メキシコ合衆国 有価証券報告書
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メキシコ合衆国(E06002)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第 24 条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2023 年6月 29 日
【会計年度】 自 2022 年1月1日 至 2022 年 12 月 31 日
【発行者の名称】 メキシコ合衆国
(United Mexican States)
【代表者の役職氏名】 マリア・デル・カルメン・ボニラ・ロドリゲス
( Mar ía del Carmen Bonilla Rodr íguez)
財務省公債国際関係局次官補
(Deputy Undersecretary for Public Credit and
International Affairs of the Ministry of Finance and
Public Credit)
【事務連絡者氏名】 弁護士 島崎文彰
【住所】 東京都千代田区神田小川町一丁目7番地
小川町メセナビル4階
島崎法律事務所
【電話番号】 (03) 5843-9631
【縦覧に供する場所】 該当なし
注 (1) 本書中、「発行者」または「メキシコ」とあるのは、メキシコ合衆国を指すものとする。
(2) 本書中、「ペソ」とは、メキシコ合衆国の法定通貨を、また「米ドル」もしくは「ドル」とは、アメリカ合衆
国法定通貨を指し、「名目」データとは、インフレ調整を行っていないペソ表示のデータを、「実質」データと
は、インフレ調整後のペソで表示されたデータを指す。別段の記載がない限り、特定の日現在のペソ金額の米ド
ル相当額は、ペソ以外の通貨で表示され、メキシコ国内で支払われる債務の支払についてメキシコ中央銀行が公
表した当該日付現在の為替レートに基づいており、特定の期間についてのペソ金額の米ドル相当額は、当該期間
中にメキシコ中央銀行が日々公表した為替レートの平均値に基づいている。メキシコ中央銀行は、大口取引の市
場状況を反映した代表的な金融機関による建値から得られた平均値を基準に日々公表する為替レートを計算して
いる。メキシコ中央銀行は、メキシコの公式経済統計の計算に際してこのレートを用いている。 2023 年6月1日
にメキシコ中央銀行が公表した為替レート(2営業日後決済)は、1米ドル= 17.5590 ペソであった。「第3-
1- (3) 貿易及び国際収支-⑧ 為替管理および為替レート」を参照のこと。ペソと米ドルとの間の為替相場の
変動により、本書日付以降のいかなる日においても為替相場は上記の相場とは大きく異なる可能性がある。参考
までに、 2023 年6月1日現在株式会社三菱UFJ銀行が建値した対顧客電信直物売買為替相場の仲値は、1ペソ
= 7.87 円および1米ドル= 139.19 円であった。上記の為替レートは参考のためにのみ本書に記載されるものであ
り、本書中のペソ建または米ドル建の金額がいずれかの特定のレートで米ドル、ペソもしくは日本円に交換しえ
た、または交換しうると意味するものではないことに留意されたい。
メキシコの通貨法の下では、契約によるものであるか、メキシコの裁判所の判決によるものであるかを問わず、
メキシコにおいて外国通貨でなされるべき支払は、支払時におけるペソの実勢為替レートによりペソでこれを行
うことができる。
(3) メキシコ連邦政府(以下「政府」という。)の会計年度は、 12 月 31 日に終了する。本書において、 2022 年 12 月
31 日に終了した会計年度は「 2022 年」とし、その他の年度も同様とする。
(4) 本書中の表で計数が四捨五入されている場合、合計は計数の総和と必ずしも一致しない。
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第1【募集(売出)債券の状況】
募集債券
上場金融商品取
会計年度末
引所名または登
債券の名称 発行年月 券面総額 償還額 現在の
録認可金融商品
未償還額
取引業協会名
第19回メキシコ合衆国
2014年7月 139億円 - 139億円 なし
円貨債券 (2014)
第20回メキシコ合衆国
2014年7月 123億円 - 123億円 なし
円貨債券 (2014)
第23回メキシコ合衆国
2016年6月 163億円 - 163億円 なし
円貨債券 (2016)
第24回メキシコ合衆国
2016年6月 219億円 - 219億円 なし
円貨債券 (2016)
第25回メキシコ合衆国
2018年4月 572億円 - 572億円 なし
(1)
円貨債券 (2018)
第26回メキシコ合衆国
2018年4月 241億円 - 241億円 なし
円貨債券 (2018)
第27回メキシコ合衆国
2018年4月 387億円 - 387億円 なし
円貨債券 (2018)
第28回メキシコ合衆国
2018年4月 150億円 - 150億円 なし
円貨債券 (2018)
第29回メキシコ合衆国
2019年7月 655億円 655億円 - なし
(2)
円貨債券 (2019)
第30回メキシコ合衆国
2019年7月 412億円 - 412億円 なし
円貨債券 (2019)
第31回メキシコ合衆国
2019年7月 273億円 - 273億円 なし
円貨債券 (2019)
第32回メキシコ合衆国
2019年7月 310億円 - 310億円 なし
円貨債券 (2019)
第1回メキシコ合衆国
円貨債券(2022)(SDG 2022年9月 297億円 - 297億円 なし
債)
第2回メキシコ合衆国
円貨債券(2022)(SDG 2022年9月 238億円 - 238億円 なし
債)
第3回メキシコ合衆国
円貨債券(2022)(SDG 2022年9月 149億円 - 149億円 なし
債)
第4回メキシコ合衆国
円貨債券(2022)(SDG 2022年9月 40億円 - 40億円 なし
債)
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第5回メキシコ合衆国
円貨債券(2022)(SDG 2022年9月 32億円 - 32億円 なし
債)
(1) 本会計年度終了後、当該債券は 2023 年4月 20 日の満期に全額償還された。
(2) 当該債券は 2022 年7月5日の満期に全額償還された。
売出債券
該当事項なし。
本会計年度中に、各債券の所有者の権利等に重要な影響を与えるような出来事は発生しなかった。
本会計年度末以降、日本において債券の募集または売出しは行われていない。
第2【外国為替相場の推移】
該当事項なし。
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第3【発行者の概況】
1【発行者が国である場合】
(1) 【概要】
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① 地域、人口および社会
メキシコは、総面積が 1,964,375 平方キロメートルで、アメリカ大陸中第5位、世界第 13 位を占めてい
る。北はアメリカ合衆国(以下「合衆国」または「米国」という。)と 3,141 キロメートルに及ぶ国境を接
している。南東は、グアテマラと 641 キロメートル、ベリーズと 249 キロメートルに及ぶ国境を接し、東側
の海岸線は、メキシコ湾に沿って 2,429 キロメートル、カリブ海に沿って 865 キロメートルおよび太平洋に
沿って 7,828 キロメートルに及ぶ。
メキシコは、地理的に非常に多様な国である。山岳地帯や広大な海岸平野のほか、谷間、峡谷、高原お
よび窪地などの特徴がある。メキシコで最も顕著な地理的特徴があるのは、東西シエラマドレ山脈、バ
ハ・カリフォルニア半島、メサ・デル・セントロおよびユカタン半島である。メキシコの国土の約 12.54 %
は耕作地であり、約 55 %は放牧に適しており、約 34 %は森林である。
メキシコは、ハリケーン、地震、豪雨および洪水といった自然災害、ならびにメキシコ湾における石油
流出や鉱山事故など環境に影響を及ぼす事故のリスクに晒されている。「⑧ 環境-自然災害政策」を参照
のこと。
メキシコ国立統計地理情報院( Instituto Nacional de Estadística y Geografía 、以下「 INEGI 」とい
う。)による 2020 年の住宅および人口に関する国勢調査( Censo de Población y Vivienda )によると、メ
キシコの人口は 126 百万人で、アメリカ大陸では人口が3番目に多い。国勢調査の結果によると、メキシコ
の人口の 79 %は都市部に居住し、 21 %は農村部に居住している。メキシコは 32 の州からなっており、その
うちの3大州は、メキシコ州、メキシコシティおよびハリスコ州で、その人口はそれぞれ 16.9 百万人、 9.2
百万人および 8.3 百万人である。
メキシコは、一般に上位中所得発展途上国に分類されている。以下の表は、世界銀行の国際復興開発銀
行(以下「 IBRD 」ということがある。)が公表したメキシコおよびその他のアメリカ大陸諸国にかかる最
近の抜粋比較統計を示している。
(1)
抜粋比較統計
メキシコ ブラジル アルゼンチン チリ 米国
(2)
国民1人当たり GDP 10,045.7 7,507.2 10,636.1 16,265.1 70,248.6
平均寿命 70 73 75 79 76
(3)(4)
青年識字率
男性 99 % 99 % 99 % 99 % n.a.
女性 99 % 100 % 100 % 99 % n.a.
(5)
乳児死亡件数 11 13 6 6 5
n.a. :未詳
(1) 別段の記載がない限り、 2021 年の数値。
(2) 数値は米ドルで表示。
(3) 15 歳から 24 歳まで。
(4) アルゼンチンについては 2018 年現在、メキシコについては 2020 年現在の数値。
(5) 出生 1,000 人に対する乳児死亡件数。
出典: 世界銀行の「世界開発指標」
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② 政府の形態
メキシコは、メキシコシティを含む 32 の州により構成される国家である。 1917 年5月1日に発効したメ
キシコ政治憲法( Constitución Política de los Estados Unidos Mexicanos 、 以下「憲法」という。)
は、現在のメキシコの政府形態を、政府および州政府からなる連邦共和国として確立させている。
政府
憲法は、政府を行政府、司法府および立法府の3つに分けることにより、権限の分立を定めている。
2022 年 12 月 31 日現在、行政府および立法府ならびに各州政府には7の全国政党が代表者を送っていた。
(i) 行政府
メキシコの大統領は、行政府の長であり、 18 歳以上のメキシコ国民の一般投票により選出される。憲
法は、大統領の任期を1期6年に制限している。一般投票により、または代理としてもしくは臨時の資
格において暫定的に、大統領職に就いた者は、当該職に再度就くことはできない。
2018 年7月1日にメキシコにおいて総選挙が実施された。国家再生運動党( MORENA )のアンドレス・
マヌエル・ロペス・オブラドール候補が大統領選挙に勝利した。ロペス・オブラドール大統領は、制度
的改革党のエンリケ・ペニャ・ニエト大統領に代わって、 2018 年 12 月1日に就任した。
行政府は、 19 の省、連邦法制局( Consejería Jurídica del Ejecutivo Federal )およびエネルギー部
門の2つの規制上の組織からなる。
選挙管理委員会( Instituto Nacional Electoral )は、 2019 年 12 月に承認された憲法改正( 2021 年9
月 14 日に官報( Diario Oficial de la Federación )に掲載された連邦リコール法( Ley Federal de
Revocación )において成文化された。)に従って、選挙人名簿に登録された者の少なくとも3%に相当
する市民の要求により大統領に対するリコールの国民投票を招集することができる。この法律は、メキ
シコの連邦行政府のリコールに関する国民投票の招集、開設および組織化のために必要な手続き(リ
コールの国民投票は、大統領の任期中1回に限り要求することができ、大統領の任期の3年目以降3カ
月以内に行われなければならない旨を含む。)を定めている。リコールの国民投票が有効となるために
は、選挙人名簿に登録された者の少なくとも 40 %が投票に参加し、その絶対過半数の承認を得なければ
ならない。
大統領は各省の長を任命する。大統領による財務省( Secretaría de Hacienda y Crédito Público )
の大臣および上級官僚の任命は、下院( Cámara de Diputados )の承認を条件とする。 2021 年6月9日、
ロペス・オブラドール大統領は、ロヘリオ・ラミレス・デ・ラ・オー氏を新任の財務大臣に任命する決
定を発表し、 2021 年8月9日、下院はかかる任命を承認した。 2021 年 11 月 24 日、ロペス・オブラドール
大統領は、メキシコ中央銀行( Banco de México )の総裁であるアレハンドロ・ディアス・デ・レオン氏
の後任として、次期総裁にビクトリア・ロドリゲス・セハ氏を推薦する決定を表明し、セハ氏が 2022 年
1月1日から5年任期で就任することが 2021 年 12 月2日に上院( Senado de la República )で承認され
た。
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国家開発計画は、ロペス・オブラドール大統領の任期中における主な目標および目的を定めた5カ年
計画である。 2019 年7月 12 日に公表された国家開発計画には、公共行政における腐敗の根絶、最も貧困
かつ最も脆弱な層に配慮した国民の経済的福祉の促進、予防重視の戦略による犯罪、非行および暴力の
削減、参加型民主主義の推進、ならびに非干渉、自己決定、開発協力、対話と暴力および戦争の拒否に
よる紛争の平和的解決ならびに人権の尊重に基づく外交政策の確立などが盛り込まれている。総じて、
開発計画は、法の秩序と権力の分離を厳守して、「共和主義」の緊縮政策を優先している。 2020 年4
月、国家開発計画に沿って、大統領は、新型コロナウイルス( COVID-19 )のパンデミックに対応して連
邦行政府に対する緊縮措置を定めた大統領令を発出し、同大統領令は 2020 年 12 月 31 日まで効力を有し
た。
(ii) 司法府
メキシコの連邦司法府(連邦司法府)は、最高裁判所( Suprema Corte de Justicia de la
Nación )、巡回裁判所( Tribunales Colegiados de Circuito )、地方裁判所( Juzgados de Distrito )
および連邦司法委員会( Consejo de la Judicatura Federal )で構成されている。最高裁判所は 11 名の
裁判官からなり、その任期は 15 年で期差任期制により交替する。最高裁判所の各裁判官は、大統領が指
名した3名の候補者の中から、上院の3分の2の多数票により任命される。最高裁判所の裁判官は4年
ごとに長官( Ministro Presidente )を互選し、長官は連続して再選されることはない。連邦司法委員会
は、連邦司法制度人事の管理、監督および規律を担当する。同委員会は7名の委員で構成され、委員の
一人である最高裁判所長官が委員長を務める。
憲法は、連邦司法府に対して違憲判決を下す権限を含む司法審査の権限を付与している。最高裁判所
は、初めて行った 2019 年2月 14 日の違憲に関する一般宣言において、法律で特に定められていない規制
枠組みに違反があった場合にラジオおよびテレビの営業権者および免許所有者の課税所得の1%という
最低の罰金を科す連邦通信放送法( Ley Federal de Telecomunicaciones y Radiodifusion )の規定が過
大であるとして無効を言い渡した。
2019 年7月 19 日、最高裁判所は、連邦公務員報酬法( Ley Federal de Remuneración de los
Servidores Públicos )の一部規定、ならびに給与と給付金の過払を行ったことおよび過払の受取につい
て報告を怠ったことに対する罰則を定めた連邦刑法( Código Penal Federal )の2つの条文を無効と
し、議会( Congreso de la Unión )に対して無効化された規定を次の通常会期中に立法化するよう命じ
た。新しい連邦公務員報酬法は 2021 年5月 19 日に官報に掲載された。
2021 年2月 19 日、憲法が改正され、一般市民が起訴され、裁判を受けうるあらゆる犯罪についてメキ
シコ大統領も起訴されることが認められることとなった。憲法は 2021 年3月 11 日にも改正され、司法府
を強化し、十分な研修を確保し、事件の審理を迅速化することを目的として、司法府に適用される変更
が導入された。8票の過半数で最高裁判所が、また4票の過半数で最高裁判所の裁判官室( Salas )が、
決定した意見は、連邦のすべての司法当局および連邦法人に対して拘束力を有する。
2021 年5月 19 日、議会は連邦国民投票法( Ley Federal de Consulta Popular )を改正し、選挙人名簿
に登録されている国民の 40 %以上が国民投票に参加した場合、その結果は連邦行政府および立法府に対
して拘束力を有することが定められた。
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(iii) 立法府
立法権は、上院および下院からなる議会に付与されている。憲法上、大統領は法案に対して拒否権を
行使することができ、議会は各院の3分の2の多数票をもってかかる拒否権を無効にすることができ
る。
議会の議員は、 18 歳以上のメキシコ国民の一般投票により直接、または比例代表制を通じて選出され
る。比例代表制の下では、政党は、拘束式名簿上に下院議員または上院議員を務める候補者を推薦す
る。議席は、とりわけ政党が一般投票の少なくとも3%を獲得した場合に限り、当該選挙において当該
政党に投じられた票数の比率に基づいて、候補者名簿に指定された順番に割当てられる。下院は 500 名の
下院議員で構成され、そのうち 300 名は全国の選挙区の選挙民による直接投票により選出され、その他
200 名は比例代表制により選出される。上院は 128 名の上院議員で構成され、そのうち 96 名は直接投票に
より選任され、その他 32 名は比例代表制により選出される。ひとたび選出されると、上院議員の任期は
6年で、連続してもう1期6年間まで再選が可能である。下院議員の任期は3年で、連続してさらに3
期まで再選が可能である。上院議員全 128 議席および下院議員全 500 議席にかかる議員選挙は 2018 年7月
1日に実施された。下院議員選挙は 2021 年6月6日にも実施され、次回の上院議員選挙は、下院議員選
挙に合わせて 2024 年6月2日に予定されている。
以下の表は、一部上院議員および下院議員の選挙後の所属政党変更を反映した、 2022 年末現在のメキ
シコの上院および下院の議席配分を示している。最近の議席配分については、「 (7) その他-最近の展
開-政府の形態」を参照のこと。
議会の議員数
(1) (1)
上院 下院
議席数 比率(%) 議席数 比率(%)
国家再生運動党( MORENA ) 60 46.9 202 40.4
国民行動党 20 15.6 115 23.0
制度的改革党 13 10.2 69 13.8
市民運動党 12 9.4 25 5.0
メキシコ環境主義緑の党 6 4.7 41 8.2
労働党 5 3.9 33 6.6
社会遭遇党 4 3.1 0 0.0
民主革命党 3 2.3 15 3.0
無所属 4 3.1 0 0.0
(2)
127 99.2 500 100.0
合計
注:四捨五入のため比率の合計は一致しないことがある。個々の議員は所属政党を変更することがある。
(1) 2022 年 12 月 31 日現在。
(2) 2022 年 12 月 31 日現在、上院には1名の欠員があった。
出典: 上院および下院
州政府
メキシコシティを除くメキシコの各州の行政府は、それぞれ一般投票により選出される州知事を長とす
る。メキシコシティの行政府の長は市長であり、やはり一般投票により選出される。
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③ 刑事司法
メキシコは、有罪が証明されるまで被告人は無実であると推定される告発刑事司法制度を有している。
国家刑事訴訟法( Código Nacional de Procedimientos Penales )は、憲法およびメキシコが当事者となっ
ている国際条約に定める原則に従って全国一律の刑事訴訟規則を定めている。同法は、迅速な法律手続き
の促進、被害者とその権利の保護の強化、無罪の推定の実施および適正なプロセスの尊重の強化などを目
標としている。
2019 年5月 27 日、政府は、国家拘留記録法( Ley Nacional del Registro de Detenciones )を制定し
た。これにより、拘留者の人権侵害、拷問行為、残酷、非人道的かつ品位を傷つける取扱い、ならびに強
制失踪を防ぐ目的で、国家レベルで拘留に関する情報を統合するための国家拘留記録( Registro Nacional
de Detenciones )が設けられている。国家公安情報システム( Sistema Nacional de Información en
Seguridad Pública )の一部をなす国家拘留記録には、各被拘留者が刑事または行政手続きのどの段階にあ
るかに関する情報が含まれ、利害関係者が被拘留者の状況にかかる記録を検索することが認められてい
る。
メキシコは、人権、適正なプロセスおよび客観性をよりよく保護することを目的として、連邦検察総局
( Fiscalía General de la República )の統合、構造、運営および権限ならびに連邦公共省( Ministerio
Público de la Federación )の組織、責任および倫理的義務を改革するため、 2021 年5月 20 日に新たな法
律である連邦検察総局基本法( Ley de la Fiscalía General de la República )を採択した。
④ 国内の治安
概要
特に麻薬の製造、加工および取引、燃料の窃盗ならびにサイバー犯罪といった活動に関係していること
を理由に、ここ数年、政府は組織犯罪対策を強化している。政府は、様々な治安対策を実施すると同時
に、軍隊および警察を強化している。
INEGI による迫害と治安の認識に関する世論調査 2022 ( Encuesta Nacional de Victimización y
Percepción sobre Seguridad Pública 2022 )によると、麻薬取引および組織犯罪といった被害調査対象外
の連邦犯罪を除き、地方犯罪および関連する治安対策によりメキシコの家計に対して 2021 年には GDP の
1.55 %に相当する 278.9 十億ペソの費用( 2020 年には、 GDP の 1.85 %に相当する約 277.6 十億ペソの費用)が
かかったことが判明した。この費用は、地方犯罪の被害者1名につき 7,147 ペソに相当する。
国家開発計画の一環として、政府は、犯罪と暴力の根源に焦点を当てたセキュリティ対策へのアプロー
チを優先している。国内の治安上の問題を削減するための対策の中でも、開発計画では、若年層向けの教
育および雇用を促進し、前科者の社会復帰を増加し、薬物依存症を予防、治療し、前科者と被害者の間の
和解および調停にかかる地域的および全国的なプロセスを創出し、マネー・ロンダリングを回避すること
を目的としている。
上記の目標を進めるため、政府は 2019 年5月 27 日、平和を確保し、教育、医療、社会福祉、人権保護お
よび麻薬対策等の改革を通じた市民生活の質の向上を目的として、一連の法律を制定した。
メキシコの税関および港湾における汚職対策とセキュリティ強化のため、 2020 年 12 月7日付で、連邦行
政基本法( Ley Orgánica de la Administración Publica Federal )、航行および海運法( Ley de
Navegación y Comercio Marítimos )および港湾法( Ley de Puertos )が改正され、海上・港湾のセキュリ
ティの管理および監視を含む通信運輸省( Secretaría de Comunicaciones y Transportes )の権限の一部
が海軍省( Secretaría de Marina )に移管された。
2021 年6月 30 日および7月1日、メキシコと米国の政府間で、二国間の共同安全保障戦略に関する高官
レベルの会談が開催された。かかる二国間戦略は、暴力犯罪対策を目的として、武器の密売の削減、組織
犯罪による暴力の削減、ならびに麻薬の製造、密売および消費の削減を含む国内の治安上の優先課題に取
組むことを目的としている。
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地域の安全保障をいっそう促進させるため、墨米間の治安に関するハイレベル・グループ( Grupo de
Alto Nivel de Seguridad México-Estados Unidos 、以下「 GANSEG 」という。)は、地域の安全保障と連携
に 関する共通のビジョンを提案し、将来の二国間の行動の指針となる包括的かつ長期的なアプローチを確
立する墨米 200 周年枠組み( Entendimiento Bicentenario )を立ち上げるため、 2021 年 12 月 14 日に初めての
会合を持った。 2022 年1月 31 日、メキシコおよび米国の政府高官は、今後3年間にわたる墨米 200 周年枠組
みのための行動計画を発表した。墨米 200 周年枠組みの主要な目標に関する詳細情報については、「 (7) そ
の他-最近の展開-国内の治安」を参照のこと。
組織犯罪、武器密売およびマネー・ロンダリング
財務省の金融情報機関( Unidad de Inteligencia Financiera 、以下「 FIU 」という。)とメキシコシ
ティの市長は、 2019 年3月1日、マネー・ロンダリングおよびテロへの資金供与と闘うため情報交換をす
る協定を締結した。同協定により、違法な資金源をもつ犯罪を援助するために与えられたあらゆる種類の
援助を防止し、摘発するために、いっそうの連携が可能になっている。
いずれも 2019 年 11 月8日付で改正された、連邦反組織犯罪法( Ley Federal Contra la Delincuencia
Organizada )、国家安全保障法( Ley de Seguridad Nacional )、国家刑事訴訟法、連邦財政法( Código
Fiscal de la Federación )および連邦刑法は、一定の条件の下で、 ( ⅰ ) 組織犯罪に相当し、 ( ⅱ ) 職権( ex
officio ) による公判前拘留に値し、 ( ⅲ ) 条件付停止の資格を喪失し、 ( ⅳ ) 補償契約の対象とならない、特
定の税法違反の取扱いを対象としている。 2019 年 11 月8日の法改正は、脱税およびマネー・ロンダリング
を防止し、訴追し、より厳しく罰することを目的としたものである。
メキシコを代表する治安・市民防災省( Secretaría de Seguridad y Protección Ciudadana )と米国
は、銃器、麻薬および金融資産の国境を越えた犯罪ネットワークによる密売を減らし、麻薬の消費を減ら
し、依存症と闘い、フェンタニールを共通の問題として取扱うための二国間プログラムについて 2020 年1
月 16 日に合意した。組織的かつ国境を越えた犯罪との闘いに焦点を置いた 2019 年における GANSEG の複数回
にわたる協議の末、この合意にこぎつけた。
2019 年 12 月、外務省、治安・市民防災省、連邦検察総局、および駐メキシコ欧州連合代表部
( Delegaci ó n de la Uni ó n Europea en M éxico )のサポートを受けた欧州連合( EU )諸国の一部の代表
は、 ( ⅰ ) 武器の違法な流れを抑制し、 ( ⅱ ) 情報交換のための協力メカニズムを模索するため、安全保障事
項に関する連携プロセスの開始について合意した。また治安・市民防災省は、欧州連合法執行機関(欧州
刑事警察機構、以下「ユーロポール」という。)との別の会議において、安全保障問題に関する協力を拡
大強化するための作業協定( acuerdo de trabajo )( 2020 年7月1日付で発効)に調印した。この作業協
定により、メキシコと EU 加盟国の警察当局ならびにユーロポールと関係のある第三国および組織を結びつ
ける、当事者間の情報交換のための安全なシステムが保証される。
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人権
メキシコは、 (1) 人権擁護者およびジャーナリストを保護するための指定インフラおよび予算、 (2) 暴力
のリスクを特定し軽減するための、民間組織の代表者、国家人権委員会( Comisión Nacional de los
Derechos Humanos )および政府の主導による全国的な連携システム、ならびに (3) 人権擁護者およびジャー
ナリストに対する暴力事案の調査を実施し、これを解決する、表現の自由に対する犯罪に対応する特別検
察( Fiscalía Especial para la Atención de Delitos Cometidos Contra la Libertad de Expresión )を
含む人権の保護を目的とした政策を有している。
強制失踪、自発的失踪および国家人物捜索制度に関する一般法( Ley General en Materia de
Desaparición Forzada de Personas, Desaparición Cometida por Particulares y del Sistema Nacional
de Búsqueda de Personas )は、失踪者の捜索の決定、実行およびフォローアップを担当する国家人物捜索
制度( Sistema Nacional de Búsqueda de Personas )ならびに被害者の家族、市民社会組織、連邦および
地方検察庁で構成される協議および参加機関として機能する全国調査委員会( Comisión Nacional de
Búsqueda )などの手段を講じることにより、刑事免責と闘い、被害者とその家族の権利を守ることを目的
としている。
サイバー犯罪およびサイバーセキュリティ
2017 年および 2018 年、メキシコの銀行間電子決済システム( Sistema de Pagos Electrónicos )の加盟社
に影響を及ぼした一連の国際的なサイバー攻撃およびサイバー違反を受けて、メキシコの連邦警察
( Policía Federal )は連邦機関のコンピュータ機器のセキュリティを高めるための技術的提言を備えたガ
イダンスを発行し、メキシコ中央銀行は、技術的インフラ保護を改善し、追加的なオペレーションの検証
を認め、技術セキュリティ管理部( Gerencia de Seguridad de Tecnologías )にサイバーセキュリティ管
理に対する監督権限を付与することを目的とした一連の改革および統制措置を通じて、その取扱うデータ
の保護を強化した。メキシコはまた、ランサムウェア・ソフトウェアにリンクしたサイバー事案を管理す
るため、国家安全保障委員会( Comisión Nacional de Seguridad 、以下「 CNS 」という。)と諸外国の同等
機関との間のコラボレーション・プロトコル契約も有している。
金融部門の6つの当局、連邦検察総局、メキシコの金融部門の様々な同業組合および民間金融機関の代
表者により 2018 年に調印された情報セキュリティに係る調整基準( Bases de Coordinación en Materia de
Seguridad de la Información )は、メキシコの金融制度において情報セキュリティが脅かされるような事
由が発生した場合に金融部門の当局および団体がこれに対応し、他の機関と調整する方法をさらに強化す
るものである。
2019 年8月、米州機構( OAS )は、メキシコの金融制度におけるサイバーセキュリティの状況( Estado
de la Ciberseguridad en el Sistema Financiero Mexicano )と題する報告書を公表した。この報告は、
金融制度の異なる部門の組織の調査に基づき、国家銀行証券委員会( Comisión Nacional Bancaria y de
Valores 、以下「 CNBV 」という。)のサポートを受けて実施されたものである。この報告書に記載された情
報およびデータは、サイバー攻撃および情報セキュリティの問題に対する金融制度の準備態勢をよりよく
整えるために、 CNBV による監視、協力、コミュニケーションおよび資金源の規制を導くことに役立った。
2021 年9月 21 日、国家警備隊( Guardia Nacional )は、サイバー事案管理のための国家承認プロトコル
( Protocolo Nacional Homologado de Gestión de Incidentes Cibernéticos )を公表した。このプロトコ
ルは、サイバーセキュリティ・リスクをより適切に管理し、憲法の秩序を維持し、民主主義を維持し、メ
キシコおよびその市民の経済的、社会的および政治的発展に貢献するため、連邦機関、連邦法人、憲法上
の自治機関、教育機関および民間部門におけるサイバーセキュリティを強化することを目的としている。
2022 年5月 24 日、メキシコ中央銀行は、デジタル・フォレンジック・デカログ( Decálogo Forense
Digital )を発行した。これには、情報セキュリティ侵害が発生した場合に金融機関がデジタル・フォレン
ジックの証拠を特定、収集、保存、分析および提供するために採用することができるガイドラインが含ま
れている。
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⑤ 汚職対策
国家汚職対策システム( Sistema Nacional Anticorrupción )は、公共行政および政府会計における汚職
および贈収賄と闘うことを目指した政府の包括的な制度的枠組みである。 2020 年1月 29 日、国家汚職対策
システム調整委員会 ( Comité Coordinador del Sistema Nacional Anticorrupción 、以下「 CCSNA 」とい
う。) は、国家汚職対策政策( Política Nacional Anticorrupción 、以下「 PNA 」という。)を承認した。
PNA は、汚職と闘うための政府戦略を立案し、汚職防止に関連するすべての公的機関の措置を導く約 40 の公
共政策の優先事項を明確に示すものである。 2022 年1月 27 日、 国家汚職対策システム調整委員会は、国家
汚職対策政策実施プログラム(以下「 PI-PNA 」という。)を承認した。3年間有効となる PI-PNA の初版に
は、メキシコの公的機関向けに汚職対策のための具体的かつ測定可能な行動が定められており、これには
年次進捗報告書の提出および3年ごとの PI-PNA の 実施 報告書の作成が含まれる。
国家汚職対策システムに加えて、 2019-2024 年汚職と懲罰に対抗し、公共管理を改善するための国家プロ
グラム( Programa Nacional de Combate a la Corrupción y a la Impunidad, y de Mejora de la
Gestión Pública 2019-2024 )には、5つの優先課題、法令遵守のための具体的な措置ならびに目標および
測定のパラメーターが定められている。 2019 年8月 30 日に採択されたこのプログラムは、連邦行政
( Administración Pública Federal )のすべての政府機関、部局および組織に対して強制となっている。
2年に1度行われる INEGI の 2021 年政府の質と影響に関する世論調査( Encuesta Nacional de Calidad e
Impacto Gubernamental 2021 )により、公務員と接触した国民の約 14.7 %が少なくとも1回は汚職に見舞
われたことが判明した。この調査により、調査時点で 18 歳以上の国民の 47.1 %が自治体政府に少なくとも
何らかの信頼感を持っており、 45.1 %が州政府に少なくとも何らかの信頼感を持っており、 54.1 %が連邦
政府に少なくとも何らかの信頼感を持っていたことも判明した。
2021 年の同国勢調査によると、汚職行為のコストは、被害を受けた成人一人当たり平均 3,044 ペソ、総額
9.5 十億ペソであった。同統計はまた、 2021 年には公安当局や検察当局とのやり取りを伴うプロセスおよび
サービスにおいて汚職の発生率が最も高かったことも示している。 INEGI による 2020 年規制の質および企業
に対する政府の影響に関する世論調査( Encuesta Nacional de Calidad Regulatoria e Impacto
Gubernamental en Empresas 2020 )によると、 2020 年には事業会社の 72.6 %が汚職の主な動機は政府プロ
セスの迅速化であると考えていたことが判明した。
2016 年7月 18 日から、公共行政省( Secretaría de la Función Pública 、以下「公共行政省」または
「 SFP 」という。)は、国家汚職対策システムおよび国家デジタル・プラットフォーム( Plataforma
Digital Nacional )の実施を通じて組織強化の手続きを開始した。とりわけ、資産の申告、公的契約およ
び公務員に対する苦情に関する情報をもつ6つのシステム(このうち4つは現在運用されている。)を統
合することにより、国家デジタル・プラットフォームは、汚職の検出を可能にし、国家汚職対策システム
の執行機関の措置を促進する一次情報源となることを目指している。
このほかに、政府の汚職対策の取組みをさらに進めることを意図した複数のプログラムおよび法律があ
る。これには、公務員の個人的財務状態の一定の詳細を公にすることの義務づけ、ならびにより広範な違
反リスト(現在では汚職行為や公務員による犯罪を含む。)に関連する資産を対象とする政府による差押
え( extinción de dominio )の範囲の拡大が含まれる。
2019 年、公共行政省は、 Odebrecht S.A. 社の子会社である Constructora Norberto Odebrecht, S.A. 社お
よび Odebrecht Ingeniería y Construcción Internacional de México, S.A. de C.V. 社に対して、調達手
続きへの参加、または連邦行政の諸機関および組織、連邦検察総局、ならびに連邦の資源を利用する州の
諸機関もしくは組織との間の契約締結を3年間禁じた。かつて、公共行政省は 2018 年に、 Constructora
Norberto Odebrecht, S.A. 社に対して調達手続きへの参加または連邦行政の諸機関および組織、連邦検察
総局、ならびに連邦の資源を利用する州の諸機関もしくは組織との間の契約締結を禁じた。
汚職情報専門技術委員会( Comité Técnico Especializado de Información Sobre la Corrupción )は、
( ⅰ ) 汚職を理解してこれと闘い、 (ⅱ) 効果的で具体的かつ検証可能な証拠に基づいて意思決定を行い、
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( ⅲ )INEGI が作成した情報の利用と知識を促進し、 ( ⅳ ) 公共政策を監視および評価するための指標の生成、
統合および普及を調整する、メキシコの制度的能力に関する正確かつ信頼のおける情報を生み出すことを
目 的として、 2019 年 11 月 14 日に設立された。
2019 年 11 月 19 日に施行された連邦財政緊縮法( Ley Federal de Austeridad Republicana )は、公的資源
の支出を管理し、公務員間の利益相反を削減し、公務員による特権情報の悪用を防止し、公益信託の創設
および使用を規制してその誤用を防止するための一連の措置を確立した。
2021 年3月1日、財務省と選挙管理委員会は、(ⅰ)あらゆる選挙プロセスにおける公的資金の不適切
な使用の防止、発見および処罰ならびに(ⅱ)財政および金融問題に関する犯罪の撲滅を目的とした研修
戦略を開発するための合意書に署名した。
2021 年 10 月1日、 SFP は、連邦公共行政の諸機関との間で契約を締結する供給業者および第三者による財
およびサービスにかかる契約の履行および遵守を SFP が監視できるようにするオンライン・ツールである電
子調達追跡ログ( Bitácora Electrónica de Seguimiento de Adquisiciones 、以下「 BESA 」という。)の
運用を開始した。 BESA は、 SFP 全体における公共調達の金額の 80 %についてリアルタイムで監査することが
でき、 SFP の監査システムを強化することになる。契約の不遵守があった場合、 BESA は回避、調査かつ必要
に応じた制裁が可能な潜在的な不正を調査するため、監督上の警告システムを提供する。 2022 年8月 26
日、 SFP は BESA の第2段階を開始した。これには、公共調達、リースおよびサービス契約の正式化から財お
よびサービスの受取りならびに支払に至るまで、公共調達、リースおよびサービス契約の締結ならびに履
行における不正を監視し、検知する警告システムが組込まれている。
2021 年 10 月 27 日、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(以下「 CELAC 」という。)において汚職防止の取
組みを担当する閣僚グループは、 CELAC の汚職対策専門家グループ( Grupo Especializado en la
Prevención y Lucha contra la Corrupción 、以下「 GEPLC 」という。)を正式に設立した。 GEPLC は、汚職
対策に関するベスト・プラクティス、経験および情報の分析および交換のほか、加盟国間における地域の
政治的調整および連携を推進、促進することを目的としている。
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連邦行政監察官税制執務室( Procuraduría Fiscal de la Federación 、以下「 PFF 」という。)とメキシ
コ通関業者協会連合会( Confederación de Asociaciones de Agentes Aduanales de la República
Mexicana 、以下「 CAAAREM 」という。 )は、 2021 年 12 月 10 日に外国貿易における脱税、密輸および汚職と闘
うための協力協定に署名した。この協定は、税務・関税犯罪のリスクと影響について通関業者に注意を喚
起し、コンプライアンス・プログラムを策定するための書式、仕組みおよび条件を整備するほか、関連す
る研修、ワークショップ、会議およびセミナーを開催する。
2022 年5月 13 日、公共行政省と 連邦衛生リスク対策委員会( Comisión Federal para la Protección
contra Riesgos Sanitarios 、以下「 COFEPRIS 」という。)は、連邦保険制度における優れたガバナンスの
ための国家戦略( Estrategia Nacional de Buen Gobierno en el Sistema Federal Sanitario )を発表し
た。これは、ツール、運用メカニズムおよび報告手続きの標準化を通じて公的医療における汚職の防止、
説明責任の強化および誠実性の促進を目的としている。 COFERIS はこの戦略の実施を監督することになって
いる。
2022 年8月 5日、公共行政省と CNBV は、情報の交換を通じて、連邦行政における行政上の不正行為と裏
付けのない公務員の純資産の増加に対する捜査を強化するための協力協定を締結した。
⑥ 情報へのアクセス、政府調達および透明性
政府は、情報へのアクセスおよび政府の透明性を改善するため、いくつかの法的および政治的措置を制
定した。
自治的組織として運営される国家情報公開庁( Instituto Nacional de Transparencia, Acceso a la
Información y Protección de Datos Personales 、以下「 INAI 」という。)は、包括的で参加型の社会を
促進するために、憲法に定められた公開情報アクセスおよび個人データ保護の権利を保証し、透明性、説
明責任および個人データの適正な取扱いの文化を強化することを目的としている。
透明性および公開情報へのアクセスに関する連邦法( Ley Federal de Transparencia y Acceso a la
Información Pública )は、制裁を課す INAI の権限について規定し、政府機関が保有する情報へのアクセス
権を確保し、軍、いくつかの政府機関および委員会、生産的国有企業および生産的子会社にかかる透明性
の義務を規定している。
公共行政省は、公務員の資産および利害関係の申告( declaraciones patrimoniales )に関する現在およ
び過去のすべての情報を、指定された政府のウェブサイト上でオープン・データの形で一般に向けて利用
可能にしている。
汚職を排除し、民間部門のプロバイダーへの信頼感を深め、機関への信頼を高めることを目的として、
INAI 、メキシコ透明性庁( Transparencia Mexicana A.C. )、世界銀行、オープン・コントラクティング・
パートナーシップ( Alianza Internacional para las Contrataciones Abiertas )および国際財政透明性
イニシアティブとの共同による政府のオープン・コントラクティング・プラットフォーム
( Contrataciones Abiertas )が設置された。
オープン・コントラクティングのための同盟( Alianza para las Contrataciones Abiertas )は、大統
領の国家デジタル戦略調整局( Coordinación de Estrategia Digital Nacional )、財務省、公共行政省、
INAI およびメキシコ透明性庁をもって構成される。 2018 年3月、オープン・コントラクティングのための
同盟は、透明性および公開情報へのアクセスに関する連邦法に基づく透明性義務を満たすため、メキシコ
のオープン・コントラクティング・データ標準( Estándar de Datos de Contrataciones Abiertas para
México )を提示した。
政府はまた、それぞれ 2018 年 12 月および 2019 年 12 月に実施された情報アクセス権の社会化のための国家
計画( Plan Nacional de Socialización del Derecho de Acceso a la Información )および 2019-2021 年
第4次アクションプラン( Cuarto Plan de Acción 2019-2021 、以下「 4PA 」という。)を含む複数の計画
を遵守している。これらは、一般国民による情報へのアクセス、政府の透明性、説明責任および市民参加
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の改善を目指すものである。 2022 年9月、メキシコの開かれた政府の調整委員会は、 4PA に基づく各コミッ
トメントにかかる政府の成果と遵守状況の検証を開始した。
2020 年2月 21 日、条約機関が 1994 年以来メキシコに対して行ってきた約 3,500 の勧告および行動項目を体
系化したコンピューター・プラットフォームである、人権に関する国際勧告のための監視および対処シス
テム( Sistema de Seguimiento y Atención de Recomendaciones Internacionales en materia de
Derechos Humanos 、以下「 SERIDH 」という。)が外務省によって提示された。 SERIDH は、受領した勧告お
よび行動項目を国連の持続可能な開発のための 2030 アジェンダと結びつけている。
⑦ 外交、 国際機関および国際経済協力
メキシコは、 193 カ国と外交関係を結んでおり、また国際連合の創設国のひとつである。メキシコは、カ
ナダおよび米国と共に米国・メキシコ・カナダ協定(以下「 USMCA 」という。)の締結国であり、また欧州
復興開発銀行(以下「 EBRD 」という。)、米州開発銀行(以下「 IDB 」という。)、国際金融公社
( IFC )、国際通貨基金(以下「 IMF 」という。)、 OAS 、 CELAC 、ラテンアメリカ・カリブ諸国宇宙開発機
関( ALCE )、国際海事機関( IMO )および世界銀行の加盟国でもある。メキシコはカリブ開発銀行( CDB )
の非借入域内加盟国でもあり、また、アンデス開発公社(以下「 CAF 」という。)の正式加盟国である。
メキシコおよび米国の当局者は、 2019 年6月、両国の国境を越えた密売および密入国を減らすための一
連の措置を実施することで合意した。これには、メキシコの北部および南部国境に追加のチェックポイン
トの設置、徒歩ならびに鉄道やトレーラートラックおよびバスなどの車両による密入国を手引きしたとさ
れる者に対する救出作戦の実施、ならびに特に中央アメリカからの移民に対する機会の提供が含まれる。
当事者はまた、難民申請者が、彼らの申請が米国において解決するまでメキシコに留まり、保護、雇用の
機会、健康保険および教育を受けられることについても合意した。入国管理官をサポートするという政府
の以前の計画の一環として、国家警備隊もメキシコの南部国境に配備されている。メキシコと米国の代表
者は、 2019 年6月の合意の進捗状況を分析するため数回にわたって会談している。
メキシコは、 2020 年 10 月 13 日に2年任期で国連の人権理事会( UNHRC )の非常任理事国に再選された。ま
た、メキシコは 2021 年1月1日に2年任期で国連安全保障理事会( UNSC )の非常任理事国に、また3年任
期で国連経済社会理事会( ECOSOC )の理事国に就任した。
2020 年1月から 2022 年1月まで CELAC の臨時議長国を務め、 2021 年5月から 2022 年5月までカリブ諸国連
合閣僚理事会( Consejo de Ministros de la Asociación de Estados del Caribe 、以下「 AEC 」とい
う。)の議長国も務めた。
2021 年7月 23 日、メキシコとパナマは、二国間、地域および多国間の諸問題についての対話と協力の促
進を目的とした戦略的パートナーシップ協定( Acuerdo de Asociación Estratégica )に調印した。この協
定は、貿易および投資に関連した条約によるものを含め、両国間の経済的関係の強化に焦点を当ててい
る。
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2021 年9月9日、二国間の経済、社会および商業面における戦略的優先課題の推進を目的として墨米ハ
イレベル経済対話(以下「 HLED 」という。)が再開された。 HLED は、 (1) サプライチェーンの強化および墨
米間の貿易の円滑化、 (2) 中米北部における移民の構造的原因に対処するための、メキシコ南部および中米
における経済的、社会的および持続可能な開発の促進、 (3) サイバー攻撃の脅威の緩和および両国間での
データの流れの改善、ならびに (4) 教育水準がより高く競争力のある労働力の研修と促進および中小企業の
地域的バリューチェーンへの統合という4つをその中心的な柱としている。 2021 年 12 月 13 日、外務省
( Secretaría de Relaciones Exteriores )、経済省( Secretaría de Economía )および財務省は、米国の
現政権とともに、 HLED から派生した作業計画を提示したが、これには4つの柱に基づく 10 を超える具体的
なプロジェクトが含まれている。 2022 年9月 12 日、米国とメキシコは、 HLED の第2回年次会合を開催し、
特に米国とメキシコの半導体および情報通信技術のサプライチェーンのエコシステムを通じて、北米のサ
プライチェーンと地域の競争力を強化する両国の取組みを強調した。両国政府はまた、国境インフラおよ
び近代化プロジェクトへの投資にもコミットした。これは、陸路での入国港における 26 件の主要な建設お
よび近代化プロジェクトに 3.4 十億米ドルを充てるインフラ投資および雇用法の米国議会での採択ならびに
2022-2024 年の間に国境インフラに 1.5 十億米ドルを投資するメキシコのコミットメントを通じて行われ
る。
ラテンアメリカ・カリブ諸国宇宙開発機関 は、農業、自然災害、セキュリティおよび監視、海洋学、気
象学、天然資源の探査ならびに都市情報および地図作成に使用される観測システムにおける地域の能力を
強化するため、地域の宇宙プログラムの包括的かつ持続可能な発展を強化するための宇宙技術、研究、探
査および関連するアプリケーションにおける協力を調整することを目的としている。
メキシコは、 2021 年 12 月 10 日の IMO の第 32 回総会において IMO の理事国に再選され、 IMO の創設国として、
国際文書の作成および実践、ならびに安全、海洋環境の保護、技術協力および研修の分野における協力行
動における IMO 理事会の作業に積極的に参加してきた。
2022 年1月 26 日、メキシコは太平洋同盟の臨時議長国に就任した。
2022 年5月 31 日、世界銀行は、新たな簡素化された税制の促進、自然災害発生時の財政支援メカニズム
の整備、金融サービスの対象範囲と質の拡大およびデジタル決済制度に関する市場規制の改善するための
イニシアティブを含め、メキシコにおける包摂的かつ持続可能な経済成長を支援するため 700 百万米ドルの
取引を承認した。
2022 年6月9日、メキシコは、経済成長の促進、域内の不平等の削減、脆弱な人々の保護、報酬の高い
雇用の創出および気候変動への対応に重点を置いた経済繁栄のための米州パートナーシップに参加する意
向を表明した。
メキシコは、米州テロ対策委員会( Comité Interamericano contra el Terrorismo 、 CICTE )のメンバー
であり、 2022 年7月 27 日に 2022-2023 年の議長国に選出された。
メキシコは、経済協力を促進する多くの国際協定にも参加している。下記「⑧環境-環境政策」および
「 (3) 貿易及び国際収支-①貿易-対外貿易関係および協定」を参照のこと。
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⑧ 環境
環境政策
メキシコの主な環境面の関心事項には、革新的な経済、財政および公共政策手段によるメキシコの自然
遺産の保全および復元を通じた資源および便益の推進および創造、ならびに環境財・サービスの消費の促
進などがある。憲法は、すべての国民にその発展と福祉のための健全な環境に対する権利を付与してい
る。この権利は、環境保護に取組む法律、規則、命令および条例のしっかりした枠組みを通じて保証され
る。メキシコの環境政策の基盤となるのは、生態系均衡および環境保護一般法( Ley General del
Equilibrio Ecológico y la Protección al Ambiente )である。同法は、とりわけ (1) 各人の発展と福祉の
ために健全な環境で生活する権利を保証すること、 (2) 環境政策の原則およびその実行のための仕組みを明
確にすること、ならびに (3) 生物多様性を保全、保護し、自然保護区を管理することを目指している。メキ
シコの法律では、経済の成長は環境保護を条件とすることも義務づけられている。
環境資源省( Secretaría de Medio Ambiente y Recursos Naturales 、以下「 SEMARNAT 」という。)は、
政府の環境政策を作成し、助言を行う。 2018 年6月5日に公表された持続可能な森林開発一般法( Ley
General de Desarrollo Forestal Sustentable )は、森林域の完全かつ持続可能な管理、ならびに国の森
林生態系の保全、保護、回復、生産、管理、栽培および利用を規制し、促進するものである。
SEMARNAT はまた、ドイツ国際協力公社(以下「 GIZ 」という。)および 国際連合教育科学文化機関(以下
「 UNESCO 」という。)をはじめとする 諸外国政府の当局および国際機関と共同で、とりわけ、地方および
国家レベルでの持続可能な利用を促進するための水資源の管理、ならびに貨物車両および乗用車によって
生成される温室効果ガスおよび大気汚染物質の排出量を削減するための政策、プログラムおよび対策の開
発および実施においてメキシコの機関をサポートしている。
2019 年9月 16 日、 SEMARNAT は、メキシコがオゾン層破壊物質消費の 99 %削減を達成したことを発表し
た。 2020 年6月現在、代替フロンの使用量は 2014 年と比較して 79.5 %減少していた。 2022 年6月現在、約
249.7 トンの HFC-134a と 4.3 トンの R-404A が除去されて炭化水素に置き換えられ、約 374,009 トンの二酸化炭
素排出量が削減された。
2021 年 10 月5日、国立生態学・気候変動研究所( Instituto Nacional de Ecología y Cambio
Climático 、以下「 INECC 」という。)は、 1990-2019 年 温室効果ガスおよび化合物の全国目録( Inventario
Nacional de Emisiones de Gases y Compuestos de Efecto Invernadero 1990-2019 、以下「 INEGYCEI 」と
いう。)の最新版を発表した。 INEGYCEI によると、メキシコにおいてはエネルギー部門が温室効果ガスの
最大の排出源になっており( 64 %)、次いで農業・林業および土地利用の変化( 19 %)、工業プロセスお
よび製品の利用( 10 %)、廃棄物(7%)の部門の順となっていると報告された。
SEMARNAT のほかにも、政府は環境規制の遵守を監視し、生物多様性を保全し、持続可能な開発政策を促
進し、森林の保全と再生を促進するほか、環境を保護し、生態系を保全、回復し、国内における気候変動
に対する懸念を和らげるための科学的および技術的な知識を生み出し、これを利用するいくつかの団体を
擁している。
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2020 年6月、 SEMARNAT は、メキシコの様々な種類の廃棄物の生成および処理ならびに海洋汚染および廃
棄物のエネルギー利用を含む新たな問題を特定する調査である、 2020 年包括的な廃棄物処理のための基礎
診断( Diagnóstico Básico para la Gestión Integral de Residuos 2020 、以下「 DBGIR 2020 」とい
う。)を発表した。 DBGIR は、新たな 2020-2024 年廃棄物の抑制および総合的廃棄物処理のための国家プロ
グラム( Programa Nacional para la Prevención y Gestión Integral de los Residuos 2020-2024 )の策
定と実施に使われた。
輸送関連の汚染は、メキシコシティの大気汚染の大きな原因となっており、また間接的に大気中のオゾ
ン排出の大きな原因となっている。その結果、輸送関連汚染の抑制が政府の公害防止プログラムの主たる
目的となっている。 2019 年6月、メキシコシティ政府は、 2019-2024 年メキシコシティのための環境および
気候変動プログラム( Programa Ambiental y de Cambio Climático para la Ciudad de México 2019-
2024 )のために 145 十億ペソを授権した。このプログラムの目的は、環境条件および一般市民の健康を改善
し、首都における雇用および経済を推進することである。このプログラムは、 (1) 市内および市郊外におけ
る植生の回復、 (2) 水域の救済、 (3) 持続可能な水管理の実施、 (4) 「ごみゼロ」の実現、 (5) 統合された持
続可能な移動性に焦点を当てること、 (6) 大気の質の改善、ならびに (7) 太陽光エネルギーへの依存度の高
い都市の創造という7つの主要分野に焦点を当てている。
メキシコシティおよびメキシコのその他いくつかの都市を走行するすべての新車両は、米国の性能基準
に適合した排出制御装置を備えることを義務づけられており、政府は、新しいエンジンおよびディーゼル
を燃料として使用する特定の新車の排気ガスからの様々な大気汚染物質ガスおよび微粒子の排出について
最大許容限度を設定している。メキシコシティでは各平日に市内の自家用車の5分の1が締め出されるこ
とを義務づけ、週末の運転規制を定期的に、また市内の汚染水準が高いと判断された場合に、拡大される
プログラムであるノーカーデー( Hoy No Circula )を引続き実施している。排出基準を満たした車両が一
定の排出基準テストを満たした場合には毎日利用することができる。また、 2019 年 12 月、政府は、燃費を
評価し、ノーカーデーにおける車両の通行制限を決定する車両検証ホログラムを付与する政策を発表し
た。
メキシコシティ政府はまた、市内の大気汚染を抑える取組みの一環として、メキシコシティ内の4カ所
の大気の質を測定する移動分析設備を利用している。メキシコ盆地の首都圏( Zona Metropolitana del
Valle de México )内では、大気の質を改善するための政府の措置には、家庭用製品に含まれるオゾン層破
壊物質の量を減らすためのかかる製品中の揮発性有機化合物に関する規制、メーカーによるクリーンな技
術および高度な排出制御システムを奨励するためのオートバイの排出規制、より優れた火災管理および防
火慣行の導入、ならびに特定の時間における貨物輸送に関する規制が盛り込まれている。
主にメキシコシティを含むメキシコ盆地内に所在の工業が原因となっている工業関連の汚染もメキシコ
の大気汚染の大きな要因となっている。製造業部門の大部分はメキシコ盆地外の地域に移転しているが、
メキシコの製造業の生産高の大部分は依然としてこの地域内の工場から生産されている。政府当局は、メ
キシコ盆地またはモンテレイやグアダラハラといったその他の主要工業都市における新工場建設の意欲を
削いだり、大気中の汚染物質の濃度が一定水準まで上昇した場合に、特定の種類の工場に対して操業の縮
小や一時的な閉鎖を義務づけるなど、いくつかの方法でこうした工業関連の汚染に取組もうとしてきた。
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農業・農村開発省( Secretaría de Agricultura y Desarrollo Rural 、以下「農業省」という。)も、
農村における環境イニシアティブを推進している。乾燥地域国家委員会( Comisión Nacional de las
Zonas Áridas 、以下「乾燥地域委員会」という。)は、メキシコの乾燥した地域および未耕作地域の開発
を行っている。乾燥地域委員会は、生産性の回復と土壌保全および雨水活用の実践の推進に力を入れてお
り、これには、一次生産に利用される土壌、水および植物の保全、持続可能な利用および管理の推進によ
るものが含まれる。これらの目標は、農村地域に対して (1) 保全プロジェクトへの投資、 (2) 雨水の取り込
み、貯蔵および処理のための手続きの策定および開発、ならびに (3) 植被の利用を奨励することにより、実
現される。
エネルギー移行法( Ley de Transición Energética )は、よりクリーンなエネルギー源を推進すること
により、気候変動に対応することを目的としている。この法律により、クリーン・エネルギー証明書プロ
グラムが設けられ、 2024 年までにメキシコの電力供給の少なくとも 35 %がクリーン・エネルギー源から生
み出されなければならないという目標が設定されている。
2020 年2月7日、政府は、よりクリーンな技術および燃料の利用を促進するための移行戦略
( Estrategia de Transición para Promover el Uso de Tecnologías y Combustibles más Limpios )を更
新した。この戦略には、期間 15 年の中期計画部分と期間 30 年の長期計画部分に基づいて、次の3つの主要
目的が定められている: ( ⅰ ) メキシコにおいてよりクリーンで持続可能なエネルギー部門を実施するため
の目標とロードマップを設定すること、 ( ⅱ ) 電力産業からの汚染物質排出削減を促進すること、および
( ⅲ ) 経済的実行可能性の条件下で、主要なエネルギー源として化石燃料へのメキシコの依存を減らすこ
