 8,728 9,432
金属鉱業 816 803 733 1,275 768
その他鉱業 251 241 290 503 495
食品、飲料及び
19,604 20,854 19,914 20,836 24,034
タバコ製造
繊維、衣料、履物及び
18,647 18,684 20,699 21,405 23,863
皮革製造
木製品及び紙製品 5,885 5,802 5,581 7,002 7,273
印刷、出版及び記録メディ
1,530 1,427 1,668 1,611 1,361
ア
石油、石炭、化学及び
65,419 65,338 60,930 98,929 111,580
関連製品製造
非金属鉱産物製品製造 3,498 3,444 3,504 3,957 4,148
金属製品製造 22,755 25,733 26,620 30,189 31,677
輸送機器製造 44,819 39,009 48,840 50,860 62,947
機械及び機器製造 91,308 90,811 95,632 106,348 119,452
その他製造業 10,652 10,482 12,691 13,493 14,603
その他(上記以外) 5,412 3,929 2,665 5,902 5,379
輸入合計 306,637 298,691 308,788 373,458 419,653
出典：オーストラリア統計局、目録5368.0、表32a及び表35a
(注) オーストラリア統計局は、輸出を「本船渡し」(f.o.b.)ベース(商品が物理的にオーストラリアを離れるときの価格、
すなわち主なオーストラリアの輸出港におけるf.o.b.)で、輸入を「税関価格」で測定する。
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(1)
地域別貿易（輸出）の割合（％） － ６月30日終了年度
輸出 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
中国 36.0 39.4 42.0 31.7 32.3
日本 15.6 13.8 11.0 16.8 18.7
韓国 6.7 6.6 6.8 8.7 7.8
インド 4.3 2.8 3.3 5.4 4.2
台湾 3.3 3.1 2.8 4.4 4.9
アメリカ合衆国 3.8 4.6 4.3 3.4 3.5
香港 2.1 1.8 1.6 1.4 1.1
ニュージーランド 2.7 2.6 2.7 2.3 2.2
シンガポール 2.8 3.3 3.3 3.2 3.3
インドネシア 1.7 1.5 1.8 2.1 2.2
その他 20.9 20.6 20.4 20.6 19.8
合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
(1)
地域別貿易（輸入）の割合（％） － ６月30日終了年度
輸入 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
中国 25.4 27.1 28.2 27.1 26.4
アメリカ合衆国 10.7 12.2 11.1 10.0 10.8
日本 7.2 6.4 6.3 6.0 5.9
韓国 4.0 3.5 3.4 5.2 6.5
タイ 4.8 4.9 4.8 4.2 4.3
ドイツ 4.9 4.6 4.6 4.1 4.1
マレーシア 4.1 3.4 3.8 3.9 4.4
シンガポール 3.5 3.1 2.8 4.7 4.1
ニュージーランド 2.6 2.5 2.2 1.8 1.8
英国 2.4 2.3 2.4 1.9 1.8
その他 30.6 30.2 30.4 31.0 30.1
合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
出典：オーストラリア統計局、目録5368.0、表14ａ及び表14ｂ
注：(1) 四捨五入のため、合計は計数の和に一致しない場合がある。
(c) 日本との貿易
日本は、2022/23年にオーストラリアの輸出の18.7％を占める、オーストラリアにとり中国に続き２番目に重要な輸
出市場である。日本への輸出額は2022/23年に1,106億ドルであり、これは前年の892億ドルから増加した。
日本は、2022/23年に5.9％のシェアを占めるオーストラリアの第４位の輸入元であった。2022/23年の日本からの輸
入額は246億ドルであった。
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(d) 国際収支
次の表は2022/23年までの５年間のオーストラリアの国際収支を示している。
国際収支 － ６月30日終了年度(季節調整前)
(単位：百万ドル)
2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
経常取引
商品輸出 373,509 383,049 395,835 532,044 590,606
商品輸入 -320,156 -312,074 -321,408 -388,143 -439,919
貿易収支 53,353 70,975 74,427 143,901 150,687
サービス受取 96,681 92,607 63,239 61,227 95,603
サービス支払 -101,778 -88,332 -48,861 -71,726 -107,485
サービス収支(純額) -5,097 4,275 14,378 -10,499 -11,882
貿易・サービス収支 48,256 75,250 88,805 133,402 138,805
所得・移転収支受取 78,504 75,232 70,597 89,951 106,015
所得・移転収支支払 -144,770 -121,273 -96,326 -181,084 -216,318
所得・移転収支(純額) -66,266 -46,041 -25,729 -91,134 -110,303
経常収支 -18,010 29,210 63,076 42,269 28,502
資本及び金融勘定
資本移転 -811 -751 -751 -800 -814
非金融資産移転 41 -364 -13 198 -102
資本勘定 -770 -1,115 -764 -602 -916
直接投資 61,989 30,534 14,972 -50,226 -13,413
ポートフォリオ投資 -87,894 -131 -70,823 54,521 5,756
その他投資 48,179 -69,006 15,909 -18,617 -2,965
金融デリバティブ -9,693 -8,156 -19,313 -9,174 -14,212
準備資産 3,786 18,522 -3,423 -20,156 -5,365
金融勘定 16,366 -28,237 -62,677 -43,652 -30,199
誤差脱漏 2,414 142 365 1,986 2,613
資本・金融勘定収支 15,596 -29,352 -63,441 -44,254 -31,115
(注) 上記の表は、前述の表とは異なる情報源を利用しており、方法及び時期が異なるため数値は一致しない。
出典：オーストラリア統計局、目録5302.0、表30
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(e) 外貨準備
表示日現在におけるオーストラリアの公的外貨準備は、次のとおりである。
公的外貨準備 － ６月30日現在
(単位：百万ドル)
2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
外貨 64,527 46,644 49,617 50,003 55,673
金 4,440 4,612 5,568 6,262 6,019
その他 8,503 10,251 9,949 23,676 27,722
合計 77,470 61,507 65,134 79,941 89,414
合計（米ドル相当額） 54,330 42,213 48,968 55,072 59,282
出典：オーストラリア準備銀行、統計リリース「公的準備資産」
(f) オーストラリア・ドルの為替レート
1983 年12月の変動相場制移行後、オーストラリア・ドルは個々の通貨に対してかなり不安定な動きを見せたが、加重
貿易指数においてはより安定的な水準の付近で取引された。1984年１月から2023年11月までの加重貿易指数は、月間最
低値は2001年９月に記録された47.0、月間最高値は1984年２月に記録された84.2で、平均61.5であった。
1983 年末の変動制への移行後、豪ドルは米ドルに対して大きな幅で取引されたが、月末最高値は2011年７月の1.10米
ドル、最低値は2001年３月の0.49米ドルであった。最近では、変動相場制移行後の平均である約0.75米ドルより低い
0.66米ドル前後で取引されている。
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