フランス預金供託公庫 有価証券報告書
提出書類 | 有価証券報告書 |
---|---|
提出日 | |
提出者 | フランス預金供託公庫 |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第 24 条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2023 年6月 30 日
【会計年度】 自 2022 年1月1日 至 2022 年 12 月 31 日
【発行者の名称】 フランス預金供託公庫
(Caisse des Dépôts et Consignations)
【代表者の役職氏名】 ナタリー・トゥビアナ
( Nathalie Tubiana)
グループ金融・持続可能政策担当部長
( Directrice des finances et de la politique durable du
groupe Caisse des D é p ô ts )
マリー・ブロクテュール ( Marie Blocteur )
経済金融業務執行局金融商品部長
( Responsable du d é partement des instruments financiers
au sein de la Direction de l ’ex écution des op érations
é conomiques et financi è res )
【事務連絡者氏名】 弁護士 島崎文彰
【住所】 東京都 千代田区神田小川町一丁目7番地
小川町メセナビル4階
島崎法律事務所
【電話番号】 (03) 5843-9631
【縦覧に供する場所】 該当なし
注 (1) 本書中、「 CDC グループ」、「フランス預金供託公庫グループ」または「当グループ」とあるのはフランス預金
供託公庫およびその子会社を、「発行者」または「 CDC 」とあるのはフランス預金供託公庫を、また「共和国」
または「フランス」とあるのはフランス共和国政府を、それぞれ指すものとする。
(2) 本書中、別段の記載がない限り、すべての金額はユーロで表示されている。「ユーロ」とは、欧州共同体の設
立条約(その後の改正を含む。)に従って単一通貨を採用した欧州連合加盟国の法定通貨を指すものとする。参
考までに、 2023 年6月1日現在株式会社三菱UFJ銀行が建値した対顧客電信直物売買為替相場の仲値は、1
ユーロ= 148.70 円であった。
(3) 発行者および共和国の会計年度は、暦年と一致する。
(4) 本書中の表で計数が四捨五入されている場合、合計は計数の総和と必ずしも一致しない。
1/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
第1【募集(売出)債券の状況】
募集債券
上場金融商品取引
会計年度末 所名又は登録認可
債券の名称 発行年月 券面総額 償還額
の未償還額 金融商品取引業協
会名
第4回フランス預金
供託公庫円貨債券 2014 年7月 108 億円 - 108 億円 該当なし
( 2014 )
第6回フランス預金
供託公庫円貨債券 2015 年7月 100 億円 100 億円 - 該当なし
( 2015 ) ( 注 1)
第7回フランス預金
供託公庫円貨債券 2019 年7月 150 億円 150 億円 - 該当なし
( 2019 ) ( 注 2)
第8回フランス預金
供託公庫円貨債券 2020 年7月 100 億円 100 億円 - 該当なし
( 2020 ) ( 注 3)
第9回フランス預金
供託公庫円貨債券 2020 年7月 100 億円 - 100 億円 該当なし
( 2020 )
( 注 1) この債券は 2022 年7月 22 日に満期一括償還された。
( 注 2) この債券は 2022 年7月 29 日に満期一括償還された。
( 注 3) この債券は 2022 年7月 22 日に満期一括償還された。
売出債券
上場金融商
品取引所名
会計年度末 又は登録認
債券の名称 発行年月 券面総額 償還額
の未償還額 可金融商品
取引業協会
名
フランス預金供託
公庫 2022 年9月満
7,284,000 7,284,000
2017 年9月 - 該当なし
期 米ドル建債券
米ドル 米ドル
( 注 1)
フランス預金供託
公庫 2022 年9月満
29,599,000 29,599,000
2017 年9月 - 該当なし
期 豪ドル建債券
豪ドル 豪ドル
( 注 1)
( 注 1) これらの債券は 2022 年9月 28 日に満期一括償還された。
本会計年度中に、各債券の所有者の権利等に重要な影響を与えるような出来事は発生しなかった。
本会計年度末以降、日本において債券の募集も売出しも行われていない。
2/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
第2【外国為替相場の推移】
(1) 【最近5年間の会計年度(又は事業年度)別為替相場の推移】
本邦において売出しが行われた債券の表示通貨である米ドルおよび豪ドルと本邦通貨との間の為替相場
が、国内において時事に関する事項を掲載する2以上の日刊新聞紙に当行の最近5年間の会計年度におい
て掲載されているため、記載を省略。
(2) 【当会計年度(又は事業年度)中最近6月間の月別為替相場の推移】
上記の理由により記載を省略。
(3) 【最近日の為替相場】
上記の理由により記載を省略。
3/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
第3【発行者の概況】
1【発行者が国である場合】
該当事項なし
2【発行者が地方公共団体である場合】
該当事項なし
3【発行者が国際機関又は政府関係機関等である場合】
(1) 【設立】
① 設立の根拠、年月日および沿革
ナポレオン帝政の崩壊、百日天下を終焉させたナポレオン戦争の敗北後、フランスでは 1815 年7月8日
に王政復古が再びなされた。フランスは、その敗北の結果、当時の国の年間財政歳入合計相当額に近い巨
額の戦争賠償金の支払義務を負担させられた。フランス政府は、かかる債務を履行するために、租税収入
の利用に加えて、借入を行う必要があった。政府は、経済を再建し、フランス革命以降累積していた未払
いの公的債務を解消し、また戦争債務について支払うべき補償金を清算することを要した。
1816 年4月 28 日に、フランス史上最初の金融法 ( loi sur les finances ) (以下「 1816 年法」という。)
が成立し、国家の財政構造を改革し、新しい機関を創立することになった。 1816 年法は、 Caisse des
dépôts et consignations (フランス預金供託公庫)という「特別施設法人 ( établissement spécial ) 」を
創設した。 1816 年法第 10 節は今日においてもまだ効力を有し、フランス通貨金融法典 ( code mon é taire et
financier ) に編入されている。フランス預金供託公庫(以下「 CDC 」という。)は、民間資金預託の信頼さ
れる制度の運営を負託され、フランスの貯蓄制度に対する貯蓄者の信認の再構築に貢献してきた。
以下の情報は、2世紀に及ぶ CDC の沿革における重要な出来事の要約年表を示している。
1816 年: CD C の設立
1822 年:最初の地方開発ローン
1830 年:フランスの主要金融運営者
1837 年:貯蓄通帳(「リブレ (livret) 」)の運営
1868 年: CDC が運用する最初の生命保険ファンドの創設
1890 年:弁護士からの預り金管理
1894 年:最初の公的住宅融資
1910 年:最初の強制年金制度運営
1945 年:戦後復 興融資
1959 年: Caisse Nationale de Prévoyance (国家保険ファンド、現在の CNP Assurances )の設立
1960 年: CDC の地方組織管理の設置
1966 年: Caisse d'Aide à l'Equipement des Collectivités Locales (地方公共団体インフラ支援ファン
ド)( CAECL )の創設。 CAECL は 1987 年に Crédit Local de France ( CLF )に承継 され 、 CLF は 1996
年にデクシア( Dexia )を創設するために Crédit Communal de Belgique と統合される。
4/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
1983 年 :地方開発サービスを提供する子会社の設立
1994 年: PME (中小企業)イノベーション・プログラム開始
2001 年: CDC Ixis (退職者準備ファンド管理運用業務)の設立
2004 年: Société Nationale Immobilière (SNI) の取得
2006 年: CDC Ixis の売却( Caisses d'Epargne からの分離)
2007 年: 2020 年飛躍戦略計画( Él an 2020 )の策定。同計画は CDC の長期投資家としての負託について具体
的な目標値を設定し、住宅および都市計画、中小企業支援、大学・知識経済および持続可能な発
展を4つの戦略分野として特定
2008 年:経 済近代化法による CDC の正統性・役割の強化。 Fonds stratégique d'investissement (戦 略投資
ファンド、 FSI )の設立
2009 年:危機に応じた長期投資家モデルの展開
2010 年:国の Programme d ’investissements d ’avenir ( PIA )にかかる合計 7.5 十億ユーロの8契約の管理
を受託
2011 年:ラ・ポストの株式資本の取得( 2011 年4月に 1.05 十億ユーロの第1回目の支払、その後 2012 年4
月に 1.05 十億ユーロの第2回目の支払および 2013 年4月に 333 百万ユーロの最終支払を行い、そ
の結果 CDC のラ・ポストの株式資本保有は 26.32 %となった。)
2012 年: 2012 年 12 月 31 日付で Bpifrance を設立( la Banque publique d'investissement 設立に関する 2012
年 12 月 31 日法律第 2012-1559 号による。)。 Bpifrance は 2013 年中に既存の3事業体( Os é o, FSI
および CDC Entreprises )の事業を承継
2013 年: 2013 年7月における Bpifrance の設立手続の完了により、 CDC がその株式資本の 50 %を、国が残り
の 50 %を保有
2014 年: 2014 年財政法に基づく予算額 12 十億ユーロの将来プログラムへの投資の第2段階( PIA 2 )を開
始。 CDC グループは、この新予算について 3.7 十億ユーロの運用を委託された。
2015 年: 11 月、 COP21 を1週間後に控えた Novethic (ヨーロッパ SRI 認証機関)のセミナーに際して、 CDC
の総裁は、気候ファイナンス・デイ開催中の同年5月に自らコミットした、 2020 年までにカーボ
ンフットプリントを 20 %削減するという約束の内容を確認した。
2016 年: 12 月、 EDF 、 CDC および CNP Assurances は、 Réseau de Transport d'Électricité ( RTE )における
49.9 %の持分の CDC および CNP Assurances による取得にかかる拘束力のある契約を締結した。か
かる取得は 2017 年3月に実現した。
12 月、 CDC と Veolia は、 2016 年7月 29 日に発表した契約案に関連して、 Transdev グループ(以下
「 Transdev 」という。)の株主再編契約( Veolia の Transdev からの撤退を含む。)をとりまとめ
た。 CDC が Transdev の資本の 20 %を 220 百万ユーロで取得することになっていたこの契約の第一段
階は完了している。
2017 年:1月、 CDC は、 HIT の資本における株式保有のすべて( SANEF グループの支配保有)の譲渡にかかる
拘束力のある契約を締結した。
4月、 CDC と Qualium Investissement の経営陣は、 Qualium Investissement の株主構成の再編案
にかかる覚書の締結を発表した。契約の案文に基づき、 CDC は、 Qualium Investissement の資本の
70 %を資産運用会社の現在の経営陣に譲渡することになった。資本再編案は、 CDC が出資する予定
であった新しいファンドである Qualium Fund Ⅱの立上げに関係していた。
6月、 Icade の株式保有に進展があったことが発表された。 Icade の 12.95 %を Groupama から取得し
たことにより、 Cr é dit Agricole Assurances は CDC に次いで、 Icade の株式資本の 18.64 %を保有す
る Icade の2番目の大株主となった。
5/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2018 年: 2018 年1月1日以降、 CDC は、国際財務報告基準( IFRS )第9号および第 15 号を適用している。
2018 年5月 30 日、「 Banque des Territoires 」を立ち上げた。同社は、 CDC の事業部署とその子会
社2社( SCET および CDC Habitat )を単一のプラットフォームおよび商標のもとで統合することに
よって設立された。その任務は、領土の発展に貢献するプロジェクトおよび企業に投資すること
である。 CDC は、そのすべての顧客およびパートナー(地方自治体、地方の公的機関および公的住
宅機関を含む。)のために、 Banque des Territoires を通じて、数種類のサービス、すなわち、
コンサルタントおよびエンジニアリング、融資、エクイティ投資、銀行サービス、エスクロー口
座および特別預金ならびに業務サービスの提供を行っている。
8月、最高経営責任者は、ラ・ポストとともにフランスにおける大手金融業者を創設するプロ
ジェクトを発表した。このプロジェクトにおいて、 CDC は、ラ・ポスト・グループにおける持分を
引上げ、支配権を獲得することになる。
2019 年: 2018 年 10 月2日に CDC と Rethmann グループとの間で締結された契約を延長する一環として、1月
に、それまで Veolia グループが保有していた Transdev の株式の 30 %を Rethmann グループが取得し
た。同時に、 Rethmann グループは、そのドイツにおける公共旅客輸送業務を4%の準備資本増加
を通じて Transdev に拠出し、これにより Transdev の資本における持分を 34 %に引上げた。
2020 年: 2020 年3月4日、重要な公的金融のハブの創設に関連した取引が完了した。当初 2018 年8月 30 日
に経済財務大臣により発表されたところでは、かかる取引は、 CNP Assurances の資本における持
分の フランス政府および CDC からラ・ポストへの譲渡、その後ラ・ポストから La Banque Postale
への譲渡に よって実現した。以下の取引が 2020 年3月4日に完了した。
・フランス政府および CDC は、 CNP Assurances の資本におけるそれぞれ約 1.1 %および 40.9 %の持
分をラ・ポストに譲渡し、これと引換えに増資の一環としてラ・ポストの持分を受領した。
・ラ・ポストは、増資の一環として La Banque Postale 株式と引換えに、フランス政府および CDC
から受取った CNP Assurances の株式のすべてを La Banque Postale に譲渡した。
・ CDC は、約1十億ユーロでラ・ポストの資本における追加持分をフランス政府から取得した。
これらの取引の完了により、フランス政府はラ・ポストの資本および議決権の 34 %を保有し、 CDC
はラ・ポストの資本および議決権の 66 %を保有した。
ラ・ポストの完全所有子会社である La Banque Postale は、現在では CNP Assurances の資本の
62.1 %を保有しており、残りは BPCE ( 16.1 %)および浮動株主( 21.8 %)が保有している。
この取引の完了と並行して、フランス政府および CDC は、ラ・ポストの資本における変更をその株
主関係の構成に反映させるため、新たな株主間協定を締結した。
2021 年: 2021 年 12 月 22 日、 Engie および CDC と CNP Assurances が保有する投資ビークルである Soci ét é
d'Infrastructures Gazi è res (SIG) は、 GRTgaz における 11.5 %の持分の SIG による取得を発表し
た。この取引により、 SIG は GRTgaz の資本における持分を 39 %近くまで引上げ、 Engie は 61 %近く
を保有し、エネルギー転換に必要不可欠なインフラ部門への支援をさらに強化した。
6/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2022 年: 2021 年 10 月 28 日に発表されたとおり、 2021 年末に CNP Assurances における BPCE の 16.1 %の持分を
取得した後、 La Banque Postale は、 2022 年5月2日から 2022 年5月 31 日までを募集期間とする
CNP Assurances の株式の簡易公開買付を提出した。公開買付後、非支配株主が保有する CNP
Assurance の資本および議決権は 10 %未満となったため、 La Banque Postale は強制的なスクイー
ズアウト(少数株主排除)の手続きを実施した。これにより、 2022 年 12 月 31 日現在、 La Banque
Postale は CNP Assurances の株式の 100 %を保有していた。
さらに、 2022 年1月7日、 Tikehau Capital は、 Egis の国際的成長を下支えするために、建設エン
ジニアリングおよびモビリティ・サービス部門においてフランスのリーダーである Egis における
40 %の持分を取得した。 Tikehau Capital の買収完了により、 CDC は Egis の資本の 34 %の持分を保
持するとともに Egis の執行パートナーおよび従業員が同社の資本の 26 %を保有している。
2022 年1月 31 日、 Meridiam 、 GIP 、 CDC および CNP Assurance で構成される投資家コンソーシアム
は、 2021 年 10 月 22 日付の株式売買契約の条件に従って、「新しい Suez 」の創設に必要な資産を
Veolia から購入した。 CDC グループは現在、 Suez Holding における 20 %の持分を保有する間接株主
となっている。 2022 年末には、フランスにおける有害廃棄物処理事業と英国における廃棄物処理
事業の買収に資金を提供するために追加の拠出が行われた。
2022 年5月 20 日、 CDC は Euroclear の 5.4 %を取得した。この取引に続いて、幾つかの追加投資が行
われた。 2022 年末現在、 CDC は Euroclear Holding SA/NV の資本の 7.9 %を保有していた。この取引
により、 CDC はフランスとヨーロッパ経済の資金調達において極めて重要な役割を果たすこの市場
インフラ・プレーヤーの安定性とヨーロッパでの定着を支援することを目指している。
2022 年、 CDC グループはグループの目的と野心を定義する存在意義( Raison d'être )を採択し、
10 月 26 日にグループのすべての業務を 1.5 ℃目標に沿って、初の気候変動への適応策を採用するこ
とを目的とした気候変動緩和政策を強化した。
② 目的
フランス通貨金融法典第 L.518-2 条(経済近代化法( loi de modernisation d e l'économ ie )( 2008 年8
月4日法律第 2008-776 号)による改正後)は次のように定めている。
「フランス預金供託公庫およびその子会社は、国の一般の利益および経済発展に資する公的グループを
構成する。かかるグループはフランス国および地方公共団体が追求する公共政策を支援する公益上の義
務を履行するとともに、競争的業務に従事することもできる。
フランス預金供託公庫は、預金および供託の管理、その管理が同公庫に委託された基金に関する役務
の提供ならびに法的に委ねられたその他同種の義務の履行について責任を負う特別施設法人である。同
公庫は、国民の貯蓄の保護、公的住宅に係る金融および年金制度の運用について責任を負う。同公庫は
また、地方および国の経済発展に対して、特に雇用、都市政策、銀行および金融機関からの排他的行為
の防止、起業ならびに持続性のある発展の分野において寄与する。
フランス預金供託公庫は、長期の投資家であり、その持分に応じて会社の発展に寄与する。」
7/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
③ 法的地位および特権
CDC は特別施設法人 ( établissement spécial )であり、フランス通貨・金融法典第 L.518-2 条から第
L.518-24-1 条が適用され、立法府の監督および保証に服する。フランス通貨・金融法典第 L.518-2 条は、
「フランス預金供託公庫は、立法当局の監督および保証の下に最も特別な方法で置かれる。」と定めてい
る。 CDC のこのユニークな地位は、主として、貯蓄者の保護の保証の目的で同公庫を国会の保証下に置くこ
とにより、行政権の専断的な行為から CDC を保護するという、 1816 年当時の立法者の意思に由来している。
国や地方公共団体のようなフランス公法上の法人の一類型である「公施設法人( établissement
public )」として CDC を分類することについては、判例法において、最も注目すべきはフランスの行政訴訟
の最高裁判所であるコンセイユ・デタ( Conseil d’Etat )によってもこれが支持されてきている。かかる
特殊公法人として、 CDC は以下に要約されるような一定の特権を有する。
支払不能・破産手続の不適用
フランスでは、公法に準拠する法人は、経営困難にある企業の強制管理および清算に関する通常の法律
に服さない。公法準拠の法人に対する弁済不能・破産手続の不適用は、かかる法人の資産に対する差押免
除の一般原則に由来している。このような原則は、フランスの裁判所(フランスの民事訴訟の最高裁判所
の破棄院( Court de Cassation )を含む。)により 19 世紀後半から承認されてきた。フランス商法典
( Code de commerce )第 L.631-2 条、第 L.640-2 条および第 L.620-2 条は、それぞれ更生手続( redressement
judiciaire )、清算手続( liquidation judiciaire )および保護手続( sauvegarde )に関係しているが、
これらの集団手続( procédures collectives )が、「商人、職人登録簿に登録された者、農民、独立専門
職業者(法令上のもしくは規制を受ける地位を有するか、またはその指名が保護されている独立専門職業
者を含む。)および私法上の法人に適用されるものとする。」と規定している。これらの条文の文言およ
びフランスの裁判所によるかかる法令の解釈からすると、通常法上の集団手続は公法に準拠する法人には
適用されないということになる。特に、パリ控訴院は、 1991 年2月 15 日決定において、「経営困難の企業
に適用される法律からの除外は、当該法人が産業または商業的性質を有する公施設法人にかかわるかどう
かを問題とすることなくすべての公的部門の法人に適用されること、 1985 年1月 25 日法第2条は私法に服
する法人のみを申立ての対象に含めているのであって、あらゆる公的部門の法人をその業務の性質の如何
を問うことなく除外している。」(決定第 90-21744 号)と判示した。したがって、 CDC は、経営困難にある
企業の管理・清算に適用される通常の法律規則に服さない。
8/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
支払能力の保護
他方、 1980 年7月 16 日法律第 80-539 号第1条第2項は、「裁判所の確定判決が地方公共団体または公施
設法人に対して判決自体において特定された金額の金員の支払命令を下す場合は、かかる金員の支払は当
該判決言渡日から2カ月以内になされなければならない。当該期間内に支払命令がなされない場合は、国
の省庁代表者または監督機関は訓令を発出する。支払資金が十分でない場合、国の省庁代表者または監督
機関は当該公共団体または公施設法人に対して必要な財源を創出するよう正式な通知を行う。もし、当該
公共団体または公施設法人の決定機関がかかる財源を用意または創出しない場合は、国の省庁代表者また
は監督機関はこれを行い、また必要な場合には訓令を発出する。」と規定している。
上記の 1980 年7月 16 日法に基づいて、デクレ( 2008 年5月 20 日第 2008-479 号)第 10 条は、「当該通知が
期間満了時までに効果がないときは、国の代表者または監督機関は不履行公共団体または公施設法人の予
算にその支出を計上する。国の代表者または監督機関は、適切な場合には、他の支出への充当額で利用し
うるものを減額することまたは財源を増加させることにより必要な財源を用意する。」また「もし充当額
計上の通知後8日以内に地方公共団体または公施設法人が支払うべき金員の支払を命令しない場合は、国
の代表者または監督機関は1カ月以内に支払の実行をする。」と定めている。支払不能または破産手続に
関する通常の法律が公法準拠の公法人に適用されず、またその資産の差押えができないことから、かかる
公法人の債務は 1980 年7月 16 日法および国が公施設法人による当該法人の債務支払を確保する責任を負う
ものとする同法施行規則により定められた特別のスキームにより支払われることになる。こうして、 CDC の
ソルベンシー(支払能力)は法律により保護されており、その債権者は 1980 年7月 16 日法の規定により利
益を受けることができる。
④ 日本との関係
CDC の設立に関して日本との関係はない。
9/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
(2) 【資本構成】
① 負債および資本
2022 年 12 月 31 日現在の CDC グループの負債および資本は以下のとおりである。
2022 年 12 月 31 日
( 百万ユーロ )
負債および資本
中央銀行からの預り金
損益を通じて公正価値で測定される金融負債 14,093
負の公正価値を有するヘッジ手段 10,459
債務証券 134,585
金融機関からの預り金 51,891
顧客からの預り金 329,027
金利リスクのヘッジ対象ポートフォリオに対す
る公正価値調整の累積額 1,507
当期および繰延税金負債 4,048
未払金、繰延収益およびその他の負債 42,572
売買目的保有非流動資産に関連する負債 51
引当金 6,130
保険会社の責任準備金およびシャドー・アカウ
ンティング準備金 383,656
劣後債、保証預り金 9,144
987,163
負債合計
所有者に帰属する資本
準備金および利益剰余金 35,642
その他包括利益 5,095
当期利益(損失) 3,291
44,028
所有者に帰属する資本合計
16,431
非支配持分
60,459
資本合計
1,047,622
負債および資本合計
注 (1) 上記の負債項目には短期負債も含まれる。
注 (2) CDC は株式資本を有しない。
10/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2022 年 12 月 31 日現在の CDC の負債および資本は以下のとおりである。
( 百万ユーロ )
2022 年 12 月 31 日
負債および資本
147,777
負債
15,037
銀行間取引および類似の取引
金融機関に対する一覧払債務 10,803
金融機関に対する満期日が固定されている債務 4,234
91,799
顧客取引
当座勘定(貸方) 76,415
顧客に対するその他の債務 15,384
33,097
債務証券
6,793
未払費用、繰延収益およびその他の負債
495
引当金
保証預り金
556
一般銀行業務リスク引当金( FGBR )
23,646
資本( FGBR を除く。)
準備金およびその他資本剰余金 19,212
利益剰余金 3,251
当期純利益(損失) 2,173
(990)
フランス政府に支払われた中間配当
171,423
負債および資本合計
注 (1) 上記の負債項目には短期負債も含まれる。
注 (2) CDC は株式資本を有しない。
② 出資者
CDC は出資者を有しない。
11/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
(3) 【組織】
① 統治機関の構成、権限および組織
CDC の主たる統治機関は、以下に述べるように、監督審議会および会長兼最高経営責任者である。
監督審議会
1816 年法は CDC に対して、国家の行政権力による恣意的な行為から CDC を保護する目的で、監督審議会
( Commission de Surveillance )を通じた「立法機関の監督および保証の下に」 CDC を置くことにより最
大限の独立性を保証する仕組みをもつ独特な地位を与えた。国民を代表する国会が CDC の活動に対する支
配権を行使し、かつその自律性を保証する。国会は、 CDC の独立の保証者として行為し、一般的な管理監
督を行い、法律により委託された任務を遂行する監督審議会を通じてこの2つの負託を果たす。年に1
回、監督審議会は国会に 報告書 を提出する。 2008 年8月4日経済近代化法は、監督審議会の役割を拡大・
強化し、 CDC グループに対する国会の監視を強固にした。 CDC のこのユニークな地位は、他の法律上の法人
が享受していない独立性の保証を CDC に与えている。同様に、 2019 年5月 22 日付の PACTE (企業成長と変革
行動計画)法により、特に戦略的問題および CDC の予算の採択について、監督審議会の役割および責任が
拡大された。
監督審議会の任務については、フランス通貨金融法典は、その第 L.518-7 条から第 L.518-9 条に「任務」
と題する規定を設けている。かかる規定は、 PACTE (企業成長と変革行動計画)法によって先ごろ改訂さ
れた。
同法典第 L.518-7 条によると、監督審議会は、会長兼最高経営責任者によって確保された CDC の経営に対
する恒久的な統制を定めている。監督審議会は、その権限の一部を会長兼最高経営責任者に委ねることが
でき、会長兼最高経営責任者はかかる委任に従って行った自身の決定について報告を行う。監督審議会
は、その機能およびメンバーの任務の適切な行使を確保するため、十分な資質を有さなければならない。
監督審議会は、年に少なくとも4回、 (i) 公施設法人(すなわち CDC )およびその子会社の戦略的立場(中
期計画を含む。)、 ( ⅱ )CDC の公益的機能の遂行ならびに ( ⅲ ) 公施設法人およびその子会社の投資戦略の
決定について審議する。第 L.518-7 条はまた、監督審議会が会長兼最高経営責任者の提案に基づいて、財
務大臣の承認を条件として CDC の予算を採択することを規定している。監督審議会はまた、健全性モデル
を決定し、債務証券の発行プログラムをその年間の発行上限とともに承認する。
監督審議会は、会長兼最高経営責任者が提案する内部統制制度のガイドラインを承認する。また、 男女
の職業上の平等に関する方針および同一賃金に関する CDC の方針についても議論する。
第 L.518-9 条に従い、監督審議会は、その役割を果たすために必要な統制および検証を行い、必要と考え
る文書を取得する。監督審議会は、会長兼最高経営責任者 に対してコメントおよび意見を送付することが
でき、これを公表するかどうかを決定することができる。
監督審議会の全体会議は少なくとも月に1回開かれており、精査および監督はまた、監督審議会内の、
2003 年創設の監査・リスク委員会、 2003 年創設の貯蓄基金委員会、 2008 年創設の投資委員会、 2008 年創設
の指名・報酬委員会、 2018 年創設の戦略委員会および 2022 年創設の CSR (企業の社会的責任)・倫理委員
会により、現在行われている。
12/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
PACTE 法の規定に基づき、以下のとおりとなっている。
・フランス 通貨金融法典第 L.518-4 条は、監督審議会が3年任期の以下の 16 名のメンバーにより構成され
ることを規定している。
国民議会の 金融担当委員会から2名(このうち少なくとも1名は政府を支持しないと表明している
グループに属していなければならない。)、国民議会の経済担当委員会から1名、元老院の経済担
当委員会から1名、元老院の金融担当委員会から1名、 経済担当省の財務局長(代理人によること
ができる。)、金融、会計もしくは経済学の分野または経営の分野における専門的知見により指名
された5名(うち3名は国民議会の金融委員会の意見を聞いたうえで国民議会議長により指名さ
れ、2名は元老院の金融委員会の意見を聞いたうえで元老院議長により指名された者)、金融、会
計、経済もしくは法律の分野または経営の分野における専門的知見によりデクレにより任命される
3名ならびに CDC およびその子会社の従業員を代表する者2名
・ CDC は、商事を管轄する会計規則の対象となる。したがって、会計官長( Caissier G é n é ral ) に関する
規定 (フランス 通貨金融法典 第 L.518-13 条に規定する。)の対象となっており、会計検査院( Cour
des comptes 、フランスの最高会計検査機関)による統制に関する規定は廃止された。
・法定監査法人は、年次または中間の財務書類について議論するすべての監督審議会の会議への出席を
求められる(フランス 通貨金融法典 第 L.518-15 条) 。
・フランス健全性規制庁が CDC の健全性規制について監督する(フランス 通貨金融法典 第 L.518-15-2
条) 。
・ CDC の活動による純利益から毎年国に支払われる割合は、監督審議会が意見を述べ、その支払は CDC の
支払能力または健全性規則の遵守のいずれかに影響を及ぼしえないと定めた後にデクレによって設定
される(フランス 通貨金融法典 第 L.518-16 条) 。
2023 年5 月 24 日現在の監督審議会の会長およびメンバーは次のとおりである。
監督審議会会長:
ALEXANDRE HOLROYD 監督審議会議長 兼委員 - 第 3 選挙区フランス国民議会 ( des Français établis
hors de France ) 議員
ANNE-LAURENCE PETEL 監督審議会 委員 - ブーシュ・デュ・ローヌ第 14 選挙区フランス国民議会議員
MARC LE FUR 監督審議会 委員 - コートダルモール第3選挙区フランス国民議会議員
JEROME BASCHER 監督審議会委員 - オワーズ上院議員
VIVIANE ARTIGALAS 監督審議会委員 - オートピレネー上院議員
JEAN-YVES PERROT 監督審議会委員 - 監査院上級顧問 - 上院議長によって任命された有資格者
EVELYNE RATTE 監督審議会委員 - 監査院名誉会長 - 上院議長によって任命された有資格者
BEATRICE DE KETELAERE 監督審議会委員 - CDC の従業員代表
PIERRE FOURCAIL 監督審議会委員、 CDC の従業員代表
CLAUDE NAHON 監督審議会委員 - 国家により任命された有資格者
JEAN-MARC JANAILLAC 監督審議会委員 - 国を代表する有資格者
フランス政府を代表する有資格者の1名の指名が保留中である。
EMMANUELLE AURIOL 監督審議会委員 - 経済学者、国会議長により任命された有資格者
DENIS DUVERNE 監督審議会委員 - コンサルタント、国会議長により任命された有資格者
FLORENCE PARLY 監督審議会委員 - 国務院議員(国会議長により任命された有資格者)
13/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
GABRIEL CUMENGE 監督審議会委員 - トレゾール経営管理部門次長、財務局長代理
BEATRICE GAU-ARCHAMBAULT - 監督審議会事務局長
経営陣
フランス通貨金融法典第 L.518-11 条は、 CDC がその 会長兼最高経営責任者( Directeur Général )により
経営されることを規定している。会長兼最高経営責任者は、フランス共和国大統領による閣議を経たデク
レ( décret )(フランス通貨金融法典第 R.518-2 条)により任期5年で任命される。会長兼最高経営責任
者は、その職に就任するに当たり、監督審議会において「フランス預金供託公庫の不可侵性を維持するた
めに全権限を駆使する」旨の約束を宣誓する(同法典第 L.518-11 条)。会長兼最高経営責任者は、 CDC の
資金および有価証券の管理について責任を負う(同第 L.518-12 条)。会長兼最高経営責任者は、監督審議
会の意見表明を受けてまたは監督審議会の提案により罷免されうる(同第 L.518-11 条)。会長兼最高経営
責任者は、1名または複数名の代表理事( directeurs délégués )を任命することができ、その者に自身
の権限の一部を委ねることができる。会長兼最高経営責任者は、 CDC のグループ執行委員会( Comit é
ex é cutif Groupe )の補佐を受ける。
CDC グループ執行委員会は、 2023 年5月 15 日現在以下の者により構成されている。
ERIC LOMBARD - フランス預金供託公庫の最高経営責任者 (Director g é n é ral)
OLIVIER SICHEL -フランス預金供託公庫の副最高経営責任者 (Directory g é n é ral d é l é gu é ) および
Banque des Territoires の取締役 (Director de la Banque des Territoires)
NICOLAS DUFOURCQ - Bpifrance の最高経営責任者
VIRGINIE CHAPRON-DU JEU - フランス預金供託公庫のリスク担当部長
PIERRE CHEVALIER - フランス預金供託公庫の法務・コンプライアンス・ 職業倫理 担当部長
NATHALIE TUBIANA - フランス預金供託公庫の金融・持続可能政策担当部長
OLIVIER MAREUSE - フランス預金供託公庫の 貯蓄基金次長兼部長および資産管理担当部長
CATHERINE MAYENOBE - フランス預金供託公庫の運営・業務変革管理次長兼担当部長
AURELIE ROBINEAU-ISRAEL - フランス預金供託公庫の人的資源担当部長
SOPHIE QUATREHOMME - フランス預金供託公庫の法人コミュニケーションおよびパートナーシップ担
当部長
MICHEL YAHIEL - - フランス預金供託公庫の社会政策担当部長
ANTOINE SAINTOYANT - フランス預金供託公庫の戦略的ホールディング担当部長
MARIE-LAURE GADRAT - フランス預金供託公庫の最高経営責任者補佐
14/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
② CDC の組織図
以下は、 2023 年 6 月現在の CDC の組織図である。
15/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
(4) 【業務の概況】
① CDC の事業の内容
CDC は、フランスの公共の利益および経済発展に貢献する長期投資家である。 CDC の事業ラインに関する
以下の記載には、本書の「5.経理の状況」に記載の連結財務書類または一般部門財務書類のいずれにも
反映されていない、貯蓄基金の管理といった国から負託された業務等が含まれている。したがって、以下
の事業の分類は、国際財務報告基準第8号に準拠して作成された CDC グループの財務書類に含まれる事業
セグメントとは一致しない。
年金・連帯基金
年金・連帯部門は、 7.6 百万人の現役の雇用者および 3.9 百万人の年金受給者を対象とする 48 の基金を運
営している。これはフランスの年金受給者の5名のうち1名に相当し、以下のものから構成されている。
・ 4つの主要年金制度。フランスの3公的部門事業の正規または契約雇用者および公的部門職員(全国
地方自治体職員年金金庫( CNRACL )、国・自治体の非正規職員向け補足年金機関( IRCANTEC )、公務
員退職年金機構( RAFP )および国家事業労働者年金特別基金( FSPOEIE ))向けのもの、鉱夫退職年
金( Retraite des Mines )、高齢者連帯手当てならびに特別類型の年金基金および補足退職制度等。
・ 連帯基金。公的部門における就業障害者のための保護雇用を提供する基金( FIPHFP )(すでに公的部
門雇用主 10 社のうち6社を支援している。)、予防または補償基金等。
CDC は、基本年金と補足年金の一体型、補足的年金および付加的年金など、あらゆる種類の年金基金に
その専門性を利用できるようにしている。こうした専門性は、年金受給資格のある勤務の場所および年数
に基づく資格獲得制度を対象としており、プロセス全体には、年金制度の管理運営(拠出金の集金および
年金の支払)、法律、技術および財政面の管理ならびにファンドの受給者との関係が含まれている。 CDC
のスキルは、連帯、職業上のリスク、障害者の雇用および補償基金など他の分野にも及んでいる。
2014 年3月5日付の職業訓練・雇用および社会民主主義に関する法律( 2014 年3月6日官報掲載)に基
づき、 CDC は、年金・連帯基金部門の管理に割当てられた CPF (職業訓練個人アカウント)情報システムの
設計および管理について責任を負っている。職業訓練個人アカウントについての公式ウェブサイトは、年
齢が 16 歳以上で、就業または求職中であり、職業生活期間中の職業訓練個人アカウントに係る個人研修を
受ける権利について調べようとする者を対象としている。使用者および雇用・職業訓練専門家専用のス
ペースも設けられている。 2015 年1月5日以降、職業訓練個人アカウントを持つ 40 百万人が専用のウェブ
ページに登録した個人アカウントを利用することができる。
CDC は、 2018 年9月5日付法律により刷新された職業訓練個人アカウントの財務および技術管理者と
なった。職業訓練の改革により、 CDC の業務範囲は拡大し、データの集中化、専用の資金管理および訓練
機関の支払によって、 CDC は職業訓練の中心的な運営者となっている。
貯蓄基金
CDC の任務には、一般的な貯蓄商品( Livret A 、安定経済発展貯蓄口座( Livret de Développement
Durable 、 LDD )、庶民貯蓄口座( Livret d'Epargne Populaire 、 LEP )の通帳口座)を公共の利益に資す
るプロジェクト向けの非常に長期の貸付に安全に変換することがある。国からの負託に基づき、 CDC は、
銀行ネットワークにより集められたフランスにおけるこれら規制対象の非課税貯蓄口座において保有され
る資金の大部分を集中管理している。これら規制対象の貯蓄制度は、税制上の優遇が認められており、貯
蓄者が稼得した利息は免税となっている。さらに Livret A には国の保証が付されている。したがって、預
託された金銭の一部は、国全体に利益をもたらす部門への融資に充当される。預託された資金を CDC に集
中させる背景にはこうした目的がある。
16/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
貯蓄基金部門は、公的住宅プロジェクトに対するフランスの主要な投資者であり、公的住宅や危機に晒
された人々のための介護ホームの建設や補修に対する融資を行う。また、 CDC は、フランス中の戦略的に
重要な公益プロジェクトのファイナンスも地方公共団体とともに行う。これらには、通常、都市再生プロ
ジェクト、交通インフラ(高速鉄道リンク、トラムの路線等)、大学、病院、最近では高速インターネッ
ト接続プロジェクト、上水供給ネットワークおよび公共建築物の改築が含まれる。貯蓄基金部門は、短期
の貯蓄と長期の貸付のミスマッチを管理するため、この独特の変換システムの一環として CDC に委託され
た貯蓄の長期の安全性および流動性の保護を目的とする金融資産ポートフォリオを保有している。
CDC は、貯蓄基金の管理と、法律により CDC に委託された公共サービスの使命の権限に属する公共の利益
のためのプログラムへの融資という二つの役割を原価で提供している。貯蓄基金の管理は、他の公共機関
としての業務と切り離されており、区分された非連結のポートフォリオ会計システムにおいて記録されて
いる。
「 Banque des Territoires 」のプラットフォーム
CDC は、地域開発プロジェクトとの連携により公共政策を支援している。「 Banque des Territoires 」
のプラットフォームは、 プロジェクトの対象地域と CDC の役割との間のインターフェースとして行為して
いる。
「 Banque des Territoires 」のプラットフォームは、公的機関である CDC の一部局である。このプラッ
トフォームは、 領土を発展させるために行為するすべての運営局をとりまとめ、 16 の地域事務所を含む 37
団体のネットワークに依拠している。強力な機能的結びつきを用いて、このプラットフォームはまた、完
全保有する子会社2社( SCET および CDC Habitat )をまとめ、これがエンジニアリングおよびとりわけ助
言ならびに住宅開発により、領土の利害関係者を支援することに貢献している。
信頼のおける長期的なパートナーとして、「 Banque des Territoires 」は、すべての人々の利益のため
に、革新的で、大胆かつ意欲的な将来のプロジェクトの開発および展開において全領土の利害関係者を支
援している。困難な状況にある小規模の地方自治体および領土には特別の注意が払われている。
「 Banque des Territoires 」は、顧客によりよいサービスを提供し、その使命の社会的有用性をさらに
高めるという意欲に力を入れている。
「 Banque des Territoires 」のプラットフォームには、以下の4つの任務に分けられる銀行サービスが
含まれる。
・ 司法関連の公的サービスに対する銀行サービス。 CDC は規制法律専門職によって扱われる第三者資金
に特化した銀行サービスを提供する。 CDC はエスクロー口座で金銭を保有し、害を被りやすい人々の
資金を保護する機能を果たす。
2014 年6月 15 日にフランス官報に掲載された休眠銀行口座および請求のない生命保険契約に関する法
律は、 10 年を超えて、または死亡事由から3年を超えて休眠状態にある銀行口座は CDC に移転され、
CDC の保管および管理下に置かれることを定めている。また、被保険者の死亡を知ってから 10 年後現
在で未請求の生命保険契約についても同じ規定が適用されている。いずれの場合も、無取引または未
請求の状態が 30 年経過した後、当該金額は国に帰属することになる。
この法律は、預金者およびその権利の承継者の保護を強化するものである。立法者から CDC に委託さ
れたこの新しい任務は、特別な保護を必要とする個人資金を透明かつ確実に保全する一方、信頼でき
る保管者および管理者としての CDC の歴史的な中核事業に沿ったものである。会計監査院は、対象と
なる銀行口座および生命保険契約の残高を、それぞれ 1.2 十億ユーロおよび 2.7 十億ユーロと見積っ
た。この法律は 2016 年1月1日に施行された。 2019 年 12 月 31 日現在、残高総額は 5.5 十億ユーロで
あった。
17/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
・ 社会保障制度に対する銀行サービス。 CDC は、フランスの社会保障制度の中央機関である ACOSS( Agence
Centrale des Organisations de Sécurité Sociale ) のバンカーとして行為し、強制保険料の徴収の
責を負う社会保障機関のための必要不可欠な財務管理機能を提供するとともに、これらの機関の金融
フローの大量処理を含む、目的に合ったバンキング・ソリューションをも提供する。
・ 機関顧客に対する銀行サービス。 CDC は、公的住宅機関、地方公共法人、財団、社団等を含む公益機
関に対して銀行サービス(帳簿記帳サービス、支払事務)を提供する。
・ 法的な受託者・受任者の役割。 CDC は、国から受けた様々な委託事務に基づいて銀行、管理および金
融サービスを提供する。また、信頼されるパートナーとしてのその立場を利用して、受任者の役割を
発展させている。
② CDC - グループ職務
CDC グループ職務は、 CDC の様々な事業に対して監視および支援を行う責務を有する。
運営・業務変革管理部署
運営・業務変革管理部署は、経済・金融業務、労働環境、 IT 、アーカイブ保存および財産の面で CDC お
よびその子会社を効率的に管理することに責任を負う。この部署は、以下の5部門を中心に組織されてい
る。
・ 経済・金融業務執行部門(金融商品取引、バックオフィス、報酬および現金注文の決済、購入、支出
の実行および会計の一次検証を担当する。)
・ 不動産および労働環境部門(不動産資産、安全性およびセキュリティ問題、居住者サービス、生活環
境およびアーカイブを担当する。)
・ IT 部門。
・ 業務変革管理部門。
・ 組織に関する事項、プロセス、内部アドバイス担当部門。
法人コミュニケーションおよびパートナーシップ
法人コミュニケーションおよびパートナーシップ部署は、 CDC グループ事業全体と連携し、その成長戦
略情報の提供を行う。同部署は、コミュニケーション戦略を担当し、コミュニケーション・ネットワーク
の調整役となり、また CDC グループの内外の人々のためにかかるツールとサービスを生み出す。同部署
は、 CDC のイメージを保護している。
リスク管理部署
リスク管理部署は、 CDC グループ内のリスクの監視および継続的内部統制について責任を負う。その責
務は、 CDC による規制・オペレーション要件の充足を確保することである。同部署は、 CDC の子会社におけ
るリスク管理ネットワーク(継続的統制、倫理、 IT セキュリティ、貸付コミットメント)を調整する。
18/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
金融・持続可能政策部署
金融・持続可能政策部署は、 CDC グループおよび特に CDC の子会社にかかる金融・経済上の監視ならびに
CDC のバランスシートの管理に責任を負う。したがって、金融部署は一般部門のポートフォリオの資産運
用における投資部署の割当てプロセスについて責任を負う。
金融・持続可能政策部署は、 CDC グループの財務上の一体性およびその会計の信頼性を保証し、 CDC の子
会社の事業計画に従う。
同部署はまた、経済調査および持続的発展についても専門としている。
投資部署
この部署は、一般部門の金融ポートフォリオおよび貯蓄基金部門の金融ポートフォリオの資産を運用す
ることにより、 CDC グループの財務業績において重要な役割を果たしている。
法務・コンプライアンス・職業倫理部署
法務・コンプライアンス・職業倫理部署は、経営陣に助言および法的支援を提供し、専門的評価を行
い、 CDC およびその子会社にかかる税務・法務情報を収集し、税務・法務問題を処理し、また法的紛争を
扱う。また、職業倫理問題も担当し、グループのコンプライアンス違反問題も管理している。
人的資源
人的資源部署は、 CDC グループが直面する主要課題に対して一貫した整合性のある HR( 人的資源 ) 政策を
実施する責務を有する。同部署は、事業体間のシナジーを高めるだけでなく、子会社自身の HR 部に対して
サービスおよび支援を提供することについても責任を負う。公施設法人としての CDC については、雇用・
従業員給付政策を明確にし、 6,000 名強の従業員の管理に責任を負い、労働政策の明確化とその実行、研
修・移動の取組みの調整を行い、外部からの雇用プロセスを管理する。
組織・欧州・国際関係部署
組織・欧州・国際関係部署は、 フランス預金供託公庫 の欧州問題と併せて、組織・国際的関係の管理を
実行する。
一般検査・監査部署
一般検査・監査部署は、現行の規制に従って定期検査を実施する。
19/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
将来プログラムへの投資( PIA )
PIA の詳細は、改正財政法( 2010 年3月9日付)に規定される。 PIA は、国の近代化のための改革(大学
の自治、キャンパス計画、中小企業および工業部門の支援ならびに環境グルネル)と関連している。
フランスが危機出口戦略のいくつかの主要分野に対して投資資金を融資するため、国から 35 十億ユーロ
の貸出が予定されている。
2010 年、 CDC は、 PIA の範囲内で8件のプログラムおよび 12 件の活動の委託を受けた。グループは、 7.4
十億ユーロの一括運用の委託を受け、このうち 6.5 十億ユーロはフランス国庫における CDC の特別口座に支
払われた。
2014 年、第二次将来プログラムへの投資( PIA 2 )を通じて PIA が強化され、 2014 年財政法( 2014 年度財
政に係る 2013 年 12 月 29 日法律第 2013-1278 号)によって 12 十億ユーロが追加で付与された。
PIA 2 の一環として、 CDC は、 2014 年に総額 936 百万ユーロに上る7件の新規プログラムおよび8件の活
動、 2015 年に総額 623 百万ユーロに上る4件の新規プログラムおよび4件の活動、ならびに 2016 年には総
額 50 百万ユーロに上る1件の新規プログラムおよび1件の活動について、運用を委託された。
PIA の 47 十億ユーロの運用は、 CDC グループを含むフランスの 10 社の運用者に委託されていた。国と運用
者との間で締結された契約では、 40 件の業務が対象となっている。かかる契約は、国のための投資収益を
伴う利益性の要件と、実施される業務の体系的な評価に基づいて模範的統治の規則を定めている。
2017 年、第三次将来プログラムへの投資( PIA 3 )を通じて PIA が強化され、 2017 年財政法( 2017 年度財
政に係る 2016 年 12 月 29 日法律第 2016-1917 号)によって 10 十億ユーロが追加で付与された( PIA 3 )。 PIA
3 にかかる 10 十億ユーロの運用は、 CDC グループを含むフランスの4社の運用者に委託されている。
PIA 3 の一環として、 CDC は、 2018 年に総額 208 百万ユーロに上る5件の新規プログラムおよび5件の活
動について、運用を委託された。
2021 年、 CDC は財政法( 2021 年度財政に係る 2020 年 12 月 29 日法律第 2020-172 号)によって、総額は 3.8 十
億ユーロの価値を有する約 20 件の新規プログラムについて PIA の新たな運用( PIA 4 、現在は「フランス
2030 年」と称される。)を委託された。
20/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
③ CDC の一定の子会社および関連会社の概要
「④ CDC グループの最近の業績」に記載される CDC の一定の子会社および関連会社の事業内容の概略は
以下のとおりである。
ラ・ポスト
ラ・ポストは、4つの中核事業ユニットで構成されている。すなわち、 ( ⅰ ) 郵便、小包サービス、 ( ⅱ )
GeoPost 、 ( ⅲ ) La Banque Postale 、ならびに ( ⅳ ) 個人顧客およびデジタル・サービスである。このグ
ループは、5大陸の 63 カ国において事業を展開している。ラ・ポストの 17,000 の郵便小売店により、日々
1.3 百万人の顧客にサービスを提供するフランスの有力な地方事業ネットワークとなっている。 ラ・ポス
トは、今日では収益でフランスの上位 25 グループに入る主要なサービス・グループである。同社はまた、
フランス政府に次いで約 245,000 名の従業員を擁するフランスの大手雇用者となっている。 2020 年3月4
日、大規模 な公的融資ハブの創設に関連した取引に従って、 CDC は CNP Assurances における持分を ラ・ポ
スト に譲渡し、 La Banque Postale を完全なバンカシュアランス会社に転換した(当時 CNP Asurances の持
分の約 62 %を有していたが、現在では約 100 %となっている。)。 2020 年3月4日現在、ラ・ポストの株
式資本における CDC の持分は、 26.3 %から 66 %に上昇した。
Bpifrance
フランスの新しい公的投資銀行である Bpifrance は、事業および地域成長を促進するために設立され、
Oseo 、 CDC Entreprises 、 Fonds stratégique d'investissement (FSI) および FSI Régions を傘下に置く。
2022 年 12 月 31 日現在、 CDC は 49.2 %保有の株主で、国も 49.2 %を保有する。
同社は、中小および中規模の企業のための資金調達サービスを継続的に提供しており、将来有望なセク
ターの開発推進に助力し、大企業と中小企業の間の連携を創出し、大企業に対してはアドホックな支援の
提供により戦略的投資者として行為していく。その任務は、企業の当初の投資ニーズを満たすべく企業を
支援し、フランス全土の中小企業および新興企業の成長を持続させ、中規模企業を国内外で展開する際に
支援し、またフランスの一流企業のレピュテーションを広めることである。
Icade
CDC が 2022 年 12 月 31 日現在株式資本の 39.2 %を保有する上場不動産投資会社である Icade は、グラン・パ
リ(パリ大都市圏)地域開発プロジェクトの主要な担い手である。同社は、その顧客の要求および将来の
都市が直面する利害関係に対応するグローバルで、持続可能かつ革新的なソリューションを提供する。
2013 年には、別のフランスの不動産会社である Silic が Icade に統合し、パリ大都市圏の第一位の不動産投
資会社を形成した。
11.8 十億ユーロの評価額の資産を有する Icade は、パリ大都市圏のオフィス・スペースと企業パークに
おいて第一位の不動産投資会社であり、フランスのヘルスケアにおける第一位の不動産投資会社であり、
またフランスの主要都市の重要なパートナーである。
CDC Habitat (旧 Société nationale immobilière ( SNI ))
CDC Habitat は、フランスの主要な不動産賃貸企業で、 530,000 戸(公的住宅部門の戸数の過半数)超の
ポートフォリオを有する。 CDC Habitat は、基礎的な公的住宅から初めての購入者のための住宅に至る市
場全体をカバーし、また地方公共団体に対して公的不動産ポートフォリオ管理サービスを提供するグロー
バルな不動産事業者である。 2022 年 12 月 31 日現在、 CDC は CDC Habitat の株式資本の 100 %を保有してい
る。
21/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
Compagnie des Alpes ( CDA )
CDA は、 CDC の上場子会社で、ヨーロッパのレジャー産業の主要な担い手である。同社は、フランスの国
内外に、 10 の主要アルペン・スキー・リゾート( Tignes 、 Val-d'Isère 、 Les Arcs 、 La Plagne 、 Les
Menuires 、 Méribel 、 Serre Chevalier および Grand Massif Domaine Skiable を含む。)ならびに 13 のレ
ジャー・パーク( Parc Astérix 、 Futuroscope 、 Grévin および Walibi を含む。)からなる 23 の異なる施設
を運営している。 2022 年 12 月 31 日現在、 CDC は CDA の株式資本の 42.2 %を保有している。
Egis
Egis は輸送、都市、産業、水、環境、建物およびエネルギー施設の建設を専門とするコンサルティン
グ・エンジニアリング企業である。同グループはまた、道路・空港セクターにおける一括請負式プロジェ
クトの建造・引渡しおよびコンセッションの運営にも関わっている。 Egis は、 100 を超える国およびフラ
ンスの約 50 の場所で事業に関わっている。同社は、広範な調査および開発プログラムを利用して、持続可
能な開発プロジェクトに関わる顧客、地方・地域開発当局および決裁者を連携させる。 Egis は、地方・地
域開発プロジェクトにおける欧州および世界の主要な担い手である。フランス国外では、国際的な資金提
供者が後援するプロジェクトや持続可能な開発型プロジェクトにかかる専門知識を培ってきた。
2022 年 12 月 31 日現在、 Egis は CDC により 33.6 %保有されている。
Transdev グループ
Transdev グループは、世界の主要な公共輸送会社の一つで、バス、トラムや地下鉄のような手段による
公共輸送システムを国際的に運営しており、 13 の輸送方法を提供している。
2022 年 12 月 31 日現在、 CDC は Transdev グループの株式資本の 66.00 %を保有している。
Co-entreprise de Transport d'Électricité ( CTE )
CTE は、 RTE Réseau de Transport d'Électricité の株式資本を 100 %保有する持株会社である。 RTE
Réseau de Transport d'Électricité は、フランスの電力送電網の運営者であり、かかる送電網の保有、
保守および開発も行っている。 RTE Réseau de Transport d'Électricité は、電力潮流を管理し、送電イ
ンフラを管理し、送電網へのアクセスを保証する。また、フランスのエネルギー法典第 L.111-46 条は、
RTE Réseau de Transport d'Électricité が、当該措置が需給のバランスを促進するものである限りにお
いて、電力供給を制御するために提案される措置の特定および分析に関与することを認めている。
2022 年 12 月 31 日現在、 CDC は CTE の株式資本の 29.9 %を保有している。
SFIL
SFIL グループは、子会社 CAFFIL とともに、現在のバランスシート・ベースではフランス第7位の大手銀
行であり、公的部門法人向けローンによって担保されたカバードボンドのヨーロッパ有数の発行体であ
る。同社の債券発行により、 SFIL グループがフランス政府から負託を受けた2つの使命(この部門で活動
する銀行のための借換えプラットフォームの一環として、フランスの地方自治体および病院に対する貸付
の同社パートナーである La Banque Postale による借換え、および国家保証が付されたフランスの大口輸
出ローンの借換え)に関連したニーズをカバーするために十分な資金が提供される。
2020 年9月 30 日、フランス政府、 CDC および La Banque Postale は、 SFIL の資本の過半数を CDC に譲渡す
ることにつき合意し、 CDC が SFIL の大株主となった。その後、 CDC は、政府が引続き保持する普通株式1株
を除き、 SFIL の全株式を保有している。
CDC は、 SFIL の公的開発銀行としての地位を維持するというコミットメントを支援書によって示し、こ
れはフランス国からの同様の書簡によって補完されている。
Holding d'Infrastructures Gazières (HIG)
HIG は、 CDC と CNP Assurances の GRTgaz における持分を間接的に支配する持株会社である。 GRTgaz は天然
ガス輸送における欧州のリーダーであり、ガスシステムの世界的な専門家である。同社はフランスで、供
給業者からネットワークに接続されている消費者までガスを輸送するために、 32,500km 超の埋設パイプラ
インを運営している。
・ 自治体にガスを供給する公共配給サービスの管理者。
・ 発電所。
22/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
・ 工業用地。
GRTgaz は、天然ガスの輸送の継続を確保するという公共サービスの使命を帯びている。その子会社であ
る LNG ターミナル・サービスの欧州のリーダーである Elengy およびドイツの MEGAL ガス輸送ネットワークの
運営会社である GRTgaz Deutschland とともに、 GRTgaz は欧州のガス・インフラストラクチャ現場で重要な
役割を果たしている。エネルギー転換の当事者として、 GRTgaz は、水素を含む再生可能ガスをネットワー
ク上でできるだけ多く収容できる革新的なソリューションに投資している。目標は、これらの新しい部門
に支援を提供し、カーボンニュートラルの達成に貢献することである。
2022 年 12 月 31 日現在、 CDC グループは2つの投資ビークルを通じて GRTgaz の資本における持分の 39 %近
くを保有している。
Suez
Suez は、 160 年以上に渡って活動を続けている世界的な水と廃棄物処理施設である。 40 ヵ国に渡り
40,000 人の従業員を擁するこのグループは、顧客(自治体、企業、市民)と連携して資産やサービスのラ
イフサイクル全体に渡って価値を創造し、低炭素移行を推進している。 2022 年、 Suez は世界中の 68 百万人
に飲料水を提供し、 37 百万人超に衛生サービスを提供した。同グループは廃棄物と廃水から 3.7TWh のエネ
ルギーを生成し、4百万トンの CO 排出を回避した。
2
2022 年 12 月 31 日現在、 CDC グループは Suez Holding における持分の 20 %を間接保有している。
Euroclear
ブリュッセルに本拠地を置く Euroclear グループは、取引後金融サービスの信頼できるプロバイダーで
あり、国内およびクロスボーダーの決済 / 受渡、証券保管および関連サービスを市場運営者に提供してい
る。欧州のリーダーとして、同グループは 2022 年末時点で 304 百万件の国内およびクロスボーダーの取引
を決済し、顧客に代わって 35.6 兆ユーロの資産を管理した。
2022 年 12 月 31 日現在、 CDC は Euroclear Holding SA/NV の株式資本の 7.9 %を保有し、同社資本における
持分を速やかに 10 %にまで引上げることを目指している。
23/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
④ CDC グループの最近の業績
2022 年の業績は、フランスの国家予算に大きく貢献した: 2,429 百万ユーロ。
・貯蓄基金からの控除: 600 百万ユーロ
・一般部門の利益に関して支払われた配当金: 1,630 百万ユーロ
・フランスの法人税に代わる貢献額: 199 百万ユーロ
2022 年の一般部門および貯蓄基金の純利益に帰属する連結純利益
2022 年
( 百万ユーロ )
一般部門に帰属する連結純利益 3,291
貯蓄基金の利益 886
株式市場の低迷や、公正価値で計上される資産の評価に影響を与える高金利によって形成された好まし
くない環境にもかかわらず、一般部門に帰属する連結純利益は 3,291 百万ユーロに達したが、これは以下
を反映している。
・株式にかかる配当金の支払額の増加や受取利息の増加など、金融ポートフォリオからの収益が大幅に
増加したこと。
・戦略的投資に向けた好調な事業の勢いの継続。
・ La Banque Postale による CNP Assurances における非支配持分の取得によるプラスの効果。
2020 年 2021 年 2022 年
( 百万ユーロ )
一般部門に帰属する連結純利益 566 3,861 3,291
貯蓄基金の純利益は 886 百万ユーロで、以下を特徴としている:
・ Livret A 、 LDD および LEP の通帳式貯蓄口座に対する支払利息の増加による規制対象貯蓄に関する費用
の急増。
・資産評価にとって不利な市場環境。
・インフレ連動金融ポートフォリオの異例の業績。
・当年に一般銀行業務リスク引当金( FGBR )に正味 700 百万ユーロが繰入れられ、資本が強化されたこ
と。
2020 年 2021 年 2022 年
( 百万ユーロ )
純 利益 210 710 886
◆ 資産運用 :好調な業績で、 2022 年の厳しい経済環境下において重要な役割を果たしたことが確認され
た。これは以下を反映したものである。
・ダイナミックかつ機敏な運用により、運用資産は 17 十億ユーロ増加して、 2022 年末には 244 十億
ユーロとなった。
・インフレ連動債からの 3.3 十億ユーロを含み、債券ポートフォリオ引当金に2十億ユーロの積増し
後で、5十億ユーロ近い多額の受取利息。
・ 2022 年にベンチマーク指数を約7%上回り、過去5年間をも上回った大型株ポートフォリオ。
24/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
◆ Banque des Territoires :地域に影響を与えるプロジェクトを支援しつつ、当グループの業績にプ
ラスの貢献をする堅調な事業の勢い:
・ 196 十億ユーロの貸付残高(うち 13.6 十億ユーロが調印済みの新規貸付で、これには公的住宅およ
び都市政策向けの 11.5 十億ユーロ、地方公的部門向けの 1.1 十億ユーロならびに例外的なモビリ
ティ・ローンの一部として S ociété du Grand Paris 向けの1十億ユーロが含まれる。)。
・全国で 410 件を超えるプロジェクトに2十億ユーロ強をコミットした持続的な投資活動。 Banque
des Territoires の設立以降の年間コミットメントは3倍に増加し、ポートフォリオは7十億ユー
ロ近くとなった。
・公証人からの預り金は 47.3 十億ユーロという記録的な水準に達した。
・銀行貸付残高(法律専門家および機関)がさらに増加し、前年比 2.5 %増加した。
・手頃な価格の公共住宅のための CDC Habitat の活発な活動により、 2021 年と比較して 2.4 %増とな
る 544,500 戸の住宅が管理された。
◆ 社会政策 :きわめて堅調な活動と戦略的開発の野心
・フランスにおける5つの年金のうちのひとつを支払う責任。
・特に「私の研修口座( Mon compte formation )」の専門家研修プラットフォームに関連して6%
の収益増。
・ 39 百万人を超える人々が職業訓練個人アカウント( CPF )を保有し、平均残高は 1,814 ユーロで
あった。 2019 年 11 月以降、 5.85 百万人からの申込みを受け付け、支出は約8十億ユーロとなっ
た。
・資金フローの増加: 70.5 十億ユーロの資金流出(このうち年金制度に 48 %、フランス国民住宅基
金に 19 %)および 72.4 十億ユーロの資金流入。
◆ 戦略的投資管理 :当グループの業績に多大な貢献
戦略的優先事項に沿って、すべての部門および業務が回復し、業績は著しく改善した。
主要子会社および戦略的投資の業績
〇 Icade : 231 百万ユーロの純利益
住宅およびオフィス開発活動のリバウンドを反映して収益は9%増加。
〇 Compagnie des Alpes : 114 百万ユーロの純利益
スキー場、レジャー・パークともに好調に推移し、帰属純利益は回復した。
収益は、コロナ期前と比較して(比較可能なスキー場ベースで) 17.8 %増加した。
〇 Transdev グループ: 20 百万ユーロの純利益
Transdev は、交通の力強い回復と値上げの恩恵を受け、収益はコロナ危機前の水準を上回った。
2021 年には特にフランスおよびスウェーデンにおいて資産の評価損の影響があったため、営業利益率
は上昇した。
〇 SFIL : 86 百万ユーロの記録的な純利益
不安定な金利と高利率の計算基準に関する制限にもかかわらず、好調なモメンタムであった。
〇 GRTgaz :純利益は大幅に増加して 478 百万ユーロ
純利益の伸びはガス輸送量の大幅な増加と、ヨーロッパでの前例のないガスの環境における高い接
続料収益に関連するものであった。
〇 RTE : 485 百万ユーロの純利益
RTE は、環境に鑑みて堅実な業績を実現した。暖冬と省エネ対策の二重効果に加え、接続料収益の増
加分の一部をネットワーク利用者に直ちに還元する決定をしたことにより、電力消費量が減少し、収
益はわずかに減少した。
25/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2022 年に完了した戦略的取引
〇 Egis : Egis の国際的な成長をサポートするため、外部投資家による持分の取得
2022 年1月7日、 CDC グループは Tikehau Capital による Egis の持分の 40 %取得が完了したことを発
表した。 CDC グループは同社資本の 34 %を保有し、 Tikehau Capital のほかには執行パートナーおよび
従業員が 26 %を保有している。
〇 Suez : 2022 年に取得
2022 年1月、 CDC グループは、 Veolia により売却された資産を保有する「新しい Suez 」における 20 %
の持分の取得が完了したことを発表した。 2022 年末現在、フランスにおける有害廃棄物処理事業およ
び英国における廃棄物処理事業に資金を提供するため、追加の拠出が行われた。 CDC グループによる総
投資額は 1.2 十億ユーロに上った。
〇 Euroclear : 2022 年に取得
2022 年5月 20 日、 CDC グループは、 ICE から Euroclear の 5.4 %を総額 390 百万ユーロで取得した。この
取引の後、複数件の追加取得が続いた。 2022 年末現在、 CDC グループは Euroclear Holding SA/NV の資
本の 7.9 %を保有し、同社資本における持分を速やかに 10 %にまで引上げることを目指している。
◆ Bpifrance : 1,051 百万ユーロの多額の帰属純利益
2022 年には、
・「フランス 2030 」の展開、ディープテック計画および産業新興企業・中小企業計画の開始の刺激
を受け、 4.5 十億ユーロという記録的なイノベーション融資が行われた( 6,451 社の企業がネット
ワークおよび Bpifrance の評価局からの援助および資金提供を受けた。)。
・ 7,500 社に9十億ユーロの中長期資金を提供し、景気回復と大きな変革の課題に的を絞った融資が
11 %の力強い成長を遂げた。
・ 4.8 十億ユーロ超の投資(特に LAC1 ファンドによる開発資本投資により牽引された)と記録的な処
分(前年比6%増の 2.3 十億ユーロ)により、直接持分投資およびファンズ・オブ・ファンズへの
投資が 11 %増加したことが確認された。
◆ラ・ポスト・グループ: 不利な環境での堅調なビジネスと業績、ならびに戦略的多角化が引続き成果
を上げている。
ウクライナにおける紛争、エネルギー価格の高騰、インフレの再燃および金利の上昇による厳しい
環境にあって、営業収益は 35.4 十億ユーロに増加した。
ラ・ポストは、引続き公共サービスの使命を果たし、成長と多角化戦略を推し進めた。デジタル信
託サービスは成長を続け、 Docaposte の収益は 8.9 %増加し、 Numspot のソブリン・クラウド・プロジェ
クトが開始した。ラ・ポストは、オムニチャネルの流通ネットワークを近代化し、地理的なフットプ
リントを拡大し、デジタル・トランスフォーメーションを加速させるため、 2025 年までに 800 百万ユー
ロを投資する予定である。
2022 年上半期末現在、 La Banque Postale は、 CNP Assurances における持分を 100 %に引上げ、有力
な銀行の保険子会社としての地位を確かなものとした。
フランスのグリーン・トランスフォーメーションの目標のための資金調達への多大な貢献
過去3年間( 2020-2022 年)に、 CDC グループは、建築物のエネルギー改修、エネルギー効率の高い
建築物の建設、再生可能エネルギー設備の設置および持続可能な交通を主な目的として、グリーン・
トランスフォーメーションのためにグループ全体で総額約 54 十億ユーロの貸付および投資を行ってき
た。したがって、5年間( 2020-2024 年)における当グループの資金提供目標額である 60 十億ユーロを
大幅に上回るため、今後数カ月のうちに更新される予定である。
最初のカーボンニュートラルな郵便事業者として、ラ・ポスト・グループは気候変動対策への取組
みを確認した。同グループは、 2030 年までの CO 排出量削減目標(すなわち、 2020 年から 2030 年までの
2
間に 42 %の排出量削減)を更新した。
⑤ 日本との関係
26/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
CDC は、日本の機関投資家との間で経常的な関係を持っており、また CDC が創設した長期投資家クラブ
( LTIC )には日本政策投資銀行が加盟している。
27/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
(5) 【経理の状況】
CDC の会計年度は、毎年1月1日に始まり、 12 月 31 日に終了する。
フランス通貨金融法典第 L.518-15-1 条に従い、 CDC は、毎年、法定監査法人2社の監査を受けた連結財
務書類および個別財務書類(以下、個別財務書類については、「一般部門」と表記する。)を、国民議
会および元老院に提出している。当該財務書類の正文はフランス語で作成されたものであり、これに対
して法定監査人監査報告書がマザール( Mazars )およびケーピーエムジー エスアー( KPMG S.A. )によ
り出されている。
28/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
財務書類
①【連結財務書類】
1.連結財務書類
1.1 フランス預金供託公庫グループの重要な事象
1.1.1 ウクライナにおける紛争
フランス預金供託公庫グループは、ウクライナにおける紛争の展開に大きな注意を払っている。この紛争が始まって
以来、当グループに対する長期的な潜在的影響について緊密に監視してきた。ロシアおよびウクライナに対する当グ
ループの直接的な正味エクスポージャーは極めて限定的である。
ウクライナおよびロシアの市場へのエクスポージャーが高い取引相手、またはその事業活動もしくは利益が紛争によ
る経済的・業務上の影響を極めて受けやすい取引相手の信用状態に及ぼす紛争の間接的な影響について具体的な分析が
行われた。こうした分析により、当グループはエクスポージャーを管理するために必要な措置を講じ、適切な引当金を
確保することが可能となる。
1.1.2 復興計画
2020年9月7日、フランス預金供託公庫は、企業および準公的機関 への株式投資の形で、 26 十億ユーロのフランス経
済の復興計画を立ち上げた。フランス預金供託公庫はこの計画を推し進めており、 2022 年 12 月 31 日現在、 26 十億ユーロ
のうち 93 %がすでにフランス経済に投入されている。
この計画の最優先軸は環境保護である。このため、 Banque des Territoires および Bpifrance は、 地球温暖化に対応
するための気候計画を立ち上げた。
支援策は、住宅、企業支援および社会の結束という3つの戦略分野で展開される。フランス国民およびフランスの地
方は、特に観光、商業、産業および高速ネットワークに的を絞ったテーマ別プロジェクトのおかげですぐにこの計画の
恩恵を享受し始めた。
1.1.3 公的住宅機関が発行する持分証券
公的住宅部門の資本増強の支援と社会的住宅建設の増進計画の一環として、 Banque des Territoires は関連組織( 不
動産混合経済会社、低廉住宅会社、協同組合および公的住宅会社)の持分 証券の引受けを継続している。この 367 百万
ユーロの取引は、 2020 年から 2021 年にこれらの機関に提供された 617 百万ユーロに続くものである。
1.1.4 貯蓄基金に付与された固定金利貸付の利用可能期間の延長および公的住宅機関の債務の再編を目的と
した 700 百万ユーロの新たな固定金利枠の導入
2018 年、貯蓄基金に付与された融資を資金源として、 2018 年から 2022 年にわたって適用された8十億ユーロの固定金
利貸付制度が、 Banque des Territoires によって導入された。この制度は、 2022 年上半期中に 2024 年 12 月 31 日まで延長
された。合計 700 百万ユーロの固定金利貸付は、公的住宅機関の債務の再編のみを目的として設定された。この貸付枠
は、 2024 年 12 月 31 日まで利用可能となっており、一般部門から資金提供を受けている。 2022 年 12 月末現在のかかる制度
に基づき貯蓄基金に割当てられた貸付金残高は、 2021 年 12 月末現在の 5,945 百万ユーロに対し、 6,897 百万ユーロであっ
た。
29/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
1.1.5 サステナブル・ボンドの発行
フランス預金供託公庫は、 2017 年、 2019 年、 2020 年および 2021 年の発行に続いて、 2022 年 10 月 12 日に 500 百万ユーロ
の第5回サステナブル・ボンドを発行した。この満期5年、金利3%の新たなサステナブル・ボンドにより、フランス
預金供託公庫は資本市場におけるプレゼンスを強化する一方で、当グループ全体の戦略の中心である ESG への 意欲を再
確認 することができる。
1.1.6 Egis グループ
2022年1月7日、Tikehau Capitalは、建築工学およびモビリティ・サービス部門で主導的なフランス 企業 である
Egisの株式40%を取得した。Tikehauによる取得が完了した時点で、フランス預金供託公庫はEgisの資本の34%を保有
し ており 、 また、 Egisの業務執行パートナーおよび従業員は、かかる取引の一環としてその持分が2%増加し た結果、
同社 の資本の26%を保有している。フランス預金供託公庫は現在、Egisグループに対して重要な影響力を行使してお
り、同社への投資は現在、「持分法適用会社に対する投資」に計上されている。フランス預金供託公庫が保有するEgis
株式の一部売却により、212百万ユーロのキャピタル・ゲイン(税引後)が認識された。
1.1.7 Suez Holding
2022 年1月 31 日、 Meridiam 、 GIP 、フランス預金供託公庫および CNP Assurances で構成される投資家コンソーシアム
は、 2021 年 10 月 22 日付の買収契約の条件に従って「新スエズ」を創設するために必要な資産を Veolia から取得した。現
在、フランス預金供託公庫グループは Suez Holding の 20 %の株式を間接的に保有しており、 2022 年1月 31 日現在、投資
額は総額 752 百万ユーロとなった。 Suez Holding への投資は、連結財務書類において「持分法適用会社に対する投資」
に認識されている。 2022 年 11 月末現在、 フランスにおける有害廃棄物処理事業および廃棄物処理事業を行う Suez R&R
UK の買収のための資金を調達するため、すべての株主から追加拠出が 行われた。 2022 年 12 月 31 日現在、フランス預金供
託公庫の投資総額は 1,213 百万ユーロであった。
1.1.8 Lamartine
CDC Habitat の子会社であるAmp ère Gestionが管理するLamartine社は、2.4十億ユーロ相当の高い環境基準を備えた
7,600戸超の手頃な住宅ユニットのポートフォリオを有している。2022年3月9日以降、Lamartine の資本の85%はCNP
Assurancesが保有し、15%はCDC Habitatが保有しており、2022年12月31日現在ではフランス預金供託公庫グループの
財務書類の完全連結対象となった。
Lamartineは当期中に2本のグリーンボンドを発行した。
・2022年4月8日、満期10年、金利2.875%の500百万ユーロの初の債券の発行。
・2022年7月12日、満期6年、金利3.625%の350百万ユーロの2回目の債券の発行。
1.1.9 Euroclear
2022 年5月 20 日、フランス預金供託公庫は、 Euroclear に初の投資を行い、資本の 5.42 %を 390 百万ユーロで取得し
た。
7月中旬以降、4回にわたって追加投資が行われ、 2022 年 12 月 31 日現在、フランス預金供託公庫は投資総額 541 百万
ユーロで Euroclear の資本の 7.90 %を保有している。
Euroclear への投資は、 2022 年 12 月 31 日現在の連結財務書類において 「持分法適用会社に対する投資」に計上されて
いる。
30/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
1.1.10 ラ・ポスト・グループ
1.1.10.1 ラ・ポストによる債券発行
2022 年9月 14 日、ラ・ポスト・グループは、 2028 年9月満期の 600 百万ユーロの第1トランシェおよび 2033 年3月満
期の 600 百万ユーロの第2トランシェからなる総額 1,200 百万ユーロの持続可能(サステナブル)債券の発行を行った。
年利はそれぞれ 2.625 %および 3.125 %であった。この発行は、ラ・ポスト・グループのソーシャル・コミットメントの
一環であり、ラ・ポストの定款に定める社会・環境目的に貢献し、厳しい適格基準を満たす資産のための資金調達(ま
たは借換え)のために行われる。
ラ・ポスト・グループは以下のタップ発行を行った:
・ 2022 年1月 21 日、 2034 年9月満期の債券 100 百万ユーロを発行。利率は1%。
・ 2022 年5月 30 日、 2026 年 10 月満期の債券 150 百万ユーロを発行。利率は 0.625 %。
・ 2022 年9月 28 日、 2029 年7月満期の債券 100 百万ユーロを発行。利率は0%で 20 百万ユーロのプレミアム発行。
1.1.10.2 La Banque Postale による債券発行と償還
2022 年 11 月 19 日、 La Banque Postale は、 2015 年 11 月に発行した 2.75 %の債券 750 百万ユーロを償還した。 2022 年 12 月
5日、 La Banque Postale は、 500 百万ユーロの Tier 2劣後債を発行した。この債券は 2034 年3月満期で、 2029 年3月5
日まで 5.5 %の金利が支払われる。これらは IFRS 基準に基づく債務として適格である。
1.1.10.3 La Banque Postale によるグリーンボンドの発行
La Banque Postale の子会社で、フランス国内のネットワークによって提供される住宅ローンの借換えに特化した La
Banque Postale Home Loan SFH は、 2022 年5月4日に初のグリーン・カバードボンドを発行した。この期間8年、総額
750 百万ユーロのカバードボンドは、最終スプレッドが MS+ 4ベーシス・ポイント、金利 1.625 %で発行された。これら
は IFRS 基準に基づく債務として適格である。
1.1.10.4 La Banque Postale によるグリーンボンドの発行
2022 年9月 13 日、 La Banque Postale は、 425 百万ポンドの初の英ポンド建て非優先シニア債を発行した。この債券
は、期間6年で初回の繰上償還日は5年後である。最終スプレッドは Gilt+260 ベーシス・ポイント、 5.625 %の固定金
利で発行された。これは La Banque Postale による初の外貨建ベンチマーク債の発行である。これは IFRS 基準に基づく
債務として適格である。
1.1.10.5 CNP Assurances による劣後債の発行と償還
2022 年1月 27 日、 CNP Assurances は 500 百万ユーロの制限付 Tier 3劣後債を発行した。これは 2029 年1月 27 日満期の
7年債で、 1.25 %の固定金利が付される。 この発行は IFRS 基準に基づく債務として適格である。
2022 年 10 月、 CNP Assurances は、 2016 年 10 月に発行された1十億ユーロの金利 1.875 %の債券を償還した。
31/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
1.1.10.6 CNP Assurances の株式所有構造の変化
2021 年 10 月 28 日の発表のとおり、 La Banque Postale は、 2022 年3月 16 日に CNP Assurances 株式に対する簡易公開買
付を フランス金融市場庁( Autorit é des march és financiers - AMF )に提出した。
この買付は、 2022 年4月 26 日に AMF によって準拠していると宣言された。公開買付は 2022 年5月2日から 2022 年5月
31 日(同日を含む。)まで、取引発表前の株価に対して 36 %のプレミアムとなる1株当たり 20.90 ユーロ(1ユーロの
配当落ち)で実施された。この買付について、 CNP Assurances の取締役会は、 CNP Assurances 、その株主および従業員
の利益になると判断した。
この公開買付後、非支配持分は CNP Assurances の資本および議決権の 10 %に満たないため、 La Banque Postaleは強
制的スクイーズ・アウトを実施した。したがって、2022年12月31日現在、La Banque PostaleはCNP Assurances 株式の
100 %を保有していた。 CNP Assurances の 2022 年の業績は、当期中における CNP Assurances の資本取得のタイミングに
応じて La Banque Postale に帰属する。
IFRS 第 10 号に従って、 CNP Assurances の少数株主からの株式の取得は、 La Banque Postale がすでに保有している支
配権に影響を及ぼさない。連結財務書類において、対応する非支配持分は、帰属持分として帳簿価額で再分類されてい
る。支払価格と取得した純資産の持分との差額により、フランス預金供託公庫グループの帰属資本は 256 百万ユーロ増
加した。かかる取引により非支配持分は 3,331 百万ユーロ減少した。
1.1.10.7 AEW Europe SA および Ostrum Asset Management における持分の変動
2022 年5月 13 日、 La Banque Postale と BPCE グループは、 La Banque Postale が保有する AEW Europe SA ( 40 %)およ
び Ostrum Asset Management ( 45 %)の非支配持分の Natixis Investment Managers による取得が完了したこと、ならび
に資産運用における産業パートナーシップを 2030 年末まで延長することを発表した。これらの取引により、 Natixis IM
は運用会社である AEW Europe SA および Ostrum Asset Management の資本の 100 %を保有している。
税引前利益に対するこれらの売却処分の影響は、 2022 年 12 月 31 日現在で 59.8 百万ユーロである。
1.1.10.8 CNP Partners の Mediterraneo Vida への売却
2022 年 12 月 29 日、 CNP Assurances は、スペインの生命保険子会社である CNP Partners の Mediterr áneo Vida への 126.3
