武田薬品工業株式会社 有価証券報告書 第146期(2022/04/01-2023/03/31)
提出書類 | 有価証券報告書-第146期(2022/04/01-2023/03/31) |
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提出者 | 武田薬品工業株式会社 |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
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武田薬品工業株式会社(E00919)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2023年6月28日
【事業年度】 第146期(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
【会社名】 武田薬品工業株式会社
【英訳名】 Takeda Pharmaceutical Company Limited
【代表者の役職氏名】 代表取締役社長CEO クリストフ ウェバー
【本店の所在の場所】 大阪府大阪市中央区道修町四丁目1番1号
(上記は登記上の本店所在地で実際の業務は「最寄りの連絡場所」で
行っております。)
【電話番号】 該当なし
【事務連絡者氏名】 該当なし
【最寄りの連絡場所】 東京都中央区日本橋本町二丁目1番1号
(武田薬品工業株式会社武田グローバル本社)
【電話番号】 東京(3278)2111(代表)
【事務連絡者氏名】 グローバルファイナンス チーフアカウンティングオフィサー&コー
ポレートコントローラー 竹田 徳正
【縦覧に供する場所】 武田薬品工業株式会社武田グローバル本社
(東京都中央区日本橋本町二丁目1番1号)
株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
株式会社名古屋証券取引所
(名古屋市中区栄三丁目8番20号)
証券会員制法人福岡証券取引所
(福岡市中央区天神二丁目14番2号)
証券会員制法人札幌証券取引所
(札幌市中央区南一条西五丁目14番地の1)
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武田薬品工業株式会社(E00919)
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第一部 【企業情報】
第1 【企業の概況】
1 【主要な経営指標等の推移】
(1) 連結経営指標等
回次 第142期 第143期 第144期 第145期 第146期
決算年月 2019年3月 2020年3月 2021年3月 2022年3月 2023年3月
売上収益 百万円 2,097,224 3,291,188 3,197,812 3,569,006 4,027,478
税引前当期利益
百万円 127,612 △ 60,754 366,235 302,571 375,090
(△は損失)
当期利益 百万円 135,080 44,290 376,171 230,166 317,038
親会社の所有者に帰属する
百万円 135,192 44,241 376,005 230,059 317,017
当期利益
当期包括利益合計 百万円 121,595 △ 199,419 697,416 824,427 911,574
資本合計 百万円 5,185,991 4,727,486 5,177,177 5,683,523 6,354,672
資産合計 百万円 13,792,773 12,821,094 12,912,293 13,178,018 13,957,750
1株当たり親会社
円
3,332.94 3,032.22 3,308.93 3,665.61 4,087.49
所有者帰属持分
円
基本的1株当たり当期利益 140.61 28.41 240.72 147.14 204.29
希薄化後1株当たり
円
139.82 28.25 238.96 145.87 201.94
当期利益
%
親会社所有者帰属持分比率 37.6 36.8 40.1 43.1 45.5
親会社所有者帰属持分
%
3.8 0.9 7.6 4.2 5.3
当期利益率
倍
株価収益率 32.2 116.4 16.6 23.8 21.3
営業活動による
百万円 328,479 669,752 1,010,931 1,123,105 977,156
キャッシュ・フロー
投資活動による
百万円 △ 2,835,698 292,119 393,530 △ 198,125 △ 607,102
キャッシュ・フロー
財務活動による
百万円 2,946,237 △ 1,005,213 △ 1,088,354 △ 1,070,265 △ 709,148
キャッシュ・フロー
現金及び現金同等物
百万円 702,093 637,614 966,222 849,695 533,530
期末残高
従業員数 人 49,578 47,495 47,099 47,347 49,095
(注) 1 国際会計基準(以下、「IFRS」)に基づいて連結財務諸表を作成しております。
2 記載金額は百万円未満を四捨五入して表示しております。
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(2) 提出会社の経営指標等
回次 第142期 第143期 第144期 第145期 第146期
決算年月 2019年3月 2020年3月 2021年3月 2022年3月 2023年3月
売上高 百万円 651,347 616,288 602,557 764,301 632,137
経常利益 百万円 17,514 72,252 50,010 550,876 340,122
当期純利益 百万円 88,231 130,626 247,513 324,450 330,649
資本金 百万円 1,643,585 1,668,123 1,668,145 1,676,263 1,676,345
発行済株式総数 千株 1,565,006 1,576,374 1,576,388 1,582,253 1,582,296
純資産額 百万円 4,647,171 4,549,000 4,434,889 4,294,899 4,206,219
総資産額 百万円 9,534,645 10,289,304 10,856,450 9,641,648 9,407,303
1株当たり純資産額 円 2,987.94 2,919.21 2,835.81 2,769.31 2,704.87
1株当たり配当額 円 180.00 180.00 180.00 180.00 180.00
(内1株当たり中間配当額) (円) ( 90.00 ) ( 90.00 ) ( 90.00 ) ( 90.00 ) ( 90.00 )
1株当たり当期純利益 円 91.76 83.88 158.45 207.50 213.06
潜在株式調整後1株当たり当期
円 91.72 83.87 158.44 207.50 213.05
純利益
自己資本比率 % 48.7 44.2 40.8 44.5 44.7
自己資本利益率 % 2.8 2.8 5.5 7.4 7.8
株価収益率 倍 49.3 39.4 25.1 16.9 20.4
配当性向 % 196.2 214.6 113.6 86.7 84.5
従業員数 人 5,291 5,350 4,966 5,149 5,486
株主総利回り % 90.7 70.8 87.3 81.4 101.3
(比較指標:配当込みTOPIX) (%) ( 95.0 ) ( 85.9 ) ( 122.1 ) ( 124.6 ) ( 131.8 )
最高株価 円 5,418 4,625 4,365 4,115 4,478
最低株価 円 3,498 2,895 3,119 2,993 3,495
(注) 1 記載金額は百万円未満を四捨五入して表示しております。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第145期の期首から適用して
おり、第145期以降に係る提出会社の経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっ
ております。
3 最高株価および最低株価は、東京証券取引所(2022年4月3日以前は市場第一部、2022年4月4日以降はプ
ライム市場)におけるものであります。
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武田薬品工業株式会社(E00919)
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2 【沿革】
天明元年(1781年)6月 当社創業、薬種商を開業
明治4年(1871年)5月 洋薬の輸入買付を開始
大正3年(1914年)8月 武田研究部を設置
大正4年(1915年)10月 武田製薬所(現・大阪工場)を開設
大正10年(1921年)8月 大五製薬合資会社(現・連結子会社、日本製薬株式会社)を設立
大正11年(1922年)6月 武田化学薬品株式会社(1947年10月に和光純薬工業株式会社に社名を変更、2017年4月
に売却)を設立
大正14年(1925年)1月 株式会社武田長兵衛商店を設立
昭和18年(1943年)8月 武田薬品工業株式会社に社名変更
昭和21年(1946年)5月 光工場(山口県)を開設
昭和24年(1949年)5月 東京証券取引所および大阪証券取引所に株式を上場
昭和37年(1962年)8月 台湾に台湾武田 Ltd.(現・連結子会社)を設立
昭和59年(1984年)4月 大阪・東京両本社制を敷く
昭和60年(1985年)5月 米国にアボット・ラボラトリーズ社との合弁会社であるTAPファーマシューティカル
ズ株式会社(2008年4月に事業再編により100%子会社化し、同年6月に現・連結子会
社の武田ファーマシューティカルズU.S.A., Inc.と合併)を設立
昭和63年(1988年)1月 筑波研究所(茨城県)を開設 (2011年2月に湘南研究所(神奈川県)に統合)
平成4年(1992年)1月 本店を大阪市中央区道修町四丁目1番1号(現在地)に移転
平成5年(1993年)3月 米国にタケダ・アメリカ株式会社(2001年7月に武田アメリカ・ホールディングス株式
会社他と合併し武田アメリカ・ホールディングス株式会社に社名変更、2016年3月に武
田ファーマシューティカルズU.S.A., Inc.と合併)を設立
平成9年(1997年)10月 米国に武田アメリカ研究開発センター株式会社(現・連結子会社、米州武田開発セン
ター Inc.)を設立
平成9年(1997年)10月 アイルランドに武田アイルランド Limited(現・連結子会社)を設立
平成9年(1997年)12月 米国に武田アメリカ・ホールディングス株式会社(2001年7月にタケダ・アメリカ株式
会社と合併)を設立
平成10年(1998年)5月 米国に武田ファーマシューティカルズ・アメリカ株式会社(現・連結子会社、武田
ファーマシューティカルズU.S.A., Inc.)を設立
平成10年(1998年)9月 英国に武田欧州研究開発センター株式会社(現・連結子会社、欧州武田開発センター
Ltd.)を設立
平成17年(2005年)3月 米国のシリックス株式会社( 武田カリフォルニア Inc.に社名変更後、2021年7月に米
州武田開発センター Inc.(現・連結子会社)と合併)を買収
平成17年(2005年)4月 生活環境事業を営む日本エンバイロケミカルズ株式会社の株式を大阪ガス株式会社の子
会社である大阪ガスケミカル株式会社に譲渡
平成17年(2005年)6月 動物用医薬品事業を営む武田シェリング・プラウ アニマルヘルス株式会社の株式を
シェリング・プラウ株式会社に譲渡
平成18年(2006年)1月 ビタミン事業を営むBASF武田ビタミン株式会社の株式をBASFジャパン株式会社
に譲渡
平成18年(2006年)4月 化学品事業を営む三井武田ケミカル株式会社の株式を三井化学株式会社へ譲渡
平成18年(2006年)8月 英国に武田ファーマシューティカルズ・ヨーロッパ Limited(2018年7月に清算)を設立
平成19年(2007年)4月 食品事業を営む武田キリン食品株式会社の株式を麒麟麦酒株式会社に譲渡
平成19年(2007年)10月 飲料・食品事業を営むハウスウェルネスフーズ株式会社の株式をハウス食品株式会社に
譲渡
平成19年(2007年)10月 農薬事業を営む住化武田農薬株式会社の株式を住友化学株式会社に譲渡
平成20年(2008年)3月 米国アムジェン社の日本における子会社のアムジェン株式会社(2014年4月に当社に全
事業を譲渡し、同年9月に清算)を買収
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平成20年(2008年)5月 株式の公開買付けにより、米国のミレニアム・ファーマシューティカルズ Inc. (現・
連結子会社)を買収
平成20年(2008年)9月 シンガポールに武田クリニカル・リサーチ・シンガポール株式会社(現・連結子会社、
アジア武田開発センター Pte. Ltd.)を設立
平成23年(2011年)2月 湘南研究所(神奈川県)を開設
平成23年(2011年)9月 スイスのナイコメッド A/S(現・連結子会社、武田 A/S(清算予定))を買収
平成24年(2012年)6月 米国のURLファーマ Inc.を買収し、主要事業については、2012年10月に武田ファー
マシューティカルズU.S.A., Inc.に統合し、その他の事業については、2013年2月に売
却
平成24年(2012年)10月 米国のリゴサイト・ファーマシューティカルズ Inc. (現・連結子会社、武田ワクチン
Inc.)を買収
平成24年(2012年)11月 米国のエンボイ・セラピューティクス Inc.を買収し、2013年12月に武田カリフォルニ
ア Inc. (2021年7月に米州武田開発センター Inc.(現・連結子会社)と合併) と合併
平成25年(2013年)5月 米国のインビラージェン Inc. (2013年12月に武田ワクチン Inc.(現・連結子会社)と
合併)を買収
平成27年(2015年)4月 化成品事業を営む水澤化学工業株式会社の株式を大阪ガスケミカル株式会社に譲渡
平成28年(2016年)4月 日本の長期収載品事業を、イスラエルのテバ社の日本における連結子会社に会社分割に
より承継し、テバ製薬株式会社(現・持分法適用関連会社、武田テバファーマ株式会
社)の株式を取得
平成29年(2017年)2月 株式の公開買付けにより、米国のアリアド・ファーマシューティカルズ Inc.(現・連
結子会社)を買収
平成29年(2017年)4月 当社のジャパンコンシューマーヘルスケアビジネスユニット事業を、武田コンシュー
マーヘルスケア株式会社(2021年3月に売却)に会社分割により承継
平成29年(2017年)4月 試薬事業、化成品事業および臨床検査薬事業を営む和光純薬工業株式会社の株式を富士
フイルム株式会社に譲渡
平成30年(2018年)4月 湘南ヘルスイノベーションパーク(略称:湘南アイパーク)(神奈川県)を開設(湘南
研究所から呼称変更、2023年4月に産業ファンド投資法人および三菱商事株式会社に
運営事業を譲渡し、持分法適用関連会社化)
平成30年(2018年)6月 株式等の公開買付けにより、ベルギーのTiGenix NV(2020年3月に清算)を買収
平成30年(2018年)7月 武田グローバル本社(東京都中央区)を開設
平成30年(2018年)12月 ニューヨーク証券取引所に当社米国預託証券を上場
平成31年(2019年)1月 スキーム・オブ・アレンジメントにより、Shire plc.(現・連結子会社 Shire Limited
(清算予定))を買収
令和3年(2021年)3月 武田コンシューマーヘルスケア株式会社の株式をBlackstoneに譲渡
令和3年(2021年)4月 日本製薬株式会社を株式交換により100%子会社化
令和4年(2022年)10月 日本製薬株式会社の大阪工場を除く血漿分画製剤事業を当社が会社分割により承継
令和5年(2023年)2月 免疫介在性疾患領域における後期開発パイプラインを有するNimbus Lakshmi, Inc.の全
株式を取得
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3 【事業の内容】
当社グループは連結財務諸表提出会社(以下、「当社」)と連結子会社(パートナーシップを含む)180社、持分法適用関
連会社17社を合わせた198社により構成されており ます。当社グループの主要な事業は、医薬品の研究、開発、製造お
よび販売であり、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤(免疫疾患)、オンコロジー(がん)、およびニューロサ
イエンス(神経精神疾患)の主要ビジネスエリアにフォーカスしております。 研究開発については、「消化器系・炎
症性疾患」、「ニューロサイエンス」、「オンコロジー」、「希少遺伝子疾患および血液疾患」を4つの重点疾患領
域とした「革新的なバイオ医薬品」に、「血漿分画製剤」および「ワクチン」を加えた3つの分野に当社グループの
研究開発分野を絞り込み、研究開発拠点における研究開発活動、および社外パートナーとの提携を通じてパイプライ
ンの強化に取り組んでおります。
当年度末における、当社グループを構成している主要な会社の当該事業に係る位置付けの概要は次のとおりでありま
す。なお、当社グループは、「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメント情報の記載を省略しております。
日本においては、当社が研究開発、 製造および販売を行っ ております。
日本を除くその他の地域においては、各国に展開している子会社・関連会社が研究開発、 製造および販売 機能を担っ
ております。これらのうち米国における主要な子会社は武田ファーマシューティカルズ U.S.A., Inc.、バクスアルタ
US Inc.、米州武田開発センター Inc.等であり、欧州およびカナダにおいては、武田ファーマシューティカルズ・イ
ンターナショナル AG、武田 GmbH等です。またその他の地域における主要な製造および販売会社は武田(中国)国際貿
易有限公司、武田 Distribuidora Ltda.等であります。
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以上で述べた事項の概要図は次のとおりであります。
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4 【関係会社の状況】
(連結子会社(パートナーシップを含む))
2023年3月31日 現在
議決権の所有割合 関係内容
資本金
地域 名称 住所 主要な事業の内容
直接所有 間接所有 合計 役員の 資金
営業上の
又は出資金
その他
取引
(%) (%) (%) 兼任 援助
当社が資金を借
米国
武田ファーマシューティ
21 当社が医薬品 入
マサチューセッツ州 医薬品事業 72.7 27.3 100.0 - -
カルズU.S.A., Inc.(※)
米国ドル を販売 当社が家賃等の
レキシントン
支払を保証
米国
アリアド・ファーマ
6
マサチューセッツ州 医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
シューティカルズ Inc.
米国ドル
ケンブリッジ
米国
1
武田ワクチン Inc.
マサチューセッツ州 医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
米国ドル
ケンブリッジ
米国
当社が医薬品
米州武田開発センター 1
マサチューセッツ州 医薬品事業 - 100.0 100.0 - - の開発・許可 -
Inc. 米国ドル
取得を委託
レキシントン
米
米国
バクスアルタ
10 当社が社債の
イリノイ州 医薬品事業 - 100.0 100.0 - - -
米国ドル 償還を保証
Incorporated
バンノックバーン
米国
215
ダイアックス Corp.(※)
マサチューセッツ州 医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
米国ドル
レキシントン
米国
2
武田ベンチャー投資 Inc. カリフォルニア州 医薬品事業 - 100.0 100.0 有 - - -
米国ドル
サンディエゴ
国
米国
1
当社が医薬品等
バクスアルタUS Inc.
イリノイ州 医薬品事業 - 100.0 100.0 - - -
を購入
米国ドル
バンノックバーン
米国
シャイアー・ヒューマ
10
ン・ジェネティック・セ
マサチューセッツ州 医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
米国ドル
ラピーズ Inc.(※)
レキシントン
米国
バイオライフ・プラズ
0
イリノイ州 医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
マ・サービシズ LP
米国ドル
バンノックバーン
米国
武田マニュファクチャリ
10
マサチューセッツ州 - 100.0 100.0 - - - -
ングU.S.A., Inc.
米国ドル 医薬品事業
レキシントン
武田ファーマシューティ 5百万
スイス
当社が医薬品 当社が資金を
カルズ・インターナショ
スイス 医薬品事業 100.0 - 100.0 - -
を販売 借入
オプフィコン
ナル AG (※)
フラン
ドイツ 11百万
武田 GmbH
医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
コンスタンツ ユーロ
イタリア 11百万
武田イタリア S.p.A.
医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
ローマ ユーロ
オーストリア 15百万
武田オーストリア GmbH
医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
リンツ ユーロ
フランス 3百万
武田フランス S.A.S.
医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
パリ ユーロ
英国 50百万
英国武田 Limited
医薬品事業 - 100.0 100.0 - - -
-
ロンドン ポンド
欧
武田アイルランド アイルランド 396百万
医薬品事業 100.0 - 100.0 - - - -
州
Limited キルダリー ユーロ
お
シャイアー・ファーマ
よ
シューティカルズ・イン
アイルランド 6,892百万
医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
ターナショナル
ダブリン 米国ドル
び
Unlimited Company(※)
カ
シャイアー・アクイジ
ナ
ションズ・インベストメ
20
アイルランド 当社が社債の
ダ
ンツ・アイルランド
医薬品事業 100.0 - 100.0 - - -
米国ドル
ダブリン 償還を保証
Designated Activity
Company
シャイアー・アイルラン
ド・ファイナンス・ト
3,163百万
アイルランド 当社が資金を
医薬品事業 100.0 - 100.0 - 有 -
米国ドル
レーディング Limited ダブリン 貸付
(※)
カナダ
41百万
武田カナダ Inc.
医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
カナダドル
トロント
武田 Farmaceutica
スペイン
2百万
医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
Espana S.A. ユーロ
マドリード
武田マニュファクチャリ オーストリア
100千
医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
ング・オーストリア AG
ユーロ
ウィーン
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議決権の所有割合 関係内容
資本金
地域 名称 住所 主要な事業の内容
直接所有 間接所有 合計 役員の 資金
営業上の
又は出資金
その他
取引
(%) (%) (%) 兼任 援助
バクスアルタ・マニュ
3百万
スイス
ファクチャリング S.à
スイス 医薬品事業 30.5 69.5 100.0 - - - -
ヌーシャテル
フラン
r.l.
欧
バクスアルタ・イノベー オーストリア
36百万 当社がリース料
州
医薬品事業 - 100.0 100.0 - - -
ションズ GmbH ユーロ の支払を保証
ウィーン
お
2百万
スウェーデン
よ
武田 Pharma AB 医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
スウェーデン
ストックホルム
クローナ
び
カ
550千
スイス
武田 Pharma AG
スイス 医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
ナ
チューリッヒ
フラン
ダ
オランダ 5百万
武田オランダ B.V.
医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
ホーフトドルプ ユーロ
武田ファーマシューティ
26千
ロ
ロシア
カルズ Limited
シ 医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
ロシア
モスクワ
ア
Liability Company ルーブル
140百万
武田 Distribuidora
ブラジル
ブラジル 医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
Ltda.
サンパウロ
レアル
387百万
武田メキシコ S.A.de メキシコ
医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
メキシコ
中
C.V. ナウカルパン
ペソ
南
米
ブラジル 7百万
武田 Pharma Ltda.
- 100.0 100.0 - - - -
医薬品事業
サンパウロ ブラジルレアル
853百万
アルゼンチン
武田アルゼンチン S.A.
- 100.0 100.0 - - - -
アルゼンチン
医薬品事業
ブエノスアイレス
ペソ
中国 192百万
武田(中国)投資有限公司 医薬品事業 100.0 - 100.0 - - - -
上海 米国ドル
中国 16百万
武田(中国)国際貿易有限
医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
公司
上海 米国ドル
武田ファーマシューティ 韓国 2,100百万
医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
カルズ韓国 Co., Ltd.
ソウル 韓国ウォン
ア
5百万
アジア武田開発センター
ジ
シンガポール シンガポール 医薬品事業 100.0 - 100.0 - - -
ア Pte. Ltd. -
ドル
中国
155百万
天津武田薬品有限公司 医薬品事業 100.0 - 100.0 - - - -
米国ドル
天津
武田マニュファクチャリ
305百万
ング・シンガポール
シンガポール 医薬品事業 - 100.0 100.0 - - - -
米国ドル
Pte.Ltd.
その他140社
(持分法適用関連会社) 17社
(注) 1 資本金又は出資金欄には、百万単位以上の会社については百万単位未満を四捨五入した金額を、百万単位未
満千単位以上の会社については千単位未満を四捨五入した金額を記載しております。
2 主要な事業の内容欄には、セグメントの名称を記載しております。
3 武田ファーマシューティカルズU.S.A., Inc.については、売上収益(連結会社相互間の内部売上収益を除
く)の連結売上収益に占める割合が10%を超えております。
武田ファーマシューティ
カルズU.S.A., Inc.
主要な損益情報等
(百万円)
(1) 売上収益
2,186,566
(2) 営業利益
218,947
(3) 当期利益
761,856
(4) 資本合計
4,928,042
(5) 資産合計
8,948,412
4 役員の兼任に関する用語は次のとおりです。
兼任・・・当社グループの役員が該当会社の役員である場合
5 (※)は特定子会社に該当します。
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5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2023年3月31日 現在
セグメントの名称 従業員数(人)
医薬品事業 49,095
合計 49,095
(注) 1 従業員数は臨時従業員を除く正社員の就業人員数であります。なお、当社は工数換算ベース(※)で従業員
数を把握しております。
(※)正社員のうちパートタイム労働者がいる場合、フルタイム労働者に換算して人数を算出しておりま
す。
(2) 提出会社の状況
2023年3月31日 現在
従業員数(人) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(千円)
5,486 42.8 14.0 10,972
セグメントの名称 従業員数(人)
医薬品事業 5,486
合計 5,486
(注) 1 従業員数は臨時従業員を除く正社員の就業人員数であります。なお、当社は工数換算ベース(※)で従業員
数を把握しております。
(※)正社員のうちパートタイム労働者がいる場合、フルタイム労働者に換算して人数を算出しておりま
す。
2 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。
(3) 労働組合の状況
1948年に武田薬工労働組合連合会(1946年各事業場別に組織された単位組合の連合体)が組織されました。1968年7
月に連合会組織を単一化し、武田薬品労働組合と改組いたしました。 2023年3月31日 現在総数4,015人の組合員で組
織されております。
当社グループの労働組合組織としては、友誼団体として1948年に当社と資本関係・取引関係のある6組合で武田労
働組合全国協議会が結成されました。その後、1969年に武田関連労働組合全国協議会(武全協)に改称、2006年に
連合団体として武田友好関係労働組合全国連合会(武全連)を結成、2009年の武全協と武全連の統合(存続組織は
武全連)を経て、 2023年3月31日 現在は当社および連結子会社である日本製薬株式会社を含む14の企業内組合(連
合会含む)が加盟しております。
上部団体としては、武全連を通じて、連合傘下のUAゼンセンに加盟しております。
なお、労使関係について特記事項はありません。
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(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
当年度
労働者の男女の賃金の差異
管理職に占める
男性労働者の育児
男性の賃金に対する女性の賃金の割合(%)(注1)(注3)
女性労働者の割合
休業取得率(%)
パート・
(注2)
全労働者 正規雇用労働者
(%)(注1)
有期労働者
19 83 76.5 79.3 64.4
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したも
のであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の
規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」
(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものでありま
す。
3.2022年4月1日から2023年3月31日を期間とした平均年間給与(基本給、各種手当、超過労働に対する報
酬、賞与等を含み、退職手当と通勤手当を除く)および平均従業員数に基づき算出しております。当社は
同等の役割に対して公平に給与を支払うことを目指しており、一貫した等級構造、信頼できる調査会社に
よる外部調査データ、および年次給与レビュープロセスを通じてこれを実行しております。女性労働者の
平均賃金が男性労働者より低い理由は、主として上級職における女性労働者数が少ないことによるもので
す。当社では管理職やその他の上級職の女性の割合を増やすための取り組みと行動計画を策定しており、
これにより長期的には賃金の差異が縮小することを見込んでおります。
② 連結会社
当年度
管理職に占める
女性労働者の割合(%)
(注1)
42
(注) 1.当社グループ従業員の直属の上司である従業員を管理職に含めております。契約社員のみを管理する従業
員は管理職に含めておりません。
上記指標の定義や計算方法は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64
号)とは異なっております。
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第2 【事業の状況】
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
タケダの企業理念と「私たちの約束」
当社の企業理念は、当社が誰であるか、何を行うか、どのように行うか、なぜそれが重要なのかというタケダの豊か
なストーリーを伝えています。当社は、240年以上前の創業から現在に至るまで、社会にも役立つ誠実さで患者さんに
貢献しています。当社は、「私たちの価値観」(バリュー)に基づき、「私たちの約束」を果たすことを通じて「私
たちが目指す未来」(ビジョン)と「私たちの存在意義」(パーパス)を実現することを目指しています。「私たち
の約束」とは、データ、デジタルおよびテクノロジー(DD&T)の力を活用し、「Patient」(すべての患者さんのため
に)、「People」(ともに働く仲間のために)、「Planet」(いのちを育む地球のために)に取り組むことです。
私たちの存在意義(パーパス)
「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献する」
私たちが目指す未来(ビジョン)
当社のビジョンは、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために。私たち
はこの約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続けること」です。
私たちの価値観(バリュー):タケダイズム
タケダイズムとは、まず誠実であること。それは公正・正直・不屈の精神で支えられた、当社が大切にしている価
値観です。当社は、これを道しるべとしながら「1.患者さんに寄り添い(Patient)、2.人々と信頼関係を築き
(Trust)、3.社会的評価を向上させ(Reputation)、4.事業を発展させる(Business)」を日々の行動指針と
します。
私たちの約束(インペラティブ)
当社には、患者さん、ともに働く仲間、そして地域社会に対して果たすべき責任があります。この「私たちの約
束」は「私たちの存在意義」と「私たちが目指す未来」を実現するために欠かせない要素です。
すべての患者さんのために
・私たちは、倫理観をもってサイエンスの革新性を追求します。そして、人々の暮らしを豊かにする医薬品の創
出に取り組みます。また、私たちの医薬品を、より多くの人々に迅速にお届けします。
ともに働く仲間のために
・私たちは、理想的な働き方を実現します。
いのちを育む地球のために
・私たちは、自然環境の保全に寄与します。
データとデジタルの力で、イノベーションを起こします
・データを活用して導き出された成果をもとに、もっとも信頼されるバイオ医薬品企業として、これからも変革
し続けます。
当社は、最も信頼される、データ主導型で成果に重きを置いたデジタルバイオ医薬品企業に変革することを目指して
います。当社は、中核とする事業を通じて、患者さん、株主、社会に対して長期的な価値を提供するとともに、とも
に働く仲間や地域コミュニティ、さらには地球に対して良い影響を与えることができるように努めています。
事業環境
世界の製薬産業においては、イノベーションのスピードはかつてよりも速くなっており、がん免疫療法、細胞療法、
遺伝子治療等の新たな医療技術の登場によってさらに促進されていると考えています。また、新型コロナウイルス感
染症(COVID-19)の流行拡大が契機となり、世界中の人々に命を救うワクチンや治療薬を驚異的な速さで提供すると
いった新しいイノベーションの時代が到来しました。このような医療イノベーションによる成果が現れてきた一方、
高齢化や生活スタイルの変化、複合疾患に対するより高度で先進的な治療法の利用等によってヘルスケアに対する投
資額はここ10年、先進国の国内総生産や国内総所得を上回る速度で増加してきました。
このため、保険者は保険償還対象となる医薬品をより厳格に選定するようになっています。各国政府は後発品やバイ
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オシミラーの使用を促進し、薬価引き下げの圧力を強めています。また、英国の償還価格決定制度に見られるように
予測不能で急激な支払率の引き上げは、イノベーションに対する影響が懸念されます。さらに、医療アクセスの格差
が 拡大していることから、医療の公平性に対処するための医療アクセスの改善や政策に対する必要性が高まっていま
す。当社は、現在主流の「出来高払いの診療報酬モデル」から、成果に基づく支払と品質の確保を目指す「価値に基
づく保険医療モデル」への移行により、医療費の増加のペースを抑えるとともに、対象となる患者さんを拡大し、公
平性を改善することができると考えています。
地政学的な視点では、地域紛争や多国間紛争により世界経済の先行きが不透明となる中、グローバル企業はさらなる
リスクに晒されており、リスクが一段と高まっていると考えています。長引く新型コロナウイルス感染症(COVID-
19)の流行による影響と、これらの地政学的要因とが相まって、主要産業における供給の途絶、エネルギー価格の上
昇、労働市場における圧力の上昇が引き起こされています。しかしながら、世界的なパンデミックが経済や健康に及
ぼす影響を認識しつつも、次のパンデミックに備えた世界の取り組みの進展は依然として十分ではありません。新た
に世界的なパンデミックが生じた場合、計画や対策不足の結果、最も脆弱な人々が被害を受けることになります。さ
らに、公衆衛生は気候変動が及ぼす影響と密接に結びついており、気温上昇に伴い拡大する疾患や影響を受ける地域
の患者さんの医療アクセスに関連した課題が生じます。
現在のこのような事業環境の下では、当社の患者さんへのコミットメントと、患者さんをサポートするための取り組
みは、これまで以上に重要になっています。
Patient(すべての患者さんのために)
当社は、患者さんやコミュニティに高品質の医薬品やワクチンをできる限り早くお届けするために、希少疾患とより
一般的な疾患の両方において、最も高いアンメットニーズに集中して取り組んでいます。私たちは、患者さんの人生
を変え得る科学の力を追求し、開発の加速と承認取得に繋げるデータを創出し、イノベーションを推進するためにデ
ジタルの規模を拡大しています。当社の研究開発プログラムは、ヒトにおけるバリデーションがなされたターゲット
に基づき、多様なモダリティ(創薬手法)を網羅するものであり、細胞治療やデータサイエンスの領域で蓄積された
研究能力を活用して進められています。 当社は、パイプラインの開発加速から、品質と効率性の向上を図るための製
造工程におけるデジタル化、医療従事者や患者さんの対応に至るまで、データ、デジタルおよびテクノロジー
(DD&T)を幅広く活用しています。DD&Tには、当社の事業に変革をもたらし、患者さんの人生を変え得るより良い治
療経験と治療結果を生み出す可能性があると考えています。
パイプラインには成果が現れています。2022年度には、デング熱ワクチンのQDENGAが流行国を含む多くの国で承認さ
れました。当社は、当社の価値観に基づき、疾病負荷が最も高く、医薬品やワクチンへのアクセスの障壁が特に複雑
な国を優先しています。さらに、当社の段階的な価格設定戦略に沿って、より広範なアクセスを確保するため、各国
の経済発展段階や医療制度の成熟度に応じて当ワクチンの価格を調整することに取り組んでいます。主要な研究開発
活動の内容および進捗の詳細については、「6 研究開発活動」をご参照ください。
QDENGAの製造施設では、デジタル技術が製品品質と生産性の向上に役立っています。ドイツのジンゲンでは、ワクチ
ン生産を強化するために、最新の工程設備を備えたワクチン施設を建設しました。また、偽造防止技術を活用し、正
規のサプライチェーンに入るすべての製品が真正品であること、偽造ワクチンを容易に特定できることを保証し、ワ
クチンの信頼性と接種の向上を支援しています。
People(ともに働く仲間のために)
当社は、科学や技術がどれだけ進歩しても、意義のある変革をもたらすことができるのは人の力であることを認識し
ています。私たちは、どこでも、いつでも、どのようなときでも、患者さんのためにイノベーションを加速すること
を支援する、特別で包括的な職場環境を作ることを目指しています。私たちは、柔軟性の確保、定期的な対面での交
流によるインクルージョンの促進、データや知見に重点を置いた働き方を進化させることでこれを行っています。ま
た、ピープルリーダーは、チームにとって最善の働き方を実行するため率先して取り組んでいます。
当社は、このような取り組みの一環として、当社オフィスを従業員の心身の健康の維持(ウェルビーイング)と学び
を中心とした 「タケダ・コミュニティスペース」 に変革しています。これらの空間は対面での交流を最大化するた
めに設計されており、持続可能な環境において人々が集中し、協力し、より密接につながることができるものとなっ
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ています。
また、従業員のスキルアップやケイパビリティを開発し、持続的な成長に向けて、機動的で柔軟な組織を構築してい
ます。当社のオンラインの学習プラットフォームであるBloomは、従業員が専門的な学習計画を設計することを可能に
し、個人の能力の最高に到達できるよう、生涯学習の文化を醸成することを支援しています。
健康改善への取り組みの一環としては、当社は行動保健プラットフォームであるThriveと提携し、従業員の全体的な
ウェルビーイングの改善、精神的回復力の構築、生産性の向上を支援しています。
これらは、ウェルビーイングを促進し業績を向上させ、柔軟性を受け入れて定期的な対面での交流の価値を重視する
ことにつながるなど、従業員の理想的な働き方の実現を支援する取り組みであるとともに、変革を推進することで当
社の競争優位性にもなり得るものと考えています。
Planet(いのちを育む地球のために)
当社は、地球温暖化や環境汚染が人々の健康に影響を及ぼすことを認識しており、環境課題に対する高い意識とリー
ダーシップをもって取り組んでいます。「私たちの存在意義」(パーパス)を実現するためには、人々の健康には健
全な地球環境が必要であり、人々の健康に貢献するだけでは充分ではないと考えております。当社では、環境負荷を
低減するためにクリーンエネルギーを優先的に使用するだけでなく、ネットゼロの達成およびバリューチェーン全体
で温室効果ガス排出を無くすべく取り組んでいます。具体的には、当社の環境サステナビリティの取り組みとして、
Science Based Targets initiative (SBTi)企業ネットゼロ基準に従った2040年までのネットゼロの達成、天然資源の
保全、サステナビリティ原則を念頭に置いた製品の設計に注力しています。
当社は、温室効果ガス排出量削減の目標に向けて顕著な進展を遂げています。2022年9月に米国のEnel North
America社と締結した12年間のバーチャル電力販売契約では、当社の現在の事業活動におけるスコープ1および2の温
室効果ガス排出量の約20%に相当する最大で年間35万メガワット時(MWh)の再生可能エネルギークレジットを創出す
る見込みです。
当社はまた、2023年3月に、当社初のポジティブ・エネルギーを達成したビルをシンガポールに開設したことを公表
しました。建物のエネルギーの少なくとも115%は現地の再生可能電源から供給されており、消費量よりも多くの電力
を発生させています。
財務実績
当社の財務実績は、当社が新たな局面を迎えるにあたり、持続的な推進力を有していることを示しています。財務規
律により創出されるフリー・キャッシュ・フロー、利益率の向上、およびレバレッジ低下策の推進などを通じて、当
社は、成長ドライバーやパイプラインの強化に向けたさらなる投資が可能となり、株主還元も実施しています。ま
た、将来予測に基づき、当社の財務プロファイルを計画・管理することによって、インフレ耐性を高め、金利上昇に
対するエクスポージャーを最小限に抑えています。このような財務状況のもと、当社は、現在、臨床段階にある約40
の開発プログラムについて、社内の研究開発エンジンおよび200社以上との提携を通じて多様なパイプラインの拡充に
向けた取り組みを進めています。さらに、長期的な成長力を獲得するため、社内外の投資機会に戦略的に投資を行っ
ています。
TAK-279は、乾癬や炎症性腸疾患、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデスを含む複数の免疫介在性疾患において、ベ
スト・イン・クラスになり得る高度に選択的な経口アロステリックチロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬であり、 非常に
大き く 成長 する 可能性を有して います。 当社は2025年度から2027年度にかけて、乾癬を適応症として当局に承認申請
を行っていくことを目指して おり、さらに、 今後10年の成長に向けた取り組みを強化してまいります。
短期的には、2023年度に主に米国の注意欠陥/多動性障害治療剤「VYVANSE」の独占販売期間が満了することにより逆
*
風に晒されることが想定されますが、中長期的には、タケダの成長製品・新製品 が売上収益の成長を牽引していくこ
とを見込んでいます。2022年度には、当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「ENTYVIO」(国内製
品名:「エンタイビオ」)について、グローバル売上の持続的な成長見通しとバイオシミラー参入時期の想定の見直
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しに基づき、将来売上予測のレンジを引き上げました。今後の新製品の上市も売上収益の伸長をさらに加速させるも
のと見込んでいます。
中長期的には、当社は競争力のある利益率を維持し、潤沢なキャッシュ・フローを創出してまいります。当社は、研
究開発、血漿分画製剤事業や新製品の上市に対して、また、株主還元のコミットメントに向けて引き続き資金を配分
してまいります。
* タケダの成長製品・新製品(2023年度以降)
消化器系疾患:ENTYVIO、アロフィセル
希少疾患:タクザイロ、LIVTENCITY
血漿分画製剤(免疫疾患):GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、CUVITRUを含む免疫グロブリン製剤、
HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤
オンコロジー:アルンブリグ、EXKIVITY
その他:QDENGA
(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)影響軽減のための当社の取り組み)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行が発生してから3年が経過し、多くの国でCOVID-19に対するワク
チンや治療薬が広く普及し、移動制限などの厳格な感染拡大防止策が緩和されてきています。当社は、当社プロト
コールに加えて、各国・地域の公衆衛生関連規制を引き続き遵守し、従業員の健康と安全や当社医薬品を必要とさ
れている患者さんへの提供を確保するため、新しい変異株を含め、COVID-19が当社の事業活動に及ぼす潜在的な影
響を注視してまいります。
当社は、当年度、Novavax社からライセンス供与と技術移転を受けた組換えスパイクタンパクを抗原としたCOVID-19
ワクチン「ヌバキソビッド筋注」を当社の光工場において製造し、日本国内において供給を行いました。当社は、
Novavax社と協力しオミクロン株を含む変異株に対応したワクチンの開発を進めています。また、Moderna社との提
携を通じて、引き続き、COVID-19に対するmRNAワクチンである「スパイクバックス筋注」(オミクロン株対応の二
価ワクチン)の日本国内における流通支援を行ってまいります。
(ウクライナとロシアにおける事業について)
すべての患者さんと従業員を大切にするという私たちの変わらぬ約束は、危機の中において、より重要なものと
なっています。当社は従業員の安全を確保し、ウクライナや周辺地域の患者さんに必要な医薬品を提供し続けるた
めに、あらゆる努力を重ねています。
当社は、患者さんへの医薬品の安定供給を維持するために必要不可欠な活動を除き、ロシアにおける活動を中止し
ました。これには、すべての新規投資の中止、広告・宣伝活動の中止、新規の臨床試験を実施しないこと、および
進行中の臨床試験への新規患者登録の中止が含まれております。当社はタケダイズムと患者さんを中心に考えると
いう私たちの価値観、そして私たちの医薬品や治療法を必要とするウクライナやロシア、周辺地域の患者さんへの
倫理的な責任に基づいた必要不可欠な活動に注力します。それと同時に、当社はロシアに課せられたすべての国際
的な制裁を遵守しています。
また、ウクライナで被害を受けた方々への寄付金や医薬品の無償提供などの人道的支援活動を実施しました。そし
て、地域の患者さんに対する支援についても検討を続けます。
当年度のロシア/CISにおける売上収益は、連結の売上収益4兆275億円の2.2%でした(「4.経営者による財政状
態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・
検討内容、①当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容、(a)当年度の経営成績の分析、(iii)
当年度における業績の概要」の地域別売上収益をご参照ください)。これら国々における危機による当年度の当社
業績に対する重大な影響はありませんでした。しかしながら、今後の事態の進展によっては、当社の業績や財務状
況に悪影響が生じる可能性があります。
[主要製品一覧]
消化器系疾患領域における主要製品は以下の通りです。
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・ ENTYVIO (ベドリズマブ):「 ENTYVIO 」(日本 の製品名:エンタイビオ )は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎・
クローン病に対する治療剤です。「 ENTYVIO 」は、2014年に米国および欧州において発売以来、売上が伸長して
お り、2023年3月期の当社グループの売上トップ製品です。現在、「 ENTYVIO 」は 世界70カ国以上 で承認されて
います。当社は本剤の可能性を最大化するため、その他の国においても本剤の承認取得を進め、さらなる適応症
の開発を行うとともに、皮下注射製剤の開発を行います。 2023年3月期における 「 ENTYVIO 」の売上収益は 7,027
億円 となりました。
・アロフィセル(ダルバドストロセル):「アロフィセル」は、非活動期/軽度活動期の成人の管腔型クローン病
患者さんにおける、少なくとも一回以上の既存治療または生物学的製剤による治療が効果不十分であった複雑痔
瘻に対する治療薬です。「アロフィセル」は、2018年に欧州の中央審査により販売承認(MA)された、欧州初の
同種異系幹細胞療法であり、日本でも2021年に承認されました。2023年3月期における「アロフィセル」の売上
収益 は 27億円 となりました。
・タケキャブ/VOCINTI(ボノプラザンフマル酸塩):酸関連疾患の治療剤「タケキャブ」は、2015年に日本で発売
され、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制などの効能により飛躍
的な成長を遂げました。「タケキャブ」(中国の製品名:VOCINTI)は、2019年に胃食道逆流症の治療剤として
中国で承認されました。2023年3月期における「タケキャブ/VOCINTI」の売上収益は 1,087億円 となりました。
・GATTEX/レベスティブ(テデュグルチド[DNA組換え型]):非経口(静脈栄養)サポートを必要とする短腸症候群
(SBS)の治療薬です。成人用および小児用の効能を有する「GATTEX/レベスティブ」が米国、欧州、日本におい
て承認されました。2023年3月期における「GATTEX/レベスティブ」の売上収益は 931億円 となりました。
・ DEXILANT (dexlansoprazole):「DEXILANT」は、全グレードのびらん性逆流性食道炎の治療およびその維持療
法、症候性非びらん性胃食道逆流症(GERD)に伴う胸やけの緩和・治療など、胃酸関連疾患の治療薬です。当年
度において一時的に売上が伸長しましたが、後発品の市場参入により、売上は引き続き減少傾向にあると見込ま
れます。2023年3月期における「DEXILANT」の売上収益 は 694億円 となりました。
希少疾患領域における主要製品は以下の通りです。
・タクザイロ(ラナデルマブ):「タクザイロ」は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作予防に用いられます。「タ
クザイロ」は、HAEの患者さんにおいて慢性的に制御不能な酵素である血漿カリクレインに選択的に結合し、減
少させる完全ヒト型モノクローナル抗体です。「タクザイロ」は2018年に米国と欧州にて、2020年に中国にて、
2022年に日本にて承認され、さらなる地理的拡大を目指しています。2023年3月期における「タクザイロ」の売
上収益は 1,518億円 となりました。
・LIVTENCITY (maribavir):「LIVTENCITY」は、成人患者さんと小児患者さん(12歳以上で体重35 kg以上)に対
する、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、またはシドフォビルに対して遺伝子型抵抗性
(無しも含みます)を示す難治性の移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療薬であり、2021年12
月に米国において発売され、2022年11月に欧州において承認されました。「LIVTENCITY」はpUL97プロテインキ
ナーゼとその天然基質を標的として阻害する経口投与可能な最初で唯一の抗CMV治療薬であり、発売当初から売
上が順調に伸長しています。2023年3月期における「LIVTENCITY」の売上収益は 105億円 となりました。
・エラプレース(イデュルスルファーゼ):「エラプレース」は、ハンター症候群(ムコ多糖症II型またはMPS
II)に対する酵素補充治療薬です。2023年3月期における「エラプレース」の売上収益は 853億円 となりまし
た。
・リプレガル(アガルシダーゼ アルファ):「リプレガル」は、ファブリー病に対して米国以外の市場で販売さ
れ、2020年に中国でも承認された酵素補充療法治療薬です。当社は、2022年2月に大日本住友製薬株式会社から
「リプレガル」の日本における製造販売承認を承継し、同剤の販売の移管を受けました。ファブリー病は、脂肪
の分解に関与するリソソーム酵素α‑ガラクトシダーゼAの活性の欠如に起因する遺伝子性の希少疾患です。2023
年3月期における「リプレガル」の売上収益は 667億円 となりました。
・アドベイト(抗血友病因子(遺伝子組換え型)):「アドベイト」は、血友病A(血液凝固第Ⅷ因子欠乏)の治
療薬であり、出血の制御と予防、周術期管理および出血の頻度を予防または軽減するために行う定期補充療法に
使用されます。2023年3月期における「アドベイト」の売上収益は 1,182億円 となりました。
・アディノベイト/ADYNOVI(抗血友病因子(遺伝子組換え型) [PEG化]):「アディノベイト/ADYNOVI」は、血友
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病A治療薬であり、遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤です。「アディノベイト/ADYNOVI」は遺伝子組換え
型半減期延長第Ⅷ因子製剤「アドベイト」と同じ製造工程で作られ、当社がネクター社より独占的にライセンス
取 得しているPEG化(体内での循環時間を延長し、投与頻度を減らすための化学修飾処理)技術を追加したもの
です。2023年3月期における「アディノベイト/ADYNOVI」の売上収益は 666億円 となりました。
血漿分画製剤(免疫疾患)領域における主要製品は以下の通りです。
・GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG(静注用人免疫グロブリン10%製剤):「GAMMAGARD LIQUID」は、抗体補充療法用免
疫グロブリン(以下、「IG」)の液体製剤です。「GAMMAGARD LIQUID」は、原発性免疫不全症(PID)の成人お
よび2歳以上の小児患者さんに対して使用され、静注または皮下注のいずれかの方法で投与します。また、
「GAMMAGARD LIQUID」は、成人の多巣性運動ニューロパチー(MMN)患者さんに対しても静注投与にて使用され
ます。「GAMMAGARD LIQUID」は、米国以外の多くの国で製品名「KIOVIG」として販売されています。「KIOVIG」
は、欧州においてPIDおよび特定の続発性免疫不全症患者さん、ならびに成人のMMN患者さんへの使用が承認され
ています。
・ HYQVIA(ヒト免疫グロブリン注射製剤10%)):「HYQVIA」は、ヒト免疫グロブリン(IG)および遺伝子組換え
型ヒトヒアルロニダーゼ(Halozyme社よりライセンス取得)からなる製剤です。「HYQVIA」は、PID患者さんに
対して最長で1ヶ月に1回の投与で、1回あたりの注射部位一ヶ所でIGの全治療用量の投与が可能な唯一のIG皮
下注用治療薬です。「HYQVIA」は、米国では成人PID患者さんへの使用、また欧州においてPID症候群および骨髄
腫患者さんまたは重度の続発性低ガンマグロブリン血症および回帰感染を伴う慢性リンパ性白血病患者さんへの
使用が承認されております。
• CUVITRU(ヒト免疫グロブリン皮下注用20%製剤):「CUVITRU」は、原発性体液性免疫不全症の成人および2歳
以上の小児患者さんに対する補充療法に用いられます。「CUVITRU」は、欧州では特定の続発性免疫不全の治療
薬としても承認されています。「CUVITRU」は、プロリン不含で、投与部位1ヶ所あたりの耐用量内で最大60 mL
(12g)および1時間あたり60 mLまで投与可能な唯一の20%皮下IG治療薬であり、従来の皮下IG治療薬と比較し
てより少ない投与部位および短い投与時間での使用が可能です。
2023年3月期における「GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG」「HYQVIA」「CUVITRU」を含む免疫グロブリン製剤の売上収
益は 5,222億円 となりました。
・FLEXBUMIN(ヒトアルブミンバッグ製剤)およびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤):「FLEXBUMIN」および「ヒト
アルブミン」は、濃度5%および25%の液体製剤として販売されています。両製品とも、血液量減少症、一般的
な原因および火傷による低アルブミン血症、ならびに心肺バイパス手術時のポンプのプライミングに使用されま
す。また、「FLEXBUMIN」25%製剤は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびネフローゼに関連する低アルブミン
血症、ならびに新生児溶血性疾患(HDN)にも適応されます。2023年3月期における「FLEXBUMIN」および「ヒト
アルブミン(ガラス瓶製剤入り)」を含むアルブミン製剤の売上収益は 1,214億円 となりました。
オンコロジー領域における主要製品は以下の通りです。
・アルンブリグ(ブリグチニブ):「アルンブリグ」は、非小細胞肺がん(NSCLC)治療に使用される経口投与の
低分子未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤であり、2017年に米国で迅速承認され、2018年に欧州において、
2021年に日本において、販売承認を取得しました。2020年5月に米国で初めて、新たにALK陽性転移性NSCLCと診
断された患者さんに対する効能が追加され、2022年3月に中国において承認されました。2023年3月期における
「アルンブリグ」の売上収益は 206億円 となりました。
・EXKIVITY(mobocertinib):「EXKIVITY」は、プラチナ製剤ベースの化学療法を実施中あるいは実施後に病勢が
進行した上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う局所進行または転移性非小細胞肺がん
(NSCLC)の治療薬であり、2021年9月に米国において迅速承認制度のもとで承認され、2023年1月に中国の国
家薬品監督管理局(NMPA)により承認されました。発売以来、高度医療機関および開業医において売上が急速に
伸長しています。2023年3月期における「EXKIVITY」の売上収益は 37億円 となりました。
・リュープリン/ENANTONE(リュープロレリン):「リュープリン/ENANTONE」は、前立腺がんや乳がん、小児の
中枢性思春期早発症、子宮内膜症、不妊の治療や、子宮筋腫による貧血の症状改善に用いられる治療薬です。
リュープロレリンの特許期間は満了していますが、製造の観点から後発品の市場参入は限定的です。2023年3月
期における「リュープリン/ENANTONE」の売上収益は 1,113億円 となりました。
・ニンラーロ(イキサゾミブ):「ニンラーロ」は、多発性骨髄腫(MM)治療に対する初めての経口プロテアソー
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ム阻害剤です。「ニンラーロ」は、再発又は難治性の多発性骨髄腫の効能で、2015年に米国で承認されて以来、
2016年に欧州、2017年に日本、2018年に中国で承認されております。日本においては、多発性骨髄腫の維持療法
の 治療薬としても承認を受けております。2023年3月期における「ニンラーロ」の売上収益は 927億円 となりま
した。
・アドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン):「アドセトリス」は、ホジキンリンパ腫(HL)および全身性未
分化大細胞リンパ腫(sALCL)の治療に使用される抗癌剤で、2020年5月には中国で承認され世界70カ国以上で
販売承認を受けております。当社は、Seagen社と「アドセトリス」を共同開発し、米国およびカナダ以外の国で
の販売権を保有しています。2023年3月期における「アドセトリス」の売上収益は 839億円 となりました。
ニューロサイエンス領域における主要製品は以下の通りです。
・VYVANSE/ELVANSE(リスデキサンフェタミンメシル酸塩):「VYVANSE/ELVANSE」は、6歳以上の注意欠陥・多動
性障害(ADHD)患者さんおよび成人の中程度から重度の過食性障害患者さんの治療に用いられる中枢神経刺激剤で
す。2023年に米国において後発品が市場に参入することにより、今後売上は減少することが見込まれます。2023
年3月期における「VYVANSE/ELVANSE」の売上収益は 4,593億円 となりました。
・トリンテリックス(ボルチオキセチン臭化水素酸塩):「トリンテリックス」は、成人大うつ病性障害の治療に
適応される抗うつ薬です。「トリンテリックス」はH. Lundbeck A/Sと共同開発し、当社は米国および日本での
販売権を保有しており、米国では2014年、また日本では2019年より販売しています。2023年3月期における「ト
リンテリックス」の売上収益は 1,001億円 となりました。
売上収益の地域別内訳は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 事
業セグメントおよび売上収益」をご参照下さい。
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2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
ガバナンス
当社の取締役会は、ビジネスリスクおよび財務開示に関連するものを含め、当社の業務運営を監督する責任を有して
います。取締役会は、一定の意思決定権を当社の経営幹部に委譲しています。社長兼チーフ・エグゼクティブ・オ
フィサー(以下、「社長CEO」)および当社グループ各機能を統括する責任者から構成されるタケダ・エグゼクティ
ブ・チーム(TET)のメンバーは、ビジネス&サステナビリティ・コミッティー(BSC)およびリスク・エシックス&
コンプライアンス・コミッティー(RECC)を含む特定の経営幹部レベルの委員会において、当社における重要事項に
ついて意思決定を行います。BSCは、当社のサステナビリティ戦略および関連する目標、コミットメントを監督する責
任を有しています。RECCは、重要なリスクに対する緩和策を含む当社のエンタープライズ・リスク・マネジメント
(ERM)プログラムおよびグローバル・モニタリング・プログラムに関連する監視および決定事項にかかる責任を有し
ています。取締役会は、社長CEO、その他のTETメンバーおよび各経営会議体から定期的に最新情報を入手していま
す。
当社のガバナンス体制のさらなる詳細については、 「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等
(1) コーポレート・ガバナンスの概要 3. 業務執行に係る事項」 をご参照ください。
ネットゼロ戦略は、当社の企業理念に則しており、私たちの約束:「PLANET いのちを育む地球のために」によって運
用されます。これは、現在、環境面での持続可能性の観点から、様々な側面に特化した3つのプログラムにより構成
されています。
•気候変動対策プログラム
当社の気候戦略の実行および運用を担い、バリューチェーン全体で温室効果ガス排出量の削減を進めます。
•サステナビリティ・バイ・デザイン(環境配慮設計)
製品デザインのライフサイクル・シンキングを研究開発段階から取り入れることによって、バリューチェーン全体で
環境に対する影響を最小限に抑えることを目指します。
・天然資源保全プログラム
ウォーター・スチュワードシップ、責任ある廃棄物処理、生物多様性保全活動などを通じて、当社の事業が環境に直
接与える影響の削減を目指します。
リスク管理
リスク管理は、当社で働く人材、資産、社会的評価・評判(レピュテーション)を守り、当社の成長と成功に向けた
長期的な戦略を支える柱となります。
全体的なリスク管理プロセスは、取締役会の監督のもとチーフ・エシックス&コンプライアンス・オフィサーが統括
しています。また、主要な全社的リスクおよびそれらのリスクの発生防止・低減措置の実効性は、RECCおよび取締役
会によって毎年承認されています。
リスクマネジメントは全社的な事業体制に組み込まれており、全社的リスク評価プロセスによって、サステナビリ
ティに関連するリスクを含めたリスクを特定、評価し、またそのリスク低減施策を実施しています。このプロセス
は、リスクの全体像を把握し、リスクに基づいた意思決定を行う企業風土を醸成するようデザインされています。関
連する各部門は、担当領域ごとに主要なリスクとその対応への責任を担っています。
当社のリスク管理プロセスのさらなる詳細については、 「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状
況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 3. 業務執行に係る事項 <内部統制システムに関する基本的な考え
方とその整備状況> ③損失の危険の管理に関する規程その他の体制」 をご参照ください。
戦略、指標および目標
当社は、私たちの価値観(バリュー)に基づく影響を通じて、持続的な成長を実現します。そして当社のバイオ医薬
品企業としての強みと能力を活かして、患者さん、株主の皆様、および社会のための長期的な価値を創造することに
よって、従業員、地域社会、および地球に対して好影響を与え続けることで存在意義を果たしていきます。
当社は、「存在意義(パーパス)」を「目指す未来(ビジョン)」および「価値観(バリュー)」と融合させること
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で、永続的なバリューに基づく持続的成長を目指しています。当社は、ビジョンとパーパスを達成するためにどこに
注力をするべきかを示す「私たちの約束」および「優先事項」を定めています。私たちの約束は、当社およびステー
ク ホルダーにとって戦略的に重要な非財務的課題に関するESGの重要課題の特定に基づいて、「PATIENT すべての患者
さんのために」、「PEOPLE ともに働く仲間のために」、および「PLANET いのちを育む地球のために」の大きく3つ
の柱に分けられており、これらはデータやデジタル、テクノロジーを活用しながら実行されています。
PATIENT すべての患者さんのために
当社は、科学的根拠に基づき、治療選択肢の限られた患者さんや地域社会にとって、暮らしが豊かになる医薬品の
創出に取り組んでいます。これは、当社の存在意義(パーパス)の根幹となるものです。当社の研究開発(R&D)パ
イプラインは、主要な治療領域に焦点を当て、高度に多様化されています。私たちは、研究所の専門的な研究開発
能力、社外とのR&Dパートナーシップ、患者団体との連携、健康の公平性への取組み、およびデータ、デジタル、テ
クノロジーの活用などを通じて、当社製品を患者さんに提供しています。
私たちは、患者さんに高品質な医薬品を途切れることなく供給する責任があることを理解しています。この責任を
果たすために、柔軟なグローバルなサプライチェーンシステムを構築しています。戦略上、重要な製品および原薬
については複数の調達先からの購入を行い、調達方針についても地政学的リスクを考慮した戦略を有しています。
治療を最も必要とする患者さんに我々の医薬品を十分にお届けできなければ、科学的なイノベーションは大きな意
味を成しません。訓練を受けた意識の高い医療従事者やインフラの整備に加え、資金、力強い保健システム、科学
的根拠に基づく政策によって認められた医薬品、テクノロジー環境がそろっていなければ、患者さんに医薬品をお
届けすることはできません。そのため、当社では次のことを実施しております。
・患者さんの医薬品アクセスを促進するために包括的な戦略を実施し、価値に基づく医療(バリューベース・ヘル
スケア)を促進するグローバルな政策やプログラムを支援しています。私たちは、医学的・経済的な価値のある
医薬品が公平に評価されるような、革新的な医薬品の持続的かつ公平なアクセスを促進するエコシステム構築に
賛同しています。
・当社のグローバル製品(成長製品・新製品)を、患者さんにより早くお届けできるように上市しています。国の
経済レベルや医療制度の成熟度に応じた価格調整を実施し、すべての医薬品に異なる価格帯を設定しています
(ティアード・プライシング)。また、治療費を支払うことができない患者さんにも必要な医療を提供するため
に、医薬品アクセスプログラムを含む患者支援プログラムを提供しています。
・グローバルCSRプログラムを通じて、グローバル団体やNGO、NPOと連携して、低・中所得国の医療システム強化を
支援しています。
私たちの医薬品はグローバルに上市されていますが、各エリアや国ごとに、状況に応じた最適な戦略を検討してい
ます。私たちの価値観(バリュー)はグローバルで行う事業活動全体で浸透しているため、一刻を争う場合であっ
ても、各地域の従業員は、患者さんに最も近いところで価値観(バリュー)に沿った意思決定を行い、私たちの医
薬品をタイムリーに提供することができています。
当社の患者さんに対する取り組みの詳細は、 2023年7月に当社ウェブサイトに掲載を予定している 2023年統合報告
書「PATINET すべての患者さんのために」 をご参照ください。
PEOPLE ともに働く仲間のために
人材育成および人材の多様性
当社は、科学技術がどれほど進歩しても、重要な変化は常に人によってもたらされることを認識しています。私た
ちの従業員はイノベーションの源泉であり、 企業文化を形成し、 当社が、患者さん、株主、社会のために長期的な
価値を創造することを可能にしています。私たちはボトムアップ・カルチャーを重視しております。ボトムアッ
プ・カルチャーを醸成するために、定期的に開催されるタウンホール形式の質疑応答で全従業員が経営陣に直接質
問することが奨励され、グローバルCSRプログラムのパートナー選定に全従業員が参加するなどの取り組みを行って
います。また、私たちは人材を育成し、多様性、公平性、包括性(DE&I)の取り組み、従業員が心身ともに健康な
職場環境の構築、生涯学習に投資し、従業員が公私ともに充実感を得られるように支援しています。
当社では、さまざまな方法で人材育成を行っています。優れた人材を発掘し、パフォーマンス向上と能力開発を行
うためにオープンかつ継続的なディスカッションを行ったり、「クオリティ・カンバセーション」フレームワーク
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を用いて、マネージャーとチームが頻繁にコミュニケーションをとることで信頼を築き、ビジネスに好影響を及ぼ
すことができるようにしたりしています。また、高い潜在能力を持つ人材には新たな機会を与えることで、次世代
リー ダーの候補者拡充を行っています。
生涯学習は従業員のやる気や専門性を高め、新しい発想につながり、結果的に患者さんへの価値創造につながりま
す。私たちはすべての従業員に向けて厳選された能力開発および学習の機会を提供しています。当社は、従業員が
ひとつの場所でさまざまなことを日々学び続けることができるような、新しいテクノロジーにも投資をしていま
す。
当社には、80を超える国と地域でさまざまな経歴や経験を持つ人々が集まっており、多様性に富んだ文化がありま
す。その中で、従業員一人ひとりが多様な価値観や意見に触れながら、皆が力を発揮できることを望んでいます。
グローバルDE&Iカウンシルの設立など、DE&Iへの投資を加速させ、グローバル規模での健康格差や不平等さを認識
し、それに対処するためのステークホルダーとの信頼関係構築やプログラム支援に注力しています。当社の各事業
部門や拠点では、グローバルDE&Iの目標やロードマップに沿ってそれぞれ独自のDE&I目標や戦略、プログラムを設
定して事業運営に反映させています。
2023年3月31日時点で、グローバル全体における管理職に占める女性の割合は42%となっています。当社は、今後
も管理職を含めて人材の多様性の促進に努めてまいります。
社内環境整備方針
「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献する」という当社の存在意義(パーパス)は従業員が心身ともに健
康であることを前提に実現されるものです。当社は、身体面、精神面、社会面、経済面の4つの分野から従業員の
心身の健康に焦点を当てています。自己回復力を強化するための新しい学習プログラムも展開し、部下をもつ管理
職を中心にメンタルヘルスについての会話を促すためのツールを提供しています。また、ワーク・ライフ・インテ
グレーションは従業員が新しい勤務形態に適応する上で最も考慮すべき点であり、オンサイトとリモートのハイブ
リッドなワーキングなど、多様な働き方をサポートしています。具体的な勤務形態はチームによって異なります
が、オフィスの空間デザインにも工夫を凝らし、必要に応じて対面での協働をサポートするなど、働き方改革を加
速させています。
当社の人材育成、人材の多様性および社内環境整備にかかる方針のさらなる詳細は、 2023年7月に当社ウェブサイ
トに掲載を予定している 2023年統合報告書「PEOPLE ともに働く仲間のために」をご参照ください。
PLANET いのちを育む地球のために
気候変動や環境汚染、生物多様性の損失が患者さんや人々の健康に影響を及ぼす中、当社は環境への取り組みにお
いて産業界をリードできるように継続的に取り組んでいます。当社は、当社の事業活動およびバリューチェーン全
体における温室効果ガス排出量を最小化すること、天然資源および生物多様性を保全すること、ならびに持続可能
性に配慮した製品設計を行うことに重点を置いて、環境サステナビリティ活動に取り組んでいます。当社は、気候
変動に関連し識別したリスクや機会に対してレジリエンス(回復力)の強化に積極的に取り組んでいます。当社
は、深刻な物理的リスクを軽減する当社における取り組みとして、エネルギーや水の保全、また、可能な場合には
再生可能エネルギーへの移行を通じて、温室効果ガスによる環境への負荷を抑える活動を推進しています。また、
サプライチェーンにおける物理的リスクに対しては、許容できないリスクがサプライチェーンにもたらされること
がないよう、主要サプライヤーの気候変動関連リスクの審査を行っています。
当社は、気候変動に関する戦略を実施し、主要業績評価指標(KPI)や測定基準を決定、それらの進捗を管理するた
め「気候変動対策プログラム」を導入しています。この気候変動対策プログラムでは、サプライチェーン全体での
カーボン・ニュートラルを維持しつつ、直接的、間接的およびサプライチェーンにおける温室効果ガス排出量の最
小化、再生可能エネルギーへの投資と利用拡大、効果的な炭素隔離と除去プロジェクトの支援など、様々な目標に
重点を置いています。
当社は、スコープ1および2の温室効果ガス排出量を、2025年度までに2016年度基準から40%削減する目標を2020
年に設定し、この目標はSBTi(科学的根拠に基づく目標イニシアチブ)の認証を取得しました。また、2022年に
は、2035年までに当社の事業活動に起因する温室効果ガス排出量(スコープ1および2)を、2040年までに当社の
(注1)
バリューチェーン全体における温室効果ガス排出量(スコープ3の温室効果ガス排出量の見積もり を含む)
(注2)
をネット・ゼロ にする新しい目標を公表しました。当社は今後、これらの目標についてSBTi認証の申請を行
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う予定です。
(注1)実際のスコープ3の排出量は測定が困難であり不透明性が残ることからも、これらは取り組みを進めていく上で今後克服すべき重
要な課題です。
(注2)当社は、SBTiの企業ネットゼロ基準に従ってネット・ゼロ排出量を定義しています。
2022年度実績
スコープ 目標
(1,000MTCO2e)
スコープ1 277
2035年までに当社の事業活動における温室効果ガス
排出量(スコープ1および2)のネットゼロを達成
スコープ2(マーケットベース) 169
当社の環境への取り組みのさらなる詳細は、2023年7月に当社ウェブサイトに掲載を予定している2023年統合報告
書「PLANET いのちを育む地球のために」をご参照ください。
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3 【事業等のリスク】
当社の業績は、現在および将来において様々なリスクにさらされており、リスクの顕在化により予期せぬ業績の変
動を被る可能性があります。以下では、当社が事業を展開していくうえで直面しうる主なリスクを記載いたしま
す。なお、以下に記載したリスクは当社の全てのリスクを網羅したものではなく、記載以外の潜在的かつ不確実な
リスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。
当社のグローバルリスク管理ポリシーについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況
等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 3.業務執行に係る事項 <内部統制システムに関する基本的な考
え方およびその整備状況> ③ 損失の危険の管理に関する規程その他の体制」をご参照ください。
なお、本項目に含まれる将来に関する事項およびリスクは、当年度末現在において判断したものです 。
( 1)研究開発に関するリスク
当社は、持続的成長を実現するために、最先端の科学で革新的な医薬品を創出することを目指しています。当社
は、研究開発機能の向上および社外パートナーとの提携等により研究開発パイプラインを強化すると共に、世界各
国の市場への一日も早い新製品の上市を目指し、質の高い革新的な研究開発パイプラインを構築することで研究開
発の成功確率を高める等により効率的な研究開発活動に努めております。しかしながら、医薬品は、自社創製候補
物質、導入候補物質にかかわらず、所轄官庁の定めた有効性と安全性に関する厳格な審査により承認されてはじめ
て上市可能となります。
研究開発の途上において、当該候補物質の有効性・安全性が、承認に必要とされる水準を充たさないことが判明し
た場合またはその懸念があると審査当局が判断した場合、その時点で当該候補物質の研究開発を途中で断念、また
は追加の臨床試験・非臨床試験を実施せざるを得ず、それまでにかかったコストを回収できないリスクや製品の上
市が遅延するリスク、および研究開発戦略の軌道修正を余儀なくされる可能性があります。
(2)知的財産権に関するリスク
当社の製品は、物質・製法・製剤・用途特許等の複数の特許によって、一定期間保護されております。
当社では特許権を含む知的財産権を厳しく管理し、当社が事業を行う市場における知的財産権や第三者からの侵害
状況を継続的にモニタリング、評価および分析し、知的財産権に関するリスクの回避と、受けうる影響の低減を
図っていますが、当社の保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が大幅に失われ
る可能性があります。また、当社の自社製品等が第三者の知的財産権を侵害した場合には製造販売の差止めおよび
損害賠償等を請求される可能性があります。
(3)特許権満了等による売上低下リスク
当社は、効能追加や剤型変更等により製品のライフサイクルを延長する努力をしておりますが、多くの製品につい
て、特許または規制上の独占権の喪失・満了による後発品の市場参入は避けられず、米国や欧州では後発品が参入
すれば通常、短期間で先発品から後発品へ切り替わり、先発品の収益が大きく減少します。国内では、当局が後発
品の使用促進を積極的に進め、また、長期収載品のさらなる価格引下げが行われています。これに加え、競合品の
特許権満了によるその後発品、および競合品のスイッチOTC薬の出現などによって、国内外の競争環境は格段に厳し
いものになってきており、その影響如何で当社製品の大幅な売上低下を招く可能性があります。
なお、特許権満了時期等の詳細については「第2 事業の状況 6 研究開発活動 知的財産 」をご参照ください 。
(4)副作用に関するリスク
医薬品は、世界各国の所轄官庁の厳しい審査を経て発売されます。当社は発売後の医薬品について安全性情報を収
集し有効性とリスクのバランスを評価することを含め、安全性監視活動とリスク最小化活動を実施し、ファーマコ
ビジランス活動を推進し、副作用に関するリスクの回避と受けうる影響の低減に努力しておりますが、市販後の使
用成績が蓄積された結果、発売時には予期していなかった副作用が確認されることがあります。新たな副作用が確
認された場合には、添付文書の「使用上の注意」への記載を行う、使用する対象患者を制限する、使用方法を制限
するなどの処置が必要となるほか、重篤なケースが認められた場合には、販売中止・回収等を余儀なくされること
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もあり得ます。また、このような場合において、当社は製造物責任を負うとともに、金銭的、法的および社会的信
頼に関する損害を負う可能性があります 。
(5)薬剤費抑制策による価格引き下げのリスク
医薬品市場では、多くの国々において医療予算の削減が推進され、医療技術評価および国際価格を参照する政策に
より医薬品価格が低下しています。最大市場である米国では、医薬品価格を下げるための医療計画や仲介機関によ
る取り組みに加え、継続的な法令および規制の制定により先発品への価格引き下げ圧力が一層高まっています。日
本においては、政府による一層の後発品の使用促進に加え、医療保険制度における多くの製品の公定薬価が、毎年
引き下げられております。欧州においても、薬剤費を抑制し、価格透明性を高め、国際価格を参照する政策によ
り、医薬品価格が低下しております。当社は、各国の薬剤費抑制策の詳細な分析やモニタリングを行い、医薬品の
価格状況を管理する組織体制を構築することでリスクの回避と影響低減の努力を行うと共に、各国政府や医療サー
ビス供給者・保険者等と協力して、革新的な医薬品に対する適切な報酬制度を確立するために、価値に基づく新し
い価格設定モデル等の解決策を追求しておりますが、これら各国の薬剤費抑制策による価格引き下げにより、当社
製品の価格が影響を受け、当社の業績および財務状況に悪影響が生じる可能性があります。
(6)企業買収に関するリスク
当社は、持続的な成長を加速させるため、必要に応じて企業買収を実施しております。世界各国における事業活動
は、法令や規則の変更、政情不安、経済動向の不確実性、商慣習の相違その他のリスクに直面する可能性があり、
その結果当初想定した買収効果や利益が実現されない可能性があります。取得した資産の価値が下落し、評価損等
が発生した場合や、買収した事業の統合から得ることが期待されている利益が実現されない場合には、のれんおよ
び無形資産等の減損損失の計上等により、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、過去の企業買収に関連する金融機関からの多額の借入れを含め、当社は多額の債務を負っております。当社
は、利益の創出および選択的な非中核資産の売却等を通じてレバレッジの速やかな低下を進めておりますが、将来
の当社の財務状況が悪化した場合には、信用格付けが引き下げられ、その結果、既存の債務の借り換えや新規借入
れ、その他資金調達の条件にも影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社の債務には制限条項が付されている
ものがあり、かかる制限条項に抵触した場合には、債務の早期返済等により当社の財務状況に影響を及ぼす可能性
があります。
(7)安定供給に関するリスク
当社は、販売網のグローバル化に確実に対応するとともに、当社製品への需要に対し適切な供給量を確保していく
ため、供給ネットワークと品質保証体制を強化しており、具体的には、製造設備への適切な投資、必要に応じて複
数のサプライヤーと適切な在庫水準を確保するための製造供給戦略の策定、代替サプライヤーの選定、当社内の製
造ネットワークに係る危機管理規則の制定、事業継続管理システムの導入および定期的な内部監査等を行っていま
す。しかしながら、当社または委託先の製造施設・物流施設等において、技術上もしくは法規制上の問題、原材料
の不足、想定を超える需要、または自然災害の発生や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等の新興感染症の流
行、進出国における紛争等により、製商品の安定的供給に支障が発生する可能性があります。その動向によって
は、当社の業績、財務状況および社会的信頼に影響を及ぼす可能性があります。
(8)IT セキュリティ及び情報管理に関するリスク
当社は、顧客ニーズに合致したデジタルビジネスモデルへ移行するためデジタル変革を加速しております。また、
事業の特性上、センシティブな個人情報を含む大量の機密情報を取り扱っており、データ保護の重要性がいっそう
高まっております。大規模かつ複雑なIS/IT システム(アウトソーシング企業のシステムを含む)の利用は、従業
員またはアウトソーシング企業の不注意または故意の行為、あるいは悪意をもった第三者による攻撃(サイバーア
タック)により、システムの停止やセキュリティ上の問題が発生する可能性があります。当社は、これらのリスク
を低減するため、包括的なポリシーや手続きを整備するとともに、リスク評価を通じた事業リスク分析および監査
や第三者によるリスク低減テストを通じて、セキュリティ戦略の形成とクラウド活用を前提とした事業変革の推進
を含む効果的なテクノロジーへの投資を行うことによりセキュリティの継続的な強化に努めておりますが、システ
ムの停止やセキュリティ上の問題が発生した場合、当社の事業活動への悪影響、個人情報や知的財産等の重大な機
密情報の流出や喪失、業績および財務状況の悪化、法的な損害ならびに信用の失墜を招く可能性があります。
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(9)コンプライアンスに関するリスク
当社は事業の遂行にあたって、薬事規制や製造物責任、独占禁止法、個人情報保護法等の様々な法的規制やGMP
(Good Manufacturing Practice)、GQP(Good Quality Practice)、GCP (Good Clinical Practice)、GLP (Good
Laboratory Practice)等のガイドラインの適用を受けています。また、当社は多数のエージェント、サプライヤー
や卸売業者等の第三者と協力関係にあり、当社の事業活動はこれらの第三者による業務遂行の影響を受けていま
す。さらに、当社はソーシャルメディア・プラットフォームを含むデジタルプラットフォームの使用が増加してお
りますが、これらが法令および社内規定に遵守しない方法により使用される可能性があります。当社は、グローバ
ルエシックス&コンプライアンス部門を設置し、グローバルでコンプライアンスを推進する体制を整備し、当社お
よび当社が関係する第三者の事業活動が法令および社内規定を遵守して実施されていることをモニタリングしてい
ますが、当社の従業員や、当社が関係する第三者がこれらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動を
とった場合、法令による処罰や制裁、規制当局による処分、訴訟の提起を受ける可能性があり、社会的な信頼を失
うとともに金銭的損害を負う可能性があります。
(10)進出国および地域におけるカントリーリスク
当社は、グローバルな事業展開に伴い、進出国や地域における政治不安、経済情勢の悪化、新型コロナウイルス感
染症(COVID-19)等の新興感染症の拡大、社会混乱、各国・地域間における地政学的緊張の高まり等によるリスク
にさらされています。当社は、各部門の連携のもと、これらのリスクが当社の事業に与える影響の分析や各地域に
おける社会情勢のモニタリング等を通じてリスクに対応する体制を構築しており、患者さんの医薬品へのアクセス
を保護することを優先事項として、リスクの抑止策や発生時の対処法を検討する等のリスク管理に努めておりま
す。しかしながら、当社または当社と協力関係にある第三者が事業を行っている地域において、不測の事態が生じ
た場合には、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、ウクライナおよびロシアにおけ
る事業については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(ウクライナとロシアにお
ける事業について)」をご参照ください。
(11)為替変動、金利変動およびインフレーションに関するリスク
当社の当年度における海外売上収益は 3兆5,154億円 であり、連結売上収益全体の 87.3% を占めており、そのうち米
国での売上収益は 2兆1,038億円 にのぼり、連結売上収益全体の 52.2% を占めております。 従って、売上収益につい
ては円安は増加要因である一方、研究開発費をはじめとする海外費用が円安により増加するため、利益に対する影
響は双方向にあります。また、機能通貨以外で実行される事業上の取引、金融取引および投資に関して為替変動リ
スクにさらされています。さらに、金利変動による資金調達コストの上昇や、世界的なインフレーションの進行が
当社の利益を圧迫する可能性があります。当社は為替および金利リスクを集約的に管理し、これらの財務リスクを
ヘッジするためにデリバティブ取引を行うとともに、取引先との契約条件の見直し等により潜在的な影響の緩和を
図っておりますが、経済環境や金融市況が当社の想定を超えて変動した場合には、当社の業績および財務状況に影
響が生じる可能性があります。
(12)訴訟等に関するリスク
当社の事業活動に関連して、現在関与している訴訟のほか、将来、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題、公正
取引等に関連し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては、当社の業績および財務状況に影響を及ぼ
す可能性があります。なお、係属中の重要な訴訟の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)
連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。
(13)環境に関するリスク
環境保全に対する責務の遂行は、当社の事業の発展に不可欠であり、当社の価値観(バリュー)に沿うものです。
これは、単に正しい行いをするというだけではなく、患者さんの命を救い、人生を変えうるような医薬品やワクチ
ンを責任をもってお届けできるようにするものです。そのために、当社は、ステークホルダーからの期待に沿いつ
つ法規制への準拠を実現する厳格な環境マネジメントシステムおよび社内プログラムを整備するとともに、これら
が有効に運用され、期待する結果を達成していることを確認するための内部監査手続を定めております。しかしな
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がら、万が一、有害物質による予期せぬ汚染や法規制への不適合、不十分な環境保全活動が顕在化した場合には、
社会的信頼を損なうとともに、行政措置の対象となり、保険の適用範囲外または補償金額を超える支払義務を伴う
改 善措置の実施や法的責任を負うことにより、当社の事業活動に悪影響が生じる可能性があります。また、環境法
規制の改正や社会の期待の変化により、より厳しい要請への対応が課せられ、当社の研究、開発、製造その他の事
業活動に影響がおよぶ可能性もあります。かかる要件の遵守や課題への対応が行われない場合には、法規制上の責
任を負い、当社の社会的信頼に影響を及ぼすとともに、当社の業務遂行能力に悪影響が生じ、ステークホルダーに
対する魅力が低下する可能性があります。
当社は、気候変動を、人々の健康に大きな影響を及ぼす深刻なグローバル課題であるとともに、当社の事業に財務
的なリスクをもたらす可能性のある課題であると認識しております。2021年度に、当社は気候変動リスクの評価を
完了しました。当該評価は当社の一定の直接的な事業活動のみを対象としており、当社は、2030年度までの時間軸
と2050年度までの時間軸について、気候変動に対する全世界における対応状況によって異なる3つの気候変動シナ
リオ(すなわち、「未対応(No Action)」「対応中(Middle of the Road)」「大幅に低減(Aggressive
Mitigation)」)を設定しました。この評価プロセスにより、当社に直接該当する気候変動リスク・カテゴリーを
特定することができました。これには、地域社会への影響や、当社の血漿分画製剤事業におけるドナー提供の潜在
的な減少に繋がる疾病の増加や感染症蔓延等の地理的な拡大、コスト増加に繋がるエネルギー/カーボンの価格付
けと政策、気候変動に関する目標を達成できないことによる社会的信頼への悪影響、異常気象や類似の事象に当社
の施設等がさらされていることによる直接的な物理的リスク、当社の重要なサプライヤーを通じた間接的な気候変
動リスクが含まれます。当社は、現在識別されているリスクはいずれも、短期的に当社に重要な財務影響を与え得
るものではないものの、私たちの社会が現在の気候変動の傾向に適切に対処できない場合には、状況が変わる可能
性があることを認識しております。また、リスク評価から最大の効果を得るため、継続的に評価の前提条件を見直
すとともに、気候変動関連リスクの評価範囲を拡大する必要性も認識しています。 当社は、引き続き、予測分析と
リスク軽減のための施策の精度を向上させ、起こりうる気候変動関連リスク要因の理解を深めるために取り組んで
いきます。このように、気候変動関連リスクの現在の評価は限定的ですが、当社は、現在までに識別されている気
候変動関連リスクに対処し、特定された機会を追求する状況に十分にあると考えております。また、当社は、気候
変動関連リスクを全社的リスク管理体制に組み込み、潜在的な影響を緩和するため、低炭素型事業への移行を進め
ております。当社は、2020年以降(2019年度の排出量について)カーボンニュートラルを達成しており、社内での省
エネルギー施策、施設の電化、再生可能エネルギーの調達、再生可能エネルギー証書と高品質な第三者検証済の
カーボンオフセットへの投資による二酸化炭素排出量の削減に継続的に取り組んでおります。
当社の重要なステークホルダーは当社に対して優れた環境保全活動を遂行することを期待していると認識してお
り、当社は自社の製品および事業活動から生じる環境への影響を緩和するための方策を継続的に模索しておりま
す。そのため、当社は、気候変動対策戦略を補完するものとして、ウォーター・スチュワードシップ、責任ある廃
棄物処理、生物多様性保全活動を含む天然資源保全の領域に引き続き注力するとともに、製品のライフサイクルを
通じて環境への影響を最小限に抑えるため、製品の開発段階から持続可能性に配慮した取り組みを実施していま
す。これらの取り組みにより成果が得られた場合には、地球の生態系と人々の健康を守りながら、当社に対する社
会的評価の向上と当社事業の強化に繋がることとなり、患者さんに貢献するという当社の揺るぎない使命を果たし
続けられることになります。一方で、当社が掲げている持続可能性の高い目標に基づいた行動を実施できない場合
や、ステークホルダーの期待に沿う結果が得られない場合には、当社に対する社会的信頼が損なわれ、その結果、
従業員の採用・維持や顧客や投資家との関係の構築において問題が生じ、当社の業績および財務状況に影響が及ぶ
可能性があります。
(14)人材の採用および定着に関するリスク
当社の長期的に持続可能な成長には、人材の獲得競争の激しい市場や地域において、事業を支える適切な人材の採
用と定着が重要であると認識しております。当社は、組織の有効性、文化、価値観を維持しながら、働き方の柔軟
性をより高め、職場環境をより良くし、多様性、公平性、包括性(DE&I)を促進する施策を実施するとともに、継
続的なキャリア開発機会の提供やエンゲージメントの推進を図り、従業員に対して魅力的な価値を提案すること
で、人材採用における競争力の強化と人材の定着を促進しております。しかしながら、計画通りに採用や定着が進
まない場合は、人材の喪失や不足を通じて、当社の競争力が低下し、その結果、当社の業績および財務状況に影響
が及ぶ可能性があります。
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4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。
売上収益 4兆275億円 [前年度比 4,585億円 ( 12.8%) 増 ]
[ 〃
研究開発費 6,333億円 1,072億円 ( 20.4%) 増 ]
[ 〃
営業利益 4,905億円 297億円 ( 6.4%) 増 ]
[ 〃
税引前当期利益 3,751億円 725億円 ( 24.0%) 増 ]
[ 〃
3,170億円 869億円 ( 37.7%) 増 ]
当期利益
[ 〃
基本的1株当たり利益 204円29銭 57円15銭 ( 38.8%) 増 ]
資産合計 13兆9,578億円 [前年度末比 7,797億円 ( 5.9%) 増 ]
[ 〃
負債合計 7兆6,031億円 1,086億円 ( 1.4%) 増 ]
[ 〃
資本合計 6兆3,547億円 6,711億円 ( 11.8%) 増 ]
なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を
省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」をご参照下さい。
③ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
当年度における生産実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 金額(百万円) 前期比(%)
医薬品事業 2,236,925 34.5
合計 2,236,925 34.5
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 生産実績金額は、販売価格によっております。
(b) 受注状況
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しており、一部の受注生産における 受注高およ
び受注残高の金額に重要性はありません。
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(c) 販売実績
当年度における販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 金額(百万円) 前年同期比(%)
医薬品事業 4,027,478 12.8
(国内) ( 512,043 ) ( △22.3 )
(
(海外) 3,515,435 ) ( 20.8 )
連結損益計算書計上額
(うちライセンス供与による収
4,027,478 12.8
益・役務収益)
( 105,198 ) ( △61.5 )
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。
3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。なお、総販売実績に対
する割合が100分の10未満となっている年度については記載を省略しております。
前年度 当年度
相手先
金額(百万円) 割合(%) 金額(百万円) 割合(%)
アメリソースバーゲン・
コーポレーションおよび 504,487 14.1 575,294 14.3
そのグループ会社
マッケソン・コーポレー
ションおよびそのグルー 406,709 11.4 540,356 13.4
プ会社
カーディナルヘルス Inc.
