欧州投資銀行 有価証券報告書 第65期(2022/01/01-2022/12/31)
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欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第 24 条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 令和5年6月 30 日
【事業年度】 第 65 期(自 令和4年1月1日 至 令和4年 12 月 31 日)
【発行者の名称】 欧州投資銀行
(European Investment Bank)
【代表者の役職氏名】 Sandeep Dhawan
( 資本市場部ヘッド・オブ・ディビジョン )
Xavier Leroy
( 資本市場部キャピタル・マーケッツ・オフィサー )
【事務連絡者氏名】 弁護士 黒 丸 博 善
弁護士 海 江 田 光
弁護士 奥 村 文 彦
【住所】 東京都港区六本木六丁目 10 番1号
六本木ヒルズ森タワー 23 階
TMI総合法律事務所
【電話番号】 (03) 6438-5511
【縦覧に供する場所】 該当なし
(注)1. 本書中、「発行者」「 EIB 」または「当行」とは、欧州投資銀行を意味する。
2.本書中、「ユーロ」または「 EUR 」と表示される金額は、欧州単一通貨を意味する。 2023 年5月 31 日現在、株
式会社三菱UFJ銀行により公表されたユーロに対する日本円の対顧客電信直物売買相場の中値は1ユーロに
つき 150.04 円であった。
3. EIB の会計年度は暦年である。
4.本書の表で計数が四捨五入されている場合、合計は計数の総和と必ずしも一致しない。
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第1 【募集(売出)債券の状況】
会計年度末の 上場証券取引所名又
募集債券の名称 発行年月 券面総額 償還額
未償還額 は登録証券業協会名
第1回 欧州投資銀行
豪ドル・円金利差額型
5,000,000,000 5,000,000,000
0 円
2014 年3月 該当なし
円 円
変動利付 ( 当初固定利付 )
円貨債券 (2014)
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会計年度末の 上場証券取引所名又
売出債券の名称 発行年月 券面総額 償還額
未償還額 は登録証券業協会名
欧州投資銀行
2027 年9月 21 日満期
1,082,000,000 1,082,000,000
0 円
2007 年9月 該当なし
期限前償還条項付
円 円
円建・円/ユーロ為替連
動債券
欧州投資銀行
40,500,000
2023 年3月満期 40,500,000
0 メキシコペソ
2020 年3月 該当なし
(1)
メキシコペソ
メキシコペソ建債券
メキシコペソ
(環境貢献債)
欧州投資銀行
2023 年3月満期
20,360,000
20,360,000
0 ブラジルレアル
ブラジルレアル建債券 2020 年3月 該当なし
(2)
ブラジルレアル
ブラジルレアル
(円貨決済型)
(環境貢献債)
欧州投資銀行
2023 年3月満期
1,078,400,000
1,078,400,000
0 インドルピー
インドルピー建債券
2020 年3月 該当なし
(3)
インドルピー
インドルピー
(円貨決済型)
(環境貢献債)
欧州投資銀行
2023 年 10 月満期
21,650,000 21,650,000
0 ブラジルレアル
ブラジルレアル建債券 2020 年 10 月 該当なし
ブラジルレアル ブラジルレアル
(円貨決済型)
(環境貢献債)
欧州投資銀行
2023 年 10 月満期
342,000,000 342,000,000
0 インドルピー
インドルピー建債券
2020 年 10 月 該当なし
インドルピー インドルピー
(円貨決済型)
(環境貢献債)
欧州投資銀行
2024 年 12 月満期
193,200,000 193,200,000
0 インドルピー
インドルピー建債券
2021 年 12 月 該当なし
インドルピー インドルピー
(円貨決済型)
(環境貢献債)
注 (1) 2023 年3月 23 日に全額満期償還済み。
注 (2) 2023 年3月 23 日に全額満期償還済み。
注 (3) 2023 年3月 23 日に全額満期償還済み。
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2022 年度中、 EIB の経済的健全性および EIB が業務を行う法的枠組みについて、本債券所有者の権利に重
要かつ悪影響を与えるような変更はなかった。
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第2 【外国為替相場の推移】
豪ドル、ユーロ、ブラジルレアル、メキシコペソおよびインドルピーについては、そのそれぞれと円と
の間の為替相場が、日本国内において時事に関する事項を掲載する2以上の日刊新聞紙に最近5年間の会
計年度において掲載されているため、記載を省略する。
(1) 【最近5年間の会計年度(又は事業年度)別為替相場の推移】
該当なし
(2) 【当会計年度(又は事業年度)中最近6月間の月別為替相場の推移】
該当なし
(3) 【最近日の為替相場】
該当なし
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第3 【発行者の概況】
1 【発行者が国である場合】
該当事項なし
2 【発行者が地方公共団体である場合】
該当事項なし
3 【発行者が国際機関又は政府関係機関等である場合】
(1) 【設立】
① 設立の根拠、設立年月日および沿革
欧州投資銀行(「 EIB 」)は、欧州連合(「 EU 」)の機関として設立され、 EU 機能条約(随時改正、
補足済)(「 TFEU 」)第 308 条により完全な法人格を与えられている。 EIB は独自の統治機関、収益源
および金融業務を擁する。 EIB は自己の債務についてのみ責任を負う。
EIB のガバナンスは、 EU 条約(「 TEU 」)および TFEU (合わせて「両条約」)の第5付属議定書であ
り両条約の不可欠な一部である EIB 定款により定められる。 EIB は両条約、 EIB 定款ならびに EU の特権お
よび免責に係る第7議定書(「 PPI 」)をはじめとする両条約のその他すべての関連議定書の規定によ
り統治される。
TFEU 第 308 条および定款の規定に従い、 EIB の構成員は EU 加盟国(「加盟国」)である。 EIB の資本金
は、 EIB 定款第 4.1 条が定めるとおり、各加盟国によって応募される。 EIB はこれまで EIB が発行した証
券のいかなる元利金の支払も怠ったことがない。 TFEU 第 309 条および定款第 16 条に従い、 EIB は、自身
の資金源および資本市場からの借入を利用し、投資に対して特に貸付金および保証の形で資金を供給
する。 EIB は、 98-100, boulevard Konrad Adenauer, L-2950 Luxembourg, Grand Duchy of
Luxembourg に所在する。
EIB は欧州投資基金(「 EIF 」)の過半数の株式を所有し、 EIF は EIB 、欧州委員会および金融機関の
三者による株式所有構成となっている。 EIB グループは EIB および EIF で構成され、それぞれが法人格お
よび法的自立性を備えた別個の法人を形成している。
② 目的
TFEU 第 309 条に基づき、 EIB は、資本市場にアクセスを有しその自己資金源を活用することにより、
EU の利益のために域内市場における安定的かつ均衡のとれた発展に貢献することを役割としている。
この目的に向け、 EIB は非営利で営業し、 EU 内の発展が充分でない地域を開発するプロジェクト、およ
び、以下のプロジェクトが個々の加盟国内で利用可能な財源からの資金提供ではすべてが賄えない規
模と性質のものである場合は、事業を現代化もしくは転換するまたは域内市場の確立または機能のた
めに必要となった新たな活動を開発するプロジェクト、または複数の加盟国に共通の利益となるプロ
ジェクトに、すべての経済部門において貸付および保証を行うことを要求されている。さらに、定款
の規定に従い、 EIB は EU 域外のプロジェクトに対しても通常、 EU と非加盟国との合意の枠内において、
貸付および保証を行う。
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③ 法的地位、特権および免責特権
EIB は法人格を有し、各加盟国内においては当該各加盟国の法律のもとで法人に与えられる最も広範
な法的資格を有する。 EIB は自らの名において財産の取得および譲渡を行うことができ、また訴訟当事
者能力を有する。
PPI に従い、 EIB ならびにその資産、収入およびその他の財産は、加盟国のあらゆる直接税を免除さ
れる。 EIB はまた、 EIB が所在する加盟国内における、応募済資本金および払込済資本金の増額に伴う
あらゆる課税その他の賦課ならびに当該増額に伴うあらゆる法的手続を免除される。定款に基づき行
われる EIB の活動は、加盟国内におけるいかなる取引高税の対象にもならない。
定款に基づく加盟国の義務の履行ならびに総務会および理事会によって採られた措置の法的有効性
に関する一定の訴訟については特に、 TFEU により、欧州連合司法裁判所(「司法裁判所」)が専属的
管轄権を有する。当該専属的管轄権に属するものを除き、加盟国の行なった保証に基づく請求を含
む、 EIB とその債権者または債務者との間の訴訟については、その基礎をなす契約関係の定めに従いそ
れぞれの国内管轄裁判所において行うことができる。 PPI に基づき、加盟国内の EIB の財産および資産
は、裁判所の判決を受けかつ司法裁判所がそれを承認した場合を除き、強制執行による差押えまたは
押収の対象とはならない。
また、 EIB の活動に参加する EIB の機関の構成員、職員および加盟国の代表は、その公的な立場で自
ら行った行為に関し、一部の例外を除いて法的手続を免除される。
④ 日本との関係
(設立について)該当なし
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(2) 【資本構成】
① 資本構成および準備金
表示日現在の EIB の資本構成および準備金は次のとおりである。
2022 年
12 月 31 日現在
( 単位:千ユーロ )
資本金:
-応募済資本金 (2) 248,795,607
-226,604,892
-払込未請求資本金 (2)
-払込請求済資本金
22,190,715
準備金および当期利益:
準備基金:
-期首残高 24,879,561
-前年度利益処分額 (1) 0
-期末残高 24,879,561
その他準備金:
-期首残高
12,258,631
-前年度利益処分額 (1)
4,321,107
-期末残高
16,579,738
特別活動準備金:
-期首残高 12,152,954
-1,849,738
-前年度利益処分額 (1)
-期末残高
10,303,216
一般貸倒準備金:
-期首残高 2,021,337
94,629
-前年度利益処分額 (1)
-期末残高
2,115,966
当期利益 2,366,337
自己資本合計 78,435,533
注 (1) 2022 年4月 22 日、総務会は、 2021 年 12 月 31 日終了年度の EIB の当期純利益 2,565,998 ,000 ユーロをその
他準備金、特別活動準備金および一般貸倒準備金に繰り入れることを決定した。一般貸倒準備金または
特別活動準備金からの取崩し/への繰入れが 生じているが、これは基礎的業務のリスクの動きに伴うも
のである 。
注 (2) 以下「第3 発行者の概況- (5) 経理の状況- ③ EU 会計指令に基づく個別財務書類」に収載の法定財務
書類の注 H.3 を参照のこと。
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② 応募済資本金
2022 年 12 月 31 日現在、 EIB の構成員は、加盟国 27 か国である。
下表は 2022 年 12 月 31 日の EIB の応募済資本金に関する各加盟国の分担である。
金 額
加 盟 国
( 単位: ユーロ )
ドイツ 46,722,369,149
フランス 46,722,369,149
イタリア 46,722,369,149
スペイン 28,033,421,847
ベルギー 12,951,115,777
オランダ 12,951,115,777
ポーランド 11,366,679,827
スウェーデン 8,591,781,713
デンマーク 6,557,521,657
オーストリア 6,428,994,386
フィンランド 3,693,702,498
ギリシャ 3,512,961,713
ポルトガル 2,263,904,037
チェコ共和国 2,206,922,328
ハンガリー 2,087,849,195
アイルランド 1,639,379,073
ルーマニア 1,639,379,073
クロアチア 1,062,312,542
スロバキア 751,236,149
スロベニア 697,455,090
ブルガリア 510,041,217
リトアニア 437,633,208
ルクセンブルク 327,878,318
キプロス 321,508,011
ラトビア 267,076,094
エストニア 206,248,240
マルタ 122,381,664
計 248,795,606,881
EIB の理事会は、 EIB の債務を賄うために EIB が必要とする限度において、応募済資本金の残額の払込
を要求することができる。
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(3) 【組織】
EIB は、総務会、理事会および経営委員会によって指揮および管理される。総務会は各加盟国より任命
された国務大臣(通常は財務大臣)をもって構成される。 2022 年 12 月 31 日現在、理事会は、加盟国およ
び 欧州委員会の指名に基づき、総務会により選任された理事 28 名および理事代理 31 名をもって構成され
ている。理事会にはさらに6名の議決権のない専門家が選任される。経営委員会は、理事会の提案に基
づき総務会により6年任期で選任される総裁および副総裁をもって構成されている。
① 総務会
総務会は、各加盟国より1名ずつ任命された国務大臣(通常は財務大臣)をもって構成され、定款
に規定された特定の機能を有している。これらの機能は、理事会および経営委員の任免、経営委員の
定数の変更、ならびに理事会の年次報告書、年次貸借対照表および損益計算書の承認を含む。年次報
告書が承認されない場合、定款に従い、理事会は全員辞任しなければならない。 EIB 定款に別段の記載
がない限り、総務会の決議は応募済資本金の少なくとも 50 %を代表する多数決をもって行われる。特
別多数決では 18 票および応募済資本金の 68 %の賛成が必要となる。
② 理事会
2022 年 12 月 31 日現在、理事会は、加盟国および欧州委員会の指名に基づき、5年任期で総務会によ
り選任された理事 28 名および理事代理 31 名をもって構成する。
また、理事会は、理事会構成員として3名、理事代理として3名の、6名の議決権のない専門家を
選任する。
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以下は別段の表示のない限り、 2023 年6月 29 日現在の EIB の理事および理事代理の一覧表である。同
日現在、議決権のない専門家およびその代理はすべて空席である。
理 事
Metodi METODIEV Arsène JACOBY
Petr PAVELEK Levente SIPOS-TOMPA
Julie SONNE Robin UYTERLINDE
Elke KALLENBACH Tomasz Pawel SKURZEWSKI
Michael ARGHYROU Filipe CARTAXO
Enrique RUIZ de VILLA SAIZ Mihai-Calin PRECUP
Muriel LACOUE-LABARTHE Aleš ŠKOBERNE
Davor ZORIČIĆ Martin POLÓNYI
Francesca UTILI Kristina SARJO
Kyriacos KAKOURIS Anna BJÖRNERMARK
Armands EBERHARDS Elena FLORES GUAL
Darius TRAKELIS Hans D’HONDT
(4つの理事席が空席である。)
理事代理
Ludivine HALBRECQ Eleni PITTA
Gergana BEREMSKA Aija ZITCERE
Radek HŘEBĺK Jurgita UZIELIENE
Morten PRÆSTEGAARD KLINGE Miguel MARQUES
Hendrik KAELBLE Ildikó ZÁTROK
Susanne BLOMENHOFER Jan de BOER
Riina LAIGO Maciej TABACZAR
Charilaos LAMBROPOULOS Rosa CAETANO
Isabel GARAYO ORBE Boni Florinela CUCU
Matthieu PHILIPPOT Martin ZDOVC
Estelle de BEAUCÉ Peter FRÖHLICH
Francesca MERCUSA Anne af URSIN
Bianca GIANNINI Saila VALTONEN
(5つの理事代理席が空席である。)
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理事会は、 EIB が適切に運営され、両条約(随時改正、補足済)および定款の規定ならびに総務会の
一般的指示に従って管理されることを確保する責任を負う。理事会は、融資の供与、特に貸付金およ
び保証の形によるものに関し、その貸付金利および保証手数料の設定および EIB による借入の承認を決
定する(加盟国域外投資への融資の場合は、当該対象事業の承認にあたり総務会の事前の意思決定を
要する。)。また特定多数の決定に基づき、その権限を一部経営委員会に委任することができる。
定款は、理事会の構成員は EIB に対してのみ責任を負う旨を規定している。各理事は、1議決権を有
し、いつでも、 EIB の手続規定に従ってその議決権を委任することができる。定款に別段の定めある場
合を除き、理事会の決定は、少なくとも応募済資本金の 50 %以上を代表する議決権を有する3分の1
以上の構成員によりなされなければならない。特別多数決は、賛成が 18 票以上入り、かつそれが応募
済資本金の 68 %を代表していることを要する。
③ 経営委員会
EIB の経営委員会は、現在のところ、理事会の推薦に基づき総務会により6年任期で選任される EIB
の総裁1名および副総裁8名をもって構成されている。 2023 年6月 29 日現在の経営委員およびその EIB
における役職は、次のとおりである。
経営委員 EIB での役職
Werner HOYER
総裁
Ambroise FAYOLLE
副総裁
Lilyana PAVLOVA
副総裁
Thomas ÖSTROS
副総裁
Teresa Tatiana CZERWIŃSKA 副総裁
Ricardo MOURINHO FÉLIX 副総裁
Kris PEETERS 副総裁
Gelsomina VIGLIOTTI 副総裁
(1つの副総裁席が空席である。)
経営委員会は、総裁の権限および理事会の監督のもと EIB の現行事業の管理につき責任を負う。経営
委員会は、多数決により、貸付および保証の供与ならびに借入につき理事会に対し提案を行う。総
裁、または総裁が不在の場合は副総裁のうち1名が、議決権を持たない理事会の議長となる。総裁、
もしくは総裁に支障のある場合には副総裁1名が、裁判その他の事項について EIB を代表する。定款
は、経営委員会および EIB の職員は、 EIB に対してのみ責任を負い、その職務の遂行について完全に独
立であるべき旨を規定している。
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④ 監査委員会
監査委員会は、総務会により選任される6名の委員からなる。監査委員会は毎年、 EIB の業務が適切
に管理され、かつ帳簿が適切に記録されている旨を検査する。また監査委員会は、理事会によって作
成された財務書類および年次報告に含まれるその他の財務情報が、当該事業年度の資産および負債に
関する EIB の財務状況、ならびにその業績およびキャッシュ・フローについて正確かつ公正に表示して
いる旨の確認を行う。
2023 年6月 29 日現在の監査委員は次のとおりである。
Christoph HAAS
議長
Nuno GRACIAS FERNANDES
委員
Katja PLUTO
委員
Ivan ŠRAMKO
委員
Eva-Lena NORGREN
委員
(1つの監査委員席が空席である。)
オブサーバー
John SUTHERLAND Beatrice DEVILLON-COHEN
Vasile IUGA
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(4) 【業務の概況】
① 業 務
イ ) EIB の貸付業務
EIB は、 EU の目標を支援するため、官民の事業が実施する投資案件のうち、特に輸送、エネル
ギー、情報技術、電気通信、都市・医療・教育インフラ、環境サステナビリティおよび人的資本の
分野に対して資金を提供する。さらに EIB は、中小企業向けの仲介貸付金も提供している。 EIB は、
加盟国内と加盟国域外のどちらへの投資にも資金を供給する。
EIB の融資を受けるには、各投資先事業が EU の経済政策目標に貢献するものでなければならない。
EIB は、技術、環境、経済、財務および法律面の検討を含め、各投資先事業の詳細な評価を行う。
かかる詳細な評価を経て、 EIB は、利用可能なデータや文書に基づき、 EIB が審査対象の投資先事業
に融資をするか否かについて意見をまとめる。
EIB はまた、 EU 域外の投資先事業に対しても、特に貸付や保証の形で資金を供与しており、それら
は通常 EU と非加盟国の間で交わされる二者間協定または多者間協定の枠組み内で実施される。
ロ ) EIB の資金調達
EIB は財政的に独立している。 EIB は概ね自己調達資金に基づいて運営されており、国際・国内
債券市場における債券発行やその他の債務商品を通じて資金源を確保している。 EIB は、満期、通
貨、利率その他の類似事項に関する投資家の個別的な要望に応えるべく、大規模なベンチマーク
債/レファレンス債の他に小規模の公募債や私募債を発行している。これらの発行により、満期に
償還する固定利付債から特定投資家の特殊なニーズに対応した複雑な仕組証券まで様々な債務商品
がカバーされる。
ハ) 業績
2022 年の動向ハイライト
(1)
概 要
注 (1) このセクションでは欧州投資銀行の活動および財務情報に触れる。表示される数額は、(別段の記載が
ない限り) EIB の法定財務書類(以下「第3 発行者の概況- (5) 経理の状況- ③ EU 会計指令に基づく
個別財務書類」に収載される。)とあわせて読まれる必要がある。
1958 年以来、 EIB は欧州連合の政策および優先課題を推進する傍ら、例外的な危機の到来時に支援
を拡大するための準備も整えてきた。 2022 年2月のロシアによるウクライナ侵攻は、コロナウィル
ス・パンデミックの影響が残るグローバル経済にさらなる試練をもたらした。欧州連合は状況に応
じて政策を調整し、ウクライナや拡大するエネルギー危機への政治的、財政的および人道的な支援
などに多くの資源を再配分した。
EIB はウクライナの政府および国民に寄り添う。 2022 年3月、欧州委員会との合意のもと、 EIB は
ウクライナが最も緊急性の高い資金需要に対応できるように6億 6,800 万ユーロの金融支援パッケー
ジを提供した。 EIB は 2022 年7月に 15 億 9,000 万ユーロの第2次支援パッケージを提案したが、これ
は同国による被災インフラの修復し、自治体業務サービスの再開し、および寒冷期に向けた緊急エ
ネルギー効率化措置の支援を可能にするものである。両パッケージに基づく融資の実行は、欧州連
合による保証ならびに EU 機関および欧州連合加盟国( EU 加盟国)から発表されるその他の適宜のイ
ニシアチブにより補完される。
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EIB はまた、ウクライナの避難民を受け入れている EU 加盟国に 40 億ユーロのパッケージを提供し、
避難民や受入地域の主要なインフラおよびサービスのために融資を実施している。 EIB は引き続き、
短・中期的なウクライナ支援のための新たなイニシアチブに尽力するとともに、欧州連合への加盟
と いう同国の長期目標を支援していく。
ウクライナ戦争およびエネルギー輸出への戦禍の波及は EU 経済にも動揺をもたらし、 EU のエネル
ギー供給の安全保障や料金設定に大きな困難が生じた。この危機により、欧州連合の脱炭素目標に
は新たな戦略的根拠が追加され、既に始まっているクリーンエネルギーへの移行は加速が必要に
なった。かかる情勢下で、 EIB は欧州委員会が提案したリパワー EU 計画( REPowerEU Plan )を快く受
け入れ、ロシア産のガス、石油および石炭の輸入に対する欧州連合の依存状況を一刻も早く解消す
るという目標を強力に支援していく。
かかる目標を念頭に、 EIB と EIF (総称して EIB グループ)は 2022 年 10 月、今後5年間にわた
り再生可能資源、エネルギー効率化、送電・蓄電施設、電気自動車充電インフラ、および低炭素水
素などの革新的技術に充てる 300 億ユーロの追加融資パッケージを発表した。
EIB は、 2020 年に策定した気候銀行ロードマップの実施2年目を通じて、気候行動および環境サス
テナビリティを支援するプロジェクトへの融資に精力的に取り組み続けた。 2022 年、 EIB は気候行動
および環境サステナビリティ支援のための 366 億ユーロの融資契約( EIB の融資総額に占める構成比
(2)
は 2021 年の 51 %に対して 58 %)を締結した 。 2021 年比で約 100 億ユーロの増加であり、再生可能
エネルギー、エネルギー効率化およびイノベーション支援の増加が大きく牽引した。
注 (2) EIB の自己資金源による 2022 年のデータは暫定値であり、未監査である。
EIB は、エジプトで開催された COP27 国連気候会議において、グリーンで強靭で公平で包摂的な開
発手法を促す環境フレームワークを策定することで、自然の保護、回復および持続可能な利用への
取組みを強化した。新しい環境フレームワークは、環境サステナビリティに寄与する EIB の取組みや
活動を一元化する。同フレームワークは、自然の保護、回復および持続可能な利用への取組みの強
化に関して COP26 国連気候会議(グラスゴー)で EIB が他の国際開発銀行と共に出した誓約を実行す
る支えとなる。 EIB は引き続き、欧州連合の経済・社会的な結束の支援、ならびにイノベーション・
デジタル化投資および欧州連合の競争力向上への貢献という定款上の使命に全力で取り組んでい
る。 2022 年だけでも、欧州連合の結束上の重点地域に対する EIB の融資は 248 億ユーロにのぼり、欧
州連合域内での EIB の契約総額に占める構成比は 45.9 %となった( 2021 年は 198 億ユーロ、構成比
41 %)。 EIB グループは、石炭、石油およびその他の化石燃料への依存が大きい地域の低炭素で強靭
な経済への転換を支援するなどして、引き続き環境サステナブルな経済・社会への移行を支援す
る。
過去の危機時と同様に、 EIB グループは景気循環に対抗する力となって欧州連合内外での投資お
よび成長を支援する。コロナウィルス・パンデミックが始まって以降、 EIB グループは疾病およびパ
ンデミックによる経済的影響に対処するために資源を動員してきた。 2022 年、 EIB グループはパンデ
ミック対策プログラムに関する 86 億ユーロの新規支援契約を締結した。さらに、パンデミックから
の回復に係る負担が増していることに鑑み、 2020 年に設定した EIB 汎ヨーロッパ保証基金( EGF )に
よる保証商品の割当期間を 2022 年末まで延長した。
2021-2027 年の多年次財政枠組み( MFF )に従った EU マンデートの実施は、 2022 年の EIB グループの
活動の中でも重要な位置を占めた。 EIB グループは 2022 年3月、インベスト EU 保証協定およびインベ
ストメント EU アドバイザリー・ハブ協定を、いずれも欧州委員会との間で締結した。インベスト EU
は欧州連合による過去最大の景気刺激策の主柱であり、パンデミックからの回復の支援、およびよ
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りグリーンでよりデジタル化されより強靭な欧州経済の構築の支援をその趣旨としている。 EIB グ
ループは、光栄にもインベスト EU 体制で特別な権限を付与されたパートナーに就任し、金融・投資
業 務を支援するため EU 予算による保証のうち 75 %( 197 億ユーロ)の実施を担当している。 EIB は、
EU 加盟国が復興・強靭化ファシリティ( COVID-19 の危機による中長期的な経済への悪影響に対応
し、新規投資プロジェクトの実施を促すための欧州連合の中核的枠組み)の資源を活用できるよ
う、引き続き EU 加盟国を支援していく。
EIB グローバルは、独自の戦略、強化されたパートナーシップおよび開かれた開発政策当局の連携
により、欧州連合域外までにおいて EIB 業務の影響力を強化するという欧州連合理事会の要請に直接
応える形で 2022 年1月に設置された。その経緯から、欧州連合の対外開発融資の手段の中でも不可
欠な要素となっている。 EIB グローバルは、 EU 加盟国、欧州委員会および協力を強める開発関係者
の参与および支援から恩恵を享受している。 EIB グローバルは、パートナー国や候補国において、指
定領域内での EU の対外活動政策の実施および任務を支援し、また各国の EU 代表部を通じてそのプレ
ゼンスを高めている。 EIB グローバルは、 EU のグローバル・アジェンダおよび地政学的課題に貢献
し、グリーン社会およびデジタル社会への移行に向けた融資に関して独自の専門性を展開する格好
のポジションにある。 EIB グローバルは、多くの欧州連合域外諸国が直面する極めて困難な課題に
対処するため重要な貢献を提供する用意がある。
(3)
2022 年、 EIB の新規融資契約は、 651 億ユーロ (このうち 626 億ユーロは EIB の自己資金源)とな
り(これに対して 2021 年は 654 億ユーロ、このうち 543 億ユーロは EIB の自己資金源)、 2022-24 年の
(4)
業務計画 で設定された幅のある目標金額の上限近くに達した。 2022 年の実行済総額は 576 億ユー
(5)
ロ (このうち 567 億ユーロは EIB の自己資金源)であった。 2021 年の実行済額は 414 億ユーロ(こ
のうち 404 億ユーロは EIB の自己資金源)であった。
注 (3) 貸付金、株式および保証のすべての財源を含む。
注 (4) 年次業務計画は業績指針を含み、また EIB グループの翌3年間にわたる主な優先課題および活動を詳細
に記述する。
注 (5) 貸付金、株式および保証のすべての財源を含む。
貸付業務およびその他のキャッシュ・フロー需要に対する 2022 年中の EIB の国際資本市場における
資金調達額は 443 億ユーロとなった。 EIB は ソブリン債、国際機関債および政府機関債( SSA )セグメ
ントの有数の発行体であり、積極的に資本市場のイノベーションと開発に貢献し、先端的な基準を
推進している。 EIB は、 気候 および サステナビリティのアウェアネス債 ( CAB および SAB )の発行で過
去最高の 199 億ユーロを記録したことで、クライメート・ボンドおよびサステナビリティ・ボンドの
グローバル市場でのプレゼンスを再確認した。 EIB の資金調達総額に占めるサステナビリティ・ファ
ンディングの構成比は、 2021 年の 21 %から 2022 年は過去最高となる 45 %に増加した。気候行動や環
境サステナビリティ向けの貸出しの増加に後押しされて気候ファンディングとサステナビリティ・
ファンディングが大幅に増加し、その一環で EIB によるベンチマーク規模の気候債およびサステナビ
リティ債も発行された。これにより、資金調達総額に占めるベンチマーク債の構成比は大幅に増加
した。 EIB はまた、 2022 年 11 月にプライベート・ブロックチェーンに基づくユーロ建デジタル債を発
行し、資本市場のデジタル化で開発の先頭を走り続けた。借入金およびコマーシャル・ペーパーの
残高は、 2021 年末の 4,401 億ユーロに対して 2022 年末は 4,316 億ユーロであった。
EIB は、流動性管理に対して慎重な姿勢をとっており、流動性を備えた超優良投資に集中してい
る。 自己勘定取引資産の総額は( 2021 年末の 1,056 億ユーロに対して) 2022 年末で 775 億ユーロで
あった。 EIB の総流動性比率は内部限度の範囲内で良好に維持されており、流動性資産が 2023 年の予
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想純キャッシュ・アウトフローに占める比率は( 2021 年末の 117.2 %に対して) 95.4 %、ならびに流
動性カバレッジ比率は 348.0 %および純安定調達比率( NSFR )は 124.6 %(これに対して 2021 年末は
そ れぞれ 564.9 %および 130.0 %)であった。 極端な流動性ストレス状況において、 EIB のユーロシス
テム再融資枠へのアクセスが補完的な保護を提供する点は重要である。
EIB のリスク管理戦略は、厳格なデューデリジェンス・プロセス、十分な水準の担保および保証、
ならびに貸付金契約に含まれる標準的な保護条項に基づいている。担保、保証およびポートフォリ
オ信用補完の設定に支えられ、減損レベルは 2022 年末で 0.4 %( 2021 年末は 0.3 %)にすぎなかっ
た。 90 日超の支払延滞の金額は僅少に維持され、 2022 年末で 7,770 万ユーロ( 2021 年末は1億 1,870
万ユーロ)であり、リスク・ポートフォリオの 0.02 %を占めるにすぎない。
貸付金に係る引当金は、 2021 年末の4億 4,390 万ユーロから 2022 年末は4億 250 万ユーロに減少し
た。後者( 2022 年分)は、ロシアによるウクライナ侵攻の貸付金ポートフォリオへの潜在的影響を
反映するために計上した集合的引当金を含む。
EIB は、 2021 年の 26 億ユーロに対して 2022 年は 24 億ユーロの当期純利益を計上し、プラスの財務成
績を確保した。当期純利益は全額留保され、それが EIB の自己資金の形成および長期融資能力の維持
につながっている。株式の好調な推移および当期純利益の留保高を要因として、 EIB のコア資本 Tier
1( CET 1)比率は 2021 年末の 32.3 %から 2022 年末には 35.1 %へと上昇した。 EIB の自己資本要件規
則 II 上のレバレッジ比率は、当期純利益の蓄積に伴う Tier 1資本の増加を主因として、 2022 年中に
10.9 %から 11.8 %に増加した。
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1. EIB の良好な 2022 年財務業績
E IB は主に低いマージンで多額の貸付金を融資することにより収益を生み出しており、設立以降は
(6)
毎年、年次の法定 財務書類に当期純利益を計上している。 2022 事業年度の当期純利益は、 2021 年
の 25 億 6,600 万ユーロに対して 23 億 6,630 万ユーロとなった。 2022 年の財務実績に影響を与えた主な
要素は次のとおりである。
(7)
・ EIB による 生成正味受取利息 が 2021 年の 31 億 8,500 万ユーロに対して 2022 年は 29 億 7,780
万ユーロとなった。受取利息および支払利息のさらなる詳細は、以下 「第3 発行者の概況-
(5) 経理の状況-③ EU 会計指令に基づく個別財務書類」に収載の法定財務書類の注 N に記載
されている。
・ 有価証券からの収益 が 2022 年に6億 3,250 万ユーロとなった( 2021 年は7億 7,680 万ユー
ロ)。この減少の主な理由は、 2021 年比での 2022 年の受取配当金額の減少である。
・ 一般管理費 が 2022 年に 11 億 3,830 万ユーロとなった( 2021 年は 14 億 6,680 万ユーロ)。この
3億 2,850 万ユーロの減少の主な理由は、福利厚生拠出金およびその他の費用の減少(4億
2,200 万ユーロ)である。この背景には、 2022 年 12 月 31 日現在の退職給付債務評価時の適用割
引レートの上昇により、保険数理上の負債が 2021 年比で圧縮されたことが挙げられる。さら
なる詳細は、以下「第3 発行者の概況- (5) 経理の状況-③ EU 会計指令に基づく個別財務
書類」に収載の法定財務書類の注 L および注 R に記載されている。
・ 貸付金および預け金ならびに偶発債務引当金に係る(再)評価損益 が、 2021 年の1億 7,830
万ユーロの評価益に対して 2022 年に 2,920 万ユーロの評価損となった。この変動の理由は主
に、 COVID-19 の潜在的影響の評価を法定財務書類に反映するため 2020 年に設定された集合的
引当金について 2021 年中に戻入れがあった一方で、ウクライナ戦争の貸付ポートフォリオへ
の影響を考慮して 2022 年に少々の集合的引当金を新規計上したことに求められる。
EIB の貸借 対照表 総額は、 2021 年末の 5,655 億ユーロに対して 2022 年末は 5,446 億ユーロ( 209 億
ユーロの減少)であった。
注 (6) EU 会計指令に従って作成されている。
注 (7) 受取利息および類似収益から支払利息および類似費用を差し引いたもの。
純損益および総資産の推移 ( 単位:百万ユーロ)
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1.1. 強固な資本構成
純利益は EIB の業務を支えるために留保されることから、 EIB の一貫した収益性は、長年にわたり
十分な準備金の積上げをもたらしてきた。自己資金は、当期純利益の充当を受けて増加し、 2021 年
末の 761 億ユーロから 2022 年末の 784 億ユーロとなった。
2022 年 12 月 31 日現在の自己資金構成
自己資金
2022 年 2021 年
12 月 31 日 12 月 31 日
(単位:千ユーロ)
資本金
248,795 607
‐応募済 248,795,607
-226,604,892 -226,604,892
‐払込未請求
22,190,715 22,190,715
準備金
a) 準備基金
24,879,561 24,879,561
b) その他準備金
16,579,738 12,258,631
c) 特別活動準備金
10,303,216 12,152,954
d) 一般貸倒準備金
2,115,966 2,021,337
53,878,481 51,312,483
2,366,337 2,565,998
当期純利益
自己資金合計 78,435,533 76 , 069 , 196
当期純利益については、以下の処理が提案された。
( ⅰ ) その他準備金: 17 億 750 万ユーロ
(8)
( ⅱ ) 特別活動準備金 : 8億 9,140 万ユーロ
(9)
( ⅲ ) 一般貸倒準備金 : -2億 3,260 万ユーロ
注 (8) 以下「第3 発行者の概況- (5) 経理の状況- ③ EU 会計指令に基づく個別財務書類」に収載の法定財務
書類の注 A.2.15.3 を参照のこと。
注 (9) 以下「第3 発行者の概況- (5) 経理の状況- ③ EU 会計指令に基づく個別財務書類」に収載の法定財
務書類の注 A.2.15.4 を参照のこと。
1.2. EIB の払込未請求資本金は十分な緩衝(バッファー)を提供
EIB は EU 加盟国により所有されている。ブレグジットに伴う 2020 年第1四半期の資本金の差替えな
らびにポーランドおよびルーマニアの増資を受けて、 EIB の払込請求済資本金は 222 億ユーロとな
り、応募済だが払込みが未了の資本金、すなわち払込未請求資本金は 2,266 億ユーロとなった。 EIB
の加盟国である EU 加盟国には、 EIB がその債務を履行するために必要とする場合、必要な払込未請求
(10)
資本金の各々の分担割合分を、 EIB の定款の規定 に従い、 EIB の理事会の請求により払い込むべ
(11)
き法的な義務がある。この法的義務は、 EU 加盟国の国法に優先する EU の条約 の不可分的要素で
ある EIB の定款に由来しており、このことは EIB の際立った特徴となっている。払込未請求資本金
(自己資金の勘定に含まれず、また EU 自己資本要件規則または EU 自己資本要件指令 の自己資本充足
目的にもならない。)は、 EIB の借入金の概ね半分に相当するバッファーを構成する。
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注 (10) EIB の定款第5条 (3) :「理事会は、 EIB の債務を履行するために EIB が必要とする限度において、応募
済資本金の残額の払込みを求めることができる。」
注 (11) 欧州連合条約および欧州連合機能条約。
1.3. 今後の見通し
(12)
2023-2025 年の EIB グループの業務計画 が EIB の理事会により 2022 年 12 月 14 日に承認され、 2023
年2月2日に公表された。ウクライナの復興努力に対する EIB グループの支援の他、 2023-2025 年融
資プログラムでは、グリーン社会およびデジタル社会への移行の促進、イノベーションおよび欧州
連合の戦略的自律への投資にどのように集中していくかについて EIB グループの考えが示されてい
る。 EIB グループは、欧州連合内外の成長、雇用および経済的繁栄に向けた支援に引き続き尽力し
ていく 。
注 (12) 年次業務計画は業績指針を含み、また EIB グループの主な優先課題および活動を詳細に記述する
( https://www.eib.org/en/publications/20220289-eib-group-operational-plan-2023 (英文))。
この業務計画では、 EIB グループの戦略を実行するための今後3年間の主な優先課題と活動がまと
められている。同計画はまた、 EIB グループの自己資金源および第三者資金源を活用した融資目標も
(13)
提示している。 2023 年の EIB グループの契約目標額は 804 億ユーロ であり、このうち欧州連合域
内の EIB 案件が 600 億ユーロ、 EIB グローバル案件(欧州連合域外の EIB 案件)が 85 億ユーロ、および
EIF 案件が 130 億ユーロである。
注 (13) 共同取引(例えば、 EIB がバック・トゥ・バック( back-to-back )保証を提供する EIF の事業)による 11
億ユーロの重複計上を解消したグループ契約額。
EIB グループの 2023 年の実行目標額は、 476 億ユーロから 561 億ユーロの範囲に設定された。 同業務
計画は、新しい政策優先課題への対応に伴う資金供給量の全体的な増加を予想しており、また EIB グ
ループの長期的な資金の持続可能性を確保しつつ追加性およびインパクトを最適化するよう調整さ
れている。 2021-2027 年 MFF の限りある利用可能資源を補完するため自己資金による高リスク事業を
増額することから、高リスクのマンデート活動は増加が見込まれている。
不確実な市場環境が続くとの見通しのもと、同業務計画には契約額に関して弾力性マージン
( +15/-10 %)が組み込まれている。 EIB グループは、ロシアのウクライナ侵攻や広がるエネル
ギー・食料危機の影響に関する動向、 EIB グループの新規融資に対する外部市場の需要、およびプロ
ジェクトの組成や契約の実際の進捗具合を考慮に入れ、通年で活動のレビューを継続していく。
EIB グループの資金供給は、欧州連合の政治的優先課題に準じた EIB の公共政策上の目標に重点を
置き続けており、中でも以下を重視している。
・ 持続可能な都市および地域づくり
・ 持続可能なエネルギーおよび天然資源
・ イノベーション、デジタル資本および人的資本
・ 中小企業および ミッドキャップ(中堅)企業 向け融資
さらに EIB には、気候行動および環境サステナビリティ、ならびに EU の経済・社会的な結束および
収斂という横断的な2つの指標がある。計画対象期間である 2023-2025 年には EIB グループのリパ
ワー EU への貢献も網羅されており、正味排出量ゼロ(ネット・ゼロ)およびロシア産化石燃料への
依存低減という目標に向けてグリーン社会への移行の加速を支援していく。 業務計画は、 EIB の欧州
連合域外業務の影響力を強化し、欧州連合の政策イニシアチブおよび優先課題を現地のソリュー
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ションに落とし込むという包括目標に基づき、計画対象期間における EIB グローバルの契約額および
実行額を意欲的な水準に設定している。
業務計画で概説される資金調達プログラムは、業務目標を達成するために必要と想定される借入
を反映している。 EIB の理事会は 2023 年について、グローバル借入承認案件の上限を 500 億ユーロと
することを承認し、また EIB は 450 億ユーロにのぼる資金調達プログラムを想定している旨を公表し
た。
EIB の高い信用度は、そのビジネス・モデルの要諦である。そのため EIB は、そのリスク選好およ
び公的使命に合致する範囲で信用リスク、市場リスクおよび流動性リスクを受け入れることとして
いる。健全な財務方針を追求することで、 EIB は長期的な成長のための資金を自給できるよう努めて
いる。
2.貸付業務
EU の銀行としての EIB の使命は、欧州連合機能条約第 309 条に規定されているとおり、欧州連合の
政策目的に貢献する実現可能なプロジェクトに投資することである。資金供与先のプロジェクト
は、厳格な経済、テクノロジー、環境および社会的基準をみたす必要があり、入念なデュー・デリ
ジェンスおよびリスク管理の実施対象となる。
(14)
2022 年 12 月 31 日現在、契約済貸付金の残高は 5,620 億ユーロ ( 2021 年末は 5,564 億ユーロ)と
僅かに増加し、 2022 年中に契約を締結した貸付金の 82.6 %( 2021 年: 82.0 %)が欧州連合域内プロ
(15)
ジェクト向けであった。 EIB の実行済貸付金ポートフォリオは 4,374 億ユーロ であり、これに対
して 2021 年末は 4,334 億ユーロであった。 金利上昇環境が追い風となり、 2022 年の EIB の貸付実行実
績は好調であった。
注 (14) 自己資金源、貸付金および代替貸付金を含む。
注 (15) 自己資金源、貸付金および代替貸付金を含む。
(16)
自己資金源による高リスク事業 のうち 2022 年に締結した事業額は 84 億ユーロ( 2021 年は 27 億
ユーロ)であり、追加性およびインパクトの向上の実現を目標とする EIB の高リスク戦略に沿うもの
となった。
注 (16) 対象事業のうち、 EIB が通常受け入れるリスクよりも大きなリスクを EIB 定款第 16 条 (3) に従い負担する
ものをいう。
2.1. 新規契約
(17)
2022 年の新規契約の成約高は合計 651 億ユーロ であり、このうち 626 億ユーロが EIB の自己資金
源によるものであった( 2021 年は 654 億ユーロ、うち 543 億ユーロが EIB の自己資金源によるもの)。
新規契約の 86.1 %( 2021 年は 88.5 %)が EU 加盟国のプロジェクトを融資先とするものである(地理
的分布の詳細は以下の表を参照のこと。)。
注 (17) 自己資金源、貸付金および代替貸付金を含む。
国別または地域別の契約実績
2022 年 合計比 2021 年 合計比
契約先
( 百万ユーロ ) ( % ) ( 百万ユーロ ) ( % )
イタリア 9,444 14% 9,860 15%
スペイン 8,822 14% 8,962 14%
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フランス 8,494 13% 9,153 14%
ドイツ 6,032 9% 4,612 7%
ポーランド 4,899 8% 5,769 9%
ベルギー 2,323 4% 2,700 4%
ギリシャ 2,175 3% 2,898 5%
チェコ共和国 1,779 3% 1,003 2%
ポルトガル 1,522 2% 876 1%
スウェーデン 1,435 2% 1,409 2%
オーストリア 1,268 2% 1,437 2%
オランダ 1,192 2% 2,041 3%
ルーマニア 982 2% 842 1%
アイルランド 968 1% 672 1%
デンマーク 802 1% 689 1%
ハンガリー 799 1% 880 1%
欧州自由貿易連合 26 0% 266 0%
3,086 *
他の EU 加盟国 5% 4,067 7%
候補国および
潜在的候補国 1,116 2% 849 1%
7,985 6,371
その他諸国 12% 10%
65,149 65,356
(*) ブルガリア4億 8,100 万ユーロ、クロアチア1億 2,200 万ユーロ、キプロス2億 5,000 万ユーロ、エストニア 6,600
万ユーロ、フィンランド7億 9,500 万ユーロ、ラトビア3億 4,800 万ユーロ、リトアニア1億 4,500 万ユーロ、ル
クセンブルク3億 2,400 万ユーロ、マルタ 2,000 万ユーロ、スロバキア 5,500 万ユーロ、多国間契約4億 8,000 万
ユーロ。
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2.2. EU の気候対策銀行としての EIB
EIB は EU の気候対策銀行であり、気候変動、環境悪化および生物多様性の喪失というグローバルな
喫緊の課題の克服において重要な役割を担っている。 2022 年だけでも EIB は、 350 億ユーロの気候行
動投資および 159 億ユーロの環境サステナビリティ投資について契約を締結した。気候行動および環
境サステナビリティの両面の利益を伴うプロジェクトへの 143 億ユーロの融資を含め、気候行動と環
境サステナビリティへの投資合計は、( 2021 年が EIB の年度貸付額の 51 %に当たる 276 億ユーロで
あったのに対して)当年は EIB の貸付額の 58 %に当たる 366 億ユーロとなった。また、結束政策の対
象地域に対する EIB の貸付のうち気候行動貸付が 63.7 %を占めた。この投資規模が、 EIB を世界最大
級の国際気候行動金融機関たらしめている。
EIB は、 2025 年までに欧州連合内外の適応ファイナンスでより重要な役割を果たせるように尽力し
ている。 2021 年に策定された EIB 気候適応プランにおいて、 EIB はその目標として、適応へのインパ
クトが大きい投資分野への注力を強め、早期関与の強化や顧客へのきめ細かいアドバイザリー・サ
ポートを取り入れていく旨を表明している。 2022 年の EIB の気候変動適応融資は 18 億ユーロであり、
EIB の気候行動総額の5%を占めた。 EIB は、 2025 年までにこの割合を 15 %に増やそうとしている。
EIB グループは、欧州委員会による 2022 年 10 月のリパワー EU 計画の提案を快く受け入れ、また、ロ
シア産のガス、石油および石炭の輸入に対する欧州連合の依存状態の段階的解消という目標を強く
支持している。
EIB グループは 2022 年 10 月、今後5年間をかけて実施する融資およびエクイティ・ファイナンスに
ついて、再生可能資源、エネルギー効率化、送電・蓄電施設、電気自動車充電インフラ、および低
炭素水素などの革新的技術に対する欧州連合全域での投資促進を主眼とした 300 億ユーロの追加パッ
ケージを発表した。対象を特定した新たな資金供給パッケージは、 2027 年までに最大 1,150 億ユーロ
の新規投資を動員する予定であり、これによりヨーロッパ経済の脱炭素と併せてロシア産化石燃料
への依存から脱却するというリパワー EU の目標に実質的に貢献していく。
さらに 2022 年の最終四半期に EIB グループは、そのパリ協定適合カウンターパーティー( PATH )枠
組みの適用免除の範囲を暫定的かつ例外的に拡張した。 EIB グループの PATH 枠組みには革新要素の強
いプロジェクトのために適用免除が既設されており、これが欧州連合域内の再生可能エネルギー・
プロジェクトおよび電気自動車充電インフラのすべてを網羅する形で暫定的かつ例外的に拡張され
た。これによって EIB グループはより多くのクリーンエネルギー・プロジェクトのためにより広範な
顧客に対して資金を供給できるようになり、そうすることで欧州連合の気候目標やエネルギー安全
保障に貢献していく。この拡張は、 2025 年に実施予定の気候銀行ロードマップのレビューを経て、
2027 年まで維持される予定である。 EIB はこの期間にわたり、顧客の脱炭素計画の策定を支援するた
め継続的にすべての顧客に協力していく。
EIB は、エジプトで開かれた COP27 国連気候会議において、世界中の環境投資を支援し、以てグ
リーンで強靭で公平な開発に寄与するための EIB の環境フレームワークを発表した。
2.3. コロナウィルス・パンデミックからの回復支援に向けた EIB の融資
EIB グループは、欧州連合のコロナウィルス・パンデミック対策において一翼を担っており、欧州
連合内外の緊急の資金需要に確実に対処するため EU 機関のパートナーと協働している。コロナウィ
ルス・パンデミックが始まって以降、 EIB グループは、公衆衛生、ワクチン供給および危機の直撃を
受けた企業を対象とする約 673 億ユーロの支援について契約を締結した。 2022 年だけでも EIB は、
COVID-19 の危機への直接対応を目的として( 2021 年の 64 億ユーロに対して)合計 26 億ユーロの融資
契約を締結した。
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EIB グループの支援を主に欧州中小企業向けに拡充することを趣旨とした EIB グループの 244 億ユー
ロ規模の汎ヨーロッパ保証基金( EGF )は、 2022 年末までに全額が展開された。 2022 年 12 月 31 日現
在、 EGF の出資者委員会および EIB の統治機関は総額 235 億ユーロのプロジェクトを承認している。こ
れらのプロジェクトは投資総額で 1,873 億ユーロの動員を見込んでいる。 2022 年末現在、全部で 22 の
参加 EU 加盟国において展開されるプロジェクトの契約金額は EIB グループ全体で 209 億ユーロ( EIB が
103 億ユーロ、および EIF が 106 億ユーロ)であり、 EGF の資金が欧州連合全域の企業に効果的に行き
渡っていることを示している。
汎ヨーロッパ保証基金-承認額、契約額、予想投資動員額(事業主体別)
2022 年 12 月現在
(百万ユーロ)
予想投資動員額
承認総額 契約総額
(評価額)
EIB 11,070 10,314 91,890
EIF 12,470 10,597 95,415
合計 23,540 20,911 187,305
汎ヨーロッパ保証基金の商品は、金融仲介機関が企業に対してより好条件でより多くの資金を貸
し付けようとするインセンティブとして機能し、これにより企業は速やかに有利な融資を受け、
(18)
COVID-19 パンデミックの経済的後遺症から回復できるようになる。 EGF 保証商品 の承認および契
約は 2021 年 12 月をもって終了されているが、 EGF 保証商品の割当期間は欧州委員会の 2022 年6月 30 日
付の国家補助決定により 2022 年 12 月 31 日まで延長された。この延長は、パンデミックからの回復に
際して欧州連合により大きな負担がかかる中で要請された。
注 (18) サプライチェーン・ファシリティやバスケット債などの関連するリスク・シェアリング商品を含む。
保証商品と同様に、汎ヨーロッパ保証基金( EGF )によるエクイティ・オペレーション(持分取
引)およびエクイティ・タイプ・オペレーション(持分型取引)の承認は 2021 年をもって終了され
たが、これらの契約は 2022 年2月まで続けられた。
EGF に基づき設定された最後の商品である合成資産担保証券の契約期間が 2022 年6月 30 日に終了し
た。 EIB グループは同商品のための想定予算 14 億ユーロを使い切り、その想定投資動員額は 153 億
ユーロである。
汎ヨーロッパ保証基金の取組みとは別に、 EIB グループは医療分野への投資を続けている。これら
の投資は、 医療インフラ、研究の推進、その他ワクチンや治療法に関する融資に充当可能である。
EIB は、 COVID-19 のような重大な疾病に対するワクチン開発などの治療法および診断法を開発する欧
州の革新的なバイオ医薬品・医療技術会社を直接支援している。
EIB グループの傾向として、医療分野を含めプロジェクトの一部に対して資金や保証を提供するこ
とが多いことから、現段階での起債見込案件から支援対象投資先に対してさらに巨額の資金が動員
されることも想定される。 2022 年 12 月 31 日現在、 EIB が医療分野で締結した貸付金は 51 億ユーロであ
り、このうち 10 億がワクチンや治療法の応用研究に関するものであった。
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2.4. EIB と欧州委員会やその他のパートナー機関との協働
EIB グループは、 EU 機関やその他のパートナーと緊密に連携して、 2021-2027 年多年次財政枠組み
に基づき、 EIB グループに与えられた実施可能なマンデートの運用最適化に取り組んでいる。
欧州戦略投資基金( EFSI )は過去 10 年間で、 EU 予算からの多額の保証を活用して投資を支援する
道を切り拓いた。 EFSI は、比較的古い分野だけでなく、研究・イノベーションなどの分野や気候変
動緩和策への貢献においても EU 経済に確固たる影響を与えている。 EFSI のマンデートに基づく最終
プロジェクトは 2020 年 12 月に承認された。もっとも EIB は、すでに承認が下りている EFSI のグローバ
ル承認案件/承認枠の新規のサブ事業については 2022 年末まで承認することができた。 EFSI の契約
業務が 2022 年 12 月 31 日まで実施された結果、 EIB は 5,044 億ユーロの投資を動員することができ、そ
の利益は 80 万社以上の中小企業に及ぶ。
2022 年3月7日、 EIB グループと欧州委員会はインベスト EU 保証協定を締結した。欧州戦略投資基
金の成功モデルや新たな 2021-2027 年多年次財政枠組みの要素を踏まえ、インベスト EU プログラム
は、欧州におけるサステナブル投資、イノベーション、社会的包摂および雇用創出の一層の促進を
目指す。 EU 予算から 262 億ユーロの保証が与えられるインベスト EU プログラムは、 2027 年までに少な
くとも 3,720 億ユーロの追加投資を動員することが期待されている。
EIB グループはインベスト EU の実施パートナーの中でも特別の権限を与えられており、 EU 予算から
の利用可能な保証額のうち 75 %( 197 億ユーロ)が配分され、またインベスト EU アドバイザリー・ハ
ブのアドバイザリー業務予算についても同じ比率で配分を受ける。
EU 予算から保証を受ける事業は、4つの政策分野への投資に資金を供給してサステナビリティ、
科学的卓越性および社会的包摂という欧州連合の目標を支援する。当該4つの政策分野には以下が
含まれる。
・ 持続可能インフラ
・ 研究・イノベーション・デジタル化
・ 中小企業および小規模ミッドキャップ(中堅)企業
・ 社会的投資・技能
欧州のグリーン社会への移行(グリーン・トランジション)を直接支援する分野への投資が、投
資全体の 30 %以上を占める予定である。
EIB は、インベスト EU アドバイザリー・ハブを活用して金融やテクノロジーの専門知識を結集し、
プロジェクトのあらゆるサイクルにおいて一貫した対応ができるようにしている。アドバイザリー
業務では、全部で4つあるインベスト EU の政策ウィンドウを通じて、官民のプロモーターに対して
特定の支援を提供する。同業務はまた、欧州連合全域にわたり、インベスト EU が保証する投資プロ
ジェクトや投資プラットフォームの特定、準備および実施を支援する。インベスト EU のプログラム
には EU 加盟国用の資金区分も含まれ、これにより EU の国々は共同管理資金の一部をインベスト EU
ファンドに拠出することができる。
インベスト EU に基づく最初のプロジェクトが 2022 年3月に承認され、 2022 年 12 月末までの承認額
は合計で約 91 億ユーロとなった。 2022 年 12 月末までの契約額は約 24 億ユーロ、および実行額は7億
2,600 万ユーロであった。
2022 年 11 月、 EIB グループはギリシャとの間で、復興・強靭化ファシリティに基づく同国の中小企
業支援目的の4億ユーロの追加投資を EIF が管理するための新たな契約フレームワークを締結した。
本案件分は、 EIB で受託済みである復興・強靱化ファシリティの 50 億ユーロの資金に上乗せされる。
EIB の理事会は 2022 年3月、欧州のテクノロジー産業や民間安全保障インフラを補強して欧州の軍
民両用の安保防衛システムを支援するための投資の動員を目的とする、戦略的欧州安全保障イニシ
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アチブ( SESI )を承認した。特筆すれば、 SESI は、軍民両用の航空プラットフォームまたは衛星コ
ンステレーションの開発、非主力安保防衛インフラの近代化、およびサイバーセキュリティ技術の
開 発などの研究開発・イノベーション( RDI )プロジェクトを対象に含めることができる。 SESI が
EIB の融資対象の適格を変更したり、 EIB の対象除外活動や対象除外部門の定義を修正したりするこ
とはない。 EIB が弾薬や武器に投資することはなく、また EIB は中核的な防衛手段への投資に資金を
出すことができない。 SESI のプロジェクトは軍民両用でなければならず、すなわちその主眼は民生
用途に置かれる必要がある。 EIB は SESI の一環として、欧州委員会、欧州宇宙機関および EU 宇宙計画
局などの機関とのパートナーシップを強化していく意向である。 SESI に基づき、 2022 年から 2027 年
にかけて適格プロジェクト向けに最大 60 億ユーロの融資が利用可能になると見込まれている。 2022
年に SESI に基づく投資プロジェクトに対して EIB が行った融資の総額は約 15 億ユーロであった。
EIB グループと欧州委員会との協力関係は、欧州連合の価値、原則および地政学上の利益を世界的
に維持・促進するために不可欠である。欧州連合域外における EIB グローバルの事業の実施は、 EU の
マンデートに基礎付けられる。 EIB グローバルは、近隣・開発・国際協力手段( NDICI )-グローバ
ル・ヨーロッパの主要な実施パートナーでもあり、また持続可能な開発のための欧州基金プラス
( EFSD+ )の戦略会議メンバーとしてそのガバナンスに参与している。 NDICI -グローバル・ヨー
ロッパは、 2021-2027 年多年次財政枠組みに基づき EIB の欧州連合域外業務の総合的なフレームワー
クを構築している。同フレームワークにより、欧州連合の対外行動に対する資金調達アーキテク
チャの仕組みが合理化および簡素化されている。
EIB と欧州委員会は 2022 年4月 29 日、 EFSD+ の枠組みの内容に従い保証協定を締結し、これを通じ
て欧州委員会は、 EIB がその金融業務によりクリーンエネルギー、デジタル・運輸インフラ、医療お
よび教育などの部門への不可欠な公共投資を実現できるよう今後7年間で最大 267 億ユーロを支援す
る。これにより、世界中の新しい持続可能インフラに対して 2021 年から 2027 年までに最大 3,000 億
ユーロの投資を動員する目的で設定された欧州連合のグローバル・ゲートウェイ戦略の実施が支援
される。
(19)
2.5. 欧州連合域外の事業
注 (19) 本項で示す数値は、別途に記載する場合を除き、自己資金源による貸付金および代替貸付金を含む。
EIB は主要な国際開発銀行として数十年の経験を重ね、約 60 年にわたって欧州連合の対外政策目標
に積極的に貢献してきた。過去 10 年間で、 EIB は 100 を超える低・中所得国に 700 億ユーロ超の資金を
提供してきた。他方で、最も重要なのは資金供給量ではなくインパクト、すなわち人々の生活に実
際的でポジティブな変化をもたらすことである。 EIB は、対象事業の成果および影響ならびに EIB の
関与がもたらす追加利益を評価および追跡調査するため、追加性・インパクト測定( AIM )システム
を利用している。
2022 年の年初以降、欧州連合域外の活動を主軸に据えた EIB の開発業務担当支店である EIB グロー
バルの設置を通じて、 EIB の開発金融の役割は進歩と活性化を遂げている。 EIB グローバルは、パー
トナー国、顧客、 EU 加盟国、開発金融機関、国連機関、市民社会およびその他のパートナーとの早
期段階からの政策対話や協力関係を強化・深化させつつ、包括的でインパクト志向の商品を提供す
ることで、 EIB の資源を欧州連合域外の事業に展開する。
EIB グローバルは EIB の内部組織ユニットであり、 EIB の現行の法的枠組みに基づいて運営される。
EIB グローバルでは、固有の経営陣の下に EIB の開発スタッフが配置される。同支店は、 EIB グループ
の業務計画に基づき EIB 理事会から年次で専用の資本配分を受け、また欧州の開発関係者が参加する
専属諮問団会議から意見を傾聴する。 EIB グローバルには独自の方針および戦略を策定し、独自の商
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品を開発する柔軟性が与えられている。他方で同支店は、 EIB 理事会が定め EIB グループ全体に適用
されるリスク管理分野などの金融政策を堅持して運営される。
その営業モデルの一環で、 EIB グローバルはパートナー国に所在する 30 の出先代表機関のネット
ワークを通じて現地で強力なプレゼンスを維持しており、その必要性がきわめて大きい場合やより
顧客に近い EIB の現地プレゼンスを設けることでインパクトが最大化される場合には、増設やスタッ
フ増員が計画される。最近ではケニアのナイロビ事務所が、より直接的な支援を東アフリカ地域に
提供するため地域ハブに格上げされた。
欧州連合域外での需要は引き続き大きく、契約済みのプロジェクトは 981 億ユーロにのぼり、うち
2022 年の契約分は 91 億ユーロであった。 この金額の他、 EIB グローバルは、 2022 年に契約した 17 億
ユーロの既成貸付金をウクライナへの緊急支援に転用した。
EIB グローバルの残存ポートフォリオの大部分は欧州連合からの保証( EU 域外貸付マンデート)を
受けており、これには包括保証( EU 包括保証)や政治リスク保証( EU 政治リスク保証)、またはコ
トヌー協定フレームワーク内での EU 加盟国からの保証が含まれる。現行の EU 長期予算(すなわち
(20)
MFF )に従い、チーム・ヨーロッパ に所属する EU の銀行として主要な優先課題に取り組む EIB グ
ローバルの業務の実施は、引き続き NDICI‐ グローバル・ヨーロッパのフレームワーク内で新たに出
される EU マンデートに依拠する。
注 (20) チーム・ヨーロッパは当初、パートナー諸国のコロナウィルス・パンデミックの克服を支援するため
に発足した EU のイニシアチブであり、欧州連合、 EU 加盟国ならびに EIB および欧州復興開発銀行
( EBRD )の資源を一元的に活用する。
これらのマンデートには特に注目される欧州連合のグローバル・ゲートウェイ・イニシアチブが
含まれ、同イニシアチブの主要実施パートナーである EIB グローバルは、世界各地での持続可能イン
(21)
フラ投資を通じて接続性や相互利益の向上を支援するとともに、 EU グリーンディール の対外的
な取組みのもと、パートナー国の持続可能で資源効率的で低炭素・炭素中立的な経済への移行を支
援する。
注 (21) 2020 年に承認された EU グリーンディールは、欧州委員会による一連の政策イニシアチブであり、包括
目標として 2050 年の EU の気候中立化を掲げている。
ウクライナや戦禍波及国に対する EIB の支援
EIB は、 2005 年に枠組協定を締結してウクライナで活動を開始し、 2007 年に最初の事業契約を
締結した。同国における EIB の融資は社会経済インフラ、民間部門開発、気候行動に重点が置か
れてきた。
ウクライナの人々に甚大な人的・経済的被害を与えたロシアのウクライナ侵攻に対し、 EIB は
ウクライナ当局が最も緊急性の高い資金需要に対応できるよう、 2022 年3月に6億 6,800 万ユー
ロの「ウクライナ連帯緊急対応」貸出を実行した。
・ EIB は 2022 年4月、 EU の紛争波及都市よび地域を援助するため 2022 年から 2023 年にかけて
40 億ユーロのプログラムを設定した。その目的は、住宅、学校、病院および雇用機会など、
避難民や受入地域の主要なインフラおよびサービスのために融資を提供することである。
100 万人以上のウクライナの避難民が身を寄せたポーランドには、人道危機に対処するため
に設定された同政府の支援基金に対する特別援助として 20 億ユーロが配分されている。
・ また EIB は 2022 年7月、 15 億 9,000 万ユーロの第2次ウクライナ支援パッケージを承認し、
このうち緊急財政支援に指定された 10 億 5,000 万ユーロは 2022 年の9月と 10 月に実行され
た。この実行分の用途は、優先度の高い短期資金需要への充当、戦略上重要な国有企業の支
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援、被災インフラの応急処置の確保、中断した自治体業務の再開、および冬に向けた緊急時
のエネルギーやエネルギー効率化措置の支援である。残資金は、ウクライナにおける EIB の
融 資先プロジェクト(エネルギー、エネルギー効率化、道路、運輸、教育およびインフラを
対象とする。)の再開に向けて、ならびに再建・復興プログラムのために留保される。
・ 以下で説明するように、ウクライナにおける EIB の実行済エクスポージャーの大部分は、
EU 対外貸付マンデートに基づく EU 包括保証や EU 政治リスク保証が付されている。 2022 年 12 月
31 日現在、ウクライナに所在する借手に対する貸付実行エクスポージャーの総額は 30 億
8,500 万ユーロ( 2021 年は 15 億 7,010 万ユーロ)であった。このうち 28 億 5,240 万ユーロ
( 2021 年は 13 億 180 万ユーロ)は EU 包括保証でカバーされる。残部の2億 3,260 万ユーロ
( 2021 年は2億 6,830 万ユーロ)のうち2億 1,600 万ユーロ( 2021 年は2億 5,130 万ユーロ)
は EU 政治リスク保証でカバーされる。
さらに未実行の契約済事業において 29 億 3,890 万ユーロが確約されている。このうち 27 億 1,440
万ユーロは EU 包括保証により、および1億 8,970 万ユーロは EU 政治リスク保証でカバーされてい
る。残部の 3,490 万ユーロが自己リスク部分である。
また EIB は 2022 年末現在、4億 7,880 万ユーロ( 2021 年は4億 5,910 万ユーロ)の契約金額につ
いてウクライナに所在するカウンターパーティーに金融保証も提供していた。これは EU 包括保証
により全額カバーされている。
EIB は、状況的に可能になり次第、必要に応じて新しい重要な経済・社会インフラに資金を提
供して引き続きウクライナの復興支援に尽力していく。
ロシア
EIB は、 EU の共通外交・安全保障政策(適用ある制裁措置を含む。)の包括目標に歩調を合わせ、
2014 年以降ロシア連邦での貸付業務を停止している。 EIB は専用の制裁遵守プログラムを含む厳格な
コンプライアンス管理体制を敷いており、これを通じてロシアに(間接的にでも)関連する EIB の活
動については、適用あるすべての制裁の遵守が確保され、またロシアに課されうる一切の新たな制
裁の遵守が確保され続けることになる。ロシアにおける EIB の実行済の貸出エクスポージャーの残額
は 2022 年末で 1,380 万ユーロ( 2021 年は 1,610 万ユーロ)であり、このうち EIB が自己リスクを負うも
のはなかった。
ベラルーシ
ベラルーシにおける EIB の実行済エクスポージャーの総額は 2022 年末で3事業の 4,520 万ユーロ
( 2021 年は1億 7,330 万ユーロ)と至って限定的であり、そのうち 80 %に当たる 3,630 万ユーロは EU
包括保証により担保されている。民間部門関連の1事業は EU に拠点を置く銀行から保証を受けてお
り、また補助的に EU 政治リスク保証も付されている。 EIB は重大な懸念をもってベラルーシの動向を
観察している。 EIB は、問題視された 2020 年8月の同国の大統領選挙を受けて、 EU の政策および適用
ある既発の制裁に従いベラルーシでの契約を停止しており、今後も同じ対応をとり続ける。
トルコ
トルコにおける EIB の実行済エクスポージャーの総額は 2022 年末で 78 億ユーロ( 2021 年は 91 億ユー
ロ)であった。そのうち 71 %に当たる 55 億ユーロ( 2021 年は 59 億ユーロ)は EU 包括保証でカバーさ
れるが、 29 %に当たる 23 億ユーロ( 2021 年は 32 億ユーロ)は EIB が自己リスクを負う。さらに、未実
行の契約済事業において3億ユーロが確約されており、そのうち2億ユーロは EU 包括保証により担
保されている。
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レバノン
レバノンのカウンターパーティーの信用状態は、同国の政治経済の混乱により影響を受けてい
る。レバノンにおける EIB の実行済エクスポージャーの総額は 2022 年末で2億 9,490 万ユーロ( 2021
年は4億 780 万ユーロ)であり、その 88 %に当たる2億 5,880 万ユーロ( 2021 年は3億 5,640 万ユー
ロ)は EU 包括保証により担保されている。 さらに、 未実行の契約済事業において 7億 9,220 万ユーロ
が確約されており、これは EU 包括保証により全額が担保されている。
チュニジア
チュニジアは 2021 年下半期から長らく不確実な政治経済情勢下に置かれている。 COVID-19 のパン
デミック、ウクライナ戦争の影響および再建頼りの資金調達の長期的な遅れにより、国情は悪化し
ている。チュニジアにおける EIB の実行済エクスポージャー総額は 2022 年 12 月末で 15 億 8,210 万ユー
ロ( 2021 年は 17 億 1,730 万ユーロ ) であり、その 91 %に当たる 14 億 3,670 万ユーロ( 2021 年は 15 億
3,710 万ユーロ)は EU 包括保証により担保されている。さらに、未実行の契約済事業で 10 億 3,540 万
ユーロが確約されており、このうち EIB が自己リスクを負うのは 900 万ユーロのみと見込まれてい
る。 EIB は、状況の推移を注意深く監視し、リスク・ポートフォリオに関する追加の個別引当金の必
要性について検討する。
2.6. 綿密なデュー・デリジェンスおよび厳格な選別基準
EIB グループのデュー・デリジェンス手続および慎重なプロジェクト選定基準が、 EIB の貸付金
ポートフォリオの優良性を確保している。貸付業務の評価手続には、貸付担当役員、エコノミス
ト、エンジニアおよびその他の分野の専門家、リスク管理者および法律家によるカウンターパー
ティーおよびプロジェクトの査定が含まれる。プロジェクトの実現可能性は、いくつかの角度(経
済、テクノロジー、環境、社会および財務)から検討される。
評価段階から貸付金の残存期間にわたってリスク方針が適用される。 EIB は、必要時の早期介入を
可能とするため、貸付金の残存期間にわたってカウンターパーティーの信用度および契約上の義務
全般の遵守状況を綿密に監視している。また EIB はプロジェクトの審査および事前評価を徹底し、定
期的な事後検証も併用する。
EIB は、ポートフォリオ、カウンターパーティーおよび資金供与先の個々の対象プロジェクトのレ
ベルで気候変動関連の物理的リスクと移行リスクを評価、管理および監視するための手順および審
(22)
査ツール を確立している。また、気候行動および環境サステナビリティの観点も全プロジェク
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トの調査およびモニタリングを通じて考慮される。 EIB は、直接資金を供与したプロジェクトのうち
(23)
排出量が所定の基準 を超えるものすべてに関し、二酸化炭素排出量を絶対値と相対値で計算お
よ び報告する。さらに、二酸化炭素の経済コストを環境外部経済性の会計処理に含めている。
注 (22) 各ツールはエクスポージャーの大きさに従い約 90 %のカウンターパーティーに適用されている。
注 (23) EIB プロジェクト排出負荷(カーボン・フットプリント)評価手法を参照のこと。(英語版:
https://www.eib.org/en/publications/20220215-eib-project-carbon-footprint-methodologies )
さらに EIB グループは 2022 年1月以降、(物理的リスクか移行リスクのいずれかの)高度な気候リ
スクにさらされる企業カウンターパーティーや大手金融仲介カウンターパーティーに対して PATH 枠
組みを適用している。 PATH 枠組みは、その適用下で審査を受ける直接貸出カウンターパーティーに
対し、脱炭素・適応回復プランの策定および開示を(未実施のカウンターパーティーについて)義
務付ける。またこれらのカウンターパーティーは、一部の限られた例外を除き、パリ協定の目標に
そぐわない一定の活動に従事しないことを約するよう要求される。同枠組みの適用下で審査を受け
る金融仲介機関は、気候関連財務情報開示タスクフォース( TCFD )の勧告に沿って情報開示を行う
ことが義務付けらられる。 EIB は、カウンターパーティーに脱炭素・適応回復プランの策定や気候関
連財務情報の開示に関する技術的な支援を提供することができる。こうして PATH 枠組みの適用は EIB
の貸付金ポートフォリオにおける気候関連リスクの低減に寄与する。
EIB は 2022 年2月、インパクト評価やリスク管理の統一的なアプローチを推進すべく改訂した環
境・社会基準を発表し、これにより環境、気候、社会および人権への配慮を尽くし意思決定プロセ
スに反映することが確保される。同基準は、 EIB の融資先プロジェクトにおける環境、気候および社
会的なインパクトおよびリスクを評価・管理するプロモーターの責任の概要を示している。今回の
改訂で 10 の旧環境・社会基準が修正され、また仲介金融に関する新たな基準が1つ追加された。
2.7. 高度 に担保された優良な貸付金ポートフォリオ
ロシアのウクライナ侵攻から生じた不確実性や様々なリスクを孕む一般情勢下にあっても、 EIB の
貸付金ポートフォリオは現状で安定的と考えられる。
EIB の貸付金ポートフォリオの大部分は、信用補完もしくは EU へのリコースまたは EU 加盟国の保証
により手当てされている。信用補完の多くは、 EU ソブリン、 EU 予算、投資適格を有する銀行および
企業ならびに優良金融担保によるポートフォリオ保証、ならびに権利や質権の設定の形をとる。
(24) (25)
2022 年 12 月 31 日現在、銀行および企業に対する無担保貸付金 は合計 1,511 億ユーロ であり、
リスク・ポートフォリオに占める構成比は 29.6 %であった( 2021 年末は 1,406 億ユーロ、構成比
27.7 %)。
注 (24) 無担保貸付金とは、 EIB が確実なリコース先となる独立第三者を付けずに行う貸出しをいう。
注 (25) 自己資金源、貸付金および代替貸付金を含む。
EIB のリスク・ポートフォリオの資産の質は優良である。 2022 年末現在の EIB のリスク・ポート
(26)
フォリオのうち、内部の投資適格格付 で最優良の格付を受けている借手または保証人を相手先
(27)
とするものが 84.0 % ( 2021 年末では 83.5 %)を占めた。
注 (26) Baa3 を上回る格付。
注 (27) 自己資金源による貸付金および代替貸付金を含む。
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(28)
2022 年末現在の EIB の実行済ソブリン・エクスポージャー は 453 億ユーロ( 2021 年は 455 億ユー
(29)
ロ)であり、ソブリン保証付きの契約済エクスポージャー は 793 億ユーロ( 2021 年は 784 億ユー
ロ) であった。 EIB は保有する EU ソブリン・エクスポージャーおよび EU ソブリン保証エクスポー
ジャーに関していかなる減損も計上しなかった。 EIB の優先債権者としての地位および定款に基づい
て与えられる保護により、 EIB の EU ソブリン資産は全額の回復が保証されると考えて差し支えない。
注 (28) 自己資金源による貸付金および代替貸付金を含む。
注 (29) 自己資金源による貸付金および代替貸付金を含む。
EIB は、ベスト・バンキング・プラクティス(最良の銀行業の慣行)の指針的原則に沿って不良債
(30)
権エクスポージャー に係る規制要件を遵守している。リスク・ポートフォリオのうち 2022 年末
(31)
現在の契約済みの不良債権エクスポージャー は 29 億ユーロ( 2021 年末現在では 32 億ユーロ)、
および実行済みの同エクスポージャーは 26 億ユーロ( 2021 年末現在では 29 億ユーロ)の水準にあっ
た。不良債権エクスポージャーはカウンターパーティーの状態に基づいて審査され、担保取決めや
ポートフォリオ保証は考慮されていない。
注 (30) 不良債権エクスポージャーは、貸付金の全サイクルにわたるポートフォリオ劣化の特定・管理手法に基
づき、重要なエクスポージャーのうち延滞が 90 日を超えるもの、または延滞金額の有無にかかわらず返
済が見込めないものと定義される。
注 (31) 貸付金(準株式を含む。)、代替貸付金および保証を含む。
不良債権エクスポージャーのうち、減損が生じて個別引当の対象となった貸付金エクスポー
ジャーは 18 億ユーロ( 2021 年は 15 億ユーロ)であった。このような取引は貸付金ポートフォリオ全
体の 0.4 %( 2021 年は 0.4 %)であり、そのために EIB はエクスポージャーの総額(実行済エクスポー
ジャー、経過利息および延滞エクスポージャー)に対して総額3億 2,650 万ユーロ( 2021 年は4億
4,390 万ユーロ)の個別引当金を計上している。設定されている担保、保証およびポートフォリオ信
用補強に照らせば、個別引当は比較的低い水準であった。
ウクライナ戦争を受けて EIB は、制裁の影響、エネルギー・原材料価格の高騰およびサプライ
チェーンの混乱など、顧客に波及しうる危機の影響を評価した。これを背景に、 2022 年 12 月の法定
財務書類には貸付金に係る集合的引当金として 7,600 万ユーロの追加引当金が計上された。
(32)
2022 年末現在、 90 日を超える延滞 は 7,770 万ユーロ( 2021 年は1億 1,870 万ユーロ)であっ
た。
注 (32) 貸付金ポートフォリオのうち 90 日を超えて延滞しているものの詳細は、以下「第3 発行者の概況- (5)
経理の状況- ③ EU 会計指令に基づく個別財務書類」に収載の法定財務書類の注 U を参照のこと。
3. 資金調達業務
EIB は、国際資本市場での債券発行を通じて長期資金を調達することにより、貸出需要に対応して
いる。資金調達活動は、決められた目標額を、 EIB の資産負債管理に沿った満期設定により達成し、
コストを持続可能な範囲で最適化することを目指す。 資金調達源および調達期間の分散化は、様々
な資金調達市場で恒常的なプレゼンスを維持する EIB の柔軟性を支えている。
2022 年の資金調達は、コロナウィルス・パンデミックからの脱却やウクライナでの開戦に関連し
て経済的混乱が続く中、利回りの上昇やボラティリティの増大が際立つグローバル債券市況により
新たな課題に直面した。 EIB は 2022 年に、公表済みの 450 億ユーロの資金調達プログラムおよび最大
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500 億ユーロの借入承認に従い 17 通貨建で 443 億ユーロ( 2021 年は 21 通貨で 553 億ユーロ)の発行を完
遂した。 2022 年の資金調達目標は、 2021 年に確保済みの事前調達資金(8億ユーロ)を包含し、ま
(33)
た EIB の貸付目標、債務返済および堅実な所用流動性額を考慮している。 2022 年の純発行額 はマ
イナス 60 億ユーロであり、 2021 年(マイナス 97 億ユーロ)よりやや改善した。
注 (33) 2022 年中の総発行額から 2022 年中の償還・返済払戻金額を差し引いたもの。
EIB の資金調達戦略は、世界の主要通貨建の大規模かつ流動性が高いベンチマーク起債に依拠して
おり、これを補完するものとして私募債(普通債および仕組債で、後者は通常照会により募集先を
限定する。)の発行がある。 ベンチマーク起債は 2022 年の資金調達の約 70 %を占めた。かかる起債
により、不安定な情勢下にあっても規模を確保しコストおよびデュレーションを管理することがで
きた。また、気候行動や環境サステナビリティ向けの貸出しの増加に後押しされて気候ファンディ
ングとサステナビリティ・ファンディングが大幅に増加した結果、それらの金額は EIB で初のベンチ
マーク規模のクライメート・ボンドおよびサステナビリティ・ボンドの発行も含め 199 億ユーロとな
り、 2022 年資金調達プログラムに占める構成比は過去最高の 45 %に達した( 2021 年は 115 億ユーロ、
構成比 21 %)。
EIB は例年通り、世界の資本市場の発行業務がピークを迎える年初において、資金調達活動の初動
に力を注いだ。 2022 年1月、 EIB はソブリン債、国際機関債および政府機関債( SSA )の米ドル建債
券市場に参入して 50 億米ドルの5年物グローバル債を発行し、 EIB の米ドル建グローバル債で歴代2
位のオーダーブックが形成された。これに続いて、サステナビリティ・アウェアネス債( SAB )では
初の公募型シンジケート・カンガルー債を、単一 SSA カンガルー債として過去最高の 15 億豪ドル( 10
億ユーロ)規模で発行した。さらに EIB は 2022 年2月、大幅な応募超過となった EIB の新規ユーロ・
エリア・レファレンス・ノート( EARN 債)で5年物オーダーブックの過去最高を塗り替えた。 2022
年の資金調達のハイライトには、気候アウェアネス債形式での初の EARN 債( 2022 年5月発行)、お
よびウクライナ危機の展開を受けて動揺する市況にあっても人気を集めた 30 億米ドルの7年物グ
ローバル債( 2022 年3月1日発行)も含まれた。
2022 年 11 月のプライベート・ブロックチェーン・プラットフォーム上でのデジタル債の発行は、
特記されるべき 2022 年のイノベーションであった。
3.1. EIB の資金調達の満期構成
2022 年の資金調達の平均満期は、ユーロ建債および米ドル建債の短満期化を主因として 2021 年の
8.0 年より短い 6.7 年となったが、近年の実績( 2020 年は 6.9 年および 2019 年は 7.2 年)に沿う水準で
あった。
通貨別では通常、 EIB の主要通貨の中で平均満期が最長となるのはユーロ建債の発行である。 2022
年のユーロ建資金調達の平均満期は 8.5 年( 2021 年は 10.2 年)で、米ドル建発行の平均満期は 5.2 年
( 2021 年は 6.1 年)であった。
平均満期 ( 単位:年 )
通 貨 2022 年 2021 年
ユーロ
8.5 10.2
米ドル 5.2 6.1
その他 4.1 5.4
全体
6.7 8.0
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3.2. 投資家の分布
2022 年中、全体的な投資家の分布に大きな変化はなかった。欧州は引き続き投資家需要 の主要な
源泉であり、その比率は 62 %( 2021 年は 64 %)であった。
アジアの投資家による応札は、主にユーロ建債と米ドル債で、およびその他通貨建債においても
伸び、その比率は 2021 年の 20 %から 2022 年は 24 %となった。米州の投資家の構成比は 2022 年で 13 %
( 2021 年は 14 %)と前年並みであり、概ねユーロ以外の通貨建の債券に集中していた。
投資家分布は依然として通貨によって異なり、それが通貨分散の戦略的な価値を裏付ける。 2022
年の総発行額の 53 %を占める EIB のユーロ建債に対して最も高い関心を寄せたのは引き続き欧州の投
資家であり、残りの大部分はアジア顧客により吸収された。 2022 年中、米ドル建債は欧州、米州お
よびアジアの投資家の間で需要が均等に分散し、欧州域外からの投資の主要なチャネルであり続け
た。主にアジア拠点の投資家を購入層とするその他の通貨(すなわち豪ドル、カナダ・ドルおよび
ニュージーランド・ドル)建債の発行もまた、欧州域外からの投資の高い構成比に寄与した。
地域別の投資家分布
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EIB の投資家層は通常、投資家のタイプ別に、銀行の自己勘定取引( 2022 年の EIB の発行額の
34 %)、中央銀行および公的機関( 32 %)、ならびにファンドマネージャー、保険会社および年金
基金( 28 %)の3つの主要投資家群の間で均衡している。当年は、銀行の自己勘定取引の割合がや
や後退(前年比マイナス3%ポイント)したが、これを埋めるようにファンドマネージャー、保険
会社および年金基金が1%ポイント増加し、また法人、リテールおよびその他が2%ポイント増加
した( 2022 年の構成比は6%となった。)。
これまで、 EIB の債券で最も大きい投資家区分は銀行の自己勘定取引であった。もっとも、 EIB で
はここ数年、投資元のその他の投資家群へのシフトが見られる。この変化は主に、 (i) 米ドル建お
よびユーロ建のベンチマーク債の発行に対する中央銀行(大半がヨーロッパ以外)の関心の高ま
り、 (ii) EIB の発行債券全体に占めるグリーンボンドおよびサステナブル・ボンドの比率の増加に
より高まる実質貨幣勘定(ファンドマネージャーなど)からの CAB および SAB への熱視線、ならびに
(iii) 銀行の自己勘定取引に係る適格流動資産の保有圧力の緩和が牽引した。
ユーロ建債については、銀行自己勘定取引による購入の全体比は 2022 年に 32 %となり、前年の相
対寄与率と同水準を維持した( 2021 年は 31 %)。一方、米ドル建債では銀行自己勘定取引による取
得の全体比は 2022 年に 36 %に減少した( 2021 年は 39 %)。
保険会社、年金基金およびその他のファンドマネージャーは引き続きサステナビリティ・ファン
ディングの重要な推進役であり、 2022 年の環境・社会・ガバナンス( ESG )専用のポートフォリオへ
の配分の 34 %を占めた( 2021 年は 35 %)。 EIB のサステナビリティ債に対する銀行の自己勘定取引需
要は 34 %に低下し( 2021 年は 37 %)、中央銀行の関心は( 2021 年の 22 %から)3%ポイント増加し
て 25 %になった。
部門別の投資家分布
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3.3. EIB のベンチマーク形式による資金調達パターン
ユーロ建債と米ドル建債は、合わせて 2022 年の調達総額の 84 %( 2021 年は 79 %)を占めた。商品
別では 2022 年中、資金調達プログラム全体に占めるベンチマーク形式での起債の構成比は前年の
53 %から大幅増の 70 %となり、その主因となった CAB と SAB の新規ベンチマーク起債は 27 %を占め
た。 EIB は 2022 年5月、ユーロ・エリア・レファレンス・ノート( EARN 債)( 10 年物、 40 億ユーロ)
を初めて CAB 形式で発行した。 CAB ベンチマーク債により、 EIB は、貸出サイドで徐々に進む気候変動
への取組みの拡大に一層見合った規模で気候ファンディングを行うことが可能となる。
ユーロ建債では、 EARN 形式によるユーロ建のベンチマーク債(典型的に 30 億- 50 億ユーロの範囲
内で設定)および非ベンチマーク債を合わせて 2022 年に 233 億ユーロを調達し、調達総額に占める構
成比は 53 %となった( 2021 年は 266 億ユーロ、構成比 48 %)。 EIB は、ユーロ建ベンチマーク債の発
行で強固な投資家需要を集めている。第1回 EARN 債( 30 億ユーロ、5年物)は 15 倍の応募超過と
なった。 2022 年9月に発行された 2022 年第4回 EARN 債と同年第2回気候アウェアネス債( 40 億ユー
ロ、7年物)は、 300 以上の個別の投資家から 330 億ユーロ超の需要を集めた。
EIB は 2022 年に 150 億米ドル( 139 億ユーロ相当)の資金を調達し( 2021 年は 205 億米ドル)、米ド
ル建債の発行体としての主導的な地位を確保した。ロシアによるウクライナ侵攻後の 2022 年3月1
日、 EIB の第2回米ドル建ベンチマーク債(7年物、 30 億米ドル)が起債され、ストレス市場環境下
での資金調達が試される貴重な機会となった。本債券が市場で順調に消化されたことで、市場には
方向性が与えられ、また発行体としての EIB への市場の厚い信頼が裏打ちされた。
ユーロ相当額 (単位:十億ユーロ)
通貨 2022 年 2021 年
ユーロ 23.3 26.6
米ドル 13.9 17.0
その他 7.1 11.7
合計
44.3 55.3
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2022 年資金調達プログラムの商品構成および通貨構成
3.4. その他の通貨による資金調達パターン
EIB の通貨多角化の方針は資金調達の柔軟性を強化するものであり、 EIB が費用優位性を獲得し、
現地通貨による実行の需要に応え、資金調達の満期プロファイルを細かく調整することを可能にし
ている。 2022 年に、 EIB はユーロと米ドル以外の 15 の通貨建(そのうち3つ(ブラジル・レアル、エ
ジプト・ポンドおよびインドネシア・ルピア)は合成通貨建)で債券を発行した( 2021 年は 19 のそ
の他の通貨建、そのうち5つは合成通貨建)。 2022 年のその他の通貨建債の発行額は 71 億ユーロで
あり、当年の調達総額に占める構成比は 16 %であった( 2021 年は 117 億ユーロ、構成比 21 %)。 英ポ
ンド建債は、当年中英ポンド市場が不安定だったことを主因に、 2021 年の 44 億英ポンドから 2022 年
の 14 億英ポンド( 16 億ユーロ相当)に減少した。
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EIB はまた、貸付実行の必要額に対応するため 46 億ポーランド・ズロチ( 10 億ユーロ)を債券で調
達し、ポーランド・ズロチ建債の最大の国際機関発行体としてその地位を確認した。
ユーロ相当額
(単位:十億ユーロ)
通貨 2022 年
2.04
豪ドル( AUD )
1.64
英ポンド( GBP )
0.98
カナダ・ドル ( CAD )
0.97
ポーランド・ズロチ ( PLN )
0.30
ノルウェー・クローネ ( NOK )
0.29
ニュージーランド・ドル ( NZD )
0.23
中国人民元 ( CNY )
0.17
メキシコ・ペソ ( MXN )
0.16
南アフリカ・ランド ( ZAR )
0.14
スウェーデン・クローナ ( SEK )
0.05
チェコ・コルナ( CZK )
0.05
エジプト・ポンド ( EGP )
0.04
ブラジル・レアル ( BRL )
0.04
インドネシア・ルピア ( IDR )
0.04
ハンガリー・フォリント ( HUF )
合計
7.14
3.5. 資本市場のイノベーションおよびデジタル化におけるリーダーシップ
EIB は、資本市場のイノベーションおよびデジタル化支援の一定分野で市場開発の先頭を走る。 パ
ブリック・ブロックチェーンのインフラを使った取引の実施を主眼とする EIB 初のデジタル債を 2021
年4月に発行した後も、 EIB はさらなる債券資本市場のデジタル化プロジェクトに取り組んでいる。
EIB は 2022 年 11 月、第2回ユーロ建デジタル債を発行し、同債券で初めてプライベート・ブロック
チェーン技術を採用した 。
本デジタル債(1億ユーロ、2年物)は、プライベート・ブロックチェーン関連の技術を駆使し
て発行、登録および決済が行われた。本デジタル債の諸条件はルクセンブルク大公国法に準拠す
る。決済は、フランス銀行とルクセンブルク中央銀行が発行する中銀デジタル通貨トークンで処理
された。 EIB は、その第2回デジタル債の発行を含め、引き続きブロックチェーン技術分野の事例を
市場に提供していく。
3.6. 欧州連合サステナビリティ・アジェンダに関連する EIB サステナビリティ・ファンディング
EIB が世界初のグリーンボンドを 2007 年発行してから 15 年目の節目となる 2022 年に、気候アウェア
ネス債およびサステナビリティ・アウェアネス債( CAB および SAB )の形式による発行額は過去最高
の 199 億ユーロとなり、 EIB の資金調達プログラム全体に占める構成比は 45 %となった( 2021 年は 115
億ユーロ、構成比 21 %)。このサステナビリティ・ファンディングの目覚ましい成長をもたらした
様々な要因としては、気候銀行ロードマップの実施に沿った CAB/SAB の適格配分先の段階的な拡張、
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適格実行金額の増加、ならびに一部の気候アウェアネス債およびサステナビリティ・アウェアネス
債の流通市場での魅力的なリターン実績が挙げられる。
EIB のサステナビリティ・ファンディング商品は、持続可能性目標に実質的に貢献する貸付業務の
みがその調達資金の割当先となる。気候アウェアネス債の主眼は気候変動の緩和であり、サステナ
ビリティ・アウェアネス債の主眼は環境・社会に関する EU のその他の持続可能性目標である。 2022
年には、 EU タクソノミ規則に適合する運輸、製造、廃棄物、エネルギー部門の低炭素活動に対して
気候アウェアネス債のフレームワークが拡張された。
気候アウェアネス債 サステナビリティ・アウェアネス債
(34) (35)
2022 年中に EIB は 136 億ユーロ の気候ア 2022 年中に EIB は 59 億ユーロ のサステナビ
ウェアネス債を発行した。当年中、実行額の リティ・アウェアネス債を発行した。当年
うち CAB の発行手取金からの配分が認められた 中、実行額のうち SAB の発行手取金からの配
のは 127 億ユーロであり、 EIB の配分手続を経 分が認められたのは 42 億ユーロであり、 EIB
て 127 億ユーロの CAB 発行手取金がかかる実行 の配分手続を経て 42 億ユーロの SAB 発行手取
に配分された。自己保有 CAB ポートフォリオの 金がかかる実行に配分された。自己保有 SAB
CAB 手取金未使用残高は、年初で0億ユーロお ポートフォリオの SAB 手取金未使用残高は、
よび年末で9億ユーロであった。 年初で3億ユーロおよび年末で 20 億ユーロで
あった。
注 (34) 気候アウェアネス債からの発行手取金純額に基づく暫定データ。
注 (35) サステナビリティ・アウェアネス債からの発行手取金純額に基づく暫定データ。
4. 自己勘定取引活動
グローバル金融市場の不確実な一般情勢下でも、 EIB は、流動性管理に対する慎重なアプローチに
より、引き続き強固な流動性ポジションおよび必要な流動資源への柔軟なアクセスを維持してい
る。
4.1. 優良資産
自己勘定取引管理は、財務コミットメントを継続的に履行する能力を EIB に確実に備えさせ、およ
び EIB の資産負債方針を実践するという2つの役割を果たしている。資金は、多様化における低リス
ク戦略に基づく所定の基準に従って定まるポートフォリオに投資される。 EIB のポートフォリオ管理
は常に、 EIB の統治機関が設定したガイドライン、健全性に係る制限および指標に準拠していなけれ
ばならない。
2022 年末現在、自己勘定取引の対象には以下のポートフォリオが含まれる。
・ 短期自己勘定取引ポーオフォリオ( TMP ):日々の流動性管理のために設定される。当期末現
在、対象資産の大部分( 92 %)は満期1年未満の短期商品に投資される短期自己勘定取引ポー
トフォリオとして保有されていた。
・ 証券流動性ポートフォリオ( SLP ):ユーロ、英ポンドおよび米ドルの通貨に投資して自己勘
定取引資産のリターンを向上させるとともに、多様性を提供することを目指す。欧州中央銀行
( ECB )の適格担保資産の 65 %保有が課される中での運用となり、 SLP もまた流動性の補完ルー
トとして機能する。
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・ 長期適格流動資産ポートフォリオ( LTHP ):従来の長期ヘッジ・ポートフォリオを元に設定
されたポートフォリオである。 LTHP ポートフォリオは、高格付と高流動性を備えたユーロ建債
お よび米ドル建債からなる EIB の長期的なコア流動性準備を構築する目的で運用される。自己勘
定取引ポートフォリオの信用エクスポージャーの内訳については、以下「第3 発行者の概況-
(5) 経理の状況- ③ EU 会計指令に基づく個別財務書類」に収載の EIB の法定財務書類の注記 B を
参照のこと。
4.2. 慎重 な流動性管理
自己勘定取引活動は、投資される資本を保護し、かつ EIB が確実に全額について期限弁済できるこ
とを第一目標に据えて実施されている。流動性は一貫して、 EIB の業務環境に応じて設定される健全
性に係る限度内で維持されている。
グローバル金融市場の不確実な一般情勢下でも、 EIB は、流動性管理に対する慎重なアプローチに
より、引き続き強固な流動性ポジションおよび必要なすべての流動性リソースへの柔軟なアクセス
を維持している。 2022 年中、 EIB のすべての流動性リスク指標は、各限度値を十分に上回る水準で安
定的に維持されていた。
2022 年末現在の総自己勘定取引資産は 775 億ユーロ( 2021 年は 1,056 億ユーロ)であり、また EIB の
(36)
総流動性比率は 95.4 %( 2021 年は 117.2 %)と、最低流動性要件の 25 % を十分に上回った。流動
性カバレッジ比率( LCR )は 2022 年末現在で 348.0 %( 2021 年は 564.9 %)であった。 一方、純安定調
達比率( NSFR )は、当年末現在で 124.6 %( 2021 年は 130.0 %)であった。 2022 年を通じて、 LCR と
NSFR の両方とも規制上の最低基準である 100 %を十分に上回っていた。
注 (36) 最低流動性比率は、翌 12 か月に関する予想純キャッシュ・アウトフローの 25 %である。
ユーロシステムの金融政策オペレーションの適格取引当事者として、 EIB は欧州中央銀行( ECB )
の金融政策オペレーションへのアクセスも有している。
EIB は、ルクセンブルク中央銀行を介して、ユーロシステムの公開市場操作や常設ファシリティへ
のアクセスを確保している。
欧州中央銀行( ECB )適格担保をレポ取引で再利用(リユース)する能力は、 EIB のオペレーショ
ンに関する流動性を実質的に強靭化する。 2022 年末現在、 EIB がルクセンブルク中央銀行に在庫保有
するユーロシステム上のリユース適格を備えた有価証券の価値総額は 201 億ユーロであり、その内訳
は専有資産が 145 億ユーロおよびリユース受取担保が 56 億ユーロであった。これに対して、 2021 年に
おける EIB の有価証券の在庫保有総価額は 287 億ユーロであり、その内訳は EIB の所有資産が 163 億
ユーロおよびリユース適格受取担保が 124 億ユーロであった。 2022 年末現在、ルクセンブルク中央銀
行への翌日物中銀預入れの総額は 539 億ユーロ( 2021 年末は 567 億ユーロ)であった。
4.3. 2022 年の自己勘定取引財務損益
当年の EIB の自己勘定取引ポートフォリオによる財務損益はプラス4億 3,160 万ユーロ( 2021 年は
マイナス1億 6,520 万ユーロ)となった。 この数字は、主に自己勘定取引の受取利息からなるグロス
損益を反映しており、投資の全体的な成果を受けて当年下半期からプラスに転じた。自己勘定取引
資産の資金を供給するための資金調達コストを考慮に入れても、 2022 年の自己勘定取引のネット損
益はプラスを維持して1億 1,550 万ユーロ( 2021 年は 9,660 万ユーロ)であった。自己勘定取引のプ
ラスのネット損益は、内部振替価格を上回る好調な投資の運用レートを反映している。 ほとんどの
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投資を超短期に向かわせるほど EU 金利の上昇が際立つ市場環境において、 EIB の自己勘定に係る平均
リターン率はプラス 0.4 %( 2021 年はマイナス 0.3 %)となった。
4.4. 資産 負債管理
EIB の資産および負債に係る金利、為替および基礎的リスクのポジションは、所定の制限の範囲内
で管理されている。この中で、管理対象リスク・ファクターの対象エクスポージャーを実現するた
めに、標準的なデリバティブ商品を用いて多様なリスクプロファイルを調整している。金利リスク
戦略は、 EIB の事業の自立的な持続可能性および自己資金の増強を確保することを目標としている。
5.ベスト・バンキング・プラクティスに従った保守的なリスク管理
EIB のベスト・バンキング・プラクティス( BBP 、最良の銀行業の慣行)枠組みの明確化および充
実化のため、 EIB の総務会は、 BBP に関する指針的原則を承認した。 BBP の指針的原則は、 EIB にベス
ト・プラクティスとして適用される銀行業務の規則や指針の原則全般および一般的な範囲を定義し
たハイレベル文書である。同文書はまた、関連する規則を同定するための評価基準を定め、また EIB
のビジネス・モデルを全体的に調整しつつその詳細を検討している。同文書は、 EIB の統治機関によ
る定期レビューを受け、 EIB のウェブサイトで入手可能である。 EIB の監査委員会は、 EIB の総務会に
直接報告をあげる独立的な機関であり、 EIB の活動の BBP への適合性を検証することが定款上の職務
とされている。
この職務の一環として、監査委員会は内部レビュー・評価プロセス( EIB REP )を実施している。
このプロセスは 2021 年3月以降、 EIB のレビュー・評価に関する指導的原則の枠組みを採用してお
り、その後同原則を具体化した EIB REP 実施規則や EIB グループ固有のレビュー・評価手法が定めら
れている。この枠組みは欧州銀行監督機構の監督・評価プロセスのガイドラインに準拠しつつ、 EIB
グループの性質、政策的使命、固有の業務およびガバナンス構造を考慮している。 EIB REP は、適用
あるベスト・バンキング・プラクティスを EIB に確実に遵守させるという監査委員会の職務を支援し
ていく。
年次の業務目標および方向性を決定するためのアプローチにおいては、堅固な信用状態、貸付事
業の長期性向およびポートフォリオの粒度を維持するという EIB の目的が考慮される。 EIB は、その
活動に付随する信用リスク、流動性リスク、市場リスクおよびオペレーショナル・リスクを監視す
る指標一式(総合リスク選好基準など)を定めている。この指標には、最低自己資本要件、 EIB の貸
付金ポートフォリオの信用状態の分布、リスク集中措置および流動性措置が特に含まれる。
EIB の貸付方針は、貸付対象事業に係る債務者および保証人の双方に最低信用基準を設定してお
り、受入れ可能な取引構成を特定している。リスク分析において、 EIB は貸付に関して内部格付制度
を適用しており、カウンターパーティーに内部格付を付与している。 貸付金ポートフォリオの分散
は、カウンターパーティー枠および主要産業の部門枠の設定によって支えられている。
EIB のグループ・リスク・コンプライアンス部門は、 EIB グループの事業に関連する金融リスクと
非金融リスクの両方を担当する。かかるリスクには特に、信用リスク、市場リスク、流動性および
資金調達リスク、オペレーショナル・リスク、気候リスク、風評リスクおよび戦略リスクが含まれ
る。 2019 年6月に EIB グループのリスク管理憲章およびその実施規定が承認されたことを受け、リス
ク監視対象が EIB グループのすべての関連事業ラインにまで拡大され、 EIB グループのすべてのリス
ク・エクスポージャーの経済実態を十分に把握して十分な情報に基づくリスク・テイクの意思決定
ができるようになった。同憲章は、 EIB グループのリスクを効果的かつ一貫した方法で確実に監視・
管理することを目的として、 EIB グループ・リスク管理枠組みの主要原則を定める。
EIB は、その資本状態の盤石さが確実に維持されるように設定された強固な自己資本枠組みを整備
している。ベスト・バンキング・プラクティスを遵守する EIB の姿勢により、 EIB の自己資本比率の
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枠組みは商業銀行の枠組みと同等に構築されており、規制要件の評価基準に合致している。 EIB の資
本状態は EIB グループのリスク管理開示報告書(英文)で開示されている。
リスク管理の詳細については、以下「第3 発行者の概況- (5) 経理の状況- ③ EU 会計指令に基
づく個別財務書類」に収載の法定財務書類の注 U および EIB のウェブサイト上の EIB グループ・リスク
管理開示報告書(英文)を参照のこと。
6.企業の社会的責任
EIB の使命は、欧州連合の内外で偏りのない安定した成長を促進する点にある。サステナビリティ
は EIB の活動の中心に位置付けられ、貸出、借入およびアドバイザリー業務に組み込まれている。
EU の気候対策銀行として、 EIB グループは、 (i) 気候変動への取組みに関してすべての EIB の融資
活動をパリ気候協定の原則と目標に整合させること、 (ii) 気候行動および環境サステナビリティの
ための EIB の年間融資額を 2025 年までに段階的に貸出金総額の 50 %超に増やし、その後も維持するこ
と、ならびに (iii) 2021 年から 2030 年までの 10 年間で気候行動および環境サステナビリティに対し
て1兆ユーロの投資支援を行うことを約束している。
ガバナンスの観点では、気候銀行ロードマップや EIB の活動をパリ協定の目標に整合させる取組み
に沿って、気候に関するリスクとチャンスを EIB の統治構造に取り込んでいる。現行の統治構造は、
理事会レベルでの気候リスクとチャンスの管理を重視する。同じく、気候に関する責任はアドホッ
ク委員会や個別の部署・チームなどのマネジメント・レベルで分担する。気候銀行ロードマップの
実施を監督するため、個別の気候・環境課題運営委員会が設置されている。
それと並行して、 EIB は、透明性と説明責任の模範を示すよう努めている。 EIB は、プロジェクト
や活動に関する情報を進んで公開し、日頃から多領域の関係者と連携している。
報告については、 EIB は 10 年以上サステナビリティ開示の先頭を走っている。 EIB は毎年、融資先
プロジェクトのカーボン・フットプリント(排出負荷)を記載した外部監査済みのサステナビリ
ティ報告書、自己排出に関するカーボン・フットプリント報告書、 TCFD 勧告ベースの報告書、なら
びにグローバル・レポーティング・イニシアチブ( GRI )仕様の開示書類およびサステナビリティ会
計基準機構( SASB )仕様の開示書類を発行している。 EIB のいずれの報告書も、 EIB ウェブサイトの
専用ページで閲覧可能である。
(37)
7. EIB グループの財務実績
EIB グループは欧州投資銀行と欧州投資基金で構成される。
注 (37) このセクションでは、 EU 会計指令および国際会計基準( IFRS )に基づいて作成された EIB グループの連
結財務書類に触れる。
7.1 EU 会計指令に基づく EIB の連結財務書類
EU 会計指令に基づく EIB グループの連結当期損益は、 2021 年の 26 億 4,750 万ユーロに対して、 2022
年は 24 億 6,020 万ユーロであった(1億 8,730 万ユーロまたは 7.1 %の減少)。 EU 会計指令に基づく連
結損益はそのほぼすべてが EIB 単体の損益からなるため、この損益は法定財務書類の当期純利益と密
接に連動する。
EIB グループの貸借対照表金額は、 2021 年 12 月 31 日現在の 5,680 億ユーロから 207 億ユーロまたは
3.6 %減少して、 2022 年 12 月 31 日現在で 5,473 億ユーロであった。
EU 会計指令に基づく連結損益に関するその他の情報は、 EIB グループの EU 会計指令に基づく連結財
務書類の注記で提供される。
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7.2 IFRS (国際会計基準)に基づく EIB の連結財務書類
IFRS に基づく EIB グループの連結当期損益は、 2021 年の 82 億 7,730 万ユーロから 59 億 5,030 万ユーロ
または 71.9 %減少して、 2022 年 12 月 31 日現在で 23 億 2,700 万ユーロであった。
EIB グループの貸借対照表金額は、 2021 年 12 月 31 日現在の 6,239 億ユーロから 577 億ユーロまたは
9.2 %減少して、 2022 年 12 月 31 日現在で 5,663 億ユーロであった。
IFRS に基づく同損益に関するその他の情報は、 EIB グループの IFRS に基づく連結財務書類の注記で
提供される。
② 業務上の重要な協約
該当なし
③ 日本との関係
日本の資本市場における EIB の活動は 1970 年代まで遡り、その中には1兆円を上回る規模の 60 を超え
る案件(シンジケートローン、公募および私募債券発行)が含まれる。
EIB は日本および日本の居住者に対して貸付を行ったことがない。
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(5) 【経理の状況】
以下の和文財務書類は、英文財務書類を原本として作成されている。英文財務書類はそれぞれ EIB の監
査人である KPMG オーディット・ソシエテ・ア・レスポンシビリ・リミテ( KPMG Audit Société à
responsabilité limitée )による監査を受けている。
①【IFRSに基づく連結財務書類】
当有価証券報告書の本項に記載されている EIB グループの 2022 年 12 月 31 日現在の連結貸借対照表な
らびに同日に終了した事業年度の連結損益計算書、連結純損益およびその他の包括利益計算書、連
結持分変動計算書および連結キャッシュ・フロー計算書( 「 IFRS に基づく連結財務書類」)は、欧
州連合によって採用された 国際財務報告基準(「 IFRS 」)に 準拠して作成されている。
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連結貸借対照表
2022年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
資産 2022年12月31日 2021年12月31日
1. 現金、中央銀行および郵便局預け金 (注
B.1) 112,703 1,483,285
2. 中央銀行担保適格国庫証券およびその他短
期証券 (注B.2) 21,620,352 37,237,861
3. 金融機関貸付金および預け金
a ) 要求払 984,212 797,488
b ) その他の貸付金および預け金(注C) 64,218,218 74,741,569
c ) 貸付金(注D.1) 91,623,813 94,682,744
d ) 貸付金および預け金の減損(戻入れ
-32,444 -75,226
控除後)(注D.2)
156,793,799 170,146,575
4. 対顧客貸付金および預け金
a ) その他の貸付金および預け金(注C) 125,976 677,197
b ) 貸付金(注D.1) 321,262,627 339,994,473
c ) 貸付金および預け金の減損(戻入れ
-295,939 -288,259
控除後)(注D.2)
321,092,664 340,383,411
5. 確定利付証券を含む負債証券 (注B.2)
a ) 公共機関による発行 4,443,133 5,024,595
6,539,924 7,034,187
b ) その他による発行
10,983,057 12,058,782
6. 株式およびその他の変動利付証券
(注B.3) 18,892,954 18,872,305
7. デリバティブ資産 (注Q) 35,044,316 41,734,302
8. 有形固定資産 (注E) 344,591 374,320
9. 無形資産 (注E) 70,167 58,408
10. その他の資産 (注G.1)
223,367 183,884
11. 払込請求済だが払込未済の応募済資本金お
よび準備金 (注W.1) 811,264 1,133,642
12. 前払金 286,131 271,753
566,275,365 623,938,528
資産合計
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
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連結貸借対照表(続き)
2022年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
負債および資本 2022年12月31日 2021年12月31日
負債
1. 金融機関に対する債務 (注H.1)
a ) 要求払 2,371,014 4,775,575
3,071,698 18,796,352
b ) 期日払または通知払
5,442,712 23,571,927
2. 顧客に対する債務 (注H.2)
a ) 要求払 1,433,117 1,645,154
57,637 175,496
b ) 期日払または通知払
1,490,754 1,820,650
債務証書借入(注I)
a ) 負債証券 407,336,160 461,915,358
10,081,802 11,987,275
b ) その他
417,417,962 473,902,633
4. デリバティブ負債(注Q) 43,757,867 29,529,619
5. その他の負債(注G.2) 5,040,120 4,981,663
6. 繰延収益(注F) 479,339 443,133
7. 引当金
a ) 年金制度および健康保険制度(注J) 5,722,781 8,623,332
48,537 42,537
b ) 保証および契約債務引当金(注D)
5,771,318 8,665,869
479,400,072 542,915,494
負債合計
資本
8. 資本金 (注W)
a ) 応募済資本金 248,795,607 248,795,607
-226,604,892 -226,604,892
b) 払込未請求資本金
22,190,715 22,190,715
9. 準備金
a ) 準備基金 24,879,561 24,879,561
b ) その他準備金 22,998,138 9,736,449
c ) 公正価値準備金 750,044 575,725
d ) 特別活動準備金 10,303,216 12,152,954
2,115,966 2,021,337
e ) 一般貸倒準備金
61,046,925 49,366,026
2,326,985 8,277,324
10. 当期純利益 (注K)
85,564,625 79,834,065
EIB株主に帰属する資本合計
1,310,668 1,188,969
11. 非支配持分
86,875,293 81,023,034
資本合計
566,275,365 623,938,528
負債および資本合計
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
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有価証券報告書
連結損益計算書
2022 年 12 月 31 日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
(1)
1. 受取利息および類似収益 (注L)
18,309,260 16,312,260
2. 支払利息および類似費用 (注L) -15,623,347 -13,272,582
3. 株式およびその他の変動利付証券からの収益 672,023 838,815
4. 受取手数料 (注O) 670,069 585,247
5. 支払手数料 (注O) -383,216 -434,377
(2)
6. 金融業務損益 (注M)
240,240 5,630,207
7. その他の業務収益および費用の純額
(注N) 10,477 -1,397
8. 貸付金および預け金の減損ならびに保証引当
金の変動 (戻入れ控除後)(注D.2、D.4) 41,499 291,582
9. 固定金融資産として保有される譲渡可能有価
証券、株式およびその他の変動利付証券の減
損の変動 (戻入れ控除後) 1,240 38,890
10. 一般管理費 (注P)
a) 人件費 -1,174,273 -1,207,031
-306,561 -246,922
b) その他の管理費
-1,480,834 -1,453,953
11. 減価償却費および償却費:有形固定資産お
よび無形資産 (注E)
a) 有形固定資産 -76,360 -70,272
-29,696 -21,035
b) 無形資産
-106,056 -91,307
2,351,355 8,443,385
12. 当期純利益
帰属先:
24,370 166,061
非支配持分
2,326,985 8,277,324
EIB株主
(1) 2022年12月31日終了年度の受取利息および類似収益には、償却原価で保有される資産について実効金利法を用いて計
算された7,137,966千ユーロ(2021年:5,493,411千ユーロ)が含まれる。
(2) 2022年12月31日終了年度の金融業務損益には、償却原価で測定される金融資産の認識中止による純利益ゼロ(2021
年:2,649千ユーロ)が含まれる。
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
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有価証券報告書
連結純損益およびその他の包括利益計算書
2022年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
当期純利益 2,351,355 8,443,385
その他包括利益
その後に純損益に振替えられることのない項目:
確定給付債務の再測定(注J) 3,395,787 1,474,982
FVOに指定された金融負債の自己信用リスクの
変動に起因する公正価値の変動-公正価値準備金
(注R) 230,741 66,183
FVOCIでの測定に指定された資本性金融商品に
対する投資の純利益/損失(注B.3) -50,349 83,048
その後に純損益に振替えられる項目:
ヘッジ・デリバティブの通貨ベーシス・スプレッ
ドに起因する公正価値の変動-公正価値準備金
(注Q) 4,800 -96,038
3,580,979 1,528,175
その他包括利益合計
5,932,334 9,971,560
包括利益合計
帰属先:
162,205 251,427
非支配持分
5,770,129 9,720,133
EIB株主
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
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連結持分変動計算書
2022 年 12 月 31 日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
応募済 払込未請求 その他 公正価値
準備基金
資本金 資本金 準備金 準備金
248,795,607 -226,604,892 24,328,415 6,486,767 522,532
2021年1月1日現在の残高
包括利益
当期純利益/損失 0 0 0 0 0
その他包括利益 0 0 0 1,389,616 53,193
包括利益合計 0 0 0 1,389,616 53,193
前年度利益処分額 0 0 551,146 1,784,773 0
その他 0 0 0 75,293 0
株主との取引
子会社の非支配持分の変動 0 0 0 0 0
0 0 0 0 0
株主との取引合計
248,795,607 -226,604,892 24,879,561 9,736,449 575,725
2021年12月31日現在の残高
包括利益
当期純利益/損失 0 0 0 0 0
その他包括利益 0 0 0 3,257,952 185,192
包括利益合計 0 0 0 3,257,952 185,192
前年度利益処分額 0 0 0 10,032,433 0
その他 0 0 0 -28,696 -10,873
株主との取引
子会社の非支配持分の変動 0 0 0 0 0
0 0 0 0 0
株主との取引合計
248,795,607 -226,604,892 24,879,561 22,998,138 750,044
2022年12月31日現在の残高
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連結持分変動計算書(続き)
2022年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
特別活動 一般貸倒 利益処分前 連結自己
合計 非支配持分
準備金 準備金 当期純利益 資本合計
11,736,896 2,135,891 2,637,423 70,038,639 0 70,038,639
2021年1月1日現在の残高
包括利益
当期純利益/損失 0 0 8,277,324 8,277,324 166,061 8,443,385
その他包括利益 0 0 0 1,442,809 85,366 1,528,175
包括利益合計 0 0 8,277,324 9,720,133 251,427 9,971,560
前年度利益処分額 416,058 -114,554 -2,637,423 0 0 0
その他 0 0 0 75,293 0 75,293
株主との取引
子会社の非支配持分の変動 0 0 0 0 937,542 937,542
0 0 0 0 937,542 937,542
株主との取引合計
12,152,954 2,021,337 8,277,324 79,834,065 1,188,969 81,023,034
2021年12月31日現在の残高
包括利益
当期純利益/損失 0 0 2,326,985 2,326,985 24,370 2,351,355
その他包括利益 0 0 0 3,443,144 137,835 3,580,979
包括利益合計 0 0 2,326,985 5,770,129 162,205 5,932,334
前年度利益処分額 -1,849,738 94,629 -8,277,324 0 0 0
その他 0 0 0 -39,569 0 -39,569
株主との取引
子会社の非支配持分の変動 0 0 0 0 -40,506 -40,506
0 0 0 0 -40,506 -40,506
株主との取引合計
10,303,216 2,115,966 2,326,985 85,564,625 1,310,668 86,875,293