と。 2022-2036 年国家電力システム開発プログラム( Programa de Desarrollo del Sistema Eléctrico
Nacional 2022-2036 、以下「 PRODESEN 」という。)によれば、 2021 年にメキシコは 29.5 %の電力をクリー
ンな資源により発電した。
2020-2024 年国家水計画( Programa Nacional Hídrico 2020-2024 )および 2020-2024 年国家森林計画
( Programa Nacional Forestal 2020-2024 )が 2020 年 12 月末に採択された。国家水計画は、 ( ⅰ ) 飲料水お
よび下水サービスの不十分かつ不公平な利用、 ( ⅱ ) 住民および経済部門に影響を及ぼす非効率的な水の利
用、 ( ⅲ ) 極端な水文気象現象による人的および物的損失、ならびに ( ⅳ ) 盆地および帯水層における水の量
的・質的悪化に対処することを目的とし、コンプライアンスおよび実施の成功を評価するための具体的な
目標および測定のパラメーターを有している。国家森林計画は、持続可能な開発を促進しつつ、森林問題
における国際的なコミットメントのメキシコによる達成を助けることを目的としている。両プログラムと
も、 連邦行政の すべての政府機関、部局および組織に対 して強制となっている。 2020 年から 2021 年にかけ
て、家庭用または公共の都市利用のために保護、割当てまたは譲許された水の量は 13.2 十億立方メートル
から 13.3 十億立方メートルに増加し、国家レベルでの森林再生活動の対象となる土地の割合は 0.85 %から
1.02 %に上昇した。
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2021 年 11 月、新たに2つの環境関連プログラムが設定された。 11 月5日に公表された 2021-2024 年汚染地
点浄化対策国家プログラム( Programa Nacional de Remediación de Sitios Contaminados 2021-2024 )
は、ストックホルム条約および水俣条約に基づくメキシコのコミットメントに沿ったもので、 ( ⅰ ) 汚染地
点への対処に関する意思決定を支援するための全国汚染地点目録の強化、 ( ⅱ ) 汚染地点の浄化対策の促
進、および ( ⅲ ) 汚染地点の浄化をめぐる規制の枠組みの強化の3つを主な目的としている。 11 月8日に公
表された 2021-2024 年気候変動対策特別プログラム( Programa Especial de Cambio Climático 2021-
2024 )は、 ( ⅰ ) 適応プロセスを強化し、回復力を高めることにより、気候変動に対する人口、生態系およ
びインフラの脆弱性を低減すること、 ( ⅱ ) 温室効果ガスの排出量を削減すること、 ( ⅲ ) 環境、社会および
経済のコベネフィットの創出を優先する措置および政策を推進すること、ならびに ( ⅳ ) 包摂と人権を優先
し、政府の様々なレベル間での調整メカニズム、資金調達および実施戦略を強化することの4つを主な目
的としている。汚染地点浄化対策国家プログラムおよび気候変動対策特別プログラムでは、いずれも主な
目的を実現するための資金源および具体的な目標が示されている。
2022 年8月、メキシコは、国内環境関連で2件の最新情報を発表した。メキシコは、8月 12 日に「 2021-
2024 年持続可能な海洋経済のための実施戦略( Estrategia de Instrumentación para una Economía
Oceánica Sostenible 2021-2024 )を発表し、メキシコにとって持続可能な海洋経済の意味を確立した。8
月 17 日、 SEMARNAT は、 INECC および GIZ と共同で、連邦政府事業体が温室効果ガスの排出削減策の実施と気
候変動への適応の進捗状況を毎年評価できるようにするため、地方レベルでの気候行動に向けた透明性ア
ジェンダの情報システム( Sistema de Información de la Agenda de Transparencia de Acciones
Climáticas a Nivel Subnacional )というプラットフォームを立ち上げた。
2022 年 12 月、メキシコは、廃棄物処理に関連する2つのプログラムを導入した。まず、 2022-2024 年廃棄
物の抑制および総合的廃棄物処理のための国家プログラム( Programa Nacional para la Prevención y
Gestión Integral de los Residuos 2022-2024 )は、 (1) 都市の固形廃棄物リサイクル市場の能力の向上、
(2) 持続可能な廃棄物処理活動に向けた規制の変更の促進、 (3) 持続可能な廃棄物処理活動のためのインフ
ラと設備の奨励、 (4) インフォーマル・セクターによって現在提供されている廃棄物処理サービスの職業化
および形式化、ならびに (5) 責任ある廃棄物の生成と処理の文化の実現を目指している。次いで、 2022-
2024 年特殊取扱廃棄物の抑制および総合的特殊取扱廃棄物処理のための国家プログラム( Programa
Nacional para la Prevención y Gestión Integral de los Residuos de Manejo Especial 2022-2024 )で
は、 (1) 廃棄物の特殊取扱いに関する政策立案の改善、 (2) 特殊取扱い廃棄物の生成防止ならびに特殊取扱
い廃棄物の適切な処理および利用の促進、ならびに (3) 特殊取扱い廃棄物の処理に関する責任の様々な政府
レベルへの割当てに重点が置かれている。
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国際協定
メキシコは、国連気候変動枠組条約 ( UNFCCC )の京都議定書 、オゾン層を破壊する物質に関するモント
リオール議定書およびパリ協定の締約国であり、メキシコ、米国およびカナダ政府間の環境協力協定
( Acuerdo en Materia de Cooperación Ambiental entre los Gobiernos de los Estados Unidos
Mexicanos, de los Estados Unidos de América y de Canadá )、指導者による自然回復の誓約
( Declaración Voluntaria de Líderes por la Naturaleza y las Personas )、水銀に関する水俣条約、
持続可能な海洋経済に関するハイレベル・パネル(海洋パネル)、ラテンアメリカおよびカリブ海の環境
問題における情報へのアクセス、一般市民の参加、司法へのアクセスに関する地域協定( Acuerdo
Regional sobre el Acceso a la Información, la Participación Pública y el Acceso a la Justicia
en Asuntos Ambientales en América Latina y el Caribe )ならびに自然と人々のための高い野心連合
( HAC )の締約国でもある。
メキシコは、アルゼンチン、ボリビア、エクアドル、パラグアイ、ペルーおよびウルグアイとともに統
合地域衛星情報システム( Sistema Integral Regional de Información Satelital 、以下「 SIRIS 」とい
う。)を運用している。このプラットフォームにより、メキシコは関連する衛星データにアクセスして、
( ⅰ ) 農林業部門における関連変数に関する情報を受取り、 ( ⅱ ) 森林火災およびその他の重要な気象変数を
監視し、 ( ⅲ ) 地域レベルで特定の疾病が蔓延する素因となる社会環境的な指標および社会的な指標の価値
を可視化するため、疾病の重症度分類マップと情報を受取ることが可能になる。
パリ協定に関してなされた国際公約に関連して、 2021 年1月1日、メキシコは、排出権取引システムの
3カ年試験プログラムを開始した。同プログラムは、発電、セメント、鉄・鉄鋼生産および精錬を含むエ
ネルギー・工業部門の企業を規制している。
ラテンアメリカおよびカリブ海の環境事項における情報アクセス、市民参加および司法アクセスに関す
る地域協定は、 2021 年4月 22 日にメキシコにおいて発効した。これは、ラテンアメリカおよびカリブ海地
域における環境情報へのアクセス、環境意思決定プロセスへの市民参加および環境問題における司法アク
セスの権利を保証することを目的としている。
メキシコは、 2021 年および 2022 年にいくつかの国際的な気候関連イニシアティブに参加した。 2021 年 11
月2日に開催された第 26 回国連気候変動会議において、メキシコは持続可能な開発および包摂的な農村変
革の推進により、 2030 年までに森林の消失および土地の劣化を食い止め、回復させることを目的とする
「森林と土地利用に関する宣言」に参加し、 2030 年までに世界のメタン排出量を 2020 年の水準から少なく
とも 30 %削減することを目標とする「グローバル・メタン・プレッジ」にも参加した。
2021 年 12 月1日、メキシコは、有害廃棄物の発生を抑制し、有害物質が環境にやさしい方法で処分され
ることを確保し、国際的な協力と監視のメカニズムを促進することを目的とした、有害廃棄物の国境を越
える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約の改正を採択した。
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2022 年6月9日、メキシコは、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、パナマ、ペルー
および米国とともに、海洋環境および生態系の保護ならびに保全について協力および連携を促進すること
を目的とする海洋保護米州宣言に署名した。 2022 年 11 月 17 日の第 27 回国連気候変動会議において、メキシ
コは、気候変動の削減に向けた進捗状況を発表し、 2030 年までに温室効果ガス排出量を 35 %にまで削減す
るとのコミットメントを高めた。 2022 年 12 月、メキシコはプラスチック汚染に関する政府間交渉委員会
( INC )の第1回会合に出席し、プラスチック汚染根絶のための高い野心連合への参加を表明した。同連合
は、 (1) プラスチックの消費と生産を持続可能な水準に抑えること、 (2) 環境と人間の健康を守るプラス
チックの循環経済税を可能にすること、および (3) プラスチック廃棄物の環境的に健全な管理とリサイクル
を実現することを目的としている。
自然災害政策
自然災害基金( Fondo de Desastres Naturales 、以下「 FONDEN 」という。)は、国家市民保護制度
( Sistema Nacional de Protección Civil )および自然災害基金の一般規則( Reglas Generales del
Fondo de Desastres Naturales )の枠組みにおいて自然災害により被った影響を軽減するための資金充当
を含む、緊急事態、復旧および復興に関連した災害後のリスク管理活動をサポートするために政府が設立
した金融手段であった。 2021 年に同基金の清算手続きが開始され、資金の残額は国庫に戻され、自然災害
ならびに FONDEN の以前の債務の返済のために財務省がこれを充当する。
2021 年現在、歳出予算には、国家市民保護制度、自然災害による被害に対処するための具体的な運用指
針( Lineamientos de Operación Específicos para atender los daños desencadenados por fenómenos
naturales perturbadores )、自然災害緊急対策プログラム( Programa para la Atención de Emergencias
por Amenazas Naturales )および自然災害による被害に対処するためのプログラムおよびプロジェクトを
実施するための予算の仕組みを定める具体的な規定( Disposiciones específicas que establecen los
mecanismos presupuestarios para ejecutar programas y proyectos para atender los daños
ocasionados por fenómenos naturales )の枠組みの中に、予防的措置を実施し、または自然災害による被
害に対処するためのプログラムもしくはプロジェクトを実施するための具体的な規定が含まれていなけれ
ばならない。
2022 年、政府は自然災害による被害を受けたインフラに関連した復興プロジェクトのために 7.75 十億ペ
ソの支出を承認した。
メキシコは、 IBRD のキャピタル・アット・リスク・ノート・プログラムを通じて、メキシコの大災害債
券の発行をサポートすることにより、メキシコに自然災害リスクに対する保険を提供する助けとなる次の
2件の契約を IBRD との間で締結している: (1) 地震および熱帯サイクロンに対する総額 360 百万米ドルの保
険をメキシコに提供する 2017 年8月の契約、ならびに (2) 地震のリスクに対する総額 260 百万米ドルの保険
をメキシコに提供する 2018 年2月の契約。 2018 年2月の契約は、太平洋同盟諸国4カ国を対象とした大災
害連動型のキャピタル・アット・リスク・ノートに基づく IBRD による5シリーズの債券発行に関連して締
結されたものである。
2020 年3月、世界銀行は、4本立ての大災害債券( CAT ボンド)を発行し、4年間の地震およびハリケー
ンによって被った損害に対して FONDEN 向けに 485 百万米ドルの保険カバレッジを提供した。これと引換え
に、 FONDEN は保険料を世界銀行に支払い、世界銀行はこれを CAT ボンドの保有者( CAT ボンドに特化した
ファンド、資産運用会社、年金基金、ヘッジ・ファンドおよび再保険会社を含む。)に移転する。 2021 年
の FONDEN 清算後は、世界銀行との間の契約に基づくすべての権利および義務は財務省を通じて連邦政府に
移転した。
大災害保険( Seguro para Catástrofes )を通じて、政府は 2022 年7月から 2023 年7月まで有効な自然災
害関連保険証券を有している。この保険証券は、自然災害による損害の復旧のための予算財源に財政的保
障を提供し、最大5十億ペソの保険を提供するもので、最低水準 275 百万ペソの損害および累積損害 750 百
万ペソを超える自然災害によって有効になった。
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2017 年9月7日および同年9月 19 日の地震を受けて、政府は、 2018 年4月 30 日現在、 6,844.4 百万ペソの
緊急支援と 22,810.3 百万ペソの復興支援を授権した。これら資金の大半は、住宅、教育、考古学的および
歴 史的建造物、道路ならびに水道に使われた。これらの地震後、メキシコは、 IBRD から、 2017 年8月4日
付の契約の条項に基づき地震にかかる最大支払額となる 150 百万米ドルの支払を受けた。 2022 年、国家復興
計画( Programa Nacional de Reconstrucción )は、災害救援活動のために、 FONDEN 、連邦歳出予算および
その他の基金を含む複数の財源から 3.06 十億ペソを受領した。
2017 年9月の震災の後、震災の被害の内容と規模に応じて、復興の優先地域が特定された。震災後、政
府とメキシコシティ政府は、一般国民が地震の被災地におけるさまざまな復興作業の進捗状況を監視でき
るウェブサイトを立ち上げ、そのうちのひとつは現在も稼働している。
政府は、国家復興計画の運用ルール( Reglas de Operación del Programa Nacional de
Reconstrucción )に従っている。地震の影響を受けたコミュニティをターゲットとして、これらのガイド
ラインは、住宅および物理的な教育と医療のインフラを再構築するため、ならびに文化的、歴史的、考古
学的および芸術的資産の保全および保存のための修復、リハビリ、保守および研修のため、国家住宅委員
会( Comisión Nacional de Vivienda 、以下「 CONAVI 」という。)、 国家教育施設インフラ機構
( Instituto Nacional de la Infraestructura Física Educativa 、以下「 INIFED 」という。)、保健省、
文化省( Secretaría de Cultura )、州および地方自治体政府ならびに民間部門の間の組織横断的な協力を
援助する一般的な基準およびメカニズムを設定するものである。
市民保護一般法( Ley General de Protección Civil )は、民間部門およびすべてのレベルの公的部門に
わたるリスク管理手続きを対象とし、これを調整する国家市民保護制度を創設し、規制している。市民保
護一般法に従って、各州は、各州の市民保護部署( Unidades de Protección Civil )の研修、設備および
システム化を促進するための市民保護基金( Fondo de Protección Civil )(各州からの提供資金ならびに
利用可能な範囲の連邦補助金を含む。)の創設および管理を担当する。
一連の陸、海、空および宇宙の監視機器で構成されるメキシコの早期警戒システム( Sistemas de
Alerta Temprana )は、生命にかかわる可能性のある自然災害やその他の極端な事象や危険について、通信
機器を介して有意義な警告を適時に人々に伝えることができる。こうした早期警戒システムには、国立地
震学システム( Servicio Sismológico Nacional )、メキシコ地震警報システム( Sistema de Alerta
Sísmica Mexicano )、ポポカテペトル火山監視システム( Sistema de Monitoreo del Volcán
Popocatépetl )、熱帯サイクロン早期警戒システム( Sistema de Alerta Temprana para Ciclones
Tropicales )、国立津波警報システム( Sistema Nacional de Alerta de Tsunamis )、メキシコ山火事早
期警戒システム( Sistema de Alerta Temprana de Incendios en México )および国立気象局( Servicio
Meteorológico Nacional )が含まれる。
2019 年 10 月 30 日、国立防災センター( Centro Nacional de Prevención de Desastres 、以下
「 CENAPRED 」という。)は、政府の「予防」計画の予防および即応体制の要素を構成する地震危険度軽減
ガイド( Guía para la Reducción del Riesgo Sísmico )を提示した。このガイドは、メキシコに影響を及
ぼす地震の緊急事態に対応し、対処する連邦および地方の計画を補足するように設計されたものである。
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(2) 【経済】
① 概要
世界銀行のデータによると、 2022 年の GDP (米ドル現行価格による)で測定したメキシコ経済は、世界で
15 番目の規模である。メキシコ経済は、 2022 年の実質 GDP が 18,346.7 十億ペソで、 2018 年から 2022 年の間に
実質 GDP は 173.3 十億ペソ、年平均 0.2 %減少した。
2020 年 12 月 31 日に官報に掲載された、 2020-2024 年生産性と競争力のための特別プログラム( Programa
Especial para Productividad y Competitividad 2020-2024 )は、 以下によって国家経済を強化すること
を目的としている。 (1) 資源の増加とその配分の改善、 (2) 新規企業の創出の促進と既存企業の生産性の向
上、 (3) 人的資本、インフラおよびイノベーションを通じて人々と企業の幸福の増進による生産性の向上、
(4) 競争力の促進ならびに (5) 地域格差を削減し、戦略的経済部門を強化することである。このプログラム
には、コンプライアンスおよび実施の成功を評価するための具体的な目標および測定のパラメーターがあ
り、連邦行政の すべての政府機関、部局および組織に対して適用されることとなっている。
2022 年9月 20 日に経済省によって発表された産業政策に向けた( Rumbo a una Política Industrial )戦
略は、官民の産業部門改革の取り組みにロードマップを提供することを目的としている。当該戦略は、新
技術とイノベーション、人的資本の育成、地域経済と中小企業の役割および産業活動の持続可能性に焦点
を当てている。
② 経済における政府の役割-民営化
過去数十年間にわたって、政府は規制緩和、民営化および民間部門からの投資の増加を通じて経済の生
産性および競争力を向上させるための措置を講じてきた。これらの措置には、 (1) 政府が鉄道および衛星通
信への民間部門からの参入を認可することを認めるための憲法改正および法律の制定、 (2) メキシコ民間部
門の企業による天然ガスの貯蔵、配送および輸送への参入を認める法律の制定、 (3) 空港、港湾および高速
道路の民営化、 (4) 民間企業にメキシコ国内での商業空輸サービス事業の 30 年間有効な営業免許
( concesiones )を認める民間航空に関する法律の制定、ならびに (5) 政府が石油の採掘ならびに発電およ
び配電への民間からの参入を認可することを認めるための憲法改正および法律の制定が含まれる。鉄道経
済分野への民間部門の参入についての詳細は、「 (7) その他-最近の展開-経済-経済の主要部門-運輸お
よび通信-鉄道」を参照のこと。
2022 年 12 月 31 日現在、政府が所有または支配する事業体の数は 211 社であった。これらの事業体には、
(1) 政府が過半を所有する企業( empresas de participación estatal mayoritaria )、 (2) 分権的機関
( organismos decentralizados )、 (3) 公益信託( fideicomisos públicos )および (4) 生産的国有企業
( empresas productivas del estado )(それらの生産的国有子法人( empresas productivas
subsidiarias )を含む。)が含まれる。過半数所有の企業には、与信の利用を制限されてきた個人および
企業に貯蓄、技術革新の利用と促進および金融・ジェンダー包摂を奨励する機関である福祉銀行( Banco
del Bienestar, S.N.C. 、以下「福祉銀行」という。)などの銀行開発機関が含まれる。分権的機関は、主
として中小規模の預金者向けに銀行預金を保証し、支払能力の問題を抱える銀行に解決策を与えて、銀行
制度の安定性に貢献し、全国決済システムを保護することを目的とする銀行預金保険機構( Instituto
para la Protección al Ahorro Bancario 、以下「 IPAB 」という。)など、一般に技術的、運営上、予算上
および経営上の自律性を有する独立の法人である。公益信託は、地域開発、雇用創出、経済発展、社会福
祉および生活の質の向上を目指した観光部門への持続可能な投資プロジェクトを特定しようとする観光推
進国家基金( Fondo Nacional de Fomento al Turismo )など、明確な目的を有するサービスにおいて公益
または権利を提供するために創設された公的機関である。生産的国有企業は政府完全所有の企業である。
メキシコの生産的国有企業は、その生産的国有子法人を通じて炭化水素の探査、生産、工業用転換、流通
およびマーケティングに従事するメキシコ石油公社( Petróleos Mexicanos 、以下「ペメックス」とい
う。)ならびにその生産的国有子法人を通じて電力部門の効率的な運営ならびに全国送電ネットワーク
( Red Nacional de Transmisión )および一般的配電ネットワーク( Redes Generales de Distribución )
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へのオープン・アクセスを促進する連邦電力公社( Comisión Federal de Electricidad 、 以下「 CFE 」とい
う。)である。
近年、議会は、メキシコ経済の主要部門への民間および外国人の参入範囲を拡大する一連の法律を採択
してきた。例えば、国家インフラ基金( Fondo Nacional de Infraestructura 、以下「 FONADIN 」とい
う。)は、公的部門および民間部門の参加によるインフラ整備プロジェクト開発のための財政基盤として
機能している。また、連邦財政緊縮法( Ley Federal de Austeridad Republicana )に基づき、政府は購
入、リースおよびサービス契約の締結に際して公開入札プロセスの利用を優先している。経済の石油およ
び石油化学部門ならびに電力部門への外国人および民間部門の参入範囲の拡大措置についての詳細は、
「 (7) その他-最近の展開 - 経済 - 経済の主要部門-石油および石油化学」および「 (7) その他-最近の展開
-経済-経済の主要部門-電力産業」を参照のこと
2021 年 11 月 22 日、所定の予算および社会的利益の目標に沿うように公共インフラ・プロジェクトの実行
を改善することを目的とした行政協定が官報に掲載された。かかる法令に基づき、連邦行政組織は、公共
および国家安全保障に資すると考えられる一定の公共インフラ・プロジェクトを開始するための仮承認を
5営業日以内に付与するよう指示されている。
経済の強化およびメキシコ一般家庭の家計を守るための連邦政府と地方政府間合意( Acuerdo para el
Fortalecimiento Económico y la Protección de la Economía Familiar )は、メキシコの一般家庭の家計
を守り、投資を増やし、雇用創出、経済成長および競争力を維持することに重きを置き、メキシコの国内
市場を強化することを目的としている。
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③ 国内総生産
以下の表は、表示期間についてのメキシコの実質国内総生産( GDP )および支出をペソおよび比率で示し
たものである。
実質国内総生産および支出
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(1)
( 単位:十億ペソ)
GDP 18,520.0 18,483.2 17,009.2 17,811.7 18,346.7
6,901.5 6,851.3 5,910.2 6,835.1 7,427.3
加算:財貨およびサービスの輸入
財貨およびサービスの供給合計 25,421.6 25,334.5 22,919.4 24,646.7 25,774.0
6,759.5 6,858.8 6,358.4 6,809.0 7,322.5
控除:財貨およびサービスの輸出
国内支出に供され得る
財貨およびサービス合計 18,662.0 18,475.6 16,561.0 17,837.8 18,450.5
財貨およびサービス合計の配分
民間部門消費 12,450.3 12,495.2 11,206.6 12,043.8 12,778.9
2,204.3 2,165.0 2,158.3 2,145.9 2,163.3
公的部門消費
消費合計 14,654.6 14,660.2 13,364.8 14,189.7 14,942.2
総固定投資 3,746.5 3,569.1 2,936.5 3,351.8 3,445.9
130.3 101.7 (34.3) 88.0 71.9
在庫の増減
18,531.3 18,331.1 16,267.0 17,529.5 18,459.9
国内支出合計
130.7 144.5 294.0 308.3 (9.5)
誤差脱漏
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 2013 年 12 月 31 日現在の購買力に基づく恒常ペソによる表示。
出典: INEGI
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実質国内総生産および支出
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
( 単位: GDP に対する百分比)
GDP 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
加算:財貨およびサービスの輸入 37.3 37.1 34.7 38.4 40.5
財貨およびサービスの供給合計 137.3 137.1 134.7 138.4 140.5
36.5 37.1 37.4 38.2 39.9
控除:財貨およびサービスの輸出
国内支出に供され得る
財貨およびサービス合計 100.8 100.0 97.4 100.1 100.6
財貨およびサービス合計の配分
民間部門消費 67.2 67.6 65.9 67.6 69.7
11.9 11.7 12.7 12.0 11.8
公的部門消費
消費合計 79.1 79.3 78.6 79.7 81.4
総固定投資 20.2 19.3 17.3 18.3 18.8
0.7 0.6 (0.2) 0.5 0.4
在庫の増減
100.1 99.2 95.6 98.4 100.6
国内支出合計
0.7 0.8 1.7 1.7 (0.1)
誤差脱漏
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
出典: INEGI
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以下の表は、表示期間についてのメキシコの実質国内総生産のペソによる経済部門別構成および対前年
比変動率を示したものである。
部門別実質国内総生産
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(1)
( 単位:十億ペソ)
第一次産業:
農業、林業、漁業、狩猟業
(2)
および畜産業 594.0 592.5 596.7 611.9 621.7
第二次産業:
鉱業 897.0 856.1 855.6 856.7 858.1
電力、ガスおよび水道事業 287.7 286.0 269.3 221.8 229.7
建設業 1,286.6 1,224.0 1,012.0 1,095.5 1,098.4
製造業 2,933.1 2,938.8 2,669.4 2,899.3 3,051.1
第三次産業:
卸売・小売業 3,250.1 3,221.4 2,937.2 3,232.3 3,407.7
運輸・倉庫業 1,201.5 1,200.3 959.4 1,103.0 1,230.1
情報業 557.4 576.0 568.9 601.4 677.1
金融および保険業 881.9 900.6 851.2 847.8 868.3
不動産、賃貸および
リース業 2,038.4 2,064.0 2,058.0 2,103.9 2,146.1
専門業、科学および
技術サービス業 348.8 348.5 339.0 359.2 380.1
会社・企業経営 109.7 108.5 116.1 128.5 141.3
管理、支援、廃棄物処理お
よび修復サービス 664.7 695.6 702.8 502.8 194.2
教育サービス 684.9 687.9 672.4 674.1 689.3
ヘルスケアおよび
社会支援サービス 392.9 398.5 389.4 410.5 421.2
芸術、娯楽および
レクリエーション 78.0 77.4 43.9 56.6 85.4
宿泊および飲食サービス 405.7 412.2 234.1 312.5 394.7
その他のサービス
(行政サービスを除く。) 362.9 367.8 309.2 323.1 331.8
725.8 710.0 714.5 702.6 703.4
行政サービス
基本的価値による総付加価値 17,701.3 17,666.1 16,299.1 17,043.5 17,530.4
製品にかかる税金
818.8 817.1 710.1 768.2 816.4
(補助金控除後)
18,520.0 18,483.2 17,009.2 17,811.7 18,346.7
GDP
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 2013 年 12 月 31 日現在の購買力に基づく恒常ペソで計算した GDP に基づいている。
(2) 上記表および本書のその他における農業生産に関する GDP の数値は、穀物の成長時期に基づいて穀物ごとにその
定義が異なる「農業年」についての数値に基づいている。 GDP のその他の項目については暦年についての数値が
用いられている。
出典: INEGI
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部門別実質国内総生産の成長率
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(1)
( 対前年変動率(%))
GDP ( 2013 年の恒常ペソ) 2.2 (0.2) (8.0) 4.7 3.0
第一次産業:
(2)
農業、林業、漁業、狩猟業および畜産業 2.6 (0.3) 0.7 2.5 1.6
第二次産業:
鉱業 (5.5) (4.6) (0.1) 0.1 0.2
電力、ガスおよび水道事業 7.5 (0.6) (5.8) (17.6) 3.6
建設業 0.2 (4.9) (17.3) 8.3 0.3
製造業 1.8 0.2 (9.2) 8.6 5.2
第三次産業:
卸売・小売業 3.1 (0.9) (8.8) 10.0 5.4
運輸・倉庫業 3.2 (0.1) (20.1) 15.0 11.5
情報業 5.6 3.3 (1.2) 5.7 12.6
金融および保険業 5.0 2.1 (5.5) (0.4) 2.5
不動産、賃貸およびリース業 1.7 1.3 (0.3) 2.2 2.0
専門業、科学および技術サービス業 1.9 (0.1) (2.7) 6.0 5.8
会社・企業経営 6.2 (1.1) 7.0 10.6 10.0
管理、支援、廃棄物処理および修復サービス 4.5 4.6 1.0 (28.5) (61.4)
教育サービス 0.5 0.4 (2.3) 0.3 2.3
ヘルスケアおよび社会支援サービス 3.0 1.4 (2.3) 5.4 2.6
芸術、娯楽およびレクリエーション 2.3 (0.8) (43.3) 29.1 50.8
宿泊および飲食サービス 2.2 1.6 (43.2) 33.5 26.3
その他のサービス(行政サービスを除く。) 0.8 1.4 (15.9) 4.5 2.7
行政サービス 3.3 (2.2) 0.6 (1.7) 0.1
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 2013 年 12 月 31 日現在の購買力に基づく恒常ペソで計算した GDP に基づいている。
(2) 上記表および本書のその他における農業生産に関する GDP の数値は、穀物の成長時期に基づいて穀物ごとにその
定義が異なる「農業年」についての数値に基づいている。 GDP のその他の項目については暦年についての数値が
用いられている。
出典: INEGI
2018 年には、世界経済は 2017 年に始まった拡大傾向を続けたが、ドイツの新しい燃料排出基準や日本の
自然災害などの大規模経済圏の活動に影響を与えた特異な要因、ならびに金融市場のセンチメントが弱ま
り、貿易政策の不確実性が高まったことにより、そのペースは鈍化し 2017 年の平均を下回った。 2019 年
(特に第4四半期)には、世界貿易の緊張および地政学の不透明な影響ならびに米国とイランの間の緊張
の高まりを反映して、世界経済の成長および活動は引続き減速した。 2020 年には、 COVID-19 のパンデミッ
クが世界の主要経済の一部の貿易、製造業および投資部門に劇的な影響を及ぼし、不要不急の経済活動
(特にサービス部門)および社会的移動に対する度重なる制限などの COVID-19 の拡大に対抗するための国
内の措置ならびに原油の輸出および価格の急落によって、海外市況が全般的に悪化し、世界経済の脆弱性
および変動性が高まった。 2021 年には、メキシコ全体の経済回復は、年間を通じて COVID-19 の流行への対
策としての新たな制限、サプライチェーンの混乱、メキシコ北部からの天然ガスの供給の一時遮断などの
多くの要因によって、経済回復は依然として鈍化し停滞した。第1四半期は、サービス部門に悪影響を及
ぼした労働の外部委託に関する連邦労働法( Ley Federal del Trabajo )の改正(下記「労働」に記載す
る。)を主因として、経済活動はさらに収縮した。半導体の不足がコンピュータ、通信および測定機器の
製造の妨げとなった。 2022 年第1四半期において、メキシコの経済活動は 2021 年下半期の若干の拡大に続
き、 COVID-19 感染症のリバウンド、世界的なサプライチェーンの混乱の継続およびロシアとウクライナの
紛争に起因する経済的不確実性にもかかわらず、主に製造業とサービス活動の改善に牽引されて成長を記
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録した。 2022 年第2四半期には、主にロシアとウクライナの紛争による継続的な経済的影響、 COVID-19 感
染症の再拡大を阻止するために実施された措置による中国経済の縮小および高水準のインフレに直面して
い る中央銀行の金融政策による金融状況の引き締めにより、世界の経済活動が低迷した。 2022 年第3四半
期の経済活動は国ごとに不均一性を示し、インフレ率は先進国と新興国の両方で高止まりしたが、これは
主に、中国における COVID-19 に関連した制限措置の解除と米国の景気回復による世界経済活動の緩やかな
増加によるものである。 2022 年第4四半期にはメキシコの経済活動は今年の最初の3四半期と比較して減
速した。これは主に、中国における COVID-19 感染症のパンデミックと現在進行中のロシアとウクライナの
紛争の影響に関連して、金融・財政状況が逼迫し、不確実性が高いことによる、より緩やかな世界成長と
持続的な高水準の世界インフレを背景とした鉱工業生産、特に第三次活動の弱まりの結果である。
2018 年のメキシコの経済活動は、主に第一次産業と第三次産業の成長によって拡大したが、同年の第4
四半期には大幅な減速を記録した。 2019 年、メキシコ経済は低迷を続け、主に民間消費石油と製造業輸出
の減少、総固定投資の低迷により若干の縮小をもたらした。
2020 年のメキシコの GDP は、 COVID-19 のパンデミックならびに特定の州において実施された数カ月にわた
る生産および移動の制限によるマイナスの経済的影響を反映して、実質ベースで 8.0 %減少した。
2021 年にメキシコは、 COVID-19 のパンデミックによる経済的影響から徐々に回復を示し、の GDP は実質
ベースで 4.7 %増加し、経済部門全体で不均一な成長実績となった。
2022 年のメキシコの GDP は実質ベースで 3.0 %増加し、特に個人消費を中心とした内需と外需の増加を反
映している。
2023 年のメキシコの経済動向と GDP についての情報は、「 (7) その他-最近の展開-経済」を参照のこ
と。
メキシコの国民1人当たり国民総所得
( 単位:米ドル、現行価格および購買力平価 )
2017 年 19,510
2018 年 19,900
2019 年 19,630
2020 年 17,920
2021 年 19,060
2022 年 n.a.
n.a. :未詳
出典: 世界銀行のデータ
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④ 物価および賃金
インフレ
2018 年の消費者物価の上昇は 4.8 %で、同年のインフレ目標である 3.0 %を上回り、 2017 年の消費者物価
上昇率 6.8 %を 2.0 パーセンテージ・ポイント下回った。メキシコ中央銀行によると、インフレは 3.0 %の目
標値からの予想偏差( +/-1.0 %)の範囲を超えていたが、これは、中長期のインフレ期待の安定に一役
買ったメキシコ中央銀行が実施した金融政策措置、ならびに LP ガス、ガソリンおよび電力などのエネル
ギー価格の年間上昇率が低下したこと、さらには特定の果物および野菜の価格の上昇を含むその他の衝撃
の結果である。
2019 年、消費者物価の上昇は 2.8 %で、これはメキシコ中央銀行による同年のインフレ目標である 3.0 %
( +/-1.0 %)の範囲内であり、 2018 年の消費者物価上昇率 4.8 %を 2.0 パーセンテージ・ポイント、 2017 年
の消費者物価上昇率 6.8 %を 3.9 パーセンテージ・ポイント下回った。こうした傾向は、農産品、畜産品お
よびエネルギー商品の価格の年間上昇率が低下したことによる非コアインフレの低下が主な原因であっ
た。 2019 年第4四半期における非コアインフレの年間平均水準は、全国消費者物価指数が報告データと
なった 1969 年以降の四半期としては最低水準であった。対照的に経済への中期的価格圧力をよりよく反映
する年間コアインフレ率は、同年のインフレ目標より高く推移して 3.6 %となり、 2018 年のコアインフレ率
3.7 %を 0.1 パーセンテージ・ポイント下回った。
2020 年の消費者物価の上昇は 3.2 %で、これはメキシコ中央銀行による同年のインフレ目標である 3.0 %
( +/-1.0 %)の範囲内であり、 2019 年の消費者物価上昇率 2.8 %を 0.3 パーセンテージ・ポイント上回り、
2018 年の消費者物価上昇率 4.8 %を 1.7 パーセンテージ・ポイント下回った。こうした傾向は、 COVID-19 の
パンデミックがメキシコ経済にもたらした経済的ショックを反映したものである。特に、サービス価格の
年間上昇率が低下する一方で商品価格の年間上昇率が上昇したため、コアインフレの再構成からも明らか
なように、相対価格に大きな変化があった。 COVID-19 感染症を抑え込む措置は、 特定の不要不急の活動の
封鎖により供給ショックを引き起こした。社会的距離の措置によって財貨およびサービスに対する需要が
減った一方で、経済活動の停止はグローバル・サプライチェーンにおける混乱をも引き起こした。同時
に、 COVID-19 のパンデミック対策として家計が必要とする食品および財貨に対する需要が増大した。その
結果、家計所得が減少する一方で、家計消費支出の割当てはサービスから商品へと変わった。 経済への中
期的価格圧力をよりよく反映する 年間コアインフレ率は依然として同年のインフレ目標を上回る 3.8 %で、
2019 年のコアインフレ率 3.6 %を 0.2 パーセンテージ・ポイント上回った。
2021 年の消費者物価の上昇は 7.4 %で、これはメキシコ中央銀行による同年のインフレ目標である 3.0 %
( +/-1.0 %)を上回り、 2020 年の消費者物価上昇率 3.2 %を 4.2 パーセンテージ・ポイント上回り、 2019 年
の消費者物価上昇率 2.8 %を 4.6 パーセンテージ・ポイント上回った。こうした傾向は、ウイルスの感染拡
大を緩和するためにとられた政府措置を含め、進行中の COVID-19 のパンデミックの影響をインフレが引続
き受けたことを反映している。 2021 年を通じて、サプライチェーン、財およびサービスに対するパンデ
ミックの影響は物価に深刻な影響を及ぼし、生産コストの上昇につながった。観光および娯楽等の活動の
再開もサービス部門におけるインフレ上昇に影響を与えた。経済への中期的価格圧力をよりよく反映する
年間コアインフレ率は依然として同年のインフレ目標を上回る 5.9 %で、 2020 年のコアインフレ率 3.8 %を
2.1 パーセンテージ・ポイント上回った。
2022 年の消費者インフレ率は 7.8 %で、メキシコ中央銀行による同年のインフレ目標である 3.0 %( +/-
1.0 %)を上回り、 2021 年の消費者物価上昇率 7.4 %を 0.5 パーセンテージ・ポイント上回り、 2020 年の消費
者物価上昇率 3.2 %を 4.7 パーセンテージ・ポイント上回った。こうした傾向は、 COVID-19 のパンデミック
とロシアとウクライナの紛争が世界経済に及ぼした累積的な影響を反映しており、その結果、経済の不確
実性が高まり、インフレ上昇リスクが生じている。経済に対する中期的な物価圧力をよりよく反映する年
間コアインフレ率は、依然として同年のインフレ目標を上回る 8.4 %で、 2021 年のコアインフレ率 5.9 %を
2.4 パーセンテージ・ポイント上回った。
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2017 年 11 月以降国内の燃料価格は市場によって決定されて、決議第 A/041/2018 号および炭化水素法( Ley
de Hidrocarburos )に従って、各ガソリン・スタンドからエネルギー規制委員会( Comisión Reguladora
de Energía 、以下「 CRE 」という。)に報告されている。燃料価格政策の詳細については、「 (5) 財政-④
歳 入および歳出」を参照のこと。
2022 年5月4日、政府はインフレ率上昇抑制策( Paquete Contra la Inflación y la Carestía 、
( PACIC ))を発表し、物品の生産と流通を増加させるための幾つかの措置( 21 の主食への輸入関税の6カ
月間の免除、トウモロコシ備蓄の創設、トウモロコシ、豆、米および牛乳の小規模生産者に対する価格保
証、食料供給プログラムへの追加支援、ならびに一部主食の価格安定を目的とした政府と民間企業との会
合を含む。)を講じた。 2022 年 10 月 19 日、基本物品の輸入税の支払いの免除およびこれらの物品の輸入制
度の簡素化が官報に掲載された。
以下の表は、表示期間についての物価指数および最低賃金の年間上昇率の変動を百分比で示したもので
ある。
物価指数の変動率
(1)(2)(3) (1) (4)
全国生産者価格指数 全国消費者物価指数 最低賃金上昇率
2018 年 6.4 4.8 10.4
(5) (6)
2019 年 0.8 2.8 100.0 ;16.2
(5) (6)
2020 年 4.1 3.2 4.8 ;20.0
(5) (6)
2021 年 9.3 7.4 15.0 ; 15.0
(7) (7) (5) (6)
2022 年 5.3 7.8 22.0 ; 22.0
(1) 年次の数値については、物価指数の変動は毎年 12 月に計算されている。
(2) 全国生産者価格指数( Índice Nacional de Precios al Productor 、以下「 INPP 」という。)の数値は、基本的
な商品およびサービスの価格(石油価格を除く。)の変動を示している。この指数は 2012 年6月に実施された
方法に基づいている。 INPP は 2019 年7月を基準日としている。 (3) 2018 年8月以降、全国消費者物価指数
( Índice Nacional de Precios al Consumidor 、 以下「 INCP 」という。 ) は、 (1)2018 年7月後半を基準日として
更新され、 (2) 財およびサービスの品目数を増加し、 (3) 対象地域数を増加し、 (4) 各構成品目のウェイトを調整
するよう、変更された。
(4) 2019 年1月1日付で、メキシコは2つの最低賃金を設けている。ひとつは北部国境自由貿易地域に含まれる米
国国境沿いに所在する自治体に適用されるもので、メキシコのその他地域には異なる最低賃金率が適用され
る。北部国境自由貿易地域に所在する自治体に適用される最低賃金とメキシコのその他地域に適用される最低
賃金の双方にかかる同年の変化率は、同年1月1日より前に有効であった最低賃金との比較である。
(5) 北部国境自由貿易地域に所在する自治体に適用される最低賃金の変化率。
(6) 北部国境自由貿易地域以外の地域に適用される最低賃金の変化率。
(7) 暫定値。
出典: INEGI 、労働・社会保障省
メキシコにおける最低賃金に関する最新情報については、「 (7) その他-最近の展開-経済-雇用およ
び労働情勢」を参照のこと。
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賃金
メキシコの最低賃金は、企業および労働部門ならびに政府の代表者で構成される国家最低賃金委員会
( Comisión Nacional de los Salarios Mínimos )によって設定される。 2018 年 12 月 20 日、 ロペス・オブラ
ドール大統領は、労働・社会保障省および国家最低賃金委員会とともに、最低賃金の決定に関する新しい
政策を発表した。 2019 年1月1日付で実施された政策の下で、メキシコは、新たに設定された北部国境自
由貿易地域に含まれる米国との国境沿いの自治体に適用されるものと、メキシコのその他地域に適用され
る異なる賃金という、2つの最低賃金を有している。 2022 年 12 月 31 日現在、 最低賃金は、 北部国境自由貿
易地域において1日当たり 260.34 ペソ、メキシコのその他地域において1日当たり 172.87 ペソで あり、こ
れは 2021 年1月1日から 2022 年1月1日まで有効であった適用最低賃金からそれぞれ 22 %の引上げであっ
た。
メキシコ法は、メキシコにおいて業務を行う事業者に対して、十分な福利厚生を提供することを義務づ
けており、これには税引前利益の 10 %の労働者への分配を通じた強制的利益分配が含まれる。その他の給
付には、年金基金および労働者住宅基金制度への強制加入が含まれる。
⑤ 雇用および労働情勢
雇用
1990 年代初頭以降、メキシコの貿易自由化政策が経済の構造的変化を生み、不完全雇用を発生させた。
メキシコには包括的な失業給付制度または十分に発達した社会福祉制度は存在しない。政府は国内の多数
の労働力に対して短期および中期の雇用機会を創出することに取り組んでいるが、メキシコの重大な不完
全雇用問題への対策が依然として課題である。 2022 年 12 月 31 日現在、メキシコ社会保険庁( Instituto
Mexicano de Seguro Social 、以下「 IMSS 」という。)の保険に加入している労働者数は、経済の「公式」
部門における雇用を示す指標であるが、その数は 2021 年末に比べ 3.7 %増の 21.4 百万人であった。 IMSS は、
退職した労働者に対して医療給付および年金を提供している。
USMCA の下で、メキシコは労働制度の改革を約束している。この改革は現在進行中で、労働紛争の解決お
よび組合関連の投票に関するより民主的なプロセス、ならびに組合指令および団体交渉におけるいっそう
のジェンダー平等、透明性および説明責任を確保するための新しいプロセスを促進することを目的とした
専門裁判所を備えた新しい労働司法制度が含まれることが期待されている。さらに、 2020 年 11 月 18 日、全
国レベルでの組合および労働協約の記録を保持し、労働者の利益および権利を監視し、ジェンダーおよび
人権の視点を公的部門の経営、昇進および報酬メカニズムに組込むことについて責任を負う組織である連
邦労働調停登録センター( Centro Federal de Conciliación y Registro Laboral )が7州において稼働を
開始した。 2022 年 10 月現在、すべての組織がこの労働司法制度に参加した。 USMCA に関する追加情報につい
ては、「 (3) 貿易及び国際収支-①貿易-対外貿易関係協定-地域」を参照されたい。
労働協議および生産性に関する委員会( Comité Nacional de Concertación y Productividad Laboral )
は、新しい労働正義モデルを含む、労働部門改革の影響を監視および評価するために、 2022 年5月 18 日付
で創設された。委員会は、従業員、雇用主および学界の代表を通じて、以下のことを行う :(1) 紛争解決メ
カニズムの結果を評価し、労働紛争のための裁判前の調停機関の創設に関連した調停職員の訓練と資格の
問題についての議論、 (2) 労働組合の労働登録手続き、団体交渉協定およびその他の関連する行政過程の評
価を実施、 (3) 労働部門改革による組合の正当性および団体交渉、研修ならびに昇進に関する新しい規則の
遵守を評価する。
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ジェンダーおよび人権をメキシコ法に基づく雇用保護に組込むという継続的な取組みの一環として 2020
年1月6日に公表された連邦労働調停登録センター基本法( Ley Orgánica del Centro Federal de
Conciliación y Registro Laboral )は、労働調停登録センターの組織および責任の概要を定めることを意
図している。同じく 2020 年1月に批准された家事労働者のディーセント・ワークに関する条約第 189 号を承
認する政令( Decreto por el que se aprueba el Convenio 189 sobre el Trabajo Decente para las
Trabajadoras y los Trabajadores Domésticos )は、家事労働者の労働および生活条件を改善することを
目的として 2011 年に国際労働機関が採択した基準の概要を示している。
2021 年4月 23 日に官報に掲載された連邦労働法、社会保障法( Ley del Seguro Social )、連邦財政法
( Código Fiscal de la Federación )、勤労者住宅基金公社法( Ley del Instituto del Fondo Nacional
de la Vivienda para los Trabajadore s )、所得税法( Ley del Impuesto Sobre la Renta )、付加価値税
法( Ley del Impuesto al Valor Agregado )および連邦公務員法、憲法第 123 条( B )項の規則( Ley
Federal de los Trabajadores al Servicio del Estado, Reglamentaria del Apartado (B) del Artículo
123 Constitucional )の改正は、労働者にいっそうの雇用保護を提供することを意図したものであり、と
りわけ、労働者が企業の主な社会的目的または経済活動の一部をなさない特別な役務を行う場合を除き、
企業は労働者に下請けの仕事をさせることはできない旨を規定することを意図している。
顕在失業率に関する暫定値によると、 2022 年 12 月 31 日現在のメキシコの顕在失業率は 3.0 %であり、 2021
年 12 月 31 日現在より 0.7 パーセンテージ・ポイント低下した。 2022 年 12 月 31 日現在、メキシコにおける( 15
歳以上の)経済活動人口は 60.1 百万人であった。
以下の表は、 2022 年 12 月 31 日現在の年齢別および性別のメキシコにおける失業者数およびその比率を示
したものである。
年齢別および性別の失業者数
(1)(2) (1)(2) (1)(2)
合計 % 男性 % 女性 %
合計 1,796.1 100.0 % 1,050.1 100.0 % 746.0 100.0 %
15 - 24 歳 613.5 34.2 % 345.4 32.9 % 268.1 35.9 %
25 - 44 歳 819.2 45.6 % 457.3 43.6 % 361.9 48.5 %
45 - 64 歳 340.1 18.9 % 227.0 21.6 % 113.2 15.2 %
65 歳以上 21.7 1.2 % 18.8 1.8 % 2.9 0.4 %
不明 1.6 0.1 % 1.6 0.1 % - 0.0 %
(1) 暫定値。
(2) 千人。
出典: INEGI
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サービス部門は、メキシコの経済活動人口の最大部分を雇用している。以下の表は、暫定値による 2022
年 12 月 31 日現在のメキシコの就業人口に占める割合を経済部門別に示したものである。
部門別経済活動人口
比率(%)
サービス業 43. 7
商業 19.0
製造業 16.5
農業 11.5
建設業 7.9
その他 0.7
上記以外 0.7
出典: INEGI および国家人口審議会
以下の表は、表示期間における活動人口に占める不完全雇用の比率を示したものである。
活動人口に占める不完全雇用の比率
比率(%)
2018 年 6.9
2019 年 7.4
2020 年 16.3
2021 年 12.6
2022 年 8.3
出典: INEGI および国家人口審議会
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労働
特に産業の成長が急速なメキシコの一部の地域では、産業界は熟練労働者と管理職の不足ならびに高い
転職率に悩まされている。政府は社内研修プログラムを義務づけ、その費用の税務上の損金算入を認める
法令を通じて、これらの問題に取組む努力をしてきた。例えば、労働・社会保障省が作成した無料のオン
ライン・プラットフォームである労働者向け遠隔研修プログラム( Programa de Capacitación a
Distancia para Trabajadores 、以下「 PROCADIST 」という。)は、技能と生産性の向上に役立つ研修コー
スを労働者に提供している。
2019 年、政府は、未来を築く若者( Jóvenes Construyendo el Futuro )プログラムを立上げた。このプ
ログラムは、 18 歳から 29 歳の「実習生」(学業や就労していない先住民族の個人を優先する。)と企業、
ワークショップ、機関または事業からの「指導者」と結び付けるものである。実習生は、月々の経済的支
援と医療保険を受けながら、指導者の下で最大1年間雇用可能性を高めるように訓練を受ける。
メキシコの労働法令では、労働協約の最低2年ごとの更新(賃金は毎年再交渉の対象)を義務づけ、ス
トライキに対しては法的制約が加えられている。 2022 年には、連邦管轄下で規制されている部門に影響を
与えるストライキはなかった。
USMCA の締結および国際労働機関の条約第 98 号の批准によるコミットメントに関連して、政府は、 2019 年
5月1日、差別および職場におけるハラスメントを終わらせ、組合制度や協定についての投票を行う労働
者の権利を確保し、労働協約の交渉に際してのより制度的かつ透明性のある手続きを促進し、労働者に対
して有効な司法保護を提供することを目的として、連邦労働法を改正した。
リモートワークとみなされるものを定義し、雇用主および被雇用者の双方の義務、ならびに任意で出勤
に戻る権利を設定している連邦労働法は、 2021 年に3回改正された。1月 11 日に行われた同法の第1回改
正は、リモートワークの条件を規定するためであった。次いで、3月 30 日に、最低賃金の年間引上げが常
に前年のインフレ率と同率以上となることを保証するように改正が行われた。最後に、同法は4月 23 日
に、外部委託の利用を制限するために改正された。この最後の改正によって、特定の専門サービスおよび
特定の専門業務の実行しか下請けに出すことができなくなり、それらのサービスは、特定の要件を満た
し、かつ労働・社会保障省( Secretaría del Trabajo y Previsión Social ) に登録されている個人および
法人によって提供されなければならない。
職場における暴力とハラスメントの根絶を目的とする国際労働機関の暴力とハラスメント条約が、 2022
年4月6日付でメキシコに承認された。
連邦労働法第 76 条および第 78 条が 2022 年 12 月 27 日付で改正され、雇用初年度に付与される有給休暇の日
数が6日から 12 日に増加し、同改正は 2023 年1月1日付で施行された。
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⑥ 社会保障制度
社会保障諸法
社会保障法( Ley del Seguro Social )および公務員社会保険庁法( Ley del Instituto de Seguridad y
Servicios Sociales de los Trabajadores del Estado 、以下「 ISSSTE 法」という。)は、雇用主(政府事
業体雇用主も含む。)に対し、各勤労者の基本給の2%に相当する金額を当該勤労者の退職または終身障
害に際して引出すために開設されている口座に預け入れることを義務づけている。 2020 年 12 月 16 日、 ( ⅰ )
雇用主による退職拠出金を引上げ、 ( ⅱ ) 保証付年金に対する権利を実現するために必要な拠出の週数を短
縮し、 ( ⅲ ) 保証付年金額を増額し、 ( ⅳ ) 退職基金管理者が請求する手数料を一定の諸外国において請求
される手数料の平均に制限するため、社会保障法および年金制度法( Ley de Sistema de Ahorro para el
Retiro )が改正された。
ISSSTE 法に従って、連邦公務員は同法により創設された完全積立方式年金制度に加入することを義務づ
けられている。 2007 年の ISSSTE 法施行前から働いている連邦公務員は、 ISSSTE 年金制度と同法施行前に存
在していた賦課方式年金制度から選択することができる。 ISSSTE 年金制度は、連邦公務員向けの医療およ
び年金制度ならびに公務員社会保険庁( Instituto de Seguridad y Servicios Sociales de los
Trabajadores del Estado 、以下「 ISSSTE 」という。)の財政難に対する政府の対応を支援することを目的
としている。 ISSSTE 法は、 ISSSTE のコストを段階的に削減するように設計されており、それによって
ISSSTE に国内貯蓄、特に長期の貯蓄を増加させることにより経済成長および社会福祉に貢献するための追
加的な手段が提供されている。
ISSSTE 法は、勤労者に退職貯蓄拠出金と年功特典を民間部門と公的部門の医療・年金制度の間で移転さ
せる権利を与え、民間部門と公的部門の間の移動を奨励している。
家事労働者の労働権をよりよく保護するため、 2019 年に連邦労働法および社会保障法が改正された。こ
れらの改正には、とりわけ、家事労働と考えられる作業の定義の拡大ならびに家事労働者を IMSS に登録
し、相応の報酬を支払い、家事労働者との間で適切な書面による契約を締結する雇用主の義務が含まれ
る。これらの改正は、試験プログラムの完了から6カ月後に全面的に施行される予定である。かかる試験
プログラムの第1段階は 2019 年4月に開始し、その後、第2段階が 2020 年8月に開始した。 2021 年4月、
上記「⑤ 雇用および労働情勢-雇用」に記載された改革の一環として、社会保障法がさらに改正された。
2022 年 12 月 31 日、 IMSS は、かかる改正に関連して 2019 年4月に創設された「家事労働者」プログラムに
53,584 人が登録されたことを報告した。
年金および住宅基金
(i) AFORES
メキシコの退職貯蓄制度は、メキシコ人労働者の経済状態を改善し、経済における長期貯蓄を推進する
ように意図されており、公的部門および民間部門の双方における投資プロジェクトに資金を提供してい
る。各勤労者の独立退職貯蓄口座は退職基金事務管理者( Administradoras de Fondos para el Retiro 、
以下「 AFORES 」という。)により運用されている。これらの民間部門の事業体は、個人年金口座および特
定退職貯蓄投資信託( Sociedades de Inversión Especializadas de Fondos para el Retiro 、以下
「 SIEFORES 」という。)として知られる投資信託の運用を行うために、政府の承認を条件として設立され
ている。外国の金融機関による AFORES への投資は認められているものの、各 AFORES 事業体の発行済株式の
過半数は、メキシコ人が所有しなければならない。単独の株主がいかなる種類の株式においても 10 %超の
支配権を取得することは認められない。
AFORES は、運用資金の最大 100 %を政府債または発行体の信用格付に応じて民間企業発行の負債性証券
に、また負債性証券の信用格付に基づく特定の制限を付して、最大 20 %を外国有価証券に投資することが
できる。 AFORES は、メキシコの事業体が発行するエクイティ証券に投資することも認められている。
暫定値によると、 2022 年 12 月 31 日現在、 72.0 百万口の個人退職貯蓄口座が AFORES に開設され、運用され
ていた。 2022 年 12 月 31 日現在の AFORES による運用資産は 5, 224.3 十億ペソであった。
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国家年金制度委員会( Comisión Nacional del Sistema de Ahorro para el Retiro 、以下「 CONSAR 」と