- - 424,527 10.5
およびそのグループ会社
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
(a) 当年度の経営成績の分析
(ⅰ) 当社グループの経営成績に影響を与える事項
事業の概況
当社は、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな
研究開発型のバイオ医薬品企業です。当社は、幅広い医薬品のポートフォリオを有し、研究、開発、製造、および
グローバルでの販売を主要な事業としており、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤(免疫疾患)、オンコロ
ジー(がん)、およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の5つの主要ビジネスエリアにフォーカスしておりま
(注)
す。研究開発においては、消化器系・炎症性疾患 、ニューロサイエンス、オンコロジー、希少遺伝子疾患およ
び血液疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。当社
は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプ
ラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けしま
す。当社は、約80の国と地域で医薬品を販売しており、世界中に製造拠点を有するとともに、日本および米国に主
要な研究拠点を有しています。
当社はこれまで、地理的拠点の拡大、オンコロジー、消化器系疾患ならびにニューロサイエンス領域を強化すると
ともに、希少疾患および血漿分画製剤での主導的地位を構築し、パイプラインの拡充にも取り組んできました。販
売においては、米国、欧州および成長新興国におけるプレゼンスを飛躍的に向上させました。また、当社は事業運
営をより効果的かつ効率的に行い、より大きなイノベーションを創出し、ステークホルダーに価値を提供すること
に繋げるため、データとテクノロジーの活用促進に集中して取り組みました。
当社グループの事業は単一セグメントであり、資源配分、業績評価、および将来業績の予測においてマネジメント
の財務情報に対する視点と整合しております。 2023年3月 期における売上収益および営業利益はそれぞれ 4兆275億
円 および 4,905億円 であります。
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(注)本疾患領域名は、従来の「消化器系疾患」から「消化器系・炎症性疾患」に名称変更しています。詳細は
「6 研究開発活動」をご参照ください。
当社グループの経営成績に影響を与える事項
当社グループの経営成績は、グローバルな業界トレンドや事業環境における以下の事項に影響を受けます。
特許保護と後発品との競争
医薬品は特に、特許保護や規制上の独占権によって市場競争が規制されることにより、当社グループの業績に貢献
する場合があります。代替治療の利用が容易でない新製品は当社グループの売上の増加に貢献します。ただし、保
護されている製品についても、効能、副作用や価格面で他社との競争が存在します。一方で、特許保護もしくは規
制上の独占権の喪失や満了により、後発品が市場に参入するため、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼすこ
とがあります。当社グループの主要製品の一部は、特許やその他の知的財産権保護の満了により、厳しい競争に晒
されており、あるいは晒されると予想しております。例えば、米国において当社グループの最大の売上製品の一つ
であるベルケイドに含まれる有効成分のボルテゾミブの特許権が満了したことにより、ボルテゾミブを含む競合製
品が販売されています。これにより、2022年にベルケイドの売上が減少し、その結果、競合品がさらに市場に参入
することにより売上がさらに大幅に減少する可能性があります。 VYVANSEに対する特許保護は、2023年8月に米国に
おいて失効する予定であり、また、2023年2月にアジルバの後発品が日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)によ
り承認されたことを受け(競合品の薬価収載は2023年6月に承認)、関連する国・地域において、VYVANSEおよびア
ジルバの売上が減少すると予想しております。後発品を販売する他社が特許権の有効性に対する申し立てに成功す
る場合、もしくは想定される特許侵害訴訟に係る費用以上のベネフィットを前提として参入することを決定する場
合があります。また、当社グループの特許権の有効性、あるいは製品保護に対する申し立てが提起された場合に
は、関連する無形資産の減損損失を認識する可能性があります。
買収
当社グループは、研究開発能力を拡大し(新たな手法に展開することを含みます。)、新しい製品(開発パイプラ
インや上市済み製品)やその他の戦略的領域を獲得するために、新たな事業または資産を買収する可能性がありま
す。同様に、当社グループの主な成長ドライバーに注力するため、また当社グループのポートフォリオを維持する
ために、事業や製品ラインを売却しております。
2023年2月、当社グループは、高度に選択的な経口アロステリックチロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬TAK‑279に関
連する知的財産権およびその他の関連する資産を所有または支配する、Nimbus Therapeutics, LLC(以下、
「Nimbus社」)の完全子会社であったNimbus Lakshmi, Inc.の全株式を取得しました。契約条件にもとづき、当社
グループは一時金として40億米ドルを本取引完了後に支払い(注1)、また、「TAK‑279」(Nimbus社における旧
「NDI‑034858」)のプログラムから開発された製品の年間の売上高が40億米ドルと50億米ドルとなった場合には、
それぞれにつき10億米ドルのマイルストンを同社に支払います。さらに、本取引に関連して、当社グループは、
Nimbus社とBristol‑Myers Squibおよびその子会社である Celgene Corporationとの間の2022年1月の和解契約にお
けるNimbus社の義務である「TAK‑279」のプログラムから開発された製品の開発、薬事規制上の承認、および売上に
関するマイルストン支払い義務を引き受けることに合意しました。
これらの買収は企業結合または資産の取得として会計処理されております。企業結合の場合、取得した資産および
引き受けた負債は公正価値で計上されております。当社グループの業績は、通常、棚卸資産の公正価値の増加や、
取得した有形固定資産および無形資産の償却費により影響を受けます。また、資産の取得の場合、取得した資産は
取引価格で計上されております。企業結合または資産の取得の対価が追加的な借入金で賄われている場合、支払利
息の増加も当社グループの業績に影響を与えます。
買収および上記の影響により、当社グループの業績は期間比較ができない可能性があります。
(注1 )当社グループは、一時金40億米ドルのうち、2023年2月に30億米ドル、2023年4月に9億米ドルを支払っ
ております。残額の1億米ドルは2023年8月に支払を予定しております。
事業売却
買収に加え、当社グループは、主要な成長ドライバーに注力し、また長期借入金を速やかに返済するための追加
キャッシュ・フローを創出するため、事業や製品ラインを売却しました。2022年3月期から2023年3月期および本
報告書提出日時点における主要な事業売却は以下となります。
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• 2021年4月、当社グループは、日本における当社の非中核資産である一部の製品を、総額1,330億円で、帝人
ファーマ株式会社に資産譲渡しました。2022年3月期において税引前当期利益に対する1,314億円の増益影響を
計 上しました。
• 2022年3月、当社グループは、中国で販売する当社の非中核資産である一部の医療用医薬品を、総額230百万米
ドル(307億円(注1))でHasten Biopharmaceutic Co., Ltd. (China) に資産譲渡し、2022年3月期におい
て56億円の譲渡益を計上しました。
(注1) 2023年3月31日期末為替レートである1米ドル133.5円を用いて日本円に換算しております。
原材料の調達による影響
重要な原材料を社内外から調達することができない場合に、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性がありま
す。例えば、ヒト血漿は当社グループの血漿分画製剤において重要な原材料であります。血漿をより多く収集する
ため、調達および外部との契約を強化し、原料血漿の収集や血漿分画に関連する施設への委託、および規制当局か
ら承認を受けることに成功するための取り組みを行っております。
外国為替変動
2023年3月 期において、当社グループでは日本以外の売上が87.3%を占めております。当社グループの収益および
費用は、特に当社の表示通貨である日本円に対する米ドルおよびユーロの外国為替レートの変動に影響を受けま
す。円安は日本円以外の通貨による収益の増加要因となり当社グループの業績に好影響を及ぼしますが、日本円以
外の通貨による費用の増加により相殺される可能性があります。とりわけ、2023年3月期において、他の通貨に対
する円安により、当社の売上収益はプラスの影響を受けました。反対に、円高は日本円以外の通貨による収益減少
要因となり当社グ ループの業績に悪影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の減少により相殺される可
能性があります。以下は、 2023年3月 期の売上収益を 2022年3月 期における同一の為替レート(CER)で換算し、
2022年3月 期の売上収益と対比させたものです。
(単位:億円、%以外)
前年度 当年度 対前年度
売上収益 35,690 40,275 4,585 12.8%
為替レートによる影響 △4,866
前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益 35,690 35,409 △281 △0.8%
前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益は、IFRSに準拠して作成された指標ではありません(以下、「非
IFRS指標」)。投資家におかれましては、当社グループの過去の財務諸表全体を確認し、IFRSに準拠して表示され
ている指標を当社グループの業績、価値、将来の見通しを評価する際の主要な指標として使用し、非IFRS指標を補
足的な指標として使用することを強く推奨します。前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益に対して最も
直接的に比較可能な指標は、IFRSに準拠して作成された売上収益であります。上表には、前年度と同一の為替レー
トによる換算の売上収益から売上収益への調整が示されております。
当該指標が、当社グループの事業に対する為替レートの影響をよりよく理解し、為替レートの変動の影響を除外し
た場合に、当社の経営成績が対前年度でどのように変動したかを理解するために、投資家にとって有用であると考
えられるため、当社グループは前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益を表示しております。当該指標
は、当社グループの経営者が、当社グループの経営成績を評価するにあたって使用する主要な方法であります。ま
た、証券アナリスト、投資家、その他のステークホルダーが、 当社グループが属する業界の同業他社の経営成績を
評価する際、 類似する業績指標を使用することが多いため、投資家にとっても有用な指標であると考えています。
前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益は、ある会計年度において、当会計年度の売上収益を、対応する
前会計年度の為替レートで換算した売上収益として定義されます。 ただし、前年度と同一の為替レートによる換算
の売上収益は、前会計年度においてIFRSに基づき表示された売上収益の算定に用いられた為替レートと同一の為替
レートを用いて算定されていますが、当該会計年度中に締結された取引が同一の為替レートで締結された、または
計上されたとは限らないという点で、この表示の有用性には重要な限界があります 。当社グループの業界の同業他
社が類似する名称の指標を使用している場合であっても、同業他社が当該指標を当社グループとは異なって定義
し、異なる算定を行っている可能性があるため、指標が直接的に比較可能ではない場合があります。したがって、
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前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益は単独で検討すべきではなく、またIFRSに準拠して作成、表示さ
れる収益の指標としてではなく、当該指標の代替的指標としてみなされるべきです。
為替変動リスクを低減するため、当社グループは重要な一部の外貨建取引について、主に先物為替予約、通貨ス
ワップおよび通貨オプションを利用しヘッジを行っております。
季節的要因
当社グループの売上収益は、 2022年3月 期および 2023年3月 期において第4四半期に減少しています。これは、卸
売業者は年末年始休暇に向けてあらゆる国・地域における在庫数を増やす傾向にあること、年間にわたって価格が
上昇していること、暦年の年初の米国における保険の年間免責額の改定等によるものです。
(ⅱ) 重要な会計方針
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成されております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資
産および負債の金額、決算日現在の偶発資産および偶発負債の開示、ならびに報告期間における収益および費用の
金額に影響を及ぼす見積りおよび仮定の設定を行うことが求められております。見積りおよび仮定は、継続的に見
直されます。経営者は、過去の経験、ならびに見積りおよび仮定が設定された時点において合理的であると判断さ
れたその他の様々な要因に基づき当該見積りおよび仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積りおよび
仮定とは異なる場合があります。
経営者の見積りおよび仮定に影響を受ける重要な会計方針は以下の通りであります。なお、見積りおよび仮定の変
更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。
収益認識
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要な会計方針 (5) 収
益」をご参照ください。
のれんおよび無形資産の減損
当社グループは、のれんおよび無形資産について、資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象
または状況の変化がある場合には、減損テストを行っております。のれんおよび償却開始前の無形資産について
は、年次および減損の兆候を捕捉した時点で減損テストを実施しております。 2023年3月31日 時点において、当社
グループはのれんおよび無形資産をそれぞれ 4兆7,907億円 および 4兆2,697億円 計上しており、これは総資 産の
64.9%を占 めております。
上市後製品に係る無形資産は特許が存続する見込期間または見込まれる経済的便益に応じた他の指標に基づき、3
年から20年の耐用年数を用いて定額法で償却しております。開発中の製品に係る無形資産は、特定の市場における
商用化が規制当局により承認されるまで償却をしておりません。商用化が承認された時点で、当該資産の見積耐用
年数を確定し、償却を開始しております。
のれんおよび無形資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には減損してい
ると判断されます。無形資産にかかる回収可能価額は個別資産、またはその資産が他の資産と共同で資金を生成す
る場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。 資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成す
る最小の識別可能な資産グループであります。 のれんの減損テストは単一の事業セグメント単位(単一の資金生成
単位)で実施しており、これはのれんを内部管理目的で監視している単位を表しています。 回収可能価額の見積り
には以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。
·将来キャッシュ・フローの金額および時期
·競合他社の動向(競合製品の販売開始、マーケティングイニシアチブ等)
·規制当局からの承認の取得可能性
·将来の税率
·永続成長率
·割引率
将来キャッシュ・フローの金額および時期を見積るための重要な仮定には、研究開発プロジェクトの成功見込みお
よび製品に係る売上予測があります。特にのれんにかかる回収可能価額の見積りにおいては、特定の製品に係る売
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上予測が重要な仮定となります。これらの仮定に影響を与える事象としては、開発の中止、大幅な上市の遅延、規
制当局の承認が得られないことによる研究開発プロジェクトの失敗、もしくは一般的には新たな競合製品の販売開
始 や供給不足による、一部の上市後製品にかかる売上予測の低下があげられます。これらの事象が発生した場合、
プロジェクト獲得以降に実施した当初もしくは事後の研究開発投資額が回収できない、もしくは見積った将来
キャッシュ・フローが回収できない可能性があります。
これらの仮定に変更が生じた場合は、当該連結会計年度において減損損失および減損損失の戻入れを認識しており
ます。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれんおよび
12 無形資産」をご参照ください。
訴訟に係る偶発事象
当社グループは、通常の営業活動において主に製造物責任訴訟および賠償責任訴訟に関与しております。詳細につ
いては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントお
よび偶発負債」をご参照ください。
偶発負債は、その特性から不確実なものであり複雑な判断や可能性に基づいております。訴訟およびその他の偶発
事象に係る引当金を算定する際には、該当する訴訟の根拠や管轄、その他の類似した現在および過去の訴訟案件の
顛末および発生数、製品の性質、訴訟に関する科学的な事項の評価、和解の可能性ならびに現時点における和解に
むけた進行状況等を勘案しております。さらに、未だ提訴されていない製造物責任訴訟については、主に過去の訴
訟の経験や製品の使用に係るデータに基づき、費用を合理的に見積ることができる範囲で引当金を計上しておりま
す。 当社グループが関与する重要な訴訟のうち、それらの最終的な結果により財務上の影響が見込まれる場合で
あっても、その額について信頼性のある見積りが不可能な訴訟等については、引当金の計上は行っておりません。
また、保険の補償範囲期間内である場合は保険による補償についても考慮しております。補償範囲の検討の際に、
当社グループは、保険契約の制限や除外、保険会社による補償の拒否の可能性、保険業者の財政状態、ならびに回
収可能性および回収期間を考慮しております。引当金および関連する保険補償額の見積りは、連結財政状態計算書
上において負債および資産として総額で計上しております。 2023年3月31日 現在において、係争中の訴訟案件およ
びその他の案件について 643億円 の引当金を計上しております。
法人所得税
当社グループは、税法および税規制の解釈指針に基づき税務申告を行っており、これらの判断および解釈に基づい
た見積額を計上しております。通常の営業活動において、当社グループの税務申告は様々な税務当局による税務調
査の対象であり、これらの調査の結果、追加税額、利息、または罰金の支払いが課される場合があります。法律お
よび様々な管轄地域の租税裁判所の判決に伴う法改正により、不確実な税務ポジションに関する負債の見積りの多
くは固有の不確実性を伴います。税務当局が当社グループの税務ポジションを認める可能性が高くないと結論を下
した場合に、当社グループは、税務上の不確実性を解消するために必要となる費用の最善の見積り額を認識しま
す。また、未認識の税務上の便益は事実および状況の変化に伴い調整されます。これらの税務ポジションは、例え
ば、現行の税法の大幅改正、税務当局による税制または解釈指針の発行、税務調査の際に入手した新たな情報、ま
たは税務調査の解決により調整が行われる可能性があります。当社グループは、不確実な税務ポジションに係る当
社グループの見積りは、現時点において判明している事実および状況に基づき適切かつ十分であると判断しており
ます。
また、各報告期間の末日において繰延税金資産の回収可能性を評価しております。繰延税金資産の回収可能性の評
価においては、予想される将来加算一時差異の解消スケジュール、予想される将来課税所得およびタックスプラン
ニングを考慮しております。 収益力に基づく将来課税所得は、主に当社グループの事業計画を基礎として見積られ
ており、当該事業計画に含まれる特定の製品に係る売上収益の予測が変動した場合、認識される繰延税金資産の金
額に重要な影響を与える可能性があります。 過去の課税所得の水準および繰延税金資産が認識できる期間における
将来の課税所得の見積りに基づき、実現する可能性が高いと予想される税務上の便益の額を算定しております。
2023年3月31日 現在における繰延税金資産を認識していない未使用の繰越欠損金、将来減算一時差異、および未使
用の繰越税額控除はそれぞれ 1兆1,818億円 、 2,598億円 、および 112億円 であります。将来における見積りおよび仮
定の変更は法人所得税費用に重要な影響を与える可能性があります。
事業構造再編費用
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当社グループでは、費用削減に関連した取り組みおよび買収に係る事業統合に関連して事業構造再編費用が発生し
ます。退職金が事業構造再編費用の主な内訳であり、事業構造再編に係る引当金については、 事業構造再編に係る
詳 細な公式計画を作成した時点で 計上しております。当該計画の対象となる従業員については、根拠のある予想に
基づき、計画が実施されると見込まれます。事業構造再編に係る引当金の認識には、支払時期や、 事業再編により
影響を受ける 従業員数等の見積りが必要となります。最終的なコストは当初の見積りから異なる可能性がありま
す。
当社グループは、将来において買収および売却に関連した事業統合に係る追加の事業構造再編費用を計上すると見
込んでおります。 2023年3月31日 現在において、当社グループは、事業構造再編に係る引当金を 90億円 計上してお
ります。詳細および事業構造再編に係る引当金の推移は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務
諸表 連結財務諸表注記 23 引当金」をご参照ください。
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(ⅲ) 当年度における業績の概要
当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。
(単位:億円、%以外)
対前年度
前年度 当年度
実勢レートベース CERベース
増減額
増減率 増減率(注1)
売上収益 35,690 40,275 4,585 12.8 % △0.8 %
売上原価 △11,068 △12,441 △1,372 12.4 % △0.1 %
販売費及び一般管理費 △8,864 △9,973 △1,109 12.5 % △0.9 %
研究開発費 △5,261 △6,333 △1,072 20.4 % 3.5 %
製品に係る無形資産償却費及び減損損失 △4,729 △5,424 △695 14.7 % △3.2 %
その他の営業収益 431 254 △177 △41.0 % △44.2 %
その他の営業費用 △1,591 △1,452 138 △8.7 % △21.1 %
営業利益 4,608 4,905 297 6.4 % △1.8 %
金融収益及び費用(純額) △1,429 △1,068 361 △25.3 % △28.8 %
持分法による投資損益 △154 △86 67 △43.8 % △50.6 %
税引前当期利益 3,026 3,751 725 24.0 % 13.4 %
法人所得税費用 △724 △581 144 △19.8 % △18.0 %
当期利益 2,302 3,170 869 37.7 % 23.3 %
(注1) 「 (ⅳ) 当年度におけるCore業績の概要 」の「Core財務指標とCERベースの増減の定義」をご参照ください。
〔売上収益〕
売上収益は、前年度から 4,585億円増収 ( +12.8% 、CERベース増減率:△0.8%)の 4兆275億円 となりました。 こ
れは主に、為替相場が円安に推移したこと、および事業が好調に推移したことによる増収影響が、前年度に売上収
益に計上した日本の糖尿病治療剤ポートフォリオの帝人ファーマ株式会社への譲渡価額1,330億円の減収影響を上
回ったことによります。
主要な疾患領域(消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤(免疫疾患)、オンコロジー(がん)、およびニューロ
サイエンス(神経精神疾患))の売上収益は、前年度から6,280億円増収(+21.3%)の3兆5,729億円となりまし
た。円安による増収影響、および各疾患領域における好調な業績があったことにより、オンコロジーを除き、それ
ぞれ全社の売上収益の増収に貢献しました。オンコロジーにおいては、円安による増収影響により一部相殺したも
のの、一部の製品が後発品の参入や競争の激化による影響を受けました。
当社の主要な疾患領域以外の売上収益は、 前年度に非定常的な売上収益として計上した日本の糖尿病治療剤ポート
フォリオの譲渡価額1,330億円が当年度はなくなったことを主な要因として、前年度から 1,696億円減収 ( △
27.2% )の 4,546億円 となりました。
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地域別売上収益
各地域の売上収益は以下のとおりです。
(単位:億円、%以外)
対前年度
前年度 当年度
実勢レートベース CERベース
増減額
売上収益:
増減率 増減率(注1)
日本(注2) 6,590 5,120 △1,469 △22.3% △22.5%
米国 17,144 21,038 3,894 22.7% 2.0%
欧州およびカナダ 7,392 8,427 1,035 14.0% 5.1%
アジア(日本を除く) 1,970 2,250 280 14.2% 2.0%
中南米 1,285 1,604 319 24.8% 8.0%
ロシア/CIS 621 884 264 42.5% 9.5%
その他(注3) 689 952 262 38.1% 41.3%
合計 35,690 40,275 4,585 12.8% △0.8%
(注1) 「(ⅳ) 当年度におけるCore業績の概要」の「Core財務指標とCERベースの増減の定義」をご参照ください。
(注2) 前年度は、日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの譲渡価額1,330億円を含みます。
(注3) その他の地域は中東、オセアニアおよびアフリカを含みます。
当社グループの売上収益の大部分は、主要な医療用医薬品により占められております。当年度の各領域における主要
製品の売上は以下のとおりです。
(単位:億円、%以外)
対前年度
実勢レート
CERベース
前年度 当年度
増減率
ベース 増減
増減額
(注1)
率
消化器系疾患 :
ENTYVIO (注2) 5,218 7,027 1,810 34.7% 15.2%
タケキャブ/VOCINTI (注3) 1,024 1,087 63 6.2% 4.1%
GATTEX/レベスティブ 758 931 173 22.9% 4.0%
DEXILANT 508 694 186 36.7% 14.8%
PANTOLOC/CONTROLOC(注4) 403 455 52 13.0% 2.9%
アロフィセル 18 27 9 47.9% 35.6%
その他 829 724 △105 △12.7% △24.0%
消化器系疾患 合計
8,757 10,945 2,189 25.0% 8.7%
希少疾患:
希少血液疾患:
アドベイト 1,185 1,182 △3 △0.3% △12.4%
アディノベイト/ADYNOVI 607 666 58 9.6% △1.0%
ファイバ 392 413 21 5.4% △5.2%
RECOMBINATE 123 128 5 3.8% △13.1%
HEMOFIL/IMMUNATE/IMMUNINE 177 196 19 10.5% 0.3%
その他 353 464 111 31.4% 12.5%
希少血液疾患 合計 2,837 3,047 210 7.4% △5.1%
希少遺伝子疾患およびその他 :
タクザイロ 1,032 1,518 486 47.0% 25.0%
エラプレース 731 853 122 16.7% 5.5%
リプレガル 517 667 150 29.1% 24.2%
ビプリブ 424 484 60 14.1% 2.5%
LIVTENCITY 13 105 92 692.4% 561.7%
その他 557 560 3 0.5% △12.6%
希少遺伝子疾患およびその他 合計 3,275 4,187 912 27.9% 13.4%
希少疾患合計 6,112 7,234 1,122 18.4% 4.8%
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(単位:億円、%以外)
対前年度
実勢レート
CERベース
前年度 当年度
増減率
ベース 増減
増減額
(注1)
率
血漿分画製剤(免疫疾患):
免疫グロブリン製剤 3,859 5,222 1,363 35.3% 16.0%
アルブミン製剤 900 1,214 314 34.9% 19.0%
その他 311 348 37 12.0% △4.2%
血漿分画製剤(免疫疾患) 合計 5,070 6,784 1,715 33.8% 15.3%
オンコロジー :
リュープリン/ENANTONE 1,065 1,113 49 4.6% △0.3%
ニンラーロ 912 927 15 1.6% △12.2%
アドセトリス 692 839 147 21.3% 13.5%
アイクルシグ 349 472 123 35.4% 15.9%
ベルケイド 1,100 278 △823 △74.8% △78.6%
アルンブリグ 136 206 69 50.7% 35.2%
EXKIVITY 10 37 28 288.1% 228.4%
その他 424 516 92 21.7% 20.7%
オンコロジー 合計 4,687 4,387 △300 △6.4% △14.4%
ニューロサイエンス(神経精神疾患) :
VYVANSE/ELVANSE (注5) 3,271 4,593 1,322 40.4% 18.2%
トリンテリックス 823 1,001 178 21.6% 2.1%
その他 729 783 54 7.4% △4.0%
ニューロサイエンス 合計 4,823 6,377 1,554 32.2% 12.1%
その他 :
アジルバ(注3) 763 729 △34 △4.5% △4.5%
ロトリガ 327 167 △160 △48.8% △48.8%
その他(注6) 5,152 3,650 △1,502 △29.2% △35.4%
その他 合計 6,242 4,546 △1,696 △27.2% △32.4%
総合計 35,690 40,275 4,585 12.8% △0.8%
(注1)「(ⅳ) 当年度における Core業績 の概要 」の「Core財務指標とCERベースの増減の定義」をご参照ください。
(注2)国内製品名:エンタイビオ
(注3)配合剤、パック製剤を含む。
(注4)一般名:pantoprazole
(注5)国内製品名:ビバンセ
(注6)前年度においては、2021年4月1日に売却した日本における糖尿病治療薬4剤(ネシーナ錠、リオベル配合錠、イニシンク配合
錠、ザファテック錠)の帝人ファーマ株式会社への譲渡価額1,330億円を含む。
各疾患領域における売上収益の前年度からの増減は、主に以下の製品によるものです。
- 消化器系疾患
消化器系疾患領域の売上収益は、前年度から2,189億円増収(+25.0%、CERベース増減率:+8.7%)の1兆945億円
となりました。
当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「ENTYVIO」(国内製品名:「エンタイビオ」)の売上が
伸長し、前年度から1,810億円増収(+34.7%)の7,027億円となりました。米国における売上は、円安による増収影
響、および炎症性腸疾患の潰瘍性大腸炎とクローン病に対する生物学的製剤の新規投与患者が引き続き増加したこ
とにより、前年度から1,424億円増収(+40.7%)の4,919億円となりました。欧州およびカナダにおける売上は、皮
下注射が新たに複数国で上市されたこと、および円安による増収影響により、前年度から265億円増収(+19.5%)
の1,625億円となりました。また成長新興国における売上は、主にブラジルにおける伸長により、前年度から99億円
増収(+39.6%)の349億円となりました。
逆流性食道炎治療剤「DEXILANT」の売上は、米国におけるオーソライズド・ジェネリックの売上の伸長、および円
安による増収影響により、前年度から186億円増収(+36.7%)の694億円となりました。
短腸症候群治療剤「GATTEX/レベスティブ」の売上は、主に日本における上市以降に市場への浸透が進んだこと、小
児適応の需要が増加したこと、および円安による増収影響により、173億円増収(+22.9%)の931億円となりまし
た。
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酸関連疾患治療剤「タケキャブ/VOCINTI」の売上は、主に中国における増収により、前年度から63億円増収
(+6.2%)の1,087億円となりました。日本においては、処方量は増加したものの、2022年4月に適用された市場拡
大 再算定による価格引き下げの影響のため、前年度から減収となりました。
「その他」に含まれる、潰瘍性大腸炎治療剤「PENTASA」の売上は、米国において2022年5月から後発品が参入した
ことにより、118億円減収(△58.3%)の84億円となりました。
- 希少疾患
希少疾患領域の売上収益は、前年度から1,122億円増収(+18.4%、CERベース増減率:+4.8%)の7,234億円となり
ました。
希少血液疾患領域の売上収益は、210億円増収(+7.4%、CERベース増減率:△5.1%)の3,047億円となりました。
血友病A治療剤「アディノベイト/ADYNOVI」の売上は、58億円増収(+9.6%)の666億円、血友病Aおよび血友病B治
療剤「ファイバ」の売上は、21億円増収(+5.4%)の413億円となりました。いずれも、主に円安による増収影響が
米国における競合品による減収影響を相殺し、伸長しました。
希少血液疾患領域のその他の製品の売上合計は、主に効能追加や新たに連結した製品、および円安による増収影響
により、前年度から増収となりました。
希少遺伝子疾患およびその他の疾患領域の売上収益は、912億円増収(+27.9%、CERベース増減率:+13.4%)の
4,187億円となりました。
遺伝性血管性浮腫治療剤「タクザイロ」の売上は、引き続き米国において需要が増加したこと、販売エリアが拡大
したこと、および円安による増収影響により、486億円増収(+47.0%)の1,518億円となりました。
ファブリー病治療剤「リプレガル」の売上は、2022年2月のライセンス契約の終結に伴い、日本における製造販売
権を当社が承継したこと、および成長新興国において需要が増加したことを主な要因として、前年度から150億円増
収(+29.1%)の667億円となりました。
その他の酵素補充療法のハンター症候群治療剤「エラプレース」およびゴーシェ病治療剤「ビプリブ」の売上は、
主に円安による増収影響により、それぞれ122億円増収(+16.7%)の853億円、60億円増収(+14.1%)の484億円と
なりました。
2021年12月に最初に米国で上市し、その後、複数の国でも上市した移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染/感
染症治療剤「LIVTENCITY」の当年度の売上は105億円となりました。
- 血漿分画製剤(免疫疾患)
血漿分画製剤(免疫疾患)領域の売上収益は、前年度から1,715億円増収(+33.8%、CERベース増減率:+15.3%)
の6,784億円となりました。
免疫グロブリン製剤の売上合計は、前年度から1,363億円増収(+35.3%)の5,222億円となりました。原発性免疫不
全症(PID)と多巣性運動ニューロパチー(MMN)の治療に用いられる静注製剤「GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG」および
皮下注製剤である「CUVITRU」と「HYQVIA」の三つのグローバル製品の売上は、パンデミックによる下方圧力が緩和
した米国を中心に引き続きグローバルに需要が堅調に推移し供給量が増加したこと、皮下注製剤は静脈注射に比べ
投薬の利便性が高いこと、また円安による増収影響により、前年度から2桁台の売上収益増収率となりました。
主に血液量減少症と低アルブミン血症の治療に用いられる「HUMAN ALBUMIN」と「FLEXBUMIN」を含むアルブミン製
剤の売上合計は、米国と中国における需要が増加したことにより、また、円安による増収影響もあったことから、
前年度から314億円増収(+34.9%)の1,214億円となりました。
- オンコロジー
オンコロジー領域の売上収益は、前年度から300億円減収(△6.4%、CERベース増減率:△14.4%)の4,387億円と
なりました。これは米国において、多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」の後発品が急速に浸透したことによりま
す。
「ベルケイド」の売上は、2022年5月から複数の後発品が米国市場に参入したことにより、前年度から823億円減収
(△74.8%)の278億円となりました。
悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」の売上は、アルゼンチンやイタリア、日本などで好調に伸長し、前年度から
147億円増収(+21.3%)の839億円となりました。
白血病治療剤「アイクルシグ」の売上は、米国において堅調に伸長したことと円安による増収影響もあり、前年度
から123億円増収(+35.4%)の472億円となりました。
非小細胞肺がん治療剤「アルンブリグ」の売上は、欧州諸国や中国をはじめとする成長新興国、および日本におけ
る需要増加により、前年度から69億円増収(+50.7%)の206億円となりました。
「その他」に含まれる、卵巣がん治療剤「ゼジューラ」の売上は、カプセル製剤に加えて新たに錠剤を2022年6月
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に日本で上市したことが寄与し、前年度から49億円増収(+61.7%)の129億円となりました。
子宮内膜症・子宮筋腫・閉経前乳がん・前立腺がん等の治療に用いられる特許満了製品の「リュープリ
ン/ENANTONE」は、主に円安による増収影響により、前年度から49億円増収(+4.6%)の1,113億円となりました。
多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」の売上は、円安による増収影響を、主に米国における競争激化の影響や需要減
少の影響が一部相殺し、前年度から15億円増収(+1.6%)の927億円となりました。
2021年9月に最初に米国で上市し、その後、複数の国でも上市した非小細胞肺がん治療剤「EXKIVITY」の当年度の
売上は37億円となりました。
- ニューロサイエンス(神経精神疾患)
ニューロサイエンス領域の売上収益は、前年度から1,554億円増収(+32.2%、CERベース増減率:+12.1%)の6,377
億円となりました。
注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤「VYVANSE/ELVANSE」(国内製品名:「ビバンセ」)の売上は、主に米国にお
いて、「ADDERALL」の後発品である競合他社の即放性製剤の供給不足の影響もあり、成人向け市場が拡大したこ
と、および円安による増収影響により、前年度から1,322億円増収(+40.4%)の4,593億円となりました。
大うつ病(MDD)治療剤「トリンテリックス」の売上は、日本における処方の増加、および円安による増収影響によ
り、前年度から178億円増収(+21.6%)の1,001億円となりました。
「その他」に含まれる、ADHD治療剤「ADDERALL XR」の売上は、主に後発品である競合他社の即放性製剤の供給不足
による本剤に対する増収影響、および円安による増収影響により、前年度から77億円増収(+36.9%)の286億円と
なりました。
〔売上原価〕
売上原価は、前年度から 1,372億円増加 ( +12.4% 、CERベース増減率:△0.1%)の 1兆2,441億円 となりました。こ
の増加は主に当年度における円安の為替影響を受けたことによるものです。
〔販売費及び一般管理費〕
販売費及び一般管理費は、主に当年度における円安の為替影響により、前年度から 1,109億円増加 ( +12.5% 、CER
ベース増減率:△0.9%)の 9,973億円 となりました。
〔研究開発費〕
研究開発費は、主に当年度における円安の為替影響により、前年度から 1,072億円増加 ( +20.4% 、CERベース増減
率:+3.5%)の 6,333億円 となりました。
〔製品に係る無形資産償却費及び減損損失〕
製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、主に当年度における円安の為替影響により、前年度から 695億円増加
( +14.7% 、CERベース増減率: △3.2 %)の 5,424億円 となりました。
〔その他の営業収益〕
その他の営業収益は、 主に条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正価値変動による評価益および特定の
訴訟に係る和解金等の受取額を前年度に計上した影響により、 前年度から 177億円減少 ( △41.0% 、CERベース増減率:
△44.2%)の 254億円 となりました。
〔その他の営業費用〕
その他の営業費用は、前年度から 138億円減少 ( △8.7% 、CERベース増減率:△21.1%)の 1,452億円 となりまし
た。この減少は主に、Shire社との統合が実質的に前年度において完了したことに伴い事業構造再編費用が減少した
こと、および 承認前在庫に係る評価損が減少したことによるものです。 これらの減少は、主に提携契約に伴い当社グルー
プが認識したオプション権に係る評価損を含む、その他の評価損および引当金繰入額の増加および当年度における
円安の為替影響により一部相殺されております。
〔営業利益〕
営業利益は、上記の要因を反映し、前年度から 297億円増益 ( +6.4% 、CERベース増減率:△1.8%)の 4,905億円 と
なりました。
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〔金融損益〕
金融収益と金融費用をあわせた金融損益は 1,068億円の損失 となり、前年度の 1,429億円 の損失から 361億円減少 ( △
25.3% 、CERベース増減率:△28.8%)しました。この損失の減少は主に、当社が株式を保有する企業のワラントに
かかるデリバティブの再測定によるプラスの影響によるものです。
〔持分法による投資損益〕
当年度の持分法による投資損益は、前年度の持分法による投資損失から 67億円減少 ( △43.8% 、CERベース増減率:
△50.6%)の 86億円の損失 となりました。この損失の減少は、主に武田ベンチャー投資Inc.が保有する株式にかか
る投資の損失を前年度に計上したことによるものです。
〔法人所得税費用〕
法人所得税費用は、前年度から144億円減少(△19.8%、CERベースの増減率:△18.0%)の581億円となりました。
この減少は主に、前年度に認識した、2014年にShire社がAbbVie社からの買収申し出の取下げに関連して受領した違
約金に対するアイルランドでの課税を巡る税務評価から生じた税金および利息の合計と関連する税務便益5億円と
の純額654億円、ならびに当年度における繰延税金資産の認識による税務便益の増加によるものです。これらの減少
は、税引前当期利益の増加に加え、前年度の米国における州税の適用税率の変更による影響と一部相殺されており
ます。
〔当期利益〕
当期利益は、上記の要因を反映し、前年度から 869億円増益 ( +37.7% 、CERベース増減率:+23.3%)の 3,170億円 と
なりました。
(ⅳ) 当年度における Core業績 の概要
Core財務指標とCERベースの増減の定義
当社は、業績評価において「Core財務指標」の概念を採用しています。本指標は、国際会計基準(IFRS)に準拠し
たものではありません。
Core売上収益は、売上収益から重要性のある本業に起因しない(非中核)事象による影響を控除して算出します。
Core営業利益は、当期利益から、法人所得税費用、持分法による投資損益、金融損益、その他の営業収益及びその
他の営業費用、製品に係る無形資産償却費及び減損損失を控除して算出します。その他、非定常的な事象に基づく
影響、企業買収に係る会計処理の影響や買収関連費用など、本業に起因しない(非中核)事象による影響を調整し
ます。
Core EPSは、当期利益から、Core営業利益の算出において控除された項目と営業利益以下の各科目のうち、非定常
的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(非中核)事象による影響を調整します。これらには、条
件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。さらに、これらの調整項目に係
る税金影響を控除した後、報告期間の自己株式控除後の平均発行済株式総数で除して算出します。
CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減は、当年度の財務ベースの業績もしくはCore業績に
ついて、前年度に適用した為替レートを用いて換算することにより、前年度との比較において為替影響を控除する
ものです。
Core 業績
(単位:億円、%以外)
対前年度
前年度 当年度
実勢レートベース CERベース
増減額
増減率 増減率
Core売上収益 34,205 40,275 6,069 17.7 % 3.5 %
Core営業利益 9,552 11,884 2,332 24.4 % 9.1 %
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Core EPS (円)
425 558 134 31.5 % 13.9 %
〔Core売上収益〕
当年度のCore売上収益は、前年度から 6,069億円増収 ( +17.7% 、CERベース増減率:+3.5%)の 4兆275億円 となり
ました。前年度のCore売上収益は、主に非定常的な日本の糖尿病治療剤ポートフォリオの譲渡価額1,330億円を控除
し 3兆4,205億円 でした。当年度においては、売上収益から控除した重要性のある本業に起因しない(非中核)事象
による影響はなかったことから、Core売上収益は財務ベースの売上収益と同額でした。タケダの成長製品・新製品
(注)
は、前年度から4,358億円増収(+37.6%、CERベース増減率:+18.8%)の1兆5,948億円となり、好調に推移
した事業を牽引しました。なお、タケダの成長製品・新製品には、当年度に欧州やインドネシア、ブラジルなどで
承認を取得し、幾つかの非流行国において上市したデング熱ワクチンのQDENGAを含めています。
(注)当年度のタケダの成長製品・新製品
消化器系疾患:ENTYVIO、アロフィセル
希少疾患:タクザイロ、LIVTENCITY
血漿分画製剤(免疫疾患): GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、CUVITRUを含む免疫グロブリン製剤、
HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤
オンコロジー:アルンブリグ、EXKIVITY
その他:スパイクバックス筋注、ヌバキソビッド筋注、QDENGA
〔Core営業利益〕
当年度のCore営業利益は、主要な疾患領域の売上が増加したこと、および当年度における円安の為替影響により、
前年度から 2,332億円増加 ( +24.4% 、CERベース増減率:+9.1% ) の 1兆1,884億円 となりました。
〔Core EPS〕
当年度のCore EPSは、前年度から 134円増加 の 558円 ( +31.5% 、CERベース増減率:+13.9 %)となりました。
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(b)当年度の財政状態の分析
〔資産〕
当年度末 における資産合計は、前年度末から 7,797億円増加 し、 13兆9,578億円 となりました。無形資産は、償却によ
る減少があったものの、主にNimbus Lakshmi Inc.の取得および為替影響により4,511億円増加しました。 のれんおよ
び有形固定資産は、主に為替換算の影響により、それぞれ3,830億円および1,084億円増加しました。さらに、棚卸資産が
1,333億円増加しております。これらの増加は、現金及び現金同等物の減少3,162億円と一部相殺されております。
〔負債〕
当年度末における負債合計は、前年度末から 1,086億円増加 し、 7兆6,031億円 となりました。仕入債務及びその他
の債務は1,329億円増加し、引当金は686億円増加しました。 社債及び借入金は、当年度に社債の償還があったもの
の、主に米ドル建ておよびユーロ建て債務における為替換算の増加影響により前年度末から 369億円増加 の 4兆
(注)
3,823億円 となりました。これらの増加は、繰延税金負債の減少1,809億円と一部相殺されております。
(注)当年度末における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ 3兆6,583億円 および 7,240億円 です。なお、社債及び
借入金の内訳は以下の通りです。
社債:
銘柄
発行時期 償還期限 帳簿価額
(外貨建発行額)
米ドル建無担保普通社債
2025年6月
2015年6月 1,742億円
(1,301百万米ドル) ~2045年6月
米ドル建無担保普通社債
2023年9月
2016年9月 5,153億円
(4,000百万米ドル) ~2026年9月
ユーロ建無担保普通社債
2026年11月
2018年11月 4,336億円
(3,000百万ユーロ) ~2030年11月
2023年11月
米ドル建無担保普通社債
2018年11月 2,988億円
(2,250百万米ドル) ~2028年11月
ハイブリッド社債
2019年6月 2079年6月 4,989億円
(劣後特約付社債)
米ドル建無担保普通社債 2030年3月
2020年7月 9,282億円
(7,000百万米ドル) ~2060年7月
ユーロ建無担保普通社債
2027年7月
2020年7月 5,198億円
(3,600百万ユーロ) ~2040年7月
円貨建無担保普通社債 2021年10月 2031年10月 2,494億円
400億円
コマーシャル・ペーパー 2023年3月 2023年6月
3兆6,583億円
合計
借入金:
名称
借入時期 返済期限 帳簿価額
(外貨建借入額)
2023年4月
シンジケートローン 2016年4月 2,000億円
~2026年4月
〃 2017年4月 2027年4月 1,135億円
〃
2017年4月 2027年4月 2,000億円
(1,500百万米ドル)
2016年3月 2024年4月
その他のバイラテラルローン 2,100億円
~2023年3月 ~2029年3月
5億円
その他
7,240億円
合計
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当社グループは、2015年6月に発行した米ドル建無担保普通社債219百万米ドルについて、2022年6月23日の償還期
日に先立ち、2022年4月23日に繰上償還を実行しました。2022年10月27日には、2018年11月に発行した 米ドル建無
担保普通社債 の残高1,000百万米ドルについて、2023年11月26日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しました。2022
年11月21日には、2018年11月に発行した変動利付のユーロ 建無担保普通社債 の残高750百万ユーロについて満期償還
を実行しました。2023年3月31日には、バイラテラルローン750億円について満期返済を実行するとともに、同日に
2029年3月30日を返済期限とする新たなバイラテラルローン契約750億円を締結しました。さらに、コマーシャル
ペーパー400億円を発行しました。
〔資本〕
当年度末における資本合計は、前年度末から 6,711億円増加 し、 6兆3,547億円 となりました。 この増加は、主に円
安の影響による為替換算調整勘定の変動によりその他の資本の構成要素が5,739億円増加したことによるものです。
利益剰余金は、 主に2,783億円の配当金を支払ったものの、 当期 利益の計上により、614億円増加しております。
(c)流動性および資金調達源
資金の調達および使途
当社グループにおいて流動性は、主に営業活動に必要な現金、資本支出、契約上の義務、債務の返済、利息や配当
の支払いに関連して必要となります。営業活動においては、研究開発費、マイルストン支払い、販売およびマーケ
ティングに係る費用、人件費およびその他の一般管理費、原材料費等の支払いにあたり現金が必要となります。ま
た、法人所得税の支払いや運転資金にも多額の現金が必要となります。
当社グループは、生産設備の能力増強・合理化、減価償却を終えた資産の入れ替え、業務管理の効率化等のために
設備投資を行っています。無形資産に係る資本的支出は、主に第三者のパートナーから導入したライセンス製品に
対するマイルストン支払い、およびソフトウェア開発費です。連結財政状態計算書に計上されている有形固定資産
および無形資産に係る資本支出は、 2022年3月 期および 2023年3月 期において、それぞれ2,399億円および8,987億
円であります。また、2023年3月31日現在において、有形固定資産の取得に関する契約上のコミットメントは 153億
円 であります。加えて、2023年3月31日現在において、無形資産の取得に関して契約上の取決めを有しておりま
す。無形資産に係るマイルストン支払いの詳細については、 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結
財務諸表 連結財務諸表注記32 コミットメントおよび偶発債務」 をご参照ください。また、資本管理の一環とし
て、当社グループは、資金需要、市場等の環境、またはその他の関連する要因に照らして、定期的に資本的支出の
評価を行っております。
当社の配当金の支払額は、 2022年3月 期および 2023年3月 期において、それぞれ 2,842億円 および 2,808億円 であり
ます。これまで1株当たり年間配当金額を180円(中間配当金および期末配当金それぞれ90円)としてきましたが、
2024年3月期については、中間配当金および期末配当金をそれぞれ94円ずつとし、年間188円とすることを目指して
います。当社の配当政策については 「第4 提出会社の状況 3 配当政策」 をご参照ください。
当社グループは、有利子負債に対し元本と利息を支払う必要があります。 2023年3月31日 現在において、1年内に
必要となる利息の支払額および負債の返済額は、それぞれ1,042億円、3,404億円であります。詳細は、「有利子負
債および金融債務」をご参照ください。
当社グループの資金の主な調達源は、主に現金及び現金同等物、短期コマーシャル・ペーパー、コミットメントラ
インによる借入、グローバル資本市場における社債発行を含む長期債務による資金調達であります。さらに、当社
グループは、コンティンジェンシーの調達源として、 2022年3月31日 時点および 2023年3月31日 時点において、金
融機関から極度額1,500億円および750百万米ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しております。
当社グループは、キャッシュ・フロー予測に基づき保有外貨を監視し、調整しております。当社グループの事業の
大部分は日本国外で行っており、多額の現金を日本国外に保有しております。日本国内で必要なキャッシュ・フ
ローを創出するために外貨を使用することは国内規制による影響を受ける可能性があり、また比較的影響は小さい
ものの、日本へ現金を移転することから生じる所得税による影響も受けます。
当社グループは、引き続き、資金調達の状況について注視しており、短期的には、一般的な市況による資金調達不
足または流動性不足は現在見込んではおりません。なお、必要に応じた市場およびその他の供給源からの追加の資
金調達力に加えて、当社グループの資本支出計画を必要かつ適切な範囲で見直すことによって、資金調達および流
動性の需要を管理する場合があります。
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2023年3月31日 現在において、当社グループは、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が
第三者に代わり一時的に保有していた制限付き預り金1,258億円を含む、5,335億円の現金及び現金同等物と、7,000
億 円の未使用のバンク・コミットメントライン契約を保有しており、現在の事業活動に必要となる資金は十分に確
保できていると考えております。また、当社グループは、事業活動を支えるため、持続的に高い流動性を保ち、資
本市場へのアクセス拡大を追求していきます 。
連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(単位:億円)
前年度 当年度
営業活動によるキャッシュ・フロー 11,231 9,772
投資活動によるキャッシュ・フロー △1,981 △6,071
財務活動によるキャッシュ・フロー △10,703 △7,091
現金及び現金同等物の増減額 △1,453 △3,391
現金及び現金同等物の期首残高 9,662 8,497
現金及び現金同等物に係る換算差額 288 229
現金及び現金同等物の期末残高 8,497 5,335
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度の 1兆1,231億円 から 1,459億円減少 の 9,772億円 となりました。 これ
は、主に仕入債務及びその他の債務の変動により、営業活動に関連する資産および負債の純増減における減少影響
があったこと、および法人税所得税等の支払額の増加によるものです。これらは、非資金項目およびその他の調整
項目を調整した後の当期利益の増加と一部相殺されております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年度の △1,981億円 から 4,090億円減少 の △6,071億円 となりました。 これ
は主に、事業取得による支出(取得した現金及び現金同等物控除後)が497億円減少したものの、主に当年度におけ
(注)
るNimbus Lakshmi Inc.の取得 により無形資産の取得による支出が4,302億円増加したことによるものです。
(注)当社グループは、一時金40億米ドルのうち、2023年2月に30億米ドル、2023年4月に9億米ドルを支払って
おります。残額の1億米ドルは2023年8月に支払を予定しております。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度の △1兆703億円 から 3,611億円増加 の △7,091億円 となりました。 こ
れは主に、社債の償還及び長期借入金の返済による支出(借換に伴う社債の発行及び長期借入れによる収入と相殺
後)の減少2,791億円、およびコマーシャル・ペーパー発行額の増加400億円によるものです。また、前年度と比較
して当年度に実施された自己株式取得金額が減少したことに伴い、自己株式の取得による支出は506億円減少してお
ります。
有利子負債および金融債務
2022年3月31日 時点および 2023年3月31日 時点において社債および借入金はそれぞれ 4兆3,454億円 、 4兆3,823億
円 であります。これらの有利子負債は、当社が発行した無担保社債、普通社債、バイラテラルローン、およびシン
ジケートローン、また、Shire社買収に必要な資金の一部を調達するための借入金、およびShire社買収により引き
受けた負債、借り換えた負債を含み、連結財政状態計算書に計上されております。当社の借入金は主に買収関連で
発生したものであり、季節性によるものではありません。
当社グループは、2015年6月に発行した米ドル建無担保普通社債219百万米ドルについて、2022年6月23日の償還期
日に先立ち、2022年4月23日に繰上償還を実行しました。2022年10月27日には、2018年11月に発行した米ドル建無
担保普通社債の残高1,000百万米ドルについて、2023年11月26日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しました。2022
年11月21日には、2018年11月に発行した変動利付のユーロ建無担保普通社債の残高750百万ユーロについて満期償還
を実行しました。2023年3月31日には、バイラテラルローン750億円について満期返済を実行するとともに、同日に
2029年3月30日を返済期限とする新たなバイラテラルローン契約750億円を締結しました。さらに、 2022年3月31日
現在においてはコマーシャル・ペーパーを発行しておりませんでしたが、 2023年3月31日 現在、400億円のコマー
シャル・ペーパーを発行しております。
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2023年3月31日 時点において、当社グループは一定の財務制限条項の含まれる長期融資契約を保有しております。
当該財務制限条項の重要な条項は、毎年3月末および9月末において連結財政状態計算書における純負債の過去12
か 月間の調整後EBITDA(調整後EBITDAは契約書にて定義されたもの)に対する比率が一定水準を上回らないことを
求める財務制限条項が含まれています。 2023年3月31日 時点においては、 2022年3月31日 時点と同様に、当社グ
ループは全ての制限条項を遵守しております。また、2019年に設定された7,000億円の未使用のコミットメントライ
ンからの借入を制限する事象はありません。当コミットメントラインは、現在の期限は2026年9月であります。
当社グループは、短期の流動性の管理のため、日本の無担保コマーシャル・ペーパープログラムを保有しておりま
す。 2022年3月31日 現在においてはコマーシャル・ペーパーは発行しておりませんが、 2023年3月31日 点現在、400
億円のコマーシャル・ペーパーを発行しております。当社グループは、さらに 2022年3月31日 時点および 2023年3
月31日 時点において、極度額1,500億円および750百万米ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しており
ますが、借入はしておりません。
借入金の詳細については、 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記
20 社債及び借入金」 をご参照ください。
信用格付け
当社グループの信用格付けは、当社グループの財務の健全性、業績、債務の返済能力等に関する各格付機関の意見
が反映されております。本報告書時点における当社グループの信用格付けは以下のとおりです。
格付会社 カテゴリー 信用格付 アウトルック 評価構造
11段階の格付けのうち4番目であ
発行体格付け/外貨長期および国 り、同じカテゴリーの中で最上位
BBB+
S&Pグローバ
内通貨長期 (例:BBB+,BBB,BBB-は同じカテ
ル ・ レ ー 安定的
ゴリーに属する)
ティング
発行体格付け(短期) A-2 6段階の格付けのうちの2番目
9段階の格付けのうち上から4番
ムーディー 長期発行体格付および長期優先 目であり、同じカテゴリーの中で
(注1) (注1)
Baa1 安定的
ズ 無担保格付け 1番目(例:Baa1,Baa2,Baa3は同
じカテゴリーに属する)
(注1) ムーディーズは、2023年6月26日に長期発行体の信用格付をBaa2からBaa1に、アウトルックをポジティブか
ら安定的にそれぞれ改訂しております。
この格付けは、社債の購入、売却、保有を推奨するものではありません。この格付けは指定された格付機関
によって適宜改訂あるいは撤回される可能性があります。それぞれの財務の健全性レーティングは、独立評
価されたものであります。
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契約上の負債
2023年3月31日 現在における契約上の負債は以下のとおりです。
(単位:億円)
1年超 3年超
(注1)
1年以内 5年超
総契約額
3年以内 5年以内
(注2) (注3)
社債及び借入金の返済
(注4)
46,402 3,312 7,684 8,499
26,907
社債
7,676 1,134 1,535 4,252
借入金 755
153 153 - - -
有形固定資産の取得に関する義務
6,660 596 1,072 874
リース負債の返済 4,117
(注5)
125 125 - - -
確定給付制度への拠出
(注6) (注7)
61,016 5,320 10,291 13,625 31,779
合計
(注1) 2023年3月31日 現在における日本円以外の通貨建債務は、期末為替レートで日本円に換算しており、為替
レートの変動により金額が異なる可能性があります。
(注2) 当社グループが関連する金融商品の財務制限条項違反を行った場合、返済義務が早まる可能性があります
(注3) 利息支払義務を含みます。
(注4) 社債の契約額のうち、「1年超3年以内」の金額には、劣後特約付きハイブリッド社債(以下、「ハイブ
リッド債」)元本全額を2024年10月6日以降の各利払日において早期償還する可能性があるため、当ハイブ
リッド債の元本5,000億円が含まれています。ハイブリッド債の元本および利息の詳細については、「第5
経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照
ください。
(注5) 2024年4月以降の年金および退職後給付制度への拠出額については、拠出の時期が不確実であり、利率、運
用収益、法律およびその他の変動要因に依存するため、確定することはできません。
(注6) 確定給付債務、訴訟引当金および長期未払法人税等、時期を見積もることができない契約上の負債、また、
金額が公正価値の変動により変化するデリバティブ負債および条件付対価契約に関する金融負債は含まれて
おりません。なお、 2023年3月31日 現在のデリバティブ負債および条件付対価契約に関する金融負債の帳簿
価額は、それぞれ407億円および81億円であります。また、特定の将来の事象の発生に左右されるマイルス
トン支払いも含んでおりません。
(注7) 通常の事業活動における購買に関する発注は含んでおりません。
オフバランス取引
マイルストン支払
新製品の開発に係る第三者との提携契約に基づき、当社グループは、パイプライン品目の開発、新製品の上市およ
び上市後の販売等にかかる一定のマイルストン達成に応じた支払義務が生じる場合があります。 2023年3月31日 現
在における潜在的なマイルストン支払の契約金額は 1兆4,556億円 であります。これらは、潜在的なコマーシャルマ
イルストン支払を除いた金額であります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸
表 連結財務諸表注記 13 共同研究開発契約およびライセンス契約 および 32 コミットメントおよび偶発負
債」をご参照ください。
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5 【経営上の重要な契約等】
Nimbus Lakshmi, Inc.の取得
当社グループは、2022年12月13日付で、Nimbus Therapeutics, LLC(以下、「Nimbus 社」)の完全子会社である
Nimbus Lakshmi, Inc.(以下、「Lakshmi社」)の全株式を取得するため、Nimbus社との間で株式譲渡契約を締結し
ました。 Lakshmi社は、経口アロステリックTYK2阻害薬(Nimbus社の社内コード「NDI-034858」)に関する知的財
産権および他の関連する資産を保有またはコントロールしています。本契約にもとづき、当社グループはNimbus社
(注)
に一時金として40億米ドルを本取引完了後に支払うことに合意しております 。また、「TAK-279」(旧Nimbus
社の社内コード「NDI-034858」)のプログラムから開発された製品の年間の売上高が40億米ドルと50 億米ドルと
なった場合には、それぞれにつき10億米ドルのマイルストンを同社に支払います。本取引は、2023年2月8日に完
了しました。 さらに、本取引に関連して、当社グループは、Nimbus社とBristol-Myers Squibおよびその子会社で
ある Celgene Corporationとの間の2022年1月の和解契約におけるNimbus社の義務である「TAK-279」のプログラム
から開発された製品の開発、薬事規制上の承認、および売上に関するマイルストン支払い義務を引き受けることに
合意しました。
(注) 当社グループは、一時金40億米ドルのうち、2023年2月に30億米ドル、2023年4月に9億米ドルを支払ってお
ります。残額の1億米ドルは2023年8月に支払を予定しております。
「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等
の状況に関する分析・検討内容 ①当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容 (a)当年度の経営
成績の分析 (i)当社グループの経営成績に影響を与える事項 当社グル―プの経営成績に影響を与える事項 買収」
をご参照ください。
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6 【研究開発活動】
当年度の研究開発費の総額は 6,333 億円 であります。
医薬品の研究開発のプロセスは、長期にわたり多額の費用を伴い、その期間は10年を越えることもあります。この
プロセスには、新薬の有効性および安全性の評価のための複数の試験、データを審査し販売承認の可否を判断する
規制当局に対する申請が含まれます。こうした精査の過程を通過し、臨床での治療に用いることができる候補物質
はごく僅かです。承認取得後も、上市後の製品に対しては、ライフサイクルマネジメント、メディカルアフェアー
ズやその他の投資を含め、継続的な研究開発活動による支援が行われます。
臨床試験は、地域的および国際的な規制ガイドラインを遵守し、通常5から7年もしくはそれ以上を費やして実施
されるものであり、相応の費用を伴います。通常、臨床試験は医薬品規制調和国際会議(ICH)が制定したガイド
ラインに沿って実施されます。これに関わる規制当局は、米国では食品医薬品局(FDA)、欧州連合では欧州医薬
品庁(EMA)、日本では厚生労働省(MHLW)、中国では国家薬品監督管理局(NMPA)です。
ヒトの臨床試験は以下の3相で実施されます(各相が一部重複することもあります):
・臨床第1相(P-1)試験
少人数の健康な成人の志願者を被験者として、薬物の安全性、吸収、分布、代謝、排泄について評価するために
実施
・臨床第2相(P-2)試験
少人数の志願患者さんを被験者として、安全性、有効性、用量および用法を評価するために実施
臨床第2相試験はP-2aとP-2bの2つのサブカテゴリーに分割されることがあります。P-2a試験は通常臨床上の有
効性または生物学的活性を示すためにデザインされたパイロット試験であり、P-2b試験は薬物が最少の副作用で
生物学的活性を示す最適用量を探索するために行われます。
・臨床第3相(P-3)試験
大人数の志願患者さんを被験者として、既存の薬剤またはプラセボと比較した安全性および有効性を評価するた
めに実施
これら3相のうち、臨床第3相にかかる開発費用が最も大きく、臨床第3相試験へ進めるか否かの決定は、医薬品
開発における重要なビジネス判断となります。臨床第3相試験を通過した候補薬物については、管轄の規制当局に
新薬承認申請書(NDA)、生物製剤承認申請(BLA)または医薬品販売承認申請(MAA)を提出し、規制当局より承
認を取得した場合に上市が可能となります。NDA、BLA、MAAの作成には、膨大な量のデータの収集、検証、分析が
必要であり、多額の費用が伴います。製品上市後も、保健当局により有害事象の市販後調査や、当該医薬品のリス
ク・ベネフィットに関する追加情報を提供するための市販後試験の実施を求められることがあります。
当社の研究開発は、サイエンスにより、患者さんの人生を根本的に変えうるような非常に革新性が高い医薬品を創
製することに注力しています。当社は、「革新的なバイオ医薬品」、「血漿分画製剤」および「ワクチン」の3つ
の分野において研究開発活動を実施しています。「革新的なバイオ医薬品」に対する研究開発は、当社の研究開発
投資の中で最も高い比率を占めています。「革新的なバイオ医薬品」における重点疾患領域(消化器系・炎症性疾
患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、オンコロジー、希少遺伝子疾患および血液疾患)には未だ有効な治療
法が確立されていない疾患に対する高い医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)が存在し、当社はベス
ト・イン・クラスあるいはファースト・イン・クラスとなりうる画期的な新規候補物質を創出してまいりました。
当社では新たな研究開発能力、さらには次世代プラットフォームに対して社内および外部との提携によるネット
ワークを通じて投資し、細胞療法および遺伝子治療の領域の強化を図っています。また、当社はデータとデジタル
技術を活用し、イノベーションの質を向上させ、実行を加速させています。
当社のパイプラインは、当社事業の短期的および長期的かつ持続的な成長を支えるものです。初回の承認取得後も
上市後の製品に対して、地理的拡大や効能追加に加え、市販後調査および剤型追加の可能性を含めた継続的な研究
開発活動による支援体制が整っています。当社の研究開発チームは、販売部門との緊密な連携を通じ既発売品の価
値の最大化を図り、販売活動を通じて得られた知見を研究開発戦略やポートフォリオに反映します。
自社の研究開発機能向上への注力に加え、社外パートナーとの提携も、当社研究開発パイプライン強化のための戦
略における重要な要素の一つです。社外提携の拡充と多様化に向けた戦略により、様々な新製品の研究に参画し、
当社が大きな研究関連のブレイクスルーを達成する可能性を高めます。
当社の主要な研究開発施設には以下を含みます:
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• グレーターボストン地区研究開発サイト:当社のボストン研究開発サイトは米国マサチューセッツ州ケンブリッ
ジに位置しています。本サイトは当社のグローバルでの消化器系・炎症性疾患領域、オンコロジー、ならびに希
少 遺伝子疾患および血液疾患領域の研究開発の中心であり、加えて血漿分画製剤やワクチンなど他の疾患領域の
研究開発や免疫調節および生物学的製剤の研究も支援しています。最先端の細胞療法の製造施設を備えた、当社
の細胞療法研究の拠点です。さらに当社は、ケンドール・スクエアに新たに建設中の約60万平方フィートの最新
鋭の研究開発およびオフィス施設について、15年間のリース契約を締結し、2026年より入居する予定です。
• 湘南ヘルスイノベーションパーク:日本の神奈川県藤沢・鎌倉地域に位置する湘南ヘルスイノベーションパーク
(以下、「湘南アイパーク」)は、当社の湘南研究所を外部に開放する形で、2018年に設立された日本初の製薬
企業発サイエンスパークであり、当社のニューロサイエンス研究の主要拠点です。当社はより多様なパートナー
を招致し、湘南アイパークのさらなる成功を目指すため、2020年に信託設定、2023年には湘南アイパークの運営
事業を当社が設立した会社に承継しました。当社は、アンカーテナントとして今後も日本におけるライフサイエ
ンスの研究活性化に注力します。
• サンディエゴ研究開発サイト:米国カリフォルニア州サンディエゴにある当社の研究開発拠点であり、消化器
系 ・炎症性 疾患およびニューロサイエンス領域における研究開発を支援しています。本研究サイトは、バイオ
テックのような形態で研究を行う拠点であり、構造生物学および生物物理学などの社内技術を駆使し、社内外で
行われる研究を促進します。
• オーストリア ウィーン研究開発サイト:オーストリア ウィーンに位置する当社の研究開発サイトであり、研究
開発および血漿分画製剤のプログラムを支援しています。本研究サイトは、生物学的製剤の研究開発に注力する
とともに血漿分画製剤の製造施設を備えています。
当社の 2022年4月 以降の主要な研究開発活動の進捗は、以下のとおりです。
研究開発パイプライン
消化器系・炎症性疾患
消化器系・炎症性疾患において、消化管疾患、肝疾患およびその他の免疫介在性の炎症性疾患の患者さんに革新的
で人生を変えうるような治療法をお届けすることにフォーカスしています。炎症性腸疾患(IBD)においては、
「ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)」に関する皮下注射製剤の開発および活動性の慢性回腸嚢炎をはじめと
する適応症拡大を含め、フランチャイズのポテンシャルを最大化しています。加えて、「GATTEX/レベスティブ」
および米国への地理的拡大のために臨床第3相試験を実施中の「アロフィセル」により当社の消化器系疾患におけ
るポジショニングの拡大を目指しています。また、当社は、自社創製、社外との提携および事業開発を通じて炎症
性疾患(IBD、セリアック病、乾癬、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデスおよびその他疾患)、厳選した肝疾
患、消化管運動関連疾患における機会を探索し、パイプラインの構築を進めております。そのうち後期開発段階に
ある「fazirsiran(TAK-999)」は、社外との提携を通じたパイプライン構築の一例であり、α-1アンチトリプシ
ン欠損関連肝疾患に対するファースト・イン・クラスのRNA干渉治療薬となる可能性があります。また、後期開発
段階にあり、炎症性疾患治療薬としてベスト・イン・クラスとなる可能性を有する経口アロステリックチロシンキ
ナーゼ2(TYK2)阻害薬「TAK-279」も、事業開発を通じて獲得した候補物質の一例です。
注)本疾患領域名は、消化器系疾患領域における重点分野の拡大とともに、現時点のパイプラインおよび免疫介在
性疾患に対する当社の幅広い取組みをより適切に反映するため、「消化器系・炎症性疾患」(旧名称は「消化器系
疾患」)となりました。
[ENTYVIO/エンタイビオ 一般名:ベドリズマブ]
- 2023年2月、当社は、臨床第3相「GRAPHITE試験」の最新データを2023 Tandem Meetingsにおいて発表しまし
た。本試験において、「ベドリズマブ」が同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)後180日目までに下部消化管におけ
る急性移植片対宿主病(aGvHD)非発症生存の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を達成し、プラセボ
と比較して安全性プロファイルに重要な差が認められなかったことが示されました。無作為化プラセボ対照二重
盲検多施設共同臨床第3相「GRAPHITE試験」は、血液悪性腫瘍の治療として血縁関係のないドナー由来のallo-
HSCTを受ける患者を対象に、腸管aGvHD発症抑制における「ベドリズマブ」の有効性および安全性を検討しまし
た。本試験において「ベドリズマブ」は、allo-HSCT後180日目までの腸管aGvHD非発症生存においてプラセボと
比較し統計学的に有意な改善を示しました(「ベドリズマブ」群 85.5%、プラセボ群 70.9%(HR=0.45; 95%
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信頼区間:0.27、0.73; p<0.001))。安全性プロファイルについて「ベドリズマブ」群とプラセボ群の間に相
関する差は認めず、新たな安全性シグナルも確認されませんでした。治療に関連した有害事象は、プラセボ群の
24.8% に対し「ベドリズマブ」群は28.4%に発現し、重篤な有害事象はプラセボ群の8.5%に対し「ベドリズマ
ブ」群で6.5%に発現しました。
- 2023年3月、当社は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)を効
能・効果として、「エンタイビオ皮下注108mgペン/同皮下注108㎎シリンジ」(「エンタイビオSC」)について、
厚生労働省より製造販売承認を取得したことを公表しました。今回の承認は、「エンタイビオSC」の維持療法と
しての有効性および安全性を評価した国際共同臨床第3相試験である「MLN0002SC-3027試験」および
「MLN0002SC-3030試験」に基づくものです。「エンタイビオSC」は、皮下注射として使用できることにより、点
滴静注製剤で必要とされている薬液調製のための人員、器具、設備および時間の削減が可能となり、さらに薬液
調製時または投与時の過誤等のリスクを低減することが期待できます。また、点滴静注製剤と比較して簡便に取
り扱うことができると考えられ、かつ投与1回あたりの所要時間も短くすることが可能となります。
- 2023年3月、当社は、慢性回腸嚢炎の治療薬としての「ベドリズマブ」の臨床第4相「EARNEST試験」の良好な
結果が、 the New England Journal of Medicine (NEJM)に掲載されたことを公表しました。今回公表した結果
では、臨床第4相「EARNEST試験」がmodified Pouchitis Disease Activity Index(mPDAI)を用いた臨床的お
よび内視鏡的寛解である有効性の主要評価項目を達成し、14週時点においてプラセボ投与群では10%(51名中5
名)に対し、「ベドリズマブ」投与群では31%(51名中16名)であったことが示されました(95%信頼区間:5
-38パーセンテージポイント[p.p.]差、p=0.01)。プラセボとの比較におけるこのような転帰の改善は、34週時
点における有効性の副次評価項目でも認められました(mPDAIによる寛解達成率はプラセボ投与群では18%[51
名中9名]に対し、「ベドリズマブ」投与群では35%[51名中18名]でした[95%信頼区間:0-35 p.p.