百万ユーロでの売却を完了した。 CNP Partners は、主にスペインおよびイタリアの伝統的な貯蓄商品をオープン・モデ
ルで提供する生命保険会社である。 2021 年 12 月 31 日現在、同社の保険料収入および純利益は、それぞれ CNP Partners グ
ループ全体の 0.75 %および 0.01 %を占めていた。
1.1.10.9 CNP Auurances が UniCrédit との2件の取引を完了
2021 年、イタリアにおける Aviva の生命保険事業を買収した後、 CNP Assurances は国際的な成長戦略を追求してお
り、 2022 年 10 月 26 日にその歴史的なパートナーである UniCrédit との以下の2件の取引を完了した:
・ CNP Vita Assicura SpA. における UniCrédit の持分 49 %を 501 百万ユーロで CNP Assurances が取得。これにより CNP
Assurances は CNP Vita Assicura SpA. における持分を 100 %に引上げた。
・ CNP UniCredit Vita SpA. における 6.5 %の持分を 70 百万ユーロで UniCrédit に売却。 CNP Assurances は CNP
UniCredit Vita SpA. における 51 %の支配持分を維持している。
この取引により、 CNP Assurances はイタリア事業の組織を合理化し、イタリア国内での発展を追求することが可能に
なっている。
CNP Vita Assicura SpA. の 49 %に相当する 501 百万ユーロの取得価額は、 CNP Assurances の独自の資金源から調達さ
れている。
これら2件の取引は、連結資本に -431 百万ユーロ(親会社所有持分に -34 百万ユーロ、非支配持分に -398 百万ユー
ロ)の影響を及ぼしている。
32/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
1.1.10.10 Filassistance International の持株会社である Assuristance における Swiss Life の少数株主持分の CNP
Assurances による取得
2022 年 11 月 28 日のフランス健全性監督破綻処理機構( Autorit é de Contr ô le Prudentiel et de R ésolution -
ACPR )の合意を受け、かつ株主間契約の規定に従い、 CNP Assurances は、 Filassistance International の持株会社で
ある Assuristance における Swiss Life の 34 %の持分を 12.5 百万ユーロで取得した。 CNP Assurances はこれまでに
Assuristance の 66 %を保有していたが、この取得により単独株主となった。
Assuristance および Filassistance International は、現在 CNP Assurances の完全連結対象である。
この取得は、 Swiss Life France と Filassistance International との間のパートナーシップの継続に対するコミット
メントを伴うものであった。
1.1.10.11 CNP Assurances は、ブラジルの5社の独占的支配権を取得する準備を整えており、国際的なマルチパート
ナー開発戦略をさらに推進する。
CNP Assurances は、死亡/障害ならびに医療保険、歯科保険、貯蓄およびコンソーシアム商品を販売する5社におけ
る Caixa Seguridade および Icatu の持分 100 %を取得することで、国際的な開発戦略を追及している。
この取引により、 CNP Assurances は以下の2つの異なる販売モデルに基づき、ブラジル第3位の大手保険会社として
の地位を築くことができる:
・新たに完全所有となった子会社の既存のパートナーのネットワークを利用したオープン・モデルによる販売。
・個人向けおよび団体向け年金商品、消費者金融定期債権者保険および死亡/障害保険については Caixa Vida e
Previd ência が主導する Caixa Econ ô mica Federal とのパートナーシップ契約に基づく独占的販売(契約は 2046 年
まで更新)ならびにコンソーシアム事業については Caixa Cons ó rcio とのパートナーシップ契約に基づく独占的販
売(契約は 2041 年まで更新)。
2022 年 11 月および 12 月に、 CNP Assurances は、 CNP Cons ó rcio SA Administradora de Cons ó rcios ( CNP
Cons ó rcios )および Odonto Empresas Conv ênios Dent ários Ltda. ( Odonto Empresa )における Caixa Seguridade が保
有する 48.25 %の株式を取得した。総額 77 百万ユーロのこれらの取得により、親会社株主に帰属する持分が 25 百万ユー
ロ減少し、非支配持分が 52 百万ユーロ減少した。
その後、2023年1月、CNP Assurancesは、CNP Seguross Participa çõ es em Sa ú de Ltda.(Holding Sa ú de)、
Seguros Previd ência do Sul(Previsul)およびCNP Capitaliza çã o S.A.(CNP Cap)においてCaixa Seguridadeおよ
びIcatuが保有する持分の取得を完了し、これら3事業体における持株比率を100%に引き上げた。
1.1.10.12 DPD Russie の売却プロジェクト
2022 年2月 28 日にロシアへの/からのすべての出荷の停止を発表した後、ラ・ポスト・グループは、 2022 年上半期中
にロシア市場から完全撤退する意向を表明した。これにより、 DPD Russia のすべての資産および負債は 2022 年 12 月 31 日
現在、減損後でそれぞれ 42 百万ユーロおよび 47 百万ユーロで、売却目的保有に振り替えられた。
全般的な状況、子会社の困難な状況およびこの売却に関連するリスクを考慮して、 DPD Russia の無形資産および有形
固定資産は 45 百万ユーロで全額評価減された。
1.1.10.13 繰延税金資産の認識
CNP Assurances における非支配持分の取得後、 CNP Assurances は 2023 年からラ・ポストの連結納税グループに含ま
れる予定であり、課税所得の見通しが大幅に改善される。現在までの最も精度の高い予測に基づくと、連結納税グルー
プによる税務上の繰越欠損金は5年以内に利用されうる。したがって、ラ・ポスト・グループは、 2022 年の財務書類に
おいて、繰越欠損金に関するすべての繰延税金資産を、 10 年以内に解消されると見込まれるその他の一時差異に係る繰
延税金とともに認識する。フランス預金供託公庫グループの財務書類において法人税の項目に計上された節税額は 810
百万ユーロ( 2022 年1月1日現在の財政状態に及ぼす影響)であった。
33/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
1.1.10.14 ラ・ポストの 郵便 CGU の資産の減損
欧州委員会に通知されているとおり、 2021 年にユニバーサル郵便サービスについてフランス政府から補償が得られた
にもかかわらず、 2022 年のラ・ポストの郵便 CGU の事業計画は深刻な影響を受けた。これは主に、当期中に急激に加速
したインフレによるものであり、今後もしばらくは高水準で推移することが予想される。このインフレは事業計画の期
間にわたってコストに著しい増加をもたらすが、価格に転嫁できるのはごくわずかである。この CGU にかかる減損テス
トは、 6.5 %の WACC (加重平均資本コスト)で、5年間の最善の予測に更新された事業計画に基づいて実施された。減
損テストにより、この CGU のすべての固定資産について総額 940 百万ユーロの減損が生じた。これらの資産は、主に IFRS
第 16 号に従って計上されたソフトウェア、産業機器、備品ならびに建物および車両に関連する使用権資産といった減価
償却/償却可能な項目のみで構成されている。
この減損テストは、 - 5%の成長率に基づいており、この事業における販売量の構造的な減少が考慮されている。テ
スト結果は、この仮定の変更または WACC の変動に敏感ではなかった。
当年度の財務書類に計上された減損損失の内訳は以下のとおりである。
・無形資産: 228 百万ユーロ。
・自己使用固定資産: 250 百万ユーロ。
・使用権資産: 462 百万ユーロ。
ラ・ポスト・グループの別の部門に属し、郵便 CGU が使用する建物および完全所有の車両については、これらの資産
の市場価値が帳簿価額を上回ると測定されたため、減損は認識されていない。
1.2 後発事象
1.2.1 CNP Assurances
CNP Assurances は、現在行っている国際的成長戦略の一環として、 2023 年1月に CNP Assurances は、 CNP Seguros
Participa çoes em Saude Ltda ( Holding Saude )、 Seguros Previdencia do Sul ( Previsul )および CNP
Capitaliza çao SA ( CNP Cap )における Caixa Seguridade および Icatu の持分の買収を完了し、これによりこれら3社に
おける持分は 100 %に引上げられた。
1.2.2 Orp éa
2023 年2月 14 日、フランス預金供託公庫を中心としたフランスの投資家グループは、 CNP Assurances 、 MAIF および
MACSF とともに(以下「投資家グループ」という。)、 Orp éa および同社の一部の無担保金融債権者との間で財務再建計
画に関して「ロックアップ」契約を締結した。「ロックアップ」契約で企図されている取引後に、既存株主は、参加可
能な増資に参加しないことを決定した場合、 Orp éa の資本の約 0.4 %のみを保有することになり、フランスの投資家グ
ループが約 50.2 %、無担保金融債権者が約 49.4 %を保有することになる。ロックアップ契約の履行は、引続きいくつか
の前提条件を満たすことが条件となっている。
2022 年12月31日現在の フランス預金供託公庫グループ の財務書類および業績に重大な影響を及ぼす可能性のあるその
他重要な後発事象は発生していない。
34/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
1.3 連結損益計算書
2022 年 12 月 31 日に終了した会計年度
( 百万ユーロ ) 注記 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
受取利息 2.2.1 10,621 7,283
支払利息 2.2.1 (3,973) (2,850)
手数料収入 2.2.2 2,164 2,147
手数料費用 2.2.2 (3,679) (3,494)
損益を通じて公正価値で測定される金融商品に
よる損益、純額 2.2.3 (9,221) 14,921
その他の包括利益を通じて公正価値で測定され
る金融商品による損益、純額 2.2.4 (1,883) (525)
償却原価で測定される金融資産の認識中止によ
る損益、純額 2.2.5 16 37
その他の活動からの収益 2.2.6 77,957 72,761
その他の活動からの費用 2.2.6 (27,974) (44,957)
オーバーレイ( Overlay )・アプローチの影響
(影響総額) 2.4.4 700 (1,074)
銀行業務純益 44,728 44,249
一般営業費用 2.2.7 (37,064) (36,268)
有形固定資産および無形資産の減価償却費、償
却費および減損 2.3.11 (4,298) (2,437)
営業総利益(損失) 3,366 5,544
信用リスク費用 2.2.8 (327) (283)
営業利益(損失) 3,039 5,261
持分法適用会社の利益(損失)における持分 2.3.10 1,105 1,288
その他の資産による損益、純額 2.2.9 174 (4)
のれんの価値変動 2.3.12 23 (139)
税引前利益(損失) 4,341 6,406
法人税ベネフィット(費用) 2.2.10 97 (1,011)
非継続事業からの純利益 ( 損失 ) 3 1
純利益(損失) 4,442 5,396
非支配持分 2.3.18 (1,151) (1,535)
所有者に帰属する純利益(損失) 3,291 3,861
35/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
1.4 連結包括利益計算書
2022 年 12 月 31 日に終了した会計年度
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
純利益(損失) 4,442 5,396
損益計算書に振替えられない項目
退職後確定給付債務にかかる数理計算上の損益 235 102
公正価値オプションを用いた損益を通じて公正価値
での測定を指定された金融負債に関連する信用リス
クの変動 11 16
その他の包括利益を通じて公正価値で認識される資
本性金融商品の公正価値変動 (2,033) 4,394
持分法適用会社のその他の包括利益(損失)におけ
る持分 (1,043) 1,457
損益計算書に振替えられない項目合計 (2,830) 5,969
損益計算書に振替えられる項目
海外事業による為替換算差額 611 137
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金
融資産の公正価値変動 (5,156) 357
ヘッジ手段による損益 513 139
損益計算書に振替えられる資本に認識されるその他
の項目 (40)
持分法適用会社のその他の包括利益(損失)におけ
る持分 232 (218)
損益計算書に振替えられる項目合計 (3,840) 415
その他の包括利益(損失) (6,670) 6,384
包括利益(損失)合計 (2,228) 11,780
所有者に帰属 (1,996) 9,880
非支配持分 (232) 1,900
36/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
1. 5 連結財政状態計算書
2022 年 12 月 31 日現在
( 百万ユーロ ) 注記 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
資産
現金ならびに中央銀行への預け金 42,974 76,041
損益を通じて公正価値で測定される金融資産 2.3.1 240,471 247,204
正の公正価値を有するヘッジ手段 2.3.2 4,367 6,088
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される
金融資産 2.3.3 230,852 268,293
償却原価で測定される有価証券 2.3.4 83,079 68,340
償却原価で測定される金融機関および関連企業向
け貸付金および債権 2.3.5 109,711 91,083
償却原価で測定される顧客向け貸付金および債権 2.3.6 192,703 187,681
金利リスクに対してヘッジされたポートフォリオ
に対する公正価値調整の累計額 1,104 346
当期および繰延税金資産 2.3.7 5,056 1,896
前払金、未収収益およびその他の資産 2.3.8 51,454 46,418
売却目的保有非流動資産 2.3.9 134 2,272
繰延利益分配 2.4.2 9,692
持分法適用会社に対する投資 2.3.10 25,413 23,406
投資不動産 2.3.11 26,653 24,207
自己使用固定資産 2.3.11 14,873 15,227
無形資産 2.3.11 7,088 6,986
のれん 2.3.12 1,998 1,182
資産合計 1,047,622 1,066,670
37/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
( 百万ユーロ ) 注記 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
負債および資本
中央銀行からの預り金
損益を通じて公正価値で測定される金融負債 2.3.1 14,093 5,506
負の公正価値を有するヘッジ手段 2.3.2 10,459 7,067
債務証券 2.3.13 134,585 132,599
金融機関からの預り金 2.3.14 51,891 51,678
顧客からの預り金 2.3.15 329,027 319,639
金利リスクに対してヘッジされたポートフォリオ
に対する公正価値調整の累計額 1,507 320
当期および繰延税金負債 2.3.7 4,048 4,932
未払金、繰延収益およびその他の負債 2.3.8 42,572 42,608
売却目的保有非流動資産に関連する負債 2.3.9 51 1,367
引当金 2.3.17 6,130 6,641
保険会社の責任準備金およびシャドウ・アカウン
ティング準備金 2.4.2 383,656 414,398
劣後債 9,144 10,104
所有者に帰属する資本
準備金および利益剰余金 35,642 33,239
その他包括利益 5,095 11,068
当期利益(損失) 3,291 3,861
所有者に帰属する資本合計 44,028 48,168
非支配持分 2.3.18 16,431 21,643
資本合計 60,459 69,810
負債および資本合計 1,047,622 1,066,670
次へ
38/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
1.6 連結資本変動計算書 2021 年1月1日から 2022 年 12 月 31 日まで
損益計算書に振り替えられるその他の包括
利益 損益計算書に振り替えられないその他の包括利益
その他の包括
その他の包括
利益を通じて
利益を通じて 損益を通じて
公正価値で測
公正価値で測 公正価値で測
ヘッジ手段
定される資本
定される負債 定される金融
ヘッジ手段の の
性金融商品の
性金融商品の 負債に係る信 数理計算上の
準備金および 公正価値 為替換算 公正価値 公正価値
公正価値変動 用リスクの変 差異による価
(百万ユーロ ) 利益剰余金 累計額 変動累計額 調整勘定 動 値の変動 変動累計額 変動累計額
2021 年1月1日
現在資本 33,131 535 (328) (335) (16) (447) 6,080
2020 年利益処分
(損失処理) 566
2020 年にフラン
ス政府に支払わ
れた配当金 (286)
2021 年上半期決
算に基づいて計
算されたフラン
ス政府に支払わ
れた中間配当金 (620)
非支配持分に支
払われた
配当金
非支配持分
プット・オプ
ション (21)
非支配持分に係
る取得および処
(1)
分の影響 (21) 180 (2) (65) (19)
その他の変動 (39) 1 9 1 (3) (3)
当期利益 (損失 )
その他の包括利
益
海外事業による
為替換算差額 154
その他の包括利
益を通じて公正
価値で測定され
る金融商品の公
正価値変動 529 (361) (174) 5,381
損益を通じて公
正価値で測定さ
れる金融負債に
係る信用リスク
の変動
損益計算書に振
替えられる金融
商品の公正価値
変動 510 (41) 10
その他の包括利
益の
その他変動
39/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2022 年1月1日
現在資本 33,239 865 (536) (246) (5) (469) 11,458
2021 年利益処分
(損失処理) 3,861
2021 年にフラン
ス政府に支払わ
れた配当金 (1,196)
2022 年上半期決
算に基づいて計
算されたフラン
ス政府に支払わ
れた中間配当金 (990)
非支配持分に支
払われた
配当金
非支配持分
プット・オプ
ション (39)
非支配持分に係
る取得および処
(2)
分の影響 304 (95) (51) (23) (8)
その他の変動 52 2 (37) (5) 7 (66)
当期利益 (損失 )
その他の包括利
益
海外事業による
為替換算差額 201
その他の包括利
益を通じて公正
価値で測定され
る金融商品の公
正価値変動 411 (4,785) 611 (3,670)
損益を通じて公
正価値で測定さ
れる金融負債に
係る信用リスク
の変動 10
損益計算書に振
替えられる金融
商品の公正価値
変動 1,673 (38)
その他の包括利
益の
その他変動 302
2022 年 12 月 31 日
現在資本 35,642 (2,340) 0 (96) 0 (183) 7,714
(1) 2021 年下半期の非支配持分との取引の影響は、主に CNP Assurances における BPCE の少数株主持分の取得によるもので
ある。
(2) 2022 年 12 月 31 日現在の非支配持分との取引の影響は、主に 2022 年5月2日に開始された簡易公開買付の対象となった
CNP Assurances 株式の購入ならびに同年上半期に行われた先行取得(所有者に帰属する資本への 256 百万ユーロの追
加および非支配持分の 3,331 百万ユーロの削減)により生じた。
40/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
1.6 連結資本変動計算書(続き) 2021 年1月1日から 2022 年 12 月 31 日まで(続き)
その他の包
括利益(損
所有者に 利益剰余金 損益に対す
所有者に帰 失)に対す
る
属する純利 帰属する資 -非支配持 る非支配持
(百万ユーロ ) 益 (損失 ) 本 分 分 非支配持分 非支配持分 資本合計
2021 年1月1日現在資本 566 39,186 22,558 1 (156) 22,403 61,589
2020 年利益処分(損失処理) (566) (156) 156
2020 年にフランス政府に支払われた配当金 (286) (286)
2021 年上半期決算に基づいて計算されたフランス政府
に支払われた中間配当金 (620) (620)
非支配持分に支払われた配当金 (999) (999) (999)
非支配持分プット・オプション (21) (26) (26) (47)
(1)
非支配持分に係る取得および処分の影響 73 (3,225) (94) (3,319) (3,246)
その他の変動 (34) 1,690 28 1,718 1,684
当期利益 (損失 ) 3,861 3,861 1,535 1,535 5,396
その他の包括利益 154 72 72 226
海外事業による為替換算差額 5,375 (444) (444) 4,931
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融
商品の公正価値変動 10 6 6 16
損益を通じて公正価値で測定される金融負債に係る信
用リスクの変動 469 696 696 1,165
損益計算書に振替えられる金融商品の公正価値変動
その他の包括利益のその他変動
2022 年1月1日現在資本 3,861 48,167 19,842 265 1,535 21,642 69,809
2021 年利益処分(損失処理) (3,861) 1,535 (1,535)
2021 年にフランス政府に支払われた配当金 (1,196) (1,196)
2022 年上半期決算に基づいて計算されたフランス政府
に支払われた中間配当金 (990) (990)
非支配持分に支払われた配当金 (1,002) (1,002) (1,002)
非支配持分プット・オプション (39) 17 17 (22)
(2)
非支配持分に係る取得および処分の影響 127 (4,015) 166 (3,849) (3,772)
その他の変動 (47) 37 (183) (146) (193)
当期利益 (損失 ) 3,291 3,291 1,151 1,151 4,442
その他の包括利益
海外事業による為替換算差額 201 443 443 644
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融
商品の公正価値変動 (7,433) (2,930) (2,930) (10,363)
損益を通じて公正価値で測定される金融負債に係る信
用リスクの変動 10 1 1 11
損益計算書に振替えられる金融商品の公正価値変動 1,635 991 991 2,626
その他の包括利益のその他変動 302 113 113 415
2022 年 12 月 31 日現在資本 3,291 44,028 16,414 (1,134) 1,151 16,431 60,459
(1) 2021 年下半期の非支配持分との取引の影響は、主に CNP Assurances における BPCE の少数株主持分の取得によるもので
ある。
(2) 2022 年 12 月 31 日現在の非支配持分との取引の影響は、主に 2022 年5月2日に開始された簡易公開買付の対象となった
CNP Assurances 株式の購入ならびに同年上半期に行われた先行取得(所有者に帰属する資本への 256 百万ユーロの追
加および非支配持分の 3,331 百万ユーロの削減)により生じた。
次へ
41/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
1.7 連結キャッシュ・フロー計算書
2022 年 12 月 31 日に終了した年度
キャッシュ・フロー計算書は、間接法を用いて作成されている。
投資活動は、連結会社に対する持分、有形固定資産および無形資産の取得および売却に該当する。
財務活動は、資本、劣後債および債券の規模およびその構成に変動をもたらす活動である。
営業活動は、上記の2つの活動に含まれないすべてのキャッシュ・フローに該当する。
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
税引前利益(損失) ( 非継続事業を除く。 ) 4,341 6,406
有形固定資産および無形資産の減価償却費、償却費および減損 ( 純
額 ) 3,923 2,437
のれんおよびその他の非流動資産の減損損失 375 139
引当金費用および減損損失 ( 純額 ) (157) (16)
保険責任準備金費用 ( 純額 ) (9,403) 11,075
持分法適用会社の利益 ( 損失 ) における持分 (1,105) (1,289)
投資活動による損益 ( 純額 ) 2,320 1,655
その他の変動 11,705 (242)
税引前利益 ( 損失 ) に含まれる非貨幣性項目およびその他調整合計 7,658 13,769
金融機関との取引に関連するキャッシュ・フロー (3,555) 2,647
顧客との取引に関連するキャッシュ・フロー (950) 932
金融資産および負債に影響を及ぼすその他の取引に関連する
キャッシュ・フロー (5,212) 1,636
投資不動産に関連するキャッシュ・フロー (748) (516)
非金融資産および負債に影響を及ぼすその他の取引に関連する
キャッシュ・フロー (4,715) (2,613)
法人税支払額 (1,495) (1,108)
営業活動からの資産および負債に関連する現金の純増加 ( 減少 ) (16,675) 977
営業活動による(に使用した)キャッシュ・フロー ( 純額 )(A) (4,675) 21,152
金融資産および投資に関連するキャッシュ・フロー (4,079) (4,546)
有形固定資産および無形資産に関連するキャッシュ・フロー (3,188) (4,226)
投資活動による ( に使用した ) キャッシュ・フロー ( 純額 )(B) (7,267) (8,772)
所有者との取引による(に使用した)キャッシュ・フロー (4,424) 423
財務活動による(に使用した)その他のキャッシュ・フロー ( 純額 ) (2,168) 1,257
財務活動による(に使用した)キャッシュ・フロー ( 純額 )(C) (6,592) 1,679
現金および現金同等物のその他増加(減少) (D) (4) 16
現金および現金同等物の純増加 ( 減少 )(A+B+C+D) (18,537) 14,076
当期首現在の現金および現金同等物 80,301 66,226
現金および中央銀行預け金 ( 純額 ) 76,042 22,803
金融機関向け要求払貸付金 ( 借入金 ) 純額 4,259 43,423
当期末現在の現金および現金同等物 61,764 80,301
現金および中央銀行預け金 ( 純額 ) 42,973 76,042
金融機関向け要求払貸付金 ( 借入金 ) 純額 18,791 4,259
現金および現金同等物の純増加 ( 減少 ) (18,537) 14,075
42/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
1.8 2022 年セグメント情報
1.8.1 損益計算書項目
2022 年 12 月 31 日
持分法適
所有者に
営業 税引前
用会社の
帰属する
総利益 リスク 利益 利益
銀行業務 営業利益 純利益 純利益
(百万ユーロ ) 純益 (損失) 費用 (損失) (損失) (損失) (損失) (損失)
フランス預金供託公
庫部門 1,798 878 (66) 811 32 1,097 960 957
Bpifrance グループ 740 740 740 740
ラ・ポスト・グルー
プ 34,704 1,749 (247) 1,503 27 1,509 1,901 1,047
-La Poste
26,169 (432) (31) (462) (84) (622) 316 193
-La Banque Postale
5,402 523 (219) 304 366 354 223
-CNP Assurances
3,133 1,658 3 1,661 111 1,765 1,231 631
戦略的投資部門の管
理 8,227 738 (14) 725 306 995 840 546
-金融サービス部門 441 321 321 11 332 247 247
-インフラ部門 (25) (25) (25) 267 239 238 201
-不動産および観光
部門 1,426 460 (14) 447 24 461 406 140
-サービス、輸送お
よびエンジニアリ
ング部門 6,385 (17) (18) 4 (37) (50) (41)
フランス預金供託公
庫グループ 44,729 3,366 (327) 3,039 1,105 4,341 4,442 3,291
2021 年 12 月 31 日
持分法適
所有者に
営業 税引前
用会社の
帰属する
総利益 リスク 利益 利益
銀行業務 営業利益 純利益 純利益
(百万ユーロ ) 純益 (損失) 費用 (損失) (損失) (損失) (損失) (損失)
フランス預金供託公
庫部門 2,127 1,191 21 1,212 68 1,279 1,006 1,000
Bpifrance グループ 894 894 894 894
ラ・ポスト・グルー
プ 33,878 3,722 (294) 3,428 75 3,472 2,869 1,539
-La Poste
25,797 1,804 (26) 1,778 (24) 1,723 1,750 1,122
-La Banque Postale
5,286 477 (261) 216 10 228 21 4
-CNP Assurances
2,795 1,441 (7) 1,434 89 1,521 1,098 414
戦略的投資部門の管
理 8,244 631 (10) 621 251 761 627 427
-金融サービス部門 460 348 3 351 351 246 246
-インフラ部門 (18) (18) (18) 243 225 225 215
-不動産および観光
部門 897 204 (10) 194 (7) 208 225 67
-サービス、輸送お
よびエンジニアリ
ング部門 6,905 97 (3) 94 (15) (23) (69) (101)
フランス預金供託公
庫グループ 44,249 5,544 (283) 5,261 1,288 6,406 5,396 3,861
43/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
1.8.2 財政状態計算書項目
資産合計
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
フランス預金供託公庫部門 168,407 156,212
Bpifrance グループ 13,685 14,135
ラ・ポスト・グループ 770,198 795,533
-La Poste
24,941 21,572
-La Banque Postale
296,754 293,072
-CNP Assurances
448,503 480,888
戦略的投資部門の管理 95,332 100,790
- 金融サービス部門 68,092 74,198
-SFIL グループ 67,539 74,198
-Euroclear 553
- インフラ部門 3,835 3,605
- 不動産および観光部門 15,808 15,103
- 不動産および観光部門 15,808 15,103
- サービス、輸送およびエンジニアリング部
門 7,597 7,884
フランス預金供託公庫グループ 1,047,622 1,066,670
44/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
1.8.3 財政状態計算書項目の内訳
2022 年 12 月 31 日
フランス
預金供託 La Banque CNP SFIL
La Poste
( 百万ユーロ ) 公庫部門 Postale Assurances グループ
資産
現金ならびに中央銀行への預け金 1,643 5 39,355 1,969
損益を通じて公正価値で測定される金
融資産 15,559 1,558 9,510 210,427 2,743
正の公正価値を有するヘッジ手段 667 16 1,020 118 2,396
その他の包括利益を通じて公正価値
で測定される金融資産 37,371 78 14,469 178,500 177
償却原価で測定される有価証券 49,424 28,008 96 5,552
償却原価で測定される金融機関およ
び関連企業向け貸付金および債権 29,728 1,408 65,601 1,495 128
償却原価で測定される顧客向け貸付
金および債権 4,241 2,313 130,326 3,519 51,402
金利リスクに対してヘッジされた
ポートフォリオに対する公正価値調
整の累計額 1,104
当期および繰延税金資産 238 1,937 326 2,058 417
前払金、未収収益およびその他の資
産 3,789 5,525 5,089 30,856 2,727
売却目的保有非流動資産 62
繰延利益分配 89 9,603
持分法適用会社に対する投資 3,595 923 1,108
投資不動産 10,756 5,730
自己使用固定資産 715 9,122 1,059 449 7
無形資産 681 785 798 4,544 21
のれん 1,209
資産合計 168,407 24,941 296,754 448,503 67,539
2022 年 12 月 31 日
フランス
預金供託 La Banque CNP SFIL
La Poste
( 百万ユーロ ) 公庫部門 Postale Assurances グループ
負債
損益を通じて公正価値で測定される金
融負債 383 2 11,446 1,903 359
負の公正価値を有するヘッジ手段 2,924 25 2,381 5,134
債務証券 29,425 10,802 28,705 846 59,279
金融機関からの預り金 21,058 867 23,275 3,039
顧客からの預り金 91,962 628 218,644 17,532
金利リスクに対してヘッジされたポー
トフォリオに対する公正価値調整の累
計額 1,509
当期および繰延税金負債 2,667 99 342 764 2
未払金、繰延収益およびその他の負債 4,019 10,819 3,612 18,249 218
売却目的保有非流動資産に関連する負
債 47
保険会社の責任準備金およびシャド
ウ・アカウンティング準備金 2,737 380,919
引当金 307 4,162 325 555 19
劣後債、保証金 704 2,235 4,839 270
資本を除く負債合計 153,449 27,451 293,702 428,676 66,790
45/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2021 年 12 月 31 日
フランス
預金供託 La Banque CNP SFIL
La Poste
( 百万ユーロ ) 公庫部門 Postale Assurances グループ
資産
現金ならびに中央銀行への預け金 21,259 8 50,812 3,961
損益を通じて公正価値で測定される金
融資産 13,756 1,124 3,317 225,204 3,518
正の公正価値を有するヘッジ手段 1,749 2 967 55 3,310
その他の包括利益を通じて公正価値
で測定される金融資産 40,982 36 14,452 212,348 290
償却原価で測定される有価証券 36,563 24,556 84 7,137
償却原価で測定される金融機関およ
び関連企業向け貸付金および債権 20,000 1,495 66,042 1,782 358
償却原価で測定される顧客向け貸付
金および債権 4,557 874 126,725 1,999 52,655
金利リスクに対してヘッジされた
ポートフォリオに対する公正価値調
整の累計額 346
当期および繰延税金資産 4 586 166 576 472
前払金、未収収益およびその他の資
産 2,201 5,531 3,788 29,476 2,466
売却目的保有非流動資産 22 178
繰延利益分配
持分法適用会社に対する投資 3,552 952 948
投資不動産 10,347 3,393
自己使用固定資産 670 9,630 985 518 8
無形資産 572 890 738 4,505 23
のれん 422
資産合計 156,212 21,572 293,072 480,888 74,198
2021 年 12 月 31 日
フランス
預金供託 La Banque CNP SFIL
La Poste
( 百万ユーロ ) 公庫部門 Postale Assurances グループ
負債
損益を通じて公正価値で測定される金
融負債 483 6 2,128 2,124 762
負の公正価値を有するヘッジ手段 1,129 30 282 50 5,557
債務証券 29,885 9,402 22,282 65,651
金融機関からの預り金 16,684 933 27,243 3,048
顧客からの預り金 80,348 106 223,108 15,878
金利リスクに対してヘッジされたポー
トフォリオに対する公正価値調整の累
計額 320
当期および繰延税金負債 3,405 300 1,112 3
未払金、繰延収益およびその他の負債 4,853 10,343 4,745 16,395 1,088
売却目的保有非流動資産に関連する負
債
保険会社の責任準備金およびシャド
ウ・アカウンティング準備金 2,715 411,685
引当金 368 4,526 328 624 23
劣後債、保証金 510 2,826 5,523 228
資本を除く負債合計 137,665 25,346 285,957 456,439 73,632
46/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.連結財務書類注記
2.1 重要な会計方針の概要
2.1.1 財務書類の作成の基準
フランス預金供託公庫グループ は 、 2022 年 12 月 31 日現在欧州連合が採用している IFRSを 適用 して いる。とりわけ、
当グループはマクロヘッジ取引の会計処理に関する一定の規定を除き(カーブアウト)、 IAS 第 39 号を採択する欧州
委員会の規則第 2086/2004 号の規定の適用を決定した。 EU 規則第 2086/2004 号により、当グループは公正価値ヘッジ関
係のための資産 / 負債管理の一環として実施される一部のマクロヘッジ取引(特に顧客要求払預金を含む。)を選択
することが可能になっている。
これらの基準は、欧州委員会のウェブサイト( https://ec.europa.eu/info/businesseconomy-euro/company-repor
ting-and-auditing/company-reporting )で入手可能である。
2022 年 12月31日 現在 の 連結 財務書類は 、報告期間末において適用可能な関連する IAS/ IFRS ならびに IFRS IC (以下
「 IFRIC 」という。)解釈指針 に定められた認識および測定基準に 従い 作成されている。
これらの基準および解釈指針は、下記の IFRS 修正(注記 2.1.1.1 を参照されたい。)を除き、 2021 年 12 月 31 日現在
のフランス預金供託公庫グループの財務書類で使用および記載されているものと同一である。
2.1.1.1 2022 年1月1日から強制適用となった IFRS の基準、修正および解釈指針
2022 年1月1日付で効力を生じた強制的な IFRS の修正は以下に示すとおりである。これらの適用は、 2022 年 12 月 31
日現在のフランス預金供託公庫グループの連結財務書類に重大な影響を及ぼしていない。
IAS 第 16 号「有形固定資産:意図した使用の前の収入」の修正( 2021 年6月 28 日付 EU 規則第 2021/1080 号)
これらの修正により、現在、企業が資産を意図した方法で稼働可能な状態にする間に生産された物品の販売により
受け取った金額を、有形固定資産の取得原価から控除することが禁止されている。これに代わって、かかる売上収益
および関連費用は損益計算書で認識されなければならない。
IAS 第 37 号「不利な契約-契約履行のコスト」の修正( 2021 年6月 28 日付 EU 規則第 2021/1080 号)
これらの修正は、契約による不可避的なコストを計算し、それによって契約が不利であるかどうかを判断するため
の追加のガイダンスを提供している。具体的には、修正案では、契約履行のコストには、その特定の契約により生じ
る増分コストならびにかかる契約に配分され、かかる契約および他の契約の履行にあたり生じる他の直接コスト部分
の双方が含まれると規定されている。
IFRS 第3号「概念フレームワークへの参照」の修正( 2021 年6月 28 日付 EU 規則第 2021/1080 号)
これらの修正は、概念フレームワークへの参照を更新するとともに、取得企業に対し、 (i) 取得日において過去の
事象の結果として現在の義務が存在するかどうか、および (ii) 取得日までに IFRIC 第 21 号の範囲内の賦課金を支払う
負債を生じさせる義務発生事象が発生しているかどうかを評価することを求めている。また、この修正では、取得企
業が企業結合で取得した偶発資産を認識できないことも確認されている。
「 IFRS の年次改善- 2018-2020 年サイクル」( 2021 年6月 28 日付 EU 規則第 2021/1080 号)
IFRS の年次改善の一環として、 IASB は IFRS 第1号「国際財務報告基準の初度適用」、 IFRS 第9号「金融商品」、
IAS 第 41 号「農業」および IFRS 第 16 号「リース」に対する軽微な修正を公表した。これらの修正は、 2022 年 12 月 31 日
現在のフランス預金供託公庫グループの連結財務書類に重大な影響を及ぼしていない。
2022 年3月、 IFRS IC は、 ECB の第3次貸出条件付長期資金供給オペレーション( TLTRO Ⅲ)の会計処理に関する最
終のアジェンダ決定を公表した。 IFRS IC は、 TLTRO Ⅲに IAS 第 20 号「政府補助金の会計処理および政府援助の開
示」に定義されている政府補助金が含まれるかどうかを評価する際のガイダンスを企業に提供しているが、金融負債
の測定および実効金利 (EIR) の計算についてはコメントしていない。 IFRS IC は、これは現在行われている IFRS 第9
号「金融商品」の適用の見直しの一環として、 IASB が対処すべき広範な問題の一部であると指摘した。
フランス預金供託公庫グループは、引き続き以下の IFRS の修正を適用することに留意されたい。
・ IFRS 第4号に対する修正「 IFRS 第9号『金融商品』の IFRS 第4号『保険契約』への適用」( EU 規則第 2017/1988
号)は、 IFRS 第9号の発効日を、保険契約を扱う IFRS 第 17 号の発効日と一致させることを目的としている。フラ
ンス預金供託公庫グループは、指定された金融資産の純利益を表示するための「オーバーレイ」アプローチを使
47/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
用して、保険子会社の金融資産および負債の測定および認識に関して IFRS 第9号の規定を採用することを決定し
た。
・ IFRS 第9号、 IAS 第 39 号および IFRS 第7号「金利指標改革」(フェーズ1)の修正 (EU 規則第 2020/34 号 ) は、金
利改革を行う前の期間に限りヘッジ会計要件を修正することを目的としている。実務上、これらの修正により、
金利改革に関する不確実性を理由に特定の取引のヘッジ会計が中止される可能性が回避される。
・ IFRS 第9号、 IAS 第 39 号、 IFRS 第7号、 IFRS 第4号および IFRS 第 16 号「金利指標改革」(フェーズ2)の修正
(EU 規則第 2021/25 号 ) の修正は、これまでの指標金利を新しい指数に置き換える際に(例えば、 Eonia を € STR
に)、または金利指標改革によって指標の計算式(ハイブリッド Euribor )を変更する際に生じた会計上の問題に
対処するものである。これらにより、特に以下に対処することによって会計上の影響を無効化することが可能と
なっている。
-指数の契約上の変更に起因する金融商品のキャッシュ・フローの変化の会計上の影響;
-ヘッジ会計に対する指数の変更の影響;
-財務書類注記において開示されるべき情報。
実務上は、 IFRS 第9号の修正により以下のことが可能になる。
-金利指標改革に直接起因する金融商品の変更が、損益計算書において認識される調整ではなく、ベンチマーク
指数の変更を反映する実効金利の将来見通しの更新に反映されるとみなすこと。このように、以前の金利を新
しい金利に置き換えても、直ちに損益に会計上の影響はない;
-契約において金利の有効な置換えがなされた時点で金利指標改革の影響を受けるヘッジ関係を維持すること。
特に金利指標改革から生じるリスクの性質および程度ならびに企業が各種の指標金利への移行をどのように管理し
ているかについての追加的な開示事項は、財務書類注記に記載される。
・ IFRS 第 16 号「 2021 年6月 30 日より後の COVID-19 に関連した賃料減免」の修正( EU 規則第 2021/1421 号)の修正
は、賃借人(賃貸人ではない)が COVID-19 に関連した賃料減免がリース条件の変更であるか否かの評価を免除さ
れ、リース条件の変更ではないかのように扱うことができる実務上の便法(つまり、賃料減免の影響を残りの
リース期間にわたって配分するのではなく、負の変動賃料として当期の収益に計上される。)を含んでいる。 使
用権資産 に は影響 がなく 、減価償却は変わり なく続けられる。
ただし、この修正は COVID-19 の直接的な影響として発生する賃料減免のみに、以下の条件がすべて満たされた場
合に限って適用される。
・リース支払額が変更になった結果、リースの対価が 変更直前のリースの対価と実質的に同じか、それより少ない
金額に 修正 されること。
・リース支払額の減額が当初の期限が 2022 年6月 30 日以前の支払のみに影響を及ぼすこと。
・契約のその他の条件に大幅な変更がないこと。
この減免は、類似の特性を持ち、類似の環境にあるすべてのリース契約に一貫して適用されなければならない。
48/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.1.2 欧州連合によって採択された IFRS 基準、修正および解釈指針で、 2022 年1月1日にまだ適用されて
いないもの
フランス預金供託公庫グループは、欧州連合によって採用され、 2022 年1月1日現在でまだ強制発効していない基
準および修正を適用しなかった。これらは以下に関連する:
IFRS 第 17 号「保険契約」の修正( 2021 年 11 月 19 日付 EU 規則第 2021/2036 号)
IFRS 第 17 号は、当該基準の範囲内で保険契約の認識、測定、表示および開示に関する原則を確立している。 2023 年
1月1日以降開始する年次報告期間について、 IFRS 第 17 号は IFRS 第4号に置き換わるものである( 2022 年の比較情報
は同じ基準で表示される。 ) 。
IFRS 第 17 号は以下に対して適用される。
・書面による保険契約および再保険契約
・重大な保険リスクを生じさせるすべての再保険契約
・裁量権付有配当投資契約
この新基準では、各契約の保険要素を、以下の他の要素とは別に認識することが求められる。
・特定の組込デリバティブ
・個別の投資構成要素
・その他の履行義務(非保険商品やサービスを移転する約束など)
これらの構成要素は、個別の契約である場合に適用される基準に従って、個別に認識および測定される。
移行日現在有効な保険契約の各グループは、 IFRS 第 17 号が常に適用されていたかのように認識および測定される。
IFRS 第 17 号では、以下の3種類の移行方法がある。
・公正価値アプローチ(FVA)。 保険契約は移行日の公正価値で測定され る 。このアプローチは、フランス預金供
託公庫グループが締結する保険契約の大部分、特に貯蓄契約や年金契約に適用される。
・完全遡及アプローチ( FRA )。保険契約のすべての会計要素が契約開始時から再計算される。このアプローチ
は、 La Banque Postale Assurances の損害保険契約および必要なデータが入手可能な CNP Assurances の契約の特
定のコホートに適用される。
・修正遡及アプローチ( MRA )は、過去の契約データの作成にかかる追加コストを回避する FRA の簡易版である。こ
のアプローチは、 La Banque Postale Pr évoyance について利用される。
IFRS 第 17 号に基づく財務書類において、保険契約の締結時に認識される負債は、以下のブロックに基づいてビル
ディング・ブロック・アプローチ( BBA )を用いて測定される。
・契約上の義務の履行に直接関係する将来のキャッシュ・フローの割引現在価値(履行キャッシュ・フロー)
・これらのキャッシュ・フローの額およびタイミングに関する不確実性を反映した非財務リスクの調整
・契約上のサービス・マージン(CSM)
CSM は、企業が将来サービスを提供する際に認識する保険契約グループの未獲得利益を表す。これは貸借対照表の
負債側に含まれ、サービスの提供(補償単位)に応じて収益に認識される。保険契約グループに損失が生じることが
予想される場合、マイナスの CSM を記録するのではなく、契約締結時に予想信用損失は直ちに損益計算書に認識され
る(不利な契約)。
2番目のモデルである変動手数料アプローチ( VFA )は、以下の条件を含む直接連動型の有配当保険契約に適用さ
れる。
・契約条項に、保険契約者が基礎となる項目の明確に特定された原資産のプールの持分に参加することが規定され
ている。
・企業が、基礎となる項目からの収益の公正価値の重要な持分に等しい金額を保険契約者に支払うことを予想して
いる。
・企業が、保険契約者に支払うと予想されるキャッシュ・フローの重要な部分が、基礎となる項目の公正価値の変
動に応じて変動することを予想している。
変動手数料アプローチはデフォルトで適用される BBA に類似しているが、 CSM が技術的ショックだけでなく財務的
ショックも吸収する点が異なる。
一般モデル( BBA )に加えて、 IFRS 第 17 号には、オプションとして簡易測定アプローチである保険料配分アプロー
チ( PAA )も含まれており、以下の場合に適用することができる。
・すべての保険契約。 ただし、PAAを適用して作成された負債の測定値がBBAを適用して作成された負債の測定値
と大きく異ならない。
49/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
・短期契約(カバー期間が1年以内)。
PAA を適用する目的上、当初負債は当初認識時に受け取った保険料のみに対応する(契約上のサービス・マージン
は含まれない。)。取得費用は資産として繰り延べるか、または費用として直ちに認識することができる。
当グループの保険会社はこの3つのモデルを使用する。
IFRS 第 17 号では、保険負債はより細かいレベルで測定されることになる。具体的には、以下のようなポートフォリ
オに分けられる。
・最初のステップは、年次コホート(同様のリスクをカバーし、一括して管理される契約のグループ)を構成する
契約のポートフォリオを定義する。
・次に、 CSM の計算および追跡のために、契約が当初認識されるときに、各ポートフォリオを3つの会計グループ
に分割する。グループは以下のとおりである。
-当初認識時点で不利な契約
-当初認識時点で不利になる可能性が大きくない契約
-その他の契約
IFRS 第 17 号では、コホートには発行の時点が1年超離れた契約を含めてはならないと規定されている。世代間のリ
スクプールを伴う保険契約(貯蓄契約、年金契約など)が財務書類に適切に反映されないという経済的実態を回避す
るために、欧州連合は、この年次コホート要件の適用免除のオプションを導入した。 CNP Assurances およびフランス
預金供託公庫グループはいずれもこの免除を適用することを選択した。
ビルディング・ブロック・アプローチ、変動手数料アプローチおよび保険料配分アプローチを用いて測定される契
約について、 IFRS 第 17 号は、収益のボラティリティを低減するために、財務上の仮定の変更による影響を損益または
その他の包括利益で認識するオプションを企業に提供している。フランス預金供託公庫グループは、このオプション
を適用することを選択した。
将来のキャッシュ・フローを割り引くために使用されるイールド・カーブは、ソルベンシーⅡの枠組みの下で適用
されるものと同様の方法で、関連する契約グループに応じて変動するリスク・フリー・レートと非流動性プレミアム
に基づいて決定される。
保険事業による IFRS 第9号および IFRS 第 17 号の同時適用は、以下の2つの変更を除き、フランス預金供託公庫グ
ループレベルに影響を及ぼさない。
・オーバーレイ・アプローチが適用されなくなること。
・企業が、売買目的で保有されていない資本性金融商品を損益に振り替えることができないその他の包括利益を通
じた公正価値で測定するオプションを有すること。
フランス預金供託公庫グループの連結財務書類の表示に関しては、 2023 年1月1日以降、金融機関の IFRS 連結財務
書類の形式に関する 2022 年4月8日付の勧告第 2022-01 号により、 2017 年6月2日付の勧告第 2017-02 号は廃止され、
置き換わる。この新たな勧告は、銀行の財務書類における保険業務が IFRS 第 17 号の初度適用に沿って表示されるよう
にすることを目的としている。勧告に規定されているとおり、フランス預金供託公庫グループは、銀行事業の投資
ポートフォリオと同じカテゴリーに基づいて保険投資を表示することを選択した。
IFRS 第 17 号の適用による影響は分析されており、グループレベルでの IFRS 導入プロジェクトの対象となっている。
2022 年には、フランス預金供託公庫グループの IFRS 第 17 号導入プロジェクトは主に以下に関与した。
・当グループの連結財務書類において保険事業をどのように表示するのが最善であるかを継続的に評価すること。
・主要な手法オプション(会計モデル、イールド・カーブ、リスク調整など)を安定化すること。
・ターゲットアカウントの生産プロセスを継続的に構築すること。
・IFRS第17号に基づく期首貸借対照表および比較可能な前期の貸借対照表の作成および編纂を準備するための予備
作業を実行すること。
IFRS 第 17 号の適用は、フランス預金供託公庫グループに以下の重大な影響を及ぼす。
・貸借対照表および注記の表示を変更する。
・収益と費用の新たな表示を定義する。これは以下の2つの重要な指標で構成される。
-発行された保険契約の収益および発行された保険契約に関連する費用。これには以下が含まれる。
- CSM の償却
-リスク調整の償却
-実績の差異(すなわち、予想される保険金請求および費用と実際の保険金請求および費用の差異)。 (従
来の表示では、保険契約に起因する費用がその他の活動からの収益および費用として計上されていることに
留意されたい。)
-不利な契約の影響
50/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
-保険および再保険金融費用(保険投資からの収益は銀行投資からの収益と同じ項目に計上される。)
・法定会計、決算、管理会計、内部および外部報告システムなどの管理プロセスの大規模な再編を生じさせる。
・保険数理モデリング・ツールにも影響を及ぼす。
・また、現在進行中の新たな測定、連結および報告プロセスの導入により、会計プロセスに関する内部組織が調整
される。
予想される財務上の影響に関しては、 2022 年1月1日から CNP Assurances およびその子会社に IFRS 第 17 号が適用さ
れることにより、同日現在のフランス預金供託公庫グループの資本が約 1.3 十億ユーロ増加し、そのうち 0.5 十億ユー
ロが親会社の所有者に、 0.8 十億ユーロが非支配持分に帰属することとなる可能性がある。
IAS 第1号「会計方針の開示」の修正( 2022 年3月2日付 EU 規則第 2022/357 号)
これらの修正は 2023 年1月1日から適用され、企業が財務書類の注記における会計方針に関する開示の妥当性なら
びに投資家および財務書類の利用者に対するかかる開示の有用性を改善するのを支援することを目的としている。
かかる修正は、企業が重要な会計方針ではなく、重要性のある会計方針に関する情報を開示しなければならないこ
とを規定している。また、企業が会計方針の開示の重要性を評価するのを手助けする追加のガイダンスも提供されて
いる。
これらの修正は、フランス預金供託公庫グループの連結財務書類に重大な影響を及ぼさない。
IAS 第8号「会計上の見積りの定義」の修正( 2022 年3月2日付 EU 規則第 2022/357 号)
これらの修正は 2023 年1月1日から適用され、企業が会計上の見積りの変更、会計方針の変更および誤謬の訂正を
区別できるようにすることを目的としている。
これらの修正は、フランス預金供託公庫グループの連結財務書類に重大な影響を及ぼさない。
IAS 第 12 号「単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税金」の修正( 2022 年8月 11 日付 EU 規則第 2022/1392 号)
これらの修正は、リース(借手会計)と廃棄義務に関する繰延税金の会計処理の不一致を軽減することを目的とし
ている。
これらの修正は、企業が資産または負債の当初認識時に繰延税金を認識しないことを認める IAS 第 12 号の免除の範
囲を明確にし、その範囲を縮小する。したがって、当初認識の免除は、企業が同額の将来加算一時差異と将来減算一
時差異とを生じさせる同額の資産および負債の両方を認識するリース(借手会計)ならびに廃棄義務には適用されな
い。そのため、リース(借手会計)および廃棄義務は、当初認識日に同額の繰延税金資産および繰延税金負債を認識
しなければならない。
これらの修正は、当初認識時にこれらの取引に係る繰延税金資産および繰延税金負債を既に認識しているフランス
預金供託公庫グループの財務書類には影響を及ぼさない。
2.1.1.3 欧州連合がまだ採択していない IFRS の基準、修正および解釈指針
フランス預金供託公庫グループは、 IASB が公表し、欧州連合によりまだ採択されていない基準、修正および解釈指
針を適用していない。
銀行のためのフランス会計審議会( ANC )の財務書類のフォーマットの使用
IFRS 財務書類の適切なフォーマットがないため、本財務書類のレイアウトは会計基準委員会( Autorit é des normes
comptables (フランス会計基準の設定機関、 ANC ))により発行された 2017 年6月2日付勧告第 2017-02 号( 2021 年2
月5日付で微修正済)に準拠する。
IAS 第1号の修正に従い、フランス預金供託公庫グループは、利益の内訳を示す独立した連結損益計算書を作成し
ている。また、利益から始まり、資本に直接認識される損益(税引後)を詳述している包括利益計算書も作成してい
る。
フランス預金供託公庫グループはまた、勧告によって提案されたオプションに従って、注記において保険業務に関
する具体的な情報を表示する選択をしている。 2023 年1月1日現在、 2022 年4月8日付勧告第 2022-01 号により、
2017 年6月2日付勧告第 2017-02 号は廃止され、置き換わる。この新たな勧告は、銀行の財務書類における保険事業
が IFRS 第 17 号の初度適用に沿って表示されるようにすることを目的としている。
51/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
見積りの使用
当グループの財務書類の作成には、収益および費用、資産および負債の報告金額、ならびに添付の注記の開示情報
に影響を及ぼす一定の見積りおよび仮定を行うことが含まれる。かかる見積りおよび仮定を行うため、財務書類の作
成時に経営陣は判断を行い、入手可能な情報を考慮しなければならない。見積りおよび仮定が行われた取引の実際の
結 果が、とりわけ市場環境に関して、予想される結果と著しく異なることがあり、財務書類に重大な影響を及ぼす可
能性がある。
見積りおよび仮定は以下の計算に用いられる。
- 財政状態計算書において、「損益を通じて公正価値で測定される金融資産または負債」、「ヘッジ手段」また
は「その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産」に計上される非上場の金融商品の公正価値
- 金融資産(損益に振替えられるその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産、償却原価で測定さ
れる有価証券、償却原価で測定される貸付金および債権)に対する減損
- 持分法適用会社に対する投資に係る減損
- 注記において開示される投資不動産の公正価値
- 有形固定資産、無形資産およびのれんに対する減損
- 繰延税金
- 保険会社の責任準備金
- 偶発債務および費用に関する負債(従業員給付および住宅貯蓄を含む。)に計上される引当金
- 企業結合において認識されるのれんの当初金額
- 売却目的保有非流動資産および関連負債の帳簿価額
52/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.2 連結の基準
2.1.2.1 連結の範囲
連結財務書類は、フランス預金供託公庫(一般部門)の財務書類、サブグループの連結財務書類およびフランス預
金供託公庫が支配もしくは共同支配しているかまたは重要な影響を及ぼしており、その連結が当グループの財務書類
に重要な影響を及ぼす企業の財務書類で構成される。
2.1.2.2 連結方法および支配の定義
当グループが支配する投資先(および組成された企業)は、完全連結対象である。支配は、当グループが、投資先
の関連する事業活動に対してパワーを直接有し、投資先への関与による変動リターンに対するエクスポージャーまた
は権利を有しており、投資先に対するパワーを通じてかかるリターンに影響を及ぼす能力を有している場合に行使さ
れる。
投資先に対する追加の議決権を取得する権利を付与する潜在的議決権は、投資者が投資先の関連する事業活動を指
示することができるようにかかる権利が現在行使可能である場合に、支配を判断するのに考慮される。
共同支配は、共同支配を有する契約上の取決めであり、関連する事業活動についての意思決定が共同支配を有する
当事者全員の同意を必要とする場合にのみ存在する。共同支配は、ジョイント・ベンチャーおよびジョイント・オペ
レーションの2種類の取決めが含まれることがある。
ジョイント・ベンチャーは、取決めの共同支配を有する当事者が、取決めの純資産に対する権利を有する共同取決
めである。ジョイント・ベンチャーは、持分法で会計処理される。
ジョイント・オペレーションは、共同支配を有する当事者が、取決めの資産に対する権利を有し、取決めの負債に
対する責任を負担する取決めである。ジョイント・オペレーションは、かかるオペレーションの以下のものに対する
フランス預金供託公庫グループの持分を認識することにより連結される。
- 資産(共同で保有するすべての資産に対するその持分を含む。)
- 負債(共同で引受けたすべての負債に対するその持分を含む。)
- ジョイント・オペレーションによる生産物に対するその持分の売却およびジョイント・オペレーションによる生
産物の売却による収益
- 費用(共同で引受けたすべての費用に対するその持分を含む。)
当グループが重要な影響力を有する企業は、持分法により会計処理されている。重要な影響とは、企業の財務およ
び経営方針の決定に参加する力をいうが、それらの方針を支配または共同支配するものではない。当グループが、直
接または間接的に投資先の議決権の 20 %以上を有する場合に、重要な影響力を有するとみなされる。
取得した企業の業績は取得日以降、連結財務書類に含まれ、当期中に売却した企業の業績は支配、共同支配または
重要な影響力を喪失した日まで含まれる。
会計年度末
ほぼすべての連結企業の会計年度末は、 12 月 31 日である。会計年度末が、当グループの会計年度末の3カ月を超え
て前後する企業は、 12 月 31 日現在で作成された財務書類に基づいて連結される。当グループの会計年度末の3カ月以
内に会計年度末が到来する企業については、真実かつ公正な概観の原則に準拠するために必要である場合、連結財務
書類の作成時にその会計年度末から 12 月 31 日までに発生した重要な取引が考慮される。
53/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.2.3 連結の範囲から除外される企業
当グループのプライベート・エクイティ活動に関連して保有される関連会社およびジョイント・ベンチャーに対す
る投資は、 IAS 第 28 号第 18 項に基づく利用可能なオプションに従い連結の範囲から除外することができる。これらの
投資はその後、「損益を通じて公正価値で測定される金融資産」として認識される。
低所得者用住宅企業(以下「 ESHs 」という。)は、 IFRS の意味において当グループにより支配されていないため、
連結の範囲から除外されている。したがって、 ESHs に対する持分は、「損益を通じて公正価値で測定される金融資
産」または規定される選択肢の下で「損益に振替えられないその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資
産」に分類される。
フランス預金供託公庫グループにより支配を受けていない半官半民企業( SEMs 、 SAIEMs )も、連結の範囲から除外
されている。したがって、かかる企業に対する持分は、「損益を通じて公正価値で測定される金融資産」または規定
される選択肢の下で「損益に振替えられないその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産」に分類され
る。
短期的に売却する目的で取得した企業に対する持分は、連結の範囲から除外され、「売却目的で保有する非流動資
産」に分類される。
IFRS の適用にあたり、将来プログラムへの投資に関してフランス政府と締結した契約により、かかる契約の対象と
なる資産および負債は、当グループの連結財務書類において認識中止されなければならない。フランスの会計原則に
よるフランス預金供託公庫(一般部門)の会計処理において、これらの資産および負債は調整勘定に振替えられる。
2.1.2.4 連結調整およびグループ内取引の消去
連結企業の財務書類は、修正再表示の影響が重要である場合に、当グループの会計方針に基づき修正再表示され
る。関連会社およびジョイント・ベンチャーにより適用される会計方針は、必要に応じて当グループの会計方針と一
致させる。
完全に連結される企業間のグループ内残高、収益および費用は、連結財務書類に対する影響が重要である場合に消
去される。
関連会社およびジョイント・ベンチャーに対する資産のグループ内売却に係る損益は、売却された資産に一時的で
ない減損が生じているとみなされる場合を除いて、当グループの関連会社またはジョイント・ベンチャーに対する持
分に基づき、比例的に消去される。
2.1.2.5 為替換算
連結財務書類はユーロで表示されている。その機能通貨が当グループの表示通貨と異なる企業の財務書類は、決算
日レート法により換算される。この方法に基づき、すべての貨幣性および非貨幣性資産および負債は、報告期間末現
在の為替レートで換算され、損益は当期の平均為替レートで換算される(ただし、かかる期間中に為替レートが大幅
に変動しない場合に限る。)。換算により生じる差額は、財政状態計算書の資本の部において「資本において直接認
識される損益」として認識される。
海外事業に対する純投資、借入金およびこれら投資の有効なヘッジである為替商品の換算による損益は、資本から
控除される。
海外事業が売却される場合、資本に計上された換算差額の累計額は、売却損益の一部として損益計算書に認識され
る。
54/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.2.6 企業結合およびのれん
企業結合は、 IFRS 第3号の適用範囲外である共同支配下の事業の結合および新たに設立されたジョイント・ベン
チャーを除き、パーチェス法を用いて会計処理されている。
パーチェス法に従い、取得された識別可能な資産および引受けた負債は取得日の公正価値で認識される。
引受けたすべての偶発債務は、支配を取得した日における流動債務を表しており、かつかかる債務の公正価値が信
頼性をもって測定できる場合にのみ、連結財政状態計算書において認識される。
企業結合の取得原価(移転された対価)は、被取得企業に対する支配と引換えに、移転された資産、発生したまた
は引受けた負債および当グループにより発行されたすべての資本性金融商品の引換日現在の公正価値に相当する。企
業結合に直接帰属する費用は、個別の取引として扱われ、損益に認識される。
偶発対価は、取得日現在の公正価値で、支配を取得した日現在の企業結合の取得原価に含まれる。金融負債に分類
されるすべてのアーン・アウトによる調整は、これらの調整が企業結合日の 12 カ月以内に発生し、取得日現在の事実
および状況に関連する場合を除いて、各報告期間末現在の公正価値で再測定され、損益に計上される。
のれんは、企業結合の取得原価が識別可能な資産および負債の取得日現在の公正価値に対する取得企業の持分を超
過する分であり、連結財政状態計算書の資産の「のれん」に認識される。負ののれんは損益に直接認識される。
非支配持分は、被取得企業の識別可能な純資産のその持分(「部分」のれん方式)または、非支配持分が対応する
のれんの割合で配分される場合(「全部」のれん方式)はそれらの公正価値のいずれかで計上することができる。こ
の決定は、個々の企業結合ごとに再確認される。
企業結合の当初の会計処理は、取得日後最長 12 カ月にわたる。
のれんは、被取得企業の通貨により取得原価で財政状態計算書において当初測定され、報告期間末の為替レートで
換算される。
のれんは、注記 2.1.3.10 に説明のとおり、減損テストが行われる。
企業結合が段階的に行われる場合(段階取得)、のれんは支配を獲得した日現在における公正価値を参照して決定
される。当該日現在、以前に保有していた被取得企業の持分は、損益を通じて、または財政状態計算書の「資本にお
いて直接認識される損益」における資本に対して、公正価値で再測定される。
同様に、連結子会社の支配の喪失により、残余持分は損益を通じて公正価値で再測定することが求められる。
2.1.2.7 非支配持分との取引
フランス預金供託公庫グループは、株式の取得費用と当グループにより既に支配されている企業の非支配持分の取
得に関する取引に係る被取得企業の調整された純資産に対する持分との差額を資本に認識する。取得に直接帰属する
費用は、資本からの控除として認識される。
支配の喪失をもたらさない非支配持分の部分的売却は、資本を調整することにより認識される。
2.1.2.8 完全連結子会社の非支配株主に付与された買戻しの約定
IAS 第 32 号「金融商品:表示」の規定に従って、フランス預金供託公庫グループは、連結子会社の非支配株主に付
与されたプットオプションに関して金融負債を計上している。オプションの価値が非支配持分の金額を上回る場合、
IFRS 基準では差額をどのように認識すべきかを明記していない。
フランス預金供託公庫グループは、オプションと非支配持分の金額との差額を資本において認識する選択をしてい
る。オプションの見積行使価格および非支配持分の帳簿価額の変化に関連した負債のその後の変化は、資本において
認識される。
55/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.2.9 セグメント情報
IFRS 第8号に従い、表示されるセグメント情報は、当グループの上席経営陣により使用される内部報告に基づいて
おり、当グループ内部の企業組織を反映している。事業活動は、提供されるサービスの種類に基づいて整理され、管
理される。
2022 年 12 月 31 日現在 のフランス預金供託公庫グループの事業セグメント( 2021 年 12 月 31 日現在から重要な変更な
し)は以下のとおりである。
- 主に以下で構成される預金供託公庫部門:
- フランス預金供託公庫(一般部門)
- SCET
- CDC Habitat
- Bpifrance グループ
- ラ・ポスト・グループ
- 主に以下で構成される戦略的投資部門の管理:
- 金融サービス部門
- SFIL グループ
- Euroclear
- 不動産および観光部門
- Icade
- Compagnie des Alpes
- インフラ部門
- Coentreprise de Transport d ’Electricit é
- Holding d'Infrastructures Gazi ères
- サービス、輸送およびエンジニアリング部門
- Egis
- Transdev グループ
- Suez Holding
- STOA
Banque des Territoires
Banque des Territoires ブランドは、地域開発を促進するフランス預金供託公庫のすべての事業活動をまとめたも
のである。これは、一般部門および貯蓄基金の事業部門(銀行、投資家、貸し手)を含んでおり、機能部門(財務、
通信、デジタル戦略および人事)を備えた 37 カ所のオフィスのネットワークに依拠している。また、これには、エン
ジニアリングおよびコンサルティングにおいて地域の企業をサポートする CDC Habitat および SCET という2つの子会
社も含まれている。貯蓄基金は、フランス預金供託公庫グループの連結財務書類の連結対象ではない。
56/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.3 会計方針
2.1.3.1 金融商品
金融資産および負債は、 IFRS 第9号の規定および IFRS 第9号の修正「負の補償を伴う期限前償還特性」に従って、
2022 年 12 月 31 日現在の財務書類において認識されている。保険子会社が保有する指定金融資産の純利益を表示するた
め、オーバーレイ( Overlay )アプローチが用いられている(注記 2.1.3.2.1.1 を参照されたい。)。
IFRS 第9号は、金融商品の分類および測定、信用リスクの減損ならびにマクロヘッジを除くヘッジ会計の原則を規
定しており、これらについて当グループは、欧州連合が採用する IAS 第 39 号のカーブアウトを適用している。
2.1.3.1.1 金融資産および負債の測定
2.1.3.1.1.1 当初認識日
有価証券は決済日 に財政状態計算書 に計上され、デリバティブ 金融商品 は取引日に計上され る。貸付金および債権
は、実行日に財政状態計算書に計上される。
取引日と決済日の間における公正価値の変動は、当該金融商品の会計上の分類に応じて利益または資本において認
識される。
2.1.3.1.1.2 当初測定
当初認識時に、金融資産および負債は IFRS 第 13 号で定義されている公正価値に、取得または発行に直接起因する取
引コストを加算(金融資産の場合)または減算(金融負債の場合)して測定される。これは、測定日に市場参加者間
の秩序ある取引において資産を売却するために受取るであろう価格または負債を移転するために支払うであろう価格
である(注記 2.1.3.1.7 を参照されたい。)。
2.1.3.1.1.3 その後の測定
当初認識後、非デリバティブ金融資産および負債は、その分類に基づいて、実効金利法を用いた償却原価または
IFRS 第 13 号で定義されている公正価値のいずれかで測定される。デリバティブ金融商品は、常に公正価値で測定され
る。
償却原価は、金融資産または金融負債の当初認識時に測定された金額から元本返済額を控除し、金融資産について
当初金額と満期金額の差額の実効金利法による累積償却額を加減し、信用リスクの減損(もしあれば)を控除した金
額である。
実効金利とは、金融資産の帳簿価額(すなわち信用リスクに係る減損を考慮しない償却原価)または金融負債の償
却原価の正確な総額を得るために、金融資産または金融負債の予想存続期間を通じて、将来の現金の支払または受取
りの見積りを割引く金利である。
この計算には、契約当事者間で支払われた、または受け取った手数料、取引費用、およびすべてのプレミアムと
ディスカウントが含まれている。
2.1.3.1.2 金融資産の認識
金融資産の認識は、事業モデルおよび金融商品の契約上のキャッシュ・フローの特性によって異なる(注記
2.1.3.1.2.3 を参照されたい)。
2.1.3.1.2.1 事業モデル
事業モデルとは、事業体が特定の経済目標を達成するために金融資産をどのように管理しているかを表す。 IFRS 第
9号は、3種類の事業モデルを定義している。
・「回収目的保有モデル」は、契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とし
ている。保有の概念が満期まで保有するという概念にかなり近いというこのモデルは、以下の条件において売却
が生じた場合でも有効である。
- 売却が信用リスクの増加によるものである場合。
- 売却が、満期の直前に、かつ未だ支払期日が到来していない契約上のキャッシュ・フローを反映する価格で
発生する場合。
- その他の売却は、これらが稀である場合(その価値が重要である場合でも)またはその価値が個別および全
体的に考慮されるときに重要ではない場合に(それらが頻繁である場合でも)、「回収目的保有モデル」の
目的と一致している場合。
・「混合モデル」は、契約上のキャッシュ・フローの回収と金融資産の売却の双方を目的としている。このモデル
では、キャッシュ・フローの回収と金融資産の売却の双方が不可欠である。
57/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
・「その他のモデル」では、「回収目的保有モデル」および「混合モデル」と反対の定義がなされている。その他
のモデルは、金融資産の売却により契約上のキャッシュ・フローを回収することを目的とする金融商品、または
公 正価値ベースで管理され、その業績が評価される金融商品のポートフォリオに関連している。
2.1.3.1.2.2 金融商品の契約上のキャッシュ・フロー特性
(元本および利息の支払のみ( SPPI )の基準)
資産の契約条件により、元本および元本残高に対して計算される利息の支払のみであるキャッシュ・フローが、特
定の日に生じる場合、かかる金融資産は「 SPPI 」(または「基本的」)と言われる。当初認識時に、すべての資産が
SPPI 基準を満たしているかどうかを判断するためにテストを行わなければならない( SPPI テスト)。
元本は、金融資産の取得日の公正価値として定義される。利息は、元本金額に関連する貨幣の時間的価値および信
用リスク、ならびに流動性リスクなどのその他のリスク、管理費およびマージンに対する対価で構成される。
契約上のキャッシュ・フローが元本と利息の支払のみであるかどうかを評価するために、金融商品の契約条件を考
慮しなければならない。したがって、貨幣の時間的価値と信用リスクのみが表されているかどうかについて疑義が生
じる可能性のある情報はすべて分析しなければならない。例えば、
・キャッシュ・フローの金額および時期を変化させる事象。
株価もしくは株価指数の変動へのエクスポージャーまたはレバレッジの導入などの基本的な融資の取決めに関連
しないリスクまたはキャッシュ・フローのボラティリティに対するエクスポージャーを生じる契約条件により、
契約上のキャッシュ・フローを SPPI として分類することが不可能となる。
・適用可能な金利の特性(例えば、利率再決定期間と金利計算期間との間の整合性)。
定性分析で明確な結果が得られない場合は、定量分析(ベンチマークテスト)が行われる。これには、当該資産
の契約上のキャッシュ・フローとベンチマーク資産の契約上のキャッシュ・フローの比較が含まれる。当該資産
のキャッシュ・フローとベンチマーク資産のキャッシュ・フローの差額が重要でないとみなされる場合、当該資
産は SPPI 基準を満たす基本的な融資の取決めであると見なされる。
・期限前償還および延長の特性
借手または貸手が金融商品の期限前償還を認める契約条件は、期限前償還の金額が元本残高および関連する利息な
らびに適宜、合理的な追加の補償を実質的に表す場合、契約上のキャッシュ・フローに関して SPPI 基準と一致してい
る。
また、貨幣の時間的価値への対価に関する基準を厳密には満たしていないが、その規制された金利が時間の経過と
概ね一致した対価を提供し、基本的な融資の取決めと一致しない契約上のキャッシュ・フローにおけるリスクまたは
ボラティリティに対するエクスポージャーが生じない場合、かかる規制された金利を有する特定の資産は「基本的」
とみなされる。
「基本的」金融資産として適格となるためには、証券化ビークルが保有する証券が特定の条件を満たさなければな
らない。トランシェの契約条件は、原資産のプールと同様に SPPI 基準を満たさなければならない。トランシェに内在
するリスクは、トランシェの原資産へのエクスポージャーと等しいかまたはそれ以下でなければならない。
58/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.3.1.2.3 金融資産の分類および測定
金融資産は、財政状態計算書上において、事業モデルおよび金融商品に関連する契約上のキャッシュ・フローの特
性に応じて、償却原価、その他の包括利益を通じた公正価値および損益を通じた公正価値の3つの会計区分に分類さ
れる(注記 2.1.3.1.2.1 および 2.1.3.1.2.2 を参照されたい。)。
2.1.3.1.2.3.1 負債性金融商品(貸付金、債権、有価証券)
負債性金融商品(貸付金、債権、有価証券)は、償却原価、損益に振替えられるその他の包括利益を通じた公正価
値または損益を通じた公正価値で認識することができる。
2.1.3.1.2.3.1.1 償却原価で認識される負債性金融商品
事業モデルが契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融商品を保有する(「回収目的保有モデル」)こと
であり、かつキャッシュ・フローが元本および元本残高に対する利息の支払のみである場合( SPPI 基準)に、負債性
金融商品は償却原価で測定される。
償却原価で測定された金融資産は、取引費用および未払利息を含む公正価値で当初認識される(取引費用が重要で
ないことを示すことができる場合を除く。)。
これらの金融資産はその後、実効金利法を用いて償却原価で測定される。
これらの金融商品の残存期間にわたるプレミアム/ディスカウントおよび取引費用の償却は、実効利率法を用いて
損益計算書の「受取利息」に認識される。これらの金融資産は、「信用リスクの減損」に記載されている条件のもと
で減損される(注記 2.1.3.1.4 を参照されたい。)。
これらは、金融資産の種類に応じて、財政状態計算書の「償却原価で測定される有価証券」、「償却原価で測定さ
れる金融機関および関連企業向け貸付金および債権」ならびに「償却原価で測定される顧客向け貸付金および債権」
に計上される。
2.1.3.1.2.3.1.2 損益に振替えられるその他の包括利益を通じて公正価値で認識される負債性金融商品
事業モデルが契約上のキャッシュ・フローを回収し、資産を売却するために金融商品を保有することにある場合
(「混合モデル」)およびキャッシュ・フローが元本および元本残高に対する利息の支払のみである場合( SPPI 基
準)に、負債性金融商品は損益に振替えられるその他の包括利益を通じた公正価値で測定される。
損益に振替えられるその他の包括利益を通じた公正価値で測定される金融資産は、取引費用および未払利息を含む
公正価値で当初認識される(取引費用が重要でないことを示すことができる場合を除く。)。
これらの金融資産はその後公正価値で測定され、公正価値の変動は、損益に振替えられるその他の包括利益に認識
されるとともに、残額に対して対応する仕訳が行われる(実効金利法を用いて損益計算書の「受取利息」に認識され
る未収利息を除く。)。
これらの金融商品の残存期間にわたるプレミアム/ディスカウントおよび取引費用の償却は、実効利率法を用いて
損益計算書の「受取利息」に認識される。
資産が売却されると、過去に資本に認識されていた未実現損益は、損益計算書の「その他の包括利益を通じて公正
価値で測定される金融商品による損益、純額」に振替えられる。
これらの金融資産は、「信用リスクの減損」に記載されている条件のもとで減損される(財政状態計算書の公正価
値に影響を及ぼさない。)(注記 2.1.3.1.4 を参照されたい。)。
これらは財政状態計算書の「その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産」に計上されている。
59/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.3.1.2.3.1.3 損益を通じて公正価値で認識される負債性金融商品
償却原価または損益に振替えられるその他の包括利益を通じて公正価値で認識されるために適格でない負債性金融
商品は、損益を通じて公正価値で測定される。
このカテゴリーには以下が含まれている。
・金融資産で構成されるポートフォリオに分類された負債性金融商品。
- 売買目的で保有されているかもしくはその主な目的が売却であるか、または
- 公正価値ベースで管理され、その業績が評価される。
上記のポートフォリオのカテゴリーの双方において、事業体が資産を保有すると同時に契約上のキャッシュ・フ
ローが回収される場合でも、かかる契約上のキャッシュ・フローの回収は不可欠ではなく、偶発的なものである。
・ SPPI 基準を満たしていない負債性金融商品、特にミューチュアル・ファンド( UCITS )およびベンチャー・キャ
ピタル・ファンド( FCPR )の場合。
・異なる基準での資産または負債の測定から生じる測定または認識における会計上のミスマッチを消去または軽減
するために、事業体が損益を通じて公正価値で測定する方法を明示的に選択するポートフォリオに分類される負
債性金融商品。
この場合、金融資産は当初認識時に公正価値オプションに基づき損益を通じて公正価値に分類され、この分類は取
消不能である。
損益を通じて公正価値で測定される金融資産は、取引費用(損益に直接認識される。)を除き、未払利息を含めて
公正価値で当初認識される。
これらの金融資産は当初認識後公正価値で測定され、公正価値の変動は「損益を通じて公正価値で測定される金融
商品による損益、純額」として損益において認識される とともに、残額に対して対応する仕訳が行われる 。
これらの金融資産は減損されない。
これらは財政状態計算書の「損益を通じて公正価値で測定される金融資産」に計上されている。
2.1.3.1.2.3.2 資本性金融商品(株式)
資本性金融商品(株式など)に対する投資は、損益を通じて公正価値で測定されるか、または規定されるオプショ
ンに基づき損益に振替えられないその他の包括利益を通じて公正価値で測定される。
資本性金融商品は減損されない。
2.1.3.1.2.3.2.1 損益を通じて公正価値で認識される資本性金融商品
損益を通じて公正価値で測定される資本性金融商品は、取引費用(損益に直接認識される)を除いて、公正価値で
当初認識される。
これらの資本性金融商品はその後公正価値で測定され、公正価値の変動は「損益を通じて公正価値で測定される金
融商品による損益、純額」に認識されるとともに、残額に対して対応する仕訳が行われる。
これらは財政状態計算書の「損益を通じて公正価値で測定される金融資産」に計上されている。
2.1.3.1.2.3.2.2 損益に振替えられないその他の包括利益を通じて公正価値で認識される資本性金融商品
(取消不能の選択)
損益に振替えられないその他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融商品を認識する取消不能の選択
は、取引レベル(科目ごと)で評価され、金融商品の当初認識時(または 2018 年1月1日現在の IFRS 第9号の初度適
用時)に適用されなければならない。売買目的で保有されている資本性金融商品は、この選択肢に適格ではない。
損益に振替えられないその他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融商品は、取引費用を含めた公正
価値で当初認識される(取引費用が重要でないことが証明できる場合を除く。)。
これらの資本性金融商品はその後公正価値で測定され、公正価値の変動は財政状態計算書の「その他の包括利益」
の下で損益に振替えられないその他の包括利益に認識される。
資本性金融商品が売却される場合、過去にその他の包括利益に認識されていた未実現損益は損益に振替えられな
い。したがって、処分損益は依然としてその他の包括利益に認識されている。
ただし、フランス預金供託公庫グループは、「その他の包括利益」において認識された損益に振替えられないその
他の包括利益のうち売却時に計上された資本利得または損失に対応する部分を「準備金および利益剰余金」に振替え
る選択をしている。
配当金は、資本性金融商品の償還ではなく投資収益に対応する場合のみ、「その他の包括利益を通じて公正価値で
測定される金融商品による損益、純額」として損益に認識される。
60/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
これらは財政状態計算書の「その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産」に計上されている。
2.1.3.1.2.4 金融資産の振替
金融資産を管理するための事業モデルが大幅に変更された場合を除き、金融資産の振替は認められていない。
かかる変更は稀(主に事業体がその事業にとって重要な活動を開始または中止するとき)であることが予想され、
事業体の経営主体によって判断されなければならない。
この場合、ポートフォリオの金融資産はすべて振替えられなければならない。この振替は振替日以降将来に向かっ
て行われるものであり、かかる日より前に認識された利益、損失または利息は修正再表示されない。
2.1.3.1.2.5 金融資産の認識の中止
金融資産は、以下の場合に全部または一部の認識が中止される。
・金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、または