2022年12月31日現在の残高
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
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連結キャッシュ・フロー計算書
2022年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
A.営業活動によるキャッシュ・フロー:
当期純利益 2,351,355 8,443,385
調整額:
貸付金および預け金の減損ならびに保証引当金の変動(注D.2、D.4) -41,499 -291,582
有形固定資産および無形資産の減価償却費および償却費ならびに償却
(注E) 106,056 91,415
固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券、株式およびその他の
変動利付証券の減損の変動 -1,240 38,890
負債証券の公正価値調整の変動額 139,720 216,851
貸付金および関連するスワップのIFRSに基づく調整(注M.1) 576,878 182,635
借入金および関連するスワップのIFRSに基づく調整(注M.1) -793,275 -278,609
その他デリバティブのIFRSに基づく調整(注M.1) -21,284 -81,535
正味受取利息(注L.1) -2,685,913 -3,039,678
-159,454 79,838
為替調整額
-528,656 5,361,610
営業活動による利益
金融機関および対顧客貸付金および預け金の実行額 -49,994,020 -37,670,096
金融機関および対顧客貸付金および預け金の返済額 44,590,423 50,381,755
その他の貸付金および預け金の変動額(注C) 6,673,633 8,658,820
ルクセンブルク中央銀行の最低預金準備率を充足するための預け金の
変動額(注B.1) 57,213 -35,110
財務運用ポートフォリオの変動額 17,386,502 -9,224,164
金融機関および顧客に対する債務の変動額(注H) -18,560,431 7,276,336
年金制度および健康保険制度の引当金の変動額 33,696 -2,210,900
保証および契約債務引当金の変動額(注D.4) 60,302 16,692
現金および現金同等物に係る経過利息の変動額 903 1,058
その他の資産およびその他の負債の変動額 6,064,303 -867,565
利息受取額 16,524,214 15,224,602
-13,652,025 -12,257,565
利息支払額
8,656,057 24,655,473
営業活動による/(で使用した)正味現金
2022年 2021年
B.投資活動によるキャッシュ・フロー:
期中に購入した長期HQLAポートフォリオの有価証券 -1,778,122 -385,243
期中に満期償還または売却された長期HQLAポートフォリオの有価証券 450,000 701,588
負債証券ポートフォリオに含まれる代替貸付金およびEIFのABSポート
フォリオの購入 -4,070,061 -2,266,247
負債証券ポートフォリオに含まれる代替貸付金およびEIFのABSポート
フォリオの償還 4,633,922 4,335,592
株式およびその他の変動利付証券取得額(注B.3) -2,537,116 -2,720,926
株式およびその他の変動利付証券売却額(注B.3) 1,811,116 2,345,863
-81,032 -63,109
有形固定資産および無形資産購入額(注E)
-1,571,293 1,947,518
投資活動による/(で使用した)正味現金
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欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結キャッシュ・フロー計算書
2022年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
C.財務活動によるキャッシュ・フロー:
債務証書借入の発行 84,649,253 100,348,462
債務証書借入の償還 -97,048,909 -107,709,303
加盟国の拠出 319,700 319,700
EIF株式購入/応募 0 484,363
非支配株主への配当金の支払 -5,737 0
-39,734 -41,366
リース負債の返済
-12,125,427 -6,598,144
財務活動による/(で使用した)正味現金
2022年 2021年
キャッシュ・フローの要約表:
現金および現金同等物期首残高 69,121,468 48,074,653
以下による正味現金:
営業活動 8,656,057 24,655,473
投資活動 -1,571,293 1,947,518
財務活動 -12,125,427 -6,598,144
-92,395 1,041,968
保有現金に係る為替調整
63,988,410 69,121,468
現金および現金同等物期末残高
現金および現金同等物の内訳:
現金、中央銀行および郵便局預け金(ルクセンブルク中央銀行の最低預金
準備率を充足するための預け金を除く)(注B.1) 25,389 1,338,806
短期金融市場証券(注B.2) 552,038 142,403
金融機関および対顧客貸付金および預け金:
要求払 984,212 797,488
62,426,771 66,842,771
その他の貸付金および預け金(注C)
63,988,410 69,121,468
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欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結キャッシュ・フロー計算書(続き)
2022年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
現金を伴わない変動
金融負債の
2021年 キャッシュ・ 公正価値 2022年
その他の
為替差額
12月31日 フロー 調整および 12月31日
変動額
未払利息
長期借入
459,717,547 -6,065,578 3,490,674 -48,067,286 0 409,075,357
リース負債 132,151 -39,734 -3,511 1,061 7,055 97,022
14,185,086 -6,334,078 491,597 0 0 8,342,605
短期借入
財務活動による負債の変
474,034,784 -12,439,390 3,978,760 -48,066,225 7,055 417,514,984
動額
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
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欧州投資銀行グループ
連結財務書類に対する注記
2022年12月31日現在
欧州投資銀行(「EIB」)は、1958年にローマ条約により、欧州連合(「EU」)の長期貸付銀行として設立
された。EIBの任務は、EU加盟国の統合、均衡の取れた発展、経済的および社会的な結束に貢献することであ
る。EIBは、資本市場で多額の資金を調達し、それらの資金をEU政策目標を促進するプロジェクトに有利な条
件で貸し付けている。EIBは継続的に、その業務をEU政策の展開に適合させている。
登記上の事務所所在地は、98-100, boulevard Konrad Adenauer, L-2950 Luxembourgである。
EIBと子会社を合わせて「グループ」または「EIBグループ」と総称する。
EIBの子会社については、注B.4.1に開示されている。
注A: 重要な会計方針
A.1. 作成基準
A.1.1. 基準等への準拠
欧州投資銀行グループの連結財務書類(「本財務書類」)は、欧州連合により採択された国際財務
報告基準(「IFRS」)に準拠して継続企業を前提として作成されている。
経営委員会の提案を受け、理事会は2023年3月29日に本財務書類を採択し、2023年4月25日までに
これを総務会に提出して承認を求めることを承認した。
A.1.2. 測定基準
本連結財務書類は、デリバティブ金融商品、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融
資産、純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融資産および金融負債、強制的に純損益を通
じた公正価値で測定される金融商品ならびに、当初認識額からIFRS第15号に基づく償却額(該当する
場合)を控除した金額とIFRS第9号に準拠して決定された損失引当金のいずれか高い金額で測定され
ている金融保証を除き、償却原価に基づいて作成されている。金融保証の受取レグは、IFRS第9号に
従い、将来キャッシュ・フローを割り引くことによって、純損益を通じて公正価値で測定されてい
る。
適格公正価値ヘッジ関係におけるヘッジ対象に指定された金融資産および金融負債の償却原価
(「AC」)は、ヘッジ損益に関して調整されている。
確定給付債務に関する負債は、同債務の現在価値に未認識の保険数理利益を加算した値から未認識
過去勤務費用または未認識の保険数理損失を差し引いた金額で認識される。
また、別途明記されていない限り、本財務書類は千ユーロ単位に四捨五入して表示されている。
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A.1.3. EIBの英国に対するエクスポージャー
2017年3月29日、英国は、欧州連合条約(「TEU」)第50条に従って欧州連合(「EU」)から離脱す
る決定を欧州理事会に通知した。英国は、TEU第50条および「グレートブリテンおよび北アイルランド
連合王国の欧州連合および欧州原子力共同体からの離脱協定」(「離脱協定」)に基づき、2020年2
月1日をもってEU加盟国でなくなった。英国のEUからの離脱により、英国は自動的に欧州投資銀行
(「EIB」)の構成員でなくなり、応募済資本金の分担も終了した。
2020年2月1日より、EIBの応募済資本金における英国の分担金は、その全額につき、残りのEU加盟
国が按分負担する増資をもって差し替えられた。この資本の差替え(均衡的資本差替え)は、EIBにお
ける英国の応募済資本金の払込請求済部分に加え、払込未請求部分も対象とするものであった。払込
請求済部分の差替えは、EIBの準備金を払込請求済の応募済資本金に振り替えることで賄われた。増資
の結果、残りの各EU加盟国において、EIBの応募済資本金の払込未請求(請求可能)持分が按分で増加
した。
また、ポーランドおよびルーマニアのEIBに対する応募済資本金が、それぞれ5,386,000,000ユーロ
および125,452,381ユーロ引き上げられた。この増資(非均衡的増資)は、英国のEU離脱から1ヵ月後
の2020年3月1日に効力を生じた。ポーランドとルーマニアは、EIBの応募済資本金の増加分の払込請
求済部分につき支払いを行うものとし、10回の均等分割により半年ごとにEIBの準備金に拠出を行って
いく。
英国がEIBの構成員でなくなった結果として、離脱協定には、EIBに関する財務決済を定めるいくつ
かの規定が盛り込まれている。離脱協定第150条に定める条項に従い、英国は、EIBに対する応募済資
本金の従前の分担に従い、EU離脱前のEIBのエクスポージャーについて引き続き責任を負う。これに関
連して、2022年12月31日現在で、EU離脱前のEIBのエクスポージャーは444,380百万ユーロとなり、一
方、英国の負債の限度額は39,195百万ユーロとなった。
英国は、EIBのその他のリスクについても、それが離脱後の融資に関するものでない限り引き続き責
任を負う。また、EIBは、離脱協定第150条に定める条項に従い、EUに代わって、EIBの払込請求済資本
金に対する英国の分担金相当額を12回の分割により毎年英国に支払う。英国の払込請求済資本金の払
戻しを除き、EIBは、英国がEIBの構成員でなくなることに関連して、または離脱協定の関連条項に定
める英国の一部債務の留保を理由として、英国に対してその他の弁済、返金または報酬を支払う義務
を負わないものとする。
A.2. 重要な会計上の判断および見積り
本連結財務書類を作成するにあたり、経営委員会は報告されている収益、費用、資産、負債ならび
に偶発資産および偶発債務の開示に影響する見積りおよび仮定を立てることが求められている。入手
可能な情報の使用、および判断の適用は、見積りに特有のものである。将来の実際の結果は、これら
の見積りとは異なる場合があり、これらの差異は本財務書類に対して重要なものとなる可能性があ
る。なお、見積りおよび基礎となる仮定については、継続的に見直しを行っている。見積りの修正は
非遡及的に認識される。
最も重要な判断および見積りは、次のとおりである。
金融商品の公正価値
連結貸借対照表に計上する金融商品の公正価値は、活発な市場から入手できない場合は、数学的モ
デルの使用も含め、様々な評価技法を用いて算定する。これらのモデルに使用するデータは、可能で
あれば観察可能な市場から入手するが、不可能な場合は、時価の設定に際しある程度の判断を要す
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る。こうした判断には、モデルの選択ならびに流動性や長期デリバティブの相関性やボラティリティ
等のモデルへの入力データの検討が含まれる(注A.4.6)。
金融商品の減損
予想信用損失(「ECL」)の測定には、特に当初認識時からの大幅な信用リスクの増加の評価、将来
を考慮した情報の組入れ、さらに、減損損失の算定の際の将来キャッシュ・フローの金額と発生時期
および担保価値の予測において、経営陣は重要な判断を下すことが求められる。これらの見積りは多
くの要因によって決定され、その要因は認識される貸倒引当金の発生時期と金額を著しく変動させる
結果をもたらし得る(注A.4.4)。ロシアによるウクライナ侵攻がもたらす不確実性と各種のリスクの
全般的な状況から発生する減損への影響に関連する仮定は、注A.4.4および注Sに詳述されている。
非上場持分投資の評価
非上場持分投資の評価は、通常、次のいずれかに基づいて行われる。
- 最近の第三者間市場取引
- 実質的に同様な他の金融商品の時価
- 予想キャッシュ・フローを、条件とリスク特性が類似した項目に適用される現行の割引率で割
り引いた値、または
- その他の評価モデル
非上場持分投資のキャッシュ・フローおよび割引係数を決定するにあたっては、重要な見積りを要
する。グループでは評価技法を定期的に調整しており、同じ金融商品で観察可能な現行の市場取引の
価格か、入手および観察可能な他の市場データの価格のどちらかを用いて、妥当性をテストしている
(注A.4.6)。
年金および他の退職給付
確定給付年金制度および他の退職後医療費給付に係る費用は、数理計算上の評価を用いて算定す
る。数理計算上の評価に際しては、割引率、死亡率、ならびに将来の給与および年金の増加に関する
仮定を行う。これらの制度は長期にわたるため、こうした見積りは重要な不確実性を伴う(注
A.4.14)。
グループが持分を保有する事業体の連結
グループは、グループが持分を保有する事業体で、個別の事業体に対する経済的持分総額(キャ
リード・インタレストと予想管理報酬で構成される)および意思決定機関を解任する権限に基づき、
当年度末現在でグループが支配している事業体はない(欧州投資基金(「EIF」)を除く)という重要
な判断を行った。
すべての場合において、上記の要因の評価に基づき、グループはゼネラル・パートナーとファン
ド・マネージャーのいずれも、また当該投資先の活動および業務の管理および統制の責任を単独で担
い、当該投資先の目的および目標を遂行するために必要なすべての事項を実行する権限を有している
理事会を個別に支配することはできない(注B.4)。
IBOR改革から生じる不確実性
2021年12月31日をもって廃止された英ポンド、スイス・フランおよび日本円のLIBORという指標金利
について、グループは2022年12月31日現在でIBOR改革の時期および金額に関する不確実性は存在しな
いとみなした。したがって、これらのLIBORについて、グループはIASBによる金利指標改革のフェーズ
1の修正を免除されていたが、その免除適用を停止した。2023年6月30日をもって廃止される指標金
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利である米ドルLIBORについては、グループは不確実性に関連するIASBによるフェーズ1の修正を適用
している。
A.3. 会計方針の変更
下記の変更を除き、グループは注A.4に記載した会計方針を、本連結財務書類において表示されてい
る期間について継続的に適用している。
グループが適用した新基準および修正基準
以下の既存の基準の修正が、2022年1月1日付でグループの連結財務書類に対して有効となった。
- 2018-2020年のIFRS基準の年次改善
- 概念フレームワークへの参照-IFRS第3号の修正
- 有形固定資産:意図した使用前の収入-IAS第16号の修正
- 不利な契約-契約履行のコスト-IAS第37号の修正
上記の修正は、過年度に認識された金額には影響を与えておらず、当年度および将来の期間に重大
な影響を与えるとは見込んでいない。
グループがまだ適用していない新基準・修正基準および解釈指針
2022年12月31日現在、以下の基準および既存の基準の修正が発行済であるが、その適用は2022年12
月31日に終了する年次報告期間には必須ではなかった。
EUによって承認され、2023年1月1日以降に開始する年次会計期間から効力を有している基準およ
び既存の基準の修正:
- IAS第12号「法人所得税」の修正:単一取引から生じた資産および負債に係る繰延税金
- IAS第1号「財務諸表の表示」およびIFRS実務記述書第2号の修正:会計方針の開示
- IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更および誤謬」の修正:会計上の見積りの定義
- IFRS第17号の修正(2020年6月25日発行)を含めたIFRS第17号 「保険契約」(2017年5月18日
発行)
- IFRS第17号「保険契約」の修正:IFRS第17号およびIFRS第9号の初度適用-比較情報
EU未承認の既存の基準の修正:
- IAS第1号「財務諸表の表示」の修正:
- 負債の流動または非流動への分類(2020年1月23日発行)
- 負債の流動または非流動への分類-発効日の延期(2020年7月15日発行)
- 特約条項付きの非流動負債(2022年10月31日発行)
- IFRS第16号「リース」の修正:セール・アンド・リースバック取引におけるリース負債(2022
年9月22日発行)
本連結財務書類が承認された日現在で、上記の基準または既存の基準の修正はいずれもグループに
よって早期適用されておらず、いずれかの報告日に適用され、グループによって考慮される必要があ
る解釈指針は発行されていない。経営陣は、すべての関連する公表された会計基準は、それらの発効
日以降に開始する最初の期間に適用され、またグループの財務書類に重大な影響は及ぼさないと見込
んでいる。
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A.4. 重要な会計方針の要旨
A.4.1. 連結基準
子会社
子会社とは、グループによって直接的または間接的に支配されているすべての企業である。グルー
プが企業を支配するとは、グループが当該企業への関与から生じる変動リターンにさらされている
か、 または変動リターンに対する権利を有しており、かつ、こうしたリターンに対して当該企業への
権限を通じて影響を及ぼす能力を有している場合である。
すべての重要な子会社はIFRSに基づき連結財務書類に含まれているが、グループにとって重要性の
ない企業は連結の範囲から除外されている。あらゆる子会社の財務書類は、支配を開始した日から、
支配を停止した日まで、連結財務書類に含められている。
EIBグループの本財務書類は、欧州投資銀行(「EIB」)およびその子会社である欧州投資基金
(「EIF」)の財務書類により構成される。子会社の財務書類は、EIBと同じ報告年度について作成さ
れ、EIBと一貫した会計方針に基づいている。
EIBは、EIFに対する支配を行使しているため、連結財務書類を作成するにあたり、IFRS第10号で規
定されている会計原則を適用した。したがってグループは、資産、負債、資本、収益、費用の類似項
目を合算し、EIBおよびEIFの財務書類を科目ごとに連結している。
非支配持分
IFRSの下では、非支配持分は、子会社の識別可能純資産に対する比例持分で測定される。これら
は、EIBが直接的にも間接的にも所有していない純損益および純資産の部分を表している。EIFの少数
株主である欧州委員会(「EC」)に帰属する非支配持分は、連結貸借対照表の「非支配持分に帰属す
る資本」と連結損益計算書の「非支配持分に帰属する当期純利益」にそれぞれ表示されている。
第三者投資家が保有するEIF株式に係るコミットメント
EIFのEC以外の非支配株主が保有する株式に関するリプレースメント・シェア・パーチェス・アン
ダーテイキング(「RSPU」)の条件に従い、EIBはこれらの株式の買付けの募集を毎年行っている。権
利行使価格はEIFの監査済年次財務書類に基づいて算定されるが、これはEIF払込請求済資本金に資本
剰余金勘定、法定準備金、留保利益、公正価値準備金、当期純利益を加えて、EIF株主総会で決議され
た配当を差し引いた値における各株式相当分に対応する(注Gも参照のこと)。
IFRSの下では、RSPUはこの少数株主グループからEIF株式を購入するために将来現金を支払う契約上
の義務を反映した、上記の非支配持分に対する売建プットオプションとみなされる。IAS第32号に従
い、たとえその現金支払が所有者によるオプションの行使を条件とするものであっても、かかる取決
めは償還金額の現在価値について金融負債を生じさせる。
したがって、IFRSの下では、このコミットメントは「非支配持分」から組み替えられ、対応する金
融負債がオプションの行使価格(年毎に設定される合意価格に相当する)の公正価値で「その他負
債」に認識され、親会社の株主に帰属する。その後、この金融負債はIFRS第9号に従って測定され、
すなわち、取得日後に金融負債の公正価値に生じた変動は、連結損益計算書の「支払利息および類似
費用」に計上される。非支配持分の合意価格に対する超過額または不足額は、「連結準備金」に組み
替えられる。
関連会社および共同支配企業における持分
グループの被投資会社における持分は、関連会社および共同支配企業における持分で構成される。
関連会社は、グループが財務および業務上の方針に対して重要な影響力を持つが、支配力または共同
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支配力は持たない企業である。共同支配企業は、グループが共同支配力を持ち、それによってグルー
プが当該事業体の資産に対する権利および負債に対する債務ではなく、純資産に対する権利を有する
事 業体である。
関連会社および共同支配企業に係る会計上の取扱いは注A.4.8.6で詳述されている。
連結上消去される取引
貸借対照表および損益計算書上の勘定を合算した後、グループ内取引から生じたグループ内の残高
ならびに取引、収益および費用をすべて相殺消去している。
A.4.2. 外国通貨の換算
本連結財務書類は、グループの機能通貨、ならびに構成員の資本勘定の測定単位とされているユー
ロ(「EUR」)建てで、表示されている。
グループは、ユーロ、欧州連合加盟国の他の通貨および非EU通貨で業務を運営している。EIBの財源
は様々な通貨建ての出資、借入および利益剰余金によって調達される。
外貨建取引は、取引日の実勢為替レートで換算される。
ユーロ以外の通貨建ての貨幣性資産および負債は、貸借対照表日の実勢換算レートに基づきユーロ
に換算される。これらの換算から生じた損益は連結損益計算書の「金融業務損益」に計上される。
外貨建ての取得原価で測定される非貨幣性項目は、当初の取引日の為替レートで換算されている。
外貨建ての公正価値で測定される非貨幣性項目は、公正価値算定日の為替レートで換算されている。
非貨幣性金融資産の為替差損益は、公正価値変動に含まれる。非貨幣性金融資産の分類に応じて、
為替差損益は連結損益計算書か連結貸借対照表の資本の中の準備金のどちらかで認識される。
取引日の為替レートと決済日の為替レートの差異により発生する為替差損益、および未決済の外貨
建貨幣性資産および負債に関する未実現為替差損益は、連結損益計算書の「金融業務損益」で認識さ
れている。
A.4.3. 分類および測定
金融資産および金融負債
当初測定時に、グループは金融資産または金融負債を、純損益を通じた公正価値(「FVTPL」)で測
定する項目以外については、公正価値にその取得または発行に直接的に起因する取引費用を加算また
は減算して測定する。当初認識時の公正価値は、通常取得原価である。
金融資産は、当初認識時に償却原価(「AC」)での測定、その他の包括利益を通じた公正価値
(「FVOCI」)での測定、またはFVTPLでの測定に分類され、金融負債はACまたはFVTPLでの測定に分類
される。
IFRS第9号の下では、分類は、当該金融資産が負債性金融商品または資本性金融商品とみなされる
かの判定から開始される。IFRS第9号「金融商品」は、IAS第32号「金融商品:表示」における定義を
参照している。
負債性金融商品は、貸付金、政府債、社債など、IAS第32号に従って、発行体の観点から金融負債の
定義に適合する金融商品である。
負債性金融商品は、以下の両方の条件を満たし、純損益を通じた公正価値での測定に指定されてい
ない場合に、償却原価での測定に分類される。
- 当該資産が、契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的として
いるビジネスモデルで保有されている。
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- 金融資産の契約条件により、元本と元本残高に対する利息のみの支払(SPPI基準)である
キャッシュ・フローが特定の日に発生する。
負債性金融商品は、以下の両方の条件を満たし、純損益を通じた公正価値での測定に指定されてい
ない場合にのみ、その他の包括利益を通じた公正価値での測定に分類される。
- 当該資産が、契約上のキャッシュ・フローの回収と金融資産の売却の両方により目的が達成さ
れるビジネスモデルで保有されている。
- 金融資産の契約条件により、SPPI基準に適合するキャッシュ・フローが特定の日に発生する。
上記要件は、たとえ金融資産に組込デリバティブが含まれている場合でも、金融資産全体に適用さ
れる。
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資本性金融商品は、IAS第32号に従って、発行体の観点から持分の定義に適合する金融商品、すなわ
ち、契約上の支払義務を含まず、発行体の純資産の残存持分の証拠となる金融商品である。
売買目的保有ではない持分投資の当初認識時に、グループはその後の変動をその他包括損益に表示
することを取消不能で選択することができる。この選択は、投資ごとに行われる。
他のすべての金融資産は、純損益を通じた公正価値での測定に分類される。
金融負債は、以下のものを除き、償却原価で測定される。
- 売買目的保有の定義に適合する(例えば、デリバティブ負債)。
- 純損益を通じた公正価値での測定に指定されている。
また、当初認識時に、グループは償却原価測定の要件に適合する金融資産または金融負債を、純損
益を通じた公正価値での測定に指定することによって、指定しない場合に発生する会計上のミスマッ
チが解消されるまたは大幅に削減される場合、または当該金融資産および金融負債が公正価値で管理
され、その運用成績が公正価値に基づいて評価される場合に、純損益を通じた公正価値での測定に取
消不能で指定することができる(いわゆる選択された場合の「公正価値オプション(「FVO」)」また
はFVTPL)。FVOに指定されている主な金融商品は、ヘッジ対象貸付金およびヘッジ会計適格ではない
証書によって表される債務である。
開示要件目的上、グループは特性の類似性に基づいて金融商品の区分を定義している。
ビジネスモデル評価
EIBグループは、負債性金融商品が保有されるビジネスモデルの目的の評価をポートフォリオ・レベ
ルで行う。これは、事業が管理され、経営陣に情報が提供される方法を最も良く反映しているためで
ある。検討される情報には以下が含まれる。
- ポートフォリオの定められた方針および目的、ならびに実際におけるその方針の運用。特に、
経営陣の戦略が、契約上の金利収益の稼得、特定の金利プロファイルの維持、金融資産のデュ
レーションとその資産向けの資金調達のための負債のデュレーションの一致、または資産の売
却を通じてのキャッシュ・フローの実現に焦点を当てているか。
- ポートフォリオの運用成績がどのように評価され、グループの経営陣に報告されているか。
- ビジネスモデル(およびそのビジネスモデルで保有されている金融資産)の運用成績に影響を
及ぼすリスク、ならびにそれらのリスクがどのように管理されているか。
- 過去の期間における売却の頻度、金額および時期、その売却の理由ならびに将来の売却活動に
ついての見込。
しかし、売却活動に関する情報は切り離して考慮されるのではなく、グループの金融資産の管理の
定められた目的がどのように達成され、キャッシュ・フローがどのように実現しているかについての
全体的な評価の一環として検討される。
元本と利息のみの支払(「SPPI」)基準
この評価の目的上、「元本」とは、負債性金融商品の当初認識時の公正価値と定義される。「利
息」とは、貨幣の時間価値および特定の期間中の元本金額に伴う信用リスク、その他の基本的な貸付
リスクおよびコスト(例えば、流動性リスクおよび管理費用)の対価、ならびに利益マージンと定義
される。
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契約上のキャッシュ・フローが元本と利息のみの支払であるかを評価する際に、EIBグループは当該
商品の契約条件を検討する。これには、当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローの発生時期ま
たは金額を変更する契約条件を含んでおり、この基準を満たさなくなる可能性があるか否かの評価が
含 まれる。
認識中止
グループは、金融資産からのキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利が失効した場合、または
金融資産の所有に伴うリスクと経済価値を実質的にすべて移転する取引、もしくはグループが所有に
伴う実質的にすべてのリスクと経済価値を移転も留保もせず、当該金融資産に対する支配を留保しな
い取引で契約上のキャッシュ・フローを受け取る権利を譲渡した場合、同金融資産の認識を中止す
る。
グループは、契約上の義務が履行された場合、取り消された場合、または失効した場合に金融負債
の認識を中止している。
金融資産または金融負債の認識中止時に、資産または負債の帳簿価額(または認識が中止された資
産または負債の部分に配分された帳簿価額)と、(i) 受け払いされた対価および(ii) その他の包括利
益で認識された累積利益または損失の合計額の差異は、純損益で認識されるが、処分時に損益計算書
ではなくその他準備金に振り替えられる、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される持分投資
についてその他の包括利益で認識された累積利益または損失を除く。
IBOR改革との関連において、償却原価で測定される金融商品の条件変更が実質的であるかどうかの
グループの評価は、IBOR改革のフェーズ2で導入された実務上の便法を適用した後に行われる。IASB
が発行した修正に基づき、契約上のキャッシュ・フローが金利指標改革の直接の結果として変更さ
れ、その変更が契約上のキャッシュ・フローを決定する従前の基礎(すなわち、変更直前の基礎)と
経済的に同等である場合、グループは当該金融商品の認識の中止を行っていない。
組替
金融資産は、当初認識後は、グループが金融資産を管理するビジネスモデルを変更した後の期間を
除き、組み替えられない。
条件変更
償却原価で測定される金融資産は、その契約上のキャッシュ・フローが再交渉またはその他の方法
で修正された場合、条件変更されたとみなされる。再交渉または条件変更は、既存の金融商品の認識
を中止し、新たな金融商品を認識することに至る場合も至らない場合もあり得る。
償却原価で測定される金融資産のキャッシュ・フローの重要な契約上の条件変更の結果、当該金融
資産が認識中止となる場合は、新たな金融資産を公正価値で認識し、条件変更に係る損益の影響額を
連結損益計算書上の「金融業務損益」で計上する。
契約上の条件変更は、新たな条件によるキャッシュ・フローの割引現在価値(当初の実効金利を使
用して割り引いたもの)が、当初の金融資産の残りのキャッシュ・フローの割引現在価値と、少なく
とも10%異なる場合に大幅な変更とみなされる。金融資産の通貨の変更や転換機能などの定性要因
も、考慮される。
IBOR改革との関連において、償却原価で測定される金融商品の条件変更が実質的であるかどうかの
グループの評価は、IBOR改革のフェーズ2で導入された実務上の便法を適用した後に行われる。償却
原価で測定される金融商品の契約上のキャッシュ・フローを決定するための基礎が金利指標改革から
の直接の結果として変更され、かつ、その変更が従前の基礎(すなわち、変更直前の基礎)と経済的
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に同等である場合には、グループは実効金利を更新し、当該金融商品の帳簿価額を修正する必要はな
い。
相殺
グループは、金融資産と金融負債が、IAS第32号の下での対応する基準を満たす場合、それらをグ
ループの連結貸借対照表上で相殺している。また、金融資産および金融負債は、グループの連結貸借
対照表上で相殺されているか否かを問わず、法的に強制力のあるマスター・ネッティング契約または
類似した金融商品を対象とした類似契約の適用を受ける場合がある。類似契約にはグローバル・マス
ター・リパーチェス契約が含まれる。類似した金融商品には、リパーチェス契約およびリバース・リ
パーチェス契約が含まれる。
A.4.4. 減損
IFRS第9号は、将来を見越した「予想信用損失」(「ECL」)モデルに基づいている。これは、経済
的要因の変化が予想信用損失にどのように影響するかについての判断を要求するものであり、この判
断は確率加重に基づいて行われている。
グループ内では、このIFRS第9号の減損モデルは償却原価で測定される金融資産だけでなく、オ
フ・バランスシートのコミットメントおよび金融保証にも適用されている。
IFRS第9号の下では、損失引当金は次の何れかに基づいて測定されている。
- 12ヵ月ECL:これらは、報告日後12ヵ月以内に発生する可能性のあるデフォルト事象によるECL
である。
- 全期間ECL:これらは、金融商品の全期間にわたって発生する可能性のあるデフォルト事象によ
るECLである。
IFRS第9号は、減損について、当初認識以来の信用度の変動に基づいた「3ステージ」モデルを提
示している。金融商品は、当初認識以降に信用リスクの著しい増加(「SICR」)が特定された金融商
品を除き、ステージ1に分類される。これには、将来を考慮した情報を含む定量的および定性的の両
方の情報、ならびにグループの専門知識に基づいた分析が含まれる。信用リスク方針に関する詳細
は、注S.2で詳述されている。
グループによる信用リスクの著しい増加の評価は、カウンターパーティーまたは商品に固有の情報
を用いた段階的アプローチに基づいており、これは特に早期警戒トリガー、内部格付(最新の内部格
付が投資適格を下回るカウンターパーティーの過去の内部格付と比較して3ノッチ以上の格下げ)、
および延滞(延滞30日超)をカバーする信用リスク・ガイドライン(「CRG」)ならびに財務モニタリ
ング・ガイドラインおよび手続き(「FMGP」)に記載された方針と整合している。
基準設定母体が発行した指針および市場慣行に沿って、グループは、COVID-19のパンデミックのシ
ステミックな経済的悪影響に対処することを目的とした、正常債権カウンターパーティーに対する
COVID-19に関連する短期返済猶予措置の適用(2021年6月まで適用)は、それ自体のみではSICRが発
生したと結論付けるための自動的なトリガーとはみなすべきではないと考えている。注S.2.3.3.3で開
示されているように、グループは、このようなカウンターパーティーの信用リスクを評価する際に専
門家の判断を利用する。
グループは、ロシアによるウクライナ侵攻がもたらす不確実性と各種のリスクの全般的な状況は、
このような極端な事象を織り込むために十分に堅牢であると考えられる既存の将来を見越したECLモデ
ルに反映されていると考える。特に、なんらかの影響があった場合、それぞれの影響はマクロ経済予
測とPDの期間構造を通じて直接的に把握されている。
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信用リスクの著しい増加が発生した場合、当該金融商品はステージ2に移動されるが、まだ信用毀
損があるとはみなされない。金融商品に信用毀損がある場合は、当該金融商品はステージ3に移動さ
れ る。
ステージ3のエクスポージャーを特定するために、EIBは不良債権エクスポージャーの客観的証拠が
存在するか否かを判定する。この目的のために、グループは、グループが償還請求を行うことなく、
借手によるグループに対する信用債務の完済の可能性が低い場合、または借手がグループに対する重
要な信用債務で90日超延滞している場合に、金融資産がデフォルト状態にあるとみなしている。
この点において、グループが原契約条件に従って全額または同等額を回収することができない可能
性が高いとEIBが判断したときは、金融資産は信用減損したものとみなされる。個々の相手先に対する
与信エクスポージャーは、借手の性質、総括的な財政および資金状況、返済履歴、財政的に信用でき
る保証人からの援助の可能性、また該当する場合は担保の実現可能価額に基づき評価される。
すべての減損された債権は最低半期ごとに検討および分析される。それまでの見積りと比較した将
来の予想キャッシュ・フローの金額や時期にその後生じた変化は貸倒引当金に反映され、連結損益計
算書に費用計上または貸方計上される。信用の質が改善し債権契約書の原契約条件どおり元本および
利息が適時に回収されるという合理的保証が得られた場合のみ、貸倒引当金は戻入される。債権の全
部または一部について、回収不能と認めるか、または債権を放棄する場合は、貸倒損失として処理さ
れる。貸倒損失は、以前に設定された貸倒引当金を取り崩す形で、または当該債権元本を減額し直接
連結損益計算書に費用計上される。貸倒償却処理された債権の一部または全部の回収については、連
結損益計算書上で貸方計上される。償却された金融資産は、グループの支払われるべき金額の回収手
続を遵守するために、引き続き執行活動の対象となり得る。
ECLの測定-インプット、仮定および技法
全期間ECLの測定は、ステージ2およびステージ3の資産に適用され、12ヵ月ECLはステージ1の資
産に適用される。
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予想信用損失の測定は、次の信用リスク・パラメーターに基づいて実施された。
- デフォルト確率(「PD」)
- デフォルト時損失率(「LGD」)
- デフォルト時エクスポージャー(「EAD」)
デフォルト確率は、貸付先が翌12ヵ月間または当該債務の残存期間のいずれかでその金融債務につ
いてデフォルトする確率を表す。PDは、統計的格付モデルに基づいて計算され、カウンターパー
ティーおよびエクスポージャーの各種のカテゴリーに適合させた格付ツールを使用して評価される一
定日時点での見積値である。
格付は、エクスポージャーに関するデフォルト確率の期間構造の決定のための主たるインプットで
ある。グループは、グループの信用リスク・エクスポージャーについて、履行とデフォルトに関する
情報を収集している。収集されたデータは業種別、地域別に分類される。信用状況およびマクロ経済
環境の変動に同質の方法で反応する異なる業種および地域は、合わせて分析される。
グループは、複数期間にわたるデフォルト確率を見積るために、マクロ経済予測を組み込んだ統計
モデルを採用している。
デフォルト時損失率は、カウンターパーティーのデフォルトによるエクスポージャーに係る損失
の、デフォルト時の残高に対する比率についての予想を表す。デフォルト時損失率は、「1-回収
率」としても定義される。LGDの見積値は、主に地域別、そしてソブリン、公共機関、金融機関、企業
およびプロジェクト・ファイナンスの5つの主要なクラスのカウンターパーティーの種類別に決定さ
れる。LGDの値は、エクスポージャーの商品および契約固有の特徴に基づいて、さらに調整される可能
性がある。
グループは、商品の当初認識時から信用リスクが大幅に増加したかの評価、および予想信用損失の
測定の両方に将来を考慮した情報を組み入れている。
ECLの測定については、グループは以下を含めたPDの期間構造を計算するために条件付きモデル化手
法を開発した。
- 経済的に合理的な信用サイクルとマクロ経済変数の間のリンク関数の定義
- 複数年のGDPの潜在的な達成およびそれらに関連する確率を備えた3種のマクロ経済シナリオ
(1つのベースライン・シナリオおよび景気の拡大と後退を反映した2つのシナリオ)
マクロ経済シナリオを作成するために、EIBは国別ブロックと共に世界経済のマクロ的な半構造的複
数国かつ高次方程式モデルを使用している。セントラル/ベースライン・シナリオは、最新の欧州委
員会(「EC」)予測と整合するよう設計されている。楽観的および悲観的シナリオは、セントラル・
シナリオに関して、複数国/高次方程式モデルの展開により設計されている。シナリオは、経済活動
の主要尺度であるGDPにショックを与えることで得られる。実質GDPに対するショックは、観察された
変数のボラティリティを複製するためにその水準が調整される。また、GDPに対するショックの規模お
よび持続期間を精緻化するために、適切な場合は専門家による判断が適用される。その結果、ショッ
クは減衰関数と共に決定され、経時的なショックの影響が決定される。各シナリオに割り当てられる
確率は、市場(ボラティリティ)指標および不確実性を捕捉するために長期にわたって一貫して使用
された内部開発の指標/トラッカーを反映して決められる。
EADは、デフォルト時の予想エクスポージャーを表し、現在の当該カウンターパーティーに対するエ
クスポージャーおよび現在契約で認められている金額の、分割返済を含む潜在的な変動に基づく。金
融資産のEADは、帳簿価額総額である。貸付コミットメントおよび金融保証については、EADには使用
済金額に加えて、契約下で引き出される可能性がある潜在的な将来の金額が含まれる。
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優先債権者の地位(「PCS」)
EU一次法優位の原則および、EIB定款に定められているEIBの財産があらゆる形の接収および収用か
ら免除されるものとする旨の原則は、満期時における欧州連合加盟国のソブリン・エクスポージャー
の全額回収を保証するとみなされる。この財務保護および優先債権者としての地位により、欧州連合
加盟国のソブリン・エクスポージャーまたは欧州連合加盟国の保証についての信用リスクも減損も発
生しない。しかし、他の債権者と同様に、EIBは欧州連合加盟国ソブリン発行体の負債性金融商品に含
まれる集団行動条項(「CAC」)に基づいた多数による決定事項に拘束される。
A.4.5. デリバティブおよびヘッジ活動
グループは主に借入取引、財務取引および貸付取引に係る市場のエクスポージャーをヘッジするた
め、またその資産および負債の管理活動の一環としてデリバティブ商品を利用しており、それによ
り、予定取引に伴うエクスポージャーを含む、金利および為替リスクを管理している。
グループのすべてのデリバティブ商品は純損益を通じた公正価値で測定され、デリバティブ資産ま
たは負債として計上される。デリバティブに伴い発生する未収利息は、計上される公正価値の一部と
なる。公正価値は、市場インプット、ディスカウント・キャッシュ・フロー・モデルおよびオプショ
ン・モデルにより入手される。オプション・モデルでは、現在の市況および原資産の契約価額と同様
に、時間的価値、イールドカーブおよび原資産のボラティリティが考慮される。デリバティブの公正
価値変動は、「金融業務損益」に含まれている。
グループのヘッジ活動は、資産および負債の両方について、金利リスク・プロファイルを標準的な
変動金利リスクに変換するスワップを用いて金利リスクおよび通貨リスクを軽減することを目的とし
ている。グループがミクロ・ヘッジを締結する場合、各ヘッジ関係には、全部または部分的にヘッジ
される、1つまたは複数のヘッジ対象が含まれる。
ヘッジ手段次第で、ヘッジ対象のヘッジ対象リスクは以下のように決定される。
- 金利スワップを使用する場合、ヘッジ対象のベンチマーク金利カーブに関する金利リスクのみ
がヘッジされる。
- 通貨スワップを使用する場合、ヘッジ対象のベンチマーク金利カーブに関する金利リスクおよ
びベンチマーク通貨に関連する通貨リスクがヘッジされる。
IFRS第9号で認識されている3種類のヘッジ関係のうち、グループは現在公正価値ヘッジ会計のみ
を適用している。公正価値ヘッジは、認識された資産もしくは負債、または未認識の確定契約債務、
またはこうした項目の一構成部分の、特定のリスクに起因し、損益に影響を及ぼす可能性がある公正
価値の変動に関連するリスクを軽減するヘッジの取決めである。ヘッジ会計の目的は、損益に影響を
及ぼすおそれのある特定のリスクから発生するエクスポージャーを管理するために、ミクロベースで
金融商品を使用したグループのリスク管理活動の効果を財務書類において表すことである。
グループはまた、金利リスクおよびベーシスリスクを資産負債管理の一環として、ヘッジ会計を適
用せずにマクロベースでヘッジしている。
ヘッジ会計適格であるためには、ヘッジ関係は適格ヘッジ手段と適格ヘッジ対象で構成されていな
ければならない。
純損益を通じた公正価値で測定されるデリバティブは、ヘッジ手段として指定することができる。
グループは次の適格ヘッジ手段とその組み合わせを用いている。
- 金利スワップ
- 通貨スワップ
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適格ヘッジ手段は、ヘッジ指定から分離し除外されている通貨スワップの場合の外貨ベーシス・ス
プレッドを除き、そのすべてがヘッジ手段に指定されている。
ヘッジ対象は、認識されている資産もしくは負債、または未認識の確定契約債務がなり得る。ヘッ
ジ対象は、単一の項目もしくは項目のグループがなり得、またそのような単一の項目もしくは項目の
グループの構成部分がなり得る。次の適格ヘッジ対象がグループによって指定されている。
- 借入金
- 代替貸付金
- 貸付金
- 財務ポートフォリオの負債証券
グループはまた、前述の適格金融資産および金融負債の額面金額の構成部分をヘッジ対象または
ヘッジ手段として指定する場合がある。
金利リスクの公正価値ヘッジを適用するにあたり、グループは個別に識別可能かつ信頼性をもって
測定可能な契約上明示されていない指標金利のリスク要素をヘッジ対象リスクとして指定している。
LIBORから代替的なリスクフリーレート(RFR)へ移行されていない未決済のヘッジ関係については、
グループはリスク要素が個別に識別可能であるという要件をヘッジ関係の開始時にのみ満たす必要が
あり、その後は再評価の必要がない場合に、IBOR改革のフェーズ1の一時的救済措置を適用してい
る。
ヘッジ関係の当初指定時に、グループはヘッジ手段とヘッジ対象の間の関係を文書化し、これに
は、リスク管理目的およびヘッジの実行戦略に加えて、ヘッジ関係の有効性を継続的に評価するため
に使用される方法が含まれる。
IBOR改革のフェーズ2の修正の適用に伴い、グループは既存のIBORからRFRへの置換時にもヘッジ関
係の継続を可能とする一時的救済措置を適用している。
ヘッジ関係が以下の有効性要件のすべてを満たしている場合に、ヘッジ会計適格となる。
- ヘッジ対象とヘッジ手段の間に経済的関係がある。
- 信用リスクの影響が、当該経済的関係から発生する価値変動を支配していない。
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- ヘッジ関係のヘッジ比率が、グループが実際にヘッジしているヘッジ対象の数量と、当該ヘッ
ジ対象の数量をヘッジするためにグループが実際に用いるヘッジ手段の数量による比率と同一
である。
ヘッジ対象とヘッジ手段の間の経済的関係を示すために、グループはヘッジ手段とヘッジ対象の重
要な条件が一致しているまたは密接に整合されており、その場合ヘッジ関係の有効性が高いとみなす
ことができるかを評価することによって、定性分析を実施している。ヘッジ対象の重要な条件がヘッ
ジ手段の重要な条件と正確には一致しない状況においては、ヘッジ対象とヘッジ手段の感応度の相関
関係に基づいて両者の間の定量的な分析を行い、ヘッジの有効性を評価している。ヘッジ関係の有効
性が高いと見込まれるかを評価する目的上、グループは指標金利がIBOR改革の結果として変更されて
いないとみなしている。
信用リスクによる公正価値変動が、公正価値変動全体に対して支配していないことを示すために、
グループはヘッジ対象とヘッジ手段両方にとってのすべての環境を検討して、信用度を総合的に評価
している。
経済的ヘッジ関係がIFRS第9号に従ったヘッジ関係として適格ではない場合、グループは、潜在的
な会計上のミスマッチを低減するために、取引開始日にヘッジ対象を取消不能で公正価値オプション
(「FVO」)に指定する。すなわち、ヘッジ対象はその後に純損益を通じた公正価値(「FVTPL」)で
測定される。
グループが金融負債を公正価値オプション(「FVO」)に指定する際、「自行信用リスク調整」
(「OCA」)と呼ばれる信用リスクの変動に起因する公正価値の変動額は、その他の包括利益の「公正
価値準備金」に表示される(注R)。
公正価値ヘッジが上記適格基準を満たしている限り、ヘッジ関係は以下のように会計処理されるも
のされる。
- ヘッジ手段に係る公正価値損益は、連結貸借対照表および連結損益計算書で認識される。
- ヘッジ対象に係る公正価値損益は、(該当する場合)ヘッジ対象の帳簿価額を修正し、連結損
益計算書で認識される(いわゆる、「ベーシス調整」)。ヘッジ対象が未認識の確定契約債務
の場合、指定後のヘッジ対象の公正価値の累積的変動は、資産または負債として認識され(対
顧客貸付金および預け金などのそれぞれの連結貸借対照表科目で認識される)、対応する利益
または損失は連結損益計算書で認識される。ヘッジ関係の指定およびヘッジ対象の公正価値の
計算は、取引日に開始される。ヘッジ指定が遅延した場合には、ヘッジ指定日時点でヘッジ対
象に係る公正価値損益が計算され、実効金利法に従ってヘッジ関係の期間にわたって償却され
る。その後、会計処理は上記のヘッジ関係の通常の過程に従う。
IFRS第9号で認められているように、グループは外貨ベーシス・スプレッド(「CBS」)をヘッジ手
段(「CCIRS」)から分離し、ヘッジ対象と相互関係を持つ範囲で、ヘッジコスト・アプローチとして
知られている特別な取扱いを適用する。指定日に測定され繰り延べられたヘッジ手段の当初CBSは、
ヘッジの残りの全期間にわたり直線的に償却される。CBSのその後の公正価値の変動は、その他の包括
利益の独立科目で直接的に認識される。CBSの公正価値は、満期日でゼロに収束し、したがってその他
の包括利益に計上された金額が連結損益計算書に振り替えられる必要はなくなる。
ヘッジ関係の(部分的な)指定解除の代表的な理由は、ヘッジの有効性基準の違反をもたらすヘッ
ジ対象のおよび/またはヘッジ手段の契約条件の変更、部分的な期限前償還/買戻し/早期期限満
了、ならびにヘッジ対象またはヘッジ手段の信用リスクに起因する部分が支配的となる信用リスクの
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増加である。ヘッジ対象の全額の期限前償還/全額の買戻し、またはヘッジ対象の連結貸借対照表か
らの除外を引き起こすその他の事象の場合に、ヘッジ関係の中止が起こり得る。
ヘッジの非有効性は、ヘッジ手段とヘッジ対象のヘッジ利益またはヘッジ損失の差異と定義され
る。非有効性の考え得る源泉は以下のとおりである。
- スワップのCVA/DVA/CollVAが金利変動に起因するヘッジ対象の公正価値に反映されていな
い。
- ヘッジ手段とヘッジ対象の評価に異なった割引率およびフォワードカーブが使用されている。
- 重要な条件の重要性のない乖離(許容される閾値の範囲内)。
- IBOR改革の結果としての、i) ISDAフォールバック・プロトコルの修正の適用を受けたヘッジ手
段の再測定、および、ii) 英ポンド、スイス・フランおよび日本円のLIBORの割引カーブの調整
によるヘッジ対象の再測定から発生する軽微な一回限り(2021年移行時)の評価差額。
ヘッジ会計の損益実績は連結損益計算書の「金融業務損益」で認識されているが、これは、ヘッジ
コスト・アプローチによる当初CBSの償却による影響も受けている。連結損益計算書のこの科目には、
グループがマクロベースでの金利リスクのヘッジに使用しているが、ヘッジ会計を適用していないデ
リバティブに起因する損益も含まれる。
IBOR改革との関連におけるヘッジ対象、ヘッジ手段およびその他のデリバティブの公正価値の決定
IBOR改革との関連において、米ドル建ての公正価値ヘッジ関係については、グループはIASBのIBOR
プロジェクトのフェーズ1を適用している。EIBは、2021年3月よりISDAのIBORフォールバック・プロ
トコルを遵守している。したがって、関連するLIBOR指標のヘッジ手段のキャッシュ・フローを決定す
るため、フォールバック・レートを導入している。
同様に、EIBは、英ポンド、スイス・フランおよび日本円建てのヘッジ対象の公正価値の決定に際し
ては経済的に同等の修正割引率を適用しており、米ドル建てのヘッジ対象の公正価値は米ドルLIBORの
割引カーブを使用して決定している。
ヘッジ関係は、ヘッジ手段の契約上のキャッシュ・フローを決定するための基礎がIBOR改革の直接
の結果として変更され、かつ、それが従前の基礎(すなわち、変更直前の基礎)と経済的に同等であ
る場合には、中止されない。また、グループによるIFRS第9号に基づくヘッジ会計の導入以降、グ
ループのすべての既存および新規のヘッジ関係に関する正式なヘッジ文書には、IBOR改革を見越し
て、代替的な金利指標の参照が含まれている。したがって、グループはフェーズ1の終了時点でLIBOR
(1)
の後継金利指標がヘッジ対象リスクになるとみなしている 。
(1) IBOR改革に起因する不確実性が存在しなくなった時点。
その結果、グループは当該ヘッジ手段およびヘッジ対象の累積変動額を、関連する新しい代替指標
金利に基づいて再測定している。一回限りの移行時における差額は、EIBの損益計算書の「金融業務損
益」に計上されている。
ヘッジ手段のデリバティブと同様に、ヘッジ会計を適用していないデリバティブのキャッシュ・フ
(2)
ローは、LIBOR指標に代わるISDAフォールバック・レートを使用して算定された 。
(2) 米ドルLIBORを参照するキャッシュ・フローは、米ドルLIBORの設定が廃止されていない場合に
は、LIBOR指標を使用して決定される。
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A.4.6. 金融商品の公正価値
デリバティブ金融商品は、取引日基準により当初認識される。
金融商品の公正価値
公正価値は、グループが測定日時点で利用することができる主要な市場、またはその市場が存在し
ない場合は最も有利な市場における、測定日の市場参加者間の秩序だった取引において、資産の売却
により受領する、あるいは負債の移転で支払う価格である。負債の公正価値には、不履行リスクが反
映されている。
該当する場合には、グループは商品の公正価値を当該商品の活発な市場における公表価格を使用し
て測定する。当該資産または負債について、継続的に価格情報を提供するために十分な頻度と量の取
引が行われる場合、市場は活発とみなされる。
連結貸借対照表に計上する金融資産および金融負債の公正価値は、活発な市場から入手できない場
合は、数学的モデルの使用も含め、評価技法を用いて算定する。これらのモデルに使用するデータ
は、可能であれば観察可能な市場から入手するが、不可能な場合は、時価の設定に際しある程度の判
断を要する。選択された評価技法には、市場参加者が取引の価格決定の際に考慮すると考えられるす
べての要素が組み込まれる。
グループがその市場リスクまたは信用リスクのいずれかについて正味エクスポージャー・ベースで
管理している市場リスクまたは信用リスクのある金融資産または金融負債のポートフォリオは、特定
のリスク・エクスポージャーについてその正味ロング・ポジションを売却する際に受け取る価格また
は正味ショート・ポジションを移転するために支払う価格に基づいて測定される。これらのポート
フォリオ・レベルでの調整は、個別の資産および負債にポートフォリオ内の個別の商品それぞれの相
対的リスク調整に基づいて配分される。
グループは公正価値での測定に使用されるインプットの重要性を反映した以下のヒエラルキーを用
いて公正価値を測定する。
- レベル1:グループが利用可能な同一の商品の活発な市場における未修正の公表市場価格であ
るインプット
- レベル2:レベル1に含まれる公表市場価格以外の、直接的(価格等)あるいは間接的(価格
から導出された値等)に観察可能なインプット。このカテゴリーには、類似した商品について
の活発な市場における公表市場価格、同一または類似した商品についての活発ではない市場に
おける公表市場価格、またはすべての重要なインプットが直接的または間接的に市場データか
ら観察可能なその他の評価技法を使用して評価される商品が含まれる。
- レベル3:観察不能なインプット。このカテゴリーには、評価技法に観察可能なデータに基づ
いていないインプットが含まれ、観察不能なデータが当該商品の評価額に重要な影響を持つす
べての商品が含まれる。このカテゴリーには、類似した商品の公表市場価格に基づいて評価さ
れ、商品間の相違を反映するために重要な観察不能な修正または仮定が必要とされる商品が含
まれる。
グループは、公正価値ヒエラルキーのレベル間の移動を、変更が起きた報告期間の期末時点で認識
している。
A.4.7. 受取手数料
グループは様々な種類のサービスを顧客に提供することにより、受取手数料を得ており、これらの
受取手数料はIFRS第15号に従って会計処理されている。グループは、約束されたサービスの支配を顧
客に移転することによって履行義務が充足された際に、収益を認識する。原則として、顧客はその
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サービスを直接利用する能力、またはそのサービスからの実質的にすべての利益を得る能力を得た時
点で支配を獲得する。一部の状況では、支配が移転した時点を判定するために、判断が必要となり得
る。
受取手数料は、以下に基づいて大きく2種類に分けられる。
- 一定期間:一定期間にわたって、グループが履行義務を充足し、その結果、支配を移転する。
- 一時点(ポイント・イン・タイム):グループが履行義務を充足し、一定時点で顧客に支配を
移転する。
受取手数料の主要な源泉は、保証、貸付金および第三者マンデートによるサービスである。
受け取った受取手数料の金額は、確約されたEUの拠出のパーセンテージなどの様々な構成要素に応
じた、または単一の履行義務に関連付けられた特定の基準に基づいて、固定されている場合もあれば
変動する場合もある。対価が変動金額を含む場合、グループは顧客へのサービスの移転と引き換えに
受け取る権利を有する対価の金額を見積る。
変動対価は、契約開始時に見積られ、変動対価に関する不確実性が後に解消された際に、認識した
収益の累計額において重要な収益の戻入れが発生しない可能性が非常に高い範囲に制限される。
一定期間にわたって充足される収益による受取手数料は、サービスの提供期間にわたって発生主義
により計上される。一時点でのサービスの提供または履行からの受取手数料は、サービスの提供が完
了した際に計上される。
一定期間にわたって充足される履行義務に関して、グループは、当該履行義務の充足に対するグ
ループの努力またはインプットを基準として収益を認識するために、「インプット法」を使用し、手
数料を時間の経過と共に認識している。
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履行義務に関しては、管理手数料の最大金額または「キャップ」が特定のマンデートに適用され
る。これが適用される場合、通常は15年から25年のマンデートが終了する前に管理手数料を受け取ら
なくなる可能性が高く、管理手数料はマンデートの最初の数年など、限られた期間に支払われること
になり、したがって、履行したサービスおよびグループで発生する費用と相関しなくなる。
この事項に対処するために、グループは繰延収益方針(「契約負債メカニズム」とも呼ばれる)を
使用している。契約負債メカニズムは、マンデートに関連してグループで発生する総費用に基づいて
おり、すべての新しいマンデートについてその承認プロセスの一環として事前金融モデルを使用す
る。この繰延方針は、持続可能な業務および契約の進捗度に基づいた収益認識を確実にする。それぞ
れの調整は、連結貸借対照表の「繰延収益」に計上される。
A.4.8. 中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期証券、確定利付証券を含む負債証券、ならびに株
式およびその他の変動利付証券
連結貸借対照表科目「中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期証券」および「確定利付証券を
含む負債証券」には以下が含まれる。
- 償却原価で測定される負債証券
- 強制的に純損益を通じた公正価値で測定される負債証券
- 純損益を通じた公正価値での測定に指定された負債証券
A.4.8.1. 短期財務ポートフォリオ
グループの短期財務ポートフォリオ(「TMP」)は、以下の目的で保有されている。
- EIBの主たる流動性バッファーとして、EIBが資金活動を実施したあらゆる通貨で、必要とされ
る現金を適時に提供する。
- 金融市場の状況およびグループにおける適切な水準の流動性維持という以前の包括的な目的と
矛盾なく、適切な振替価格を取り扱う。
このポートフォリオは、短期国庫証券および公共機関や金融機関が発行した譲渡可能負債証券等
の、満期が12ヵ月以下の短期金融市場商品によって構成されている。これらの有価証券は、当初、公
正価値に直接帰属する取引費用を加えた値で計上される。有価証券の帳簿価額と償還金額との差額
は、保有する有価証券の残存期間にわたり実効金利法により償却される。
このポートフォリオにおける有価証券は、契約上のキャッシュ・フローを回収する目的で保有され
ており、償却原価での測定に分類されている。このビジネスモデルの一環として、売却の頻度は低
い、あるいは売却額には重要性がないとみなされる。
A.4.8.2. 有価証券流動性ポートフォリオ(「SLP」)
有価証券流動性ポートフォリオ(「SLP」)は、政府、国際機関、金融機関および企業が発行または
保証した上場負債証券で構成されている。このポートフォリオのビジネスモデルは、資産クラスの配
分を変更することによるデュレーションの迅速な再調整および信用リスクの軽減を可能にするために
デリバティブを使用し、長期資産を売却するグループの能動的な運用により動かされているため、こ
のポートフォリオにおける有価証券は強制的に純損益を通じた公正価値で測定されている。
売却または償還により実現された損益および公正価値変動による未実現損益は、「金融業務損益」
として計上される。SLPの資産からの受取利息は、「受取利息および類似収益」に含められている。
「有価証券流動性ポートフォリオ」の時価は、第一情報源としての活発な市場における公表相場価
格に基づいている。入手できる公表相場価格がない金融商品については、市場参加者からの提示価格
を入手することにより、および/または評価手法もしくはモデルを使用して、時価を決定している。
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評価手法もしくはモデルは観察可能な貸借対照表日現在の実勢市場データに基づくことが可能である
場合に用いられる。
A.4.8.3. 長期高品質流動資産(HQLA)ポートフォリオ(「LTHP」)
従来の長期ヘッジポートフォリオ(「LTHP」)は、2021年に長期高品質流動資産(HQLA)ポート
フォリオ(「LTHP」)に改編された。この改編とは、ポートフォリオの規模、新たな適格通貨および
承認されている投資の範囲の変更等である。
このポートフォリオの主要な目的は、高格付けの流動性の高い債券で構成された、EIBのユーロおよ
び米ドルでの中核的な長期の流動性準備金としての機能を果たすことである。
この新しい改編の下では、以下によって発行または保証された有価証券への投資が認められる。
- 欧州連合加盟国政府およびアメリカ合衆国(USA)政府
- 欧州連合、欧州安定メカニズム、欧州金融安定基金
この改編後のポートフォリオの下で購入した有価証券に関するビジネスモデルに変更はなく、当該
有価証券は、引き続き満期まで保有し契約上のキャッシュ・フローを回収する目的で購入されるた
め、償却原価での測定に分類されている。このビジネスモデルの一環として、売却の頻度は低い、あ
るいは売却額には重要性がないとみなされる。
LTHPの有価証券がヘッジ会計の適格性基準(注A.4.5)を満たしている場合、償却原価はヘッジ対象
のリスクに起因する公正価値で調整され、連結損益計算書の「金融業務損益」に認識される。ヘッジ
の公正価値測定は、割引キャッシュ・フロー技法に基づく。
A.4.8.4. EIF運用ポートフォリオ
EIF運用ポートフォリオは、以下の2つの目的を持つ。
- 投資の長期的性質に見合ったリターンを提供する。
- 副次的な流動性としての役割を果たす。
債券、ノート、その他の債務などの長期負債性金融商品に対する投資で構成される。
このポートフォリオにおける有価証券は、満期まで保有して契約上のキャッシュ・フローを回収す
る目的で保有されており、そのため、償却原価での測定に分類されている。このビジネスモデルの一
環として、売却の頻度は低い、あるいは売却額には重要性がないとみなされる。
A.4.8.5. 代替貸付金ポートフォリオおよびABSポートフォリオ・EIF
代替貸付金ポートフォリオおよびABSポートフォリオ・EIFは、満期まで保有して契約上のキャッ
シュ・フローを回収する目的の、主に特別目的事業体(「SPV」)または信託事業体が発行した債券、
ノートあるいは証書の形の債務で構成されている。
代替貸付金は、契約上関連している商品または複数または単一のトランシェの商品の形をとり得
る。このポートフォリオへの投資がSPPI基準に適合する場合、償却原価での測定に分類される。ただ
し、投資が代替固定金利貸付金の性質を持ち、ヘッジ会計適格であるため(注A.4.5)、ヘッジ関係に
指定され、償却原価がヘッジ対象のリスクに起因する公正価値について調整される場合は除く。
ヘッジの公正価値測定は、割引キャッシュ・フロー技法に基づく。
経済的にヘッジされたがヘッジ会計に含めることができない代替貸付金は、ヘッジ手段が純損益を
通じた公正価値での測定に分類されることから生じる会計上のミスマッチを低減するために、取消不
能で公正価値オプションに指定される。
代替貸付金ポートフォリオに含まれる、SPPI基準を満たさない契約上関連している複数または単一
のトランシェの商品は、強制的に純損益を通じて公正価値で測定される。
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代替貸付金のフロントエンド・フィーは繰り延べられ、実効利回りの調整として認識されて、関連
する代替貸付金の実行から返済までの期間にわたって連結損益計算書に計上される。フロントエン
ド・ フィーは繰り延べられ、原代替貸付金の残存期間にわたり、損益計算書上の「受取利息および類
似収益」で認識される。
代替貸付金の未実行部分は、名目値で連結オフ・バランスシートに記録される。
負債証券の減損
グループは、財務ポートフォリオに係る信用リスクは、その固有の信用リスクの低さから、当初認
識時から大幅に増加していないとみなしている。財務ポートフォリオの負債証券(債券、割引証券
等)に関連する信用リスクは、内部方針に従って、当初の最低格付を投資適格以上として、健全なカ
ウンターパーティーおよび発行体を選択することにより管理されている。また、各財務報告日時点
で、財務ポートフォリオの資産が低信用リスク基準に適合することを確実にするために、定期的な評
価が実施されている(注S.2.4を参照)。
その結果、償却原価で測定される財務ポートフォリオ資産に関連する貸倒引当金は、12ヵ月ECLに相
当する金額で算定される。
代替貸付金については、貸付金および預け金に適用されるECLの減損モデルが代替貸付金ポートフォ
リオ内の償却原価で測定される商品に加え、関連する未実行のコミットメントにも同様に適用され
る。
IFRS第9号に基づくそれぞれの貸倒引当金は、注A.4.4で説明されている減損モデルに従って、12ヵ
月ECLまたは全期間ECLのいずれかに基づいて算出される。
A.4.8.6. 株式およびその他の変動利付証券
この連結貸借対照表科目には、以下が含まれる。
- 強制的に純損益を通じて公正価値で測定される金融商品
- その他の包括利益を通じた公正価値での測定に指定された金融商品
- 純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融商品
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グループの株式ポートフォリオは、主にプライベート・エクイティおよびベンチャー・キャピタル
事業、債券ファンド、インフラ基金、投資基金および欧州復興開発銀行(「EBRD」)参加持分で構成
され、公正価値で計上されている。
プライベート・エクイティ、ベンチャー・キャピタル、債券ファンド、インフラ基金、投資基金
プライベート・エクイティおよびベンチャー・キャピタル(「VC」)事業、債券ファンド、インフ
ラ基金ならびに投資基金は、強制的に損益を通じた公正価値で測定されており、公正価値の変動は
「金融業務損益」に計上される。
EIBが実施する一部の共同投資では、投資は取得原価で当初認識され、純払込額は合意されたウォー
ターフォールに従って配分された資本返済控除後の出資履行額である。
これらの投資の未実行だが確約した部分は、名目値で連結オフ・バランスシート・コミットメント
に計上される。
公正価値(ウォーターフォールの適用がある場合は、適用前)は、合計純資産価額(「NAV」)法を
適用して測定される(容易に確認可能な市場価値は欠如しているが、NAVが公正価値の最良見積とみな
す)。
この評価方法では、組み入れられたファンドのNAV(年度末のファンド・マネージャーの報告書より
前の最新の利用可能な情報に基づく)がIFRS第13号に準拠して算定された公正価値の最良見積と考え
られる場合には、全ファンドのNAV合計も同じように算定された公正価値に相当すると暗黙的に仮定し
ている。公正価値は、次のいずれかを、利用可能な場合に優先順位に従い適用して決定される。
- 各ファンド・マネージャーから提出された、利用可能な直近の日におけるグループの持分価値
- グループが保有する株式数または口数に、ファンド・マネージャーが報告する利用可能な直近
の日の1株当たりまたは1口当たりの価格を乗じた値
- 特定のコンパートメントにおけるグループの所有比率に、最新のファンド・マネージャーの報
告に反映された当該特定のコンパートメントの純資産価額(「NAV」)を乗じた値
- 当該ファンドにおけるグループの所有比率に利用可能な直近のファンドNAVを乗じた値
EIBが実施する一部の共同投資においては、公正価値は合意されたウォーターフォールの計算に基づ
いて決定される場合がある。
また、入手可能な直近のNAVの日付から貸借対照表日の間に発生した事象について調整することが重
要と経営委員会がみなす場合に限り、EIB帰属分のNAVに対してかかる調整を行う。
これに関連して、ウクライナにおける戦争からもたらされる不確実性および各種のリスクの全般的
な状況を受けて、グループは、グループの財務書類の報告日時点でファンド・マネージャーが報告し
ていないNAVについて、VC投資の公正価値の調整を見積もるために、評価技法を強化した。特に、グ
ループはこれらの投資の公正価値を決定するために、以下の要素を検討する。
- 市場から収集した知見に基づく情報
- ポートフォリオ間の相関関係を検討することによる、関連するベンチマークのパフォーマンス
とポートフォリオのパフォーマンスとの比較
- 報告日時点で入手可能な前四半期のNAVから観察可能な推移
3つの要素をすべて考慮した上で、グループは、最良見積りを導き出すためにポートフォリオに適
用される調整率があれば、それを決定することができる。
NAVが容易には決定できない特定の投資に関しては、他の指針(例えばインターナショナル・プライ
ベート・エクイティ・ベンチャー・キャピタル・バリュエーション(「IPEV」)理事会が公表したイ
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ンターナショナル・プライベート・エクイティ・ベンチャー・キャピタル評価ガイドライン等)が使
用されることもあり、その場合はより綿密な監視と検証が必要とされる。この方法に従い、ファンド
は 内部的に次の3種類に分類される。
- カテゴリーI IFRS第13号またはIPEVガイドラインの公正価値要件を適用しており、NAVが信頼性
の高い公正価値の見積りであることを確認するため特定の検証が実施されているファンド。
- カテゴリーII IFRS第13号に沿ったものと考えることができる他の評価ガイドライン(旧EVCAの
2001年版ガイドライン等)または評価基準を適用しており、同等のNAVの計算が可能なファン
ド。
- カテゴリーIII IFRS第13号またはそれに沿った他の評価ガイドラインの公正価値要件を適用し
ていないファンド。
セカンダリーセール
ベンチャー・キャピタル・ファンドおよび投資ファンドに係るセカンダリーセール取引により、原
資産の認識が中止される。
セカンダリーセールからの損益は「金融業務損益」に計上され、売却手取額と正味帳簿価額の差異
として算出される。
共同支配企業および関連会社における持分
グループはIFRS第11号およびIAS第28号に含まれるベンチャー・キャピタル企業および同様の事業体
の測定の適用除外を使用するために必要な条件を充足しており、その結果、かかる投資に関して持分
法会計や比例連結を使用しないことを決定している。当初認識時に、共同支配企業や関連会社に対す
る持分は純損益を通じた公正価値での測定の区分に指定されており、以後はIFRS第9号に従って公正
価値で測定されて、公正価値の変動はその変動があった年度の連結損益計算書上で認識されている。
共同支配企業は、グループと他の当事者が共同支配の対象となる経済活動の実施を約束した契約合
意である。共同支配とは契約により合意された経済活動に対する支配の共有で、活動に関する戦略
上、財務上または業務上の決定が支配を共有する当事者(合弁参加者)全員の同意を必要とする時に
のみ存在する。一般的に、グループが自己勘定で、または委任者に代わって取得する参加権は、プラ
イベート・エクイティまたはベンチャー・キャピタル・ファンドへの投資である。業界の慣行によれ
ば、そのような投資は概して多数の投資家が共同で応募する投資であり、どの投資家も当該ファンド
の日々の運営および投資活動に対し、個人的に影響力を行使することはできない。
結果として、ある投資家がそのようなファンドの統治機関のメンバーになったとしても、原則的に
は、それにより当該投資家がそのファンドの日々の運営に影響を与える権利を手にするものではな
い。さらに、プライベート・エクイティやベンチャー・キャピタル・ファンドに対する個別投資家
は、配当その他の分配に関する方針等、ファンドの方針を決定することがない。一般的にそのような
決定は、ファンドの経営陣と全株主の権利および義務を規定した株主契約に基づき、ファンドの経営
陣が行っている。また一般的に株主間の合意は、個別投資家がファンドとの間で実質的な取引を行っ
たり、役員を相互に交換したり、重要な専門情報にアクセスする特権を得たりすることも防止してい
る。グループが自己勘定で、または委任者に代わって行う投資は、上記の業界慣行に沿って執行され
る。加えて、グループはこれらの投資からのリターンの変動性にさらされている。したがって、支配
を有しているかどうかを検討する際に、グループはこれらの投資リターンに最も著しく影響を及ぼす
主要な決定を管理しているかどうかを評価する。その結果、そしてIFRS第10号に従って、グループは
これらの事業体を支配していないと結論した。関連会社は、グループが財務および業務上の方針に対
して重要な影響力を持つが、支配力または共同支配力を持たない企業である。
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EBRD参加持分
グループはまた、EBRDへの参加持分を保有しているが、この投資は長期戦略的目的で行われたた
め、取消不能でその他の包括利益を通じた公正価値での測定に指定することをグループの経営陣は選
択した。
当初認識時に、グループはこの参加持分を公正価値に取引費用を加算した値で測定している。その
後、外貨換算損益を含む公正価値変動による損益はその他の包括利益で認識され、当該損益はたとえ
処分時であっても純損益に組み替えられることはない。
グループにより応募済であるがEBRDへの投資について払込未請求の資本は、連結オフ・バランス
シートのコミットメントとして記録されている。
A.4.9. 金融機関および対顧客貸付金および預け金
金融機関および対顧客貸付金および預け金には、主に直接借手に資金が提供される貸付金が含まれ
る。
貸付金および預け金は、現金が借手に渡った時に認識される。それらは当初原価(正味実行額)、
すなわち貸付金の公正価値に付随費用を含めたもので計上され、その後は実効金利法により償却され
る。貸付金の未実行部分は、名目値で連結オフ・バランスシートのコミットメントに記録される。
貸付金がヘッジ会計の適格性基準(注A.4.5)に適合する場合、当該貸付金に係る公正価値ヘッジ損
益は、貸付金の帳簿価額を修正し、連結損益計算書の「金融業務損益」で認識される。
貸付金が公正価値オプションの基準に適合するか、あるいは償却原価もしくはその他の包括利益を
通じて公正価値で測定に分類される基準(注A.4.3)に適合しない場合、当該貸付金は、当初の認識時
に連結損益計算書を通じた公正価値での測定に指定され、その公正価値で測定される。この場合、割
引キャッシュ・フローを公正価値の見積り方法として採用する。公正価値評価に指定された貸付金
は、連結貸借対照表に公正価値で計上される。公正価値の変動は「金融業務損益」に計上される。ま
た、強制的に損益を通じて公正価値で測定される貸付金部分については、 EIB は 市場の状況をより反映
させるため、2022年に各商品の市場ベンチマークに対する感応度の推定手法を精緻化した。
償却原価で測定される金融機関貸付金および預け金、ならびに対顧客貸付金および預け金の再測定
に対するIBOR改革の影響については、注A.4.3「分類および測定」の「条件変更」と題する項を参照の
こと。
ヘッジ会計の適格基準を満たす金融機関貸付金および預け金、ならびに対顧客貸付金および預け金
の再測定に対するIBOR改革の影響については、注A.4.5「デリバティブおよびヘッジ活動」の「IBOR改
革との関連におけるヘッジ対象、ヘッジ手段およびその他のデリバティブの公正価値の決定」と題す
る項を参照のこと。
公正価値オプションの下で報告される英ポンド、スイス・フランおよび日本円の各通貨建ての金融
機関貸付金および預け金、ならびに対顧客貸付金および預け金の再測定に対するIBOR改革の影響につ
いては、EIBは経済的に同等の割引率を適用しており、米ドル建てのヘッジ対象の公正価値は米ドル
LIBORの割引カーブを用いて決定されている。
A.4.9.1. 貸付金利息
グループによる貸付金の利息は、実効金利法によって連結損益計算書では「受取利息および類似収
益」に、連結貸借対照表では「貸付金および預け金」に計上される。
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A.4.9.2. リバース・リパーチェス契約(「リバース・レポ」)
リバース・リパーチェス契約は、担保有価証券を提供する金融機関に対してグループが流動資金を
貸し出す取引である。双方の当事者は、確定日に確定金額で取引を行うという取消不能の契約を結ぶ
ことになる。
この取引は、支払引替渡しの原則に基づき行われる。すなわち流動資金の借手は、契約価額での決
済と引き換えに、グループの保管業者に有価証券を引き渡し、これによってグループに金融市場と連
動したリターンが発生する。
こうした種類の業務は、グループの目的から、保証された金利が付加された貸付とみなされる。こ
れらの取引は一般的に有担保金融取引として取り扱われるため、提供または受領した現金額に未収
(経過)利息を加えた金額で計上されている。リバース・レポは、連結貸借対照表の資産側の「金融
機関貸付金および預け金: b) その他の貸付金および預け金」に計上される。
リバース・リパーチェス契約に基づいて受け取った有価証券は、有価証券に含まれる契約上の権利
を支配できない限り、連結貸借対照表において認識されない。グループは、これらの受け取った有価
証券の市場価格を日々管理しており、原契約に従い追加担保を要求する。
A.4.9.3. 定期預金および要求払預金(「預金」)
預金とは、グループが一定期間、または当事者間で合意した収益に対して要求払いで、金融機関ま
たは顧客に流動性のある資金を貸し付ける業務である。預金は、連結貸借対照表の資産側の「金融機
関貸付金および預け金: その他の貸付金および預け金」に額面金額で計上される。
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A.4.9.3.1. 預金およびリバース・リパーチェス契約に係る利息
預金およびリバース・リパーチェス契約に係る利息は、それぞれの契約の期間にわたり受取利息ま
たは支払利息として計上される。預金およびリバース・リパーチェス契約に係る利息は、それぞれの
契約の期間にわたり「受取利息および類似収益」または「支払利息および類似費用」として計上され
る。
A.4.9.4. 貸付金手数料
貸付金のフロントエンド・フィーは、融資枠の発生および維持に関連する直接費用と共に繰り延べ
られ、実効利回りの調整として関連する貸付金の実行から返済までの期間にわたり連結損益計算書に
計上される。融資が実行されることなく融資枠の期間が満了した場合の手数料は、満了時に一括して
認識される。フロントエンド・フィーは繰り延べられ、原貸付金の残存期間にわたり、損益計算書上
の「受取利息および類似収益」で認識される。
A.4.9.5. 利子補助金
前受利子補助金(注F)は繰り延べられ、実効利回りの調整として認識されて、補助金支給対象貸付
金の実行から返済までの期間にわたって連結損益計算書の「受取利息および類似収益」に計上され
る。
A.4.10. 貸付金および預け金の減損
グループ内では、予想信用損失減損モデルは償却原価で測定される貸付金および預け金だけでな
く、連結オフ・バランスシートのコミットメントにも適用されている。IFRS第9号に基づく貸倒引当
金は、注A.4.4で分析されている減損モデルに従って、12ヵ月ECLまたは全期間ECLのいずれかに基づい
て測定される。
A.4.11. 金融保証
金融保証契約は、特定の債務者が、負債性金融商品の条件に従って支払期日に支払いを履行できな
い場合に、グループに、その商品の保有者に損失を補填するための所定の支払いを義務付ける。
発行済の金融保証は通常、オフ・バランスシート項目として会計処理され開示される。
金融保証は当初総額アプローチを使用して会計処理され、受取レッグと支払レッグは相殺されて連
結貸借対照表に公正価値で認識される。
EIBグループの金融保証契約は単独の独立企業間取引として非関連当事者に対して発行されるため、
契約開始時におけるその公正価値は受取プレミアムと同額とみなされる。当初認識時において、支払
義務は、予想プレミアムの正味現在価値(「NPV」)または当初予想損失に対応する。
その後、金融保証は総額アプローチを使用して会計処理され、将来の受取プレミアムは金融資産と
して独立して計上され公正価値で測定される一方で、金融負債は、以下のうち高いほうの金額で測定
される。
- IFRS第9号の下で算定される損失引当金の額。
- 当初認識額、すなわち、NPVから、適切な場合に、IFRS第15号の原則に従って認識された累積償
却額を控除した金額。
適合する場合、予想プレミアムの正味現在価値(「NPV」)および予想支払義務の金額は相殺され
る。
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企業は、IAS第32号に従って、以下の場合に限り、金融資産と金融負債とを相殺し(純額表示)、純
額を連結貸借対照表に表示しなければならない。
- 認識している金額を相殺する法的に強制可能な権利を現在有している。
- 純額で決済するかまたは資産の実現と負債の決済を同時に実行する意図を有している。
金融保証契約の測定の結果として正味資産ポジションとなった場合、それぞれの保証は「その他の
資産」として連結貸借対照表に表示される。
金融保証契約の測定の結果として正味負債ポジションとなった場合、それぞれの業務は連結貸借対
照表に以下のように表示される。
- 償却後の当初NPVが12ヵ月ECLまたは全期間ECLよりも高い契約については、「その他の負債」
- 信用減損があり、したがって全期間ECLに基づいた損失引当金が認識されている契約について
は、「保証および契約債務引当金」
金融保証が純額表示の対象ではない場合、資産サイドと負債サイドはグループの貸借対照表上で、
別々に表示される。
金融保証に関連する「その他の資産」または「その他の負債」の増加または減少は、連結損益計算
書の「金融業務損益」に認識される。
保証履行請求に対する決済以外の金融保証に伴う「保証および契約債務引当金」の増加または減少
は、連結損益計算書の「貸付金および預け金の減損ならびに保証引当金の変動(戻入れ控除後)」に
認識される。
受取プレミアムは、連結損益計算書の「受取手数料」で認識される。前受手数料は連結貸借対照表
の「繰延収益」で認識され、金融保証期間にわたって定額法で連結損益計算書において償却される。
A.4.12. 有形固定資産
有形固定資産には、土地、グループが使用している不動産ならびにその他機械および設備が含まれ
る。
有形固定資産については、定期的に減損の検討が行われている。
土地は、取得原価で計上されており、建物は、取得原価から減価償却累計額および減損累計額を控
除した金額で計上されている。ルクセンブルクのキルヒベルクに所在する本店の建物、ならびに同国
のワイマールショフの建物の取得原価は、以下のように定額法で減価償却されている。
恒久使用の設備および備品、家具、事務機器ならびに自動車は、取得価額から減価償却累計額およ
び減損累計額を控除した金額で連結貸借対照表に計上される。
減価償却費は購入品目ごとに、以下に示されている見積耐用年数の期間にわたって定額法で計算さ
れている。
- キルヒベルクおよびワイマールショフの建物:30年
- 恒久使用の設備および備品:10年
- 家具:5年
- 事務機器および自動車:3年
建設仮勘定資産は、工事が完了し、当該資産が意図された目的のための使用に供されることが可能
となるまで、その減価償却累計額は計上されない。
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A.4.13. 無形資産
無形資産には、コンピューター・ソフトウェアが含まれている。ソフトウェア開発費は、識別可能
性、企業への将来の経済的便益の流入可能性、取得原価測定の信頼性に関する特定の基準を満たした
場合に資産計上される。
無形資産は資産として認識され、見積経済耐用年数にわたり定額法で償却される。無形資産は、連
結貸借対照表日ごとに減損または将来の予測便益の変化の兆候について検討されている。もし、その
ような兆候が存在する場合は、帳簿価額が全額回収可能かどうかを評価する分析が行われる。帳簿価
額が回収可能額を超える場合は、減損を行う。
これらの基準に適合する自社開発のソフトウェアは、償却累計額(完成から3年にわたり定額法で
計算)および減損累計額控除後の取得原価で計上されている。
建設仮勘定資産は、作業が完了し、当該資産が意図された目的のための使用に供されることが可能
となるまで、その償却累計額は計上されない。
A.4.14 年金制度および健康保険制度
グループは、ほぼすべての職員に退職給付を提供するため、確定給付年金制度を運営している。ま
た、グループはEIBの元職員に対して、特定の追加的な退職後医療費給付も行っている。これらの退職
給付はIAS第19号の定義による非積立型の年金制度である。年金給付に要するそれぞれの年金制度の費
用は、予測単位積立数理評価方式により決定される。確定給付年金制度に関する連結損益計算書上の
費用は、資格を有する外部の保険数理士により確定された当期の勤務費用および利息費用に基づき計
上される。
A.4.14.1. 職員年金制度
EIBの主な年金制度は職員とEIBの拠出金を原資とする確定給付年金制度で、EIBの全職員が対象とさ
れている。EIBおよびその職員の全拠出額がEIBの資産へ投資されている。
退職給付債務は、適正な債務水準となるように予測単位積立方式を用いて、少なくとも年に1度は
評価を受ける。最新の評価は、2022年9月30日現在の加入者データおよび2022年12月31日までの
キャッシュ・フローに基づき、2022年12月31日現在で実施された。保険数理士が用いた主な仮定につ
いては、注Jを参照のこと。
数理計算上の積立過不足累計額は、全額が「その他包括損益」で認識される。純利息費用は、連結
損益計算書の「支払利息および類似費用」で認識される。
EIFの主要な年金制度は、職員とEIFの拠出金を原資とする確定給付年金制度で、全EIF職員が対象と
されている。この制度は、従来の確定拠出年金制度に代わり、2003年3月に実施された。
A.4.14.2. 健康保険制度
EIBは職員のため、EIBおよび職員の拠出金を原資とする独自の健康保険制度を設けている。これ
は、確定給付制度として会計処理される非積立型の制度である。定年退職年齢にある職員について
は、特定の引当金が連結貸借対照表の負債側に計上される。EIFは定年退職年齢に達した職員の福利厚
生のため保険会社の健康保険制度に加入しており、EIFとその職員からの拠出金を原資としている。
これらの給付の受給資格は、定年退職年齢まで職員が勤めあげること、および最低勤続年数を満た
していることである。この給付の見積給付費用は、確定給付年金制度と同じような方法を用いて、雇
用期間にわたり発生する。健康保険債務は、年金制度と同日に行われる保険数理計算に基づいて算定
される。
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A.4.14.3. 経営委員会委員年金制度
グループ連結貸借対照表の「負債」に表示されている関連する引当金は、すべての制度がそうであ
るように、IAS第19号に準拠して算定されたものである。給付額は、勤続年数と当該制度で定義されて
い る最終年の総基本給に対する一定の比率に基づいて決定される。経営委員会委員に対する年金制度
は、職員に対する年金制度と同じ方針によって管理され、会計処理されている(注A.4.14.1)。
A.4.14.4. 任意補足年金制度
任意補足年金制度とは、職員の任意拠出金および使用者の拠出金を原資とする確定拠出年金制度で
ある。これは職員および使用者の拠出金に基づいて会計処理され、対応する負債は「その他の負債」
に計上されている。
A.4.15. 金融機関および顧客に対する債務
金融機関および顧客に対する債務は、当初の時点においては原価で計上され、連結財務書類におい
て償却原価で表示される。金融機関および顧客に対する債務の利息は、実効金利法を用いて「支払利
息および類似費用」または金利がマイナスの場合には「受取利息および類似収益」として連結損益計
算書に計上される。
EIBによるECBの金融政策オペレーションへの参加に関連して、BCLから借り入れた金額は当初原価で
計上され、中央銀行からの借入金として、連結財務書類において「金融機関に対する債務-b) 期日払
または通知払」に償却原価で計上されている。この点で、グループは金利に関連してそれぞれの取引
の契約条件を評価したが、市場における同様の取引で利用可能な資金調達条件と比較して、著しい利
益を特定していない。したがって、グループは当該取引を独立当事者間取引とみなしている。
この取引の借入利率は、所定の貸付実績の基準値を達成することを条件として引き下げられる可能
性があるが、この取引は後払いでのみ、とりわけ当該金融政策オペレーションの満期時または早期返
済時に決済される。グループにおけるこのリベート部分の重要性の観点、および年度末時点において
適格性の判定基準を信頼性をもって見積もることができないという事実を考慮し、グループはこのリ
ベート部分を当該取引の実効金利の計算から除外することが適切であるとみなしている。結果とし
て、借入金利のこの部分はIFRS第9号の要件を満たさないが、IFRS第15号の適用範囲に基づき会計処
理されている。取引の性格により、またグループの会計方針に沿って、発生する可能性のある将来の
リベートは、一時点で認識されている。
A.4.15.1. リパーチェス契約(「レポ」)
リパーチェス契約は、金融機関からグループが流動資金を借り入れ、担保有価証券を提供する取引
である。双方の当事者は、確定日に確定金額で取引を行うという取消不能の契約を結ぶことになる。
この取引は支払引替渡しの原則に基づいており、これは注A.4.9.2に記載されている。
こうした種類の業務は、グループの目的から、合意された金利が付加された借入とみなされる。こ
れらの取引は一般的に有担保金融取引として取り扱われるため、借入金額に経過利息を加えた金額で
計上されている。レポは連結貸借対照表上、「金融機関に対する債務-b) 期日払または通知払」の下
で負債側に名目金額で計上される。
A.4.15.1.1. リパーチェス契約に係る利息
リパーチェス契約に係る利息は、それぞれの契約の期間にわたり支払利息または受取利息として計
上される。
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A.4.15.2. 担保払込勘定
片務的担保サポート・アネックスに基づき、グループはデリバティブ、貸付および財務ポートフォ
リオに係るカウンターパーティー信用エクスポージャーを低減するために担保として現金を受領す
る。受け取った現金担保は、名目金額で計上され、翌日物預金として、連結貸借対照表において「金
融機関に対する債務-a) 要求払」に表示される。
A.4.16. 債務証書借入
債務証書借入は、当初、受取額の公正価値である原価で測定される。取引費用および正味のプレミ
アム(ディスカウント)は当初測定額に含まれる。その後は、償却原価で測定され、純受取額と償還
額との差額は借入期間にわたって実効金利法を用いて償却される。
ヘッジ会計の適格基準を満たす債務証書借入の再測定に対するIBOR改革の影響については、注A.4.5
「デリバティブおよびヘッジ活動」の「IBOR改革との関連におけるヘッジ対象、ヘッジ手段およびそ
の他のデリバティブの公正価値の決定」と題する項を参照のこと。
公正価値オプションの下で報告される公表市場価格のない債務証書借入の再測定に対するIBOR改革
の影響については、EIBは経済的に同等の割引率を適用している。
借入金は、IFRS第9号の下でヘッジ会計適格の場合にヘッジ関係に指定され(注A.4.5)、その償却
原価はその後にヘッジ対象のリスクに起因する公正価値について調整される。
決済日が将来の借入金における確定契約債務も、ヘッジされヘッジ会計に指定することができる。
借入金のヘッジの公正価値は、割引キャッシュ・フロー法に基づいて算出される。借入金がヘッジ
会計に含まれず、公正価値オプションの適格基準を満たし、当初認識時にそのように指定された場
合、当該借入金は純損益を通じた公正価値で測定される。流動市場価格が無い場合、採用される公正
価値測定手法は、カレント・イールドカーブを用いた割引キャッシュ・フローである。
グループが借入金を純損益を通じた公正価値での測定に指定する際、「自行信用リスク調整」
(「OCA」)と呼ばれる信用リスクの変動に起因する公正価値の変動額は、その他包括損益に表示され
る。金融負債の当初認識時に、グループは自行信用リスク調整の変動額をその他の包括利益に表示す
ることにより、損益における会計上のミスマッチを発生させる、または拡大することになるかを評価
する。
この評価は、以下を比較することによって行われる。
- 自行信用リスク調整の変動に関連する借入金の公正価値の予想変動額
- 関連する金融商品の公正価値の予想変動額の損益影響額
その他包括損益に表示される金額は、その後も純損益に振り替えられない。これらの金融商品の認
識が中止される際、関連するその他の包括利益での累積額はグループのその他準備金に振り替えられ
る。
組込デリバティブを含む、外国為替レートおよび指数に関連する仕組債商品については、グループ
は当該エクスポージャーを完全にヘッジするために、スワップ契約を締結している。
負債性金融商品の未払利息は、原負債性金融商品が計上されている連結貸借対照表の負債項目に計
上されている。
A.4.17. 前払金-繰延収益
これらの項目は、以下のものから構成される。
- 前払金:当期の支出であるが翌期に関連する費用
- 繰延収益:貸借対照日以前に支払いを受けるが翌期に関連する収益
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A.4.18. リース
契約開始時に、グループは契約がリースであるか、すなわち、契約が特定された資産の使用を支配
する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転するかを評価する。開始日後に、グループは使用権資
産とリース負債を認識する。
リース負債は、契約上の将来の固定および変動リース料、残価保証に基づく支払い、購入オプショ
ンの行使価格、ならびに解約ペナルティで構成されるリース料の現在価値で当初測定される。リース
負債はグループの追加借入利子率を使用して割り引かれる。その後、リース負債は実効金利法を使用
して償却原価で測定され、リース料およびリース負債に係る割引の巻戻しによる利息を反映して修正
され、再評価またはリースの条件変更を反映するために再測定が行われる。
使用権資産は、リース負債に、借手に発生した当初直接コストおよびリース開始日以前に支払った
リース料から受け取ったリース・インセンティブおよび解体費用(該当する場合リース終了日時点で
の)を控除したものを上乗せした金額で当初測定される。EIBグループは、原資産のクラスごとに、非
リース構成部分をリース構成部分と区別せずに、その結果各リース構成部分と関連する非リース構成
部分を単一のリース構成部分として会計処理することを選択した。
その後、グループは使用権資産を、原価モデルを適用して計上して、使用権資産をリース開始日か
らリース契約の終了まで減価償却し、IAS第36号に準拠して年次で減損の評価を行っている。
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借手として、グループはIFRS第16号のリース会計の範囲でリース資産を、不動産(商業用建物およ
び住宅用家屋の両方)と車両の2つの資産クラスにグループ分けを行った。このグループ分けは、特
性、性質およびEIBのグループ業務における用途に類似性を持つ原資産に基づいて行われた。
グループは、連結貸借対照表において、使用権資産を「有形固定資産」そして対応するリース負債
を「その他の負債」で表示している。
短期リースおよび少額資産のリース
グループは少額資産のリースおよび短期リース(例えば、IT機器および事務機器)について、使用
権資産およびリース負債を認識しないことを選択した。グループは、これらのリースに伴う支払リー
ス料をリース期間にわたって定額法で費用として認識している。
A.4.19. 準備金
A.4.19.1. 準備基金
定款第22(-1)条で規定されているように、EIBの留保利益より「応募済資本金の10%を上限に、準備
基金に段階的に組み入れるものとする」。
A.4.19.2. その他準備金
その他準備金には、グループの残りの留保利益が含まれている。
A.4.19.3. 公正価値準備金
公正価値準備金には公正価値オプションに指定された金融負債の自行信用リスク調整の変動に起因
する公正価値、通貨ベーシス・スプレッドの公正価値、およびその他の包括利益を通じた公正価値評
価に指定された持分投資に起因する公正価値変動が含まれる。
A.4.19.4. 特別活動準備金
定款第16(-5)条で規定されているように、「EIBの特別活動(中略)には個別に準備金を配分す
る」。特別活動準備金は、EIBが一般的に受け入れているものよりもリスクの高い活動によって生じる
予想外の損失をカバーするために自己資本を割り当てられた専用の想定準備金であり、ベンチャー・
キャピタル業務がこれに含まれる。この準備金は各業務の配分に基づき、原資産の推移に応じて計算
される。
A.4.19.5. 一般貸倒準備金
2009年には、EIBの貸付金および保証ポートフォリオについて、自己資本を割り当てられた想定準備
金を表す「一般貸倒準備金」が導入された。この準備金は、EIBの内部貸付金格付制度に基づいて、原
資産の推移に応じて算出される。また、IFRS第9号の導入により、予想信用損失引当金はグループの
償却原価で測定される金融資産だけでなく、グループの連結オフ・バランスシートのコミットメント
についても会計処理される。後者は、連結損益計算書に影響し、自己資本の中での想定配分であり、
EIBが供与する貸付および保証業務に関連する一般貸倒準備金とは区別されなければならない。
A.4.20. 租税
欧州連合に関する条約および欧州連合の機能に関する条約に付属する欧州連合の特権および免除に
関する議定書は、欧州連合機関の資産、収益およびその他の財産について、あらゆる直接税を免除す
ると定めている。
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A.4.21. 受取利息および支払利息
受取利息および支払利息は、すべての利付商品に関して、実際の購入価額(直接取引費用を含む)
に基づき、実効金利法により発生主義で連結損益計算書に認識される。これは、金融商品の償却原価
を計算し、当該期間にわたり受取利息を配分するという方法である。実効利率は、当該金融商品の見
積保有期間を通して将来受け取る金額の見積りを同金融商品の純帳簿価額に割り引く際の割引率にあ
たる。マイナス金利が計算される場合、対応する金利は受取利息から支払利息に組み替えられ、また
その逆のこともある。
この科目には、貸付金・預け金利息および手数料、有価証券ポートフォリオからのその他の収益の
他、貸付金の期限前返済に関してグループが受け取った債務者による補償金支払いが含まれている。
貸付金の期限前返済に関して受け取った補償金は、同貸付金の認識中止時に直ちに連結損益計算書
に計上される。
IAS第32号「金融商品:表示」に準拠して、リプレースメント・シェア・パーチェス・アンダーテイ
キング(注A.4.1参照)の結果取得したEIFのプットオプションの公正価値の変動は、「支払利息およ
び類似費用」に表示される。
A.4.22. 株式およびその他の変動利付証券からの収益
「株式およびその他の変動利付証券からの収益」は、主に元本を超える当期売却額で構成されてい
る。
A.4.23. 現金および現金同等物
現金および現金同等物は、連結キャッシュ・フロー計算書に開示されており、手許現金、非拘束性
の中央銀行預け金、要求払い預け金および取得日から3ヵ月以内に満期日の到来する流動性の高い短
期金融市場証券または定期預金から構成されている。これらの金融商品は、その価値変動リスクが軽
微であり、容易に現金化が可能であり、グループは短期的な契約債務の管理に使用している。現金お
よび現金同等物に属する項目は、連結財務書類において償却原価で計上されている。
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注B: 現金、中央銀行および郵便局預け金、負債証券ポートフォリオ、株式およびその他の変動利付証
券ならびに他の事業体に対する持分(単位:千ユーロ)
B.1. 現金、中央銀行および郵便局預け金
現金、中央銀行および郵便局預け金は、2022年12月31日現在112,703千ユーロ(2021年:1,483,285
千ユーロ)である。
EIBは、ユーロ・システムの金融政策オペレーションにおける適格カウンターパーティーであること
から、EIBも欧州中央銀行の金融政策オペレーションに参加するようになった。EIBは、最低預金準備
率を充足するために預け金を置いているルクセンブルク中央銀行を通じて金融政策オペレーションを
実施する。この預け金残高は、2022年12月31日現在87,266千ユーロ(2021年:144,479千ユーロ)であ
る。
B.2. 負債証券ポートフォリオ
各ポートフォリオの2022年12月31日および2021年12月31日現在の詳細は、以下のとおりである。
2022年12月31日 2021年12月31日
中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期証券
21,620,352 37,237,861
10,983,057 12,058,782
確定利付証券を含む負債証券
(*)
32,603,409 49,296,643
負債証券合計
(*) うち非上場分は、2022年12月31日現在6,615,093千ユーロ(2021年:6,510,405千ユーロ)であった。
分類 帳簿価額 公正価値
2022年12月31日現在
LTHP AC 2,526,234 2,290,208
TMP AC 7,000,595 6,991,823
SLP 強制的にFVTPLで測定 3,184,745 3,184,745
運用ポートフォリオ-EIF AC 2,326,520 2,059,529
402,815 402,815
資産担保証券ポートフォリオEIF 強制的にFVTPLで測定
代替貸付金ポートフォリオ (注D) AC 16,370,081 16,038,219
代替貸付金ポートフォリオ (注D) 強制的にFVTPLで測定 612,364 612,364
180,055 180,055
代替貸付金ポートフォリオ (注D) FVTPLに指定
(1)
32,603,409 31,759,758
負債証券合計
(1)うち現金および現金同等物552,038千ユーロ
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分類 帳簿価額 公正価値
2021年12月31日現在
LTHP AC 1,443,699 1,436,504
TMP AC 22,456,300 22,457,103
SLP 強制的にFVTPLで測定 4,747,686 4,747,686
運用ポートフォリオ-EIF AC 2,297,749 2,291,361
381,039 381,039
資産担保証券ポートフォリオEIF 強制的にFVTPLで測定
代替貸付金ポートフォリオ (注D) AC 16,865,124 16,935,383
代替貸付金ポートフォリオ (注D) 強制的にFVTPLで測定 903,348 903,348
201,698 201,698
代替貸付金ポートフォリオ (注D) FVTPLに指定
(1)
49,296,643 49,354,122
負債証券合計
(1) うち現金および現金同等物142,403千ユーロ
代替貸付金は、証券化取引に関連する貸付金または債権のプールにおける持分の取得を表してお
り、貸付金総額(注D)の一部とみなされる。こうした取引の一部は、与信またはプロジェクト関連の
救済措置を付加した上で組成されているため、追加的な償還請求手段が備わっている。
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欧州連合加盟国ソブリン債に対するエクスポージャー
EIBおよびEIFの優先債権者の地位およびEIB定款による保護を考慮し、また公正価値修正要件の詳細
な見直しの結果、グループは、期末現在の満期保有目的EU加盟国ソブリン債およびEU加盟国ソブリン
保証債のエクスポージャーに関して、2022年度および2021年度には減損を計上しなかった。
下表は、2022年12月31日および2021年12月31日現在のグループの負債証券ポートフォリオにおけ
る、EU加盟国またはその政府機関が発行または保証する負債証券に対するエクスポージャーを示した
ものである。
帳簿価額 公正価値
2022年12月31日現在
EU加盟国ソブリン債
オーストリア 165,057 154,436
ベルギー 163,662 131,678
ブルガリア 40,679 32,810
チェコ共和国 275,646 277,988
フィンランド 80,097 61,109
フランス 1,832,932 1,850,483
ドイツ 1,181,246 1,159,915
ハンガリー 16,631 14,342
イタリア 633,802 630,016
ラトビア 19,984 19,983
リトアニア 31,202 28,187
ルクセンブルク 5,006 4,872
オランダ 410,738 401,832
ポーランド 1,728,650 1,733,123
ポルトガル 47,098 37,544
スロバキア 7,994 7,454
スロベニア 49,384 40,688
1,431,257 1,423,707
スペイン
8,121,065 8,010,167
24,482,344 23,749,591
EU加盟国以外のソブリン債およびその他の債券
32,603,409 31,759,758
合計
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帳簿価額 公正価値
2021年12月31日現在
EU加盟国ソブリン債
オーストリア
57,523 57,473
ベルギー
62,072 62,114
ブルガリア
41,238 40,755
397,333 400,545
チェコ共和国
デンマーク
17,620 17,620
フランス
1,277,213 1,276,540
ドイツ
988,825 1,038,633
ハンガリー
16,784 16,706
アイルランド
705,945 706,040
イタリア
7,462,310 7,468,126
ラトビア
14,997 15,070
リトアニア
32,371 32,630
30,227 30,303
ルクセンブルク
オランダ
357,993 370,237
ポーランド
585,712 532,983
ポルトガル
47,169 47,282
ルーマニア
85,980 85,911
スロバキア
7,986 8,180
スロベニア
39,446 39,021
スペイン
5,876,519 5,876,193
スウェーデン
96,096 96,087
18,201,359 18,218,449
EU加盟国以外のソブリン債およびその他の債券
31,095,284 31,135,673
合計
49,296,643 49,354,122
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負債証券ポートフォリオ-貸倒引当金
下表は、IFRS第9号のECLモデルに基づく、負債証券ポートフォリオの貸倒引当金の期首残高と期末
残高の間の調整を示している。
2022年
信用減損のない 信用減損のある
12ヵ月ECL 合計
全期間ECL 全期間ECL
(単位:千ユーロ)
ACで測定される負債証券
1月1日現在の残高 374 5,416 0 5,790
12ヵ月ECLへの振替 0 -2 0 -2
信用減損のない全期間ECLへの振替 0 9 0 9
貸倒引当金の純額の再測定 708 -2,688 0 -1,980
組成または購入された新規金融資産 149 643 0 792
-57 0 0 -57
認識が中止された金融資産
1,174 3,378 0 4,552
12月31日現在の残高
2021年
信用減損のない 信用減損のある
12ヵ月ECL 合計
全期間ECL 全期間ECL
(単位:千ユーロ)
ACで測定される負債証券
1月1日現在の残高 1,808 11,468 0 13,276
12ヵ月ECLへの振替 0 -23 0 -23
信用減損のない全期間ECLへの振替 0 0 0 0
貸倒引当金の純額の再測定 -1,198 -6,029 0 -7,227
組成または購入された新規金融資産 175 0 0 175
-411 0 0 -411
認識が中止された金融資産
374 5,416 0 5,790
12月31日現在の残高
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B.3. 株式およびその他の変動利付証券
残高の内訳は以下のとおりである。
株式およびその他の変動利付証券
プライベー
ト・エクイ
持分投資
その他の
ティおよび
その他の
EBRD持分 基金および 合計
(3)
ベンチャー・
持分投資
投資
インフラ基金
キャピタル
事業
取得原価:
2022年1月1日現在 6,901,616 157,500 3,018,393 264 0 10,077,773
(2)
当期取得額 1,509,714 0 954,579 1,270 72,823 2,538,386
(2)
-1,456,025 0 -355,091 0 0 -1,811,116
売却/満期
(1)
6,955,305 157,500 3,617,881 1,534 72,823 10,805,043
2022年12月31日現在
未実現利益/損失
2022年1月1日現在 7,535,551 440,427 818,142 412 0 8,794,532
未実現利益 921,460 0 487,128 1,837 3,682 1,414,107
-2,057,976 -50,349 -8,721 0 -3,682 -2,120,728
未実現損失
6,399,035 390,078 1,296,549 2,249 0 8,087,911
2022年12月31日現在
純帳簿価額:
13,354,340 547,578 4,914,430 3,783 72,823 18,892,954
2022年12月31日現在
14,437,167 597,927 3,836,535 676 0 18,872,305
2021年12月31日現在
(1) 157,500千ユーロ(2021年:157,500千ユーロ)は、欧州復興開発銀行(「EBRD」)の資本金に対するグループの応
募額900,440千ユーロに係る2022年12月31日現在のグループの払込資本である。2022年12月31日現在、グループは、
EBRDの応募済資本金の3.03%(2021年:3.03%)を所有している。
(2) 「当期取得額」および「売却/満期」の金額には為替変動が含まれている。
(3) 72,823千ユーロは、インベストEUプログラムに関連してEIFによって展開されるプライベート・エクイティ業務に関
して支払われた純額に相当する。これらの業務は、欧州委員会が代表するEUによって全額が保証されている。後者
は、これらの持分投資業務から生じる上振れリスクおよび下振れリスクにさらされているのに対して、グループは
資金調達コストをカバーするために、最終的には利息部分のみを留保している。したがって、経済的およびリスク
の観点からは、グループはEU保証の受益者として、最終的には欧州委員会の信用リスクにさらされており、原投資
に起因する株式リスクにはさらされていない。かかる業務のEU保証を考慮しない場合の公正価値は69,140千ユーロ
であり、EUによって提供される保証の価値は、3,682千ユーロと評価される。
グループがEBRDへの投資をその他の包括利益を通じて公正価値で測定するものとしての指定した理
由は、この投資が戦略的目的で長期間の保有が見込まれ、短期的にも中期的にもこの投資を処分する
計画がないためである。2022年度中に認識された配当金はなく、また、この投資に関連して資本の部
の中で振り替えられた累積損益もなかった。
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B.4. 他の事業体に対する持分
B.4.1. グループの構成
欧州投資基金(「EIF」)は、1994年6月14日にルクセンブルクで国際金融機関として設立された。
登記上の事務所所在地は、37B, avenue J.F.Kennedy, L-2968 Luxembourgである。
EIFの主要任務は、十分な自己資本利益率を提供しつつ、以下を通じて欧州連合の目的追求に貢献す
ることである。
- 金融機関に対する中小企業(「SME」)向け融資保証の提供
- 持分投資の取得、保有、運用および処分
- 第三者から受託した特別財源の管理
- 関連業務
EIFの株式資本は普通株式のみで構成され、EIBはEIFの普通株式を直接的に保有しており、保有する
所有持分割合は、EIBが保有する議決権に等しい。EIFの設立国または登記国は、主たる事業所の所在
地でもある。
EIF株主総会におけるEIFの2021年2月の増資の承認の結果、EIFの授権資本は2021年度中に額面百万
ユーロの新株2,870株の発行を通じて、45億ユーロから74億ユーロに増加した。
新株の発行は、以下に詳述するように1応募期間で応募が可能な1回の応募で行われた。応募され
た新授権株式は、その額面金額の20%について払込が行われている。残りの80%は、EIF株主総会の決
定を受けて払込請求を行うことができる。この増資において応募された新授権株式についての申込価
格は、新規発行株式の払込部分を含んだ435,970.88ユーロと決定された。この金額は、リプレースメ
ント・シェア・パーチェス・アンダーテイキング(「RSPU」)の算式によって、外部監査人のレ
ビューを受けた2020年9月30日現在のEIFの財務データに基づいて算定された。EIF定款第5条に沿っ
て、EIFの各株主は、当該増資前で当該株主が引き受けた株数とEIFの全応募済株数との間の比率に対
応して、増資の一部に対して応募する権利を有していた。その結果として、EIBは2021年2月に約736
百万ユーロで、その比例配分部分である1,689株について応募した。
EIBは、EIFの応募済資本金73億ユーロ(2021年:73億ユーロ)の59.40%(2021年:59.40%)を保
有している。
2022年度に、EIBはEIF株式の他の投資家からの購入も、他の投資家への売却も行わなかった。その
結果、2022年12月31日現在、当行はEIFの株式を4,336株保有している。
2021年度中、欧州委員会(「EC」)が保有するEIFの応募済株式に関するRSPUは解除されたが、EC以
外のEIFの少数株主からの応募済株式に関するRSPUは依然として有効である。
この結果、これらの少数株主が引き受けたEIF株式774株について、EIBはRSPUに基づき、これらの株
式を1株当たり542,329.82ユーロで随時買い取る旨申し入れている。この価格は、EIF払込請求済資本
金に、資本剰余金勘定、法定準備金、留保利益、公正価値準備金および当期純利益を加えて当期配当
金を調整した値の1株当たり金額に相当する。合意された算式が、オプションが行使される会計年度
のEIFの承認済かつ監査済年次財務書類に適用されている。
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B.4.2. 非連結ストラクチャード・エンティティへの関与
ストラクチャード・エンティティの定義
ストラクチャード・エンティティは、議決権または類似した権利が、誰が事業体を支配しているか
を決定する際の支配的な要因とならないように設計された事業体である。IFRS第12号では、ストラク
チャード・エンティティが次の特徴の一部または全部を備えていることが多いとしている。
- 制限された活動
- 限定され、明確に定義された目的。例えば、節税効果のあるリースの実行、研究開発活動の実
施、企業への資本もしくは資金源の提供、または当該ストラクチャード・エンティティの資産
に付随するリスクおよび利益を投資家に移転することによる投資家への投資機会の提供等
- 不十分な資本。ストラクチャード・エンティティが業務活動資金の調達を可能にするためには
劣後的な財務支援が必要
- トランシェ。信用リスクまたはその他のリスクの集中を発生させる、複数の契約上関連してい
る投資家向け商品の資金調達
非連結ストラクチャード・エンティティ
「非連結ストラクチャード・エンティティ」という用語は、グループによって支配されていないす
べてのストラクチャード・エンティティを指し、連結されていないストラクチャード・エンティティ
における持分を含む。
ストラクチャード・エンティティにおける持分の定義
IFRS第12号は、「持分」を広義に定義しており、エンティティの業績から生じるリターンの変動に
報告企業がさらされるような、契約上または契約に拠らない関与を含むものとしている。このような
持分の例には、株式持分または資金の提供、流動性支援、信用補完、他のエンティティに対するコ
ミットメントおよび保証等のその他の形での関与が含まれる。IFRS第12号は、通常の顧客・サプライ
ヤーの関係だけでは、報告企業が他のエンティティの持分を持つことにはならないと述べている。
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グループが保有する
ストラクチャード・
性質および目的
エンティティの種類
持分
プロジェクト・ プロジェクト・ファイナンス取引(「PF業務」)は、債務者から 正味実行済金額
の債務の返済が、当該債務者の唯一または主要な収益源に依存す
ファイナンス:
受取利息
る取引であり、その収益源は、当該借入によって資金調達された
特別目的事業体
資産または当該プロジェクトに契約によって関係づけられたその
(「SPV」)への
他の既存の資産などの単一または限定的な数の資産から生じる。
貸付
PF業務はSPVを通じて資金調達されることが多い。
プライベート・ グループは、ベンチャー・キャピタルおよび投資基金に資金提供 ベンチャー・キャピタ
している。ベンチャー・キャピタルおよび投資基金は、優れた成 ルおよび投資基金が発
エクイティ、ベン
長潜在性を備えた中小企業におけるプライベート・エクイティ持 行する受益証券/
チャー・キャピタ
分やインフラストラクチャー・プロジェクトへの投資を望む投資
ル、持分投資および 株式への投資
家からの資金をプールし、管理する。
インフラ基金ならび
受取配当として
にその他の投資
受領した配当金
SPVが発行する SPVが発行する債券へのグループによる投資は、プロジェクトの SPVが発行した
プロモーターまたは仲介者への資金提供の代替的な手段である。
資産担保証券 債券への投資
資産担保証券は、分離されたSPVによって発行され、金融機関ま
受取利息
たはその他の機関によって組成された資産プールによって裏付け
られる。グループは、かかるSPVのスポンサー/プロモーターと
しての機能は果たさないことに留意するべきである。
第三者SPVが供与し グループは、金融機関、公共団体またはSPVに供与されうる保証 保証エクスポージャー
た貸付金に対する および資金を拠出しない証券取引を行う。
保証料
保証の付与
マンデート管理 グループは、第三者の代理でマンデートの管理を行い、外部資金 サービスに対する
の管理を受託し、関連する事務管理および会計サービスを提供す
管理報酬
る。
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下表は、グループが報告日現在で持分を有する非連結ストラクチャード・エンティティの帳簿価
額、ならびにこれらのエンティティに関する信用リスクの最大エクスポージャー、またはプライベー
ト・エクイティ、ベンチャー・キャピタル、持分投資およびインフラ基金ならびにその他の投資の最
大損失エクスポージャーを示している。信用リスクの最大エクスポージャーまたは最大損失エクス
ポージャー(ベンチャー・キャピタルおよび投資基金の場合)には、帳簿価額および関連する未実行
コミットメントが含まれる。
2022年12月31日 2021年12月31日
信用リスク 信用リスク
(単位:百万ユーロ) 項目
または損失の または損失の
帳簿価額 帳簿価額
最大エクス 最大エクス
ポージャー* ポージャー*
プロジェクト・ファイナン 対顧客貸付金
ス:SPVへの貸付
および預け金 7,638 8,595 8,530 9,212
プライベート・エクイティ、 株式およびその他
ベンチャー・キャピタル、持 の変動利付証券
分投資およびインフラ基金な
らびにその他の投資
(注B.3参照) 18,342 27,737 18,274 27,003
代替貸付金:SPVおよび 確定利付証券を
その他のストラクチャード・ 含む負債証券
エンティティが発行する資産
担保証券への投資 5,940 5,940 5,213 5,213
第三者SPVが供与した貸付金 保証引当金
に対する保証の付与
(注S.2.5.3参照) 98 10,674 39 11,834
合計 32,018 52,946 32,056 53,262
* プライベート・エクイティ、ベンチャー・キャピタル、持分投資およびインフラ基金ならびにその他の投資について
は信用リスクがないため、信用リスクの最大エクスポージャーは該当しない。
ストラクチャード・エンティティに対して、EIBグループからは上記の帳簿価額以上の支援は提供さ
れていない。
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注C: 金融機関および対顧客貸付金および預け金-その他の貸付金および預け金(単位:千ユーロ)
2022年12月31日 2021年12月31日
定期預金 56,821,267 60,466,570
要求払預金 14,411 386,649
リバース・レポ 7,382,540 13,888,350
その他の金融機関貸付金および預け金 64,218,218 74,741,569
125,976 677,197
その他の対顧客貸付金および預け金
64,344,194 75,418,766
その他の貸付金および預け金合計
うち現金および現金同等物 62,426,771 66,842,771
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注D: 貸付金明細表(単位:千ユーロ)
D.1. 貸付金総額
貸付金総額は貸付金の実行済金額と未実行金額で構成されている。分析は以下のとおりである。
金融仲介機関に 最終受益者に
2022年 2021年
対して実行され 直接実行され
12月31日 12月31日
る貸付金 る貸付金
実行済金額 91,602,067 321,117,280 412,719,347 434,204,364
30,757,433 93,274,466 124,031,899 122,977,291
未実行金額
122,359,500 414,391,746 536,751,246 557,181,655
貸付金総額
21,746 145,347 167,093 472,853
分割貸付債権
17,162,500 17,970,168
代替貸付金ポートフォリオ
554,080,839 575,624,676
代替貸付金ポートフォリオを含む貸付金総額
D.2. 貸付金および預け金の減損-貸倒引当金
下表は、IFRS第9号のECLモデルに基づく、実行済貸付金および預け金ならびに未実行貸付金(貸付
コミットメント)の貸倒引当金の期首残高と期末残高の間の調整を示している。
2022年
信用減損の 信用減損の
12ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
ACで測定される金融機関貸付金および
預け金
2022年1月1日現在の残高 1,863 21,053 52,310 75,226
12ヵ月ECLへの振替 252 -1,081 0 -829
信用減損のない全期間ECLへの振替 -1 28 0 27
信用減損のある全期間ECLへの振替 0 -22 0 -22
貸倒引当金の純額の測定 4,501 1,795 -43,857 -37,561
組成または購入された新規金融資産 2,290 4,604 0 6,894
認識が中止された金融資産 -181 -2,837 -8,273 -11,291
0 0 0 0
貸倒償却
8,724 23,540 180 32,444
2022年12月31日現在の残高
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金融機関貸付金および預け金に係る貸倒引当金の変動は、主に次の理由による。
- 12ヵ月ECL、信用減損のない全期間ECLおよび信用減損のある全期間ECLの純変動による減少824