いう。)は、退職基金に特化した投資会社に適用される投資制度の一般規定を設定した。これらの規定に
は、 各市場の安全性と発展を考慮した投資適格国のリストが含まれている。 2019 年8月 22 日、 CONSAR の統
治委員会は、労働者の年金を引上げ、ベンチマーク活動を通じて国際基準を参照して、国際的に競争力の
ある水準まで手数料を徐々に減額することにより、労働者が退職貯蓄を最大化する手助けをすることにつ
き合意した。
2018 年 11 月、メキシコの退職貯蓄制度を強化するため、政府は規制の改正を採択した。改正により、
(ⅰ) 労働者はその貯蓄の投資先となる SIEFORE の選択を認められ、 (ⅱ)AFORES がその投資戦略に環境、社
会およびガバナンスの指針を組込み、またリスク管理方針を実施することが推進され、 (ⅲ)AFORES の役員
のための倫理規定および最善慣行に関する規則が強化され、 (ⅳ) 労働者の資金管理にかかる関連情報を付
して労働者に提供される文書が簡素化された。
(ii)INFONAVIT
1972 年に創設された勤労者住宅基金公社( Instituto del Fondo Nacional de la Vivienda para los
Trabajadores 、以下「 INFONAVIT 」という。)は、勤労者向けの住宅プログラムを運営し、住宅不足に対
処している。 INFONAVIT は金融仲介機関としての役割を果たし、住宅の建設または購入に関して勤労者へ
の信用供与を行う。現在、雇用主は各勤労者について基本給の5%に相当する金額を銀行に開設されてい
る住宅サブ口座に拠出することを義務づけられている。退職貯蓄サブ口座と同様に、住宅サブ口座への拠
出金は、雇用主の税務上の当該年度の損金として認められる。これらの資金はさらにメキシコ中央銀行に
おける INFONAVIT の口座に預け入れられることが義務づけられている。勤労者が住宅の購入または建設に
関して INFONAVIT からの融資を受けた場合、当該勤労者の住宅サブ口座における残高は住宅の頭金資金と
して使用することができる。未使用残高は、当該勤労者が退職または就業不能となった時点で引出すこと
ができる。
2022 年 12 月 31 日現在、 INFONAVIT の資本合計は、 2021 年 12 月 31 日現在と比較して 6.5 %減の 257.1 十億ペ
ソであった。また、 2022 年 12 月 31 日現在、 INFONAVIT の貸付ポートフォリオ合計は、 2021 年 12 月 31 日現在
と比較して 2.7 %増の 1,351.6 十億ペソであった。
(iii) 年金基金および住宅基金の合計
2022 年 12 月 31 日現在の INFONAVIT が運用する運用する住宅サブ口座および AFORES における勤労者の個人
口座に累積された資金総額は 7, 212.9 十億ペソであった。この数字には、旧社会保険法に基づいて銀行に
開設された年金サブ口座からの移転額、ならびに新年金制度下での直接拠出額および確定拠出制度を選択
した ISSSTE 受給者への謝礼ボーナスが含まれる。
2022 年に年金基金および住宅基金に預け入れられた総額は 6, 883.6 十億ペソに上り、このうち 5, 070.6 十
億ペソは勤労者の退職貯蓄サブ口座への預金に対応し、 1, 813.0 十億ペソは住宅サブ口座への預金に対応
している。
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⑦ 経済の主要部門
メキシコ経済の主要部門は、製造業、石油および石油化学、観光業、農業、運輸および通信、建設業、
鉱業ならびに電力産業である。 2022 年、サービス部門は GDP の 63.6 %および労働人口の 62.7 %を占め、次い
で工業部門が GDP の 28.5 %および労働人口の 25.1 %を占め、第一次産業が GDP の 3.4 %および労働人口の
11.5 %を占めた。
(a) 製造業
メキシコは、 (1) 製造業の間接費が低いこと、および (2) メキシコがその主要貿易相手国である米国と国
境を接していることを活用するという二つの目的をもって、製造業部門を発展させてきた。メキシコの現
在の政策は、融資の利便性を高めることにより社会経済を育てる一方で、国内市場を強化し、起業家を奨
励し、零細・中小企業を強化することを目指している。
2016 年から 2019 年にかけて、メキシコの鉱工業生産高は大幅に増加したが、これは (i) 第一次金属、金属
加工製品および輸送機器の製造および (ii) 自動車製造品の米国向け輸出の増加によるものである。 2020 年
には、その後の COVID-19 の感染の波を抑えるための非緊要産業に対する営業制限、操業能力の削減、輸送
ネットワークおよびサプライチェーンの混乱ならびに強制的なロックダウンを含む COVID-19 のパンデミッ
クの悪影響によって、製造業の生産が減少した。以下の表に詳述されている通り、 2022 年の部門別製造業
総生産は、外国投資と製造業部門における外需が増加したことにより、 2021 年と比較して 5.2 %増加した。
2019 年4月 10 日および同年9月 20 日、製造業部門における特定の一般的な原材料および製品の輸出入を
対象とする関税が創設された。 2020 年9月3日現在では、自動車産業内、特に電気自動車の輸出入を対象
とした関税があった。 2021 年 11 月 22 日、輸出入一般関税率表( Tarifa de la Ley de los Impuestos
Generales de Importación y de Exportación 、 以下「 TIGIE 」という。)が改正され、鉄鋼部門の一部製
品および製品カテゴリーについて 15 %の一時的な輸入関税が設けられたが、 2023 年5月に失効した。 TIGIE
に関する関税に関する詳細については、「 (7) その他-最近の展開-経済-経済の主要部門」を参照のこ
と。
2020 年 12 月、製造業、保税産業および輸出入に関連するいくつかの法律が制定された。これらの法律に
より、とりわけ、以前の輸出入法を USMCA と調和させ、特定の製造品を対象とする新しい関税が設定され
た。
2021 年8月 13 日、原産地規則、原産地手続き、繊維および衣料品ならびに税関当局および貿易円滑化に
係る USMCA の一定の章の規制、解釈および管理に関する行政命令が官報に掲載された。
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以下の表は、表示年におけるペソによる鉱工業生産高および生産高合計に占める各製造業部門の割合を
百分比で示したものである。
部門別鉱工業生産高
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年 2021 年 2022 年
全体に占める
(1) (2)
(十億ペソ) 割合 ( % )
食料品 675.2 688.9 690.1 708.1 720.3 24.4 23.6
飲料および
タバコ製品 169.5 175.0 162.3 178.6 189.9 6.2 6.2
繊維機械 26.7 25.2 17.9 23.7 23.6 0.8 0.8
繊維製品機械 14.2 13.6 11.8 13.0 12.5 0.4 0.4
衣料品 60.9 58.9 39.3 48.9 51.7 1.7 1.7
革工業製品 22.5 21.7 14.6 17.1 18.1 0.6 0.6
木製品 24.6 24.7 21.8 25.2 24.2 0.9 0.8
紙 54.4 53.9 51.4 55.7 56.8 1.9 1.9
印刷および
関連支援活動 20.2 18.5 15.8 19.1 21.4 0.7 0.7
石油・石炭製品 40.5 39.4 36.3 43.6 49.9 1.5 1.6
化学 235.0 229.7 222.6 224.7 227.9 7.8 7.5
プラスティック
およびゴム製品 85.0 85.2 77.8 92.1 96.1 3.2 3.1
非金属鉱産物製 71.0 79.4 81.0
品 75.3 75.0 2.7 2.7
第一次金属 180.2 173.9 161.4 180.5 186.2 6.2 6.1
金属加工製品 93.5 95.8 88.1 101.1 102.2 3.5 3.4
機械 119.9 117.9 97.0 112.4 116.8 3.9 3.8
コンピュータお
よび電子製品 232.6 244.5 223.7 242.0 282.4 8.3 9.3
電気設備、機器
および部品 89.3 88.4 87.8 100.8 104.8 3.5 3.4
輸送機器 611.0 610.7 492.5 533.2 583.6 18.4 19.1
家具および
関連製品 31.7 30.7 25.5 32.3 31.7 1.1 1.0
70.9 67.4 60.8 67.8 70.0 2.3 2.3
その他
2,933.1 2,938.8 2,669.4 2,899.3 3,051.1 100.0 100.0
合計
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 2013 年 12 月 31 日現在の購買力に基づく恒常ペソによる。
(2) 比率の変動は、 2013 年恒常ペソによる差異を示す。
出典: INEGI
2022 年、石油・石炭製品の総生産高は、 2021 年と比較して 14.4 %増加した。生産高の増加は、石油製品
の輸出の大幅な増加によるものであった。
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以下の表は、表示期間について、部門別鉱工業生産高の変動を示したものである。
部門別鉱工業生産高
(1)
(対前年変動率(%))
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
食料品 2.9 2.0 0.2 2.6 1.7
飲料およびタバコ製品 4.4 3.2 (7.3) 10.1 6.3
繊維機械 2.4 (5.8) (28.9) 32.1 (0.1)
繊維製品機械 7.8 (4.0) (13.5) 10.2 (4.0)
衣料品 1.5 (3.3) (33.2) 24.4 5.7
革工業製品 (1.3) (4.0) (32.7) 17.5 5.8
木製品 (1.9) 0.3 (11.7) 15.5 (3.7)
紙 2.1 (0.8) (4.7) 8.4 2.0
印刷および関連支援活動 3.4 (8.2) (14.7) 20.7 11.9
石油・石炭製品 (16.7) (2.7) (8.0) 20.2 14.4
化学 (2.1) (2.3) (3.1) 1.0 1.4
プラスティックおよびゴム製品 3.0 0.1 (8.7) 18.5 4.3
非金属鉱産物製品 (0.3) (0.3) (5.3) 11.7 2.0
第一次金属 (2.0) (3.5) (7.2) 11.8 3.1
金属加工製品 (1.6) 2.4 (8.0) 14.8 1.2
機械 3.3 (1.6) (17.7) 15.9 3.9
コンピュータおよび電子製品 (0.4) 5.1 (8.5) 8.1 16.7
電気設備、機器および部品 1.3 (1.0) (0.7) 14.9 3.9
輸送機器 5.1 (0.1) (19.3) 8.3 9.4
家具および関連製品 4.6 (3.2) (16.9) 26.8 (2.0)
その他 7.1 (4.9) (9.9) 11.5 3.4
拡大 / 縮小合計 1.8 0.2 (9.2) 8.6 5.2
(1) 前年度からの変動率。変動率は 2013 年恒常ペソでの差異を反映している。
出典: INEGI
2018 年には、製造業の生産高は上向き傾向を示し、 2017 年と比較して実質ベースで 2018 年には 1.8 %拡大
した。こうした拡大は、主に飲料およびタバコ製品部門の 4.4 %増加、繊維製品機械部門の 7.8 %増加なら
びに印刷および関連支援活動の 7.4 %増加によるものである。それでも、石油・石炭製品部門およびその他
部門など一部の部門では実質ベースで後退した。石油・石炭製品部門は 16.7 %、第一次金属部門は 2.0 %、
それぞれ減少した。全体では、 2018 年には、 2017 年と比較して8部門が後退し、 13 部門が成長した。
2019 年には、製造業の生産高は上向き傾向を示し、 2018 年と比較して実質ベースで 2019 年には 0.2 %拡大
した。こうした拡大は、主に飲料およびタバコ製品部門の 3.2 %増加、コンピュータおよび電子製品部門の
5.1 %増加ならびに組立金属製品部門の 2.4 %増加によるものである。それでも、石油・石炭製品部門およ
び印刷および関連支援活動部門など一部の部門では実質ベースで後退した。石油・石炭製品部門は 2.7 %、
印刷および関連支援活動部門は 8.2 %、それぞれ減少した。全体では、 2019 年には、 2018 年と比較して 15 部
門が後退し、6部門が拡大した。
総じて、 2020 年には、製造業の生産高は 2019 年より悪化した。製造業の生産実績は、その後の COVID-19
の感染の波を抑えるための非緊要産業に対する営業制限、操業削減、輸送ネットワークおよびサプライ
チェーンの混乱ならびに強制的なロックダウンなど、 COVID-19 のパンデミックの悪影響を受けた。
製造業は、 COVID-19 を原因とする危機により 2020 年を通じて 9.2 %落込んだ後、 2021 年には 8.6 %増加し
た。この増加は、最も価値の高い業種の好ましい動き( 2020 年同期と比較して、石油精製の 20.2 %増、金
属製品生産の 14.8 %増、飲料およびタバコ製品の 10.1 %増によるものであった。
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2022 年には、製造業生産高は 5.2 %増加した。この拡大は主に、石油および石炭製品部門の 14.4 %増と、
コンピュータおよび電子製品部門の 16.7 %増によるものであった。それにもかかわらず、木材部門などの
一 部の部門は実質ベースで縮小を経験した。全体では、 2021 年と比較して、 2022 年には合計 17 部門が拡大
した一方で、4部門が縮小した。
(b) 石油および石油化学
(i) 概要
2022 年5月 31 日、ペメックスは約 2.0 十億米ドルの請求書借り換え責任管理取引を開始した。これによ
り、一部のサプライヤーおよび請負業者は、ペメックスおよびその生産子会社から支払われる未払いの請
求書を、ペメックスが発行する 2029 年満期のグローバル 8.750 %手形と交換する機会が与えられた。さら
に、取引に参加するサプライヤーと請負業者には、規則第 144A/ レギュレーション S を通じて手形が市場に
出回るリマーケティングプロセスに参加する機会が与えられた。
エネルギー省は、 2022 年7月1日にタバスコ州ドス・ボカスのオルメカ製油所を試験作業のために開設
し、この施設では日量 34 万バレルの原油を処理し、日量 17 万バレルのガソリンと日量 12 万バレルの低硫黄
ディーゼルを生産すると予想されている。
ペメックスと米国環境保護庁 (EPA) は、 2022 年 11 月 12 日に温室効果ガス、特にメタンの排出削減に向けた
協力を発表した。ペメックスは EPA の支援を受けて、メタン排出を削減することを目標とする削減計画を
2023 年に策定し、開始する予定である。
( ⅱ ) 法的枠組みおよびエネルギー改革
2020-2024 年エネルギー部門プログラム( Programa Sectorial de Energía 2020-2024 )は、5年間で達
成するエネルギー部門に関する政府の優先目標、戦略および行動を設定している。エネルギー省は、国有
企業、分権化された行政機関、準州組織および規制機関と連携して、エネルギー部門プログラムを実施す
る取組みを主導している。
炭化水素法( Ley de Hidrocarburos )および炭化水素歳入法( Ley de Ingresos sobre Hidrocarburos )
は、炭化水素の探査、採掘および精製から配送、貯蔵、販売およびマーケティングに至る活動を規制し、
メキシコ人および非メキシコ人の投資家が石油およびガスの探査、生産および輸送にかかる入札手続きに
参加することを認めている。これらの法律は、政府が石油およびガスの探査・採掘活動をペメックスに加
えて民間の石油・ガス会社に割当てることを認めている。ペメックスは、 2013 年に承認された憲法による
エネルギー改革を通じて生産的国有企業に再編された。 2020 年 12 月に施行された、メキシコにおける燃料
および核物質の輸出入にかかわる認可手続きに関する規則は、炭化水素に関する脱税、税関詐欺および密
輸と闘い、現在の国際貿易の流れに適応することを目的としたものである。
2021 年5月4日および同 19 日、炭化水素法が改正された。かかる改正には、( i )許可を与える前に、問
題の炭化水素、石油製品または石油化学製品の将来の許可保有者の貯蔵容量を検証する新しい要件を定
め、 ( ⅱ)エネルギー省( Secretaría de Energía )またはエネルギー規制委員会( Comisi ó n Reguladora
de Energ ía 、以下「 CRE 」という。)に対して、( a )炭化水素、石油または石油化学製品の密輸で有罪と
なった申請者の許可を取消し、( b )国家安全保障、エネルギー安全保障または国民経済に対する差し迫っ
た予見可能な危険がある場合、許可を一時停止する権限を与え、 ( ⅲ)ペメックスおよびその子会社による
炭化水素、石油製品および石油化学製品の直接販売およびマーケティングを規制する CRE の権限を縮小する
こと、が含まれている。同法はまた、許可証保有者がかかる許可の取消しまたは一時停止に対処する方法
を含む、第三者の権利を保護するための手続きを規定している。かかる改正の影響は、係属中の裁判上の
争点の解決に左右される。
2022 年 12 月 31 日現在、ペメックスは依然として業界最大手であった。
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2016 年1月1日以降、民間企業は (i) ペメックスのフランチャイズ外のサービス・ステーションを所有す
ることができるようになり、また (ii) ガソリンおよびディーゼルを輸入することが可能になっている。
2022 年 12 月 31 日現在、ペメックスは 6,987 の小売サービス・ステーションを擁し、ガソリン・スタンドに
おける国内市場シェアの 59.1 %を保有している。このうち 6,942 は個人所有でフランチャイズの形で運営さ
れ、残りの 45 はペメックスの子会社であるペメックス・インダストリアル・トランスフォーメーション社
( Pemex Transformación Industrial )が所有していた。さらに、ペメックス・インダストリアル・トラン
スフォーメーション社は、ペメックスのフランチャイズ外の 4,758 のサービス・ステーションに石油製品を
供給した。
2017 年に政府がガソリンおよびディーゼルにかかる価格統制を段階的に撤廃したのを受けて、国内の燃
料価格は完全に自由化され、おおむね市場によって決定されている。しかし、 CRE は介入権限を留保してお
り、ペメックスの販売価格は、連邦経済競争委員会( Comisión Federal de Competencia Económica 、以下
「 COFECE 」という。)が卸売市場に有効な競争が存在すると判断するまで、 CRE による今後ありうる規制の
対象となっている。詳細な情報については、「 (5) 財政-④歳入および歳出- (ii) 税制および税収」を参照
のこと。
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入札
エネルギー改革は、メキシコの石油および石油化学部門への入札および参加を開放するための段階的な
プロセスを大まかに定めている。ラウンドゼロは、メキシコにおいて探査・生産活動を引続き行うペメッ
クスの権利の当初割当てを決定し、エネルギー省は合わせてメキシコの石油および天然ガスの確認埋蔵量
の見積りの 95.9 %を含む区域を引続き探査・開発する権利をペメックスに付与するに至った。
その後、ラウンドワンは、ラウンドゼロにおいてペメックスに割当てられなかった区域を、一定の要件
を条件に、ペメックスおよび他の会社による入札の対象とし、ラウンドツーでは、国家炭化水素委員会が
メキシコの浅海、陸上および深海における探査および開発を実施する権利にかかる応札を受けた。ラウン
ドツーには、4回の入札が含まれており、この間ペメックスは国際的企業とのコンソーシアムにより、入
札対象の合計 68 鉱区(ブロック)のうち6鉱区を落札した。
2018 年3月 27 日、ラウンドスリーの第1次入札に続き、ペメックスは、エネルギー省と国家炭化水素委
員会から付与されたメキシコ湾の浅海での炭化水素の探査および生産を目指した 11 のうち7件の採掘契約
を落札した。政府は、付与された採掘権からの利益の 72 %ないし 78 %を受取るものと見積もられた。 2022
年 12 月現在、政府はこれらの公開入札から約 6.3 十億米ドルの利益を受け取った。 2018 年 12 月 11 日、国家炭
化水素委員会は、エネルギー省の要請により、ラウンドスリーの残りの2回の入札セッションの取止めを
発表した。これは、以前の入札ラウンドから得られた既存の炭化水素探査・採掘契約に基づく結果および
進捗状況を評価することを目的とするものであった。
また、 2019 年6月 13 日、政府は、既存の石油、天然ガスおよび鉱物利権の第三者割当(ファームアウ
ト)のための入札ラウンドの実績を評価する機会を提供するため、新たなファームアウトの停止を発表し
た。既存のファームアウトは、それぞれの契約の諸条項に従って運営を続ける予定である。政府は、将来
においてファームアウトを追求するかどうかを判断するにあたってかかる評価の結果を用いる。
エネルギー省は、国家炭化水素委員会と共同で、 2020-2024 年炭化水素探査・採掘のための5カ年入札計
画( Plan Quinquenal de Licitaciones para la Exploración y Extracción de Hidrocarburos 2020-
2024 、以下「5カ年計画」という。)を 2020 年 10 月 28 日に、また、第二次 2020-2024 年統合国家天然ガス輸
送・貯蔵システム5カ年拡張計画( Plan Quinquenal de Expansión del Sistema de Transporte y
Almacenamiento Nacional Integrado de Gas Natural 2020-2024 )を 2020 年 11 月5日に承認した。第一次
5カ年計画は、契約入札に向けられる合計 155,322 平方キロメートルの炭化水素の探査・採掘区域を特定し
ており、すでにペメックスおよび他の探査・採掘契約に付与された資源を除いて原油換算 12,645 百万バレ
ルと予想される資源を含んでいる。第二次5カ年計画は、メキシコの長期的な天然ガス需要を満たすため
に必要とされるインフラのニーズを特定しており、かかるインフラはエネルギー省が必要と判断する他の
戦略的・社会的プロジェクトとともに、天然ガスを輸送・貯蔵するために今後展開されるプロジェクトに
統合される予定である。
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( ⅲ ) ペメックス
本「 ( ⅲ ) ペメックス」中の情報は、ペメックスが公表したか、またはそのウェブサイト上に掲載される
公開情報に基づくものである。本「 ( ⅲ ) ペメックス」において、メキシコ石油公社ならびにその子法人3
社(すなわち、生産的国有子法人であるペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社
( Pemex-Exploración y Producción )、ペメックス・インダストリアル・トランスフォーメーション社
( Pemex Transformación Industrial )およびペメックス・ロジスティックス社( Pemex Logística ))な
らびにその子会社(メキシコ石油公社により直接的または間接的に支配されている。)を総称して「ペ
メックス」という。
概要
メキシコ石油公社は、 1938 年6月7日付でメキシコ議会が制定した法律により設立された。同法律は
1938 年7月 20 日に官報に掲載され、同日施行された。 2013 年 12 月 20 日、エネルギー問題に関するメキシコ
憲法の各種規定を改正および補足する法令( Decreto por el que se reforman y adicionan diversas
disposiciones de la Constitución Política de los Estados Unidos Mexicanos, en Materia de
Energía )が官報に掲載された。この法令は、 2013 年 12 月 21 日付で施行され、エネルギー部門に関する立法
実施にかかる一般的な枠組みおよび予定表を定める経過規定が盛り込まれている。
2014 年8月 11 日、メキシコ石油公社法( Ley de Petróleos Mexicanos )が官報に掲載された。メキシコ
石油公社法は、一部規定を除き、 2014 年 10 月7日に施行された。 2014 年 12 月2日、エネルギー省は官報に
告示を掲載し、これに従って生産的国有子法人、関係会社、補償、資産、管理責任、国への配当金、予算
および債務に関するメキシコ石油公社の活動を規律する特別制度が施行された。 2015 年6月 10 日、メキシ
コ石油公社およびその生産的国有子法人にかかる一般契約規定( Disposiciones Generales de
Contratación para Petróleos Mexicanos y sus Empresas Productivas Subsidiarias )が官報に掲載さ
れ、その翌日に、買収、リース、サービスおよび公共事業に関する事項にかかる特別制度が施行された。
メキシコ石油公社法の施行により、メキシコ石油公社は分権的公法人から生産的国有企業に転換され
た。メキシコ石油公社は、メキシコにおいて原油およびその他の炭化水素の探査および採掘、ならびにこ
れら製品の精製、加工、貯蔵、輸送、販売および取引を行う目的をもって、自己の名をもって財産を保有
し、事業を行う権限を有する法人である。
ペメックスは、メキシコ最大の企業であり、また 2021 年のデータに基づくと原油生産会社としては世界
第 11 位であり、石油・ガス会社としては世界第 20 位であった。
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企業構造
2022 年 12 月 31 日現在、子法人の主な事業ラインは以下のとおりである。
・ ペメ ックス - エクスプロレーション・アンド・プロダクション社( Pemex-Exploración y Producción )
の後継として、 2015 年4月 28 日に設立されたペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダク
ション社は、原油および天然ガスの探査、採掘、輸送、貯蔵および販売を行うほか、油井の掘削、停
止および修復ならびに関連サービスを提供する。
・ 2015 年4月 28 日に設立されたペメックス・ロジスティックス社は、パイプラインならびに海洋および
陸上の手段を通じて、ペメックスおよび他の会社向けに原油、石油製品および石油化学製品の輸送、
貯蔵および関連サービスを提供するほか、保護および管理サービスを提供している。
・ペメックス・リファイニング社( Pemex-Refinación )、ペメックス・ガス・アンド・ベーシック・ペ
トロケミカル社( Pemex-Gas y Petroquímica Básica )およびペメックス・ペトロケミカル社( Pemex-
Petroquímica )の後継として 2015 年4月 28 日に設立されたペメックス・インダストリアル・トランス
フォーメーション社は、石油製品およびその派生品の精製、天然ガス、液化天然ガス、人工ガスおよ
び派生品の加工、工業用石油化学プロセスへの参加、電力および地熱エネルギーの生産、供給および
売買、ならびにメタン、エタンおよびプロピレンの販売、流通および売買を行っている。ペメック
ス・インダストリアル・トランスフォーメーション社はまた、直接または他社を通じてメタン、エタ
ンおよびプロピレンの販売、流通および売買を行うほか、アンモニアおよびその派生品ならびに肥料
の生産、流通および売買を行う。
これらの子法人は、それぞれ自己の名をもって財産を保有し、事業を行う権限を有する法人であり、メ
キシコ石油公社による中央調整と戦略的指示に従って、技術的および経営上の自律性を有している。
2018 年7月 27 日より前は、ペメックス・コジェネレーション・アンド・サービシズ社( Pemex
Cogeneración y Servicios )がもう1社の生産的国有子法人として運営していた。 2018 年7月 13 日、メキ
シコ石油公社の理事会は、ペメックス・コジェネレーション・アンド・サービシズ社の清算および消滅宣
言( Declaratoria de Liquidación y Extinción de Pemex Cogeneración y Servicios )を発し、これは官
報に掲載され、 2018 年7月 27 日に効力を生じた。 2018 年7月 27 日現在、ペメックス・コジェネレーショ
ン・アンド・サービシズ社のすべての資産、負債、権利および義務は自動的にペメックス・インダストリ
アル・トランスフォーメーション社により引受けられ、かつ同社に対して譲渡され、同社は、メキシコ法
上、ペメックス・コジェネレーション・アンド・サービシズ社の承継会社となった。これにより、ペメッ
クス・コジェネレーション・アンド・サービシズ社は 2018 年7月 27 日付で解散した。
2019 年7月1日より前は、ペメックス・ドリリング・アンド・サービシズ社( Pemex Perforación y
Servicios )およびペメックス・エチレン社( Pemex Etileno )が別の生産的国有子法人として運営してい
た。 2019 年7月 25 日、メキシコ石油公社の理事会は、ペメックス・ドリリング・アンド・サービシズ社の
消滅宣言( Declaratoria de Extinción de Pemex Perforación y Servicios )およびペメックス・エチレ
ン社の消滅宣言( Declaratoria de Extinción de Pemex Etileno )を発し、これらはいずれも 2019 年7月
30 日に官報に掲載され、 2019 年7月1日に消滅した。 2019 年7月1日現在、ペメックス・ドリリング・ア
ンド・サービシズ社のすべての資産、負債、権利および義務は、ペメックス・エクスプロレーション・ア
ンド・プロダクション社により引受けられ、かつ同社に対して譲渡され、同社は、メキシコ法上、ペメッ
クス・ドリリング・アンド・サービシズ社の承継会社となった。 2019 年7月1日現在、ペメックス・エチ
レン社のすべての資産、負債、権利および義務は、ペメックス・インダストリアル・トランスフォーメー
ション社により引受けられ、かつ同社に対して譲渡され、同社は、メキシコ法上、ペメックス・エチレン
社の承継会社となった。これにより、ペメックス・ドリリング・アンド・サービシズ社およびペメック
ス・エチレン社は 2019 年7月1日付で解散した。
2021 年1月1日より前は、ペメックス・ファーティライザーズ社( Pemex Fertilizantes )は、もう1社
の生産的国有子法人として営業していた。 2021 年1月 12 日、メキシコ石油公社の理事会は、ペメックス・
ファーティライザーズ社の消滅宣言( Declaratoria de Extinción de Pemex Fertilizantes )を発し、こ
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れは 2021 年1月 27 日に官報に掲載され、 2021 年1月1日付で消滅した。 2021 年1月1日現在、ペメック
ス・ファーティライザーズ社のすべての資産、負債、権利および義務はペメックス・インダストリアル・
ト ランスフォーメーション社により引受けられ、かつ同社に対して譲渡され、同社は、メキシコ法上、ペ
メックス・ファーティライザーズ社の承継会社となった。これにより、ペメックス・ファーティライザー
ズ社は 2021 年1月1日付で解散した。
ペメックスの最近の財務・経営情報
ペメックスの抜粋財務データ
(1)
12 月 31 日終了年度
2020 年 2021 年 2022 年
(百万ペソ)
包括利益(損失)計算書データ
売上高 953,662 1,495,629 2,383,388
営業利益(損失) (63,063) 228,928 445,459
金融収益 16,742 28,907 27,228
金融費用 (161,765) (164,572) (159,684)
デリバティブ金融商品(費用)収益-純額 17,096 (25,224) (22,863)
為替(損失)利益-純額 (128,949) (45,675) 129,690
当期純利益(損失) (509,052) (294,776) 99,998
財政状態計算書データ(期末現在)
現金および現金同等物 39,990 76,506 64,415
資産合計 1,928,488 2,052,098 2,245,558
短期債務および長期債務の1年以内返済予定分 391,097 492,284 465,948
長期債務(1年以内返済予定分を控除後) 1,867,630 1,757,412 1,625,516
長期負債合計 3,560,805 3,299,451 3,084,643
資本(欠損)合計 (2,404,727) (2,170,001) (1,768,822)
キャッシュフロー計算書
油井、パイプライン、有形固定資産の
減価償却費および償却費 129,632 133,431 139,772
(2)
油井、パイプライン、有形固定資産の取得 (114,977) (209,592) (305,335)
(1) メキシコ石油公社、子法人および子会社を含む。
(2) 資産計上された金融費用を含む。
出典: 包括利益計算書、財政状態計算書およびキャッシュフロー計算書に関連するものについては、 IFRS に準拠し
て作成されたペメックスの連結財務書類。その他の財務データについてはメキシコ石油公社。
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2022 年 12 月 31 日終了年度に、ペメックスの経営成績は改善し、 2021 年の純損失 294.8 十億ペソから 2022 年
には 100.0 十億ペソの純利益となった。この業績改善の主な要因は以下のとおりである。
・ 主として原油および天然ガスの平均価格の値上がりならびに自動車燃料へのインセンティブにより、
売上高合計が 887.8 十億ペソ増加。
・ 米ドルに対するペソ高により、為替差損が 175.4 十億ペソ減少。
・ その他の費用が 25.4 十億ペソ減少。
・ その他の収益が 22.3 十億ペソ増加。
・ メキシコ政府からの拠出金により、金融費用が 4.9 十億ペソ減少。
・ デリバティブ金融商品に係る費用(純額)が 2.4 十億ペソ減少。
・ 金融収益が 1.7 十億ペソ増加。
これらの効果は、以下により部分的に相殺された。
・ 主として製品購入が増加したことにより、売上原価が 631.9 十億ペソ増加。
・ 租税公課が 12.8 十億ペソ増加。
・ 油井、パイプラインおよび有形固定資産の減損が 82.3 十億ペソ増加。
・ 一般管理費ならびに流通・輸送・販売費用が 4.7 十億ペソ増加。
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2022 年、ペメックスの資本(欠損)合計は、 2021 年 12 月 31 日現在のマイナス 2,170.0 十億ペソから 401.2
十億ペソ改善して、 2022 年 12 月 31 日現在ではマイナス 1,768.8 十億ペソとなった。この縮小は、主としてペ
メックスの当期純利益が 100.0 十億ペソであったこと、従業員給付にかかる数理計算上の利益が 123.4 十億
ペソであったことおよびメキシコ政府からの拠出金により負債総額が 158.2 十億ペソ減少したことによるも
のである。
ペメックスの売掛債権は、 2022 年には 1.3 %減少して、 2021 年 12 月 31 日現在の 278.4 十億ペソから 2022 年
12 月 31 日現在では 274.9 十億ペソとなった。これは主として、予納税、および還付予定税額の減少によるも
のである。
2022 年 12 月 31 日現在、ペメックスは納入業者に対して 282.2 十億ペソの債務があったが、これに対して
2021 年 12 月 31 日現在では 264.1 十億ペソであった。 2022 年 12 月 31 日現在、ペメックスは、 2021 年 12 月 31 日現
在の納入業者および請負業者に対する未払残高を支払済みであり、 2023 年3月 31 日現在では、ペメックス
は 2022 年 12 月 31 日現在の納入業者および請負業者に対する未払残高の約 36.8 %を支払済みであった。
2022 年、ペメックスの原油およびコンデンセート生産量は1日当たり 1,764 千バレルで、これに対して
2021 は1日当たり平均 1,736 千バレルであった。このように液体生産が引続き増加傾向にあるのは、主にペ
メックスの新規油田開発戦略およびこれら油田からの早期生産によるもので、 2022 年 12 月 31 日現在 507 千バ
レルの生産があった。ペメックスによる 2022 年の無窒素ガス生産量は、1日当たり平均 3,866 百万立方
フィートで、これは 2021 年の1日当たり平均 3,692 百万立方フィートより 4.7 %の増加であった。これは、
南部地域の Quesqui および Tupilco Profundo 油田、北部地域の Ixachi 油田ならびに南西部海底地域の Koban
油田からのガス油比の高い油井からの貢献によるものであった。
2022 年、ペメックスは 162 本の新規開発井を完成させ、これに伴い日産 150 千バレルの液体と 336 百万立方
フィートのガスを生産した。これらの油井のうち 106 本は陸上、 56 本は沖合に所在している。分類による
と、 132 本は石油およびガス生産用、 16 本は湿性ガス生産用、7本はガスおよびコンデンセート生産用、3
本は乾性ガス生産用、3本は注入井、1本は非商用石油およびガス生産用である。 2022 年におけるこれら
油井にかかるペメックスの開発成功率は 99 %であった。
2022 年、ペメックスは1日当たり 816 千バレルの原油を精製したが、これは 2021 年に精製した1日当たり
712 千バレルと比較すると 14.6 %の増加であった。この実績はそれぞれ1日当たり 180 百万バレル( Mbd )、
178Mbd 、 130Mbd 、 112Mbd および 98Mbd の原油精製水準を有する、 Tula 、 Salina Cruz 、 Salamanca 、
Minatitlán および Madero の精製所における業績の改善によるものである。その結果、ペメックスは 2022 年
に一次蒸留設備の 49.7 %を使用したが、これは 2021 年と比較して 6.4 ポイントの上昇であった。
2022 年に平均を上回る稼働率を示したペメックスの精製所は次のとおりであった: Tula ( 57.1 %)、
Salina Cruz ( 53.9 %)、 Salamanca ( 52.9 %)および Madero ( 51.6 %)。 2022 年、ペメックスの各種の精
製マージンは、 2021 年の1バレル当たり 2.92 米ドルから1バレル当たり 4.42 米ドル上昇して1バレル当た
り 7.34 米ドルとなった。この上昇は、主として、湾岸地域における原油製品価格の回復ならびに高い留分
得率を記録した国家精製システムの業績改善によるものである。
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COVID-19 パンデミックの影響
2021 年および 2022 年中ならびに 2023 年4月 28 日現在、ペメックスのすべての事業は COVID-19 関連で中断
することなく継続して行われていた。
2021 年および 2022 年中、国際原油価格および天然ガス価格は引続き不安定であったが、主に COVID-19 と
は無関係の地政学的事象により大幅に回復し、ペメックスの経営成績および財政状態に対する悪影響の可
能性は弱まった。
COVID-19 またはその他の医療パンデミックや伝染病がメキシコ、メキシコ経済および世界経済、ひいて
はペメックスの事業、経営成績および財政状態にどの程度影響を及ぼし続けるかは極めて不透明であり、
予測できない多くの要因の展開に左右されるであろう。
ウクライナにおけるロシアの行動とそれに伴う世界のエネルギー市場の不安定化
ロシアとウクライナをめぐる軍事紛争が続いた結果、石油および天然ガスの価格が依然として大きく変
動している。ペメックスの売上高および収益性はペメックスが石油および天然ガスの販売から受取る価格
に大きく依存している。石油価格は特に世界政治の安定性に対する実際の脅威や認識されている脅威、な
らびに OPEC および OPEC プラス加盟国ならびにその他の産油国からの産油量の変化に特に敏感である。世界
の石油およびガスの価格が不安定になると、ペメックスの売上が減少し、ペメックスの業績および収益性
に悪影響を及ぼす可能性がある。石油およびガスの価格の上昇は長続きしない可能性があり、地政学的事
象などペメックスの支配の及ばない要因によって値下がりする可能性がある。
2022 年、メキシコ産原油ミックスの輸出価格は、 2021 年の1バレル当たり 65.85 米ドルから 22.56 米ドル
( 34.3 %)上昇して、 2022 年には1バレル当たり 88.41 米ドルとなり、これはペメックスの売上高の増加に
表れている。
売上高は、 2021 年の 1,495.6 十億ペソから、 59.4 %、 887.8 十億ペソ増加して、 2022 年には 2,383.4 十億ペ
ソとなったが、これは主としてガソリン、ディーゼル、燃料油、ジェット燃料、天然ガスおよび液化天然
ガスの販売価格が上昇したことによる。
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原油および乾性ガスの埋蔵量に関する以下の3つの表は、米国 1933 年証券法のレギュレーション S-X の規
則 4 - 10(a) に従って決定されたペメックスの確認埋蔵量のペメックスによる見積りを示したものである。
(1)
会計年度の平均価格に基づく 2022 年 12 月 31 日現在の石油およびガス の確認埋蔵量の概要
(2) (3)
原油およびコンデンセート 乾性ガス
(百万バレル) (十億立方フィート)
確認開発埋蔵量および
確認未開発埋蔵量
確認開発埋蔵量 3,698.3 4,368.5
2,391.3 2,711.1
確認未開発埋蔵量
6,089.6 7,079.6
確認埋蔵量合計
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) ペメックスは、現在合成石油または合成ガスを生産しておらず、また合成石油もしくは合成ガスが生産されう
るその他の天然資源を採取していない。
(2) 原油およびコンデンセートの埋蔵量には、油田に所在する天然ガス精製プラントにおいて回収可能な少量の液
化炭化水素埋蔵量が含まれる。
(3) 別の表で報告される天然ガスの生産量は、湿性サワーガスについていうが、本表では乾性ガスの生産量をい
う。乾性ガスを得るために天然ガス液および不純物が抽出されると、生産量は減少する。よって、天然ガスに
ついては乾性ガスより多い量が報告されている。
出典: ペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社
原油およびコンデンセートの埋蔵量
(1)
(天然ガス液を含む。)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(百万バレル)
確認開発埋蔵量および確認未開発埋
蔵量
1月1日現在 6,427 5,787 5,961 6,041 6,073
(2)
修正 22 784 651 565 647
採掘および発見 140 78 97 115 78
生産 (743) (688) (695) (697) (710)
ファームアウトならびに国家炭
化水素委員会の入札プロセスに
(59) - 27 49 1
よる E&P 契約および油田の譲渡
5,787 5,961 6,041 6,073 6,089
12 月 31 日現在
12 月 31 日現在の確認開発埋蔵量 3,588 3,585 3,603 3,649 3,698
12 月 31 日現在の確認未開発埋蔵量 2,198 2,376 2,438 2,424 2,391
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 原油およびコンデンセートの埋蔵量には、油田に所在する天然ガス精製プラントにおいて回収可能な少量の液
化炭化水素埋蔵量が含まれる。
(2) 修正には、油井掘削からの新しいデータによるプラス・マイナスの変化、実際の油層挙動が予測挙動と異なる
場合になされる修正および炭化水素価格変動の影響が含まれる。
出典: ペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社
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乾性ガスの埋蔵量
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(十億立方フィート)
確認開発埋蔵量および確認未開発埋
蔵量
1月1日現在 6,593 6,370 6,352 6,984 7,040
(1)
修正 3 656 1,240 195 847
採掘および発見 809 196 176 590 43
(2)
生産 (887) (870) (819) (751) (854)
ファームアウトならびに国家炭
化水素委員会の入札プロセスに
(148) - 35 22 3
よる E&P 契約および油田の譲渡
6,370 6,352 6,984 7,040 7,079
12 月 31 日現在
12 月 31 日現在の確認開発埋蔵量 3,380 3,609 3,922 3,934 4,368
12 月 31 日現在の確認未開発埋蔵量 2,990 2,743 3,062 3,106 2,711
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 修正には、油井掘削からの新しいデータによるプラス・マイナスの変化、実際の油層挙動が予測挙動と異なる
場合になされる修正および炭化水素価格変動の影響が含まれる。
(2) 別の表で報告される天然ガスの生産量は湿性サワーガスについていうが、本表に記載される生産量は乾性ガス
の生産量をいう。乾性ガスを得るために天然ガス液および不純物が抽出されると、生産量は減少する。よっ
て、天然ガスについては乾性ガスより多い量が報告されている。
出典: ペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社
探査および生産
探査および掘削
ペメックスは、将来の確認埋蔵量の置換率を上昇させるために、自社の探査プログラムを通じて新たな
石油貯留層の確認に努めている。 1990 年から 2022 年までに、ペメックスは 14,335 件の探査井および開発井
を完了した。 2022 年中のペメックスの探査井の平均成功率は、 2021 年と比較して 3.4 %減の 51.3 %で、開
発井の平均成功率は、 2021 年の 99.2 %を 0.2 %上回る 99.4 %であった。 2022 年に、ペメックスは 11 の新た
な油田を発見し、ペメックスの生産田は合計 326 となった。
ペメックスの 2022 年探査プログラムは、メキシコ湾海域の陸上地域と沖合地域の両方の探査から構成さ
れている。ペメックスの探査活動は、 11 の石油生産田の発見、既存の油田( Niquita )における新規の油
層1つの発見および既存の油田( Valeriana )における1本の評価井の掘削の延長により、石油換算で
89.1 百万バレルの確認埋蔵量を生み出した。
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以下の表は、 2022 年 12 月 31 日に終了した5年間におけるペメックスの掘削活動(いずれもメキシコ領内
で行われたものである。)を要約したものである。
12 月 31 日に終了した年度
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(1)
開始井 166 182 157 159 201
(1)
探査開始井 28 32 28 32 39
(1)
開発開始井 138 150 129 127 162
(2)
掘削井 162 221 183 159 201
探査井 19 23 17 32 39
(3)
生産性のある探査井 5 12 6 17 20
枯渇した探査井 14 11 11 15 19
成功率(%) 26 52 35 53 51
開発井 143 198 166 127 162
生産性のある開発井 137 186 158 126 161
枯渇した開発井 6 12 8 1 1
(4)
成功率(%) 96 94 95 99 99
生産中の油井
(年間平均) 7,671 7,400 6,326 7,767 6,501
海底地域 519 520 517 647 575
南部地域 1,029 1,012 855 1,150 760
北部地域 6,123 5,868 4,954 5,970 5,166
生産中の油井
(5)
(年度末現在) 6,946 6,945 6,303 6,515 6,501
原油 4,321 4,323 3,949 3,977 4,039
天然ガス 2,625 2,622 2,354 2,538 2,462
生産中の油田 356 319 313 323 326
海底地域 43 43 49 58 61
南部地域 83 76 76 74 74
北部地域 230 200 188 191 191
掘削リグ 84 84 84 80 82
掘削距離
(キロメートル) 455 646 638 503 730
油井1本当たりの
平均深度(メートル) 2,808 2,870 3,486 3,525 3,535
(6)
発見油田 4 3 2 7 11
原油 4 - 2 6 11
天然ガス - - - - -
ガスおよび
コンデンセート - 3 - 1 -
油井1本当たりの原油および
天然ガス平均産出量
(1日当たり石油換算バレ
ル) 329 327 382 379 386
開発済面積合計
(7)(8)
(平方キロメートル) 6,923 7,077 7,419 7,391 7,616
未開発面積合計
(7)(8)
(平方キロメートル) 607 603 616 695 518
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
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(1) 「開始井」とは、油井の完了時または完了予定時期にかかわらず、所与の年度中に掘削が開始された油井の数
をいう。
(2) 「掘削井」とは、油井の掘削開始時期にかかわらず、所与の年度中に掘削が完了した油井の数をいう。
(3) 機械の不具合により放棄された油井を除く。
(4) 注入井を除く。
(5) 数値は、合弁会社および関連会社の取得に伴う部分的な利権を含んでいる。
(6) 確認埋蔵量のある新規油田( Actul 、 Akal NW 、 Atoyatl 、 Chucox 、 Chucox NW 、 Pokche-NE 、 Tentok 、
Tlalkivak 、 Xanab-SE 、 Xinich および Zama )を含む。
(7) 数値は、合弁会社および関連会社の取得に伴う部分的な利権を含んでいる。
(8) 数値はペメックスの現在の割当に関係するもののみを示している。
出典: ペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社
以下の表は、 2022 年 12 月 31 日に終了した5年間についてのペメックスによる原油、天然ガスおよび石油
製品の平均輸出入量を示したものである。
輸出入量
2021 年と
12 月 31 日に終了した年度
2022 年と
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年 の比較
( 単位:別段の記載がない限り1日当たり千バレル) (%)
輸出
原油:
オルメカ - - - - - -
イスムス 30.7 4.1 139.7 181.4 289.5 59.6
マヤ 1,090.0 985.0 908.6 796.8 639.5 (19.7)
アルタミラ 19.9 20.7 18.4 18.5 17.5 (5.4)
43.4 93.5 53.2 21.6 6.8
タラム (68.5)
1,184.0 1,103.3 1,119.9 1,018.3 953.2
原油合計 (6.4)
(1)
天然ガス 1.4 1.3 1.0 0.8 0.7 (12.5)
ガソリン 37.7 33.6 12.2 6.8 8.0 17.6
その他の石油製品 95.1 82.8 127.1 160.3 189.7 18.3
(2)
石油化学製品 57.8 71.9 40.2 110.5 18.3 (83.4)
輸入
(1)
天然ガス 1,316.5 966.6 853.1 904.6 532.1 (41.2)
(3) (4) (4) (4) (4)
ガソリン 606.8 543.8 396.5 349.3 428.3 22.6
その他の石油製品
(1) (4)
および LPG 378.7 302.8 197.3 208.0 311.4 49.7
(2)
石油化学製品 831.8 881.3 386.0 349.2 373.9 7.1
注: 原油輸出は船積みごとの含水率を反映する目的上調整されることがあるため、数値は調整されること がある。
四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 1日当たり百万立方フィートで表示されている。
(2) 千トン。
(3) プレミアム・ターミナル、レギュラー・ターミナル、コンポーネントおよびナフタを含む。
(4) ペメックス機関データベース( BDI )に対する調整を反映している。
出典: 2023 年1月 10 日付 PMI 社営業統計およびペメックス・インダストリアル・トランスフォーメーション社
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原油輸出は、 2022 年に 6.4 %減少して 2021 年の1日当たり 1,018.3 千バレルから 2022 年には1日当たり
953.2 千バレルとなった。これは主として、国家精製システムによる精製が増加したことによるものであ
る。ペメックスは、輸出向けに利用可能なオルメカ原油が不足したため、 2018 年、 2019 年、 2020 年、 2021
年および 2022 年にはオルメカ原油の輸出を行わなかった。
ペメックスは、ペメックスによる生産の不足分を満たし、かつ生産田から離れているために米国から天
然ガスを輸入することでより効率的に供給が可能となるメキシコ北部地域における需要を満たすため、天
然ガスの一種である乾性ガスを輸入している。乾性ガスの国内販売量は、 2021 年の1日当たり 1,170.5 百万
立方フィートから 3.8 %減少して、 2022 年には1日当たり 1,125.5 百万立方フィートとなったが、これは主
として顧客が天然ガスを他の販売業者から購入するオプションを有しているため民間企業が自己の必要量
を満たすために直接天然ガスを輸入したことによるものである。 2022 年には、1日当たり 532.1 百万立方
フィートの天然ガスが輸入されたが、これは 2021 年の1日当たり 904.6 百万立方フィートから 41.2 %の減少
であった。輸入の減少は、ペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社の油田から入
手できるガスの減少および極低温ユニットからの乾性ガスの生産の減少によるものである。
PMI トレーディング社は、精製品および石油化学製品を、 FOB (本船渡し)、仕向港着船渡し条件、運賃
込、国境渡し条件および 仕向地持込渡し条件 で売買する。
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以下の表は、 2022 年 12 月 31 日に終了した5年間についてのペメックスによる原油、天然ガスおよび石油
製品の輸出入額を示したものである。
(1)
輸出入額
2021 年と
12 月 31 日に終了した年度
2022 年と
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年 の比較
(単位:百万米ドル) (%)
輸出
オルメカ - - - - - -
イスムス 722.2 85.2 1,921.5 4,465.0 9,737.0 118.1
アルタミラ 419.5 405.7 216.2 416.8 551.0 32.2
マヤ 24,455.2 20,043.9 12,179.9 19,052.7 20,590.6 8.1
943.4 1,826.6 537.4 514.2 206.8
タラム (59.8)
(2)
26,540.3 22,361.4 14,855.0 24,448.7 31,085.4
原油合計 27.1
天然ガス 1.0 0.8 0.4 0.9 1.5 66.7
ガソリン 813.9 626.6 154.9 154.9 219.2 41.5
その他の石油製
(3) (3)
品 1,921.7 1,400.3 1,321.3 3,285.8 4,938.3 50.3
12.1
石油化学製品 39.2 39.6 12.7 68.2 (82.3)
天然ガス、石
油製品および
石油化学製品
(3) (3)
2,775.8 2,067.3 1,489.3 3,509.8 5,171.1
合計 47.3
29,316.1 24,428.7 16,344.3 27,958.5 36,256.5
輸出合計 29.7
輸入
(3)
天然ガス 2,043.2 1,071.9 774.1 2,196.4 1,360.0 (38.1)
(3) (3)
ガソリン 18,957.9 15,336.6 8,120.1 10,848.6 20,555.0 89.5
その他の石油製
(3) (3)
品および LPG 11,159.1 7,983.7 3,614.0 5,445.0 14,163.0 160.1
588.8 658.4 633.0 881.0 1,714.4
石油化学製品 94.6
(3) (3) (3)
32,749.0 25,050.6 13,141.2 19,371.0 37,792.4
輸入合計 95.1
正味輸出(輸
(3,432.9) (621.9) 3,203.1 8,587.5 (1,535.9)
入) (117.9)
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) PMI トレーディング DAC 社および PMI-NASA 社が第三者との間でメキシコ国外において行った原油、精製品、石油
化学製品および液化石油ガスの取引で、国際市場で再販売したものを含まない。本表に示す数値は、為替レー
トの計算方法の違いおよびその他の微調整のため、監査済連結財務書類における「純売上高」の項目に記載さ
れる金額とは異なる。
(2) 原油輸出は、船積みごとの含水率を反映するため、調整される。
(3) ペメックス機関データベース( BDI )に対する調整を反映している。
出典: 2023 年1月 10 日付 PMI 社営業統計(船荷証券の情報に基づく。)およびペメックス・インダストリアル・ト
ランスフォーメーション社
2022 年、天然ガスの輸入額は、 2021 年と比較して 38.1 %減少したが、これは主に、天然ガスの輸入量が
減少したしたことによる。ガソリンの輸入額は 89.5 %増加したが、これはメキシコ湾における精製品の価
格が値上がりしたことによる。
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以下の表は、表示期間におけるペメックスによる輸出原油の1バレル当たりの平均価格を示したもので
ある。
原油価格
12 月 31 日に終了した年度
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(1バレル当たり米ドル)
オルメカ - - - - -
イスムス 64.54 57.12 37.60 67.44 92.16
マヤ 61.47 55.75 36.63 65.51 88.21
アルタミラ 57.81 53.69 32.06 61.61 86.47
タラム 59.47 53.50 27.60 65.23 83.93
加重平均実現価格 61.41 55.53 36.24 65.78 89.35
出典: 2023 年1月 10 日付 PMI 社営業統計
租税公課
概要
ペメックスに適用される租税公課は、メキシコ政府の歳入の重要な供給源である。ペメックスは、政府
の歳入に対して、 2021 年には 6.6 %、 2022 年には 8.2 %貢献した。 2022 年、ペメックスは、子会社企業の一
部が支払うその他の租税公課に加えて、数種類の特別な石油およびガス税および公課を政府に納付した。
2022 年のメキシコ石油公社およびその子法人に対して効力を有する税制(以下「税制」という。)は 2015
年に施行され、その後その時々に修正されうる。 2014 年8月に公表された施行令には、 2015 年1月1日か
らメキシコにおいて行われる探査・生産活動を対象とする新しい契約上の取決めに適用される税制ならび
に 2016 年1月1日からメキシコ石油公社およびその子法人が支払うべき国への配当金が規定されている。
ペメックスに対する税制
炭化水素歳入法は、 2014 年8月 11 日の官報に掲載され、 2015 年1月1日付で施行された。炭化水素歳入
法は、同日に定められた割当てと契約に適用されるメキシコ石油公社のための税制を規定している。同様
に、連邦歳入法は毎年の官報に掲載されるが、これにはメキシコ石油公社および子法人に対する具体的な
規則が盛り込まれている。
割当てに適用される税制
メキシコ政府によりペメックスに認められた割当てにかかる探査および生産に適用ある税制には以下の
租税公課がある。
A. 利益配分税 ( Derecho por la Utilidad Compartida 、 DUC )
2015 年1月1日現在、ペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社は、利益配分
税の納付義務がある。
2022 年および 2021 年については、この税金の適用税率は、それぞれ 40 %および 54 %であった。この税
金は、会計年度中に生産された炭化水素の価値(自家消費、減少および燃焼を含む。)の超過額から、
投資の一部ならびに費用、経費および税金を含む炭化水素歳入法によって認められた一定の控除額を差
し引いた額に基づいて計算される。連邦歳入法に基づき、 2023 年1月1日現在、この税金は 40 %とされ
ていた。
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B. 炭化水素採掘税( Derecho de Extracción de Hidrocarburos )
財務省は、連邦の官報に掲載される税率を決定する際に、米国の生産者物価指数、または別の代替指
標の変動の影響を考慮する。
この税金は、炭化水素の各種類に適用される算式に基づく税率、生産量および米ドルでの炭化水素の
関連市場価格を使用して計算される。
C. 炭化水素探査税( Derecho de Exploración de Hidrocarburos )
ペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社は、割当てを受けた者として、この
税金について月々の支払をしなければならない。 2022 年の税率は、生産されていない区域1平方キロ
メートルにつき 1,548.88 ペソであった。 60 カ月経過後は、この税金は生産されていない区域1平方キロ
メートルにつき追加の1カ月ごとに 3,703.86 ペソに引上げられる。これらの金額は、全国消費者物価指
数に従って毎年更新される。
D. 炭化水素探査・採掘活動税( Impuesto por la actividad de Exploración y Extracción de
Hidrocarburos )
メキシコ政府から認められた割当てにより、関連する区域において実施される探査・採掘活動につい
て税金が課される。探査段階中と採掘段階が始まるまでに納付される税金は1平方キロメートル当たり
月額 2,020.27 ペソである。プロジェクトの採掘段階では、関連する探査・採掘または割当てのための契
約が終了するまで、1平方キロメートル当たり月額 8,081.17 ペソの税金が納付される。
契約に適用される税制
2015 年1月1日現在、契約についてペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社
