モンクレール・エスピーエー 有価証券報告書
提出書類 | 有価証券報告書 |
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提出日 | |
提出者 | モンクレール・エスピーエー |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
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モンクレール・エスピーエー(E30200)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2022年6月30日
【事業年度】 自 2021年1月1日
至 2021年12月31日
【会社名】 モンクレール・エスピーエー
(Moncler S.p.A.)
【代表者の役職氏名】 取締役会長兼兼最高経営責任者 レモ・ルッフィーニ
(Remo Ruffini,
Chairman of the Board of Directors and Chief Executive Officer)
【本店の所在の場所】 イタリア、ミラノ20144、エリンコ・ステンダール通り47
(via Enrico Stendhal, 47 20144 Milan, Italy)
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 後 藤 一 光
【代理人の住所又は所在地】 東京都港区六本木六丁目10番1号 六本木ヒルズ森タワー23階
TMI総合法律事務所
【電話番号】 (03)6438-5511
【事務連絡者氏名】 弁護士 花 枝 裕 美 子
【連絡場所】 東京都港区六本木六丁目10番1号 六本木ヒルズ森タワー23階
TMI総合法律事務所
【電話番号】 (03)6438-5511
【縦覧に供する場所】 該当事項なし
(注) 1. 本書において、別段の記載がある場合を除き、「当社」とは、モンクレール・エスピーエー(Moncler
S.p.A.)を意味し、「当グループ」とは、当社およびその連結子会社を意味するものとする。
2. 当社の事業年度は各年の12月31日に終了する。
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3. 本書記載の「円」は日本国の法定通貨を、「ユーロ」は欧州共同体設立条約(その後の改正を含む。)
に基づき欧州経済通貨同盟に参加している欧州連合加盟国の統一通貨を指すものとする。本書において
便宜上記載されている日本円への換算は、1ユーロ=138.29円の換算率(2022年6月1日現在の株式会
社三菱東京UFJ銀行による対顧客直物電信売買相場の仲値)による。
4. 本書記載の各種金額およびパーセントは四捨五入されているため、合計は係数の総和と一致しない場合
がある。
5. 将来予測に関する記述について
本書は、将来予測に関する記述を含んでいる。本書に含まれる歴史的な事実の記述を除く全ての記述
が、将来予測に関する記述であり、これには、当グループの将来の財務状態及び経営成績、経営戦略、
予算、当グループが営業する市場、予想原価(projected costs)並びに将来の事業に向けた経営計画
及び目標等が含まれる。さらに、将来予測に関する記述は、将来予測に関する用語の使用により特定さ
れ得る。これらの用語には、「可能性がある」、「であろう」、「予測する」、「意図する」、「見積
もる」、「考える」若しくは「継続する」又はその否定形や組合せのほか、類似する用語が含まれる。
当グループは、これらの将来予測に関する記述において述べられている予想は合理的であると信じてい
るが、かかる将来予測に関する記述は現時点における経営陣の判断に基づくものであり、同記述に関し
ていかなる保証も提供するものではない。予想成績を達成する当グループの能力は、コントロールが及
ばない多くの要因に左右される。実績は、将来の予測に関する記述において予想又は含意された成績と
重大な相違が生じ、又は当該予測を下回る可能性がある。将来予測に関する情報は、予想成績に重大な
影響を与え得るリスクと不確実性を伴っており、一定の重要な前提に基づくものである。実績に重大な
マイナスの相違をもたらし得る要因には、次のものが含まれる。
・当グループが、新しい、かつ、変化する消費者の趣向をつかみ、それに対応するとともに、好ましい
ブランド認知を維持する能力
・当グループが戦略的計画を遂行することができるか否か
・既存店舗の賃貸借契約を更新し又は代替させる当グループの能力
・小売チャネル網を首尾よく拡大し当該拡大の費用を巧みに賄う当グループの能力
・卸売流通パートナーとの関係を維持する当グループの能力及び当該パートナーが質の高い基準を維持
できないかもしれないリスク
・第三者の製造業者に対する当グループの依存、及び当該第三者の製造業者が迅速に商品を出荷せず、
当グループの基準に従って商品を製造せず、又は適用法令に従って業務を遂行しない可能性
・当グループの事業に必要な半製品又は原料の価格若しくは品質の変動若しくは利用可能性の途絶
・当グループの事業の季節間格差に関するリスク
・重要な社員及び経営者に対する当グループの依存
・当グループが為替関連リスクにさらされていること
・物流センター及び当グループの事業に重要なその他の一定の施設に対する当グループの依存
・当グループの関係者との商業上の関係及びコンサルティング関係
・当グループの多額の負債及び無形資産に関連するリスク
・総体的な経済又は市場の状況におけるマイナスの変化
・競争相手と有効に競争する当グループの能力
・特に商標権侵害及び商品の偽造に関し、知的財産を保護する当グループの能力
・様々な国際経済的リスクや、規制上及び政治上のリスクにさらされながら、世界中の多くの国で首尾
よく営業する当グループの能力
「第二部 企業情報 第3-4 事業等のリスク」に詳述された前述の要因その他は、網羅的なものと
解釈してはならない。当グループの将来の業績および当グループが営業する産業に影響を与える可能性
がある要因を、より完全な形で理解するため、「第二部 企業情報 第2-3 事業の内容」、「第二
部 企業情報 第3-4 事業等のリスク」および「第二部 企業情報 第3-7 財政状態、経営成
績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をあわせて参照されたい。将来の予測に関する記述に対し過
度に依存してはならない。同記述は、本書提出日現在における判断にすぎない。この注意喚起文言は、
当グループが将来発行する可能性のある、いかなる書面又は口頭による将来予測に関する記述との関係
でも考慮されるべきである。当グループは、本書提出日後、後発事象若しくは状況を反映するため又は
予期しない事象の発生を反映するために、将来予測に関する記述の改訂を公表するいかなる義務も負う
ものではない。
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第一部【企業情報】
第1【本国における法制等の概要】
1【会社制度等の概要】
(1)【提出会社の属する国・州等における会社制度】
以下は、当社株式及び当社の定款(statuto)の一部の規定に関する一定の情報並びに本書提出日現在において有効なイ
タリア法の概要である。
株主総会
株主総会及び少数株主権に関するイタリア法は、株主の権利に関するEU指令2007/36/EC(EU Directive 2007/36/EC)を
改正するEU指令2017/828を実施する2019年政令第 49 号(Legislative Decree No. 27/2010)によって改正された。主な改
正点は、株主総会の基準日、招集及び機能、議決権の代理行使並びに情報の取得にかかる権利等、株主の権利を強化し、
当社の株主総会は、定款第8条に従って、イタリア国内又は当社が直接若しくは子会社を通じてその企業活動を行う国に
おいて開催することができる。統一財務法(Unified Financial Act)第83の6条第2項により、株主総会の開催日の7
取引日前の日(いわゆる基準日)の営業終了時点における最終の記録に基づき、当社が仲介機関からその者のための通知
を受領した者は全て、株主総会に出席する権利を有する。かかる権利者は、基準日後にその株式を譲渡した場合において
も、株主総会に出席し、また、議決権を行使することができる。反対に、基準日後に株式を取得した買主は、株主総会に
出席する権利を有しない。ただし、当該買主は、該当する場合には、株主総会決議の効力を争い、又は株式買取請求権を
行使することができる。
株主は、本人が又は統一財務法(Unified Financial Act)の代理規定に従い代理人によって、株主総会に出席すること
ができる。代理権は、統一財務法(Unified Financial Act)第135の9条及び第135条の10条に従い、個人又は法人に対
して、書面により又は電子的に授与することができる。
当社定款第10条は、適用されるイタリア法の規定に準拠して授権される代理人を通じ、株主が包括的に代理されることを
認めている。当該代理人の選任は、当社に対して通知されなければならず、これは電子的方法により行うことができる。
電子的方法による代理人通知は、株主総会の招集通知について定めた手順に準拠して、送信される。当社定款第10.2条に
よると、当社は、株主が代理権を授与できる代理人を当社が各株主総会において1名のみ選任できる( rappresentante
designato dalla società )とする統一財務法(Unified Financial Act)の規定を利用しないものとされている。
また、統一財務法(Unified Financial Act)によると、1名以上のプロモーターは、目論見書及び委任状用紙が公表さ
れることを条件として(委任状勧誘に関する規則は、議決権行使の手続きに影響を与える記載がされていないことを条件
として、200名以下の株主に対して行われる勧誘については適用されない。)、200名を超える株主に対して委任状勧誘を
行うことができる。委任状勧誘に関する一般規則(目論見書を公表する義務を含む。)は、統一財務法(Unified
Financial Act)第141条が定める要件を充足する株主協会の会議による勧誘には適用されない。
イタリア法によると、株主総会は、定時株主総会又は臨時株主総会のいずれかであるとされている。株主総会は、必要な
場合又は適切と認められる場合において、当社の取締役会により招集される。当社の株主総会は、(i)当社資本金の5%
以上を有する保有者による請求後遅滞なく、(ii)当社の年次財務諸表を承認するため当社の取締役会によって、(iii)取
締役会若しくは法定監査役会がそれぞれ当社株主に対する忠実義務に違反し若しくはイタリア法の規定に準拠して株主総
会を招集しなかった場合に、法定監査役会若しくは管轄権を有する裁判所によって、又は、(iv)取締役会が株主総会の招
集を不当に遅滞した場合若しくはこれを怠った場合に法定監査役会によって、招集されなければならない。また、株主総
会は、法定監査役会の構成員2名以上により、招集することもできる。裁判所は、当該株主総会を請求した株主による申
立後、取締役会及び法定監査役会との協議の上、決定により当該株主総会の招集を命じることができ、また、株主総会の
議長を務める者を選任することとされている。
株主は、当社のウェブサイト上での通知の公表により、また、イタリア証券取引委員会(CONSOB)の要件に従い当該株主
総会の指定日の30日前までに、開催される全ての株主総会について通知を受ける。損失による資本金の額の減少又は法定
最低要件を下回る資本金の額の減少に関連する株主総会及び事業の任意解散に関する株主総会については、通知期間は21
日に短縮される。公開買付けの決定のために招集される株主総会については、通知期間は15日に短縮される。取締役会又
は法定監査役会の選任のために招集される株主総会の通知期間は、40日に延長される。定時株主総会及び臨時株主総会
は、定款に第二次又は第三次招集についての定めがない限り、一度の招集によって開催される。定款に定めがある場合に
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は、最初の通知には、第一次又は第二次の株主総会において定足数が満たされなかった場合に備えて、第二次又は第三次
の株主総会の日を特定しておくことができる。かかる予備的な株主総会の日は、一般的に「予備的招集日」といわれる。
第二次招集又は第三次招集の日が通知に記載されていない場合、第二次招集又は第三次招集は、前の招集から30日以内に
行われなければならず、また、いかなる場合においても、前の招集と同じ日には行われないものとする。第二次招集又は
第三次招集による株主総会の通知は、議案を変更せずに、当該株主総会の日の10日前までに公表されなければならない。
さらに、通知がなされなかった場合においても、株主の100%が出席し、かつ、取締役及び監査役の過半数が株主総会に
出席した場合には、株主総会は正当に開催されたものとみなされる。ただし、出席者は、事前に適切な通知がなされな
かった事項の議論について異議を唱えることができる。
当社の取締役は、株主総会の通知が公表される前に、イタリア証券取引委員会(CONSOB)の要件に従い、当社の登記簿上
の本店及び当社のウェブサイトにおいて、株主総会の議案に関連する提案の書類を公表しなければならない。
株主は、株主総会の開催日前に議案における項目について質問をする権利を有し、これは当社のウェブサイト上に掲載さ
れているQ&Aの方法による。当社は、株主総会前又は株主総会中に、これに回答しなければならない。
統一財務法(Unified Financial Act)によると、単独又は共同で資本金の2.5%以上を保有する株主は、株主総会の通知
が公表された日から10日以内に、提案する追加項目を明記の上、議案の追加又はすでに提案されている議案についてこと
なる決議を要求することができる。当該議案の追加は、取締役が提案した議案について決議するために法によって株主総
会が要求される事項又は取締役が作成した計画若しくは書類に基づく統一財務法(Unified Financial Act)125条3項所
定の事項とは異なる事項については行うことができない。議案の追加を請求した株主は、議案に追加するよう提案した事
項に関する書類を作成しなければならない。
株主総会において可決された決議は、反対株主又は欠席株主を含め、全ての株主を拘束する。ただし、イタリア法に基づ
き、欠席株主、棄権株主又は反対株主のうち、単独又は共同で、可決された決議について当社資本金の1/1000の議決権
付き株式を保有する株主は、適用法令又は当社の定款に違反する決議を取り消すため、当社の本店所在地を管轄する裁判
所に対して異議申立てをする権利を有する。また、全ての取締役及び法定監査役は、これと同じ要件の下決議に対して出
訴することができる。当該異議申立ては、決議が行われた日から90日以内になされなければならず、又は、企業登記への
登記が必要とされる決議の場合においては、登記から90日以内になされなければならない。
また、株主総会の招集がなされなかった場合、株主総会議事録が作成されなかった場合、及び違法又は履行不能な事項に
ついて議決された場合において、株主総会決議が可決されたときは、決議が企業登記に登記された日から3年以内、決議
が当該登記の対象とならない場合には決議が企業登記に登記された日から3年以内、また、決議が登記の対象とならない
場合には議事録が関連する会社書類に登録された日から3年以内に、利害関係人は、かかる決議について異議を申し立て
ることができる。さらに、履行不能又は違法な活動を会社の目的に含める旨変更する株主総会決議に対する異議について
は、期間による制限はない。また、一定の場合において適用法令は、反対株主、欠席株主及び棄権株主に対して、株式買
取請求権を与えている。かかる株式買取請求権が行使された場合、当社は、直近6ヶ月間における株式の期末日の平均株
価において、株式買取請求権を行使した株主が保有する株式を買い戻すものとされる。買戻しは、当社の使用可能な準備
金又は当社の資本金の額の減少により行うことができる。
全ての株主に適用される規制のほか、特に非居住者又は外国人が株式を保有し又は議決権を行使する権利に対して適用さ
れるイタリア法又は当社定款に基づく規制は、何ら存在しない。
2014年6月24日法令91号(Law Deree No. 91 of June 24, 2014)は、2014年8月11日法令116号(Law No. 116 of
August 11, 2014)によって修正され、当該法令によって統一財務法(Unified Financial Act)が改正され、議決権の増
加及び複数議決権に関する新たなルールが導入された。特に統一財務法(Unified Financial Act)の新127条5項は、上
場会社は、一定の条件を満たせば、定款に定めることにより、特別のリストに記載されてから過去24か月間連続して保有
する株主の1株の議決権を最大2議決権まで議決権を増加させることができると定めている。前述の法令による改正後の
統一財務法(Unified Financial Act)の新127条6項は、上場会社の定款には、複数議決権についての定めを設けること
ができず、当該定めはイタリア民法(Italian Civil Code)に基づきイタリアの規制された市場への上場前に規定を設け
ていた株式会社のみが引き続き当該定めを存続させることができると定めている。当社の定款は、議決権の増加について
の定めを設けていない。
定時株主総会
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定時株主総会は、最低毎年1回、招集されなければならない。当社定款第8条は、当社の事業年度終了後120日以内、又
は、特別の事情がある場合には当社の事業年度終了後180日以内に、定時株主総会が招集されなければならないと規定し
て いる。当社の事業年度末から120日よりも後に、非連結年次財務諸表を承認するための定時株主総会が招集される場
合、取締役は、年次財務諸表に含まれる取締役報告書において、当該遅延の理由を述べなければならない。当社の非連結
年次財務諸表は、株主の承認を得るため、定時株主総会に提出される。この定時株主総会において、株主は、配当の分配
の承認(該当する場合)、取締役、法定監査役及び社外監査役の選任又は解任並びに報酬の額の決定、取締役及び法定監
査役の責任に関する議決権の行使、株主総会に関する規則の承認、並びに、適用法令及び定款により株主の決議を要する
とされたその他事業上の事項の決定も行う。
定時株主総会については、特段定足数の定めはない。したがって、最初の招集に基づく決議において、(出席又は委任状
によって行使された議決権の賛成が反対を上回る場合に、決議が成立することになる。
臨時株主総会
臨時株主総会は、とりわけ、定款の改訂、合併、合併の解消、会社分割、増資及び減資並びにイタリア国内における当社
の本社の移転を決議するために招集することができる。
臨時株主総会は、総議決権の5分の1以上を表象する株式を保有する株主の出席(実際の出席又は委任状による出席)が
ある場合に、最初の招集に基づく決議が成立する。最初の招集に基づく臨時株主総会の決議は、出席株主の3分の2以上
の賛成がある場合に成立する。
取締役会
当社の取締役は、通常、当社の定時株主総会において、1会計年度から3会計年度の任期で選任される。適用されるイタ
リア法によると、当社の取締役は、候補者名簿制度を通じて選任され、連続して再選されることができる。取締役は、株
主の決議により、いつでも解任することができる。ただし、正当な理由なく解任された場合、取締役は、当社に対して損
害賠償請求をすることができる。当社の取締役は、取締役会及び法定監査役会の議長に対する書面通知により、いつでも
辞任できる。かかる解任又は辞任に加え、取締役会は、当社の法定監査役会の承認を得ること及び取締役会の過半数が当
社の株主により指名された取締役で構成されていることを条件として、補欠取締役を選任することができる。
イタリア法の定めるところにより、取締役会は、当社の事業運営について完全な権限を有する。取締役会の権限には、
(i)当社及び当グループの戦略計画、産業計画及び資金調達計画の審査及び承認、(ii)戦略的意義を有する当社及びその
子会社の一般組織システム、管理システム及び会計システムの妥当性評価、(iii)当社及び当グループの経済実績及び財
務実績の定期評価、(iv)当社のコーポレート・ガバナンス及び当グループの体制の決定、並びに、(v)当社及び/又はそ
の子会社が関与する重要な戦略取引又は金融取引の承認が含まれる。
取締役会は、イタリア法及び当社定款に規定された範囲内で、取締役会の委員会及び/又は経営取締役にその全権を委任
することができる。
取締役会は、当社の議長が必要と判断した場合又は2名以上の取締役が要求した場合に、取締役会において審議する事項
を記載した通知を取締役会の日の5日前までに(又は、緊急の場合には1日前までに)送付することにより、当社の議長
が招集することができる。また、取締役会は、法定監査役会又は監査役により招集することもできる。取締役会に必要と
される最低定足数は、当社の在任取締役の過半数である。取締役会の決議は、出席取締役の過半数により可決される。
当社の取締役会は現在12名で構成されており、 いずれも2022年4月21日に開催された株主総会により 選任された。 すべて
の取締役の任期は、2024年12月31日現在の財務諸表を承認するための定時株主総会の日までである。
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取締役会に対する会社及び株主の訴訟
イタリア民法第2393条に従い、取締役会の構成員に対する会社による訴訟は、定時株主総会により可決された決議又は法
定監査役会により可決されその構成員の3分の2以上により承認された決議に基づいて行うことができる。当該訴訟は、
取締役の退任後5年間提起することができる。さらに、上場会社の場合においては、資本金の2.5%以上(又は定款で定
められた、これを下回る割合以上)を保有する株主によって、取締役会に対する株主訴訟を行うことができる。
法定監査役会
当社は、イタリア民法に基づき、監査機関として監査役会(Collegio Sindacale)を設置する必要がある。少なくとも、
1名以上の正規の構成員及び1名以上の補欠の構成員は法務省による公認会計士登録( Registro dei Revisori )に登録
されていなければならない。法定監査役は、定時株主総会により、3年の任期で選任される。
当社の法定監査役会は、2020年6月11日の株主総会で選任された3名の正規の構成員及び2名の補欠の構成員副委員によ
り構成されており、2022年12月31日現在の財務諸表を承認する定時株主総会の日まで在任する。
会社経営の統制及び監査に関連する以下の義務は、法定監査役会に委任されている。
・ 法令及び定款の定めが遵守されていることの監督
・ 正しい経営原則、特に会社が採用する組織構造、管理体制及び会計制度についての妥当性、並びにそれらが実務
上どのように機能しているかの監督
・ 会社の年次財務諸表が民法及びその他関連法令の関連規定に従って作成されたことの確認
法定監査役会は、取締役会及び株主総会に出席しなければならず、また、90日に1回以上の頻度で監査役会を開催しなけ
ればならない。法定監査役会は、会計年度の結果及びその義務を履行するために行った活動に関する報告書を作成しなけ
ればならず、この報告書においては、賛成意見又は反対意見と共に、会計に関する見解又は提案を述べることとされてい
る。
法定監査役会は、次の場合には、株主総会を招集することができる。(i)取締役会又は法定監査役会が、株主に対する
忠実義務に違反した場合、(ii)イタリア法の定めに従って株主総会が招集されなかった場合、若しくは(iii)取締役
会が不当に株主総会の招集を遅滞し又は怠った場合。株主総会は、法定監査役会の2名以上の構成員によっても招集する
ことができる。
前述のとおり(「取締役会に対する会社および株主の訴訟」参照)、監査役会は、イタリア民法第2393条(3)に定める
限度内で取締役会に対して訴訟を提起することもできる。
法定監査役会は、少数株主権を守るための監査機関としても機能する。株主は、不当と判断した事項又は行為について法
定監査役会に報告することができ、法定監査役会は、株主総会への報告を行うに際して、かかる申立てを考慮しなければ
ならない。2%以上の株式を保有する株主が法定監査役会に対してかかる報告を行った場合、法定監査役会は、遅滞なく
調査を行い、株主総会において調査結果を報告し勧告を行わなければならない。取締役の義務履行につき深刻な不正があ
ると疑われる根拠がある場合には、5%以上の株式を保有する株主は、裁判所に対してかかる不正を報告し、その後かか
る訴訟を取り下げ又は和解する権利を有する。
個々の法定監査役は、その発言の正確性及び真実性につき各自責任を負い、また、監査役が適切にその義務を履行してい
れば損失が回避できたと認められる場合において、取締役の行為又は不作為につき取締役と共同して責任を負う。
株式の種類
当社の株式は全て1個の議決権を有する普通株式である。現在、その他の種類の株式は発行されていない。
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貯蓄株式
イタリア証券取引所(Borsa Italiana)又はその他のEU加盟国の規制された市場に株式を上場しているイタリアの会社
は、配当の支払いについて優先権を有する一方で、議決権を有しない株式である貯蓄株式( azioni di risparmio )(た
だし、普通株式の株主総会の決定により貯蓄株式の株主の権利が影響される場合等に当該貯蓄株式の保有者により別途開
催される総会における議決権を除く。)を発行することができる。本書提出日現在において、当社は貯蓄株式を発行して
いない。
当社株式の種類及び譲渡
1999年1月1日以降、株主は、イタリアの上場会社の株券を券面によって受領することができないこととされている。イ
タリアにおいて上場している会社の株式は、もはや紙媒体の証券によって表章されるものではなく、株式の譲渡及び交換
は、イタリア、ミラノ、ピアッツァ・デジリ・アファーリ6にその登記簿上の本店を有する集中証券決済機関であるモン
テ・ティトーリ(Monte Titoli)により運営される電子振替決済制度を通じてのみ行われるものとされている。そのた
め、全ての株式は、その所有者によってモンテ・ティトーリに参加している認定金融仲介機関に預託されなければならな
い。仲介機関は、モンテ・ティトーリ(Monte Titoli)又は集中証券決済機関を運営することについて、イタリア証券取
引委員会(CONSOB)により認定された他の会社(ルクセンブルグのユーロクリア又はクリアストリーム等)に株式を預託
する。2018年8月13日付CONSOB-イタリア銀行指令(振替決済、決済サービス、保証制度及び関連する運用会社を定める
規則をいい、以下「共同規則」という。)第13条に基づき振替決済制度への加盟が認められた参加者を含む。
共同規則第14条において言及される金融商品(とりわけ、株式、社債及び投資ファンドの持分を含む。)の発行者は、発
行者としての能力において適格であるものとする。
株式の権利を譲渡する場合、譲渡人及び譲受人はそれぞれの仲介機関に対して指示することが要求されている。譲受人が
譲渡人の仲介機関の顧客である場合、仲介機関は、単に譲渡人の口座から譲受人の口座に対して株式を移転させることと
なる。しかしながら、譲受人が別の仲介機関の顧客である場合、譲渡人の仲介機関は、譲受人の仲介機関の口座に株式を
移転するよう集中決済機関に対して指示し、その後、この譲受人の仲介機関が譲受人の口座に株式を登録することとな
る。
各仲介機関は、各顧客のための保管口座を有している。かかる口座は、各顧客の金融商品並びに全ての譲渡、配当支払
い、金融商品にかかる権利の行使及び当該商品の担保権又はその他負担の記録を示すものである。口座名義人又はその他
適格者は、仲介機関に対し、口座明細証明書の発行要求を提出することができる。かかる要求には、とりわけ、申込人の
名前、要求する明細証明書にかかる金融商品の数量、申込人が行使する予定の権利(株主の権利である場合には、株主総
会の日及び議案)及び要求する証明書の有効期間を記載しなければならない。仲介機関は、当該要求の受領から2営業日
以内に、記載された金融商品について口座名義人が所有権を有することを証する口座明細証明書を発行しなければならな
い。口座明細証明書の発行後、仲介機関は、明細書が無効となり又は返還されるまで、関連する株式の譲渡に影響を及ぼ