差])。重篤な有害事象は、「ベドリズマブ」群の6%(51名中3名)、プラセボ群の8%(51名中4名)で発
生しました。新たな安全性シグナルは確認されませんでした。
- 2023年4月、当社は、「ENTYVIO」点滴静注製剤による導入療法後の成人の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸
炎に対する維持療法として、「ENTYVIO」皮下注射製剤の生物学的製剤承認申請(BLA)を米国食品医薬品局
(FDA)に再提出し、受理されたことを公表しました。今回の再提出は、2019年12月の審査完了報告通知(CRL)
におけるFDAの指摘内容に対応することを目的としています。CRLの受領以降、当社はFDAと緊密に連携し、当局
の指摘内容に取り組んでまいりました。今回の再提出パッケージには、「ENTYVIO」皮下注射製剤の使用につい
て検討するために収集した追加データが含まれています。同通知の内容は、「ENTYVIO」点滴静注製剤、臨床安
全性および有効性データ、ならびに「ENTYVIO」皮下注射製剤のBLAを支持する検証試験である「VISIBLE1試
験」の結論とは関連していませんでした。「VISIBLE1試験」では、0週および2週時点に非盲検下にて「ベド
リズマブ」点滴静注製剤を2回投与後、6週時点で臨床的改善が得られた中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎
の成人患者216名を対象に、「ENTYVIO」皮下注射製剤の維持療法としての安全性および有効性を評価しました。
主要評価項目は、52週時点における臨床寛解であり、これは完全Mayoスコアが2ポイント以下、かつすべてのサ
ブスコアが1以下と定義しました。当社は、2023年中にFDAから審査結果の結論が得られるものと見込んでいま
す。
[開発コード:TAK-999 一般名:fazirsiran]
- 2022年6月、当社とArrowhead Pharmaceuticals Inc.(Arrowhead社)は、α-1アンチトリプシン欠乏症による
肝疾患(AATD-LD)の治療薬として開発中の「fazirsiran」の臨床第2相試験「AROAAT-2002」の結果が the New
England Journal of Medicine (NEJM)に掲載され、欧州肝臓学会(EASL)の年次会議であるThe International
Liver Congress 2022において口頭発表したことを公表しました。本剤は、変異型α-1アンチトリプシン蛋白
(Z-AAT)の産生を低減する目的で設計されたファースト・イン・クラスの薬剤となる可能性のあるRNA干渉
(RNAi)治療薬候補で、希少な遺伝子性疾患であるAATDによる肝疾患の治療薬として現在開発中です。
「fazirsiran」はAATDの治療薬候補として、米国食品医薬品局(FDA)より2021年7月にブレークスルーセラ
ピー指定(BTD)、2018年2月に希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)指定を受けています。
- 2023年1月、当社とArrowhead社は、「fazirsiran」の臨床第2相「SEQUOIA試験」のトップライン結果を公表し
ました。「SEQUOIA試験」は、AATD-LDの患者42名を対象に「fazirsiran」の安全性、忍容性および薬力学的作用
を評価するプラセボ対照反復投与臨床第2相試験です。試験開始時に肝線維化がみられた患者16名に
「fazirsiran」を25mg、100mgまたは200mgの用量で投与したところ、Z-AATの血清中濃度が用量依存的に減少
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し、48週時点の平均低下率はそれぞれ74%、89%および94%でした。3用量群いずれにおいても肝臓内のZ-AAT
は劇的に減少し、ベースライン後の肝生検実施時の減少率の中央値は94%でした。また、組織のPAS-D検査で評
価 するZ-AAT蓄積度の指標である肝内封入体のスコアの平均値は、ベースライン時の5.9からベースライン後の肝
生検実施時には2.3に低下しました。門脈炎症も42%の患者で改善し、悪化がみられた患者の割合はわずか7%
でした。肝線維化については、50%の患者でMETAVIRスコアが1ポイント以上改善しました。これに対し、プラ
セボ群のうちベースライン時点で線維化がみられた患者9名の48週時点の評価では、血清中Z-AAT濃度に意義あ
る変化はなく、肝臓内のZ-AATは26%増加、PAS-D評価の肝内封入体に意義ある変化はありませんでした。プラセ
ボ群で門脈炎症が改善した患者はおらず、44%で悪化しました。ベースライン後の肝生検実施時には肝線維化は
22%で悪化、38%で改善を認めました。「fazirsiran」の忍容性は良好で、本報告時点で確認されている試験治
療下で発現した有害事象は「fazirsiran」群とプラセボ群で同等でした。いずれの群においても、試験薬の投与
中止、投与中断や試験中止に至る試験治療下で発現した有害事象は認められませんでした。「fazirsiran」を1
年間投与した患者の呼吸機能検査の所見には、プラセボ群との比較において用量依存的な変化や臨床上意義ある
変化はみられませんでした。両社はまた、当社とArrowhead社が共同で計画し、当社が実施中の臨床第3相試験
の概要も公表しました。
[開発コード:TAK-625 一般名:maralixibat chloride]
- 2022年12月、当社は、「maralixibat chloride」が、アラジール症候群(ALGS)および進行性家族性肝内胆汁
うっ滞症(PFIC)を予定される効能・効果として厚生労働省より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指
定を取得したことを公表しました。日本では、ALGSまたはPFICを適応とする医薬品は現時点において承認されて
いません。「maralixibat」は日本国内においてALGSおよびPFICを対象とした臨床第3相試験段階にあります。
[開発コード:TAK-279]
- 2022年12月、当社は、Nimbus Therapeutics, LLC(Nimbus社)より「TAK-279」(Nimbus社の旧「NDI-
034858」)に関する知的財産権およびその他の関連資産を所有または支配する、同社の完全子会社であるNimbus
Lakshmi, Inc.(Lakshmi社)の全株式を取得する決定について公表しました。「TAK-279」は、高度に選択的な
経口アロステリックチロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬であり、乾癬を対象とした臨床第2b相試験の結果に続
き、複数の自己免疫疾患の治療薬として評価が行われています。2023年2月、当社は、Lakshmi社の全株式およ
び乾癬や炎症性腸疾患、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデスを含む複数の免疫介在性疾患において、ベス
ト・イン・クラスの有効性および安全性ならびに利便性を示す可能性を有する「TAK-279」の取得を完了しまし
た。今回の取得は、拡大する当社の後期開発パイプラインを強化し、ポートフォリオと患者へのインパクトを拡
大する可能性とともに、当社のグローバル規模での中長期的な成長基盤を強固にするものです。
- 2023年3月、当社は、中等度から重度の尋常性乾癬の患者を対象とした「TAK-279」の臨床第2b相試験の良好な
結果を公表しました。本試験では、12週時点で、Psoriasis Area and Severity Index(PASI)75、90、100を達
成した患者の割合が、「TAK-279」の5mg、15mg、30mgの各投与群でプラセボ投与群と比較して統計学的に有意
に高く、主要評価項目と副次評価項目を達成しました。これらのデータは、米国皮膚科学会(AAD)年次総会の
Late-Breaking Sessionにおいて発表されました。本試験では、5mg以上の投与群では12週時点のPASI 75達成率
が有意に優れていたことが示されました。「TAK-279」の最高用量投与群では、12週時点で患者の46%がPASI
90、33%がPASI 100を達成し、皮膚病変のほぼ完全または完全な消失を示しました。有害事象(AE)の頻度は、
治療群で53~62%、プラセボ群で44%でした。多くの事象は軽度から中等度でした。1例(15mg)で2件の重篤
なAEが発生しましたが、治験薬投与との関連はなしと判断されました。臨床検査値パラメータの変化は、アロス
テリックTYK2阻害薬の既知の作用と一貫していました。当社は、これらの臨床第2b相試験の結果に基づき、乾
癬を対象とした「TAK-279」の臨床第3相試験を2023年度に開始する予定です。2023年度に乾癬性関節炎を対象
とした臨床第2b相試験のトップライン結果の取得を見込んでおり、全身性エリテマトーデス(SLE)や炎症性腸
疾患(IBD)を含む他の複数の免疫介在性疾患を対象として「TAK-279」を評価する予定です。また、今後さらな
る適応症を探索する予定です。
ニューロサイエンス(神経精神疾患)
当社は、高いアンメット・ニーズが存在する神経疾患および神経筋疾患を対象に、革新的治療法に研究開発投資を
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集中させ、当社の専門知識やパートナーとの提携を生かし、パイプラインを構築しています。疾患の生物学的理
解、トランスレーショナルなツール、革新的なモダリティの進展により、当社は希少神経疾患、特にオレキシン2
受 容体作動薬フランチャイズ(「TAK-861」、「danavorexton(TAK-925)」など)によるナルコレプシーや特発性
過眠症などの睡眠・覚醒障害、「soticlestat(TAK-935)」による希少てんかん、および「pabinafusp alfa
(TAK-141)」によるハンター症候群の中枢性および身体症状の治療薬の開発に注力しています。当社はさらに、神
経筋疾患、神経変性疾患および運動障害のうち患者セグメントを明確に定義できる疾患に特化した投資を行ってい
ます。
注)「pabinafusp alfa(TAK-141)」および「TAK-611」は、中枢神経系に関する専門性を活かし、2023年度第1
四半期よりニューロサイエンス(神経精神疾患)領域において開発が継続されます。
[開発コード:TAK-994]
- 2022年6月、当社は、「TAK-994」のベネフィット・リスクプロファイルを評価した結果、本プログラムの開発
を継続しないことを決定しました。「TAK-994」の臨床第2相試験(「TAK-994-1501試験」および「TAK-994-
1504試験」)において安全性シグナルの存在が明らかになったことにより、2021年10月に2つの臨床第2相試験
を予定より早く終了することを決定していました。
[開発コード:TAK-611]
- 2022年6月、当社は、遺伝子組換えヒトアリルスルファターゼA(recombinant human arylsulfatase A :
rhASA)「TAK-611」が、異染性白質ジストロフィー(Metachromatic Leukodystrophy:MLD)を予定される効
能・効果として厚生労働省より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を取得したことを公表しまし
た。日本では、MLDの効能・効果を有する治療法は現時点においてなく、「TAK-611」はMLDに対する酵素補充療
法を目的としたrhASAであり、現在、国際共同臨床第2b相試験などが進行中です。
オンコロジー
オンコロジー領域では、患者さんを通じて得られるインスピレーションおよびあらゆるイノベーションを活用する
ことで、がんの治癒を目指しています。本疾患領域では、(1)既発売品(「ニンラーロ」、「アドセトリス」、
「アイクルシグ」など)およびパイプラインプログラムを通じた血液がん領域におけるさらなるプレゼンスの構
築、(2)肺がんを対象とした既発売品(「アルンブリグ」、「EXKIVITY」)および大腸がん治療薬候補「フルキ
ンチニブ(TAK-113)」を含むその他のがんを対象とする開発プログラムによる固形がん領域の拡充、(3)自然
免疫を活用した最先端のパイプラインの進捗の3つの分野にフォーカスしています。
[アドセトリス 一般名:ブレンツキシマブ ベドチン]
- 2022年5月、当社は、「アドセトリス」について、CD30陽性ホジキンリンパ腫における小児の一次治療に対する
用法用量について、厚生労働省より製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを公表しました。
- 2022年5月、当社とSeagen Inc.は、「アドセトリス」と化学療法の併用を検討した臨床第3相試験である
「ECHELON-1」の全生存期間(OS)のデータを公表しました。本データは第59回米国臨床腫瘍学会年次総会
(ASCO)および第27回欧州血液学会議年次総会(EHA)のオーラルセッションにおいて発表されました。未治療
のⅢ期またはⅣ期の成人古典的ホジキンリンパ腫患者を対象とした「ECHELON-1試験」において、「アドセトリ
ス」、「ドキソルビシン」、「ビンブラスチン」および「ダカルバジン」併用群(A+AVD)は、「ドキソルビシ
ン」、「ブレオマイシン」、「ビンブラスチン」および「ダカルバジン」併用群(ABVD)に対して統計学的に有
意なOSの改善を示しました。約6年間の観察期間(中央値73ヵ月)において、A+AVDの併用療法を受けた患者群
は死亡リスクが41%低下し(ハザード比[HR]0.59;95%信頼区間[CI]:0.396-0.879)、推定全生存率は6年時
点で93.9%(95%信頼区間[CI]:91.6-95.5)でした。「アドセトリス」の安全性プロファイルはこれまでの臨
床試験の結果と一貫しており、新たな安全性シグナルは確認されませんでした。
- 2023年2月、当社は、「アドセトリス」について、再発又は難治性のCD30陽性皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)に対
する効能効果及び用法用量に関する製造販売承認事項一部変更承認の申請を日本において行ったことを公表しま
した。今回の申請は、再発又は難治性のCTCLの患者を対象とし、「アドセトリス」の海外臨床第3相試験である
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「ALCANZA試験(C25001試験)」における有効性および安全性を評価した結果ならびに国内臨床第2相医師主導
試験である「SGN-35-OU試験」における日本人に対する有効性および安全性を評価した結果に基づくものです。
[ベクティビックス 一般名:パニツムマブ]
- 2022年6月、当社は、「ベクティビックス」の RAS 遺伝子野生型で化学療法未治療の切除不能進行再発大腸がん
の日本人患者を対象とした国内臨床第3相試験である「PARADIGM試験」に関するデータを、米国臨床腫瘍学会
(ASCO)年次総会のPlenary Sessionにおいて発表しました。「PARADIGM試験」は、 RAS 遺伝子野生型で原発巣占
居部位が左側(下行結腸、S状結腸、直腸)である大腸がん患者における適切な治療を世界で初めて前向きに検
証しました。主要評価項目である全生存期間(OS)において、原発巣占居部位が左側および全体、いずれの集団
でもmFOLFOX6+「ベクティビックス」併用療法がmFOLFOX6+「ベバシズマブ」併用療法に対し、統計学的に有意
な延長が認められました(左側 OS中央値:37.9 vs. 34.3 HR=0.82 [95.798% CI: 0.68-0.99] p=0.031、全体
OS中央値:36.2 vs. 31.3, HR=0.84 [95% CI:0.72-0.98], p=0.030)。なお、本試験における「ベクティビック
ス」投与時の安全性プロファイルはこれまでに公表された臨床試験結果と同様の内容でした。2023年4月、本試
験に関する論文が、 Journal of the American Medical Association (JAMA)に掲載されました。
[アイクルシグ 一般名:ポナチニブ]
- 2022年11月、当社は、無作為化臨床第3相「PhALLCON試験」が主要評価項目を達成し、フィラデルフィア染色体
陽性急性リンパ芽球性白血病(Ph+ ALL)と新たに診断された成人患者において強度減弱化学療法併用下での
「アイクルシグ」の投与により、「イマチニブ」と比較して高い微小残存病変(MRD)陰性の完全寛解(CR)率
を示したことを公表しました。「PhALLCON試験」は、未治療の成人Ph+ALL患者を対象に、フロントラインにお
ける強度減弱化学療法併用下での2つのチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の有効性および安全性を比較した、最
初で唯一の無作為化非盲検多施設共同国際臨床第3相直接比較試験です。本試験において、新たな安全性シグナ
ルは認められませんでした。
[EXKIVITY 一般名:mobocertinib]
- 2023年1月、当社は、「EXKIVITY」について、プラチナ製剤ベースの化学療法を実施中あるいは実施後に病勢が
進行した、上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う局所進行または転移性非小細胞肺がんの成人
患者に対する治療薬として中国国家食品薬品監督管理局(NMPA)より承認を取得したことを公表しました。
「EXKIVITY」はEGFRエクソン20挿入変異を伴う局所進行または転移性非小細胞肺がんの患者において臨床的に意
義のある持続的な奏効が示されており、現在、中国でこの患者集団に対して使用できる最初で唯一の治療薬で
す。エクソン20挿入変異を選択的に標的とするよう設計された経口チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)である
「EXKIVITY」は、NMPAのブレークスルーセラピープログラムの一環として審査を受けました。今回の承認は、プ
ラチナ製剤ベースによる治療歴を有する患者集団を対象に実施した「EXKIVITY」の臨床第1/2相試験に基づく
もので、本適応症の完全承認は、検証試験における臨床的有用性の確認が条件となる可能性があります。
[開発コード:TAK-113 一般名:フルキンチニブ ]
- 2023年1月、当社は、HUTCHMED(China)Limitedおよびその子会社であるHUTCHMED Limited(HUTCHMED社)と、
中国本土、香港およびマカオを除く全世界を対象とした「フルキンチニブ」の開発および商業化に関する独占的
ライセンス契約を締結したことを公表しました。2018年に中国で承認された「フルキンチニブ」は、血管内皮増
殖因子受容体(VEGFR)1/2/3に高い選択性を有する阻害薬です。「フルキンチニブ」は、バイオマーカーの
状態にかかわらず、難治性の転移性大腸がん(mCRC)の様々なサブタイプで使用される可能性がある経口治療薬
です。2022年9月の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)において、難治性mCRCを対象とした「フルキンチニブ」の臨床第
3相国際共同「FRESCO-2試験」の有用性を示す結果が発表されました。「FRESCO-2試験」は、mCRC患者における
全生存期間(OS)の改善という主要評価項目を達成し、概ね良好な忍容性を示しました。また、「フルキンチニ
ブ」は、2020年に米国食品医薬品局(FDA)よりmCRC患者に対する治療薬としての開発についてファストトラッ
ク指定を受けています。2022年12月、HUTCHMED社はFDAに対して「フルキンチニブ」の新薬承認申請(NDA)の段
階的申請を開始し、2023年3月に申請を完了しました。これに続き、欧州医薬品庁(EMA)への製造販売承認申
請(MAA)、および厚生労働省(MHLW)への製造販売承認申請が予定されています。
- 2023年5月、当社とHUTCHMED(China)Limited(HUTCHMED社)は、治療歴を有するmCRCの成人患者の治療薬とし
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て、VEGFR 1/2/3に高い選択性を有する阻害薬である「フルキンチニブ」のNDAが、FDAより優先審査に指定さ
れたことを公表しました。承認された場合、「フルキンチニブ」は治療歴を有するmCRC患者の治療薬として、3
種 類のVEGF受容体すべてに対して高い選択性を有する米国で承認された最初で唯一の阻害薬となります。本申請
には、中国で実施された臨床第3相「FRESCO試験」のデータとともに、米国、欧州、日本およびオーストラリア
で実施された臨床第3相「FRESCO-2試験」から得られた結果を含めています。本申請において、FDAが設定した
処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく審査終了目標日は2023年11月30日です。
希少遺伝子疾患および血液疾患
当社は、希少遺伝子疾患および血液疾患において、高いアンメット・メディカル・ニーズが存在する複数の疾患に
注力しています。遺伝性血管性浮腫においては、「タクザイロ」をはじめとするライフサイクルマネジメントプロ
グラムへの継続的な研究開発投資を通じて、既存の治療パラダイムの変革を目指します。希少血液疾患において
は、「アドベイト」、「アディノベイト/ADYNOVI」に加えて、免疫性血栓性血小板減少性紫斑病(iTTP)および先
天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)治療に対するパイプラインである「apadamtase alfa/cinaxadamtase alfa
(TAK-755)」の開発を通じて、出血性疾患治療における現在のニーズへ対応することに注力しています。また、
「LIVTENCITY」においては、移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症の治療を再定義することを目指して
います。当社は、アデノ随伴ウイルス(AAV)遺伝子治療の探索および前臨床の取り組みを中止することを最近決
定しましたが、引き続き希少疾患の患者さんに対し革新的な医薬品を届けるという当社のビジョンを実現するため
の取組みを継続します。
[タクザイロ 一般名:ラナデルマブ]
- 2022年4月、当社は、2歳以上12歳未満の患者を対象とした臨床第3相試験である「SPRING試験」において、
「タクザイロ」の安全性プロファイルおよび薬物動態の評価が終了し、主要評価項目を達成したことを公表しま
した。安全性プロファイルはこれまでに公表された12歳以上の小児患者を対象とした臨床プログラムと一致し、
重篤な有害事象および有害事象による脱落はありませんでした。また、本試験において、2歳以上12歳未満の小
児を対象とする遺伝性血管性浮腫(HAE)の発症抑制における「タクザイロ」の臨床活性および臨床アウトカム
を評価し、本剤の薬力学を特徴付ける副次評価項目も達成しました。
- 2022年7月、当社は、ハイブリッド形式で開催された2022年欧州アレルギー臨床免疫学会議(EAACI)におい
て、「タクザイロ」の臨床第3相「SPRING試験」の最新データを発表しました。多施設共同非盲検臨床第3相試
験である「SPRING試験」の主要評価項目は、2歳以上12歳未満のHAE患者を対象とした「タクザイロ」の安全性
および薬物動態(PK)です。また、副次評価項目として、HAE発作抑制の臨床効果を評価しています。本試験で
は、本剤150mgを2歳以上6歳未満の患者では4週毎に、6歳以上12歳未満の患者では2週毎に投与しました。
「タクザイロ」は投与開始時と比較して小児患者におけるHAEの発作発症率を平均94.8%低下させ、投与期間に
おける発作は1ヵ月あたり1.84回から0.08回になりました。患者の大多数(76.2%)は52週間の投与期間中に無
発作となり、平均99.5%の日数が無発作日となりました。本試験中に報告された死亡または重篤な有害事象
(TEAEs)はなく、TEAEsにより試験を中止した患者はいませんでした。これらの結果は、成人および12歳以上の
小児患者を対象に既に実施された試験結果と一貫していました。これらのデータは、「タクザイロ」の低年齢の
患者への適応拡大に向けて、世界各国の規制当局に提出される予定です。
- 2023年2月、当社は、「タクザイロ」について、米国食品医薬品局(FDA)より、2歳以上12歳未満の小児患者
を対象としたHAE発作抑制治療薬としての対象年齢の拡大に関する生物製剤承認一部変更申請(sBLA)の承認を
取得したことを公表しました。本申請はFDAより優先審査に指定されていました。sBLA承認は、12歳以上18歳未
満の患者を含む臨床第3相試験である「HELP試験」の有効性データの外挿と、2歳以上12歳未満のHAE患者を対
象とした非盲検臨床第3相試験である「SPRING試験」における成人と小児患者の類似した薬物曝露を示す追加の
薬物動態分析および安全性と薬力学データに基づきます。これまで2歳以上6歳未満のHAE小児患者に対して承
認された発作抑制薬はなく、「タクザイロ」は本承認によりこの年齢集団にとって初の発作抑制薬となります。
[LIVTENCITY 一般名:maribavir]
- 2022年4月、当社は、米国ユタ州ソルトレークシティにて開催されたTandem移植・細胞治療学会およびポルトガ
ルのリスボンにて開催された第32回欧州臨床微生物感染症学会議(ECCMID)において、「LIVTENCITY」に関する
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4つの抄録を発表しました。発表演題には、移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症患者におい
て、「LIVTENCITY」投与群では従来の抗ウイルス療法群と比較して、入院率の低下(34.8%、p=0.021)と入院
期 間の短縮(53.8%、p=0.029)を示す臨床第3相「SOLSTICE試験」の探索的解析が含まれます。また、臨床第
3相「SOLSTICE試験」のサブグループ別の事後解析では、CMVのDNA濃度が定量検出限界以下(
が示され、これまで報告された試験結果と一致していました。
- 2022年11月、当社は、欧州委員会(EC)より、造血幹細胞移植(HSCT)または固形臓器移植(SOT)後の、既存
療法(「ガンシクロビル」、「バルガンシクロビル」、「シドフォビル」、「ホスカルネット」のいずれか1つ
以上の前治療)に抵抗性(抵抗性無しも含む)を示す難治性のCMV感染/感染症の成人患者を対象とした治療薬
として、「LIVTENCITY」の販売承認を取得したことを公表しました。中央審査による販売承認は、すべてのEU加
盟国ならびにアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーおよび北アイルランドで有効であり、HSCTおよび
SOT移植後の既存療法のいずれか1種類以上に対して抵抗性(抵抗性無しも含む)を示す難治性の成人患者の治
療薬として、従来の抗ウイルス療法(「ガンシクロビル」、「バルガンシクロビル」、「シドフォビル」または
「ホスカルネット」)に対する「LIVTENCITY」の安全性および有効性が評価された臨床第3相「SOLSTICE試験」
に基づいています。
- 2022年12月、当社は、HSCT後患者におけるCMV感染治療薬として「バルガンシクロビル」と比較した
「LIVTENCITY」の有効性および安全性を評価する無作為化ダブルダミー実薬対照二重盲検多施設共同臨床第3相
「AURORA試験」において、「LIVTENCITY」はCMV血症の消失において臨床的意義のある有効性を示したものの、
事前に規定した非劣性マージンである7%に基づき、「バルガンシクロビル」との非劣性を検討した主要評価項
目を満たさなかったことを公表しました(「LIVTENCITY」69.6%[190/273]vs「バルガンシクロビル」77.4%
[212/274]、調整群間差:-7.7%、95% CI:-14.98、-0.36)。主要評価項目は、治療期終了時(8週目)の
「バルガンシクロビル」投与群との比較において、「LIVTENCITY」単独投与後にCMV血症の消失(血漿CMV DNAが
LLOQ未満:<137 IU/mL)が確認された患者の割合と定義しました。重要な副次評価項目として、投与終了から
8週後の16週目において、8週目に達成したCMV血症の消失および症状コントロールを維持した患者の割合は、
「LIVTENCITY」群で52.7%であり、「バルガンシクロビル」群の48.5%に対し数値的に上回りました。
「LIVTENCITY」による維持効果は、12週目(「LIVTENCITY」59.3%、「バルガンシクロビル」57.3%)および20
週目(「LIVTENCITY」43.2%、「バルガンシクロビル」42.3%)における治療期終了後評価で確認されました。
また、「バルガンシクロビル」の試験治療下での好中球減少症発現率が高いこと(「LIVTENCITY」の21.2%に対
して63.5%)および好中球減少症による投与の早期中止率が高いこと(「LIVTENCITY」の4%に対して17.5%)
より、「LIVTENCITY」の良好な安全性プロファイルを本試験において再確認しました。「LIVTENCITY」で最も多
く報告された有害事象は、悪心(27.5%)と味覚不全(25.6%)でした。当社は引き続き移植領域に注力し、
「AURORA試験」のアウトカムを検討するために規制当局と連携しています。
[アディノベイト/ADYNOVI 一般名:ルリオクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)]
- 2022年6月、当社は、「アディノベイト」について、定期補充療法の用法・用量に関する製造販売承認事項一部
変更承認申請を日本において行ったことを公表しました。今回の申請は、主に国際共同臨床第3相試験である
「CONTINUATION試験」および「PROPEL試験」の成績に基づいて行っています。
[フィラジル 一般名:イカチバント]
- 2022年8月、当社は、「フィラジル」について、厚生労働省より2歳以上の小児の遺伝性血管性浮腫(HAE)に
対する用法および用量の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを公表しました。本承認は、
主に2歳以上18歳未満の小児HAE患者に「フィラジル」を皮下注射したときの安全性、有効性および薬物動態を
評価した国内臨床第3相非盲検試験ならびに海外臨床第3相非盲検試験に基づきます。
[開発コード:TAK-755 一般名:apadamtase alfa/cinaxadamtase alfa]
- 2022年12月、当社は、「TAK-755」が、血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:
TTP)を予定される効能・効果として厚生労働省より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を取得し
たことを公表しました。「TAK-755」は、TTPを標的とした初めての遺伝子組換えADAMTS13製剤(rADAMTS13)で
あり、先天性TTP(cTTP)および後天性(免疫性)TTP(iTTP)の治療薬としてグローバルで開発中です。
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- 2023年1月、当社は、「TAK-755」について、ピボタル臨床第3相試験において事前に計画した中間解析より得
られた包括的なエビデンスから、cTTPに対する酵素補充療法薬としての有効性および安全性が支持されたことを
公 表しました。本試験では無作為化クロスオーバー法により、「TAK-755」を現在の標準治療(SoC)である血漿
製剤を用いた治療と比較して評価しました。中間成績から、「TAK-755」がSoCと比較してcTTPの重要な疾患活動
性マーカーである血小板減少症事象の発現率を60%(95%信頼区間:30%~70%)低減させることが示されまし
た。また、治療と関連性がある有害事象が発現した被験者の割合は、SoCを受けている被験者(47.7%)と比較
して、「TAK-755」が投与された被験者(8.9%)で実質的に低い結果でした。臨床第3相試験の中間解析から得
られたこれらのデータに基づき、当社は、患者にとって大きなアンメット・ニーズが存在する疾患であるcTTPに
対して初のrADAMTS13補充療法薬として「TAK-755」の製造販売承認申請を目指しています。
- 2023年5月、当社は、ADAMTS13欠乏性疾患のcTTPに対する酵素補充療法としての「TAK-755」について、米国食
品医薬品局(FDA)により生物学的製剤承認申請(BLA)が受理されたことを公表しました。本申請は5月16日に
受理され、FDAにより優先審査指定を受けています。また、「TAK-755」はFDAよりcTTPに対する希少小児疾患
(RPD)指定も受けています。本剤は既に、cTTPを対象としたファストトラック指定および希少疾病用医薬品指
定も受けています。このたびのBLAは、cTTPを対象とした初の無作為化対照試験から得られた有効性、薬物動
態、安全性および忍容性データから示される包括的エビデンスおよび継続試験から得られた長期の安全性と有効
性のデータに基づきます。「TAK-755」が承認された場合、大きなアンメットニーズが存在するcTTPに対して初
めてかつ唯一のrADAMTS13補充療法薬となります。なお、「TAK-755」については、iTTPに対する安全性、有効性
および薬物動態 に関する臨床評価 も実施中です。
血漿分画製剤
当社は、血漿分画製剤(PDT)に特化したPDTビジネスユニットを設立し、血漿の収集から製造、研究開発および商
用化まで、エンド・ツー・エンドのビジネスを運営しています。本疾患領域では、様々な希少かつ複雑な慢性疾患
に対する患者さんにとって生命の維持に必要不可欠な治療薬の開発を目指しています。本領域に特化した研究開発
部門は、既発売の治療薬の価値最大化、新たな治療ターゲットの特定および現有する製品の製造効率の最適化とい
う役割を担います。短期的には、当社の幅広い免疫グロブリン製剤ポートフォリオ(「HYQVIA」、「CUVITRU」、
「GAMMAGARD」および「GAMMAGARD S/D」)における効能追加、地理的拡大および総合的な医療テクノロジーの活用
を通じたより良い患者体験を追求しています。血液製剤およびスペシャリティケアのポートフォリオにおいては、
「PROTHROMPLEX(4F-PCC)」、「ファイバ」、「CEPROTIN」および「ARALAST」における効能追加や剤型追加の開
発機会の追求を優先しています。また、当社は、グローバルに販売している20種類以上にわたる治療薬ポートフォ
リオに加え、「20% fSCIg」(「TAK-881」)や「IgG Low IgA」(「TAK-880」)といった次世代の免疫グロブリ
ン製剤の開発、およびその他の早期段階の治療薬候補(高シアル化免疫グロブリン(hsIgG)を含む)の開発を
行っています。
[HYQVIA 一般名:遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ含有皮下注(ヒト)免疫グロブリン10%]
- 2022年7月、当社は、「HYQVIA」を慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)に対する維持療法として評価する無
作為化プラセボ対照二重盲検臨床第3相「ADVANCE-1試験」において、主要評価項目を達成したことを公表しま
した。本試験では、投与前の少なくとも3ヵ月間、静注免疫グロブリン(IVIG)療法の用法・用量に変更がな
かったCIDPの成人患者132名を対象として、「HYQVIA」の有効性、安全性、忍容性を評価しました。INCATスコア
を指標とした主要評価項目の解析では、「HYQVIA」を事前のIVIGと同じ用量および用法で投与した場合、プラセ
ボと比較してCIDPの再発を減少させました[それぞれ9.7% vs 31.4%、p値 = 0.0045]。本試験において患者
の大半が「HYQVIA」の4週間投与レジメンでの治療を受けました。「HYQVIA」による治療を受けた患者62名のう
ち、治験薬と関連のある有害事象の大半が軽度または中等度であり、「HYQVIA」による新たな安全性リスクは報
告されませんでした。CIDPにおける「HYQVIA」の安全性プロファイルは、同薬効で最長となる6年間の長期臨床
試験で、一部の患者に対して進行中の「ADVANCE-3試験」のデータによって、さらに裏付けられる予定です。全
データ解析が完了し、2022年度に米国およびEUの規制当局へ「HYQVIA」の申請を行いました。
- 2023年4月、当社は、「HYQVIA」について、米国食品医薬品局(FDA)より、原発性免疫不全(PI)治療薬とし
て対象年齢を2歳から16歳までの小児患者へ拡大する生物製剤承認一部変更申請(sBLA)の承認を取得したこと
を公表しました。FDAによる小児PI患者の治療薬としての「HYQVIA」の承認は、2歳から16歳までの44名の小児
PI患者を対象に実施したピボタル前向き非盲検非対照臨床第3相試験のエビデンスに基づきます。「HYQVIA」
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は、主要評価項目である急性の重篤な細菌感染症(aSBIs)の発現率につき、12ヵ月の治療期間において有効性
が確認されました。年間の平均aSBI発現率は0.04であり、事前に設定された達成規準である被験者1名あたりの
年 間aSBI発現率1未満に対し統計学的に有意に低率(片側上限99%信頼区間 0.21、p<0.001)であったことか
ら、小児PI患者に対する「HYQVIA」の有効性が確認されました。すべての患者が12ヵ月間(1年間の観察期間)
の試験参加期間を完了した時点で行われた中間解析の結果では、成人と同様な安全性プロファイルが確認されま
した。
[CUVITRU 一般名:皮下注(ヒト)免疫グロブリン20%]
- 2022年10月、当社は、「20%皮下注用ヒト免疫グロブリン製剤」について、無又は低ガンマグロブリン血症を予
定される効能・効果として、厚生労働省に対し製造販売承認申請を行ったことを公表しました。本申請は、主に
原発性免疫不全症候群(PID)の日本人患者を対象とした臨床第3相試験、およびPID患者を対象とした2つの海
外臨床第2/3相試験に基づいています。これらの試験において、「20%皮下注用人免疫グロブリン製剤」は無
又は低ガンマグロブリン血症の治療薬として有効性と安全性が確認されました。
[CEPROTIN 一般名:乾燥濃縮ヒトプロテインC(開発コード:TAK-662)]
- 2023年4月、当社は「乾燥濃縮ヒトプロテインC(TAK-662)」について、先天性プロテインC欠乏症に起因する
静脈血栓塞栓症、電撃性紫斑病の治療および血栓形成傾向の抑制を予定される効能・効果として厚生労働省に対
し製造販売承認申請を行ったことを公表しました。今回の製造販売承認申請は、主に日本人の先天性プロテイン
C欠乏症患者を対象とした国内臨床第1/2相試験および先天性プロテインC欠乏症患者を対象とした2つの海外
臨床第2/3相試験(「IMAG-098試験」、「400101試験」)に基づくものです。これらの試験において、「TAK-
662」は先天性プロテインC欠乏症の治療薬として有効性と安全性が評価されました。
ワクチン
ワクチンでは、イノベーションを活用し、デング熱(「QDENGA(開発コード:TAK-003)」)、新型コロナウイル
ス感染(COVID-19)(「ヌバキソビッド筋注」)、ジカウイルス感染(「TAK-426」)など、世界で最も困難な感
染症に取り組んでいます。当社パイプラインの拡充およびプログラムの開発に対する支援を得るために、政府機関
(日本、米国)や主要な世界的機関とのパートナーシップを締結しています。これらのパートナーシップは、当社
のプログラムを実行し、それらのポテンシャルを最大限に引き出すための重要な能力を構築するために必要不可欠
です。
[スパイクバックス筋注(旧販売名:COVID-19ワクチンモデルナ筋注) 開発コード:mRNA-1273(日本での開発
コード:TAK-919)]
- 2022年5月、当社とModerna, Inc.(Moderna社)は、2022年8月1日付で「スパイクバックス筋注」の製造販売承
認を当社からモデルナ・ジャパン株式会社(モデルナ・ジャパン)に承継することを公表しました。承継後モデ
ルナ・ジャパンは、日本における「スパイクバックス筋注」の輸入、薬事、開発、品質保証および情報提供活動
などのすべてに責任を持つことになります。当社は、当面の間、新型コロナウイルス感染症にかかわる特例臨時
接種の枠組みの下、米国Moderna社の新型コロナウイルスワクチンの流通を引き続き担います。
[ヌバキソビッド筋注 開発コード:NVX-CoV2373(日本での開発コード:TAK-019)]
- 2022年4月、当社は、組換えスパイクタンパクを抗原とした新型コロナウイルス感染症ワクチン 「ヌバキソ
ビッド筋注」について、18歳以上を対象として、厚生労働省より初回免疫および追加免疫に対する製造販売承認
を取得したことを公表しました。今回の承認は、当社が実施した国内臨床第1/2相試験における中間結果、
Novavax社が実施した英国ならびに米国およびメキシコで実施した2つのピボタル臨床第3相試験、オーストラ
リアおよび米国における臨床第1/2相試験の安全性と有効性のデータ、申請後に追加提出した海外の安全性お
よび有効性のデータに基づいています。国内臨床第1/2相試験の中間結果は良好で、これまで実施された臨床
試験の結果と一致していました。国内臨床試験において本ワクチン投与群に重篤な有害事象は認められませんで
した。また、米国およびオーストラリアで実施した臨床第1/2相試験ならびに南アフリカで実施した臨床第2
相試験において、初回接種から約6ヵ月後に本ワクチンを1回追加接種したところ、追加接種前と比較して顕著
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な抗体価の上昇が確認され、安全性に関する大きな懸念は認められませんでした。
- 2022年5月、当社は、「ヌバキソビッド筋注」について、予防接種法で定められた新型コロナワクチンの臨時予
防接種に係る法令等の改正を経て、特例臨時接種として初回免疫(1、2回目接種)および追加免疫(3回目接
種)を行う場合に使用するワクチンに指定されたことを公表しました。「ヌバキソビッド筋注」は、多くの医療
用医薬品やワクチンと同様に冷蔵保存(保管温度:2-8℃)であり、通常のワクチンにおけるサプライチェー
ンを利用して輸送・保管することが可能です。
[QDENGA 一般名:4価弱毒生デング熱ワクチン(開発コード:TAK-003)]
- 2022年6月、当社は、「TAK-003」がグローバル臨床第3相試験である「TIDES試験(Tetravalent Immunization
against Dengue Efficacy Study)」において、ワクチン接種後4年半(54ヵ月)にわたる継続したデング熱の
予防効果を示し、安全性について大きな懸念が認められなかったことを、第8回Northern European Conference
on Travel Medicine(NECTM8)で発表しました。4年半を通して、「TAK-003」はデングウイルス感染症による
入院に対して84.1%のワクチン有効性(95%信頼区間:77.8, 88.6)を示し、ワクチン接種前の血清反応陽性者
では85.9%の有効性(78.7, 90.7)、血清反応陰性者では79.3%の有効性(63.5, 88.2)を示しました。また、
ウイルス学的に確認されたデングウイルス感染症に対して61.2%(95%信頼区間:56.0, 65.8)の全体的な有効
性を示し、ワクチン接種前の血清反応陽性者では64.2%の有効性(58.4, 69.2)、血清反応陰性者では53.5%の
有効性(41.6, 62.9)でした。有効性は血清型によって異なっていましたが、この結果はこれまでに報告された
結果と一貫性のあるものでした。「TAK-003」の忍容性は概ね良好であり、重要な安全性リスクは特定されませ
んでした。また、54ヵ月間の探索的解析からは、疾患増強のエビデンスは認められませんでした。
- 2022年8月、当社は、デング熱ワクチン「QDENGA」が、インドネシア国家医薬品食品管理庁(Badan Pengawas
Obat dan Makanan:BPOM)により、いずれかのデングウイルス血清型により引き起こされるデング熱の予防を目
的に、6歳から45歳を接種対象として承認されたことを公表しました。「QDENGA」は、デングウイルス感染歴を
問わず、またワクチン接種前検査を必要としない唯一のデング熱ワクチンとしてインドネシアで承認されまし
た。本承認は、進行中の臨床第3相試験である「TIDES試験」のワクチン接種後3年間の結果に基づくもので
す。
- 2022年10月、当社は、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)が、欧州連合(EU)およびEU-
M4all制度に参加しているデング熱流行国における「QDENGA」の承認を推奨したことを公表しました。2022年12
月、当社は、「QDENGA」が欧州委員会(EC)により、EUにおける4種すべてのデングウイルス血清型により引き
起こされるデング熱の予防を目的として、4歳以上を接種対象者として販売承認を取得したことを公表しまし
た。ECによる承認は、28,000人以上の小児および成人を対象にした19件の臨床第1、2、3相試験の結果により
裏付けられています。これには、グローバル臨床第3相「TIDES試験」の4.5年の追跡調査データが含まれていま
す。当社は、アジア諸国およびラテンアメリカの他のデング熱流行国においても規制当局への申請を継続して進
めています。
- 2022年11月、当社は、米国食品医薬品局(FDA)が「TAK-003」の生物製剤承認申請(BLA)を受理し、優先審査
に指定したことを公表しました。米国において「TAK-003」は、4歳から60歳を接種対象とした4種すべてのデ
ングウイルス血清型によって引き起こされるデング熱の予防を目的として審査されています。「TAK-003」のBLA
申請は、グローバル臨床第3相試験である「TIDES試験」の安全性および有効性データに基づいています。
- 2023年3月、当社は、「QDENGA」がブラジルにおいて国家衛生監督庁(ANVISA: National Health Surveillance
Agency)より、4種すべてのデングウイルス血清型により引き起こされるデング熱の予防を目的として、4歳か
ら60歳までを接種対象として承認を取得したことを公表しました。「QDENGA」は、デングウイルス感染歴を問わ
ず、またワクチン接種前の感染歴検査を必要としない、ブラジルで承認された唯一のデング熱ワクチンです。本
承認は、28,000人以上の小児および成人を対象にした19件の臨床第1、2、3相試験の結果に基づいており、こ
れには、グローバル臨床第3相「TIDES試験」の4.5年の追跡調査データが含まれています。
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パイプラインの現状
当社グループの各疾患領域および事業分野における研究開発活動の概要は、以下に示すとおりです。後出する主要
な疾患領域および事業分野において開示されている当社グループパイプライン上の治療薬の候補物質は、それぞれ
異なる開発段階にあり、現在開発中の候補物質の開発中止や新たな候補物質の臨床ステージ入りにより、パイプラ
インの内容は今後変わる可能性があります。以下に示す候補物質が製品として上市に至るかは、前臨床試験や臨床
試験の結果、様々な医薬品の市場動向、規制当局からの販売承認取得の有無など、様々な要因に影響されます。本
表では当社が承認取得を目指しているパイプラインの主な効能および承認されたパイプラインを掲載しています。
掲載している効能以外にも、将来の効能・剤型追加の可能性を検討するために臨床試験を行っています。以下の表
記載は、米国・欧州・日本・中国に限定していますが、当社グループはその他の地域でも開発活動を行っていま
す。以下、「グローバル」の表記は、米国・欧州・日本・中国を指します。下記の表にあるパイプラインのモダリ
ティは、「低分子」、「ペプチド・オリゴヌクレオチド」、「細胞および遺伝子治療」、「生物学的製剤他」のい
ずれかに分類しています。
2023年5月11日(決算発表日)における 当社グループの消化器系・炎症性疾患領域 のパイプラインは以下のとおり
です。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。
開発コード
<一般名>
薬効(投与経路) モダリティ 適応症/剤型追加 国/地域 開発段階
製品名
(国/地域)
日本 承認(23/3)
皮下投与製剤(潰瘍性大腸炎)
米国 申請(23/4)
MLN0002
ヒト化抗α4β7インテグリ 日本 申請(22/10)
ンモノクローナル抗体 米国 P-Ⅲ
ENTYVIO(グローバル) 他
(注射剤)
同種造血幹細胞移植を受けている患 欧州 P-Ⅲ
エンタイビオ(日本)
者における移植片対宿主病の予防 日本 P-Ⅲ
潰瘍性大腸炎・クローン病(小児) グローバル P-Ⅲ
TAK-438
酸関連疾患(ヘリコバクター・ピロ
タケキャブ シッドブロッカー(経口 低分子 中国 申請(22/8)
リの除菌の補助)
(日本) 剤)
VOCINTI(中国)
Cx601
難治性のクローン病に伴う複雑痔瘻 米国 P-Ⅲ
同種異系脂肪由来幹細胞懸 生物学的製剤
難治性のクローン病に伴う複雑痔瘻 欧州 P-Ⅲ
アロフィセル
濁剤(注射剤) 他
(小児) 日本 P-Ⅲ
(欧州、日本)
ペプチド・オ
TAK-999(注1)
GalNAcベースRNA干渉 α‑1アンチトリプシン欠乏症に伴う 米国 P-Ⅲ
リゴヌクレオ
チド
アラジール症候群 日本 P-Ⅲ
回腸胆汁酸トランスポー
TAK-625(注2)
ター(IBAT)阻害薬 低分子
(経口剤)
進行性家族性肝内胆汁うっ滞症 日本 P-Ⅲ
TAK-227/ZED1227
トランスグルタミナーゼ2
低分子 セリアック病 ― P-Ⅱb
(注3)
阻害薬(経口剤)
乾癬 ― P-Ⅱb
チロシンキナーゼ2(TYK
TAK-279 低分子
2)阻害薬(経口剤)
乾癬性関節炎 ― P-Ⅱb
TAK-062 グルテン分解酵素 生物学的製剤
セリアック病 ― P-Ⅱ
Tolerizing Immune
TAK-101 生物学的製剤
Modifying nanoParticle セリアック病 ― P-Ⅱ
(注4) 他
(TIMP)(注射剤)
ペプチド・オ
ペプチドアゴニスト
TAK-951 リゴヌクレオ 悪心、嘔吐 ― P-Ⅱ
(皮下注射製剤)
チド
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開発コード
<一般名>
薬効(投与経路) モダリティ 適応症/剤型追加 国/地域 開発段階
製品名
(国/地域)
ペプチド・オ
ペプチドアゴニスト
TAK-105 リゴヌクレオ 悪心、嘔吐 ― P-Ⅰ
(皮下注射製剤)
チド
生物学的製剤
TAK-647 抗MAdCAM-1抗体(注射剤) 非アルコール性脂肪肝炎(NASH) ― P-Ⅰ(注5)
他
(注1)Arrowhead Pharmaceuticals社との提携
(注2)Mirum社との提携
(注3)Zedira社およびDr. Falk Pharma社との提携
(注4)COUR Pharmaceuticals社からTAK 101の開発および製品化の権利を獲得。旧名TIMP GLIA
(注5)被験者登録中
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2023年5月11日(決算発表日)における当社グループのニューロサイエンス(神経精神疾患)領域のパイプライン
は以下のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。
開発コード
薬効(投与経路) モダリティ 適応症/剤型追加 国/地域 開発段階
<一般名>
ドラベ症候群 グローバル P-Ⅲ
TAK-935
CH24H阻害薬 (経口剤)
低分子
レノックス・ガストー症候群 グローバル P-Ⅲ
抗ヒトトランスフェリン受
容体抗体とイズロン酸‑2‑
TAK-141/JR-141(注1)
生物学的製剤 ハンター症候群(中枢性および身体症
スルファターゼの融合蛋白 欧州 P-Ⅲ
他 状)
質[遺伝子組換え](注射
剤)
ナルコレプシータイプ1 ― P-Ⅱb
オレキシン2受容体
TAK-861 低分子
アゴニスト(経口剤)
ナルコレプシータイプ2 ― P-Ⅱb
M1ポジティブアロステリッ
TAK-071 クモジュレーター 低分子 パーキンソン病 ― P-Ⅱ
(M1PAM)(経口剤)
TAK-041/NBI-846 GPR139アゴニスト
低分子 大うつ病(MDD)における無快楽症 ― P-Ⅱ
(注2) (経口剤)
TAK-653/NBI-845 AMPA受容体増強薬 抗うつ薬による効果が不十分な大うつ
低分子 ― P-Ⅱ
(注2) (経口剤) 病(MDD)
TAK-341/MEDI1341 抗α‑シヌクレイン抗体 生物学的製剤
多系統萎縮症(MSA) ― P-Ⅱ
(注3) (注射剤) 他
髄腔内投与用ヒトアリール
生物学的製剤
TAK-611 スルファターゼA[遺伝子 異染性白質ジストロフィー ― P-Ⅱ
他
組換え](注射剤)
脳内移行性を有するプログ
生物学的製剤
TAK-594/DNL593(注4) ラニュリン融合蛋白質 前頭側頭型認知症 ― P-Ⅱ
他
(注射剤)
TAK-925 術後の麻酔からの回復、ナルコレプ
オレキシン2受容体
低分子 ― P-Ⅰ
アゴニスト(注射剤)
脳内移行性を有する
生物学的製剤
TREM2 アゴニスト
TAK-920/DNL919(注4) アルツハイマー病 ― P-Ⅰ
他
モノクローナル抗体
(注射剤)
(注1)JCRファーマとの提携、開発は同社が実施
(注2)Neurocrine社との提携、開発は同社が実施
(注3)AstraZeneca社との提携、パーキンソン病対象のP-Ⅰ試験を完了
(注4)Denali Therapeutics社との提携、P-Ⅰ試験は同社が実施
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2023年5月11日(決算発表日)における当社グループのオンコロジー領域のパイプラインは以下のとおりです。な
お、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。
開発コード
<一般名>
薬効(投与経路) モダリティ 適応症/剤型追加 国/地域 開発段階
製品名
(国/地域)
EGFRエクソン20挿入変異を 中国 承認(23/1)
有する非小細胞肺がん 欧州 申請取り下げ(22/7)
TAK-788
(セカンドライン以降) (注2)
EGFR/HER2 阻害薬
(注1) 日本 P-Ⅲ
低分子
(エクソン20変異対応)
EXKIVITY
(経口剤)
EGFRエクソン20挿入変異を
(米国、中国)
有する非小細胞肺がん グローバル P-Ⅲ
(フロントライン)
米国 申請(23/3)
TAK-113(注3)
VEGFR阻害薬(経口剤) 低分子 転移性大腸がん 欧州 P-Ⅲ
日本 P-Ⅲ
SGN-35(注4)
再発・難治性の皮膚T細胞
日本 申請(23/2)
CD30モノクローナル抗体
生物学的製剤他
vedotin>
薬物複合体(注射剤)
ステージIII ホジキンリン
アドセトリス
欧州 申請(23/3)
パ腫(ファーストライン)
(欧州、日本、中国)
MLN9708
自家造血幹細胞移植後の初
低分子 発の多発性骨髄腫の維持療
ニンラーロ (経口剤) 欧州 P-Ⅲ
法(TOURMALINE-MM3試験)
(グローバル)
転移性去勢抵抗性前立腺が
(注5) マルチターゲットキナー
低分子 日本 P-Ⅲ
ん ( アテゾリズマブとの
カボメティクス ゼ阻害薬(経口剤)
併用(注6))
(日本)
フィラデルフィア染色体陽
性の急性リンパ性白血病 米国 P-Ⅲ
(フロントライン)
BCR-ABL阻害薬
低分子
(経口剤)
ICLUSIG(米国)
フィラデルフィア染色体陽
性の急性リンパ性白血病 ― P-Ⅰ
(小児適応)
TAK-385 LH‑RHアンタゴニスト 日本 P-Ⅲ
低分子 前立腺がん
TAK-981
SUMO阻害薬(注射剤) 低分子 複数のがん種 ― P-Ⅱ
再発・難治性の多発性
TAK-573(注7)
抗CD38抗体(IgG4)と
― P-Ⅱ
骨髄腫
活性減弱IFNαとの融合 生物学的製剤他
蛋白(注射剤)
固形がん ― P-Ⅰ
CD19 CAR‑NK細胞療法
細胞および 再発・難治性のB細胞性
TAK-007(注8) ― P-Ⅱ
遺伝子治療 悪性腫瘍
(注射剤)
細胞および
GPC3 CAR‑T(注射剤)
TAK-102(注9) 固形がん ― P-Ⅰ
遺伝子治療
メソテリン CAR‑T
細胞および
TAK-103(注9) 固形がん ― P-Ⅰ
遺伝子治療
(注射剤)
STINGアゴニスト
TAK-676 低分子 固形がん ― P-Ⅰ
(注射剤)
STINGアゴニスト
TAK-500 抗体薬物複合体(注射 生物学的製剤他 固形がん ― P-Ⅰ
剤)
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開発コード
<一般名>
薬効(投与経路) モダリティ 適応症/剤型追加 国/地域 開発段階
製品名
(国/地域)
CD19 1XX CAR-T
細胞および 再発・難治性のB細胞性
TAK-940(注10) ― P-Ⅰ
遺伝子治療 悪性腫瘍
(注射剤)
T細胞誘導抗体
TAK-186(注11) 生物学的製剤他 EGFR発現固形がん ― P-Ⅰ
(注射剤)
T細胞誘導抗体
TAK-280(注11) 生物学的製剤他 B7‑H3発現固形がん ― P-Ⅰ
(注射剤)
(注1)米国食品医薬品局(FDA)の審査は、FDA オンコロジー・センター・オブ・エクセレンス(腫瘍研究拠点:
OCE)の取り組みである、国際的なパートナーとの間でオンコロジー製品の同時申請・同時審査を行う枠組み
を提供するProject Orbisに基づいて行われました。現時点において、英国(2022年5月)、スイス(2022年
6月)、オーストラリア(2022年7月)、韓国(2022年7月)およびブラジル(2023年3月)で承認を取得
(注2)欧州医薬品庁(EMA)との議論を踏まえ販売許可申請を取り下げることを決定
(注3)HUTCHMED社との提携
(注4)Seagen社との提携
(注5)Exelixis社との提携
(注6)中外製薬との提携、P-Ⅲ試験は当社が実施
(注7)Teva Pharmaceutical Industries社との提携
(注8)The University of Texas MD Anderson Cancer Centerとの提携
(注9)Noile immune Biotech社との提携
(注10)Memorial Sloan Kettering Cancer Centerとの提携
(注11)Maverick Therapeutics社買収を通じて取得
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2023年5月11日(決算発表日)における当社グループの希少遺伝子疾患および血液疾患領域のパイプラインは以下
のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。
開発コード
<一般名>
薬効(投与経路) モダリティ 適応症/剤型追加 国/地域 開発段階
製品名
(国/地域)
移植後の(バル)ガンシクロビ
ル、シドフォビル、ホスカルネッ
欧州
TAK-620(注1)
承認(22/11)
トに治療抵抗性・難治性のサイト
申請(22/12)
ベンズイミダゾールリ
ボシド系阻害薬 低分子
LIVTENCITY メガロウイルス感染(症 )
(経口剤)
(米国、欧州)
臓器移植(造血幹細胞移植も含
む)後におけるサイトメガロウイ 日本 P-Ⅲ
ルス感染(症)
TAK-743
生物学的製剤他 遺伝性血管性浮腫(小児)
タクザイロ 薬(注射剤) 欧州 申請(22/12)
(グローバル)
ブタ第VIII因子
TAK-672(注2) 中国 申請(22/6)
[遺伝子組換え] 生物学的製剤他 後天性血友病A(AHA)
OBIZUR(米国、欧州) 日本 P-Ⅱ/Ⅲ
(注射剤)
フォン・ヴィレブランド病の出血
時および周術期の補充療法(成 中国 申請(23/1)
人)
TAK-577
フォン・ヴィレブラン
フォン・ヴィレブランド病の予防 欧州 申請(23/3)
VONVENDI
ド因子[遺伝子組換 生物学的製剤他
(成人) 中国 P-Ⅲ
(米国、日本)
え](注射剤)
VEYVONDI(欧州)
フォン・ヴィレブランド病の出血
時および周術期の補充療法(小 グローバル P-Ⅲ
児)
TAK-660
抗血友病因子
アディノベイト
[遺伝子組換え] 生物学的製剤他 血友病A(小児) 欧州 P-Ⅲ
(米国、日本)
PEG修飾(注射剤)
ADYNOVI(欧州)
先天性血栓性血小板減少性紫斑病 グローバル P-Ⅲ(注5)
TAK-755(注3)
米国 P-Ⅱ
生物学的製剤他 免疫性血栓性血小板減少性紫斑病
alfa/cinaxadamtase alfa 欧州 P-Ⅱ
の補充(注射剤)
>
鎌状赤血球症 米国 P-Ⅰ
重症筋無力症 ― P-Ⅱ
免疫性血小板減少性紫斑病 ― P-Ⅱ
TAK-079(注4) 抗CD38モノクローナル抗
生物学的製剤他
全身性エリテマトーデス ― P-Ⅰ/Ⅱ
IgA腎症 ― P-Ⅰ
(注1)GlaxoSmithKline社との提携
(注2)IPSEN社との提携
(注3)KMバイオロジクス社との提携
(注4)再発・難治性の多発性骨髄腫の試験は試験終了まで継続
(注5)2023年5月、米国において申請済み
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2023年5月11日(決算発表日)における当社グループの血漿分画製剤のパイプラインは以下のとおりです。なお、
決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。
開発コード
<一般名>
薬効(投与経路) モダリティ 適応症/剤型追加 国/地域 開発段階
製品名
(国/地域)
原発性免疫不全症候群(小児) 米国 承認(23/4)
TAK-771(注1)
遺伝子組換え型
米国 申請(23/2)
ヒトヒアルロニダーゼ含有
欧州 申請(23/3)
生物学的製剤
(Human) w/ Recombinant
免疫グロブリンG補充療法
他
慢性炎症性脱髄性多発根神経炎・
Human Hyaluronidase>
日本 P-Ⅲ
(皮下注射製剤)
多巣性運動ニューロパチー
HYQVIA(米国、欧州)
原発性免疫不全症候群 日本 P-Ⅲ
重症先天性プロテインC欠乏症の
TAK-662 欧州 承認(22/12)
プロテインC濃縮物
生物学的製剤 長期予防
CEPROTIN
[ヒト由来]
他
(注射剤)
(米国、欧州)
重症先天性プロテインC欠乏症 日本 申請(23/4)
TAK-664
日本 申請(22/10)
(Human)>
[ヒト由来]
他 続発性免疫不全症候群
CUVITRU (皮下注射製剤)
(米国、欧州)
申請(23/1)
米国
TAK-880 免疫グロブリン 10%
生物学的製剤 原発性免疫不全症候群・
(注2)
<10% IVIG
[ヒト由来](注射剤)
他 多巣性運動ニューロパチー 欧州
申請準備中
(Low IgA)> (Low IgA)
(注3)
TAK-330
4因子含有プロトロンビン 血液凝固障害、手術時の直接経口抗
生物学的製剤
PROTHROMPLEX TOTAL
凝固薬(DOAC)使用に伴う出血傾向の 米国 P-Ⅲ
複合体濃縮製剤[ヒト由来]
他
(注射剤) 抑制
(欧州)
TAK-961
免疫グロブリン 5%
<5% IVIG>
生物学的製剤
自己免疫性脳炎(AE) 日本 P-Ⅲ
[ヒト由来]
他
献血グロベニン-I
(注射剤)
(日本)
遺伝子組換え型
TAK-881 ヒトヒアルロニダーゼ
生物学的製剤 米国
免疫不全症 P-Ⅰ/Ⅱ
他 欧州
20% 補充療法(注射剤)
(注1)Halozyme社との提携
(注2)2023年5月、当社は、TAK-880の新薬承認申請(NDA)に対し、米国食品医薬品局(FDA)より審査完了報告通
知(CRL)を受領。当社はCRLの内容を精査中であり今後のステップを検討中
(注3)データ収集のための非介入試験が継続中
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2023年5月11日(決算発表日)における当社グループのワクチンのパイプラインは以下のとおりです。なお、決算
発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。
開発コード 薬効(投与経路) モダリティ 適応症/剤型追加 国/地域 開発段階
新型コロナウイルスによる感染症
(COVID‑19)の予防(初回および追加 日本 承認(22/4)
TAK-019/
接種)
NVX‑CoV2373(注1)
SARS‑CoV‑2ワクチン
生物学的製剤他
(注射剤)
ヌバキソビッド筋注
新型コロナウイルスによる感染症
(日本)
(COVID‑19)の予防(初回免疫時と 日本 P-Ⅲ
異なるワクチンとしての追加接種)
4種すべての血清型によるあらゆる重 欧州 承認(22/12)
症度のデング熱ウイルスによる感染症 (注3)
の予防、ただし4歳以上が対象 米国 申請(22/11)
TAK-003(注2) 4価デング熱ワクチン
生物学的製剤他
QDENGA(欧州) (注射剤)
4種すべての血清型によるあらゆる重
症度のデング熱ウイルスによる感染症
― P-Ⅲ
の予防、ただし4歳以上が対象
(追加接種としての延長投与)
ジカウイルスワクチン
TAK-426(注4) 生物学的製剤他 ジカウイルスによる感染症の予防 ― P-Ⅰ
(注射剤)
(注1)Novavax社との提携
(注2)インドネシア(2022年8月)およびブラジル(2023年3月)においてQDENGA(TAK-003)の承認取得
(注3)当社は欧州連合(EU)における承認とEU-M4all制度を通じてのEU域外の国々における承認を目的とした医薬
品に適用される欧州医薬品庁(EMA)が実施する並行審査に参加。2022年10月に、EMAの欧州医薬品評価委員
会(CHMP)が、欧州およびEU-M4all精度に参加しているデング熱流行国におけるTAK-003の承認を推奨
(注4)米国政府Biomedical Advanced Research and Development Authority(BARDA)との提携
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開発中止品目
2022年4月1日以降に中止したプロジェクトは以下のとおりです。
適応症/剤型追加
開発コード
中止および終了理 由
(国/地域、開発段階)
アレクチニブとの直接比較試験
(セカンドライン;米国、欧州、P-
Ⅲ)
TAK-994は臨床試験を中断していたが、臨床データに基づき開発を
TAK-994 ナルコレプシー(P-Ⅱ) 継続しないことを決定。TAK-861およびTAK-925など他のオレキシ
ンポートフォリオの開発を優先。
クロストリジウム・ディフィシル感染症 当社のポートフォリオ最適化のため、戦略的な意思決定に基づき
TAK-039
(P-Ⅰ) TAK-039の開発を継続しない。
戦略的理由に基づき、武装化(armored)腫瘍溶解性ウイルスTAK‑
605の開発に関するTurnstone Biologics社との提携の中止を決定
TAK-605 固形がん(P-Ⅰ)
し、当該候補物質の全世界の権利を同社に返還。ワクシニアウイ
ルスプラットフォームに基づいて追加の新規治療薬候補を特定す
る両者間の共同研究は継続中。
副甲状腺機能低下症 NATPAR/NATPARAの製造を全世界で中止することを受けて、日本に
TAK-834
(日本、P-Ⅰ試験完了) おける開発を終了。
臨床第1相試験のデータは、さらなる開発を支持する結果ではな
TAK-510 悪心、嘔吐(P-Ⅰ)
かった。
転移性非小細胞肺がん(セカンドライ
臨床第3相「CONTACT-01試験」は主要評価項目を達成せず、この
適応症におけるさらなる開発を支持する結果ではなかった。
(日本、P-Ⅲ)
臨床第2b相試験は評価項目を達成しなかった。当社とTheravance
TAK-954 術後消化管機能障害(P-Ⅱb)
Biopharma社は本プログラムの開発を継続しないことおよび提携を
終了することを合意。
TAK-018/EB8018
クローン病(手術後および回腸炎)
臨床第2a相試験は評価項目を達成しなかった。
世界各国の規制当局との協議は継続しているものの、本試験の最
造血幹細胞移植未実施の初発の多発性骨
MLN9708 終解析結果により、当社は米国および欧州において本適応症での
髄腫の維持療法(TOURMALINE-MM4 試験)
(米国、欧州、中国)
湾およびブラジルにおいて維持療法の適応症が承認済み。)
造血幹細胞移植後のサイトメガロウイル
TAK-620 規制当局と臨床試験結果をレビューした結果、当社は本適応症で
ス感染のファーストライン治療
(米国、欧州、P-Ⅲ)
C1インヒビターが正常レベルの血管性浮腫患者さんを対象とした
TAK-743 臨床第3相試験は主要評価項目を達成しなかった。新たな安全性
ブラジキニン介在性血管性浮腫
の予防に対する適応症に変更なし。
適格性基準に基づく対象患者を十分に登録することが困難となっ
全に中止。これを受け、当社も日本における患者登録を中止。
(注)当社はアデノ随伴ウイルス(AAV)遺伝子治療の探索および前臨床の取り組みを中止することを決定。
ライセンスおよび共同研究開発契約
①ライセンスおよび共同研究開発契約の概要
当社は通常の事業において、製品開発および商業化のために第三者とライセンス契約や業務提携を行うことがあり
ます。当社の事業は、こうした個々の契約に大きく依存するものではありませんが、これらの契約は全体として、
社内外のリソースを組み合わせて活用することで新製品の開発や上市を可能にするという当社の戦略の一部を構成
しています。これまで製品上市に寄与してきた契約の一部に関する概要は以下の通りであります。
- アドセトリス:2009年、当社はSeagen, Inc.(旧シアトルジェネティクス社)(以下、「Seagen社」)と、「ア
ドセトリス」のグローバル共同開発および世界各国(同社が本剤を販売している米国、カナダを除く)における
販売の提携契約を締結しました。本提携関係に基づき、当社は 薬事規制上の承認申請 の進捗に関するマイルスト
ンおよび販売の進捗に関するマイルストンを支払うことが求められています。また、契約対象地域における「ア
ドセトリス」の正味売上高に基づき10%台半ばから20%台半ばの割合で段階的なロイヤルティを支払います。当
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社とSeagen社は、本提携関係のもとで実施される選択された開発活動の費用を均等に共同で負担しますが、2023
年3月31日現在、当社の「アドセトリス」提携契約に基づく販売マイルストンの残存支払見込額はありません。
本 提携関係は、いずれか一方の当事者による正当な事由または両者の合意をもって解除することができます。当
社は本提携関係を自由に解除でき、Seagen社は一定の状況において本提携関係を解除できます。両社により提携
解除がなされなかった場合、本契約は全ての支払い義務の満了をもって自動的に終了します。2023年3月に、
Seagen社は、Pfizer Inc.(以下、「ファイザー社」)とファイザー社の子会社との間で、最終的な合併契約書を
締結した旨を公表しました。これにより、慣習的なクロージング条件に従った取引のクロージング後に、Seagen
社は、ファイザー社の完全子会社となります。
- トリンテリックス:2007年、当社はH. Lundbeck A/S(以下、「ルンドベック社」)とライセンス、開発、供給お
よび販売契約を締結し、同社の保有する気分障害・不安障害治療薬パイプライン上の複数の化合物について米国
および日本における独占的な共同開発および共同販売権を取得しました。本契約に基づき、当社とルンドベック
社は、米国および日本で「トリンテリックス」を販売しており、また、開発資金の大部分を当社が負担すること
とし、関連化合物の共同開発に合意しました。「トリンテリックス」による収益は当社が計上し、当社はルンド
ベック社に対し正味売上高の一部に加え、当社による本剤の売上に基づき10%台前半から半ばの割合で段階的な
ロイヤルティを支払います。また、本提携関係に基づき、当社はルンドベック社に対し、開発および販売の進捗
に関して一定の開発および販売マイルストンを支払うことに合意しておりますが、2023年3月31日現在、当社の
「トリンテリックス」提携契約に基づく販売マイルストンの残存支払見込額はありません。本契約は無期限に存
続しますが、両者の合意または正当な事由をもって解除されます。
②将来に向けた研究プラットフォームの構築/研究開発における提携の強化
- 2022年10月、当社とZedira GmbH(Zedira社)およびDr. Falk Pharma GmbH(Dr. Falk Pharma社)は、セリアッ
ク病治療薬として臨床第2b相試験を実施中の「ZED1227/TAK-227」の開発に関する提携・ライセンス契約を締結
したことを公表しました。セリアック病はグルテンを摂取すると小腸に炎症や損傷を引き起こす重篤な自己免疫
疾患であり、「TAK-227」はセリアック病患者のグルテンに対する免疫反応を予防することで、ファースト・イ
ン・クラスの治療薬となる可能性がある候補物質です。現在、同疾患に対して承認された治療薬はありません。
「TAK-227」は、胃や腸組織におけるグルテンの分解過程で免疫原性のあるグルテンペプチドの産生に関与する
組織トランスグルタミナーゼ(TG2)という酵素を選択的に阻害する、経口投与可能な低分子化合物です。
「TAK-227」は、調節不全の状態にあるトランスグルタミナーゼを標的とすることで、グルテンに特異的なT細胞
の活性化を介した疾患の発症プロセス、すなわちグルテンに対する免疫反応を防ぎ、小腸の粘膜損傷を予防しま
す。本契約に基づき、当社とDr. Falk Pharma社は、セリアック病に対する「TAK-227」のグローバル臨床試験を
実施します。当社は、米国とその他の国々(欧州、カナダ、オーストラリアおよび中国を除く)における「TAK-
227」の独占的開発・販売権を取得します。
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③研究開発における提携
下表では、「 ①ライセンスおよび共同研究開発契約の概要」以外の、研究開発における当社の提携および外部化提
携を記載しており、全ての共同研究開発活動を記載しているものではありません。「内容/目的」欄の記述は、別途
記載されていない限り契約締結時点のものを示しています。
消化器系・炎症性疾患領域
提携先 国 内容/目的
α-1アンチトリプシン欠乏症による肝疾患(AATLD)を対象とし、臨床段階
にあるRNA干渉(RNAi)治療薬fazirsiran(TAK‑999、ARO‑AAT)の開発に向
Arrowhead
米国 けた提携およびライセンス契約。ARO‑AATは、AATLDの進行を引き起こす変
Pharmaceuticals
異型α‑1アンチトリプシン蛋白の産生を低減する目的で設計されたファー
スト・イン・クラスの治療薬となる可能性がある。
中枢神経系で発現する新規標的タンパク質を特定し、ある種の消化器系の
障害に対する新しい治療法を開発するための複数年にわたる研究提携。提
Cerevance 米国
携の目標は、Cerevance社のNETSseq技術によって生成された遺伝子発現
データセットから、ターゲットを選択、特定および検証すること。
COUR社からグリアジンタンパク質含有のImmune Modifying Nanoparticleで
COUR Pharmaceuticals
米国
あるTIMPGLIA(TAK‑101)の全世界での独占的な開発および製品化の権利を
獲得。
Engitix社独自の細胞外マトリックス探索プラットフォームの活用による、
Engitix 英国 肝線維症およびクローン病や潰瘍性大腸炎などの線維性の炎症性腸疾患に
対する新規治療薬の特定と開発に関する共同研究およびライセンス契約。
肝星細胞を標的とするGenevant社のLNPプラットフォームを活用し、肝線維
症の進行を阻止または回復させるため当社が設計したRNAiオリゴヌクレオ
Genevant Sciences
米国 チドを送達することを目的とした提携およびライセンス契約。本提携は、
Corporation
特定の希少肝疾患の治療のために当社が設計した非ウイルス性(ウイルス
ベクターを用いない)遺伝子治療薬を送達することも目的とする。
アラジール症候群(ALGS)、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)およ
Mirum Pharmaceuticals
米国 び胆道閉鎖症(BA)を対象としたmaralixibat(TAK-625)の日本における
開発および販売に関する独占的ライセンス契約。
Sosei Heptares社のStaR®技術および構造生物学の専門性を活用し、Gタン
Sosei Heptares
英国
パク質共役受容体(GPCR)に作用する構造ベース創薬により消化器系疾患
の新規治療薬の開発を目的とする提携・ライセンス契約。
UCSD(カリフォルニア大学サンディエゴ校)からのライセンス技術を活用
UCSD/Fortis Advisors
米国
し、好酸球性食道炎治療薬としてブデソニド経口製剤(TAK-721)を開発。
セリアック病におけるグルテンに対する免疫反応を予防するよう設計され
た、ファースト・イン・クラスの治療薬となる可能性のある組織トランス
Zedira/Dr. Falk
ドイツ グルタミナーゼ2(TG2)阻害薬TAK-227/ZED1227の開発および販売に関す
Pharma
る提携・ライセンス契約。当社は米国およびその他の地域(欧州、カナ
ダ、オーストラリアおよび中国を除く)における独占的権利を保有。
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ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域
提携先 国 内容/目的
遺伝的に特定された神経疾患に対するmRNA翻訳調節薬に関する戦略的な共
Anima Biotech
米国
同研究・開発。
多系統萎縮症(MSA)およびパーキンソン病の治療薬候補として、alpha‑
AstraZeneca 英国
synuclein抗体であるMEDI1341/TAK-341の共同開発・販売契約。
髄腔内投与により外因性アリルスルファターゼA酵素の中枢神経系への直接
補充を可能にする技術の導入。急速に進行し、最終的には生命を脅かす希
BioMarin 米国
少な神経変性疾患である異染性白質ジストロフィー(MLD)患者において長期
的な治療を行う(TAK-611)。
BridGene社のケモプロテオミクスプラットフォームを用いて、
BridGene Biosciences
米国 「undruggable」なターゲットに対する低分子医薬品の発見を目指す共同研
究。
CNDAP (Cure Network
アルツハイマー病などの主要な脳疾患に関与するタンパク質であるタウを
Dolby Acceleration 米国
標的とした低分子化合物の開発を目的とする共同研究。
Partners)
Denali社が有する脳へのバイオ治療薬移行性を高めるTransport Vehicle
(TV)プラットフォーム技術を用いた、最大3つの神経変性疾患治療薬候補
Denali Therapeutics
米国
の開発および販売に関する戦略的オプションおよび提携契約。当社は2021
年度第3四半期に、DNL593/TAK‑594およびDNL919/TAK‑920に関するオプ
ション権を行使。
ハンター症候群(MPS II)の治療薬であるTAK-141 (JR‑141, pabinafusp
alfa)をJCR独自の血液脳関門(BBB)通過技術であるJBrain‑ Cargo®に適
用し、事業化するための独占的な提携およびライセンス契約。当社は、
TAK-141をカナダ、欧州、その他の地域(日本およびアジア太平洋地域を除
く)を含む米国外で独占的に事業化。また当社は、本契約とは別のオプ
JCRファーマ 日本
ション契約に基づき、臨床第3相試験が終了した時点で、TAK‑141を米国で
独占的に事業化する権利を取得。2022年3月、当社とJCR社はライソゾーム
蓄積疾患(LSD)を対象に、J‑Brain Cargo® BBB通過技術を応用した遺伝子
治療薬の開発について、新たに独占的ライセンスおよび共同研究契約を締
結。当社は、希少疾患および非希少疾病領域における疾患をその対象とし
て追加できるオプション権を保有。
Luxna社の画期的な人工修飾核酸技術の、神経疾患領域における複数の未公
Luxna Biotech
日本
開の標的遺伝子に対する全世界での独占的ライセンス契約。
TAK‑041/NBI-846 、 TAK-653/NBI-845 お よ び TAK-831/NBI-844
(luvadaxistat)を含む7つの当社の早期から中期開発段階の精神疾患領
域パイプラインに関する開発および製品化に関する提携。当社は開発マイ
ルストン、販売マイルストン、および正味売上高に応じたロイヤルティを
Neurocrine
取得する権利を有する。特定の開発段階において、当社はすべての臨床試
米国
験プログラムについて、1つひとつのパイプラインごとに、50:50の利益
Biosciences
配分を受ける、または受けない選択をすることができる。2021年6月、当
社はTAK-831/NBI-844(luvadaxistat)の更なる開発費用の分担をしないこ
とを決定。当社は、引き続きTAK-831/NBI-844(luvadaxistat)に関するマ
イルストンおよびロイヤルティを受領する権利を保持。
神経筋疾患および神経変性疾患に対するペプチド‑薬物複合体(PDCs)の創
PeptiDream 日本
製に関する共同研究および独占的ライセンス契約。
シンガ 神経疾患に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド医薬品の共同開発およ
Wave Life Sciences
ポール び共同販売に関する複数のプログラムにおけるオプション契約。
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オンコロジー領域
提携先 国 内容/目的
オンコロジー領域において、3つのモノクローナル抗体及び3つのCD3二重
Adimab 米国
特異性抗体の創薬・開発・販売。
Crescendo Biologics
英国 がん領域におけるHumabody®を用いた治療薬の創製、開発および販売。
腫瘍特異的制御性T細胞の新規標的を特定し、独自の抗サプレッサーに基づ
Egle Therapeutics
フランス
く免疫療法を開発。
オンコロジー治療薬cabozantinibに関して、日本における進行性腎細胞癌
Exelixis, Inc.
米国
及び肝細胞癌をはじめ適応拡大を含めた独占的な開発・販売権を獲得。
新規がん治療薬niraparibに関して、日本における全てのがん、および韓国
GlaxoSmithKline 英国 及び台湾においては前立腺がんを除く全てのがんに関する独占的開発・販
売権を獲得。
抗体薬物複合体に関する2標的に関するライセンスを含む研究提携(アル
Heidelberg Pharma
ドイツ
ファアマニチン毒素及び独占権を有するリンカー)。
HUTCHMED(China)Limitedおよびその子会社であるHUTCHMED Limitedと
の、全世界(中国本土、香港およびマカオを除く)を対象とした、転移性
HUTCHMED 中国
大腸がんを含む全ての適応症におけるfruquintinib(TAK-113)のさらなる
開発および商業化に関する独占的ライセンス契約。
KSQ社のCRISPRomics®技術を用いたがんに対する新規免疫ベース治療に関す
KSQ Therapeutics
米国
る、研究・開発・商業化における戦略的提携。
MDACCのプラットフォームおよび専門性と、当社の開発、製造ならびに商業
MD Anderson Cancer
化の能力を活用し、B細胞性の悪性腫瘍患者やその他のがん患者に対して、
米国
臍帯血由来キメラ抗原受容体を発現したNK(CAR-NK)細胞療法を提供する
Center(MDACC)
ための独占的ライセンス契約および共同研究契約。
多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病および追加対象として固形がんの治療を
目的とした新規のキメラ抗原受容体発現T細胞(CAR‑T)の細胞療法を開発
Memorial Sloan
するための戦略的な共同研究契約およびライセンス
Kettering Cancer 米国
契約を締結。本共同研究は、現在、Memorial Sloan Ketteringの細胞工学
Center
センターの責任者であるMichel Sadelainが共同で実施。
抗がん剤の創薬やがん生物学の研究に携わる研究者、医師などの交流促進
国立がん研究センター 日本
を通じて、基礎研究から臨床試験まで進展させるための協力契約。
山口大学玉田耕治教授により開発された次世代型キメラ抗原受容体発現T細
胞(CAR‑T)療法の研究開発。当社は本提携により創出されたノイルイ
ノイルイミューン・バ
日本 ミューン・バイオテック社のパイプラインや製品の開発・販売権を導入で
イオテック
きる独占的オプションを有する。本共同研究の成果を受け、NIB‑102とNIB‑
103を導入済み。
抗がん剤を微量投与した際の患者の反応を評価するために、Presage社の独
Presage Biosciences 自のプラットフォームであるCIVO(Comparative In Vivo Oncology)を用
米国
いた複数のプログラムに関する共同研究およびライセンス契約。
TEV‑48573/TAK‑573(modakafusp alpha、Anti‑CD38‑AttenukineTM)の全世
Teva Pharmaceutical
イスラエル
界の権利及びTeva社のAttenukineTMプラットフォーム技術を活用する複数
Industries
のターゲットの研究提携。
Turnstone Biologics社のワクシニアウイルスプラットフォームに基づいて
追加の新規治療薬候補を特定する共同研究提携。戦略的理由に基づき、武
Turnstone Biologics
米国 装化(armored)腫瘍溶解性ウィルスTAK‑605の開発に関するTurnstone
Biologics社との提携の中止を決定し、当該候補物質の全世界の権利を同社
に返還(2022年度)。
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希少遺伝子疾患および血液疾患領域
提携先 国 内容/目的
Asklepios
血友病AおよびBを対象とする第Ⅷ因子の遺伝子治療を目的とする複数の
米国
研究開発提携。
Biopharmaceuticals
Code Bio社の3DNAプラットフォームを用いた、肝疾患を対象とした標的遺
伝子治療薬の設計・開発、および中枢神経系を標的とした希少疾患プログ
Code Bio
米国
ラムの追加試験の実施についての共同研究およびライセンス契約。なお当
社は、4つのプログラムについて、独占的ライセンスを受けるためのオプ
ション権を保有。
リソソーム蓄積症および血液因子欠乏症の治療を含む、特定の適応症に対
Codexis, Inc.