に適用される税制は炭化水素歳入法に規定されており、同法は、とりわけ、探査・採掘のための契約
(ライセンス、利益配分契約、生産物分与契約およびサービス)に適用ある財務上の条件を定め、メキ
シコ政府に納付される賦課金その他の税金を規定している。
炭化水素歳入法はまた、メキシコ政府からペメックスに認められた割当てに関してペメックスに適用
ある次の賦課金を定めている。
・ 探査段階の契約手数料( Cuota Contractual para la Fase Exploratoria )
探査・採掘契約の探査段階では、メキシコ政府は、生産されていない区域1平方キロメートルにつき
月額 1,548.88 ペソを徴収する権利を有する。 60 カ月経過後は、この手数料は生産されていない区域1平
方キロメートルにつき追加の1カ月ごとに 3,703.86 ペソに引上げられる。この手数料金額は全国消費者
物価指数に従って毎年更新される。
・ 鉱区使用料( Regalías )
メキシコ政府に対する鉱区使用料の支払は、関連する炭化水素の「契約価値」に基づいて決定され
る。契約価値は、基礎となる炭化水素の種類(例えば、原油、随伴天然ガス、非随伴天然ガスまたはコ
ンデンセート)、生産量および市場価格を含む様々な要因に基づいて決定される。鉱区使用料は、ライ
センス契約、生産物分与契約および利益配分契約に関連して支払われる。
・ 契約価値の支払( Pago del Valor Contractual )
ライセンス契約には、財務省が契約ごとに決定する、生産された炭化水素の「契約価値」に対する比
率として計算されるメキシコ政府に対する支払が求められる。
・ 営業利益の支払( Porcentaje a la Utilidad Operativa )
生産物分与契約および利益配分契約では、営業利益の特定比率に相当する支払が求められる。生産物
分与契約では、かかる支払は生産された炭化水素の引渡しを通じて現物で行われる。利益配分契約で
は、かかる支払は金銭で行われる。
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・ 契約金( Bono a la Firma )
ライセンス契約の締結に際して、関連する入札の条件または移行に起因する契約において財務省が指
定する金額でメキシコ政府に納付される。
・ 炭化水素探査・採掘活動税( Impuesto por la actividad de Exploración y Extracción de
Hidrocarburos )
メキシコ政府から付与された探査・採掘のための契約には、関連する鉱区において実施される探査・
採掘活動に対する特定の税金が含まれる。探査段階中および採掘段階が開始するまでに納付される月額
は、1平方キロメートル当たり 2,020.27 ペソである。プロジェクトの採掘段階では、関連する探査・採
掘または割当てのための契約が終了するまで、1平方キロメートル当たり月額 8,081.17 ペソが納付され
る。
メキシコ政府に対するその他の支払
メキシコ石油公社法に基づいて、 2016 年1月1日付で、メキシコ石油公社およびその子法人は、毎年政
府に対して配当金を支払う義務を負うことになっている。毎年7月、メキシコ石油公社およびその子法人
は、前会計年度にかかる財務実績ならびに今後5年間の投資および資金調達計画を開示した報告書を、か
かる投資の収益性の分析および関連する財政状態の予測とともに、財務省に提出しなければならない。財
務省は、メキシコ石油公社およびその子法人各社が支払うべき国への配当金の金額を決定するにあたっ
て、かかる報告書および安定化と開発のためのメキシコ石油基金の技術委員会が発行する意見書に依拠す
る。メキシコ石油公社法は、 2016 年に支払われる国への配当金の総額を、メキシコ石油公社およびその子
法人の前会計年度の税引後利益合計の少なくとも 30.0 %に相当する額とすることを定めている。同法はま
た、かかる配当率が 2021 年に 15 %、 2026 年には0%になるまで今後引下げられる予定であると定めてい
る。 2020 年、 2021 年および 2022 年の連邦歳入法に従って、メキシコ石油公社は 2020 年、 2021 年および 2022
年には国への配当金の支払を求められなかった。また 2023 年には国への配当金の支払を求められることは
ない。
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(c) 観光業
観光業は、メキシコ経済において重要な枠割を担っている。観光推進国家基金などのイニシアティブを
通じて、政府はワトゥルコ、カンクーン、カボサンルーカス、イスタパおよびプエルトバヤルタといった
いくつかのビーチタウンに観光案内所を設置してきた。これら地域の発展を通じて、メキシコは、雇用機
会の創出、外貨の獲得、経済発展への刺激、社会福祉の促進およびメキシコ国民の生活の質の向上のため
の手段として観光部門を活用することを目指している。
2019 年7月に外務大臣および観光大臣によって設立された観光外交会議( Consejo de Diplomacia
Turística )は、メキシコの観光の競争力を高めるために設置された。観光外交会議は、メキシコを国際的
に宣伝するための企画、設計および戦略の実施を推奨する予定である。また 2019 年7月には、過半数を政
府が保有する政府系企業であるメキシコ観光促進協議会( Consejo de Promoción Turística de México,
S.A. de C.V. )が解散され、観光省( Secretaría de Turismo 、 SECTUR )がその職務を承継した。これに
は、メキシコの製品、目的地、文化および活動の国内外市場における宣伝活動が含まれる。
2020 年、メキシコでは、 COVID-19 のパンデミックによって観光業が前例のない水準まで減速し、これは
2021 年第1四半期まで続いた。 2020 年末現在および 2021 年を通じて、不要不急の経済活動に対する制限が
徐々に緩和されるにつれて、政府はパンデミックの経済的影響を軽減するための中小企業への補助金の提
供を含む、様々な産業を支援するためにいくつかの既存のプログラムを利用した。経済再生協定( Acuerdo
para la Reactivación Económica )の一環として、政府と企業家調整評議会( Consejo Coordinador
Empresarial )は、民間資本により資金提供された一連のプロジェクト(観光業の促進を含む。)について
合意した。かかる協定に関する追加情報については、下記「 (e) 運輸および通信 」を参照のこと。
2021 年、観光省は、メキシコの観光業を促進するための一連のプログラムを発足させた。第一に、 2021
年6月 23 日、複数の観光地の基本インフラおよびサービス要件を特定し、 20 の自治体で短期および長期的
な観光名所を開発するために、ワステカ・ポトシナ統合観光開発マスタープランおよび持続可能な観光開
発センター・マスタープランが策定された。ワステカ・ポトシナ地域における継続的な観光開発では、 (1)
5年以内に同地域のホテルの収容力を新たに 2,000 室拡大し、 (2) 年間 30 万人の新たな観光客を誘致し、 (3)
同地域で年間 1.3 十億ペソの経済収入を生み出し、 (4) 新たに 7,000 人の正規雇用を生み出し、農業、牧畜お
よび手工芸など同地域の他の経済活動を活性化させ、 (5) 観光業を多角化するということを目的としてい
る。
観光省は、 2021 年9月7日に、ホテル業界における気候変動への適応を統合するためのクイックガイド
( Guía Rápida para la Integración de la Adaptación al Cambio Climático en la Hotelería )も導入
した。持続可能性とリスク管理を推進するためのツールであるとともに、気候変動に関する運用指針でも
あるかかるガイドは、環境資源省、国立生態気候変動研究所および国家自然保護地区委員会と共同で開発
され、 GIZ によって実施された。
2021 年9月 20 日、観光省は、先住民の手工芸品を提供する「マジカルタウン( Pueblos Mágicos )」とし
て知られるメキシコの一定の小さな田舎町およびその他のユニークな観光名所の運営に情報通信技術を導
入して全国の他の観光地との競争における優位性を高めることを目的とした、マジカルタウンにおける観
光のデジタル化のための国家十字軍( Cruzada Nacional por la Digitalización Turística en Pueblos
Mágicos )を開始した。観光省は、 Google 、 Despegar 、 Rotamundos および Gueest などの世界的な企業との間
で、マジカルタウンの宿泊施設におけるデジタルツールの配備を確保するための支援となる戦略的提携を
結んだ。
2022 年1月 28 日、観光省と独立行政法人農林水産政策金融公庫( Financiera Nacional de Desarrollo
Agropecuario, Rural, Forestal y Pesquero 、以下「 FND 」という。)は、観光部門における中小零細企業
( SME )の地域の製品、手工芸品およびサービスの生産と販売に有利な戦略と資金調達手段を実施するため
の提携協定を締結した。本提携協定に基づき、観光省は地方での観光プロジェクトを特定し、 FND はこれら
の分野において実行される生産的なプロジェクトのために、融資へのアクセスおよびローンの提供を促進
させ、プロジェクトの種類に応じてその金利は7~ 16 %の範囲となる。観光省は地方に経済的影響を与え
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る観光プロジェクトを特定する。 2022 年3月 10 日、観光省、メキシコ産業金融公社( Nacional
Financiera, S.N.C. 、以下「 NAFIN 」という。)およびメキシコ外国貿易銀行( Banco Nacional de
Comercio Exterior, S.N.C. 、以下「 BANCOMEXT 」という。)は、融資プログラムの新たな段階を開始し、
これにより SME に対して BANCOMEXT と NAFIN の金融仲介業者のネットワークを通じた融資へのアクセスを提供
し、運転資金、固定資産の取得、技術的支援および環境改善を支援する。
観光省は、 2022 年に 38.3 百万人の国際観光客がメキシコに入国し、 2021 年から 20.3 %増加したと報告し
た。観光省によると、 2022 年の観光部門への海外直接投資は 3.4 十億米ドルで、これは 2021 年の 1.87 十億米
ドルと比較して 81.8 %増となった。
メキシコの観光部門は、 2022 年の国際収支において 20.9 十億米ドルの黒字を計上したが、これは 2021 年
に計上された 14.6 十億米ドルより 43.3 %の増加である。米国におけるメキシコ人移民の給与水準の高さ
と、海外からの訪問者数の増加により、メキシコの観光部門は、以下の表に示すとおり 2022 年には拡大し
た。
(1)
観光による収入および支出
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
外国からの旅行者からの収入
(2)(3)
(十億米ドル) 22.5 24.6 11.0 19.8 28.0
内陸部への観光客からの収入
(2)
(十億米ドル) 19.3 21.0 9.1 17.3 25.0
内陸部への観光客1人当たり
の平均支出額(米ドル) 826.4 885.8 843.6 959.8 984.2
内陸部への観光客数
(百万人) 23.3 23.8 10.8 18.0 25.4
メキシコから海外への観光客
の支出総額(十億米ドル) 7.6 6.4 1.9 3.9 5.2
メキシコから海外への旅行者
(3)
の支出総額(十億米ドル) 11.2 9.9 3.5 5.1 7.1
(1) 平均支出および観光客数を除き、十億単位で表示。
(2) メキシコへの日帰りの観光客および訪問者の双方を含む。
(3) 海外への日帰りの観光客および訪問者の双方を含む。
出展:メキシコ中央銀行
2022 年の外国人観光客による外貨収入は 28.0 十億米ドルとなり 2021 年から 41.7 %増加した。 2023 年1
月、観光省は、 2022 年に 38.3 百万人の外国人観光客がメキシコを訪問し、 26.3 十億米ドルの収入が生み出
されたことを報告した。 2022 年に、メキシコは、観光部門の外貨収入では9位となった。
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(d) 農業
( ⅰ ) 農業政策
政府は農業部門を国家的優先課題とみなしており、農業の生産性向上および農村地域の生活水準の向上
を目的とした様々な施策をとっている。農業の生産性向上について、的を絞った政府政策には、 (1) 生産
単位の統合による大規模化、 (2) 全国的な灌漑システムの拡大、ならびに (3) 農家向け融資および農産物に
影響を及ぼすリスクをカバーするための政府出資のヘッジの利用可能性の拡大が含まれている。農村地域
の生活水準の向上に関して、政府は農産物価格がコストを下回ることがないように農産物価格を見直す政
策をとっている。
メキシコが土地の譲渡制限付コミュニティ保有制度であるエヒード( ejido )制を変更した 1992 年以
降、メキシコは土地保有制度の近代化を続けてきた。こうした取組みは、土地の所有者に対して (1) 新た
な資金源の利用、 (2) 一定の要件に従ったより効率的な生産者への土地の譲渡、および (3) 投入財のより効
率的な利用を認めることによって、農業投資の拡大を促進してきた。農業部門の生産性向上によって、主
要な都市部以外の多くの農業従事者にとって雇用機会も生み出された。 2007 年、政府は、全国の地方の土
地登録の近代化を通じて土地所有の監視の強化と共同体の財産所有権の保護を目的とした全国地方地籍の
近代化プログラム( Programa de Modernización del Catastro Rural Nacional 、以下「 PMCRN 」とい
う。)を開始した。かかるプログラムは、共同体の土地所有データを統合および更新する中央集中システ
ムの構築によって、土地の登録および評価プロセスの標準化に寄与している。全国農業登録( Registro
Agrario Nacional )は、 2017 年と 2019 年にプログラムに関する2つの正式な評価を公表し、 2019 年以降は
PMCRN の年次結果の報告も行っている。
農業省は、 (1) 食糧生産を増大し、 (2) 農業部門の比較優位を最大限に高め、 (3) 農村環境での生産
チェーンの活動を経済の他部門の活動と統合し、 (4) 生産者間の協力を促すことを目的とした開発政策に
責任を負う。
農業省の指示に基づいて運営する農業流通支援サービス( Apoyos y Servicios a la Comercialización
Agropecuaria )は、メキシコの農産物輸出を促進し、メキシコの農業生産者が直面している競争上のデメ
リットを低下させることを目的としている。農業流通支援サービスは、かつて直接現場支援プログラム
( Programa de Apoyos Directos al Campo 、以下 「 PROCAMPO 」という。)と呼ばれていた福祉生産プログ
ラム( Programa Producción para el Bienestar )の運営・管理も行っている。このプログラムは、地方
の農業生産者に対して外国の競合者が自国政府から受取る補助金の分を埋め合わせる一助とするための政
府資金を提供するものである。 2022 年9月 28 日、社会開発政策評価国家評議会( Consejo Nacional de
Evaluación de la Política de Desarrollo Social 、以下「 CONEVAL 」という。)は、以下の内容を含む
プログラムの評価を発表した。 (1) 公的に利用可能な受益者の登録(福利厚生の実施および受益者の追跡
に貢献する。)の統合、 (2) 生産者のニーズに焦点を当て、農業生態学の実践導入に対する生産者の関心
を高めるように設計された技術サポート戦略、 (3) 当該プログラムに基づく、様々な作物への農業生態学
の技術の適用可能性は、プログラム終了後も生産者によって採用された慣行が維持される可能性があるこ
とを示唆している。
2019 年1月 24 日に立ち上げられた播種プログラムの運用ガイドライン( Lineamientos de Operación
del Programa Sembrando Vida )は、農業生産者によるアグロフォレストリー・システムの立ち上げを奨
励している。このシステムは、雇用の創出、食糧の自給自足、所得および生活の質の向上ならびに浸食の
減少と修復に貢献するものである。これらのガイドラインには、財政支援ならびにプラント、コミュニ
ティ保育園、バイオファクトリー、技術支援および継続的な研修といった現物支援が含まれる。
( ⅱ ) 業績
農業部門(畜産業、漁業、林業および狩猟を含む。)は、 2021 年がメキシコの GDP 全体の 3.4 %であった
のに対して、 2022 年には GDP の約 3.4 %を占めた。 2022 年の農産物生産高は 2021 年と比較して 1.6 %増加し
た。
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暫定値によると、 2022 年 12 月 31 日現在のメキシコの経済活動人口の約 11.5 %が農業部門で雇用されてい
た。
メキシコは、カナダとともに、米国の最大農業貿易相手国のひとつである。 2022 年に輸出された主な農
産品は、果実、飲料および野菜で、農業輸出全体の約 60 %を占めた。
(e) 運輸および通信
メキシコの運輸および通信インフラの近代化および拡張は国家の優先課題である。 2022 年に、運輸・倉
庫産業は、実質ベースで 11.5 %増加した。
2019 年 11 月、政府は、メキシコの成長と発展に貢献する民間部門のプロジェクトの実施を促進、加速さ
せる手段である国家インフラ投資協定( Acuerdo Nacional de Inversión en Infraestructura )を発表し
た。この協定の目標は、民間投資が法的枠組みに準拠していること、また公的機関ならびに連邦政府およ
び地方政府によって支援されていることを保証しつつ、こうした民間部門による投資の妨げとなる障壁を
取り除くことになる。
2020 年 10 月5日、政府と企業家調整評議会は、民間資本による一連の行動およびインフラ・プロジェク
トを含む経済再生協定をまとめた。この協定には、通信、運輸、エネルギー、水および環境部門における
39 件のプロジェクトが含まれ、そのうち7件は協定締結時にすでに進行中であり、投資総額は 297.34 十億
ペソにのぼる。この協定に含まれる行動は、 ( ⅰ ) 競争力のある国内サプライヤーを開発し、投資を呼び込
み、米国東海岸等への輸出を増やすための USMCA の利用、ならびに ( ⅱ ) 道路、旅客列車の整備、空港の復
旧および建設ならびに治安の強化を含む観光の促進である。 2020 年 11 月 30 日、政府と民間部門企業は、イ
ンフラ投資を促進し、経済回復を後押しするための第2協定を発表した。この協定は、エネルギー、通信
および運輸、水、下水および環境の部門において、総額 228.6 十億ペソに上る 29 件の新たなプロジェクトを
予定している。 2022 年7月現在、予定されている 61 件の新規のプロジェクトのうち 25 件のプロジェクトが
現在進行中で、このうちの 10 件は 80 %以上完成しており、さらに 16 件のプロジェクトは開始を許可されて
いる。 25 件のプロジェクトへの投資は計画されている総投資額の 70 %以上を占めている。
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道路および高速道路
政府は、メキシコの道路網の大部分を建設、保守しているが、 2003 年以降、政府は民間企業に有料道路
の建設、運営および保守を認める長期的な営業免許を付与している。
2022 年 12 月 31 日現在、メキシコの道路網の全長は推定 401,366 キロメートルで、このうち 176,984 キロ
メートルは舗装道路であり、 10, 923 キロメートルは有料高速道路であった。
2018 年 12 月、ロペス・オブラドール大統領は、 2018-2024 年全国高速道路インフラ整備プログラム
( Programa Nacional de Infraestructura Carretera 2018-2024 )を発表した。このプログラムは、開発
を奨励するため、現在重要な道路および高速道路のインフラが不足しているメキシコの地域に高速道路の
建設および保守を優先課題として割当てている。 2022 年、政府は高速道路インフラを建設し、状況を改善
するため 38.6 十億ペソを割当てた。
ソノラ州の ドンノガレス 駅の高速道路区間は、全長約 655.3 キロメートルに及ぶ予定である。 2022 年 12 月
現在、同区間は 99.2 %が完成しており、政府は、かかるプロジェクトの完成に必要な資金を有しているこ
とを確認した。かかるプロジェクトは、 2023 年に完成が予定されている。
2022 年 10 月、インフラ通信運輸省 (Secretaría de Infraestructura, Comunicaciones y Transportes )
は、ソノラ州、タバスコ州、ベラクルス州およびオアハカ州で合計 2,779 百万ペソの投資を伴う4つの主要
な高速道路インフラ改善プロジェクトが完了したと発表した。この高速道路の改善により、都市、観光地
およびビジネスセンター間の相互接続が強化され、メキシコと米国間の貿易の流れの強化に貢献し、
30,200 の雇用が創出されるものと推定される。
以下の表は、表示期間におけるメキシコの道路網の発展を示したものである。
メキシコの道路網の発展
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
道路網(全長)
(キロメートル) 407,940 397,312 397,937 401,366 401,366
舗装道路
(キロメートル) 177,192 175,124 176,250 176,599 176,984
高速道路および有料道路
(キロメートル) 10,614 10,794 10,843 10,912 10,923
出典: インフラ通信運輸省( Secretaría de Infraestructura, Comuncaciones y Transportes )
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港湾
2022 年にメキシコの港湾を経由した貨物の輸送量は、 2021 年に比べ 0.2 %増の 287.5 百万トンであった。
道路網とともに、政府は、メキシコの港湾施設の開発、管理および改良における民間部門の役割の強化
を推進してきた。これらと引換えに、民間部門事業者は港湾施設および周辺の運輸インフラを開発し近代
化することが期待されている。こうした免許の付与にもかかわらず、政府は依然としてメキシコの主要港
湾施設の大部分を運営している。
国家開発計画の一環として、政府は、 2019 年にテワンテペック地峡開発計画( Plan de Desarrollo del
Istmo de Tehuantepec )に着手した。テワンテペック地峡開発計画には、 2019 年6月 14 日に創設され、6
年間の大統領任期末までに運用を開始する見込みのテワンテペック地峡の大洋間回廊( Corredor
Interoceánico del Istmo de Tehuantepec )が含まれる。テワンテペック地峡の大洋間回廊は、さまざま
な輸送手段と、貨物および旅客用の線路の復旧、サリナ・クルスとコアツァコアルコスの間の道路の延伸
ならびにサリナ・クルスとコアツァコアルコスの港湾およびサリナ・クルスとミナティトランの製油所の
拡張および近代化に一部充当される8十億ペソの投資により構成される予定である。テワンテペック地峡
開発計画には、国内の企業および消費者に供給するためのガス・パイプラインの計画が含まれている。テ
ワンテペック地峡の大洋間回廊に沿って、エネルギー、水、デジタル接続ならびに企業および労働者の
ニーズに応えるためのその他基本的なインプットの供給の保証とともに民間部門の投資を誘致するため、
経済特区が創設される予定である。テワンテペク地峡大洋間回廊の詳細については、「 (7) その他-最近
の展開-経済-経済の主要部門-運輸および通信-港湾」を参照のこと。
2019 年、政府は、クユトラン・ラグーンのマンサニージョ港を拡張する計画を発表した。これには4つ
の新しいターミナルの建設、都市および環境を保護するためのプンタ・デ・アグア川における5つの貯水
ダムの建設ならびに水処理工場の近代化が含まれる予定である。 2020 年 12 月 30 日、政府は、港の拡張に
は、トンネル、高架橋および高速道路、ならびに税関、外港および水上と陸上の2つの貨物ターミナルを
介したクユトラン港との接続が含まれると発表した。補完工事を含めた2つのターミナルの建設にかかる
推定総費用は 22,425 百万ペソである。マンサニージョ港拡張の第3段階は 2022 年 12 月に開始された。
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航空
メキシコシティ、グアダラハラおよびモンテレイといったメキシコの主要都市に所在の空港には国内お
よび国際航空会社が就航しているが、より小規模な都市の空港にも限られた国内航空会社の定期便が運航
している。 2022 年 12 月 31 日現在、メキシコには 78 の空港があり、このうち 65 の空港には国内外の航空会社
が就航している。 2022 年には、メキシコを発着する国際線および国内線の乗客数は 2021 年と比較して
33.6 %増加したが、メキシコを発着する国際線の乗客数は 2021 年と比較して 39.7 %の増加であった。
2021 年5月 20 日、民間航空法( Ley de Aviación Civil )が改正された。かかる改正の目的は主に、
( 1 )運用上の安全管理システムで使用するための情報の収集と体系化を強化すること、 (2) 航空事故の調
査および判断委員会( Comisión Investigadora y Dictaminadora de Accidentes Aéreos )を創設するこ
と、および( 3 )法律の対象となる違反の種類を拡大することにより、民間航空における運航の安全性を拡
大および改善することである。 2021 年5月 25 日、米国連邦航空局(以下「 FAA 」という。)は、メキシコの
民間航空当局の評価を受け、メキシコの航空安全性評価を「カテゴリー1」から「カテゴリー2」に引下
げたと発表し、これによってメキシコの旅客輸送またはメキシコの空港の安全性に対する一般の認識が悪
影響を受ける可能性がある。 2021 年5月 26 日、通信運輸省の代表は、カテゴリー1に復帰するための戦略
を展開するため、メキシコの民間航空会社の上級幹部と面談した。 2021 年7月 25 日、連邦民間航空局
( Agencia Federal de Aviación Civil 、 AFAC )と FAA は、メキシコの航空安全性評価カテゴリー1復帰を
目的として、 FAA の安全専門家がメキシコを訪問して技術支援を行う協定に調印した。メキシコの航空安全
性評価の詳細については、「 (7) その他-最近の展開-経済-経済の主要部門-運輸および通信-航空」
を参照のこと。
適用あるメキシコ法の下で、外国人はメキシコの空港の 49 %を上限として保有することができるが、国
家外国投資委員会( Comisi ó n Nacional de Inversiones Extranjeras )の承認を得たうえでより高い比率
を取得することができる。空港を運営、保守および開発するためには、通信運輸省から免許を受ける必要
がある。メキシコシティ国際空港( Aeropuerto Internacional de la Ciudad de México )は政府所有の会
社が運営している。
2018 年 11 月および 12 月、メキシコの新政権は、現在運用中のメキシコシティ国際空港に代わってメキシ
コシティ大都市圏における新空港となる新メキシコシティ国際空港( Nuevo Aeropuerto Internacional de
la Ciudad de México 、以下「 NAICM 」という。)に関連する政策の転換を発表した。かかる発表に関連し
て、 2018 年 12 月、メキシコシティ・エアポート・トラスト( MEXCAT )は、代替空港のインフラ開発を行う
にあたって政府に柔軟性を持たせることを目的として、国際市場において発行した債券 6.0 十億米ドルのう
ち 1.8 十億米ドルを保有者の同意を得て現金で買入れ、債券に係る信託証書およびその他の関連諸契約を修
正した。
2019 年3月 11 日、ロペス・オブラドール大統領は、メヒコ州スンパンゴに所在のサンタルチア空軍基地
( Base Aerea Militar de Santa Lucia )に2本の滑走路を追加建設することにより、 NAICM の飽和状態に
対応することを発表した。 サンタルシア・ フェリペ・アンヘレス空港は 2022 年3月 21 日に運営を開始し
た。
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鉄道
メキシコの鉄道システムは、3本の地域路線、いくつかの短距離路線およびメキシコ盆地の1つのター
ミナル駅に分割されている。
2022 年、メキシコの鉄道システムは、 2021 年と比較して 1.1 %減の 128.5 百万トンの貨物を輸送した。鉄
道による輸出輸送は、 2021 年の 22.3 百万トンから 2022 年には 10.3 %増加して 24.6 百万トンとなった。一
方、輸入輸送は、 2021 年の 70.3 百万トンから 3.5 %減少して 2022 年には 67.9 百万トンとなった。
鉄道輸送規制局( Agencia Reguladora del Transporte Ferroviario )は、とりわけ、鉄道の運行、通行
権および鉄道路線使用権、運送業者間の競争ならびに課される可能性のある料金について規制している。
2021 年および 2022 年に新たな営業許可の付与はなかった。
政府はまた、鉄道旅客輸送サービスを提供する権利およびメキシコ盆地におけるターミナルの所有権を
民間企業に付与するとともに、太平洋側北部鉄道路線の一部で観光目的の鉄道輸送を行うことをハリスコ
州に割当てた。
2017 年 11 月、通信運輸省は、メキシコシティからメキシコ州の州都であるトルーカまでを結ぶことにな
る全長 58 キロメートルの 都市間鉄道( Tren Interurbano )の建設を発表した。建設工事は、土地使用権の
補償に関する訴訟により、 2018 年1月 10 日から 2018 年4月 24 日まで中断した。 2019 年 12 月 12 日、通信運輸
省は、都市間鉄道の建設を再開した。 2021 年 12 月 26 日現在、同プロジェクトは約 76 %( 57.87 キロメートル
のうち 41 キロメートル)が完成し、残りの線路も半ば完成していた。同プロジェクトは 2023 年 12 月までに
完了し、稼働する予定である。 2022 年3月3日、インフラ通信運輸省とメキシコシティ政府は、都市間鉄
道部門に係る 950 百万ペソの再割り当てに関する提携契約を締結した。 2022 年6月に両当事者は締結協定を
修正し、再配分される資金の額を 1.3 十億ペソに増額した。都市間鉄道に関する追加情報については、
「 (7) その他-最近の展開-経済-経済の主要部門-運輸および通信-鉄道」を参照のこと。
ロペス・オブラドール大統領は、 2020 年9月 12 日にハリスコ州でグアダラハラの軽量軌道鉄道3号線を
開通させた。この3号線は、ハリスコ州のグアダラハラ、サポパンおよびトラケパケの3都市を結んでい
る。同線は現在 4.5 百万人の住民にサービスを提供しており、毎年約 17,000 トンの二酸化炭素の排出を阻む
ものと予想されている。
2019 年 12 月、ユカタン半島の先住民族コミュニティは、マヤ鉄道( Tren Maya )の開発プロジェクトを承
認し、マヤ鉄道は、 2023 年 12 月までに運行を開始する見込みである。マヤ鉄道は、ユカタン州、カンペ
チェ州、キンタナロー州、タバスコ州およびチアパス州を結ぶ予定で、観光客、乗客および貨物のための
全長 1,500 キロメートルの新しい鉄道インフラである。マヤ鉄道は、年間3百万人の旅客の輸送能力を有す
る見込みである。マヤ鉄道への見積り投資額は 120 十億ペソから 150 十億ペソの範囲であり、建設段階では
300,000 の直接的な雇用創出が見込まれる。
その他の 2022 年の鉄道最新情報には次のものが含まれる。 (i) メキシコ - トルーカ間の都市間鉄道で鉄
道輸送旅客サービスを運営および提供するための譲歩を国家インフラ基金( Fondo Nacional de
Infraestructura )に付与する 2022 年7月の政府決議、 (ii)2022 年 10 月 25 日付のメキシコとカリフォルニア
の間の協定締結(米国領土内の施設が1つだけであることで、オタイ・メサ II とオタイ・メサ・イース
トの国境通過からの料金収入を当事者間で均等に分割し、運営コストと時間の両方で大幅な節約が期待さ
れている。)、および (iii) タマウリパス州ヌエボ・ラレドとテキサス州ラレド間の2番目の鉄道橋の建設
が 2022 年 10 月 31 日に開始されたこと(この橋はメキシコと米国の間の二国間貿易の拡大と促進を目的とし
ており、 2024 年第2四半期までに完成する予定である。)。
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通信
以下の表は、表示期間におけるメキシコの電話、携帯電話およびインターネットの接続回線数の伸びを
示したものである。
通信
12 月 31 日現在
(3)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(1)
電話回線数 61.0 63.0 68.0 71.0 71.0
(2)
携帯電話回線数 97.0 97.0 98.0 100.0 99.0
(1)
インターネット接続居住者 53.0 55.0 64.0 70.0 87.0
(1) 100 軒当たりの数値。
(2) 居住者 100 人当たりの数値。
(3) 2022 年の数値は第3四半期に対応している。
出典: 連邦電気通信委員会( Instituto Federal de Telecomunicaciones )
政府は、メキシコ市民がより安価で質の良い通信サービスを利用できるようにし、かつこれらの産業に
おける競争および投資を強化することを目指している。 CFE は、 2019 年8月2日に設立された非営利の子会
社である CFE テレコミュニケーションズ・アンド・インターネット・フォー・オール( CFE
Telecomunicaciones e Internet para Todos )を有している。同社の目的は、メキシコ全土において情報
ならびにブロードバンドおよびインターネットを含む通信技術へのアクセス権を保証するため、電気通信
サービスを提供することである。 2022 年に、 CFE は 4G 機器を備えた 68 の通信塔を設置し、 62,500 人の住民に
恩恵をもたらし、現在 2,800 の通信塔を建設中で、 2024 年までに運用が開始される予定である。
2018 年3月に始まった官民パートナーシップを通じて、政府はまた、 4.5 ギガ以上のワイヤレス・ネット
ワークを通じてメキシコにおける電気通信の対象を拡大するための共用ネットワーク 構築事業 ( Red
Compartida )プロジェクトに着手した。 2022 年6月現在、このプロジェクトは、人口の 70.9 %に、または
マジカルタウンにいるものを含めて、 79.7 百万人にブロードバンド・サービスを提供する。このプロジェ
クトは、 2024 年1月までに、人口の 92.2 %にサービス提供をすることを目標としている。
かかる目的に従って、政府は通信および衛星通信部門(ケーブル・テレビを含む。)における外国人直
接投資を 100 %まで認めている。政府はまた、メキシコと投資家または運営者の出身国との間の互恵協約に
従って、放送部門への外国人直接投資を 49 %まで認めている。
連邦通信放送法は、通信および放送のアクセスを全般的に高め、携帯電話事業者の料金(長距離電話料
金を含む。)を廃止または軽減することを目指している。メキシコ合衆国公共放送システム( Sistema
Público de Rafiodifusión del Estado Mexicano )は、メキシコの各州における放送サービスへの確実な
アクセスを確保する分権的公企業である。
2016 年以降、政府は、一連の憲法改正を通じて、電気通信にかかる公開入札手続きの開放、国民向けの
ブロードバンド通信サービス利用の改善および通信市場におけるいっそうの競争促進を目指した。 2017
年、最高裁判所は、議会ではなく、連邦電気通信委員会のみが接続料金を決定する権限を有していること
を根拠として、通信サービス・プロバイダーが無償でそのネットワークを競合他社に利用させることを義
務づける連邦通信放送法の一部は違憲であると宣言した。これを受けて、連邦通信委員会は、通信サービ
ス・プロバイダーの間で合意が得られない場合に使用される接続料金を設定した。
通信の改善を促進するための新プログラムである 2021-2024 年国家デジタル戦略( Estrategia Digital
Nacional 2021-2024 )が、 2021 年9月6日に官報に掲載された。かかるプログラムには、 (1) 情報通信技術
を利用して行政サービスを改善し、市民の利用に供することを目的とした連邦行政におけるデジタル政策
および (2) 周縁化と闘い、通信を改善するためにメキシコの最も貧しい農村地域全体でインターネットの普
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及率を高め、かかる地域の国家経済への統合を促進することを目的とした社会的デジタル政策という2つ
の主要な政策が含まれている。
(f) 建設業
建設部門の生産高は、実質ベースで 2021 年には 8.3 %増加したのに対して、 2022 年には実質ベースで
0.3 %の増加であった。建設部門は景気循環トレンドの影響を受けやすく、政府および民間部門の支出の変
動の影響を最も受ける部門の一つである。そのため建設部門は連邦の高速道路網の最近の再構築、近代化
および拡張ならびにその他のインフラ整備プロジェクトの恩恵を多く受けてきた。しかし、建設部門は
2019 年以降、住宅および建設生産高に関してマイナス傾向を示している。
(g) 鉱業
以下の表は、表示期間における鉱業部門の実績を示したものである。
鉱業
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
鉱業、石油およびガス部門生産高
(前年比成長率) (5.5) (4.6) (0.1) 0.1 0.2
抽出鉱物輸出(石油を除く。)
(前年比成長率) 14.8 (0.7) 19.7 29.0 (4.2)
商品輸出全体に占める抽出鉱物輸出
(石油および石油製品を含む。)の割
合 8.2 6.9 6.0 7.9 8.3
出典: メキシコ中央銀行
2018 年から 2020 年まで、鉱業セクターは全体的に生産量の減少傾向を示していた。しかし、 2021 年の鉱
業部門の生産量は、主に石油とガスの採掘によって緩やかな増加を記録したが、 2021 年第3四半期に E-Ku-
A2 プラットフォームで発生した事象によって部分的に相殺され、天然ガスの取り扱いと輸送に要求される
圧縮装置とインフラに損傷を生じさせた。 2022 年、鉱業部門の生産は緩やかな増加を続けた。第1四半期
の鉱業セクターは、主に鉱業関連サービスの異例の増加により拡大した。 2022 年の残りの期間、鉱業セク
ターの活動は、特に鉱業に関連するサービスに関連して高い変動性を示し、鉱物、石油およびガスの活動
は停滞した。
鉱業法( Ley Minera )は、 2022 年4月 20 日に改正され、メキシコのリチウム埋蔵量が国家遺産の一部に
指定された。鉱業法に基づき、行政機関はリチウム埋蔵量のすべての探査と使用を実施する分散型公共団
体を指定する責任を負っている。 2022 年8月 23 日、エネルギー省が監督するメキシコリチウム公社 ( Litio
para México ) がこれらの目的のために創設された。
憲法および適用あるメキシコ法の下で、鉱物鉱業活動の遂行が認められるのは、政府またはこれに代
わって政府の免許を付与されたメキシコの個人もしくは企業のみである。放射性鉱物の採掘を除き、メキ
シコ法に基づいてメキシコの鉱業会社に対する外国人投資(支配持分を含む。)は認められている。外国
人投資および鉱業規則では、外国人投資家が鉱業活動に従事するメキシコ企業の過半数持分を免許期間中
保有することが認められている。これらの外国人投資規則は、 (1) 探査の拡大、 (2) 新たな資金源の獲得、
ならびに (3) さらなる国内技術開発を認めることにより、鉱業の発展を促進している。鉱業法に基づいて、
民間企業には最長6年の探査免許と最長 50 年の採掘免許が付与されている。
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(h) 電力産業
国家開発計画の下で、政府は、 CFE のインフラを近代化し、特定の税負担を軽減するため、同公社に資金
を提供する意向である。新しいエネルギー政策は、メキシコ国民に対して電力生産に再生可能エネルギー
を組込むことを奨励するものであり、これによりまだアクセスが不足している小規模の孤立したコミュニ
ティ に居住する約2百万人の電力利用が改善される見込みである。
20 23 -20 37 年国家電力システム開発プログラム( Programa de Desarrollo del Sistema Eléctrico
Nacional 2023-2037 、以下「 PRODESEN 」という。)は、 15 年間にわたって、消費者にとって最善の質と価
格を提供しつつ、国の経済成長に沿った電力エネルギーの供給を保証することを意図している。規則は州
および民間の電力会社に平等に適用される予定である。このプログラムの下で、メキシコは、気候変動お
よび排出削減に関する国際的なコミットメントをいっそう遵守するため、クリーンで再生可能な電力の増
産を目指している。
PRODESEN には、発電所の設置と閉鎖のための推奨プログラム( Programa Indicativo para la
Instalación y Retiro de Centrales Eléctricas 、以下「 PIIRCE 」という。)、全国送電ネットワークお
よび卸売電力市場の一般配電ネットワークの拡大および近代化プログラム( Programa de Ampliación y
Modernización de la Red Nacional de Trasmisión y Redes Generales de Distribución del Mercado
Eléctrico Mayorista )ならびに卸売電力市場に対応しない一般配電ネットワークの拡大および近代化プロ
グラム( Programa de Ampliación y Modernización de las Redes Generales de Distribución no
correspondientes al Mercado Eléctrico Mayorista )が盛り込まれている。 PRODESEN および CFE の最新情
報については、「 (7) その他-最近の展開-経済-経済の主要部門-電力産業」を参照のこと。
電力の利用拡大は政府の優先事項である。 2022 年 12 月 31 日現在、全人口の約 99.2 %が電力を利用するこ
とができた。
政府は、メキシコの電力需要の拡大に対応するために、発電、送電および配電インフラ設備への投資を
続けている。 CFE が 2023 年1月に発表した 2023-2027 年 CFE 事業計画( Plan de Negocios 2023-2027 de la
CFE )は、次の計画が含まれる。 (1) 電力供給の安全性を優先することで CFE の生産性を向上させ、州に経済
的価値を生み出し、 ( 2) 国家レベルでの発電における CFE のリードを維持し、 (3) 持続可能な発展への貢献と
温室効果ガス排出量の削減、 (4) 新規事業開発を通じた CFE の収益の増加と多様化、 (5) 規制の非対称性に関
連する財務、商業および運営上の損害を軽減し、 (6)CFE の内部管理プロセスの強化、 (7) ユーザー満足度の
向上と CFE の評判の強化ならびに (8)CFE の財務収益性とキャッシュフローを改善し、経営・投資資源を増加
することが含まれている。 CFE の水力発電所の近代化のための総合計画( Plan Integral de Modernización
de Centrales Hidroeléctricas )は、 2024 年の第1四半期までに1十億米ドルを投資し、 14 の発電所を近
代化することを企図している。 2021 年7月 14 日に発表されたこの計画は、年間発電量を増加させ、設備を
近代化し、発電所の耐用年数を 50 年延長することによる国家電力システムの強化を目指している。
2022 年、メキシコは 2021 年と比較して 3.7 %増となる 340.7 テラワット時を発電し、 2020 年より 7.4 %増加
した。 2022 年 12 月 31 日現在、 CFE の発電設備容量は 68,603 メガワットとなり、 2021 年より 0.5 %増加した。
上記の国内エネルギー生産量は、自家消費用自家発電(独立系発電事業者、以下「 IPP 」という。)を考
慮している。自家消費用自家発電は、民間部門ベースであり、ここ数年で急速に伸びてきた。 2022 年に CFE
が買上げた IPP 自家発電は、 2021 年の 92.260 ギガワット時より 5.0 %増の 96,915 ギガワット時であった。国
内エネルギー生産量は、 CFE が長期オークション( LTA )から専用発電民間プラントに購入したエネルギー
も考慮する。
エネルギー資源の多様化もまた政府の重点目標である。以下の表は、 2019 年から 2022 年までにおけるメ
キシコの主要なエネルギー源の構成についての一定の情報を示すものである。
電力エネルギー源の構成
(ギガワット時( GWh ))
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2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
構成比 構成比 構成比 構成比
発電量 ( % ) 発電量 ( % ) 発電量 ( % ) 発電量 ( % )
従来型の電
250,101 77.8 % 232,969 73.4 % 231,748 70.5 % 234,542 68.8 %
源
結合サイク
ル 175,506 54.6 % 185,638 58.5 % 186,715 56.8 % 187,574 55.1 %
火力 38,058 11.8 % 22,446 7.1 % 22,241 6.8 % 20,044 5.9 %
石炭 21,611 6.7 % 12,525 3.9 % 8,704 2.6 % 14,194 4.2 %
燃焼タービ
ン 11,053 3.4 % 8,824 2.8 % 11,400 3.5 % 10,251 3.0 %
内燃機関 3,501 1.1 % 3,205 1.0 % 2,500 0.8 % 2,232 0.7 %
その他 372 0.1 % 331 0.1 % 188 0.1 % 247 0.1 %
クリーン・
71,483 22.2 % 84,300 26.6 % 96,850 29.5 % 106,171 31.2 %
エネルギー
再生可能 57,221 17.8 % 69,137 21.8 % 81,826 24.9 % 82,984 24.4 %
水力 23,602 7.3 % 26,817 8.5 % 34,717 10.6 % 35,559 10.4 %
エオリッ
ク 16,727 5.2 % 19,703 6.2 % 21,075 6.4 % 20,529 6.0 %
地熱 5,061 1.6 % 4,575 1.4 % 4,243 1.3 % 4,413 1.3 %
太陽光 8,400 2.6 % 13,532 4.3 % 17,085 5.2 % 16,293 4.8 %
バイオ・
エネル
ギー 1,867 0.6 % 2,207 0.7 % 1,596 0.5 % 2,141 0.6 %
分散型電
源 1,565 0.5 % 2,304 0.7 % 3,110 0.9 % 4,049 1.2 %
14,263 4.4 % 15,163 4.8 % 15,025 4.6 % 23,187 6.8 %
その他
321,584 100.0 % 317,269 100.0 % 328,598 100.0 % 340,713 100.0 %
合計
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
出典: 2023-2037 年 PRODESEN 、財務省および CFE
電力産業法( Ley de la Industria Eléctrica 、以下「 LIE 」という。)は、民間部門企業が新しい電力
卸売市場において発電および電力の販売にかかる許可を得ることを可能にする規制の枠組みを構築するも
のであり、電力産業法規則( Reglamento de la Ley de la Industria Eléctrica )には、電力部門への参
入にかかる入札手続きが詳しく定められている。同法は 2021 年3月9日に改正され、現物引渡しのコミッ
トメントを伴う電力普及契約( Contrato de Cobertura Eléctrica con Compromiso de Entrega Física )
が盛り込まれた。これにより民間部門による発電の一部慣行が規制された。裁判所の命令を受けて、この
改革は 2021 年3月 24 日にエネルギー省により一時差し止められた。 2022 年4月7日、最高裁判所は電気事
業法改正案が憲法上有効であるとの判決を下した。
2022 年 12 月 31 日現在、政府は天然ガスの輸送について 300 件の有効な営業許可を付与し、石油および天然
ガスの販売について 86 件の営業許可を付与している。
2014 年、連邦電力公社法( Ley de la Comisión Federal de Electricidad )により、 CFE は分権的公法人
から生産的国有企業に転換された。 CFE は現在、その生産的国有子法人を通じて、電力の発電、送電、配電
および販売を行っている。
2019 年、 CFE は、 CFE に発電のための天然ガスを供給する予定であった7本の天然ガス・パイプラインの
運用開始が遅れたことから CFE が負担した一定の費用に関する仲裁手続きについて和解合意に達した。これ
らの和解合意により、メキシコにおける消費者向け電力料金の引上げを回避しつつ、 20 年間にわたって天
然ガスの供給が保証される見込みである。 2021 年5月、複数の取引相手が、 CFE の米国子会社に対して、天
然ガス購入契約に基づき合計 400 百万米ドル超の請求を主張して仲裁手続きを開始した。かかる子会社は、
実体上の抗弁を有していると考えており、かかる手続きに異議を唱える意向である。かかる契約には、 CFE
または政府の保証は付されていない。 2021 年6月 17 日、 CFE のゼネラル・ディレクターは、かかる紛争の解
決は継続中であり、かかる紛争が CFE に重大な財務上の影響を与えることはない見込みであると述べた。
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2021 年および 2022 年、 CFE は国内および国際市場で多数の債券を発行した。 2021 年7月、その手取金は
CFE の以前の債務の借換えに充当された。 2021 年 12 月、 CFE は国内金融市場で株式証書( Certificados
Bursátiles 、 以下「 Cebures 」という。)の買戻しのために合計 7.8 十億ペソの初の公開買付を行い、 10.5
十億ペソの Cebures の発行を行った。
2022 年2月、 CFE は元本総額 1.75 十億米ドルで、満期がそれぞれ 2029 年5月と 2052 年2月となる初のサス
テナブル債を発行した。 2022 年6月、 CFE は国際市場で初の負債管理取引を実施し、満期が 2024 年から 2051
年までの元本 1.2 十億米ドルの6シリーズの発行済債券を購入した。最後に、 2022 年 11 月、 CFE は満期を 20
年とする 10,000 百万ペソ相当の初のグリーン・ソーシャル Cebures を発行した。
2022 年7月1日、 CFE はメキシコのエネルギー安全保障を強化し、メキシコと北米の民間エネルギー部門
との通商関係を改善することを目的として、 TC エネルギアおよびニューフォートレス・エナジー・コーポ
レーション社との参加契約書を締結した。 TC エネルギアとの契約により、メキシコ中部および南東部への
天然ガス輸送インフラが改善および拡大される。ニューフォートレス・エネジー・コーポレーション社と
の契約により、 CFE は天然ガス液化プロジェクトで提携し、 12 ヵ月間天然ガスを国際市場に輸出するインフ
ラの利用が可能となる。
ラグーナ・ベルデ原子力発電所 ( Central Nucleoeléctrica Laguna Verde ) の2号機の運転許可は、 2022
年8月 25 日に更新され、有効期限は 2025 年4月 11 日から 2055 年4月 10 日までとなる予定である。
政府は、引続き電力部門および発電への民間部門の参加を奨励している。 2022 年 12 月 31 日現在、メキシ
コの総発電設備容量に占める化石燃料による発電設備容量の割合は、 2021 年 12 月 31 日現在の 70.5 %に対し
て 68.8 %であったが、クリーン電源からの発電設備容量は、 2021 年 12 月 31 日現在の 29.5 %に対して 31.2 %
であった。
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(i) 科学技術
2021 年 12 月 28 日、政府は、新たなプログラムである 2021-2024 年科学技術・イノベーション特別プログラ
ム( Programa Especial de Ciencia, Tecnología e Innovación 2021-2024 )を発表した。かかるプログラ
ムには、以下の6つの主な目的がある。すなわち、 ( ⅰ ) 科学的、人文学的、技術的および社会経済的研究
における高度専門家の教育およびアップデートを促進し、 ( ⅱ ) かかる分野における科学技術の独立性およ
び世界的な主導的地位を達成し、 ( ⅲ ) 官民部門間で人文学的、科学的および技術的知識の創出を調整し、
( ⅳ ) 科学知識、技術およびイノベーションが持続可能な解決に転換されることを確保し、 ( ⅴ ) 科学的、技
術的および人文学的知識への普遍的なアクセスおよびその恩恵をあらゆる部門の国民に提供し、 ( ⅵ ) 異な
るレベルの政府、高等教育機関および研究所の間の協力関係を調整することである。かかるプログラムで
は、実行のための資金源および主な目的を達成するための具体的な目標が明記されている。
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(3) 【貿易及び国際収支】
① 貿易
貿易政策
メキシコは増加しつつある貿易収益に基づく経済発展というモデルを利用している。そのために、メキ
シコは、非石油製品輸出を成長させ、その競争力を高めるために、様々な貿易、財政、金融および振興策
を通じて、主に輸出全体の拡大に力を入れている。
数十年にわたって、メキシコの対外貿易政策は貿易障壁の撤廃に力を入れてきており、その結果メキシ
コの非石油輸出は増加し、農産物と比較して製造品の重要性が増してきた。
外国貿易法( Ley de Comercio Exterior )により、輸出入関税およびその他の貿易制限を設ける広範に
わたる権限が大統領に付与されている。同法によって、外国の輸出補助金の効果を無効とするため、世界
貿易機関(以下「 WTO 」という。)の規則に基づいて課される輸入関税である「相殺関税」の課税を含む外
国貿易問題に関する強制的な協議のための連邦行政機関( Administración Pública Federal )である外国
貿易委員会( Comisión de Comercio Exterior )も設立された。加えて、外国貿易法は、不公正な貿易慣行
の定義を示すとともにこれを規制しており、それによりメキシコの貿易規制の枠組みは現行の国際慣行お
よび国際基準に一段と沿った形になっている。
メキシコ最大の貿易相手国は、米国、カナダ、中国、ドイツおよび韓国であり、ヨーロッパ、南米およ
び東アジアのその他諸国も重要な輸出相手国となっている。メキシコは世界中の貿易相手国との間で多く
の自由貿易協定を締結している。
貿易、関税および移民問題に関連して米国政権がとってきた措置または取りうる措置は、為替レート、
金利、インフレ、外国直接投資および外交関係を含め、メキシコにおける経済およびその他の状況に影響
を及ぼしうる。
メキシコは、世界貿易の増加と国際的な義務の履行を支援するためいくつかの措置をとっている。 2021
年3月3日、経済省と米州開発銀行( IDB )は、企業がグローバル市場に参入する助けとなる情報を得られ
るようにすることを目的とした新たなデジタル・プラットフォームであるコメルシア MX ( Comercia MX )を
提案した。国家貿易円滑化委員会( Comité Nacional de Facilitación del Comercio )は、 2021 年3月 16
日に運営を開始したが、現在、メキシコ中央銀行、メキシコの国税庁( Servicio de Administración
Tributaria 、以下「 SAT 」という。)、国家規制改善委員会( Comisi ó n Nacional de Mejora
Regulatoria )および COFECE が常任ゲストとして加わっている。この委員会の目的は、メキシコが世界貿易
機関の貿易円滑化協定に基づく国際的な約束を果たすことができるようにするため、連邦行政の諸機関お
よび組織ならびに対外貿易に関連するプログラムの規制に関与する憲法上の自治機関の間の調整を促進す
ることである。
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貿易の実績
世界経済の減速、サプライ・チェーンの混乱(特に製造品に関して)および特に製造品に関するグロー
バル・サプライ・チェーンにおける不安定なインフレ率は、メキシコの対外貿易実績に重大な影響を及ぼ
してきており、今後も継続するであろう。
メキシコは、 2017 年に 11.0 十億米ドルの貿易赤字を計上したのに対して、 2018 年には 13.6 十億米ドルの
貿易赤字を計上した。 こうした貿易赤字の拡大は、非石油貿易黒字の拡大と石油製品貿易収支の赤字拡大
の正味結果である。また、石油輸出は、 2018 年第4四半期にも減少を続け、比較的低水準で推移した。こ
れは、輸出向けに提供できる原油の減少およびメキシコ産原油ミックスの平均価格の低下によるものであ
る。
2018 年の輸入合計は、 2017 年と比較して 10.4 %増加した。これは、主として 2018 年第1四半期に鉱業お
よび発電部門ならびに輸送機器および輸送サービスのサブセクターからの資本輸入が増加したことによ
る。加えて、 2018 年の資本輸入の増加は、発電部門および電気通信部門が第3四半期に成長したこと、な
らびに上半期に停滞していたその他の資本輸入が大きく再活性化したことにより牽引された。
2018 年の輸出合計は、 2017 年と比較して 10.1 %増加した。これは、主として 2018 年の当初3四半期間に
米国向けの製造品輸出が増加したことおよび 2018 年上半期には世界のその他地域向けの製造品輸出が増加
したことによる。原油輸出量は安定していたが、メキシコ産原油ミックスの平均価格が値上がりしたこと
から石油輸出も増加した。第4四半期における輸出は、主に世界の貿易が減速したことから、第3四半期
と同じ水準で推移した。
メキシコは、 2018 年に 13.6 十億米ドルの貿易赤字を計上したのに対して、 2019 年には 5.4 十億米ドルの貿
易黒字を計上した。こうした貿易収支の拡大は、非石油製品の貿易黒字が 2018 年の 9.5 十億米ドルから 2019
年の 27.0 十億米ドルへと大きく拡大したことと、石油関連製品の貿易赤字が 2018 年の 23.2 十億米ドルから
2019 年の 21.2 十億米ドルへと縮小した結果である。石油関連製品の貿易赤字の縮小は、商品輸出の全体的
価値上昇とともに、 2019 年第4四半期に石油輸出が増加したことなどによるものである。
2019 年の輸入合計は、 2018 年と比較して 1.9 %減少した。これは、主として非石油輸入が年率で 0.6 %減
少し、石油製品の輸入が年率で 12.2 %減少したことによる。また、 2019 年を通じて特に電力および電気通
信部門において資本輸入の業績が振るわなかったことも、年間輸入の減少に寄与した。
2019 年の輸出合計は、 2018 年と比較して 2.2 %増加した。これは、主として非石油輸出が 3.6 %増加し、
石油輸出が 15.6 %減少したことによる。 2019 年第1四半期には、石油輸出は増加したが、米中関係をはじ
めとする世界的な貿易の緊張および自動車出荷の後退により、その他の輸出は減速した。しかし、自動車
の出荷が再活性化したため、 2019 年第2四半期には製造業の輸出は回復したが、石油輸出の縮小により一
部相殺された。第3四半期には、石油輸出の継続的な減少と非自動車および製造業の輸出の低迷により、
輸出の勢いが全体的に低下した。製造業および石油輸出の減少は、 2019 年第4四半期まで続いた。
メキシコは、 2019 年に 5.4 十億米ドルの貿易黒字を計上したのに対して、 2020 年には 34.2 十億米ドルの貿
易黒字を計上した。こうした貿易赤字の拡大は、非石油製品の貿易黒字が 2019 年の 26.8 十億米ドルから
2020 年の 47.9 十億米ドルへと拡大したことと、石油関連製品の貿易赤字が 2019 年の 21.4 十億米ドルから
2020 年の 13.9 十億米ドルへと縮小した結果である。
2020 年の輸入合計は、 2019 年と比較して 15.9 %減少した。これは、主として非石油輸入が年率で 13.8 %
減少し、石油の輸入が年率で 33.5 %減少したことによる。
2020 年の輸出合計は、 2019 年と比較して 9.1 %減少した。これは、主として非石油輸出が 8.0 %減少し、
石油輸出が 32.6 %減少したことによる。
暫定値によると、メキシコは、 2020 年に 34.2 十億米ドルの貿易黒字を計上したのに対して、 2021 年には
10.8 十億米ドルの貿易赤字を計上した。こうした増大した赤字は、 ( ⅰ ) 非石油製品の貿易黒字が 2020 年の
47.9 十億米ドルから 2021 年の 13.4 十億米ドルに減少したこと、および ( ⅱ ) 石油製品の貿易赤字が 2020 年の
13.9 十億米ドルから 2021 年の 24.9 十億米ドルの赤字へと拡大した結果である。
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暫定値によると、 2021 年の輸入合計(サービスを除く。)は、 2020 年と比較して 32.0 %増加した。これ
は、主として非石油輸入が年率で 28.5 %増加し、石油の輸入が年率で 71.5 %増加したことによる。中間財
は 輸入の 79.7 %を占めたが、消費財および資本財はそれぞれ 12.3 %および 8.0 %を占めた。
暫定値によると、 2021 年の輸出合計(サービスを除く。)は、 2020 年と比較して 18.5 %増加した。これ
は、主として非石油輸出が 16.5 %増加し、石油輸出が 65.4 %増加したことによる。製造品の輸出において
年間で最も増加したのは、鉄鋼製品( 106.1 %)、化学製品( 30.9 %)ならびに食品、飲料およびタバコ製
品( 26.1 %)であった。一方、自動車製品の輸出は、米国向け販売が 1.7 %、その他諸国への販売が 19.6 %
減少したことを受けて、 2020 年より 4.6 %減少した。
暫定値によると、メキシコは、 2021 年に 10.9 十億米ドルの貿易赤字を計上したのに対して、 2022 年に
26.4 十億米ドルの貿易赤字を計上した。こうした貿易収支の悪化は、 ( ⅰ ) 非石油収支黒字が 2021 年の 13.7
十億米ドルから 2022 年には 8.5 十億米ドルに縮小したこと、および ( ⅱ ) 石油製品の貿易赤字が 2021 年の 24.6
十億米ドルから 2022 年には 34.9 十億米ドルに拡大したことの結果である。
暫定値によると、 2022 年の輸入合計(サービスを除く。)は、 2021 年と比較して 19.6 %増加した。これ
は、主として非石油輸入が年率で 17.4 %増加し、石油の輸入が年率で 37.6 %増加したことによる。中間財
は輸入の 78.7 %を占めたが、消費財および資本財はそれぞれ 13.3 %および 8.0 %を占めた。