してはならない。株主総会において行使できる権利の場合、上記証明は、関連する会社に対する仲介機関の通知によって
代替される。
当社の当社株式は、モンテ・ティトーリ(Monte Titoli)に預託されている。そのため、株主は、当社株式を表章する株
券を物理的に受領することができない。その代わりに、当社株式の譲渡は、上記の手順によって可能とされている。
新株引受権
当社株式又はその他種類の株式の新規発行は、臨時株主総会において可決される株主総会決議によって認められる。イタ
リア法によると、株主(及び転換社債の保有者)は、(i)当社株式、(ii)当社株式に転換される債券及び(iii)保有者に当
社株式を取得する権限を与えるワラント、ライツ又はオプション等のその他商品の新規発行につき、その株式保有又は社
債保有に応じて申込みをする権利を有する。主に株主の権利の希釈化防止を目的として設定される一定の要件を充足し、
特別多数決によることを条件として、当該有価証券の特定の発行に関して、該当する全株主について、これら新株予約権
の全部又は一部が放棄又は制限されることがある。かかる権利放棄又は制限は、臨時株主総会の決議によってのみ行われ
るものとし、また、当社の利益のため必要とされる場合に限って行われるものとする。いずれの場合においても、かかる
新株引受権は、資本金の額の増加が現物出資によって行われる場合には適用されない。さらに、イタリアで上場するイタ
リアの会社の普通株式については、定款において定めることにより、発行済株式の10%までは、新株引受権を排除するこ
とを規定することができる(但し、新株予約権を付与することなる発行される普通株式の発行価格が、市場価格と同じで
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あり、外部監査人による報告書によって当該価格が確認されていることが条件とされている。)。当社の定款は当該除外
規定を設けている。
新規発行される当社株式が当社の従業員又はその子会社若しくは親会社の従業員に対して募集される場合においても、新
株引受権は制限されうる。イタリア法により、これらの場合において新株引受権を制限する決議は、臨時株主総会におい
て、かかる決議に必要とされる過半数の票によって可決されなければならない。
当社による当社株式の取得
当社は、本書提出日現在、4,858,416株の自己株式を保有しており、これは当社の発行済株式総数の1.8%に相当する。 た
だし、当社は、イタリア法により課せられる一定の条件及び制限のもと、また、株式が全額払込み済みであることを条件
として、当社株式を取得することができる。当該取得は、当社株主により定時株主総会において承認されなければなら
ず、また、承認済み非連結財務諸表における留保利益又は配当可能剰余金の中から支払われなければならない。再取得さ
れる株式の額面価格は、一定の場合を除き、以前より当社又は当社の子会社が保有している株式と合わせて、総額で当社
の発行済株式資本の20%を超えてはならない。かかる制限を超えて買い戻された株式は、取得日から1年以内に処分し又
は消却がされなければならず、資本金の額はこれに応じて減少するものとする。当社の子会社による当社株式の取得につ
いても、これと類似の条件及び制限が適用される。
当社が当社の自己株式を取得した場合、当社は貸借対照表に取得価額に対応する準備金を計上する必要がある。当該準備
金は、当該普通株式が第三者に対して処分され又は償却されるまで、配当に使用することができない。当社が取得し保有
する株式は、株主総会決議によってのみ処分することができる。当社は、保有する当社株式について議決権を行使し又は
配当を受け取る権利を有しない。当社(一定の場合は除く。)及びその子会社は、増資の際に新しい当社株式を引き受け
ることはできない。当社の子会社が保有する当社株式は、議決権を行使する権利を有しないものの、配当を受け取る権利
を有する。当社及びその子会社が保有する当社株式は、株主総会における定足数を算出する目的においては、これに含ま
れる。さらに、統一財務法(Unified Financial Act)は、上場会社による自己株式の取得及び上場会社の子会社による
当該上場会社の株式の取得は、株主間の公平を確保する方法により行われなければならないと規定している。これは、
(i)公開買付けの方法、(ii)市場規則が既定の売り注文と買い注文との直接マッチングを認めないことを条件として、規
制市場において行う方法、(iii)市場規則が一定の条件を定めることを条件として、規制市場において取引される金融派
生商品の売買による方法、又は、(iv)株主が保有する株式に関して、株主取得計画を認めた株主総会の定める期間中に行
使するべき取得請求権を株主に授与する方法をいう。一定の制限に従うことを条件に、当社の従業員又は当社の子会社若
しくは当社の親会社の従業員から当社が取得した株式について、上記は適用されない。
株式取得の通知
定款は、株主が株式保有割合を増加させた場合に、これを公に通知する義務については規定していない。しかし、統一財
務法(Unified Financial Act)及び1999年法令第11971号によると、イタリアの上場会社における合計株式保有割合が当
該上場会社の議決権付株式の 3 %を超え若しくは2%を下回った者(発行会社が1999年規則第11971/1999号(Regulation
No.11971/1999)第1条第1項w-quarterに定義される中小企業(以下「SME」という。)に該当する場合には5%)、又
は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、66.6%、90%若しくは95%に達し、若しくは3%、5%、10%、
15%、20%、25%、30%、50%、66.6%若しくは90%を下回った者は、4取引日以内にイタリア証券取引委員会
(CONSOB)及び上場会社に対して通知する義務を負うものとされている。統一財務法(Unified Financial Act)は、定
款で議決権の増加又は複数議決権付株式を発行することを企図する定めを設けている上場会社については、これらの割合
は総議決権に対する割合を意味すると定めている。
統一財務法(Unified Financial Act)は、時価総額が大きく幅広い株主層を有する会社については、イタリア証券取引
委員会(CONSOB)が、一定の期間、 3 %(SMEに該当する場合には2%)を下回る基準値を定めることができる旨規定し
ている。
会社の資本金の減少又は増加の結果、上記の基準値を超えた場合においても、通知義務が生じる。保有割合に関する基準
値の算出にあたっては、議決権の行使が停止されているか又は保有者若しくは第三者により議決権の行使が可能か否かに
かかわらず、保有される普通株式も考慮される。また、議決権の行使が可能な普通株式も含まれる。一定の場合を除き、
子会社、受託者若しくは仲介機関を通じて保有される普通株式又はこれにより議決権が行使可能な普通株式も含まれる。
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通知を怠った株主は、普通株式にかかる議決権を行使することができない。これに違反して承認された株主総会決議は、
当該議決権がなければ決議が可決されなかった場合においては(また、イタリア証券取引委員会(CONSOB)による訴訟提
起に基づき)、無効とされ得る。
1999年法令第11971号は、上場会社の議決権付株式の3%(SMEに該当する場合には5%)未満を保有する者が、(i)議
決権の行使に関する事項、(ii)議決権の行使に関する議決権の行使、または(iii)上場企業またはその親会社におけ
る支配的地位の共同ベースでの裁定の決定株主間契約の当事者である場合で、かかる株主間契約の他の当事者の株式保有
を考慮すると5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%及び66.6%の基準値に達し、これらを超え若しくはこれらを下
回る場合には、通知義務の対象となる旨規定している。かかる当事者は、イタリア証券取引委員会(CONSOB)及び当該上
場会社に対して(i)当該契約の対象となる総株式数、(ii)当該契約の対象となる直接又は間接に保有される株式数、及び
(iii)当該契約の対象とならない直接又は間接に保有される株式数を開示しなければならない。ただし、かかる情報が統
一財務法(Unified Financial Act)又は1999年法令第11971号の規定に従い、既に提供されている場合には、通知は必要
とされない。
上記の「金融商品持分」の定義に関して、開示義務は、ある者が以下のものの合計保有残高が、上場会社の議決権付株式
の5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%又は66.6%を超え、若しくは下回ることとなった場合に発生する。
(i) 潜在的権利(議決権付株式を原資産とするデリバティブ金融商品、又は保有者に対して、法的拘束力がある合
意に基づき、対象となる株式を実際に取得する無条件の権利、若しくは実際に取得する裁量権を与える権利を
付与するその他の金融商品若しくは契約)、及び
(ii) その他のロングポジション(議決権付株式を原資産とするデリバティブ金融商品、又はその他の金融商品若し
くは契約であって、(a)潜在的権利に該当しないものであり、かつ(b)原資産のパフォーマンスと正の関連
性を有する経済的利益の取得を決定する権限があるもの(原資産のパフォーマンスと負の相関関係がある金融
商品を有する者を相手方とする契約を含む。)
さらに、1999年法令第11971号第119条第2項に従い、上場会社についての直接又は間接の「通算保有持分」((ⅰ)株式
及び(ⅱ)金融商品持分の合計をいう。)が、当該上場会社の議決権付株式の5%、10%、15%、20%、25%、30%、
50%又は66.6%を超え、若しくは下回ることとなった場合には、当該通算保有持分の保有者は、「通算保有持分」が当該
上場会社の議決権付株式の5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%又は66.6%を超え、若しくは下回ることとなった
ときに、当該上場会社及びイタリア証券取引委員会(CONSOB)に対して、保有持分を開示する必要がある。当該通知義務
は、当該上場会社の株式数が増加し又は減少したことによって上記の基準値を超え又は下回ることとなった場合にも発生
する。
金融商品持分や通算保有持分の計算に際しては、同じ株式を原資産とするショートポジションとネッティングすることは
できない。
また、利息および金融商品への投資に関連する開示義務を課され、当該金融商品等の保有者が他の投資又は株式を保有し
ていない場合には、投資総額に関連する開示義務は適用されない。
同様の重要な保有に関する通知義務が支配会社及びその子会社の双方に適用される場合には、後者の通知義務は免除され
る。かかる場合においても、子会社が、支配会社が直接又は間接に保有するその他の株式保有を含め、完全な情報を提供
する場合には、これにより通知義務は満たされるものとされている。
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通知義務は、以下の場合には生じない。
・ 清算及び決済の目的だけのために、決済までの期間内で株式が取得された場合。
・ 議決権が書面又は電子的指示においてのみ行使可能な場合において、預託会社によって株式が保有される場合。
・ 10%の基準値を下回る株式又は金融商品持分がマーケットメーカーによって取得又は売却され、また、一定の条
件が満たされた場合。
・ 欧州中央銀行又は加盟国の国家中央銀行により、その金融権限機能の行使にあたって、株式が取得又は売却され
た場合。
・ 一定の場合において、イタリアの資産運用会社が、管理運営する投資ファンドを通じて、3%を超えるが5%を
超えない株式を取得した場合。
・ (i)5%未満の株式を取得し、(ii)当該取得が公募又はそのクロージング直後に行われ、(ⅲ)上場会社の
経営に干渉するために行使されず、(iv)18ヶ月以内に株式を売却することを誓約している場合。
相互保有制限
相互保有制限は、2つの会社間における相互の株式の保有を制限するものである。イタリアの上場会社間の相互保有は、
相互保有会社の議決権の3%(SMEに該当する場合は5%)を超えてはならず、また、上場会社及び非上場会社間の相互
保有は、上場会社の議決権の3%及び非上場会社の議決権の10%を超えてはならない。かかる基準値を超えた場合、2番
目に基準値を超えた方の会社は、基準値を超えた株式にかかる議決権を行使してはならず、また、超過株式を1年以内に
売却しなければならないとされている。当該会社が超過株式を1年以内に売却しない場合には、その全体の保有株式にか
かる議決権の行使が認められないこととなる。どちらの会社が基準値を後に超えたかを判定できない場合には、別途合意
した場合を除き、両会社に対して議決権の制限が適用される。相互保有制限に関する 3 %制限は、各会社の定時株主総会
において事前に認められた契約の後、2つの会社においてのみ超過していることを条件として、5%(SMEに該当する場
合は10%)にまで増加することができる。さらに、当事者が上場会社の資本金5%(SMEに該当する場合は10%)を超え
て保有する場合には、当該上場会社又はその上場会社を支配する当事者は、かかる当事者が支配する上場会社につき 3 %
を超えて取得してはならない。これに違反した場合には、適用される制限を超える株式にかかる議決権は行使できない。
どちらの会社が基準値を後に超えたかを判定できない場合には、二当事者間において別途異なる合意をした場合を除き、
両会社に対して議決権の制限が適用される。かかる議決権の制限に違反して可決された株主総会の決議は、当該議決権が
なければ決議が可決されなかった場合においては、イタリア証券取引委員会(CONSOB)の要求に応じ、関連する裁判所に
よって無効とされうる。相互保有の制限は、会社の当社株式の60%以上を取得する公開買付けの後に基準値を超過した場
合には、適用されない。
株主間契約
イタリア法に従い、上場会社又はその親会社の株主間における契約は、締結日から5日以内に以下が行われなければなら
ない。
・ イタリア証券取引委員会(CONSOB)に対する通知。
・ 報道機関を通じた要約の発表。
・ 会社が登記簿上の本店を有する場所の企業登記所への届出。
・ 上場会社に対する通知。
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上記規則の遵守を怠った場合、株主間契約は無効とされ、関連する株式の議決権の行使は認められない。かかる議決権の
制限に違反する株主総会の決議は、当該議決権がなければ決議が可決されなかった場合においては、関連する裁判所に
よって無効とされうる。これは、イタリア証券取引委員会(CONSOB)によっても行うこともできる。これらの規則は、以
下の株主間契約に適用される。
・ 上場会社及びこれを支配する事業体における議決権の行使を規制するもの。
・ 上場会社又はその支配会社における議決権の行使について、事前の協議を要求するもの。
・ 株式又は株式を取得若しくは引き受ける権利を与えられた有価証券の譲渡に対する制限を含むもの。
・ 株式又は株式を取得若しくは引き受ける権利を与えられた有価証券の取得に関して規定するもの。
・ 会社に対する支配的な影響をその目的としているもの又はこれを与えるもの(共同して与える場合も含む。)。
・ 公開買付けに賛成し又は反対することを目的とするもの(公開買付けを実行しないことを約束するものを含
む。)。
株主間契約に対する開示規則は、会社の資本金の 3 %以上に相当する株式に関する契約についてのみ適用される。
さらに、統一財務法(Unified Financial Act)は、株主間契約の有効期間を最長3年とする旨規定しており、また、有
効期間が契約上規定されていない場合に当事者は6ヶ月前の通知を行うことによりいつでも契約を解除することができる
旨規定している。公開買付けの場合において、公開買付けに参加しようとする株主間契約の当事者は、通知を行うことな
く当該契約から離脱することができる。ただし、その後株主持分が譲渡されなかった場合には、離脱通知は無効とされ
る。
少数株主権
株主は、取締役会の決議が当該株主の権利に不利に働く場合には、これに対して、当該取締役会決議の日から90日以内に
異議を申し立てることができる。
議決権付株式の1/1000を保有する株主は、(i)当該株主が出席しなかった株主総会において決議が可決された場合、(ii)
当該株主が反対した場合、(iii)当該株主が議決権の行使を棄権した場合、又は、(iv)当該株主が基準日から株主総会の
開始までの間に株式を取得した場合には、定款又は適用法令の規定に違反する株主総会決議に対して、これが可決された
日から90日以内に異議を申し立てることができる。
また、取締役及び法定監査役も、定款又はその他適用法令に違反していることを理由として、株主総会決議に異議を申し
立てることができる。イタリア法によると、当社の当社株式の上場廃止を承認する決議の場合(また、イタリア民法に規
定されるその他の場合)において、前項に規定する事項に該当する反対株主には株式買取請求権が与えられており、この
場合において当社は、直近6ヶ月間における株式の期末日の平均株価で株式買取請求権を行使した株主が保有する当社株
式を買い戻さなければならないとされている。
当社の各株主は、不正事実又は不正行為を法定監査役会に対して通知することができ、法定監査役会は、会議報告書にか
かる主張を含めなければならない。当社の資本金の2%以上を保有する株主が法定監査役会に通知した場合、法定監査役
会は、遅滞なくこれを調査し、調査結果及び提言を株主総会に報告しなければならない。取締役の職務の執行について重
大な違反が疑われる場合には、当社の資本金の5%以上を保有する株主は、管轄裁判所に対してかかる重大な違反につい
て報告する権利(及びこれを取り下げ又は和解する権利)を有する。さらに、当社の資本金の2.5%以上を保有する株主
は、取締役、法定監査役及び支配人に対し、株主代表訴訟を管轄裁判所において提起することができる。当社は、株主の
請求が認められた場合において、(i)裁判所が関与した取締役、法定監査役若しくは支配人に対して支払いを命じなかっ
た場合、又は、(ii)当該取締役、法定監査役若しくは支配人が支払えない場合には、株主代表訴訟に要した訴訟費用を支
払う。加えて、統一財務法(Unified Financial Act)によると、当社定款に規定する累積投票制度に従い、少数株主
は、法定監査役会の構成員を選任することができる。さらに、法定監査役会の議長は、少数株主により選任された監査役
の中から選任されるものとされている。
イタリアの公開買付規則
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統一財務法(Unified Financial Act)によると、イタリアの規制市場に上場している会社の議決権付株式の30%超又は
議決権の30%(これは、(i) 一部の例外を除き、会社が直接的又は間接的に保有する自己株式を除外し、かつ(ii)1999年
CONSOB 規則第11971号に規定される一定の金融派生商品を含めることにより算出される。)を有償で取得し、直接若しく
は間接又はその他の者と共同して保有する者は、当該取得を公開買付けの方法によって行われなければならないとされて
いる。SME以外の会社の場合は、公開買付けは、その後25%以上の議決権付株式(それより多くの株式を保有する者がい
ない場合)によって実施されなければならない。SMEは、定款において、30%とは異なる基準値(但し25%未満又は40%
超とすることはできない)を設けることができる。公開買付けは、会社のその他全ての発行済株式を対象としなければな
らない。また、CONSOB規則によると、公開買付けは、議決権付株式の30%超(これは、(i)一部の例外を除き、会社が直
接的又は間接的に保有する自己株式を除外し、かつ(ii)1999年CONSOB規則第11971号に規定される一定の派生商品を含め
ることにより算出される。)(SMEの場合は25%以上40%以下の範囲で定款で定める割合)を保有する者で、定時株主総
会において過半数の議決権を行使し、12ヶ月の期間中、当該会社の取締役を選任又は解任する決議にかかる議決権のの
5%超を株式取得の方法又は引受権若しくは転換権若しくは議決権の増加の方法を行使する方法により購入又は取得する
者によって実施されなければならないとされている。公開買付けは、関連する基準値を超えた日から20日以内に、直近
12ヶ月間における同種の株式の取得について公開買付者が支払った最高価格を下回らない価格において、実施されなけれ
ばならない。直近12ヶ月間において株式の取得が行われなかった場合、公開買付けは、直近12ヶ月間における同種の株式
の加重平均市場価格において、又は、会社の株式が12ヶ月を下回る期間においてのみ取引されている場合には、当該株式
が取引されていた期間における株式の加重平均市場価格において、実施されなければならない。統一財務法(Unified
Financial Act)127条5項に基づき議決権が増加した結果として基準値を超える場合には、それより高い価格がない場
合、これと同じ価格が適用される。ただし、統一財務法(Unified Financial Act)及び1999年CONSOB規則第11971号に従
い、イタリア証券取引委員会(CONSOB)は、一定の場合に、これとは異なる価格における強制的な公開買付けの実施を認
め又はこれを命じることができる。
統一財務法(Unified Financial Act)及び1999年CONSOB規則第11971号(その変更を含む。)は、基準値を超えて会社株
式が取得される場合であっても、一定の場合においては公開買付けの実施義務の適用が除外される旨規定しており、これ
には以下の各場合が含まれる。
・ 定時株主総会において、他の株主が、単独で又は共同して、過半数の議決権を行使した場合。
・ 同一人が保有する会社間の譲渡の結果、単独で若しくは共同して及び直接的若しくは定時株主総会において議決
権の過半数が行使可能な子会社(民法第2359条1項1号に定めるところによる。)を通じて間接的に、基準値を
超えた場合、又は会社及びかかる者との間の譲渡の結果、基準値を超えた場合。
・ 上場会社の再資本化又は一定の経営危機の状況において会社を救済するためのその他方法をイタリア証券取引委
員会(CONSOB)及び市場に通知後、これに関連して基準値を超えた場合。
・ 有効かつ正当な産業的ニーズに基づいて対象会社の株主によって承認された合併又は会社分割の結果、基準値を
超えた場合。
・ 授与されている新株引受権、引受権又は転換権の行使の結果、基準値を超えた場合。
・ 基準値を超過する場合で、その議決権を行使することなく超過する保有株式を12ヶ月以内に売却する旨、取得者
が約する場合。
さらに、イタリア法は、会社の資本金の30%を超える所有権の取得による場合においても、以下のいずれかの結果として
基準値を超えた場合には、公開買付けを実施する義務は課されない旨、規定している。
・ 会社の普通株式の100%について公開買付けが実施された場合。
・ 会社の普通株式の60%以上について公開買付けが実施された場合で、以下を満たす場合。
(i) 買付けの効力が関連する有価証券の過半数を共同して保有する株主らの承認を条件とする場
合。ただし、買付者、株式保有が10%を超える大株主及び買付者に協力する者が保有する有価証券は除
く。
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(ii) 公開買付者(又はその子会社、支配者、関連会社及びとりわけ株主間契約に基づき関係を有す
る者)が、イタリア証券取引委員会(CONSOB)に通知する以前の12ヶ月間又は公開買付け期間中におい
て、会社の当社株式を1%を超えて取得していない場合。
(iii) イタリア証券取引委員会(CONSOB)が、上記(i)及び(ii)に規定される条件の遵守につき
十分な証拠を受領した後、公開買付けを必要としないと判断した場合。
かかる公開買付けが実行された後においても、その後12ヶ月の間に以下のいずれかに該当する場合、公開買付者は、
100%の資本金について公開買付けを実施する義務を負う。
・ 公開買付者(又はその関係会社、子会社、取締役、役員若しくは株主間契約を締結した株主)が1%を超える会
社の資本金を取得した場合。
・ 会社の株主が合併又は会社分割を承認した場合。
さらに、(i)イタリア上場会社の議決権付き株式を90%超を保有する者は、適正取引の確保に十分な浮動株を90日以内に
回復した場合を除き、残りの保有者の要求に応じて当該種類の残余株式の全てを取得しなければならず、また、(ii)議決
権付証券の100%に関する公開買付けの結果、イタリア上場会社の議決権付き株式を95%以上保有する者は、保有者の要
求に応じて残余株式の全てを取得しなければならない。
上記 (ii)の場合、また、上記(i)の場合で議決権付株式の100%にかかる公開買付けを通じて取得した場合、取得価格
は、公開買付けにおける価格と同額とされる。ただし、任意買付けにおいては、議決権付株式の90%以上が買付けにおい
て募集されていることを要するものとし、これに該当しない場合における取得価格は、以前の公開買付け(もしあれば)
における価格又は直近6ヶ月間における株式の市場価格を考慮して、イタリア証券取引委員会(CONSOB)により決定され
るものとする。
会社が発行する議決権付株式の全てにかかる公開買付けに基づき、上場会社の普通株式の95%を保有する株主は、公開買
付けの終了から3ヶ月以内に、残りの議決権付株式の所有権を取得する権利を有する。ただし、募集書類においてかかる
取得を上記記載の価格で行う意図を述べていた場合に限る。
上記規制を遵守しない者が保有する全ての株式にかかる議決権は、行使することができず、関連する基準値を超える株式
は、12ヶ月以内に売却されなければならない。かかる規制を遵守しない場合、当該株式にかかる議決権により可決された
株主総会決議は、当該議決権がなければ決議が可決されなかった場合においては、株主又はイタリア証券取引委員会
(CONSOB)による異議申立ての対象となる。
子会社の不適切な管理に対する責任
イタリア民法第2497条によると、自己又は第三者の利益のために活動している会社その他事業体が、その指示及び調整権
限を有する会社について不適切な管理を行った場合には、その損害につき、当該会社の株主及び債権者に対して責任を負
うものとされている。ただし、(i)生じた損害がその後の取引等を通じて完全に回復された場合、又は(ii)生じた損害が
かかる指示及び調整権限の継続的な行使に由来する会社の包括的利益によって有効に相殺された場合には、当該責任を負
うものではない。指示及び調整権限は、とりわけ連結子会社について存在するものとされている。
株主に対する報告
当社は、国際会計基準と統合された国際財務報告基準に基づき、また、イタリア証券取引委員会(CONSOB)の要件に従い
作成された、当社の監査済み非連結年次財務諸表及び監査済み連結年次財務諸表を、当社の事業に関する取締役報告書と
共に、イタリア語で公表しなければならないとされている。
また、当社は、半期財務諸表(監査役による限定レビュー付き)を作成しなければならないとされており、これには当社
の事業に関する取締役報告書を含む。
統一財務法(Unified Financial Act)第154の2条によると、(連結及び個別の)年次財務諸表及び半期財務諸表は、い
ずれも当社の財務書類の作成責任を負う経営取締役及びマネージャーの宣言を伴うものとされ、これは、とりわけ発行者
及び連結の範囲に含まれるグループ会社の財政状況を誠実かつ正確に表す書類として適切である旨宣言するものである。
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(2)【提出会社の定款等に規定する制度】
当社は、イタリア法に基づき、フオーリ・ダル・サッコ・エスアールエル(Fuori dal Sacco S.r.l.)という名称のイタ
リア法上の有限責任会社であるソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタタ( società a responsabilità limitata )と
して2004年12月30日に設立された。当社の名称は、2008年12月31日にモンクレール・エスアールエル(Moncler S.r.l.)