米国 する新規遺伝子治療の研究・開発を目的とする戦略的提携・ライセンス契
約。
Ensoma社のEngenious™ベクターについて、最大5つの希少疾患の適応症を
Ensoma 米国 対象とした全世界での独占的権利を取得する共同研究およびライセンス契
約。
最大4つの希少疾患を対象に、次世代遺伝子治療薬の開発に活用できるタ
Evozyne 米国
ンパク質の研究開発における共同研究およびライセンス契約。
GlaxoSmithKline社およびミシガン大学とのヒトサイトメガロウイルス感染
GlaxoSmithKline 英国
症治療薬としてのTAK-620 (maribavir)導入契約。
Immusoft社のImmune System Programming(ISP™)技術プラットフォームを
用いて、中枢神経系の症状や合併症を伴う希少遺伝性代謝性疾患の細胞療
Immusoft 米国
法を探索、開発、事業化するための研究提携およびライセンスオプション
契約。
後天性血友病A治療薬としてのOBIZUR開発のための譲渡(購入)契約。緊
IPSEN フランス 急および非緊急の手術におけるインヒビター保有先天性血友病A患者への
適用開発も含む。
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を対象とするが、同疾患に限らず、
KMバイオロジクス 日本 rADAMTS13(TAK-755)を治療に用いるための開発提携およびライセンス契
約。
Poseida社のpiggyBac、Cas‑CLOVER、生分解性DNAおよびRNAナノ粒子送達技
Poseida Therapeutics
米国 術、およびその他の独自の遺伝子工学プラットフォームを最大8種類の遺
(注1)
伝子治療に利用するための研究提携および独占的ライセンス契約。
Selecta社のImmTORプラットフォームを用いて、ライソゾーム病領域の2つ
Selecta Biosciences
米国 の適応症を対象とした標的型次世代遺伝子治療法を開発するための研究提
(注2)
携およびライセンス契約。
PolyXen(ポリシアル酸ポリマー)を用いた血友病第Ⅶ因子、第Ⅷ因子、第
Xenetic Biosciences
米国 Ⅸ因子および第Ⅹ因子の送達技術に関する独占的研究開発ライセンス契
約。
(注1)当社は本研究提携およびライセンス契約を2023年7月30日をもって終了することをPoseida Therapeutics社
に通知しました。
(注2)当社は本研究提携およびライセンス契約を2023年7月25日をもって終了することをSelecta Biosciences社に
通知しました。
血漿分画製剤
提携先 国 内容/目的
HYQVIAの拡散と吸収を高めることを目的としたHalozyme社の独自基盤技術
Halozyme 米国
ENHANZE™の導入。
静脈投与α1‑プロテアーゼインヒビター(GLASSIA)の開発および商用化の
導入契約;GLASSIAの米国、カナダ、オーストラリアおよびニュージーラン
Kamada イスラエル
ドにおける独占的供給および流通;継続中の市販後コミットメントの実
施。
Johnson &
Johnson & Johnson社に買収されたMomenta Pharmaceuticals社との、臨床
Johnson/Momenta 米国
開発段階にある高シアル化免疫グロブリン(hsIgG)候補物質に関するライセ
ンス契約。
Pharmaceuticals
PreviPharma 欧州 新規標的タンパク質の開発に関する研究提携およびオプション契約。
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ワクチン
提携先 国 内容/目的
米国政府
The Biomedical
当社が有するジカ熱ワクチン候補(TAK-426)の米国での開発に関するパー
Advanced Research and 米国 トナーシップ。当社は取得したデータを利用し、世界中の流行地域での承
認申請に用いるオプション権を保有。
Development Authority
(BARDA)
厚生労働省および日本医療研究開発機構(AMED)からの助成対象となった
Novavax社のCOVID‑19ワクチン「ヌバキソビッド®筋注」の日本における開
発、製造、商業化に関するNovavax社との提携。当社と厚生労働省は、需要
Novavax 米国 を含めた複数の事項を条件とする1億5千万回接種分のNovavax社ワクチン
の供給に関する契約を締結。2023年2月、厚生労働省は既に当社から納入
済みのものを除く残余数量の購入予定を取り消し。当社は、Novavax社と協
力しオミクロン株を含む変異株に対応したワクチンの開発を進める。
Moderna社のCOVID19ワクチン「スパイクバックス™筋注」を国内輸入・供給
することに関する、Moderna社、厚生労働省との3者間契約。初回接種につ
いては2021年5月に特例承認を、50µgでの追加接種については2021年12月
に製造販売承認を、それぞれ厚生労働省から取得。2021年に供給した5,000
万回接種分(100μg)に加え、当社は2022年に合計9,300万回接種分(50μ
gでの追加接種分)を日本国内に輸入を開始。2022年8月付でモデルナ・
Moderna 米国
ジャパン株式会社が、日本における「スパイクバックス筋注」の輸入、薬
事、開発、品質保証および情報提供活動などを含む「スパイクバックス™筋
注」に係る全ての活動を承継。当社は、移行期間は、新型コロナウイルス
感染症にかかわる特例臨時接種の枠組みの下、米国Moderna社の新型コロナ
ウイルスワクチンの流通を引き続き担う。両社は、承継に伴う業務を滞り
なく進める。
その他/複数の疾患領域
提携先 国 内容/目的
Tri‑Institutional Therapeutics Discovery Institute, Bay City
Capital および Deerfield Management と提携し、Bridge Medicinesを設
立。Tri‑I TDIで採択された研究プロジェクトに対して、資金面、運用面、
Bridge Medicines
米国
管理面での支援を行い、有効性やターゲットの創薬上の検証であるプルー
フ・オブ・コンセプト(POC)試験から臨床試験への移行まで継ぎ目なく実
施。
当社重点領域疾患(ニューロサイエンス、オンコロジー、消化器系・炎症
京都大学iPS細胞研究所
日本 性疾患を含む)でのiPS細胞の臨床応用およびiPS細胞のトランスレーショ
(CiRA)
ナルサイエンスが注目される追加領域での探索。
Charles River Laboratories社が有するエンド・ツー・エンドの創薬およ
Charles River
米国
び安全性評価プラットフォームを活用し、当社の重点疾患領域における複
Laboratories
数のプログラム群を候補化合物の段階まで進めるため提携。
当社で増加する研究段階の遺伝子治療創薬プログラムをサポートするため
の研究提携。また、Evotec社と当社は、従来のアプローチでは対応が困難
Evotec SE
ドイツ
な標的に対して、RNAを標的とする低分子治療薬の探索および開発を目指
し、複数のRNAを標的とする提携を開始。
人工知能(AI)の開発と応用を促進し、人の健康と医薬品開発に貢献する
Massachusetts ためのMIT‑Takedaプログラム。
Institute of 米国 Abdul Latif Jameel Clinic for Health in Machine Learning(J‑
Technology Clinic)に設置する新しいプログラムは、当社およびMITの専門知識を組み
合わせて活用し、当社の投資によってサポートされる。
Schrödinger社の保有するin silico技術に基づく創薬力と当社の疾患領域
Schrödinger 米国
に対する深い知見および構造生物学における専門性を融合した、複数の創
薬標的に関する共同研究。
革新的な治療薬をさらに効率的に開発するために、Stanford Alliance for
Stanford University
米国
Innovative Medicines(Stanford AIM)を設立。
Tri-Institutional
Therapeutics
米国 産学連携を推進し、革新的な医薬品を創出。
Discovery Institute
(Tri-I TDI)
ヒトの体内に存在する配列のみを用いた合成抗体ファージディスプレイラ
イブラリのパネルであるTwist社の「Library of Libraries」にアクセスす
Twist Bioscience
米国
るためのライセンス契約。両社は共同で、新しい抗体候補の発見、検証、
最適化に取り組む。
知的財産
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特許や登録商標を用いて可能な限り自社の製品や技術を守ることは、当社グループの事業戦略において重要な部分
を占めています。当社グループが市場競争力を維持し高めるためには、営業秘密、当社独自のノウハウ、技術的イ
ノ ベーションおよび第三者との契約の取り決めが欠かせません。当社がビジネス上の成功を収めることが出来るか
どうかは、強固な特許を取得し行使する能力や、営業秘密を保護し続ける能力、第三者の知的財産権を侵害するこ
となく事業を行う能力、付与されたライセンスの条件を遵守する能力に依存する場合があります。新薬の開発は長
期間にわたり、研究開発は多くの費用を必要とします。また、治療薬候補のうち上市されるものはごくわずかであ
ることから、知的財産の保護は新薬の研究開発への投資の回収において重要な役割を担っています。
当社グループは米国、日本、欧州の主要国において可能な限り当社独自の技術の特許保護を求めていきます。その
他の国々についても、可能な国々において、選別したうえで特許保護を求めていきます。いずれの場合にも特許保
護自体を取得するか、ライセンサーを通じて特許出願をサポートするよう努めています。特許は、当社グループが
使用する技術を保護するための主要な手段です。特許は、他社による医薬品に関する発明の使用を排除する権利を
特許権者に付与します。当社グループの医薬品を保護するために、有効成分をカバーする物質特許、薬の用途、製
造方法、製剤に関する特許等、様々な種類の特許を使用しています。当社グループの低分子化合物医薬品は、主に
物質特許によって保護されています。通常は物質特許の存続期間終了をもって当該医薬品の市場独占権は失われま
すが、その後も当該物質の用途、用法、製造方法、新規組成物または剤型に関する特許等の非物質特許によって、
商業利益が保護されることがあります。物質特許が満了した場合でも、各国の関連法規制によるデータ保護制度に
より対象製品が保護されることもあります。
当社グループのバイオ製品は1件以上の物質特許によって保護されることがありますが、製品によっては物質特許
以外の特許または規制当局によるデータ保護、またはその両方が適用されることもあります。しかし、競合会社に
よって、同じ疾患に対する類似製品および(または)バイオシミラーが当社グループの特許を侵害することなく開
発され、販売されることがあることから、バイオ製品にとって特許による保護の重要性は伝統的な医薬品に比べて
低い場合があります。
米国では、原則として出願から20年で特許は満了しますが、米国特許商標庁の審査遅延による特許の発行遅延があ
った場合は特許期間の調整が行われる可能性があります。また、製品、製品を使用した治療法、製品の製造方法に
関する米国の医薬特許は、米国食品医薬品局(FDA)による製品の承認審査期間に応じて特許期間延長の対象とな
る場合があります。このような場合の存続期間の延長は5年を上限としており、製品の承認取得から14年を超える
延長は認められません。FDAの遅延に基づく期間延長が認められるのは、1製品につき1件の特許のみです。FDA
は、新規化合物またはオーファンドラッグ( 希少疾病用医薬品 )に対しては、特許による独占権に加えて、データ
あるいは市場の独占権を追加付与することがあり、これらは既にある特許保護期間と並行して存続します。データ
保護規制またはデータ独占権は、ジェネリック医薬品を発売し得る競合他社が、先発品の安全性および有効性を確
立する際にスポンサーが作成した臨床試験データを新規化合物については5年間、オーファンドラッグについては
7年間使用できないようにするものです。市場独占権は、同一薬剤を同効(同じ適応症)に 対して販売すること
を禁止するものです。
日本では、有効成分については、特許庁により特許が付与されます。用量や投与方法など治療法については、日
本では特許の対象となりませんが、特定の投与方法・用量にて使用する医薬組成物や、医薬組成物の製造方法に
ついては、特許の対象となります。日本では原則として出願より20年で特許は満了します。医薬特許は、承認ま
での審査に要した時間により、5年を限度として延長されることがあります。また、日本ではデータ保護制度と
して「再審査期間」を設けており、その期間は新有効成分含有医薬品については8年、新効能・新医療用配合剤
については4年から6年、オーファンドラッグについては10年となっています。
欧州連合(EU)では、欧州特許庁(EPO)または欧州各国で特許を申請することができます。EPOの制度では、EU
全体およびスイス、トルコ等のいくつかのEU非加盟国での特許を一括申請することができます。EPOが特許を付与
すれば、特許権者が指定する国々において特許が有効となります。EPOまたは欧州諸国のいずれかが認める特許の
存続期間は、延長や調整があり得ますが、原則として出願から20年です。医薬品の特許は、補充的保護証明書
(SPC)制度のもと、さらに追加の独占期間を付与されます。SPCは、特許権者が欧州医薬品庁または各国の規制
当局から販売承認を受けるのに要した時間を補償する制度です。SPCにより、特許期間とあわせて、欧州で最初の
販売承認を取得した日から最長15年の独占権を与えられます。ただし、SPCの最長期間は5年です。認可された小
児臨床試験計画(PIP)によるデータが提出された製品であれば、6ヶ月の小児用医薬品に係るSPCの追加延長が
認められます。SPC制度を含め、承認後の特許は、各国の法制度により運用されています。特許およびSPCに関す
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る規制はそれぞれ欧州特許庁およびEUのレベルで作られましたが、国ごとの運用の違いにより、例えば、EU各国
の国内裁判所で無効申立てされた場合など、必ずしも同じ結果にはつながりません。また、EUは承認されたヒト
用 医薬品につき、特許保護と並行してデータ独占権を与えています。現在承認されている医薬品に関する制度
は、通常「8+2+1」と呼ばれています。これは、まず初めに競合他社が関連データに依拠することができない
データ保護期間が8年間、続いて競合他社が販売承認申請のために当該データを使用できるものの、競合品を上
市することができない市場独占期間が2年間、さらに、スポンサーが最初のデータ保護期間8年間の間に、他の
治療薬が存在しない適応症か「既存治療薬に比べて有意な臨床的有効性」が認められる新たな適応症を追加した
場合、追加で1年間の市場独占権を認めるものです。これは各国での承認にもEUの中央審査による承認にも当て
はまります。また、EUには米国に類似したオーファンドラッグの独占制度があります。医薬品がオーファンド
ラッグとして指定された場合、10年間の市場独占権が与えられ、この間当該医薬品と同じ適応症を持つ同様の医
薬品には販売承認が付与されません。特定の条件下では、 小児臨床試験計画の完了による さらに2年間の小児用
医薬品に係る延長が認められます。
当社グループ製品の関連特許満了後の後発品の市場参入や、競合他社によるOTC医薬品の発売等、当社グループは世
界中で知的財産に関わる課題に直面しています。当社グループのグローバルジェネラルカウンセルは、法務ならび
に知的財産権の業務についても監督責任を負っています。当社グループの知的財産部は、下記3つの優先事項に注
力することにより、当社グループの全社的な戦略をサポートしています。
・ 疾患領域別ユニットの戦略に沿った自社製品および研究開発パイプラインの価値の最大化および関連する権利
の保護
・パートナーとの提携サポートによる外部イノベーションのよりダイナミックな活用の促進
・新興国市場を含む世界各国での知的財産権取得および保護
当社グループの知的財産権が侵害されることは、それらの権利から得ることが期待される収益が失われるリスクと
なるため、当社グループは特許やその他の知的財産を管理するための内部プロセスを整備しています。当該プロセ
スでは、第三者からの侵害に継続的に警戒するとともに、当社グループの自社製品および活動が第三者の知的財産
権を侵害しないよう、研究開発段階から注意を払っています。
通常の事業活動において、当社グループの特許は第三者から無効の申し立てを受ける可能性があります。当社グ
ループは、当事者として知的財産権に関する訴訟等に関与しております。継続中の重要な訴訟の詳細については
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」を
ご参照ください。
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下表では、記載された製品について、対象地域ごとに、存続している物質特許およびデータ保護期間(以下、
「RDP」)(米国およびEU)もしくは再審査期間(以下、「RP」)(日本)ならびに満了日を記載しております。
RDPとRPについてはそれらの制度的な独占期間が特許満了日後にも与えられる場合にのみ記載しています。特許期間
の延長(PTE)、補充的保護証明書(SPC)、小児用医薬品に係る独占期間(PEP)は当局により認められたものにつ
いては満了日に反映され、申請手続中で認められていないものについては、延長された満了日を別途記載していま
す。
当社グループのバイオ医薬品は、下記の特許満了期間に関わらず、同じ適応症に対する類似製品またはバイオシミ
ラーを製造する他社との競争に直面するか、今後直面する可能性があります。また、欧州の特許の一部は、SPCによ
り、いくつかの国で下表に記載の満了期限を超えて対象製品に追加的な保護が付与されます。
特許満了日 (日本) 特許満了日(米国) 特許満了日( EU )
製品名
(注1)(注2) (注1) (注1)
消化器系疾患領域:
特許: — 特許: —
特許: —
ENTYVIO
RP: 2028 年7月(注2) RDP: 2026 年5月(注
エンティビオ/エンタイビオ
RDP: 2025 年5月(注7)
7)
未発売 特許: — 特許: —
DEXILANT
デクスラント
PANTOLOC /CONTROLOC 未発売 特許: — 特許: —
(PANTOPRAZOLE)
パントプラゾール
特許: 2031年8月 特許: —(注3) 特許: —(注3)
TAKECAB
タケキャブ(注3)
特許: — 特許: —(注5) 特許: —
GATTEX/ レベスティブ
RP: 2031年6月(注2) RDP: 2024年9月
特許: —(注4) 特許: — 特許: —(注4)
PENTASA(注4)
特許: —(注3) 特許: — 特許: —
LIALDA/MEZAVANT(注3)
リアルダ
未発売 特許: — 特許: —
RESOLOR/MOTEGRITY
RDP: 2023年12月
特許:— 未発売
特許:—
ALOFISEL
アロフィセル
RP:2031年9月(注2)
RDP: 2028年3月
希少代謝性疾患領域:
特許: —(注3) 特許: — 特許: —
ELAPRASE(注3)
エラプレース
特許: — 未発売 特許: —
REPLAGAL
リプレガル
特許: — 特許: — 特許: —
VPRIV
ビプリブ
RP: 2024年7月(注2)
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特許満了日 (日本) 特許満了日(米国) 特許満了日( EU )
製品名
(注1)(注2) (注1) (注1)
希少血液疾患領域:
特許: — 特許: — 特許: —
ADVATE
アドベイト
特許: 2026年1月 特許: 2026年2月
特許:2024年2月
RP: 2024年3月(注2) RDP: 2027年11月 SPCが認められれば2029年
ADYNOVATE/ADYNOVI
2月まで延長
アディノベイト
RDP: 2028年1月
特許: — 特許: — 特許: —
FEIBA(注6)
ファイバ
未発売 特許: — 未発売
HEMOFIL(注6)
ヘモフィル
特許: —
IMMUNATE(注6) 未発売 未発売
特許: —
IMMUNINE(注6) 未発売 未発売
特許: — 特許: 2030年12月 特許: —
VONVENDI
RP: 2030年3月(注2) RDP: 2027年12月 RDP: 2028年8月
未発売 特許: — 未発売
RECOMBINATE
遺伝性血管性浮腫領域:
特許: — 特許: — 特許: —
FIRAZYR
フィラジル
RP: 2028年9月(注2)
特許:2031年1月 特許:2032年8月
特許:2031年1月
PTEが認められれば2036年
(いくつかの国では2033
TAKHZYRO
1月まで延長
年11月まで延長)
RP: 2032年3月(注2)
RDP: 2030年8月
RDP: 2028年11月
CINRYZE(注6) 未発売 特許: — 特許: —
希少疾患-その他
未発売 特許: — 特許: —
LIVTENCITY
RDP:2028年11月 RDP: 2032年11月
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特許満了日 (日本) 特許満了日(米国) 特許満了日( EU )
製品名
(注1)(注2) (注1) (注1)
血漿由来の免疫疾患治療領域:
未発売 特許: — 特許: —
GAMMAGARD
LIQUID(注6)
未発売 特許: — 特許: —
HYQVIA(注6)
RDP: 2026年9月 RDP: 2024年5月
未発売 特許: — 特許: —
CUVITRU(注6)
RDP: 2028年9月 RDP: 2027年7月
未発売 特許: — 特許: —
FLEXBUMIN(注6)
HUMANALBUMIN(注6) 未発売 特許: — 未発売
アルブミン
特許: —(注4) 特許: — 特許: —(注4)
GLASSIA(注6)
特許: —
ARALAST(注6) 未発売 未発売
オンコロジー領域:
特許: —(注3) 特許: — 特許: —(注3)
VELCADE(注3)
ベルケイド
特許: — 特許: — 特許: —
LEUPLIN/ENANTONE
リュープリン/ENANTONE
特許: 2031年7月 特許: 2029年11月 特許: 2031年11月
NINLARO
ニンラーロ
RP: 2027年3月(注2) RDP: 2026年11月
特許: 2028年7月 特許: —(注4) 特許: 2027年10月
ADCETRIS(注4)
アドセトリス
RP: 2028年5月(注2) RDP: 2023年10月
特許: —(注3) 特許: 2027年1月 特許: —(注3)
ICLUSIG(注3)
アイクルシグ
特許: 2032年11月 特許: 2031年4月 特許: 2029年5月
SPCが認められれば2033年
ALUNBRIG
RP: 2029年1月 RDP: 2024年4月 11月まで延長
アルンブリグ
RDP: 2028年11月
VECTIBIX(注4) 特許: — 特許: —(注4) 特許: —(注4)
ベクティビックス
EXKIVITY 未発売 未発売
特許: 2035年5月
PTEが認められれば2035
年9月まで延長
RDP: 2028年9月
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特許満了日 (日本) 特許満了日(米国) 特許満了日( EU )
製品名
(注1)(注2) (注1) (注1)
ZEJULA 特許: 2033年1月 特許: —(注4) 特許: —(注4)
ゼジューラ
RP: 2028年9月(注2)
CABOMETYX(注4) 特許: 2029年9月 特許: —(注4) 特許: —(注4)
RP: 2028年3月(注2)
ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域:
特許: 2024年6月(いく
特許: 2029年6月
VYVANSE /ELVANSE
つかの国では2028年2月
特許: 2023年8月
バイバンス/ビバンセ
または2029年3月まで延
RP: 2027年3月(注2)
長)
特許: 2026年6月
特許: 2027年10月
TRINTELLIX(注4)
小児exclusivityが認め
特許: —(注4)
トリンテリックス
られれば2026年12月ま
RP: 2027年9月(注2)
で延長
ADDERALL XR 特許: —
未発売 未発売
ROZEREM
特許: — 特許: —
未発売
ロゼレム
特許: — 特許: —
INTUNIV
特許: —
インチュニブ RP: 2025年3月(注2) RDP: 2025年9月
その他:
AZILVA-F
特許: —
未発売 未発売
アジルバ
LOTRIGA(注4)
特許: — 特許: —(注4) 特許: —(注4)
ロトリガ
FOSRENOL
特許: —(注3) 特許: —
未発売
ホスレノール
特許: —
QDENGA 未発売 未発売
RDP: 2032年12月
(注1) 表中の「—」は物質特許の満了または該当なしを表します。
(注2) 日本では、後発品の承認申請は、先発品の再審査期間終了後に行われ、規制当局による審査の後、承認、薬
価収載されます。したがって、後発品は再審査期間の満了後から一定の期間を経て市場に参入します。
(注3) 本製品は、第三者への導出契約を締結しているため、全ての地域で当社グループが販売を行っているわけで
はありません。
(注4) 本製品は、特定の地域限定で第三者からの導入契約を締結しているため、全ての地域で当社グループが販売
を行っているわけではありません。詳細については「ライセンスおよび共同研究開発契約」をご参照くださ
い。
(注5) 2023年3月時点で発売され た後発品はありません。GATTEX/レベスティブの後発品の正確な参入時期につい
て現時点では定かではありません。
(注6) これらの医薬品は血漿分画製剤です。
(注7) 当社グループは、ENTYVIOの製剤、投与方法、製造工程といった様々な項目について特許権を保有してお
り、そのうち一部は2032年に満了する予定です。なお、2032年より前にバイオシミラーの上市を目指す場合
には、特許権侵害や関連するすべての特許の有効性を確認する必要があるため、バイオシミラーの正確な参
入時期について現時点では定かではありません。
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第3 【設備の状況】
1 【設備投資等の概要】
当社グループ(当社および連結子会社)は、競争力の維持向上のため、生産設備の増強・合理化および研究開発体制
の充実・強化また販売力の強化や管理業務の効率化などの設備投資を継続して行っております。
当年度におけるグループ全体の設備投資(有形固定資産取得ベース)総額は 1,852 億円となりました。
2 【主要な設備の状況】
当社グループ(当社および連結子会社)における、バイオ医薬品、血漿分画製剤およびワクチンの生産設備を含む主要
な設備は、次のとおりであります。
(1) 提出会社
2023年3月31日 現在
帳簿価額(百万円)
従業
事業所名等
設備の内容 員数
土地
《所在地》
建物及び 機械装置 リース
(人)
その他 合計
構築物 及び運搬具 資産
面積
金額
(㎡)
グローバル本社
(513)
管理販売設備 25,026 168 28,531 493 1,685 55,905 1,194
16,052
《東京都中央区ほか》
本社
(1,006)
管理販売設備 3,374 37 990 3 531 4,934 425
《大阪府大阪市
362,305
中央区ほか》
大阪工場
(6,542)
生産・研究設備 19,492 2,787 1,046 2 10,073 33,400 420
163,694
《大阪府大阪市淀川区》
光工場
(3,763)
生産・研究設備 30,236 12,975 3,618 709 13,923 61,461 1,084
1,011,061
《山口県光市》
成田工場
生産・研究設備 1,092 1,161 27,644 584 6 1,855 4,697 145
《千葉県成田市》
湘南研究所
研究設備 2,726 182 21,009 274 4,641 7,822 671
―
《神奈川県藤沢市》
研修所
教育厚生施設 3,040 ― 41,542 4,751 36 7,827
― ―
《大阪府吹田市》
営業拠点
管理販売設備 74 ― 145 219 1,547
― ― ―
《東京都中央区ほか》
(注) 1 帳簿価額は、日本基準に基づく個別財務諸表の帳簿価額を記載しております。
2 当社の設備が帰属するセグメントは、医薬品事業であります。
3 帳簿価額のうち、「その他」は、工具、器具及び備品、および建設仮勘定の合計であります。
4 連結会社以外の者への賃貸中の土地172百万円(2,817㎡)および建物290百万円を含んでおります。
5 土地および建物の一部を連結会社以外の者から賃借しております。賃借料は6,693百万円であります。土地
の面積については、( )で外書きしております。
6 グローバル本社および本社については、主としてグローバル本社および本社が管理を行う建物・附属設備お
よびそれらの土地(寮・社宅等を含む)により構成されております。
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(2) 連結子会社
2023年3月31日 現在
帳簿価額(百万円)
従業
設備の
子会社事業所名 セグメント
員数
土地
《主な所在地》 の名称
内容
機械装置
(人)
建物及び
使用権
及び その他 合計
面積
資産
構築物
金額
運搬具
(㎡)
バクスアルタUS Inc.
医薬品 (9,177)
《米国 ジョージア州 生産設備等 184,137 108,469 5,062 24,753 45,800 368,220 2,950
508,537
事業
コビントン》
武田ファーマシューティカルズ
U.S.A., Inc
医薬品 管理販売設備
19,347 530 ― ― 134,135 15,583 169,594 4,206
《米国 マサチューセッツ州 等
事業
レキシントン》
シャイアー・ヒューマン・
ジェネティック・セラピーズ
(6,637)
医薬品
Inc. 生産設備等 46,532 20,148 24,015 33,430 17,490 141,615 975
事業
395,024
《米国 マサチューセッツ州
レキシントン》
バイオライフ・プラズマ・サー
ビシズ LP
医薬品 (82,373)
41,048
生産設備等 14,499 3,886 77,027 11,211 147,671 8,249
《米国 イリノイ州 事業 428,161
バンノックバーン》
米州武田開発センター Inc.
医薬品
《米国 マサチューセッツ州 研究設備等 17,443 16,179 24,746 8,219 9,954 3,734 55,528 3,342
事業
レキシントン》
武田マニュファクチャリング・
医薬品
オーストリア AG
生産設備等 51,537 26,211 368,551 6,799 2,742 12,869 100,158 3,188
事業
《オーストリア ウィーン》
バクスアルタ・ベルギー・マ
医薬品
ニュファクチャリング S.A.
生産設備等 10,735 23,818 150,581 429 440 13,596 49,018 1,129
事業
《ベルギー レシーヌ》
バクスアルタ・マニュファク
医薬品
チャリング S.à r.l.
生産設備等 13,110 18,055 87,040 2,410 18,343 51,918 660
―
事業
《スイス ヌーシャテル》
武田アイルランド Limited
医薬品
生産設備等 17,848 11,029 202,679 3,087 7 7,733 39,703 545
《アイルランド キルダリー》
事業
武田マニュファクチャリング・
医薬品 (3,619)
シンガポール Pte.Ltd.
生産設備等 8,416 22,490 190 5,566 36,663 363
―
―
事業
《シンガポール》
武田マニュファクチャリング・
医薬品
イタリア S.p.A.
生産設備等 9,190 14,552 109,000 1,231 13,497 38,469 757
―
事業
《イタリア ローマ》
武田 GmbH
医薬品
生産設備等 4 21,545 744 9,045 31,337 1,640
― ―
《ドイツ コンスタンツ》
事業
(注) 1 帳簿価額は、IFRSに基づく金額を記載しております。
2 帳簿価額のうち、「その他」は、工具、器具及び備品、および建設仮勘定の合計であります。
3 上表において、連結会社以外の者への賃貸中の土地1,332百万円(1,488㎡)および建物及び構築物1,120百万
円を含んでおります。
4 上表において、建物、機械装置及び運搬具および土地の一部を連結会社以外の者から賃借しております。賃
借料は4,899百万円であります。土地の面積については、( )で外書きしております。
5 子会社の所在地は、主な所在地を記載しており、別の所在地に生産設備を有していることがあります。
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3 【設備の新設、除却等の計画】
① 重要な設備の新設、除却等
重要な設備の新設、除却等の計画は以下のとおりであります。
投資予定金額 着手及び完了予定
会社名 資金調達
セグメント
区分 設備の内容
の 名称
《主な所在地》 方法
総額 既支払額
着手 完了
(百万円) (百万円)
武田薬品工業株式会社
新設 医薬品事業 製造設備 95,000 ― 自己資金 2024年度 2028年度
《日本 大阪府大阪市淀川区》
武田ファーマシューティカルズ
U.S.A., Inc.
研究開発施設 自己資金及び 2023年 2027年
(注)
新設 医薬品事業 142
233,263
《米国 マサチューセッツ州
およびオフィス リース 1月 3月
ケンブリッジ》
バクスアルタ・ベルギー・マニュ
2022年 2024年
製造設備
ファクチャリング S.A.
新設 医薬品事業 42,082 7,615 自己資金
および倉庫
2月 12月
《ベルギー レシーヌ》
武田 GmbHおよび武田Singen Real
2016年 2024年
Estate GmbH & Co. KG
新設 医薬品事業 製造設備 29,879 29,079 自己資金
11月 3月
《ドイツ ジンゲン》
(注)武田ファーマシューティカルズU.S.A., Inc.の投資予定額には、2025年開始予定のリース契約に基づくリース料支
払義務を含んでおります。
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第4 【提出会社の状況】
1 【株式等の状況】
(1) 【株式の総数等】
① 【株式の総数】
種類 発行可能株式総数(株)
普通株式 3,500,000,000
計 3,500,000,000
② 【発行済株式】
事業年度末 上場金融商品取引所名
提出日現在
発行数(株)
種類 現在発行数(株) 又は登録認可金融商品 内容
(2023年6月28日)
( 2023年3月31日 ) 取引業協会名
東京プライム市場、名古屋プレミア市
単元株式数は100
普通株式 1,582,296,025 1,582,324,825 場、福岡、札幌、ニューヨーク各証券取
株であります。
引所
計 1,582,296,025 1,582,324,825 - -
(注)1 米国預託証券(ADS)をニューヨーク証券取引所に上場しております。
2 提出日現在発行数には、2023年6月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行さ
れた株式数は、含まれておりません。
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(2) 【新株予約権等の状況】
① 【ストック・オプション制度の内容】
決議年月日 2011年6月24日
付与対象者の区分及び人数(名) 当社コーポレート・オフィサーおよび上級幹部 113
8,640 [8,352] (注)1
新株予約権の数(個) ※
新株予約権の目的となる株式の種類、
普通株式 864,000 [835,200] (注)2
内容及び数(株) ※
新株予約権の行使時の払込金額
3,705
(円)※
2014年7月16日~2031年7月15日 (注)3
新株予約権の行使期間 ※
新株予約権の行使により株式を発行す
発行価格 4,132 (注)4
る場合の株式の発行価格及び資本組入
資本組入額 2,066
額(円) ※
1) 新株予約権の行使時において、当社または当社子会社の取締役または従
業員その他これに準ずる地位にあることを要する。ただし、任期満了に
より退任または定年退職した場合その他正当な理由のある場合はこの限
りでない。
2) 新株予約権者に当社または当社グループに対する背信行為があったと認
められる場合には、その新株予約権を行使することができないものとす
新株予約権の行使の条件 ※
る。
3) 新株予約権者が禁錮以上の刑に処せられたときは、その新株予約権を行
使することができないものとする。
4) 新株予約権の質入その他の処分は認めない。
5) 1個の新株予約権をさらに分割して行使することはできないものとす
る。
新株予約権の譲渡に関する事項 ※ 取締役会の承認を要する。
組織再編成行為に伴う新株予約権の交
-
付に関する事項 ※
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。当事業年度の末日から提出日の前月末
現在(2023年5月31日)にかけて変更された事項については、提出日の前月末現在における内容を[ ]内に記載
しており、その他の事項については当事業年度の末日における内容から変更はありません。
(注) 1 新株予約権1個につき目的となる株式の数は、100株であります。
2 当社が普通株式の株式分割、普通株式の無償割当てまたは株式併合を行う場合、次の算式により目的となる
株式の数を調整するものとします。かかる調整は当該時点において未行使の新株予約権の目的となる株式の
数についてのみ行われ、調整の結果1株未満の端数が生じた場合は、これを切り捨てるものとします。
調整後株式数=調整前株式数×分割または併合の比率(*)
(*)株式の無償割当ての場合は、無償割当て後の発行済株式総数(自己株式を除く)を無償割当て前
の発行済株式総数(自己株式を除く)をもって除した商をもって上記比率とします。
調整後株式数は、株式分割の場合は、当該株式分割の基準日以降、株式無償割当てまたは株式併合の場合
は、その効力発生日以降、これを適用します。
また、上記のほか、目的となる株式の数の調整を必要とする事由が生じたときは、取締役会の決議により、
合理的な範囲で調整を行うものとします。これら、目的となる株式の数の調整を行うときは、当社は調整後
株式数を適用する日の前日までに、必要な事項を新株予約権原簿に記載された各新株予約権を保有する者に
通知します。ただし、当該適用の日の前日までに通知を行うことができない場合には、以後速やかに通知す
るものとします。
3 2014年7月16日より前であっても、新株予約権の割当てを受けた者が、任期満了により退任または定年退職
した場合その他正当な理由のある場合には、退任または退職の日の翌日より新株予約権の行使ができるもの
とします。
4 発行価格は、新株予約権の行使時の払込金額(1株当たり3,705円)と割当日における新株予約権の公正価
額(1株当たり427円)を合算しております。なお、各コーポレート・オフィサーおよび上級幹部に割り当
てられた新株予約権の公正価額相当額については、当該コーポレート・オフィサーおよび上級幹部のこれと
同額の報酬債権をもって、割当日において合意相殺しております。
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武田薬品工業株式会社(E00919)
有価証券報告書
決議年月日 2012年7月30日
付与対象者の区分及び人数(名) 当社コーポレート・オフィサーおよび上級幹部 118
13,781 (注)1
新株予約権の数(個) ※
新株予約権の目的となる株式の種類、
普通株式 1,378,100 (注)2
内容及び数(株) ※
新株予約権の行使時の払込金額
3,725
(円)※
2015年7月18日~2032年7月17日 (注)3
新株予約権の行使期間 ※
新株予約権の行使により株式を発行す
発行価格 4,094 (注)4
る場合の株式の発行価格及び資本組入
資本組入額 2,047
額(円) ※
1) 新株予約権の行使時において、当社または当社子会社の取締役または従
業員その他これに準ずる地位にあることを要する。ただし、任期満了に
より退任または定年退職した場合その他正当な理由のある場合はこの限
りでない。
2) 新株予約権者に当社または当社グループに対する背信行為があったと認
められる場合には、その新株予約権を行使することができないものとす
新株予約権の行使の条件 ※
る。
3) 新株予約権者が禁錮以上の刑に処せられたときは、その新株予約権を行
使することができないものとする。
4) 新株予約権の質入その他の処分は認めない。
5) 1個の新株予約権をさらに分割して行使することはできないものとす
る。
新株予約権の譲渡に関する事項 ※ 取締役会の承認を要する。
組織再編成行為に伴う新株予約権の交
-
付に関する事項 ※
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。当事業年度の末日から提出日の前月末
現在(2023年5月31日)にかけて変更された事項については、提出日の前月末現在における内容を[ ]内に記載
しており、その他の事項については当事業年度の末日における内容から変更はありません。
(注) 1 新株予約権1個につき目的となる株式の数は、100株であります。
2 当社が普通株式の株式分割、普通株式の無償割当てまたは株式併合を行う場合、次の算式により目的となる
株式の数を調整するものとします。かかる調整は当該時点において未行使の新株予約権の目的となる株式の
数についてのみ行われ、調整の結果1株未満の端数が生じた場合は、これを切り捨てるものとします。
調整後株式数=調整前株式数×分割または併合の比率(*)
(*)株式の無償割当ての場合は、無償割当て後の発行済株式総数(自己株式を除く)を無償割当て前
の発行済株式総数(自己株式を除く)をもって除した商をもって上記比率とします。
調整後株式数は、株式分割の場合は、当該株式分割の基準日以降、株式無償割当てまたは株式併合の場合
は、その効力発生日以降、これを適用します。
また、上記のほか、目的となる株式の数の調整を必要とする事由が生じたときは、取締役会の決議により、
合理的な範囲で調整を行うものとします。これら、目的となる株式の数の調整を行うときは、当社は調整後
株式数を適用する日の前日までに、必要な事項を新株予約権原簿に記載された各新株予約権を保有する者に
通知します。ただし、当該適用の日の前日までに通知を行うことができない場合には、以後速やかに通知す
るものとします。
3 2015年7月18日より前であっても、新株予約権の割当てを受けた者が、任期満了による退任または定年退職
した場合その他正当な理由のある場合には、退任または退職の日の翌日より新株予約権の行使ができるもの
とします。
4 発行価格は、新株予約権の行使時の払込金額(1株当たり3,725円)と割当日における新株予約権の公正価
額(1株当たり369円)を合算しております。なお、各コーポレート・オフィサーおよび上級幹部に割り当
てられた新株予約権の公正価額相当額については、当該コーポレート・オフィサーおよび上級幹部のこれと
同額の報酬債権をもって、割当日において合意相殺しております。
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武田薬品工業株式会社(E00919)
有価証券報告書
決議年月日 2013年6月26日
付与対象者の区分及び人数(名) 当社取締役 4
82 (注)1
新株予約権の数(個) ※
新株予約権の目的となる株式の種類、
普通株式 8,200 (注)2
内容及び数(株) ※
新株予約権の行使時の払込金額
1
(円)※
2016年7月20日~2023年7月19日 (注)3
新株予約権の行使期間 ※
新株予約権の行使により株式を発行す
発行価格 3,710 (注)4
る場合の株式の発行価格及び資本組入
資本組入額 1,855
額(円) ※
1) 新株予約権の行使時において、当社取締役であることを要する。ただ
し、任期満了により退任した場合その他正当な理由のある場合はこの限
新株予約権の行使の条件 ※ りでない。
2) 1個の新株予約権をさらに分割して行使することはできないものとす
る。
新株予約権の譲渡に関する事項 ※ 取締役会の承認を要する。
組織再編成行為に伴う新株予約権の交
-
付に関する事項 ※
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。当事業年度の末日から提出日の前月末
現在(2023年5月31日)にかけて変更された事項については、提出日の前月末現在における内容を[ ]内に記載
しており、その他の事項については当事業年度の末日における内容から変更はありません。
(注) 1 新株予約権1個につき目的となる株式の数は、100株であります。
2 当社が普通株式の株式分割、普通株式の無償割当てまたは株式併合を行う場合、次の算式により目的となる
株式の数を調整するものとします。かかる調整は当該時点において未行使の新株予約権の目的となる株式の
数についてのみ行われ、調整の結果1株未満の端数が生じた場合は、これを切り捨てるものとします。
調整後株式数=調整前株式数×分割または併合の比率(*)
(*)株式の無償割当ての場合は、無償割当て後の発行済株式総数(自己株式を除く)を無償割当て前
の発行済株式総数(自己株式を除く)をもって除した商をもって上記比率とします。
調整後株式数は、株式分割の場合は、当該株式分割の基準日以降、株式無償割当てまたは株式併合の場合
は、その効力発生日以降、これを適用します。
また、上記のほか、目的となる株式の数の調整を必要とする事由が生じたときは、取締役会の決議により、
合理的な範囲で調整を行うものとします。これら、目的となる株式の数の調整を行うときは、当社は調整後
株式数を適用する日の前日までに、必要な事項を新株予約権原簿に記載された各新株予約権を保有する者に
通知します。ただし、当該適用の日の前日までに通知を行うことができない場合には、以後速やかに通知す
るものとします。
3 2016年7月20日より前であっても、新株予約権の割当てを受けた取締役が、任期満了により退任した場合そ
の他正当な理由のある場合には、退任の日の翌日より新株予約権の行使ができるものとします。
4 発行価格は、新株予約権の行使時の払込金額(1株当たり1円)と割当日における新株予約権の公正価額
(1株当たり3,709円)を合算しております。なお、各取締役に割り当てられた新株予約権の公正価額相当
額については、当該取締役のこれと同額の報酬債権をもって、割当日において合意相殺しております。
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武田薬品工業株式会社(E00919)
有価証券報告書
決議年月日 2013年12月19日
付与対象者の区分及び人数(名) 当社コーポレート・オフィサーおよび上級幹部 134名
10,533 (注)1
新株予約権の数(個) ※
新株予約権の目的となる株式の種類、
普通株式 1,053,300 (注)2
内容及び数(株) ※
新株予約権の行使時の払込金額
4,981
(円)※
2016年7月20日~2033年7月19日 (注)3
新株予約権の行使期間 ※
新株予約権の行使により株式を発行す
発行価格 5,534 (注)4
る場合の株式の発行価格及び資本組入
資本組入額 2,767
額(円) ※
1) 新株予約権の行使時において、当社または当社子会社の取締役または従
業員その他これに準ずる地位にあることを要する。ただし、任期満了に
より退任または定年退職した場合その他正当な理由のある場合はこの限
りでない。
2) 新株予約権者に当社または当社グループに対する背信行為があったと認
められる場合には、その新株予約権を行使することができないものとす
新株予約権の行使の条件 ※
る。
3) 新株予約権者が禁錮以上の刑に処せられたときは、その新株予約権を行
使することができないものとする。
4) 新株予約権の質入その他の処分は認めない。
5) 1個の新株予約権をさらに分割して行使することはできないものとす
る。
新株予約権の譲渡に関する事項 ※ 取締役会の承認を要する。
組織再編成行為に伴う新株予約権の交
-
付に関する事項 ※
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。当事業年度の末日から提出日の前月末
現在(2023年5月31日)にかけて変更された事項については、提出日の前月末現在における内容を[ ]内に記載
しており、その他の事項については当事業年度の末日における内容から変更はありません。
(注) 1 新株予約権1個につき目的となる株式の数は、100株であります。
2 当社が普通株式の株式分割、普通株式の無償割当てまたは株式併合を行う場合、次の算式により目的となる
株式の数を調整するものとします。かかる調整は当該時点において未行使の新株予約権の目的となる株式の
数についてのみ行われ、調整の結果1株未満の端数が生じた場合は、これを切り捨てるものとします。
調整後株式数=調整前株式数×分割または併合の比率(*)
(*)株式の無償割当ての場合は、無償割当て後の発行済株式総数(自己株式を除く)を無償割当て前
の発行済株式総数(自己株式を除く)をもって除した商をもって上記比率とします。
調整後株式数は、株式分割の場合は、当該株式分割の基準日以降、株式無償割当てまたは株式併合の場合
は、その効力発生日以降、これを適用します。
また、上記のほか、目的となる株式の数の調整を必要とする事由が生じたときは、取締役会の決議により、
合理的な範囲で調整を行うものとします。これら、目的となる株式の数の調整を行うときは、当社は調整後
株式数を適用する日の前日までに、必要な事項を新株予約権原簿に記載された各新株予約権を保有する者に
通知します。ただし、当該適用の日の前日までに通知を行うことができない場合には、以後速やかに通知す
るものとします。
3 2016年7月20日より前であっても、新株予約権の割当てを受けた者が、任期満了により退任または定年退職
した場合その他正当な理由のある場合には、退任または退職の日の翌日より新株予約権の行使ができるもの
とします。
4 発行価格は、新株予約権の行使時の払込金額(1株当たり4,981円)と割当日における新株予約権の公正価
額(1株当たり553円)を合算しております。なお、各コーポレート・オフィサーおよび上級幹部に割り当
てられた新株予約権の公正価額相当額については、当該コーポレート・オフィサーおよび上級幹部のこれと
同額の報酬債権をもって、割当日において合意相殺しております。
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武田薬品工業株式会社(E00919)
有価証券報告書
② 【ライツプランの内容】
該当事項はありません。
③ 【その他の新株予約権等の状況】
該当事項はありません。
(3) 【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当事項はありません。
(4) 【発行済株式総数、資本金等の推移】
発行済株式 発行済株式 資本準備金 資本準備金
資本金増減額 資本金残高
年月日 総数増減数 総数残高 増減額 残高
(百万円) (百万円)
(千株) (千株) (百万円) (百万円)
2018年4月1日~
2019年3月31日 770,318 1,565,006 1,565,671 1,643,585 1,565,671 1,629,679
(注)1、2
2019年4月1日~
2020年3月31日 11,368 1,576,374 24,538 1,668,123 24,538 1,654,217
(注)1、3
2020年4月1日~
2021年3月31日 14 1,576,388 22 1,668,145 22 1,654,239
(注)1
2021年4月1日~
2022年3月31日
5,865 1,582,253 8,118 1,676,263 14,037 1,668,276
(注)1、4、
5、6
2022年4月1日~
2023年3月31日 44 1,582,296 82 1,676,345 82 1,668,357
(注)1
(注) 1 発行済株式総数増減数のうち2018年度の15千株、2019年度の18千株、2020年度の14千株、2021年度の10千株
および2022年度の44千株については、新株予約権の行使による増加であります。
2 2019年1月8日を払込期日とする当社によるShire plc.の買収の対価の一部となる当社普通株式の発行によ
り、発行済株式総数が770,303千株、資本金および資本準備金がそれぞれ1,565,641百万円増加しておりま
す。
発行価格:4,065円 資本組入額:2,032.50円
3 2019年度の発行済株式総数増減数のうち11,350千株については、第三者割当募集株式発行による増加であり
ます。
発行価格:4,318円 資本組入額:2,159円
割当先:日本マスタートラスト信託銀行株式会社(株式付与ESOP信託口)
4 2021年4月1日付の日本製薬株式会社を株式交換完全子会社とする株式交換により、発行済株式総数が
1,462千株、資本準備金が5,919百万円増加しております。
5 2021年度の発行済株式総数増減数のうち518千株については、第三者割当募集株式発行による増加でありま
す。
発行価格:3,730円 資本組入額:1,865円
割当先:日本マスタートラスト信託銀行株式会社(株式付与ESOP信託口)
6 2021年7月8日の決定により、2021年7月26日付で第三者割当による新株発行を行いました。これにより発
行済株式総数が3,874千株、資本金および資本準備金がそれぞれ7,138百万円増加しております。
7 2023年4月1日から2023年5月31日までの間に、新株予約権の行使により、発行済株式総数が29千株、資本
金および資本準備金がそれぞれ60百万円増加しております。
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(5) 【所有者別状況】
2023年3月31日 現在
株式の状況(1単元の株式数 100 株)
単元未満
政府及び
区分 外国法人等 株式の状況
金融商品 その他の 個人
地方公共 金融機関 計
(株)
取引業者 法人 その他
個人以外 個人
団体
株主数
1 266 58 3,281 1,112 761 540,329 545,808 -
(人)
所有株式数
4 4,435,017 952,185 484,250 6,017,950 7,514 3,912,573 15,809,493 1,346,725
(単元)
所有株式数
0.00 28.05 6.02 3.06 38.07 0.05 24.75 100.00 -
の割合(%)
(注) 自己株式21,467,090株は、「個人その他」に214,670単元、「単元未満株式の状況」に90株含まれております。
(6) 【大株主の状況】
2023年3月31日 現在
発行済株式(自己株式を
所有株式数
氏名又は名称 住所 除く。)の総数に対する
(千株)
所有株式数の割合(%)
日本マスタートラスト信託銀行株式会 東京都港区浜松町2丁目11番
261,558 16.76
社(信託口) 3号
株式会社日本カストディ銀行(信託 東京都中央区晴海1丁目8-1
87,646 5.62
口) 2
THE BANK OF NEW YO
240 GREENWICH STREET, 8TH
RK MELLON AS DEPO
FLOOR WEST, NEW YORK, NY
SITARY BANK FOR D
EPOSITARY RECEIP 69,832 4.47
10286 U.S.A.
T HOLDERS
(東京都千代田区丸の内1丁目
(常任代理人 株式会社三井住友銀
1番2号)
行)
25 BANK STREET, CANARY
JP MORGAN CHASE B
WHARF, LONDON, E14 5JP,
ANK 385632
UNITED KINGDOM 58,526 3.75
(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済
(東京都港区港南2丁目15-
営業部)
1 )
STATE STREET BAN
1776 HERITAGE DRIVE, NORTH
K WEST CLIENT-TRE
QUINCY, MA 02171, U.S.A.
ATY 505234
28,561 1.83
(東京都港区港南2丁目15―
(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済
1)
営業部)
東京都千代田区丸の内1丁目6
日本生命保険相互会社
番6号
28,288 1.81
(常任代理人 日本マスタートラスト
(東京都港区浜松町2丁目11
信託銀行株式会社)
番3号)
東京都千代田区丸の内2丁目7
JPモルガン証券株式会社 25,622 1.64
-3
ONE LINCOLN STREET, BOSTON
SSBTC CLIENT OMNI
BUS ACCOUNT
MA USA 02111
21,860 1.40
(常任代理人 香港上海銀行東京支店カ
(東京都中央区日本橋3丁目1
1―1 )
ストディ業務部)
25 BANK STREET, CANARY
JP MORGAN CHASE B
WHARF, LONDON, E14 5JP,
ANK 385781
UNITED KINGDOM 20,172 1.29
(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済
(東京都港区港南2丁目15-
営業部)
1 )
大阪市中央区道修町2丁目3-
公益財団法人武田科学振興財団 17,912 1.15
6
計 - 619,977 39.72
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(7) 【議決権の状況】
① 【発行済株式】
2023年3月31日 現在
区分 株式数(株) 議決権の数(個) 内容
無議決権株式 - - -
議決権制限株式(自己株式等) - - -
議決権制限株式(その他) - - -
(自己保有株式)
- -
普通株式 21,467,000
完全議決権株式(自己株式等)
(相互保有株式)
- -
普通株式 287,000
完全議決権株式(その他) 15,591,953 -
普通株式 1,559,195,300
1単元(100株)未満の
単元未満株式 -
普通株式 1,346,725
株式
発行済株式総数 1,582,296,025 - -
総株主の議決権 - 15,591,953 -
(注)1 当社は、2021年10月28日開催の取締役会決議に基づき、2022年4月において信託方式による市場買付により
自己株式を6,907,500株取得しました。これにより取得期間中に合計29,376,900株の自己株式を取得し、同
取締役会決議に基づく自己株式の取得を終了いたしました。
2 当社は、長期インセンティブ報酬制度に基づき当社ADSを国外の当社グループ従業員に交付するため、2022
年6月10日付の当社代表取締役CEOクリストフ ウェバーの決定により、2022年7月7日に自己株式
8,091,236株の処分を実施いたしました。なお、当該普通株式は、当社ADSに転換の上、従業員に交付されま
した。
3 「完全議決権株式(その他)」欄の普通株式には、株式付与ESOP信託にかかる信託口が所有する当社株式
3,981,600株(議決権39,816個)及び役員報酬BIP信託にかかる信託口が所有する当社株式2,233,000株
(議決権22,330個)が含まれております。
4 「単元未満株式」欄の普通株式には、自己保有株式90株、株式付与ESOP信託にかかる信託口が所有する
当社株式153株及び役員報酬BIP信託にかかる信託口が所有する当社株式244株が含まれております。
② 【自己株式等】
2023年3月31日 現在
自己名義 他人名義 所有株式数 発行済株式総数
所有者の氏名
所有者の住所 所有株式数 所有株式数 の合計 に対する所有
又は名称
(株) (株) (株) 株式数の割合(%)
(自己保有株式)
大阪市中央区道修町
武田薬品工業株式会社 21,467,000 - 21,467,000 1.36
4丁目1-1
(相互保有株式)
豊中市新千里東町1丁目
天藤製薬株式会社 275,000 - 275,000 0.02
5-3
大阪市中央区平野町3丁目
渡辺ケミカル株式会社 12,000 - 12,000 0.00
6-1
計 - 21,754,000 - 21,754,000 1.37
(注) 上記の自己保有株式及び自己保有の単元未満株式90株のほか、株式付与ESOP信託にかかる信託口が所有する
当社株式3,981,753株及び役員報酬BIP信託にかかる信託口が所有する当社株式2,233,244株を財務諸表上、自
己株式として処理しております。
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(8) 【役員・従業員株式所有制度の内容】
① 従業員(当社グループ幹部)に対する株式付与制度
当社は、国内外の当社グループ幹部を対象に、当社の中長期的な業績の向上と企業価値の増大への貢献意識を
高めることを目的として、会社業績との連動性が高く、かつ透明性および客観性の高いグローバルで共通のイ
ンセンティブプランとして、2014年より株式付与制度(以下本①において「本制度」)を導入しています。
また、当社は、2020年より、国外の当社グループ従業員へのインセンティブプランとして、従業員米国預託株
式購入制度(Employee Stock Purchase Plan)(以下、本①および②において「ESPP」)および国外の当社グ
ループ従業員に対する長期インセンティブ報酬制度(Long Term Incentive Plan)(以下、本①および②にお
いて「LTIP」)を導入しています。従って、2020年以降、新たに設定され、または、信託期間を延長すること
により継続される本制度に基づく信託は、国内の当社幹部を対象としています。
(ⅰ) 本制度の概要
本制度は、株式付与ESOP(Employee Stock Ownership Plan)信託(以下、「ESOP信託」)と称される仕組み
を採用しております。ESOP信託とは、譲渡制限付株式ユニット(Restricted Stock Units)およびパフォー
マンス・シェア・ユニット(Performance Share Units)を参考に制度設計された当社の従業員向けインセン
ティブプランであり、国内の当社幹部に対して譲渡制限付株式ユニット報酬(Restricted Stock Unit
awards)および業績連動株式ユニット報酬(Performance Share Unit awards)を付与するものです。一部の
上級幹部については、譲渡制限付株式ユニット報酬と業績連動株式ユニット報酬が付与され、それ以外の従
業員については譲渡制限付株式ユニット報酬が付与されます。当社は、ESOP信託により取得した当社株式お
よび当社株式の換価処分金相当額の金銭を、職位や業績目標の達成度等に応じて、当社株式から生じる配当
金とともに従業員に交付または給付します。
当社は、2014年より毎年新たなESOP信託を設定し、または信託期間の満了した既存のESOP信託の変更および
追加信託を行うことにより、本制度を継続的に実施することを予定しています。従って、2021年5月28日に
は同月11日開催の取締役会における国内の当社幹部に対する本制度の継続および第三者割当による新株発行
に係る決議に基づき、国内の当社幹部を対象として2018年に設定済みのESOP信託の信託期間を延長し金銭追
加信託を行いました。また、2022年5月16日には同月11日開催の取締役会における国内の当社幹部に対する
本制度の継続に係る決議に基づき、国内の当社幹部を対象として2019年に設定済みのESOP信託の信託期間を
延長し、2023年5月16日には同月11日開催の取締役会における国内の当社幹部に対する本制度の継続に係る
決議に基づき、国内の当社幹部を対象として2020年に設定済みのESOP信託の信託期間を延長しました。
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(ⅱ) 信託契約の内容
<2021年>
・信託の種類 特定単独運用の金銭信託以外の金銭の信託(他益信託)
・信託の目的 国内の当社幹部に対するインセンティブの付与
・信託者 当社
三菱UFJ信託銀行株式会社
・受託者
(共同受託者 日本マスタートラスト信託銀行株式会社)
・受益者 国内の当社幹部のうち受益者要件を充足する者
・信託管理人 当社と利害関係のない第三者(公認会計士)
・信託契約日 2015年5月22日(2021年5月28日付で変更契約を締結)
2015年5月22日~2024年8月31日
・信託の期間 (2021年5月28日付の信託契約の変更により延長)
(2021年7月1日に基準ポイントを付与)
・議決権の行使 行使しないものとします
・取得株式の種類 当社普通株式
・取得株式の総額 25億円(信託報酬および信託費用を含む)
・株式の取得時期 2021年6月4日
・株式の取得方法 当社(第三者割当による新株式発行)および取引所市場より取得
・帰属権利者 当社
<2022年>
・信託の種類 特定単独運用の金銭信託以外の金銭の信託(他益信託)
・信託の目的 国内の当社幹部に対するインセンティブの付与
・信託者 当社
三菱UFJ信託銀行株式会社
・受託者
(共同受託者 日本マスタートラスト信託銀行株式会社)
・受益者 国内の当社幹部のうち受益者要件を充足する者
・信託管理人 当社と利害関係のない第三者(公認会計士)
・信託契約日 2016年5月20日(2022年5月16日付で変更契約を締結)
2016年5月20日~2025年8月31日
・信託の期間 (2022年5月16日付の信託契約の変更により延長)
(2022年7月1日に基準ポイントを付与)
・議決権の行使 行使しないものとします
・帰属権利者 当社
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<2023年>
・信託の種類 特定単独運用の金銭信託以外の金銭の信託(他益信託)
・信託の目的 国内の当社幹部に対するインセンティブの付与
・信託者 当社
三菱UFJ信託銀行株式会社
・受託者
(共同受託者 日本マスタートラスト信託銀行株式会社)
・受益者 国内の当社幹部のうち受益者要件を充足する者
・信託管理人 当社と利害関係のない第三者(公認会計士)
・信託契約日 2014年5月21日(2023年5月16日付で変更契約を締結)
2014年5月21日~2026年8月31日
・信託の期間 (2023年5月16日付の信託契約の変更により延長)
(2023年7月1日(予定)に基準ポイントを付与)
・議決権の行使 行使しないものとします
・帰属権利者 当社
(ⅲ) 従業員に取得させる予定の株式上限総数
2023年信託 約50万株(予定)
(ⅳ) 本制度による受益権その他の権利を受け取ることができる者の範囲
国内の当社グループ幹部のうち受益者要件を充足する者
② 国外の従業員に対するESPPおよびLTIP
当社は、2020年より、(i)国外の当社グループ従業員による当社米国預託証券(American Depositary Share)
(以下、本②において「当社ADS」)の保有を奨励することを目的として、国外の当社グループ従業員に対して
当社ADSを市場価格から割り引いた価格で取得する機会を与えるESPPを導入し、また、(ii)国外の当社グループ
従業員に対し、株主との一層の価値共有を進め、さらに、リスクと報酬のバランスが適切に取れたインセン
ティブ報酬を付与することによって当社グループ幹部およびその他の従業員へのリテンション効果を高め、リ
スクを軽減しつつ当社の戦略を推進することを目的として、国外の当社グループ従業員に対し当社ADSに基づく
インセンティブ報酬を付与するLTIPを導入しています。
(ⅰ) ESPPの概要
ESPPにおいては、国外の当社グループ従業員が金銭を拠出し、取引市場にて購入された当社ADSを取得する
仕組みを採用します。ESPPにおいては、一定の国外の当社グループ従業員は、2020年10月以降、半年ごと
にESPPに任意に加入し、原則として退職時に脱退するものとします。また、ESPPに加入した各従業員が拠
出する金銭の上限は、原則として、半年あたり7,500米ドルに相当する額とします。
(ⅱ) LTIPの概要
LTIPにおいては、譲渡制限付株式ユニット(Restricted Stock Units)を用いた譲渡制限付株式ユニット
報酬(Restricted Stock Unit awards)(以下、本②において「RSU awards」)およびパフォーマンス・ス
トック・ユニット(Performance Stock Units)を用いた業績連動株式ユニット報酬(Performance Stock
Unit awards)(以下、本②において「PSU awards」)を含む株式報酬を付与する仕組みを採用しておりま
す。LTIPにおいては、一定の国外の当社グループ従業員に対して、当社が新たに発行する当社普通株式ま
たは自己株式の処分から転換された当社ADSもしくは取引市場にて購入された当社ADSまたは当社ADSの換価
処分金相当額の金銭が交付または支給されます。2020年については2020年7月に、2021年については2021
年7月に、2022年については2022年7月に、一定の国外の当社グループ従業員に対してRSU awards及びPSU
awardsを付与しました。RSU awardsは、継続勤務等の一定の要件の充足を条件として、3年間に亘り、毎
年、付与したRSU awardsの3分の1ずつに相当する当社ADSを交付するものです(ただし、死亡等の一定の
事由が生じた場合には当社ADSの換価処分金相当額の金銭を一定の時期に支給します。PSU awardsについて
も同じです)。PSU awardsは、継続勤務等の一定の要件の充足を条件とすることに加え、付与年を含む3
事業年度について設定した会社業績目標の達成度等に応じて算出される数の当社ADSを、当該3事業年度の
終了後に全て交付するものです。
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③ 役員(当社取締役)に対する株式報酬制度
当社は、2014年6月27日開催の第138回定時株主総会の決議を経て、当社取締役(社外取締役および海外居住の
取締役を除く)を対象に、2014年より株式報酬制度(以下、「旧制度」)を導入していましたが、2016年6月
29日開催の第140回定時株主総会において、監査等委員会設置会社への移行に伴い、当社取締役に対するインセ
ンティブプランとして、旧制度に代えて、旧制度の対象取締役の範囲を拡張した株式報酬制度(以下本③にお
いて「本制度」)を導入することを決議し、本制度を導入しております。なお、2019年6月27日開催の第143回
定時株主総会において、その内容の一部改定が可決承認されました。
(ⅰ) 本制度の概要
本制度は、役員報酬BIP(Board Incentive Plan)信託(以下、「BIP信託」)と称される仕組みを採用し
ています。BIP信託とは、パフォーマンス・シェア・ユニット(Performance Share Units)および譲渡制
限付株式ユニット(Restricted Stock Units)を参考に制度設計された取締役向けインセンティブプラン
であり、業績連動株式ユニット報酬(Performance Share Unit awards)および譲渡制限付株式ユニット報
酬(Restricted Stock Unit awards)を付与するものです。当社は、BIP信託により取得した当社株式およ
び当社株式の換価処分金相当額の金銭を、①監査等委員でない当社取締役(社外取締役および海外居住の
取締役を除く)に対しては業績連動株式ユニット報酬および譲渡制限付株式ユニット報酬を付与したうえ
で一定時期に、②監査等委員である当社取締役および社外取締役に対しては客観的な立場から業務執行の
妥当性を判断するという監督機能を適正に確保する観点から譲渡制限付株式ユニット報酬のみを付与した
うえで本制度に基づく基準ポイントの付与日から3年経過後に、それぞれ、当社株式から生じる配当金と
ともに交付または給付します。
当社は、2014年より毎年新たなBIP信託を設定し、または信託期間の満了した既存のBIP信託の変更および
追加信託を行うことにより、旧制度と同種のインセンティブプランを継続的に実施することを予定してい
ます。2016年には、旧制度に代えて本制度を導入するにあたり、2016年より選任される監査等委員である
当社取締役および社外取締役を新たに対象として加えることとし、監査等委員でない当社取締役(社外取
締役でない海外居住の取締役を除く)および監査等委員である当社取締役のそれぞれにつき、新たにBIP
信託を設定いたしました(以下、監査等委員でない当社取締役に係るBIP信託を「NSV(Non-Supervisory)
信託」、監査等委員である当社取締役に係るBIP信託を「SV(Supervisory)信託」)。2017年5月16日に
は同月10日開催の取締役会における本制度の継続にかかる決議に基づき、2014年に設定済のBIP信託を本制
度におけるNSV信託として一部改定の上、信託期間を延長し、金銭追加信託を行いました(2017年における
SV信託は、2017年より新たに対象とすべき新任の監査等委員である取締役が存しないことから、設定して
おりません)。2018年5月21日には同月14日開催の取締役会における本制度の継続にかかる決議に基づ
き、2015年に設定済みのBIP信託を本制度におけるNSV信託として一部改定の上、信託期間を延長し、金銭
追加信託を行いました。また、同決議に基づき、2016年に設定済みのSV信託の信託期間を延長し、金銭追
加信託を行いました。2019年8月1日には6月27日開催の定時総会における本制度の一部改正にかかる可
決承認に基づき、2016年に設定済みのNSV信託について、社外取締役でない取締役(監査等委員である取締
役および海外居住の取締役を除く)に対するプラン(以下、「本プランI」)、社外取締役(監査等委員で
ある取締役を除く)に対するプラン(以下、「本プランII」)、監査等委員である取締役に対するプラン
(以下、「本プランIII」)として、信託期間を延長し、金銭追加信託を行いました。2021年5月14日には
同月11日開催の取締役会における本制度継続にかかる決議に基づき、2018年に設定済みのNSV信託につい
て、社外取締役でない取締役(監査等委員である取締役および海外居住の取締役を除く)に対するプラン
(以下、「本プランI」)、社外取締役(監査等委員である取締役を除く)に対するプラン(以下、「本プ
ランII」)、監査等委員である取締役に対するプラン(以下、「本プランIII」)として、信託期間を延長
し、金銭追加信託を行いました。2022年5月16日には同月11日開催の取締役会における本制度継続にかか
る決議に基づき、2019年に設定済みのNSV信託について、社外取締役でない取締役(監査等委員である取締
役および海外居住の取締役を除く)に対するプラン(以下、「本プランI」)、社外取締役(監査等委員で
ある取締役を除く)に対するプラン(以下、「本プランII」)、監査等委員である取締役に対するプラン
(以下、「本プランIII」)として、信託期間を延長し、金銭追加信託を行いました。2023年5月16日には
同月11日開催の取締役会における本制度継続にかかる決議に基づき、2020年に設定済みのNSV信託につい
て、社外取締役でない取締役(監査等委員である取締役および海外居住の取締役を除く)に対するプラン
(以下、「本プランI」)、社外取締役(監査等委員である取締役を除く)に対するプラン(以下、「本プ
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ランII」)、監査等委員である取締役に対するプラン(以下、「本プランIII」)として、信託期間を延長
し、金銭追加信託を行いました。
(ⅱ) 信託契約の内容
<2021年(本プランI/II/III)>
・信託の種類 特定単独運用の金銭信託以外の金銭の信託(他益信託)
・信託の目的 取締役に対するインセンティブの付与
・信託者 当社
三菱UFJ信託銀行株式会社
・受託者
(共同受託者 日本マスタートラスト信託銀行株式会社)
・受益者 当社取締役のうち受益者要件を充足する者
・信託管理人 当社と利害関係のない第三者(公認会計士)
・信託契約日 2015年5月22日(2021年5月14日付で変更契約を締結)
2015年5月22日~2024年8月31日
・信託の期間
(2021年5月14日付の信託契約の変更により延長)
(2021年7月1日に基準ポイントを付与)
・議決権の行使 行使しないものとします
・取得株式の種類 当社普通株式
・取得株式の総額 19億円(信託報酬および信託費用を含む)
・株式の取得時期 2021年5月17日
・株式の取得方法 株式市場より取得
・帰属権利者 当社
<2022年(本プランI/II/III)>
・信託の種類 特定単独運用の金銭信託以外の金銭の信託(他益信託)
・信託の目的 取締役に対するインセンティブの付与
・信託者 当社
三菱UFJ信託銀行株式会社
・受託者
(共同受託者 日本マスタートラスト信託銀行株式会社)
・受益者 当社取締役のうち受益者要件を充足する者
・信託管理人 当社と利害関係のない第三者(公認会計士)
・信託契約日 2016年8月3日(2022年5月16日付で変更契約を締結)
2016年8月3日~2025年8月31日
・信託の期間
(2022年5月16日付の信託契約の変更により延長)
(2022年7月1日に基準ポイントを付与)
・議決権の行使 行使しないものとします
・取得株式の種類 当社普通株式
・取得株式の総額 19.4億円(信託報酬および信託費用を含む)
・株式の取得時期 2022年5月18日
・株式の取得方法 株式市場より取得
・帰属権利者 当社
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<2023年(本プランI/II/III)>
・信託の種類 特定単独運用の金銭信託以外の金銭の信託(他益信託)
・信託の目的 取締役に対するインセンティブの付与
・信託者 当社
三菱UFJ信託銀行株式会社
・受託者
(共同受託者 日本マスタートラスト信託銀行株式会社)
・受益者 当社取締役のうち受益者要件を充足する者
・信託管理人 当社と利害関係のない第三者(公認会計士)
・信託契約日 2014年8月4日(2023年5月16日付で変更契約を締結)
2014年8月4日~2026年8月31日
・信託の期間
(2023年5月16日付の信託契約の変更により延長)
(2023年7月1日(予定)に基準ポイントを付与)
・議決権の行使 行使しないものとします
・取得株式の種類 当社普通株式
・取得株式の総額 24億円(信託報酬および信託費用を含む)
・株式の取得時期 2023年5月18日
・株式の取得方法 株式市場より取得
・帰属権利者 当社
(ⅲ) 役員に取得させる予定の株式上限総数
2023年信託 約52万株(予定)
(ⅳ) 本制度による受益権その他の権利を受け取ることができる者の範囲
対象となる当社取締役のうち受益者要件を充足する者
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2 【自己株式の取得等の状況】
【株式の種類等】 会社法第155条第3号および第7号に基づく普通株式の取得
(1) 【株主総会決議による取得の状況】
該当事項はありません。
(2) 【取締役会決議による取得の状況】
区分 株式数(株) 価額の総額(円)
取締役会(2021年10月28日)での決議状況
35,000,000 100,000,000,000
(取得期間2021年11月2日~2022年4月29日)
当事業年度前における取得自己株式 22,469,400 74,972,698,800
当事業年度における取得自己株式 6,907,500 24,992,962,200
残存決議株式の総数及び価額の総額 5,623,100 34,339,000
当事業年度の末日現在の未行使割合(%) 16.1 0.0
当期間における取得自己株式 - -
提出日現在の未行使割合(%) 16.1 0.0
(3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
区分 株式数(株) 価額の総額(円)
当事業年度における取得自己株式 5,153 19,967,183
当期間における取得自己株式 967 4,357,897
(注)1 当期間における取得自己株式には、2023年6月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取に
よる株式数は含めておりません。
2 上記の取得自己株式には、株式付与ESOP信託にかかる信託口が取得した当社株式および役員報酬BIP
信託にかかる信託口が取得した当社株式を含めておりません。
(4) 【取得自己株式の処理状況及び保有状況】
当事業年度 当期間
区分
処分価額の総額 処分価額の総額
株式数(株) 株式数(株)
(円) (円)
引き受ける者の募集を行った
8,091,236 27,599,088,469 - -
取得自己株式
消却の処分を行った取得自己株式 - - - -
合併、株式交換、株式交付、
会社分割に係る移転を行った - - - -
取得自己株式
その他(単元未満株式の売渡し請求
による売渡し及び新株予約権の権 244 983,104 90 399,600
利行使)
保有自己株式数 21,467,090 - 21,467,967 -
(注)1 当期間における保有自己株式数には、2023年6月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取
や売渡しによる株式数は含めておりません。
2 上記の処理自己株式数および保有自己株式数には、株式付与ESOP信託にかかる信託口が所有する当社株
式数および役員報酬BIP信託にかかる信託口が所有する当社株式数を含めておりません。
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3 【配当政策】
当社は、革新的な医薬品を創出し続けるという「私たちが目指す未来」(ビジョン)に基づき、堅実な投資適格格
付を維持することを重視しながら、患者さんと株主価値を最大化するよう資本を配分してまいります。
当社の資本配分に関する基本方針は次の通りです。
・ 成長ドライバーへの投資
・ 株主還元
「成長ドライバーへの投資」では、パイプライン拡充のための社内外における投資機会、新製品の上市、血漿分画
製剤事業に対して戦略的な投資を行ってまいります。また、「株主還元」においては、毎年の1株当たり年間配当
金を増額または維持する累進的な配当方針を採用し、自己株式の取得については適切な場合に取り組んでまいりま
す。
なお、当社は中間配当ができる旨を定款に定めており、当社の剰余金の配当は中間配当及び期末配当の年2回を基
本的な方針としております。剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定め
のある場合を除き、取締役会の決議によって定めることができる旨を定款に定めております。
(基準日が当事業年度に属する剰余金の配当については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務
諸表 連結財務諸表注記 26 資本及びその他の資本項目」をご参照ください。)
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4 【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1) 【コーポレート・ガバナンスの概要】
1. 企業統治の体制
当社は、「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献する」という存在意義のもと、自らの企業理念に基づい
て患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする研究開発型のグローバルなデジタルバイオ医
薬品企業にふさわしい事業運営体制を追求するため、健全性と透明性が確保された迅速な意思決定を可能とする
体制を整備するとともに、コンプライアンスの徹底やリスク管理を含めた内部統制の強化を図っています。これ
らの取組みを通じて、コーポレートガバナンスのさらなる充実を目指し、企業価値の最大化に努めています。
2. 機関構成・組織運営等に係る事項
<組織形態>
監査等委員会設置会社
(現状のコーポレート・ガバナンス体制を採用している理由)
当社は、取締役会による重要な業務執行の決定のうち、相当な部分を取締役に対して委任することが可能となる
監査等委員会設置会社を選択することにより、業務執行と監督との分離を促進し、もって、業務執行にかかる意
思決定の一層の迅速化を実現するとともに、取締役会は経営戦略や特に重要度の高い課題の議論により多くの時
間を充てることのできる体制を整えています。また、監査等委員会の監査・監督体制を整備するとともに、取締
役会における社外取締役の構成比と多様性を高めることにより、取締役会の透明性および客観性を高め、経営に
対する監督機能を強化しています。
<取締役関係>
・取締役会の議長・・・・・独立社外取締役
・取締役の人数・・・・・15名(男性12名、女性3名。うち、監査等委員である取締役4名)
・社外取締役の選任状況
選任の有無・・・・・選任している
<監査等委員会関係>
・監査等委員の人数・・・・・4名(うち、社外取締役4名)
なお、 2021年6月より監査等委員会の独立性をより一層高めるために、監査等委員
会の全メンバーを社外取締役としています。
・監査等委員会について
監査等委員会は、「監査等委員会規程」および監査等委員会の監査・監督に関する社内規則に基づき、独立性
と実効性を確保する体制を整備し、取締役の職務執行の監査その他法令および定款に定められた職務を行って
います。
・当該取締役及び使用人の業務執行取締役からの独立性に関する事項
監査等委員会の業務補助および監査等委員会の事務局として監査等委員会室を設置し、使用人の中から専任の
スタッフを任命し、適切な員数を確保しております。監査等委員会室のスタッフの任命・異動等に関しては、
監査等委員会の同意を要するものとしています。
当社では、監査等委員会室を設置し、重要会議への出席や重要書類の閲覧等を通じた日常的な情報収集、執行
部門からの定期的な業務報告の聴取等において監査等委員会の職務を補助する体制を整えているほか、内部統
制システムを活用した組織的監査を実施することにより監査の実効性を確保しており、常勤の監査等委員を選
定しておりません。
・監査等委員会、会計監査人、内部監査部門の連携状況
(監査等委員会と会計監査人の連携状況)
監査等委員会は、会計監査人より各事業年度の監査計画、監査体制および監査結果について直接報告を受け
ており、また、必要に応じて、随時、情報交換や意見交換を実施して、緊密な連携を図っています。
(監査等委員会とグループ内部監査部門の連携状況)
監査等委員会は、内部監査システムの構築・運用の状況等を踏まえた上で、グループ内部監査部門からの監
査報告ならびに監査等委員会から内部監査部門への指示を通じ、緊密な連繋を保持しつつ監査効率の向上を
図っています。
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(監査等委員会と内部統制推進部門との関係)
監査等委員会は、グローバルエシックス&コンプライアンス、グローバルファイナンス等の内部統制推進部
門との連繋を密にし、その情報を活用し、監査等委員会の監査等が実効的に行われる体制を整備していま
す。
<社外取締役の独立性に関する基準>
当社は、招聘する社外取締役の独立性について、金融商品取引所が定める独立性の基準を満たすことを前提とし
つつ、次の資質に関する要件を満たすことを重視して判断します。
すなわち、当社では、医薬品事業をグローバルに展開する当社において、多様な役員構成員の中にあっても、事
業活動の公平・公正な決定および経営の健全性確保のために積極的に、当社の重要案件について、その本質を質
し、改善を促し、提言・提案を発する活動を継続して行うことにより、確固たる存在感を発揮していただける方
が、真に社外取締役として株主の期待に応え得る人物であると考え、かかる人物に求められる資質に関する基準
として、以下の項目の(1)から(4)のうち2項目以上に該当することを要件とします。
(1)企業経営の経験に基づく高い識見を有する
(2)会計、法律等の専門性の高い分野において高度な知識を有する
(3)医薬品事業またはグローバル事業に精通している
(4)多様な価値観を理解し、積極的に議論に参加できる高い語学力や幅広い経験を有する
3. 業務執行に係る事項
<経営体制について>
当社は、取締役会において当社グループの基本的な方針を定め、その機関決定に基づいて、経営・執行を行う体
制をとっています。取締役会に参画する社外取締役は個々に適切な資質を備えており、取締役会全体として多様
かつ十分な経験を有する構成となっています。また、当社の監査等委員会は社外取締役のみで構成されており、
その独立した立場から取締役の執行状況を監査、監督し、取締役会の適切なガバナンスと意思決定に貢献してい
ます。さらに、多様化する経営課題に機動的かつ迅速に対応するため、TETを設置するとともに、重要案件の審議
を行うビジネス&サステナビリティ・コミッティー(経営、事業開発およびサステナビリティ関連案件を所
管)、ポートフォリオ・レビュー・コミッティー(研究開発および製品関連案件を所管)およびリスク・エシッ
クス&コンプライアンス・コミッティー(リスク管理、企業倫理およびコンプライアンス案件を所管)を設置
し、各機能間の一層の連携とより迅速で柔軟な業務執行が行われる体制を確保しています。また、「タケダグ
ループの経営管理方針(T-MAP)」に定めるところにより、TETに権限が委譲されており、グループ全体として迅
速かつ効率的な経営の実現を図っています。
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<取締役会について>