・キャッシュ・フローに対する契約上の権利およびかかる金融資産の所有に伴う概ねすべてのリスクと経済価値が
移転される場合。
この場合、金融資産は認識が中止され、当該譲渡において創出または保持されるすべての権利および義務は資産お
よび負債として個別に認識される。
キャッシュ・フローに対する契約上の権利は移転されるが、金融資産の所有に伴うリスクと経済価値の一部ならび
に支配が保持される場合、事業体は金融資産に対して継続的に関与する範囲でかかる金融資産の認識を継続する。
カウンターパーティの財政的困難がなく、取引関係を発展または維持する目的でビジネス上の理由により再交渉さ
れた金融資産は、再交渉日に認識が中止される。顧客に付与された新たな貸付金は、再交渉日の公正価値で同日に認
識される。その後の認識については、事業モデルおよび SPPI 基準が満たされているかどうかによって異なる(注記
2.1.3.1.2.3 を参照されたい。)。
2.1.3.1.2.6 有価証券の一時的な取得および処分
有価証券の一時的な処分(有価証券の貸付、買戻契約に基づき売却された有価証券)は、通常、認識中止の条件を
満たさない。
貸付けられ、または買戻契約に基づいて売却された有価証券は、貸手 / 売り手の財政状態計算書に引続き表示され
る。買戻契約に基づいて売却された有価証券については、被取得者に対する負債を表す受取額は、売り手により財政
状態計算書の負債側で認識される。
買戻契約に基づいて借入または取得された有価証券は、借手 / 被取得者の財政状態計算書には表示されない。買戻
契約に基づいて取得された有価証券については、売り手に対する債権は、支払額の対価として被取得者の財政状態計
算書に認識される。有価証券がその後に転売された場合、被取得者は公正価値で測定される負債を計上する。これ
は、買戻契約に基づき取得した有価証券を返却する義務を表す。
61/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.3.1.3 金融負債の認識
2.1.3.1.3.1 負債と資本の区分
負債性金融商品と資本性金融商品の区分は、契約上の取決めの経済的実体の分析に基づいている。
金融負債は、以下の契約上の義務を含む場合に負債性金融商品である。
・現金、他の金融資産もしくは資本性金融商品の可変数を他の事業体に引渡すか、または
・潜在的に不利な条件で他の事業体と金融資産または金融負債を交換すること。
資本性金融商品は、すべての金融負債を控除した後の企業の残存持分(純資産)を証する任意の支払を提供し、負
債性金融商品に適格でない償還義務のない金融商品である。
したがって、永久劣後債は、利息の支払時期が当グループによって決定される場合に資本性金融商品に分類され
る。その他のすべての期限付および無期限の負債性金融商品は負債に含まれる。
2.1.3.1.3.2 金融負債の分類および測定
金融負債は、財政状態計算書において、損益を通じて公正価値で測定されるもの(性質上または公正価値オプショ
ンに基づき)および償却原価で測定されるものの2つの会計上のカテゴリーに分類される。
2.1.3.1.3.2.1 性質上損益を通じて公正価値で認識される金融負債
短期で買い戻すことを主な目的として発行された金融負債、短期的な価格変動により利益を生み出す目的で一緒に
管理されている識別された金融商品のポートフォリオの一部を形成する特定された金融負債、およびデリバティブの
定義を満たす金融負債(指定された有効なヘッジ手段を除く。)は、その性質上損益を通じて公正価値で認識され
る。
その性質上、損益を通じて公正価値で測定される金融負債は、取引費用(損益において直接認識される。)を除く
が、未払利息を含む公正価値で当初認識される。
これらの金融負債は、当初認識後は公正価値で測定され、公正価値の変動は「 損益を通じて公正価値で測定される
金融商品による損益、純額 」として損益において認識されるとともに、残額に対して対応する仕訳が行われる。
これらは、財務状態計算書の「損益を通じて公正価値で測定される金融負債」に計上される。
2.1.3.1.3.2.2 公正価値オプションに基づき損益を通じて公正価値で認識される金融負債
以下3つの条件のうち1つを満たす金融負債は、公正価値オプションに基づき損益を通じて公正価値で認識される
認識することができる。
・企業が分離を望まないか、または分離できない分離可能な組込デリバティブにより構成される金融負債。
・異なる基準で資産または負債を測定することにより生じるであろう測定もしくは認識における会計処理のミス
マッチを解消または軽減するという企業の意図。
・文書化されたリスク管理または投資戦略に従った、金融負債のグループ(または金融資産および金融負債のグ
ループ)の公正価値基準での管理および業績評価。
この選択は金融負債の当初認識時に行い、取消不能である。
公正価値オプションに基づき、損益を通じて公正価値で測定される金融負債は、取引費用(損益に直接認識され
る。)を除くが、未払利息を含む公正価値で当初認識される。
これらの金融負債は、その後は公正価値で測定され、公正価値の変動は以下において認識される。
・信用リスクに関連しない公正価値変動については、損益(損益計算書の「損益を通じて公正価値で測定される金
融商品による損益、純額」)、および
・信用リスクに関連する公正価値変動については、損益に振替えられないその他の包括利益(財政状態計算書の
「その他の包括利益」)。
これらは、財政状態計算書の「損益を通じて公正価値で測定される金融負債」に計上される。
62/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.3.1.3.2.3 償却原価で認識される金融負債
金融負債の定義を満たすすべてのその他の負債(デリバティブを除く。)は、償却原価で測定される。
償却原価で測定された金融負債は公正価値で当初認識される。公正価値には、取引費用および未払利息(取引費用
が重要でないと示すことができる場合を除く。)が含まれている。
これら金融負債はその後、実効金利法を用いて償却原価で測定される。
これらは、金融商品の種類に応じて、財政状態計算書の「債務証券」、「金融機関からの預り金」および「顧客か
らの預り金」に計上される。
2.1.3.1.3.3 金融負債の振替
金融負債の当初分類は取消不能であり、その後の再分類は認められていない。
2.1.3.1.3.4 金融負債の認識の中止および変更
金融負債は以下の場合において、全部または一部の認識が中止される。
・金融負債が消滅したとき、すなわち、契約において特定された債務が免責、取消もしくは失効する場合、または
・定量的もしくは定性的分析が、金融負債が大幅に変更されたことを示す場合。
既存の金融負債の大幅な変更は、当初の金融負債の消滅および新しい金融負債の認識として会計処理されなければ
ならない。消滅した金融負債と新しい金融負債の帳簿価額の差額は、直ちに損益に認識される。
金融負債の認識が中止されない場合、当初の実効金利が維持される。ディスカウント / プレミアムは変更日に直ち
に損益に認識され、その後は当該金融商品の残存期間にわたって当初の実効金利で償却される。
2.1.3.1.4 信用リスクに係る減損
信用リスクは、カウンターパーティがフランス預金供託公庫グループに対する債務を履行できないことによる債務
不履行から生じる損失のリスクとして定義される。
IFRS 第9号により予想信用損失(以下「 ECL 」という。)に基づく減損モデルが導入された。このモデルは、でき
る限り早期に信用損失の認識を予想することを目的としている。
2.1.3.1.4.1 「 ECL 」減損モデルの範囲
ECL 減損モデルは、損益を通じて公正価値で測定されない場合、以下の残高に適用される。
・償却原価で認識されるか、または損益に振替えられるその他の包括利益を通じて公正価値で認識される負債性金
融商品として適格な金融資産(貸付、債権、有価証券)
・ IFRS 第 16 号の範囲に含まれるリース債権
・ IFRS 第 15 号の範囲に含まれる取引により生じる売上債権および契約資産
・ IFRS 第9号の範囲に含まれる保証コミットメント(注記 2.1.3.1.9 を参照されたい。)
・融資コミットメント(注記 2.1.3.1.10 を参照されたい。)
したがって、資本性金融商品は、損益を通じて公正価値で認識されるか、または規定されたオプションに基づき損
益に振替えられないその他の包括利益を通じて公正価値で認識されるかにかかわらず、減損引当金の影響を受けな
い。
2.1.3.1.4.2 予想信用損失に基づくモデル
信用損失は、契約条項に従って企業が支払うべきすべてのキャッシュ・フローと、企業が受け取ると予想するすべ
てのキャッシュ・フローとの差額に相当し、当初の実効金利で割り引かれる。
企業が受け取ると予想するキャッシュ・フローには、保有する担保の売却または金融商品の契約条件に不可欠なそ
の他の信用補完からのフローが含まれていなければならない。
したがって、予想信用損失は、カウンターパーティの債務不履行リスクに基づく信用損失の加重平均に相当する。
2.1.3.1.4.2.1 一般的な ECL モデル
一般的な ECL モデルは、当初認識以降の金融資産の信用の質の悪化の程度に基づいて、リスクに対して3段階のア
プローチに依拠している。
・「ステージ1」(バケット1):金融資産は当初認識以降に信用リスクに著しい増大がみられない場合、このリ
スク水準には当初認識時およびその後の測定時のすべての金融資産が含まれる。
63/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
企業は、これらの金融資産について 12 カ月間の予想信用損失を認識している。受取利息は、資産の帳簿価額総額
に適用された実効金利法を用いて損益を通じて認識される(すなわち、減損を認識する前の償却原価)。
・「ステージ2」(バケット2):このリスク水準は、当初認識後に信用リスクに著しい増大がみられる金融資産
で構成されている。
企業は、金融商品の残存期間の予想信用損失を認識する。受取利息は、資産の帳簿価額総額に適用された実効金
利法を用いて損益を通じて認識される(すなわち、減損を認識する前の償却原価)。
その後、当初認識後の信用リスクの増大が著しいとみなされなくなるまで信用の質が改善された場合、信用リス
クに係る減損は再び 12 カ月間の予想信用損失に基づいて測定される。かかる場合、金融資産は「ステージ1」に
再分類される。
・「ステージ3」(バケット3):このリスク水準は、減損の客観的証拠がある信用減損金融資産で構成される。
これらは、当初認識以降、見積将来キャッシュ・フローに悪影響を及ぼす1つ以上の事象が発生した金融資産で
ある。したがって、このリスク水準は、債務不履行の金融資産(不良債権)で構成される。これらは IAS 第 39 号
に基づく減損金融資産に相当する。
企業は、金融商品の残存期間の予想信用損失を認識する。受取利息は、資産の正味帳簿価額に適用された実効金
利法を用いて損益を通じて認識される(すなわち、減損後の償却原価)。
その後、信用の質が改善した場合、金融資産は「ステージ2」に再分類され、その後「ステージ1」に再分類さ
れる可能性がある。その後、信用リスクと受取利息に係る減損を測定するための手続きが変更される。
2.1.3.1.4.2.2 売上債権、契約資産およびオペレーティング・リース債権に対する単純化された ECL モデル
IFRS 第 15 号の範囲内に含まれる売上債権および契約資産ならびに IFRS 第 16 号の範囲内に含まれるリース債権につい
ては、 IFRS 第9号に基づき単純化されたアプローチが導入されている。この単純化されたアプローチでは、企業が債
権の信用の質の変化の監視および 12 カ月間の予想信用損失の計算を省くことが認められており、これを適用する場
合、減損は常に残存期間の予想信用損失に等しい。
この単純化されたアプローチは、重要な金融要素を含まない売上債権および契約資産に対して義務づけられてい
る。重要な金融要素を含む売上債権および契約資産ならびにリース債権については任意であり、このオプションを
ファイナンス・リースおよびオペレーティング・リースのリース債権に個別に適用することもできる。
フランス預金供託公庫グループは、オペレーティング・リース債権ならびに重要な金融要素を含む売上債権および
契約資産の減損を計算するためにこの単純化されたアプローチを使用することを決定した。ファイナンス・リース債
権には一般的な ECL モデルが適用される。
したがって、すべての売上債権、契約資産およびオペレーティング・リース債権(これらは「ステージ2」または
「ステージ3」に分類される。)について残存期間の予想信用損失が測定される。
2.1.3.1.4.3 信用リスクの著しい増大、債務不履行(不良債権)の定義および減損の客観的証拠
一般的な ECL モデル(注記 2.1.3.1.4.2 を参照されたい。)において、さまざまなリスク水準への分類は、信用リス
クの著しい増大、債務不履行(不良債権)および減損の客観的証拠の概念に基づいている。
2.1.3.1.4.3.1 信用リスクの著しい増大
信用リスクの著しい増大は、著しい悪化に関する情報が個々の金融資産レベルで識別できない場合に、個別に評価
されるか、または該当する場合は同種の資産ポートフォリオに基づいて評価される。
評価を行うために、報告日における金融商品の債務不履行リスクと当初認識時の同一の金融商品の債務不履行リス
クを比較することにより、過大な費用または労力なしで入手可能な合理的かつ裏付け可能なすべての情報が考慮され
る。この評価では、過去の事象、現在の状況および将来の経済状況や事象についての合理的かつ裏付け可能な予測に
関する情報(将来の見通しに関する情報)を考慮しなければならない。
信用リスクの著しい増大を反映した「ステージ1」から「ステージ2」への移行は、通常、減損の客観的証拠が存
在することにより取引が個別に減損される前および貸付金が「ステージ3」に分類される前に認識しなければならな
い。
また、フランス預金供託公庫グループは、契約上の支払が 30 日を超えて延滞している場合に、当初認識から金融資
産の信用リスクが著しく増大したとみなして、 IFRS 第9号に規定されている反証可能な推定を十分に利用する。
一方で、 IFRS 第9号は、報告日現在で債務不履行リスクが低いと考えられ、借手が長期的な経済状況の悪変化によ
りその能力が著しく低下することなく、短期的に契約上のキャッシュ・フロー債務を履行する高い能力を有する場
合、金融資産の信用リスクは当初認識から著しく増大していないとみなすことができる。金融資産に関して保有され
ている担保はこの判断において考慮されていない。
64/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
この原則は、特に投資適格証券の悪化を監視するために、フランス預金供託公庫グループによってかなりの程度適
用されている。
2.1.3.1.4.3.2 債務不履行(不良債権)/減損の客観的証拠
予想信用損失を測定する目的上の債務不履行(不良債権)の定義は、内部の信用リスク管理の目的で使用されてい
る定義と同一である。
当グループは、欧州銀行監督局のガイドライン第 2016/07 号とともに、 EU 規則第 575/2013 号の第 127 条および第 178
条に定められているように、健全性の目的で債務不履行の定義を適用している。
債務不履行の新しい定義では、( i )債務不履行が発生したか否かを判断するために、期限を過ぎた金額に適用さ
れる新しい絶対的および相対的な重要性の閾値の導入、ならびに( ii )債務不履行でない状態に戻すための基準(待
機期間を含む。)の明確化が見られる。
債務不履行を特定する方法に関する説明は、 IFRS 第9号に基づいてエクスポージャーを信用減損として扱うための
基準(ステージ3への割当て)と一致している。
次の2つの条件の少なくとも1つが満たされた場合、エクスポージャーは債務不履行(不良債権)であるとみなさ
れる。
・支払が 90 日を超えて延滞しており、かつ規制上の重要性の閾値を超えている(延滞が債務者の財務状況とは無関
係の理由によるものであることを特定の状況が示している場合を除く。)。
・企業が、債務者が担保の実行などの措置に頼らずにすべての債務を履行できそうにないと考えている。
債務不履行の状態にある貸付金(不良債権)は、この金融資産の見積将来キャッシュ・フローに悪影響を及ぼす1
つ以上の観察可能な事象が発生した場合に、信用減損しているとされる。
「ステージ3」のリスク分類に用いられ、既知の信用リスクの存在を反映するこれらの観察可能な事象は、以下の
とおりである。
・発行者または借手の重大な財政的困難
・契約違反(延滞事象)
・借手の財政的困難に関連した理由による、そうでなければ貸手が考えないような、非常に有利な条件での借手に
対する譲歩の供与(支払猶予、金利の引下げなど。)。
・借手の破産または財務的再編成。
・財政的困難によるかかる金融資産に関する活発な市場の消滅。
債務不履行状態は、前述のすべての債務不履行の指標が存在しなくなった後、3カ月の待機期間に適用される。こ
の待機期間は、苦境により再編され、ステージ3に移行された貸付については1年に延長される。
65/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.3.1.4.4 予想信用損失の測定
予想信用損失の計算方法は、多様な事業を考慮して、フランス預金供託公庫グループの各企業において個別に導入
されている。また、これらの計算方法は、保有する金融資産のポートフォリオおよびこれらのポートフォリオについ
て入手可能な情報に応じて、単一の企業内でも異なる可能性がある。
2.1.3.1.4.4.1 一般的な ECL 測定モデル
予想信用損失を測定するために、銀行業務を行うフランス預金供託公庫グループの企業(主に La Poste グループお
よびその子会社である La Banque Postale 、フランス預金供託公庫の一般部門、 SFIL グループおよび Bpifrance グルー
プ)は、主にその監督監視フレームワークの一部として既に存在する概念および手続きに依拠している。
予想信用損失を計算するための一般的な方法論は、以下の3つのパラメータに基づいている。
・デフォルト確率(以下「 PD 」という。)
・デフォルト時損失率(以下「 LGD 」という。)および
・デフォルト時エクスポージャー(以下「 EAD 」という。)
予想信用損失の測定方法を決定する異なるリスク水準に資産を割り当てる基準は、報告日における金融資産の PD と
当初認識日における金融資産の PD との比較(これらの PD 自体は、内部または外部のモデルからカウンターパーティに
割り当てられた格付によるものである。)ならびに不履行状況(不良債権)に基づいている。
したがって、金融資産は以下のように割り当てられる。
・「ステージ1」:報告日現在の PD が当初の PD と比較して著しく悪化していない場合、または信用リスクが低いと
考えられる場合(投資適格)。
・「ステージ2」:報告日現在の PD が当初の PD と比較して著しく悪化している場合(遷移行列の使用)、 30 日を
超えて延滞している場合、またはカウンターパーティが監視リストの一部として監視される場合。
・「ステージ3」:既知の信用リスクの存在により減損している場合。かかる場合、金融資産は債務不履行状態
(不良債権)にある。
予想信用損失は、開発された各加重シナリオについて、 PD に LGD と EAD を乗じた積として計算される。
ECL の計算に使用される対象期間は、金融資産が割り当てられているリスク水準によって異なる。
・「ステージ1」に分類される金融資産については1年 PD 。
・「ステージ2」に分類される金融資産については残存期間 PD 。
予想信用損失の見積りに使用される様々なパラメータ( PD 、 EAD 、 LGD )は、監督監視レベルで使用されるパラメー
タ(バーゼル上のパラメータ)に依拠しており、 IFRS 第9号の要件に準拠するために修正再表示されなければならな
い。
したがって、報告日現在の条件および将来のマクロ経済予測を考慮して、特定の調整が行われる。
・ IFRS 第9号のパラメータは、会計上の引当金の目的上、可能な限り正確に損失を見積ることを目的としている
が、健全性のパラメータは通常、規制目的上一段と慎重である。そのため、これらの安全バッファーの一部は修
正されている。
・ IFRS 第9号のパラメータは、契約上の満期までの損失の見積りを可能にしなければならないが、健全性のパラ
メータは1年間の損失の見積りとして定義されている。1年間のパラメータは長い期間にわたって予測される。
・ IFRS 第9号のパラメータは、将来予測的であり、予測期間にわたって予想される経済状況を考慮しなければなら
ない。一方、健全性のパラメータは平均周期の見積値に相当する。したがって、健全性パラメータも予想される
経済状況に基づいて調整される。
パラメータは、発生確率と併せて、合理的で裏付け可能な経済シナリオを定義することによって経済環境に応じて
調整される。一般部門の経済調査部が提供する、数年間にわたって予測される3つの経済シナリオ(1つのコア・シ
ナリオと2つの代替シナリオ)が使用される。
パラメータが定義されると、すべての格付のエクスポージャーについて予想信用損失の測定が可能となる。格付の
ないエクスポージャーについては、慎重な ECL 測定規則が適用され、過去の損失情報が作成される。
2.1.3.1.4.4.2 売上債権、契約資産およびオペレーティング・リース債権に対する
単純化された ECL 評価モデル
残存期間の予想信用損失は、すべての売上債権、契約資産およびオペレーティング・リース債権(「ステージ2」
または「ステージ3」に割り当てられている。)について測定される(注記 2.1.3.1.4.2 を参照されたい。)。
資産が既知の信用リスクの存在により減損している場合、その資産は「ステージ3」に割り当てられる(債務不履
行状態にある金融資産)。その場合、信用リスクに係る減損は、契約条項に従って企業に支払うべきすべてのキャッ
66/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
シュ・フローと、企業が受け取ると予想されるすべてのキャッシュ・フローの差額を、当初の実効金利で適宜割り引
いたものに相当する。
その他の資産はすべて「ステージ2」に割り当てられている。信用リスクに係る減損は、後に入手可能な情報に基
づき満期時に計算される。企業は、特に延滞期間の長さに基づいて減損計算のマトリックスを使用することができ
る。
2.1.3.1.4.5 再編業務
再編された貸付は、借手の財政的困難を理由として事業体が当初の契約上の条件を変更した貸付である。
再編のプロセスは、2つの主な基準を用いて定義される。
・事業体により付与された譲歩
・借手の財政的困難
したがって、借手の財政的困難に関連した貸付の契約上の変更が貸付の認識中止につながるかどうかを分析する必
要がある。
再編によって 当初の貸付の契約 上のキャッシュ・ フローが実質的でない方法で変更される場合、当初の貸付は認識
を 中止され ない。代わりに、 帳簿価額を 、貸付の 当初の実効金利で 、 新たに期待される将来のキャッシュ ・ フローの
割引額まで減額する ために行われる価値調整 (割引) の対象とな る 。
貸付再編時に計上された金利の割引は、損益計算書において「信用リスク費用」に計上され、財政状態計算書上は
対応する残額が計上される。割引は、その後貸付 の期間にわたって保険数理的な方法で 損益計算書の金利マージンに
振替えられる。
償却は、「信用リスク 費用 」の下 で 損益に直接 計上される 。
再編された貸付で認識中止となっていないものは、当初認識以降信用リスクが著しく増大したかどうかを判断する
ため引続き同じ評価の対象となる。リスク・クラスへの割当ておよび信用リスクの減損額を決定するため、以下の間
で比較が行われる。
・報告日における債務不履行のリスク(再編により修正された契約上の条件に基づく)と
・当初認識日における債務不履行のリスク(当初の修正前の契約上の条件に基づく)。
ただし、再編によって当初の貸付の契約上のキャッシュ・フローが大きく修正される場合、当初の貸付は認識中止
となり、それと引換えに提供された新たな金融資産が交換日現在の公正価値で認識される。この交換によって計上さ
れた交換差額は、損益計算書において「信用リスク費用」として認識される。
よって、再編日は新しい再編後の金融資産の当初認識に関する規定 (注記 2.1.3. 1. 2.3 を参照されたい。) および
信用リスク減損規則 (注記 2.1.3. 1. 4 を参照されたい。) を適用するための当初認識日である。
発生する可能性のある 再編による 認識中止 の さまざまなケースを考慮して、 再編後の新しい金融資産の リスク ・ ク
ラスへの 割当てを決定するために 、 個別 の分析が行われ る。
67/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.3.1.4.6 金融資産の回収不能
金融資産が回収不能とみなされる、すなわち全部または一部の回収(いかなる担保の実行を含む。)の見込みがな
い場合、金融資産は財政状態計算書から認識を中止されなければならず、回収不能とみなされる金額は償却されなけ
ればならない。
償却の時期は、専門家の意見により決定される。したがって、各企業は、その事業に関する知識に基づいてこの時
期を設定しなければならない。
償却が行われる前に、金融資産は「ステージ3」に移行され、残存期間の予想信用損失が認識されなければならな
い(損益を通じて公正価値で認識される金融資産を除く。)。
償却原価または損益に振替えられないその他の包括利益を通じて公正価値で認識される金融資産については、償却
額は損益計算書の「信用リスク費用」に認識される。
2.1.3.1.5 デリバティブ金融商品
デリバティブ金融商品は、次の3つの特徴を持つ金融商品である。
・その価値が金利、金融商品の価格、コモディティ価格、為替レート、株価もしくは株価指数、信用格付もしくは
信用指数、またはその他基本的な変数に応じて変動する。
・原資産の変動に対して同じ感応度を有するために、初期投資純額がゼロであるか、または非デリバティブ金融商
品より低いことを要する。
・将来の日付で決済される。
デリバティブ金融商品は、財政状態計算書において取引価格で金融資産および負債に当初認識される。これらは、
売買目的で保有されているか、ヘッジ関係の一部として保有されているかにかかわらず、その後は公正価値で測定さ
れる。
2.1.3.1.5.1 売買目的保有デリバティブ金融商品
デリバティブは、ヘッジ関係の一部であるデリバティブを除き、売買目的で保有される金融商品とみなされる。
売買目的保有デリバティブ金融商品は、財政状態計算書の「損益を通じて公正価値で測定される金融資産/負債」
に認識される。これらは、その市場価格がプラスの場合は資産に認識され、マイナスの場合は負債に認識される。実
現損益および未実現損益は、損益計算書の「損益を通じて公正価値で測定される金融商品による損益、純額」に認識
される。
2.1.3.1.5.2 デリバティブ金融商品およびヘッジ会計
IFRS 第9号のヘッジ会計の規定は、マクロヘッジに関するプロジェクトが完了するまで発効しない。したがって、
これらは金融商品の分類、測定および減損に関する IFRS 第9号の規定から独立している。
フランス預金供託公庫グループは、 2018 年1月1日からヘッジ会計にかかる IFRS 第9号の規定を適用することを決
定した(現在 IASB で検討中の別の基準草案に従い、かつ欧州連合が採択した IAS 第 39 号の規定が引続き適用されるマ
クロヘッジ取引を除く。)。
IFRS 第9号には、 IAS 第 39 号と比較して複数の大幅な改善が含まれており、その中には以下のものがある。
・財務書類における企業のリスク管理方針のより適切な転換。これにより、ヘッジ会計に適格な取引の範囲の拡大
およびヘッジ取引の損益へのより良い反映の双方がもたらされる。また、
・遡及的な有効性テストおよび 80 % -125 %範囲の排除による有効性テストの緩和。
以下のすべての条件が満たされている場合にのみ、ヘッジ会計をヘッジ関係に適用することができる。
・ヘッジ手段の適格性
・ヘッジ対象の適格性
・ヘッジ開始時からの文書化の存在
・有効性基準の遵守
・ヘッジ関係の種類の適格性
68/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.3.1.5.2.1 ヘッジ手段の適格性
IFRS 第9号は、デリバティブ金融商品がヘッジ手段として適格となり得る条件を変更しない。したがって、一部の
例外(デリバティブの想定元本の一部(その条件の一部ではない。)のみを使用する可能性など)を除いて、デリバ
ティブの全体をヘッジ手段として指定することができる。
2.1.3.1.5.2.2 ヘッジ対象の適格性
IFRS 第9号は、 IAS 第 39 号と比較して、ヘッジ会計に適格なヘッジ対象の範囲を拡大している。その結果は以下の
とおりである。
・負債性金融商品として適格であり、償却原価で認識される金融資産は、経営陣がこれらを満期まで保持する意図
がある場合でも、金利リスクに対してヘッジすることが現在は可能である。
・資本性金融商品(株式)として適格であり、規定される選択肢のもとで、損益に振替えられないその他の包括利
益を通じて公正価値で認識される金融資産は、公正価値の変動が損益に影響を及ぼさない場合でも、公正価値で
ヘッジすることができる。
2.1.3.1.5.2.3 ヘッジ開始時からの文書化の存在
ヘッジ会計がリスク管理と確実に整合するように、すべてのヘッジ関係は以下によって定義される枠組みに含まれ
なければならない。
・企業がさらされているリスクを識別し、これらのリスクが全体的にどのように管理されているかを示すことに
よって一般的な枠組みを定義するリスク管理戦略(リスク管理方針)、および、
・個々のヘッジ取引レベルでの全体的な戦略の実行を表す特定の管理目的。
したがって、ヘッジ関係の開始から求められる文書化においては、ヘッジ手段、ヘッジ対象およびヘッジされるリ
スクの性質を識別し、ヘッジ関係がヘッジの有効性要件を満たしているかどうかを企業がどのように評価するかを記
載しなければならない(該当する場合は、ヘッジの非有効部分の分析およびヘッジ比率の決定方法の説明を含
む。)。
2.1.3.1.5.2.4 有効性基準の遵守
IFRS 第9号に基づきヘッジ会計を適用するために満たさなければならない有効性基準は IAS 第 39 号から変更されて
おり、判断の利用により依拠したより柔軟なアプローチに基づいている。
ヘッジの有効性についての予想に関連する基準は、将来に向かって評価されなければならない。基準は以下の3つ
である。
・ヘッジ対象とヘッジ手段との間に経済的な関係がある(逆相関)。
・ヘッジ手段またはヘッジ対象の価値の変動が、主にカウンターパーティの信用リスクの変動に関連がない。
・ヘッジされるリスクに近似するデリバティブを用いてヘッジする場合、会計目的で使用されるヘッジ比率(すな
わち、ヘッジ対象の量/ヘッジ手段の量)は、企業がリスク管理目的で使用する比率と一致しなければならず、
明らかな不均衡があってはならない。
ヘッジ関係の開始時、また少なくとも各報告日に、将来に向けた有効性テストを行わなければならない。
2.1.3.1.5.2.5 ヘッジ関係の種類の適格性
IAS 第 39 号と同様、 IFRS 第9号でも3種類のヘッジ関係が認識されている。
IFRS 第9号(およびマクロヘッジ取引については欧州連合が採択した IAS 第 39 号)により義務づけられる基準を満
たしたヘッジ目的デリバティブは、財政状態計算書において「ヘッジ手段」に認識される。既定では、その他のデリ
バティブ商品は、経済的に一つまたは複数の取引をヘッジする目的で引受けられている場合であっても、貸借対照表
において「損益を通じて公正価値で測定される金融資産/負債」に認識される。
69/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.3.1.5.2.5.1 公正価値ヘッジ
公正価値ヘッジは、認識された資産もしくは負債の公正価値の変動または未認識の確定コミットメントに対するエ
クスポージャーのヘッジである。
公正価値ヘッジ関係では、ヘッジ手段は財政状態計算書において公正価値で測定され(「ヘッジ手段」)、以下の
項目が相殺される。
・ヘッジ対象項目に生じた損益とともに、損益計算書に認識(一般的な場合)(損益計算書の「損益を通じて公正
価値で測定される金融商品による損益、純額」)。
・ヘッジされた資本性金融商品に生じた損益とともに、損益に振替えられないその他の包括利益を認識(規定され
る選択肢のもとで、損益に振替えられないその他の包括利益を通じて公正価値で認識される場合。)(財政状態
計算書の「その他の包括利益」)。
財政状態計算書において、ヘッジ対象の再測定による損益は、識別可能な資産または負債のヘッジ関係においては
ヘッジ対象の分類に基づいて認識される。
ヘッジ関係がもはや適格条件を満たさなくなった場合にのみ、企業は将来に向かって公正価値ヘッジ会計を中止し
なければならない。この場合は以下のように会計処理される。
・ヘッジ手段は、損益を通じた公正価値で財政状態計算書に引続き認識されるが、「損益を通じて公正価値で測定
される金融資産/負債」に振替えられる。ヘッジ手段がもはや存在しない場合、ヘッジ手段は認識を中止され
る。
・ヘッジ対象は、ヘッジ対象が存在しない場合を除き、ヘッジ取引前に認識されていた方法で財政状態計算書に引
続き認識され、ヘッジ対象がもはや存在しない場合は認識が中止される。ヘッジ対象は、ヘッジされているリス
クに関連する公正価値の変動に対して調整されない。過去にヘッジされたリスクについて財政状態計算書に認識
された損益は、ヘッジ対象の残存期間にわたって償却される。
2.1.3.1.5.2.5.2 マクロヘッジ
フランス預金供託公庫グループは、固定利付のポジションの資産 / 負債管理の一環として実施されるマクロヘッジ
取引に、欧州連合が採択した IAS 第 39 号の規定を適用している。
グループ企業の一部は、その金利リスクの全体的な分析を行っている。この分析は、こうしたリスクを生み出す、
財政状態計算書において認識されたすべての固定金利要素にかかる金利リスクの評価からなる。これらの企業は、マ
クロヘッジ・ポートフォリオの金利リスク・ヘッジに含まれなければならない金融資産および負債を選択している。
これらの金融資産および負債は、 ポートフォリオの満期期間によって分類され る 。 したがって、これらの項目がポー
トフォリオから除外されると、その割当先であるすべてのタイムバケットから除外されなければならない。
企業は、主に貸付および債券発行からなる均質のポートフォリオを構成している。純額ベースで実施されるこの微
分分析に基づき、企業はカバー対象のリスク・エクスポージャー、時間間隔の長さ、テスト方法および実施されるテ
ストの頻度を定義する。
これらの企業が利用するマクロヘッジ手段は、設定時に固定金利の資金源または資金使途の公正価値ヘッジとして
指定された基本的に単純な金利スワップである。これらのヘッジ関係の有効性は、目標スケジュールを通じて証明さ
れる。将来を見据えた有効性テスト(ヘッジ指定日に実施される)および遡及的な有効性テスト(各半期および年次
の報告日に実施される)の目的は、過度のヘッジがないことを確認することである。これらは、目標スケジュールの
各満期範囲について、ヘッジ対象の名目金額がヘッジ目的デリバティブの想定額を上回っているかどうかを検証す
る。
マクロヘッジ手段は、公正価値ヘッジの場合と同じ会計処理が行われるデリバティブである。特に、これらは公正
価値で認識される。
ヘッジされたリスクに関連した再評価は、財政状態計算書において(ヘッジ対象グループが資産または負債である
かに応じて資産または負債として)「 金利リスクに対してヘッジされたポートフォリオに対する公正価値調整の累計
額 」に認識される。
2.1.3.1.5.2.5.3 キャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジは、金融商品または可能性の非常に高い予定取引からのキャッシュ・フローの変動性
に対するエクスポージャーのヘッジである。
キャッシュ・フロー・ヘッジ関係では、ヘッジ手段は財政状態計算書において公正価値で測定され(「ヘッジ手
段」)、有効部分(資本)については「その他の包括利益」に、また非有効部分(損益計算書)については「損益を
通じて公正価値で測定される金融商品による損益、純額」に相殺仕訳される。
70/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
ヘッジの期間にわたって資本に累積された金額は、ヘッジ対象自体が損益に影響を及ぼす場合に、損益の「受取利
息」または「支払利息」に計上される。
ヘッジ対象は、その分類に適用される規則に基づき引続き会計処理される。
ヘッジ関係がもはや適格条件を満たさなくなった場合にのみ、企業は将来に向かってキャッシュ・フロー・ヘッジ
会計を中止しなければならない。この場合は以下のように会計処理される。
・ヘッジ手段は、損益を通じた公正価値で財政状態計算書に引続き認識されるが、「損益を通じて公正価値で測定
される金融資産/負債」に振替えられる。ヘッジ手段がもはや存在しない場合、ヘッジ手段は認識を中止され
る。
・資本に認識されたヘッジ手段の累積損益は、予定取引が損益に影響を与えるか、または取引が発生しないと見込
まれるまで資本に留まる。この場合、かかる金額は損益に振替えられる。
・ヘッジ対象がもはや存在しない場合、資本に累積された金額は直ちに損益に認識される。
2.1.3.1.5.2.5.4 純投資のヘッジ
純投資ヘッジは、ユーロ以外の投資に係る為替リスクに起因する公正価値の不利な変動に対するエクスポージャー
のヘッジである。純投資ヘッジに適用される認識の原則は、キャッシュ・フロー・ヘッジへの原則と同一である。
ヘッジ戦略に関わらず、ヘッジの非有効性は、損益計算書の「損益を通じて公正価値で測定される金融商品による
損益、純額」において認識される (規定される選択肢のもと で、損益に振替えられないその他の包括利益を通じて公
正価値で認識される資本性金融商品の公正価値ヘッジを除く。これについては、ヘッジの非有効性は財政状態計算書
の「その他の包括利益」において認識される。)。
また、フランス預金供託公庫グループは、 IFRS 第9号で認められているとおり、一部のヘッジ対象および関連する
ヘッジ手段を「損益を通じて公正価値で測定される金融資産 / 金融負債」に認識することを選択した。かかる会計処
理は、主に資産スワップ契約に基づくスワップによりヘッジされている国債および譲渡可能債務証券に適用される。
2.1.3.1.6 組込デリバティブ
組込デリバティブは、デリバティブ金融商品の定義を満たすハイブリット(複合)金融商品の構成要素である。こ
の指定は、金融負債のみに適用され、金融資産には適用されない。これについては、金融資産全体が、注記
2.1.3.1.2.3 において記載されている IFRS 第9号の規定(すなわち、金融資産に組込まれたデリバティブは分離でき
ない。)に従って認識されなければならない。
金融負債に組込まれたデリバティブは、以下3つの要件を満たす場合、主契約から切り離され、デリバティブとし
て認識されなければならない。
・ハイブリット契約が損益を通じて公正価値で測定されない。
・主契約から切り離され、組込まれた構成要素がデリバティブの特性を有する。
・ 組込デリバティブの経済的特性およびリスクが主契約のものと密接に関連しない。
したがって、金融負債から分離された組込デリバティブは、「損益を通じて公正価値で測定される金融負債」にお
いて公正価値で認識される。
71/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.3.1.7 金融商品の公正価値
損益を通じて公正価値で測定される金融資産および金融負債、ヘッジ手段およびその他の包括利益を通じて公正価
値で測定される金融資産(損益に振替えられるもの、および振替えられないもの)は、当初認識時およびその後の報
告日において公正価値で測定および認識される。
IFRS 第 13 号により定義される公正価値は、測定日現在で市場参加者間の秩序ある取引において資産を売却するため
に受取るであろう、または、負債を移転するために支払うであろう価格である。
フランス預金供託公庫グループは、外部インプットまたは評価技法から直接入手されたいずれかの価格に基づき金
融商品の公正価値を決定している。適用される評価技法は主に、割引キャッシュ・フローおよび調整後純資産価値モ
デル等の複数の幅広く使われている手法を用いるマーケット・アプローチおよびインカム・アプローチである。これ
らのアプローチは、観測可能なインプットを最大限利用し、観測不能なインプットの利用を最小限に抑える。評価技
法は、現在の市況を反映するように調整されている。
公正価値で認識または表示される資産および負債は、公正価値ヒエラルキーの以下のレベルに対応する。
・レベル1:公正価値は、同一の資産および負債に関する活発な市場での(無調整の)市場価格を用いて決定され
る。活発な市場は、資産もしくは負債の取引が継続的に価格情報を提供するために十分な頻度と量をもって行わ
れる市場である。
・レベル2:公正価値は、主に直接的または間接的に観測可能な市場のインプットに依拠している評価技法を用い
て決定される。これらの技法は定期的に調整され、インプットは活発な市場からのデータ( market-
corroborated data )によって裏付けられている。
・レベル3:公正価値は、主に観察不能なインプットまたは市場データにより裏付けができないインプット(例え
ば、金融商品の流動性の欠如または重大なモデル・リスクによる)に依拠する評価技法を用いて決定される。観
察不能なインプットは、市場データが入手できないインプットであり、他の市場参加者により使用されるであろ
うデータに基づく内部の仮定より生じるものである。判断には、流動性の欠如またはモデルの使用に関連するリ
スクがいつ存在するのかを判断することが含まれる。
複数のインプットが、金融資産または金融負債の公正価値の算出に用いられる場合、取得された公正価値は、公正
価値測定全体にとって重大な最低レベルのインプットと同レベルの公正価値ヒエラルキー全体に区分される。
非上場資本性金融商品
非上場資本性金融商品の公正価値は、通常、複数の異なる手法(割引キャッシュ・フロー、調整後純資産価値また
は複数の企業比較)を用いて算出される。
・公正価値が比較可能な上場会社に関連するデータまたは、不動産投資に関しては観察可能な市場のインプットを
用いた不動産の再評価に基づく場合、資本性金融商品は公正価値ヒエラルキーのレベル2に分類される。
・ただし、公正価値が割引キャッシュ・フローまたは、社内データを用いた調整後純資産価値に基づいている場
合、当該資本性金融商品は公正価値ヒエラルキーのレベル3に分類される。これは、関連する企業に特有の要因
を反映させるために、インプットが観察不能なインプットに基づく重大な調整を必要とする場合、マルチプル・
アプローチを用いて測定された金融商品にも適用される。
2.1.3.1.8 金融資産および金融負債の相殺
IAS 第 32 号「金融商品:表示」に従って、以下の場合のみ、フランス預金供託公庫グループは金融資産および金融
負債を相殺し、純額を表示する。
・認識された金額を相殺する法的強制力を有している、および
・純額ベースで決済するか、または資産を実現し、同時に負債を決済する意図を有している。
法的強制力は取消不能でなければならず、またあらゆる状況において行使可能でなければならない。
この権利は、決済機関とのすべての取引に適用され、返済フローに組み込まれる名目現金額と利息に適用される。
基準によって義務づけられる2つの基準を満たすことを運用原則とする買戻し契約は、以下の場合に財政状態計算
書において相殺される。
・同一の満期日が設定されている場合。
・同一の通貨で実施される場合。
・対価の受取りと引換えに有価証券の引渡しが行われることを保証する受渡決済制度を通じて決済される場合。
・有価証券が同一のカストディアンに預託される場合。
相殺は、主として決済機関である LCH Clearnet との間の買戻し取引に関係している。
72/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.3.1.9 付与した金融保証
金融保証契約は、特定の債務者が期日に負債性金融商品の当初の条項または修正条項に従った支払を怠ったことに
より、保証契約保有者が被った損失を弁済するために一定の支払を発行者に義務づける契約である。
金融保証契約は、公正価値で当初測定され、その後は、以下のいずれか高い金額で測定される。
・「信用リスクに係る減損」(注記 2.1.3.1.4 を参照されたい。)に記載されている予想信用損失モデルを用いて
決定された減損金額、もしくは、
・該当する場合、 IFRS 第 15 号の原則に従い、総収益から当初認識額を控除した金額
これらは負債の「引当金」に計上される。
2.1.3.1.10 融資コミットメント
IFRS 第9号の定義においてデリバティブとみなされない、または公正価値オプションに基づき、損益を通じて公正
価値で測定される金融負債として指定されていない融資コミットメントは、財政状態計算書において認識されない。
しかしながら、これらは「信用リスクに係る減損」(注記 2.1.3.1.4 を参照されたい。)に記載されている IFRS 第
9号に基づく予想信用損失モデルを用いて決定される引当金によりカバーされている。
この引当金は、負債の「引当金」において報告される。
また、その条件が市況を下回る融資コミットメントは、公正価値で当初認識されなければならない。かかる公正価
値は、貸付コミットメントが実行されると直ちに損益においてディスカウントが認識され(ディスカウントは、付与
された利率と保険数理上の市場金利と差異を表す。)、負債の引当金勘定に相殺仕訳される。
市場金利を下回る金利で契約された融資コミットメントは、当初認識後は以下のいずれか高い金額で測定される。
・「信用リスクに係る減損」(注記 2.1.3.1.4 を参照されたい。)に記載されている予想信用損失モデルを用いて
決定された減損金額、または、
・該当する場合、 IFRS 第 15 号の原則に従い認識された収益合計から当初認識額を控除した金額。
73/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.3.2 保険業務
2.1.3.2.1 一般会計原則
2.1.3.2.1.1 保険子会社が保有する金融商品
完全連結保険子会社の金融資産および負債は、 IFRS 第9号に従って測定、認識され、適格な金融資産については
オーバーレイ・アプローチを用いて表示される。
オーバーレイ・アプローチは、 IFRS 第9号の適用日と、 IFRS 第4号に代わる新しい保険契約基準( IFRS 第 17 号)の
適用日の相違による一時的な会計上の影響に対処するものである。これにより、 IFRS 第 17 号の適用前に IFRS 第9号を
適用することから生じうる更なる会計上のミスマッチおよび一時的なボラティリティの一部が損益から除外される。
オーバーレイ・アプローチは、損益計算書に計上される金額が、特定の金融資産に IAS 第 39 号が適用された場合と
同じになるように、特定の金融資産の公正価値調整額を損益計算書からその他の包括利益に振り替えるものである。
したがって、振り替えられた金額は、以下の差異と同じである。
・特定の金融資産について、 IFRS 第9号に基づいて損益として表示される金額、および
・特定の金融資産について、保険会社が IAS 第 39 号を適用していた場合に損益として表示されていたであろう金
額。
損益計算書では、この振替による影響は、「オーバーレイ・アプローチの影響(影響総額)」項目内の銀行業務純
益(税効果前)に認識されている。この振替による税効果は「法人税」内に表示される。
適格な金融資産は金融商品ごとに指定され、
・ IFRS 第9号の初度適用日である 2018 年1月1日に実行することができる。
・その後は、当該資産の当初認識時にのみ実行することができる。
指定の対象となる金融資産は、以下の基準を満たしていなければならない。
・保険目的で当グループ内の保険業者によって保有されていること。
・ IFRS 第9号に基づき損益を通じて公正価値で測定されるが、 IAS 第 39 号に従うとそのようには測定されないこ
と。
2.1.3.2.1.2 保険契約
2023 年1月1日現在、保険契約について IFRS 第 17 号が適用されるまでは、保険子会社は以下の契約には引続き IFRS
第4号を適用する。
・保険契約者のリスクをカバーする保険契約。このカテゴリーは、死亡および障害、年金、財産および損害保険契
約ならびに資本保証付のユニットリンク貯蓄契約をカバーする。
・保険会社が発行する裁量的有配当特性( DPF )を有する投資契約。このカテゴリーには、 DPF を有する従来の貯
蓄契約および DPF を有する従来の貯蓄要素を含むユニットリンク契約が含まれる。
IFRS 第4号に従って、いずれのカテゴリーの契約についても責任準備金は引続き現地の会計原則( GAAP )に基づい
て測定される。
IFRS 第9号に従って会計処理される投資契約は、 DPF を有さない契約、すなわち、伝統的な貯蓄要素がなく、資本
保証もないユニットリンク貯蓄契約である。
IFRS 第4号に規定するシャドウ・アカウンティング原則に従って、 DPF 付の保険証券については繰延利益分配準備
金が計上される。この準備金は、公正価値で測定される金融商品 に係る 未実現利益 のシェア または未実現損失 に対す
る 潜在的な 利益配当 に対する保険 契約者 の潜在的権利を反映する方法で 決定される。
各報告日に、当グループの完全連結保険子会社は、認識された保険負債( 繰延新契約費 および関連する無形資産を
控除後)が適正であることを確認するため、負債十分性テストを実施する。これらのテストは、保険負債およ び DPF
付の投資契約から生じる将来キャッシュ・フローの現在の見積りを用いて実施される。
74/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.3.2.2 責任準備金および数理的責任準備金
責任準備金は、保険契約者に対する保険会社の義務を反映するものである。
・伝統的な貯蓄契約にかかる数理的責任準備金は、保険会社の義務の現在価値と保険契約者の義務の現在価値の差
額に相当する。
生命保険準備金は、原資産に係る将来の利回りの保守的な見積りを超えない割引率を使用して決定される。
保険会社の義務は、関係する保険証券の価格設定に使用される率を超えない率で割引かれ、法定死亡率表または
経験 死亡 表がより保守的である場合はこれらを考慮 する。年金債務に適用される割引率は、保険証券の価格設定
に使用される金利が予想される再投資率に比べて極めて高いと考えられる場合には、金利低下の影響を考慮す
る。
ユニットリンク契約に かかる数理的責任準備金は、原資産に基づいて決定される。公正価値による資産の再測定
から生じた損益は、関連する責任準備金の変動の影響を相殺するため、損益において認識される。
・保険金支払平準化準備金は、自然災害、原子力、環境賠償責任、宇宙、航空輸送およびテロリズムの保険金請求
の例外的コストをカバーするために確保される。
・支払準備金は、代位弁済および被救助財産を控除後の保険請求額の見積り決済費用に基づいて決定される。
2.1.3.2.3 繰延利益分配
当グループの生命保険子会社が保険契約者に販売する投資契約の大半は DPF を含んでいる。
DPF 条項により、保険契約者は投資収益のうち予定利率を上回る部分を受取る権利を付与される。 IFRS 第4号に規
定するシャドウ・アカウンティング原則に従って、これらの契約について計上される繰延利益分配準備金は、公正価
値で測定される金融商品 に係る 未実現利益 のシェア または未実現損失 に対する 潜在的な 利益分配 に対する保険 契約者
の潜在的権利を反映する ため、調整される。利益のうち保険契約者に帰属する割合は、DPF付の投資契約の特定条項
に基づいて決定される。
シャドウ・アカウンティング原則を適用した結果生じる正味繰延利益分配は、負債(繰延利益分配準備金)の「 保
険会社の責任準備金およびシャドウ・アカウンティング準備金 」または資産(繰延利益分配資産)の「繰延利益分
配」のいずれかにおいて適宜認識される。
繰延利益分配資産については減損テストが行われる。このテストの目的は、継続企業の前提に基づいて、繰延利益
分配資産が将来の投資収益またはキャピタル・ゲインの保険契約者の取り分に対して回収可能であること、ならびに
当グループが認識した負債が経済的負債と比較して適切であることを示すことである。回収可能性テストは、将来の
契約上のキャッシュ・フローの現在の見積りを用いて実施される。子会社の資産/負債管理モデルは、確率論的アプ
ローチに基づく幅広い経済シナリオの下で負債に価値を割当てるために使用される。
繰延利益分配資産の認識方法に関する2008年12月19日のフランス国家会計審議会(CNC)の勧告に従って、利益分
配資産の回収可能性は、とりわけ、予測キャッシュ・フローにおける将来の回収の観点から、資産を保有する能力の
慎重な審査に基づいている。同様に、未実現損失を吸収するのに十分な将来の利益を生み出す 能力のテストは、かつ
て経験したことのない最悪の解約シナリオに基づいて実施される。
75/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.3.3 持分法適用会社に対する投資
当グ ループの関連会社およびジョイント・ベンチャーに対する持分は、持分法により会計処理される。
この手法に基づき、関連会社およびジョイント・ベンチャーに対する投資は取得原価で当初認識され、その後は取
得日以降の当該投資先の純資産における当グループの持分の変動をすべて反映するように調整される。関連会社およ
びジョイント・ベンチャーに対する持分に関連するのれんは、当該投資の帳簿価額に含まれる。
関連会社およびジョイント・ベンチャーの利益に対する当グループの持分は、損益計算書の「持分法適用会社の利
益(損失)における持分」に反映されている。
持分法適用後、関連会社およびジョイント・ベンチャーに対するフランス預金供託公庫の持分は、持分の当初認識
後に発生した1つ以上の事象の結果として減損の客観的証拠があり(損失事象)、その損失事象(または複数の損失
事象)が当該持分の見積将来キャッシュ・フローに及ぼす影響を信頼をもって見積ることができる場合、当該持分は
減損し、減損損失が認識される。ただし、将来の事象の結果として予想される損失は認識されない。
減損の客観的な証拠が存在する場合、IAS第36号「資産の減損」に従って持分法適用投資の全額に対して減損テス
トが行われる。処分費用控除後の公正価値とその使用価値のいずれか高い金額を反映した投資の回収可能価額がその
帳簿価額を下回る場合に、減損損失が認識される。
減損損 失が認識される場合、財政状態計算書の持分法適用投資の価値から差し引かれ、その後は当該持分の使用価
値または処分費用控除後の公正価値が増加する場合に戻入れることができる。減損損失は、損益計算書の「持分法適
用会社の利益(損失)における持分」において認識される。
持分法適用会社の損失に対する当グループの持分が、かかる持分法適用会社に対する持分と同等またはそれを超過
する場合、当グループは、さらなる損失への持分の認識を中止し、その持分をゼロまで減少させる。関連会社または
ジョイント・ベンチャーにおける追加損失は、当グループが法的および推定的債務を負っているか、または、関連会
社もしくはジョイント・ベンチャーに代わって支払を行った範囲においてのみ計上される。
ジョイント・ベンチャーに対する持分が、関連会社に対する持分になる場合(逆も同様)、当該投資におけるすべ
ての留保持分は再評価されない。これは、支配の変動を伴わない部分購入および部分売却にも同様に適用される。
関連会社お よびジョイント・ベンチャーに対する投資の売却により生じる損益は、損益計算書の「その他の資産に
おける損益、純額」においてすべて認識される。
2.1.3.4 売却目的保有非流動資産および関連する負債、非継続事業
非流動 資産または処分グループは、その帳簿価額が主に継続的使用よりも売却取引を通じて回収される場合に売却
目的保有に分類される。資産または処分グループは、売却が12カ月以内に完了する可能性が非常に高い場合に、財政
状態計算書の個別の項目に計上される。
売却目的保有に分類され次第直ちに、非流動資産および処分グループは、その帳簿価額と売却費用控除後の公正価
値のいずれか低い金額で計上され、減価償却/償却されない。ただし、このカテゴリーに分類される金融資産は、引
続きIFRS第9号の原則に従って測定される。
売却目的保有非流動資産および処分グループについて損益において認識された減損はすべて、その後の期において
戻入れられることがある。
関連する資産が売却目的保有の分類基準を満たすか、または事業が売却される場合に、事業が廃止されたとみなさ
れる。非継続事業からの損益は、表示期間の損益計算書の単一の項目に計上される。計上金額には、売却日までの非
継続 事業の純損益および税引後の処分損益が含まれる。
76/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.3.5 外貨建取引
各報告期間末現在、外貨建貨幣性資産および負債は、期末現在の為替レートで各グループ会社の機能通貨に換算さ
れる。
発生した換算損益は、損益計算書に認識される。この原則の例外として、その他の包括利益を通じて公正価値で測
定される金融資産に分類される貨幣性資産に関して、これら資産の償却原価をもとに計算される換算損益の一部のみ
が損益に認識され、その他の部分は資本に認識される。
非貨幣性資産に関し ては、
・取得原価で測定される資産は、取引日の為替レートで換算される。
・公正価値で測定される資産は、公正価値測定日の為替レートで換算される。
非貨幣性項目に係る損益が損益に認識される場合には、非貨幣性項目に係る換算損益は損益に認識され、非貨幣性
項目に係る損益が資本に認識される場合には、非貨幣性項目に係る換算損益は資本に認識される。
2.1.3.6 従業員給付
当グループ の従業員に付与される給付は4つのカテゴリーに分類されている。
・短期給付(給与、年次有給休暇、従業員貯蓄制度に対する拠出金、裁量的および非裁量的利益配分等)
・退職後給付(年金、退職時に従業員に支払われる法定永年勤続報酬、キャリア終了時の取決めおよび医療保険に
相当するもの)
・その他の長期給付(ジュビリー、長期給付および定期貯蓄口座)
・解雇給付
2.1.3.6.1 短期給付
短期従業員給付は、従業員が関連する役務を提供した報告期間末から 12 カ月以内に支払うと見込まれる従業員給付
である。負債および費用は、当グループが過去の実務により生じる契約上の債務または推定的債務を有している場合
に認識される。
2.1.3.6.2 退職後給付
退職後給付は、確定拠出制度および確定給付制度で構成される。
確定拠出制度に基づく債務は、通常、賦課方式の年金制度もしくは給付支払を管理する保険会社に支払われた拠出
金または公務員についてはフランス政府により賄われる。いずれの場合においても、拠出金はフランス預金供託公庫
グループの将来の負債を完済するものである。支払われた拠出金は、発生時に費用計上される。
確定給付制度は、当グループが現在の従業員および元従業員に対して合意した給付額を支払う義務を有する制度で
ある。この制度により中期または長期負債が発生し、財務書類において測定および引当金計上される。
IAS 第 19 号に従って、予測給付債務は、数理計算上、財務上および人口統計上の仮定の範囲に基づいて、予測単位
積増方式により測定される。予測単位積増方式は、各勤務期間を給付受給資格の追加的な1単位に対する権利を生じ
させるものとみなし、最終的な債務を積み上げるために各単位を個別に測定する。給付受給資格の1単位に対する権
利は、将来の給付の割引現在価値に基づき決定される。
当グループが使用する割引率は、同じ通貨圏における給付債務と類似の満期を有する投資適格社債の利回りを参照
して決定される。
したがって、確定退職後給付に対する引当金は、予測単位積増方式により計算された報告期間末現在の確定給付債
務の現在価値から制度資産の公正価値(もしあれば)を控除したものと等しい。
引当金は、予測給付債務の変動を反映するため、各報告期間末に調整される。
77/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
正味確定給付債務(資産)の再測定に係るすべての損益は、「その他の包括利益」に直接認識され、その後の期に
損益に振替えられることはない。これらは、数理計算上の仮定の変更および実績による修正により生じた数理計算上
の損益、ならびに制度資産の収益および資産の上限額の変動(確定給付債務(資産)に係る正味利息費用の計算にあ
たり考慮された金額を除く。)を含む。
人件費において認識される確定給付制度の年間費用は以下を反映する。
・当期中に従業員が提供したサービスに対する費用(勤務費用)
・制度の変更または縮小により生じた、過去の期に従業員が提供したサービスに対する費用(過去勤務費用)なら
びに制度の清算に係る損益
・正味確定給付債務(資産)の割引に関連した正味利息費用。制度資産の期待収益の計算に用いられる金利は、引
当金に適用される割引率と同じである。
フランス国外では、当グループの従業員はさまざまな強制加入の拠出型年金制度の対象となっている。対応する債
務は、企業の年金ファンドへの拠出金により賄われるか、または当該企業の関連する財務書類に認識される。
2.1.3.6.3 その他の長期給付
その他の長期給付は、従業員が関連する役務を提供した期の末から 12 カ月以内に支払われることが見込まれない、
短期給付、退職後給付および解雇給付以外の給付である。
その他の長期給付は、数理計算上の差異が損益に直接認識される場合を除き、確定退職後給付と類似の基準で測定
および認識される。
2.1.3.7 住宅貯蓄契約にかかるコミットメント引当金
1965 年7月 10 日付法律により将来の住宅購入者のために導入された住宅貯蓄口座制度( CEL )および積立式住宅貯
蓄制度( PEL )は2つの段階からなる。貯蓄段階ではその間に貯蓄者は利息を稼得し、借入段階では一部が補助金で
資金調達される住宅購入のための預金として貯蓄が使用される。
これらにより配布する機関に2種類の義務が生じる。
・口座開設時( PEL 口座は 2011 年2月 28 日より前に開設された。)に無期限の期間について設定された利率または
毎年改定される利率で(新世代口座)将来の貯蓄を払戻す義務。
・口座 開設 時に設定した金利で、希望する顧客に住宅ローンを提供する義務。
これらの義務は、潜在的に当グループにとって不利な影響があり、負債において「引当金」に計上される引当金に
よりカバーされる。これらの引当金の変動は銀行業務純益に含まれる純金利マージンの決定において考慮される。
引当金は、報酬が規制対象となっていない類似商品について個人顧客に提供される金利と比較して潜在的に不利な
金利条件が商品に付されていることから生じる将来のコストをカバーするため、各種制度にかかる顧客行動統計およ
び市場データに基づいて決定される。引当金は、引当金が計算された日現在進行中の住宅貯蓄口座および制度に関す
る義務のみに関係している。
引当金は、制度間の義務を相殺することなく各種の住宅貯蓄制度について計算され、また単一の種類を表すとみな
されるすべての住宅貯蓄口座について計算される。
貯蓄段階では、引当金は、いずれも観察された過去の顧客行動を考慮した統計基準に基づいて決定された、予想平
均貯蓄預金と予想最低貯蓄預金の差額として測定される。
借入段階では、引当金は、報告日現在まだ期限の到来していない未払の貸付ならびに計算日現在の財政状態計算書
上の預金および観察された過去の顧客行動に基づいて統計的に可能性が高いとみなされる将来の貸付に関係する。
将来の収益の正味現在価値が特定の種類の貸付についてマイナスの場合に、引当金が計上される。将来の収益の正
味現在価値が、同等の貯蓄ならびに期間および開始日が類似する貸付商品について個人顧客に提供される金利と比較
して評価される。
2.1.3.8 株式報酬
株式報酬は、原株式の価値を反映する金額を持分決済または現金決済する当グループ子会社の資本性金融商品に基
づく支払額で構成される。
当グループ企業により設定された株主報酬制度の大部分が持分決済型制度である。
また、 IFRS 第2号は、当グループの従業員貯蓄制度に基づき実行される株主割当発行にも適用される。
従業員給付は、取得株式の公正価値と従業員が支払った価格に購入株式数を乗じた金額との購入日における差額に
相当する。各報告期間末現在、権利が確定すると見込まれるオプションの数が見直される。見積額が適宜修正され、
当該修正による影響は損益計算書に認識されるとともに、対応する調整額は資本に認識される。
78/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.3.9 固定資産
連結財政状態計算書における固定資産には、自己使用固定資産、無形資産および投資不動産が含まれる。
自己使用不動産は、財もしくはサービスの生産または供給および経営管理目的での使用のために保有されている。
これは、オペレーティング・リースのもとで第三者にリースされていない資産である。
投資不動産は、賃料収入もしくは資本増価またはその両方を目的として保有する不動産である。
自己使用不動産および投資不動産は、それらの購入価格、すべての直接帰属費用および借入費用に相当する取得原
価で当初認識される。
土地は減価償却されない。その他の資産は、使用開始日から定額法で減価償却される。この方法は、資産の取得原
価から残存価値を差し引いた金額を、見積耐用年数にわたって償却するために毎年一定額を計上する方法である。
政府補助金は、補助金により賄われた資産の帳簿価額からの控除項目として計上される。
資産が、定期的に交換を要するか、または異なる程度で経済的便益をもたらす可能性のある異なる使用パターンを
もつ複数の項目で構成される場合、関連する金額が重要な場合には、かかる各項目は個別に認識され、見積耐用年数
にわたって減価償却される。
不動産ポートフォリオについては、有形固定資産の項目および関連する償却期間は以下のとおりである。
・建物の外郭構造: 20 年から 100 年
・屋根/ファサード: 20 年から 60 年
・設備: 10 年から 25 年
・備品および技術設備: 10 年から 25 年
・主要な保守作業: 15 年
各資産の減価償却可能額は、その価値が重要かつ測定可能な場合、取得原価から残存価値を控除することにより決
定される。残存価値は、資産の耐用年数が既に到来しており、耐用年数の終了時点で予想される状況において、見積
処分費用を控除後に、企業が現在当該資産の処分から得られるであろう見積金額として定義されている。
IAS 第 38 号の資産計上基準を満たすソフトウェアおよび開発費用は資産に認識され、3年から耐用年数により7年
または 10 年の期間にわたって償却される。
各報告期間末現在で、資産が減損するという内部または外部における兆候が存在する場合に、減損テストが行われ
る。減損テストは、資産の帳簿価額とその回収可能価額を比較することにより行われる。個々の資産の回収可能価額
を見積ることができない場合、減損テストはその資産が属する資金生成単位( CGU )のレベルで行われる。
回収可能価額が帳簿価額を下回る場合、帳簿価額は減損損失を計上することにより回収可能額にまで減額される。
その後の期に回収可能価額が増加する場合、減損損失は戻入れられる。
固定資産の処分に係る損益は、損益計算書において「その他の資産 による損益、純額 」に認識される。
79/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.3.9.1 契約上の顧客関係
事業を買収した場合、現在の契約上の顧客関係から当グループにもたらされると予想される将来の経済的便益の公
正価値は、保険料の更新について十分に信頼できる見積りができることを条件として、無形資産として認識される
(見積りは MCEV の計算用にすでに作成されている。)。契約上の顧客関係は、経済的便益が消費されると予想される
期間( MCEV 計算の目的で予測される。)に基づいて見積られる耐用年数にわたって定額法で償却される。
・イタリアのユニットリンク貯蓄保険およびブラジルの個人死亡障害保険: 10 年
・フランスの個人の死亡障害保険: 15 年
・ブラジルの個人年金保険: 20 年
2.1.3.9.2 分配契約
分配契約の価値は、契約に基づいてパートナーネットワークを通じて作成された新規事業によって生み出されると
予想される将来のキャッシュ・フローを表している。分配契約で認識される無形資産は、契約の特定の契約条件に基
づいて決定され、必要に応じて残価を考慮して契約期間にわたって償却される。
契約上の顧客関係および分配契約の償却および減損は、損益計算書の「有形固定資産および無形資産の減価償却
費、償却費および減損」に認識される。
2.1.3.9.3 取得した保有契約
保険事業の取得時に、引受けた保険負債および取得した関連保険資産は公正価値で測定される。 IFRS 第4号に基づ
き、正味公正価値は以下の間で配分される。
•保険会社が作成した保険契約について、保険会社の会計方針に従って測定された負債。
•以下の間の差を表す取得事業価値( VOBA )である無形資産。
-取得した契約上の権利および引受けた契約上の義務の公正価値、ならびに
-上記の負債
購入した保険ポートフォリオに対応する既存契約の価値は、通常、ポートフォリオの残存期間にわたって実効金利
法により償却される。
2.1.3.10 償却できない無形資産およびのれんの減損
のれんおよび耐用年数が確定できないその他の無形資産は償却されないが、毎年減損テストが行われる。
減損テストは、資金生成単位(以下「 CGU 」という。)レベルで行われる。 CGU は、他の資産または資産グループか
らのキャッシュ・インフローから概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す識別可能な資産グループの最小単
位である。
減損テストは、資産または CGU の回収可能価額とその帳簿価額を比較することで行われる。資産または CGU の回収可
能価額は、処分費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額である。
帳簿価額が回収可能価額を上回る場合、これら2つの金額の差額について、損益計算書に減損損失が認識される。
耐用年数が確定できない無形資産に対して認識される減損損失は、資産の回収可能価額を算定するために使用され
た見積りに変更があった場合、または減損の兆候がなくなった場合に、損益計算書において戻し入れられる。ただ
し、子会社に係るのれんに対して認識される減損損失は戻入れできない。
80/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.3.11 リース
フランス預金供託公庫グループは、リースにおいて貸手または借手となりうる。
2.1.3.11.1 フランス預金供託公庫グループが貸手であるリース
リースは、その内容および財務的実態に基づいて分析される。これらは、ファイナンス・リースまたはオペレー
ティング・リースのいずれかとして認識される。
所有権が最終的に移転するか否かにかかわらず、原資産の所有に伴う概ねすべてのリスクおよび経済価値が借手に
移転する場合、リースはファイナンス・リースとして分類される。
リースは、特に以下の場合においてファイナンス・リースとして分類される。
・リースが原資産の所有権を移転する場合。
・借手が、オプションが行使可能となる日の公正価値よりもかなり低い価格で原資産を購入するオプションを有し
ている場合。
・リース期間が、原資産の経済的耐用年数の大部分を占める場合。
・将来のリース料支払額の現在価値が、リース開始時におけるリース資産の公正価値の概ね全額に達する場合。
・リース資産が、借手のみが重要な改変なくこれを使用できるという特殊な性質を有している場合。
原資産の所有に伴う概ねすべてのリスクおよび経済価値が借手に移転しない場合、リースはオペレーティング・
リースとして分類される。
2.1.3.11.1.1 ファイナンス・リース
ファイナンス・リースは、貸手からの貸付によって資金手当てされる資産の借手への売却と同等とみなされる。
ファイナンス・リース取引の経済的実態の分析に基づき、貸手は、
・リース資産を財政状態計算書から除外する。
・顧客 / 借手に対する債権を、リースに内在する金利を用いて割引かれ、貸手に対して発生する無保証残存価値を
加算した、リースに基づく借手からのリース料債権を示す金額で「償却原価で測定される顧客に対する貸付金お
よび債権」に計上する。
・債権とリース資産の帳簿価額に関連する一時差異について繰延税金を認識する。
・リース料に対応する収益を利息と元本の返済とに区分する。
2.1.3.11.1.2 オペレーティング・リース
借手は、原資産の性質に応じて、リース資産を財政状態計算書において「投資不動産」および「自己使用固定資
産」において認識する。リース収益は、 損益計算書の「その他の活動からの収益」の下で銀行業務純益 において 定額
法で認識される。
2.1.3.11.2 フランス預金供託公庫グループが借手であるリース
リースは、リース資産が利用可能となった日に財政状態計算書において認識される。借手は、原資産であるリース
資産を契約の予想期間にわたって使用する権利を示す使用権資産および同じ期間にわたってリース料を支払う義務を
示すリース負債を認識する。原資産であるリース資産に応じて、使用権資産は、財政状態計算書において「投資不動
産」または「自己使用固定資産」のいずれかに表示される。リース負債は、財政状態計算書において「未払金、繰延
収益およびその他の負債」に表示される。
リース期間はリースの解約不能期間であるが、借手がリース期間延長のオプションを行使することが合理的に確実
である場合はかかるオプション、また借手がリースを解約するオプションを行使しないことが合理的に確実である場
合はかかるオプションの対象期間によって調整される。リース期間は、契約が履行可能な期間を超えてはならない。
借手または貸手のそれぞれがわずかな違約金を支払うことによりリースを解約する権利を有する場合、契約は履行不
能となる。
リース負債は、リース期間にわたって残存するリース料の現在価値として認識される。リース料には、固定支払、
指数またはレートに依拠した変動リース料、ならびに残価保証、購入オプションまたはリースの早期解約に対するペ
ナルティに基づき借手が支払うものと予想される金額が含まれる。指数またはレートに依拠しない変動リース料は
リース負債の計算から除外され、損益計算書において「一般営業費用」に認識される。
リース負債および使用権資産の計算に用いられる割引率は、契約締結日におけるリース期間の借手の追加借入利子
率であり、この場合内部計算利子率を容易に決定することはできない。
リース負債の現金による返済は、元本部分と利息部分とに区分される。
81/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
使用権資産は、リース負債の当初測定額に当初直接コストおよびリース開始日以前になされた前払いリース料なら
びに原状回復コストを加算して測定され、見積りリース期間にわたって減価償却される。
リースが条件変更され、リース期間が見直され、または指数もしくはレートの適用によりリース料が改訂された場
合、リース負債および使用権資産は調整されることがある。
使用権資産およびリース負債に関連する一時差異について繰延税金が認識される。
2.1.3.12 引当金
負債に計上される引当金(金融商品、住宅貯蓄契約のコミットメントおよび従業員給付に係る損失に関連するもの
を除く。)は、主に賠償請求および訴訟、罰金および税務リスクに対する引当金である。
当グループが、過去の事象から生じた現在の債務を有し、少なくとも同等の価値を有する経済的便益を受取ること
が予想されることなく、債務の決済により経済的便益をもつ資源の流出をもたらすことが予想される場合に、引当金
が計上される。当該債務は、法的債務、規制上の債務、契約上の債務または推定的債務である可能性がある。引当金
として認識される金額は、報告期間末現在における現在の債務を決済するのに必要な費用の最善の見積りである。引
当金は、割引の効果が重要である場合、金銭の時間的価値と負債特有のリスクの現在の市場評価を反映した割引率を
用いて割り引かれる。時間の経過を反映するための引当金の増加は、「支払利息」に認識される。
2.1.3.13 当期および繰延税金
繰延税金は、資産および負債の帳簿価額とその税務基準額との一時差異に関して、負債法を用いて認識される。こ
の方法のもとで、繰延税金資産および負債は、報告期間末までに施行または実質的に施行されている税率(および税
法)に基づき、資産が実現するかまたは負債が決済される期に適用されると見込まれる税率で測定される。税率の変
更の影響は、その変更が施行または実質的に施行される期に認識される。
繰延税金は、各納税主体レベルで計算され、利用可能な将来の課税所得が入手できる可能性が高い範囲でのみ繰延
税金資産が認識される。
直接的または間接的に保有される一定の当グループ企業は、納税グループの一部を形成する。
法人税費用は、資本に直接認識される項目に係る税金を除き、損益計算書に認識される。また、資本に直接認識さ
れる項目に係る税金は、資本に計上される。
繰延税金は割り引かれない。
2.1.3.14 資本
フランス預金供託公庫は、その法的地位を鑑み、株式資本を有していない。
82/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.1.3.15 顧客との契約から生じる収益
顧客との契約から生じる収益は、 2018 年1月1日から IFRS 第 15 号に従って認識されている。
当該基準は、 IFRS 第 16 号、 IFRS 第4号および IFRS 第9号の範囲内にそれぞれ含まれるリース、保険契約および金融
商品を除き、事業部門にかかわらずすべての顧客との契約に適用される収益の認識を対象としている。
損益計算書においてどのように収益が認識されるかは、売り手が財またはサービスと引換えに権利を得ると見込ま
れる金額について、販売される財もしくはサービスの支配権の顧客への移転パターンを反映しなければならない。こ
の認識方法は、製品および商品の販売、サービスの提供ならびに長期契約に適用される。
IFRS 第 15 号において開発された手法は、顧客との契約の識別から損益における収益の認識までの5つのステップで
構成される。
・契約の識別
・履行義務の識別
・取引価格の決定
・取引価格の履行義務への配分
・履行義務の充足時の収益の認識
約束された財およびサービスにかかる支配権の顧客への移転の条件に応じて、収益が認識される。
・所定の日に財およびサービスの支配権が顧客に移転する一時点、または
・売り手が履行義務を充足している程度を反映した一定の期間。
これらの規定は主に、産業活動または商業活動を行うフランス預金供託公庫のグループ会社に関連している。
顧客との契約から生じる収益は、「その他の活動からの収益」に計上されている。
2.1.3.16 保険投資
保険業務への投資は、資産において区分表示されるのではなく、当グループの他の資産と同様にカテゴリーごとに
分類される。同様に保険業務からの収益は損益計算書において区分表示されない。
これらの各種資産および収益項目は具体的な注記において表示される。
負債において、「保険会社の責任準備金およびシャドウ・アカウンティング準備金」には以下の項目が含まれる。
・保険契約(生命保険、損害保険)に関する責任準備金
・繰延利益配当準備金
2.1.3.17 受取利息および支払利息
受取利息および支払利息は、実効金利法を用いて償却原価で測定されるすべての金融商品、すなわち、金融機関お
よび顧客 向け の 貸付金および債権 、償却原価による有価証券ポートフォリオ、債務証券、劣後債ならびにリース負債
について、損益計算書において「受取利息」および「支払利息」として認識される。その他の包括利益を通じて公正
価値で測定される金融資産のポートフォリオにおいて認識される負債性金融商品およびヘッジ手段であるデリバティ
ブの未収利息および未払利息も計上され、キャッシュ・フロー・ヘッジ手段であるデリバティブに係る未収利息が損
益計算書においてヘッジ対象に係る未収利息とともに計上されることが明記される。
ただし、損益を通じて公正価値で測定される金融資産および金融負債(ヘッジ手段であるデリバティブを除く。)
に係る未収利息および未払利息は、損益計算書において「損益を通じて公正価値で測定される金融商品による損益、
純額」として認識される。
2015 年1月の IFRS IC の決定によれば、金融資産のマイナスの実効金利から生じる受取利息は、 IFRS 第 15 号の意味
での利息収益の定義を満たしていない。よって、 2022 年1月1日以降、かかる利息は損益計算書において「支払利
息」として認識され、「受取利息」としては認識されていない。金融負債のマイナスの実効金利から生じる支払利息
についても同様で、 2022 年1月1日から損益計算書において「受取利息」として認識されている。
2.1.3.18 手数料収入および手数料費用
IFRS 第 15 号「顧客との契約から生じる収益」に従って、手数料収入は関連する履行義務が満たされたときに損益に
おいて認識される。
・履行義務(サービス)が時間の経過とともに満たされた場合、手数料はサービスの期間にわたって認識される
(支払手段処理手数料)。
・履行義務がある時点で満たされた場合、または重要な取引に関係する場合、手数料はサービスが提供され取引が
実行された時点で損益計算書において認識される(仲介手数料、支払付随手数料)。
83/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
・手数料が認識済の金額と比較して大幅に減額されない可能性が非常に高い場合にのみ、変動手数料が損益におい
て認識される。
これらの手数料は、損益計算書において「手数料収入」および「手数料費用」として認識される。
ただし、追加利息(貸付手数料)を示す手数料は、実効金利の不可分の一部であり、受取利息および支払利息(損
益計算書の「受取利息」および「支払利息」)において認識され、手数料としては認識されない。
2.1.3.19 信用リスク費用
「信用リスク費用」には以下が含まれる。
・損益に振替えられる可能性のある、償却原価または損益を通じて公正価値で測定される金融資産に係る減損損失
およびその戻入れ。
・ファイナンス・リース債権に係る減損損失およびその戻入れ。
・付与した金融保証および融資コミットメントに関連する引当金の変動。
・再編された貸付に係る割引および全額償却された貸付金の回収。
・不良債権の償却。
84/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.2 連結損益計算書に対する注記
2.2.1 受取利息および支払利息
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
( 百万ユーロ ) 収益 費用 純額 収益 費用 純額
償却原価で測定される金
融商品 4,830 (2,266) 2,564 3,523 (1,328) 2,195
対金融機関取引 2,089 (634) 1,455 1,357 (666) 691
対顧客取引 1,764 (1,113) 651 1,354 (395) 959
償却原価で測定される有
価証券 952 (8) 944 781 (11) 770
債務証券および劣後債 25 (511) (486) 31 (256) (225)
その他の包括利益を通じ
て公正価値で測定される
金融資産 3,730 (9) 3,721 1,752 (17) 1,735
ヘッジ取引 2,061 (1,596) 465 2,008 (1,400) 608
その他 (102) (102) (105) (105)
受取利息および支払利息
合計 10,621 (3,973) 6,648 7,283 (2,850) 4,433
うち、収益に認識される
金融負債に係るマイナス
金利 252 435
うち、費用に認識される
金融資産に係るマイナス
金利 (105) (251)
2.2.2 手数料収入および手数料費用
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
( 百万ユーロ ) 収益 費用 収益 費用
対金融機関取引および類似の取引 1
対顧客取引 1,135 (4) 1,101 (4)
有価証券およびデリバティブ取引 361 (266) 366 (322)
保険サービス 5 (3,198) 16 (2,953)
金融サービス取引 663 (211) 664 (215)
手数料収入および手数料費用 2,164 (3,679) 2,147 (3,494)
85/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.2.3 損益を通じて公正価値で測定される金融商品による損益、純額
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
うち、 うち、
公正価値 公正価値
合計 オプション 合計 オプション
処分損益、純額 769 (14) 644 (33)
公正価値調整、受取利息または支払利息 (5,719) 6 4,598 90
負債性金融商品 (4,950) (8) 5,242 57
処分損益、純額 (706) (190)
公正価値調整、受取利息または支払利息 (2,227) 3,985
受取配当金 1,723 1,479
資本性金融商品 (1,210) 5,274
処分損益、純額 1 4
公正価値調整、受取利息または支払利息 (2,778) 4,411
先物およびオプション(ヘッジ手段を除
く。) (2,777) 4,415
処分損益、純額 9 6
公正価値調整、受取利息または支払利息 (296) (114)
貸付金 (287) (108)
公正価値調整、受取利息または支払利息 274 118 (27) 34
その他の収益および費用、純額 (366) (7) (223) (7)
債務証券、借入金および発行済有価証券 (91) 111 (250) 27
ヘッジ損益 92 348
通貨商品 (6)
担保付売戻契約に基づいて売買される有価証
券およびその他の資産 8
損益を通じて公正価値で測定される金融商品
による損益合計、純額 (9,221) 103 14,921 85
/ ヘッジ損益、純額
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
公正価値ヘッジ (148) 82
ヘッジされたリスクに起因するヘッジ対象の公正価値の変
動 5,717 1,199
ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値の変動(ヘッジ
の終了を含む。) (5,865) (1,117)
キャッシュ・フロー・ヘッジ 2 5
ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値の変動 - 非有効
部分 2 5
金融商品ポートフォリオの金利リスクの公正価値ヘッジ 232 261
ヘッジ対象の公正価値の変動 (397) (11)
ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値の変動 629 271
金融商品のポートフォリオに係る為替リスクのキャッ
シュ・フロー・ヘッジ 6
ヘッジ手段の公正価値の変動 - 非有効部分
6
ヘッジ損益、純額 92 348
86/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.2.4 その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品による損益、純額
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
処分損益、純額 (2,712) (1,168)
負債性金融商品 (2,712) (1,168)
受取配当金 829 643
資本性金融商品 829 643
その他の包括利益を通じて公正価値で測定され
る金融商品による損益合計、純額 (1,883) (525)
2.2.5 償却原価で測定される金融資産の認識中止による損益、純額
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
認識中止による利益 33 37
認識中止による損失 (17)
償却原価で測定される金融資産の認識中止によ
る損益合計、純額 16 37
当期中に認識が中止された償却原価で測定される金融資産の帳簿価額:
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
償却原価で測定される有価証券 3,093 565
償却原価で測定される金融機関および関連企業
向け貸付金および債権 311
償却原価で測定される顧客向け貸付金および債
権 3,524 2,528
認識が中止された償却原価で測定される金融資
産の帳簿価額合計 6,928 3,093
2.2.6 その他の活動からの損益
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
( 百万ユーロ ) 収益 費用 収益 費用
投資不動産からの損益 2,028 (1,084) 2,149 (888)
その他の活動からの損益 38,523 (5,034) 37,665 (4,647)
保険および再保険事業からの損益 37,406 (21,856) 32,947 (39,422)
その他の活動からの損益合計、純額 77,957 (27,974) 72,761 (44,957)
その他の活動からの損益は、主に当グループの産業および商業活動、特にラ・ポスト、 Transdev 、 Icade および
Compagnie des Alpes に関連している。
87/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.2.7 一般営業費
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
従業員給付費用 (18,040) (18,477)
その他の費用および外部サービス (19,033) (17,785)
引当金(繰入れ)/戻入れ 9 (6)
その他の一般営業費 (19,024) (17,791)
一般営業費合計 (37,064) (36,268)
2.2.8 信用リスク費用
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
償却原価で測定される金融機関に対する貸付金および債権
の減損 (124) 43
償却原価で測定される顧客に対する貸付金および債権の減
損 (76) (258)
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される負債性金
融商品の減損 161 (90)
償却原価で測定される有価証券の減損 (4) 5
オフバランス・シート・コミットメントの減損 (14) 11
予想信用損失に係る減損 (57) (289)
貸付損失および不良債権 (148) (46)
過年度に償却された貸付金および債権の回収 12 8
損失および回収 (136) (38)
(1)
その他の損失または収益 (134) 44
信用リスク費用 (327) (283)
(1) 保険子会社における保険契約者の繰延利益分配準備金の変動を含む。
2.2.9 その他の資産による損益、純額
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
有形固定資産および無形資産の処分損益 (75) (102)
有形固定資産および無形資産の処分損益 (75) (102)
有価証券の処分損益 259 92
長期持分に係るその他の損益 (9) 10
長期持分に係る損益 250 102
その他の損益 (1) (4)
その他の損益 (1) (4)
その他の資産に係る損益合計、純額 174 (4)
88/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.2.10 法人税費用
2.2.10.1 法人税費用の分析
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
当期税金 (1,213) (1,455)
繰延税金 1,310 444
当期法人税ベネフィット(費用) 97 (1,011)
ラ・ポスト・グループの繰越欠損金およびその他の一時差異にかかるすべての繰延税金資産の認識において生じる繰
延税金収益の影響( 810 百万ユーロ)を除くと、 2022 年 12 月 31 日現在の実効税率は 22.2 %であった。これは、持分法適
用会社の利益(損失)に対する持分およびのれんの価値の変動を調整した 3,214 百万ユーロの税引前利益に基づいてい
る。
2022 年 12 月 31 日現在の理論上の税率は 25.83 %で、 2021 年 12 月 31 日現在の理論上の税率は 28.41 %であることに留意さ