へ変更され、また、2011年3月25日に当社は、当時計画され後に中止されたMTAへの上場に関連して、イタリア法上の株
式会社であるソシエタ・ペル・アジオニ( società per azioni )に組織変更された。上場が中止となった結果、2011年7
月8日において、当社は、モンクレール・エスアールエル(Moncler S.r.l.)という名称のイタリア法上の有限責任会社
であるソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタタに再度組織変更された。2013年10月1日の株主総会において、当社の
株主は、 ミラノ証券取引所 への上場に関連して、当社をイタリア法上の株式会社であるソシエタ・ペル・アジオニに組織
変更することを決議した。当社は、2013年10月1日付でモンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A)という名称のソ
シエタ・ペル・アジオニへと組織変更され、2013年10月2日に会社登記簿に登記された。
本書提出日現在、当社の資本金は、 273,682,790株 の当社無額面株式によって表象される 54,815,828ユーロ である。全て
の発行済株式は、有効に発行され、また、全額払込み済みである。
存続期間
当社の定款によると、当社の存続期間は、適用されるイタリア法に準拠して延長されない限り、2040年12月31日までとさ
れている。
議決権及び譲渡制限
各株式は、その保有者に対して、当社の定時株主総会及び臨時株主総会において行使する議決権1個並びに適用されるイ
タリア法及び当社の定款に準拠するその他の財産権及び管理権を授与するものである。当社株式は、適用されるイタリア
法に従い、自由に譲渡可能である。
株式保有の制限
当社株式の譲渡は、何らの制限を受けるものではない。株主が当社の定款に反してその当社株式の議決権を行使した場合
において、当該当社株式による議決権の行使がなければ多数要件を満たさなかった場合には、関連する株主総会の決議の
効力が争われることとなる。ただし、当社株式は、株主総会の定足数が満たされたか否かを判断する目的において算入す
ることができる。
株式の授権
当社は、臨時株主総会において株主に承認される資本増加に関連して、当社株式の追加を承認することができる。ただ
し、一般的に、当該承認は、当社の取締役会による提案がなされた場合にのみ行われるものである。
取締役の選任権
当社の取締役の選任に関する権利については、上記(1)を参照のこと。
配当
イタリア法によると、配当の支払いに先立ち、各年の純利益(非連結ベース)の5%が法定準備金( riserva legale )と
して確保されなければならない。かかる要件は、当該法定準備金が、当年以前に計上された額を含め、会社資本金の合計
額面価格の20%に達し又は20%を維持している場合には適用されない。また、株主は、利益を準備金(配当可能利益)に
割り当てることもできる。配当可能準備金は、その分配によって法定準備金が法定最低額を下回らない限りにおいて分配
されることができる。さらに、イタリア法及び当社定款第26.4条は、取締役会が事業年度中において中間配当の決定及び
支払いを承認できる旨、規定している。また、事業年度末における配当の決定及び支払いを承認することができるのは、
株主のみである。事業年度末において、当社の財務会計が中間配当の支払いにつき保証していなかった場合において、当
該中間配当を善意で受領した株主は、かかる配当を当社に対して返還する義務を負わないものとする。配当は、年次株主
総会において株主が指定した日に支払われる。当社定款第27条に基づき、配当が支払い可能となった日から5年以内に請
求のなかった配当は、当社により没収されるものとし、これは、準備金に割り当てられるものとする。当社株式にかかる
配当に関する情報については、「第5-2 配当政策」を参照のこと。
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仲介機関を通じて当社株式を保有する株主に対して行われる配当の支払いは、株主総会において決定された配当支払日に
行われる。配当の支払いは、株主が株式を預託した仲介機関が各株主を代理し、モンテ・ティトーリ(Monte Titoli)を
通 じて分配される。
イタリア国内にその株式保有にかかる定住場所又は恒久的施設を有しないイタリアの非居住者に対し支払い可能な全ての
配当は、一般的に、26%のイタリアの源泉徴収税の対象となり、これは、適用される租税条約又は租税協定によって減額
されうる。「第5-2 配当政策」及び「第1-3 課税上の取扱い」を参照のこと。イタリアの法令には、イタリアの
非居住者に対する配当の支払いを制限する具体的な規定はない。しかし、モンテ・ティトーリ預金制度で集中的に保有さ
れている株式に関連して支払われる配当金は、源泉徴収税ではなく、同じ税率(26%)の代替税が課せられる。
清算権
清算が行われる場合において株主は、イタリア法に基づき、また、全ての債権者に対する債務が弁済されることを条件と
して、当社の資本金について株主が有する株式の額面価格に比例して当社の残余清算財産の分配を受ける権利を有する。
貯蓄株式又は優先株式が当社により発行される場合においてこれら株式の株主は、当該株式の額面価格の限度で、当該分
配につき優先されるものとする。その上で残余財産がある場合には、普通株式の株主がかかる残余財産の分配を受ける権
利を有する。
現行定款
2013年10月1日、当社は、当社の株主総会において、当社株式が ミラノ証券取引所 に上場され、MTAにおいて当社株式の
取引が開始されたことを条件として、当社の定款(以下「IPO前定款」という。)を変更することを決議している。この
ため、MTAにおいて当社株式の取引が開始された日(すなわち、2013年12月16日)をもって、当社の定款は、大要次のと
おり変更された(かかる変更後の当社の定款を、以下「現行定款」という。)。
1. イタリア民法第2441条に従い、新株発行の際に株主に授与される新株引受権に関する法令上の原則を変更する規定
が追加された。具体的には、現行定款第5.1条は、「払込済資本金の額の増加に関する決議においては、発行価格が株式
の市場価格に相当しこれが法定監査役( revisore legale )又は法定監査法人( società di revisione legale )の適切な
報告書により確認された場合に限り、対象会社の既存資本金の10%を上限として新株引受権を排除することができる。」
と規定している。
2. IPO前定款は、取締役会が11名の取締役により構成される旨規定しているが、現行定款は、取締役会が 9 名以上 15
名以下(具体的な数は、新たな取締役会の構成員を選任する株主総会においてその都度決定される。)の取締役により構
成される旨規定している。
3. 上場会社に適用される法令の定めるところにより、現行定款は、法定監査役の兼任について制限を設けている(上
場会社の法定監査役又は取締役は、兼任可能な役職の数が制限されている。)。現行定款は、兼任制限を超える者、又
は、不適格若しくは失権の原因を有する者若しくは有効な法令及び規制条項が定める誠実性及び専門性要件を満たさない
者は、法定監査役に選任されず、また、仮に選任された場合においても失権する旨規定している。
4. 適用されるCONSOB規則の定めに従い、現行定款は、取締役及び法定監査役の選任に関してジェンダー・バランス・
ルールを規定しており、当社の取締役会及び法定監査役会の構成員の3分の1以上を、いずれか人数の少ない方の性別の
構成員とすることを定めている(2013年7月18日以後最初の選任の際には、5分の1以上)。
5. 現行定款は、投票名簿(すなわち、取締役候補者名簿)に関する手続き及び仕組みに関する現行定款を変更し、
「名簿は、株式の2.5%以上又は必要に応じて有効な法令及び規制が定める割合の株式を、単独又は他の者と共同して保
有する株主によってのみ提出されるものとする。」とする規定、並びに「投票の終了後、獲得票数の上位2つの名簿に記
載された候補者が、以下の基準に基づき、選任されるものとする。」という規定を新たに定めた。
(i) 選任されるべき取締役の総数から1を控除した数の取締役を、投票数の過半数を獲得した候補者の名簿に記載された
順に従って選任する。
(ii) 残りの取締役は、株主総会における得票数が次に多かったものを記載した名簿から、得票数の多かった者の名簿を
提出し又はこれに投票した者と間接的にも関係していない者を、残りの取締役に選択する。
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6. 現行定款は、株主総会に関して、イタリア民法第2369条で認められている株主総会の一回招集制度を採用した。一
回招集制度の採用により、定時株主総会は定足数による制限なく適法に開催され、絶対多数により決議されることにな
る。臨時株主総会は株主の5分の1が出席することにより適法に開催され、株主の3分の2以上の賛成票により決議され
る こととなる。
7. IPO前定款における仲裁規定は、現行定款には存在しない。
2016年4月20日、当社の株主総会は、当社の現行定款について、次の修正を承認した。
イタリア民法第2349条に基づく、利益及び/又は利益剰余金の当社又は子会社の従業員に対する割当を可能とするための
規定の追加。現行定款第10.6条は、次のとおり定めている。「法令に従い、かつその範囲内で、利益及び/又は利益剰余
金を、イタリア民法第2349条の最初の段落に基づき、株式を発行する方法によって、当社又は当社の子会社の従業員に割
り当てることができるものとする。」
その後、付則の第5条は、当社の資本持分を更新するために、2016年4月20日に株主総会で取締役会に付与された権限に
基づきその後修正された。
2【外国為替管理制度】
イタリアの為替管理に関する以下の内容は、本書提出日現在において有効なイタリアの関連する法令を要約するものであ
り、当社株式を取得するか否かの決定に関連しうる為替管理制度の全てを包括的に説明することを意図するものではな
い。
一般に、現行のイタリアの為替管理規制の下では、当社による日本の居住者に対する金員の支払いに関する制限はない。
イタリアにおいては、所有株式にかかる権利を制限する為替管理は存在しない。イタリアの居住者は、イタリアの国内外
においてあらゆる種類の外貨及び外国証券を保有することができる。非居住者は、適用される手続要件に従い制限なくイ
タリアの有価証券に投資することができ、また、利息支払い、配当、その他資産の分配及び処分利益である、現金(全て
の通貨で)、信用手段及び有価証券をイタリア内外へ移転することができる。
ただし、イタリア法により一定の手続要件が課される。かかる法は、イタリア内外への3,000ユーロを超える現金又は有
価証券の移転は、居住者又は非居住者により、信用機関及びその他権限のある仲介機関を通じて行うことを義務付けてい
る。 この閾値は、2020年7月1日から2022年12月31日までは2,000ユーロ、2023年1月1日以降は1,000ユーロへと引き下
げられる。 疑わしい取引は、かかる取引をイタリアにおいて行うよう要請された信用機関及びその他権限のある仲介機関
によって、イタリア銀行の金融情報機関に対し、書面により報告されなければならない。さらに、イタリアの居住者又は
非居住者を代理してイタリアにおいて当該取引を行う信用機関及びその他仲介機関は、当該取引の記録を10年間保持する
ことが義務付けられており、イタリアの税務当局及び司法当局は、これをいつでも検査することができる。これらの報告
義務及び記録保持義務に違反した場合には行政上の罰金が、又は、虚偽の報告がされた場合及び不完全な報告がされた一
定の場合には刑事上の罰金が課される可能性がある。一定の条件を確認の上、イタリア銀行の金融情報機関は、受領した
情報を利用し、また、他の官庁又は警察のマネー・ロンダリング部若しくは脱税操作部( nuclei operativi della
guardia di finanza )に対して情報を提供することができる。
報告、開示および記録保管の要件は、欧州連合への出入国に関する規制に関するテロ資金供与およびEU規制2005/1889 /
EC資本の自由な移動に関するEU指令1988/361 / EC、マネーロンダリングの目的での金融システムの使用の防止に関する
EU指令2015/849を実施するイタリアの法律に規定されている。これらの法令は、特に、10,000ユーロ以上の現金または譲
渡可能な無記名証券をイタリアに持ち込み又は持ち出す際に適用される。郵便または宅配便を介して行われた現金または
交渉可能な無記名商品の譲渡に関しても、同様の規定が適用される。
イタリアの居住者である個人、非営利団体及びパートナーシップは、イタリア国外において保有する投資及び金融資産の
全てを、毎年の納税申告において開示しなければならない。これは、当該居住者が課税期間末においてかかる対外投資又
は金融資産を所有していない場合においても同様である。適格仲介機関に預託された外国投資または金融資産およびその
仲介によって締結された契約については、当該投資及び資産からの収益が仲介業者自身によって源泉徴収または代替税の
対象となるため、これらの開示は免除される。当該開示義務は、課税期間末における投資及び資産の総額又は1年間に行
われた取引の総額が10,000ユーロ(2015年からは15,000ユーロ)以下の場合には、適用されない。イタリア居住者である
会社は、毎年の納税申告につきかかる開示義務の適用が免除されており、これは、当該情報が当該企業の財務諸表におい
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て開示されなければならないためである。しかし、上記の免除にかかわらず、イタリア居住者は、IVAFEまたはIVIEの対
象となるイタリア国外で保有されている投資及び金融資産を年次税務申告書において開示する必要がある。
当社は、現在のイタリア国内外の規制環境が続くこと、又は、現在有効な一定の政策が保持されることを保証することは
できない。しかしながら、イタリアは、EU及びその他国際機関に参加しているため並びに各種二国間条約及び多国間条約
を遵守するために、一定の規則及び政策を維持することが必要とされている。
3【課税上の取扱い】
以下の記載は、イタリアの一定の重要な税務上の取り扱いについて述べるものである。以下の概要は、株主に関係する税
に関する事項の全てを網羅的に記載するものではなく、特殊な状況における特定の納税者に関連し得る事項又は法令に基
づき特別な扱いを受ける者について述べるものでもない。以下の概要は全ての投資家に関連する事項を網羅することを意
図するものではない。
この課税についての概要は、当社が本書に記載されたとおりに設立され、本書に記載されたとおりの事業を行っているこ
とを前提としている。当社の税務上の居住地、組織構造又は当社の事業の態様が変更された場合には、この概要で記載さ
れた内容とは異なる結論となる可能性がある。
この課税についての概要の記載は、本書提出日現在におけるイタリアの法令に基づいているが、当該法令は変更され遡及
的に適用される可能性がある。当該法令変更はここに記載する内容を無効にする可能性があるが、本書の記載は法令変更
の内容を反映するため改訂されるものではない。
投資家各位は、株式の取得、所有及び処分に伴う税務上の取り扱いについて、自らの税務顧問に相談すべきである。
イタリアの官報(Gazzetta Ufficiale – Serie Generale)2014年4月24日第95号に掲載された2014年4月24日政令第66
号(Law Decree no. 66 of 24 April 2014)によって、金融収益に関する税制が大きく変わることに留意する必要があ
る。特に、同政令の第3条第1項によって、2014年7月1日以降、特定の資本的収入に課せられる源泉及び代用税が26%
に上昇することになる。
(1)イタリアにおける税制
配当課税
配当に関する現在の税効果を定める1986年12月22日の大統領命令第917号(Presidential Decree No. 917 of December
22, 1986. 以下「ITC」という。)及び1973年9月29日の大統領命令第600号(Presidential Decree No. 600 of
September 29, 1973. 以下「大統領命令第600号」という。)(いずれもその後の改正及び改訂を含む。)の概要は、以
下のとおりである。
イタリアの居住者でない株主
モンテ・ティトーリ(Monte Titoli)によって運営される集中保管制度に登録された当社株式で、イタリア国内に当該株
式と事実上関連する恒久施設を有しない非居住者である株主に支払われる配当は、26%の代用税(以下「代用税」とい
う。)が課される。
代用税は、イタリアにおいて効力を有する国際法又は国家間の合意に基づきイタリアにおける課税が免除される国際企業
体又は団体が受け取る配当には課されない。
イタリア国内法上、法律に定められた条件に従って特別還付手続を適法かつ適時に履践した場合、イタリア国内に当該株
式と事実上関連する恒久施設を保有せず、貯蓄株式以外の株式を保有する非居住者である株主は、居住国において少なく
とも請求する還付金の額に等しい金額の所得税を支払済みであることの証拠を提出することによって、イタリアの税務当
局から、配当から源泉徴収されたイタリア代用税を最大26分の11(2014年6月30日までに受領した配当については4分の
1)まで取り戻すことができる。もっとも、イタリア税務当局から還付を求める非居住者は、大幅な手続の遅延や費用負
担に直面することがある。
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当該還付手続の代わりに、イタリア国内に当該株式と事実上関連する恒久施設を保有しない非居住者である株主は、イタ
リアと非居住者株主の居住国の間で締結された二重課税防止のための条約(以下「条約等」という。)で定められた要件
を満たし、かつ速やかに便益の申請手続を行うことにより、配当に課される代用税について軽減税率の適用を受けること
が できる。イタリアは、全てのEU加盟国、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、日本、ニュージーラン
ド、ノルウェー、スイス、アメリカ合衆国及びアフリカ・中東及び極東の数カ国を含む、60カ国以上の国と条約等を締結
している。もっとも、ほとんどの条約等においては、特別な定めがある場合を除き、非課税団体若しくは一部例外を除き
組合又は信託の非居住者である実質的所有者には税負担の軽減措置が定められていないことに留意が必要である。
非居住者である株主が条約等に基づく代用税の軽減税率の適用を受けるためには、代用税の申請を行う株式が預託されて
いる仲介機関に対して、次の資料等を速やかに提供する必要がある。
(a)実質的所有者が株式の実質的所有者と同一であることを特定するための情報、条約等に基づく申請を行うための
条件を満たすことを示す情報、及び条約等で定められた適用税率を特定するために必要となる情報が記載され、
イタリアの租税当局が承認したフォームに従って作成された申告書(2013年措置84404号(Provvedimento
2013/84404))、並びに
(b)当該実質的所有者の居住国における税務当局が発行した、当該実質的所有者が適用される条約等との関係で当該
国の居住者に該当することを証明する証明書。
さらにもうひとつの方法として、非居住者である株主は、条約等において定められた最大税率を超えて課せられた源泉徴
収分について、還付金を受け取ることができる。
イタリア居住者ではない株主に対して支払われる配当に課される26%の代用税又はイタリアが締結した条約等に基づき軽
減された税率による代用税は、株主が株式を預託している、モンテ・ティトーリ(Monte Titoli)のシステムに加入する
イタリア居住者である仲介機関、又はモンテ・ティトーリ(Monte Titoli)のシステムに加入する非居住者である仲介機
関によって(直接又はモンテ・ティトーリ(Monte Titoli)のシステムに加入するイタリア以外の集中管理制度を介し
て)、イタリア国内で選任される財務代理人を通じて徴収される。
譲渡所得課税
非イタリア居住者株主
個人であるか法人であるかにかかわらず、イタリア国内に当該株式と事実上関連する恒久施設を保有しない非居住者であ
る株主に、「非適格な」会社への参加に該当する株式の処分にともない発生した譲渡所得は、当該株式が規制された市場
に上場されている場合には、当該株式がイタリア国内で保有されているか否かにかかわらず、イタリアの税金は課税され
ない。
当社株式の上場後は、保有者の株式(貯蓄株式を除く。)、有価証券及び/又は株式を取得することができる権利が次の
いずれかの基準を満たす場合に、「適格な」参加であると認められる。
(i) 定時株主総会における議決権の2%を超えている、又は
(ii)発行済株式総数の5%を超えている場合
「非適格な」参加の場合、イタリアにおける課税の免除の便益を受けるためには、イタリア国内に当該株式と事実上関連
する恒久施設を保有しない非居住者である株主であって、当該株式をイタリアにおいて承認された仲介金融機関を通じて
保有し、投資一任ポートフォリオ制度(Risparmio Gestito. 以下「リスパルミオ・ジェスチート」という。)の対象と
なることを選択し、又は非投資一任ポートフォリオ制度(Risparmo Amministrato. 以下「リスパルモ・アミニストラー
ト」という。)の対象となる場合には、イタリアにおいて承認された仲介金融機関に対して、速やかに当該株主が租税法
上イタリア居住者ではないことを証明する自己宣告書(self declaration)を提出するよう求められる可能性がある。
なお、2017年12月27日法律第205号の第999条から第1006条第1項に従い、2019年1月1日以降、事業活動を行っていない
非居住者個人株主によるキャピタルゲインは、「適格」参加の譲渡には、26%の率の代替税が課される(つまり、イタリ
ア居住者による「非適格な」持株の売却について上記と同じ制度となる。)。
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もっとも、イタリアが締結している条約等における、より有利な課税上の取り扱いを定めた条項の適用はさまたげられな
い。イタリアが締結している条約等の多くは、OECDモデルに従ったものであり、株式の処分によって発生した譲渡所得は
売主の居住国でのみ課税対象となる(すなわち、非居住者である株主の場合、イタリア以外の国となる。)ことを定めて
い る。
したがって、外国人が、(i)税法上、イタリアと条約等を締結している国の居住者であり、当該条約等において、株式
の処分に伴い発生する譲渡益はOECDモデルに従うことと定められている場合であって、かつ(ii)当該条約等に基づく便
益を受けるための要件を満たしている者は、当該条約等の規定にしたがって、「適格な」又は「非適格な」処分のいずれ
に該当するかにかかわらず、株式の処分に伴い発生する譲渡所得はイタリアでは課税対象とされない。
イタリア国内に当該株式に事実上関連する恒久施設を保有しない非居住者である株主であって、イタリア国内に、イタリ
アにおいて承認された仲介金融機関を通じて株式を保有しており、リスパルミオ・ジェスチートの対象となることを選択
し、又はリスパルモ・アミニストラートの対象となる場合には、適用される条約等に基づき、イタリアでの譲渡所得に対
する課税を免除されるためには、速やかに必要書類(居住国の税務当局が発行した居住者であることを証する証明書を含
む。)を提出し、条約等に基づき、譲渡所得が非課税とされるための要件を満たしていることを証明することを求められ
る可能性がある。
取引所税
取引所税( tassa sui contratti di borsa )は2008年2月28日法律第31号(Law No.31 of February28, 2008.)によって廃
止された。
相続税及び贈与税
2001年10月18日法律第383号(Law No. 383 of October 18, 2001. 以下「法律第383号」という。)によると、イタリア
の相続税及び贈与税は、従来、死亡又は贈与による証券の譲渡に伴い支払義務が発生することとされていたが、2001年10
月25日に廃止され、2006年11月26日法律第286号(Law No. 286 of November 26, 2006)によって再度導入された。但
し、受贈者と贈与者との関係に応じて、法律上いくつかの免除規定が定められている。
イタリアの金融取引税
イタリアの金融取引税(以下「FTT」という。)は、2012年12月24日法律第228号(Law no. 228 of 24 December 2012)
の第1条第491項から第500項によって導入された。FTTは、次の金融商品の所有権の譲渡に対して課税される。
(i) イタリア居住者である会社が発行する株式、
(ii) イタリア民法第6章第2346条(sub. 6 of art. 2346 of Italian Civil Code)の規制を受ける、イタリア居住者
である会社が発行する参加型金融商品、及び
(iii)(i)及び(ii)の金融商品を表象する有価証券(発行体の居住地、取引が実行された場所及び関係する当事者の
居住地如何にかかわらない。)
FTTとの関係において、会社の居住地は、法律上の所在地に基づいて判断される。
FTTは、2013年3月1日以降に実行された株式の所有権の譲渡に対して適用される。FTTとの関係において、株式の所有権
の譲渡は、関連する取引について実際に決済が行われた日において有効となる。FTTの支払義務者は、納税者の承諾があ
る場合にはこれを契約上の決済日とすることができる。
FTTは、取引価値(同一の対象者が実行した同一の金融商品にかかる日々の取引純残高 - 2013年2月21日付内閣府令
(2013年2月21日付Ministerial Decree)第4条)又は各取引について支払われた対価に対して適用される。FTTは、最
終取得者が支払うべきものであり、関連する取引を仲介した者には適用されない。但し、金融取引に関与した非居住対象
者が、情報交換規定を満たさない国(2013年イタリア税務当局命令第26948号(Italian Tax Authorities Protocol No.
2013/26948)に基づき2013年3月1日に公表された2013年指令第26948号(Directorial Decree No. 2013/26948、その後
2013年指令40010号(Directorial Decree No. 2013/40010)、2016年指令84383号(Directorial Decree No.
2016/84383)及び2016年指令89888号(Directorial Decree No. 89888/2016)により改正)が定めるリストに含まれない
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国をいう。)において設立されている場合には、執行された注文にかかる取得者又は最終当事者とみなされる。なお、日
本は上記指定が定めるリストに含まれない。
FTT標準税率は、店頭取引については0.20%、また、規制された市場又はEU加盟国若しくはホワイトリストに含まれる欧
州経済領域加盟国が設立する多角的取引機関において実行される取引については0.10%とされている。
2013年2月21日付内閣府令(2013年2月21日付Ministerial Decree)第15条及び16条によると、以下の取引は、FTTの課
税対象とされない:新株発行(社債の転換による場合を含む。)、贈与又は相続による譲渡、社債及び債券の譲渡、レポ
取引及び有価証券の貸付け、関連当事者間の取引、更生手続(資本調達の間接税に関する2008年2月12日付の理事会指令
2008/7/EC(Council Directive 2008/7/EC)第4条で定義されるところによる。)又は共同貯蓄投資法人団体の合併若し
くは会社分割から派生する取引 、EU機関、ECB、EU加盟国の中央銀行又はイタリアが締結した国際協定により設立された
機関が関与する取引、適格倫理的金融商品(qualifying ethical financial products)の取引、値付け(空売り及び一
定のクレジット・デフォルト・スワップに関する2012年3月14日付の2012年欧州議会及び欧州評議会規則(EU)第236号
(Regulation (EU) No. 236/2012 of the European Parliament and of the Council)の第2(1)(k)条で定義されると
ころによる。)、新規発行株式の流動性を確保するために行われる取引、インサイダー取引及び市場操作(市場における
不正行為)に関する2003年1月28日付の欧州議会及び欧州評議会指令2003/6/CE(Directive 2003/6/CE of the European
Parliament and Council)及び2004年4月29日付の欧州委員会指令2004/72/EC(Commission Directive 2004/72/EC)に
より認められた発行株式の流動性をサポートする事業体、並びに、EU加盟国若しくはホワイトリストに含まれる欧州経済
領域加盟国において設立された年金基金及びその他類似の団体。
また、(売却年の前年の11月における)平均時価総額が500百万ユーロを超えない会社が規制された市場において交渉さ
れ発行する株式の取引も、FTTを免除される。内閣府令(Ministerial Decree)は、基準を満たす会社のリストを毎年12
月に提供している。規制された市場/MTFにおける取引が認められた場合には、11月の平均時価総額の算出が可能となっ
た年の翌年からリストへの参加が確認されることとなる。今年まで時価総額は500百万ユーロ未満であると推定されるこ
とから、当該取引は免除される。
FTTは、取引が実行された月の翌月16日までに、銀行、投資会社、公証人及び取引に直接関与したその他仲介機関により
支払われなければならない。同一取引に複数の仲介機関が関与している場合、FTTは、取得者又は最終当事者から執行の
指図を受けた仲介機関が支払わなければならない。
FTTに関する規則及び義務を遵守するため、非居住者である仲介機関は、非居住者である仲介機関と連帯して責任を負う
財務代理人を選任することができる。
デリバティブ
2013年7月1日から、FTTは、その主たる価値がイタリア居住者である会社が発行する株式及び参加型金融商品に関連付
けられた(50%超の場合をいう。)デリバティブの取引についても課税される(取引の実行された場所、関係する当事者
の居住地如何にかかわらない。)。
FTTは、取引の各カウンターパーティによって支払われるべきものである。FTTは、デリバティブの種類及びその想定価格
に応じて、所定の金額が課税される。
・ 店頭取引デリバティブについては、(1当事者ごとに)百万ユーロを超える取引につき200ユーロ以下。
・ 規制された市場又は多角的取引システムにおいて実行されるデリバティブについては、通常の課税標準に適用される
税率から20%低い税率。
(2)日本における課税
日本の個人又は法人の所得が上記(1)で述べられたイタリアの租税の対象となる場合、かかる租税は、適用される租税
条約、所得税法、相続税法及びその他の現行の関連法令に従い、その制限の範囲内で、当該個人又は法人が日本において
支払うこととなる租税の計算上、税額控除の対象となる場合がある。
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4【法律意見】
当社のイタリア法に関する法律顧問であるLatham & Watkinsから、大要以下の趣旨の法律意見書が関東財務局長宛てに提
出されている。
(i)当社はイタリア法に基づき適法に設立され、有効に存続している。
(ii)本書「第一部 第1 本国における法制等の概要」(但し、「3 課税上の取扱い」を除く。)におけるイタリア
の法令に関する記述(但し、税務に関する法令を除く。)は、全ての重要な点において真実かつ正確である。
当社のイタリアにおける税務顧問であるStudio Associato (KPMG)から、大要以下の趣旨の法律意見書が関東財務局長宛
てに提出されている。
「第一部 第1 本国における法制度等の概要」の「3 課税上の取扱い (1)イタリアにおける税制」における記載
は、イタリアの税制上の事項の概要を構成する限りにおいて、全ての重要な点において真実かつ正確である。
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第2【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
連結財務情報の概要
以下の表には、それぞれIFRSに従い作成された2017年、2018年、2019年、2020年及び2021年12月31日に終了した事業年度
の連結財務諸表から抜粋又は派生したデータが含まれる。
以下の表と併せて、当グループの財務諸表、本書のその他の箇所に含まれる関連注記、「第3-3 経営者による財政状
態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」、及び「第6 経理の状況」に含まれる情報を読むことを推奨す
る。
年次連結財務諸表の概要
財政状態計算書のデータ
12月31日現在
2019年 (3) 2020年 (4) 2021年 (5)
2017年 (1) 2018 (2)
IFRS第16号適用 IFRS第16号適用 IFRS第16号適用
(単位:百万ユーロ)
非流動資産………………………… 667.4 723.2 1,425.2 2,804.0
1,401.1
流動資産…………………………… 712.6 902.4 1,331.4 1,464.0
1,164.3
1,380.0 1,625.6 2,756.6 4,268.0
資産合計 ……………………………
2,565.4
親会社株主に帰属する持分……… 923.4 1,068.8 1,627,0 2,499.0
1,306.3
非支配持分………………………… 0.1 0.1 0.1 0.1
0.1
923.5 1,068.9 1,627.1 2,499.1
資本合計 ……………………………
1,306.4
非流動負債………………………… 159.4 180.2 589.5 874.3
698.1
流動負債…………………………… 297.1 376.5 540.0 894.6
561.0
1,380.0 1,625.6 2,756.6 4,268.0
資本及び負債合計 …………………
2,565.4
(1) 2017年12月31日に終了した事業年度当時の当グループの連結財務諸表からのデータ。
(2) 2018年12月31日に終了した事業年度当時の当グループの連結財務諸表からのデータ。
(3) 2019年12月31日に終了した事業年度当時の当グループの連結財務諸表(IFRS第16号適用)からのデータ。
(4) 2020年12月31日に終了した事業年度当時の当グループの連結財務諸表からのデータ。
(5) 2021年12月31日に終了した事業年度当時の当グループの連結財務諸表からのデータ。
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財務諸表の概要
損益計算書のデータ
連結財務諸表
12月31日に終了した事業年度
(単位:百万ユーロ)
2019 2020 2021
2017 2018 IFRS第16号 IFRS第16号 IFRS第16号
適用 適用 適用
2,046.1
売上高(収益)……………… 1,193.7 1,420.0 1,627.7 1,440.4
(479.2)
売上原価……………………… (276.2) (320.2) (362.4) (350.8)
売上総利益 ……………………
917.5 1,099.8 1,265.3 1,089.6 1,566.9
販売費…………………………
(365.1) (428.9) (483.2) (463.6) (608.5)
一般管理費…………………… (108.6) (127.8) (147.7) (173.4) (237.1)
※
広告宣伝費 …………………… (79.4) (99.4) (113.2) (83,8) (142.1)
株式報酬費用………………… (23.5) (29.6) (29.4) - -
営業活動に係る利益 …………
340.9 414.1 491.8 368,8 579.2
金融収益(費用)純額………
(5.2) (1.9) (21.1) (23,3) (21.6)
税引前収益 …………………… 335.7 412.2 470.7 345,5 557.6
法人所得税……………………
(85.9) (79.7) (112.0) (45,2) (164.1)
当期純利益 ……………………
249.8 332.5 358.7 300,4 393.5
非支配持分利益………………
0.1 0.1 0.0 0.0 0.0
親会社株主に帰属する
249.7 332.4 358.7 300,4 393.5
当期純利益
※ 2018年以降の損益計算書では、この項目は「マーケティング費」となっている。
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キャッシュ・フローのデータ
以下の表は、2017年、2018年、2019年、2020年及び2021年12月31日に終了した事業年度にかかる当社のキャッシュ・フ
ローを、当グループの監査済連結財務諸表から抜粋したものである。
12月31日現在
2019年
IFRS第16号適用
2017年 2018年
(単位:百万ユーロ)
EBITDA(調整後)
411.6 500.2 692.3
運転資本の変動
18.5 (13.6) (25.0)
その他短期及び長期債権/
債務の変動 (22.2) 48.4 (1.4)
資本支出
(73.5) (91.9) (806.2)
除売却
1.0 0.4 4.3
営業活動に用いられた/から得られた
335.4 443.5 (136.0)
キャッシュ・フロー
正味キャッシュ・フロー
(5.2) (1.9) (21.1)
法人所得税
(85.9) (79.7) (112.0)
フリー・キャッシュ・フロー
244.3 361.9 (269.1)
非経常的収益/費用
0.0 0.0 (0.2)
その他の資本の変動
0.5 (146.3) (55.7)
配当
(45.6) (70.5) (101.7)
キャッシュ・フロー純額合計(組換済)
199.2 145.1 (426.7)
期首の正味の金融資産(負債)
105.8 305.0 450.1
期末の純金融負債(以下「NFD」という。)
305.0 450.1 23.4
正味の金融資産(負債)の総変動額
199.2 145.1 (426.7)
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12月31日現在
2020年 2021年
IFRS第16号適用 IFRS第16号適用
(単位:百万ユーロ)
EBIT
368.8 603.1
減価償却費及び償却費
80.2 88.8
その他の非流動資産(負債)
12.4 11.8
運転資本の変動
(36.8) 92.3
その他短期及び長期債権/債務の変動
(91.9) 51.8
資本支出(純額)
(90.4) (124.7)
営業活動に用いられた/から得られた
242.3 723.1
キャッシュ・フロー
正味キャッシュ・フロー
(0.9) (2.1)
法人所得税
(113.0) (170.7)
フリー・キャッシュ・フロー
340.0 550.3
配当
0 (120.7)
ストーン・アイランド取引
(551.1)
資本の変動及びその他の変動
(2.9) (4.2)
キャッシュ・フロー純額合計
192.7 (125.7)
期首の正味の金融資産(負債)
662.7 855.3
期末の純金融負債(以下「NFD」という。)
855.3 729.6
正味の金融資産(負債)の総変動額
192.7 (125.7)
2【沿革】
当社は、イタリア法に基づき、フオーリ・ダル・サッコ・エスアールエル(Fuori dal Sacco S.r.l.)という名称のイタ
リア法上の有限責任会社であるソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタタ( società a responsabilità limitata )と
して2004年12月30日に設立された。当社の名称は、2008年12月31日にモンクレール・エスアールエル(Moncler S.r.l.)