当社は取締役会を「会社経営における戦略的な事案や特に重要な事案につき意思決定を行うと同時に、業務執行
を監視・監督することを基本機能とする機関」と位置付け、「取締役会規程」に基づいて運営しています。取締
役会は、取締役15名(うち3名が女性)のうち12名が社外取締役、また日本人5名・外国籍10名の構成であり
(2023年6月28日時点)、原則年8回の開催により、経営に関する重要事項について決議および報告が行われて
います。2022年においては、株主総会の招集や付議議案、タケダグループの経営管理方針(T-MAP)の改定、全社
的リスク評価、年間および中期計画や中間業績、四半期決算、計算書類、事業報告等のほか、Nimbus社のTYK2プ
ログラムを有する子会社の株式取得、日本における血漿分画製剤の製造工場新設など、特に重要性の高い議題に
ついて議論し意思決定を行いました。また、長期事業予測や研究開発・パイプライン戦略、グローバル事業戦略
等を集中的に討議する戦略セッションを開催したほか、社外取締役のみで議論を行うセッションも実施しまし
た。2022年度において取締役会は8回開催され、2022年度末時点で在任中であった社内取締役の全員がすべての
取締役会に出席しております。なお、社外取締役の出席状況につきましては、「(2) 役員の状況 ②社外役員の
状況」をご参照ください。また、取締役会の独立性をより高めるため、社外取締役が取締役会の議長を務めてい
ます。また、取締役候補者の選任や取締役の報酬等の妥当性と決定プロセスの透明性を担保するため、取締役会
の任意の諮問機関として、社外取締役を委員長とし、すべての委員が社外取締役で構成されている指名委員会・
報酬委員会を設置しています。
<内部監査について>
グループ内部監査部門(部門構成員53名)、グローバルマニュファクチャリング&サプライ部門内のコーポレー
トEHS(環境、健康、安全)部門およびグローバルクオリティー部門は、「グループ内部監査基準」、「環境・健
康・安全に関するグローバルポリシーとポジション」および「グローバルクオリティーポリシー」に基づき、当
社各部門およびグループ各社に対して定期的な内部監査をそれぞれ実施しています。
<タケダ・エグゼクティブ・チーム(TET)について>
社長兼チーフ・エグゼクティブ・オフィサー(以下、「社長CEO」)および社長CEOへのレポートラインを有する
当社グループ各機能を統括する責任者から構成されています。
<ビジネス&サステナビリティ・コミッティーについて>
TETメンバーから構成され、原則月2回の開催により、経営および事業開発、サステナビリティ関連案件等の業務
執行上の重要事項の審議・意思決定を行っています。
<ポートフォリオ・レビュー・コミッティーについて>
TETメンバーに加え、研究開発の主要機能の各責任者から構成され、原則月2-3回開催しています。経営戦略の
目標を達成すべく、研究開発ポートフォリオの最適化、すなわち、各パイプラインアセットへの投資を審議・承
認することで、研究開発ポートフォリオの構成を決定しています。加えて、各研究開発投資の配分も決定してい
ます。
<リスク・エシックス&コンプライアンス・コミッティーについて>
TETメンバーから構成され、原則四半期毎の開催により、リスク管理、企業倫理およびコンプライアンス案件の重
要事項およびその低減策についての審議・意思決定を行っています。
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<内部統制システムに関する基本的な考え方およびその整備状況>
当社は、内部統制を、リスクマネジメントと一体となって機能するコーポレートガバナンス上の重要な構成要素
として捉え、以下のとおり、内部統制システムを整備しています。
当社の内部統制体制の概要図は次のとおりです。
① 当社グループにおける業務の適正を確保するための体制
・当社は、「私たちの存在意義」、「私たちの価値観:タケダイズム」、「私たちが目指す未来」、「私たちの
約束」で構成される「企業理念」を当社グループ全体に浸透させ、これらに基づく企業文化の醸成に努めてい
ます。また、当社は、「タケダ・グローバル行動規準」の浸透やエシックス&コンプライアンス・プログラム
の構築を行い、コンプライアンス推進体制の強化に努めています。
・当社は、監査等委員会設置会社として、監査等委員会の監査・監督にかかる職務を実効ある形で遂行できる体
制を整えるとともに、取締役会における社外取締役の構成比と多様性を高めることにより取締役会の透明性と
客観性を担保しています。
・当社は、取締役会の任意の諮問機関として指名委員会および報酬委員会を設置し、両委員会ともに委員長を含
めた委員を社外取締役のみで構成することにより、取締役の選任・報酬に関する客観性と公正性を担保してい
ます。2022年度において、指名委員会は5回、報酬委員会は8回開催しました。なお、2022年6月29日に両委
員会の委員の改選が行われておりますが、委員のほぼ全員が在任中に開催された全ての委員会に出席しました
(イアン クラーク氏およびオリビエ ボユオン氏については報酬委員会に全8回中7回出席)。2022年度の
指名委員会の活動として、取締役候補者の選任、取締役の後継者計画などについて活発な議論を実施し、取締
役会に答申しました。また、2022年度の報酬委員会の活動として、業績連動報酬の目標と結果、当社の中長期
計画の達成とビジネス環境への報酬方針の連動性、取締役の報酬額、賞与および業績連動株式ユニット報酬
(Performance Share Unit awards)にかかる適切な業績指標(KPI)、報酬の開示などについて検討・議論
し、取締役会に答申しました。
両委員会の構成は、下記の通りです。(2023年6月28日時点)
指名委員会:飯島彰己(委員長)、ジャン=リュック ブテル、スティーブン ギリス、ミシェル オーシ
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ンガー、藤森義明(オブザーバーとしてクリストフ ウェバーが出席)
報酬委員会:東恵美子(委員長)、オリビエ ボユオン、イアン クラーク、ミシェル オーシンガー
・当社は、重要案件の審議や意思決定を適正に行うため、以下の経営会議体を設置しています。
o ビジネス&サステナビリティ・コミッティー:経営、事業開発案件およびサステナビリティ関連案件を所管
o ポートフォリオ・レビュー・コミッティー:研究開発および製品関連案件を所管
o リスク・エシックス&コンプライアンス・コミッティー:リスク管理、企業倫理およびコンプライアンス案
件を所管
・当社は、社長兼チーフ エグゼクティブ オフィサー(CEO)および当社グループの各機能を統括するメンバー
で構成するタケダ・エグゼクティブ・チーム(TET)を設置し、グローバル事業運営体制の強化および当社グ
ループ内の連携を確保しています。
・当社は、当社グループの事業運営体制、意思決定および報告体制、オペレーション上の重要なルールを取りま
とめた「タケダグループの経営管理方針(T-MAP)」を整備し、当社グループの全ての部門と子会社に適用し
ています。また、当社グループの各部門・子会社を管理するTETメンバーは、所管する各部門・子会社におけ
るオペレーションルールや権限委譲に関するルールを定め、業務の適正を確保しています。
・当社は、全社的リスク管理、危機管理、環境・労働衛生・安全管理および不正行為への対応等について、グ
ローバルポリシーを整備し、グループ横断的な管理体制を構築しています。
・当社は、品質管理システム(Quality Management System)およびその要件と手順を定めた文書体系を整備
し、その遵守状況の監査、監視・指導を行うことで、当社グループにおける医薬品の研究開発、製造、品質等
における業務の適正を確保し、製薬業における法規制(GxP)の遵守を徹底しています。
・当社は、独立した機能であるグループ内部監査部門を設置し、内部監査を通じて組織価値の向上と保全に役立
てています。 内部監査の結果は、社長兼CEO、監査等委員会および取締役会に報告されます。 なお、グループ
内部監査部門は、監査品質のアシュアランス と改善のプログラムを作成・維持し、内部監査人協会(The
Institute of Internal Auditors)が定める「内部監査の専門職的実施の国際基準」(IIA基準)に準拠した内
部監査を実施しています。
② 取締役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制
・当社は、「グローバルRIM(記録・情報管理)ポリシー」を整備し、取締役会議事録、稟議決裁書、その他取
締役の職務の執行に係る情報について、適切に保存・管理を行っています。
③ 損失の危険の管理に関する規程その他の体制
・当社は、「グローバル ビジネス レジリエンス ポリシー」を策定し、全社的リスク管理、事業継続管理およ
び危機管理を統合的に行っています。
• 当社は、毎年、全社的リスク評価を実施し、リスクの特定と評価を行い、主要リスクの低減等の対応を行って
います。
• 当社は、主要リスクや事業に必要不可欠な領域に対して事業継続計画を策定しています。
• 当社は、危機の特定や管理、危機状態からの回復を含めた危機管理計画を策定するとともに、危機発生時には
影響の範囲に応じた危機管理委員会を編成して対応することとしています。
• 当社は、「グローバル モニタリング ポリシー」を策定し、ハイリスク事業活動の特定、モニタリングおよび
報告に係る体制を構築しています。
• 当社は、当社製品の回収を含め、患者様の安全や品質管理に対応する必要な措置を実施するため、平常時およ
び危機発生時の両方における患者様の安全および品質管理のための体制を整備しています。
④ 取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
・当社は、定款の定めにより、重要な業務執行の決定権限の一部を取締役に委任し、取締役会が経営戦略や内部
統制等、当社グループの経営上の最重要事項に集中して討議・意思決定を行える体制を整備しています。
・取締役に委任された事項については、その内容に適した経営会議体で審議、決裁する体制を整備し、機動的か
つ効率的な意思決定プロセスを確保しています。
・「取締役会規程」「T-MAP」等の職務権限・意思決定に関する社内規定を整備し、取締役の職務の執行が適正
かつ効率的に行われる体制を確保しています。
⑤ 取締役および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制
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・当社は、企業倫理・コンプライアンスに関する専門部門を設置し、グループ横断的な法令遵守体制を整備して
います。
・当社は、行動規準、法令遵守に関するグローバルポリシー(贈収賄禁止、個人情報取扱、インサイダー取引禁
止等)その他コンプライアンスに関する規定を定め、関連する研修プログラムを当社グループ全体で実施して
います。
・当社は、医療機関、患者団体および政府機関等の交流に関し、医薬品企業として必須の法規制遵守にかかわる
グローバルポリシーや社内規定を整備しています。
・当社は、潜在的な不正行為の懸念の報告と対応に関するガイドラインを制定するとともに、従業員が機密かつ
匿名で内部通報を行うことができるタケダ・エシックスラインを整備しています。
⑥ 財務報告の信頼性を確保するための体制
• 当社は、トレッドウェイ委員会支援組織委員会(COSO)が公表した「内部統制の統合的枠組み(2013年版)」
に基づき、財務報告に関する内部統制の体制を整備・運用し、開示資料の信頼性を確保しています。
⑦ 反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方および整備状況
当社は、「市民社会の秩序または安全に脅威を与える反社会的勢力とは、正常な取引関係を含めた一切の関係
を遮断する」ことを基本方針としており、次のような取り組みを行っています。
・所轄警察署、外部専門機関などと緊密な連携関係を構築・維持し、反社会的勢力に関する情報収集を積極的に
行っています。
・反社会的勢力に関する情報を社内関係部門に周知するとともに、社内研修においても適宜従業員に周知を図る
等して、反社会的勢力による被害の未然防止のための活動を推進しています。
⑧ 監査等委員会の監査が実効的に行われることを確保するための体制
当社は、監査等委員会の役割、権限および職務等を規定する「監査等委員会規程」および監査等委員会の監
査・監督に関する社内規則を定め、以下の体制を整備しています。
1. 監査等委員会の職務を補助すべき従業員の取締役からの独立性および当該従業員に対する指示の実効性の確
保に関する事項
・監査等委員会室を設置し、監査等委員会の指揮命令の下で監査等委員会の職務遂行を補助する専任スタッフ
を配置しています。
・上記専任スタッフの任命・異動・評価等に関しては、監査等委員会の同意を要するものとしています。
2. 取締役および従業員等が監査等委員会に報告するための体制、およびその他監査等委員会への報告に関する体
制
・経営の基本的方針・計画に関する事項のほか、子会社および関連会社に関するものを含む重要事項につい
て、監査等委員会に通知されるものとしています。
・当社グループに著しい損害を及ぼすおそれのある事実について、直ちに監査等委員会への報告を要するもの
としています。
・監査等委員会が重要な会議の議事録・資料等を常時閲覧可能な体制を整備しています。
・監査等委員会に報告を行った取締役および従業員等に対し、当該報告を行った事を理由として不利な取扱い
を受けない体制を整備しています。
3. その他監査等委員会の職務の遂行が実効的に行われることを確保するための体制
・監査等委員会が、同委員会が指示権を有する内部監査部門、内部統制推進部門および会計監査人と連繋して
組織的な監査が行えるよう、環境を整備しています。
・監査等委員会および監査等委員の職務執行のために必要な費用を当社は負担しています。
4.買収防衛に関する事項
当社では現在、敵対的買収防衛策を導入していません。
5.その他コーポレート・ガバナンス体制等に関する事項
<非業務執行取締役との責任限定契約について>
・当社は、非業務執行取締役との間に、会社法第423条第1項の損害賠償責任の限度額を法令の定める額とする契
約を締結しています。
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<取締役との補償契約について>
・当社は、各取締役との間に、会社法第430条の2第1項に規定する同項第1号の費用および同項第2号の損失を
法令の定める範囲内において当社が補償することを内容とする補償契約を締結しております。
<取締役等を被保険者とする役員等賠償責任保険契約について>
・当社は、当社および当社グループの取締役、監査役および管理職従業員を被保険者とする会社法第430条の3第
1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しており、被保険者がその職務の執行に関し
責任を負うことまたは当該責任の追及にかかる請求を受けることによって生ずることのある損害(ただし、保
険契約上で定められた免責事由に該当するものを除きます。)を当該保険契約により填補することとしており
ます。なお、当該保険契約の保険料は全額を当社が負担しており、被保険者の実質的な保険料負担はありませ
ん。
<取締役の定数・取締役の選解任の決議要件に関する別段の定めについて>
・当社は、取締役(監査等委員である取締役を除く)の定数につき12名以内とし、監査等委員である取締役の定
数につき4名以内とする旨を定款に定めております。
・当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株
主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨および選任決議は累積投票によらない旨を定款に定めていま
す。
<株主総会決議事項・取締役会決議事項に関する別段の定めについて>
・当社は、資本政策および配当政策を機動的に実施することを目的として、剰余金の配当等会社法第459条第1項
各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、取締役会の決議によって定めることがで
きる旨を定款に定めています。
・当社は、取締役が職務の執行にあたり期待される役割を十分に発揮できるよう、取締役会の決議により会社法
第423条第1項の取締役(および監査役であったもの)の損害賠償責任を、法令の限度において、免除すること
ができる旨を定款に定めています。
・当社は、株主総会の円滑な運営を行うことを目的として、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議要
件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権
の3分の2以上をもって行う旨を定款に定めています。
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(2) 【役員の状況】
① 役員一覧
男性 12 名 女性 3 名 (役員のうち女性の比率 20 %)
所有株式数 所有ADS数
(交付予定株式 (交付予定ADS
役職名 氏名 生年月日 略歴 任期
数)( 株) 数)(株)
(注)3 (注)4
代表取締役社長 クリストフ 1966年11月14日 2012年4月 グラクソ・スミスクライン ワクチン社
チーフ エグゼク ウェバー 社長兼ゼネラルマネジャー
同年同月 グラクソ・スミスクライン バイオロジ
ティブ オフィサー (Christophe
カルズ社 CEO
Weber)
同年同月 グラクソ・スミスクライン社 コーポ
レート エグゼクティブ チームメン
628,100 -
バー
注5
(817,138 ) (-)
2014年4月 チーフ オペレーティング オフィサー
同年6月 代表取締役社長(現)
2015年4月 チーフ エグゼクティブ オフィサー
(現)
2020年9月 武田ファーマシューティカルズU.S.A.,
Inc. グローバル事業責任者( 現)
取締役 アンドリュー 1965年10月13日 2008年1月 メルク社ヴァイスプレジデント 循環器
リサーチ&デベ プランプ 疾患領域グローバル探索責任者
サノフィ社 シニアヴァイスプレジデン
ロップメント プレ 2014年3月
(Andrew Plump)
ト 研究・展開医療部門副責任者
ジデント
2015年2月 次期チーフメディカル&サイエンティ
フィック オフィサー
同年6月 取締役(現)
-
111,097
注5
同年同月 チーフ メディカル&サイエンティ
(701,712)
(-)
フィック オフィサー
同年同月 武田ファーマシューティカルズ・イン
ターナショナル Inc. 副社長(現)
2019年1月 リサーチ&デベロップメント プレジデ
ント(現)
2021年7月 米州武田開発センターInc. リサーチ&
デベロップメント プレジデント(現)
取締役 コンスタンティ 1971年4月15日 2012年7月 メルク・シャープ・アンドドーム社 東
ン サルウコス
チーフフィナン 欧・中東・アフリカ地域担当 エグゼク
(Constantine
シャル
ティブ ファイナンス ディレクター
Saroukos)
オフィサー
2014年9月 アラガン社 アジア太平洋地域担当
ファイナンス/事業開発部門長
- -
注5
2015年5月 ヨーロッパ・カナダビジネスユニット
(-)
(230,749)
チーフ フィナンシャル オフィサー
2018年4月 チーフ フィナンシャル オフィサー
(現)
2019年6月 取締役(現)
取締役 飯島彰己 1950年9月23日 2008年6月 三井物産株式会社 代表取締役常務執行
取締役会議長 役員
同年10月 同社 代表取締役専務執行役員
2009年4月 同社 代表取締役社長
2015年4月 同社 代表取締役会長
2018年6月 ソフトバンクグループ株式会社 社外取
締役(現)
-
-
2019年6月 日本銀行 参与(現)
注5
(10,270)
(-)
2021年4月 三井物産株式会社 取締役
同年6月 同社 顧問(現)
同年同月 社外取締役(監査等委員)
2022年6月 社外取締役(現)
同年同月 取締役会議長(現)
2023年6月 鹿島建設株式会社 社外取締役(現)
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所有株式数 所有ADS数
(交付予定株式 (交付予定ADS
役職名 氏名 生年月日 略歴 任期
数)( 株) 数)(株)
(注)3 (注)4
取締役 オリビエ 1959年1月3日 2001年1月 グラクソ・スミスクライン・ファーマ
シューティカルズ・ヨーロッパ社 取締
ボユオン
役兼欧州コマーシャルオペレーション
(Olivier
担当シニア ヴァイス プレジデント
Bohuon)
2009年7月 アボット・ラボラトリーズ社 エグゼク
ティブ ヴァイス プレジデント
2010年9月 ピエール・ファーブル社 チーフ エグ
ゼクティブ オフィサー
2011年4月 スミス&ネフュー社 チーフ エグゼク
-
1,300
ティブ オフィサー
注5
(17,738 )
(-)
同年6月 ビルバック社 社外取締役(現)
2015年7月 シャイアー社 社外取締役
2019年1月 社外取締役(現)
2020年11月 アルゴセラピューティクス社
社外取締役(現)
2021年1月 レキットベンキーザーグループ社
社外取締役(現)
同年5月 マジョレール・インターナショナル社
社外取締役兼会長(現)
取締役 ジャン=リュ 1956年11月8日 1998年1月 ベクトン・ディッキンソン社 コーポ
ック ブテル レート・オフィサー グローバル大衆薬
(Jean-Luc 部門 プレジデント
Butel) 1999年11月 ジョンソン・エンド・ジョンソン・イ
ンディペンデント・テクノロジー社 プ
レジデント
2008年5月 メドトロニック社 コーポレート・オ
フィサー エグゼクティブ・コミッ
ティー・メンバー エグゼクティブ・
ヴァイス・プレジデント
国際事業部門グループ・プレジデント
-
-
注5
2015年1月 バクスター・インターナショナル社 国
(21,914 ) (-)
際事業部門 プレジデント
同年7月 K8グローバル社 グローバル・ヘルス
ケア・アドバイザー兼プレジデント
(現)
2016年6月 社外取締役(監査等委員)
2017年9月 ノボ・ホールディングス社 社外取締役
(現)
2019年6月 社外取締役(現)
2021年9月 ラニ セラピューティクス社 社外取締
役(現)
取締役 イアン 1960年8月27日 2010年1月 ジェネンテック社 取締役チーフ エグ
クラーク ゼクティブ オフィサー兼北米コマー
(Ian Clark) シャルオペレーション部門長
2017年1月 シャイアー社 社外取締役
同年同月 コーバス・ファーマシューティカルズ
社 社外取締役(現)
-
2,096
注5
同年同月 ガーダント・ヘルス社 社外取締役
(17,738 )
(-)
(現)
同年11月 アブロバイオ社 社外取締役(現)
2019年1月 社外取締役(現)
2020年8月 オレマ・ファーマシューティカルズ社
社外取締役(現)
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所有株式数 所有ADS数
(交付予定株式 (交付予定ADS
役職名 氏名 生年月日 略歴 任期
数)( 株) 数)(株)
(注)3 (注)4
取締役 スティーブン 1953年4月25日 1981年8月 イミュネクス社(現アムジェン社)創
業者、取締役兼研究開発担当エグゼク
ギリス
ティブ ヴァイス プレジデント
(Steven
1993年5月 同社 チーフ エグゼクティブ オフィ
Gillis)
サー
コリクサ社(現グラクソ・スミスクラ
1994年10月
イン社)創業者、取締役兼チーフ エグ
ゼクティブ オフィサー
1999年1月 同社 取締役兼会長
-
8,257
アーチ・ベンチャー・パートナーズ社
2005年8月
注5
(17,738)
(-)
マネージング ディレクター(現)
シャイアー社 社外取締役
2012年10月
コディアック・バイオサイエンシズ社
2015年10月
社外取締役兼会長(現)
同年12月 ホモロジー・メディシンズ社 社外取締
役(現)
2016年5月 VBIワクチン社 社外取締役兼会長
(現)
2019年1月 社外取締役(現)
取締役 ジョン 1962年10月11日 2000年4月 ミレニアム・ファーマシューティカル
ズ社 戦略製品開発担当シニア ヴァイ
マラガノア
ス プレジデント
(John
2002年12月 アルナイラム・ファーマシューティカ
Maraganore)
ルズ社 取締役兼チーフ エグゼクティ
ブ オフィサー
2011年11月 アジオス・ファーマシューティカルズ
社 社外取締役(現)
2017年6月 バイオテクノロジー・イノベーション
-
-
協会議長
注5
(5,121)
(-)
2021年11月 ビーム・セラピューティクス社 社外取
締役(現)
2022年1月 アルナイラム・ファーマシューティカ
ルズ社 科学アドバイザリーボードメン
バー(現)
同年2月 カイミラ・セラピューティクス社 社外
取締役(現)
同年6月 社外取締役(現)
同年7月 プロキドニー社 社外取締役(現)
取締役 ミシェル 1957年9月15日 2001年3月 ノバルティス社 大衆薬部門グローバル
オーシンガー 責任者
2007年4月 シンセス社(現ジョンソン・エンド・
(Michel
ジョンソン社) 社長兼チーフ エグゼ
Orsinger)
クティブ オフィサー
2012年6月 ジョンソン・エンド・ジョンソン社 デ
ピューシンセス グローバル整形外科領
-
-
注5
域部門会長
(21,914)
(-)
同年同月 同社 グローバルマネジメントチームメ
ンバー
2016年6月 社外取締役
2019年6月 社外取締役(監査等委員)
2022年6月 社外取締役(現)
取締役 津坂美樹 1963年4月24日 1995年5月 ボストンコンサルティンググループ
パートナー 兼 マネージング・ディレ
クター
2003年5月 同社 シニアパートナー 兼 マネージン
グ・ディレクター
同社 マーケティング・営業・プライシ
2005年5月
-
-
ンググループリーダー
注5
(-) (-)
2011年10月 同社 エグゼクティブコミッティ(経営
会議)メンバー
同社 チーフマーケティングオフィサー
2013年6月
2023年2月 日本マイクロソフト株式会社 代表取締
役社長(現)
同年6月 社外取締役(現)
107/250
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所有株式数 所有ADS数
(交付予定株式 (交付予定ADS
役職名 氏名 生年月日 略歴 任期
数)( 株) 数)(株)
(注)3 (注)4
取締役 初川浩司 1951年9月25日 1974年3月 プライスウォーターハウス会計事務所
入所
監査等委員長
1991年7月 青山監査法人 代表社員
2005年10月 中央青山監査法人 理事 国際業務管理
部長
6,400
-
注6
2009年5月 あらた監査法人 代表執行役チーフ エ
(19,900 )
(-)
グゼクティブ オフィサー
2013年6月 富士通株式会社 社外監査役(現)
2016年6月 社外取締役(監査等委員)
2019年6月 社外取締役(監査等委員長)(現)
取締役 藤森義明 1951年7月3日 2001年5月 ゼネラル・エレクトリック・カンパ
ニー シニア ヴァイス プレジデント
監査等委員
2011年3月 日本GE株式会社 代表取締役会長
同年8月 株式会社LIXIL代表取締役社長兼
チーフ エグゼクティブ オフィサー
同年同月 株式会社LIXILグループ 取締役代
表執行役社長兼チーフ エグゼクティブ
オフィサー
2016年1月 株式会社LIXIL 代表取締役会長兼
チーフ エグゼクティブ オフィサー
9,000
-
同年6月 社外取締役
注6
(19,900 ) (-)
同年7月 ボストン・サイエンティフィックコー
ポレーション社 社外取締役(現)
2017年2月 シーヴィーシー・アジア・パシフィッ
ク・ジャパン株式会社最高顧問(現)
2018年8月 日本オラクル株式会社 社外取締役会長
(現)
2019年6月 株式会社りらく 社外取締役(現)
2022年6月 社外取締役(監査等委員)(現)
同年7月 株式会社トライグループ 社外取締役
(現)
取締役 東恵美子 1958年11月6日 1994年5月 メリルリンチ社 投資銀行部門担当マ
監査等委員 ネージング ディレクター
2000年4月 ギロ・ベンチャーズ社 チーフ エグゼ
クティブ オフィサー
2003年1月 東門パートナーズ社 マネージング
ディレクター(現)
-
-
2010年11月 KLAテンコア社(現KLA社) 社外取
注6
(21,914)
(-)
締役(現)
2016年6月 社外取締役
2017年5月 ランバス社 社外取締役(現)
2019年6月 社外取締役(監査等委員)(現)
2023年3月 Rapidus株式会社 社外取締役(現)
取締役 キンバリー 1971年3月11日 1997年10月 米国下院委員会担当弁護士
監査等委員 リード
2004年5月 米国財務省 財務長官付シニアアドバイ
(Kimberly
ザー
Reed)
2007年2月 米国財務省 コミュニティ開発金融機関
基金 ディレクター兼チーフ エグゼク
ティブ オフィサー
同年12月 リーマン・ブラザーズ社 金融市場政策
担当ヴァイス プレジデント
-
9,353
2009年9月 国際食品情報協議会財団プレジデント
注6
(-)
(5,121)
2019年5月 米国輸出入銀行 取締役会議長、頭取兼
チーフ エグゼクティブ オフィサー
2021年2月 米国競争力協議会 特別招聘員(現)
同年8月 モメンタス社 社外取締役(現)
2022年6月 社外取締役(監査等委員)(現)
2023年3月 ハノン・アームストロング・サステナ
ブル・インフラストラクチャ・キャピ
タル社 社外取締役(現)
643,500 132,103
計
(1,227,155) (701,712)
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(注) 1 取締役 飯島彰己、オリビエ ボユオン、ジャン=リュック ブテル、イアン クラーク、スティーブン ギリ
ス、ジョン マラガノア、ミシェル オーシンガーおよび津坂美樹は、社外取締役であります。
2 取締役 初川浩司、藤森義明、東恵美子およびキンバリー リードは、監査等委員である社外取締役でありま
す。
3 所有株式数は、2023年3月31日時点で所有している当社普通株式数であります。交付予定株式数は、株式報
酬制度(「役員報酬BIP」)において権利確定後未交付、および権利確定を予定している当社普通株式数
(国外に居住する取締役に付与され、交付後に当社米国預託証券(American Depositary Shares、ADS)に
転換される予定の株式数を含む)を含んでおります。役員報酬BIPに関連して交付される株式は、譲渡制限
付株式ユニット報酬(Restricted Stock Unit awards)および業績連動株式ユニット報酬(Performance
Share Unit awards)から構成されます。譲渡制限付株式ユニット報酬は3年間に亘り年に3分の1ずつ権
利確定し、業績連動株式ユニット報酬は付与日から3年後に権利確定します。業績連動株式ユニット報酬に
かかる株式数には、業績指標の目標達成度が100%であった場合に交付される見込の株式総数が含められて
います。実際に交付される株式数は、業績指標の目標達成度により増減することがあります。なお、本制度
に基づく交付予定株式にかかる議決権は、各取締役に将来交付されるまでの間、行使されることはありませ
ん。
4 所有ADS数は、2023年3月31日時点で所有している当社米国預託証券の数であり、小数点第1位を四捨五入
して表示しております。ADS1株は当社普通株式の0.5株を表章しております。キンバリー リードの所有ADS
数には、その近親者が保有する7,978株を含んでおります。
交付予定ADS数は、国外の当社グループ従業員に対する長期インセンティブ報酬制度(「LTIP」)において
権利確定後未交付、および権利確定を予定している当社米国預託証券の数を含んでおります。LTIPに関連し
て交付されるADSは、LTIPにおける譲渡制限付株式ユニット報酬(Restricted Stock Unit awards)および
業績連動株式ユニット報酬(Performance Stock Unit awards)から構成されます。譲渡制限付株式ユニッ
ト報酬は3年間に亘り年に3分の1ずつ権利確定し、業績連動株式ユニット報酬は付与日から3年後に権利
確定します。業績連動株式ユニット報酬にかかるADS数には、業績指標の目標達成度が100%であった場合に
交付される見込のADS総数が含められています。実際に交付されるADS数は、業績指標の目標達成度により増
減することがあります。なお、本制度に基づく交付予定ADSにかかる議決権は、各取締役に将来交付される
までの間、行使されることはありません。
5 各取締役(監査等委員である取締役を除く)の任期は、2023年3月期に係る定時株主総会終結の時から2024
年3月期に係る定時株主総会終結の時までであります。
6 各取締役(監査等委員)の任期は、2022年3月期に係る定時株主総会終結の時から2024年3月期に係る定時
株主総会終結の時までであります。
② 社外役員の状況
社外取締役の人数・・・・・12名(うち、監査等委員である社外取締役4名)
社外取締役のうち、株式会社東京証券取引所など、当社が上場している金融商品取引所の定めに基づく独立役員
(以下、「独立役員」といいます。)に指定されている人数・・・・・12名
飯島彰己氏は、三井物産株式会社の代表取締役社長として、同社のグローバル経営を指揮されました。その後、同
社の代表取締役会長兼取締役会議長として経営の監督や取締役会の実効性の向上に注力されるなど、コーポレート
ガバナンスやリスクマネジメントなどを含む様々な分野においても豊富な経験を有しておられます。
同氏は2021年6月に監査等委員である社外取締役に、2022年6月に監査等委員でない社外取締役に就任し、当社経
営に関与しております。また、2022年6月から取締役会議長として取締役会の議事進行に加え、社外取締役による
会合での議論をリード頂いております。また、当社取締役会には、社外取締役の立場から積極的に参画頂いてお
り、公平・公正な意思決定と事業活動の健全性確保に貢献しておられます(2022年度開催の取締役会全8回中8回
出席)。同氏と当社との間に人的関係、資本関係、取引関係およびその他の利害関係はありません。社外取締役と
しての職務を遂行する上で当社の一般株主と利益相反が生じるおそれがある事由はなく、独立性が高いと判断し、
独立役員として指定いたしました。
オリビエ ボユオン氏はシャイアー社での社外取締役の経験から、同社のポートフォリオおよび関連する治療分野
に深い専門性を有しておられます。また、欧米のグローバルの製薬およびヘルスケア企業における要職を歴任され
ていて、グローバルヘルスケア事業経営における豊富な経験に基づく高い識見や特にヘルスケア領域全般のマーケ
ティングの高い専門性を有しておられます。同氏は、2019年1月に社外取締役に就任し、当社経営に関与しており
ます。また、当社取締役会には、社外取締役の立場から積極的に参画頂いており、公平・公正な意思決定と事業活
動の健全性確保に貢献しておられます(2022年度開催の取締役会全8回中7回出席)。同氏と当社との間に人的関
係、資本関係、取引関係およびその他の利害関係はありません。社外取締役としての職務を遂行する上で当社の一
般株主と利益相反が生じるおそれがある事由はなく、独立性が高いと判断し、独立役員として指定いたしました。
ジャン=リュック ブテル氏は、欧米やアジアのグローバルなヘルスケア企業における要職を歴任されていて、グ
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ローバルヘルスケア事業経営に関する豊富な経験に基づく高い識見を有しておられます。同氏は2016年6月に監査
等委員である社外取締役に、2019年6月に監査等委員でない社外取締役に就任し、当社経営に関与しております。
当 社取締役会には、社外取締役の立場から積極的に参画頂いており、公平・公正な意思決定と事業活動の健全性確
保に貢献しておられます(2022年度開催の取締役会全8回中7回出席)。同氏と当社との間に人的関係、資本関
係、取引関係およびその他の利害関係はありません。社外取締役としての職務を遂行する上で当社の一般株主と利
益相反が生じるおそれがある事由はなく、独立性が高いと判断し、独立役員として指定いたしました。
イアン クラーク氏はシャイアー社での社外取締役の経験から、同社のポートフォリオおよび関連する治療分野に
深い専門性を有しておられます。また、欧州やカナダのグローバルヘルスケア企業における要職を歴任されてい
て、グローバルヘルスケア事業経営における豊富な経験に基づく高い識見と特にオンコロジー領域のマーケティン
グおよびヘルスケア企業におけるバイオ技術部門の運営に関する高い専門性を有しておられます。同氏は、2019年
1月に社外取締役に就任し、当社経営に関与しております。また、当社取締役会には、社外取締役の立場から積極
的に参画頂いており、公平・公正な意思決定と事業活動の健全性確保に貢献しておられます(2022年度開催の取締
役会全8回中8回出席)。同氏と当社との間に人的関係、資本関係、取引関係およびその他の利害関係はありませ
ん。社外取締役としての職務を遂行する上で当社の一般株主と利益相反が生じるおそれがある事由はなく、独立性
が高いと判断し、独立役員として指定いたしました。
スティーブン ギリス氏はシャイアー社での社外取締役の経験から、同社のポートフォリオおよび関連する治療分
野に深い専門性を有しておられます。また、同氏は、生物学の博士号を有し、欧米のヘルスケア企業で枢要なポジ
ションを歴任されていて、グローバルヘルスケア事業経営における豊富な経験や、特に免疫関連のヘルスケア事業
に関する高い専門性を有しておられます。同氏は、2019年1月に社外取締役に就任し、当社経営に関与しておりま
す。また、当社取締役会には、社外取締役の立場から積極的に参画頂いており、公平・公正な意思決定と事業活動
の健全性確保に貢献しておられます(2022年度開催の取締役会全8回中7回出席)。同氏と当社との間に人的関
係、資本関係、取引関係およびその他の利害関係はありません。社外取締役としての職務を遂行する上で当社の一
般株主と利益相反が生じるおそれがある事由はなく、独立性が高いと判断し、独立役員として指定いたしました。
ジョン マラガノア氏は、医薬品業界において30年以上にわたる豊富な経験を有しておられます。また、約20年
間、アルナイラム・ファーマシューティカルズ社の取締役兼CEOを務められ、2021年末に退任されました。それ以
前は、ミレニアム・ファーマシューティカルズ社の役員および経営メンバーを務められました。同氏は、2022年6
月に社外取締役に就任し、当社経営に関与しております。また、当社取締役会には、社外取締役の立場から積極的
に参画頂いており、公平・公正な意思決定と事業活動の健全性確保に貢献しておられます。(2022年度の取締役就
任以降開催の取締役会全7回中7回出席)。同氏と当社との間に人的関係、資本関係、取引関係およびその他の利
害関係はありません。社外取締役としての職務を遂行する上で当社の一般株主と利益相反が生じるおそれがある事
由はなく、独立性が高いと判断し、独立役員として指定いたしました。
ミシェル オーシンガー氏は、欧米のグローバルなヘルスケア企業における要職を歴任され、グローバルヘルスケ
ア事業経営における豊富な経験に基づく高い識見を有しておられます。同氏は2016年6月に監査等委員でない社外
取締役に、2019年6月に監査等委員である社外取締役に、2022年6月に監査等委員でない社外取締役に再就任し、
当社経営に関与しております。当社取締役会には、社外取締役の立場から積極的に参画頂いており、公平・公正な
意思決定と事業活動の健全性確保に貢献しておられます。(2022年度開催の取締役会全8回中8回出席)。同氏と
当社との間に人的関係、資本関係、取引関係およびその他の利害関係はありません。社外取締役としての職務を遂
行する上で当社の一般株主と利益相反が生じるおそれがある事由はなく、独立性が高いと判断し、独立役員として
指定いたしました。
津坂美樹氏は、グローバルビジネス・戦略、データ&デジタルに関する卓越したリーダーシップと幅広い専門知
識、およびテクノロジーを活用したイノベーションの推進や価値創造についての識見を有しておられます。また、
アジア、ヨーロッパおよび北米の企業との協業を通じたグローバル市場の動向と洞察に深い識見をお持ちであり、
さらに様々な業界におけるグローバル環境下での豊富なご経験と深い知識も有しておられます。以上の同氏の識見
により当社の継続的な成長と成功、また、公正かつ適切な意思決定と社内の健全な経営確保に貢献いただくため、
2023年6月に社外取締役に就任いただくこととなりました。同氏と当社との間に人的関係、資本関係、取引関係お
よびその他の利害関係はありません。社外取締役としての職務を遂行する上で当社の一般株主と利益相反が生じる
おそれがある事由はなく、独立性が高いと判断し、独立役員として指定いたしました。
初川浩司氏は、公認会計士として財務・会計に関する高度な知識と幅広い経験をしておられます。また、監査法人
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の代表社員やCEO等、トップマネジメントとしてのご経験を有しておられます。同氏は2016年6月に監査等委員で
ある社外取締役に就任し、2019年6月からは監査等委員長として、当社経営に関与しております。当社取締役会に
は、 社外取締役の立場から積極的に参画頂いており、公平・公正な意思決定と事業活動の健全性確保に貢献してお
られます。また、当社監査等委員会の目指す未来の実現、すなわち、監督・監査を通じた会社の健全で持続的な成
長の確保、中長期的な企業価値の創出の実現および社会的信頼に応える良質な企業統治体制の確立に貢献しておら
れます。(2022年度開催の取締役会全8回中8回出席)。同氏は、2023年6月時点において、当社株式を保有して
おりますが、保有株式数に重要性はなく、同氏と当社との間に人的関係、資本関係、取引関係およびその他の利害
関係はありません。社外取締役としての職務を遂行する上で当社の一般株主と利益相反が生じるおそれがある事由
はなく、独立性が高いと判断し、独立役員として指定いたしました。
藤森義明氏は、世界的な米国企業およびその日本法人、また他社に先んじてグローバル展開を進めた日本企業にお
けるCEO等の要職を歴任され、企業のグローバル経営やヘルスケア業界における豊富な経験に基づく高い識見を有
しておられます。同氏は2016年6月に監査等委員でない社外取締役に、2022年6月に監査等委員である社外取締役
に就任し、当社経営に関与しております。当社取締役会には、社外取締役の立場から積極的に参画頂いており、公
平・公正な意思決定と事業活動の健全性確保に貢献しておられます。また、当社監査等委員会の目指す未来の実
現、すなわち、監督・監査を通じた会社の健全で持続的な成長の確保、中長期的な企業価値の創出の実現および社
会的信頼に応える良質な企業統治体制の確立に貢献しておられます(2022年度開催の取締役会全8回中8回出
席)。同氏は、2023年6月時点において、当社株式を保有しておりますが、保有株式数に重要性はなく、同氏と当
社との間に人的関係、資本関係、取引関係およびその他の利害関係はありません。社外取締役としての職務を遂行
する上で当社の一般株主と利益相反が生じるおそれがある事由はなく、独立性が高いと判断し、独立役員として指
定いたしました。
東恵美子氏は、米国を中心として投資ファンドのCEO等の要職、また、ヘルスケアやテクノロジーに特化した投資
ファンドでのご経験を有しておられ、財務・会計や金融業界、ヘルスケア業界やデータ・テクノロジーについての
高度な知識と幅広い経験を有しておられます。同氏は2016年6月に監査等委員でない社外取締役に、2019年6月に
は監査等委員である社外取締役に就任し、当社経営に関与しております。当社取締役会には、社外取締役の立場か
ら積極的に参画頂いており、公平・公正な意思決定と事業活動の健全性確保に貢献しておられます。また、監査等
委員会の目指す未来の実現、すなわち、監督・監査を通じた会社の健全で持続的な成長の確保、中長期的な企業価
値の創出の実現および社会的信頼に応える良質な企業統治体制の確立に貢献しておられます。(2022年度開催の取
締役会全8回中8回出席)。同氏と当社との間に人的関係、資本関係、取引関係およびその他の利害関係はありま
せん。社外取締役としての職務を遂行する上で当社の一般株主と利益相反が生じるおそれがある事由はなく、独立
性が高いと判断し、独立役員として指定いたしました。
キンバリー リード氏は、女性として初めて、米国公認の1,350億米ドルの輸出信用機関である米国輸出入銀行
(EXIM)の取締役会議長、頭取兼CEOを務め、競争の激しいグローバル市場における企業の成長に尽力されまし
た。また、同氏は、米国政府・政府系機関のシニアアドバイザーや理事長、栄養・健康・農業に重点を置いてグ
ローバル企業とともに科学に基づいたコミュニケーション戦略に取り組む国際財団のプレジデント、米国議会委員
会の担当弁護士を務められるなど、米国内外において多様な経験を有しておられます。さらに、同氏は、米国競争
力協議会特別招聘員を務め、また、米国アルツハイマー協会やインディアナ大学公衆衛生大学院をはじめ、多数の
非営利団体の役員や諮問委員会のメンバーを歴任されています。同氏は、リーダーシップと幅広い専門知識を有
し、地政学面や規制面での対応を要する事業や国際的な事業、公共政策の環境整備、ESG対応、監視および調査や
将来課題解決に向けた計画策定等を、成功裏に導かれました。同氏は2022年6月に監査等委員である社外取締役に
就任し、当社経営に関与しております。当社取締役会には、社外取締役の立場から積極的に参画頂いており、公
平・公正な意思決定と事業活動の健全性確保に貢献しておられます。また、監査等委員会の目指す未来の実現、す
なわち、監督・監査を通じた会社の健全で持続的な成長の確保、中長期的な企業価値の創出の実現および社会的信
頼に応える良質な企業統治体制の確立に貢献しておられます。(2022年度の取締役就任以降開催の取締役会全7回
中7回出席)。同氏と当社との間に人的関係、資本関係、取引関係およびその他の利害関係はありません。社外取
締役としての職務を遂行する上で当社の一般株主と利益相反が生じるおそれがある事由はなく、独立性が高いと判
断し、独立役員として指定いたしました。
・社外取締役のサポート体制
社外取締役に対しては、その適確な判断に資するために、各部門の連携のもと経営に関わる重要事項に関する情報
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を遅滞なく提供するとともに、取締役会の議題内容の事前説明を行っています。監査等委員でない社外取締役との
調整業務は社長室が担当しています。監査等委員である社外取締役に対しては、専任のスタッフ部門である監査等
委 員会室が職務補助および監査等委員会の事務局を担当し、監査等委員会等で監査等の職務に必要な情報を共有し
ています。
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(3) 【監査の状況】
① 監査等委員会監査の状況
1. 監査等委員会監査の組織、人員及び手続
監査等委員会の組織、人員及び手続については、「(1)コーポレート・ガバナンスの概要 2.機関構成・
組織運用等に係る事項 <監査等委員会関係>」ならびに「(2)(「役員の状況」①役員一覧 ②社外役員
の状況」を参照ください。
2. 監査等委員及び監査等委員会の活動状況
当年度において当社は監査等委員会を10回開催し、1回あたりの所要時間は約3時間でした。個々の監査等委
員の出席状況は次のとおりです。
区分 氏名 監査等委員会出席状況
社外監査等委員 初川 浩司 全10回中10回(100%)
社外監査等委員 藤森 義明 全7回中7回(100%)
社外監査等委員 東 恵美子 全10回中10回(100%)
社外監査等委員 飯島 彰己 全3回中3回(100%)
ミシェル オーシンガー(Michel Orsinger)
社外監査等委員 全3回中3回(100%)
キンバリー リード(Kimberly A. Reed)
社外監査等委員 全7回中7回(100%)
当年度においては、以下に示す監査活動を通じて得た情報を基に、主に監査の方針および監査実施計画、取締
役等の職務執行の状況、内部統制システムの整備・運用状況、会計監査人の監査の方法および結果の相当性等
について、 検討・議論を行い、必要に応じて取締役や執行部門に提言を行いました 。
監査活動の概要
取締役会への出席
(1)取締役等の業務執行
代表取締役社長CEOとの意見交換
重要会議(ビジネス&サステナビリティ・コミッティー等)への出席
重要書類の閲覧・確認(重要会議議案書、議事録等)
TETメンバーをはじめとする経営幹部との意見交換
(2)内部統制システム
グループ内部監査の内部監査計画 承認 、 監査報告受領および意見交換
内部統制推進部門( グローバル・エシックス&コンプライアンス部門 等) か
らの統制状況の報告受領および意見交換
会計監査人からの監査計画説明、四半期レビュー報告、監査結果報告(内部
統制監査を含む)の受領および意見交換
(3)会計監査人
監査上の主要な検討事項(KAM/CAM)の協議
会計監査人評価の実施
② 内部監査の状況
内部監査の組織、人員、手続については、「(1)コーポレート・ガバナンスの概要 3.業務執行に係る事
項 <内部監査について>」および 「(1)コーポレート・ガバナンスの概要 3.業務執行に係る事項 <
内部統制システムに関する基本的な考え方およびその整備状況> ① 当社グループにおける業務の適正を確
保するための体制」 を参照ください。また、内部監査、監査等委員会及び会計監査の相互連携については、
「(1)コーポレート・ガバナンスの概要 2.機関構成・組織運用等に係る事項 <監査等委員会関係>」
を参照ください。
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③ 会計監査の状況
1.監査法人の名称
有限責任 あずさ監査法人
2.継続監査期間
16年間
3.業務を執行した公認会計士
目加田雅洋氏(継続監査年数4年)、野中浩哲氏(継続監査年数5年)、 難波宏暁 氏(継続監査年数3年)
4.監査業務に係る補助者の構成
公認会計士 36名、その他 72名
5.監査法人の選定方針と理由
監査等委員会は、会計監査人の専門性、監査品質、独立性、および、当社のグローバルな事業運営に対する監
査および品質管理体制等を総合的に勘案しうる選任基準を策定しており、その基準に照らして、有限責任 あず
さ監査法人を当社の会計監査人として選定しております。
なお、監査等委員会は、会計監査人が、会社法第340条第1項各号所定の解任事由に該当すると判断された場
合、あるいは、監査業務停止処分を受ける等当社の監査業務に重大な支障を来たす事態が生じた場合には、監
査等委員の全員の同意に基づき、会計監査人を解任いたします。また、監査等委員会は、会計監査人の監査品
質、品質管理、独立性等を勘案いたしまして、再任もしくは不再任の決定を行います。
6.監査等委員会による監査法人の評価
監査等委員会は、「会計監査人の評価及び選定基準策定に関する監査役等の実務指針」(日本監査役協会)に
沿って会計監査人の評価基準を策定しており、その基準に基づいて有限責任 あずさ監査法人の専門性、監査品
質、独立性等について年次評価を実施しております。
④ 監査報酬の内容等
1. 監査公認会計士等に対する報酬
前年度 当年度
区分
監査証明業務に 非監査業務に 監査証明業務に 非監査業務に
基づく報酬(百万円) 基づく報酬(百万円) 基づく報酬(百万円) 基づく報酬(百万円)
提出会社 2,358 31 2,400 10
連結子会社 9 - 9 -
計 2,366 31 2,408 10
前年度の当社における非監査業務の内容は、Form S-8発行にかかるコンセントレター業務、社債発行時のコ
ンフォートレターの作成であります。
当年度の当社における非監査業務の内容は、Form S-8発行にかかるコンセントレター業務であります。
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2. 監査公認会計士等と同一のネットワーク(KPMG)に対する報酬(監査公認会計士等に対する報酬を除く)
前年度 当年度
区分
監査証明業務に 非監査業務に 監査証明業務に 非監査業務に
基づく報酬(百万円) 基づく報酬(百万円) 基づく報酬(百万円) 基づく報酬(百万円)
提出会社 - - - 20
連結子会社 1,212 12 1,235 40
計 1,212 12 1,235 60
当年度の当社における非監査業務の主な内容は、非財務情報にかかる業務であります。
連結子会社における非監査業務の主な内容は、前年度は現地の法令に基づく保証業務等であり、当年度は合意
された手続業務等であります。
3. その他の重要な監査証明業務に関する報酬
前年度および当年度は、その他重要な監査証明業務に関する報酬はありません。
4. 監査報酬の決定方針
当社の監査公認会計士等に対する監査報酬の決定方針といたしましては、監査業務実態を勘案して見積もられ
た監査予定工数から算出された金額について、監査等委員会の同意を得て監査報酬として決定するよう定めて
おります。また、監査公認会計士等が当社および連結子会社に業務を提供する際には、監査等委員会が監査公
認会計士等の独立性について確認のうえ、事前承認を行っております。
5.会計監査人の報酬等に監査等委員会が同意した理由
監査等委員会は、会計監査人の監査計画、監査実施状況および報酬見積りの算定根拠等を検討した結果、会計
監査人の報酬等の額につき、会社法第399条第1項の同意を行っております。
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(4) 【役員の報酬等】
① 役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針に係る事項
当社は、役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針について、下記「取締役報酬ポリシー」を策
定し、この方針に基づいた考え方および手続きに則って取締役報酬の構成および水準を決定しています。
当社の役員の報酬等に関する株主総会決議についてその内容と決議年月日は以下の通りです。
(1)取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬等について
[1] 取締役(監査等委員である取締役を除く。以下本(1)において同じ)の基本報酬額は、月額150百万円
以内(うち社外取締役分は月額30百万円以内)(2016年6月29日開催の第140回定時株主総会決議によ
る、決議当時の対象取締役は11名(うち社外取締役は6名))となります。
[2] 2022年度に係る取締役の賞与について、「取締役 (監査等委員である取締役を除く)賞与の支給の件」が
2023年6月28日開催の第147回定時株主総会に付議され、原案どおりに承認可決されましたので、当該議
案に定める賞与の支給額の上限400百万円の範囲内で取締役3名に支給されることになります。
[3]株式報酬(業績連動株式ユニット報酬および譲渡制限付株式ユニット報酬)は、2019年6月27日開催の第
143回定時株主総会決議に基づくものであり、この株式報酬のために拠出する金銭の上限額および上限株
式数は交付対象者に応じ、次の通りです。
(a) 交付対象者を海外居住の取締役を除く社内取締役(決議当時の交付対象取締役は3名)とするもの
各事業年度において連続する3事業年度を対象として45億円を上限として拠出(付与される株式数の上
限は左記の上限額を各年度の所定の日の東京証券取引所における当社株式の終値で除して得られる数)
(b) 交付対象者を社外取締役(決議当時の交付取締役は8名)とするもの
各事業年度を対象として3億円を上限として拠出(付与される株式数の上限は左記の上限額を各年度の
所定の日の東京証券取引所における当社株式の終値で除して得られる数)
(2)監査等委員である取締役の報酬等について
[1] 監査等委員である取締役の基本報酬額は、月額15百万円以内(2016年6月29日開催の第140回定時株主総
会決議による。決議当時の対象取締役は4名)において、役職別に定額としています。
[2]株式報酬(譲渡制限付株式ユニット報酬)は、2019年6月27日開催の第143回定時株主総会決議に基づくも
のであり(決議当時の交付対象取締役は4名)、各事業年度を対象として2億円を上限として拠出し、各
年度の所定の日の東京証券取引所における当社株式の終値で除して得られる数を付与される株式数の上限
とします。
当社の役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針の決定権限は、取締役(監査等委員である取締
役を除く)の報酬等については取締役会、監査等委員である取締役の報酬等については監査等委員会が有しま
す。
また、当社では報酬等の妥当性と決定プロセスの透明性を担保するため、取締役会の諮問機関として、全ての
委員を社外取締役とする報酬委員会を設置しています。取締役の報酬水準、報酬構成および業績連動報酬(長
期インセンティブプランおよび賞与)の目標設定等は、報酬委員会での審議を経た上で取締役会に答申され、
決定されます。
監査等委員でない社内取締役(なお、当社では、監査等委員である社内取締役は不在であり、「(4) 役員の報
酬等」におきまして、以下、単に「社内取締役」と表記いたします。)の個別の報酬額の決定については、取
締役会決議をもって、報酬委員会に委任することとしており、個別の報酬の決定にあたり、より客観性・透明
性の高いプロセスを実現しております。なお、2022年度における当社の役員の報酬等の額の決定過程における
報酬委員会の活動として、2022年度においては、報酬委員会を8回開催しました。2022年度の報酬委員会で
は、外部の報酬アドバイザーの助言を基に、当社の役員報酬制度に、常に患者さんを中心に考えるグローバル
な研究開発型バイオ医薬品のリーディングカンパニーとしての役員報酬の枠組みをいかに反映し、進展させて
いくかに引き続き焦点を置きました。そのなかで、委員会は、業績連動報酬の目標と結果、会社の中長期計画
の達成とビジネス環境への報酬方針の連動性、取締役の報酬額、賞与および業績連動株式ユニット報酬に適切
な業績指標(KPI)、報酬の開示などについて検討議論し、委員会はさらに取締役会にガイダンスを提供しまし
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た。また、取締役会は、報酬委員会の答申を受け、監査等委員でない社外取締役の報酬について決定をしまし
た。
当社は、エグゼクティブ報酬返還ポリシー(クローバックポリシー)を導入しています。クローバックポリ
シーでは、決算内容の重大な修正再表示または重大な不正行為が発生した場合、当社取締役会の独立社外取締
役は当社に対し、インセンティブ報酬の返還を要求することができると規定しています。返還の対象となり得
る報酬は、タケダ・エグゼクティブ・チーム(TET)のメンバー、取締役会のメンバーである社内取締役、およ
びその他取締役会の独立社外取締役が特定した個人が、決算内容の重大な修正再表示または重大な不正行為が
発生した事業年度およびその前の3事業年度において受け取ったインセンティブ報酬の全部または一部です。
本ポリシーは2020年4月1日に発行し、2020年度の賞与および同年度に付与された長期インセンティブよりそ
の適用対象となり、以降すべての期間において適用されます。
<2022年度の報酬委員会の構成>
委員長:東 恵美子(監査等委員である社外取締役) 委員:オリビエ ボユオン(社外取締役) イアン ク
ラーク(社外取締役) ミシェル オーシンガー(社外取締役)
当社の役員報酬は、業績連動報酬と業績連動報酬以外の報酬等により構成されています。その支給割合の決定
方法は後述の当社「取締役報酬ポリシー」に記載されている方針と意思決定プロセスに基づいて決定されてい
ます。役員報酬制度の充実の一環として、社内取締役に対する長期インセンティブのうち業績連動株式ユニッ
ト報酬の比率を60%としています。
業績連動報酬のうち、賞与は、社内取締役を支給対象とし、年次計画達成へのインセンティブを目的として導
入しております。
2022年度は、賞与に係る全社業績指標として、当社の業績評価のための財務指標として継続的に使用している
業績指標(KPI)である、Core売上収益、グローバル成長製品と新製品のCore売上収益増加額およびCore営業利
益を採用し、『目標とする経営指標((マネジメントガイダンス)』の達成に資する単年度の目標数値を、報
酬委員会の答申を経て取締役会において設定いたしました。
また、部門業績指標は、CEOを例外として、各部門を担当する取締役の責任・役割に応じて定めることとし、営
業部門については売上収益等、研究部門については研究開発目標等が含まれます。当該指標の目標値は、グ
ループ全体目標の達成のために各部門が取り組む年間計画に基づき設定いたしました。
なお、2022年度の賞与において、CEOについては、全社業績指標を100%としました。責任部門をもつその他の
取締役については、25%を部門業績指標、75%を全社業績指標と連動させ、武田グループ全体の目標へ向かう
原動力となるよう構成いたしました。
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賞与支払額の計算方法は以下のとおりです。
年間賞与支払額計算方法(CEO)
全社KPIに係る
基本報酬 × 賞与ターゲット × = 賞与支払額
支給率(100%)
年間賞与支払額計算方法(CEO以外の社内取締役)
全社KPIに係る 部門KPIに係る
基本報酬 × 賞与ターゲット × × = 賞与支払額
支給率(75%) 支給率(25%)
賞与ターゲットは、グローバルに事業展開する企業の報酬構成を参考に、基本報酬の100%~250%程度として
います。
業績連動係数(KPIに係る支給率)は、単年度のCore売上収益、グローバル成長製品と新製品のCore売上収益増
加額、Core営業利益等の単年度の目標達成度を総合的に勘案し、0%~200%の比率で変動します。
(参考)マネジメントガイダンス
CORE成長率 (%)
2022年度
(CERベース)
売上収益 一桁台前半の成長
営業利益
一桁台後半の成長
EPS 一桁台後半の成長
賞与に係る業績指標の目標と2022年度の実績は以下のとおりです。
KPI 根拠 ウェイト 目標 実績 達成率 スコア 加重スコア
・パイプラインの進展・拡大を含
Core
35,578 35,505
む成長の指標であること
45% 99.8% 95.6% 43.0%
売上収益 ・製薬業界における重要な成功の
億円 億円
指標であること
・ グローバル成長製品:将来の収
益成長の主要な原動力となる収
グローバル成
益のサブセットに重点を置くた
2,487 2,388
長製品と新製
め 15% 96.1% 88.2% 13.2%
品のCore売上
億円 億円
・ 新製品の売上収益:パイプライ
収益増加額
ンの成長と商業的な成功を促進
する重要な指標であるため
・支出の規律徹底を含む利益確保
の指標であること
10,504 10,474
・シナジー効果を反映できること
Core営業利益 40% 99.7% 97.0% 38.8%
・買収完了後の当社の主要な成功
億円 億円
の指標として株主の皆様にすで
に説明していること
支給率 95.1%
なお、CEO以外の社内取締役に対する賞与に用いられる各部門KPIにつきましては、各部門の業績を明確に把握
できるよう各部門の特色に応じたKPIを設定しております。
社内取締役の長期インセンティブプランについて、60%をパフォーマンス・シェア・ユニット(Performance
Share Units)を参考に制度設計されたプラン(業績連動株式ユニット報酬)、40%を譲渡制限付株式ユニット
(Restricted Stock Units)を参考に制度設計されたプラン(譲渡制限付株式ユニット報酬)とする株式報酬
制度を導入し、報酬と会社業績や株価との連動性を高め中長期的な企業価値の増大へのコミットメントを強め
られるようにしています。
長期インセンティブプランのうちの業績連動株式ユニット報酬については、各取締役の職務内容や責任等に応
じて付与する基準ポイントの60%をもとに、以下の算式により算出された株式交付ポイントを社内取締役に付
与します。
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基準ポイント × 業績連動係数(PSUスコア) = 交付ポイント
業績連動係数(PSUスコア)は、評価指標等に応じ、0%~200%の比率で変動します。
当社業績目標の達成度等に応じて算出される株式交付ポイントに基づいて社内取締役に対して交付される当社
の株式の数は、1ポイント当たり1株として決定されます。株式交付ポイントの付与を受けた一定期間後に、
当該株式交付ポイントに対応する当社株式の50%を交付し、また残りについては換価した上で、換価相当額の
金銭を給付しております。
2022年度に付与された2025年度に権利確定予定の業績連動株式ユニット報酬のKPI指標は、3年間のCore売上収
益の累計、3年間のCore営業利益率の累計、3年間のフリー・キャッシュ・フローの累計、研究開発 重要な臨
床試験の開始および承認数であります。
業績連動株式ユニット報酬の2020年度から2022年度にわたる当該3年度の業績指標の目標達成度は以下のとお
りとなりました。
加重スコ
KPI(注)1 ウェイト 目標 実績 達成率 スコア
ア
98,101 101,245
3年間の実質的な売上収益の累計 25% 103.2% 164.1% 41.0%
億円 億円
3年終了時点での実質的なCore営業利益率 25% 32.4% 29.5% 90.9% 0% 0%
3年間のフリー・キャッシュ・フローの累 23,730 30,186
25% 127.2% 200.0% 50.0%
計(注)2 億円 億円
研究開発 重要な臨床試験の開始および承
25% - - 77.9% 76.2% 19.1%
認数(注)3
Modifier
+10%
+/-20%
3年間の相対的TSR - - - -
ポイント
ポイント
業績連動係数(PSUスコア) 120.1%
(注)1 各KPIは、当社の長期戦略と株主利益を整合させつつ、グローバルで重要な人材の確保を促進するための指標
として設定したものです。
2 2022年度については、一貫した業績評価の観点から、当初目標では想定されていない特別な一回限りの事象の
影響を排除するため、TAK-279の取得に関連する一時金を除くフリー・キャッシュ・フローを用いました。
3 研究開発のKPIは、重要な臨床試験の開始から重要な臨床試験の開始および承認数に変更しました。これは、
最終的な承認が新製品の上市、さらには株主のための将来のキャッシュ創出により密接に関連するため、臨床
試験の開始だけでなく、最終承認についても業績に反映するものです。
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長期インセンティブプランのうちの譲渡制限付株式ユニット報酬については、対象者である各取締役の職務内
容や責任等に応じて付与する基準ポイントをもとに、会社業績にかかわらず、以下の対象者毎に以下の割合を
乗じることで算出された株式交付ポイントを各取締役に付与します。株式交付ポイントに基づいて各取締役に
対して交付される当社の株式の数は、1ポイント当たり1株として決定されます。
対象者 割合
社内取締役 40%
監査等委員でない社外取締役 100%
監査等委員である取締役 100%
社内取締役については毎年株式交付ポイントの付与を受けた一定期間後に、また、監査等委員でない社外取締
役および監査等委員である取締役については、基準ポイントの付与日から3年経過後に、当該株式交付ポイン
トに対応する当社株式の50%を交付し、また残りについては換価した上で、換価相当額の金銭を給付しており
ます。
② 提出会社の役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額および対象となる役員の員数
報酬等の種類別の総額(百万円)
対象となる
業績連動報酬等 非金銭報酬等
報酬等の総額
役員区分 役員の員数
(百万円)
譲渡制限付
業績連動株式
基本報酬
(名)
賞与
ユニット報酬
株式ユニット
(注)3
(注)4
報酬
取締役
(監査等委員を除く)
2,508 524 361 972 651 4
(社外取締役を除く)
(注)1
取締役(監査等委員)
- - - - - -
(社外取締役を除く)
(注)2
社外取締役 456 241 - - 215 14
(注)1 使用人兼務取締役の使用人分給与および使用人分賞与は含まれていません。
2 監査等委員である取締役は、すべて社外取締役であります。
3 賞与支給確定額を記載しております。
4 上記の報酬等のうち、業績連動株式ユニット報酬は業績連動報酬等および非金銭報酬等の双方に該当します
が、業績連動報酬等として表示しております。
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③ 提出会社の役員ごとの連結報酬等の総額等(社内取締役)
連結報酬等の種類別の額(百万円)
業績連動報酬等 非金銭報酬等
連結報酬等
氏名
の総額 会社区分
譲渡制限付
(役員区分)
業績連動株式
基本報酬 その他
(百万円)
株式ユニット
賞与 ユニット報酬
報酬
(注)1、2
(注)1
230 688 463
提出会社 181 -
(注)4 (注)5 (注)5
クリストフ
武田ファーマ
ウェバー 1,723
シューティカル
(取締役) 65 96 - - -
ズU.S.A., Inc.
(注)3
岩﨑真人
85 53
243 提出会社 66 38 -
(取締役)
(注)7 (注)7
(注)6
提出会社 12 - - - -
アンドリュー
プランプ
973
米州武田開発セ
349 215 43
(取締役)
ンター Inc. 157 196
(注)9 (注)9 (注)10
(注)8
コンスタンティ
215 199 135
ン サルウコス 691 提出会社 141 -
(注)11 (注)12 (注)12
(取締役)
(注) 1 業績連動株式ユニット報酬および譲渡制限付株式ユニット報酬は報酬の対象期間に応じて、複数年度にわたっ
て費用を計上する報酬制度であり、当年度に費用計上した額を記載しています。
2 上記の報酬等のうち、業績連動株式ユニット報酬は業績連動報酬等および非金銭報酬等の双方に該当します
が、業績連動報酬等として表示しております。
3 武田ファーマシューティカルズU.S.A., Inc. グローバル事業責任者(Head of Global Business)としての給
与および賞与を記載しています。
4 基本報酬には、住宅や年金等の相当額およびこれに対する税金相当額(100百万円)を含みます。
5 2019年度から2022年度に付与した株式報酬制度(役員報酬BIP信託)のうち、当年度に費用計上した額です。
6 2023年6月28日開催の第147回定時株主総会終結の時をもって退任しています。
7 2019年度から2022年度に付与した株式報酬制度(役員報酬BIP信託)のうち、当年度に費用計上した額です。
8 米州武田開発センター Inc.リサーチ&デベロップメントプレジデントとしての給与等を記載しています。
9 2019年度から2022年度に付与した株式付与制度(ESOP信託)および国外の当社グループ従業員に対する長期イ
ンセンティブ報酬制度(LTIP)のうち、当年度に費用計上した額です。
10 アンドリュー プランプ取締役に対して当年度に米州武田開発センター Inc.から支払われた、現地の年金拠出
金、フリンジ・ベネフィット相当額およびこれに対する税金相当額です。
11 基本報酬には、住宅、年金および子女教育費用等の相当額およびこれに対する税金相当額(94百万円)を含み
ます。
12 2019年度から2022年度に付与した株式報酬制度(役員報酬BIP信託)のうち、当年度に費用計上した額です。
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④ 提出会社の役員ごとの連結報酬等の総額等(社外取締役)
連結報酬等の種類別の額(百万円)
連結報酬等 非金銭
氏名
業績連動報酬等
の総額 会社区分 報酬等
(役員区分)
(注)1
(百万円)
基本報酬 その他
譲渡制限付
業績連動株式
賞与
株式ユニット
ユニット報酬
報酬(注)2
飯島彰己
43 提出会社 24 - - 19 -
(取締役)
オリビエ ボユオン
38 提出会社 19 - - 19 -
(取締役)
ジャン=リュック
38 提出会社 19 - - 19 -
ブテル
(取締役)
イアン クラーク
38 提出会社 19 - - 19 -
(取締役)
スティーブン ギリ
38 提出会社 19 - - 19 -
ス
(取締役)
ジョン マラガノア
(取締役) 32 提出会社 16 - - 16 -
(注)3
ミシェル オーシン
39 提出会社 20 - - 19 -
ガー
(取締役)
初川浩司
(監査等委員である 43 提出会社 24 - - 19 -
取締役)
藤森義明
(監査等委員である 41 提出会社 22 - - 19 -
取締役)
東恵美子
(監査等委員である 43 提出会社 24 - - 19 -
取締役)
キンバリー リード
(監査等委員である
34 提出会社 18 - - 16 -
取締役)
(注)3
坂根正弘
(取締役) 10 提出会社 6 - - 3 -
(注)4
国谷史朗
(取締役) 8 提出会社 5 - - 3 -
(注)4
志賀俊之
(取締役) 8 提出会社 5 - - 3 -
(注)4
(注)1 当事業年度の途中において監査等委員でない取締役と監査等委員である取締役の間で異動のあった役員につい
ては、2022年6月29日開催の第146回定時株主総会において選任された役員区分を記載しています。
2 譲渡制限付株式ユニット報酬は報酬の対象期間に応じて、複数年度にわたって費用を計上する報酬制度であ
り、当年度に費用計上した額を記載しています。
3 2022年6月29日開催の第146回定時株主総会において、新たに選任され、就任したものであります。
4 2022年6月29日開催の第146回定時株主総会終結の時をもって退任しています。
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⑤ 使用人分報酬等の総額、使用人分報酬等の種類別の総額と対象となる役員の員数
連結報酬等の種類別の額(百万円)
非金銭
連結報酬等 対象となる
業績連動報酬等
報酬等
役員区分 の総額 役員の員数
基本報酬 その他
業績連動 譲渡制限付
(百万円) (名)
賞与
株式ユニット 株式ユニット
報酬 報酬
取締役
(監査等委員を除く) 1,121 222 292 349 215 43 2
(社外取締役を除く)
上記は、クリストフ ウェバー取締役の武田ファーマシューティカルズU.S.A., Inc. グローバル事業責任者
(Head of Global Business)としての給与等並びにアンドリュー プランプ取締役の米州武田開発センター Inc.
リサーチ&デベロップメントプレジデントとしての給与等を合計したものです。
⑥ 役員の報酬等の額の決定に関する方針
「取締役報酬ポリシー」
当社の取締役報酬制度は、当社経営の方針を実現するために、コーポレートガバナンス・コードの原則(プリ
ンシプル)に沿って、以下を基本方針としております。
1.基本方針
・当社のVisionの実現に向けた優秀な経営陣の確保・リテンションと動機付けに資するものであること
・常に患者さんに寄り添うという当社の価値観をさらに強固なものとする一方で、中長期的な業績の向上
と企業価値の増大への貢献意識を高めるものであること
・会社業績との連動性が高く、かつ透明性・客観性が高いものであること
・株主との利益意識の共有や株主重視の経営意識を高めることを主眼としたものであること
・タケダイズムの不屈の精神に則り、取締役のチャレンジ精神を促すものであること
・ステークホルダーの信頼と支持を得られるよう、透明性のある適切な取締役報酬ガバナンスを確立する
こと
2.報酬水準の考え方
企業価値を追求する、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業への変革を牽引し続ける人材を確保・
保持するため、グローバルに競争力のある報酬の水準を目標とします。
取締役報酬の水準については、グローバルに事業展開する主要企業の水準を参考に決定しています。具体
的には、外部データを活用した上で、取締役の役職毎に、当社の競合となる主要なグローバル製薬企業の
報酬水準および 日本・米国・スイス の主要企業の報酬水準をベンチマークとしています。
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3.報酬の構成
3-1.社内取締役
社内取締役の報酬は、定額の「基本報酬」と、会社業績等によって支給額が変動する「業績連動報酬」
とで構成します。「業績連動報酬」はさらに、事業年度ごとの財務的およびその他業績に基づく「賞
与」と、3カ年にわたる長期的な会社業績および当社株価に連動する「長期インセンティブプラン」
(株式報酬)で構成します。取締役報酬のうち「賞与」および「長期インセンティブプラン」は、会社
の業績にあわせて変動するようその割合を高めています。当社取締役と当社株主の利益を一致させ、中
長期的に企業価値の増大を目指すため、業績連動報酬のうち特に長期インセンティブプランの割合を高
めています。グローバルに事業展開する企業の報酬構成を参考に、「賞与」は基本報酬の100%~250%
程度、「長期インセンティブプラン」は基本報酬の200%~600%程度とします。
・ 社内取締役の標準的な報酬構成モデル
* 賞与および長期インセンティブプランの基本報酬に対する割合は、ポジションに応じて決まります。
3-2.監査等委員でない社外取締役
監査等委員でない社外取締役の報酬は、定額の「基本報酬」と「長期インセンティブプラン」(株式報
酬)とで構成します。「長期インセンティブプラン」は、会社業績に連動せず当社株価にのみ連動し、
2019年度以降付与される株式報酬は算定の基礎となる基準ポイントの付与日から3年経過後に交付また
は給付され、交付された株式については退任時までその75%を保有することを求めています(なお、
2018年度以前に付与された株式報酬は退任時に交付または給付されます)。賞与の支給はありません。
取締役会議長、報酬委員会委員長、指名委員会委員長には、基本報酬に加えて手当が支給されます。現
在の報酬構成は、「基本報酬」を基準として「長期インセンティブプラン」は基本報酬の100%程度を上
限としております。
・ 監査等委員でない社外取締役の 標準 的な報酬構成モデル
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3-3.監査等委員である取締役
監査等委員である取締役の報酬は、定額の「基本報酬」と「長期インセンティブプラン」(株式報酬)
とで構成します。「長期インセンティブプラン」は、会社業績に連動せず当社株価にのみ連動し、2019
年度以降付与される株式報酬は算定の基礎となる基準ポイントの付与日から3年経過後に交付または給
付され、交付された株式については退任時までその75%を保有することを求めています(なお、2018年
度以前に付与された株式報酬は退任時に交付または給付されます)。賞与の支給はありません。監査等
委員である社外取締役には、基本報酬に加えて手当が支給されます。現在の報酬構成は、「基本報酬」
を基準として「長期インセンティブプラン」は基本報酬の100%程度を上限としております。
・ 監査等委員である取締役の 標準 的な報酬構成モデル
4.業績連動報酬
4-1. 社内取締役
社内取締役の長期インセンティブプランについては、中長期的な企業価値の増大に対するコミットメン
トを高めるべく、60%をパフォーマンス・シェア・ユニット(Performance Share Units)を参考に制度
設計されたプラン(業績連動株式ユニット報酬)、40%を譲渡制限付株式ユニット(Restricted Stock
Units)を参考に制度設計されたプラン(譲渡制限付株式ユニット報酬)とする株式報酬制度を導入し、
報酬と会社業績や株価との連動性を高めています。このうち業績連動報酬等に該当する業績連動株式ユ
ニット報酬は、最新の中長期的な会社業績目標(3年度後の3月期の目標値)に連動させるとともに、
その業績指標として、透明性・客観性のある指標である連結売上収益、フリー・キャッシュ・フロー、
各種収益指標、研究開発指標等を採用します。なお、業績連動株式ユニット報酬の支給率は、業績指標
の目標達成度等に応じて0%~200%(目標:100%)の比率で変動します。2019年度以降に付与される
株式報酬(業績連動株式ユニット報酬を含む)については、株式が交付されてから2年間の保有期間を
設けています。
・各年度の業績に応じた 業績連動株式ユニット報酬 のイメージ
さらに、通常の株式報酬に加えて、株主の期待に沿った企業戦略に直結する特別かつ一時的な業績連動
株式ユニット報酬を状況に応じて支給することがあります。特別かつ一時的な業績連動株式ユニット報
酬の業績指標は、3年間にわたり各年度ごとに独立して設定され、かかる株式報酬は、各年度の業績に
基づき、交付または給付されます。特別かつ一時的な業績連動株式ユニット報酬により交付された株式
については、交付後の保有期間は設定されません。
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・ 特別な業績連動株式ユニット報酬のイメージ
・年次賞与
年次計画達成へのインセンティブを目的として賞与を付与します。賞与は、業績指標として採用する
Core売上収益、グローバル成長製品と新製品のCore売上収益増加額、Core営業利益等の単年度の目標達
成度を総合的に勘案して、0%~200%(目標:100%)の比率で変動します。CEOについては全社業績指
標を100%としています。責任部門をもつその他の取締役については、75%を全社業績指標と連動させ、
武田グループ全体の目標へ向かう原動力となるように構成しています。
4-2.監査等委員である取締役および社外取締役
監査等委員である取締役および社外取締役の長期インセンティブプランは、会社業績に連動せず当社株
価にのみ連動する譲渡制限付株式ユニット報酬であり、2019年度以降付与される株式報酬は算定の基礎
となる基準ポイントの付与日から3年経過後に交付または給付され、交付された株式については退任時
までその75%を保有することが求められます(なお、2018年度以前に付与された株式報酬は退任時に交
付または給付されます)。賞与の支給はありません。
・ 取締役 報酬制度の全体像
*1 特別な業績連動株式ユニット 報酬を含む
*2 単年度のCore売上収益、グローバル成長製品と新製品のCore売上収益増加額、Core営業利益等の単年度の目標達成度を総合的に勘案し、0%~200%の
比率で変動
*3 3年度後の目標値に対する連結売上収益、フリー・キャッシュ・フロー、各種収益指標、研究開発指標等に応じ、0%~200%の比率で変動
*4 在任中
*5 算定の基礎となる基準ポイントの 付与日から3年経過後に交付または給付
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5. 報酬 ガバナンス
5-1. 報酬委員会
当社取締役の報酬等の妥当性と決定プロセスの透明性を担保するため、取締役会の諮問機関として、全
ての委員を社外取締役とする報酬委員会を設置しています。取締役の報酬水準、報酬の構成および業績
連動報酬(長期インセンティブプランおよび賞与)の目標設定等は、報酬委員会での審議を経た上で取
締役会に答申され、決定されます。また、取締役会決議をもって、社内取締役の個別の報酬額の決定を
報酬委員会に委任することとしており、個別の報酬の決定にあたり、より客観性・透明性の高いプロセ
スを実現しております。なお、当社コーポレート・ガバナンスの透明性の更なる向上を図るべく、当社
の報酬委員会規程について、ガバナンス関連規程文書の一つとして、外部開示しております。取締役報
酬の基本方針を変更する際には、タケダイズムに則り、株主価値の創出を目指すとともに、取締役が果
たすべき役割と責任に応じた報酬制度とします。
5-2. 報酬返還(クローバック)ポリシー
当社の報酬委員会および取締役会は、決算内容の重大な修正再表示(過去の財務諸表における誤りの訂
正を財務諸表に反映すること)または重大な不正行為が発生した場合、独立社外取締役は、当社に対
し、インセンティブ報酬の返還を要求することができるクローバックポリシーを2020年に導入しまし
た。返還の対象となり得る報酬は、当社取締役会のメンバーである社内取締役、およびその他独立社外
取締役が特定した個人が、決算内容の重大な修正再表示または重大な不正行為が発生した事業年度およ
びその前の3事業年度において受け取ったインセンティブ報酬の全部または一部となります。本ポリ
シーは2020年4月1日に発効し、2020年度の賞与および長期インセンティブよりその適用対象となり、
以後すべての期間において適用されます。
⑦ 当事業年度に係る取締役(監査等委員を除く)の個人別の報酬等の内容が上記⑥役員の報酬等の額の決定に関
する方針に沿うものであると取締役会が判断した理由
当社においては、上記⑥役員の報酬等の額の決定に関する方針の「取締役報酬ポリシー」の「5.報酬ガバナ
ンス」において記載しているとおり、より客観性・透明性の高いプロセスを実現するため、取締役会の決議に
より、社内取締役の個別の報酬額の決定については、報酬委員会に委任しており、また、監査等委員でない社
外取締役の個人別の報酬については、報酬委員会の答申を受けて、取締役会の決議により決定しております。
報酬委員会では、取締役の報酬水準、報酬構成および業績連動報酬(賞与および長期インセンティブプラン)
の目標設定等、上記⑥役員の報酬等の額の決定に関する方針との整合性を含めた多角的な観点から審議を行っ
た上で、取締役会の決議による委任に基づき、当該事業年度に係る社内取締役の個人別の報酬額について決定
しており、また、監査等委員でない社外取締役の個人別の報酬額については取締役会に答申いたしました。そ
のため、取締役会は、報酬委員会の審議の過程および答申の内容を確認した上で、当該事業年度に係る社内取
締役および監査等委員でない社外取締役の個人別の報酬額の内容は、上記⑥役員の報酬等の額の決定に関する
方針に沿うものであると判断しております。
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(5) 【株式の保有状況】
① 投資株式の区分の基準および考え方
当社は、保有目的が純投資目的である投資株式と純投資目的以外の目的である投資株式の区分について、純投資
目的株式には、専ら株式価値の変動または配当金を目的として保有する株式を、純投資目的以外の株式には、中
長期的な企業価値の向上に資すると判断し保有する株式を区分しています。
② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式
a.保有方針および保有の合理性を検証する方法ならびに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証
の内容
当社は、事業の基盤となる取引先・提携先企業の株式のみ保有することとしており、その保有については縮減
に取り組んでいます。保有に当たっては、個別銘柄ごとに中長期的な事業戦略上の保有意義を勘案し、保有に
伴う便益(配当金のほか、商取引や戦略的提携により期待されるリターン)につき資本コストとの関係を検証
の上、当社グループの企業価値向上に資するかを総合的に判断しています。その結果、保有意義が乏しいと判
断される銘柄については縮減対象とし、資金需要や市場環境等を考慮しつつ売却します。当事業年度は、検証
の結果、5銘柄の保有を継続するという方針を決定しています。
b.銘柄数および貸借対照表計上額
貸借対照表計上額の
銘柄数
(銘柄)
合計額(百万円)
非上場株式 52 8,376
非上場株式以外の株式 5 23,939
(当事業年度において株式数が増加した銘柄)
銘柄数 株式数の増加に係る取得
株式数の増加の理由
(銘柄) 価額の合計額(百万円)
非上場株式 1 784 持分法適用関連会社から区分変更
非上場株式以外の株式 ― - -
(当事業年度において株式数が減少した銘柄)
銘柄数 株式数の減少に係る売却
(銘柄) 価額の合計額(百万円)
非上場株式 1 ―
非上場株式以外の株式 1 767
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c.特定投資株式およびみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報
特定投資株式
当事業年度 前事業年度
当社の株
保有目的、業務提携等の概要、
株式数(株) 株式数(株)
定量的な保有効果
銘柄 式の保有
貸借対照表計上額 貸借対照表計上額
および株式数が増加した理由
の有無
(百万円) (百万円)
(保有目的)当社事業における提携関係の維
4,214,559 4,214,559
Denali 持のための投資
Therapeutics, (業務提携等の概要)神経変性疾患治療薬の 無
開発および販売に関する業務提携
Inc.
12,961 16,566
(定量的な保有効果)(注2)
(保有目的)当社事業における提携関係の維
7,459,286 7,459,286
持のための投資
Phathom
(業務提携等の概要)消化器疾患領域におけ
無
Pharmaceutical
る治療薬の開発および販売に関する業務提携
s
7,109 12,404
(定量的な保有効果)(注2)
(保有目的)当社事業における取引関係およ
2,204,840 2,204,840
び提携関係の維持のための投資
あすか製薬ホー
ルディングス㈱ (業務提携等の概要)医薬品の流通および製 有
(注3) 品導出に関する業務提携
2,622 2,785
(定量的な保有効果)(注2)
(保有目的)当社事業における提携関係の維
1,096,892 1,096,892
持のための投資
Wave Life
(業務提携等の概要)神経疾患治療薬の開発 無
Sciences, Ltd.
および販売に関する業務提携
634 268
(定量的な保有効果)(注2)
(保有目的)当社事業における提携関係の維
1,781,996 1,781,996
Ovid 持のための投資
Therapeutics, (業務提携等の概要)発達性およびてんかん 無
性脳症治療薬に関する提携
Inc.