千ユーロ
- 組成または購入された新規金融資産による増加6,894千ユーロ
- 同一ステージレベル内での既存の事業の貸倒引当金の純額の測定による減少37,561千ユーロ
- 金融資産の認識中止による減少11,291千ユーロ
2021年
信用減損の 信用減損の
12ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
ACで測定される金融機関貸付金および
預け金
2021年1月1日現在の残高 14,905 49,994 61,023 125,922
12ヵ月ECLへの振替 5 -322 0 -317
信用減損のない全期間ECLへの振替 -814 1,169 0 355
信用減損のある全期間ECLへの振替 0 -1,844 4,823 2,979
貸倒引当金の純額の測定 -10,505 -20,652 -10,279 -41,436
組成または購入された新規金融資産 213 2,623 0 2,836
認識が中止された金融資産 -1,941 -9,915 -3,257 -15,113
0 0 0 0
貸倒償却
1,863 21,053 52,310 75,226
2021年12月31日現在の残高
2022年
信用減損の 信用減損の
12ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
ACで測定される対顧客貸付金および
預け金
2022年1月1日現在の残高 15,286 104,941 168,032 288,259
12ヵ月ECLへの振替 793 -14,623 0 -13,830
信用減損のない全期間ECLへの振替 -3,381 37,092 -1,991 31,720
信用減損のある全期間ECLへの振替 -489 -4,594 2,190 -2,893
(1)
貸倒引当金の純額の測定 9,548 -213 -62,893 -53,558
組成または購入された新規金融資産 6,462 19,554 25,556 51,572
認識が中止された金融資産 -712 -1,847 -2,772 -5,331
0 0 0 0
貸倒償却
27,507 140,310 128,122 295,939
2022年12月31日現在の残高
(1) 2022年には条件変更が行われなかったため、条件変更の結果として、対応する資産の認識が中止されたことによる
ECLの使用に関連する金額はゼロである。また、2022年に認識が中止され、その後に再計上された資産はなかった。
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対顧客貸付金および預け金に係る貸倒引当金の変動は、主に次の理由による。
- 12ヵ月ECL、信用減損のない全期間ECLおよび信用減損のある全期間ECLの純変動による増加
14,997千ユーロ
- 組成または購入された新規金融資産による増加51,572千ユーロ
- 金融資産の認識中止による減少5,331千ユーロ
- 同一ステージレベル内での既存の事業の貸倒引当金の純額の測定による減少53,558千ユーロ
2021年
信用減損の 信用減損の
12ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
ACで測定される対顧客貸付金および
預け金
2021年1月1日現在の残高 57,747 176,796 247,637 482,180
12ヵ月ECLへの振替 302 -15,129 0 -14,827
信用減損のない全期間ECLへの振替 -4,342 13,872 0 9,530
信用減損のある全期間ECLへの振替 -16 -132 390 242
(1)
貸倒引当金の純額の測定 -37,566 -61,446 -52,717 -151,729
組成または購入された新規金融資産 1,955 4,841 0 6,796
認識が中止された金融資産 -2,794 -13,861 -24,834 -41,489
0 0 -2,444 -2,444
貸倒償却
15,286 104,941 168,032 288,259
2021年12月31日現在の残高
(1) この金額には、条件変更の結果として、対応する資産の認識が中止されたことによるECLの使用に関連する21,217千
ユーロが含まれる。さらに、2020年度に認識が中止された資産に対応する43,739千ユーロが2021年度中に再計上さ
れている。これらの再計上された資産にはECL額は必要ないとみなされた。
2022年
信用減損の 信用減損の
12ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
ACで測定される貸付コミットメント
2022年1月1日現在の残高 3,466 26,519 3,101 33,086
12ヵ月ECLへの振替 349 -7,936 0 -7,587
信用減損のない全期間ECLへの振替 -41 12,488 -3,101 9,346
信用減損のある全期間ECLへの振替 -369 -5 250 -124
貸倒引当金の純額の測定 2,150 -8,641 25 -6,466
組成または購入された新規金融資産 8,541 6,642 0 15,183
認識が中止された金融資産 -1,276 -2,957 0 -4,233
0 0 0 0
貸倒償却
12,820 26,110 275 39,205
2022年12月31日現在の残高
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貸付コミットメントに係る貸倒引当金の変動は、主に次の理由による。
- 12ヵ月ECL、信用減損のない全期間ECLおよび信用減損のある全期間ECLの純変動による増加
1,635千ユーロ
- 組成または購入された新規金融資産による増加15,183千ユーロ
- 金融資産の認識中止による減少4,233千ユーロ
- 同一ステージレベル内での既存の事業の貸倒引当金の純額の測定による減少6,466千ユーロ
2021年
信用減損の 信用減損の
12ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
ACで測定される貸付コミットメント
2021年1月1日現在の残高 9,655 37,518 3,101 50,274
12ヵ月ECLへの振替 15 -1,253 0 -1,238
信用減損のない全期間ECLへの振替 -781 1,443 0 662
信用減損のある全期間ECLへの振替 -14 0 0 -14
貸倒引当金の純額の測定 -3,725 -17,821 0 -21,546
組成または購入された新規金融資産 2,051 10,692 0 12,743
認識が中止された金融資産 -3,735 -4,060 0 -7,795
0 0 0 0
貸倒償却
3,466 26,519 3,101 33,086
2021年12月31日現在の残高
100/451
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D.3. プロジェクトが実施されている国別に表示した貸付金の地域別内訳
欧州連合内のプロジェクトに対する貸付金:
2022年貸付金 2021年貸付金
プロジェクトが実施
貸付金総額 実行済金額 未実行金額 合計額に対する 合計額に対する
されている国および地域
割合 割合
スペイン 74,168,087 64,659,256 9,508,831 13.39% 13.93%
フランス 66,984,192 51,284,032 15,700,160 12.10% 11.31%
イタリア 62,973,303 49,451,994 13,521,309 11.37% 11.43%
ドイツ 45,131,464 35,668,150 9,463,314 8.15% 7.88%
ポーランド 44,559,127 35,640,608 8,918,519 8.04% 7.78%
ギリシャ 19,185,753 14,262,452 4,923,301 3.46% 3.72%
オランダ 16,405,099 12,997,901 3,407,198 2.96% 3.05%
ベルギー 16,225,648 11,737,509 4,488,139 2.93% 2.78%
オーストリア 15,203,898 13,571,017 1,632,881 2.74% 2.80%
ポルトガル 13,435,636 10,824,100 2,611,536 2.43% 2.38%
スウェーデン 11,896,160 8,435,912 3,460,248 2.15% 2.14%
フィンランド 10,716,860 8,924,544 1,792,316 1.93% 1.90%
ハンガリー 9,526,551 7,416,218 2,110,333 1.72% 1.75%
チェコ共和国 7,794,653 4,874,764 2,919,889 1.41% 1.20%
アイルランド 7,694,439 5,881,826 1,812,613 1.39% 1.34%
ルーマニア 7,031,275 4,011,384 3,019,891 1.27% 1.18%
スロバキア 4,276,299 3,655,112 621,187 0.77% 0.86%
デンマーク 3,827,043 2,989,102 837,941 0.69% 0.62%
クロアチア 3,492,330 2,917,576 574,754 0.63% 0.69%
キプロス 2,631,587 1,918,643 712,944 0.48% 0.48%
スロベニア 2,571,006 2,099,780 471,226 0.46% 0.51%
リトアニア 2,548,651 2,349,674 198,977 0.46% 0.48%
ブルガリア 2,305,773 1,828,476 477,297 0.42% 0.40%
エストニア 1,522,274 995,074 527,200 0.27% 0.28%
ラトビア 987,166 590,419 396,747 0.18% 0.22%
ルクセンブルク 843,307 133,462 709,845 0.15% 0.12%
マルタ 409,141 254,944 154,197 0.07% 0.07%
小計 454,346,722 359,373,929 94,972,793 82.02% 81.30%
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欧州連合域外のプロジェクトに対する貸付金:
2022年貸付金 2021年貸付金
プロジェクトが実施
貸付金総額 実行済金額 未実行金額 合計額に対する 合計額に対する
されている国および地域
割合 割合
英国 29,762,447 29,519,479 242,968 5.37% 6.85%
(**) (***)
候補国 22,607,433 16,324,611 6,282,822 4.08% 2.62%
地中海沿岸諸国 19,907,931 11,530,886 8,377,045 3.60% 3.42%
アジア 8,908,021 4,091,750 4,816,271 1.61% 1.43%
アフリカ、カリブ海
および太平洋(ACP)
諸国 7,238,381 2,354,811 4,883,570 1.31% 1.05%
ラテンアメリカ諸国 6,208,045 3,467,342 2,740,703 1.12% 0.84%
ロシア、東欧諸国、
南コーカサス
(**) (****)
諸国 2,439,654 1,346,160 1,093,494 0.44% 1.66%
欧州自由貿易連合
(EFTA)加盟国 1,564,381 1,393,781 170,600 0.28% 0.32%
南アフリカ 592,257 370,257 222,000 0.11% 0.10%
(**)
潜在的候補国 232,856 32,856 200,000 0.04% 0.39%
加盟国の属国および
属領(OCT) 105,618 75,985 29,633 0.02% 0.02%
小計 99,567,024 70,507,918 29,059,106 17.98% 18.70%
(*)
2022年の合計 553,913,746 429,881,847 124,031,899 100.00%
(*)
2021年の合計 575,151,823 452,174,532 122,977,291 100.00%
(*) 代替貸付金を含み、分割貸付債権(2022年:167百万ユーロ、2021年:473百万ユーロ)を除く貸付金総額
(**) ボスニア・ヘルツェゴビナ、モルドバ共和国およびウクライナは 「候補国」に該当する。「2021年貸付金合計額に
対する割合」欄の比較数値は、表示された年の関連するそれぞれの構成比を反映している。
(***) 2022年のウクライナの実行済エクスポージャー総額は3,088百万ユーロ(2021年:1,574百万ユーロ)である。この
金額のうち、2,855百万ユーロ(2021年:1,304百万ユーロ)は外部貸付マンデートの下での欧州連合の包括保証で
カバーされる。残額の233百万ユーロは自己リスクを負うが、うち216百万ユーロはEU域外貸付マンデートの下での
EU政治リスク保証でカバーされる。さらに2,939百万ユーロが未実行の契約済事業において確約されている。この金
額のうち、2,714百万ユーロは外部貸付マンデートの下での欧州連合の包括保証でカバーされる。残額の225百万
ユーロは自己リスクを負うが、うち190百万ユーロはEU域外貸付マンデートの下でのEU政治リスク保証でカバーされ
る。
(****) ベラルーシの実行済エクスポージャー総額は45百万ユーロ(2021年:173百万ユーロ)である。この金額のうち、
36百万ユーロは外部貸付マンデートの下での欧州連合の包括保証で担保されており、9百万ユーロはEU域外貸付マ
ンデートの下でのEU政治リスク保証でカバーされる。さらに360百万ユーロが未実行の契約済事業において確約され
ており、このうち、10百万ユーロのみEIBが自己リスクを負うことが見込まれるが、EU域外貸付マンデートの下での
EU政治リスク保証でカバーされる。EIBによるロシア連邦の借手への実行済エクスポージャー総額は14百万ユーロ
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(2021年:16百万ユーロ)であるが、EIBが自己リスクを負うエクスポージャーはない。EIBはロシア連邦に適用さ
れるEUの政策ガイドラインを引き続き遵守している。
D.4. 保証業務における変動
下表は、金融保証の期首残高と期末残高の間の調整を示している。2021年の比較対象金額は下に開
示されている。
2022年
その他の負債 引当金
信用減損の 信用減損の
12ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
金融保証
1月1日現在の残高 29,675 203 9,451 39,329
12ヵ月ECLへの振替 0 0 0 0
信用減損のない全期間ECLへの振替 0 0 0 0
信用減損のある全期間ECLへの振替 0 -22 0 -22
再測定純額 41,426 -20 58 41,464
引当金の使用 0 0 0 0
供与または購入された新規保証 19,731 0 0 19,731
-2,243 -27 -177 -2,447
認識が中止された保証
88,589 134 9,332 98,055
12月31日現在の残高
2021年
その他の負債 引当金
信用減損の 信用減損の
12ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
金融保証
1月1日現在の残高 11,680 149 10,810 22,639
12ヵ月ECLへの振替 0 -87 0 -87
信用減損のない全期間ECLへの振替 -1 42 0 41
信用減損のある全期間ECLへの振替 0 0 0 0
再測定純額 18,915 98 -1,295 17,718
引当金の使用 0 0 -63 -63
供与または購入された新規保証 1,340 1 0 1,341
-2,259 0 -1 -2,260
認識が中止された保証
29,675 203 9,451 39,329
12月31日現在の残高
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注E: 有形固定資産および無形資産(単位:千ユーロ)
ルクセン
使用権
家具備品 有形固定 無形資産
ブルクの
土地
(2)
および設備 資産合計 合計
資産
(1)
建物
2022 年 1 月 1 日現在
取得原価 20,145 410,649 71,411 250,451 752,656 79,620
当期取得額 0 11,385 28,192 21,501 61,078 41,455
0 0 -26,152 -12,238 -38,390 -18,148
当期除却額
20,145 422,034 73,451 259,714 775,344 102,927
2022年12月31日現在
減価償却 / 償却累計額
2022年1月1日現在 0 -216,134 -43,384 -118,818 -378,336 -21,212
当期減価償却/償却額 0 -9,792 -22,975 -43,593 -76,360 -29,696
0 0 26,152 -2,209 23,943 18,148
当期除却額
0 -225,926 -40,207 -164,620 -430,753 -32,760
2022年12月31日現在
帳簿価額:
20,145 196,108 33,244 95,094 344,591 70,167
2022年12月31日現在
20,145 194,515 28,027 131,633 374,320 58,408
2021年12月31日現在
(1) 土地および建物はすべて、グループが自身の活動のために使用している。グループは事後測定用には、IAS第16号の
「原価モデル」を採用している。ルクセンブルクの建物には、新棟の建設に係る原価79,305千ユーロ(2021年:
67,920千ユーロ)が含まれており、新棟は、2025年に完成予定である。
(2) 使用権資産は、不動産(商業用不動産および住宅用不動産)および車両の2つの資産クラスで構成される。2022年
度の減価償却費は、不動産が43,388千ユーロ(2021年:41,174千ユーロ)であり、車両が205千ユーロ(2021年:
189千ユーロ)であった。2022年12月31日現在の帳簿価額は、不動産が94,874千ユーロ(2021年:131,474千ユー
ロ)、車両が220千ユーロ(2021年:159千ユーロ)であった。
注F: 繰延収益(単位:千ユーロ)
2022年12月31日 2021年12月31日
前受および繰延運用報酬 291,046 290,656
前受利子補助金 128,426 92,233
貸付金および保証に係る繰延収益 53,494 51,768
6,373 8,476
その他
479,339 443,133
合計
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注G: その他の資産およびその他の負債(単位:千ユーロ)
G.1. その他の資産
2022年12月31日 2021年12月31日
未収金およびその他債権 72,654 81,480
未収EGF管理報酬 56,041 26,440
保証履行請求債権 55,811 12,831
金融保証契約による資産純額 34,304 57,062
前払給与および手当 2,264 2,985
2,293 3,086
その他
223,367 183,884
合計
G.2. その他の負債
2022年12月31日 2021年12月31日
(*)
英国への資本の未払払戻金
2,595,904 2,895,904
任意補足年金制度
848,289 792,891
(**)
EIFの非支配持分の購入コミットメント
419,763 340,341
ファースト・ロス一部負担金
233,227 202,171
未払金およびその他債務
113,952 95,935
未払人件費
103,478 104,190
リース負債
97,022 132,151
金融保証契約による負債純額(注D.4)
88,723 29,878
マンデートに基づく未払金
49,482 44,856
(***)
重債務貧困国(HIPC)イニシアチブに係る未払費用
13,596 13,596
西バルカン諸国のインフラ基金
97 393
その他
476,587 329,357
合計
5,040,120 4,981,663
(*) グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国の欧州連合および欧州原子力共同体からの離脱協定の第150(4)条
および2020年6月10日付理事会決定(EU)2020/769による修正に従い、EIBは払込請求済資本金の35億ユーロを2020年
10月15日より開始する12回の分割により毎年英国に支払う(最初の11回の分割払いは各300,000,000ユーロで最終回
の支払いは195,903,950ユーロ)。2020年から2022年に支払期日が到来した毎年の分割払いは全額が決済された
(最終決済日は2022年10月14日)。
(**) 2022年12月31日現在、連結されたその他の負債に対するEIFの非支配持分は420百万ユーロ(2021年:340百万ユー
ロ)、連結純損益(注L)の非支配持分はマイナス9百万ユーロ(2021年:マイナス59百万ユーロ)であった。
(***) 重債務貧困国(「HIPC」)イニシアチブ
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注H: 金融機関および顧客に対する債務(単位:千ユーロ)
H.1. 金融機関に対する債務
2022年12月31日 2021年12月31日
要求払 2,371,014 4,775,575
- 翌日物預金 2,371,014 4,775,575
期日払または通知払 3,071,698 18,796,352
- 短期預かり金 6,005 178,404
- 金融機関とのレポ取引 3,065,693 5,711,476
(1)
0 12,906,472
- 中央銀行からの借入金
5,442,712 23,571,927
合計
(1) この金額は、ECBの金融政策オペレーションへのEIBの参加を表す。
H.2. 顧客に対する債務
2022年12月31日 2021年12月31日
要求払 1,433,117 1,645,154
- 翌日物預金 46 163
- 欧州連合および加盟国口座
- 特別部門業務および関連未決済金額に係るもの 395,981 412,934
- 預金口座 1,037,090 1,232,057
期日払または通知払 57,637 175,496
57,637 175,496
- 短期預かり金
1,490,754 1,820,650
合計
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注I: 債務証書借入(単位:千ユーロ)
財務活動におけるグループの目標の1つとして、その資金調達戦略を貸付金供与に要する資金と合
致させることが挙げられる。「債務証書借入」の項には、「負債証券」(一般投資家に対して公募し
た有価証券)および「その他」(私募)が含まれる。下表は、2022年12月31日および2021年12月31日
現在の債務残高の通貨別内訳、ならびに平均利率と満期日(最短/最長)をまとめたものである。
債務証書借入(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
平均利率 平均利率
満期日
支払通貨 12月31日 12月31日
(*) (*)
2022年
2022年 2021年
現在の名目値 現在の名目値
ユーロ 251,275,921 1.29 2023/2061 246,913,410 1.30
米ドル 100,421,872 2.11 2023/2058 105,073,224 1.48
英ポンド 37,274,935 2.97 2023/2054 43,705,819 2.15
豪ドル 10,025,515 2.32 2023/2040 9,703,908 2.59
ポーランド・ズロチ 6,868,484 4.05 2023/2037 6,169,375 2.23
カナダ・ドル 5,325,718 2.15 2023/2045 4,765,848 2.10
スウェーデン・クローナ 5,094,499 1.58 2023/2040 6,234,940 1.41
ノルウェー・クローネ 4,118,397 2.64 2023/2037 5,541,206 1.77
スイス・フラン 3,918,655 1.96 2023/2036 4,179,005 1.90
南アフリカ・ランド 2,138,328 8.00 2023/2035 2,331,323 7.75
日本円 1,374,409 2.27 2023/2053 1,520,384 1.46
メキシコ・ペソ 1,219,817 6.00 2023/2028 1,174,850 6.35
デンマーク・クローネ 783,185 0.87 2024/2031 783,195 0.70
ニュージーランド・ドル 550,661 3.21 2023/2028 271,428 2.57
人民元 499,851 2.82 2023/2026 472,292 2.56
チェコ・コルナ 362,397 4.18 2023/2034 339,828 2.52
トルコ・リラ 248,852 10.59 2023/2027 677,022 10.41
ロシア・ルーブル 85,960 3.89 2024/2026 140,679 4.75
ハンガリー・フォリント 53,134 9.06 2024/2025 17,065 3.25
香港ドル 36,074 0.53 2025/2025 79,246 0.41
20,810 2.23 2026/2026 20,812 2.23
ルーマニア・レイ
431,697,474 440,114,859
合計
2022年 2021年
12月31日現在残 12月31日現在残
高 高
(**)
431,697,474 440,114,859
名目値合計
-14,279,512 33,787,774
借入金のIFRSに基づく調整
417,417,962 473,902,633
債務証書借入の合計
(*) 貸借対照表日現在の加重平均利率
(**) 2022年12月31日現在、ヘッジ会計目的で保有されている債務証書借入の名目値は3,228億ユーロ(2021年:3,244億
ユーロ)、純損益を通じて公正価値で測定される債務証書借入の名目値は230億ユーロ(2021年:276億ユーロ)、
償却原価で測定される債務証書借入の名目値は859億ユーロ(2021年:881億ユーロ)である。
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注J: 年金制度および健康保険制度(単位:千ユーロ)
グループは3種類の確定給付年金制度を運営している。また、グループはEIBの元職員に対して、特
定の退職後の医療費給付も行っている。これらの給付は、IAS第19号の定義による非積立型の年金制度
であり、制度は規制対象外である。年金給付に要するそれぞれの年金制度の費用は、予測単位積立数
理評価方式により決定される。保険数理評価は2022年12月31日現在で実施された。
これらの制度により、概してグループは金利リスク、長寿リスク、インフレリスクおよび昇給リス
クなどの保険数理リスクを負う。もう一つのリスクは、制度加入者の扶養家族(遺族配偶者および遺
児給付)に対する支払に伴うリスクである。
金利リスク 確定給付債務の現在価値は、高格付の社債利回りを参照して決定される割引率を使用して算
出される。社債利率が低下することにより、年金債務は増加する。
長寿リスク 確定給付制度債務の現在価値は、制度加入者の雇用期間中および退職後の両方の死亡率の最
善見積りを参照して算出される。制度加入者の平均寿命が延びることにより、制度の債務は
増加する。
インフレリスク 確定給付制度債務の現在価値は、ルクセンブルクのインフレ率に連動した将来の年金の増加
を参照して算出される。ルクセンブルクのインフレ率の上昇は、制度の債務を増加させる。
昇給リスク 確定給付制度債務の現在価値は、制度加入者の将来の給与を参照して算出される。制度加入
者の昇給により、制度債務は増加する。
下表には、追加的制度である任意補足年金制度(確定拠出年金制度)は算入されていない。それに
対応する債務848百万ユーロ(2021年:793百万ユーロ)は、「その他の負債」(注G)に分類されてい
る。
最新の経済環境の動向、特に金利やインフレ率の上昇は、確定給付債務の計算に用いる仮定に影響
を与えた。
グループの制度における年金および退職給付債務の決定に当たって使用された主要な仮定は以下の
とおりである。
2022年 2021年
(単位:%)
年金制度の割引率 3.88 1.35
健康保険制度の割引率 3.88 1.35
(*)
3.50
将来昇給率(インフレーションを含む) 3.30
将来年金給付上昇率 2.30 1.75
医療費上昇率 4.30 3.75
扶養費上昇率 2.30 1.75
(**)
27.10 26.90
男性加入者60歳時の平均余命(年)
(**)
29.60 29.40
女性加入者60歳時の平均余命(年)
ICSLT 2018 - ICSLT 2018 -
Static 2022 Static 2021
保険数理表
(*) 平均的な昇進の仮定を反映した代表的な名目率。
(**) 開示された金額の性質をよりよく反映するために、項目名は変更されている。
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有価証券報告書
感応度分析:
確定給付債務の算定のための重要な保険数理上の仮定は、割引率、予想昇給率および死亡率であ
る。以下の感応度分析は、それぞれの仮定の合理的に可能性のある変動が報告期間末において発生
し、他のすべての仮定は変動しないとの前提に基づいて算定された。
EIB年金:
- 割引率が0.5%上昇(低下)した場合、確定給付債務は9.0%減少(10.3%増加)する。
- 予想昇給率が1%上昇(低下)した場合、確定給付債務は4.9%増加(4.3%減少)する。
- 男女について平均寿命が1年延伸(短縮)した場合、確定給付債務は2.9%増加(2.9%減少)
する。
- インフレにより将来の予想年金が1%増加(減少)した場合、確定給付債務は14.4%増加
(11.9%減少)する。
EIF年金:
- 割引率が0.5%上昇(低下)した場合、確定給付債務は11.9%減少(14.0%増加)する。
- 予想昇給率が1%上昇(低下)した場合、確定給付債務は7.8%増加(6.6%減少)する。
- 男女について平均寿命が1年延伸(短縮)した場合、確定給付債務は2.6%増加(2.6%減少)
する。
- インフレにより将来の予想年金が1%増加(減少)した場合、確定給付債務は15.1%増加
(12.4%減少)する。
経営委員会年金:
- 割引率が0.5%上昇(低下)した場合、確定給付債務は6.4%減少(7.2%増加)する。
- 予想昇給率が1%上昇(低下)した場合、確定給付債務は0.9%増加(0.8%減少)する。
- 男女について平均寿命が1年延伸(短縮)した場合、確定給付債務は3.5%増加(3.4%減少)
する。
- インフレにより将来の予想年金が1%増加(減少)した場合、確定給付債務は12.3%増加
(10.4%減少)する。
EIBの健康保険制度:
- 割引率が0.5%上昇(低下)した場合、確定給付債務は11.3%減少(13.5%増加)する。
- 男女について平均寿命が1年延伸(短縮)した場合、確定給付債務は4.5%増加(4.5%減少)
する。
- インフレにより将来の予想医療費が1%増加(減少)した場合、確定給付債務は32.6%増加
(24.0%減少)する。
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EIFの健康保険制度:
- 割引率が0.5%上昇(低下)した場合、確定給付債務は14.2%減少(17.0%増加)する。
- 男女について平均寿命が1年延伸(短縮)した場合、確定給付債務は4.3%増加(4.3%減少)
する。
- インフレにより将来の予想医療費が1%増加(減少)した場合、確定給付債務は42.0%増加
(29.7%減少)する。
一部の仮定は相関している可能性があり、仮定の変動が互いに独立して発生する可能性は少ないた
め、上記で示された感応度分析は、確定給付債務の実際の増減を示さない場合がある。
さらに、上記の感応度分析の表示において、確定給付債務の現在価値は、報告期間末時点において
予測単位積立方式を使用して算出されており、連結貸借対照表における確定給付債務に関する負債の
計算に適用された方式と同一である。
感応度分析の作成に使用された方法および仮定において、前年からの変更はなかった。
下表は、各種制度の保険数理(利益)/損失実績および確定給付債務の合計を示している。
経営委員会 確定給付債務
EIB年金 EIF年金 健康保険 合計
年金 合計
2022年 209,645 675 16,885 82,842 310,047 5,722,781
2021年 -23,091 -1,088 5,063 102,798 83,682 8,623,332
2020年 25,397 1,754 19,479 -97,605 -50,975 9,569,495
-3,987 -2,545 1,420 -29,060 -34,172 7,892,289
2019年
下表は、確定給付債務の2022年および2021年中の変動の内訳を示している(単位:千ユーロ)。
経営委員会 2022年の
EIB年金 EIF年金 健康保険
年金 合計
期首債務 6,952,029 78,737 598,425 994,141 8,623,332
a) 当期勤務費用
293,459 2,697 40,179 84,116 420,451
b) 利息費用
93,237 1,047 8,075 13,372 115,731
c) 過去勤務費用 3,463 0 0 0 3,463
390,159 3,744 48,254 97,488 539,645
純損益合計
a) 保険数理(利益)/損失実績
209,645 675 16,885 82,842 310,047
b) 人口統計上の仮定の変更
-295,452 356 -44,095 14,168 -325,023
-2,591,485 -20,334 -278,218 -490,774 -3,380,811
c) 財務上の仮定の変更
(*)
-2,677,292 -19,303 -305,428 -393,764 -3,395,787
OCI合計
a) 従業員による拠出金
47,855 0 6,202 3,124 57,181
b) 支払給付金 -91,496 -2,337 -529 -7,228 -101,590
-43,641 -2,337 5,673 -4,104 -44,409
その他合計
4,621,255 60,841 346,924 693,761 5,722,781
2022年12月31日現在の給付債務
(*) EIB株主帰属(3,257,952千ユーロ)および非支配持分帰属(137,835千ユーロ)。
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経営委員会 2021年の
EIB年金 EIF年金 健康保険
年金 合計
期首債務 7,704,597 86,317 711,503 1,067,078 9,569,495
a) 当期勤務費用
340,801 3,132 49,885 104,226 498,044
b) 利息費用
57,461 639 5,331 7,979 71,410
c) 過去勤務費用 2,713 0 70 0 2,783
400,975 3,771 55,286 112,205 572,237
純損益合計
a) 保険数理(利益)/損失実績
-43,103 -1,088 5,063 102,798 63,670
b) 人口統計上の仮定の変更
20,012 418 -55,653 -88,179 -123,402
c) 財務上の仮定の変更 -1,089,024 -8,462 -122,195 -195,570 -1,415,251
(*)
-1,112,115 -9,132 -172,785 -180,951 -1,474,983
OCI合計
a) 従業員による拠出金
44,723 0 5,803 1,806 52,332
b) 支払給付金 -86,151 -2,219 -1,382 -5,997 -95,749
-41,428 -2,219 4,421 -4,191 -43,417
その他合計
6,952,029 78,737 598,425 994,141 8,623,332
2021年12月31日現在の給付債務
(*) EIB株主帰属(1,389,615千ユーロ)および非支配持分帰属(85,365千ユーロ)。
EIBの従業員は一定の比率の拠出金を支払い、その比率は5年ごとに見直される。2019年1月1日か
ら2023年12月31日までの期間の従業員の拠出金は年金算定基礎給与の11.3%である。残りの拠出金
(バックサービス支払を含む)はグループによって支払われる。グループおよびその職員の全拠出額
がグループの資産へ投資されている。積立要件は、現地の保険数理測定の枠組みに基づいている。こ
の枠組みにおいては、割引率は無リスク金利に設定されている。さらに、プレミアムが現在の給与に
基づいて算定される。グループは確定給付制度から生じるすべての年金支払に対して責任を負う。
2022年12月31日現在の給付債務の平均デュレーションは、以下のとおりに分かれている。
EIB年金:
- 現従業員:24.97年(2021年:28.88年)
(*)
- 待機者 :26.04年(2021年:29.30 年)
- 受給者:11.94年(2021年:14.09年)
EIF年金:
- 現従業員:27.61年(2021年:32.85年)
(*)
- 待機者 :27.66年(2021年:31.31年)
- 受給者:14.78年(2021年:18.92年)
経営委員会年金:
- 現従業員:17.96年(2021年:21.34年)
(*)
- 待機者 :19.57年(2021年:23.52年)
- 受給者:10.29年(2021年:12.29年)
EIBの健康保険制度:
- 現従業員:30.62年(2021年:33.85年)
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(*)
- 待機者 :28.60年(2021年:27.63年)
- 受給者:15.20年(2021年:17.63年)
EIFの健康保険制度:
- 現従業員:33.30年(2021年:36.48年)
(*)
- 待機者 :24.82年(2021年:28.25年)
- 受給者:17.64年(2021年:21.98年)
グループが確定給付制度について翌事業年度に純損益に認識すると見込んでいる金額は、415,384千
ユーロ(2021年:539,123千ユーロ)である。
(*) 通常退職年齢前にグループを離職し、繰延年金に対する権利を有する元職員。
注K: 当期損益
2022年12月31日終了事業年度のEIB個別財務書類(欧州連合会計指令に基づいて作成)に計上された
当期純利益2,366,337千ユーロの処分案は、承認を受けるため2023年4月25日までに総務会に提出され
る。当事業年度のEIB剰余金の処分案の詳細については、EIBの財務書類の前書き(訳注:本報告書の
「第3 発行者の概況-(4) 業務の概況-① 業務-ニ)業績」に抜粋されている。)を参照のこと。
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注L: 受取利息および類似収益ならびに支払利息および類似費用(単位:千ユーロ)
L.1. 正味受取利息
2022年 2021年
受取利息および類似収益:
デリバティブ 10,117,070 10,018,309
金融機関および対顧客貸付金および預け金 7,676,214 5,946,535
中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期証券ならびに確定利付証券
を含む負債証券
356,705 194,580
有利子負債に係るマイナス金利 135,573 130,677
EUからの利子補助金 17,343 17,710
現金、中央銀行および郵便局預け金 404 0
5,951 4,449
その他
18,309,260 16,312,260
合計
支払利息および類似費用:
債務証書借入 -7,571,687 -7,051,168
デリバティブ -7,569,661 -5,592,829
利付資産に係るマイナス金利 -252,807 -411,488
給付債務に係る利息費用(注J) -115,731 -71,410
第三者委託に係る利息 -67,998 -62,686
金融機関および顧客に対する債務 -12,973 -1,943
EIFの非支配持分の購入コミットメント(注G.2) -8,613 -58,690
(1)
その他 -23,877 -22,368
-15,623,347 -13,272,582
合計
2,685,913 3,039,678
正味受取利息
(1) リース負債に係る支払利息1,061千ユーロ(2021年:265千ユーロ)を含む。
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下表は、各種類の金融資産および金融負債に関する正味受取利息を示したものである。
2022年 2021年
受取利息および類似収益:
リスク管理のために保有するデリバティブ 10,117,070 10,018,309
ACで測定される金融資産 7,137,966 5,493,411
(*)
FVTPLでの測定に指定された金融商品(FVO)
706,330 529,283
(*)
強制的にFVTPLで測定される金融商品
206,371 136,132
141,523 135,125
その他
18,309,260 16,312,260
合計
支払利息および類似費用:
ACで測定される金融負債 -6,922,894 -7,008,910
リスク管理のために保有するデリバティブ -7,569,661 -5,592,829
(*)
FVTPLでの測定に指定された金融商品(FVO)
-668,583 -44,217
(*)
非金融負債
-125,521 -96,626
(*)
-336,688 -530,000
その他
-15,623,347 -13,272,582
合計
2,685,913 3,039,678
正味受取利息
(*) 財務書類の可読性を向上させるために、組替が行われている。
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L.2. 受取利息および類似収益の国別分析
2022年 2021年
欧州連合加盟国:
ポーランド 838,559 485,490
スペイン 819,306 759,149
フランス 576,154 448,268
イタリア 524,484 424,708
ギリシャ 426,007 449,134
ドイツ 366,816 296,424
オーストリア 274,322 255,563
ハンガリー 233,410 130,417
オランダ 189,108 159,001
ベルギー 172,277 150,811
スウェーデン 159,804 124,908
ポルトガル 137,699 144,992
チェコ共和国 114,166 31,007
アイルランド 92,692 87,233
ルーマニア 80,365 69,827
フィンランド 71,792 66,438
スロバキア 70,277 66,445
クロアチア 49,791 48,123
スロベニア 40,042 39,729
ブルガリア 38,055 38,922
デンマーク 31,281 18,151
リトアニア 17,466 18,174
ラトビア 16,023 14,475
キプロス 15,833 9,356
マルタ 8,091 9,199
エストニア 7,052 4,173
2,409 19,964
ルクセンブルク
5,373,281 4,370,081
欧州連合加盟国の合計
2,045,813 1,584,135
欧州連合域外
7,419,094 5,954,216
国別分析の対象の収益合計
(1)
10,890,166 10,358,044
国別分析の対象外の収益
18,309,260 16,312,260
受取利息および類似収益合計
(1) 国別分析の対象外の収益:
-長期HQLAポートフォリオおよび代替貸付金ポートフォリオからの収益 252,310 147,141
-有価証券流動性ポートフォリオおよびEIF運用ポートフォリオからの収
益 43,368 36,322
-短期金融市場証券からの収益 61,022 11,104
-その他有価証券からの収益 5 13
-短期金融市場オペレーションからの収益 410,440 140,706
-デリバティブからの収益 10,117,070 10,018,309
5,951 4,449
-その他
10,890,166 10,358,044
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注M: 金融業務損益(単位:千ユーロ)
M.1. 損益の性質別
2022年 2021年
(1)(8)
デリバティブの純損益 1,014,954 81,535
(2)(8)
FVOに基づく貸付金および関連するスワップの純損益 -60,920 30,139
(3)(8)
FVOに基づく借入金および関連するスワップの純損益 50,283 -39,984
(4)(8)
貸付金および関連するスワップのヘッジ会計による純損益 -156,992 -212,774
(5)(8)
借入金および関連するスワップのヘッジ会計による純損益 679,078 318,593
(6)
15,022 21,064
国債および関連するスワップのヘッジ会計による純損益
1,541,425 198,573
外国為替損益 2,559 14,614
スワップの解消に係る損益 17,104 -5,638
債務証書借入の買戻しに係る純損益 253 0
(7)
株式およびその他の変動利付証券に係る純損益 -696,523 5,017,547
負債証券ポートフォリオの純損益 -231,327 -36,771
金融保証に係る純損益 -81,094 -5,456
(9)
FVTPLに基づく貸付金および代替貸付金の純損益 -358,121 397,557
ACに基づく貸付金および代替貸付金の純損益 -846 2,611
46,810 47,170
当初CBSの償却
240,240 5,630,207
金融業務損益
(1) デリバティブの純損益の大部分は、マクロ・ヘッジのスワップおよび財務ポートフォリオのデリバティブ商品の公
正価値修正であった。これらのスワップの効果は、2022年12月31日現在が1,014,954千ユーロのプラスであったのに
対し、2021年12月31日現在は81,535千ユーロのプラスであった。
(2) デリバティブでヘッジする貸付金および代替貸付金はヘッジ会計適格ではなく、公正価値オプションを適用してい
る。公正価値での測定に指定されている貸付金および代替貸付金の帳簿価額は、2022年12月31日現在、130億ユーロ
(2021年:170億ユーロ)であった。貸付金および代替貸付金への公正価値オプションの適用による複合効果とし
て、2022年12月31日現在で連結損益計算書に60,920千ユーロの減少(2021年:30,139千ユーロの増加)が計上され
ている。
(3) デリバティブでヘッジする借入金はヘッジ会計適格ではなく、公正価値オプションを適用している。公正価値での
測定に指定されている借入金の帳簿価額は、2022年12月31日現在、240億ユーロ(2021年:310億ユーロ)であっ
た。借入金への公正価値オプションの適用による複合効果として、2022年12月31日現在で、連結損益計算書におい
て50,283千ユーロの損益改善(2021年:39,984千ユーロの損益悪化)が生じている。
(4) IFRS第9号に基づくヘッジ会計基準に適合する適格貸付金および代替貸付金に対しては、ヘッジ会計が適用されて
いる。ヘッジ会計に指定されている貸付金および代替貸付金の帳簿価額は、2022年12月31日現在、1,270億ユーロ
(2021年:1,470億ユーロ)であった。貸付金および代替貸付金ならびに関連するスワップへのヘッジ会計の適用に
よる複合効果として、2022年12月31日現在で連結損益計算書において156,992千ユーロの損益悪化(2021年:
212,774千ユーロの損益悪化)が生じている。
(5) IFRS第9号に基づくヘッジ会計基準に適合する適格借入金に対しては、ヘッジ会計が適用されている。ヘッジ会計
に指定されている借入金の帳簿価額は、2022年12月31日現在、3,060億ユーロ(2021年:3,530億ユーロ)であっ
た。借入金および関連するスワップへのヘッジ会計の適用による複合効果として、2022年12月31日現在で連結損益
計算書において679,078千ユーロの損益改善(2021年:318,593千ユーロの損益改善)が生じている。
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(6) 2021年10月1日より、IFRS第9号の下でのヘッジ会計の要件を満たしている場合には、LTHPの国債に対してヘッジ会
計が適用されている。ヘッジ会計に指定されているLTHP債券の帳簿価額は、2022年12月31日現在、8億ユーロ
(2021年:5億ユーロ)であった。LTHP債券および関連するスワップへのヘッジ会計の適用による複合効果とし
て、2022年12月31日現在で連結損益計算書において15,022千ユーロの損益改善(2021年:21,064千ユーロの損益改
善)が生じている。
(7) この項目は、主に資本性金融商品に係る未実現損益および実現損益で構成されている。この損益悪化696,523千ユー
ロの主要因は、2022年中におけるプライベート・エクイティ市場での評価額のマイナスの影響(2021年:5,017,547
千ユーロのプラスの影響)であった。さらに、2022年の合計には、注B.3に記載されているとおり、インベストEUプ
ログラム保証から生じた3,682千ユーロが含まれている。
(8) IBOR改革の影響については、注S.4.2「金利リスク」を参照のこと。
(9) この項目は、主にFVTPLで測定された貸付業務に係る未実現損益および実現損益で構成されている。この連結損益計
算書における損益悪化358,121千ユーロの主要因は、2022年中における評価額の影響(2021年:397,557千ユーロの
プラスの影響)であった。
M.2. 資産および負債の分類別
2022年 2021年
強制的にFVTPLで測定される金融資産(デリバティブ資産を除く) -1,231,186 5,164,660
FVTPLでの測定に指定された金融資産(FVO) -2,540,984 166,361
FVTPLでの測定に指定された金融負債(FVO) 2,196,145 372,280
ACで測定される金融資産 -24,084,654 -7,917,553
ACで測定される金融負債 44,516,759 15,890,499
ヘッジ手段として指定されたデリバティブ -19,896,918 -7,821,710
ヘッジ会計目的以外で、リスク管理目的のために保有するデリバティブ 1,312,803 -280,231
(1)
その他 -31,725 55,901
240,240 5,630,207
金融業務損益
(1) 当初CBSの償却を含む。
注N: その他の業務収益および費用の純額(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
過年度未使用引当金の戻入れ 4,179 4,276
賃貸料収益 89 78
6,209 -5,751
その他
10,477 -1,397
その他の業務収益および費用の純額合計
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有価証券報告書
注O: 受取手数料および支払手数料(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
受取手数料:
保証手数料 256,243 210,162
EGFの手数料 86,786 46,596
EFSIの手数料 39,993 45,052
インベストメント・ファシリティ「コトヌー」の手数料 36,994 55,682
貸付金手数料収益 32,589 35,014
Jaspersの手数料 28,688 27,214
InnovFinの手数料 14,262 22,980
Jeremie/ESIFの手数料 14,235 12,802
近代化基金の手数料 12,080 9,268
インベストEUアドバイザリー・ハブの手数料 11,247 0
RRFの手数料 10,709 0
(*)
DFIsの手数料(2014年から2020年、2021年から2027年) 9,995 7,543
(*)
Fiコンパスの手数料 5,463 5,359
(*)
信託基金管理報酬に係る手数料 5,172 4,109
(*)
イノベーション基金の手数料 4,639 1,466
コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティの手数料 4,581 1,926
(*)
JESSICA(保有基金)の手数料 3,841 3,987
近隣インベストメント・ファシリティの手数料 2,232 1,939
ヤウンデ/ロメ協定の手数料 1,150 1,250
(*)
89,170 92,898
その他の委託に係る手数料
670,069 585,247
受取手数料合計
2022年 2021年
近隣インベストメント・ファシリティの手数料
保証人へのリスク報酬 -357,519 -410,647
その他の支払手数料 -25,697 -23,730
-383,216 -434,377
支払手数料合計
(*) 財務書類の可読性を向上させるため、項目間での組替が行われている。
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注P: 一般管理費(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
(1)
給与および手当 -589,807 -547,408
-584,466 -659,623
福利厚生費およびその他人件費
人件費 -1,174,273 -1,207,031
-306,561 -246,922
その他の管理費
-1,480,834 -1,453,953
一般管理費合計
(1) このうち経営委員会委員に対する金額は、2022年12月31日現在が3,753千ユーロ、2021年12月31日現在は3,441千
ユーロである(注Y.2)。
グループの職員数は、2022年12月31日現在、4,648名(2021年12月31日現在は4,412名)であった。
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注Q: デリバティブおよびヘッジ活動
Q.1. デリバティブ金融商品の利用
グループのヘッジ活動において
EIBは、長期デリバティブ商品を利用して、借入金、貸付金および保有債券のヘッジを行っている。
EIFはデリバティブ商品を使用していない。
最も一般的に利用されているデリバティブは、以下のものである。
通貨スワップ
通貨スワップは、ある通貨における元本および利息の支払を、もう一つの通貨と交換することに合
意した契約である。
金利スワップ
金利スワップは、概して、変動金利の利払いと固定金利の利払い、または異なった金利に連動する
変動金利の利払い(ベーシス・スワップ)を同一通貨で交換することに合意する契約である。
グループの財務管理において
EIBは、基本通貨であるユーロに関連してその運用財務ポートフォリオの通貨ポジションを調整する
ため、また貸付実行に伴う通貨需要を満たすために、短期の通貨スワップおよび為替予約を行ってい
る(短期外国為替契約の想定元本および公正価値の開示については、注Q.3を参照)。
先物契約(先物)は、SLP債券ポートフォリオにおける一部の投資から生ずるエクスポージャーを
ヘッジするため、財務活動の一環として使用することができる。
グループの資産負債管理(「ALM」)において
金利リスクを管理する目的で、EIBは可能な場合にはナチュラル・ヘッジを活用する(貸付金および
借入金)、あるいはグローバル・ヘッジ・オペレーション(金利スワップ)を行っている。
資産負債管理の一環として用いるマクロ・ヘッジのスワップは、IFRS第9号に従い公正価値で評価
される。
リスク管理の詳細については、注Sを参照のこと。
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Q.2. ヘッジ活動
金利リスクの公正価値ヘッジ
ヘッジ手段として指定された項目に関連する金額は、次のとおりである(単位:百万ユーロ)。
2022年
ヘッジの非有効性の
帳簿価額
想定元本 計算に使用された
資産 負債
公正価値の変動
金利スワップ 442,249 19,188 -25,178 -17,395
(*)
35,208 2,467 -4,083 -2,502
通貨スワップ
477,457 21,655 -29,261 -19,897
合計
(*) ヘッジされている主要な通貨は、米ドル、豪ドルおよびカナダ・ドルである。グループは通貨スワップの受取レグ
の想定元本を使用した。
上表で示された金利スワップおよび通貨スワップは、連結貸借対照表上、「デリバティブ資産」お
よび「デリバティブ負債」で表示されている。
2021年
ヘッジの非有効性の
帳簿価額
想定元本 計算に使用された
資産 負債
公正価値の変動
金利スワップ 444,031 27,230 14,826 -6,582
(*)
33,786 3,799 3,115 -1,235
通貨スワップ
477,817 31,029 17,941 -7,817
合計
(*) ヘッジされている主要な通貨は、米ドル、豪ドルおよびカナダ・ドルである。グループは通貨スワップの受取レグ
の想定元本を使用した。
上表で示された金利スワップおよび通貨スワップは、連結貸借対照表上、「デリバティブ資産」お
よび「デリバティブ負債」で表示されている。
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有価証券報告書
EIBはシステムにおいて、2022年末までにLIBORを参照するデリバティブの想定元本エクスポー
ジャーをすべて移行した。2023年6月以降に予定されている米ドルLIBORが置き換えられる日より前に
満期を迎えるすべての取引を除き、2022年12月31日現在、IBOR改革によって直接的に影響を受ける想
定元本額はゼロである(詳細については注S.4を参照のこと)。2021年12月31日現在、IBOR改革によっ
て直接的に影響を受ける金利スワップの想定元本は、米ドルLIBORについてはゼロ(2023年6月以降に
予定されている米ドルLIBORが置き換えられる日より前に満期を迎えるすべての取引を除く)、英ポン
ドLIBORは478百万ユーロ、その他のLIBOR金利は126百万ユーロであった。ヘッジ会計の下では、通貨
スワップについての影響はなかった。
2022年
ヘッジ損益調整が
ヘッジの
中止されたヘッジ対象
帳簿価額
公正価値
連結貸借対照表に 非有効性の計 について連結貸借
ヘッジ調整
おける科目 算に使用され 対照表に残存する
の累計額
た価値の変動 公正価値ヘッジ調整の
資産 負債
累計額
金融機関貸付金および
貸付金および預け金
22,549 0 -1,786 -2,763 6
預け金
対顧客貸付金および
100,765 0 -9,691 -20,783 49
預け金
中央銀行担保適格国庫
代替貸付金 1,943 0 -149 証券およびその他短期 -183 0
証券
負債証券-a) 公共
1,620 0 -85 -56 0
機関による発行
負債証券-b) その他
417 0 -33 -19 0
の借手による発行
中央銀行担保適格国庫
国債 241 0 -127 証券およびその他短期 -130 0
証券
負債証券-a) 公共
586 0 -67 -149 0
機関による発行
債務証書借入-a)
債務証書借入 0 299,689 20,383 43,257 -30
負債証券
債務証書借入-b)
0 6,760 -143 1,260 0
その他
合計 128,121 306,449 8,302 20,434 25
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2021年
ヘッジ損益調整が
ヘッジの
中止されたヘッジ対象
帳簿価額
公正価値
連結貸借対照表に 非有効性の計 について連結貸借
ヘッジ調整
おける科目 算に使用され 対照表に残存する
の累計額
た価値の変動 公正価値ヘッジ調整の
資産 負債
累計額
金融機関貸付金および
貸付金および預け金
24,177 0 977 -1,209 6
預け金
対顧客貸付金および
120,024 0 11,092 -6,675 49
預け金
中央銀行担保適格国庫
証券およびその他
代替貸付金 2,126 0 34 -48 0
短期証券
負債証券-a) 公共機関
697 0 -29 -67 0
による発行
負債証券-b) その他の
450 0 -14 -33 0
借手による発行
中央銀行担保適格国庫
国債 15 0 3 証券およびその他短期 3 0
証券
負債証券-a) 公共機関
512 0 82 82 0
による発行
債務証書借入-a)
債務証書借入 0 346,091 -22,874 15,414 -32
負債証券
債務証書借入-b)
0 7,349 -1,403 477 0
その他
合計 148,001 353,440 -12,132 7,944 23
2022年度の連結損益計算書において認識されたヘッジの非有効性、すなわちヘッジ手段とヘッジ対
象のヘッジに係る利得または損失の差額は537百万ユーロ(2021年:127百万ユーロ)であり、「金融
業務損益」に含まれている。
下表は、ヘッジ会計に関連して、資本の各構成部分の調整とその他の包括利益の内訳を示している
(単位:百万ユーロ)。
公正価値準備金-ヘッジコスト
2022年 2021年
1月1日現在の残高 -49 -145
クロス・カレンシー・ベーシス・スプレッドの償却および
再評価 -5 96
0 0
純損益に振替えられた金額
-54 -49
12月31日現在の残高
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Q.3. デリバティブ金融商品の公正価値
公正価値で測定されている金融資産については、以下の公正価値測定値ヒエラルキーのレベル別に
公正価値での測定を開示することが必要である。
・ レベル1 - 活発な市場における同一資産または負債の(未修正の)時価。
・ レベル2 - レベル1に含まれる時価以外の、当該資産または負債に関して直接的(価格等)ある
いは間接的(価格から導出された値等)に観察可能なインプットを組入れた評価技
法。
・ レベル3 - 観察可能な市場データに依拠していない当該資産または負債のインプット(観察不能
なインプット)を用いた評価技法。これらの金融商品の公正価値は、内部評価モデル
を用いて算定する。
評価技法には、割引キャッシュ・フロー、金利モデルとしてのハル・ホワイト・モデルおよびLibor
マーケット・モデル(LMM)、ならびにオプション・モデルのブラック・ショールズ・モデルが含まれ
る。評価技法で用いる仮定およびインプットとしては、無リスク金利、ベーシス・スワップ・スプ
レッド、通貨ベーシス・スワップ・スプレッド、為替レートおよび先渡レート、株価指数ならびにそ
れらの予想ボラティリティおよび予想相関性、消費者物価指数ならびにその予想ボラティリティおよ
び予想相関性が挙げられる。評価技法の目的は、独立第三者として行動する市場参加者が決定したで
あろう報告日現在の当該金融商品の価格を反映した公正価値を算定することである。適用した評価モ
デルは、金融商品の価格設定向けに一般に認められている経済学的手法と整合しており、市場参加者
が価格設定時に考慮する諸要因も盛り込んでいる。デリバティブ取引の一部に関して市場インプット
を直接入手できない場合に、主にある種の金利およびクロス・カレンシー・モデルにおける相関性の
推定ならびに長期株価連動取引、長期金利連動取引または長期物価連動取引のボラティリティの推定
に、グループ内の見積りや仮定が評価方法に取り入れられることがある。
下表は、資産または負債として計上されているデリバティブ金融商品の公正価値(市場価格に基づ
く公正価値、評価モデルへのインプットがすべて市場で観察可能な評価技法に基づく公正価値、およ
び市場で観察不能なインプットを用いた評価技法に基づく公正価値)と想定元本をまとめたものであ
る。想定元本の値は期末時点で未決済の取引高を示すものであって、市場リスクや信用リスクを示す
ものではない。
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評価方法別に示した2022年12月31日現在のデリバティブ(単位:百万ユーロ)
レベル1 レベル2 レベル3
デリバティブ資産
市場で観察可能な 市場で観察できな
2022年の合計
いインプットを
公表市場価格
インプットを用いた
評価技法 用いた評価技法
想定 公正 想定 公正 想定 公正 想定 公正
元本 価値 元本 価値 元本 価値 元本 価値
金利スワップ 0 0 229,113 24,287 896 116 230,009 24,403
通貨スワップ 0 0 128,077 10,455 106 18 128,183 10,473
短期為替契約 0 0 5,311 139 0 0 5,311 139
先物契約 8,801 29 0 0 0 0 8,801 29
合計 8,801 29 362,501 34,881 1,002 134 372,304 35,044
レベル1 レベル2 レベル3
デリバティブ負債
市場で観察可能な 市場で観察できな
2022年の合計
いインプットを
公表市場価格
インプットを用いた
評価技法 用いた評価技法
想定 公正 想定 公正 想定 公正 想定 公正
元本 価値 元本 価値 元本 価値 元本 価値
金利スワップ 0 0 338,327 32,612 4,689 859 343,016 33,471
通貨スワップ 0 0 114,674 9,070 488 84 115,162 9,154
短期為替契約 0 0 16,368 501 0 0 16,368 501
先物契約 3 1 0 0 0 0 3 1
その他 0 0 0 0 0 631 0 631
合計 3 1 469,369 42,183 5,177 1,574 474,549 43,758
評価方法別に示した2021年12月31日現在のデリバティブ(単位:百万ユーロ)
レベル1 レベル2 レベル3
デリバティブ資産
市場で観察可能な 市場で観察できな
2021年の合計
いインプットを
公表市場価格
インプットを用いた
評価技法 用いた評価技法
想定 公正 想定 公正 想定 公正 想定 公正
元本 価値 元本 価値 元本 価値 元本 価値
金利スワップ 0 0 325,704 31,016 2,399 300 328,103 31,316
通貨スワップ 0 0 155,209 10,051 417 86 155,626 10,137
短期為替契約 0 0 9,545 278 0 0 9,545 278
先物契約 6,383 3 0 0 0 0 6,383 3
合計 6,383 3 490,458 41,345 2,816 386 499,657 41,734
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レベル1 レベル2 レベル3
デリバティブ負債
市場で観察可能なイ 市場で観察できな
2021年の合計
ンプットを用いた いインプットを
公表市場価格
評価技法 用いた評価技法
想定 公正 想定 公正 想定 公正 想定 公正
元本 価値 元本 価値 元本 価値 元本 価値
金利スワップ 0 0 228,910 22,911 2,068 91 230,978 23,002
通貨スワップ 0 0 91,812 5,723 245 43 92,057 5,766
短期為替契約 0 0 15,981 143 0 0 15,981 143
先物契約 1,891 0 0 0 0 0 1,891 0
その他 0 0 0 0 0 619 0 619
合計 1,891 0 336,703 28,777 2,313 753 340,907 29,530
EIBが行ったデリバティブ取引の大部分の時価は、市場では入手できない。そのような金融商品に関
しては、可能な限り貸借対照表日現在の観察可能な実勢市場データに基づき、評価技法や評価モデル
を用いて公正価値が見積られる。
スワップ取引の公正価値は、オプションの利用可能な市場価格に調整されたオプション価格モデル
を用いて算出される。適用した評価モデルは、金融商品の価格設定向けに一般に認められている経済
学的手法と整合しており、市場参加者が価格設定時に考慮する諸要因も盛り込んでいる。
デリバティブ取引の一部に関しては、市場インプットを直接入手できない場合には、内部見積りや
仮定が評価技法に取り入れられることもある。
EONIAの廃止と市場の進化に伴い、EIBは2022年12月にEONIA割引からESTER割引に切り替え、その結
果マイナス3.4百万ユーロの損益影響が生じた。
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下表は、年度末において公正価値ヒエラルキーのレベル3に分類されるデリバティブ金融商品の測
定に使用された市場で観察できない重要なインプットについての情報を示している(単位:百万ユー
ロ)。
レベル3の
2022年
観察不能な
スワップの
12月31日 重要な観察不能な
金融商品の種類 2022年12月31 評価技法
インプットについて
現在の インプット
日現在の
の見積りの範囲
公正価値
公正価値
LMMについての平均
ボラティリティのボ
回帰またはボラティ
ラティリティまたは
リティのボラティリ
確率論的金利
平均回帰スピードの
金利スワップ -8,988 -663 ティなどの確率論的
20%増減。平均回帰
モデル
ボラティリティ。
を+/-0.2%変え
HW1Fモデルの平均回
る。
帰レベル。
異なった相関観察窓
の使用およびより多
ボラティリティスマ
確率論的クロス・
くのボラティリティ
イルを使用したイー
カレンシー・
通貨スワップ 1,319 -66 行使価格を捕捉する
ルドカーブとFXレー
ための局所ボラティ
モデル
ト間の相関
リティ・モデルの使
用
異なる配当利回りお
エクイティ・
確率論的エクイ 配当利回りおよびボ よびボラティリティ
-80 -80
ティ・モデル ラティリティ の使用(相対的+/-
スワップ
20%)
レベル3の
2021年
観察不能な
スワップの
重要な観察不能な
12月31日現在
金融商品の種類 2021年12月31 評価技法
インプットについて
の
インプット
日現在の
の見積りの範囲
公正価値
公正価値
平均回帰またはボラ
ティリティのボラ ボラティリティのボ
ティリティなどの確 ラティリティまたは
確率論的金利
金利スワップ 8,295 190 率論的ボラティリ 平均回帰スピードの
モデル
ティ。シフト後対数 20%増減。上下に1
正規モデルのシフ ppシフト。
ト。
異なった相関観察窓
の使用およびより多
ボラティリティスマ
確率論的クロス・
くのボラティリティ
イルを使用したイー
カレンシー・
通貨スワップ 4,371 43 行使価格を捕捉する
ルドカーブとFXレー
ための局所ボラティ
モデル
ト間の相関
リティ・モデルの使
用
異なる配当利回りお
確率論的エクイ 配当利回りおよびボ よびボラティリティ
エクイティ・
19 19
スワップ
ティ・モデル ラティリティ の使用(相対的+/-
20%)
重要な観察不能なインプットは、次のように策定される。
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- 相関およびボラティリティは、観察可能なボラティリティ、最近の取引価格、他の市場参加者
による指値、コンセンサス価格サービスからのデータおよび最新の状況を反映して調整した過
去のデータより推計される。
- リスク調整後スプレッドはCDS市場から導出される。
IFRS第13号の適用により、2022年12月31日現在のデリバティブの公正価値評価には次の評価調整が
含まれている。
- カウンターパーティーのデリバティブ取引に係る信用リスクを反映した信用評価調整(CVA)マ
イナス63.7百万ユーロ(2021年:マイナス73.0百万ユーロ)が以下のとおり計上されている。
・ 貸付金および代替貸付金をヘッジしているスワップにマイナス26.8百万ユーロ(2021年:
マイナス21.5百万ユーロ)
・ 借入をヘッジしているスワップにマイナス22.6百万ユーロ(2021年:マイナス24.3百万
ユーロ)
・ ALMスワップにマイナス14.1百万ユーロ(2021年:マイナス27.1百万ユーロ)
・ 長期財務スワップにマイナス0.1百万ユーロ(2021年:マイナス0.1百万ユーロ)
・ 短期財務スワップ(通貨スワップおよび為替予約)にマイナス0.1百万ユーロ(2021年:0
百万ユーロ)
- デリバティブ取引に係る自行の信用リスクを反映した債務評価調整(DVA)170.4百万ユーロ
(2021年:62.5百万ユーロ)が以下のとおり計上されている。
・ 貸付金および代替貸付金をヘッジしているスワップに53.7百万ユーロ(2021年:23.5百万
ユーロ)
・ 借入をヘッジしているスワップに58.8百万ユーロ(2021年:22.0百万ユーロ)
・ ALMスワップに57.3百万ユーロ(2021年:16.7百万ユーロ)
・ 長期財務スワップに0.5百万ユーロ(2021年:0.2百万ユーロ)
・ 短期財務スワップ(通貨スワップおよび為替予約)に0.1百万ユーロ(2021年:0.1百万
ユーロ)
- 上記のCVAおよびDVAに加えて、2022年12月31日現在で、EIBのカウンターパーティーがデリバ
ティブ取引に関して差し入れた担保に関連した特定のわずかな調整を反映した担保評価調整
(CollVA)がマイナス11.5百万ユーロ(2021年:マイナス5.1百万ユーロ)あった。EIBのカウ
ンターパーティーによって差し入れられた担保の信用リスク軽減の側面は、すでにCVAの値に反
映されている。しかし、担保報酬効果は特定のCollVA調整で切り離されている。
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Q.4. レベル3の商品の公正価値の感応度
グループは、公正価値の見積りは適切であると確信しているが、異なる手法または仮定を使用する
ことにより公正価値の測定が異なる可能性がある。
観察不能なインプットにより、レベル3の商品の評価額にある程度の不確実性と変動が加わる可能
性がある。EIBは、それを評価し定量化するために、観察不能なインプットに関する合理的に可能な仮
定の範囲を用いて、代替的な評価を実施している。代替的な仮定は評価モデルに特化したものであ
り、個別に適用することができる。
レベル3のデリバティブは、原資産および評価モデルによって次の3種類のスワップにグループ分
けすることができる。
a. 仕組金利スワップ
b. クロス・カレンシー・スワップおよび為替連動スワップ
c. エクイティ・スワップ
a. 仕組金利スワップは、外因性の平均回帰の水準を用いたハル・ホワイト・モデルまたは多因
子のLibor市場モデル(LMM)のダイナミクスを使用してモデル化されており、ボラティリ
ティのボラティリティのパラメーターがモデルのサブセットについて外部によって指定され
ている場合には、スワップションおよびスプレッド・オプションを使用して微調整されてい
る。LMMモデルには、外部によって設定されたボラティリティの平均回帰のスピードも組み込
まれている。このカテゴリー(a)について、確率的ボラティリティを用いたLMMについては、
「ボラティリティのボラティリティ」を20%増減させること、および平均回帰を20%増減さ
せる(1%を下限)こと、そして利率が低い場合には、IRのシフトの仮定を変更することに
よって、代替的な評価額が得られ、ハル・ホワイト・モデルについては平均回帰の水準を
0.2%増減させた。このカテゴリー(a)について、最初のシナリオでは「ボラティリティのボ
ラティリティ」を下降させ、平均回帰のスピードを加速させ、ハル・ホワイト・モデルの平
均回帰を上昇させた際に、最初のシナリオは5.2百万ユーロの減少、第2のシナリオは1.6百
万ユーロの増加をもたらした。
b. クロス・カレンシー・スワップおよび為替連動スワップは、金利についてはハル・ホワイト
の1ファクターモデル、為替レートについてはブラック・ショールズ・モデルに従って評価
されている。モデルは、金利、スワップションのボラティリティ、為替レート、為替オプ
ションのボラティリティならびに金利と為替レート間の相関関係を考慮して調整されてい
る。金利と為替レートの間の相関は、時系列から見積られる。これらのカテゴリーについ
て、代替的な評価額は、最初のシナリオよりも短期間(半分)からの相関を算出し、第2の
シナリオにおけるボラティリティスマイルの考慮を行うことによって算定される。このカテ
ゴリー(b)については、第2のシナリオは悪影響をもたらすことが判明して、評価額は3.0百
万ユーロ減少し、他方のシナリオは好影響を及ぼし、0.1百万ユーロの増加をもたらした。
c. エクイティ・スワップは、ブラック・ショールズ・モデルを使用してモデル化され、ボラ
ティリティを市場から捕捉している。金利および配当も、市場相場から捕捉される。長期ス
ワップについては、ボラティリティと配当は長期の満期にわたって推定される。このシナリ
オはボラティリティと配当金の仮定の相対的な20%増減で構成される。有利なシナリオは5.5
百万ユーロの増加をもたらし、不利なシナリオは3.5百万ユーロの減少をもたらした。
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下表は、レベル3のデリバティブを金融商品の種類ごとに要約したものであり、代替的な仮定によ
り公正価値が変動する(単位:百万ユーロ)。
2022年12月31日 有利な影響 不利な影響 評価技法 重要な観察不能なインプット
平均回帰およびボラティリティの
ボラティリティのパラメーター、
仕組金利スワップ(OTC) 1.6 -5.2 確率論的金利モデル ならびに
ハル・ホワイト・モデルにおける
平均回帰
クロス・カレンシー・
確率論的クロス・
金利と為替レートの相関関係およ
スワップおよび為替連動 0.1 -3.0
びボラティリティスマイル
カレンシー・モデル
スワップ
確率論的エクイ
エクイティ・スワップ 5.5 -3.5 ボラティリティと配当
ティ・モデル
2021年12月31日現在 有利な影響 不利な影響 評価技法 重要な観察不能なインプット
ボラティリティのパラメーターの
平均回帰およびボラティリティの
ボラティリティの変更
仕組金利スワップ(OTC) 1.8 -0.2 確率論的金利モデル
シフト後対数正規モデルのシフト
の変更
クロス・カレンシー・
確率論的クロス・
金利と為替レートの相関関係およ
スワップおよび為替連動 1.3 0
びボラティリティスマイルの考慮
カレンシー・モデル
スワップ
確率論的エクイ
エクイティ・スワップ 10.0 -8.2 ボラティリティと配当の変動
ティ・モデル
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注R: 金融資産および金融負債の公正価値(単位:百万ユーロ)
下表は、連結財務書類に計上されているグループの金融資産および金融負債の公正価値ヒエラル
キー別の公正価値と帳簿価額を比較したものである。ただし、金融資産以外および金融負債以外の公
正価値は記載していない。
公正価値
2022年12月31日
帳簿価額
レベル1 レベル2 レベル3 合計
公正価値で計上される資産:
FVTPLでの測定に指定された金融資産 0 4,957 9,230 14,187 14,187
金融機関および対顧客貸付金および
0 4,777 8,458 13,235 13,235
預け金
株式およびその他の変動利付証券 0 0 772 772 772
代替貸付金ポートフォリオ 0 180 0 180 180
強制的にFVTPLで測定される金融資産 2,891 35,204 20,956 59,051 59,051
デリバティブ資産 29 34,881 134 35,044 35,044
SLP 2,862 323 0 3,185 3,185
株式およびその他の変動利付証券 0 0 17,573 17,573 17,573
金融機関および対顧客貸付金および
0 0 2,234 2,234 2,234
預け金
代替貸付金ポートフォリオ 0 0 612 612 612
資産担保証券ポートフォリオEIF 0 0 403 403 403
FVOCIで測定される金融資産
0 0 548 548 548
(リサイクルなし)
株式およびその他の変動利付証券 0 0 548 548 548
合計 2,891 40,161 30,734 73,786 73,786
ACで計上される資産:
回収目的保有 9,285 420,948 44,185 474,418 491,565
LTHP 2,269 21 0 2,290 2,526
TMP 4,630 2,362 0 6,992 7,001
運用ポートフォリオ-EIF 1,995 65 0 2,060 2,326
代替貸付金ポートフォリオ 278 10,030 5,730 16,038 16,370
金融機関および対顧客貸付金および
0 407,659 38,455 446,114 462,418
預け金
現金、中央銀行および郵便局預け金 113 0 0 113 113
払込請求済だが払込未済の応募済
0 811 0 811 811
資本金および準備金
合計 9,285 420,948 44,185 474,418 491,565
金融資産合計 12,176 461,109 74,919 548,204 565,351
公正価値で計上される負債
強制的にFVTPLで測定される金融
1 42,603 1,574 44,178 44,178
負債
デリバティブ負債 1 42,183 1,574 43,758 43,758
その他の負債 0 420 0 420 420
FVTPLでの測定に指定された金融負債 16,236 2,560 4,953 23,749 23,749
債務証書借入 16,236 2,560 4,953 23,749 23,749
合計 16,237 45,163 6,527 67,927 67,927
ACで計上される負債
ACで測定される負債 362,190 28,800 2,359 393,349 403,774
金融機関および顧客に対する債務 0 6,933 0 6,933 6,933
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公正価値
2022年12月31日
帳簿価額
レベル1 レベル2 レベル3 合計
債務証書借入 362,190 18,695 2,359 383,244 393,669
その他の未払金およびリース負債 0 3,172 0 3,172 3,172
合計 362,190 28,800 2,359 393,349 403,774
金融負債合計 378,427 73,963 8,886 461,276 471,701
公正価値
2021年12月31日現在
帳簿価額
レベル1 レベル2 レベル3 合計
公正価値で計上される資産:
FVTPLでの測定に指定された金融資産 0 6,475 11,624 18,099 18,099
金融機関および対顧客貸付金および
0 6,273 10,840 17,113 17,113
預け金
株式およびその他の変動利付証券 0 0 784 784 784
代替貸付金ポートフォリオ 0 202 0 202 202
強制的にFVTPLで測定される金融
4,751 41,345 21,974 68,070 68,070
資産
デリバティブ資産 3 41,345 386 41,734 41,734
SLP 4,748 0 0 4,748 4,748
株式およびその他の変動利付証券 0 0 17,490 17,490 17,490
金融機関および対顧客貸付金および
0 0 2,814 2,814 2,814
預け金
代替貸付金ポートフォリオ 0 0 903 903 903
資産担保証券ポートフォリオEIF 0 0 381 381 381
FVOCIで測定される金融資産
0 0 598 598 598
(リサイクルなし)
株式およびその他の変動利付証券 0 0 598 598 598
合計 4,751 47,820 34,196 86,767 86,767
ACで計上される資産:
回収目的保有 20,430 473,855 51,780 546,065 536,283
LTHP 1,437 0 0 1,437 1,444
TMP 14,845 7,612 0 22,457 22,456
運用ポートフォリオ-EIF 2,264 27 0 2,291 2,298
代替貸付金ポートフォリオ 401 10,134 6,400 16,935 16,865
金融機関および対顧客貸付金および
0 454,948 45,380 500,328 490,603
預け金
現金、中央銀行および郵便局預け金 1,483 0 0 1,483 1,483
払込請求済だが払込未済の応募済
0 1,134 0 1,134 1,134
資本金および準備金
合計 20,430 473,855 51,780 546,065 536,283
金融資産合計 25,181 521,675 85,976 632,832 623,050
公正価値で計上される負債
強制的にFVTPLで測定される金融
0 29,117 753 29,870 29,870
負債
デリバティブ負債 0 28,777 753 29,530 29,530
その他の負債 0 340 0 340 340
FVTPLでの測定に指定された金融負債 20,171 6,614 3,892 30,677 30,677
債務証書借入 20,171 6,614 3,892 30,677 30,677
合計 20,171 35,731 4,645 60,547 60,547
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公正価値
2021年12月31日現在
帳簿価額
レベル1 レベル2 レベル3 合計
ACで計上される負債
ACで測定される負債 418,696 58,002 0 476,698 471,999
金融機関および顧客に対する債務 0 25,393 0 25,393 25,393
債務証書借入 418,696 29,229 0 447,925 443,226
(*)
0 3,380 0 3,380 3,380
その他の未払金およびリース負債
合計 418,696 58,002 0 476,698 471,999
金融負債合計 438,867 93,733 4,645 537,245 532,546
(*) 財務書類の可読性を向上させるために、組替が行われている。
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以下、金融資産および金融負債の公正価値算定に用いる方法と仮定を記載する。
帳簿価額が公正価値に近似する資産および負債
流動性が高い、あるいは満期が短い(3ヵ月未満)金融資産および金融負債の場合、帳簿価額と公
正価値は近似していると仮定される。
公正価値で計上される資産および負債
金融商品の公正価値の算定に当たっては、まず、活発な市場の公表気配値が第一の情報源とされ
る。入手できる市場価格がない金融商品の場合は、可能な限り貸借対照表日現在の観察可能な実勢市
場データに基づき、評価技法や評価モデルを用いて公正価値が見積られる。
こうした金融商品の公正価値は、将来のキャッシュ・フローから割引現在価値を導出する評価技法
を用いて算定される。公正価値の見積りは将来価値に対する市場の期待値に基づいている。評価技法
は、既知のキャッシュ・フローを割り引く単純なものから複雑なオプション・モデルに至るまで、多
岐にわたる。適用した評価モデルは、金融商品の価格設定向けに一般に認められている経済学的手法
と整合しており、市場参加者が価格設定時に考慮する諸要因を盛り込んでいる。市場情報が直接入手
可能でない場合には、内部的な見積りおよび仮定が評価技法に用いられることもある。
IFRS第13号の適用による、純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融負債に係るグループ
自体の信用リスクを反映した自己信用調整(「OCA」)は、2022年12月31日現在で305.9百万ユーロ
(2021年:86.0百万ユーロ)であった。
2022年には、次の項目が公正価値ヒエラルキーのレベル1からレベル2に振替えられた。
- 170.0百万ユーロの強制的にFVTPLで測定される金融資産(2021年: 0.0百万ユーロ)
- 26.1百万ユーロの償却原価で評価される金融資産(2021年: 0.0百万ユーロ)
- 306.1百万ユーロの純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融負債(2021年:ゼロ)
次の項目は、公正価値ヒエラルキーのレベル2からレベル1に振替えられた。
- 0.0百万ユーロの強制的にFVTPLで測定される金融資産(2021年: 63.0百万ユーロ)
- 0.0百万ユーロの償却原価で評価される金融資産(2021年: 27.7百万ユーロ)
- 718.8百万ユーロの純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融負債(2021年:182.7百
万ユーロ)
当事業年度中、これらの有価証券の活発な市場における公表価格が入手可能となり、その結果、レ
ベル2からレベル1へ振替えられた。
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下表は、2022年12月31日終了事業年度におけるレベル3の金融商品の変動を示したものである(単
位:百万ユーロ)。
FVOCIで測定
強制的にFVTPL FVTPLでの測定 強制的にFVTPL FVTPLでの測定
で測定される金 に指定された金 される金融 で測定される金 に指定された金
融資産 融資産 融負債 融負債
資産
2022年1月1日現在の残高 21,974 11,624 598 753 3,892
損益合計
- 純損益に計上
-1,498 -1,755 0 422 -543
- その他包括損益に計上
0 0 -50 0 -64
買付 2,829 87 0 55 0
売却 -1,413 -44 0 0 0
発行 0 6 0 0 252
決済 -972 -688 0 -9 -240
レベル3への移動合計 36 0 0 355 1,762
レベル3からの移動合計 0 0 0 -2 -106
2022年12月31日現在の残高 20,956 9,230 548 1,574 4,953
下表は、2021年12月31日終了事業年度におけるレベル3の金融商品の変動を示したものである(単
位:百万ユーロ)。
FVOCIで測定
強制的にFVTPL FVTPLでの測定 強制的にFVTPL FVTPLでの測定
で測定される に指定された される金融 で測定される に指定された
金融資産 金融資産 金融負債 金融負債
資産
2021年1月1日現在の残高 15,737 11,040 515 242 3,182
損益合計
- 純損益に計上
5,343 554 0 509 27
- その他包括損益に計上
0 0 83 0 -12
買付 3,448 94 0 0 0
売却 -1,816 -129 0 0 0
発行 0 68 0 0 0
決済 -826 -3 0 0 -128
レベル3への移動合計 88 0 0 2 884
レベル3からの移動合計 0 0 0 0 -61
2021年12月31日現在の残高 21,974 11,624 598 753 3,892
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2022年12月31日および2021年12月31日に終了した年度において、特定の金融資産および金融負債が
公正価値ヒエラルキーのレベル3へまたはレベル3から移動した。このような移動の理由は、活発な
市場における相場価格の入手可能性と、公正価値測定に使用されるインプットと仮定が前年と比較し
て変化したためである。
下表におけるレベル3の商品に係る損益合計は、2022年12月31日終了事業年度の連結純損益および
その他の包括利益計算書に以下のとおりに表示されている(単位:百万ユーロ)。
FVOCIで測定
FVTPLでの測定 強制的にFVTPL FVTPLでの測定
強制的にFVTPL
に指定された で測定される に指定された
で測定される金 される金融
融資産
金融資産 金融負債 金融負債
資産
当期純損益に含まれた損益合計:
-金融業務損益 -1,498 -1,755 0 422 -543
その他包括損益に認識された損益合
計
-FVOCIで測定される金融資産および
0 0 -50 0 -64
OCA
2022年12月31日現在に保有する
資産および負債に係る未実現損益の
変動に起因する純損益に含まれる
当期損益合計
-金融業務損益 -1,498 -1,755 0 422 -543
下表におけるレベル3の商品に係る損益合計は、2021年12月31日終了事業年度の連結純損益および
その他の包括利益計算書に以下のとおりに表示されている(単位:百万ユーロ)。
FVOCIで測定
強制的にFVTPL FVTPLでの測定 強制的にFVTPL FVTPLでの測定
で測定される に指定された で測定される に指定された
される金融
金融資産 金融資産 金融負債 金融負債
資産
当期純損益に含まれた損益合計:
-金融業務損益 5,343 554 0 509 27
その他包括損益に認識された損益合
計
-FVOCIで測定される金融資産および
0 0 83 0 -12
OCA
2021年12月31日現在に保有する
資産および負債に係る未実現損益の
変動に起因する純損益に含まれる
当期損益合計
-金融業務損益 5,343 554 0 509 27
市場の観察可能性のないインプットに基づく評価技法による純損益を通じた公正価値での測定に指
定された金融商品の代替的な仮定による公正価値の変動
グループは、公正価値の見積りは適切であると確信しているが、異なる手法または仮定を使用する
ことにより公正価値の測定が異なる可能性がある。
市場で観察不能な仮定について合理的に代替可能なものを評価技法へのインプットとして使用し、
それに基づき損益を通じて公正価値で評価されるものに指定された金融商品の公正価値を算定した場
合の潜在的影響としては、2022年12月31日現在の公正価値は、最も不利となる仮定を用いた場合は約
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11.7百万ユーロ低くなり、最も有利となる仮定を用いた場合は約7.2百万ユーロ高くなるものと定量化
された。2021年12月31日現在の公正価値は、最も不利となる仮定を用いた場合は約8.4百万ユーロ低く
な り、最も有利となる仮定を用いた場合は約13.1百万ユーロ高くなるものと定量化された。
レベル3評価カテゴリーに属する借入金および貸付金の公正価値算出には、代替的な仮定が使用さ
れる。レベル3の借入金および貸付金の公正価値は、それらの借入金および貸付金をヘッジするデリ
バティブの価値から導出される。したがって代替的な仮定がまずレベル3デリバティブの評価に適用
され、次にその影響がレベル3の借入金および貸付金に適用される。レベル3のデリバティブは、原
資産および/または評価モデルによって次の3種類のスワップにグループ分けすることができる。
a. 仕組金利スワップ
b. クロス・カレンシー・スワップおよび為替連動スワップ
c. エクイティ・スワップ
CMS金利を基礎とする仕組金利スワップは、スワップションおよびスプレッド・オプションを用いて
水準調整された多因子のLibor市場モデル(LMM)のダイナミクスでモデル化され、 「ボラティリティ
のボラティリティ」パラメーターは外因的に特定されるが、IBOR/RFR金利を基礎とするものは、ス
ワップションおよび外因的に特定された平均回帰パラメーターを用いて水準調整されたハル・ホワイ
ト1ファクター・モデル(HW1F)のダイナミクスを用いてモデル化される。クロス・カレンシー・ス
ワップおよび為替連動スワップは、金利についてはハル・ホワイト1ファクターモデル、為替レート
についてはブラック・ショールズ・モデルに従って評価されている。モデルは、金利、スワップショ
ンのボラティリティ、為替レート、為替オプションのボラティリティならびに金利と為替レート間の
相関関係を考慮して調整されている。カテゴリー(c)は、エクイティ・スワップの金額の大きな1ポジ
ションで構成され、このエクイティ・スワップにはアジア型コール・オプションが埋め込まれてい
る。オプショナリティの価値は、配当とボラティリティに大きく影響され、代用指標を用いる必要が
ある。
純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融資産
純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融資産には、ヘッジ会計適格ではない金利スワッ
プや通貨スワップでヘッジされた貸付金および代替貸付金ポートフォリオが含まれている。
純損益を通じた公正価値での測定に指定された実行済の金融機関および対顧客貸付金および預け金
(代替貸付金を含む)の最大信用エクスポージャーは、10,634百万ユーロ(2021年:12,264百万ユー
ロ)であった。グループのカウンターパーティーの信用リスクの変動に起因する貸付金および代替貸
付金の公正価値の累積変動は、103.2百万ユーロの評価損(2021年:156.5百万ユーロの評価損)で
あった。純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融資産の公正価値の変動のうち、信用リス
クの変動に起因する部分は、かかる貸付金および代替貸付金の見積貸倒損失の変動を算定して計算さ
れている。
純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融資産の信用リスクヘッジのために締結されたク
レジット・デリバティブはない。
純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融負債
純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融負債はグループが発行した債務証書借入で、金
利スワップおよび通貨スワップでヘッジされているもので構成されている。
FVTPLでの測定に指定された金融負債については、グループは当該負債の信用リスクの変動影響を、
その他の包括利益に表示するよう義務付けられている。
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下表は、2022年12月31日終了事業年度におけるかかる金融負債について要求される情報を示したも
のである。
信用リスクの
帳簿価額と、
変動に起因する 当期中の
当期中の認識中止に
約定の満期支払額と
(単位:百万ユーロ)
よる実現額
公正価値の累積的 資本科目間振替
の差額
変動
FVTPLでの測定に指定された
306 -11 -11 -359
金融負債
当期中に、OCAに関連する11百万ユーロの累積利益が、基礎となる 「債務証書借入」 の早期認識中
止の結果、 「公正価値準備金」 から 「その他準備金」 に振り替えられた。その結果として、2022
年12月31日に終了した期間のOCIにおける対応する影響は231百万ユーロ (2021年:66百万ユーロ)で
あった。
下表は、2021年12月31日終了事業年度におけるかかる金融負債について要求される情報を示したも
のである。
信用リスクの
帳簿価額と、
変動に起因する 当期中の
当期中の認識中止に
(単位:百万ユーロ) 約定の満期支払額と
よる実現額
公正価値の累積的 資本科目間振替
の差額
変動
FVTPLでの測定に指定された
86 0 -1 -2,537
金融負債
グループは、FVTPLに指定された借入金の信用リスク特性とヘッジ手段との間に直接の経済的関連性
は存在しないことから、自己信用リスクの変動額をOCIで表示することにより純損益における会計上の
ミスマッチを減らすことにした。
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金融資産と金融負債の相殺
下表で表示されている開示には、以下の金融資産および金融負債が含まれている。
- EIBグループの会計方針に従ってグループの連結貸借対照表上で相殺されているもの。
- 現在法的強制力を持ったマスター・ネッティング契約または類似した金融商品を対象とした類
似契約の適用を受けるもので、グループの連結貸借対照表上で相殺されているか否かは問わな
い。
類似契約にはグローバル・マスター・リパーチェス契約が含まれる。類似した金融商品には、リ
パーチェス契約およびリバース・リパーチェス契約が含まれる。貸付金および預金などの金融商品
は、連結貸借対照表上で相殺されていない限り、下表では表示されていない。
取引所で取引されていないグループのデリバティブ取引は、国際スワップ・デリバティブ協会
(ISDA)のマスター契約の下で行われている。通常、このような契約の下では、いずれの日において
も各当事者の同一の取引および同一の通貨に関する支払債務の金額は合算されて、一方の当事者から
他方の当事者に支払われるべき単一の純額となる。例えばデフォルトが発生するなどの特定の状況下
では、契約下のすべての未決済取引は解約され、解約価値が査定され、すべての取引の決済として単
一の純額が支払われるべき金額とされる。
グループのリパーチェス契約およびリバース・リパーチェス契約は、ISDAマスター契約の相殺条項
と類似した相殺条項を備えたマスター契約による。
上記のISDAおよび類似したマスター・ネッティングの取決めは、連結貸借対照表における相殺基準
を満たさない。これは、これらの契約によって発生する(認識された金額に対する)相殺権が、いず
れかの当事者の支払不能または破産を含むデフォルトを受けての未決済取引の解約後のみ強制可能と
なるためである。
グループは、次の取引に関連して現金または市場性のある有価証券の形で担保を受領し、預け入れ
ている。
- デリバティブ
- リパーチェス契約およびリバース・リパーチェス契約
OTCデリバティブに関連して受領する担保は、片務的ISDAクレジット・サポート・アネックスの適用
を受ける。このことは、担保として受領した有価証券は取引期間中に質権を設定しまたは売却を行う
ことができるが、カウンターパーティーに対するエクスポージャーが減少した場合には、当該カウン
ターパーティーの要請時に返却しなければならないことを意味する。また、これらの条件により、カ
ウンターパーティーが担保の差入れを怠った場合に、グループは関連する取引を終了する権利を与え
られている。
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相殺、法的に強制可能なマスター・ネッティング契約または類似した契約の適用を受ける金融資産(単位:百万ユーロ)
認識された金 貸借対照表上で相殺されて
貸借対照表上
認識された
融負債のうち いない関連金額
で表示されて
金融資産の 貸借対照表上 純額
いる金融資産
で相殺されて 受取現金
総額
の純額
債券
いる総額
担保
2022年12月31日
金融資産:
リスク管理のために保有する
デリバティブ資産 35,453 -438 35,015 4,531 2,371 28,113
リバース・レポ 7,383 0 7,383 6,999 1 383
400 -366 34 0 0 34
金融保証
43,236 -804 42,432 11,530 2,372 28,530
合計
認識された金 貸借対照表上で相殺されて
貸借対照表上
認識された
融負債のうち いない関連金額
で表示されて
金融資産の 貸借対照表上 純額
いる金融資産
で相殺されて
総額
2021年12月31日現在
の純額
債券 受取現金担保
いる総額
金融資産 :
リスク管理のために保有する
デリバティブ資産 42,229 -498 41,731 10,624 4,775 26,332
リバース・レポ 13,888 0 13,888 13,556 2 330
830 -773 57 0 0 57
金融保証
56,947 -1,271 55,676 24,180 4,777 26,719
合計
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相殺、法的に強制可能なマスター・ネッティング契約または類似した契約の適用を受ける金融負債(単位:百万ユーロ)
認識された
貸借対照表上で相殺されて
貸借対照表上
認識された
金融資産の いない関連金額
で表示されて
金融負債の 純額
うち貸借対照
いる金融負債
総額 表上で相殺さ
の純額
金融商品 差入現金担保
れている総額
2022年12月31日
金融負債:
リスク管理のために保有する
デリバティブ負債 43,145 -19 43,126 0 0 43,126
レポ契約 3,066 0 3,066 3,054 0 12
債務証書借入 407 -407 0 0 0 0
529 -431 98 0 0 98
金融保証
47,147 -857 46,290 3,054 0 43,236
合計
認識された
貸借対照表上で相殺されて
貸借対照表上
認識された
金融資産の いない関連金額
で表示されて
金融負債の 純額
うち貸借対照
いる金融負債
総額 表上で相殺さ
の純額
金融担保 差入現金担保
れている総額
2021年12月31日現在
金融負債:
リスク管理のために保有する
28,940 -29 28,911 0 0 28,911
デリバティブ負債
レポ契約 5,711 0 5,711 5,711 0 0
債務証書借入 453 -453 0 0 0 0
276 -237 39 0 0 39
金融保証
合計 35,380 -719 34,661 5,711 0 28,950
上表で開示されている貸借対照表に表示された金融資産および金融負債の総額および純額は、貸借
対照表上で以下に基づいて測定されている。
- デリバティブ資産および負債-公正価値
- セール・アンド・リパーチェス契約、リバース・セール・アンド・リパーチェス契約および証
券貸借により発生した資産および負債-償却原価または公正価値
- 対顧客貸付金および預け金-償却原価または公正価値
- 顧客に対する債務-償却原価
- 金融保証契約(注A.4.11.)
上表における貸借対照表上で相殺されている金額は、金融保証契約(注A.4.11.)を除き、同じ基準
で測定されている。下表は、上表で表示された「貸借対照表上で表示されている金融資産および金融
負債の純額」と、貸借対照表または注Gのそれぞれの見出しで表示された科目との調整を示している
(単位:百万ユーロ)。
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連結貸借対照表上の 相殺の開示の対象
連結貸借対照表上
純額
2022年12月31日
の金額
科目 範囲外の金融資産
金融資産:
リスク管理のために保有する
35,015 デリバティブ資産 35,044 29
デリバティブ資産
金融機関貸付金および
リバース・レポ 7,383 156,794 149,411
預け金
金融保証 34 その他の資産(注G) 34 0
連結貸借対照表上の 相殺の開示の対象
連結貸借対照表上
純額
の金額
2022年12月31日 科目 範囲外の金融負債
金融負債:
リスク管理のために保有する
43,126 デリバティブ負債 43,758 632
デリバティブ負債
レポ契約 3,066 金融機関に対する債務 5,443 2,377
債務証書借入 0 債務証書借入 417,418 417,418
保証および契約債務引
金融保証 98 当金/その他の負債 98 0
(注D.4)
連結貸借対照表上の 相殺の開示の対象
連結貸借対照表上
純額
の金額
2021年12月31日現在 科目 範囲外の金融資産
金融資産:
リスク管理のために保有する
41,731 デリバティブ資産 41,734 3
デリバティブ資産
金融機関貸付金および預
リバース・レポ 13,888 170,147 156,259
け金
金融保証 57 その他の資産(注G) 57 0
連結貸借対照表上の 相殺の開示の対象
連結貸借対照表上
純額
の金額
2021年12月31日現在 科目 範囲外の金融負債
金融負債:
リスク管理のために保有する
28,911 デリバティブ負債 29,530 619
デリバティブ負債
レポ契約 5,711 金融機関に対する債務 23,572 17,861
債務証書借入 0 債務証書借入 473,903 473,903
保証および契約債務引当
金融保証 39 金/その他の負債(注 39 0
D.4)
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注S: リスク管理
本注記は、グループのリスクに対するエクスポージャーならびにその管理および統制についての情
報を、特に金融商品の使用に関連した主なリスクについて記載している。それらは以下のとおりであ
る。
(3)
- 信用リスク-決済リスク 等、顧客またはカウンターパーティーのデフォルトにより発生する
損失のリスクで、あらゆる形式の信用エクスポージャーから発生する。
- 金利リスク-グループの立場からは、金利に対する感応度の高い商品に影響を与える金利の不
利な変動から生じる経済価値または正味受取利息に対するリスク。金利リスクは、ギャップリ
スク、ベーシスリスクおよびオプションリスクを含む。
- 流動性および資金調達リスク-グループが合理的な価格により、あるいは、極端な状況下では
いかなる価格によっても、資金調達または義務の履行ができないリスク。
- 為替レートリスク-為替レートの不利な変動による、グループのポジションから得られる経済
価値または収益に対するリスク。
- オペレーショナル・リスク-不十分もしくは機能不全の内部プロセス、人員もしくはシステ
(4)
ム、または外部事象 に起因する損失リスク。
(3) 決済リスクとは、受渡期日を過ぎても決済されない取引や、適用される市場基準よりも後に決済され
る取引による潜在的な損失のリスクと定義される。グループの業務の性質上、決済リスクの影響を受
ける最も関連性の高い商品は、EIBが締結しているデリバティブのうち、外貨の授受をもたらすもの
である。決済リスクの管理は、財務リスク・ガイドラインの中で取り扱われている。
(4) 外部事象の定義からは、顧客の倒産や不利な市場の動き、または類似の事象は除外されており、これ
らは信用リスクおよびそれぞれの市場リスクのトリガーである。
2022年には、リスクの管理とモニタリング専任のチームを含む職員は一部の期間テレワークで勤務
していた。このような業務に関連して、ポジション管理システムは、通常の状況下と同一の機能性
で、フロント・オフィス、ミドル・オフィスおよびバック・オフィスの職員に加えて、リスク管理の
職員もリモートモードで利用が可能であった。
S.1. リスク管理組織
グループ内の各事業体は、独自のリスクの管理および統制を実行している。本注記に記載するリス
ク管理情報はEIBとEIFを分けて表示する。
グループのリスク管理の概括的な原則は、EIBグループ・リスク管理憲章に示されている。グルー
プ・リスク管理憲章は、グループのリスクのグループ全体からの見方およびリスク管理の統合的なア
プローチを規定することを目的としている。
グループは、グループ最高リスク責任者(「GCRO」)の管理下となるグループ・リスク課を設置し
ている。総裁およびEIB経営委員会のそれぞれの法定責任が影響を受けることなく、GCROはグループ・
リスクについて、リスク担当の経営委員会委員の監督の下、EIB経営委員会に報告する。グループ・リ
スクに関連した主要なリスク方針の事項に関して、GCROはEIB経営委員会および他のEIBの統治機関の
関連するすべての会議に参加し、EIF理事会の関連する会議およびEIF経営陣との協議に招待される。
EIFは、GCROを通じてグループ・リスク事項をEIBに報告する。
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グループ・リスク選好
リスク選好とは、グループがその公的使命と目的との関連において、業務の遂行の中で進んで負担
し、かつ負担できるリスクの水準である。EU加盟国(さらにはパートナーシップ参加国)全体に魅力
的な条件でEUの目的に適う長期資金を提供するグループの能力が、リスク選好の鍵となる。グループ
の ビジネスモデルの主たる柱は、主要格付機関による長期格付でAAA格を維持することである。
グループがリスク選好を管理するために実施するプロセスおよび業務は、EIB理事会によって承認さ
れたグループ・リスク選好の枠組み(「RAF」)において正式に決定されている。グループRAFは、主
要な財務リスク(信用リスク、流動性リスク、市場リスク、財務リスクを含む)および以下の非財務
リスクのカテゴリーを取り扱っている。そのカテゴリーとは、(i)オペレーショナル(例:人、情報セ
キュリティ、金融犯罪、テクノロジー、不正、コンプライアンス、モデルリスク)及び(ii)その他
(例:気候変動および環境、ならびに風評リスク)である。RAFには、測定可能なリスク選好指標の導
入およびモニタリングを通じてグループに健全なリスク文化を根付かせる作用があり、このリスク選
好指標にはリスク限度額が適用され、(場合により)グループ内の下位組織へと落とし込まれる。
グループは公的金融機関として、リスクに対する投機的エクスポージャーにより収益を獲得するこ
とを目指していない。そのため、グループは財務活動や資金調達活動を利益の最大化を図る中心的業
務とみなしていない。投資活動は、投資資本の保護という主目的の範囲内で行われる。
S.1.1. EIBのリスク管理組織
グループ・リスク選好の枠組みに記載されている原則の延長として、EIBの目的は、その資産、財務
的業績、ひいては自己資本を可能な限り最大限に守るため、リスクを分析・管理することでもある。
EIBは一般にEUの機関、機構および局によって発令または採択される商業銀行に適用される法や指針
(「EU法および指針」)の適用を受けないが、EIBはその任意の決定により、EIBが公表しているベス
ト・バンキング・プラクティスの指針的原則を含むベスト・バンキング・プラクティスの枠組みで特
定されるEU法および指針を遵守することとしている。
EIB内では、EIBのグループ・リスク・コンプライアンス部門(「GR&C」)は、EIBがさらされている
信用リスク、市場リスク、流動性および資金調達リスク、オペレーショナル・リスクを独立した立場
から特定、評価、モニタリングおよび報告する。GR&Cは、職務分掌を維持するために、そして3つの
防衛線の原則に従って、フロント・オフィスから独立した組織となっており、リスクに関するすべて
の提案に対して、セカンド・オピニオンを提供する。
以下の項では、EIBが自己のリスク負担において実施する活動の中でさらされる信用リスク、市場リ
スク、流動性および資金調達リスク、オペレーショナル・リスクについて開示している。詳細につい
ては、EIBグループ・リスク管理開示報告書を参照のこと。
S.1.1.1. リスクの測定および報告システム
EIBは、変化する経済情勢や進化する規制当局の基準に合わせて、リスク管理システムを調整してい
る。市場慣行が発達するにつれ、EIBも継続的にそれらを適応させている。EIBの業務に内在する主な
リスク、すなわち、信用リスク、金利リスク、流動性および資金調達リスク、為替レートリスクなら
びに非財務リスクを統制し、報告するため、管理システムを導入している。
リスクは、EIBの支払能力、流動性、利益および業務への影響を定量化することを目的として、通常
の環境下および起こり得るストレス状態下で、評価・測定される。リスク測定では、資本構成、利
益、流動性、ならびに市場リスクおよびオペレーショナル・リスクに対するエクスポージャーに関連
した適切な指標を考慮する。
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信用リスク、市場リスク、流動性リスク、財務リスクおよびオペレーショナル・リスクに関する情
報は、経営委員会および理事会に対して毎月報告される。かかる情報は、経営委員会および理事会の
リスク方針委員会に対して定期的に報告・説明される。
(5)
EIBは、金利(IR)リスク(ギャップリスクおよびベーシスリスク )ならびにFXリスクを管理す
るための枠組みを整備している。EIBはIRおよびFXのポジションを日次でモニターし、事前承認された
限度内で管理している。
(5) 2022年には「オプションリスク」へのエクスポージャーに重要性はなかった。
オペレーショナル・リスクや財務リスクを招く新しい種類の取引はすべて、新商品委員会
(「NPC」)の承認を受けた上で改めて経営委員会(「MC」)の承認を取得することが義務付けられて
いる。
S.1.1.2. 収益の持続可能性および自己資金力
EIBの金利リスク戦略は、EIBの全体的な財務リスク管理で不可欠な部分を占めている。この方針
は、利益の安定性、自己資本の経済価値の保持、EIBの長期成長資金の自力調達に関する、EIBの主要
利害関係者の期待を反映した内容になっている。
これらの目標を達成するため、金利リスク戦略は、一段の収益安定と全体的なリターンの拡大のた
めに、EIBの自己資本投資に関して、中・長期を対象期間とみなしている。実際には、このことはEIB
の自己資本投資について4.5年から5.5年の目標デュレーションを生み出す投資プロファイルを定義す
ることによって達成される。
この関連において、資産・負債委員会(「ALCO」)は、金利リスク戦略の枠組みに関連する投資プ
ロファイルについて定期的なチェックポイントを実施する。
S.1.2. EIFのリスク管理組織
EIFの使命は、欧州連合の中小企業(「SME」)に関する目標の範囲内でSMEの設立、成長および発展
のための資金調達を支援することである。グループの両事業体のプライベート・エクイティ
(「PE」)業務、ベンチャー・キャピタル事業ならびにポートフォリオ保証、証券化およびマイクロ
ファイナンス(「GSM」)業務の大半は、EIFが管理・運営している。
EIFも、変化する経済情勢に合わせて、リスク管理システムを調整している。EIFの業務に内在する
主なリスクを統制し、報告するため、信用リスク、市場リスク、流動性リスクおよびオペレーショナ
ル・リスクの管理システムを導入している。EIFは、EIFのリスク・プロファイルがそのリスク選好の
枠組みに定められたパラメーターの範囲内に収まることを確実にするために、強固なリスク方針と手
法を維持している。
リスク管理は、EIFの企業文化に組み込まれており、EIFのすべての事業機能およびプロセスに浸透
した、(i)フロント・オフィス、(ii)独立した立場のリスク課ならびに、(iii)内部監査および外部監
査の3つの防衛線モデルに基づいている。事務総局の長が委員長を務める投資およびリスク委員会
(「IRC」)は、CEOおよび副CEOにあらゆる取引に関して助言を行う。最高リスク責任者が議長を務め
るポートフォリオIRCの定例会議はまた、EIFポートフォリオのリスクおよび投資関連の面、特に取引
格付変更の承認、減損および引当についての措置、関連する市場リスク事象および潜在的なストレス
のテストを監視する。リスクおよびポートフォリオ管理の措置は、EIFの監査役会が統括する保証プロ
セスの一部を構成する。
さらに、EIBグループとの関連で見た場合、EIFのリスク管理部門は、特に、グループ・リスク管理
憲章、ならびに保証・証券化業務、EIBのリスク資本財源マンデート(「RCR」)に基づくプライベー
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ト・エクイティ業務、EIBグループ・リスク補完マンデート(「EREM」)に基づくEIBの様々な機会、
およびEIFの方針に関する一般的な問題に関連するグループのリスク・エクスポージャーについて、
EIB のグループ・リスク・コンプライアンス部門と定期的に連絡を取りながら業務を運営している。
EIFの財務管理は、両当事者が署名し、取引の選定、執行、決済および監視の実行をEIBの担当サー
ビス部署に委託する財務管理契約に基づき、全面的にEIBに委託されている。経営陣は、当該契約に付
属する財務ガイドラインに従う。運用上の短期流動性管理はEIFが行っている。
S.1.2.1. リスク評価 プライベート・エクイティ
プライベート・エクイティ業務では、EIFは、ファンド・オブ・ファンズの手法を採っており、広範
囲の投資家からの出資契約を促すため、主として独立した立場のチームが運用するビジネス・エン
ジェル、ベンチャー・キャピタル、プライベート・エクイティ・ファンドおよびメザニン・ファンド
への少数持分参加を行っている。EIFのプライベート・エクイティ事業には、すべての投資ステージ
(シード、アーリーステージ、レイトステージ、グロース等)にわたるベンチャー・キャピタル・
ファンドへの投資のほか、一般的にリスク・プロファイルの低いミッドマーケット・ファンドやメザ
ニン・ファンドへの投資も含まれる。
EIFは、PE市場の動きに応じたPEファンド・ポートフォリオを設計し、運用し、モニタリングするた
めの一連のツールを、過去数年間かけて開発した。これらのツールはグループ内のモデルであるグ
レーディング・ベースト・エコノミック・モデル(「GEM」:格付に基づく経済モデル)に基づいてお
り、これを使用することにより、EIFは各ファンドおよび各ファンド・ポートフォリオの評価、リス
ク、予想される将来のキャッシュ・フローとパフォーマンスの査定ならびに妥当性検査を改善するこ
とができる。EIFでは、取引チームが実施しリスク管理チームが審査した広範囲にわたるデューデリ
ジェンスの結果に基づき、エクイティ・スコアを割り当ててから、PEファンドと出資契約を交わして
いる。これらのファンドは、EIFのトランザクション・チームによって、基礎となるリスクのレベルに
応じた頻度と強度でモニターされ、エクイティ・スコアは、EIFのリスク管理チームによって年次でレ
ビューされる。
独自のITシステムと(フロント・オフィスからバック・オフィスに至るまでの)統合ソフトウェア
の開発に下支えされたこうした取り組みによって、投資判断プロセスならびにポートフォリオの財務
リスクと流動性の管理も改善され、特に将来を見据えた、およびストレス・テストに基づいた意思決
定が可能となる。
S.1.2.2. リスク評価 保証および証券化
EIFは、中小企業向け融資に従事する金融仲介機関に対し、ポートフォリオ保証を提供し、中小企業
の証券化取引に参加している。このようなリスクをとることにより、EIFは資金調達を容易にし、およ
び/またはオリジネーターの資本コストを削減し、ひいては条件の改善やSMEの金融アクセスの強化を
もたらす。
保証・証券化業務に関しても、EIFは過去数年間をかけて内部手法およびモデルを開発した。これ
は、市場のベスト・プラクティスに従って、ポートフォリオ保証と仕組金融取引を分析するためのも
のである。EIFは、その内部手法に準拠して、自らリスクを負担する新規の保証取引それぞれに内部格
付を割り当ててから、法律上正式に保証取引を行っている。この格付は、定量パラメーターだけでな
く定性面も考慮して、取引の信用の質(予想損失概念)を分析し集約するグループ内のモデルに基づ
く。このプロセスではその全領域において、フロント・オフィスがアクションを起こしリスク管理部
門がレビューを行うという、「4つの目」の原則が適用されている。保証取引は、定期的に(少なく
とも四半期ごとに)モニターし、その状況は、EIFのIRCが定期的に見直している。その際、委員会
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は、業績次第で、内部格付の見直しをもたらすことがある。この後者のプロセスはリスク管理部門に
よって開始され、フロント・オフィスが見直しを行う。
保証ポートフォリオは、IFRS原則に基づき、「モデルに基づいた価格」手法によって評価される。
ポートフォリオにおける取引の評価に対する主な影響は、当該資産に使用されている一時点での累積
デフォルト率の仮定の変化に起因する。
EIFのモニタリングは、潜在的な格付の悪化または改善を監視し、適切な取引の管理の基礎を提供す
る。保証および証券化に関するEIFのストレス・テスト手法は、取引開始時およびポートフォリオの存
続期間を通じて適用され、EIBグループのストレス・テスト活動に組み込まれている。
S.2. 信用リスク
S.2.1. 信用リスク管理方針
信用リスクは主にグループの貸付業務および負債証券、譲渡性預金、銀行間の定期預金等の財務商
品ならびにグループのデリバティブおよび保証取引に関するものが含まれている。
EIBにおける信用リスクは、詳細な行内指針に沿って管理されている。こうした指針の目的は、信用
リスクの慎重な管理が確実に行われるようにする点にある。ある事業体がEIBの貸付業務のカウンター
パーティーとして認められるか否かは、定量的および定性的指標を用いた当該事業体の注意深い分析
および評価に基づくだけでなく、経験および専門家の判断にも依拠して決定される。同指針は、貸付
業務の債務者、保証人双方について最低限の信用の質の水準を定めており、許容される取引構造も特
定している。また、EIBの地位が十分に保護されるように、主要な法的条項や他の契約条件の点で貸付
契約が満たしていなければならない最低基準も、細かく定めている。貸付金ポートフォリオの分散
は、カウンターパーティー別限度額の枠組みおよび主要産業の業種別限度額によって支えられてい
る。複雑な貸付取引または仕組貸付取引に含まれる追加的なリスクの十分な分析、計量および軽減が
確実になされるように、特定の種類の業務に関して具体的で詳細な指針が策定され、これが一般指針
を補完している。リスクの分析にあたっては、EIBは内部格付制度を適用し、カウンターパーティーに
内部格付を付与している。
EIFは、法に基づく規定、およびEIF理事会の承認を受けた信用リスク運用指針、またはマンデート
に基づき定められた指針を受けた、保守的な方針の枠組み内で、エクスポージャーとリスクを管理し
ている。
信用リスク管理指針は、進化している業務環境および適用されるベスト・バンキング・プリンシプ
ルの変更を盛り込み、グループが受領する新たなマンデートに対応できるよう、定期的に調整されて
いる。
S.2.2. 信用リスク・エクスポージャーおよび信用リスク引当金
S.2.2.1. 最大信用リスク・エクスポージャー(担保およびその他の信用補完を考慮しない場合)
下表は、デリバティブを含め、連結貸借対照表構成要素の最大信用リスク・エクスポージャーを示
したものである。最大エクスポージャーの値は、担保設定契約によってリスクを軽減した影響を考慮
する前の総額で表示している(注S.2.3.4)。
2022年12月31日 2021年12月31日
最大エクスポージャー (単位:百万ユーロ)
金融資産:
ACで測定される金融資産 491,565 536,283
強制的にFVTPLで測定される金融資産 6,435 8,846
リスク管理のために保有するデリバティブ資産 35,044 41,734
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13,415 17,315
FVTPLでの測定に指定された金融資産
546,459 604,178
合計
オフ・バランスシート項目:
偶発債務および保証 31,931 30,901
契約債務
124,032 122,977
-未実行金額
155,963 153,878
合計
(*)
702,422 758,056
信用リスク・エクスポージャー合計
(*) 持分投資に係るエクスポージャーについては信用リスクがないため除外している。前年度の数値は、比較のために
更新されている。
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S.2.2.2. 信用リスク引当金の要約
下表は、償却原価で測定される金融資産およびオフ・バランスシートのコミットメントに関する
IFRS第9号のECLモデルの下での信用リスク引当金の内訳を示している。
2022年
信用減損のない 信用減損のある
12ヵ月ECL 合計
全期間ECL 全期間ECL
償却原価で測定される金融資産
金融機関および対顧客貸付金および
36,231 163,850 128,302 328,383
預け金(D.2.)
短期国庫証券・負債証券ポートフォリオ
1,174 3,378 0 4,552
(B.2.)
オフ・バランスシートのコミットメント
金融保証(D.4.) 88,589 134 9,332 98,055
償却原価で測定される貸付コミッメント
12,820 26,110 275 39,205
(D.2.)
貸倒引当金 138,814 193,472 137,909 470,195
2021
信用減損のない 信用減損のある
12ヵ月ECL 合計
全期間ECL 全期間ECL
償却原価で測定される金融資産
金融機関および対顧客貸付金および
17,149 125,994 220,342 363,485
預け金(D.2.)
短期国庫証券・負債証券ポートフォリオ
374 5,416 0 5,790
(B.2.)
オフ・バランスシートのコミットメント
金融保証(D.4.) 29,675 203 9,451 39,329
償却原価で測定される貸付コミットメン
3,466 26,519 3,101 33,086
ト(D.2.)