へ変更され、また、2011年3月25日に当社は、当時計画され後に中止されたMTAへの上場に関連して、イタリア法上の株
式会社であるソシエタ・ペル・アジオニ( società per azioni )に組織変更された。上場が中止となった結果、2011年7
月8日において、当社は、モンクレール・エスアールエル(Moncler S.r.l.)という名称のイタリア法上の有限責任会社
であるソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタタに再度組織変更された。2013年9月23日の株主総会において、当社の
株主は、MTAへの上場に関連して、当社をイタリア法上の株式会社であるソシエタ・ペル・アジオニに組織変更すること
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を決議した。当社は、2013年10月1日付でモンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A)という名称のソシエタ・ペ
ル・アジオニへと組織変更され、2013年10月2日に会社登記簿に登記された。
2020年12月31日現在、当社の資本金は、258,352,624株の当社無額面株式にかかる51,670,524.80ユーロである。全ての発
行済株式は、有効に発行され、また、全額払込み済みである。
2013年12月16日、当社株式はイタリア証券取引所に上場された。
モンクレールブランドの沿革
モンクレールブランドは、1952年にグルノーブル近郊の山々の小さな村であるモネスティエ・ドゥ・クレルモン
(Monestier-de-Clermont)で、登山用のスポーツ衣料として生まれた。
1954年、モンクレールは初のナイロンダウンジャケットを製造した。同年、モンクレールの製品はK2へのイタリア遠征隊
に、そして1955年にはマカリュへのフランス遠征隊に装備品として選ばれた。
1968年には、モンクレールがグルノーブル冬季オリンピックでフランスアルペンスキーチームの公式サプライヤーとなっ
たことで、ブランドの認知度がさらに向上した。
1980年代には、モンクレール製品は都市でも日常的に使用されるようになり、若い顧客の間で流行した。
2003年にレモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)が当グループに出資した時から、当ブランドはブランドのポジションの再
定義を開始し、これによりモンクレール製品はより独特で独創的なスタイルの追求を進めた。
レモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)のリーダーシップの下、モンクレールは明確かつシンプルな哲学を追求した。それ
はすなわち、最高品質の、「時代を超越した」ユニークな製品を創造することである。
「山に生まれ、街に住む。」という標語は、モンクレールブランドが純粋にスポーツのためだけに使用されている製品ラ
インから、あらゆる性別、年齢、身分、文化の顧客があらゆる場面で着用できる多様なラインまでどのように進化したか
を示してる。アウターウェアは、ブランドを象徴するカテゴリーでありながら、ブランドのDNAと独自性と常に一致する
補完的な製品と徐々に自然に統合されてる。
伝統、独自性、品質、一貫性、そしてエネルギーは常に、モンクレールブランドの特徴であり、長年にわたり、その伝統
を維持しながら進化し続け、世界中の多くの消費者との継続的な対話を求め続けてきた。この絶え間ない研究から、2018
年に新しいプロジェクト Moncler Genius-One House, Different Voices が誕生した。これはモンクレールブランドを再解
釈することができる創造的な知性の中心となるものであり、ブランドの歴史とそのDNAと整合させながら、事業の新たな
やり方を採用するものである。
モンクレールブランドの主要な歩み
1952年
ルネ・ラミリオン(René Ramillon)とアンドレ・ヴィンセント(André Vincent)が、グルノーブルの近くの山々で
Monclerブランドを創設。
1954年
モンクレール初のナイロンダウンジャケットを製造し、K2へのイタリア遠征隊に製品を供給した。その翌年、マカリュへ
の遠征隊の後援も行った。
1968年
モンクレールがグルノーブル冬季オリンピックでフランスアルペンスキーチームの公式サプライヤーに選定される。
1980年代
モンクレールの製品は、街や都市で人気を博し始め、流行のファッションとなる。
2003年
レモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)が当グループの株主となる。
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2006年
婦人向けコレクションのモンクレール・ガム・ルージュ( Moncler Gamme Rouge )を立ち上げる。
2007年
最初の都市部の店舗を、パリのセント・オノレー中心街にオープンする。
2009年
紳士向けコレクションのモンクレール・ガム・ブルー( Moncler Gamme Bleu )を立ち上げる。
2010年
グレノーブル( Grenoble )の紳士及び婦人コレクションがニューヨークでデビューする。
2013年
当社株式が一株10.20ユーロの初値でイタリア証券取引所に上場される。
2014年
「K2‐60年後」探検隊に特殊技術を用いた装備を提供する。
2015年
韓国において、当社が支配権を有する合弁会社を、新世界インターナショナルと共同で設立した。
2016年
当グループの売上高が10億ユーロを超える。ダウンジャケットと生産の一部を垂直化する産業技術研究開発センターを設
立することを目的として、ルーマニアでの生産拠点の設立を完了する。
2018年
モンクレールは新しい創造的なプロジェクト、モンクレール・ジーニアス(Moncler Genius)- One House Different
Voices‐を立ち上げる。このプロジェクトにおいては、創造性溢れるクリエーターが中心となり、ブランドの個性を保ち
ながら協力してモンクレールブランドの本質が再解釈される。
2019年
モンクレールは、繊維、アパレル、高級品セクターの業界リーダーとして、ダウジョーンズ・サステナビリティ・ワール
ド・アンド・ヨーロッパ(Dow Jones Sustainability World & Europe)のインデックスに加えられた。。
2020年
ストーン・アイランド(Stone Island)がモンクレールグループに参加。「ファッションを超えて、贅沢を超えて」とい
う哲学によって結ばれたこれら2つのイタリアのブランドは、「新しい贅沢」を提供するセグメント内での位置付けを強
化することになり、芸術、文化、音楽、スポーツなど、さまざまな意味と世界観が融合した価値を提供することになる。
当社は、ストーン・アイランド(Stone Island)の株式価値を1,150百万ユーロと評価し、発行済株式の全てを取得する
予定である。この買収は、2021年上半期に完了した。
2021年
Eコマースの内製化を完了し、ブランド初のフレグランスであるMoncler Pour FemmeとMoncler Pour Hommeを発表した。
ストーン・アイランド・ブランドの主要な歩み
1982年
ストーン・アイランドの最初のコレクションは、軍服に触発されたMassimo Ostiの創造性から生まれ、Tela Stella(海
と太陽によって腐食されたワックスドジャケットを想起させる生地)を用いて制作された。ストーン・アイランド・ブラ
ンドを象徴するバッジ(Stone Island Wind Roseを示すファブリックラベル)が付されている。
1983年
Gruppo Finanziario Tessile(Rivetti家によって管理されるイタリアの会社)がストーン・アイランド・ブランドの
50%の持分を取得した。これにより、テキスタイル・ファブリックの処理、衣服の染色技術に関する極端な研究を特徴と
するブランドの美学が創設された。
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1993年
Carlo Rivettiが、妹のChristina Rivettiとともに、Sportswear Company S.p.A.を通じてストーン・アイランド・ブラ
ンドの持分を全て取得した。
1996年
Paul Harveyがブランドのデザイナーに就任した。
2005年
2歳から14歳の子供からティーンエイジャー向けのStone Island Juniorを発表。
2008年
Carlo Rivettiがクリエイティブ・ディレクションを引き継ぐ。世界45か国からアクセス可能なEコマースプラットフォー
ムstoneisland.comを立ち上げる。
2012年
30周年を迎え、フィレンツェにおいて「STONE ISLAND 30」展を実施し、重要なコレクションである「STONE ISLAND
ARCHIVE ‘982 - ‘012」を発表した。
2017年
シンガポールを拠点とする投資会社であるTesmasekが、Sportswear Company S.p.A.の持分の30%を取得。
2020年
モンクレール・グループ傘下に入る。
3【事業の内容】
当事業年度末日現在の当グループを構成する企業群は、以下の図のとおりである。
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当グループの2021年12月31日に終了した事業年度にかかる連結財務諸表には、親会社である当社及び47の連結子会社が含
まれる。各社の詳細については、「第6-1 財務書類」財務情報の注記3を参照のこと。
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モンクレールの理念及び目的
モンクレールは、私たち一人一人に隠され、私たちの「通常の」行動に表現される特異性を発見する能力に象徴される非
常に強力かつユニークな企業文化を持っている。
特にユニークなのは、常に挑戦的な目標を設定することへの取り組みである。自然の自由感と固定観念や慣習からの独立
性、あらゆる行動が社会と環境に影響を与えること、そして暖かさのエネルギーによってネガティブさを最小化し、ポジ
ティブさを最大化することは全員の義務であるという認識によって強化された独自性、いつもとは異なるアイデアやプロ
ジェクトを追求するという狂気ともいえる厳格さによって、私たちが私たちの中に築きあげた企業文化は、特別なもので
ある。
モンクレールの5つの価値
常により高い目標を目指す
我々は、個人として、またチームとして、常により良いものを目指して努力する。卓越したものを継続的に追求し、常に
学習し、新しい基準を設定する。我々に終わりはない。
他者の声を取り入れる
我々は1つの家であるが、その声はそれぞれ異なる。我々は皆の才能を輝かせる。我々はあらゆる視点を尊重し、多様性
を活用し、すべての世代に話しかける。多くの声を重ねることで、美しいハーモニーを奏でるのである。
狂気を受け入れる
我々は型破りでユニークである。我々は内なる天才、我々の創造力を育む。我々は大胆な夢、クレイジーで到達不可能な
アイディアを常に厳格に実現する。本当に素晴らしいものはすべてクレイジーと思われる発送から生まれることが多いと
信じており、我々はエネルギーを養っている。
常に暖かくあること
我々は人々を暖かく保つために生まれた。我々は、我々に行いから、我々が築く関係に至るまで、我々が行うすべてのこ
とに人間的なつながりの温かさをもたらす。我々は、共感と信頼をもって、大小さまざまな人々の業績を祝福する。
明日のその次を計画する
我々は、より大胆で明るい明日を毎日計画している。我々は、従来を超えた未来をデザインするという長期的な視点を有
しており、世界が直面する社会的および環境的課題に立ち向かい、それに取り組む。
当社の戦略
天才、厳格、多様性、それ自体に忠実でありながら革新する能力、そして「普通」の並外れたものを模索するよう強く求
めることは、常にグループの信条である。当グループは、変化を利用してより強力に成長し、既知の方法と新しい方法の
両方を探求し続け、常に幅広いクライアントベースとの継続的な対話を求め、常に変化する環境でその目標を追求する能
力を柔軟に備えている。
そしてそれこそが、進化への絶え間ない願望であり、新たな挑戦、新たな消費者との対話への願望、たとえ全てがうまく
いっているときですら生じる変化への願望であり、1982年に設立されたカジュアルメンズウェアブランドのStone Island
の買収へとつながった。Stone Islandは、完成した衣服の染料と処理の継続的な実験を通じて、繊維とテキスタイルに関
する極端な研究の象徴となってる。当社グループへ参加によって、Stone Islandの新たな旅が始まることになる。これに
より、ブランドの強力なアイデンティティを維持しながら、ブランドの可能性を最大限に引き出すことができると期待し
ている。
当グループの戦略は、次の5つの柱に支えられている。
Stone Islandとともにラグジュアリー部門の新たな視野を強化する
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「ファッションを超えて、贅沢を超えて」という哲学によって結ばれたモンクレールは、Stone Islandとともに、伝統的
な固定観念からはほど遠い、新しい世代の進化する文化的規範を解釈する能力を強化する。経験性、包括性、コミュニ
ティへの帰属意識、芸術、文化、音楽、スポーツなどの意味と世界の相互受精の探求を包含する概念。この統合は、2つ
のブランドのアイデンティティと自律性を完全に尊重し、開発プロセスを加速しながら、両ブランドの競争力を強化す
る。
独自の位置付けを保ちながら継続的に進化することができるグローバルなブランドグループを構築する
モンクレールは、レモ・ルッフィーニの指導のもと、2つの重要な成長先着を推進してきた。市場に切れ目のないグロー
バルブランドになること、そして自らに忠実であり続けながら進化し続けることである。
Stone Islandの買収により、モンクレールは知識と経験を共有して、特にアメリカとアジアの市場の重要な成長の可能性
を完全に捉え、研究及び実験の文化を持つStone Islandの独自の位置付けを維持・強化する。
すべての利害関係者に価値を創造するための持続可能な成長の道をたどる
当グループは、ステークホルダーの期待にさらに応え、共通の価値を生み出すための手段として、長期的な持続可能で責
任ある成長への取り組みを段階的に強化し、グループの戦略に完全に統合し、その中核的な価値観に沿って事業を営んで
いる。明日の先を計画するとの標語は、グループの中核的価値の1つであり、その開発戦略の柱である。
オムニチャネルアプローチによる流通チャネルの開発のサポート
当グループが目指す関係性の基礎は、あらゆるチャネルとタッチポイントを通じて顧客と直接関わり、彼らを巻き込み、
彼らの期待を理解し(たとえ話されていなくても)、ブランドを物理的および仮想的な店舗で常に特徴づけてきた人間の
温かさを生み出すことである。顧客と共に開発を行い、意外性の追求をやめない。今日モンクレールは、物理的およびデ
ジタルの両方の流通チャネルの統合開発の戦略を追求している。
Stone Islandは、特に消費者に直接アクセスするDTCチャネルの拡大を通じて、ブランドがすべての市場をより強力に管
理できるようにするための取り組みを始めている。
デジタルカルチャーの強化
グループの戦略を定義および実装しながらデジタルを考えることは、部門間の相互作用の重要性を重んじるモンクレール
にとってますます基本的な目標であり、特に、デジタルは収益を生み出すための重要なツールであるだけでなく、とりわ
け、これが、現在および将来の戦略を実現する方法と位置付けている。
ビジネスモデル
モンクレールの統合された柔軟なビジネスモデルは、最大の付加価値をもたらすフェーズを直接制御することを目的とし
ており、常に高まる品質と消費者の満足度の追求をすべての業務の中心に据えている。
モンクレールのコレクション
モンクレールの成功は、ユニークで一貫したブランド戦略に基づいている。ブランド戦略は、ブランドの歴史に強く「固
定」された革新的な製品を開発する能力に左右される。 伝統、ユニークさ、品質、イノベーションは、モンクレールで
「贅沢」の概念を定義するために使用される。
モンクレールのデザイナーのチームは、コレクションによって細分化され、デザインガイドラインを設定し、それらがす
べてのコレクションと製品カテゴリにわたって均一に実装されることを確実にするRemo Ruffiniの厳密な監督下で運営さ
れている。デザイン部門は、コレクションの作成をサポートし、創造的なアイデアを生み出す商品化及び製品開発チーム
によって支援され、サポートされている。
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ダウン
当社の歴史の中で、ダウンはモンクレールのアウターウェアの中心であり、徐々にブランドそのものと見なされてきた。
長年の経験と継続的な研究開発の組み合わせにより、当社は原材料としてのダウンと衣服製造プロセスに関する知識の両
面で、この分野で独自の専門知識を得ることに成功した。
モンクレールは、すべてのサプライヤーが最高品質基準に準拠していることを保証している。長年に渡って、これらの基
準は、製品の差別化の重要なポイントであり続けている。ブランドの衣服には最高の白いガチョウのみが使用される。
ファインダウンコンテンツと「フィルパワー」はダウン品質の主な指標である。モンクレールダウンは少なくとも90%の
細かいダウンを含み、暖かく、柔らかく、軽くユニークな快適な衣服に最適な710(30グラムの立方インチ/立方インチ)
以上の充填力を誇る。ダウンタイムの各バッチには、最も厳しい国際基準と会社が課した厳しい品質要件に基づいて設定
された11の重要なパラメータを遵守しているかどうかを評価するための2段階チェック手順が適用される。 2016年には約
800回のテストが行われた。当社にとって「品質」はそれ以上の意味を有するものである。ダウンの原料と動物福祉の尊
重もモンクレールの基本である。原材料を調達し購入する際、モンクレールはこれらの側面を素材そのものの品質と同じ
くらい重要と考えている。
動物福祉とトレーサビリティ:DIST議定書
モンクレールは、動物福祉を確保するための取り組みの一環として、すべてのダウン・サプライヤーがダウン・インテグ
リティ・システム&トレーサビリティ(DIST)議定書の厳しい基準を遵守することを要求し、遵守している。 2015年以
降、当グループが適用するDIST議定書では、農業と動物の福祉、トレーサビリティ、技術的な質の低下の基準が定められ
ている。 モンクレールはDIST認定品のみを購入している。
サプライチェーンのすべてのレベルで満たさなければならない重要な要件は次のとおりである。
ダウンは、養殖されたガチョウと食物連鎖の副産物からのみ得られなければならない。
動物の生き抜きや強制給餌は認められていない。
モンクレールのダウンサプライチェーンは合理的に垂直統合されており、ガチョウの牧場、肉生産のために動物を屠殺
し、引き続いて屠殺する屠殺場、および屠殺場の洗浄、清掃、選別および処理を担当する会社や原材料のトレーサビリ
ティ、動物福祉への敬意、サプライチェーン全体での最高の品質を保証するために、すべてのサプライヤーは議定書と綿
密に遵守しなければならないこととされている。
DIST議定書は、2014年に設立された複数の利害関係者フォーラムとのオープンで建設的な取り組みの成果であった。この
フォーラムは、様々なステークホルダーの期待を考慮し、動物福祉と製品トレーサビリティに関する包括的なアプローチ
を確保した。
議定書は動物福祉を革新的な方法で評価する。 DISTは、農業環境に焦点を当て、最新の欧州連合のガイドラインに従う
伝統的なアプローチと並んで、「動物ベースの措置」(ABMs)を注意深く観察して動物福祉を評価する。
モンクレールは、DIST議定書の遵守を証明するために、オンサイトの監査プロセスに常に関わっている。 監査の公平性
を最大限に確保するため、次の施策を講じている。
•認定は、監査人がミラノ大学の獣医学科の獣医師および畜産専門家によって訓練された資格のある第三者機関によって
実施される。
•認証機関の業務は、認定された外部組織によって監査される。
監査を初めて3年目となる今年度は、モンクレールがサプライチェーンと農業の実践についてさらに知る助けとなるもの
であった。このプロセスに投資されたエネルギーと資源は、食糧連鎖の副産物であることを考慮すると、より顕著な結果
をもたらした。
2020年には、合計159件の独立した監査を実施した。
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より循環的な経済に向けたもう1つの重要なステップとして、モンクレールは、従来のダウンリサイクルプロセスと比較
して70%少ない水を必要とする革新的な機械的プロセスを通じて、DIST認定のダウンのリサイクルを開始する予定であ
る。
製造
モンクレールの製品は、最大の価値が付加されているすべてのフェーズを直接制御できるビジネスモデルに基づいて設
計、製造、配布されている。
Monclerは、創作フェーズ、原材料の購入、プロトタイプの開発を直接管理しており、生産段階の「カットメイクトリ
ム」フェーズ(ファソン)は、第三者製造業者に部分的に割り当てられ、内部的に部分的に管理される。
原材料の購入はバリューチェーンの主要分野の1つである。実際、市場の地位とその価値観に照らして、モンクレール
は、業界で最も高い基準を満たさなければならない衣服に使用されるダウンの質と、極端に厳密でなければならないファ
ブリックの使用の両方に焦点を当てており、高度な機能と美的機能を提供することができる。テキスタイルや衣服アクセ
サリー(ボタン、ジップなど)は、イタリアと日本を中心に最高品質基準を満たす国から購入されている。ダウンはヨー
ロッパとアジアから購入している。
「カットメイクトリム」フェーズ(ファソン)は、最近ルーマニアに設立された第三者メーカーとモンクレール製造工場
の両方で実施されている。
モンクレールと協働するサードパーティサプライヤーは、主にダウンジャケットの生産のために世界最高水準の品質基準
を確保できる東欧諸国に存在する。 モンクレールは、製品の品質、ブランド保護、現行法およびMoncler倫理綱領および
サプライヤー行動規範(2016年11月承認)に関するコンプライアンスの側面をチェックするように設計された監査を実施
することにより、これらのサプライヤーを直接監督している。
モンクレールは現在、約460のサプライヤーを使用しており、原材料、ファソン、完成品、サービスの4つのカテゴリーに
分かれている。 モンクレールのトップ50のサプライヤーは、すべてのサプライ品の価値の72%を占めている。
ハイエンドラインのGamme RougeとGamme Bleuは、イタリアで生産されており、フランスとイタリアのオートクチュール
に着想を得ている。
販売
モンクレールは、直営店舗(オンラインショップ)とオンラインストアからなる小売チャネルと、デパートのマルチブラ
ンドドアと店舗ショップで表される卸売チャネルを通して、主要市場に出店している。
モンクレールの戦略は、小売だけでなく卸売の分野においても、直接組織を通じて運営されている流通チャネルの管理を
行うことである。
モンクレールの販売チャネルは、2021年12月31日現在、直営店237店と64の卸売形態の店舗内店舗で構成されている。こ
れは、2020年に比べてそれぞれ18店舗、1店舗の増加である。
2021年度の
単位:千ユーロ 2021年度 2020年度
新規オープン
237 219 18
単一小売店
アジア 117 104 13
ヨーロッパ・中東・アフリカ 84 80 4
アメリカ諸国 36 35 1
64 63 1
単一ブランド卸売
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2021年には、モンクレールはデジタルトランスフォーメーションを加速し、ますます統合されるデジタルビジョンに沿っ
て、韓国に次いでモンクレールが直接管理する2番目のeコマースサイトである北米のオンラインサイト(.com)を内製化
した。
当社がこのように多数の店舗において製品を販売することができるのは、物流活動の管理方法に最新の注意を払ているた
めである。 この分野でも、当社はプロセスの最適化に注意を払い、環境への影響とコストの両立している。 具体的に
は、当社は2015年以来、完成品の輸送に使用する梱包に変更を加え、消費量を削減し、輸送スペースを最適化した。 ま
た、可能な場合は海上輸送を促進する方針を導入している。これにより、さらなる環境負荷の低減が可能となる。
マーケティングとコミュニケーション
モンクレールの会長兼CEO、レモ・ルッフィーニは、「日々、克服すべき新たなチャレンジがやってくる。」と述べてい
る。
モンクレールは山で生まれた会社である。守るために生まれたのである。極限の環境に直面するために生まれた。その性
質が、当社が静止することを不可能にする。したがって、ファッションの世界が2つの季節のカレンダーをマーケティン
グテンプレートとして受け入れたとき、モンクレールは型を壊す必要があった。2018年にモンクレール・ジーニアスが発
売されて以来、ブランドはInstagramのスピードで消費者の期待が形作られるインターネット後の世界に対するファッ
ション業界の最も説得力のある答えを生み出してきた。それはより高い山頂への当社を推し進め、他の声を持ち込み、そ
のクレイジーな性質を受け入れた。
モンクレールのマーケティングの世界は革命を起こした。隔年コレクションは過去のニュースとなった。モンクレールは
この現実に真正面から出会い、ブランドを年間を通じて毎日関連性のあるコンテンツのバズマシーンに作り上げた。先見
の明のあるデザイナーによる毎月のコレクションは、フィードから直接家に送信される。しかし、ファッション業界の標
準に革命を起こすことは容易ではなかった。それはあらゆるレベルでの変化を要求されることであった。モンクレールで
は、一度に複数のタイムラインに取り組んでいる。当社のチームは、クローズアップショット、編集ビデオ、ビデオルッ
クブックを含む多数のクリエイティブな資料の実現を編成し、限られた期間にコンテンツを配布するための毎日の編集カ
レンダーを作成する。マルチチャネル、マルチウィンドウのコミュニケーションロールアウトは、各コレクションに合わ
せて調整されており、すべての期間に集中することができる。各デザイナーの多様な声は、ブランドのDNAの多様性を構
成する点に加わるモンクレールの1つの傘の下に集約される。各コレクションは、地下倉庫スペースから世界的なアート
フェアまで、さまざまな会場でのライブイベントによって増幅される。その結果、Moncler Geniusは、Monclerの全体的
な消費者ベースの40%を占めるジェネレーションZ及びミレニアム世代の新しいコミュニティを獲得することに成功し
た。ブランドは、モンクレールが独自に提供する革新と伝統の同盟を志向する新しい若者のコミュニティによって力を与
えられている。
Covid-19パンデミックの到来により、マーケティングチームは柔軟性、感性、スピードに対応することで回復力を証明す
る必要に迫られた。2020年2月以降、一連のアクティベーションが開始され、その一部は現在も実施されてる。
#WarmlyMonclerキャンペーンは、ブランドで最も愛されているキャンペーンのいくつかの心温まる回顧展を紹介し
た。#MonclerVoicesシリーズは、モンクレールのクリエイティブな家族や友人がモンクレールの意味について個人的な見
解を示したときにキュレーションされた、自宅で撮影できるソーシャルメディアイニシアチブの制作として誕生した。遺
産と進化の物語は、モンクレールアイコンキャンペーンで語られ、モンクレールの愛するオリジナルのいくつかが、今日
の必需品になるために何年にもわたってどのように発展してきたかを聴衆に思い出させた。従業員専用のInstagramチャ
ンネル@MonclerTogetherは、モンクレールの人々が遠くから一緒に仕事をしているときにつながり、読書クラブからヨガ
のクラスに至るまで、心と体と魂のための活動のスケジュールで彼らを楽しませた。2020年の終わりには、モンクレール
は最初のTikTokチャレンジである#MonclerBubbleUpを立ち上げ、プラットフォームのスーパースタークリエイターと提携
して新世代に到達し、70億回以上のインプレッションを達成し、世界中の若者とコミュニケーションした。
2020年の最終章では、モンクレールがStone Islandを買収し、ソーシャルメディア、印刷物、および家庭外マーケティン
グキャンペーンで祝福された。クリエイティブビジュアルは、「偉大な精神は同じように考える」というタグラインで買
収を発表し、ファッションを超え、贅沢を超えた2つのイタリアブランドの相乗効果について語られた。両社は、新世代
の進化する文化的規範を解釈する能力を強化し、新しいラグジュアリーセグメント内での位置付けを強化する。
ウィンドウディスプレイ
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ブティックのウィンドウディスプレイはブランドのマーケティング戦略の重要な部分を構成し、モンクレールのアイデン
ティティを自由に表現することで、アートと創造性の無限の可能性のある相互関係を継続的に探求している。無限の創造
性 - 真の情熱と革新能力 – これらがブランドの価値観となっている。モンクレールジーニアスの成熟により、ウィンド
ウのクリエイティブな境界を、これまで未踏の領域に拡大することに成功した。コンテンツはGeniusパートナーの芸術的
な奇抜さに関連しているため、モンクレールファミリーとして首尾一貫していながら、新しいテクノロジーを採用して、
窓は新しい方向に押し出されている。その結果、モンクレールのDNAを忠実に保ちながら、新しい消費者の目を捉える、
目を見張るほどダイナミックで目を見張るウィンドウが実現した。
広告キャンペーン
モンクレールの伝統を伝え、ブランドが体現する夢を伝えるために、業界を定義する革新とともに広告キャンペーンが使
用されてきた。2003年にレモ・ルッフィーニがブランドを再開したとき、彼はキャンペーンを使用してブランドの遺産を
確立し、それ以来、ブルースウェーバーやアニーレイボウィッツなどのクリエイティブと協力し、モンクレールに力を与
える無形の理想を開発した。モンクレールビヨンドキャンペーンは、人生、年齢、民族、出身のさまざまな経路から集
まった有名なパートナーのグループを結集させ、意欲的なマーケティングの新たな一歩を迎えた。彼らは個人的な経験を
通じてブランドの価値を伝え、個人の強さの声となり、自由と意志力の統一されたメッセージで最高潮に達した。2018年
は、「One House、Different Voices」をモットーに提示されたMoncler Geniusプロジェクトの立ち上げにより、Moncler
の新しい章の始まりとなった。モンクレールのDNAを独自のレンズを通して再解釈するために他の意見を取り入れた創造
的なシンポジウムを構成した。2019年にコンセプトが開発され、Geniusプロジェクトを超えてブランド全体にルーツが成
長し始めた。 Genius is Born Crazyキャンペーンは、国際的なアイコンであるWill Smithが初のファッションキャン
ペーンで主演し、Tim Walkerが撮影を担当した。モンクレールは俳優とミュージシャンを通して、想像を絶するようなア
イデアを表現する天才の概念を探求した。キャンペーンのメッセージは、無限の可能性、比類のない創造性を生み出し、
想像力が未知のもので繁栄することを可能にする天才のスパークに関連している。このキャンペーンは、ブランド全体に
天才のコンセプトが浸透することを、モンクレールに力を与える中心的な原則としてマークした。
デジタル対応
デジタルチャネルは、市場のニーズに最適に対応するために、業績を強力にサポートし、クライアントがすべての決定の
中心に置かれる新しい特別なイニシアチブを推進することにより、モンクレールの中心となった。
2021年、モンクレールはデジタルトランスフォーメーションを加速し、新しい企業組織を定義し、eコマースの直接管理