614 684
(定量的な保有効果)(注2)
(保有目的)当社事業における提携関係の維
- 223,544
Rhythm 持のための投資
Pharmaceutical (業務提携等の概要)希少遺伝性肥満症治療 無
s, Inc. 薬に関する提携
- 315
(定量的な保有効果)(注2)
(注1)「-」は、当該銘柄を保有していないことを示しております。
(注2)当社は、特定投資株式における定量的な保有効果の記載が困難であるため、保有の合理性を検証した方法につ
いて記載いたします。
当社は保有株式について資本コストを踏まえ、配当・取引額に加え、 戦略上の重要性や事業上の関係等を総合
的に判断しており、検証の結果、十分な定量的な効果があるまたは中長期的な企業価値向上に資すると判断し
保有しています。
(注3)当社株式の保有会社は同銘柄の子会社であるあすか製薬㈱です。
みなし保有株式
該当事項はありません。
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③ 保有目的が純投資目的である投資株式
当事業年度 前事業年度
貸借対照表計 貸借対照表計
区分
銘柄数 銘柄数
上額の合計額 上額の合計額
(銘柄) (銘柄)
(百万円) (百万円)
非上場株式 - - - -
非上場株式以外の株式 1 0 1 0
当事業年度
区分
受取配当金の 売却損益の 評価損益の
合計額(百万円) 合計額(百万円) 合計額(百万円)
非上場株式 - - -
非上場株式以外の株式 - - -
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第5 【経理の状況】
1 連結財務諸表及び財務諸表の作成方法について
(1) 当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。以
下、「連結財務諸表規則」)第93条の規定により、国際会計基準(以下、「IFRS」)に基づいて作成しております。
(2) 当社の財務諸表は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号。以下、
「財務諸表等規則」)に基づいて作成しております。
また、当社は、特例財務諸表提出会社に該当し、財務諸表等規則第127条の規定により財務諸表を作成しておりま
す。
2 監査証明について
当社は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日ま
で)の連結財務諸表及び事業年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)の財務諸表について、有限責任 あずさ監
査法人による監査を受けております。
3 連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組み及びIFRSに基づいて連結財務諸表等を適正に作成すること
ができる体制の整備について
当社は、連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組み及びIFRSに基づいて連結財務諸表等を適正に作成
することができる体制の整備を行っております。その内容は以下のとおりであります。
(1) 会計基準の変更等に的確に対応することができる体制を整備するために、IFRSに関する十分な知識を有した従業
員を配置するとともに、公益財団法人財務会計基準機構等の組織に加入し、研修等に参加することによって、専
門知識の蓄積に努めております。
(2) IFRSに基づく適正な連結財務諸表を作成するために、IFRSに準拠したグループ会計処理指針を作成し、これに基
づいて会計処理を行っております。グループ会計処理指針は、国際会計基準審議会が公表するプレスリリースや
基準書を随時入手し、最新の基準の把握及び当社への影響の検討を行った上で、適時に内容の更新を行っており
ます。
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1 【連結財務諸表等】
(1) 【連結財務諸表】
①【連結損益計算書】
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
注記
至 2022年3月31日) 至 2023年3月31日)
番号
売上収益 4 3,569,006 4,027,478
売上原価 △ 1,106,846 △ 1,244,072
販売費及び一般管理費 △ 886,361 △ 997,309
研究開発費 △ 526,087 △ 633,325
製品に係る無形資産償却費及び減損損失 12 △ 472,915 △ 542,443
その他の営業収益 5 43,123 25,424
△ 159,075 △ 145,247
その他の営業費用 5
営業利益
460,844 490,505
金融収益 6 23,700 62,913
金融費用 6 △ 166,607 △ 169,698
△ 15,367 △ 8,630
持分法による投資損益 14
税引前当期利益
302,571 375,090
△ 72,405 △ 58,052
法人所得税費用 7
当期利益 230,166 317,038
当期利益の帰属
親会社の所有者持分 8 230,059 317,017
107 21
非支配持分
合計 230,166 317,038
1株当たり当期利益(円)
基本的1株当たり当期利益 8 147.14 204.29
希薄化後1株当たり当期利益 8 145.87 201.94
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②【連結包括利益計算書】
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
注記
至 2022年3月31日) 至 2023年3月31日)
番号
当期利益 230,166 317,038
その他の包括利益
純損益に振り替えられることのない項目
その他の包括利益を通じて公正価値で測
9 △ 14,626 △ 2,654
定される金融資産の公正価値の変動
20,783 17,752
確定給付制度の再測定 9
6,158 15,098
純損益にその後に振り替えられる可能性の
ある項目
在外営業活動体の換算差額 9 583,969 618,773
キャッシュ・フロー・ヘッジ 9 2,173 △ 21,451
ヘッジコスト 9 2,457 △ 16,993
持分法適用会社におけるその他の包括利
△ 497 △ 892
9,14
益に対する持分
588,103 579,437
その他の包括利益合計 9 594,261 594,535
当期包括利益合計 824,427 911,574
当期包括利益の帰属
親会社の所有者持分 824,258 911,529
168 45
非支配持分
合計 824,427 911,574
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③【連結財政状態計算書】
(単位:百万円)
注記
前年度 当年度
(2022年3月31日) (2023年3月31日)
番号
資産
非流動資産
有形固定資産 10 1,582,800 1,691,229
のれん 11 4,407,749 4,790,723
無形資産 12 3,818,544 4,269,657
持分法で会計処理されている投資 14 96,579 99,174
その他の金融資産 15 233,554 279,683
その他の非流動資産 82,611 63,325
362,539 366,003
繰延税金資産 7
非流動資産合計
10,584,376 11,559,794
流動資産
棚卸資産 16 853,167 986,457
売上債権及びその他の債権 17 696,644 649,429
その他の金融資産 15 25,305 20,174
未収法人所得税 27,733 32,264
その他の流動資産 141,099 160,868
現金及び現金同等物 18 849,695 533,530
- 15,235
売却目的で保有する資産 19
流動資産合計
2,593,642 2,397,956
資産合計 13,178,018 13,957,750
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(単位:百万円)
注記
前年度 当年度
(2022年3月31日) (2023年3月31日)
番号
負債及び資本
負債
非流動負債
社債及び借入金 20 4,141,418 4,042,741
その他の金融負債 21 468,943 534,269
退職給付に係る負債 22 145,847 127,594
未払法人所得税 21,634 24,558
引当金 23 52,199 55,969
その他の非流動負債 24 67,214 65,389
451,511 270,620
繰延税金負債 7
非流動負債合計
5,348,764 5,121,138
流動負債
社債及び借入金 20 203,993 339,600
仕入債務及びその他の債務 25 516,297 649,233
その他の金融負債 21 196,071 185,537
未払法人所得税 200,918 232,377
引当金 23 443,502 508,360
その他の流動負債 24 584,949 566,689
売却目的で保有する資産に直接関連する負
- 144
19
債
流動負債合計 2,145,730 2,481,940
負債合計
7,494,495 7,603,078
資本
資本金 1,676,263 1,676,345
資本剰余金 1,708,873 1,728,830
自己株式 △ 116,007 △ 100,317
利益剰余金 1,479,716 1,541,146
934,173 1,508,119
その他の資本の構成要素
親会社の所有者に帰属する持分
5,683,019 6,354,122
504 549
非支配持分
資本合計
5,683,523 6,354,672
負債及び資本合計 13,178,018 13,957,750
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④【連結持分変動計算書】
前年度(自2021年4月1日 至2022年3月31日)
(単位:百万円)
親会社の所有者に帰属する持分
その他の資本の構成要素
その他の包括
利益を通じて
注記
資本
公正価値で
在外営業
番号
資本金 自己株式 利益剰余金
剰余金
測定される
活動体の
金融資産の
換算差額
公正価値の
変動
2021年4月1日残高 1,668,145 1,688,424 △ 59,552 1,509,906 400,798 41,983
当期利益 230,059
その他の包括利益 583,343 △ 14,558
当期包括利益 - - - 230,059 583,343 △ 14,558
新株の発行 26 8,118 14,036
自己株式の取得 26 △ 79,447
自己株式の処分 △ 0 1
配当 26 △ 284,246
持分変動に伴う増減額 △ 2,143
その他の資本の構成要素
26,141 △ 5,357
からの振替
株式報酬取引による増加 28 43,374
株式報酬取引による減少
28 △ 36,960 22,992
(権利行使)
所有者との取引額合計 8,118 20,450 △ 56,454 △ 260,249 - △ 5,357
2022年3月31日残高 1,676,263 1,708,873 △ 116,007 1,479,716 984,141 22,068
(単位:百万円)
親会社の所有者に帰属する持分
その他の資本の構成要素
注記 非支配
キャッ
資本合計
確定給付
番号 持分
合計
シュ・
ヘッジ
制度の
合計
フロー・
コスト
再測定
ヘッジ
2021年4月1日残高 △ 68,075 △ 8,592 - 366,114 5,173,037 4,140 5,177,177
当期利益 - 230,059 107 230,166
その他の包括利益 2,173 2,457 20,783 594,200 594,200 61 594,261
当期包括利益 2,173 2,457 20,783 594,200 824,258 168 824,427
新株の発行 26 - 22,154 22,154
自己株式の取得 26 - △ 79,447 △ 79,447
自己株式の処分 - 1 1
配当 26 - △ 284,246 △ 284,246
持分変動に伴う増減額 - △ 2,143 △ 3,804 △ 5,948
その他の資本の構成要素
△ 20,783 △ 26,141 - -
からの振替
株式報酬取引による増加 28 - 43,374 43,374
株式報酬取引による減少
28 - △ 13,968 △ 13,968
(権利行使)
所有者との取引額合計 - - △ 20,783 △ 26,141 △ 314,276 △ 3,804 △ 318,080
2022年3月31日残高 △ 65,901 △ 6,135 - 934,173 5,683,019 504 5,683,523
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当年度(自2022年4月1日 至2023年3月31日)
(単位:百万円)
親会社の所有者に帰属する持分
その他の資本の構成要素
その他の包括
利益を通じて
注記
資本
公正価値で
在外営業
番号
資本金 自己株式 利益剰余金
剰余金
測定される
活動体の
金融資産の
換算差額
公正価値の
変動
2022年4月1日残高 1,676,263 1,708,873 △ 116,007 1,479,716 984,141 22,068
超インフレによる影響額 △ 1,960 4,121
2022年4月1日残高
1,676,263 1,708,873 △ 116,007 1,477,756 988,263 22,068
(調整後)
当期利益 317,017
その他の包括利益 617,866 △ 2,663
当期包括利益 - - - 317,017 617,866 △ 2,663
新株の発行 26 82 82
自己株式の取得 26 △ 5 △ 27,060
自己株式の処分 0 0
配当 26 △ 278,313
その他の資本の構成要素
24,687 △ 6,935
からの振替
株式報酬取引による増加 28 62,670
株式報酬取引による減少
28 △ 42,791 42,749
(権利行使)
所有者との取引額合計 82 19,956 15,689 △ 253,626 - △ 6,935
2023年3月31日残高 1,676,345 1,728,830 △ 100,317 1,541,146 1,606,128 12,470
(単位:百万円)
親会社の所有者に帰属する持分
その他の資本の構成要素
注記 非支配
キャッ
資本合計
確定給付
番号 持分
合計
シュ・
ヘッジ
制度の
合計
フロー・
コスト
再測定
ヘッジ
2022年4月1日残高 △ 65,901 △ 6,135 - 934,173 5,683,019 504 5,683,523
超インフレによる影響額 4,121 2,161 2,161
2022年4月1日残高
△ 65,901 △ 6,135 - 938,294 5,685,180 504 5,685,684
(調整後)
当期利益 - 317,017 21 317,038
その他の包括利益 △ 21,451 △ 16,993 17,752 594,512 594,512 24 594,535
当期包括利益 △ 21,451 △ 16,993 17,752 594,512 911,529 45 911,574
新株の発行 26 - 164 164
自己株式の取得 26 - △ 27,065 △ 27,065
自己株式の処分 - 1 1
配当 26 - △ 278,313 △ 278,313
その他の資本の構成要素
△ 17,752 △ 24,687 - -
からの振替
株式報酬取引による増加 28 - 62,670 62,670
株式報酬取引による減少
28 - △ 42 △ 42
(権利行使)
所有者との取引額合計 - - △ 17,752 △ 24,687 △ 242,586 - △ 242,586
2023年3月31日残高 △ 87,352 △ 23,127 - 1,508,119 6,354,122 549 6,354,672
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⑤【連結キャッシュ・フロー計算書】
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
注記
至 2022年3月31日) 至 2023年3月31日)
番号
営業活動によるキャッシュ・フロー
当期利益 230,166 317,038
減価償却費及び償却費 583,151 664,400
減損損失 54,515 64,394
持分決済型株式報酬 43,374 60,672
有形固定資産の処分及び売却に係る損失 655 10
事業譲渡及び子会社株式売却益 △ 7,829 △ 6,807
条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正
△ 11,195 3,991
価値変動額(純額)
金融収益及び費用(純額) 142,907 106,785
持分法による投資損益 15,367 8,630
法人所得税費用 72,405 58,052
資産及び負債の増減額
売上債権及びその他の債権の減少額 127,294 75,127
棚卸資産の増加額 △ 46,148 △ 79,155
仕入債務及びその他の債務の増減額(△は減少) 125,157 △ 84,804
引当金の増減額(△は減少) △ 58,090 31,899
その他の金融負債の増減額(△は減少) △ 49,608 31,669
その他(純額) 41,409 △ 88,778
営業活動による現金生成額 1,263,528 1,163,122
法人所得税等の支払額 △ 147,724 △ 198,439
法人所得税等の還付及び還付加算金の受取額 7,301 12,473
営業活動によるキャッシュ・フロー 1,123,105 977,156
投資活動によるキャッシュ・フロー
利息の受取額 2,919 5,054
配当金の受取額 3,401 3,562
有形固定資産の取得による支出 △ 123,252 △ 140,657
有形固定資産の売却による収入 1,815 962
無形資産の取得による支出 △ 62,785 △ 493,032
投資の取得による支出 △ 8,341 △ 10,151
投資の売却、償還による収入 16,921 22,254
事業取得による支出
△ 49,672 -
(取得した現金及び現金同等物控除後)
事業売却による収入
28,196 7,958
(処分した現金及び現金同等物控除後)
その他(純額) △ 7,328 △ 3,052
投資活動によるキャッシュ・フロー △ 198,125 △ 607,102
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(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
注記
至 2022年3月31日) 至 2023年3月31日)
番号
財務活動によるキャッシュ・フロー
短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの純増減額
27 △ 2 40,000
(△は減少)
社債の発行及び長期借入れによる収入 27 249,334 75,000
社債の償還及び長期借入金の返済による支出 27 △ 810,115 △ 356,670
自己株式の取得による支出 △ 77,531 △ 26,929
利息の支払額 △ 108,207 △ 108,555
配当金の支払額 △ 283,665 △ 279,416
リース負債の支払額 27 △ 39,694 △ 43,401
その他(純額) △ 385 △ 9,178
財務活動によるキャッシュ・フロー △ 1,070,265 △ 709,148
現金及び現金同等物の減少額 △ 145,285 △ 339,094
現金及び現金同等物の期首残高
18 966,222 849,695
(連結財政状態計算書計上額)
現金及び現金同等物に係る換算差額 28,758 22,929
現金及び現金同等物の期末残高
18 849,695 533,530
(連結財政状態計算書計上額)
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【連結財務諸表注記】
1 報告企業
武田薬品工業株式会社(以下、「当社」)は、日本に所在する上場企業であります。当社および当社の子会社(以
下、「当社グループ」)は、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹と
する、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業です。当社グループは、幅広い医薬品のポートフォリオを有
し、研究、開発、製造、およびグローバルでの販売を主要な事業としております。当社グループの主要な医薬品に
は、当社の主要なビジネスエリアである消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤(免疫疾患)、オンコロジー(が
ん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)の医薬品が含まれております。
2 作成の基礎
(1) 準拠する会計基準
当社グループの連結財務諸表は連結財務諸表規則第1条の2に規定する「指定国際会計基準特定会社」の要件を
すべて満たすことから、連結財務諸表規則第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。
(2) 財務諸表の承認
当社グループの連結財務諸表は、2023年6月28日に代表取締役社長CEO クリストフ ウェバーおよび取締役CFO コ
ンスタンティン サルウコスによって承認されております。
(3) 測定の基礎
連結財務諸表は、 資本性金融商品、デリバティブおよび条件付対価契約に関する金融資産および金融負債等の公
正価値で測定される 特定の資産および負債、並びに子会社における超インフレ会計の適用を除き、取得原価を基
礎として作成しております。
(4) 機能通貨および表示通貨
当社グループの連結財務諸表は当社の機能通貨である日本円で表示されており、特に記載のない限り、百万円未
満を四捨五入して表示しております。四捨五入された数値を含む表の合計は必ずしも各項目の合算値と一致しな
い場合があります。
(5) 適用された新たな基準書および解釈指針
当連結会計年度において、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与える新会計基準は適用されておりませ
ん。
(6) 未適用の新たな基準書および解釈指針
2023年5月23日にIAS第12号「法人所得税」(以下、「IAS第12号」)の国際税制改正 - 第2の柱モデルルールに
係る要求事項が改訂されました。当社グループは、当該改訂要求事項の一部を即時に遡及適用し、第2の柱モデ
ルルールに係る繰延税金資産および繰延税金負債に関しては認識も情報開示もしておりません。また、当該国際
税制改正が当社グループの連結財務諸表に及ぼす影響に関する開示の要求事項については、2023年4月1日より
開始する事業年度より適用されます。
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(7) 会計上の判断、見積りおよび仮定
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、経営者は会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の
金額、ならびに偶発資産および偶発負債の開示に影響を及ぼす判断、見積りおよび仮定の設定を行うことが要求
されております。実際の業績はこれらの見積りとは異なる場合があります。
見積りおよびその基礎となる仮定は、継続的に見直されます。会計上の見積りの変更による影響は、その見積り
を変更した会計期間および影響を受ける将来の会計期間に認識されます。
会計方針を適用する過程で行われた判断および見積り、ならびに会計上の見積りおよび仮定のうち、連結財務諸
表に報告された金額に重大な影響を及ぼすものに関する情報は以下のとおりであります。
・不確実な税務上のポジションに基づく税金の認識および測定(注記7)
・繰延税金資産の回収可能性(注記7)
・のれん及び無形資産の減損(注記11、12)
・引当金の測定(注記23)
・当社グループの製品販売に伴う割戻および返品に対する見積り(注記3、23)
・偶発負債の将来の経済的便益の流出の可能性(注記32)
なお、当社グループの事業活動は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大により今後影響を受ける
可能性がありますが、当社グループの業績に対する影響は限定的であると考えており、当連結財務諸表に使用し
た会計上の見積りおよび仮定に与える重要な影響はありません。当社グループ は、状況の変化に応じて、今後も
会計上の見積りおよび仮定の再評価を行います。
3 重要な会計方針
(1) 連結の基礎
当連結財務諸表は、当社および当社が直接的または間接的に支配する子会社の財務諸表に基づき作成しておりま
す。当社グループ内の重要な債権債務残高および取引は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。
当社グループは、企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャーまたは権利を有し、企業に
対するパワー、すなわち関連性のある活動を指図する現在の能力を用いて、当該リターンに影響を及ぼすことが
できる場合に、当該企業を支配しております。当社グループが企業を支配しているかどうかの判定に際しては、
議決権または類似の権利の状況、契約上の取決めおよびその他の特定の要因が考慮されます。
子会社の財務諸表は、支配開始日から支配終了日までの間、当社グループの連結財務諸表に含まれております。
また子会社の財務諸表は、当社が採用する会計方針との整合性を確保する目的で必要に応じて調整しておりま
す。
子会社に対する所有持分の変動で支配の喪失とならないものは、資本取引として会計処理しております。非支配
持分の変動額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識されておりま
す。子会社に対する支配を喪失した場合、支配喪失後も保持する持分を、支配喪失日現在の公正価値で再測定
し、再測定および持分の処分に係る利得または損失を、純損益に認識しております。
(2) 関連会社および共同支配の取決めへの投資
関連会社とは、当社グループがその財務および経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配または
共同支配をしていない企業をいいます。関連会社への投資は、持分法を用いて会計処理しており、取得時に取得
原価で認識しております。その帳簿価額を増額または減額することで、取得日以降の関連会社の純損益およびそ
の他の包括利益に対する当社グループの持分を認識しております。持分法適用会社との取引から発生した未実現
利益は、関連会社に対する当社グループ持分を上限として投資から消去しております。未実現損失は、減損が生
じている証拠がない場合に限り、未実現利益と同様の方法で投資から消去しております。
共同支配の取決めとは、複数の当事者が共同支配を有する取決めをいいます。共同支配とは、取決めに対する契
約上合意された支配の共有をいい、関連性のある活動に関する意思決定が、支配を共有している当事者の全員一
致の合意を必要とする場合にのみ存在します。当社グループは、共同支配の取決めを、当社グループのその取決
めの資産に対する権利または負債に係る義務により、ジョイント・オペレーション(共同支配に参加している投
資企業が、関連する資産に対する権利および負債に対する義務を直接的に有しているもの)と、ジョイント・ベ
ンチャー(事業を各投資企業から独立した事業体が担っており、各投資企業は当該事業体の純資産に対してのみ
権利を有するもの)に分類しております。
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ジョイント・オペレーションについては、当社グループの持分に関連した資産、負債、収益および費用を認識し
ております。ジョイント・ベンチャーについては、持分法を適用して会計処理しております。各決算日におい
て、 当社は、関連会社またはジョイント・ベンチャーに対する投資が減損しているという客観的な証拠があるか
どうかを判断します。客観的な証拠がある場合、当社は、関連会社またはジョイント・ベンチャーに対する投資
に係る回収可能価額と帳簿価額の差額を減損損失として測定し、純損益に認識しております。
(3) 企業結合
企業結合は、取得法を適用して会計処理をしております。被取得企業における識別可能な資産および負債は取得
日の公正価値で測定しております。のれんは、企業結合で移転された対価の公正価値、被取得企業の非支配持分
の金額、および取得企業が以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計が、取得日における識別
可能な資産および負債の正味価額を上回る場合にその超過額として測定しております。当社グループは、取得日
において、被取得企業が様々な機能通貨を持つ多くの在外営業活動体で構成される場合、在外営業活動体の見積
キャッシュ・フローを基礎として買収時に認識したのれんを当該在外営業活動体に配分しております。
企業結合で移転された対価は、取得企業が移転した資産、取得企業に発生した被取得企業の旧所有者に対する負
債および取得企業が発行した資本持分の取得日における公正価値の合計で計算しております。当社グループは非
支配持分を公正価値もしくは被取得企業の識別可能な純資産に対する非支配持分相当額で測定するかについて、
企業結合ごとに選択しております。
特定の企業結合の対価には、開発マイルストンおよび販売目標の達成等の将来の事象を条件とする金額が含まれ
ております。企業結合の対価に含まれる条件付対価は、取得日現在の公正価値で計上しております。一般的に、
公正価値は適切な割引率を用いて割り引いたリスク調整後の将来のキャッシュ・フローに基づいております。公
正価値は、各報告期間の末日において見直しております。貨幣の時間的価値による変動は「金融費用」として、
その他の変動は「その他の営業収益」または「その他の営業費用」としてそれぞれ連結損益計算書に認識してお
ります。
取得関連費用は発生した期間に費用として処理しております。当社グループと非支配持分との取引から生じる所
有持分の変動は、子会社に対する支配の喪失とならない場合には資本取引として会計処理し、のれんの調整は
行っておりません。
(4) 外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日の為替レートまたはそれに近似するレートで機能通貨に換算しております。決算日にお
ける外貨建貨幣性項目は、決算日の直物為替レートで、公正価値で測定される外貨建非貨幣性項目は、当該公
正価値の算定日の為替レートで、それぞれ機能通貨に換算しております。取得原価で測定される外貨建の非貨
幣性項目は、当初の取引日の直物為替レートで機能通貨に換算しております。
当該換算および決済により生じる換算差額は純損益として認識しております。ただし、その他の包括利益を通
じて測定される金融資産、在外営業活動体に対する純投資のヘッジ手段として指定された金融商品および
キャッシュ・フロー・ヘッジから生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しております。公
正価値で測定される非貨幣性項目の換算から生じる為替差額は、当該項目の公正価値変動から生じる利得また
は損失の認識と整合する方法で会計処理されます。(すなわち、公正価値の変動から生じる利得または損失が
その他の包括利益に認識される場合には、当該項目に係る為替差額はその他の包括利益に、公正価値変動から
生じる利得または損失が純損益に認識される場合には、当該項目に係る為替差額は純損益に認識されます。)
② 在外営業活動体
在外営業活動体の財政状態計算書の資産および負債は、決算日現在の直物為替レートで、純損益およびその他
の包括利益を表示する各計算書の収益および費用は、取引日の為替レートまたはそれに近似するレートで換算
しております。 なお、超インフレ経済下の在外営業事業体の財務諸表は、インフレーションの影響を反映させ
ており、収益及び費用は期末日の為替レートにより表示通貨に換算しております。期首の物価指数による非貨
幣性項目の再表示の影響は、その他の包括利益に計上しております。
当該換算により生じる換算差額は、その他の包括利益として認識しております。在外営業活動体が処分された
場合には、当該営業活動体に関連した換算差額の累計額を処分損益の一部として認識しております。
(5) 収益
当社グループの収益は主に医薬品販売に関連したものであり、製品に対する支配が顧客に移転した時点で認識さ
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れております。収益の認識額は、当社グループが製品と交換に受け取ると見込まれる対価に基づいております。
一般的には、出荷時または顧客による受領時点もしくはサービスが履行された時点で収益は認識されます。収益
の 認識額は、当社グループが財またはサービスと交換に受け取ると見込んでいる対価に基づいております。契約
に複数の履行義務が含まれる場合、対価は独立販売価格の比率で各履行義務に配分しております。当社グループ
が財またはサービスと交換に受け取る対価は固定金額または変動金額の場合があります。変動対価は重要な戻入
れが生じない可能性が非常に高い場合のみ認識しております。
総売上高からは、主に小売業者、政府機関、卸売業者、医療保険会社およびマネージドヘルスケア団体に対する
割戻や値引等の様々な項目が控除されております。これらの控除額は関連する義務に対し見積られますが、報告
期間における当該総売上高に係る控除額の見積りには判断が伴います。総売上高からこれらの控除額を調整し
て、純売上高が算定されます。当社グループは、これらの控除額に係る義務を少なくとも四半期毎に確認してお
り、割戻の変動、リベート・プログラムおよび契約条件、法律の改定、その他重大な事象により関連する義務の
見直しが適切であることが示されている場合には、調整を行っております。なお、これまで売上割戻に関する引
当金に対する調整が、純損益に重要な影響を与えたことはありません。 米国市場における収益控除に関する取り
決めが最も複雑なものになっております。
収益に係る調整のうち最も重要なものは以下のとおりであります。
・ 米国メディケイド:米国のメディケイド・ドラッグ・リベート・プログラムは、連邦政府および州が共同で拠
出した資金により医療費を賄えない特定の条件を満たす個人および家族に対して医療費を負担する制度であ
り、各州が運営を行っております。当プログラムに係る割戻の支払額の算定には、関連規定の解釈が必要とな
りますが、これは異議申し立てによる影響または政府機関の解釈指針の変更による影響を受ける可能性があり
ます。メディケイドの割戻に係る引当金は、割戻の対象として特定された製品、過去の経験、患者さんからの
要請、製品価格ならびに各州の制度における契約内容および関連条項を考慮して算定しております。メディケ
イドの割戻に係る引当金は関連する売上収益と同じ期間に計上されますが、メディケイドに係る割戻はその期
間に全額が支払われません。当社グループの売上控除額計上時点から最終的なメディケイドに係る割戻の会計
処理までには通常数カ月の差が生じます。当社グループの売上控除額の算定に用いる製品固有の条件は、当社
グループの売上取引が米国のメディケイド・プログラムの対象となるかに関連しています。
・ 米国メディケア: 米国のメディケア・プログラムは65歳以上の高齢者もしくは特定の障害者向けの公的医療保
険制度であり、当プログラムのパートDにおいて処方薬に係る保険が規定されております。パートDの制度は
民間の処方薬剤費保険により運営、提供されております。メディケア・パートDに係る割戻の引当金は各処方
薬剤費保険の制度内容、患者さんからの要請、製品価格ならびに契約内容を考慮して算定しております。メ
ディケア・パートDの割戻に係る引当金は関連する売上収益と同じ期間に計上されますが、メディケア・パー
トDに係る割戻はその期間に全額が支払われません。当社グループの売上控除額計上時点から最終的なメディ
ケア・パートDに係る割戻の会計処理までには通常数カ月の差が生じます。当社グループの売上控除額の算定
に用いる製品固有の条件は、当社グループの売上取引が米国のメディケア・プログラムの対象となるかに関連
しています。
・ 顧客に対する割戻: 当社グループは、マーケットシェアの維持と拡大、また、患者さんの当社グループ製品へ
のアクセスを確実にするために、購入機関、保険会社、マネージドヘルスケア団体およびその他の直接顧客な
らびに間接顧客に対して、 米国コマーシャル・マネージドケアを含む割戻 を実施しております。割戻は契約上
取決めがなされているため、係る引当金は各取決めの内容、過去の経験および患者さんからの要請を基に算定
しております。米国コマーシャル・マネージドケアの割戻に係る引当金は関連する売上収益と同じ期間に計上
されますが、米国コマーシャル・マネージドケアに係る割戻はその期間に全額が支払われません。当社グルー
プの売上控除額計上時点から最終的な米国コマーシャル・マネージドケアに係る割戻の会計処理までには通常
数カ月の差が生じます。当社グループの売上控除額の算定に用いる製品固有の条件は、当社グループの売上取
引が米国コマーシャル・マネージドケアの対象となるかに関連しています。
・ 卸売業者に対するチャージバック: 当社グループは特定の間接顧客と、顧客が卸売業者から割引価格で製品を
購入可能とする取決めを結んでおります。チャージバックは卸売業者に対する当社グループの請求額および間
接顧客に対する契約上の割引価格の差額であります。チャージバックの見積額は各取決めの内容、過去の経験
および製品の需要を基に算定しております。当社グループは、売上債権とチャージバックを相殺する法的に強
制可能な権利を有し、かつ純額で決済するか、または資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有しており
ます。そのため、チャージバックの見積額は連結財政状態計算書において売上債権から控除しております。
・ 返品調整に係る引当金: 返品権付き製品を顧客に販売する際は、当社グループの返品ポリシーや過去の返品率
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に基づいた返品見込み額を引当金として計上しております。返品見込み率を見積る際は、過去の返品実績、予
想される流通チャネル内の在庫量および製品の保管寿命を含む関連要因を考慮しております。
引当額は見積りに基づくため、実際の発生額を完全に反映していない場合があり、特に どの売上取引が最終的に
これらの制度の対象とされるかどうかの判断において使用されるそれぞれの製品固有の条件 により変動する可能
性があります。
当社グループは、一般的に製品が顧客に引き渡された時点から90日以内に顧客から支払を受けます。当社グルー
プは主としてそれらの取引を本人として履行しますが、他の当事者に代わって販売を行うことがあります。その
場合は、代理人として受け取ることが見込まれる販売手数料の金額が収益として認識されます。
当社グループは、知的財産の導出および売却にかかるロイヤルティ、契約一時金およびマイルストンにかかる収
益を計上しております。知的財産にかかるロイヤルティ収益は、基礎となる売上が発生した時点で認識しており
ます。契約一時金にかかる収益は、一般的には知的財産権の使用権を付与した時点で認識されます。マイルスト
ンにかかる収益は、一般的にはマイルストンの支払条件が達成される可能性が非常に高く、認識した収益の額の
重大な戻入が生じない可能性が非常に高くなった時点で認識しております。導出した候補物質の研究開発等のそ
の他のサービスにかかる収益については、サービスの提供期間に応じて認識しております。
当社グループは、一般的に知的財産の導出契約の締結または顧客によるマイルストンの支払条件の達成の確認か
ら60日以内に顧客から支払を受けます。当社グループはグループの知的財産を導出しているため、本人として契
約を履行しております。また、当社グループはその他のサービスも本人または代理人として提供しております。
当社グループは契約の範囲または価格あるいはその両方の変更が生じた場合に契約変更を識別します。なお、当
社グループは、顧客との契約を変更し、変更前後の契約を独立した契約としては会計処理しない場合、変更前後
で認識したそれぞれの収益は、収益の分解において同一の区分で表示しております。
(6) 政府補助金
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、補助金が受領されることについて合理的な保証が得られ
る場合に認識しております。有形固定資産の取得に対する補助金は、繰延収益として計上し、関連する資産の耐
用年数にわたって規則的に純損益に認識し、対応する費用から控除しております。発生した費用に対する補助金
は、補助金で補償することが意図されている関連コストを費用として認識する期間に純損益として認識し、対応
する費用から控除しております。
(7) 研究開発費
研究費は発生時に費用として認識しております。内部開発費は、IAS第38号「無形資産」に従って資産の認識要件
を満たす場合、通常は主要市場において規制当局に対して提出した申請書が認可される可能性が非常に高いと判
断される場合に資産化しております。規制上またはその他の不確実性により資産の認識要件が満たされない場合
には、支出を連結損益計算書において純損益に認識しております。研究開発に使用する有形固定資産は、資産計
上した後、当該資産の見積耐用年数にわたり減価償却しております。
(8) 法人所得税
法人所得税は当期税金と繰延税金との合計額であります。当期税金および繰延税金は、企業結合に関連する法人
所得税、および同一または異なる期間に、純損益の外で、すなわちその他の包括利益または資本に直接認識され
る項目に関連する法人所得税を除き、純損益に認識されます。
① 当期税金
当期未払税金および未収税金は当期の課税所得に基づき計上しております。課税所得は、非課税項目、課税控
除項目、または税務上異なる会計期間に課税対象または課税控除となる項目を含まないため、会計上の損益と
は異なります。当年度および過年度の未払法人所得税および未収法人所得税は、決算日において施行されてい
る、または実質的に施行されている法定税率および税法を使用し、税務当局に納付または税務当局から還付さ
れると予想される額を、法人所得税に関連する不確実性を加味した上で算定しております。当社グループの当
期税金には、不確実な税務ポジションに関する負債が含まれております。法規制および様々な管轄地域の租税
裁判所の判決に伴う法改正により、不確実な税務ポジションの見積りの多くは固有の不確実性を伴います。税
務当局が当社グループの税務ポジションを認める可能性が高くないと結論を下した場合に、当社グループは、
税務上の不確実性を解消するために必要となる費用の最善の見積り額を認識します。この金額は、いずれの方
法が不確実性の解消をより良く予測すると見込んでいるのかに応じて、最も可能性の高い金額または期待値の
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いずれかに基づき算定されております。また、未認識の税務上の便益は事実および状況の変化に伴い調整され
ます。当社グループの当期税金資産および当期税金負債は、決算日における法定税率または実質的法定税率に
基 づいて算定されております。
② 繰延税金
繰延税金は、決算日における資産および負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との間の一時差異に基づいて算
定しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除および繰越欠損金について、そ
れらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識しております。これには、将来の課税所得
および事業計画の可能性を評価する必要がありますが、本質的に不確実性を伴います。事業計画に含まれる売
上高の予測を決定する際の判断に変更があった場合、認識される繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可
能性があります。将来の課税所得の見積りの不確実性は、当社グループが事業活動を行う経済の変化、市場状
況の変化、為替変動の影響、または他の要因により増加する可能性があります。当社グループの繰延税金に
は、不確実な税務ポジションに関する負債が含まれております。繰延税金負債は、原則として、将来加算一時
差異について認識しております。
なお、以下の場合には、繰延税金資産または負債を計上しておりません。
・のれんの当初認識から将来加算一時差異が生じる場合
・企業結合でない取引で、かつ取引時に会計上の利益にも課税所得(欠損金)にも影響を与えない取引におけ
る資産または負債の当初認識から一時差異が生じる場合
・子会社、関連会社に対する投資に係る将来減算一時差異に関しては、予測可能な将来に当該一時差異が解消
しない可能性が高い場合、または当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が低い場合
・子会社、関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異に関しては、当社が一時差異の解消の時点をコント
ロールすることができ、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
当社グループは、2023年5月23日に改訂されたIAS第12号の要求事項に従い、経済開発協力機構(以下、
「OECD」)が公表した 第2の柱モデルルールに係る繰延税金資産および繰延税金負債に関しては認識も情報開
示もしておりません。
繰延税金資産および負債は、決算日における法定税率または実質的法定税率および税法に基づいて一時差異が
解消される時に適用されると予想される税率で算定しております。
繰延税金資産および負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ同
一の税務当局によって同一の納税主体に対して課されている場合、相殺しております。
(9) 1株当たり利益
基本的1株当たり利益は、当社の普通株主に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株
式の加重平均株式数で除して計算しております。希薄化後1株当たり利益は、希薄化効果を有するすべての潜在
株式の影響を調整して計算しております。
(10) 有形固定資産
有形固定資産は原価モデルで測定しており、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した価額
で表示しております。取得原価には、資産の取得に直接付随する費用、解体、除去および原状回復費用の当初見
積額等が含まれております。土地および建設仮勘定以外の資産の減価償却費は、見積耐用年数にわたり、主とし
て定額法で計上しております。使用権資産の減価償却費は、リース期間の終了時までに所有権を取得することに
合理的確実性がある場合を除き、リース期間と見積耐用年数のいずれか短い方の期間にわたり定額法で計上して
おります。これらの資産の減価償却は、使用可能となった時点から開始しております。
主な資産の種類別の耐用年数は以下のとおりであります。
建物及び構築物 3-50年
機械装置及び運搬具 2-20年
工具器具及び備品 2-20年
(11) のれん
企業結合から生じたのれんは、取得原価から減損損失累計額を控除した価額で表示しております。のれんは償却
を行わず、予想されるシナジーに基づき資金生成単位または資金生成単位グループに配分しております。資金生
成単位または資金生成単位グループは、のれんに関する情報が利用可能であり、のれんが内部管理目的で監視さ
れている企業内の最小の単位を示しており、事業セグメントよりも大きくありません。のれんは、それが生じた
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企業結合のシナジーから便益を得ることが期待されるもののみに配分され、配分方法は企業結合の事実および状
況に影響されます。年次および減損の兆候がある場合にはその都度、のれんの減損テストを実施しております。
の れんの減損損失は純損益として認識され、その後の戻入れは行っておりません。
(12) 製品に係る無形資産
上市後製品
上市後製品に係る無形資産は、特許が存続する見込期間または見込まれる経済的便益に応じた他の指標に基づ
き、3-20年にわたって定額法で償却しております。上市後製品に係る無形資産の償却費は、連結損益計算書の
「製品に係る無形資産償却費及び減損損失」に含まれております。製品に係る無形資産は、様々な包括的な権利
を有し、製品の販売、製造、研究、マーケティング、流通に貢献し、複数の事業機能に便益をもたらすため、
「製品に係る無形資産償却費及び減損損失」は、連結損益計算書に独立して記載されております。
仕掛研究開発品
当社グループは、製品および化合物の研究開発プロジェクトにおいて、第三者との共同研究開発および導入契約
を定期的に締結しております。通常、共同研究開発契約については、契約後の開発マイルストンに応じた支払い
が行われます。一方、導入契約については、契約一時金および契約後の開発マイルストンに応じた支払いが行わ
れます。導入契約に係る契約一時金は導入契約の開始時に、開発マイルストンの支払についてはマイルストンの
達成時に資産計上しております。
開発中の製品に係る無形資産は使用可能ではないため償却しておりません。これらの無形資産は、年次または減
損の兆候がある場合はその都度、減損テストを実施しております。無形資産の帳簿価額が回収可能価額を超過す
る場合には、減損損失を計上しております。開発段階で失敗、または何らかの理由により開発中止となった製品
に係る無形資産は、回収可能価額(通常はゼロ)まで減額しております。
開発中製品の商用化が承認された場合は、その時点で、研究開発中の資産を上市後製品に係る無形資産に振り替
え、製品の製造販売承認日から見積耐用年数にわたって償却しております。
(13) 無形資産-ソフトウェア
ソフトウェアは取得原価で認識し、3-10年の見積耐用年数にわたって定額法で償却しております。ソフトウェ
アの償却費は、連結損益計算書の「売上原価」「販売費及び一般管理費」「研究開発費」に含まれております。
(14) リース
借手側
当社グループは、契約の開始時点において契約がリースまたはリースを含んだものであるかどうかを判断してお
ります。借手として当社グループは、リース期間の開始時点において、当社グループがリース契約の借手となっ
ているすべての契約について使用権資産および関連するリース負債を連結財政状態計算書において認識しており
ます。
使用権資産は、リース負債にリース開始日または開始日前に発生したリース料の支払を調整した金額で当初測定
し、当該金額からリース開始日後に発生した減価償却累計額および減損損失累計額を控除した金額で事後測定し
ております。使用権資産の減価償却費は、対象資産のリース期間と見積耐用年数のいずれか短いほうの期間にわ
たり定額法で計上しております。 使用権資産は、減損テストの対象となります。
リース負債は、契約の開始時点において、リースの計算利子率を容易に算定可能な場合には当該利子率を、それ
以外の場合には当社グループの追加借入利子率を用いて未決済のリース料総額を現在価値に割り引いて測定して
おります。当社グループは、一般的に当社の追加借入利子率を割引率として使用しております。リース期間は、
リース契約の解約不能期間に、延長または解約オプションを行使することが合理的に確実である場合にこれらの
オプションを加味した期間であります。当初認識後、リース負債は実効金利法により償却原価で測定され、リー
ス期間の延長、解約オプションが行使されるかどうかの評価の見直しなどにより将来のリース料が変更された場
合に再測定されます。再測定により生じた差額は、使用権資産を調整するか、または、使用権資産がすでにゼロ
まで償却済みである場合には純損益で認識しております。
当社グループは、リース期間が12ヶ月以内、または少額資産のリースについて認識の免除規定を適用しておりま
す。その結果、これらのリースに係る支払リース料はリース期間にわたり定額法により費用として認識しており
ます。また、実務上の便法として、当社グループは非リース構成部分をリース構成部分と区別せず、リース構成
部分及び関連する非リース構成部分を単一のリース構成部分として会計処理することを選択しております。
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(15) 非金融資産の減損
当社グループでは、決算日現在で、棚卸資産、繰延税金資産、売却目的で保有する資産、および退職給付に係る
資産を除く非金融資産の帳簿価額を評価し、減損の兆候の有無を検討しております。
減損の兆候がある場合または年次で減損テストが要求されている場合には、各資産の回収可能価額の算定を行っ
ております。個別資産についての回収可能価額の見積りが不可能な場合には、当該資産が属する資金生成単位の
回収可能価額を見積っております。資産または資金生成単位の回収可能価額は、処分コスト控除後の公正価値と
使用価値のいずれか高い方の金額で測定しております。使用価値は、見積った将来キャッシュ・フローを現在価
値に割り引くことにより算定しており、使用する割引率は、貨幣の時間価値、および当該資産に固有のリスクを
反映した利率を用いております。
資産または資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、当該資産の帳簿価額をその回収可能価
額まで減額し、減損損失を純損益として認識しております。
過年度に減損を認識した、のれん以外の資産または資金生成単位については、決算日において過年度に認識した
減損損失の減少または消滅している可能性を示す兆候の有無を評価しております。そのような兆候が存在する場
合には、当該資産または資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、回収可能価額が帳簿価額を超える場合、
算定した回収可能価額と過年度で減損損失が認識されていなかった場合の減価償却または償却額控除後の帳簿価
額とのいずれか低い方を上限として、減損損失を戻入れております。減損損失の戻入れは、直ちに純損益として
認識しております。
(16) 棚卸資産
棚卸資産は、原価と正味実現可能価額のいずれか低い額で計上しております。原価は主として加重平均法に基づ
いて算定されており、購入原価、加工費および棚卸資産を現在の場所および状態とするまでに発生したその他の
費用が含まれております。正味実現可能価額とは、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する
見積原価および販売に要する見積費用を控除した額であります。上市前製品の在庫は、規制当局による製品認可
の可能性が非常に高い場合に、資産として計上しております。それ以前は、帳簿価額に対して評価損を計上して
回収可能価額まで減額しており、認可の可能性が非常に高いと判断された時点で当該評価損を戻し入れておりま
す。
(17) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金および容易に換金可能であり、かつ、価値の変動に
ついて僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資であります。
(18) 売却目的で保有する資産
継続的な使用ではなく、売却により回収が見込まれる資産または処分グループのうち、現況で直ちに売却するこ
とが可能で、当社グループの経営者が売却計画の実行を確約しており、1年以内に売却が完了する予定である資
産または処分グループを売却目的保有に分類しております。売却目的保有に分類した資産は、帳簿価額と、売却
費用控除後の公正価値のいずれか低い金額で測定しております。
売却目的保有に分類した有形固定資産および無形資産の減価償却または償却は中止し、売却目的で保有する資産
および 売却目的で保有する資産に直接関連する負債 は、財政状態計算書上において流動項目として他の資産およ
び負債と区分して表示しております。
(19) 退職後給付
当社グループは、退職一時金、年金、および退職後医療給付等の退職後給付制度を運用しております。これらの
制度は、制度の性質に従い確定給付制度と確定拠出制度に分類されます。
① 確定給付制度
確定給付債務の現在価値および関連する当期勤務費用ならびに過去勤務費用は、予測単位積増方式を用いて
個々の制度ごとに算定しております。割引率は、連結会計年度の末日時点の優良社債の市場利回りを参照して
決定しております。確定給付制度に係る負債または資産は、確定給付債務の現在価値から、制度資産の公正価
値を控除して算定しております。 確定給付制度が積立超過である場合は、制度からの返還または将来掛金の減
額という利用可能な将来の経済的便益の現在価値を 資産上限 額としております。 制度改訂または縮小により生
じる確定給付債務の現在価値の変動である過去勤務費用は、当該制度改訂または縮小が行われた時点で純損益
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に認識しております。
確定給付制度の再測定は、発生した期に一括してその他の包括利益で認識し、利益剰余金へ振り替えておりま
す。
② 確定拠出制度
確定拠出型の退職後給付に係る費用は、従業員が役務を提供した期に費用として計上しております。
(20) 引当金
当社グループは、顧客から対価を受け取り、その対価の一部または全部を顧客に返金すると見込んでいる場合に
は、売上割戻及び返品調整に関する引当金を認識しております。
また、過去の事象の結果として、現在の法的債務または推定的債務が存在し、当該債務を決済するために経済的
便益をもつ資源の流出が必要となる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合
に、引当金を認識しております。
当社グループの引当金は主に、売上割戻及び返品調整に関する引当金、訴訟引当金、および事業構造再編に係る
引当金で構成されております。
(21) 金融商品
金融商品には、リース関連の金融商品、売上債権、仕入債務、その他の債権および債務、企業結合における条件
付対価に関する負債、デリバティブ金融商品、ならびに特定の会計方針に従って処理される従業員給付制度に基
づく権利および義務が含まれております。
① 金融資産
(ⅰ) 当初認識および測定
金融資産は、当社グループが当該金融商品の契約条項における当事者となった時点で連結財政状態計算書に
おいて認識しております。金融資産は、当初認識時点において公正価値で測定し、純損益を通じて公正価値
で測定する負債性金融商品を除き、取得に直接起因する取引費用を加算して算定しております。
(a) 償却原価で測定される負債性金融商品
契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルの中で保有
されており、契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所
定の日に生じる売上債権及びその他の債権等の金融資産は償却原価で測定される金融資産に分類しておりま
す。売上債権は消費税等を含んだ請求書金額から損失評価引当金、現金値引等の見積控除金額を差し引いた
金額で認識されます。
(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定される負債性金融商品
契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有されてお
り、契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に
生じる金融資産は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産に分類しております。
(c) 純損益を通じて公正価値で測定される負債性金融商品
償却原価で測定される金融資産およびその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の要件を満
たさない金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定される金融資産に分類しております。
(d) その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融商品
当社グループは、戦略的目的で長期的に保有される特定の資本性金融商品について、当初認識時において、
金融商品ごとに行われる、資本性金融商品の公正価値の事後変動をその他の包括利益で表示するという取消
不能の選択をしております。当社グループは、報告日時点において、全ての資本性金融商品をその他の包括
利益を通じて公正価値で測定される金融資産として分類しております。
(ⅱ) 事後測定および認識の中止
金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した時、または金融資産を譲渡しほと
んどすべてのリスクと経済価値が他の企業に移転した場合にのみ、金融資産の認識を中止しております。
(a) 償却原価で測定される負債性金融商品
償却原価で測定される負債性金融商品については、実効金利法による償却原価から減損損失を控除した金額
で事後測定しております。利息収益、為替差損益および減損損失は純損益として認識しております。また、
認識の中止時に生じた利得または損失は純損益として認識しております。
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(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定される負債性金融商品
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される負債性金融商品については、当初認識後は公正価値で測定
し、実効金利法により算定された利息収益、為替差損益および減損損失は純損益として認識しております。
公正価値の変動から生じるその他の損益は、その他の包括利益として認識して、金融資産の認識の中止が行
われる時にその他の包括利益に計上された累積額を純損益に組替調整しております。
(c) 純損益を通じて公正価値で測定される負債性金融商品
純損益を通じて公正価値で測定される負債性金融商品については、当初認識後は公正価値で測定し、再測定
から生じる利得または損失は純損益として認識しております。
(d) その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融商品
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融商品については、当初認識後は公正価値で測定
しております。配当は、明らかに投資原価の一部回収である場合を除き、純損益として認識しております。
公正価値の変動から生じるその他の損益はその他の包括利益として認識し、事後的に純損益に振り替えるこ
とはできず、金融資産の認識の中止が行われる時にその他の包括利益の金額を資本内で利益剰余金に振り替
えております。
(ⅲ) 減損
損失評価引当金は予想信用損失モデルを用いて計算しております。引当金の見積りは将来予測的な予想信用
損失モデルに基づいており、売上債権の保有期間にわたって起こりうる債務不履行事象を含んでおります。
当社グループは売上債権、契約資産およびリース債権の損失評価引当金について、全期間の予想信用損失で
測定することを選択しております。当社グループは、将来見通しのための調整を加えた過去の貸倒実績率に
基づく引当マトリクスを用いて全期間の予想信用損失を算定しております。これらの引当金の金額は、連結
財政状態計算書における売上債権、契約資産およびリース債権の契約上の金額と見積回収可能額との差額を
表しております。
② 金融負債
(ⅰ) 当初認識および測定
金融負債は、当社グループが契約の当事者となる時点で連結財政状態計算書において認識しております。金
融負債は、当初認識時点において、純損益を通じて公正価値で測定される金融負債、社債及び借入金、また
は債務に分類しております。
金融負債は、当初認識時点において公正価値で測定し、純損益を通じて公正価値で測定される金融負債を除
き、発行に直接帰属する取引費用を減算して算定しております。
(ⅱ) 事後測定
(a) 純損益を通じて公正価値で測定される金融負債
純損益を通じて公正価値で測定される金融負債は当初認識後は公正価値で測定し、再測定から生じる利得ま
たは損失は純損益として認識しております。純損益を通じて公正価値で測定される金融負債はデリバティブ
および条件付対価契約に関する金融負債を含んでおります。
(b) その他の金融負債(社債及び借入金含む)
その他の金融負債は、主として実効金利法を使用して償却原価で測定しております。
(ⅲ) 認識の中止
契約中において、特定された債務が免責、取消し、または失効となった場合にのみ、金融負債の認識を中止
しております。金融負債の認識の中止に際しては、金融負債の帳簿価額と支払われたまたは支払う予定の対
価の差額は純損益として認識しております。
③ デリバティブ
為替レートおよび金利の変動等によるリスクに対処するため、先物為替予約、通貨オプション、金利スワッ
プ、金利通貨スワップおよび金利先物等のデリバティブを契約しております。また、当社グループは再生可能
エネルギーの価格変動リスクに対処するため、先渡契約を利用しております。
なお、当社グループの方針として投機目的のデリバティブ取引は行っておりません。
デリバティブは、デリバティブ契約がヘッジ手段に指定されていない限り、純損益を通じて公正価値で測定さ
れます。ヘッジ会計を適用していないデリバティブにかかる利得および損失は純損益に計上されます。ヘッジ
手段に指定されているデリバティブの会計処理は、以下に記載のとおり、ヘッジ会計の種類により異なってお
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ります。
④ ヘッジ会計
為替換算リスクに対処するため、外貨建借入金等の非デリバティブおよび先物為替予約によるデリバティブの
一部を在外営業活動体に対する純投資のヘッジとして指定しております。また、外貨建取引による為替リスク
に対処するため、当社グループは先物為替予約、通貨オプションおよび金利通貨スワップ等一部のデリバティ
ブを予定取引におけるキャッシュ・フロー・ヘッジとして指定しております。金利リスクに対処するため、金
利スワップ、金利通貨スワップおよび金利先物を予定取引におけるキャッシュ・フロー・ヘッジとして指定し
ております。
ヘッジの開始時に、ヘッジを行うための戦略に従い、リスク管理目的、ヘッジされるリスクの性質、および
ヘッジ手段とヘッジ対象の関係について文書化しております。さらに、ヘッジの開始時および毎四半期におい
て、ヘッジ手段がヘッジ取引もしくは純投資の変動を相殺するのに極めて有効であるかどうかを継続的に評価
しております。
(ⅰ) キャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定し、かつ適格なデリバティブの公正価値の変動の有効部分はその他
の包括利益として認識しております。利得または損失のうち非有効部分は直ちに純損益として認識しており
ます。
その他の包括利益で認識されていた金額は、ヘッジ対象に係るキャッシュ・フローが純損益として認識され
た期に、連結損益計算書における認識されたヘッジ対象と同じ項目において純損益に振り替えております。
通貨のベーシス・スプレッドおよび通貨オプションの時間的価値は、キャッシュ・フロー・ヘッジからは区
分して会計処理され、その他の資本の構成要素の独立項目であるヘッジコストに計上されます。
(ⅱ) 在外営業活動体に対する純投資のヘッジ
在外営業活動体に対する純投資のヘッジについては、ヘッジ手段に係る利得または損失はその他の包括利益
として認識しております。在外営業活動体の処分時には、その他の包括利益として認識していた累積損益を
純損益に振り替えております。
ヘッジ手段が消滅、売却、終了または行使となった場合、もしくはヘッジ会計に適格ではなくなった場合に
は、ヘッジ会計を中止しております。
⑤ 負債コスト
負債に係る金融コストは、実効金利法を用いて、負債の最も早い償還日までの期間にわたり償却され、償却額
が連結損益計算書に計上されます。当該負債の償還に際して、未償却の繰延金融コストは、連結損益計算書に
おいて、支払利息として費用処理されます。
(22) 株式に基づく報酬
当社グループは、株式報酬制度を導入しております。株式報酬制度として持分決済型と現金決済型を運用してお
ります。
① 持分決済型
持分決済型の株式報酬は、従業員、取締役、および上級幹部の役務に基づいて付与されます。受領した役務お
よびそれに対応する資本の増加を付与された資本性金融商品の付与日における公正価値で測定し、権利確定期
間にわたって費用として計上し、同額を資本の増加として認識しております。
② 現金決済型
現金決済型の株式報酬は、従業員、取締役、および上級幹部の役務に基づいて付与されます。受領した役務お
よびそれに対応する負債は、当該負債の公正価値で測定されます。負債に分類される従業員、取締役、および
上級幹部に対する報酬の公正価値は、権利確定期間にわたって費用として計上され、同額を負債の増加として
認識しております。
当社グループは、当該負債の公正価値を決算日および決済日に再測定し、公正価値の変動を純損益として認識
しております。
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(23) 資本
① 普通株式
普通株式は、発行価格を資本金および資本剰余金に計上しております。
② 自己株式
自己株式を取得した場合には、その支払対価を資本の控除項目として認識しております。
自己株式を売却した場合には、帳簿価額と売却時の対価の差額を資本剰余金として認識しております。
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4 事業セグメントおよび売上収益
当社グループは、医薬品の研究開発、製造、販売およびライセンス供与に従事しており、単一の事業セグメント
から構成されております。これは、資源配分、業績評価、および将来予測において最高経営意思決定者であるCEO
の財務情報に対する視点と整合しております。
(1) 収益の分解
当社グループの顧客との契約から生じる売上収益の内訳は、以下のとおりであります。
財またはサービスの種類別の売上収益
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
医薬品販売 3,295,723 3,922,280
ライセンス供与による収益・役務収益 273,283 105,198
合計 3,569,006 4,027,478
疾患領域別および製品別の売上収益
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
消化器系疾患
ENTYVIO(注)1 521,778 702,744
タケキャブ/VOCINTI(注)2 102,397 108,719
GATTEX/レベスティブ 75,751 93,076
DEXILANT 50,763 69,371
PANTOLOC/CONTROLOC(注)3 40,275 45,518
アロフィセル 1,843 2,725
その他 82,877 72,388
消化器系疾患合計 875,685 1,094,541
希少疾患
希少血液疾患
アドベイト 118,491 118,188
アディノベイト/ADYNOVI 60,726 66,553
ファイバ 39,162 41,268
RECOMBINATE 12,297 12,762
HEMOFIL/IMMUNATE/IMMUNINE 17,722 19,581
その他 35,291 46,367
希少血液疾患合計 283,689 304,718
希少遺伝子疾患およびその他
タクザイロ 103,242 151,800
エラプレース 73,119 85,321
リプレガル 51,714 66,741
ビプリブ 42,408 48,372
LIVTENCITY 1,325 10,501
その他 55,698 55,989
希少遺伝子疾患およびその他合計 327,507 418,724
希少疾患合計 611,196 723,442
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(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
血漿分画製剤(免疫疾患)
免疫グロブリン製剤 385,864 522,211
アルブミン製剤 90,035 121,446
その他 31,052 34,786
血漿分画製剤(免疫疾患)合計 506,951 678,443
オンコロジー
リュープリン/ENANTONE 106,459 111,311
ニンラーロ 91,203 92,691
アドセトリス 69,190 83,937
アイクルシグ 34,860 47,206
ベルケイド 110,046 27,759
アルンブリグ 13,644 20,556
EXKIVITY 962 3,732
その他 42,367 51,551
オンコロジー合計 468,730 438,742
ニューロサイエンス(神経精神疾患)
VYVANSE/ELVANSE(注)4 327,052 459,289
トリンテリックス 82,315 100,081
その他 72,926 78,341
ニューロサイエンス(神経精神疾患)合計 482,294 637,711
その他
アジルバ(注)2 76,297 72,897
ロトリガ 32,690 16,732
その他(注)5 515,164 364,968
その他合計 624,150 454,598
売上収益合計 3,569,006 4,027,478
(注)1 国内製品名:エンタイビオ
2 配合剤、パック製剤を含む
3 一般名:pantoprazole
4 国内製品名:ビバンセ
5 2022年3月期には、売上収益として計上された日本における糖尿病治療薬4剤(ネシーナ錠、リオベル配合
錠、イニシンク配合錠、ザファテック錠)の帝人ファーマ株式会社への譲渡価額133,043百万円が含まれて
おります。当社グループは、従業員や関連する契約の移転を伴わない、医薬品にかかる資産、販売権および
製造販売承認のみを譲渡するため、IFRS第15号を適用し、譲渡価額を売上収益として計上しております。
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(2) 地域別情報
当社グループの顧客との契約から生じる売上収益の地域別内訳は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
日本 658,983 512,043
米国 1,714,421 2,103,772
欧州およびカナダ 739,168 842,668
アジア(日本を除く) 196,964 225,007
中南米 128,467 160,375
ロシア/CIS 62,057 88,431
その他 68,945 95,182
合計 3,569,006 4,027,478
(注)「その他」には、中東・オセアニア・アフリカが含まれております。売上収益は顧客の所在地を基礎とし、国
または地域に分類しております。
当社グループの非流動資産の地域別内訳は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前年度 当年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
日本 401,019 373,133
米国 6,663,654 7,560,491
スイス 1,514,645 799,325
アイルランド 104,943 792,382
その他 1,172,959 1,258,787
合計 9,857,219 10,784,117
(注)金融商品、繰延税金資産および退職給付に係る資産を含んでおりません。
(3) 主要な顧客に関する情報
2022年3月 期において、売上収益が当社グループ全体の売上収益の10%以上の相手先は、アメリソースバーゲン・
コーポレーションおよびそのグループ会社(以下、「アメリソースバーゲン社」)、マッケソン・コーポレーショ
ンおよびそのグループ会社(以下、「マッケソン社」)であります。アメリソースバーゲン社およびマッケソン社
に対する売上収益は、それぞれ 504,487百万円 および 406,709百万円 であります。
2023年3月 期において、売上収益が当社グループ全体の売上収益の10%以上の相手先は、アメリソースバーゲン
社、マッケソン社、カーディナルヘルス Inc.およびそのグループ会社(以下、「カーディナルヘルス社」)であり
ます。アメリソースバーゲン社、マッケソン社およびカーディナルヘルス社に対する売上収益は、それぞれ 575,294
百万円 、 540,356百万円 および 424,527百万円 であります。
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(4) その他の収益に関する情報
当社グループの契約残高は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前年度 当年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
顧客との契約から生じた債権
売上債権(注記17)
617,518 575,431
契約資産
未請求の対価に対する権利 5,926 2,628
契約負債
繰延収益(注記24)
50,832 8,609
前受金 81 19
当社グループの契約資産は、対価を受領する権利に関連するものであります。契約に基づく履行義務は充足してお
り、対価に対する権利が無条件となった時に売上債権が認識されます。
当社グループの契約負債は主として導出契約、並びに製品調達及び供給契約に関連しており、契約の下、履行義務
の充足の前に現金対価を受領することによるものであります。 2022年3月 期および 2023年3月 期に認識した収益の
うち、期首の契約負債残高に含まれていた金額はそれぞれ 30,022百万円 および 49,319百万円 であります。また、
2022年3月 期および 2023年3月 期において、過去の期間に充足(または部分的に充足)した履行義務から認識した
収益の金額はそれぞれ 49,220百万円 および 79,251百万円 であり、主にロイヤルティ収益であります。
当社グループの残存履行義務に配分した取引価格は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
履行義務の残存期間
契約負債 合計
1年以内 1年超5年以内 5年超
前年度( 2022年3月31日 ) 50,913 43,721 5,288 1,904
当年度( 2023年3月31日 ) 8,628 6,394 458 1,775
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5 その他の営業収益及び費用
(1) その他の営業収益
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の
11,195 -
公正価値変動額 (注記27)
有形固定資産および投資不動産の売却益 1,148 2,094
武田テバ薬品株式会社への事業譲渡益 1,414 6,807
事業譲渡及び子会社株式売却益(注記19) 5,602 -
SHP647に関連する負債の取崩益 - 4,102
その他 23,762 12,421
合計 43,123 25,424
(2) その他の営業費用
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
寄付金 8,255 7,685
事業構造再編費用(注記23) 83,836 59,234
条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の
- 3,991
公正価値変動額 (注記27)
承認前在庫にかかる評価損 20,723 9,466
売却目的で保有する資産の減損(注記19) - 4,693
その他 46,261 60,178
合計 159,075 145,247
前年度におけるその他の営業収益におけるその他には、特定の訴訟にかかる 損害賠償金や 和解金の受取額が 8,487
百万円含まれております。
また、前年度および当年度のその他の営業費用におけるその他には、特定の訴訟にかかる訴訟引当金の繰入額が
それぞれ20,319百万円および16,455百万円含まれております。また、当年度のその他の営業費用におけるその他
には、提携契約に伴い当社グループが認識したオプション権に係る評価損16,470百万円が含まれております。
なお、その他の営業収益に含まれるSHP647に関連する負債の取崩益は、 臨床試験プログラムの中止コストなど将
来発生が見込まれるSHP647の関連費用に対する負債の取崩益です。
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6 金融収益及び費用
(1) 金融収益
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
受取利息 4,591 5,508
償却原価で測定される金融資産に係る受取利息 3,880 4,187
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産に
700 1,318
係る受取利息
サブリースに係る受取利息 11 3
受取配当金 172 273
その他の包括利益を通じて公正価値で測定され、
8 6
当年度に処分された金融資産に係る受取配当金
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される
164 267
金融資産に係る受取配当金
デリバティブ評価益 - 為替ヘッジ
- 4,476
デリバティブ評価益 - ワラント
- 15,896
デリバティブ評価益 - バーチャル電力販売契約
- 6,843
被取得企業に対する既存持分の公正価値の再測定 8,482 22,416
その他 10,455 7,501
合計 23,700 62,913
(2) 金融費用
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
支払利息 122,432 116,973
金融負債に係る支払利息 108,498 100,393
リース負債に係る支払利息 13,934 16,580
デリバティブ評価損 - 為替ヘッジ
2,112 -
デリバティブ評価損 - ワラント
20,483 -
デリバティブ評価損 - バーチャル電力販売契約
- 6,843
為替差損 1,791 14,205
超インフレによる影響額 3,698 12,256
その他 16,091 19,421
合計 166,607 169,698
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7 法人所得税
(1) 法人所得税費用
法人所得税費用の内訳は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
当期税金費用 208,513 246,578
繰延税金便益 △136,108 △188,526
合計 72,405 58,052
当期税金費用には、従前は未認識であった税務上の欠損金、税額控除または過去の期間の一時差異から生じた便益
の額が含まれております。これに伴う当期税金費用の減少額は、2022年3月期および2023年3月期において、それ
ぞれ 11,315百万円 および 17,529百万円 であります。
繰延税金便益には、従前は未認識であった税務上の欠損金、税額控除または過去の期間の一時差異から生じた便益
の額が含まれております。これに伴う繰延税金費用の減少額は、2022年3月期および2023年3月期において、それ
ぞれ 11,914百万円 および 54,974百万円 であります。
当社グループは主に、法人税、住民税および損金算入される事業税を課されており、これらを基礎として計算した
2022年3月期および2023年3月期における法定実効税率は、ともに30.6%であります。
各年度の国内の法定実効税率を適用して算定した法人所得税費用と実際負担税額との調整は以下の通りです。
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
税引前当期利益 302,571 375,090
国内の法定実効税率30.6% を適用した法人所得税費用 92,526 114,703
課税所得計算上減算されない費用 (注)1 6,071 15,158
未認識の繰延税金資産および繰延税金負債の増減 (注)2 △8,831 △21,791
税額控除 △32,948 △26,676
在外子会社の適用税率との差異 (注)3 24,496 △31,446
在外子会社未分配利益に係る税効果増減 △20,359 6,174
税率変更および税法改正による影響(注)4 △39,661 2,482
法人所得税の不確実性に係る調整(注)5 58,540 13,991
前年度の調整項目による影響 △4,762 △7,524
組織再編および売却による影響 2,041 △6,321
その他 △4,708 △698
法人所得税費用 72,405 58,052
(注)1 2022年3月 期および 2023年3月 期における金額は、連結上内部取引消去されるため税引前利益には影響しない
ものの、異なる税務管轄地域間の内部取引に税率差が残ることによる影響を含んでおります。 2023年3月 期に
おける金額は、国内の過大支払利子税制により課税所得計算上減算されない利息も含んでおります。
(注)2 2022年3月 期 および 2023年3月 期 における金額は、繰越欠損金に関連する繰延税金費用(または便益)の計上
による影響を含んでおります。 2023年3月 期 における金額は、グループ内の組織再編の結果、繰延税金資産を
未認識であった税務上の欠損金について計上した税務便益を含んでおります。
(注)3 2022年3月 期および 2023年3月 期における金額は、在外子会社における合算課税およびミニマム税を含んでお
ります。
(注)4 2022年3月 期における金額は、米国における組織再編に伴い適用する州税率の変更に関連した39,106百万円の
繰延税金便益を含んでおります。
(注)5 2022年3月 期における費用は主に、AbbVie社からの違約金による影響65,942百万円を含んでおります。
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当社グループの税金費用は 2022年3月 期から 2023年3月 期にかけて減少しており、これは主に 2023年3月 期にお
ける繰延税金資産の認識による税務便益の増加および米国での国際課税にかかる税金費用の減少によるもので
す。 2022年3月 期の税金費用はAbbVie社から受領した違約金にかかる税金費用を含んでおり、これは米国におけ
る州税の適用税率の変更および未分配利益に対して認識された繰延税金負債の減額による便益と一部相殺されて
おります。
当社グループは多国籍企業として、将来の法人所得税費用に影響を与え得る幾つかの要因があります。主な要因
としては、それぞれの管轄地域における収益性の水準・組み合わせ、移転価格規制、課せられる税率、税制改革
があげられます。2021年12月に、OECDは、新たなグローバル・ミニマム課税の枠組みに関するモデルルール(第
2の柱)を公表しました。2023年3月28日、日本において、OECDが策定したモデルルールを導入した税制改正法
が成立しました。当税制改正法は、2024年4月1日以後開始する対象会計年度から適用されます。当社グループ
は、新たな基準による実効税率を国別に算定することが要求されるグローバル・ミニマム課税制度の適用が求め
られます。この結果、当社グループが事業を行う一部の管轄地域において追加税(トップアップ税)が発生する
可能性があります。当社グループは、引き続き税制改正法を評価し、潜在的な影響を把握します。
(2) 繰延税金
連結財政状態計算書上の繰延税金資産および繰延税金負債は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前年度 当年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
繰延税金資産 362,539 366,003
繰延税金負債 △451,511 △270,620
純額 △88,972 95,383
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繰延税金資産および繰延税金負債の内訳および増減内容は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
2021年4月 2022年3月
当期利益への その他の包括利
その他(注)
計上額 益への計上額
1日残高 31日残高
研究開発費 35,461 △4,250 - 1,988 33,199
棚卸資産 90,729 △6,375 - 10,176 94,530
有形固定資産 △80,344 9,721 - 848 △69,775
無形資産 △561,950 131,465 - △66,995 △497,480
その他の包括利益を通じて公正価値
△23,766 - 2,669 14,338 △6,759
で測定される金融資産
未払費用および引当金等 139,239 12,931 - 3,160 155,330
確定給付制度 19,270 △468 △6,107 761 13,456
繰延収益 20,970 △4,256 - △5,489 11,225
繰越欠損金 150,951 △35,160 - 3,662 119,453
税額控除 62,389 △28,573 - 5,096 38,912
子会社および関連会社に対する投資 △69,151 37,941 - - △31,210
キャッシュ・フロー・ヘッジ 30,023 - △957 △35 29,031
その他 △2,904 23,132 △1,411 2,300 21,116
合計 △189,083 136,108 △5,806 △30,190 △88,972
(単位:百万円)
2022年4月 2023年3月
当期利益への その他の包括利
その他(注)
計上額 益への計上額
1日残高 31日残高
研究開発費 33,199 98,057 - 4,974 136,230
棚卸資産 94,530 11,863 - 4,518 110,911
有形固定資産 △69,775 2,834 - △4,818 △71,759
無形資産 △497,480 86,244 - △41,358 △452,594
その他の包括利益を通じて公正価値
△6,759 - 214 1,417 △5,128
で測定される金融資産
未払費用および引当金等 155,330 △6,402 - 16,115 165,043
確定給付制度 13,456 △2,855 △5,563 1,368 6,406
繰延収益 11,225 △3,911 - 118 7,432
繰越欠損金 119,453 △24,662 - 6,301 101,092
税額控除 38,912 9,389 - 3,790 52,091
子会社および関連会社に対する投資 △31,210 △5,581 - △47 △36,838
キャッシュ・フロー・ヘッジ 29,031 - 9,449 - 38,480
その他 21,116 23,550 7,485 △8,134 44,017
合計 △88,972 188,526 11,585 △15,756 95,383
(注)その他は、主に為替換算差額、売却目的で保有する資産および直接関連する負債に分類された繰延税金資産およ
び負債の振り替え、資本の部に直接計上される項目に係る税効果であります。 2022年3月 期および 2023年3月 期
における、資本の部に直接計上される項目にかかる税金の影響は、それぞれ△1,460百万円および2,204百万円で
あります。
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当社グループは、繰延税金資産の認識にあたり、一部または全ての将来減算一時差異、繰越欠損金または税額控
除が将来課税所得に対して利用できる可能性を考慮しております。繰延税金資産の回収可能性の評価において
は、将来加算一時差異の解消スケジュール、将来課税所得の予測およびタックスプランニングを考慮しておりま
す。なお、過去の課税所得水準および繰延税金資産が認識できる期間における将来課税所得の予測に基づき、税
務上の便益の一部については実現する可能性が高くないと判断しております。
繰延税金資産を認識していない繰越欠損金、将来減算一時差異および繰越税額控除は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前年度 当年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
繰越欠損金 1,729,843 1,181,757
将来減算一時差異 240,860 259,784
繰越税額控除 10,042 11,186
繰延税金資産を認識していない繰越欠損金および繰越税額控除の金額と繰越期限は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前年度 当年度
繰越欠損金
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
1年目 131 76
2年目 23,670 762
3年目 1,280 307
4年目 425,654 896
5年目 35,089 2,081
5年超 1,184,092 1,114,021
無期限 59,927 63,614
合計 1,729,843 1,181,757
(単位:百万円)
前年度 当年度
繰越税額控除
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
5年未満 950 2,151
5年以上 9,092 9,034
無期限 - -
合計 10,042 11,186
繰延税金資産を認識していない子会社に対する投資に係る一時差異の総額は、 2022年3月31日 および 2023年3月
31日 現在、それぞれ 1,184,478百万円 および 515,052百万円 であります。
繰延税金負債を認識していない子会社に対する投資に係る一時差異の総額は、 2022年3月31日 および 2023年3月
31日 現在、それぞれ 290,208百万円 および 416,417百万円 であります。
繰延税金資産および繰延税金負債を認識していない子会社に対する投資に係る一時差異の増減は、主に連結損益
計算書に影響のない一時差異の増減によるものであります。
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8 1株当たり利益
当社の普通株主に帰属する基本的1株当たり当期利益および希薄化後1株当たり当期利益の算定基礎は以下のとお
りであります。
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
親会社の普通株主に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益(百万円) 230,059 317,017
1株当たり当期利益の算定に使用する当期利益(百万円) 230,059 317,017
普通株式の加重平均株式数(千株) 1,563,501 1,551,809
希薄化効果の影響(千株) 13,668 18,064
希薄化効果の影響調整後(千株) 1,577,169 1,569,872
1株当たり当期利益
基本的1株当たり当期利益(円) 147.14 204.29
希薄化後1株当たり当期利益(円) 145.87 201.94
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を、その会計年度の発行済普通株式の加重平均
株式数で除して計算しております。この計算には自己株式の平均株式数は含まれておりません。希薄化後1株当た
り当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を、その会計年度の発行済普通株式の加重平均株式数に希薄化
効果を有するすべての潜在株式を普通株式に転換する際に発行されるであろう普通株式の加重平均株式数を加算し
た合計株式数で除して計算しております。
希薄化効果を有しないため、希薄化後1株当たり当期利益の計算に含まれなかったストック・オプションの潜在的
普通株式は、 2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在においてそれぞれ2,643千株および814千株であります。
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9 その他の包括利益
その他の包括利益の当期発生額および組替調整額、ならびに税効果額は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
純損益に振り替えられることのない項目
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される
金融資産の公正価値の変動
当期発生額 △17,295 △2,868
2,669
214
税効果額
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される
△14,626
△2,654
金融資産の公正価値の変動
確定給付制度の再測定
当期発生額 26,890 23,315
△6,107 △5,563
税効果額
確定給付制度の再測定
20,783 17,752
純損益にその後に振り替えられる可能性のある項目
在外営業活動体の換算差額
当期発生額 558,102 566,683
- -
組替調整額
税効果調整前
558,102 566,683
25,867 52,090
税効果額
在外営業活動体の換算差額
583,969 618,773
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される
金融資産の公正価値の変動
当期発生額 - △9,118
- 9,118
組替調整額
税効果調整前
- -
- -
税効果額
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される
- -
金融資産の公正価値の変動
キャッシュ・フロー・ヘッジ
当期発生額 82,780 56,437
△79,321 △87,337
組替調整額
税効果調整前
3,459 △30,900
△1,286 9,449
税効果額
キャッシュ・フロー・ヘッジ
2,173 △21,451
ヘッジコスト
当期発生額 6,611 △21,426
△3,071 △3,052
組替調整額
税効果調整前
3,540 △24,478
△1,083 7,485
税効果額
ヘッジコスト
2,457 △16,993
持分法適用会社における
その他の包括利益に対する持分
当期発生額 △497 △892
- -
組替調整額
税効果調整前
△497 △892
- -
税効果額
持分法適用会社における
△497 △892
その他の包括利益に対する持分
その他の包括利益合計 594,261 594,535
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10 有形固定資産
(1) 種類別取得原価、減価償却累計額および減損損失累計額の増減ならびに帳簿価額
① 取得原価
(単位:百万円)
建物及び 機械装置 工具器具
土地 建設仮勘定 合計
構築物 及び運搬具 及び備品
2021年4月1日残高 1,133,406 686,135 133,829 95,235 143,130 2,191,735
取得およびその他の増加 46,393 20,183 7,911 50 87,220 161,758
企業結合による増加 - 79 35 - - 114
振替 30,176 41,341 8,070 - △79,587 -
処分およびその他の減少 △2,837 △15,389 △21,253 △1,266 △1,932 △42,677
連結除外 - △4 - - - △4
為替換算差額 81,440 39,680 7,303 4,635 9,024 142,082
2022年3月31日残高 1,288,578 772,024 135,895 98,654 157,856 2,453,007
取得およびその他の増加 46,155 25,628 9,025 349 104,059 185,217
振替 21,026 37,743 5,962 - △64,731 -
処分およびその他の減少 △22,876 △16,084 △11,096 △201 △574 △50,830
売却目的で保有する資産への振替
△14,915 △10,968 △4,013 △5,471 △965 △36,331
(注記19)
為替換算差額 82,139 43,039 6,093 4,895 11,755 147,922
2023年3月31日残高 1,400,108 851,382 141,867 98,227 207,400 2,698,984
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② 減価償却累計額および減損損失累計額
(単位:百万円)
建物及び 機械装置 工具器具
土地 建設仮勘定 合計
構築物 及び運搬具 及び備品
2021年4月1日残高 △266,705 △374,845 △92,866 △431 △2,971 △737,818
減価償却費 △62,870 △54,191 △15,358 - - △132,419
減損損失 - △346 △42 - - △388
処分およびその他の減少 1,353 13,729 21,154 33 76 36,344
連結除外 - 3 - - - 3
為替換算差額 △15,901 △15,635 △4,379 △13 △1 △35,929
2022年3月31日残高 △ 344,123 △ 431,287 △ 91,491 △ 411 △ 2,896 △ 870,207
減価償却費 △72,900 △60,428 △17,052 - - △150,379
減損損失 △560 △1,410 △121 - △239 △2,331
処分およびその他の減少 5,429 14,207 10,393 195 - 30,224
売却目的で保有する資産への振替
8,209 9,276 3,499 - - 20,983
(注記19)
為替換算差額 △15,585 △16,976 △3,435 △28 △21 △36,045
2023年3月31日残高 △ 419,530 △ 486,618 △ 98,207 △ 243 △ 3,156 △ 1,007,755
③ 帳簿価額
(単位:百万円)
建物及び 機械装置 工具器具
土地 建設仮勘定 合計
構築物 及び運搬具 及び備品
2021年4月1日 残高 866,701 311,290 40,963 94,804 140,159 1,453,917
2022年3月31日 残高 944,455 340,737 44,404 98,243 154,960 1,582,800
2023年3月31日 残高 980,578 364,763 43,660 97,983 204,245 1,691,229
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(2) リース
有形固定資産に含まれている使用権資産の取得原価の変動は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
建物及び 機械装置 工具器具
合計
構築物 及び運搬具 及び備品
2021年4月1日残高 462,797 15,040 472 478,309
取得およびその他の増加 30,110 4,195 13 34,318
処分およびその他の減少 △7,365 △6,177 △161 △13,703
為替換算差額 39,575 883 27 40,485
2022年3月31日残高 525,118 13,940 351 539,410
取得およびその他の増加 31,585 6,828 2 38,416
処分およびその他の減少 △21,134 △4,842 △40 △26,016
為替換算差額 38,016 892 7 38,915
2023年3月31日残高 573,585 16,818 320 590,724
有形固定資産に含まれている使用権資産の減価償却累計額および減損損失累計額の変動は、以下のとおりでありま
す。
(単位:百万円)
建物及び 機械装置 工具器具
合計
構築物 及び運搬具 及び備品
2021年4月1日残高 △82,993 △8,233 △303 △91,529
減価償却費 △37,820 △3,867 △74 △41,761
処分およびその他の減少 6,026 5,590 155 11,770
為替換算差額 △9,380 △562 △11 △9,953
2022年3月31日残高 △124,166 △7,072 △234 △131,472
減価償却費 △43,260 △4,535 △60 △47,856
減損損失 △43 - - △43
処分およびその他の減少 4,039 3,999 39 8,077
為替換算差額 △8,719 △429 △9 △9,157
2023年3月31日残高 △172,149 △8,037 △264 △180,450
有形固定資産に含まれている使用権資産の帳簿価額は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
建物及び 機械装置 工具器具
合計
構築物 及び運搬具 及び備品
2021年4月1日 残高 379,804 6,807 169 386,780
2022年3月31日 残高 400,952 6,868 118 407,938
2023年3月31日 残高 401,437 8,781 56 410,274
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当社グループのリース負債の測定に含めていないリースに係る費用は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
短期リースに係る費用 4,458 4,521
少額資産のリースに係る費用(短期リース除く) 1,304 1,255
変動リース料に係る費用 4,006 4,794
合計 9,768 10,570
リースに係るキャッシュ・アウトフローの合計額は、 2022年3月 期および 2023年3月 期において、それぞれ 53,628
百万円 および 59,981百万円 であります。なお、 2023年3月 期において、まだ開始していないリースに伴う将来
キャッシュ・アウトフローの合計額は198,293百万円であります。
(3) 減損損失
連結損益計算書にて認識している減損損失は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
売上原価 △261 △375
販売費及び一般管理費 △34 △75
その他の営業費用 △92 △1,881
合計 △388 △2,331
2022年3月 期の減損損失は、主として日本における使用を中止した製造設備に関連しております。また、 2023年
3月 期の減損損失は、主として欧州において、使用中止を決定した製造設備に関連して計上したものでありま
す。
減損した資産の帳簿価額は回収可能価額まで減額しております。回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値に
より測定しております。処分コスト控除後の公正価値は、予定される設備の売却取引または類似の取引で提示さ
れた売却価格から不動産販売手数料などの処分コストを控除することにより測定されます。当該公正価値のヒエ
ラルキーのレベルはレベル3であります。
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11 のれん
(1) 取得原価および減損損失累計額の増減ならびに帳簿価額
① 取得原価
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
期首残高 4,033,917 4,407,749
企業結合による増加 35,159 -
売却目的で保有する資産への振替
- △5,951
(注記19)
為替換算差額等 338,673 388,925
期末残高 4,407,749 4,790,723
② 帳簿価額
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
期首残高 4,033,917 4,407,749
期末残高 4,407,749 4,790,723
(2) のれんの減損テスト
2022年3月期および2023年3月期において、のれんの減損テストは単一の事業セグメント単位(単一の資金生成単
位)で実施しており、これはのれんを内部管理目的で監視している単位を表しています。のれんの減損損失は、回
収可能価額が帳簿価額を下回っている場合に認識しております。回収可能価額は、資金生成単位の処分コスト控除
後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額であります。
1月1日時点で実施した減損テストの結果、2022年3月期および2023年3月期において、当社グループはのれんの
減損損失を計上しておりません。なお、2023年1月1日において当社株式の時価総額は当社グループ純資産の帳簿
価額を上回っております。
2022年3月期および2023年3月期において、 回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値により見積られておりま
す。処分コスト控除後の公正価値 は、10年間の将来予測を基礎としたキャッシュ・フローの見積額を現在価値に割
り引いた上で処分コスト見積額を控除して算定しており、永久成長率および割引率を使用しております。将来予測
には重要な仮定である特定の製品に係る売上予測が含まれており、これは製品の上市、競合品との競争、価格政
策、ジェネリック品の市場参入、および独占販売権と関連しております。売上予測の設定にあたり、当社グループ
は過去の経験、外部の情報源、競合他社の活動に関する知識、および業界動向を考慮しております。この評価技法
は観察可能な市場データでないインプットを使用しているため、この処分コスト控除後の公正価値は公正価値ヒエ
ラルキーのレベル3に分類されます。
減損テストの割引キャッシュ・フロー法で使用された永久成長率および割引率は以下の通りです。
2022年3月 期 2023年3月 期
永久成長率 0.0% 0.0%
割引率(税引後) 6.2% 6.8%
永久成長率は経営陣の長期的な平均成長率の見積りに基づいております。割引率は当社グループの加重平均資本コ
スト(WACC)に基づいております。
なお、 処分コスト控除後の公正価値 は資金生成単位の帳簿価額を上回っており、回収可能価額の算定に使用した仮
定に合理的な範囲で変動があった場合でも減損が発生する可能性は低いと判断しております。
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12 無形資産
(1) 種類別取得原価、償却累計額および減損損失累計額の増減ならびに帳簿価額
① 取得原価
(単位:百万円)
製品に係る
ソフトウェア その他 合計
無形資産
2021年4月1日残高 198,865 5,706,035 11,586 5,916,486
取得およびその他の増加 33,210 44,944 10 78,164
企業結合による増加 - 43,682 - 43,682
処分およびその他の減少 △62,078 △80,911 △48 △143,037
連結除外 △604 △2 - △606
為替換算差額 13,385 527,070 6 540,461
2022年3月31日残高 182,778 6,240,818 11,554 6,435,150
取得およびその他の増加 36,984 676,156 295 713,436
処分およびその他の減少 △11,798 △126,610 △13 △138,420
売却目的で保有する資産への振替
△1,012 - - △1,012
(注記19)
為替換算差額 12,607 533,707 3 546,317
2023年3月31日残高 219,559 7,324,072 11,839 7,555,471
② 償却累計額および減損損失累計額
(単位:百万円)
製品に係る
ソフトウェア その他 合計
無形資産
2021年4月1日残高 △103,394 △1,903,551 △435 △2,007,380
償却費 △28,560 △418,788 △43 △447,391
減損損失 - △67,721 - △67,721
減損損失の戻入 - 13,595 - 13,595
処分およびその他の減少 61,393 43,635 16 105,044
連結除外 604 - - 604
為替換算差額 △6,677 △206,631 △49 △213,357
2022年3月31日残高 △ 76,634 △ 2,539,461 △ 510 △ 2,616,606
償却費 △25,561 △485,465 △30 △511,056
減損損失 - △57,341 - △57,341
処分およびその他の減少 10,756 101,888 - 112,643
売却目的で保有する資産への振替
397 - - 397
(注記19)
為替換算差額 △5,177 △208,672 △2 △213,851
2023年3月31日残高 △ 96,220 △ 3,189,051 △ 542 △ 3,285,813
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③ 帳簿価額
(単位:百万円)