貸倒引当金 50,664 158,132 232,894 441,690
引当金には、信用サイクルの再調整、ポイント・イン・タイム(PIT)デフォルト確率(PD)モデル
およびPITデフォルト時損失(LGD)モデルによって引き起こされる影響も含まれる。この再調整の結
果、未実行と実行済の両方の貸付金に与えた影響に重要性はなかった。
S.2.3. 貸付金の信用リスク
S.2.3.1. 金融機関および対顧客貸付金および預け金に関する信用リスクの測定
貸付業務に関しては、(予想損失法に基づく)内部貸付金格付システムが導入されている。同シス
テムは、貸付査定プロセスおよび信用リスク監視の重要な部分を占めており、それが適切な場合に
は、信用リスク価格決定の基準点でもある。
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貸付金格付(「LG」)システムは、貸付業務の信用リスク評価と予想損失見積りの計量をサポート
する方法、プロセス、データベースおよびITシステムで構成されている。このシステムは、貸付金の
信用リスクを相対的にランク付けする目的で、大量の情報を要約している。LGは、全期間「予想損
失」の見積もられた水準の現在価値を反映し、これはデフォルト確率、リスク負担している貸付金エ
クスポージャーおよびデフォルト時損失率の積の正味現在価値である。LGは次の目的で使用される。
- 貸付金のリスク評価をより精密かつより定量化するための支援ツールとして
- モニタリングの取組みに優先順位付けをするための信用リスク変動の指標として
- 特定の日付における貸付金ポートフォリオの質を示すツールとして
- 一般貸倒準備金および特別活動準備金の年間追加分を算出するベンチマークとして
- リスク・プライシングの決定におけるインプットとして
LGの決定に当たっては、次の要素が使用される。
i) 債務者の信用度:GR&Cが独自で債務者を審査し、グループ内の方法と外部データに基づきそ
の信用度を評価する。選択したバーゼルIIIの内部格付に基づく手法に従い、EIBは債務者と
保証人の内部格付を決定する内部格付方法(「IRM」)を開発した。これは、定義されたカウ
ンターパーティーの種類に応じた一連のスコア・シートに基づくものである。
ii) デフォルトの相関性:債務者と保証人の双方が、同時に資金繰りが苦しくなる可能性を計量
する。債務者と保証人のデフォルトの相関性が高いほど、保証の価値が減ずるため、LGも低
くなる(悪化する)。
iii) 保証手段および有価証券の価値:これらの価値は、発行体の信用度と保証手段の種類とを考
え合わせて評価される。
iv) 適用される回収率:関連する取引相手ごとのデフォルト後の回収見込み額を、関連する貸付
金エクスポージャーに対する割合で表す。
v) 契約の枠組み:貸付金の質が高い上に、契約の枠組みが盤石であるならば、LGも高くなる。
vi) 貸付期間または、より一般的には、貸付金のキャッシュ・フロー:他の要素がすべて等しい
ならば、貸付期間が長いほど、貸付金の返済で問題が生じるリスクが高くなる。
貸付金の予想損失は上述した6要素を組み合わせて計算され、改訂公正価値オプションの適格基準
に合致する貸付金で、当初損益を通じた公正価値評価に指定されたものの公正価値を算定する。この
予想損失の水準に応じて、貸付金は下に記載されたLG種類のいずれかに割り当てられる。
「A0」は返済における困難は見込まれない加盟国への貸付金または加盟国により全額、明示的かつ
無条件に保証されている貸付金(予想損失率0%(満期時にEIBの資産の全額の回収を保証して
いるとみなされるEIBの優先債権者ステータスおよび法定の保護に基づく))、ならびにEUまた
は加盟国の包括保証付きの貸付金であるEUソブリン・リスクで構成される。
「A」は、貸付期間にわたり信用度が悪化しない、または悪化は限定的と予想されるEU加盟国を除く
事業体に供与される貸付金(またはかかる事業体による保証が付加されている貸付金)で構成さ
れる。
「B」高い質の貸付金:将来若干悪化する可能性は排除できないものの、EIBが不安はないと判断し
た資産クラスを示す。「B+」および「B-」はそのような悪化が生じる可能性の大小を示すのに用
いられる。
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「C」良好な質の貸付金:一例が、手堅い企業(例えば、Baa1/BBB+相当の内部格付)への「単一署
名」(無担保)貸付金であって、満期の期間が合理的であり、十分な保護条項が定められている
ものである。
「D」この格付は、(当初にこの格付レベルで承認された貸付金に加えて)EIBによって通常は承認
されるリスク・プロファイルを伴う境界線上のエクスポージャーである。この分岐点にある貸付
金格付けは、下位区分であるD+とD-によってより詳細に決定される。
「E」は、(当初にこの格付レベルで承認された特別活動貸付に加えて)貸付金の貸付期間中に深刻
な問題を抱え、貸倒状態に陥る可能性を排除できない貸付金が含まれる。下位区分である「E+」
と「E-」は、貸付金のリスク特性をさらに識別するものであり、E-格の貸付業務は、期日どおり
の債務返済を維持することができないために何らかの形での債務再構築を要する可能性が高く、
減損損失が生じるおそれのあるものである。
「F」(失格)は、許容範囲以上のリスクを伴う貸付金を示す。「F」格の貸付金が発生するのは、
完済されていない貸付取引が契約後に不測の異例で劇的な悪状況に見舞われた場合に限られる。
EIBに元本の損失が発生する貸付は「F」に格付けされ、個別の引当金が適用される。
グループによるIFRS第9号のステージ評価は、内部のガイドラインおよび手続きと整合する、カウ
ンターパーティーまたは商品に固有の情報を用いた段階的アプローチに基づいている。
各貸付金の案件ごとの分析に加えて、EIBはEIBの経済資本の枠組みを用いて信用エクスポージャー
をポートフォリオ・レベルで閲覧できる機能を開発した。ここでは、様々な債務者が共通のリスク・
パラメーターに依存していることによって生じる集中と相関の影響が統合して表示される。ポート
フォリオの信用リスクの側面を付け加え、不測の損失(すなわち、一定の信頼レベルまでの範囲で予
想される損失を超えて発生する可能性のある損失)に焦点を当てることにより、LGの取引ごとのアプ
ローチを補完することができ、その結果、EIBの貸付残高の中の信用リスクをさらに厳密かつ総合的に
査定することが可能になる。
いずれの時点においても、EIBが供与する貸付金および保証の残高総額は、定款で定められたギアリ
ング比率(定款第16.5条)で制限されている。この比率を算出するために、EIBは欧州連合会計指令
(「AD」)の枠組みによるデータを使用している。2022年度末時点で、EIBの定款で定められたギアリ
ング比率は、EU会計指令準拠の個別財務書類に基づくと204.0%(2021年:202.7%)、EU会計指令準
拠の連結財務書類に基づくと207.8%(2021年:206.6%)であった(定款第16.5条に基づく上限は
250%)。
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S.2.3.2. 外部貸付マンデート、持続可能な発展のための欧州基金、近隣・開発・国際協力手段/持
続可能な発展のための欧州基金プラスまたはコトヌー協定に基づく欧州連合または加盟国
の保証で担保されている貸付金
ELM、EFSD、NDICI/EFSD+またはコトヌー協定の下でプロジェクトのために締結された貸付金は、欧
州連合予算または加盟国(ACP諸国とOCTにおける貸付金の場合)の保証によって担保されている。こ
うした保証は、包括型(すべてのリスクが対象)か、または定義された政治リスク(送金の停止、収
用、戦争または市民暴動、契約違反時の裁判拒否)に限定されているかのいずれかである。
欧州連合および加盟国は、保証条件に従い、各ポートフォリオに組み入れられている一連の契約済
(6)
貸付業務の最大65%、70%、75%および100%まで信用補完を提供している。包括保証に基づき、
グループは、個別貸付金それぞれに伴う信用リスクが上記の特定リスクの目的上完全に保証されてい
ると考えており、そのためこれらを注S.2.3(貸付業務に係る信用リスク)の値に算入していない
(7)
。
(6) 2007年8月1日および29日に欧州委員会との間で締結した保証契約の下で、2007年4月17日以降に締
結された欧州連合保証の貸付は、「融資実行総額」の最大65%を対象とするものとされる。信用補完
は、ファースト・ロス補償の形態で提供される。かかる保証によってカバーされる貸付金ポートフォ
リオに関連してグループが負担する残余リスクは、EIBの内部信用リスク指針および手続に従って管
理される。
(7) 信用リスクが全額カバーされているとみなされる欧州連合または加盟国の保証に基づき契約されたエ
クスポージャーは、50,739百万ユーロ(2021年:49,521百万ユーロ)であった。
欧州連合または加盟国の保証により担保されている実行済貸付金の帳簿価額は2022年12月31日現在
31,969百万ユーロ(2021年:31,428百万ユーロ)、2022年12月31日現在の未実行分は20,909百万ユー
ロ(2021年:20,753百万ユーロ)である。これらの値には、欧州連合加盟前に供与され、欧州連合ま
たは加盟国による保証が付されている欧州連合の現加盟国への貸付金も算入されている。
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S.2.3.3. 貸付金による信用リスク・エクスポージャーの分析
下表は、グループがリスクを負担するすべてのエクスポージャーについて、契約済・実行済貸付金
(金融機関および顧客に対する貸付金および預け金の要求払とその他の貸付金および預け金は除く)
の最大信用リスク・エクスポージャーと、一部の契約済であるものの未実行分の内訳を示したもので
ある。よって、欧州連合予算または加盟国の包括保証により担保されているELM、EFSD、NDICI/EFSD+
およびコトヌー協定に基づく欧州連合予算域外の貸付金は、算入されていない(注S.2.3.2参照)。
保証人
2022年 契約済
(1)
実行済合計
無保証
未実行分
(単位:百万ユーロ)
企業 銀行 公共機関 国
企業 28,800 6,219 4,069 6,863 94,011 139,962 29,828
銀行 10,432 11,677 17,661 25,503 20,398 85,671 29,327
債務者
公共機関 185 182 18,922 28,752 66,202 114,243 29,875
0 0 0 7 42,802 42,809 14,297
国
(2)(3)(4)(5)
39,417 18,078 40,652 61,125 223,413 382,685
実行済合計
(2)(3)(4)(5)
8,740 3,119 7,975 15,031 68,462 103,327
契約済未実行分
保証人
2021年 契約済
(1)
実行済合計
無保証
(単位:百万ユーロ) 未実行分
企業 銀行 公共機関 国
企業 32,798 8,087 4,433 8,107 90,803 144,228 28,453
銀行 11,561 12,741 17,000 26,235 20,469 88,006 29,801
債務者
公共機関 224 198 20,050 33,167 71,967 125,606 27,800
0 0 0 0 47,301 47,301 16,466
国
(2)(3)(4)(5)
44,583 21,026 41,483 67,509 230,540 405,141
実行済合計
(2)(3)(4)(5)
7,049 3,125 10,352 14,532 67,462 102,520
契約済未実行分
(1) これらの金額には、債務者の支払能力自体が妥当な担保となっているため、債務者および貸付金自体以外の正式な
保証が不要な貸付金も含まれている。所定の事由が発生した場合には、適切な契約条項により、グループが独立し
た担保を請求できる権利が確保されている。
(2) 2022年12月31日現在のリスク・シェアリング業務(加盟国または政治リスク保証の形でのEU予算により信用補完さ
れている)における貸付金は、2,139百万ユーロ(2021年:2,660百万ユーロ)であった。
(3) これらの金額には、代替貸付金(2022年:17,162百万ユーロ、2021年:17,970百万ユーロ)は算入されていない。
(4) これらの金額は、欧州連合への加盟前に供与され、欧州連合予算または加盟国の保証が付されている欧州連合の現
加盟国への貸付金を除いている。
(5) グループは、EFSI SMEウィンドウ契約および欧州保証基金に関連して、コミットメント総額が9,187百万ユーロ
(2021年:9,187百万ユーロ)を超えない資金供与枠を締結した。グループは、確定的なコミットメントがそれぞれ
の基礎的なリスクを伴うカウンターパーティーとの間で締結され、資金供与枠の引出が予期される場合に、未実行
エクスポージャーを認識する。
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貸付業務に関しては、2022年12月末現在の銀行セクターに対するグループの直接的エクスポー
(8)
ジャー は計114,998百万ユーロ(2021年:117,807百万ユーロ)であり、2022年12月31日現在の実行
済貸付金および未実行貸付金の合計486,012百万ユーロ(2021年:507,661百万ユーロ)の23.7%
(2021年:23.2%)に相当する。
(8) 契約済未実行金額を含む。
2022年12月末現在の企業への無担保貸付金は114,891百万ユーロである(2021年:113,362百万ユー
ロ)。法人顧客に対する無担保エクスポージャーは、専用の枠組みに従って管理される。
S.2.3.3.1. 貸付金の信用の質
(9)
内部格付 が「A」から「D+」の貸付金は、2022年12月31日現在の貸付金ポートフォリオの97.5%
を占めた。この比率は、2021年12月31日現在では97.7%であった。内部格付が「D-」以下の貸付金の
割合は、貸付金ポートフォリオのうちの2.5%(2021年:2.3%)で、金額では120億ユーロ(2021年:
118億ユーロ)であった。
(9) 貸付金格付には、外部保証人によってポートフォリオ・ベースで提供された信用補完が反映されてい
る。
ウクライナにおける戦争に起因する不確実性と様々なリスクという一般的な背景にもかかわらず、
現時点では貸付金ポートフォリオの信用の質は安定していると考えられている。EIBは厳格なデューデ
リジェンス・プロセス、十分な水準の担保および保証に基づくリスク管理戦略や貸付金契約に含まれ
る標準的な保護条項に依拠している。EIBは、その貸付金エクスポージャーに対して提供される担保や
保証に加え、様々なマンデートの一環として提供される追加的な信用補完も享受している。
信用リスクを軽減するため、グループは以下等を用いている。
- 許容範囲内の信用の質に対する第三者による保証
- 金融担保
- 収益請求権
- 契約条項等
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債務者の種類別の信用の質の分析
下表は、契約済貸付金(実行済および未実行の貸付金)のエクスポージャーに基づき、2022年12月
31日および2021年12月31日現在のグループの貸付金ポートフォリオの信用の質的分析を貸付金格付別
に分析したものである。
最低限許容
エクイティの
標準的
2022年
可能な
ソブリン 高格付 高リスク 種類に基づく
格付
合計 ECL
リスク
リスク
(単位:百万ユーロ)
A0 AからB- C D+ D-以下
実行済
ステージ1 91,349 216,800 22,226 7,419 1,872 339,666 36
貸付金 該当なし
ステージ2 3,863 13,134 2,268 3,852 2,649 該当なし 25,766 164
ステージ3 89 924 0 0 974 該当なし 1,987 129
1,304 9,192 1,829 138 724 2,079 15,266 該当なし
FVTPL指定
2022年の合計 96,605 240,050 26,323 11,409 6,219 2,079 382,685 329
最低限許容
エクイティの
標準的
2022年
可能な
ソブリン 高格付 高リスク 種類に基づく
格付
合計 ECL
リスク
リスク
(単位:百万ユーロ)
A0 AからB- C D+ D-以下
未実行 ステージ1 26,899 43,676 17,309 5,711 5,273 98,869 13
該当なし
金額 ステージ2 10 970 220 852 368 2,420 26
該当なし
ステージ3 0 134 0 0 160 294 0
該当なし
0 0 0 0 0 1,744 1,744 該当なし
FVTPL指定
2022年の合計 26,909 44,780 17,529 6,563 5,801 1,744 103,327 39
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最低限許容
エクイティの
標準的
2021年
可能な
ソブリン 高格付 高リスク 種類に基づく
格付
合計 ECL
リスク
リスク
(単位:百万ユーロ)
A0 AからB- C D+ D-以下
実行済
貸付金 ステージ1 94,786 216,236 23,932 8,998 3,520 該当なし 347,472 17
ステージ2 9,185 16,715 3,144 3,579 3,340 該当なし 35,963 126
ステージ3 116 906 0 0 879 該当なし 1,901 220
1,593 11,471 1,721 1,259 1,003 2,758 19,805 該当なし
FVTPL指定
105,680 245,328 28,797 13,836 8,742 2,758 405,141 363
2021年の合計
最低限許容
エクイティの
標準的
2021年
可能な
ソブリン 高格付 高リスク 種類に基づく
格付
合計 ECL
リスク
リスク
(単位:百万ユーロ)
A0 AからB- C D+ D-以下
未実行
ステージ1 27,059 42,320 16,507 9,014 2,154 該当なし 97,054 3
金額
ステージ2 110 1,558 470 404 852 該当なし 3,394 27
ステージ3 35 174 0 0 62 該当なし 271 3
0 127 95 0 0 1,579 1,801 該当なし
FVTPL指定
27,204 44,179 17,072 9,418 3,068 1,579 102,520 33
2021年の合計
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各内部リスク格付の信用リスク・エクスポージャー
グループは欧州健全性規制の枠組みに従った内部格付手法に沿った内部格付法を使用している。グ
ループの大部分のカウンターパーティーには、この方法により内部格付が割り当てられている。下表
は、グループの貸付金ポートフォリオの内訳を、債務者と保証人のいずれか内部格付の高い方の格付
別に示したものである。内部格付が決まっていない場合は、ここでの分析に外部の格付を用いた。
下表は、限度枠管理に用いているグループ内の方法に基づき、契約済貸付金(実行済および未実行
の貸付金)の両方のエクスポージャーを示したものである。
(単位:百万ユーロ) 2022年
ACで測定
ACで測定さ
ACで測定
れた信用減
された信用
FVTPL 合計
された12ヵ月
損のない全
減損のある
ECL
期間ECL
全期間ECL
金融機関および対顧客貸付金および預け金
内部格付 1-最小信用リスク 5,624 248 58 0 5,930
内部格付 2-非常に低い信用リスク 50,646 1,111 88 1,700 53,545
内部格付 3-低信用リスク 116,448 1,896 25 963 119,332
内部格付 4-中程度の信用リスク 133,702 3,992 129 8,011 145,834
内部格付 5-財務的に脆弱な貸付先 31,447 13,254 0 1,701 46,402
内部格付 6-高信用リスク 1,799 4,948 0 701 7,448
内部格付 7-非常に高い信用リスク 0 317 17 0 334
内部格付 8-デフォルト状態の貸付先 0 0 1,670 111 1,781
FVTPLで測定される金融機関および対顧客
該当なし 該当なし 該当なし 2,079 2,079
貸付金および預け金
339,666 25,766 1,987 15,266 382,685
帳簿価額
-36 -164 -129 該当なし -329
貸倒引当金
貸付コミットメント
内部格付 1-最小信用リスク 3,295 0 0 0 3,295
内部格付 2-非常に低い信用リスク 13,904 0 0 0 13,904
内部格付 3-低信用リスク 30,296 175 0 0 30,471
内部格付 4-中程度の信用リスク 35,304 428 28 0 35,760
内部格付 5-財務的に脆弱な貸付先 13,781 1,339 0 0 15,120
内部格付 6-高信用リスク 2,289 424 0 0 2,713
内部格付 7-非常に高い信用リスク 0 54 5 0 59
内部格付 8-デフォルト状態の貸付先 0 0 261 0 261
該当なし 該当なし 該当なし 1,744 1,744
FVTPL
98,869 2,420 294 1,744 103,327
帳簿価額
-13 -26 0 該当なし -39
貸倒引当金
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(単位:百万ユーロ) 2021年
ACで測定
ACで測定さ
ACで測定された れた信用減
された信用
FVTPL 合計
12ヵ月ECL 損のない全
減損のある
期間ECL
全期間ECL
金融機関および対顧客貸付金および預け金
内部格付 1-最小信用リスク 5,567 270 70 0 5,907
内部格付 2-非常に低い信用リスク 53,484 1,459 78 2,172 57,193
内部格付 3-低信用リスク 124,570 5,626 16 1,537 131,749
内部格付 4-中程度の信用リスク 130,427 5,642 181 9,864 146,114
内部格付 5-財務的に脆弱な貸付先 31,027 17,300 0 2,004 50,331
内部格付 6-高信用リスク 2,381 5,314 1 1,331 9,027
内部格付 7-非常に高い信用リスク 16 352 0 0 368
内部格付 8-デフォルト状態の貸付先 0 0 1,555 139 1,694
FVTPLで測定される金融機関および対顧客
該当なし 該当なし 該当なし 2,758 2,758
貸付金および預け金
帳簿価額 347,472 35,963 1,901 19,805 405,141
貸倒引当金 -17 -126 -220 該当なし -363
貸付コミットメント
内部格付 1-最小信用リスク 2,783 0 0 0 2,783
内部格付 2-非常に低い信用リスク 14,920 60 0 0 14,980
内部格付 3-低信用リスク 27,664 425 0 0 28,089
内部格付 4-中程度の信用リスク 37,803 561 95 95 38,554
内部格付 5-財務的に脆弱な貸付先 11,117 1,822 0 127 13,066
内部格付 6-高信用リスク 2,767 93 0 0 2,860
内部格付 7-非常に高い信用リスク 0 433 0 0 433
内部格付 8-デフォルト状態の貸付先 0 0 176 0 176
該当なし 該当なし 該当なし 1,579 1,579
FVTPL
帳簿価額 97,054 3,394 271 1,801 102,520
貸倒引当金 -3 -27 -3 該当なし -33
グループは債務者と保証人に影響を及ぼす事象を継続的に監視している。中でもグループは、格下
げされた場合の契約上の権利を個別に評価し、影響軽減策を模索している。また貸付金に供与されて
いる銀行保証の更新状況も綿密に追跡調査し、必要な場合には適時に保証が差し替えられているこ
と、あるいは措置が講じられていることを確認している。
EIBおよびEIFの優先債権者の地位およびEIB定款による保護は、満期時におけるグループ資産の全額
回収を保証すると思われるため、グループは期末現在、欧州連合加盟国ソブリン債および欧州連合加
盟国ソブリン保証債のエクスポージャーに関して、減損を計上しなかった。
下表は、グループが全額の自己リスクまたは信用補完による残余リスクを負担する貸付金(「リス
ク・ポートフォリオ」)に係るソブリン信用リスクに関する情報を開示している(欧州連合包括予算
またはELM、EFSD、NDICI/EFSD+およびコトヌー協定に基づくMS保証の恩恵を受ける欧州連合域外への
貸付金を除く)。
2022年 2021年
(単位:百万ユーロ)
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保証人と 保証人と
債務者となっているもの 債務者となっているもの
なっている なっている
もの もの
国名
実行済金額 未実行金額 契約済金額 実行済金額 未実行金額 契約済金額
オーストリア 0 0 190 0 0 146
ベルギー 0 0 273 0 0 191
ブルガリア 1,046 0 120 1,175 0 115
クロアチア 807 0 2,242 657 210 2,713
キプロス 926 509 1,032 905 359 1,348
チェコ共和国 911 1,009 0 1,065 784 0
デンマーク 0 0 242 0 0 270
エストニア 502 0 84 452 120 91
フィンランド 0 0 113 0 0 92
フランス 0 0 3,401 0 0 3,489
ドイツ 0 0 1,999 0 0 1,668
ギリシャ 7,046 1,210 9,205 8,821 1,192 9,278
ハンガリー 5,321 1,351 1,041 6,038 1,143 1,096
アイルランド 1,546 240 1,098 1,680 0 1,179
イタリア 4,613 2,560 6,698 4,934 2,160 6,497
ラトビア 265 200 6 374 400 12
リトアニア 1,837 0 55 2,102 0 54
ルクセンブルク 0 9 232 151 0 240
マルタ 0 72 281 0 72 311
オランダ 0 0 294 0 0 205
ポーランド 6,341 330 17,734 6,357 1,472 18,199
ポルトガル 1,266 830 3,439 1,253 600 3,955
ルーマニア 1,978 2,258 0 1,885 2,052 0
スロバキア 2,412 441 94 2,671 541 88
スロベニア 470 400 1,234 568 400 1,428
スペイン 3,510 0 21,011 4,399 0 24,030
スウェーデン 0 0 199 0 0 136
2,012 2,878 3,839 1,814 4,961 5,210
非EU加盟国
合計 42,809 14,297 76,156 47,301 16,466 82,041
さらに注S.2.3.2に記載したとおり、ELM、EFSD、NDICI/EFSD+およびコトヌー協定に基づく欧州連合
域外への貸付金は、最終的には、欧州連合や加盟国(アフリカ、カリブ海および太平洋諸国ならびに
海外の属国および属領への貸付金の場合)の保証により担保されている。このカテゴリーに該当する
貸付金の2022年12月31日現在の契約済エクスポージャーは、計52,878百万ユーロ(2021年:52,181百
(10)
万ユーロ )である。この52,878百万ユーロのうち、49,014百万ユーロ(2021年:48,229百万ユー
ロ)は欧州連合の保証が付され、3,864百万ユーロ(2021年:3,952百万ユーロ)は加盟国により保証
が付されている。
(10) このうち2,139百万ユーロ(2021年:2,660百万ユーロ)は、リスク・シェアリング業務(加盟国保証
または政治リスク保証の形でのEU予算により信用補完されている)による。
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S.2.3.3.2. 貸付金の最大信用リスク・エクスポージャーにおけるリスク集中度
グループの貸付金ポートフォリオは、次の地域別に分析することができる(債務者の所在国に基づ
く)。
2022年 2021年
(単位:百万ユーロ)
契約済貸付金の 契約済貸付金の
エクスポージャー エクスポージャー
(1)
469,716 491,558
EU
そのうち
-ドイツ 41,826 42,771
-スペイン 65,279 70,286
-イタリア 56,617 60,016
-フランス 64,841 63,316
-英国 29,777 39,450
(2)
3,709 4,129
拡大国
(3)
12,587 11,974
パートナーシップ参加国
合計 486,012 507,661
(1) EIB定款第16条(旧第18条)に従い総務会の承認を受けた欧州連合域外の貸付金、ならびにEFTA諸国および英国の貸
付金を含む。
(2) 2022年末時点の拡大国は、アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ、モンテネグロ、モルドバ共和国、北
マケドニア、セルビア、トルコおよびウクライナである。
(3) パートナーシップ参加国の貸付金は、地中海パートナーシップ・ファシリティ、加盟候補国向ファシリティ、リス
ク・シェアリングでの貸付金を含む。
信用エクスポージャー分散は、単一の債務者、債務者グループまたは業界に貸し付けることができ
る上限額によって支えられている。
(債務者の業種に基づく)グループの貸付金ポートフォリオの業種別分析は、次のとおりである。
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2022年 2021年
(単位:百万ユーロ)
契約済貸付金の 契約済貸付金の
エクスポージャー エクスポージャー
(1)
301,624 311,969
サービス
運輸 62,077 70,514
エネルギー 50,096 51,038
工業 29,667 29,917
上下水道施設 15,923 17,207
医療・教育 12,802 12,916
電気通信 8,852 9,345
その他インフラ 4,588 4,405
383 350
農業・漁業・林業
合計 486,012 507,661
(1) 「サービス」には、銀行セクターの信用エクスポージャーも算入されている。2022年末現在、銀行セクターの貸付
先に対する直接的なエクスポージャーは、計114,998百万ユーロ(2021年末:117,807百万ユーロ)であった。銀行
セクターの貸付先に対するエクスポージャーは専用の閾値/限度額の枠組みの適用を受ける。
下表は、グループが追跡調査している集中度指標の2022年12月31日および2021年12月31日現在の値
を示したものである。
2022年 2021年
(1)
額面ベースのグループ・エクスポージャー上位
12月31日 12月31日
額面ベースのエクスポージャー
(グループの貸付金ポートフォリオに対する割合)
-上位3件 3.3% 3.8%
-上位5件 5.4% 5.9%
-上位10件 9.4% 10.3%
(2)
エクスポージャー件数
(グループの自己資本に対する割合)
-10%超 0 0
-15%超 0 0
-20%超 0 0
グループの自己資本の5%を超えるSSSRの
3 3
(3)
エクスポージャー件数
(1) このエクスポージャーの定義は、ソブリンおよび準ソブリンを除く債務者/保証人に適用され、全額が明示的なソ
ブリン保証の対象である貸付金を除外する。
(2) 財務業務の市場エクスポージャー純額も含む。
(3) 契約書の署名数に関係なく、グループが独立した第三者または他の形の自律的担保に対する実質的な請求権を持っ
ていない場合の貸付業務を示すため、「シングル・シグネチャー」かつ「シングル・リスク」(端的には「無担
保」あるいは「SSSR」)の貸付金という表現が用いられる。
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S.2.3.3.3. 貸付金に係る延滞
延滞額の特定、監視、報告は、全行的な「財務的監視ガイドラインおよび手続き」に定義される手
続きに従って行われている。こうした手続きは、ベスト・バンキング・プラクティスに従っており、
EIBが管理するすべての貸付金について適用される。
2022年12月31日現在、自己資金源からの貸付金で90日超の延滞が生じている額は78百万ユーロ
(2021年:119百万ユーロ)であった。
2022年12月31日現在、自己資金源からのもので90日を超える延滞が生じ、欧州連合または加盟国の
包括保証により担保されていないものについては、名目元本残高は150百万ユーロ(2021年:531百万
ユーロ)である。
2022年中、156百万ユーロの延滞が欧州連合による保証に基づき履行請求され、加盟国保証に基づく
履行請求はなかった。2021年における応当額は、それぞれ93百万ユーロおよびゼロであった。
また、当年度中に、以前に欧州連合または加盟国による保証に基づき履行請求された延滞額のう
ち、4百万ユーロ(2021年:1百万ユーロ)が弁済された。
2022年中に、請求払民間保証に基づく履行請求はなかった(2021年:358百万ユーロ)。
(11)
2022年12月31日現在、欧州連合または加盟国から受けている信用補完 の額面金額合計は、
29,027.2百万ユーロ(2021年:28,578.8百万ユーロ)である。
(11) 最終的に欧州連合予算や加盟国の保証により担保されている欧州連合域外への貸付金を除く。
貸付金の再交渉と支払猶予
グループは、支払猶予措置がとられた貸付金を、支払猶予貸付金(すなわち、貸付金、負債証券お
よびローン・コミットメント)とみなしている。支払猶予措置はグループの「譲歩」によるもので、
財務困難により契約上の債務返済条項を遵守できないとみなされる債務者に対して、債務返済または
契約の全部もしくは一部の借換えができるようにするために、グループが決定するものである。エク
スポージャーは、延滞の有無、または当該エクスポージャーが債務不履行に分類されているか否かに
関わらず、譲歩が行われた場合には支払猶予として取り扱う。債務者が財務困難に陥っていない場合
には、当該エクスポージャーは支払猶予として取り扱わない。
グループは、COVID-19による具体的な経済への影響に対応して債務者が利用できる多くの支援措置
を提供しており、これには (i) 財務制限条項およびその他の重要条項の暫定的な条件緩和(権利放棄
を含む)、(ii) 新たな返済スケジュールの設定または返済義務の一時凍結によるキャッシュ・フロー
の再構築、ならびに (iii) 新規契約の締結、ローンの実行前倒しおよび債務者貸付の増額など、その
他の一定の補完的支援策が含まれる。グループは、具体的状況における制約の下で、かかる措置の申
請を案件ごとに評価した。こうした措置は、構造的な財政の困難またはソルベンシー上の問題に陥っ
ていたわけではなく、かかる措置の供与の時点で、ゴーイング・コンサーンとみなされた債務者に提
供されることを意図していた。評価の結果として、債務者がこれらの要件を満たさなかった場合、ま
たはグループが債務者のビジネスモデルの長期的持続可能性についてリスクを特定した場合に、グ
ループは他の適切な措置を検討し、必要な場合には、グループの標準的な条件変更のプロセスに従
う。
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有価証券報告書
このような支援策は、2021年6月以降、グループでは提供していない。
再編活動の一環としてグループが報告期間中に着手した支払猶予措置および手続きには、返済期限
の延期、元本返済のみの繰延、元利返済の繰延、重大な財務制限条項の破棄および延滞金の元本算入
が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
支払猶予措置の対象である貸付金は、下表のとおりである。
2022年12月31日 2021年12月31日
(単位:百万ユーロ)
正常債権 不良債権 正常債権 不良債権
支払猶予措置の対象となった契約件数
53 79 88 74
帳簿価額(金利および延滞金額を含む) 2,258 1,866 4,979 2,341
認識されたECL引当金 18 89 7 150
支払猶予された契約に係る受取利息 75 70 121 73
認識中止されたエクスポージャー
0 3 0 34
(償却/貸付金売却後)
支払猶予措置
元本
重大な
契約上の
元本
2021年 2022年
返済期限の および
財務制限
返済および
(単位:百万ユーロ)
のみの その他
12月31日 12月31日
条項の
延期 利息の
(1)
繰延
契約終了
破棄
繰延
公共機関 3,078 0 0 0 218 0 -2,288 1,008
銀行 273 0 0 0 36 9 -188 130
3,970 40 0 0 90 141 -1,255 2,986
企業
合計 7,321 40 0 0 344 150 -3,731 4,124
(1) 減少は、(i)元本、利息および延滞金額の返済、(ii)2021年12月31日現在で支払猶予貸付金とみなされていた取引に
関して当年度中に発生した償却、ならびに(iii)当期中の契約終了による。
支払猶予措置
元本
重大な
契約上の
2020年 2021年
返済期限の および
元本のみ 財務制限
(単位:百万ユーロ)
その他
返済および
12月31日 の繰延 条項の 12月31日
延期 利息の
契約終了
破棄
繰延
公共機関 3,024 0 0 0 94 139 -179 3,078
銀行 76 0 0 0 124 108 -35 273
4,256 81 54 23 448 39 -931 3,970
企業
合計 7,356 81 54 23 666 286 -1,145 7,321
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S.2.3.4. 貸付金に付する担保
グループは、その貸付金エクスポージャーに関して受領した保証(注S.2.3.3に記載)に加え、金融
有価証券質権も使用する。これらの質権は、関連する法域で執行可能な質権設定契約によって設定さ
れる。質権設定契約により受け取った担保のポートフォリオは、2022年末現在9,573百万ユーロ(2021
年:11,504百万ユーロ)である。
グループが売却するまたは再担保とすることが認められている質権設定契約に基づき、グループが
受け取った担保のポートフォリオの公正価値は、2,493百万ユーロ(2021年:4,352百万ユーロ)であ
る。これらの担保のうち、第三者に売却または再担保に供されたものはない。
実行済貸付金に対する保管担保の公正価値は、次のとおりである。
2022年
保管担保
エクスポー エクスポー
(単位:百万ユーロ) ECL
ジャー総額 ジャー純額
債券 現金 合計
ステージ1 356,141 7,026 61 7,087 349,054 36
ステージ2 38,372 2,244 194 2,438 35,934 164
ステージ3 2,793 9 0 9 2,784 128
FVTPL指定 15,413 39 0 39 15,374 0
(*)
412,719 9,318 255 9,573 403,146 328
2022年の合計
(*) 2022年中にグループが上記の担保権を行使して所有権を取得したものはなかった。
2021年
保管担保
エクスポー エクスポー
(単位:百万ユーロ) ECL
ジャー総額 ジャー純額
債券 現金 合計
ステージ1 367,759 7,856 56 7,912 359,847 17
ステージ2 43,846 3,177 265 3,442 40,404 126
ステージ3 2,722 96 0 96 2,626 220
FVTPL指定 19,877 54 0 54 19,823 0
(*)
434,204 11,183 321 11,504 422,700 363
2021年の合計
(*) 2021年中にグループが上記の担保権を行使して所有権を取得したものはなかった。
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S.2.3.5. 将来の経済状況に対するECLの感応度
ECLは、将来を見越したシナリオの形成に関しての判断および仮定に対する感応度が高い。グループ
は、重要な資産クラスについて認識されたECLの感応度分析を実施している。
将来の経済状況の予測(マクロ経済シナリオを介して)は、損失引当金の計算へのインプットであ
る条件付リスク・パラメーターを作成する予測モデルへのインプットである。
シナリオは、経済活動の主要尺度であるGDPにショックを与えることで得られる。実質GDPに対する
ショックは、過去の変数のボラティリティを複製するためにその水準が調整される。また、GDPに対す
るショックの規模および持続期間を精緻化するために、適切な場合は専門家による判断が適用され
る。長短金利もまたモデル化され、マクロ経済シナリオの一部として含められている。各シナリオに
割り当てられる確率は、市場(ボラティリティ)指標、および不確実性を捕捉するために長期にわ
たって一貫して使用された内部開発の指標を反映して決められる。プラスおよびマイナスのショック
の加重は、経済におけるリスクのバランスに左右される。マイナスおよびプラスショックの確率はそ
れぞれ45%および5%であり、最後に行われた計算において四半期ごとの予測で適用された。
下表は、金融機関および対顧客貸付金および預け金に係る損失引当金を示している。将来を見越し
たシナリオのそれぞれ(例えば、ベースライン、楽観的、悲観的)は、3シナリオ全体にシナリオ確
率加重を適用するのではなく、100%加重される。
2022年12月31日現在
楽観的 ベースライン 悲観的
(単位:百万ユーロ)
エクスポージャー総額
金融機関 93,176 93,176 93,176
316,086 316,086 316,086
対顧客
貸倒引当金
金融機関 23 29 37
253 281 318
対顧客
2021年12月31日現在
楽観的 ベースライン 悲観的
(単位:百万ユーロ)
エクスポージャー総額
金融機関 93,268 93,268 93,268
309,622 309,622 309,622
対顧客
貸倒引当金
金融機関 65 72 84
252 279 318
対顧客
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S.2.4. 財務取引および代替貸付金の信用リスク
S.2.4.1. 財務取引および代替貸付金の信用リスクの測定
EIBの財務投資は、(i)流動性維持を主な目的とした短期財務ポートフォリオ、(ii)第二の流動性供
給源としての有価証券流動性ポートフォリオ、(iii)長期HQLAポートフォリオの3つに分かれる。
代替貸付金ポートフォリオは、カバード・ボンドと資産担保証券(「ABS」)で構成されている。カ
バード・ボンドは発行体に対する全面的遡及権があるのに対して、ABSは、原証券を裏付けに、特別目
的事業体が発行する。カバード・ボンドは大部分が住宅抵当のプールで裏付けられている一方、大半
のABSの仕組ではSME向け貸付金またはリースによって証券化されている。
こうした取引の一部は、与信またはプロジェクト関連の救済措置を付け加えて組成されており、追
加的な回収手段を提供する。
EIFの長期財務管理は、両当事者が署名し、取引の選定、執行、決済および監視の実行をEIBの担当
サービス部署に委託する財務管理契約に基づき、全面的にEIBに委託されている。経営陣は、当該契約
に付属する財務ガイドラインに従う。運用上の短期流動性管理はEIFが行っている。
財務取引に関する信用リスクは、カウンターパーティーに対して設定されている与信限度枠を通じ
て監視されている。各カウンターパーティーの加重エクスポージャーが承認を受けている限度枠を超
えることは禁じられている。
代替貸付金について、規制や格付会社によって組み込まれた信用リスク軽減手段および要件は、発
行体に信用事象が生じた場合に発動される一次的な救済策となる。
財務商品(有価証券、コマーシャル・ペーパー、定期預金等)関連の信用リスクは、健全なカウン
ターパーティーおよび発行体を選択することにより管理されている。
ポートフォリオの構成および財務商品残高に適用される限度枠は、経営陣が設定している。この限
度枠は、グループ・リスク・コンプライアンス部門により定期的に見直しが行われる。
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同等のムーディーズ格付別の信用リスク・エクスポージャー(帳簿価額総額に基づく)
2022年
信用減損の 信用減損の
12ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
(単位:百万ユーロ)
償却原価で測定される資金運用資産および
代替貸付金
Aaa 57,260 0 0 57,260
Aa1からAa3 22,142 0 0 22,142
A1からA3 6,512 0 0 6,512
Baa1からBaa3 5,665 0 0 5,665
561 407 7 975
Baa3未満
92,140 407 7 92,554
償却原価での帳簿価額総額
-1 -3 0 -4
貸倒引当金
92,139 404 7 92,550
償却原価での正味帳簿価額
2021年
信用減損の 信用減損の
12ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
(単位:百万ユーロ)
償却原価で測定される資金運用資産および
代替貸付金
Aaa 59,529 0 0 59,529
Aa1からAa3 28,275 300 0 28,575
A1からA3 17,677 0 0 17,677
Baa1からBaa3 11,220 108 0 11,328
771 361 0 1,132
Baa3未満
117,472 769 0 118,241
償却原価での帳簿価額総額
0 -5 0 -5
貸倒引当金
117,472 764 0 118,236
償却原価での正味帳簿価額
2022年 2021年
(単位:百万ユーロ)
FVTPLで測定される資金運用資産および代替貸付金
Aaa 1,427 1,701
Aa1からAa3 1,250 1,833
A1からA3 793 1,520
Baa1からBaa3 332 459
Baa3未満 493 636
85 85
格付なし
4,380 6,234
FVTPLでの帳簿価額
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S.2.4.2. 財務取引に供する担保受取担保
グループは、取引のカウンターパーティーが契約債務を履行できなかった場合に信用リスクにさら
される可能性のある有担保リバース・リパーチェスおよびリパーチェス契約取引を行っている。グ
ループは、カウンターパーティーの信用リスクおよび担保の価値を日次でモニターし、必要とみなさ
れる場合には、グループに追加担保を差し入れるよう要求することで、これらの業務に関連した信用
リスクを統制している。
三者間レポおよびリバース・レポ取引は、第三者保管機関と共同で行われる。第三者保管機関は、
枠組み契約に従って特に以下に関する契約条件の遵守を保証する。
- 支払引替渡し
- 担保の検証
- 貸手が要求する担保マージン。これは常に充分かつ充当可能であることが必要であり、保管機
関は、当該有価証券の時価を日々検証しなければならない。
- 契約要件をすべて満たす代替担保の組成
受取担保
2022年12月31日現在の名目残高7,381百万ユーロ(2021年:13,894百万ユーロ)の二者間および三者
間リバース・リパーチェス契約は財務取引に係る受取担保が伴う取引であり、グループはこのうち
7,381百万ユーロ(2021年:13,334百万ユーロ)について金融担保、0百万ユーロ(2021年:560百万
ユーロ)についてコモディティを受領している。エクスポージャーは、全額が担保されており、追加
担保請求は日々行われる。担保ポートフォリオの市場価格は監視されており、原契約に準拠して、必
要に応じて追加担保が請求される。金融担保ポートフォリオの時価は、2022年12月31日現在、7,000百
万ユーロ(2021年:13,558百万ユーロ)であった。
これらの受取担保のうち、2022年度および2021年度末時点で、グループが担保権を行使して所有権
を取得したものはなかった。グループが受領した担保は、当年度中、資金調達業務のために再利用さ
れた。
預託担保
二者間および三者間リパーチェス契約は、財務取引に係る担保差入れが伴う取引であり、その名目
残高は2022年12月31日現在3,065百万ユーロ(2021年:5,717百万ユーロ)であった。二者間および三
者間リパーチェス契約の下で差し入れられている担保(ルクセンブルク中央銀行への差入れを除く)
の時価は、2022年12月31日現在、3,054百万ユーロ(2021年:5,711百万ユーロ)であった。
グループは、2022年12月31日現在、時価141百万ユーロ(2021年:149億ユーロ)の有価証券をルク
センブルク中央銀行に預託しており、そのうち141百万ユーロ(2021年:140億ユーロ)は処分の制約
を受けている。
2022年12月31日現在、先物契約に付された現金担保は11.0百万ユーロ(2021年:3.8百万ユーロ)で
あった。
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S.2.4.3. 貸借対照表日現在で認識の中止がなかった譲渡資産
グループの資産のうち、貸借対照表日現在で譲渡されている資産はなかった。
S.2.5. デリバティブの信用リスク
S.2.5.1. デリバティブの信用リスク管理方針
デリバティブ取引の信用リスク管理方針は、スワップ・カウンターパーティーの資格条件と格付制
限の定義に基づいている。信用エクスポージャーを削減するため、EIBはその大半を取引量の多いス
ワップ・カウンターパーティーとクレジット・サポート・アネックスを交わしており、エクスポー
ジャーが契約で定められている信用極度額を上回った場合に担保を受け取る。EIFはデリバティブ商品
を使用していない。
デリバティブに関する信用リスクは、カウンターパーティーが契約債務を履行できない場合にEIBが
被りうる損失に関連する。
デリバティブ取引の特殊な性質および複雑さを考慮し、当該金融商品の利用から生ずる損失に対し
てEIBを保護するための一連の手続きが整備されている。
取引契約の枠組み
EIBのデリバティブ取引はすべて、ISDAスワップ取引契約と、該当する場合にはエクスポージャーに
対する担保差入条件が明記されているクレジット・サポート・アネックスの取引契約の枠組みの中で
行われる。これらは一般的に採用され、実施されている契約の様式である。新規契約の最低条件はリ
スク・ガイドラインに規定されている。
カウンターパーティーの選択
取引開始時の格付は、A3以上とリスク・ガイドラインに定められている。カウンターパーティー格
付がある一定のレベルを下回った場合には、EIBは大半の場合に期限前に契約を解除する権利を有す
る。
担保設定
- (一部の場合に限度枠が適用される)エクスポージャーに対しては、現金および債券による担
保が差入れられる。
- 一定の取引に対しては、現在の市場価値を上回る担保が差し入れられている。
- 個々のカウンターパーティーとのデリバティブ・ポートフォリオと受取担保は定期的にモニ
ターされて評価され、それを受けて追加担保が請求されるか、担保の引出しが行われる。
担保所要額は、カウンターパーティーの信用リスクの評価によって決まる。担保および評価パラ
メーターの許容範囲に関する指針が、定められている。
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ISDA契約の一環として、EIBは、売却または再担保が認められている有価証券や現金を受け取ってい
る。そのような条件の下で受け取った有価証券の公正価値は、2022年12月31日現在、6,902百万ユーロ
(2021年:15,399百万ユーロ)で、担保の性質および同等のムーディーズ格付に基づいた詳細は、以
下のとおりであった。
スワップ担保 (単位:百万ユーロ)
債券
政府機関債、
同等のムーディーズ格付 現金 2022年の合計
国際機関債、
政府債
カバード・
ボンド
Aaa 780 546 0 1,326
Aa1からAa3 254 0 0 254
A1からA3 0 0 0 0
Baa1からBaa3 2,951 0 0 2,951
0 0 2,371 2,371
格付なし
2022年の合計 3,985 546 2,371 6,902
スワップ担保 (単位:百万ユーロ)
債券
政府機関債、
同等のムーディーズ格付 現金 2021年の合計
国際機関債、
政府債
カバード・
ボンド
Aaa 1,042 962 0 2,004
Aa1からAa3 3,130 0 0 3,130
A1からA3 6 0 0 6
Baa1からBaa3 5,484 0 0 5,484
0 0 4,775 4,775
格付なし
2021年の合計 9,662 962 4,775 15,399
EIBは、ITシステムである担保管理システム(「CMS」)の使用を開始した。CMSの主な目的は、EIB
がレポ目的で資産と有担保市場の受入担保のリアルタイムの一覧を確実に利用できるようにする点に
ある。貸付金、デリバティブ、リバース・レポおよびレポに対する担保として受け入れた有価証券
は、市場価格サービス・プロバイダー(すなわち、ブルームバーグ)から提供された活発な市場の相
場価格を用いて、または相場価格が入手不可能な場合は市場ベースの評価額を使用して、CMSで日次評
価される。
S.2.5.2. デリバティブの信用リスクの測定
デリバティブ関連の信用リスクは様々なパラメーターにより変化し(例えば金利や為替レート)、
一般的に想定元本のごく一部に相当するに過ぎない。EIBは、内部目的上、財務報告と限度枠のモニタ
リングにはカレント無担保エクスポージャーとポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを使
用して、スワップ取引およびデリバティブ取引に関する信用リスク・エクスポージャーを測定してい
る。自己資本要件規則(CRR)に従った資本配分については、グループはカウンターパーティー信用リ
スクに係る標準的手法(SA-CCR)を用いている。
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EIBは、カレント無担保エクスポージャーを、ゼロと、カウンターパーティーとのネッティング・
セットに含まれている取引ポートフォリオの時価から受入担保の価値を差し引いた数値のいずれか大
き な方の値で測定している。これは、カウンターパーティーが不履行を起こした場合に生ずる損失に
相当する金額で、受領した担保を相殺に充当し、取引の回収価値をゼロとした上で、すべての取引に
つき直ちにスワップ・カウンターパーティーの代替を行うことを想定している。2022年12月31日現在
のカレント無担保エクスポージャーは165百万ユーロ(2021年12月31日現在:927百万ユーロ)であっ
た。
さらにEIBは、リスクのマージン期間である20営業日にネッティング・セットに生ずる可能性のある
エクスポージャーの増加を考慮した、ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを計算してい
る。EIBは、保守的な見積りを出すため、ストレス下の市場パラメーターに基づき、また信頼区間を
90%として、ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを計算している。これは、重要な市場
参加者の不履行があった場合に生じるであろう状況を考慮するための規制当局の勧告に沿ったもので
ある。2022年12月31日現在の初期ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーは2,266百万ユーロ
(2021年12月31日現在:10,001百万ユーロ)であった。
限度枠
銀行向け限度枠システムは、ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを3種の期間グルー
プ(1年未満、1年以上5年以下および5年超)と2種の格付シナリオ(現状維持およびA3格未満へ
の格下げ)でカバーする。
デリバティブ・ポートフォリオは毎日評価され、限度枠との比較が行われる。
下表にあるように、デリバティブ・ポートフォリオの大部分は、A3格以上に格付されたカウンター
パーティーに集中している。
ポテンシャル・
カレント無担保
フューチャー・エクスポー
エクスポージャー
額面価額割合
格付グループ
ジャー
(単位:百万ユーロ) (単位:百万ユーロ)
同等のムーディーズ格付 2022年 2021年 2022年 2021年 2022年 2021年
Aaa
0.47% 0.47% 0 496 0 920
Aa1からAa3 18.10% 19.31% 4 236 370 2,273
A1からA3 75.46% 74.76% 146 195 1,783 6,628
5.97% 5.46% 15 0 113 180
A3未満
合計 100.00% 100.00% 165 927 2,266 10,001
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下表は、2022年および2021年12月31日現在の主要デリバティブ・カウンターパーティーに対する集
中度を示したものである。
2022年 2021年
額面ベースのエクスポージャー(EIBのデリバティブ・ポートフォリオに対する
割合):
-上位3件 30.4% 31.7%
-上位10件 70.7% 71.7%
-上位25件 96.7% 97.1%
カレント無担保エクスポージャー:
-上位3件 97.6% 70.9%
-上位10件 100.0% 95.5%
-上位25件 100.0% 100.0%
ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャー:
-上位3件 50.4% 34.8%
-上位10件 91.0% 72.0%
-上位25件 100.0% 96.5%
下表は、想定元本および公正価値に基づいて分類した通貨スワップ(ストラクチャード・スワップ
を含み、短期通貨スワップを除く)の満期を示している。
2022年12月31日現在の通貨スワップ
1年超 5年超 2022年の
1年以内 10年超
5年以内 10年以内 合計
(単位:百万ユーロ)
想定元本(受取)
43,783 136,262 36,102 27,198 243,345
公正価値(すなわち、CVA、DVAおよび
221 1,816 -744 26 1,319
(*)
CollVAを含む割引価値(純額))
1年超 5年超 2021年の
2021年12月31日現在の通貨スワップ
1年以内 10年超
(単位:百万ユーロ) 5年以内 10年以内 合計
想定元本(受取)
34,954 137,297 45,792 29,640 247,683
公正価値(すなわち、CVA、DVAおよび
-740 3,085 985 1,041 4,371
(*)
CollVAを含む割引価値(純額))
(*) 2022年12月31日現在2,530百万ユーロ(2021年:3,133百万ユーロ)となっているマクロ・ヘッジ通貨スワップの公
正価値を含む。
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下表は、想定元本および公正価値に基づいて分類した金利スワップ(ストラクチャード・スワップ
を含む)の満期を示している。
2022年12月31日現在の金利スワップ
1年超 5年超 2022年の
1年以内 10年超
5年以内 10年以内 合計
(単位:百万ユーロ)
想定元本
75,935 230,220 131,299 135,571 573,025
公正価値(すなわち、CVA、DVAおよび
-700 -5,269 -4,092 993 -9,068
(*)
CollVAを含む割引価値(純額))
2021年12月31日現在の金利スワップ
1年超 5年超 2021年の
1年以内 10年超
5年以内 10年以内 合計
(単位:百万ユーロ)
想定元本
53,438 243,656 127,981 134,006 559,081
公正価値(すなわち、CVA、DVAおよび
301 4,748 3,036 229 8,314
(*)
CollVAを含む割引価値(純額))
(*) 2022年12月31日現在マイナス349百万ユーロ(2021年:マイナス789百万ユーロ)となっているマクロ・ヘッジ金利
スワップの公正価値を含む。
EIBは、金利、為替レート、インフレ率および株価指数に関するオプションを含む借入契約および貸
付を行う。このようなストラクチャード借入金および貸付金は、関連する市場リスクをヘッジするた
めのスワップ契約により完全にカバーされている。
上表は、ストラクチャード・スワップの想定元本および公正価値を、クロス・カレンシー要素を含
んでいるか否かに基づいて示している。下表は、ストラクチャード・スワップの取引件数、公正価値
および想定元本の詳細を示している。
ストラクチャード・
期限前解約が組み込まれ
12月31日現在のストラクチャード・スワップ(単
ているもの
位:百万ユーロ) クーポン
2022年 2021年 2022年 2021年
取引件数 119 127 156 162
想定元本(単位:百万ユーロ) 4,909 4,568 10,413 12,083
公正価値(すなわち、CVA、DVAおよびCollVAを含
-774 518 -2,310 -2,960
む割引価値(純額))(単位:百万ユーロ)
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ストラクチャード・スワップ取引の公正価値は、オプションの利用可能な市場価格に調整されたオ
プション価格モデルを用いて算出される。デリバティブ取引の一部に関しては、市場インプットを直
接入手できない場合には、内部見積りや仮定が評価技法に取り入れられることもある。
借入れに組込まれている、もしくは借入れに関連するオプション契約は、すべて店頭取引で行われ
る。
2022年12月31日現在、未決済の金利先渡契約はなかった(2021年12月31日現在も同じ)。
S.2.5.3. 保証の信用リスク
自己資金を原資とするグループの保証取引から生じる信用リスクは、専用の行内指針に従って管理
されている。
2022年12月31日現在、契約済エクスポージャーは計319億ユーロ(2021年:309億ユーロ)であっ
た。グループにより保証された実行済貸付金に係るエクスポージャーは203億ユーロ(2021年:167億
ユーロ)であり、かかる保証について計上された負債および引当金は98.0百万ユーロ(2021年:39.3
百万ユーロ)であった(注D.4)。
グループの保証型業務の一部は、リスク・シェアリング業務から発生しており、グループは、確立
された委託モデルに基づいて、金融仲介機関が組成するローン・タイプのエクスポージャーを(i)ロー
ンごとに、または(ii)ポートフォリオのいずれかで保証している。EIBがリスクを負う原リスク・エク
スポージャーを組成する金融仲介機関は、グループが当該金融仲介機関に信用管理業務を委託できる
ことを確認するための、詳細なデューデリジェンスの対象となる。このような取引では、グループは
比例的に、またはある程度の劣後性を有する構造を通じて、エクスポージャーを負うことがある。こ
れに加えて、グループは証券化取引を行うこともできる。
EIBは、このタイプの取引の集中リスクを制限するための専用の枠組みを確立している。取引の特異
性に応じて、これには、最低適格格付区分、特定のセクター、債務者および/または債務者グループ
のエクスポージャーを含むが、これらに限定されない適格基準の確立が含まれる。形式的に言えば、
信用リスクは金融仲介機関が組成する原エクスポージャーにあるため、金融仲介機関のカウンター
パーティー・リスクは限定的である。すなわち、カウンターパーティー・リスクは、(1) 保証料の支
払い、および(2) EIBが保証・支払いを行う原エクスポージャーが債務不履行となった場合の潜在的な
回収額のEIBに対する返済に限定される。いずれにしても、グループは、いくつかの軽減措置(詳細な
デューデリジェンス、担保権、介入権、原リスク・エクスポージャーの重大な修正に関する同意権ま
たは解約権を含むがこれらに限定されない)を確立している。
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各内部格付の信用リスク・エクスポージャー(単位:百万ユーロ)
2022年
信用減損のない 信用減損のある
12ヵ月ECL 合計
全期間ECL 全期間ECL
金融保証
内部格付 1-最小信用リスク 110 0 0 110
内部格付 2-非常に低い信用リスク 3,091 0 0 3,091
内部格付 3-低信用リスク 18,791 4 0 18,795
内部格付 4-中程度の信用リスク 3,577 0 0 3,577
内部格付 5-財務的に脆弱な貸付先 3,320 107 0 3,427
内部格付 6-高信用リスク 1,979 257 0 2,236
内部格付 7-非常に高い信用リスク 0 578 106 684
0 0 12 12
内部格付 8-デフォルト状態の貸付先
30,868 946 118 31,932
信用リスク・エクスポージャー合計
89 0 9 98
帳簿価額
2021年
信用減損のない 信用減損のある
12ヵ月ECL 合計
全期間ECL 全期間ECL
金融保証
内部格付 1-最小信用リスク 15 0 0 15
内部格付 2-非常に低い信用リスク 3,540 0 0 3,540
内部格付 3-低信用リスク 18,790 45 0 18,835
内部格付 4-中程度の信用リスク 2,409 397 0 2,806
内部格付 5-財務的に脆弱な貸付先 2,006 391 0 2,397
内部格付 6-高信用リスク 2,288 746 0 3,034
内部格付 7-非常に高い信用リスク 134 1 129 264
0 0 10 10
内部格付 8-デフォルト状態の貸付先
29,182 1,580 139 30,901
信用リスク・エクスポージャー合計
30 0 9 39
帳簿価額
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S.3. 流動性および資金調達リスク
流動性リスクは、資産の増加に対応して資金を調達し、期限の到来時に債務を弁済することを、受
入不能な損失を負担することなしに行うグループの能力に関するリスクである。それは、さらに資金
流動性リスクと市場流動性リスクに分けることができる。
資金流動性リスクとは、連結貸借対照表の資産を支え、容易に利用できる流動性リソースから期限
どおりに債務を全額返済することができなくなるリスクに関するものである。資金流動性リスクは、
支払義務の履行に関する差し迫ったリスクおよびこれに伴う不利な条件での借入を増加させうるた
め、グループのポジションの経済価値あるいはグループのポジションから生み出される収益の変動性
に影響を与える可能性がある。
市場流動性リスクとは、ポジション残高を相殺、解消、または削減するための取引を合理的な市場
価格で執行できないかもしれないという理由で、グループのポジションの経済価値の変動、または同
ポジションによる収益の変動が激しくなることを指す。取引を執行できないことにより、清算を避け
た方が良いと思われる場合でも好ましくない価格で早い段階に当該資産を清算せざるを得なくなるお
それがある。このリスクは、取引される証券の流動性と比較したポジションの規模、ならびに市場の
アベイラビリティおよび効率性の悪化と密接に関係している。
S.3.1. 流動性リスク管理
EIBの流動性リスク管理
EIBの中核業務活動を妥当なコストで正常に機能させるため、流動性リスクは慎重に管理されてい
る。流動性リスク管理方針の主な目的は、EIBが常に期限内に支払債務を満額履行できることの確保に
ある。商業銀行とは対照的に、EIBは個人預金を保有しておらず、顧客に貸し付ける資金の調達を資本
市場に依存している。
EIBは慎重に流動性バッファーを維持するため、新規発行予定を管理している。流動性維持計画で
は、EIBの債務の元利払いおよび貸付金の実行によるキャッシュ・アウトフローならびに貸付金ポート
フォリオからのキャッシュ・インフローを考慮している。また、流動性維持計画では、一般的に債務
者の要請に応じて実行される多額の契約済未実行貸付金も考慮している。
EIBは、短期流動資産を十分な水準に保つこと、および資金需要予測に応じて自行の募集有価証券の
償還日を分散することによって、流動性リスクの管理を一層確実にしている。流動性リスク方針には
財務ポートフォリオの水準の下限が組み込まれている。実際に、EIBの全体的な流動性比率(見積年間
ネット・キャッシュ・フローに対する目標比率と定義)は、常に翌年の見積年間ネット・キャッ
シュ・フローの25%を上回っていることが、義務付けられている。
グループはグループ非常時資金調達計画(「グループCFP」)を定めており、そこでは適切な意思決
定手続とそれに対応する責任分担が定められている。グループCFPは定期的に、欧州銀行監督機構がこ
の件に関して発行した関連するガイドラインを含む該当するベスト・バンキング・プラクティスを基
準に、テストおよび評価されている。グループCFPはEIB理事会によって毎年承認される。
定期的なストレス・テスト分析は、流動性リスク・モニタリングの一環として実施され、EIBおよび
EIFの流動性バッファーの規模を決定する。
2009年7月8日にユーロ・システムの金融政策オペレーションにおける適格カウンターパーティー
となったことから、EIBも欧州中央銀行の金融政策オペレーションに参加できることとなった。EIB
は、最低預金準備率およびその他の業務ニーズを充足するために預け金を置いているルクセンブルク
中央銀行を通じて金融政策オペレーションを実施する。
流動性カバレッジ比率(「LCR」)は、欧州連合CRRに沿って、機能通貨(ユーロ)だけでなく、他
の重要な通貨についても日次で計算されている。過度の通貨のミスマッチを防止するために、流動性
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資産の通貨と正味流動性の流出の通貨の整合性を継続的にとることが確実にされている。2022年末現
在、EIBのLCRは348.0%(2021年末:546.9%)であり、グループLCRは352.4%(2021年:586.0%)で
あっ た。
また、安定調達比率(「NSFR」)も欧州連合CRRに沿って、機能通貨(ユーロ)だけでなく、他の重
要な通貨についても計算されている。2022年末現在、EIBのNSFRは124.6%(2021年:130.0%)、グ
ループのNSFRは124.9%(2021年:130.1%)であった。
グループは、主にグループの流動性管理に対する慎重なアプローチの結果として、現在も引き続き
強固な流動性ポジションおよび必要な流動性リソースへの柔軟なアクセスを維持している。その結
果、ウクライナでの戦争が流動性および資金調達に及ぼした影響は非常に限定的であった。
EIFの流動性リスク管理
払込資本金の価値を損なうことなく、今後生じうる保証請求、プライベート・エクイティ・コミッ
トメント、および一般管理費の支出に対応する適切な水準のEIFの流動性を確保し、かつリスク最小化
に配慮しながら投資資産で合理的な収益を獲得できるような方法で、流動性リスクは管理されてい
る。
S.3.2. 流動性リスクの測定
下表は、貸借対照表日から契約上の満期日(契約で定められている割引前キャッシュ・フローに基
づく)までの残存期間別の、グループ金融負債残高を示している。契約によって定められた満期日の
ない負債は、「満期日未確定」に区分されている。表の値は、利札を含めた割引前キャッシュ・フ
ローを示しているため、連結貸借対照表計上の数値と一致していない。
元本のキャッシュ・フローと利息は、契約上生じうる最初の返済日に対応する欄に算入されてい
る。したがってこれは予想シナリオではなくむしろ理論上のシナリオを表している。
借入金および関連するスワップの一部は、ヘッジ・スワップの契約相手に期限前解約条項もしくは
コール・オプションを認めており、グループにも関連債券を期限前償還する権利を与えている。その
場合、キャッシュ・フローは可能性のある最初の償還可能日に対応する欄に表示されている。しかし
ながらこれは保守的措置であって、グループは契約により関連する任意償還条項付債券の期限前償還
を強制されておらず、現実的なシナリオとしては、そのようなすべての債券を最初の償還可能日に償
還する理由はない。
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契約済未実行貸付金に関する流出額は、グループ内部の流動性ストレス・テスト法に従って表示さ
れている。大きなストレスがかかった場合に繰り上げて実行されうる最大貸付額は、初回満期日が該
当する欄に表示されている。
金利スワップおよび金利先渡契約については、キャッシュ・フロー純額で表示されている。他方、
総額で決済される金利デリバティブ(本質的にはクロス・カレンシー金利スワップ)および為替デリ
バティブ(為替先渡、為替スワップ等)は、満期分析ではキャッシュ・フロー総額で表示されてい
る。
非デリバティブ金融負債の満期特性
(2022年12月31日現在、 3ヵ月 3ヵ月超 1年超 満期日 流出総額
5年超 帳簿価額
単位:百万ユーロ) 以内 1年以内 5年以内 未確定 (名目値)
金融機関および顧客に対す
る債務 6,937 0 0 0 0 6,937 6,933
コマーシャル・ペーパー 0 8,405 0 0 0 8,405 8,343
債務証書借入-初回償還日
の場合 17,474 51,967 221,715 181,346 0 472,502 409,075
その他の負債 8 745 1,260 1,096 479 3,588 3,592
供与済保証およびその他の
オフ・バランスシート項目 0 0 0 0 42,040 42,040
契約済未実行貸付金に関す
13,840 2,375 6,271 234 101,312 124,032
る流出額
38,259 63,492 229,246 182,676 143,831 657,504 427,943
合計
非デリバティブ金融負債の満期特性
(2021年12月31日現在、 3ヵ月 3ヵ月超 1年超 満期日 流出総額
5年超 帳簿価額
単位:百万ユーロ) 以内 1年以内 5年以内 未確定 (名目値)
金融機関および顧客に対す
る債務 12,301 13,195 0 0 0 25,496 25,393
コマーシャル・ペーパー 6,015 8,177 0 0 0 14,192 14,185
債務証書借入-初回償還日
の場合 15,717 42,103 233,597 185,210 0 476,627 459,718
(*)
その他の負債 10 670 1,289 1,396 352 3,717 3,720
供与済保証およびその他の
オフ・バランスシート項目 0 0 0 0 40,344 40,344
契約済未実行貸付金に関す
14,857 2,120 6,416 188 99,396 122,977
る流出額
48,900 66,265 241,302 186,794 140,092 683,353 503,016
合計
(*) 財務書類の可読性を向上させるために、組替が行われている。
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デリバティブ金融負債の満期特性
流入/流出
3ヵ月超 1年超
(2022年12月31日現在、単位:百万ユーロ) 3ヵ月以内 5年超 総額
1年以内 5年以内
(名目値)
差金決済される金利デリバティブ -544 -2,875 -4,664 -663 -8,746
総額で決済される金利デリバティブ-流入額 15,389 35,505 156,257 78,712 285,863
総額で決済される金利デリバティブ-流出額 -16,843 -34,684 -153,571 -77,874 -282,972
為替デリバティブ-流入額 19,276 2,276 127 0 21,679
-19,507 -2,366 -126 0 -21,999
為替デリバティブ-流出額
合計 -2,229 -2,144 -1,977 175 -6,175
デリバティブ金融負債の満期特性
流入/流出
3ヵ月超 1年超
(2021年12月31日現在、単位:百万ユーロ) 3ヵ月以内 5年超 総額
1年以内 5年以内
(名目値)
差金決済される金利デリバティブ 402 2,152 3,505 2,655 8,714
総額で決済される金利デリバティブ-流入額 9,659 27,379 143,949 82,624 263,611
総額で決済される金利デリバティブ-流出額 -8,825 -27,354 -139,636 -79,971 -255,786
為替デリバティブ-流入額 18,470 6,260 0 0 24,730
-18,418 -6,146 0 0 -24,564
為替デリバティブ-流出額
合計 1,288 2,291 7,818 5,308 16,705
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S.4. 金利リスク
グループの金利リスク
グループの立場からは、金利リスクは金利に対する感応度の高い商品に影響を与える金利の不利な
変動から生じる経済価値または正味受取利息に対するリスクである。異なる資産、負債、ヘッジ商品
の間で金利更改特性や満期特性に差異があると、金利リスク・エクスポージャーが生じる。
グループ・リスク選好の枠組みには、事前に承認された限度内で管理される2つの金利リスク指標
が含まれている。これらは「経済価値に対するリスク」と「利益に対するリスク」(S.4.1参照)であ
り、これらはEIB単体レベルで定義されている。EIFのリスク選好の枠組みには、現在このような金利
リスク指標は含まれていないが、代わりにEIFは金利リスク・エクスポージャーをカバーするために経
済資本を配分している。これにより、EIFは銀行勘定の金利リスク(「IRRBB」)についてのグループ
資本計測手法に従っている。
以下の項で、各事業体の金利リスク管理の枠組みの運用上の実施状況について詳述する。
S.4.1. EIBの金利リスクの管理
金利リスクの測定および管理にあたり、EIBはEUにおいて導入されたバーゼル銀行監督委員会
(「BCBS」)の関連する主要原則および欧州銀行監督機構(「EBA」)によって発行された規制指針を
参考にしている。金利リスクの主要な源泉は、ギャップリスク、ベーシスリスクおよびオプションリ
スクである。ギャップリスクとは、EIBにとって最も関係が深い金利リスクであり、EIBの貸借対照表
上の金利感応商品の期間構造の差異から生み出される経済価値または正味受取利息に対するリスクと
定義される。
EIBは規制当局の指針に従い、金利リスクに対する選好度を、EIBがとる用意がある(同時に、該当
する場合には、EBAの監督上の異常値テストで定義されている最大閾値を遵守する)経済価値に対する
最大リスクと利益に対する最大リスクの両方の観点から明示した。EIBの自己資金の投資戦略である
「金利リスク戦略」は、こうした金利リスク選好に沿ったものである。ロシアによるウクライナ侵攻
の影響は、インフレ傾向の加速要因となり、高インフレは金利の上昇をもたらし、EIBの正味金利収益
に好影響を及ぼす結果となった。
IBOR改革
ロンドン銀行間金利(LIBOR)などの指標金利は金融契約で広く用いられていた。代替指標金利への
世界的な移行は、金融市場において着手された最も困難な課題を含んだ改革の一つである。他の銀行
と同様に、EIBは、これらの市場全体にわたる取組みの一環として改革の対象となっている金融商品に
ついて、IBORに重大なエクスポージャーを有していた。
行内における準備
2018年2月、資産・負債委員会 (ALCO)は、代替金利への移行に関連する進展を積極的に追跡・監
視するためのIBOR専任のALCO直属ワーキンググループであるIBORワーキンググループを設置した。
IBORワーキンググループの目的には、金利指標改革に関連する動向の監視が含まれていた。この監視
には特に、契約修正、顧客との双務交渉、ITシステムおよびアプリケーションの更新および新契約へ
のフォールバックの文言の導入ならびに通貨別、資産クラス別および廃止が決定している指標金利の
適用区域別のIBORへのエクスポージャーの定期的モニタリングの進展が含まれる。確立した作業計画
の実施における進捗は定期的に監視され、ALCOで討議され、定期的に経営幹部および監査委員会に報
告されている。
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金融商品クラス別の移行状況
貸付活動および資金調達活動の一環として、EIBは主に顧客への変動金利貸付金およびEIBの活動に
資金提供するための発行債券に関して、IBOR改革へのエクスポージャーを有している。金利リスクお
よ び為替リスクへのエクスポージャーを管理するために、EIBはデリバティブ商品を利用している(固
定金利貸付金や借入業務のヘッジなど)。
デリバティブは、対応するキャッシュ・フローの大部分がIBOR金利を参照しているため(すなわ
(12)
ち、「変動金利」)、IBORレートの影響を直接的に受ける最大の金融商品クラスである 。EIBは、
2021年にISDAのIBORフォールバック・プロトコルおよびサプリメントを遵守した。このプロトコル
は、デリバティブの従前のポートフォリオの円滑な移行を確保するために、金利指標の廃止時に適用
される強固なフォールバック条項をカウンターパーティーが組み込むための修正メカニズムを提供す
るものである。LIBORに連動するスワップにおけるEIBのすべてのカウンターパーティーも、このプロ
トコルおよびサプリメントを遵守している。このプロトコルおよびサプリメントの適用を通じて、EIB
は2022年末までにLIBORを参照するデリバティブの想定元本エクスポージャー(英ポンド、スイス・フ
ラン、日本円および米ドル建て)のすべてをシステムにおいて移行した。
(12) デリバティブは、注A.4.5に記載されている手法に従って再測定される。
変動金利貸付金は、IBOR金利の影響を直接的に受ける金融商品の中で2番目に大きなクラスであ
る。2022年12月31日現在、当初にスイス・フラン、日本円および英ポンドに連動していた契約はもは
やLIBORに連動していない。2022年中に、EIBは米ドルLIBORに連動する貸付金の移行を進めた。米ドル
LIBORのレガシーポートフォリオは、以前に英ポンド、スイス・フランおよび日本円のLIBORに関連し
ていたポートフォリオよりも大きく、地理的にも多様化している(約75%の顧客がEU以外の国に所在
している)。借手の75%は既に選好する商品を表明しており、2023年初頭には関連する文書変更への
署名が見込まれている。エクスポージャーの大部分は、2023年6月30日の停止日後の最初の利払い日
までに移行すると見込まれているが、部分的に合成LIBORに依存することが必要になる可能性が高い。
移行と並行して、EIBは貸付商品ポートフォリオを新たな貸付金組成に適応させた。
EIBは、公正価値ヘッジ会計または公正価値オプションのいずれかの適格基準を満たす米ドル建て貸
付金を2023年に再測定し、米ドルLIBORの経済的に同等な修正後割引曲線の適用による影響を反映させ
る(それぞれ注A.4.5およびA.4.9に記載されている技法を参照のこと)。したがって、2022年にはこ
れらの貸付金への影響はなく、下表では、IBOR改革による移行が金融業務に与える影響を期間中の損
益の性格別に開示している。
資金調達面では、EIBは2018年より貸借対照表で新たなRFRを参照する債券商品を発行している。加
えて、優先市場構成の設定に基づいて、EIBは必要な流動性を備えた関連するRFR市場の支援に重点を
置いている。
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2022年12月31日現在、米ドルLIBOR連動債のうち、帳簿価額で61%が2023年6月末までに満期を迎え
る。残りの39%は2023年上半期中に評価され、適切なエクスポージャー移行の機会が検討される予定
である。
EIBは、公正価値ヘッジ会計の適格基準を満たす米ドル建て資金調達債券(「借入金」)を2023年に
再測定し、米ドルLIBORの経済的に同等な修正後割引曲線の適用による影響を反映させる(それぞれ注
A.4.5およびA.4.9に記載されている技法を参照のこと)。したがって、2022年にはこれらの借入金へ
の影響はなく、下表では、IBOR改革による移行が金融業務に与える影響を期間中の損益の性格別に開
示している。
2022年12月31日現在、変動金利によりIBOR改革リスクにさらされている金融商品の帳簿価額は以下
のとおりである。
帳簿価額 (単位:百万ユーロ) 米ドルLIBOR 英ポンドLIBOR その他
非デリバティブ金融資産
金融機関貸付金および預け金
a) 要求払
0 0 0
b) その他の貸付金および預け金
0 0 0
c) 貸付金
7,685 0 0
対顧客貸付金および預け金
a) その他の貸付金および預け金
0 0 0
b) 貸付金
3,819 0 0
中央銀行担保適格国庫証券およびその他短
879 0 0
期証券
確定利付証券を含む負債証券
b) その他による発行 279 0 0
非デリバティブ金融資産合計 12,662 0 0
非デリバティブ金融負債
債務証書借入
a) 負債証券
530 0 0
b) その他 69 0 0
非デリバティブ金融負債合計 599 0 0
貸付コミットメント 9,394 0 0
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米ドルLIBOR 英ポンドLIBOR その他
想定元本(単位:百万ユーロ)
デリバティブ金融商品
デリバティブ資産
金利スワップ 0 0 0
0 0 0
クロス・カレンシー・スワップ
デリバティブ資産合計 0 0 0
デリバティブ負債
金利スワップ 0 0 0
0 0 0
クロス・カレンシー・スワップ
デリバティブ負債合計 0 0 0
予期される2023年6月の米ドルLIBOR置換日の前に満期となる米ドル契約は含まれていない。
2022年12月31日現在、割引曲線見直し後(当初はIBORベース)にIBOR改革リスクにさらされる金融
商品の帳簿価額は以下のとおりである。
帳簿価額 (単位:百万ユーロ) 米ドルLIBOR 英ポンドLIBOR その他
非デリバティブ金融資産
金融機関貸付金および預け金
a) 要求払 0 0 0
b) その他の貸付金および預け金 0 0 0
c) 貸付金 3,701 0 0
対顧客貸付金および預け金
a) その他の貸付金および預け金 0 0 0
b) 貸付金 3,690 0 0
非デリバティブ金融資産合計 7,391 0 0
非デリバティブ金融負債
債務証書借入
a) 負債証券 77,706 0 0
b) その他 173 0 0
非デリバティブ金融負債合計 77,879 0 0
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2021年12月31日現在、変動金利によりIBOR改革リスクにさらされている金融商品の帳簿価額は以下
のとおりである。
米ドルLIBOR 英ポンドLIBOR その他
帳簿価額 (単位:百万ユーロ)
非デリバティブ金融資産
金融機関貸付金および預け金
a) 要求払
0 0 0
b) その他の貸付金および預け金
0 0 0
c) 貸付金
8,956 0 0
対顧客貸付金および預け金
a) その他の貸付金および預け金
0 0 0
b) 貸付金 4,173 1,056 0
中央銀行担保適格国庫証券およびその他短
823 0 0
期証券
確定利付証券を含む負債証券
b) その他による発行 334 0 0
非デリバティブ金融資産合計 14,286 1,056 0
非デリバティブ金融負債
債務証書借入
a) 負債証券
599 0 0
b) その他 95 0 0
非デリバティブ金融負債合計 694 0 0
貸付コミットメント 20,683 0 0
米ドルLIBOR 英ポンドLIBOR その他
想定元本(単位:百万ユーロ)
(1)
デリバティブ金融商品
デリバティブ資産
金利スワップ 31 478 279
クロス・カレンシー・スワップ 31 0 115
62 478 394
デリバティブ資産合計
デリバティブ負債
金利スワップ 370 0 0
0 0 0
クロス・カレンシー・スワップ
デリバティブ負債合計 370 0 0
(1) LIBORにリンクされたデリバティブはすべてISDAフォールバック・プロトコルの対象となっており、帳簿価額は2021
年12月31日時点でシステム上で移行されていない取引を指している。前述のように、これらは実際には2022年初め
にシステム上で移行された。
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予期される2023年6月の米ドルLIBOR置換日の前に満期となる米ドル契約は含まれていない。
2021年12月31日現在、割引曲線見直し後(当初はIBORベース)にIBOR改革リスクにさらされる金融
商品の帳簿価額は以下のとおりである。
帳簿価額 (単位:百万ユーロ) 米ドルLIBOR 英ポンドLIBOR その他
非デリバティブ金融資産
金融機関貸付金および預け金
a) 要求払 0 0 0
b) その他の貸付金および預け金 0 0 0
c) 貸付金 2,746 0 0
対顧客貸付金および預け金
a) その他の貸付金および預け金 0 0 0
2,748 0 0
b) 貸付金
非デリバティブ金融資産合計 5,494 0 0
非デリバティブ金融負債
債務証書借入
a) 負債証券 83,746 0 0
b) その他 303 0 733
非デリバティブ金融負債合計 84,049 0 733
2022年中の、IBOR改革に伴う移行による金融業務の損益の性格別の影響は以下のとおりである。
未決済残高 金融業務損益
(単位:百万ユーロ)
スワップ/デリバティブの純損益
0 0
FVOによる公表市場価格にない借入金の純損益 0 0
貸付金のヘッジ会計による純損益 0 0
借入金のヘッジ会計による純損益 0 0
損益合計 0
2021年中の、IBOR改革に伴う移行による金融業務の損益の性格別の影響は以下のとおりである。
未決済残高 金融業務損益
(単位:百万ユーロ)
スワップ/デリバティブの純損益
289,861 7
FVOによる公表市場価格にない借入金の純損益 -2,238 -1
貸付金のヘッジ会計による純損益 15,295 -13
借入金のヘッジ会計による純損益 -36,318 23
損益合計 16
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S.4.1.1. EIBの自己資金/資本の経済価値に対する金利リスク
EIBの金利リスク戦略は、グループの経済価値に対するリスクを抑制しながら、バランスが良く持続
可能な収益特性を維持することを目指している。また、将来の成長のための資金の自力調達という目
標を踏まえて、こうした収益特性に明確な選好が定められている。この全体的な目的は、中長期的な
投資プロファイルに従って自己資金を投資することによって達成される。もちろん、この戦略はRAFの
指標である 「利益に対するリスク」 と 「経済価値に対するリスク」 についての限度額を遵守する
必要がある。
EIBの自己資金の投資を支える金利戦略 (現在4.5年から5.5年の範囲内での自己資金のデュレー
ション目標を暗示)とは別に、金利リスクに関しては、EIB貸借対照表上マッチファンドされるべきで
ある。EIBの貸借対照表上で完全にマッチファンドすることは運用上実務的に可能ではないため、
ギャップリスクおよびベーシスリスクでの小幅の逸脱は容認される。これらの正味の残存金利リス
ク・ポジションは、事前に承認された限度内で管理され、後者は個々のリスクがリスク選好の境界内
にとどまることを確実にするために範囲が設定される。
(13)
金利リスク制限の枠組みに加えて、EIBはEBAの標準化されたショックシナリオ に基づき、予想利
益と経済価値に対して定期的なストレス・テストを実施している。このテストは、金利環境の深刻な
変化から生じる潜在的な悪影響を特定する目的に役立つ。
経済価値に関するストレス・テストはグループレベルでも実施されており、2022年12月31日現在、
EBAの監督上の異常値テストシナリオの最悪の影響は、EIBグループの自己資金の経済価値を54.4億
(14)
ユーロ(2021年:43.7億ユーロ)減少させる 。
(13) EBA/GL/2018/02
(14) ストレス・テストは、保険数理プロバイダーの計算による年金および医療保険債務(DBO)を含む、
すべてのリスク感応度の高い銀行勘定商品について実施されている。
EIBのポートフォリオに組入れられている金融商品のうち、一部の取引(借入れおよび関連するス
ワップ)には償還オプションが規定されており、満期前に償還される場合があるため、最終満期日に
ついては不確実性が組み込まれている。しかし、これらのパッケージ(借入金とそれに伴うスワッ
プ)は完全に連続して(キャッシュ・フローのレベルまで)行われるため、最後にはLIBOR/EURIBOR
に連動し、限定的な金利リスクを負う単純な合成変動利付債とみなすことができる。
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下表は、2022年12月31日現在および2021年12月31日現在のグループの任意償還条項付借入金ポート
フォリオの特性をまとめ、想定元本合計、平均の契約上の満期日、平均予想償還日(双方とも、当該
取引の想定元本で加重)を資金調達通貨別と関係する主要リスク・パラメーター別に表示したもので
ある。
資金調達通貨別(スワップの影響考慮後):
支払通貨
2022年12月31日
合計
(単位:百万ユーロ)
ユーロ 米ドル
ユーロ建想定元本 -2,467 -1,149 -3,616
平均満期日 2046年4月5日 2037年6月9日 2043年6月17日
平均予想償還日 2039年4月1日 2033年10月21日 2037年7月8日
支払通貨
2021年12月31日
合計
(単位:百万ユーロ)
ユーロ 米ドル
ユーロ建想定元本 -2,659 -1,284 -3,943
平均満期日 2047年3月19日 2038年9月6日 2044年6月7日
平均予想償還日 2031年1月2日 2027年7月7日 2029年11月13日
関係するリスク・パラメーター別:
リスク・パラメーター
2022年12月31日
合計
(単位:百万ユーロ) 為替レートの水準 金利カーブの水準
ユーロ建想定元本
-283 -3,333 -3,616
平均満期日 2035年7月18日 2044年2月17日 2043年6月17日
平均予想償還日 2032年5月21日 2037年12月15日 2037年7月8日
リスク・パラメーター
2021年12月31日
合計
(単位:百万ユーロ) 為替レートの水準 金利カーブの水準
ユーロ建想定元本
-323 -3,620 -3,943
平均満期日 2036年1月1日 2045年3月9日 2044年6月7日
平均予想償還日 2029年2月13日 2029年12月7日 2029年11月13日
S.4.1.2. EIBの利益に対する金利リスク
序文:利益の感応度は、まだ公正価値に区分される商品の市場価格の変動の要因とはされていな
い。EIBは、2023年から2024年にリスク・システムを改良し、この側面を組み込み、それによって「利
益に対するIFRSリスク」の算出を可能にすることを計画している。
利益に対するリスクは、金利カーブ全体が2パーセンテージ・ポイント低下した場合の向こう36ヵ
月間で変動しうる正味受取利息の金額を定量化する。このようなエクスポージャーは、主に資産と負
債の金利更改期間のミスマッチから生じ、リスク選好の枠組みで定められた限度内にとどまらなけれ
ばならない。
2022年12月31日現在のポジションでは、金利が200ベーシス・ポイント低下すると、利益が920.5百
万ユーロ(2021年:992.4百万ユーロ)減少する計算である。利益感応度の分析を拡大すると、金利が
200ベーシス・ポイント上昇した場合、利益は937.3百万ユーロ(2021年:1,014.7百万ユーロ)増加す
る計算となる。
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EIBは、案件ごとに利益の感応度のシミュレーションを可能にする専用のソフトウェアを使用してい
る。利益の感応度は発生主義で測定され、分析対象期間にわたり、EIBは(基礎となるシナリオの中で
定められている市場金利で)業務計画の中で予想されている新規貸付業務を実現し、承認を受けた限
度 枠内にエクスポージャーを維持し、資金不足の補充または余剰現金の投資を目的とする短期金融市
場取引を執行するという「現行」の仮定に基づいて算出される。EIBの現行実務に従い、モデルでは、
シミュレーション上の利益は株主には配分されず、EIB業務の資金補充に当てられると仮定している。
管理費は、業務計画の予想に応じて見積られる。
S.4.2. EIFの金利リスクの管理
EIFは、資本市場や短期金融市場で資金を調達していないにもかかわらず、金利リスクの主にギャッ
プリスクにさらされている。EIFにおける主要な金利感応度の高いエクスポージャーは、負債サイドの
年金の確定給付債務および資産サイドの固定金利資産運用勘定である。
EIFのリスク選好ステートメントには現在、金利リスク指標は含まれておらず、明確な金利リスク戦
略も示されていないが、EIFは金利リスク・エクスポージャーをカバーするために経済資本を配分して
いる。EIFはグループの銀行勘定における金利リスク(「IRRBB」)についての資本測定技法に従って
いる。すなわち、EIFの金利リスクは標準的観点および経済的観点の両方から評価され、両者のうち悪
い方が経済資本(「ECap」)比率の下で考慮される。
S.4.3. 為替リスクの管理
為替(「FX」)リスクは、為替レートの不利な変動による、グループのポジションの経済価値の変
動、または同ポジションから得られる収益に対するリスクを指す。資産、負債およびヘッジ手段の間
で通貨のミスマッチがある場合に、グループは為替リスクにさらされる。
グループは、EIBの定款およびEIFのリスク選好の枠組みを遵守して、中核業務を遂行するために直
接必要(具体的には、定款およびリスク選好の枠組みに沿って、EIBについては資産・負債構造におけ
る通貨のミスマッチを事前承認された厳しい制限内にとどめること、一方EIFについては、為替ポジ
ションが持分投資より発生する可能性があること)でない為替業務には従事しない。
その結果、ロシアによるウクライナ侵攻は、グループの為替リスク管理に悪影響を及ぼさなかっ
た。
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S.4.3.1. 為替ポジション
ポジション(純額)(単位:百万ユーロ) 2022年 2021年
ユーロ(EUR) -193 -129
英ポンド(GBP) 53 47
米ドル(USD) 79 52
61 30
その他の通貨
ユーロ以外の通貨の合計 193 129
S.4.4. 株価リスク
株価リスクは、株価指数の水準および個々の持分投資価値が低下した結果、持分の公正価値も低下
するリスクである。
2022年12月31日現在の株価リスクは、主に理事会の承認を受けた戦略的業務(EIFがEIBに代わって
自身の財源で行うプライベート・エクイティ/ベンチャー・キャピタルおよびインフラ基金投資、投
資ファンド、特別活動として行う株式類似商品への投資、EBRDへの出資)に限られていた。これらの
業務は特別な監視体制のもとに置かれ、当該エクスポージャーは十分な資本で裏付けされる。
継続的に監視し統制するために非上場持分ポジションの価額を入手するのは、容易ではない。この
ようなポジションの場合、入手できる最良の指標としては、類似資産の価格、該当する評価技法によ
る評価の結果が挙げられる。
他の変動要因がいずれも変わらない場合に、合理的に可能性のある株価指数の変動が原因で(2022
年12月31日および2021年12月31日現在の持分投資の公正価値が増減した結果)グループの自己資本が
受ける影響は、次のとおりである。
2022年 2021年
自己資本が受ける 自己資本が受ける
株価の変動 株価の変動
影響 影響
(単位:%) (単位:千ユーロ) (単位:%) (単位:千ユーロ)
プライベート・エクイティ/ベンチャー・
-10 -1,328,159 -10 -1,352,194
(1)
キャピタル事業/インフラ基金
EBRD持分 -10 -54,758 -10 -59,793
投資基金 -10 -481,786 -10 -381,026
(1) プライベート・エクイティ/ベンチャー・キャピタル事業およびインフラ基金の感応度は、公開市場のポジション
の市場リスクに基づき、EIFが計算する。
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S.5. オペレーショナル・リスク
EIBグループのオペレーショナル・リスク方針に定義されているように、オペレーショナル・リスク
とは、不十分もしくは機能不全の内部プロセス、人員もしくはシステム、または外部事象に起因する
(15)
損失リスクを意味する 。
(15) EBA/GL/2018/02
グループのすべての活動はオペレーショナル・リスクの影響を受ける可能性があり、したがってグ
ループはオペレーショナル・リスクを体系的に特定、評価、監視および報告し、オペレーショナル・
リスクへのエクスポージャーを限定するために十分な統制とリスク軽減策を実施することを目標とし
ている。
EIBグループ・リスク・コンプライアンス部門内のオペレーショナル・リスク・ユニット、EIFのリ
スク管理部門、ならびにEIBのファイナンシャル・コントロールにおける内部統制およびアサーション
部門が、グループ・オペレーショナル・リスクの枠組みおよび関連する方針を決定する責任を有し、
その枠組みの実施責任はグループのすべての部署が担う。グループは、オペレーショナル・リスク管
理業務を、適用されるベスト・バンキング・プラクティス(「BBP」)に準拠して編成している。
EIBグループは、2022年にオペレーショナル・リスク方針を改定し、グループレベルでの新たな統一
的な非財務リスクの分類に整合させた。さらに、グループは2022年に総合的なオペレーショナル・リ
スク事象の報告手続きを策定し、これにより、本方針の実施を強化するとともに、EIBにおけるオペ
レーショナル・リスク管理推進者の主要なネットワークを構築した。グループはまた、オペレーショ
ナル・リスクの(主要)指標の定義を合理化し、リスク選好の枠組みを強化している。
報告については、EIBグループ・オペレーショナル・リスク報告書が、オペレーショナル・リスクの
管理とモニタリングのすべての側面について責任を有するグループ最高リスク責任者(「GCRO」)に
よって承認され、経営委員会(「MC」)、監査委員会(「AC」)およびディレクター・ジェネラル
(「DG」)に提出される。加えて、0.25百万ユーロを超える損失/利益は、即座に総裁に報告され
る。
EIFでは、リスク管理部門のオペレーショナル・リスク課が監査役会(「AB」)および上級経営陣に
定期的な報告を行う。
グループは、専用の制裁コンプライアンス・プログラムを含む強固なコンプライアンス統制を有
し、グループの活動が既存のすべてのEU制裁および適用される米国と英国の制裁を遵守することを確
実にしている。特にウクライナ戦争を対象とした制裁に関しては、グループの事業活動への重大な影
響は確認されていない。
グループは欧州連合の重要な機関であるため、サイバー攻撃の標的となる可能性が高い。ウクライ
ナ戦争に伴い、直接的なサイバー攻撃やスピルオーバー攻撃のリスクが高まっており、グループはEU
の機関・団体・組織のコンピュータ緊急対応チーム(「CERT-EU」)と協力して、このリスクを注意深
く監視している。業務の安全性と健全性を確保するために、グループはサイバー攻撃に対する強固な
セキュリティ対策を実施している。
S.6. 気候変動および環境リスク
EIBグループは、長期融資の提供者として、気候変動および環境リスクに関する潜在的な影響が財政
面に及びうる。AAAに格付けされた事業体として、またEUの気候対策銀行としての立場から、グループ
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は、現行規制要件ならびにベスト・バンキング・プラクティスおよび市場慣行に従って、包括的かつ
慎重な気候リスク管理の枠組みを確立することに全力を尽くしている。
気候変動および環境リスクは、グループがさらされている様々なリスクカテゴリー(信用、金利、
流動性および資金調達、為替、株価、オペレーショナルおよび風評)に幅広く影響を及ぼすことか
ら、EIBグループ全体として特定および管理されている。
グループは、気候変動および環境リスクを、主要なリスクに悪影響を及ぼすリスクと定義し、以下
を明確に区別している。
- 低炭素かつ気候回復力が強く、環境的により持続可能な経済への移行から生じる移行リスク
- (洪水、干ばつ、嵐などの異常気候事象をより頻繁に引き起こす)気候変動の物理的影響、お
よびとりわけ、水、大気、土壌、生物多様性などの自然破壊から生じる物理的リスク。
短期的な観点(最長1年の対象期間)からは、気候変動および環境リスクはEIBグループのIFRS準拠
財務書類に重大な影響を及ぼすとはみなされていない。だが、その長期的な影響対象期間(10年超)
および悪影響が指数的に増大する可能性により、グループはこれらのリスクの管理の強化を継続し、
積極的に行うことに尽力している。
信用リスクの観点からは、短期から中期 (最長10年)において、グループの貸付金および エ クイ
ティ・ポートフォリオは、移行リスクに対しての感応度が高まり、グループのカウンターパーティー
がクライメート・トランジションの達成ができなかった場合には、このリスクは重大なものとなる可
能性がある。
特に、気候変動関連リスクについては、以下に関連して年次で発行されているグループのTCFD報告
書の「リスク管理」の項を参照のこと。
- 気候関連リスクの特定および評価(気候変動関連リスクがグループがさらされている各種のリ
スクカテゴリーに影響を及ぼす可能性のある様々な対象期間にわたっての詳細な影響評価につ
いて)
- 気候関連リスクの管理
- リスク選好の枠組み、自己資本充実度評価、気候変動リスクのストレス・テスト、シナリオ分
析、リスク報告などの分野で、気候変動関連リスクをグループ全体のリスク管理に統合
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注T: 資産および負債の会計上の分類および公正価値(単位:百万ユーロ)
下表は、グループの各種類、各区分の資産および負債の分類を示したものである。
FVTPLでの FVOCI -
強制的に 金融資産/ 帳簿価額
注 AC 測定に指定 資本性金融
FVTPLで測定 負債以外 合計
2022年12月31日現在 (FVO) 商品
現金、中央銀行およ
B.1 113 0 0 0 0 113
び郵便局預け金
短期国庫証券・負債証券
B.2 28,223 180 4,200 0 0 32,603
ポートフォリオ
金融機関および対顧客貸付金
C/D 462,418 13,235 2,234 0 0 477,887
および預け金
株式およびその他の変動利付証券 B.3 0 772 17,573 548 0 18,893
デリバティブ資産 Q 0 0 35,044 0 0 35,044
有形固定資産 E 0 0 0 0 345 345
無形資産 E 0 0 0 0 70 70
その他の資産/払込請求済だが
払込未済の応募済資本金および G.1/W.1 811 0 0 0 223 1,034
準備金
前払金 0 0 0 0 286 286
合計 491,565 14,187 59,051 548 924 566,275
金融機関および顧客に対する債務 H 6,933 0 0 0 0 6,933
債務証書借入 I 393,669 23,749 0 0 0 417,418
デリバティブ負債 Q 0 0 43,758 0 0 43,758
その他の負債 G.2 3,172 0 420 0 1,448 5,040
繰延収益 F 0 0 0 0 479 479
引当金 J/D.4 0 0 0 0 5,771 5,771
合計 403,774 23,749 44,178 0 7,698 479,399
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FVOCI -
FVTPLでの
強制的に 金融資産/ 帳簿価額
注 AC 資本性金融
測定に指定
FVTPLで測定 負債以外 合計
(FVO)
2021年12月31日現在 商品
現金、中央銀行および郵便局
預け金 B.1 1,483
0 0 0 0 1,483
短期国庫証券・負債証券
ポートフォリオ B.2 43,063
202 6,032 0 0 49,297
金融機関および対顧客貸付金
および預け金 C/D 490,603
17,113 2,814 0 0 510,530
株式およびその他の変動利付証券 B.3 0
784 17,490 598 0 18,872
デリバティブ資産 Q 0
0 41,734 0 0 41,734
有形固定資産 E 0
0 0 0 374 374
無形資産 E 0
0 0 0 58 58
その他の資産/払込請求済だが
払込未済の応募済資本金および
準備金 G.1/W.1 1,134
0 0 0 183 1,317
前払金 0
0 0 0 272 272
売却目的保有資産 0
0 0 0 0 0
合計
536,283 18,099 68,070 598 887 623,937
金融機関および顧客に対する債務 H 25,393
0 0 0 0 25,393
債務証書借入 I 443,226
30,677 0 0 0 473,903
デリバティブ負債 Q 0
0 29,530 0 0 29,530
(*)
その他の負債 G.2 3,380
0 340 0 1,262 4,982
繰延収益 F 0
0 0 0 443 443
引当金 J/D.4
0 0 0 0 8,666 8,666
合計
471,999 30,677 29,870 0 10,371 542,917
(*) 財務書類の可読性を向上させるため、項目間での組替が行われている。
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下表は、グループの各種類、各区分の資産および負債の公正価値を示したものである。
金融資産以外および金融負債以外の場合、帳簿価額を公正価値としている。
FVTPLでの FVOCI -
強制的に 金融資産/ 帳簿価額
AC 測定に指定 資本性金融
FVTPLで測定 負債以外 合計
(FVO) 商品
2022年12月31日現在
現金、中央銀行および
113 0 0 0 0 113
郵便局預け金
短期国庫証券・負債証券
27,380 180 4,200 0 0 31,760
ポートフォリオ
金融機関および対顧客貸付金
446,114 13,235 2,234 0 0 461,583
および預け金
株式およびその他の変動利付証券 0 772 17,573 548 0 18,893
デリバティブ資産 0 0 35,044 0 0 35,044
有形固定資産 0 0 0 0 345 345
無形資産 0 0 0 0 70 70
その他の資産/払込請求済だが
払込未済の応募済資本金および 811 0 0 0 223 1,034
準備金
前払金 0 0 0 0 286 286
合計 474,418 14,187 59,051 548 924 549,128
金融機関および顧客に対する債務 6,933 0 0 0 0 6,933
債務証書借入 383,244 23,749 0 0 0 406,993
デリバティブ負債 0 0 43,758 0 0 43,758
その他の負債 3,172 0 420 0 1,448 5,040
繰延収益 0 0 0 0 479 479
引当金 0 0 0 0 5,771 5,771
合計 393,349 23,749 44,178 0 7,698 468,974
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FVTPLでの FVOCI -
強制的に 金融資産/ 帳簿価額
AC 測定に指定 資本性金融
FVTPLで測定 負債以外 合計
(FVO) 商品
2021年12月31日現在
現金、中央銀行および郵便局
1,483 0 0 0 0 1,483
預け金
短期国庫証券・負債証券
43,120 202 6,032 0 0 49,354
ポートフォリオ
金融機関および対顧客貸付金
500,328 17,113 2,814 0 0 520,255
および預け金
株式およびその他の変動利付証券 0 784 17,490 598 0 18,872
デリバティブ資産 0 0 41,734 0 0 41,734
有形固定資産 0 0 0 0 374 374
無形資産 0 0 0 0 58 58
その他の資産 1,134 0 0 0 183 1,317
前払金 0 0 0 0 272 272
合計 546,065 18,099 68,070 598 887 633,719
金融機関および顧客に対する債務 25,393 0 0 0 0 25,393
債務証書借入 447,925 30,677 0 0 0 478,602
デリバティブ負債 0 0 29,530 0 0 29,530
(*)
3,380 0 340 0 1,262 4,982
その他の負債
繰延収益 0 0 0 0 443 443
引当金 0 0 0 0 8,666 8,666
合計 476,698 30,677 29,870 0 10,371 547,616
(*) 財務書類の可読性を向上させるため、項目間での組替が行われている。
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注U: セグメント報告(単位:百万ユーロ)
この注記で開示するセグメント情報はIFRS第8号により適用される「マネジメント・アプローチ」
に準拠して作成されたものであり、セグメントの定義とセグメント報告に用いる情報の作成は、いず
れもグループ内の経営判断用に作成された情報に基づいている。
EIBグループの報告セグメントは1つのみである。すなわち、欧州内外の貸付業務、借入業務、およ
び財務業務(自己勘定取引業務)で構成される長期資金提供活動である。EIBのベンチャー・キャピタ
ル投資は、単独では2022年度に報告セグメントの決定のための量的基準のいずれも満たさず、そのた
め、EIBの長期資金提供活動と共に報告されている。経営委員会は、事業運営に関するグループの最高
意思決定機関として、EIBの長期資金提供活動の業績を記した内部経営報告書を少なくとも四半期に1
回検証する。
プライベート・エクイティ/ベンチャー・キャピタルおよびインフラストラクチャー投資ならびに
保証供与を通じてEIFが行っている中小企業(SME)向け金融支援は、2022年、2021年ともに報告セグ
メントの決定に係る量的基準のいずれも満たしておらず、報告セグメントの収益、損益ならびに資産
および負債の調整では「その他」として開示されている。
長期貸付業務
報告セグメントの情報
2022年 2021年
対外収益:
正味受取利息 2,688 3,097
正味株式収益 623 777
正味受取手数料 60 -67
金融業務損益 317 5,216
5 -1
その他の業務収支
セグメント収益合計
3,693 9,022
その他の重要な非現金項目:
43 330
貸付金および株式の減損損失
43 330
報告セグメントの利益 2,327 7,994
報告セグメントの資産 561,151 619,097
報告セグメントの負債 478,488 541,726
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報告セグメントの収益、利益ならびに資産および負債の調整
2022年 2021年
収益:
報告セグメントの収益合計 3,693 9,022
222 636
その他の収益
連結収益
3,915 9,658
利益
報告セグメントの利益合計 2,327 7,994
44 449
その他の利益
連結損益
2,371 8,443
資産:
報告セグメントの資産合計 561,151 619,097
5,144 4,842
その他の資産
連結資産合計
566,295 623,939
負債:
報告セグメントの負債合計 478,488 541,726
912 1,189
その他の負債
連結負債合計 479,400 542,915
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注V: 契約債務、偶発債務、担保差入資産およびその他の注記事項(単位:千ユーロ)
グループは顧客の財務上のニーズを満たすために貸付に関連する様々な金融商品を使用している。
グループは、融資枠、スタンドバイおよびその他の信用状、保証、レポ取引枠、ノート発行ファシリ
ティならびにリボルビング・アンダーライティング・ファシリティを提供している。保証は、一定条
件を満たすことを条件として、顧客が第三者に対して債務不履行を起こした場合にグループが弁済を
行うという取消不能の保証である。
これらの商品の契約額は、顧客が債務不履行を起こした場合におけるグループにとってのリスクの
最高額である。このリスクは、融資ファシリティを提供する際に伴うリスクに類似しており、同等の
リスク管理プロセスおよび特定の与信リスク管理方針により管理されている。
2022年12月31日および2021年12月31日現在の契約債務、偶発債務、およびその他の注記事項は以下
のとおりである(額面価格、単位:千ユーロ)。
2022年 2021年
12月31日 12月31日
契約債務:
- EBRD払込未請求資本
712,630 712,630
- 未実行貸付金(注D.1)
金融機関 30,757,433 31,936,008
93,274,466 91,041,283
対顧客
124,031,899 122,977,291
- プライベート・エクイティおよびベンチャー・キャ
5,308,623 5,525,911
ピタル事業への未実行額
- 投資基金およびインフラ基金への未実行額
3,435,704 3,203,307
- その他の投資への未実行額
651,129 0
- 未実行代替貸付金
223,950 223,950
偶発債務および保証:
- 第三者からの貸付金に係るもの
31,931,060 30,901,227
(*)
- 第三者に代わって保有している資産 :
- イノベーション基金
6,913,187 4,202,032
- インベストメント・ファシリティ・コトヌー
4,334,223 4,128,779
- 近代化基金
3,906,016 2,957,006
- イノベーターのためのEU資金提供(InnovFin)
2,112,847 2,044,056
- NER300
1,035,191 1,143,332
- コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(CEF)
828,423 908,683
- 汎ヨーロッパ保証基金
676,011 595,239
- COSME借入保証ファシリティ(LGF)および成長株式
654,491 606,867
投資ファシリティ(EFG)
- 欧州構造投資基金(ESIF)
529,774 458,942
- EUアフリカ・インフラ信託基金
414,850 425,628
- イタリア向けSMEイニシアチブ
383,301 263,392
- 中小企業向け欧州共同財源(JEREMIE)
289,474 275,376
- REG
246,115 193,115
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2022年 2021年
12月31日 12月31日
- インベストEU
241,292 0
- ルーマニア向けSMEイニシアチブ
239,330 236,188
- 地域金融商品
216,990 1,021,159
- 資金パートナーシップ・プラットフォーム
213,415 187,785
- 欧州戦略投資基金(「EFSI EIF」)
206,949 248,261
- GIF 2007
176,814 110,383
- JESSICA(保有基金)
176,684 600,667
- 復興・強靭化ファシリティ金融商品(「RRF-FI」)
156,874 0
- 特別部門
128,487 132,372
- 雇用および社会イノベーション・プログラム
101,690 103,276
(EaSI)
- リスク・シェアリング・ファイナンス・ファシリ
101,216 93,428
ティ(RSFF)(リスク・シェアリング・インスツル
メント(RSI)を含む)
- InnovFin中小企業保証
86,149 99,327
- ブルガリア向けSMEイニシアチブ
84,638 87,104
- 欧州近隣パートナーシップ枠組み(ENPI)
78,773 77,781
- 文化・クリエイティブ部門保証ファシリティ
64,861 52,087
- フィンランド向けSMEイニシアチブ
59,375 62,275
- NPI
59,375 43,245
- 国際開発協力機構(AECID)
56,934 58,885
- 西バルカン諸国企業開発および新規事業育成ファシ
56,684 46,649
リティ(WB EDIF)
- SMEG 2007
55,941 56,658
- InnovFin エクイティ
54,638 77,164
- エネルギー効率関連プライベート・ファイナンス商
54,610 55,007
品
- 深化した包括的自由貿易協定地域(DCFTA)
51,063 50,727
- GF ギリシャ
42,417 162,254
- 近隣インベストメント・ファシリティ(NIF)信託基
37,721 38,259
金
- 近隣インベストメント・ファシリティ(NIF)リスク
37,623 35,865
資本ファシリティ
- 欧州戦略投資基金(EFSI)-欧州投資アドバイザ
33,339 35,559
リー・ハブ(EIAH)
- マルチ・アニュアル・プログラム(MAP)ギャラン
30,856 30,652
ティー
- グレーター・アナトリア・ギャランティー・ファシ
29,404 30,060
リティ(GAGF)
- マルタ向けSMEイニシアチブ
26,945 26,629
- 加盟候補国向け支援制度(IPA)II
24,333 52,626
- 連邦経済技術省
22,254 19,680
- 欧州地中海投資パートナーシップ制度(FEMIP)信託
20,492 22,577
基金
- スペイン向けSMEイニシアチブ
19,405 2,022
- EPTA信託基金
17,340 15,987
- 多地域保証プラットフォーム・イタリア(AGRI)
14,225 17,297
- 技術移転アクセラレーター(TTA)トルコ
13,016 9,113
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- マルチ・アニュアル・プログラム(MAP)エクイティ
11,819 64,594
- 自然環境保護資金調達ファシリティ
10,468 10,397
- ドイツ未来基金成長ファシリティ
7,208 2,849
- EUサポート・ブースト・アフリカ
5,789 824
- BIF
5,005 3,907
- ポーランド・グロース・ファンド・オブ・ファンズ
3,684 2,990
(PGFF)
- 学生ローン保証ファシリティ
3,447 3,570
- グローバル・エネルギー効率・再生可能エネルギー
3,372 3,457
基金(GEEREF)
- ドイツ・コロナ・マッチング・ファシリティ(CMF)
2,229 3,630
- 中央ヨーロッパ・ファンド・オブ・ファンズ
2,037 526
- グローバル環境ファシリティ-国連環境プログラム
1,431 0
(GEF-UNEP)
- アルプス地域成長投資プラットフォーム(AlpGIP)
1,082 1,409
- EU貿易振興・競争力向上プログラム
880 968
- LfA-EIFファシリティ
847 1,115
- アフリカ投資プラットフォーム(AIP)ザンビア
298 338
- G43信託基金
284 284
- ドイツのためのメザニン・ダッハ・ファンド(MDD)
255 1,809
- アフリカ投資プラットフォーム(AIP)マラウイ農業
221 246
促進(Kulima)
- 技術移転パイロット・プロジェクト(TTP)
204 516
- 持続可能な開発のための欧州基金(EFSD)保証
157 148
「金融イニシアチブへのアクセス」
- 欧州技術ファシリティ
77 412
- 東方パートナーシップ・コネクティビティ投資のた
8 0
めの技術支援(EPIC)
- グリーン・フォー・グロース・ファンド(GGF)
7 7
- GEEREF技術支援ファシリティ 0 775
25,476,864 22,306,226
その他の項目:
- 金利スワップの想定元本(注S.2.5.2)
573,024,821 559,081,060
- 通貨スワップ契約(受取)の想定元本(注S.2.5.2)
243,344,964 247,683,252
- 通貨スワップ契約(支払)の想定元本
242,236,843 245,975,779
- 短期通貨スワップ契約(支払)の想定元本
21,731,627 24,956,095
- 短期通貨スワップ契約(受取)の想定元本(注Q.3)
21,411,941 25,123,575
- 先物契約
8,804,329 8,274,106
- 為替予約取引(注Q.3)
267,069 402,384
(**)
560 582
- 借入債務支払に係る特別預け金
(*) 運用下の資産は、利用可能な最新の数値に基づいて、オフ・バランスシート項目として開示されている。比較対象
数値は、利用可能な最新の情報を反映するために修正再表示されることがあり得る。
(**) この項目は、グループが支払代理人に支払ったが、グループが発行した債券の保有者による支払いのための提示が
なされていない、期日到来済みのクーポンおよび債券の金額に相当する。
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V.1. イノベーション基金
イノベーション基金は、指令2003/87/ECの第10a条(8)により設立され、気候変動の緩和に著しく寄
与する環境上安全な二酸化炭素回収・有効利用(「CCU」)および生産された炭素集約的なものに代わ
る製品を含む、低炭素技術およびプロセスにおけるイノベーションを全加盟国で支援し、環境上安全
な二酸化炭素の回収・貯留(「CCS」)ならびに革新的な再生可能エネルギーおよびエネルギー貯蔵技
術を目的とするプロジェクトの建設および運営を振興することを支援する。EIBは、イノベーション基
金の個別財務書類を作成している。
V.2. インベストメント・ファシリティ・コトヌー
EIBが管理するインベストメント・ファシリティは、アフリカ・カリブ海および太平洋地域諸国と欧
州連合および加盟国との間における協力・開発に関する2000年6月23日付(その後改正済)のコト
ヌー協定に基づき設立されたものである。EIBは、インベストメント・ファシリティの個別財務書類を
作成している。
V.3. 近代化基金
改正EU排出量取引制度(ETS)指令第10d条に基づき設立された近代化基金は、エネルギーシステム
を近代化し、次のEUの受益加盟国(「MS」)10ヵ国のエネルギー効率を改善することを目的としてい
る。ブルガリア、チェコ共和国、クロアチア、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、
ポーランド、ルーマニアおよびスロバキア。近代化基金は、再生可能エネルギー源からのエネルギー
の生成と利用、エネルギー効率、エネルギー貯蔵、地域暖房、パイプラインおよびグリッドを含むエ
ネルギーネットワークの近代化、労働者の再配置、技能再教育およびスキルアップ、教育、求職活動
ならびに起業への投資を支援し、EIBは近代化基金の個別財務書類を作成している。
V.4. イノベーターのためのEU資金提供(InnovFin)
InnovFinまたは「InnovFin-イノベーターのためのEU資金提供」は、EUの新規の2014年-2020年の
研究プログラムである「ホライズン2020」に基づくEIB、EIFおよび欧州委員会の共同の取組みであ
る。2013年12月11日、研究およびイノベーションのための包括プログラム(2014年-2020年)である
ホライズン2020を確立し、決定事項N1982/2006/ECを廃止する欧州議会および理事会規則(EU)
N1291/2013(「ホライズン2020規則」)が採択された。2014年6月12日、欧州委員会、EIBおよびEIF
は、金融商品であるInnovFinを設定する委任契約を締結した。InnovFinは、EIBグループによって提供
される一連の統合され、かつ補完的な金融ツールおよびアドバイザリー・サービスで構成され、零細
企業から巨大企業までの企業による投資を支援するために研究およびイノベーション(「R&I」)のバ
リュー・チェーン全体を対象としている。EIBは、InnovFinの個別財務書類を作成している。
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V.5. NER300
EIBは、NER300イニシアチブ(炭素回収・貯蔵実証プロジェクト、および革新的再生可能エネルギー
技術のための資金調達プログラム)を遂行する際、エージェントとしてECをサポートする。当該ファ
シリティには、i) EU の割当量単位(EUA)の収益化、ii)EUA収益化活動を通じて受け取る資金の管
理および支出、といった2つの活動が含まれる。EIBは、NER300のために個別財務書類を作成してい
る。
V.6. コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(「CEF」)
コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(「CEF」)は、運輸、電気通信およびエネルギーのイ
ンフラストラクチャー・セクターにおける共益プロジェクトを支援するために、欧州横断的なネット
ワークに欧州連合の財政支援を提供することを目的とした、EIBと欧州委員会の間の共同協定である。
欧州委員会は、CEFに基づく負債性金融商品の業務および管理をEIBに委託しており、これにより、欧
州横断交通網プロジェクト融資保証手段(「LGTT」)およびプロジェクト債券イニシアチブ
(「PBI」)の試験段階への連続性が確保される。LGTTとPBIは、CEFの下で2016年1月1日に統合され
た。CEF委任契約は、最新かつ共通のリスク・シェアリングの取決めを定めている。EIBは、CEFの個別
財務書類を作成している。
V.7. 汎ヨーロッパ保証基金(「EGF」)
EGFは2020年4月23日に欧州理事会により、EU全体のCOVID-19対応パッケージの一部として承認され
た。2021年7月現在、22ヵ国の加盟国が約244億ユーロと見込まれる保証枠で参加を確認しており、参
加国の事業体のみが支援適格となっている。EGFは、金融仲介機関の商業的資金供与の要件を満たす
が、COVID-19のパンデミックの経済的影響により苦戦している高リスク事業と最終的な受益者に資金
提供を行うことを目的としている。この理由から、EGFはSMEに焦点を当てており、SMEはEGFが支援す
る資金供与の少なくとも65%の恩恵を受けることとなる。EGFはEIBとEIFによって共同で実施されてお
り、それぞれが約半分の金額を担当するが、商品構成は異なっている。EIFは、上限付きおよび上限な
しのポートフォリオ保証と間接的な株式型投資(ファンド)を想定していたのに対して、EIB側では、
展開されている商品は、連動型リスク・シェアリング、ベンチャー債、合成資産ベース証券である。
EIBは、EGFの個別財務書類を作成している。
V.8. COSME借入保証ファシリティ(LGF)および成長株式投資ファシリティ(EFG)
中小企業の資金調達の困難に対処するため、COSMEは、借入保証ファシリティ(「LGF」)および成
長株式投資ファシリティ(「EFG」)を設立している。LGFおよびEFGは、中小企業が借入またはエクイ
ティの形での資金調達の利用可能性を向上させることを目的としている。当該金融商品にも、SMEイニ
シアチブに基づくEUの拠出制度が含まれている。EFGは、域内企業の成長および研究・イノベーション
を支援する持分金融商品の形で組成されている。LGFは、直接的または間接的な保証金融商品の形で組
成されている。LGFの目的は、中小企業向けの資金調達市場の構造的な欠陥の軽減に貢献し、中小企業
向けのより多様な資金調達市場の創生を支援することである。直接的または間接的な保証を通じて、
LGFは、成長力のある中小企業が資金調達の際に直面するとりわけ困難な状況に対処するため、借入に
よる資金調達時に保証を行うことを目的としている。さらに、適格かつ透明性の高い証券化取引のメ
ザニン・トランシェを保証することによって、LGFは中小企業の資金調達に新たな手段を提供すること
を目指している。EIFは、COSME LGFおよびEFGの個別財務書類を作成している。
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V.9. 欧州構造投資基金(「ESIF」)
欧州構造投資基金(「ESIF」)の下、EIFは、加盟国により2015年11月以降の保有基金管理運営者と
して任命され、ESIFファンドの管理・運営を行っている。ESIFイニシアチブは、中小企業の資金調
達、ならびにプライベート・エクイティ・ファンド、ギャランティー・ファンドおよびローン・ファ
ンドなどの金融工学商品の利用を促進することを目的としている。EIFは、現在、加盟国・地域(バス
=ノルマンディー地域圏およびラングドック=ルシヨン地域圏)との間で締結した19件のESIF資金供
与契約を管理している。EIFは、ESIFの個別財務書類を作成している。
V.10. EU-アフリカ・インフラ(「EUAI」)信託基金
EUAI信託基金は、創設・援助組織としての欧州連合を代表するECと、運用者としてのEIBとの間の、
信託基金協定に基づき創設され、創設後は、欧州連合加盟国もこの協定に資金提供者として参加でき
る。2006年2月9日、ECとEIBは、EU-アフリカ・インフラ・パートナーシップを共同で推進し、特に
それを支援するEU-アフリカ・インフラ信託基金を設立する旨の覚書を交わした。EIBは、EUAI信託基
金の個別財務書類を作成している。
V.11. イタリア向けSMEイニシアチブ
2016年中に、SMEイニシアチブに関連して、EIFとフィンランド、ブルガリア、ルーマニアおよびイ
タリアの運用当局は、ホライズン2020金融商品に基づくフィンランド、ブルガリア、ルーマニア向け
およびCOSME LGFとの関係で結果的にイタリア向けとなる特定の配分に関して実施される専用ウィンド
ウの実行および運営について、4件の個別の資金供与契約を締結した。これらのSMEイニシアチブは、
各国の適格中小企業向け新規デット・ファイナンスのポートフォリオのために、ホライズン2020に関
して上限を設けず保証を提供することを目的としている。EIFは、イタリア向けSMEイニシアチブの個
別財務書類を作成している。
V.12. 中小企業向け欧州共同財源(JEREMIE)
JEREMIE(中小企業向け欧州共同財源)は、欧州委員会の地域政策総局(DG Regio)とEIBグループ
によるイニシアチブである。EIFは、JEREMIEの個別財務書類を作成している。
V.13. REG
これは3つの地域マンデートに対応している。
アイルランド経済構造安定性投資プラットフォーム(「アイルランドSME」)。アイルランドSME
は、アイルランド政府とEIFの間で締結された、アイルランドの国立産業振興銀行との間で、主に中期
貸付およびすべてのSME向けに注力し、SMEイニシアチブと類似した構造によって裏付けられた上限を
設けない当事者間債務・権利共通保証契約を結ぶためのマンデートである。国家資金がファースト・
ロスを担当し、EIBグループが中位リスク(EFSIを通じたEIB)および優先リスク(EIBおよび潜在的に
EIF)を担当する。
フランスの 「投資計画2018-2022」(マクロン投資計画として知られている)の下で、農業専用窓
口が、このセクターへの投資50億ユーロを動員するために設置された。これに関連して、フランス農
業省はEIFに対し、7.5億ユーロから11億ユーロの間のフランスの農家向けの新たなデット・ファイナ
ンスの呼び水となることを目的とした保証制度の設計を要請した。
この点を考慮して、フランス農業省はこの制度に60百万ユーロを割り当てることを決定し、EIFに対
し、FMA拠出金とEFSI拠出金を合計して45百万ユーロを上限とするよう要請した。
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Prêt Participatif Grand Est は、グラン・エスト地域圏とEIFの緊密な協力の結果としてフランス
において導入された新たな金融商品である。この基金は、「グラン・エスト地域圏ビジネス法」とし
て知られる同地域の意欲的な復興プログラムの重要な構成要素であり、地元の起業家のために250百万
ユー ロを超える劣後ローン(prêts participatifs)を動員することを目的としている。
この金融商品はグラン・エストの自己財源から資金供与され、金融仲介機関を通じて展開されるEIF
の標準モデルであるファースト・ロス・ポートフォリオ保証(FLPG)を土台に構築される。期待され
る成果は次のとおりである。
- このイニシアチブにコミットされた地域財源に大きなレバレッジ効果を生み出すこと
- 危機の影響を受けたが依然として成長のための実行可能なプロジェクトを追求する意志のある企
業を含むSMEを支援することにより、市場に大きな影響を与えること
- グラン・エストを拠点とする起業家に優遇的な融資条件を提供すること
V.14. インベストEU
2022年3月7日、EU、EIBおよびEIFはインベストEUの下でEU保証を設定する保証契約(「本契
約」)を締結した。インベストEUプログラムは、欧州における持続可能な投資、イノベーション、社
会的包摂、雇用創出をさらに後押しすることを目的としている。インベストEUは、262億ユーロのEU予
算保証を利用して官民投資を促進することが期待されており、このEU予算保証の75%がEIBとEIFに別々
に付与される。2022年4月1日、EFSI債務標準ポートフォリオとEFSIハイブリッド・ポートフォリオ
のすべての事業がインベストEUに移管された。当初EFSI協定に基づいて保証されたこれらの事業は、
「2021年以前の業務」 として定義されている。EIBは、インベストEUの個別財務書類を作成してい
る。
V.15. ルーマニア向けSMEイニシアチブ
2016年中に、SMEイニシアチブに関連して、EIFとフィンランド、ブルガリア、ルーマニアおよびイ
タリアの運用当局は、ホライズン2020金融商品に基づくフィンランド、ブルガリア、ルーマニア向け
およびCOSME LGFとの関係で結果的にイタリア向けとなる特定の配分に関して実施される専用ウィンド
ウの実行および運営について、4件の個別の資金供与契約を締結した。これらのSMEイニシアチブは、
各国の適格中小企業向け新規デット・ファイナンスのポートフォリオのために、ホライズン2020に関
して上限を設けず保証を提供することを目的としている。EIFは、ルーマニア向けSMEイニシアチブの
個別財務書類を作成している。
V.16. 地域金融商品(「DFI」)(旧ファンド・オブ・ファンズ(「JESSICA II」) )
地域金融商品(「DFI」)は、欧州構造投資基金(「ESIF」)が、それぞれ2014年から2020年までの
間および2021年から2027年の間に加盟国運用プログラムにより資金供給するファンド・オブ・ファン
ズ(「FoF」)および保有基金(「HF」)で構成されている。DFIは、選定された金融仲介機関と協力
して、貸付、出資および保証の実行を通じて、最終受領者の資金調達を促進している。
EIBは、ファンド・マネージャーとして、関係運営当局から資金供給(拠出)の取りまとめを行い、
拠出者と合意した投資戦略に従って、金融仲介機関を介して当該資金を投資している。EIBは、各ファ
ンド・オブ・ファンズの個別財務書類を作成している。
V.17. 資金パートナーシップ・プラットフォーム(「PPF」)
PPFはEIBが運用する複数地域、複数拠出者、かつ複数セクターの、複数のファンドを組み込んだプ
ラットフォームであり、持続可能な発展のために金融の流れを増加させる必要性を考慮し、また欧州
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投資銀行の成功体験を基礎として設立された。PPFに基づく基金は、プラットフォーム規則に従って導
入された。EIBは、PPFの個別ベースの合算財務報告を作成している。
V.18. 欧州戦略投資基金(「EFSI EIF」)
適用されるEFSI規則に基づき、欧州委員会およびEIBは、EFSIの管理・運営、EUの保証提供に関する
契約(「EFSI契約」)、および欧州投資アドバイザリー・ハブ(「EIAH」)の実施に関する契約
(「EIAH契約」)を締結した。
EFSI契約に基づき、ECは、EFSIが支援するプロジェクトに関して、EIBにEUの保証を提供した。EUの
保証に充当する資産は、欧州委員会が直接管理する。EFSIが支援するプロジェクトは、通常のEIBのプ
ロジェクトのサイクルおよびガバナンスに従う。また、EFSIは自己専用のガバナンス構造を有してい
る。当該構造は、EFSIの下で行う投資において、欧州に対する投資の妨げとなる市場のリスク負担の
失敗に対処するという特別の目的に、確実に重点が置かれ続けるようにするために設置されている。
EIAHは、プロジェクトおよび投資に対し、財務以外の支援を拡充することを目的としている。EIAH
は3つの補完的な構成要素であるa) 公共受益者および民間受益者向けの広範なアドバイザリー技術支
援プログラムおよびイニシアチブへの足掛かり、b) パートナー機関の間での専門知識の活用、交換お
よび普及を目的とした協同プラットフォーム、およびc) 既存のアドバイザリー・サービスの強化もし
くは拡大または未対処のニーズに対応する新規のサービスの創出、で構成される。EIBは、EIAHの個別
財務書類を作成している。
EFSI-欧州基金戦略投資
EFSIは、戦略的投資のための民間資金を動員することにより、EUにおける現在の投資ギャップを克
服することを支援するために、EIBグループと欧州委員会が共同で開始したイニシアチブである。
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EFSIはEU予算からの160億ユーロの保証であり、EIBの自己資金50億ユーロの配分によって補完され
る。EFSIは、EIBとEIFがそれぞれ実施するイノベーション・インフラ・ウィンドウ(「IIW」)とSME
ウィンドウ(「SMEW」)の両ウィンドウから構成される。
総額50億ユーロは、EFSIの下で当初以下のようにSMEWに割り当てられる。(i) EUの保証によって間
接的に裏付けられる最大25億ユーロ、(ii) 既存のRCRマンデートを増額させるために、EIBが自己のリ
スク負担で拠出する25億ユーロ。EFSI運営理事会は、SMEWへのEU保証枠への配分をあと5億ユーロ
(すなわち、その時々の最大金額30億ユーロまで)増額する権限を有している。
EFSI - プライベート・クレジット
このプログラムは、現金投資商品と投資家保証商品の2つの優遇商品で構成される。
現金投資商品は、EIFの適格DDFへの直接投資を可能にし、初回クロージングを優先させる。これら
のファンド投資は、ファンドの組成を支援し、EIFにファンド・ガバナンスと投資戦略に関するイン
プットを提供する機会を与える。EIFの直接投資は、EIFの参加とデューデリジェンスによって相当な
安心感を得る他のファンド投資家を呼び込むことを目的としている。
投資家保証商品は、EIFが既に投資を確約しているDDFへの機関投資家の投資を一部保証(最大
50%)することにより、EIFが資金調達の支援を拡大することを可能にする。この保証商品は、この新
生資産クラスに未経験の投資家に訴求するだけでなく、すでに投資を検討している投資家からのより
大きな投資を促すと期待されている。投資家保証商品は、資産クラスの拡大に貢献することができ
る。
EFSI - コンビネーション商品
EFSIの財源とEAFRD国家財源を組み合わせて新たな金融商品を創出するための枠組み商品。資金調達
ギャップに対処し、EU加盟国とEUの政策目標が一致する特定の優先度の高い投資目標を支援すること
を目的としている。農業は当初、中小企業が大きな資金調達ギャップに悩む分野として優先されてき
ている。
EFSI - 技能・教育
技能・教育保証パイロットは、上限付き(再)保証の形態で、教育、訓練、技能の分野における資
金調達手段を拡大することを目的としたもので、次のMFFに向けてEFSI 2の下で試験的に実施される商
品の一つである。これは、学生および成人の学習者向け(SMEも対象とすることができる)の、広範な
教育訓練プログラムをカバーする幅広い適格性を有し、様々な仲介機関を通じて実施される。
- カテゴリーA:学生および学習者
- カテゴリーB:従業員の技能と技能の活用に投資している企業
- カテゴリーC:教育、訓練、技能および関連サービスを提供する組織(幼稚園、保育所、幼児サー
ビスなど)
EFSI - ESCALAR
ESCALARは、欧州の高成長企業(スケールアップ)が悩む資金調達ギャップをターゲットとした300
百万ユーロの試験的マンデートである。ESCALARは、スケールアップに投資の重点を置いたファンドに
投資する。ESCALARは、他の投資家とは異なる種類株式またはファンド受益証券を通じて、ファンドお
よびファンドのサイド・ビークルに持分投資を行う。ESCALARの投資は、他の投資家による投資とは異
なる条件となる。具体的には、(1) 一定の事前に定義されたダウンサイド・シナリオ時におけるファ
ンドの分配に係る優先権、(2) 投資の返還に関する劣後性および請求権の減額。
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V.19. GIF 2007
競争力および革新枠組みプログラムと技術移転パイロット・プロジェクトに基づくGIF 2007
(CIP/GIF 2007)において、EIFは、自己の名義で、ただし欧州委員会に代わり欧州委員会のリスクに
おいて、投資の取得、管理および処分を行う権限を与えられている。EIFは、GIF 2007の個別財務書類
を作成している。
V.20. JESSICA(保有基金)
JESSICA(都市部への持続可能な投資に対する欧州共同支援)は、欧州委員会とEIBが欧州評議会開
発銀行と共同で策定したイニシアチブである。
JESSICA保有基金はJESSICAイニシアチブに関連して使用される。新しい手続きに基づき、関係運営
当局は、持続可能な総合都市開発計画の一部を形成するプロジェクトへの有償投資を行うために、自
身のEU助成金の一部を使用する選択権を付与される。EIBは、運用者として、関係運営当局から受領し
た資金を取りまとめ、拠出者と合意した投資ガイドラインに従って都市開発基金に投資している。
EIBは、一部のJESSICA保有基金の個別財務書類を作成している。
V.21. 復興・強靭化ファシリティ-金融商品(「RRF-FI」)
EIBは、EIBと委任者との間の資金調達協定で合意された投資戦略および事業計画に従って、それぞ
れのEU加盟国に代わってRRF資源を管理および投資する。さらに、EIBは資金管理業務を行う(監視、
報告、財務管理を含む)。EU加盟国から要請がある場合、このマンデートはEIBの助言による支援を組
み込むこともできる。
RRF-FIは、 (i) EIBが直接基礎となる業務を選択して評価する直接実施、 (ii) 金融仲介機関を介
した間接実施、 (iii) これらの混合の3つの実施方法の下で展開することができる。
RRFエクイティ・キプロス
RRFエクイティ・キプロスは、EIFとキプロス共和国の間で締結された最初のエクイティ・マンデー
トである。このマンデートは、キプロスの国家復興・強靭化計画(20百万ユーロ) の資金と、2007年
から2013年のJEREMIEプログラムからの資金の還流により資金調達され、EIFとの直接契約30百万ユー
ロとして構成されている。このマンデートでは、成長段階でのシード(の前)あるいはアーリース
テージにある革新的な企業やスタートアップ企業を対象としたゼネラリスト・ベンチャー・キャピタ
ル・ファンドを展開することを想定している。これは、キプロスで初めて展開される公的資金の支援
を伴ったベンチャー・キャピタル・ファンドとなる。原ファンドの調印は2023年第1四半期に見込ま
れている。
RRFエクイティ・ブルガリア
RRFエクイティ・ブルガリア・マンデートは、規則 (EU) 2021/241によって設置されたブルガリアの
復興・強靭化ファシリティに関連して、ブルガリアの国家復興・強靭化計画の下でのEIFとの直接契約
180百万ユーロとして構成されている。次の3つのウィンドウの下で投資を支援するためにエクイ
ティ・ファイナンスが提供される。
- 成長のための資本商品(当初予算配分は最大75百万ユーロ)
- イノベーションのための資本商品(当初予算配分は最大75百万ユーロ)
- 気候変動中立性とデジタル・トランスフォーメーション投資のための資本商品(当初予算配分は
最大30百万ユーロ)
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このマンデートは、特に技術移転プロジェクト、SMEおよび中規模資本企業に、イノベーションを促
進し、知識経済への移行を支援するために使用されるエクイティ・ファイナンスを提供することに
よっ て、ブルガリア市場全般およびより高リスクの事業からのパンデミックの悪影響を緩和すること
に貢献する。また、気候変動中立性とデジタル・トランスフォーメーションを支援する持分投資(イ
ンフラ・プロジェクトなど)にも資金提供を行う。
V.22. 特別部門
特別部門は、総務会によって1963年5月27日に設定された。1977年8月4日の決議に基づき、その
目的は見直され、第三者の勘定で第三者の委託に基づいてEIBが実行した金融業務を記録するためとさ
れた。特別部門には、FED、MED/FEMIPおよび欧州開発金融機関民間部門開発ファシリティの保証部分
が含まれる。
V.23. 雇用および社会イノベーション・プログラム(「EaSI」)
EaSI保証金融商品は、欧州プログレス・マイクロファイナンス・ファシリティ(「プログレス・マ
イクロファイナンス」)に基づくマイクロクレジット保証の後継制度であるEaSIマイクロファイナン
ス保証を中心に構成されている。プログレス・マイクロファイナンスに基づきマイクロクレジット提
供者に対する支援が拡大される予定である。
また、EaSI保証金融商品は、EaSIソーシャル・アントレプレナーシップ保証で構成される。これは
新しい商品であり、社会的企業の資金調達を促進し、社会的投資市場の発展を支援していくものであ
る。EIFは、EaSIの個別財務書類を作成している。
雇用および社会イノベーション基金(「EaSI基金」)は、EUマイクロファイナンスFCP-FISの新しい
サブファンドとして設立された。このマンデートは、2010年に設置された欧州プログレス・マイクロ
ファイナンス・サブファンドの後継であり、財源は欧州委員会、EIB、EIFからの混合であり、目標規
模は200百万ユーロである。
EaSI基金は、新たな社会起業エコシステムの発展に貢献すると同時に、マイクロファイナンス市場
におけるEIFの役割を強化する。EaSI基金が提供する貸付商品は、通常預金資金へのアクセスが限られ
ているノンバンクや小規模/ニッチ銀行(例えば、エシカルバンク)のような小規模な仲介機関の資
金調達ギャップに特に対応するものである。一方、大規模な銀行は、融資活動のために確保された資
金へのアクセスがあり、保証商品を通じて追加的なリスク・カバーを求める可能性がある。
V.24. リスク・シェアリング・ファイナンス・ファシリティ(「RSFF」)
RSFFは、欧州連合を代表するECとEIBとの間で締結され、2007年6月5日付で発効した協力協定に基
づき設立された。RSFFは、研究、技術開発と実証プロジェクトおよび技術革新への投資を育成するこ
とを目的としている。RSFFの一環として、EIFは、技術革新および研究を中心とする中小企業(SME)
および中堅企業のためのリスク・シェアリング・インスツルメント(「RSI」)を用意した。RSIは、
研究を推進する中小企業(「SME」)や中堅企業の借入やファイナンス・リースのため、銀行やリース
会社に保証を提供している。EIBは、RSIを含めたRSFFの連結財務書類を個別に作成している。
V.25. InnovFin中小企業保証
ホライズン2020の「リスク・ファイナンスへのアクセス・プログラム」との関連で、このプログラ
ムは負債性金融商品および持分金融商品の設定を規定している。InnovFin 中小企業保証と呼ばれるリ
スク・シェアリング・ファシリティは、保証の形で組成され、EUの拠出金を一次的に不履行金額の補
てんに使用し、EIFのリスク・テイク能力を二次的に不履行金額の補てんに使用する。この制度の目的
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は、研究・開発およびイノベーションにおいて顕著な活動を行っている中小企業および中堅企業に、
金融仲介機関が貸付またはファイナンス・リースを提供する動機を与えることである。EIFは、
InnovFin 中小企業保証の個別財務書類を作成している。
V.26. ブルガリア向けSMEイニシアチブ
2016年中に、SMEイニシアチブに関連して、EIFとフィンランド、ブルガリア、ルーマニアおよびイ
タリアの運用当局は、ホライズン2020金融商品に基づくフィンランド、ブルガリア、ルーマニア向け
およびCOSME LGFとの関係で結果的にイタリア向けとなる特定の配分に関して実施される専用ウィンド
ウの実行および運営について、4件の個別の資金供与契約を締結した。これらのSMEイニシアチブは、
各国の適格中小企業向け新規デット・ファイナンスのポートフォリオのために、ホライズン2020に関
して上限を設けず保証を提供することを目的としている。EIFは、ブルガリア向けSMEイニシアチブの
個別財務書類を作成している。
V.27. 欧州近隣パートナーシップ枠組み(「ENPI」)
欧州近隣政策の対象国における欧州連合の一般予算から資金調達される事業の実施について定めた
欧州連合とEIBとの間の枠組み協定は、ENPIを通じて実施される。EIBは、ENPIの個別財務書類を作成
している。
V.28. 文化・クリエイティブ部門保証ファシリティ
この金融商品は、文化・クリエイティブ部門向けに力を注ぐ欧州連合の主要プログラムであるクリ
エイティブ・ヨーロッパの下で設定され、欧州連合に代わってEIFにより運用される。このイニシアチ
ブは、EIFが保証や念書を選定金融仲介機関に提供することを認め、これにより金融仲介機関が文化・
クリエイティブ分野の企業家に対するデット・ファイナンスの提供を増やすことを可能とする。生成
された貸付金により、10,000社を超えるオーディオビジュアル(映画、テレビ、アニメーション、ビ
デオゲーム、マルチメディアを含む)、フェスティバル、音楽、文学、建築、記録資料、図書館、博
物館、美術工芸、文化遺産、デザイン、芸能、出版、ラジオ、視覚芸術など、広範囲のセクターのSME
が支援を受けると予想される。EIFは、文化・クリエイティブ部門保証ファシリティの個別財務書類を
作成している。
V.29. フィンランド向けSMEイニシアチブ
2016年中に、SMEイニシアチブに関連して、EIFとフィンランド、ブルガリア、ルーマニアおよびイ
タリアの運用当局は、ホライズン2020金融商品に基づくフィンランド、ブルガリア、ルーマニア向け
およびCOSME LGFとの関係で結果的にイタリア向けとなる特定の配分に関して実施される専用ウィンド
ウの実行および運営について、4件の個別の資金供与契約を締結した。これらのSMEイニシアチブは、
各国の適格中小企業向け新規デット・ファイナンスのポートフォリオのために、ホライズン2020に関
して上限を設けず保証を提供することを目的としている。EIFは、フィンランド向けSMEイニシアチブ
の個別財務書類を作成している。
V.30. 国家開発機関(「NPI」)
NPI証券化イニシアチブ(「ENSI」)
EIFならびにKfW、フランス公的投資銀行(bpifrance)、CDP、マルタ開発銀行ワーキンググルー
プ、IFD、ICOおよびBBBを含めたいくつかの国家開発機関(「NPI」)は、中小企業(「SME」)への資
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本市場を通じた資金提供の増加を目的とした協力およびリスク・シェアリング・プラットフォームで
あるEIF-NPI証券化イニシアチブ(「ENSI」)を開始した。このSME証券化取引における相互協力の目
的 は、民間セクターからの資金を触媒としてSME証券化市場を活性化することによって、欧州のSME向
けファイナンスの利用可能性を高める点にある。これは、より広範囲にSMEの支援を行き渡らせようと
する欧州戦略投資基金の考えを反映したものである。
このマンデートの下で、EIFはCassa Depositi e Prestiti (「CDP」)からの最大100百万ユーロの
資金を運用することが可能となる。マンデートの下でのCDPの資金は、EIFからの1対1のマッチング
拠出による共同投資の形態で、技術移転ファンド/プラットフォームへの投資を通じて展開され、こ
の結果、EIFがこのプログラムの下で運用する総資金は最大200百万ユーロとなる。
NPIエクイティ・プラットフォーム
EIF-NPIエクイティ・プラットフォームは、EIFが2016年に開始した共同イニシアチブであり、EIFと
EU加盟国の国家開発機関(NPI)または国家開発銀行(NPB)との間で知識共有およびベスト・プラク
ティスの推進を目的としている。その目標は、中小企業および中規模資本企業向けの資金調達へのア
クセスを向上させ、株式市場の最適化を支援し、国内、EU、民間の資金調達源を均衡させることであ
る。
NPI ICF 技術移転
EIFとカタルーニャ信用公庫(「ICF」)との間の投資パートナーシップにより、30百万ユーロのICF
資金がスペインのカタルーニャ地域に関連する技術移転プロジェクトや企業への投資に焦点を当てた
技術移転基金への投入が確約されている。ICFからの資金に対しては、少なくとも15百万ユーロのEIF
運用下の資金がマッチング拠出される。このパートナーシップの下で、EIFとICFは選択された技術移
転基金に投資し、それぞれはリミテッド・パートナー投資者としての役割を務める。
V.31. 国際開発協力機構(AECID)
このパートナーシップ契約は、スペイン王国(スペインの国際開発協力機構(「AECID」))とEIB
との間で調印されたもので、モーリタニアおよびFEMIPによってカバーされる諸国(「南地中海沿岸地
域」)の活動に投資するために設立された。地域の零細企業や中小企業に関してリスク資本を提供す
ること、および民間セクターの幅広い発展に従事することを主目的としている。EIBは、AECIDの個別
財務書類を作成している。
V.32. 西バルカン諸国企業開発および新規事業育成ファシリティ(WB EDIF)
西バルカン諸国企業開発および新規事業育成ファシリティ(「WB EDIF」)は、2012年12月にEC拡大
総局(「DG ELARG」)、EIBグループおよび欧州復興開発銀行(「EBRD」)の間で締結された共同イニ
シアチブである。同イニシアチブは、加盟候補国向け支援制度(「IPA」)基金の展開を通じて、西バ
ルカン諸国の中小企業の資金へのアクセスの改善および同地域の経済発展を育成することを目的とし
ている。WB EDIFにおいて、EIFはプラットフォーム・コーディネーター、企業拡大基金(「ENEF」)
におけるECのトラスティー、企業育成基金(「ENIF」)におけるECのトラスティーおよびギャラン
ティー・ファシリティの管理者としての役割を果たす。EIFは、WB EDIFの個別財務書類を作成してい
る。
COVID-19危機とそれに続く西バルカン地域におけるエネルギー危機への対応として、欧州委員会は
西バルカン6ヵ国で展開するための保証枠60百万ユーロをEIFに割り当てた。かかる保証枠は、既存の
西バルカン諸国企業開発および新規事業育成ファシリティ保証枠II(WB EDIF GF II)のモデルを踏襲
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するものであり、目的の相違に適合させるために必要な商品変更が行われている。この保証枠は、近
隣諸国・開発・国際協力手段(NDICI)枠組みによって規制され、西バルカンにおける民間セクター開
発 措置の主要なゲートウェイとして機能する、複数のIFIと複数の製品からなるプラットフォームであ
る西バルカン投資枠組み(「WBIF」)の下に分類、展開される予定である。
SME強靭化のための西バルカン保証枠(WB 4SME)の最終的な目的は、西バルカン諸国におけるSMEの
金融へのアクセスおよび利用可能性を促進および向上させることである。この保証枠の下でEIFが発行
する保証および念書は、この協定の下で最終受益者として適格なSMEの最終的な利益のために提供され
る、新たに認められた債務商品のポートフォリオを対象とするものとしている。
当該保証はEUによって資金提供され、EIFの名義であるがEUの代理でEUのリスクで発行される。
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V.33. SMEG 2007
競争力および革新枠組みプログラムに基づくSMEG 2007(CIP/SMEG 2007)において、EIFは、自己の
名義で、ただし欧州委員会に代わり欧州委員会のリスクにおいて、保証を付与する権限を与えられて
いる。EIFは、SMEG2007の個別財務書類を作成している。
V.34. InnovFin エクイティ
ホライズン2020金融商品は、対象となる研究およびイノベーションを支援するために、最終受領者
がリスクを伴う資金調達を活用しやすくすることを目的としている。当該金融商品には、貸付、保
証、株式その他のリスク・ファイナンスの形が含まれる。また、ホライズン2020金融商品は、アー
リーステージ投資ならびに既存および新規のベンチャー・キャピタル・ファンドの発展の促進、知的
財産に係る知識移転および市場の改善、ベンチャー・キャピタル市場への資金の呼び込み、ならびに
全体として、新しい製品およびサービスの構想、開発およびデモンストレーションから商品化につな
げるための支援も目的としている。ホライズン2020負債性金融商品にも、SMEイニシアチブに基づくEU
の拠出実施制度が含まれている。
アーリーステージ向けInnovFinエクイティ・ファシリティは、革新的な企業に対し、特にアーリー
ステージのベンチャー・キャピタルまたはメザニン・キャピタルの形によるエクイティ・ファイナン
スを提供することにより、アーリーステージ投資ならびに既存および新規のベンチャー・キャピタ
ル・ファンドの発展を促進することを目的としている。EIFは、InnovFinプライベート・エクイティの
個別財務書類を作成している。
V.35. エネルギー効率関連プライベート・ファイナンス(「PF4EE」)商品
エネルギー効率関連プライベート・ファイナンス(「PF4EE」)商品は、エネルギー効率関連投資向
けの十分かつ低価格の商業金融の利用可能性が限定的であることに対処することを目的とした、EIBと
欧州委員会の協定である。この商品は、EU加盟国の国別エネルギー効率行動計画、またはその他のエ
ネルギー効率プログラムの実施を支援するプロジェクトを対象としている。2014年12月、欧州委員会
およびEIBは、金融商品であるPF4EEを設定する委任契約を締結した。EIBは、PF4EEの個別財務書類を
作成している。EIFは、PF4EEの個別財務書類を作成している。
V.36. 東部諸国向け 深化した包括的自由貿易協定地域(「DCFTA」)イニシアチブ
欧州投資銀行および欧州連合は、2016年12月19日に、深化した包括的自由貿易協定地域
(「DCFTA」)の委任契約に署名した。東部諸国向けDCFTAイニシアチブは、EUと協力協定を締結した
国であるジョージア、モルドバおよびウクライナに対し、的を絞った金融および技術的支援を中小企
業(「SME」)向けに提供することによって、これら3国の経済発展を強化することを目的としてい
る。DCFTAの一環として、EIFは保証枠ウィンドウの実行および管理を行う。EIBは、保証枠ウィンドウ
を含めたDCFTAの連結財務書類を個別に作成している。
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V.37. GF ギリシャ
ファンドは、ギリシャ共和国、ECおよびEIBによる共同イニシアチブで、設立の目的は、ギリシャの
中小企業に対する融資を支援することである。ファンドは、ギリシャのために用意された構造基金の
未使用部分を使って設立されており、ギリシャのパートナー銀行経由で、EIBの中小企業向けローンの
保証を行う。EIBは、GF ギリシャの個別財務書類を作成している。
V.38. 近隣インベストメント・ファシリティ(「NIF」)信託基金
EIBが管理するNIF信託基金は、欧州近隣政策(「ENP」)の戦略的目標を達成するために設立され
た。当基金は、SME向け、人的資源育成を含む社会セクター向け、および地方自治体のインフラストラ
クチャー開発向けの支援を通じて、より適切で持続可能性の高いエネルギーおよび輸送の相互接続性
を確立し、エネルギー効率の向上および再生可能エネルギー資源の利用促進を進め、気候変動および
より広い意味での環境への脅威に対処し、スマートで持続可能かつ包括的な成長を促進することに重
点を置いている。EIBは、NIF信託基金の個別財務書類を作成している。
V.39. 近隣インベストメント・ファシリティ(「NIF」)リスク資本ファシリティ
近隣インベストメント・ファシリティ(「NIF」)リスク資本ファシリティは、欧州連合の一般予算
を財源とする。主な目標として、民間セクターの開発、包括的な成長および民間セクターの雇用創出
を支援するため、南方の近隣地域のSMEにエクイティ・ファイナンスおよびデット・ファイナンスへの
アクセスを提供することに注力している。このファシリティは、エクイティ・ファイナンスおよび
デット・ファイナンスの手段から成る金融商品ウィンドウと、技術支援サービスから成る付加的任務
ウィンドウで構成される。EIBは、金融商品ウィンドウの個別財務書類を作成している。
V.40. 欧州戦略投資基金(EFSI)-欧州投資アドバイザリー・ハブ(EIAH)
上記パラグラフV .18を参照のこと。
V.41. マルチ・アニュアル・プログラム(MAP)ギャランティー
この原資は、プライベート・エクイティと保証商品に等分されている。ESU 1998 (「G&E」)およ
びESU 2001 (「MAP」)と呼ばれるエクイティ部門は、ETFの起業投資を取り扱っている。SMEG 1998
G&EおよびSMEG 2001 MAPと呼ばれる保証部門は、受益者の事業に対して保証を提供する。EIFは、MAP
ギャランティーの個別財務書類を作成している。
V.42. グレーター・アナトリア・ギャランティー・ファシリティ(「GAGF」)
2010年5月に調印されたGAGFに基づき、EIFは欧州連合およびトルコによって地域競争力戦略プログ
ラムに割り当てられた加盟候補国向け支援制度(IPA)の資金管理をしている。このファシリティは、
トルコで最も開発が遅れている地域の中小企業および零細企業に対し、トルコの大手銀行と連携して
実態に合わせた金融支援を提供するものである。EIFは、GAGFの個別財務書類を作成している。
V.43. マルタ向けSMEイニシアチブ
2015年1月19日、欧州委員会、EIBおよびEIFは、SMEイニシアチブに対応する専用ウィンドウの一部
の条項に適用される諸条件およびホライズン2020金融商品の当該専用ウィンドウに対する欧州連合の
拠出について定めたホライズン2020委任契約の修正に調印した。スペインおよびマルタ向けのSMEイニ
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シアチブは、前年に開始された。EIFは、マルタ向けSMEイニシアチブの個別財務書類を作成してい
る。
V.44. 加盟候補国向け支援制度II(「IPA II」)
加盟候補国向け支援制度(「IPA」)に係る協定は、EUが「拡大国」の改革を財政面および技術面で
援助する支援措置である。加盟候補国向け支援ファンドも、持続性のある経済回復、エネルギー供
給、運輸、自然環境および気候変動などに関する目標をEUが達成できるよう支援する。
IPA Iの後継制度IPA IIは、すでに達成された成果を土台とし、2014年から2020年までの期間に117
億ユーロを充当して構築される予定である。IPA IIの最も重要な革新性は、戦略的焦点にある。フ
レームワーク・パートナーシップ契約は、2015年末に締結され、EIBにより履行される。様々な「特別
供与契約」の締結により、DG NEARからの財源が配分される。IPA II規則は2020年12月31日まで適用さ
れたが、実施は依然として継続している。EIBは、IPA IIの個別財務書類を作成している。
V.45. 連邦経済技術省
EIFは、ドイツ連邦経済技術省および欧州復興計画のために資金を管理している。
V.46. 欧州地中海投資パートナーシップ制度(FEMIP)信託基金
EIBが管理するFEMIP(ユーロ地中海投資パートナーシップ・ファシリティ)信託基金は、多数の援
助国の支援を得て、地中海パートナーシップ・ファシリティ参加国におけるEIBの既存業務を強化する
ために設立された。当基金は、技術援助とリスク資本の提供を通じて、特定の優先分野の事業に資源
を投入することを目指している。EIBは、FEMIP信託基金の個別財務書類を作成している。
V.47. スペイン向けSMEイニシアチブ
2015年1月26日、スペイン王国と欧州投資基金との間で委任契約が締結された。EIFは、適格な中小
企業向けデット・ファイナンスの新規ポートフォリオ、ならびに中小企業および従業員が500名未満の
その他の企業向けの既存のデット・ファイナンスの証券化および/または中小企業向けデット・ファ
イナンスの新規ポートフォリオの証券化に対して、上限を設けず保証を提供する予定である。スペイ
ン向けSMEイニシアチブに対するEUの拠出は、EIFが受領し、EIBが実施する国庫資産運用の対象とな
る。当該運用については、欧州投資基金と欧州投資銀行との間で締結された資産運用サイド・レター
に準拠する。EIFは、スペイン向けSMEイニシアチブの個別財務書類を作成している。
V.48. EPTA信託基金
EPTA(東方パートナーシップ技術支援)信託基金は、技術支援のための多分野向けの多目的融資枠
を提供し、EIB東方パートナーシップ事業の質を高め、かつ開発効果を増幅させることに重点的に取り
組んでいる。同基金は、近隣インベストメント・ファシリティを補完する。EIBは、EPTA信託基金の個
別財務書類を作成している。
V.49. 多地域保証プラットフォーム・イタリア(「AGRI」)
イタリアの農業プラットフォームは、EIFとイタリアの6地域(ヴェネト、エミリア・ロマーニャ、
ウンブリア、カンパニア、カラブリア、プーリア)との間の資金提供契約の締結で正式に開始され
た。2018年にはイタリアの2つの地域(ピエモンテ州とトスカーナ州)が加わった。イタリアにおけ
る農業プラットフォームは、欧州農業農村振興基金(「EARFD」)からの構造基金を使用して、各加盟
農村開発プログラム(「RDP」)の財源を使用してファースト・ロスをカバーする金融商品を展開して
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いる。このプラットフォームの目的は、地域レベルで新規事業を育成し、同時に農民および農業関連
事業への新規貸付けを支援するために、地域実行官庁を標準的商品の方向に導くことである。
V.50. 技術移転アクセラレーター(TTA)トルコ
TTAトルコは、EIFが科学産業技術省(「MoSIT」)、トルコ科学研究審議会(「TUBITAK」)、駐ト
ルコ欧州連合代表部および欧州委員会地域政策ディレクター・ジェネラルと協力して計画したイニシ
アチブである。TTAトルコは、加盟候補国向け支援制度(「IPA」)の資金に係る協定書の地域開発項
目に基づき、EUとトルコ共和国が共同融資し、EIFが管理している。TTAトルコは、2つの目的を達成
すること、すなわち、大学および研究センターに限定されている科学的な研究開発(「R&D」)の事業
化の促進による、財務的に持続可能なファンドの設立、ならびに特にトルコの後進地域および発展途
上地域への波及効果に重点を置いた、トルコにおける技術移転市場の発展を促進することを目指して
いる。
V.5 1 . マルチ・アニュアル・プログラム(MAP)エクイティ
企業および起業のためのマルチ・アニュアル・プログラム(MAP)に基づき、EIFは欧州委員会に代
わり欧州委員会のリスクにおいてリソースの管理を行っている。EIFは、MAPエクイティの個別財務書
類を作成している。
V.5 2 . 自然環境保護資金調達ファシリティ(「NCFF」)
自然環境保護資金調達ファシリティ(「NCFF」)は、EIBと欧州委員会との共同契約であり、自然環
境保護資金の保全のための収益創出またはコスト削減プロジェクト(気候変動適応プロジェクトを含
む)に係る市場の格差および障壁に対処することにより、生物多様性分野および気候変動への適応に
関するEUおよび加盟国の目標の達成に貢献することを目的としている。EIBは、NCFFの個別財務書類を
作成している。
V.53. ドイツ未来基金成長ファシリティ(「GFFGF」)
特にデジタル化とクリーンテクノロジーに焦点を当てた資本性金融商品の開発を見込んだドイツの
連立政権プログラム(全体の目標規模は100億ユーロ)で、ドイツ未来基金と呼ばれる。EIFには、ド
イツの成長ファンドへの投資や、委託された形での企業への共同投資、あるいはブラインドプール型
の共同投資ビークルを通じた投資のために、最大30億ユーロが割り当てられる可能性がある。このマ
ンデートには、10年を超えるファンドへの初期コミットメントのための投資期間が与えられる。
V.54. EUサポート・ブースト・アフリカ
「EUサポート・ブースト・アフリカ」 は、EIBとアフリカ開発銀行の共同イニシアチブである。そ
の中核的な目的は、スキル開発と組み合わせたアーリーステージのベンチャー・キャピタルを提供す
ることによって、商業的に存立可能な方法でアフリカ全体にわたって起業家精神とイノベーションを
可能にし、強化すること、およびサブサハラ市場における現在のギャップに対処することである。こ
のファシリティは、資本商品および準資本商品から成る金融商品ウィンドウと、技術支援サービスか
ら成る付加的任務ウィンドウで構成される。EIBは、金融商品ウィンドウの個別財務書類を作成してい
る。
V.5 5 . バルト諸国新規事業育成基金(「BIF」)
2012年9月に署名されたバルト諸国新規事業育成基金(「BIF」)は、パートナーシップとして組成
されたファンド・オブ・ファンズであり、バルト海沿岸地域に重点を置いてベンチャー・キャピタル
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およびプライベート・エクイティ・ファンドに投資する。この基金は、EIBグループならびにエストニ
アのFund KredEx、ラトビアのLatvijas Garantiju Agentiiraおよびリトアニアのlnvesticiju ir
verslo garantijosinというバルト諸国の国家機関から共同出資を受けている。EIFは、BIFの個別財務
書類を作成している。
バルト諸国新規事業育成基金2(「BIF2」)は、EIFが管理するバルト諸国新規事業育成基金
(「BIF」)の後継基金である。BIF2は、BIFと同一の構造を持ち(コストを最小化し、類似のイニシ
アチブとの相乗効果を可能にする仮想FoF)、156百万ユーロと僅かに規模が増加することを想定して
いる(BIFの規模は130百万ユーロ)。バルト三国は、EIFが管理するRCR資金からの78百万ユーロとと
もに、合計78百万ユーロ(各26百万ユーロ)を確約することになる。EIFはこのファシリティのマネー
ジャーとしての役割を果たす。BIF2は、アーリーステージ投資に対する現地の取組みを補完するため
に、グロースキャピタルにより多くの焦点を当てることになる。
バルト3国の3つのNPIの拠出目標水準は以下のとおりである。
- KredEx(エストニア):26百万ユーロ
- Altum(ラトビア):26百万ユーロ
- INVEGA(リトアニア):26百万ユーロ
V.5 6 . ポーランド・グロース・ファンド・オブ・ファンズ(「PGFF」)
2013年4月に署名されたポーランド・グロース・ファンド・オブ・ファンズ(「PGFF」)は、パー
トナーシップとして組成されたファンド・オブ・ファンズであり、ポーランドに重点を置いてベン
チャー・キャピタルおよびプライベート・エクイティ・ファンドに投資する。同ファンドは、EIBグ
ループとBank Gospodarstwa Krajowegoが共同出資している。EIFは、PGFFの個別財務書類を作成して
いる。
V.5 7 . 学生ローン保証ファシリティ(エラスムス計画)
欧州構造投資基金(「ESIF」)の下、EIFは、加盟国により2015年11月以降の保有基金管理運営者と
して任命され、ESIFファンドの管理・運営を行っている。ESIFイニシアチブは、中小企業の資金調
達、ならびにプライベート・エクイティ・ファンド、ギャランティー・ファンドおよびローン・ファ
ンドなどの金融工学商品の利用を促進することを目的としている。EIFは、現在、加盟国・地域(バス
=ノルマンディー地域圏およびラングドック=ルシヨン地域圏)との間で締結した2件のESIF資金供
与契約を管理している。EIFは、学生ローン保証の個別財務書類を作成している。
V.5 8 . グローバル・エネルギー効率・再生可能エネルギー基金(GEEREF)
グローバル・エネルギー効率・再生可能エネルギー基金(「GEEREF」)の下で、EIFは2007年12月よ
り投資アドバイザーの機能を果たしている。GEEREFは、EC、ドイツ連邦政府およびノルウェー王国の
支援を受けており、その目的は主に、エネルギー効率および再生可能エネルギーに関与し、開発途上
国および市場経済移行国におけるクリーン・エネルギーの利用可能性を高めるプロジェクトおよび企
業を資産に持つ、地域のファンドに投資することである。GEEREF事業の開拓は、サブアドバイザリー
契約の下で、正式にEIBに委任されている。
V.5 9 . ドイツ・コロナ・マッチング・ファシリティ(CMF)
ドイツ政府は、ドイツ経済向けのCOVID-19危機対策の一環として、2021年6月30日までベン
チャー・キャピタル・ファンドに、すべてのドイツのポートフォリオの企業についてすべての資金調
達時において自動的かつ公平な共同投資を提供することを目的としている。
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V. 60 . 中央ヨーロッパ・ファンド・オブ・ファンズ(「CEFoF」)
中央ヨーロッパ・ファンド・オブ・ファンズ(「CEFoF」)は、オーストリア、チェコ共和国、スロ
バキア、ハンガリーおよびスロベニア(CE諸国)の政府および国家機関との緊密な協力の下で欧州投
資基金(「EIF」)によって創設されたファンド・オブ・ファンズ・イニシアチブであり、これらの地
域全体にわたって中小企業(「SME」)へのエクイティ投資を促進し、健全な市場に基づくリスク資金
調達インフラストラクチャーを確立し、事業投資における最良市場標準を導入し、中央ヨーロッパに
機関投資家および投資マネージャーを呼び込むことを目的としている。
V61. グローバル環境ファシリティ-国連環境プログラム(GEF-UNEP)
これは、国連環境プログラム(UNEP) と協力して、地中海の汚染の除去の長期的な結果に間接的に
寄与する栄養物の削減につながる成果を伴う主に設備投資プロジェクトである将来の投資の特定、選
択および設計を支援する技術援助を実施するためのグローバル環境ファシリティ(GEF)である。
V.62. アルプス地域成長投資プラットフォーム(「AlpGIP」)
2017年9月、EIFは革新的な、EUのアルプス・マクロ・リージョンにおける最近のベンチャー・キャ
ピタルおよび成長セグメントを対象とした、地域持分投資プラットフォーム(非法人構造)を立ち上
げた。イタリアのロンバルディア、ピエモンテ、ヴァッレ・ダオスタ、アルト・アディジェ(ボル
ツァーノ地域)の各州は、すでにこのプラットフォームに投資しており、他の地域も後の段階での参
加が見込まれている。
V. 63 . EU貿易振興・競争力向上プログラム(「EUTCP」)
経済成長を加速させ、民間セクターの発展を支援し、地域統合ならびに気候変動の軽減および適応
を強化するというEUの政策目的に沿って、EIBはEUTCPを展開するためにECと協力している。EUTCPは以
下を合わせたものである。(i) バリュー・チェーン向けのEIBの長期貸付金、(ii) 保証手段(リス
ク・シェリング・ファシリティ)および (iii) 選別された国における市場の機能不全に対処するため
の技術的支援(専門家支援ファシリティ)。EUTCPはまた、EIBにとってそれぞれの国におけるポジ
ショニングについて戦略的に重要な取組みを表す。このプログラムは、EIBの伝統的な商品を補完する
新たな保証商品を可能にするため、選択された対象国におけるバリュー・チェーンに沿ってSMEに対す
る多額の投資をもたらすことが見込まれる。EIBは、EUTCPのリスク・シェアリング・ファシリティの
個別財務書類を作成している。
V. 64 . LfA-EIFファシリティ
LfA-EIFファシリティは、2009年に調印されたもので、ドイツ・ババリア地方における技術志向の初
期および拡大段階にある企業を支援するために投資を提供するEIFおよびLfAフォルダーバンク・バイ
エルンの共同ベンチャーである。
V.65. アフリカ投資プラットフォーム(AIP)ザンビア
AIPの下で開発された「ザンビア農業バリューチェーン・ファシリティ・プログラム」は、農村の貧
困と栄養不良を削減し、農村の民生を向上させるというザンビア政府の政策目標を支援することを目
的としている。EIBのプロジェクトは、金融仲介機関を通じて民間の農業バリュー・チェーン関係者の
金融へのアクセスを支援するとともに、これらの関係者に対する金融仲介機関の融資能力を強化する
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ことによって、農業バリュー・チェーンにおける市場の不備に対処することを目的としている。EIB
は、このプログラムの個別財務書類を作成している。
V. 66 . G43信託基金
EIFは、2012年8月に署名されたG43アナトリア・ベンチャー・キャピタル・ファンドの下で、トル
コ・セントラル・ファイナンス・ユニット(「CFCU」)から委託を受けている。このファンドは、ト
ルコの南東アナトリア地方の中小企業への投資を専門にしている。EIFは、G43の個別財務書類を作成
している。
V. 67 . ドイツのためのメザニン・ダッハ・ファンド(「MDD」)
MDDは2013年6月に調印された投資プログラムであり、ドイツの中堅企業に投資するハイブリッド債
および株式ファンドを引き受けるために、ドイツ連邦経済技術省(「BMWi」)および州の様々な機関
が資金を供出している。
V.68. アフリカ投資プラットフォーム(AIP)マラウイ農業促進(Kulima)
アフリカ投資プラットフォーム (「AIP」)の下で開発された 「マラウイ農業促進(Kulima)の金
融アクセス支援プログラム」 は、マラウイにおける適格な民間農業食品セクター投資への転貸しのた
めの仲介ファシリティから成る。このプログラムは、気候変動を背景としての持続可能な農業の成長
を促進し、所得、雇用および食糧安全保障を向上させることを目的としている。EIBは、このプログラ
ムの個別財務書類を作成している。
V. 69 . 技術移転パイロット・プロジェクト(「TTP」)
欧州委員会の資金提供を受けて2008年11月に調印されたTTPに基づき、EIFはシード前およびシード
段階における資金提供を通じて技術移転体制を支援している。EIFは、TTPの個別財務書類を作成して
いる。
V.70. 持続可能な開発のための欧州基金(EFSD)保証「金融イニシアチブへのアクセス」
EFSD保証「SMEの金融イニシアチブへのアクセス」は、特に特定の対象国の若い起業家、女性起業
家、スタートアップ企業、その他の特定のグループに焦点を当て、人口移動の根本原因のいくつかに
対処することを最優先の目的とした、中小企業、十分なサービスを受けていない起業家を対象とした
保証制度である。このプログラムは、EIBが選定した各国の銀行や金融機関に対し、各国の金融機関が
より高いリスクレベルを付与しているために他の起業家よりも金融へのアクセスが少ない、これらの
十分なサービスを受けていない起業家によって経営または所有されている中小企業や零細中小企業に
対して、融資された貸付金ポートフォリオ、および銀行保証と開設された信用状のファースト・ロス
信用保護を提供することを目的としている。対象国は、欧州の東部および南部の近隣に所在する国と
なる。EIBは、このプログラムの個別財務書類を作成している。
V. 71 . 欧州技術ファシリティ(「ETF」)
ETFスタートアップ・ファシリティでは、EIFは自己の名義で、ただし欧州委員会に代わり欧州委員
会のリスクにおいて、ETFスタートアップ投資を取得、運用、処分する権限を与えられている。
V.72. 東方パートナーシップ・コネクティビティ投資のための技術支援(EPIC)
EPIC(東方パートナーシップ・コネクティビティ投資のための技術支援)は、近隣投資プラット
フォーム(NIP)の下での技術支援制度であり、東方パートナーシップ地域内および東方パートナー
シップ諸国とEUとの間の接続性の向上に貢献する。EIBは、EPICの個別財務書類を作成している。
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V. 73 . グリーン・フォー・グロース・ファンド(「GGF」)
グリーン・フォー・グロース・ファンドはEIFによって2009年12月に設立され、トルコを含む欧州東
南部諸国のエネルギー効率改善に特化して資金提供を行っている。
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V. 74 . GEEREF(「基金および技術支援ファシリティ」)
GEEREF(グローバル・エネルギー効率・再生可能エネルギー基金)は、ECのイニシアチブで設定さ
れたファンド・オブ・ファンズである。その目的は、新興市場(ACP、ALAおよび欧州近隣諸国)にお
ける再生可能エネルギーおよびエネルギー効率の分野を重点とするプライベート・エクイティ・ファ
ンドに投資することである。EIFも、GEEREFフロント・オフィスが実施する関連業務の対象となる技術
援助の提供を委任されている。
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(1)
特別部門計算書
2022年12月31日および2021年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
2022年12月31日 2021年12月31日
資産
地中海沿岸諸国
欧州連合の財源によるもの
実行済貸付残高 4,550 5,828
リスク資本業務
-未実行金額 21,523 21,523
27,783 28,479
-実行済金額
49,306 50,002
(2)
53,856 55,830
合計
-ロメ協定
リスク資本による業務
74,631 76,542
-実行済金額
(3)
74,631 76,542
合計
合計 128,487 132,372
負債 2022年12月31日 2021年12月31日
受託管理資金
欧州連合の委託によるもの
-地中海沿岸諸国金融議定書 32,333 34,307
74,631 76,542
-ロメ協定
受託管理資金の合計 106,964 110,849
未実行金額
21,523 21,523
地中海沿岸諸国における貸付業務およびリスク資本業務
未実行金額の合計 21,523 21,523
合計 128,487 132,372
付記:
欧州連合の委託に基づきEIBが元利回収を引き受けた、欧州委員会提供の特別条件付貸付金の実行済・未返済残高合
計:
a) 2022年12月31日現在における第1次、第2次および第3次ロメ協定に基づくもの:191,538千ユーロ(2021
年:211,266千ユーロ)
b) 2022年12月31日現在における地中海沿岸諸国との間で署名した金融議定書に基づくもの:25,216千ユーロ
(2021年:29,660千ユーロ)
欧州連合-欧州開発金融機関民間部門開発ファシリティとの関連において、保証部分の導入契約が2014年8月20日
に締結された。EU保証の総額は、2022年12月31日現在で38,920千ユーロ(2021年:38,920千ユーロ)である。
注(1):特別部門は、総務会によって1963年5月27日に設定された。1977年8月4日の決議に基づき、その目的が見直さ
れ、第三者の勘定で第三者の委託に基づいて欧州投資銀行が実行した金融業務を記録するためとされた。ただ
し、コトヌー協定、欧州連合-アフリカ・インフラ信託基金、近隣インベストメント・ファシリティ信託基金
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(「NIF」)およびFEMIP信託基金に基づくインベストメント・ファシリティについては、個別財務書類に表示
されている。また、EIBは2005年より他の委託について異なる種類の財務書類を作成している。
特別部門計算書は、欧州連合および加盟国の委託に基づく実行済金額もしくは未実行金額から解約額および
返済額を控除した金額を示している。実行済金額および未実行金額ならびに受取済および受取予定資金は、額
面価額で計上されている。特別部門計算書では、これらの業務に付随するリスクを補填するために必要となり
うる引当金もしくは評価損益は、確定的な償却を除き、考慮されていない。外貨建ての金額は、12月31日現在
の実勢為替レートで換算されている。
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注(2):欧州連合の委託に基づき、欧州連合の勘定により、またそのリスク負担の下に、マグレブおよびマシュレク諸
国、マルタ、キプロス、トルコならびにギリシャにおけるプロジェクト資金(1981年1月1日の欧州共同体加盟
前に10百万ユーロ融資)のため締結された契約の実行時の金額:
実行時の金額: 840,457
減算: 為替差額 56,283
解約額 178,863
551,455
返済額
-786,601
53,856
注(3):欧州連合の委託に基づき、欧州連合の勘定により、またそのリスク負担の下に、アフリカ・カリブ海および太平
洋諸国ならびに加盟国の属国および属領(ACP-OCT)におけるプロジェクト資金のため締結された契約の実行時の
金額:
リスク資本による貸付金:
条件付劣後貸付金 3,116,097
121,002
出資
実行時の金額: 3,237,099
加算: 資産計上された利息 9,548
減算: 解約額 742,432
返済額 2,374,004
55,580
為替差額
-3,172,016
74,631
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注W: 資本金および準備金
W.1. 資本金および準備金
欧州連合の金融機関であるEIBは、1957年3月25日付のローマ条約に基づいて設立された。EIB構成
員は欧州連合加盟国であり、いずれもグループの資本金に対し応募済みである。EIBの応募済資本金
は、248,795,606,881ユーロ(2021年12月31日現在では248,795,606,881ユーロ)であり、払込未請求
資本金は、2022年12月31日現在、226,604,891,420ユーロ(2021年12月31日現在では226,604,891,420
ユーロ)である。
新規加盟国、またはEIB応募済資本金分担分を増額する加盟国は、払込請求を受けた資本金分担分に
準備金、準備金に相当する引当金および同様金額の分担分を加算した金額を、通常は数年間にわたり
均等に分割して払い込む。EIB資本金の新規加盟国分担金の算定(通常、欧州委員会統計局
(Eurostat)が公式に発表した各国のGDPに基づいて行われる)を含めた払込みの具体的な方法は、加
盟条約および/または総務会のEIB増資決議により設定される。
2017年3月29日、英国は、欧州連合条約(「TEU」)第50条に従って欧州連合(「EU」)から離脱す
る決定を欧州理事会に通知した。英国は、TEU第50条および「グレートブリテンおよび北アイルランド
連合王国の欧州連合および欧州原子力共同体からの離脱協定」(「離脱協定」)に基づき、2020年2
月1日をもってEU加盟国でなくなった。英国のEUからの離脱により、英国は自動的に欧州投資銀行
(「EIB」)の構成員でなくなり、応募済資本金の分担も終了した。
2020年2月1日より、EIBの応募済資本金における英国の分担金は、その全額につき、残りのEU加盟
国が按分負担する増資をもって差し替えられた。この資本の差替え(均衡的資本差替え)は、EIBにお
ける英国の応募済資本金の払込請求済部分に加え、払込未請求部分も対象とするものであった。払込
請求済部分の差替えは、EIBの準備金を応募済資本金に振り替えることで賄われた。増資の結果、残り
の各EU加盟国において、EIBの応募済資本金の払込未請求(請求可能)持分が按分で増加した。
2020年3月1日、応募済資本金はポーランドおよびルーマニアからの拠出(それぞれ、
5,386,000,000ユーロおよび125,452,381ユーロ)により、243,284,154,500ユーロから
248,795,606,881ユーロへと増加した(非均衡的増資)。払込請求済の応募済資本金および準備金への
拠出は、それぞれ0.5百万ユーロおよび1.1百万ユーロであった。当該加盟国から支払われる総額は、
10回の均等分割により半年ごとに支払われ、2020年12月31日、2021年6月30日、2021年12月31日、
2022年6月30日、2022年12月31日、2023年6月30日、2023年12月31日、2024年6月30日、2024年12月
31日および2025年6月30日に支払期日を迎える。
2022年12月31日までに期日を迎えた分割金は全額が決済された。
「払込請求済だが払込未済の応募済資本金および準備金」として貸借対照表に表示されている
811,264千ユーロは、2020年3月1日の非均衡的増資の結果の、加盟国であるポーランドおよびルーマ
ニアからのディスカウント適用後の未収額(799,248千ユーロ)を含んでいる。
EIBの総務会および理事会における議決権は、各加盟国の応募済資本金分担金だけでなく、EIB定款
の第8条と第10条で定められている別の基準にも一部基づいて設定されているが、その適用は、具体
的な議決手続に応じて双方に基づく場合もあれば一方だけに基づく場合もある。
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W.2. 自己資本管理
強固な自己資本ポジションの維持は、グループの主要な目的の一つである。自己資本の十分性確保
のためのグループの自己資金は、払込請求済資本および準備金で構成されている。グループの自己資
本はすべて、コア資本Tier1の金融商品で構成されている。加えて、グループは、必要が生じたとき
にEIBが払込請求できる払込未請求の応募済資本から恩恵を受けている。グループは、法人業務計画お
よびリスク許容度に従い、将来の見通しに基づき、自己資本について計画している。
グループは健全性監督の対象ではないが、関連するEU銀行指令およびベスト・バンキング・プラク
ティスの特に、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)の基準(バーゼルIIIなど)をEU法の枠組みに変換し
た随時改正後の資本要件指令(指令2013/36/EU)および資本要件規則(規則575/2013)を遵守するこ
とを目指している。グループは、ベスト・バンキング・プラクティスの枠組みの一環として、現行お
(16)
よび今後のEU健全性銀行規制要件を積極的に監視し、実施している。
自己資本要件規則に従い、欧州連合会計指令に基づくEIBグループの連結財務書類に基づいて算出さ
れたグループのコア資本Tier1比率は、2022年12月31日現在で34.5%(2021年末は32.0%)であっ
た。前年に比べて比率が上昇したのは、株式の好調な推移と年間剰余金の留保が主な要因である。
2022年12月31日現在、法定財務書類に基づくEIBのコア資本Tier1比率は、35.1%(2021年末現在
32.2%)であった。
(16) 欧州投資銀行のウェブサイトで公開されている「Best Banking Practice Guiding Principles of
the European Investment Bank」を参照のこと。
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注X: 換算レート
2022年12月31日現在および2021年12月31日現在の連結貸借対照表の作成にあたり使用されている換
算レートは、以下のとおりである。
2022年12月31日 2021年12月31日
欧州連合加盟国のユーロ以外の通貨
ブルガリア・レフ(BGN) 1.9558 1.9558
チェコ・コルナ(CZK) 24.1160 24.8580
デンマーク・クローネ(DKK) 7.4365 7.4364
クロアチア・クーナ(HRK) 7.5365 7.5156
ハンガリー・フォリント(HUF) 400.8700 369.1900
ポーランド・ズロチ(PLN) 4.6808 4.5969
ルーマニア・レウ(RON) 4.9495 4.9490
スウェーデン・クローナ(SEK) 11.1218 10.2503
欧州連合加盟国以外の通貨
豪ドル(AUD) 1.5693 1.5615
アゼルバイジャン・マナト(AZN) 1.8103 1.9207
カナダ・ドル(CAD) 1.4440 1.4393
スイス・フラン(CHF) 0.9847 1.0331
中国人民元(CNY) 7.3582 7.1947
ドミニカ・ペソ(DOP) 59.8400 64.8310
エジプト・ポンド(EGP) 26.4223 17.7663
エチオピア・ブル(ETB) 56.9660 55.8100
英ポンド(GBP) 0.8869 0.8403
ジョージア・ラリ(GEL) 2.8462 3.4806
香港ドル(HKD) 8.3163 8.8333
インド・ルピー(INR) 88.1710 84.2292
日本円(JPY) 140.6600 130.3800
ケニア・シリング(KES) 131.6800 128.2600
カザフスタン・テンゲ(KZT) 494.0400 493.3100
モロッコ・ディルハム(MAD) 11.1556 10.5191
モルドバ・レウ(MDL) 20.3700 20.0900
メキシコ・ペソ(MXN) 20.8560 23.1438
ノルウェー・クローネ(NOK) 10.5138 9.9888
ニュージーランド・ドル(NZD) 1.6798 1.6579
セルビア・ディナール(RSD) 117.2000 117.5100
ロシア・ルーブル(RUB) 76.8960 85.3004
チュニジア・ディナール(TND) 3.3055 3.2611
トルコ・リラ(TRY) 19.9649 15.2335
台湾ドル(TWD) 32.7869 31.4420
ウクライナ・グリブナ(UAH) 39.4092 30.9151
米ドル(USD) 1.0666 1.1326
中央アフリカCFAフラン(XAF) 655.9570 655.9570
西アフリカCFAフラン(XOF) 655.9570 655.9570
南アフリカ・ランド(ZAR) 18.0986 18.0625
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注Y: 関連当事者取引
Y.1. 関連会社(単位:千ユーロ)
以下に、連結財務書類に含まれる関連会社に関連する金額を表示している。
2022年12月31日 2021年12月31日
株式およびその他の変動利付証券 772,465 783,945
金融業務損益 -54,535 243,089
プライベート・エクイティ/ベンチャー・キャピタル事業への未
実行額 483,923 576,951
Y.2. 主要経営陣(単位:千ユーロ)
グループは、理事会、監査委員会、経営委員会の委員およびEIBの各種組織部門の責任者であるディ
レクター・ジェネラル、ならびに内部統制独立部署の責任者を主要経営陣とみなしている。
一般管理費(注P)に算入されている主要経営者の当該報告期間の報酬は、下表のとおりである。
2022年 2021年
(1)
短期給付 11,342 10,772
(2)
退職後給付 874 919
315 965
退職手当
合計 12,531 12,656
(1) 短期従業員給付は、経営委員会委員、GCRO、ディレクター・ジェネラルおよびその他ディレクターの給与および手
当、賞与、社会保障負担金、ならびに理事会および監査委員会の委員に支払われた給付である。
(2) 退職後給付は、経営委員会委員、GCRO、ディレクター・ジェネラル、およびその他ディレクターに支払われた年金
および退職後健康保険費である。
主要経営陣に対して前渡金も信用供与行っておらず、またいかなる種類の保証の形態でも主要経営
陣の利益のための契約を締結していない。
2022年12月31日現在の主要経営陣との間の未決済残高は、強制および任意の補足年金制度および健
康保険制度に関する負債、ならびに期末現在の未払残高で構成されている。
2022年12月31日 2021年12月31日
年金制度および健康保険(注J) 84,603 111,689
その他の負債(注G) 15,288 18,737
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有価証券報告書
注Z: 後発事象
2022年12月31日現在の連結財務書類の修正や開示を必要とする、貸借対照表日以後に発生した重要
な事象はなかった。
ウクライナにおける戦争とその広範な経済的影響に関連して、グループは、後発事象のレビューの
一環として、状況を継続的に注意深く監視している。
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②【EU会計指令に基づく連結財務書類】
当有価証券報告書の本項に記載されている EIB グループの 2022 年 12 月 31 日現在の連結貸借対照表お
よび連結オフ・バランスシート、ならびに同日に終了した事業年度の連結損益計算書および連結
キャッシュ・フロー計算書( 以下「 EU 会計指令に基づく連結財務書類」という。)は、 銀行および
その他の金融機関の年次財務書類および連結財務書類に関する 1986 年 12 月 8 日付 欧州経済共同体理事
会 指令( 86/635/EEC )の一般原則 (一部の銀行およびその他の金融機関の年次財務書類および連結
財務書類に関して、 2001 年9月 27 日付欧州共同体指令 2001/65/EC 、 2003 年6月 18 日付欧州共同体指
令 2003/51/EC および 2006 年6月 14 日付欧州共同体指令 2006/46/EC により改正済み) に 準拠して作成
されている。
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連結貸借対照表
2022年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
資産 2022年12月31日 2021年12月31日
1. 現金、中央銀行および郵便局預け金 (注B.1) 112,655 1,483,285
2. 中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期
証券 (注B.2) 21,845,483 37,160,351
3. 金融機関貸付金および預け金
a ) 要求払 984,212 797,488
b ) その他の貸付金および預け金(注C) 64,211,244 74,749,439
c ) 貸付金(注D.1) 93,129,454 93,562,111
d) 評価損益(注D.2) -3,485 -57,842
158,321,425 169,051,196
4. 対顧客貸付金および預け金
a ) その他の貸付金および預け金(注C) 125,883 677,437
b) 貸付金(注D.1) 326,861,203 322,374,311
-388,263 -381,166
c) 評価損益(注D.2)
326,598,823 322,670,582
5. 確定利付証券を含む負債証券 (注B.2)
a ) 公共機関による発行 4,563,328 4,946,262
6,596,468 7,025,006
b ) その他による発行
11,159,796 11,971,268
6. 株式およびその他の変動利付証券 (注E.2) 9,908,923 9,223,497
7. 参加持分 (注E.2) 386,651 345,023
8. 無形資産 (注F) 70,167 58,408
9. 有形資産 (注F) 249,497 242,687
10. その他の資産 (注G) 307,070 141,673
11. 払込請求済だが払込未済の応募済資本金および
準備金 (注H.2) 799,248 1,118,948
12. 17,544,735 14,565,820
前払金および未収収益 (注I)
資産合計
547,304,473 568,032,738
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
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連結貸借対照表(続き)
2022年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
負債 2022年12月31日 2021年12月31日
1. 金融機関に対する債務 (注J)
a) 要求払 2,371,014 4,777,422
3,071,084 18,895,071
b ) 期日払または通知払
5,442,098 23,672,493
2. 顧客に対する債務 (注J)
a) 要求払 1,433,117 1,645,154
57,543 175,542
b ) 期日払または通知払
1,490,660 1,820,696
3. 債務証書借入 (注K)
a) 負債証券 422,523,581 431,104,111
9,173,893 9,010,748
b) その他
431,697,474 440,114,859
4. その他の負債 (注G) 4,123,808 4,265,084
5. 未払金および繰延収益 (注I) 19,042,661 15,470,655
6. 引当金
a ) 年金制度および健康保険制度(注L) 4,751,928 4,510,251
99,634 39,332
b ) 保証業務に係る引当金(注D.4)
4,851,562 4,549,583
7. 応募済資本金 (注H)
a) 応募済資本金 248,795,607 248,795,607
b) 払込未請求資本金 -226,604,892 -226,604,892
22,190,715 22,190,715
8. 準備金 (注H)
a) 準備基金 24,879,561 24,879,561
b) その他準備金 17,176,068 12,776,663
c) 特別活動準備金 10,303,216 12,152,954
2,115,966 2,021,337
d) 一般貸倒準備金
54,474,811 51,830,515
9. 当期純利益 2,460,190 2,647,454
10. 1,530,494 1,470,684
少数株主に帰属する持分 (注H)
負債合計
547,304,473 568,032,738
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
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連結オフ・バランスシート
2022年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
2022年12月31日 2021年12月31日
契約債務:
- 未実行貸付金(注D.1)
- 金融機関
30,757,433 31,936,008
- 対顧客 93,274,466 91,041,283
124,031,899 122,977,291
- 株式およびその他の変動利付証券への未実行額
- プライベート・エクイティおよび
ベンチャー・キャピタル事業への未実行額
(注E.2) 4,824,700 4,948,960
- 投資基金およびインフラ基金への未実行額
(注E.2) 3,435,704 3,203,307
- EBRD払込未請求資本
712,630 712,630
- その他の投資への未実行額(注E.2) 651,129 0
9,624,163 8,864,897
- 参加持分未実行額
- プライベート・エクイティおよび
ベンチャー・キャピタル事業への未実行額
(注E.2) 483,923 576,951
- 未実行代替貸付金
223,950 223,950
偶発債務および保証:
- 第三者からの貸付金に係るもの(注U.2.3)
31,931,060 30,901 ,227
第三者に代わって保有している資産(*)(注Z):
- イノベーション基金
6,913,187 4,202,032
- インベストメント・ファシリティ・コトヌー
4,334,223 4,128,779
- 近代化基金
3,906,016 2,957,006
- イノベーターのためのEU資金提供(InnovFin)
2,112,847 2,044,056
- NER300
1,035,191 1,143,332
- コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ
(CEF) 828,423 908,683
- 汎ヨーロッパ保証基金
676,011 595,239
- COSME借入保証ファシリティ(LGF)および
成長株式投資ファシリティ(EFG) 654,491 606,867
- 欧州構造投資基金(ESIF)
529,774 458,942
- EUアフリカ・インフラ信託基金
414,850 425,628
- イタリア向けSMEイニシアチブ
383,301 263, 392
- 中小企業向け欧州共同財源(JEREMIE)
289,474 275,376
- REG
246,115 193,115
- インベストEU
241,292 0
- ルーマニア向けSMEイニシアチブ
239,330 236,188
- 地域金融商品
216,990 1,021,159
- 資金パートナーシップ・プラットフォーム
213,415 187,785
- 欧州戦略投資基金(「EFSI EIF」)
206,949 248,261
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連結オフ・バランスシート(続き)
2022年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
2022年12月31日 2021年12月31日
- GIF 2007
176,814 110,383
- JESSICA(保有基金)
176,684 600,667
- 復興・強靭化ファシリティ金融商品
(「RRF-FI」) 156,874 0
- 特別部門
128,487 132,372
- 雇用および社会イノベーション・プログラム
(EaSI) 101,690 103,276
- リスク・シェアリング・ファイナンス・ファシリ
ティ(RSFF)(リスク・シェアリング・インスツ
ルメント(RSI)を含む) 101,216 93,428
- InnovFin中小企業保証
86,149 99,327
- ブルガリア向けSMEイニシアチブ
84,638 87,104
- 欧州近隣パートナーシップ枠組み(ENPI)
78,773 77,781
- 文化・クリエイティブ部門保証ファシリティ
64,861 52,087
- フィンランド向けSMEイニシアチブ
59,375 62,275
- NPI
59,375 43,245
- 国際開発協力機構(AECID)
56,934 58,885
- 西バルカン諸国企業開発および新規事業育成ファ
シリティ(WB EDIF)
56,684 46,649
- SMEG 2007
55,941 56,658
- InnovFin エクイティ
54,638 77,164
- エネルギー効率関連プライベート・ファイナンス
商品 54,610 55,007
- 深化した包括的自由貿易協定地域(DCFTA)
51,063 50,727
- GF ギリシャ
42,417 162,254
- 近隣インベストメント・ファシリティ(NIF)
信託基金 37,721 38,259
- 近隣インベストメント・ファシリティ(NIF)
リスク資本ファシリティ 37,623 35,865
- 欧州戦略投資基金(EFSI)-欧州投資アドバイザ
リー・ハブ(EIAH) 33,339 35,559
- マルチ・アニュアル・プログラム(MAP)ギャラン
ティー 30,856 30,652
- グレーター・アナトリア・ギャランティー・
ファシリティ(GAGF) 29,404 30,060
- マルタ向けSMEイニシアチブ
26,945 26,629
- 加盟候補国向け支援制度(IPA)II
24,333 52,626
- 連邦経済技術省
22,254 19,680
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連結オフ・バランスシート(続き)
2022年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
2022年12月31日 2021年12月31日
- 欧州地中海投資パートナーシップ制度(FEMIP)
信託基金 20,492 22,577
- スペイン向けSMEイニシアチブ
19,405 2,022
- EPTA信託基金
17,340 15,987
- 多地域保証プラットフォーム・イタリア(AGRI)
14,225 17,297
- 技術移転アクセラレーター(TTA)トルコ
13,016 9,113
- マルチ・アニュアル・プログラム(MAP)エクイ
ティ 11,819 64,594
- 自然環境保護資金調達ファシリティ
10,468 10,397
- ドイツ未来基金成長ファシリティ
7,208 2,849
- EUサポート・ブースト・アフリカ
5,789 824
- BIF
5,005 3,907
- ポーランド・グロース・ファンド・オブ・
ファンズ(PGFF) 3,684 2,990
- 学生ローン保証ファシリティ
3,447 3,570
- グローバル・エネルギー効率・再生可能
エネルギー基金(GEEREF) 3,372 3,457
- ドイツ・コロナ・マッチング・ファシリティ
(CMF) 2,229 3,630
- 中央ヨーロッパ・ファンド・オブ・ファンズ
2,037 526
- グローバル環境ファシリティ-国連環境プロ
グラム(GEF-UNEP) 1,431 0
- アルプス地域成長投資プラットフォーム
(AlpGIP) 1,082 1,409
- EU貿易振興・競争力向上プログラム
880 968
- LfA-EIFファシリティ
847 1,115
- アフリカ投資プラットフォーム(AIP)ザンビア
298 338
- G43信託基金
284 284
- ドイツのためのメザニン・ダッハ・ファンド
(MDD) 255 1,809
- アフリカ投資プラットフォーム(AIP)マラウイ
農業促進(Kulima) 221 246
- 技術移転パイロット・プロジェクト(TTP)
204 516
- 持続可能な開発のための欧州基金(EFSD)保証
「金融イニシアチブへのアクセス」 157 148
- 欧州技術ファシリティ
77 412
- 東方パートナーシップ・コネクティビティ投資の
ための技術支援(EPIC) 8 0
- グリーン・フォー・グロース・ファンド(GGF)
7 7
- GEEREF技術支援ファシリティ 0 775
25,476,864 22,306,226
その他の項目:
- 金利スワップ契約の想定元本(注V.1.2)
573,024,821 559,081,060
- 通貨スワップ契約(受取)の想定元本
(注V.1.1) 243,344,964 247,683,252
- 通貨スワップ契約(支払)の想定元本
242,236,843 245,975,779
- 短期通貨スワップ契約(支払)の想定元本
21,731,627 24,956,095
- 短期通貨スワップ契約(受取)の想定元本
(注V.2) 21,411,941 25,123,575
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有価証券報告書
- 先物契約の想定元本(注V.2)
8,804,329 8,274,106
- EIFの少数株主に付与されたプット・オプション
(注E.2) 419,763 340,341
- 為替予約取引の想定元本(注V.2)
267,069 402,384
- 借入債務支払に係る特別預け金(注S) 560 582
(*) 運用資産は、利用可能な最新の数値に基づいて、オフ・バランスシート項目として開示されている。比較対象数値
は、利用可能な最新の情報を反映するために修正再表示されることがあり得る。
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
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連結損益計算書
2022 年 12 月 31 日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
1. 受取利息および類似収益 (注N) 18,684,205 16,473,694
2. 支払利息および類似費用 (注N) -15,696,562 -13,285,486
3. 証券からの収益 672,023 838,815
4. 受取手数料 (注O) 670,036 573,701
5. 支払手数料 (注O) -383,216 -434,377
6. 金融業務損益 (注P) -46,746 51,958
7. その他の業務収益および費用の純額 (注Q) 10,477 -1,397
8. 一般管理費 (注R)
a) 人件費(注L) -943,538 -1,371,657
-346,295 -288,287
b) その他の管理費
-1,289,833 -1,659,944
9. 有形・無形資産に係る評価損益 (注F)
a) 有形資産 -32,767 -28,909
-29,696 -21,035
b) 無形資産
-62,463 -49,944
10. 固定金融資産として保有される譲渡可能有価証
券および参加持分に係る(再)評価損益 -1,473 16,618
11. 貸付金および預け金ならびに偶発債務引当金に
係る(再)評価損益 -30,341 178,967
12. 当期純利益 2,526,107 2,702,605
13. 少数株主に帰属する当期利益 65,917 55,151
14.