暫定値によると、 2022 年の輸出合計(サービスを除く。)は、 2021 年と比較して 16.9 %増加した。これ
は、主として非石油輸出が年率で 15.8 %増加し、石油輸出が年率で 34.2 %増加したことによる。輸出が年
間で最も増加したのは、自動車製品( 13.8 %)、繊維製品・衣料および皮革産業( 11.0 %)、専門的およ
び科学機器( 6.4 %)ならびに食品、飲料およびタバコ製品( 2.4 %)であった。自動車製品の輸出が増加
したのは、米国向け販売が 9.8 %、その他市場向け販売が 39.6 %増加したことによる。
( 注 ) 公式の報告書では説明されていない公式データベース上の最近の更新により、上記の説明の数値は本報告書の
残りの部分と一致しない可能性がある。
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以下の表は、表示期間についてのメキシコの商品輸出入(観光を除く。)の価額に関する情報を示した
ものである。
輸出入
(1) (1)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(単位:メキシコ産原油ミックスの平均価格を除き、百万米ドル)
商品輸出( f.o.b. )
石油および石油製品 30,629 25,794 17,655 29,390 38,972
原油 26,540 22,361 14,855 24,449 31,625
その他 4,089 3,433 2,800 4,942 7,347
非石油製品 420,083 434,810 399,515 465,559 538,763
農業 16,508 17,832 18,285 19,922 21,192
鉱業 6,232 6,189 7,407 9,555 9,150
(2)
397,344 410,789 373,823 436,082 508,422
製造品
450,713 460,604 417,717 494,949 577,735
商品輸出合計
商品輸入( f.o.b. )
消費財 63,118 61,158 45,980 62,025 80,267
(2)
中間財 355,657 352,847 303,733 403,151 476,145
45,528 41,236 33,273 40,528 48,203
資本財
464,302 455,242 382,986 505,703 604,615
商品輸入合計
(13,590) 5,362 34,185 (10,754) (26,879)
貿易収支
メキシコ産原油ミックス
(3)
の平均価格
(米ドル) 61.41 55.53 36.24 65.78 89.35
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 保税産業を含む。
(3) 1バレル当たり米ドル表示。
出典: メキシコ中央銀行/ペメックス
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対外貿易関係および協定
メキシコは、多国間、地域および二国間レベルでの自由貿易および経済協力を進めるいくつかの国際協
定を結んでいる。
多国間
メキシコは、 WTO が関税及び貿易に関する一般協定(以下「 GATT 」という。)を承継した 1995 年に WTO の
加盟国となった。メキシコは WTO の多国間貿易交渉に積極的に参加している。メキシコは、アジア・太平洋
経済協力機構( APEC )にも加盟している。
2011 年4月 28 日、特にアジア太平洋地域に関する貿易フローの自由化と商業的統合にコミットする貿易
ブロックである太平洋同盟が、メキシコ、チリ、コロンビアおよびペルーの間で設立された。 2021 年7月
21 日、太平洋同盟とシンガポールは、シンガポールが自由貿易協定に基づく最初のパートナー国となるた
めの交渉を成立させた。 2022 年7月および 11 月、コスタリカおよびホンジュラスは、それぞれメキシコが
暫定議長国を務める太平洋同盟への正式な加盟申請を行った。
2018 年3月8日、経済大臣は、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、ニュー
ジーランド、ぺルー、シンガポールおよびベトナムの通商担当大臣とともに、メキシコを代表して、環太
平洋パートナーシップに関する包括的かつ先進的な協定( Tratado Integral y Progresista de
Asociación Transpacífico 、以下「 CPTPP 」という。)に署名した。上院は 2018 年4月 24 日に CPTPP を批准
し、 CPTPP は現在メキシコ、オーストラリア、カナダ、日本、ニュージーランド、シンガポール( 2018 年 12
月 30 日付)、ベトナム( 2019 年1月 14 日付)、ペルー( 2021 年9月 19 日付)およびマレーシア( 2022 年 11
月 29 日付)について効力を生じている。残りの締結国については、 CPTPP は各国の批准後 60 日後に効力を生
じる予定である。 2021 年6月2日、 CPTPP の加盟 11 カ国の閣僚および高官は、英国の貿易協定加盟について
の作業グループを立ち上げ、中国および台湾は、それぞれ 2021 年9月 16 日および同 22 日に CPTPP への加盟を
正式に申請した。 2022 年 11 月 30 日、ウルグアイが CPTPP への加盟を正式に申請した。
地域
地域レベルでは、メキシコは、 2018 年に北米自由貿易協定( NAFTA )に代わった USMCA の加盟国である。
2018 年 11 月 30 日にメキシコ、米国およびカナダの大統領 / 首相によって締結された USMCA は、地域のより自
由で公正な市場と力強い経済成長につながる相互に有益な貿易を支援することにより、3カ国間の自由貿
易関係の近代化を目的としている。 2019 年6月 19 日、メキシコの上院は USMCA を批准した。
2019 年5月 17 日、米国は、かつて 2018 年6月1日に課したカナダおよびメキシコからの鉄鋼およびアル
ミニウムにかかる輸入関税を撤廃し、カナダおよびメキシコが米国の商品に対して課したすべての報復関
税を撤廃することにつき両国と合意したことを発表した。この合意は、米国への鉄鋼およびアルミニウム
の輸入の急増を防ぐための積極的な監視およびメカニズムを定めたものである。特定の鉄鋼およびアルミ
ニウム製品の輸入が急増した場合、米国は、これら商品に対する関税を再び課すことがある。その場合、
カナダおよびメキシコによる報復は、鉄鋼およびアルミニウム製品に限定されるであろう。
2019 年 12 月 10 日、メキシコ、米国およびカナダの代表者は、米国・メキシコ・カナダ協定の修正議定書
( Protocolo Modificatorio del Tratado entre México, Estados Unidos y Canadá 、以下「修正議定書」
という。)を締結した。修正議定書には、労働、環境および紛争解決に関する USMCA の規定の改正が盛り込
まれている。修正議定書により修正された USMCA は、すでにメキシコにより批准されている。
USMCA は 2020 年7月1日に効力を生じ、政府は USMCA に基づくコミットメントを実施するため、複数の法
律を公表し、改正した。新法は、連邦産業財産保護法( Ley Federal de Protección a la Propiedad
Industrial )、品質基盤法( Ley de Infraestructura de la Calidad )および一般輸出入税法( Ley de
los Impuestos Generales de Importación y de Exportación )である。改正された法律は、連邦刑法、連
邦著作権法( Ley Federal del Derecho de Autor )および税関法( Ley Aduanera )である。
2021 年8月 20 日、メキシコは、乗用車および小型トラックに対する域内原産割合要件の米国による解釈
に関連して、米国との紛争解決協議を提出した。メキシコは、 USMCA ではこれらの車両の域内原産割合を計
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算するためのいくつかの方法が認められているため、米国による要件の解釈は USMCA に基づく約束と矛盾し
ていると主張した。 2022 年1月6日、メキシコはこの問題を解決するために委員会の創設を要求し、カナ
ダ は 2022 年1月 13 日に共同原告として参加することを要求した。 USMCA に基づく域内原産割合要件に関する
紛争の詳細については、「 (7) その他-最近の展開-貿易及び国際収支-貿易-対外貿易関係および協定」
を参照のこと。
米国およびカナダは、メキシコがとった特定の行動が USMCA に基づく同国のコミットメントと矛盾してい
ると主張して、メキシコのエネルギー政策に関連して、 2022 年7月 20 日にメキシコとの紛争解決に関する
協議をそれぞれ要請した。 2022 年 12 月 12 日、メキシコは要請された紛争解決協議を友好的に解決すること
を目的とした作業計画を提示した。作業計画の下で、メキシコは協議に関連する第3ラウンドの質問に答
えるための技術作業チームの創設、ならびにメキシコの電力産業法および 2021 年3月9日付で官報に掲載
された当該法律の改正の法的状況、会社の保護、超低硫黄軽油への転換、メキシコ北部に設置されたパイ
プラインの状況に対処するための作業グループの設置を提案した。
二国間
メキシコは、次の諸国 / 国家連合との間の自由貿易協定およびその他類似の協定の当事国でもある:ボリ
ビア、チリ、コロンビア、コスタリカ、北部三角地帯(エルサルバドル、グアテマラおよびホンジュラ
ス)、 EU 、欧州自由貿易連合(アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーおよびスイス)、イスラ
エル、日本、ニカラグア、パナマ、ペルーならびにウルグアイ。
メキシコは 2002 年9月 27 日付で、南米南部共同市場( Mercado Com ú n del Sur 、 以下「 MERCOSUR 」とい
う。)の創設メンバーであるアルゼンチン、ブラジル、パラグアイおよびウルグアイの各国との間で経済
補完協定( acuerdo de complementaci ó n econ ó mica 、以下「 ACE 」という。)を締結した。アルゼンチン、
ブラジルおよびウルグアイとの間の各 ACE は、 2003 年1月1日付でメキシコに対して発効し、パラグアイと
間の ACE は、 2011 年2月1日付で発効した。
メキシコと EU は、 2020 年4月 28 日、欧州連合メキシコ自由貿易協定( Tratado de Libre Comercio entre
México y la Unión Europea 、以下「 TLCUEM 」という。)についての協議を終えた。メキシコと EU の間の自
由貿易協定の近代化は、メキシコの貿易課題において優先課題であった。 2022 年には、 EU とメキシコの間
の輸入は 16.5 %、輸出は 3.1 %、前年より増加した。欧州委員会貿易担当委員と経済大臣は、公共調達プロ
セスにおける高水準の予測可能性および透明性を含む公共調達市場の相互開放の範囲を取りまとめた。
TLCUEM には、 EU とメキシコの間のほぼ全品目にかかる免税貿易、持続可能な開発に関する進歩的な規則、
投資を保護するための措置およびより簡単な通関手続きが含まれる。
2017 年7月、メキシコと英国は、メキシコの貿易課題および英国の EU 離脱を踏まえて、両国の経済およ
び協力関係を継続し、強化するための選択肢について協議した。 2020 年1月 31 日に英国が正式に EU から離
脱したとき、政府は、メキシコと英国がそれまで TLCUEM の下で有していた特恵貿易関係を維持していくこ
と、および経済省が適切な英国当局者との間で引続き可能な貿易シナリオを模索していくことを発表し
た。 2020 年 12 月 15 日、メキシコと英国は貿易継続協定に署名した。 2021 年3月 10 日に上院において批准さ
れ、 2021 年6月1日付で効力を生じた同協定は、特恵貿易条件を維持し、特別な関税率を付与し、英国の
EU 離脱後のメキシコと英国の間でのいっそうの市場自由化を促進するためのプラットフォームを提供する
ものである。継続協定の下で、両国は3年以内に新しくより広範かつより永続的な自由貿易協定について
交渉することを約束している。 2022 年7月 11 日から 15 日まで、メキシコと英国は両国の自由貿易協定に関
する交渉の第1ラウンドを開催した。
2021 年6月 16 日にメキシコと香港の間で締結された投資の相互保護および促進に関する協定(以下
「 APPRI 」という。)は、諸外国との間のメキシコの 30 の相互協定のひとつで、投資家に無差別待遇を与
え、資本の自由な移転を認め、紛争解決のために国際仲裁へのアクセスを提供し、収用の場合には補償を
与えることにより、経済協力を促進することを目的としている。 2022 年、メキシコは中国、韓国およびス
イスとの間の APPRI を見直す交渉を行った。
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メキシコは、 2022 年にも引続き諸外国との間で二国間協定を締結した。9月には、中国とのハイレベル
作業グループ( Grupo de Trabajo de Alto Nivel )の第 10 回会合において、両国はグリーン開発およびデ
ジタル経済への投資に関する協力協定を締結した。また9月には、メキシコとエクアドルは、生産および
貿 易、農業、バイオテクノロジーならびに保健分野における4つのプロジェクトからなる新たな 2022-2024
年二国間協力枠組みを承認した。最後に、 12 月に米国とメキシコは国境の安全保障を改善し、北米の経済
的競争力を促進することを目的として、共有する国境に影響を与える重要な問題についての二国間協力を
継続するための会合を開催した。これには、物品や人の法的な流れの円滑化と迅速化、国境インフラの近
代化、公共安全の推進、および国境を越えた犯罪対策といった課題についての緊密な調整が含まれる。
メキシコの貿易協定に関する追加情報については「 (7) その他-最近の展開-貿易及び国際収支-対外
貿易関係および協定」を参照のこと。
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② 地域別貿易分布
以下の表は、表示期間についてのメキシコの対外貿易の分布を示したものである。
(1)
メキシコの商品輸出分布
(2) (2)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(単位:%)
輸出( f.o.b. )
米国 81.2 82.0 82.3 82.1 82.7
カナダ 3.4 3.3 2.8 2.8 2.9
EU 4.9 4.6 4.6 4.4 4.0
うち:
スペイン 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3
(3)
英国 0.5 0.6 0.6 0.6 0.5
ドイツ 1.7 1.6 1.6 1.6 1.5
オランダ 0.5 0.5 0.5 0.5 0.4
中国 1.7 1.6 1.9 2.0 2.0
日本 0.8 0.9 0.9 0.9 0.8
9.9 9.2 9.0 9.2 8.9
その他
100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
合計
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 保税産業を含む(グロス・ベース)。
(2) 暫定値。
(3) EU のデータは、英国の EU 離脱移行期間中である 2020 年および 2021 年については英国を含んでいる。
出典: メキシコ中央銀行
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(1)
メキシコの商品輸入分布
(2) (2)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(単位:%)
輸入( f.o.b. )
米国 40.8 40.1 39.7 38.1 37.4
カナダ 2.4 2.3 2.2 2.3 2.4
EU 12.5 12.2 11.6 11.3 11.0
うち:
スペイン 1.3 1.1 1.1 1.0 1.0
(3)
英国 0.6 0.6 0.5 0.5 0.5
ドイツ 4.3 4.3 3.9 3.8 3.4
オランダ 0.4 0.3 0.3 0.4 0.3
中国 20.1 20.1 20.7 22.2 22.2
日本 4.4 4.4 3.9 3.8 3.4
その他 25.7 26.9 27.6 28.0 29.4
合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 保税産業を含む(グロス・ベース)。
(2) 暫定値。
(3) EU のデータは、英国の EU 離脱移行期間中である 2020 年および 2021 年については英国を含んでいる。
出典: メキシコ中央銀行
③ 日本との貿易
メキシコと日本は、両国が最初に友好関係を結んでから 400 年以上にわたって共通の利益および目標を共
有してきた長い歴史がある。それ以降、両国間の強力かつ有益な協力関係が展開されてきた。こうした友
好関係は商業上の強い関係に発展し、メキシコの日本からの輸入は、過去5年間で年平均約 17.072 十億米
ドルにのぼり、この間の商品輸入合計の 3.49 %を占めてきた。
(1)
日本との貿易
輸出 輸入
2018 年 0.8 % 4.4 %
2019 年 0.9 % 4.4 %
2020 年 0.9 % 3.9 %
2021 年 0.8 % 3.8 %
2022 年 0.7 % 3.5 %
(1) : 輸出または輸入総額に占める割合。
出典: 経済省
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④ 保税産業
メキシコの保税産業( maquiladora )は原材料や部品を非課税で輸入し、完成品を輸出している企業で成
り立っており、供給業者はメキシコ国内で行った作業に対してのみ付加価値ベースで関税を支払ってい
る。保税工場は、そのほとんどが当初メキシコと米国との国境付近に設立されたが、現在では、国内の他
の地域で事業を営んでいる。他の地域への生産の拡大によって、保税工場および供給業者はより多くのよ
り多様な労働力を利用できるようになっている。この拡大によって、保税工場はメキシコの供給業者が利
用できる原材料をより利用しやすくなった。暫定値によると、 2022 年に保税産業が付加した価値の 30.3 %
が、輸送機器の生産に関連するものであった。
以下の表は、各表示期間末における保税工場の数、保税工場における雇用従業員数および保税産業収益
を示したものである。
保税産業
12 月 31 日現在
(1) (1)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(年次の数値および対前年比変化率)
保税工場数 5,115 0.5 % 5,144 0.6 % 5,161 0.3 % 5,184 0.4 % 5,153 (0.6) %
保税工場による
雇用労働者数 2,695,592 4.4 % 2,678,633 (0.6) % 2,690,635 0.4 % 2,791,909 3.8 % 2,907,309 4.1 %
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
出典: INEGI
保税産業収益
12 月 31 日現在
(1) (1)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(十億ペソおよび対前年比変化率)
輸出売上 3,109.1 8.4 % 3,324.7 6.9 % 3,128.0 (5.9) % 3,673.8 17.4 % 4,218.3 14.8 %
2,038.8 1,979.9 1,837.8 2,272.4 2,732.2
国内売上 7.4 % (2.9) % (7.2) % 23.7 % 20.2 %
5,147.9 5,304.5 4,965.8 5,946.2 6,950.5
収益合計 8.0 % 3.0 % (6.4) % 19.7 % 16.9 %
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
出典: INEGI
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⑤ 国際収支および外貨準備高
「国際収支」は国が1年間にわたる世界の他の諸国との経済取引のすべてを計上する制度である。以下
の表は、表示期間におけるメキシコの国際収支を示したものである。
国際収支
(1) (1) (1)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(単位:百万米ドル)
(2)
経常収支 (26,137) (5,823) 22,665 (8,109) (17,829)
受取 538,607 554,578 494,713 595,546 704,354
商品輸出( f.o.b. ) 451,082 460,940 417,323 495,275 578,223
非要素所得サービス 39,613 41,524 26,252 37,945 48,075
輸送 6,049 5,883 4,805 5,313 6,130
観光 22,526 24,573 10,996 19,765 28,016
保険および年金 3,285 3,120 3,088 3,618 3,806
金融サービス 530 530 544 617 756
その他 7,223 7,419 6,821 8,632 9,367
第一次所得 13,386 14,837 9,375 9,856 18,783
第二次所得 34,526 37,277 41,763 52,471 59,272
支払 564,744 560,401 472,048 603,655 722,183
商品輸入( f.o.b. ) 464,850 455,772 383,172 506,005 605,302
非要素所得サービス 52,499 51,820 41,724 52,965 63,313
輸送 15,964 15,362 12,653 20,827 26,411
観光 11,230 9,881 3,475 5,147 7,072
保険および年金 4,851 6,273 5,561 6,599 6,965
金融サービス 3,460 3,359 2,892 2,913 3,458
その他 (3,576) (4,151) 724 6,167 8,915
第一次所得 46,120 51,664 46,185 43,561 52,366
第二次所得 1,275 1,144 967 1,125 1,203
資本収支 (65) (56) (13) (48) (72)
受取 237 299 260 220 243
支払 301 355 273 268 315
金融収支 (31,344) (15,987) 21,338 (842) (14,614)
直接投資 (25,736) (23,938) (25,941) (33,077) (21,561)
証券投資 (8,605) (7,076) 10,309 41,579 5,096
金融派生商品 410 1,673 (1,800) 2,114 2,924
その他投資 2,104 10,716 26,780 (21,745) 619
準備資産 483 2,638 11,990 10,288 (1,692)
外貨準備 934 6,644 16,029 8,689 (6,602)
評価調整 451 4,006 4,039 (1,600) (4,909)
誤差・脱漏 (5,142) (10,109) (1,314) 7,316 3,287
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 経常収支の数値は、新しい国際基準に合わせるために作成された手法に従って算出されている。かかる基
準の下では、商品輸出および商品輸入には保税産業が含まれる。
出典: メキシコ中央銀行
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経常収支
1988 年から 2019 年まで、メキシコは経常収支において赤字を計上してきたが、その主な原因は、政府に
よる貿易政策の自由化によって民間部門による輸入が増加したことであった。 2022 年のメキシコの経常収
支は、 2021 年の 8.2 十億米ドル( GDP の 0.6 %)の赤字から 13.4 十億米ドル( GDP の 0.9 %)の赤字に拡大し
た。 2021 年と比較して経常収支の赤字が拡大したのは、主として石油の商品収支赤字が大幅に拡大したこ
とと、石油以外の商品オイル・テイカー収支黒字が縮小したことによるもので、後者は国外からの送金お
よび旅行収入によって一部相殺された。
資本収支
2018 年から 2021 年まで、メキシコの資本収支は赤字を計上してきた。上記の表に示すとおり、資本収支
は、 2021 年に 48 百万米ドルの赤字であったのに対して、 2022 年には 72 百万米ドルの赤字を計上した。
金融収支
メキシコの金融収支は投資の流入を計上しており、資本収支と合わせると、統計上の不突合、会計慣
行、および取引の計上価値に影響を及ぼす為替相場の変動を考慮後で、経常収支と均衡している。上記の
表に示すとおり、 2018 年、 2019 年、 2021 年および 2022 年には、メキシコの金融収支は赤字を計上し、 2020
年には黒字を計上した。
上記の表に示すとおり、メキシコの金融収支は、 2021 年に 0.8 十億米ドルの流出があったが、 2022 年には
14.6 十億米ドルの流出に増加した。
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外貨準備高および対外資産
以下の表は、各表示期間末におけるメキシコ中央銀行の外貨準備高および対外純資産を示したものであ
る。
外貨準備高および対外純資産
(1)(2) (3)
期末現在の外貨準備高 期末現在の対外純資産
(単位:十億米ドル)
2018 年 174.6 176.1
2019 年 180.7 184.2
(4)
2020 年 195.7 199.1
(4)
2021 年 202.4 207.7
(4)
2022 年 199.1 201.1
(1) 金、特別引出権( IMF により創設された外貨準備資産)および外貨保有が含まれる。
(2) 「外貨準備高」は、 (a) 外貨準備高の総額から (b) 期日が6カ月未満のメキシコ中央銀行の対外債務を差引
いたものに相当する。
(3) 「対外純資産」は、 (a) 外貨準備高の総額に (b) 諸外国の中央銀行との融資協定から発生した期日が6カ月
を超える資産を加え、その合計から (x)IMF への債務残高および (y) 諸外国の中央銀行との融資協定から発
生した期日が6カ月未満の負債を差引いたものと定義される。
(4) 暫定値。
出典: メキシコ中央銀行
過去5年間、メキシコ中央銀行の外貨準備高は全般的に安定的に推移してきた。
2018 年 12 月 31 日現在、メキシコ中央銀行の外貨準備高は、 2017 年 12 月 31 日現在の外貨準備高と比べて
1,807 百万米ドル増加し、メキシコ中央銀行の対外純資産は、 2017 年 12 月 31 日現在の金額より 617 百万米ド
ル増加した。メキシコ中央銀行の外貨準備高および対外純資産の変動は、主として為替レートの変動によ
るものである。
2019 年 12 月 31 日現在、メキシコ中央銀行の外貨準備高は、 2018 年 12 月 31 日現在の外貨準備高と比べて
6,140.4 百万米ドル増加し、メキシコ中央銀行の対外純資産は、 2018 年 12 月 31 日現在の金額より 8,115.9 百
万米ドル増加した。メキシコ中央銀行の外貨準備高および対外純資産の変動は、主として対外資産の評価
額の変動によるものである。
2020 年 12 月 31 日現在、メキシコ中央銀行の外貨準備高は、 2019 年 12 月 31 日現在の外貨準備高と比べて
14.9 十億米ドル増加し、メキシコ中央銀行の対外純資産は、 2019 年 12 月 31 日現在の金額より 14.8 十億米ド
ル増加した。
2021 年 12 月 31 日現在、メキシコ中央銀行の外貨準備高は、 2020 年 12 月 31 日現在の外貨準備高と比べて 6.7
十億米ドル増加し、メキシコ中央銀行の対外純資産は、 2020 年 12 月 31 日現在の金額より 8.6 十億米ドル増加
した。メキシコ中央銀行の外貨準備高および対外純資産の変動は、主として対外資産の評価額の変動によ
るものである。
2022 年 12 月 30 日現在、メキシコ中央銀行の外貨準備高は、 2021 年 12 月 31 日現在の外貨準備高と比べて 3.3
十億米ドル減少し、メキシコ中央銀行の対外純資産は、 2021 年 12 月 31 日現在の金額より 6.7 十億ペソ減少し
た。メキシコ中央銀行の外貨準備高および対外純資産の変動は、主として中央機関の対外資産の評価額の
変動、すなわち、外貨準備を構成する他国通貨(特に米ドル)に対する自国通貨の為替変動に起因するも
のであった。
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⑥ メキシコに対する外国投資
メキシコは、中国、中東欧諸国など、諸外国との間で外国投資争奪戦を繰り広げている。政府は自国経
済の競争力と生産性の改善により、今後も引続き外国投資を呼び込むことができると考えている。
外国投資政策
メキシコの外国投資法( Ley de Inversión Extranjera )により、メキシコに対する外国投資を奨励し、
メキシコ向け外国投資に対して一定の限定的制限を課すことを意図した法的枠組みが制定されている。例
えば、外国投資法では、所定の条件を満たす場合はメキシコ企業の株式資本の 100 %を外国人投資家が保有
することが認められている。外国投資法はまた、政府またはメキシコ人投資家に独占的に留保される特定
の経済活動をも細かく規定している。また、同法は、外国投資委員会の承認を得ることなく、投資総額に
占める外資比率が 10 %、 25 %、 30 %または 49 %のいずれかを超えてはならない特定の活動を定めている。
また、外国投資法は、外国人投資家に対して、一定の条件が満たされていることを条件に、メキシコ企
業により発行され、メキシコ証券取引所において取引されている持分証券に基づく普通参加証券として知
られる、メキシコ人投資家に限定される証券を購入することを認めている。経済省の承認を得て、メキシ
コの銀行は投資信託を組成することができ、銀行は受託者として外国人投資家に代わってかかる制限付持
分証券を購入する。これらの投資信託は、外国人投資家が取得可能で、かつその保有者に経済的権利のみ
を付与する普通参加証券を発行する。一切の議決権は、受託者によってのみ行使が可能である。
2019 年5月、以前は経済省の管轄下に置かれていた公益信託であるプロメヒコ( ProMéxico )は解散し、
信託はその責任を経済省および外務省に移管した。
外務省と国連開発計画のメキシコ事務所は、民間部門および地方政府が自ら海外に進出し、外国投資を
誘致するための取組みを強化するとともに、外国企業によるメキシコへの投資プロジェクトの遂行を支援
するため、 2022 年9月に外国投資促進メカニズム( Mecanismo de Facilitación para la Inversión y
Promoción en el Exterior )を提示した。
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メキシコに対する外国直接投資
2018 年から 2022 年までのメキシコに対する累積外国直接投資(国家外国投資登録簿( Registro Nacional
de Inversiones Extranjeras )に登録されていない外国直接投資を除く。)は、総額約 31.5 十億米ドルで
あった。
2022 年のメキシコに対する外国直接投資の部門別内訳は次のとおりである。
部門別外国直接投資
部門 割合(%)
農業、畜産業、漁業および林業 0.7
事業支援サービス 0.4
商業 6.2
建設業 3.7
教育サービス 0.1
電気および水道業 2.5
金融サービス業 13.1
保険サービス 0.0
製造業 36.0
マスメディア 12.7
鉱業 4.5
その他サービス (0.3)
専門的サービス 0.2
不動産および賃貸サービス業 1.3
娯楽サービス 0.1
宿泊施設業 3.6
輸送業 15.1
出典: 経済省
暫定値によると、 2021 年と比較して、 2022 年の外国直接投資(メキシコ国内の土地、建物または工場な
どの不動産への投資を含む。)は 11.9 %増加し、国外で募集された有価証券を含むメキシコ企業の株式、
社債、商品または金融市場商品の購入といった外国証券投資による流入は 5.1 %減少した。
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以下の表は、国別に示した国家外国投資登録簿に記載されているメキシコへの外国直接投資、ならびに
2018 年1月1日から 2022 年 12 月 31 日までの累積額を示したものである。
(1)
外国直接投資
(2) (2)
2022 年における外国直接投資 2018-2022 年の累積額
(単位:百分比を除き、百万米ドル)
米国 15,021.6 42.6 % 64,991.8 39.7 %
カナダ 3,780.1 10.7 % 17,304.6 10.6 %
スペイン 1,637.9 4.6 % 18,629.7 11.4 %
ドイツ 215.2 0.6 % 9,884.9 6.0 %
日本 1,838.8 5.2 % 8,343.7 5.1 %
フランス 421.7 1.2 % 3,000.6 1.8 %
英国 1,757.8 5.0 % 5,780.6 3.5 %
ブラジル 252.9 0.7 % 1,447.8 0.9 %
スイス 114.8 0.3 % 2,431.1 1.5 %
ルクセンブルク -2.2 0.0 % 1,372.6 0.8 %
10,253.0 29.1 % 30,507.1 18.6 %
その他
35,291.6 100.0 % 163,694.5 100.0 %
合計
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 国家外国投資登録簿に登録されていない外国直接投資を除く。
出典: 国家外国投資委員会
⑦ 国際機関への加盟
メキシコは、現在、カリブ開発銀行、中米経済統合銀行、 EBRD 、地球環境ファシリティ、 IDB 、 IMF 、ア
ンデス開発公社、北米開発銀行、特別開発基金、経済協力開発機構( OECD )、金融安定理事会( FSB )、 グ
ローバル・ファイナンシャル・イノベーション・ネットワーク ( GFIN ) 、 国際農業開発基金、 WTO 、世
界税関機構ならびに世界銀行(国際開発協会および国際金融公社を含む。)といった国際金融機関に加盟
している。
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⑧ 為替管理および為替レート
外国為替政策
外国為替委員会( Comisión de Cambios )は、財務省およびメキシコ中央銀行の職員で構成されており、
為替政策ならびにメキシコの外貨準備高の蓄積に関する方針に責任を負っている。外国為替委員会は、 (1)
IMF 、国際的な金融協力機関、中央銀行、金融問題について権限を行使する外国法人および通貨規制を目的
とする外国金融機関からの借入を承認し、 (2) メキシコ中央銀行の外国為替オペレーションの基準を設定
し、 (3) 外国為替レートを決定し、 (4) 開発銀行が行う為替リスクを伴う能動的・受動的取引額に限度額を
設定し、 (5) 国際的な準備資産の管理および評価を行うための指針を制定する。外国為替委員会は、為替
レートが市場原理(変動金利制または自由変動相場制)により決定されることを義務づけている。
政府は、純国内信用の拡大について四半期ごとの目標額を直接設定している。「純国内信用」は、マネ
タリー・ベース(流通通貨+市中銀行のメキシコ中央銀行預け金)変動額からメキシコ中央銀行の「対外
純資産」変動額を差し引いた値と定義されている。また、「対外純資産」とは、メキシコの外貨準備高の
総額に、諸外国の中央銀行との融資協定から発生した期日が6カ月を超える資産を加え、その合計から (1)
IMF への債務残高および (2) 諸外国の中央銀行との融資協定から発生した期日が6カ月未満の負債を差引い
たものと定義される。
外国為替委員会は、入札による米ドルの売却を通じて、メキシコの外貨準備高蓄積率を抑制するため、
複数のメカニズムを採択した。これには、 2017 年に実施された、メキシコ・ペソで決済されるノンデリバ
ラブル・フォワード取引の入札からなる外国為替市場のメカニズムを通じて行われるものが含まれる。外
国為替市場メカニズムは、市場参加者に外国為替リスク・エクスポージャーを軽減するための為替ヘッジ
手段を提供する一方で、現地の為替市場を維持することを目的としている。市場メカニズムの当初の最大
プログラム規模は 20 十億米ドルであった。外国為替委員会は、 COVID-19 に関連したグローバル市場のスト
レスから生じた為替相場のボラティリティに対応して、 2020 年3月9日に最大プログラム規模を 30 十億米
ドルに引上げた。外国為替委員会は、例外的な状況においてはその裁量により為替市場に再び介入するこ
とができる。
2020 年3月 19 日、メキシコ中央銀行と米国連邦準備制度理事会は、世界の資金調達市場における緊張を
緩和するための流動性の安全装置として 60.0 十億米ドルを上限とする一時的な米ドル流動性スワップライ
ン取決めを設定した。メキシコ中央銀行の外国為替委員会は、 2020 年3月 30 日にこの協定を起動し、 2020
年3月以降、以前の入札からの満期を更新するためスワップラインによる資金を利用すること、および米
ドルの追加流動性を提供することを意図した 13 件の米ドル資金調達オペレーションを実施した。
2021 年3月1日、外国為替委員会は、 2020 年 12 月に実施された2件のスワップ・オペレーションの満期
を更新するために 2020 年3月 19 日に設定された最大 60 十億米ドルの一時的な米ドル流動性スワップライン
取決めからの資金を利用することを意図した2件の米ドル資金調達オペレーションを発表した。これに
従って、米国連邦準備制度理事会とのスワップ取引に関して、 2021 年3月3日および同3月8日の入札時
に、メキシコ中央銀行は総額 1.5 十億米ドルを提供した。これらのオペレーションはいずれも 84 日満期であ
る。その後、 2021 年5月 26 日および同5月 28 日、メキシコ中央銀行は各オペレーション日に 400 百万米ドル
を提供した。これらのオペレーションは。それぞれ 84 日満期および 79 日満期である。 2021 年8月 18 日およ
び同年 11 月 10 日、メキシコ中央銀行は各オペレーション日にそれぞれ 400 百万米ドルおよび 200 百万米ドル
を提供した。これらのオペレーションはいずれも 84 日満期である。 2022 年2月4日現在、流動性スワップ
ラインの取決めは全額決済された。
外国為替レート
メキシコ政府は、変動相場制度を維持している。ただし、メキシコ中央銀行は、変動を最小限に抑制し
秩序ある市場を維持するために、随時外国為替市場に対する介入を行っている。メキシコ政府は、為替
レートの安定のために、メキシコ国内の銀行とその顧客との間の店頭市場における先渡取引およびオプ
ション取引を含む市場に基礎を置くメカニズムを尊重するほか、シカゴ・マーカンタイル取引所における
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ペソの先物取引を認めている。さらに、メキシコ中央銀行は外国金融機関がペソ建口座を開設し、ペソの
貸借を行うことを認めている(ただし、メキシコにおける銀行業務に対する一般的な制約に服することを
条 件としている。)。
COVID-19 感染症の回復、世界的なサプライ・チェーンの混乱の持続、ロシアとウクライナの紛争によっ
て生じた不確実性にも拘らず、金融市場は 2022 年初めには好調に推移した。こうした中で、ペソ/米ドル
間為替レートは 2022 年第1四半期中に1米ドルにつき 19.54 ペソから 21.38 ペソの範囲で推移した。
2022 年第2四半期中世界の経済活動は、主に高インフレ水準に対する中央銀行の金融政策対応に起因す
る世界の金融情勢に対する引き締めによる経済的影響により鈍化した。その結果、ペソは不安定であった
期間はあったものの、為替レートは1米ドルにつき 19.53 ペソから 20.86 ペソの範囲で推移した。
2022 年第3四半期において、国際レベルで経済の不確実性が高まったのにも拘らず、メキシコの経済活
動は引き続き回復し、国内金融市場は好調に推移した。こうしたなかで、為替レートは 2022 年第3四半期
には1米ドルにつき 19.31 ペソから 20.94 ペソの範囲で推移した。 2022 年第4四半期の国内金融市場は、国
際レベルでのインフレ圧力の緩和、主要な中央銀行によるより緩やかな金融政策金利引き上げの期待、中
国における COVID-19 により移動制限の段階的な解除を背景に比較的安定していた。その結果、ペソは 2022
年第4四半期上昇した。 2022 年 12 月 31 日現在、ペソ/米ドル間為替レートの終値は、 1.00 米ドルにつき
19.4715 ペソであり、 2021 年 12 月 31 日現在のレートと比較して 4.9 %のペソ安であった。
以下の表は、各表示期間について、メキシコ国内においてペソで支払われる米ドル建債務の支払のため
の、メキシコ中央銀行が公表した日々のペソ / 米ドル為替レートを示したものである。
為替レート
代表的な市場レート
期末現在 平均
(1米ドル当たりペソ)
2018 年 19.6512 19.2421
2019 年 18.8642 19.2573
2020 年 19.9087 21.4936
2021 年 20.4672 20.2787
2022 年 19.4715 20.1193
出典: メキシコ中央銀行
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(4) 【通貨・金融制度】
メキシコの金融制度は、公的部門および民間部門の金融機関で構成されている。 2022 年 12 月 31 日現在、メ
キシコの金融制度には、商業銀行 50 行、開発銀行6行、ならびに多くの証券売買仲介業者およびノンバンク
機関が含まれていた。
① 金融政策、インフレおよび金利
金融政策
メキシコ中央銀行はメキシコの中央銀行であり、その機能および管理は憲法第 28 条に準拠し、さらにメ
キシコ中央銀行法( Ley del Banco de México )の規定によって規制されている。メキシコ中央銀行の主た
る目的は、国家経済に自国通貨であるペソを供給することである。この目的を追求するために、ペソの購
買力の安定を目指すことを主な目標としている。
メキシコ中央銀行は、通貨および外国為替管理、金融派生商品の規制を含む金融制度の健全な発展、決
済制度の適切な機能ならびに金融上の公益の保護を目的とした規則を発令する権限を有している。メキシ
コ中央銀行は、とりわけ (1) 通貨の発行および流通、外国為替、金融の仲介およびサービスならびに決済制
度を規制すること、 (2) 準備銀行および信用機関の最後の貸し手として機能すること、 (3) 政府に対して国
庫サービスを提供し、(メキシコの外貨準備の管理による場合を含め)政府の財務代理人として行為する
こと、 (4) 経済および特に財政問題について政府に助言すること、ならびに (5)IMF およびその他の国際的金
融機関に参加することなどの機能も果たしている。
2022 年 12 月 31 日現在、メキシコ中央銀行の資産は合計 4,375.4 十億ペソ( 225.4 十億米ドル)であった。
メキシコ中央銀行は、大統領が任命し、上院が承認した5人制理事会( Junta de Gobierno )によって運
営されている。大統領は、理事の中から理事会を主宰する総裁を任命する。現在の総裁は、ビクトリア・
ロドリゲス・セハ氏であり、同氏は 2027 年 12 月 31 日まで在任する予定である。
政府の金融政策の主要目的は、低くかつ安定的なインフレ環境を創り出すことである。これらの目的
は、物価動向を政府の金融政策の包括的な目標に一致させる金利およびインフレへの期待に影響を及ぼす
ためにメキシコ中央銀行が執る措置を通じて達成される。低くかつ安定的なインフレ環境を創り出すこと
により、メキシコ中央銀行は、持続的な成長と正規雇用の創出の双方に相応しい状況を奨励している。し
たがって、過去にメキシコ中央銀行は、 (1) ペソの価値が下落し、 (2) 資本が流出し、または (3) インフレ率
が予測よりも高いときには、国内金融を引締めてきた。メキシコ中央銀行は、流動性規制を促進し、メキ
シコ中央銀行による日々の正味貸出量を減少させるため、預金準備率を使用している。また、メキシコ中
央銀行は、純国内貸出額の拡大について四半期毎の上限目標を設定している。
メキシコ中央銀行は、翌日物銀行間貸出金利( Tasa de Fondeo Bancario )を主要な金融政策の手段とし
て使用している。この政策の下では、メキシコの翌日物銀行間貸出金利は、中期インフレ予測が目標値で
ある 3.0 %( +/-1.0 %)から外れた場合に変更される。これは、ペソの購買力の安定化を意図したものであ
る。 2015 年 12 月から 2019 年8月まで、メキシコ中央銀行の理事会は翌日物銀行間貸出金利の引上げを定期
的に発表してきた。しかし、 2019 年8月からは、理事会は一貫して翌日物銀行間貸出金利の引下げを発表
している。翌日物銀行間貸出金利の詳細情報については「マネー・サプライおよび貯蓄-金利」を参照の
こと。
2022 年 12 月 31 日現在、中央政府の純債権と国内経済の他の部門の債権の合計額に等しいメキシコ中央銀
行の正味国内信用は、 2021 年 12 月 31 日現在には 1,811.1 十億ペソのマイナスであったのに対して、 1,215.0
十億ペソのマイナスであった。
2020 年3月 11 日、金融包摂のための全国評議会( Consejo Nacional de Inclusión Financiera 、
CONAIF )および金融教育委員会( Comité de Educación Financiera 、以下「 CEF 」という。)は、金融包摂
のための国家政策( Política Nacional de Inclusión Financiera 、以下「 PNIF 」という。)を提示した。
この政策は、ソーシャル・モビリティおよび経済成長に寄与するため、 (1) 金融サービスへのアクセスおよ
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び利用の拡大、 (2) 民間部門および公共部門でのデジタル決済の利用の拡大、 (3) 金融サービス・インフラ
の改善、 (4) 金融能力の向上、 (5) 金融保護および金融情報へのアクセスの改善ならびに (6) 弱者グループの
経 済的幸福度の向上、という6つの主要な目標を有している。
2022 年8月、金融包摂監視グループ( Grupo de Seguimiento de Inclusión Financiera 、以下「 GSIF 」
という。 ) および監視・発展・調査グループ( Grupo de Seguimiento, Desarrollo e Investigación 、以
下「 GSDI 」という。)は、 2021 年7月から 2022 年6月までの期間にかかる PNIF 実行報告書(以下「 2022 年
実行報告書」という。)および 2022 年7月から 2023 年6月までの期間にかかる PNIF 作業計画(以下「 2022-
2023 年作業計画」という。)を発表した。 2022 年実行報告書では、 2022 年6月末までに、 PNIF の目標の推
進を目的として計画された 132 件の活動の3分の1近くが完了し、 13 件が再編され、 16 件が PNIF から除外さ
れたことが言及されている。 2022 年6月までに完了しなかった残りの活動は、 2022-2023 年作業計画の一部
となった。同計画は、 PNIF の目標を推進するための 102 の活動からなっている。
マネー・サプライおよび貯蓄
メキシコ中央銀行の通貨総量は、国内金融市場および海外金融市場からの通貨供給量を、いずれも居住
者による預金と非居住者による預金とに分けて計算する。通貨総量はまた、公的部門と民間部門による預
金を区別している。メキシコ中央銀行のM1通貨総量は、一般公衆によって保有されている紙幣および硬
貨に、 (1) 自国通貨および海外通貨建の当座預金、 (2) 有利子口座におけるペソ建預金でデビットカードの
引当とされているもの、および (3) 貯蓄・貸付組合の預金を加えたものからなる。M2は、M1に、 (1) 銀
行預金、 (2) 政府発行証券、 (3) 企業およびノンバンク金融仲介機関によって発行された有価証券ならびに
(4) 政府およびメキシコの退職貯蓄制度に関連した INFONAVIT による負債を合計したものからなる。M3
は、M2に、メキシコにおいて発行された金融資産で非居住者によって保有されているものを加えたもの
からなる。M4は、M3に、メキシコの銀行の外国支店および海外拠点における預金を加えたものからな
る。
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以下の表は、各表示日現在のメキシコの通貨供給量M1およびM4を示したものである。
通貨供給量
12 月 31 日現在
(1) (1)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(単位:百万名目ペソ)
M1:
現金通貨
1,494,949 1,548,852 1,905,670 2,226,644 2,474,604
当座預金
自国通貨
1,710,671 1,734,707 1,970,337 2,145,483 2,361,986
外貨
505,663 468,212 578,654 658,895 664,302
有利子自国通貨建預金
757,136 925,791 1,163,208 1,316,345 1,394,745
23,797 24,473 27,836 29,767 30,429
貯蓄・貸付組合の預金
4,492,216 4,702,035 5,645,705 6,377,134 6,926,065
M1合計
12,242,885 13,168,287 14,384,788 15,300,183 16,442,012
M4
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値
出典: メキシコ中央銀行
2022 年のM1マネー・サプライは実質ベースで 0.7 %増加した。かかる増加は、有利子自国通貨建預金が
実質ベースで 1.7 %減少したこと、外貨建当座預金が 6. 5 %減少したこと、および現金通貨が実質ベースで
3.1 %増加したことによるものである。
M4通貨総量と一般公衆が保有するM1マネー・サプライの現金通貨部分との差額として定義される金
融貯蓄は、 2022 年には減少した( 2021 年の金融貯蓄より実質ベースで 0.9 %減少)。この減少は、M4通貨
総量が実質ベースで 0.3 %減少したことによるものである。 2021 年から 2022 年の間、メキシコ居住者による
貯蓄の伸び率は、前年が 2.8 %であったのに比べて、実質ベースで 0.6 %であった。一方非居住者による貯
蓄は実質ベースで 10.4 %減少した。非居住者の貯蓄が減少したのは、主に銀行における当座債権の定期預
金が実質ベースで 14.0 %増加し、またレポ契約の非居住者債権者による保有価額が 16.2 %減少したことに
よる。
2022 年のマネタリー・ベース(流通通貨+市中銀行のメキシコ中央銀行預け金)は合計 2, 700.0 十億ペソ
で、これは 2021 年のマネタリー・ベース合計より名目で 10.6 %の増加となる。この増加は、流通現金通貨
の名目 10.3 %の増加と、銀行預金項目の増加( 2021 年の 975.2 百万ペソから 2022 年には 8,044.7 百万ペソ)
によるものであった。
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金利
2021 年6月に始まった連続的な金融政策決定において、メキシコ中央銀行は翌日物銀行間貸出金利を引
上げた。翌日物銀行間貸出金利は、 2022 年2月 10 日の同年の第1回金融政策会議の前は 5.50 %であった
が、かかる会議において 6.00 %に引上げられた。この決定は、インフレに影響を及ぼす要因、中長期的な
期待および価格形成に対するリスクならびに世界経済および金融情勢に対する継続的な課題を考慮したも
のであった。 2022 年3月 24 日および5月 12 日に開催された第2回および第3回の金融政策会議において、
メキシコ中央銀行は、インフレ圧力に対応し、かつ主要な中央銀行がとった措置に足並みをそろえて、各
会議において金利を 50 ベーシス・ポイントずつ引上げ、指標金利は 7.00 %となった。
2022 年下半期のその後の会議において、メキシコ中央銀行は翌日物銀行間貸出金利を引上げた。それぞ
れ 2022 年6月 23 日、8月 11 日、9月 29 日および 11 月 10 日に開催された第4回、第5回、第6回および第7
回会議において、翌日物銀行間貸出金利は 75 ベーシス・ポイントずつ引上げられた。かかる決定において
は、世界的な金融情勢の逼迫、世界経済情勢に関する不確実性の高まり、 COVID-19 パンデミックに起因す
る蓄積されたインフレ圧力、ロシア・ウクライナ紛争の影響、さらなるインフレショックの可能性、なら
びに直近の翌日物銀行間調達金利の引上げがメキシコ中央銀行の金融スタンスの変化をどの程度反映して
いるかといった、厳しい金融政策の見通しが考慮された。
メキシコ中央銀行は、 2022 年 12 月 15 日の会議において、翌日物銀行間貸出金利を 50 ベーシス・ポイント
引上げた。この決定においては、インフレ圧力がわずかに緩和したこと、および主要な中央銀行がとった
措置が考慮された。したがって、 2022 年 12 月 31 日現在の貸出金利は、 2021 年 12 月 31 日現在の 5.50 %に対し
て、 10.50 %の水準に達した。
財務省証券の金利
メキシコの金利測定に用いられる指標のひとつは、政府が発行したゼロクーポン債である政府短期証券
( Certificados de la Tesorería de la Federación 、以下「 Cetes 」という。)に付される金利である。
2018 年の 28 日物政府短期証券の平均金利は、 2017 年の 6.7 %に対して、 7.6 %であった。 91 日物政府短期
証券の平均金利は、 2017 年の 6.9 %に対して、 7.8 %であった。
2019 年の 28 日物政府短期証券の平均金利は、 2018 年の 7.6 %に対して、 7.8 %であった。 91 日物政府短期
証券の平均金利は、 2018 年の 7.8 %に対して、 7.9 %であった。
2020 年の 28 日物政府短期証券の平均金利は、 2019 年の 7.8 %に対して、 5.3 %であった。 91 日物政府短期
証券の平均金利は、 2019 年の 7.9 %に対して、 5.3 %であった。
2021 年の 28 日物政府短期証券の平均金利は、 2020 年の 5.3 %に対して、 4.4 %であった。 91 日物政府短期
証券の平均金利は、 2020 年の 5.3 %に対して、 4.6 %であった。
2022 年の 28 日物政府短期証券の平均金利は、 2021 年の 4.4 %に対して、 7.7 %であった。 91 日物政府短期
証券の平均金利は、 2021 年の 4.6 %に対して、 8.3 %であった。
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TIIE 金利
メキシコ中央銀行は銀行間均衡金利( tasa de interés interbancaria de equilibrio 、以下「 TIIE 」と
いう。)と呼ばれる金利を公表している。 TIIE は、 28 日物と 91 日物について、国内の金融市場における資
金の需要と供給が均衡に達する金利として算出される。一方、代替的な金利指標である商業銀行の定期預
金の加重平均金利( costo porcentual promedio 、以下「 CPP 」という。)は、最新の市場情勢からはいく
ぶん遅行する傾向がある。
以下の表は、表示期間についての 28 日物および 91 日物の政府短期証券、 CPP 、ならびに 28 日物および 91 日
物の TIIE の年平均金利を示したものである。
政府短期証券、 CPP および TIIE の平均金利
28 日物政府 91 日物政府
短期証券 短期証券 CPP 28 日物 TIIE 91 日物 TIIE
2018 年
1月-6月 7.5 7.6 5.0 7.8 7.9
7月- 12 月 7.8 8.0 5.4 8.2 8.2
2019 年
1月-6月 8.0 8.2 5.7 8.5 8.5
7月- 12 月 7.7 7.7 6.3 8.1 8.0
2020 年
1月-6月 6.3 6.3 5.3 6.7 6.6
7月- 12 月 4.4 4.4 3.7 4.7 4.7
2021 年
1月-6月 4.1 4.1 3.2 4.3 4.3
7月- 12 月 4.7 5.1 3.3 4.9 5.0
2022 年
1月-6月 6.4 7.0 4.3 6.6 6.8
7月- 12 月 8.6 9.3 6.0 9.2 9.6
出典: メキシコ中央銀行
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② 銀行制度
メキシコの銀行制度は、信用機関法( Ley de Instituciones de Crédito 、以下「 LIC 」という。)に
よって規制されており、メキシコ中央銀行、商業銀行、開発銀行および限定的ではあるが政府が創設した
公益信託からなる。 LIC は、メキシコにおける銀行および与信業務、とりわけ、信用機関の組織、所有およ
び経営、ならびに信用機関が実施できる業務および取引ならびにその資本構成および準備金水準を規制し
ている。 LIC に従って、銀行および信用サービスは、信用機関のみが提供することができる。 LIC では、 (1)
商業銀行および (2) 開発銀行が信用機関であると規定されている。 LIC は 2022 年3月 11 日に改正され、 ( ⅰ )
個人がテロ資金供与または違法な資金による業務に関与していることの十分な証拠が発見された場合、当
該個人が金融取引に参加することを禁じる権限が財務省に付与され、 ( ⅱ ) 個人が資格停止者リストに掲載
されることに対して異議を申し立てる法的手続きが定められた。
メキシコは、 2014 年に金融改革を実施した。これは、金融機関の枠組み全体を強化し、競争を促進し、
金融部門全体における健全性を確保することを目的としたもので、より勢いがありかつ持続可能な与信の
提供を可能にするものである。この金融改革により、金融安定理事会が提唱した金融機関の実効的な破綻
処理の枠組みの主要な特性に対するメキシコの法的枠組みの遵守度合いが高まった。 2022 年3月、金融安
定理事会( FSB )は、メキシコにおける金融制度の安定状況および 2021 年4月1日から 2022 年3月 31 日まで
に FSB が実施した活動に関する年次報告書を発表した。同報告書では、 COVID-19 の新たな変異株の出現、実
体経済の不均衡、インフレ圧力、地政学的な紛争、金融情勢の逼迫、勢いが鈍い景気回復および世界的な
金融制度の脆弱性の増大などに起因して、メキシコの金融制度が直面するリスクのバランスが前期より悪
化したと述べられていた。 2022 年 12 月 20 日、 FSB は、メキシコの金融制度が直面するリスクのバランスを更
新し、国内経済活動は緩やかな回復を続けており、メキシコの銀行制度は引続き強靭であると結論づけ
た。
メキシコの銀行制度を管轄するその他の法律には、金融グループを形成する持株会社および子会社に適
用ある統治基準を強化する金融グループ規制法( Ley para Regular las Agrupaciones Financieras )が含
まれる。同法に従って、一定の状況下で複数の金融サービス企業が単一のグループとして営業することが
できる。
金融テクノロジー機関規制法( Ley para Regular las Instituciones de Tecnología Financiera 、以下
「フィンテック法」という。)は、クラウドファンディングのような金融および投資の代替的な利用手
段、電子決済資金の発行および管理ならびに仮想資産または暗号通貨の交換を提供する会社の組織、運
営、役割および権限を規制するものである。フィンテック法は、2つの新しいタイプの金融機関、すなわ
ち、クラウドファンディング機関および電子決済機関を認識しているが、これらの設立および運営には
CNBV からの承認を要する。
国家金融サービス利用者保護委員会( Comisión Nacional para la Protección y Defensa de los
Usuarios de Servicios Financieros 、以下「 CONDUSEF 」という。)は、金融機関の透明性を高め、金融機
関に対する勧告を発行、公表し、消費者との間で用いられる標準的な契約を規制し、消費者のために集団
訴訟を開始する役割を担っている。
メキシコの金融当局は、銀行の業績および過剰な与信供与を定期的に査定し、金融当局間での調整の仕
組みを強化している。
メキシコは、不正な金融取引およびテロへの資金供与を防止するため、様々な金融機関の規制の枠組み
を引続き改善している。 2021 年9月9日、連邦政府は、金融活動作業部会( FATF )の勧告に応じるため、
貯蓄・一般信用法( Ley de Ahorro y Crédito Popular )第 124 条で言及されたいくつかの一般規定を変更
した。
2022 年 12 月末現在、銀行部門の資産は合計 12,524.4 十億ペソであり、 2021 年 12 月末と比較して実質ベー
スで年 4.9 %の増加であった。 2022 年 12 月末現在の銀行部門のローン・ポートフォリオ残高合計は 6,238.9
十億ペソであり、 2021 年 12 月末と比較して実質ベースで年 4.3 %の増加であった。 2022 年 12 月末現在の銀行
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部門の純利益は 236.7 十億ペソであり、 2021 年 12 月末と比較して実質ベースで 20.6 %の増加であった。 2022
年 12 月末現在、 50 行の銀行機関が営業中であった。
商業銀行
LIC に従って、商業銀行は、商業銀行として組織され運営するために政府から認可を受けなければならな
い。認可は、 CNBV の理事会の事前承認およびメキシコ中央銀行の賛成意見をもって、 CNBV により付与され
る。かかる認可は、その特殊性により譲渡不能である。
外国の金融業者は、支店ではなく子会社を通じてメキシコにおいて業務を行う。よって、メキシコにお
いて業務を行う銀行はすべて、現地で設立され、現地の規則および監督の対象となる独立した法主体であ
る。破綻処理制度は、外国銀行の子会社を含めメキシコにおいて設立されたすべての商業銀行に適用され
る。
以下の表は、商業銀行制度の業績測定の尺度の抜粋を示したものである。
商業銀行制度
12 月 31 日現在
(1) (1)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(2)
( 単位:十億ペソ)
ローン・ポートフォリオ合計 5,185.2 5,405.6 5,302.5 5,549.3 6,238.9
(3)
商業銀行の延滞ローン 41.8 45.3 48.6 45.6 62.2
(3)
商業銀行の貸倒引当金 54.0 55.9 61.8 70.1 68.6
(1) 暫定値。
(2) 恒常ペソ。
(3) 政府介入の対象となっている銀行および特殊な状況にある銀行を除く。
出典: CNBV
2022 年 12 月 31 日現在、 CNBV には商業銀行 50 行が登録されていた。
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開発銀行
開発銀行は、政府からの法的および予算上の自治権を有する連邦公共管理庁の機関である。開発銀行
は、メキシコの銀行制度の一部を構成する全国信用機関として設立されている。議会は、各開発銀行の対
象分野を決定する。開発銀行の主な目的は、それぞれの対象分野における個人および法人向けに貯蓄およ
び資金調達へのアクセスを提供すること、ならびに技術支援および訓練を提供することである。開発銀行
は、与信提供の取計らいを付託されており、金融機会の利用を拡大する新しいプログラムおよび金融商品
の開発を奨励されている。
現在、メキシコの開発銀行制度を構成する金融機関は6機関であり、中小企業、公共インフラ、外国貿
易支援、住宅、貯蓄の改善および軍隊向け与信を含む幅広い分野を対象としている。これらの機関は以下
のとおりである。
・メキシコ産業金融公社、 S.N.C.