製品に係る
ソフトウェア その他 合計
無形資産
2021年4月1日 残高 95,471 3,802,484 11,151 3,909,106
2022年3月31日 残高 106,143 3,701,357 11,044 3,818,544
2023年3月31日 残高 123,340 4,135,020 11,297 4,269,657
各決算日において重要な自己創設無形資産はありません。
製品に係る無形資産の構成は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
上市後製品 仕掛研究開発品 帳簿価額の合計
2021年4月1日 残高 3,427,527 374,957 3,802,484
2022年3月31日 残高 3,389,453 311,904 3,701,357
2023年3月31日 残高 3,164,380 970,640 4,135,020
上市後製品とは、主に販売可能となった製品に関連するライセンスであります。研究開発局面にあるものは開発
中の製品および、当社グループのライセンス(導入)契約および共同研究開発契約に関連して獲得した開発中の製
品に関する販売ライセンスであります(注記13)。
重要な無形資産に関する情報は以下のとおりであります。
帳簿価額(単位:百万円) 残存償却期間
前年度 当年度 当年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
免疫グロブリン製剤 上市後製品 768,871 766,459 12 年
タクザイロ 上市後製品 546,555 546,336 11 年
TAK-279 仕掛研究開発品 - 533,999 -
VYVANSE/ELVANSE(注1) 上市後製品 382,777 306,242 3 年
アドベイトおよび
上市後製品 293,969 278,463 7 年
アディノベイト/ADYNOVI
アルンブリグ 上市後製品 219,943 213,706 8 年
(注1)国内製品名:ビバンセ
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(2) 減損損失
当社グループの無形資産の減損評価には、見積販売価格およびコスト、規制当局による承認の可能性、想定して
いる市場および当該市場における当社グループのシェア等、回収可能価額の見積りにおいて経営者による重要な
判断が必要となります。上市後製品に関連する無形資産の最も重要な仮定は治療領域の製品市場シェアおよび見
積価格であり、開発中製品および研究開発局面に関連する無形資産の最も重要な仮定は規制当局による承認の可
能性であります。当該仮定の変更は、期中に計上される減損損失の金額に重大な影響を及ぼす可能性がありま
す。例えば、臨床試験が否定的な結果となった場合は、仮定の変更により減損が生じる可能性があり、臨床試験
が失敗に終わり開発資産を代替使用できない場合には、開発中製品に関連する無形資産を全額減損処理する可能
性があります。
当社グループは、 2022年3月 期において、主として消化器系疾患製品の開発中止や希少疾患製品にかかる将来の
売上予測の低下により、67,721百万円の減損損失を計上しております。減損処理した無形資産の回収可能価額は
38,951百万円であります。当該減損損失は、主に売却の意思決定を行った希少疾患製品に関して戻し入れた過去
の減損損失13,595百万円と相殺されております。当該戻入に係る無形資産の回収可能価額は22,415百万円であり
ます。
当社グループは、 2023年3月 期において、主として消化器系疾患製品の開発中止、オンコロジー製品の開発に係
る共同研究開発契約の終了や希少疾患製品の製造中止の決定により、57,341百万円の減損損失を計上しておりま
す。当該減損処理した無形資産の回収可能価額は、20,545百万円であります。
これらの損失は、連結損益計算書上の「製品に係る無形資産償却費及び減損損失」に計上されております。
減損損失は帳簿価額から回収可能価額を控除して計算されます。回収可能価額(使用価値)の算定に用いた重要
な仮定は以下のとおりであります。
割引率(税引後) 割引率(税引前)
2022年3月期 6.5%~14.0% 8.3%~17.5%
2023年3月期 6.5%~22.0% 8.6%~27.5%
2022年3月期および2023年3月期において、回収可能価額のうち一部は処分コスト控除後の公正価値(売却見込
額等)により測定しており、当該公正価値のヒエラルキーのレベルはレベル3であります。
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13 共同研究開発契約、ライセンス契約およびその他の資産取得
当社グループは、共同研究開発契約およびライセンス契約の締結ならびにその他の資産取得を実施しておりま
す。
(1) 導出契約
当社グループは、様々な導出契約を締結しており、特定の製品または知的財産権に関するライセンスを付与し、
その対価として契約一時金、パートナーの株式、開発マイルストン、販売マイルストン、売上を基準とするロイ
ヤルティ等を受領しております。これらのマイルストンにかかる変動対価の受取は不確実であり、ライセンシー
による特定の開発マイルストンの達成や、指定された年間正味売上水準の到達に左右されます。
導出契約の中、当社グループが過去3連結会計年度において締結した主要なものは以下のとおりであります。
Neurocrine Biosciences, Inc.(以下、「Neurocrine Biosciences」)
2020年6月、当社グループは、TAK-041、TAK-653およびTAK-831を含む当社グループの早期から中期開発段階の
精神疾患領域パイプラインの開発および製品化に関する、Neurocrine Biosciencesとの戦略的提携契約を締結い
たしました。当社グループは2020年7月に一時金として現金を受け取り、また、一定の開発マイルストン、販売
マイルストン、および売上高に応じたロイヤルティを取得する権利を有します。特定の開発段階において、当社
グループは、すべての臨床試験プログラムについて、一つひとつのパイプラインごとに、50:50の利益配分を受
ける、または受けない選択をすることができます。当社グループが50:50の利益配分の適用を受けるパイプライ
ンについて、当社グループは開発マイルストンまたは販売マイルストンを受領する権利を有しません。
(2) 共同研究開発契約、ライセンス(導入)契約およびその他の資産取得
通常、これらの契約では、提携企業の製品または開発中の製品の販売権を獲得し、その対価として、契約締結時
の一時金の支払いの他、将来の開発、規制当局からの承認取得、またはコマーシャルマイルストンおよびロイヤ
ルティの支払いに対する義務を負います。これらの契約においては、当社グループおよびライセンシーは、ライ
センス製品の開発および販売に積極的に関与しており、晒されるリスクおよび得られる経済的価値はその商業的
な成功に依存する場合があります。その他の資産取得は、被取得企業の価値の大部分が単一または複数の製品に
対する権利から構成される取得など、IFRS第3号の企業結合に該当しない企業の取得を含んでおります。
これらの共同研究開発契約、導入契約およびその他の資産取得契約の条件に基づいて、当社グループは、各年度
において以下の支払いを行いました。
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
契約一時金、マイルストンおよびその他の資
44,944 676,156
産取得
共同研究開発およびライセンス(導入)パー
785 494
トナーの株式取得
共同研究開発契約、ライセンス(導入)契約およびその他の資産取得契約の中、当社グループが過去3連結会計
年度において締結した主要なものは以下のとおりであります。
① Arrowhead Pharmaceuticals Inc.(以下、「Arrowhead社」)
2020年10月、当社グループは、α-1アンチトリプシン欠乏症による肝疾患(AATLD)を対象とし、現在臨床第2
相試験の段階にあるRNA干渉(RNAi)治療候補薬「ARO-AAT」の開発に向けた、Arrowhead社との提携およびライ
センス契約を締結しました。ARO-AATは、AATLDの進行を引き起こす変異型α-1アンチトリプシン蛋白の産生を
低減する目的で設計されたファースト・イン・クラスの治療薬となる可能性があります。本契約に基づき、当社
グループとArrowhead社は、ARO-AATを共同で開発するとともに、本薬が承認された場合、米国においては両社が
利益を50:50で折半する形で共同で販売を行います。当社グループは、全世界における販売戦略を主導するとと
もに、米国外の地域でのARO-AATの独占販売権を取得します。Arrowhead社は、本薬が承認、販売された場合、売
上収益に対する段階的なロイヤルティを受け取ります。Arrowhead社は、契約一時金を受領するとともに、開
発、申請、販売マイルストンを受け取る権利を有します。
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② Ovid Therapeutics Inc. (以下、「Ovid社」)
2021年3月、当社グループは、ドラベ症候群(DS)またはレノックス・ガストー症候群(LGS)を含む発達性お
よびてんかん性脳症の治療薬として臨床段階にあるsoticlestat(TAK-935/OV935)について、グローバルでの開
発および販売権をOvid社から獲得しました。2017年に締結された両社間の提携は終了し、当社グループは全世界
での開発と販売を単独で担うことになります。Ovid社は契約時に一時金を受領しており、開発、承認、販売のマ
イルストン支払い、およびsoticlestatが承認・上市された場合に段階的なロイヤリティを受領する権利を有し
ます。
③ Nimbus Therapeutics, LLC(以下、「Nimbus社」)
2022年12月、当社グループは、Nimbus社の完全子会社であるNimbus Lakshmi, Inc.の全株式を取得するため、
Nimbus社との間で株式譲渡契約を締結しました。本取引は2023年2月に完了しております。本取引を通じて、当
社グループは「TAK-279」(Nimbus社における旧「NDI-034858」)を取得しました。「TAK-279」は、経口のチロ
シンキナーゼ2(TYK2)に対する選択的なアロステリック阻害薬であり、乾癬を対象とした最近の臨床第2b相試
験の結果に続き、複数の自己免疫疾患の治療薬として評価が行われています。本契約にもとづき、当社グループ
(注)
は一時金として40億米ドルを本取引完了後に支払うことに合意しました 。また、「TAK-279」のプログラム
から開発された製品の年間の売上高が40億米ドルと50億米ドルとなった場合には、それぞれにつき10億米ドルの
マイルストンを同社に支払います。
本取引に関連して、当社グループは、Nimbus社とBristol-Myers Squibおよびその子会社である Celgene
Corporationとの間の2022年1月の和解契約におけるNimbus社の義務である「TAK-279」のプログラムから開発さ
れた製品の開発、薬事規制上の承認、および売上に関するマイルストン支払い義務を引き受けることに合意しま
した。
(注) 当社グループは、一時金40億米ドルのうち、2023年2月に30億米ドル、2023年4月に9億米ドルを支払っ
ております。残額の1億米ドルは2023年8月に支払を予定しております。
④ HUTCHMED(China)Limitedおよびその子会社であるHUTCHMED Limited(以下、「HUTCHMED社」)
2023年1月、当社グループは、HUTCHMED社と、全世界(中国本土、香港およびマカオを除く)を対象としたフル
キンチニブの開発および商業化に関する独占的ライセンス契約を締結しました。2018年に中国で承認されたフル
キンチニブは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)1/2/3に高い選択性を有する阻害薬です。フルキンチニブ
は経口投与され、バイオマーカーの状態にかかわらず、治療抵抗性の転移性大腸がん(mCRC)の様々なサブタイ
プで使用される可能性があります。本契約の条件に従い、当社グループは全世界(中国本土、香港およびマカオ
を除く)での、すべての適応症および地域におけるフルキンチニブの開発および商業化のための独占的ライセン
ス権を取得します。本取引は2023年3月に完了しております。契約条件に従い、2023年4月に当社グループは
HUTCHMED社に契約一時金として4億米ドルを支払いました。また、薬事規制上の承認、開発や販売の達成に応じ
たマイルストン(最大730百万米ドル)および売上に応じたロイヤルティを支払う可能性があります。
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14 持分法で会計処理されている投資
持分法で会計処理されている関連会社に関する財務情報は、以下のとおりであります。
なお、これらの金額は、当社グループの所有割合に基づくものであります。
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
当期利益 △15,367 △8,630
その他の包括利益 △497 △892
当期包括利益合計 △15,863 △9,522
持分法で会計処理されている関連会社に対する投資の帳簿価額は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前年度 当年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
持分法で会計処理されている投資の帳簿価額 96,579 99,174
15 その他の金融資産
(単位:百万円)
前年度 当年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
デリバティブ資産 41,890 79,654
転換社債への投資 10,409 11,435
負債性金融商品への投資 1,052 1,063
資本性金融商品への投資 148,451 157,731
条件付対価契約に関する金融資産 26,852 23,806
その他 30,205 26,168
合計 258,859 299,857
その他の金融資産(非流動) 233,554 279,683
その他の金融資産(流動) 25,305 20,174
2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在の資本性金融商品には上場会社への投資がそれぞれ84,188百万円および
74,495百万円含まれており、注記27で定義されている公正価値ヒエラルキーはレベル1と判断しております。残り
の資本性金融商品は、主に共同研究開発契約およびライセンス契約の締結に伴い取得した投資に関連しており(注
記13)、公正価値ヒエラルキーはレベル3と判断しております。
2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在の条件付対価契約に関する金融資産は、主に「XIIDRA」の売却に伴い認
識されたもので(注記27)、公正価値ヒエラルキーはレベル3と判断しております。
16 棚卸資産
(単位:百万円)
前年度 当年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
商品及び製品 224,102 269,042
仕掛品 404,087 436,508
原材料及び貯蔵品 224,977 280,908
合計 853,167 986,457
売上原価として計上された棚卸資産の評価損は、 2022年3月 期および 2023年3月 期において、それぞれ 25,018百万円
および 18,392百万円 であります。
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17 売上債権及びその他の債権
(単位:百万円)
前年度 当年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
売上債権 710,304 674,691
その他の債権 79,127 73,999
損失評価引当金 △9,390 △7,356
チャージバックおよびその他の引当金 △83,396 △91,904
合計 696,644 649,429
当社グループは特定の売上債権及びその他の債権について、一部の銀行に対してノンリコースで売却を行うプログラ
ムを利用しております。当該プログラムにおいて、売却された売上債権及びその他の債権は所有に係るリスクおよび
経済価値が移転した時点で認識を中止しております。これらの売上債権及びその他の債権は事前に決められた特定の
顧客にかかるもので売却権を有しますが、売却対象とする売上債権及びその他の債権は両者が月次で決定しておりま
す。そのため、これらの売上債権及びその他の債権は、現金の回収および銀行への売却を目的として保有するもので
あります。
売上債権及びその他の債権のうち、当社グループが売却する権利を有する顧客に対する債権は、回収および売却を保
有目的としていることからその他の包括利益を通じて公正価値で測定される負債性金融商品に分類しております。
2022年3月31日および2023年3月31日現在において、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される売上債権及び
その他の債権の残高は20,665百万円および71,080百万円であります。
18 現金及び現金同等物
(単位:百万円)
前年度 当年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
現金及び預金 389,059 229,557
短期投資 460,637 303,973
合計 849,695 533,530
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19 売却目的で保有する資産または処分グループ
当社グループは、連結財政状態計算書において特定の資産を売却目的保有に分類しております。非流動資産および処
分グループの帳簿価額が主に売却により回収される見込みであり、売却の可能性が非常に高いと考えられる場合に、
売却目的で保有する資産に振り替えております。売却目的で保有する非流動資産および処分グループは、帳簿価額と
売却コスト控除後の公正価値のいずれか低い金額で計上しております。
売却目的保有に分類された処分グループを、帳簿価額と、売却コスト控除後の公正価値のいずれか低い金額で計上す
る際に測定される利得または損失は、その他の営業収益または営業費用に計上しております。
売却目的で保有する処分グループ
(単位:百万円)
当年度
( 2023年3月31日 )
有形固定資産 9,847
のれん 3,347
無形資産 402
棚卸資産 1,200
繰延税金資産 45
その他の資産 395
資産合計 15,235
その他の負債 144
負債合計 144
2022年3月期に中国で販売している非中核資産である一部の一般用医薬品に関連する資産および負債の譲渡を完了
し、5,602百万円の譲渡益をその他の営業収益に計上しております(注記5)。また、当該取引にかかる売却収入は、
2022年3月期に連結キャッシュ・フロー計算書に計上された事業売却による収入(処分した現金及び現金同等物控除
後)28,196百万円の大部分を構成しております。なお、当社グループは、2022年3月期において、処分グループを売
却目的保有に分類したことによる減損損失の計上はありません。
2023年3月31日現在の売却目的で保有する処分グループは以下のとおりであり、公正価値のヒエラルキーレベルはレ
ベル3であります。
・日本の湘南ヘルスイノベーションパーク運営事業をiPi設立準備会社(現・アイパークインスティチュート株式会
社)に承継させることを経営者が決定し、契約を締結したことに伴い、2023年3月期において関連する無形資産等
の資産および負債を売却目的で保有する処分グループに振替えております。当該運営事業の承継は2023年4月に完
了しております。なお、当該運営事業の継承が2023年3月期における連結損益計算書に与える重要な影響はありま
せん。
・オーストリアにおいて「TACHOSIL」の製造事業の売却契約を締結したことに伴い、関連するのれん、有形固定資産
等の資産を売却目的で保有する処分グループに振替えております。
・日本の研修所の売却契約を締結したことに伴い、関連する有形固定資産等の資産を売却目的で保有する処分グルー
プに振替えております。
加えて、2023年3月期において、当社グループは、ノルウェーの製造拠点の売却契約を締結し、譲渡を完了しており
ます。当該売却収入は、2023年3月期に連結キャッシュ・フロー計算書に計上された事業売却による収入(処分した
現金及び現金同等物控除後)7,958百万円の大部分を構成しております。
なお、2023年3月期において、処分グループを売却目的保有に分類したことにより、4,693百万円の減損損失をその
他の営業費用に計上しております(注記5)。
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20 社債及び借入金
(単位:百万円)
前年度 当年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
社債 3,637,355 3,658,314
短期借入金 285 256
長期借入金 707,770 723,772
合計 4,345,410 4,382,341
社債及び借入金(非流動) 4,141,418 4,042,741
社債及び借入金(流動) 203,993 339,600
社債の内訳は以下のとおりであります。
前年度 当年度
発行通貨ベースの 利率
銘柄 ( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 ) 償還期限
元本額 (%)
(百万円) (百万円)
2024年10月6日
まで1.720
上記以降
劣後特約付
500,000百万円 498,154 498,876 6ヶ月LIBOR + 2079年6月
ハイブリッド社債
マージン
(1.750-2.750)
(注)5
2018年度ユーロ建 3ヶ月EURIBOR
2022年11月
750百万ユーロ 101,912 -
無担保普通社債 + マージン
(注)3
(変動金利) (1.100)
2018年度ユーロ建
2026年11月~
無担保普通社債 3,000百万ユーロ 405,290 433,611 2.250-3.000
2030年11月
(固定金利)
前年度
2023年11月~
2018年度米ドル建
3,250百万米ドル
無担保普通社債 395,303 298,842 4.400-5.000 2028年11月
当年度
(固定金利)
(注)2
2,250百万米ドル
Shire社買収により
2023年9月~
引き継いだ米ドル建 4,000百万米ドル 465,958 515,298 2.875-3.200
2026年9月
無担保普通社債
前年度 前年度
Shire社買収により 2025年6月~
1,520百万米ドル 3.600-5.250
引き継いだ米ドル建 185,998 174,239 2045年6月
当年度 当年度
無担保普通社債 (注)1
1,301百万米ドル 4.000-5.250
2020年度米ドル建
2030年3月~
無担保普通社債 7,000百万米ドル 849,391 928,210 2.050-3.375
2060年7月
(固定金利)
2020年度ユーロ建
2027年7月~
無担保普通社債 3,600百万ユーロ 485,985 519,808 0.750-2.000
2040年7月
(固定金利)
2021年度円貨建
無担保普通社債 250,000百万円 249,364 249,429 0.400 2031年10月
(固定金利)
コマーシャル・
40,000百万円 - 40,000 - 2023年6月
ペーパー
合計 3,637,355 3,658,314
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借入金の内訳は以下のとおりであります。
前年度 当年度
発行通貨ベースの 利率
名称 ( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 ) 返済期限
元本額 (%)
(百万円) (百万円)
2023年4月~
2016年度
200,000百万円 200,000 200,000 0.200-0.300
2026年4月
シンジケートローン
2017年度
113,500百万円 113,500 113,500 0.350 2027年4月
シンジケートローン
6ヶ月LIBOR+
2017年度米ドル建
1,500百万米ドル 183,028 199,993 0.500 2027年4月
シンジケートローン
(注)4
その他のバイラテラ 2024年4月~
210,000百万円 210,000 210,000 0.190-0.815
ルローン 2029年3月
その他 1,527 534
合計 708,055 724,027
当社グループは、2015年6月に発行した米ドル建無担保普通社債219百万米ドルについて、2022年6月23日の償還期
日に先立ち、2022年4月23日に繰上償還を実行しました ((注)1) 。2022年10月27日には、2018年11月に発行した
米ドル建無担保普通社債 の残高1,000百万米ドルについて、2023年11月26日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しま
した ((注)2) 。2022年11月21日には、2018年11月に発行した変動利付のユーロ 建無担保普通社債 の残高750百万
ユーロについて満期償還を実行しました ((注)3) 。2023年3月31日には、バイラテラルローン750億円について
満期返済を実行するとともに、同日に2029年3月30日を返済期限とする新たなバイラテラルローン契約750億円を締
結しました。さらに、2022年3月31日現在においてはコマーシャル・ペーパーを発行しておりませんでしたが、2023
年3月31日現在、400億円のコマーシャル・ペーパーを発行しております。
指標金利としてのLIBORの公表停止は2023年3月期の支払金利には影響しませんが、当社グループは、2017年度米ド
ル建シンジケートローン1,500百万米ドルについて融資パートナーと協議し、2023年7月1日よりSOFRを適用し、
6ヶ月LIBORを2023年10月より6ヶ月SOFR+0.42826%に置き換えることを2023年4月に合意しました((注)4)。
劣後特約付ハイブリッド社債(2024年10月6日まで固定金利、左記以降6ヶ月LIBOR+マージン)については、2024
年10月6日に早期償還されない場合に、代替的なベンチマークを決定するためにアドバイザーと協議をする予定です
((注)5)。指標金利の置き換えによる 当社グループのリスク管理戦略の 変更はありません。
当社グループは2019年9月に7,000億円のコミットメントファシリティー契約を複数の日本および在外銀行と締結す
ることに合意しました。当コミットメントファシリティーは2026年9月に満期を迎え、一般事業資金として使用可能
です。なお、 2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在において当7,000億円のコミットメントファシリティーの使
用はありません。
当社グループの長期融資契約には、毎年3月末および9月末において連結財政状態計算書における純負債の過去12か
月間の調整後EBITDA(調整後EBITDAは契約書にて定義されたもの)に対する比率が一定水準を上回らないことを求め
る等の財務制限条項が付されております。 2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在において当社グループは全ての
財務制限条項を遵守しております。
当社グループは、2017年に、2017年度米ドル建シンジケートローンのうち925百万米ドルに対し、支払金利を固定す
るため金利通貨スワップを締結しております。また、2017年度米ドル建シンジケートローンのうち残りの575百万米
ドルに対し、支払金利を固定するため金利スワップを締結しております。さらに、2020年には、2018年度米ドル建無
担保普通社債(固定金利)のうち1,750百万米ドルおよび2020年度米ドル建無担保普通社債(固定金利)のうち4,000
百万米ドルに対し、円建の支払額を固定するため通貨スワップを締結しております。
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21 その他の金融負債
(単位:百万円)
前年度 当年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
デリバティブ負債(注記27) 36,529 40,721
リース負債(注記27) 465,238 479,351
債権売却プログラムに関する金融負債 37,093 78,041
条件付対価契約に関する金融負債(注記27) 5,844 8,139
その他(注) 120,310 113,554
合計 665,014 719,806
その他の金融負債(非流動) 468,943 534,269
その他の金融負債(流動) 196,071 185,537
(注)主にワクチン運営に関連する預り金が含まれております。
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22 従業員給付
(1) 確定給付制度
当社および当社の一部連結子会社では、確定給付制度として、退職一時金、確定給付型年金制度等を採用してお
ります。従業員が退職時、退職後に受け取る給付額は、通常、従業員の年齢、勤続年数、報酬、職位、および役
務等の複数の要因によって算定されております。
当社グループの確定給付制度のうち、確定給付債務および制度資産の観点から最も重要なものは当社における確
定給付制度であります。
確定給付型年金制度
日本
当社の確定給付型企業年金制度は積立型の確定給付年金制度であり、我が国の年金法の一つである確定給付企業
年金法の定めに従い運用されております。従業員の勤続年数および当社への貢献度に応じ、一定期間(通常3年
以上)勤務した従業員に給付が支払われます。
当社の年金基金(以下、「基金」)は、我が国の年金法に従って、当社から独立した組織として設立されてお
り、当社グループは掛金の拠出が義務付けられております。基金の理事には、法令、法令に基づく厚生労働大臣
および地方厚生局長からの通達、基金の規約および代議員会の議決を遵守し、基金のために忠実に業務を遂行す
る責務が課されております。また、掛金拠出額は法令が認める範囲で定期的に見直され、必要に応じて調整を
行っております。
海外
当社グループのその他の確定給付型年金制度については、現地の法令に基づき、上記と同様の方法で設立および
運営されております。
確定給付債務の現在価値は、割引率、予定昇給率(給付の増加率)等の様々な数理計算上の仮定に基づき毎年算
定されております。確定給付制度に関連して営業費用として計上している勤務費用は、現役加入者が当年度にお
いて稼得した年金給付から生じる確定給付債務の増加を表しております。当社グループは、投資およびその他の
業績上のリスクに晒されており、定期拠出金、予想投資収益、および保有資産からの給付額が十分でないと予想
される場合は、追加の拠出金が必要となる場合があります。
連結損益計算書および連結財政状態計算書で認識した金額は以下のとおりであります。
連結損益計算書
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
国内 2,992 2,990
海外 14,387 13,782
確定給付費用合計 17,379 16,772
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連結財政状態計算書
(単位:百万円)
前年度 当年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
国内 海外 合計 国内 海外 合計
確定給付債務の現在価値 168,449 254,462 422,912 153,371 247,725 401,096
制度資産の公正価値 225,363 117,140 342,503 217,296 128,333 345,630
資産上限額の影響 30,953 - 30,953 41,311 - 41,311
退職給付に係る負債
△25,961 137,323 111,362 △22,614 119,392 96,777
(△は資産)
連結財政状態計算書
退職給付に係る負債 8,524 137,323 145,847 8,202 119,392 127,594
退職給付に係る資産(注) 34,485 - 34,485 30,816 - 30,816
連結財政状態計算書における
△25,961 137,323 111,362 △22,614 119,392 96,777
資産および負債の純額
(注)退職給付に係る資産は、連結財政状態計算書上、「その他の非流動資産」に含まれております。
① 確定給付債務
(ⅰ) 現在価値の増減
確定給付債務の現在価値増減の要約は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
国内 海外 合計 国内 海外 合計
期首残高 180,321 251,767 432,088 168,449 254,462 422,912
当期勤務費用 3,098 10,934 14,032 3,174 10,787 13,961
利息費用 1,209 3,545 4,754 1,371 5,838 7,209
確定給付制度の再測定
人口統計上の仮定の変化
97 △2,313 △2,216 164 102 266
による数理計算上の差異
財務上の仮定の変化によ
△2,994 △28,726 △31,720 △10,735 △42,603 △53,338
る数理計算上の差異
実績修正 △2,522 4,457 1,935 459 3,477 3,935
過去勤務費用 40 1,400 1,440 - △38 △38
給付支払額 △10,799 △9,971 △20,769 △9,511 △9,955 △19,467
従業員による拠出 - 2,297 2,297 - 3,807 3,807
企業結合及び処分の影響額 - 60 60 - - -
為替換算差額 - 21,013 21,013 - 21,849 21,849
期末残高 168,449 254,462 422,912 153,371 247,725 401,096
確定給付債務の加重平均残存期間は、 2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在、それぞれ 14.0年 および 12.6
年 であります。
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(ⅱ) 現在価値の算定に用いた重要な数理計算上の仮定
前年度 当年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
国内 0.8 % 1.3 %
割引率
海外 2.1 % 3.4 %
国内 2.5 % -
昇給率
海外 2.8 % 3.0 %
当社グループはキャッシュバランスプランを保有しており、それらの制度にかかる退職給付債務の現在価値の
算定に昇給率は用いられておりません。 2022年3月31日 現在、国内および海外の一部の確定給付制度にかかる
退職給付債務の現在価値の算定に昇給率は用いられておりません。 2023年3月31日 現在、国内のすべての制度
および海外の一部の確定給付制度にかかる退職給付債務の現在価値の算定に昇給率は用いられておりません。
(ⅲ) 感応度分析
他の変動要因が一定である前提で、重要な数理計算上の仮定が0.5%変動した場合に、年度末の退職給付債務の
現在価値に与える影響は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
当年度
前年度
( 2022年3月31日 )
( 2023年3月31日 )
0.5%上昇した場合 △10,756 △9,235
国内
0.5%低下した場合 11,699 10,000
割引率
0.5%上昇した場合 △16,997 △14,411
海外
0.5%低下した場合 19,192 15,931
0.5%上昇した場合 6 -
国内
0.5%低下した場合 △6 -
昇給率
0.5%上昇した場合 3,654 3,578
海外
0.5%低下した場合 △3,334 △3,278
② 制度資産
確定給付制度に関する基金は当社グループから独立しておりますが、当社グループからの拠出のみを財源として
おります。制度資産の運用は、現在または将来の加入者に対する年金給付等の支払を将来にわたり確実に行うた
め、許容されるリスクのもとで必要とされるリターンを長期的に確保することを目的としております。また、掛
金等の収入と給付支出の中長期的な動向とその変動を考慮して十分な検討を行うこととしております。この目
的、検討を踏まえ、投資対象としてふさわしい資産を選択するとともに、その期待収益率・リスク等を考慮した
上で、将来にわたる最適な資産の組み合わせである基本資産配分を策定しております。
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(ⅰ) 公正価値の増減
制度資産の公正価値増減の要約は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
期首残高 333,392 342,503
制度資産に係る利息収益 3,016 4,608
確定給付制度の再測定
制度資産に係る収益 △85 △15,712
事業主による拠出 7,581 12,769
従業員による拠出 2,297 3,807
給付支払額 △15,084 △13,589
為替換算差額 11,387 11,244
期末残高 342,503 345,630
2024年3月期における、確定給付制度への拠出金額は12,485百万円と予測しております。
(ⅱ) 公正価値の資産種類別内訳
(単位:百万円)
前年度 当年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
活発な市場での 活発な市場での 活発な市場での 活発な市場での
市場価格が 市場価格が 市場価格が 市場価格が
あるもの ないもの あるもの ないもの
株式
国内 10,156 2,713 9,911 2,178
海外 34,924 101,870 38,277 81,265
債券
国内 1,296 15,876 14,567 17,405
海外 21,028 46,683 10,407 33,893
生命保険一般勘定 - 72,556 - 70,775
受益証券 - 12 - 40,026
現金及び現金同等物 10,106 - 7,681 -
その他 △1,069 26,350 517 18,727
制度資産合計 76,442 266,061 81,360 264,269
活発な市場での市場価格がない株式および債券は、主に活発な市場に上場している株式および債券にかかる合
同運用投資への出資が含まれます。生命保険一般勘定は生命保険会社が複数の契約の資金を合同運用する勘定
であり、元本および一定の予定利率が保証されています。
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③ 資産上限額の影響
資産上限額の影響の増減は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
期首残高
25,757 30,953
利息収益 170 248
再測定
資産上限額の影響の変動 5,026 10,110
期末残高 30,953 41,311
(2) 確定拠出制度
当社および一部の連結子会社は確定拠出制度を採用しております。確定拠出制度の給付額は、拠出額、各加入者
が選択した投資の運用実績、および加入者が選択した給付金の受給形式に基づいております。これらの制度への
拠出は、通常、独立して管理されている基金に対して行われます。これらの制度について、当社グループが支払
う拠出金は営業費用として計上しております。当社グループは、確定拠出制度について、投資リスクやその他の
業績上のリスクに晒されておりません。
確定拠出制度に関して費用として計上された金額は、 2022年3月 期および 2023年3月 期において、それぞれ
37,345百万円 および 46,446百万円 であります。なお、これらの金額には公的制度への拠出に関して費用として認
識した金額を含んでおります。
(3) その他の従業員給付費用
退職給付以外の従業員給付に係る費用のうち主なものは、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
給料 458,039 573,080
賞与 127,888 133,792
その他 187,440 237,857
上記には解雇給付費用を含んでおりません。
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23 引当金
引当金の内訳および増減内容は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
売上割戻及び返
訴訟引当金 事業構造再編に
品調整に関する その他 合計
(注記32) 係る引当金
引当金
2021年4月1日残高 73,395 32,297 377,772 26,562 510,026
期中増加額 28,235 12,193 835,096 24,826 900,351
期中減少額(目的使用) △59,386 △16,280 △833,159 △15,651 △924,476
期中減少額(戻入) △252 △15,948 △10,574 △3,739 △30,513
為替換算差額 877 1,091 35,846 2,498 40,312
2022年3月31日残高 42,869 13,353 404,982 34,497 495,701
期中増加額 25,096 7,807 1,005,330 17,095 1,055,328
期中減少額(目的使用) △3,981 △12,098 △953,287 △16,538 △985,905
期中減少額(戻入) △95 △1,066 △25,624 △11,200 △37,985
為替換算差額 402 956 33,813 2,019 37,190
2023年3月31日残高 64,290 8,951 465,214 25,874 564,329
引当金のうち流動負債に計上されている金額は、 2021年4月1日 、 2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在、
それぞれ471,278百万円、 443,502百万円 、 508,360百万円 であり、引当金のうち非流動負債に計上されている金額
は、 2021年4月1日 、 2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在、それぞれ38,748百万円、 52,199百万円 、
55,969百万円 であります。
事業構造再編に係る引当金
当社グループは、 2022年3月 期および 2023年3月 期において、Shire社の買収に係る、システム、拠点、機能の統
合と人材配置の最適化を含む、様々な事業構造再編の取組みや、運営体制や関連設備の効率性を向上させるその
他の様々な取組みを行っております。
事業構造再編に係る引当金は、事業構造再編に係る詳細な公式計画を策定した時点で認識しております。当社グ
ループは、その計画に関して発生する費用の見積り発生額に基づき引当金および関連費用を計上しております。
計画に係る最終的な費用発生額および支払時期は、実際の再編実施時期および事業再編により影響を受ける従業
員の活動により影響を受けます。
各連結会計年度において計上された事業構造再編に係る費用は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
資金取引
退職手当 15,230 10,605
コンサルタント費用 2,963 12,709
その他 65,163 33,601
資金取引合計額 83,357 56,915
非資金取引
減価償却費および減損損失 479 2,320
合計額 83,836 59,234
その他の事業構造再編に係る費用は主に従業員のリテンション、契約解除費用に関連するものであります。なお、
2022年3月 期および 2023年3月 期におけるその他の事業構造再編費用のうち、それぞれ9,420百万円および9,683百
万円が人件費であり、その主な内容はリテンションボーナスと事業構造再編の取組みに専従する従業員に対する給
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与であります。また、 2022年3月 期および 2023年3月 期におけるその他の事業構造再編に係る費用には、 デジタル
トランスフォーメーションの取り組みにおける、Shire社統合に伴うシステム最適化にかかる費用が含まれておりま
す。
売上割戻および返品調整
当社グループは、主に販売した製商品の売上割戻、返品調整等に係る引当金を認識しております。上表の残高に
は、 米国におけるメディケイドおよびコマーシャル・マネージドケア・プログラム等の、医療機関との契約に関連
する割戻支払額ならびに州および連邦政府が行う公的医療制度に関連する契約上および法定の割戻支払額にかかる
引当金 が、 2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在においてそれぞれ266,113百万円および293,385百万円含まれ
ております。これらの費用は通常1年以内に支払われることが見込まれております。返品調整に係る引当金は、主
に期限の切れた製商品に関する顧客への返金に関連するものであります。売上割戻および返品調整については、月
次で、または金額に重要な変動があった場合に、見直しおよび調整を行っております。
その他
その他の引当金は、主に資産除去債務、契約解除費用および不利な契約に関連するものであります。
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24 その他の負債
(単位:百万円)
前年度 当年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
未払費用(注)1 505,466 531,891
繰延収益(注)2 74,551 32,103
その他 72,146 68,083
合計 652,163 632,078
その他の負債(非流動) 67,214 65,389
その他の負債(流動) 584,949 566,689
(注)1 未払費用には、従業員給付に係る未払費用が 2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在、それぞれ209,772
百万円および229,130百万円含まれております。
2 繰延収益には、 導出契約、並びに製品調達及び供給契約に関連した契約負債、および有形固定資産の取得に
関して受領した政府補助金が含まれております。このうち政府補助金は 2022年3月31日 および 2023年3月31
日 現在、それぞれ 15,221百万円および15,894百万円であり、主なものは、当社グループのワクチン関連の開
発・生産体制整備への投資の一部を補助するものであり、設備への投資額の返還を受けております。この政
府補助金は、関連設備の耐用年数にわたって、「売上原価」、「販売費及び一般管理費」、および「研究開
発費」に含まれる減価償却費の減額として純損益に認識しております。
25 仕入債務及びその他の債務
(単位:百万円)
前年度 当年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
仕入債務 295,934 307,453
未払金 220,364 341,780
合計 516,297 649,233
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26 資本及びその他の資本項目
(1) 授権株式数および発行済株式数
(単位:千株)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
授権株式数 3,500,000 3,500,000
発行済株式数
期首 1,576,388 1,582,253
ストック・オプションの行使による増加 10 44
新株発行による増加 5,855 -
期末 1,582,253 1,582,296
(注)当社の発行する株式は、すべて権利内容に何ら限定のない無額面の普通株式であります。
上記の発行済株式数に含まれる自己株式数は、 2021年4月1日 、 2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在、そ
れぞれ13,030千株、 31,892千株 、および 27,767千株 であります。
このうち、株式付与ESOP信託および役員報酬BIP信託が所有する当社の株式数は、 2021年4月1日 、 2022年3月31
日 および 2023年3月31日 現在、それぞれ12,772千株、 9,161千株 および 6,215千株 であります。 2022年3月 期にお
いて1,185千株を取得し、4,796千株を売却しており、 2023年3月 期において 554千株 を取得し、 3,500千株 を売却
しております。
2022年3月期において、当社は、国外の当社グループ従業員に対する長期インセンティブ報酬制度(Long-Term
Incentive Plan)に基づき、新たに普通株式3,874千株を発行しました。新株発行により、当社の資本金および資本
剰余金は、それぞれ7,138百万円および7,138百万円増加しました。
2023年3月期において、当社は、国外の当社グループ従業員に対する長期インセンティブ報酬制度に基づき、自己
株式8,091千株を処分しました。自己株式処分により、当社の自己株式は27,599百万円減少しました。
なお、当該普通株式及び自己株式は、当社米国預託証券(American Depositary Share)に転換の上、従業員に交付
されています。
(2) 自己株式の取得
当社グループは、2021年10月28日開催の取締役会における自己株式の取得に係る事項の決議に基づき、2022年3月
期において、普通株式22,469千株、74,973百万円の自己株式を取得しました。また、 2023年3月 期において、普通
株式6,908千株、24,993百万円の自己株式を取得し、当該決議に基づく取得は終了しました。
(3) 配当
配当金の総額 1株当たり配当額
基準日 効力発生日
(百万円) (円)
前年度
(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 )
2021年度第1四半期 141,859 90.00 2021年3月31日 2021年6月30日
2021年度第3四半期 142,387 90.00 2021年9月30日 2021年12月1日
当年度
(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日 )
2022年度第1四半期 140,365 90.00 2022年3月31日 2022年6月30日
2022年度第3四半期 140,474 90.00 2022年9月30日 2022年12月1日
なお、配当の効力発生日が翌年度となるものは以下のとおりであります。
配当金の総額 1株当たり配当額
基準日 効力発生日
(百万円) (円)
2023年度第1四半期 140,475 90.00 2023年3月31日 2023年6月29日
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27 金融商品
(1) 財務上のリスク管理
① リスク管理方針
当社グループは、事業活動を行う過程において生じる財務上のリスクを軽減するために、リスク管理を行っており
ます。当社グループの晒されている主なリスクは、市場リスク、取引先の信用リスク、流動性リスクを含み、為
替、金利、商品その他の金融資産の価格変動等の市場環境の変化により生じるものであります。これらのリスク
は、当社グループのリスク管理方針に基づき管理しております。
② 金融商品の内容
(単位:百万円)
その他の包括
償却原価で
純損益を通じ ヘッジ会計を
その他の
前年度 利益を通じて
測定される て公正価値で 適用している 合計
公正価値で
(2022年3月31日)
金融負債
測定 デリバティブ
金融資産
測定
公正価値で測定される
金融資産
その他の金融資産
資本性金融商品 - 148,451 - - - 148,451
デリバティブ - - 19,141 22,749 - 41,890
転換社債への投資 - - 10,409 - - 10,409
負債性金融商品
- - 1,052 - - 1,052
への投資
条件付対価契約に
- - 26,852 - - 26,852
関する金融資産
売上債権及びその他
- 20,665 - - - 20,665
の債権
合計 - 169,117 57,454 22,749 - 249,320
公正価値で測定されな
い金融資産
その他の金融資産
その他 30,205 - - - - 30,205
売上債権及び
675,979 - - - - 675,979
その他の債権
現金及び現金同等物 849,695 - - - - 849,695
合計 1,555,879 - - - - 1,555,879
公正価値で測定される
金融負債
その他の金融負債
デリバティブ - - 6,074 30,455 - 36,529
条件付対価契約に
- - 5,844 - - 5,844
関する金融負債
合計 - - 11,918 30,455 - 42,373
公正価値で測定されな
い金融負債
その他の金融負債
リース負債 - - - - 465,238 465,238
その他 - - - - 157,403 157,403
仕入債務及び
- - - - 516,297 516,297
その他の債務
社債及び借入金 - - - - 4,345,410 4,345,410
合計 - - - - 5,484,348 5,484,348
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(単位:百万円)
その他の包括
償却原価で
純損益を通じ ヘッジ会計を
その他の
当年度 利益を通じて
測定される て公正価値で 適用している 合計
公正価値で
(2023年3月31日)
金融負債
測定 デリバティブ
金融資産
測定
公正価値で測定される
金融資産
その他の金融資産
資本性金融商品 - 157,731 - - - 157,731
デリバティブ - - 17,131 62,522 - 79,654
転換社債への投資 - - 11,435 - - 11,435
負債性金融商品
- - 1,063 - - 1,063
への投資
条件付対価契約に
- - 23,806 - - 23,806
関する金融資産
売上債権及びその他
- 71,080 - - - 71,080
の債権
合計 - 228,811 53,435 62,522 - 344,769
公正価値で測定されな
い金融資産
その他の金融資産
その他 26,168 - - - - 26,168
売上債権及び
578,349 - - - - 578,349
その他の債権
現金及び現金同等物 533,530 - - - - 533,530
合計 1,138,047 - - - - 1,138,047
公正価値で測定される
金融負債
その他の金融負債
デリバティブ - - 15,261 25,460 - 40,721
条件付対価契約に
- - 8,139 - - 8,139
関する金融負債
合計 - - 23,400 25,460 - 48,860
公正価値で測定されな
い金融負債
その他の金融負債
リース負債 - - - - 479,351 479,351
その他 - - - - 191,595 191,595
仕入債務及び
- - - - 649,233 649,233
その他の債務
社債及び借入金 - - - - 4,382,341 4,382,341
合計 - - - - 5,702,520 5,702,520
③ 公正価値測定
公正価値で測定されるデリバティブおよび非デリバティブ金融商品は、公正価値測定を行う際のインプットの重要
性を反映した、以下の3段階の公正価値ヒエラルキーに分類しております。レベル1は活発に取引される市場での
同一の資産または負債の取引相場価格などの観察可能なインプットとして定義されます。レベル2は、レベル1に
含まれる相場価格以外のインプットのうち、資産又は負債について直接的又は間接的に観察可能なものとして定義
されます。レベル3は資産又は負債に関する観察可能でないインプットであります。
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(単位:百万円)
2022年3月31日 レベル1 レベル2 レベル3 合計
資産:
純損益を通じて公正価値で測定される
金融資産
デリバティブ - 19,141 - 19,141
転換社債への投資 - - 10,409 10,409
負債性金融商品への投資 - - 1,052 1,052
条件付対価契約に関する金融資産 - - 26,852 26,852
ヘッジ会計を適用している
- 22,749 - 22,749
デリバティブ
その他の包括利益を通じて公正価値で
測定される金融資産
売上債権及びその他の債権 - 20,665 - 20,665
資本性金融商品 84,188 - 64,263 148,451
合計 84,188 62,556 102,576 249,320
負債:
純損益を通じて公正価値で測定される
金融負債
デリバティブ - 6,074 - 6,074
条件付対価契約に関する金融負債
- - 5,844 5,844
ヘッジ会計を適用している
- 30,455 - 30,455
デリバティブ
合計 - 36,529 5,844 42,373
(単位:百万円)
2023年3月31日 レベル1 レベル2 レベル3 合計
資産:
純損益を通じて公正価値で測定される
金融資産
デリバティブ - 10,542 6,589 17,131
転換社債への投資 - - 11,435 11,435
負債性金融商品への投資 - - 1,063 1,063
条件付対価契約に関する金融資産 - - 23,806 23,806
ヘッジ会計を適用している
- 62,522 - 62,522
デリバティブ
その他の包括利益を通じて公正価値で
測定される金融資産
売上債権及びその他の債権 - 71,080 - 71,080
資本性金融商品 74,495 - 83,236 157,731
合計 74,495 144,144 126,129 344,769
負債:
純損益を通じて公正価値で測定される
金融負債
デリバティブ - 8,672 6,589 15,261
条件付対価契約に関する金融負債
- - 8,139 8,139
ヘッジ会計を適用している
- 25,460 - 25,460
デリバティブ
合計 - 34,131 14,728 48,860
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④ 評価技法
レベル2に分類されるデリバティブの公正価値は、財務管理システムの評価モデル、またはブラック・ショール
ズ・モデルを用いて測定しております。これらの評価技法への重要なインプットは観察可能な市場情報に基づいて
おります。
レベル3に分類されるデリバティブには、バーチャル電力販売契約に基づく再生可能エネルギーの固定価格と市場
変動価格との差額から生じるキャッシュ・フローの決済に関連して認識したデリバティブおよび当該キャッシュ・
フローの変動を相殺するために行った契約により認識したデリバティブが含まれております。レベル3に分類され
るデリバティブの公正価値は、割引キャッシュ・フロー法を用いて算定しており、主な仮定として再生可能エネル
ギーの予想価格および再生可能エネルギー発電設備の予想発電量が考慮されております。
転換社債の公正価値は、割引キャッシュ・フロー法、オプション・プライシング・モデル等の評価技法を用いて算
定して おります。
当社グループが売却する権利を有する顧客に対する売上債権及びその他の債権の公正価値は、請求額に基づいて測
定しております。
資本性金融商品および負債性金融商品は売買目的保有ではありません。資本性金融商品または負債性金融商品が活
発な市場で取引されている場合、公正価値は期末日の相場価格に基づいております。資本性金融商品または負債性
金融商品が活発な市場で取引されていない場合、公正価値は各期末日現在の入手可能な情報および類似企業に基づ
き、修正簿価純資産法またはEBITDA倍率法を用いて算定しております。レベル3に分類された資本性金融商品また
は負債性金融商品の公正価値算定に用いた観察可能でない主なインプットは、EBITDA倍率法におけるEBITDA倍率で
あり、3.9倍から13.7倍の範囲に分布しております。 2022年3月 期および 2023年3月 期において、特定の上場株式の
処分により、それぞれ5,357百万円および6,935百万円の資本性金融商品に係る累積利得を、その他の包括利益から
利益剰余金に振り替えております。これら資本性金融商品の処分時における公正価値はそれぞれ16,929百万円およ
び21,800百万円であります。当該投資は、当社グループの事業戦略を勘案し、経営者による評価に基づき処分され
ております。
条件付対価契約に関する金融資産および金融負債は、売却時または企業結合における取得日時点の公正価値で測定
しております。条件付対価契約が金融資産または金融負債の定義を満たす場合は、その後の各期末日において公正
価値で再測定しております。公正価値はシナリオ・ベース・メソッドや割引後のキャッシュ・フロー等を基礎とし
て算定しており、主な仮定として、各業績指標の達成可能性、将来収益予測および割引率が考慮されております。
なお、条件付対価契約に関する金融資産は主に「XIIDRA」の売却に伴い認識した金融資産であります。条件付対価
契約に関する金融負債の詳細は、「⑦ 条件付対価契約に関する金融負債」 に記載しております。
⑤ 公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替
当社グループは、報告期間に発生した公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替を報告期間の末日において生じたも
のとして認識しております。 2022年3月 期および 2023年3月 期において、レベル3からレベル1への振替がありま
した。当該振替は、以前取引所に上場しておらず、観察可能である活発な市場で取引がなかった企業の株式が取引
所に上場したことによるものです。同社の株式は現在活発な市場において取引されており、活発な市場における取
引相場価格を有しているため、公正価値の測定額を公正価値ヒエラルキーのレベル3からレベル1に振替えており
ます。上記以外に、 2022年3月 期および 2023年3月 期において公正価値ヒエラルキーのレベル間の重要な振替はあ
りません。
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⑥ レベル3の金融資産の公正価値
当社グループは、主に研究協力企業への出資を目的として、資本性金融商品への投資を行っております。 2022年3
月 期および 2023年3月 期におけるレベル3の金融資産の公正価値の期首残高から期末残高への調整は以下のとおり
であります。レベル3の金融負債である条件付対価契約に関する金融負債については、「⑦ 条件付対価契約に関す
る金融負債」に記載しております 。レベル3の金融資産に関して、公正価値の測定に影響を与える重要な仮定が変
動した場合における、公正価値の重要な変動はありません。
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
条件付対価 条件付対価
資本性 資本性
契約に関する 契約に関する
金融商品 金融商品
金融資産 金融資産
期首残高 25,446 52,468 26,852 64,263
金融収益または金融費用として計上された公正
△1,043 - 1,905 -
価値の変動
条件付対価契約に関する金融資産の時間の経過
- - △3,412 -
以外による公正価値の変動
その他の包括利益を通じて公正価値で測定され
る金融資産の公正価値の変動および在外営業活 2,448 23,345 2,182 8,244
動体の換算差額にかかる変動
期中決済額 - - △3,722 -
購入 - 7,919 - 8,527
売却 - △644 - △22
レベル1への振替 - △23,856 - △1,711
製品に係る無形資産の売却に伴う取得 - 5,645 - -
転換社債の転換による取得 - 725 - 1,368
持分法で会計処理されている投資からの振替 - - - 3,404
持分法で会計処理されている投資への振替 - △1,339 - △837
期末残高 26,852 64,263 23,806 83,236
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⑦ 条件付対価契約に関する金融負債
条件付対価契約に関する金融負債は、当社グループが買収した被買収企業における既存の条件付対価契約を含む、
開発マイルストンおよび販売マイルストンの達成等の将来の事象を条件とする企業結合における条件付対価または
ライセンス契約に基づき認識した金融負債であります。
各期末日において、条件付対価契約に関する金融負債の公正価値は、リスク調整後の将来キャッシュ・フローを適
切な割引率を用いて割り引いた金額に基づいて再測定しております。
2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在の残高は主に過去の買収から生じた既存の条件付対価契約に関するもの
であります。
条件付対価契約に関する金融負債の公正価値は、公正価値測定の前提となる特定の仮定が変動することにより増減
します。当該仮定には、マイルストンの達成可能性が含まれます。
条件付対価契約に関する金融負債の公正価値のヒエラルキーのレベルはレベル3であります。 2022年3月 期および
2023年3月 期における 条件付対価契約に関する金融負債 の期首残高から期末残高への調整および期日別支払予定額
は以下のとおりであります。 条件付対価契約に関する金融負債に関して、公正価値に影響を与える重要な仮定が変
動した場合における、公正価値の重要な変動はありません。
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
期首残高 27,770 5,844
企業結合による増加額 5,203 -
製品に係る無形資産の売却に伴う取
△11,479 -
崩
期中公正価値変動額 △10,705 2,605
期中決済額 △6,293 △728
為替換算差額 1,348 418
期末残高 5,844 8,139
期日別支払予定額(割引前)
(単位:百万円)
前年度 当年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
1年以内 606 918
1年超3年以内 2,869 4,537
3年超5年以内 2,000 2,980
5年超 980 1,031
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⑧ 公正価値で測定されない金融商品
連結財政状態計算書上において公正価値で測定されない金融商品の帳簿価額と公正価値は以下のとおりでありま
す。短期間で決済され、帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっている場合、金融商品の公正価値情報は下の
表から除外しております。
(単位:百万円)
前年度 当年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
帳簿価額 公正価値 帳簿価額 公正価値
社債 3,637,355 3,630,521 3,618,314 3,291,147
長期借入金 707,770 703,032 723,772 721,419
長期金融負債は帳簿価額で認識しております。社債の公正価値は、評価技法への重要なインプットが観察可能な市
場情報に基づいている時価情報によっており、長期借入金の公正価値は、一定の期間ごとに区分した債務ごとに、
その将来キャッシュ・フローを信用リスクを加味した利率により割り引いた現在価値によっております。社債およ
び長期借入金の公正価値のヒエラルキーはレベル2であります。
(2) 市場リスク
市場環境が変動するリスクにおいて、当社グループが晒されている主要なものには①為替リスク、②金利リスク、
③価格変動リスクがあります。市場リスクの影響を受ける金融商品には、貸付金及び借入金、預金、資本性金融商
品ならびにデリバティブ金融商品が含まれております。
① 為替リスク
当社グループは、主に外貨建の事業活動および当社の在外子会社に対する純投資により、為替変動リスクに晒され
ております。当社グループはデリバティブ金融商品を利用して為替リスクを集約して管理しております。当社グ
ループのポリシーでは投機目的で外貨建金融資産やデリバティブを保有することは認められておりません。
当社グループは、個別に金額的に重要な外貨建取引について、先物為替予約、通貨スワップおよび通貨オプション
を利用してヘッジを行っております。また、米ドル建およびユーロ建の借入金および社債、特定の先物為替予約を
ヘッジ手段に指定し、純投資ヘッジを適用しております。外貨建借入金および外貨建社債の公正価値は、 2022年3
月31日 現在においてそれぞれ 184,520百万円 および 2,871,256百万円 であり、 2023年3月31日 現在においてそれぞれ
200,491百万円 および 2,548,795百万円 であります。
当社グループは主に米ドルとユーロの為替リスクに晒されております。当社グループは保有する金融商品の公正価
値の為替レート変動に対する感応度を分析しています。分析の結果、 2022年3月31日 現在および 2023年3月31日 現
在において、円が他のすべての通貨に対して5%変動した場合における純損益に与える影響に重要性はありませ
ん。この分析は、その他の変動要因、特に金利は一定であることを前提としており、また、ある通貨の円に対する
為替レートが変動しても、他の通貨の円に対する為替レートには影響を与えないことを前提としています。さら
に、この分析は、金融商品を保有する企業の機能通貨建ての金融商品に関する外貨換算の影響は含まれておりませ
ん。
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前年度( 2022年3月31日 )
(単位:百万円)
契約額等の
契約額等 公正価値
うち1年超
先物為替予約
売建
ユーロ 243,870 - △11,315
米ドル 445,285 - △8,181
買建
ユーロ 244,041 - 11,326
米ドル 360,656 - 4,894
通貨スワップ
買建
米ドル 717,114 717,114 8,686
当年度( 2023年3月31日 )
(単位:百万円)
契約額等の
契約額等 公正価値
うち1年超
先物為替予約
売建
ユーロ 975,368 - △4,799
米ドル 179,942 - △341
買建
ユーロ 1,056,070 - 31
通貨スワップ
買建
米ドル 717,114 717,114 41,044
上記の通貨スワップは、当社がキャッシュ・フロー・ヘッジとして指定した外貨建社債および借入金に関連するも
のであります。通貨スワップにかかるキャッシュ・フロー・ヘッジ剰余金は、ヘッジされた将来見積キャッシュ・
フローが発生するのと同じ期間に純損益に振り替えております。
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② 金利リスク
当社グループは、売却する権利を有する顧客に対する売上債権及びその他の債権、および変動利付負債について市
場金利および為替の変動リスクに晒されております。当社グループは、キャッシュ・フロー・ヘッジ戦略に基づ
き、金利変動リスクおよび為替変動リスクを抑制するため、金利スワップ、金利先渡取引および金利通貨スワップ
を実施して支払金利の固定化を図っております。なお、公正価値ヘッジ戦略に基づき、固定金利の負債を効果的に
変動金利に変換するためデリバティブを締結する場合もあります。各連結会計年度末において、キャッシュ・フ
ロー・ヘッジに指定された金利スワップ、金利先渡取引および金利通貨スワップは以下のとおりであります。
(単位:百万円)
契約額等の
契約額等 公正価値
うち1年超
前年度( 2022年3月31日 ) 787,370 787,370 8,637
当年度( 2023年3月31日 ) 1,098,862 1,048,862 44,042
当社グループは、保有する金融商品の公正価値について金利の感応度分析を行っております。分析の結果、 2022年
3月31日 現在および 2023年3月31日 現在において、1%の金利変動があった場合における純損益に与える影響に重
要性はありません。その他の変動要因、特に為替レートは一定であることを前提としております。
③ 価格変動リスク
商品価格リスク
当社グループは、事業活動において価格変動リスクにさらされております。当社グループは主に固定価格の契約を
締結することによってリスクを管理しておりますが、価格を固定する金融商品を使用する場合もあります。
市場価格リスク
当社グループの固定支払の金融資産および金融負債の市場価格と評価は上記の通り管理されている為替レート、金
利および信用スプレッドの影響を受けます。資本性金融商品について、当社グループは、株価および発行会社の財
務状況をレビューすることにより価格変動リスクを管理しております。
2022年3月31日 現在および 2023年3月31日 現在において、保有する資本性金融商品および当社グループのために資
本性金融商品を保有する信託に対する投資について、市場価格が10% 変動した場合におけるその他の包括利益に与
える影響に重要性はありません。なお、資本性金融商品に係る公正価値の変動は資本に直接計上されるため、純損
益に与える影響はありません。
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(3) デリバティブ金融商品
上記の通り、当社グループは、海外における様々な通貨による事業活動および機能通貨の異なる在外営業活動体に
関連して為替レートの変動によるリスクに晒されております。また、当社グループの事業活動や取得にかかる資金
調達を目的として実行した借入金および社債に関連して為替レートおよび金利の変動に晒されております。さら
に、当社グループが売却する権利を有する顧客に対する売上債権及びその他の債権に関連して金利の変動に晒され
ております。これらは、為替レートおよび金利の変動によるリスクに晒される様々な通貨および変動利率による場
合があります。
為替レートおよび金利の変動によるリスクに対応するため、当社グループは格付けの高い金融機関との間でデリバ
ティブ取引を行っております。当社グループは、契約締結に係る権限や取引の制限を規定した当社グループのリス
ク管理方針に従いデリバティブ取引の契約を締結しております。当社グループの方針として、デリバティブは為替
レートおよび金利変動によるリスクの軽減を目的とする場合のみ利用することとなっており、投機目的での利用は
ありません。当該方針は継続的に遵守されております。
当社グループは、通常デリバティブ取引を、会計処理の観点からヘッジ手段として指定しております。また、ヘッ
ジ会計を適用しないものの、実質的な為替リスクの管理を目的としたデリバティブ契約(バランスシート・ヘッ
ジ)を締結する場合もあります。バランスシート・ヘッジは、外貨建の資産・負債残高から生じる為替影響と相殺
するために使用されます。当該為替デリバティブ取引は相殺されるため、ヘッジ会計を適用する必要はありませ
ん。当社グループは、金融商品の使用に係るリスク評価方法やコントロールに関する方針を策定しており、この中
で、取引実行にかかる責任と運営、会計、管理にかかる責任を明確に区分する職務分掌を規定しております。
デリバティブおよびヘッジ活動が財政状態および業績に与える影響の要約
2022年3月31日 現在のヘッジ手段として指定された項目、その他の包括利益に認識されたヘッジ対象として指定さ
れた項目に関する金額、およびその他の包括利益に認識されたヘッジ手段の公正価値の変動および純損益に振り替
えた金額の詳細は以下のとおりであります。
ヘッジ手段
ヘッジ手段が含まれて
帳簿価額 帳簿価額 の公正価値
契約額 -資産 -負債 いる連結財政状態計算 評価に使用
(百万円) (百万円) されている
書上の表示科目
平均レート
キャッシュ・フロー・ヘッジ
金利リスク
金利スワップ 575百万米ドル - 49 その他の金融負債 2.83%
金利リスク及び為替リスク
107.43円
金利通貨スワップ 6,675百万米ドル 22,749 14,063 その他の金融資産/負債
1.85%
純投資ヘッジ
5,108百万米ドル - 624,138 社債及び借入金
外貨建社債及び借入金
7,368百万ユーロ - 1,001,896 社債及び借入金
594百万米ドル - 4,982 その他の金融負債
先物為替予約
1,815百万ユーロ - 11,360 その他の金融負債
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(単位:百万円)
キャッシュ・フロー・ヘッジ
ヘッジコスト剰余金
剰余金および
純投資ヘッジ剰余金
キャッシュ・フロー・ヘッジ
金利リスク
金利スワップ 425 -
金利先渡取引 △21,313 -
金利リスク及び為替リスク
金利通貨スワップ △48,573 △6,135
為替リスク
企業結合に係るヘッジ 3,560 -
純投資ヘッジ
外貨建社債及び借入金 97,977 -
先物為替予約 54,778 -
(単位:百万円)
その他の包括利益に
純損益への組替調整額
認識した金額
キャッ
ヘッジ手
ヘッジ シュ・フ ヘッジ 組替調整額を含む
段の価値
コスト ロー・ヘッ コスト 表示科目
の変動
ジ
キャッシュ・フロー・ヘッジ
金利リスク
金利スワップ - - 金融費用
3,992 1,398
金利先渡取引 - - 金融費用
△605 2,312
金利リスク及び為替リスク
金利通貨スワップ 金融収益/金融費用
79,394 6,611 △83,031 △3,071
純投資ヘッジ
外貨建社債及び借入金 - - -
107,064
先物為替予約 - - -
35,646
2023年3月31日 現在のヘッジ手段として指定された項目、その他の包括利益に認識されたヘッジ対象として指定さ
れた項目に関する金額、およびその他の包括利益に認識されたヘッジ手段の公正価値の変動および純損益に振り替
えた金額の詳細は以下のとおりであります。
ヘッジ手段
ヘッジ手段が含まれて
帳簿価額 帳簿価額 の公正価値
契約額 -資産 -負債 いる連結財政状態計算 評価に使用
(百万円) (百万円) されている
書上の表示科目
平均レート
キャッシュ・フロー・ヘッジ
金利リスク
575百万米ドル 5,148 - その他の金融資産 2.83%
金利スワップ
75,000百万円 - 50 その他の金融負債 0.56%
金利先渡取引 230,000百万円 - 2,100 その他の金融負債 0.54%
金利リスク及び為替リスク
107.43円
金利通貨スワップ 6,675百万米ドル 55,223 14,179 その他の金融資産/負債
1.85%
純投資ヘッジ
4,086百万米ドル - 545,327 社債及び借入金
外貨建社債及び借入金
6,591百万ユーロ - 957,993 社債及び借入金
1,368百万米ドル 728 1,069 その他の金融資産/負債
先物為替予約
4,384百万ユーロ 1,424 8,062 その他の金融資産/負債
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(単位:百万円)
キャッシュ・フロー・ヘッジ
ヘッジコスト剰余金
剰余金および
純投資ヘッジ剰余金
キャッシュ・フロー・ヘッジ
金利リスク
金利スワップ 2,948 -
金利先渡取引 △21,182 -
金利リスク及び為替リスク
金利通貨スワップ △72,678 △23,127
為替リスク
企業結合に係るヘッジ 3,560 -
純投資ヘッジ
外貨建社債及び借入金 188,343 -
先物為替予約 80,584 -
(単位:百万円)
その他の包括利益に
純損益への組替調整額
認識した金額
キャッ
ヘッジ手
ヘッジ シュ・フ ヘッジ 組替調整額を含む
段の価値
コスト ロー・ヘッ コスト 表示科目
の変動
ジ
キャッシュ・フロー・ヘッジ
金利リスク
金利スワップ - - 金融収益
3,993 △360
金利先渡取引 - - 金融費用
△2,123 2,312
金利リスク及び為替リスク
金利通貨スワップ 金融収益/金融費用
54,566 △21,426 △89,289 △3,052
純投資ヘッジ
外貨建社債及び借入金 - - -
142,456
先物為替予約 - - -
25,806
2022年3月 期および 2023年3月 期において、純損益に認識したヘッジの非有効部分に係る金額に重要性はありませ
ん。
2022年3月 期および 2023年3月 期において、その他の包括利益に認識したもののヘッジ対象からのキャッシュ・フ
ローの発生が見込まれないため純損益に振り替えた金額に重要性はありません。
(4) 資本リスク管理
当社グループの資本は、株主資本(注記26)、社債及び借入金(注記20)および現金及び現金同等物(注記18)で
構成されております。当社グループは、経営の健全性・効率性を堅持し、持続的な成長を実現するため、安定的な
財務基盤を構築および維持することを資本リスク管理の基本方針としております。当該方針に沿い、競争力のある
製品の開発・販売を通じて獲得している潤沢な営業キャッシュ・フローを基盤として、事業上の投資、配当等によ
る株主還元、借入返済を実施しております。
当社グループは特定の売上債権及びその他の債権にかかる債権売却プログラムを利用しております。当該プログラ
ムにおいて、売却された売上債権及びその他の債権は所有に係るリスクおよび経済価値が移転する時点で認識を中
止しております。債権売却プログラムの対象である顧客からの債権のうち、連結会計年度末時点で未売却の金額は
注記17に記載しております。
当社グループは、資本と負債のバランスを考慮しつつ、保守的な財務政策を順守しております。
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(5) 信用リスク
① 信用リスク
当社グループは、営業活動における信用リスク(主に売上債権)、銀行等の金融機関への預金および外国為替取引
ならびにその他の金融商品取引を含む財務活動における信用リスクに晒されております。決算日現在における、保
有する担保の評価額を考慮に入れない場合の最大の信用リスク額は、信用リスクに晒される金融資産の連結財政状
態計算書上の帳簿価額であります。当社グループは銀行等の金融機関に対する信用リスクの状況を定期的にモニタ
リングしております。
顧客の信用リスク
売上債権及びその他の債権は顧客の信用リスクに晒されております。当社グループは、債権管理に係る社内規程に
従い、取引先ごとに期日管理および残高管理を行うとともに、主要な取引先の信用状況を定期的に把握し、回収懸
念の早期把握や潜在的な信用リスクの軽減を図っております。 同時に、当社グループは特定の顧客に対する売上債
権及びその他の債権について、一部の銀行に対してノンリコースで売却を行うプログラムを利用しております。こ
れにより、これらの顧客に関する信用リスクを最小化しております。 さらに必要に応じて、担保・保証などの保全
措置も講じております。
② 期日が経過しているが減損していない金融資産
2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在の売上債権の帳簿価額およびこれに対する損失評価引当金の期日別分析
は以下のとおりであります。
前年度( 2022年3月31日 )
(単位:百万円)
期日経過
期日内 合計
30日超 60日超 90日超
30日以内 1年超
60日以内 90日以内 1年以内
売上債権(総額) 569,289 19,369 5,972 3,670 14,391 14,217 626,908
損失評価引当金 △3,274 △23 △88 △50 △963 △4,993 △9,390
売上債権(純額) 566,015 19,346 5,884 3,620 13,428 9,224 617,518
加重平均損失率 0.6 % 0.1 % 1.5 % 1.4 % 6.7 % 35.1 % 1.5 %
当年度( 2023年3月31日 )
(単位:百万円)
期日経過
期日内 合計
30日超 60日超 90日超
30日以内 1年超
60日以内 90日以内 1年以内
売上債権(総額) 499,795 23,676 14,999 8,975 19,912 15,430 582,787
損失評価引当金 △2,219 △66 △66 △33 △694 △4,278 △7,356
売上債権(純額) 497,576 23,610 14,933 8,942 19,218 11,152 575,431
加重平均損失率 0.4 % 0.3 % 0.4 % 0.4 % 3.5 % 27.7 % 1.3 %
過去の支払状況および顧客の信用リスクを幅広く分析した結果、期日を経過している未減損の額は全額回収可能であ
ると判断しております。
2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在、当社グループは、期日の経過していない売上債権及びその他の債権につ
いて、取引先の信用情報の分析に基づいて損失評価引当金を測定しております。売上債権に対する損失評価引当金
は、実務上の便法を用いて予想信用損失を集合的に測定しております。しかし、顧客の財務状況の悪化や支払遅延等
の将来キャッシュ・フローの見積に悪影響を与える事象が発生した場合、予想信用損失は信用減損金融資産として個
別の資産ごとに測定しております。当社グループは、該当がある場合に担保の回収を除き、顧客が債務の全額を返済
する可能性が低くなった場合に、金融資産が債務不履行に陥ったと判断しております。
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前年度および当年度における売上債権に対する損失評価引当金の増減は以下のとおりであります。売上債権以外の債
権に対して認識された損失評価引当金の金額に重要性はありません。
(単位:百万円)
信用減損金融資産に
実務上の便法により測定
対して認識された 合計
された損失評価引当金
損失評価引当金
2021年4月1日 残高 2,359 6,278 8,637
期中増加額 999 1,837 2,836
期中減少額(直接償却) △60 △2,147 △2,207
期中減少額(戻入) △333 △533 △866
為替換算差額 446 544 990
2022年3月31日 残高 3,411 5,979 9,390
期中増加額 92 190 282
期中減少額(直接償却) △719 △2,509 △3,228
期中減少額(戻入) △119 △213 △332
為替換算差額 662 582 1,244
2023年3月31日 残高 3,327 4,029 7,356
その他のカウンターパーティーリスク
当社グループの手許資金につきましては、その大部分を、プーリングを通じて当社および欧米の地域財務管理拠点
に集中しております。この資金は、資金運用に係る社内規程に従い、格付の高い短期の銀行預金および債券等に限
定し、格付・運用期間などに応じて設定している限度額に基づいて運用しているため、信用リスクは僅少でありま
す。
プーリングの対象としていない資金につきましては、連結子会社において当社の規程に準じた管理を行っておりま
す。
デリバティブの利用にあたっては、カウンターパーティーリスクを軽減するために、格付の高い金融機関とのみ取
引を行っております。
(6) 流動性リスク
① 流動性リスク管理
当社グループは流動性リスクを管理しており、当社グループの短期、中期、長期の資金と流動性の管理のための、
適切な流動性リスク管理のフレームワークを設定しております。
当社グループは、予算と実際のキャッシュ・フローを継続的に監視することにより、流動性リスクを管理しており
ます。また、流動性リスクに備えるため、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結しております(注記
20)。当社グループは、偶発的なリスクを軽減し、予測される資金需要を上回る資金水準を維持することを目的と
して、流動性のある短期投資と格付けの高い相手方とのコミットメントラインとの組み合わせにより、利用可能な
流動性を最大化するよう努めております。
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② 金融負債の期日別残高
金融負債の期日別残高は以下のとおりであります。なお、契約上の金額は利息支払額を含んだ割引前のキャッ
シュ・フローを記載しております。 2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在の金額は、割引前将来キャッシュ・
フローを各決算日の直物為替レートで換算したものであります。
(単位:百万円)
1年超 2年超 3年超 4年超
帳簿価額 合計 1年以内 5年超
2年以内 3年以内 4年以内 5年以内
2022年3月31日
社債及び借入金
社債 3,637,355 4,648,070 221,182 395,333 580,073 167,299 632,188 2,651,995
借入金 708,055 733,219 78,155 103,540 54,623 90,696 105,942 300,263
仕入債務及びその
516,297 516,297 516,297 - - - - -
他の債務
リース負債 465,238 645,782 53,877 52,489 48,660 44,907 39,502 406,347
デリバティブ負債 36,529 △48,275 21,144 △1,390 △2,090 △2,405 △2,647 △60,887
デリバティブ資産 △41,890 △151,044 △26,505 △7,060 △9,183 △9,183 △9,573 △89,540
2023年3月31日
社債及び借入金
社債 3,658,314 4,640,222 331,223 586,179 182,261 685,321 164,573 2,690,665
借入金 724,027 767,558 113,404 60,482 92,999 107,483 317,706 75,484
仕入債務及びその
649,233 649,233 649,233 - - - - -
他の債務
リース負債 479,351 665,983 59,623 56,009 51,229 46,111 41,281 411,730
デリバティブ負債 40,721 △64,835 15,858 △509 △2,324 △2,231 △2,243 △73,386
デリバティブ資産 △79,654 △234,200 △28,814 △17,443 △13,297 △13,302 △33,858 △127,486
社債の契約額のうち、 2022年3月31日 の「2年超3年以内」および 2023年3月31日 現在の「1年超2年以内」の金
額には、劣後特約付きハイブリッド社債(以下、「ハイブリッド債」)元本全額を2024年10月6日以降の各利払日
において早期償還する可能性があるため、当ハイブリッド債の元本5,000億円が含まれています。これらの社債およ
び借入金の詳細については、社債及び借入金(注記 20)をご参照ください。
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(7) 財務活動から生じた金融負債の調整表
前年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 )
(単位:百万円)
負債のヘッ 負債のヘッ
長期 短期
ジに用いら ジに用いら
社債 リース負債 合計
れるデリバ れるデリバ
借入金 借入金
ティブ資産 ティブ負債
2021年4月1日 残高 3,532,202 1,103,100 69 436,412 △1,506 58,293 5,128,570
財務活動によるキャッ
シュ・フロー
短期借入金及びコマー
シャル・ペーパーの純 - - △2 - - - △2
増減額(△は減少)
社債の発行による収入 249,334 - - - - - 249,334
長期借入金の返済によ
- △414,105 - - - - △414,105
る支出
社債の償還による支出 △395,106 - - - - △903 △396,009
リース負債の支払額 - - - △39,694 - - △39,694
利息の支払額 - - - △13,934 - - △13,934
非資金項目
為替レートの変動 237,833 18,737 219 34,701 - - 291,490
公正価値の変動 - - - - △21,243 △43,327 △64,570
リース契約の締結、修
正および解約による変 - - - 33,819 - - 33,819
動
その他 13,092 39 - 13,934 - - 27,065
2022年3月31日 残高 3,637,355 707,770 285 465,238 △22,749 14,063 4,801,964
「その他」には、償却原価法の適用による債務の増加額が含まれております。
当年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日 )
(単位:百万円)
負債のヘッ 負債のヘッ
長期 短期
ジに用いら ジに用いら
社債 リース負債 合計
れるデリバ れるデリバ
借入金 借入金
ティブ資産 ティブ負債
2022年4月1日 残高 3,637,355 707,770 285 465,238 △22,749 14,063 4,801,964
財務活動によるキャッ
シュ・フロー
短期借入金及びコマー
シャル・ペーパーの純 40,000 - - - - - 40,000
増減額(△は減少)
長期借入れによる収入 - 75,000 - - - - 75,000
長期借入金の返済によ
- △75,181 - - - - △75,181
る支出
社債の償還による支出 △281,489 - - - - △281,489
-
リース負債の支払額 - - - △43,401 - - △43,401
利息の支払額 - - - △16,580 - - △16,580
非資金項目
為替レートの変動 253,390 16,135 25 32,173 - - 301,723
公正価値の変動 - - - - △32,474 116 △32,358
リース契約の締結、修
正および解約による変 - - - 25,341 - - 25,341
動
その他 9,058 48 △54 16,580 - - 25,632
2023年3月31日 残高 3,658,314 723,772 256 479,351 △55,223 14,179 4,820,649
「その他」には、償却原価法の適用による債務の増加額が含まれております。
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28 株式報酬
当社グループは、当社グループの取締役および一部の従業員に対し、株式に基づく報酬制度を採用しております。
2022年3月 期および 2023年3月 期において、連結損益計算書に計上した株式に基づく報酬制度に係る報酬費用の総
額は、それぞれ 43,730百万円 および61,024百万円であります。
(1) 持分決済型株式報酬(ストック・オプション制度)
当社グループは、2014年3月期まで、取締役、コーポレート・オフィサーおよび上級幹部に対するストック・オ
プション制度を有しておりました。前年度および当年度において付与されたストック・オプションはありませ
ん。また、過去に付与されたストック・オプションはすべて権利が確定しております。当該ストック・オプショ
ンは、通常付与日から3年後に権利が確定するものであります。取締役に対するストック・オプションの権利行
使期間は付与日から10年間、コーポレート・オフィサーおよび上級幹部に対するストック・オプションの権利行
使期間は付与日から20年間であります。ストック・オプションを行使する者は、行使時において当社の取締役ま
たは従業員であることを要します。ただし、任期満了により退任、定年退職またはその他正当な理由により退職
した場合はこの限りではありません。
なお、 2022年3月 期および 2023年3月 期において、ストック・オプションはすべて権利確定済みであるため、ス
トック・オプション制度に関して計上された報酬費用はありません。
各連結会計年度におけるストック・オプション数の変動および加重平均行使価格の要約は以下のとおりでありま
す。
(ⅰ) ストック・オプション数の変動および加重平均行使価格
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 ) (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日 )
加重平均 加重平均
オプション数(株) オプション数(株)
行使価格(円) 行使価格(円)
期首未行使残高 3,357,200 4,082 3,347,100 4,094
権利行使 △10,100 1 △43,500 2,802
期末未行使残高 3,347,100 4,094 3,303,600 4,111
2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在における期末残高は全て権利確定済みであり行使可能です。
(ⅱ) ストック・オプションの行使の状況
ストック・オプション行使時の加重平均株価は 2022年3月 期および 2023年3月 期において、それぞれ 3,815円 お
よび 3,852円 であります。
未行使のストック・オプションの加重平均行使価格は 2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在、それぞれ
4,094円 および 4,111円 であり、加重平均残存契約年数はそれぞれ 10年 および 9年 であります。
(2) 持分決済型株式報酬(株式付与制度)
当社グループは、当社グループの取締役および上級幹部を含む一定の従業員に対して株式に基づく以下の3つの
インセンティブ報酬制度を導入しております。
役員報酬BIP(Board Incentive Plan)信託(以下、「BIP信託」)
BIP信託とは、譲渡制限付株式ユニット(Restricted Stock Units)およびパフォーマンス・シェア・ユニット
(Performance Share Units)を参考に制度設計された取締役向けインセンティブプランであり、当社の取締役に
対して譲渡制限付株式ユニット報酬(Restricted Stock Unit awards) と業績連動株式ユニット報酬
(Performance Share Unit awards)(1ポイント=1普通株式)を付与するものであります。当該BIP信託によ
る報酬のうち、譲渡制限付株式ユニット報酬は、役務提供要件に基づき、付与日から3年間にわたって均等に権
利が確定します。業績連動株式ユニット報酬は、社内取締役を対象とし、役務提供要件に加え、当社グループの
戦略的焦点および持続的成長の目標に合致する特定の業績指標の達成度合いに基づき、付与日から3年後に権利
が確定します。業績連動株式ユニット報酬の趣旨に基づき適用される業績指標は、主に(i)3年間の売上収益の累
計、(ii)3年間のCore営業利益率の累計、(iii)3年間のフリー・キャッシュ・フローの累計、(iv)研究開発指標
および(v)3年間の相対的株主総利回りであります。報酬の決済は、株価、適用のある源泉徴収税、外国為替レー
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ト(日本国外の場合)、および権利確定期間中の配当金等に基づいて行われます。当社は、当社が完全保有して
いる信託を通じて、付与日において市場から当社株式を取得し、その株式を用いて報酬の決済を行っておりま
す。 個人が受領する株式数(株式現物または株式の換価処分金相当額の金銭)は、業績目標の達成度および権利
の確定に基づいております。BIP信託は、日本国内に在住する個人について株式交付により決済を行い、日本国外
に在住する個人については、その個人が権利を有する株式の売却による換価相当の金銭を支払うことで決済して
おります。
株式付与ESOP(Employee Stock Ownership Plan)信託(以下、「ESOP信託」)
ESOP信託とは、譲渡制限付株式ユニット(Restricted Stock Units)およびパフォーマンス・シェア・ユニット
(Performance Share Units)を参考に制度設計された当社の従業員向けインセンティブプランであり、当社の上
級幹部を含む一定の従業員に対して譲渡制限付株式ユニット報酬(Restricted Stock Unit awards)と業績連動株
式ユニット報酬(Performance Share Unit awards)(1ポイント=1普通株式)を付与するものであります。一
部の上級幹部については、譲渡制限付株式ユニット報酬と業績連動株式ユニット報酬が付与され、それ以外の従
業員については譲渡制限付株式ユニット報酬が付与されます。譲渡制限付株式ユニット報酬は、役務提供要件に
基づき、3年間にわたって均等に権利が確定します。業績連動株式ユニット報酬は、役務提供要件に加え、当社
グループの戦略的焦点および持続的成長の目標に合致する特定の業績指標の達成度合いに基づいて決済され、付
与日から3年後に権利が確定します。業績連動株式ユニット報酬の趣旨に基づき適用される業績指標は、主に(i)
3年間の売上収益の累計、(ii)3年間のCore営業利益率の累計、(iii)3年間のフリー・キャッシュ・フローの累
計、(iv)研究開発指標および(v) 3年間の相対的株主総利回りであります。報酬の決済は、株価、適用のある源
泉徴収税および権利確定期間中の配当金等に基づいて行われます。当社は、当社が完全保有している信託を通じ
て、付与日において市場買付または当社による新株発行により当社株式を取得し、その株式を用いて報酬の決済
を行っております。個人が受領する株式数は、業績目標の達成度および権利の確定に基づいております。ESOP信
託は、日本国内に在住する個人について株式交付により決済を行い、日本国外に在住する個人については、その
個人が権利を有する株式の売却による換価相当の金銭を支払うことで決済しております。
国外の当社グループ従業員に対する長期インセンティブ報酬制度(Long-Term Incentive Plan)以下、
「LTIP」 )
LTIPは、2020年6月24日の取締役会において承認された、上級幹部を含む一定の国外の当社グループ従業員を対
象としたインセンティブプランであり、譲渡制限付株式ユニット(Restricted Stock Units)、パフォーマン
ス・ストック・ユニット(Performance Stock Units)およびその他の株式に基づく報酬を提供するものでありま
す。付与されたLTIPは、米国預託証券(American Depository Share)(以下、「ADS」)または現金もしくはそ
の組み合わせにより決済されます。
2020年7月1日における初回の付与以降、LTIPに基づき付与された報酬は、譲渡制限付株式ユニット報酬
(Restricted Stock Unit awards)と業績連動株式ユニット報酬(Performance Stock Unit awards)でありま
す。譲渡制限付株式ユニット報酬は、役務提供要件に基づき、3年間にわたって均等に権利が確定します。業績
連動株式ユニット報酬は、役務提供要件に加え、当社グループの戦略的焦点および持続的成長の目標に合致する
特定の業績指標の達成度合いに基づき、付与日から3年後に権利が確定します。 業績連動株式ユニット報酬の趣
旨に基づき適用される業績指標は、主に (i)3年間の売上収益の累計 (ii) 3年間の Core営業利益率 の累計 、(iii)
3年間のフリー・キャッシュ・フローの累計、(iv)研究開発指標および(v)3年間の相対的株主総利回りでありま
す。報酬の決済は、(ADSにより決済される場合にはADSに転換された)当社の普通株式の評価額を基礎とし、適
用のある源泉徴収税、外国為替レート、および権利確定期間中の配当金に基づいて行われます。
譲渡制限付株式ユニット報酬と業績連動株式ユニット報酬は、日本国外の国であって現地の法律および規制の観
点からADSでの決済が許可されている国に在住し雇用される受益者に対してはADSで決済されます。日本国外の国
であって現地の法律、規制又は運用上の理由でADSでの決済が許可されていない国においては、現金により決済
し、現金決済型株式報酬として会計処理が行われます(「(3)現金決済型株式報酬」参照)。
株式付与制度に関して認識された報酬費用の総額は、 2022年3月 期および 2023年3月 期において、それぞれ
43,374百万円 および 60,672百万円 であります。
付与された報酬ポイントの付与日現在の加重平均公正価値は以下のとおりであります。
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前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
BIP信託:
付与日現在の加重平均公正価値 3,738 円 3,759 円
ESOP信託:
付与日現在の加重平均公正価値 3,738 円 3,759 円
持分決済型LTIP:
1,877 円 1,909 円
付与日現在の加重平均公正価値
(契約通貨ベース: 16.90 米ドル) (契約通貨ベース: 14.09 米ドル)
BIP信託およびESOP信託の付与日の公正価値は、付与日の当社株式の株価に近似していると判断されたことから、
付与日の株価を使用して算定しており、LTIPの付与日の公正価値は、付与日のADSの株価に近似していると判断さ
れたことから、付与日の当社ADSの株価を使用して算定しております。なお、当社のADS1株は当社の普通株式0.5
株に相当します。
各連結会計年度におけるBIP信託のポイント数(1ポイント=1普通株式)、ESOP信託のポイント数(1ポイント
=1普通株式)、およびLTIPのポイント数(1ポイント=1ADS)の変動は以下のとおりであります。当社のADS1
株は当社の普通株式0.5株に相当します。
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
BIP信託 ESOP信託 BIP信託 ESOP信託
持分決済型LTIP 持分決済型LTIP
(ポイント数) (ポイント数)
(ポイント数) (ポイント数) (ポイント数) (ポイント数)
期首残高 1,035,843 7,751,952 23,412,994 1,216,361 3,372,452 40,861,734
権利付与 536,121 534,437 29,211,506 544,491 450,340 38,897,622
権利失効 - △552,490 △4,270,590 △13,554 △96,015 △4,682,948
権利行使 △355,603 △4,361,447 △7,466,212 △435,309 △2,949,200 △15,237,880
現金決済型LTIPへの付
- - △25,964 - - △85,930
け替え
現金決済型RSUへの付
- - - - △3,733 -
け替え
期末残高 1,216,361 3,372,452 40,861,734 1,311,989 773,844 59,752,598
2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在において、行使可能残高はありません。
BIP信託のポイントの加重平均残存契約年数は、 2022年3月31日 現在および 2023年3月31日 現在はそれぞれ1年で
あります。ESOP信託の加重平均残存契約年数は、 2022年3月31日 現在は0年、 2023年3月31日 現在は1年であり
ます。LTIPのポイントの加重平均残存契約年数は、 2022年3月31日 現在および 2023年3月31日 現在、それぞれ1
年であります。
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(3) 現金決済型株式報酬
当社グループは、特定の従業員に対して、擬似株式増価受益権(PSAR:Phantom Stock Appreciation Right)お
よび譲渡制限付株式ユニット(RSU:Restricted Stock Unit)を付与しております。これらの株式報酬は、当社株
式の価格に連動しており、現金で決済されます。また、上記「(2) 持分決済型株式報酬(株式付与制度)」にお
いて記載しているLTIPに基づき、現地の法律、規制又は運用上の理由でADSまたは当社の普通株式による決済が許
可されていない国において付与されたポイントは現金により決済されます。これらの現金決済型の株式報酬に関
して、 2022年3月 期においては費用356百万円を、 2023年3月 期においては費用352百万円を計上しております。
連結財政状態計算書に認識された負債は、 2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在、それぞれ1,583百万円およ
び1,026百万円であります。
① 擬似株式増価受益権(PSAR)
PSAR(PSAR:Phantom Stock Appreciation Right)は、付与日の属する連結会計年度末から3年間にわたって
毎年付与数の3分の1ずつ権利が確定します。権利行使期間は、付与日の属する連結会計年度末から10年間で
あります。株式報酬は、付与日における当社の株価と権利行使日における株価との差額を現金で支払うことで
決済されます。
各連結会計年度におけるPSARの権利数(1権利=1普通株式)および加重平均行使価格の変動は以下のとおり
であります。
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
加重平均行使価格
加重平均行使価格
PSAR(権利数)
PSAR(権利数)
(円)
(円)
期首残高 2,270,439 4,997 1,471,095 5,481
権利満期消滅 △799,344 5,134 △1,253,565 6,054
期末残高 1,471,095 5,481 217,530 5,956
2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在における残高は全て権利確定済みであり行使可能です。
権利が確定した現金決済型株式報酬制度に関する本源的価値は、 2022年3月31日 現在および 2023年3月31日 現在
においてはありません。
② 譲渡制限付株式ユニット(RSU)
RSU(RSUs:Restricted Stock Units)は、付与日の属する連結会計年度末から3年間にわたって毎年付与数の
3分の1ずつ権利が確定し、権利確定時における株価相当額に権利確定期間中の配当金相当額を加味した金額
を現金で支払うことにより決済されます。RSUには、権利保有者が支払うべき行使価格はありません。
各連結会計年度におけるRSUの権利数(1権利=1普通株式)の変動は以下のとおりであります。
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
RSU(権利数) RSU(権利数)
期首残高 778,451 317,734
権利失効 △62,649 △8,208
権利行使 △398,068 △313,259
持分決済型ESOPからの付け替え - 3,733
期末残高 317,734 -
2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在において、行使可能残高はありません。
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③ 現金決済型長期インセンティブ報酬制度(Cash-Settled Long-Term Incentive Plan)(以下、「現金決済型
LTIP」)
上述の通り、現地の法律、規制又は運用上の理由でADSでの決済が許可されていない国において付与された譲渡
制限付株式報酬と業績連動型株式報酬は、現金により決済され、現金決済型LTIP(Cash-Settled Long-Term
Incentive Plan)として会計処理されております。
各連結会計年度における現金決済型LTIPの権利数(1権利=1ADS)の変動は以下のとおりであります。
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
現金決済型LTIP(権利数) 現金決済型LTIP(権利数)
期首残高 262,994 296,640
権利付与 153,604 213,224
権利失効 △25,682 △30,372
権利行使 △120,240 △197,780
持分決済型LTIPからの付け替え 25,964 85,930
期末残高 296,640 367,642
2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在において、行使可能残高はありません。
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29 子会社および関連会社
2023年3月 期において、連結子会社は25社減少しました。これは主に、Shire社グループの統合の一環として資本関
係を整理すべく子会社の合併および清算手続きを行っていることによるものであります。また、持分法適用関連会
社は、持分比率の変動等により2社減少しました。
2023年3月31日 時点の当社グループの連結子会社および持分法適用関連会社の内訳は、以下のとおりであります。
(連結子会社(パートナーシップを含む))
議決権所有割合
会社名 国名
(%)
武田ファーマシューティカルズU.S.A., Inc.