れたい。
2.2.10.2 理論上の税率および実効税率の調整
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
所有者に帰属する純利益(損失) 3,291 3,861
非支配持分 1,151 1,535
持分法適用会社の利益(損失)に対する持分 (1,105) (1,289)
のれんの価値変動 (23) 139
非継続事業からの純利益(損失) (3) (1)
法人税ベネフィット(費用) (97) 1,011
税引前利益(損失)、のれんの価値変動および持分
法適用会社の利益(損失)に対する持分 3,214 5,256
(1)
理論上の税率 25.83 % 28.41 %
理論上の税金費用 (830) (1,493)
税率の相違の影響 115 46
永久差異の影響 (62) (63)
SIIC 体制およびその他の免除事業者の影響 146 148
繰延税金認識の正味影響 724 329
税額控除 29 38
その他 (25) (16)
連結法人税ベネフィット(費用) 97 (1,011)
(1) 3.3 %の社会連帯拠出金を含む。
89/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3 連結財政状態計算書に対する注記
2.3.1 損益を通じて公正価値で測定される金融資産および負債
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
公正価値
強制的な 強制的な 公正価値
オプション
( 百万ユーロ ) 分類 分類 オプション
国債および類似有価証券 684 3,392 878 3,498
債券およびその他固定利付証券 8,030 1,759 11,027 2,180
譲渡性債務証券 9,969 4,515
UCITS 62,157 77,840
ベンチャー・キャピタル・ファンド 3,618 2,780
ユニットリンク契約を担保する資産 77,726 73,742
その他の有価証券 6,464 150 6,284 99
負債性金融商品 168,648 5,301 177,066 5,777
株式 38,913 44,305
ユニットリンク契約を担保する資産 2,933 4,737
その他の有価証券 1,475 1,324
資本性金融商品 43,321 50,366
売買目的デリバティブ商品 6,942 2,350
売買目的デリバティブ商品 6,942 2,350
金融機関向け貸付金 40 40
顧客向け貸付金 10,630 11,605
貸付金 10,670 11,645
金融機関 2
顧客 5,586
担保付売戻契約に基づいて受領した
有価証券 5,589
損益を通じて公正価値で測定される
金融資産合計 235,170 5,301 241,427 5,777
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
公正価値
強制的な 強制的な 公正価値
オプション
( 百万ユーロ ) 分類 分類 オプション
債券 2,100 1,577
譲渡性債務証券 296 461
その他 343 470
債務証券 2,739 2,508
売買目的デリバティブ商品 4,881 2,998
売買目的デリバティブ商品 4,881 2,998
金融機関 5,699
顧客 774
担保付買戻契約に基づいて売却した
有価証券 6,473
損益を通じて公正価値で測定される
金融負債合計 11,354 2,739 2,998 2,508
90/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.2 ヘッジ手段
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
非有効性 非有効性
の計算に の計算に
使用され 使用され
正の 負の 正の 負の
る公正価 る公正価
(百万ユーロ ) 公正価値 公正価値 想定元本 値変動 公正価値 公正価値 想定元本 値変動
金利デリバティブ 2,481 7,882 149,114 (5,477) 3,703 3,728 141,901 (1,000)
為替デリバティブ 544 1,177 33,648 (388) 800 540 60,234 (117)
その他のデリバ
ティブ 10
公正価値ヘッジ 3,025 9,069 182,763 (5,865) 4,503 4,268 202,135 (1,117)
金利デリバティブ 291 121 4,164 378 681 4,017
為替デリバティブ 107 230 5,332 1 47 196 3,994
その他のデリバ
ティブ 7
キャッシュ・フ
ロー・
ヘッジ 398 351 9,503 1 426 877 8,012
海外事業に対する
純投資のヘッジ 762 6
公正価値マクロ
ヘッジ 944 1,039 40,061 623 1,159 1,922 38,429 272
ヘッジ手段合計 4,367 10,459 233,089 (5,241) 6,088 7,067 248,582 (845)
2.3.2.1 公正価値ヘッジの対象となる項目の内訳
2.3.2.1.1 ミクロヘッジ
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
非有効性の
非有効性の
うち、公正 計算に使用
うち、公正 計算に使用
価値ヘッジ される当期
価値ヘッジ される当期
の負の累積 中の公正価
ヘッジ対象 ヘッジ対象 の負の累積 中の公正価
調整額 値変動
( 百万ユーロ ) の帳簿価額 の帳簿価額 調整額 値変動
償却原価で測定され
る有価証券 52,007 (983) (861) 42,649 (126) (250)
償却原価で測定され
る金融機関向け貸付
金および債権 38,346 (3) (4) 19,550
償却原価で測定され
る顧客向け貸付金お
よび債権 19,645 (1) (2,871) 51,159 (371) (429)
振替えられるその他
の包括利益を通じて
公正価値で測定され
る金融資産 21,108 (617) (599) 21,114 (6) (336)
振替えられないその
他の包括利益を通じ
て公正価値で測定さ
れる金融資産
資産-公正価値ヘッ
ジの対象となる項目 131,106 (1,604) (4,335) 134,472 (503) (1,014)
債務証券 87,130 (10,389) (10,060) 94,093 (180) (2,219)
金融機関からの預り
金 15,101 (51) 8 11,401 (59) 6
顧客からの預り金 91,799 80,258
91/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
負債-公正価値ヘッ
ジの対象となる項目 194,030 (10,440) (10,052) 185,752 (240) (2,213)
92/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.2.1.2 マクロヘッジ
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
( 百万ユーロ ) ヘッジ対象の帳簿価額 ヘッジ対象の帳簿価額
償却原価で測定される有価証券 3,149 15,116
償却原価で測定される金融機関向け貸付金および債
権 225
償却原価で測定される顧客向け貸付金および債権 45,999 34,802
資産-公正価値ヘッジの対象となる項目 49,148 50,143
債務証券 12,935 24,504
金融機関からの預り金 16,689
負債-公正価値ヘッジの対象となる項目 29,624 24,504
2.3.2.2 ヘッジ手段である デリバティブ の想定元本の契約上の満期:
2022 年 12 月 31 日
1カ月 1~ 3~ 想定元本
( 百万ユーロ )
未満 3カ月 12 カ月 1~5年 5年超 合計
金利デリバティブ 4,998 7,702 28,668 57,009 50,737 149,114
為替デリバティブ 2,735 10,845 14,478 3,542 2,048 33,648
公正価値ヘッジ 7,733 18,547 43,148 60,549 52,785 182,762
金利デリバティブ 974 1,416 1,774 4,164
為替デリバティブ 289 18 166 998 3,861 5,332
コモディティ 1 2 4 7
キャッシュ・フ
ロー・
ヘッジ 289 19 1,141 2,418 5,636 9,503
海外事業に対する
純投資のヘッジ 5 328 399 30 762
公正価値マクロ
ヘッジ 8,687 1,740 10,712 7,699 11,223 40,061
ヘッジ手段であるデ
リバティブの想定元
本合計 16,714 20,634 55,399 70,668 69,673 233,088
2021 年 12 月 31 日
1カ月 1~ 3~ 想定元本
( 百万ユーロ )
未満 3カ月 12 カ月 1~5年 5年超 合計
金利デリバティブ 5,904 4,143 12,035 60,917 58,903 141,901
為替デリバティブ 8,151 14,840 26,270 6,869 4,104 60,234
公正価値ヘッジ 14,055 18,983 38,306 67,786 63,007 202,135
金利デリバティブ 326 98 1,423 2,169 4,017
為替デリバティブ 50 40 177 3,727 3,994
コモディティ
キャッシュ・フ
ロー・
ヘッジ 376 138 1,601 5,897 8,012
海外事業に対する
純投資のヘッジ 6 6
公正価値マクロ
ヘッジ 2,267 1,985 18,366 7,617 8,194 38,429
ヘッジ手段であるデ
リバティブの想定元
本合計 16,328 21,344 56,810 77,004 77,098 248,582
93/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.3 その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産
2.3.3.1 振替えられるその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
うち、 うち、
ヘッジ部分 ヘッジ部分
うち、 うち、
(公正価値 (公正価値
ヘッジ) 未実現損益 公正価値 ヘッジ) 未実現損益
( 百万ユーロ ) 公正価値
国債および類似有
価証券 97,576 (53) (24,825) 125,911 (1,658)
債券およびその他
債務証券 91,397 (525) (12,889) 101,741 (6) 576
譲渡性債務証券 10,599 (16) 7,526 7
その他の有価証券 2,554 (0) (406) 1,428 13
未収利息 1,863 1,951
負債性金融商品 203,989 (588) (38,136) 238,557 (6) (1,062)
振替えられるその
他の包括利益を通
じて公正価値で測
定される金融資産 203,989 (588) (38,136) 238,557 (6) (1,062)
2.3.3.1 . 1 振替えられる その他の包括利益 を通じて公正価値で測定される資産に対して 認識される予想信用損失に係
る減損 :
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
負債性金融商品 (312) (471)
減損損失合計 (312) (471)
2.3.3.1.2 振替えられるその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の帳簿価額総額に係る信用 リスク
に対するエクスポージャー:
ステージ3-残
存期間の
ステージ2-残
ステージ1- 12
帳簿価額
存期間の 予想信用損失-
カ月の予想信用
(1)
( 百万ユーロ ) 損失 予想信用損失 信用減損資産 総額
2022 年1月1日現在の期首ポジション 239,741 355 240,096
追加 59,193 103 59,296
償還 (55,483) (180) (55,663)
ステージ間の振替 10 (10)
その他の変動 (704) (704)
2022 年 12 月 31 日現在の期末ポジション 242,757 268 243,025
(1) 振替えられるその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の帳簿価額総額は、未実現損益を除いて
計算されている。
94/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.3.1.3 振替えられるその他の包括利益で認識される予想信用損失に係る減損 の内訳:
ステージ3-残
存期間の
ステージ2-残
ステージ1- 12
存期間の 予想信用損失-
カ月の予想信用 予想信用損失の
( 百万ユーロ ) 損失 予想信用損失 信用減損資産 減損合計
2022 年1月1日現在の期首ポジション (463) (8) (471)
当期中の取得に係る配分 (22) (5) (27)
その他の配分 (1,550) (17) (1,567)
償却で使用される戻入れ 6 6
資産の処分に関連する戻入れ 1,651 14 1,665
その他の未使用戻入れ 79 5 84
ステージ間の振替
その他の変動 (2) (2)
2022 年 12 月 31 日現在の期末ポジション (301) (11) (312)
2.3.3.2 振替えられないその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
うち、
うち、
ヘッジ部分
ヘッジ部分
うち、
(公正価値
うち、
(公正価値
ヘッジ) 未実現損益
( 百万ユーロ ) 公正価値 公正価値 ヘッジ) 未実現損益
株式 26,834 10,011 29,708 13,496
その他の資本性金
融商品 29 9 27 9
振替えられないそ
の他の包括利益を
通じて公正価値で
測定される金融資
産合計 26,863 10,020 29,735 13,505
2.3.3.2.1 当期中に売却された振替えられないその他の包括利益を通じて公正価値で測定される資産 :
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
売却時の 売却時の
売却日の 当期中の 売却日の 当期中の
(1) (1)
( 百万ユーロ ) 公正価値 損益 受取配当金 公正価値 損益 受取配当金
株式 2,030 761 42 1,532 613 30
金融機関 21 4 85 15 3
その他の金融機関 95 15 13 123 61
非金融機関 1,914 742 29 1,324 537 27
その他の資本性金融商
品 70 13 10 9 10
その他の金融機関 47 17 10
非金融機関 23 (4) 10 9
合計 2,100 774 42 1,542 622 40
(1) 税引前。
95/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.4 償却原価で測定される有価証券
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
国債および類似有価証券 49,523 45,278
債券およびその他固定利付証券 14,205 9,925
譲渡性債務証券 18,013 12,322
その他の有価証券 236 168
未収利息 1,181 722
予想信用損失引当金 (79) (75)
償却原価で測定される有価証券合計 83,079 68,340
2.3.4. 1 償却原価で測定される有価証券の帳簿価額総額に係る信用リスクに対するエクスポージャー:
ステージ3-
残存期間の
ステージ2- 予想信用損失
ステージ1-
帳簿価額
残存期間の -
12 カ月の予想
(1)
( 百万ユーロ ) 信用損失 予想信用損失 信用減損資産 総額
2022 年1月1日現在の期首ポジション 66,658 1,843 40 68,541
追加 47,673 134 30 47,837
処分 (31,834) (377) (21) (32,232)
ステージ間の振替 23 (9) (14)
その他の変動 (5) (5)
2022 年 12 月 31 日現在の期末ポジション 82,515 1,591 35 84,141
(1) 償却原価で測定される有価証券の帳簿価額総額は、未実現損益を除いて計算されている。
2.3.4.2 償却原価で測定される有価証券に係る予想信用損失の減損の内訳 :
ステージ3-
残存期間の
ステージ2- 予想信用損失
ステージ1-
残存期間の -
12 カ月の予想 予想信用損失
( 百万ユーロ ) 信用損失 予想信用損失 信用減損資産 の減損合計
2022 年1月1日現在の期首ポジション (25) (45) (5) (75)
当期中の取得に係る配分 (18) (11) (25) (54)
その他の配分 1 (4) (3)
償却で使用される戻入れ 8 6 5 19
資産の処分に関連する戻入れ 21 21
その他の未使用戻入れ 8 5 13
ステージ間の振替
2022 年 12 月 31 日現在の期末ポジション (26) (28) (25) (79)
96/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.5 償却原価で測定される金融機関および関連企業向け貸付金および債権
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
当座勘定(借方)および翌日物ローン 27,537 11,881
未収利息 3
要求払金融機関向け貸付金 27,537 11,884
確定期限の預り金および貸付金 16,918 13,676
貯蓄基金に対する債権 64,850 65,049
担保付売戻 契約に基づいて買い入れた有価証券およ
びその他の資産 250 337
劣後ローン 78 78
未収利息 79 51
保証金 15
予想信用損失の減損 (1) (7)
確定期限の金融機関向け貸付金および債権 82,174 79,199
償却原価で測定される金融機関および関連企業向け
貸付金および債権合計 109,711 91,083
2.3.5.1 償却原価で測定される金融機関および関連企業向け貸付金および債権の帳簿価額総額に係る信用リスクに対
するエクスポージャー:
ステージ3-残
存期間の
ステージ1- 12 ステージ2-残
カ月の 存期間の 予想信用損失-
( 百万ユーロ ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産 帳簿価額総額
2022 年1月1日現在の期首ポジション 91,090 91,090
支払 56,578 20 56,598
返済 (38,002) (38,002)
ステージ間の振替
その他の変動 29 29
2022 年 12 月 31 日現在の期末ポジション 109,695 20 109,715
2.3.5.2 償却原価で測定される金融機関および関連企業向け貸付金および債権に係る予想信用損失の減損の内訳 :
ステージ3-残
存期間の
ステージ1- 12 ステージ2-残
カ月の 存期間の 予想信用損失-
予想信用損失の
( 百万ユーロ ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産 減損合計
2022 年1月1日現在の期首ポジション (7) (7)
当期中の取得に係る配分 (2) (2)
償却で使用される戻入れ 2 2
9 9
資産の処分に関連する戻入れ
その他の未使用戻入れ (3) (3)
2022 年 12 月 31 日現在の期末ポジション (1) (1)
97/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.6 償却原価で測定される顧客向け貸付金および債権
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
当座勘定(借方) 3,690 2,231
未収利息 48 49
予想信用損失の減損 (115) (96)
当座勘定(借方) 3,623 2,184
金融セクター顧客向け貸付金 1,159 215
現金ファシリティ 18,399 17,738
設備ファイナンス 56,462 58,124
住宅ローン 94,732 89,623
輸出信用 5,464 4,826
有価証券取引に係る預け金 247 257
劣後ローン 27
ファイナンス・リース債権 3,783 3,564
担保付売戻 契約に基づいて買い入れた有価証券および
その他の資産 5,154 6,938
その他の貸付金 4,608 5,153
未収利息 590 534
予想信用損失の減損 (1,545) (1,475)
顧客向けその他の貸付金および債権 189,080 185,497
償却原価で測定される顧客向け貸付金および債権合計 192,703 187,681
2.3.6.1 償却原価で測定される 顧客 向け貸付金および債権の帳簿価額総額に係る信用リスクに対する
エクスポージャー:
ステージ3-残
存期間の
ステージ1- 12 ステージ2-残
カ月の 存期間の 予想信用損失-
( 百万ユーロ ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産 帳簿価額総額
2022 年1月1日現在の期首ポジション 174,050 13,301 2,272 189,623
支払 38,165 8,615 810 47,590
返済 (32,947) (5,739) (1,066) (39,752)
ステージ間の振替 (15,999) 15,451 548
その他の変動 (36) 169 133
2022 年 12 月 31 日現在の期末ポジション 163,233 31,797 2,564 197,594
98/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.6.2 償却原価で測定される 顧客 向け貸付金および債権に係る予想信用損失の減損の内訳 :
ステージ3-残
存期間の
ステージ1- 12 ステージ2-残
カ月の 存期間の 予想信用損失-
予想信用損失の
( 百万ユーロ ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産 減損合計
2022 年1月1日現在の期首ポジション (244) (541) (786) (1,571)
当期中の取得に係る配分 (61) (165) (113) (339)
その他の配分 (32) (205) (220) (457)
償却で使用される戻入れ 15 5 9 29
資産の処分に関連する戻入れ 18 32 60 110
その他の未使用戻入れ 120 248 157 525
ステージ間の振替 (1) 1
その他の変動 1 1 41 43
2022 年 12 月 31 日現在の期末ポジション (184) (625) (851) (1,660)
2.3.7 当期および繰延税金
2.3.7.1 財政状態計算書 における法人税の内訳
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
当期税金 1,472 924
繰延税金 3,584 972
当期税金資産および繰延税金資産合計 5,056 1,896
当期税金 380 261
繰延税金 3,668 4,671
当期税金負債および繰延税金負債合計 4,048 4,932
2.3.7.2 繰延税金の資産および負債別分析
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
振替えられないその他の包括利益を通じて
公正価値で測定される資産および負債 (2,552) (3,548)
振替えられるその他の包括利益を通じて
公正価値で測定される資産および負債 1,674 108
一時差異-その他 794 (259)
(1)
認識された繰延税金資産および負債合計、純額 (84) (3,699)
(1) 税金資産はプラスの金額であり、税金負債はマイナスの金額である。
99/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.8 前払金、未収収益および繰延収益ならびにその他の資産および負債
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
前払費用および未収収益 2,425 1,665
その他の経過勘定 1,100 1,802
前払金および未収収益 3,525 3,467
追加証拠金 6,577 3,510
証券決済勘定 1 3
棚卸資産 1,314 998
支払保証金 1,077 970
契約に係る費用 7 6
契約資産 117 102
受取債権 5,921 5,750
その他 6,790 5,494
減損 (397) (379)
その他の資産 21,407 16,454
責任準備金のうち再保険会社分 20,793 21,392
保険会社および再保険会社の債権 3,087 2,803
貸付金および債権 214 232
雑保険資産 2,428 2,069
その他の保険資産 26,522 26,496
前払金、未収収益およびその他の資産合計 51,454 46,418
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
未払費用 および繰延収益 3,513 2,806
その他の経過勘定 941 2,757
未払費用および繰延収益 4,454 5,563
受取追加証拠金 2,640 3,103
未払金 6,246 5,475
リース負債 5,405 5,299
雑債務 3,075 2,485
証券決済勘定 8 6
雑負債 7,484 7,456
その他の負債 24,858 23,824
保険会社および再保険会社の債務 13,027 13,001
雑保険負債 233 220
その他の保険負債 13,260 13,221
未払費用、繰延収益およびその他の負債合計 42,572 42,608
100/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2. 3 .8.1 受取債権および契約資産の帳簿価額総額に係る信用リスクに対するエクスポージャー:
ステージ3-
ステージ2- 残存期間の
残存期間の 予想信用損失-
( 百万ユーロ ) 予想信用損失 信用減損資産 帳簿価額総額
2022 年1月1日現在の期首ポジション 5,725 127 5,852
増加 190 (31) 159
ステージ間の振替
その他の変動 29 (1) 28
2022 年 12 月 31 日現在の期末ポジション 5,944 95 6,039
簡便法に従い、受取債権および契約資産の信用リスクは、全期間の 予想信用損失に基づいて測定 される。
2. 3 .8.2 受取債権および契約資産に係る予想 信用 損失の減損の内訳:
ステージ3-
ステージ2- 残存期間の
残存期間の 予想信用損失- 予想信用損失の
( 百万ユーロ ) 予想信用損失 信用減損資産 減損合計
2022 年1月1日現在の期首ポジション (234) (89) (323)
当期中の取得に係る配分 (52) (15) (67)
その他の配分 (8) (8)
償却で使用される戻入れ 55 41 96
資産の処分に関連する戻入れ 14 1 15
その他の未使用戻入れ 1 1
ステージ間の振替
2022 年 12 月 31 日現在の期末ポジション (225) (61) (286)
2. 3 .8.3 受取債権および契約資産の期限別内訳:
2022 年 12 月 31 日
未払残高: 未払残高: 未払残高: 未払残高:
( 百万ユーロ ) 30 日以内 30 日超 60 日超 90 日超 残高合計
受取債権および契約資産 1,404 4,247 20 368 6,039
予想信用損失引当金 (8) (135) (2) (141) (286)
期限別の帳簿価額総額に
対する見積予想信用損失
率 1 % 3 % 10 % 38 % 5 %
101/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.9 売却目的保有非流動資産および負債
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
投資不動産 57
自己使用不動産 29 35
(1)
売却目的で保有するその他の資産 49 2,237
(1)
売却目的保有資産 134 2,272
売却目的保有非流動資産合計 134 2,272
(1) 2021 年の EGIS グループに関連する売却目的保有資産は 1,981 百万ユーロであった。
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
(1)
売却目的保有非流動資産に関連する負債 49 1,362
その他の負債 2 5
非継続事業の資産に関連する負債 2 5
売却目的保有非流動資産に関連する負債合計 51 1,367
(1) 2021 年の EGIS グループに関連する売却目的保有非流動資産に関連する負債は 1,352 百万ユーロであった。
2022 年1月7日、フランス預金供託公庫と Tikehau Capital は、 Tikehau Capital が Egis の 40 %の持分の取得を完了
したと発表した。かかる取引により、フランス預金供託公庫は Egis に対して重要な影響力を有しており、 2022 年初頭
から持分法により同社の持分を連結している。
償却原価で認識される売却目的で保有する投資不動産の見積り市場価値は、 2022 年 12 月 31 日現在で 147 百万ユーロ、
2021 年 12 月 31 日現在で 185 百万ユーロであった。
102/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.10 持分法適用会社に対する投資
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
預金供託公庫 預金供託公庫
グループの純 グループの純
支配の
利益(損失) 利益(損失)
( 百万ユーロ ) 種類 帳簿価額 に対する貢献 帳簿価額 に対する貢献
預金供託公庫部門 3,595 31 3,551 68
CDC Habitat グループ企業
- Adoma
JV 303 3 282 14
- FLI
ASS 187 181
Compagnie Nationale du Rhône
ASS 323 52 89 128
ADL Participations
ASS 76 (2) 78 14
Prédica Énergies Durables
ASS 143 (3) 136 (9)
Verdun Participations 1
ASS 69 (4) 83 2
HIN Orange Concessions
( 2.11 ) JV 701 (17) 698 (5)
CDC PME Croissance
JV 783 15 945 15
CDC EURO Croissance
JV 498 4 557 5
CDC TECH Croissance
JV 86 85
CDC Croissance Durable
JV 59 70
その他の持分法適用会社 365 (17) 349 (4)
戦略的投資部門の管理 6,960 306 4,623 252
GRT Gaz ( 2.11 )
ASS 2,707 118 2,587 58
Coentreprise de Transport
d'Électricité ( 2.11 ) JV 1,984 149 1,811 186
EGIS ASS 278 12
Suez Holding ( 2.11 )
ASS 1,210 (15)
Euroclean Hloding SA/NV
( 2.11 ) ASS 553 11
その他の持分法適用会社 229 30 224 8
Bpifrance グループ( 2.11 ) JV 13,685 740 14,135 894
ラ・ポスト・グループ企業 1,173 27 1,097 74
持分法適用会社に対する投資 25,414 1,105 23,406 1,289
ASS :関連会社
JV :ジョイント・ベンチャー
103/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.11 投資不動産、自己使用固定資産および無形資産
2.3.11.1 投資不動産
償却原価で認識される売却目的保有資産を除く投資不動産の見積り市場価値は、 2021 年 12 月 31 日現在は 34,943 百万
ユーロであったのに対して、 2022 年 12 月 31 日現在では 38,492 百万ユーロであった。投資不動産の公正価値を算定する
ために用いられた手法は、公正価値ヒエラルキーのレベル3に該当する。
2021 年 取得 処分 その他の 2022 年
( 百万ユーロ ) 12 月 31 日 (増加) (減少) 変動 12 月 31 日
投資不動産 24,178 2,260 (434) 619 26,623
総価値 29,891 3,007 (628) 475 32,745
減価償却償および減損 (5,713) (747) 194 144 (6,122)
使用権資産 29 1 30
総価値 33 1 1 35
減価償却費および減損 (4) (1) (5)
投資不動産合計 24,207 2,260 (434) 620 26,653
2.3.11.2 自己使用固定資産
2021 年 取得 処分 その他の 2022 年
( 百万ユーロ ) 12 月 31 日 (増加) (減少) 変動 12 月 31 日
自己使用 固定資産
10,172 166 (70) (110) 10,158
総価値 23,004 1,676 (1,358) (55) 23,267
減価償却費および減損 (12,832) (1,510) 1,288 (55) (13,109)
使用権資産 5,055 (1,633) (13) 1,306 4,715
総価値 9,258 8 (87) 306 9,485
減価償却費および減損 (4,203) (1,641) 74 1,000 (4,770)
自己使用固定資産合計 15,227 (1,467) (83) 1,196 14,873
2.3.11.3 無形資産
2021 年 取得 処分 その他の 2022 年
( 百万ユーロ ) 12 月 31 日 (増加) (減少) 変動 12 月 31 日
総価値 13,852 1,012 (348) 707 15,223
(1)
償却および減損 (6,866) (1,645) 381 (5) (8,135)
無形資産合計 6,986 (633) 33 702 7,088
うち、販売契約、取得した
有効な保険事業および契約
に基づく顧客関係の正味価
値 4,468 (619) 696 4,545
(1) 取得した有効な保険事業の償却および減損は「その他の活動からの損益合計」に計上されている。
104/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.12 のれん
2.3.12.1 事業セグメント別ののれんの変動
2021 年 増加 減少 当期 その他の 2022 年
( 百万ユーロ ) 12 月 31 日 (取得) (処分) 減損損失 変動 12 月 31 日
Icade グループ 39 10 49
Compagnie des Alpes グルー
プ 213 213
Transdev グループ 508 18 (1) 2 527
ラ・ポスト・グループ 422 809 (1) (21) 1,209
のれん合計 1,182 837 (2) (19) 1,998
2022 年 12 月 31 日現在実施された減損テストの結果、減損は認識されなかった。
2.3.13 債務証券
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
中長期債券発行 65,301 74,857
短期債券発行 30,022 20,516
未払利息 359 542
銀行間および譲渡性債務証券 95,682 95,915
債券および類似債務証券 38,569 36,395
未払利息 334 289
債券および類似債務証券 38,903 36,684
債務証券合計 134,585 132,599
2.3.14 金融機関からの預り金
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
当座勘定(貸方)および翌日物借入 1,631 1,345
貯蓄基金からの要求払預金 10,725 7,063
未払利息 28 1
金融機関からの要求払預金 12,384 8,409
確定期限の預り金および借入金 22,190 22,330
担保付固定買戻契約により売却した有価証券および
その他の資産 17,104 20,807
未払利息 213 132
確定期限の金融機関からの預り金 39,507 43,269
金融機関からの預り金合計 51,891 51,678
105/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.15 顧客からの預り金
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
通帳式貯蓄口座 Livret A
67,561 65,403
住宅貯蓄制度および口座 31,517 34,032
その他の規制された貯蓄口座 27,864 25,669
規制された貯蓄口座 126,942 125,104
当座勘定(貸方) 159,942 150,947
オーバーナイト口座および借入金 2,286 3,324
その他の預り金 1,396 1,094
顧客要求払預金 163,325 155,364
確定期限の勘定および借入金 16,296 15,110
定期預金 1,600 560
担保付ターム・レポ 契約に基づいて売却した有価証券 20,864 23,500
確定期限の顧客からの預り金 38,760 39,171
顧客からの預り金合計 329,027 319,639
106/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.16 金融資産と金融負債の相殺
2022 年 12 月 31 日
マスター・
担保として
ネッティン
差入れた / 受
財政状態計 グ契約およ
金融資産 /
取った
算書上での び類似の取
負債の
相殺金額 期末残高 決めの影響 金融商品 純額
( 百万ユーロ ) 総額
資産
デリバティブ金融商品 11,365 11,365 9,024 109 2,232
売戻契約、有価証券借
入契約等 6,780 1,373 5,407 348 1,426 3,633
負債
デリバティブ金融商品 15,367 15,367 6,880 3,888 4,599
買戻契約、有価証券貸
付契約等 39,396 1,373 38,023 1,050 18,941 18,032
2021 年 12 月 31 日
マスター・
担保として
ネッティン
差入れた / 受
財政状態計 グ契約およ
金融資産 /
取った
算書上での び類似の取
負債の
相殺金額 期末残高 決めの影響 金融商品 純額
( 百万ユーロ ) 総額
資産
デリバティブ金融商品 8,580 8,580 5,485 953 2,142
売戻契約、有価証券借
入契約等 9,228 1,965 7,263 142 5,119 2,002
負債
デリバティブ金融商品 10,115 10,115 4,814 2,135 3,166
買戻契約、有価証券貸
付契約等 46,267 1,965 44,302 723 27,416 16,163
2.3.17 引当金
2021 年 戻入れ 戻入れ その他の 2022 年
( 百万ユーロ ) 12 月 31 日 増加 ( 使用 ) ( 引当超過額 ) 変動 12 月 31 日
従業員給付債務引当金 3,666 247 (615) (45) (124) 3,129
住宅貯蓄制度引当金 64 35 (80) 19
コミットメントおよび
保証引当金 129 124 (104) (2) (1) 146
カウンターパーティ・
リスク引当金 65 11 (21) (5) 9 59
その他の引当金 2,715 485 (360) (167) 104 2,777
引当金合計 6,641 867 (1,067) (299) (12) 6,130
107/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.18 非支配持分
2022 年 12 月 31 日
(1)
非支配持分 子会社が公表した財務情報
非支配持 非支配持 非支配持
非支配持分 分の所有 分に帰属 分の所有
の支配比率 者に帰属 する期末 者に支払
および所有 する当期 現在の資 われた配 銀行業務純
(百万ユーロ ) 比率 純損益 本の額 当金 資産合計 資本 益 純損益
ラ・ポスト・グルー
(2)
プ 34 % 853 12,651 246 773,123 25,313 35,392 1,507
Icade グループ 60.4 % 192 2,815 192 18,218 8,685 1,816 222
COMPAGNIE DES
ALPES
グループ 58.0 % 75 609 2,291 1,018 959 123
その他の企業 31 355
合計 1,151 16,431
2021 年 12 月 31 日
(1)
非支配持分 子会社が公表した財務情報
非支配持 非支配持 非支配持
非支配持分 分の所有 分に帰属 分の所有
の支配比率 者に帰属 する期末 者に支払
および所有 する当期 現在の資 われた配 銀行業務純
(百万ユーロ ) 比率 純損益 本の額 当金 資産合計 資本 益 純損益
ラ・ポスト・グルー
(2)
プ 34 % 1,329 17,775 796,365 32,650 34,609 2,597
Icade グループ 60.4 % 198 2,717 180 17,609 8,639 1,662 637
COMPAGNIE DES
ALPES
グループ 58.6 % (41) 535 2,246 884 241 (123)
その他の企業 49 616
合計 1,535 21,643
(1) 要約財務情報は、 100 %の保有に基づき、グループ内取引を消去する前のサブグループのデータを示している。
(2) フランス預金供託公庫グループ内におけるラ・ポスト・グループの貢献:ラ・ポスト、 La Banque Postale およ
び CNP Assurances 。
108/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.4 保険業務
2.4.1 保険投資
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
損益を通じて公正価値で測定される金融資産 212,096 226,404
プラスの公正価値を有するヘッジ手段 118 55
振替えられるその他の包括利益を通じて公正価値で測定さ
れる金融資産 182,437 216,584
償却原価で測定される有価証券 96 84
投資不動産 6,280 3,393
持分法適用会社に対する投資 1,108 948
保険投資 402,135 447,468
2.4.1.1 損益を通じて公正価値で測定される金融資産
(百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
負債性金融商品 171,448 180,952
国債およびこれに相当する証券 3,992 4,316
債券およびその他固定利付証券 23,592 20,438
UCITS 60,782 76,849
ユニットリンク契約を担保する資産 77,726 73,742
貸付金および前払金 5,356 5,607
資本性金融商品 36,945 44,038
株式およびその他の変動利付証券 34,012 39,301
ユニットリンク契約を担保する資産 2,933 4,737
デリバティブ金融商品 3,702 1,413
損益を通じて公正価値で測定される金融資産 212,095 226,403
109/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.4.1.2 振替えられるその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産
2022 年 12 月 31 日
(百万ユーロ) 公正価値 うち、減損 未実現損益
国債および類似有価証券 97,190 (121) (24,808)
債券およびその他固定利付証券 85,247 (175) (13,264)
負債性金融商品合計 182,437 (296) (38,072)
振替えられるその他の包括利益を通じて公正価値で
測定される金融資産 182,437 (296) (38,072)
税金 10,277
損益に振替えられるその他の包括利益を通じて公正
価値で測定される負債性金融商品について、資本に
おいて直接認識される損益(税引後)-保険投資 (27,795)
2021 年 12 月 31 日
(百万ユーロ) 公正価値 うち、減損 未実現損益
国債および類似有価証券 121,945 (70) (1,670)
債券およびその他固定利付証券 94,639 (360) 492
負債性金融商品合計 216,584 (430) (1,178)
振替えられるその他の包括利益を通じて公正価値で
測定される金融資産 216,584 (430) (1,178)
税金 603
損益に振替えられるその他の包括利益を通じて公正
価値で測定される負債性金融商品について、資本に
おいて直接認識される損益(税引後)-保険投資 (575)
110/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.4.2 保険会社の責任準備金およびシャドウ・アカウンティング準備金
2022 年 12 月 31 日
再保険 再保険控除後
(百万ユーロ) 再保険前
損害保険 9,816 932 8,884
生命保険 267,765 16,615 251,150
うち、生命保険の数理的責任準備金 254,735 16,287 238,448
裁量的有配当特性を有する融資契約 101,296 2,996 98,300
うち、数理的責任準備金 91,938 2,733 89,205
裁量的有配当特性を有さない融資契約 3,110 250 2,860
責任準備金 381,987 20,793 361,194
2022 年 12 月 31 日
再保険 再保険控除後
(百万ユーロ) 再保険前
繰延利益分配準備金、純額 1,669 1,669
シャドウ・アカウンティング準備金-負債 1,669 1,669
責任準備金およびシャドウ・アカウンティング準備
金合計-負債 383,656 20,793 362,863
2022 年 12 月 31 日
(百万ユーロ) 再保険前 再保険 再保険控除後
繰延利益分配準備金、純額 9,692 9,692
シャドウ・アカウンティング準備金 - 資産 9,692 9,692
繰延利益分配準備金は、「シャドウ・アカウンティング」の使用に起因する。これは、保険契約者に支払われる利回
りを決定する利回りを有する資産について認識された未実現損益および減損に対する生命保険契約者の持分を示してい
る。
2021 年 12 月 31 日
(百万ユーロ) 再保険前 再保険 再保険控除後
損害保険 9,627 869 8,758
生命保険 261,940 17,050 244,890
うち、生命保険の数理的責任準備金 248,849 16,656 232,193
裁量的有配当特性を有する融資契約 107,284 3,195 104,089
うち、数理的責任準備金 97,942 2,942 95,000
裁量的有配当特性を有さない融資契約 3,713 278 3,435
責任準備金 382,564 21,392 361,172
2021 年 12 月 31 日
(百万ユーロ) 再保険前 再保険 再保険控除後
繰延利益分配準備金、純額 31,834 31,834
シャドウ・アカウンティング準備金 31,834 31,834
責任準備金およびシャドウ・アカウンティング準備
金合計-負債 414,398 21,392 393,006
111/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.4.2.1 数理的責任準備金
(百万ユーロ) 再保険前 再保険 再保険控除後
2022 年1月1日現在の数理的責任準備金 346,791 19,597 327,194
保険料 31,553 537 31,016
負債の消滅(給付支払い) (30,231) (1,150) (29,081)
ロックイン利益 8,278 375 7,903
ユニットリンク債務の価値の変動 (7,060) (219) (6,842)
保有契約の範囲変更 (6) - (6)
手数料残高 (1,978) (69) (1,909)
換算調整 1,906 1,906
非連結会社 (1,868) (1,868)
仮定の変更 6 (20) 26
その他 (718) (32) (686)
2022 年 12 月 31 日現在の数理的責任準備金 346,673 19,020 327,653
2.4.2.2 繰延利益分配
2022 年 12 月 31 日
負債
(百万ユーロ) 資産
損益を通じて公正価値で測定される資産の再測定に係る繰延
利益分配 (2,221) 1,519
その他の包括利益を通じ公正価値で測定される資産の再測定
に係る繰延利益分配 32,080 114
その他の繰延利益分配 (20,167) 36
繰延利益分配合計 9,692 1,669
2021 年 12 月 31 日
負債
(百万ユーロ) 資産
損益を通じて公正価値で測定される資産の再測定に係る繰延
利益分配 - 9,546
その他の包括利益を通じ公正価値で測定される資産の再測定
に係る繰延利益分配 - (368)
その他の繰延利益分配 - 22,656
繰延利益分配合計 - 31,834
112/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.4.3 保険会社による損益計算書
(百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
引受保険料 37,140 32,849
未経過保険料の変動 (54) (176)
既経過保険料 37,086 32,673
その他の活動からの収益 82 90
その他の営業収益 2 14
投資収益、費用控除後 5,697 5,289
投資処分に係る損益 (2,973) (1,209)
損益を通じて公正価値で測定される金融資産の公正価値変動 (11,253) 10,458
投資に係る減損損失の変動 128 (68)
オーバーレイ・アプローチの影響 700 (1,074)
費用控除後投資収益合計 (7,701) 13,396
収益合計 29,469 46,173
保険金請求および給付費用 (21,572) (39,216)
再保険費用および収益 93 205
その他の事業の収益および費用 (15) 5
取得原価 (4,314) (4,013)
保有契約、販売契約および契約に基づく顧客関係の償却 (580) (552)
契約管理費用 (362) (285)
その他の営業利益および費用 (614) (489)
その他の営業利益および費用合計、純額 (27,364) (44,345)
経常的営業利益(損失) 2,105 1,828
非経常的営業利益および費用、純額 (48) (5)
営業利益(損失) 2,057 1,823
資金調達コスト (121) (99)
無形資産およびのれんの価値変動 (24) (122)
持分法適用会社の利益に対する持分 28 88
法人税費用 (432) (468)
連結純利益(損失) 1,508 1,222
非支配持分 279 474
親会社の所有者帰属分純利益(損失) 1,229 748
113/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.4.4 La Banque Postale グループの保険業務に係るオーバーレイ・アプローチ適用の影響
オーバーレイ・アプローチ適用の金融資産の種類別影響は以下に示すとおりである。
2022 年 12 月 31 日
オーバーレイの オーバーレイの
影響総額 繰延税金 影響純額
(百万ユーロ) 帳簿価額
UCITS 45,527 (438) 112 (326)
株式およびその他の変動利付証券 31,847 (180) 87 (93)
債券 8,508 (83) 37 (46)
その他の金融資産 13,310 11 38 39
合計 99,192 (700) 274 (426)
2021 年 12 月 31 日
オーバーレイの オーバーレイの
影響総額 繰延税金 影響純額
(百万ユーロ) 帳簿価額
UCITS 46,964 130 (32) 98
株式およびその他の変動利付証券 33,598 944 (56) 888
債券 6,160 (9) 2 (7)
その他の金融資産 18,559 9 36 45
合計 105,281 1,074 (50) 1,024
オーバーレイ・アプローチ適用の損益計算書に対する影響は以下に示すとおりである。
2022 年 12 月 31 日
オーバーレイの
IFRS 第9号 影響純額
(百万ユーロ) IAS 第 39 号
オーバーレイを除く銀行業務純益 (91) (791)
オーバーレイの影響 700
銀行業務純益 (91) (791) 700
法人税 23 297 (274)
純利益(損失) (68) (494) 426
2021 年 12 月 31 日
オーバーレイの
IFRS 第9号 影響純額
(百万ユーロ) IAS 第 39 号
オーバーレイを除く銀行業務純益 51 1,125
オーバーレイの影響 (1,074)
銀行業務純益 51 1,125 (1,074)
法人税 (25) (75) 50
純利益(損失) 26 1,050 (1,024)
114/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.5 付与したコミットメントおよび受領したコミットメント
2.5.1 付与したコミットメントおよび受領したコミットメント
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
151,586 151,367
付与したコミットメント
融資コミットメント
10,350 7,006
金融機関向け
30,662 31,852
顧客向け
保証コミットメント
1,311 1,381
金融機関向け
2,809 3,615
顧客向け
証券関連コミットメント
16,134 18,240
引渡される有価証券
付与したその他のコミットメント
61,892 62,420
金融機関向け
28,429 26,852
顧客向け
163,878 155,243
受領したコミットメント
融資コミットメント
45,263 47,573
金融機関から
1,728 400
顧客から
保証コミットメント
63,587 50,188
金融機関から
24,335 23,991
顧客から
証券関連コミットメント
2,895 2,943
受領した有価証券
その他の受領したコミットメント
23,175 27,157
金融機関から
2,893 2,991
顧客から
2.5.1.1 Cr édit Logementコミットメント
La Banque Postale は、 Cr édit Logement の Tier 1資本を同社における持分に相当するレベル、すなわち6%に維持
し、同社がその自己資本比率を維持できるようにすることを約束している。 La Banque Postale はまた、請求があれ
ば、 Cr édit Logement の相互保証基金を補充することも約束している。この基金は、基金が保証する貸付の借手の債務
不履行を引受ける。このコミットメントの金額は、 La Banque Postale が分配した Cr édit Logement の貸付金残高の割
合を元に計算されており、 2022 年 12 月 31 日現在 168 百万ユーロ( 2021 年 12 月 31 日現在 184 百万ユーロ)であった。
与信機関から受領した保証コミットメントについて報告された金額は、主として Cr édit Logement から受領した保証
に相当する。
115/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.5.2 融資コミットメントおよび保証に係る信用リスクに対するエクスポージャー:
2.5.2.1 融資コミットメントおよび保証に係る信用リスクに対するエクスポージャー:
ステージ1- 12 ステージ2-残 ステージ3-
カ月の予想信用 存期間の予想信 予想信用損失 コミットメント
( 百万ユーロ ) 損失 用損失 -不良債権 合計
2022 年1月1日現在の期首ポジション 38,018 5,778 60 43,856
増加 19,056 5,203 91 24,350
減少 (18,715) (3,843) (182) (22,740)
ステージの振替 (302) (2) 304
その他の変動 (237) (98) (335)
2022 年 12 月 31 日現在の期末ポジション 37,820 7,038 273 45,131
2.5.2.2 予想信用損失引当金の内訳:
ステージ1- ステージ2- ステージ3-
12 カ月の予想 全期間の予想 予想信用損失 予想信用損失
( 百万ユーロ ) 信用損失 信用損失 -不良債権 引当金合計
2022 年1月1日現在の期首ポジション (70) (48) (12) (130)
当期中の変動に係る配分 (32) (63) (1) (96)
その他の配分 (8) (29) (8) (45)
償却で使用される戻入れ 15 4 19
資産の処分に関連する戻入れ 13 6 2 21
その他の未使用戻入れ 32 50 2 84
その他の変動 (2) 1 2 1
2022 年 12 月 31 日現在の期末ポジション (52) (83) (11) (146)
116/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.6 金融商品の公正価値
2.6.1 償却原価で測定される金融資産および負債の公正価値
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
( 百万ユーロ ) 帳簿価額 見積市場価値 帳簿価額 見積市場価値
資産
償却原価で測定される有価証券 83,079 75,320 68,340 70,875
償却原価で測定される金融機関およ
び関連企業向け貸付金および債権 109,711 109,806 91,083 91,096
償却原価で測定される顧客向け貸付
金および債権 192,703 176,197 187,681 184,571
償却原価で測定される金融資産合計 385,493 361,323 347,103 346,542
負債
債務証券 134,585 128,159 132,599 131,982
金融機関からの預り金 51,891 51,747 51,678 52,086
顧客からの預り金 329,027 325,659 319,639 315,277
劣後債 9,144 8,011 10,104 10,283
償却原価で測定される金融負債合計 524,647 513,576 514,020 509,628
2.6.2 公正価値で測定される金融商品
観察可能なイ 観察不能なイ
活発な市場で ンプットを用 ンプットを用 2022 年
建値: いて測定: いて測定:
12 月 31 日現在
( 百万ユーロ ) レベル1 レベル2 レベル3 合計
公正価値で測定される金融資産
損益を通じて公正価値で測定される
金融資産-強制的な分類 77,485 39,340 30,744 147,569
損益を通じて公正価値で測定される
金融資産-公正価値オプション 4,639 125 537 5,301
ユニットリンク契約を担保する資産 75,124 5,137 398 80,659
売買目的保有デリバティブ金融商品 6,880 62 6,942
正の公正価値を有するヘッジ手段 1 3,213 1,153 4,367
振替えられるその他の包括利益を通
じて公正価値で測定される金融資産 186,036 13,693 4,260 203,989
振替えられないその他の包括利益を
通じて公正価値で測定される金融資
産 24,336 1,914 613 26,863
金利リスクに対してヘッジされた
ポートフォリオの公正価値調整の累
計額-資産 1,104 1,104
公正価値で測定される金融資産合計 367,621 71,406 37,767 476,794
公正価値で測定される金融負債
損益を通じて公正価値で測定される
金融負債 419 8,793 9,212
売買目的保有デリバティブ金融商品 4,743 138 4,881
負の公正価値を有するヘッジ手段 10,134 325 10,459
金利リスクに対してヘッジされた
ポートフォリオの公正価値調整の累
計額-負債 1,507 1,507
公正価値で測定される金融負債合計 419 25,177 463 26,059
117/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
観察可能なイ 観察不能なイ
活発な市場で ンプットを用 ンプットを用 2021 年
建値: いて測定: いて測定:
12 月 31 日現在
( 百万ユーロ ) レベル1 レベル2 レベル3 合計
公正価値で測定される金融資産
損益を通じて公正価値で測定される金
融資産-強制的な分類 101,924 30,145 28,529 160,598
損益を通じて公正価値で測定される金
融資産-公正価値オプション 5,244 34 499 5,777
ユニットリンク契約を担保する資産 73,594 4,806 79 78,479
売買目的保有デリバティブ金融商品 1 2,348 1 2,350
正の公正価値を有するヘッジ手段 5,865 223 6,088
振替えられるその他の包括利益を通じ
て公正価値で測定される金融資産 222,435 13,420 2,702 238,557
振替えられないその他の包括利益を通
じて公正価値で測定される金融資産 27,112 2,217 406 29,735
金利リスクに対してヘッジされたポー
トフォリオの公正価値調整の累計額-
資産 346 346
公正価値で測定される金融資産合計 430,310 59,181 32,439 521,930
公正価値で測定される金融負債
損益を通じて公正価値で測定される金
融負債 619 1,890 2,509
売買目的保有デリバティブ金融商品 2,939 58 2,997
負の公正価値を有するヘッジ手段 6,690 377 7,067
金利リスクに対してヘッジされたポー
トフォリオの公正価値調整の累計額-
負債 145 175 320
公正価値で測定される金融負債合計 764 11,519 610 12,893
118/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
当グループの金融商品の一部は、「活発な市場で建値されている」価格を用いて測定されている(公正価値ヒエラル
キーのレベル1)。
これには以下が含まれる。
- 参照市場の市場価格に基づいて測定される株式
- 債券、ユーロ MTN 、 BMTN (譲渡性 MTN ):各金融商品について、価値は証券取引所、ブローカー、トレーディング・
ルームまたはトレーディング・プラットフォームにおいて入手可能な直近の市場価格に基づいて決定される。
- 純資産価額で測定される UCITS およびその他のファンドのユニット
- フランス銀行の中央建値システムに基づく建値で測定されるフランス国債( BTAN )
- 組織化された市場で取引されるデリバティブ金融商品(先物、オプションなど)
「観察可能なインプットを用いて測定される」金融商品(ヒエラルキーのレベル2)は、以下の価格を用いて測定され
る金融商品に関連している。
- 同じ発行体または保証人による、活発な市場で建値されている類似の金融商品。この場合、価格およびその他の観
察可能な市場のインプットが使用され、金融商品の非流動性の程度を考慮して調整がなされることがある;また
は、
- 定期的に観察可能な取引が行われている活発でない市場で建値されている同一もしくは類似の金融商品、または観
察可能な市場価格以外のインプットを用いて測定される金融商品。
これには以下が含まれる。
- 当グループ、アレンジャーまたは外部鑑定人により評価される仕組み商品
- 店頭デリバティブ契約
- スプレッドを加算したゼロ・クーポンの価格曲線に基づいて測定された、フランス国債証券以外の短期金融証券。
デリバティブは、評価に使用される市場インプットの観察可能性と、市場コンセンサス内で評価を提供する際の有効性
の観点から測定された評価モデルの堅牢性を組合わせた分析に基づいて分類される。この アプローチは、 フランス 預金供
託公庫グループがその活動をヘッジするために使用したデリバティブが主にレベル2に該当していることを示している。
「観察不能なインプットを用いて測定される」金融商品(ヒエラルキーのレベル3)は、観察可能な市場データに基づ
かないインプットを用いて測定される金融商品に関連している。これらは、測定日に同一の金融商品に関連する観察可能
な市場取引にも、同じ日に入手可能な観察可能な市場データにも基づかないインプットと定義される。
これらの商品は、主に非上場の参加持分、アセットバック証券およびヘッジ目的デリバティブである。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産として分類される非上場の参加持分の市場価値は、純資産、
将来の収益性および割引将来キャッシュ・フローといった特定の基準を参照して計算される。
119/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.6.3 観察不能なインプットに基づく技法を用いて公正価値で測定される金融商品の価値の変動(レベル
3)
振替えられる
振替えられな
その他の包括
いその他の包
損益を通じて
利益を通じて
括利益を通じ
公正価値で
公正価値で測
て公正価値で
測定される 定される
測定される金
( 百万ユーロ ) 金融資産 金融資産 融資産 ヘッジ手段 合計
2021 年1月1日現在 24,133 1,598 741 325 26,797
追加 6,358 690 28 46 7,122
処分および償還 (4,176) (96) (4,272)
ステージ3への振替また
はステージ3からの振替 (18) (283) (301)
その他の包括利益におい
て認識される当期損益 (47) (12) (59)
損益に認識される当期損
益 1,185 (53) 1,132
為替換算調整 6 6
連結範囲の変更の影響お
(1)
よびその他の変動 1,626 744 (357) 1 2,014
2021 年 12 月 31 日現在 29,108 2,702 406 223 32,439
追加 7,478 2,879 203 710 11,270
処分および償還 (3,983) (221) (4) (67) (4,275)
ステージ3への振替また
はステージ3からの振替 (821) 136 (685)
その他の包括利益におい
て認識される当期損益 (1,213) 15 (1,198)
損益に認識される当期損
益 (100) 287 187
連結範囲の変更の影響お
よびその他の変動 59 (23) (7) 29
2022 年 12 月 31 日現在 31,741 4,260 613 1,153 37,767
(1) 主に CNP Assurances についての期首修正による。
2.7 金利指標改革
2022 年初め、「 IBOR 」銀行間金利は「 RFR 」代替金利に置き換えられた。さらに、英ポンドおよび日本円の LIBOR 設定
(1カ月物および6カ月物)は銀行から提供されなくなり、現在は新金利への移行を管理する目的でのみ「シンセティッ
ク」ベースで公表されている。欧州の EONIA 指数は、 2022 年1月3日に最後に公表された。 Euribor 指数の今後の置き換え
に関する発表はないため、後者は提供される定量的データから除外されている。
2022 年 12 月 31 日現在、フランス預金供託公庫グループは、以下のとおり米ドル Libor にさらされている。
・デリバティブに係る 2,179 百万ユーロの名目金額
・金融資産に係る 631 百万ユーロの帳簿価額および金融負債に係る 523 百万ユーロの帳簿価額
銀行が提供する形式での米ドル Libor 金利(翌日物、3カ月物、6カ月物、 12 カ月物)の公表は、 2023 年6月末をもっ
て中止されなければならない。フランス預金供託公庫グループは、遅くともこの日までに関連する契約を移行する予定で
ある。
次へ
120/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8 リスク要因
2.8.1 ウクライナ紛争が当グループのリスクに与える影響
2.8.1.1 ウクライナおよびロシアに対するエクスポージャー
フランス預金供託公庫グループならびにその産業および商業子会社のウクライナおよびロシアならびにその近隣諸国
における プレゼンスは限定的である。
紛争初期から、 フランス預金供託公庫および その子会社のチームは、人的、物理的および財務的な観点からロシアと
その同盟国であるベラルーシに対する当グループのエクスポージャーを特定することに取り組んできた。
当グループの子会社の中では、ラ・ポスト・グループのみが子会社のDPD Russiaを通じてロシアで事業を行ってい
る。2022年2月28日現在、ラ・ポスト・グループはロシアとのすべての輸出入を停止し、2022年5月5日、ラ・ポス
ト・グループはロシア市場から撤退する決定を下した。これにより、現在の状況、子会社が直面している困難および売
却に伴うリスクを考慮して、無形資産および有形固定資産は2022年に全額減損処理された。出荷される荷物の内容が輸
出品に対する国際的制裁に準拠し、ロシアの紛争遂行を支援しないよう適切な取り決めが行われている。
フランス預金供託公庫および その子会社は、民間での資金調達および市場融資の点でロシアから完全に独立してお
り、必要な措置を講じる際の独立性が確保されている。
フランス預金供託公庫の 一般部門は、ロシアおよびベラルーシに対して直接的な金融エクスポージャーを有していな
い。長期にわたるパートナーシップおよび資金から生じるエクスポージャーはごくわずかである。しかしながら、国際
法に従ってこれらの国々でのポジションを閉鎖するためにあらゆる可能な措置が講じられており、現在も講じられてい
る。
La Banque Postale にとって、ウクライナとロシアの紛争から直接生じるリスクという点では、この状況による影響
はかなり限定的であり、その融資ポートフォリオはいずれの国のエクスポージャーにもさらされていない。 La Banque
Postale の子会社である CNP Assurances はわずかなエクスポージャーを有している。融資ポートフォリオに関して注目
すべき主な点は、特に La Banque Postale から融資を受けている、その取引の大部分をロシアとの間で行っているフラ
ンスの法人顧客に対するこの状況による間接的な影響によるものである(当グループのコンプライアンス部門は紛争勃
発時に、制裁対象となる個人顧客および法人顧客の口座、資産および取引を特定し、入念に監視する措置を直ちに行っ
ており、これらの措置は現在も有効であることに留意されたい。)。 La Banque Postale は、紛争によるマイナスの外
的影響、すなわちインフレの急激な上昇ならびにより広範な金利環境および他のマクロ経済への影響により、融資ポー
トフォリオの信用度が(現時点ではまだ目に見えていないものの)著しく悪化する可能性にさらされている。
ロシアまたはベラルーシに対するエクスポージャーを有していない SFIL グループにとって、ウクライナ紛争の影響は
極めて限定的である。 SFIL のウクライナにおけるエクスポージャーは1件のみで、 2022 年 12 月 31 日現在の残高は 53 百万
ユーロおよびオフバランスシートの資金調達コミットメントは 1.9 百万ユーロであった。このエクスポージャーは輸出
信用業務の一環として生じたものであり、フランス政府によって全額保証されている。 したがって、 SFIL は今回の資
金調達において信用リスクに直接さらされることはない。
主にフランス企業に資金を提供するという役割を考慮すると、 Bpifrance グループはロシア、ウクライナおよびベラ
ルーシに対する直接的なエクスポージャーは極めて限定的である。現在の低いエクスポージャーは、フランスの輸出業
者を Bpifrance が支援する中での、ウクライナのバイヤーに対する輸出信用融資に関連している。 Bpifrance
Participations がロシア企業に行った3件の株式投資は、これまでフランス、欧州または米国の経済制裁の影響を受け
ていないが、現在欧州および米国の経済制裁を受けているロシアのパートナーとともに行われたもので、うち2件は
2022 年の第2四半期に売却され、3件目の販売契約がまとまりつつある。このポジションは、 2022 年 12 月 31 日に
Bpifrance グループの貸借対照表で全額償却された。
121/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
Bpifrance グループには Bpifrance Assurance Export が含まれており、同社はフランス政府の名義で、これに代わっ
て、またこの管理下でフランスの輸出業者に支援を提供していることに留意されたい。そのため、この子会社はフラン
スの輸出に対する政府援助に関する交渉、実施および監視に携わっている。これらのエクスポージャーは、
( Bpifrance のバランスシートではなく)国が直接負担しており、ウクライナについては 560 百万ユーロ強、ロシアにつ
いては約1十億ユーロに相当する。
2.8.1.2 この危機がフランス預金供託公庫グループの信用リスクに及ぼす影響
当グループのウクライナおよびロシアへの直接的なエクスポージャはかなり低いにもかかわらず、金利およびインフ
レの上昇に伴う経済および市場の不確実性は、最もエクスポージャが高いセクターの企業の財政状態に重大な影響を及
ぼす可能性がある。したがって、フランス預金供託公庫およびその子会社は、紛争の影響を非常に受けやすい事業また
は収益を抱える 当 グループの取引先の信用度が悪化するリスク(供給困難、原材料価格の 高騰 および燃料費の影響によ
る部門の見通しの悪化)を注意深く監視している。
特定のセクターおよび顧客セグメントにおける保守的な措置によって浮き彫りとなったリスクおよび引当金のコスト
の見直しにより、 2022 年に当グループの銀行子会社が保有する融資ポートフォリオの損失実績に顕著な変化は生じな
かった。したがって、紛争に関連するリスクコストの大幅な増加は見られなかった。
2.8.1.3 資産の減損
フランス預金供託公庫グループの金融ポートフォリオおよび株式投資の価値 は、当グループの手続きに従って、関連
するエクスポージャーの財務健全性に対する紛争のすでに目に見えている、および予想される影響を考慮して、基礎と
なるマクロ経済シナリオおよびインプットの見直しとともに 2022 年に見直された。
2.8.1.4 流動性リスクの影響
フランス預金供託公庫の流動性準備金およびその子会社の流動性の慎重な管理を考慮すると、フランス預金供託公庫
グループの流動性ポジションは悪化しておらず、引き続き健全である。フランス預金供託公庫およびその子会社の信用
力により、計画された資金調達業務の実行が可能であった。
2.8.1.5 ウクライナ紛争に関連したコンプライアンス・リスク・エクスポージャーおよび当グループの対策
2022年2月23日にウクライナで紛争が勃発したことを受け、ロシアに対する国際的な制裁が強化された。銀行業務な
らびに産業および商業活動に関連する重要な制裁関連のコンプライアンス問題を考慮して、コンプライアンスおよび金
融セキュリティの手続きおよびツールがこの新たな状況に適用された。
フランス預金供託公庫 のチームは、ロシアおよびベラルーシを出入りする資金の流れを効果的にスクリーニングし、
欧州当局が発表した制裁および資産凍結措置を実行するために、コンプライアンスおよび金融セキュリティ・システム
の堅牢性を強化する最善の取り組みを展開した。また、当グループの子会社も、新たな金融セキュリティおよびコンプ
ライアンスの要件を満たすために対策を講じた。
フランス預金供託公庫 が講じた主な措置は以下のとおりである。
・ 制裁後のフローのスクリーニング・システム : フランス預金供託公庫 のスクリーニング・ツールは、単一で、即時
の、かつ大規模なフローに関する最新の制裁リストに合わせて定期的に更新されており、リストに記載された個人
または団体に対して資産凍結手続きを開始できるようにしている。
ロシアのサードパーティーに対して二重検証が導入され、ロシアおよびベラルーシを行き来するすべてのフローに
対して情報の要求が体系的に行われる。
122/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
La Banque Postale でも同様の措置が講じられている。 La Banque Postale の支払部門では、ロシアへの支払用チャ
ネルが4月 26 日から閉鎖されており、ロシアへの継続発注も停止されている。ウエスタンユニオンの郵便為替事業
との関連では、ロシアおよびベラルーシのルート(送金)も 2022 年3月3日から閉鎖されている。
保険事業においては、 CNP Assurances がフランスおよびイタリアでロシアのリスクにさらされているファンドを凍
結した。
SFIL では、危機の初めに実施されたスクリーニングに基づき制裁の対象となる取引関係はない。
・ プロファイリング・システム : 2022 年3月1日現在、 フランス預金供託公庫 内でアラートプロファイルの処理を担
当するすべての担当者は、ロシア語圏との潜在的なつながりを持つ受益者を特定するために厳格な顧客管理を行う
義務があることを認識している。
フランス預金供託公庫 のプロファイリング・ツールには、カントリー・リスクおよび閾値に基づいてアラートを生
成するトランザクション指数が含まれている。高リスク国として、ロシアへのフローおよびロシアからのフローは
最低閾値が設定されている。
TRACFIN (フランス財務省のマネーロンダリング対策部門)に報告を行う従業員を対象とした、制裁対象者が関与
する取引の場合の警戒方法および報告方法についての意識向上セッションが開催されている。
同様の意識向上トレーニングが、未請求資産( Ciclade )および委託資産の回収に従事するチームに対しても開催
された。恒久的統制およびコンプライアンス部門の金融セキュリティ・チームへの上層部への報告システムが導入
されている。
最後に、フランス預金供託公庫グループの各 会社 は、金融監督破綻処理機構(ACPR)およびフランス財務省に対する
統合報告義務を果たした。
2.8.1.6 ウクライナ紛争に関連したオペレーショナル・リスクおよびサイバーリスクへのエクスポージャー
紛争初期から、フランス預金供託公庫 および その子会社のチームは、紛争地域に 滞在している 可能性のある 職員 の安
全を確保した。 また、 ロシア人またはウクライナ人スタッフを雇用している東ヨーロッパのグループ子会社に関連した
人事問題にも対処した。
情報システム・セキュリティに関しては、ウクライナ紛争により、フランスの金融機関および企業を含め、世界中で
サイバー・セキュリティ攻撃の脅威が大幅に増大した。この高度な脅威に対処するため、 フランス預金供託公庫 および
その子会社のサイバー・セキュリティ・システムは当グループと連携して強化された。 2022 年 12 月 31 日現在、 フランス
預金供託公庫 グループにとって、ウクライナにおける紛争に関連した重大なサイバー・セキュリティ・インシデントは
発生していない。
2.8.1.7 フランス預金供託公庫グループのウクライナ国民との団結
フランス預金供託公庫は、紛争が始まって以来、ウクライナでの 紛争 を注意深く監視しており、 当 グループ は ウクラ
イナ国民と 団結する ことを改めて表明したい。 監督審議 会の承認に従い、フランス預金供託公庫はウクライナの戦争犠
牲者を支援するために累計 1百 万ユーロの寄付金を支払 う約束をし 、 これは ウクライナ領土に支援を提供している赤十
字 と、 受入国に到着するウクライナ人を支援して いる 国連難民高等弁務官事務所に 均等に分けられた 。当グループの子
会社レベルでは、約2,100人を収容できる530戸 超 の住宅がウクライナ難民に提供されており、ウクライナ難民のための
輸送はヨーロッパ各国の地方自治体 により整備 されている。最後に、 ラ・ポスト・ グループは、銀行活動 ( 銀行口座開
設のための簡素化されたシステムの導入、ウクライナへの無料電信送金 ) および産業活動 ( 小包 および 必需品の無料配
送 ) を通じて重要な 対策 を 講じた 。 例えば 、2022年 3 月 1 日から 5 月27日までの間、La Banque Postale レベルでは、
3,000 件超のウクライナ難民との接触があった 。
123/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.2 リスク要因およびリスク選好戦略
フランス預金供託公庫は、 その 公益 上の 使命を遂行し、長期投資家としての役割を果たすために、以下の目的を満た
すリスク選好原則を採用している。
・民間資金の受託者として委託された貯蓄・預金を保護すること。
・ カウンターシクリカル な行動をとる能力を維持するための長期ビジョン (最低5年間) に焦点を当てた戦略を実行
すること。
・将来の金融、環境および社会面での恩恵を生み出すことを目的として経済 と 社会のバランスのとれた持続可能な開
発に資する投融資プロジェクトを支援し、地域、地域 住民および 経済 基盤 に役立つ新機軸を打ち出すこと。
・特に気候変動等のシステミック・リスクの統合を通じた公益 上の 使命のため 、 エクイティの強化を図る こと 、財政
基盤 を 強化 するため 投融資に財務 ・ 管理 ・ 分散 方針 を適用する こと。
・ 適用ある 法令を遵守し、最善の倫理的慣行を採用し、イメージを損なうような非財務リスクを注意深く管理するこ
とにより、フランス預金供託公庫の 評判 を守ること。
フランス預金供託公庫の子会社は、この一般的な枠組みを遵守し、各企業の事業内容やビジネス・モデルに応じ て 具
体的な施策を、それぞれのリスク管理方針の中に組み込んでいる。
リスク選好とは、当グループまたはグループ企業体がその戦略的および業務上の目標を達成するために受け入れる準
備のある、または回避しようとするあらゆる種類のリスクのレベルを意味する。銀行規則または金融規則の対象となる
事業体については、そのリスク選好度は、金融機関に適用される規則によって定義される。
毎年、フランス預金供託公庫の監督審議会は、 枠組み文書および リスク・アペタイト・ステートメントの中で示され
たリスク選考度の水準 および原則 について意見を述べる。リスクの主要分類ごとに、定性的な原則および/または測定
基準を用いてリスク選好度を管理している。これらの測定基準には、フランス預金供託公庫の財務目標、 ならびに 公益
活動および公的機関からの委託を考慮に入れた閾値および/または限度が含まれることがある。これらの 閾値 または 限
度 を超えた場合は、 上層部への報告 プロセスが 実施 され、 かかる数値 を設定された警告レベル未満に戻すための是正措
置計画 が策定される 。
当 グループ の 各 金融機関 は、少なくとも年に一度は、統治機関が自らのリスク選好について議論することを確保して
いる。このリスク選好度は、 監督審議会 が承認した当グループのリスク選好度と 一致してい なければなら ず 、また 各企
業 の執行および意思決定機関によって承認されなければならない。
リスク選好度は、 当 グループ の リスク管理部門が毎年作成するリスクマップに基づいてい る 。リスクマッピングの 実
行 は、フランス預金供託公庫グループのリスク分類法で表される、 当 グループのリスク領域全体を網羅する相互に関連
する 3 つのリスクマップを対象としてい る 。 当 グループの非財務業績報告 書 との 関連が より 深まるよう 、より詳細な
ESGリスク がリスク 分類 法 に追加された。
リスクマップチャートは以下のとおりである。
・公的機関に関連する財務リスク。
・当グループに関連するオペレーショナル・リスクおよびコンプライアンス・リスク(これらは 2022 年にマッピング
が開始された。)。
・グループの統合リスク。
こ れらは執行委員会および監督審議会に提出され る 。
リスクマップは、公的機関および 当 グループがその構造 および 事業の観点から直面する重大なリスクを特定し、評価
するために 用いられる 財務 リスク および オペレーショナル・ リスク の 管理ツールで ある 。
124/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
フランス預金供託公庫およびその子会社の 事業 活動から生じるリスクは、 当 グループのリスク分類法における以下の
リスク 体系 に従って分類され る 。 当 グループのリスク分類法 は、当 グループの金融 機関および 非金融 機関 に共通言語を
提供する ものである。
・戦略リスクおよびガバナンス・リスク。
・オペレーショナル・リスクおよびコンプライアンス・リスク。
・財務リスク。
・保険リスク。
2.8.3 当グループの内部統制、リスク管理およびコンプライアンス体制の全体構造
2.8.3.1 適用規則
2020年 2 月 5 日 付政令 第2020-94 号 第 4 条に従い、フランス預金供託公庫の 内部統制および外部統制の体制 には以下
が含まれなければならない。
・ 内部手順および運用の統制。
・経理および情報処理部門。
・リスクおよび業績を測定するシステム。
・リスクを監視し、管理するシステム。
・文書化および情報システム。
・キャッシュ ・ フロー および 証券フローを監視するシステム。
フランス預金供託公庫 は、同 政令 第 5 条 およ び第 6 条の規定に従い、この方針がグループ全体に適用されることを確
保しなければならず、すなわち これは 、以下のことを意味する。
・フランスの会計基準設定主体(Comit éde la r églementation comptable -CRC)の改正規則第99-07号(1999年11月24日
付)またはIFRS基準、政令第2020-94号またはこれらの企業に適用されるその他の内部統制規定の意味において、独
占的または共同支配力を行使するすべての企業から 尊重される ことを確保するために必要なすべての資源を動員す
ること。
・連結 レベル でのリスクの測定、モニタリング および 管理が行えるよう、各社間のシステムの整合性を確保するこ
と。
・これらの会社が、連結レベルでのリスクのモニタリングに使用できる関連情報およびデータを作成するための適切
な統制システムおよび 手順 を有していることを検証する こと 。
同 政令 は、 金融 機関および投資会社の 健全性 要件に関する EU 規則第575/2013号の 健全性 規定を 、 必要な調整を加え た
上で 適用する。
内部統制 システム はまた、フランスの金融市場当局 ( Autorit é des march és financiers -AMF) の一般規則ならびに
当グループの異なる事業体に適用される特定の規制(特に、フランスの健全性監督破綻処理機構( Autorit é de
contr ô le prudentiel et de r ésolution -ACPR)の監督 下にある銀行セクター、決済サービスおよび投資サービス企業
に対する内部統制に関する 2014年11月 3 日 付政令ならびに マネーロンダリングおよびテロ資金対策ならびに資産の凍
結、経済的資源または資金の提供または利用の禁止に関する内部統制およびシステムに関する2021年1月6日付政令 )
および 専門事業(例えば、ポートフォリオ管理、保険) に適用される特定の規制 を遵守しなければならない。
125/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.3.2 内部統制およびリスク管理システムの主要関係者
フランス預金供託公庫の会長兼最高経営責任者は、当グループの内部統制 、 リスク管理システム およびコンプライア
ンス・システム全体 に対して責任を負っており、当グループのリスク管理および コンプライアンス 方針ならびに内部統
制原則 (恒常的統制および定期的統制) を明確に してい る。会長兼最高経営責任者は、主要 な内部統制およびリスク管
理報告書を受取っている。
フランス預金供託公庫の一般部門の理事および子会社の責任者は、当グループが定義した方針を、各々の報告範囲内
で、その固有の規制に従い、展開する責任を負う。
これらの事業体の中で、ライン・マネージャーは、特に業務の手続きおよび分離に関して、その自身の部門内に効果
的なリスク管理プロセスを構築する。ライン・マネージャーは、その業務が、事業体特有の規定(適用法令、職業上の
基準および管理上の指示を含む。)に準拠し、当グループが明確にしている方針に沿ってこれらが適用されることを確
認する。
当グ ループ の レベルでは、グループ ・ リスク 管理 部 門およびフランス預金供託公庫 の恒久的統制・ コンプライアンス
部門 が防衛の第二線を形成してい る 。事業体のリスク管理、 恒常 的 統制・ コンプライアンス 部門 は、これらの事業体の
責任者 の権限の下 で 、 そ の子会社において、リスク管理(コンプライアンス・リスクを含む 。 )および恒 常 的 統制 システ
ムを実施する。
グループ ・ リスク管理部 門はグループ・リスク管理システムについて責任を負っている 。 同部門は 当グループが明確
にした リスク 選好 度を考慮したリスク管理フレームワークを策定し、実行してい る 。
グループ恒常的統制・コンプライアンス部 門 は、恒常的統制の完全性の原則とリスクベースのアプローチを組み合わ
せた統制計画を通じて、 業務 機能から独立した第二層 の 恒 常 的統制システムを組織する責任を負っている。そのため
に、子会社の恒常的統制部門が支援し、フランス預金供託公庫グループのグループ恒常的統制規約を正しく実行するこ
とを確保する。また、2020年2月5日付政令第2020-94号で定義されているように、コンプライアンス・リスクを防止
するためのシステムにも責任を負っている。特に、フランス預金供託公庫に適用される恒久的な統制およびコンプライ
アンス規則の変更と、それらが当グループ内でどのように実施されているかを監視している。
グループ監査部門は、内部統制システム 内の 定期的な統制に責任を持ち、公 的 機関および独占的または共同支配下の
子会社の範囲にわたって活動する。 同部門は 子会社を監査する権利を行使し、子会社の監査部門から構成されるグルー
プの内部監査ネットワークを調整し、特にグループ ・ レベルでの定期的統制に関する行動を調整する。グループ監査部
門は 、フランス預金供託公庫 の 統治機関 によって承認された複数年プログラムに従 って 独立して活動しており、定期的
に報告(業務の遂行、提言の実施)を行ってい る 。
2.8.3.3 組織
2.8.3.3.1 恒常的統制
恒常的統制システムは、サービス提供者に外部委託された、銀行および金融規制の意味において必須または重要と
みなされる業務を含む、事業報告範囲内の部門、子会社およびその他の事業体のすべての業務を対象としている。
統制 には 、業務上の統制(第一層)と統制担当職員による作業(第二層)の2 つのレベルがある。
・第一層は、処理されるすべての業務が適切に行われることを確実にすることを目的とした統制で構成される。こ
れらは、オペレーショナル・チームおよびそのそれぞれのマネージャーによって実行される。当該マネー
ジャーは、自己が責任を負う業務が適切に行われることを確保する。第一層の統制は、機能の分離、権限の委
譲および承認限度、ならびに処理されたすべての項目とデータ・フローの正確性および網羅性の原則に則って
設計されている。また、第一層の統制は、自動取引処理システムによる統制も含んでいる。
126/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
・第二層の統制は、当グループの恒常的統制・コンプライアンス部門および子会社の恒常的統制・コンプライア
ンス担当者の責任である。この第二層は、行われる業務のコンプライアンス、セキュリティおよび承認の統制
に寄与する。また、第一層の統制システムが、関連するリスクと実行される業務に対して適切であることを確
実にすることも目的としている。統制は、リスクマップ、警告フラグおよび事象を参照して定義されている。
フランス預金供託公庫の恒常的統制の原則は、執行委員会で承認された参照文書である「グループ恒常的統制規