2,460,190 2,647,454
EIB株主に帰属する当期利益
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
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連結キャッシュ・フロー計算書
2022年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
A.営業活動によるキャッシュ・フロー:
当期純利益 2,526,107 2,702,605
調整額:
貸付金および預け金ならびに偶発債務引当金に係る(再)評価損益 30,341 -178,967
固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券および参加持分に
係る(再)評価損益 1,473 -16,618
有形・無形資産に係る評価損益および償却(注F) 62,463 50,052
株式およびその他の変動利付証券に係る(再)評価損益(注E.2) 91 -84,609
正味受取利息(注N) -2,987,643 -3,188,208
-159,454 79,838
為替調整額
-526,622 -635,907
営業活動による損失
金融機関および対顧客貸付金および預け金の実行額 -49,994,020 -37,670,096
金融機関および対顧客貸付金および預け金の返済額 44,590,423 50,381,755
その他の貸付金および預け金の変動額(注C) 6,673,633 8,658,820
ルクセンブルク中央銀行の最低預金準備率を充足するための預け金の
変動額(注B.1) 57,213 -35,110
財務運用ポートフォリオの変動額 17,526,222 -9,007,313
金融機関および顧客に対する債務の変動額(注J) -18,560,431 7,276,336
年金制度および健康保険制度の引当金の変動額(注L) 241,677 692,202
保証業務に係る引当金の変動額(注D.4) 60,302 16,692
その他の資産およびその他の負債の変動額(注G) -306,673 -289,028
前払金および未収収益ならびに未払金および繰延収益の変動額 6,305,595 1,375,527
利息受取額 16,201,029 16,107,529
-13,652,025 -12,257,300
利息支払額
8,616,323 24,614,107
営業活動による/(で使用した)正味現金
B.投資活動によるキャッシュ・フロー:
期中に購入した長期HQLAポートフォリオの有価証券 -1,778,122 -385,243
期中に満期償還または売却された長期HQLAポートフォリオの有価証券 450,000 701,588
負債証券ポートフォリオに含まれる代替貸付金およびEIFのABS
ポートフォリオの購入 -4,070,061 -2,266,247
負債証券ポートフォリオに含まれる代替貸付金およびEIFのABS
ポートフォリオの償還 4,633,922 4,335,592
株式およびその他の変動利付証券取得額(注E.2) -2,450,317 -2,627,018
株式およびその他の変動利付証券売却額(注E.2) 1,767,371 2,217,195
参加持分取得額(注E.2) -86,799 -93,908
参加持分売却額(注E.2) 43,745 128,668
-81,032 -63,109
有形・無形資産の購入(注F)
-1,571,293 1,947,518
投資活動による/(で使用した)正味現金
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有価証券報告書
連結キャッシュ・フロー計算書(続き)
2022年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
C.財務活動によるキャッシュ・フロー:
債務証書借入の発行(注K) 84,649,253 100,348,462
債務証書借入の償還(注K) -97,048,909 -107,709,303
加盟国の拠出 319,700 319,700
EIF株式購入/応募 0 484,363
-5,737 0
EIFの少数株主への配当金支払
-12,085,693 -6,556,778
財務活動による/(で使用した)正味現金
キャッシュ・フローの要約表:
69,121,468 48,074,653
現金および現金同等物期首残高
以下による正味現金:
営業活動 8,616,323 24,614,107
投資活動 -1,571,293 1,947,518
財務活動 -12,085,693 -6,556,778
-92,395 1,041,968
保有現金に係る為替調整
63,988,410 69,121,468
現金および現金同等物期末残高
現金および現金同等物の内訳:
現金、中央銀行および郵便局預け金(ルクセンブルク中央銀行の
最低預金準備率を充足するための預け金を除く)(注B.1) 25,389 1,338,806
短期金融市場証券(注B.2) 552,038 142,403
金融機関および対顧客貸付金および預け金:
要求払 984,212 797,488
62,426 ,771 66,842,771
その他の貸付金および預け金(注C)
63,988,410 69,121,468
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
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欧州投資銀行グループ
連結財務書類に対する注記
2022年12月31日現在
欧州投資銀行(「EIB」)は、1958年にローマ条約により、欧州連合(「EU」)の長期貸付銀行として設立
された。EIBの任務は、EU加盟国の統合、均衡の取れた発展、経済的および社会的な結束に貢献することであ
る。EIBは、資本市場で多額の資金を調達し、それらの資金をEU政策目標を促進するプロジェクトに有利な条
件で貸し付けている。EIBは継続的に、その業務をEU政策の展開に適合させている。
登記上の事務所所在地は、98-100, boulevard Konrad Adenauer, L-2950 Luxembourgである。
EIBと子会社を合わせて「グループ」または「EIBグループ」と総称する。
EIBの子会社については、注E.1に開示されている。
注A: 重要な会計方針
A.1. 作成基準
A.1.1. 会計原則
欧州投資銀行の連結財務書類(「本財務書類」)は、銀行およびその他の金融機関の年次財務書類
および連結財務書類に関する1986年12月8日付欧州共同体理事会86/635/EEC指令書(特定の業種の会
社、銀行およびその他の金融機関の年次財務書類および連結財務書類に関する2001年9月27日付
2001/65/EC指令書、2003年6月18日付2003/51/EC指令書および2006年6月14日付2006/46/EC指令書に
より改正済)(以下、「指令書」と総称する)の一般原則に準拠し、継続企業の前提に基づいて作成
されている。
経営委員会の提案を受け、理事会は2023年3月29日に本財務書類を採択し、2023年4月25日までに
これを総務会に提出して承認を求めることを承認した。
グループは、欧州連合が承認した国際財務報告基準(「IFRS」)に従って作成した連結財務書類も
公表している。
A.1.2. 重要な会計上の判断および見積り
本財務書類を作成するにあたり、経営委員会は報告されている収益、費用、資産、負債ならびに偶
発資産および偶発債務の開示に影響する見積りおよび仮定を立てることが求められている。入手可能
な情報の使用、および判断の適用は、見積りに特有のものである。将来の実際の結果は、これらの見
積りとは異なる場合があり、これらの差異は本財務書類に対して重要なものとなる可能性がある。
最も重要な判断および見積りは、次のとおりである。
貸付金および預け金ならびに代替貸付金に係る評価損益
グループでは、報告日ごとに貸付金および預け金ならびに代替貸付金を検証し、評価調整に係る引
当金を計上すべきか否かを評価している。特に、引当金所要額を算定するにあたっては、将来キャッ
シュ・フローの金額と発生時期の見積りにおいて経営陣の判断を要する。こうした見積りは多くの要
素に関する仮定に基づいており、実際の結果は見積りと異なることがあり、結果として、将来、引当
金が変動する場合もある。個別に重要な貸付金および預け金ならびに代替貸付金に対する個別引当金
の他に、個別引当金を計上する必要があると具体的に特定されていないものの、貸付金および預け金
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ならびに代替貸付金のデフォルト・リスクが付与された当初よりも高まっているエクスポージャーに
対して、グループは集合的引当金を計上するためのテストも実施している(注A.2.7を参照)。
株式およびその他の変動利付証券ならびに参加持分に係る評価損益
取得原価と時価のいずれか低い方を決定するために、EIBは、各報告日において間接的な持分投資を
見直し、評価損益を計上すべきかどうかを評価する。特に、EIBは、(i) 適用される業界のガイドライ
ンおよび基準に基づく入手可能な最新のファンド・マネージャー・レポートを考慮することにより、
(ii) 他の同等のガイドラインまたは基準に基づいて算出された純資産価額(「NAV」)により、また
は(iii) ファンド・マネージャーから提供された情報に基づいて内部的に、間接的な持分投資のNAVの
EIB帰属部分を決定する。ほとんどの原投資の公正価値は、容易に確認可能な時価がない状況で見積ら
れている。評価額に内在する不確実性および現在の市場の状況により、将来における実際の結果は
ファンド・マネージャーが見積もった評価額とは異なる可能性があり、かかる差異は財務書類に重要
な影響を及ぼす可能性がある。また、貸借対照表日後にのみ利用可能な帰属するNAVは、経営陣が財務
書類に重大な影響を与えると判断した場合にのみ考慮される(注A.2.8参照)。
保証業務に係る引当金
グループは、金融保証契約を、予想プレミアムの正味現在価値(「NPV」)または当初予想損失に対
応する公正価値で当初認識している。その後金融保証は、対応する損失引当金と、当初認識時の受取
プレミアムから認識済収益を控除した額のいずれか高い方の金額により、将来の予想プレミアムの正
味現在価値の不足額として測定される。EIBはまた、特定の引当金を計上する必要があると具体的に特
定されていないものの、保証が署名および発行された当初よりもデフォルトのリスクが高まっている
エクスポージャーに対して、集合的引当金を計上するためのテストも実施している(注A.2.14を参
照)。
年金および他の退職給付
確定給付年金制度および他の退職後医療費給付に係る費用は、数理計算上の評価を用いて算定す
る。数理計算上の評価に際しては、割引率、死亡率、ならびに将来の給与および年金の増加に関する
仮定を行う。これらの制度は長期にわたるため、こうした見積りは重要な不確実性を伴う(注A.2.11
を参照)。
A.1.3. EIBの英国に対するエクスポージャー
2017年3月29日、英国は、欧州連合条約(「TEU」)第50条に従って欧州連合(「EU」)から離脱す
る決定を欧州理事会に通知した。英国は、TEU第50条および「グレートブリテンおよび北アイルランド
連合王国の欧州連合および欧州原子力共同体からの離脱協定」(「離脱協定」)に基づき、2020年2
月1日をもってEU加盟国でなくなった。英国のEUからの離脱により、英国は自動的に欧州投資銀行
(「EIB」)の構成員でなくなり、応募済資本金の分担も終了した。
2020年2月1日より、EIBの応募済資本金における英国の分担金は、その全額につき、残りのEU加盟
国が按分負担する増資をもって差し替えられた。この資本の差替え(均衡的資本差替え)は、EIBにお
ける英国の応募済資本金の払込請求済部分に加え、払込未請求部分も対象とするものであった。払込
請求済部分の差替えは、EIBの準備金を払込請求済の応募済資本金に振り替えることで賄われた。増資
の結果、残りの各EU加盟国において、EIBの応募済資本金の払込未請求(請求可能)持分が按分で増加
した。
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また、ポーランドおよびルーマニアのEIBに対する応募済資本金が、それぞれ5,386,000,000ユーロ
および125,452,381ユーロ引き上げられた。この増資(非均衡的増資)は、英国のEU離脱から1ヵ月後
の2020年3月1日に効力を生じた。ポーランドとルーマニアは、EIBの応募済資本金の増加分の払込請
求 済部分につき支払いを行うものとし、10回の均等分割により半年ごとにEIBの準備金に拠出を行って
いく。
英国がEIBの構成員でなくなった結果として、離脱協定には、EIBに関する財務決済を定めるいくつ
かの規定が盛り込まれている。離脱協定第150条に定める条項に従い、英国は、EIBに対する応募済資
本金の従前の分担に従い、EU離脱前のEIBのエクスポージャーについて引き続き責任を負う。これに関
連して、2022年12月31日現在で、EU離脱前のEIBのエクスポージャーは444,380百万ユーロとなり、一
方、英国の負債の限度額は39,195百万ユーロとなった。
英国は、EIBのその他のリスクについても、それが離脱後の融資に関するものでない限り引き続き責
任を負う。また、EIBは、離脱協定第150条に定める条項に従い、EUに代わって、EIBの払込請求済資本
金に対する英国の分担金相当額を12回の分割により毎年英国に支払う。英国の払込請求済資本金の払
戻しを除き、EIBは、英国がEIBの構成員でなくなることに関連して、または離脱協定の関連条項に定
める英国の一部債務の留保を理由として、英国に対してその他の弁済、返金または報酬を支払う義務
を負わないものとする。
A.2. 重要な会計方針の要旨
A.2.1. 外国通貨の換算
グループは、加盟国の資本勘定の測定単位として、そしてグループの財務書類の表示にユーロ
(「EUR」)を使用している。
グループは、ユーロ、欧州連合加盟国の他の通貨および非EU通貨で業務を運営している。EIBの財源
は様々な通貨建ての出資、借入および利益剰余金によって調達される。
外貨建取引は、取引日の実勢為替レートで換算される。グループのユーロ以外の通貨建ての貨幣性
資産および負債は、貸借対照表日の実勢為替レート(終値)に基づきユーロに換算される。これらの
換算から生じた損益は損益計算書の「金融業務損益」に計上される。
A.2.2. 連結基準
子会社
子会社とは、グループによって直接的または間接的に支配されているすべての企業である。EIBグ
ループは、グループが企業への関与から生じる変動リターンにさらされているか、または変動リター
ンに対する権利を有しており、かつ、こうしたリターンに対して当該企業への権限を通じて影響を及
ぼす能力を有している、その支配下の企業を連結することが義務付けられている。
すべての重要な子会社は連結財務書類に含まれているが、グループにとって重要性のない企業は連
結の範囲から除外されている。あらゆる子会社の財務書類は、支配を開始した日から、支配を停止し
た日まで、連結財務書類に含められている。
EIBグループの本財務書類は、欧州投資銀行(「EIB」)およびその子会社である欧州投資基金
(「EIF」)の財務書類により構成される。子会社の財務書類は、EIBと同じ報告年度について作成さ
れ、EIBと一貫した会計方針に基づいている。
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少数株主持分
EIBの子会社における少数株主持分は、グループが直接的にも間接的にも所有していない損益および
純資産の部分を表し、連結貸借対照表上の「少数株主に帰属する持分」および連結損益計算書上の
「少数株主に帰属する当期利益」で、それぞれ表示されている。
欧州委員会以外のEIFの少数株主が保有する株式に関して、プット・オプションの形態で提供してい
るコミットメントは、適用される行使価格でオフ・バランスシートに計上されている。
連結上消去される取引
貸借対照表および損益計算書上の勘定を合算した後、グループ内取引から生じたグループ内の残
高、取引、収益および費用をすべて相殺消去している。
代理人または受託者の資格で保有されている資産はグループの資産ではなく、注Zに記載されてい
る。
A.2.3. デリバティブ
グループは、金利リスクおよび外貨リスクのエクスポージャーを管理するため、デリバティブ商品
(主に通貨スワップおよび金利スワップ)を資産負債管理(「ALM」)活動の一環として使用してい
る。すべてのデリバティブ取引は、想定元本により、取引日にオフ・バランス項目として計上されて
いる。
グループのスワップの大部分は、債券発行および長期HQLAポートフォリオ(「LTHP」)の国債を
ヘッジする目的で締結されている。グループは、通貨スワップおよび金利スワップを締結し、これに
より借入資金を当初別の通貨に交換し、満期時には借入返済に必要な資金を元の通貨で入手し、また
は借入もしくは国債の金利ポジションを変更する。
またグループは、貸付金のヘッジの一環として、またはグローバルなALMポジションのために通貨ス
ワップ、金利スワップおよびオーバーナイト・インデックス・スワップを行っている。これに関する
利息は、関連期間に対する比例配分で計上されている。
グループは、財務オペレーションの一部としての為替スワップを主とした短期デリバティブ金融商
品を使用するほか、アクティブ運用ポートフォリオ(有価証券流動性ポートフォリオ)をヘッジする
手段としてのデリバティブも利用している。
A.2.3.1. 有価証券流動性ポートフォリオのデリバティブ
有価証券流動性ポートフォリオ(「SLP」)の一部として、デリバティブが締結され、貸借対照表に
時価で計上される。すなわち、その時価が正の値の場合には、「その他の資産」に、負の値の場合に
は、「その他の負債」に計上される。時価の変動は、「金融業務損益」に含まれている。時価は、市
場の公表価格、ディスカウント・キャッシュ・フロー・モデルおよびオプション価格モデルにより入
手している。オプション価格モデルには、現在の市況および原資産の契約価額と同様に、時間的価
値、イールドカーブおよび原資産のボラティリティが考慮される。
デリバティブ金融商品の金利は、関連期間に対する比例配分で「前払金および未収収益」または
「未払金および繰延収益」の勘定科目に計上される。
金利スワップ
金利スワップ契約は、金利ポジションを修正するために締結される。金利スワップにおける受取利
息および支払利息は関連期間に対する比例配分で計上され、損益計算書では「受取利息および類似収
益」または「支払利息および類似費用」に計上される。金利スワップの時価が正の値の場合には、
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「その他の資産」に、負の値の場合には、「その他の負債」に計上される。時価の変動は、「金融業
務損益」に含まれている。
先物契約
金利および債券の先物契約(先物)は、政府債およびその他の債券への投資から発生するエクス
ポージャーをヘッジするために締結される。先物は高度に標準化されたデリバティブ契約であり、規
制対象市場で取引され、日次での証拠金要件が適用される。先物契約の時価が正の値の場合には、
「その他の資産」に、負の値の場合には、「その他の負債」に計上される。時価の変動は、「金融業
務損益」に含まれている。
A.2.3.2. その他のデリバティブ
通貨スワップ
通貨スワップ契約は、通貨ポジションを調整するために締結される。通貨スワップの直物レッグの
再評価は、「未払金および繰延収益」または「前払金および未収収益」で相殺されている。通貨ス
ワップの先渡レッグは決済金額でオフ・バランスシート処理されており再評価されていない。直物金
額と先渡金額の決済差額として生ずるプレミアム/ディスカウントは、損益計算書の「受取利息およ
び類似収益」または「支払利息および類似費用」を通じ、関連期間に対する比例配分で償却される。
金利スワップ
金利スワップ契約は、金利ポジションを修正するために締結される。ヘッジのための金利スワップ
は再評価されず、その想定元本はオフ・バランスシートに計上される。金利スワップにおける受取利
息および支払利息は関連期間に対する比例配分で計上され、損益計算書では「受取利息および類似収
益」または「支払利息および類似費用」に計上される。
為替予約取引
為替予約取引は、将来の通貨ポジションを調整するために締結される。先渡レッグは、決済金額で
オフ・バランスシート処理されており再評価されていない。直物金額と先渡金額の差額は、損益計算
書の「受取利息および類似収益」または「支払利息および類似費用」を通じ、関連期間に対する比例
配分で償却される。
デリバティブ金融商品の金利は、関連期間に対する比例配分で「前払金および未収収益」または
「未払金および繰延収益」の勘定科目に計上される。
A.2.4. 金融資産および金融負債
金融資産および金融負債は決済日基準で計上されている。
A.2.5. 現金および現金同等物
現金および現金同等物は、連結キャッシュ・フロー計算書に開示されており、手許現金、非拘束性
の中央銀行預け金、要求払い預け金および取得日から3ヵ月以内に当初の満期日が到来する流動性の
高い短期金融市場証券または定期預金から構成されている。これらの金融商品は、その価値変動リス
クが軽微であり、容易に現金化が可能であり、グループは短期的な契約債務の管理に使用している。
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A.2.6. 中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期証券ならびに確定利付証券を含む負債証券
A.2.6.1. 長期高品質流動資産(「HQLA」)ポートフォリオ(「LTHP」)
従来の長期ヘッジポートフォリオ(「LTHP」)は、2021年に長期高品質流動資産(HQLA)ポート
フォリオ(LTHP)に改編された。この改編とは、特に、ポートフォリオの規模、新たな適格通貨およ
び承認されている投資の範囲の変更等である。この新ポートフォリオで購入した有価証券で、満期ま
で 保有する目的で保有しているものに関するビジネスモデルに変更はない。この新しい改編の下で
は、以下によって発行または保証された有価証券への投資が認められる。
- 欧州連合加盟国政府およびアメリカ合衆国(USA)政府
- 欧州連合、欧州安定メカニズム、欧州金融安定基金
これらの有価証券は、当初、購入価額で計上される。一時的でない評価損益は計上されている。購
入価格と償還価額との差額は、有価証券の残存期間にわたり、関連期間に対する比例配分で「受取利
息および類似収益」または「支払利息および類似費用」として計上される。
A.2.6.2. 運用ポートフォリオ
短期財務ポートフォリオ(「TMP」)
適切な水準の流動性を維持するため、EIBは満期が12ヵ月以内の短期金融商品、特に短期国庫証券お
よび公共機関や金融機関が発行した譲渡可能負債証券を購入している。短期財務ポートフォリオの有
価証券は、最終満期日まで保有されるもので、当初は購入価格で計上され、その後は償却原価で本財
務書類に計上される。購入価格と償還価額との差額は、有価証券の残存期間にわたり、関連期間に対
する比例配分で「受取利息および類似収益」または「支払利息および類似費用」として計上される。
評価損益は、一時的ではない場合、「固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券および参加持
分に係る(再)評価損益」に計上される。
有価証券流動性ポートフォリオ(「SLP」)
SLPは、政府、国際機関、金融機関および企業が発行または保証した上場負債証券で構成されてい
る。このポートフォリオは主にアクティブ運用され、ポートフォリオ内の有価証券は購入価格で当初
認識され、その後は財務書類に時価で表示される。時価の変動は、損益計算書の「金融業務損益」に
計上される。
SLPの時価は、第一情報源としての活発な市場における公表相場価格に基づいている。入手できる公
表相場価格がない金融商品については、市場参加者からの提示価格を入手することにより、および/
または評価手法もしくはモデルを使用して、時価を決定している。評価手法もしくはモデルは観察可
能な貸借対照表日現在の実勢市場データに基づくことが可能である場合に用いられる。
EIF運用ポートフォリオ
EIF運用ポートフォリオは、残存期間が10年以内の上場負債証券で構成されている。これらの有価証
券は償却原価で測定されている。
A.2.6.3. 代替貸付金ポートフォリオ(EIB)およびABSポートフォリオ(EIF)
代替貸付金ポートフォリオ(EIB)およびABSポートフォリオ(EIF)は、主に特別目的事業体
(「SPV」)、信託事業体または金融機関が発行した債券、ノートあるいは証書の形の債務で構成され
ている。これらの有価証券は満期まで保有されることを目的として保有されており、当初購入価格で
計上され、その後は償却原価で評価されている。購入価格と償還価額との差額は、有価証券の残存期
間にわたり、関連期間に対する比例配分で「受取利息および類似収益」として計上される。一時的で
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ない評価損益は、個別に計上されている。減損しているが、そのように認識されていない契約を捕捉
するために、それぞれ発生はしているが報告されていない損失について、集合的な評価損益が計上さ
れ ている。個別および集合的な評価損益は、損益計算書に「固定金融資産として保有される譲渡可能
有価証券および参加持分に係る(再)評価損益」として計上され、貸借対照表上は対応する資産項目
から減算されている。
代替貸付金の未実行部分は、名目値でオフ・バランスシートに記録される。
A.2.6.4. 優先債権者の地位(「PCS」)
EU一次法優位の原則および、EIB定款に定められているEIBの財産があらゆる形の接収および収用か
ら免除されるものとする旨の原則は、満期時における欧州連合加盟国のソブリン・エクスポージャー
の全額回収を保証するとみなされる。この財務保護および優先債権者としての地位により、欧州連合
加盟国のソブリン・エクスポージャーまたは欧州連合加盟国の保証についての信用リスクも減損も発
生しない。しかし、他の債権者と同様に、EIBは欧州連合加盟国ソブリン発行体の負債性金融商品に含
まれる集団行動条項(「CAC」)に基づいた多数による決定事項に拘束される。
A.2.7. 金融機関および対顧客貸付金および預け金
A.2.7.1. 貸付金および預け金
貸付金および預け金は、正味実行額をもってグループの資産に計上される。期末における貸付金残
高について、その全額または一部の金額につき回収不能のリスクがある場合、個別の評価損益が計上
されている。減損しているが、そのように認識されていないポートフォリオの貸付金を捕捉するため
に、または発生しているがまだ報告されていない損失について、集合的な評価損益が計上されてい
る。これらの評価損益は、関連資産と同じ通貨で把握される。
評価損益は「貸付金および預け金ならびに偶発債務引当金に係る(再)評価損益」として損益計算
書に計上されており、貸借対照表の対応する資産項目から減算されている。
貸付金および預け金の未実行部分は、名目値でオフ・バランスシートに記録される。
A.2.7.2. 貸付金利息
貸付金利息は、発生主義で、すなわち貸付期間にわたって、損益計算書に計上される。未収利息
は、貸借対照表の資産の「前払金および未収収益」勘定に計上される。これらの貸付金利息の評価損
益は、グループの経営陣が個別に決定し、貸借対照表の適当な資産項目から控除される。
不良債権に関しては、評価損益が生じた場合、当初の契約条件に基づく未収利息の計上は停止され
る可能性がある。
A.2.7.3. リバース・リパーチェス契約(「リバース・レポ」)
リバース・リパーチェス契約は、担保有価証券を提供する金融機関に対してグループが流動資金を
貸し出す取引である。双方の当事者は、確定日に確定金額で取引を行うという取消不能の契約を結ぶ
ことになる。
この取引は、支払引替渡しの原則に基づき行われる。すなわち流動資金の借手は、契約価額での決
済と引き換えに、グループの保管業者に有価証券を引き渡し、これによってグループに金融市場と連
動したリターンが発生する。
こうした種類の業務は、グループの目的から、保証された金利が付加された貸付とみなされる。 こ
れらの取引は一般的に有担保金融取引として取り扱われるため、提供または受領した現金額に未収
(経過)利息を加えた金額で計上されている。 リバース・レポは、連結貸借対照表の資産側の「金融
機関貸付金および預け金: b) その他の貸付金および預け金」に額面金額で計上される。
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リバース・リパーチェス契約に基づいて受け取った有価証券は、有価証券に含まれる契約上の権利
を支配できない限り、連結貸借対照表において認識されない。グループは、これらの受け取った有価
証 券の市場価格を日々管理しており、原契約に従い追加担保を要求する。
リバース・リパーチェス契約に係る利息は、それぞれの契約の期間にわたり「受取利息および類似
収益」または「支払利息および類似費用」として計上される。
A.2.7.4. 利子補助金
前受利子補助金(注Iを参照)は繰り延べられ、補助金支給対象貸付金の実行から返済までの期間に
わたって、損益計算書で認識される。
A.2.7.5. 定期預金および要求払預金(「預金」)
預金とは、EIBが一定期間、または当事者間で合意した収益に対して要求払いで、金融機関または顧
客に流動性のある資金を貸し付ける業務である。預金は、法定貸借対照表の資産側の「金融機関貸付
金および預け金: その他の貸付金および預け金」に額面金額で計上される。
預金に係る利息は、預金期間にわたり「受取利息および類似収益」または「支払利息および類似費
用」として計上される。
A.2.8. 株式、その他の変動利付証券および参加持分
グループは、プライベート・エクイティおよびベンチャー・キャピタル事業開始、債券ファンド設
定、インフラ基金設定、投資基金設定または直接資本の形態での資本参加時に、株式、その他の変動
利付証券および参加持分を保有する。これらの投資は当初は取得原価で記録され、返済による資金の
還流額が減額される。それらの帳簿価額は、その後の貸借対照表日における測定で、取得原価と時価
のいずれか低い方に調整される。
グループが実施する一部の共同投資では、投資は取得原価で当初認識され、純払込額は合意された
ウォーターフォールに従って配分された資本返済控除後の出資履行額である。
ファンド・マネージャーから受けた報告に基づき、投資ポートフォリオは、取得原価もしくはEIBに
帰属する分のNAVのどちらか低い方の値で個々に評価されるため、ポートフォリオに含まれている可能
性があるEIB帰属分の未実現利益は除外される。帰属するNAVは、次のいずれかを、報告日時点で利用
可能な場合に優先順位に従い適用して決定される。
- 各ファンド・マネージャーから提出された、利用可能な直近の日におけるNAVのグループ持分
- グループが保有する株式数または口数に、ファンド・マネージャーが報告する利用可能な直近
の日の1株当たりまたは1口当たりの価格を乗じた値
- 特定のコンパートメントにおけるグループの所有比率に、最新のファンド・マネージャーの報
告に反映された当該特定のコンパートメントの純資産価額(「NAV」)を乗じた値
- 当該ファンドにおけるグループの所有比率に利用可能な直近のファンドNAVを乗じた値
グループが実施する一部の共同投資においては、帰属するNAVは合意されたウォーターフォールの計
算に基づいて決定される場合がある。
また、入手可能な直近のNAVの日付から貸借対照表日の間に発生した事象について調整することが重
要と経営委員会がみなす場合に限り、EIB帰属分のNAVに対してかかる調整を行う。
これらの投資の未実行だが確約した部分は、名目値でオフバランスシート・コミットメントに計上
される。
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セカンダリーセール
ベンチャー・キャピタル・ファンドおよび投資ファンドに係るセカンダリーセール取引により、原
資産の認識が中止される。セカンダリーセールからの損益は「金融業務損益」に計上され、売却手取
額と正味帳簿価額の差異として算出される。
参加持分
グループが自己勘定で取得した株式は、通常ベンチャー・キャピタル事業、債券ファンド、インフ
ラ基金および投資基金への投資である。業界の慣行によれば、そのような投資は概して多数の投資家
が応募する投資であり、どの投資家も当該基金の日々の運営および投資活動に対し、個人的に影響力
を行使することはできない。結果として、ある投資家がそのような基金の統治機関のメンバーになっ
たとしても、原則的には、それにより当該投資家がその基金の日々の運営に影響を与える権利を手に
するものではない。さらに、ベンチャー・キャピタル事業、インフラ基金または投資基金の個別投資
家は、資本の払戻しまたはその他の分配に関する分配方針等、基金の方針を決定することがない。一
般的にそのような決定は、基金の経営陣と全株主の権利および義務を規定した株主契約に基づき、基
金の経営陣が行っている。また一般的に株主間の合意は、個別投資家が基金との間で実質的な取引を
行ったり、役員を相互に交換したり、重要な専門情報にアクセスする特権を得たりすることも防止し
ている。EIBは、株式を取得したこうした事業体に対して重要な影響力または共同支配を有しているか
を判定するために、判断を伴う包括的な分析を通じて上記の判定基準を評価している。当該事業体に
対する重要な影響力または共同支配が存在する場合、当該投資は、「参加持分」として開示される。
グループにより応募済であるがEBRDへの投資について払込未請求の資本は、オフ・バランスシート
項目として記録されている。
A.2.9. 有形資産
有形資産には、土地、グループが使用している不動産、その他機械および設備が含まれる。
土地は、取得原価で計上されており、建物は、取得原価から減価償却累計額および減損累計額を控
除した金額で計上されている。ルクセンブルクのキルヒベルクに所在する本店の建物、ならびに同国
のワイマールショフの建物の取得原価は、以下のように定額法で減価償却されている。
恒久使用の設備および備品、家具、事務機器ならびに自動車は、取得価額から減価償却累計額およ
び減損累計額を控除した金額で連結貸借対照表に計上されている。
減価償却費は購入品目ごとに、以下に示されている見積耐用年数の期間にわたって定額法で計算さ
れている。
- キルヒベルクおよびワイマールショフの建物:30年
- 恒久使用の設備および備品:10年
- 家具:5年
- 事務機器および自動車:3年
建設仮勘定資産は、工事が完了し、当該資産が意図された目的のための使用に供されることが可能
となるまで、その減価償却累計額は計上されない。
A.2.10. 無形資産
無形資産には、コンピューター・ソフトウェアが含まれている。ソフトウェア開発費は、識別可能
性、企業への将来の経済的便益の流入可能性、取得原価測定の信頼性に関する特定の基準を満たした
場合に資産計上される。
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これらの基準に適合する自社開発のソフトウェアは、償却累計額(完成から3年にわたり定額法で
計算)および減損累計額控除後の取得原価で計上されている。
建設仮勘定資産は、作業が完了し、当該資産が意図された目的のための使用に供されることが可能
となるまで、その償却累計額は計上されない。
A.2.11. 年金制度および健康保険制度
A.2.11.1. 職員年金制度
グループは、ほぼすべての職員に退職給付を提供するため、確定給付年金制度を運営している。
EIBの主な年金制度は職員とEIBの拠出金を原資とする確定給付年金制度で、全職員が対象とされて
いる。EIBおよびその職員の全拠出額がEIBの資産へ投資されている。
EIFの主要な年金制度は、職員とEIFの拠出金を原資とする確定給付年金制度で、全職員が対象とさ
れている。この制度は、従来の確定拠出年金制度に代わり、2003年3月に実施された。
退職給付債務は、適正な引当水準となるように予測単位積立方式を用いて、少なくとも年に1度は
評価を受ける。最新の評価は、2022年9月30日現在の加入者データおよび2022年12月31日までの
キャッシュ・フローに基づき、2022年12月31日現在で実施された。保険数理士が用いた主な仮定につ
いては、注Lを参照のこと。
退職給付債務の10%を超える当年度の数理計算上の差異の累計額は、7年間にわたり定額法で認識
される。引当金が退職給付および健康保険給付の保険数理的価値の償却可能部分に達した場合、それ
以上の償却は損益計算書に認識されない。また、引当金が退職給付および健康保険給付の保険数理的
価値を超えることとなった場合には、その超過額はその後の期間に損益に算入されることはない。
A.2.11.2. 健康保険制度
グループは職員のため、グループおよび職員の拠出金を原資とする独自の健康保険制度を設けてい
る。この健康保険制度は、注A.2.11.1に記載された職員に対する年金制度と同じ方針によって管理さ
れ、会計処理されている。最新の評価は、2022年9月30日現在の加入者データおよび2022年12月31日
までのキャッシュ・フローに基づき、2022年12月31日現在で実施された。
A.2.11.3. 経営委員会年金制度
経営委員会年金制度は確定給付年金制度で、グループのみからの拠出金を原資とし、経営委員会委
員全員を対象としている。グループからの拠出金は全額グループの資産に投資される。この経営委員
会年金制度は、注A.2.11.1に記載された職員に対する年金制度と同じ方針によって管理され、会計処
理されている。
A.2.11.4. 任意補足年金制度
任意補足年金制度とは、職員の任意拠出金および使用者の拠出金を原資とする確定拠出年金制度で
ある。対応する負債は「その他の負債」に計上されている。
A.2.12. 金融機関および顧客に対する債務
金融機関および顧客に対する債務は、財務書類において償還額で表示される。金融機関および顧客
に対する負債の利息は、発生主義により、「支払利息および類似費用」または金利がマイナスの場合
には「受取利息および類似収益」として損益計算書に計上される。経過利息は、負債勘定の「未払金
および繰延収益」に含まれる。
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グループによるECBの金融政策オペレーションへの参加に関連して、BCLから借り入れた金額は額面
金額で計上され、中央銀行からの借入金として、連結財務書類において「金融機関に対する債務-b)
期日払または通知払」に計上されている。
A.2.12.1. リパーチェス契約(「レポ」)
リパーチェス契約は、金融機関からグループが流動資金を借り入れ、担保有価証券を提供する取引
である。双方の当事者は、確定日に確定金額で取引を行うという取消不能の契約を結ぶことになる。
この取引は支払引替渡しの原則に基づいており、これは注A.2.7.3に記載されている。
こうした種類の業務は、グループの目的から、合意された金利が付加された借入とみなされる。こ
れらの取引は一般的に有担保金融取引として取り扱われるため、借入金額に経過利息を加えた金額で
計上されている。レポは連結貸借対照表上、「金融機関に対する債務-b) 期日払または通知払」の下
で負債側に名目金額で計上される。
リパーチェス契約に係る利息は、それぞれの契約の期間にわたり「受取利息および類似収益」また
は「支払利息および類似費用」として計上される。
A.2.12.2. 担保払込勘定
片務的担保サポート・アネックスに基づき、グループはデリバティブ、貸付および財務ポートフォ
リオに係るカウンターパーティー信用エクスポージャーを低減するために担保として現金を受領す
る。受け取った現金担保は、名目金額で計上され、翌日物預金として、連結財務書類において「金融
機関に対する債務-a) 要求払」に表示される。
A.2.13. 債務証書借入
債務証書借入は、償却原価で表示されるゼロ・クーポン債を除き、償還金額で表示されている。取
引費用およびプレミアム/ディスカウントは、「未払金および繰延収益」または「前払金および未収
収益」を通じて債務の残存期間にわたって定額法により損益計算書で償却される。負債性金融商品に
対する利息は、連結損益計算書の「支払利息および類似費用」または「受取利息および類似収益」に
計上されている。
A.2.14. 金融保証
金融保証契約は、特定の債務者が、負債性金融商品の当初条件または修正後条件に基づいて期日に
支払いを履行できない場合に、発行者に、その商品の保有者に発生した損失を補償するための所定の
支払を行うことを義務付ける契約である。
発行済の金融保証は通常、オフ・バランスシート項目として会計処理され開示される。
金融保証による負債純額は、貸借対照表上で「保証業務に係る引当金」に表示されている。保証引
当金は、金融仲介機関に対するグループの保証業務または第三者が供与した貸付金に関する保証に内
在するリスクに対応するためのものである。
金融保証は、予想プレミアムの正味現在価値(「NPV」)または当初予想損失に対応する公正価値で
当初認識される。
当初認識後、金融保証は以下のうちの高い方の金額に対する、将来の予想プレミアムの正味現在価
値の不足額として測定される。
- 予想信用損失の額
- 当初認識された公正価値から、認識された収益/償却累計額を控除した額
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将来の予想プレミアムの正味現在価値が予想支払義務を超過する額を表す未実現利益は、引き続き
認識されていない。
金融保証に関連する純負債の増加または減少は、損益計算書上、「貸付金および預け金ならびに偶
発債務引当金に係る(再)評価損益」で認識される。
受取プレミアムは、損益計算書の「受取手数料」で認識される。前受手数料は貸借対照表の「未払
金および繰延収益」で認識され、金融保証期間にわたって定額法で損益計算書において償却される。
A.2.15. 契約債務引当金
この引当金は、貸付金、インフラ基金および投資基金ならびにプライベート・エクイティおよびベ
ンチャー・キャピタル事業に対するグループの契約済・未実行契約債務に内在するリスクに対応する
ためのものである。
A.2.16. 準備金
A.2.16.1. 準備基金
定款第22(-1)条で規定されているように、EIBの留保利益より「応募済資本金の10%を上限に、準備
基金に段階的に組み入れるものとする」。
A.2.16.2. その他準備金
その他準備金には、グループの残りの留保利益が含まれている。
A.2.16.3. 特別活動準備金
定款第16(-5)条で規定されているように、「EIBの特別活動(中略)には個別に準備金を配分す
る」。特別活動準備金は、EIBが一般的に受け入れているものよりもリスクの高い活動によって生じる
予想外の損失をカバーするために自己資本を割り当てられた専用の想定準備金であり、ベンチャー・
キャピタル業務がこれに含まれる。この準備金は各業務の配分に基づき、原資産の推移に応じて計算
される。
A.2.16.4. 一般貸倒準備金
2009年には、EIBの貸付金および保証ポートフォリオについて、自己資本を割り当てられた想定準備
金を表す 「一般貸倒準備金」 が導入された。この準備金は、EIBの内部貸付金格付制度に基づいて、
原資産の推移に応じて算出される。
A.2.17. 前払金および未収収益
当期の支出であるが翌期に関わる費用、および原商品の満期日まで支払いがなされない収益。
A.2.18. 未払金および繰延収益
貸借対照表日以前に支払いを受けるが翌期に帰属する収益、および当期に関連するが翌期に支払う
費用。
A.2.19. 受取利息および類似収益
「受取利息および類似収益」には、主に金融機関および対顧客貸付金および預け金、負債性金融商
品および短期金融市場商品ならびにデリバティブに係る利息が含まれる。
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A.2.20. 支払利息および類似費用
「支払利息および類似費用」には、主に金融機関および顧客に対する負債の利息、ならびに負債性
金融商品、短期金融市場商品およびデリバティブに係る支払利息が含まれる。
A.2.21. 証券からの収益
「証券からの収益」は、主に元本を超える当期売却額で構成されている。
A.2.22. 租税
欧州連合に関する条約および欧州連合の機能に関する条約に付属する欧州連合の特権および免除に
関する議定書は、欧州連合機関の資産、収益およびその他の財産について、あらゆる直接税を免除す
ると定めている。
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注B: 現金、中央銀行および郵便局預け金ならびに負債証券ポートフォリオ
B.1. 現金、中央銀行および郵便局預け金
現金、中央銀行および郵便局預け金は、2022年12月31日現在112,655千ユーロ(2021年:1,483,285
千ユーロ)である。
EIBは、ユーロ・システムの金融政策オペレーションにおける適格カウンターパーティーであること
から、EIBも欧州中央銀行の金融政策オペレーションに参加するようになった。EIBは、最低預金準備
率を充足するために預け金を置いているルクセンブルク中央銀行を通じて金融政策オペレーションを
実施する。この預け金残高は、2022年12月31日現在87,266千ユーロ(2021年:144,479千ユーロ)であ
る。
B.2. 負債証券ポートフォリオ(単位:千ユーロ)
負債証券ポートフォリオは、長期HQLAポートフォリオ(「LTHP」)、短期財務ポートフォリオ
(「TMP」)、有価証券流動性ポートフォリオ(「SLP」)、代替貸付金ポートフォリオならびにEIFの
ABSポートフォリオおよび運用ポートフォリオにより構成されている。
これらポートフォリオの2022年および2021年12月31日現在の詳細は、以下のとおりである。
2022年12月31日 2021年12月31日
中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期証券 21,845,483 37,160,351
11,159,796 11,971,268
確定利付証券を含む負債証券
(*)
33,005,279 49,131,619
負債証券合計
(*) うち非上場分は、2022年12月31日現在6,697,136千ユーロ(2021年:6,550,937千ユーロ)であった。
未償却
プレミア
(**)
2022年12月31日現在 購入価額 帳簿価額 評価損益 償還価値
時価
ム/ディス
カウント
LTHP 2,716,467 2,692,420 0 -56,400 2,636,020 2,263,503
TMP 6,964,454 6,995,106 0 33,930 7,029,036 6 ,986,325
3,329,029 3,172,836 0 0 3,328,249 3,172,836
SLP
運用ポートフォリオ-EIF 2,338,156 2,318,325 0 -37,844 2,280,481 2,050,890
資産担保証券ポートフォリオ
480,297 413,700 0 0 413,700 401,976
-EIF
17,449,652 17,412,892 1,289 -3,126 17,411,055 16,800,313
代替貸付金 (注D)
(*)
33,278,055 33,005,279 1,289 -63,440 33,098,541 31,675,843
負債証券合計
(*) うち現金および現金同等物552,038千ユーロ
(**) 時価には経過利息は含まれない。
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未償却
プレミア
(**)
2021年12月31日現在 購入価額 帳簿価額 評価損益 償還価値
時価
ム/ディス
カウント
LTHP 1,384,662 1,340,985 0 -97,342 1,243,643 1,418,398
TMP 22,484,695 22,434,606 0 -35,118 22,399,48 8 22,435,374
4,761,521 4,733,721 0 0 4,714,307 4,733,721
SLP
運用ポートフォリオ-EIF 2,302,307 2,289,463 0 -48,327 2,241,136 2,282,898
資産担保証券ポートフォリオ
409,395 381,153 0 0 381,153 380,709
-EIF
17,993,220 17,951,691 1,243 -6,339 17,946,595 18,033,089
代替貸付金 (注D)
(*)
49,335,800 49,131,619 1,243 -187,126 48,926,322 49,284,189
負債証券合計
(*) うち現金および現金同等物142,403千ユーロ
(**) 時価には経過利息は含まれない。
代替貸付金は、証券化取引に関連する貸付金または債権のプールにおける持分の取得を表してお
り、貸付金総額(注D)の一部とみなされる。こうした取引の一部は、与信またはプロジェクト関連の
救済措置を付加した上で組成されているため、追加的な償還請求手段が備わっている。代替貸付金
ポートフォリオの評価損益について詳細にレビューした結果、2022年12月31日現在で、1件の取引
(2021年:1件の取引)について個別の評価損益1,262千ユーロ(2021年:1,243千ユーロ)が計上さ
れた。ウクライナにおける戦争に関連して、2022年に代替貸付金ポートフォリオの集合的な評価損益
27千ユーロが計上された。2020年に、代替貸付金ポートフォリオに対するCOVID-19の影響を捕捉する
ために計上された集合的な評価損益42千ユーロは、2021年12月31日現在で戻し入れられた。
債券保有における欧州連合加盟国ソブリン債に対するエクスポージャー
EIBおよびEIFの優先債権者の地位ならびにEIB定款による保護を考慮し、また評価調整要件の詳細な
見直しの結果、グループは、期末現在の満期保有目的EU加盟国ソブリン債およびEU加盟国ソブリン保
証債のエクスポージャーに関して、2022年および2021年に評価損益を計上しなかった。
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下表は、2022年および2021年12月31日現在のグループの負債証券ポートフォリオ(代替貸付金およ
びEIFのABSポートフォリオを含む)における、EU加盟国またはその政府機関が発行または保証する負
債証券に対するエクスポージャーを示したものである。
購入価額 帳簿価額 償還価値 時価
2022年12月31日現在
EU加盟国ソブリン債
オーストリア 206,873 205,999 222,451 154,085
ベルギー 168,879 168,315 160,000 130,686
ブルガリア 41,191 40,210 37,515 32,341
チェコ共和国 309,932 273,865 269,530 269,567
フィンランド 98,135 98,214 100,000 60,753
フランス 1,877,800 1,885,405 1,938,255 1,849,313
ドイツ 1,177,213 1,170,875 1,164,133 1,148,600
ハンガリー 16,827 16,509 16,000 14,220
イタリア 631,452 630,807 630,000 627,021
ラトビア 19,900 19,936 20,000 19,935
リトアニア 31,266 31,085 30,950 28,069
ルクセンブルク 4,985 4,997 5,000 4,862
オランダ 414,241 407,125 403,000 398,225
ポーランド 1,797,269 1,795,373 1,792,375 1,722,413
ポルトガル 47,184 47,053 46,500 37,499
スロバキア 7,960 7,981 8,000 7,441
スロベニア 49,539 49,272 49,000 40,577
1,424,860 1,428,605 1,440,216 1,421,055
スペイン
8,325,506 8,281,626 8,332,925 7,966,662
24,952,549 24,723,653 24,765,616 23,709,181
EU加盟国以外のソブリン債およびその他の債券
33,278,055 33,005,279 33,098,541 31,675,843
合計
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購入価額 帳簿価額 償還価値 時価
2021年12月31日現在
EU加盟国ソブリン債
オーストリア 60,407 56,707 55,500 56,657
ベルギー 62,150 62,072 62,000 62,114
ブルガリア 41,191 40,768 37,515 40,285
チェコ共和国 426,516 385,879 378,085 390,877
デンマーク 17,615 17,616 17,658 17,616
フランス 1,284,757 1,271,840 1,268,288 1,273,797
ドイツ 992,034 980,836 960,664 1,030,645
ハンガリー 16,827 16,663 16,000 16,585
アイルランド 704,819 705,945 706,339 706,040
イタリア 7,484,756 7,459,403 7,439,999 7,465,218
ラトビア 14,962 14,984 15,000 15,056
リトアニア 32,567 32,071 31,779 32,331
ルクセンブルク 30,218 30,217 30,000 30,293
オランダ 366,403 355,095 348,000 367,345
ポーランド 610,834 609,454 605,758 527,211
ポルトガル 47,184 47,124 46,500 47,237
ルーマニア 88,047 83,733 83,214 83,665
スロバキア 7,960 7,973 8,000 8,167
スロベニア 39,490 39,335 39,000 38,909
スペイン 5,880,531 5,868,301 5,863,235 5,867,975
96,478 95,644 95,487 95,635
スウェーデン
18,305,746 18,181,660 18,108,021 18,173,658
31,030,054 30,949,959 30,818,301 31,110,531
EU加盟国以外のソブリン債およびその他の債券
49,335,800 49,131,619 48,926,322 49,284,189
合計
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注C: 金融機関および対顧客貸付金および預け金-その他の貸付金および預け金(単位:千ユーロ)
2022年12月31日 2021年12月31日
(*)
定期預金 56,815,551 60,466,600
要求払預金 14,411 388,680
リバース・レポ 7,381,282 13,894,159
その他の金融機関貸付金および預け金 64,211,244 74,749,439
125,883 677,437
その他の対顧客貸付金および預け金
64,337,127 75,426,876
その他の貸付金および預け金合計
うち現金および現金同等物 62,426,771 66,842,771
(*) 2022年のルクセンブルク中央銀行への預け金539億ユーロ(2021年:567億ユーロ)を含む。
注D: 貸付金明細表
D.1. 貸付金総額(単位:千ユーロ)
貸付金総額は貸付金の実行済金額と未実行金額で構成されている。分析は以下のとおりである。
金融仲介機関に 最終受益者に
対して実行される 直接実行される 2022年12月31日 2021年12月31日
貸付金 貸付金
実行済金額 93,107,708 326,715,856 419,823,564 415,463,569
30,757,433 93,274,466 124,031,899 122,977,291
未実行金額
123,865,141 419,990,322 543,855,463 538,440,860
貸付金総額
分割貸付債権 21,746 145,347 167,093 472,853
17,414,181 17,952,934
代替貸付金ポートフォリオ
561,436,737 556,866,647
代替貸付金ポートフォリオを含む貸付金総額 (注D.3)
D.2. 貸付金に係る評価損益(単位:千ユーロ)
評価損益の推移の詳細は、以下のとおりである。
2022年 2021年
1月1日現在 439,008 647,769
(1)
当期取崩額 -147,677 -229,532
(2)
当期目的使用額 -16,587 -31,561
(1)
当期繰入額 114,772 35,843
2,232 16,489
為替調整額
(3)
391,748 439,008
12月31日現在
(1) 2020年、グループはCOVID-19のまん延を考慮し、集合的引当金を認識した。2021年には、(1) 貸付金ポートフォリ
オに対するCOVID-19の影響についてのより詳細な評価を可能にする年次カウンターパーティー格付の見直し、およ
び(2) それぞれの貸付金の残存期間の予想信用損失の減少を考慮し、この集合的引当金は全額が戻入された。
2022年には、集合的引当金がウクライナにおける戦争を背景に再導入され、この事象の影響とポートフォリオに対
するより広範な経済的影響を捉えるグループの必要性に対処している。この危機が顧客に与えると予想される影響
を考慮し、ポートフォリオ内に減損しているが特定されていない金融資産、または発生しているが報告されていな
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い損失が存在する可能性が高いとみなされた。EU会計指令の健全性および真実かつ公正な概観のコア原則に従い、
これらの潜在的な損失はグループの財務書類に反映された。
その結果、EIBは制裁、エネルギーおよび原材料価格の高騰、サプライチェーンの混乱など、この危機が顧客に与え
る潜在的な影響を評価した。損失が発生した可能性があるが、まだ個別には特定されていないエクスポージャーの
一部の集団を特定するために、脆弱性評価が実施されている。これらの一部の集団に関して、基礎となるエクス
ポージャーに対する集合的引当金が算出されている。EIBは2022年に76,020千ユーロの集合的引当金を計上した
(2021年:ゼロ)。
(2) 2022年、EIBは以下を実施した。
・ 期首に個別引当金が計上された貸付金事業1件についてリストラクチャリングを完了した。既存の引当金1,700
千ユーロが使用された(2021年:貸付金事業1件に対し2,444千ユーロ)。
・ 期首に個別引当金が計上された貸付金事業3件を償却した。既存の引当金6,872千ユーロが目的使用された
(2021年:貸付金事業2件に対し6,750千ユーロ)。
・ 2022年中に個別引当金が計上された貸付金事業1件を償却した。既存の引当金8,015千ユーロが目的使用された
(2021年:ゼロ)。
・ 完了した不良債権の売却取引はなかった(2021年:2件の貸付金事業で22,367千ユーロ)。
(3) 評価損益は、延滞を含む実行済貸付金のみに関連している。また、グループは「前払金および未収収益」に計上さ
れている未収利息について、総額10,788千ユーロ(2021年:4,919千ユーロ)の評価損益を追加的に計上している。
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D.3. プロジェクトが行われている国別に表示した貸付金の地域別内訳(単位:千ユーロ)
D.3.1. 欧州連合内のプロジェクトに対する貸付金
2022年 2021年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
スペイン 75,263,517 65,754,686 9,508,831 13.42% 13.90%
フランス 68,667,984 52,967,824 15,700,160 12.23% 11.49%
イタリア 64,216,047 50,694,738 13,521,309 11.45% 11.66%
ドイツ 46,146,288 36,682,974 9,463,314 8.22% 8.01%
ポーランド 45,334,594 36,416,076 8,918,518 8.08% 7.85%
ギリシャ 19,605,988 14,682,687 4,923,301 3.49% 3.58%
ベルギー 16,667,820 12,179,681 4,488,139 2.97% 2.79%
オランダ 16,526,216 13,119,017 3,407,199 2.94% 3.06%
オーストリア 15,399,219 13,766,338 1,632,881 2.74% 2.70%
ポルトガル 13,629,245 11,017,709 2,611,536 2.43% 2.43%
スウェーデン 12,119,159 8,658,911 3,460,248 2.16% 2.19%
フィンランド 10,788,525 8,996,209 1,792,316 1.92% 1.96%
ハンガリー 9,925,938 7,815,604 2,110,334 1.77% 1.80%
アイルランド 7,997,896 6,185,282 1,812,614 1.43% 1.36%
チェコ共和国 7,860,660 4,940,771 2,919,889 1.40% 1.24%
ルーマニア 7,155,648 4,135,758 3,019,890 1.27% 1.21%
スロバキア 4,429,343 3,808,156 621,187 0.79% 0.82%
デンマーク 3,894,519 3,056,577 837,942 0.69% 0.63%
クロアチア 3,491,339 2,916,586 574,753 0.62% 0.71%
リトアニア 2,745,384 2,546,407 198,977 0.49% 0.49%
キプロス 2,635,848 1,922,903 712,945 0.47% 0.50%
スロベニア 2,624,699 2,153,473 471,226 0.47% 0.51%
ブルガリア 2,313,299 1,836,003 477,296 0.41% 0.40%
エストニア 1,512,183 984,984 527,199 0.27% 0.29%
ラトビア 979,141 582,395 396,746 0.17% 0.22%
ルクセンブルク 842,795 132,950 709,845 0.15% 0.12%
408,322 254,125 154,197 0.07% 0.07%
マルタ
463,181,616 368,208,824 94,972,792 82.52% 81.99%
小計
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(1)
D.3.2. 欧州連合域外のプロジェクトに対する貸付金
D.3.2.1. 候補国
2022年 2021年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
8,343,786 8,062,281 281,505
トルコ
6,023,946 3,085,020 2,938,926
ウクライナ*
3,810,995 2,441,076 1,369,919
セルビア
1,959,881 1,217,797 742,084
ボスニア・ヘルツェゴビナ
954,190 475,406 478,784
モルドバ共和国
696,320 470,956 225,364
モンテネグロ
479,889 326,149 153,740
北マケドニア
330,527 238,027 92,500
アルバニア
22,599,534 16,316,712 6,282,822 4.03% 2.63%
小計
* 2022年の実行済エクスポージャー総額は3,085百万ユーロ(2021年:1,570百万ユーロ)である。この金額のうち、
2,852百万ユーロ(2021年:1,302百万ユーロ)は外部貸付マンデートの下での欧州連合の包括保証でカバーされる。
残額の233百万ユーロは自己リスクを負うが、うち216百万ユーロはEU域外貸付マンデートの下でのEU政治リスク保証
でカバーされる。さらに2,939百万ユーロが未実行の契約済事業において確約されている。この金額のうち、2,714百
万ユーロは外部貸付マンデートの下での欧州連合の包括保証でカバーされる。残額の225百万ユーロは自己リスクを
負うが、うち190百万ユーロはEU域外貸付マンデートの下でのEU政治リスク保証でカバーされる。
(1) 割合は、表示された年の関連するそれぞれの構成比を反映している。
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D.3.2.2. アフリカ、カリブ海および太平洋地域(「ACP」)諸国
2022年 2021年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
アフリカ地域 1,084,015 71,503 1,012,512
セネガル 715,385 285,879 429,506
ギニア 437,279 129,870 307,409
マダガスカル 417,192 243,216 173,976
ザンビア 405,670 144,950 260,720
ケニア 372,528 176,511 196,017
ベナン 365,072 76,847 288,225
ガーナ 277,255 27,482 249,773
マラウイ 217,983 95,643 122,340
ドミニカ共和国 176,438 49,618 126,820
モザンビーク 176,127 76,127 100,000
ナイジェリア 175,000 0 175,000
ルワンダ 167,000 0 167,000
カメルーン 157,961 51,961 106,000
チャド 156,200 0 156,200
コートジボワール 152,700 102,421 50,279
ニジェール 151,677 31,677 120,000
レソト 151,053 69,053 82,000
アンゴラ 150,000 4,039 145,961
タンザニア連合共和国 136,170 95,622 40,548
ACP地域 130,000 0 130,000
ウガンダ 103,861 103,861 0
ブルキナファソ 100,591 47,591 53,000
マリ 88,747 37,797 50,950
フィジー 70,317 7,915 62,402
ブルンジ 70,000 62,500 7,500
ガンビア 65,000 21,442 43,558
西アフリカ地域 63,099 63,099 0
バルバドス 59,755 10,000 49,755
リベリア 56,980 36,980 20,000
パプア・ニューギニア 54,199 32,815 21,384
カーボベルデ 49,496 49,496 0
モーリタニア 42,708 5,584 37,124
エチオピア 40,000 31,000 9,000
セーシェル 36,635 24,135 12,500
エスワティニ王国 36,400 31,729 4,671
サントメ・プリンシペ 32,940 1,000 31,940
コンゴ 30,394 4,394 26,000
コンゴ民主共和国 23,723 23,723 0
セントルシア 13,500 0 13,500
トーゴ 13,174 13,174 0
ナミビア 8,503 8,503 0
モーリシャス 3,173 3,173 0
カリブ海地域 3,112 3,112 0
ドミニカ 1,554 1,554 0
ベリーズ 1,095 1,095 0
220 220 0
ボツワナ
7,241,881 2,358,311 4,883,570 1.29% 1.09%
小計
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D.3.2.3. アジア
2022年 2021年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
3,603,277 1,937,941 1,665,336
インド
2,372,029 1,158,827 1,213,202
中国
634,400 184,038 450,362
バングラデシュ
332,199 113,025 219,174
ウズベキスタン
292,569 48,229 244,340
ネパール
264,894 7,049 257,845
カザフスタン
234,240 80,890 153,350
カンボジア
201,950 156,450 45,500
ベトナム
178,942 71,677 107,265
ラオス人民民主共和国
167,000 0 167,000
アジア地域
145,738 95,738 50,000
スリランカ
112,000 51,000 61,000
キルギス
106,729 68,366 38,363
タジキスタン
105,019 50,496 54,523
モルディブ
79,172 60,162 19,010
モンゴル
50,000 0 50,000
パキスタン
20,000 0 20,000
中央アジア地域
8,900,158 4,083,888 4,816,270 1.59% 1.48%
小計
D.3.2.4. 潜在的候補国
2022年 2021年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
232,800 32,800 200,000
コソボ
232,800 32,800 200,000 0.04% 0.40%
小計
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D.3.2.5. ラテンアメリカ諸国
2022年 2021年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
2,087,892 1,260,426 827,466
ブラジル
839,290 483,780 355,510
ラテンアメリカ地域
797,942 439,784 358,158
エクアドル
617,661 197,580 420,0 81
アルゼンチン
299,961 171,291 128,670
ニカラグア
283,721 283,721 0
メキシコ
275,029 228,151 46,878
パナマ
210,013 116,257 93,756
ペルー
200,000 0 200,000
チリ
193,137 0 193,137
コロンビア
157,160 97,869 59,291
パラグアイ
115,936 95,434 20,502
ボリビア
81,072 71,542 9,530
ホンジュラス
60,253 60,253 0
コスタリカ
37,503 9,778 27,725
エルサルバドル
6,256,570 3,515,866 2,740,704 1.11% 0.87%
小計
D.3.2.6. 欧州自由貿易連合 ( EFTA ) 加盟国
2022年 2021年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
977,893 841,493 136,400
ノルウェー
547,369 547,369 0
アイスランド
48,192 13,992 34,200
スイス
1,573,454 1,402,854 170,600 0.28% 0.32%
小計
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D.3.2.7. 地中海沿岸諸国
2022年 2021年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
7,480,135 4,317,891 3,162,244
エジプト
5,171,232 3,407,577 1,763,655
モロッコ
2,617,522 1,582,112 1,035 ,410
チュニジア
1,528,810 829,036 699,774
ヨルダン
1,250,253 707,528 542,725
イスラエル
1,141,729 349,573 792,156
レバノン
399,439 89,857 309,582
パレスチナ
266,250 266,250 0
アルジェリア
55,949 55,949 0
シリア・アラブ共和国
54,664 21,664 33,000
地中海沿岸地域
38,500 0 38,500
北アフリカ地域
20,004,483 11,627,437 8,377,046 3.56% 3.51%
小計
D.3.2.8. 海外の属国および属領(OCT)
2022年 2021年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
49,103 49,103 0
ニューカレドニア
45,103 15,470 29,633
シント・マールテン
11,346 11,346 0
仏領ポリネシア
105,552 75,919 29,633 0.02% 0.02%
小計
D.3.2.9. 東欧諸国、南コーカサス諸国およびロシア
2022年 2021年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
1,669,535 1,053,500 616,035
ジョージア
405,222 45,222 360,000
ベラルーシ*
365,254 247,795 117,459
アルメニア
13,799 13,799 0
ロシア連邦*
3,305 3,305 0
アゼルバイジャン
2,457,115 1,363,621 1,093,494 0.44% 1.71%
小計
* ベラルーシの実行済エクスポージャー総額は45百万ユーロ(2021年:173百万ユーロ)である。この金額のうち、36百
万ユーロは外部貸付マンデートの下での欧州連合の包括保証で担保されており、9百万ユーロはEU域外貸付マンデー
トの下でのEU政治リスク保証でカバーされる。さらに360百万ユーロが未実行の契約済事業において確約されてお
り、このうち、10百万ユーロのみEIBが自己リスクを負うことが見込まれるが、EU域外貸付マンデートの下でのEU政
治リスク保証でカバーされる。EIBによるロシア連邦の借手への実行済エクスポージャー総額は14百万ユーロ(2021
年:16百万ユーロ)であるが、EIBが自己リスクを負うエクスポージャーはない。EIBはロシア連邦に適用されるEUの
政策ガイドラインを引き続き遵守している。
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D.3.2.10. 英国
2022年 2021年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
28,118,931 27,875,963 242,968
英国
28,118,931 27,875,963 242,968 5.0 1% 5.87%
小計
D.3.2.11. 南アフリカ
2022年 2021年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
597,550 375,550 222,000
南アフリカ
597,550 375,550 222,000 0.11% 0.11%
小計
欧州連合域外のプロジェクトに対す
98,088,028 69,028,921 29,059,107 17.48% 18.01%
る貸付金合計
(1)
561,269,644 437,237,745 124,031,899 100.00%
2022年貸付金合計
(1)
556,393,794 433,416,503 122,977,291 100.00%
2021年貸付金合計
(1) 代替貸付金(注B.2およびD.1)を含み、分割貸付債権(2022年:167百万ユーロ、2021年:473百万ユーロ)を除
く。
D.4. 保証業務に係る引当金
グループが付与した保証に係る引当金は、受益者に対して支払義務を負うと見込まれる損失に対応
して認識されている。2022年12月31日現在、こうした引当金は99,634千ユーロにのぼる(2021年:
39,332千ユーロ)。
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注E: グループの構成、株式、その他の変動利付証券および参加持分
E.1. グループの構成
欧州投資基金
欧州投資基金(「EIF」)は、1994年6月14日にルクセンブルクで国際金融機関として設立された。
登記上の事務所所在地は、37B, avenue J.F.Kennedy, L-2968 Luxembourgである。
EIFの主要任務は、十分な自己資本利益率を提供しつつ、以下を通じて欧州連合の目的追求に貢献す
ることである。
- 金融機関に対する中小企業(「SME」)向け融資保証の提供
- 持分投資の取得、保有、運用および処分
- 第三者から受託した特別財源の管理
- 関連業務
EIFの株式資本は普通株式のみで構成され、EIBはEIFの普通株式を直接的に保有しており、保有する
所有持分割合は、EIBが保有する議決権に等しい。EIFの設立国または登記国は、主たる事業所の所在
地でもある。
EIF株主総会におけるEIFの2021年2月の増資の承認の結果、EIFの授権資本は2021年度中に額面百万
ユーロの新株2,870株の発行を通じて、45億ユーロから74億ユーロに増加した。
新株の発行は、以下に詳述するように1応募期間で応募が可能な1回の応募で行われた。応募され
た新授権株式は、その額面金額の20%について払込が行われている。残りの80%は、EIF株主総会の決
定を受けて払込請求を行うことができる。この増資において応募された新授権株式についての申込価
格は、新規発行株式の払込部分を含んだ435,970.88ユーロと決定された。この金額は、リプレースメ
ント・シェア・パーチェス・アンダーテイキング(「RSPU」)の算式によって、外部監査人のレ
ビューを受けた2020年9月30日現在のEIFの財務データに基づいて算定された。EIF定款第5条に沿っ
て、EIFの各株主は、当該増資前で当該株主が引き受けた株数とEIFの全応募済株数との間の比率に対
応して、増資の一部に対して応募する権利を有していた。その結果として、EIBは2021年2月に約736
百万ユーロで、その比例配分部分である1,689株について応募した。
EIBは、EIFの応募済資本金73億ユーロ(2021年:73億ユーロ)の59.40%(2021年:59.40%)を保
有している。
2022年度に、EIBはEIF株式の他の投資家からの購入も、他の投資家への売却も行わなかった。その
結果、2022年12月31日現在、EIBはEIFの株式を4,336株保有している。
2021年度中、欧州委員会(「EC」)が保有するEIFの応募済株式に関するRSPUは解除されたが、EC以
外のEIFの少数株主からの応募済株式に関するRSPUは依然として有効である。
この結果、これらの少数株主が引き受けたEIF株式774株について、EIBはRSPUに基づき、これらの株
式を1株当たり542,329.82ユーロで随時買い取る旨申し入れている。この価格は、EIF払込請求済資本
金に、資本剰余金勘定、法定準備金、留保利益、公正価値準備金および当期純利益を加えて当期配当
金を調整した値の1株当たり金額に相当する。合意された算式が、オプションが行使される会計年度
のEIFの承認済かつ監査済年次財務書類に適用されている。
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オフ・バランスシートに表示されているEIFの少数株主グループに付与されたプット・オプションの
名目金額419,763千ユーロ(2021年:340,341千ユーロ)は、国際財務報告基準に準拠して作成された
2021年度のEIFの監査済法定決算書に基づいて計算されている。
E.2. 株式、その他の変動利付証券および参加持分(単位:千ユーロ)
参加持分 株式およびその他の変動利付証券
プライ
プライ
ベート・
ベート・ 持分
エクイティ
エクイティ 投資基金お
その他の
その他の
(2) (4)
よび
および
および
EBRD持分 合計
(3)
持分投資
投資
インフラ
ベンチャー・
ベンチャー・
(1)
キャピタル
キャピタル
基金
(1)
(1)
事業
事業
取得原価:
364,955 6,536,661 157,500 3,018,393 264 0 9,712,818
2022年1月1日現在
(5)
86,799 1,422,915 0 954,579 1,145 72,823 2,451,462
当期取得額
(5)
-43,745 -1,412,280 0 -355,091 0 0 -1,767,371
売却/満期
408,009 6,547,296 157,500 3,617,881 1,409 72,823 10,396,909
2022年12月31日現在
評価損益:
-19,932 -395,049 0 -94,272 0 0 -489,321
2022年1月1日現在
-3,826 -104,000 0 -25,977 0 3,682 -126,295
当期取得額
2,400 89,534 0 41,778 0 -3,682 127,630
当期減少額
-21,358 -409,515 0 -78,471 0 0 -487,986
2022年12月31日現在
純帳簿価額:
386,651 6,137,781 157,500 3,539,410 1,409 72,823 9,908,923
2022年12月31日現在
345,023 6,141,612 157,500 2,924,121 264 0 9,223,497
2021年12月31日現在
(1) オフ・バランスシートで開示されている契約済の未実行額は、それぞれ次のとおりである。
株式およびその他の変動利付証券に関連して:
・ プライベート・エクイティおよびベンチャー・キャピタル事業に対して4,824,700千ユーロ(2021年:
4,948.960千ユーロ)
・ 持分投資基金およびインフラ基金に対して3,435,704千ユーロ(2021年:3,203,307千ユーロ)
参加持分に関連して:
・ プライベート・エクイティおよびベンチャー・キャピタル事業に対して483,923千ユーロ(2021年:576,951千
ユーロ)
(2) 157,500千ユーロ(2021年:157,500千ユーロ)は、欧州復興開発銀行(「EBRD」)の資本金に対するEIBの応募額
900,440千ユーロに係る2022年12月31日現在のEIBの払込資本である。
(3) 72,823千ユーロは、インベストEUプログラムに関連してEIFによって展開されるプライベート・エクイティ業務に関
して支払われた純額に相当する。これらの業務は、欧州委員会が代表するEUによって全額が保証されている。後者
は、これらの持分投資業務から生じる上振れリスクおよび下振れリスクにさらされているに対して、グループは資
金調達コストをカバーするために、最終的には利息部分のみを留保している。したがって、経済的およびリスクの
観点からは、グループはEU保証の受益者として、最終的には欧州委員会の信用リスクにさらされており、原投資に
起因する株式リスクにはさらされていない。かかる業務のEC保証を無視した公正価値は、69,140千ユーロである。
その他の投資に関連して、開示された契約済未実行のオフ・バランスシートの金額は、651,129ユーロ(2021年:0
千ユーロ)である。
(4) 合計額は、株式およびその他の変動利付証券のみを含む。
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(5) 「当期取得額」および「売却/満期」の金額には為替変動が含まれている。
2022年12月31日現在、 EIBは、EBRDの応募済資本金の3.03%(2021年:3.03%)を所有している。
国際財務報告基準に準拠して作成されたEBRDの監査済2021年度財務書類に基づいた、EBRDにおけるEIB
の正味資本持分は616百万ユーロである。
持分比率(%) 自己資本合計 純損益合計 資産合計
(単位:百万ユーロ)
3.03 20,345 2,502 74,773
EBRD(2021年12月31日)*
* データはEBRDの最新の監査済財務書類に基づいている。
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注F: 無形・有形資産(単位:千ユーロ)
ルクセン 家具備品
土地 有形資産合計 無形資産合計
ブルクの建物 および設備
取得原価:
2022年1月1日現在 20,145 410,649 71,411 502,205 79,620
当期取得額 0 11,385 28,192 39, 577 41,455
0 0 -26,152 -26,152 -18,148
当期除却額
20,145 422,034 73,451 515,630 102,927
2022年12月31日現在
減価償却 / 償却累計額
2022年1月1日現在 0 -216,134 -43,384 -259,518 -21,212
当期減価償却/償却額 0 -9,792 -22,975 -32,767 -29,696
0 0 26,152 26,152 18,148
当期除却額
0 -225,926 -40,207 -266,133 -32,760
2022年12月31日現在
帳簿価額:
20,145 196,108 33,244 249,497 70,167
2022年12月31日現在
20,145 194,515 28,027 242,687 58,408
2021年12月31日現在
ルクセンブルクの建物には、新棟の建設に係る原価79,305千ユーロ(2021年:67,920千ユーロ)が
含まれており、新棟は、2025年に完成予定である。
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注G: その他の資産およびその他の負債(単位:千ユーロ)
その他の資産 2022年12月31日 2021年12月31日
デリバティブの公正価値 128,737 18,124
未収金およびその他債権 62,058 78,202
未収EGF管理報酬 56,041 26,440
保証履行請求債権 55,811 12,831
前払給与および手当 2,264 2,985
2,159 3,091
その他
307,070 141,673
合計
その他の負債 2022年12月31日 2021年12月31日
(*)
英国への資本の未払払戻金 2,595,904 2,895,904
任意補足年金制度(注L) 848,290 792,891
ファースト・ロス一部負担金 233,227 202,171
未払金およびその他債務 113,953 95,935
未払人件費 103,082 104,190
貸付金の未達勘定 99,031 35,601
マンデートに基づく未払金 49,482 44,856
(**)
重債務貧困国(HIPC)イニシアチブに係る未払費用 13,596 13,596
デリバティブの公正価値 576 10,606
西バルカン諸国のインフラ基金 97 393
66,570 68,941
その他
4,123,808 4,265,084
合計
(*) グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国の欧州連合および欧州原子力共同体からの離脱協定の第150(4)条
および2020年6月10日付理事会決定(EU)2020/769による修正に従い、EIBは払込請求済資本金の35億ユーロを2020年
10月15日より開始する12回の分割により毎年英国に支払う(最初の11回の分割払いは各300,000,000ユーロで最終回
の支払いは195,903,950ユーロ)。2020年10月15日、2021年10月15日および2022年10月14日に期日を迎えた分割金は
全額が決済された。
(**) 重債務貧困国(「HIPC」)イニシアチブ
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注H: 応募済資本金、グループ自己資本および前年度利益の処分(単位:千ユーロ)
H.1. 連結自己資本および前年度利益の処分
連結自己資本変動計算書 2022年 2021年
資本金:
(2)
- 応募済資本金
248,795,607 248,795,607
(2)
- 払込未請求資本金 -226,604,892 -226,604,892
- 払込請求済資本金 22,190,715 22,190,715
準備金および当期純利益:
準備基金:
- 期首残高
24,879,561 24,328,415
(1)
- 前年度利益処分額 0 551,146
- 期末残高
24,879,561 24,879,561
その他準備金:
- 期首残高
12,776,663 11,888,087
(1)(3)
- 前年度利益処分額
4,402,563 897,203
(4)
- 所有持分の変動 -3,158 -8,627
- 期末残高
17,176,068 12,776,663
特別活動準備金:
- 期首残高
12,152,954 11,736,896
(1)
- 前年度利益処分額 -1,849,738 416,058
- 期末残高
10,303,216 12,152,954
一般貸倒準備金:
- 期首残高
2,021,337 2,135,891
(1)
- 前年度利益処分額 94,629 -114,554
- 期末残高
2,115,966 2,021,337
2,460,190 2,647,454
EIB株主に帰属する当期純利益
79,125,716 76,668,684
EIB株主に帰属する連結自己資本合計
少数株主に帰属する持分 2022年 2021年
- 1月1日現在の残高
1,470,684 932,916
- 準備金の変動
-370 482,617
- 少数株主への配当金支払額
-5,737 0
- 当期損益処分 65,917 55,151
1,530,494 1,470,684
12月31日現在の少数株主に帰属する持分合計
(1) 2022年4月22日、総務会は、2021年12月31日終了年度のEIBの当期純利益2,565,998千ユーロをその他準備金、特別
活動準備金および一般貸倒準備金に繰り入れることを決定した。一般貸倒準備金または特別活動準備金からの取崩
し/への繰入れが生じているが、これは基礎的業務のリスクの動きに伴うものである。
(2) 注H.2を参照のこと。
(3) EIBの法定利益とグループの連結当期純利益との差額(81,456千ユーロ)は、「EIB株主に帰属するその他準備金」
に配分された。
(4) この残高は、EIFの連結ならびにEIF株式の購入/応募および売却に関連するものであった。
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H.2. 払込請求済だが払込未済の応募済資本金および準備金
「払込請求済だが払込未済の資本金および準備金」として貸借対照表に表示されている799,248千
ユーロは、2020年3月1日の非均衡的増資の結果の、加盟国であるポーランドおよびルーマニアから
の未収額を含んでいる。払込請求済の応募済資本金および準備金への拠出は、それぞれ0.5百万ユーロ
および1.1百万ユーロであった。当該加盟国から支払われる総額は、10回の均等分割により半年ごとに
支払われ、2020年12月31日、2021年6月30日、2021年12月31日、2022年6月30日、2022年12月31日、
2023年6月30日、2023年12月31日、2024年6月30日、2024年12月31日および2025年6月30日に支払期
日を迎える。
2022年12月31日までに期日を迎えた分割金は全額が決済された。
2022年12月31日 2021年12月31日
払込請求済だが払込未済の応募済資本金
(ポーランドおよびルーマニア)
245,790 344,106
払込請求済だが払込未済の準備金
(ポーランドおよびルーマニア) 553,458 774,842
合計 799,248 1,118,948
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注I: 前払金および未収収益ならびに未払金および繰延収益(単位:千ユーロ)
2022年12月31日 2021年12月31日
前払金および未収収益
通貨スワップ契約に係る外国為替変動の影響 9,479,121 7,305,157
未収利息および手数料 7,101,329 6,639,214
繰延借入およびスワップ費用 723,463 370,279
委託の受取手数料 217,828 220,451
(*)
スワップに係る未収償還プレミアム 21,581 28,774
1,413 1,945
その他
17,544,735 14,565,820
合計
2022年12月31日 2021年12月31日
未払金および繰延収益
通貨スワップ契約に係る外国為替変動の影響 8,813,681 5,472,236
未払利息および手数料 7,826,213 7,392,104
繰延借入およびスワップ収入 1,410,707 1,606,502
(*)
スワップに係る未払償還プレミアム 322,653 370,728
貸付金および保証に係る繰延収益 297,451 292,267
前受運用報酬 242,097 241,673
前受利子補助金 128,426 92,233
1,433 2,912
その他
19,042,661 15,470,655
合計
(*) スワップの未収および未払に係る償還プレミアムは、そのような特性が盛り込まれた契約に係る原スワップ契約の
最終支払額を示す。
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注J: 金融機関および顧客に対する債務(単位:千ユーロ)
J.1. 金融機関に対する債務
2022年12月31日 2021年12月31日
要求払 2,371,014 4,777,422
- 翌日物預金
2,371,014 4,777,422
期日払または通知払 3,071,084 18,895,071
- 短期預かり金
6,003 178,248
- 金融機関とのレポ取引
3,065,081 5,716,823
(1)
0 13,000,000
- 中央銀行からの借入金
5,442,098 23,672,493
合計
(1) この金額は、ECBの金融政策オペレーションへのEIBの参加を表す。
J.2. 顧客に対する債務
2022年12月31日 2021年12月31日
要求払 1,433,117 1,645,154
- 翌日物預金
46 163
- 欧州連合および加盟国口座
- 特別部門業務および関連未決済金額に係るもの
395,981 412,934
- 預金口座
1,037,090 1,232,057
期日払または通知払 57,543 175,542
57,543 175,542
- 短期預かり金
1,490,660 1,820,696
合計
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注K: 債務証書借入(単位:千ユーロ)
財務活動におけるグループの目標の1つとして、特に通貨に関し、その資金調達戦略を貸付金供与
に要する資金と合致させることが挙げられる。「債務証書借入」の項には、「負債証券」(一般投資
家に対して公募した有価証券)および「その他」(私募)が含まれる。下表は、2022年12月31日およ
び2021年12月31日現在の債務残高の通貨別内訳、ならびに平均利率と満期日(最短/最長)をまとめ
たものである。
2022年 2021年
平均利率 平均利率
12月31日 満期日 12月31日
支払通貨
(*) (*)
2022年 2021年
現在残高 現在残高
ユーロ 251,275,921 1.29 2023/2061 246,913,410 1.30
米ドル 100,421,872 2.11 2023/2058 105,073,224 1.48
英ポンド 37,274,935 2.97 2023/2054 43,705,819 2.15
豪ドル 10,025,515 2.32 2023/2040 9,703,908 2.59
ポーランド・ズロチ 6,868,484 4.05 2023/2037 6,169,375 2.23
カナダ・ドル 5,325,718 2.15 2023/2045 4,765,848 2.10
スウェーデン・クローナ 5,094,499 1.58 2023/2040 6,234,940 1.41
ノルウェー・クローネ 4,118,397 2.64 2023/2037 5,541,206 1.77
スイス・フラン 3,918,655 1.96 2023/2036 4,179,005 1.90
南アフリカ・ランド 2,138,328 8.00 2023/2035 2,331,323 7.75
日本円 1,374,409 2.27 2023/2053 1,520,384 1.46
メキシコ・ペソ 1,219,817 6.00 2023/2028 1,174,850 6.35
デンマーク・クローネ 783,185 0.87 2024/2031 783,195 0.70
ニュージーランド・ドル 550,661 3.21 2023/2028 271,428 2.57
人民元 499,851 2.82 2023/2026 472,292 2.56
チェコ・コルナ 362,397 4.18 2023/2034 339,828 2.52
トルコ・リラ 248,852 10.59 2023/2027 677,022 10.41
ロシア・ルーブル 85,960 3.89 2024/2026 140,679 4.75
ハンガリー・フォリント 53,134 9.06 2024/2025 17,065 3.25
香港ドル 36,074 0.53 2025/2025 79,246 0.41
20,810 2.23 2026/2026 20,812 2.23
ルーマニア・レイ
431,697,474 440,114,859
合計
(*) 貸借対照表日現在の加重平均利率
仕組借入の中には、その元本および利息が株価指数に連動しているものもある(実行時の価額:
2022年は500百万ユーロ、2021年は500百万ユーロ)。かかる借入金はすべて、仕組スワップ・オペ
レーションにより十分にヘッジされている。
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下表は、2022年度および2021年度の債務証書借入の変動を示したものである。
2022年 2021年
(単位:百万ユーロ)
1月1日現在の残高 440,115 435,264
当期発行額 84,649 100,348
契約に基づく償還 -96,370 -106,974
期限前償還および買戻し -679 -735
3,983 12,212
為替差額
431,698 440,115
12月31日現在の残高
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注L: 引当金-年金制度および健康保険制度(単位:千ユーロ)
グループの主な年金制度は職員とグループからの拠出金を原資とする確定給付年金制度で、全職員
が対象とされている。グループおよびその職員の全拠出額がグループの資産へ投資されている。
年金制度および健康保険制度の引当金は、以下のとおりである(単位:千ユーロ)。
2022年 2021年
職員年金制度:
1月1日現在の引当額 3,919,077 3,315,119
期中支給額 -88,680 -85,433
保険数理損失の認識 57,232 479,391
240,351 210,000
年間の拠出金および利息
4,127,980 3,919,077
職員年金制度小計
経営委員会年金制度
経営委員会年金制度 40,750 38,932
保険数理損失の認識 1,528 4,110
3,313 3,164
年間の拠出金
45,591 46,206
経営委員会年金制度小計
健康保険制度:
1月1日現在の引当額 544,968 461,870
期中支給額 -31,000 -27,680
保険数理損失の認識 14,777 60,142
49,612 50,636
年間の拠出金および利息
578,357 544,968
健康保険制度小計
4,751,928 4,510,251
12月31日現在引当金合計
上記金額は、任意補足年金制度(確定拠出年金制度)加入者への債務を含んでいない。それに対応
する債務848百万ユーロ(2021年:793百万ユーロ)は、「その他の負債」(注G)に分類されている。
最新の経済環境の動向、特に金利やインフレ率の上昇は、確定給付債務の計算に用いる仮定に影響
を与えた。確定給付債務の見積りに用いる主な仮定の詳細は以下のとおりである。
将来の退職給付および健康保険給付に対する引当金は、2022年9月30日現在の加入者データおよび
2022年12月31日までのキャッシュ・フローに基づいて、2022年12月31日付で、独立した保険数理士に
より、予測単位積立方式を用いて評価された。この保険数理評価は、2022年12月31日現在の実勢市場
金利および以下の(職員年金制度および健康保険制度に関する)仮定に基づいて2022年12月31日付で
更新された。
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・ 21.04年(2021年:25.5年)の期間に対応する年金制度および健康
保険制度における未払給付の保険数理上の現在価値を算定するた
めの割引率 3.88 %(2021年:1.35%)
・ グループは、退職給付準備金の報酬率を上記割引率3.88%に1.5%
(2021年:1.5%)上乗せしたものに設定されると見込んでいる。
・ 55歳から65歳までの間に段階的退職が予想され、NRA(通常の退職
年齢)に依存する(2021年:同一の仮定)。
・ 物価および賃金の平均的上昇率 3.3 %(2021年:3.5%)
・ 予想年間退職率 27 %から1%(2021年:
27%から1%)で、年齢と
ともに低下
・ 年金調整率(年) 2.3 %(2021年:1.75%)
・ 2022年まで予測したICSLT生命表 2018 年度版を使用(2021
年:2021年まで予測した
ICSLT生命表2018年度版)
・ 医療費上昇率(年) 4.3 %(2021年:3.75%)
このようなスキームのための引当金は、上記の表のとおり、保険数理評価に従って、必要に応じて
調整される。
2022年12月31日現在の年金制度および健康保険制度の数理計算上の評価額は1,044,397千ユーロ
(2021年:4,113,082千ユーロ)の未認識損失であり、そのうち514,756千ユーロ(2021年:3,250,748
千ユーロ)は10%の回廊を超えて計上され、2022年の連結損益計算書に計上された償却費総額は
73,537千ユーロ(2021年:543,644千ユーロ)となった。
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注M: 当期純利益
2022年12月31日終了年度の法定損益計算書に計上された当期純利益2,366,337千ユーロの処分案は、
承認を受けるため2023年4月25日までに総務会に提出される。当事業年度のEIB剰余金の処分案の詳細
については、EIBの財務書類の前書き(訳注:本報告書の「第3 発行者の概況-(4) 業務の概況-①
業務-ニ)業績」に抜粋されている。)を参照のこと。
注N: 受取利息および類似収益ならびに支払利息および類似費用
N.1. 正味受取利息(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
受取利息および類似収益:
現金、中央銀行および郵便局預け金 404 0
中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期証券ならびに確定利付証
券を含む負債証券 356,845 194,911
金融機関および対顧客貸付金および預け金 7,695,098 5,954,381
デリバティブ 10,490,333 10,189,276
有利子負債に係るマイナス金利 135,574 130,677
5,951 4,449
その他
18,684,205 16,473,694
合計
支払利息および類似費用:
金融機関および顧客に対する債務 -12,973 -1,943
債務証書借入 -7,483,457 -7,134,932
デリバティブ -7,766,282 -5,583,363
利付資産に係るマイナス金利 -252,807 -411,488
-181,043 -153,760
その他
-15,696,562 -13,285,486
合計
2,987,643 3,188,208
正味受取利息
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N.2. 受取利息および類似収益の国別分析(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
欧州連合加盟国
ポーランド 838,559 485,490
スペイン 819,323 759,172
フランス 576,209 448,293
イタリア 524,483 424,709
ギリシャ 426,007 449,134
ドイツ 366,921 296,209
オーストリア 274,323 255,564
ハンガリー 233,410 130,417
オランダ 189,118 159,011
ベルギー 172,338 150,872
スウェーデン 159,806 124,909
ポルトガル 137,956 145,230
チェコ共和国 114,166 31,005
アイルランド 92,695 87,233
ルーマニア 80,396 69,850
フィンランド 71,792 66,435
スロバキア 70,406 66,574
クロアチア 49,791 48,123
スロベニア 40,042 39,729
ブルガリア 38,055 38,922
デンマーク 31,281 18,151
リトアニア 17,466 18,174
ラトビア 16,023 14,475
キプロス 15,833 9,356
マルタ 8,091 9,199
エストニア 7,052 4,173
2,409 19,964
ルクセンブルク
5,373,951 4,370,373
欧州連合加盟国の合計
2,046,685 1,573,979
欧州連合域外
7,420,636 5,944,352
国別分析の対象の収益合計
(1)
11,263,569 10,529,342
国別分析の対象外の収益
18,684,205 16,473,694
受取利息および類似収益の合計
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(1) 国別分析の対象外の収益:
・ 長期HQLAポートフォリオ、代替貸付金およびEIFの
ABSポートフォリオからの収益 252,450 147,472
・ 有価証券流動性ポートフォリオおよびEIF運用ポートフォリオ
からの収益 43,368 36,322
・ 短期金融市場証券からの収益 61,022 11,104
・ その他有価証券からの収益 5 13
・ 短期投資およびその他の事業からの収益 410,440 140,706
・ デリバティブからの収益 10,490,333 10,189,276
5,951 4,449
・ その他
11,263,569 10,529,342
注O: 受取手数料および支払手数料(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
受取手数料:
保証手数料 256,243 210,162
EGFの手数料 86,786 46,596
EFSIの手数料 39,993 45,052
インベストメント・ファシリティ「コトヌー」の手数料 36,994 55,682
貸付金手数料収益 32,589 35,014
Jaspers手数料 28,688 27,214
InnovFinの手数料 17,737 18,157
Jeremie/ESIFの手数料 14,211 12,778
近代化基金の手数料 12,080 9,268
インベストEUアドバイザリー・ハブの手数料 11,247 0
RRFの手数料 10,709 0
(**)
DFIsの手数料(2014年から2020年、2021年から2027年) 9,995 7,545
(**)
Fiコンパスの手数料 5,463 5,359
(**)
信託基金管理報酬に係る手数料 5,172 4,109
(**)
イノベーション基金の手数料 4,639 1,466
コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティの手数料 4,581 1,926
(**)
JESSICA(保有基金)の手数料 3,841 3,987
近隣インベストメント・ファシリティの手数料 2,232 1,939
ヤウンデ/ロメ協定の手数料 1,150 1,250
(**)
85,686 86,197
その他の委託に係る手数料
(*)
670,036 573,701
受取手数料合計
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2022年 2021年
支払手数料:
保証人へのリスク報酬 -357,519 -410,647
-25,697 -23,730
その他の支払手数料
-383,216 -434,377
支払手数料合計
(*) 一定の委託について、グループは繰延収益のメカニズムを確立しており、手数料の収益認識にマイナス32,398千
ユーロ(2021年:マイナス11,546千ユーロ)の影響があった。
(**) 財務書類の可読性を向上させるため、項目間での組替が行われている。
注P: 金融業務損益(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
デリバティブの純損益 197,575 44,214
債務証書借入の買戻しに係る純損益 253 0
貸借対照表上のポジションの換算に係る純損益 -1,291 13,263
(*)
株式およびその他の変動利付証券に係る純損益 -38,916 27,272
-204,367 -32,791
負債証券ポートフォリオの純損益
-46,746 51,958
金融業務損益合計
(*) 2022年の合計には、注E.2に記載されているとおり、インベストEUプログラム保証から生じた3,682千ユーロが含まれ
ている。
注Q: その他の業務収益および費用の純額(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
過年度未使用引当金の戻入れ 4,179 4,276
賃貸料収益 89 78
6,209 -5,751
その他
10,477 -1,397
その他の業務収益および費用の純額合計
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注R: 一般管理費(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
(*)
給与および手当 -589,807 -547,408
福利厚生費およびその他人件費 -353,731 -824,249
人件費 -943,538 -1,371,657
-346,295 -288,287
その他の管理費
-1,289,833 -1,659,944
一般管理費合計
(*) このうち経営委員会委員に対する金額は、2022年12月31日現在が3,753千ユーロ、2021年12月31日現在は3,441千
ユーロである。
グループの職員数は、2022年12月31日現在、4,648名(2021年12月31日現在は4,412名)であった。
注S: オフ・バランスシートの借入債務支払に係る特別預け金
この項目は、グループが支払代理人に支払ったが、グループが発行した債券の保有者による支払い
のための提示がなされていない、期日到来済みのクーポンおよび債券の金額に相当する。
(*)
注T: 金融商品の公正価値
グループは貸借対照表日において、(有価証券流動性ポートフォリオを除き)負債の場合は受領
額、資産の場合は取得のための支払額を示す外貨建ての取得原価に基づき、貸借対照表の金融商品を
計上している。下表は、資産または負債に計上されている金融商品(主として貸付金、財務、有価証
券、借入)の公正価値と帳簿価額とを比較したものである。
(**)
帳簿価額
2022年12月31日現在(単位:百万ユーロ)
公正価値
金融資産:
現金、中央銀行および郵便局預け金 113 113
金融機関および対顧客貸付金および預け金(代替貸付金を除く) 484,920 461,583
短期国庫証券および負債証券ポートフォリオ(代替貸付金を含む) 33,005 31,760
10,296 18,893
株式、その他の変動利付証券および参加持分
528,334 512,349
金融資産合計
金融負債:
金融機関および顧客に対する債務 6,933 6,933
431,698 406,993
債務証書借入
438,631 413,926
金融負債合計
(*) デリバティブはこの表には含まれていない。注V.を参照のこと。
(**) 経過利息を含めた公正価値
(**)
帳簿価額
2021年12月31日現在(単位:百万ユーロ)
公正価値
金融資産:
現金、中央銀行および郵便局預け金 1,483 1,483
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金融機関および対顧客貸付金および預け金(代替貸付金を除く) 491,722 520,255
短期国庫証券および負債証券ポートフォリオ(代替貸付金を含む) 49,132 49,354
9,569 18,872
株式、その他の変動利付証券および参加持分
551,906 589,964
金融資産合計
金融負債:
金融機関および顧客に対する債務 25,493 25,393
440,115 478,602
債務証書借入
465,608 503,995
金融負債合計
(*) デリバティブはこの表には含まれていない。注V.を参照のこと。
(**) 経過利息を含めた公正価値
注U: リスク管理
本注記は、グループのリスクに対するエクスポージャーならびにその管理および統制についての情
報を、特に金融商品の使用に関連した主なリスクについて記載している。それらは以下のとおりであ
る。
(2)
- 信用リスク-決済リスク 等、顧客またはカウンターパーティーのデフォルトにより発生する
損失のリスクで、あらゆる形式の信用エクスポージャーから発生する。
- 金利リスク-グループの立場からは、金利に対する感応度の高い商品に影響を与える金利の不
利な変動から生じる経済価値または正味受取利息に対するリスク。金利リスクは、ギャップリ
スク、ベーシスリスクおよびオプションリスクを含む。
- 流動性および資金調達リスク-グループが合理的な価格により、あるいは、極端な状況下では
いかなる価格によっても、資金調達または義務の履行ができないリスク。
- 為替レートリスク-為替レートの不利な変動による、グループのポジションから得られる経済
価値または収益に対するリスク。
- オペレーショナル・リスク-不十分もしくは機能不全の内部プロセス、人員もしくはシステ
(3)
ム、または外部事象 に起因する損失リスク。
(2) 決済リスクとは、受渡期日を過ぎても決済されない取引や、適用される市場基準よりも後に決済され
る取引による潜在的な損失のリスクと定義される。グループの業務の性質上、決済リスクの影響を受
ける最も関連性の高い商品は、EIBが締結しているデリバティブのうち、外貨の授受をもたらすもの
である。決済リスクの管理は、財務リスク・ガイドラインの中で取り扱われている。
(3) 外部事象の定義からは、顧客の倒産や不利な市場の動き、または類似の事象は除外されており、これ
らは信用リスクおよびそれぞれの市場リスクのトリガーである。
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2022年には、リスクの管理とモニタリング専任のチームを含む職員は一部の期間テレワークで勤務
していた。このような業務に関連して、ポジション管理システムは、通常の状況下と同一の機能性
で、フロント・オフィス、ミドル・オフィスおよびバック・オフィスの職員に加えて、リスク管理の
職員もリモートモードで利用が可能であった。
U.1. リスク管理組織
グループ内の各事業体は、独自のリスクの管理および統制を実行している。本注記に記載するリス
ク管理情報はEIBとEIFを分けて表示する。
グループのリスク管理の概括的な原則は、EIBグループ・リスク管理憲章に示されている。グルー
プ・リスク管理憲章は、グループのリスクのグループ全体からの見方およびリスク管理の統合的なア
プローチを規定することを目的としている。
グループは、グループ最高リスク責任者(「GCRO」)の管理下となるグループ・リスク課を設置し
ている。総裁およびEIB経営委員会のそれぞれの法定責任が影響を受けることなく、GCROはグループ・
リスクについて、リスク担当の経営委員会委員の監督の下、EIB経営委員会に報告する。グループ・リ
スクに関連した主要なリスク方針の事項に関して、GCROはEIB経営委員会および他のEIBの統治機関の
関連するすべての会議に参加し、EIF理事会の関連する会議およびEIF経営陣との協議に招待される。
EIFは、GCROを通じてグループ・リスク事項をEIBに報告する。
グループ・リスク選好
リスク選好とは、グループがその公的使命と目的との関連において、業務の遂行の中で進んで負担
し、かつ負担できるリスクの水準である。EU加盟国(さらにはパートナーシップ参加国)全体に魅力
的な条件でEUの目的に適う長期資金を提供するグループの能力が、リスク選好の鍵となる。グループ
のビジネスモデルの主たる柱は、主要格付機関による長期格付でAAA格を維持することである。
グループがリスク選好を管理するために実施するプロセスおよび業務は、EIB理事会によって承認さ
れたグループ・リスク選好の枠組み(「RAF」)において正式に決定されている。グループRAFは、主
要な財務リスク(信用リスク、流動性リスク、市場リスク、財務リスクを含む)および以下の非財務
リスクのカテゴリーを取り扱っている。そのカテゴリーとは、(i) オペレーショナル(例:人、情報
セキュリティ、金融犯罪、テクノロジー、不正、コンプライアンス、モデルリスク)及び (ii) その
他(例:気候変動および環境、ならびに風評リスク)である。RAFには、測定可能なリスク選好指標の
導入およびモニタリングを通じてグループに健全なリスク文化を根付かせる作用があり、このリスク
選好指標にはリスク限度額が適用され、(場合により)グループ内の下位組織へと落とし込まれる。
グループは公的金融機関として、リスクに対する投機的エクスポージャーにより収益を獲得するこ
とを目指していない。そのため、グループは財務活動や資金調達活動を利益の最大化を図る中心的業
務とはみなしていない。投資活動は、投資資本の保護という主目的の範囲内で行われる。
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U.1.1. EIBのリスク管理組織
グループ・リスク選好の枠組みに記載されている原則の延長として、EIBの目的は、その資産、財務
的業績、ひいては自己資本を可能な限り最大限に守るため、リスクを分析・管理することでもある。
EIBは一般にEUの機関、機構および局によって発令または採択される商業銀行に適用される法や指針
(「EU法および指針」)の適用を受けないが、EIBはその任意の決定により、EIBが公表しているベス
ト・バンキング・プラクティスの指針的原則を含むベスト・バンキング・プラクティスの枠組みで特
定されるEU法および指針を遵守することとしている。
EIB内では、EIBのグループ・リスク・コンプライアンス部門(「GR&C」)は、EIBがさらされている
信用リスク、市場リスク、流動性および資金調達リスク、オペレーショナル・リスクを独立した立場
から特定、評価、モニタリングおよび報告する。GR&Cは、職務分掌を維持するために、そして3つの
防衛線の原則に従って、フロント・オフィスから独立した組織となっており、リスクに関するすべて
の提案に対して、セカンド・オピニオンを提供する。
以下の項では、EIBが自己のリスク負担において実施する活動の中でさらされる信用リスク、市場リ
スク、流動性および資金調達リスク、オペレーショナル・リスクについて開示している。詳細につい
ては、EIBグループ・リスク管理開示報告書を参照のこと。
U.1.1.1. リスクの測定および報告システム
EIBは、変化する経済情勢や進化する規制当局の基準に合わせて、リスク管理システムを調整してい
る。市場慣行が発達するにつれ、EIBも継続的にそれらを適応させている。EIBの業務に内在する主な
リスク、すなわち、信用リスク、金利リスク、流動性および資金調達リスク、為替レートリスクなら
びにオペレーショナル・リスクを統制し、報告するため、管理システムを導入している。
リスクは、EIBの支払能力、流動性、利益および業務への影響を定量化することを目的として、通常
の環境下および起こり得るストレス状態下で、評価・測定される。リスク測定では、資本構成、利
益、流動性、ならびに市場リスクおよび非財務リスクに対するエクスポージャーに関連した適切な指
標を考慮する。
信用リスク、市場リスク、流動性リスク、財務リスクおよびオペレーショナル・リスクに関する情
報は、経営委員会および理事会に対して毎月報告される。かかる情報は、経営委員会および理事会の
リスク方針委員会に対して定期的に報告・説明される。
(4)
EIBは、金利(IR)リスク(ギャップリスクおよびベーシスリスク )ならびにFXリスクを管理す
るための枠組みを整備している。EIBはIRおよびFXのポジションを日次でモニターし、事前承認された
限度内で管理している。
(4) 2022年には 「オプションリスク」 へのエクスポージャーに重要性はなかった。
オペレーショナル・リスクや財務リスクを招く新しい種類の取引はすべて、新商品委員会
(「NPC」)の承認を受けた上で改めて経営委員会(「MC」)の承認を取得することが義務付けられて
いる。
U.1.1.2. 収益の持続可能性および自己資金力
EIBの金利リスク戦略は、EIBの全体的な財務リスク管理で不可欠な部分を占めている。この方針
は、利益の安定性、自己資本の経済価値の保持、EIBの長期成長資金の自力調達に関する、EIBの主要
利害関係者の期待を反映した内容になっている。
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これらの目標を達成するため、金利リスク戦略は、一段の収益安定と全体的なリターンの拡大のた
めに、EIBの自己資本投資に関して、中・長期を対象期間とみなしている。実際には、このことはEIB
の 自己資本投資について4.5年から5.5年の目標デュレーションを生み出す投資プロファイルを定義す
ることによって達成される。
この関連において、資産・負債委員会(「ALCO」)は、金利リスク戦略の枠組みに関連する投資プ
ロファイルについて定期的なチェックポイントを実施する。
U.1.2. EIFのリスク管理組織
EIFの使命は、欧州連合の中小企業(「SME」)に関する目標の範囲内でSMEの設立、成長および発展
のための資金調達を支援することである。グループの両事業体のプライベート・エクイティ
(「PE」)業務、ベンチャー・キャピタル事業ならびにポートフォリオ保証、証券化およびマイクロ
ファイナンス(「GSM」)業務の大半は、EIFが管理・運営している。
EIFも、変化する経済情勢に合わせて、リスク管理システムを調整している。EIFの業務に内在する
主なリスクを統制し、報告するため、信用リスク、市場リスク、流動性リスクおよびオペレーショナ
ル・リスクの管理システムを導入している。EIFは、EIFのリスク・プロファイルがそのリスク選好の
枠組みに定められたパラメーターの範囲内に収まることを確実にするために、強固なリスク方針と手
法を維持している。
リスク管理は、EIFの企業文化に組み込まれており、EIFのすべての事業機能およびプロセスに浸透
した、(i) フロント・オフィス、(ii) 独立した立場のリスク課ならびに、(iii) 内部監査および外部
監査の3つの防衛線モデルに基づいている。事務総局の長が委員長を務める投資およびリスク委員会
(「IRC」)は、CEOおよび副CEOにあらゆる取引に関して助言を行う。最高リスク責任者が議長を務め
るポートフォリオIRCの定例会議はまた、EIFポートフォリオのリスクおよび投資関連の面、特に取引
格付変更の承認、減損および引当についての措置、関連する市場リスク事象および潜在的なストレス
のテストを監視する。リスクおよびポートフォリオ管理の措置は、EIFの監査役会が統括する保証プロ
セスの一部を構成する。
さらに、EIBグループとの関連で見た場合、EIFのリスク管理部門は、特に、グループ・リスク管理
憲章、ならびに保証・証券化業務、EIBのリスク資本財源マンデート(「RCR」)に基づくプライベー
ト・エクイティ業務、EIBグループ・リスク補完マンデート(「EREM」)に基づくEIBの様々な機会、
およびEIFの方針に関する一般的な問題に関連するグループのリスク・エクスポージャーについて、
EIBのグループ・リスク・コンプライアンス部門と定期的に連絡を取りながら業務を運営している。
EIFの財務管理は、両当事者が署名し、取引の選定、執行、決済および監視の実行をEIBの担当サー
ビス部署に委託する財務管理契約に基づき、全面的にEIBに委託されている。経営陣は、当該契約に付
属する財務ガイドラインに従う。運用上の短期流動性管理はEIFが行っている。
U.1.2.1. リスク評価 プライベート・エクイティ
プライベート・エクイティ業務では、EIFは、ファンド・オブ・ファンズの手法を採っており、広範
囲の投資家からの出資契約を促すため、主として独立した立場のチームが運用するビジネス・エン
ジェル、ベンチャー・キャピタル、プライベート・エクイティ・ファンドおよびメザニン・ファンド
への少数持分参加を行っている。EIFのプライベート・エクイティ事業には、すべての投資ステージ
(シード、アーリーステージ、レイトステージ、グロース等)にわたるベンチャー・キャピタル・
ファンドへの投資のほか、一般的にリスク・プロファイルの低いミッドマーケット・ファンドやメザ
ニン・ファンドへの投資も含まれる。
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EIFは、PE市場の動きに応じたPEファンド・ポートフォリオを設計し、運用し、モニタリングするた
めの一連のツールを、過去数年間かけて開発した。これらのツールはグループ内のモデルであるグ
レーディング・ベースト・エコノミック・モデル(「GEM」:格付に基づく経済モデル)に基づいてお
り、 これを使用することにより、EIFは各ファンドおよび各ファンド・ポートフォリオの評価、リス
ク、予想される将来のキャッシュ・フローとパフォーマンスの査定ならびに妥当性検査を改善するこ
とができる。EIFでは、取引チームが実施しリスク管理チームが審査した広範囲にわたるデューデリ
ジェンスの結果に基づき、エクイティ・スコアを割り当ててから、PEファンドと出資契約を交わして
いる。これらのファンドは、EIFのトランザクション・チームによって、基礎となるリスクのレベルに
応じた頻度と強度でモニターされ、エクイティ・スコアは、EIFのリスク管理チームによって年次でレ
ビューされる。
独自のITシステムと(フロント・オフィスからバック・オフィスに至るまでの)統合ソフトウェア
の開発に下支えされたこうした取り組みによって、投資判断プロセスならびにポートフォリオの財務
リスクと流動性の管理も改善され、特に将来を見据えた、およびストレス・テストに基づいた意思決
定が可能となる。
U.1.2.2. リスク評価 保証および証券化
EIFは、中小企業向け融資に従事する金融仲介機関に対し、ポートフォリオ保証を提供し、中小企業
の証券化取引に参加している。このようなリスクをとることにより、EIFは資金調達を容易にし、およ
び/またはオリジネーターの資本コストを削減し、ひいては条件の改善やSMEの金融アクセスの強化を
もたらす。
保証・証券化業務に関しても、EIFは過去数年間をかけて内部手法およびモデルを開発した。これ
は、市場のベスト・プラクティスに従って、ポートフォリオ保証と仕組金融取引を分析するためのも
のである。EIFは、その内部手法に準拠して、自らリスクを負担する新規の保証取引それぞれに内部格
付を割り当ててから、法律上正式に保証取引を行っている。この格付は、定量パラメーターだけでな
く定性面も考慮して、取引の信用の質(予想損失概念)を分析し集約するグループ内のモデルに基づ
く。このプロセスではその全領域において、フロント・オフィスがアクションを起こしリスク管理部
門がレビューを行うという、「4つの目」の原則が適用されている。
保証取引は、定期的に(少なくとも四半期ごとに)モニターし、その状況は、EIFのIRCが定期的に
見直している。その際、委員会は、業績次第で、内部格付の見直しをもたらすことがある。この後者
のプロセスはリスク管理部門によって開始され、フロント・オフィスが見直しを行う。
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保証ポートフォリオは、関連する会計原則に基づき、「モデルに基づいた価格」手法によって評価
される。ポートフォリオにおける取引の評価に対する主な影響は、当該資産に使用されている一時点
での累積デフォルト率の仮定の変化に起因する。
EIFのモニタリングは、潜在的な格付の悪化または改善を監視し、適切な取引の管理の基礎を提供す
る。
U.2. 信用リスク
信用リスクは主にグループの貸付業務および負債証券、譲渡性預金、銀行間の定期預金等の財務商
品ならびにグループのデリバティブおよび保証取引に関するものが含まれている。
デリバティブの使用に関する信用リスクについては、「デリバティブ」のセクション(注V)で分析
する。
EIBにおける信用リスクは、詳細な行内指針に沿って管理されている。こうした指針の目的は、信用
リスクの慎重な管理が確実に行われるようにする点にある。ある事業体がEIBの貸付業務のカウンター
パーティーとして認められるか否かは、定量的および定性的指標を用いた当該事業体の注意深い分析
および評価に基づくだけでなく、経験および専門家の判断にも依拠して決定される。同指針は、貸付
業務の債務者、保証人双方について最低限の信用の質の水準を定めており、許容される取引構造も特
定している。また、EIBの地位が十分に保護されるように、主要な法的条項や他の契約条件の点で貸付
契約が満たしていなければならない最低基準も、細かく定めている。貸付金ポートフォリオの分散
は、カウンターパーティー別限度額の枠組みおよび主要産業の業種別限度額によって支えられてい
る。複雑な貸付取引または仕組貸付取引に含まれる追加的なリスクの十分な分析、計量および軽減が
確実になされるように、特定の種類の業務に関して具体的で詳細な指針が策定され、これが一般指針
を補完している。リスクの分析にあたっては、EIBは内部格付制度を適用し、カウンターパーティーに
内部格付を付与している。
EIFは、法に基づく規定、およびEIF理事会の承認を受けた信用リスク運用指針、またはマンデート
に基づき定められた指針を受けた、保守的な方針の枠組み内で、エクスポージャーとリスクを管理し
ている。
信用リスク管理指針は、進化している業務環境および適用されるベスト・バンキング・プリンシプ
ルの変更を盛り込み、グループが受領する新たなマンデートに対応できるよう、定期的に調整されて
いる。
ロシアによるウクライナ侵攻に起因する不確実性と様々なリスクという一般的な背景にもかかわら
ず、現時点では貸付金ポートフォリオの信用の質は安定していると考えられている。EIBは厳格な
デューデリジェンス・プロセス、十分な水準の担保および保証に基づくリスク管理戦略や貸付金契約
に含まれる標準的な保護条項に依拠している。EIBは、その貸付金エクスポージャーに対して提供され
る担保や保証に加え、様々なマンデートの一環として提供される追加的な信用補完も享受している。
いずれの時点においても、EIBが供与する貸付金および保証の総額は、定款で定められたギアリング
比率(定款第16.5条)で制限されている。この比率を算出するために、EIBは欧州連合会計指令
(「AD」)の枠組みによるデータを使用している。2022年度末時点で、EIBの定款で定められたギアリ
ング比率は、EU会計指令準拠の個別財務書類に基づくと204.0%(2021年:202.7%)、EU会計指令準
拠の連結財務書類に基づくと207.8%(2021年:206.6%)であった(定款第16.5条に基づく上限は
250%)。
EIF保証ポートフォリオに関連する信用リスクは、注U.1.2.2に表示されている。
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U.2.1. 貸付金
貸付金に関する信用リスクを測定・管理するために、グループは一般に認められた基準に基づい
て、債務者の質および取引の構造、そして適当な場合は差し入れられた担保の質に応じて貸付業務の
格付を行っている。
未実行分も含めた2022年12月31日現在の貸付金ポートフォリオの債務者と保証人の構成を以下に分
析する。
下表は、グループが供与するプロジェクトに対する締結済貸付金を表示している(単位:百万ユー
ロ)。ただし、外部貸付マンデート(ELM)、持続可能な開発のための欧州基金(EFSD)、近隣・開
発・国際協力手段(NDICI)/持続可能な開発のための欧州基金プラス(EFSD+)およびコトヌー協定
に基づいて供与された欧州連合域外の貸付金のうち、欧州連合予算または加盟国(ACP諸国およびOCT
(*)
における貸付金の場合)の保証 によりグループが最終的に保護されるものを除く。
(*) こうした保証は、包括型(すべてのリスクが対象)か、または定義された政治リスク(送金の停止、
収用、戦争または市民暴動、契約違反時の裁判拒否)に限定されているかのいずれかである。
保証人
2022年の 2021年の
(1)
国 公共機関 銀行 企業
無保証
合計 合計
債務者
国 0 0 0 0 59,287 59,287 61,631
公共機関 32,376 23,674 338 200 90,650 147,238 145,123
銀行 37,488 20,563 14,18 7 12,640 31,577 116,455 116,690
7,713 4,950 6,198 35,150 116,023 170,034 166,110
企業
(2)(3)(4)(5)
77,577 49,187 20,723 47,990 297,537 493,014
2022年の合計
(2)(3)(4)(5)
77,858 49,958 22,781 50,423 288,534 489,554
2021年の合計
(1) これらの金額には、債務者の支払能力自体が妥当な担保となっているため、債務者および貸付金自体以外の正式な
保証が不要な貸付金も含まれている。所定の事由が発生した場合には、適切な契約条項により、グループが独立し
た担保を請求できる権利が確保されている。
(2) 2022年12月31日現在のリスク・シェアリング業務(加盟国保証または政治リスク保証の形でのEU予算により信用補
完されている)における貸付金は、2,193百万ユーロ(2021年:2,687百万ユーロ)であった。
(3) この金額に、契約済代替貸付金(2022年:17,414百万ユーロ、2021年:17,953百万ユーロ)は算入されていない。
(4) これらの金額は、現在の欧州連合加盟国が欧州連合への加盟を認定される前に供与された貸付金であって、欧州連
合予算または加盟国により保証されているものを除いている。
(5) グループは、EFSI SMEウィンドウおよび欧州保証基金に関連して、コミットメント総額が9,187百万ユーロ(2021
年:9,187百万ユーロ)を超えない資金供与枠を締結した。グループは、確定的なコミットメントがそれぞれの基礎
的なリスクを伴うカウンターパーティーとの間で締結され、資金供与枠の引出が予期される場合に、未実行エクス
ポージャーを認識する。
EIBおよびEIFの優先債権者の地位およびEIB定款による保護は、満期時におけるグループ資産の全額
回収を保証すると思われるため、グループは期末現在の欧州連合加盟国ソブリン債および欧州連合加
盟国ソブリン保証債のエクスポージャーに関して、2022年においても、2021年においても、評価損益
を計上しなかった。
下表は、グループが全額の自己リスクまたは信用補完による残余リスクを負担する貸付金(「リス
ク・ポートフォリオ」)に係るソブリン信用リスクに関する情報を開示している(欧州連合予算また
はELM、EFSD、NDICI/EFSD+およびコトヌー協定に基づくMS保証の恩恵を受ける欧州連合域外への貸付
金を除く)。
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2022年 2021年
(単位:百万ユーロ)
保証人となっ 保証人となっ
債務者となっているもの 債務者となっているもの
ているもの ているもの
国名
実行済金額 未実行金額 契約済金額 実行済金額 未実行金額 契約済金額
オーストリア 0 0 190 0 0 146
ベルギー 0 0 272 0 0 186
ブルガリア 1,060 0 119 1,107 0 115
クロアチア 806 0 2,242 633 210 2,702
キプロス 928 509 1,033 900 359 1,348
チェコ共和国 915 1,009 0 1,068 784 0
デンマーク 0 0 242 0 0 271
エストニア 500 0 84 452 120 91
フィンランド 0 0 113 0 0 92
フランス 0 0 3,986 0 0 3,428
ドイツ 0 0 2,002 0 0 1,659
ギリシャ 7,379 1,210 9,262 7,756 1,192 8,852
ハンガリー 5,647 1,351 1,080 6,011 1,143 1,099
アイルランド 1,665 240 1,095 1,665 0 1,154
イタリア 4,989 2,560 6,941 4,755 2,160 6,397
ラトビア 258 200 6 337 400 12
リトアニア 2,035 0 55 2,110 0 54