米国 100.0
アリアド・ファーマシューティカルズ Inc.
米国 100.0
武田ワクチン Inc.
米国 100.0
米州武田開発センター Inc.
米国 100.0
バクスアルタ Incorporated
米国 100.0
ダイアックス Corp.
米国 100.0
武田ベンチャー投資 Inc.
米国 100.0
バクスアルタUS Inc.
米国 100.0
シャイアー・ヒューマン・ジェネティック・セラピーズ Inc.
米国 100.0
バイオライフ・プラズマ・サービシズ LP
米国 100.0
武田マニュファクチャリングU.S.A., Inc.
米国 100.0
武田ファーマシューティカルズ・インターナショナル AG
スイス 100.0
武田 GmbH
ドイツ 100.0
武田イタリア S.p.A.
イタリア 100.0
武田オーストリア GmbH
オーストリア 100.0
武田フランス S.A.S.
フランス 100.0
英国武田 Limited
英国 100.0
武田アイルランド Limited
アイルランド 100.0
シャイアー・ファーマシューティカルズ・インターナショナル
アイルランド 100.0
Unlimited Company
シャイアー・アクイジションズ・インベストメンツ・アイルラン
アイルランド 100.0
ド Designated Activity Company
シャイアー・アイルランド・ファイナンス・トレーディング
アイルランド 100.0
Limited
武田カナダ Inc.
カナダ 100.0
武田 Farmaceutica Espana S.A.
スペイン 100.0
武田マニュファクチャリング・オーストリア AG
オーストリア 100.0
バクスアルタ・マニュファクチャリング S.à r.l.
スイス 100.0
バクスアルタ・イノベーションズ GmbH
オーストリア 100.0
武田 Pharma AB
スウェーデン 100.0
武田 Pharma AG
スイス 100.0
武田オランダ B.V.
オランダ 100.0
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議決権所有割合
会社名 国名
(%)
武田ファーマシューティカルズ Limited Liability Company
ロシア 100.0
武田Distribuidora Ltda.
ブラジル 100.0
武田メキシコ S.A.de C.V.
メキシコ 100.0
武田 Pharma Ltda.
ブラジル 100.0
武田アルゼンチン S.A.
アルゼンチン 100.0
武田(中国)投資有限公司 中国 100.0
武田(中国)国際貿易有限公司 中国 100.0
武田ファーマシューティカルズ韓国 Co., Ltd.
韓国 100.0
アジア武田開発センターPte. Ltd.
シンガポール 100.0
天津武田薬品有限公司 中国 100.0
武田マニュファクチャリング・シンガポール Pte.Ltd.
シンガポール 100.0
その他140社
(持分法適用関連会社)17社
30 関連当事者取引
主要な経営幹部に対する報酬
主要な経営幹部は取締役と定義しております。主要な経営幹部に対する報酬は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前年度 当年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
基本報酬及び賞与 1,614 1,640
株式報酬 2,547 2,403
その他 38 43
合計 4,199 4,085
31 企業結合
当年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日 )
当年度において重要な企業結合はありません。
前年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 )
前年度において重要な企業結合はありません。
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32 コミットメントおよび偶発負債
(1) 購入コミットメント
2023年3月31日 現在の有形固定資産の取得に関するコミットメントは 15,262百万円 であります。
(2) マイルストン支払い
注記13に記載のとおり、 2023年3月31日 現在、当社グループは無形資産の取得に関して最大で 1,455,554百万円 の支
払いを要する契約上の取決めを有しております。当該コミットメントは、研究開発中のパイプラインに関する開
発、販売承認および上市にかかるマイルストンの最大支払額を含めております。 コマーシャルマイルストンは、支
払条件の達成が合理的に見込まれないとみなしており、上記コミットメント金額に含めておりません。
(3) 訴訟
当社グループは、複数の訴訟および行政手続に当事者として関与しておりますが、最も重要な訴訟等は以下のとお
りであります。
当社グループが関与する重要な訴訟等のなかには、それらの最終的な結果により財務上の影響があると見込まれる
場合であっても、その額について信頼性のある見積りが不可能な場合があります。信頼性のある見積りが不可能な
訴訟等については、以下で適切な情報の開示を行っておりますが、引当金の計上は行っておりません。以下に記載
している訴訟等については、既に引当金を計上しているものを除き、現段階において財務上の影響額について信頼
性のある見積りが不可能であります。これは、複数の要因(審理の進行段階、決定が行われた場合にこれを争う権
利が当事者にあるか否か、訴訟における法的責任の根拠に係る明確性の欠如、当社グループの抗弁の根拠、損害の
算定および回収可能性の見積りの困難性、ならびに準拠法を含むが、これらに限定されない。)を考慮する必要が
あるためです。なお、原告側の請求額に関する情報は、仮に入手できた場合でも、必ずしもそれ自体が訴訟等の最
終的な賠償金額を判断する上で有用な情報ではないと考えております。訴訟等に関連して発生した法務関連費用お
よび訴訟等に係る費用は、販売費及び一般管理費に計上しております。法律およびその他の専門家からの適切な助
言をもとに、財産が社外に流出する可能性が高くかつ訴訟の帰結について信頼性のある見積りができる場合に、引
当金を計上しております。引当金を算定する際には、該当する訴訟の請求内容や管轄、その他の類似した現在およ
び過去の訴訟案件の性質および発生数、製品の性質、訴訟に関する科学的な事項の評価、和解の可能性ならびに現
時点における和解にむけた進行状況等を勘案しております。 2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在、当社グ
ループの訴訟に係る引当金の合計はそれぞれ 42,869百万円 および 64,290百万円 であります。法的請求による最終的
な負債の額は、訴訟手続、調査および和解交渉の帰結によって、引当額と異なる可能性があります。特段の記載の
ある場合を除き、当社グループは、現時点において、以下の各事案に関して訴訟が継続する期間や最終的な訴訟結
果を見積ることはできません。
当社グループの状況は時間の経過とともに変化する可能性があります。したがって、いずれの訴訟等についても結
果的に生じる損失が当連結財務諸表に計上されている引当金の金額を大きく上回ることはないという保証はありま
せん。判決、和解、当社グループの事業の変更またはその他の要因を踏まえて、当社グループの財務状況または経
営成績にとって重要性はないと当社グループが判断したため、過年度まで開示されていた訴訟が当年度において開
示されない場合があります。
製造物責任訴訟および関連する損害賠償請求
規制当局の承認後の製品の使用に係る人体への安全性および有効性を確認するため、製品開発中に前臨床試験およ
び臨床試験が実施されております。しかしながら、医薬品およびワクチンの上市後に、予想されていなかった安全
性に関する問題が明らかになる場合、または第三者からかかる問題を主張される場合があります。当社グループ
は、当社グループの製品に関連して多数の製造物責任訴訟を提起されております。製造物責任訴訟および関連する
損害賠償請求について、当社グループは、引当金が計上されている事案を除き、現時点において予想される財務上
の影響額について信頼性のある見積りをすることはできません。
当社グループの主要な係争中またはその他の訴訟は以下のとおりであります。これらの訴訟の結果は必ずしも予測
可能ではなく、複数の要素により影響を受けます。発生していることが少なくとも合理的に見込まれる損失につい
て、引当済の金額を超過する損失の金額が重要かつ見積可能である場合には、当社グループは損失発生額に係る見
込額または見込額の範囲を開示しております。
① アクトスの経済損失に係る訴訟
当社グループは、「アクトス」に関連して訴訟を提起されております。これらの訴訟の原告は、人身傷害に対す
る請求ではなく、米国で発売された「アクトス」に関して主張されている膀胱がんのリスクに関する追加情報を
当社グループが提供していれば、処方されなかったであろう「アクトス」の処方せんに対する支払により経済損
失を被ったと主張するものであります。米国カリフォルニア州中央地区地方裁判所において、第三者支払人およ
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び消費者から成る暫定的クラスが、当社グループに対して訴訟を提起しました。
② プロトンポンプ阻害薬製造物責任訴訟
当社グループは、2023年3月31日現在、米国連邦裁判所および州裁判所において、6,200件を上回る「PREVACID」
および「DEXILANT」の使用に関連した製造物責任訴訟を提起されております。米国連邦裁判所において、これら
の訴訟の大多数が係争中であり、広域係属訴訟(MDL)制度に係る公判前整理手続がニュージャージー州の連邦裁
判所に統合されております。当該訴訟の原告側は、「PREVACID」および(または)「DEXILANT」の使用により腎
臓障害、または一部の訴訟においては胃がんを発症し、当社グループが潜在的な危険性についての適切な警告を
怠ったと主張しております。アストラゼネカ社、プロクター・アンド・ギャンブル社およびファイザー社等の、
当社グループと同じくプロトンポンプ阻害薬クラスに属する製品を製造している他の製薬会社に対して、類似の
訴訟が提起されました。米国外では、カナダのサスカチェワン州において、1件の集団訴訟が提起されておりま
す。当該提訴には、当社グループ、アストラゼネカ社、ヤンセン・ファーマシューティカル社および複数の後発
品製薬会社が被告として含まれております。
知的財産権
知的財産権に関する訴訟には、当社グループの様々な製品または製法に関する特許権の有効性および法的強制力に
対する異議の申立て、ならびに当該特許権に対する非侵害の主張が含まれます。これらの訴訟に敗訴することによ
り、対象となった製品に係る特許権の保護の喪失につながる可能性があり、結果として該当製品の売上が大幅に減
少し、当社グループの将来の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
① トリンテリックス
当社グループは、「トリンテリックス」の後発品の販売を求める後発医薬品製薬会社16社から、Paragraph IV証
明を添付してANDAを申請したとの通知を受領しました。当社グループは、米国デラウェア州の連邦裁判所におい
てANDAを申請した当事者に対する特許侵害訴訟を提起しました。ANDAを申請した当事者のうち10グループに対す
る訴訟については、公判前に和解しました。残りの当事者6グループであるAlembic Pharmaceuticals Limitedお
よびAlembic Pharmaceuticals, Inc.、Lupin LimitedおよびLupin Pharmaceuticals, Inc. (以下、「ルピン
社」)、Macleods Pharmaceuticals Ltd.、Sigmapharm Laboratories, LLC、Sandoz, Inc.、ならびにZydus
Pharmaceuticals (USA) Inc.およびCadila Healthcare Limitedとの公判は、2021年1月15日から1月28日に行わ
れました。2021年9月30日、連邦裁判所は、ボルチオキセチン(「トリンテリックス」の有効成分)に係る米国
特許第7,144,884号は有効であるという判決を言い渡しました。残りの侵害を主張した特許については、ボルチオ
キセチンの合成方法に係る米国特許第9,101,626号のみルピン社が特許を侵害したとする判決が言い渡されまし
た。2021年11月24日、当社グループは、控訴申立書を提出しました。2021年11月29日にはルピン社が、2021年12
月8日にはその他の被告らがそれぞれ控訴申立書を提出しました。現在、口頭審理の日程が決定されるのを待っ
ております。
② その他
上記の個別の特許訴訟に加えて、当社グループは、Ponatinibを含む当社グループの他の医薬品の後発品を販売す
る目的でParagraph IV証明を添付してANDA申請を行ったとの通知を他の製薬会社から受領した結果、多数の訴訟
等の当事者となっております。当社グループは、このような事例において、関与する当事者に対して特許侵害訴
訟を提起しております。
販売・営業および規制
当社グループは、当社グループの製品および営業活動に関連するその他の訴訟に関与しており、その中で最も重
要なものは以下のとおりであります。
① アクトスの反トラスト訴訟
2013年12月、当社グループに対する2件の反トラスト集団訴訟のうち最初の集団訴訟が、米国ニューヨーク州南
部地区地方裁判所において、「アクトス」の処方を受けた患者から成る暫定的クラスにより提起されました。2
つ目の集団訴訟は、2015年4月、同地方裁判所において、当社グループから「アクトス」を購入した卸売業者か
らなる暫定的クラスにより提起されました。両訴訟において、原告は、特に、当社グループがFDAのオレンジブッ
クに掲載されている当社グループの「アクトス」に関する特許を不適切に記載した結果、ANDAを提出した後発品
製薬会社に対して要件が課せられ、これにより、「アクトス」の後発品の発売が遅れたと主張しております。
2019年10月、同地方裁判所は、当社グループの請求棄却申し立てを却下しました。これを受け、当社グループ
は、同地方裁判所の決定に対して抗告を提起しましたが、却下されました。
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② インチュニブの反トラスト訴訟
2017年1月、米国マサチューセッツ州の連邦地方裁判所において、Shire plc、Shire LLCおよびShire U.S. Inc.
(以下、総称して「Shire社」)に対して反トラスト集団訴訟が提起されました。原告は卸売業者から成る暫定的
クラスであり、「インチュニブ」の後発品に関してActavis Elizabeth LLCに対して提起された特許侵害訴訟の
2013年のShire社による和解が、反競争的な「リバース・ペイメント」に該当すると主張しております。
③ アミティーザの反トラスト訴訟
2021年8月、米国マサチューセッツ州の連邦地方裁判所において、武田ファーマシューティカルズU.S.A., Inc.
(以下、「当社グループ」)に対して反トラスト集団訴訟が提起されました。原告は卸売業者から成る暫定的ク
ラスであり、Par Pharmaceutical, Inc.(以下、「Par社」)の「アミティーザ」の後発品の特許侵害訴訟の解決
のために、2014年に当社グループとSucampo Pharmaceuticals, Inc.がPar社との間で締結した和解が反競争的で
あると主張しております。
④ コルクリスの反トラスト訴訟
2021年9月、米国ペンシルバニア州の東部地区連邦地方裁判所において、武田ファーマシューティカルズU.S.A.,
Inc.(以下、「当社グループ」)に対して反トラスト集団訴訟が提起されました。原告は卸売業者から成る暫定
的クラスであり、2015年および2016年に、「コルクリス」の後発品の複数の後発品製薬会社との間の特許侵害訴
訟の解決のために、当社グループが締結した和解が反競争的であると主張しております。
⑤ 供給契約に関連するAbbVie社による訴訟
2020年11月、AbbVie社は、デラウェア州の衡平法裁判所において、武田薬品工業株式会社(以下、「当社グルー
プ」)に対して訴訟を提起し、米国食品医薬品局が当社グループの日本の光工場について指摘した品質管理体制
上の問題に関連して2019年11月にForm 483および2020年6月にWarning Letterを受領したことにより生じた供給
不足に起因して、AbbVie社と締結した「リュープリン」の米国での供給契約の債務不履行があったと主張してお
ります。当該訴訟において、AbbVie社は予備的差止命令および損害賠償請求の申し立てを行いました。2021年9
月、衡平法裁判所は、AbbVie社の予備的差止命令の申し立てを却下し、その後、当社グループによる供給契約の
債務不履行を認めた判決を言い渡しました。損害賠償額を決定する審理は2023年1月に行われ、今後裁判所の判
断が下される予定です。
⑥ 患者支援プログラムに関する調査
2017年3月期に当社グループが買収したAriad Pharmaceuticals, Inc.(以下、「アリアド社」)は、買収に先立
つ2016年11月、米国司法省ボストン地方検事局から、召喚状(subpoena)が発行され、2010年1月から現在に至
るまでの間のアリアド社がメディケア・プログラム上の患者の自己負担にかかる財政支援を行う非営利団体(501
(c)(3) co-payment foundations)に行った寄付、メディケア受益者向け財務支援プログラムおよび無償薬剤
提供プログラム、ならびに上記の非営利団体と特定薬局、拠点または医療プログラムサービス提供機関との間の
関係に関する情報の提出を求められております。当社グループは当該調査に協力しております。
2019年3月期に当社グループがShire社の買収により取得したShire Pharmaceuticals LLCに対して、2019年6月
に、米国司法省ボストン地方検事局から召喚状(subpoena)が発行されました。当該召喚状において、遺伝性血
管性浮腫の治療薬である「フィラジル」や「CINRYZE」を含むShire社の医薬品を使用するメディケア・プログラ
ム上の患者に対して財政支援を行う非営利団体(501(c)(3))とShire社の関係について情報の提出を求めら
れております。当社グループは当該調査に協力しております。
⑦ 米国司法省からの民事調査要請
2020年2月19日、当社グループは、米国司法省ワシントンDC地方検事局から民事調査要請書を受領しました。当
該民事調査要請書は、主にトリンテリックスの販売促進に関連して、オフラベル使用(適応外使用)の販売およ
び反キックバック法に対する違反の可能性の調査の一環として、情報の提供を求めるものです。当社グループ
は、司法省による当該調査に協力しております。
2020年2月28日、当社グループは、米国司法省ワシントンDC地方検事局から民事調査要請書を受領しました。当
該民事調査要請書は、IG皮下注射製剤である「CUVITRU」、「HYQVIA」および「GAMMAGARD」の販売促進に関連し
て、フロリダ州のアレルギーセンターに対してキックバックを行った可能性の調査の一環として、情報の提供を
求めるものです。当社グループは、司法省による当該調査に協力しております。
⑧ エラプレースおよびリプレガルに関連するブラジルにおける調査
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2021年11月30日、ブラジルの連邦政府当局により当社グループのブラジル拠点の捜査が行われました。当該捜査
は、「エラプレース」および「リプレガル」に関連して、当社グループがブラジル国家衛生監督庁(AVISA)から
受 領した情報、およびこれらの医薬品の処方に関連してブラジル政府に対して償還請求を求める患者さんに対し
て財政支援を行っている慈善団体への寄付に関する記録の提供を求めるものです。当社グループは、当該調査に
協力しております。
33 後発事象
2023年4月26日、当社グループは2030年4月26日に返済期日を迎える借入総額1,000億円のシンジケートローンを複
数の金融機関との間で実行いたしました。本借入の実効金利は0.68%であります。本借入の実行により調達された
資金は、同日に満期を迎えたシンジケートローンの返済に充当されました。
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(2) 【その他】
①当年度における四半期情報等
(累計期間) 第1四半期 第2四半期 第3四半期 当年度
売上収益 (百万円) 972,465 1,974,771 3,071,322 4,027,478
税引前四半期
(百万円) 155,473 220,022 327,175 375,090
(当期)利益
親会社の所有者に
帰属する四半期 (百万円) 105,014 166,756 285,883 317,017
(当期)利益
基本的1株当たり
(円) 67.94 107.62 184.32 204.29
四半期(当期)利益
(会計期間) 第1四半期 第2四半期 第3四半期 第4四半期
基本的1株当たり
(円) 67.94 39.77 76.63 20.03
四半期利益
②訴訟等について
「(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメント及び偶発負債」をご参照ください。
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2 【財務諸表等】
(1) 【財務諸表】
①【貸借対照表】
(単位:百万円)
前事業年度 当事業年度
(2022年3月31日) (2023年3月31日)
資産の部
流動資産
現金及び預金 287,147 164,860
※3 114,457 ※3 59,765
売掛金
有価証券 401,659 97,030
商品及び製品 43,736 39,202
仕掛品 34,094 46,094
原材料及び貯蔵品 32,087 39,399
未収還付法人税等 - 2,192
※3 0 ※3 275,053
関係会社短期貸付金
※3 115,803 ※3 139,082
その他
△ 2 △ 8
貸倒引当金
流動資産合計 1,028,980 862,669
固定資産
有形固定資産
建物及び構築物 86,608 85,059
機械及び装置 17,779 17,276
車両運搬具 62 35
工具、器具及び備品 6,783 8,492
土地 39,196 39,794
リース資産 1,149 1,300
21,075 24,396
建設仮勘定
有形固定資産合計 172,652 176,354
無形固定資産
31,779 33,100
投資その他の資産
投資有価証券 41,026 32,854
関係会社株式 8,088,454 8,000,147
その他の関係会社有価証券 - 5,031
関係会社出資金 31,659 26,344
長期預け金 6,585 6,743
前払年金費用 48,716 54,350
繰延税金資産 172,752 165,410
※3 19,045 ※3 44,301
その他
投資その他の資産合計 8,408,237 8,335,180
固定資産合計 8,612,668 8,544,633
資産合計 9,641,648 9,407,303
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(単位:百万円)
前事業年度 当事業年度
(2022年3月31日) (2023年3月31日)
負債の部
流動負債
※3 36,534 ※3 54,471
買掛金
※3 242,812 ※3 150,115
未払金
※3 56,714 ※3 63,007
未払費用
未払法人税等 9,954 1,462
※3 415,346 ※3 388,195
短期借入金
1年内償還予定の社債 101,960 106,715
1年内返済予定の長期借入金 75,000 100,000
※3 118,774 ※3 92,025
預り金
賞与引当金 18,520 14,120
株式給付引当金 3,063 3,281
役員賞与引当金 443 385
事業構造再編引当金 2,045 2,020
※3 67,508 ※3 24,205
その他
流動負債合計 1,148,674 1,000,002
固定負債
社債 2,846,583 2,787,470
※3 1,268,188 ※3 1,262,420
長期借入金
退職給付引当金 6,401 7,047
訴訟引当金 28,754 38,283
株式給付引当金 2,703 2,548
事業構造再編引当金 1,447 2,219
資産除去債務 1,893 1,893
長期前受収益 9,233 12,486
32,874 86,717
その他
固定負債合計 4,198,075 4,201,082
負債合計 5,346,749 5,201,084
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(単位:百万円)
前事業年度 当事業年度
(2022年3月31日) (2023年3月31日)
純資産の部
株主資本
資本金 1,676,263 1,676,345
資本剰余金
資本準備金 1,668,276 1,668,357
- 2,055
その他資本剰余金
資本剰余金合計 1,668,276 1,670,413
利益剰余金
利益準備金 15,885 15,885
その他利益剰余金 1,234,317 1,284,127
退職給与積立金 5,000 5,000
配当準備積立金 11,000 11,000
研究開発積立金 2,400 2,400
設備更新積立金 1,054 1,054
輸出振興積立金 434 434
※2 30,439 ※2 29,890
固定資産圧縮積立金
別途積立金 814,500 814,500
369,489 419,850
繰越利益剰余金
利益剰余金合計 1,250,202 1,300,012
自己株式 △ 115,977 △ 100,288
株主資本合計 4,478,763 4,546,482
評価・換算差額等
その他有価証券評価差額金 16,411 8,584
△ 201,505 △ 350,036
繰延ヘッジ損益
評価・換算差額等合計 △ 185,094 △ 341,452
新株予約権 1,230 1,188
純資産合計 4,294,899 4,206,219
負債純資産合計 9,641,648 9,407,303
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②【損益計算書】
(単位:百万円)
前事業年度 当事業年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日) 至 2023年3月31日)
※1 764,301 ※1 632,137
売上高
※1 207,581 ※1 214,973
売上原価
売上総利益 556,719 417,164
※1 ,※2 263,011 ※1 ,※2 281,023
販売費及び一般管理費
営業利益 293,709 136,140
営業外収益
※1 374,968 ※1 276,023
受取利息及び配当金
※1 50,361 ※1 53,361
その他
営業外収益合計 425,329 329,384
営業外費用
※1 73,125 ※1 85,589
支払利息及び社債利息
※1 95,036 ※1 39,814
その他
営業外費用合計 168,161 125,403
経常利益 550,876 340,122
特別利益
※1 ,※3 42,851
-
関係会社再編益
特別利益合計 - 42,851
特別損失
※4 178,942
-
関係会社株式評価損
特別損失合計 178,942 -
税引前当期純利益 371,934 382,973
法人税、住民税及び事業税
32,870 35,854
14,614 16,469
法人税等調整額
法人税等合計 47,484 52,324
当期純利益 324,450 330,649
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【製造原価明細書】
前事業年度 当事業年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日) 至 2023年3月31日)
注記 金額 金額
構成比 構成比
区分
(%) (%)
番号 (百万円) (百万円)
Ⅰ 原材料費 100,015 67.4 121,280 69.6
Ⅱ 労務費 13,551 9.1 16,011 9.2
34,792 37,060
Ⅲ 経費 ※1 23.5 21.3
当期総製造費用 100.0 100.0
148,359 174,351
32,710 34,094
仕掛品期首棚卸高
合計
181,069 208,445
仕掛品期末棚卸高 34,094 46,094
4,746 1,918
他勘定振替高 ※2
当期製品製造原価
142,229 160,433
(注)※1 経費のうち主なものは次のとおりであります。
(単位:百万円)
前事業年度 当事業年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日) 至 2023年3月31日)
減価償却費 8,871 10,844
外注加工費 6,021 5,512
※2 他勘定振替高は、上市前製品にかかる営業外費用への振替等であります。
※3 原価計算の方法は、組別工程別総合原価計算による実際原価計算であります。
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③【株主資本等変動計算書】
前事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(単位:百万円)
株主資本
資本剰余金 利益剰余金
資本金 その他利益剰余金
その他資本剰余
資本準備金 資本剰余金合計 利益準備金
金
退職給与積立金 配当準備積立金
当期首残高 1,668,145 1,654,239 0 1,654,239 15,885 5,000 11,000
当期変動額
新株の発行 8,118 8,118 8,118
株式交換による増加 5,919 5,919
剰余金の配当 -
固定資産圧縮積立金
-
の積立
固定資産圧縮積立金
-
の取崩
当期純利益 -
自己株式の取得 -
自己株式の処分 △ 0 △ 0
株主資本以外の項目
の当期変動額(純 -
額)
当期変動額合計 8,118 14,037 △ 0 14,037 - - -
当期末残高 1,676,263 1,668,276 - 1,668,276 15,885 5,000 11,000
株主資本
利益剰余金
その他利益剰余金
固定資産圧縮積
研究開発積立金 設備更新積立金 輸出振興積立金 別途積立金 繰越利益剰余金
立金
当期首残高 2,400 1,054 434 35,073 814,500 324,654
当期変動額
新株の発行
株式交換による増加
剰余金の配当 △ 284,246
固定資産圧縮積立金
596 △ 596
の積立
固定資産圧縮積立金
△ 5,230 5,230
の取崩
当期純利益 324,450
自己株式の取得
自己株式の処分 △ 0
株主資本以外の項目
の当期変動額(純
額)
当期変動額合計 - - - △ 4,634 - 44,838
当期末残高 2,400 1,054 434 30,439 814,500 369,489
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株主資本 評価・換算差額等
新株予約権 純資産合計
その他有価証券
自己株式 株主資本合計 繰延ヘッジ損益
評価差額金
当期首残高 △ 59,523 4,472,861 40,124 △ 79,353 1,257 4,434,889
当期変動額
新株の発行 16,236 16,236
株式交換による増加 5,919 5,919
剰余金の配当 △ 284,246 △ 284,246
固定資産圧縮積立金
- -
の積立
固定資産圧縮積立金
- -
の取崩
当期純利益 324,450 324,450
自己株式の取得 △ 79,447 △ 79,447 △ 79,447
自己株式の処分 22,993 22,993 22,993
株主資本以外の項目
の当期変動額(純 - △ 23,713 △ 122,152 △ 27 △ 145,893
額)
当期変動額合計 △ 56,454 5,905 △ 23,713 △ 122,152 △ 27 △ 139,988
当期末残高 △ 115,977 4,478,763 16,411 △ 201,505 1,230 4,294,899
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当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
株主資本
資本剰余金 利益剰余金
資本金 その他利益剰余金
その他資本剰余
資本準備金 資本剰余金合計 利益準備金
金
退職給与積立金 配当準備積立金
当期首残高 1,676,263 1,668,276 - 1,668,276 15,885 5,000 11,000
当期変動額
新株の発行 82 82 82
剰余金の配当 -
固定資産圧縮積立金
-
の積立
固定資産圧縮積立金
-
の取崩
当期純利益 -
自己株式の取得 -
自己株式の処分 2,055 2,055
株主資本以外の項目
の当期変動額(純 -
額)
当期変動額合計 82 82 2,055 2,137 - - -
当期末残高 1,676,345 1,668,357 2,055 1,670,413 15,885 5,000 11,000
株主資本
利益剰余金
その他利益剰余金
固定資産圧縮積
研究開発積立金 設備更新積立金 輸出振興積立金 別途積立金 繰越利益剰余金
立金
当期首残高 2,400 1,054 434 30,439 814,500 369,489
当期変動額
新株の発行
剰余金の配当 △ 280,839
固定資産圧縮積立金
2,522 △ 2,522
の積立
固定資産圧縮積立金
△ 3,071 3,071
の取崩
当期純利益 330,649
自己株式の取得
自己株式の処分
株主資本以外の項目
の当期変動額(純
額)
当期変動額合計 - - - △ 550 - 50,360
当期末残高 2,400 1,054 434 29,890 814,500 419,850
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株主資本 評価・換算差額等
新株予約権 純資産合計
その他有価証券
自己株式 株主資本合計 繰延ヘッジ損益
評価差額金
当期首残高 △ 115,977 4,478,763 16,411 △ 201,505 1,230 4,294,899
当期変動額
新株の発行 164 164
剰余金の配当 △ 280,839 △ 280,839
固定資産圧縮積立金
- -
の積立
固定資産圧縮積立金
- -
の取崩
当期純利益 330,649 330,649
自己株式の取得 △ 27,060 △ 27,060 △ 27,060
自己株式の処分 42,749 44,805 44,805
株主資本以外の項目
の当期変動額(純 - △ 7,826 △ 148,531 △ 42 △ 156,399
額)
当期変動額合計 15,689 67,719 △ 7,826 △ 148,531 △ 42 △ 88,680
当期末残高 △ 100,288 4,546,482 8,584 △ 350,036 1,188 4,206,219
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【注記事項】
(継続企業の前提に関する事項)
該当事項はありません。
(重要な会計方針)
1 重要な資産の評価基準及び評価方法
(1) 有価証券の評価基準及び評価方法
子会社株式及び関連会社株式
移動平均法による原価法
その他有価証券
市場価格のない株式等以外のもの
決算日の市場価格等に基づく時価法
(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は移動平均法により算定)
市場価格のない株式等
移動平均法による原価法
(2) デリバティブの評価基準
時価法
(3) 棚卸資産の評価基準及び評価方法
商品及び製品
総平均法による原価法
(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)
仕掛品
総平均法による原価法
(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)
原材料及び貯蔵品
総平均法による原価法
(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)
2 重要な固定資産の減価償却の方法
(1) 有形固定資産(リース資産を除く)
定率法を採用しております。
ただし、1998年4月1日以降に取得した建物(建物附属設備を除く)については、定額法を採用しております。
なお、主な耐用年数は以下のとおりであります。
建物及び構築物 15~50年
機械及び装置 4~15年
(2) 無形固定資産(リース資産を除く)
定額法を採用しております。
なお、償却期間は利用可能期間に基づいております。
(3) リース資産
所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産について、リース期間を耐用年数とし、残存価額を零
とする定額法を採用しております。
3 重要な引当金の計上基準
(1) 貸倒引当金
受取手形、売掛金等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等
特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
(2) 賞与引当金
従業員に対して支給する賞与の支出に充てるため、事業年度末在籍従業員に対して、支給対象期間に基づく賞与
支給見込額を計上しております。
(3) 役員賞与引当金
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役員に対する賞与の支給に備えるため、支給見込額を計上しております。
(4) 退職給付引当金
従業員の退職給付に備えるため、事業年度末における退職給付債務の見込額から企業年金基金制度に係る年金資
産の公正価値の見込額を差し引いた金額に基づいて計上しております。なお、退職給付債務の算定にあたり、退
職給付見込額を当事業年度末までの期間に帰属させる方法については、給付算定式基準によっております。
過去勤務費用は、その発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(5年)による定額法により費用処
理しております。
数理計算上の差異は、各事業年度の発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(5年)による
定額法により按分した額を、それぞれその発生した事業年度から費用処理することとしております。
(5) 訴訟引当金
法律およびその他の専門家からの適切な助言をもとに、財産が社外に流出する可能性が高くかつ訴訟の帰結につ
いて信頼性のある見積りができる場合に、引当金を計上しております。
(6) 株式給付引当金
株式交付規則に基づく取締役および従業員への当社株式の給付等に備えるため、当事業年度末における株式給付
債務の見込額に基づき、計上しております。
(7) 事業構造再編引当金
研究開発体制の変革により今後発生が見込まれる損失について、合理的に見積られる金額を計上しております。
4 収益及び費用の計上基準
(収益の計上基準)
当社の収益は主に医薬品販売に関連したものであり、製品に対する支配が顧客に移転した時点で認識されており
ます。収益の認識額は、当社が製品と交換に受け取ると見込まれる対価に基づいております。一般的には、出荷
時または顧客による受領時点もしくはサービスが履行された時点で収益は認識されます。収益の認識額は、当社
が財またはサービスと交換に受け取ると見込んでいる対価に基づいております。契約に複数の履行義務が含まれ
る場合、対価は独立販売価格の比率で各履行義務に配分しております。
当社が財またはサービスと交換に受け取る対価は固定金額または変動金額の場合があります。変動対価は重要な
戻入れが生じない可能性が非常に高い場合のみ認識しております。
総売上高からは、主に小売業者、政府機関および卸売業者に対する割戻や値引等の様々な項目が控除されており
ます。これらの控除額は関連する義務に対し見積られますが、報告期間における当該総売上高に係る控除額の見
積りには判断が伴います。総売上高からこれらの控除額を調整して、純売上高が算定されます。当社は、これら
の控除額に係る義務を毎事業年度確認しており、割戻の変動、契約条件および法律の改定、その他重大な事象に
より関連する義務の見直しが適切であることが示されている場合には、調整を行っております。なお、これまで
売上割戻や値引等の事後的な変動が、純損益に重要な影響を与えたことはありません。
当社は、一般的に製品が顧客に引き渡された時点から90日以内に顧客から支払を受けます。当社は主としてそれ
らの取引を本人として履行しますが、他の当事者に代わって販売を行うことがあります。その場合は、代理人と
して受け取ることが見込まれる販売手数料の金額が収益として認識されます。
当社は、知的財産の導出および売却にかかるロイヤルティ、契約一時金ならびにマイルストンにかかる収益を計
上しております。知的財産にかかるロイヤルティ収益は、基礎となる売上が発生した時点で認識しております。
契約一時金にかかる収益は、一般的には知的財産権の使用権を付与した時点で認識されます。マイルストンにか
かる収益は、一般的にはマイルストンの支払条件が達成される可能性が非常に高く、認識した収益の額の重大な
戻入が生じない可能性が非常に高くなった時点で認識しております。導出した候補物質の研究開発等のその他の
サービスにかかる収益については、サービスの提供期間に応じて認識しております。
当社は、一般的に知的財産の導出契約の締結または顧客によるマイルストンの支払条件の達成の確認から30日以
内に顧客から支払を受けます。当社は当社の知的財産を導出しているため、本人として契約を履行しておりま
す。また、当社はその他のサービスも本人または代理人として提供しております。
5 その他財務諸表作成のための基本となる重要な事項
(1) ヘッジ会計
① ヘッジ会計の方法
繰延ヘッジ処理によっております。
なお、為替予約取引等については振当処理の要件を満たしている場合は振当処理により、金利スワップ取引につ
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いては特例処理要件を満たしている場合は特例処理によっております。
② ヘッジ手段、ヘッジ対象およびヘッジ方針
売却する権利を有する顧客に対する売掛金および短期変動金利に連動する将来の金融損益に係るキャッシュ・フ
ロー変動リスクの一部をヘッジするために、金利スワップ取引および金利先渡取引を行っております。為替変動
に連動する、将来のキャッシュ・フロー変動リスクの一部をヘッジするために、為替予約取引等を利用しており
ます。また、在外子会社への投資の為替変動リスクに対して、外貨建借入金及び社債等をヘッジ手段としており
ます。これらのヘッジ取引は、利用範囲や取引先金融機関選定基準等について定めた規定に基づき行っておりま
す。
③ ヘッジ有効性評価の方法
事前テストは回帰分析等の統計的手法、事後テストは比率分析により実施しております。
なお、取引の重要な条件が同一であり、ヘッジ効果が極めて高い場合は、有効性の判定を省略しております。
(2) 記載金額の表示
百万円未満を四捨五入して表示しております。
(重要な会計上の見積り)
会計上の見積りにより財務諸表にその額を計上した項目であって、翌事業年度に係る財務諸表に重要な影響を及
ぼす可能性があるものは以下の通りであります。
繰延税金資産
2022年3月期および2023年3月期の貸借対照表において、繰延税金資産172,752百万円および 165,410 百万円を計
上しております。注記事項(税効果会計関係)に記載のとおり、2022年3月期および2023年3月期の当該繰延税
金資産の繰延税金負債との相殺前の金額は212,227百万円および 202,868 百万円であり、将来減算一時差異及び税
務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産の総額568,051百万円および 573,001 百万円から評価性引当額355,824百万円
および 370,132 百万円が控除されております。
これらの繰延税金資産は、将来減算一時差異の解消又は税務上の繰越欠損金の一時差異等加減算前課税所得との
相殺により、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると認められる範囲内で認識されます。
事業年度の末日において繰延税金資産の回収可能性を評価しております。繰延税金資産の回収可能性の評価にお
いては、予想される将来加算一時差異の解消スケジュール、予想される将来課税所得およびタックスプランニン
グを考慮しております。このうち、収益力に基づく将来の課税所得は、主に事業計画を基礎として見積られてお
り、当該事業計画に含まれる特定の製品に係る売上高の予測が変動した場合、翌事業年度の財務諸表において、
繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。
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(追加情報)
株式給付信託
当社は 、当社の中長期的な業績の向上と企業価値の増大への貢献意識を高めることを目的として、当社取締役お
よび当社グループ上級幹部に対する株式付与制度を導入しております。
(1)取引の概要
連結財務諸表(注記28 株式報酬 (2)持分決済型株式報酬(株式付与制度))に記載しております。
(2)信託に残存する自社の株式
上級幹部に対する株式給付の会計処理については、「従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引に
関する実務上の取扱い」(実務対応報告第30号 平成27年3月26日)を適用し、信託に残存する当社株式
を、信託における帳簿価額(付随費用の金額を除く。)により、純資産の部に自己株式として計上しており
ます。また、取締役に対する株式給付の会計処理については、実務対応報告第30号を準用しております。当
該自己株式の帳簿価額および株式数は、 2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在、それぞれ40,164百万
円、9,161千株 および27,062百万円、6,215千株であります。配当金の総額には、当該自己株式に対する配当
金が、前事業年度および当事業年度において、それぞれ1,974百万円および1,384百万円含まれております。
また、配当の効力発生日が翌年度となる配当金の総額には、当該自己株式に対する配当金が559百万円含ま
れております。
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(貸借対照表関係)
※1 偶発債務
(債務保証)
以下に記載するものについての負債の償還または返済、ファクタリング取引に伴う特定の債務の支払、不動産
リース契約に基づく賃借料支払および為替に関するデリバティブ取引に伴う債務の支払等に対し保証を行ってお
ります。
前事業年度 当事業年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
武田薬品工業㈱従業員 13 百万円 8 百万円
シャイアー・アクイジションズ・インベストメンツ・
489,079 534,270
アイルランド Designated Activity Company
バクスアルタ Incorporated
187,953 175,753
ファーマ・インターナショナル・インシュランス
56,841 66,679
Designated Activity Company
武田ファーマシューティカルズU.S.A.,Inc. - 29,744
武田ファーマシューティカルズアメリカ Inc.
27,789 27,220
バクスアルタ・イノベーションズ GmbH
17,032 18,206
ミレニアム・ファーマシューティカルズ Inc.
28,372 -
シャイアー・アイルランド・ファイナンス・トレー
6,036 -
ディング Limited
合計 813,115 851,878
(訴訟)
重要な訴訟案件等については、「1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメ
ントおよび偶発負債 (3) 訴訟」の以下の項目をご参照下さい。
製造物責任訴訟および関連する損害賠償請求
① アクトスの経済損失に係る訴訟
② プロトンポンプ阻害薬製造物責任訴訟
販売・営業および規制
⑤ 供給契約に関連するAbbVie社による訴訟
※2 (前事業年度)
固定資産圧縮積立金は、租税特別措置法に基づいて積立てております。
(当事業年度)
固定資産圧縮積立金は、租税特別措置法に基づいて積立てております。
※3 関係会社に対する金銭債権及び金銭債務(区分表示したものを含む)
前事業年度 当事業年度
( 2022年3月31日 ) ( 2023年3月31日 )
短期金銭債権 38,349 百万円 342,617 百万円
長期金銭債権 1,154 170
短期金銭債務 526,211 478,558
長期金銭債務 636,414 638,711
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(損益計算書関係)
※1 関係会社との主な取引は次のとおりであります。
前事業年度 当事業年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
営業取引による取引高
売上高 93,584 百万円 106,010 百万円
仕入高 79,919 78,912
その他 45,469 58,760
営業取引以外の取引による取引高
営業外収益 379,454 百万円 283,862 百万円
営業外費用 7,641 25,094
特別利益 - 29,474
資産譲渡高 - 98,995
現物配当による関係会社貸付金の取得高 - 311,227
※2 販売費及び一般管理費の主要な費目及び金額は次のとおりであります。
(1) 販売費
前事業年度 当事業年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
宣伝費 1,891 百万円 1,855 百万円
販売促進費 5,586 5,811
(2) 一般管理費
前事業年度 当事業年度
(自 2021年4月1日 (自 2022年4月1日
至 2022年3月31日 ) 至 2023年3月31日 )
賞与引当金繰入額 12,150 百万円 7,990 百万円
減価償却費 8,008 7,806
業務委託料 16,911 13,276
研究開発費 117,323 141,050
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※3 特別利益
前事業年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 )
該当事項はありません。
当事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日 )
(関係会社再編益)
関係会社再編益は、当社グループの事業再編に関連して、主に関係会社の清算準備に伴い認識したものでありま
す。
※4 特別損失
前事業年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 )
(関係会社株式評価損)
再編が計画されているシャイアー・ファーマシューティカルズ・アイルランド Limited等の子会社について、純
資産が関係会社株式の帳簿価額を下回っており、回復可能性が認められないことや、子会社であるシャイアー
Limitedにて、AbbVie社からの買収の申し出の取下げに関して受領した違約金に対し課税対象とする判決を受けた
ことを受け税金費用を計上した結果、同社の純資産が同社に係る関係会社株式の帳簿価額を著しく下回ったこと
により、関係会社株式評価損を計上しております。
当事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日 )
該当事項はありません。
(有価証券関係)
前事業年度( 2022年3月31日 )
子会社株式及び関連会社株式(貸借対照表計上額 子会社株式 8,081,272百万円 、関連会社株式 7,182百万円 )
は、市場価格のない株式等のため、子会社株式及び関連会社株式の時価を記載しておりません。
当事業年度( 2023年3月31日 )
子会社株式及び関連会社株式(貸借対照表計上額 子会社株式 7,995,849百万円 、関連会社株式 4,298百万円 )
は、市場価格のない株式等のため、子会社株式及び関連会社株式の時価を記載しておりません。
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(税効果会計関係)
1 繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳
前事業年度 当事業年度
(2022年3月31日) (2023年3月31日)
繰延税金資産
賞与引当金 5,663 百万円 4,318 百万円
委託研究費等 15,562 15,048
棚卸資産 17,767 18,307
繰延ヘッジ損益 20,155 25,731
未払費用 15,208 13,996
前受収益 542 542
退職給付引当金 1,928 2,131
事業構造再編費用引当金 1,068 1,296
有形固定資産償却超過額等 3,957 4,021
特許権 12,040 9,380
販売権 12,491 14,129
関係会社株式 40,063 44,553
有価証券 4,542 4,291
税務上の繰越欠損金 (注1,3)
371,286 360,151
過大支払利子税制における超過利子
15,708 21,555
額
30,072 33,554
その他
繰延税金資産小計
568,051 573,001
税務上の繰越欠損金に係る
△291,644 △309,365
評価性引当額 (注1,3)
将来減算一時差異等の合計に
△64,180 △60,767
係る評価性引当額
評価性引当額小計 △355,824 △370,132
繰延税金資産合計
212,227 202,868
繰延税金負債
前払年金費用 △14,897 △16,620
その他有価証券評価差額金 △6,869 △3,421
固定資産圧縮積立金 △17,558 △17,265
△151 △151
その他
繰延税金負債合計 △39,476 △37,458
繰延税金資産の純額 172,752 165,410
(注1) Shire社グループの統合の一環として資本関係を整理すべく子会社の清算手続を行っております。当該清算手
続の結果、税務上、清算損を損金算入し、多額の欠損金が発生しております。
(注2) 過年度に実施した子会社の清算に伴って現物配当された孫会社株式を、税務上時価で計上したことにより生じ
た将来減算一時差異が発生しており、予測可能な将来の期間に、その売却等を予定していないため、繰延税金
資産を認識していません。当該関係会社株式に係る将来減算一時差異の総額は、 2022年3月31日 および 2023年
3月31日 現在、それぞれ2,329,779百万円および2,360,015百万円であります。なお、繰延税金負債を認識して
いない関係会社株式に係る将来加算一時差異の総額は、 2022年3月31日 および 2023年3月31日 現在、それぞれ
541,262百万円および553,456百万円であります。
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(注3) 税務上の繰越欠損金及びその繰延税金資産の繰越期限別の金額は下表のとおりであります。
前事業年度( 2022年3月31日 )
(単位:百万円)
1年超 2年超 3年超 4年超
1年以内 5年超 合計
2年以内 3年以内 4年以内 5年以内
税務上の繰越欠損金 (a)
- - - 112 - 371,174 371,286
評価性引当額 - - - - - △291,644 △291,644
繰延税金資産 - - - 112 - 79,530 79,642(b)
(a)税務上の繰越欠損金は、法定実効税率を乗じた額であります。
(b)上記の清算手続の結果、税務上、清算損を損金算入し、多額の欠損金が発生しております。 将来の売上高の予測
等に基づき課税所得を見積り 、税務上の繰越欠損金 371,286百万円 のうち 79,642百万円 について回収可能と判断
しております。
当事業年度( 2023年3月31日 )
(単位:百万円)
1年超 2年超 3年超 4年超
1年以内 5年超 合計
2年以内 3年以内 4年以内 5年以内
税務上の繰越欠損金 (a)
- - - - - 360,151 360,151
評価性引当額 - - - - - △309,365 △309,365
繰延税金資産 - - - - - 50,786 50,786(b)
(a)税務上の繰越欠損金は、法定実効税率を乗じた額であります。
(b)上記の清算手続の結果、税務上、清算損を損金算入し、多額の欠損金が発生しております。 将来の売上高の予測
等に基づき課税所得を見積り 、税務上の繰越欠損金 360,151百万円 のうち 50,786百万円 について回収可能と判断
しております。
2 法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との間の重要な差異の原因となった主な項目別の内訳
前事業年度 当事業年度
(2022年3月31日) (2023年3月31日)
法定実効税率 30.6 % 30.6 %
(調整)
交際費等永久に損金に
0.7 0.5
算入されない項目
受取配当金等永久に益金に
△54.9 △26.5
算入されない項目
評価性引当額増減 9.2 2.0
外国子会社合算課税 4.7 6.8
関係会社株式に係る税効果未認
25.4 1.4
識差異
過大支払利子税制 - 1.7
試験研究費控除 △1.6 △1.0
特定外国子会社等に係る控除対
△1.2 △1.4
象外国税額
△0.0 △0.5
その他
税効果会計適用後の法人税等の
12.8 13.7
負担率
3 法人税及び地方法人税の会計処理又はこれらに関する税効果会計の会計処理
当社は、当事業年度から、連結納税制度からグループ通算制度へ移行しております。これに伴い、法人税及び地
方税並びに税効果会計の会計処理及び開示については、「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示
に関する取扱い」(実務対応報告第42号2021年8月12日。以下「実務対応報告第42号」という。)に従っており
ます。また、実務対応報告第42号第32項(1)に基づき、実務対応報告第42号の適用に伴う会計方針の変更による影
響はないものとみなしております。
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(収益認識関係)
顧客との契約から生じる収益を理解するための基礎となる情報は、「(重要な会計方針) 4 収益及び費用の計上
基準」に記載のとおりであります。
(重要な後発事象)
2023年4月26日、当社は2030年4月26日に返済期日を迎える借入総額1,000億円のシンジケートローンを複数の金
融機関との間で実行いたしました。本借入の詳細は、「1連結財務諸表 (1)連結財務諸表注記 33 後発事象」
をご参照下さい。
当社の子会社であるシャイアー・バイオファーマシューティカルズ・ホールディングスは、清算手続の一環とし
て2023年5月16日に残余財産の分配を実施しました。これにより、当社は2024年3月期において、特別利益に
58,088百万円を計上する予定であります。
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④ 【附属明細表】
【有形固定資産等明細表】
期首 期末 減価償却 期末
当期増加額 当期減少額 当期償却額
資産の種類 帳簿価額 帳簿価額 累計額 取得原価
(百万円) (百万円) (百万円)
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
有形固定資産
86,608 5,201 494 6,255 85,059 128,458 213,518
建物及び構築物
(467)
17,779 6,113 53 6,563 17,276 205,268 222,544
機械及び装置
( 39 )
車両運搬具
62 6 - 33 35 362 397
6,783 5,766 108 3,949 8,492 29,454 37,947
工具、器具及び備品
( 55 )
土地
39,196 604 6 - 39,794 - 39,794
リース資産
1,149 408 13 243 1,300 797 2,097
建設仮勘定 21,075 8,986 5,664 - 24,396 - 24,396
6,338
有形固定資産計 172,652 27,083 17,044 176,354 364,340 540,693
( 562 )
無形固定資産
施設利用権 100 - 0 31 69 409 477
その他の無形
31,679 7,518 1,060 5,105 33,031 37,577 70,609
固定資産
無形固定資産計 31,779 7,518 1,060 5,136 33,100 37,986 71,086
(注)1 当期増加額のうち主なものは、次のとおりであります。
建物及び構築物 日本製薬の統合に伴う取得 1,089百万円
機械及び装置 日本製薬の統合に伴う取得 1,141百万円
その他の無形固定資産 ソフトウエア取得 3,787百万円
(注)2 当期減少額の( )内は内書きで、減損損失の計上額であります。
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【引当金明細表】
期首残高 当期増加額 当期減少額 期末残高
区分
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
貸倒引当金 2 8 2 8
賞与引当金 18,520 14,120 18,520 14,120
株式給付引当金 5,766 3,425 3,362 5,829
役員賞与引当金 443 385 443 385
事業構造再編引当金 3,492 1,556 810 4,238
退職給付引当金 6,401 1,691 1,044 7,047
訴訟引当金 28,754 9,613 84 38,283
(注)外貨建引当金の期末換算差額については為替差損益に含めて表示しております。
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(2) 【主な資産及び負債の内容】
連結財務諸表を作成しているため、記載を省略しております。
(3) 【その他】
重要な訴訟案件等については、「1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメン
トおよび偶発負債」の以下の項目をご参照下さい。
製造物責任訴訟および関連する損害賠償請求
① アクトスの経済損失に係る訴訟
② プロトンポンプ阻害薬製造物責任訴訟
販売・営業および規制
⑤ 供給契約に関連するAbbVie社による訴訟
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第6 【提出会社の株式事務の概要】
事業年度 4月1日から3月31日まで
定時株主総会 6月中
基準日 3月31日
剰余金の配当の基準日 3月31日、9月30日
1単元の株式数 100株
単元未満株式の買取り・
売渡し
大阪市中央区伏見町三丁目6番3号
取扱場所
三菱UFJ信託銀行株式会社 大阪証券代行部
東京都千代田区丸の内一丁目4番5号
株主名簿管理人
三菱UFJ信託銀行株式会社
取次所 -
買取・売渡手数料 無料
当社の公告方法は、電子公告といたします。ただし、事故その他やむを得ない事由に
よって電子公告による公告をすることができない場合は、日本経済新聞に掲載して行
います。
公告掲載方法
なお、電子公告は当社のホームページに掲載しており、そのアドレスは次の通りであ
ります。
https://www.takeda.com/jp/investors/public-notice/
株主に対する特典 なし
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第7 【提出会社の参考情報】
1 【提出会社の親会社等の情報】
当社は、金融商品取引法第24条の7第1項に規定する親会社等はありません。
2 【その他の参考情報】
当事業年度の開始日から有価証券報告書提出日までの間に、次の書類を提出しております。
(1) 有価証券報告書 事業年度 自 2021年 4月 1日 2022年 6月 29日
及びその添付書類 ( 第145期 ) 至 2022年 3月 31日 関東財務局長に提出
並びに確認書
(2) 内部統制報告書 事業年度 自 2021年 4月 1日 2022年 6月 29日
2022年
及びその添付書類 ( 第145期 ) 至 3月 31日 関東財務局長に提出
(3) 四半期報告書 事業年度 自 2022年 4月 1日 2022年 8月 4日
及び確認書 ( 第146期 第1四半期) 至 2022年 6月 30日 関東財務局長に提出
事業年度 自 2022年 7月 1日 2022年 11月 4日
( 第146期 第2四半期) 至 2022年 9月 30日 関東財務局長に提出
事業年度 自 2022年 10月 1日 2023年 2月 7日
( 第146期 第3四半期) 至 2022年 12月 31日 関東財務局長に提出
臨時報告書
(4)
企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2の規定に基づく臨 2022年 7月 4日
時報告書(株主総会における決議)
関東財務局長に提出
企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の規定に基づく臨時報 2023年 3月 31日
告書(代表取締役の異動)
関東財務局長に提出
(5) 発行登録書(株券、社債券等)及びその添付書類 2023年 6月 1日
関東財務局長に提出
(6) 訂正発行登録書(株券、社債券等) 2022年 7月 4日
2023年 3月 31日
関東財務局長に提出
(7) 発行登録追補書類(株券、社債券等)及びその添付書類 2023年 6月 9日
関東財務局長に提出
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第二部 【提出会社の保証会社等の情報】
該当事項はありません。
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独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書
2023年6月28日
武田薬品工業株式会社
取締役会 御中
有限責任 あずさ監査法人
東京事務所
指定有限責任社員
目 加 田 雅 洋
公認会計士
業務執行社員
指定有限責任社員
野 中 浩 哲
公認会計士
業務執行社員
指定有限責任社員
難 波 宏 暁
公認会計士
業務執行社員
<財務諸表監査>
監査意見
当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられて
いる武田薬品工業株式会社の2022年4月1日から2023年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結
損益計算書、連結包括利益計算書、連結財政状態計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書及び連
結財務諸表注記について監査を行った。
当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条により規定
された国際会計基準に準拠して、武田薬品工業株式会社及び連結子会社の2023年3月31日現在の財政状態並びに同日を
もって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示してい
るものと認める。
監査意見の根拠
当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準におけ
る当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国におけ
る職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責
任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
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監査上の主要な検討事項
監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重
要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見
の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
米国におけるメディケイド及びコマーシャル・マネージドケア・プログラムに関するリベートの引当金の見積りの合
理性
監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由
連結財務諸表の「注記3 重要な会計方針」及び「注記23 引当金」 に記載のとおり、武田薬品工業株式会社の米国
の連結子会社では、医療機関との契約に関連する割戻支払額並びに連邦政府が行う公的医療制度に関連する契約上及
び法定の割戻支払額(以下「米国におけるリベート」という。)に係る見積額を、関連する売上収益から控除してい
る。これらの割戻支払額の対象となる制度には、米国におけるメディケイド及びコマーシャル・マネージドケア・プ
ログラムが含まれている。
米国におけるリベートは関連する売上収益と同じ期間に計上されるが、当該期間に全額が支払われないため、引当
金が計上される。2023年3月31日時点の米国におけるリベートの引当金残高は293,385百万円である。
このうち、メディケイド及びコマーシャル・マネージドケア・プログラムに関するリベートの引当金の見積りにあ
たっては、どの売上取引が最終的にこれらの制度の対象とされるかどうかの判断において、それぞれの製品固有の条
件が設定されており、それらの条件の評価には高度な判断が要求される。
以上から、当監査法人は、米国におけるメディケイド及びコマーシャル・マネージドケア・プログラムに関するリ
ベートの引当金の見積りの合理性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な
検討事項に該当すると判断した。
監査上の対応
当監査法人は、米国におけるメディケイド及びコマーシャル・マネージドケア・プログラムに関するリベートの引
当金の見積りの合理性を評価するため、関連する米国の連結子会社の監査人に監査の実施を指示し、監査手続の実施
結果についての報告を受け、十分かつ適切な監査証拠が入手されているかどうかについて評価した。連結子会社の監
査人によって実施された監査手続には、以下が含まれる。
(1)内部統制の評価
製品固有の条件の設定を含む、米国におけるメディケイド及びコマーシャル・マネージドケア・プログラムに関す
るリベートの引当金の見積りに関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性の評価
(2)引当金の見積りの合理性の評価
・当連結会計年度の総売上高及び過年度のリベート実績割合に基づき連結子会社の監査人が独自に見積もった引当金
の計上額と、経営者が見積もった引当金の計上額との比較検討
・支払われたリベートが関連する契約条項と整合しているかどうかの確認
・過年度における引当金の計上額と最終的な支払金額との比較による、経営者による見積りの精度の評価
その他の記載内容
その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書
以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、
その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の
記載内容に対して意見を表明するものではない。
連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内
容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そ
のような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。
当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告
することが求められている。
その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。
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連結財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任
経営者の責任は、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤
謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及
び運用することが含まれる。
連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、経営者が清算若しくは事業停止の意図があるか、又はそれ以外に現実
的な代替案がない場合を除いて、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価
し、国際会計基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。
監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
連結財務諸表監査における監査人の責任
監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表
示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明
することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利
用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家と
しての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を
立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な
監査証拠を入手する。
・連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価
の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。
・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び
関連する注記事項の妥当性を評価する。
・経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づ
き、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結
論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事
項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表
に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠
に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。
・連結財務諸表の表示及び注記事項が、国際会計基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連
結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうか
を評価する。
・連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入
手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意
見に対して責任を負う。
監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要
な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに
監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講
じている場合はその内容について報告を行う。
監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した
事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止
されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上
回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。
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有価証券報告書
<内部統制監査>
財務報告に係る内部統制に関する監査意見
当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、米国トレッドウェイ委員会支
援組織委員会が公表した「内部統制―統合的枠組み(2013年版)」で確立された規準(以下、「COSO規準(2013年
版)」という。)を基礎とする武田薬品工業株式会社の2023年3月31日現在の財務報告に係る内部統制について監査を
行った。
当監査法人は、武田薬品工業株式会社が、2023年3月31日現在において、COSO規準(2013年版)を基礎として、全て
の重要な点において財務報告に係る有効な内部統制を維持しているものと認める。
監査意見の根拠
財務報告に係る有効な内部統制を維持する責任、及び内部統制報告書において財務報告に係る内部統制の有効性を評
価する責任は経営者にある。当監査法人の責任は、独立の立場から会社の財務報告に係る内部統制についての意見を表
明することにある。当監査法人は、米国公開会社会計監視委員会(The Public Company Accounting Oversight Board
(以下、「PCAOB」という))に登録された監査法人であり、米国連邦証券法並びに適用される米国証券取引委員会及び
PCAOBの規則等に従って、武田薬品工業株式会社から独立していることが要求されている。
当監査法人は、PCAOBの定める財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して監査を行った。PCAOBの基準は、財務
報告に係る有効な内部統制が全ての重要な点において維持されているかどうかについて合理的な保証を得るために、当
監査法人が監査を計画し実施することを求めている。内部統制監査は、財務報告に係る内部統制についての理解、開示
すべき重要な不備が存在するリスクの評価、評価したリスクに基づく内部統制の整備及び運用状況の有効性についての
検証及び評価、並びに当監査法人が状況に応じて必要と認めたその他の手続の実施を含んでいる。当監査法人は、監査
の結果として意見表明のための合理的な基礎を得たと判断している。
我が国の内部統制監査との主要な相違点
当監査法人は、PCAOBの監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。我が国において一般に公正妥当と認められる財
務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠した場合との主要な相違点は以下のとおりである。
1. 我が国の基準では、経営者が作成した内部統制報告書に対して監査意見を表明するが、PCAOBの基準では、財務
報告に係る内部統制に対して監査意見を表明する。
2. PCAOBの基準では、「経理の状況」に掲げられた連結財務諸表の作成に係る内部統制のみを内部統制監査の対象
としており、個別財務諸表のみに関連する内部統制や財務諸表の信頼性に重要な影響を及ぼす開示事項等に係る
内部統制は監査の対象には含まれていない。
3. PCAOBの基準では、持分法適用関連会社の財務報告に係る内部統制については、監査の対象には含まれていな
い。
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財務報告に係る内部統制の定義及び限界
財務報告に係る内部統制は、財務報告の信頼性及び一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠した外部報告
目的の財務諸表の作成に対して合理的な保証を提供するために整備されたプロセスである。財務報告に係る内部統制に
は、(1)会社の資産の取引及び処分を合理的な詳細さで正確かつ適正に反映する記録の維持に関連する方針及び手続、
(2)一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠した財務諸表の作成を可能にするために必要な取引が記録される
こと、及び、会社の収入と支出が経営者及び取締役の承認に基づいてのみ実行されることに関する合理的な保証を提供
するための方針及び手続、並びに(3)財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある会社の資産が未承認で取得、使用又は
処分されることを防止又は適時に発見することに関する合理的な保証を提供するための方針及び手続が含まれる。
財務報告に係る内部統制は、固有の限界があるため、虚偽表示を防止又は発見できない可能性がある。また、将来の
期間に向けて有効性の評価を予測する場合には、状況の変化により内部統制が不十分となるリスク、又は方針や手続の
遵守の程度が低下するリスクを伴う。
利害関係
会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はな
い。
以 上
(注)1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。
2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。
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有価証券報告書
独立監査人の監査報告書
2023年6月28日
武田薬品工業株式会社
取締役会 御中
有限責任 あずさ監査法人
東京事務所
指定有限責任社員
目 加 田 雅 洋
公認会計士
業務執行社員
指定有限責任社員
野 中 浩 哲
公認会計士
業務執行社員
指定有限責任社員
難 波 宏 暁
公認会計士
業務執行社員
監査意見
当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられて
いる武田薬品工業株式会社の2022年4月1日から2023年3月31日までの第146期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対
照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。
当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、武田薬
品工業株式会社の2023年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点に
おいて適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠
当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準におけ
る当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職
業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。
当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
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監査上の主要な検討事項
監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要である
と判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成におい
て対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性
監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由
武田薬品工業株式会社の当事業年度の貸借対照表において、繰延税金資産165,410百万円が計上されている。 注記事
項(重要な会計上の見積り)及び(税効果会計関係) に記載のとおり、当該繰延税金資産の繰延税金負債との相殺前
の金額は202,868百万円であり、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産の総額573,001百万円
から評価性引当額370,132百万円が控除されている。
これらの繰延税金資産は、将来減算一時差異の解消又は税務上の繰越欠損金の一時差異等加減算前課税所得との相
殺により、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると認められる範囲内で認識される。
繰延税金資産の回収可能性は、将来加算一時差異の解消スケジュール、収益力に基づく将来の課税所得及びタック
ス・プランニング等を含む課税所得計画に基づいて判断される。このうち、収益力に基づく将来の課税所得は、主に
武田薬品工業株式会社の事業計画を基礎として見積もられるが、当該事業計画に含まれる特定の製品に係る将来の売
上高の予測には不確実性を伴い、これに関する経営者による判断が繰延税金資産の計上額に重要な影響を及ぼす。
以上から、当監査法人は、繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性が、当事業年度の財務諸表監査におい
て特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。
監査上の対応
当監査法人は、繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性を評価するため、主に以下の監査手続を実施し
た。
(1)内部統制の評価
将来の売上高の予測に関する仮定の設定を含む、繰延税金資産の回収可能性の判断に関連する内部統制の整備及び
運用状況の有効性を評価した。
(2)将来の課税所得の見積りの合理性の評価
収益力に基づく将来の課税所得の見積りの合理性を評価するため、主に以下の手続を実施した。
・繰延税金資産の回収可能性に関する判断に使用された課税所得計画について、取締役会で承認された事業計画との
整合性を確認した。
・事業計画に含まれる各製品の将来の売上高の予測の前提となる主要な仮定の適切性を評価するため、 アナリスト・
レポート、 過去の市場動向、外部の調査機関による市場調査結果及び規制当局からの通知等の関連資料との比較検
討を実施した。
その他の記載内容
その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書
以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、
その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載
内容に対して意見を表明するものではない。
財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と
財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような
重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。
当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告
することが求められている。
その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。
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有価証券報告書
財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任
経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表
示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営
者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。
財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを
評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要
がある場合には当該事項を開示する責任がある。
監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
財務諸表監査における監査人の責任
監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示が
ないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明すること
にある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決
定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家と
しての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を
立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な
監査証拠を入手する。
・財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実
施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。
・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び
関連する注記事項の妥当性を評価する。
・経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、
継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付
ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意
を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項
付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいている
が、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。
・財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどう
かとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事
象を適正に表示しているかどうかを評価する。
監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要
な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに
監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講
じている場合はその内容について報告を行う。
監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監
査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されてい
る場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合
理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。
利害関係
会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。
以 上
(注)1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。
2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。
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