約」に示されている。この規約は、フランス預金供託公庫の一般部門のすべての部門 ( 「部門」 ) およびその支配する
事業体に適用される。恒常的な管理は、文書化された手順書および正式に文書化された統制プロセスに基づいてい
る。
フランス預金供託公庫の一般部門のすべての第二層の統制計画、統制結果、統制すべき事象および対応する行動計
画は、グループ全体のアプリケーションに保管されている。他の事業体は、内部統制監査追跡の信頼性および特定さ
れた事象のトレーサビリティを確保するためのアプリケーションを開発している。
2.8.3.3.2 リスク管理
フランス預金供託公庫グループは、当グループのリスク管理フレームワーク全体に従って、それらに適用される規
定を損なうことなく、それらの業務および固有リスクの程度に適合したリスク管理および防止システムを導入しなけ
ればならない。
フランス預金供託公庫の子会社のリスクは、発生するさまざまな種類のリスクと各子会社の事業の性質に基づい
て、統合リスク管理システムに組み込まれている。一般的に、フランス預金供託公庫は以下の統合されたリスク監視
を行っている。
•金融および不動産子会社を対象とする財務リスク。
•連結範囲内の主要な子会社をカバーする非財務リスク。
流動性リスクは各グループ企業によって管理される。
2022 年、フランス預金供託公庫は第2の防衛手段およびグループのオペレーショナル・リスクの管理を以下のよう
に強化した。
・当グループのリスク管理部門内に専門部署を設置する。
・グループのオペレーショナル・リスク部門を組織し、調整する。
・グループのオペレーショナル・リスク管理方針を再検討する。
・オペレーショナル・リスクのマッピングおよびインシデント報告のためのグループ全体の基準と方法を強化す
る。
2.8.3.3.3 定期的統制
定期的統制は、第三のレベルの統制を提供し、 フランス預金供託公庫 グループ 内部監査 規約 において規定されてい
る行動原則および方法論に従って、 当グループ の内部監査および監査ネットワークによって実行される。
2.8.3.3.4 当グループの事業体に対する監督
フランス預金供託公庫グループのリスク管理部門および恒常的統制・コンプライアンス部門は、 当 グループ の 各 事
業体 のリスク管理、恒常的統制・コンプライアンス部門と機能的な関係を有 している 。
事業体 のリスク、恒常的統制・コンプライアンス の担当役員 は、リスク管理システムに関 しては グループ ・ リスク
管理部門 に 、コンプライアンスおよび恒常的統制の観点から識別されたリスクに 関しては グループ恒常的統制 ・ コン
プライアンス部門に報告する。その後、 各部門 に直接介入を依頼することもある。
当 グループの 各 金融子会社は、それぞれの 事業 と構造に適応 した リスク・モニタリングのアプリケーション および
プロセスを配備している。
グループ ・ レベルの指標は、子会社から提供された情報(リスク報告、連結リスクプロファイル等)に基づき、グ
ループ ・ リスク管理部門がモニタリングしている。
フランス預金供託公庫 から派遣された理事 は、 子会社の グループ監査・リスク委員会 の委員を務め 、グループ ・ リ
スク管理 部門 と連携して、グループ ・ リスク管理 規約 に 示 された すべての グループ ・ リスク管理 手法 を 遵守すること
を確保する 。
2.8.3.3.5 統治機関および報告
リスク・恒常 的 統制・コンプライアンス委員会 は、年に2回、会長兼最高経営責任者を議長として、 グループ内の
リスク管理 および 内部統制の状況を 検査する 。
127/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
グループ・リスク管理 部門は以下を 提示する。
•執行委員会 向けの 月次リスク概要。
•主にリスク選好 水準 の遵守状況を検証するため、執行委員会および 監督審議会向けの 当グループのリスク・プロ
ファイルに関する四半期報告書。
•執行委員会および監督審議会向けに行われるリスクマッピングの結果
恒常的統制・コンプライアンス部門は、公的機関および主要子会社が実施している恒常的統制の状況について、あ
らかじめ定められた頻度で、適切な形式で情報を提供する。
グループ恒常的統制 ・ コンプライアンス部門は、フランス預金供託公庫の内部および外部的統制に関する2020年 2
月 5 日付 政令 第2020-94号の要件に従い、特に半期毎の報告を通じて、 監督審議会 に 恒常的 統制・コンプライアンス
に関する報告を行う。
グループ 監査 部門 は、定期的にフランス預金供託公庫の統治機関に報告を行ってい る 。その多年度監査計画は毎年
更新され、会長兼最高経営責任者( 執行 委員会へのプレゼンテーション) および監督審議会 (監査・リスク委員会への
プレゼンテーション後)によって順次承認される。さらに、グループの内部監査ネットワークの業務に関する年次報
告書、監査人および規制当局の勧告に関する進捗報告書(四半期ごとに執行委員会へのプレゼンテーションを行い、
半期ごとに監査・リスク委員会のレビューを経て 監督審議会 に提出する 。 )をこれらの機関に提供している。また、
グループ監査 部門は 毎年、 フランス預金供託公庫 の内部統制 システム の 構造および 目的のプレゼンテーション に貢献
してい る。
年次内部統制報告書が作成され、 監督審議会 に提出され、2020年2月5日 付政令第 2020-94 号 に従いフランスの健
全性監督破綻処理機構(ACPR)に提出される。
2.8.4 財務リスク
2.8.4.1 信用リスクおよびカウンターパーティ・リスク
2.8.4.1.1 信用リスクの定義および範囲
信用リスクは、支払期日に支払不能となる可能性がある借手の信用状態の悪化による、債権に係る現在または将来
の損失リスクである。
フランス預金供託公庫グループ内の信用リスクは、 2020 年2月5日付政令第 2020-94 号第4章第2節に従い管理さ
れており、具体的には第 63 条により、フランス預金供託公庫は以下の事項を行うために信用リスクの選択および管理
手続きを行うことが求められている。
・単一のカウンターパーティまたは関連顧客の単一のグループとみなされる複数のカウンターパーティからのバ
ランスシート・リスクおよびオフバランスシート・リスクを 一元的 に識別する。
・重要性がある場合には、日々の信用リスクを含む定性的および定量的な情報に基づき、異なるリスク・レベル
の区分を設定する。
・文書化された方針および手続きによって集中リスクを理解し管理する。
・文書化された方針および手順により残留リスクを理解し管理する。
・コミットメントが信用方針に従って適切に分散されていることを確認する。
グループ内では、信用リスクは主に、貸付金および債権ポートフォリオならびに償却原価で測定される有価証券ま
たはその他の包括利益を通じて公正価値で測定される有価証券ポートフォリオにより、フランス預金供託公庫の一般
部門、 La Banque Postale および SFIL に影響を及ぼす。
128/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.1.2 信用リスク管理およびガバナンス
2.8.4.1.2.1 ガバナンス
執行委員会は、リスク管理の基本原則 ( 戦略的ガイドライン、価値観、リスク選好、ガバナンス、当グループ包括
基準 ) を設定する。これらの原則は、監督審議会の承認を受けた後、グループ・リスク管理部門の監督の下で、各規
制対象の事業体が独自のガバナンスを通じてリスク管理体制を明確にし、フランス預金供託公庫の一般部門の各事業
ラインが重点的に取り組むべき事項および関連するリスクを明確にするために利用される。
規制対象の事業体は、信用リスク、カウンターパーティ・リスク、規制リスクを網羅した手続きハンドブックを有
している。これらの規則および手続きは、グループ・レベルで定義され、各事業体のリスク選好度に織り込まれてい
るリスク選好度と一致している。
事業体は、これらの限度枠を設定する方法およびかかる限度枠の遵守状況を監視するための IT システムを有してい
る。この手続きには、これらの信用リスク、カウンターパーティ・リスクおよび決済リスクの限度を超過した場合の
処理およびエスカレーション・ルールが含まれる。
2.8.4.1.2.2 保証の付与および確保に関する方針
当グループ内での保証の審査および付与のプロセスは、リスク分析、信用格付および / またはスコア、委任規則お
よび専門家委員会 ( 地域および政府のコミットメント委員会、信用委員会 ) ならびに限度設定規則を介して、顧客区分
または活動の種類に特有の正式なリスク選定システムに基づいている。投資限度額に関しては、第三者には体系的に
スコアリングを行い、コミットメントの総額を含むように設計された個別の限度額を割り当てる。必要に応じて、こ
れらの個々の限度は、同一の事業グループに属すると考えられる第三者のグループからのエクスポージャーに適用さ
れる「グループ」限度と組み合わせられる。個別限度およびグループ限度は、集中リスクを軽減するように設計され
た部門別または地域別限度と組み合わせることもできる。
フランス預金供託公庫グループは、信用リスクの最小化に努めている。そのために、意思決定に不可欠なファイル
や相手先の質に加え、相手先が債務不履行に陥った場合の損失を限定するための保証を求めている。貸付に対する保
証の性質および水準は顧客セグメントにより以下のとおり異なる。
・法律専門職(フランス預金供託公庫の一般部門の範囲):貸付は、通常、保証機関からの保証、または抵当 もしく
は個人保証の形での保証を伴うが、必ずしも付随するものではない。保証 (現物による保証、人による保証およ
び混合保証) のルールは、コミットメントの種類や顧客によって異なるが、コミットメントハンドブックおよび
一般的な尺度で定義されている。
・住宅ローン(La Banque Postaleの範囲):一般的な原則は、いかなる 融資 も 、 当グループのリスク管理方針に
従った適切な水準の 補償 を提供する保証によって100%担保されなければならないということである。主な担保
形態 は、第一順位の抵当、金融商品 (生命保険証券、証券口座、REITユニット) の差入れ、およびフランスの2
つの主要組織であるCr édit LogementおよびFonds de coh ésion sociale (FGAS)を利用するLa Banque Postaleの
保証人照会委員会によって授権および承認された組織からの保証である。
・消費者信用((La Banque Postaleの範囲):一般的に無保証または無担保で供与。
・ビジネスローン(La Banque Postaleの範囲):リスク管理規則に別途規定されている場合を除き、すべてのコ
ミットメントを保証の対象としなければならない。その役割は、借り手の債務不履行(LGD)が発生した場合のLa
Banque Postaleの損失を制限することにある。付された保証はリスク管理規則に準拠しなければならず、また、
可能な限り、健全性規定により適格な担保権でなければならない。
・輸出信用、顧客貸付(SFILの範囲):個人抵当(保証)の主な提供主体は、政府機関と地方自治体である。
129/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
市場活動に対する保証は、発行体リスクまたはカウンターパーティ・リスクのいずれかを対象としている。
・発行体リスク(フランス預金供託公庫の一般部門の範囲):発行体、発行または取引保証がITシステムに記録さ
れ、当該保証人の信用リスク・エクスポージャーの計算に使用される。
・カウンターパーティ・リスク:フランス預金供託公庫グループは、店頭取引において潜在的なカウンターパー
ティ・リスクにさらされている。当グループは、 カウンターパーティ に担保の差入れや取引の相殺を要求する標
準的な契約上の取決めを体系的に利用することにより、このリスクを管理している。La Banque Postaleグルー
プは、市場活動における信用リスクについて、CRR資産目録に記載されている流動性の高い資産(第194.3条)、清
算権(第194.4条)、信用品質等級(CQS)と外部機関の評価との整合性(第197.1条)の基準を満たした場合に、レポ
取引の担保を有価証券として含めることを求めている。
取引の適格性が認められた場合には、当グループは清算機関を通じてデリバティブの清算を行う。
フランス預金供託公庫グループは、リスク・エクスポージャーを減少させるために証券化の技法を使用していな
い。
2.8.4.1.2.3 信用リスクのモニタリング ( ウォッチリストおよび不良エクスポージャーの特定 )
フランス預金供託公庫グループのリスクに対するガバナンスと監督は、 フランス預金供託公庫の一般部門 およびそ
の子会社に特有の委員会グループによって支えられている。委員会は、それらが適用される法令を(最高レベルの責
任者から最低レベルまで)遵守し、すべてのリスクが健全かつ独立した方法で管理されることを確実にすることを可
能にする。各事業体は以下の委員会を設置している。
リスクのモニタリング :
・フランス預金供託公庫一般部門のカウンターパーティ・リスク委員会またはカウンターパーティ・ウォッチリス
ト委員会。
・ La Banque Postale および SFIL のウォッチリスト委員会
これらの委員会は、信用リスクの悪化により特別な監視が必要となる資産については、モニタリングを行ってい
る。
デフォルト・モニタリングと識別 :
・フランス預金供託公庫一般部門の債務不履行カウンターパーティ委員会および引当金委員会。
・ La Banque Postale の貸付引当金の妥当性評価委員会および紛争委員会。
・ SFIL の債務不履行、 NPE およびフォーベアランス委員会および引当金委員会
これらの委員会の主要な役割のひとつは、借手に債務不履行ステータスを適用するかまたは解除するかを決定し、
不払いを真のデフォルトまたはテクニカルな不払いのどちらに分類し、不良債権エクスポージャーを抱えるカウン
ターパーティ・リストを承認し、再編済エクスポージャー・リストを承認することである。
2.8.4.1.2.4 信用リスク引当金
減損は、 IFRS 第9号を用いて計算されている。
130/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.1.2.4.1 信用リスクの大幅な増加
2.8.4.1.2.4.1.1 当グループの原則
フランス預金供託公庫グループは、信用リスクの著しい増大を評価するための7つの原則を定めており、そのうち
の1つはリテール顧客に特化したものであり、 La Banque Postale にのみ適用される。
原則1 - 信用リスクのモニタリング :IFRS 第9号に従い、コミットメント開始時から信用の質を評価する。信用の質
は、該当する資産の分類を決定するために、当初認識後の各報告日に測定される。
金融商品は、当初認識以降、信用の質に著しい悪化があった場合 ( 当該資産が貸借対照表に最初に計上された場合
またはオフバランスのコミットメントとして認識された場合の信用の質と比較して ) 「センシティブ」に分類され
る。
原則2 - 信用の質をモニタリングするための格付指標 : 当グループは、取引先の信用の質を格付けするためのシステ
ムを用いて、各契約の信用リスクをモニタリングしている。ある時点における契約の格付は、その時点におけるカウ
ンターパーティの格付に基づいて決定される。つまり、ある時点において、同一のカウンターパーティとのすべての
契約は同一の格付を有するということである。
当グループの事業体は、リスクの管理およびモニタリングに使用する内部格付モデルから導き出された格付制度を
有している。
特定の取引先および関連するエクスポージャーについて内部格付または外部格付が入手できない場合には、信用リ
スクが当初から大幅に増加しているか否かを評価するために他の方法が用いられる。内部格付または外部格付を有す
るポートフォリオについては、信用リスクが著しく増大する可能性があるか否かの評価は、当該格付に基づいて行わ
れ、必要に応じて、当該企業のリスク管理部門による定量的および/または定性的分析によって補完される。
原則3 - バックストップを追加した信用の質のモニタリング : 原則1を補完するために、当グループの事業体は、 30
日を超える支払いに基づく絶対的な閾値基準を使用することができる。 IFRS 第9号に従い、 30 日を超える支払いの延
滞は信用の質の低下を示すため、信用リスクの顕著な増加を示す指標とみなされる。また、 La Banque Postale およ
び SFIL は、資産の信用リスクが著しく増加していると考えられる絶対的な定性的水準を考慮するために格付指標も使
用している。同水準は、顧客セグメントおよび / または資産の種類ごとに設定される。
原則4 - 個人顧客を対象とする 12 カ月指標の La Banque Postale による使用 : 信用リスクの大幅な増加の評価は、資
産の残存期間に債務不履行が発生する確率を各報告日に評価することを含んでいる。 IFRS 第9号では、残存期間のデ
フォルト確率に基づいて評価するのではなく、 12 カ月のデフォルト確率が残存期間の確率の合理的な近似であり、適
切な文書によって裏付けられている場合には、これを使用することを認めている。
原則5 - 低信用リスクの免除の適用 :IFRS 第9号は、金融商品が報告日において信用リスクが低いと判断された場合
には、事業体が、かかる金融商品の信用リスクが当初認識以降著しく増加していないと想定することを認めている。
金融商品は、当初認識以降信用リスクが著しく増加していない場合には、信用リスクが低いと考えられる。「信用リ
スクが低い」は、 CRR の尺度で3以下の格付に相当する広く受入れられている「投資適格」の定義に相当するとみな
すことができる。当グループはこの免除規定を負債証券にのみ適用する。
原則6 - 定性情報の検討 : La Banque Postale のリテール顧客を除く当グループのポートフォリオについて、ステー
ジ2への移行の前提は、信用リスクの著しい増加が生じたという評価を確認または否定するために、ウォッチリスト
またはモニタリング委員会による特定の定性的分析を必要とする。
原則7 - 債務不履行前のステージ2への移行 : 信用リスクの著しい増加にさらされている資産は、可能な限り、債務
不履行前に特定される。例外的に、一部のコミットメントについては、不履行に計上される前に、ステージ2への移
行を免除することができる。
131/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.1.2.4.1.2 信用リスクの大幅な増加を評価するプロセス
導入されている運用手続きにより、カウンターパーティの信用の質の悪化の可能性を示す事象を監視/検出するこ
とが可能となる。
ステージ2におけるコミットメントの分類基準は、エクスポージャーのカテゴリーごとに以下に記述されている。
・顧客ポートフォリオ ( フランス預金供託公庫一般部門の範囲 )
・ソブリン債務およびそれに準ずる負債、中央行政機関および中央銀行
・金融機関、信用機関
・社債
・企業 (La Banque Postale の範囲 )
・リテール顧客 - 個人 (La Banque Postale の範囲 )
・リテール顧客 - 企業 (La Banque Postale の範囲 )
・公的部門事業体 (La Banque Postale および SFIL の範囲 )
ステージ3に適格でない場合、カウンターパーティの契約をステージ2に分類するために用いられる主な基準は、
以下のとおりである :
・当該事業体の信用リスクの悪化による資産監視委員会によるウォッチリストへの掲載、または当該事業体が財
務上の困難に陥った相手方に対して譲歩した後のフォーベアランスへの掲載。
・厳密に支払期日を過ぎて 31 日から 90 日の間である。
・その格付が、大幅に減損した資産を表すために用いられる絶対的水準を下回っており、例えば投資不適格の格
付 (BB+ 以下の内部格付 ) や、将来予測的なシナリオに基づくリスク格付遷移の度合いが高いこと。
かかる基準は完全なリストではなく、情報の妥当性は観察されたエクスポージャー・カテゴリーに依存する ( 但
し、 La Banque Postale の個人顧客は除く ) 。その他、信用の質の悪化やリスクの発生につながる事象については、当
該法人のリスク管理部門が、顧客のモニタリングを担当する業務部門と共に分析した上で考慮することができる。
事業部門は、発生したエクスポージャーに責任を持ち、顧客の信用の質の悪化を示す事象があれば、直ちにそれを
検出しなければならない。
ステージ3またはステージ2に分類されないすべての資産はステージ1に分類される。これらは、当初認識後、信
用リスクが著しく増加していない資産である。
信用リスクが大幅に増加した後にステージ2に移った資産は、この分類に至った基準がすべて満たされず、滞納が
一切解消された場合には、ステージ2から出してステージ1に再分類することができる。また、状況によっては、脆
弱な債務者について、再発防止の観測期間(正確な期間は、各事業体が独自の手順に従って定義する。)が必要とな
る場合がある。
2.8.4.1.2.4.1.3 ステージ3における信用減損貸付
IFRS 第9号では、債務不履行の定義は規定されていないが、事業体がリスク管理方針の目的のために用いる定義と
整合的な定義の使用を奨励している。当グループは、 EU 規則第 575/2013 号第 178 条により設定された不履行の定義お
よび欧州中央銀行の EU 規則第 2018/1845 号の規定を、期日を過ぎた信用義務の重要性を評価するための閾値に関連し
て適用している。したがって、債務不履行の債権の定義は、債務不履行の状況を特定することを目的として、支払期
日を過ぎた債権の相対的な閾値と絶対的な閾値を導入すること、待機期間後に正常債権に再分類される基準を明確に
すること、および再編済債権を不履行債権に分類する明確な基準を導入することによって明確化される。
132/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
支払期日を過ぎた支払いに適用される規制基準に基づいて債務不履行の債権を特定することに加え、金融資産は、
財政上の困難を示唆する1つまたは複数の信用事象が発生した場合に、信用が減損したとみなされる。
・不払いのリスク ( 支払いの可能性は低い ): 担保の実現のような行為に頼ることなしに、カウンターパーティが債
務の全部または一部を支払う可能性が低い場合。
・当グループのリスク管理方針に基づき、リスクの高い貸付とみなされる場合。
・たとえ不払事象が発生しなかったとしても、フランス銀行に対して過大な水準の消費者債務の免除申請を行っ
ている (La Banque Postale の範囲 ) 場合。
・その他
「債務不履行」状態からの解除は、待機期間の対象となり、これは適用される規則で規定されている期間より短く
なることはない。
2.8.4.1.2.4.2 減損 - 方法論的アプローチ - 予想信用損失 (ECLs)
2.8.4.1.2.4.2.1 予想信用損失
予想信用損失 (ECLs) は、起こりうる結果の範囲、貨幣の時間的価値および利用可能なすべての情報を評価して決定
された、偏りのない確率加重された金額を反映する方法で測定される。
2.8.4.1.2.4.2.2 12 カ月予想信用損失 (12 カ月 ECL)
各報告日において、当初認識以降、コミットメントに係る信用リスクが著しく増加していない場合には、 12 カ月間
の予想信用損失に等しい金額で引当金が測定される。
ECL12 カ月は、報告日後の 12 カ月間に債務不履行が発生した場合に生じる残存期間中の現金不足額の一部を表す。
この計算式は、ステージ1に分類されたすべてのコミットメントに適用される。
2.8.4.1.2.4.2.3 残存期間の予想信用損失 ( 残存期間 ECL)
各報告日において、当初認識以降、コミットメントに係る信用リスクが著しく増大している場合には、当該引当金
は、残存期間の予想信用損失に等しい金額で測定される。
この公式は、ステージ2またはステージ3のすべてのコミットメントに適用される。
2.8.4.1.2.4.3 ECL 算出パラメータの定義
予想信用損失は、デフォルト確率 (PD) 、デフォルト時損失率 (LGD) およびデフォルト時エクスポージャー (EAD) の3
つの主要な要素を用いて算出される。ステージ2の契約については、エクスポージャーの満期も考慮に入れなければ
ならない。
デフォルト確率 (PD): IFRS 第9号は、予想信用損失の概念には、間接的な報告日における状況に調整されたデフォ
ルト確率(ポイント・イン・タイム・デフォル確率 -PiT PD) の概念を導入している。このパラメータは、内部格付手
法についてのバーゼル規制の枠組みで適用されるサイクルの平均値(スルー・ザ・サイクル・デフォルト確率 -TTC
PD) には相当していない。この変数は、一定期間にコミットメントが債務不履行に陥る確率を推定するのに用いられ
る。 PiT PD の見積りは、将来および現在の評価に基づいており、カウンターパーティのカテゴリーにより異なる。
PiT PD は、過去 10 年間の債務不履行の平均に基づく特定の処理の対象となるフランス預金供託公庫一般部門の顧客
ポートフォリオを除く、当グループのすべてのポートフォリオに適用される。
133/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
デフォルト時損失率( LGD ): デフォルト時損失率は、割引の影響や金融商品の不履行時に発生したその他の費用
を考慮した契約キャッシュ・フローと予想キャッシュ・フローの比率に対応する。 LGD はデフォルト時エクスポー
ジャーの比率として表される。
IFRS 第9号に基づくこのインプットは、バーゼルの定義とは異なる。バーゼルⅡの目的では、デフォルト時損失率
は、健全性バッファーを含め、かつ景気後退時に生じる損失やその他の費用を反映するように調整される。
フランス預金供託公庫の一般部門のポートフォリオは内部デフォルト時損失率モデルを有しないため、 LGD は、観
察された回収実績(顧客ポートフォリオ)またはバーゼル基準に基づき一般的に使用されるレベル(証券ポートフォ
リオ)に基づいて専門家によって設定される。
La Banque Postale は、商品および保証の種類別のデフォルト時損失モデルを有するポートフォリオについては、
IFRS 第9号に従って調整されたモデル化された LGD を使用し、その他のポートフォリオに対しては、少なくとも年1
回改訂されるセグメント別、商品別および保証の種類別の専門家による分析に基づいて LGD を決定することを選択し
ている。 SFIL は、健全性の枠組み内でモデル化された LGD を使用し、 IFRS 第9号のルールを考慮して調整する。この
アプローチは、すべての重要なポートフォリオ、特に独自の税規則を有する地方自治体および組合に適用される。
デフォルト時エクスポージャー( EAD ): デフォルト時エクスポージャーは、予想信用損失の計算に使用される基
準であり、返済スケジュールの種類、時間の経過および予想される早期返済(予想キャッシュ・フロー)を考慮に入
れて、信用リスクにさらされる金額に基づいている。
減損は貸借対照表に計上された未払金額に基づいており、損失引当金は、オフバランスシートの残高(未使用部
分)を、与信換算掛目( CCF )を用いて信用エクスポージャー相当額に換算した金額に基づいている。
早期返済と時間の経過を考慮するため、ポートフォリオ別の損失引当金の計算に使用される基準には必要な場合に
は早期返済率が適用される。この比率は、経済情勢による早期返済の変動を考慮するために定期的に見直される。
満期とは、元本および利息が全額決済されなければならない貸付約定または金融商品の最終支払日、または認可金
額または認可期間が満了する日を意味する。
これは、リボルビング・クレジット・ライン、更新可能なクレジットカード・ファシリティおよび行動ベースの満
期が用いられる当座貸越の場合を除き、延長オプションを含む最長契約期間に相当する( La Banque Postale の範
囲)。
契約上の満期がない La Banque Postale の範囲内のコミットメントについては、債務者の破産の場合、フランス銀
行法に従い、当座貸越枠は 12 カ月以内に解約されるため、 12 カ月の最長満期が用いられる。リボルビング・クレジッ
ト・ラインとは、固定の満期、返済スケジュールまたは解約期間を持たない金融商品である。これらの金融商品につ
いて考慮される満期は、同行が推計した存続期間に依拠しており、これは契約上のコミットメントの期間よりも長い
場合がある。使用される満期は、観察された行動に基づいている。
134/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.1.2.4.3.1 将来見通し
IFRS 第9号に従い、予想信用損失は、将来予測のデータ・モデルや情報に基づく判断を用いて、将来の経済状況の
影響を考慮に入れている。マクロ経済規則は、フランス預金供託公庫グループのすべての事業体に適用されるが、将
来のリスクを可能な限り正確に反映するために、各事業体はそれらを各エクスポージャー・セグメントに展開する責
任がある。一部のセグメントは、その特定の性質のためにグループ・シナリオに特別な変数を追加する必要がある
( SFIL のフランスの地方自治体へのエクスポージャー向けなど)。このシナリオでは、使用される将来予測的なモデ
ルは、地方自治体の勘定に影響を与える可能性のある主な変数(課税ベース、政府による支払い、投資動向など)を
予測するように設計されている。
当グループ内で使用されるマクロ経済の枠組みは、セントラル・シナリオ、2つの悪化シナリオ(この使用はグ
ループ企業の裁量に任されている。)およびアップサイド・シナリオの4つのシナリオに基づいている。それらは、
フランス預金供託公庫と La Banque Postale の経済調査部によって定義されている。以下の原則に従って、5年間の
経済予測が適用される。
•ポートフォリオの分散化を反映するため、特定のカウンターパーティ・セグメントに反対の影響を与える可能性
のある一貫したグローバル・シナリオが、すべてのエクスポージャー・セグメント全体に適用される(例示する
と、ひとつのシナリオで、個人顧客およびソブリン顧客の残存期間のデフォルト確率を測定するために異なる金
利予測を用いることは不可能である)。
•提案されたシナリオは、ストレス・シナリオではない;推定日のマクロ経済情勢に照らして発生する可能性が非
常に低い、極めて悪い環境における損失のリスクを定量化するために、 IFRS 第9号のシナリオを用いるのではな
く、むしろ、発生確率がセントラル・シナリオの発生の1標準偏差以内にある、一般的に妥当なシナリオを開発
することを目的としている。
•使用されるシナリオは、他の企業プロセス(複数年の財務計画プロセスなど)で使用されるシナリオとほぼ同じ
であり、財務管理における高度な全体的な一貫性およびグループ・レベルでの強力な連結能力を保証している。
これらのシナリオは文書化されており、残存期間の PD を得るために開発されたモデルを実行するために必要なすべ
てのマクロ経済変数の予測を含んでいる。
このシステムは相当数のモデルを使用しているため、各グループ企業はポートフォリオに固有のリスクを可能な限
り正確に評価することができる。 IFRS 第9号の目的で使用されるすべてのモデルは、関係する事業体のモデル検証
チームによる独立したレビューの対象であり、使用前に正式に検証される(モデル検証委員会、監査部門など)。
2022 年、フランス預金供託公庫グループは、以下のシナリオを使用して、 IFRS 第9号に基づく減損を計算した。
135/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.1.2.4.3.2 セントラル・シナリオ
• セントラル・シナリオ: 採用された成長およびインフレのセントラル・シナリオには、環境の悪化(消費者の購買
力の大幅な低下、企業の信用の喪失)が含まれる。フランスでは、 2022 年から 2023 年の秋 / 冬にかけて景気後退リ
スクが高まったため、 2023 年の成長見通しが 0.25 ポイント引き下げられ、 +0.25 %とされた。より「スタグフレー
ション的」な状況は、 2024 年の成長率が1%hとわずかに下方修正されたことにも反映されている。
エネルギー価格の高騰およびそれが他の財やサービスの価格に影響を及ぼすという事実に基づいて、 2023 年には
大幅なインフレが生じると想定された。金利は上方修正された。 ユーロ圏では、 ECB は短期的には活発な活動を
続けると予想されており、預金金利は 2023 年に 2.25 %でピークに達すると予想されている。長期金利は引き上げ
られたが、 2.5 %を超えてはいない。
この シナリオおよびその主要指標の 予測値 は以下のとおりである。
セントラル・シナリオ変数 2023 年 2024 年 2025 年 2026 年 2027 年
フランスの GDP 0.3 1.0 1.2 1.2 1.2
失業率(フランス本土) 7.4 7.5 7.5 7.5 7.5
10 年フランス国債( OAT ) 2.5 2.4 2.3 2.1 1.9
米国のインフレ率 3.9 2.5 2.2 2.1 2.0
米国のGDP 0.7 1.6 1.8 1.8 1.7
ユーロ圏のGDP 1.3 1.2 1.2 1.1
ユーロ建ブレント価格 82.3 75.0 70.5 67.0 65.4
米ドル建ブレント価格 83.9 78.0 74.0 71.0 70.0
ユーロ圏投資適格( BBB )社債スプレッド
(ベーシス・ポイント) 140 135 130 120 100
米国の失業率 4.5 4.8 4.5 4.3 4.2
ユーロ圏の失業率 7.1 7.3 7.2 7.1 7.0
主要預金金利(ユーロ圏) 2.25 2.00 1.75 1.50 1.25
基準金利(米国) 3.75 3.50 3.00 2.50 2.50
注意 : CAC 40 および不動産価格変数は引き続き様々なシナリオで予測されるが、 IFRS モデルでは直接使用されなく
なった。
1年前のセントラル・シナリオ変数 2022 年 2023 年 2024 年 2025 年 2026 年
フランスの GDP 3.5 1.8 1.5 1.3 1.2
失業率(フランス本土) 9.6 9.4 9.2 9.1 9.0
10 年フランス国債( OAT ) 0.2 0.4 0.6 0.8
CAC 40(年間成長率)
2.5 2.5 2.5 2.5 2.5
不動産価格( 名目 年 間 成長率) 0.6 0.7 0.9 1.2 1.5
米国のインフレ率 2.1 2.1 2.1 2.0 2.0
米国のGDP 3.0 2.0 1.8 1.7 1.7
ユーロ圏のGDP 3.0 1.7 1.3 1.2 1.1
ユーロ建ブレント価格 50.0 50.4 50.8 51.2 51.2
米ドル建ブレント価格 61.5 62.5 63.5 64.5 65.0
ユーロ圏投資適格( BBB )社債スプレッド
(ベーシス・ポイント) 85 70 75 85 95
米国の失業率 5.3 4.9 4.7 4.6 4.5
ユーロ圏の失業率 9.3 9.0 8.7 8.6 8.5
主要預金金利(ユーロ圏) (0.50) (0.50) (0.50) (0.40) (0.15)
基準金利(米国) 0.25 0.25 0.50 1.00 1.50
136/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.1.2.4.3.3 悪化シナリオ
・ L 字型回復による悪化シナリオ : L 字型回復による悪化シナリオは、当グループの財務活動にストレスが発生する
ように設計されている。このシナリオには、 GDP に対する景気後退ショック(健康、地政学的、金融または経済危
機)が含まれており、ショックが発生した年の株式市場および金利の急落を伴う。危機後、世界の潜在的な成長
は長期間にわたって弱まり、経済の回復が抑制されるため、株式市場の上昇は限定的となり、金利は構造的に低
水準にとどまることとなる。このシナリオにおける主要指標の予測値は以下のとおりである。 La Banque Postale
はこのシナリオを使用していない。
L 字型回復シナリオ変数 2023 年 2024 年 2025 年 2026 年 2027 年
フランスの GDP (0.5) 0.6 0.6 0.6
失業率(フランス本土) 7.8 8.2 8.5 8.6 8.7
10 年フランス国債( OAT ) (1.0) (0.5)
米国のインフレ率 2.2 1.5 1.1 0.8 0.8
米国のGDP (1.5) 1.0 1.0 1.0
ユーロ圏のGDP (1.0) 0.6 0.6 0.6
ユーロ建ブレント価格 51.7 39.3 39.3 39.3 39.3
米ドル建ブレント価格 68.8 55.0 55.0 55.0 55.0
ユーロ圏投資適格( BBB )社債スプレッド
(ベーシス・ポイント) 300 200 100 100 100
米国の失業率 4.8 6.2 6.9 7.1 7.2
ユーロ圏の失業率 8.0 8.8 9.0 9.1 9.1
主要預金金利(ユーロ圏) (1.00) (1.00) (1.00) (1.00) (1.00)
基準金利(米国) 0.25 0.25 0.25 0.25 0.25
1年前の L 字型回復シナリオ変数 2022 年 2023 年 2024 年 2025 年 2026 年
フランスの GDP (0.5) 0.6 0.6 0.6
失業率(フランス本土) 10.5 10.9 11.1 11.2 11.2
10 年フランス国債( OAT ) (0.7) (0.7) (0.2)
CAC 40(年間成長率)
(20.3) 1.8 1.8 1.8 1.8
不動産価格( 名目 年 間 成長率) (2.5) (3.5) (1.5)
米国のインフレ率 0.4 0.5 0.7 0.8 0.8
米国のGDP (1.5) 1.0 1.0 1.0
ユーロ圏のGDP (1.0) 0.6 0.6 0.6
ユーロ建ブレント価格 22.6 17.2 17.2 17.2 17.2
米ドル建ブレント価格 32.7 26.2 26.2 26.2 26.2
ユーロ圏投資適格( BBB )社債スプレッド
(ベーシス・ポイント) 300 200 100 100 100
米国の失業率 6.3 7.7 8.1 8.1 8.0
ユーロ圏の失業率 10.9 11.7 11.9 12.0 12.0
主要預金金利(ユーロ圏) (1.00) (1.00) (1.00) (1.00) (1.00)
基準金利(米国) 0.25 0.25 0.25 0.25 0.25
137/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
・債券暴落の悪化シナリオ は、当グループの不動産事業(公証人からの預り金、不動産投資など)にストレスが発
生するように設計されている。このシナリオでは、エネルギー関連のインフレ圧力がセントラル・シナリオより
も長期化する。消費者の購買力の喪失および企業のコスト増加を補うために、すべてのユーロ圏諸国が強力な予
算措置を講じることになる。ユーロ圏の財政の持続可能性に対する懸念の高まりは、物価ショックを相殺するた
めに使われた公共支出および財政赤字の増加によってさらに悪化し、長期金利の非常に高い水準への急激かつ持
続的な上昇を促す。マクロ経済環境および予算環境の悪化は株式市場の急落につながる。しかしながら、 L 字型回
復シナリオと同様に、これが銀行を巻き込んだシステミック危機にまで発展することはない。このシナリオは、
La Banque Postale の経済調査部門によって2つの変数について調整されている。
このシナリオおよびその主要指標の予測値は以下のとおりである。
債券暴落シナリオ変数 2023 年 2024 年 2025 年 2026 年 2027 年
フランスの GDP (1.5) (1.0) (0.5) 0.6 0.6
失業率(フランス本土) 7.5 8.5 9.5 9.0 8.5
10 年フランス国債( OAT ) 4.0 5.0 4.4 4.0 4.0
米国のインフレ率 6.0 4.6 3.5 2.5 2.0
米国のGDP 1.0 1.4 1.6 1.7 1.8
ユーロ圏のGDP (1.0) 0.6 0.6 0.6
ユーロ圏のGDP(La Banque Postaleの指
標) (2.0) (1.0) (0.5) 0.6 0.6
ユーロ建ブレント価格 126.2 123.7 117.5 108.1 94.0
米ドル建ブレント価格 132.5 129.9 123.4 113.5 98.7
ユーロ圏投資適格( BBB )社債スプレッド
(ベーシス・ポイント) 300 300 300 300 300
米国の失業率 4.1 4.5 4.6 4.8 4.9
ユーロ圏の失業率 8.0 8.8 9.0 9.1 9.1
ユーロ圏の失業率
(La Banque Postaleの指標)
7.5 8.5 9.5 9.0 8.5
主要預金金利(ユーロ圏) (1.00) (1.00) (1.00) (1.00) (1.00)
基準金利(米国) 2.00 2.00 2.00 2.00 2.00
1年前の債券暴落シナリオ変数 2022 年 2023 年 2024 年 2025 年 2026 年
フランスの GDP (0.5) 0.6 0.6 0.6
失業率(フランス本土) 10.5 10.9 11.1 11.2 11.2
10 年フランス国債( OAT ) 4.0 4.0 4.0 4.0 4.0
CAC 40(年間成長率)
(22.8) 2.5 2.5 2.5 2.5
不動産価格( 名目 年 間 成長率) (7.5) (10.0) (5.0) (2.5)
米国のインフレ率 1.0 1.2 1.4 1.6 1.6
米国のGDP 0.9 1.3 1.5 1.6 1.7
ユーロ圏のGDP (1.0) 0.6 0.6 0.6
ユーロ建ブレント価格 41.4 37.2 37.2 37.2 37.2
米ドル建ブレント価格 47.6 42.8 42.8 42.8 42.8
ユーロ圏投資適格( BBB )社債スプレッド
(ベーシス・ポイント) 300 300 300 300 300
米国の失業率 5.7 5.5 5.4 5.3 5.2
ユーロ圏の失業率 10.9 11.7 11.9 12.0 12.0
主要預金金利(ユーロ圏) (1.00) (1.00) (1.00) (1.00) (1.00)
基準金利(米国) 0.25 0.25 0.25 0.50 0.75
138/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
・アップサイド・シナリオ :このシナリオでは、石油およびより一般的なコモディティ価格が、 2023 年以降、つま
り セントラル ・シナリオよりも早く下落し、エネルギー関連のインフレ圧力の緩和に役立つと想定されている。
消費者の購買力の喪失がそれほど深刻ではない場合、特に短期的には、より持続的な成長につながることにな
る。セントラル・シナリオよりもインフレ圧力がより限定的であることによって形成される環境では、やや力強
い経済成長にもかかわらず、中央銀行が金融政策を引き締めることはない。
アップサイド・シナリオ変数 2023 年 2024 年 2025 年 2026 年 2027 年
フランスの GDP 1.0 1.8 1.4 1.3 1.3
失業率(フランス本土) 7.0 6.8 6.6 6.6 6.5
10 年フランス国債( OAT ) 2.5 2.4 2.3 2.1 1.9
米国のインフレ率 2.4 1.9 2.3 2.5 2.4
米国のGDP 2.3 2.1 1.9 1.7 1.7
ユーロ圏のGDP 2.1 2.0 1.4 1.3 1.2
ユーロ建ブレント価格 106.8 79.8 74.4 73.2 72.0
米ドル建ブレント価格 125.0 95.0 90.0 90.0 90.0
ユーロ圏投資適格( BBB )社債スプレッド
(ベーシス・ポイント) 85 92 99 100 100
米国の失業率 3.7 3.7 3.8 3.9 3.9
ユーロ圏の失業率 7.0 6.8 6.6 6.6 6.5
主要預金金利(ユーロ圏) 0.35 0.60 0.85 1.10 1.35
基準金利(米国) 2.50 2.50 2.50 2.50 2.50
1年前のアップサイド・シナリオ変数 2022 年 2023 年 2024 年 2025 年 2026 年
フランスの GDP 4.5 2.5 2.0 1.6 1.2
失業率(フランス本土) 9.3 8.8 8.4 8.2 8.1
10 年フランス国債( OAT ) 0.2 0.5 0.9 1.1 1.2
米国のインフレ率 2.3 2.4 2.4 2.3 2.3
米国のGDP 4.0 2.5 2.1 1.8 1.7
ユーロ圏のGDP 4.0 2.4 1.8 1.5 1.1
ユーロ建ブレント価格 52.2 51.6 53.5 53.7 53.9
米ドル建ブレント価格 64.0 64.0 66.9 67.7 68.5
ユーロ圏投資適格( BBB )社債スプレッド
(ベーシス・ポイント) 75 85 95 96 98
米国の失業率 4.8 4.0 3.8 3.6 3.5
ユーロ圏の失業率 9.0 8.4 7.9 7.7 7.6
主要預金金利(ユーロ圏) (0.50) (0.40) (0.20) 0.10 0.45
基準金利(米国) 0.25 0.50 1.00 1.50 2.00
139/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.1.2.4.3.4 SFIL のシナリオ
当グループのシナリオに基づき、 SFIL は、地方自治体セクターに特に適合したシナリオを使用している。このシナ
リオは、マクロ経済への影響ならびに、税収、サービスからの収入およびその他の収益、フランス政府の支払いおよ
び計画された投資支出の変化に関するフランスの財政法で行われた決定を予測するように設計されている。 SFIL は3
つのシナリオを使用する。
•セントラル・シナリオは、地方自治体の営業利益が営業費用よりもわずかに速く増加し、そのため総貯蓄および
純貯蓄が大幅に増加するシナリオである。
•楽観的シナリオは、セントラル・シナリオとは異なり、より好ましいマクロ経済の仮定( GDP 、インフレおよび失
業率の変化)、 GDP とそれほど密接に関連していない人件費ならびに国家の支払いの大幅な増加によるシナリオ
である。
•悲観的シナリオは、不利なマクロ経済の仮定( GDP 、インフレおよび失業率の変化)、国家の支払いの凍結、 GDP
の低下および復興支出の急速な増加にもかかわらず人件費および一般経費の金額に変化がないシナリオである。
当グループの事業体が使用する各シナリオの発生の可能性は、以下の表に要約されている。
2023 年 -2027 年 2022 年 -2026 年(1年前)
CDC La Banque CDC La Banque
(1) (1)
シナリオ 一般部門 Postale SFIL 一般部門 Postale SFIL
セントラル・シナリオ 6 5 % 6 0 % N/A 60% 65% N/A
L字型回復シナリオ 1 0 % N/A N/A 15% 15% N/A
債券暴落シナリオ 1 5% 30 % N/A 5% N/A N/A
アップサイド・シナリオ 1 0% 1 0% N/A 20% 20% N/A
セントラル・シナリオ
( SFIL ) N/A N/A 60% N/A N/A 60%
悲観的シナリオ( SFIL ) N/A N/A 25% N/A N/A 25%
楽観的シナリオ( SFIL ) N/A N/A 15% N/A N/A 15%
(1) SFIL の将来予測的なシナリオは、残高の大部分を占めるフランスの地方自治体(公立病院を除く。)だけ
でなく、ポートフォリオに含まれる銀行およびソブリン発行体にも適用されている。
フランス預金供託公庫一般部門に新しいマクロ経済シナリオを使用すると、システミック要因についての予測が
2021 年の財務書類に使用されたものよりも低いため、大部分のセグメントのデフォルト確率が低下する。 ECLs には中
程度の影響があり、変化は主にデフォルト時エクスポージャー( EAD )の変動および個々の特性(格付け、バケット
の変更またはステージ)の修正によるものである。 La Banque Postale および SFIL の範囲の ECL の変更については、そ
れぞれの年次報告書に詳しく説明されている。
2.8.4.1.2.4.3.5 信用リスクの変化
2022 年、フランス預金供託公庫グループの各事業体のリスク管理部門は、その作業を継続し、顧客の貸付ポート
フォリオおよび債務証券ポートフォリオの実際のリスクを反映したリスク費用を算出した。
その作業は、リスクの著しい悪化を特定するための現行手順の適用 (IFRS 第9号のステージ分類ルール ) ならびに、
(i) COVID-19 および( ii )ウクライナ紛争とそれに伴うインフレの急激な進行による残余の影響についての潜在的な
影響の具体的評価の両方に基づいて行われた。
これにより、フランス預金供託公庫の信用リスク評価に対する連続して生じる危機による影響は、大きく以下の2
つのカテゴリーに分けられる。
・統計的引当金の基礎となるモデルやシナリオを再調整したエクスポージャーへの一般的な影響。
・すべての顧客ポートフォリオおよび証券ポートフォリオについて分析レビューを行った後に決定された、個別ま
たは業種固有の影響。
140/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
いずれの場合も、各社の財務報告書において、 La Banque Postale と SFIL が詳細な情報を提供している。以下に、
フランス預金供託公庫グループ内の主な変更点をまとめる。
フランス預金供託公庫一般部門の ECLs に対する気候リスクの影響は、主に使用される格付けシステム、特に取引相
手がさらされる移行リスクおよび / または物理的脆弱性リスクを考慮に入れるように設計された格付け調整(「オー
バーライド」(機能を通じて把握される。この臨機応変なアプローチは、格付けの検討中に検証される。また、 SFIL
はフランスの国家低炭素戦略の実施および気候変動の物理的リスクの軽減を目的とした措置に関連する費用の影響
を、「独自の納税ステータスを持つ地方自治体および地方自治体間の連携」ポートフォリオに関する IFRS 第9号の将
来予測的なシナリオに含めている。
La Banque Postale は現在、予想信用損失の計算について気候リスクを考慮していない。 2022 年 12 月 31 日現在、ユ
ニバーサル登録文書の第2章で説明されているように、 La Bank Postale の炭素集約セクターへのエクスポージャー
は非常に限定的であり、再生可能エネルギー部門の資金調達( 2,228 百万ユーロ)を優先する慎重な経営方針によ
り、化石燃料へのエクスポージャーは事実上ない( 2.3 百万ユーロ)。関連するデータベースおよび観測結果が蓄積
されると、 ECLs のモデル化に使用されるパラメータに気候リスクを組み込むための作業が今後数年間で開始される。
La Banque Postale グループのリスク部門は現在、このタイプのリスクの発生期間によりよく対応するエコノミッ
ク・キャピタルの測定などの他の方法を用いて、このリスクを定量化し、財務諸表に取り入れることを希望してい
る。
統計的引当金の調整に関する一般的な措置については、 2022 年の IFRS 第9号の引当金を計算する際に用いたデフォ
ルト確率モデルは、主要な経済指標の予想される展開を完全に考慮したものであり、上述した新しいマクロ経済シナ
リオを織り込むために、すべてのモデルが再調整された。
顧客ポートフォリオ
COVID-19 危機がフランス預金供託公庫グループの主要取引先の信用エクスポージャー・セグメントに及ぼした影響
は限定的なものにとどまっている。しかしながら、集団ワクチン接種のおかげで健康状態がより安定したことで力強
い経済回復への期待が高まったものの、フランスでは関税シールドが導入されているにもかかわらず、ウクライナ紛
争に関連したエネルギーコストの供給ショックによりインフレが大幅に上昇した。フランス預金供託公庫グループ
は、今後数カ月の間に顧客ポートフォリオのリスク・プロファイルが大幅に悪化するとは予想していないが、長期損
失率を平均に戻すのではなく、不良エクスポージャーの動向、特に La Banque Postale が主に取り扱うセグメントで
ある個人顧客および法人顧客について注意深く監視しなければならない。
・個人顧客( La Banque Postale の範囲内)
2022 年には、融資ポートフォリオの個人顧客に対する危機の影響を反映するために、次の調整が行われた。
・健康、経済、労働環境の改善により、カリブ海地域における個人向け信用エクスポージャーは健全なものとし
て再分類。
・融資ポートフォリオの構造的組成が代表的な配分に戻る可能性に備えるためのフォワードルッキング・アプ
ローチの一環として、正常債権ポートフォリオの格付け移行リスクをカバーするために 2021 年に確保した引当金
が戻入れられた。
・保証人が保証する住宅ローンのデフォルト時損失率( LGD )を計算するためのオーバーレイ(乗率)は維持され
た。
・現在のインフレ環境において脆弱であり、特にインフレ上昇に対応するために実施されている現在の金融政策
のマクロ経済的影響に特にさらされていると La Banque Postale がみなす顧客への融資は、ステージ2に再分類
された。当該顧客は、 La Banque Postale での貯蓄が非常に限られているか、または可処分所得が非常に少な
い。
・引当モデルに使用されるパラメータが更新され、 La Banque Postale を取り巻くすべての顧客セグメント全体で
マクロ経済シナリオおよびその比率も更新された。
・資産が信用リスクの著しい増加にさらされているかどうかを判断するために、修正された閾値が適用された。
これらの要因を考慮すると、 2022 年の個人顧客のリスク費用は 96 百万ユーロ(オンライン・バンキングを除
く。)となり、そのうち 48 百万ユーロは消費者信用事業に、 35 百万ユーロは住宅ローン事業に関連している。
・法人顧客( La Banque Postale の範囲内)
2022 年の法人向け銀行業務および投資銀行業務部門の顧客のリスク費用は、以下に起因している。
141/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
・監視対象の貸付残高 (IFRS 第9号に基づき、ウォッチリストに掲載され、かつ/またはステージ2に分類された
信用減損債権およびステージ3に分類された不良債権 ) について専門の委員会が行う具体的な引当金計上の決定
に 基づく La Banque Postale のエクスポージャーのモニタリング・プロセス。
・特定部門またはその他の一般的な損失引当金計上原則の適用。
・個別または集合的引当金の対象とならない残りの正常債権のポートフォリオに対して計上される統計的引当
金。
最後の点に関しては、危機の影響を観察した後、 La Banque Postale は、一般損失引当金に関して 2020 年末に採用
された方針を維持または強化し、その法輪を 2021 年および 2022 年まで延長することを選択した。各部門に固有の損
失引当金は、 2022 年 12 月 31 日現在、以下の部門のエクスポージャーに対して計上された。
・観光、ホスピタリティおよびレジャー。
・民間航空および陸上旅客輸送。
・価格条件の見直しによるフランスの太陽光発電エネルギー部門。
・小売部門の一部のセグメント。
・自動車部門。
・中心市街地以外の商業不動産。
・農業 ( 同部門は 2022 年6月 30 日に追加された。 ) 。これは、ロシア・ウクライナ間の武力紛争の開始以来、原材
料不足やサプライチェーンの混乱の影響を受けている一部の顧客に今後起こり得る困難を予測するためである。
・格付けを引き下げられたレバレッジ取引(欧州銀行監督局のガイドラインに定義されている。)および LBOs( 同
部門は 2022 年 12 月 31 日に追加された。 ) 。これは、インフレに関連して起こり得る資金繰りの困難を予測するた
めである。
関連するエクスポージャーは、融資ポートフォリオに追加されて以降、 La Banque Postale が信用リスクに著しい
悪化が生じたと考えたため、 IFRS 第9号のステージ2に振替えられた。
2022 年、法人向け銀行業務および投資銀行業務部門のリスク費用は、以下を反映して 108 百万ユーロであった。
・主に融資ポートフォリオの自然な悪化および特定の重要なエクスポージャーに適用される格下げに関連する引
当金への追加配分 ( ウォッチリスト / 特例委員会による引当金の決定を含む。 ) 。
・マクロ経済の一定の潜在的悪化を見越して実施されたモニタリング措置。関連するすべての業界全体における
引当手法の整合性を図る一環として業界引当金が計上され(農業の追加、海運業の削除、ベース効果および信用
格付けの改善による他の一部セクターの削除)、企業のレバレッジ取引向け引当金も繰り入れられた。
・引当金モデルの最新のパラメータの使用、および La Banque Postale を取り巻くすべての顧客セグメント全体の
比率が調整された最新のマクロ経済シナリオ。
・資産が信用リスクの著しい増加にさらされているかどうかを判断するために、改訂された閾値が適用された。
142/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
・法律専門家(フランス預金供託公庫一般部門の業務範囲内): 過去に損失率が非常に低いこの顧客セグメントで
は、ステージ2の予想信用損失は依然として重要ではない(1百万ユーロ)。公証人から報告される事業活動は不
動産市場の取引と密接に相関しており、金利の上昇を考慮すると 2023 年には取引が減少することが予想される。し
かしながら、人口動態要因が引き続き需要を支えている(世帯数は年間平均約 200,000 件の割合で増加している。)
・フランスの地方自治体( SFIL の範囲内): フランス政府の支援策により、地方自治体の財政状況に対する医療危機
の影響は限定的であった。
すべての経済主体と同様に、地方自治体は現在、高いインフレに直面しており、 La Banque Postale によると、こ
れにより貯蓄が目減りする可能性がある。しかし、暫定データに基づいて、 2023 年初めの時点で公共財政総局
( DGFIP )は地方自治体の口座における貯蓄の増加を引き続き監視している。
これらの様々なシグナルは、関税シールドおよびセーフティネットなど、インフレの影響を緩和するために政府
が導入したさまざまな対策によって特に説明することができる。また、インフレは地方自治体が徴収する特定の税
の増加にもつながる可能性があり、例えば、財産税の基礎の再評価は 2022 年には 3.4 %であったが、 2023 年には
7%となり、これにより開発不動産からの税収(つまり CFE 企業不動産負担金および TEOM 家庭廃棄物収集税)が増加
した。
最後に、監督者は全員一致で、 2022 年には地方投資および地方自治体のキャッシュ・フローが増加することに言
及している。
・クルーズ部門(輸出信用、 SFIL の範囲内): 欧州の輸出信用機関が設けた返済猶予期間の終了に伴い、クルーズ会
社の債務返済が再開された。
クルーズ部門に対するエクスポージャーは、元本および利息の双方について、フランス政府の名義により、かつ
フランス政府に代わり、 BPI Assurances Expert により 100 %保証されている。 2022 年 12 月 31 日現在、健康危機の影
響を受けたクルーズ会社への貸付はウォッチリストに掲載され、関連するエクスポージャーはステージ2のままで
あった。
有価証券ポートフォリオ(フランス預金供託公庫一般部門の範囲内)
2022 年の信用リスク費用は以下を反映している。
・ポートフォリオ・エクスポージャーの監視手順。
・財務分析のレビューを受けて、内部格付けを格下げするか、ウォッチリストにエクスポージャーを含める(そ
の結果ステージ2に分類される。)という具体的な決定。
・ 2022 年のマクロ経済シナリオの更新(将来予測的なインプットを参照されたい。 ) 。これによりデフォルト確率
を景気循環の実態に適応させることが可能となった。
これらのレビューでは、 2022 年を通じて、ポートフォリオのカウンターパーティが非常に高い回復力を示し、内部
格付けのわずか7%が格下げされたにすぎないことが判明した。ネガティブ・アウトルックの割合は、 2021 年6月末
現在のカウンターパーティ総数の 30 %および 2021 年 12 月末現在の 19 %から、 2022 年 12 月末現在で9%へと改善した。
特にソブリン発行体については、公的債務水準が中期的に重要なリスク要因のままであるため、金利上昇の影響を注
意深く監視する必要がある。欧州では、欧州中央銀行が、金融政策のスタンスがすべてのユーロ圏諸国にスムーズに
伝達されるようにするための新たな「伝達保護措置」( TPI )を計画している。
内部格付けの全体的な回復力により、ステージ1およびステージ2の間のカウンターパーティの内訳は、年間を通
じて大幅に変化しなかった。ステージ2の ECLs は、 2021 年末現在の8百万ユーロから 2022 年末現在には2百万ユーロ
に減少している。
143/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
経営慣行の変更
フランス預金供託公庫グループは、全般的にコミットメントの決定とポートフォリオの監視の両方に関する管理手
順と規則を変更しなかった。
フランス預金供託公庫一般部門および SFIL については、評価モデルまたは引当モデルに重大な変更または調整は加
えられておらず、モデルの堅牢性の継続的な評価に使用されるバックテスト手順にも変更は加えられていない。
ただし、 La Banque Postale は、 2022 年に引当の慣行およびモデルの詳細な見直し(オーバーレイの廃止、シナリ
オの改訂など)を行った。その結果生じる変更については、 La Banque Postale の財務報告書に詳述されている。
2.8.4.1.3 当グループの信用リスク・エクスポージャー ( ソブリン債務を除く。 )
2.8.4.1.3.1 減損後のリスク軽減措置およびヘッジ策を含む信用リスクに対する最大エクスポージャー
信用リスクに対する最大エクスポージャーは、ネッティング契約および減損損失の影響を受けた後の貸付金および
債権、負債性金融商品およびデリバティブ金融商品の帳簿価額に相当する。
202 2 年 12 月 31 日
保証、担保
およびその他の
信用リスク
信用補完後の信用リ
保証、担保
に対する スクに対する最大エ
およびその他の クスポージャー うち、
最大エクスポー
( 百万ユーロ )
ジャー 信用補完 (純額) ECL引当金
損益を通じて公正価値で測定される金
融資産 - 負債性金融商品(ユニットリ
ンク契約を担保する資産を除く。) 101,812 (13,706) 88,106
損益を通じて公正価値で測定される金
融資産 - 貸付およびコミットメント 10,670 10,670
売買デリバティブ 6,942 6,942
ヘッジ手段 4,367 (1,256) 3,111
損益に振替えられるその他の包括利益
を通じて公正価値で測定される負債性
金融商品 203,989 (20) 203,969 (312)
償却原価で測定される有価証券 83,079 83,079 (79)
償却原価で測定される金融機関および
関連企業向け貸付金および債権 109,711 (15,207) 94,504 (1)
償却原価で測定される顧客向け貸付金
および債権 192,703 (92,564) 100,139 (1,660)
オンバランスシート・エクスポージャー
(減損損失控除後) 713,273 (122,753) 590,520 (2,052)
融資 コミットメント 41,012 (5,229) 35,783 (124)
付与された保証コミットメント 4,120 (147) 3,973 (22)
オフバランスシート・エクスポージャー 45,132 (5,376) 39,756 (146)
純エクスポージャー合計 758,405 (128,129) 630,276 (2,198)
144/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
202 1 年 12 月 31 日
保証、担保
およびその他の
信用リスク
信用補完後の信用リ
保証、担保
に対する スクに対する最大エ
およびその他の クスポージャー うち、
最大エクスポー
( 百万ユーロ )
ジャー 信用補完 (純額) ECL引当金
損益を通じて公正価値で測定される金
融資産 - 負債性金融商品(ユニットリ
ンク契約を担保する資産を除く。) 109,101 (4,411) 104,690
損益を通じて公正価値で測定される金
融資産 - 貸付およびコミットメント 11,645 11,645
売買デリバティブ 2,350 2,350
ヘッジ手段 6,088 (2,826) 3,262
損益に振替えられるその他の包括利益
を通じて公正価値で測定される負債性
金融商品 238,557 (22) 238,535 (471)
償却原価で測定される有価証券 68,340 68,340 (75)
償却原価で測定される金融機関および
関連企業向け貸付金および債権 91,083 (13,534) 77,549 (8)
償却原価で測定される顧客向け貸付金
および債権 187,681 (86,629) 101,052 (1,571)
オンバランスシート・エクスポージャー
(減損損失控除後) 714,845 (107,422) 607,423 (2,125)
融資 コミットメント 38,858 (6,428) 32,430 (109)
付与された保証コミットメント 4,996 4,996 (20)
オフバランスシート・エクスポージャー 43,854 (6,428) 37,426 (129)
純エクスポージャー合計 758,699 (113,850) 644,849 (2,254)
2.8.4.1.3.2 集中リスク
集中リスクは、 2020 年2月5日付政令第 2020-94 号第8条において、セントラル・カウンターパーティを含む単一
のカウンターパーティ、単一の関連顧客グループとみなされる複数のカウンターパーティもしくは同一の経済部門ま
たは地域で事業を行うカウンターパーティに対するエクスポージャーから生じるリスク、または同一の事業部門に信
用供与を行うことから生じるリスクもしくは信用リスク削減手法、特に単一の発行体により発行される保証を適用す
ることから生じるリスクと定義されている。
当グループの各事業体は、グループ・レベルでモニタリングしている以下の集中度指標に沿って、リスクの枠組み
に従い自身の集中リスクを管理している。
・名称集中:名称集中とは、単一のカウンターパーティまたは同一グループの複数のカウンターパーティからの多
額の未払い金額によって、ポートフォリオの債務不履行リスクまたは減損リスクが増加するリスクをいう。
・部門集中:部門集中とは、ある特定の事象が特定の部門に影響を及ぼし、同時に複数のカウンターパーティの活
動に影響を与える場合、そのポートフォリオにおいて部門が分散されていないことにより、ポートフォリオの不
履行リスクまたは減損リスクが増加するリスクをいう。これは、特定の部門への関与または感応度に起因して、
関連するカウンターパーティに複数の債務不履行または減損損失を引き起こす可能性がある。
・地理的集中:ある特定の事象が特定の地理的地域に影響を及ぼし、同時に複数のカウンターパーティの活動に影
響を与える場合、そのポートフォリオにおいて地理的に分散されていないことにより、ポートフォリオの不履行
リスクまたは減損リスクが増加するリスクをいう。これは、特定の地域への関与または感応度に起因して、関連
するカウンターパーティに複数の債務不履行または減損損失を引き起こす可能性がある。
当グループでは、集中リスクの重要性を認識し、名称集中、部門集中および地理的集中についてモニタリングと報
告の手続きを導入しており、特に信用の質別にエクスポージャーを分類 ( 財務格付 ) している。集中リスクを抑制する
ために、当グループは、そのエクスポージャーが一貫性を保ち、資本の金額に対して適切であることを確保するため
の警報の閾値と制限を設定している。
145/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.1.3.2.1 地理的地域別の信用リスクの集中
/ 償却原価で測定される金融資産
2022 年 12 月 31 日
償却原価で測定される金融資産
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
フランス
(海外部署および海外領土を含む。) 313,968 27,640 2,502
その他 EU 加盟国 22,841 262 68
その他ヨーロッパ諸国 7,067 1,315 3
その他 11,567 4,191 26
地域別合計 355,443 33,408 2,599
減損損失 (211) (653) (876)
2021 年 12 月 31 日
償却原価で測定される金融資産
ステージ3-
ステージ1- ステージ2-
残存期間の
12 カ月の 残存期間の
予想信用損失-信用
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 減損資産
フランス
(海外部署および海外領土を含む。) 298,313 9,644 2,121
その他 EU 加盟国 20,001 299 70
その他ヨーロッパ諸国 6,836 1,368 2
その他 6,648 3,833 119
地域別合計 331,798 15,144 2,312
減損損失 (276) (586) (791)
146/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
/ 振替えられるその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産
2022 年 12 月 31 日
振替えられるその他の包括利益を通じて
公正価値で測定される金融資産
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
フランス
(海外部署および海外領土を含む。) 137,533 36
その他 EU 加盟国 62,112 135
その他ヨーロッパ諸国 8,070 20
その他 35,042 77
地域別合計 242,757 268
減損損失 (301) (11)
2021 年 12 月 31 日
振替えられるその他の包括利益を通じて
公正価値で測定される金融資産
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
フランス
(海外部署および海外領土を含む。) 125,620 21
その他 EU 加盟国 72,250 231
その他ヨーロッパ諸国 8,895 10
その他 32,976 92
地域別合計 239,741 354
減損損失 (463) (8)
147/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
/付与 された オフバランスシート・コミットメント
2022 年 12 月 31 日
付与されたオフバランスシート・コミットメント
ステージ3-
ステージ1- ステージ2-
残存期間の
12 カ月の 残存期間の
予想信用損失-信用
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 減損コミットメント
フランス
(海外部署および海外領土を含む。) 35,178 5,009 273
その他 EU 加盟国 933 159
その他ヨーロッパ諸国 556 2
その他 1,153 1,868
地域別合計 37,820 7,038 273
減損損失 (52) (83) (11)
2021 年 12 月 31 日
付与されたオフバランスシート・コミットメント
ステージ3-
残存期間の
ステージ1- ステージ2- 予想信用損失-
12 カ月の 残存期間の 信用減損
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 コミットメント
フランス
(海外部署および海外領土を含む。) 35,294 1,794 57
その他 EU 加盟国 855 154
その他ヨーロッパ諸国 64 3
その他 1,804 3,826 2
地域別合計 38,017 5,777 59
減損損失 (70) (48) (12)
148/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.1.3.2.2 カウンターパーティ別の信用リスクの集中
/ 償却原価で測定される金融資産
2022 年 12 月 31 日
償却原価で測定される金融資産
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
中央銀行 21,001
公的機関 193,111 3,562 395
金融 機関 23,579 52
その 他の金融会社 11,061 450 16
非金融 会社 38,883 8,267 1,074
個人向け銀行業務顧客 59,871 20,280 1,088
その他 7,937 797 26
カウンターパーティ別合計 355,443 33,408 2,599
減損損失 (211) (653) (876)
受取債権はこのカテゴリーでは認識されない。注記 2.3.8 「前払金、未収収益および繰延収益ならびにその他
の資産および負債」を参照されたい。
2021 年 12 月 31 日
償却原価で測定される金融資産
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
中央銀行
公的機関 183,145 3,075 445
金融 機関 17,417 100
その 他の金融会社 11,357 346 1
非金融 会社 42,407 6,890 776
個人向け銀行業務顧客 70,081 4,725 1,050
その他 7,391 8 40
カウンターパーティ別合計 331,798 15,144 2,312
減損損失 (276) (586) (791)
受取債権はこのカテゴリーでは認識されない。注記 2.3.8 「前払金、未収収益および繰延収益ならびにその他
の資産および負債」を参照されたい。
149/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
/ 振替えられるその他の包括利益を通じて公正価値測定される金融資産
2022 年 12 月 31 日
振替えられるその他の包括利益を通じて
公正価値測定される金融資産
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
中央銀行 3,439
公的機関 138,908 20
金融 機関 55,717 3
その 他の金融会社 6,311 70
非金融 会社 38,382 175
カウンターパーティ別合計 242,757 268
減損損失 (301) (11)
2021 年 12 月 31 日
振替えられるその他の包括利益を通じて
公正価値測定される金融資産
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
中央銀行 1,785
公的機関 131,841 21
金融 機関 54,765 7
その 他の金融会社 6,214 51
非金融 会社 45,136 275
カウンターパーティ別合計 239,741 354
減損損失 (463) (8)
150/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
/ 付与されたオフバランスシート・コミットメント
2022 年 12 月 31 日
付与されたオフバランスシート・コミットメント
ステージ3-
残存期間の
ステージ1- ステージ2- 予想信用損失-
12 カ月の 残存期間の 信用減損
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 コミットメント
中央銀行 145
公的機関 16,358 18 2
金融 機関 2,345 115
その 他の金融会社 1,943 134 1
非金融 会社 9,870 3,195 243
個人向け銀行業務顧客 7,020 2,040 27
その他 139 1,536
カウンターパーティ別合計 37,820 7,039 273
減損損失 (52) (83) (11)
2021 年 12 月 31 日
付与されたオフバランスシート・コミットメント
ステージ3-
残存期間の
ステージ1- ステージ2- 予想信用損失-
12 カ月の 残存期間の 信用減損
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 コミットメント
中央銀行 247
公的機関 14,299 865 23
金融 機関 3,277 622
その 他の金融会社 1,297 5
非金融 会社 7,446 3,884 14
個人向け銀行業務顧客 11,426 351 22
その他 25 50
カウンターパーティ別合計 38,017 5,777 59
減損損失 (70) (48) (12)
151/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.1.3.2.3 カウンターパーティのカテゴリー別および格付け別の信用リスク・エクスポージャー
2.8.4.1.3.2.3.1 信用リスク・エクスポージャー-個人向け銀行業務顧客
/ 償却原価で測定される金融資産
2022 年 12 月 31 日
個人向け銀行業務顧客
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
PD <1%
53,341 11,917
1% <PD <3%
5,538 4,477
3% <PD <10%
967 2,825
PD >10%
25 1,061
貸倒懸念債権
(法的回収手続きの対象) 1,088
合計 59,871 20,280 1,088
2021 年 12 月 31 日
個人向け銀行業務顧客
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
PD <1%
60,213 988
1% <PD <3%
7,654 641
3% <PD <10%
1,799 1,534
PD >10%
415 1,562
貸倒懸念債権
(法的回収手続きの対象) 1,050
合計 70,081 4,725 1,050
152/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
/ 付与されたオフバランスシート・コミットメント
2022 年 12 月 31 日
個人向け銀行業務顧客
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(単位:百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
PD <1%
5,890 1,448
1% <PD <3%
823 339
3% <PD <10%
186 154
PD >10%
121 99
貸倒懸念債権
(法的回収手続きの対象) 27
合計 7,020 2,040 27
2021 年 12 月 31 日
個人向け銀行業務顧客
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(単位:百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
PD <1%
9,168 89
1% <PD <3%
1,707 72
3% <PD <10%
368 81
PD >10%
183 109
貸倒懸念債権
(法的回収手続きの対象) 22
合計 11,426 351 22
153/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.1.3.2.3.2 信用リスク・エクスポージャー-法人向け
/ 償却原価で測定される金融資産
2022 年 12 月 31 日
法人向け
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
AAA 2,923 76
AA 2,607 3
A 7,679 365
BBB 3,628 44
BB 1,019 11
その他 32,088 8,218 1,090
合計 49,944 8,717 1,090
2021 年 12 月 31 日
法人向け
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
AAA 1,475 54
AA 7,798 98
A 8,539 235 1
BBB 3,491 20
BB 593 13
その他 31,868 6,816 776
合計 53,764 7,236 777
154/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
/ 振り替えられるその他の包括利益を通じて公正価値測定される金融資産
2022 年 12 月 31 日
法人向け
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
AAA 2,228 18
AA 6,665 16
A 17,609 41
BBB 50
BB
その他 18,141 170
合計 44,693 245
2021 年 12 月 31 日
法人向け
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
AAA 1,829
AA 7,442
A 18,531 40
BBB
BB
その他 23,548 286
合計 51,350 326
155/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
/ 付与されたオフバランスシート・コミットメント
2022 年 12 月 31 日
法人向け
ステージ3-
残存期間の
ステージ1- ステージ2- 予想信用損失-
12 カ月の 残存期間の 信用減損
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 コミットメント
AAA 917 17
AA 620
A 1,876 352
BBB 74
BB 86
その他 8,240 2,960 244
合計 11,813 3,329 244
2021 年 12 月 31 日
法人向け
ステージ3-
残存期間の
ステージ1- ステージ2- 予想信用損失-
12 カ月の 残存期間の 信用減損
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 コミットメント
AAA 1,586 29
AA 140
A 2,044 50
BBB 240
BB
その他 4,733 3,810 14
合計 8,743 3,889 14
156/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.1.3.2.3.3 信用リスク・エクスポージャー-政府および中央銀行向け
/ 償却原価で測定される金融資産
2022 年 12 月 31 日
政府および中央銀行向け
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
AAA 9,597 424
AA 117,958 535 5
A 17,565 107 59
BBB 23,103 872 3
BB 66 1,304
その他 45,823 320 328
合計 214,112 3,562 395
2021 年 12 月 31 日
政府および中央銀行向け
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
AAA 8,617 690
AA 113,660 11 4
A 13,022 99 67
BBB 21,113 760 3
BB 39 1,413
その他 26,694 102 371
合計 183,145 3,075 445
157/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
/ 振り替えられるその他の包括利益を通じて公正価値測定される金融資産
2022 年 12 月 31 日
政府および中央銀行向け
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
AAA 6,721
AA 107,627
A 5,004
BBB
BB
その他 22,995 20
合計 142,347 20
2021 年 12 月 31 日
政府および中央銀行向け
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
AAA 4,078
AA 94,573
A 9,572
BBB
BB
その他 25,403 21
合計 133,626 21
158/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
/ 付与されたオフバランスシート・コミットメント
2022 年 12 月 31 日
政府および中央銀行向け
ステージ3-
残存期間の
ステージ1- ステージ2- 予想信用損失-
12 カ月の 残存期間の 信用減損
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 コミットメント
AAA 457
AA 306 2
A 470
BBB
BB 39
その他 15,231 18
合計 16,503 18 2
2021 年 12 月 31 日
政府および中央銀行向け
ステージ3-
残存期間の
ステージ1- ステージ2- 予想信用損失-
12 カ月の 残存期間の 信用減損
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 コミットメント
AAA 390
AA 150 8
A 672
BBB 1
BB
その他 13,333 865 15
合計 14,546 865 23
159/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.1.3.2.3.4 信用リスク・エクスポージャー-金融機関向け
/ 償却原価で測定される金融資産
2022 年 12 月 31 日
金融機関向け
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
AAA 1,278
AA 5,217
A 12,496 1
BBB 1,004 51
BB
その他 3,584
合計 23,579 52
2021 年 12 月 31 日
金融機関向け
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
AAA 1,600
AA 1,616
A 8,387
BBB 838 50
BB
その他 4,976 50
合計 17,417 100
160/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
/ 振り替えられるその他の包括利益を通じた公正価値で測定される金融資産
2022 年 12 月 31 日
金融機関向け
ステージ3-
ステージ2- 残存期間の
ステージ1- 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 12 カ月予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
AAA 5,075
AA 7,951
A 35,969
BBB
BB
その他 6,722 3
合計 55,717 3
2021 年 12 月 31 日
金融機関向け
ステージ3-
ステージ1- ステージ2- 残存期間の
12 カ月の 残存期間の 予想信用損失-
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 信用減損資産
AAA 7,491
AA 7,962
A 29,203 5
BBB
BB
その他 10,109 2
合計 54,765 7
161/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
/ 付与されたオフバランスシート・コミットメント
2022 年 12 月 31 日
金融機関向け
ステージ3-
残存期間の
ステージ1- ステージ2- 予想信用損失-
12 カ月の 残存期間の 信用減損
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 コミットメント
AAA 256 9
AA 1,168
A 378 75
BBB
BB
その他 543 34
合計 2,345 115
2021 年 12 月 31 日
金融機関向け
ステージ3-
残存期間の
ステージ1- ステージ2- 予想信用損失-
12 カ月の 残存期間の 信用減損
(百万ユーロ) 予想信用損失 予想信用損失 コミットメント
AAA 229 9
AA 737 590
A 428
BBB
BB
その他 1,883 23
合計 3,277 622
162/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.1.3.2.4 当期中の総価値および減損の変動
当期中のステージ1、2および3のエクスポージャーおよび減損の変動は、注記 2.3.5 「償却原価で測定される金
融機関および関連企業向け貸付金および債権」ならびに 2.3.6 「償却原価で測定される顧客向け貸付金および債権」
に示されている。
2.8.4.1.4 ソブリン債務の信用リスク・エクスポージャー-ソブリンポートフォリオの国別内訳
ソブリン債務は、カウンターパーティが特定の国(すなわち国の政府または国の政府機関の1つ)(欧州銀行監
督機構( EBA )が資本要件規則第 115 条および第 116 条で定義する地方政府または地方自治体および公共部門団体を含
む。)である場合のすべての貸付金、債権、債務証券およびオフバランスシート・コミットメントで構成される。
以下の直接エクスポージャー(純額)は、すべてバランスシートに計上されているかかる金額(時価評価され、減
損損失を控除したもの)に対応している。
間接エクスポージャーは、オフバランスシート・コミットメントとして計上された金額に対応している。
現在、この表では、ソブリンによって全額または一部が保証されている非ソブリンのカウンターパーティに対する
エクスポージャーは除外されている。
163/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2022 年 12 月 31 日
振り替えら
れるその他
の包括利益 直接および
を通じた公 償却原価で 直接エクス 間接エクス
損益を通じ
正価値測定 測定される 償却原価で ポージャー 付与された ポージャー
て公正価値
される金融 貸付金およ 測定される 合計(純 コミットメ 合計(純
測定される
資産 び債券 有価証券 額) ント 額)
(百万ユーロ ) 金融資産
95 95 95
アルジェリア
オーストリア 50 780 138 113 1,081 1,081
ベルギー 246 5,247 1,628 1,455 8,576 8,576
ベナン 10 10 91 101
ブラジル 19,315 2,723 86 22,124 22,124
ブルガリア 40 40 40
カナダ 1 639 26 666 666
チリ 230 230 230
中国 50 50 50
コロンビア 147 147 147
コートジボワー
18 18 39 57
ル
クロアチア 89 89 89
キプロス 18 76 94 94
エジプト 538 538 927 1,465
フィンランド 80 25 105 105
フランス 4,536 63,786 117,887 38,212 224,421 1,629 226,050
ドイツ 434 4,372 1,538 6,344 6,344
ギリシャ 10 10 10
インドネシア 238 238 238
アイルランド 7 69 183 259 259
イスラエル 703 147 850 850
イタリア 402 13,074 1,523 14,999 14,999
日本 41 41 41
リトアニア
ルクセンブルク 68 759 827 827
メキシコ 1 101 235 337 337
オランダ 79 123 177 379 379
ぺルー 201 201 201
ポーランド 23 215 51 289 289
ポルトガル 77 656 594 1,502 2,829 2,829
カタール 1,125 1,125 56 1,181
ルーマニア 1 124 243 368 368
スロベニア 11 58 69 69
南アフリカ 23 23 23
韓国 60 5 65 65
スペイン 93 9,438 58 3,491 13,080 13,080
国際機関 928 5,780 91 6,799 6,799