・メキシコ公共事業銀行、 S.N.C. ( Banco Nacional de Obras y Servicios Públicos, S.N.C. 、以下
「 BANOBRAS 」という。)
・ メキシコ外国貿易銀行
・連邦住宅公社( Sociedad Hipotecaria Federal, S.N.C. 、以下「 SHF 」という。)
・福祉銀行
・国立陸・空・海軍銀行、 S.N.C. ( Banco Nacional del Ejército, Fuerza Aérea y Armada, S.N.C. 、
以下「 BANJERCITO 」という。)
BANOBRAS 、 NAFIN および BANCOMEXT は、貸付残高でみるとメキシコの3大開発銀行である。 NAFIN の主要な
業務には、 (1) 中小企業向けの与信供与、 (2) 証券市場の発展促進、および (3) 一定の国際取引における政府
の財務代理人としての業務遂行が含まれる。
BANOBRAS の主要な業務には、 (1) 公営企業ならびに連邦、州および地方政府に対して短期、中期および長
期の資金を提供すること、ならびに (2) 低所得者向け住宅融資を行うことが含まれる。
BANCOMEXT の主要業務には、 (1) 輸出入関連の与信供与、および (2) 民間・公的部門の法人向けの外国貿易
促進のための保証提供が含まれる。 BANCOMEXT の国際貿易および国際投資の業務の一部は、以前は経済省の
管轄下に置かれていた公益信託であるプロメヒコ( ProMéxico )によって、 2019 年5月に解散されるまで運
営されていた。プロメヒコに関する情報については、「 (3) 貿易及び国際収支-⑥メキシコに対する外国投
資-外国投資政策」を参照のこと。
政府は、各開発銀行の株式資本の大部分を保有している。また、 NAFIN 、 BANOBRAS および BANCOMEXT の設
立準拠法に基づき、政府はこれらの開発銀行が外国の民間企業や政府機関、政府間機関等との間で行う取
引について常に責任を負う。こうした法律上の責任は、各開発銀行と非メキシコ個人の間の取引には及ば
ない。政府の法律上の責任を実行するための具体的な手続きまたは期間はない。また、政府の法律上の責
任は法律および予算上の制約に従う。
以前、貯蓄金融サービス銀行( Banco del Ahorro Nacional y Servicios Financieros )と呼ばれていた
福祉銀行は、透明性のある方法を利用して政府の社会プログラムから 20 百万人を超える受益者に資金を提
供し、送金に最善の為替レートを提供することにより移民の特定ニーズに対処することを目的としてい
る。
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③ 銀行の監督および支援
2022 年、商業銀行の資本および流動性の水準は、規制の最低基準を上回っていた。また、銀行の金融資
産の価値は、商業銀行からの貸出の増加などにより増加し、金融制度のレジリエンスに貢献した。
国家銀行証券委員会( CNBV )
LIC に基づき、 CNBV は商業銀行および開発銀行の多角的銀行機関( instituciones de banca múltiple )
としての経営を授権し、それらの監督について責任を負う。 CNBV は、臨検を行い、 LIC またはそれに基づく
規則に対する銀行の遵守違反について制裁を課す権限を有している。 CNBV はまた、金融持株会社、銀行お
よび証券売買仲介業者を監督し、経営介入( intervención )または清算( resolución )を宣言し、持株会
社または事業会社のいずれかのレベルで金融グループを管理する権限を有している。
銀行監督政策
政府は銀行制度を監督する様々なプログラムを創設してきた。こうしたプログラムおよび施策には、と
りわけ、金融持株会社の活動における CNBV の監督および介入権限の強化、ならびに米国において一般に認
められた会計原則を初めとする国際的な会計基準との整合性をより高めることを目的としたメキシコの商
業銀行および開発銀行に適用される会計慣行の CNBV による重要な変更の採択が含まれる。
違法資源取引の回避および特定に関する連邦法( Ley Federal para la Prevención e Identificación
de Operaciones con Recursos de Procedencia Ilícita )は、より高い違法資源利用のリスクを示す可能
性のある、非金融部門での個人間の特定取引を組織間の調整を通じて特定するための措置および手続きを
定めている。
バーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢ合意(以下「バーゼルⅢ」という。)は、適正な銀行の
資本と流動性に関する世界的な規制基準を定めるもので、メキシコにおいては 2013 年1月1日に効力を生
じた。 2016 年6月 22 日付の金融機関に適用される一般規定の改訂決議( Resolución que Modifica las
Disposiciones de Carácter General Aplicables a las Instituciones de Crédito )は、メキシコにバー
ゼルⅢの要件を完全に遵守させることを主な目的としていた。
バーゼル銀行監督委員会によって承認された未決のバーゼルⅢの金融危機後の規制改革は、 2022 年1月
1日に効力を生じメキシコ中央銀行および CNBV は、その後5年間にわたって設定された期限内に改革の段
階的実施にあたる予定である。中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループおよびバーゼル銀行監督委員会
の監視組織は 2022 年 12 月 16 日に会合を開き、 ( ⅰ )2025 年1月1日までに実施される予定の暗号資産に対す
る銀行のエクスポージャーに関する最終的な健全性基準、および ( ⅱ )2023-2024 年にかかるバーゼル委員会
の作業計画および戦略的優先課題を承認した。
CNBV は、資本化指数( Índice de Capitalización 、以下「 ICAP 」という。)を定期的に公表している。
多角的銀行機関の ICAP は、その信用リスク加重資産、市場リスクおよびオペレーショナル・リスクに対す
るその純資本の比率であり、想定外の損失が発生した場合の多角的銀行機関の回復力を測定することを意
図している。 2020 年4月、 CNBV は、パンデミック中の貸出を奨励する目的で多角的銀行機関がその補完的
資本バッファーの 50 %を上限として利用することを認める新たな暫定的キャピタリゼーション・ファシリ
ティを発表した。 2020 年9月、 CNBV はこのファシリティを 2021 年 12 月まで延長し、 2022 年に段階的に廃止
した。 2022 年 12 月末現在の多角的銀行部門の ICAP は、 2021 年 12 月末現在の 19.5 %に対し、 19.0 %であっ
た。その結果、多角的銀行機関は第一の「早期警戒」カテゴリーに該当した。このカテゴリーは、当該機
関が最低資本要件を満たしており、想定外の損失が生じたシナリオにおいて十分な資本を備えていること
を示している。この段階では、 CNBV による即時の監督措置は求められない。
2019 年9月 19 日、 CNBV は、金融部門における環境および気候リスク管理に貢献し、持続可能な経済を支
援するためのメインストリーム・ファイナンスを動員するための最善の慣行を共有する 66 の中央銀行と監
督者のグループである気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク( NGFS )に参加した。
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2020 年3月 19 日、 FSB はメキシコのピアレビュー・レポートを公表したが、これによりメキシコの金融当
局が、取引情報蓄積データの質、公的な透明性および分析に強く重きを置いた、取引報告、中央決済およ
び プラットフォーム上での取引にかかる包括的要件といったイニシアティブを含む、店頭( OTC )デリバ
ティブの改革に対する G20 のコミットメントの実施において進展をみせたことが判明した。このレポートは
また、コミットメントを支持するためにさらなる措置が取られることがありうると結論づけたが、これに
は ( ⅰ ) 非中央決済デリバティブの証拠金および最終資本要件を含む、残りの店頭デリバティブ改革の適時
実施、 ( ⅱ ) 市場参加者の行動の監督および強制の側面にかかる CNBV の権限の拡大、ならびに ( ⅲ ) メキシコ
の取引情報蓄積データの外国の取引情報蓄積機関への完全な報告に対する障壁の撤廃を含む取引情報蓄積
データの範囲の拡大およびその共有が含まれる。
OTC デリバティブの改革の一環として、 2022 年 12 月 14 日、メキシコ中央銀行は、 OTC デリバティブ取引
データの集約および特定を円滑にし、またかかる取引に関する情報の質を高め、過剰なリスク水準を特定
するための国際的な取組みに貢献することを目的として、固有の製品識別子および固有の取引識別子を含
む標準化された要素を採用する規則を公表した。
2020 年4月、財務省および CNBV は、金融機関は必要不可欠な活動に従事しているため、 COVID-19 のパン
デミック期間中に営業を継続できると宣言した。 CNBV は、 COVID-19 のパンデミックによる経済的な悪影響
を軽減するために、以下を含むいくつかの措置も講じた。すなわち、(ⅰ)消費者ローン、住宅ローンお
よび商業ローンの利息支払を繰延べ、(ⅱ)資本構成に関する規定を修正し、(ⅲ)発行者による CNBV へ
の情報の提出期限を延長し、(ⅳ)口座開設および信用付与のための本人確認基準を一時的に緩和し、
(ⅴ)ローン再編要請を可能とし、(ⅵ)信用再編のための規制枠組みを改善することである。
2020 年6月 30 日、 CNBV は、不適切なリスク管理、規制上の限度額を超えた与信、不適切な記録管理およ
び様々な規制規定違反の繰返しを理由として、国内の貸し手であるバンコ・アヨロ・ファムサ( Banco
Ahorro Famsa 、以下「 BAF 」という。)の商業銀行ライセンスを取消した。 BAF における貯蓄預金は、銀行
預金保険機構( Instituto para la Protección del Ahorro Bancario 、以下「 IPAB 」という。)により保
護される。 IPAB は、多角的銀行機関から毎月分割で受取る銀行預金保護基金( Fondo de Protección al
Ahorro Bancario )からの財源を預金の返還に充当する予定である。このライセンス取消しを受けて、 BAF
の親会社である Grupo FAMSA, S.A.B. de C.V. は、メキシコにおいて破産を、また米国においてチャプター
15 の破産を宣言した。 2020 年 11 月 11 日、 BAF の司法清算開始の判決が IPAB に通知された。
2021 年6月 30 日、 BAF の清算を担当する裁判所は、 BAF の債権者の優先順位を認め、官報に掲載するとい
う判決を発表した。 BAF の全事務所の永久閉鎖を発表する通知が 2022 年 12 月8日付の官報に掲載された。
銀行預金保険機構( IPAB )
IPAB は、メキシコの銀行預金保護制度の管理にあたる政府の分権的機関である。議会は毎年 IPAB の純負
債を管理・返済するために IPAB に資金配分を行う。 IPAB の負債は公的部門の債務とはみなされない。緊急
時に IPAB は議会承認を得ないで、メキシコの銀行の負債総額の6%を超過しない額を3年ごとに追加調達
することができる。国内市場における負債性証券のメキシコによる入札に加えて、 IPAB もメキシコ中央銀
行がメキシコにおいて実施する入札を通じて預金保険債( Bonos de Protección al Ahorro 、以下「 BPA 」
という。)として知られるペソ建債券を売却する。
IPAB はまた、個人または事業体あるいは銀行ごとに査定が行われる預金保険プログラムを管理してい
る。現在、預金保険額の上限は 400,000UDI ( Unidades de Inversión 、以下「 UDI 」という。)である。 UDI
とは、通貨市場において取引可能な資金の指数単位であって、インフレに日々連動するペソ建て計算単位
であり、 INPC の変動として測定される。過去 10 年間に、 IPAB は大量の商業用ローン資産売却を含むロー
ン・ポートフォリオの売却も行っている。 2022 年 12 月 31 日現在、 IPAB の収支は、前年より 44.8 %多い
69,905 百万ペソであった。
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銀行支援政策
政府は、経営難の銀行を支援する様々なプログラムおよび銀行制度を全般的に支援する多くの追加対策
を講じている。これらのプログラムおよび対策には、メキシコ中央銀行が導入した新しい資本準備要件を
含 む、メキシコの銀行に対する資本要件の拡大、メキシコの金融機関に対する国内外からの投資許可の拡
大、延滞融資を再編するための数多くの債務者向け支援プログラムの創設、存続可能だが過小資本の銀行
を支援するための自主的なプログラムである暫定資本化プログラム( Programa de Capitalización
Temporal de la Banca )の創設、および銀行が米ドルの流動性ニーズを満たすことができるようにするた
めの、銀行預金保護基金( Fondo Bancario de Protección al Ahorro 、以下「 FOBAPROA 」という。)を通
じた外貨信用手段の提供などが含まれる。
メキシコの破産手続きには、同じ企業グループ内の組織にかかる破産手続き機関( procedimientos de
concurso mercantil )および IPAB の監督下にある信用機関のための清算手続きを合わせたものが含まれ
る。
メキシコの銀行の破綻処理制度には、 (1) 貸付保証の付与および実行に対する規制(これにより与信者に
法的確実性がもたらされ、それによって与信拡大にプラスの影響があった。)、 (2) 審理における所要時間
を短縮することを目的とした商業的枠組み、 (3) 企業が同一企業グループに属する場合に商人が集団訴訟に
参加をすることを認めることによる破産手続きの合理化、ならびに (4) 機関と個人の間の金融問題に関わる
訴訟について裁定制度、などがある。
2020 年、 FSB は、メキシコの金融制度のより持続可能で安定した制度への移行を促進する、持続可能な金
融委員会( Comité de Finanzas Sostenibles )の運営規則を分析し、これを承認した。さらに、 (1) 持続可
能な分類法の開発(財務省が調整)、 (2) 環境・社会およびガバナンスリスク( ESG )の測定(メキシコ中
央銀行が調整)、 (3) 資本動員(退職貯蓄制度国家委員会( Comisi ó n Nacional del Sistema de Ahorro
para el Retiro )とメキシコ中央銀行が調整 ) および (4) 情報開示と ESG 基準への取り組み( CNBV が調整)の
4つの作業部会が結成された。
メキシコ中央銀行は、 2020 年4月 21 日に発表したファシリティの期間を 2021 年2月 28 日まで延長するこ
とを 2020 年9月 15 日に決定し、また、 2021 年2月 25 日にはかかる期間を 2021 年9月 30 日までさらに延長し
た。このファシリティは、 ( ⅰ ) 金融市場の秩序ある発展の促進、 ( ⅱ ) 信用供与のルートの強化、および
( ⅲ ) 金融制度の健全な発展のための流動性の提供を意図している。メキシコ中央銀行と CNBV は、最初に
2020 年4月8日に銀行流動性規制委員会( Comité de Regulación de Liquidez Bancaria 、以下「 CRLB 」と
いう。)が発表した多角的銀行機関への流動性提供の特例期間を 2021 年3月1日まで延長することについ
ても合意した。 2021 年8月 23 日、複数の金融機関の流動性要件に関する一般規定( disposiciones de
carácter general sobre los requerimientos de liquidez para las Instituciones de Banca
Múltiple )が官報に掲載され、 2022 年3月1日付で発効した。 2022 年6月、 COVID-19 のパンデミックに対
応して当局が実施していた流動性・資金調達措置は失効した。かかる措置を段階的に解除する期間を設け
ることで、金融機関の行動の突然の修正を回避し、存続可能な企業のコストとリスクを削減し、長期的な
経済実績に対する信頼感への永続的な悪影響を回避することができた。
④ 信用の産業部門別内訳
以下の表は、各表示日現在の商業銀行および開発銀行が供与した信用の産業部門別内訳を示したもので
ある。
(1)
信用の産業部門別内訳
12 月 31 日現在
(2) (2) (2)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(単位:十億ペソおよび全体に占める割合(%))
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農業、林
業および
漁業 100.1 2 % 114.7 2 % 109.4 2 % 117.5 2 % 129.4 2 %
工業 1,333.0 22 % 1,328.8 21 % 1,308.3 21 % 1,317.8 20 % 1,412.0 19 %
サービスお
よびその他
の活動 1,437.6 23 % 1,527.0 24 % 1,543.4 25 % 1,564.2 24 % 1,777.4 25 %
住宅信用 804.0 13 % 878.7 14 % 1,028.6 16 % 1,130.5 17 % 1,255.4 17 %
消費信用 842.5 14 % 907.0 14 % 856.0 14 % 883.0 14 % 1,026.3 14 %
統計上の
調整 0.0 0 % 0.0 0 % 0.0 0 % 0.0 0 % 0.0 0 %
金融部門 637.8 10 % 611.6 10 % 501.8 8 % 480.1 7 % 555.7 8 %
公的部門 859.0 14 % 890.3 14 % 875.3 14 % 944.9 14 % 1,003.2 14 %
その他 25.9 0 % 7.8 0 % 0.0 0 % 0.0 0 % 0.0 0 %
99.1 2 % 87.9 1 % 70.7 1 % 81.3 1 % 93.0 1 %
対外部門
6,139.2 100 % 6,353.8 100 % 6,293.5 100 % 6,519.1 100 % 7,252.5 100 %
合計
銀行間部
門 1.0 1.5 1.8 1.5 0.5
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 商業銀行および開発銀行の双方を含む。
(2) 暫定値。
出典: メキシコ中央銀行
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⑤ 保険会社、投資信託および補助的信用機関
連邦保険保証委員会( Comisión Nacional de Seguros y Fianzas 、以下「 CNSF 」という。)は、保険保
証部門の監督を担当する分権的政府機関である。 CNSF は、メキシコ保険・保証機関法( Ley de
Instituciones de Seguros y de Fianzas )またはその他の適用規則の遵守を怠った場合に、同部門の機関
を検査し、制裁を課す権限を有している。
メキシコ以外の金融グループおよび金融仲介機関は、メキシコ子会社を通じて、メキシコで保険業務な
ど様々な活動に従事することが認められている。
メキシコ保険・保証機関法に従って、外国人投資家はメキシコの保険会社の資本を 49 %まで取得するこ
とを認められている。また、メキシコと貿易協定を締結している国に本籍を置く外国金融機関は、財務省
の承認があれば、メキシコの保険会社の資本の過半数を取得することができる。メキシコの保険会社は、
再保険取引に関してメキシコ国内外に拠点を置く仲介会社のサービスを利用することができ、また劣後債
だけでなく無議決権株式または制限付議決権株式を発行することができる。また、財務省の事前承認があ
れば、外国保険会社はメキシコに駐在事務所を設置することができる。
金融仲介機関は、補助的信用機関および活動一般法( Ley General de Organizaciones y Actividades
Auxiliares del Crédito )(改正済)によって統治されている。同法は、(1)財務省による事前承認なし
に、個人または事業体は金融仲介機関の払込資本の10%超を直接的・間接的に保有することはできない
旨、(2)補助的信用機関および外国為替仲介業者は、資本準備金が払込資本と同額になるまで利益の10%を
準備金に積立てなければならない旨、(3)金融リース会社は借り手が債務不履行に陥った場合、リース財の
占有回復を行うための司法救済措置を受ける権利を有する旨、(4) CNBV は、補助的信用機関が誤解を招く文
書を使用することを防止する権限を有する旨、ならびに(5)CNBVは、規制対象および規制対象外の多目的金
融機関( sociedades financieras de objeto múltiple )の双方を検査および調査する権限を有する旨を規
定している。2018年3月、補助的信用機関および活動一般法が改正され、フィンテック法による規制を条
件に電子的決済が認められることとなった。
海外投資家は補助的信用機関の資本を49%まで取得できる。メキシコと貿易協定を締結している国に本
籍を置く海外金融機関は、財務省が承認すれば、メキシコの補助的信用機関の資本の過半数を取得するこ
とができる。
投資ファンドを規制する法律である投資ファンド法( Ley de Fondos de Inversión )は、企業統治なら
びに内部手続きおよび内部統制の改善によって投資ファンドの規制をより効率的に行う措置をとってい
る。同法は、独立の外部監査人と投資ファンドとの相互の影響に適用される規則を制定し、公平性と利益
相反の適切な取扱いの双方の必要性を強調することにより、独立の外部監査人の役割および責任を認識し
ている。
CNSF は、 2022 年 12 月 31 日現在、保険・保証市場には 113 の機関が参加しており、保険発行額は 707 十億ペ
ソであると報告した。 2022 年の保険部門の元受保険料は 2021 年の 693 十億ペソより3%減少し 673 十億ペソ
であった。保証部門では元受保険料は 2021 年 12 月末の 12 十億ペソより 17.6 %増加して 2022 年 12 月末には 15
十億ペソであった。
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⑥ 金融テクノロジー
フィンテック法は、クラウドファンディングのような金融および投資の代替的な利用手段、電子決済資
金の発行および管理ならびに仮想資産または暗号通貨の交換を提供する会社の組織、運営、役割および権
限を規制するものである。フィンテック法は、新しいタイプの金融機関、すなわち、クラウドファンディ
ング機関および電子決済機関を設立している。 CNBV からの承認を要するこれらの組織は、電子アプリケー
ション、インターネットまたは電子もしくはデジタル通信のその他手段などのインターフェースを通じ
て、資金調達、投資、貯蓄、支払または送金の業務を行っている。
2021 年1月 28 日にフィンテック法が改正され、電子決済機関に関する規定が追加されることとなった。
これは、電子決済機関のセキュリティ対策およびガイドラインの確立、技術インフラの保全ならびに事業
継続計画の作成を目的としていた。
CoDi は、モバイルデバイスによる電子送金を通じてユーザーの支払および集金の取引を容易にするデジ
タル・プラットフォームである。このプラットフォームは、銀行による利用を増やし、金融取引への幅広
い参加を奨励し、より効率的な取引を促進し、現金の利用を減らすため、 2019 年9月にメキシコ中央銀行
によって開始された。 CoDi は、モバイル・アプリケーションの支払要求スキームの下で作動し、取引手数
料なしでリアルタイムでの支払の決済を可能にする。
2019 年 10 月、 CNBV は、企業と規制当局の間の相互作用と金融イノベーションおよび国境を超えたベス
ト・プラクティスの共有を促進する金融規制当局および関連組織の同盟であるグローバル・ファイナン
シャル・イノベーション・ネットワーク( GFIN )のメンバーとなった。
⑦ 証券市場
メキシコ証券取引所
メキシコ証券取引所( Bolsa Mexicana de Valores 、以下「 BMV 」という。)は、メキシコにおける持分
証券および負債性証券の上場および取引に携わる最大の公認証券取引所である。メキシコ証券取引所にお
いて上場または取引されている有価証券には、 (1) 民間部門企業の株式および債券、 (2) 銀行が発行した持
分証券または株式、 (3) コマーシャル・ペーパー、 (4) 銀行引受手形、 (5) 譲渡性預金証書、 (6) 国債、なら
びに (7) 特別ヘッジ商品が含まれる。メキシコ証券取引所は、公開企業( sociedad anónima bursátil de
capital variable )である。
2017 年8月、財務省は、メキシコの証券市場を発展させるプログラムの一環として、新しい証券取引所
にかかる免許について公表した。新しい証券取引所機構( Bolsa Institucional de Valores 、以下
「 BIVA 」という。)は、 2018 年7月 25 日に運営を開始した。証券取引所機構は、公開有限会社( sociedad
anónima de capital variable )である。 2022 年 12 月現在、証券取引所機構は、 20.8 %の市場参加率と、
160,206 百万ペソの上場有価証券を報告した。 2022 年 12 月 31 日現在の株式市場指数 ( Índice de Precios y
Cotizaciones 、 IPC ) は、 2021 年 12 月 31 日現在の水準を 9.0 %下回る 48,463.9 ポイントであった。
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証券市場法( Ley del Mercado de Valores )は、メキシコにおける有価証券の売買を管轄している。同
法には、有価証券の発行者が特定の種類の投資家のみを対象に公募を行うことを認める制限的募集
( Oferta Restringida )制度が規定されている。同法はまた、募集プログラムをすべての発行者が利用で
きる旨が規定され、これにより有価証券の登録手続きおよびエクイティ証券の公募を含む一定の公募が促
進されている。
証券取引所に適用される一般規定( Disposiciones de Carácter General Aplicables a las Bolsas de
Valores )には、証券取引所に適用される規制上の枠組みを強化する複数の措置が定められており、これに
は、証券取引所の内部統制の強化、重要な市場情報の開示にかかる規則、および運営上の困難を抱えた証
券取引所の緊急時対応計画の設定などが含まれる。
メキシコ証券取引所の業績
メキシコ証券取引所は、最も活発に取引されている 35 の株式グループに基づく株式市場指数を公表して
いる。以下の表は、メキシコ証券取引所の業績について、別の2つの尺度とともに当該指数を示すもので
ある。
メキシコ証券取引所の業績
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(単位:指数を除き、十億米ドル)
指数(ポイント) 41,640.3 43,541.0 44,066.9 53,272.4 448,463.9
時価総額 384.9 415.1 399.2 459.6 454.4
取引高 119.5 99.9 91.7 101.4 111.5
出典: メキシコ中央銀行 / メキシコ証券取引所
2022 年に、株式および遺産寄付証書を含む持分証券は、メキシコ証券取引所における取引の 99.84 %を占
めた。インフラ信託は取引高の 0.16 %を占め、コマーシャル・ペーパー、手形、債券および通常の参加証
書を含む固定収入証書は取引の 0.00 %を占めた。
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⑧ メキシコ中央銀行の貸借対照表
以下の表は、 2022 年 12 月 31 日現在のメキシコ中央銀行の貸借対照表を要約したものである。
連結貸借対照表
(監査済み)
( 2022 年 12 月 31 日現在)
(単位:百万ペソ)
資産の部 負債および資本の部
3,876,663 2,700,041
外貨準備高 マネタリー・ベース
対外資産 3,916,562 流通紙幣および硬貨 2,691,996
控除されるべき負債 (39,899) 当座勘定銀行預金 8,046
連邦政府に対する与信 0 連邦政府当座勘定預金 224,687
その他の連邦政府預金 25,770
1,294,181
金融規制債務
金融規制預金 957,266
政府証券 789,347
銀行 167,919
金融規制債券 102,429
その他の銀行預金およびレ
ポ取引による債務 234,486
石油安定化基金預金 1,020
金融仲介機関に対する与信
およびレポ取引による債権 441,226
IMF -
外国金融当局 -
特別引出権 295,248
122,462
国際的金融機関への参加 14,307 その他の負債
4,663,409
負債合計
資本金 8,624
固定資産、什器および備品 7,554 資本準備金 43,357
その他の資産 35,642 当期利益剰余金 (340,024)
当期収支 26
(288,017)
資本合計
4,375,392 4,375,392
資産の部合計 負債および資本の部合計
上記の貸借対照表は、メキシコ中央銀行法およびメキシコ中央銀行の定款に定める諸規則および要件ならびに国内
の財務情報基準に準拠して、適切な中央銀行の慣行に従って作成されている。定款第 38 条に従って、外貨準備は、メ
キシコ中央銀行法第 19 条における定義によっている。政府証券は、正味保有かつ金融規制預金控除後で表示されてお
り、レポ取引を介して購入または移転された有価証券を含まず、売り手としてのポジションがある場合には、金融規
制預金の項目に掲げる。 IPAB 証券は、メキシコ中央銀行が IPAB から取得した金融商品に相当する。レポ取引を通じて
金融仲介機関および債務者に付与される債権には、商業銀行、開発銀行およびレポ取引が含まれる。資本準備金は、
資産再評価準備金に相当する。
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(5) 【財政】
① 概要
メキシコの年度予算(以下「予算」という。)には、政府、その省庁および予算管理対象機関の歳入お
よび歳出が含まれる。予算は、歳入法( Ley de Ingresos )および連邦歳出予算( Presupuesto de Egresos
de la Federación para el Ejercicio Fiscal 、以下「歳出予算」という。)からなる。
予算編成
メキシコの予算編成にあたっては、すべての省庁および政府機関が参加し、調整を行うことが求められ
る。財務省は、会計年度毎に、 (1) 政府ならびに (2) 予算に特定の法律上の承認を必要とする一定の政府機
関および生産的国有企業(以下「予算管理対象機関」という。)が翌会計年度に受領する見込みの歳入を
定める歳入法案を作成する。さらに各省庁は、財務省が設定する政策方針およびプログラム指針に基づい
て、各々の事業およびその管轄下にある全予算管理対象機関のための歳出見積りを作成する。その後財務
省は、かかる歳出請求案を審査し、政府および予算管理対象機関両者のために歳出法案を作成する。
歳入法案は議会両院に提出され可決されなければならない。議会両院により可決されると、歳入法案は
歳入法となる。これに基づき、税金およびその他の歳入を徴収するためならびに資金調達取決めを締結す
るために必要な権限が、省庁および予算管理対象機関に与えられる。
一方、歳出法案は、歳入法案とは異なり、憲法上、下院の承認のみが求められている。下院により可決
されると、歳出法案は歳出予算になる。これに基づき、当該会計年度に支出する権限が省庁および予算管
理対象機関に与えられる。加えて下院は、省庁および予算管理対象機関が前会計年度に行った歳出が記載
されている公会計( Cuenta Pública )を、連邦上級会計監査院( Auditoría Superior de la Federación )
を通じて、毎年審査しなければならない。憲法に基づき、歳出予算に盛り込まれている場合、または後日
議会により可決された法律の下で認められる場合に限り、省庁または予算管理対象機関は支出することが
できる。
公的部門の機関および公社の取扱い
公的部門全体の歳入および歳出に関する予算中の情報は、連結ベースで作成されたもので、政府、省庁
および予算管理対象機関の歳入および歳出だけでなく、その予算について法定の承認を必要としない他の
公的部門の機関および国有生産的企業(以下「運営管理対象機関」という。)の歳入および歳出も算入さ
れている。運営管理対象機関の予算は政府の審査を受ける必要があり、予算管理対象機関と同様に、すべ
ての対外資金調達について財務省の承認を得なければならない。
109 の公益信託を廃止し、その他一定の公益信託を変更してこれら信託による財源の利用をより効率的か
つ透明にするため、財政法に関する一定の改正が 2020 年 11 月6日に公表された。政府の各担当部門は、改
正法に定めるとおり、信託、委任および類似の公的手段の一部であるすべての連邦の公共財源を連邦国庫
に移管する予定である。 2022 年 12 月現在、合計 207 件の信託、委任および類似の公的手段が有効であり、合
計 128 件が登録を取消されていた。また、この改正により公益信託の廃止対象となった 34 件の手段について
合計 486.1 百万ペソが報告された。
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財政収支報告の方式
財政収支は、政府の歳入合計から政府支出を差し引いて測定する。メキシコは、 (1) 公的部門の借入所要
額および (2) 公的部門収支を算出するにあたり、別個の方式を用いて財政収支を報告している。
メキシコは、金融資産および金融債務の正味取得とは区別される費用から収益を差引くことにより、公
的部門の借入所要額を算出している。この方式は、会計年度中の変化を査定するのに用いられ、主要項目
(すなわち、公的部門の金融費用を除く。)において表示される。この公式は、連邦公的部門を対象とし
ているが、メキシコ中央銀行は除外されている。インフレ期間中には、この公式は経済に対するインフレ
の影響を見積もるためのインフレ負債の構成要素を用いて修正されうる。
公的部門収支は、金融費用ではない公的部門の連結歳出から連結歳入を差引くことにより算出される。
公的部門の借入所要額の方式と同様、この方式も、会計年度中の変化を査定する指標であり、主要項目に
おいて表示される。ただし、この公式は、非金融公的部門のみを対象としている。公的部門の借入所要額
の方式と同様、インフレ期間中には、この公式も経済に対するインフレの影響を見積もるためのインフレ
負債の構成要素を用いて修正されうる。
以下の表は、上述の主な報告方式に従い、表示年におけるメキシコの公的部門の借入所要額およびメキ
シコの公的部門の財政収支の実績を GDP に対する比率で示したものである。以下の表および本項を通じて示
される数値は、表示年の実質 GDP 数値を用いて計算されたものである。
公的部門の財政収支
(比率)
-2.1 %
2018 年
-1.6 %
2019 年
-2.9 %
2020 年
-2.9 %
2021 年
-3.3 %
2022 年
出典: 財務省
公的部門の借入所要額
(比率)
-2.2 %
2018 年
-2.3 %
2019 年
-3.9 %
2020 年
-3.9 %
2021 年
-4.5 %
2022 年
出典: 財務省
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② 財政政策
政府の経済安定化戦略は、貧困率の低下ならびに雇用および経済成長率の上昇のために、歳出の効率的
な割当および歳入の拡大に重点が置かれている。経済成長および雇用機会をさらに推進するために、政府
はメキシコへの投資に纏わる障壁およびリスクを軽減し、世界市場におけるメキシコ企業の競争力を高
め、消費者のために製品およびサービスのコストを引下げることを財政政策上の主な目標としている。
政府の現在の財政政策は、財政および金融の規律、支出の引締め、新税の導入および増税の回避ならび
に脱税の抑制にも焦点を置いている。公的債務管理については、政府は固定金利の長期国内債務を優先し
つつ、堅固で分散された負債ポートフォリオを維持する計画である。
財務省は、バランスの取れた財政収支の維持に焦点を当てた政策の実施に積極的に取り組んでいる。こ
れらの財政政策の結果、メキシコの公債の継続的な持続可能性とリスク分散がもたらされ、 2022 年の推定
GDP 黒字につながった。政府の財政政策はまた、より効率的な徴収システムをもたらし、メキシコの納税者
基盤を拡大し、徴税額が増加し、結果として近年メキシコの石油収入への依存度が低下した。 2020 年8月
5日に官報に掲載された 2020-2024 年国家開発資金計画( Programa Nacional de Financiamiento del
Desarrollo 2020-2024 、以下「 PRONAFIDE 」という。)は、投資および国家開発を進めるために金融部門内
に必要な資源を提供するため、資源の持続可能な利用と不平等格差の削減を含む政府の追加的な財政政策
目標をさらに詳細に定めている。このため、 PRONAFIDE は、マクロ経済の安定性の強化、効率的な支出、金
融サービスの利用促進およびより持続可能、包括的、漸進的かつ透明性の高い金融システムの開発など、
公平な経済成長と福祉を促進するための具体的な目標を概説している。
これらの目標を達成するため、政府は、メキシコの税制運営の簡素化および各種税法の一貫した適用の
促進を含む多面的な計画を進めている。政府は、政府機関間の調整の拡充および公的支出の透明性向上を
通じて公的部門の効率性を高め、それによって社会の発展およびインフラの両面における支出の増加を可
能としている。政府は、引続きメキシコの株式市場および債券市場を発展させ、財政規律、石油資源の有
効利用および透明性が高く効率的な予算編成の利用を通じてマクロ経済の安定性を高めていく計画であ
る。最後に、政府は、公共政策および法の支配を推進する一方で、必要に応じた経済の各種分野の規制の
改善(または規制緩和の追求)および貿易自由化政策の策定に取り組んでいる。
連邦予算・財政報告責任法( Ley Federal de Presupuesto y Responsabilidad Hacendaria )第 19 条の2
は、メキシコ中央銀行の営業余剰金を (1)70 %以上を以前に負担した公債の期限前償還もしくは当該年度の
資金調達所要額の減額に充当し、また (2) 残りを予算歳入安定化基金の強化もしくは政府の財政状態を改善
するための資産の取得に充当する政府の義務を定めている。
2020 年3月6日、独占および保護主義的慣行を禁止する憲法第 28 条が改正され、税金恩赦も禁止され
た。
歳出に対する行政府の裁量を制限する方法として、 2021 年5月 17 日、憲法第 74 条が改正され、連邦歳出
予算に機密項目( partidas secretas )を含めることを認めないこととなった。この改正前は、機密項目に
よって、大統領は必要不可欠な場合には歳出の報告または監査管理を受けることなく、利用可能な予算財
源の割当てをすることが認められていた。
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徴税の改善、貿易の促進、関税および検査サービスの効率化ならびに国家安全保障の強化を目的とし
て、財務省の分権化された行政機関としてメキシコ国立税関庁を創設する命令( Decreto por el que se
crea la Agencia Nacional de Aduanas de México como un órgano administrative desconcentrado de
la Secretaría de Hacienda y Crédito Público )が、 2021 年7月 14 日に官報に掲載された。この命令に
よって、メキシコ国立税関庁は技術、運営、管理および経営上の自治権を認められ、租税および関税の当
局としての地位と、問題を解決する権限を付与される。
③ 予算
2022 年予算
メキシコの 2022 年予算は、 2022 年歳入法および 2022 年連邦歳出予算( Presupuesto de Egresos de la
Federación para el Ejercicio Fiscal de 2022 、以下「 2022 年歳出予算」という。)により構成される。
2022 年歳入法は、連結公的部門については、 2021 年歳入法において見積もられた公的部門予算歳入と比
較して実質 12.6 %増の 7,088.3 十億ペソの歳入を見込んでいた。 2022 年歳出予算は、総額 7,088.3 十億ペソ
の歳出を定めていた。
連結公的部門の 2022 年の歳入および歳出は、それぞれ 6,602.8 十億ペソおよび 7,554.1 十億ペソであっ
た。
2022 年予算は、経済的・社会的影響の大きいプロジェクトへの投資を除き、公的部門の予算収支を GDP の
0.0 %、経済的・社会的影響の大きいプロジェクトへの投資を含めた場合、公的部門の予算赤字を GDP の
3.1 %と定めていた。 2022 年歳入法の見積りは、1日当たりの石油輸出量を 1.0 百万バレルとする見積りに
基づいていた。石油収入は、 2021 年歳入法における見積額と比べて実質ベースで 12.2 %の増加となる
1,087.1 十億名目ペソと見積もられた。また承認された非石油収入は、 2021 年歳入法における見積額と比べ
て 6.9 %の増加となる 5,085.6 十億ペソであった。最後に、見積非石油税収入も 2021 年歳入法における承認
額と比べて実質ベースで 8.0 %の増加となった。
2022 年、財務省を通じて行為する行政府は、連邦予算・財政報告責任法( Ley Federal de Presupuesto
y Responsabilidad Hacendaria )に基づく権限に従って、 2022 年歳出予算により採択された歳出を上回る
追加歳出を承認しなかった。 2022 年にかかる実際の歳出と 2022 年歳出予算により予定されていた歳出との
差額は、 2022 年歳出予算により予定された歳出見積り額の 6.6 %に相当する 465.9 十億ペソであった。見積
り額を上回る歳出があったほか、歳入は 2022 年歳出予算により予定された額を 485.4 十億ペソ下回った。
2023 年予算
2023 年連邦歳入法( Ley de Ingresos de la Federación para el Ejercicio Fiscal de 2023 、以下
「 2023 年歳入法」という。)は、 2022 年 10 月 20 日に下院の承認を受け、 2022 年 10 月 26 日に上院の承認を受
け、 2022 年 11 月 14 日に官報に掲載された。 2023 年連邦歳出予算( Presupuesto de Egresos de la
Federación para el Ejercicio Fiscal de 2022 、以下「 2023 年歳出予算」といい、 2023 年歳入法と併せて
以下「 2023 年予算」という。)は、 2022 年 11 月8日に下院の承認を受け、 2022 年 11 月 28 日に官報に掲載さ
れた。
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2023 年予算は、経済的・社会的影響の大きいプロジェクトへの投資を除き、公的部門の予算収支を GDP の
0.0 %、経済的・社会的影響の大きいプロジェクトへの投資を含めた場合、公的部門の予算赤字を GDP の
3.6 %と定めている。 2023 年歳入法は、公的部門の予算歳入を、 2022 年歳入法において見積もられた公的部
門予算歳入と比較して実質ベースで 11.8 %増の合計 7,123.5 十億ペソとしている。 2023 年歳入法の見積り
は、1日当たりの石油輸出量を 0.7 百万バレルとする見積りに基づいている。石油収入は、 2022 年歳入法に
おける見積額と比べて実質ベースで 17.5 %の増加となる 1,317.7 十億名目ペソと見積もられている。また承
認された非石油収入は、 2022 年歳入法における見積額と比べて 10.6 %の増加となる 5,805.8 十億ペソであ
る。最後に、見積非石油税収入も 2022 年歳入法における承認額と比べて実質ベースで 13.5 %の増加となっ
た。
2023 年歳出予算は、 2022 年歳出予算において承認された金額と比較して実質ベースで 14.5 %増となる合
計 7,621.2 十億ペソ(合計 678.4 十億ペソのペメックスによる物理的投資見積額を除く。)の歳出を定めて
いる。
見積予算歳出の要約情報は以下の表のとおりである。
予算歳出要約; 2023 年歳出予算
2023 年
実績
(1)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年 予算
(十億ペソ)
医療 122.2 122.6 154.0 173.2 184.1 209.6
教育 310.4 331.6 345.0 369.8 382.1 402.3
住宅および地域開発 21.3 18.0 13.9 18.8 17.1 15.3
政府債の返済 467.1 525.6 565.6 524.7 669.8 840.9
CFE およびペメックスの債
務返済 147.9 140.9 120.5 161.9 145.4 183.9
ペメックス 122.1 115.8 97.0 142.1 132.4 148.1
CFE 25.9 25.0 23.5 19.9 13.1 35.8
注:
(1) 2023 年予算の数値は、 2023 年総合経済政策ガイドラインおよび 2023 年経済計画に盛り込まれた経済の前
提に基づく予算上の見積りを示している。これらの数値は、当該年の実績または更新されたメキシコの
2023 年の経済業績予測を反映するものではない。
出典: 財務省
連邦予算・財政報告責任法は、一定の条件が満たされた場合、財務省を通じて行為する行政府に対し
て、当年度の歳出予算により採択された歳出を上回る追加歳出を承認する権限を与えている。こうした歳
出は、予算収支にマイナスの影響がなく、予算赤字を増やすことがない場合に、承認される。
2023 年予算は、政府が GDP の 3.7 %に相当する 1,170 十億名目ペソの正味対内債務を負担することを認めて
いる。 2023 年予算はまた、政府が 5.5 十億米ドルの追加の対外債務を負担することを認めているが、これに
は国際金融機関からの融資が含まれている。
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以下の表は、 2018 年から 2022 年までの予算実績を示している。また、メキシコの 2023 年予算における前
提と目標も示している。
予算実績; 2023 年予算の前提および目標
実績
2023 年
(2) (2) (1)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年 予算
実質 GDP 成長率(%) 2.2 % (0.2) % (8.0) % 4.7 % 3.1-4.6 % 1.2-3.0 %
全国消費者物価指数上昇率
(%) 4.8 % 2.8 % 3.2 % 7.4 % 3.4 % 3.2 %
メキシコ産オイルミックスの
平均輸出価格(1バレル当た
(3)
り米ドル) 61.41 55.53 36.24 65.78 89.35 68.70
平均為替レート
(ペソ /1.00 米ドル) 19.2 19.3 21.5 20.3 20.1 20.6
28 日物政府短期証券
平均利率(%) 7.6 % 7.8 % 5.3 % 4.4 % 7.7 % 8.9 %
公的部門収支
( GDP に対する百分比) (2.1) % (1.6) % (2.9) % (2.9) % (3.3) % (3.6) %
プライマリー・バランス
(4)
( GDP に対する百分比) 0.6 % 1.1 % 0.1 % (0.3) % (0.5) % (0.2) %
経常収支赤字
( GDP に対する百分比) (2.1) % (0.5) % 2.0 % (0.7) % (1.0) % (1.2) %
(1) 2023 年予算の数値は、 2023 年総合経済政策ガイドラインおよび 2023 年経済計画に盛り込まれた経済の前
提に基づく予算上の見積りを示している。これらの数値は、当該年の実績または更新されたメキシコの
2023 年の経済業績予測を反映するものではない。
(2) 暫定値。
(3) 政府は、 2022 年歳入法において前提とされた水準に関して石油価格の潜在的な変動の影響を受けないよ
うにするため、ヘッジ契約を締結した。したがって、承認された歳出水準は、年度中にペメックスが輸
出する原油の加重平均価格が 2022 年予算で前提とされる価格を下回ったとしても影響を受けない。
(4) 「 (4) 歳入および歳出-概要」に述べるとおり、 ISSSTE 法の改革に基づいた債券の発行に関する歳出の
効果および特定の長期インフラプロジェクト制度( PIDIREGAS )の債務を公的部門債務として認識する
ことを含む。
出典: 財務省
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④ 歳入および歳出
概要
財務省は、 2022 年 12 月 15 日、 2023 年年次資金調達計画( Plan Anual de Financiamiento 2023 、以下
「 PAF 」という。)を公表した。 PAF の下で、政府は透明性ならびに国民、信用格付機関および投資家との
コミュニケーションを促進するため、公的債務に関する目的を報告した。
以下の表は、 2013 年恒常ペソによる 2018 年- 2022 年の会計年度の歳入および歳出ならびに連結公的部門
の借入所要額を示したものである。また、メキシコの 2023 年予算の基礎をなす前提および目標も示してい
る。
財政指標要約
2023 年
(1) (1) (1) (2)
2018 年実績 2019 年実績 2020 年実績 2021 年実績 2022 年実績 予算
対 GDP 対 GDP 対 GDP
対 GDP 比 対 GDP 比
(3) (3) (3)
(3) (3)
ペソ 比 ペソ 比 ペソ 比 ペソ ペソ ペソ
( 単位:十億ペソまたは GDP に対する百分比)
1. 予算歳
入 5,115.1 21.7 5,385.0 22.0 5,340.0 22.8 5,960.9 23.1 6,602.8 23.2 7,123.5
連邦政
府 3,871.6 16.5 4,006.1 16.4 4,088.5 17.4 4,317.0 16.7 4,790.6 16.8 5,348.7
公社お
よび政
府機関 1,243.5 5.3 1,378.9 5.6 1,251.4 5.3 1,644.0 6.4 1,812.2 6.4 1,774.8
2. 予算歳
出 5,589.4 23.8 5,792.6 23.7 5,995.0 25.6 6,735.8 26.1 7,554.1 26.5 8,257.6
(a) 予算基
本支出
(支払
利息を
除
く。) 4,974.3 21.1 5,126.1 21.0 5,308.9 22.7 6,049.1 23.4 6,783.9 23.7 7,178.5
計画に
よる 4,064.7 17.3 4,232.6 17.3 4,450.4 19.0 5,125.6 19.9 5,673.3 19.9 5,916.2
計画外 909.6 3.9 893.5 3.7 858.5 3.7 923.3 3.6 1,065.6 3.7 1,262.3
(b) 支払利
息(予
算部
門) 615.0 2.6 666.5 2.7 686.1 2.9 687.0 2.7 815.2 2.9 1,079.1
3. 予算プ
ライマ
リー・
バラン
ス( 1-2
(a) ) 140.8 0.6 258.8 1.1 31.0 0.1 (88.2) (0.3) (136.1) (0.5) (55.1)
4. 予算外
プライ
マ
リー・
バラン
ス 0.6 0.0 9.2 0.0 (1.4) 0.0 15.0 0.1 4.1 0.0 0.5
5. 支払利
息合計
(予算
上およ
び予算
外) 615.3 2.6 666.6 2.7 686.2 2.9 686.7 2.7 815.2 2.9 1,079.6
6. 統計上
の誤差
脱漏 (21.1) (0.1) 5.0 0.0 (19.9) (0.1) 7.4 (0.0) (3.7) 0.0 0.0
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7. 公的部
門収支
(現金
ベー
ス) (495.0) (2.1) (393.7) (1.6) (676.5) (2.9) (752.5) (2.9) (950.9) (3.3) (1,134.1)
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 2023 年予算の数値は、 2023 年総合経済政策ガイドラインおよび 2023 年経済計画に盛り込まれた経済の前提に基
づく予算上の見積りを示している。これらの数値は、当該年の実績または更新されたメキシコの 2023 年の経済
業績予測を反映するものではない。予算見積りは、 2022 年 12 月現在見積もられた 2023 年についての GDP デフレー
ターを用いて恒常ペソに転換されている。
(3) 2013 年 12 月 31 日現在の購買力に基づく経常ペソ。
出典: 財務省
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歳入
( i ) 予算歳入
公的部門の予算歳入は、 GDP に占める割合が過去5年間で上昇してきており、 2018 年における GDP の
21.7 %から 2022 年には GDP の 23.2 %となった。公的部門の予算歳入は、 2021 年と比較して名目ベースで
2022 年には 10.8 %増加した。
原油収入は 28.1 %増加し、メキシコ産原油ミックスの平均輸出価格は 35.8 %値上がりした。非石油税収
は 6.8 %増加し、石油以外の税外収入は 11.3 %減少した。ペメックスからの税外収入が公的部門の予算歳
入全体に占める割合は、 2021 年と比較して (0.5) %低下して、 12.7 %となった。
以下の表は、 2018 年から 2022 年にかかる公的部門予算歳入の内訳を経常ペソで示したものである。
公的部門予算歳入
実績
2023 年
(1)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年 予算
(2)
(単位:十億 ペソ )
予算歳入 5,115.1 5,385.0 5,340.0 5,960.9 6,602.8 7,123.5
連邦政府 3,871.6 4,006.1 4,088.5 4,317.0 4,790.6 5,348.7
税収 3,062.3 3,202.7 3,338.9 3,566.6 3,812.5 4,623.6
所得税 1,664.2 1,686.6 1,760.5 1,895.4 2,273.4 2,512.1
付加価値税 922.2 933.3 987.5 1,123.7 1,221.8 1,419.5
消費税 347.4 460.5 460.7 399.2 117.5 486.2
輸入関税 65.5 64.7 57.9 75.5 93.7 98.3
炭化水素の探査お
よび採掘にかかる
税金 5.5 5.8 6.9 7.0 7.2 7.7
輸出関税 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
贅沢品およびサー
ビス n.a. n.a. n.a. n.a n.a n.a
その他 57.4 51.6 65.4 65.8 99.0 99.8
税外収入 809.3 803.4 749.6 750.4 978.1 725.1
手数料および料金 64.3 83.0 72.6 90.8 116.0 57.2
安定化と開発のた
めのメキシコ石油
基金からの振替 541.7 431.9 198.2 364.9 636.3 487.7
過料および課徴金 193.4 278.1 470.2 287.8 217.2 173.6
その他 9.8 10.4 8.5 6.8 8.5 6.5
公社および政府機関 1,243.5 1,378.9 1,251.5 1,644.0 1,812.2 1,774.8
ペメックス 436.6 523.8 407.6 791.8 841.4 826.5
その他 806.9 855.1 843.9 852.2 970.8 948.3
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
n.a. :不詳
(1) 2023 年予算の数値は、 2023 年総合経済政策ガイドラインおよび 2023 年経済計画に盛り込まれた経済の前
提に基づく予算上の見積りを示している。これらの数値は、当該年の実績または更新されたメキシコの
2023 年の経済業績予測を反映するものではない。 2023 年の予算見積りは、 2022 年 12 月現在見積もられた
2023 年についての GDP デフレーターを用いて恒常ペソに転換されている。
(2) 経常ペソによる表示。
出典: 財務省
輸出向けメキシコ産原油ミックスの平均価格が低下するなかで石油収入を確保するための政府政策に
従って、財務省は、 2020 年1月3日、 2020 年にかかる石油価格ヘッジ・プログラムを発表した。特定の価
格でのプット・オプションの購入および予算歳入安定化基金からの追加補償を含むこのプログラムは、石
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油価格が1バレル当たり 49 米ドルを下回った場合の政府への影響を軽減するものである。これらの措置
は、メキシコのマクロ経済の安定性の確保および国際的な経済環境の悪化に対する財政の保護を目的とし
た ものであった。 2020 年、政府はこの年次プログラムから 2,380 百万米ドル受領した。これは、石油の国
際価格の下落による石油収入の落込みを補填するものであった。 2021 年、このプログラムによりメキシコ
は1バレル当たり 42.60 米ドルを下回る原油価格の下落に対してヘッジされた。この価格は、 2021 年の平
均原油価格である1バレル当たり 65.31 米ドルを下回っていた。 2022 年、このプログラムによりメキシコ
は、石油価格を1バレル当たり 63.1 米ドル未満の価格にヘッジされたが、これは 2022 年の平均価格である
1バレル当たり 89.2 米ドルを下回ったため、同プログラムは 2022 年に石油収入の減少を相殺するために必
要ではなかった。
(ii) 税制および税収
メキシコの連邦税体系には、主として所得税の形態による直接税ならびに主として付加価値税
( Impuesto al Valor Agregado 、以下「 VAT 」という。)および消費税(生産・サービス特別税
( Impuesto Especial Sobre Producción y Servicios 、以下「 IEPS 」という。)など)の形態による間接
税の双方がある。メキシコの VAT は2つの固定税率で課されており、北部国境自由貿易地域では8%、そ
の他の地域では 16 %の定率で課税される。 VAT は、製造・流通チェーンを通じて消費者の購入価格の一部
に転嫁される。 2020 年 12 月 30 日、8%の VAT と北部国境自由貿易地域において負担された所得税の3分の
1に相当する税額控除の双方の有効性を 2024 年まで延長する大統領令が公表された。同日、別の大統領令
によって、8%の VAT と南部国境の一部自治体において負担された所得税の3分の1に相当する税額控除
も 2024 年まで延長された。
所得税は個人と法人の双方に対して課税される。個人所得税は累進課税であり、年収に対して査定され
る。所得税法に従って、 11 の税区分に分けられている。個人所得税について4つの高率区分は、 (1) 年収
が約 510,451 ペソないし 974,535 ペソの個人に対する適用税率は 30 %、 (2) 年収が 974,535 ペソを超え、 1.29
百万ペソ以内の個人に対する適用税率は 32 %、 (3) 年収が 1.29 百万ペソを超え、 3.8 百万ペソ以内の個人に
対する適用税率は 34 %、 (4) 年収が 3.8 百万ペソを超える個人に対する適用税率は 35 %である。所得税法第
9条に従って、 2022 年の法人所得税率は 30 %であった。
メキシコでは、特定の限定された支払利息にもまた源泉徴収税が課される。メキシコ企業がメキシコ非
居住者に支払う利息の源泉徴収税は、一般的に 30 %の税率で課税される。外国金融機関に対する支払利息
にかかる源泉徴収税は 4.9 %の税率で課税される。ただし、金融機関は、二重課税を回避するためのメキ
シコとの二国間租税条約締結国の居住者であること等を条件とする。金融機関がかかる要件を満たさない
場合には、適用源泉徴収税率は 10 %となる。ファイナンス・リースにかかる支払の利息部分には 15 %の源
泉徴収税が課される。
メキシコの各州は、1%から3%の範囲で給与にも課税する。また、雇用主は給与の5%相当額を住宅
基金に、2%相当額を従業員退職基金に拠出しなければならない。不動産の譲渡には不動産価格の2%か
ら5%の範囲の税率で譲渡税が適用される。
二重課税を回避し、納税者により大きな法的確実性をもたらすために多国籍企業の課税を調整するた
め、メキシコの税務当局( Servicio de Administración Tributaria 、以下「 SAT 」という。)および米国
の内国歳入庁には、マキラドーラ産業における所得税移転価格にかかる合意された標準的な査定方法があ
る。この標準的な移転価格の査定方法の利用を希望する企業は、これを選択しなければならない。
30 年近くにわたり、メキシコは、二重課税を回避するため、 92 を超える国との間で二国間租税条約を交
渉してきた。メキシコは、 2016 年税源浸食と利益移転防止のための租税条約関連措置の実施に係る多国間
協定の署名国である。この協定の締結国は、税源浸食と利益移転( BEPS )プロジェクトの一環として展開
される租税条約措置の速やかな実施を可能にするため、現行の二重課税回避条約を修正することに合意し
た。同プロジェクトは、税制の差異を利用した税務計画戦略を防止することを目指す 100 を超える国と法
域を対象とする枠組みである。 2022 年 11 月 22 日、協定の承認が官報に掲載された。。
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2017 年 10 月 14 日、太平洋同盟の当事者は、二重課税防止協定に定める租税措置承認の協定(二重課税防
止協定)に調印した。二重課税防止協定の目的は、投資家が地域の資本市場に参加し、より多くの投資の
選択肢を利用することを奨励することである。年金基金は二重課税防止協定により居住者として認められ
て いるため、二重課税回避のための現行の二国間協定の対象となる。二重課税防止協定はまた、太平洋同
盟を形成するいずれかの法域におけるかかる年金基金の投資により生じるキャピタル・ゲインに適用ある
所得税に 10 %の上限を設定している。二重課税防止協定は上院により承認され、 2018 年に施行された。
2018 年、メキシコはまた、ジャマイカ、サウジアラビア王国およびフィリピン共和国との間の二重課税
の回避および脱税の防止のための条約を公表した。 2019 年5月、政府はコスタリカとの間で同様の条約を
締結した。
2017 年、ガソリンおよびディーゼルにかかる価格統制が規制緩和され、市場の力に従って価格を設定す
ることが認められた。参照燃料価格および為替レートの変動を緩和するため、財務省は、石油市場の変化
に対応して当初 2015 年に制定されたガソリン、ディーゼルおよび非化石燃料の輸入業者および販売業者に
対する週単位の刺激策(これは当初 2015 年に石油市場の変化に対応して実施された。)を実施した。この
刺激策は、制定されて以降数回にわたって大統領令により更新されており、最近では 2020 年 12 月 30 日に更
新され、 2024 年まで延長された。同じ大統領令に、エネルギー規制委員会によってメキシコと米国の国境
付近で一般市民に石油を販売することを認められたガソリン・スタンド営業許可証保有者のための関連す
る刺激策も含まれていた。北部国境に対するこの刺激策によって、この地域の価格と米国の近隣都市の石
油価格との部分的な調和が可能になっている。
2022 年3月4日、 2024 年 12 月 31 日に終了する自動車用燃料の既に確立された刺激策に対する補完的な税
制優遇措置を確立する政令が官報に掲載された。この政令は、財政刺激策の目的に矛盾する為替レートの
変動や国際的な燃料・原油価格の上昇による影響を相殺する上で役立つ。
2019 年 12 月9日、税制改革令によりメキシコの税法の一部が改正、補足された。所得税法が改正され、
とりわけ、 (1) 一定の支払利息の損金算入が制限され、 (2) eコマースにより得られた所得に課税がなさ
れ、 (3) メキシコ国内において活動する外国人にかかる課税永住権の定義が拡大され、 (4) メキシコ居住者
によるメキシコ非居住者関連当事者への支払が優遇税制の対象となっている場合に、かかる支払の控除が
制限され、 (5) 外国のフロースルー事業体が課税対象となり、 (6) リース用不動産の建設または取得に対す
る税制上の優遇措置が上場 FIBRAS (メキシコの不動産投資信託)のみに適用され、 (7) 障碍者を雇用する
雇用主に対して所得税の 25 %追加軽減が認められた。
付加価値税法も改正され、とりわけ、 (1) メキシコ国内に恒久的施設を持たない外国人居住者によりメ
キシコ国内において提供されるすべてのデジタル・サービスに対して VAT が課され、 (2) 非営利団体による
販売、サービスおよびリースに対する VAT が免除され、 (3) デジタル輸送サービス・プラットフォームを通
じた私的利用車両のプロバイダーに VAT が課され、 (4) 外注サービス事業にかかる適用 VAT が6%に制限さ
れた。
また、生産・サービス特別税法( Ley del Impuesto Especial Sobre Producción y Servicios )が改正
され、とりわけ、タバコ製品および清涼飲料水にかかる IEPS 税率が更新された。
税制改革令により連邦財政法も改正され、とりわけ、 (1) 税務当局はビジネス上の根拠のない取引の監
査中に税務上の特典をもたらす特定の活動を課税対象として再分類することができ、 (2) 納税者と税務当
局との間のコミュニケーションを改善するための一定の手続きが整備され、 (3) 税務顧問または納税者に
報告義務が課され、 (4) 税務上の特典を得る目的での請求書の販売を回避する取組みの一環として一定の
限られた状況においてある会社のパートナーまたは株主に共同税負担が課された。
2020 年 12 月8日、税務当局の監査、レビューおよび統制の権限を強化し、納税者の不適切な慣行を妨げ
るため、連邦財政法がさらに改正された。この改正には、 (1) 税務当局がその権限を行使する様々な期間
の延長、 (2) 特定の納税義務を確認するための追加的推測、 (3) 一定の不遵守の場合における新たな制裁、
(4) 納税者とのより深いコミュニケーション、および (5) 税務当局に一定の通知を行う納税者の新たな義務
などが含まれる。
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メキシコ合衆国(E06002)
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SAT は、 2022 年の税収が 2022 年歳入法において予定されていた 3.94 十億ペソを 3.3 %下回る 3.81 十億ペソ
となったことを報告した。
以下の表は、 2018 年および 2022 年における税収の内訳を示したものである。
税収の内訳
( 2018 年および 2022 年)
2018 年 2022 年
所得税 54 % 60 %
付加価値税 30 32
消費税 11 3
輸入関税 2 2
輸出関税 0 0
2 3
その他
100 % 100 %
出典: 財務省
地方政府は、宿泊サービスおよび自動車所有に対して(1台目に対する連邦税に加えて)課税すること
を認められている。さらに地方政府は、アルコール飲料を販売する小売業者に現地の営業免許の取得を義
務づけることができる。その他、消費税収の一定の割合が直接、州に分配されている。
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歳出
暫定値によると、 2022 年の予算歳出は、 2021 年と比較してそれぞれ名目ベースで次のように増加した:
(1) 公的部門予算上の正味歳出は 12.1 %の増加、 (2) 予算上の計画による正味公的部門歳出(ペメックスに
よる物理的投資を除く。)は 10.0 %の増加、 (3) 予算上の計画による支払済み正味歳出は 10.7 %の増加、
(4) 予算上の計画によらない支払済み正味歳出は 16.8 %の増加、 (5) 公的部門債務の資金調達コストは
18.7 %の増加、ならびに (6) 経済および社会開発にかかる公的部門歳出はそれぞれ 9.8 %および 12.4 %の増
加。
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以下の表は、 2018 年- 2022 年の会計年度にかかる公的部門予算歳出の内訳ならびに 2023 年予算に盛り込
まれた歳出予定を示したものである。この表には、ペメックス、 CFE 、 IMSS および ISSSTE といった各種公
的機関の予算歳出も含まれている。
公的部門予算歳出
2023 年予算
(1)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(単位:十億恒常 ペソ )
予算歳出 5,589.4 5,792.6 5,995.0 6,735.8 7,554.1 8,257.6
経常歳出 4,866.1 5,061.5 5,203.2 5,573.6 6,276.9 7,109.9
給与 801.1 799.0 865.7 902.0 950.1 1,061.3
連邦政府 327.2 314.2 343.9 354.0 372.4 449.5
政府機関 473.9 484.8 521.9 547.2 577.6 611.9
ペメックス 148.6 144.2 152.7 156.8 161.0 180.0
CFE 95.9 99.8 105.7 108.3 116.1 121.6
IMSS 186.4 196.9 217.6 232.8 249.3 253.0
ISSSTE 43.0 44.0 45.9 50.1 51.1 57.3
利息 615.0 666.5 686.1 686.7 815.2 1,079.1
連邦政府 467.1 525.6 565.6 524.7 669.8 895.2
政府機関 147.9 140.9 120.5 161.9 145.4 183.9
ペメックス 122.1 115.8 97.0 142.1 132.4 148.1
CFE 25.9 25.0 23.5 19.9 13.1 35.8
IMSS 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
ISSSTE 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
経常移転、純額 1,199.5 1,278.0 1,348.4 1,447.2 1,607.9 1,1840.3
合計 1,886.9 2,031.0 2,158.1 2,325.5 2,600.0 2,953.1
公的部門 687.5 753.0 809.6 878.3 992.2 1,112.8
州への歳入分配 844.0 879.0 843.5 917.2 1,062.4 1,220.3
取得 365.5 364.7 323.4 389.1 454.9 318.5
連邦政府 27.2 25.0 25.7 32.5 37.6 41.5
政府機関 338.3 339.7 297.7 356.6 417.3 277.0
ペメックス 5.8 4.1 4.9 6.6 8.7 11.2
CFE 258.1 257.7 205.2 261.9 311.8 170.7
IMSS 59.7 60.2 66.0 77.5 78.1 78.2
ISSSTE 14.7 17.7 21.6 10.6 18.7 16.8
その他の経常歳出 1,040.9 1,074.3 1,136.0 1,224.9 1,386.3 1,590.4
連邦政府 272.8 203.8 184.7 196.4 196.0 279.3
政府機関 768.1 870.5 951.3 1,028.5 1,190.4 1,311.2
ペメックス 40.7 36.2 32.2 29.7 34.5 46.3
CFE 70.5 71.2 101.2 93.9 101.4 89.0
IMSS 426.4 484.8 527.4 598.6 718.9 819.9
ISSSTE 230.5 278.2 290.5 306.4 335.6 355.9
資本的支出 723.2 731.1 791.8 1,168.8 1,277.3 1,189.8
連邦政府 509.3 485.3 517.8 747.7 795.2 666.9
政府機関 213.9 245.8 274.0 421.1 482.1 522.9
ペメックス 181.3 196.2 231.6 391.6 466.6 440.9
CFE 21.8 44.0 31.9 25.9 (0.6) 58.5
IMSS 9.7 4.5 7.7 3.0 8.3 14.6
ISSSTE 1.3 1.1 2.8 0.7 7.8 9.0
過年度支払債務 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 (42.0)
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 2023 年予算の数値は、 2023 年総合経済政策ガイドラインおよび 2023 年経済計画に盛り込まれた経済の前提に基
づく予算上の見積りを示している。これらの数値は、当該年の実績または更新されたメキシコの 2023 年の経済
業績予測を反映するものではない。予算見積りは、 2022 年 12 月現在見積もられた 2023 年についての GDP デフ
レーターを用いて恒常ペソに転換されている。
出典: 財務省
2022 年、教育、医療および社会保障といった社会開発プログラムにかかる支出は合計 3,453.5 十億ペソ
(計画による歳出全体の 60.9 %)に達し、経済発展にかかる支出は合計 1,752.0 十億ペソ(計画による歳