を発表した。これは2020年10月の米国とカナダでの移行の成功から始まり、今後は経験をパーソナライズし、すべてのブ
ランドタッチポイントで顧客との関係を強化することを目的とした、ますますデジタル統合されたビジョンに沿ったもの
となる。さらに、モンクレールは2021年に完全に統合されたオムニチャネルeコマースプラットフォームを立ち上げる予
定である。これは、技術的に進歩していることに加えて、クライアントに対して革新的なアプローチを取るものである。
モンクレールの戦略的ビジョンの進化をサポートし、デジタルの機会を拡大するために、当社は2020年7月に、すべての
デジタルチャネルにブランド戦略を実装し、革新的なクライアントサービスに命を吹き込むことを使命として、新しい
「デジタル、エンゲージメント、トランスフォーメーション」機能を作成した。今後はあらゆる形態のデジタルコマー
ス、デジタルネイティブコンテンツでの存在感を加速し、組織全体にデジタル文化を広める予定である。
デジタルハブ、会社のデジタル変革を導き、その文化を広めることを目的とした部門が設立された。ビッグデータ、消費
者の洞察、インタラクティブでパーソナライズされたマルチチャネルエクスペリエンス、革新的なオンラインメディア、
ショッピングエクスペリエンスを改善し、顧客の期待を超える特別なプロジェクトは、チームの主要な推進力である。デ
ジタルハブの活動は、Dコマース、Dマーケティング、Dエクスペリエンス、Dインテリジェンス、Dストラテジー&カル
チャーの5つの戦略的柱に分かれている。
Dコマースは、オンラインビジネスを管理する革新的なソリューションの定義を担当する。購買とマーチャンダイジング
の管理を超えて、それは新しい市場の発展を扱っている。実際、2019年には、直接管理される韓国のeコマースWebサイト
が立ち上げられた。
D-マーケティングは、リーチを改善し、顧客エンゲージメントとコンバージョンを向上させる責任を負っている。2019年
には、店舗への来店数を増やすためのいくつかのプロジェクトが開発され、革新的なメディアキャンペーンが開始され、
主要な分析活動、セグメンテーション、および顧客データの編成により、リーチの点で40%以上の成長を達成した。最後
に、e-tailerとの特別なコラボレーションとパートナーシップがグローバルレベルで実施され、マーケティング戦略と統
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合された。チームは、2019年にオンラインビジネスの成果に大きく貢献した検索エンジン最適化(SEO)にも取り組んで
いる。
Dインテリジェンスは、定性的および定量的データの分析と管理を通じて戦略的成長の可能性を特定し、オムニチャネル
消費者の知識を最大化し、新しいトレンドや製品からの需要を遮断して、顧客体験を改善する責任を負っている。2019
年、Googleと共同でビッグデータプロジェクトが立ち上げられ、顧客のユニークで完全かつ正確なビューを作成すること
を目指している。チームはビッグデータを通じて、単一のクライアントのビジョン、つまりすべての機能の基本となる戦
略的プロジェクトの構築を開始した。
D-Experienceは、複数のタッチポイントとプロジェクトの管理を通じて、デジタルエクスペリエンスの接続、設計、実装
を改善し、顧客のエンゲージメントとコンバージョン率を改善する責任を負っている。2019年、中国と韓国でeコマース
ウェブサイトが最適化され、EMEA、米国、日本でのオムニチャネル管理が改善され、Instagramでのソーシャルコマース
の最初のパイロットが試行された。最後に、アプリとウェブサイトのレベルでいくつかの拡張現実体験がテストされ、検
索エンジンからのオーガニックトラフィックを増やすためにミニウェブサイトが作成された。
5番目の最後の柱であるD-Strategy&Cultureは、デジタルビジネス価値の促進と開発、およびMoncler内でのデジタルカ
ルチャーの普及を担当してる。
デジタルハブは、会社のより広範なデジタル変革パスの一部である。7月には、最初のモンクレールハッカソンが開催さ
れた。この24時間のイベントには、さまざまな事業部門やさまざまな国の400人を超える従業員が参加し、スキルと創造
性を共有するために集まった。その目的は、さまざまな部門がデジタルカルチャーにおける共同作成およびコラボレー
ションと連携して、革新を生み出し加速する新しいユニークなソリューションを考え出す方法を示すことであった。
最後に、モンクレールのデジタル変革を促進するために、2020年の最初の数か月にミラノとパドヴァのオフィスで
Digital Daysが開催されている。デジタルハブは、デジタルハブの活動への意識を高め、「デジタルの働き方と考え方」
を全体に広めることを目的としている。
ソーシャルメディアネットワークについては、MonclerはInstagram、Facebook、Twitter、LinkedInを利用している。
APACではWeChatとWeibo、日本ではLINE、韓国ではカカオトークも利用している。
2021年、モンクレールは新しいオムニチャネルEコマースプラットフォームを立ち上げた。これは技術的に進歩している
のみならず、顧客に革新的なアプローチを提供するものである。
イベント及びファッションショー
すべてのモンクレールのイベントはマークを残し、その一部はレガシーを残す。大切なクライアントのための店舗イベン
トであろうと、地域のエコシステムに文化を注入する市への関与であろうと、モンクレールは常にそのイベントが参加者
の心に影響を与えるように努めてきた。そして2019年に、イベントの全範囲が進化し、新しい次元を取り、すべてがモン
クレールの言語である1つの家、別の声を共有した。2019年はモンクレールジーニアスプログラムの新しい章が明らかに
なった年でもある。その進化論的な性質にふさわしいこのプロジェクトは、ミラノで初めて一般公開されたイベントで紹
介された。モンクレールのDNAに多様性を追加するクリエイティブハブの概念は同じであるが、デザイナーのリストは、
折衷的なコーラスに新しい声を追加するために開発された。ミラノ中央駅のそばのマガッツィーニラコーダーティのトン
ネルは、それぞれが新しいシーズンのオファーを紹介するショーを主催できるように開発された。各トンネルは、
Richard Quinn、Pierpaolo Piccioli、Simone Rocha、Hiroshi Fujiwara、Francesco Ragazzi、Craig Green、Matthew
Williams、Sandro Mandrino、Veronica Leoni、Sergio Zambonを含む10人のクリエイティブのうちの1人がデザインした
1つのコレクション専用である。ブランドが創造性を通じて街の人々を結び付けたため、10,000人を超える人々がモンク
レールジーニアスショーを体験した。
2020年11月に、ミラノ、パリ、東京にモンクレールハウスオブジニアスがオープンした。一時的なコンセプトストアは、
ブランドと消費者の間の関係とエンゲージメントを書き換えるために考案された。ミラノの填補は、ヴィットーリオエマ
ヌエーレの象徴的な設定でモンクレールの彼女の記憶を表す人間の絵を描いた、国際的に有名なアーティスト、ヴァネッ
サビークロフトの生演奏で歓迎された。ブランドは、大規模で不可避の人目を引くイベントを通じて、小売スペースにお
ける革新的な経験の境界を押し広げ続け、コミュニケーションへの独自の独自のアプローチで際立つ新しい方法を見出し
た。
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そして、モンクレールジーニアスが新しい顧客への扉を開いたため、カスタマーリレーションシップマネジメント
(CRM)は開発の機会をつかむことができた。新しいアプローチは、非常に対象を絞り、高度にパーソナライズされ、
Genius によって推進される。顧客との連絡は常に具体的であり、一般的ではない。適切な人々が、顧客にとって重要な
ローンチやイベントについて聞くことができるようになった。最後に、カスタマーエクスペリエンスに新たな贅沢な層が
追加された。非常に重要なクライアントには、常にモンクレールの特徴的な品質を守る購入できない旅行が提供される。
偽造防止
ブランド保護
モンクレールは、当社の製品の価値と信頼性を保護し、知的財産権を保護するために多大なエネルギーと資源を費やして
いる。
「知的財産およびブランド保護」部門は、国および商品の現在および潜在的な商業的利益のカテゴリーにおけるモンク
レールの独特の商標を保護するための管理活動および行動、ならびに製品、製品、およびプロセスの発明を特徴付ける形
式および要素を監督している。著作権、知的財産権の行使と偽造品との戦いには、トレーニング、税関当局との連絡、多
くの国での相対的な税関の介入の申請、物理的およびオンライン市場の監視と調査、オンラインでの偽造コンテンツの削
除、調整などの活動が含まれる。特に、2020年には、Interparfumsとのライセンス契約(2022年に発売が予定されてい
る)とその結果としての香水事業への参入に続いて、モデルポートフォリオの重要な進展が見られた。実際、フレグラン
スボトルのデザインを40カ国以上に寄託することが決定された。
世界中の多くの国の地方当局との襲撃と押収の組織化、および民事、刑事、行政上の行動、法執行機関や警察官との協力
関係により、ブランドとモンクレールの製品を知られるようにしたり、識別しやすくしたりすることを目的とした90以上
の専用トレーニングセッションが実施された。
当社内の専門家から構成される知的財産及びブランド保護部門を通じて、当グループは、各国当局と調整を行い、民間調
査、民事手続及び刑事捜査などの様々な方法での偽造との戦いにおいて、引き続き積極的に活動している。2019年にこの
厳格な方針により、 1 18,000を超える当社製品の偽造品と、655,000を超える当社のアクセサリーの偽造品が押収された。
当社はまた、不正なウェブサイトを閉鎖したり、ソーシャルメディア上のリンクや広告を削除するなど、オンラインの監
視にも多大な労力を費やしている。約115,000件の偽造品のオンラインオークションが閉鎖され、偽造品を販売していた
5,500のウェブサイトがブロックされ、約100,500のリンクが削除された。
当グループは、エンドユーザーの保護をさらに強化したいと考えている、偽造防止ラベルがすべてのモンクレール製品に
採用されており、市場で入手可能な最高のテクノロジーを備えている。固有の英数字コード、QRコード、NFC(Near
Field Communication)タグで構成されている。エンドユーザーはウェブサイトcode.moncler.comで製品を確認すること
ができる。モンクレールは、必要に応じて、オンライン決済サービスプロバイダーからの偽造品の購入に対して支払われ
た金額を回収したい顧客に専門知識を提供している。
2020年に全世界を襲った新型コロナウイルスの世界的流行は、その年に開催された執行当局へのトレーニングセッション
に影響を与えた。これは、通常、部門の業務を特徴付ける傾向と比較して少なかったものです。2020年には、ブランド認
知度を高めることを目的として、技術が現在許可しているツールを使用して、税関職あるとイタリアおよび外国の執行当
局に対して39回のトレーニングセッションを実施し、彼らとの対話を維持した。
業界団体へのグループの取り組みにより、モンクレールは2020年に、模倣品やIPの保護に関与する主要な国内および国際
機関、特にINDICAM、INTA、UNIFAB、ECCK、QBPC、BPG、BASCAPによって組織された多数の活動に関与した。
サステナビリティ
モンクレールにとって、会社の真の価値は、グループが事業を行う方法、社会全体への貢献、およびコミットメントを尊
重する決意にある。
当社は、その製品の品質は技術的特性を超えていると固く信じている。品質の高い製品とは、安全と健康に配慮し、人
権、労働者の権利、環境、動物福祉を尊重して責任を持って製造された製品であると信じている。
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社会的および環境的影響評価のビジネス意思決定への統合の拡大が、すべての利害関係者に長期的な価値を生み出すグ
ループの能力を支えている。
新しい「 Born to Protect 」持続可能性計画は、すべての利害関係者に長期的な価値を生み出し、責任を持って現在およ
び将来のビジネスの課題に立ち向かうことを目的としたモンクレール統合戦略の今後の取り組みを示している。計画で
は、循環経済、気候変動との戦い、責任ある調達、人々とコミュニティへの配慮という5つの戦略的指令を参照して、環
境的および社会的コミットメントに定性的および定量的な目標を設定する。さらに、2019年のモンクレールは、共通およ
び世界的な課題に直面するための協調的アプローチの重要性を認識し、地球の保護に関連する分野である気候変動、生物
多様性、海洋等に関連するセクターの他の企業と協力した。
持続可能性戦略の統合は、さまざまな組織の相互作用を含む強固なガバナンスによって監視される。
持続可能性ユニットは、関連する機能とともに、持続可能性に関連するリスクの特定、改善のための領域とアクションの
特定、持続可能性戦略の提案と持続可能性計画の立案、統合非財務諸表の作成、及び会社の持続可能性の文化の涵養を行
う。最後に、ユニットは利害関係者との対話を促進し、投資家向け広報部門とともに、持続可能性評価機関の要求と社会
的責任投資家(SRI)のニーズを処理する。
「アンバサダー」は、事業部門の社会的および環境的問題に対する意識を高め、グループの目的に沿った持続可能性への
取り組みを促進するために、各部門から選ばれた。「サステナビリティデータの所有者」も選出され、それぞれの領域
で、統合非財務諸表で公開されたデータと情報について、およびサステナビリティプランの目標の目的を達成するため
に、その責任の分野について責任を負っている。
会社の上級管理職が持続可能性をサポートおよび促進している度合いのさらなる証拠として、取締役会の委員会として統
制、リスク、および持続可能性委員会が設立された。委員会は以下の任務を負う。すなわち、会社の事業活動および利害
関係者との相互作用に関連する持続可能性の問題の監督、戦略的持続可能性ガイドラインと関連する行動計画の策定、及
び連結非財務諸表のレビューである。
2019年、モンクレールは、テキスタイル、アパレル、高級品の業界リーダーとして、ダウジョーンズサステナビリティ
ワールドアンドヨーロッパインデックスに初めて含まれた。さらに、S&P Globalからゴールドアワードおよびインダス
トリームーバーアワードを受賞した。モンクレールは、持続可能な投資を専門とするアセットマネージャーである
RobecoSAMからSustainability Award Industry Mover 2019を受賞した。また、このグループはECPIインデックスにも含
まれてる。
モンクレールは、法令5条第5項第3段落及び指令254/2017に従い、統合非財務諸表を発行した。サステナビリティレ
ポーティングイニシアチブサステナビリティレポーティング基準(GRI基準)に「準拠して」作成された2019年の統合非
財務諸表–コアオプションであり、これはKPMG S.p.A.によって部分的に監査されており、当グループのウェブサイトで入
手することができる。
2021年の統合非財務諸表は、その年の主な環境、社会、ビジネスへの取り組みを説明し、継続的な改善に合わせて、サス
テナビリティプランの目標に関連して達成された結果を公開している。
ESGの透明さを継続的に改善し、様々な利害関係者に提供されるデータと情報の比較可能性を促進するため、当社は2020
年以降、サステナビリティ会計基準委員会(SASB)が示すいくつかの指標について検討を開始した。今後開示を拡大して
いくことを予定している。
知的財産及びライセンス
ライセンス
当グループは、いくつかの企業(企業間契約やジョイントベンチャー契約を含む。)と、当グループの商品の製造・販売
のためのライセンス契約を締結している。モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)が保有するモンクレールのブ
ランドは、インダストリーズにライセンスを行っている。以下の表は、対象となる地域、契約の範囲及び有効期限を含む
当グループのライセンス契約の条件の概要である。
ライセンシー ブランド 地域/商品 締結日/更新日 有効期限
ライセンサー
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モンクレール・エス マーコリン・グ モンクレール —モンクレールが商 2015年9月22日 2025年12月31日
ピーエー(Moncler ル ー プ 標を登録している全
(Marcolin 地域
S.p.A.)
Group)
モンクレール・エス モンクレール 2020年6月11日 2026年12月31日
Interparfums モンクレール
ピーエー(Moncler
S.p.A.が商標の
SA
S.p.A.) 申請または登録
を保留している
関税および旅行
のないゾーンを
含む世界中のす
べての国および
地域
(
4【関係会社の状況】
(1)親会社
当社の主要な直接株主については、「第5―1株式等の状況(4)大株主の状況」を参照のこと。
(2)子会社及び関連会社
当社の子会社及び関連会社については「第6-1 財務書類 監査済年次連結財務諸表」の注記3を、当社役員との兼任
状況については「第5―4 役員の状況」を、当社と子会社との取引関係については「第6―1 財務書類」を参照のこ
と。
5【従業員の状況】
モンクレールは、常に人的資本が価値を創造するための重要な資源であると信じており、最高の才能を選ぶこと、専門的
で個人的な成長を奨励すること、及び社内の福祉を促進することに相当な注意とエネルギーを注いできた。当グループ
は、多様性が尊重され、全ての従業員が彼らのすべての可能性と才能を繁栄させ表現する機会を与える、刺激的で価値あ
る経済的で安全な労働環境を提供するための明確な制度を有している。
この目標は、Covid-19の世界的な流行に関連する健康上の緊急事態が、当グループの全従業員の安全を確保するだけでな
く、彼らを支援するために、人事管理レベルでもモチベーション、エネルギー、結束を促すためさらなる努力が必要とさ
れた2021年にも追求された。
モンクレールは、優れた技術的、専門的、管理的スキルだけでなく、ビジョン、ビジネス精神、そしてイノベーションへ
の注力など、進化し続ける環境での成長を支えるために必要なすべての資質についても際立つ才能ある人材を引き付け、
見出すことを企図している。
当グループの成長と拡大に伴い、当グループの採用プロセスにおいては、多様なトレーニングとビジネス文化の背景を持
ち、グループの将来の課題に取り組むための専門知識と経験とともに、ますます国際的で多様な経歴を併せ持つ持つ人材
を発掘することに注力している。異なる背景、経験、社会文化的遺産を持つ人々を集めることによって、グループはます
ますグローバル化する市場の課題により適切に対応することが可能となる。
最高の才能を見出し、その雇用を維持することは、モンクレールにとって非常に重要である。その才能を高め、伸ばすた
めに、ここ数年の間、当グループは、人々が設定した目標を達成するために使用するスキルを測定する実績評価システム
を設けている。
知識、問題解決、及びビジネスへの影響は、評価システムで考慮される要素とされている。各従業員は当社の価値を体現
し、推進することが期待されている。人事評価システムは、報酬レビュープロセスの基礎となり、市場における実力主義
と競争力、公平性、機会均等の強固な基盤を提供している。
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報酬システムには、組織のカテゴリと活動によって分類された短期および長期の結果も含まれる。
最後に、従業員に提供される報酬パッケージには、生命保険、年金及び情報及び予防プログラムを含む一連の福利厚生プ
ランが含まれる。
モンクレールの特徴である若者への投資は、雇用契約に転換された多数のインターンシップ契約にも反映されている。イ
ンターンの数が最も多いイタリアでは、2020年に締結されたインターンの26%が実際の雇用契約につながった。この割合
は、Covid-19による緊急事態後の特定の状況の広がりにより、2019年(30%)と比較してわずかに減少しました。
モンクレールが若者に焦点を当てていることも、研修制度に反映されている。2020年には、会社の人々のためにいくつか
のトレーニングプログラムが開発された。最も重要なものは若い才能の選ばれたグループのためのトレーニングプログラ
ム、MONCampusである。12か月の期間を通じて、バリューチェーンにおける重要なプロセスと活動の知識を参加者に提供
することを目的としている。
当社のデジタル開発に伴い、研修内容もまた、伝統的な講座と新しいデジタル技術を組み合わせた経験に向かって動いて
おり、効果と実用性、及びより効果的かつ速い情報提供を目指している。GDPR、イタリア法令第231号、サイバーセキュ
リティ、および一連の特定のコースが全従業員を対象に世界各地で開催された。
さらに、OHSAS 18001安全衛生認証を維持するために、モンクレールは2020年にもトレーニングプログラムを推進し続け
た。
小売セクターでは、モンクレール・ジーニアス(Moncler Genius)プロジェクトの立ち上げにより、営業担当者に対する
集中したトレーニングが実施された。同時に、顧客への統一された一貫したアプローチとブランドの伝達方法を確実にす
るために、2018年に卸売チャネルの主要な単一ブランド店のスタッフのためのトレーニングも開始された。
2021年、モンクレールはイタリアの協会ValoreDとのパートナーシップをさらに強化し、企業間コース、プログラム、
ワークショップに参加した。
2021年、当グループは合計118,299時間以上の研修を実施した。
小売部門では、モンクレールは、製品技術トレーニング(原材料、靴、バッグ、アイウェアの製造プロセス)からブラン
ドとその歴史の知識に至るまでのイニシアチブでクライアントアドバイザーの専門性を高めることを目的としたプロジェ
クトに投資し続けた。顧客体験をユニークで独特なものにすることができるサービスと販売セレモニーを広めることを目
的とした関係および管理スキルの開発まで、モンクレールジーニアスプロジェクトのトレーニング活動は、コレクション
の発売ごとに特定のeラーニングモジュール「ジーニアスピル」でも継続された。卸売チャネルの主要なモノブランド店
のスタッフ向けのトレーニング活動も実施された。
MONVoiceの第4版と更新版、つまり従業員の関与と有効化という2つのマクロ領域に沿った会社の位置付けを特定するこ
とを目的とした従業員満足度調査が2020年末に開始され、3つの新しい側面が分析された。
・1つ目の側面は、この特定の期間に会社が下した決定について人々がどのように感じているかを理解するために、
Covid-19パンデミックにリンクされてる。
・2つ目の側面は、これらの重要なテーマに関する従業員の視点と提案を収集することを目的とした多様性と包括性を扱
い、当社は具体的な行動を取ることを約束するものである。
・3つ目の側面は企業価値に関するものであり、特に、人々が最も自分自身を特定し、マネージャーとトップマネジメン
トを認識している価値を調査しようと試みるものである。
2021年現在、当グループが雇用している従業員の数は4,635人(フルタイム相当)であり、総従業員数は5,290人であり、
このうち約49%が直営店で勤務している。モンクレール・ブランドでは4,240名(フルタイム相当)、4,874名(総従業員
数)が勤務しており、ストーン・アイランド・ブランドでは395名(フルタイム相当)、416名(総従業員数)が勤務して
いる。
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地域別の分布は、ヨーロッパ・中東・アフリカ(イタリアを含む)がフルタイム従業員全体の67%を占め、次にアジアが
27%、南北アメリカが6%となっている。
以下の表は、記載された期間における、所在地ごとの従業員の平均人数を示している。
12月31日を末日とする年度
2021年 2020年 2019年
3,115 2,707
ヨーロッパ・中東・アフリカ………………………… 2,682
1,167 962
アジア……………………………………………………… 1,102
353 306
307
南北アメリカ大陸…………………………………………
3,975
合計 ……………………………………………………… 4,635 4,091
1,844
うち直営小売店 2,006 1,825
2021年12月31日時点では、70%の従業員が女性であり、この比率は2020年12月31日現在の割合と同水準である。
2021年12月31日現在、31歳から40歳までの年齢層の従業員は全体の35%を占め、2020年(38%)と比較してわずかに減少
した。50歳以上の従業員は2020年と比較して24%増加して全体の30%を占めており、当社と従業員との長期的な関係を反
映している。
従業員の平均年齢は37.3歳で、昨年と同じである。
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第3【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
「第3-2 事業等のリスク」及び「第3-3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分
析」を参照のこと。そのうち将来の見通しに関する記述は、本書提出日現在のものである点に留意されたい。
2【事業等のリスク】
主要なリスク要因
通常の事業運営及びその戦略立案の過程において、当社は、当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼし得る様々な
種類のリスク要因にさらされている。
最も重大な事業上のリスク要因は、リスク管理委員会によって常時モニターされ、戦略立案の責任を負う取締役会によっ
て定期的に検討されている。
コロナウイルスの流行に関するリスク要因
コロナウイルスの流行は、健康、社会、政治、経済及び地理的な意味を有する、複雑で前例のない現代世界における世界
的な緊急事態である。緊急事態に対応するために立ち上げられた当社のタスクフォースは、3年間の戦略計画の更新を通
じて、主に従業員の健康の保護、事業の保護、戦略目標への集中を目的とした戦略の決定について、グループの経営陣を
支援した。これらの中で、デジタル化プロセスの強化と完全なオムニチャンネル化は基本である。しかし、緊急事態の継
続が、その進展の不確実性とともに、将来の結果に悪影響を与える可能性があることは否定できない 。
当グループが事業を営む市場及び一般的な経済情勢に関連するリスク要因
当社は、競争が熾烈で変動が著しい高級品部門でビジネスを展開している。また、当グループの事業の成長は、事業を展
開している様々な国の経済状況に大きく依存する。
当グループは世界各国において事業を展開しており、その結果として特定の地域に事業が集中するリスクは抑えられてい
るが、事業を展開している一つ又は複数の市場の経済情勢の悪化が、当社の販売と業績に対して、悪影響を及ぼす可能性
がある。国をまたがる人々の移動に対する国家又は超国家的機関による制限の導入(例えば、国際的な危機又は感染症の
流行による制限)は、特に当社が事業を行う特定の地域における収益に影響を与える可能性がある。
ブランドイメージ及びブランド認知度に関連するリスク要因
当社が事業を展開する高級品部門は、顧客の好み及び嗜好の変化の影響を受ける。加えて、当グループの成功は、モンク
レール・ブランドのイメージ、認知度及び認識に強く影響される。当グループは、モンクレールブランドの強みを維持・
強化し、選択性、品質、持続可能性を追求し、製品の品質、デザイン、革新、コミュニケーション、独自の流通モデルの
開発にとりわけ注力している。当社は、持続的な価値の創造が当社のステークホルダーにとって不可欠な優先事項である
ことを認識しており、このため当社の行動や決定の際に持続可能性についての評価を行っている。
当グループが、将来的に、商品及び活動を通じて、良好なイメージとブランド認知度を維持できなかった場合には、当社
の販売及び業績に重大な悪影響が生じるおそれがある。
主要な経営陣に関連するリスク要因
当グループの業績及び成功は、当グループの発展に重要な役割を担ってきた、高級品分野における豊富な経験を有する当
グループの役員その他経営陣の能力に依拠している。
当社が、事業の継続を確保し得る運営上及び経営上の体制を整備していると考える場合であっても、当社の主要な経営陣
の一部との関係が損なわれ、適時に適切な人材を補うことができなかった場合には、当グループの競争力及び成長見通し
に影響を与える可能性があり、当グループの経済状況及び財務状況に悪影響を与えるおそれがある。
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このリスクは、後継者承継プランの策定及び主要な専門職のリテンションプランの導入により軽減されている。
第三者の製造業者との関係に関連するリスク要因
当社は、衣料品の製造に関して、原材料の仕入れについては直接管理している一方、製造工程のみ製造業者に委託してい
る。当該製造業者は、当社の厳格な(製造工程及び製品の品質管理については特に重点的な)監督のもとで製造を行って
いる。
当グループは、特定の製造業者に大きく依存するものではないが、これらの製造業者との間の関係がなんらかの理由によ
り損なわれ又は終了した場合、当グループの売上と収益に大きく影響し、当グループの事業に重大な悪影響を及ぼす可能
性がある。
当社は、委託先の製造業者が法令、とりわけ労働及び環境関連法規を確実に順守し、高いクオリティに対する要求を保っ
ていることを確保するため、製造業者に対する定期的かつ継続的な監督を実施しており、当社はこれら製造業者及びその
下請先に対する監査を実施している。しかしながら、当社との間で締結された契約を、品質、迅速な納入及び適用法令等
の順守の点で全面的に順守できない製造業者が存在する可能性も否定できない。
原材料コスト及び高品質な原材料の安定供給並びに仕入先との関係に関するリスク要因
当社の製品には、ナイロン、フェザー及びコットンを含む(ただし、これらに限られない)高品質の原材料を必要とす
る。原材料の価格は、当グループが管理できない、かつ予測が困難な幅広い要因によって左右される。
近年、当社は、高品質な原材料の入手が困難となるような状況には直面していないが、供給サイドにおいて需給がひっ迫
し、その結果として原材料調達のコストが増大し、当グループの財務成績に悪影響を与える事態が生じる可能性も否定で
きない。
当社は、原材料の供給先に関する厳格な基準を採用しており、供給先に対して、品質に関する誓約並びに労働者保護、動
物愛護及び環境保護に関する法令等の確実な順守を要求している。
流通ネットワークに関連するリスク要因
当社は、直営の単一ブランド店舗からなる小売店販売網の割合を増加させている。当グループは、これまで、高級品部門
において確たる地位を維持すべく、他の高級品市場における主要な競争相手との競争を制して、世界の主要都市の最も高
級な立地及び有名百貨店内に、新たな店舗を出店してきた。しかしながら、これは新店舗を開店する際に、他の高級品市
場における主要な競争相手との競争を制する必要があることを意味しており、かかる競争が当グループの事業の成長に対
して悪影響を与える可能性がある。
コロナウイルスの影響を受ける期間、当社は、取引関係にある主要な貸主と一時的な店舗賃料の引き下げについて交渉し
た。
偽ブランド及び偽造品並びに知的財産権保護に関連するリスク要因
高級品市場は、偽ブランドや偽造品が出回る傾向があることが知られている。
当社は、事業を展開する地域において、ブランド及び製品の偽造による影響を防止又は軽減し、知的財産権を保護するた
め、製品の流通過程を追跡することができるシステムの導入に多大な投資を行っている。しかしながら、市場に著しい数
の偽造品が出回り、ブランドのイメージに悪影響を与え、当社の販売及び業績に悪影響を与える可能性も否定できない。