スウェーデン 15 15 15
スイス 50 50 50
トーゴ 51 51 51
ウクライナ 53 53 2 55
英国 1 582 583 583
米国 14 14 14
ベネズエラ 58 58 58
その他欧州諸国 56 259 343 658 658
合計 26,282 108,266 123,274 51,076 308,898 2,744 311,642
164/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2021 年 12 月 31 日
振り替えら
れるその他
の包括利益 直接および
を通じた公 償却原価で 直接エクス 間接エクス
損益を通じ
正価値測定 測定される 償却原価で ポージャー 付与された ポージャー
て公正価値
される金融 貸付金およ 測定される 合計(純 コミットメ 合計(純
測定される
資産 び債券 有価証券 額) ント 額)
(百万ユーロ ) 金融資産
109 109 2 112
アルジェリア
オーストリア 5 543 142 186 876 876
ベルギー 236 8,739 2,201 1,494 12,670 12,670
ベナン 8 8 114 122
ブラジル 15,117 2,102 74 17,293 17,293
ブルガリア 19 19 19
カナダ 1 750 752 752
チリ 216 216 216
中国 56 56 56
コロンビア 150 150 150
コートジボワー
ル
クロアチア 95 95 95
キプロス 57 42 100 100
エジプト 267 267 1,443 1,710
フィンランド 92 25 118 118
フランス 4,463 83,966 93,419 32,646 214,495 5,520 220,015
ドイツ 287 4,074 114 2,271 6,746 6,746
ギリシャ 10 10 10
インドネシア 236 236 236
アイルランド 15 88 103 103
イスラエル 506 115 621 621
イタリア 501 14,800 11 2,067 17,378 17,378
日本 3,676 3,676 3,676
リトアニア 41 41 41
ルクセンブルク 37 652 690 690
メキシコ 108 228 336 336
オランダ 4 128 177 309 309
ぺルー 204 204 204
ポーランド 25 337 44 406 406
ポルトガル 77 361 1,512 1,949 1,949
カタール 1,221 1,221 169 1,390
ルーマニア 1 174 241 416 416
スロベニア 15 57 72 72
南アフリカ 24 24 24
韓国 64 64 64
スペイン 142 11,586 104 3,538 15,370 15,370
国際機関 739 5,330 2 6,072 6,072
スウェーデン 1 17 18 18
スイス 19 19 19
トーゴ 45 45 45
ウクライナ 46 46 17 64
英国 3 3 1 3
米国 31 53 84 84
ベネズエラ 33 33 33
その他諸国 27 266 293 293
その他欧州諸国 272 272 272
合計 21,731 137,914 97,662 46,673 303,980 7,266 311,245
2.8.4.2 市場リスク
2.8.4.2.1 定義と範囲
市場リスクとは、所定のポートフォリオに保有されている金融商品の価格変動から生じる損失のリスク ( 損益計算書
に計上されたものか資本に直接計上されたものかに関わらない。 ) と定義される。
165/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
フランス預金供託公庫グループは、主に以下の3つのポートフォリオを通じて市場リスクにさらされている。
・公正価値で認識され、規制上の意味におけるトレーディング勘定を含む La Banque Postale のエクスポージャー、
および純損益またはその他の包括利益を通じて公正価値で認識される銀行および保険ポートフォリオの資産。
・フランス預金供託公庫一般部門が主に運用する変動利付証券ポートフォリオ。
・ SFIL 銀行業務ポートフォリオにおいて、規制上の意味での市場リスクを全く示していないにもかかわらず、損益
またはその他の包括利益を通じて公正価額で認識される一定のポジションまたは活動。それらは主に SPPI 基準を
満たさない資産である。
2.8.4.2.2 市場リスクのガバナンスおよび管理
2.8.4.2.2.1 市場リスク指標
当グループの各事業体のリスク管理部門は、主に以下の指標のうち1つ以上を用いて市場リスクをモニタリングす
る責任を負っている。
感応度
感応度は、当グループのポートフォリオのリスク要因の変動に対するエクスポージャーを測定するために使用され
る。リスク管理部門は感応度の計算方法を検証し、関連性があり重要であると特定されたすべてのリスク要因が考慮
されていることを確実にする。
バリュー・アット・リスク( VaR )
VaR は、一定期間における所定の確率での潜在的な最大損失額を推定する損失エクスポージャーの指標である。各グ
ループ事業体は、ポートフォリオに内在するリスクをできる限り正確に包含するために、 VaR モデルを調整する。こ
れらは、慎重な信頼区間 ( トレーディング・ポートフォリオの場合は 99 %で1日、銀行ポートフォリオの場合は 99 %
で1日または1カ月 ) の使用、および最近の市場の動きに高い加重を適用するように設計された減衰係数の使用な
ど、一定数の共有原則を適用している。
リスク管理部門は、 VaR の頑健性を評価するために、 VaR の算出に用いたモデルの結果をバックテストする。
ストレス・シナリオ
VaR は、現在の市場環境の下で推定されたものであり、極端な市場環境や対象を絞った市場環境 ( 地政学的ショッ
ク、システム上重要なグループの倒産、パンデミック等 ) における潜在的な損失額に関する情報は一切提供していな
い。それゆえ、ストレス・シナリオが定義されている。2つの主要なストレス・ファミリーを以下のとおり区別す
る。
・過去の金融危機に基づく過去のストレス。
・仮にリスクが顕在化した場合に当グループを脅かす可能性のある妥当な変動を採用する仮想ストレス。これらの
ショックは、市場データから得られた過去の統計に基づく仮定により調整されている。
166/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.2.2.2 市場リスクのガバナンス : 限度額と情報
対象となるポートフォリオに応じて、リスク指標は限度枠の対象となるか、または関係事業体の統治機関に報告さ
れる。限度額の3つのレベルを以下の通り区別している :
・リスク・アペタイト・ステートメント (RAS) において、当該事業体の監督機関 ( フランス預金供託公庫監督審議
会、 La Banque Postale 監査役会および SFIL 理事会 ) のみが提示する限度額または指標。
・各事業体の中央リスク管理文書 ( 例えば、リスク管理方針 ) の中で各事業体に計上された限度額、および執行機関
向けの情報 ( 月次リスク報告書によるフランス預金供託公庫執行委員会、 La Banque Postale の経営委員会および
SFIL の経営委員会 ) 。
・詳細な業務上の限度額および経営委員会向けの情報 (La Banque Postale ならびに SFIL の月次ポートフォリオ管理
委員会および市場リスク委員会 ) 。
限度超過により警報手続きおよび関連する是正措置が発動し、超過の最長継続期間は、超過の性質ならびに業務状
況および市場状況に基づいて、事業体のリスク管理部門によって評価される。
市場リスクに関する詳細な情報は、 La Banque Postale および SFIL のそれぞれの年次財務報告書に記載されている。
2.8.4.2.2.3 フランス預金供託公庫一般部門の株式ポートフォリオの市場リスク
グループ・リスク管理部門は、株式ポートフォリオについて、以下のバリュー・アット・リスク(以下「 VaR 」とい
う。)の計算を行っている。すなわち、本書において、 VaR (保有期間1カ月、信頼区間 99 %)は、年換算されたホ
ライズンによりモンテカルロ法を用いて計算される。
VaR の計算には、ファットテール分布を有する疑似ガウス分布の仮定を用いる。これによって、当グループが継続企
業として存続すると仮定して、選択された保有期間および信頼区間での実際の市場環境における最大リスクの正確な
見積りが得られる。
VaR の計算には、数多くのリスク要因と、ボラティリティおよび過去の相関関係を考慮したリスク要因の中からの選
択を伴う高次元のモンテカルロ法が使用されている。
過去のデータの厚みは増しており、より最近の事象により高い加重を適用するという、事象に対する指数関数的な
加重指数(半減期は1年 [ 減衰係数 ] )を用いている。
オプションと同様に、主なリスク要因により金融商品の価格が変動しない場合、統合された価格設定式を用いて、
計算ツールにより各シナリオの下で価格を再測定する。
フランス預金供託公庫一般部門の株式ポートフォリオ・リスクは、業種分類ベンチマーク( ICB2 )を用いて産業別
に分類されており、それによって限界 VaR を取り出し、全体の VaR に対する各産業の貢献度を分析することが可能にな
る。
エクイティ・ファンドのリスクは現地通貨建で計算されるが、基礎となる為替リスクを考慮していないため、ユー
ロ相当額で再評価される。実際、フランス預金供託公庫一般部門の為替リスクは、当グループ全体について測定さ
れ、個別のポートフォリオ・レベルでは測定されない。
ガウス分布に基づくモデルは、極端な市場の変化を正確に把握できないため、 2019 年以降、グループ・リスク管理
部門はファットテール分布を有する疑似ガウス分布を利用している。これらの方法は、極端な事象およびその事象の
発生頻度のより正確な見積りを表す極端な分布パターンに基づいている。
VaR 指標を監視するほか、当グループは感応度およびストレス・テストの計算も行っている。
167/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
/2022 年 12 月 31 日現在のフランス預金供託公庫一般部門の指標
( 百万ユーロ ) VaR (1年、 99 %)
株式ポートフォリオ 12,513
外国株式
- 米国株
316
- 日本株
172
- 新興国市場株
170
ヨーロッパ小型株ポートフォリオ 108
イノベーション・ファンド 81
移行ファンド 35
投資ファンド 74
/2022 年のフランス預金供託公庫一般部門株式ポートフォリオの VaR 水準の月次変動
信頼区間 99 %での1年間のホライズンにわたる株式ポートフォリオ VaR の月次変動
株式ポートフォリオの VaR は 2022 年も概ね安定した状態が続いていたが、当年度の初めは再びボラティリティが生じ
たため(地政学的な緊張、インフレ、金利上昇)わずかに上昇し、第4四半期には株式市場の回復により低下した。
168/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
/2022 年 12 月 31 日現在のフランス預金供託公庫一般部門株式ポートフォリオのリスク要因別 VaR の内訳
相対加重
民間消費財 26.2%
産業財・サービス 17.2%
医薬品 / ヘルスケア 8.9%
銀行 8.9%
食品・飲料 2.7%
石油・ガス 5.9%
公益事業 6.3%
保険 4.9%
化学 3.6%
テクノロジー 3.8%
建設 3.9%
コモディティ 0.7%
自動車 2.2%
電気通信 0.9%
メディア 1.3%
金融サービス 1.2%
旅行・レジャー 0.8%
不動産 0.4%
素材 0.1%
小売り 0.1%
2.8.4.2.2.4 La Banque Postale の資産ポートフォリオの市場リスク
La Banque Postale は、現金管理および余剰流動性管理事業 ( 売却可能資産のポートフォリオおよびヘッジ取引 ) に加
え、顧客のために行われる取引を通じても、市場リスクにさらされている。市場リスク・ポートフォリオは、トレー
ディング・ポートフォリオのほか、売却可能有価証券の取引および一部の有価証券貸借取引を含む公正価値で測定さ
れる銀行ポートフォリオ取引から構成されている。関連するリスクは、以下を用いて評価される。
・リスク要因の変化に対する La Banque Postale のポートフォリオのエクスポージャーを測定した感応度。
・ VaR 。 La Banque Postale は、 La Banque Postale の金利、スプレッド、為替レート、ボラティリティおよびエク
イティ・リスクをカバーする分散・共分散行列を用いて計算したパラメトリック VaR を使用している。この結果得
られる VaR は、オプションに関連するリスクを部分的にカバーしており、二次リスクは考慮されていない。現時点
では重要ではないが、オプション・ポジションの増加により、 La Banque Postale のリスク部門がより適切な方法
論を採用することとなる可能性がある。さらに、オプション・リスク・モニタリング指標を導入している。
La Banque Postale は、主に金利リスク、信用スプレッド・リスクおよびエクイティ・リスクにさらされている。為
替リスク、特に国際的なマンデートや財務活動に関連するリスクおよびボラティリティ・リスクは中程度である。
169/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
/ トレーディング・ルーム・ポートフォリオの VaR ( 百万ユーロ )
損益を通じて公正価値で測定されるトレーディング・ポートフォリオの VaR は、 2022 年には 1.6 百万ユーロから 5.2 百
万ユーロの範囲にあった。当期中にみられた変動は、主に金利ヘッジに対する調整に起因するものであった。
2.8.4.2.2.5 SFIL 資産ポートフォリオの市場リスク
SFIL グループは、公的開発銀行として、売買取引を行っておらず、従って規制上の意味での市場リスクにさらされ
ていない。同様に、 CAFFIL は、抵当銀行として、トレーディング・ポートフォリオや株式投資の保有を禁止されてい
るため、規制上の市場リスクにさらされていない。しかしながら、銀行勘定における特定のポジションまたは活動
は、市場パラメータのボラティリティに敏感であり、規制対象外の市場リスクとしてモニターされている。主なもの
を以下に示す。
・損益またはその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の価値の変動から生じるリスク。
・輸出信用事業から生じる一定のリスク ( 特定の輸出信用指標の価値の変動 ) 。
・ IFRS に基づいて損益計算書で認識される信用評価調整 (CVA) および負債評価調整 (DVA) を含むデリバティブに対す
る公正価値調整の変動。
・市場性のある有価証券に関するフランスの GAAP 規定。
・ SFIL が外部のカウンターパーティと組成したデリバティブが CAFFIL によって完全に再現されない場合、 CAFFIL に
代わって実行されたデリバティブ仲介活動に関連する SFIL の個別財務諸表に影響を与えうるリスク。
170/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.3 構造的リスク
2.8.4.3.1 流動性リスク
2.8.4.3.1.1 定義、範囲およびガバナンス
流動性リスクとは、会社が特定の期間内に、あるいは妥当なコストで、市場状況や固有の要因のために、コミット
メントを履行できない、またはポジションを解消もしくはカバーできないリスクをいう。
流動性リスクは、政令第 2020-94 号第2条により定められた枠組みの下で管理されており、グループ・レベルでの流
動性プールは存在しない。
当グループのガバナンス
フランス預金供託公庫グループの事業体全社に共通する原則は、当グループの財務リスク管理方針に規定されてい
る。第一に、同方針は、 CDC グループ・レベルでは流動性プールが存在しないことを強調している。したがって、そ
れぞれの事業体は、自らの流動性と資金調達の管理に責任を負う。
国の経済発展を支援するという使命と、信頼できる第三者経営者としての役割を踏まえ、当グループの流動性方針
は、あらゆる市場環境において長期的な資金調達能力を保護するように策定されている。フランス預金供託公庫は、
株主として、子会社が当グループの目的、自らの目標および自律的な経営を反映した慎重な流動性方針を適用するこ
とを確保している。
従って、各事業体は、フランス預金供託公庫の流動性方針に対するアプローチについて、リスクの観点から定めた
文書化された流動性方針を有することが求められる。当該方針は、事業体の統治機関によって少なくとも年1回は見
直されなければならない。
当該方針は、以下の主要な点を網羅している。
・事業体の流動性ガバナンス。
・指標およびその限界。
・流動性方針の運用上のロール・ダウン。
・ストレス・テストおよび緊急時の手続き
規制対象となる事業体は、流動性リスク、流動性リスク指標およびその限度額を定めた一連の手続き文書を保有し
ている。各事業体は、目標とする資金調達の性質および発行プログラムの金額を明確にした上で、少なくとも年1
回、統治機関に対し、資金調達計画の妥当性を確認するよう求めている。
事業体は、流動性の残高や資金調達取引を監視するための IT システムおよび資金調達先の分散化を保証するための
手続きを有している。必要に応じて、事業体は限度の設定に用いられる方法を文書化する。この文書では、限度を超
過した場合の処理およびエスカレーション・ルールが規定されている。
2.8.4.3.1.2 流動性リスク管理とガバナンス
2.8.4.3.1.2.1 一般部門の流動性管理
フランス預金供託公庫グループ全体のバランスシート流動性管理の重要性に鑑みて、以下を目的としたいくつかの
仕組みが設定されている。
・バランスシートにおける満期のミスマッチ・リスクを抑え、よって長期投資を短期負債に借換える必要性を制限
することにより、可能な限り効果的に資金源と資金使途をマッチさせること。
・今後の公的機関の返済義務を満たすために流動資産の額を保守的に維持すること。
・市場ベースの融資に対する依存性を制限すること。
流動性は健全性モデルに従って管理されており(参照文書は毎年更新される。)、このモデルは、当グループの流
動性の評価と管理のための強固な仕組みを示す ILAAP (内部流動性充実度評価プロセス)によって補完されている。
これには、フランス預金供託公庫の流動性方針ならびに業務方法、統治およびリスク管理に関する文書が盛り込まれ
ている。
171/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
流動性ギャップ 分析は、翌5年間における負債と資産の満期の差異を月ごとに測定するものである。ギャップは、
以下の静的基準および動的基準で計算される。
・静的ギャップ分析は、新たな貸付を除く、負債と資産の当初の満期(契約上の預け金の満期を含む。)の差異を
測定するものである。
・動的ギャップ分析は、再投資および新規貸付の影響を測定するものである。
預け金は、金利のミスマッチの計算について同一満期の仮定に基づいて考慮される。
流動性準備金の要素に関して、静的ギャップ分析に適用される警告閾値および限度額(異なるタイムホライズンに
基づく。)が決定される。
これらの警告閾値は、平均して約 27 十億ユーロである。警告閾値および限度額は、毎年統治機関により承認され
る。閾値に達すると、主として市場取引および(必要な場合には)投資の減額を通じて必要な流動性をもたらすため
に、 ILAAP に定める緊急事態計画が発動される。 2022 年 12 月 31 日現在で計算された最大の流動性ギャップは、当グ
ループの警告閾値または全体のリスク限度額を大きく下回っていた。
公的機関の流動性準備金も毎月計算される。これは、高ストレスの状況下でも、短期間(数時間から数日)の通知
で入手できる可能性のある流動性の金額に相当する。かかる準備金は非常に余裕のあるレベルに保たれている。これ
には、高リスク国であるウクライナおよびロシアへのエクスポージャーは含まれていない。
2022 年発行の未償還長期債券の受渡しは、バランスシートマネジメント委員会により検証された資金調達計画に
従って設定された。
2.8.4.3.1.2.2 La Banque Postale の流動性リスク管理
流動性リスク報告および評価システム
流動性リスク報告システムは、規制の目的上、 La Banque Postale グループ全体をカバーしている。管理に使用さ
れる制限および指標の一部は、グループの企業単位、特にグループ最大の法人である La Banque Postale を参照して
いる。
流動性リスク健全性報告システムは、健全性に関して連結範囲全体をカバーしている。また、一部のグループ企業
は、個別レベルで報告要件の対象になっている。
La Banque Postale 全体の流動性リスク管理
La Banque Postale は、以下に基づいて強固な流動性ポジションを有している。
・顧客貸出金を上回る顧客預り金。 La Banque Postale は、フランスの個人顧客からの預金を主体とする、多額か
つ分散化した預金ベース( 200 十億ユーロ超)を有している。
・重要な HQLA (適格流動資産)ポートフォリオ。 La Banque Postale は、預金受入れ機関としての本来の業務ゆえ
に、伝統的にバランスシートのかなりの部分をソブリン証券に投資してきた。顧客信用事業は、 2006 年に始まっ
たばかりである。このポートフォリオには、委任規則( EU )第 2015/61 号の規定に従い、適格流動資産のみが含
まれている。
・実証された資本市場および短期金融市場での資金調達手段。
顧客からの資金は、ほとんどが固定満期ではなく、いつでも支払いが可能であるため(預金、通帳式口座)、流出
額をモデル化して経時的なプロフィールを決定する。 La Banque Postale は、流動性ポジションの評価について保守
的なアプローチを採用している。
172/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
流動性リスク管理
バランスシート監視委員会は、グループ・リスク管理委員会によって承認された原則および制限に従って流動性リ
スクを管理する責任を負う。この責任の一部は、流動性リスクについて ALM および財務委員会に委任されている。
業務面では、 La Banque Postale は、流動性限度、評価、監視、報告および管理手続きを統合した内部流動性適切
性評価プロセス( ILAAP )を実施している。その過程には以下が含まれる。
・毎月公表される、規制または内部限度に関連するリスク指標のシステム。
・抵当権の設定されていない適格流動性証券および近似 LCR で構成されるバッファーの変化の日々の監視。
・ La Banque Postale グループの予算計画において、事前に La Banque Postale の借換えポジションの均衡を確保す
る資金調達計画。
・異なる通貨での市場アクセスを検証するための年2回の市場アクセステストおよび有価証券の実際の流動性テス
ト。
・下記を主な目的とする緊急資金計画 (EFP) 。
- La Banque Postale に固有のものであるかシステミックなものであるかにかかわらず、流動性ストレスの早
期発見を可能にする警告閾値を定義すること。
- 利用可能なすべての流動性創出能力(流動性準備および資金調達能力)を特定すること。
- 潜在的な危機に適時に対処するためにガバナンスを動員すること。
- 従来からの高ストレスの状況下において、ストレス・テスト・システムを用いて、 La Banque Postale の新
たな対応の余地を測定する。
流動性リスクの測定
流動性リスクの主な指標は以下に示されている。
流動性カバレッジ比率( LCR )
LCR は、グローバル危機シナリオにおいて、金融情勢が大きく悪化した場合に、最長 30 日間、 La Banque Postale が
それに耐えうる能力を測定した月次ベースでの短期流動性比率である。
銀行規制では、 LCR は 100 %を超えている必要がある。 La Banque Postale の内部 LCR 目標はこれよりも高く(警告閾
値は 120 %で、最低限度は 110 %である。)、 2022 年 12 月 31 日現在の実際の LCR は、最低レベルを大幅に上回って
146.6 %であった。
この比率は、抵当権の設定されていない適格流動資産の合計を、 30 日間のストレス環境下での流動性要件で除する
ことによって算出される。 LCR の代理変数は毎日計算される。
LCR は年間で 40 ポイント減少し、 2021 年 12 月 31 日現在の 186.3 %に対し、 2022 年 12 月 31 日現在では 146.6 %となっ
た。この低下は主に、フランス銀行のポジションに関連する適格流動資産( HQLAs )が 11.8 十億ユーロ減少したこと
によるものであった。正味キャッシュ・アウトフローは引き続き安定していた。
173/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
サバイバル期間
この指標は、 La Bank Postale が流動性バッファーを使用し、正常に運営し続けると仮定した場合(すなわち、融
資の凍結などの特別な経営行動がないと仮定した場合)にのみ、危機的状況において支払義務を履行できるであろう
日数を測定する。
これは、各危機シナリオ(体系的、 La Bank Postale 特有、またはその双方)に関して計算されたストレス時のダ
イナミック・ギャップに基づいて算定され、 La Bank Postale にとって最も好ましくないシナリオの下で観察された
期間に対応する。
サバイバル期間は、月数(危機シナリオの期間に対応する最大6カ月まで)に、リスク管理目的で設定された期間
に対応する観測された流動性の余剰または不足を加えたものとして表される。
流動性ギャップ
La Banque Postale は、流動性ギャップを参照して、その長期流動性レベルを評価する。流動性ギャップには、1
年、3年および5年の期間で定義された満期および限度による静的ギャップ予測が含まれる。使用された仮定は、ス
トレス下のアプローチに対応しており、結果として、 La Banque Postal グループの流動性ポジションの見方は保守的
となる。
流動性ギャップ評価アプローチは、貸借対照表上の資産(または負債)の種類に従って決定される。
•満期が 固定された貸付残高(モデルによって調整される場合とされない場合がある契約上の流出)
•満期が固定されていない貸付残高(従来の流出)
•譲渡可能な資産の流動性プロフィール
•オフバランスシート項目(流動性コミットメントおよび保証)
契約上の満期のない取引(顧客預金および通帳式貯蓄口座を含む。)は、バランスシートマネジメント委員会およ
びグループ・リスク部門によって承認された流出取決めに基づいて含まれている。
引出しの仮定を考慮して、オフバランスシート取引が含まれている。
特定の取引の譲渡可能性は、必要に応じて考慮される場合がある。
/2022 年 12 月 31 日現在の長期流動性ギャップ(百万ユーロ)
(百万ユーロ) 1年 3年 5年
使用 (193,626) (141,072) (101,082)
調達 213,099 171,243 131,109
オフバランスシート 32 29 5
2022 年 12 月 31 日現在の流動性ギャップ 19,505 30,199 30,032
2021 年 12 月 31 日現在の流動性ギャップ 26,790 28,417 26,482
調整 (7,284) 1,782 3,550
流動性ギャップ(資産に対する負債の超過分)は、負債モデルの変更(貯蓄商品の長期ランオフの仮定)により、
2022 年にわずかに増加した。
安定調達比率( NSFR )
NSFR とは、所要安定調達額に関連した利用可能な安定的調達額をいう。この比率は、常に 100 %以上でなければな
らない。「利用可能な安定調達額」( ASF )とは、 NSFR における対象期間内、すなわち1年以内に支払期限の到来し
ない調達部分を指し、事業の「必要な安定調達額」( RSF )は、その流動性の特性や資産の残存期間(およびオフバ
ランスシート・ポジション)に依拠する。
2022 年 12 月 31 日現在、 ECB に対する規制上の流動性行使の一環として、 NSFR の流動性比率は 129 %であった。
174/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
流動性準備金
流動性準備金の目的は、流動性危機に耐えるために、有価証券の売却または買戻しを通じて容易に利用可能な現金
および流動性を定量化することである。
流動性準備金は以下で構成される。
・中央銀行への預け金(設立期間中に計算された平均強制準備金を除く。)。
・十分な格付けを有する ECB 適格有価証券。
・ La Banque Postale が、その子会社である La Banque Postale Home Loan SFH を通じて保有するカバードボンドお
よび発行したカバードボンド。
/2022 年 12 月 31 日現在の流動性準備金(百万ユーロ)
(百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日
現金および中央銀行預け金 37,360
その他の ECB 適格有価証券 5,872
流動性準備金合計 43,232
また、 La Banque Postale は住宅ローンを担保にすることで、資金調達計画において付与された権限に従って、中
央銀行の借り換えに適格な7十億ユーロ相当のカバードボンドを発行することもできる。
緊急資金計画( EFP )
EFP は、当グループの資金調達統治機関( ALM および財務委員会ならびにグループ・リスク管理委員会の借換え小委
員会)により監視され、法人向け銀行業務および投資銀行業務部門により実施される。
EFP は、 La Banque Postale が毎年報告する内部流動性評価プロセスの一部である。 EFP は、 La Banque Postale の流
動性に影響を与える(金融または銀行業の)市場の頑健性を測定するために選ばれる先行指標を提示している。これ
らの指標は、以下の2つの主要なグループに分類することができる。
・システミックな指標
・事業体特有(「固有」)の指標
特定の閾値(快適、注意、警告)は、各指標について定義されている。
また、 EFP は、実証されているシステミックな危機や事業体特有の危機が発生した場合に実施される仕組みについ
ても規定している。この仕組みは、主として、必要な金額およびアクセス可能なスピードに基づいて La Banque
Postale が利用可能な様々な資金源(または流動性)の棚卸資産の形をとっている。また、 EFP は、先行指標を監視す
る委員会を通じて、具体的なガバナンスに関する規定を設けている。この統治機関の目的は、流動性リスクに対する
監視の強化にある。平常時には、指標は ALM および財務委員会の会議で提示され、定期的にグループ・リスク管理委
員会に報告されている。それらはまた借換え委員会の週例の会議で追跡される。選択された指標と提案された行動
は、市場流動性と共に市場の適合性評価のために市場でテストされる。
資金調達テストとは、短期負債を発行することによって市場を評価することである。この 種のテスト の目的は、予
想される借入能力が引き続き有効であることを確認するために、 La Banque Postale が市場で迅速に資金を調達でき
るかどうかを定期的に検証することである。
この種のテストは少なくとも年2回実施される。
175/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
外部資金調達へのアクセス能力
ALM 委員会およびグループ・リスク管理委員会による健全かつ慎重な流動性管理に従って、 La Banque Postale は以
下のように多様な資金調達源を確保している。
・ La Banque Postale の短期資金調達所要額の一部を借換え、機関投資家の需要を満たす、 20 十 億ユーロの NEU CP
( 譲渡可能な欧州コマーシャル・ペーパー)プログラムおよび 10 十億ユーロの ECP ( 欧州コマーシャル・ペー
パー)プログラム。
・ La Banque Postale の短期資金調達所要額の一部を借換え、機関投資家の需要を満たすための2十億ユーロの NEU
EMTN プログラム。
・シニア債(バニラ債および仕組み債)、非優先シニア債ならびに Tier 2債の発行を可能にする 20 十億ユーロのリ
テール EMTN プログラム。
・ 10 十億ユーロのリテール仕組みシニア債務プログラム。
・ 2013 年に設立された La Banque Postale の子会社であり、その安全な資金調達ビークルである La Banque Postale
Home Loan SFH による住宅ローン債券( obligations de financement de l ’habitat - OFH )発行のための 30 十億
ユーロの EMTN プログラム。
・ La Banque Postale の適格ファンド・コミットメントに基づく欧州投資銀行( EIB )の借換えへのアクセス。
・ HQL A (適格流動資産)証券のポートフォリオ。主に、 ECB の借換運用または証券レポ市場へのアクセスを可能に
する適格資産の安定的な資源であるアクセスの可能な優良な国債から構成される。
・ Brokertec 、 Eurex Repo および Eurex GC Pooling ならびに NGT Bondlend レポ・プラットフォームへのアクセス。
・インタ ーバンク市場へのアクセス。
また、 La Banque Postale は、フランス地方金融基金( CAFFIL )を通じて安全な資金調達ビークルを利用してお
り、これに対し、組成した地方公共セクター向け融資を定期的に行っている。
176/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
/ 抵当権の設定されている / 抵当権の設定されていない資産
抵当権の設定されて 抵当権の設定されて
いない資産の いない資産の
抵当権の設定されている資 抵当権の設定されている資
産の帳簿価額 産の公正価値 帳簿価額 公正価値
うち、想定上 うち、想定上
適格な EHQLA 適格な EHQLA 流動資産バッ うち、 EHQLA
(百万ユーロ) および HQLA および HQLA ファー および HQLA
開示会社の資産 115,780 22,994 195,283 4,275
持分商品 189 300 300
負債証券 24,787 22,994 21,881 20,059 14,248 4,275 14,234 4,326
-うち、カバードボンド 447 447 441 414 1,323 1,078 1,263 1,022
-うち、証券化による
もの 1,171 547 1,166 545
-うち、一般政府によ
る発行 21,725 21,719 19,253 19,208 3,896 2,103 4,161 2,171
-うち、金融会社によ
る発行 2,362 800 2,355 746 10,053 1,899 9,813 1,878
-うち、非金融会社に
よる発行 273 247 274 106 736 220 727 219
その他資産 91,683 181,577
La Banque Postale グループの抵当権の設定されている資産は以下で構成される。
・他の金融取引相手との現先契約に基づいて引き渡された有価証券。
・中央銀行および Crédit Logement に対して差入れられた有価証券。
・ La Banque Postale Home Loan SFH のカバードボンド発行の担保として差し入れられた住宅ローン。
・有価証券およびデリバティブに対する追加証拠金。
・担保預金。
2.8.4.3.1.2.3 SFIL の流動性管理
ガバナンス
流動性リスク選好度は SFIL の経営陣によって定義され、取締役会によって承認される。これは、流動性リスクを測
定するための様々な指標(通常およびストレス状況における流動性予測、輸出信用活動の監視など)によって補完さ
れており、以下の制限が適用される。
・流動性リスク選好度は、 30 ベーシス・ポイントの借り換えによるコストショックに対する流動性ギャップ(連結
ベースで 10 年間にわたって計算され、初年度の過剰流動性を除く。)の感応度を参照して監視される。また、資
本金の 15 %という限度も適用される。
・予算プロセスの一部として作成される資金調達計画は、規制指標およびグループの発行能力に従って策定される
必要があり、発行の大部分が同じ期間内に満期を迎えることを避けなければならない。また、この計画は、中央
銀行からの資金調達の(期間と量の両方の点で)限定的な使用のみを承認しなければならない。
・ストレス条件下での1年間のサバイバル期間: SFIL および CAFFIL は、フランス銀行からの資金調達または La
Banque Postale およびフランス預金供託公庫との既存の流動性枠を利用して、少なくとも1年間は独自の活動の
資金を調達することができなければならない。
・予想される収益性に対して逸失利益を抑えるために、輸出信用には限度額が設定されている。これらの逸失利益
は、ドローダウン期間中のリファイナンシング・スプレッドの変動、または取引の建値日から署名日の間のユー
ロ / 通貨ベースの変動(米ドル建またはポンド建の取引の場合)によって生じる可能性がある。
流動性リスクの管理方法 :
・資産負債委員会( ALCO) は、金融部門の ALM 管理部署、市場リスク部門および同行のその他の関連部署から構成
されている。同委員会は、 ALM 管理戦略を決定し、経営指標により適正な実施を確保する。
・ ALM 流動性委員会は、関連する全ての情報を ALCO のために取りまとめ、決定された事項を実施する。
177/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
流動性リスク測定
主な流動性リスク指標は以下の通りである。
・「正常」な状況における経営指標:
-短期および中期の動的な流動性要件。
-資金調達の満期の集中。
-内部指標(グループの資金調達コスト、現金担保の変動など)。
-システミックな流動性危機を識別するための市場指標。
・ストレス状況下の流動性管理:
SFIL は、流動性リスクの特定、測定および管理に役立つ一連のレジスタンス・テストを開発した。これらのテ
ストは、仮説的なシナリオ(体系的なシナリオおよび体系的なショックと特異なショックを組み合わせたシナリ
オ)ならびに SFIL の活動に対するその影響の評価に基づいている。それらは流動性適切性評価プロセス (ILAAP)
の一部を構成し、全てのストレス要因が一貫性を持ち、様々な種類のリスクに適用されることを確実にするため
に、他のリスク測定プロセス (ICAAP 、回復計画 ) と共存している。
シナリオは、少なくとも年に一度は見直される。それらは SFIL と CAFFIL に適用され、経営の特殊性および各企
業に適用される規制上の制約を織り込んでいる。使用された主なストレス要因は以下のとおりである。
-インターバンク市場およびモーゲージ債市場の長引く閉鎖。
-流動性準備金における有価証券の価値の全体的な減少に加えて、場合によっては気候リスクに関する追加の
ディスカウント。
-デリバティブの担保負担の増加。
-デリバティブのカウンターパーティによる債務不履行。
-未払の顧客に対する債権
2022 年 12 月 31 日現在、各ストレス・シナリオでは1年を超えるサバイバル期間が重視されている。
・規制上の流動性指標:
-金融機関に適用される指標( LCR 、 NSFR )
- SFIL の個別および連結ベースの LCR 管理限度は 150 %に設定されている。 CAFFIL については、カバードボンド
(1)
指令の発効に関連して 2022 年7月に LCR の計算に加えられた変更を考慮して、 LCR の計算に考慮される流
動性準備金の額は現在、 30 日間の純現金流出額を上限としている。
- 2022 年 12 月 31 日現在、 SFIL の連結 LCR 比率および NSFR 比率はそれぞれ 161 %および 119 %で、 2021 年 12 月 31 日
から低下したが、経営目標を大きく上回った。
(1) 2022 年2月 10 日付委任規則第 2022/786 号。
178/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
/2022 年 12 月 31 日現在の規制上の流動性比率
2022年 2021年
規制上の比率( SFIL 連結、%) 12月31日 12月31日 規制限度 RAF 早期警告
LCR 161% 949% 100% 150%
NSFR 119% 121% 100% 108%
- sociétés de crédit foncier ( SCF 、または抵当銀行)に適用:
- SCF 規則に基づき、カバードボンドは、カバードボンドの少なくとも 105 %に相当するカバープールに適格な
資産の残高によって担保されなければならない。 2022 年 12 月 31 日現在の担保率は 11.8 %であった。
-カバープールに適格な資産の平均耐用年数とカバードボンドの平均残存期間の差は 18 カ月を超えてはなら
ない。 2022 年 12 月 31 日現在、この差はマイナスであった。
- 180 日の流動性要件に関するレポートは、静的なシナリオにおいて、 180 日を超える流動性要件が流動性準備
金の適切な額によってカバーされていることを検証することを目的としている。 2022 年7月のカバードボ
ンド指令の発効に伴い、適格資産の範囲は縮小されたが、流動性準備金による 180 日の流動性要件の適切な
カバー範囲は損なわれなかった。
・輸出信用指標:
-輸出信用取引の事前融資金利。
-逸失利益 : これは、リスク選好度がどれだけ輸出信用取引におけるスプレッドおよびベースリスクに対して
費やされたかを測定し、当グループのユーロ建て資金調達コストのストレスまたは外貨建て資金調達コスト
(米ドル建てまたは英ポンド建て)の増加によって生じる可能性のあるかかる取引における逸失利益を算定す
る。
資金調達能力
通常の状況では、当グループの活動は以下によって資金調達している。
・ CAFFIL が発行し、カバープールに適格な資産により担保されているカバードボンド( CAFFIL )。
・ SFIL が発行した長期 EMTN 。
・ SFIL が発行した短期譲渡可能欧州( NEU ) CP 。
2022 年にはカバードボンド市場で大量の発行があり、 ECB の段階的な撤退と相まって、流通市場および新規発行の
両方で資金調達条件のボラティリティが増大し、信用スプレッドが拡大した。
これに関連して、 CAFFIL は合計 4.9 十億ユーロの資金を新規に調達し、このうち 4.5 十億ユーロが公募市場で、 430
百万ユーロが私募市場で調達された。 CAFFIL については、 2022 年は 2022 年7月8日付の欧州カバードボンド指令の発
効によっても特徴づけられた。これにより、 CAFFIL の債券が新しい「欧州カバードボンド(プレミアム)」ラベル
に適格であることが確認された。
SFIL は年に2回公募市場で起債し、総額 1.5 十億ユーロの2件の 10 年物ユーロ建て債券(1十億ユーロおよび 500 百
万ユーロ)をそれぞれ4月および9月に発行した。
また、当グループは総額 1.6 十億ユーロの3件の CSR 債の発行を行うことで、引き続き募集の分散化に貢献した。
179/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.3.1.3 流動性リスクに対する当グループのエクスポージャー
当グループの金融資産および金融負債の契約上の満期日別の償還予定額は以下のとおりである。
固定利付証券、貸付金および負債は契約上の満期日別に分類される。株式投資およびミューチュアルファンドは、
「満期の定めなし」の欄に記載されている。要求払預金(資産および負債)は、「3カ月未満」の欄に示されてい
る。この表に示された金額は、貸借対照表の金額(割引の影響を含む。)に対応している。
これらの表は、報告日の貸借対照表上のポジションを示している。それらは、満期のミスマッチまたは資産および
負債の将来の発生に対処する経営陣の決定を考慮に入れていない。
満期別の金融資産
2022 年 12 月 31 日
3カ月 3~ 満期の
( 百万ユーロ ) 未満 12 カ月 1~5年 5年超 定めなし 合計
現金および中央銀行預け金 42,974 42,974
損益を通じて公正価値で測
定される金融資産 12,398 12,359 30,846 26,265 158,603 240,471
正の公正価値を有するヘッ
ジ手段 99 623 847 472 2,326 4,367
損益に振替えられるその他
の包括利益を通じて公正価
値で測定される金融資産 7,903 28,748 62,719 104,619 203,989
損益に振替えられないその
他の包括利益を通じて公正
価値で測定される金融資産 16 11 26,836 26,863
償却原価で測定される有価
証券 1,434 17,449 17,586 46,415 195 83,079
償却原価で測定される貸付
金および債権 108,120 17,770 59,065 113,359 4,100 302,414
金利リスクに対してヘッジ
されるポートフォリオに対
する公正価値調整の累計額 -
資産 1,104 1,104
合計 172,928 76,965 171,063 291,141 193,164 905,261
2021 年 12 月 31 日
3カ月 3~ 満期の
( 百万ユーロ ) 未満 12 カ月 1~5年 5年超 定めなし 合計
現金および中央銀行預け金 76,041 76,041
損益を通じて公正価値で測
定される金融資産 3,911 5,511 28,296 22,855 186,631 247,204
正の公正価値を有するヘッ
ジ手段 410 661 703 1,516 2,798 6,088
損益に振替えられるその他
の包括利益を通じて公正価
値で測定される金融資産 9,183 26,443 79,835 123,026 70 238,557
損益に振替えられないその
他の包括利益を通じて公正
価値で測定される金融資産 1 14 10 29,710 29,735
償却原価で測定される有価
証券 1,992 7,036 15,168 43,032 1,112 68,340
償却原価で測定される貸付
金および債権 90,297 16,583 57,429 110,546 3,909 278,764
金利リスクに対してヘッジ
されるポートフォリオに対
する公正価値調整の累計額 -
資産 346 346
合計 181,835 56,248 181,431 300,985 224,576 945,075
180/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
満期別の金融負債
2022 年 12 月 31 日
3カ月 3~ 満期の
( 百万ユーロ ) 未満 12 カ月 1~5年 5年超 定めなし 合計
損益を通じて公正価値で測
定される金融負債 6,169 1,319 2,273 3,628 704 14,093
負の公正価値を有するヘッ
ジ手段 473 384 1,078 3,534 4,990 10,459
債務証券 23,246 15,286 40,970 55,083 134,585
金融機関および関連機関か
らの預り金 34,466 3,738 4,965 8,722 51,891
顧客からの預り金 294,886 1,029 904 13,249 18,959 329,027
劣後債 20 296 252 7,731 845 9,144
金利リスクに対してヘッジ
されるポートフォリオに対
する公正価値調整の累計額 -
負債 1,507 1,507
合計 359,260 22,052 50,442 91,947 27,005 550,706
2021 年 12 月 31 日
3カ月 3~ 満期の
( 百万ユーロ ) 未満 12 カ月 1~5年 5年超 定めなし 合計
損益を通じて公正価値で測
定される金融負債 36 166 1,769 2,119 1,416 5,506
負の公正価値を有するヘッ
ジ手段 74 543 313 935 5,202 7,067
債務証券 19,091 13,220 39,221 59,106 1,961 132,599
金融機関および関連機関か
らの預り金 27,913 4,809 10,453 8,503 51,678
顧客からの預り金 287,933 752 865 13,026 17,063 319,639
劣後債 20 1,103 204 7,972 805 10,104
金利リスクに対してヘッジ
されるポートフォリオに対
する公正価値調整の累計額 -
負債 320 320
合計 335,067 20,593 52,825 91,661 26,767 526,913
181/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
/ 融資および保証に関して付与されたコミットメントの満期
2022 年 12 月 31 日
( 百万ユーロ ) 3カ月未満 3~ 12 カ月 1~5年 5年超 合計
付与された融資コミットメント 20,001 7,581 11,117 2,313 41,012
付与された保証コミットメント 1,943 705 406 1,066 4,120
合計 21,944 8,286 11,523 3,379 45,132
2021 年 12 月 31 日
付与されたコ
ミットメント
( 百万ユーロ ) 3カ月未満 3~ 12 カ月 1~5年 5年超 合計
付与された融資コミットメント 17,341 11,594 3,284 6,639 38,858
付与された保証コミットメント 2,098 725 851 1,322 4,996
合計 19,439 12,319 4,135 7,961 43,854
2.8.4.3.2 全体的な金利リスク
2.8.4.3.2.1 定義、範囲およびガバナンス
非トレーディング帳簿の業務から生じる金利リスク - または全体的な金利リスク - は、注記 2.9.4 に記載されている
ような市場リスクの対象となる取引(適用ある場合)を除き、すべてのオンバランスシート取引およびオフバランス
シート取引の金利変動から生じる潜在リスクとして定義される。
金利リスク全般は、 2020 年2月5日付政令第 2020-94 号第 54 条に従い、フランス預金供託公庫において管理および
監視されているが、同規定では、当グループが連結範囲全体を対象とするリスク測定システムを有すること、すなわ
ち関連する各事業体およびかかるシステムが取引の性質や金額に適応することが要求されている。
グループ・ガバナンス
フランス預金供託公庫一般部門および子会社の ALM チームは、それぞれの範囲内で、全体的な金利リスク ( 金利
ギャップ、軌跡、 NPV 感応度 ) を管理している。
金利リスクの監督は各事業体の ALM 委員会の責任であり、複数年にわたる軌跡やコミットメントおよび / または投資
方針のガイドラインに基づいて指標を監視し、トレンドを予測する。金利リスクは通常毎月見直される。
フランス預金供託公庫グループのすべての規制対象の事業体に共通する原則が、財務リスク管理方針の中で定めら
れている。
フランス預金供託公庫グループの規制対象の事業体は、金利リスク指標とその限度額を定めた一連の手続き文書を
有しており、これはグループ・レベルで定義された金利リスク選好と整合的な金利リスク選好を反映したものでなけ
ればならない。各事業体は、当グループのリスク選好の中に自身の金利リスクを組み入れるため、当グループのマク
ロ経済の枠組みの中で、複数年のシナリオの影響を見積もっている。
事業体は、自身の金利リスクを監視するための IT システムを有している。必要に応じて、事業体は限度の設定に用
いられる方法を文書化する。この文書では、限度を超過した場合の処理およびエスカレーション・ルールが規定され
ている。
182/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.3.2.2 全体的な金利リスクの測定および管理
2.8.4.3.2.2.1 一般部門における金利リスクの測定および管理
一般部門は、固定金利、変動金利および契約金利の3種類の金利に基づき、資産および負債を分析している。固定
金利のポジションは、固定金利負債の固定金利資産に対する超過分に相当する固定金利ギャップと、資産および負債
の返済期限が到来した時点でのギャップの変化に基づいてモニターされる。固定金利のポジションは、主に負債サイ
ドの法律専門職からの預り金と、資産サイドの固定金利の中長期債ポートフォリオおよび固定金利の貸付からなる。
預金には、長期にわたる流出の仮定を適用することが考慮される。
利息の好ましくない変化に対する年ごとの金利マージンの感応度は、いくつかの代替シナリオを用いて計算され
る。年ごとのマージンの感応度は、マクロ経済データを用いたベースライン金利予測で得られた結果との差異として
算出される。低金利状況が長期化すると、固定金利ポジションから得られる銀行業務純利益が徐々に減少することに
なる。
金利上昇という現在の環境により、バランスシートの資産側の固定利付投資のマージンが改善したが、負債側の借
入金利は一定のままである。 2022 年 12 月 31 日現在、一般部門の貸借対照表にはウクライナまたはロシアのリスクへの
直接的なエクスポージャーはないことに留意されたい。
2022 年 12 月 31 日に計算されたマージンの感応度は、 2021 年 12 月 31 日に観察された感応度と比較して増加している。
これは、「中長期」満期(5年、 10 年、 20 年 OATs )の金利上昇によるもので、一般部門の固定金利ポジションから生
み出される銀行業務純利益の改善を反映しており、契約上の金利ポジションから生じるマージンの減少を十分相殺で
きるものであった。
/ 金利が現在の水準で維持される場合の固定金利ポジションに発生する年ごとのマージンの感応度 ( 一般部門 )
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日
年 マージン感応度
2023 年 9
2024 年 33
2025 年 17
2026 年 15
2027 年 27
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日
年 マージン感応度
2022 年 2
2023 年 4
2024 年 2
2025 年 (5)
2026 年 (15)
183/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.3.2.2.2 La Banque Postale における金利リスクの測定および管理
全体的な金利リスクを監督および管理する部署は、財務リスク部内のバランスシート・リスク部( DRF - RB )であ
り、 La Banque Postale のグループ・リスク部に報告を行っている。
同部は以下の責任を負う。
・リスクをマッピングし、リスク管理システムを評価し、 La Banque Postale のリスク選好に合わせた限度額を提
案すること。
・ La Banque Postale の連結金利リスク全体ならびに銀行子会社および保険子会社の金利リスクを管理するために
用いられる指標を定期的に監視する。
・様々な指標(静態的および動態的)の算出プロセスの監査の実施および算出されたエクスポージャーの完全性の
コントロール。
・使用した手法の監査
このリスクは、将来のマージンと経済価値の金利に対する感応度を示す指標を利用し、外生的ショックに耐える企
業の能力を評価するシナリオをモデル化することによって監視される。
テストされた金利変動は、行動モデル、特に顧客が利用できる暗黙の選択肢を通じて、金融商品からの不確実な
キャッシュ・フローおよびリテール銀行業務による利益の両方に影響を与える。
金利リスクの監督は、商業方針のガイドラインおよび観察された顧客行動に基づいて指標を監視し、傾向を予測す
る ALM 委員会が責任を負う。また、金利リスク指標についても、グループ・リスク管理委員会で検討を行っている。
金利リスクの検討は、通常毎月行われる。
目的
金利リスクは、価値感応度指標の遵守を確保しつつ、 La Banque Postale の将来の純金利マージンの感応度をヘッ
ジするように管理されている。金利デリバティブ(ヘッジ)を適用し、または商業方針を調整することによって、事
業計画に基づいたダイナミックなアプローチが取られている。
貸借対照表には暗黙のオプションと明示的なオプションが含まれており、それが金利に基づく非線形の経済価値を
もたらす。この場合、 ALM は、市場手段を用いて構造的なポジションのバランスを定期的に取戻すことを提案する。
範囲
バーゼル委員会の要請により、銀行勘定に存在する重要な金利リスクが識別され、測定される。これらのリスクの
一部は、特定の追跡手順を生じさせる可能性がある。
金利リスクは満期別に測定され、変動金利または調整可能な金利( Euribor 、インフレ、€ STR など)に依存する商
品については、市場の状況に依存する可能性のあるアウトフロー契約を考慮し、指標の種類別に測定される。金利リ
スクには以下のいくつかの要素が含まれる。
・資産に適用される新たな金利と負債に適用される新たな金利との差に関する固定化リスク(ベースライン金利と
満期による)。
・固定化リスクに関するイールドカーブ・リスク:これはイールドカーブの変化(移転、回転等)により発生す
る。
・ベースライン・リスク:これらは複数のベースライン金利の使用に関連し、異なる参照金利の不完全な相関関係
から生じるリスクである。
・オプションに関連するリスク(契約上または行動上のリスク)。
・インフレ率にさらされたポジションから生じるリスク。
したがって、純金利マージンの変化は、いくつかの金利シナリオを参照して測定される。貸借対照表上の金利リス
クは、行動モデルおよび事業計画に基づいて、将来の残高の変動(早期返済、ローン組成等)を考慮した動的モデル
を用いて想定される。
トレーディング・ルームの債券ポートフォリオ取引は、これらの取引に関連するリスクが各ポートフォリオの個別
の限度額に従って監視および管理されるため、全体の金利リスク管理の範囲内には含まれない。これらの特定のト
レーディング・デスク・ポートフォリオは、市場リスク・タイプの限度額の対象となる。
全体的な金利リスクの評価
合意およびモデル
金利ギャップおよび金利感応度の評価方法は、貸借対照表を構成する資産(または負債)の種類に応じて決定され
る。
184/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
・満期の定めのあるローン残高(モデルにより調整することもあればしないこともある契約上の流出)。
・満期の定めのないローン残高(通常流出)。
・オフバランスシート項目(流動性コミットメントおよび保証)。
契約上の満期のない取引(顧客預金および通帳式貯蓄口座を含む。)は、バランスシートマネジメント委員会およ
びグループ・リスク部によって承認されたアウトフロー契約に基づいて含まれている。
ドローダウンの仮定を考慮して、オフバランスシート取引が含まれている。
金利ギャップ
特定の通貨については、固定金利取引については名目金利ギャップを、変動金利および調整可能な金利取引につい
ては、次回の金利見直し日または金利更改日までの間について名目金利ギャップを計算する。名目金利ギャップは金
利支払いを考慮していない。
金利ギャップとは、オフバランス項目の影響を含む固定利付負債の平均金額と固定利付資産の平均金額との満期別
の差額である。
/2022 年 12 月 31 日現在の満期別金利ギャップ ( 百万ユーロ )
(マイナスの金額=固定金利での余剰使用)
( 百万ユーロ ) 0~1年 1~5年 5~10年 10年超
使用 (189,195) (124,625) (66,504) (8,778)
調達 190,545 122,955 62,258 5,466
オフバランスシート (7,968) (8,287) (1,983) 631
2022 年 12 月 31 日現在の金利ギャップ (6,618) (9,916) (6,228) (2,681)
2021 年 12 月 31 日現在の金利ギャップ 2,564 8,694 3,197 (1,891)
調整 (9,182) (18,609) (9,425) (790)
La Banque Postale の金利ポジションは 2022 年には著しく変動した。金利が上昇したため、当グループは固定利付
資産に投資し、 COVID 期間中に蓄積された固定利付負債(要求払預金)との長期的なミスマッチを縮小した。
当年度には一部のモデルや慣例も変更され、これにより金利ポジションも変動した。 Livret A に連動する規制上の
貯蓄指数の表示に変更があり、これまで固定金利で表されていた「インフレ」要素と短期金利要素が区別された。こ
の新たな表示が固定金利ギャップに及ぼす影響は約 10 十億ユーロであった。
185/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
EVE (Economic Value of Equity- 株主資本の経済価値 ) 感応度
EVE 感応度は、異なるシナリオから生じる経済価値の変動に対応している。 EVE は、契約上の満期のない項目の行動
モデルおよびランオフの慣行を考慮して、既存の貸借対照表項目の契約上の満期から静的に計算されている。以下の
ショック・シナリオをモデル化した。
1. 長短金利の 200 ベーシス・ポイントのパラレルな上昇。
2. 長短金利の 200 ベーシス・ポイントのパラレルな低下。
3. より急なイールドカーブ ( 短期金利の低下、長期金利の上昇 ) 。
4. イールドカーブのフラット化 ( 短期金利の上昇、長期金利の低下 ) 。
5. 短期金利の上昇。
6. 短期金利の低下。
また、 EBA のガイドラインでは、銀行に対してショック後のリスク・フリー金利の規制フロアをモデル化すること
が求められている。フロアは-1%から始まり、 0.05 %ずつ上昇して 20 年後には 0 %となる。
/2022 年 12 月 31 日現在のパラレル金利ショックの水準別 EVE 感応度 ( 百万ユーロ )
短期金利の上 短期金利の低
(百万ユーロ ) -200 +200 フラット化 スティープ化 昇 下
2021 年 12 月 31 日現在の
EVE 感応度 (100) (769) (117) 43 (111) (29)
2021 年 12 月 31 日現在の
EVE 感応度対 Tier 1資本 -0.52 % -4.00 % -0.92 % 0.22 % -0.57 % -0.15 %
2022 年 12 月 31 日現在の
EVE 感応度 1,683 (1,715) 261 (524) (201) 348
2022 年 12 月 31 日現在の
EVE 感応度対 Tier 1資本 11.33 % -11.55 % 1.76 % -3.53 % -1.35 % 2.34 %
La Banque Postale にとって最も好ましくない金利シナリオは、イールドカーブの 200 ベーシス・ポイントのパラレ
ルな上昇( EVE の 1,715 百万ユーロの減少、 Tier 1 資本に対する EVE の感応度は -11.55 %に相当)である。これは、 -
15 %の規制上の制限( -13 %で内部警告が発動される。)と比較される。
2022 年は、主に当グループの固定金利およびインフレ連動投資により、金利が 200 ベーシス・ポイント上昇したこ
とに対して EVE 感応度が上昇した。
純金利マージン感応度
純金利マージン (NIM) 感応度は、修正金利シナリオにおける NIM とベースライン金利シナリオにおける NIM の差とし
て定義される。
NIM 感応度は、金利に依存する行動モデルを考慮し、貸付の組成および商業事業からの預金の水準を維持すること
により、金利シナリオごとに、セントラル・シナリオにおける同等の金融取引に関連する仮定に沿って計算される。
ショック・シナリオに対する反応を示すのは行動モデルおよび変動金利取引だけである。それらが残高に与える影
響により、短期資金調達の水準が修正される。
ベースラインカーブに対する瞬間的なショックを特徴とする異なる金利シナリオは以下のとおりである。
1. 長短金利の 100 ベーシス・ポイントのパラレルな上昇。
2. 長短金利の 100 ベーシス・ポイントのパラレルな低下。
3. より急なイールドカーブ ( 短期金利の低下、長期金利の上昇 ) 。
4. イールドカーブのフラット化 ( 短期金利の上昇、長期金利の低下 ) 。
5. 短期金利の上昇。
6. 短期金利の低下
また、 ABE のガイドラインでは、銀行に対してショック後のリスク・フリー金利の規制フロアをモデル化すること
が求められている。フロアは-1%から始まり、 0.05 %ずつ上昇して 20 年後には 0 %となる。
186/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
/2022 年 12 月 31 日現在の1年のシナリオにおける純金利マージン (NIM) 感応度 ( 百万ユーロ )
(百万ユーロ) 2021 年 12 月 31 日 2022 年 12 月 31 日
上方シフト + 1 109 48
下方シフト - 1 (86) (67)
スティープ化 53 60
フラット化 182 (48)
短期金利の上昇 307 (9)
長期金利の低下 (58) (3)
La Banque Postale にとって、1年で最も好ましくないシナリオは、金利が 100 ベーシス・ポイント低下することで
ある。これは純金利マージンの 67 百万ユーロの減少につながり、これは 12 カ月間のローリング期間における純金利
マージン総額の約 4.3 %に相当する。
2.8.4.3.2.2.3 SFIL における金利リスクの測定および管理
ガバナンス
金利リスク選好度は SFIL の経営陣によって定義され、取締役会によって承認される。
金利リスクは以下により管理されている。
・資産負債委員会( ALCO )のメンバーには、金融部門の ALM 管理部門、市場リスク部門および銀行のその他の関連
部門が含まれる。同委員会は ALM 管理戦略を決定し、経営指標を通じて適切に実行できるようにする。
・ ALM 金利委員会。 ALCO に関連するすべての情報を準備し、下された決定を実行する(特に、委任された投資管理
権限を監視する。 ) 。
ヘッジ戦略
・金利リスク管理は、グループの資本価値を保護し、短期的な収益の変動を制限することを目的としている。
・各事業体の貸借対照表および事業固有の特徴を考慮するために、 SFIL および CAFFIL では異なる方法で金利リスク
が管理および制御されている。
SFIL は、事業体として金利リスクを受け入れない。したがって、金利リスクヘッジ戦略は、 以下を通じて達成され
る 完全なミクロヘッジで構成される。
・ € STR スワッ プ。
・または、 SFIL が行う輸出信用取引の場合は安定化のメカニズム。
・もしくは、資産および負債の取引を CAFFIL との間で完全に照合することによる。
このヘッジ・プログラムは、 SFIL がいかなる金利リスクにもさらされていないことを保証する。
CAFFIL は、バランスシート上の取引の性質に応じて、2つの異なる金利ヘッジ戦略を実行している。
・本来ユーロ調整可能金利ではなく、その性質 ( 通貨、金利タイプ、想定元本、期間など ) によって重要な金利リス
クまたは為替リスクを生じさせるバランスシート項目に対するミクロヘッジ戦略。ミクロヘッジ対象はすべての
通貨取引ならびにオフ・ザ・ランで管理されるストラクチャード・レート証券およびローンである。ヘッジ対象
は Euribor または€ STR に対するスワップである。
・他のユーロ建て取引( SPL ローン、現金投資、公募・私募債等)に対するマクロヘッジ戦略。マクロヘッジ戦略
は、主にスワップを解消 ( 資産ポジションをカバーするための負債ポジションおよびその逆 ) し、必要に応じて追
加的なスワップを設定することである。 これらのヘッジは、 CAFFIL によって直接または SFIL を通じてそのいずれ
かで市場で設定される。
金利リスク測定
これらの異なる種類の金利リスクは、以下の指標を追跡することにより監視、分析および管理されている。
187/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
金利ギャップ
固定金利ギャップ 固定金利取引または 金利 が固定されている取引のオンバランス シート と
オフバランス シート の資産(+) および 負債(-) と の差額。ポジション
が消滅するまで毎月計算される。
インデックス・ギャップ 各 指標期間にお いて 、 Euribor に関連する取引の オンバランスシートと
オフバランスシートの資産(+) および 負債(-) と の差額。このギャッ
プはポジションが消滅するまで毎月計算される。
Euribor/ € STR フロア・ギャップ 各 指標期間にお いて 、 Euribor および€ STR のフロアに関連する取引の オ
ンバランスシートとオフバランスシートの資産(+) および 負債(-) と
の差額。このギャップはポジションが消滅するまで毎月計算される。
フィキシング・ギャップ 所与 の指標 期間について 、 日付を設定することによる Euribor に関連す
る取引のオンバランスシートとオフバランス シートの資産(+) および
負債(-) と の差額。
正味現在価値( NPV )の感応度
いかなる状況においてもリスク管理の回復力を確保するために、固定金利 NPV の感応度は8つのストレス・ シナリ
オに基づいて計算される。
・6つの規制シナリオ。これには以下が含まれている。
-イールドカーブの上昇および低下のパラレルシフト( +/-200 ベーシス・ポイント)を示す2つのシナリオ。
-2つの短期金利のショック・シナリオ(短期金利の上昇および低下)。
-2つのスロープ・シナリオ(フラット化およびスティープ化)。
・2つの内部シナリオ。イールドカーブの上昇および低下のパラレルシフトのリスクならびにスロープ・リスクの
両方を組み合わせたもの。
これらのシナリオは、過去の金利に基づいて、現在の経済環境を考慮して定義された。これらは、現在の経済状況
や予想される金利動向を考慮して毎年調整される可能性がある。 2023 年については、スティープ化したスロープ・シ
ナリオが逆イールドカーブ・シナリオに置き換えられた。
限度が適用される感応度指標の水準は、採用された8つのシナリオで見られた最大損失に対応する。
ALCO は、感応度の限度を 80 百万ユーロの損失と定義しており、 RAF の早期警告は 70 百万ユーロの損失が発生した時
点で発動する。
これらの指標は、 2021 年 12 月 31 日までに施行されていた一連の限度に代わるものである。
金利リスク選好度の枠組みの変更は、リスク負担のレベルに重要な影響を及ぼさなかった。 2021 年 12 月 31 日現在
の NPV の最大損失は 25 百万ユーロであったが、 2022 年 12 月 31 日現在は、 NPV の最大損失は 21 百万ユーロであった。これ
らの数値は、金利リスク選好度が持続的に低いことを反映している。
188/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
/2022 年 12 月 31 日現在の NPV 感応度
感応度
2022年 2021年
(百万ユーロ) 12月31日 12月31日 限度 RAF 早期警告
+200 ベーシス・ポイント 1.3 (15.6) (80.0) (70.0)
-200 ベーシス・ポイント (21.1) 15.1 (80.0) (70.0)
短期金利の上昇 (9.2) (8.3) (80.0) (70.0)
短期金利の低下、階層型フロア 8.2 3.0 (80.0) (70.0)
階層型フロアのフラット化 (11.0) (4.2) (80.0) (70.0)
階層型フロアのスティープ化 10.5 (1.9) (80.0) (70.0)
内部フラット化シナリオ (16.6) (24.6) (80.0) (70.0)
内部スティープ化シナリオ 13.2 (12.1) (80.0) (70.0)
純金利マージンの感応度
金利収益に対するリスクは、 NIM (純金利マージン)感応度指標を通じて監視され、 (i)+200 ベーシス・ポイントの
パラレル・ショックおよび (ii)-100 ベーシス・ポイントのフロアを伴う -200 ベーシス・ポイントのパラレル・ショッ
クについて計算される。
NIM 感応度は、元の取引と同様の特性(金額、満期、金利タイプ)を持つ新しい取引で各返済または満期を相殺す
ることにより、1年間にわたってコンスタント・バランスシート上で計算される。ロールオーバー取引に適用される
金利は、ショック前後のフォワード・レートに、予算の想定に対応するスプレッドを加えたものである。
したがって、 NIM 感応度は次の現象を反映している。
・アクティブフロア : (i) 計算日の金利水準、および (ii) 適用されたショックのサイズ / 方向に応じて、 Euribor フ
ロアがアクティブ化または非アクティブ化され、いずれの場合でも NIM に変動が生じる。
・貸借対照表の変動金利取引の再確定:貸借対照表に計上される変動金利取引の金利は、フォワード・レートに適
用される金利ショックに応じて各再設定日に変動する。
・コンスタント・バランスシート:計算日において、貸借対照表は定義上、資産と負債は等しくなる。数カ月間に
わたってコンスタント・バランスシートを維持するために、 Focus ソフトウェア・パッケージは新しい固定金利
取引および変動金利取引を形成するが、これらはすべて金利ショックの影響を受けやすい。
NIM 感応度には 40 百万ユーロの損失限度が設けられており、 36 百万ユーロの損失で RAF 早期警告が発動される。
/2022 年 12 月 31 日現在の NIM 感応度
感応度
2022年 2021年
(百万ユーロ) 12月31日 12月31日 限度 RAF 早期警告
+200 ベーシス・ポイント (7.4) (8.8) (40.0) (36.0)
-200 ベーシス・ポイント(階層型フロア) 3.9 6.9 (40.0) (36.0)
NIM 感応度は、以下の理由により 2022 年に低下した。
・フロアへの追加のヘッジの導入。
・金利の急激な上昇: SFIL の収益に対する Euribor フロアの寄与は現在ゼロである。
189/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
Euribor/ € STR フロアの管理
2022 年に、フロアの対象となる Euribor 連動ローンの管理は以下により完了した。
・フロアの対象となる€ STR 連動現金担保からの金利フロアの管理。
・クーポンフロアによる Euribor の管理。これらは、指数連動 Euribor フロアの現在の管理に組み込まれており、限
度の対象となるギャップ分析を用いて追跡および管理される。
2022 年の金利の急激な上昇により、地方公共部門の顧客の間で変動金利ローンに対する需要が再び高まった。これ
は、特に住宅購入者に課される政府の金利上限(高利金利)および市場金利との無相関性により、固定金利ローンの
組成に不利になったためである。これにより、変動金利ローンは、組成されたローンのほぼ 10 %を占めたが、 2021 年
には0%であった。
/2022 年 12 月 31 日現在の Euribor フロアへのエクスポージャー
フロアの最大ギャップ 2022年 2021年
( SFIL 連結、百万ユーロ) 12月31日 12月31日 限度
(1)
488.1 370.8 800.0
Euribor フロア
€ STR フロア 135.9 N/A 200.0
(1) 2022 年9月現在のクーポンフロアを含む。
2.8.4.3.3 構造的為替リスク
2.8.4.3.3.1 定義、範囲およびガバナンス
トレーディングを除く構造的為替リスクは、基準通貨に対する為替レートの変動により、認識されたものであるか未
実現であるかに関わらず、利益または持分のボラティリティのリスクとして定義される。
為替リスクは、 2020 年2月5日付政令第 2020-94 号第 54 条に従い、フランス預金供託公庫において管理および監視さ
れており、 同規定では、当グループが連結範囲全体を対象とするリスク測定システムを有すること、 すなわち関連する
各事業体およびかかるシステムが取引の性質や金額に適応することが要求されている。
グループ・ガバナンス
(1)
フランス預金供託公庫グループのすべての規制対象の事業体に共通する原則は、グループの財務リスク管理方針 に
定められている。
・フランス預金供託公庫の事業体は、慎重な為替リスク管理方針を適用する。承認された通貨のリストは、その統
治機関によって事前に承認されている。
・事業体は、為替リスク選好を正式化し、それに応じて業務上の上限を設定する。事業体は、為替リスクヘッジ戦
略を形式化し、それが遡及的かつ将来に向かって有効であることを保証する。
・為替リスクに対してヘッジされていない貨幣性および非貨幣性の資産および負債を保有することによる為替リス
クへのエクスポージャーは、抑制されなければならない。このようなエクスポージャーは、為替変動の影響を小
さくする措置が講じられていることが実証できる場合には、抑制されているとみなされる。為替リスクに対する
残存感応度は、その統治機関に報告されなければならない。
・ヘッジ方法は、事業体に適用される会計基準を用いて文書化され、テストされている。システムの文書化には、
為替リスクの上限を超過したことが判明した場合の処理およびエスカレーション・ルールが含まれる。
一般部門および子会社の ALM チームは、それぞれの範囲内で為替リスクを管理している。
為替リスクの監督は各事業体の ALM 委員会の責任であり、複数年にわたる軌跡とコミットメントおよび / または投資方
針のガイドラインに基づいて指標を監視し、トレンドを予測する。為替リスクは、通常毎月見直される。
(1) 2022 年 12 月付の方針。
190/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.4.3.3.2 為替リスクの測定および管理
2.8.4.3..3.2.1 フランス預金供託公庫 ( 一般部門 ) の為替リスクの測定および管理
フランス預金供託公庫(一般部門)の為替ポジションは、主に米ドル、英ポンド、スイス・フランおよび日本円の
4通貨に関係している。
フランス預金供託公庫(一般部門)の為替リスクヘッジ方針は、実質借入(債券発行)または合成借入(スワッ
プ)を通じて外貨建資産ポジションに体系的に資金提供することである。したがって、為替項目の帳簿価額に係る為
替リスクに対するエクスポージャーは、完全に無効化されている。ただし、これらポジションの未実現損益はヘッジ
されていない。かかる差額は VaR の計算(極端なリスク・シナリオを織り込んだもの)において考慮され、月次ベー
スで算定されて、バランスシートマネジメント委員会に提示される。また、為替レートの変動が外貨建ての未実現損
益に及ぼす非重要性の検証が毎年行われ、バランスシートマネジメント委員会に提出される。
2022 年 12 月 31 日現在、一般部門の貸借対照表にはフリヴニャ(ウクライナ通貨)またはルーブル(ロシア通貨)へ
の直接エクスポージャーは含まれていないことに留意されたい。
2.8.4.3.3.2.2 La Banque Postale の為替リスクの測定および管理
特 に銀行送金や金融活動に関連する業務上の外国為替リスクは穏やかな水準にある。
La Banque Postale の銀行バランスシートは、ほとんどユーロ建てで管理されている。資金管理部門とポートフォ
リオ関連業務によって行われる外貨市場活動は、指定された為替レート・ポジションの閾値を超えて、体系的にヘッ
ジされ、ユーロに転換される。
これらの取引の結果から生じた残存為替リスクは、毎日計上される帳簿上の外国為替ポジションに反映される。財
務省との最低月1回の清算により関連リスクを軽減するため、これらのポジションには制限が設けられている。
リテール銀行の外貨業務は、主に国際的な資金移動を伴うものであるが、かなり小さい。
2022 年 12 月 31 日現在、 La Banque Postale の通貨ポジションは 82 百万ユーロであり、そのうち約 89 %が米ドル建て
で あった。
2.8.4.3.3.2.3 SFIL の為替リスクの測定および管理
SFIL グルー プの参照通貨はユーロであるため、為替リスクはユーロ以外のすべての通貨建の資産および負債の価値
変動を反映する。その理由は、ユーロに対して当該通貨が変動するためである。
外貨建債券発行および外貨建資産は、遅くとも当初認識時および最終満期時までクロスカレンシー・スワップによ
りヘッジされ、これにより、これらの資産・負債の額面価額および関連金利の流れに対する為替リスクをヘッジして
いる。
この方針の例外として、特に輸出信用の借り換えにおいて、業務上の理由から期間および取引量が制限されている
外国為替ポジションが許容される。
これは以下の 状況に当てはまる。
・ヘッジスワップ処理の運用コストがヘッジすべきリスクに比べて高すぎる場合(貸借対照表で認識されるドロー
ダウンの金額が少ない、ヘッジ対象の指数が標準指数ではないなど)。
・ドローダウンの金額およびタイミングは定義上未知であるため、オフバランスシートで行われたドローダウンを
完全に個別ヘッジすることができない場合。
・手数料がユーロ以外の通貨で支払われる場合。
これらのポジションに生じた為替リスクは、認識されたすべての外貨建の債権、債務およびオフバランスシート・
コミット メントについて計算された、各通貨の正味為替ポジションに基づき監視される。ネットポジションには極め
て低い通貨制限が適用される。
2022 年 12 月 31 日 現在、 SFIL の通貨ポジションは 3.25 百万ユーロで、 4.5 百万ユーロの制限が設けられていた。
191/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.5 ヘッジ取引
当グループの バランスシート項目の大半は、受取利息および支払利息を生み出しており、その金額は金利の変動およ
び、より程度は少ないものの、為替レートの変動にさらされている。これにより、当グループが受け取るキャッシュ・
フローまたはその資産の公正価値が変動するリスクが生じる可能性がある。
フランス預金供託公庫グループの複数年の財務計画プロセスでは、結果として生じる財務比率(ソルベンシー、流動
性、収益)の変動を管理する目的で、当グループの5年間の投資方針を主要な資産クラス別および事業ライン別(一般
部門および子会社)に定義している。複数年の財務計画プロセスは、フランス預金供託公庫の会長兼最高経営責任者お
よび監督審議会が委員長を務める委員会によって毎年承認されている。リスク選好手順は、複数年の財務計画プロセス
を締めくくりとして、ヘッジの閾値および限度を設定し、これは必要に応じて統治機関により承認される。
2.8.5.1 リスクヘッジの戦略および目標
2.8.5.1.1 ヘッジの種類-関連するリスクの管理
当グループは、事業体の貸借対照表上の資産 / 負債残高に関連する金利および為替リスクの管理の一環として、デリ
バティブを使用する場合がある。
会計上のヘッジ文書は、ヘッジ対象が損益を通じて公正価値で認識される場合を除いて、一般的に経済的ヘッジのた
めに作成される。後者の場合、損益を通じて公正価値で認識される取引の経済的ヘッジであるデリバティブは、会計上
の目的でヘッジ目的デリバティブとしてではなく、売買目的保有デリバティブとして分類される。
IFRS 第9号および該当する場合はポートフォリオの公正価値ヘッジに関する IAS 第 39 号の規定に基づきヘッジ会計と
して適格なヘッジ関係の一部を構成するデリバティブは、公正価値ヘッジまたはキャッシュ・フロー・ヘッジのいずれ
かに分類される。
2.8.5.1.2 公正価値ヘッジ - ミクロヘッジ
公正価値ヘッジ(ミクロヘッジ)とは、具体的に特定された金融資産または負債の公正価値の変動に対するエクス
ポージャーのヘッジである。
金融資産または負債の公正価値ヘッジにおいては、ヘッジ手段に係る損益の有効部分は、ヘッジ対象項目に係る損益
と相殺される。2つの金額の差額は、ヘッジ手段に係る損益のうち非有効部分に相当し、損益計算書に計上される。
ヘッジ対象とヘッジ手段との間の経済的関係は、確立されたヘッジ関係の有効性を確保するために、ヘッジ取引の開
始時に生じる。このヘッジ関係は、2つのスワップのうち1つが金額、満期および金利の点においてヘッジ対象を正確
に反映している限り、本質的に有効である。
2.8.5.1.3 公正価値ヘッジ - マクロヘッジ
当グループは、固定金利ポジションの資産 / 負債管理の一部として実行されるマクロヘッジ取引に欧州連合によって
採用された IAS 第 39 号の規定を適用している。マクロヘッジは主に、固定金利の金融資産および負債に対する事業体の
構造的金利リスクをヘッジするために使用される。マクロヘッジ手段は、主に当グループの固定金利資産および負債の
公正価値ヘッジとして指定された金利スワップである。
2.8.5.1.4 キャッシュ・フロー・ヘッジおよびオール・イン・ワン・キャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジとは、金融資産または負債、確定コミットメントまたは将来の取引から生じるキャッ
シュ・フローの変動に対するエクスポージャーをヘッジすることである。キャッシュ・フロー・ヘッジは、調整可能金
利の資産・負債に係る金利リスクをヘッジするために利用されている。キャッシュ・フロー・ヘッジのために利用され
るデリバティブは、将来キャッシュ・フローの金額を固定している。
特に先渡の場合は、契約がデリバティブと受渡しの対象となる原資産の両方を対象としている(したがって「オー
ル・イン・ワン」)ため、自動的に有効な「オール・イン・ワン」のキャッシュ・フロー・ヘッジとして機能する。
ヘッジ手段
当グループは、バランスシート項目の金利リスクと為替リスクを管理するために、いくつかの種類のヘッジ目的デ
リバティブを利用している。
これらは主に、金利スワップ(固定金利と Euribor または€ STR などの変動金利の交換)と外国為替スワップ ( 通貨
スワップおよびクロスカレンシー・ベーシス・スワップ ) である。
192/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.5.1.5 ヘッジ対象
当グループは、マーケット・カウンターパーティとの間で設定されたデリバティブを用いて、バランスシート取引
(金融取引と顧客取引の両方)をヘッジしている。
これらの取引は、主に金利リスクおよび、より程度は少ないものの、為替リスクをヘッジすることを目的とした異な
るヘッジ戦略から生じるものである。
2.8.5.1.5.1 ヘッジ対象資産
ヘッジされたリスクは、固定利付債および貸付の金利リスクならびに将来のキャッシュ・フローに対する金利リス
ク(長期債の購入)で表される金額に相当する。
2.8.5.1.5.2 ヘッジ対象負債
ヘッジされたリスクは、固定金利の顧客預り金(要求払預金、 PEL 住宅貯蓄制度)や固定金利債の発行の金利リス
クで表される金額に相当する。
2.8.5.1.6 ヘッジ効果が有効でない要因
2.8.5.1.6.1 スワップによる有価証券のヘッジ
公正価値ヘッジには以下のとおり2つのタイプがある。
・ Euribor ヘッジ: Euribor ヘッジは、有価証券については Euribor ディスカウント・カーブを、デリバティブには€
STR カーブを用いて評価される。2つの異なるディスカウント・カーブを用いると、非有効性が生じる。ヘッジ
の非有効性は、 € STR Euribor スプレッドが時間の経過とともに変化する場合(このレートが€ STR のような翌日物
レートではなく、 Euribor のように予め設定されたレートである場合は、スワップの変動部分の公正価値の変動
に起因する非有効性)は、より大きくなる。
・€ STR ヘッジ:€ STR ヘッジは、有価証券とデリバティブの両方について€ STR のディスカウント・カーブを用いて評
価される。したがって、数学的なヘッジは、有価証券とスワップ(信用部分の調整を伴う€ STR を用いて割引かれ
た有価証券と、€ STR を用いて割引かれたスワップ)の間で完全なものとなるため、この種のヘッジは 100 %有効
であると考えられ、有効性テストは必要とされない。
2.8.5.1.6.2 マクロヘッジ
マクロヘッジは、特にヘッジ対象のいずれかが消失または減少した場合、特に早期返済率が最初にヘッジを設定し
たときに使用された見積もりを超えた場合、無効とすることができる。
有効性テスト
ヘッジの有効性を評価するために、定期的にテストを実施する。
2.8.5.2 当グループの連結財務書類におけるヘッジ取引の影響
ヘッジ会計の影響は、連結財務書類ならびに注記 2.2.1 「受取利息および支払利息」、注記 2.2.3 「損益を通じて公正
価値で測定する金融商品の損益、純額」および注記 2.3.2 「ヘッジ手段」に記載されている。
2.8.5.3 ヘッジ取引のキャッシュ・フローの金額およびタイミングへの影響
ヘッジ手段の想定金額の契約上の満期は注記 2.3.2 「ヘッジ手段」に記載されている。
193/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.6 保険部門に特有のリスク
フランス預金供託公庫グループの保険事業に特有のリスクは、 La Banque Postale グループにその保険子会社を通じ
て存在するのみである。
保険部門は La Banque Postale グループの新体制において支配的な位置を占めており、保険リスクへのエクスポー
ジャーは主に、 La Banque Postale の旧保険子会社3社と共に、 CNP Assurances に関わっている。
保険部門 に特有のリスクの詳細な情報については、 La Banque Postale の年次財務報告書に記載されている。
2.8.6.1 保険リスクの管理
保険部門で事業を行う La Banque Postale グループのすべての子会社は、常に適用される規制要件を満たさなけれ
ばならない。金融コングロマリットの責任者として、 La Banque Postale グループは、各子会社がかかる要件をすべ
て尊重することを確実にする責任を負う。より一般的には、すべての保険事業について、 La Banque Postale グルー
プは、実施されているリスク管理手続きが、リスク・アペタイト・ステートメントおよびリスク組織規約に定められ
ているリスク管理運営方針( RMOP )の原則と整合性が取れていることを確認する。
2.8.6.2 保険リスクの種類
La Banque Postale グループの保険事業における保険リスクの種類は以下のとおりである。
CNP Assurances :
CNP Assurances は以下の6つに分類されるリスク要因にさらされている。
• 金融市場のリスク要因 :金利リスクならびに株価および利回りリスク。
• 信用およびカウンターパーティのリスク要因 :企業およびソブリンの信用ならびにカウンターパーティのリ
スクおよび信用またはカウンターパーティの集中リスク。
• 保険引受のリスク要因 :解約または取消しのリスク。
• オペレーショナル・リスク要因 :アウトソーシング・リスク、商品および顧客とのやり取り(財務セキュリ
ティおよび AML-CFT )のコンプライアンス・リスク、情報システムリスク、データ・セキュリティ・リスクお
よびサイバーリスク。
• 戦略的およびビジネスリスク要因 :戦略的パートナーシップ・リスク、カントリー・リスク、規制リスク、
およびビジネスモデル・リスク。
• 気候変動のリスク要因 。
保険部門:
La Banque Postale の保険部門が直面したリスクは、ソルベンシー II のリスク分類およびコングロマリットの リ
スクマップ に沿って、以下の7つのリスク・カテゴリーに分類されている。
•戦略およびビジネスリスク。
•信用およびカウンターパーティ・リスク。
•市場リスク。
•流動性リスク。
•オペレーショナル・リスク。
•保険引受リスク。
•その他のリスク。
194/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.7 非財務リスク
2.8.7.1 オペレーショナル・リスクおよびコンプライアンス・リスク
2.8.7.1.1 定義および範囲
オペレーショナル・リスクは、 2020 年2月5日付政令第 2020-94 号第8条において、プロセス、人事、内部システム