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出全体の 30.9 %)であった。暫定値によると、農業、林業、漁業および狩猟業にかかる支出合計は、 2021
年の 51.9 十億ペソに対して、名目ベースで合計 62.6 十億ペソであった。住宅および地域開発にかかる支出
は、 2021 年の 256.0 十億ペソに対して名目ベースで合計 277.2 十億ペソであった。
政府は、歳入のボラティリティを小さくすることを目的としたいくつかの安定化基金を創設している。
2022 年 12 月 31 日現在、予算歳入安定化基金および連邦法人歳入安定化基金( Fondo de Estabilización de
los Ingresos de las Entidades Federativas 、以下「 FEIEF 」という。)は、それぞれ 25.98 十億ペソおよ
び 21.85 十億ペソであった。
2018 年から 2022 年までの間に、政府債の返済に向けられたメキシコの歳出は、名目ペソ建で 32.5 %、年
平均 7.5 %増加してきた。この増加は、主として金利の上昇によるものである。特に、 2021 年から 2022 年
にかけては、主として金利が上昇した結果、政府債の返済に向けられたメキシコの歳出は 18.7 %増加し
て、 815.2 十億ペソとなった。
医療および労働、教育、ならびにその他社会福祉に関する歳出
政府は、国内の社会サービスおよび福祉プログラムの大部分について運営にあたっている。政府は、主
に経常歳入を財源にして社会サービス・プログラムに直接資金を提供しているほか、別の収入源を有する
社会福祉機関にも資金を割当てている。暫定値によると、 2022 年の政府の主な社会福祉支出は、医療、社
会保障、教育およびエネルギーについて利用された。
(i) 医療および労働
政府は、 2022 年に医療および労働部門に 785.3 十億名目ペソ(計画による歳出全体の 13.8 %)を支出し
た。主要な社会保障機関としては、 IMSS 、 ISSSTE および生活保護支援国営宝くじ制度( Lotería Nacional
para la Asistencia Pública )が挙げられる。これらの事業体が提供するプログラムには、医療・病院関
連サービス、健康・出産保険および予防衛生サービスなどがある。政府は、より多くの国民に医療サービ
スを提供するため、各種公的機関の活動を調整し、全国医療サービス制度を組織している。
2020 年5月8日の憲法改正により、社会保障を利用できない国民のために量的および質的なサービスを
保証するため、国民健康保険制度が確立された。
2020-2024 年メキシコ社会保険庁制度的プログラム( Programa Institucional del Instituto Mexicano
del Seguro Social 2020-2024 、以下「 PIIMSS 」という。)の運用規則が 2021 年 12 月 24 日に官報に掲載さ
れ、 2022 年1月1日に効力を生じた。 IMSS の福祉プログラムを通じて、政府は農村および周縁化された都
市部に居住する 11.6 百万人に対して医療サービスを提供することを目的としている。 2022 年末までに、9
つの州(ナヤリット、トラスカラ、コリマ、ソノラ、シナロア、バハ・カリフォルニア・スル、ベラクル
ス、ゲレーロおよびカンペチェ)がこのプログラムに組み込まれた。 2022 年 12 月 28 日、 IMSS の 2023 年度福
祉プログラムが官報に掲載された。
福祉のための戦略的プログラム( Programa Estratégico de Salud para el Bienestar )が 2022 年9月
7日に官報に掲載された。このプログラムは、社会保障のない人々の医療を保証し、医療サービスと医療
提供者の質を高め、医療インフラを改善するために、保健省( Secretaría de Salud )と福祉医療制度
( Sistema de Salud para el Bienestar )の業務を強化、拡大、統合、組織化することを目的としてい
る。
(ii) 教育
政府は、財源の多くを教育と職業訓練に割いている。 2022 年、政府は教育に 836.4 十億名目ペソ(また
は計画による歳出全体の 14.7 %)を支出した。 18 歳未満の国民、特に極貧層の国民に学習の継続を奨励す
るため、政府は、ベニート・フアレス国民福祉奨学金プログラム( El Programa Nacional de Becas para
el Bienestar Benito Juárez )を創設し、これまで大学で学ぶ機会がなかった人口密度の高い地域におい
て学位を授与する高等教育センターであるベニート・フアレス・ガルシア福祉大学( Universidades para
el Bienestar Benito Juárez García )を設立した。 2022 年には、このプログラムの恩恵を受ける 44,300
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校の基礎教育学校の 74 %がこのプログラムからの割当て資源を利用し、 5.8 百万人を超える中等教育の学
生と 546,000 人の高等教育の学生が奨学金の恩恵を受けた。
世界銀行が公表したところのユネスコ統計研究所によると、 2020 年におけるメキシコの 15 歳以上の国民
の識字率は約 95.2 %であった。
メキシコの教育制度の構成は「教育連邦主義」の概念に基づいており、教育については連邦政府と州政
府がともに責任を負うというのが前提になっている。
2019 年5月 15 日付で効力を生じた教育制度に関する憲法改正により、連邦、州および地方自治体レベル
を含む政府は、初等教育(6歳まで)および高等教育(大学レベル)を提供し、保証することが定められ
ている。またこの改革により、包括的な研修および診断評価システムを利用する教師の権利も確立され
た。この改革は、国家教育評価制度( Instituto Nacional para la Evaluación de la Educación )を国
家継続的教育改善システム( Sistema Nacional de Mejora Continua de la Educación )に代えるもの
で、運営および予算上の自治権を有する分権的公的機関により調整される予定である。
2019 年5月の教育改革を受けて、 2019 年9月 30 日、教育基本法( Ley General de Educación )、教育の
継続的改善に関するメキシコ合衆国政治憲法第3条の規制法( Ley Reglamentaria del Artículo 3o de
la Constitución Política de los Estados Unidos Mexicanos, en materia de Mejora Continua de la
Educación )および教師・教員のキャリアに関する一般制度法( Ley General del Sistema para la
Carrera de las Maestras y los Maestros )を含む複数の新法が効力を生じた。これらの法律は、教育の
受け易さ、教育制度の改善ならびに教師の支援および研修などを目的としている。 2021 年4月 20 日、高等
教育一般法( Ley General de Educación Superior )が施行され、高等教育に対する市民の権利を保証す
る政府の義務、ならびに政府の支出およびプログラミングによるものを含む高等教育の評価および改善に
ついてより明確な基準が設けられた。
上述した 2020 年5月8日の憲法改正により、貧困家庭出身の学生に対する教育を受ける権利の保証に重
点が置かれた奨学金制度も公教育制度に設けられた。
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(iii) その他
政府は、メキシコの低所得者の生活状況を改善し、かつ不動産・住宅ローンの利用提供を行うため、
1972 年に INFONAVIT を設立した。 INFONAVIT は、メキシコの全雇用主による拠出金で支えられており、その
額は給与支払額合計の約5%に相当する。 2022 年、 INFONAVIT は住宅の購入、建設、補修向けに約 359,849
件の融資を提供した。これに対し、 2021 年には約 530,525 件の融資を提供した。 INFONAVIT に関する詳細に
ついては「 (2) 経済-⑥ 社会保障制度-年金および住宅基金- (ii) INFONAVIT 」を参照のこと。
⑤ 政府関係機関および公社
以下の表は、金融部門以外の主要な各政府機関および公社について、その主たる業務、政府保有比率、
規模(直近会計年度末現在の総資産に基づく)および公的部門プライマリー・バランスに対する純拠出額
または支出額を示したものである。政府は、これらの機関の未償還の債務を保証していない。
(1)
2022 年 12 月 31 日現在の主な政府機関、生産的国有企業および公社
プライマリー・バ
ランスに対する純
拠出額または支出
政府保有
(2)
政府機関 / 公社 主たる業務 比率 総資産 額
(単位:百万米ドル)
ペメックス 原油および派 100.0 % 111,652.9 5,603.0
生品の生産、
精製および流
通
CFE 電力の生産お 100.0 % 119,716.5 (1,089.7)
よび販売
(3)
有料高速道路 100.0 % 214.9 17.7
連邦道路橋梁
の運営
空港および空港関連サービス 空港サービス 100.0 % 2,565.1 61.5
(3)
(1) 公的部門事業体に適用あるメキシコの財務報告基準に従って計算された財務データ。かかる基準は、米
国において一般に認められた会計基準および国際財務報告基準とは重要な点で異なる。したがって、
データは、本書において別途示されたメキシコの財務報告基準に従って計算された財務データとは比較
できないことがある。
(2) 政府移転後、利息支払控除後の剰余金。
(3) 国庫局への振替前の一次剰余金。
出典: 財務省
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(6) 【公債】
① 概要
メキシコのすべての公的債務借入は、連邦公債法( Ley Federal de Deuda Pública )またはその他特定
の法律(生産的国有企業の場合)に従って授権されまたは契約される。
連邦公債法に基づき、歳入法に盛込まれる公的借入計画は、毎年議会に提出してその承認を得なければ
ならない。これが承認されると、行政府は財務省を通じて上記議会承認のパラメーターの範囲内で資金調
達プログラムを策定する。
連邦公債法により、大統領は、 (1) 議会に対して年次決算を提出し歳入法を提案する際に政府および予算
管理対象機関の債務状況を毎年報告すること、ならびに (2) かかる債務状況を四半期ごとに議会に報告する
ことも要求されている。「 (5) 財政-① 概要-予算編成」を参照のこと。
連邦公債法は、政府省庁が財務省を通じてのみ債務を負担することができる旨を規定している。なお、
予算管理対象機関および運営管理対象機関は、財務省の承認を取得した後、対外債務を負担することがで
きる。 2014 年8月のエネルギー改革の二次法令に従って、ペメックスおよび CFE はもはや対外債務を負担す
るために財務省の承認を得る必要はないが、適用ある歳入法において設定された上限を超えて債務を負担
することはできない。エネルギー改革の詳細については、「 (2) 経済-⑦経済の主要部門- (b) 石油および
石油化学」を参照のこと。
② 公債の分類
メキシコは、公債の分類にあたって、 (1) 公的部門の借入所要額の残高履歴、 (2) 公的部門債務および (3)
政府債務という3つの尺度を用いている。
公的部門の借入所要額の残高履歴は、最も広い範囲を対象とする尺度であり、公的機関および政府に代
わって行為する民間事業体の双方が公共政策の目的実現のために負担した対内債務および対外債務の純額
を把握するものである。これには、予算上の公的部門負債ならびに PIDIREGAS および債務者の支援プログラ
ムに関連した IPAB および FONADIN の債務、ならびに公的部門の借入所要額の年次推移を反映するものとし
て、提供された貸出および減債基金を含む利用可能な金融資産を減額した開発銀行および開発基金の予想
損益が含まれる。
次に広い範囲を対象とする尺度は「公的部門債務」であり、 (1) 政府、 (2) 生産的国有企業、 (3) 予算管理
対象機関および (4) 運営管理対象機関が負担した短期および長期の債務をいう。政府が保証する民間部門の
債務は、政府がかかる保証に基づく支払の履行を請求されるまでは、公的部門債務に含まれない。公的部
門債務は、対内債務または対外債務のいずれかに分類することができる。「公的部門対内債務」には、政
府、開発銀行およびその他の公企業が直接負担した債務の対内部分が含まれる。「公的部門対外債務」
は、政府が直接負担した長期債務の対外部分、予算管理対象機関および生産的国有企業が負担した対外長
期債務、運営管理対象機関(国立の開発銀行を含むがこれらに限定されない。)が直接負担したかもしく
は保証した対外長期債務ならびに公的部門の短期対外債務からなる。公的部門対外債務には、とりわけ IMF
に対するメキシコ中央銀行の買戻し債務( 2022 年 12 月 31 日現在残高はない。)は含まれない。下記「公的
部門の正味対外債務」および「公的部門対外債務合計の償還スケジュール」の表の脚注 (1) および下記「政
府正味債務」の表の脚注 (3) を参照のこと。
「政府債務」は、メキシコの公債の最も狭い尺度であり、連邦の立法府および司法府、連邦行政府の省
庁および憲法上の自治機関が負担した債務ならびにかつて連邦公共行政の一部であったが、後に憲法上の
自治機関に転換された組織が契約した債務からなる。公的部門債務と同様、政府債務は対内債務または対
外債務のいずれかに分類することができる。「対内政府債務」には政府債務の対内部分が含まれ、政府短
期証券および新規発行入札(一次入札)により一般に売却されたその他の有価証券からなる。対内政府債
務には、マネー・サプライ規制( Regulación Monetaria )に利用するためにメキシコ中央銀行に割当てら
れる債務は含まれない。また、予算管理対象機関または運営管理対象機関の債務も含まれない。 2022 年 12
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月 31 日現在、対内政府債務はすべてペソ建かつペソ払いであった。「対外政府債務」には、政府債務の対
外部分が含まれている。
本「 (6) 公債」において、「長期債務」とは、その満期が発行日から1年以上である債務を指し、「短期
債務」とは、その満期が発行日より1年未満である債務を指す。対内債務および対外債務の双方を対象と
している公的部門の借入所要額の残高履歴を除き、公的部門債務および政府債務は本項において対内債務
および対外債務のカテゴリーで表示される。
③ 公的 部門の借入所要額の残高履歴
以下の表は、表示日現在における公的部門の借入所要額の残高履歴の対 GDP 比を示したものである。
公的部門の借入所要額の残高履歴
12 月 31 日現在
(1) (1)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(対 GDP 比)
公的部門の借入所要額の残高履
(2)
歴 44.9 % 44.5 % 51.6 % 50.7 % 49.4 %
(1) 暫定値。
(2) 公的部門の借入所要額の残高履歴は、公的機関および政府に代わって行為する民間事業体の双方が公共政
策の目的実現のために負担した債務の純額を表すものである。これには、公的部門の借入所要額の年次推
移を反映するものとして、未払債務から提供された貸出および減債基金を含む利用可能な金融資産を減額
したものが含まれる。公的部門の借入所要額の残高履歴には、予算上の公的部門負債純額ならびに
PIDIREGAS および債務者の支援プログラムに関連した IPAB および FONADIN の債務純額、ならびに公的部門の
借入所要額の年次推移を反映するものとして、提供された貸出および減債基金を含む利用可能な金融資産
を減額した開発銀行および開発基金の予想損益が含まれる。
出典:財務省
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④ 対内債務
公的部門対内債務
2022 年予算では、それぞれ 27.2 十億ペソおよび 4.1 十億ペソを上限とする正味対内債務の負担を認められ
ているペメックスおよび CFE といった公的部門の事業体による対内債務の発行が予定されていた。
以下の表は、 各表示日現在における公的部門の対内債務総額および正味対内債務を要約したものであ
る。
公的部門の対内債務総額および正味対内債務
12 月 31 日現在
(1) (1)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(単位:百分比を除き、十億ペソ)
7,036.3 7,570.6 7,979.4 8,927.7 10,012.0
債務総額
期間別
長期 6,463.9 6,885.3 7,404.3 8,354.6 9,671.6
短期 572.3 685.4 575.1 573.2 340.4
債務者別
連邦政府 6,429.3 6,955.4 7,461.2 8,334.5 9,395.2
生産的国有企業
( ペメックスおよび
CFE) 378.1 369.7 287.4 306.1 321.3
開発銀行 228.9 245.5 230.8 287.1 295.5
168.7 382.2 380.6 381.9 185.6
金融資産
6,867.6 7,188.5 7,598.8 8,545.8 9,826.4
正味債務合計
対内債務総額 /GDP 29.9 % 31.0 % 34.1 % 34.6 % 35.2 %
(2)
正味対内債務 /GDP 29.2 % 29.4 % 32.4 % 33.1 % 34.5 %
(1) 暫定値。
(2) 「正味対内債務」は、表示期末現在政府が直接負担していた対内債務であり、これには、メキシコ中央銀
行の一般勘定残高およびメキシコの退職貯蓄制度の資産が含まれる。正味対内債務には、予算管理対象機
関および運営管理対象機関の債務または政府が保証する債務は含まれない。また、「正味対内債務」は、
新規発行入札(一次入札)により一般に売却された政府短期証券およびその他の有価証券からなるが、マ
ネー・サプライ規制( Regulación Monetaria )に利用するためにメキシコ中央銀行に割当てられる債務は
含まれない。これは、マネー・サプライ規制に基づくメキシコ中央銀行による債務の売却が政府の対内債
務の全体的な水準を押上げるものではないためである。メキシコ中央銀行が流通市場において売却した割
当債務で、政府に支払のため提示されたものについては、メキシコ中央銀行はこれをメキシコ政府に弁済
しなければならない。ただし、メキシコ中央銀行が割当債務の大量売却を流通市場で実施する場合、その
結果政府の対内債務残高が、その正味対内債務残高を上回る可能性がある。
2022 年 12 月 31 日現在、公的部門の正味対内債務は合計 9,826.4 十億ペソで、これは名目ベースで2021年 12
月 31 日現在の公的部門の正味対内債務残高より 15.0 %の増加であった。公的部門の対内債務総額は合計
10,012.0十億ペソで、これは名目ベースで2021年12月31日現在の公的部門の対内債務総額残高より12.1%
の増加であった。
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対内政府債務
政府は、債務の平均満期を積極的に延ばそうとしている。よって、政府は過去 20 年間にわたって、より
期間の長い新しい債務商品を発行してきた。それにより、政府は対内政府債務の借換え関連リスクを緩和
することを望んでいる。こうした実務慣行により、長期のベンチマーク・イールドカーブを形成すること
ができた。また、これらの発行により、 (1) 固定利付契約、(2) メキシコ企業のペソ建証券、(3) メキシ
コの金融ヘッジ商品および(4) 長期貯蓄により資金手当てされる長期投資プロジェクト、などの分野で長
期的な投資が奨励された。
この債務政策の結果、政府の対内債務の平均満期は、2021年12月31日現在の平均7.3年から2022年12月31
日現在には7.8年に延長した。
政府はまた、国内金融市場の安定化を図るため、債務の平均満期を管理する上での柔軟性を保ってい
る。
対内政府債務について、政府は現在、 (1)28 日物、 91 日物、 182 日物および 364 日物の政府短期証券、 (2)
3年、 10 年および 30 年満期の UDI 建証券、 (3) 3年、5年、 10 年、 20 年および 30 年満期の固定利付ペソ建債
券、 (4) 5年物変動利付債券、 (5) 1年、2年、3年および5年満期の銀行間調達金利連動債券(以下
「 BONDES F 」という。)、 (6) 持続可能な開発目標に沿った可変利付ソブリン債券(以下「 BONDES G 」とい
う。)ならびに (7) 3年、5年および7年満期の貯蓄保護債券(以下「 BPAG28 」、「 BPAG 91 」および
「 BPA182 」といい、合わせて「 BPAS 」という。)の証券の募集を行っている。
政府は、 2022 年5月2日、自国市場で初のペソ建 BONDES G を発行することを発表した。 BONDES G は新た
なリスクフリー参照レートである翌日物 TIIE 調達金利に連動しており、持続可能な金融モデルをさらに発
展させ、金融包摂を促進し、個人投資家がインパクト・ファイナンスに参加できるようにするために政府
によって創設された。
政府は、 2021 年 10 月5日、 BONDES F 変動利付債券の創設を発表した。 BONDES F 変動利付債券は、 新しい
リスクフリーの参照レートである翌日物 TIIE 調達金利に連動しており、メキシコ中央銀行は、最近の指標
金利改革に関連した国際基準に準拠するため、この金利を創設した。 政府は、新しい参照レートに連動し
た債務証券のための市場をさらに発展させるため BONDES F 変動利付債券を創設した。かかる目的に沿っ
て、財務省は、流動性を高めるため、政府の財務代理人としてメキシコ中央銀行が公表する予定の BONDES
F 変動利付債券のスワップ取引を通じた BONDES D の早期清算を奨励することにしている。
IPAB は、プライマリー・オークションを通じて週次発行を行った。 BPAG28 および BPAG91 の発行および割
当ては、 2021 年 12 月9日以降、 Cetesdirecto の プラットフォームを通じて非競争的割当てで実行されてお
り、 BPA182 は 2022 年8月 25 日にこのプラットフォームに追加された。これらの債券は、 銀行預金保険機構
( Instituto para la Protección al Ahorro Bancario ) によって発行され、7年 満期、期首に 182 日物政
府短期証券の利率とその期間の累積インフレ率の上限によって半年ごとに決定される可変利付である。
2016 年 10 月 28 日、メキシコの独占禁止法規制当局である COFECE は、価格を操作し、需給について制限を
課し、市場を操作し、またはメキシコ政府が発行した債務証券の金融仲介機関において情報交換を行うこ
とについて談合が行われた可能性があるとして調査を開始した。 2017 年4月、 COFECE は、この市場におけ
る反競争的行為の証拠が明らかにされたと発表した。 2019 年 10 月、 COFECE は、操作的かつ独占的な慣行に
責任を負っていた可能性のあるさまざまな経済主体を召喚し、それらに対する告発に関連する証拠を提示
した。 COFECE は、 2021 年1月 14 日に調査を終了し、銀行7行とトレーダー 11 人が不正とされる行為に関与
したとの証拠を発見し、これら関係者に 35,075,000 ペソの罰金を科した。
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以下の表は、各表示日現在における政府の正味対内債務を要約したものである。
(1)
政府の対内債務総額および正味対内債務
12 月 31 日現在
(2) (2)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(単位:百分比を除き、十億ペソ)
債務総
額
政府債
券 5,837.0 90.8 % 6,399.6 92.0 % 7,008.3 93.9 % 7,878.5 94.5 % 8,925.4 95.0 %
政府
短期
証券 734.5 11.4 % 802.6 11.5 % 979.0 13.1 % 1,072.3 12.9 % 813.0 8.7 %
変動
14.5 %
1,205.1 1,766.5
利付
(3)
(3) (3) (3)
債券 548.2 8.5 % 642.1 9.2 % 804.5 10.8 % 18.8 %
イン
フレ
連動
債券 1,656.0 25.8 % 1,737.8 25.0 % 1,802.2 24.2 % 2,235.5 26.8 % 2,623.9 27.9 %
固定
利付
債券 2,890.3 45.0 % 3,209.1 46.1 % 3,414.4 45.8 % 3,356.9 40.3 % 3,712.6 39.5 %
UDI 債
の元
本分
離債 7.9 0.1 % 8.0 0.1 % 8.2 0.1 % 8.7 0.1 % 9.3 0.1 %
その他
(4)
592.4 9.2 % 555.8 8.0 % 452.9 6.1 % 456.0 5.5 % 469.8 5.0 %
債務総
6,429.3 100.0 % 6,955.4 100.0 % 7,461.2 100.0 % 8,334.5 100.0 % 9,395.2 100.0 %
額合計
正味債
務
金融資
(5)
225.7 292.6 304.3 260.1 133.4
産
正味債
6,203.6 6,662.8 7,156.9 8,074.4 9,261.8
務合計
対内債
務総額
の対
GDP 比 27.3 % 28.5 % 31.8 % 32.3 % 33.0 %
正味対
内債務
の対
GDP 比 26.4 % 27.3 % 30.6 % 31.3 % 32.5 %
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 対内債務の数値には、メキシコ中央銀行がマネー・サプライ規制に従って流動性水準を管理するために公開
市場操作によって売却した証券は含まれない。かかる公開市場操作は、この証券が政府の対内債務の全体的
な水準を押上げるものではないためである。メキシコ中央銀行が流通市場に売却した割当債務で、政府に支
払のため提示されたものについては、メキシコ中央銀行がメキシコ政府に弁済しなければならない。ただ
し、メキシコ中央銀行が割当債務の大量売却を流通市場で実施する場合、この規制の結果、対内債務残高の
水準が正味対内債務についての政府の数値に比べて高くなる可能性がある。
(2) 暫定値。
(3) 翌日物 TIIE 調達金利に連動した BONDES F および BONDES G 変動利付債券に関する数値。
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(4) 2018 年、 2019 年、 2020 年、 2021 年および 2022 年の 12 月 31 日現在の債務額には、それぞれ 141.8 十億ペソ、
134.3 十億ペソ、 126.5 十億ペソ、 122.9 十億ペソおよび 118.1 十億ペソの ISSSTE 法に基づく社会保障関連の負
債が含まれている。
(5) メキシコ中央銀行における連邦の一般会計国庫のペソ建正味残高を含む。
出典: 財務省
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2022 年 12 月 31 日現在、政府の正味対内債務は、 2021 年 12 月 31 日現在の政府の正味対内債務と比較して名
目ベースで 14.7 %の増加であった。この金額には、 ISSSTE 法に基づく社会保障関連の負債 118.1 十億ペソが
含まれている。
2022 年 12 月 31 日現在、政府の対内債務総額は、 2021 年 12 月 31 日現在と比較して名目ベースで 12.7 %の増
加であった。 2022 年 12 月 31 日現在の政府の対内債務総額のうち、短期債務は 281.1 十億ペソ( 2021 年末は
511.5 十億ペソ)であり、長期債務は 9,114.1 十億ペソ( 2021 年末は 7,823.0 十億ペソ)であった。
2022 年における政府の対内債務の資金調達コストは、 2021 年の資金調達コストと比較して名目ベースで
29.5 %増加した。
2022 年予算では、 GDP の 0.0 %の予算黒字(社会的および経済的影響の大きい投資プロジェクトを除
く。)が予定されていた。また、 2022 年予算では、政府は 1,170 十億ペソを上限とする正味対内債務の新規
発行を認められていた。
2022 年 12 月 31 日現在、州および地方自治体が発行した債務で政府が保証したものはなかった。
⑤ 対外債務
公的部門対外債務
1990年以降、メキシコの公的部門の新規対外借入の大半は、証券市場で発行された負債証券である。た
だし、 1995 年のメキシコ金融危機の際、公的債権者および多国間機関の債権者がメキシコに多額の資金を
供給した。
過去数年の政府債務方針と輸出実績が相まって、公的部門対外債務の利払いが輸出総額に占める割合は
2018 年の 2.1 %から 2022 年には 1.9 %に低下した。 2022 年の公的部門対外債務調達費用は、 2021 年の 10.4 十
億米ドルに対して名目ベースで 4.4 %増となる 10.8 十億米であった。公的部門対外債務にかかる元本および
利息支払債務の GDP に占める割合は、 2021 年の 4.4 %に対して、 2022 年には 4.1 %であった。
2022 年の公的部門の正味対外債務の残高は、主として、 ( ⅰ ) 正味対外債務が 0.3 十億米ドル増加したこ
と、 ( ⅱ ) 対外債務に関連した公的部門の対外資産が 1.9 十億米ドル増加したこと、ならびに ( ⅲ ) 負債管理取
引および債務が契約された他通貨に対する米ドルの変動を反映して 4.1 十億米ドルのマイナスの調整が行わ
れたことによる。 暫定値によると、 2022 年 12 月 31 日現在、公的部門対外債務総額の残高は 217.8 十億米ドル
であり、 2021 年 12 月 31 日現在の残高 221.6 十億米ドルから約 3.8 十億米ドル減少した。このうち、 209.0 十億
米ドルは長期債務であり、 8.8 十億米ドルは短期債務であった。正味対外債務も 2022 年に 1.9 十億米ドル減
少した。
2022 年について、議会はペメックスに対して 1.86 十億米ドルを上限として、有価証券の発行およびソブ
リン債務の交換または借換えによるものも含む正味対外債務を負担することを承認したが、これに対して
2021 年にペメックスが負担を承認された正味対外債務の上限は1十億米ドルであった。 2022 年について、
議会は CFE に対して 794 百万米ドルを上限として正味対外債務を負担することを承認したが、これに対して
2021 年に CFE が負担を承認された正味対外債務の上限は 500 百万米ドルであった。
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以下の表は、政府および公的部門の債権者を含むメキシコの公的部門対外債務の債権者の内訳を示した
ものである。
公的部門の債権者( 2022 年 12 月 31 日現在)
債券の所有者 75.8 %
多国間および二国間の債権者 17.3 %
商業銀行および供給業者 6.8 %
0.1 %
その他の債権者
100.0 %
出典: 財務省
以下の表は、表示日現在におけるメキシコの公的部門対外債務の要約(その種類別内訳、通貨別内訳お
よび公的部門正味対外債務を含む。)を示したものである。
(1)
公的部門対外債務の種類別要約
(2)
12 月 31 日現在
(3) (3)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(単位:百万米ドル)
政府の長期直接債務 95,845.6 99,573.7 112,336.0 114,837.5 115,062.5
予算管理対象機関の長期
債務 94,391.2 93,035.7 97,108.9 91,121.5 87,367.3
(4)
7,967.8 8,360.5 8,106.4 7,339.1 6,580.3
その他の長期公債
長期債務合計 198,204.6 200,969.9 217,551.3 213,298.1 209,010.1
4,150.7 3,714.4 6,097.3 8,336.9 8,776.0
短期債務合計
長期債務および短期債務
202,355.3 204,684.3 223,648.6 221,635.0 217,786.1
の合計
公的部門対外債務の通貨別要約
(2)
12 月 31 日現在
(3) (3)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
( 単位:比率を除き、百万米ドル)
米ドル 152,597.3 75.4 % 147,115.4 71.9 % 166,745.2 74.6 % 167,850.0 75.7 % 165,251.1 75.9 %
日本円 8,064.0 4.0 % 9,737.0 4.8 % 8,174.5 3.7 % 8,278.7 3.7 % 7,872.3 3.6 %
スイス・
フラン 1,453.3 0.7 % 3,100.5 1.5 % 2,716.6 1.2 % 2,470.6 1.1 % 2,432.3 1.1 %
英ポンド 2,901.7 1.4 % 3,015.0 1.5 % 3,110.6 1.4 % 3,083.9 1.4 % 2,317.0 1.1 %
ユーロ 34,840.5 17.2 % 39,249.1 19.2 % 40,922.1 18.3 % 37,794.9 17.1 % 32,324.9 14.8 %
2,498.5 1.2 % 2,467.0 1.2 % 1,979.6 0.9 % 2,157.0 1.0 % 7,588.5 3.5 %
その他
202,355.3 100.0 % 204,684.0 100.0 % 223,648.6 100.0 % 221,635.1 100.0 % 217,786.1 100.0 %
合計
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公的部門の正味対外債務
(2)
12 月 31 日現在
(3) (3)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(単位:比率を除き、百万米ドル)
正味債務合計 201,307.3 203,708.2 221,522.0 218,421.0 216,517.2
GDP に対する対外債務総額の
比率 16.9 % 15.8 % 19.0 % 17.7 % 14.9 %
GDP に対する正味対外債務の
比率 16.8 % 15.7 % 18.9 % 17.4 % 14.8 %
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 米ドル以外の外貨建の対外債務は、各表示日現在の為替レートで米ドルに換算されている。公的部門対外
債務には、 (a)IMF に対するメキシコ中央銀行の買戻し債務( 2022 年 12 月 31 日現在残高はない。)、または
(b) メキシコの公的部門の銀行に対するコモディティ・クレジット・コーポレーションからの貸付は含ま
れない。対外債務は、本表においては「総額」ベースで表示され、券面残高または額面総額による公的部
門の対外債務を含んでいる。一定の情報提供および統計上の目的から、メキシコは時に公的部門対外債務
を、海外において保有する一定の金融資産を控除した債務総額として算出される「純額」ベースで報告す
ることがある。かかる金融資産には、公的部門の事業体が保有しているが未消却のメキシコの公的部門対
外債務が含まれる。
(2) 通貨スワップの影響を反映するため調整済。
(3) 暫定値。
(4) 開発銀行の債務および財政が政府財政の連結対象となっているその他の運営管理対象機関の債務を含む。
出典: 財務省
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(1)
公的部門対外債務合計の償還スケジュール
2022 年
12 月 31
日
現在残
2024 2032 2033 2034 2035 2036 それ以
(2)
高 2023 年 年 2025 年 2026 年 2027 年 2028 年 2029 年 2030 年 2031 年 年 年 年 年 年 降 合計
( 単位:百万米ドル)
A. 民間
の債権
179,81 16,22 7,00 11,49 14,05 5,13 5,77 4,70 3,80 1,53 67,35 179,81
(3)
者 8 9 2 6,391 9,592 0 8,055 9,336 9,359 4 8 1 9 2 8 2 8
資本
市場
(債 165,10 4,26 11,36 13,96 5,10 5,74 4,68 3,77 1,52 67,35 165,10
券) 8 5,265 9 6,279 9,473 3 7,920 9,192 9,204 8 9 1 0 2 1 2 8
商業 10,96 2,73
銀行 14,710 4 3 112 119 127 135 144 154 86 30 30 30 30 17 0 14,710
直
接 5,493 5,365 128 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 5,493
シ
ン
ジ
ケ
ー 2,60
ト 9,217 5,599 5 112 119 127 135 144 154 86 30 30 30 30 17 0 9,217
B. 多国
間債権 2,18 1,83
者 31,887 2,436 0 4,642 2,901 4,021 3,651 3,298 2,665 943 6 861 704 451 380 919 31,887
1,32
IADB 15,550 1,244 2 2,461 893 1,264 1,437 2,085 1,750 558 690 484 390 242 170 560 15,550
世界 1,14
銀行 15,737 1,137 803 2,127 1,894 2,643 2,127 1,152 855 386 6 377 314 210 209 358 15,737
CAF 600 55 55 55 115 115 87 60 60 0 0 0 0 0 0 0 600
C. 対外
貿易 5,796 666 810 670 553 865 515 398 328 257 235 130 110 86 65 110 5,796
輸出
入銀
行 4,213 332 515 365 373 684 347 326 289 249 235 130 110 86 65 110 4,213
商業
銀行
(4)
1,583 334 295 305 181 181 168 73 39 9 0 0 0 0 0 0 1,583
サプ
ライ
ヤー 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
D. その
(5)
286 286 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 286
他
217,78 19,61 9,99 11,70 13,04 16,37 12,22 13,03 12,35 15,25 7,20 6,76 5,52 4,33 1.98 68,38 217,78
公的部
7 7 2 3 6 6 1 2 2 4 9 2 3 9 3 1 7
門合計
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 米ドル以外の外国通貨で表示された対外債務は、各表示日現在の為替レートで米ドルに換算されている。対外公債
には、 (a)IMF に対するメキシコ中央銀行の買戻し債務( 2022 年 12 月 31 日現在残高なし。)、または (b) メキシコの民
間部門の銀行に対するコモディティ・クレジット・コーポレーションからの貸付は含まれない。メキシコの対外債
務は、本表においては「総額」ベースで表示され、券面残高または額面総額による公的部門の対外債務を含んでい
る。一定の情報提供および統計上の目的から、メキシコは時に公的部門対外債務を、海外において保有する一定の
金融資産を控除した総債務として算出する「純額」ベースで報告することがある。かかる金融資産には、公的部門
の事業体が保有しているが未消却のメキシコの公的部門対外債務が含まれる。
(2) 暫定値。
(3) 対外貿易および再編された債務を除く。
(4) 対外貿易与信枠、リボルビング・クレジットおよびその他の短期与信を含む。
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(5) 特定の PIDIREGAS 関連の直接債務の増減を示す。
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対外政府債務
メキシコの対外公的債務の目標は、市場のボラティリティと予期せぬ展開に対処しつつ、政府が規定の
需要の資金調達において柔軟であることを目指している。かかる政策はまた、コストを維持し、リスクを
安定的な水準に維持することも目指している。メキシコは、主として自国市場を通じた資金調達を目指し
ており、これを米国、ヨーロッパおよびアジアからの対外資金調達で補完することとしている。対外資金
調達に関するメキシコの主たる目的としては、メキシコの対外債務の条件を改善するとともに、最も影響
力のある国際市場におけるメキシコの継続的なプレゼンスを特に考慮して、メキシコの投資家基盤を強化
し、分散させることが挙げられる。また、メキシコのベンチマーク債を強化すること、ならびに透明性を
確保し、メキシコへの投資を促進するため、国際的な投資家との恒常的な関係を維持することも目的に含
まれる。
2022年予算は、政府が5.5十億米ドルを上限として追加正味対外債務(国際金融機関からの対外借入およ
び国際市場における対外債務の発行を含む。)を負担することを認めている。2022年予算および2023年予
算の詳細については、「(5) 財政-③ 予算」を参照のこと。
政府の正味対外債務は、2022年に2.2十億米ドル増加した。これは、11.8十億米ドルの新規借入が9.1十
億米ドルの償却によって相殺されたこと、対外債務関連の対外資産が2.0十億米ドル減少したこと、ならび
に他通貨に対する米ドルの変動に関連して2.5十億米ドルのマイナスの調整が行われたことによる正味効果
が主な原因である。
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以下の表は、表示日現在における対外政府債務総額、正味対外政府債務および正味政府債務を含む、メ
キシコの対外政府債務を要約したものである。
政府の通貨別対外債務総額
(1)
12 月 31 日現在
(2) (2)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
( 単位:比率を除き、百万米ドル)
米ドル 70,828.7 73.9 % 65,079.8 65.4 % 76,836.5 68.4 % 78,717.0 68.5 % 76,907.6 66.8 %
日本円 5,894.2 6.1 % 7,558.7 7.6 % 6,507.9 5.8 % 6,784.1 5.9 % 6,646.0 5.8 %
スイ
ス・
フラン - - 1,948.0 2.0 % 2,133.9 1.9 % 2,070.0 1.8 % 2,037.9 1.8 %
英ポン
ド 1,882.0 2.0 % 1,955.5 2.0 % 2,017.5 1.8 % 2,000.2 1.7 % 1,775.8 1.5 %
ユーロ 17,220.9 18.0 % 23,015.1 23.1 % 24,823.6 22.1 % 24,824.2 21.6 % 21,788.1 18.9 %
19.8 0.0 % 17.0 0.0 % 16.6 0.0 % 442.0 0.4 % 5,907.1 5.1 %
その他
95,845.6 100.0 % 99,574.1 100.0 % 112,336.0 100.0 % 114,837.5 100.0 % 115,062.5 100.0 %
合計
政府正味対外債務
12 月 31 日現在
(2) (2)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(単位:比率を除き、百万米ドル)
正味債務合計 95,698.5 99,369.9 111,062.3 112,744.5 114,938.0
GDP に対する対外債務総額
の比率 8.0 % 7.7 % 9.6 % 9.2 % 7.8 %
GDP に対する正味対外債務
の比率 8.0 % 7.7 % 9.5 % 9.0 % 7.8 %
政府正味債務
12 月 31 日現在
(2) (2)
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(3)
対外債務 23.3 % 21.9 % 23.6 % 22.3 % 19.4 %
対内債務 76.7 % 78.1 % 76.4 % 77.7 % 80.6 %
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 通貨スワップの影響を反映するため調整済み。
(2) 暫定値。
(3) 米ドル以外の外貨建の対外債務は、各表示日現在の為替レートで米ドルに換算されている。公的部門対外債
務には、 (a)IMF に対するメキシコ中央銀行の買戻し債務( 2022 年 12 月 31 日現在残高はない。)、または (b) メ
キシコの公的部門の銀行に対するコモディティ・クレジット・コーポレーションからの貸付は含まれない。
対外債務は、本表においては「総額」ベースで表示され、券面残高または額面総額による公的部門の対外債
務を含んでいる。一定の情報提供および統計上の目的から、メキシコは時に公的部門対外債務を、海外にお
いて保有する一定の金融資産を控除した債務総額として算出される「純額」ベースで報告することがある。
かかる金融資産には、公的部門の事業体が保有しているが未消却のメキシコの公的部門対外債務が含まれ
る。
出典: 財務省
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⑥ 債務不履行の有無
1910 年の革命より前に負担した債務について 1946 年にリスケジュールが行われた後、メキシコはその対
外債務のいずれについても元金または利金の支払に不履行はなかった。
⑦ IMF クレジット・ライン
中南米における 1980 年代の債務危機以降、 IMF はメキシコ経済を守るためにメキシコと連携してきた。
2009 年、メキシコは他国に先駆けて IMF の予防的クレジット・ライン・プログラムである、フレキシブル・
クレジット・ライン(以下「 FCL 」という。)を利用した。 FCL により、強力な政策的枠組みと経済の実績
をもつ国々は潜在的なあるいは現実の国際収支圧力に直面した時に IMF からの支援および借入を求めること
が認められている。メキシコは、 2009 年以降 IMF との間で FCL の取決めを結んでいる。 2017 年以降、 FCL 財源
利用額は、メキシコが直面するリスクのいくつかに関して見通しが改善したことおよびその他の要因を受
け、メキシコの要請に基づき、徐々に減額されてきた。
2020 年 11 月、 IMF は、メキシコが引続き FCL の利用基準を満たしていること、ならびに IMF の理事会がメキ
シコに付与された FCL の期中審査を 2019 年 11 月に終えたことを確認した。 2021 年 11 月 19 日、 IMF の理事会
は、 2019 年に付与された FCL 財源利用額約 61 十億米ドルおよび 2018 年に付与された FCL 財源利用額約 74 十億
米ドルより減額となった 50 十億米ドルの、 FCL に基づくメキシコのための後継の2年取決めを承認し、メキ
シコが以前の取決めをキャンセルしたことを確認した。メキシコ当局は、新たな取決めを予防的措置とし
て取扱う意向を表明した。最後に、 2022 年 11 月、 IMF は新たな2年間の 50 十億米ドルの FCL を承認した。 IMF
は、強力な制度的政策枠組み、柔軟な為替相場制度、インフレ・ターゲットの枠組み、財政責任法および
十分に規制された金融部門を引用して、メキシコが引続き FCL の利用に適格であることを確認した。政府
は、メキシコ経済に影響を及ぼす外部リスクの継続的な進展を条件に、この資源の利用を辞退することに
引続きコミットしている。
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⑧ 負債管理および債務削減取引
メキシコは、経済成長を持続させるために商業銀行や多国間債権者と密接に協力することに積極的に取
組んでいるほか、債務削減をメキシコの主要目標の一つに掲げ、現在も掲げている。メキシコは、国際資
本市場において債務証券の追加募集を随時行っており、またその債務残高の構成を管理するために公開買
付、公開市場における買入れおよび期限前償還を含む様々な取引に随時関与している。
過去 20 年間に、メキシコは、その債務残高総額を減らすため定期的な通常の負債管理取引を行ってき
た。メキシコは、未払債務合計を削減するために、負債同士の交換を行った。かかる負債同士の交換に基
づいて、メキシコは新しい債務と交換することで既存債務の借換えを行うことができた。
2022 年1月 12 日、メキシコは公開買付を実施し、これに従ってメキシコは 2022 年1月4日付の買入れ申
込に掲げたシリーズの未償還額について、現金での買入れを申入れ、これに従ってメキシコは下表に掲げ
るノートを買入れた。メキシコは公開買付において、下表に記載されているシリーズのノートを、 2034 年
満期 3.500 %グローバル・ノート債券と 2052 年満期 4.400 %グローバル・ノートに切り替える機会を投資家
に提供した。公開買付の結果の概要は以下のとおりである。
公開買付において
旧債券のシリーズ 買戻された未償還額 公開買付後の未償還額
2025 年満期 3.600 %グローバル・ノート 47,823,000.00 米ドル 1,716,654,000.00 米ドル
2025 年満期 3.900 %グローバル・ノート 17,669,000.00 米ドル 894,026,000.00 米ドル
2026 年満期 4.125 %グローバル・ノート 34,812,000.00 米ドル 2,059,856,000.00 米ドル
2027 年満期 4.150 %グローバル・ノート 114,308,000.00 米ドル 2,374,850,000.00 米ドル
2028 年満期 3.750 %グローバル・ノート 74,666,000.00 米ドル 1,878,402,000.00 米ドル
2029 年満期 4.500 %グローバル・ノート 314,395,000.00 米ドル 3,085,643,000.00 米ドル
2044 年満期 4.750 %グローバル・ノート 216,130,000.00 米ドル 3,725,936,000.00 米ドル
2045 年満期 5.550 %グローバル・ノート 16,825,000.00 米ドル 2,764,306,000.00 米ドル
2046 年満期 4.600 %グローバル・ノート 191,783,000.00 米ドル 2,349,130,000.00 米ドル
2048 年満期 4.600 %グローバル・ノート 306,626,000.00 米ドル 2,010,789,000.00 米ドル
2050 年満期 4.500 %グローバル・ノート 237,110,000.00 米ドル 2,284,249,000.00 米ドル
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2022 年8月 19 日、 メキシコは公開買付を実施し、これに従ってメキシコは 2022 年8月8日付の買入れ申
込に掲げたシリーズの未償還額について現金での買入れを申入れ、これに従ってメキシコは下表に掲げる
ノートを買入れた。 この公開買付において、メキシコは下表に掲げるシリーズのノートを 2033 年満期
4.875 %グローバル・ノートに切り替える機会を投資家に提供した。公開買付の結果の概要は以下のとおり
である。
公開買付において
旧債券のシリーズ 買戻された未償還額 公開買付後の未償還額
2034 年満期 6.750 %グローバル・ノート 9,444,000.00 米ドル 1,696,200,000.00 米ドル
2040 年満期 6.050 %グローバル・ノート 24,858,000.00 米ドル 2,817,995,000.00 米ドル
2041 年満期 4.280 %グローバル・ノート 149,325,000.00 米ドル 3,107,574,000.00 米ドル
2044 年満期 4.750 %グローバル・ノート 10,544,000.00 米ドル 3,715,392,000.00 米ドル
2045 年満期 5.550 %グローバル・ノート 0.00 米ドル 2,764,306,000.00 米ドル
2046 年満期 4.600 %グローバル・ノート 4,182,000.00 米ドル 2,344,948,000.00 米ドル
2047 年満期 4.350 %グローバル・ノート 10,147,000.00 米ドル 1,459,599,000.00 米ドル
2048 年満期 4.600 %グローバル・ノート 10,116,000.00 米ドル 2,000,673,000.00 米ドル
2050 年満期 4.500 %グローバル・ノート 27,611,000.00 米ドル 2,256,638,000.00 米ドル
2051 年満期 5.000 %グローバル・ノート 18,959,000.00 米ドル 2,481,041,000.00 米ドル
2052 年満期 4.400 %グローバル・ノート 45,608,000.00 米ドル 2,885,590,000.00 米ドル
2061 年満期 3.771 %グローバル・ノート 176,067,000.00 米ドル 3,032,134,000.00 米ドル
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⑨ 対外有価証券募集
以下は、メキシコによる 2022 年における対外債務の募集一覧である。 2023 年における証券募集につい
ては、「 (7) その他-最近の展開-対外有価証券募集および負債管理取引」を参照のこと。
「⑧ 負債管理および債務削減取引」において述べた公開買付に関連して、 2022 年1月 12 日、メキシコ
は、 2034 年満期 3.500 %グローバル・ノート 2,868,146,000 米ドルおよび 2052 年満期 4.400 %グローバル・
ノート 2,931,198,000 米ドルを発行した。メキシコは、この募集による手取金の一部を 2023 年満期
4.000 %グローバル・ノートの未償還額全額の償還に充当した。
2022 年2月 11 日、メキシコは、 2030 年満期 2.375 %グローバル・ノート 800,000,000 ユーロを発行し
た。メキシコは、この募集による手取金の一部を 2024 年満期 1.625 %グローバル・ノートの未償還額全額
の償還に充当した。
「⑧ 負債管理および債務削減取引」において述べた公開買付に関連して、 2022 年8月 19 日、メキシコ
は、国連の持続可能な開発目標( SDGs )にリンクした3本目の債券となる 2033 年満期 4.875 %グローバ
ル・ノート 2,203,576,000 米ドルを発行した。メキシコは、この募集による手取金の一部を 2025 年満期
3.600 %グローバル・ノートの未償還額全額の償還に充当した。
⑩ 歳入予算に占める債務の割合
12 月 31 日現在
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
(単位:百万ペソ)
(A) 連邦政府正味債務 8,087,259.4 8,535,443.8 9,372,426.2 10,395,086.6 11,493,214.9
国内(正味) 6,203,635.4 6,662,798.2 7,156,877.7 8,074,410.2 9,261,774.1
国外(正味) 1,883,624.0 1,872,645.6 2,215,548.5 2,320,676.4 2,231,440.8
(B) 公的部門年次歳入合計 5,115,111.1 5,384,984.3 5,339,990.5 5,960,944.6 6,602,829.7
(A)/(B) (%) 158.11 % 158.50 % 175.51 % 174.39 % 174.06 %
出典: 財務省
⑪ 格付動向
2018 年3月2日、 S&P は、外貨建債の格付を「 BBB+/A-2 」に、また自国通貨建債の格付を「 A-/A-2 」に据
え置き、アウトルックを「安定的」に据え置いた。
2018 年3月 16 日、フィッチは、メキシコの長期ソブリン格付を「 BBB+ 」に、また短期格付を「 F2 」に据
え置き、アウトルックを「安定的」に据え置いた。
2018 年4月 11 日、ムーディーズは、メキシコのソブリン格付を「 A3 」に据え置いたが、長期ソブリン格
付のアウトルックを「ネガティブ」から「安定的」に変更した。
2018 年 11 月1日、フィッチは、メキシコのソブリン格付を「 BBB+ 」に据え置いたが、長期ソブリン格付
にかかるアウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。 2019 年3月1日、 S&P は、メキシコの
外貨建債の格付を「 BBB+/A-2 」に、また自国通貨建債の格付を「 A-/A-2 」に据え置いたが、アウトルック
を「安定的」から「ネガティブ」に変更した。
2019 年6月5日、ムーディーズはメキシコのソブリン格付を「 A3 」に据え置いたが、長期ソブリン格付
にかかるアウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。
2019 年6月5日、フィッチは、メキシコのソブリン格付を「 BBB+ 」から「 BBB 」に格下げし、長期ソブリ
ン格付にかかるアウトルックを「ネガティブ」から「安定的」に変更した。
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2020 年3月 26 日、 S&P は、メキシコのソブリン格付を「 BBB+ 」から「 BBB 」に格下げし、自国通貨建債の
格付を「 A- 」から「 BBB+ 」に格下げし、アウトルックを「ネガティブ」に据え置いた。 2020 年 12 月2日、
S&P は「 BBB 」の格付と「ネガティブ」のアウトルックを据え置いた。
2020 年4月 15 日、フィッチは、メキシコのソブリン格付を「 BBB 」から「 BBB- 」に格下げし、アウトルッ
クを「安定的」に据え置いた。 2020 年 11 月 11 日、フィッチは、「 BBB- 」の格付と「安定的」のアウトルッ
クを据え置いた。
2020 年4月 17 日、ムーディーズは、メキシコの中期的な経済成長見通しの大幅な低下とペメックスの財
政状況および経営状況の継続的な不振を理由に、メキシコのソブリン格付を「 A3 」から「 Baa1 」に格下げ
し、自国通貨建債の格付を「 A3 」から「 Baa1 」に格下げし、アウトルックを「ネガティブ」に据え置い
た。
2021 年4月 29 日、ムーディーズは、メキシコの外貨建債および自国通貨建債にかかる「 Baa1 」のソブリ
ン格付と「ネガティブ」のアウトルックを据え置いた。
2021 年5月 17 日、フィッチは、メキシコの「 BBB- 」の格付と「安定的」のアウトルックを据え置いた。
2021 年 11 月 17 日、フィッチは、メキシコの「 BBB- 」の格付と「安定的」のアウトルックを据え置いた。
2021 年6月 15 日、 S&P は、メキシコの外貨建債にかかる「 BBB 」および自国通貨建債にかかる「 BBB+ 」の
ソブリン格付と「ネガティブ」のアウトルックを据え置いた。 2021 年 12 月7日、メキシコ外貨建債にかか
る「 BBB 」および自国通貨建債にかかる「 BBB+ 」の格付と「ネガティブ」のアウトルックを据え置いた。
2022 年5月 17 日、フィッチは、メキシコの外貨建長期ソブリン債にかかる「 BBB- 」の格付と「安定的」
のアウトルックを据え置いた。
2022 年7月6日、 S&P は、メキシコの外貨建債にかかる「 BBB 」および自国通貨建債にかかる「 BBB+ 」の
ソブリン格付を据え置き、双方のアウトルックを「ネガティブ」から「安定的」に上方修正した。
2022 年7月8日、ムーディーズは、メキシコの外貨建および自国通貨建のソブリン格付を「 Baa1 」から
「 Baa2 」に格下げし、双方のアウトルックを「ネガティブ」から「安定的」に上方修正した。
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⑫ 政府公債に関する表および補足情報
A. 政府の直接債務
表Ⅰ 2022 年 12 月 31 日現在の総対内債務
(ペソ払い)
償却または
銘柄 利率 満期日 未償還元本額 減債基金条項
(単位:十億ペソ)
政府短期証券( Cetes ) 変動 各種 813.0 なし
固定利付債券 固定 各種 3,712.6 なし
開発債券( BONDES D )
変動 各種 483.4 なし
開発債券( BONDES F )
変動 各種 1,238.2 なし
開発債券( BONDES G )
変動 各種 45.0 なし
UDI 建開発債券( UDI 債) 固定 各種 2,623.9 なし
UDI 債の元本分離債 固定 各種 9.3 なし
退職貯蓄制度基金
( Fondo de Ahorro /SAR )
固定 各種 185.9 なし
(1)
283.9
その他 固定 各種 なし
9,395.2
総対内債務合計
(1) ISSSTE 法に基づく社会保障関連の負債 185.9 十億ペソを含む。「 (2) 経済-⑥ 社会保障制度」を参照の
こと。
表Ⅱ 2022 年 12 月 31 日現在の正味対内債務
(ペソ払い)
償却または
銘柄 利率 満期日 未償還元本額 減債基金条項
(単位:十億ペソ)
総対内債務合計
9,395.2
133.4
金融資産
9,261.8
正味対内債務合計
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表Ⅲ 2022 年 12 月 31 日現在の長期対外債務
2022 年 12 月 31 日現在の発行済債券
未償還
利率
(1)
銘柄 (% ) 発行年月 満期 通貨 当初元本額 元本額 摘要
(単位:千通貨単位)
2026 年満期 11.50 %
グローバル・ボンド 11.5 1996 年5月 2026 年5月 米ドル 1,750,000 320,445
2031 年満期ノート 8.3 2001 年8月 2031 年8月 米ドル 1,500,000 533,952
2031 年満期ノート 8.3 2001 年 12 月 2031 年8月 米ドル 1,000,000 355,968
2022 年満期ノート 8.0 2002 年9月 2022 年9月 米ドル 1,750,000 0 (3)
2031 年満期ノート 8.3 2002 年 12 月 2031 年8月 米ドル 750,000 266,976
2033 年満期ノート 7.5 2003 年4月 2033 年4月 米ドル 1,000,000 251,862
2024 年満期ノート 6.75 2004 年1月 2024 年2月 英ポンド 500,000 476,526
2033 年満期ノート 7.5 2004 年4月 2033 年4月 米ドル 2,056,822 518,034
2034 年満期ノート 6.75 2004 年9月 2034 年9月 米ドル 1,500,000 596,334
2034 年満期ノート 6.75 2007 年1月 2034 年9月 米ドル 2,266,566 901,087
2034 年満期ノート 6.75 2007 年9月 2034 年9月 米ドル 500,000 198,778
2040 年満期ノート 6.055 2008 年1月 2040 年1月 米ドル 1,500,000 994,586 (3)
2040 年満期ノート 6.055 2009 年9月 2040 年1月 米ドル 750,000 497,293 (3)
2040 年満期ノート 6.055 2010 年4月 2040 年1月 米ドル 1,000,000 663,058 (3)
2110 年満期ノート 5.75 2010 年 10 月 2110 年 10 月 米ドル 1,000,000 1,000,000
2040 年満期ノート 6.055 2011 年4月 2040 年1月 米ドル 1,000,000 663,058 (3)
2110 年満期ノート 5.75 2011 年8月 2110 年 10 月 米ドル 1,000,000 1,000,000
2022 年満期ノート 3.625 2012 年1月 2022 年3月 米ドル 2,000,000 0
2044 年満期ノート 4.75 2012 年3月 2044 年3月 米ドル 2,000,000 1,664,854 (3)
2110 年満期ノート 5.75 2012 年8月 2110 年 10 月 米ドル 677,994 677,994
2022 年満期ノート 3.625 2012 年8月 2022 年3月 米ドル 559,254 0
2044 年満期ノート 4.75 2012 年8月 2044 年3月 米ドル 963,324 801,897 (3)
2044 年満期ノート 4.75 2013 年1月 2044 年3月 米ドル 1,500,000 1,248,641 (3)
2023 年満期ノート 2.75 2013 年4月 2023 年4月 ユーロ 1,600,000 0
2023 年満期ノート 4.0 2013 年 10 月 2023 年 10 月 米ドル 3,900,000 0
2045 年満期ノート 5.55 2014 年1月 2045 年1月 米ドル 3,000,000 2,764,306
2114 年満期ノート 5.625 2014 年3月 2114 年3月 英ポンド 1,000,000 1,000,000
2029 年満期ノート 3.625 2014 年4月 2029 年4月 ユーロ 1,000,000 1,000,000
2024 年満期ノート 1.44 2014 年7月 2024 年7月 日本円 13,900,000 13,900,000
2034 年満期ノート 2.57 2014 年7月 2034 年7月 日本円 12,300,000 12,300,000
2025 年満期ノート 3.6 2014 年 11 月 2025 年1月 米ドル 3,000,000 0
2046 年満期ノート 4.6 2015 年1月 2046 年1月 米ドル 3,000,000 2,344,948
2024 年満期ノート 1.625 2015 年3月 2024 年3月 ユーロ 1,250,000 0
2045 年満期ノート 3.0 2015 年3月 2045 年3月 ユーロ 1,250,000 992,891
2115 年満期ノート 4.0 2015 年4月 2115 年3月 ユーロ 1,500,000 1,500,000
2026 年満期ノート 4.125 2016 年1月 2026 年1月 米ドル 2,250,000 1,539,759
2026 年満期ノート 4.125 2016 年8月 2026 年1月 米ドル 760,000 520,097
2022 年満期ノート 1.875 2016 年2月 2022 年2月 ユーロ 1,500,000 0
2031 年満期ノート 3.375 2016 年2月 2031 年2月 ユーロ 1,000,000 1,700,000
2021 年満期ノート 0.7 2016 年6月 2021 年6月 日本円 50,900,000 0
2026 年満期ノート 1.09 2016 年6月 2026 年6月 日本円 16,300,000 16,300,000
2036 年満期ノート 2.4 2016 年6月 2036 年6月 日本円 21,900,000 21,900,000
2047 年満期ノート 4.35 2016 年8月 2047 年1月 米ドル 2,000,000 1,459,599
2025 年満期ノート 1.375 2016 年 10 月 2025 年1月 ユーロ 1,200,000 0
2027 年満期ノート 4.15 2017 年3月 2027 年3月 米ドル 3,150,415 2,374,850 (3)
2048 年満期ノート 4.6 2017 年 10 月 2048 年2月 米ドル 1,880,000 1,489,448
2028 年満期ノート 3.75 2018 年1月 2028 年1月 米ドル 2,555,196 1,878,402 (3)
2048 年満期ノート 4.6 2018 年1月 2048 年2月 米ドル 645,274 511,225
2028 年満期ノート 1.75 2018 年1月 2028 年4月 ユーロ 1,500,000 1,323,899 (3)
2023 年満期ノート 0.6 2018 年4月 2023 年4月 日本円 57,200,000 57,200,000
2025 年満期ノート 0.85 2018 年4月 2025 年4月 日本円 24,100,000 24,100,000
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2028 年満期ノート 1.05 2018 年4月 2028 年4月 日本円 38,700,000 38,700,000
2038 年満期ノート 2.0 2018 年4月 2038 年4月 日本円 15,000,000 15,000,000
2029 年満期ノート 4.5 2019 年1月 2029 年4月 米ドル 2,000,000 1,785,847
2026 年満期ノート 1.625 2019 年4月 2026 年4月 ユーロ 1,500,000 1,327,437
2039 年満期ノート 2.875 2019 年4月 2039 年4月 ユーロ 1,000,000 952,570
2029 年満期ノート 4.5 2019 年7月 2029 年4月 米ドル 1,455,664 1,299,796
2050 年満期ノート 4.5 2019 年7月 2050 年1月 米ドル 2,103,527 1,634,873 (3)
2022 年満期ノート 0.62 2019 年7月 2022 年7月 日本円 65,500,000 0
2024 年満期ノート 0.83 2019 年7月 2024 年7月 日本円 41,200,000 41,200,000
2026 年満期ノート 1.05 2019 年7月 2026 年7月 日本円 27,300,000 27,300,000
2029 年満期ノート 1.3 2019 年7月 2029 年7月 日本円 31,000,000 31,000,000
2030 年満期ノート 3.25 2020 年1月 2030 年4月 米ドル 3,069,068 2,259,237 (3)
2030 年満期ノート 1.125 2020 年1月 2030 年1月 ユーロ 1,250,000 1,250,000 (3)
2039 年満期ノート 2.875 2020 年1月 2039 年4月 ユーロ 500,000 476,285
2050 年満期ノート 4.5 2020 年1月 2050 年1月 米ドル 800,000 621,765 (3)
2025 年満期ノート 3.9 2020 年4月 2025 年4月 米ドル 1,000,000 894,026 (3)
2032 年満期ノート 4.75 2020 年4月 2032 年4月 米ドル 2,500,000 2,432,997
2051 年満期ノート 5.0 2020 年4月 2051 年4月 米ドル 2,500,000 2,481,041
2027 年満期ノート 1.35 2020 年9月 2027 年9月 ユーロ 750,000 750,000 (3)
2031 年満期ノート 2.659 2020 年 11 月 2031 年5月 米ドル 3,396,062 3,396,062 (3)
2061 年満期ノート 3.771 2020 年 11 月 2061 年5月 米ドル 3,208,201 3,032,134
2033 年満期ノート 1.45 2021 年1月 2033 年 10 月 ユーロ 1,514,779 1,514,779 (3)
2051 年満期ノート 2.125 2021 年1月 2051 年 10 月 ユーロ 1,184,165 1,184,165
2071 年満期ノート 3.75 2021 年1月 2071 年4月 米ドル 3,000,000 3,000,000
2041 年満期ノート 4.28 2021 年4月 2041 年8月 米ドル 3,256,899 3,107,574 (3)
2036 年満期ノート 2.25 2021 年7月 2036 年8月 ユーロ 1,250,000 1,250,000
2034 年満期ノート 3.50 2022 年2月 2034 年2月 米ドル 2,868,146 2,868,146 (3)
2052 年満期ノート 4.40 2022 年2月 2052 年2月 米ドル 2,931,198 2,885,590 (3)
2030 年満期ノート 2.375 2022 年2月 2030 年2月 ユーロ 800,000 800,000
2033 年満期ノート 4.875 2022 年8月 2033 年5月 米ドル 2,203,576 2,203,576
2025 年満期ノート 1.0 2022 年9月 2025 年9月 日本円 29,700,000 29,700,000
2027 年満期ノート 1.25 2022 年9月 2027 年9月 日本円 23,800,000 23,800,000
2032 年満期ノート 1.83 2022 年9月 2032 年9月 日本円 14,900,000 14,900,000
2037 年満期ノート 2.28 2022 年9月 2037 年9月 日本円 4,000,000 4,000,000
2042 年満期ノート 2.52 2022 年9月 2042 年9月 日本円 3,200,000 3,200,000
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2022 年 12 月 31 日現在の多国間機関からの借入
未償還
発行
(1) (2)
銘柄 利率(%) 年月 満期 通貨 元本額 摘要
(単位:
千米ドル)
世界銀行、 IDB 5.245 %から
および CAF から 0.25 %の範囲の変 C$ 、 SDR 、 USD 、ユー
の借入 動および変動 各種 各種 ロ 28,633,212 (4)(5)
2022 年 12 月 31 日現在の二国間機関からの借入
未償還
(1)
銘柄 利率(%) 発行年月 満期 通貨 当初元本額 元本額 摘要
(単位:千米ドル)
各種 各種 1995 年 12 月 各種 米ドル、ユーロ 4,215,189 2,745,562
長期対外債務合
115,031,707
計 (5)
(1) 通貨の定義は以下のとおりである: C$ (カナダ・ドル)、英ポンド(英ポンド)、 SDR (特別引出権)、 USD
(米ドル)、円(日本円)およびユーロ(ユーロ)。