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規制の枠組みに関連するリスク要因
当社は、複雑な国際的な環境において事業を展開しており、様々な国及び地域の法令等(特に、労働者の健康及び安全、
環境保護、製品製造及び組立て、消費者保護、知的工業財産権並びに競争法に関わる規制等)が適用される。当社は、こ
れらの法令等には常に注意を払っている。
厳しい基準を採用する必要のある新たな法律の制定又は既存法律の改正は、製品の製造に関する追加費用の発生や当グ
ループの事業自体を制限することにつながる可能性があり、業績に悪影響を及ぼす可能性がある。
為替レートリスク
当グループは国際的に活動しており、主として米ドル、日本円及び中国の人民元及び香港ドルによる取引から発生する外
国為替リスクにさらされている。したがって、同じ通貨の一致取引によってカバーされていない取引金額(主に収入)に
等しい為替レートの変動に伴うリスクにさらされている。 当グループは、2014年に、為替レートの変動に伴うリスクを
徐々にヘッジし、その行動をいわゆる「取引リスク」に限定する戦略を開始した。
しかし、現地通貨建ての海外子会社等の財務諸表をユーロに変換する際のいわゆる「変換リスク」のため、為替レートの
大幅な変動が当グループの業績にプラスまたはマイナスの影響を与える可能性があるということを排除することはできな
い。
より詳細な情報については、財務情報の注記9.1を参照されたい。
金利リスク
当グループの純財政状態は、主にユーロ建ての現金および銀行借入金から構成され、金利リスクを負っている。当グルー
プは、金利リスクを部分的にヘッジするために、一部のヘッジ取引を締結している。しかし、金利の大幅な変動は、借入
費用の増加を招き、当グループの実績に悪影響を与える可能性がある。
より詳細な情報については、財務情報注記9.1を参照されたい。
信用リスク
当グループは、卸売部門の顧客の破産に起因するリスクの削減を目的とした与信管理方針に従って運営している。この方
針は、最終的な保険の範囲及び/又は保証の有無並びに範囲に基づいて、顧客の信頼性に関する事前の詳細な分析に基づ
いて運用されている。さらに、当グループには重要な信用の集中はない。
しかしながら、一部の顧客の経営の悪化により回収不能債権が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性を完
全に排除することはできない。
より詳細な情報については、財務情報の注記9.2を参照されたい。
流動性リスク
当グループは、事業の季節性を考慮して、流動性リスクの削減を目的とした財務計画プロセスを実施している。 財務上
の要件に基づいて、これらのニーズを満たすために必要な与信枠は、金融機関とともに計画され、短期および長期の間で
分類される。
さらに、当グループは、資本を失うリスクを考慮し、適切な数の高格付けの銀行機関に預金を分散し、現金流動性を確保
するとともに預金先が集中することを避け、リスクフリーの金融商品のみを使用するとの厳格な規則に従っている。
より詳細な情報については、財務情報の注記9.3を参照されたい。
サイバーリスク
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当グループは、当セクターにおける急速な技術の進化と、グループの活動の組織と技術の複雑さの増大により、サイバー
攻撃の潜在的なリスクにさらされている。
これに関連して、モンクレールは、手順、トレーニング、評価、定期的なリスクレビューを含む、国際基準に基づくガバ
ナンス構造とサイバーリスク管理モデルを採用している。これらは、確実なビジネス継続性ツールとプロセスを保証する
ための、利用可能な最高のテクノロジーの採用、会社の境界の保護を強化するための最高のパートナーとの共同作業、モ
ンクレールのシステムとやり取りするサードパーティの管理、さらに新しい契約条項の導入につながった。さらに、企業
のITセキュリティの必要な改善を特定する専門技術者によるサポートを受けた侵入テスト計画が実施されている。
Stone Island(Sportswear Company S.p.A.)の開発と統合に関するリスク
2020年12月、Moncler S.p.AとSportswear Company S.p.A.(Stone Islandブランドの所有者)は、Stone Islandが当社グ
ループに加入する契約に署名した。当該統合のプロセスにおいて、当社とStone Islandは、各ブランドのアイデンティ
ティと自律性を完全に尊重しながら、起業家精神と経営に関する文化を統合する。このプロセスは、両社の経営陣で構成
される戦略委員会と統合委員会の指導の下で行われている。
両社は互いの文化に注意を払っており、相互の優先順位を注視しているが、統合プロセスの複雑さと繊細さのために、遅
延が発生すること、又は決定された戦略が途中で調整される可能性が否定できない。
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
以下の考察と併せて、「第6 経理の状況」、当グループの連結財務諸表及び本書のその他の箇所に含まれる関連注記を
参照されたい。
当社と金融市場の状況
2021年は、前年に引き続きCovid-19の世界的流行の影響を受けた年であり、金融市場に高い不確実性とボラティリティを
引き起こした。しかしながら、世界の市場及び高級品セクターはいずれも、各国中央銀行による金融政策の継続と景気回
復への楽観的見通しに支えられ、堅実に成長した。
2021年には、すべての欧米の株価指数が2桁の上昇を記録した。グローバル指数(S&Pグローバル指数、BMI)は44%上
昇した。ヨーロッパではEuroSTOXX50が21%上昇し、FTSEMIBは+23%となり、ヨーロッパ証券取引所の中で最も強いパ
フォーマンスを記録した年となった。米国ではS&P500が+27%を記録した。
一方、アジアでは年間パフォーマンスがやや控えめであった。日本では、日経225が5%上昇した。中国では、上海総合
指数(SSEコンポジット)が±ゼロ、香港SARでは、ハンセン指数(HSI)が過去10年間で最悪のパフォーマンスである-
14%となった年となり、特に不動産市場の崩壊が影響した。
経済的観点からは、2021年は、当初はパンデミックによる制約を受けたものの、その後は多くの国でのワクチン接種が進
んだことによって経済の回復への楽観的見通しが増加し、商品やサービスの需要が急増した。この急激かつ予想を上回る
増加は、原材料の供給と世界レベルでの物流網に負荷をもたらし、その結果、石油を含む多くの原材料の価格が大幅に上
昇し、世界経済にインフレ圧力がかかった。
特に米国では、年末にインフレ率が上昇し、過去40年間で最高の水準に達した。11月には、1982年以来の最高水準である
年7%近くに達し、金利の上昇に対する強い懸念が生じた。このインフレ圧力を抑えるため、12月には、米連邦準備制度
理事会がより制限的な金融政策を採用する用意があると発表した。
中国では、習近平国家主席が8月に「共同富裕」を推進する方針を打ち出すと、経済の見落としに不透明感が増した。さ
らに、Covid-19の感染者数が増加し、12月末には休業措置が講じられ、中国の経済成長の減速と高級品の需要に対する懸
念が高まった。
2021年はボラティリティの高い年であったが、高級品セクターは目覚ましい好業績を記録した。 2021年には、このセク
ターで事業を行っている企業の株式の価格は平均39%増加した。エルメスは+75%で最高のパフォーマンスを記録した。
プラダは株価が下がった(-2.5%)唯一の企業であった。当社も引き続き好調な株価を記録した。2021年末の価格は64.1
ユーロに達し、年間で+ 28%、過去2年間で+ 60%、過去5年間で+287%上昇した。
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過去2年間 過去5年間
過去1年間 (2021) (2021-2020) (2021-2017)
株価上昇率
Herm ès International SCA
74.6% 130.6% 293.8%
TOD'S S.p.A.
73.2% 19.6% (20.3%)
Brunello Cucinelli S.p.A.
70.0% 92.3% 198.4%
LVMH Moet Hennessy Louis Vuitton SE
42.3% 75.5% 300.8%
Salvatore Ferragamo S.p.A.
42.1% 20.2% 0.4%
Moncler S.p.A.(当社) 27.7% 59.8% 287.3%
Kering SA
18.9% 20.8% 256.3%
Burberry Group plc
1.6% (17.6%) 21.4%
Prada S.p.A.
(2.5%) 55.0% 89.7%
セクター平均 38.6% 50.7% 158.7%
FTSE MIB平均
23.0% 16.3% 42.2%
出典:FACTSET 2021年1月1日から2021年12月31日
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2021年12月31日時点の当社の時価総額は175億ユーロで、2020年12月31日時点の130億ユーロと比較して、その年の総株主
利益(TSR)は29%であった。2021年12月31日現在の株式数は273,682,790株であり、当社の大株主は下図のとおりであ
る。
当社の大株主については、「第5―1株式等の状況(4)大株主の状況」も参照されたい。
2021年における当社と金融界(ポートフォリオマネージャー、セルサイドおよびバイサイドアナリスト)との対話は、参
照セクターの変動とマクロ経済シナリオの変化を考慮して一定の頻度で継続的に実施された。当社のInvestor Relations
チームは、当グループの管理チームとともに、高級品セクターに関する会議、最も重要な金融都市でのロードショー、
ファンドマネージャー、バイサイドおよびセルサイドのアナリストとのミーティング及びコールに参加した。 これらの
イベントのほとんどは、オンライン形式で開催され、十分な感染対策が実施された場合にのみ例外的に実開催されること
があった。
当社の2020年12月31日現在の時価総額は13.0百万ユーロであり、2019年12月31日時点では10.3百万ユーロであった。
当社の2020年12月31日現在の発行済株式総数は258,352,624株であり、主要な株主は「第5-1(5)大株主の状況」記
載のとおりである。
2020年、金融業界(ポートフォリオマネージャー、セルサイド及びバイサイドアナリスト)との対話は、投資家及びアナ
リストとの継続的かつ定期的な対話を必要とする当時の不確実性により、以前よりもさらに頻繁に実施された。IRチーム
は、当社グループの経営陣とともに、高級品セクターに関する会議、最も重要な金融都市でのロードショー、ファンドマ
ネージャー、バイサイド及びセルサイドのアナリストとの会議や電話に参加した。2020年3月から、全てのイベントはビ
デオ会議を通じてバーチャルで開催された。
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当グループの業績
以下で説明する当社の連結業績及び連結貸借対照表の数値には、モンクレールブランドの2021会計年度の結果と、ストー
ンアイランドブランドの買収による損益計算書への影響を除いたストーンアイランドブランドの4月1日以後の業績が含
まれている。2021年において、受注残高を超える超過差額の一部である20.2百万ユーロが償却され、買収に関連する費用
が360万ユーロ計上された。
以下の表は、Stone Islandの買収に関連して、取得した資産を差し引いた取得原価がどのように配分されたかの詳細を示
している。
単位:千ユーロ
総額 1,150,000
取得した資本相当額 (129,015)
超過差額 1,020,985
ブランド 775,454
その他受注残高 20,226
繰延税金負債 (221,995)
のれん 447,300
取得原価の配分 1,020,985
以下は、取得原価の配分額(PPA)及び取引に関連するその他の費用の影響による2021年度の連結損益計算書の調整結果
を示した調整計算書である。
取得原価の配分額及
収益に対 収益に対
単位:千ユーロ 2021年 2021年調整後
び取引費用(調整)
する割合 する割合
収益 2,046,103 100.0% - 2,046,103 100.0%
対前年比 +42% +42%
売上総利益 1,566,906 76.6% - 1,566,906 76.6%
販売費 (608,495) (29.7%) 20,226 (588,269) (28.8%)
一般管理費 (237,109) (11.6%) 3,619 (233,490) (11.4%)
マーケティング費 (142,082) (6.9%) - (142,082) (6.9%)
EBIT 579,220 28.3% 23,845 603,065 29.5%
金融収益(費用)純額 (21,608) (1.1%) - (21,608) (1.1%)
EBT 557,612 27.3% 23,845 581,457 28.4%
法人所得税 (164,059) (8.0%) (6,011) (170,070) (8.3%)
税率
29.4% 29.2%
非支配持分 (20) (0.0%) - (20) (0.0%)
当期純利益 393,533 19.2% 17,834 411,367 20.1%
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決算の概要
2021年の連結損益計算書
以下は、2019年、2020年及び2021年の連結損益計算書である。
2021年
収益に対す 収益に対す 収益に対す
単位:千ユーロ 2020年 2019年
る割合 る割合 る割合
調整後
収益 2,046,103 100.0% 1,440,409 100.0% 1,627,704 100.0%
対前年比 +42% -12% +15%
売上総利益 1,566,906 76.6% 1,089,634 75.6% 1,265,280 77.7%
販売費 (588,269) (28.8%) (463,583) (32.2%) (488,759) (30.0%)
一般管理費 (233,490) (11.4%) (173,444) (12.0%) (171,570) (10.5%)
マーケティング日 (142,082) (6.9%) (83,786) (5.8%) (113,152) (7.0%)
EBIT 603,065 29.5% 368,821 25.6% 491,799 30.2%
金融収益(費用)純額 (21,608) (1.1%) (23,302) (1.6%) (21,072) (1.3%)
EBT 581,457 28.4% 345,519 24.0% 470,727 28.9%
法人所得税 (170,070) (8.3%) (45,153) (3.1%) (112,032) (6.9%)
税率
29.2% 13.1% 23.8%
非支配持分 (20) (0.0%) (15) (0.0%) (10) (0.0%)
当期純利益 411,367 20.1% 300,351 20.9% 358,685 22.0%
連結収益
モンクレール・グループの2021年度連結収益は2,046.1百万ユーロとなり、前年比42.1%増であった。この中には、モンク
レールブランドの収益(1,824.2百万ユーロ)及びストーン・アイランド・ブランドの収益(221.9百万ユーロ(4月1日以
降連結))が含まれる。当該取得が2021年1月1日に実施されたと仮定した場合、グループにおける連結売上収益の計上
額は2,134.2百万ユーロ、年間の連結利益は410.5百万ユーロとなる。期首に取得されたと仮定した場合においても取得日
における公正価値の測定に変動はないものとして算定している。
第4四半期に、当グループの収益は868.0百万ユーロに達し、2020年の第4四半期と比較して30%、2019年と比較して40%増
加した。この結果には、モンクレール・ブランドの収益803.3百万ユーロ及びストーン・アイランド・ブランドの収益
65.6百万ユーロが含まれる。
Covid-19の正解的流行による影響を除いた業績を理解し易くするため、以下では2021年の収益とCovid-19の流行前の業績
(2019年)を比較する。
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当グループのブランドごとの収益
当グループ 2021年 2020年 対2020年比 対2019年比
現在の為替 為替レート 為替レートを
千ユーロ % 千ユーロ %
レート を固定 固定
モンクレール 1,824,166 89.2% 1,440,409 100.0% +27% +28% +14%
ストーン・アイランド 221,936 10.8% - - - - -
収益総計 2,046,103 100.0% 1,440,409 100.0% +42% +44% +28%
地域別の収益
モンクレールの地域別の収益の詳細は以下のとおりである。
2021年 2020年 対2020年比 対2019年比
現在の為 為替レー 為替レートを
モンクレール 千ユーロ % 千ユーロ %
替レート トを固定 固定
アジア 894,817 49.1% 717,860 49.8% +25% +26% +27%
EMEA 624,469 34.2% 501,883 34.9% +24% +25% -3%
アメリカ諸国 304,881 16.7% 220,666 15.3% +38% +43% +20%
収益総計 1,824,166 100.0% 1,440,409 100.0% +27% +28% +14%
2021年、アジア(APAC、日本、韓国を含む)の収益は894.8百万ユーロで、為替レートを固定した場合は2019年と比較し
て27%の増加となった。第4四半期、アジア市場は、中国、韓国及び日本の成長が寄与し、2019年と比較して為替レート
を固定した場合には39%増加した。 特に、中国本土は第4四半期にもほぼ3桁の収益成長を記録した。韓国は引き続き
好業績を記録し、地域の平均を上回った。日本は新型コロナウィルス封じ込め措置の緩和のおかげで、前四半期とは対照
的に、2桁の成長率を記録した。
EMEAでは、第4四半期の収益は引き続き増加し、パンデミック前のレベルを16%上回った。すべてのチャネルと国がこの
結果に貢献し、特に直販オンラインチャネルは2桁の力強い成長率の恩恵を受け続けた。実店舗も、地元の顧客の旺盛で
増大する需要のおかげで、好業績を記録した。この業績は、歴史的に高級品セクターの非常に重要な推進力であった観光
客、特に地域外の観光客が引き続き不足しているにもかかわらず達成された。卸売チャネルも堅調な成長を記録した。特
にドイツと北欧の市場の成長が寄与したものの、イタリアをはじめ、すべての国で著しい改善が見られた。イタリアは、
この地域の収益の約4分の1を生み出した。年間のEMEAの総収益は、624.5百万ユーロ(2019年と比較した場合、為替
レートを固定すると-3%)であった。
アメリカ諸国は、2019年の第4四半期と比較して為替レートを固定した場合31%cの成長となり、特に第4四半期に急激
な加速を記録した。年間の合計成長率は為替レートを固定した場合+ 20%cであった。この結果は、特に米国とカナダの
両方のDTCチャネルによって牽引されたものである。
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販売チャネル別の収益
モンクレールの販売チャネル別の収益の詳細は以下のとおりである。
モンクレール 2021年 2020年 対2020年比 対2019年比
現在の為 為替レー 為替レートを
千ユーロ % 千ユーロ %
替レート トを固定 固定
直営 1,429,219 78.3% 1,089,496 75.6% +31% +33% +16%
卸売 394,947 21.7% 350,913 24.4% +13% +15% +8%
収益合計 1,824,166 100.0% 1,440,409 100.0% +27% +28% +14%
2021年、直営チャネルは2019年と比較して為替レートを固定した場合+16%の成長となり、14億2,920万ユーロの収益を達
成した。第4四半期は、2019年の同時期と比較して為替レートを固定した場合+31%と大幅な加速を記録し、すべての地
域で結果が改善した。
一定の為替レートの下で比較する場合、で少なくとも52週間オープンした既存の店舗は、2020年と比較して+23%、2019
年と比較して+1%収益が増加した。
卸売チャネルの収益は394.9百万ユーロであり、為替レートを固定して比較すると2019年と比較して8%増加した。第4
四半期の卸売チャネルの収益は、2019年の同時期と比較して為替レートを固定した場合19%増加し、ブランドの強さを確
認する結果となった。
2021年12月31日現在、単一ブランドのモンクレール店舗のネットワークには、直営店が237店舗存在し、2021年9月30日
と比較して4店舗、2020年12月31日と比較して18店舗増加した。第4四半期は、チューリッヒグロバスとオークランドで
の出店を含む出店を行い、ローマピアッツァディスパーニャでの旗艦店の移転及び拡張を行った。さらに、ネットワーク
には64店舗の卸売店も含まれており、これは2021年9月30日から変更がない。
モンクレールの単一ブランド店舗の分布
2021年12月31日 2021年12月31日 2021年12月31日
アジア 117 115 104
EMEA 84 82 80
アメリカ諸国 36 36 35
小売店 237 233 219
卸売店 64 64 63
ストーン・アイランド・ブランドの収益の分析
2021年(1月1日から12月31日)、ストーン・アイランドは310.0百万ユーロの収益を生み出し、2019年の同時期と比較し
て26%増加した。このうち221.9百万ユーロが4月1日以降に生み出され、当グループに連結された。
第4四半期に、ストーン・アイランドは65.6百万ユーロの収益を記録した。
EMEAはストーン・アイランドが最大の収益を上げている地域であり、連結期間の収益の77%を同地域で上げている。 イ
タリアはEMEAの主要市場であり、この地域の収益の約3分の1占めており、英国、ドイツ、オランダがこれに続く。結期
間中、アジアはストーン・アイランドの収益の13%を占め、残りの10%はアメリカ諸国で上げた収益である。
2021年12月31日の時点で、単一ブランドのストーン・アイランドの店舗ネットワークは、30の小売店と58の卸売店で構成
されていた。
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当グループの連結営業利益及び純利益の分析
売上原価と売上総利益
2021年、当社の連結売上総利益は1,566.9百万ユーロに達した。これは、2020年が収益の75.6%、20019年が77.7%であっ
たのに対し、収益の76.6%に相当する。下半期の売上総利益率は78.1%で、パンデミックの影響を受けなかった2019年と
比較して売上総利益が減少しているのは、卸売チャネルへのエクスポージャーがモンクレール・ブランドよりも高いス
トーン・アイランド・ブランドを統合したことに起因している。
販売費と営業利益
2021年の販売費は588.3百万ユーロで、2020年の32.2%、2019年の30.0%に対して、収益の28.8%を占めた。特に賃料と
人件費を含む、店舗の管理に関連するコストをより細かく管理したことに伴い、収益に占める販売費の割合を下げること
に成功した。販売費には、IFRS第16号の適用前の285.6百万ユーロの賃料が含まれている(2020年には240.2百万ユーロ、
2019年には254.8百万ユーロ)。
2021年の一般管理費は233.5百万ユーロとなった。これは、2019年が収益の10.5%、2020年が収益の12.0%であったのに対
し、収益の11.4%に相当する。2019年と比較して高くなっているのは、諸経費だけでなく、eコマースの内部化に関連す
る費用も増加したためである。
販売費及び一般管理費に含まれる株式報酬費用は2019年が29.4百万ユーロ、2020年が31.0百万ユーロだったのに対し、
2021年は28.6百万ユーロであった。
マーケティング費用は142.1百万ユーロで、収益の6.9%を占め、2019年の7.0%と同水準であり、パンデミックの影響で費
用が大幅に少なくなった2020年の5.8%よりは高くなった。
減価償却費及び償却費は、使用権資産に関連するものを除いて、88.8百万ユーロに増加し、前年の80.2百万ユーロ、2019
年の70.0百万ユーロから15%増加し、収益の4.3%となった。
営業利益(EBIT)は603.1百万ユーロであった。2020年には368.8百万ユーロ、2019年は491.8百万ユーロであった。EBIT
マージンは2019年の30.2%、2020年の25.6%から、2021年は29.5%となった。
金融収益(費用)
2021年の金融費用は、21.6百万ユーロであった。2020年には23.3百万ユーロ、2019年は21.1百万ユーロであった。これ
は、IFRS第16号の会計原則の適用により生じた19.5百万ユーロ(2020年は22.0百万ユーロ、2019年は20.2百万ユーロ)の
賃料債務を含む。
2021年の税率は29.2%であった。2020年は13.1%、2019年は23.8%であり、この両年度は特別な税制上の優遇措置によって
低い税率となっていた年である。
2021年の当期純利益は411.4百万ユーロで、収益の20.1%に相当する。2020年には300.4百万ユーロ、2019年は358.7百万
ユーロであった。
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連結貸借対照表及びキャッシュフローの分析
2021年、2020年及び2019年の組換後の連結財政状態計算書
2021年12月31日
(単位:千ユーロ) 2020年12月31日 2019年12月31日
無形資産 1,673,491 437,890 434,972
有形資産 257,126 212,189 212,917
使用権資産 656,196 590,798 593,623
その他の非流動資産(負債) (8,564) 177,817 90,658
非流動資産合計 2,578,249 1,418,694 1,332,170
正味運転資本 148,842 165,011 128,166
その他の流動資産(負債) (223,741) (151,457) (160,244)
流動資産合計 (74,899) 13,554 (32,078)
2,503,350
投下資本 1,432,248 1,300,092
純有利子負債(ネットキャッシュ) (729,587) (855,275) (662,622)
リース負債 710,069 640,251 639,207
年金及びその他の引当金 23,774 20,135 17,139
株主持分 2,499,094 1,627,137 1,306,368
2,503,350
資源合計 1,432,248 1,300,092
正味運転資本
正味運転資本は148.8百万ユーロであり、これは収益の7.0%に相当する。パンデミックの影響を受けた2020年12月31日の
165.0百万ユーロ(収益の11.5%に相当)よりも低く、パンデミック前の2019年12月31日は128.2百万ユーロ(収益の
7.9%)と比べてもさらに低い。これは、当グループが運転資本の管理を厳格に行った成果である。
2021年12月31日
(単位:千ユーロ) 2020年12月31日 2019年12月31日
(348,953)
債務 (211,903) (248,621)
263,521
在庫 202,770 208,868
234,274
債権 174,144 167,919
148,842
正味運転資本 165,011 128,166
7.0%
11.5% 7.9%
収益に対する割合
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正味の金融資産(負債)
2021年12月31日現在の正味の金融資産はプラスであり、729.6百万ユーロであった。2019年12月31日現在では662.6百万
ユーロ、2020年12月31日現在には855.3 百万ユーロであった。
IFRS第16号に基づき、2021年12月31日現在、当グループは、710.1百万ユーロのリース負債を計上した。2020年12月31日
現在は640.3百万ユーロ、2019年12月31日現在は639.2百万ユーロであった。
正味の金融資産の内訳は以下の表のとおりである。
2021年12月31日
(単位:千ユーロ) 2020年12月31日 2019年12月31日
現金 932,718 923,498 759,073
金融負債 (203,131) (68,223) (96,451)
純有利子負債 729,587 855,275 662,622
リース負債 (710,069) (640,251) (639,207)
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2021年、2020年及び2019年の連結キャッシュ・フロー計算書
(単位:千ユーロ) 2021年 2020年 2019年
EBIT 603,065 368,821 491,799
減価償却費及び償却費 88,803 80,164 69,988
その他の非流動資産(負債) 11,810 12,411 13,021
正味運転資本の増減 92,301 (36,845) (24,959)
その他の流動資産及び非流動資産(負債)の増減 51,844 (91,895) 24,875
資本支出(正味) (124,681) (90,369) (120,848)
営業活動に用いられた/から得られた
723,142 242,287 453,876
キャッシュ・フロー
金融収益(費用) (2,139) (1,306) (917)
法人所得税 (170,685) (45,436) (112,996)
フリー・キャッシュ・フロー 550,318 195,545 339,963
配当 (120,679) - (101,708)
ストーン・アイランド取引費用 (551,157) - -
資本の変動及びその他の変動 (4,170) (2,892) (25,742)
正味キャッシュ・フロー (125,688) 192,653 212,513
期首の正味の金融資産(負債) 855,275 662,622 450,109
期末の正味の金融資産(負債) 729,587 855,275 662,622
正味の金融資産の増減 (125,688) 192,653 212,513
2021年のフリー・キャッシュ・フローは550.3百万ユーロであった。2020年は195.5百万ユーロ、2019年には340.0百万
ユーロであった。
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正味資本支出
2021年の正味資本支出は124.7百万ユーロであり、複数のプロジェクトがパンデミックの影響で延期された2020年の90.4
百万ユーロからは増加し、2019年の120.8百万ユーロと同じ水準であった。
以下の表は、カテゴリー別の資本支出の内訳である。
2021年12月31日
(単位:千ユーロ) 2020年12月31日 2019年12月31日
流通ネットワーク 75,976 54,913 75,295
インフラ投資 48,705 35,456 45,553
正味資本支出 124,681 90,369 120,848
収益に対する% 6.3% 7.4%
6.1 %
EBITDA調整
収益に対する割 収益に対する割 収益に対する割
(単位:千ユーロ) 2021年 2020年 2019年
合 合 合
EBIT 603,065 29.5% 368,821 25.6% 491,799 30.2%
減価償却費及び償却費 88,803 4.3% 80,164 5.6% 69,988 4.3%
使用権資産償却費 137,490 6.7% 120,812 8.4% 101,135 6.2%
株式報酬費用 28,587 1.4% 31,026 2.2% 29,386 1.8%