ルクセンブルク 0 9 231 150 0 236
マルタ 0 72 280 0 72 297
オランダ 0 0 294 0 0 205
ポーランド 6,631 330 17,925 6,254 1,472 17,123
ポルトガル 1,299 830 3,426 1,163 600 3,903
ルーマニア 2,113 2,258 0 1,847 2,052 0
スロバキア 2,499 441 94 2,399 541 88
スロベニア 512 400 1,242 530 400 1,366
スペイン 3,741 0 21,502 4,215 0 22,558
スウェーデン 0 0 199 0 0 136
2,013 2,878 3,662 1,813 4,961 4,340
非EU加盟国
44,990 14,297 77,577 45,165 16,466 77,858
合計
下表は、ELM、EFSD、NDICI/EFSD+およびコトヌー協定に基づきEU予算または加盟国の保証の恩恵を
受ける、EU域外のプロジェクトに対する締結済み貸付金を示している(単位:百万ユーロ)。
2022年12月31日 2021年12月31日
以下による保証:
加盟国 3,867 3,945
(1)
49,167 47,629
欧州連合予算
(2)(3)
53,034 51,574
合計
(1) このうち2,193百万ユーロ(2021年:2,687百万ユーロ)は、上記で説明したリスク・シェアリング業務(加盟国保
証または政治リスク保証の形でのEU予算により信用補完されている)による。
(2) 現在の欧州連合加盟国が欧州連合への加盟を認定される前に供与された貸付金であって、欧州連合予算または加盟
国により保証されている貸付金を含む。
(3) グループが供与した総額487.5百万ユーロ(2021年:459.1百万ユーロ)の金融保証は、加盟国または欧州連合予算
によって保証されている。上記の保証は上記の表に示されている内訳には含まれていない。
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EU予算または加盟国保証に基づくEU域外プロジェクトに対する貸付金 (単位:百万ユーロ)
(新規加盟国で加盟以前に実行された貸付金を含む。)
契約済貸付金の保証形態別内訳
2022年12月31日 2021年12月31日
協定
加盟国による75%グローバル保証
- ACP/OCT第4次ロメ協定-第2次財務議定書 0 8
0 8
加盟国による75%グローバル保証合計
加盟国による75%保証
- コトヌー・パートナーシップ協定
185 198
- 第2次コトヌー・パートナーシップ協定
1,108 1,172
- コトヌー議定書3 -OR/ACP
2,480 2,473
- コトヌー議定書3 -OR/OCT 94 94
3,867 3,937
加盟国による75%保証合計
3,867 3,945
加盟国による保証合計
欧州連合予算による100%保証
- ロシア-100百万・2001年-2005年
14 16
- ロシア-500百万・2004年-2007年
114 131
93 0
- EFSD
221 147
欧州連合予算による100%保証合計
欧州連合予算による75%保証
欧州連合予算による70%保証
- 南アフリカ-375百万・1997年1月29日決定
9 14
- ボスニア・ヘルツェゴビナ-100百万・1999年/2001年
8 11
- ユーロメッド(EIB)-2,310百万・1997年1月29日決定
7 14
- 北マケドニア-150百万・1998年/2000年
5 9
- CEEC-3,520百万-1997年1月29日決定 32 75
61 123
欧州連合予算による70%保証合計
欧州連合予算による65%保証
- 南アフリカ-825百万・2000年7月-2007年1月
73 86
- 南アフリカ-2007年2月-2013年12月決定
102 142
- ALA III-2,480百万・2000年2月-2007年7月
60 88
- ALAデシジョン-2007年2月-2013年12月
1,327 1,484
- ユーロメッド II-6,520百万・2000年2月-2007年1月
710 928
- 南東近隣諸国-9,185百万・2000年2月-2007年7月
2,272 2,542
- トルコ・スペシャル・アクション-450百万・2001年-2006年
92 98
- トルコ-TERRA - 600百万・1999年11月 - 2002年11月
223 244
- PEV EE/CAS/RUS 2007年2月1日-2013年12月31日
1,755 1,877
- PEV MED 2007年2月1日-2013年12月31日
4,630 5,180
- 加盟候補国-9,048百万・2007年-2013年
4,713 5,127
- 気候変動マンデート・2011年-2013年
1,031 1,056
- ELMアジア2014年-2020年
1,289 1,276
- ELM中央アジア2014年-2020年
355 352
- ELM東ロシア2014年-2020年
6,996 7,258
- ELMラテンアメリカ諸国2014年-2020年
2,906 2,757
- ELM MED2014年-2020年
9,121 9,650
- ELM加盟候補国2014年-2020年
4,018 4,151
- ELM RSA2014年-2020年
140 272
- ELM ERI民間マンデート
1,160 1,394
- ELM ERI公共機関マンデート
1,403 1,397
4,509 0
- グローバル欧州NDICI
48,885 47,359
欧州連合予算による65%保証合計
49,167 47,629
欧州連合予算による保証合計
(1)
53,034 51,574
合計
(1) グループが供与した総額487.5百万ユーロ(2021年:459.1百万ユーロ)の金融保証は、加盟国または欧州連合予算
によって保証されている。上記の保証は上記の表に示されている内訳には含まれていない。
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貸付金に付する担保 (単位:百万ユーロ)
その他の信用リスク軽減手段の中のひとつとして、グループは、金融有価証券に質権を設定する手
法を使用している。これらの質権は、関連する法域で執行可能な質権設定契約によって設定される。
質権設定契約により受け取った担保のポートフォリオは8,215百万ユーロ(2021年:12,596百万ユー
ロ)であり、その内訳は以下のとおりである。
貸付金融担保(単位:百万ユーロ)
2022年12月31日現在
債券
担保付債券
同等のムーディーズ格付
現金 合計
銀行債および
政府債 国際機関債 政府機関債 (カバード・
社債
ボンド)
Aaa 234 65 0 68 9 0 376
Aa1からAa3 1,000 10 167 142 194 0 1,513
A1 0 0 0 0 6 0 6
A1未満 4,969 0 3 602 518 0 6,092
40 0 0 0 29 159 228
格付なし
6,243 75 170 812 756 159 8,215
合計
貸付金融担保(単位:百万ユーロ)
2021年12月31日現在
債券
担保付債券
同等のムーディーズ格付
現金 合計
銀行債および
政府債 国際機関債 政府機関債 (カバード・
社債
ボンド)
Aaa 189 181 4 40 62 0 476
Aa1からAa3 1,042 14 10 694 149 0 1,909
A1 48 0 0 17 14 0 79
A1未満 8,212 0 39 94 598 0 8,943
41 0 0 0 705 443 1,189
格付なし
9,532 195 53 845 1,528 443 12,596
合計
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12月31日現在の実行済貸付残高の債務者の契約業種別明細(単位:百万ユーロ)は以下のとおりで
ある。
2022年 2021年
業種
運輸 126,633 129,253
(1)
グローバル・ローン 64,531 66,310
エネルギー 64,589 62,255
医療・教育 36,902 36,296
その他インフラ 33,346 32,571
工業 31,438 28,518
上下水道施設 28,324 27,761
サービス 18,187 16,980
電気通信 10,913 11,282
4,961 4,238
農業・漁業・林業
(2)
419,824 415,464
合計
(1) グローバル・ローンとは、金融仲介機関または銀行に提供する融資枠で、その後にそれらの機関または銀行が、自
らリスクを負担してその資金を官民が請け負う中小規模のプロジェクトに転貸するというものである。
(2) この金額に、実行済代替貸付金(2022年:17,414百万ユーロ、2021年:17,953百万ユーロ)は算入されていない。
貸付金に係る延滞
延滞額の特定、監視、報告は、全行的な「財務的監視ガイドラインおよび手続き」に定義される手
続きに従って行われている。こうした手続きは、銀行業務のベストプラクティスに従っており、EIBが
管理するすべての貸付金について適用される。
2022年12月31日現在、自己資金源からの貸付金で90日超の延滞が生じている額は78百万ユーロ
(2021年:119百万ユーロ)であった。
2022年12月31日現在、自己資金源からのもので90日を超える延滞が生じ、欧州連合または加盟国の
包括保証により担保されていないものについては、その名目元本残高は150百万ユーロ(2021年:531
百万ユーロ)である。これらは、貸倒引当金70百万ユーロ(2021年:75百万ユーロ)によりカバーさ
れている。
2022年中、156百万ユーロの延滞が欧州連合による保証に基づき履行請求され、加盟国保証に基づく
履行請求はなかった。2021年における応当額は、それぞれ93百万ユーロおよびゼロであった。
また、当年度中に、以前に欧州連合または加盟国による保証に基づき履行請求された延滞額のう
ち、4百万ユーロ(2021年:1百万ユーロ)が弁済された。
2022年中に、請求払民間保証に基づく履行請求はなかった(2021年:358百万ユーロ)。
貸付金の再交渉と支払猶予
グループは、支払猶予措置がとられた貸付金を、支払猶予貸付金(すなわち、貸付金、負債証券お
よびローン・コミットメント)とみなしている。支払猶予措置はグループの「譲歩」によるもので、
財務困難により契約上の債務返済条項を遵守できないとみなされる債務者に対して、債務返済または
契約の全部もしくは一部の借換えができるようにするために、グループが決定するものである。エク
スポージャーは、延滞の有無、または当該エクスポージャーが債務不履行に分類されているか否かに
関わらず、譲歩が行われた場合には支払猶予として取り扱う。債務者が財務困難に陥っていない場合
には、当該エクスポージャーは支払猶予として取り扱わない。
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再交渉された場合、グループは、当該貸付金を厳格に監視し続けることとなる。再交渉による支払
条件では当初の簿価が回収できない場合、グループは損益計算書に評価調整額を計上することを検討
す る。貸付金格付(「LG」)が「E-」まで低下した貸付金はすべて、定期的に評価損計上の必要性が
検討される。
グループは、COVID-19による具体的な経済への影響に対応して債務者が利用できる多くの支援措置
を提供しており、これには (i) 財務制限条項およびその他の重要条項の暫定的な条件緩和(権利放棄
を含む)、(ii) 新たな返済スケジュールの設定または返済義務の一時凍結によるキャッシュ・フロー
の再構築、ならびに (iii) 新規契約の締結、ローンの実行前倒しおよび債務者貸付の増額など、その
他の一定の補完的支援策が含まれる。グループは、具体的状況における制約の下で、かかる措置の申
請を案件ごとに評価した。こうした措置は、構造的な財政の困難またはソルベンシー上の問題に陥っ
ていたわけではなく、かかる措置の供与の時点で、ゴーイング・コンサーンとみなされた債務者に提
供されることを意図していた。評価の結果として、債務者がこれらの要件を満たさなかった場合、ま
たはグループが債務者のビジネスモデルの長期的持続可能性についてリスクを特定した場合に、グ
ループは他の適切な措置を検討し、必要な場合には、グループの標準的な条件変更のプロセスに従
う。
このような支援策は、2021年6月以降、グループでは提供していない。
グループの再編活動によって報告期間中に着手された支払猶予措置および手続きには、返済期限の
延期、元本返済のみの繰延、元利返済の繰延、重大な財務制限条項の破棄および延滞金の元本算入が
含まれるが、これらに限定されるわけではない。
支払猶予措置の対象である貸付金は、下表のとおりである。
2022年12月31日 2021年12月31日
(単位:百万ユーロ)
正常債権 不良債権 正常債権 不良債権
支払猶予措置の対象となった契約件数 53 79 88 74
帳簿価額(金利および延滞金額を含む) 2,256 2,054 4,693 2,511
うち評価調整の対象となった貸付金 0 1,418 0 1,243
認識された評価損益 0 307 0 407
支払猶予された契約に係る受取利息 75 70 121 73
認識中止されたエクスポージャー(リストラクチャリング、償
却/貸付金売却後) 0 3 0 34
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支払猶予措置
契約上の
重大な
元本
返済 元本
返済
2021年 2022年
財務制限
および
(単位:百万ユーロ)
期限の のみの その他
および
利息の
12月31日 条項の 12月31日
延期 繰延
繰延
(1)
破棄
契約終了
公共機関 2,929 0 0 0 229 0 -2,138 1,020
銀行 280 0 0 0 36 9 -190 135
3,995 40 0 0 90 160 -1,130 3,155
企業
7,204 40 0 0 355 169 -3,458 4,310
合計
(1) 減少は、2021年12月31日現在で支払猶予貸付金とみなされていた取引に関して当年度中に発生した元本、利息およ
び延滞金額の返済ならびに償却、ならびに当期中の契約終了による。
U.2.2. 財務管理
財務商品(有価証券、コマーシャル・ペーパー、定期預金等)関連の信用リスクは、健全なカウン
ターパーティーおよび発行体を選択することにより管理されている。
有価証券ポートフォリオの構成および財務商品残高に適用される限度枠は、経営陣が設定してい
る。この限度枠は、グループ・リスク・コンプライアンス部門により定期的に見直しが行われる。
下表は、財務ポートフォリオの有価証券および短期金融市場商品(預金およびリバース・レポ)に
係る信用リスク構成比を、適宜、カウンターパーティーの信用格付別、最終的な債務者格付別または
発行体格付別に示したものである。
有価証券ポートフォリオ 短期金融市場商品
同等のムーディーズ格付
(単位:%) (単位:%)
2022年 2021年 2022年 2021年
12月31日 12月31日 12月31日 12月31日
Aaa 32 13 89 82
Aa1からAa3 36 21 4 8
A1からA3 22 39 5 9
10 27 2 1
A3未満
100 100 100 100
合計
2022年12月31日現在、満期まで1年超で格付が下限のAa3であるグループの連結財務ポートフォリオ
資産の名目金額合計は、5,193百万ユーロ(2021年:3,907百万ユーロ)であった。
財務取引に供する担保
グループは、取引のカウンターパーティーが契約債務を履行できなかった場合に信用リスクにさら
される可能性のある有担保リバース・リパーチェスおよびリパーチェス契約取引を行っている。グ
ループは、カウンターパーティーの信用リスクおよび担保の価値を日次でモニターし、必要とみなさ
れる場合には、グループに追加担保を差し入れるよう要求することで、これらの業務に関連した信用
リスクを統制している。
三者間レポおよびリバース・レポ取引は、第三者保管機関と共同で行われる。第三者保管機関は、
枠組み契約に従って特に以下に関する契約条件の遵守を保証する。
- 支払引替渡し
- 担保の検証
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- 貸手が要求する担保マージン。これは常に充分かつ充当可能であることが必要であり、保管機
関は、当該有価証券の時価を日々検証しなければならない。
- 契約要件をすべて満たす代替担保の組成
受取担保
財務取引には、7,381百万ユーロ(2021年:13,894百万ユーロ)の二者間および三者間リバース・リ
パーチェス契約が含まれており、グループはこのうち7,381百万ユーロ(2021年:13,334百万ユーロ)
について財務担保、ゼロ(2021年:560百万ユーロ)についてコモディティを受領している。二者間お
よび三者間リパーチェス契約は、2022年12月31日現在3,065百万ユーロ(2021年:5,717百万ユーロ)
であった。この残高は全額について担保が供されており、原契約に従い、その後に追加担保の請求ま
たは担保の返還が行われる。財務担保ポートフォリオの時価は、2022年12月31日現在、7,000百万ユー
ロ(2021年:13,557百万ユーロ)であり、以下のように分類される。
リバース・リパーチェス契約財務担保(単位:百万ユーロ)
2022年12月31日現在 債券
担保付債券
現金 合計
同等のムーディーズ
国際 政府 銀行債
政府債
(カバード・
格付
機関債 機関債 および社債
ボンド)
Aaa 319 23 51 1,310 2,354 0 4,057
Aa1からAa3 241 0 29 8 215 0 493
A1 8 0 233 0 343 0 584
A1未満 217 0 44 4 1,169 0 1,434
425 0 0 0 6 1 432
格付なし
1,210 23 357 1,322 4,087 1 7,000
合計
リバース・リパーチェス契約財務担保(単位:百万ユーロ)
2021年12月31日現在 債券
担保付債券
現金 合計
同等のムーディーズ
国際 政府 銀行債
政府債
(カバード・
格付
機関債 機関債 および社債
ボンド)
Aaa 998 655 712 1,480 4,192 0 8,037
Aa1からAa3 2,047 78 389 8 300 0 2,822
A1 583 0 65 0 130 0 778
1,637 0 20 0 222 0 1,879
A1未満
38 0 0 0 1 2 41
格付なし
5,303 733 1,186 1,488 4,845 2 13,557
合計
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預託有価証券
ユーロ制度の通貨政策の運用との関連で、グループは、2022年12月31日現在、時価141百万ユーロの
有価証券をルクセンブルク中央銀行に預託している(2021年:149億ユーロ)。
二者間および三者間リパーチェス契約の下で差し入れられている担保(ルクセンブルク中央銀行へ
の差入れを除く)の時価は、2022年12月31日現在、3,054百万ユーロ(2021年:5,711百万ユーロ)で
あった。
U.2.3. グループによる保証および証券化
自己資金を原資とするグループの保証取引および証券化取引から生じる信用リスクは、専用の行内
指針に従って管理されている。
2022年末現在、グループにより保証された契約済エクスポージャーは319億ユーロ(2021年:309億
ユーロ)であり、このうち203億ユーロ(2021年:167億ユーロ)は保証された実行済貸付金に係るエ
クスポージャーで、その保証引当金は98.0百万ユーロ(2021年:39.3百万ユーロ)であった。
グループの保証型業務の一部は、リスク・シェアリング業務から発生しており、グループは、確立
された委託モデルに基づいて、金融仲介機関が組成するローン・タイプのエクスポージャーを(i)ロー
ンごとに、または(ii)ポートフォリオのいずれかで保証している。グループがリスクを負う原リス
ク・エクスポージャーを組成する金融仲介機関は、グループが当該金融仲介機関に信用管理業務を委
託できることを確認するための、詳細なデューデリジェンスの対象となる。このような取引では、グ
ループは比例的に、またはある程度の劣後性を有する構造を通じて、エクスポージャーを負うことが
ある。これに加えて、グループは証券化取引を行うこともできる。
EIBは、このタイプの取引の集中リスクを制限するための専用の枠組みを確立している。取引の特異
性に応じて、これには、最低適格格付区分、特定のセクター、債務者および/または債務者グループ
のエクスポージャーを含むが、これらに限定されない適格基準の確立が含まれる。形式的に言えば、
信用リスクは金融仲介機関が組成する原エクスポージャーにあるため、金融仲介機関のカウンター
パーティー・リスクは限定的である。すなわち、カウンターパーティー・リスクは、(1) 保証料の支
払い、および(2) EIBが保証・支払いを行う原エクスポージャーが債務不履行となった場合の潜在的な
回収額のEIBに対する返済に限定される。いずれにしても、グループは、いくつかの軽減措置(詳細な
デューデリジェンス、担保権、介入権、原リスク・エクスポージャーの重大な修正に関する同意権ま
たは解約権を含むがこれらに限定されない)を確立している。
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U.3. グループの金利リスク
グループの立場からは、金利リスクは金利に対する感応度の高い商品に影響を与える金利の不利な
変動から生じる経済価値または正味受取利息に対するリスクである。異なる資産、負債、ヘッジ商品
の間で金利更改特性や満期特性に差異があると、金利リスク・エクスポージャーが生じる。
グループ・リスク選好の枠組みには、事前に承認された限度内で管理される2つの金利リスク指標
が含まれている。 これらは「経済価値に対するリスク」 と 「利益に対するリスク」 (U.3.1参照)
であり、これらはEIB単体レベルで定義されている。EIFのリスク選好の枠組みには、現在このような
金利リスク指標は含まれていないが、代わりにEIFは金利リスク・エクスポージャーをカバーするため
に経済資本を配分している。これにより、EIFは銀行勘定の金利リスク(「IRRBB」)についてのグ
ループ資本計測手法に従っている。
以下の項で、各事業体の金利リスク管理の枠組みの運用上の実施状況について詳述する。
U.3.1. EIBの金利リスクの管理
金利リスクの測定および管理にあたり、EIBはEUにおいて導入されたバーゼル銀行監督委員会
(「BCBS」)の関連する主要原則および欧州銀行監督機構(「EBA」)によって発行された規制指針を
参考にしている。金利リスクの主要な源泉は、ギャップリスク、ベーシスリスクおよびオプションリ
スクである。ギャップリスクとは、EIBにとって最も関係が深い金利リスクであり、EIBの貸借対照表
上の金利感応商品の期間構造の差異から生み出される経済価値または正味受取利息に対するリスクと
定義される。
EIBは規制当局の指針に従い、金利リスクに対する選好度を、EIBがとる用意がある(同時に、該当
する場合には、EBAの監督上の異常値テストで定義されている最大閾値を遵守する)経済価値に対する
最大リスクと利益に対する最大リスクの両方の観点から明示した。EIBの自己資金の投資戦略である
「金利リスク戦略」は、こうした金利リスク選好に沿ったものである。ロシアによるウクライナ侵攻
の影響は、インフレ傾向の加速要因となり、高インフレは金利の上昇をもたらし、EIBの正味金利収益
に好影響を及ぼす結果となった。
IBOR改革
ロンドン銀行間金利(LIBOR)などの指標金利は金融契約で広く用いられていた。代替指標金利への
世界的な移行は、金融市場において着手された最も困難な課題を含んだ改革の一つである。他の銀行
と同様に、EIBは、これらの市場全体にわたる取組みの一環として改革の対象となっている金融商品に
ついて、IBORに重大なエクスポージャーを有している。
行内における準備
2018年2月、資産・負債委員会(ALCO)は、代替金利への移行に関連する進展を積極的に追跡・監
視するためのIBOR専任のALCO直属ワーキンググループであるIBORワーキンググループを設置した。
IBORワーキンググループの目的には、金利指標改革に関連する動向の監視が含まれていた。この監視
には特に、契約修正、顧客との双務交渉、ITシステムおよびアプリケーションの更新および新契約へ
のフォールバックの文言の導入ならびに通貨別、資産クラス別および廃止が決定している指標金利の
適用区域別のIBORへのエクスポージャーの定期的モニタリングの進展が含まれる。確立した作業計画
の実施における進捗は定期的に監視され、ALCOで討議され、定期的に経営幹部および監査委員会に報
告されている。
リスクに関する検討
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IBOR改革における主なリスクは、オペレーショナル・リスクと財務リスクである。これらは、例え
ば、記帳、決済/支払、評価、リスクシステムを含むITシステムの更新、IBOR改革に関連した業務統
制 の変更、契約の修正(貸付契約の双務交渉を含む)およびフォールバック条項の導入に伴う業務上
の課題、ならびに異なる取引タイプ間の潜在的ベーシスリスクに関連している。財務リスクは、金融
商品全体にわたって、頑健で、発生の可能性がありかつ実行が可能な範囲で一貫性のあるフォール
バックを導入することによって軽減される。
金融商品クラス別の移行状況
貸付活動および資金調達活動の一環として、EIBは主に顧客および金融機関への変動金利貸付金なら
びにEIBの活動に資金提供するための発行債券に関して、IBOR改革へのエクスポージャーを有してい
る。金利リスクおよび為替リスクへのエクスポージャーを管理するために、EIBはデリバティブ商品を
利用している(固定金利貸付金や借入業務のヘッジなど)。
デリバティブは、対応するキャッシュ・フローの大部分がIBOR金利を参照しているため(すなわ
ち、「変動金利」)、IBORレートの影響を直接的に受ける最大の金融商品クラスである。EIBは、2021
年にISDAのIBORフォールバック・プロトコルおよびサプリメントを遵守した。このプロトコルは、デ
リバティブの従前のポートフォリオの円滑な移行を確保するために、金利指標の廃止時に適用される
強固なフォールバック条項をカウンターパーティーが組み込むための修正メカニズムを提供するもの
である。LIBORに連動するスワップにおけるEIBのすべてのカウンターパーティーも、このプロトコル
およびサプリメントを遵守している。このプロトコルおよびサプリメントの適用を通じて、EIBは2022
年末までにLIBORを参照するデリバティブの想定元本エクスポージャー(英ポンド、スイス・フラン、
日本円および米ドル建て)のすべてをシステムにおいて移行した。
変動金利貸付金は、IBOR金利の影響を直接的に受ける金融商品の中で2番目に大きなクラスであ
る。2022年12月31日現在、当初にスイス・フラン、日本円および英ポンドに連動していた契約はもは
やLIBORに連動していない。2022年中に、EIBは米ドルLIBORに連動する貸付金の移行を進めた。米ドル
LIBORのレガシーポートフォリオは、以前に英ポンド、スイス・フランおよび日本円のLIBORに関連し
ていたポートフォリオよりも大きく、地理的にも多様化している(約75%の顧客がEU以外の国に所在
している)。借手の75%は既に選好する商品を表明しており、2023年初頭には関連する文書変更への
署名が見込まれている。エクスポージャーの大部分は、2023年6月30日の停止日後の最初の利払い日
までに移行すると見込まれているが、部分的に合成LIBORに依存することが必要になる可能性が高い。
移行と並行して、EIBは貸付商品ポートフォリオを新たな貸付金組成に適応させた。
資金調達面では、EIBは2018年より貸借対照表で新たなRFRを参照する債券商品を発行している。加
えて、優先市場構成の設定に基づいて、EIBは必要な流動性を備えた関連するRFR市場の支援に重点を
置いている。
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2022年12月31日現在、米ドルLIBOR連動債のうち、帳簿価額で56%が2023年6月末までに満期を迎え
る。残りの44%は2023年上半期中に評価され、適切なエクスポージャー移行の機会が検討される予定
である。
U.3.1.1. EIBの自己資金/資本の経済価値に対する金利リスク
EIBの金利リスク戦略は、グループの経済価値のリスクを抑制しながら、バランスが良く持続可能な
収益特性を維持することを目指している。また、将来の成長のための資金の自力調達という目標を踏
まえて、こうした収益特性に明確な選好が定められている。この全体的な目的は、中長期的な投資プ
ロファイルに従って自己資金を投資することによって達成される。言うまでもなく、この戦略はRAFの
指標である「利益に対するリスク」と「経済価値に対するリスク」についての限度額を遵守する必要
がある。
EIBの自己資金の投資を支える金利戦略(現在4.5年から5.5年の範囲内を自己資金のデュレーション
目標とする。)とは別に、金利リスクに関しては、EIBの貸借対照表上マッチファンドされるべきであ
る。EIBの貸借対照表上で完全にマッチファンドすることは運用上実務的に可能ではないため、ギャッ
プリスクおよびベーシスリスクでの小幅の逸脱は容認される。これらの正味の残存金利リスク・ポジ
ションは、事前に承認された限度内で管理され、後者は個々のリスクがリスク選好の境界内にとどま
ることを確実にするために範囲が設定される。
(5)
金利リスク制限の枠組みに加えて、EIBはEBAの標準化されたショックシナリオ および行内で定義
されたシナリオに基づき、予想利益と経済価値に対して定期的なストレス・テストを実施している。
このテストは、金利環境の深刻な変化から生じる潜在的な悪影響を特定する目的に役立つ。
(5) EBA/GL/2018/02
経済価値に関するストレス・テストはグループレベルで実施される。2022年12月31日現在、EBAの監
督上の異常値テストシナリオの最悪の影響は、EIBグループの自己資金の経済価値を54.4億ユーロ
(6)
(2021年:43.7億ユーロ)減少させる 。
(6) ストレス・テストは、保険数理プロバイダーの計算による年金および医療保険債務(確定給付債務-
DBO)を含む、すべてのリスク感応度の高い銀行勘定商品について実施されている。
EIBのポートフォリオに組入れられている金融商品のうち、一部の取引(借入れおよび関連するス
ワップ)には償還オプションが規定されており、満期前に償還される場合があるため、最終満期日に
ついては不確実性が組み込まれている。しかし、これらのパッケージ(借入金とそれに伴うスワッ
プ)は完全にバックツーバックで(キャッシュ・フローのレベルまで)取引が行われるため、最後に
はLIBOR/EURIBORに連動し、限定的な金利リスクを負う単純な合成変動利付債とみなすことができ
る。
下表は、2022年12月31日現在および2021年12月31日現在のグループの任意償還条項付借入金ポート
フォリオの特性をまとめ、想定元本合計、平均の契約上の満期日、平均予想償還日(双方とも、当該
取引の想定元本で加重)を資金調達通貨別と関係する主要リスク・パラメーター別に表示したもので
ある。
資金調達通貨別(スワップの影響考慮後):
2022年12月31日
ユーロ 米ドル 合計
(単位:百万ユーロ)
ユーロ建想定元本 -2,467 -1,149 -3,616
平均満期日 2046年4月5日 2037年6月9日 2043年6月17日
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平均予想償還日 2039年4月1日 2033年10月21日 2037年7月8日
2021年12月31日
ユーロ 米ドル 合計
(単位:百万ユーロ)
ユーロ建想定元本 -2,659 -1,284 -3,943
平均満期日 2047年3月19日 2038年9月6日 2044年6月7日
平均予想償還日 2031年1月2日 2027年7月7日 2029年11月13日
関係するリスク・パラメーター別:
2022年12月31日 リスク・パラメーター
為替レートの水準 金利カーブの水準 合計
(単位:百万ユーロ)
ユーロ建想定元本 -283 -3,333 -3,616
平均満期日 2035年7月18日 2044年2月17日 2043年6月17日
平均予想償還日 2032年5月21日 2037年12月15日 2037年7月8日
2021年12月31日 リスク・パラメーター
為替レートの水準 金利カーブの水準 合計
(単位:百万ユーロ)
ユーロ建想定元本 -323 -3,620 -3,943
平均満期日 2036年1月1日 2045年3月9日 2044年6月7日
平均予想償還日 2029年2月13日 2029年12月7日 2029年11月13日
U.3.1.2. EIBの利益に対する金利リスク
利益に対するリスクは、金利カーブ全体が2パーセンテージ・ポイント低下した場合の向こう36ヵ
月間で変動しうる正味受取利息の金額を定量化する。このようなエクスポージャーは、主に資産と負
債の金利更改期間のミスマッチから生じ、リスク選好の枠組みで定められた限度内にとどまらなけれ
ばならない。
2022年12月31日現在のポジションでは、金利が200ベーシス・ポイント低下すると、利益が920.5百
万ユーロ(2021年:992.4百万ユーロ)減少する計算である。利益感応度の分析を拡大すると、金利が
200ベーシス・ポイント上昇した場合、利益は937.3百万ユーロ(2021年:1,014.7百万ユーロ)増加す
る計算となる。
EIBは、案件ごとに利益の感応度のシミュレーションを可能にする専用のソフトウェアを使用してい
る。利益の感応度は発生主義で測定され、分析対象期間にわたり、EIBは(基礎となるシナリオの中で
定められている市場金利で)業務計画の中で予想されている新規貸付業務を実現し、承認を受けた限
度枠内にエクスポージャーを維持し、資金不足の補充または余剰現金の投資を目的とする短期金融市
場取引を執行するという「現行」の仮定に基づいて算出される。EIBの現行実務に従い、モデルでは、
シミュレーション上の利益は株主には配分されず、EIB業務の資金補充に当てられると仮定している。
管理費は、業務計画の予想に応じて見積られる。
U.3.2. EIFの金利リスクの管理
EIFは、資本市場や短期金融市場で資金を調達していないにもかかわらず、金利リスクの主にギャッ
プリスクにさらされている。EIFにおける主要な金利感応度の高いエクスポージャーは、負債サイドの
年金の確定給付債務および資産サイドの財務勘定の固定利付債券である。
EIFのリスク選好ステートメントには現在、金利リスク指標は含まれておらず、明確な金利リスク戦
略も示されていないが、EIFは金利リスク・エクスポージャーをカバーするために経済資本を配分して
いる。EIFはグループの銀行勘定の金利リスク(「IRRBB」)についての資本測定技法に従っている。
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すなわち、EIFの金利リスクは標準的観点および経済的観点の両方から評価され、両者のうち悪い方が
経済資本(「ECap」)比率に基づき考慮される。
U.4. 流動性および資金調達リスク
流動性リスクは、資産の増加に対応して資金を調達し、期限の到来した債務を弁済することを、受
入不能な損失を負担することなしに行うグループの能力に関するリスクである。それは、さらに資金
流動性リスクと市場流動性リスクに分けることができる。
資金流動性リスクとは、貸借対照表の資産を支え、容易に利用できる流動リソースから期限どおり
に債務を全額返済することができなくなるリスクに関するものである。資金流動性リスクは、支払義
務の履行に関する差し迫ったリスクおよびこれに伴う不利な条件での借入を増加させうるため、グ
ループのポジションの経済価値あるいはグループのポジションから生み出される収益の変動性に影響
を与える可能性がある。
市場流動性リスクとは、ポジション残高を相殺、解消、または削減するための取引を合理的な市場
価格で執行できないかもしれないという理由で、グループのポジションの経済価値の変動、または同
ポジションによる収益の変動が激しくなることを指す。取引を執行できないことにより、清算を避け
た方が良いと思われる場合でも好ましくない価格で早い段階に当該資産を清算せざるを得なくなるお
それがある。このリスクは、取引される証券の流動性と比較したポジションの規模、ならびに市場の
アベイラビリティおよび効率性の悪化と密接に関係している。
EIBの流動性リスク管理
EIBの中核業務活動を妥当なコストで正常に機能させるため、流動性リスクの管理が行われている。
流動性リスク管理方針の主な目的は、EIBが常に期限内に支払債務を満額履行できることの確保にあ
る。商業銀行とは対照的に、EIBは個人預金を保有しておらず、顧客に貸し付ける資金の調達を資本市
場に依存している。
EIBは慎重に流動性バッファーを維持するため、新規発行予定を管理している。流動性維持計画で
は、EIBの債務返済上のニーズ、貸付金の実行、および貸付金ポートフォリオからのキャッシュ・イン
フローを考慮している。また、流動性維持計画では、一般的に債務者の要請に応じて実行される多額
の契約済未実行貸付金も考慮している。
EIBは、短期流動資産を十分な水準に保つこと、および資金需要予測に応じて自行の募集有価証券の
償還日を分散することによって、流動性リスクの管理を一層確実にしている。流動性リスク方針には
財務ポートフォリオの水準の下限が組み込まれており、EIBの全体的な流動性比率(翌12ヵ月間の見積
ネット・キャッシュ・フローに対する比率としての流動性)は、常に25%を上回っていることが、義
務付けられている。
グループはグループ非常時資金調達計画(「グループCFP」)を定めており、そこでは適切な意思決
定手続とそれに対応する責任分担が定められている。グループCFPは定期的に、欧州銀行監督機構がこ
の件に関して発行した関連するガイドラインを含む該当するベスト・バンキング・プラクティスを基
準に、テストおよび評価されている。グループCFPはEIB理事会によって毎年承認される。
定期的なストレス・テスト分析は、流動性リスク・モニタリングの一環として実施され、EIBおよび
EIFの流動性バッファーの規模を決定する。
2009年7月8日にユーロ・システムの金融政策オペレーションにおける適格カウンターパーティー
となったことから、EIBも欧州中央銀行の金融政策オペレーションに参加できることとなった。EIB
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は、最低預金準備率およびその他の業務ニーズを充足するために預け金を置いているルクセンブルク
中央銀行を通じて金融政策オペレーションを実施する。
流動性カバレッジ比率(「LCR」)は、欧州連合CRRに沿って、機能通貨(ユーロ)だけでなく、他
の重要な通貨についても日次で計算されている。過度の通貨のミスマッチを防止するために、流動性
資産の通貨と正味流動性の流出の通貨の整合性を継続的にとることが確実にされている。2022年12月
31日現在、EIBのLCRは348.0%(2021年:564.9%)であり、グループLCRは352.4%(2021年:
586.0%)であった。
また、安定調達比率(「NSFR」)も欧州連合CRRに沿って、機能通貨(ユーロ)だけでなく、他の重
要な通貨についても計算されている。2022年12月31日現在、EIBのNSFRは124.6%(2021年:
130.0%)、グループのNSFRは124.9%(2021年:130.1%)であった。
グループは、主にグループの流動性管理に対する慎重なアプローチの結果として、引き続き強固な
流動性ポジションおよび必要な流動性リソースへの柔軟なアクセスを維持している。その結果、ウク
ライナでの戦争が流動性および資金調達に及ぼした影響は非常に限定的であった。
EIFの流動性リスク管理
払込資本金の価値を損なうことなく、今後生じうる保証請求、プライベート・エクイティ・コミッ
トメント、および一般管理費の支出に対応する適切な水準のEIFの流動性を確保し、かつリスク最小化
に配慮しながら投資資産で合理的な収益を獲得できるような方法で、流動性リスクは管理されてい
る。
流動性リスクの測定
下表は、貸借対照表日から契約上の満期日までの残存期間別にグループの資産および負債を示して
いる。契約によって定められた満期日のない資産および負債は、「満期日未確定」に区分されてい
る。
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流動性リスク(単位:百万ユーロ)
2022年12月31日時点に 3ヵ月超 1年超 2022年の
3ヵ月以内 5年超 満期日
おける満期 1年以内 5年以内 合計
資産:
現金、中央銀行および郵便局預け金 113 0 0 0 0 113
中央銀行担保適格国庫証券および
その他短期証券 3,155 5,644 7,911 5,135 0 21,845
その他の貸付金および預け金:
- 当座預金
984 0 0 0 0 984
- 金融機関
64,011 200 0 0 0 64,211
- 対顧客 126 0 0 0 0 126
65,121 200 0 0 0 65,321
貸付金:
- 金融機関
2,913 11,446 40,888 37,856 23 93,126
- 対顧客 5,595 18,108 115,010 187,671 89 326,473
8,508 29,554 155,898 225,527 112 419,599
確定利付証券を含む負債証券 1,319 519 3,114 6,208 0 11,160
株式、その他の変動利付証券および
参加持分 0 0 0 73 10,223 10,296
615 1,859 6,181 1,881 8,434 18,970
その他の資産
78,831 37,776 173,104 238,824 18,769 547,304
資産合計
負債:
金融機関に対する債務 5,442 0 0 0 0 5,442
顧客に対する債務 1,491 0 0 0 0 1,491
債務証書借入 20,747 48,006 200,968 161,977 0 431,698
応募済資本金、準備金、利益および
少数株主持分 0 0 0 0 80,656 80,656
981 1,698 5,425 3,630 16,283 28,017
その他の負債
28,661 49,704 206,393 165,607 96,939 547,304
負債合計
借入金および関連するスワップの一部は、ヘッジ・スワップの契約相手に期限前解約条項もしくは
コール・オプションを認めており、EIBにも関連債券を期限前償還する権利を与えている。EIBが債券
に係るすべてのコール・オプションを契約で定められた次回権利行使日に行使した場合、2023年から
2025年の期限前償還累計額は18.8億ユーロとなる。
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流動性リスク(単位:百万ユーロ)
2021年12月31日時点に 3ヵ月超 1年超 2021年の
3ヵ月以内 5年超 満期日
おける満期 1年以内 5年以内 合計
資産:
現金、中央銀行および郵便局預け金 1,483 0 0 0 0 1,483
中央銀行担保適格国庫証券および
その他短期証券 7,198 15,702 10,405 3,855 0 37,160
その他の貸付金および預け金:
- 当座預金
798 0 0 0 0 798
- 金融機関
71,400 3,349 0 0 0 74,749
- 対顧客 67 7 0 0 0 0 677
72,875 3,349 0 0 0 76,224
貸付金:
- 金融機関
2,443 9,928 46,116 35,011 6 93,504
5,083 19,702 107,548 189,266 394 321,993
- 対顧客
7,526 29,630 153,664 224,277 400 415,497
確定利付証券を含む負債証券 1,358 2,856 3,461 4,296 0 11,971
株式、その他の変動利付証券および
参加持分 0 0 0 0 9,569 9,569
288 773 5,414 1,978 7,676 16,129
その他の資産
90,728 52,310 172,944 234,406 17,645 568,033
資産合計
負債:
金融機関に対する債務 10,478 13,195 0 0 0 23,673
顧客に対する債務 1,821 0 0 0 0 1,821
債務証書借入 19,307 43,516 213,006 164,286 0 440,115
応募済資本金、準備金、利益および
少数株主持分 0 0 0 0 78,139 78,139
331 1,472 3,774 3,163 15,545 24,285
その他の負債
31,937 58,183 216,780 167,449 93,684 568,033
負債合計
U.5. 為替リスク
為替(「FX」)リスクは、為替レートの不利な変動による、グループのポジションの経済価値の変
動、または同ポジションから得られる収益に対するリスクを指す。資産、負債およびヘッジ手段の間
で通貨のミスマッチがある場合に、グループは為替リスクにさらされる。
グループは、EIBの定款およびEIFのリスク選好の枠組みを遵守して、中核業務を遂行するために直
接必要(具体的には、定款およびリスク選好の枠組みに沿って、EIBについては資産・負債構造におけ
る通貨のミスマッチを事前承認された厳しい制限内にとどめること、一方EIFについては、為替ポジ
ションが持分投資より発生する可能性があること)でない為替業務には従事しない。
その結果、ロシアによるウクライナ侵攻は、グループの為替リスク管理に悪影響を及ぼさなかっ
た。
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為替ポジション(単位:百万ユーロ)
その他の 2022年の
ユーロ以外
2022年12月31日現在の通貨 ユーロ 英ポンド 米ドル
の通貨合計
通貨 合計
資産:
現金、中央銀行および郵便局預け金 113 0 0 0 0 113
中央銀行担保適格国庫証券およびその他
短期証券 17,700 653 3,492 0 4,145 21,845
その他の貸付金および預け金:
- 当座預金
737 83 57 107 247 984
- 金融機関
59,640 0 36 4,535 4,571 64,211
- 対顧客 75 0 0 51 51 126
60,452 83 93 4,693 4,869 65,321
貸付金:
- 金融機関
70,825 757 13,483 8,061 22,301 93,126
- 対顧客 270,031 27,231 9,404 19,807 56,442 326,473
340,856 27,988 22,887 27,868 78,743 419,599
確定利付証券を含む負債証券 6,511 34 2,547 2,068 4,649 11,160
株式、その他の変動利付証券および参加
持分 8,584 512 831 369 1,712 10,296
15,120 1,379 1,605 866 3,850 18,970
その他の資産
449,336 30,649 31,455 35,864 97,968 547,304
資産合計
負債:
金融機関に対する債務 5,425 0 11 6 17 5,442
顧客に対する債務 1,213 21 98 159 278 1,491
債務証書借入:
- 負債証券
245,409 37,162 100,100 39,853 177,115 422,524
- その他 5,868 113 322 2,871 3,306 9,174
251,277 37,275 100,422 42,724 180,421 431,698
応募済資本金、準備金、利益および
少数株主持分 80,656 0 0 0 0 80,656
23,882 1,320 1,783 1,032 4,135 28,017
その他の負債
362,453 38,616 102,314 43,921 184,851 547,304
負債合計
-87,076 8,020 70,938 8,118 87,076
オフ・バランスシートの通貨スワップ
-193 53 79 61 193
ポジション(純額)
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為替ポジション(単位:百万ユーロ)
その他の 2021年の
ユーロ以外
2021年12月31日現在の通貨 ユーロ 英ポンド 米ドル
の通貨合計
通貨 合計
資産:
現金、中央銀行および郵便局預け金 1,483 0 0 0 0 1,483
中央銀行担保適格国庫証券およびその他
短期証券 29,481 1,388 6,291 0 7,679 37,16 0
その他の貸付金および預け金:
- 当座預金
579 58 46 115 219 798
- 金融機関
64,708 2,052 1,035 6,954 10,041 74,749
- 対顧客 600 0 0 77 77 677
65,887 2,110 1,081 7,146 10,337 76,224
貸付金:
- 金融機関
71,840 829 13,310 7,525 21,664 93,504
261,909 30,971 8,225 20,888 60,084 321,993
- 対顧客
333,749 31,800 21,535 28,413 81,748 415,497
確定利付証券を含む負債証券 5,288 0 1,809 4,874 6,683 11,971
株式、その他の変動利付証券および参加
持分 7,809 699 729 332 1,760 9,569
13,050 1,242 1,064 773 3,079 16,129
その他の資産
456,747 37,239 32,509 41,538 111,286 568,033
資産合計
負債:
金融機関に対する債務 23,473 0 44 156 200 23,673
顧客に対する債務 1,557 6 93 165 264 1,821
債務証書借入:
- 負債証券
240,681 43,587 104,778 42,058 190,423 431,104
- その他 6,235 119 295 2,362 2,776 9,011
246,916 43,706 105,073 44,420 193,199 440,115
応募済資本金、準備金、利益および
少数株主持分 78,139 0 0 0 0 78,139
20,413 1,670 1,270 932 3,872 24,285
その他の負債
370,498 45,382 106,480 45,673 197,535 568,033
負債合計
-86,378 8,190 74,023 4,165 86,378
オフ・バランスシートの通貨スワップ
-129 47 52 30 129
ポジション(純額)
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U.6. オペレーショナル・リスク
EIBグループのオペレーショナル・リスク方針に定義されているように、オペレーショナル・リスク
(7)
とは、不十分もしくは機能不全の内部プロセス、人員もしくはシステム、または外部事象 に起因す
る損失リスクを意味する。
(7) 外部事象の定義からは、顧客の倒産や不利な市場の動き、または類似の事象は除外されており、これ
らは信用リスクおよびそれぞれの市場リスクのトリガーである。
グループのすべての活動はオペレーショナル・リスクの影響を受ける可能性があり、したがってグ
ループはオペレーショナル・リスクを体系的に特定、評価、監視および報告し、オペレーショナル・
リスクへのエクスポージャーを限定するために十分な統制とリスク軽減策を実施することを目標とし
ている。
EIBグループ・リスク・コンプライアンス部門内のオペレーショナル・リスク・ユニット、EIFのリ
スク管理部門、ならびにEIBのファイナンシャル・コントロールにおける内部統制およびアサーション
部門が、グループ・オペレーショナル・リスクの枠組みおよび関連する方針を決定する責任を有し、
その枠組みの実施責任はグループのすべての部署が担う。グループは、オペレーショナル・リスク管
理業務を、適用されるベスト・バンキング・プラクティス(「BBP」)に準拠して編成している。
グループは、2022年にオペレーショナル・リスク方針を改定し、グループレベルでの新たな統一的
な非財務リスクの分類に整合させた。さらに、グループは2022年に総合的なオペレーショナル・リス
ク事象の報告手続きを策定し、これにより、本方針の実施を強化するとともに、EIBにおけるオペレー
ショナル・リスク管理推進者の主要なネットワークを構築した。グループはまた、オペレーショナ
ル・リスクの(主要)指標の定義を合理化し、リスク選好の枠組みを強化している。
報告については、EIBグループ・オペレーショナル・リスク報告書が、オペレーショナル・リスクの
管理とモニタリングのすべての側面について責任を有するグループ最高リスク責任者(「GCRO」)に
よって承認され、経営委員会(「MC」)、監査委員会(「AC」)およびディレクター・ジェネラル
(「DG」)に提出される。加えて、0.25百万ユーロを超える損失/利益は、即座に総裁に報告され
る。
EIFでは、リスク管理部門のオペレーショナル・リスク課が監査役会(「AB」)および上級経営陣に
定期的な報告を行う。
グループは、専用の制裁コンプライアンス・プログラムを含む強固なコンプライアンス統制を有
し、グループの活動が既存のすべてのEU制裁および適用される米国と英国の制裁を遵守することを確
実にしている。特にロシアによるウクライナ侵攻を対象とした制裁に関しては、グループの事業活動
への重大な影響は確認されていない。
グループは欧州連合の重要な機関であるため、サイバー攻撃の標的となる可能性が高い。ウクライ
ナにおける現在進行中の危機に伴い、直接的なサイバー攻撃やスピルオーバー攻撃のリスクが高まっ
ており、グループはEUの機関・団体・組織のコンピュータ緊急対応チーム(「CERT-EU」)と協力し
て、このリスクを注意深く監視している。業務の安全性と健全性を確保するために、グループはサイ
バー攻撃に対する強固なセキュリティ対策を実施している。
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注V: デリバティブ
EIBは、将来に決済する約定済取引から発生するエクスポージャーを含む金利リスクおよび為替リス
クへのエクスポージャーを管理するため、ならびに流動性管理の一環として、デリバティブ商品を資
産負債管理活動の一環として使用している。デリバティブは金融商品であり、その損益は、原資産の
価格、利率、為替そして種々のインデックスに左右される。EIFはデリバティブ商品を使用していな
い。
EIBのスワップの大部分は、借入金、貸付金および保有債券のヘッジのため、またはグローバルな資
産負債管理(「ALM」)ポジションのために締結されており、したがって長期的な性質のものである
(注V .1を参照)。
EIBは、基本通貨であるユーロに関連してその運用財務の通貨ポジションを調整するため、また貸付
実行に伴う通貨需要を満たすために、短期通貨スワップも行っている(注V.2を参照)。
先物契約(先物)は、一部の政府債投資から生ずるエクスポージャーをヘッジするため、財務活動
の一環として使用することができる。先物は、規制市場において取引される標準化されたデリバティ
ブであり、カウンターパーティー・リスクの測定と統制に関する一般方針の対象外となっている。
V.1. ヘッジおよびALMデリバティブ
ヘッジおよびALMヘッジとの関連で使用されるデリバティブには以下のものがある。
・ 通貨スワップ
・ 金利スワップ
・ ストラクチャード・スワップ
V.1.1. 通貨スワップ
通貨スワップは、ある通貨における元本および利息の支払を、もう一つの通貨と交換することに合
意した契約である。
EIBは、主に借入金および貸付金のヘッジのために通貨スワップを締結している。
下表は、想定元本および公正価値に基づいて分類した通貨スワップ(ストラクチャード・スワップ
(注V.1.3を参照)を含み、短期通貨スワップ(注V.2.を参照)を除く)の満期を示している。想定元
本はオフ・バランスシートにて開示されている。
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2022年12月31日現在の通貨スワップ
1年超 5年超 2022年の
1年以内 10年超
5年以内 10年以内 合計
(単位:百万ユーロ)
想定元本(受取) 43,783 136,262 36,102 27,198 243,345
公正価値(すなわち、CVA、DVAおよび
(*)
CollVAを含む割引価値(純額)) 221 1,816 -744 26 1,319
2021年12月31日現在の通貨スワップ
1年超 5年超 2021年の
1年以内 10年超
5年以内 10年以内 合計
(単位:百万ユーロ)
想定元本(受取) 34,954 137,297 45,792 29,640 247,683
公正価値(すなわち、CVA、DVAおよび
(*)
CollVAを含む割引価値(純額)) -740 3,085 985 1,041 4,371
(*) 2022年12月31日現在2,530百万ユーロ(2021年:3,133百万ユーロ)となっているマクロ・ヘッジ通貨スワップの公
正価値を含む。
V.1.2. 金利スワップ
金利スワップは、概して、変動金利の利払いと固定金利の利払い、または異なった金利に連動する
変動金利の利払い(ベーシス・スワップ)を同一通貨で交換することに合意する契約である。
金利スワップにより、EIBは借入金、貸付金、および保有債券の金利リスクをヘッジし、貸借対照表
の金利構造を変更することができる。
下表は、金利スワップ(ストラクチャード・スワップ(注V.1.3を参照)を含み、外貨建てで計算さ
れた利息を合成的にユーロ建てに交換するシンセティック・スワップを含む)の満期を想定元本およ
び公正価値に細分して示したものである。想定元本はオフ・バランスシートにて開示されている。
2022年12月31日現在の金利スワップ
1年超 5年超 2022年の
1年以内 10年超
5年以内 10年以内 合計
(単位:百万ユーロ)
想定元本 75,935 230,220 131,299 135,571 573,025
公正価値(すなわち、CVA、DVAおよび
(*)
CollVAを含む割引価値(純額)) -700 -5,269 -4,0 92 993 -9,068
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2021年12月31日現在の金利スワップ
1年超 5年超 2021年の
1年以内 10年超
5年以内 10年以内 合計
(単位:百万ユーロ)
想定元本 53,438 243,656 127,981 134,006 559,081
公正価値(すなわち、CVA、DVAおよび
(*)
CollVAを含む割引価値(純額)) 301 4,748 3,036 229 8,314
(*) 2022年12月31日現在マイナス349百万ユーロ(2021年:マイナス789百万ユーロ)となっているマクロ・ヘッジ金利
スワップの公正価値を含む。
V.1.3. ストラクチャード・スワップ
EIBは、金利、為替レート、インフレ率および株価指数に関するオプションを含む借入契約および貸
付を行う。このようなストラクチャード借入金および貸付金は、関連する市場リスクをヘッジするた
めのスワップ契約により完全にカバーされている。
下表は、ストラクチャード・スワップの取引件数、価額および想定元本の詳細を示している。
12月31日現在の
期限前解約が ストラクチャード・
ストラクチャード・スワップ
組み込まれているもの クーポン
(単位:百万ユーロ)
2022年 2021年 2022年 2021年
取引件数 119 127 156 162
想定元本(単位:百万ユーロ) 4,909 4,568 10,413 12,083
公正価値(すなわち、CVA、DVAお
よびCollVAを含む割引価値(純
額))(単位:百万ユーロ) -774 518 -2,310 -2,960
ストラクチャード・スワップ取引の公正価値は、オプションの利用可能な市場価格に調整されたオ
プション価格モデルを用いて算出される。デリバティブ取引の一部に関しては、市場インプットを直
接入手できない場合には、内部見積りや仮定が評価技法に取り入れられることもある。
借入れに組込まれている、もしくは借入れに関連するオプション契約は、すべて店頭取引で行われ
る。
V.1.4. デリバティブ取引における信用リスクの軽減方針
デリバティブ取引の信用リスク管理方針は、スワップ・カウンターパーティーの資格条件と格付制
限の定義に基づいている。信用エクスポージャーを削減するため、EIBはその大半を取引量の多いス
ワップ・カウンターパーティーとクレジット・サポート・アネックスを交わしており、エクスポー
ジャーが契約で定められている信用極度額を上回った場合に担保を受け取る。
デリバティブに関する信用リスクは、カウンターパーティーが契約債務を履行できない場合にEIBが
被りうる損失に関連する。
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デリバティブ取引の特殊な性質および複雑さを考慮し、当該金融商品の利用から生ずる損失に対し
てEIBを保護するための一連の手続きが整備されている。
・ 取引契約の枠組み:
EIBのデリバティブ取引はすべて、ISDAスワップ取引契約と、該当する場合にはエクスポージャーに
対する担保差入条件が明記されているクレジット・サポート・アネックスの取引契約の枠組みの中で
行われる。これらは一般的に採用され、実施されている契約の様式である。新規契約の最低条件はリ
スク・ガイドラインに規定されている。
・ カウンターパーティーの選択:
取引開始時の格付は、A3以上とリスク・ガイドラインに定められている。カウンターパーティー格
付がある一定のレベルを下回った場合には、EIBは大半の場合に期限前に契約を解除する権利を有す
る。
・ 担保設定:
- (一部の場合に限度枠が適用される)エクスポージャーに対しては、現金および債券による担
保が差入れられる。
- 一定の取引に対しては、現在の市場価値を上回る担保が差し入れられている。
- 個々のカウンターパーティーとのデリバティブ・ポートフォリオと受取担保は定期的にモニ
ターされて評価され、それを受けて追加担保が請求されるか、担保の引出しが行われる。
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ISDA契約の一環として、EIBは、売却または再担保が認められている有価証券や現金を受け取ってい
る。そのような条件の下で受け取った有価証券の公正価値は、2022年12月31日現在、6,902百万ユーロ
(2021年:15,399百万ユーロ)で、担保の性質および同等のムーディーズ格付に基づいた詳細は、以
下のとおりであった。
スワップ担保(単位:百万ユーロ)
債券
政府機関債、
2022年の
同等のムーディーズ格付
現金
国際機関債、
合計
政府債
カバード・
ボンド
Aaa 780 546 0 1,326
Aa1からAa3 254 0 0 254
A1からA3 0 0 0 0
Baa1からBaa3 2,951 0 0 2,951
0 0 2,371 2,371
格付なし
3,985 546 2,371 6,902
2022年の合計
スワップ担保(単位:百万ユーロ)
債券
政府機関債、
2021年の
同等のムーディーズ格付
現金
国際機関債、
合計
政府債
カバード・
ボンド
Aaa 1,042 962 0 2,004
Aa1からAa3 3,130 0 0 3,130
A1からA3 6 0 0 6
Baa1からBaa3 5,484 0 0 5,484
0 0 4,775 4,775
格付なし
9,662 962 4,775 15,399
2021年の合計
EIBは、ITシステムである担保管理システム(「CMS」)の使用を開始した。CMSの主な目的は、EIB
がレポ目的で資産と有担保市場の受入担保のリアルタイムの一覧を確実に利用できるようにする点に
ある。貸付金、デリバティブ、リバース・レポおよびレポに対する担保として受け入れた有価証券
は、市場価格サービス・プロバイダー(すなわち、ブルームバーグ)から提供された活発な市場の相
場価格を用いて、または相場価格が入手不可能な場合は市場ベースの評価額を使用して、CMSで日次評
価される。
・ デリバティブの信用リスクの測定:
デリバティブ関連の信用リスクは様々なパラメーターにより変化し(例えば金利や為替レート)、
一般的に想定元本のごく一部に相当するに過ぎない。
EIBは、内部目的上、財務報告と限度枠のモニタリングにはカレント無担保エクスポージャーとポテ
ンシャル・フューチャー・エクスポージャーを使用して、スワップ取引およびデリバティブ取引に関
する信用リスク・エクスポージャーを測定している。自己資本要件規則(CRR)に従った資本配分につ
いては、グループはカウンターパーティー信用リスクに係る標準的手法(SA-CCR)を用いている。
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EIBは、カレント無担保エクスポージャーを、ゼロと、カウンターパーティーとのネッティング・
セットに含まれている取引ポートフォリオの時価から受入担保の価値を差し引いた数値のいずれか大
きな方の値で測定している。これは、カウンターパーティーが不履行を起こした場合に生ずる損失に
相 当する金額で、受領した担保を相殺に充当し、破綻取引の回収価値をゼロとした上で、すべての取
引につき直ちにスワップ・カウンターパーティーの代替を行うことを想定している。2022年12月31日
現在のカレント無担保エクスポージャーは165百万ユーロ(2021年12月31日現在:927百万ユーロ)で
あった。
さらにEIBは、リスクのマージン期間である20営業日にネッティング・セットに生ずる可能性のある
エクスポージャーの増加を考慮した、ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを計算してい
る。EIBは、保守的な見積りを出すため、ストレス下の市場パラメーターに基づき、また信頼区間を
90%として、ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを計算している。これは、重要な市場
参加者の不履行があった場合に生じるであろう状況を考慮するための規制当局の勧告に沿ったもので
ある。2022年12月31日現在の初期ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーは2,266百万ユーロ
(2021年12月31日現在:10,001百万ユーロ)であった。
・ 限度枠:
銀行向け限度枠システムは、ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを3種の期間グルー
プ(1年未満、1年以上5年以下および5年超)と2種の格付シナリオ(現状維持およびA3格未満へ
の格下げ)でカバーする。
デリバティブ・ポートフォリオは毎日評価され、限度枠との比較が行われる。
下記の表は、カウンターパーティーの内部格付別内訳を示している。
ポテンシャル・
カレント無担保
フューチャー・
エクスポージャー
格付グループ 額面価額割合
エクスポージャー
(単位:百万ユーロ) (単位:百万ユーロ)
2022年 2021年 2022年 2021年 2022年 2021年
同等のムーディーズ格付
Aaa 0.47% 0.47% 0 496 0 920
Aa1からAa3 18.10% 19.31% 4 236 370 2,273
A1からA3 75.46% 74.76% 146 195 1,783 6,628
5.97% 5.46% 15 0 113 180
A3未満
100.00% 100.00% 165 927 2,266 10,001
合計
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V.2. 財務管理の一環として
EIBは、SLP債券ポートフォリオの金利エクスポージャーを修正するために、長期先物も使用してい
る。2022年12月31日現在、長期先物の想定元本は8,804百万ユーロ(2021年:8,274百万ユーロ)、公
正価値は29百万ユーロ(2021年:3百万ユーロ)であった。
EIBはまた、基本通貨であるユーロに関連してその運用財務ポートフォリオの通貨ポジションを調整
するため、また貸付実行に伴う通貨需要を満たすために、短期通貨スワップを行っている。
短期通貨スワップ(受取)の想定元本は、2022年12月31日現在で21,412百万ユーロであり、これに
対して2021年12月31日現在は25,124百万ユーロであった。これらの契約の公正価値は、2022年12月31
日現在マイナス366百万ユーロ(2021年:147百万ユーロ)であった。
短期為替予約取引の想定元本は、2022年12月31日現在267百万ユーロ(2021年:402百万ユーロ)で
あった。短期為替予約取引の公正価値は、2022年12月31日現在4百万ユーロ(2021年:マイナス12百
万ユーロ)であった。
EIFは財務管理活動の一環としてデリバティブを利用していない。
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注W: 換算レート
2022年12月31日現在および2021年12月31日現在の貸借対照表の作成にあたり使用されている換算
レートは、以下のとおりである。
2022年12月31日 2021年12月31日
欧州連合加盟国のユーロ以外の通貨
ブルガリア・レフ(BGN) 1.9558 1.9558
チェコ・コルナ(CZK) 24.1160 24.8580
デンマーク・クローネ(DKK) 7.4365 7.4364
クロアチア・クーナ(HRK) 7.5365 7.5156
ハンガリー・フォリント(HUF) 400.8700 369.1900
ポーランド・ズロチ(PLN) 4.6808 4.5969
ルーマニア・レウ(RON) 4.9495 4.9490
スウェーデン・クローナ(SEK) 11.1218 10.2503
欧州連合加盟国以外の通貨
豪ドル(AUD) 1.5693 1.5615
アゼルバイジャン・マナト(AZN) 1.8103 1.9207
カナダ・ドル(CAD) 1.4440 1.4393
スイス・フラン(CHF) 0.9847 1.0331
中国人民元(CNY) 7.3582 7.1947
ドミニカ・ペソ(DOP) 59.8400 64.8310
エジプト・ポンド(EGP) 26.4223 17.7663
エチオピア・ブル(ETB) 56.9660 55.8100
英ポンド(GBP) 0.8869 0.8403
ジョージア・ラリ(GEL) 2.8462 3.4806
香港ドル(HKD) 8.3163 8.8333
インド・ルピー(INR) 88.1710 84.2292
日本円(JPY) 140.6600 130.3800
ケニア・シリング(KES) 131.6800 128.2600
カザフスタン・テンゲ(KZT) 494.0400 493.3100
モロッコ・ディルハム(MAD) 11.1556 10.5191
モルドバ・レウ(MDL) 20.3700 20.0900
メキシコ・ペソ(MXN) 20.8560 23.1438
ノルウェー・クローネ(NOK) 10.5138 9.9888
ニュージーランド・ドル(NZD) 1.6798 1.6579
セルビア・ディナール(RSD) 117.2000 117.5100
ロシア・ルーブル(RUB) 76.8960 85.3004
チュニジア・ディナール(TND) 3.3055 3.2611
トルコ・リラ(TRY) 19.9649 15.2335
台湾ドル(TWD) 32.7869 31.4420
ウクライナ・グリブナ(UAH) 39.4092 30.9151
米ドル(USD) 1.0666 1.1326
中央アフリカCFAフラン(XAF) 655.9570 655.9570
西アフリカCFAフラン(XOF) 655.9570 655.9570
南アフリカ・ランド(ZAR) 18.0986 18.0625
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注X: 関連当事者取引(単位:千ユーロ)
X.1. 参加持分
以下に、連結財務書類に含まれる参加持分に関連する金額を表示している。
2022年12月31日 2021年12月31日
(単位:千ユーロ)
参加持分 386,651 345,023
固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券および参加持分に
係る(再)評価損益 -1,427 16,595
払込未請求参加持分 483,923 576,951
X.2. 主要経営陣
グループは、理事会、監査委員会、経営委員会の委員およびGCRO、EIBの各種組織部門の責任者であ
るディレクター・ジェネラル、ならびに内部統制独立部署の責任者を主要経営陣とみなしている。
「一般管理費」(注R)に算入されている主要経営陣の当該報告期間の報酬は、下表のとおりであ
る。
2022年 2021年
(単位:千ユーロ)
(1)
短期給付 11,342 10,772
(2)
退職後給付 874 919
315 965
退職手当
12,531 12,656
合計
(1) 短期従業員給付は、経営委員会委員、GCRO、ディレクター・ジェネラルおよびその他ディレクターの給与および手
当、賞与、社会保障負担金、ならびに理事会および監査委員会の委員に支払われた給付である。
(2) 退職後給付は、経営委員会委員、GCRO、ディレクター・ジェネラル、およびその他ディレクターに支払われた年金
および退職後健康保険費である。
主要経営陣に対して前渡金も信用供与行っておらず、またいかなる種類の保証の形態でも主要経営
陣の利益のための契約を締結していない。
2022年12月31日現在の主要経営陣との間の未決済残高は、強制および任意の補足年金制度および健
康保険制度に関する負債、ならびに期末現在の未払残高で構成されている。
2022年12月31日 2021年12月31日
(単位:千ユーロ)
年金制度および健康保険制度(注L) 100,113 74,834
その他の負債(注G) 15,288 18,737
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注Y: 後発事象
2022年12月31日現在の連結財務書類の修正や開示を必要とする、貸借対照表日以後に発生した重要
な事象はなかった。
ウクライナにおける戦争とその広範な経済的影響に関連して、グループは、後発事象のレビューの
一環として、状況を継続的に注意深く監視している。
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注Z: 第三者資金の管理
Z.1. イノベーション基金
イノベーション基金は、指令2003/87/ECの第10a条(8)により設立され、気候変動の緩和に著しく寄
与する環境上安全な二酸化炭素回収・有効利用(「CCU」)および生産された炭素集約的なものに代わ
る製品を含む、低炭素技術およびプロセスにおけるイノベーションを全加盟国で支援し、環境上安全
な二酸化炭素の回収・貯留(「CCS」)ならびに革新的な再生可能エネルギーおよびエネルギー貯蔵技
術を目的とするプロジェクトの建設および運営を振興することを支援する。EIBは、イノベーション基
金の個別財務書類を作成している。
Z.2. インベストメント・ファシリティ・コトヌー
EIBが管理するインベストメント・ファシリティは、アフリカ・カリブ海および太平洋地域諸国と欧
州連合および加盟国との間における協力・開発に関する2000年6月23日付(その後改正済)のコト
ヌー協定に基づき設立されたものである。EIBは、インベストメント・ファシリティの個別財務書類を
作成している。
Z.3. 近代化基金
改正EU排出量取引制度(ETS)指令第10d条に基づき設立された近代化基金は、エネルギーシステム
を近代化し、次のEUの受益加盟国(「MS」)10ヵ国のエネルギー効率を改善することを目的としてい
る。ブルガリア、チェコ共和国、クロアチア、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、
ポーランド、ルーマニアおよびスロバキア。近代化基金は、再生可能エネルギー源からのエネルギー
の生成と利用、エネルギー効率、エネルギー貯蔵、地域暖房、パイプラインおよびグリッドを含むエ
ネルギーネットワークの近代化、労働者の再配置、技能再教育およびスキルアップ、教育、求職活動
ならびに起業への投資を支援している。EIBは、近代化基金の個別財務書類を作成している。
Z.4. イノベーターのためのEU資金提供(InnovFin)
InnovFinまたは「InnovFin-イノベーターのためのEU資金提供」は、EUの新規の2014年-2020年の
研究プログラムである「ホライズン2020」に基づくEIB、EIFおよび欧州委員会の共同の取組みであ
る。2013年12月11日、研究およびイノベーションのための包括プログラム(2014年-2020年)である
ホライズン2020を確立し、決定事項N1982/2006/ECを廃止する欧州議会および理事会規則(EU)
N1291/2013(「ホライズン2020規則」)が採択された。2014年6月12日、欧州委員会、EIBおよびEIF
は、金融商品であるInnovFinを設定する委任契約を締結した。InnovFinは、EIBグループによって提供
される一連の統合され、かつ補完的な金融ツールおよびアドバイザリー・サービスで構成され、零細
企業から巨大企業までの企業による投資を支援するために研究およびイノベーション(「R&I」)のバ
リュー・チェーン全体を対象としている。EIBは、InnovFinの個別財務書類を作成している。
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Z.5. NER300
EIBは、NER300イニシアチブ(炭素回収・貯蔵実証プロジェクト、および革新的再生可能エネルギー
技術のための資金調達プログラム)を遂行する際、エージェントとしてECをサポートする。当該ファ
シリティには、i) EU の割当量単位(EUA)の収益化、ii)EUA収益化活動を通じて受け取る資金の管
理および支出、といった2つの活動が含まれる。EIBは、NER300のために個別財務書類を作成してい
る。
Z.6. コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(「CEF」)
コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(「CEF」)は、運輸、電気通信およびエネルギーのイ
ンフラストラクチャー・セクターにおける共益プロジェクトを支援するために、欧州横断的なネット
ワークに欧州連合の財政支援を提供することを目的とした、EIBと欧州委員会の間の共同協定である。
欧州委員会は、CEFに基づく負債性金融商品の業務および管理をEIBに委託しており、これにより、欧
州横断交通網プロジェクト融資保証手段(「LGTT」)およびプロジェクト債券イニシアチブ
(「PBI」)の試験段階への連続性が確保される。LGTTとPBIは、CEFの下で2016年1月1日に統合され
た。CEF委任契約は、最新かつ共通のリスク・シェアリングの取決めを定めている。EIBは、CEFの個別
財務書類を作成している。
Z.7. 汎ヨーロッパ保証基金(「EGF」)
EGFは2020年4月23日に欧州理事会により、EU全体のCOVID-19対応パッケージの一部として承認され
た。2021年7月現在、22ヵ国の加盟国が約244億ユーロと見込まれる保証枠で参加を確認しており、参
加国の事業体のみが支援適格となっている。EGFは、金融仲介機関の商業的資金供与の要件を満たす
が、COVID-19のパンデミックの経済的影響により苦戦している高リスク事業と最終的な受益者に資金
提供を行うことを目的としている。この理由から、EGFはSMEに焦点を当てており、SMEはEGFが支援す
る資金供与の少なくとも65%の恩恵を受けることとなる。EGFはEIBとEIFによって共同で実施されてお
り、それぞれが約半分の金額を担当するが、商品構成は異なっている。EIFは、上限付きおよび上限な
しのポートフォリオ保証と間接的な株式型投資(ファンド)を想定していたのに対して、EIB側では、
展開されている商品は、連動型リスク・シェアリング、ベンチャー債、合成資産ベース証券である。
EIBは、EGFの個別財務書類を作成している。
Z.8. COSME借入保証ファシリティ(LGF)および成長株式投資ファシリティ(EFG)
中小企業の資金調達の困難に対処するため、COSMEは、借入保証ファシリティ(「LGF」)および成
長株式投資ファシリティ(「EFG」)を設立している。LGFおよびEFGは、中小企業が借入またはエクイ
ティの形での資金調達の利用可能性を向上させることを目的としている。当該金融商品にも、SMEイニ
シアチブに基づくEUの拠出制度が含まれている。EFGは、域内企業の成長および研究・イノベーション
を支援する持分金融商品の形で組成されている。LGFは、直接的または間接的な保証金融商品の形で組
成されている。LGFの目的は、中小企業向けの資金調達市場の構造的な欠陥の軽減に貢献し、中小企業
向けのより多様な資金調達市場の創生を支援することである。直接的または間接的な保証を通じて、
LGFは、成長力のある中小企業が資金調達の際に直面するとりわけ困難な状況に対処するため、借入に
よる資金調達時に保証を行うことを目的としている。さらに、適格かつ透明性の高い証券化取引のメ
ザニン・トランシェを保証することによって、LGFは中小企業の資金調達に新たな手段を提供すること
を目指している。EIFは、COSME LGFおよびEFGの個別財務書類を作成している。
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Z.9. 欧州構造投資基金(「ESIF」)
欧州構造投資基金(「ESIF」)の下、EIFは、加盟国により2015年11月以降の保有基金管理運営者と
して任命され、ESIFファンドの管理・運営を行っている。ESIFイニシアチブは、中小企業の資金調
達、ならびにプライベート・エクイティ・ファンド、ギャランティー・ファンドおよびローン・ファ
ンドなどの金融工学商品の利用を促進することを目的としている。EIFは、現在、加盟国・地域(バス
=ノルマンディー地域圏およびラングドック=ルシヨン地域圏)との間で締結した19件のESIF資金供
与契約を管理している。EIFは、ESIFの個別財務書類を作成している。
Z.10. EU-アフリカ・インフラ(「EUAI」)信託基金
EUAI信託基金は、創設・援助組織としての欧州連合を代表するECと、運用者としてのEIBとの間の、
信託基金協定に基づき創設され、創設後は、欧州連合加盟国もこの協定に資金提供者として参加でき
る。2006年2月9日、ECとEIBは、EU-アフリカ・インフラ・パートナーシップを共同で推進し、特に
それを支援するEU-アフリカ・インフラ信託基金を設立する旨の覚書を交わした。EIBは、EUAI信託基
金の個別財務書類を作成している。
Z.11. イタリア向けSMEイニシアチブ
2016年中に、SMEイニシアチブに関連して、EIFとフィンランド、ブルガリア、ルーマニアおよびイ
タリアの運用当局は、ホライズン2020金融商品に基づくフィンランド、ブルガリア、ルーマニア向け
およびCOSME LGFとの関係で結果的にイタリア向けとなる特定の配分に関して実施される専用ウィンド
ウの実行および運営について、4件の個別の資金供与契約を締結した。これらのSMEイニシアチブは、
各国の適格中小企業向け新規デット・ファイナンスのポートフォリオのために、ホライズン2020に関
して上限を設けず保証を提供することを目的としている。EIFは、イタリア向けSMEイニシアチブの個
別財務書類を作成している。
Z.12. 中小企業向け欧州共同財源(JEREMIE)
JEREMIE(中小企業向け欧州共同財源)は、欧州委員会の地域政策総局(DG Regio)とEIBグループ
によるイニシアチブである。EIFは、JEREMIEの個別財務書類を作成している。
Z.13. REG
これは3つの地域マンデートに対応している。
アイルランド経済構造安定性投資プラットフォーム(「アイルランドSME」)。アイルランドSME
は、アイルランド政府とEIFの間で締結された、アイルランドの国立産業振興銀行との間で、主に中期
貸付およびすべてのSME向けに注力し、SMEイニシアチブと類似した構造によって裏付けられた上限を
設けない当事者間債務・権利共通保証契約を結ぶためのマンデートである。国家資金がファースト・
ロスを担当し、EIBグループが中位リスク(EFSIを通じたEIB)および優先リスク(EIBおよび潜在的に
EIF)を担当する。
フランスの 「投資計画2018-2022」(マクロン投資計画として知られている)の下で、農業専用窓
口が、このセクターへの投資50億ユーロを動員するために設置された。これに関連して、フランス農
業省はEIFに対し、7.5億ユーロから11億ユーロの間のフランスの農家向けの新たなデット・ファイナ
ンスの呼び水となることを目的とした保証制度の設計を要請した。この点を考慮して、フランス農業
省はこの制度に60百万ユーロを割り当てることを決定し、EIFに対し、FMA拠出金とEFSI拠出金を合計
して45百万ユーロを上限とするよう要請した。
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Prêt Participatif Grand Est は、グラン・エスト地域圏とEIFの緊密な協力の結果としてフランス
において導入された新たな金融商品である。この基金は、「グラン・エスト地域圏ビジネス法」とし
て知られる同地域の意欲的な復興プログラムの重要な構成要素であり、地元の起業家のために250百万
ユー ロを超える劣後ローン(prêts participatifs)を動員することを目的としている。
この金融商品はグラン・エストの自己財源から資金供与され、金融仲介機関を通じて展開されるEIF
の標準モデルであるファースト・ロス・ポートフォリオ保証(FLPG)を土台に構築される。期待され
る成果は次のとおりである。
- このイニシアチブにコミットされた地域財源に大きなレバレッジ効果を生み出すこと
- 危機の影響を受けたが依然として成長のための実行可能なプロジェクトを追求する意志のある企
業を含むSMEを支援することにより、市場に大きな影響を与えること
- グラン・エストを拠点とする起業家に優遇的な融資条件を提供すること
Z.14. インベストEU
2022年3月7日、EU、EIBおよびEIFはインベストEUの下でEU保証を設定する保証契約(「本契
約」)を締結した。インベストEUプログラムは、欧州における持続可能な投資、イノベーション、社
会的包摂、雇用創出をさらに後押しすることを目的としている。インベストEUは、262億ユーロのEU予
算保証を利用して官民投資を促進することが期待されており、このEU予算保証の75%がEIBとEIFに別々
に付与される。2022年4月1日、EFSI債務標準ポートフォリオとEFSIハイブリッド・ポートフォリオ
のすべての事業がインベストEUに移管された。当初EFSI協定に基づいて保証されたこれらの事業は、
「2021年以前の業務」 として定義されている。EIBは、インベストEUの個別財務書類を作成してい
る。
Z.15. ルーマニア向けSMEイニシアチブ
2016年中に、SMEイニシアチブに関連して、EIFとフィンランド、ブルガリア、ルーマニアおよびイ
タリアの運用当局は、ホライズン2020金融商品に基づくフィンランド、ブルガリア、ルーマニア向け
およびCOSME LGFとの関係で結果的にイタリア向けとなる特定の配分に関して実施される専用ウィンド
ウの実行および運営について、4件の個別の資金供与契約を締結した。これらのSMEイニシアチブは、
各国の適格中小企業向け新規デット・ファイナンスのポートフォリオのために、ホライズン2020に関
して上限を設けず保証を提供することを目的としている。EIFは、ルーマニア向けSMEイニシアチブの
個別財務書類を作成している。
Z.16. 地域金融商品(「DFI」)(旧ファンド・オブ・ファンズ(「JESSICA II」) )
地域金融商品(「DFI」)は、欧州構造投資基金(「ESIF」)が、それぞれ2014年から2020年までの
間および2021年から2027年の間に加盟国運用プログラムにより資金供給するファンド・オブ・ファン
ズ(「FoF」)および保有基金(「HF」)で構成されている。DFIは、選定された金融仲介機関と協力
して、貸付、出資および保証の実行を通じて、最終受領者の資金調達を促進している。
EIBは、ファンド・マネージャーとして、関係運営当局から資金供給(拠出)の取りまとめを行い、
拠出者と合意した投資戦略に従って、金融仲介機関を介して当該資金を投資している。EIBは、各ファ
ンド・オブ・ファンズの個別財務書類を作成している。
Z.17. 資金パートナーシップ・プラットフォーム(「PPF」)
PPFはEIBが運用する複数地域、複数拠出者、かつ複数セクターの、複数のファンドを組み込んだプ
ラットフォームであり、持続可能な発展のために金融の流れを増加させる必要性を考慮し、また欧州
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投資銀行の成功体験を基礎として設立された。PPFに基づく基金は、プラットフォーム規則に従って導
入された。EIBは、PPFの個別ベースの合算財務報告を作成している。
Z.18. 欧州戦略投資基金(「EFSI EIF」)
適用されるEFSI規則に基づき、欧州委員会およびEIBは、EFSIの管理・運営、EUの保証提供に関する
契約(「EFSI契約」)、および欧州投資アドバイザリー・ハブ(「EIAH」)の実施に関する契約
(「EIAH契約」)を締結した。
EFSI契約に基づき、ECは、EFSIが支援するプロジェクトに関して、EIBにEUの保証を提供した。EUの
保証に充当する資産は、欧州委員会が直接管理する。EFSIが支援するプロジェクトは、通常のEIBのプ
ロジェクトのサイクルおよびガバナンスに従う。また、EFSIは自己専用のガバナンス構造を有してい
る。当該構造は、EFSIの下で行う投資において、欧州に対する投資の妨げとなる市場のリスク負担の
失敗に対処するという特別の目的に、確実に重点が置かれ続けるようにするために設置されている。
EIAHは、プロジェクトおよび投資に対し、財務以外の支援を拡充することを目的としている。EIAH
は3つの補完的な構成要素であるa) 公共受益者および民間受益者向けの広範なアドバイザリー技術支
援プログラムおよびイニシアチブへの足掛かり、b) パートナー機関の間での専門知識の活用、交換お
よび普及を目的とした協同プラットフォーム、およびc) 既存のアドバイザリー・サービスの強化もし
くは拡大または未対処のニーズに対応する新規のサービスの創出、で構成される。EIBは、EIAHの個別
財務書類を作成している。
EFSI-欧州基金戦略投資
EFSIは、戦略的投資のための民間資金を動員することにより、EUにおける現在の投資ギャップを克
服することを支援するために、EIBグループと欧州委員会が共同で開始したイニシアチブである。
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EFSIはEU予算からの160億ユーロの保証であり、EIBの自己資金50億ユーロの配分によって補完され
る。EFSIは、EIBとEIFがそれぞれ実施するイノベーション・インフラ・ウィンドウ(「IIW」)とSME
ウィンドウ(「SMEW」)の両ウィンドウから構成される。
総額50億ユーロは、EFSIの下で当初以下のようにSMEWに割り当てられる。(i) EUの保証によって間
接的に裏付けられる最大25億ユーロ、(ii) 既存のRCRマンデートを増額させるために、EIBが自己のリ
スク負担で拠出する25億ユーロ。EFSI運営理事会は、SMEWへのEU保証枠への配分をあと5億ユーロ
(すなわち、その時々の最大金額30億ユーロまで)増額する権限を有している。
EFSI - プライベート・クレジット
このプログラムは、現金投資商品と投資家保証商品の2つの優遇商品で構成される。
現金投資商品は、EIFの適格DDFへの直接投資を可能にし、初回クロージングを優先させる。これら
のファンド投資は、ファンドの組成を支援し、EIFにファンド・ガバナンスと投資戦略に関するイン
プットを提供する機会を与える。EIFの直接投資は、EIFの参加とデューデリジェンスによって相当な
安心感を得る他のファンド投資家を呼び込むことを目的としている。
投資家保証商品は、EIFが既に投資を確約しているDDFへの機関投資家の投資を一部保証(最大
50%)することにより、EIFが資金調達の支援を拡大することを可能にする。この保証商品は、この新
生資産クラスに未経験の投資家に訴求するだけでなく、すでに投資を検討している投資家からのより
大きな投資を促すと期待されている。投資家保証商品は、資産クラスの拡大に貢献することができ
る。
EFSI - コンビネーション商品
EFSIの財源とEAFRD国家財源を組み合わせて新たな金融商品を創出するための枠組み商品。資金調達
ギャップに対処し、EU加盟国とEUの政策目標が一致する特定の優先度の高い投資目標を支援すること
を目的としている。農業は当初、中小企業が大きな資金調達ギャップに悩む分野として優先されてき
ている。
EFSI - 技能・教育
技能・教育保証パイロットは、上限付き(再)保証の形態で、教育、訓練、技能の分野における資
金調達手段を拡大することを目的としたもので、次のMFFに向けてEFSI 2の下で試験的に実施される商
品の一つである。これは、学生および成人の学習者向け(SMEも対象とすることができる)の、広範な
教育訓練プログラムをカバーする幅広い適格性を有し、様々な仲介機関を通じて実施される。
- カテゴリーA:学生および学習者
- カテゴリーB:従業員の技能と技能の活用に投資している企業
- カテゴリーC:教育、訓練、技能および関連サービスを提供する組織(幼稚園、保育所、幼児サー
ビスなど)
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EFSI - ESCALAR
ESCALARは、欧州の高成長企業(スケールアップ)が悩む資金調達ギャップをターゲットとした300
百万ユーロの試験的マンデートである。ESCALARは、スケールアップに投資の重点を置いたファンドに
投資する。ESCALARは、他の投資家とは異なる種類株式またはファンド受益証券を通じて、ファンドお
よびファンドのサイド・ビークルに持分投資を行う。ESCALARの投資は、他の投資家による投資とは異
なる条件となる。具体的には、(1) 一定の事前に定義されたダウンサイド・シナリオ時におけるファ
ンドの分配に係る優先権、(2) 投資の返還に関する劣後性および請求権の減額。
Z.19. GIF 2007
競争力および革新枠組みプログラムと技術移転パイロット・プロジェクトに基づくGIF 2007
(CIP/GIF 2007)において、EIFは、自己の名義で、ただし欧州委員会に代わり欧州委員会のリスクに
おいて、投資の取得、管理および処分を行う権限を与えられている。EIFは、GIF 2007の個別財務書類
を作成している。
Z.20. JESSICA(保有基金)
JESSICA(都市部への持続可能な投資に対する欧州共同支援)は、欧州委員会とEIBが欧州評議会開
発銀行と共同で策定したイニシアチブである。
JESSICA保有基金はJESSICAイニシアチブに関連して使用される。新しい手続きに基づき、関係運営
当局は、持続可能な総合都市開発計画の一部を形成するプロジェクトへの有償投資を行うために、自
身のEU助成金の一部を使用する選択権を付与される。EIBは、運用者として、関係運営当局から受領し
た資金を取りまとめ、拠出者と合意した投資ガイドラインに従って都市開発基金に投資している。
EIBは、一部のJESSICA保有基金の個別財務書類を作成している。
Z.21. 復興・強靭化ファシリティ-金融商品(「RRF-FI」)
EIBは、EIBと委任者との間の資金調達協定で合意された投資戦略および事業計画に従って、それぞ
れのEU加盟国に代わってRRF資源を管理および投資する。さらに、EIBは資金管理業務を行う(監視、
報告、財務管理を含む)。EU加盟国から要請がある場合、このマンデートはEIBの助言による支援を組
み込むこともできる。
RRF-FIは、 (i) EIBが直接基礎となる業務を選択して評価する直接実施、 (ii) 金融仲介機関を介
した間接実施、 (iii) これらの混合の3つの実施方法の下で展開することができる。
RRFエクイティ・キプロス
RRFエクイティ・キプロスは、EIFとキプロス共和国の間で締結された最初のエクイティ・マンデー
トである。このマンデートは、キプロスの国家復興・強靭化計画(20百万ユーロ) の資金と、2007年
から2013年のJEREMIEプログラムからの資金の還流により資金調達され、EIFとの直接契約30百万ユー
ロとして構成されている。このマンデートでは、成長段階でのシード(の前)あるいはアーリース
テージにある革新的な企業やスタートアップ企業を対象としたゼネラリスト・ベンチャー・キャピタ
ル・ファンドを展開することを想定している。これは、キプロスで初めて展開される公的資金の支援
を伴ったベンチャー・キャピタル・ファンドとなる。原ファンドの調印は2023年第1四半期に見込ま
れている。
RRFエクイティ・ブルガリア
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RRFエクイティ・ブルガリア・マンデートは、規則 (EU) 2021/241によって設置されたブルガリアの
復興・強靭化ファシリティに関連して、ブルガリアの国家復興・強靭化計画の下でのEIFとの直接契約
180百万ユーロとして構成されている。次の3つのウィンドウの下で投資を支援するためにエクイ
ティ・ ファイナンスが提供される。
- 成長のための資本商品(当初予算配分は最大75百万ユーロ)
- イノベーションのための資本商品(当初予算配分は最大75百万ユーロ)
- 気候変動中立性とデジタル・トランスフォーメーション投資のための資本商品(当初予算配分は
最大30百万ユーロ)
このマンデートは、特に技術移転プロジェクト、SMEおよび中規模資本企業に、イノベーションを促
進し、知識経済への移行を支援するために使用されるエクイティ・ファイナンスを提供することに
よって、ブルガリア市場全般およびより高リスクの事業からのパンデミックの悪影響を緩和すること
に貢献する。また、気候変動中立性とデジタル・トランスフォーメーションを支援する持分投資(イ
ンフラ・プロジェクトなど)にも資金提供を行う。
Z.22. 特別部門
特別部門は、総務会によって1963年5月27日に設定された。1977年8月4日の決議に基づき、その
目的は見直され、第三者の勘定で第三者の委託に基づいてEIBが実行した金融業務を記録するためとさ
れた。特別部門には、FED、MED/FEMIPおよび欧州開発金融機関民間部門開発ファシリティの保証部分
が含まれる。
Z.23. 雇用および社会イノベーション・プログラム(「EaSI」)
EaSI保証金融商品は、欧州プログレス・マイクロファイナンス・ファシリティ(「プログレス・マ
イクロファイナンス」)に基づくマイクロクレジット保証の後継制度であるEaSIマイクロファイナン
ス保証を中心に構成されている。プログレス・マイクロファイナンスに基づきマイクロクレジット提
供者に対する支援が拡大される予定である。
また、EaSI保証金融商品は、EaSIソーシャル・アントレプレナーシップ保証で構成される。これは
新しい商品であり、社会的企業の資金調達を促進し、社会的投資市場の発展を支援していくものであ
る。EIFは、EaSIの個別財務書類を作成している。
雇用および社会イノベーション基金(「EaSI基金」)は、EUマイクロファイナンスFCP-FISの新しい
サブファンドとして設立された。このマンデートは、2010年に設置された欧州プログレス・マイクロ
ファイナンス・サブファンドの後継であり、財源は欧州委員会、EIB、EIFからの混合であり、目標規
模は200百万ユーロである。
EaSI基金は、新たな社会起業エコシステムの発展に貢献すると同時に、マイクロファイナンス市場
におけるEIFの役割を強化する。EaSI基金が提供する貸付商品は、通常預金資金へのアクセスが限られ
ているノンバンクや小規模/ニッチ銀行(例えば、エシカルバンク)のような小規模な仲介機関の資
金調達ギャップに特に対応するものである。一方、大規模な銀行は、融資活動のために確保された資
金へのアクセスがあり、保証商品を通じて追加的なリスク・カバーを求める可能性がある。
Z.24. リスク・シェアリング・ファイナンス・ファシリティ(「RSFF」)
RSFFは、欧州連合を代表するECとEIBとの間で締結され、2007年6月5日付で発効した協力協定に基
づき設立された。RSFFは、研究、技術開発と実証プロジェクトおよび技術革新への投資を育成するこ
とを目的としている。RSFFの一環として、EIFは、技術革新および研究を中心とする中小企業(SME)
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および中堅企業のためのリスク・シェアリング・インスツルメント(「RSI」)を用意した。RSIは、
研究を推進する中小企業(「SME」)や中堅企業の借入やファイナンス・リースのため、銀行やリース
会 社に保証を提供している。EIBは、RSIを含めたRSFFの連結財務書類を個別に作成している。
Z.25. InnovFin中小企業保証
ホライズン2020の「リスク・ファイナンスへのアクセス・プログラム」との関連で、このプログラ
ムは負債性金融商品および持分金融商品の設定を規定している。InnovFin 中小企業保証と呼ばれるリ
スク・シェアリング・ファシリティは、保証の形で組成され、EUの拠出金を一次的に不履行金額の補
てんに使用し、EIFのリスク・テイク能力を二次的に不履行金額の補てんに使用する。この制度の目的
は、研究・開発およびイノベーションにおいて顕著な活動を行っている中小企業および中堅企業に、
金融仲介機関が貸付またはファイナンス・リースを提供する動機を与えることである。EIFは、
InnovFin中小企業保証の個別財務書類を作成している。
Z.26. ブルガリア向けSMEイニシアチブ
2016年中に、SMEイニシアチブに関連して、EIFとフィンランド、ブルガリア、ルーマニアおよびイ
タリアの運用当局は、ホライズン2020金融商品に基づくフィンランド、ブルガリア、ルーマニア向け
およびCOSME LGFとの関係で結果的にイタリア向けとなる特定の配分に関して実施される専用ウィンド
ウの実行および運営について、4件の個別の資金供与契約を締結した。これらのSMEイニシアチブは、
各国の適格中小企業向け新規デット・ファイナンスのポートフォリオのために、ホライズン2020に関
して上限を設けず保証を提供することを目的としている。EIFは、ブルガリア向けSMEイニシアチブの
個別財務書類を作成している。
Z.27. 欧州近隣パートナーシップ枠組み(「ENPI」)
欧州近隣政策の対象国における欧州連合の一般予算から資金調達される事業の実施について定めた
欧州連合とEIBとの間の枠組み協定は、ENPIを通じて実施される。EIBは、ENPIの個別財務書類を作成
している。
Z.28. 文化・クリエイティブ部門保証ファシリティ
この金融商品は、文化・クリエイティブ部門向けに力を注ぐ欧州連合の主要プログラムであるクリ
エイティブ・ヨーロッパの下で設定され、欧州連合に代わってEIFにより運用される。このイニシアチ
ブは、EIFが保証や念書を選定金融仲介機関に提供することを認め、これにより金融仲介機関が文化・
クリエイティブ分野の企業家に対するデット・ファイナンスの提供を増やすことを可能とする。生成
された貸付金により、10,000社を超えるオーディオビジュアル(映画、テレビ、アニメーション、ビ
デオゲーム、マルチメディアを含む)、フェスティバル、音楽、文学、建築、記録資料、図書館、博
物館、美術工芸、文化遺産、デザイン、芸能、出版、ラジオ、視覚芸術など、広範囲のセクターのSME
が支援を受けると予想される。EIFは、文化・クリエイティブ部門保証ファシリティの個別財務書類を
作成している。
Z.29. フィンランド向けSMEイニシアチブ
2016年中に、SMEイニシアチブに関連して、EIFとフィンランド、ブルガリア、ルーマニアおよびイ
タリアの運用当局は、ホライズン2020金融商品に基づくフィンランド、ブルガリア、ルーマニア向け
およびCOSME LGFとの関係で結果的にイタリア向けとなる特定の配分に関して実施される専用ウィンド
ウの実行および運営について、4件の個別の資金供与契約を締結した。これらのSMEイニシアチブは、
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各国の適格中小企業向け新規デット・ファイナンスのポートフォリオのために、ホライズン2020に関
して上限を設けず保証を提供することを目的としている。EIFは、フィンランド向けSMEイニシアチブ
の 個別財務書類を作成している。
Z.30. 国家開発機関(「NPI」)
-NPI証券化イニシアチブ(「ENSI」)
EIFならびにKfW、フランス公的投資銀行(bpifrance)、CDP、マルタ開発銀行ワーキンググルー
プ、IFD、ICOおよびBBBを含めたいくつかの国家開発機関(「NPI」)は、中小企業(「SME」)への資
本市場を通じた資金提供の増加を目的とした協力およびリスク・シェアリング・プラットフォームで
あるEIF-NPI証券化イニシアチブ(「ENSI」)を開始した。このSME証券化取引における相互協力の目
的は、民間セクターからの資金を触媒としてSME証券化市場を活性化することによって、欧州のSME向
けファイナンスの利用可能性を高める点にある。これは、より広範囲にSMEの支援を行き渡らせようと
する欧州戦略投資基金の考えを反映したものである。
このマンデートの下で、EIFはCassa Depositi e Prestiti (「CDP」)からの最大100百万ユーロの
資金を運用することが可能となる。マンデートの下でのCDPの資金は、EIFからの1対1のマッチング
拠出による共同投資の形態で、技術移転ファンド/プラットフォームへの投資を通じて展開され、こ
の結果、EIFがこのプログラムの下で運用する総資金は最大200百万ユーロとなる。
NPIエクイティ・プラットフォーム
EIF-NPIエクイティ・プラットフォームは、EIFが2016年に開始した共同イニシアチブであり、EIFと
EU加盟国の国家開発機関(NPI)または国家開発銀行(NPB)との間で知識共有およびベスト・プラク
ティスの推進を目的としている。その目標は、中小企業および中規模資本企業向けの資金調達へのア
クセスを向上させ、株式市場の最適化を支援し、国内、EU、民間の資金調達源を均衡させることであ
る。
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NPI ICF 技術移転
EIFとカタルーニャ信用公庫 (「ICF」)との間の投資パートナーシップにより、30百万ユーロの
ICF資金がスペインのカタルーニャ地域に関連する技術移転プロジェクトや企業への投資に焦点を当て
た技術移転基金への投入が確約されている。ICFからの資金に対しては、少なくとも15百万ユーロの
EIF運用下の資金がマッチング拠出される。このパートナーシップの下で、EIFとICFは選択された技術
移転基金に投資し、それぞれはリミテッド・パートナー投資者としての役割を務める。
Z.31. 国際開発協力機構(AECID)
このパートナーシップ契約は、スペイン王国(スペインの国際開発協力機構(「AECID」))とEIB
との間で調印されたもので、モーリタニアおよびFEMIPによってカバーされる諸国(「南地中海沿岸地
域」)の活動に投資するために設立された。地域の零細企業や中小企業に関してリスク資本を提供す
ること、および民間セクターの幅広い発展に従事することを主目的としている。EIBは、AECIDの個別
財務書類を作成している。
Z.32. 西バルカン諸国企業開発および新規事業育成ファシリティ(WB EDIF)
西バルカン諸国企業開発および新規事業育成ファシリティ(「WB EDIF」)は、2012年12月にEC拡大
総局(「DG ELARG」)、EIBグループおよび欧州復興開発銀行(「EBRD」)の間で締結された共同イニ
シアチブである。同イニシアチブは、加盟候補国向け支援制度(「IPA」)基金の展開を通じて、西バ
ルカン諸国の中小企業の資金へのアクセスの改善および同地域の経済発展を育成することを目的とし
ている。WB EDIFにおいて、EIFはプラットフォーム・コーディネーター、企業拡大基金(「ENEF」)
におけるECのトラスティー、企業育成基金(「ENIF」)におけるECのトラスティーおよびギャラン
ティー・ファシリティの管理者としての役割を果たす。EIFは、WB EDIFの個別財務書類を作成してい
る。
COVID-19危機とそれに続く西バルカン地域におけるエネルギー危機への対応として、欧州委員会は
西バルカン6ヵ国で展開するための保証枠60百万ユーロをEIFに割り当てた。かかる保証枠は、既存の
西バルカン諸国企業開発および新規事業育成ファシリティ保証枠II(WB EDIF GF II)のモデルを踏襲
するものであり、目的の相違に適合させるために必要な商品変更が行われている。この保証枠は、近
隣諸国・開発・国際協力手段(NDICI)枠組みによって規制され、西バルカンにおける民間セクター開
発措置の主要なゲートウェイとして機能する、複数のIFIと複数の製品からなるプラットフォームであ
る西バルカン投資枠組み(「WBIF」)の下に分類、展開される予定である。
SME強靭化のための西バルカン保証枠(WB 4SME)の最終的な目的は、西バルカン諸国におけるSMEの
金融へのアクセスおよび利用可能性を促進および向上させることである。この保証枠の下でEIFが発行
する保証および念書は、この協定の下で最終受益者として適格なSMEの最終的な利益のために提供され
る、新たに認められた債務商品のポートフォリオを対象とするものとしている。
当該保証はEUによって資金提供され、EIFの名義であるがEUの代理でEUのリスクで発行される。
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Z.33. SMEG 2007
競争力および革新枠組みプログラムに基づくSMEG 2007(CIP/SMEG 2007)において、EIFは、自己の
名義で、ただし欧州委員会に代わり欧州委員会のリスクにおいて、保証を付与する権限を与えられて
いる。EIFは、SMEG2007の個別財務書類を作成している。
Z.34. InnovFin エクイティ
ホライズン2020金融商品は、対象となる研究およびイノベーションを支援するために、最終受領者
がリスクを伴う資金調達を活用しやすくすることを目的としている。当該金融商品には、貸付、保
証、株式その他のリスク・ファイナンスの形が含まれる。また、ホライズン2020金融商品は、アー
リーステージ投資ならびに既存および新規のベンチャー・キャピタル・ファンドの発展の促進、知的
財産に係る知識移転および市場の改善、ベンチャー・キャピタル市場への資金の呼び込み、ならびに
全体として、新しい製品およびサービスの構想、開発およびデモンストレーションから商品化につな
げるための支援も目的としている。ホライズン2020負債性金融商品にも、SMEイニシアチブに基づくEU
の拠出実施制度が含まれている。
アーリーステージ向けInnovFinエクイティ・ファシリティは、革新的な企業に対し、特にアーリー
ステージのベンチャー・キャピタルまたはメザニン・キャピタルの形によるエクイティ・ファイナン
スを提供することにより、アーリーステージ投資ならびに既存および新規のベンチャー・キャピタ
ル・ファンドの発展を促進することを目的としている。EIFは、InnovFinプライベート・エクイティの
個別財務書類を作成している。
Z.35. エネルギー効率関連プライベート・ファイナンス(「PF4EE」)商品
エネルギー効率関連プライベート・ファイナンス(「PF4EE」)商品は、エネルギー効率関連投資向
けの十分かつ低価格の商業金融の利用可能性が限定的であることに対処することを目的とした、EIBと
欧州委員会の協定である。この商品は、EU加盟国の国別エネルギー効率行動計画、またはその他のエ
ネルギー効率プログラムの実施を支援するプロジェクトを対象としている。2014年12月、欧州委員会
およびEIBは、金融商品であるPF4EEを設定する委任契約を締結した。EIBは、PF4EEの個別財務書類を
作成している。
Z.36. 深化した包括的自由貿易協定地域(「DCFTA」)
欧州投資銀行および欧州連合は、2016年12月19日に、深化した包括的自由貿易協定地域
(「DCFTA」)の委任契約に署名した。東部DCFTAイニシアチブは、EUと協力協定を締結した国である
ジョージア、モルドバおよびウクライナに対し、的を絞った金融および技術的支援を中小企業
(「SME」)向けに提供することによって、これら3国の経済発展を強化することを目的としている。
DCFTAの一環として、EIFは保証枠ウィンドウの実行および管理を行う。EIBは、保証枠ウィンドウを含
めたDCFTAの連結財務書類を個別に作成している。
Z.37. GF ギリシャ
ファンドは、ギリシャ共和国、ECおよびEIBによる共同イニシアチブで、設立の目的は、ギリシャの
中小企業に対する融資を支援することである。ファンドは、ギリシャのために用意された構造基金の
未使用部分を使って設立されており、ギリシャのパートナー銀行経由で、EIBの中小企業向けローンの
保証を行う。EIBは、GF ギリシャの個別財務書類を作成している。
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Z.38. 近隣インベストメント・ファシリティ(「NIF」)信託基金
EIBが管理するNIF信託基金は、欧州近隣政策(「ENP」)の戦略的目標を達成するために設立され
た。当基金は、SME向け、人的資源育成を含む社会セクター向け、および地方自治体のインフラストラ
クチャー開発向けの支援を通じて、より適切で持続可能性の高いエネルギーおよび輸送の相互接続性
を確立し、エネルギー効率の向上および再生可能エネルギー資源の利用促進を進め、気候変動および
より広い意味での環境への脅威に対処し、スマートで持続可能かつ包括的な成長を促進することに重
点を置いている。EIBは、NIF信託基金の個別財務書類を作成している。
Z.39. 近隣インベストメント・ファシリティ(「NIF」)リスク資本ファシリティ
近隣インベストメント・ファシリティ(「NIF」)リスク資本ファシリティは、欧州連合の一般予算
を財源とする。主な目標として、民間セクターの開発、包括的な成長および民間セクターの雇用創出
を支援するため、南方の近隣地域のSMEにエクイティ・ファイナンスおよびデット・ファイナンスへの
アクセスを提供することに注力している。このファシリティは、エクイティ・ファイナンスおよび
デット・ファイナンスの手段から成る金融商品ウィンドウと、技術支援サービスから成る付加的任務
ウィンドウで構成される。EIBは、金融商品ウィンドウの個別財務書類を作成している。
Z.40. 欧州戦略投資基金(EFSI)-欧州投資アドバイザリー・ハブ(EIAH)
上記パラグラフZ.18を参照のこと。
Z.41. マルチ・アニュアル・プログラム(MAP)ギャランティー
この原資は、プライベート・エクイティと保証商品に等分されている。ESU 1998 (「G&E」)およ
びESU 2001 (「MAP」)と呼ばれるエクイティ部門は、ETFの起業投資を取り扱っている。SMEG 1998
G&EおよびSMEG 2001 MAPと呼ばれる保証部門は、受益者の事業に対して保証を提供する。EIFは、MAP
ギャランティーの個別財務書類を作成している。
Z.42. グレーター・アナトリア・ギャランティー・ファシリティ(「GAGF」)
2010年5月に調印されたGAGFに基づき、EIFは欧州連合およびトルコによって地域競争力戦略プログ
ラムに割り当てられた加盟候補国向け支援制度(IPA)の資金管理をしている。このファシリティは、
トルコで最も開発が遅れている地域の中小企業および零細企業に対し、トルコの大手銀行と連携して
実態に合わせた金融支援を提供するものである。EIFは、GAGFの個別財務書類を作成している。
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Z.43. マルタ向けSMEイニシアチブ
2015年1月19日、欧州委員会、EIBおよびEIFは、SMEイニシアチブに対応する専用ウィンドウの一部
の条項に適用される諸条件およびホライズン2020金融商品の当該専用ウィンドウに対する欧州連合の
拠出について定めたホライズン2020委任契約の修正に調印した。スペインおよびマルタ向けのSMEイニ
シアチブは、前年に開始された。EIFは、マルタ向けSMEイニシアチブの個別財務書類を作成してい
る。
Z.44. 加盟候補国向け支援制度II(「IPA II」)
加盟候補国向け支援制度(「IPA」)に係る協定は、EUが「拡大国」の改革を財政面および技術面で
援助する支援措置である。加盟候補国向け支援ファンドも、持続性のある経済回復、エネルギー供
給、運輸、自然環境および気候変動などに関する目標をEUが達成できるよう支援する。
IPA Iの後継制度IPA IIは、すでに達成された成果を土台とし、2014年から2020年までの期間に117
億ユーロを充当して構築される予定である。IPA IIの最も重要な革新性は、戦略的焦点にある。フ
レームワーク・パートナーシップ契約は、2015年末に締結され、EIBにより履行される。様々な「特別
供与契約」の締結により、DG NEARからの財源が配分される。IPA II規則は2020年12月31日まで適用さ
れたが、実施は依然として継続している。EIBは、IPA IIの個別財務書類を作成している。
Z.45. 連邦経済技術省
EIFは、ドイツ連邦経済技術省および欧州復興計画のために資金を管理している。
Z.46. 欧州地中海投資パートナーシップ制度(FEMIP)信託基金
EIBが管理するFEMIP(ユーロ地中海投資パートナーシップ・ファシリティ)信託基金は、多数の援
助国の支援を得て、地中海パートナーシップ・ファシリティ参加国におけるEIBの既存業務を強化する
ために設立された。当基金は、技術援助とリスク資本の提供を通じて、特定の優先分野の事業に資源
を投入することを目指している。EIBは、FEMIP信託基金の個別財務書類を作成している。
Z.47. スペイン向けSMEイニシアチブ
2015年1月26日、スペイン王国と欧州投資基金との間で委任契約が締結された。EIFは、適格な中小
企業向けデット・ファイナンスの新規ポートフォリオ、ならびに中小企業および従業員が500名未満の
その他の企業向けの既存のデット・ファイナンスの証券化および/または中小企業向けデット・ファ
イナンスの新規ポートフォリオの証券化に対して、上限を設けず保証を提供する予定である。スペイ
ン向けSMEイニシアチブに対するEUの拠出は、EIFが受領し、EIBが実施する国庫資産運用の対象とな
る。当該運用については、欧州投資基金と欧州投資銀行との間で締結された資産運用サイド・レター
に準拠する。EIFは、スペイン向けSMEイニシアチブの個別財務書類を作成している。
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Z.48. EPTA信託基金
EPTA(東方パートナーシップ技術支援)信託基金は、技術支援のための多分野向けの多目的融資枠
を提供し、EIB東方パートナーシップ事業の質を高め、かつ開発効果を増幅させることに重点的に取り
組んでいる。同基金は、近隣インベストメント・ファシリティを補完する。EIBは、EPTA信託基金の個
別財務書類を作成している。
Z.49. 多地域保証プラットフォーム・イタリア(「AGRI」)
イタリアの農業プラットフォームは、EIFとイタリアの6地域(ヴェネト、エミリア・ロマーニャ、
ウンブリア、カンパニア、カラブリア、プーリア)との間の資金提供契約の締結で正式に開始され
た。2018年にはイタリアの2つの地域(ピエモンテ州とトスカーナ州)が加わった。イタリアにおけ
る農業プラットフォームは、欧州農業農村振興基金(「EARFD」)からの構造基金を使用して、各加盟
農村開発プログラム(「RDP」)の財源を使用してファースト・ロスをカバーする金融商品を展開して
いる。このプラットフォームの目的は、地域レベルで新規事業を育成し、同時に農民および農業関連
事業への新規貸付けを支援するために、地域実行官庁を標準的商品の方向に導くことである。
Z.50. 技術移転アクセラレーター(TTA)トルコ
TTAトルコは、EIFが科学産業技術省(「MoSIT」)、トルコ科学研究審議会(「TUBITAK」)、駐ト
ルコ欧州連合代表部および欧州委員会地域政策ディレクター・ジェネラルと協力して計画したイニシ
アチブである。TTAトルコは、加盟候補国向け支援制度(「IPA」)の資金に係る協定書の地域開発項
目に基づき、EUとトルコ共和国が共同融資し、EIFが管理している。TTAトルコは、2つの目的を達成
すること、すなわち、大学および研究センターに限定されている科学的な研究開発(「R&D」)の事業
化の促進による、財務的に持続可能なファンドの設立、ならびに特にトルコの後進地域および発展途
上地域への波及効果に重点を置いた、トルコにおける技術移転市場の発展を促進することを目指して
いる。
Z.51. マルチ・アニュアル・プログラム(MAP)エクイティ
企業および起業のためのマルチ・アニュアル・プログラム(MAP)に基づき、EIFは欧州委員会に代
わり欧州委員会のリスクにおいてリソースの管理を行っている。EIFは、MAPエクイティの個別財務書
類を作成している。
Z.52. 自然環境保護資金調達ファシリティ(「NCFF」)
自然環境保護資金調達ファシリティ(「NCFF」)は、EIBと欧州委員会との共同契約であり、自然環
境保護資金の保全のための収益創出またはコスト削減プロジェクト(気候変動適応プロジェクトを含
む)に係る市場の格差および障壁に対処することにより、生物多様性分野および気候変動への適応に
関するEUおよび加盟国の目標の達成に貢献することを目的としている。EIBは、NCFFの個別財務書類を
作成している。
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Z.53. ドイツ未来基金成長ファシリティ(「GFFGF」)
特にデジタル化とクリーンテクノロジーに焦点を当てた資本性金融商品の開発を見込んだドイツの
連立政権プログラム(全体の目標規模は100億ユーロ)で、ドイツ未来基金と呼ばれる。EIFには、ド
イツの成長ファンドへの投資や、委託された形での企業への共同投資、あるいはブラインドプール型
の共同投資ビークルを通じた投資のために、最大30億ユーロが割り当てられる可能性がある。このマ
ンデートには、10年を超えるファンドへの初期コミットメントのための投資期間が与えられる。
Z.54. EUサポート・ブースト・アフリカ
「EUサポート・ブースト・アフリカ」 は、EIBとアフリカ開発銀行の共同イニシアチブである。そ
の中核的な目的は、スキル開発と組み合わせたアーリーステージのベンチャー・キャピタルを提供す
ることによって、商業的に存立可能な方法でアフリカ全体にわたって起業家精神とイノベーションを
可能にし、強化すること、およびサブサハラ市場における現在のギャップに対処することである。こ
のファシリティは、資本商品および準資本商品から成る金融商品ウィンドウと、技術支援サービスか
ら成る付加的任務ウィンドウで構成される。EIBは、金融商品ウィンドウの個別財務書類を作成してい
る。
Z.55. バルト諸国新規事業育成基金(「BIF」)
2012年9月に署名されたバルト諸国新規事業育成基金(「BIF」)は、パートナーシップとして組成
されたファンド・オブ・ファンズであり、バルト海沿岸地域に重点を置いてベンチャー・キャピタル
およびプライベート・エクイティ・ファンドに投資する。この基金は、EIBグループならびにエストニ
アのFund KredEx、ラトビアのLatvijas Garantiju Agentiiraおよびリトアニアのlnvesticiju ir
verslo garantijosinというバルト諸国の国家機関から共同出資を受けている。EIFは、BIFの個別財務
書類を作成している。
バルト諸国新規事業育成基金2(「BIF2」)は、EIFが管理するバルト諸国新規事業育成基金
(「BIF」)の後継基金である。BIF2は、BIFと同一の構造を持ち(コストを最小化し、類似のイニシ
アチブとの相乗効果を可能にする仮想FoF)、156百万ユーロと僅かに規模が増加することを想定して
いる(BIFの規模は130百万ユーロ)。バルト三国は、EIFが管理するRCR資金からの78百万ユーロとと
もに、合計78百万ユーロ(各26百万ユーロ)を確約することになる。EIFはこのファシリティのマネー
ジャーとしての役割を果たす。BIF2は、アーリーステージ投資に対する現地の取組みを補完するため
に、グロースキャピタルにより多くの焦点を当てることになる。
バルト3国の3つのNPIの拠出目標水準は以下のとおりである。
- KredEx(エストニア):26百万ユーロ
- Altum(ラトビア):26百万ユーロ
- INVEGA(リトアニア):26百万ユーロ
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Z.56. ポーランド・グロース・ファンド・オブ・ファンズ(「PGFF」)
2013年4月に署名されたポーランド・グロース・ファンド・オブ・ファンズ(「PGFF」)は、パー
トナーシップとして組成されたファンド・オブ・ファンズであり、ポーランドに重点を置いてベン
チャー・キャピタルおよびプライベート・エクイティ・ファンドに投資する。同ファンドは、EIBグ
ループとBank Gospodarstwa Krajowegoが共同出資している。EIFは、PGFFの個別財務書類を作成して
いる。
Z.57. 学生ローン保証ファシリティ(エラスムス計画)
欧州構造投資基金(「ESIF」)の下、EIFは、加盟国により2015年11月以降の保有基金管理運営者と
して任命され、ESIFファンドの管理・運営を行っている。ESIFイニシアチブは、中小企業の資金調
達、ならびにプライベート・エクイティ・ファンド、ギャランティー・ファンドおよびローン・ファ
ンドなどの金融工学商品の利用を促進することを目的としている。EIFは、現在、加盟国・地域(バス
=ノルマンディー地域圏およびラングドック=ルシヨン地域圏)との間で締結した2件のESIF資金供
与契約を管理している。EIFは、学生ローン保証の個別財務書類を作成している。
Z.58. グローバル・エネルギー効率・再生可能エネルギー基金(GEEREF)
グローバル・エネルギー効率・再生可能エネルギー基金(「GEEREF」)の下で、EIFは2007年12月よ
り投資アドバイザーの機能を果たしている。GEEREFは、EC、ドイツ連邦政府およびノルウェー王国の
支援を受けており、その目的は主に、エネルギー効率および再生可能エネルギーに関与し、開発途上
国および市場経済移行国におけるクリーン・エネルギーの利用可能性を高めるプロジェクトおよび企
業を資産に持つ、地域のファンドに投資することである。GEEREF事業の開拓は、サブアドバイザリー
契約の下で、正式にEIBに委任されている。
Z.59. ドイツ・コロナ・マッチング・ファシリティ(CMF)
ドイツ政府は、ドイツ経済向けのCOVID-19危機対策の一環として、2021年6月30日までベン
チャー・キャピタル・ファンドに、すべてのドイツのポートフォリオの企業についてすべての資金調
達時において自動的かつ公平な共同投資を提供することを目的としている。
Z.60. 中央ヨーロッパ・ファンド・オブ・ファンズ(「CEFoF」)
中央ヨーロッパ・ファンド・オブ・ファンズ(「CEFoF」)は、オーストリア、チェコ共和国、スロ
バキア、ハンガリーおよびスロベニア(CE諸国)の政府および国家機関との緊密な協力の下で欧州投
資基金(「EIF」)によって創設されたファンド・オブ・ファンズ・イニシアチブであり、これらの地
域全体にわたって中小企業(「SME」)へのエクイティ投資を促進し、健全な市場に基づくリスク資金
調達インフラストラクチャーを確立し、事業投資における最良市場標準を導入し、中央ヨーロッパに
機関投資家および投資マネージャーを呼び込むことを目的としている。
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Z.61. グローバル環境ファシリティ-国連環境プログラム(GEF-UNEP)
これは、国連環境プログラム(UNEP) と協力して、地中海の汚染の除去の長期的な結果に間接的に
寄与する栄養物の削減につながる成果を伴う主に設備投資プロジェクトである将来の投資の特定、選
択および設計を支援する技術援助を実施するためのグローバル環境ファシリティ(GEF)である。
Z.62. アルプス地域成長投資プラットフォーム(「AlpGIP」)
2017年9月、EIFは革新的な、EUのアルプス・マクロ・リージョンにおける最近のベンチャー・キャ
ピタルおよび成長セグメントを対象とした、地域持分投資プラットフォーム(非法人構造)を立ち上
げた。イタリアのロンバルディア、ピエモンテ、ヴァッレ・ダオスタ、アルト・アディジェ(ボル
ツァーノ地域)の各州は、すでにこのプラットフォームに投資しており、他の地域も後の段階での参
加が見込まれている。
Z.63. EU貿易振興・競争力向上プログラム(「EUTCP」)
経済成長を加速させ、民間セクターの発展を支援し、地域統合ならびに気候変動の軽減および適応
を強化するというEUの政策目的に沿って、EIBはEUTCPを展開するためにECと協力している。EUTCPは以
下を合わせたものである。(i) バリュー・チェーン向けのEIBの長期貸付金、(ii) 保証手段(リス
ク・シェリング・ファシリティ)および (iii) 選別された国における市場の機能不全に対処するため
の技術的支援(専門家支援ファシリティ)。EUTCPはまた、EIBにとってそれぞれの国におけるポジ
ショニングについて戦略的に重要な取組みを表す。このプログラムは、EIBの伝統的な商品を補完する
新たな保証商品を可能にするため、選択された対象国におけるバリュー・チェーンに沿ってSMEに対す
る多額の投資をもたらすことが見込まれる。EIBは、EUTCPのリスク・シェアリング・ファシリティの
個別財務書類を作成している。
Z.64. LfA-EIFファシリティ
LfA-EIFファシリティは、2009年に調印されたもので、ドイツ・ババリア地方における技術志向の初
期および拡大段階にある企業を支援するために投資を提供するEIFおよびLfAフォルダーバンク・バイ
エルンの共同ベンチャーである。
Z.65. アフリカ投資プラットフォーム(AIP)ザンビア
AIPの下で開発された 「ザンビア農業バリュー・チェーン・ファシリティ・プログラム」 は、農村
の貧困と栄養不良を削減し、農村の民生を向上させるというザンビア政府の政策目標を支援すること
を目的としている。EIBのプロジェクトは、金融仲介機関を通じて民間の農業バリュー・チェーン関係
者の金融へのアクセスを支援するとともに、これらの関係者に対する金融仲介機関の融資能力を強化
することによって、農業バリュー・チェーンにおける市場の不備に対処することを目的としている。
EIBは、このプログラムの個別財務書類を作成している。
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Z.66. G43信託基金
EIFは、2012年8月に署名されたG43アナトリア・ベンチャー・キャピタル・ファンドの下で、トル
コ・セントラル・ファイナンス・ユニット(「CFCU」)から委託を受けている。このファンドは、ト
ルコの南東アナトリア地方の中小企業への投資を専門にしている。EIFは、G43の個別財務書類を作成
している。
Z.67. ドイツのためのメザニン・ダッハ・ファンド(「MDD」)
MDDは2013年6月に調印された投資プログラムであり、ドイツの中堅企業に投資するハイブリッド債
および株式ファンドを引き受けるために、ドイツ連邦経済技術省(「BMWi」)および州の様々な機関
が資金を供出している。
Z.68. アフリカ投資プラットフォーム(AIP)マラウイ農業促進(Kulima)
アフリカ投資プラットフォーム (「AIP」)の下で開発された 「マラウイ農業促進(Kulima)の金
融アクセス支援プログラム」 は、マラウイにおける適格な民間農業食品セクター投資への転貸しのた
めの仲介ファシリティから成る。このプログラムは、気候変動を背景としての持続可能な農業の成長
を促進し、所得、雇用および食糧安全保障を向上させることを目的としている。EIBは、このプログラ
ムの個別財務書類を作成している。
Z.69. 技術移転パイロット・プロジェクト(「TTP」)
欧州委員会の資金提供を受けて2008年11月に調印されたTTPに基づき、EIFはシード前およびシード
段階における資金提供を通じて技術移転体制を支援している。EIFは、TTPの個別財務書類を作成して
いる。
Z.70. 持続可能な開発のための欧州基金(EFSD)保証 「金融イニシアチブへのアクセス」
EFSD保証 「SMEの金融イニシアチブへのアクセス」は、特に特定の対象国の若い起業家、女性起業
家、スタートアップ企業、その他の特定のグループに焦点を当て、人口移動の根本原因のいくつかに
対処することを最優先の目的とした、中小企業、十分なサービスを受けていない起業家を対象とした
保証制度である。このプログラムは、EIBが選定した各国の銀行や金融機関に対し、各国の金融機関が
より高いリスクレベルを付与しているために他の起業家よりも金融へのアクセスが少ない、これらの
十分なサービスを受けていない起業家によって経営または所有されている中小企業や零細中小企業に
対して、融資された貸付金ポートフォリオ、および銀行保証と開設された信用状のファースト・ロス
信用保護を提供することを目的としている。対象国は、欧州の東部および南部の近隣に所在する国と
なる。EIBは、このプログラムの個別財務書類を作成している。
Z.71. 欧州技術ファシリティ(「ETF」)
ETFスタートアップ・ファシリティでは、EIFは自己の名義で、ただし欧州委員会に代わり欧州委員
会のリスクにおいて、ETFスタートアップ投資を取得、運用、処分する権限を与えられている。
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Z.72. 東方パートナーシップ・コネクティビティ投資のための技術支援(EPIC)
EPIC(東方パートナーシップ・コネクティビティ投資のための技術支援)は、近隣投資プラット
フォーム (NIP)の下での技術支援制度であり、東方パートナーシップ地域内および東方パートナー
シップ諸国とEUとの間の接続性の向上に貢献する。EIBは、EPICの個別財務書類を作成している。
Z.73. グリーン・フォー・グロース・ファンド(「GGF」)
グリーン・フォー・グロース・ファンドはEIFによって2009年12月に設立され、トルコを含む欧州東
南部諸国のエネルギー効率改善に特化して資金提供を行っている。
Z.74. GEEREF(「基金および技術支援ファシリティ」)
GEEREF(グローバル・エネルギー効率・再生可能エネルギー基金)は、ECのイニシアチブで設定さ
れたファンド・オブ・ファンズである。その目的は、新興市場(ACP、ALAおよび欧州近隣諸国)にお
ける再生可能エネルギーおよびエネルギー効率の分野を重点とするプライベート・エクイティ・ファ
ンドに投資することである。EIFも、GEEREFフロント・オフィスが実施する関連業務の対象となる技術
援助の提供を委任されている。
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(1)
特別部門計算書
2022年12月31日および2021年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
資産 2022年12月31日 2021年12月31日
地中海沿岸諸国
欧州連合の財源によるもの
実行済貸付残高 4,550 5,828
リスク資本業務
- 未実行金額
21,523 21,523
- 実行済金額 27,783 28,479
49,306 50,002
(2)
53,856 55,830
合計
- ロメ協定
リスク資本による業務
- 実行済金額 74,631 76,542
(3)
合計 74,631 76,542
128,487 132,372
合計
負債 2022年12月31日 2021年12月31日
受託管理資金
欧州連合の委託によるもの
- 地中海沿岸諸国金融議定書
32,333 34,307
- ロメ協定 74,631 76,542
106,964 110,849
受託管理資金の合計
未実行金額
21,523 21,523
地中海沿岸諸国における貸付業務およびリスク資本業務
21,523 21,523
未実行金額の合計
128,487 132,372
合計
付記:
欧州連合の委託に基づきEIBが元利回収を引き受けた、欧州委員会提供の特別条件付貸付金の実行済・未返
済残高合計:
a) 2022年12月31日現在における第1次、第2次および第3次ロメ協定に基づくもの:191,538千ユーロ
(2021年:211,266千ユーロ)
b) 2022年12月31日現在における地中海沿岸諸国との間で署名した金融議定書に基づくもの:25,216千
ユーロ(2021年:29,660千ユーロ)
欧州連合-欧州開発金融機関民間部門開発ファシリティとの関連において、保証部分の導入契約が2014年
8月20日に締結された。EU保証の総額は、2022年12月31日現在で38,920千ユーロ(2021年:38,920千ユー
ロ)である。
注(1): 特別部門は、総務会によって1963年5月27日に設定された。1977年8月4日の決議に基づき、その目的が
見直され、第三者の勘定で第三者の委託に基づいて欧州投資銀行が実行した金融業務を記録するためとさ
れた。ただし、コトヌー協定、欧州連合-アフリカ・インフラ信託基金、近隣インベストメント・ファシリ