(2) 外国通貨の平価の変動による再評価を含む。
(3) ローンまたは有価証券を満期までに消却するために算出される、半年、四半期または月々の償却。
(4) これらの借入のうち 11,719,000 米ドルについては、連邦政府の財務代理機関としての資格において行為する
Banobras ( 0 米ドル)、 Bancomext ( 0 米ドル)、 NAFIN ( 0 米ドル)および連邦住宅公社( Sociedad
Hipotecaria Federal )( 11,719,000 米ドル)が直接の債務者となっており、連邦政府は、残り
( 28,621,493,000 米ドル)について直接の債務者となっている。これらの借入のうち連邦政府が直接の債務者
となっていない部分の未償還残高は、本表Ⅲの合計には含まれておらず、表Ⅴに含まれている。
(5) 合計は米ドルで表示されている。上記表中の金額は表示通貨で表示されているため、全項目の合計とは異な
る。
B. 予算管理対象機関の債務およびその他の公的部門の対外債務
表Ⅳ 2022 年 12 月 31 日現在の予算管理対象機関の対外債務
(外貨払い)
当初満期が1年未満の金額の
借入人 未償還元本額の米ドル相当額 米ドル相当額
(単位:百万米ドル)
CFE 8,589.0 0.00
85,015.7 6,236.4
ペメックス
93,604.7 6,236.4
予算管理対象機関の対外債務合計
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(1)
表Ⅴ 2022 年 12 月 31 日現在のその他の公的部門対外債務
(外貨払い)
当初満期が1年未満の
借入人 未償還元本額の米ドル相当額 金額の米ドル相当額
(単位:百万米ドル)
金融部門 9,150.7 2,539.6
NAFIN 2,864.2 1,999.6
BANOBRAS 1,051.9 0.0
BANCOMEXT 3,412.6 540.0
SHF 1,096.5 0.0
農村金融( Financiera Rural )
725.5 0.0
福祉銀行 0.0 0.0
(1) この表には、国立の開発銀行および一部の商業銀行の債務で、メキシコが保証しているもの、ならびに公債管
理局( Dirección de Deuda Pública )に登録されているその他の公的部門債務が含まれるが、その財政が政府
の予算に含まれない事業体の債務は含んでいない。また、民間部門の債務で政府またはその他公的部門の事業
体が保証するものは、政府が保証に基づく支払の請求を受けるまでは公的部門対外債務とはみなさない。
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(7) 【その他】
最近の展開
以下の情報は、本報告書の各セクションに関連する 2022 年 12 月 31 日以降の最近の展開の要約である。
政府の形態
政府
2023 年3月2日、選挙機関および選挙手続きに関する一般法、政党一般法ならびに連邦司法基本法の
様々な規定を改正、追加および廃止し、選挙控訴に関する一般法を制定する政令( Decreto por el que
se reforman, adicionan y derogan diversas disposiciones de la Ley General de Instituciones y
Procedimientos Electorales, de la Ley General de Partidos Pol íticos, de la Ley Org á nica del
Poder Judicial de la Federaci ó n y se expide la Ley General de los Medios de Impugnaci ó n en
Materia Electoral )が、官報に掲載された。これらの改正、とりわけ、 (i) 選挙管理委員会の構成を変
更し、 (ii) 地方選挙事務所の構成を削減し、また (iii) 海外在住のメキシコ国民の在外投票へのアクセ
ス促進を目的としている。選挙控訴に関する一般法は、とりわけ、選挙問題における控訴手続き件数を削
減し、制裁を科すシナリオを削減し、オンライン訴訟の処理に関する規制を追加する。
2023 年3月 24 日、最高裁判所は、最近の選挙制度改革に対して選挙管理委員会が提出した憲法論争
( controversia constitucional ) の申立てを認めた。最高裁判所は、改革の停止を認め、最高裁判所が最
終判断を下すまで選挙制度改革前の既存の規定が引き続き有効であることを認めた。 2023 年3月 28 日、選
挙管理委員会は最高裁判所が最終判決を下すまで、改革を実施するために進行中の行政および規制プロセ
スを停止した。
以下の表は、 2023 年6月 23 日現在のメキシコの上院および下院の所属政党別議席配分を示している。
議会の議員数
上院 下院
議席数 比率(%) 議席数 比率(%)
国家再生運動党( MORENA ) 58 45.3 200 40.0
国民行動党 20 15.6 114 22.8
制度的改革党 13 10.1 69 13.8
市民運動党 12 9.3 27 5.4
メキシコ環境主義緑の党 5 3.9 41 8.2
労働党 6 4.6 33 6.6
社会遭遇党 4 3.1 0 0.0
民主革命党 3 2.3 15 3.0
無所属 4 3.1 1 0.2
(1)
125 97.7 500 100.0
合計
注:四捨五入のため比率の合計は一致しないことがある。個々の議員は所属政党を変更することがある。
(1) 2023 年6月 23 日現在、上院には3議席の欠員があった。
出典: 上院および下院
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刑事司法
2023 年2月 17 日、内務省( Secretar ía de Gobernaci ó n )は、人権の保護と擁護に特化した国際機関が
発行した予防的および暫定的措置の実施に関する議定書を提示した。これにより、人権の擁護に焦点を当
てた手続きを確立し、実施することを目指す。
2023 年4月 12 日、合成麻薬、銃器および銃弾の違法取引の監視と撲滅を任務とする大統領委員会を創設
する法令が官報に掲載された。
国内の治安
2023 年3月 10 日、メキシコと米国は、国境を越えた組織犯罪、違法なフェンタニルの生産およびメキシ
コへの高性能武器および銃弾の不正取引を撲滅するための協力を一層強化するため、墨米 200 周年枠組み
の第2段階を開始することに合意した。墨米 200 周年枠組みの詳細については、「 (1) 概要-④ 国内の治
安」を参照のこと。
2023 年4月 13 日、 2023 年1月の北米首脳会議で設置された3国間フェンタニル委員会が初めて会合を開
き、北米に対する合成オピオイドの継続的な脅威について話し合った。会合では、メキシコ、米国および
カナダの3カ国から成る委員会メンバーがそれぞれの薬物監視能力を強化することを約束した。
人権
メキシコにおける高齢者の権利に関する米州条約の採択は、高齢者のすべての人権と基本的自由の認識
とその完全な享受と行使を促進、保護および確保することに焦点を当てており、 2023 年4月 27 日に発効し
た。
汚職対策
2023 年3月 27 日、公共行政省とメキシコ国際商工会議所は協力協定を更新した。この協定は、 (1) 公的
機関と法の支配の強化、 (2) 汚職に立ち向かうことに関係する事項に関する文書の作成、 (3) 民間および公
的部門における整合性に基づく枠組みの実行、ならびに (4) 民間部門における汚職防止企業慣行の実施に
関連するテーマに関するフォーラムやセミナーの開催による汚職撲滅を目的としている。
サイバー犯罪とサイバーセキュリティ
2023 年1月 10 日、情報通信技術および情報セキュリティに関する省庁間委員会を創設する政令
( Decreto por el que se crea la Comisión Intersecretarial de Tecnologías de la Información y
Comunicación, y de la Seguridad de la Información )が官報に掲載された。この委員会は常設機関で
あり、電子政府開発のための省庁間委員会( Comisión Intersecretarial para el Desarrollo del
Gobierno Electrónico )を代替するものであり、その目的は情報通信技術と情報セキュリティに関する連
邦政策を調整・実施することである。
情報へのアクセス、政府調達および透明性
2023 年3月1日、 INAI は、 2023 年から 2025 年の期間におけるイベロアメリカ・データ保護ネットワー
ク( Red Iberoamericana de Protección de Datos 、以下「 RIPD 」という。)の議長に就任した。 RIPD
は、個人データ保護の権利をめぐる関する規制を策定するために経験と知識を交換することを目的とし
て、 12 カ国の当局が一堂に会する国際フォーラムである。
外交、国際機関および国際経済協力
2023 年1月 10 日、メキシコ、米国およびカナダの首脳はメキシコシティで開催された 2023 年北米首脳会
議に集まり、以下の6つの柱に渡るコミットメントを通じて地域の安全保障、繁栄、持続可能性および包
括性を強化することで合意した:すなわち、 (1) 多様性、公平性および包摂性、 (2) 気候変動と環境、 (3)
地域の競争力、 (4) 移民と開発、 (5) 保健ならびに (6) 地域安全保障、である。さらに、会議で議論された
三国間戦略には、 (1) 地域のクリーンエネルギー源としての水素開発基準の開拓、 (2) 北米におけるゼロエ
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ミッション車の生産と導入の増加、 (3) 地域のサプライチェーンの強化、 (4) 半導体や電気自動車バッテ
リーなどの将来の主要産業への的を絞った投資の促進および (5) 動物および 新型 インフルエンザに対する
北 米計画( NAPAPI )の更新が含まれる。
2023 年1月 27 日、メキシコはラテンアメリカ、米国およびカリブ諸国の政府と共同で、アメリカ大陸の
経済的繁栄のための同盟( Alianza para la Prosperidad Econ ó mica en las Am é ricas )を発足させた。
この協定は、経済協力を深め、締結国の集団的な安定と回復力を強化することを目標としている。
2023 年3月 16 日、メキシコは、国連海洋法条約( UNCLOS )によって設立された機関である国際海底機構
評議会( Consejo de la Autoridad Internacional de los Fondos Marinos )の 2023 年の議長国に選出さ
れた。この機関は国の管轄外の海底におけるすべての鉱物資源関連活動を組織し、管理するためのもので
ある。
2023 年4月 18 日、米国とメキシコのハイレベル経済対話( HLED )の共同議長は、経済発展、雇用創出お
よび競争力を促進し、両国の貧困と不平等を削減するための経済的および商業的優先事項について会談し
た。 HLED の協力は、以下の4つの柱に焦点を当てている:すなわち、 (1) 先進技術の導入、サプライ
チェーンの回復力の構築、および貿易と旅行の促進による地域のビジネス環境の改善、 (2) メキシコ南部
と中米における持続可能な経済および社会開発の促進、 (3) 情報通信技術、ネットワーク、サイバーセ
キュリティ、電気通信およびインフラストラクチャにおける規制の適合性とリスク軽減を促進すること、
ならびに (4) 起業家や中小企業に投資し、脆弱なコミュニティのビジネスチャンスへのアクセスを改善す
ることである。
環境
2023 年1月 24 日、環境資源省は、メキシコ水技術研究所( Instituto Mexicano de Tecnología del
Agua )と協力して、経済発展を促進する政策の実施を通じて、メキシコの天然資源の適切な利用を決定
し、保護努力を強化することに重点を置いた地理情報システム「水と鉱業( Agua y Minería )」を立ち上
げた。このシステムは、 鉱滓ダム の詳細や採掘活動で使用される水の量など、メキシコの鉱業を管理する
現行の規制枠組みに関する情報を提供する。またこのシステムは、メキシコの鉱山会社、ダム、帯水層お
よび流域のインタラクティブな地図も提供する。
2023 年3月1日、上院は違法・無報告・無規制( IUU )漁業の防止、抑止および排除を目的とした国連
食糧農業機関の寄港国措置協定へのメキシコの参加を承認した。上院の承認は、 2023 年3月 17 日付の官報
に掲載された。この協定は 2016 年6月5日に初めて発効し、その後 74 の締結国によって採択され、 IUU 漁
業による生産性への被害の軽減およびメキシコ全体の漁業コミュニティの福祉を目的とする。
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経済
概要
2023 年第1四半期、世界経済の不安定性が継続しているにも拘らず、メキシコ経済は回復した。 2022 年
第4四半期に観察された景気減速の後、四半期 GDP は、季節調整済みの四半期成長率 3.7 %を記録し、これ
は、 2021 年第4四半期から 2022 年第3四半期の間に観察された成長率と同様であった。 2023 年1月3日、
財務省は、 2020-2024 年の生産性と競争力のための特別プログラムの進捗状況と結果に関する報告書を発
表し、特に以下に対する政府の取り組みを強調した: (1) 物理的および技術的な銀行インフラの強化によ
り家計と企業の金融包摂を促進すること、 (2) 金融部門を通じた信用へのアクセスを促進すること、 (3) 空
港、港湾および鉄道インフラを強化し商品の効率的な移動を促進すること、 (4) 陸輸規制を強化し、公務
員の汚職リスクを軽減する措置を確立すること、ならびに (5) 世界市場における生産性の高い部門の企業
への統合を促進する。
2023 年2月 16 日、 2020-2024 年持続可能なエネルギー利用のための国家計画( Programa Nacional para
el Aprovechamiento Sustentable de la Energía 2020-2024 )が官報に掲載された。このプログラムは、
とりわけ、 (1) エネルギー効率化プログラムと規制による国民の福祉、 (2) 国有企業および政府当局による
効率的なエネルギー利用、 (3) 輸送におけるエネルギー消費削減のための国家レベルでの行動と戦略、 (4)
エネルギー効率化プロジェクトの開発、 (5) 産業および農工業部門におけるエネルギー生産性の向上を目
的とした実践と技術の実施、ならびに (6) 商業ビルおよびサービスビルの運営および管理における省エネ
技術の利用、を促進することを目的としている。。
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国内総生産
暫定値によると、メキシコの GDP は、第三次産業の再活性化と第二次産業の継続的な成長を反映して、
2023 年第1四半期には 2022 年第1四半期比で 3.7 %増加した。メキシコの GDP に影響を及ぼす長期的な要因
に関する詳細については、「 (2) 経済-③国内総生産」を参照のこと。
以下の表は、表示期間についてのメキシコの実質国内総生産の経済部門別構成と経済部門別変動率をペ
ソおよび比率で示したものである。
実質国内総生産および支出
(1)
(単位:十億ペソ)
(2)
第1四半期(年換算)
(3) (3)
2022 年 2023 年
GDP 17,757.3 18,419.5
加算 : 財貨およびサービスの輸入
6,871.6 7,509.1
財貨およびサービスの供給合計 24,608.9 25,928.7
控除 : 財貨およびサービスの輸出 6,921.3 6,827.3
国内支出に供され得る財貨およびサービス合計 17,687.6 19,101.3
財貨およびサービス合計の配分 :
民間部門消費 12,475.8 13,070.2
公共部門消費 2,154.2 2,169.5
消費合計 14,629.9 15,239.7
総固定投資 3,371.5 3,691.1
在庫の増減 75.1 80.7
国内支出合計 18,076.5 19,011.5
誤差脱漏 (389.0) 89.8
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 2013 年 12 月 31 日現在の購買力に基づく恒常ペソによる表示。
(2) 年換算。比較目的のため、実際の第1四半期の名目 GDP に4を乗じて年換算されている。第1四半期のデータ
は、必ずしも通年の実績を示唆するものではない。
(3) 暫定値。
出典: INEGI
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実質国内総生産および支出
(総 GDP に対する百分比(%))
(1)
第1四半期(年換算)
(1) (1)
2022 年 2023 年
GDP 100.0 100.0
加算 : 財貨およびサービスの輸入
38.6 40.8
財貨およびサービスの供給合計 138.6 140.8
控除 : 財貨およびサービスの輸出 39.0 37.1
国内支出に供され得る財貨およびサービス合計 99.6 103.7
財貨およびサービス合計の配分 :
民間部門消費 70.3 71.0
公共部門消費 12.1 11.8
消費合計 82.4 82.7
総固定投資 19.0 20.0
在庫の増減 0.4 0.4
国内支出合計 101.8 103.2
誤差脱漏 (2.2) 0.5
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
出典: INEGI
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部門別実質国内総生産
(1)
(単位:十億ペソ)
(2)
第1四半期(年換算)
(3) (3)
2022 年 2023 年
第一次産業:
(4)
農業、林業、漁業、狩猟業および畜産業 566.2 579.4
第二次産業:
鉱業 892.9 908.0
電力、ガスおよび水道事業 210.9 219.9
建設業 1,102.1 1,125.7
製造業 2,998.8 3,079.4
第三次産業:
卸売・小売業 3,172.6 3,337.7
運輸・倉庫業 1,152.4 1,226.2
情報業 646.0 700.2
金融および保険業 860.4 907.4
不動産、賃貸およびリース業 2,118.5 2,164.7
専門業、科学および技術サービス業 382.3 407.8
会社・企業経営 126.2 141.8
管理、支援、廃棄物処理および修復サービス 197.2 177.2
教育サービス 700.5 709.8
ヘルスケアおよび社会支援サービス 408.9 413.7
芸術、娯楽およびレクリエーション 65.6 78.3
宿泊および飲食サービス 366.5 405.6
その他のサービス(行政サービスを除く。) 331.4 344.1
692.6 691.1
行政サービス
基本的価値による総付加価値 16,992.0 17,617.9
765.3 801.6
製品にかかる税金(補助金控除後)
17,757.3 18,419.5
GDP
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 2013 年 12 月 31 日現在の購買力に基づく恒常ペソで計算した GDP に基づいている。
(2) 年換算。比較目的のため、実際の第1四半期の名目 GDP に4を乗じて年換算されている。第1四半期のデータ
は、必ずしも通年の実績を示唆するものではない。
(3) 暫定値。
(4) 上記表および本書のその他における農業生産に関する GDP の数値は、穀物の成長時期に基づいて穀物ごとにそ
の定義が異なる「農業年」についての数値に基づいている。 GDP のその他の項目については暦年についての数
値が用いられている。
出典: INEGI
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部門別実質国内総生産の成長率
(1)
(対前年同期変動率(%))
第1四半期
(2) (2)
2022 年 2023 年
GDP (恒常ペソ) 1.9 3.7
第一次産業:
(4)
農業、林業、漁業、狩猟業および畜産業 (0.2) 2.3
第二次産業:
鉱業 1.4 1.7
電力、ガスおよび水道事業 1.2 4.3
建設業 1.1 2.1
製造業 4.3 2.7
第三次産業:
卸売・小売業 4.9 5.2
運輸・倉庫業 14.4 6.4
情報業 22.6 8.4
金融および保険業 2.2 5.5
不動産、賃貸およびリース業 1.1 2.2
専門業、科学および技術サービス業 7.6 6.7
会社・企業経営 7.9 12.4
管理、支援、廃棄物処理および修復サービス (73.7) (10.2)
教育サービス 2.9 1.3
ヘルスケアおよび社会支援サービス 3.2 1.2
芸術、娯楽およびレクリエーション 47.1 19.3
宿泊および飲食サービス 49.5 10.7
その他のサービス(行政サービスを除く。) 6.2 3.8
行政サービス (0.8) (0.2)
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 2013 年 12 月 31 日現在の購買力に基づく恒常ペソで計算した GDP に基づいている。
(2) 暫定値。
(3) 上記表および本書のその他における農業生産に関する GDP の数値は、穀物の成長時期に基づいて穀物ごとにそ
の定義が異なる「農業年」についての数値に基づいている。 GDP のその他の項目については暦年についての数
値が用いられている。
出典: INEGI
雇用および労働情勢
顕在失業率( Tasa de Desocupaci ó n Abierta )に関する暫定値によると、 2023 年3月 31 日現在のメキシ
コの失業率は 2.4 %であり、 2022 年 12 月 31 日現在より 0.4 パーセンテージ・ポイント低下した。 2023 年3月
31 日現在、メキシコにおける 15 歳以上の経済活動人口は 60.5 百万人であった。 2023 年6月 19 日現在、最低
賃金は、北部国境自由貿易地域( Zona Libre de la Frontera Norte )における自治体の場合において1
日当たり 312.41 ペソ、メキシコのその他地域において1日当たり 207.44 ペソであり、これは 2022 年1月1
日から 2022 年 12 月 31 日まで有効であった適用最低賃金からそれぞれ 20 %の引上げであった。メキシコの最
低賃金政策に関する追加情報については、「 (2) 経済-⑤雇用および労働情勢」を参照のこと。
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経済の主要部門
製造業
2023 年5月 31 日、輸出入一般関税率表( TIGIE )に定められた鉄鋼分野の特定製品に対する一時的な
15 %の輸入税が失効し、同日、関税は 2020 年 12 月 24 日付の官報に掲載された政令に定められた TIGIE の税
率に戻った。
以下の表は、表示年における 2013 年恒常ペソによる鉱工業生産高(十億ペソ単位)の各製造業部門別内
訳および対前年同期の変動率を示したものである。
部門別鉱工業生産高
(1)
( 単位:十億ペソ および前年同期からの変動 ( % ) )
第1四半期
(2) (2)
2022 年 2023 年
食料品 729.2 2.0 % 734.8 0.8 %
飲料およびタバコ製品 168.7 7.7 % 171.8 1.9 %
繊維機械 24.5 12.8 % 21.6 (11.9) %
繊維製品機械 13.1 (4.5) % 12.8 (2.5) %
衣料品 49.9 16.7 % 49.6 (0.7) %
革工業製品 17.9 7.1 % 17.9 0.1 %
木製品 25.1 8.5 % 23.2 (7.7) %
紙 55.8 7.2 % 55.2 (1.1) %
印刷および関連支援活動 20.0 15.8 % 20.5 2.4 %
石油・石炭製品 49.9 10.8 % 51.1 2.3 %
化学 235.6 6.5 % 224.3 (4.8) %
プラスティックおよびゴム製品 95.3 8.1 % 93.3 (2.1) %
非金属鉱産物製品 81.2 4.7 % 83.2 2.4 %
第一次金属 186.0 3.9 % 191.6 3.0 %
金属加工製品 102.2 0.7 % 102.4 0.2 %
機械 107.4 (0.8) % 113.4 5.6 %
コンピュータおよび電子製品 269.5 7.1 % 289.0 7.2 %
電気設備、機器および部品 102.4 2.8 % 107.6 5.0 %
輸送機器 567.8 2.9 % 618.5 8.9 %
家具および関連製品 31.1 7.5 % 28.6 (8.2) %
その他 66.1 4.3 % 69.0 4.5 %
合計 2,998.8 4.3 % 3,079.4 2.7 %
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 2013 年 12 月 31 日現在の購買力に基づく恒常ペソによる。比率の変動は、 2013 年恒常ペソによる差異を示
す。
(2) 暫定値。
出典: INEGI
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石油および石油化学
2023 年2月7日、ペメックスは 2033 年満期 10.000 %ノート2十億米ドルを発行した。これによる手取金
は、債務残高を増やすことなく、ペメックスの負債の借り換えに充当される。
2023 年3月、 2023-2027 年メキシコ石油公社およびその生産的子会社の事業計画( Plan de Negocios de
Petróleos Mexicanos y sus Empresas Productivas Subsidiarias 2023-2027 )が発表され、以下のこと
を目的としている: (1) ペメックスの持続可能な業績への道筋を強化すること、 (2) 生産プラットフォーム
に合わせた埋蔵量配合率を達成すること、 (3) ペメックスの探査および生産プロジェクトのポートフォリ
オを最適化すること、 (4) 下流インフラを強化すること、 (5) サービス、処理、輸送、保管施設および測定
システムの効率性の確保によって運営を支援すること、 (6) ペメックス施設の信頼性と運用効率の向上、
(7) ペメックスの競争力および国内市場シェアの向上ならびに (8) バリューチェーンのニーズに迅速に対応
するための企業・管理サービスを連携すること。
2023 年第1四半期中に、エネルギー省は財政状態と肥料チェーンの強化のために約 386.0 百万米ドルを
ペメックスに送金し、ドス・ボカス製油所の建設には 562.9 百万米ドルを送金した。
電力産業
2023 年1月、 CFE は 2023-2027 年 CFE 事業計画( Plan de Negocios 2023-2027 de la CFE )を発表した。
その目的は次のとおりである: (1) 電力供給の安全性を優先することで、 CFE の生産性を向上させ、国に
とっての経済的価値を生み出すこと、 (2) 国家レベルでの発電における同社の過半数の地位の維持、 (3) 持
続可能な開発への貢献および温室効果ガス排出量の削減、 (4) 新規事業開発による CFE の収益の増加および
多角化、 (5) 規制の非対称性に関連する財務上、商業上および運営上の損害の軽減、 (6) 内部管理プロセス
の強化、 (7) ユーザーの満足度を向上させ、会社の評判を高めること、ならびに (8)CFE の財務上の収益性
とキャッシュフローを改善することで、運営と投資資源を増やすことである。
2023 年1月 11 日、 CFE はシンジケート・リボルビング・クレジット枠を 1.5 十億米ドルで更新した。これ
は、 2018 年の前回のリボルビング・クレジット枠 1.26 十億米ドルと比較して 22.2 %の増加に相当する。
2023 年2月 17 日、プエルト・ペニャスコ太陽光発電所の第一段階が竣工したが、これが完成すると
1,000 メガワット( MW )のクリーンで効率的なエネルギーと 192MW のバッテリーを生産することが見込まれ
る。
2023 年6月 12 日、政府は、メキシコの7つの州にまたがる 13 の発電所(再生可能エネルギー発電所を含
む。)を多国籍エネルギー部門企業イベルドローラ社から約6十億米ドルで購入する購入契約を締結し
た。この取引は国家インフラ基金( Fondo Nacional de Infraestructura 、以下「 FONADIN 」という。)の
過半数が参加する国の投資ビークルによって締結され、 8,500MW のエネルギー生成をカバーし、電力市場
への国の参加率が 39.6 %から 55.5 %に拡大した。
2023 年4月 27 日、 CFE の非営利子会社である CFE テレコミュニケーションズ・アンド・インターネット・
フォア・オール社は、モバイル、ワイヤレス、ブロードバンドおよびインターネット・オブ・シングス
(IoT) ・サービスの提供を目的とした統合モビリティ・プランを発表した。このプランは、 (1) モバイル、
ワイヤレス・ブロードバンドおよび IoT サービスの実験的検査、 (2) モバイル、ワイヤレス・ブロードバン
ドおよびインターネット・サービスの商用アクティベーション・テストならびに (3) 商用化の3段階で実
施される。
2023 年5月 29 日、 CFE は 2023-2037 年国家電力システム開発プログラム( PRODESEN )の更新を発表した。
これは、 2021 年1月に設立された 2020-2024 年 PRODESEN に代わるもので、電力に特化した国家エネルギー
政策を詳述するプログラムである。詳細情報については、「 (2) 経済-⑦経済の主要部門- (h) 電力産業」
を参照のこと。
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観光
2023 年5月2日、観光省は、 2023 年第1四半期に約 14.5 百万人の航空旅客がメキシコを訪れ、 2022 年の
第1四半期と比較して 23.7 %増加したと報告した。
運輸および通信
港湾
2023 年3月 14 日、テワンテペック地峡の大洋間回廊( Corredor Interoce á nico del Istmo de
Tehuantepec )を海軍省( Secretar ía de Marina )の分権機関として設立する法令が官報に掲載された。
航空
2023 年2月2日、 (i) 国内、国際、定期または不定期の公共交通サービス、または (ii) 貨物と旅客の
共同輸送サービスを提供する許可保有者に対して、メキシコシティ国際空港の閉鎖を定める法令が官報
に掲載された。この法令は、メキシコシティ国際空港の運営を改善し、現在の飽和状態を軽減すること
を目的としている。
2023 年3月1日、メキシコ領空保護法( Ley de Protección del Espacio Aéreo Mexicano )が官報に
掲載された。この法律は、メキシコ領空の国家主権と独立性の安全、保護および保全に関連する活動を
規制する。
2023 年4月4日、メキシコの空港および補助サービス( Aeropuertos y Servicios Auxiliares 、以下
「 ASA 」という。)は、共同検査グループ( JIG )によって、ラテンアメリカで初めて「 JIG 訓練のため
の国際本部」の称号を与えられた機関として認められた。また、 JIG は ASA の国際トレーニング・セン
ターを JIG 国際トレーニング・パートナーとして認定した。
2023 年4月 29 日、インフラ運輸通信省は、メキシコの航空安全評価をカテゴリー1に戻すための最終
段階を発表したが、まだ米国連邦航空局( FAA )による最終決定を待っている。この安全評価には以下が
含まれる。 (1) 議会がメキシコ民間航空法を承認し、それにより米国連邦航空局 (FAA) で係争中の3つ
の「不適合」が解決されること、および (2)FAA が国際航空安全評価監査を実施することである。
鉄道
2023 年6月1日、内務省、財務省および海軍省は、政府が鉄道の一部を担当管理した後に、 (ⅰ) メ
ディアス・アグアス・パスからベラクルスまでの利権の8年間延長および (ii) 料金の支払を Grupo
Mexico 社に提供し、ベラクルス州のテワンテペック地峡鉄道のうちイスムスまでの 120 キロメートルを政
府に付与する内容の契約を Grupo Mexico 社との間で締結した。
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通信
2023 年1月 16 日、 2022-2023 年ソーシャル・カバレッジ・プログラム( Programa de Cobertura Social
2022-2023 )および 2023 年公共サイトの接続プログラム( Programa de Conectividad en Sitios
Públicos 2023 )が官報に掲載された。これらのプログラムはそれぞれ、 (1) 必要性の範囲を評価し、イ
ンターネットの低廉化を高めることでインターネット・サービスの普遍的な普及を実現すること、 (2) 不
偏的な普及を達成するために無料インターネットが必要とされる公共スペースを特定して配置すること
を目的としている。このプログラムは、以下の公的部門(教育、保健、社会開発(福祉)、農村開発お
よび労働)にインターネットの普遍的な普及をもたらすことを優先している。
鉱業
2023 年2月 18 日、アリベシ、ディビサデロ、グラナドス、ワサバ、ナコリ・チコ、サフアリパおよびバ
カデワシの各自治体に及ぶ 234,855 ヘクタールのリチウム埋蔵量を保護するための法令、リチウム国有化
令( Decreto de la Nacionalizaci ó n del Litio )が制定された。バカデワシは、メキシコでリチウム採
掘の可能性が最も高いと推定される地域である。
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金融制度
金融政策、インフレおよび金利
マネー・サプライおよび貯蓄
以下の表は、各表示日現在のメキシコの通貨供給量M1およびM4を示したものである。メキシコの通
貨供給量M1およびM4の計算方法については、「 (4) 通貨・金融制度-① 金融政策、インフレおよび金
利-マネー・サプライおよび貯蓄」を参照のこと。
通貨供給量
3月 31 日現在
(1)
2022 年 2023 年
(単位:百万名目ペソ)
M1:
現金通貨
2,226,644 2,474,604
当座預金
自国通貨
2,145,483 2,361,986
外貨
658,895 664,302
有利子自国通貨建預金
1,316,345 1,394,745
29,767 30,429
貯蓄・貸付組合の預金
6,377,134 6,926,065
M1合計
15,300,183 16,442,012
M4
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
出典: メキシコ中央銀行
インフレ
2023 年第1四半期末の消費者物価の上昇率は 6.9 %で、メキシコ中央銀行の同年のインフレ目標である
3.0 %( +/-1.0 %)を上回り、 2022 年の消費者物価の上昇率 7.8 %を 0.9 パーセンテージ・ポイント下回
り、 2021 年の消費者物価の上昇率 7.4 %を 0.5 パーセンテージ・ポイント下回った。こうした傾向は、年間
の非コアインフレ率の低下によるものであった。経済への中期的価格圧力をよりよく反映する年間コアイ
ンフレ率は、依然として同年のインフレ目標を上回っており、 2023 年第1四半期末現在では 8.1 %で、
2022 年のコアインフレ率 8.4 %を下回った。
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有価証券報告書
以下 の表は、表示期間についての物価指数および最低賃金の年間上昇率の変動を百分比で示したもので
ある。
物価指数の変動率
(1)(2) (1)(3)(4) (5)
全国消費者物価指数 全国生産者価格指数 最低賃金上昇率
(6) (7)
4.8; 20.0
2020 年 3.2 4.1
(6) (7)
15.0; 15.0
2021 年 7.4 9.3
(6) (7)
22.0 22.0
2022 年 7.8 5.3
2023 年:
(6) (7)
20.0 20.0
2023 年1月 7.9 5.6
2023 年2月 7.6 4.6
2023 年3月 6.9 3.8
2023 年4月 6.3 3.1
2023 年5月 5.8 2.1
(1) 物価指数の変動は毎月計算されている。年次の数値については、物価指数の変動は毎年 12 月に計算されてい
る。月次の数値は年換算されている。
(2) 2018 年8月以降、全国消費者物価指数( INCP )は、 (1)2018 年7月下半期を基準日として更新され、 (2) 財およ
びサービスの品目数を増加し、 (3) 対象地域数を増加し、 (4) 各構成品目のウェイトを調整するよう、変更され
た。
(3) 全国生産者価格指数( Índice Nacional de Precios al Productor 、以下「 INPP 」という。)の数値は、基本
的な商品およびサービスの価格(石油価格を除く。)の変動を示している。 INPP は 2019 年7月を基準日として
いる。
(4) 2022 年および 2023 年については暫定値。
(5) 2019 年1月1日付で、メキシコは2つの最低賃金を設けている。ひとつは北部国境自由貿易地域に含まれる米
国国境沿いに所在する自治体に適用されるもので、メキシコのその他地域には異なる最低賃金率が適用され
る。北部国境自由貿易地域に所在する自治体に適用される最低賃金とメキシコのその他地域に適用される最低
賃金の双方にかかる 2019 年の変化率は、 2019 年1月1日より前に有効であった最低賃金との比較である。
(6) 北部国境自由貿易地域に所在する自治体に適用される最低賃金の変化率。
(7) 北部国境自由貿易地域以外の地域に適用される最低賃金の変化率。
出典: INEGI 、労働・社会保障省
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金利
以下の表は、表示期間についての 28 日物および 91 日物の政府短期証券、 CPP 、ならびに 28 日物および 91
日物の TIIE の年平均金利を示したものである。
政府短期証券、 CPP および TIIE の平均金利
28 日物政府 91 日物政府
短期証券 短期証券 CPP 28 日物 TIIE 91 日物 TIIE
2020 年
1月-6月 6.3 6.3 5.3 6.7 6.6
7月- 12 月 4.4 4.4 3.7 4.7 4.7
2021 年
1月-6月 4.1 4.1 3.2 4.3 4.3
7月- 12 月 4.7 5.1 3.3 4.9 5.0
2022 年
1月-6月 6.4 7.0 4.3 6.6 6.8
7月- 12 月 8.9 9.6 6.0 9.2 9.6
2023 年:
1月 10.6 10.9 7.4 10.8 10.9
2月 10.9 11.3 7.6 11.1 11.3
3月 11.2 11.6 7.9 11.3 11.5
4月 11.3 11.5 8.1 11.5 11.6
5月 11.3 11.5 8.2 11.5 11.6
出典: メキシコ中央銀行
2023 年6月 22 日、 28 日物政府短期証券の平均金利は 11.09 %、 91 日物政府短期証券の平均金利は 11.40 %
であった。
2023 年1月 30 日、メキシコ中央銀行は 2023 年の金融政策実施を定義するガイドラインを含む、 2023 年金
融プログラムを発表した。
2023 年2月9日、メキシコ中央銀行は 2023 年第1回金融政策会議を開催し、翌日物銀行間貸出金利
( Tasa de Fondeo Bancario )を 50 ベーシス・ポイント引上げ 11.00 %とした。この決定は、世界的な金融
情勢の引締めが続いていることおよび蓄積されたインフレ圧力の持続を考慮したものである。
2023 年3月 30 日、メキシコ中央銀行は 2023 年第2回金融政策会議を開催し、翌日物銀行間貸出金利を 25
ベーシス・ポイント引き上げた。この決定は、世界的な金融情勢の逼迫、世界経済情勢に関する不確実性
の高まり、蓄積されたインフレ圧力および更なるインフレショックの可能性を特徴とする金融政策の困難
な見通しに加え、メキシコ中央銀行の金融スタンスの変化を反映した直近の翌日物銀行間調達金利の引上
げ幅を考慮したものである。従って、翌日物 2023 年3月 30 日現在の銀行間貸出金利は、 2022 年 12 月 31 日現
在の 10.50 %に対して、 11.25 %の水準に達した。
2023 年4月 13 日、メキシコ中央銀行は、満期が1銀行営業日を超える新規与信契約のベンチマークとし
て、自国通貨の銀行間均衡金利( tasa de interés interbancaria de equilibrio 、以下「 TIIE 」とい
う。)の使用が制限される日付を定める通達を発行した。
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為替管理および為替レート
外国為替政策
以下の表は、各表示期間について、メキシコ国内においてペソで支払われる米ドル建債務の支払のため
の、メキシコ中央銀行が公表した日々のペソ / 米ドル為替レートを示したものである。
為替レート
代表的な市場レート
期末現在 平均
(1米ドル当たりペソ)
2019 年 18.8642 19.2573
2020 年 19.9087 21.4936
2021 年 20.4672 20.2787
2022 年 19.4715 20.1193
2023 年:
1月 18.7937 18.9863
2月 18.3448 15.5986
3月 18.0415 18.3749
4月 17.9975 18.0855
5月 17.7418 17.7373
出典: メキシコ中央銀行
2023 年6月 23 日、ペソ/米ドル間為替レートの終値は、 1.00 米ドルにつき 17.1795 ペソであり、 2022 年
12 月 31 日現在のレートと比較して 11.8 %のペソ高であった。 2023 年6月 23 日にメキシコ中央銀行が公表し
たペソ/米ドル間為替レート(2営業日後に有効)は、 1.00 米ドルにつき 17.1985 ペソであった。
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銀行制度
2023 年3月末現在、銀行部門の資産は合計 12,941.6 十億ペソであり、 2022 年3月末と比較して実質ベー
スで年 2.1 %の増加であった。 2023 年3月末現在、銀行部門の現在のローン・ポートフォリオ残高は
6,348.0 十億ペソであり、 2022 年3月末と比較して実質ベースで年 4.6 %の増加であった。最後に、 2023 年
3月末現在の銀行部門の純利益は 70.0 十億ペソであり、 2022 年3月末と比較して実質ベースで 23.3 %の増
加であった。
銀行の監督および支援
2023 年3月末現在、多角的銀行部門の ICAP は、 2022 年3月末現在の 19.7 %および 2022 年 12 月現在の
19.0 %に対して、 19.3 %であった。 ICAP に関するさらなる情報については、「 (4) 通貨・金融制度-③
銀行の監督および支援-銀行監督政策」を参照のこと。
2023 年3月 21 日、 CONDUSEF と国連開発計画は覚書に署名し、地域社会の包摂、保健および経済的回復力
に重点を置くことでメキシコ国民の経済的ストレスを軽減することを目的とした提携を形式化した。
2023 年3月 22 日と 23 日、 CNBV はバーゼル銀行監督委員会( BCBS )の第 213 回会議に参加した。会議で
は、 BCBS は銀行業務と市場の動向、世界の銀行制度の最高金利を引き続き注意深く監視し、銀行制度の回
復力を向上させ、国際的に活動する銀行に公平な規制環境を提供する措置を講じることで合意した。
証券市場
2023 年6月 23 日、最も活発に取引されている 35 の株式グループに基づく株式市場指数は、 2022 年 12 月 31
日現在の水準を 10.1 %上回る 53,341.91 ポイントであった。
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有価証券報告書
貿易及び国際収支
貿易
2023 年2月 17 日、労働・社会保障省および経済省は、米国・メキシコ・カナダ貿易協定( USMCA )の第
23.6 条に準拠して、強制児童労働を含む、強制労働または強制的労働によって全体的または部分的に製造
された商品のメキシコへの持込みを制限することを目的とした協定を官報に掲載した。
2023 年4月7日、労働・社会保障省は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定
( CPTPP )の労働章第 19.9 条および米国・メキシコ・カナダ貿易協定( USMCA )の労働章第 23.11 条に言及
される公衆通信に関する規則を発表した。
貿易の実績
以下の表は、表示期間についてのメキシコの商品輸出入(観光を除く。)の価額に関する情報を示した
ものである。
輸出入
当初3カ月間
(1) (1)
2022 年 2023 年
(単位:メキシコ産原油ミックスの
平均価格を除き、百万米ドル)
商品輸出( f.o.b. )
石油および石油製品 8,888.6 7,564.8
原油 7,110.4 5,922.9
その他 1,778.2 1,641.9
非石油製品 123,271.8 133,518.8
農業 5,914.7 6,290.2
鉱業 2,424.7 2,518.9
(2)
114,932.3 124,709.7
製造品
商品輸出合計 132,1604 141,083.6
商品輸入( f.o.b. )
消費財 17,592.1 20,735.5
(2)
中間財 108,621.4 111,935.2
資本財 10,726.7 13,212.4
136,940.1 145,883.1
商品輸入合計
(4,779.8) (4,799.4)
貿易収支
(3)
メキシコ産原油ミックスの平均価格
56.6 88.6
(米ドル)
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 保税産業を含む。
(3) 1バレル当たり米ドル表示。
出典: メキシコ中央銀行/ペメックス
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有価証券報告書
対外貿易関係および協定
2023 年1月 11 日、メキシコ / カナダと米国の間の紛争を監督する委員会は、 USMCA に基づく乗用車および
小型トラックに対する域内原産割合の計算に使用される一定の要件の米国の解釈に関して、車両全体の域
内原産割合は、域内原産割合要件を個別に満たす車両の各部品に対応する域内原産割合を使用して決定さ
れるべきとする米国の見解を拒否した。その代わりに委員会は、 USMCA に規定されている域内原産割合の
最小割合を満たしている必須部品は、車両全体の域内原産割合を計算する目的で完全に「域内原産」とし
てカウントされると判断した。 USMCA に基づく米国の域内原産割合要件に関するメキシコの紛争解決協議
の詳細については、「 (3) 貿易及び国際収支-①貿易-対外国貿易関係および協定-地域」を参照のこ
と。
2023 年2月 20 日、経済省はチリに関して環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定
( CPTPP )の発効を発表した。 2023 年2月 21 日、 CPTPP 締結国の域内原産商品に対する一般輸入税の適用税
率に関する CPTPP に基づく条約が、特定の関税の支払いの変更および最新情報などを関税率に反映するた
めに改正された。 2023 年3月 31 日、英国は CPTPP 貿易圏に参加することで合意に達した。
2023 年4月4日、 2021 年7月に署名されたメキシコ合衆国とパナマ共和国間の戦略的パートナーシップ
協定( Acuerdo de Asociación Estrategica entre los Estados Unidos Mexicanos y la República de
Panamá )が発効した。この協定は、政治、経済、社会および文化問題における戦略的提携と協力を通じて
メキシコとパナマの二国間関係を強化することを目的としている。
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国際収支および外貨準備高
以下の表は、表示期間におけるメキシコの国際収支を示したものである。
国際収支
第1四半期
(1) (1)
2022 年 2023 年
( 単位:百万米ドル)
(2)
経常収支 (12,365.3) (14,282.0)
受取 158,307.1 174,313.6
商品輸出( f.o.b. ) 132,239.8 141,184.3
非要素所得サービス 10,610.2 13,845.9
輸送 1,396.4 1,585.0
観光 6,771.9 8,338.2
保険および年金 864.4 847.5
金融サービス 137.1 146.6
その他 1,440.4 2,928.6
第一次所得 2,751.6 5,146.6
第二次所得 12,705.7 14,136.8
支払 170,672.4 188,595.6
商品輸入( f.o.b. ) 137,068.1 146,048.6
非要素所得サービス 14,867.3 17,101.3
輸送 5,926.0 6,932.9
観光 1,261.1 1,730.8
保険および年金 2,184.1 1,936.2
金融サービス 1,043.0 1,276.0
その他 4,453.1 5,225.4
第一次所得 18,447.4 25,100.6
第二次所得 289.6 345.2
資本収支 (6.2) 97.5
受取 74.6 178.4
支払 80.8 80.9
金融収支 (11,532.7) (12,344.4)
直接投資 (17,955.2) (19,413.3)
証券投資 3,246.2 (1,511.5)
金融派生商品 (395.8) 2,200.1
その他投資 (361.3) 3,522.5
準備資産 3,933.5 2,857.8
外貨準備 1,831.1 5,169.9
評価調整 (2,102.4) 2,312.1
誤差・脱漏 838.7 1,840.1
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 経常収支の数値は、新しい国際基準に合わせるために作成された手法に従って算出されている。かかる基準
の下では、商品輸出および商品輸入には保税産業が含まれる。
出典: メキシコ中央銀行
2023 年第1四半期のメキシコの経常収支は、 2022 年第1四半期の 3.7 十億米ドル( GDP の 1.9 %)の赤字
に対して 14.3 十億米ドル( GDP の 3.6 %)の赤字を計上した。経常収支赤字が拡大したのは、主として第一
次所得と石油貿易収支の赤字の増加によるものであるが、非石油貿易収支の黒字、送金および観光収入の
増加によってその一部は相殺された。
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有価証券報告書
外貨準備高
以下の表は、各表示期間末におけるメキシコ中央銀行の外貨準備高および対外純資産を示したものであ
る。
(1)
外貨準備高および対外純資産
(2)(3)
期末現在の外貨準備高 期末現在の対外純資産
(単位:十億米ドル)
(4)
2020 年 195.7 199.1
(4)
2021 年 202.4 207.7
(4]
2022 年 199.1 201.1
(4)
2023 年 :
201.0 205.8
1月
200.1 204.3
2月
202.3 206.2
3月
203.1 207.6
4月
202.5 207.1
5月
(1) 「対外純資産」は、 (a) 外貨準備高の総額に (b) 諸外国の中央銀行との融資協定から発生した期日が6カ月
を超える資産を加え、その合計から (x)IMF への債務残高および (y) 諸外国の中央銀行との融資協定から発生
した期日が6カ月未満の負債を差引いたものと定義される。
(2) 金、特別引出権( IMF により創設された外貨準備資産)および外貨保有が含まれる。
(3) 「外貨準備高」は、 (a) 外貨準備高の総額から (b) 期日が6カ月未満のメキシコ中央銀行の対外債務を差引
いたものに相当する。
(4) 暫定値。
出典: メキシコ中央銀行
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財政
概要
高金利を特徴とする複雑な国際環境にもかかわらず、 2023 年第1四半期のメキシコの財政状況は安定を
保っていた。 2023 年第1四半期に観測された主要財政収支に基づくと、経済実績は 2023 年について承認さ
れた財政目標に向かって進展しており、公的債務は持続可能な水準に維持されると予想される。
予算
見積予算歳出の要約情報および暫定実績は以下の表のとおりである。
予算歳出要約; 2023 年歳出予算
(単位:十億ペソ)
実績
2022 年 2023 年 2023 年
(1) (1) (1) (2)
2022 年 当初3カ月間 当初3カ月間 予算
医療
184.1 31.5 27.4 209.6
382.1 87.7 87.4 402.3
教育
17.1 3.7 5.8 15.3
住宅および地域開発
669.8 103.6 178.8 840.9
政府債の返済
145.5 60.6 79.5 183.9
CFE およびペメックスの債務返済
132.4 49.1 54.6 148.1
ペメックスの債務返済
13.1 11.5 24.9 35.8
CFE の債務返済
注:
(1) 暫定値。
(2) 2023 年予算の数値は、 2023 年総合経済政策ガイドラインおよび 2023 年経済計画に盛り込まれた経済の前提に基
づく通年の予算上の見積りを示している。これらの数値は、当該年の実績または更新されたメキシコの 2023 年
の経済業績予測を反映するものではない。
出典: 財務省
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以下の表は、表示期間の予算実績を示している。また、メキシコの 2023 年予算における前提と目標も示
している。
予算実績; 2023 年予算の前提および目標
実績
2022 年 2023 年 2023 年
(1) (1) (1) (2)
2022 年 当初3カ月間 当初3カ月間 予算
(3)
1.2 -3.0 %
実質 GDP 成長率(%)
3.0 % (2.8) % (2.6) %
全国消費者物価指数上昇率
(3)
(%)
7.8 % 2.4 % 1.5 % 3.2 %
メキシコ産原油ミックスの平均
輸出価格(1バレル当たり米ド
(4)
ル)
89.35 88.84 66.22 68.7
平均為替レート
(ペソ /1.00 米ドル)
20.1 20.5 18.7 20.6
28 日物政府短期証券平均利率
(%)
7.7 % 5.9 % 10.9 % 8.5 %
公的部門収支
(5)
( GDP に対する百分比)
(3.3) % (0.2) % (0.3) % (3.6) %
プライマリー・バランス
(5)
( GDP に対する百分比)
(0.5) % 0.3 % 0.5 % (0.2) %
経常収支赤字
( GDP に対する百分比)
(1.3) % (3.7) % (3.6) % (1.2) %
(1) 暫定値。
(2) 2023 年予算の数値は、 2023 年総合経済政策ガイドラインおよび 2023 年経済計画に盛り込まれた経済の前提に基
づく通年の予算上の見積りを示している。これらの数値は、当該年の実績または更新されたメキシコの 2023 年
の経済業績予測を反映するものではない。
(3) 数値は 2022 年当初3カ月間と 2023 年当初3カ月間についての四半期対四半期の変化を示している。
(4) 政府は、 2021 年歳入法において前提とされた水準に関して石油価格の潜在的な変動の影響を受けないようにす
るため、ヘッジ契約を締結した。したがって、承認された歳出水準は、年度中にペメックスが輸出する原油の
加重平均価格が 2023 年予算で前提とされる価格を下回ったとしても影響を受けない。
(5) 公務員の社会保障および社会サービス研究所法( Ley del Instituto de Seguridad y Servicios Sociales de
los Trabajadores del Estado 、以下「 ISSSTE 法」という。)の改革に基づく債券発行に関連する支出の影響
が含まれる。「 (5) 財政-④ 歳入および歳出-概要」に述べるとおり、特定の長期インフラ関連プロジェク
ト (PIDIREGAS) の債務を公的部門債務として認識する。
出典: 財務省
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歳入および歳出
以下の表は、 2022 年および 2023 年の当初3カ月間にかかる公的部門予算歳入の内訳を十億ペソ単位で示
したものである。また、メキシコの 2023 年予算の基礎をなす前提および目標も示している。
公的部門予算歳入
(1)
(単位:十億 ペソ )
実績
2022 年 2023 年 2023 年
(2) (2) (3)
当初3カ月間 当初3カ月間 予算
予算歳入 1,717.2 1,742.9 7,123.5
連邦政府 1,335.6 1,325.0 5,348.7
税収 1,120.9 1,153.2 4,623.6
所得税 703.6 722.6 2,512.1
付加価値税 291.7 293.4 1,419.5
消費税 75.0 90.9 486.2
輸入関税 22.6 22.4 98.3
炭化水素の探査および採掘にかか
る税金 1.8 1.8 7.7
輸出関税 0.0 0.0 0.0
贅沢品およびサービス n.a. n.a. n.a.
その他 26.1 22.1 99.8
税外収入 214.7 171.8 725.1
手数料および料金 52.6 50.5 57.2
安定化と開発のためのメキシコ石
(4)
油基金からの振替 123.5 80.2 487.7
過料および課徴金 35.9 37.7 173.6
その他 0.0 0.0 0.0
公社および政府機関 381.5 417.9 1,774.8
ペメックス 165.9 174.5 826.5
その他 215.6 243.5 948.3
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
n.a. :未詳。
(1) 名目ペソによる表示。
(2) 暫定値。
(3) 2023 年予算の数値は、 2023 年総合経済政策ガイドラインおよび 2023 年経済計画に盛り込まれた経済の前提
に基づく予算上の見積りを示している。これらの数値は、当該年の実績または更新されたメキシコの 2023
年の経済業績予測を反映するものではない。
出典: 財務省
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歳入
予算歳入
2023 年3月 30 日、財務省は、 2023 年2月の公共部門予算歳入が 1.11 兆ペソに達し、 2022 年2月と比較し
て実質 4.4 %増加したと報告した。
税制および税収
2023 年3月 30 日、財務省は、 2023 年の最初の2カ月間で税収が引き続き増加し、実質年間成長率は
4.2 %となったと報告した。
医療および労働、教育、ならびにその他社会福祉に関する歳出
2023 年2月8日、 IMSS と公認財務アナリスト協会は、国内および国際的なベスト・プラクティスに従っ
て、金融問題に関わる IMSS 担当者の研修と認定を行う協力協定を締結した。
2023 年3月 28 日、 IMSS は、地方または周縁化された都市部に住む国民に医療サービスを提供することを
目的とした IMSS- ビエネスター( IMSS-Bienestar )プログラムが、ミチョアカン、モレロス、サン・ルイ
ス・ポトシおよびサカテカスなどを含む、 13 州のメキシコ国民 26.4 百万人、つまり人口の 39.8 %に到達し
たと発表した。
2023 年4月 26 日、メキシコ、コロンビアおよびキューバは、ラテンアメリカおよびカリブ海の医薬品お
よび医療機器規制庁( Agencia Reguladora de Medicamentos y Dispositivos Médicos de America
Latina y del Caribe 、以下「 Amlac 」という。)の設立を約束する宣言に署名した。これは、地域全体で
健康主権と自給自足を達成するために保健規制を強化することを目的としている。この宣言には、 (i) ラ
テンアメリカ・カリブ諸国共同体( CELAC )の臨時議長国に機関設立に向けた各国の進捗状況を常に知ら
せること、 (ii) Amlac の提案を準備するための作業部会を結成すること、および (iii) 今後の会議日程を
作成することが含まれる。
2023 年5月 29 日、一般保健法を改正する政令が官報に掲載された。この政令は、ウェルネス健康研究所
( Instituto de Salud para el Bienestar )の廃止に伴い、その機能、責任、資産および資源を IMSS と保
健省に移管することなどを含め、医療制度を規制することを目的としている。
政府関係機関および公社
2023 年5月 29 日、農業、農村、林業および漁業開発のための国内投資家の分権的公的機関を消滅させ、
その法律を廃止する法令が官報に掲載された。同機関は清算手続きを行う場合のみ現在の法的地位を維持
する。
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公債
公的部門の借入所要額の残高履歴
以下の表は、表示日現在における公的部門の借入所要額の残高履歴の対 GDP 比を示したものである。
公的部門の借入所要額の残高履歴
(1)
(対 GDP 比)
2022 年 12 月 31 日 2023 年3月 31 日
公的部門の借入所要額の残高履歴 49. 4 % 4 5 . 6 %
(1) 公的部門の借入所要額の残高履歴の計算については、「 (6) 公債-③ 公的部門の借入所要額の残高履歴」
の表「公的部門の借入所要額の残高履歴」の脚注 (2) に記載がある。
出典:財務省
公的部門の借入所要額の残高履歴の説明を含むメキシコの公債の分類の説明については、「 (6) 公債-
② 公債の分類」を参照のこと。
対内債務
2023 年1月、財務省は、議会が承認した 2023 年度の債務上限を遵守しながら、 2023 年に満期を迎える債
務を削減することを目標に、国内市場で初の債務交換を実施した。
2023 年3月、 2023 年銀行会議の開催中、財務次官はメキシコの持続可能な分類法を発表した。これは、
透明性に重点を置き、社会的格差を削減し、環境を保護する経済的かつ持続可能な活動への投資を奨励す
ることを目的とした重要な公的金融政策ツールである。
2023 年4月 26 日、財務省は持続可能な開発目標ソブリン債の枠組みに基づき、国内市場で4本目となる
BONDES G サステナビリティにリンクした債券の募集を実施した。この債券は元本総額 15.0 十億ペソでそれ
ぞれ2年、3年および5年満期で発行された。
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公的部門対内債務
以下の表は、 各表示日現在における公的部門の対内債務総額および正味対内債務を要約したものであ
る。
公的部門の対内債務総額および正味対内債務
(1)
2022 年 12 月 31 日 2023 年3月 31 日
( 単位:百分比を除き、十億ペソ)
債務総額 10,012.0 10,636.0
期間別
長期 9,671.6 9,944.2
短期 340.4 691.7
債務者別
連邦政府 9,395.2 9,986.0
生産的国有企業 ( ペメックスおよび CFE) 321.3 348.6
開発銀行 295.5 301.4
金融資産 185.6 536.1
正味債務合計 9,826.4 10,099.9
対内債務総額 /GDP 35.2 % 36.3 %
(2)
正味対内債務 /GDP 34.5 % 34.4 %
(1) 暫定値。
(2) 正味対内債務の計算については、「 (6) 公債-④対内債務-公的部門対内債務」の表「公的部門の
対内債務総額および正味対内債務」の脚注 (2) に記載がある。
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対内政府債務
2023 年6月 23 日現在、州および地方自治体が発行した債務で政府が保証したものはなかった。
以下の表は、各表示日現在における政府の対内債務総額および正味対内債務を要約したものである。
(1)
政府の対内債務総額および正味対内債務
(2) (2)
2022 年 12 月 31 日 2023 年3月 31 日
( 単位:百分比を除き、十億ペソ)
債務総額
政府債券
8,925.4 95.0 % 9,511.9 95.3 %%
政府短期証券
813.0 95.0 % 1,174.5 12.5 %
(5)
変動利付債券
1,766.5 18.8 % 1,713.2 18.2 %
インフレ連動債券
2,623.9 27.9 % 3,832.9 40.8 %
固定利付債券
3,712.6 39.5 % 2,781.8 29.6 %
UDI 債の元本分離債
9.3 0.1 % 9.5 0.1 %
(3)
469.8 5.0 % 474.1 4.7 %
その他
債務総額合計
9,395.2 100.0 % 9,986.0 100.0 %
正味債務
(4)
133.4 446.4
金融資産
9,261.8 9,539.6
正味債務合計
対内債務総額の対 GDP 比
33.0 % 34.1 %
正味対内債務の対 GDP 比
32.5 % 32.5 %
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 対内債務の数値には、メキシコ中央銀行がマネー・サプライ規制に従って流動性水準を管理するために公開
市場操作によって売却した証券は含まれない。かかる公開市場操作は、この証券が政府の対内債務の全体的
な水準を押上げるものではないためである。メキシコ中央銀行が流通市場に売却した割当債務で、政府に支
払のため提示されたものについては、メキシコ中央銀行がメキシコ政府に弁済しなければならない。ただ
し、メキシコ中央銀行が割当債務の大量売却を流通市場で実施する場合、この規制の結果、対内債務残高の
水準が正味対内債務についての政府の数値に比べて高くなる可能性がある。
(2) 暫定値。
(3) 2022 年 12 月 31 日および 2023 年3月 31 日現在の債務額には、それぞれ 118.1 十億ペソおよび 112.6 十億ペソの
ISSSTE 法に基づく社会保障関連の負債が含まれている。
(4) メキシコ中央銀行における連邦の一般会計国庫( Tesorería de la Federación )のペソ建正味残高を含む。
(5) BONDES D 、 BONDES F および BONDES G 変動利付債券に関連した数値。これらは1日の銀行間均衡金利( tasa
de interés interbancaria de equilibrio 、以下「 TIIE 」という。)に連動する。
出典: 財務省
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対外債務
2023 年1月、財務省は世界銀行の融資を期限前返済し、負債を 70 %削減して 58 十億ペソ(約 3.2 十億米
ドル)としたと発表した。
公的部門対外債務
暫定値によると、 2023 年3月 31 日現在、公的部門対外債務総額の残高は 222.0 十億米ドルであり、 2022
年 12 月 31 日現在の残高 217.8 十億米ドルから約 4.2 十億米ドル増加した。このうち、 213.1 十億米ドルは長
期債務であり、 8.9 十億米ドルは短期債務であった。正味対外債務は 2023 年当初3カ月間に 1.8 十億米ドル
減少した。
以下の表は、表示日現在におけるメキシコの公的部門対外債務の要約(その種類別内訳、通貨別内訳お
よび公的部門正味対外債務を含む。)を示したものである。
(1)(2)
公的部門対外債務の種類別要約
(3) (3)
2022 年 12 月 31 日 2023 年3月 31 日
(単位:百万米ドル)
政府の長期直接債務 115,062.5 119,391.6
予算管理対象機関の長期債務 87,367.3 87,522.3
(4)
6,580.3 6,158.5
その他の長期公債
209,010.1 213,072.4
長期債務合計
8,776.0 8,878.9
短期債務合計
217,786.1 221,951.3
長期債務および短期債務の合計
(1)
公的部門対外債務の通貨別要約
(3) (3)
2022 年 12 月 31 日 2023 年3月 31 日
( 単位:比率を除き、百万米ドル)
米ドル 165,251.1 75.9 % 169,854.3 76.5 %
日本円 7,872.3 3.6 % 7,697.3 3.5 %
スイス・フラン 2,432.3 1.1 % 2,463.7 1.1 %
英ポンド 2,317.0 1.1 % 2,380.7 1.1 %
ユーロ 32,324.9 14.8 % 31,340.9 14.1 %
7,588.5 3.5 % 8,214.3 3.7 %
その他
217,786.1 100.0 % 221,951.2 100.0 %
合計
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(1)
公的部門の正味対外債務
(3) (3)
2022 年 12 月 31 日 2023 年3月 31 日
(単位:比率を除き、百万米ドル)
正味債務合計 216,517.2 218,277.3
GDP に対する対外債務総額の比率 14.7 % 12.9 %
GDP に対する正味対外債務の比率 14.8 % 13.1 %
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 米ドル以外の外貨建の対外債務は、各表示日現在の為替レートで米ドルに換算されている。公的部門対外
債務には、 (a)IMF に対するメキシコ中央銀行の買戻し債務( 2023 年3月 31 日現在残高はない。)、または
(b) メキシコの公的部門の銀行に対するコモディティ・クレジット・コーポレーションからの貸付は含まれ
ない。対外債務は、本表においては「総額」ベースで表示され、券面残高または額面総額による公的部門
の対外債務を含んでいる。一定の情報提供および統計上の目的から、メキシコは時に公的部門対外債務
を、海外において保有する一定の金融資産を控除した債務総額として算出される「純額」ベースで報告す
ることがある。かかる金融資産には、公的部門の事業体が保有しているが未消却のメキシコの公的部門対
外債務が含まれる。
(3) 通貨スワップの影響を反映するため調整済。
(4) 開発銀行の債務および財政が政府財政の連結対象となっているその他の運営管理対象機関の債務を含む。
出典: 財務省
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対外政府債務
以下の表は、表示日現在における対外政府債務総額、正味対外政府債務および正味政府債務を含む、メ
キシコの対外政府債務を要約したものである。
政府の通貨別対外債務総額
2022 年 12 月 31 日 2023 年3月 31 日
( 単位:比率を除き、百万米ドル)
米ドル 76,907.6 66.8 % 80,098.9 67.1 %
日本円 6,646.0 5.8 % 6,593.3 5.5 %
スイス・フラン 2,037.9 1.8 % 2,064.2 1.7 %
英ポンド 1,775.8 1.5 % 1,824.6 1.5 %
ユーロ 21,788.1 18.9 % 22,097.9 18.5 %
5,907.1 5.1 % 6,712.6 5.6 %
その他
115,062.5 100.0 % 119,391.5 100.0 %
合計
政府正味対外債務
2022 年 12 月 31 日 2023 年3月 31 日
(単位:比率を除き、百万米ドル)
正味債務合計 114,938.0 117,039.9
(2)
GDP に対する対外債務総額の比率 7.8 % 6.9 %
(2)
GDP に対する正味対外債務の比率 7.8 % 7.0 %
政府正味債務
2022 年 12 月 31 日 2023 年3月 31 日
対内債務 80.6 % 81.8 %
(1)
対外債務 19.4 % 18.2 %
注: 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 対外債務の計算については、「 (6) 公債-⑤対外債務-公的部門対外債務」の表「政府正味対外債務」の脚
注 (3) を参照のこと。
(2) 暫定値。
出典: 財務省
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対外有価証券募集および負債管理取引
2023 年1月9日、メキシコは 2028 年満期 5.400 %グローバル・ノート 1,250,000,000 米ドルおよび 2035 年
満期 6.350 %グローバル・ノート 2,750,000,000 米ドルを発行した。
2023 年4月 28 日、メキシコは 2053 年満期 6.338 %グローバル・ノート 2,941,388,000 米ドルを発行した。
それと同時に、メキシコは公開買付を実施し、これに従ってメキシコは 2023 年4月 20 日付の買入れ申込に
掲げたシリーズの未償還額について現金での買入れを申入れ、これに従ってメキシコは下表に掲げるノー
トを買入れた。公開買付の結果の概要は以下のとおりである。
公開買付において
旧債券のシリーズ 買戻された未償還額 公開買付後の未償還額
2041 年満期 4.280 %グローバル・ノート 630,779,000.00 米ドル 2,476,795,000.00 米ドル
2044 年満期 4.750 %グローバル・ノート 0.00 米ドル 3,715,392,000.00 米ドル
2045 年満期 5.550 %グローバル・ノート 0.00 米ドル 2,764,306,000.00 米ドル
2046 年満期 4.600 %グローバル・ノート 0.00 米ドル 2,344,948,000.00 米ドル
2047 年満期 4.350 %グローバル・ノート 199,672,000.00 米ドル 1,259,927,000.00 米ドル
2048 年満期 4.600 %グローバル・ノート 139,283,000.00 米ドル 1,861,390,000.00 米ドル
2050 年満期 4.500 %グローバル・ノート 313,818,000.00 米ドル 1,942,820,000.00 米ドル
2051 年満期 5.000 %グローバル・ノート 0.00 米ドル 2,481,041,000.00 米ドル
2052 年満期 4.400 %グローバル・ノート 676,207,000.00 米ドル 2,209,383,000.00 米ドル
2【発行者が地方公共団体である場合】
該当事項なし。
3【発行者が国際機関又は政府関係機関等である場合】
該当事項なし。
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