調整後EBITDA 857,945 41.9% 600,823 41.7% 692,308 42.5%
使用権資産に関連するリース料 (154,267) (7.5%) (139,427) (9.7%) (117,500) (7.2%)
IFRS16適用前のEBITDA 703,678 34.4% 461,396 32.0% 574,808 35.3%
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親会社(モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.))単体の業績
2021年、収益は302.1百万ユーロとなり、2020年の238.6百万ユーロの収益と比較して27%増加しました。主にモンクレー
ル・ブランドのライセンス供与から生じる収入によるものである。
株式報酬費用を含む一般管理費は55.0百万ユーロで、収益の18.2%を占めた(2020年は16.6%であった)。
マーケティング費用は58.6百万ユーロ(2020年は40.1百万ユーロ)であり、これは収益の19.4%を占めた(2020年は
16.8%)。
2021年、正味金融収益は1.7百万ユーロであった。2020年には68千ユーロであった。
2021年の法人所得税は50.4百万ユーロであった。2020年は14.9百万ユーロであり、これは、モンクレール・ブランドの財
政認識の再調整から得られた租税軽減効果によるものである。
当期純利益は136.5百万ユーロで、2020年の173.9百万ユーロから22%増加した。
モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)の貸借対照表には、2020年12月31日現在、747.7百万ユーロの株主持分
(2019年12月31日現在は543.2百万ユーロ)と、IFRS第16号の会計原則の適用から生じる賃料債務を含む115.4 百万ユー
ロ(2019年12月31日現在は73.8百万ユーロ)の正味の金融資産が計上されている。
2021年12月30日の時点で、Sportswear Company S.p.A.(Stone Islandブランドを所有する会社)がMoncler S.p.Aに分割
譲渡された後、ストーン・アイランド・ブランド及びその全ての資産並びに契約を含む、Sportswear CompanyS.p.A.の資
産がMoncler S.p.Aに譲渡され。
したがって、2021年12月31日現在のMoncler S.p.Aの貸借対照表には、1,363.5百万ユーロ(2020年12月31日現在では
747.4百万ユーロ)の株主資本と、370.4百万ユーロ(2020年12月31日現在では115.4百万ユーロ)の有利子負債が計上さ
れている。これには、IFRS第16号が適用された結果計上されるリース負債が含まれる。この変更は、ストーン・アイラン
ドを買収する取引に起因するものである。
2021年度のモンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)単体の損益計算書
収益に対する 収益に対する
(単位:千ユーロ) 2021年 2020年
割合 割合
収益 302,093 100.0% 238,601 100.0%
一般管理費 (54,996) (18.2%) (39,637) (16.6%)
マーケティング費 (58,600) (19.4%) (40,052) (16.8%)
EBIT 188,497 62.4% 158,912 66.6%
金融収益(費用) (1,651) (0.5%) 68 0.0%
EBT 186,846 61.9% 158,980 66.6%
法人所得税 (50,364) (16.7%) 14,950 6.3%
当期純利益 136,482 45.2% 173,930 72.9%
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2021年度の親会社の財務状態計算書
(単位:千ユーロ) 2021年12月31日 2020年12月31日
無形資産 1,001,460 225,635
有形資産 6,957 1,401
投資金額 924,670 312,663
その他非流動資産(負債) (217,709) 161
非流動資産(負債)合計 1,715,378 539,860
正味運転資本 52,704 119,924
その他の流動資産(負債) (32,516) (26,223)
流動資産(負債)合計 20,188 93,701
投下資本 1,735,566 633,561
純有利子負債(ネットキャッシュ) 370,397 (115,416)
年金及びその他の引当金 1,658 1,619
株主持分 1,363,511 747,358
資源合計 1,735,566 633,561
事業の見通し
現在も地政学的、経済的、健康面での不確実性が続いているものの、当グループは、独自のブランドのポートフォリオ
と、2022年も成長を続けるための明確で効果的な戦略を有している。
2022年はモンクレールにとって重要な年となり、モンクレール・コレクション、モンクレール・ジーニアス、モンクレー
ル・グルノーブルという3つのブランドの強化を進めるため、開発ラインを設計する予定である。 モンクレールはま
た、ブランドの顧客との独自の関係を強化し、知識と忠誠心を高めることを目的とした、ブランドの70周年節目に関連す
る多くのイニシアチブを通じて、デジタルビジネスによってサポートされるオムニチャネルアプローチを統合し続ける予
定である。
2022年、ストーン・アイランドは、同社が過半数の株式を保有する合弁会社によって2022年1月1日から運営される韓国
を皮切りとして、依然として流通代理店によって管理されている市場の内部化に向けた取り組みを進め、ヨーロッパ市場
などの中心となる市場、及び浸透度が低いものの、北米や中国などのように潜在需要が多い市場への浸透を進めていく予
定である。直営チャネルでのストーン・アイランドの拡大は、選択された直営店のオープンだけでなく、新しい店舗デザ
イン、ターゲットを絞った顧客獲得およびコミュニケーション戦略を用いて、独自性を強化するための取組みも継続され
る。
当グループは、ステークホルダーの期待に応える共有価値の創造を追求し、持続可能で責任ある長期的な発展を信じてい
る。 その持続可能性計画は、気候変動対策、サーキュラーエコノミーとイノベーション、公正な調達、多様性の強化、
地域社会への還元という5つの戦略的優先事項に基づいて構築される。 2022年に、モンクレールは2020-2025計画で示し
た目標を達成するために一段と尽力するつもりである。
デジタルを活用して戦略を立案し、開発及び製作を実施することは、「デジタルファースト」アプローチを信じる当グ
ループにとってますます重要な目標となる。 コレクションの概念化から製品開発、イベントデザインに至るまで、他の
チャネルに拡張する前に、最初の連絡先としてデジタルプラットフォームを使用してアクションを実行してく予定であ
る。
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4【経営上の重要な契約等】
該当なし。
5【研究開発活動】
当グループの競争力は、主に、モンクレール・ブランド(Moncler Brand)のイメージと高い評価によるが、当グループ
が、顧客の嗜好と市場の傾向に応じた新しいファッション・アパレルを作り出す能力にも依存する。当グループは、それ
ゆえ、様々な調査や、当グループの部における新製品及び製品ラインのデザイン、製造、開発に取り組んでいる。研究開
発費用は、支出される都度、当グループの損益計算書において認識される。
第4【設備の状況】
1【設備投資等の概要】
「第3-3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照のこと。
2【主要な設備の状況】
当グループの主要な設備は、以下に記載の倉庫及び本社等である。また2021年12月31日現在、当グループは237店舗の直
営店を運営しているが、これら全ての店舗は、第三者の所有物を当社子会社が賃借しているものである。「第2-3 事
業の内容」参照。
主な設備の内容は以下のとおりである。
(1)モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)、インダストリーズ(Industries)及びスポーツウェア・カンパ
ニー(Sportswear Company S.p.A. (当社のイタリアにおける子会社))
所在地 面積 所有/賃貸 従業員の数
本社 イタリア共和国ミラノ 約18,292平方メートル 賃貸 501名
オフィス イタリア共和国トレバゼーレゲ 約15,500平方メートル 所有 520名
オフィス イタリア共和国ラヴァリーノ 約22,080平方メートル 所有 173名
(2)インダストリーズ・イールド(Industries Yield)(ルーマニアにおける子会社)
所在地 面積 所有/賃貸 従業員の数
工場 ルーマニア バカウ 約16,000平方メートル 所有 1,143名
3【設備の新設、除却等の計画】
「第3-3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照のこと。
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第5【提出会社の状況】
1【株式等の状況】
(1)【株式の総数等】
①【株式の総数】
(2021年12月31日現在)
授権株数(株) 発行済株式総数(株) 未発行株式数(株)
273,682,790株 273,682,790株 0
②【発行済株式】
(2021年12月31日現在)
上場金融商品取引所名又は
記名・無記名の別及び額
種 類 発行数(株) 内 容
面・無額面の別
登録認可金融商品取引業協会名
記名式無額面株式 普通 273,682,790株 ミラノ証券取引所 -
計 - 273,682,790株 - -
(2)【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当なし。
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(3)【発行済株式総数及び資本金の推移】
(2021年12月31日現在)
発行済株式総数(株) 資本金(ユーロ)(括弧内は円)
商業登記年月日
増減数 残高数 増減額 残 高 摘 要
(1)
2008年10月13日 該当なし 該当なし 10,844.34 20,833.34
(1)
2008年10月17日 該当なし 該当なし 979,166.66 1,000,000
ソシエタ・ペル・アジ
オニ( società per
2011年3月29日 100,000,000 100,000,000 49,000,000 50,000,000
azioni )への組織変更
に伴う株式の発行 (2)
同日付けで当社は、イタリア法上の有限責任会社であるソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リ
2011年7月8日
ミタタ( società a responsabilità limitata )に組織変更したため、株式はなくなった。
ソシエタ・ペル・アジ
オニ( società per
2013年10月2日 250,000,000 250,000,000 0 50,000,000
azioni )への組織変更
に伴う株式の発行 (3)
新株予約権の行使に伴
2015年10月26日 124,458 250,124,458 24,891.60 50,024,891.6
う株式の発行
新株予約権の行使に伴
2016年12月31日 90,266 250,214,724 18,503.20 50,042,944.80
う株式の発行
新株予約権の行使に伴
2017年12月31日 4,564,017 254,778,741 912,803.40 50,955,748.20
う株式の発行
新株予約権の行使に伴
2018年11月19日 1,041,383 255,820,124 208,276.60 51,164,024.80
う株式の発行
新株予約権の行使及び
2019年12月31日 2,159,400 257,979,524 431,880 51,595,904.80 株式報酬の付与に伴う
株式の発行
新株予約権の行使及び
2020年12月31日 373,100 258,352,624 74,620 51,670,524.80 株式報酬の付与に伴う
株式の発行
Sportswear Company
S.p.A.の株主との取引
2021年12月31日 15,330,166 273,682,790 3,066,033.20 54,736,558
に伴う発行済株式数の
増加
(1) 当社は、イタリア法上の有限責任会社であるソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタタ( società a responsabilità limitata )であった
ため、株式を発行していなかった。
(2) 同日付けで、当社はイタリア法上の株式会社であるソシエタ・ペル・アジオニ( società per azioni )に組織変更された。
(3) 同日付けで、イタリア法上の株式会社であるソシエタ・ペル・アジオニ( società per azioni )に組織変更された。
(4)【所有者別状況】
「(5) 大株主の状況」を参照のこと。
(5)【大株主の状況】
(2021年12月31日現在)
所有株式数 発行済株式総数に対する
氏名又は名称 住 所
(株) 所有株式数の割合
ドーブル・エスアールエル
イタリア共和国ミラノ市サンタ・テク
54,414,063 19.9%
(Double R S.r.l.) ラ3番
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モルガンスタンレー・インベ
ストメント・マネジメント
シンガポール共和国ワン・マリーナ・
(Morgan Stanley
31,349,443 11.5%
ブールバード28-00番
Investment Management
Co.)
キャピタル・リサーチ・アン
アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサ
ド・マネジメント・カンパ
ンゼルス サウスホープ通り55丁目33番
13,058,403 4.8%
ニー(Capital Research and
地1階
Management Company)
ブラックロック・インク
アメリカ合衆国ニューヨーク州52丁目
11,488,697 4.2%
(BlackRock Inc.)
東55番地
リヴェッティ・ファミリー
イタリア共和国ミラノ市ヴィットル・
10,731,116 3.9%
(Rivetti Family)(*)
ピザーニ通り20番
(*) Rivetex S.r.l. (Carlo Rivettiファミリー)、Mattia Rivetti Riccardi、Ginevra Alexandra Shapiro、Pietro
Brando Shapiro及びAlessandro Gilbertiの保有分を含む。
2【配当政策】
本概要は、当社に配当可能なものがある場合の配当に関して当社が重要と考える情報を全て含んでいるが、本概要により
全ての情報が提供されるものではなく、必要に応じて当社定款又はイタリアの法令を参照することにより、完全な情報と
なる。
一般
イタリア法に基づき、当社による年次の配当は、取締役会決議によって、当該年における当社の配当可能な利益及び非連
結ベースの剰余金の範囲内で行わなければならない。かかる決議は、当社定時株主総会で承認を受けなければならない。
なお、定時株主総会は、当社の年次財務諸表の承認のために、当該財務諸表にかかる会計年度終了日から120日又は180日
以内に開催しなければならない。「第1-1 会社制度等の概要」を参照のこと。
積立義務
当社の年次配当は、いずれも取締役会によって提案され、定時株主総会において、当社株主の承認を受けなければならな
い。当社非連結純利益からの配当が行われる前に、当該純利益の5%相当額が、少なくとも当社の発行済株式資本の額面
額の5分の1相当額に達するまで、当社の法定剰余金(リゼルバ・レガーレ( riserva legale ))に配賦されなければな
らない。もし当社の資本金が累積損失によって欠損した場合、資本金額が元に戻されるまで、又はかかる損失額分だけ減
少させられるまで、配当金を支払うことはできない。取締役会は、一定限度額の範囲内で中間配当を行うことができる。
詳細については「第1-1 会社制度等の概要」を参照のこと。
返済及び時効
当社が宣言した年次配当は、適用される法律に従って支払われる。株主は、適法に承認された財務諸表に基づいて支払わ
れた年次配当を善意で受領した場合は、当社に当該配当を返済する必要はない。配当の支払可能日から5年以内に株主が
配当を受領しないときは、配当を受ける権利は失効し、当社の剰余金に計上されることになる。
支払方法及び時期
当社が公表した株主への配当は、モンテ・ティトーリ(Monte Titoli)又は、モンテ・ティトーリ(Monte Titoli)のよ
うに認可を受け、株主から指示を受けた仲介機関が、株式を預け入れている有価証券の集中管理システムを介し、統一財
務法(Unified Financial Act)及び共同規制に従って株主に支払われる。
課税
イタリア共和国内の居住者ではない個人又は事業体への当社普通株式についての配当は、イタリアの代用税の対象である
が、租税条約又は慣習に従い、一定の条件を満たす場合、減額される可能性がある。
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当社のようなイタリアの会社は、イタリアにおける適用法に基づき、配当支払に関し、イタリア租税当局に、一定の情報
の提供を求められる。詳細については「第1-3 課税上の取扱い」を参照のこと。
配当
2022年4月21日、当社の普通株主総会は、2021年度の当グループの決算を承認し、1株当たり0.60ユーロの配当を実施す
ることを承認した。
3【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
当社は、従来型のガバナンスモデルを採用している。具体的内容は以下のとおりである。
取締役会は、コーポレート・ガバナンス体制の重要な要素であり、株主価値の最大化を目指し、全社的な事業を監督し、
グループのためのガイドラインを定める。当社の取締役会は、指名報酬委員会、及びリスク・サステナビリティコント
ロール委員会を設置し、取締役が委員に就任している。これらの委員会は、当社が支持しているコーポレートガバナンス
コードに沿って取締役会に対する諮問を行うものである。
監査役会は、上場会社に適用される規則に従い、(i)法令遵守、優れた経営管理の原則の適用、及び親会社から提供さ
れた指示の妥当性、(ⅱ)会社の組織体制、内部統制システムおよび行政会計システムの妥当性、並びに報告業務におけ
る正確性の信頼性、(ⅲ)会社が承認した行動規範により提供されるコーポレートガバナンスルールの実用化、(iv)内
部監査およびリスク管理システムの有効性、勘定の監査および監査会社の独立性、(ⅴ)財務報告プロセスを監視監督す
る。
定時及び/又は臨時株主総会として招集される株主総会は、以下に関する事項を決定する。(ⅰ)取締役会及び監査役会
の構成員の選任及び解任及び報酬、(ⅱ)財務諸表の承認および利益分配、(ⅲ)定款の変更、(iv)監査役会の合理的
提案に基づく監査法人の任命、及び(v)インセンティブプランの導入。
監査法人は会計を監査する法定の権限を有している。監査法人は、法律に基づき株主総会によって任命される。イタリア
民法では、監査法人に完全な独立と自主的な活動を保証することが要求されており、支配株主または少数株主持分を代表
するものではない。
KPMG S.p.A.が、2013年から2021年までの個別及び連結財務諸表の監査法人として当社株主総会において任命されてい
る。
当社が導入している内部統制及びリスクマネジメントシステムの一環として、指令231/01号(Legislative Decree no.
231/01)に基づき、委員3名から構成され、取締役会直属の諮問委員会を設置している。この諮問委員会は、当グループ
の規則、システム及び内部統制が適切かを監視する役割を担っている。
取締役会委員会及び2001年法令231号に基づいて任命された監督機関および財務報告担当責任者を含むコーポレートガバ
ナンスの詳細については、当社ウェブサイトwww.monclergroup.comの「ガバナンス」のセクションを参照されたい。コー
ポレート・ガバナンス及び所有者報告書(立法令第58/1998号の第123-b2条に従って作成されている)は、他の会社書類
とともにウェブサイト上で掲載されている。
2014年3月28日、当社取締役会は、2000年9月29日法律第11条に基づき法人及び権利能力なき社団の運営に関する責任に
ついて定めた2001年6月8日の法令第231号に従い、「組織、運営及びコントロールに関するモデル」(以下「本モデ
ル」という。)を承認した。本モデルは、当社の主要なリスク要因をコントロールするための内部統制体制及び倫理規程
を定めるものである。倫理規程は、当グループが事業を遂行する際の倫理規範について宣言し、遵守する責任を定めるも
のである。倫理規程の全ての名宛人(当社のみならず、当社の仕入先、請負業者、コンサルタント、協力会社、ビジネス
パートナー等)に、業務及び事業の全ての過程で倫理規程を遵守することを求めている。
当社が採用する内部統制およびリスク管理システム(ICRMS)は、監督機関によってサポートされている。当社のメカニ
ズムと内部統制の有効性と妥当性を確保するタスク、および当社が採用した指令第231号の実施について監督を受ける。
監督機関は、2人の外部(社長を含む)と1人の内部の3人のメンバーで構成されている。
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会長兼CEOのレモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)は、諮問機能を持ち、グループの主要な領域を橋渡しする、戦略委員
会によるグループ戦略の定義と実施を支援し、モンクレールの指針となる価値の一貫性と共有を確保している。
本書提出日現在、当社の取締役会は、会長を含め12名のメンバーで構成され、そのうち7名は独立取締役だる。取締役会
内で割り当てられた権限に関しては、3名の執行取締役と9名の非常勤取締役(うち7名は独立取締役)である。当社
は、民族、性別、年齢の異なるメンバーで構成され、多様なスキル、専門的経験、文化的背景を持つ取締役会が、グルー
プなどの国際企業が最善の意思決定を可能にすることができると考えている。
取締役会および監査役会は、企業体が適切に機能するための経験とスキルの補完性の重要性を認識し、ダイバシティーポ
リシー(「本ポリシー」)を承認した。これは、性別、年齢層、および体のメンバーの年功の多様性と組み合わせるため
に多様な専門家のプロファイルを統合することを目的として、彼らの構成に最適と考えられる特性を説明するものであ
る。
本ポリシーは、2018年10月4日の会議で監査役会と共に指名報酬委員会に提出され、2018年12月18日の会議で取締役会に
よって承認された。
本ポリシーは、ステークホルダーの期待に沿うとともに、コーポレートガバナンスシステムとモンクレールの倫理規定の
値の基礎となる企業の目標を追求し、経営と監督に必要な条件を作成することを目的としている。
関連当事者取引
関連当事者取引の概要は、当社の連結財務諸表の脚注10.1及び個別財務諸表の脚注8.1を参照されたい。
自己株式
当社は、本書提出日現在、4,858,416株の自己株式(発行済株式の1.8%に相当)を保有している。
(2)【役員の状況】
(1)当社の取締役及び上級社員
当社は、イタリア法が定める範囲内において全般的な権限を執行委員会及び/又は1名以上のマネージング・ディレク
ターに対して委譲する権限を有する取締役会( Consiglio di Amministrazione )によって経営されている。取締役会は、
最高経営責任者及び業務執行取締役の権限を決定する。また、当社は、イタリア民法に基づき、監督機関として機能する
監査役会( Collegio Sindacale )を設置する必要がある。
取締役会
本書提出日現在、当社取締役会は以下の者で構成される。
氏名 役職 年齢
レモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)
取締役会長兼CEO 61
マルコ・ディエゴ・デ・ベネデッティ 副社長
(Marco Diego De Benedetti) リスク・サステナビリティコントロール委員会委員 60
指名報酬委員会委員
ベッティーナ・フェツター(Bettina Fezter)
独立取締役 42
ロベルト・エッジス(Roberto Eggs)
業務執行取締役 57
ガブリエーレ・ギャラテッリ・ディ・ジェノーラ
独立取締役
75
(Gabriele Galateri di Genola)
リスク・サステナビリティコントロール委員会委員
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アレッサンドラ・グリィッティ
筆頭独立取締役
(Alessandra Gritti)
独立取締役
61
指名報酬委員会委員
関連当事者委員会委員
ジーン・ジャクソン(Jeanne Jackson)
独立取締役
70
関連当事者委員会委員
ディーバ・モリアーニ(Diva Moriani) 独立取締役
関連当事者委員会委員 54
指名報酬委員会委員
グイドー・ピナローリ(Guido Pianaroli) 独立取締役
リスク・サステナビリティコントロール委員会委員 70
関連当事者委員会委員
カルロ・リヴェッティ(Carlo Rivetti)
非業務執行取締役 66
ルチアノ・サンテル(Luciano Santel)
業務執行取締役 66
マリア・シャラポワ(Maria Sharapova)
独立取締役 35
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本書提出日現在、当社取締役会の男女比率は以下のとおりである。
取締役 員数 比率
男性 7名 58%
女性 5名 42%
(2)当社の監査役
監査役会
本書提出日現在、当社監査役会は以下の者で構成される。
氏名 役職 年齢
リカルド・ロッシ(Riccardo Losi)…………………………
55
監査役会長
カロライン・ディットメイヤー(Carolyn Dittmeier) ……
66
正規監査役
ナディア・フォンターナ(Nadia Fontana)…………………
61
正規監査役
フェデリシア・アルビッザッティ(Federica Albizzati)…
53
補欠監査役
ロレンゾ・マウロ・バンフィ(Lorenzo Mauro Banfi)……
63
補欠監査役
当社監査役は、2020年6月11日に開催された株主総会において専任された。また、「第6ー1財務書類」の連結財務諸表
注10.1も併せて参照されたい。
当社監査役は、他の当社監査役、当社取締役、若しくは主要幹部又は当グループの事業において戦略的役割を担うその他
人物のいずれかと関係を有していない。
過去5年間において当グループが把握する限り、当社監査役は、 (i)詐欺的な犯罪行為に関連して有罪判決を受けておら
ず、 (ii)破産している、管財人の管理下である、又は清算の対象である会社の管理、経営又は監督に関する組織の一員
又はシニアマネジャーになっておらず、(iii)司法又は規制当局(職能団体を含む)による公的な調査及び/又は制裁の
対象となっておらず、(iv)裁判所によって、発行者の管理、経営又は監督に関する組織から、又は発行者の経営陣として
勤務することから排除され、又はそれらについて欠格とされていない。
(3)役員の報酬等
「第6-1財務書類」の連結財務諸表注10.1を参照のこと。
(3)【監査の状況】
「(1)コーポレートガバナンスの概要」及び「(2)役員の状況」を参照のこと。
独立監査人に対して支払われた報酬は以下のとおりである。
2021年12月31日に終了した事業年度 2020年12月31日に終了した事業年度
監査業務に 監査業務に 監査業務に 非監査業務に
区分
関連する報酬 関連する報酬 関連する報酬 関連する報酬
(ユーロ)(*) (ユーロ)(*) (ユーロ)(*) (ユーロ)
当社 329,853 221,124 208,891 32,543
連結子会社 554,442 653,230 524,113 513,934
計 884,295 874,354 733,004 546,477
(*) 証明業務に対する報酬を含む。
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前連結会計年度及び当連結会計年度において、当社の連結子会社が、当社の監査公認会計士等と同一のネットワークに属
しているKPMGネットワーク(イタリアを除く。)に対して支払った報酬の額は、それぞれ204,761ユーロ及び226,337ユー
ロ である。いずれも非監査業務の提供は受けていない。
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(4)【役員の報酬等】
該当なし。
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(5)【株式の保有状況】
該当なし。
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第6【経理の状況】
1 当社は、欧州連合によって承認され、政令第38/05号第9条(Article 9 of Legislative Decree No. 38/05)に基づき
イタリアで施行されている国際財務報告基準(以下「国際財務報告基準(IFRS)」という。)に準拠して連結財務諸
表及び個別財務諸表を作成しており、当社はこれらの財務諸表を本国において年次報告書上で開示している。以下に
掲げる当社の和文の年次連結財務諸表及び個別財務諸表は、2020年度にかかる年次報告書に掲載された原文の年次連
結財務諸表及び個別財務諸表を翻訳したものである。
当該財務諸表の作成に当たって、当グループが採用した会計原則及び会計慣行と、日本において一般に認められてい
る会計原則及び会計慣行との間の主要な相違点については、「4 日本と国際財務報告基準(IFRS)における会計原
則及び会計慣行の主要な相違」において説明されている。
2 上記の年次連結財務諸表及び個別財務諸表の日本における開示については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法
に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)第129条第1項の規定の適用を受けている。
3 原文の年次連結財務諸表及び個別財務諸表は、外国監査法人等(公認会計士法(昭和23年法律第103号)第1条の3第
7項に規定されている外国監査法人等をいう。)であるケーピーエムジー・エスピーエー(KPMG S.p.A.)による監査
を受けており、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含む。)第193条の2第1項第1号に規定され
る監査証明に相当すると認められる証明にかかる監査報告書の原文及び和訳文が本書とともに提出されている。
4 本書記載の原文の財務諸表は、ユーロで表示されている。「円」で表示されている金額は、2022年6月1日現在の株
式会社三菱東京UFJ銀行の対顧客直物電信売買相場の仲値である1ユーロ=138.29円により行ったものである。日
本円による計数は四捨五入により合計と一致しないことがある。
5 上記の主要な金額の円換算額及び「2 主な資産・負債及び収支の内容」ないし「4 日本と国際財務報告基準
(IFRS)における会計原則及び会計慣行の主要な相違」は原文の財務諸表には含まれておらず、上記3の監査の対象
にもなっていない。
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1【財務書類】
連結損益計算書