ティ信託基金(「NIF」)およびFEMIP信託基金に基づくインベストメント・ファシリティについては、個
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別財務書類に表示されている。また、EIBは2005年より他の委託について異なる種類の財務書類を作成して
いる。
特別部門計算書は、欧州連合および加盟国の委託に基づく実行済金額もしくは未実行金額から解約額お
よび返済額を控除した金額を示している。実行済金額および未実行金額ならびに受取済および受取予定資
金は、額面価額で計上されている。特別部門計算書では、これらの業務に付随するリスクを補填するため
に必要となりうる引当金もしくは評価損益は、確定的な償却を除き、考慮されていない。外貨建ての金額
は、12月31日現在の実勢為替レートで換算されている。
注(2): 欧州連合の委託に基づき、欧州連合の勘定により、またそのリスク負担の下に、マグレブおよびマシュレ
ク諸国、マルタ、キプロス、トルコならびにギリシャにおけるプロジェクト資金(1981年1月1日の欧州
共同体加盟前に10百万ユーロ融資)のため締結された契約の実行時の金額:
実行時の金額: 840,457
減算: 為替差額 56,283
解約額 178,863
551,455
返済額
-786,601
53,856
注(3): 欧州連合の委託に基づき、欧州連合の勘定により、またそのリスク負担の下に、アフリカ・カリブ海およ
び太平洋諸国ならびに加盟国の属国および属領(ACP-OCT)におけるプロジェクト資金のため締結された契
約の実行時の金額:
リスク資本による貸付金:
条件付劣後貸付金 3,116,097
121,002
出資
実行時の金額: 3,237,099
加算: 資産計上された利息 9,548
減算: 解約額 742,432
返済額 2,374,004
55,580
為替差額
-3,172,016
74,631
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有価証券報告書
③【EU会計指令に基づく個別財務書類】
当有価証券報告書の本項に記載されている EIB の 2022 年 12 月 31 日現在の貸借対照表およびオフ・バ
ランスシート、ならびに同日に終了した事業年度の損益計算書およびキャッシュ・フロー計算書
( 以下「個別財務書類」という。)は、銀行およびその他の金融機関の年次財務書類および連結財
務書類に関する 1986 年 12 月 8 日付 欧州経済共同体理事会 指令( 86/635/EEC ) の一般原則 (一部の銀行
およびその他の金融機関の年次財務書類および連結財務書類に関して、 2001 年9月 27 日付欧州共同
体指令 2001/65/EC 、 2003 年6月 18 日付欧州共同体指令 2003/51/EC および 2006 年6月 14 日付欧州共同
体指令 2006/46/EC により改正済み) に 準拠して作成されている。
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貸借対照表
2022年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
資産
2022年12月31日 2021年12月31日
1. 現金、中央銀行および郵便局預け金
(注B.1)
112,655 1,483,285
2. 中央銀行担保適格国庫証券およびその他
短期証券 (注B.2)
20,349,770 35,678,436
3. 金融機関貸付金および預け金
a) 要求払
658,339 562,513
b) その他の貸付金および預け金(注C)
63,986,798 74,551,456
c) 貸付金(注D.1)
93,274,087 93,558,227
d) 評価損益(注D.2)
-3,485 -57,842
157,915,739 168,614,354
4. 対顧客貸付金および預け金
a) その他の貸付金および預け金(注C)
125,883 677,437
b) 貸付金(注D.1)
326,861,203 322,374,311
c) 評価損益(注D.2)
-388,263 -381,166
326,598,823 322,670,582
5. 確定利付証券を含む負債証券 (注B.2)
a) 公共機関による発行
4,508,676 4,891,107
b) その他による発行
5,414,808 5,891,460
9,923,484 10,782,567
6. 株式およびその他の変動利付証券 (注E.1)
8,942,605 8,397,569
7. 参加持分 (注E.1)
353,462 318,380
8. 関係会社株式 (注E.2)
1,549,444 1,549,444
9. 無形資産 (注F)
69,096 57,189
10. 有形資産 (注F)
249,301 242,445
11. その他の資産 (注G)
334,465 157,329
12. 払込請求済だが払込未済の応募済資本金
および準備金 (注H.3)
799,248 1,118,948
13. 前払金および未収収益 (注I)
17,389,622 14,405,918
資産合計
544,587,714 565,476,446
添付の注記は本財務書類に不可欠の部分である。
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貸借対照表(続き)
2022年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
負債
2022年12月31日 2021年12月31日
1. 金融機関に対する債務 (注J)
a) 要求払
2,371,014 4,777,422
b) 期日払または通知払
3,071,084 18,895,071
5,442,098 23,672,493
2. 顧客に対する債務 (注J)
a) 要求払
1,437,246 1,648,539
b) 期日払または通知払
57,543 175,542
1,494,789 1,824,081
3. 債務証書借入 (注K)
a) 負債証券
422,523,581 431,104,111
b) その他
9,173,893 9,010,748
431,697,474 440,114,859
4. その他の負債 (注G)
4,260,011 4,373,509
5. 未払金および繰延収益 (注I)
18,802,756 15,233,362
6. 引当金
a) 年金制度および健康保険制度(注L)
4,368,469 4,161,030
b) 保証業務に係る引当金(注D.4)
86,584 27,916
4,455,053 4,188,946
7. 応募済資本金 (注H)
a) 応募済資本金
248,795,607 248,795,607
b) 払込未請求資本金
-226,604,892 -226,604,892
22,190,715 22,190,715
8. 準備金(注H)
a) 準備基金
24,879,561 24,879,561
b) その他準備金
16,579,738 12,258,631
c) 特別活動準備金
10,303,216 12,152,954
d) 一般貸倒準備金
2,115,966 2,021,337
53,878,481 51,312,483
2,366,337 2,565,998
9. 当期純利益 (注M)
負債合計
544,587,714 565,476,446
添付の注記は本財務書類に不可欠の部分である。
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オフ・バランスシート
2022年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
2022年12月31日 2021年12月31日
契約債務:
- EIF払込未請求資本(注E.2およびX.1)
3,468,800 3,468,800
- 未実行貸付金(注D.1)
- 金融機関
31,375,087 31,913,008
- 対顧客
93,274,466 91,041,283
124,649,553 122,954,291
- 株式およびその他の変動利付証券への未実行
額
- プライベート・エクイティおよびベン
チャー・キャピタル事業への未実行額
(注E.1)
4,084,606 4,121,195
- 投資基金およびインフラ基金への未実行額
(注E.1)
3,435,704 3,203,307
- EBRD払込未請求資本
712,630 712,630
8,232,940 8,037,132
- 参加持分未実行額
- プライベート・エクイティおよびベン
チャー・キャピタル事業への未実行額
(注E.1)
410,831 497,631
- 未実行代替貸付金
223,950 223,950
偶発債務および保証:
- 第三者からの貸付金に係るもの(注U.1.3)
24,376,731 22,565,034
(*)
第三者に代わって保有している資産
(注Z):
- イノベーション基金
6,913,187 4,202,032
- インベストメント・ファシリティ・コトヌー
4,334,223 4,128,779
- 近代化基金
3,906,016 2,957,006
- EIF
2,334,013 2,304,236
- イノベーターのためのEU資金提供
(InnovFin)
2,112,847 2,044,056
- NER300
1,035,191 1,143,332
- コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ
(CEF)
828,423 908,683
- 汎ヨーロッパ保証基金
676,011 595,239
- EUアフリカ・インフラ信託基金
414,850 425,628
- インベストEU
241,292 0
- 地域金融商品
216,990 1,021,159
- 資金パートナーシップ・プラットフォーム
213,415 187,785
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オフ・バランスシート(続き)
2022年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
2022年12月31日 2021年12月31日
- JESSICA(保有基金)
176,684 600,667
- 特別部門
128,487 132,372
- リスク・シェアリング・ファイナンス・
ファシリティ(RSFF)(リスク・シェアリン
グ・インスツルメント(RSI)を含む)
101,216 93,428
- 復興・強靭化ファシリティ金融商品
(「RRF-FI」)
90,202 0
- 欧州近隣パートナーシップ枠組み(ENPI)
78,773 77,781
- 国際開発協力機構(AECID)
56,934 58,885
- エネルギー効率関連プライベート・ファイナ
ンス商品
54,610 55,007
- 深化した包括的自由貿易協定地域(DCFTA)
51,063 50,727
- GF ギリシャ
42,417 162,254
- 近隣インベストメント・ファシリティ
(NIF)信託基金
37,721 38,259
- 近隣インベストメント・ファシリティ
(NIF)リスク資本ファシリティ
37,623 35,865
- 欧州戦略投資基金(EFSI)-欧州投資
アドバイザリー・ハブ(EIAH)
33,339 35,559
- 加盟候補国向け支援制度(IPA)II
24,333 52,626
- 欧州地中海投資パートナーシップ制度
(FEMIP)信託基金
20,492 22,577
- EPTA信託基金
17,340 15,987
- 自然環境保護資金調達ファシリティ
10,468 10,397
- EUサポート・ブースト・アフリカ
5,789 824
- グローバル環境ファシリティ-国連環境
プログラム(GEF-UNEP)
1,431 0
- EU貿易振興・競争力向上プログラム
880 968
- アフリカ投資プラットフォーム(AIP)
ザンビア
298 338
- アフリカ投資プラットフォーム(AIP)
マラウイ農業促進(Kulima)
221 246
- 持続可能な開発のための欧州基金(EFSD)
保証 「金融イニシアチブへのアクセス」
157 148
- 東方パートナーシップ・コネクティビティ
8 0
投資のための技術支援(EPIC)
24,196,944 21,362,850
その他の項目:
- 金利スワップ契約の想定元本(注V.1.2)
573,024,821 559,081,060
- 通貨スワップ契約(受取)の想定元本
(注V.1.1)
243,344,964 247,683,252
- 通貨スワップ契約(支払)の想定元本
242,236,843 245,975,779
- 短期通貨スワップ契約(支払)の想定元本
21,731,627 24,956,095
- 短期通貨スワップ契約(受取)の想定元本
(注V.2)
21,411,941 25,123,575
- 先物契約の想定元本(注V.2)
8,804,329 8,274,106
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- EIFの少数株主に付与されたプット・オプ
ション(注E.2)
419,763 340,341
- 為替予約取引の想定元本(注V.2)
267,069 402,384
- 借入債務支払に係る特別預け金(注S)
560 582
(*) 運用資産は、利用可能な最新の数値に基づいて、オフ・バランスシート項目として開示されている。比較対象数値
は、利用可能な最新の情報を反映するために修正再表示されることがあり得る。
添付の注記は本財務書類に不可欠の部分である。
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損益計算書
2022 年 12 月 31 日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
1. 受取利息および類似収益 (注N)
18,664,920 16,460,213
2. 支払利息および類似費用 (注N)
-15,687,107 -13,275,218
3. 証券からの収益
a) 株式およびその他の変動利付証券からの収益
623,205 776,756
b) 関係会社株式からの収益
9,305 0
632,510 776,756
4. 受取手数料 (注O)
451,031 374,641
5. 支払手数料 (注O)
-437,108 -499,623
6. 金融業務損益 (注P)
-43,055 41,643
7. その他の業務収益および費用の純額 (注Q)
16,507 10,254
8. 一般管理費 (注R)
a) 人件費(注L)
-832,264 -1,216,123
b) その他の管理費
-306,074 -250,692
-1,138,338 -1,466,815
9. 有形・無形資産に係る評価損益 (注F)
a) 有形資産
-32,721 -28,863
b) 無形資産
-29,656 -21,020
-62,377 -49,883
10. 固定金融資産として保有される譲渡可能有価
証券、参加持分および関係会社株式に係る
(再)評価損益
-1,451 15,726
11. 貸付金および預け金ならびに偶発債務引当金
-29,195 178,304
に係る(再)評価損益
12. 当期純利益 (注M)
2,366,337 2,565,998
添付の注記は本財務書類に不可欠の部分である。
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キャッシュ・フロー計算書
2022年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
A.営業活動によるキャッシュ・フロー:
当期純利益(注M)
2,366,337 2,565,998
調整額:
貸付金および預け金ならびに偶発債務引当金に係る(再)評価損益
29,195 -178,304
有形・無形資産に係る評価損益および償却(注F)
62,377 49,991
固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券、株式、その他の
変動利付証券および参加持分に係る(再)評価損益(注E.1)
-1,055 -79,961
正味受取利息(注N)
-2,977,813 -3,184,995
-171,829 42,462
為替調整額
-692,788 -784,809
営業活動による損失
金融機関および対顧客貸付金および預け金の実行額
-50,141,816 -37,670,096
金融機関および対顧客貸付金および預け金の返済額
44,748,413 50,380,405
その他の貸付金および預け金の変動額(注C)
6,721,674 8,693,821
ルクセンブルク中央銀行の最低預金準備率を充足するための預け金
の変動額(注B.1)
57,213 -35,110
財務運用ポートフォリオの変動額
17,555,084 -7,904,926
金融機関および顧客に対する債務の変動額(注J)
-18,559,687 7,277,699
年金制度および健康保険制度の引当金の変動額(注L)
207,439 614,599
保証業務に係る引当金の変動額(注D.4)
58,668 17,170
その他の資産およびその他の負債の変動額(注G)
-290,634 -325,277
前払金および未収収益ならびに未払金および繰延収益の変動額
6,305,595 1,375,527
利息受取額
16,039,887 16,097,396
-13,648,305 -12,253,421
利息支払額
8,360,743 25,482,978
営業活動による/(で使用した)正味現金
B.投資活動によるキャッシュ・フロー:
EIF株式購入/応募
0 -736,355
期中に購入した長期HQLAポートフォリオの有価証券
-1,778,122 -385,243
期中に満期償還または売却された長期HQLAポートフォリオの有価
証券
450,000 701,588
負債証券ポートフォリオに含まれる代替貸付金の購入
-3,953,827 -2,169,847
負債証券ポートフォリオに含まれる代替貸付金の償還
4,550,236 4,298,703
株式およびその他の変動利付証券取得額(注E.1)
-2,132,239 -2,303,579
株式およびその他の変動利付証券売却額(注E.1)
1,590,693 2,033,717
参加持分取得額(注E.1)
-76,231 -83,732
参加持分売却額(注E.1)
39,744 115,465
-81,140 -62,456
有形・無形資産の購入(注F)
-1,390,886 1,408,261
投資活動による/(で使用した)正味現金
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キャッシュ・フロー計算書(続き)
2022年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
C.財務活動によるキャッシュ・フロー:
債務証書借入の発行(注K)
84,649,253 100,348,462
債務証書借入の償還(注K)
-97,048,909 -107,709,303
319,700 319,700
加盟国の拠出
-12,079,956 -7,041,141
財務活動による/(で使用した)正味現金
キャッシュ・フローの要約表:
68,738,510 47,846,444
現金および現金同等物期首残高
以下による正味現金:
営業活動
8,360,743 25,482,978
投資活動
-1,390,886 1,408,261
財務活動
-12,079,956 -7,041,141
-92,395 1,041,968
保有現金に係る為替調整
63,536,016 68,738,510
現金および現金同等物期末残高
現金および現金同等物の内訳:
現金、中央銀行および郵便局預け金(ルクセンブルク中央銀行の
最低預金準備率を充足するための預け金を除く)(注B.1)
25,389 1,338,806
短期金融市場証券(注B.2)
552,038 142,403
金融機関および対顧客貸付金および預け金:
要求払
658,339 562,513
62,300,250 66,694,788
その他の貸付金および預け金(注C)
63,536,016 68,738,510
添付の注記は本財務書類に不可欠の部分である。
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有価証券報告書
欧州投資銀行
財務書類に対する注記
2022 年12月31日現在
欧州投資銀行(「EIB」)は、1958年にローマ条約により、欧州連合(「EU」)の長期貸付銀行として設立
された。EIBの任務は、EU加盟国の統合、均衡の取れた発展、経済的および社会的な結束に貢献することであ
る。EIBは、資本市場で多額の資金を調達し、それらの資金をEU政策目標を促進するプロジェクトに有利な条
件で貸し付けている。EIBは継続的に、その業務をEU政策の展開に適合させている。
登記上の事務所所在地は、98-100, boulevard Konrad Adenauer, L-2950 Luxembourgである。
注A: 重要な会計方針
A.1. 作成基準
A.1.1. 会計原則
欧州投資銀行の非連結財務書類(「本財務書類」)は、銀行およびその他の金融機関の年次財務書
類および連結財務書類に関する1986年12月8日付欧州共同体理事会86/635/EEC指令書(特定の業種の
会社、銀行およびその他の金融機関の年次財務書類および連結財務書類に関する2001年9月27日付
2001/65/EC指令書、2003年6月18日付2003/51/EC指令書および2006年6月14日付2006/46/EC指令書に
より改正済)(以下、「指令書」と総称する)の一般原則に準拠し、継続企業の前提に基づいて作成
されている。
経営委員会の提案を受け、理事会は2023年3月29日に本財務書類を採択し、2023年4月25日までに
これを総務会に提出して承認を求めることを承認した。
EIBは、本年次財務書類と同日付の連結財務書類も公表している。
A.1.2. 重要な会計上の判断および見積り
本財務書類を作成するにあたり、経営委員会は報告されている収益、費用、資産、負債ならびに偶
発資産および偶発債務の開示に影響する見積りおよび仮定を立てることが求められている。入手可能
な情報の使用、および判断の適用は、見積りに特有のものである。将来の実際の結果は、これらの見
積りとは異なる場合があり、これらの差異は本財務書類に対して重要なものとなる可能性がある。
最も重要な判断および見積りは、次のとおりである。
貸付金および預け金ならびに代替貸付金に係る評価損益
EIBでは、報告日ごとに貸付金および預け金ならびに代替貸付金を検証し、評価調整に係る引当金を
計上すべきか否かを評価している。特に、引当金所要額を算定するにあたっては、将来キャッシュ・
フローの金額と発生時期の見積りにおいて経営陣の判断を要する。こうした見積りは多くの要素に関
する仮定に基づいており、実際の結果は見積りと異なることがあり、結果として、将来、引当金が変
動する場合もある。個別に重要な貸付金および預け金ならびに代替貸付金に対する個別引当金の他
に、個別引当金を計上する必要があると具体的に特定されていないものの、貸付金および預け金なら
びに代替貸付金のデフォルト・リスクが付与された当初よりも高まっているエクスポージャーに対し
て、EIBは集合的引当金を計上するためのテストも実施している(注A.2.6を参照)。
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有価証券報告書
株式およびその他の変動利付証券ならびに参加持分に係る評価損益
取得原価と時価のいずれか低い方を決定するために、EIBは、各報告日において間接的な持分投資を
見直し、評価損益を計上すべきかどうかを評価する。特に、EIBは、(i) 適用される業界のガイドライ
ンおよび基準に基づく入手可能な最新のファンド・マネージャー・レポートを考慮することにより、
(ii) 他の同等のガイドラインまたは基準に基づいて算出された純資産価額(「NAV」)により、また
は(iii) ファンド・マネージャーから提供された情報に基づいて内部的に、間接的な持分投資のNAVの
EIB帰属部分を決定する。ほとんどの原投資の公正価値は、容易に確認可能な時価がない状況で見積ら
れている。評価額に内在する不確実性および現在の市場の状況により、将来における実際の結果は
ファンド・マネージャーが見積もった評価額とは異なる可能性があり、かかる差異は財務書類に重要
な影響を及ぼす可能性がある。また、貸借対照表日後にのみ利用可能な帰属するNAVは、経営陣が財務
書類に重大な影響を与えると判断した場合にのみ考慮される(注A.2.7.1参照)。
保証業務に係る引当金
EIBは、金融保証契約を、予想プレミアムの正味現在価値(「NPV」)または当初予想損失に対応す
る公正価値で当初認識している。その後金融保証は、対応する損失引当金と、当初認識時の受取プレ
ミアムから認識済収益を控除した額のいずれか高い方の金額により、将来の予想プレミアムの正味現
在価値の不足額として測定される。EIBはまた、特定の引当金を計上する必要があると具体的に特定さ
れていないものの、保証が署名および発行された当初よりもデフォルトのリスクが高まっているエク
スポージャーに対して、集合的引当金を計上するためのテストも実施している(注A.2.13を参照)。
年金および他の退職給付
確定給付年金制度および他の退職後医療費給付に係る費用は、数理計算上の評価を用いて算定す
る。数理計算上の評価に際しては、割引率、死亡率、ならびに将来の給与および年金の増加に関する
仮定を行う。これらの制度は長期にわたるため、こうした見積りは重要な不確実性を伴う(注A.2.10
を参照)。
A.1.3. EIB の英国に対するエクスポージャー
2017年3月29日、英国は、欧州連合条約(「TEU」)第50条に従って欧州連合(「EU」)から離脱す
る決定を欧州理事会に通知した。英国は、TEU第50条および「グレートブリテンおよび北アイルランド
連合王国の欧州連合および欧州原子力共同体からの離脱協定」(「離脱協定」)に基づき、2020年2
月1日をもってEU加盟国でなくなった。英国のEUからの離脱により、英国は自動的に欧州投資銀行
(「EIB」)の構成員でなくなり、応募済資本金の分担も終了した。
2020年2月1日より、EIBの応募済資本金における英国の分担金は、その全額につき、残りのEU加盟
国が按分負担する増資をもって差し替えられた。この資本の差替え(均衡的資本差替え)は、EIBにお
ける英国の応募済資本金の払込請求済部分に加え、払込未請求部分も対象とするものであった。払込
請求済部分の差替えは、EIBの準備金を払込請求済の応募済資本金に振り替えることで賄われた。増資
の結果、残りの各EU加盟国において、EIBの応募済資本金の払込未請求(請求可能)持分が按分で増加
した。
また、ポーランドおよびルーマニアのEIBに対する応募済資本金が、それぞれ5,386,000,000ユーロ
および125,452,381ユーロ引き上げられた。この増資(非均衡的増資)は、英国のEU離脱から1ヵ月後
の2020年3月1日に効力を生じた。ポーランドとルーマニアは、EIBの応募済資本金の増加分の払込請
求済部分につき支払いを行うものとし、10回の均等分割により半年ごとにEIBの準備金に拠出を行って
いく。
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英国がEIBの構成員でなくなった結果として、離脱協定には、EIBに関する財務決済を定めるいくつ
かの規定が盛り込まれている。離脱協定第150条に定める条項に従い、英国は、EIBに対する応募済資
本 金の従前の分担に従い、EU離脱前のEIBのエクスポージャーについて引き続き責任を負う。これに関
連して、2022年12月31日現在で、EU離脱前のEIBのエクスポージャーは444,380百万ユーロとなり、一
方、英国の負債の限度額は39,195百万ユーロとなった。
英国は、EIBのその他のリスクについても、それが離脱後の融資に関するものでない限り引き続き責
任を負う。また、EIBは、離脱協定第150条に定める条項に従い、EUに代わって、EIBの払込請求済資本
金に対する英国の分担金相当額を12回の分割により毎年英国に支払う。英国の払込請求済資本金の払
戻しを除き、EIBは、英国がEIBの構成員でなくなることに関連して、または離脱協定の関連条項に定
める英国の一部債務の留保を理由として、英国に対してその他の弁済、返金または報酬を支払う義務
を負わないものとする。
A.2. 重要な会計方針の要旨
A.2.1. 外国通貨の換算
EIBは、加盟国の資本勘定の測定単位として、そしてグループの財務書類の表示にユーロ
(「EUR」)を使用している。
EIBは、ユーロ、欧州連合加盟国の他の通貨および非EU通貨で業務を運営している。EIBの財源は
様々な通貨建ての出資、借入および利益剰余金によって調達される。
外貨建取引は、取引日の実勢為替レートで換算される。EIBのユーロ以外の通貨建ての貨幣性資産お
よび負債は、貸借対照表日の実勢為替レート(終値)に基づきユーロに換算される。これらの換算か
ら生じた損益は損益計算書の「金融業務損益」に計上される。
A.2.2. デリバティブ
EIBは、金利リスクおよび外貨リスクのエクスポージャーを管理するため、デリバティブ商品(主に
通貨スワップおよび金利スワップ)を資産負債管理(「ALM」)活動の一環として使用している。すべ
てのデリバティブ取引は、想定元本により、取引日にオフ・バランス項目として計上されている。
EIBのスワップの大部分は、債券発行および長期HQLAポートフォリオ(「LTHP」)の国債をヘッジす
る目的で締結されている。EIBは、通貨スワップおよび金利スワップを締結し、これにより借入資金を
当初別の通貨に交換し、満期時には借入返済に必要な資金を元の通貨で入手し、または借入もしくは
国債の金利ポジションを変更する。
またEIBは、貸付金のヘッジの一環として、またはグローバルなALMポジションのために通貨スワッ
プ、金利スワップおよびオーバーナイト・インデックス・スワップを行っている。これに関する利息
は、関連期間に対する比例配分で計上されている。
EIBは、財務オペレーションの一部としての為替スワップを主とした短期デリバティブ金融商品を使
用するほか、アクティブ運用ポートフォリオ(有価証券流動性ポートフォリオ)をヘッジする手段と
してのデリバティブも利用している。
A.2.2.1. 有価証券流動性ポートフォリオのデリバティブ
有価証券流動性ポートフォリオ(「SLP」)の一部として、デリバティブが締結され、貸借対照表に
時価で計上される。すなわち、その時価が正の値の場合には、「その他の資産」に、負の値の場合に
は、「その他の負債」に計上される。時価の変動は、「金融業務損益」に含まれている。時価は、市
場の公表価格、ディスカウント・キャッシュ・フロー・モデルおよびオプション価格モデルにより入
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手している。オプション価格モデルには、現在の市況および原資産の契約価額と同様に、時間的価
値、イールドカーブおよび原資産のボラティリティが考慮される。
デリバティブ金融商品の金利は、関連期間に対する比例配分で「前払金および未収収益」または
「未払金および繰延収益」の勘定科目に計上される。
金利スワップ
金利スワップ契約は、金利ポジションを修正するために締結される。金利スワップにおける受取利
息および支払利息は関連期間に対する比例配分で計上され、損益計算書では「受取利息および類似収
益」または「支払利息および類似費用」に計上される。金利スワップの時価が正の値の場合には、
「その他の資産」に、負の値の場合には、「その他の負債」に計上される。時価の変動は、「金融業
務損益」に含まれている。
先物契約
金利および債券の先物契約(先物)は、政府債およびその他の債券への投資から発生するエクス
ポージャーをヘッジするために締結される。先物は高度に標準化されたデリバティブ契約であり、規
制対象市場で取引され、日次での証拠金要件が適用される。先物契約の時価が正の値の場合には、
「その他の資産」に、負の値の場合には、「その他の負債」に計上される。時価の変動は、「金融業
務損益」に含まれている。
A.2.2.2. その他のデリバティブ
通貨スワップ
通貨スワップ契約は、通貨ポジションを調整するために締結される。通貨スワップの直物レッグの
再評価は、「未払金および繰延収益」または「前払金および未収収益」で相殺されている。通貨ス
ワップの先渡レッグは決済金額でオフ・バランスシート処理されており再評価されていない。直物金
額と先渡金額の決済差額として生ずるプレミアム/ディスカウントは、損益計算書の「受取利息およ
び類似収益」または「支払利息および類似費用」を通じ、関連期間に対する比例配分で償却される。
金利スワップ
金利スワップ契約は、金利ポジションを修正するために締結される。ヘッジのための金利スワップ
は再評価されず、その想定元本はオフ・バランスシートに計上される。金利スワップにおける受取利
息および支払利息は関連期間に対する比例配分で計上され、損益計算書では「受取利息および類似収
益」または「支払利息および類似費用」に計上される。
為替予約取引
為替予約取引は、将来の通貨ポジションを調整するために締結される。先渡レッグは、決済金額で
オフ・バランスシート処理されており再評価されていない。直物金額と先渡金額の差額は、損益計算
書の「受取利息および類似収益」または「支払利息および類似費用」を通じ、関連期間に対する比例
配分で償却される。
デリバティブ金融商品の金利は、関連期間に対する比例配分で「前払金および未収収益」または
「未払金および繰延収益」の勘定科目に計上される。
A.2.3. 金融資産および金融負債
金融資産および金融負債は決済日基準で計上されている。
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A.2.4. 現金および現金同等物
現金および現金同等物は、キャッシュ・フロー計算書に開示されており、手許現金、非拘束性の中
央銀行預け金、要求払い預け金および取得日から3ヵ月以内に当初の満期日が到来する流動性の高い
短期金融市場証券または定期預金から構成されている。これらの金融商品は、その価値変動リスクが
軽微であり、容易に現金化が可能であり、EIBは短期的な契約債務の管理に使用している。
A.2.5. 中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期証券ならびに確定利付証券を含む負債証券
A.2.5.1. 長期高品質流動資産(HQLA)ポートフォリオ(「LTHP」)
従来の長期ヘッジポートフォリオ(「LTHP」)は、2021年に長期高品質流動資産(HQLA)ポート
フォリオ(「LTHP」)に改編された。この改編とは、特に、ポートフォリオの規模、新たな適格通貨
および承認されている投資の範囲の変更等である。この新ポートフォリオで購入した有価証券で、満
期まで保有する目的で保有しているものに関するビジネスモデルに変更はない。この新しい改編の下
では、以下によって発行または保証された有価証券への投資が認められる。
- 欧州連合加盟国政府およびアメリカ合衆国(USA)政府
- 欧州連合、欧州安定メカニズム、欧州金融安定基金
これらの有価証券は、当初、購入価額で計上される。一時的でない評価損益は計上されている。購
入価格と償還価額との差額は、有価証券の残存期間にわたり、関連期間に対する比例配分で「受取利
息および類似収益」または「支払利息および類似費用」として計上される。
A.2.5.2. 運用ポートフォリオ
短期財務ポートフォリオ(「TMP」)
適切な水準の流動性を維持するため、EIBは満期が12ヵ月以内の短期金融商品、特に短期国庫証券お
よび公共機関や金融機関が発行した譲渡可能負債証券を購入している。短期財務ポートフォリオの有
価証券は、最終満期日まで保有されるもので、当初は購入価格で計上され、その後は償却原価で本財
務書類に計上される。購入価格と償還価額との差額は、有価証券の残存期間にわたり、関連期間に対
する比例配分で「受取利息および類似収益」または「支払利息および類似費用」として計上される。
評価損益は、一時的ではない場合、「固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券および参加持
分に係る(再)評価損益」に計上される。
有価証券流動性ポートフォリオ(「SLP」)
SLPは、政府、国際機関、金融機関および企業が発行または保証した上場負債証券で構成されてい
る。このポートフォリオは主にアクティブ運用され、ポートフォリオ内の有価証券は購入価格で当初
認識され、その後は財務書類に時価で表示される。時価の変動は、損益計算書の「金融業務損益」に
計上される。
SLPの時価は、第一情報源としての活発な市場における公表相場価格に基づいている。入手できる公
表相場価格がない金融商品については、市場参加者からの提示価格を入手することにより、および/
または評価手法もしくはモデルを使用して、時価を決定している。評価手法もしくはモデルは観察可
能な貸借対照表日現在の実勢市場データに基づくことが可能である場合に用いられる。
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A.2.5.3. 代替貸付金
代替貸付金ポートフォリオは、主に特別目的事業体(「SPV」)、信託事業体または金融機関が発行
した債券、ノートあるいは証書の形の債務で構成されている。これらの有価証券は満期まで保有され
ることを目的として保有されており、当初購入価格で計上され、その後は償却原価で評価されてい
る。 購入価格と償還価額との差額は、有価証券の残存期間にわたり、関連期間に対する比例配分で
「受取利息および類似収益」として計上される。一時的でない評価損益は、個別に計上されている。
減損しているが、そのように認識されていない契約を捕捉するために、それぞれ発生はしているが報
告されていない損失について、集合的な評価損益が計上されている。個別および集合的な評価損益
は、損益計算書に「固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券および参加持分に係る(再)評
価損益」として計上され、貸借対照表上は対応する資産項目から減算されている。
代替貸付金の未実行部分は、名目値でオフ・バランスシートに記録される。
A.2.5.4. 優先債権者の地位(「PCS」)
EU一次法優位の原則および、EIB定款に定められているEIBの財産があらゆる形の接収および収用か
ら免除されるものとする旨の原則は、満期時における欧州連合加盟国のソブリン・エクスポージャー
の全額回収を保証するとみなされる。この財務保護および優先債権者としての地位により、欧州連合
加盟国のソブリン・エクスポージャーまたは欧州連合加盟国の保証についての信用リスクも減損も発
生しない。しかし、他の債権者と同様に、EIBは欧州連合加盟国ソブリン発行体の負債性金融商品に含
まれる集団行動条項(「CAC」)に基づいた多数による決定事項に拘束される。
A.2.6. 金融機関および対顧客貸付金および預け金
A.2.6.1. 貸付金および預け金
貸付金および預け金は、正味実行額をもってEIBの資産に計上される。期末における貸付金残高につ
いて、その全額または一部の金額につき回収不能のリスクがある場合、個別の評価損益が計上されて
いる。減損しているが、そのように認識されていないポートフォリオの貸付金を捕捉するために、ま
たは発生しているがまだ報告されていない損失について、集合的な評価損益が計上されている。これ
らの評価損益は、関連資産と同じ通貨で把握される。
評価損益は「貸付金および預け金ならびに偶発債務引当金に係る(再)評価損益」として損益計算
書に計上されており、貸借対照表の対応する資産項目から減算されている。
貸付金および預け金の未実行部分は、名目値でオフ・バランスシートに記録される。
A.2.6.2. 貸付金利息
貸付金利息は、発生主義で、すなわち貸付期間にわたって、損益計算書に計上される。未収利息
は、貸借対照表の資産の「前払金および未収収益」勘定に計上される。これらの貸付金利息の評価損
益は、EIBの経営陣が個別に決定し、貸借対照表の適当な資産項目から控除される。
不良債権に関しては、評価損益が生じた場合、当初の契約条件に基づく未収利息の計上は停止され
る可能性がある。
A.2.6.3. リバース・リパーチェス契約(「リバース・レポ」)
リバース・リパーチェス契約は、担保有価証券を提供する金融機関に対してEIBが流動資金を貸し出
す取引である。双方の当事者は、確定日に確定金額で取引を行うという取消不能の契約を結ぶことに
なる。
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この取引は、支払引替渡しの原則に基づき行われる。すなわち流動資金の借手は、契約価額での決
済と引き換えに、EIBの保管業者に有価証券を引き渡し、これによってEIBに金融市場と連動したリ
ターンが発生する。
こうした種類の業務は、EIBの目的から、保証された金利が付加された貸付とみなされる。 これらの
取引は一般的に有担保金融取引として取り扱われるため、提供または受領した現金額に未収(経過)
利息を加えた金額で計上されている。 リバース・レポは、法定貸借対照表の資産側の「金融機関貸付
金および預け金: b) その他の貸付金および預け金」に額面金額で計上される。
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リバース・リパーチェス契約に基づいて受け取った有価証券は、有価証券に含まれる契約上の権利
を支配できない限り、法定貸借対照表において認識されない。EIBは、これらの受け取った有価証券の
市場価格を日々管理しており、原契約に従い追加担保を要求する。
リバース・リパーチェス契約に係る利息は、それぞれの契約の期間にわたり「受取利息および類似
収益」または「支払利息および類似費用」として計上される。
A.2.6.4. 利子補助金
前受利子補助金(注Iを参照)は繰り延べられ、補助金支給対象貸付金の実行から返済までの期間に
わたって、損益計算書で認識される。
A.2.6.5. 定期預金および要求払預金(「預金」)
預金とは、EIBが一定期間、または当事者間で合意した収益に対して要求払いで、金融機関または顧
客に流動性のある資金を貸し付ける業務である。預金は、法定貸借対照表の資産側の「金融機関貸付
金および預け金: その他の貸付金および預け金」に額面金額で計上される。
預金に係る利息は、預金期間にわたり「受取利息および類似収益」または「支払利息および類似費
用」として計上される。
A.2.7. 株式、その他の変動利付証券、参加持分および関係会社株式
A.2.7.1. 株式、その他の変動利付証券および参加持分
EIBは、プライベート・エクイティおよびベンチャー・キャピタル事業開始、債券ファンド設定、イ
ンフラ基金設定、投資基金設定または直接資本の形態での資本参加時に、株式、その他の変動利付証
券および参加持分を保有する。これらの投資は当初は取得原価で記録され、返済による資金の還流額
が減額される。それらの帳簿価額は、その後の貸借対照表日における測定で、取得原価と時価のいず
れか低い方に調整される。
EIBが実施する一部の共同投資では、投資は取得原価で当初認識され、純払込額は合意されたウォー
ターフォールに従って配分された資本返済控除後の出資履行額である。
ファンド・マネージャーから受けた報告に基づき、投資ポートフォリオは、取得原価もしくはEIBに
帰属する分のNAVのどちらか低い方の値で個々に評価されるため、ポートフォリオに含まれている可能
性があるEIB帰属分の未実現利益は除外される。帰属するNAVは、次のいずれかを、報告日時点で利用
可能な場合に優先順位に従い適用して決定される。
- 各ファンド・マネージャーから提出された、利用可能な直近の日におけるNAVのEIBの持分
- EIBが保有する株式数または口数に、ファンド・マネージャーが報告する利用可能な直近の日の
1株当たりまたは1口当たりの価格を乗じた値
- 特定のコンパートメントにおけるEIBの所有比率に、最新のファンド・マネージャーの報告に反
映された当該特定のコンパートメントの純資産価額(「NAV」)を乗じた値
- 当該ファンドにおけるEIBの所有比率に利用可能な直近のファンドNAVを乗じた値
EIBが実施する一部の共同投資においては、帰属するNAVは合意されたウォーターフォールの計算に
基づいて決定される場合がある。
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また、入手可能な直近のNAVの日付から貸借対照表日の間に発生した事象について調整することが重
要と経営委員会がみなす場合に限り、EIB帰属分のNAVに対してかかる調整を行う。
これらの投資の未実行だが確約した部分は、名目値でオフバランスシート・コミットメントに計上
される。
セカンダリーセール
ベンチャー・キャピタル・ファンドおよび投資ファンドに係るセカンダリーセール取引により、原
資産の認識が中止される。セカンダリーセールからの損益は「金融業務損益」に計上され、売却手取
額と正味帳簿価額の差異として算出される。
参加持分
EIBが自己勘定で取得した株式は、通常ベンチャー・キャピタル事業、債券ファンド、インフラ基金
および投資基金への投資である。業界の慣行によれば、そのような投資は概して多数の投資家が応募
する投資であり、どの投資家も当該基金の日々の運営および投資活動に対し、個人的に影響力を行使
することはできない。結果として、ある投資家がそのような基金の統治機関のメンバーになったとし
ても、原則的には、それにより当該投資家がその基金の日々の運営に影響を与える権利を手にするも
のではない。さらに、ベンチャー・キャピタル事業、インフラ基金または投資基金の個別投資家は、
資本の払戻しまたはその他の分配に関する分配方針等、基金の方針を決定することがない。一般的に
そのような決定は、基金の経営陣と全株主の権利および義務を規定した株主契約に基づき、基金の経
営陣が行っている。また一般的に株主間の合意は、個別投資家が基金との間で実質的な取引を行った
り、役員を相互に交換したり、重要な専門情報にアクセスする特権を得たりすることも防止してい
る。EIBは、株式を取得したこうした事業体に対して重要な影響力または共同支配を有しているかを判
定するために、判断を伴う包括的な分析を通じて上記の判定基準を評価している。当該事業体に対す
る重要な影響力または共同支配が存在する場合、当該投資は、「参加持分」として開示される。
EIBにより応募済であるがEBRDへの投資について払込未請求の資本は、オフ・バランスシート項目と
して記録されている。
A.2.7.2. 関係会社株式
関係会社株式は、中長期投資に相当し、取得原価で計上されている。一時的でない評価損益は計上
されている。
少数株主が保有する株式に関して、プット・オプションの形態で提供しているコミットメントは、
行使価格でオフ・バランスシートに計上されている。
A.2.8. 有形資産
有形資産には、土地、EIBが使用している不動産、その他機械および設備が含まれる。
土地は、取得原価で計上されており、建物は、取得原価から減価償却累計額および減損累計額を控
除した金額で計上されている。ルクセンブルクのキルヒベルクに所在する本店の建物、ならびに同国
のワイマールショフの建物の取得原価は、以下のように定額法で減価償却されている。
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恒久使用の設備および備品、家具、事務機器ならびに自動車は、取得価額から減価償却累計額およ
び減損累計額を控除した金額で貸借対照表に計上されている。
減価償却費は購入品目ごとに、以下に示されている見積耐用年数の期間にわたって定額法で計算さ
れている。
- キルヒベルクおよびワイマールショフの建物:30年
- 恒久使用の設備および備品:10年
- 家具:5年
- 事務機器および自動車:3年
建設仮勘定資産は、工事が完了し、当該資産が意図された目的のための使用に供されることが可能
となるまで、その減価償却累計額は計上されない。
A.2.9. 無形資産
無形資産には、コンピューター・ソフトウェアが含まれている。ソフトウェア開発費は、識別可能
性、企業への将来の経済的便益の流入可能性、取得原価測定の信頼性に関する特定の基準を満たした
場合に資産計上される。
これらの基準に適合する自社開発のソフトウェアは、償却累計額(完成から3年にわたり定額法で
計算)および減損累計額控除後の取得原価で計上されている。
建設仮勘定資産は、作業が完了し、当該資産が意図された目的のための使用に供されることが可能
となるまで、その償却累計額は計上されない。
A.2.10. 年金制度および健康保険制度
A.2.10.1. 職員年金制度
EIBは、ほぼすべての職員に退職給付を提供するため、確定給付年金制度を運営している。
EIBの主な年金制度は職員とEIBの拠出金を原資とする確定給付年金制度で、全職員が対象とされて
いる。EIBおよびその職員の全拠出額がEIBの資産へ投資されている。
退職給付債務は、適正な引当水準となるように予測単位積立方式を用いて、少なくとも年に1度は
評価を受ける。最新の評価は、2022年9月30日現在の加入者データおよび2022年12月31日までの
キャッシュ・フローに基づき、2022年12月31日現在で実施された。保険数理士が用いた主な仮定につ
いては、注Lを参照のこと。
退職給付債務の10%を超える当年度の数理計算上の差異の累計額は、7年間にわたり定額法で認識
される。引当金が退職給付および健康保険給付の保険数理的価値の償却可能部分に達した場合、それ
以上の償却は損益計算書に認識されない。また、引当金が退職給付および健康保険給付の保険数理的
価値を超えることとなった場合には、その超過額はその後の期間に損益に算入されることはない。
A.2.10.2. 健康保険制度
EIBは職員のため、EIBおよび職員の拠出金を原資とする独自の健康保険制度を設けている。この健
康保険制度は、注A.2.10.1に記載された職員に対する年金制度と同じ方針によって管理され、会計処
理されている。最新の評価は、2022年9月30日現在の加入者データおよび2022年12月31日までの
キャッシュ・フローに基づき、2022年12月31日現在で実施された。
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A.2.10.3. 経営委員会年金制度
経営委員会年金制度は確定給付年金制度で、EIBのみからの拠出金を原資とし、経営委員会委員全員
を対象としている。EIBからの拠出金は全額EIBの資産に投資される。この経営委員会年金制度は、注
A.2.10.1 に記載された職員に対する年金制度と同じ方針によって管理され、会計処理されている。
A.2.10.4. 任意補足年金制度
任意補足年金制度とは、職員の任意拠出金および使用者の拠出金を原資とする確定拠出年金制度で
ある。対応する負債は「その他の負債」に計上されている。
A.2.11. 金融機関および顧客に対する債務
金融機関および顧客に対する債務は、財務書類において償還額で表示される。金融機関および顧客
に対する負債の利息は、発生主義により、「支払利息および類似費用」または金利がマイナスの場合
には「受取利息および類似収益」として損益計算書に計上される。経過利息は、負債勘定の「未払金
および繰延収益」に含まれる。
EIBによるECBの金融政策オペレーションへの参加に関連して、BCLから借り入れた金額は額面金額で
計上され、中央銀行からの借入金として、法定財務書類において「金融機関に対する債務-b) 期日払
または通知払」に計上されている。
A.2.11.1. リパーチェス契約(「レポ」)
リパーチェス契約は、金融機関からEIBが流動資金を借り入れ、担保有価証券を提供する取引であ
る。双方の当事者は、確定日に確定金額で取引を行うという取消不能の契約を結ぶことになる。この
取引は支払引替渡しの原則に基づいており、これは注A.2.6.3に記載されている。
こうした種類の業務は、EIBの目的から、合意された金利が付加された借入とみなされる。これらの
取引は一般的に有担保金融取引として取り扱われるため、借入金額に経過利息を加えた金額で計上さ
れている。レポは貸借対照表上、「金融機関に対する債務-b) 期日払または通知払」の下で負債側に
名目金額で計上される。
リパーチェス契約に係る利息は、それぞれの契約の期間にわたり「受取利息および類似収益」また
は「支払利息および類似費用」として計上される。
A.2.11.2. 担保払込勘定
片務的担保サポート・アネックスに基づき、EIBはデリバティブ、貸付および財務ポートフォリオに
係るカウンターパーティー信用エクスポージャーを低減するために担保として現金を受領する。受け
取った現金担保は、名目金額で計上され、翌日物預金として、法定財務書類において「金融機関に対
する債務-a) 要求払」に表示される。
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A.2.12. 債務証書借入
債務証書借入は、償却原価で表示されるゼロ・クーポン債を除き、償還金額で表示されている。取
引費用およびプレミアム/ディスカウントは、「未払金および繰延収益」または「前払金および未収
収益」を通じて債務の残存期間にわたって定額法により損益計算書で償却される。負債性金融商品に
対する利息は、損益計算書の「支払利息および類似費用」または「受取利息および類似収益」に計上
されている。
A.2.13. 金融保証
金融保証契約は、特定の債務者が、負債性金融商品の当初条件または修正後条件に基づいて期日に
支払いを履行できない場合に、発行者に、その商品の保有者に発生した損失を補償するための所定の
支払を行うことを義務付ける契約である。
発行済の金融保証は通常、オフ・バランスシート項目として会計処理され開示される。
金融保証による負債純額は、貸借対照表上で「保証業務に係る引当金」に表示されている。保証引
当金は、金融仲介機関に対するEIBの保証業務または第三者が供与した貸付金に関する保証に内在する
リスクに対応するためのものである。
金融保証は、予想プレミアムの正味現在価値(「NPV」)または当初予想損失に対応する公正価値で
当初認識される。
当初認識後、金融保証は以下のうちの高い方の金額に対する、将来の予想プレミアムの正味現在価
値の不足額として測定される。
- 予想信用損失の額
- 当初認識された公正価値から、認識された収益/償却累計額を控除した額
将来の予想プレミアムの正味現在価値が予想支払義務を超過する額を表す未実現利益は、引き続き
認識されていない。
金融保証に関連する純負債の増加または減少は、損益計算書上、「貸付金および預け金ならびに偶
発債務引当金に係る(再)評価損益」で認識される。
受取プレミアムは、損益計算書の「受取手数料」で認識される。前受手数料は貸借対照表の「未払
金および繰延収益」で認識され、金融保証期間にわたって定額法で損益計算書において償却される。
A.2.14. 契約債務引当金
この引当金は、貸付金、インフラ基金および投資基金ならびにプライベート・エクイティおよびベ
ンチャー・キャピタル事業に対するEIBの契約済・未実行契約債務に内在するリスクに対応するための
ものである。
A.2.15. 準備金
A.2.15.1. 準備基金
定款第22(-1)条で規定されているように、EIBの留保利益より「応募済資本金の10%を上限に、準備
基金に段階的に組み入れるものとする」。
A.2.15.2. その他準備金
その他準備金には、EIBの残りの留保利益が含まれている。
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A.2.15.3. 特別活動準備金
定款第16(-5)条で規定されているように、「EIBの特別活動(中略)には個別に準備金を配分す
る」。特別活動準備金は、EIBが一般的に受け入れているものよりもリスクの高い活動によって生じる
予想外の損失をカバーするために自己資本を割り当てられた専用の想定準備金であり、ベンチャー・
キャピタル業務がこれに含まれる。この準備金は各業務の配分に基づき、原資産の推移に応じて計算
される。
A.2.15.4. 一般貸倒準備金
2009年には、EIBの貸付金および保証ポートフォリオについて、自己資本を割り当てられた想定準備
金を表す 「一般貸倒準備金」 が導入された。この準備金は、EIBの内部貸付金格付制度に基づいて、
原資産の推移に応じて算出される。
A.2.16. 前払金および未収収益
当期の支出であるが翌期に関わる費用、および原商品の満期日まで支払いがなされない収益。
A.2.17. 未払金および繰延収益
貸借対照表日以前に支払いを受けるが翌期に帰属する収益、および当期に関連するが翌期に支払う
費用。
A.2.18. 受取利息および類似収益
「受取利息および類似収益」には、主に金融機関および対顧客貸付金および預け金、負債性金融商
品および短期金融市場商品ならびにデリバティブに係る利息が含まれる。
A.2.19. 支払利息および類似費用
「支払利息および類似費用」には、主に金融機関および顧客に対する負債の利息、ならびに負債性
金融商品、短期金融市場商品およびデリバティブに係る支払利息が含まれる。
A.2.20. 証券からの収益
「証券からの収益」は、主に元本を超える当期売却額で構成されている。
A.2.21. 租税
欧州連合に関する条約および欧州連合の機能に関する条約に付属する欧州連合の特権および免除に
関する議定書は、欧州連合機関の資産、収益およびその他の財産について、あらゆる直接税を免除す
ると定めている。
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注B: 現金、中央銀行および郵便局預け金ならびに負債証券ポートフォリオ(単位:千ユーロ)
B.1. 現金、中央銀行および郵便局預け金
現金、中央銀行および郵便局預け金は、2022年12月31日現在112,655千ユーロ(2021年:1,483,285
千ユーロ)である。
EIBは、ユーロ・システムの金融政策オペレーションにおける適格カウンターパーティーであること
から、EIBも欧州中央銀行の金融政策オペレーションに参加するようになった。EIBは、最低預金準備
率を充足するために預け金を置いているルクセンブルク中央銀行を通じて金融政策オペレーションを
実施する。この預け金残高は、2022年12月31日現在87,266千ユーロ(2021年:144,479千ユーロ)であ
る。
B.2. 負債証券ポートフォリオ
負債証券ポートフォリオは、長期HQLAポートフォリオ(「LTHP」)、短期財務ポートフォリオ
(「TMP」)、有価証券流動性ポートフォリオ(「SLP」)および代替貸付金ポートフォリオにより構
成されている。
負債証券ポートフォリオの2022年および2021年12月31日現在の詳細は、以下のとおりである。
2022年12月31日 2021年12月31日
中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期証券 20,349,770 35,678,436
確定利付証券を含む負債証券
9,923,484 10,782,567
(*)
30,273,254 46,461,003
負債証券合計
(*) うち非上場分は、2022年12月31日現在6,664,380千ユーロ(2021年:6,550,937千ユーロ)であった。
未償却
プレミア
(**)
購入価額 帳簿価額 評価損益 償還価値
時価
ム/ディス
カウント
2022年12月31日現在
LTHP 2,716,467 2,692,420 0 -56,400 2,636,020 2,263,503
TMP 6,964,454 6,995,106 0 33,930 7,029,036 6,986,325
SLP 3,329,029 3,172,836 0 0 3,328,249 3,172,836
17,449,652 17,412,892 1,289 -3,126 17,411,055 16,800,313
代替貸付金 (注D)
(*)
30,459,602 30,273,254 1,289 -25,596 30,404,360 29,222,977
負債証券合計
(*) うち現金および現金同等物552,038千ユーロ。
(**) 時価には経過利息は含まれない。
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未償却
プレミア
(**)
購入価額 帳簿価額 評価損益 償還価値
時価
ム/ディス
カウント
2021年12月31日現在
LTHP 1,384,662 1,340,985 0 -97,342 1,243,643 1,418,398
TMP 22,484,695 22,434,606 0 -35,118 22,399,488 22,435,374
SLP 4,761,521 4,733,721 0 0 4,714,307 4,733,721
17,993,220 17,951,691 1,243 -6,339 17,946,595 18,033,089
代替貸付金 (注D)
(*)
46,624,098 46,461,003 1,243 -138,799 46,304,033 46,620,582
負債証券合計
(*) うち現金および現金同等物142,403千ユーロ。
(**) 時価には経過利息は含まれない。
代替貸付金は、証券化取引に関連する貸付金または債権のプールにおける持分の取得を表してお
り、貸付金総額(注D)の一部とみなされる。こうした取引の一部は、与信またはプロジェクト関連の
救済措置を付加した上で組成されているため、追加的な償還請求手段が備わっている。代替貸付金
ポートフォリオの評価損益について詳細にレビューした結果、2022年12月31日現在で、1件の取引
(2021年:1件の取引)について個別の評価損益1,262千ユーロ(2021年:1,243千ユーロ)が計上さ
れた。ウクライナにおける戦争に関連して、2022年に代替貸付金ポートフォリオの集合的な評価損益
27千ユーロが計上された。2020年に、代替貸付金ポートフォリオに対するCOVID-19の影響を捕捉する
ために計上された集合的な評価損益42千ユーロは、2021年12月31日現在で戻し入れられた。
債券保有における欧州連合加盟国ソブリン債に対するエクスポージャー
EIBの優先債権者の地位およびEIB定款による保護を考慮し、また評価調整要件の詳細な見直しの結
果、EIBは、期末現在の満期保有目的EU加盟国ソブリン債およびEU加盟国ソブリン保証債のエクスポー
ジャーに関して、2022年および2021年に評価損益を計上しなかった。
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下表は、2022年および2021年12月31日現在のEIBの負債証券ポートフォリオ(代替貸付金を含む)に
おける、EU加盟国またはその政府機関が発行または保証する負債証券に対するエクスポージャーを示
したものである。
購入価額 帳簿価額 償還価値 時価
2022 年12月31日現在
EU 加盟国ソブリン債
オーストリア
206,873 205,999 222,451 154,085
ベルギー
158,851 158,294 150,000 121,080
チェコ共和国
309,932 273,865 269,530 269,567
フィンランド
98,135 98,214 100,000 60,753
フランス
1,817,992 1,825,653 1,878,755 1,795,256
ドイツ
1,158,153 1,151,824 1,145,133 1,129,927
イタリア
601,812 601,088 600,000 599,292
オランダ
414,241 407,125 403,000 398,225
ポーランド
1,734,097 1,734,097 1,734,097 1,671,754
スロベニア
10,049 10,002 10,000 9,995
スペイン
1,373,976 1,378,255 1,391,066 1,373,620
7,884,111 7,844,416 7,904,032 7,583,554
EU 加盟国以外のソブリン債およびその他の債券
22,575,491 22,428,838 22,500,328 21,639,423
合計
30,459,602 30,273,254 30,404,360 29,222,977
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購入価額 帳簿価額 償還価値 時価
2021 年12月31日現在
EU 加盟国ソブリン債
オーストリア
60,407 56,707 55,500 56,657
ベルギー
62,150 62,072 62,000 62,114
チェコ共和国
426,516 385,879 378,085 390,877
デンマーク
17,615 17,616 17,658 17,616
フランス
1,256,636 1,243,705 1,240,288 1,245,478
ドイツ
983,045 971,840 951,664 1,021,546
アイルランド
704,819 705,945 706,339 706,040
イタリア
7,484,756 7,459,403 7,439,999 7,465,218
リトアニア
9,242 8,878 8,829 8,872
ルクセンブルク
25,233 25,223 25,000 25,223
オランダ
366,403 355,095 348,000 367,345
ポーランド
547,662 547,489 547,480 466,185
ルーマニア
88,047 83,733 83,214 83,665
スペイン
5,839,387 5,827,451 5,823,235 5,826,979
スウェーデン
96,478 95,644 95,487 95,635
17,968,396 17,846,680 17,782,778 17,839,450
EU 加盟国以外のソブリン債およびその他の債券
28,655,702 28,614,323 28,521,255 28,781,132
合計
46,624,098 46,461,003 46,304,033 46,620,582
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注C: 金融機関および対顧客貸付金および預け金-その他の貸付金および預け金(単位:千ユーロ)
2022年12月31日 2021年12月31日
(*)
定期預金 56,591,105 60,416,600
要求払預金 14,411 240,697
リバース・レポ 7,381,282 13,894,159
その他の金融機関貸付金および預け金 63,986,798 74,551,456
125,883 677,437
その他の対顧客貸付金および預け金
64,112,681 75,228,893
その他の貸付金および預け金合計
うち現金および現金同等物 62,300,250 66,694,788
(*) 2022年のルクセンブルク中央銀行への預け金539億ユーロ(2021年:567億ユーロ)を含む。
注D: 貸付金明細表
D.1. 貸付金総額(単位:千ユーロ)
貸付金総額は貸付金の実行済金額と未実行金額で構成されている。分析は以下のとおりである。
金融仲介機関に対し 最終受益者に直接実
2022年12月31日 2021年12月31日
て実行される貸付金 行される貸付金
実行済金額
93,252,341 326,715,856 419,968,197 415,459,685
未実行金額
31,375,087 93,274,466 124,649,553 122,954,291
貸付金総額
124,627,428 419,990,322 544,617,750 538,413,976
分割貸付債権
21,746 145,347 167,093 472,853
代替貸付金ポートフォリオ
17,414,181 17,952,934
代替貸付金ポートフォリオを含む貸付金総額 (注D.3) 562,199,024 556,839,763
D.2. 貸付金に係る評価損益(単位:千ユーロ)
評価損益の推移の詳細は、以下のとおりである。
2022年 2021年
1月1日現在
439,008 647,769
(1)
当期取崩額
-147,677 -229,532
(2)
当期目的使用額
-16,587 -31,561
(1)
当期繰入額
114,772 35,843
為替調整額
2,232 16,489
(3)
12 月31日現在
391,748 439,008
(1) 2020年、EIBはCOVID-19のまん延を考慮し、集合的引当金を認識した。2021年には、(1) 貸付金ポートフォリオに対
するCOVID-19の影響についてのより詳細な評価を可能にする年次カウンターパーティー格付の見直し、および(2)
それぞれの貸付金の残存期間の予想信用損失の減少を考慮し、この集合的引当金は全額が戻入された。
2022年には、集合的引当金がウクライナにおける戦争を背景に再導入され、この事象の影響とポートフォリオに対
するより広範な経済的影響を捉えるEIBの必要性に対処している。この危機が顧客に与えると予想される影響を考慮
し、ポートフォリオ内に減損しているが特定されていない金融資産、または発生しているが報告されていない損失
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が存在する可能性が高いとみなされた。EU会計指令の健全性および真実かつ公正な概観のコア原則に従い、これら
の潜在的な損失はEIBの財務書類に反映された。
その結果、EIBは制裁、エネルギーおよび原材料価格の高騰、サプライチェーンの混乱など、この危機が顧客に与え
る潜在的な影響を評価した。損失が発生した可能性があるが、まだ個別には特定されていないエクスポージャーの
一部の集団を特定するために、脆弱性評価が実施されている。これらの一部の集団に関して、基礎となるエクス
ポージャーに対する集合的引当金が算出されている。EIBは2022年に76,020千ユーロの集合的引当金を計上した
(2021年:ゼロ)。
(2) 2022年、EIBは以下を実施した。
・ 期首に個別引当金が計上された貸付金事業1件についてリストラクチャリングを完了した。既存の引当金1,700
千ユーロが使用された(2021年:貸付金事業1件に対し2,444千ユーロ)。
・ 期首に個別引当金が計上された貸付金事業3件を償却した。既存の引当金6,872千ユーロが目的使用された
(2021年:貸付金事業2件に対し6,750千ユーロ)。
・ 2022年中に個別引当金が計上された貸付金事業1件を償却した。既存の引当金8,015千ユーロが目的使用された
(2021年:ゼロ)。
・ 完了した不良債権の売却取引はなかった(2021年:2件の貸付金事業で22,367千ユーロ)。
(3) 評価損益は、延滞を含む実行済貸付金のみに関連している。また、EIBは「前払金および未収収益」に計上されてい
る未収利息について、総額10,788千ユーロ(2021年:4,919千ユーロ)の評価損益を追加的に計上している。
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D.3. プロジェクトが行われている国別に表示した貸付金の地域別内訳(単位:千ユーロ)
D.3.1. 欧州連合内のプロジェクトに対する貸付金
2022年 2021年
プロジェクトが実施されて 貸付金 貸付金
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
いる国および地域 合計額に 合計額に
対する割合 対する割合
スペイン 75,382,451 65,778,480 9,603,971 13.42% 13.90%
フランス 68,788,222 52,991,879 15,796,343 12.24% 11.49%
イタリア 64,321,697 50,715,315 13,606,382 11.45% 11.66%
ドイツ 46,226,551 36,698,796 9,527,755 8.22% 8.01%
ポーランド 45,410,360 36,431,234 8,979,126 8.08% 7.85%
ギリシャ 19,640,878 14,689,667 4,951,211 3.49% 3.58%
ベルギー 16,696,919 12,185,503 4,511,416 2.97% 2.79%
オランダ 16,555,295 13,124,835 3,430,460 2.95% 3.06%
オーストリア 15,425,740 13,771,350 1,654,390 2.74% 2.70%
ポルトガル 13,651,324 11,022,126 2,629,198 2.43% 2.43%
スウェーデン 12,140,145 8,662,815 3,477,330 2.16% 2.19%
フィンランド 10,807,665 9,000,038 1,807,627 1.92% 1.96%
ハンガリー 9,943,661 7,819,150 2,124,511 1.77% 1.80%
アイルランド 8,012,122 6,188,129 1,823,993 1.43% 1.36%
チェコ共和国 7,874,206 4,943,481 2,930,725 1.40% 1.24%
ルーマニア 7,167,843 4,137,733 3,030,110 1.28% 1.21%
スロバキア 4,437,227 3,809,733 627,494 0.79% 0.82%
デンマーク 3,901,255 3,057,925 843,330 0.69% 0.63%
クロアチア 3,497,538 2,917,826 579,712 0.62% 0.71%
リトアニア 2,749,962 2,547,076 202,886 0.49% 0.49%
キプロス 2,640,543 1,923,842 716,701 0.47% 0.50%
スロベニア 2,629,362 2,154,406 474,956 0.47% 0.51%
ブルガリア 2,317,413 1,836,826 480,587 0.41% 0.40%
エストニア 1,514,648 985,289 529,359 0.27% 0.29%
ラトビア 980,890 582,745 398,145 0.17% 0.22%
ルクセンブルク 821,249 123,298 697,951 0.15% 0.12%
408,737 253,960 154,777 0.07% 0.07%
マルタ
463,943,903 368,353,457 95,590,446 82.55% 81.99%
小計
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(1)
D.3.2. 欧州連合域外のプロジェクトに対する貸付金
D.3.2.1. 候補国
2022年 2021年
プロジェクトが実施されて 貸付金 貸付金
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
いる国および地域 合計額に 合計額に
対する割合 対する割合
トルコ
8,343,786 8,062,281 281,505
ウクライナ*
6,023,946 3,085,020 2,938,926
セルビア
3,810,995 2,441,076 1,369,919
ボスニア・ヘルツェゴビナ
1,959,881 1,217,797 742,084
モルドバ共和国
954,190 475,406 478,784
モンテネグロ
696,320 470,956 225,364
北マケドニア
479,889 326,149 153,740
アルバニア
330,527 238,027 92,500
小計
22,599,534 16,316,712 6,282,822 4.02% 2.63%
* 2022年の実行済エクスポージャー総額は3,085百万ユーロ(2021年:1,570百万ユーロ)である。この金額のうち、
2,852百万ユーロ(2021年:1,302百万ユーロ)は外部貸付マンデートの下での欧州連合の包括保証でカバーされる。
残額の233百万ユーロは自己リスクを負うが、うち216百万ユーロはEU域外貸付マンデートの下でのEU政治リスク保証
でカバーされる。さらに2,939百万ユーロが未実行の契約済事業において確約されている。この金額のうち、2,714百
万ユーロは外部貸付マンデートの下での欧州連合の包括保証でカバーされる。残額の225百万ユーロは自己リスクを
負うが、うち190百万ユーロはEU域外貸付マンデートの下でのEU政治リスク保証でカバーされる。
(1) 割合は、表示された年の関連するそれぞれの構成比を反映している。
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D.3.2.2. アフリカ、カリブ海および太平洋地域(「ACP」)諸国
2022年 2021年
プロジェクトが実施されている 貸付金 貸付金
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
国および地域 合計額に 合計額に
対する割合 対する割合
アフリカ地域 1,084,015 71,503 1,012,512
セネガル 715,385 285,879 429,506
ギニア 437,279 129,870 307,409
マダガスカル 417,192 243,216 173,976
ザンビア 405,670 144,950 260,720
ケニア 372,528 176,511 196,017
ベナン 365,072 76,847 288,225
ガーナ 277,255 27,482 249,773
マラウイ 217,983 95,643 122,340
ドミニカ共和国 176,438 49,618 126,820
モザンビーク 176,127 76,127 100,000
ナイジェリア 175,000 0 175,000
ルワンダ 167,000 0 167,000
カメルーン 157,961 51,961 106,000
チャド 156,200 0 156,200
コートジボワール 152,700 102,421 50,279
ニジェール 151,677 31,677 120,000
レソト 151,053 69,053 82,000
アンゴラ 150,000 4,039 145,961
タンザニア連合共和国 136,170 95,622 40,548
ACP地域 130,000 0 130,000
ウガンダ 103,861 103,861 0
ブルキナファソ 100,591 47,591 53,000
マリ 88,747 37,797 50,950
フィジー 70,317 7,915 62,402
ブルンジ 70,000 62,500 7,500
ガンビア 65,000 21,442 43,558
西アフリカ地域 63,099 63,099 0
バルバドス 59,755 10,000 49,755
リベリア 56,980 36,980 20,000
パプア・ニューギニア 54,199 32,815 21,384
カーボベルデ 49,496 49,496 0
モーリタニア 42,708 5,584 37,124
エチオピア 40,000 31,000 9,000
セーシェル 36,635 24,135 12,500
エスワティニ王国 36,400 31,729 4,671
サントメ・プリンシペ 32,940 1,000 31,940
コンゴ 30,394 4,394 26,000
コンゴ民主共和国 23,723 23,723 0
セントルシア 13,500 0 13,500
トーゴ 13,174 13,174 0
ナミビア 8,503 8,503 0
モーリシャス 3,173 3,173 0
カリブ海地域 3,112 3,112 0
ドミニカ 1,554 1,554 0
ベリーズ 1,095 1,095 0
220 220 0
ボツワナ
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7,241,881 2,358,311 4,883,570 1.29% 1.09%
小計
D.3.2.3. アジア
2022年 2021年
プロジェクトが実施されて 貸付金 貸付金
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
いる国および地域 合計額に 合計額に
対する割合 対する割合
3,603,277 1,937,941 1,665,336
インド
2,372,029 1,158,827 1,213,202
中国
634,400 184,038 450,362
バングラデシュ
332,199 113,025 219,174
ウズベキスタン
292,569 48,229 244,340
ネパール
264,894 7,049 257,845
カザフスタン
234,240 80,890 153,350
カンボジア
201,950 156,450 45,500
ベトナム
178,942 71,677 107,265
ラオス人民民主共和国
167,000 0 167,000
アジア地域
145,738 95,738 50,000
スリランカ
112,000 51,000 61,000
キルギス
106,729 68,366 38,363
タジキスタン
105,019 50,496 54,523
モルディブ
79,172 60,162 19,010
モンゴル
50,000 0 50,000
パキスタン
20,000 0 20,000
中央アジア地域
8,900,158 4,083,888 4,816,270 1.58% 1.48%
小計
D.3.2.4. 潜在的候補国
2022年 2021年
プロジェクトが実施されている 貸付金 貸付金
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
国および地域 合計額に 合計額に
対する割合 対する割合
232,800 32,800 200,000
コソボ
232,800 32,800 200,000 0.04% 0.40%
小計
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D.3.2.5. ラテンアメリカ諸国
2022年 2021年
プロジェクトが実施されて 貸付金 貸付金
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
いる国および地域 合計額に 合計額に
対する割合 対する割合
2,087,892 1,260,426 827,466
ブラジル
839,290 483,780 355,510
ラテンアメリカ地域
797,942 439,784 358,158
エクアドル
617,661 197,580 420,081
アルゼンチン
299,961 171,291 128,670
ニカラグア
283,721 283,721 0
メキシコ
275,029 228,151 46,878
パナマ
210,013 116,257 93,756
ペルー
200,000 0 200,000
チリ
193,137 0 193,137
コロンビア
157,160 97,869 59,291
パラグアイ
115,936 95,434 20,502
ボリビア
81,072 71,542 9,530
ホンジュラス
60,253 60,253 0
コスタリカ
37,503 9,778 27,725
エルサルバドル
6,256,570 3,515,866 2,740,704 1.11% 0.87%
小計
D.3.2.6. 欧州自由貿易連合( EFTA )加盟国
2022年 2021年
プロジェクトが実施されて 貸付金 貸付金
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
いる国および地域 合計額に 合計額に
対する割合 対する割合
977,893 841,493 136,400
ノルウェー
547,369 547,369 0
アイスランド
48,192 13,992 34,200
スイス
1,573,454 1,402,854 170,600 0.28% 0.32%
小計
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D.3.2.7. 地中海沿岸諸国
2022年 2021年
プロジェクトが実施されて 貸付金 貸付金
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
いる国および地域 合計額に 合計額に
対する割合 対する割合
7,480,135 4,317,891 3,162,244
エジプト
5,171,232 3,407,577 1,763,655
モロッコ
2,617,522 1,582,112 1,035,410
チュニジア
1,528,810 829,036 699,774
ヨルダン
1,250,253 707,528 542,725
イスラエル
1,141,729 349,573 792,156
レバノン
399,439 89,857 309,582
パレスチナ
266,250 266,250 0
アルジェリア
55,949 55,949 0
シリア・アラブ共和国
54,664 21,664 33,000
地中海沿岸地域
38,500 0 38,500
北アフリカ地域
20,004,483 11,627,437 8,377,046 3.56% 3.51%
小計
D.3.2.8. 海外の属国および属領(OCT)
2022年 2021年
プロジェクトが実施されて 貸付金 貸付金
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
いる国および地域 合計額に 合計額に
対する割合 対する割合
49,103 49,103 0
ニューカレドニア
45,103 15,470 29,633
シント・マールテン
11,346 11,346 0
仏領ポリネシア
105,552 75,919 29,633 0.02% 0.02%
小計
D.3.2.9. 東欧諸国、南コーカサス諸国およびロシア
2022年 2021年
プロジェクトが実施されて 貸付金 貸付金
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
いる国および地域 合計額に 合計額に
対する割合 対する割合
ジョージア 1,669,535 1,053,500 616,035
ベラルーシ* 405,222 45,222 360,000
アルメニア 365,254 247,795 117,459
ロシア連邦* 13,799 13,799 0
3,305 3,305 0
アゼルバイジャン
2,457,115 1,363,621 1,093,494 0.44% 1.71%
小計
* ベラルーシの実行済エクスポージャー総額は45百万ユーロ(2021年:173百万ユーロ)である。この金額のうち、36百
万ユーロは外部貸付マンデートの下での欧州連合の包括保証で担保されており、9百万ユーロはEU域外貸付マンデー
トの下でのEU政治リスク保証でカバーされる。さらに360百万ユーロが未実行の契約済事業において確約されてお
り、このうち、10百万ユーロのみEIBが自己リスクを負うことが見込まれるが、EU域外貸付マンデートの下でのEU政
治リスク保証でカバーされる。EIBによるロシア連邦の借手への実行済エクスポージャー総額は14百万ユーロ(2021
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年:16百万ユーロ)であるが、EIBが自己リスクを負うエクスポージャーはない。EIBはロシア連邦に適用されるEUの
政策ガイドラインを引き続き遵守している。
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D.3.2.10. 英国
2022年 2021年
プロジェクトが実施されて 貸付金 貸付金
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
いる国および地域 合計額に 合計額に
対する割合 対する割合
28,118,931 27,875,963 242,968
英国
28,118,931 27,875,963 242,968 5.00% 5.87%
小計
D.3.2.11. 南アフリカ
2022年 2021年
プロジェクトが実施されて 貸付金 貸付金
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
いる国および地域 合計額に 合計額に
対する割合 対する割合
597,550 375,550 222,000
南アフリカ
597,550 375,550 222,000 0.11% 0.11%
小計
欧州連合域外のプロジェクト
98,088,028 69,028,921 29,059,107 17.45% 18.01%
に対する貸付金合計
(1)
562,031,931 437,382,378 124,649,553 100.00%
2022 年貸付金合計
(1)
556,366,910 433,412,619 122,954,291 100.00%
2021 年貸付金合計
(1) 代替貸付金(注B.2およびD.1)を含み、分割貸付債権(2022年:167百万ユーロ、2021年:473百万ユーロ)を除
く。
D.4. 保証業務に係る引当金
EIBが付与した保証に係る引当金は、受益者に対して支払義務を負うと見込まれる損失に対応して認
識されている。2022年12月31日現在、こうした引当金は86,584千ユーロにのぼる(2021年:27,916千
ユーロ)。
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注E: 株式およびその他の変動利付証券、参加持分ならびに関係会社株式(単位:千ユーロ)
E.1. 株式、その他の変動利付証券および参加持分
参加持分 株式およびその他の変動利付証券
プライベート・
プライベート・
エクイティ
エクイティ
持分投資基
および 金および
および
その他の
(2) (3)
EBRD持分 合計
ベンチャー・ インフラ
ベンチャー・
持分投資
(1)
キャピタル
キャピタル
基金
(1)
(1)
事業
事業
取得原価:
2022年1月1日現在 337,234 5,675,541 157,500 3,018,393 264 8,851,698
(4)
当期取得額 76,231 1,177,660 0 954,579 1,030 2,133,269
(4)
-39,744 -1,235,602 0 -355,091 0 -1,590,693
売却/満期
373,721 5,617,599 157,500 3,617,881 1,294 9,394,274
2022 年12月31日現在
評価損益:
2022年1月1日現在 -18,854 -359,857 0 -94,272 0 -454,129
当期取得額 -3,630 -96,406 0 -25,977 0 -122,383
2,225 83,065 0 41,778 0 124,843
当期減少額
-20,259 -373,198 0 -78,471 0 -451,669
2022 年12月31日現在
純帳簿価額:
353,462 5,244,401 157,500 3,539,410 1,294 8,942,605
2022 年12月31日現在
318,380 5,315,684 157,500 2,924,121 264 8,397,569
2021 年12月31日現在
(1) オフ・バランスシートで開示されている契約済の未実行額は、それぞれ次のとおりである。
株式およびその他の変動利付証券に関連して:
・ プライベート・エクイティおよびベンチャー・キャピタル事業に対して4,084,606千ユーロ(2021年:
4,121,195千ユーロ)
・ 持分投資基金およびインフラ基金に対して3,435,704千ユーロ(2021年:3,203,307千ユーロ)
参加持分に関連して:
・ プライベート・エクイティおよびベンチャー・キャピタル事業に対して410,831千ユーロ(2021年:497,631千
ユーロ)
(2) 157,500千ユーロ(2021年:157,500千ユーロ)は、欧州復興開発銀行(「EBRD」)の資本金に対するEIBの応募額
900,440千ユーロに係る2022年12月31日現在のEIBの払込資本である。
(3) 合計額は、株式およびその他の変動利付証券のみを含む。
(4) 「当期取得額」および「売却/満期」の金額には為替変動が含まれている。
2022年12月31日現在、 EIBは、EBRDの応募済資本金の3.03%(2021年:3.03%)を所有している。国際財務報告基準
に準拠して作成されたEBRDの監査済2021年度財務書類に基づいた、EBRDにおけるEIBの正味資本持分は616百万ユーロであ
る。
(単位:百万ユーロ)
持分比率(%) 自己資本合計 純損益合計 資産合計
EBRD(2021年12月31日)* 3.03 20,345 2,502 74,773
* データはEBRDの最新の監査済財務書類に基づいている。
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E.2. 関係会社株式
欧州投資基金
EIF株主総会におけるEIFの2021年2月の増資の承認の結果、EIFの授権資本は2021年度中に額面百万
ユーロの新株2,870株の発行を通じて、45億ユーロから74億ユーロに増加した。
新株の発行は、以下に詳述するように1応募期間で応募が可能な1回の応募で行われた。応募され
た新授権株式は、その額面金額の20%について払込が行われている。残りの80%は、EIF株主総会の決
定を受けて払込請求を行うことができる。この増資において応募された新授権株式についての申込価
格は、新規発行株式の払込部分を含んだ435,970.88ユーロと決定された。この金額は、リプレースメ
ント・シェア・パーチェス・アンダーテイキング(「RSPU」)の算式によって、外部監査人のレ
ビューを受けた2020年9月30日現在のEIFの財務データに基づいて算定された。EIF定款第5条に沿っ
て、EIFの各株主は、当該増資前で当該株主が引き受けた株数とEIFの全応募済株数との間の比率に対
応して、増資の一部に対して応募する権利を有していた。その結果として、EIBは2021年2月に約736
百万ユーロで、その比例配分部分である1,689株について応募した。
残高1,549,444千ユーロ(2021年:1,549,444千ユーロ)は、登記上の事務所所在地がルクセンブル
クにある欧州投資基金(「EIF」または「ファンド」)の資本金に対するEIBの応募額4,336,000千ユー
ロ(2021年:4,336,000千ユーロ)に係るEIBの払込済額に相当する。
EIBは、EIFの応募済資本金73億ユーロ(2021年:73億ユーロ)の59.40%(2021年:59.40%)を保
有している。
2022年度に、EIBはEIF株式の他の投資家からの購入も、他の投資家への売却も行わなかった。その
結果、2022年12月31日現在、EIBはEIFの株式を4,336株保有している。
2021年度中、欧州委員会(「EC」)が保有するEIFの応募済株式に関するRSPUは解除されたが、EC以
外のEIFの少数株主からの応募済株式に関するRSPUは依然として有効である。
この結果、これらの少数株主が引き受けたEIF株式774株について、EIBはRSPUに基づき、これらの株
式を1株当たり542,329.82ユーロで随時買い取る旨申し入れている。この価格は、EIF払込請求済資本
金に、資本剰余金勘定、法定準備金、留保利益、公正価値準備金および当期純利益を加えて当期配当
金を調整した値の1株当たり金額に相当する。合意された算式が、オプションが行使される会計年度
のEIFの承認済かつ監査済年次財務書類に適用されている。
オフ・バランスシートに表示されているEIFの少数株主グループに付与されたプット・オプションの
名目金額419,763千ユーロ(2021年:340,341千ユーロ)は、国際財務報告基準に準拠して作成された
2021年度のEIFの監査済法定決算書に基づいて計算されている。
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(単位:千ユーロ)
持分比率(%) 自己資本合計 純損益合計 資産合計
EIF(2021年12月31日)* 59.40 3,974,049 564,357 5,186,617
EIF(2022年12月31日)** 59.40 4,368,892 70,414 5,495,946
* データはEIFの最新の監査済財務書類に基づいている。
** データはEIFの未監査財務書類の速報に基づいている。
注F: 無形・有形資産(単位:千ユーロ)
ルクセン 家具備品
土地 有形資産合計 無形資産合計
ブルクの建物 および設備
取得原価:
2022年1月1日現在
20,145 410,649 63,956 494,750 78,374
当期取得額
0 11,385 28,192 39,577 41,563
当期除却額
0 0 -26,152 -26,152 -18,148
2022 年12月31日現在
20,145 422,034 65,996 508,175 101,789
減価償却/償却累計額
2022年1月1日現在
0 -216,134 -36,171 -252,305 -21,185
当期減価償却/償却額
0 -9,792 -22,929 -32,721 -29,656
当期除却額
0 0 26,152 26,152 18,148
2022 年12月31日現在
0 -225,926 -32,948 -258,874 -32,693
帳簿価額:
2022 年12月31日現在
20,145 196,108 33,048 249,301 69,096
2021 年12月31日現在
20,145 194,515 27,785 242,445 57,189
ルクセンブルクの建物には、新棟の建設に係る原価79,305千ユーロ(2021年:67,920千ユーロ)が
含まれており、新棟は、2025年に完成予定である。
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注G: その他の資産およびその他の負債(単位:千ユーロ)
その他の資産 2022年12月31日 2021年12月31日
デリバティブの公正価値 128,737 18,124
未収金およびその他債権 93,314 99,724
保証履行請求債権 55,811 12,831
未収EGF管理報酬 53,555 22,448
前払給与および手当 972 1,100
2,076 3,102
その他
334,465 157,329
合計
その他の負債 2022年12月31日 2021年12月31日
(*)
英国への資本の未払払戻金 2,595,904 2,895,904
任意補足年金制度(注L) 753,701 705,302
EIF年金制度 294,164 262,011
ファースト・ロス一部負担金 233,227 202,171
貸付金の未達勘定 99,031 35,601
未払金およびその他債務 98,542 71,786
未払人件費 74,705 74,105
(**)
重債務貧困国(HIPC)イニシアチブに係る未払費用 13,596 13,596
デリバティブの公正価値 576 10,606
西バルカン諸国のインフラ基金 97 393
96,468 102,034
その他
4,260,011 4,373,509
合計
(*) グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国の欧州連合および欧州原子力共同体からの離脱協定の第150(4)条
および2020年6月10日付理事会決定(EU)2020/769による修正に従い、EIBは払込請求済資本金の35億ユーロを2020年
10月15日より開始する12回の分割により毎年英国に支払う(最初の11回の分割払いは各300,000,000ユーロで最終回
の支払いは195,903,950ユーロ)。2020年10月15日、2021年10月15日および2022年10月14日に期日を迎えた分割金は
全額が決済された。
(**) 重債務貧困国(「HIPC」)イニシアチブ
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注H: EIB応募済資本金、自己資本および前年度利益の処分
H.1. EIB 応募済資本金明細表
2022 年12月31日および2021年12月31日現在
(単位:ユーロ)
(*)
応募済資本金 払込請求済資本金
加盟国
払込未請求資本金
ドイツ
46,722,369,149 42,555,081,742 4,167,287,407
フランス
46,722,369,149 42,555,081,742 4,167,287,407
イタリア
46,722,369,149 42,555,081,742 4,167,287,407
スペイン
28,033,421,847 25,533,049,371 2,500,372,476
ベルギー
12,951,115,777 11,795,972,691 1,155,143,086
オランダ
12,951,115,777 11,795,972,691 1,155,143,086
ポーランド
11,366,679,827 10,352,856,629 1,013,823,198
スウェーデン
8,591,781,713 7,825,458,763 766,322,950
デンマーク
6,557,521,657 5,972,639,556 584,882,101
オーストリア
6,428,994,386 5,855,575,961 573,418,425
フィンランド
3,693,702,498 3,364,251,741 329,450,757
ギリシャ
3,512,961,713 3,199,631,688 313,330,025
ポルトガル
2,263,904,037 2,061,980,655 201,923,382
チェコ共和国
2,206,922,328 2,010,081,290 196,841,038
ハンガリー
2,087,849,195 1,901,628,594 186,220,601
アイルランド
1,639,379,073 1,493,158,667 146,220,406
ルーマニア
1,639,379,073 1,493,158,667 146,220,406
クロアチア
1,062,312,542 967,562,174 94,750,368
スロバキア
751,236,149 684,231,479 67,004,670
スロベニア
697,455,090 635,247,290 62,207,800
ブルガリア
510,041,217 464,549,338 45,491,879
リトアニア
437,633,208 398,599,585 39,033,623
ルクセンブルク
327,878,318 298,634,014 29,244,304
キプロス
321,508,011 292,831,891 28,676,120
ラトビア
267,076,094 243,254,895 23,821,199
エストニア
206,248,240 187,852,433 18,395,807
マルタ
122,381,664 111,466,131 10,915,533
合計
248,795,606,881 226,604,891,420 22,190,715,461
(*) 理事会の決議により、EIBの債務弁済に必要な金額の範囲内で、請求が行われうる。
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H.2. 自己資本および前年度利益の処分(単位:千ユーロ)
自己資本変動計算書 2022年 2021年
資本金:
(2)
- 応募済資本金
248,795,607 248,795,607
(2)
- 払込未請求資本金 -226,604,892 -226,604,892
- 払込請求済資本金
22,190,715 22,190,715
準備金および当期純利益:
準備基金:
- 期首残高
24,879,561 24,328,415
(1)
- 前年度利益処分額 0 551,146
- 期末残高
24,879,561 24,879,561
その他準備金:
- 期首残高
12,258,631 11,398,958
(1)
- 前年度利益処分額 4,321,107 859,673
- 期末残高
16,579,738 12,258,631
特別活動準備金:
- 期首残高
12,152,954 11,736,896
(1)
- 前年度利益処分額 -1,849,738 416,058
- 期末残高
10,303,216 12,152,954
一般貸倒準備金:
- 期首残高
2,021,337 2,135,891
(1)
94,629 -114,554
- 前年度利益処分額
- 期末残高
2,115,966 2,021,337
2,366,337 2,565,998
当期純利益
78,435,533 76,069,196
自己資本合計
(1) 2022年4月22日、総務会は、2021年12月31日終了年度のEIBの当期純利益2,565,998千ユーロをその他準備金、特別
活動準備金および一般貸倒準備金に繰り入れることを決定した。一般貸倒準備金または特別活動準備金からの取崩
し/への繰入れが生じているが、これは基礎的業務のリスクの動きに伴うものである。
(2) 注H.3を参照のこと。
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H.3. 払込請求済だが払込未済の応募済資本金および準備金(単位:千ユーロ)
2020年3月1日、応募済資本金はポーランドおよびルーマニアからの拠出(それぞれ、
5,386,000,000ユーロおよび125,452,381ユーロ)により、243,284,154,500ユーロから
248,795,606,881ユーロへと増加した(非均衡的増資)。払込請求済の応募済資本金および準備金への
拠出は、それぞれ0.5百万ユーロおよび1.1百万ユーロであった。当該加盟国から支払われる総額は、
10回の均等分割により半年ごとに支払われ、2020年12月31日、2021年6月30日、2021年12月31日、
2022年6月30日、2022年12月31日、2023年6月30日、2023年12月31日、2024年6月30日、2024年12月
31日および2025年6月30日に支払期日を迎える。
2022年12月31日までに期日を迎えた分割金は全額が決済された。
2022年12月31日 2021年12月31日
払込請求済だが払込未済の応募済資本金(ポーランドおよび
ルーマニア) 245,790 344,106
払込請求済だが払込未済の準備金(ポーランドおよびルーマニ
553,458 774,842
ア)
799,248 1,118,948
合計
注I: 前払金および未収収益ならびに未払金および繰延収益(単位:千ユーロ)
2022年12月31日 2021年12月31日
前払金および未収収益
通貨スワップ契約に係る外国為替変動の影響 9,479,121 7,305,157
未収利息および手数料 7,064,823 6,608,018
繰延借入およびスワップ費用 723,463 370,279
委託の受取手数料 99,222 91,745
(*)
スワップに係る未収償還プレミアム 21,581 28,774
1,412 1,945
その他
17,389,622 14,405,918
合計
2022年12月31日 2021年12月31日
未払金および繰延収益
通貨スワップ契約に係る外国為替変動の影響 8,813,681 5,472,236
未払利息および手数料 7,826,213 7,392,104
繰延借入およびスワップ収入 1,410,707 1,606,502
(*)
スワップに係る未払償還プレミアム 322,653 370,728
貸付金および保証に係る繰延収益 297,451 292,267
前受利子補助金 128,426 92,233
前受運用報酬 2,192 4,380
1,433 2,912
その他
18,802,756 15,233,362
合計
(*) スワップの未収および未払に係る償還プレミアムは、そのような特性が盛り込まれた契約に係る原スワップ契約の
最終支払額を示す。
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注J: 金融機関および顧客に対する債務(単位:千ユーロ)
J.1. 金融機関に対する債務
2022年12月31日 2021年12月31日
要求払 2,371,014 4,777,422
-翌日物預金 2,371,014 4,777,422
期日払または通知払 3,071,084 18,895,071
-短期預かり金 6,003 178,248
-金融機関とのレポ取引 3,065,081 5,716,823
(1)
-中央銀行からの借入金 0 13,000,000
5,442,098 23,672,493
合計
(1) この金額は、ECBの金融政策オペレーションへのEIBの参加を表す。
J.2. 顧客に対する債務
2022年12月31日 2021年12月31日
要求払 1,437,246 1,648,539
- 翌日物預金 46 163
- 欧州連合および加盟国口座
395,981 412,934
- 特別部門業務および関連未決済金額に係るもの
1,041,219 1,235,442
- 預金口座
期日払または通知払 57,543 175,542
57,543 175,542
- 短期預かり金
1,494,789 1,824,081
合計
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注K: 債務証書借入(単位:千ユーロ)
財務活動におけるEIBの目標の1つとして、特に通貨に関し、その資金調達戦略を貸付金供与に要す
る資金と合致させることが挙げられる。「債務証書借入」の項には、「負債証券」(一般投資家に対
して公募した有価証券)および「その他」(私募)が含まれる。下表は、2022年12月31日および2021
年12月31日現在の債務残高の通貨別内訳、ならびに平均利率と満期日(最短/最長)をまとめたもの
である。
2022年 2021年
平均利率 平均利率
12月31日 満期日 12月31日
(*) (*)
2022年 2021年
支払通貨
現在残高 現在残高
ユーロ
251,275,921 1.29 2023/2061 246,913,410 1.30
米ドル
100,421,872 2.11 2023/2058 105,073,224 1.48
英ポンド
37,274,935 2.97 2023/2054 43,705,819 2.15
豪ドル
10,025,515 2.32 2023/2040 9,703,908 2.59
ポーランド・ズロチ
6,868,484 4.05 2023/2037 6,169,375 2.23
カナダ・ドル
5,325,718 2.15 2023/2045 4,765,848 2.10
スウェーデン・クローナ
5,094,499 1.58 2023/2040 6,234,940 1.41
ノルウェー・クローネ
4,118,397 2.64 2023/2037 5,541,206 1.77
スイス・フラン
3,918,655 1.96 2023/2036 4,179,005 1.90
南アフリカ・ランド
2,138,328 8.00 2023/2035 2,331,323 7.75
日本円
1,374,409 2.27 2023/2053 1,520,384 1.46
メキシコ・ペソ
1,219,817 6.00 2023/2028 1,174,850 6.35
デンマーク・クローネ
783,185 0.87 2024/2031 783,195 0.70
ニュージーランド・ドル
550,661 3.21 2023/2028 271,428 2.57
人民元
499,851 2.82 2023/2026 472,292 2.56
チェコ・コルナ
362,397 4.18 2023/2034 339,828 2.52
トルコ・リラ
248,852 10.59 2023/2027 677,022 10.41
ロシア・ルーブル
85,960 3.89 2024/2026 140,679 4.75
ハンガリー・フォリント
53,134 9.06 2024/2025 17,065 3.25
香港ドル
36,074 0.53 2025/2025 79,246 0.41
ルーマニア・レイ
20,810 2.23 2026/2026 20,812 2.23
合計
431,697,474 440,114,859
(*) 貸借対照表日現在の加重平均利率
仕組借入の中には、その元本および利息が株価指数に連動しているものもある(実行時の価額:
2022年は500百万ユーロ、2021年は500百万ユーロ)。かかる借入金はすべて、仕組スワップ・オペ
レーションにより十分にヘッジされている。
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下表は、2022年度および2021年度の債務証書借入の変動を示したものである。
2022年 2021年
(単位:百万ユーロ)
1月1日現在の残高
440,115 435,264
当期発行額
84,649 100,348
契約に基づく償還
-96,370 -106,974
期限前償還および買戻し
-679 -735
為替差額
3,983 12,212
12 月31日現在の残高 431,698 440,115
注L: 引当金-年金制度および健康保険制度(単位:千ユーロ)
EIBの主な年金制度は職員とEIBからの拠出金を原資とする確定給付年金制度で、全職員が対象とさ
れている。EIBおよびその職員の全拠出額がEIBの資産へ投資されている。
年金制度および健康保険制度の引当金は、以下のとおりである(単位:千ユーロ)。
2022年 2021年
職員年金制度:
1月1日現在の引当額
3,643,155 3,102,089
期中支給額
-91,564 -86,150
保険数理損失の認識
55,374 435,612
年間の拠出金および利息
219,924 191,604
職員年金制度小計 3,826,889 3,643,155
経営委員会年金制度
経営委員会年金制度
40,750 38,932
保険数理損失の認識
1,528 4,110
年間の拠出金
3,313 3,164
経営委員会年金制度小計 45,591 46,206
健康保険制度:
1月1日現在の引当額
471,669 403,282
期中支給額
-30,965 -27,658
保険数理損失の認識
14,778 60,143
年間の拠出金および利息
40,507 35,902
495,989 471,669
健康保険制度小計
4,368,469 4,161,030
12 月31日現在引当金合計
上記金額は、任意補足年金制度(確定拠出年金制度)加入者への債務を含んでいない。それに対応
する債務754百万ユーロ(2021年:705百万ユーロ)は、「その他の負債」(注G)に分類されている。
最新の経済環境の動向、特に金利やインフレ率の上昇は、確定給付債務の計算に用いる仮定に影響
を与えた。確定給付債務の見積りに用いる主な仮定の詳細は以下のとおりである。
将来の退職給付および健康保険給付に対する引当金は、2022年9月30日現在の加入者データおよび
2022年12月31日までのキャッシュ・フローに基づいて、2022年12月31日付で、独立した保険数理士に
より、予測単位積立方式を用いて評価された。この保険数理評価は、2022年12月31日現在の実勢市場
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金利および以下の(職員年金制度および健康保険制度に関する)仮定に基づいて2022年12月31日付で
更新された。
・ 21.04年(2021年:25.5年)の期間に対応する年金制度および 3.88 %(2021年:1.35%)
健康保険制度における未払給付の保険数理上の現在価値を算定
するための割引率
・ EIBは、退職給付準備金の報酬率を上記割引率3.88%に1.5%
(2021年:1.5%)上乗せしたものに設定されると見込んでい
る。
・ 55歳から65歳までの間に段階的退職が予想され、NRA(通常の
退職年齢)に依存する(2021年:同一の仮定)。
・ 物価および賃金の平均的上昇率 3.3 %(2021年:3.5%)
・ 予想年間退職率 27 %から1%(2021年:27%か
ら1%)で、年齢とともに低下
・ 年金調整率(年) 2.3 %(2021年:1.75%)
・ 2022年まで予測したICSLT生命表 2018 年度版を使用(2021年:
2021年まで予測したICSLT生命
表2018年度版)
・ 医療費上昇率(年) 4.3 %(2021年:3.75%)
このようなスキームのための引当金は、上記の表のとおり、保険数理評価に従って、必要に応じて
調整される。
2022年12月31日現在の年金制度および健康保険制度の数理計算上の評価額は1,034,924千ユーロ
(2021年:3,794,769千ユーロ)の未認識損失であり、そのうち501,752千ユーロ(2021年:2,999,189
千ユーロ)は10%の回廊を超えて計上され、2022年の連結損益計算書に計上された償却費総額は
71,679千ユーロ(2021年:499,865千ユーロ)となった。
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注M: 当期純利益
2022年12月31日終了年度の損益計算書に計上された当期純利益2,366,337千ユーロの処分案は、承認
を受けるため2023年4月25日までに総務会に提出される。当事業年度の剰余金の処分案は以下のとお
りである。
- その他準備金 1,707.5百万ユーロ
- 特別活動準備金 891.4百万ユーロ
- 一般貸倒準備金 -232.6百万ユーロ
注N: 受取利息および類似収益ならびに支払利息および類似費用
N.1. 正味受取利息(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
受取利息および類似収益:
現金、中央銀行および郵便局預け金
404 0
中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期証券ならびに確定利付
証券を含む負債証券
344,903 186,035
金融機関および対顧客貸付金および預け金
7,693,706 5,954,225
デリバティブ
10,490,333 10,189,276
有利子負債に係るマイナス金利
135,574 130,677
合計
18,664,920 16,460,213
支払利息および類似費用:
金融機関および顧客に対する債務
-12,972 -1,712
債務証書借入
-7,483,457 -7,134,932
デリバティブ
-7,766,282 -5,583,363
利付資産に係るマイナス金利
-251,650 -409,124
その他
-172,746 -146,087
合計
-15,687,107 -13,275,218
正味受取利息
2,977,813 3,184,995
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N.2. 受取利息および類似収益の国別分析(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
欧州連合加盟国
ポーランド
838,559 485,490
スペイン
819,323 759,172
フランス
576,209 448,293
イタリア
524,472 424,701
ギリシャ
426,007 449,134
ドイツ
366,919 296,208
オーストリア
274,321 255,563
ハンガリー
233,410 130,417
オランダ
189,118 159,011
ベルギー
172,338 150,872
スウェーデン
159,803 124,908
ポルトガル
137,956 145,230
チェコ共和国
114,166 31,005
アイルランド
92,695 87,233
ルーマニア
80,383 69,839
フィンランド
71,792 66,435
スロバキア
70,406 66,574
クロアチア
49,791 48,123
スロベニア
40,042 39,729
ブルガリア
38,055 38,922
デンマーク
31,281 18,151
リトアニア
17,462 18,172
ラトビア
16,023 14,475
キプロス
15,833 9,356
マルタ
8,088 9,197
エストニア
7,049 4,169
ルクセンブルク
2,231 19,964
欧州連合加盟国の合計
5,373,732 4,370,343
欧州連合域外
2,046,685 1,573,979
国別分析の対象の収益合計
7,420,417 5,944,322
(1)
国別分析の対象外の収益
11,244,503 10,515,891
受取利息および類似収益の合計
18,664,920 16,460,213
(1) 国別分析の対象外の収益:
・ 長期HQLAポートフォリオおよび代替貸付金ポートフォリ
オからの収益 247,044 144,153
・ 有価証券流動性ポートフォリオからの収益 36,832 30,765
・ 短期金融市場証券からの収益 61,022 11,104
・ その他有価証券からの収益 5 13
・ 短期投資およびその他の事業からの収益 409,267 140,580
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10,490,333 10,189,276
・ デリバティブからの収益
11,244,503 10,515,891
注O: 受取手数料および支払手数料(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
受取手数料:
保証手数料 179,758 135,013
EGFの手数料 51,140 23,534
インベストメント・ファシリティ「コトヌー」の手数料 36,994 55,682
貸付金手数料収益 32,589 35,014
Jaspers手数料 28,688 27,214
EFSIの手数料 17,974 17,624
近代化基金の手数料 12,080 9,268
RRFの手数料 10,709 0
(*)
DFIsの手数料(2014年から2020年、2021年から2027年) 9,995 7,545
InnovFinの手数料 6,834 13,694
(*)
Fiコンパスの手数料 5,463 5,359
(*)
信託基金管理報酬に係る手数料 5,172 4,109
(*)
イノベーション基金の手数料 4,639 1,466
コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティの手数料 4,581 1,926
(*)
JESSICA(保有基金)の手数料 3,841 3,987
近隣インベストメント・ファシリティの手数料 2,232 1,939
インベストEUアドバイザリー・ハブの手数料 2,002 0
ヤウンデ/ロメ協定の手数料 1,150 1,250
グループ内サービスからの受取手数料 7,889 7,277
(*)
27,301 22,740
その他の委託に係る手数料
451,031 374,641
受取手数料合計
2022年 2021年
支払手数料
保証人へのリスク報酬 -357,519 -410,647
グループ内サービスからの支払手数料 -53,100 -65,246
-26,489 -23,730
その他の支払手数料
-437,108 -499,623
支払手数料合計
(*) 財務書類の可読性を向上させるため、項目間での組替が行われている。
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注P: 金融業務損益(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
デリバティブの純損益 197,575 44,214
債務証書借入の買戻しに係る純損益 253 0
貸借対照表上のポジションの換算に係る純損益 -2,131 252
株式およびその他の変動利付証券に係る純損益 -35,408 29,885
-203,344 -32,708
負債証券ポートフォリオの純損益
-43,055 41,643
金融業務損益合計
注Q: その他の業務収益および費用の純額(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
賃貸料収益 11,918 11,775
過年度未使用引当金の戻入れ 4,179 4,276
410 -5,797
その他
16,507 10,254
その他の業務収益および費用の純額合計
注R: 一般管理費(単位:千ユーロ)
2022年 2021年
(*)
給与および手当 -526,278 -488,110
-305,986 -728,013
福利厚生費およびその他人件費
-832,264 -1,216,123
人件費
-306,074 -250,692
その他の管理費
-1,138,338 -1,466,815
一般管理費合計
(*) このうち経営委員会委員に対する金額は、2022年12月31日現在が3,753千ユーロ、2021年12月31日現在は3,441千
ユーロである。
EIBの職員数は、2022年12月31日現在、4,020名(2021年12月31日現在は3,816名)であった。
注S: オフ・バランスシートの借入債務支払に係る特別預け金
この項目は、EIBが支払代理人に支払ったが、EIBが発行した債券の保有者による支払いのための呈
示がなされていない期日の到来したクーポンおよび債券の金額に相当する。
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(*)
注T: 金融商品の公正価値
EIBは貸借対照表日において、(有価証券流動性ポートフォリオを除き)負債の場合は受領額、資産
の場合は取得のための支払額を示す外貨建ての取得原価に基づき、貸借対照表の金融商品を計上して
いる。下表は、資産または負債に計上されている金融商品(主として貸付金、財務、有価証券、借
入)の公正価値と帳簿価額とを比較したものである。
(**)
帳簿価額
公正価値
2022年12月31日現在(単位:百万ユーロ)
金融資産:
現金、中央銀行および郵便局預け金 113 113
金融機関および対顧客貸付金および預け金(代替貸付金を除く) 484,515 461,177
短期国庫証券および負債証券ポートフォリオ(代替貸付金を含
む) 30,273 29,297
9,296 17,242
株式、その他の変動利付証券および参加持分
524,197 507,829
金融資産合計
金融負債:
金融機関および顧客に対する債務 6,937 6,938
431,698 406,993
債務証書借入
438,635 413,931
金融負債合計
(*) デリバティブはこの表には含まれていない。注Vを参照のこと。
(**) 経過利息を含めた公正価値
(**)
帳簿価額
公正価値
2021年12月31日現在(単位:百万ユーロ)
金融資産:
現金、中央銀行および郵便局預け金 1,483 1,483
金融機関および対顧客貸付金および預け金(代替貸付金を除く) 491,285 519,818
短期国庫証券および負債証券ポートフォリオ(代替貸付金を含
む) 46,461 46,681
8,716 17,343
株式、その他の変動利付証券および参加持分
547,945 585,325
金融資産合計
金融負債:
金融機関および顧客に対する債務 25,497 25,396
440,115 478,602
債務証書借入
465,612 503,998
金融負債合計
(*) デリバティブはこの表には含まれていない。注Vを参照のこと。
(**) 経過利息を含めた公正価値
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注U: リスク管理
本注記は、EIBのリスクに対するエクスポージャーならびにその管理および統制についての情報を、
特に金融商品の使用に関連した主なリスクについて記載している。それらは以下のとおりである。
(2)
- 信用リスク-決済リスク 等、顧客またはカウンターパーティーのデフォルトにより発生する
損失のリスクで、あらゆる形式の信用エクスポージャーから発生する。
- 金利リスク-EIBの立場からは、金利に対する感応度の高い商品に影響を与える金利の不利な変
動から生じる経済価値または正味受取利息に対するリスク。金利リスクは、ギャップリスク、
ベーシスリスクおよびオプションリスクを含む。
- 流動性および資金調達リスク-EIBが合理的な価格により、あるいは、極端な状況下ではいかな
る価格によっても、資金調達または義務の履行ができないリスク。
- 為替レートリスク-為替レートの不利な変動による、EIBのポジションから得られる経済価値ま
たは収益に対するリスク。
- オペレーショナル・リスク-不十分もしくは機能不全の内部プロセス、人員もしくはシステ
(3)
ム、または外部事象 に起因する損失リスク。
(2) 決済リスクとは、受渡期日を過ぎても決済されない取引や、適用される市場基準よりも後に決済され
る取引による潜在的な損失のリスクと定義される。グループの業務の性質上、決済リスクの影響を受
ける最も関連性の高い商品は、EIBが締結しているデリバティブのうち、外貨の授受をもたらすもの
である。決済リスクの管理は、財務リスク・ガイドラインの中で取り扱われている。
(3) 外部事象の定義からは、顧客の倒産や不利な市場の動き、または類似の事象は除外されており、これ
らは信用リスクおよびそれぞれの市場リスクのトリガーである。
2022年には、リスクの管理とモニタリング専任のチームを含む職員は一部の期間テレワークで勤務
していた。このような業務に関連して、ポジション管理システムは、通常の状況下と同一の機能性
で、フロント・オフィス、ミドル・オフィスおよびバック・オフィスの職員に加えて、リスク管理の
職員もリモートモードで利用が可能であった。
リスク管理組織
EIBの目的は、その資産、財務的業績、ひいては自己資本を可能な限り最大限に守るため、リスクを
分析・管理することにある。EIBは一般にEUの機関、機構および局によって発令または採択される商業
銀行に適用される法や指針(「EU法および指針」)の適用を受けないが、EIBはその任意の決定によ
り、EIBが公表しているベスト・バンキング・プラクティスの指針的原則を含むベスト・バンキング・
プラクティスの枠組みで特定されるEU法および指針を遵守することとしている。
グループ・リスク・コンプライアンス部門(GR&C)は、EIBがさらされている信用リスク、市場リス
ク、流動性および資金調達リスク、オペレーショナル・リスクを独立した立場から特定、評価、モニ
タリングおよび報告する。GR&Cは、職務分掌を維持するために、そして3つの防衛線の原則に従っ
て、フロント・オフィスから独立した組織となっており、リスクに関するすべての提案に対して、セ
カンド・オピニオンを提供する。グループは、グループ最高リスク責任者(「GCRO」)の管理下とな
るグループ・リスク課を設置している。総裁およびEIB経営委員会のそれぞれの法定責任が影響を受け
ることなく、GCROはグループ・リスクについて、リスク担当の経営委員会委員の監督の下、EIB経営委
員会に報告する。GCROは、GCROの権限内の事項に関して、EIB経営委員会および他のEIBの統治機関の
関連するすべての会議に参加する。
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以下の項では、EIBが自己のリスク負担において実施する活動の中でさらされる信用リスク、市場リ
スク、流動性および資金調達リスク、オペレーショナル・リスクについて開示している。詳細につい
ては、EIBグループ・リスク管理開示報告書を参照のこと。
リスクの測定および報告システム
EIBは、変化する経済情勢や進化する規制当局の基準に合わせて、リスク管理システムを調整してい
る。市場慣行が発達するにつれ、EIBも継続的にそれらを適応させている。EIBの業務に内在する主な
リスク、すなわち、信用リスク、金利リスク、流動性および資金調達リスク、為替レートリスクなら
びにオペレーショナル・リスクを統制し、報告するため、管理システムを導入している。
リスクは、EIBの支払能力、流動性、利益および業務への影響を定量化することを目的として、通常
の環境下および起こり得るストレス状態下で、評価・測定される。リスク測定では、資本構成、利
益、流動性、市場に対するエクスポージャーおよびオペレーショナル・リスクに関連した適切な指標
を考慮する。
信用リスク、市場リスク、流動性リスク、財務リスクおよびオペレーショナル・リスクに関する情
報は、経営委員会および理事会に対して毎月報告される。かかる情報は、経営委員会および理事会の
リスク方針委員会に対して定期的に報告・説明される。
EIB のリスク選好
リスク選好とは、EIBがその公的使命と目的との関連において、業務の遂行の中で進んで負担し、か
つ負担できるリスクの水準である。EU加盟国(さらにはパートナーシップ参加国)全体に魅力的な条
件でEUの目的に適う長期資金を提供するEIBの能力が、リスク選好の鍵となる。EIBのビジネスモデル
の主たる柱は、主要格付機関による長期格付でAAA格を維持することである。EIBがリスク選好を管理
するために実施するプロセスおよび業務は、理事会によって承認されたEIBリスク選好の枠組み
(「RAF」)において正式に決定されている。RAFは、主要な財務リスク(信用リスク、流動性リス
ク、市場リスク、株価リスクを含む)および以下の非財務リスクのカテゴリーを取り扱っている。そ
のカテゴリーとは、(i) オペレーショナル(例:人、情報セキュリティ、金融犯罪、テクノロジー、
コンダクト、不正、コンプライアンス、モデルリスク)及び (ii) その他(例:気候変動および環
境、ならびに風評リスク)である。RAFには、測定可能なリスク選好指標の導入およびモニタリングを
通じてEIBに健全なリスク文化を根付かせる作用があり、このリスク選好指標には限度額(財務リスク
指標の限度額)が適用され、(場合により)EIBの下位組織へと落とし込まれる。EIBのRAFは、自己の
リスク負担およびリスク・シェアリング契約に基づく貸付業務、EIFに委託された業務、資金調達およ
び財務活動を対象としている。
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EIBは公的金融機関として、リスクに対する投機的エクスポージャーにより収益を獲得することを目
指していない。その結果、それぞれに業績目標が定められていても、EIBは財務活動や資金調達・提供
活動を利益の最大化を図る中心的業務とみなしていない。投資活動は、投資資本の保護という主目的
の範囲内で行われる。よって、EIBの貸付業務、借入業務および財務管理業務で生じるエクスポー
ジャーに関しては、すべての重要な市場リスクのヘッジを確保することが、EIBの主要な財務リスク管
理の原則とされている。
(4)
EIBは、金利(IR)リスク(ギャップリスクおよびベーシスリスク )ならびにFXリスクを管理す
るための枠組みを整備している。EIBはIRおよびFXのポジションを日次でモニターし、事前承認された
限度内で管理している。
(4) 2022年には 「オプションリスク」 へのエクスポージャーに重要性はなかった。
オペレーショナル・リスクや財務リスクを招く新しい種類の取引はすべて、新商品委員会の承認を
受けた上で改めて経営委員会の承認を取得することが義務付けられている。
収益の持続可能性および自己資金力
EIBの金利リスク戦略は、EIBの全体的な財務リスク管理で不可欠な部分を占めている。この方針
は、利益の安定性、自己資本の経済価値の保持、EIBの長期成長資金の自力調達に関する、EIBの主要
利害関係者の期待を反映した内容になっている。
これらの目標を達成するため、金利リスク戦略は、一段の収益安定と全体的なリターンの拡大のた
めに、EIBの自己資本投資に関して、中・長期を対象期間とみなしている。実際には、このことはEIB
の自己資本投資について4.5年から5.5年の目標デュレーションを生み出す投資プロファイルを定義す
ることによって達成される。
この関連において、資産・負債委員会(「ALCO」)は、金利リスク戦略の枠組みに関連する投資プ
ロファイルについて定期的なチェックポイントを実施する。
U.1. 信用リスク
信用リスクは主にEIBの貸付業務および負債証券、譲渡性預金、銀行間の定期預金等の財務商品なら
びにEIBのデリバティブおよび保証取引に関するものが含まれている。デリバティブの使用に関する信
用リスクについては、「デリバティブ」のセクション(注V)で分析する。
信用リスクは、詳細な行内指針に沿って管理されている。こうした指針の目的は、信用リスクの慎
重な管理が確実に行われるようにする点にある。ある事業体がEIBの貸付業務のカウンターパーティー
として認められるか否かは、定量的および定性的指標を用いた当該事業体の注意深い分析および評価
に基づくだけでなく、経験および専門家の判断にも依拠して決定される。同指針は、貸付業務の債務
者、保証人双方について最低限の信用の質の水準を定めており、許容される取引構造も特定してい
る。また、EIBの地位が十分に保護されるように、主要な法的条項や他の契約条件の点で貸付契約が満
たしていなければならない最低基準も、細かく定めている。貸付金ポートフォリオの分散は、カウン
ターパーティー別限度額の枠組みおよび主要産業の業種別限度額によって支えられている。複雑な貸
付取引または仕組貸付取引に含まれる追加的なリスクの十分な分析、計量および軽減が確実になされ
るように、特定の種類の業務に関して具体的で詳細な指針が策定され、これが一般指針を補完してい
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る。リスクの分析にあたっては、EIBは内部格付制度を適用し、カウンターパーティーに内部格付を付
与している。
信用リスク管理指針は、進化している業務環境および適用されるベスト・バンキング・プリンシプ
ルの変更を盛り込み、EIBが受領する新たなマンデートに対応できるよう、定期的に調整されている。
ロシアによるウクライナ侵攻に起因する不確実性と様々なリスクという一般的な背景にもかかわら
ず、現時点では貸付金ポートフォリオの信用の質は安定していると考えられている。EIBは厳格な
デューデリジェンス・プロセス、十分な水準の担保および保証に基づくリスク管理戦略や貸付金契約
に含まれる標準的な保護条項に依拠している。EIBは、その貸付金エクスポージャーに対して提供され
る担保や保証に加え、様々なマンデートの一環として提供される追加的な信用補完も享受している。