もしくは外部事象の不備または欠陥から生じる損失のリスクとして定義されている。
フランス預金供託公庫グループ内のオペレーショナル・リスクは、 2020 年2月5日付政令第 2020-94 号第Ⅳ章第9節
に従い管理されており、特に第 133 条においては、オペレーショナル・リスクのエクスポージャーを評価し、管理する
ための方針および手続きを実施することがフランス預金供託公庫に求められている。
フランス預金供託公庫にとって、コンプライアンス・リスクとは、 2020 年2月5日付政令第 2020-94 号の第8 -13 条に
おいて、銀行業および金融活動に関連する規定(かかる規定が、法律上の規定であるか規制上の規定であるか、直接的
に適用可能な国内の規定であるか欧州の規定であるか、職業上の基準であるか倫理的基準であるか、またはフランス預
金供託公庫によるコンプライアンス関連の決定であるか否かにかかわらない。)を遵守しないことによる法律上、規制
上もしくは懲戒による制裁、重大な財務上の損失または風評被害を生じるリスクとして定義されている。その銀行子会
社の場合、コンプライアンス・リスクには、監督機関の指針( 2014 年 11 月3日付政令、その後の改正を含む。これに応
じて、それらの事業に適用された。 ) に従って与えられた事業を効率的に行う人物からの指示に従わないことも含まれ
る。
2.8.7.1.2 主なオペレーショナル・リスク要因
2.8.7.1.2.1 銀行および金融に関するノンコンプライアンス
銀行および金融に関する規則のノンコンプライアンス・リスクは、フランス預金供託公庫および当グループのレピュ
テーション・リスクを生じさせる。具体的には、これらの規則には以下のものが含まれている。
・金融セキュリティ ( マネーロンダリングおよびテロ資金供与対策- AML-CFT) 、本人確認 (KYC) 義務、金融制裁および禁
輸に関する規制。
・金融倫理 ( 市場の濫用 ) や顧客保護に関する規則。
このリスクから自身を守るため、フランス預金供託公庫グループでは、リスクの主な原因 ( 取引関係における AML-CFT
に関するデューデリジェンスの欠如、規制要件に関する教育不足、システム監視の欠如および動作不良検出ツールの誤
動作 ) の管理強化への取り組みを継続している。
当グループ・レベルでは、以下のリスク管理対策を展開している。
・コンプライアンス・プロジェクトに関する進行中の取組み。
・従業員の問題意識の向上。
・ AML-CFT のリスク管理を監督するための特定のリソースの導入による、子会社で実施されている AML-CFT 対策のフラン
ス預金供託公庫による監視(規範および基準の定義、リスクの測定およびシステム運用の監視、複数のグループ会社
に共通する顧客に関するデューデリジェンスを強化するための AML-CFT に関する情報共有など。)。
全体的に、フランス預金供託公庫は、フランス PACTE 法( 2020 年)の発効後に適用される基準の不遵守のリスクに特
に注意を払っている。フランス預金供託公庫の継続的なコンプライアンスへの取り組みは、公共機関内およびフランス
預金供託公庫グループ内の両方における継続的な改善プロセスの一環である。
195/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.7.1.2.2 法の支配の不遵守
このリスクは、銀行部門に限定されないが、当グループの事業に影響を与えるすべての規則を対象としており、以下
が含まれる。
・財務および会計規則
・倫理的および汚職防止規則 ( 特に Sapin II)
・個人情報保護に関する GDPR 規則
・労働法 ( 特に差別 ) ならびに衛生および安全規則
・競争法
・注意義務
・年金管理義務に関するフランスの社会保障財政法 (LFSS)
・各事業体の特定の活動分野に固有の規則 ( 例 : マーケティング規則 )
以下のリスク管理対策が展開されている。
・規制の急激な変化に対応するため規制上の監視強化
・関連する手続きおよび統制の厳格化
・特に GDPR 規則およびより部門固有のトピックに関する、従業員の意識、情報および研修の改善。
2.8.7.1.2.3 外部および内部の不正行為
外部および内部の不正行為は、すべてのグループ企業にとって懸念事項である。外部の不正行為(文書詐欺、データ
盗難 / 侵害、システム侵入)は、その事業活動(口座管理、融資、投資、支払い)がよりリスクにさらされている金融
機関にとって特に重大である。内部の不正行為については常に厳重に監視している。
リスク管理システムは非常に幅広い取り組みを対象としており、さまざまな種類の不正に対応している。主な取り組
みは以下のとおりである。
外部の不正行為:
・関係の開始時および関係中に顧客を知る、またはサプライヤーを知るデューデリジェンス。
・認証強化、サイバー詐欺に対する保護、警告システムなどによる安全なデータ・アクセス。
・第一層の運用管理。
内部の不正行為:
・職務の分離および機密アプリケーションまたはデータへのアクセスの管理。
・プロセスの主要な段階での管理統制を含む第一層の統制の組織化、および独立した第二層の統制によるその有効性
の検証。
・不正行為および汚職に対する従業員の意識の向上。
2.8.7.1.2.4 サイバー・セキュリティ
サイバーリスクとは、サイバー攻撃やサイバー犯罪により、 IT システムに重大な欠陥や障害が生じ、機密情報の漏
洩、生産の一部もしくは全部の停止、戦略的機会の損失または評判の悪化を招くリスクをいう。
当グループとその活動の規模は、すべてのグループ事業体がサイバー脅威を認識しなければならないことを意味して
いる。
グループ・レベルでは、以下のようなリスク管理対策を展開している。
・ IT 方針と IT 管理
・侵入テスト
・アクセス権の見直し
・グループ全体の生産データ・アクセスおよびデータ・エクスポートの手順
・インターネット / 電子メールの監視 ( 機密データ侵害の可能性 ) の一環として、グループ・サイバーセキュリティ部
門による警告の取扱い
・手続きの厳格化
・安全なデータ交換
グループ・リスク管理部門内にグループ・サイバーセキュリティ部門が調整した IT システム・セキュリティ・オフィ
サー (RSSI) のネットワークがあり、知識やソリューションを共有している。
196/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.7.1.2.5 IT 効率
IT 効率とは、 IT システムや IT プロジェクトに障害が発生するリスクであり、いくつかの内部アップグレードが行われ
た一定のシステムの年代や、当グループが何らかの外部ツールの最後のユーザーであることによって悪化するリスクで
ある。
IT プロジェクトの実施は複雑で、組織の効率性という点で一定の課題を伴うため、リスクは非常に大きい。とりわ
け、フランス預金供託公庫一般部門のレベルでの年金支給のような BtoC の活動に適用される。また、当グループの IT シ
ステムとシステム全体の連携とのインターフェースにも影響する。
展開されているリスク管理措置には、 IT プロジェクトのプロセスとその実施 ( 指標、文書の使用 ) の信頼性の向上、そ
して特にマッピング (IT プロバイダーやソフトウェア ) やインシデント・モニタリングといったツールを通じたより良い
調整が含まれる。
2.8.7.1.2.6 プロセスの失敗
このリスクは、人為的なミスから直接的または間接的に目標の達成や結果に影響を与えるプロセスの失敗から生じ
る。これは、すべてのグループ企業によって、重大なリスクとみなされている。プロセスの失敗のリスクは、エンド
ツーエンドのプロセス管理で発生する。これは、プロセスに関する知識を文書化して増加させ、正しく運用することに
よって管理される。プロセスの失敗のリスクは、財務的に重大な影響を及ぼす可能性がある。
グループ・レベルで展開されるリスク管理措置には、全事業体横断的な以下の解決策が含まれる。
・サポート管理 ( 追跡ツールやダッシュボードを含む ) 。
・手続き構造を改善するための継続的な取り組み。
・特に自動チェック機能を使用し、第一層および第二層の統制を強化する。
・実証されたインシデントの識別および関連する損失の監視。
2.8.7.1.2.7 第三者およびアウトソーシング・リスク
このリスクは、特にサプライヤーの債務不履行または価格の変更の場合に、ソフトウェア・サプライヤーまたは主要
な下請け業者への依存の可能性から生じる。
また、このリスクは、第三者に委託された活動の管理を長期的かつ日常的に維持する能力にも関連している。銀行規
制の対象となるグループ企業にとって、特に第三者との正式な関係の程度および質、ならびにこれらのサービスを実行
するサービス提供者を監査する能力という点で、アウトソーシング・サービスに関する義務を履行できるかどうかが課
題でもある。
グループ・レベルでは、このリスクは、請負業者、特にソフトウェア・プロバイダーへの依存、または下請業者の債
務不履行から生じる可能性がある。また、経済・医療危機の中で新製品が導入され、それによってアウトソーシング
( 特に IT システム ) に対する当グループのエクスポージャーおよび脆弱性が高まっている。
グループ企業が展開するリスク管理対策には、以下が含まれる。
・アウトソーシングの取り決め、特に不可欠なサービスに関する規則の確実な遵守( PSEE )。
・より専門化されている購買部門 ( 特にソフトウェア ) の拡大。
・プロバイダーの分散化およびプロバイダー依存の評価。
・監視の強化(サービス品質、インシデント監視、不可欠なサービスの第一層の管理および独立した第二層の管
理)。
197/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.7.1.2.8 健康および安全リスク
このリスクは、人々の健康と安全を脅かす天災または技術的な事故 ( 火災、洪水など ) および / または大規模な攻撃 ( 盗
難、被害、テロなど ) から生じる。グループ・レベルでは、内部または外部要因による従業員の心理社会的リスクを考
慮に入れることも非常に重要である。
2.8.7.1.3 オペレーショナル・リスクおよびコンプライアンス・リスクの管理システムの構造およびガバナンス
2.8.7.1.3.1 オペレーショナル・リスク管理
ガバナンス
グループ・リスク管理部門は、グループ・リスクの分析および測定を担当している。
オペレーショナル・リスクを調整する部署を創設する作業が進められている。この部署は、 2022 年初めに創設され、
グループ・リスク管理部署の直属である。当グループのオペレーショナル・リスク管理方針が定められ、ガバナンス原
則はそれに応じて適合される。
恒常的統制部門は、恒常的統制 ( 基準、報告およびコンプライアンス統制 ) の継続的な改善を通じて、公的機関の各部
門およびグループ事業体と連携し、オペレーショナル・リスクおよびコンプライアンス・リスクの管理に貢献してい
る。
また、グループ・レベルでの恒常的統制・コンプライアンス体制を統括する役割も担っている。それは、グループの
上級管理職および監督審議会に報告する。
また、恒常的統制・コンプライアンス部門は、マネーロンダリングおよびテロ資金供与対策 ( 「 AML-CFT 」 ) ならびに
汚職防止プログラムについて責任を負い、当グループの倫理規範に定められた原則の遵守状況を追跡している。
2.8.7.1.3.2 内部統制システム
リスク管理体制は、内部統制の枠組みを構成する3つの防衛線を基本としている。
2.8.7.1.3.2.1 第一の防衛線
第一の防衛線は、事業部門からなる。事業部門は、その活動から生じるリスクに対して責任を負う。従って、他の防
衛線のそれぞれの範囲に基づき、責任を負う。
•リスクの特定。
•事業体のリスク選好度を確実に遵守させる。
•リスク管理手順の導入と必要に応じた是正措置。
2.8.7.1.3.2.2 第二の防衛線
第二の防衛線は、リスクを監督し調整する役割を担う専門部署で構成されている。また、第二層の恒常的統制に特化
した1つ以上の部署で構成されている。
グループ・レベルでは、第二線にグループ・リスク管理部門とフランス預金供託公庫の恒常的統制・コンプライアン
ス部門がある。
当グループの各事業体には、リスクを統括・調整する専門部署が設置されている。各事業体のリスク管理部門は、グ
ループ・リスク統制機能を構成する。
リスク統制機能は、その職務を完全に遂行するのに十分な階層的権限を有している。かかる機能は、第二の防衛線に
関係しない任務を遂行する場合には、完全な自律性をもって第二の防衛線を提供できるよう、適切な職務分離が行われ
ることを確保している。
198/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.7.1.3.2.3 第三の防衛線
第三の防衛線は、ガバナンスおよびリスクの管理手順ならびに内部統制の有効性ならびに第一および第二の防衛線に
よるリスク管理およびコントロール目標の達成について、客観的で独立した、全体的な保証を統治機関に提供すること
を主な役割とする専門部署により構成される。
グループ・レベルでは、グループ内部監査部門が第三の防衛線を提供する。
2.8.7.1.3.3 オペレーショナル・リスクのモニタリング・ツール
当グループの事業体のリスク管理、恒常的統制・コンプライアンス部門は、業務部門と協力して、これらのプロセス
に内在するすべてのオペレーショナル・リスクが管理されることを合理的に保証するために適切な統制措置が講じられ
ていることを確実にする。さまざまなツールが開発されてきた。
リスクマップ
フランス預金供託公庫一般部門については、恒常的統制・コンプライアンス部門が各業務部門と連携して、オペレー
ショナルおよびコンプライアンス・リスクマップを作成し、毎年更新している。
また、グループ各事業体は独自の手法を用いて、オペレーショナル・リスクおよびコンプライアンス・リスクのマッ
プを作成し、恒常的統制に対応すべき主要リスクと、その発生確率および / または潜在的な影響を軽減するための行動
計画を特定している。
グループで特定された主要なリスクは、グループ・リスク管理部に集約され、フランス預金供託公庫の経営委員会に
報告される。
これらのマップとリスクの強度 ( 優先ゾーン ) の評価は、リスク選好度を定義するための基盤となり、内部的な自己資
本充実度評価プロセス (ICAAP) の基礎となる。
「事象」データベース
フランス預金供託公庫一般部門内で報告された統制事象はすべて集中データベースに記録され、重要事象は恒常的統
制・コンプライアンス部門によって監視される。
子会社における重要な事象は、グループ・リスク管理部門に報告され、非コンプライアンス事象は恒常的統制・コン
プライアンス部門に報告される。その目的は、フランス預金供託公庫グループに影響を及ぼすあらゆる種類の事象を統
合し、特定されたシステム障害を強調し、潜在的または実際の関連損失を評価し、適切な是正措置計画を作成すること
である。実行計画は、子会社が自らの責任において実行する。
第二層の統制計画
恒常的統制・コンプライアンス部門は、リスクベースのアプローチを用いて、フランス預金供託公庫一般部門の範囲
にわたって適用される第二層の統制計画を実施する。
この統制計画は、関連するリスクと実行される活動の観点から、恒常的統制およびコンプライアンス・プロセスの適
切性をテストするために設計されている。
これらのプロセスは、恒常的統制・コンプライアンス部門が実施したテストに基づき評価され、その結果がフランス
預金供託公庫の経営委員会および監督審議会に報告される。
第二層の統制の計画は、一般部門の各業務部門が検証したリスクマップを用いて設計されている。各業務部門は、主
要なオペレーショナル・リスクおよびコンプライアンス・リスクを特定している。
子会社の第二層統制計画は、それぞれの恒常的統制・コンプライアンス部門によって作成され、実施される。グルー
プ恒常的統制・コンプライアンス部門は、特に第二層の統制の実施を要求する恒常的統制規約の正しい適用を確実にす
る。
199/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
警告フラグ
フランス預金供託公庫一般部門およびグループ子会社は、恒常的統制またはオペレーショナル・リスクのモニタリン
グおよび統制の質の悪化を予測するために、警戒閾値を含む一連の指標を考案した。
2.8.7.1.3.4 AML-CFT コンプライアンス・プログラムの調整
フランスの通貨金融規範に従い、フランス預金供託公庫は、マネーロンダリングおよびテロリスト資金供与対策
(AML-CFT) プログラムの設定に責任を負う。
恒常的統制・コンプライアンス部門は、グループの AML-CFT プログラムを調整および監督する。同部門はグループ全
体に適用すべき指針を考案する。フランス預金供託公庫は、 AML-CFT 遵守リスクに関して、許容度ゼロの方針を定めて
いる。
恒常的統制・コンプライアンス部門は、フランス預金供託公庫一般部門および子会社全体で、少なくとも年1回、反
マネーロンダリングおよびテロ資金供与対策のコンプライアンス・チェックを実施している。
フランス預金供託公庫は、一連の客観的基準およびあらかじめ決定された手法に基づき、 AML-CFT リスクの国別分類
を策定している。従って、リスクの高い国に関連するファイルに対しては、より厳格な管理が適用される。
また、フランス預金供託公庫は、非協力的な国・地域 (Etats et territoires non coop ératifs - ETNC) ( フランス
政府ブラックリスト参照 ) または金融活動作業部会 (FATF) リストにおいて第一位の国 ( イランおよび北朝鮮 ) への投資を
禁止するブラックリストを作成した。
2.8.7.1.3.5 倫理コンプライアンス基準の調整
フランス預金供託公庫は、コンプライアンス・リスクへの選好がないことから、グループの行動規範および公的機関
の行動規範からなる倫理指針を適用している。この指針は改訂され、フランス預金供託公庫のイントラネットに掲載さ
れている倫理基準要綱に盛り込まれた実施手順書に添付されている。
また、フランス預金供託公庫は、透明性、汚職防止および経済の近代化に関する法律( 2016 年 12 月9日付法律第
2016-1691 号) ( 以下、「 Sapin II 」という。 ) に基づき、当グループの汚職防止方針を策定し、関係するすべての子会
社において内部告発制度を実施している。
2.8.7.2 危機管理計画および事業継続計画
2.8.7.2.1 危機管理計画および事業継続計画の調整
フランス預金供託公庫の継続計画は、以下によって導かれる。
・事業の継続性を確保し、運営上の準備を維持するために、フランス預金供託公庫一般部門の方針を策定し、継続基
準を設定し、それらが適切に実施されることを確実にする恒常的統制・コンプライアンス部門
・事業継続計画の運用管理を担当する法人事務局。
・事業継続計画の策定、実施、テストを行う部門
また、主要な子会社においても、規制上の義務に従い、同様の制度を採用している。
200/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.7.2.2 サイバー・セキュリティ
サイバー・セキュリティとは、物理的または論理的なセキュリティ侵害による論理的な攻撃から、一方では情報資
産、他方では通信ネットワークと IT システムから成る当グループの IT 資産を保護するために使用されるすべての組織的
な対策および統制ならびにすべての資源 ( 人的、技術的など ) を意味する。
グループ・リスク管理部門は、当グループの情報システム・セキュリティ方針を定義しており、これはリスク選好の
範囲内でフランス預金供託公庫およびすべての子会社に適用される。
各事業体は、当グループの IT セキュリティ方針の原則を組み込んだ独自のセキュリティ方針を、子会社や運用事業体
を含む独自の範囲内で策定する。事業体の方針は、事業体の活動、負ったリスクの程度およびその背景に応じて適応さ
れる。それらは、グループ事業体またはその範囲内の事業体に適用される法的、制定法上または契約上の規定、特に秘
密保持または秘密保持規則に影響を及ぼさない。各事業体内では、グループ・ポリシーに基づき、各事業部が独自の IT
システム・セキュリティ方針を策定することがある。これらの現地での方針は、最低限、グループ方針で定められた
ルールを遵守し、参照する枠組みを厳格に遵守しなければならない。
IT システムのセキュリティは、 AICP の頭文字で表される ( すなわち、 availability- 可用性、 integrity- 完全性、
confidentiality- 機密性、 proof- 証明 ) 、システムの可用性、データの完全性と機密性および送信の証明 ( または非否
認 ) に焦点が当てられている。
情報技術規約は、フランス預金供託公庫一般部門内で適用されるサイバー・セキュリティ原則を確立し、すべての従
業員を拘束するものである。この規約は、従業員代表組織 (CSSCT 、 CUEP) と協議の上、会長兼最高経営責任者が署名し
た政令によって発効した。
IT システムのセキュリティ展開は、年2回開催される情報システム戦略会議において統括している。
また、内部のサイバー・セキュリティ対策に加え、外部のサイバー格付ツールを活用し、情報資産を脅かす外部のサ
イバーリスクの評価を徹底している。
2.8.8 その他のリスク
2.8.8.1 税務および法務リスク
法的リスクは、 2020 年2月5日付政令第 2020-94 号第8条により、相手方との紛争のリスクとして定義されている。
税務および法務リスクは、無知、不遵守、または現行法の解釈の誤りに関連するあらゆるリスクから構成され、手続
きまたは規制の誤った適用から生じる訴訟につながる可能性がある。
法務・税務・関連サービス部門は、プロセスを合理化し、経営慣行を厳格化するために、法務および税務ガイドライ
ンを分析し、明確化している。このガイドラインは、グループ全体の事業活動に適用される。また、グループ全体の法
令遵守を高めるための重要プロジェクトの立案にも携わっている。同部門は、事業のあらゆる側面において法務および
税務の問題のみならず、安全な IT 開発のような分野横断的な問題を抱える事業部門や子会社を支援する。
最後に、法務・税務・関連サービス部門は、公的機関およびフランス預金供託公庫グループの両方の訴訟リスクを監
視している。
201/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.8.8.2 環境リスク
ESG (環境、社会、ガバナンス)リスクとは、 ESG 要因がカウンターパーティまたは投資資産に与える実際のまたは将
来の影響から生じる負の財務的影響のリスクである。 ESG リスクには、気候変動、生物多様性および社会的リスクに加
え、カウンターパーティのガバナンス慣行から生じるリスクが含まれる。
ESG リスクの評価および管理は、フランス預金供託公庫グループにとって重要な優先課題である。
フランス預金供託公庫グループにとって、持続可能な開発と責任ある投資は、その価値観と使命の中心となるもので
ある。その目的は、持続可能な開発と社会的結束を推進するすべての地域の努力を支援することである。これらの課題
については、当グループの「ビジネスレビューと持続可能な開発報告書」および「責任ある投資報告書」に記載してい
る。
フランス預金供託公庫グループのすべての戦略的、業務上および財務運営は、国連の持続可能な開発目標 (SDGs) を組
み込んでいる。当グループのために8つの優先 SDGs と5つの重要 SDGs が特定されている。
フランス預金供託公庫グループは、気候の危機に直面し、 2050 年までのカーボン・ニュートラルの目標を設定したフ
ランスの国家低炭素戦略に示されているように、気候変動対策のための国家目標の形で、パリ協定を積極的に支援する
ことにコミットしている。
その目的は、 2050 年までに地球温暖化を 1.5 ℃に抑えることと両立する経済に資金供与することであり、これは以下
の5つの中核原則に反映されている。
・グリーン・ファイナンスの拡大
・気候に有害な資金供与の削減
・企業や資産ポートフォリオの脱炭素化の支援
・気候リスクの評価と管理
・内部業務からの排出の着実な中和
気候対策の一環として、当グループでは、以下によって気候変動リスクをリスク管理・評価システムに組み込むとい
う目標として気候リスクのロードマップを構築している。
・資産クラス別のリスクのマッピング。
・リスクを内部信用格付に徐々に組み込むこと。
・リスクをリスク統制ツールに組み込むこと。
・ストレス・テストの実行に自発的に参加すること。
ガバナンス面では、サステナブル・ポリシー部門とリスク管理部門が共同で主導し、関係する各部署のメンバーで構
成する「 ESG リスク委員会」を設置している。
2022 年、フランス預金供託公庫は以下を実施した。
・ ESG リスクのマッピングを統合リスク分類に組み込んだ。
・リスク選好フレームワークにおける ESG リスク指標を見直した。
・2つの内部ストレス・テストを実施した(1つはマクロ経済テスト、もう1つは炭素価格に基づく上場株式に関す
るテスト。 ) 。
2023 年において、当グループは、 2024 年に展開されるすべての資産クラスを対象とした物理的および移行リスクのス
コアリングツールを設計し、これらのリスクの評価および管理の取り組み(公的機関と子会社の専門家を集めた気候リ
スク・ネットワーク)を継続する予定である。
次へ
202/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.9 関連当事者間取引
関連当事者には、連結企業、貯蓄基金、年金ファンドおよびナショナル・ローンに関連してフランス預金供託公庫が
管理するファンドが含まれる。
2.9.1 連結会社間の関係
完全連結会社間の取引および期末現在の残高は、連結において消去される。したがって、以下の情報は共同支配企
業(持分法により会計処理される。)および、当グループが重要な影響力を有する関連会社(持分法により会計処理
される。)とのグループ内取引のみに関するものである。
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
(1)
貸付金 1,591 2,241
その他の金融資産 85 251
その他の資産 62 37
資産合計 1,738 2,529
借入金 222 224
その他の金融負債 36 36
その他の負債 4,646 6,485
負債合計 4,904 6,745
付与したコミットメント 18
受取利息(支払利息)、純額 83 22
手数料収入(費用)、純額 (34) (47)
金融取引による純利益(損失) 78 44
その他の活動による純利益(損失) (230) (524)
一般営業費、再請求費用控除後 12 10
営業総利益(損失) (91) (495)
(1) CNP Assurances が保有する Bpifrance 債 0.9 十億ユーロ( 2022 年)および 1.1 十億ユーロ( 2021 年)を含む。
203/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.9.2 当グループが支配していない関連当事者
2.9.2.1 貯蓄基金
フランス預金供託公庫は、フランス政府より集約型貯蓄基金の管理を委託されている。
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
(1)
貸付金 79,841 78,144
その他の資産 120 89
資産合計 79,961 78,233
借入金 11,087 7,320
その他の負債 409 515
負債合計 11,496 7,835
付与したコミットメント 10,432 6,918
受領したコミットメント 22,894 13,288
受取利息(支払利息)、純額 1,561 983
その他の活動による純利益(損失) (21) (35)
一般営業費、再請求費用控除後 191 185
営業総利益(損失) 1,731 1,133
(1) -La Banque Postale 向けの貸付金を、 2022 年 12 月 31 日現在 64.9 十億ユーロ、 2021 年 12 月 31 日現在 65.1 十億ユー
ロ含んでいる。
- 一般部門向けの貸付金を、 2022 年 12 月 31 日現在 15 十億ユーロの貸付、 2021 年 12 月 31 日現在 13.1 十億ユーロを
含んでいる。
2.9.2.2 年金ファンド
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
その他の資産 44 70
資産合計 44 70
借入金 1,803 1,688
その他の負債 37 37
負債合計 1,840 1,725
付与したコミットメント 12 5
受取利息(支払利息)、純額 (3) 4
その他の活動による純利益(損失) 3 4
一般営業費、再請求費用控除後 270 268
営業総利益(損失) 270 276
204/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.9.2.3 2030 年復興計画に関連して管理されるファンド
フランス預金供託公庫は、 ナショナル・ローンまたは、 2022 年以降は「 2030 年復興計画」 としても知られる将来プ
ログラムへの投資( PIA )の範囲内でプログラムおよび活動の管理を委託されている。フランス政府は、これらの基
金の管理をフランス預金供託公庫に委託し、支払はフランス国庫における特定のフランス預金供託公庫勘定に対して
なされる。
2022 年 12 月 31 日現在、支払および管理手数料控除後のこれらのパッケージの内訳は以下のとおりである。
資産 負債
現在または将来の現金投資
ナショナル・ローンに関する
に関する未収金 フランス政府への未払金
2021 年 2022 年
2022 年 2021 年
(単位:百万ユーロ) 12 月 31 日 12 月 31 日
12 月 31 日 12 月 31 日
France Brevets (フランス特許ファンド)
97 105 97 105
技術開発 524 719 524 719
社会的連帯経済 25 34 25 34
ワーク・スタディ・プログラム- 住宅および
近代化 25 42 25 42
ナショナル・シード・キャピタル・ファンド 79 121 79 121
イノベーション・プラットフォームおよびコン
ペティティブ・クラスター 12 12 12 12
Fonds Écotechnologies ( 環境技術基金 )
211 225 211 225
Fonds pour la société numérique
( デジタル社会基金-インフラおよびサービス ) 545 535 545 535
トゥモローズ・シティーズ 296 313 296 313
ナショナル・イノベーション・ファンド- イ
ノベーションおよび起業文化 1 2 1 2
地域融合型エネルギー・シフト・プロジェクト 9 10 9 10
Transition numérique de l'État et
modernisation de l'action publique (政府の
地上デジタル放送移行および公共的活動の近代
化) 2 2 2 2
フランスの技術促進 176 200 176 200
Partenariat pour la Formation
professionnelle et l'emploi (専門的職業訓
練および雇用のための提携) 32 42 32 42
ヘルス・バイオテック・アクセレレーション・
ファンド 320 328 320 328
再生ファンド 123 117 123 117
高等教育のためのデジタル・イノベーション 35 36 35 36
脱炭素エネルギーのための高等専門機関 36 43 36 43
ファンド・オブ・ファンズ-重要都市部 46 47 46 47
Territoires d'innovation de grande
ambition
(意欲的なイノベーションのための地域計画) 287 236 287 236
Territoires d'innovation pédagogique
(教育におけるイノベーションのための地域計
画) 101 92 101 92
Adaptation et qualification main d'oeuvre
(すべての地域で雇用を維持し発展させるため
の支援) 149 98 149 98
学術研究企業 78 79 78 79
Accélération du développement des
Écosystèmes d'innovation performants ( 高性
能イノベーション・エコシステムの開発加速 ) 163 126 163 126
主な課題 300 300 300 300
PIA4 ファンドへの配分 305 85 305 85
3,977 3,949 3,977 3,949
205/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.10 従業員給付
2.10.1 従業員給付費用
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
人件費 (17,445) (17,585)
退職後給付制度費用 (181) (560)
裁量的および非裁量的利益配分 (414) (332)
従業員給付費用合計 (18,040) (18,477)
2.10.2 被支配会社の平均従業員数
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
フランス 230,124 242,258
海外 100,134 105,594
平均従業員数 330,258 347,852
2.10.3 従業員給付債務
2.10.3.1 認識された従業員給付債務純額
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
財政状態計算書において認識された資産および負債
積立従業員給付債務の現在価値 320 467
積立によらない従業員給付債務の現在価値 3,127 3,624
従業員給付債務の現在価値 3,447 4,091
制度資産の時価 (318) (425)
従業員給付債務引当金 3,129 3,666
数理計算上の負債-流動 765 816
数理計算上の負債-非流動 2,364 2,850
2.10.3.2 損益計算書における従業員給付債務の変動
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
当期勤務費用-退職後制度 (126) (471)
当期勤務費用-長期給付 (35) (30)
過去勤務費用(制度の改正および縮小を含む。) (17) (52)
制度の清算に係る損益 (3) 6
勤務費用 (181) (547)
正味利息費用 (19) (20)
長期給付に係る数理計算上の損益 29 20
退職後制度および長期給付費用 (171) (547)
206/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.10.3.3 従業員給付債務引当金の変動
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
期首残高 3,666 3,942
退職後制度および長期給付費用 171 547
支払給付 (574) (529)
以下により生じる退職後制度に係る数理計算上の損益:
-人口統計上の仮定の変更 18 (5)
-財務上の仮定の変更 (178) (92)
-実績調整 37 2
制度資産に係る数理計算上の損益 (1) (38)
2021 年5月の IFRS IC の決定による一部の退職後給付計算
の変更 (151)
その他の変動 (9) (11)
期末残高 3,129 3,666
2.10.3.4 従業員給付債務引当金の内訳
2.10.3.4.1 債務の種類別内訳
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
退職給付 795 966
その他の年金制度 43 53
その他の退職後給付制度 346 248
長期従業員給付制度 736 797
ラ・ポスト・グループの段階的退職制度 1,209 1,602
従業員給付債務引当金 3,129 3,666
2.10.3.4.2 債務の連結法人別内訳
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
フランス預金供託公庫(一般部門) 176 194
ラ・ポスト・グループ 2,687 3,158
Transdev グループ 140 152
Compagnie des Alpes グループ
34 51
Icade グループ 18 23
Informatique CDC
29 33
CDC Habitat グループ
34 44
その他の法人 11 11
従業員給付債務引当金 3,129 3,666
2.10.3.5 制度資産の種類別内訳
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
株式 57 84
債券 125 147
その他の資産 136 194
制度資産合計 318 425
207/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.10.3.6 従業員給付債務に係るその他の情報
2.10.3.6.1 退職給付の測定に使用された加重平均割引率
( 各連結企業の平均割引率 ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
フランス預金供託公庫(一般部門) 3.63 % 0.98 %
ラ・ポスト・グループ 3.80 % 1.00 %
Transdev グループ 3.60 % 0.30 %
Compagnie des Alpes グループ
3.75 % 0.60 %
Icade グループ 3.08 % 0.91 %
Informatique CDC
3.07 % 0.89 %
CDC Habitat グループ
3.16 % 0.87 %
割引率は、 iBoxx € Corporates AA 10 +指数を参照して決定されている。この指数は、基本的に投資適格企業が発
行する社債の利回りを示している。
2.10.3.6.2 割引率の上昇または下落に対する従業員給付債務引当金の感応度分析
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
数理負債の感応度 +/-50 ベーシスポイント +/-50 ベーシスポイント
割引率が上昇した場合の引当金額 3,048 3,554
期末現在の従業員給付債務引当金 3,129 3,666
割引率が低下した場合の引当金額 3,212 3,781
2.11 持分法適用会社に関する情報
下表は、当グループの IFRS による公表様式を用いて、グループ内債権債務残高および取引を消去する前の 100 %保有
に基づく重要な関連会社およびジョイント・ベンチャーに関するデータを示すものである。
2.11.1 要約財務情報
2.11.1.1 Bpifrance
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
当グループの支配比率 49.18 % 49.18 %
当グループの持分比率 49.32 % 49.32 %
関係性 企業向け融資および投 企業向け融資および投
資パートナー 資パートナー
受取配当金 277 百万ユーロ 211 百万ユーロ
/ Bpifrance の持分法による帳簿価額に係る財務情報の調整
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
所有者に帰属する資本 27,430 28,340
修正再表示(公正価値調整) 319 319
フランス預金供託公庫の持分比率に基づく資本 13,685 14,135
フランス預金供託公庫の財政状態計算書上の持分
法による帳簿価額 13,685 14,135
208/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.11.1.2 Coentreprise de Transport d' É lectricit é
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
当グループの支配比率および持分比率 29.90 % 29.90 %
関係性 戦略的持分 戦略的持分
受取配当金 107 百万ユーロ 78 百万ユーロ
/Coentreprise de Transport d' É lectricit éの持分法による帳簿価額に係る財務情報の調整
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
所有者に帰属する資本 3,527 2,949
修正再表示(主に購入価格配分調整) 3,109 3,109
1,984 1,811
フランス預金供託公庫の持分比率に基づく資本
フランス預金供託公庫の財政状態計算書上の持分
法による帳簿価額 1,984 1,811
2.11.1.3 GRT Gaz
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
当グループの支配比率 38.63 % 38.63 %
当グループの持分比率 26.84 % 26.84 %
関係性 戦略的持分 戦略的持分
/GRT Gaz の持分法による帳簿価額に係る財務情報の調整
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
所有者に帰属する資本 3,647 3,337
のれん 1,298 1,298
SIG の持分比率に基づく資本 2,707 2,587
フランス預金供託公庫の財政状態計算書上の持分
法による帳簿価額 2,707 2,587
2.11.1.4 Holding d'Infrastructures Num ériques
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
当グループの支配比率 66.66 % 66.66 %
当グループの持分比率 55.33 % 50.70 %
関係性 戦略的持分 戦略的持分
/Holding d'Infrastructures Num ériques の持分法による帳簿価額に係る財務情報の調整
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
所有者に帰属する資本 1,052 1,048
フランス預金供託公庫の持分比率に基づく資本 701 698
フランス預金供託公庫の財政状態計算書上の持分
法による帳簿価額 701 698
209/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.11.1.5 Suez Holding
2022 年 12 月 31 日
当グループの支配比率 19.66 %
当グループの持分比率 16.98 %
関係性 戦略的持分
/Suez Holding の持分法による帳簿価額に係る財務情報の調整
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日
所有者に帰属する資本 3,208
のれん 580
フランス預金供託公庫の持分比率に基づく資本 630
フランス預金供託公庫の財政状態計算書上の持分
法による帳簿価額 1,210
2.11.1.6 Euroclear Holding SA/NV
2022 年 12 月 31 日
当グループの支配比率 7.90 %
当グループの持分比率 7.90 %
関係性 戦略的持分
/Euroclear Holding SA/NV の持分法による帳簿価額に係る財務情報の調整
( 百万ユーロ ) 2022 年 12 月 31 日
所有者に帰属する資本 4,093
のれん 229
フランス預金供託公庫の持分比率に基づく資本 324
フランス預金供託公庫の財政状態計算書上の持分
法による帳簿価額 553
210/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.12 法定監査人の報酬
2022 年 12 月 31 日
Mazars KPMG PwC
%
( 百万ユーロ ) 金額 金額 % 金額 %
法定監査、証明書、個別および
連結財務書類のレビュー 12.8 96 % 11.8 91 % 3.5 85 %
-一般部門 1.8 14 % 1.4 11 % 0.5 12 %
-完全連結子会社 11.0 83 % 10.4 80 % 3.0 73 %
非監査業務 0.5 4 % 1.2 9 % 0.6 15 %
-一般部門 0.3 2 % 0.2 5 %
-完全連結子会社 0.5 4 % 0.9 7 % 0.4 10 %
合計 13.3 100 % 13.0 100 % 4.1 100 %
2021 年 12 月 31 日
Mazars PwC
%
( 百万ユーロ ) 金額 金額 %
法定監査、証明書、個別および連結財務書
類のレビュー 9.7 90 % 7.5 84 %
-一般部門 1.2 11 % 0.9 10 %
-完全連結子会社 8.5 79 % 6.6 74 %
非監査業務 1.1 10 % 1.4 16 %
-一般部門
-完全連結子会社 1.1 10 % 1.4 16 %
合計 10.8 100 % 8.9 100 %
記載されている金額は、フランス預金供託公庫グループの一般部門の法定監査人の報酬ならびに Mazars 、 PwC および
KPMG のネットワーク外の子会社の同じ法定監査人の報酬である。
211/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.13 フランス預金供託公庫グループの連結の範囲
フランス預金供託公庫は、その各構成部門である一般部門および貯蓄基金については、フランスにおいて一般に公
正妥当と認められた会計原則に基づいて個別の年次財務書類を作成している。
また、 Banque des Territoires は、フランス預金供託公庫の すべての 資金 を集めて、地域 開発 を促進してい る。同
社は、運営部門(銀行、投資家、貸手)を網羅し、機能部門(財務、通信、デジタル戦略および人事)を備えた 37 の
事務所のネットワークに依拠している。同社はまた、エンジニアリングおよびコンサルティングにおける地域の担い
手をサポートする CDC Habitat および SCET という 2つの子会社を有している。
フランス預金供託公庫グループは、競合する部門で事業を行う子会社および関連会社を有する公的機関として独特
である。同グループは、 IFRS に基づく連結財務書類を公表している。かかる財務書類は、フランス預金供託公庫一般
部門の財務書類とフランス預金供託公庫が排他的にまたは共同で支配する企業もしくは重要な影響力を有する企業の
財務書類を結合して、フランス預金供託公庫グループの連結財務書類を形成している。
当グループの連結の範囲の表示は、当グループの4つの事業セグメントに基づいて組織されている。これにより、
企業、サブグループおよび子会社は事業セグメント別に表示されている。
連結企業のリストは、以下で入手することができる:
https : //www.caissedesdepots.fr/ en/you-are-investor (フランス語のみ)。
2022 年 12 月 31 日現在、フランス預金供託公庫グループはその財務書類において 1,816 社を連結していた。主な企業
は以下に掲げるとおりである。
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
連結
グループ / 企業 国 方法 支配 ( % ) 持分 ( % ) 方法 支配 ( % ) 持分 ( % )
フランス預金供託公庫部門
CDC ( 一般部門 ) フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
登録上の事務所:
56, rue de Lille,
75356 Paris 07 SP
SCET フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
登録上の事務所:
52, rue de Jacques
Hilairet - 75612
Paris Cedex 12
CDC HABITAT フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
登録上の事務所:
100, avenue de
France, 75013 Paris
フランス預金供託公庫部門‐その他の企業
CDC CROISSANCE フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
CDC PME CROISSANCE フランス 持分法 53.29 53.29 持分法 53.29 53.29
(JV) (JV)
CDC TECH CROISSANCE フランス 持分法 36.88 36.88 持分法 35.95 35.95
(JV) (JV)
CDC EURO CROISSANCE フランス 持分法 50.01 50.01 持分法 50.01 50.01
(JV) (JV)
CDC CROISSANCE フランス 持分法 50.04 50.04 持分法 50.04 50.04
DURABLE (JV) (JV)
CDC INVESTISSEMENT フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
IMMOBILIER
212/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
CDC INVESTISSEMENT フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
IMMOBILIER INTERNE
ACEP INV 3 フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
DOCKS V3 フランス 持分法 50.00 50.00 持分法 50.00 50.00
(JV) ( JV )
DOCKS V2 フランス 持分法 50.00 50.00 持分法 50.00 50.00
(JV) ( JV )
FONCIÈRE FRANKLIN フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
GPI ADENAUER フランス 完全 100.00 100.00
GPI COURBEVOIE フランス 持分法 50.00 50.00
(JV)
GPI ILLUMINE フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
GPINVEST 8 フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
GPINVEST 9 フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
GPI METAL 57 フランス 持分法 50.00 50.00 持分法 50.00 50.00
(JV) (JV)
GPI METAL 57 フランス 持分法 50.00 50.00 持分法 50.00 50.00
(JV) (JV)
GPINVEST 13 フランス 持分法 50.00 50.00
(JV)
GPINVEST 14 フランス 持分法 50.00 50.00
(JV)
GPINVEST 19 フランス 完全 100.00 100.00
GPI IVRY フランス 完全 100.00 100.00
GPI REUILLY フランス 完全 100.00 99.90 完全 100.00 99.90
GPI RUE PETIT フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
GPI SOFIA フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
GPINVEST PB10 フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
KOMBON SAS フランス 持分法 33.33 33.33
(JV)
LE MARQUIS フランス 持分法 40.00 40.00 持分法 40.00 40.00
( 関連会社 ) ( 関連会社 )
PBEM - PARIS フランス 完全 100.00 99.90 完全 100.00 99.90
BATIGNOLLES
ÉMERGENCE
PRD MONTPARNASSE 1 フランス 持分法 50.00 50.00 持分法 50.00 50.00
( JV ) ( JV )
PRD MONTPARNASSE 2 フランス 持分法 50.00 50.00 持分法 50.00 50.00
( JV ) ( JV )
PRD MONTPARNASSE 3 フランス 持分法 50.00 50.00 持分法 50.00 50.00
( JV ) ( JV )
SAS CHÂTEAUDUN フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
SAS DÉFENSE C3B フランス 持分法 25.00 25.00 持分法 25.00 25.00
( 関連会社 ) ( 関連会社 )
SAS LA NEF LUMIÈRE フランス 完全 100.00 87.50 完全 100.00 87.50
SAS LAFAYETTE フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
SAS PARIS NORD EST フランス 完全 100.00 79.00 完全 100.00 79.00
213/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
SAS PRINTEMPS LA フランス 持分法 50.00 50.00 持分法 50.00 50.00
VALETTE II ( JV ) ( JV )
SAS RICHELIEU フランス 完全 100.00 83.00 完全 100.00 76.05
(1)
VIVIENNE
SCI 182 RUE DE フランス 完全 100.00 99.00 完全 100.00 99.00
RIVOLI
SCI 43 45 RUE DE フランス 完全 100.00 99.00 完全 100.00 99.00
COURCELLES
SCI ALPHA PARK フランス 持分法 50.00 50.00 持分法 50.00 50.00
( JV ) ( JV )
SCI BATIGNOLLES LOT フランス 持分法 50.00 50.00 持分法 50.00 50.00
09 ( JV ) ( JV )
SCI BAUDELIQUE フランス 完全 100.00 99.66 完全 100.00 99.66
SCI BOULOGNE ÎLOT V フランス 完全 100.00 99.00 完全 100.00 99.00
SCI CUVIER MONTREUIL フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
II
SCI EVI-DANCE フランス 持分法 50.00 50.00 持分法 50.00 50.00
( JV ) ( JV )
(1)
フランス 完全 100.00 83.00 完全 100.00 76.05
SCI FARMAN
SCI INNOVATIS II フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
SCI MMV 2013 フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
SCI PB10 フランス 持分法 50.00 50.00 持分法 50.00 50.00
( JV ) ( JV )
SCI PRINTEMPS LA フランス 持分法 50.00 50.00 持分法 50.00 50.00
VALETTE ( JV ) ( JV )
SCI SARIHV フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
SCI SILOGI フランス 完全 100.00 99.00 完全 100.00 99.00
SCI TOUR MERLE フランス 持分法 50.00 50.00 持分法 50.00 50.00
( JV ) ( JV )
ANATOL INVEST フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
HOLDINGS FRANCE
AIH BV オランダ 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
(6)
オランダ 完全 100.00 100.00
PBW REAL ESTATE
ADL PARTICIPATIONS フランス 持分法 24.50 24.50 持分法 24.50 24.50
( 関連会社 ) ( 関連会社 )
COMPAGNIE NATIONALE フランス 持分法 33.20 33.20 持分法 33.20 33.20
DU RHÔNE ( 関連会社 ) ( 関連会社 )
SOLAR CNR 9 フランス 持分法 80.00 80.00
( JV )
SOLAR CNR 10 フランス 持分法 80.00 80.00 持分法 80.00 80.00
( JV ) ( JV )
PREDICA ENERGIES フランス 持分法 22.00 22.00 持分法 22.00 22.00
DURABLES ( 関連会社 ) ( 関連会社 )
(5)
フランス 持分法 40.54 40.54
TERRES D'ÉNERGIE
( 関連会社 )
HIN - ORANGE フランス 持分法 55.33 55.33 持分法 50.70 50.70
(1)
( JV ) ( JV )
CONCESSIONS
TONUS TERRITOIRES フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
214/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
VERDUN PARTICIPATIONS フランス 持分法 49.00 49.00 持分法 49.00 49.00
1 ( 関連会社 ) ( 関連会社 )
(2)
フランス 完全 100.00 89.80 完全 100.00 89.80
MOVIVOLT
INFORMATIQUE CDC フランス 完全 100.00 99.95 完全 100.00 99.95
GPINVEST 20 フランス 完全 100.00 100.00
GPINVEST 21 フランス 完全 100.00 100.00
BPIFRANCE グループ
BPIFRANCE フランス 持分法 49.32 49.32 持分法 49.32 49.32
登録上の事務所: ( JV ) ( JV )
27-31, avenue du
Général Leclerc,
94710 Maisons-Alfort
Cedex
LA POSTE グループ
LA POSTE フランス 完全 100.00 66.00 完全 100.00 66.00
登録上の事務所:
9, rue du Colonel
Pierre Avia - 75015
Paris
LA BANQUE POSTALE フランス 完全 100.00 66.00 完全 100.00 66.00
登録上の事務所:
115, rue de Sèvres -
75275 Paris Cedex 06
(3)
フランス 完全 100.00 66.00 完全 100.00 52.11
CNP ASSURANCES
登録上の事務所:
4, promendade Coeur
de Ville - 92130
Issy-Les-Moulineaux
戦略的投資部門の管理
不動産および観光
ICADE フランス 完全 100.00 39.59 完全 100.00 39.60
登録上の事務所:
27, rue Camile
Desmoulins - CS
10166 92445 Issy les
Moulineaux Cedex
COMPAGNIE DES ALPES フランス 完全 100.00 42.20 完全 100.00 41.45
登録上の事務所:
50-52, boulevard
Haussmann - 75009
Paris
金融サービス
SFIL フランス 完全 100.00 100.00 完全 100.00 100.00
登録上の事務所:
1-3, rue du Passeur
de Boulogne - 92130
Issy-les-Moulineaux
EUROCLEAR HOLDING ベルギー 持分法 7.90 7.90
SA/NV ( 関連会社 )
登録上の事務所:
1 Boulevard du Roi
Albert II 1210
Bruxelles, Belgique
215/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
インフラ
COENTREPRISE DE フランス 持分法 29.90 29.90 持分法 29.90 29.90
TRANSPORT (JV) (JV)
D'ÉLECTRICITÉ
登録上の事務所:
69-71 rue de
Miromesnil - 75008
Paris
HOLDING フランス 完全 100.00 69.49 完全 100.00 62.11
INFRASTRUCTURES
(1)
GAZIERES - GRT GAZ
登録上の事務所:
4 place Raoul Dautry
75015 Paris
サービス、輸送および
エンジニアリング
(4)
フランス 持分法 33.60 33.60 完全 100.00 76.41
EGIS
( 関連会社 )
登録上の事務所:
11, avenue du Centre
- CS 30530 Saint
Quentin en Yvelines
78286 Guyancourt
Cedex
TRANSDEV GROUP フランス 完全 100.00 66.00 完全 100.00 66.00
登録上の事務所:
3, allée de Grenelle
92130 Issy-les-
Moulineaux
STOA フランス 完全 100.00 83.33 完全 100.00 83.33
登録上の事務所:
151 rue Saint-Honoré
75001 Paris
(1)
フランス 持分法 19.66 16.98
SUEZ HOLDING
( 関連会社 )
登録上の事務所:
3 boulevard de
Sébastopol 75001
Paris
連結方法:
完全:完全連結
持分法( JV ):持分法適用ジョイント・ベンチャー
持分法(関連会社):持分法適用関連会社
(1) CNP Assurances との共同保有
(2) La Poste との共同保有
(3) 2022 年5月2日に開始した CNP Assurances 株式に対する簡易公開買付の完了を受けて、 La Banque Postale グ
ループの CNP Assurances における持分比率は、 2021 年 12 月 31 日現在 78.95 %であったのに対して、 100 %となっ
た。
(4) 2022 年1月7日、フランス預金供託公庫と Tikehau Capital は、 Tikehau Capital による Egis における 40 %の持
分の取得が完了したことを公表した。フランス預金供託公庫は、この取得完了後も Egis の資本の約 34 %を保有し
ている。
(5) 重要性がなくなったため連結から除外。
(6) PBW REAL ESTATE が保有する資産の AIH BV への譲渡。
216/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
217/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
②【一般部門財務書類】
( 2022 年および 2021 年 12 月 31 日に終了した会計年度)
1. 財務書類
1.1 一般部門貸借対照表
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
注記 現在 現在
(単位:百万ユーロ)
資産
銀行間取引および類似の取引 64,432 66,544
現金および中央銀行預け金 1,644 21,259
公的部門証券および類似証券 2.3.3 24,192 25,712
金融機関に対する貸付金および債権 2.3.1 38,596 19,573
顧客取引 2.3.2 4,181 4,461
当座勘定(借方) 206 194
満期日が固定されている顧客に対するその他の貸付
金 3,975 4,267
債券、持分証券およびその他の固定・変動利付証券 2.3.3 57,509 42,620
債券およびその他の固定利付証券 38,843 24,795
持分証券およびその他の変動利付証券 18,666 17,825
長期持分証券 2.3.4 31,486 29,331
有形固定資産および無形固定資産 2.3.5 6,022 5,411
前払金、未収収益およびその他の資産 2.3.6 7,793 6,091
資産合計
171,423 154,458
負債および資本
銀行間取引および類似の取引 2.3.7 15,037 10,930
金融機関に対する要求払の債務 10,803 7,207
金融機関に対する満期日が固定されている債務 4,234 3,723
顧客取引 2.3.8 91,799 80,257
当座勘定(貸方) 76,415 65,536
顧客に対するその他の債務 15,384 14,721
債務証券 2.3.9 33,097 30,635
未払費用、繰延収益およびその他の負債 2.3.10 6,793 7,833
引当金 2.3.11 495 587
保証預り金 1
一般銀行業務リスク引当金( FGBR ) 2.3.12 556 556
資本( FGBR を除く。) 2.3.12 23,646 23,659
準備金およびその他資本剰余金 19,212 19,212
利益剰余金 3,251 3,127
当期純利益 ( 損失 ) 2,173 1,941
フランス政府に支払われる中間配当金 (990) (621)
負債および資本合計
171,423 154,458
218/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
1.2 オフバランスシート約定
2022 年 12 月 31 日現 2021 年 12 月 31 日現
(単位:百万ユーロ) 在 在
融資および保証にかかる約定付与
融資約定 15,215 11,575
金融機関向け 14,054 10,543
顧客向け 937 866
不良融資約定 224 166
保証約定 422 500
金融機関向け 292 258
顧客向け 130 242
貸倒引当金
融資および保証にかかる約定受取
融資約定 26,623 26,944
金融機関より 26,623 26,944
顧客より
保証約定 24,961 15,419
金融機関より 22,875 13,251
顧客より 711 689
政府等より 1,375 1,479
有価証券関連約定
受領する有価証券 2,676 2,603
引渡される有価証券 2 3
その他の約定付与および約定受取
その他の約定付与 27,727 29,693
その他の約定受取
219/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
1.3 一般部門損益計算書
注記 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
(単位:百万ユーロ)
(1)
受取利息および類似の収益 2,171 1,468
国庫および銀行間取引 2.5.1 481 295
顧客取引 2.5.2 135 79
債券およびその他の固定利付証券 2.5.3 914 706
その他の受取利息および類似の収益 2.5.4 641 388
(2)
支払利息および類似の費用 (1,516) (1,039)
国庫および銀行間取引 2.5.1 (253) (214)
顧客取引 2.5.2 (309) (376)
債券およびその他の固定利付証券 2.5.3 (410) (252)
その他の支払利息および類似の費用 2.5.4 (544) (197)
変動利付証券からの収益 2.5.5 2,198 1,383
受取手数料 2.5.6 16 14
支払手数料 2.5.6 (33) (34)
売買目的有価証券にかかる損益 2.5.7 41 0
売却可能有価証券および類似証券にかかる損益 2.5.8 (358) 1,230
その他の銀行業務営業収益および費用純額 2.5.9 (108) (96)
銀行業務純利益 2,411 2,926
一般営業費用 2.5.10 (470) (517)
固定資産の減価償却費、償却費および減損 2.5.11 (177) (156)
営業総利益 1,764 2,253
リスク費用 2.5.12 (3) 17
営業利益 1,761 2,270
固定資産にかかる損益 2.5.13 611 (20)
通常業務による税引前利益 2,372 2,250
法人税費用 2.5.14 (199) (309)
当期純利益 ( 損失 ) 2,173 1,941
(1) 2022 年の 35 百万ユーロの負の利息が含まれている。
(2) 2022 年の 62 百万ユーロの負の利息が含まれている。
220/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2. 財務書類注記
2.1 当期中および期末後における重要な事象
2.1.1 当期中の重要な事象
2.1.1.1 ウクライナにおける紛争
フランス預金供託公庫はウクライナまたはロシアに対する直接的なエクスポージャーを有していない。
2.1.1.2 復興計画
2020 年9月7日、フランス預金供託公庫は、企業および準公的機関への株式投資の形で、 26 十億ユーロ
のフランス経済の復興計画を立ち上げた。フランス預金供託公庫はこの計画を推し進めており、 2022 年 12
月 31 日現在、 26 十億ユーロのうち 93 %がすでにフランス経済に投入されている。
この計画の最優先軸は環境保護である。このため、 Banque des Territoires および Bpifrance は、地球温
暖化に対応するための気候計画を立ち上げた。
支援策は、住宅、企業支援および社会の結束という3つの戦略分野で展開される。フランス国民および
フランスの地方は、特に観光、商業、産業および高速ネットワークに的を絞ったテーマ別プロジェクトの
おかげですぐにこの計画の恩恵を享受し始めた。
2.1.1.3 公的住宅機関が発行する持分証券
公的住宅部門の資本増強の支援と社会的住宅建設の増進計画の一環として、 Banque des Territoires は
関連組織(不動産混合経済会社、低廉住宅会社、協同組合および公的住宅会社)の持分証券の引受けを継
続している。この 367 百万ユーロの取引は 2020 年から 2021 年にこれらの機関に提供された 617 百万ユーロに
続くものである。
2.1.1.4 サステナブル・ボンドの発行
フランス預金供託公庫は、 2017 年、 2019 年、 2020 年および 2021 年の発行に続いて、 2022 年 10 月 12 日に 500
百万ユーロの第5回サステナブル・ボンドを発行した。この満期5年、金利3%の新たなサステナブル・
ボンドにより、フランス預金供託公庫は資本市場におけるプレゼンスを強化する一方で、当グループ全体
の戦略の中心である ESG への意欲を再確認することができる。
2.1.1.5 貯蓄基金に付与された固定金利貸付の利用可能期間の延長および公的住宅機関の債務の再編を
目的とした 700 百万ユーロの新たな固定金利枠の導入
2018 年、貯蓄基金に付与された融資を資金源として、 2018 年から 2022 年にわたって適用された8十億
ユーロの固定金利貸付制度が、 Banque des Territoires によって導入された。この制度は、 2022 年上半期
中に 2024 年 12 月 31 日まで延長された。合計 700 百万ユーロの固定金利貸付は、公的住宅機関の債務の再編の
みを目的として設定された。この貸付枠は、 2024 年 12 月 31 日まで利用可能となっており、一般部門から資
金提供を受けている。 2022 年 12 月末現在のかかる制度に基づき貯蓄基金に割当てられた貸付金残高は、
2021 年 12 月末現在の 5,945 百万ユーロに対し、 6,897 百万ユーロであった。
2.1.1.6 Egis グループ
2022 年1月7日、 Tikehau Capital は、建築工学およびモビリティ・サービス部門で主導的なフランス企
業である Egis の株式 40 %を取得した。 Tikehau による取得が完了した時点で、フランス預金供託公庫は Egis
の資本の 34% を保有しており、また、 Egis の業務執行パートナーおよび従業員は、かかる取引の一環として
その持分が2%増加した結果、同社の資本の 26 %を保有している。
2.1.1.7 Suez Holding
2022 年1月 31 日、 Meridiam 、 GIP 、フランス預金供託公庫および CNP Assurances で構成される投資家コン
ソーシアムは、 2021 年 10 月 22 日付の買収契約の条件に従って「新スエズ」を創設するために必要な資産を
Veolia から購入した。現在、フランス預金供託公庫は Suez Holding の 11.8 %の株式を保有しており、投資
額は総額 451 百万ユーロとなった。
221/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2022 年、この取引に関連して追加の取得が行われ、 フランス預金供託公庫 の投資総額は 728 百万ユーロと
なった。
2.1.1.8 Euroclear
2022 年5月 20 日、フランス預金供託公庫は、 Euroclear に初の投資を行い、資本の 5.42 %を 390 百万ユー
ロで取得した。
7月中旬以降、4回にわたって追加投資が行われ、 2022 年 12 月 31 日現在、フランス預金供託公庫は投資
総額 541 百万ユーロで Euroclear の資本の 7.90 %を保有している。
2.1.2 後発事象
2.1.2.1 Orp é a
2023 年2月 14 日、フランス預金供託公庫を中心としたフランスの投資家グループは、 CNP Assurances 、
MAIF および MACSF とともに(以下「投資家グループ」という。)、 Orp é a および同社の一部の無担保金融債
権者との間で財務再建計画に関して「ロックアップ」契約を締結した。「ロックアップ」契約で企図され
ている取引後に、既存株主は、参加可能な増資に参加しないことを決定した場合、 Orp é a の資本の約 0.4 %
のみを保有することになり、フランスの投資家グループが約 50.2 %、無担保金融債権者が約 49.4 %を保有
することになる。ロックアップ契約の履行は、引続きいくつかの前提条件を満たすことが条件となってい
る。
222/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.2 会計原則および評価方法
2022 年 12 月 31 日に終了した年度にかかる財務書類は、フランスの銀行および金融機関に適用される、一般
に公正妥当と認められた会計原則に準拠して作成されている。かかる原則は、一般会計計画に関するフラン
ス会計基準委員会( ANC )規則第 2014-03 号および第 2015-06 号に示されているが、かかる規則は銀行部門等の
業務の会計処理に関する ANC 規則第 2014-07 号の規定により修正されることがある。
財務書類は、規則第 2014-07 号(財務書類のモデルに関する第Ⅰ巻第1章第2節)に従って表示されてい
る。
用いられている会計原則および評価手法は、 2021 年 12 月 31 日に終了した年度にかかる財務書類の作成にお
いて用いられたものと同じである。
2.2.1 損益計算書の科目
利息およびこれに類する手数料は、会計期間分離の原則に従って発生主義により認識される。利息に類
しない手数料は、現金主義により認識される。
2021 年以降、負の利息が以下のとおり損益計算書に計上された。
・金融資産にかかる負の利息は「支払利息および類似の費用」
・金融負債にかかる負の利息は「受取利息および類似の収益」
2.2.2 金融機関および顧客に対する貸付金および債権
これらの科目には、貸付金、当座貸越ならびに担保付および無担保の固定売戻契約に基づいて購入され
た有価証券が含まれる。
規則第 2014-07 号(援助の付与または取得に関連する受取手数料および取引の限界費用の会計処理に関す
る第Ⅱ巻第1章ならびに信用リスクの会計処理に関する第2章)の会計処理規定はすべての貸付金および
債権に適用される。
2.2.2.1 貸付金
貸付金は、その返済価値により資産に計上される。対応する利息は、発生主義により利益に計上され
る。
> 貸付の付与または取得における受取手数料および取引費用は、その金額が重要でないことが示されな
い限り、数理計算的方法で配分される。
> 貸付金は、既知の信用リスクの発生が判明すると、すなわち、契約に基づき支払われるべき金額の全
部または一部が回収されない可能性が高い場合は、担保または保証が存在していても、不良債権とし
て分類される。
一般部門は、欧州銀行監督局のガイドライン第 2016/07 号とともに、 EU 規則第 575/2013 号第 127 条およ
び第 178 条に規定する健全性を目的とした債務不履行の新たな定義を適用している。
この債務不履行の定義は以下のとおりである:
・債務不履行の発生の有無を判断するために、期限徒過の金額に適用される新たな絶対的および相
対的な重要性の閾値の導入;および
・債務不履行でない状態への復帰のための基準の明確化。これには、破綻して再編中の貸付金につ
いては1年、それ以外の貸付金については3カ月の観察期間が含まれる。
規制上の債務不履行の定義は、会計用語での既知の信用リスクを代表しているため、会計上の不良債
権の定義は、健全性の目的での債務不履行の定義と整合している。
次の貸付金は不良債権とみなされている: ( ⅰ ) 3カ月を超えて期限を徒過しており、規制上の重要性
の閾値を超えている貸付金、 ( ⅱ ) カウンターパーティの財政状態が悪化した結果、回収不能のリスク
が発生している貸付金および ( ⅲ ) 返済額が訴訟の対象となっている貸付金。
> 同様に、ひとたびカウンターパーティに付与された貸付金が不良債権に分類されると、テインティン
グ・ルールにより、当該カウンターパーティに対するすべての貸付金が不良債権に分類される。企業
グループについては、テインティング・ルールは個別に適用される。
> 貸付金の不良債権の分類には、回収不能債権が含まれる。回収不能債権とは、回収の可能性が低い貸
付金である。これには、主として期限の利益喪失条項が発動した貸付金、ならびに1年を超えて回収
223/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
不能性を示す不良債権として分類されており、減損損失が計上されるべきであり、かつ償却が予見さ
れる不良債権として分類される一部の貸付金が含まれる。この評価は、既存の貸付保証を考慮して実
施 されなければならない。
> 不良債権および回収不能債権は、当初の契約上の支払スケジュールに従った金額での支払が確実に再
開し、かつカウンターパーティがもはや債務不履行のリスクを示していない場合には、正常債権とし
て再分類することができる。債務がリスケジュールされ、観察期間を経た場合、これら債務は再編さ
れた貸付に分類することもできる。
> 信用リスク・エクスポージャーが認識されている貸付金については、不良債権または回収不能債権に
分類されている貸付金にかかるすべての予測損失をカバーするため、減損損失が現在価値で計上され
る。
> 正常債権(再編された貸付金および回収不能債権に分類されない不良債権を含む。)については、利
息が発生する。回収不能債権にかかる利息は、関連する支払が受領された時点でのみ、収益に計上さ
れる。不良債権について認識された未払利息は、全額償却される。貸付金が確実に回収不能とみなさ
れた場合には、損失が認識される。
> 再編された債権は、正常債権の特定の細分類項目において適宜特定される。再編された債権は、借入
人の財政状態の悪化を理由に当初の融資条件が変更された債権である。かかる債権は以下の2つの主
な基準を用いて定義される:
・事業体から付与される譲歩;
・借入人の経営難。
> 再編された貸付金によって、当初予想された契約上のキャッシュ・フローの現在価値と、再編され、
当初の実効金利で割引かれた将来の予想キャッシュ・フローの現在価値の差額に等しい金額の割引リ
スクが費用において認識されることとなる。割引額は、貸付金の残余期間にわたって金利マージンに
戻入れられる。再編された貸付金は、債務者が合意された返済条件を遵守できない場合には、直ちに
不良債権として再分類される。
> 契約コミットメントは、貸付金に適用されるものと同じ原則および方針を用いて会計処理される。
2.2.2.2 担保付および無担保の固定売戻契約に基づいて購入された有価証券
これらの有価証券は、取引により生じた債権を表示する科目に、資産として計上される。対応する収益
は、発生主義により認識される。担保として受取り、その後売却された有価証券は、負債として認識さ
れ、時価で計上される。
2.2.3 有価証券および有価証券取引
2.2.3.1 有価証券
有価証券は、規則第 2014-07 号(有価証券取引の会計処理に関する第Ⅱ巻第3章)に従って、会計処理さ
れる。
有価証券の売買は、特別な場合を除き、決済 / 受渡日付で貸借対照表に計上される。
2.2.3.1.1 売買目的有価証券
売買目的有価証券には、市場性有価証券のほか、国庫証券および譲渡可能債務証券が含まれる。これ
らは、当初から短期間で売却する(または買戻す)意図をもって取得(または売却)されるものであ
る。売買目的有価証券は流動性が高く、時価評価され、価値の変動は貸借対照表日付で損益計算書にお
いて認識される。
2.2.3.1.2 売却可能有価証券
売却可能有価証券には、売買目的有価証券、満期保有有価証券、ポートフォリオ証券または持分証券
の分類条件に当てはまらない有価証券が含まれる。
プレミアムまたはディスカウントは、有価証券の残余期間にわたって償却される。
売却可能有価証券は、「先入先出法」により管理され、以下のように測定される。
・株式および債券:期末現在の終値を基準に計算された未実現損失は、減損費用を通じて費用に計上
される。
224/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
・国庫証券、譲渡可能証券および銀行間商品:減損は、発行体の信用力に基づき、市場の指標を参照
して計算される。証券化ポートフォリオ(投資保有)は、ブルームバーグによる相場価格に従って
評価される。必要に応じて、相場価格は、外部の相手方に要請される。
2.2.3.1.3 満期保有有価証券
このカテゴリーは、満期まで保有することを明確に意図して取得され、当該有価証券について公的機
関が満期まで保有し続けるために必要な資金調達能力を備えており、当該有価証券を満期まで保有する
意図について疑義を生じさせ得るような現行の法律上の制約等に服していない固定満期の固定利付証券
で構成される。
金額的重要性の低い満期保有有価証券にかかる意図の変更または売却には、満期保有有価証券全体の
売却可能有価証券ポートフォリオへの自動的な再分類と、翌会計年度およびその後2年間における満期
保有有価証券への分類禁止が伴う。ただし、特に満期日に近い時点での投資売却または単発のもしくは
予見不能な外的事象により正当化される投資売却の場合は、この規則の例外となる。
当該有価証券の帳簿価額と時価との差異により生じた未実現のキャピタルロスについては、減損は計
上されない。
ただし、必要に応じて信用リスクの会計処理に関する規則第 2014-07 号(第Ⅱ巻第2章)の規定が、満
期保有有価証券に伴う信用リスクに適用される。
有価証券の取得価額と償還価額との差額(プレミアムまたはディスカウント)は、最終利回り法に
よって償却される。
2.2.3.1.4 ポートフォリオ証券
ポートフォリオ証券は、事業の発展に長期的に投資する意図または発行会社の経営に積極的に参加す
る意図を持たずに、中期的にキャピタルゲインを獲得する目的で定期的に実施される投資である。
これらは取得価額で計上され、その後は取得原価または公正価値のいずれか低い方で評価される。
公正価値は、発行者の一般的な経済見通しおよび残存保有期間を考慮して決定される。上場会社につ
いては、公正価値は通常、見積保有期間における激しい価格変動の影響を軽減するため、十分に長い期
間にわたる平均株価により表される。この平均株価が公正価値を反映していない場合、多基準アプロー
チが用いられる。
2.2.3.1.5 長期持分証券
長期持分証券は、取得原価で計上され、その後は純資産、収益見通し、株価および収益の資本組入れ
といった様々な基準を参照した公正価値で評価される。引当金は、これら有価証券の公正価値における
持続的な下落を反映するように計上される。
2.2.3.2 有価証券取引
2.2.3.2.1 インフレ連動フランス国債( OATs )
金融機関に適用ある特定の規則がないため、インフレ連動のフランス国債の額面金額に対するインデ
クゼーションの影響は、フランスの保険法に定める処理方法を用いて計上される。これにより損益は当
期の収益または費用に認識される。
2.2.3.2.2 有価証券の一時売却(有価証券貸借、レポ契約)
貸付有価証券は、ポートフォリオから除外された有価証券の帳簿価額に基づいて「後入先出法」
( LIFO )により、資産の別項目に計上される。報告日現在、これらは当初のポートフォリオに適用され
る規則に従って評価される。 借入有価証券は、借入日現在の公正価値で「売買目的有価証券」において
認識され、貸手に支払うべき有価証券を示す同額が負債に計上される。これらの有価証券は報告日現在
の公正価値で測定され、貸手に支払うべき有価証券の金額からの 控除 として貸借対照表において負債に
表示される。 現金担保が付された有価証券貸借取引は、担保付の買戻契約として会計処理される。これ
らの取引にかかる収益は、取引の期間にわたって比例的に損益に認識される。
225/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.2.4 先渡し、先物およびオプション
金利先渡商品、為替先渡商品およびエクイティ商品にかかるヘッジ取引および市場取引は、規則第 2014-
07 号(金融先物商品に関する第Ⅱ巻第5章)の規定に従って認識される。
取引活動の展開および市場リスク管理のための戦略に従って、フランス預金供託公庫は、すべての組織
化された市場および店頭取引市場において、金利、外国為替およびエクイティの先物およびオプションの
取引を行っている。これらの取引は、割当てられたまたは一般的なヘッジに基づき、単独のオープン・ポ
ジションの一環として、フランスの内外において行われる。
経営陣の目的に関わらず、かかるすべての商品は、契約もしくは原商品の額面金額またはそれらの行使
価格でオフバランスシートにおいて報告される。かかる商品による損益は、経営陣の目的に基づいて認識
される。
各カテゴリーのデリバティブ金融商品の公正価値は、金融先物商品に関する財務書類注記において開示
される。
2.2.4.1 金利および通貨スワップ契約
2.2.4.1.1 ヘッジ取引
単独の項目または識別された同質の項目グループをヘッジする金融商品にかかる損益は、当初から
ヘッジ対象項目にかかる損益と対称となる損益に計上される。
必要に応じて、マクロヘッジ関係に用いられる金融商品にかかる損益は、発生主義により認識され
る。
2.2.4.1.2 単独のオープン・ポジション
関連する商品は、貸借対照表日に時価評価される。
・組織化された市場またはこれに類する特徴を持った市場において取引される商品にかかる未実現損
益は、損益に計上される。
・店頭取引市場において取引される商品にかかる未実現損失についてはリスクおよび費用引当金が設
定されるが、未実現利益は認識されない。
2.2.4.2 その他の商品
これらの項目は主として先物およびオプションに関連している。
2.2.4.2.1 ヘッジ取引
ヘッジ取引にかかる損益は、ヘッジ対象項目にかかる損益と対称となる損益に計上される。
2.2.4.2.2 その他の取引
これらの商品は時価評価される。
・組織化された市場またはこれに類する特徴を持った市場において取引される単独のオープン・ポジ
ションを示す契約にかかる未実現損益は、損益に計上される。
・店頭市場において取引される単独のオープン・ポジションを示す契約にかかる未実現損失について
はリスクおよび費用引当金が設定されるが、未実現利益は認識されない。フランスの規則と異な
り、取引の経済的実態を反映するために、流動性が高くない商品もその理論的市場価値を参照して
評価される。
2.2.4.3 ハイブリッド商品
ハイブリッド商品は、様々なタイプ、特性および価格設定方法を持つ複数の金融商品を組み合わせた契
約である。
契約の各構成部分は、原契約の特徴に応じてオンバランスまたはオフバランス処理される。
これら商品にかかる損益は、これらが単独の商品であるかのように、取引の経済的実態を反映した単一
の金額として総額計上される。全くの新商品で会計処理の指針が存在しないものについては、既存の類似
商品にかかる損益の認識方法に基づく。
損益の認識は、契約締結時における経営陣の意図に応じて会計処理される。
226/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.2.4.3.1 ヘッジ取引
保守主義の原則に従い、とりわけ市場の流動性が低いときには、損益は発生主義で計上される。時価が
マイナスのときは減損損失が計上される。
2.2.4.3.2 トレーディング・ポートフォリオ
トレーディング・ポートフォリオにかかる損益は、当初認識され、アレンジメント手数料として分類
される。将来の運用費用および潜在的な債務不履行のリスクを考慮してディスカウントが適用される。
2.2.4.4 調整額の支払い
ヘッジ設定時に行われる調整額の支払いは、契約期間全体にわたって配分される。
ヘッジの清算時に支払われた調整額は、損益計算書に直ちに認識される。ヘッジが清算され切り替えら
れると、調整額の支払いは契約期間全体にわたって配分される。
2.2.4.5 時価
商品の時価または評価のパラメータが規制市場において公開されていない場合、代替の評価方法が用い
られ、その場合、次のうち一つまたは複数の基準が参照される:ブローカーまたは外部のカウンターパー
ティによる価格の確認、複雑な価格評価を専門とする独立機関に対する価格評価の要請ならびに発行者お
よび商品の分類ごとの調査。
227/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.2.5 有形固定資産および無形固定資産
一般会計計画に関する規則第 2014-03 号(資産の計上日現在の資産の測定に関する第Ⅰ巻第Ⅱ章第Ⅰ節第
3部)に従って、固定資産は、購入価格、直接付随するすべてのコストおよび借入費用からなる取得価額
で認識される。
一般会計計画に関する規則第 2014-03 号(資産の計上日後の資産の測定に関する第Ⅰ巻第Ⅱ章第Ⅰ節第4
部)に従って、一般部門は、取替および保守のための支出にコンポーネント・アプローチを適用してい
る。識別された5つの構成部分は、資産の種類に応じて、以下のとおりその見積耐用年数にわたって定額
法で減価償却される。
・外郭構造: 50 年ないし 100 年
・屋根 / ファサード: 30 年
・設備: 10 年
・一般的および技術設備: 20 年
・主要な保守作業: 15 年
残余価額は、法人が耐用年数の末日に資産の市場での処分から受取る金額から見積売却コストを差引い
たものとして定義され、その額が大きくかつ測定可能である場合には減価償却可能額に含まれなければな
らない。規制上の原則に従って、残余価額は、信頼性をもって決定することができないため、不動産の減
価償却可能額には含まれない。
ソフトウェアおよび資産計上された開発費は3年、または戦略的 IT プロジェクトについては7年にわ
たって償却される。
各貸借対照表日において、固定資産の価値が大きく下落したことの内的または外的な兆候がある場合に
は、減損テストが行われる。減損テストは、資産の帳簿価額をその現在価値と比較することで行われる。
資産の帳簿価額が現在価値を上回る場合、資産は差額分だけ評価減される。
森林保護区域は、減価した場合に減損の対象となる。
2.2.6 投資不動産
フランス預金供託公庫は、賃貸用不動産ポートフォリオを長期投資として保有している。貸借対照表日
現在、価値の下落を示す内的または外的な兆候のある不動産ならびに中期的売却のために保有される不動