いずれの時点においても、EIBが供与する貸付金および保証の総額は、定款で定められたギアリング
比率(定款第16.5条)で制限されている。この比率を算出するために、EIBは欧州連合会計指令
(「AD」)の枠組みによるデータを使用している。2022年度末時点で、EIBの定款で定められたギアリ
ング比率は、EU会計指令準拠の個別財務書類に基づくと204.0%(2021年:202.7%)、EU会計指令準
拠の連結財務書類に基づくと207.5%(2021年:206.6%)であった(定款第16.5条に基づく上限は
250%)。
U.1.1. 貸付金
貸付金に関する信用リスクを測定・管理するために、EIBは一般に認められた基準に基づいて、債務
者の質および取引の構造、そして適当な場合は差し入れられた担保の質に応じて貸付業務の格付を
行っている。
未実行分も含めた2022年12月31日現在の貸付金ポートフォリオの債務者と保証人の構成を以下に分
析する。
下表は、EIBが供与するプロジェクトに対する締結済貸付金を表示している。ただし、外部貸付マン
デート(ELM)、持続可能な開発のための欧州基金(EFSD)、近隣・開発・国際協力手段(NDICI)/
持続可能な開発のための欧州基金プラス(EFSD+)およびコトヌー協定に基づいて供与された欧州連合
域外の貸付金のうち、欧州連合予算または加盟国(ACP諸国およびOCTにおける貸付金の場合)の保証
(*)
によりEIBが最終的に保護されるものを除く。
(*) こうした保証は、包括型(すべてのリスクが対象)か、または定義された政治リスク(送金の停止、
収用、戦争または市民暴動、契約違反時の裁判拒否)に限定されているかのいずれかである。
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(単位:百万ユーロ)
2022年の 2021年の
保証人
(1)
国 公共機関 銀行 企業
無保証
債務者
合計 合計
国 0 0 0 0 59,287 59,287 61,631
公共機関 32,376 23,674 338 200 90,650 147,238 145,123
銀行 37,488 20,563 14,187 12,640 32,340 117,218 116,663
7,713 4,950 6,198 35,150 116,023 170,034 166,110
企業
(2)(3)(4)(5)
77,577 49,187 20,723 47,990 298,300 493,777
2022 年の合計
(2)(3)(4)(5)
77,858 49,958 22,781 50,423 288,507 489,527
2021 年の合計
(1) これらの金額には、債務者の支払能力自体が妥当な担保となっているため、債務者および貸付金自体以外の正式な
保証が不要な貸付金も含まれている。所定の事由が発生した場合には、適切な契約条項により、EIBが独立した担保
を請求できる権利が確保されている。
(2) 2022年12月31日現在のリスク・シェアリング業務(加盟国保証または政治リスク保証の形でのEU予算により信用補
完されている)における貸付金は、2,193百万ユーロ(2021年:2,687百万ユーロ)であった。
(3) この金額に、契約済代替貸付金(2022年:17,414百万ユーロ、2021年:17,953百万ユーロ)は算入されていない。
(4) これらの金額は、現在の欧州連合加盟国が欧州連合への加盟を認定される前に供与された貸付金であって、欧州連
合予算または加盟国により保証されているものを除いている。
(5) EIBは、EFSI SMEウィンドウおよび欧州保証基金に関連して、コミットメント総額が9,187百万ユーロ(2021年:
9,187百万ユーロ)を超えない資金供与枠を締結した。EIBは、確定的なコミットメントがそれぞれの基礎的なリス
クを伴うカウンターパーティーとの間で締結され、資金供与枠の引出が予期される場合に、未実行エクスポー
ジャーを認識する。
EIBの優先債権者の地位およびEIB定款による保護は、満期時におけるEIB資産の全額回収を保証する
と思われるため、EIBは、期末現在の欧州連合加盟国ソブリン債および欧州連合加盟国ソブリン保証債
のエクスポージャーに関して、2021年においても、2022年においても、評価損益を計上しなかった。
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欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
下表は、EIBが全額の自己リスクまたは信用補完による残余リスクを負担する貸付金に係るソブリン
信用リスクに関する情報を開示している(欧州連合予算またはELM、EFSD、NDICI/EFSD+およびコト
ヌー協定に基づくMS保証の恩恵を受ける欧州連合域外への貸付金を除く)。
(単位:百万ユーロ)
2022年 2021年
保証人となって 保証人となって
債務者となっているもの 債務者となっているもの
いるもの いるもの
国名
実行済金額 未実行金額 契約済金額 実行済金額 未実行金額 契約済金額
オーストリア
0 0 190 0 0 146
ベルギー
0 0 272 0 0 186
ブルガリア
1,060 0 119 1,107 0 115
クロアチア
806 0 2,242 633 210 2,702
キプロス
928 509 1,033 900 359 1,348
チェコ共和国
915 1,009 0 1,068 784 0
デンマーク
0 0 242 0 0 271
エストニア
500 0 84 452 120 91
フィンランド
0 0 113 0 0 92
フランス
0 0 3,986 0 0 3,428
ドイツ
0 0 2,002 0 0 1,659
ギリシャ
7,379 1,210 9,262 7,756 1,192 8,852
ハンガリー
5,647 1,351 1,080 6,011 1,143 1,099
アイルランド
1,665 240 1,095 1,665 0 1,154
イタリア
4,989 2,560 6,941 4,755 2,160 6,397
ラトビア
258 200 6 337 400 12
リトアニア
2,035 0 55 2,110 0 54
ルクセンブルク
0 9 231 150 0 236
マルタ
0 72 280 0 72 297
オランダ
0 0 294 0 0 205
ポーランド
6,631 330 17,925 6,254 1,472 17,123
ポルトガル
1,299 830 3,426 1,163 600 3,903
ルーマニア
2,113 2,258 0 1,847 2,052 0
スロバキア
2,499 441 94 2,399 541 88
スロベニア
512 400 1,242 530 400 1,366
スペイン
3,741 0 21,502 4,215 0 22,558
スウェーデン
0 0 199 0 0 136
非EU加盟国
2,013 2,878 3,662 1,813 4,961 4,340
合計
44,990 14,297 77,577 45,165 16,466 77,858
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欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
下表は、ELM、EFSD、NDICI/EFSD+およびコトヌー協定に基づきEU予算または加盟国の保証の恩恵を
受ける、EU域外のプロジェクトに対する締結済み貸付金を示している(単位:百万ユーロ)。
2022年12月31日 2021年12月31日
以下による保証:
加盟国 3,867 3,945
(1)
49,167 47,629
欧州連合予算
(2)(3)
53,034 51,574
合計
(1) このうち2,193百万ユーロ(2021年:2,687百万ユーロ)は、上記で説明したリスク・シェアリング業務(加盟国保
証または政治リスク保証の形でのEU予算により信用補完されている)による。
(2) 現在の欧州連合加盟国が欧州連合への加盟を認定される前に供与された貸付金であって、欧州連合予算または加盟
国により保証されている貸付金を含む。
(3) EIBが供与した総額487.5百万ユーロ(2021年:459.1百万ユーロ)の金融保証は、加盟国または欧州連合予算によっ
て保証されている。上記の保証は上記の表に示されている内訳には含まれていない。
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欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
EU 予算または加盟国保証に基づくEU外のプロジェクトに対する貸付金 (単位:百万ユーロ)
(新規加盟国で加盟以前に実行された貸付金を含む。)
契約済貸付金の保証形態別内訳
2022年12月31日 2021年12月31日
協定
加盟国による75%グローバル保証
0 8
- ACP/OCT第4次ロメ協定-第2次財務議定書
0 8
加盟国による75%グローバル保証合計
加盟国による75%保証
- コトヌー・パートナーシップ協定
185 198
- 第2次コトヌー・パートナーシップ協定
1,108 1,172
- コトヌー議定書3 -OR/ACP
2,480 2,473
94 94
- コトヌー議定書3 -OR/OCT
3,867 3,937
加盟国による75%保証合計
3,867 3,945
加盟国による保証合計
欧州連合予算による100%保証
- ロシア-100百万・2001年-2005年
14 16
- ロシア-500百万・2004年-2007年
114 131
- EFSD 93 0
221 147
欧州連合予算による100%保証合計
欧州連合予算による75%保証
欧州連合予算による70%保証
- 南アフリカ-375百万・1997年1月29日決定
9 14
- ボスニア・ヘルツェゴビナ-100百万・1999年/2001年
8 11
- ユーロメッド(EIB)-2,310百万・1997年1月29日決定
7 14
- 北マケドニア-150百万・1998年/2000年
5 9
- CEEC-3,520百万-1997年1月29日決定 32 75
61 123
欧州連合予算による70%保証合計
欧州連合予算による65%保証
- 南アフリカ-825百万・2000年7月-2007年1月
73 86
- 南アフリカ-2007年2月-2013年12月決定
102 142
- ALA III-2,480百万・2000年2月-2007年7月
60 88
- ALAデシジョン-2007年2月-2013年12月
1,327 1,484
- ユーロメッド II-6,520百万・2000年2月-2007年1月
710 928
- 南東近隣諸国-9,185百万・2000年2月-2007年7月
2,272 2,542
- トルコ・スペシャル・アクション-450百万・2001年-2006年
92 98
- トルコ-TERRA -600百万・1999年11月-2002年11月
223 244
- PEV EE/CAS/RUS 2007年2月1日-2013年12月31日
1,755 1,877
- PEV MED 2007年2月1日-2013年12月31日
4,630 5,180
- 加盟候補国-9,048百万・2007年-2013年
4,713 5,127
- 気候変動マンデート・2011年-2013年
1,031 1,056
- ELMアジア2014年-2020年
1,289 1,276
- ELM中央アジア2014年-2020年
355 352
- ELM東ロシア2014年-2020年
6,996 7,258
- ELMラテンアメリカ諸国2014年-2020年
2,906 2,757
- ELM MED2014年-2020年
9,121 9,650
- ELM加盟候補国2014年-2020年
4,018 4,151
- ELM RSA2014年-2020年
140 272
- ELM ERI民間マンデート
1,160 1,394
- ELM ERI公共機関マンデート
1,403 1,397
- グローバル欧州NDICI 4,509 0
48,885 47,359
欧州連合予算による65%保証合計
49,167 47,629
欧州連合予算による保証合計
(1)
53,034 51,574
合計
(1) EIBが供与した総額487.5百万ユーロ(2021年:459.1百万ユーロ)の金融保証は、加盟国または欧州連合予算によっ
て保証されている。上記の保証は上記の表に示されている内訳には含まれていない。
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欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
貸付金に付する担保 (単位:百万ユーロ)
その他の信用リスク軽減手段の中のひとつとして、EIBは、金融有価証券に質権を設定する手法を使
用している。これらの質権は、関連する法域で執行可能な質権設定契約によって設定される。質権設
定契約により受け取った担保のポートフォリオは8,215百万ユーロ(2021年:12,596百万ユーロ)であ
り、その内訳は以下のとおりである。
貸付金融担保(単位:百万ユーロ)
2022年12月31日現在
債券 現金
合計
担保付債券
同等のムーディーズ格付
国際 政府 銀行債
政府債 (カバード・
機関債 機関債 および社債
ボンド)
Aaa 234 65 0 68 9 0 376
Aa1からAa3 1,000 10 167 142 194 0 1,513
A1 0 0 0 0 6 0 6
A1未満 4,969 0 3 602 518 0 6,092
40 0 0 0 29 159 228
格付なし
6,243 75 170 812 756 159 8,215
合計
貸付金融担保(単位:百万ユーロ)
2021年12月31日現在
債券
現金 合計
担保付債券
同等のムーディーズ格付
国際 政府 銀行債
政府債 (カバード・
機関債 機関債 および社債
ボンド)
Aaa 189 181 4 40 62 0 476
Aa1からAa3 1,042 14 10 694 149 0 1,909
A1 48 0 0 17 14 0 79
A1未満 8,212 0 39 94 598 0 8,943
41 0 0 0 705 443 1,189
格付なし
9,532 195 53 845 1,528 443 12,596
合計
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欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
12月31日現在の実行済貸付残高の債務者の契約業種別明細(単位:百万ユーロ)は以下のとおりで
ある。
2022年 2021年
業種
運輸
126,633 129,253
(1)
グローバル・ローン
64,600 66,306
エネルギー
64,590 62,255
医療・教育
36,901 36,296
その他インフラ
33,346 32,571
工業
31,438 28,518
上下水道施設
28,324 27,761
サービス
18,262 16,980
電気通信
10,913 11,282
農業・漁業・林業
4,961 4,238
(2)
合計
419,968 415,460
(1) グローバル・ローンとは、金融仲介機関または銀行に提供する融資枠で、その後にそれらの機関または銀行が、自
らリスクを負担してその資金を官民が請け負う中小規模のプロジェクトに転貸するというものである。
(2) この金額に、実行済代替貸付金(2022年:17,414百万ユーロ、2021年:17,953百万ユーロ)は算入されていない。
貸付金に係る延滞
延滞額の特定、監視、報告は、全行的な「財務的監視ガイドラインおよび手続き」に定義される手
続きに従って行われている。こうした手続きは、ベスト・バンキング・プラクティスに従っており、
EIBが管理するすべての貸付金について適用される。
2022年12月31日現在、自己資金源からの貸付金で90日超の延滞が生じている額は78百万ユーロ
(2021年:119百万ユーロ)であった。
2022年12月31日現在、自己資金源からのもので90日を超える延滞が生じ、欧州連合または加盟国の
包括保証により担保されていないものについては、その名目元本残高は150百万ユーロ(2021年:531
百万ユーロ)である。これらは、貸倒引当金70百万ユーロ(2021年:75百万ユーロ)によりカバーさ
れている。
2022年中、156百万ユーロの延滞が欧州連合による保証に基づき履行請求され、加盟国保証に基づく
履行請求はなかった。2021年における応当額は、それぞれ93百万ユーロおよびゼロであった。
また、当年度中に、以前に欧州連合または加盟国による保証に基づき履行請求された延滞額のう
ち、4百万ユーロ(2021年:1百万ユーロ)が弁済された。
2022年中に、請求払民間保証に基づく履行請求はなかった(2021年:358百万ユーロ)。
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欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
貸付金の再交渉と支払猶予
EIBは、支払猶予措置がとられた貸付金を、支払猶予貸付金(すなわち、貸付金、負債証券および
ローン・コミットメント)とみなしている。支払猶予措置はEIBの「譲歩」によるもので、財務困難に
より契約上の債務返済条項を遵守できないとみなされる債務者に対して、債務返済または契約の全部
もしくは一部の借換えができるようにするために、EIBが決定するものである。エクスポージャーは、
延滞の有無、または当該エクスポージャーが債務不履行に分類されているか否かに関わらず、譲歩が
行われた場合には支払猶予として取り扱う。債務者が財務困難に陥っていない場合には、当該エクス
ポージャーは支払猶予として取り扱わない。
再交渉された場合、EIBは、当該貸付金を厳格に監視し続けることとなる。再交渉による支払条件で
は当初の簿価が回収できない場合、EIBは損益計算書に評価調整額を計上することを検討する。貸付金
格付(「LG」)が「E-」まで低下した貸付金はすべて、定期的に評価損計上の必要性が検討される。
EIBは、COVID-19による具体的な経済への影響に対応して債務者が利用できる多くの支援措置を提供
しており、これには (i) 財務制限条項およびその他の重要条項の暫定的な条件緩和(権利放棄を含
む)、(ii) 新たな返済スケジュールの設定または返済義務の一時凍結によるキャッシュ・フローの再
構築、ならびに (iii) 新規契約の締結、ローンの実行前倒しおよび債務者貸付の増額など、その他の
一定の補完的支援策が含まれる。EIBは、具体的状況における制約の下で、かかる措置の申請を案件ご
とに評価した。こうした措置は、構造的な財政の困難またはソルベンシー上の問題に陥っていたわけ
ではなく、かかる措置の供与の時点で、ゴーイング・コンサーンとみなされた債務者に提供されるこ
とを意図していた。評価の結果として、債務者がこれらの要件を満たさなかった場合、またはEIBが債
務者のビジネスモデルの長期的持続可能性についてリスクを特定した場合に、EIBは他の適切な措置を
検討し、必要な場合には、EIBの標準的な条件変更のプロセスに従う。
このような支援策は、2021年6月以降、EIBでは提供していない。
EIBの再編チームが報告期間中に着手した支払猶予措置および手続きには、返済期限の延期、元本返
済のみの繰延、元利返済の繰延、重大な財務制限条項の破棄および延滞金の元本算入が含まれるが、
これらに限定されるわけではない。
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欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
支払猶予措置の対象である貸付金は、下表のとおりである。
2022年12月31日 2021年12月31日
(単位:百万ユーロ)
正常債権 不良債権 正常債権 不良債権
支払猶予措置の対象となった契約件数 53 79 88 74
帳簿価額(金利および延滞金額を含む) 2,256 2,054 4,693 2,511
うち評価調整の対象となった貸付金 0 1,418 0 1,243
認識された評価損益 0 307 0 407
支払猶予された契約に係る受取利息 75 70 121 73
認識中止されたエクスポージャー
(リストラクチャリング、償却/貸付金売却後) 0 3 0 34
支払猶予措置
契約上の
元本
重大な
返済
2021年 2022年
および
返済期限 元本のみ 財務制限
および
(単位:百万ユーロ)
その他
12月31日 の延期 の繰延 条項の 12月31日
利息の
契約
破棄
繰延
(1)
終了
公共機関 2,929 0 0 0 229 0 -2,138 1,020
銀行 280 0 0 0 36 9 -190 135
3,995 40 0 0 90 160 -1,130 3,155
企業
7,204 40 0 0 355 169 -3,458 4,310
合計
(1) 減少は、2021年12月31日現在で支払猶予貸付金とみなされていた取引に関して当年度中に発生した元本、利息およ
び延滞金額の返済ならびに償却、ならびに当期中の契約終了による。
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有価証券報告書
U.1.2. 財務管理
財務商品(有価証券、コマーシャル・ペーパー、定期預金等)関連の信用リスクは、健全なカウン
ターパーティーおよび発行体を選択することにより管理されている。
有価証券ポートフォリオの構成および財務商品残高に適用される限度枠は、経営陣が設定してい
る。この限度枠は、グループ・リスク・コンプライアンス部門により定期的に見直しが行われる。
下表は、財務ポートフォリオの有価証券および短期金融市場商品(預金およびリバース・レポ)に
係る信用リスク構成比を、適宜、カウンターパーティーの信用格付別、最終的な債務者格付別または
発行体格付別に示したものである。
有価証券ポートフォリオ 短期金融市場商品
同等のムーディーズ格付
(単位:%) (単位:%)
2022年 2021年 2022年 2021年
12月31日 12月31日 12月31日 12月31日
Aaa 34 12 89 82
Aa1からAa3 39 22 4 8
A1からA3 21 39 5 9
6 27 2 1
A3未満
100 100 100 100
合計
2022年12月31日現在、EIBの満期まで1年超で格付が下限のAa3である財務ポートフォリオ資産の名
目金額合計は、4,399百万ユーロ(2021年:3,221百万ユーロ)であった。
財務取引に供する担保
EIBは、取引のカウンターパーティーが契約債務を履行できなかった場合に信用リスクにさらされる
可能性のある有担保リバース・リパーチェスおよびリパーチェス契約取引を行っている。EIBは、カウ
ンターパーティーの信用リスクおよび担保の価値を日次でモニターし、必要とみなされる場合には、
EIBに追加担保を差し入れるよう要求することで、これらの業務に関連した信用リスクを統制してい
る。
三者間レポおよびリバース・レポ取引は、第三者保管機関と共同で行われる。第三者保管機関は、
枠組み契約に従って特に以下に関する契約条件の遵守を保証する。
- 支払引替渡し。
- 担保の検証。
- 貸手が要求する担保マージン。これは常に充分かつ充当可能であることが必要であり、保管機
関は、当該有価証券の時価を日々検証しなければならない。
- 契約要件をすべて満たす代替担保の組成。
受取担保
財務取引には、7,381百万ユーロ(2021年:13,894百万ユーロ)の二者間および三者間リバース・リ
パーチェス契約が含まれており、EIBはこのうち7,381百万ユーロ(2021年:13,334百万ユーロ)につ
いて財務担保、ゼロ(2021年:560百万ユーロ)についてコモディティを受領している。二者間および
三者間リパーチェス契約は、2022年12月31日現在3,065百万ユーロ(2021年:5,717百万ユーロ)で
あった。この残高は全額について担保が供されており、原契約に従い、その後に追加担保の請求また
は担保の返還が行われる。財務担保ポートフォリオの時価は、2022年12月31日現在、7,000百万ユーロ
(2021年:13,557百万ユーロ)であり、以下のように分類される。
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有価証券報告書
リバース・リパーチェス契約財務担保(単位:百万ユーロ)
2022年12月31日現在 債券 現金
担保付債券
合計
同等のムーディーズ 国際 政府 銀行債
政府債
(カバード・
格付
機関債 機関債 および社債
ボンド)
Aaa 319 23 51 1,310 2,354 0 4,057
Aa1からAa3 241 0 29 8 215 0 493
A1 8 0 233 0 343 0 584
A1未満 217 0 44 4 1,169 0 1,434
425 0 0 0 6 1 432
格付なし
1,210 23 357 1,322 4,087 1 7,000
合計
リバース・リパーチェス契約財務担保(単位:百万ユーロ)
2021年12月31日現在 債券 現金
担保付債券
合計
同等のムーディーズ 国際 政府 銀行債
政府債
(カバード・
格付
機関債 機関債 および社債
ボンド)
Aaa 998 655 712 1,480 4,192 0 8,037
Aa1からAa3 2,047 78 389 8 300 0 2,822
A1 583 0 65 0 130 0 778
A1未満 1,637 0 20 0 222 0 1,879
38 0 0 0 1 2 41
格付なし
5,303 733 1,186 1,488 4,845 2 13,557
合計
預託有価証券
ユーロ制度の通貨政策の運用との関連で、EIBは、2022年12月31日現在、時価141百万ユーロの有価
証券をルクセンブルク中央銀行に預託している(2021年:149億ユーロ)。
二者間および三者間リパーチェス契約の下で差し入れられている担保(ルクセンブルク中央銀行へ
の差入れを除く)の時価は、2022年12月31日現在、3,054百万ユーロ(2021年:5,711百万ユーロ)で
あった。
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U.1.3. 第三者が供与した貸付金に関してEIBが付与した保証
自己資金を原資とするEIBの保証取引および証券化取引から生じる信用リスクは、専用の行内指針に
従って管理されている。
2022年末現在、グループにより保証された契約済エクスポージャーは244億ユーロ(2021年:226億
ユーロ)であり、このうち101億ユーロ(2021年:57億ユーロ)は保証された実行済貸付金に係るエク
スポージャーで、その保証引当金は86.6百万ユーロ(2021年:27.9百万ユーロ)であった。
EIBの保証型業務の一部は、リスク・シェアリング業務から発生しており、EIBは、確立された委託
モデルに基づいて、金融仲介機関が組成したローン・タイプのエクスポージャーをローンごとに保証
している。EIBがリスクを負う原リスク・エクスポージャーを組成する金融仲介機関は、EIBが当該金
融仲介機関に信用管理業務を委託できることを確認するための、詳細なデューデリジェンスの対象と
なる。一方、残りのEIBの保証型業務は通常、合成取引として行われ、EIBは通常、既存のポートフォ
リオのリスクを特定の金融仲介者に対して保証する。
EIBは、このタイプの取引の集中リスクを制限するための専用の枠組みを確立している。取引の特異
性に応じて、これには、最低適格格付区分、特定のセクター、債務者および/または債務者グループ
のエクスポージャーを含むが、これらに限定されない適格基準の確立が含まれる。形式的に言えば、
信用リスクは金融仲介機関が組成する原エクスポージャーにあるため、金融仲介機関のカウンター
パーティー・リスクは限定的である。すなわち、カウンターパーティー・リスクは、(1) 保証料の支
払い、および(2) EIBが保証・支払いを行う原エクスポージャーが債務不履行となった場合の潜在的な
回収額のEIBに対する返済に限定される。いずれにしても、EIBは、いくつかの軽減措置(詳細な
デューデリジェンス、担保権、介入権、原リスク・エクスポージャーの重大な修正に関する同意権ま
たは解約権を含むがこれらに限定されない)を確立している。
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U.2. 金利リスク
EIBの立場からは、金利リスクは金利に対する感応度の高い商品に影響を与える金利の不利な変動か
ら生じる経済価値または正味受取利息に対するリスクである。異なる資産、負債、ヘッジ商品の間で
金利更改特性や満期特性に差異があると、金利リスク・エクスポージャーが生じる。
金利リスクの測定および管理にあたり、EIBはEUにおいて導入されたバーゼル銀行監督委員会
(「BCBS」)の関連する主要原則および欧州銀行監督機構(「EBA」)によって発行された規制指針を
参考にしている。金利リスクの主要な源泉は、ギャップリスク、ベーシスリスクおよびオプションリ
スクである。ギャップリスクとは、EIBにとって最も関係が深い金利リスクであり、EIBの貸借対照表
上の金利感応商品の期間構造の差異から生み出される経済価値または正味受取利息に対するリスクと
定義される。
EIBは規制当局の指針に従い、金利リスクに対する選好度を、EIBがとる用意がある(同時に、該当
する場合には、EBAの監督上の異常値テストで定義されている最大閾値を遵守する)経済価値に対する
最大リスクと利益に対する最大リスクの両方の観点から明示した。EIBの自己資金の投資戦略である
「金利リスク戦略」は、こうした金利リスク選好に沿ったものである。ロシアによるウクライナ侵攻
の影響は、インフレ傾向の加速要因となり、高インフレは金利の上昇をもたらし、EIBの正味金利収益
に好影響を及ぼす結果となった。
IBOR 改革:
ロンドン銀行間金利(LIBOR)などの指標金利は金融契約で広く用いられていた。代替指標金利への
世界的な移行は、金融市場において着手された最も困難な課題を含んだ改革の一つである。他の銀行
と同様に、EIBは、これらの市場全体にわたる取組みの一環として改革の対象となっている金融商品に
ついて、IBORに重大なエクスポージャーを有している。
行内における準備
2018年2月、資産・負債委員会(ALCO)は、代替金利への移行に関連する進展を積極的に追跡・監
視するためのIBOR専任のALCO直属ワーキンググループであるIBORワーキンググループを設置した。
IBORワーキンググループの目的には、金利指標改革に関連する動向の監視が含まれていた。この監視
には特に、契約修正、顧客との双務交渉、ITシステムおよびアプリケーションの更新および新契約へ
のフォールバックの文言の導入ならびに通貨別、資産クラス別および廃止が決定している指標金利の
適用区域別のIBORへのエクスポージャーの定期的モニタリングの進展が含まれる。確立した作業計画
の実施における進捗は定期的に監視され、ALCOで討議され、定期的に経営幹部および監査委員会に報
告されている。
リスクに関する検討
IBOR改革における主なリスクは、オペレーショナル・リスクと財務リスクである。これらは、例え
ば、記帳、決済/支払、評価、リスクシステムを含むITシステムの更新、IBOR改革に関連した業務統
制の変更、契約の修正(貸付契約の双務交渉を含む)およびフォールバック条項の導入に伴う業務上
の課題、ならびに異なる取引タイプ間の潜在的ベーシスリスクに関連している。財務リスクは、金融
商品全体にわたって、頑健で、発生の可能性がありかつ実行が可能な範囲で一貫性のあるフォール
バックを導入することによって軽減される。
金融商品クラス別の移行状況
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貸付活動および資金調達活動の一環として、EIBは主に顧客および金融機関への変動金利貸付金なら
びにEIBの活動に資金提供するための発行債券に関して、IBOR改革へのエクスポージャーを有してい
る。金利リスクおよび為替リスクへのエクスポージャーを管理するために、EIBはデリバティブ商品を
利 用している(固定金利貸付金や借入業務のヘッジなど)。
デリバティブは、対応するキャッシュ・フローの大部分がIBOR金利を参照しているため(すなわ
ち、「変動金利」)、IBORレートの影響を直接的に受ける最大の金融商品クラスである。EIBは、2021
年にISDAのIBORフォールバック・プロトコルおよびサプリメントを遵守した。このプロトコルは、デ
リバティブの従前のポートフォリオの円滑な移行を確保するために、金利指標の廃止時に適用される
強固なフォールバック条項をカウンターパーティーが組み込むための修正メカニズムを提供するもの
である。LIBORに連動するスワップにおけるEIBのすべてのカウンターパーティーも、このプロトコル
およびサプリメントを遵守している。このプロトコルおよびサプリメントの適用を通じて、EIBは2022
年末までにLIBORを参照するデリバティブの想定元本エクスポージャー(英ポンド、スイス・フラン、
日本円および米ドル建て)のすべてをシステムにおいて移行した。
変動金利貸付金は、IBOR金利の影響を直接的に受ける金融商品の中で2番目に大きなクラスであ
る。2022年12月31日現在、当初にスイス・フラン、日本円および英ポンドに連動していた契約はもは
やLIBORに連動していない。2022年中に、EIBは米ドルLIBORに連動する貸付金の移行を進めた。米ドル
LIBORのレガシーポートフォリオは、以前に英ポンド、スイス・フランおよび日本円のLIBORに関連し
ていたポートフォリオよりも大きく、地理的にも多様化している(約75%の顧客がEU以外の国に所在
している)。借手の75%は既に選好する商品を表明しており、2023年初頭には関連する文書変更への
署名が見込まれている。エクスポージャーの大部分は、2023年6月30日の停止日後の最初の利払い日
までに移行すると見込まれているが、部分的に合成LIBORに依存することが必要になる可能性が高い。
移行と並行して、EIBは貸付商品ポートフォリオを新たな貸付金組成に適応させた。
資金調達面では、EIBは2018年より貸借対照表で新たなRFRを参照する債券商品を発行している。加
えて、優先市場構成の設定に基づいて、EIBは必要な流動性を備えた関連するRFR市場の支援に重点を
置いている。
2022年12月31日現在、米ドルLIBOR連動債のうち、帳簿価額で56%が2023年6月末までに満期を迎え
る。残りの44%は2023年上半期中に評価され、適切なエクスポージャー移行の機会が検討される予定
である。
U.2.1. 自己資金/資本の経済価値に対する金利リスク
EIBの金利リスク戦略は、EIBの経済価値に対するリスクを抑制しながら、バランスが良く持続可能
な収益特性を維持することを目指している。また、将来の成長のための資金の自力調達という目標を
踏まえて、こうした収益特性に明確な選好が定められている。この全体的な目的は、中長期的な投資
プロファイルに従って自己資金を投資することによって達成される。言うまでもなく、この戦略はRAF
の指標である「利益に対するリスク」と「経済価値に対するリスク」についての限度額を遵守する必
要がある。
EIBの自己資金の投資を支える金利戦略 (現在4.5年から5.5年の範囲内を自己資金のデュレーショ
ン目標とする。)とは別に、金利リスクに関しては、EIB貸借対照表上マッチファンドされるべきであ
る。EIBの貸借対照表上で完全にマッチファンドすることは運用上実務的に可能ではないため、ギャッ
プリスクおよびベーシスリスクでの小幅の逸脱は容認される。これらの正味の残存金利リスク・ポジ
ションは、事前に承認された限度内で管理され、後者は個々のリスクがリスク選好の境界内にとどま
ることを確実にするために範囲が設定される。
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(5)
金利リスク制限の枠組みに加えて、EIBはEBAの標準化されたショックシナリオ および行内で定義
されたシナリオに基づき、予想利益と経済価値に対して定期的なストレス・テストを実施している。
このテストは、金利環境の深刻な変化から生じる潜在的な悪影響を特定する目的に役立つ。
(5) EBA/GL/2018/02
2022年12月31日現在、EBAの監督上の異常値テストシナリオの最悪の影響は、自己資金の経済価値を
(6)
53.7億ユーロ(2021年:44.9億ユーロ)減少させる 。
(6) ストレス・テストは、保険数理プロバイダーの計算による年金および医療保険債務(確定給付債務-
DBO)を含む、すべてのリスク感応度の高い銀行勘定商品について実施されている。
EIBのポートフォリオに組入れられている金融商品のうち、一部の取引(借入れおよび関連するス
ワップ)には償還オプションが規定されており、満期前に償還される場合があるため、最終満期日に
ついては不確実性が組み込まれている。
しかし、これらのパッケージ(借入金とそれに伴うスワップ)は完全にバックツーバックで
(キャッシュ・フローのレベルまで)取引が行われるため、最後にはLIBOR/EURIBORに連動し、限定
的な金利リスクを負う単純な合成変動利付債とみなすことができる。
下表は、2022年12月31日現在および2021年12月31日現在のEIBの任意償還条項付借入金ポートフォリ
オの特性をまとめ、想定元本合計、平均の契約上の満期日、平均予想償還日(双方とも、当該取引の
想定元本で加重)を資金調達通貨別と関係する主要リスク・パラメーター別に表示したものである。
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資金調達通貨別(スワップの影響考慮後):
2022年12月31日
ユーロ 米ドル 合計
(単位:百万ユーロ)
ユーロ建想定元本 -2,467 -1,149 -3,616
平均満期日 2046年4月5日 2037年6月9日 2043年6月17日
平均予想償還日 2039年4月1日 2033年10月21日 2037年7月8日
2021年12月31日
ユーロ 米ドル 合計
(単位:百万ユーロ)
ユーロ建想定元本 -2,659 -1,284 -3,943
平均満期日 2047年3月19日 2038年9月6日 2044年6月7日
平均予想償還日 2031年1月2日 2027年7月7日 2029年11月13日
関係するリスク・パラメーター別:
リスク・パラメーター
為替レートの 金利カーブの
2022年12月31日
水準 水準 合計
(単位:百万ユーロ)
ユーロ建想定元本 -283 -3,333 -3,616
平均満期日 2035年7月18日 2044年2月17日 2043年6月17日
平均予想償還日 2032年5月21日 2037年12月15日 2037年7月8日
リスク・パラメーター
為替レートの 金利カーブの
2021年12月31日
水準 水準 合計
(単位:百万ユーロ)
ユーロ建想定元本 -323 -3,620 -3,943
平均満期日 2036年1月1日 2045年3月9日 2044年6月7日
平均予想償還日 2029年2月13日 2029年12月7日 2029年11月13日
U.2.2. 利益に対する金利リスク
利益に対するリスクは、金利カーブ全体が2パーセンテージ・ポイント低下した場合の向こう36ヵ
月間で変動しうる正味受取利息の金額を定量化する。このようなエクスポージャーは、主に資産と負
債の金利更改期間のミスマッチから生じ、リスク選好の枠組みで定められた限度内にとどまらなけれ
ばならない。
2022年12月31日現在のポジションでは、金利が200ベーシス・ポイント低下すると、利益が920.5百
万ユーロ(2021年:992.4百万ユーロ)減少する計算である。利益感応度の分析を拡大すると、金利が
200ベーシス・ポイント上昇した場合、利益は937.3百万ユーロ(2021年:1,014.7百万ユーロ)増加す
る計算となる。
EIBは、案件ごとに利益の感応度のシミュレーションを可能にする専用のソフトウェアを使用してい
る。このような利益の感応度は発生主義で測定され、分析対象期間にわたり、EIBは(基礎となるシナ
リオの中で定められている市場金利で)業務計画の中で予想されている新規業務を実現し、承認を受
けた限度枠内にエクスポージャーを維持し、資金不足の補充または余剰現金の投資を目的とする短期
金融市場取引を執行するという「現行」の仮定に基づいて算出される。EIBの現行実務に従い、モデル
では、シミュレーション上の利益は株主には配分されず、EIB業務の資金補充に当てられると仮定して
いる。管理費は、業務計画の予想に応じて見積られる。
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U.3. 流動性および資金調達リスク
流動性リスクは、資産の増加に対応して資金を調達し、期限の到来した債務を弁済することを、受
入不能な損失を負担することなしに行うEIBの能力に関するリスクである。それは、さらに資金流動性
リスクと市場流動性リスクに分けることができる。
資金流動性リスクとは、貸借対照表の資産を支え、容易に利用できる流動リソースから期限どおり
に債務を全額返済することができなくなるリスクに関するものである。資金流動性リスクは、支払義
務の履行に関する差し迫ったリスクおよびこれに伴う不利な条件での借入を増加させうるため、EIBの
ポジションの経済価値あるいはEIBのポジションから生み出される収益の変動性に影響を与える可能性
がある。
市場流動性リスクとは、ポジション残高を相殺、解消、または削減するための取引を合理的な市場
価格で執行できないかもしれないという理由で、EIBのポジションの経済価値の変動、または同ポジ
ションによる収益の変動が激しくなることを指す。取引を執行できないことにより、清算を避けた方
が良いと思われる場合でも好ましくない価格で早い段階に当該資産を清算せざるを得なくなるおそれ
がある。このリスクは、取引される証券の流動性と比較したポジションの規模、ならびに市場のアベ
イラビリティおよび効率性の悪化と密接に関係している。
EIBの中核業務活動を妥当なコストで正常に機能させるため、流動性リスクの管理が行われている。
流動性リスク管理方針の主な目的は、EIBが常に期限内に支払債務を満額履行できることの確保にあ
る。商業銀行とは対照的に、EIBは個人預金を保有しておらず、顧客に貸し付ける資金の調達を資本市
場に依存している。
EIBは慎重に流動性バッファーを維持するため、新規発行予定を管理している。流動性維持計画で
は、EIBの債務返済上のニーズ、貸付金の実行、および貸付金ポートフォリオからのキャッシュ・イン
フローを考慮している。また、流動性維持計画では、一般的に債務者の要請に応じて実行される多額
の契約済未実行貸付金も考慮している。
EIBは、短期流動資産を十分な水準に保つこと、および資金需要予測に応じて自行の募集有価証券の
償還日を分散することによって、流動性リスクの管理を一層確実にしている。流動性リスク方針には
財務ポートフォリオの水準の下限が組み込まれており、EIBの全体的な流動性比率(翌12ヵ月間の見積
ネット・キャッシュ・フローに対する比率としての流動性)は、常に25%を上回っていることが、義
務付けられている。
EIBはグループ非常時資金調達計画(「グループCFP」)を定めており、そこでは適切な意思決定手
続とそれに対応する責任分担が定められている。グループCFPは定期的に、欧州銀行監督機構がこの件
に関して発行した関連するガイドラインを含む該当するベスト・バンキング・プラクティスを基準
に、テストおよび評価されている。グループCFPはEIB理事会によって毎年承認される。
定期的なストレス・テスト分析は、流動性リスク・モニタリングの一環として実施され、EIBの流動
性バッファーの規模を決定する。
2009年7月8日にユーロ・システムの金融政策オペレーションにおける適格カウンターパーティー
となったことから、EIBも欧州中央銀行の金融政策オペレーションに参加できることとなった。EIB
は、最低預金準備率およびその他の業務ニーズを充足するために預け金を置いているルクセンブルク
中央銀行を通じて金融政策オペレーションを実施する。
流動性カバレッジ比率(「LCR」)は、欧州連合CRRに沿って、EIBの機能通貨(ユーロ)だけでな
く、他の重要な通貨についても日次で計算されている。EIBは、過度の通貨のミスマッチを防止するた
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めに、流動性資産の通貨と正味流動性の流出の通貨の整合性を継続的にとることを確実にしている。
2022年末現在、EIBのLCRは348.0%(2021年は564.9%)であった。
また、安定調達比率(「NSFR」)も欧州連合CRRに沿って、EIBの機能通貨(ユーロ)だけでなく、
他の重要な通貨についても計算されている。2022年末現在、EIBのNSFRは124.6%(2021年は130.0%)
であった。
EIBは、主にEIBの流動性管理に対する慎重なアプローチの結果として、引き続き強固な流動性ポジ
ションおよび必要な流動性リソースへの柔軟なアクセスを維持している。その結果、ウクライナでの
戦争が流動性および資金調達に及ぼした影響は非常に限定的であった。
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下表は、貸借対照表日から契約上の満期日までの残存期間別にEIBの資産および負債を示している。
契約によって定められた満期日のない資産および負債は、「満期日未確定」に区分されている。
流動性リスク(単位:百万ユーロ)
3ヵ月超 1年超 2022年の
2022年12月31日時点におけ
3ヵ月以内 5年超 満期日
る満期
1年以内 5年以内 合計
資産:
現金、中央銀行および
郵便局預け金 113 0 0 0 0 113
中央銀行担保適格国庫証券
およびその他短期証券 3,132 5,518 7,141 4,559 0 20,350
その他の貸付金および
預け金:
- 当座預金
658 0 0 0 0 658
- 金融機関
63,787 200 0 0 0 63,987
126 0 0 0 0 126
- 対顧客
64,571 200 0 0 0 64,771
貸付金:
- 金融機関
2,913 11,446 40,885 38,004 23 93,271
- 対顧客 5,595 18,108 115,010 187,671 89 326,473
8,508 29,554 155,895 225,675 112 419,744
確定利付証券を含む負債
証券 1,304 480 2,508 5,631 0 9,923
株式、その他の変動利付
証券および参加持分 0 0 0 0 9,296 9,296
関係会社株式 0 0 0 0 1,549 1,549
615 1,859 6,181 1,881 8,306 18,842
その他の資産
78,243 37,611 171,725 237,746 19,263 544,588
資産合計
負債:
金融機関に対する債務 5,442 0 0 0 0 5,442
顧客に対する債務 1,495 0 0 0 0 1,495
債務証書借入 20,747 48,006 200,968 161,977 0 431,698
応募済資本金、準備金
および利益 0 0 0 0 78,435 78,435
981 1,698 5,425 3,630 15,784 27,518
その他の負債
28,665 49,704 206,393 165,607 94,219 544,588
負債合計
借入金および関連するスワップの一部は、ヘッジ・スワップの契約相手に期限前解約条項もしくは
コール・オプションを認めており、EIBにも関連債券を期限前償還する権利を与えている。EIBが債券
に係るすべてのコール・オプションを契約で定められた次回権利行使日に行使した場合、2023年から
2025年の期限前償還累計額は18.8億ユーロとなる。
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3ヵ月超 1年超 2021年の
2021年12月31日時点におけ
3ヵ月以内 5年超 満期日
る満期
1年以内 5年以内 合計
資産:
現金、中央銀行および
郵便局預け金 1,483 0 0 0 0 1,483
中央銀行担保適格国庫証券
およびその他短期証券 7,169 15,543 9,758 3,208 0 35,678
その他の貸付金および
預け金:
- 当座預金
563 0 0 0 0 563
- 金融機関
71,203 3,349 0 0 0 74,552
677 0 0 0 0 677
- 対顧客
72,443 3,349 0 0 0 75,792
貸付金:
- 金融機関
2,443 9,928 46,113 35,010 6 93,500
5,083 19,702 107,548 189,266 394 321,993
- 対顧客
7,526 29,630 153,661 224,276 400 415,493
確定利付証券を含む負債
証券 1,322 2,795 3,023 3,643 0 10,783
株式、その他の変動利付
証券および参加持分 0 0 0 0 8,716 8,716
関係会社株式 0 0 0 0 1,549 1,549
288 773 5,414 1,978 7,529 15,982
その他の資産
90,231 52,090 171,856 233,105 18,194 565,476
資産合計
負債:
金融機関に対する債務 10,478 13,195 0 0 0 23,673
顧客に対する債務 1,824 0 0 0 0 1,824
債務証書借入 19,307 43,516 213,006 164,286 0 440,115
応募済資本金、準備金
および利益 0 0 0 0 76,069 76,069
331 1,472 3,774 3,163 15,055 23,795
その他の負債
31,940 58,183 216,780 167,449 91,124 565,476
負債合計
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U.4. 為替リスク
為替(「FX」)リスクは、為替レートの不利な変動による、EIBのポジションの経済価値の変動、ま
たは同ポジションから得られる収益に対するリスクを指す。資産、負債およびヘッジ手段の間で通貨
のミスマッチがある場合に、EIBは為替リスクにさらされる。
EIBは定款を遵守して、貸付業務を遂行するため、またはEIBが供与する貸付金もしくは保証から発
生するコミットメントを履行するために、直接必要でない為替業務には従事しない。
EIBの資産・負債構造における通貨のミスマッチは、事前承認された厳しい限度額内に維持されてい
る。その結果、ロシアによるウクライナ侵攻は、EIBの為替リスク管理に悪影響を及ぼさなかった。
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為替ポジション(単位:百万ユーロ)
その他の 2022年の
ユーロ以外
2022年12月31日現在の通貨 ユーロ 英ポンド 米ドル
の通貨合計
通貨 合計
資産:
現金、中央銀行および
郵便局預け金 113 0 0 0 0 113
中央銀行担保適格国庫証券
およびその他短期証券 16,205 653 3,492 0 4,145 20,350
その他の貸付金および
預け金:
- 当座預金
444 67 53 94 214 658
- 金融機関
59,442 0 36 4,509 4,545 63,987
- 対顧客 75 0 0 51 51 126
59,961 67 89 4,654 4,810 64,771
貸付金:
- 金融機関
70,970 757 13,483 8,061 22,301 93,271
- 対顧客 270,031 27,231 9,404 19,807 56,442 326,473
341,001 27,988 22,887 27,868 78,743 419,744
確定利付証券を含む負債
証券 5,274 34 2,547 2,068 4,649 9,923
株式、その他の変動利付
証券および参加持分 7,690 488 770 348 1,606 9,296
関係会社株式 1,549 0 0 0 0 1,549
14,993 1,379 1,605 865 3,849 18,842
その他の資産
446,786 30,609 31,390 35,803 97,802 544,588
資産合計
負債:
金融機関に対する債務 5,425 0 11 6 17 5,442
顧客に対する債務 1,217 21 98 159 278 1,495
債務証書借入:
- 負債証券
245,409 37,162 100,100 39,853 177,115 422,524
5,868 113 322 2,871 3,306 9,174
- その他
251,277 37,275 100,422 42,724 180,421 431,698
応募済資本金、準備金
および利益 78,435 0 0 0 0 78,435
23,385 1,319 1,783 1,031 4,133 27,518
その他の負債
359,739 38,615 102,314 43,920 184,849 544,588
負債合計
オフ・バランスシートの
-87,076 8,020 70,938 8,118 87,076
通貨スワップ
-29 14 14 1 29
ポジション(純額)
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有価証券報告書
為替ポジション(単位:百万ユーロ)
2021年12月31日現在の その他の 2021年の
ユーロ以外
ユーロ 英ポンド 米ドル
の通貨合計
通貨 通貨 合計
資産:
現金、中央銀行および
郵便局預け金 1,483 0 0 0 0 1,483
中央銀行担保適格国庫証券
およびその他短期証券 27,999 1,388 6,291 0 7,679 35,678
その他の貸付金および
預け金:
- 当座預金
358 48 45 112 205 563
- 金融機関
64,511 2,052 1,035 6,954 10,041 74,552
- 対顧客 600 0 0 77 77 677
65,469 2,100 1,080 7,143 10,323 75,792
貸付金:
- 金融機関
71,836 829 13,310 7,525 21,664 93,500
- 対顧客 261,909 30,971 8,225 20,888 60,084 321,993
333,745 31,800 21,535 28,413 81,748 415,493
確定利付証券を含む負債
証券 4,100 0 1,809 4,874 6,683 10,783
株式、その他の変動利付
証券および参加持分 7,067 664 671 314 1,649 8,716
関係会社株式 1,549 0 0 0 0 1,549
12,906 1,242 1,064 770 3,076 15,982
その他の資産
454,318 37,194 32,450 41,514 111,158 565,476
資産合計
負債:
金融機関に対する債務 23,473 0 44 156 200 23,673
顧客に対する債務 1,560 6 93 165 264 1,824
債務証書借入:
- 負債証券
240,681 43,587 104,778 42,058 190,423 431,104
6,235 119 295 2,362 2,776 9,011
- その他
246,916 43,706 105,073 44,420 193,199 440,115
応募済資本金、準備金
および利益 76,069 0 0 0 0 76,069
19,940 1,666 1,270 919 3,855 23,795
その他の負債
367,958 45,378 106,480 45,660 197,518 565,476
負債合計
オフ・バランスシートの
-86,378 8,190 74,023 4,165 86,378
通貨スワップ
-18 6 -7 19 18
ポジション(純額)
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U.5. オペレーショナル・リスク
EIBグループのオペレーショナル・リスク方針に定義されているように、オペレーショナル・リスク
(7)
とは、不十分もしくは機能不全の内部プロセス、人員もしくはシステム、または外部事象 に起因す
る損失リスクを意味する。
(7) 外部事象の定義からは、顧客の倒産や不利な市場の動き、または類似の事象は除外されており、これ
らは信用リスクおよびそれぞれの市場リスクのトリガーである。
EIBのすべての活動はオペレーショナル・リスクの影響を受ける可能性があり、したがってEIBはオ
ペレーショナル・リスクを体系的に特定、評価、監視および報告し、オペレーショナル・リスクへの
エクスポージャーを限定するために十分な統制とリスク軽減策を確実に実施することを目標としてい
る。
GR&Cのオペレーショナル・リスク・ユニット、ならびにファイナンシャル・コントロールにおける
内部統制およびアサーション部門が、オペレーショナル・リスクの枠組みおよび関連する方針を決定
する責任を有し、その枠組みの実施責任はEIBのすべての部署が担う。EIBは、オペレーショナル・リ
スク管理業務を、適用されるベスト・バンキング・プラクティス(「BBP」)に準拠して編成してい
る。
EIBは、2022年にオペレーショナル・リスク方針を改定し、グループレベルでの新たな統一的な非財
務リスクの分類に整合させた。さらに、EIBは2022年にグループレベルで総合的なオペレーショナル・
リスク事象の報告手続きを策定し、これにより、本方針の実施を強化するとともに、オペレーショナ
ル・リスク管理推進者の主要なネットワークを構築した。EIBはまた、オペレーショナル・リスクの
(主要)指標の定義を合理化し、リスク選好の枠組みを強化している。
報告については、EIBグループのオペレーショナル・リスク報告書が、EIBにおけるオペレーショナ
ル・リスクの管理とモニタリングのすべての側面について責任を有するグループ最高リスク責任者
(「GCRO」)によって承認され、経営委員会(「MC」)、監査委員会(「AC」)およびディレク
ター・ジェネラル(「DG」)に提出される。加えて、0.25百万ユーロを超える損失/利益は、即座に
総裁に報告される。
EIBは、専用の制裁コンプライアンス・プログラムを含む強固なコンプライアンス統制を有し、グ
ループの活動が既存のすべてのEU制裁および適用される米国と英国の制裁を遵守することを確実にし
ている。特にロシアによるウクライナ侵攻を対象とした制裁に関しては、EIBの事業活動への重大な影
響は確認されていない。
EIBは欧州連合の重要な機関であるため、サイバー攻撃の標的となる可能性が高い。ウクライナにお
ける現在進行中の危機に伴い、直接的なサイバー攻撃やスピルオーバー攻撃のリスクが高まってお
り、EIBはEUの機関・団体・組織のコンピュータ緊急対応チーム(「CERT-EU」)と協力して、このリ
スクを注意深く監視している。業務の安全性と健全性を確保するために、EIBはサイバー攻撃に対する
強固なセキュリティ対策を実施している。
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注V: デリバティブ
EIBは、将来に決済する約定済取引から発生するエクスポージャーを含む金利リスクおよび為替リス
クへのエクスポージャーを管理するため、ならびに流動性管理の一環として、デリバティブ商品を資
産負債管理活動の一環として使用している。デリバティブは金融商品であり、その損益は、原資産の
価格、利率、為替そして種々のインデックスに左右される。
EIBのスワップの大部分は、借入金、貸付金および保有債券のヘッジのため、またはグローバルな資
産負債管理(「ALM」)ポジションのために締結されており、したがって長期的な性質のものである
(注V.1を参照)。
EIBは、基本通貨であるユーロに関連してその運用財務の通貨ポジションを調整するため、また貸付
実行に伴う通貨需要を満たすために、短期通貨スワップも行っている(注V.2を参照)。
先物契約(先物)は、一部の政府債投資から生ずるエクスポージャーをヘッジするため、財務活動
の一環として使用することができる。先物は、規制市場において取引される標準化されたデリバティ
ブであり、カウンターパーティー・リスクの測定と統制に関する一般方針の対象外となっている。
V.1. ヘッジおよびALMデリバティブ
ヘッジおよびALMヘッジとの関連で使用されるデリバティブには以下のものがある。
- 通貨スワップ
- 金利スワップ
- ストラクチャード・スワップ
V.1.1. 通貨スワップ
通貨スワップは、ある通貨における元本および利息の支払を、もう一つの通貨と交換することに合
意した契約である。
EIBは、主に借入金および貸付金のヘッジのために通貨スワップを締結している。
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下表は、想定元本および公正価値に基づいて分類した通貨スワップ(ストラクチャード・スワップ
(注V.1.3を参照)を含み、短期通貨スワップ(注V.2.を参照)を除く)の満期を示している。想定元
本はオフ・バランスシートにて開示されている。
2022年12月31日現在の通貨
1年超 5年超 2022年の
スワップ
1年以内 10年超
5年以内 10年以内 合計
(単位:百万ユーロ)
43,783 136,262 36,102 27,198 243,345
想定元本(受取)
公正価値
(すなわち、CVA、DVAおよびCollVA
(*)
を含む割引価値(純額)) 221 1,816 -744 26 1,319
2021年12月31日現在の通貨
1年超 5年超 2021年の
スワップ
1年以内 10年超
5年以内 10年以内 合計
(単位:百万ユーロ)
34,954 137,297 45,792 29,640 247,683
想定元本(受取)
公正価値
(すなわち、CVA、DVAおよびCollVA
(*)
を含む割引価値(純額)) -740 3,085 985 1,041 4,371
(*) 2022年12月31日現在2,530百万ユーロ(2021年:3,133百万ユーロ)となっているマクロ・ヘッジ通貨スワップの公
正価値を含む。
V.1.2. 金利スワップ
金利スワップは、概して、変動金利の利払いと固定金利の利払い、または異なった金利に連動する
変動金利の利払い(ベーシス・スワップ)を同一通貨で交換することに合意する契約である。
金利スワップにより、EIBは借入金、貸付金、および保有債券の金利リスクをヘッジし、貸借対照表
の金利構造を修正することができる。
下表は、金利スワップ(ストラクチャード・スワップ(注V.1.3を参照)を含み、外貨建てで計算さ
れた利息を合成的にユーロ建てに交換するシンセティック・スワップを含む)の満期を想定元本およ
び公正価値に細分して示したものである。想定元本はオフ・バランスシートにて開示されている。
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2022年12月31日現在の金利
1年超 5年超 2022年の
スワップ
1年以内 10年超
5年以内 10年以内 合計
(単位:百万ユーロ)
想定元本 75,935 230,220 131,299 135,571 573,025
公正価値
(すなわち、CVA、DVAおよびCollVA
(*)
を含む割引価値(純額)) -700 -5,269 -4,092 993 -9,068
2021年12月31日現在の金利
1年超 5年超 2021年の
スワップ
1年以内 10年超
5年以内 10年以内 合計
(単位:百万ユーロ)
53,438 243,656 127,981 134,006 559,081
想定元本
公正価値
(すなわち、CVA、DVAおよびCollVA
(*)
を含む割引価値(純額)) 301 4,748 3,036 229 8,314
(*) 2022年12月31日現在マイナス349百万ユーロ(2021年:マイナス789百万ユーロ)となっているマクロ・ヘッジ金利
スワップの公正価値を含む。
V.1.3. ストラクチャード・スワップ
EIBは、金利、為替レート、インフレ率および株価指数に関するオプションを含む借入契約および貸
付を行う。このようなストラクチャード借入金および貸付金は、関連する市場リスクをヘッジするた
めのスワップ契約により完全にカバーされている。
下表は、ストラクチャード・スワップの取引件数、公正価値および想定元本の詳細を示している。
12月31日現在のストラク
期限前解約が組み込まれて ストラクチャード・
チャード・スワップ
いるもの クーポン
(単位:百万ユーロ)
2022 年 2021年 2022 年 2021年
取引件数 119 127 156 162
想定元本
(単位:百万ユーロ) 4,909 4,568 10,413 12,083
公正価値
(すなわち、CVA、DVAおよ
びCollVAを含む割引価値
(純額))
(単位:百万ユーロ) -774 518 -2,310 -2,960
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ストラクチャード・スワップ取引の公正価値は、オプションの利用可能な市場価格に調整されたオ
プション価格モデルを用いて算出される。デリバティブ取引の一部に関しては、市場インプットを直
接入手できない場合には、内部見積りや仮定が評価技法に取り入れられることもある。
借入れに組込まれている、もしくは借入れに関連するオプション契約は、すべて店頭取引で行われ
る。
V.1.4. デリバティブ取引における信用リスクの軽減方針
デリバティブ取引の信用リスク管理方針は、スワップ・カウンターパーティーの資格条件と格付制
限の定義に基づいている。信用エクスポージャーを削減するため、EIBはその大半を取引量の多いス
ワップ・カウンターパーティーとクレジット・サポート・アネックスを交わしており、エクスポー
ジャーが契約で定められている信用極度額を上回った場合に担保を受け取る。
デリバティブに関する信用リスクは、カウンターパーティーが契約債務を履行できない場合にEIBが
被りうる損失に関連する。
デリバティブ取引の特殊な性質および複雑さを考慮し、当該金融商品の利用から生ずる損失に対し
てEIBを保護するための一連の手続きが整備されている。
・ 取引契約の枠組み:
EIBのデリバティブ取引はすべて、ISDAスワップ取引契約と、該当する場合にはエクスポージャーに
対する担保差入条件が明記されているクレジット・サポート・アネックスの取引契約の枠組みの中で
行われる。これらは一般的に採用され、実施されている契約の様式である。新規契約の最低条件はリ
スク・ガイドラインに規定されている。
・ カウンターパーティーの選択:
取引開始時の格付は、A3以上とリスク・ガイドラインに定められている。カウンターパーティー格
付がある一定のレベルを下回った場合には、EIBは大半の場合に期限前に契約を解除する権利を有す
る。
・ 担保設定:
- (一部の場合に限度枠が適用される)エクスポージャーに対しては、現金および債券による担
保が差入れられる。
- 一定の取引に対しては、現在の市場価値を上回る担保が差し入れられている。
- 個々のカウンターパーティーとのデリバティブ・ポートフォリオと受取担保は定期的にモニ
ターされて評価され、それを受けて追加担保が請求されるか、担保の引出しが行われる。
ISDA契約の一環として、EIBは、売却または再担保が認められている有価証券や現金を受け取ってい
る。そのような条件の下で受け取った有価証券の公正価値は、2022年12月31日現在、6,902百万ユーロ
(2021年:15,399百万ユーロ)で、担保の性質および同等のムーディーズ格付に基づいた詳細は、以
下のとおりであった。
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スワップ担保(単位:百万ユーロ)
債券
政府機関債、
2022年の
同等のムーディーズ格付
現金
国際機関債、
合計
政府債
カバード・
ボンド
Aaa 780 546 0 1,326
Aa1からAa3 254 0 0 254
A1からA3 0 0 0 0
Baa1からBaa3 2,951 0 0 2,951
0 0 2,371 2,371
格付なし
3,985 546 2,371 6,902
2022 年の合計
スワップ担保(単位:百万ユーロ)
債券
政府機関債、
2021年の
同等のムーディーズ格付
現金
国際機関債、
合計
政府債
カバード・
ボンド
Aaa 1,042 962 0 2,004
Aa1からAa3 3,130 0 0 3,130
A1からA3 6 0 0 6
Baa1からBaa3 5,484 0 0 5,484
0 0 4,775 4,775
格付なし
9,662 962 4,775 15,399
2021 年の合計
EIBは、ITシステムである担保管理システム(「CMS」)の使用を開始した。CMSの主な目的は、EIB
がレポ目的で資産と有担保市場の受入担保のリアルタイムの一覧を確実に利用できるようにする点に
ある。貸付金、デリバティブ、リバース・レポおよびレポに対する担保として受け入れた有価証券
は、市場価格サービス・プロバイダー(すなわち、ブルームバーグ)から提供された活発な市場の相
場価格を用いて、または相場価格が入手不可能な場合は市場ベースの評価額を使用して、CMSで日次評
価される。
・ デリバティブの信用リスクの測定:
デリバティブ関連の信用リスクは様々なパラメーターにより変化し(例えば金利や為替レート)、
一般的に想定元本のごく一部に相当するに過ぎない。
EIBは、内部目的上、財務報告と限度枠のモニタリングにはカレント無担保エクスポージャーとポテ
ンシャル・フューチャー・エクスポージャーを使用して、スワップ取引およびデリバティブ取引に関
する信用リスク・エクスポージャーを測定している。自己資本要件規則(CRR)に従った資本配分につ
いては、グループはカウンターパーティー信用リスクに係る標準的手法(SA-CCR)を用いている。
EIBは、カレント無担保エクスポージャーを、ゼロと、カウンターパーティーとのネッティング・
セットに含まれている取引ポートフォリオの時価から受入担保の価値を差し引いた数値のいずれか大
きな方の値で測定している。これは、カウンターパーティーが不履行を起こした場合に生ずる損失に
相当する金額で、受領した担保を相殺に充当し、破綻取引の回収価値をゼロとした上で、すべての取
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引につき直ちにスワップ・カウンターパーティーの代替を行うことを想定している。2022年12月31日
現在のカレント無担保エクスポージャーは165百万ユーロ(2021年12月31日現在:927百万ユーロ)で
あっ た。
さらにEIBは、リスクのマージン期間である20営業日にネッティング・セットに生ずる可能性のある
エクスポージャーの増加を考慮した、ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを計算してい
る。EIBは、保守的な見積りを出すため、ストレス下の市場パラメーターに基づき、また信頼区間を
90%として、ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを計算している。これは、重要な市場
参加者の不履行があった場合に生じるであろう状況を考慮するための規制当局の勧告に沿ったもので
ある。2022年12月31日現在の初期ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーは2,266百万ユーロ
(2021年12月31日現在:10,001百万ユーロ)であった。
・ 限度枠:
銀行向け限度枠システムは、ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを3種の期間グルー
プ(1年未満、1年以上5年以下および5年超)と2種の格付シナリオ(現状維持およびA3格未満へ
の格下げ)でカバーする。
デリバティブ・ポートフォリオは毎日評価され、限度枠との比較が行われる。
下記の表は、カウンターパーティーの内部格付別内訳を示している。
カレント無担保
ポテンシャル・フュー
チャー・エクスポージャー
エクスポージャー
格付グループ 額面価額割合
(単位:百万ユーロ) (単位:百万ユーロ)
同等のムーディーズ格付 2022年 2021年 2022年 2021年 2022年 2021年
Aaa 0.47% 0.47% 0 496 0 920
Aa1からAa3 18.10% 19.31% 4 236 370 2,273
A1からA3 75.46% 74.76% 146 195 1,783 6,628
5.97% 5.46% 15 0 113 180
A3未満
100.00% 100.00% 165 927 2,266 10,001
合計
V.2. 財務管理の一環として
EIBは、SLP債券ポートフォリオの金利エクスポージャーを修正するために、長期先物も使用してい
る。2022年12月31日現在、長期先物の想定元本は8,804百万ユーロ(2021年:8,274百万ユーロ)、公
正価値は29百万ユーロ(2021年:3百万ユーロ)であった。
EIBはまた、基本通貨であるユーロに関連してその運用財務ポートフォリオの通貨ポジションを調整
するため、また貸付実行に伴う通貨需要を満たすために、短期通貨スワップを行っている。
短期通貨スワップ(受取)の想定元本は、2022年12月31日現在で21,412百万ユーロであり、これに
対して2021年12月31日現在は25,124百万ユーロであった。これらの契約の公正価値は、2022年12月31
日現在マイナス366百万ユーロ(2021年:147百万ユーロ)であった。
短期為替予約取引の想定元本は、2022年12月31日現在267百万ユーロ(2021年:402百万ユーロ)で
あった。短期為替予約取引の公正価値は、2022年12月31日現在4百万ユーロ(2021年:マイナス12百
万ユーロ)であった。
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注W: 換算レート
2022年12月31日現在および2021年12月31日現在の貸借対照表の作成にあたり使用されている換算
レートは、以下のとおりである。
2022年12月31日 2021年12月31日
欧州連合加盟国のユーロ以外の通貨
ブルガリア・レフ(BGN)
1.9558 1.9558
チェコ・コルナ(CZK)
24.1160 24.8580
デンマーク・クローネ(DKK)
7.4365 7.4364
クロアチア・クーナ(HRK)
7.5365 7.5156
ハンガリー・フォリント(HUF)
400.8700 369.1900
ポーランド・ズロチ(PLN)
4.6808 4.5969
ルーマニア・レウ(RON)
4.9495 4.9490
スウェーデン・クローナ(SEK)
11.1218 10.2503
欧州連合加盟国以外の通貨
豪ドル(AUD)
1.5693 1.5615
アゼルバイジャン・マナト(AZN)
1.8103 1.9207
カナダ・ドル(CAD)
1.4440 1.4393
スイス・フラン(CHF)
0.9847 1.0331
中国人民元(CNY)
7.3582 7.1947
ドミニカ・ペソ(DOP)
59.8400 64.8310
エジプト・ポンド(EGP)
26.4223 17.7663
エチオピア・ブル(ETB)
56.9660 55.8100
英ポンド(GBP)
0.8869 0.8403
ジョージア・ラリ(GEL)
2.8462 3.4806
香港ドル(HKD)
8.3163 8.8333
インド・ルピー(INR)
88.1710 84.2292
日本円(JPY)
140.6600 130.3800
ケニア・シリング(KES)
131.6800 128.2600
カザフスタン・テンゲ(KZT)
494.0400 493.3100
モロッコ・ディルハム(MAD)
11.1556 10.5191
モルドバ・レウ(MDL)
20.3700 20.0900
メキシコ・ペソ(MXN)
20.8560 23.1438
ノルウェー・クローネ(NOK)
10.5138 9.9888
ニュージーランド・ドル(NZD)
1.6798 1.6579
セルビア・ディナール(RSD)
117.2000 117.5100
ロシア・ルーブル(RUB)
76.8960 85.3004
チュニジア・ディナール(TND)
3.3055 3.2611
トルコ・リラ(TRY)
19.9649 15.2335
台湾ドル(TWD)
32.7869 31.4420
ウクライナ・グリブナ(UAH)
39.4092 30.9151
米ドル(USD)
1.0666 1.1326
中央アフリカCFAフラン(XAF)
655.9570 655.9570
西アフリカCFAフラン(XOF)
655.9570 655.9570
南アフリカ・ランド(ZAR)
18.0986 18.0625
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注X: 関連当事者取引
X.1. 関係会社株式および参加持分(単位:千ユーロ)
欧州投資基金(「EIF」)との関連当事者取引は、主として、EIBによるEIFの株式保有、EIFの財
務、IT、EIFの年金基金の管理・運営、およびEIFのために提供するその他のサービスに関する取引で
ある。また、EIFはEIBのプライベート・エクイティ/ベンチャー・キャピタル業務およびインフラ基
金業務(参加持分を含む)を管理し、EIBの保証および証券化ポートフォリオの一部についてフロン
ティングおよびモニタリング・サービスを提供している。
EIBの関連当事者取引に関連して、本財務書類に計上されている金額は、次のとおりである。
2022年12月31日 2021年12月31日
資産:
関係会社株式 1,549,444 1,549,444
参加持分 353,462 318,380
金融機関貸付金および預け金 :c) 貸付金
157,740 0
前払金および未収収益 25,129 2,013
38,852 25,646
その他の資産
2,124,627 1,895,483
資産合計
負債:
顧客に対する債務 -4,129 -3,385
-355,092 -333,043
その他の負債
-359,221 -336,428
負債合計
損益計算書:
関係会社株式からの収益 9,305 0
固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券、
参加持分および関係会社株式に係る(再)評価損益 -1,405 15,703
受取手数料 7,580 7,279
支払手数料 -53,892 -65,246
その他の業務収支 11,817 11,678
一般管理費 -42 48
受取利息および類似収益 294 0
-649 0
支払利息および類似費用
-26,992 -30,538
損益計算書計上額合計
オフ・バランスシート:
EIF払込未請求資本 3,468,800 3,468,800
EIF資金の管理 2,334,013 2,304,236
EIFの少数株主に付与されたプット・オプション 419,763 340,341
参加持分未実行額 410,831 497,631
17,729,471 17,452,179
EIFに供与された保証
24,362,878 24,063,187
オフ・バランスシート項目合計
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X.2. 主要経営陣(単位:千ユーロ)
EIBは、理事会、監査委員会、経営委員会の委員およびGCRO、EIBの各種組織部門の責任者である
ディレクター・ジェネラル、ならびに内部統制独立部署の責任者を主要経営陣とみなしている。
「一般管理費」(注R)に算入されている主要経営陣の当該報告期間の報酬は、下表のとおりであ
る。
2022年 2021年
(1)
短期給付 11,342 10,772
(2)
退職後給付 874 919
315 965
退職手当
12,531 12,656
合計
(1) 短期従業員給付は、経営委員会委員、GCRO、ディレクター・ジェネラルおよびその他ディレクターの給与および手
当、賞与、社会保障負担金、ならびに理事会および監査委員会の委員に支払われた給付である。
(2) 退職後給付は、経営委員会委員、GCRO、ディレクター・ジェネラル、およびその他ディレクターに支払われた年金
および退職後健康保険費である。
主要経営陣に対して前渡金も信用供与行っておらず、またいかなる種類の保証の形態でも主要経営
陣の利益のための契約を締結していない。
2022年12月31日現在の主要経営陣との間の未決済残高は、強制および任意の補足年金制度および健
康保険制度に関する負債、ならびに期末現在の未払残高で構成されている。
2022年12月31日 2021年12月31日
年金制度および健康保険制度(注L) 100,113 74,834
その他の負債(注G) 15,288 18,737
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注Y: 後発事象
2022年12月31日現在の財務書類の修正や開示を必要とする、貸借対照表日以後に発生した重要な事
象はなかった。
ウクライナにおける戦争とその広範な経済的影響に関連して、EIBは、後発事象のレビューの一環と
して、状況を継続的に注意深く監視している。
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注Z: 第三者資金の管理
Z.1. イノベーション基金
イノベーション基金は、指令2003/87/ECの第10a条(8)により設立され、気候変動の緩和に著しく寄
与する環境上安全な二酸化炭素回収・有効利用(「CCU」)および生産された炭素集約的なものに代わ
る製品を含む、低炭素技術およびプロセスにおけるイノベーションを全加盟国で支援し、環境上安全
な二酸化炭素の回収・貯留(「CCS」)ならびに革新的な再生可能エネルギーおよびエネルギー貯蔵技
術を目的とするプロジェクトの建設および運営を振興することを支援する。EIBは、イノベーション基
金の個別財務書類を作成している。
Z.2. インベストメント・ファシリティ・コトヌー
EIBが管理するインベストメント・ファシリティは、アフリカ・カリブ海および太平洋地域諸国と欧
州連合および加盟国との間における協力・開発に関する2000年6月23日付(その後改正済)のコト
ヌー協定に基づき設立されたものである。EIBは、インベストメント・ファシリティの個別財務書類を
作成している。
Z.3. 近代化基金
改正EU排出量取引制度(ETS)指令第10d条に基づき設立された近代化基金は、エネルギーシステム
を近代化し、次のEUの受益加盟国(「MS」)10ヵ国のエネルギー効率を改善することを目的としてい
る。ブルガリア、チェコ共和国、クロアチア、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、
ポーランド、ルーマニアおよびスロバキア。近代化基金は、再生可能エネルギー源からのエネルギー
の生成と利用、エネルギー効率、エネルギー貯蔵、地域暖房、パイプラインおよびグリッドを含むエ
ネルギーネットワークの近代化、労働者の再配置、技能再教育およびスキルアップ、教育、求職活動
ならびに起業への投資を支援し、EIBは近代化基金の個別財務書類を作成している。
Z.4. EIF 資金
EIF資金は、EIBとEIFとの間で2000年12月に締結された資金管理契約に従い、EIBによって管理され
ている。
Z.5. イノベーターのためのEU資金提供(InnovFin)
InnovFinまたは「InnovFin-イノベーターのためのEU資金提供」は、EUの新規の2014年-2020年の
研究プログラムである「ホライズン2020」に基づくEIB、EIFおよび欧州委員会の共同の取組みであ
る。2013年12月11日、研究およびイノベーションのための包括プログラム(2014年-2020年)である
ホライズン2020を確立し、決定事項N1982/2006/ECを廃止する欧州議会および理事会規則(EU)
N1291/2013(「ホライズン2020規則」)が採択された。2014年6月12日、欧州委員会、EIBおよびEIF
は、金融商品であるInnovFinを設定する委任契約を締結した。InnovFinは、EIBグループによって提供
される一連の統合され、かつ補完的な金融ツールおよびアドバイザリー・サービスで構成され、零細
企業から巨大企業までの企業による投資を支援するために研究およびイノベーション(「R&I」)のバ
リュー・チェーン全体を対象としている。EIBは、InnovFinの個別財務書類を作成している。
Z.6. NER300
EIBは、NER300イニシアチブ(炭素回収・貯蔵実証プロジェクト、および革新的再生可能エネルギー
技術のための資金調達プログラム)を遂行する際、エージェントとしてECをサポートする。当該ファ
シリティには、i) EU の割当量単位(EUA)の収益化、ii)EUA収益化活動を通じて受け取る資金の管
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理および支出、といった2つの活動が含まれる。EIBは、NER300のために個別財務書類を作成してい
る。
Z.7. コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(「CEF」)
コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(「CEF」)は、運輸、電気通信およびエネルギーのイ
ンフラストラクチャー・セクターにおける共益プロジェクトを支援するために、欧州横断的なネット
ワークに欧州連合の財政支援を提供することを目的とした、EIBと欧州委員会の間の共同協定である。
欧州委員会は、CEFに基づく負債性金融商品の業務および管理をEIBに委託しており、これにより、欧
州横断交通網プロジェクト融資保証手段(「LGTT」)およびプロジェクト債券イニシアチブ
(「PBI」)の試験段階への連続性が確保される。LGTTとPBIは、CEFの下で2016年1月1日に統合され
た。CEF委任契約は、最新かつ共通のリスク・シェアリングの取決めを定めている。EIBは、CEFの個別
財務書類を作成している。
Z.8. 汎ヨーロッパ保証基金(「EGF」)
EGFは2020年4月23日に欧州理事会により、EU全体のCOVID-19対応パッケージの一部として承認され
た。2021年7月現在、22ヵ国の加盟国が約244億ユーロと見込まれる保証枠で参加を確認しており、参
加国の事業体のみが支援適格となっている。EGFは、金融仲介機関の商業的資金供与の要件を満たす
が、COVID-19のパンデミックの経済的影響により苦戦している高リスク事業と最終的な受益者に資金
提供を行うことを目的としている。この理由から、EGFはSMEに焦点を当てており、SMEはEGFが支援す
る資金供与の少なくとも65%の恩恵を受けることとなる。EGFはEIBとEIFによって共同で実施されてお
り、それぞれが約半分の金額を担当するが、商品構成は異なっている。EIFは、上限付きおよび上限な
しのポートフォリオ保証と間接的な株式型投資(ファンド)を想定していたのに対して、EIB側では、
展開されている商品は、連動型リスク・シェアリング、ベンチャー債、合成資産ベース証券である。
EIBは、EGFの個別財務書類を作成している。
Z.9. EU -アフリカ・インフラ(「EUAI」)信託基金
EUAI信託基金は、創設・援助組織としての欧州連合を代表するECと、運用者としてのEIBとの間の、
信託基金協定に基づき創設され、創設後は、欧州連合加盟国もこの協定に資金提供者として参加でき
る。2006年2月9日、ECとEIBは、EU-アフリカ・インフラ・パートナーシップを共同で推進し、特に
それを支援するEU-アフリカ・インフラ信託基金を設立する旨の覚書を交わした。EIBは、EUAI信託基
金の個別財務書類を作成している。
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Z.10. インベストEU
2022年3月7日、EU、EIBおよびEIFはインベストEUの下でEU保証を設定する保証契約(「本契
約」)を締結した。インベストEUプログラムは、欧州における持続可能な投資、イノベーション、社
会的包摂、雇用創出をさらに後押しすることを目的としている。インベストEUは、262億ユーロのEU予
算保証を利用して官民投資を促進することが期待されており、このEU予算保証の75%がEIBとEIFに別々
に付与される。2022年4月1日、EFSI債務標準ポートフォリオとEFSIハイブリッド・ポートフォリオ
のすべての事業がインベストEUに移管された。当初EFSI協定に基づいて保証されたこれらの事業は、
「2021年以前の業務」 として定義されている。EIBは、インベストEUの個別財務書類を作成してい
る。
Z.11. 地域金融商品(「DFI」)(旧ファンド・オブ・ファンズ(「JESSICA II」) )
地域金融商品(「DFI」)は、欧州構造投資基金(「ESIF」)が、それぞれ2014年から2020年までの
間および2021年から2027年の間に加盟国運用プログラムにより資金供給するファンド・オブ・ファン
ズ(「FoF」)および保有基金(「HF」)で構成されている。DFIは、選定された金融仲介機関と協力
して、貸付、出資および保証の実行を通じて、最終受領者の資金調達を促進している。
EIBは、ファンド・マネージャーとして、関係運営当局から資金供給(拠出)の取りまとめを行い、
拠出者と合意した投資戦略に従って、金融仲介機関を介して当該資金を投資している。EIBは、各ファ
ンド・オブ・ファンズの個別財務書類を作成している。
Z.12. 資金パートナーシップ・プラットフォーム(「PPF」)
PPFはEIBが運用する複数地域、複数拠出者、かつ複数セクターの、複数のファンドを組み込んだプ
ラットフォームであり、持続可能な発展のために金融の流れを増加させる必要性を考慮し、また欧州
投資銀行の成功体験を基礎として設立された。PPFに基づく基金は、プラットフォーム規則に従って導
入された。EIBは、PPFの個別ベースの合算財務報告を作成している。
Z.13. JESSICA 保有基金
JESSICA(都市部への持続可能な投資に対する欧州共同支援)は、欧州委員会とEIBが欧州評議会開
発銀行と共同で策定したイニシアチブである。
JESSICA保有基金はJESSICAイニシアチブに関連して使用される。新しい手続きに基づき、関係運営
当局は、持続可能な総合都市開発計画の一部を形成するプロジェクトへの有償投資を行うために、自
身のEU助成金の一部を使用する選択権を付与される。EIBは、運用者として、関係運営当局から受領し
た資金を取りまとめ、拠出者と合意した投資ガイドラインに従って都市開発基金に投資している。
EIBは、一部のJESSICA保有基金の個別財務書類を作成している。
Z.14. 特別部門
特別部門は、総務会によって1963年5月27日に設定された。1977年8月4日の決議に基づき、その
目的は見直され、第三者の勘定で第三者の委託に基づいてEIBが実行した金融業務を記録するためとさ
れた。特別部門には、FED、MED/FEMIPおよび欧州開発金融機関民間部門開発ファシリティの保証部分
が含まれる。
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Z.15. リスク・シェアリング・ファイナンス・ファシリティ(「RSFF」)
RSFFは、欧州連合を代表するECとEIBとの間で締結され、2007年6月5日付で発効した協力協定に基
づき設立された。RSFFは、研究、技術開発と実証プロジェクトおよび技術革新への投資を育成するこ
とを目的としている。RSFFの一環として、EIFは、技術革新および研究を中心とする中小企業(SME)
お よび中堅企業のためのリスク・シェアリング・インスツルメント(「RSI」)を用意した。RSIは、
研究を推進する中小企業(「SME」)や中堅企業の借入やファイナンス・リースのため、銀行やリース
会社に保証を提供している。EIBは、RSIを含めたRSFFの連結財務書類を個別に作成している。
Z.16. 復興・強靭化ファシリティ-金融商品(「RRF-FI」)
EIBは、EIBと委任者との間の資金調達協定で合意された投資戦略および事業計画に従って、それぞ
れのEU加盟国に代わってRRF資源を管理および投資する。さらに、EIBは資金管理業務を行う(監視、
報告、財務管理を含む)。EU加盟国から要請がある場合、このマンデートはEIBの助言による支援を組
み込むこともできる。
RRF-FIは、 (i) EIBが直接基礎となる業務を選択して評価する直接実施、 (ii) 金融仲介機関を介
した間接実施、 (iii) これらの混合の3つの実施方法の下で展開することができる。
Z.17. 欧州近隣パートナーシップ枠組み(「ENPI」)
欧州近隣政策の対象国における欧州連合の一般予算から資金調達される事業の実施について定めた
欧州連合とEIBとの間の枠組み協定は、ENPIを通じて実施される。EIBは、ENPIの個別財務書類を作成
している。
Z.18. 国際開発協力機構(AECID)
このパートナーシップ契約は、スペイン王国(スペインの国際開発協力機構(「AECID」))とEIB
との間で調印されたもので、モーリタニアおよびFEMIPによってカバーされる諸国(「南地中海沿岸地
域」)の活動に投資するために設立された。地域の零細企業や中小企業に関してリスク資本を提供す
ること、および民間セクターの幅広い発展に従事することを主目的としている。EIBは、AECIDの個別
財務書類を作成している。
Z.19. エネルギー効率関連プライベート・ファイナンス(「PF4EE」)商品
エネルギー効率関連プライベート・ファイナンス(「PF4EE」)商品は、エネルギー効率関連投資向
けの十分かつ低価格の商業金融の利用可能性が限定的であることに対処することを目的とした、EIBと
欧州委員会の協定である。この商品は、EU加盟国の国別エネルギー効率行動計画、またはその他のエ
ネルギー効率プログラムの実施を支援するプロジェクトを対象としている。2014年12月、欧州委員会
およびEIBは、金融商品であるPF4EEを設定する委任契約を締結した。EIBは、PF4EEの個別財務書類を
作成している。
Z.20. 深化した包括的自由貿易協定地域(「DCFTA」)
欧州投資銀行および欧州連合は、2016年12月19日に、深化した包括的自由貿易協定地域
(「DCFTA」)の委任契約に署名した。東部DCFTAイニシアチブは、EUと協力協定を締結した国である
ジョージア、モルドバおよびウクライナに対し、的を絞った金融および技術的支援を中小企業
(「SME」)向けに提供することによって、これら3国の経済発展を強化することを目的としている。
DCFTAの一環として、EIFは保証枠ウィンドウの実行および管理を行う。EIBは、保証枠ウィンドウを含
めたDCFTAの連結財務書類を個別に作成している。
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Z.21. GF ギリシャ
ファンドは、ギリシャ共和国、ECおよびEIBによる共同イニシアチブで、設立の目的は、ギリシャの
中小企業に対する融資を支援することである。ファンドは、ギリシャのために用意された構造基金の
未使用部分を使って設立されており、ギリシャのパートナー銀行経由で、EIBの中小企業向けローンの
保証を行う。EIBは、GF ギリシャの個別財務書類を作成している。
Z.22. 近隣インベストメント・ファシリティ(「NIF」)信託基金
EIBが管理するNIF信託基金は、欧州近隣政策(「ENP」)の戦略的目標を達成するために設立され
た。当基金は、SME向け、人的資源育成を含む社会セクター向け、および地方自治体のインフラストラ
クチャー開発向けの支援を通じて、より適切で持続可能性の高いエネルギーおよび輸送の相互接続性
を確立し、エネルギー効率の向上および再生可能エネルギー資源の利用促進を進め、気候変動および
より広い意味での環境への脅威に対処し、スマートで持続可能かつ包括的な成長を促進することに重
点を置いている。EIBは、NIF信託基金の個別財務書類を作成している。
Z.23. 近隣インベストメント・ファシリティ(「NIF」)リスク資本ファシリティ
近隣インベストメント・ファシリティ(「NIF」)リスク資本ファシリティは、欧州連合の一般予算
を財源とする。主な目標として、民間セクターの開発、包括的な成長および民間セクターの雇用創出
を支援するため、南方の近隣地域のSMEにエクイティ・ファイナンスおよびデット・ファイナンスへの
アクセスを提供することに注力している。このファシリティは、エクイティ・ファイナンスおよび
デット・ファイナンスの手段から成る金融商品ウィンドウと、技術支援サービスから成る付加的任務
ウィンドウで構成される。EIBは、金融商品ウィンドウの個別財務書類を作成している。
Z.24. 欧州戦略投資基金(「 EFSI 」)
適用されるEFSI規則に基づき、欧州委員会およびEIBは、EFSIの管理・運営、EUの保証提供に関する
契約(「EFSI契約」)、および欧州投資アドバイザリー・ハブ(「EIAH」)の実施に関する契約
(「EIAH契約」)を締結した。
EFSI契約に基づき、ECは、EFSIが支援するプロジェクトに関して、EIBにEUの保証を提供した。EUの
保証に充当する資産は、欧州委員会が直接管理する。EFSIが支援するプロジェクトは、通常のEIBのプ
ロジェクトのサイクルおよびガバナンスに従う。また、EFSIは自己専用のガバナンス構造を有してい
る。当該構造は、EFSIの下で行う投資において、欧州に対する投資の妨げとなる市場のリスク負担の
失敗に対処するという特別の目的に、確実に重点が置かれ続けるようにするために設置されている。
EIAHは、プロジェクトおよび投資に対し、財務以外の支援を拡充することを目的としている。EIAH
は3つの補完的な構成要素であるa) 公共受益者および民間受益者向けの広範なアドバイザリー技術支
援プログラムおよびイニシアチブへの足掛かり、b) パートナー機関の間での専門知識の活用、交換お
よび普及を目的とした協同プラットフォーム、およびc) 既存のアドバイザリー・サービスの強化もし
くは拡大または未対処のニーズに対応する新規のサービスの創出、で構成される。EIBは、EIAHの個別
財務書類を作成している。
Z.25. 加盟候補国向け支援制度II(「IPA II」)
加盟候補国向け支援制度(「IPA」)に係る協定は、EUが「拡大国」の改革を財政面および技術面で
援助する支援措置である。加盟候補国向け支援ファンドも、持続性のある経済回復、エネルギー供
給、運輸、自然環境および気候変動などに関する目標をEUが達成できるよう支援する。IPA Iの後継制
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度IPA IIは、すでに達成された成果を土台とし、2014年から2020年までの期間に117億ユーロを充当し
て構築される予定である。IPA IIの最も重要な革新性は、戦略的焦点にある。フレームワーク・パー
ト ナーシップ契約は、2015年末に締結され、EIBにより履行される。様々な「特別供与契約」の締結に
より、DG NEARからの財源が配分される。IPA II規則は2020年12月31日まで適用されたが、実施は依然
として継続している。EIBは、IPA IIの個別財務書類を作成している。
Z.26. 欧州地中海投資パートナーシップ制度(FEMIP)信託基金
EIBが管理するFEMIP(ユーロ地中海投資パートナーシップ・ファシリティ)信託基金は、多数の援
助国の支援を得て、地中海パートナーシップ・ファシリティ参加国におけるEIBの既存業務を強化する
ために設立された。当基金は、技術援助とリスク資本の提供を通じて、特定の優先分野の事業に資源
を投入することを目指している。EIBは、FEMIP信託基金の個別財務書類を作成している。
Z.27. EPTA 信託基金
EPTA(東方パートナーシップ技術支援)信託基金は、技術支援のための多分野向けの多目的融資枠
を提供し、EIB東方パートナーシップ事業の質を高め、かつ開発効果を増幅させることに重点的に取り
組んでいる。同基金は、近隣インベストメント・ファシリティを補完する。EIBは、EPTA信託基金の個
別財務書類を作成している。
Z.28. 自然環境保護資金調達ファシリティ(「NCFF」)
自然環境保護資金調達ファシリティ(「NCFF」)は、EIBと欧州委員会との共同契約であり、自然環
境保護資金の保全のための収益創出またはコスト削減プロジェクト(気候変動適応プロジェクトを含
む)に係る市場の格差および障壁に対処することにより、生物多様性分野および気候変動への適応に
関するEUおよび加盟国の目標の達成に貢献することを目的としている。EIBは、NCFFの個別財務書類を
作成している。
Z.29. EU サポート・ブースト・アフリカ
「EUサポート・ブースト・アフリカ」 は、EIBとアフリカ開発銀行の共同イニシアチブである。そ
の中核的な目的は、スキル開発と組み合わせたアーリーステージのベンチャー・キャピタルを提供す
ることによって、商業的に存立可能な方法でアフリカ全体にわたって起業家精神とイノベーションを
可能にし、強化すること、およびサブサハラ市場における現在のギャップに対処することである。こ
のファシリティは、資本商品および準資本商品から成る金融商品ウィンドウと、技術支援サービスか
ら成る付加的任務ウィンドウで構成される。EIBは、金融商品ウィンドウの個別財務書類を作成してい
る。
Z.30. グローバル環境ファシリティ-国連環境プログラム(GEF-UNEP)
これは、国連環境プログラム(UNEP) と協力して、地中海の汚染の除去の長期的な結果に間接的に
寄与する栄養物の削減につながる成果を伴う主に設備投資プロジェクトである将来の投資の特定、選
択および設計を支援する技術援助を実施するためのグローバル環境ファシリティ(GEF)である。
Z.31. EU 貿易振興・競争力向上プログラム(「EUTCP」)
経済成長を加速させ、民間セクターの発展を支援し、地域統合ならびに気候変動の軽減および適応
を強化するというEUの政策目的に沿って、EIBはEUTCPを展開するためにECと協力している。EUTCPは以
下を合わせたものである。(i) バリュー・チェーン向けのEIBの長期貸付金、(ii) 保証手段(リス
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ク・シェリング・ファシリティ)および (iii) 選別された国における市場の機能不全に対処するため
の技術的支援(専門家支援ファシリティ)。EUTCPはまた、EIBにとってそれぞれの国におけるポジ
ショ ニングについて戦略的に重要な取組みを表す。このプログラムは、EIBの伝統的な商品を補完する
新たな保証商品を可能にするため、選択された対象国におけるバリュー・チェーンに沿ってSMEに対す
る多額の投資をもたらすことが見込まれる。EIBは、EUTCPのリスク・シェアリング・ファシリティの
個別財務書類を作成している。
Z.32. アフリカ投資プラットフォーム(AIP)ザンビア
AIPの下で開発された 「ザンビア農業バリュー・チェーン・ファシリティ・プログラム」 は、農村
の貧困と栄養不良を削減し、農村の民生を向上させるというザンビア政府の政策目標を支援すること
を目的としている。EIBのプロジェクトは、金融仲介機関を通じて民間の農業バリュー・チェーン関係
者の金融へのアクセスを支援するとともに、これらの関係者に対する金融仲介機関の融資能力を強化
することによって、農業バリュー・チェーンにおける市場の不備に対処することを目的としている。
EIBは、このプログラムの個別財務書類を作成している。
Z.33. アフリカ投資プラットフォーム(AIP)マラウイ農業促進(Kulima)
アフリカ投資プラットフォーム (「AIP」)の下で開発された 「マラウイ農業促進(Kulima)の金
融アクセス支援プログラム」 は、マラウイにおける適格な民間農業食品セクター投資への転貸しのた
めの仲介ファシリティから成る。このプログラムは、気候変動を背景としての持続可能な農業の成長
を促進し、所得、雇用および食糧安全保障を向上させることを目的としている。EIBは、このプログラ
ムの個別財務書類を作成している。
Z.34. 持続可能な開発のための欧州基金(EFSD)保証 「金融イニシアチブへのアクセス」
EFSD保証 「SMEの金融イニシアチブへのアクセス」は、特に特定の対象国の若い起業家、女性起業
家、スタートアップ企業、その他の特定のグループに焦点を当て、人口移動の根本原因のいくつかに
対処することを最優先の目的とした、中小企業、十分なサービスを受けていない起業家を対象とした
保証制度である。このプログラムは、EIBが選定した各国の銀行や金融機関に対し、各国の金融機関が
より高いリスクレベルを付与しているために他の起業家よりも金融へのアクセスが少ない、これらの
十分なサービスを受けていない起業家によって経営または所有されている中小企業や零細中小企業に
対して、融資された貸付金ポートフォリオ、および銀行保証と開設された信用状のファースト・ロス
信用保護を提供することを目的としている。対象国は、欧州の東部および南部の近隣に所在する国と
なる。EIBは、このプログラムの個別財務書類を作成している。
Z.35. 東方パートナーシップ・コネクティビティ投資のための技術支援(EPIC)
EPIC(東方パートナーシップ・コネクティビティ投資のための技術支援)は、近隣投資プラット
フォーム (NIP)の下での技術支援制度であり、東方パートナーシップ地域内および東方パートナー
シップ諸国とEUとの間の接続性の向上に貢献する。EIBは、EPICの個別財務書類を作成している。
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(1)
特別部門計算書
2022 年12月31日および2021年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
資産 2022年12月31日 2021年12月31日
地中海沿岸諸国
欧州連合の財源によるもの
実行済貸付残高 4,550 5,828
リスク資本業務
- 未実行金額
21,523 21,523
- 実行済金額 27,783 28,479
49,306 50,002
(2)
53,856 55,830
合計
- ロメ協定
リスク資本による業務
- 実行済金額
74,631 76,542
(3)
74,631 76,542
合計
合計 128,487 132,372
負債
2022年12月31日 2021年12月31日
受託管理資金
欧州連合の委託によるもの
- 地中海沿岸諸国金融議定書
32,333 34,307
- ロメ協定 74,631 76,542
受託管理資金の合計 106,964 110,849
未実行金額
21,523 21,523
地中海沿岸諸国における貸付業務およびリスク資本業務
未実行金額の合計 21,523 21,523
合計 128,487 132,372
付記:
欧州連合の委託に基づきEIBが元利回収を引き受けた、欧州委員会提供の特別条件付貸付金の実行済・未返
済残高合計:
a ) 2022年12月31日現在における第1次、第2次および第3次ロメ協定に基づくもの:191,538千ユーロ
(2021年:211,266千ユーロ)
b ) 2022年12月31日現在における地中海沿岸諸国との間で署名した金融議定書に基づくもの:25,216千
ユーロ(2021年:29,660千ユーロ)
欧州連合-欧州開発金融機関民間部門開発ファシリティとの関連において、保証部分の導入契約が2014年
8月20日に締結された。EU保証の総額は、2022年12月31日現在で38,920千ユーロ(2021年:38,920千ユー
ロ)である。
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注(1):特別部門は、総務会によって1963年5月27日に設定された。1977年8月4日の決議に基づき、その目的が見
直され、第三者の勘定で第三者の委託に基づいて欧州投資銀行が実行した金融業務を記録するためとされ
た。ただし、コトヌー協定、欧州連合-アフリカ・インフラ信託基金、近隣インベストメント・ファシリ
ティ信託基金(「NIF」)およびFEMIP信託基金に基づくインベストメント・ファシリティについては、個別
財務書類に表示されている。また、EIBは2005年より他の委託について異なる種類の財務書類を作成してい
る。
特別部門計算書は、欧州連合および加盟国の委託に基づく実行済金額もしくは未実行金額から解約額およ
び返済額を控除した金額を示している。実行済金額および未実行金額ならびに受取済および受取予定資金
は、額面価額で計上されている。特別部門計算書では、これらの業務に付随するリスクを補填するために必
要となりうる引当金もしくは評価損益は、確定的な償却を除き、考慮されていない。外貨建ての金額は、12
月31日現在の実勢為替レートで換算されている。
注(2):欧州連合の委託に基づき、欧州連合の勘定により、またそのリスク負担の下に、マグレブおよびマシュレク
諸国、マルタ、キプロス、トルコならびにギリシャにおけるプロジェクト資金(1981年1月1日の欧州共同
体加盟前に10百万ユーロ融資)のため締結された契約の実行時の金額:
実行時の金額: 840,457
減算: 為替差額 56,283
解約額 178,863
551,455
返済額
-786,601
53,856
注(3):欧州連合の委託に基づき、欧州連合の勘定により、またそのリスク負担の下に、アフリカ・カリブ海および
太平洋諸国ならびに加盟国の属国および属領(ACP-OCT)におけるプロジェクト資金のため締結された契約
の実行時の金額:
リスク資本による貸付金:
条件付劣後貸付金 3,116,097
121,002
出資
実行時の金額: 3,237,099
加算: 資産計上された利息 9,548
減算: 解約額 742,432
返済額 2,374,004
55,580
為替差額
-3,172,016
74,631
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④【EU会計指令に基づく連結財務書類とIFRSに基づくものとの差異】
EU 会計指令に基づき作成された EIB グループの 2022 年 12 月 31 日現在の連結貸借対照表および 2022 年 12 月 31 日終
了年度の損益計算書ならびに IFRS に基づき作成されたそれらとの間における差異
連結 貸借対照表
2022 年 12 月 31 日現在
(単位:千 ユーロ )
EU 会計指令 調整 IFRS
影響 参照
資産
112.655 48 A.1 112,703
1 現金、中央銀行および郵便局預け金
2 中央銀行担保適格国庫証券およびそ
A.2, B.1, C
の他短期証券 21,845,483 -225,131 21,620,352
3 金融機関貸付金および預け金
a)要求払 984,212 0 984,212
A.3, B.4
b)その他の貸付金および預け金 64,211,244 6,974 64,218,218
A.3, B.4
c)貸付金 93,129,454 -1,505,641 91,623,813
d)貸付金 および預け金の減損(戻
-3,485 -32,444
入れ控除後) -28,959 C
158,321,425 156,793,799
4 対顧客貸付金および預け金
A.3, B.4
a) その他の貸付金および 預け 金 125,883 93 125,976
A.3, B.4
b)貸付金 326,861,203 -5,598,576 321,262,627
c)貸付金および 預け 金の減損(戻
-388,263 -295,939
入れ控除後) 92,324 C
326,598,823 321,092,664
5 確定利付証券を含む負債証券
A.2, B.1, C
a)公共機関による発行 4,563,328 -120,195 4,443,133
6,596,468 A.2, B.1, C 6,539,924
b)その他による発行 -56,544
11,159,796 10,983,057
B.2, B.3
6 株式およびその他の変動利付証券 9,908,923 8,984,031 18,892,954
7 参加持分 386,651 -386,651 B.3 0
8 デリバティブ資産 0 35,044,316 B.5 32,044,316
9 有形固定資産 249,497 95,094 G 344,591
10 無形資産 70,167 0 70,167
B.5, H
11 その他の資産 307,070 -83,703 223,367
12 応募済資本金および準備金(払込請
求済払込未了分) 799,248 12,016 I 811,264
A.1, A.2, A.3,
A.5, B.1, B.4,
17,544,735 286,131
13 前払金 -17,258,604 B.5
547,304,473 566,275,365
資産合計
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連結 貸借対照表
2022 年 12 月 31 日現在
(単位:千ユーロ)
EU 会計指令 調整 IFRS
影響 参照
負債および資本
1 金融機関に対する債務
a)要求払 2,371,014 0 2,371,014
3,071,084 3,071,698
b)期日払または通知払 614 A.4
5,442,098 5,442,712
2 顧客に対する債務
a)要求払 1,433,117 0 1,433,117
57,543 57,637
b)期日払または通知払 94 A.4
1,490,660 1,490,754
3 債務証書借入
a)負債証券 422,523,581 -15,187,421 A.5 407,336,160
9,173,893 10,081,802
b)その他 907,909 A.5
431,697,474 417,417,962
4 デリバティブ負債 0 43,757,867 B.5 43,757,867
A.3, B.5, E, G,
5 その他の負債 4,123,808 916,312 H 5,040,120
A.2, A.3, A.4,
A.5, B.1, B.4,
B.5, F
6 繰延収益 19,042,661 -18,563,322 479,339
7 引当金
a)年金制度および健康保険制度 4,751,928 970,853 D 5,722,781
99,634 48,537
b)保証引当金 -51,097 C
4,851,562 5,771,318
負債合計 466,648,263 479,400,072
8 資本金
a)応募済資本金 248,795,607 0 248,795,607
-226,604,892 -226,604,892
b)払込未請求資本金 0
22,190,715 22,190,715
9 連結準備金
a)準備基金 24,879,561 0 24,879,561
b)その他準備金 17,176,068 5,822,070 A-H 22,998,138
A.5, B.2, B.5
c)公正価値準備金 0 750,044 750,044
d) 特別活動準備金 10,303,216 0 10,303,216
2,115,966 2,115,966
e)一般貸倒準備金 0
54,474,811 61,046,925
10 当期純利益 2,460,190 -133,205 A-I 2,326,985
1,530,494 1,310,668
11 非支配持分
-219,826 E
80,656,210 86,875,293
資本合計
547,304,473 566,275,365
負債および資本合計
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連結 損益計算書
2022 年 12 月 31 日終了事業年度
(単位:千 ユーロ )
EU 会計指令 調整 IFRS
影響 参照
A.2, A.3,
B.1, B.4,
1 受取利息および類似収益 18,684,205 -374,945 B.5 18,309,260
A.5, B.5, D,
E, G, I
2 支払利息および類似費用 -15,696,562 73,215 -15,623,347
3 株式およびその他の変動利付証券からの収益 672,023 0 672,023
4 受取手数料 670,036 33 F 670,069
5 支払手数料 -383,216 0 -383,216
A.2, A.3,
A.5, B.1,
B.2, B.3,
B.4, B.5, G,
6 金融業務損益 -46,746 286,986 H 240,240
7 その他の業務収益および費用の純額 10,477 0 10,477
8 貸付金および預け金の減損ならびに保証引当
C, H
金の変動(戻入れ控除後) -30,341 71,840 41,499
9 固定金融資産として保有される譲渡可能有価
証券、株式およびその他の変動利付証券の減
C, B.3
損の変動(戻入れ控除後) -1,473 2,713 1,240
10 一般管理費
a) 人件費 -943,538 -230,735 D -1,174,273
-346,295 -306,561
b) その他の管理費 39,734 G
-1,289,833 -1,480,834
11 減価償却費および償却費:有形固定資産およ
び無形資産
a) 有形固定資産 -32,767 -43,593 G -76,360
-29,696 -29,696
b) 無形資産 0
-62,463 -106,056
12 当期純利益 2,526,107 2,351,355
65,917 24,370
少数株主に帰属する当期利益 -41,547 E
2,460,190 2,326,985
EIB 株主に帰属する当期利益
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評価および収益認識における IFRS および EU 会計指令の間の差異
A 損益を通じて公正価値で測定するものとして指定されたまたは償却原価で計上される金融資産および負債
(ヘッジ会計を含む。)
1 現金、中央銀行および郵便局預け金
EU 会計指令において、現金、中央銀行および郵便局預け金は、償却原価で計上される。経過利息は、
連結貸借対照表の「前払金および未収収益」の項目に計上される。
現金、中央銀行および郵便局預け金の利息は、連結損益計算書の「受取利息および類似収益」に計上
される。
IFRS においては、現金、中央銀行および郵便局預け金の利息は、連結損益計算書の「受取利息および
類似収益」に計上される。経過利息は、連結貸借対照表上で関連する金融商品の残高として報告され
る。
2 負債証券ポートフォリオ
EU 会計指令において、負債証券ポートフォリオは、購入価格で計上され償却原価で測定される(有価
証券流動性ポートフォリオを除く。)。経過利息は、連結貸借対照表の「前払金および未収収益」の項
目に計上される。未収割戻金およびアップフロント・フィーは、連結貸借対照表の「未払金および繰延
収益」の項目に計上される。
IFRS に基づき、グループは、適格なヘッジ対象の負債証券にヘッジ会計を適用している。これらの有
価証券の帳簿価額は、ヘッジの対象となるリスクに起因する公正価値について調整される。ヘッジ会計
に含めることのできない経済的ヘッジ対象の負債証券は、当初認識時に取消不能で公正価値オプション
に指定され、損益を通じて公正価値で測定される。
経過利息(未収割戻金控除後)および未償却のアップフロント・フィーは、連結貸借対照表上で関連
する金融商品の残高として報告される。
ヘッジ対象負債証券の公正価値変動およびヘッジの公正価値は、連結損益計算書の「金融業務損益」
に認識される。
3 貸付金および預け金
EU 会計指令において、すべての貸付金および預け金は、償却原価で計上されている。経過利息は連結
貸借対照表の「前払金および未収収益」または「未払金および繰延収益」の項目に計上される。貸付金
に係るアップフロント・フィーは償却され、連結損益計算書の「受取利息および類似収益」に認識され
る。
IFRS においては、グループは、適格なヘッジ対象の貸付金にヘッジ会計を適用している。これらの貸
付金の帳簿価額は、ヘッジの対象となるリスクに起因する公正価値について調整される。ヘッジ会計に
含めることのできない経済的ヘッジ対象の貸付金は、当初認識時に取消不能で公正価値オプションに指
定され、損益を通じて公正価値で測定される。
貸付金の公正価値変動およびヘッジの公正価値は、連結損益計算書の「金融業務損益」に認識され
る。
経過利息は、連結貸借対照表上で関連する資産の残高として報告される。
信用減損している貸付金および預け金に係る経過利息は、「受取利息および類似収益」に戻入れがな
される。
IFRS においては、貸付金に係るアップフロント・フィーは、
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・ 公正価値オプションに指定された貸付金に関して連結損益計算書上の「金融業務損益」の項目で
即時認識される。
・ 貸付金の満期までの期間にわたり償却され、ヘッジ会計および/または償却原価で測定に指定さ
れた貸付金については、連結貸借対照表の「金融機関および対顧客貸付金および預け金」の項目
で認識される。
IFRS においては、償却原価で測定される金融資産のキャッシュ・フローについて大幅な契約の変更が
なされた場合、新たな金融資産をその公正価値で計上し、条件変更に係る損益の影響額を連結損益計算
書の「金融業務損益」に計上する。
貸付金の仮勘定は、「その他の負債」から当該貸付金仮勘定が関連する貸付金残高に再分類される。
4 金融機関および顧客に対する債務
EU 会計指令において、「金融機関に対する債務」および「顧客に対する債務」は、連結貸借対照表に
おいて償還額で表示される。
金融機関および顧客に対する債務の利息は、発生主義により、連結損益計算書の「支払利息および類
似費用」または利息がマイナスの場合には「受取利息および類似収益」に計上される。経過利息は、
「未払金および繰延収益」に含められる。
IFRS においては、「金融機関に対する債務」および「顧客に対する債務」は、当初は取得原価で計上
され、連結貸借対照表では償却原価で表示される。
金融機関および顧客に対する債務の利息は、実効金利法を用いて連結損益計算書の「支払利息および
類似費用」または「受取利息および類似収益」に計上される。
経過利息は、連結貸借対照表上で関連する金融商品の残高として報告される。
5 債務証書借入
EU 会計指令において、債務証書借入は償却原価で計上される。経過利息は連結貸借対照表の「未払金
および繰延収益」の項目に計上される。「前払金および未収収益」または「未払金および繰延収益」に
計上される発行手数料および償還プレミアムまたはディスカウントは定額法で償却され、その後連結損
益計算書の「支払利息および類似費用」の項目に認識される。
IFRS においては、グループは、適格である場合は常にそのヘッジ対象の発行債務の大部分にヘッジ会
計を適用する。これらの債務証書借入の帳簿価額は、ヘッジの対象となるリスクに起因する公正価値に
ついて調整される。ヘッジ会計に含めることのできない経済的ヘッジ対象の債務証書借入は、当初認識
時に取消不能で公正価値オプションに指定され、損益を通じて公正価値で測定される。
債務証書借入の公正価値変動およびヘッジの公正価値は、連結損益計算書の「金融業務損益」に認識
される。
経過利息は、連結貸借対照表上で関連する負債性金融商品の残高として報告される。
発行手数料および償還プレミアムまたはディスカウントは、連結貸借対照表で関連する金融商品の項
目において報告され、実効金利法を用いて関連する債務証書借入の満期までの期間にわたって償却され
る。ただし、債務証書借入が損益を通じて公正価値で測定され、発行手数料、プレミアム/ディスカウ
ントおよび償還プレミアムが連結損益計算書の「金融業務損益」に即時認識される場合を除く。
公正価値オプションに指定された債務証書借入については、 IFRS 第 13 号に従い自己信用リスクを反映
した自己信用調整(「 OCA 」)が計算され、それぞれの変動額が「公正価値準備金」として「その他の包
括利益(「 OCI 」)に計上される。
IFRS において、グループは金融資産および金融負債の相殺基準を充たす1件の取引を有している。
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B 強制的に損益を通じて公正価値で分類されるまたはその他の包括利益を通じて公正価値で測定するものと
して指定された金融資産および金融負債
1 負債証券ポートフォリオ
EU 会計指令においては、有価証券流動性ポートフォリオを除く負債証券ポートフォリオは、購入価格で
計上され、償却原価で測定される。有価証券流動性ポートフォリオの負債証券は、公正価値で計上され
る。公正価値変動は、連結損益計算書の「金融業務損益」に直接反映される。経過利息は、連結貸借対照
表の「前払金および未収収益」および「未払金および繰延収益」の項目に計上される。
IFRS においては、一部の負債証券は償却原価で測定することができないため公正価値で計上しなければ
ならず、公正価値変動は直接損益に反映される。
これらの負債証券の公正価値変動は、連結損益計算書の「金融業務損益」に認識される。
経過利息は、連結貸借対照表上で関連する金融商品の残高として報告されるが、関連手数料は、連結損
益計算書の「金融業務損益」に即時認識される。
2 株式およびその他の変動利付証券
EU 会計指令においては、株式およびその他の変動利付証券は、当初は取得原価で計上され、返済による
資金の還流額が減額される。これらの帳簿価額は、その後取得原価または各貸借対照表日現在の時価のい
ずれか低い方の額に調整される。
個々の評価損益は「金融業務損益」に計上される。
IFRS においては、株式およびその他の変動利付証券は公正価値で計上され、公正価値変動は連結損益計
算書の「金融業務損益」に直接反映される。ただし、公正価値変動が「公正価値準備金」として OCI に反映
されている欧州復興開発銀行(「 EBRD 」)に対する投資を除く。
3 参加持分
EU 会計指令においては、「参加持分」は、グループの会計方針と一致した手法に基づき、 EU 会計指令に
定める持分法を用いて会計処理されている。個々の評価損益は、「固定金融資産として保有される譲渡可
能有価証券および参加持分に係る(再)評価損益」に計上される。
IFRS においては、参加持分は「株式およびその他の変動利付証券」に含められ、個々の公正価値調整は
「金融業務損益」に計上される。
4 貸付金および預け金
EU 会計指令においては、すべての貸付金および預け金は償却原価で計上される。経過利息は、連結貸借
対照表の「前払金および未収収益」または「未払金および繰延収益」の項目に計上される。貸付金に係る
アップフロント・フィーは償却され、連結損益計算書の「受取利息および類似収益」に認識される。
IFRS においては、償却原価での測定に適格でない貸付金は、損益を通じて公正価値で測定に分類され
る。これらの貸付金に係るアップフロント・フィーは、契約時に連結損益計算書の「金融業務損益」に認
識される。
貸付金の公正価値変動は、連結損益計算書の「金融業務損益」に認識される。
5 デリバティブ資産および負債
a 財務デリバティブ
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EU 会計指令において、有価証券流動性ポートフォリオに含まれるデリバティブ金融商品は、時価で
評価され、「その他の資産」または「その他の負債」に計上される。
デリバティブ金融商品について発生する利息は、「前払金および未収収益」または「未払金および
繰延収益」に表示される。
IFRS においては、すべてのデリバティブ資産および負債は連結貸借対照表で認識され、損益を通じ
て公正価値で測定される。
経過利息は、連結貸借対照表上で関連する金融商品の残高として報告される。
信用評価調整(「 CVA 」)、債務評価調整(「 DVA 」)および担保評価調整(「 CollVA 」)は、デリ
バティブの公正価値評価に含まれている。
デリバティブの公正価値変動は連結損益計算書の「金融業務損益」に認識される。
b デリバティブおよびヘッジ活動
EU 会計指令において、ヘッジ・デリバティブ金融商品は貸借対照表で認識されない。これらはオ
フ・バランスシートにおいて額面価額で報告される。
デリバティブ金融商品について発生する利息は、「前払金および未収収益」または「未払金および
繰延収益」に表示される。
アップフロント・フィー、償還プレミアムまたはプレミアム/ディスカウントは、「支払利息およ
び類似費用」として、関連するデリバティブの満期までの期間にわたり償却される。
IFRS においては、すべてのデリバティブ資産および負債は貸借対照表で認識され、損益を通じて公
正価値で測定される。
経過利息は、連結貸借対照表上で関連する金融商品の残高として報告される。
CVA 、 DVA および CollVA は、デリバティブの公正価値評価に含まれている。
デリバティブの公正価値変動は、連結損益計算書の「金融業務損益」に認識される。
為替スワップおよび外国為替予約のプレミアムおよびディスカウントの償却は、「金融業務損益」
に計上される。
ヘッジ会計におけるデリバティブについては、ヘッジ手段に指定された部分の利得または損失が連
結損益計算書に認識される。加えて、グループは、通貨ベーシス・スプレッド(「 CBS 」)の公正価値
をヘッジ手段指定から分離し、特定の会計処理を適用している。当初ヘッジ手段の指定日に測定され
た CBS の金額は OCI に計上され、連結損益計算書においてヘッジ期間にわたり定額法で償却される。 CBS
のその後の公正価値変動は、 OCI に直接認識される。
ヘッジ会計におけるデリバティブのアップフロント・フィーまたは償却プレミアムは、実効金利法
を用いて関連するデリバティブの満期までの期間にわたり償却される。ただし、これらのデリバティ
ブがヘッジ会計に指定されておらず、「金融業務損益」に即時認識される場合を除く。
IFRS により、グループは、金融資産および金融負債の相殺基準を充たす2件の取引を有している。
C 償却原価で測定される金融資産および貸付コミットメントの減損
EU 会計指令において、貸付金および預け金の評価損益は、 ( ⅰ ) それらの金額のすべてもしくは一部が回
収できないリスクが存在する場合、または ( ⅱ ) 減損しているがそのように認識されていないポートフォリ
オの貸付金もしくは発生しているが報告されていない損失を捕捉するために計上される。これらの評価損
益は、連結損益計算書の「貸付金および預け金ならびに偶発債務引当金に係る(再)評価損益」として会
計処理され、連結貸借対照表上の適切な資産項目から控除される。
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負債証券の評価損益は、それが一時的でない場合に、または減損しているがそのように認識されていな
い負債証券もしくは発生しているが報告されていない損失を捕捉するために計上される。これらの評価損
益は、連結損益計算書の「固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券および参加持分に係る(再)
評 価損益」として会計処理され、連結貸借対照表上の適切な資産項目から控除される。
IFRS により、グループは、償却原価で測定されるすべての貸付金および負債証券の損失引当金に加え、
オフ・バランスシートの貸付コミットメントの損失引当金を認識することが要求されている。この引当金
は、当初認識以降に信用リスクが著しく増大した場合、または当該金融商品が信用減損していると判断さ
れた場合は全期間予想信用損失(「 ECL 」)に基づき、そうでない場合は 12 ヵ月 ECL に基づき計上される。
金融商品の性質に応じて、 ECL 引当金は、連結貸借対照表の適切な資産項目から控除される。オフ・バラ
ンスシート項目については、貸倒引当金は「引当金 b) 保証および契約債務引当金 」の項目で報告され
る。
ECL 引当金の変動は、連結損益計算書の以下のいずれかの項目に計上される。
・ 貸付金および貸付コミットメントについては、「貸付金および預け金の減損ならびに保証引当金
の変動(戻入れ控除後)」
・ 負債証券については、「固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券、株式およびその他の
変動利付証券の減損の変動(戻入れ控除後)」
D 年金基金
EU 会計指令においては、 10 %回廊方式が採用されており、退職給付債務の 10 %を超過する当年度の数理
計算上の差異の累積額は、7年の期間にわたり定額法で「一般管理費 a) 人件費」に認識される。
IFRS において、グループは、退職後確定給付制度に関連する収益または費用を決定するために改訂され
た IAS 第 19 号を適用している。
数理計算上の差異の累積額は、全額が「その他準備金」として OCI で認識される。人件費の調整は、連結
損益計算書の「一般管理費 a) 人件費」で、利息費用の調整は「支払利息および類似費用」で認識される。
E 非支配持分の調整
EIB および欧州投資基金(「 EIF 」)は総称して「グループ」と定義されている。
EIB はその子会社の1つである EIF の EC を除く少数株主の全所有株式を対象としてプット・オプションを
付与した。
EU 会計指令において、非支配持分は連結貸借対照表上、「非支配持分に帰属する資本」として別に計上
される。プット・オプションは、グループの連結オフ・バランスシートに計上される。
IFRS においては、非支配持分は組み替えられ、対応する金融負債がオプションの行使価格の公正価値に
より「その他の負債」に認識されて親会社の株主に帰属する。その後、当該金融負債は IFRS 第9号に従っ
て測定される。すなわち、取得日後の金融負債の公正価値変動は、連結損益計算書の「支払利息および類
似費用」に認識される。非支配持分の合意価格に対する超過額または不足額は「連結準備金」に戻入れが
なされる。
F 受取手数料
グループは、 EU 会計指令および IFRS に基づき、一定期間にわたり履行義務が充足される収益からの受取
手数料を、サービス期間にわたり発生主義で認識している。一時点でのサービスの提供またはその履行に
より稼得した受取手数料(例えば業績連動)は、サービスが完了した時点で認識される。
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グループは、一定のマンデートについて、収入を受領する時期と各マンデートの全期間にグループにお
いてサービス/コストが発生する時期との間のずれに対応するために、繰延収益方針を確立している。対
応する調整が「受取手数料」に対して連結貸借対照表の「繰延収益」に計上される。
EU 会計指令において、一定の期間にわたりこの繰延メカニズムを将来に向かって適用し当会計年度の繰
延収益を認識したが、 IFRS においては、グループは修正遡及アプローチを使用し、 IFRS 第 15 号への移行時
に累積的影響額を資本に認識した。
この結果、繰延収益とそれに対応する個々の年度に計上される収益に差異が生じた。
G リース
EU 会計指令に基づき、賃借料は「一般管理費 b) その他の管理費」に計上される。
IFRS 第 16 号に従って、グループは、契約がリースに該当するかを評価する。リースに該当する場合、グ
ループは使用権資産およびリース負債を認識する。ただし、免除規定の対象となるもの(短期リース資産
および新規の取得原価を基準とした少額リース)を除く。上記の使用権資産は「有形固定資産」に認識さ
れ、対応するリース負債は「その他の負債」に認識される。
その後、グループは、原価モデルを適用して使用権資産を計上し、使用権資産を開始日からリース契約
終了時まで減価償却するとともに毎年減損評価を行う。使用権資産の減価償却は、「減価償却費および償
却費:有形固定資産および無形資産 a) 有形固定資産」に計上される。リース負債の帳簿価額は、リース料
およびリース負債に係る割引の巻戻しによる利息を反映して調整され、再評価またはリースの条件変更を
反映するため再測定が行われる。リース負債に係る割引の巻戻しによる利息は、連結損益計算書の「支払
利息および類似費用」に計上される。再評価の金額は、連結損益計算書の「金融業務損益」に計上され
る。
H 金融保証契約
EU 会計指令に基づき、金融保証による負債純額は、連結貸借対照表の「引当金 b) 保証業務に係る引当
金」に表示されている。将来の予想プレミアムの正味現在価値が予想支払義務を超過する額を表す未実現
利益は、引き続き認識されていない。
純負債の増加または減少は、連結損益計算書の「貸付金および預け金ならびに偶発債務引当金に係る
(再)評価損益」で認識される。
IFRS において、金融保証による未実現利益は、金融保証契約の測定の結果として正味資産ポジションと
なった場合、連結貸借対照表の「その他の資産」に計上される。金融保証契約の測定の結果として正味負
債ポジションとなった場合、償却後の当初 NPV が 12 ヵ月 ECL または全期間 ECL よりも高い契約については、
「その他の負債」に表示される。信用減損があり、全期間 ECL に基づいた損失引当金が認識されている保証
契約については、「保証および契約債務引当金」に表示される。金融保証に関連する「その他の資産」ま
たは「その他の負債」の増加または減少は、連結損益計算書の「金融業務損益」に認識される。保証履行
請求に対する決済以外の金融保証に伴う「保証および契約債務引当金」の増加または減少は、連結損益計
算書の「貸付金および預け金の減損ならびに保証引当金の変動(戻入れ控除後)」に認識される。
I 応募済資本金および準備金(払込請求済払込未了分)
EU 会計指令に基づき、「応募済資本金および準備金(払込請求済払込未了分)」の項目には、 2020 年3
月1日のポーランドおよびルーマニアの増資に伴う両国からの将来の支払額が含まれる。
IFRS において、当該支払額は、割引キャッシュ・フロー法を用いて割り引かれる。
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割引の影響は、当初「受取利息および類似収益」として計上され、その償却額は「支払利息および類似
費用」に計上されている。
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(6) 【その他】
当会計年度の末日後、本有価証券報告書提出日までに生じた重要な事実はない。
(7) 【発行者の属する国等の概況】
該当なし
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