産は、減損テストの対象となる。
価値が下落した場合、銀行業務純利益に対して「その他の銀行業務営業収益および費用純額」の項目に
おいて減損が計上される。
重要な不動産については、時価は外部不動産鑑定の評価を参照して算定される。
2.2.7 金融機関および顧客に対する債務
これらの債務には、預り金、借入金および担保付または無担保の固定買戻契約に基づいて売却された有
価証券が含まれる。
2.2.7.1 借入金
借入金は、返済価額で負債に計上され、対応する利息は発生主義により損益計算書に計上される。
2.2.7.2 担保付固定買戻契約に基づき売却された有価証券
関連する債務は、負債に計上される。有価証券は当初のポートフォリオにおかれ、引続き当該ポート
フォリオに適用ある規則に従って測定される。対応する利息は発生主義により損益計算書に計上される。
2.2.8 債務証券
債務証券は、その種類によって、銀行間証券および譲渡可能債務証券(譲渡性預金、ミディアム・ター
ム・ノートおよびユーロ・ミディアム・ターム・ノート)として表示される。これらの有価証券に付され
る期日未到来の経過利息は、貸借対照表において債務証券と同じ項目に計上され、損益計算書に計上され
る。
2.2.9 リスク引当金および費用
この項目には以下のものが含まれる。
228/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.2.9.1 金融取引および金融商品引当金
これらは、銀行取引および金融商品に関連して明確に識別されたリスクならびに特定の事業部門に関連
した損失のための引当金である。これらには、とりわけ、主として貯蓄基金から付与された融資パッケー
ジにかかる利息補助金引当金が含まれる。
2.2.9.2 従業員給付約定引当金
従業員給付債務を対象とするこれらの引当金は、主に、 2017 年7月6日に調印された「従業員貯蓄およ
び退職金制度の促進を通じたキャリア開発支援に関する協定」および 2021 年 11 月8日付の補遺第1号にお
いて規定された定期積立勘定および退職後給付に対応している。これらは、以下を考慮に入れている:
- 2021 年 12 月 17 日に調印された「雇用枠組み協定-キャリアパス-技能 // 長期ガイドラインおよびス
キームならびに 2022-2024 年行動計画」では、特に CANSSM ( 鉱業社会保障全国自治金庫 )の公務員お
よび法定職員のキャリアを通じたコミットメントを認識する現行制度の長期的な実行可能性を規定し
ている。
- 2022 年2月 16 日に署名された「就労期間の調整および短縮に関する議定書( protocole d'aménagement
et de réduction du temps de travail )の第2回修正により、キャリア終了時の取決めのための新た
な恒久的制度が設けられている。
2.2.9.3 その他のリスク引当金
これらの引当金は、目的が明確に定義されているが金額または時期を明確に決定できないリスクを対象
としている。かかる引当金は、期末現在第三者に対する債務が存在しており、かつ少なくともこれに相当
する対価を当該第三者から受取る見込みがないことを条件として積立てられる。これらの引当金には、通
告された税務上の紛争の予見可能な費用を対象とすることが意図された引当金、ならびに 2021 年 12 月 17 日
付の「雇用枠組み協定-キャリアパス-技能 // 長期ガイドラインおよびスキームならびに 2022-2024 年行動
計画」によって 2022 年 12 月 31 日まで延長された「集団的契約解除」スキームに起因する現職従業員のため
の自主退職給付にかかる引当金が含まれる。
2.2.10 従業員給付約定
従業員給付は、いくつかのカテゴリーに分けられる。
・短期給付:給与、年次有給休暇および任意利益分配制度
・退職後給付:年金制度、退職給付、個人リスク保険および医療給付
・長期給付:勤務賞与、定期積立勘定、キャリア終了時の取決め
・解雇給付:段階的退職制度
一定の退職者は、個人リスク保険および医療給付といった退職後給付ならびに従業員貯蓄給付制度の範
囲内でフランス預金供託公庫による補償を受ける。
退職後給付、長期給付および解雇給付(従業員貯蓄および退職金制度の促進を通じたキャリア開発支援
に関する協定によるものを含む。)は、確定拠出制度または確定給付制度のいずれかに分類される。
・確定拠出制度は、一般に ( ⅰ ) 賦課方式もしくは以後の年金の支払を取扱う保険に基づく年金制度によ
る拠出、 ( ⅱ ) または国(公務員の場合)によりカバーされている。いずれの場合も、フランス預金供
託公庫は以後の義務を免除されている。支払済みの拠出金は、発生時に費用計上される。
・確定給付制度は、フランス預金供託公庫が退職時に従業員に固定水準の給付を支払うことを約束する
制度である。かかる制度は、雇用主にとっての中長期の負債を構成するため、測定および引当の対象
としなければならない。
フランス預金供託公庫は、 2013 年1月1日以降、退職給付債務およびこれに類する給付の測定および認
識の規則に関する ANC 勧告第 2013-02 号を適用しており、同勧告は最近では 2021 年 11 月5日付で改正され
た。同勧告に従って、フランス預金供託公庫は、別紙の情報を扱う段落および勧告に掲げられた一定の調
整(主に資本に数理計算上の差異を含めることの禁止、すなわち、上述した勧告の方法2)を除き、欧州
連合がその規則第 475/2012 号に基づいて採用した IAS 第 19 号の規定を適用する選択をした。
既存の制度が改正されまたは新しい制度が実施された場合、過去勤務費用は全額が直ちに損益計算書に
おいて認識される。
229/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
フランス預金供託公庫はまた、保険数理差損益を直ちに全額認識する選択をしている。 2021 年 11 月5日
に ANC によってなされた ANC 勧告第 2013-02 号の改正後、フランス預金供託公庫は、給付権の権利確定のため
に毎年の勤務が考慮される日から退職給付権利を帰属させることを選択した。
長期勤続給付および離職手当に関する引当金は、退職後給付と同じ方法で測定される。勤務賞与、定期
積立勘定およびキャリア終了時の取決めに関する約定は、退職給付約定の計算に使用されるものと同じ数
理計算法で計算される。
2.2.11 一般銀行業務リスク引当金( FGBR )
一般銀行業務リスク引当金は、他の引当金によってカバーされない銀行業務および金融資産の運用に内
在するオペレーショナル・リスクおよび費用をカバーすることを意図している。かかる引当金への繰入れ
および戻入れは損益計算書に計上される。
2.2.12 法人税
毎年、一般部門は、一般の法律の条項に基づく理論上の法人所得税債務に相当する金額を、フランス国
庫に対する税金に代えて納付している。
フランスにおける 2022 年 12 月 31 日現在の適用税率は以下のとおりである。
・法定税制の適用範囲内にある取引については 25.83 %(社会保障負担を含む。)
・2年を超えて保有される上場不動産会社の有価証券( titres de sociétés à prépondérance
immobilière - TSPI )に関連する取引(譲渡および引当金)については 19.63 %(社会保障負担を含
む。)
・長期軽減税率が適用される取引(5年を超えて保有される課税対象のベンチャー・キャピタル・
ファンド( FCPR )に対する持分の処分、課税対象の FCPR に対する持分にかかる引当金および課税対象
の FCPR により実施された株式にかかる分配金)については 15.50 %(社会保障負担を含む。)
・2年を超えて保有される会計上および税務上の持分証券(資本の5%超に対する権利)に関連する
取引(処分および引当金)については 3.10 %(社会保障負担を含む。)。ただし、標準税率の対象と
なる非上場の TSPI を除外する。
2.2.13 外国為替取引
外貨建の資産、負債およびオフバランスシート約定は、期末現在の為替レートで換算される。外貨建取
引による損益は、損益計算書に計上される。現金の変動を伴う取引は、直物レートで評価される。必要に
応じて、ヘッジ以外の目的で実施される長期の為替取引は、残余期間にわたって評価される。ヘッジ目的
で行われる長期の為替取引は、ヘッジ対象項目と対称して評価される。また、長期為替先物取引に関連し
たプレミアムおよびディスカウントは、これら取引の期日までの残余期間にわたって損益計算書に計上さ
れる。
2.2.14 見積りの使用
一般部門の財務書類の作成には、損益計算書上の収益および費用の決定、貸借対照表上の資産および負
債の評価ならびに注記の作成に当たって反映される仮定および見積りを行うことが要求される。この作業
において、必要な見積を行うために、経営陣がその判断を行使し、財務書類の作成日現在入手可能な情報
を使用することが前提となっている。経営者が業績について見積りに依拠した場合、最終的な将来の業績
は、特に市場の状況の相違により見積りと大きく異なることが判明する可能性があり、そのことが財務書
類に大きな影響を及ぼすことがある。
見積りの実施は、特に以下の点に関連している。
・ポートフォリオ証券および持分証券の有用価値の決定。これは発行会社の今後についての一般的な
見通し、経済の見通しおよび保有期間を考慮した複数基準による分析に基づいて行われる(例えば、
予想キャッシュ・フローおよび割引率といった要素に関連した仮定を含む経験に基づく見積りで、か
かる見積りは現在の経済情勢ではさらに困難になっている。)。
・損失および費用のリスクをカバーするための引当金の決定。
・金利ポートフォリオにおけるカウンターパーティ・リスクの評価。
・必要に応じて、組織化された市場に上場されていない金融商品のポジションを評価するための内部
モデルの利用。
230/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
231/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3 貸借対照表に関する注記
2.3.1 銀行間取引および類似の取引-金融機関に対する貸付金および債権
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
当座勘定(借方) 403 5,933
未収利息 1 9
翌日物勘定および翌日物ローン 21,000
金融機関に対する要求払の貸付金および債権 21,404 5,942
前払金 1,796 40
元本 1,790 40
未収利息 6
その他の貸付金 15,396 13,591
(1)
元本 15,326 13,541
未収利息 70 50
満期日が合意されている金融機関に対する
貸付金および債権 17,192 13,631
金融機関に対する貸付金および債権 38,596 19,573
(1) 貯蓄基金に対する貸付 14,917 百万ユーロ( 2021 年 12 月 31 日現在 13,044 百万ユーロ)を含む。
232/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.2 顧客取引
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
顧客当座勘定 197 191
不良債権 15 1
減損損失 (7) (1)
未収利息 1 3
要求払の当座勘定 206 194
前払金および売上債権 575 1,278
元本 482 1,176
不良債権 242 258
減損損失 (149) (157)
未収利息 1
設備貸付金 1,383 1,255
元本 1,346 1,217
不良債権 9 10
減損損失 (4) (3)
未収利息 32 31
住宅ローン 620 497
元本 617 493
不良債権 3 5
減損損失 (1)
未収利息
各種貸付金 1,397 1,237
元本 1,332 1,189
不良債権 125 165
減損損失 (62) (118)
未収利息 2 1
固定満期の顧客に対するその他の貸付金 3,975 4,267
顧客取引 4,181 4,461
233/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.3 有価証券取引
2.3.3.1 ポートフォリオの性質および種類別分析
2022 年 12 月 31 日
ポートフォリ
売却可能 満期保有
売買目的 オ
(1) (1)
(単位:百万ユーロ) 有価証券 有価証券 有価証券 有価証券 合計
公的部門証券および類似証券 2,830 21,362 24,192
公的部門証券および類似証券 2,830 21,362 24,192
貸付有価証券
債券およびその他の固定利付証
券 30,462 8,381 38,843
債券 7,103 5,397 12,500
その他の固定利付証券 23,359 2,984 26,343
貸付有価証券
借入有価証券
株式およびその他の変動利付証
券 3,224 15,442 18,666
株式 846 12,959 13,805
投資ファンド 2,377 2,464 4,841
その他の変動利付証券 1 19 20
貸付有価証券
ポートフォリオの種類別合計 36,516 29,743 15,442 81,701
2021 年 12 月 31 日
ポートフォリ
売買目的 売却可能 満期保有 オ
(単位:百万ユーロ) 有価証券 有価証券 有価証券 有価証券 合計
公的部門証券および類似証券 5,905 19,807 25,712
公的部門証券および類似証券 5,905 19,807 25,712
貸付有価証券
債券およびその他の固定利付証
券 22,486 2,309 24,795
債券 7,481 649 8,130
その他の固定利付証券 15,005 1,660 16,665
貸付有価証券
借入有価証券
株式およびその他の変動利付証
券 3,095 14,730 17,825
株式 1,014 12,885 13,899
投資ファンド 2,081 1,826 3,907
その他の変動利付証券 19 19
貸付有価証券
ポートフォリオの種類別合計 31,486 22,116 14,730 68,332
(1) 2022 年第1四半期中、格付が BBB 以上のヘッジされていない固定利付証券は、これら有価証券の運用戦略の変更に
伴って、「売却可能」ポートフォリオから「満期保有」ポートフォリオへと振替えられた。かかる振替えは 2022 年
1月1日付で実施された。
「売却可能」区分から「満期保有」区分に振替えられた有価証券は、 2022 年1月1日現在で総額 4.6 十億ユーロ、減
損額は 12 百万ユーロであった。 12 百万ユーロの減損費用は僅少であるため、 2022 年1月1日現在の損益計算書を通
じて戻入れられている。
これらの有価証券が「売却可能」区分から「満期保有」区分に振替えられなかった場合、減損として認識されてい
たであろう未実現損失の金額は、 2022 年 12 月 31 日現在で 656 百万ユーロであった。
234/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.3.2 有価証券取引-追加情報
2022 年 12 月 31 日
ポートフォリ
売却可能 満期保有
売買目的 オ
(1) (1)
(単位:百万ユーロ) 有価証券 有価証券 有価証券 有価証券 合計
公的部門証券および類似証券 2,830 21,362 24,192
総額 3,019 20,219 23,238
プレミアム / ディスカウント 5 870 875
未収利息 30 273 303
減損損失 (224) (224)
時価 2,799 19,947 22,746
債券およびその他の固定利付証
券 30,482 8,381 38,843
総額 30,949 8,326 39,275
プレミアム / ディスカウント (8) (6) (14)
未収利息 63 61 124
減損損失 (542) (542)
時価 30,254 7,422 37,676
株式およびその他の変動利付証
券 3,224 15,442 18,666
総額 3,447 17,079 20,526
未収利息 1 1 2
減損損失 (224) (1,638) (1,862)
時価 3,977 27,521 31,498
ポートフォリオの種類別合計 36,516 29,743 15,442 81,701
2021 年 12 月 31 日
ポートフォリ
売買目的 売却可能 満期保有 オ
(単位:百万ユーロ) 有価証券 有価証券 有価証券 有価証券 合計
公的部門証券および類似証券 5,905 19,807 25,712
総額 5,866 18,191 24,057
プレミアム / ディスカウント 27 1,353 1,380
未収利息 29 263 292
減損損失 (17) (17)
時価 5,944 22,514 28,458
債券およびその他の固定利付証
券 22,486 2,309 24,795
総額 22,504 2,276 24,780
プレミアム / ディスカウント 6 15 21
未収利息 74 18 92
減損損失 (98) (98)
時価 22,703 2,445 25,148
株式およびその他の変動利付証
券 3,095 14,730 17,825
総額 3,140 16,009 19,149
未収利息 1 1 2
減損損失 (46) (1,280) (1,326)
時価 4,531 29,214 33,745
ポートフォリオの種類別合計 31,486 22,116 14,730 68,332
235/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
(1) 2022 年第1四半期中、格付が BBB 以上のヘッジされていない固定利付証券は、これら有価証券の運用戦略の変更に
伴って、「売却可能」ポートフォリオから「満期保有」ポートフォリオへと振替えられた。かかる振替えは 2022 年
1月1日付で実施された。
「売却可能」区分から「満期保有」区分に振替えられた有価証券は、 2022 年1月1日現在で総額 4.6 十億ユーロ、減
損額は 12 百万ユーロであった。 12 百万ユーロの減損費用は僅少であるため、 2022 年1月1日現在の損益計算書を通
じて戻入れられている。
これらの有価証券が「売却可能」区分から「満期保有」区分に振替えられなかった場合、減損として認識されてい
たであろう未実現損失の金額は、 2022 年 12 月 31 日現在で 656 百万ユーロであった。
236/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.4 持分証券
2.3.4.1 主要な長期持分証券
2021 年
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 12 月 31 日
保有比率
主な長期持分証券 (%) 総価額 減損損失 帳簿価額 帳簿価額
BPIFRANCE SA
49.2 10,431 0 10,431 10,431
ラ・ポスト 66.0 4,816 0 4,816 4,608
CDC HABITAT
100.0 2,914 0 2,914 2,774
(1)
ICADE 39.2 2,370 0 2,370 2,370
COENTREPRISE TRANSP ELECTRICITE
29.9 1,615 0 1,615 1,615
TRANSDEV グループ 66.0 1,191 (310) 881 725
SUEZ HOLDING
11.8 728 0 728 0
HOLDING INFRASTRUCTURES GAZIERES
34.5 566 0 566 566
EUROCLEAR HOLDING SA/NV
7.9 541 0 541 0
EURONEXT NV
7.3 365 0 365 365
HOLDING INFRASTRUCTURES NUMERIQUES
33.3 352 0 352 352
(2)
SFIL 100.0 320 0 320 320
主な長期持分証券 26,209 (310) 25,899 24,126
その他の長期持分証券、前払金および債権 6,631 (1,044) 5,587 5,205
長期持分証券、前払金および債権合計 32,840 (1,354) 31,486 29,331
(1) 上場会社
(2) フランス預金供託公庫は、フランス政府が保有する普通株式1株を除き、 SFIL の全株式を保有している。
2.3.4.2 主要な参加持分の詳細情報
(単位:百万ユーロ)
準備金
資本金 および
前会計年度
および 利益処分前
の利益/損 保有比率
主な長期持分証券 通貨 資本剰余金 利益剰余金 失 (%)
BPIFRANCE SA
ユーロ 21,122 4,807 1,501 49.2
ラ・ポスト ユーロ 6,788 4,420 1,634 66.0
CDC HABITAT
ユーロ 2,675 1,755 395 100.0
ICADE ユーロ 2,630 132 230 39.2
COENTREPRISE TRANSP ELECTRICITE
ユーロ 2,700 326 501 29.9
TRANSDEV グループ ユーロ 1,206 (975) 20 66.0
SUEZ HOLDING
ユーロ 6,174 (2,892) (75) 11.8
HOLDING INFRASTRUCTURES GAZIERES
ユーロ 1,544 (70) 151 34.5
EUROCLEAR HOLDING SA/NV
ユーロ 947 3,004 141 7.9
EURONEXT NV
ユーロ 4,040 0 438 7.3
HOLDING INFRASTRUCTURES NUMERIQUES
ユーロ 1,055 22 (25) 33.3
SFIL ユーロ 1,445 (931) 236 100.0
237/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.4.3 変動
2021 年 その他の 2022 年
(単位:百万ユーロ) 12 月 31 日 増加 減少 変動 12 月 31 日
長期持分証券 27,884 2,382 (364) (45) 29,857
総額 29,169 2,520 (544) (201) 30,944
長期持分証券およびその他の投資 3,268 762 (448) (117) 3,465
(1)
関連会社に対する持分 25,901 1,758 (96) (84) 27,479
減損引当金 (1,285) (138) 180 156 (1,087)
長期持分証券およびその他の投資 (533) (126) 156 (90) (593)
関連会社に対する持分 (752) (12) 24 246 (494)
前払金および未収利息 1,447 393 (212) 1 1,629
総額 1,702 465 (271) 1,896
長期持分証券およびその他の投資 1,458 366 (252) (14) 1,558
関連会社に対する持分 244 99 (19) 14 338
減損引当金 (255) (72) 59 1 (267)
長期持分証券およびその他の投資 (255) (59) 59 1 (254)
関連会社に対する持分 (13) (13)
長期持分証券 29,331 2,775 (576) (44) 31,486
(1) EUROCLEAR HOLDING SA/NV から 541 百万ユーロで取得した株式および SUEZ HOLDING から 728 百万ユーロで取得した株式
が含まれている(「重要な事象」を参照。)。
2.3.5 有形固定資産および無形固定資産の変動
2021 年 その他の 2022 年
(単位:百万ユーロ) 12 月 31 日 増加 減少 変動 12 月 31 日
営業用有形固定資産 563 44 (133) 474
営業用有形固定資産総額 1,037 70 (193) 914
営業用有形固定資産の減価償却費お
よび
減損費用 (474) (26) 60 (440)
投資有形固定資産 4,295 1,052 (453) 4,894
建設仮勘定総額 10 10 (4) 16
建設仮勘定減損費用
土地および建物総額 281 (31) 4 254
土地および建物減損および減価償却
費 (192) (6) 25 (173)
森林および保留地総額 25 25
森林および保留地減損および減価償却
費
不動産投資持株会社総額 4,422 1,195 (452) 5,165
不動産投資持株会社減損 (251) (147) 5 (393)
無形固定資産 553 101 654
事業権、免許、特許権総額 1,082 (106) 220 1,196
事業権、免許、特許権の減損および
償却費 (752) (152) 106 (798)
その他の無形固定資産総額 223 253 (220) 256
その他の無形固定資産の減損および
償却費
有形固定資産および無形固定資産 5,411 1,197 (586) 6,022
238/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.6 前払金、未収収益およびその他の資産
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
繰延費用 20 18
前払費用 534 61
未収収益 308 195
先渡金融商品および外貨にかかる調整勘定 83 276
(1)
その他の未収金 4,149 4,880
前払金および未収収益 5,094 5,430
雑債権 2,654 617
-利子補給金
-その他の雑債権 2,654 617
各種業務にかかる不良債権項目 5 5
棚卸資産および同等物(森林) 45 44
雑資産の減損 (5) (5)
その他の資産 2,699 661
前払金、未収収益およびその他の資産 7,793 6,091
(1) 2022 年 12 月 31 日現在、フランス 2030 年計画に関するフランス政府に対する債権 3,977 百万ユーロ( 2021 年 12 月 31
日現在 3,949 百万ユーロ)が含まれている(注 2.6.1 参照)。
2.3.7 銀行間取引-金融機関に対する債務
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
当座勘定(貸方) 49 136
貯蓄基金の当座勘定 10,725 7,063
未払利息 29 8
金融機関に対する要求払の債務 10,803 7,207
定期預り金およびターム・ローン 4,217 3,480
担保付固定買戻契約に基づいて売却された
有価証券 232
未払利息 17 11
金融機関に対する固定満期の債務 4,234 3,723
金融機関に対する債務 15,037 10,930
239/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.8 顧客取引
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31
(1)
当座勘定(貸方) 76,088 65,208
未払利息 327 328
当座勘定(貸方) 76,415 65,536
顧客金融機関からの借入 23 18
(2)
エスクロー勘定(委託) 14,219 13,607
定期預金 333 308
顧客に対するその他の債務 26 26
未払利息 783 762
顧客に対するその他の債務 15,384 14,721
顧客取引 91,799 80,257
(1) 当座勘定(貸方)残高 76,088 百万ユーロは、主として以下で構成されている。
・公証人からの預り金 47,207 百万ユーロ( 2021 年 12 月 31 日現在 46,812 百万ユーロ)、
・弁護士および管財人からの預り金 7,613 百万ユーロ( 2021 年 12 月 31 日現在 7,545 百万ユーロ)、
・執行官からの預り金 502 百万ユーロ( 2021 年 12 月 31 日現在 462 百万ユーロ)、
・その他の法律専門家からの預り金 2,098 百万ユーロ( 2021 年 12 月 31 日現在 1,870 百万ユーロ)、
・ FRR 勘定からの預り金 733 百万ユーロ( 2021 年 12 月 31 日現在 577 百万ユーロ)、
・ ACOSS からの預り金 10,011 百万ユーロ( 2021 年 12 月 31 日現在7百万ユーロ)。
(2) このうち、 6,886 百万ユーロ( 2021 年 12 月 31 日現在 6,457 百万ユーロ)は、 2014 年6月 13 日付で施行された休眠口座
および未請求の生命保険契約に関する法律第 2014-617 号に関連するものであった。
240/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.9 債務証券
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
短期債券 15,805 13,809
(1)
中期債券 17,193 16,723
未払利息 99 103
銀行間市場商品および譲渡性債務証券 33,097 30,635
債務証券 33,097 30,635
(1) 2022 年 12 月 31 日現在、 9,250 百万ユーロの私募債および 7,943 百万ユーロのベンチマーク債を含む。
ベンチマーク債発行の内訳は以下のとおりである。
額面金額
通貨 満期日 利率 ISIN (百万ユーロ)
スイス・フラン 2028 年6月 26 日 0.000 % CH0591979643 101
2026 年6月 16 日 0.000 % CH0506071346 101
2025 年5月 30 日 0.250 % CH0414510062 177
2025 年5月 30 日 0.250 % CH0414510062 25
2027 年 11 月 12 日 0.300 % CH0386949348 253
2029 年 11 月 28 日 1.750 % CH1231312674 101
ユーロ 2024 年6月 19 日 0.000 % FR0013426426 500
2025 年9月 15 日 0.010 % FR0013534443 500
2026 年6月1日 0.010 % FR0014003RL9 500
2028 年9月 18 日 0.750 % FR0013365269 1,000
2027 年 11 月 25 日 3.000 % FR001400DCH4 500
英ポンド 2026 年2月 25 日 0.250 % FR0014001MV3 282
2023 年7月 21 日 0.500 % FR0013513777 366
2024 年 12 月 16 日 1.125 % FR0014007OY0 338
日本円 2024 年7月 30 日 0.070 % JP525023BL76 71
2027 年6月 16 日 0.174 % FR001400AXN4 178
2024 年7月 30 日 0.725 % JP525023DE73 77
2028 年 11 月 29 日 1.302 % FR0011643766 62
米ドル 2024 年 11 月 18 日 0.875 % FR0014006JA2 281
2024 年 11 月 18 日 0.875 % FR0014006JA2 656
2025 年2月5日 1.375 % FR0014007VT5 562
2025 年2月5日 1.375 % FR0014007VT5 375
2023 年2月 13 日 1.500 % FR0013482544 937
ベンチマーク債発行額
合計 7,943
241/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.10 未払費用、繰延収益およびその他の負債
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
繰延収益 848 135
未払費用 90 37
先渡金融商品および外貨にかかる調整勘定 365 35
(1)
その他の未払金 4,097 4,972
未払金および繰延収益 5,400 5,179
未払込金: 950 1,243
・持分証券にかかるもの 237 714
・その他の未払費用 713 529
その他の雑債務 443 1,411
その他の負債 1,393 2,654
未払費用、繰延収益およびその他の負債 6,793 7,833
(1) 2022 年 12 月 31 日現在、フランス 2030 年計画に関するフランス政府に対する 3,977 百万ユーロ( 2021 年 12 月 31 日現在
3,949 百万ユーロ)の債務を含む(注 2.6.1 参照)。
2.3.11 引当金
2021 年 戻入れ 戻入れ その他の 2022 年
(単位:百万ユーロ) 12 月 31 日 繰入れ ( 使用 ) ( 未使用 ) 増減 12 月 31 日
従業員給付約定引当金 195 30 (15) (34) 176
-年金 37 3 (3) (5) 32
-長期勤続賞与 30 2 (1) (4) 27
(1)
-その他 128 25 (11) (25) 117
不動産リスク引当金 1 1
デフォルト・リスク引当金 21 (10) (5) 6
-オフバランスシート約定 7 (4) (2) 1
-貸付金
-その他 14 (6) (3) 5
金融商品引当金 1 2 (1) 2
その他のリスク引当金
および費用 369 8 (38) (30) 1 310
-優遇貸出 314 1 (29) 286
-その他 55 7 (9) (30) 1 24
引当金 587 40 (63) (70) 1 495
(1) 2022 年2月にキャリア終了時の取決めのための新たな恒久的議定書が署名された。これにより生じる労働時間の短縮
は、 2022 年 12 月 31 日現在で9百万ユーロに相当すると見積もられる長期確定給付型制度に該当する。
次へ
242/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.12 自己資本の変動
2020 年 2021 年 2022 年
その
12 月 31 2020 2020 12 月 31 2022 12 月 31
他の
日現在 年 年の 日現在 2021 年 2021 年 年の 日現在
( 単位:
変動
2021 年 の 2022 年
百万ユー 自己資 利益 配当 自己資 利益処 配当 自己資
(1)
ロ ) 本 処分 金 利益 本 分 配当金 金 利益 本
一般準備
金 19,178 19,178 19,178
再評価準
備金 34 34 34
利益剰余
金 2,924 481 (286) 8 3,127 1,941 (1,817) 3,251
当期利益
(損失) 481 (481) 1,941 1,941 (1,941) 2,173 2,173
フランス
政府に支
払われる
中間配当
金 (621) (621) 621 (990) (990)
自己資本
( FGBR を
除く。) 22,617 (286) (613) 1,941 23,659 (1,196) (990) 2,173 23,646
一般銀行
業務リス
ク引当金
( FGBR ) 556 556 556
自己資本
( FGBR を
含む。) 23,173 (286) (613) 1,941 24,215 (1,196) (990) 2,173 24,202
(1) 2021 年配当金および退職給付債務およびこれに類する給付の測定および認識の規則に関する 2013 年 11 月7日付の ANC 勧告第
2013-02 号( 2021 年 11 月5日改正)の適用における会計処理方法の変更に関連した8百万ユーロ。
次へ
243/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.13 信用リスク
2.3.13.1 金融機関に対する貸付金および債権の内訳
2021 年
2022 年 12 月 31 日 12 月 31 日
再編済
正常貸付金 資産から
正常貸付金 不良貸付金 回収不能貸
および
および債権 および債権 付金および 控除された
(単位:百万ユーロ ) 合計 債権合計 合計 債権合計 減損 合計 合計
地域別内訳
フランス 38,596 38,596 19,573
ヨーロッパ
その他
合計 38,596 38,596 19,573
残余期間別内訳
3カ月以内 22,589 22,589 6,330
3カ月超1年以内 1,128 1,128 90
1年超5年以内 2,070 2,070 1,853
5年超 12,809 12,809 11,300
合計 38,596 38,596 19,573
2.3.13.2 顧客取引の内訳
2021 年
2022 年 12 月 31 日 12 月 31 日
再編済
正常貸付金 資産から
正常貸付金 不良貸付金 回収不能貸
および
および債権 および債権 付金および 控除された
(単位:百万ユーロ ) 合計 債権合計 合計 債権合計 減損 合計 合計
地域別内訳
フランス 4,008 155 218 (202) 4,179 4,455
ヨーロッパ 1 18 (18) 1 2
その他 3 (2) 1 4
合計 4,009 155 239 (222) 4,181 4,461
残余期間別内訳
3カ月以内 370 21 11 (16) 386 1,166
3カ月超1年以内 226 8 14 (13) 235 67
1年超5年以内 918 34 58 (52) 958 961
5年超 2,495 92 156 (141) 2,602 2,267
合計 4,009 155 239 (222) 4,181 4,461
部門別内訳
HLM (適正家賃住宅会
社) 116 116 92
EPIC (商工業的公施設
法人) 274 4 (4) 274 219
地方自治体 161 43 3 (9) 198 161
非金融会社 2,275 40 38 (44) 2,309 2,718
民間法人 82 56 50 (16) 172 136
行政機関 19 19 17
個人顧客 701 10 17 (17) 711 729
金融機関 257 1 131 (131) 258 260
その他 124 1 (1) 124 129
合計 4,009 155 239 (222) 4,181 4,461
244/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.13.3 固定利付証券の内訳
2021 年
2022 年 12 月 31 日 12 月 31 日
回収不能な 資産から
正常項目 不良項目 不良項目 控除された
(単位:百万ユー
ロ ) 合計 合計 合計 減損 合計 合計
地域別内訳
フランス 36,232 2 (371) 35,863 29,631
ヨーロッパ 14,173 (220) 13,953 8,672
(1)
その他 13,395 (175) 13,220 12,203
合計 63,800 2 (766) 63,036 50,506
残余期間別内訳
3カ月以内 2,755 (10) 2,745 2,877
3カ月超1年以内 22,070 (27) 22,043 14,359
1年超5年以内 16,078 2 (109) 15,971 11,413
5年超 22,897 (620) 22,277 21,857
合計 63,800 2 (766) 63,036 50,506
(2)
格付別内訳
AAA 1,398 1,398 1,871
AA 28,379 (10) 28,369 20,445
A 23,153 (75) 23,078 19,500
BBB 5,505 (262) 5,243 4,923
BB 902 (96) 806 707
B
CCC
格付報告なし 4,463 2 (323) 4,142 3,060
合計 63,800 2 (766) 63,036 50,506
(1) このうち 4,082 百万ユーロは英国に関連している( 2021 年 12 月 31 日現在は 4,454 百万ユーロ)。
(2) 格付機関ムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズおよびフィッチによる格付。
2.3.13.4 残余期間別内訳
2022 年 12 月 31 日
3カ月超 1年超
(単位:百万ユーロ) 3カ月以内 1年以内 5年以内 5年超 合計
資産
金融機関に対する貸付金およ
び債権 22,589 1,128 2,070 12,809 38,596
顧客取引 386 235 958 2,602 4,181
固定利付有価証券
(借入有価証券を除く。) 2,745 22,043 15,971 22,277 63,036
負債
定期預り金およびターム・
ローン 10,862 125 684 3,366 15,037
顧客取引 77,616 253 780 13,150 91,799
繰延収益 10,268 7,285 6,367 9,177 33,097
245/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.3.14 通貨別内訳-減損控除後の帳簿価額
ユーロ 米ドル 英ポンド その他 合計
(単位:百万ユーロ)
資産
銀行間取引および類似の取引 63,604 54 13 761 64,432
現金および中央銀行預け金 1,643 1 1,644
公的部門証券および類似証券 23,447 42 703 24,192
金融機関に対する貸付金および債権 38,514 11 13 58 38,596
顧客取引 4,181 4,181
当座勘定(借方) 206 206
満期日が固定されている顧客に対す
る その他の貸付金 3,975 3,975
債券、持分証券およびその他の固
定・変動利付証券 45,263 7,598 1,371 3,277 57,509
債券およびその他の固定利付証券 31,123 6,269 332 1,119 38,843
持分証券およびその他の変動利付証
券 14,140 1,329 1,039 2,158 18,666
長期持分証券 31,480 6 31,486
有形固定資産および無形固定資産 5,958 64 6,022
前払金、未収収益およびその他の資
産 7,239 379 71 104 7,793
資産合計 157,725 8,031 1,519 4,148 171,423
負債および資本
銀行間取引および類似の取引 15,003 10 5 19 15,037
金融機関に対する要求払債務 10,769 10 5 19 10,803
金融機関に対する満期日が固定され
ている債務 4,234 4,234
顧客取引 90,987 499 37 276 91,799
当座勘定(貸方) 75,608 499 37 271 76,415
顧客に対するその他の債務 15,379 5 15,384
債務証券 10,460 18,072 1,813 2,752 33,097
未払費用、繰延収益およびその他
の負債 6,435 309 13 36 6,793
引当金 495 495
保証預り金
一般銀行業務リスク引当金
( FGBR ) 556 556
資本( FGBR を除く。) 23,646 23,646
準備金およびその他資本剰余金 19,212 19,212
利益剰余金 3,251 3,251
当期純利益(損失) 2,173 2,173
フランス政府に支払われる中間配当
金 (990) (990)
負債および資本合計 147,582 18,890 1,868 3,083 171,423
246/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.4. オフバランスシートに対する注記
2.4.1 直物および先物外国為替取引ならびに外貨建貸付および借入に関する
オフバランスシート約定
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
直物外国為替取引
受領予定の買入ユーロ 4 8
受領予定の買入外貨 3 9
引渡予定の売却ユーロ 3 9
引渡予定の売却外貨 4 8
先物外国為替取引
引渡予定の外貨に対するユーロ建債権
- ユーロ建債権
11,117 10,186
- 引渡予定の外貨
11,060 10,399
引渡予定のユーロに対する外貨建債権
- 外貨建債権
21,012 18,611
- 引渡予定のユーロ
20,719 18,996
未発生プレミアム / ディスカウント
債権 239 71
債務 180 50
2.4.2 先物金融商品
2.4.2.1 その他の先物金融商品にかかるオフバランスシート項目
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
(単位:百万ユー
ロ ) トレーディング 現金 /ヘッジ トレーディング 現金 /ヘッジ
付与約定 - 受取約定 - 付与約定 - 受取約定 - 付与約定 - 受取約定 - 付与約定 - 受取約定 -
購入 /借入 売却 /貸付 購入 /借入 売却 /貸付 購入 /借入 売却 /貸付 購入 /借入 売却 /貸付
先物
組織化された市場
金利スワップ
通貨スワップ
その他の契約
店頭市場 12,941 12,938 34,604 34,604 8,413 8,413 17,961 17,961
金利スワップ 12,941 12,938 34,604 34,604 8,413 8,413 17,961 17,961
市場価値 4 51 2,075 187 1 255 753
通貨スワップ
その他の契約
オプション
組織化された市場
金利スワップ
通貨スワップ
その他の契約
店頭市場 (10) 10
金利スワップ
通貨スワップ
その他の契約 (10) 10
247/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.4.2.2 残余期間別内訳
2022 年 12 月 31 日
(単位:百万ユーロ)
3カ月 3カ月超 1年超
以内 1年以内 5年以内 5年超 合計
先物
金利スワップにかかる約定付与 11,692 21,778 5,690 8,385 47,545
金利スワップにかかる約定受取 11,692 21,778 5,690 8,382 47,542
通貨スワップにかかる約定付与
通貨スワップにかかる約定受取
その他の約定付与
その他の約定受取
オプション
金利スワップにかかる約定付与
金利スワップにかかる約定受取
通貨スワップにかかる約定付与
通貨スワップにかかる約定受取
その他の約定付与 (10) (10)
その他の約定受取 10 10
2021 年 12 月 31 日
(単位:百万ユーロ)
3カ月 3カ月超 1年超
以内 1年以内 5年以内 5年超 合計
先物
金利スワップにかかる約定付与 4,329 7,904 5,670 8,471 26,374
金利スワップにかかる約定受取 4,329 7,904 5,670 8,471 26,374
0 0 0 0 0
通貨スワップにかかる約定付与
0 0 0 0 0
通貨スワップにかかる約定受取
0 0 0 0 0
その他の約定付与
0 0 0 0 0
その他の約定受取
オプション
0 0 0 0 0
金利スワップにかかる約定付与
0 0 0 0 0
金利スワップにかかる約定受取
0 0 0 0 0
通貨スワップにかかる約定付与
0 0 0 0 0
通貨スワップにかかる約定受取
0 0 0 0 0
その他の約定付与
0 0 0 0 0
その他の約定受取
248/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.4.2.3 通貨別内訳
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
(単位:百万ユーロ) ユーロ 米ドル その他 合計 ユーロ 米ドル その他 合計
先物
金利スワップにかかる約定
付与 44,306 890 2,349 47,545 20,870 1,486 4,018 26,374
金利スワップにかかる約定
受取 44,303 890 2,349 47,542 20,870 1,486 4,018 26,374
通貨スワップにかかる約定
付与
通貨スワップにかかる約定
受取
その他の約定付与
その他の約定受取
オプション
金利スワップにかかる約定
付与
金利スワップにかかる約定
受取
通貨スワップにかかる約定
付与
通貨スワップにかかる約定
受取
その他のオプション付与-
購入 /借入 (10) (10)
その他のオプション受取-
売却 /貸付 10 10
2.4.2.4 地域別内訳(金利スワップ)
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
フランス 2,060 1,954
ヨーロッパ 3,049 1,483
(1)
その他 42,433 22,937
合計 47,542 26,374
(1) このうち 42,361 百万ユーロは英国に関連している( 2021 年 12 月 31 日現在は 22,803 百万ユーロ)。
2.4.3 信用リスク-約定付与-地域別内訳
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
(単位:百万ユー
ロ) フランス ヨーロッパ その他 合計 フランス ヨーロッパ その他 合計
正常貸付金約定
付与 43,132 6 2 43,140 41,595 5 2 41,602
不良貸付金約定
付与 224 224 166 166
約定付与合計 43,356 6 2 43,364 41,761 5 2 41,768
249/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.5 損益計算書に対する注記
2.5.1 国庫および銀行間取引にかかる受取利息および類似の収益ならびに支払利息および類似の費用
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
中央銀行からの受取利息 5
当座勘定における受取利息 24 60
担保付固定売戻契約に基づいて購入された有価証券
からの受取利息 8
プレミアム / ディスカウント収益 230 97
貸付金および無担保の固定売戻契約に基づいて
購入された有価証券からの受取利息 216 126
その他の受取利息および類似の収益 6 4
国庫および銀行間取引にかかる受取利息および
類似 の 収益 481 295
中央銀行への支払利息 (21) (82)
当座勘定における支払利息 (52) (45)
借入金および無担保の固定買戻契約に基づいて
売却された有価証券に対する支払利息 (46) (39)
プレミアム / ディスカウント費用 (132) (45)
その他の支払利息および類似の費用 (2) (3)
国庫および銀行間取引にかかる支払利息および
類似 の 費用 (253) (214)
2.5.2 顧客取引にかかる受取利息および類似の収益ならびに支払利息および類似の費用
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
当座勘定における受取利息 4
担保付固定売戻契約に基づいて購入された有価証券
からの受取利息 10
顧客貸付金および無担保の固定売戻契約に基づいて
購入された有価証券からの受取利息 77 64
その他の受取利息および類似の収益 17 2
プレミアム/ディスカウント収益 25 7
不良利息引当金への繰入れ/戻入れ
その他の受取利息および類似の収益 6 2
顧客取引にかかる受取利息および類似 の 収益 135 79
当座勘定における支払利息 (236) (314)
エスクロー勘定(委託)における支払利息 (42) (54)
定期預金、借入金および無担保の固定買戻契約に
基づいて売却された有価証券に対する支払利息 (2) (3)
担保付固定売戻契約に基づいて購入された有価証券
からの受取利息
その他の支払利息および類似の費用 (6) (3)
プレミアム / ディスカウント費用 (23) (2)
顧客取引にかかる支払利息および類似 の 費用 (309) (376)
250/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.5.3 債券および その他の固定利付証券 にかかる受取利息および類似の収益ならびに支払利息および
類似の費用
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
公的部門証券 42 32
債券 35 75
その他の固定利付証券 228 78
売却可能有価証券にかかる受取利息および
類似 の 収益 305 185
公的部門証券 445 463
債券 96 9
その他の固定利付証券 68 49
満期保有有価証券にかかる受取利息および
類似 の 収益 609 521
債券およびその他の固定利付証券 にかかる受取利息
および類似 の 収益 914 706
ユーロ・コマーシャル・ペーパー (187) (18)
預金証書( CD ) (14) (2)
譲渡性債務証券 (15) (7)
ユーロ・ミディアム・ターム・ノート (194) (225)
債券およびその他の固定利付証券にかかる支払利息
および類似 の 費用 (410) (252)
2.5.4 その他の受取利息および類似の収益ならびにその他の支払利息および類似の費用
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
ミクロヘッジ 640 388
・金利スワップ 154 239
・金融スワップ 92 83
・複合スワップ 2
・為替スワップ 394 64
有価証券 1
その他の受取利息および類似 の 収益 641 388
ミクロヘッジ (527) (164)
・金利スワップ (102) (86)
・金融スワップ (26) (12)
・複合スワップ (2)
・為替スワップ (399) (64)
有価証券 (17) (33)
その他の支払利息および類似 の 費用 (544) (197)
251/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.5.5 変動利付証券からの収益
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
持分証券 28 22
投資ファンド 28 20
その他の変動利付証券
売却可能有価証券からの収益 56 42
持分証券 752 576
投資ファンド 36 29
その他の変動利付証券 2 1
ポートフォリオ有価証券からの収益 790 606
長期持分証券からの収益 1,352 735
変動利付証券からの収益 2,198 1,383
2.5.6 受取手数料および支払手数料
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
(単位:百万ユーロ) 受取 支払 受取 支払
金融機関取引
顧客取引 3 3
有価証券取引 1 (11) (14)
提供サービス等 12 (21) 11 (19)
先物金融商品にかかるサービス (1) (1)
手数料 16 (33) 14 (34)
受取手数料および支払手数料 (17) (20)
2.5.7 売買目的有価証券にかかる損益
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
売買目的有価証券取引にかかる損益
外貨建て商品取引にかかる損益 10 (5)
金融商品取引にかかる損益 31 5
売買目的有価証券にかかる損益 41
252/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.5.8 売却可能有価証券および類似証券にかかる損益
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
売却可能有価証券の売却にかかる損益 18 193
・公的部門証券および類似有価証券 (1) 19
・債券 4
・その他の固定利付証券 (13) 16
・持分証券 23 108
・投資ファンドおよびその他変動利付証券 9 46
売却可能有価証券にかかるその他の収益および費用 (2)
(1)
(834) (75)
売却可能有価証券にかかる減損損失または戻入れ
売却可能有価証券取引にかかる損益 (816) 116
ポートフォリオ有価証券の売却にかかる損益 825 682
・持分証券 737 484
・投資ファンドおよびその他変動利付証券 88 198
ポートフォリオ有価証券にかかるその他の収益および費 (5) (3)
用
ポートフォリオ有価証券にかかる減損損失または戻入れ (362) 435
ポートフォリオ有価証券取引にかかる損益 458 1,114
売却可能有価証券および類似証券にかかる損益 (358) 1,230
(1) 2022 年第1四半期中、格付が BBB 以上のヘッジされていない固定利付証券は、これら有価証券の運用戦略の変更に
伴って、「売却可能」ポートフォリオから「満期保有」ポートフォリオへと振替えられた。かかる振替えは 2022 年
1月1日付で実施された。
「売却可能」区分から「満期保有」区分に振替えられた有価証券は、 2022 年1月1日現在で総額 4.6 十億ユーロ、
減損額は 12 百万ユーロであった。 12 百万ユーロの減損費用は僅少であるため、 2022 年1月1日現在の損益計算書を
通じて戻入れられている。
これらの有価証券が「売却可能」区分から「満期保有」区分に振替えられなかった場合、減損として認識されてい
たであろう未実現損失の金額は、 2022 年 12 月 31 日現在で 656 百万ユーロであった。
2.5.9 その他の銀行業務営業収益および費用純額
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
(単位:百万ユーロ) 収益 費用 収益 費用
投資不動産の処分にかかる損益 30 (4) 1 (1)
投資不動産にかかる減価償却費および減損費
用または戻入れ 8 (154) 13 (43)
投資不動産にかかる収益および費用 269 (25) 157 (29)
投資不動産にかかる収益および費用 307 (183) 171 (73)
再請求費用または振替費用および再貸記収益 20 25
代理手数料 (22) (33)
その他の雑営業収益および費用 77 (308) 76 (262)
その他の銀行業務収益および費用に計上され
る引当金 / 戻入れ 1
その他の営業収益および費用 98 (330) 101 (295)
その他の銀行業務営業収益および費用合計 405 (513) 272 (368)
純額合計 (108) (96)
253/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.5.10 一般営業費用
2.5.10.1 一般営業費用
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
給与 (423) (413)
その他の従業員関連費用 (256) (246)
利益配分 (39) (32)
給与税および類似の費用 (69) (68)
人件費にかかる減損損失または戻入れ 30 (5)
人件費 (757) (764)
法人税以外の税金 (28) (24)
賃借料およびリース費用 (20) (20)
保険料 (1) (1)
研究および関連費用 (153) (161)
外部サービス-諸費用 (77) (74)
その他の費用 (27) (20)
その他の管理費用 (306) (300)
再請求 593 546
再請求 593 546
その他の一般営業収益および費用 0 1
その他の一般営業収益および費用 0 1
一般営業費用 (470) (517)
2.5.10.2 従業員数
(単位:人) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
平均従業員数:管理職 公的部門 1,511 1,412
平均従業員数:管理職 民間部門 2,382 2,354
平均従業員数:管理職 特別制度(退職者) 25 28
平均従業員数:管理職(幹部) 3,917 3,794
平均従業員数:非管理職 公的部門 2,385 2,444
平均従業員数:非管理職 民間部門 262 226
平均従業員数:非管理職 特別制度(退職者) 51 59
平均従業員数:非管理職 2,698 2,729
平均従業員数合計 6,616 6,523
年度末現在従業員数:管理職 公的部門 1,575 1,449
年度末現在従業員数:管理職 民間部門 2,453 2,385
年度末現在従業員数:管理職 特別制度(退職者) 24 27
年度末現在従業員数:管理職(幹部) 4,052 3,861
年度末現在従業員数:非管理職 公的部門 2,403 2,451
年度末現在従業員数:非管理職 民間部門 274 255
年度末現在従業員数:非管理職 特別制度(退職
者) 47 56
年度末現在従業員数:非管理職 2,724 2,762
年度末現在従業員数合計 6,776 6,623
254/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.5.11 有形固定資産および無形固定資産の減価償却費、償却費および減損純額
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
無形固定資産の償却費 (151) (136)
事業権およびソフトウェア (151) (136)
有形固定資産の 減価 償却費 (26) (20)
建物および設備 (22) (17)
家具、備品および機械設備 (4) (3)
営業用固定資産の減価償却費および償却費 (177) (156)
有形固定資産および無形固定資産の減価償却費および償却費純
額 (177) (156)
2.5.12 リスク費用
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
貸付金および債権の減損 (10) (16)
債務不履行リスク
契約コミットメントのリスク
その他のリスク 7
減損損失および引当金費用 (10) (9)
貸付金および債権の減損 39 19
債務不履行リスク 9
契約コミットメントのリスク 4 7
その他のリスク 15
減損損失および引当金の戻入れ 67 26
回収不能貸付金および債権にかかる損失および回収 (60)
損失および回収 (60)
リスク費用 (3) 17
2.5.13 固定資産にかかる損益
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
営業用有形固定資産および無形固定資産の処分にかかる損益 179
営業用有形固定資産および無形固定資産の処分にかかる損益 179
長期持分証券およびその他の投資の処分にかかる損益ならびに
前払金にかかる損益 242 140
長期持分証券、その他の投資および前払金の減損損失または引
当金戻入れ 190 (160)
長期持分証券およびその他の投資にかかる損益 432 (20)
固定資産にかかる損益 611 (20)
2.5.14 法人税費用
(単位:百万ユーロ) 2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
フランス法人税( CRIS )に代わる拠出 (199) (396)
税引当金の減損損失または引当金戻入れ純額 87
法人税費用 (199) (309)
255/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.6 特記事項
2.6.1 2030 年復興計画
資産 負債
現在または将来の 国家貸付に関する
現金投資に関する未収金 フランス国に対する未払金
2021 年 2022 年
2022 年 2021 年
(単位:百万ユーロ) 12 月 31 日 12 月 31 日
12 月 31 日 12 月 31 日
France Brevets
97 105 97 105
技術開発 524 719 524 719
社会経済および連帯 25 34 25 34
ワーク・スタディ・プログラム
(住宅および近代化) 25 42 25 42
国家シード基金 79 121 79 121
イノベーション・プラットフォームおよびコ
ンペティティブ・クラスター 12 12 12 12
エコテクノロジー・ファンド(環境技術基
金) 211 225 211 225
Fonds pour la société numérique (デジタ
ル社会基金)(インフラおよびサービス) 545 535 545 535
トゥモローズ・シティ 296 313 296 313
イノベーションおよび起業文化のためのナ
ショナル・ファンド 1 2 1 2
地域融合型エネルギー移行プロジェクト 9 10 9 10
Transition Numérique de l'État et
Modernisation de l'Action Publique (国の
地上デジタル放送移行および公共的活動の近
代化) 2 2 2 2
フランスの技術促進 176 200 176 200
Partenariat pour la Formation
Professionnelle et l'Emploi (専門的職業
訓練および雇用のためのパートナーシップ) 32 42 32 42
ヘルス・バイオテック・アクセラレーショ
ン・ファンド 320 328 320 328
再生ファンド 123 117 123 117
高等教育のためのデジタル・イノベーション 35 36 35 36
脱炭素エネルギーのための分野別機関 36 43 36 43
ファンド・オブ・ファンズ-重要都市部 46 47 46 47
Territoires d'innovation de grande
ambition (意欲的なイノベーションのための
地域計画) 287 236 287 236
教育イノベーションのための地域計画 101 92 101 92
Adaptation et qualification main d’
oeuvre (すべての地域で雇用を維持し発展さ
せるための支援) 149 98 149 98
Sociétés universitaires et de recherche
(学術研究企業) 78 79 78 79
効率的なイノベーション・エコシステムの開
発の加速 163 126 163 126
重要課題 300 300 300 300
PIA4 ファンドへの割当て 305 85 305 85
未収支勘定 3,977 3,949 3,977 3,949
2010 年、フランス預金供託公庫は、国家貸付または 2022 年以降は「 2030 年復興計画」としても知られる
将来プログラムへの投資( PIA )の業務の運用を委託された。
フランス預金供託公庫は、以下の資金を集めている:
256/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
・ PIA の第一段階( PIA 1 )の一環として、 2010 年以降、総額 8,796 百万ユーロのフランス政府からの支払
に関する8件の合意。
・ PIA の第二段階( PIA 2 )の一環として、 2014 年以降、総額 1,554 百万ユーロのフランス政府からの支払
に関する2件の合意。
・ PIA の第三段階( PIA 3 )の一環として、 2017 年以降、総額 1,769 百万ユーロのフランス政府からの支払
に関する4件の合意。
・ PIA の第四段階( PIA 4 )の一環として、 2021 年以降、総額 448 百万ユーロのフランス政府からの支払に
関する2件の合意。
これらの合意は、いずれも上記の注に記載する複数の「基金」で構成されることがある。
257/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2.6.2 公的部門証券および類似証券の詳細-発行国別内訳
2022 年 12 月 31 日 2021 年 12 月 31 日
減損 純額
(単位:百万ユーロ) 総額 純額
エクスポージャー合計 24,416 (224) 24,192 25,712
オーストリア 113 113 186
ベルギー 130 130 61
ブルガリア 42 (5) 37 18
チリ 236 (16) 220 212
コロンビア 149 (15) 134 151
クロアチア 92 (8) 84 96
欧州投資銀行(国際機関) 288 288 272
国際復興開発銀行(国際機関) 54 54
フィンランド 25 25 25
フランス 20,338 (1) 20,337 18,557
ドイツ 147 147 147
ギリシャ 2 (2)
インドネシア 241 (14) 227 234
イスラエル 857 (14) 843 620
日本 3,571
リトアニア 41
ルクセンブルク 759 759 652
メキシコ 240 (36) 204 225
ペルー 202 (30) 172 201
ポーランド 55 (4) 51 44
韓国 5 5
ルーマニア 244 (54) 190 235
スロベニア 60 (6) 54 56
南アフリカ 25 (1) 24 25
トーゴ 53 (14) 39 50
ベネズエラ 59 (4) 55 33
258/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
(6) 【その他】
本報告書に記載された事項を除き、当会計年度末( 2022 年 12 月 31 日)以降、重要な事実は発生していな
い。
CDC は、その債務のいずれについても元利金または利息の支払を怠ったことはない。
259/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
(7) 【発行者の属する国等の概況】
① 概要
(a) 位置、地域、人口等
フランス共和国(以下「フランス」という。)は、地理的に西ヨーロッパの中心に位置する大陸フラン
スおよびコルシカ(大陸フランスとともに「フランス本土」と呼ばれる)、ならびにグアドループ、マル
ティニック、レユニオン島、ギアナ、仏領ポリネシア、ニューカレドニアおよびマヨットを含む海外県、
領土および属領から成っている。フランス本土は、西は大西洋、南は地中海、スペイン、アンドラおよび
モナコ、北と東はベネルクス諸国、ドイツ、スイスおよびイタリアに接しており、約 544,000 平方キロメー
トルの面積を有する。海外県は、約 89,000 平方キロメートルの面積を有する。 2021 年1月1日現在、フラ
ンス本土および海外県(マヨット島を含む。)の人口は約 67.407 百万人と推定された。
(b) 政治および外交関係
(i) 政治形態
フランスの政体は共和政である。シャルル・ド・ゴールの指導の下 1958 年に設立された現在の第5共和
政は、大統領が強い権限をもつことを特色としている。第5共和政の官職および組織を定めた 1958 年憲法
は次のとおり規定している。すなわち、フランスの大統領(以下「大統領」という。)は、直接普通選挙
によって選出され、任期は5年である(フランス国民は、 2000 年9月 24 日に行われた国民投票によって、
大統領の任期を7年から5年に短縮する憲法改正案を採択した。これは、 2002 年5月の大統領選挙から適
用されている。)。政府は、大統領によって任命される首相と、首相の提案に基づいて大統領が任命する
その他の閣僚 ( 大臣、大臣代理および長官 ) で構成される。閣僚会議( Conseil des ministres )は、閣僚会
議の議長となる大統領、首相および他の大臣によって構成される。議会は、国民議会と元老院 ( 上院 ) の二
院制。国民議会の議員は直接普通選挙によって選出され、任期は5年である。元老院議員は、一定の地方
選出議員だけに資格が限定されている選挙人団によって選出され、任期は6年である。元老院議員は、3
年毎にその2分の1が改選される。憲法院( Conseil constitutionnel )は、大統領、首相、国民議会およ
び元老院の議長2名のうち1名、国民議会の議員 60 名、元老院の議員 60 名のいずれかによる特別要請に
よって、あらゆる法案の合憲性を審査する責任を負う合憲性に関する諮問機関である。
憲法上、大統領の役割は、政府の正常な機能とフランスの継続性を確保することを使命とする裁定者の
役割として規定されている。首相の任命権のほか、大統領には、国民議会の解散命令権、一定の法案の国
民投票付託権、国家非常事態を構成しかつ憲法上の公権力の正常な行使が阻害される事態が発生した場合
における特別大権の掌握が認められている。
憲法は国家政策の決定および指導を政府に委ね、首相に対しては政府の運営を委ねている。議会に対す
る法案の提出、議会により政府に対して委任された立法権に基づく政令の公布ならびに国民議会に対する
信任問題の提起等、一定の重要事項に係る政府の行為については、予め閣僚会議の審議または決定を経な
ければならない。信任投票で信任案が否決された場合または不信任案が絶対多数で可決された場合には、
国民議会は内閣の総辞職を要求することができる。
議会の権限は、憲法上、議会に立法権があると規定されている事項だけに限定されている。議会の立法
権に属する事項は市民権ならびに自由の基本的保障、国籍および個人的地位を規定する法律、重罪および
軽罪の定義、課税、財政法、通貨の規制、国防組織、企業の国有化、教育、財産権、民法、商法および経
済・社会政策に関する事項である。一般に法案が成立するためには、国民議会と元老院の双方によって採
択されなければならない。ただし、議会の両院 ( 国民議会と元老院 ) が審議後法案の内容に合意しない場合
は、政府は、国民議会に対して国民議会のみによる法案の表決を要請することができる。
フランスにおいて、欧州連合(以下「 EU 」という。)法は、もうひとつの法源である。欧州委員会は
「指令」および「規則」を発布することができる。指令は、その規定が明確、正確かつ無条件でない場合
は、その執行前に、フランス議会が採択する法律により実施されなければならない。その規定が明確、正
確かつ無条件である場合には、国の実施法によらずに執行させることができる。規則は、議会の介在を要
せずに、フランスを含む EU 加盟国において直接、発効する。 EU 法は、憲法を除くフランスのその他一切の
法源に優越する。
260/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2012 年5月6日、フランス大統領選挙の決戦投票が行われ、フランソワ・オランド氏が現職のニコラ・
サルコジ氏を破り、左派勢力としてはミッテラン大統領以来初の大統領となる。
2012 年5月 15 日、フランソワ・オランド大統領はジャン・マルク・エロー氏を新首相に任命した。また
5月 16 日には、 34 人で構成される内閣の半分( 17 人)を女性とする組閣を行った。
2012 年6月 10 日に国民議会選挙第一回投票が、 17 日に第二回投票が行われた。第一回投票において、フ
ランソワ・オランド大統領率いる社会党を含む左派が過半数を獲得した。投票率は 57.5 %と、第5共和政
成立以来最も低かった。6月 17 日の第二回投票で、社会党は絶対過半数にたる議席を獲得した。
2013 年7月 26 日、銀行業務の分離および規制に関する法律が公布された(7月 27 日官報掲載)。この法
律は、金融監督破綻処理機構( ACPR )の権限を強化し、金融安定化高等評議会( HCSF )を創設するもので
ある。同法は、銀行に対して、その業務の名称および性質、銀行業務純収益、職員の人数、税引前損益、
未払税金合計額および政府からの受取助成金を、国別に公表することを義務づけている。
2013 年 12 月 29 日、 2014 年財政法が公布された( 12 月 30 日官報掲載)。この法律は、主として増税による
3十億ユーロの歳入増と公的支出の 15 十億ユーロ削減を定めている。
改正 2013 年財政法の公布( 12 月 30 日官報掲載)。この法律は、 2013 年に GDP の 4.1 %( 2012 年と比較して
0.7 ポイント低下)と予想された財政赤字を確認するものであった。同法はまた、生命保険の改革、行政の
簡素化および輸出支援策についても定めている。
2014 年3月 23 日および3月 30 日に実施された地方選挙における与党社会党の敗北を受けて、オランド大
統領は、 2014 年3月 31 日付でマニュエル・ヴァルス氏を新首相に任命した。
2014 年5月 25 日、 2014 年欧州議会選挙の投票がフランスで実施された。国民戦線( FN )の創始者である
ジャン - マリ・ルペン氏の娘であるマリーヌ・ルペン氏率いる極右国民戦線( FN )が勝利( 25 %、 24 議席)
し、中道右派国民運動連合グループ( UMP )( 21 %)がこれに続き、与党社会党は第三党( 14 %)に甘んじ
た。
2014 年9月 28 日、上院は半数( 178 議席)の改選が行われた。上院議員 348 名のうち、現在 189 名が右派に
属している。 FN は初めて上院に議席を確保した(2議席)。
2014 年 12 月 29 日、 2014-2019 年財政計画法が公布された( 12 月 30 日官報掲載)。この法律では、貯蓄制
度、競争力・雇用創出税額控除制度および責任・連帯契約の実施ならびに公共・民間パートナーシップの
利用のより厳格な監視が規定されている。
2015 年財政法の公布。財政赤字の見積りは GDP の 4.1 %とされた。
改正 2014 年財政法の公布( 12 月 30 日官報掲載)。改正財政法は、 2014 年における財政赤字を GDP の 4.4 %
とする予想を確認するものであった。 2014 年の予想予算赤字は、第1次改正 2014 年財政法と比較して 4.3 十
億ユーロ多い 88.2 十億ユーロとされた。雇用創出税額控除制度は 2016 年初めに撤廃され、新しい措置に代
る予定である。
2015 年 12 月 29 日、改正 2015 年財政法の公布( 12 月 30 日官報掲載)。 2015 年の財政赤字の目標は GDP の
3.8 %とされている。
2016 年財政法の公布( 12 月 30 日官報掲載)。 2016 年の財政赤字見積りは GDP の 3.3 %とされた。同法は
2016 年に 16 十億ユーロの歳出削減を規定している。
2016 年4月 15 日: 2016-2019 年安定化プログラムでは、 2015 年の赤字が予想を下回る GDP の 0.3 %となるこ
とが判明したものの、 2016 年の主要項目の赤字は GDP の 3.3 %と計画しており、 2017 年には赤字を GDP の
2.7 %へとさらに改善することを目指している。
2016 年 12 月 29 日、 2017 年財政法の公布( 12 月 30 日官報掲載)。 2017 年の財政赤字見積りは GDP の 2.7 %と
されている。
2017 年5月 17 日、エマニュエル・マクロン氏が大統領に選出された。
フランス国民議会の選挙が 2017 年6月 11 日および同 18 日の2回にわたって行われた。エマニュエル・マ
クロン氏が 2016 年に立ち上げた新党「共和国前進」が 308 議席を獲得して、圧勝した。
261/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
2018 年 10 月、「黄色いベスト」運動が全国に広まった。エマニュエル・マクロン大統領は、この反政府
運動に対応して、「大国民討論会」を開催し、 2018 年 12 月に経済社会政策に関する法律を制定した。大統
領は、この危機に対応するため社会的・経済的措置として 10 十億ユーロを提供することを表明した。
2021 年6月現在、フランス国民議会は以下の政党グループで構成されていた:共和国前進( 269 議席)、
共和党( 105 議席)、民主運動系( 58 議席)、共和国前進( 21 議席)、社会党系( 30 議席)、民主独立運動
( UDI )独立( 19 議席)、不服従のフランス( 17 議席)、自由・地方( 18 議席)、左翼民主・共和主義グ
ループ( 16 議席)、諸派・無所属( 23 議席)。
2021 年6月現在、元老院は以下の政党グループで構成されていた:共和党( 148 議席)、社会・環境主義
党( 65 議席)、中道連合( 55 議席)、民主社会欧州連合グループ( 15 議席)、共産党・共和・市民・環境
主義グループ( 15 議席)、共和国・地方 / 独立派( 13 議席)、環境主義・連帯・地方( 12 議席)、諸派・無
所属(2議席)。
フランスの大統領選挙が 2022 年4月 10 日および 24 日の日曜日に実施された。共和国前進( La République
En Marche )のエマニュエル・マクロン氏が極右政党である国民連合( Rassemblement National )のマリー
ヌ・ルペン候補を破って再選された。
大統領の陣営は、 2022 年6月 12 日と 19 日に行われた立法府の選挙の枠組みの中でフランス国民議会にお
いて絶対過半数を獲得することができなかった。それ以来、議会において過半数に満たなかったことで、
政府が計画していた改革の一部の実施が難航した。それでも労働組合の反対や重要なデモにも関わらず、
年金制度改革は最終的に 2023 年4月に採択された。
(ii) 外交関係
フランスは、 1957 年の欧州経済共同体 (EEC) (後に欧州連合 (EU) )の設立加盟国のひとつであり、フラン
スとドイツの強い提携関係を基礎とするヨーロッパの統合が、 EEC 設立以来フランスの外交方針の支柱と
なってきた。
フランスは各種の国際機関に加盟している。その主なものは、フランスが設立加盟国のひとつであり安
全保障理事会の常任理事国でもある国際連合、設立加盟国のひとつである欧州理事会、国際復興開発銀行
( 世界銀行 ) 、国際通貨基金 (IMF) 、欧州復興開発銀行 (EBRD) 、経済協力開発機構 (OECD) 、世界貿易機関
(WTO) である。さらにフランスは、北大西洋条約機構 (NATO) に加盟している。
262/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
② 経済
(a) 国内総生産
2022 年、フランス経済は、高インフレを背景に減速した。国内総生産( GDP )は数量ベースで( 2021 年の
+6.4 %の後) 2.5 %成長した。この成長は主に 2021 年からの持ち越し効果によるものであった。
家計消費は( 2021 年の 5.9 %の後) 2.4 %増加し、公共消費と総固定資本形成はそれぞれ( 2021 年の 3.0 %
の後) 1.8 %と( 2021 年の 10.3 %の後) 2.2 %増加した。
輸入は 好調を維持した( 2021 年の +9.4 %の後、 +8.6 %)一方で、輸出のペースは若干鈍化( +11.0 %の
後、 +7.1 %)したため、実質 GDP 成長率に対して正味対外貿易の貢献度はマイナス寄与( -0.6 パーセントポ
イント)となった。在庫の増減がプラスに寄与した( +0.7 パーセントポイント)。
2022 年国民経済計算
GDP およびその内訳
増減率
( 恒常価格による前年比、% ) 2022 年
金額 名目価値の GDP 成長
物価変動
( 単位: 変化 への貢献
2022 年 /2021
2020 年 2021 年 2022 年 十億ユーロ ) 年 ( % ) ( % ) ( %ポイント )
国内総生産 (GDP) -7.5 6.4 2.5 2,639.1 2.9 5.5 2.5
輸入 -12.3 9.4 8.6 1,017.7 17.4 27.4 2.7
家計最終消費支出額 -6.5 5.9 2.4 1,825.1 3.5 6.0 1.7
一般政府の集団消費
支出 -0.7 3.0 1.8 217.6 4.2 6.0 0.1
総固定資本形成 -6.8 10.3 2.2 665.0 6.3 8.6 0.5
・非金融企業 -5.4 9.9 3.6 371.9 5.3 9.1 0.5
・家計 -8.6 15.4 -1.4 158.9 8.4 6.9 -0.1
・一般政府 -5.2 2.4 1.5 98.4 7.7 9.2 0.1
在庫の増減
( GDP に対する貢献) -0.2 -0.6 0.7 33.7 - - 0.7
輸出 -16.9 11.0 7.1 915.4 13.7 21.8 2.1
出典:フランス国立経済研究所( INSEE )-国民所得統計- 2014 年基準
263/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
(b) 経済の主要部門
2022 年、 付加価値は 2021 年の +6.1 %の歴史的な成長率 ( ポストコロナのリバウンド ) に続き、数量ベース
で 2.7 %増加した。
産業の付加価値は緩やかに減少した( -1.5 %)。この減少は主に鉱業・採石業、電気、ガス、蒸気およ
び空調供給部門の成長の落ち込み (-10.2 % ) によるものであった。建設部門も僅かに減少した (-0.3 % ) 。
サービス部門では、特に主に市場サービスで付加価値が増加した (+4.4 % ) 。
活動毎の付加価値(価格連動型)
( 単位:十億ユーロ )
2022 年 /2021 年
2020 年 2021 年 2022 年
( % )
農林水産業 30.3 29.0 31.1
7.5
産業(建設業を除く。) 262.0 272.3 268.2
-1.5
鉱業・採石業、電気、ガス、蒸気および空調供給
業、水供給、下水処理、廃棄物処理および浄化 47.1 49.4 44.3
-10.2
食品、飲料およびタバコ製品製造 44.1 44.9 45.2
0.7
コークスおよび石油精製品製造 6.0 2.1 2.7
28.2
電機、電子、情報機器、機械の製造 29.4 31.1 31.1
-0.1
自動車、トレーラー、セミトレーラーおよびその
他輸送機器製造 19.6 20.6 21.1
2.1
その他工業製品製造 117.8 122.9 122.9
0.0
建設 101.4 108.2 107.9
-0.3
主に市場サービス 1103.6 1179.5 1231.4
4.4
卸売、小売、自動車およびバイクの修理、運輸・
倉庫、宿泊および食品サービス業務 319.4 344.9 360.2
4.4
情報通信 118.7 128.9 136.9
6.2
金融・保険 91.2 104.2 103.5
-0.6
不動産 257.9 261.6 264.6
1.1
専門科学技術、行政およびサポートサービス業務 273.0 291.8 305.9
4.8
その他サービス 44.6 50.4 61.3
21.6
(1)
主に非市場のサービス 429.9 456 .8 461 .9
1.1
合 計 1926.9 2045.0 2099.9
2.7
(1) 「主に非市場のサービス」項目は、「行政と国防」、「強制加入の社会保障」、「教育」および「保健および社会福祉」項目を一括
した分類である。
出典:国民所得統計 -2014 年基準( INSEE )
264/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
(c) 雇用情勢
COVID-19 危機の数年前から、労働市場の構造的な改革( 2016 年のエル・コムリ法および 2017 年のマクロ
ン法による)により支えられて、 2022 年には就業率の上昇傾向が続いた。
2022 年、フランスの失業率(労働人口に対する比率、国際労働事務職( BIT )の定義による)はさらに低
下して、ピークだった 2015 年の 10.3 %から 2022 年には 7.3 %となった。
2020 年 2021 年 2022 年
就業率(%)
15-24 歳 28.9 32.4 34.8
25-49 歳 81.1 81.8 82.5
50-64 歳 64.5 65.3 66.0
15-64 歳の就業率 66.1 67.3 68.2
失業率(%)
失業率(対労働人口) 8.0 7.9 7.3
男性失業率(対男性労働者) 8.1 8.0 7.5
女性失業率(対女性労働者) 8.0 7.8 7.1
出典: INSEE
(d) 賃金および物価
物 価
平均して、 2022 年にインフレは上昇し、 2021 年の 1.6 %、 2020 年の 0.5 %に対して、 2022 年には 5.2 %に達
した。この大打撃は、主としてウクライナでの紛争による石油価格および食品価格によるものであった。
2023 年
2017 年 2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年 第1四半期
消費者物価指数
年間上昇率(%) 1.0 1.9 1.1 0.5 1.6 5.2 6.0
出典: INSEE
賃 金
市場セクターの名目賃金上昇率は、 2022 年には著しく上昇した( +3.3 %)が、実質ベースでは、非常に
高いインフレにより、賃金は大幅に減少した( 2021 年の -0.1 %に対して -1.9 %)。
2017 年 2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
賃金 *
名目ベース 1.3 1.5 1.7 1.5 1.5 3.3
実質ベース 0.3 -0.4 0.6 1.0 -0.1 -1.9
出典: INSEE 、雇用省調査統計局( DARES )
* 変化率%
265/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
③ 貿易および国際収支
貿易
品目別輸出入収支
2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
( 単位:十億ユーロ )
農林水産物 1.2 1.4 1.0 0.7 4.8
(1)
-31.6 -29.3 -13.8 -24.1 -83.8
採石業、エネルギー、水
食品、飲料およびタバコ 6.1 6.7 5.2 7.9 5.8
コークスおよび石油精製 -11.0 -13.3 -10.1 -16.1 -24.5
(2)
-31.0 -33.1 -33.3 -42.3 -46.4
電気機器、電子機器およびコンピュータ機器製造
輸送機器製造 28.1 28.8 5.9 10.5 13.3
その他工業製品製造 -19.5 -15.1 -21.2 -26.0 -38.0
その他 15.3 11.6 0.7 22.6 41.3
収支 (CIF-FOB) -42.3 -42.1 -65.7 -66.7 -127.6
収支 (FOB-FOB) -23.9 -23.3 -49.3 -47.1 -102.3
(1) 汚水処理および汚染防止を含む。
(2) 機械の製造を含む。
出典: INSEE- 国民所得統計 -2014 年基準
266/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
国際収支
( 単位:十億ユーロ ) 2021 年 2022 年
経常収支 9.0 -56.8
財貨 -67.4 -136.7
サービス 36.4 48.8
所得 40.0 31.1
資本収支 11.7 10.8
金融収支 3.0 -104.2
直接投資 -9.7 -10.0
- 国外
64.9 82.5
- フランス国内
74.6 92.5
証券投資 -5.3 -138.4
- 資産
98.8 5.2
- 負債
104.1 143.5
金融デリバティブ 17.8 -41.1
その他の投資 -22.6 83.3
準備資産 22.8 1.9
誤差脱漏 -17.7 -58.3
出典:フランス銀行
2022 年には、経常収支は、 2021 年の 9.0 十億ユーロの黒字に対して -56.8 十億ユーロ( GDP の 2.2 %)とマ
イナスに転じた。実際、 2021 年と比較すると、財貨収支の赤字は拡大したが、サービス収支の黒字は拡大
し、所得収支の黒字は若干縮小した。
2021 年の金融収支(諸外国に対する金融資産から金融負債を差引いたもの)の僅かな黒字( +3.0 十億
ユーロ)は、主に「ポートフォリオ投資」の影響で 2022 年には大幅なマイナス( -104.2 十億ユーロ)に転
じた。
267/268
EDINET提出書類
フランス預金供託公庫(E30816)
有価証券報告書
④ 財政
一般政府赤字は、 2021 年の 6.5 %、 2020 年の 9.0 %を経て、 2022 年には GDP の 4.7 %となり、 GDP に占める支
出の割合は 58.1 %( 2021 年の 59.1 %、 2020 年の 61.3 %の後)に低下したが、歳入は増加し、 GDP の 53.4 %
( 2021 年の 52.6 %、 2020 年の 52.4 %の後)に達した。
国の赤字は拡大したが、これは 2022 年の SNCF Réseau の債務が 10.0 十億ユーロに達したことによるもので
あった。この債務を除くと、国の赤字は 5.5 十億ユーロ減少した。社会保障行政の収支は、 2021 年の 17.2 十
億ユーロの赤字から黒字( +9.2 十億ユーロ)に転じた。地方政府の収支もより小幅ながら改善した( 2021
年の -0.8 億ユーロから 2022 年には +0.8 億ユーロ)。
強制税率は 2021 年の 44.3 %から 2022 年には 45.3 %へと 1.0 ポイント上昇した。
マーストリヒト中央政府の債務は、 2021 年の 112.9 %、 2020 年末の 114.6 %を経て、 111.6 %( -1.3 ポイン
ト)に上昇した。
一般政府会計の主要項目(対 GDP 比%)
2020 年 2021 年 2022 年
歳出 61.3 59.1 58.1
歳入 52.4 52.6 53.4
財政収支 (マーストリヒト条約の定義による) -9.0 -6.5 -4.7
政府債務 (マーストリヒト条約の定義による) 114.6 112.9 111.6
強制的な賦課金 (帰属社会負担を除く。) 44.3 44.3 45.3
出典: INSEE- 国民所得統計 -2014 年基準
268/268