連結損益計算書
うち
うち
関連当事者
単位:千ユーロ 注記 2021年度 2020年度 関連当事者
(注記10.1)
(注記10.1 )
収益 4.1 2,046,103 1,391 1,440,409 1,198
売上原価 4.2 (479,197) (10,640) (350,775) (11,849)
1,566,906 1,089,634
売上総利益
販売費 4.3 (608,495) (2,404) (463,583) (1,857)
一般管理費 4.4 (237,109) (17,926) (173,444) (14,021)
マーケティング費 4.5 (142,082) (83,786)
4.6 579,220 368,821
営業利益
金融収益 4.7 3,061 759
金融費用 4.7 (24,669) (24,061)
557,612 345,519
税引前利益
法人所得税 4.8 (164,059) (45,153)
当期純利益(非支配持分を含む) 393,553 300,366
非支配持分 (20) (15)
当期純利益(当グループ持分) 393,533 300,351
1.48 1.19
1株当たり利益(単位:ユーロ) 5.16
1.47 1.18
希薄化後1株当たり利益(単位:ユーロ) 5.16
連結損益計算書
うち うち
関連当事者 関連当事者
単位:百万円 注記 2021年度 2020年度
(注記10.1) (注記10.1)
収益 4.1 282,956 192 199,194 166
売上原価 4.2 (66,268) (1,471) (48,509) (1,639)
216,687 150,685
売上総利益
販売費 4.3 (84,149) (332) (64,109) (257)
一般管理費 4.4 (32,790) (2,479) (23,986) (1,939)
マーケティング費 4.5 (19,649) (11,587)
4.6 80,100 51,004
営業利益
金融収益 4.7 423 105
金融費用 4.7 (3,411) (3,327)
77,112 47,782
税引前利益
法人所得税 4.8 (22,688) (6,244)
当期純利益(非支配持分を含む) 54,424 41,538
非支配持分 (2)
(3)
当期純利益(当グループ持分) 54,422 41,536
204.92 164.38
1株当たり利益(単位:円) 5.16
203.95 163.58
希薄化後1株当たり利益(単位:円) 5.16
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連結包括利益計算書
連結包括利益計算書
単位:千ユーロ 注記 2021年度 2020年度
当期純利益(損失) 393,553 300,366
ヘッジの公正価値の変動 5.16 (12,087) 2,916
換算差額―在外営業活動体 5.16 19,051 (15,313)
6,964 (12,397)
純損益に振替えられる可能性のある項目
その他の利得(損失) 5.16 (110) (143)
(110) (143)
純損益に振替えられることのない項目
その他の包括利益(損失)(税引後) 6,854 (12,540)
400,407 287,826
当期包括利益(損失)計
帰属先:
当グループ 400,388 287,823
非支配持分 19 3
連結包括利益計算書
単位:百万円 注記 2021年度 2020年度
当期純利益(損失) 54,424 41,538
ヘッジの公正価値の変動 5.16 (1,672) 403
換算差額―在外営業活動体 5.16 2,635 (2,118)
963 (1,714)
純損益に振替えられる可能性のある項目
その他の利得(損失) 5.16 (15) (20)
(15) (20)
純損益に振替えられることのない項目
その他の包括利益(損失)(税引後) 948 (1,734)
55,372 39,803
当期包括利益(損失)計
帰属先:
当グループ 55,370 39,803
非支配持分 3 0
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連結財政状態計算書
連結財政状態計算書
うち うち
2021年 2020年
関連当事者 関連当事者
単位:千ユーロ 注記
12月31日 12月31日
(注記10.1) (注記10.1)
ブランド及びその他の無形資産
5.1 1,070,074 282,308
(純額)
のれん 5.1 603,417 155,582
有形固定資産(純額) 5.3 913,322 802,987
関連会社への投資 826 0
その他の非流動資産 5.9 37,082 33,523
繰延税金資産 5.4 179,312 150,832
2,804,033 1,425,232
非流動資産
棚卸資産及び仕掛品 5.5 263,521 202,770
売掛金 5.6 234,274 12,085 174,144 11,205
当期税金資産 5.12 4,963 5,089
その他の流動資産 5.9 27,758 21,086
金融資産 5.8 722 4,793
現金及び現金同等物 5.7 932,718 923,498
1,463,956 1,331,380
流動資産
4,267,989 2,756,612
資産合計
資本金 5.16 54,737 51,671
資本剰余金 5.16 745,309 173,374
その他の剰余金 5.16 1,305,407 1,101,652
当期純利益(当グループ持分) 5.16 393,533 300,351
2,498,986 1,627,048
当グループ持分
108 89
非支配持分
2,499,094 1,627,137
資本合計
長期借入金 5.15 624,732 562,844
引当金(非流動) 5.13 11,320 12,949
従業員給付 5.14 12,454 7,186
繰延税金負債 5.4 225,621 6,396
その他の非流動負債 5.11 163 142
874,290 589,517
非流動負債
短期借入金 5.15 289,191 150,423
買掛金 5.10 348,953 13,520 211,903 15,851
当期税金負債 5.12 131,182 93,622
その他の流動負債 5.11 125,279 5,161 84,010 589
894,605 539,958
流動負債
4,267,989 2,756,612
資本及び負債合計
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連結財政状態計算書
うち うち
2021年 2020年
関連当事者 関連当事者
単位:百万円 注記
12月31日 12月31日
(注記10.1) (注記10.1)
ブランド及びその他の無形資産
5.1 147,981 39,040
(純額)
のれん 5.1 83,447 21,515
有形固定資産(純額) 5.3 126,303 111,045
関連会社への投資 114 0
その他の非流動資産 5.9 5,128 4,636
繰延税金資産 5.4 24,797 20,859
387,770 197,095
非流動資産
棚卸資産及び仕掛品 5.5 36,442 28,041
売掛金 5.6 32,398 1,671 24,082 1,550
当期税金資産 5.12 686 704
その他の流動資産 5.9 3,839 2,916
金融資産 5.8 100 663
現金及び現金同等物 5.7 128,986 127,711
202,450 184,117
流動資産
590,220 381,212
資産合計
資本金 5.16 7,570 7,146
資本剰余金 5.16 103,069 23,976
その他の剰余金 5.16 180,525 152,347
当期純利益(当グループ持分) 5.16 54,422 41,536
345,585 225,004
当グループ持分
15 12
非支配持分
345,600 225,017
資本合計
長期借入金 5.15 86,394 77,836
引当金(非流動) 5.13 1,565 1,791
従業員給付 5.14 1,722 994
繰延税金負債 5.4 31,201 885
その他の非流動負債 5.11 23 20
120,906 81,524
非流動負債
短期借入金 5.15 39,992 20,802
買掛金 5.10 48,257 1,870 29,304 2,192
当期税金負債 5.12 18,141 12,947
その他の流動負債 5.11 17,325 714 11,618 81
123,715 74,671
流動負債
590,220 381,212
資本及び負債合計
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連結持分変動計算書
持分変動計算書 その他の包括利益
資本金 資本剰余金 法定準備金
為替換算
単位:千ユーロ 注記 その他
調整勘定
5.16 51,596 172,272 10,300 (2,876) (1,709)
2020年1月1日残高
前年度純利益の配分 0 0 19 0 0
連結の範囲の変更 0 0 0 0 0
配当 0 0 0 0 0
資本の増加 75 1,102 0 0 0
資本のその他の変動 0 0 0 0 0
包括利益のその他の変動 0 0 0 (15,307) 2,773
当期純利益 0 0 0 0 0
5.16 51,671 173,374 10,319 (18,183) 1,064
2020年12月31日残高
5.16 51,671 173,374 10,319 (18,183) 1,064
2021年1月1日残高
前年度純利益の配分 0 0 15 0 0
連結の範囲の変更 0 0 0 0 0
配当 0 0 0 0 0
資本の増加 3,066 571,935 0 0 0
資本のその他の変動 0 0 0 0 0
包括利益のその他の変動 0 0 0 19,052 (12,197)
当期純利益 0 0 0 0 0
5.16 54,737 745,309 10,334 869 (11,133)
2021年12月31日残高
持分変動計算書 その他の剰余金
当期純利益 資本(当グ
(当グルー ループ持
非支配持分 資本合計
IFRS 2
単位:千ユーロ 注記 FTA剰余金 利益剰余金
プ持分) 分)
剰余金
5.16 37,224 (23,434) 704,230 358,685 1,306,288 80 1,306,368
2020年1月1日残高
前年度純利益の配分 0 0 358,666 (358,685) 0 0 0
連結の範囲の変更 0 0 0 0 0 0 0
配当 0 0 0 0 0 0 0
資本の増加 0 0 (61) 0 1,116 0 1,116
資本のその他の変動 21,226 0 10,601 0 31,827 0 31,827
包括利益のその他の変動 0 0 0 0 (12,534) (6) (12,540)
当期純利益 0 0 0 300,351 300,351 15 300,366
5.16 58,450 (23,434) 1,073,436 300,351 1,627,048 89 1,627,137
2020年12月31日残高
5.16 58,450 (23,434) 1,073,436 300,351 1,627,048 89 1,627,137
2021年1月1日残高
前年度純利益の配分 0 0 300,336 (300,351) 0 0 0
連結の範囲の変更 0 0 0 0 0 412 412
配当 0 0 (121,275) 0 (121,275) 0 (121,275)
資本の増加 0 0 0 0 575,001 0 575,001
資本のその他の変動 (23,472) 1,798 39,498 0 17,824 (412) 17,412
包括利益のその他の変動 0 0 0 0 6,855 (1) 6,854
当期純利益 0 0 0 393,533 393,533 20 393,553
5.16 34,978 (21,636) 1,291,995 393,533 2,498,986 108 2,499,094
2021年12月31日残高
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持分変動計算書 その他の包括利益
資本金 資本剰余金 法定準備金
為替換算
単位:百万円 注記 その他
調整勘定
5.16 7,135 23,823 1,424 (398) (236)
2020年1月1日残高
前年度純利益の配分 0 0 3 0 0
連結の範囲の変更 0 0 0 0 0
配当 0 0 0 0 0
資本の増加 10 152 0 0 0
資本のその他の変動 0 0 0 0 0
包括利益のその他の変動 0 0 0 (2,117) 383
当期純利益 0 0 0 0 0
5.16 7,146 23,976 1,427 (2,515) 147
2020年12月31日残高
5.16 7,146 23,976 1,427 (2,515) 147
2021年1月1日残高
前年度純利益の配分 0 0 2 0 0
連結の範囲の変更 0 0 0 0 0
配当 0 0 0 0 0
資本の増加 424 79,093 0 0 0
資本のその他の変動 0 0 0 0 0
包括利益のその他の変動 0 0 0 2,635 (1,687)
当期純利益 0 0 0 0 0
5.16 7,570 103,069 1,429 120 (1,540)
2021年12月31日残高
持分変動計算書 その他の剰余金
当期純利益 資本(当グ
(当グルー ループ持
非支配持分 資本合計
IFRS 2
単位:百万円 注記 FTA剰余金 利益剰余金
プ持分) 分)
剰余金
5.16 5,148 (3,241) 97,388 49,603 180,647 11 180,658
2020年1月1日残高
前年度純利益の配分 0 0 49,600 (49,603) 0 0 0
連結の範囲の変更 0 0 0 0 0 0 0
配当 0 0 0 0 0 0 0
資本の増加 0 0 (8) 0 154 0 154
資本のその他の変動 2,935 0 1,466 0 4,401 0 4,401
包括利益のその他の変動 0 0 0 0 (1,733) (1) (1,734)
当期純利益 0 0 0 41,536 41,536 2 41,538
5.16 8,083 (3,241) 148,445 41,536 225,004 12 225,017
2020年12月31日残高
5.16 8,083 (3,241) 148,445 41,536 225,004 12 225,017
2021年1月1日残高
前年度純利益の配分 0 0 41,533 (41,536) 0 0 0
連結の範囲の変更 0 0 0 0 0 57 57
配当 0 0 (16,771) 0 (16,771) 0 (16,771)
資本の増加 0 0 0 0 79,517 0 79,517
資本のその他の変動 (3,246) 249 5,462 0 2,465 (57) 2,408
包括利益のその他の変動 0 0 0 0 948 (0) 948
当期純利益 0 0 0 54,422 54,422 3 54,424
5.16 4,837 (2,992) 178,670 54,422 345,585 15 345,600
2021年12月31日残高
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有価証券報告書
連結キャッシュ・フロー計算書
連結キャッシュ・フロー計算書
うち うち
2021年度 2020年度
関連当事者 関連当事者
単位:千ユーロ
営業活動によるキャッシュ・フロー
当期純利益 393,553 300,366
減価償却費及び償却費 246,519 200,976
金融費用(収益)純額 21,608 23,302
持分決済型株式報酬取引 28,432 30,927
法人所得税費用 164,059 45,153
棚卸資産の(増加)/減少 (20,557) 2,764
営業債権の(増加)/減少 24,657 (880) (8,120) 4,402
営業債務の増加/(減少) 105,780 (2,331) (40,616) (5,055)
46,293
その他の流動資産/負債の増減 4,572 (9,287) (3,405)
1,010,344 545,465
営業活動から生じたキャッシュ・フロー
利息の支払額及び受取額 (362) (849)
法人所得税の支払額 (146,715) (136,882)
その他の非流動資産/負債の増減 2,047 (1,284)
営業活動による正味キャッシュ・フロー(a) 865,314 406,450
投資活動によるキャッシュ・フロー
有形固定資産及び無形資産の取得による支出 (131,828) (92,561)
有形固定資産及び無形資産の売却による収入 7,147 2,192
事業の取得による支出(取得現金控除後) (496,728) 0
投資活動による正味キャッシュ・フロー(b) (621,409) (90,369)
財務活動によるキャッシュ・フロー
借入金の返済による支出 (32,643) 0
リース負債(流動/非流動)の返済による支出 (146,301) (136,923)
短期借入金の増減 (44,836) (15,735)
株主への配当金の支払額 (120,679) 0
資本の増加 0 1,116
その他の資本の変動額 (721) 0
財務活動による正味キャッシュ・フロー(c) (345,180) (151,542)
現金及び現金同等物の純増加(減少)額(a)+(b)+
(101,275) 164,539
(c)
923,483 759,070
現金及び現金同等物の期首残高
為替変動による影響 (19,493) (126)
現金及び現金同等物の純増加(減少)額 (101,275) 164,539
802,715 923,483
現金及び現金同等物の期末残高
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連結キャッシュ・フロー計算書
うち うち
2021年度 2020年度
関連当事者 関連当事者
単位:百万円
営業活動によるキャッシュ・フロー
当期純利益 54,424 41,538
減価償却費及び償却費 34,091 27,793
金融費用(収益)純額 2,988 3,222
持分決済型株式報酬取引 3,932 4,277
法人所得税費用 22,688 6,244
棚卸資産の(増加)/減少 (2,843) 382
営業債権の(増加)/減少 3,410 (122) (1,123) 609
営業債務の増加/(減少) 14,628 (322) (5,617) (699)
その他の流動資産/負債の増減 6,402 632 (1,284) (471)
139,720 75,432
営業活動から生じたキャッシュ・フロー
利息の支払額及び受取額 (50) (117)
法人所得税の支払額 (20,289) (18,929)
その他の非流動資産/負債の増減 283 (178)
営業活動による正味キャッシュ・フロー(a) 119,664 56,208
投資活動によるキャッシュ・フロー
有形固定資産及び無形資産の取得による支出 (18,230) (12,800)
有形固定資産及び無形資産の売却による収入 988 303
事業の取得による支出(取得現金控除後) (68,693) 0
投資活動による正味キャッシュ・フロー(b) (85,935) (12,497)
財務活動によるキャッシュ・フロー
借入金の返済による支出 (4,514) 0
リース負債(流動/非流動)の返済による支出 (20,232) (18,935)
短期借入金の増減 (6,200) (2,176)
株主への配当金の支払額 (16,689) 0
資本の増加 0 154
その他の資本の変動額 (100) 0
財務活動による正味キャッシュ・フロー(c) (47,735) (20,957)
現金及び現金同等物の純増加(減少)額(a)+(b)+
(14,005) 22,754
(c)
127,708 104,972
現金及び現金同等物の期首残高
為替変動による影響 (2,696) (17)
現金及び現金同等物の純増加(減少)額 (14,005) 22,754
111,007 127,708
現金及び現金同等物の期末残高
モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.) 取締役会代表
会長兼最高経営責任者
レモ・ルッフィーニ
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連結財務諸表注記
1. 報告企業の概況
1.1. 当グループと主要な事業
親会社であるモンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)は、イタリアで設立され、同国に所在する企業であり、登
録事業所の住所はイタリア国ミラノ市ステンダール47、登録番号は04642290961である。
また親会社であるモンクレール・エスピーエーは事実上、ルッフィーニ・パーテシパチオーニ・ホールディング・エス
アールエル(Ruffini Partecipazioni Holding S.r.l.)(以下、RPH)及びダブル・アール・エスアールエル(Double
RS.r.l.、旧ルッフィーニ・パーテシパチオーニ・エスアールエル(Ruffini Partecipazioni S.r.l.))(以下、DR)を
通じてレモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)により支配されている。2021年12月31日現在、レモ・ルッフィーニはDRを支
配しているPRHの株式を100%保有しており、よってモンクレール・エス・ピー・エーの19.9%の株主資本を間接的に保有
している。
2021年12月31日に終了する事業年度の連結財務諸表は、親会社及びその子会社(以下、当グループ)を含んでいる。
現在までの、当グループの主要な活動は、モンクレール(Moncler)のブランド名及びストーン・アイランド(Stone
Island)のブランド名での男性、女性、及び子供向け衣類、靴、革製品、及びアクセサリー類の企画、製造、販売であ
る。
1.2. 連結財務諸表作成の基礎
1.2.1. 関連する会計方針
2021年度連結財務諸表は、国際会計基準審議会(IASB)が設定し欧州連合が承認した国際財務報告基準(IFRS)に基づき作
成されている。IFRSには、国際会計基準(IAS)、国際財務報告解釈指針委員会(IFRIC、以前の解釈指針委員会(SIC))の解
釈指針のすべてが含まれる。
連結財務諸表には、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結財政状態計算書、連結持分変動計算書、連結キャッ
シュ・フロー計算書及びそれらの注記が含まれる。
1.2.2. 連結財務諸表の表示
当グループは、連結損益計算書を機能別に表示しており、この表示方法が最も適切に現在の事業を表現すると考えてい
る。この方法は内部報告及び事業管理と首尾一貫したものである。
連結財政状態計算書は、IAS第1号第60項以降の規定に従い、資産と負債を流動と非流動に区分する方法により表示して
いる。
連結キャッシュ・フロー計算書は間接法により作成している。
IAS第24号の規定に従い、関連当事者取引が連結財政状態計算書、連結損益計算書及び連結キャッシュ・フロー計算書に
重要な影響を及ぼす場合は、以下の注記において記載している。
1.2.3. 測定の基礎
連結財務諸表は、IFRS第9号で要求されているとおり特定の金融商品(すなわち、デリバティブ)の測定を除き、取得原
価主義及び継続企業の前提に基づき作成されている。
連結財務諸表は、当グループが主に事業を展開している市場の機能通貨であるユーロで表示しており、金額は特に記載が
無い限り、千ユーロ単位で記載されている。
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1.2.4. 取締役による継続企業の前提に関する評価
当期業績及び将来予測に基づき、経営者は継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと判断している。特に、当期末
時点のモンクレールの財務基盤並びに現金及び現金同等物によって高い財務上の自立性が確保されており、当グループの
経営上のニーズ及び開発プログラムをサポートできる状態である。2022年は、様々な市場及び販売チャネルにおける商品
の提供並びに事業活動の管理能力の両面において事業の運営が確実に保証されている。
1.2.5 見積り及び評価の利用
IFRSに準拠した連結財務諸表及びそれに関する注記の作成において、経営者は、報告日現在の資産及び負債の報告額、ま
た、偶発資産及び偶発債務の開示に影響を及ぼす見積りや仮定を用いることが要求されている。見積りと仮定は、過去の
実績やその他の要因に基づいている。実際の結果は、これらの見積り等とは異なる可能性がある。見積り及び見積りの基
礎となる仮定は定期的に見直しが行われ、見積りの変更が行われた期のみに影響がある場合は見積りの変更がなされた期
の連結財務諸表に、見積りの変更が行われた期及び将来の期間に影響がある場合は変更が行われた期以降の期間の連結財
務諸表に、見積りの変更が反映される。
経営者の見積りと判断が連結財務諸表に重要な影響を与える場合、もしくは報告日直後において資産や負債の認識金額を
修正する可能性がある場合には、関連する情報が下記の注記に開示される。
見積りは、主に下記の連結財務諸表の項目に関連する。
• 非流動資産とのれんの減損
• 営業債権の減損(貸倒引当金)
• 返品調整引当金
• 棚卸資産の減損(陳腐化引当金)
• 繰延税金資産の回収可能性
• 損失に対する引当及び偶発債務
• リース負債及び使用権資産
• インセンティブ制度と変動報酬
• 非支配持分の取得に係る金融負債
• IFRIC第23号「 法人所得税務処理に関する不確実性」
非流動資産とのれんの減損
非流動資産には有形固定資産、耐用年数を確定できない無形資産、のれん、投資及びその他の金融資産が含まれる。
経営者は、事象や環境の変化が帳簿価額を回収できない可能性を示唆しているか否か非流動資産の減損について定期的に
検討している。減損の検討が行われる場合、回収可能価額は、その資産が生み出すと予測される将来キャッシュ・フ
ロー、もしくは資産自体を売却することで得られる将来キャッシュ・フローを、適切な割引率で割引いた現在価値に基づ
いて見積られる。
非流動資産の回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合、損益計算書において減損損失が直ちに認識され、帳簿価額
は、最新の当グループの事業計画に基づき、使用価値もしくは独立第三者間取引に基づく売却価額のいずれか高い金額で
ある回収可能価額まで減額される。
営業債権の減損
貸倒引当金は、回収不能な営業債権の損失見込みに備えるための経営者の最善の見積りを示している。貸倒引当金を見積
るために採用する基準の説明については、「2.10 金融商品―営業債権、金融資産とその他の流動及び非流動資産」を参
照。
返品調整引当金
返品調整引当金は、予測される製品の返品から生じる資産及び将来の返金に関連する負債に対する経営者の最善の見積り
を反映している。
棚卸資産の減損
当グループは主に、顧客の需要やファッショントレンドの変化に合わせた衣料品の製造・販売を行っている。その結果、
棚卸資産の取得原価の回収可能性と、棚卸資産の評価に関連して要求される引当金を考慮する必要がある。棚卸資産の減
損は、当グループの販売チャネルを通じての販売可能性を考慮し、滞留商品の販売から生じる損失に備えるための経営者
の最善の見積りを示している。
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繰延税金資産の回収可能性
当グループは、非常に多くの法域において法人税課税の対象となる。各地域で税金費用を算定する際に判断が求められ
る。当グループは、経営者の見積りと事業計画に整合している期間内において回収が合理的に見込める場合、繰延税金資
産を認識する。
損失に対する引当及び偶発債務
当グループは、事業展開している国々で起こる法的及び税務的訴訟リスクに晒されている。訴訟は、個別の申し立てや現
地の法規制に関連する事象や環境に起因し、必然的にリスクと不確実性に晒されている。通常の事業運営の過程において
は、経営者は、グループ法務コンサルタントや税務の専門家にアドバイスを求めている。引当金は、債務を解消するため
の資源流出の可能性が高く、信頼性をもってその金額を見積ることができる場合に、経営者の最善の見積りに基づき認識
される。資源流出の可能性が高くない場合、又は十分な信頼性をもって債務の金額を測定することができない場合には、
偶発債務は連結財務諸表の注記に開示される。
リース負債及び使用権資産
当グループは使用権資産及びリース負債を認識する。使用権資産は当初測定において、取得原価で評価し、事後測定にお
いて減価償却累計額及び減損損失を控除した純額で評価し、リース負債の再評価を反映するように調整する。
当グループはリース契約期間、表示通貨、契約が締結された経済環境の特性及び信用リスクを考慮し算定された利子率を
用いて割り引いた、適用開始日現在で支払われていないリース料の現在価値でリース負債を評価する。
リース負債は、事後測定において、当該負債に係る金利により増加し、リース料の支払いにより減少する。指数又はレー
トの変動による将来のリース料の変動がある場合、当グループが残価保証に基づいて支払うと見込まれる金額の変動があ
る場合、当グループが購入、延長や解約のオプションを行使するか否かに関連して評価を変更する場合に再評価される。
当グループが借手となるリース契約は、契約期間に影響のある更新オプションが含まれる可能性がある。更新オプション
を行使する(または行使しない)ことが合理的に確実である場合、リース負債及び使用権資産の金額に重要な影響を与え
得る。
インセンティブ制度と変動報酬
モンクレール・グループの経営者に対する持分決済型のインセンティブ報酬の公正価値の決定に関する説明については、
2.13を参照のこと。
非支配持分の取得に係る金融負債の見積り及びIFRIC第23号 「法人所得税務処理に関する不確実性」については、2.20及
び2.16を参照のこと。
2. 連結財務諸表作成にあたっての重要な会計方針の要約
以下に記載されている会計方針は、表示されているすべての期間の連結財務諸表に継続的に適用されている。
2.1. 連結の基礎
当グループの連結財務諸表は、親会社とその子会社から構成されている。子会社には、親会社が直接又は間接的に議決権
の過半数を保有する場合、親会社が支配力を行使する権限を保有している場合、親会社が会社の活動から生じる便益を得
るための財務及び営業の方針を直接又は間接的に決定する立場にある場合に、該当する。
子会社の財務諸表は、親会社と同一の会計期間、継続適用された会計方針に基づいて作成されている。
子会社は当グループに支配が移転した日から連結の範囲に含められ、当グループ外に支配が移転した日に連結の範囲から
除外される。子会社に対する支配の喪失がある場合には、親会社が支配していた報告期間の成果が連結財務諸表に含まれ
る。連結財務諸表では、非支配持分は、資本の部及び損益計算書の中で区分して表示される。支配の喪失を伴わない親会
社グループの持分の変動や、支配を取得した後の非支配持分の追加取得による親会社グループの持分の変動は、資本の部
の変動として会計処理される。
連結財務諸表を作成するに際して、グループ内取引から生じた影響や残高並びに未実現利益又は損失は、すべて消去され
ている。
関連会社に対する投資
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関連会社に対する投資は、取得時に取得原価で認識し、投資会社の持分割合に応じて取得後の関連会社の純資産の変動を
調整する持分法を用いて会計処理している。関連会社の取得に際して、投資原価と、関連会社の資産及び負債の公正価値
の 純額に対する投資会社の持分との差額は、投資の帳簿価額に含まれている。関連会社の損失に対する投資会社の持分
が、投資額と等しい又は上回った場合には、投資の帳簿価額をゼロまで減額もしくは追加的な損失を認識し、投資会社が
法的な義務を負っている額又は関連会社に代わって支払いを行う額に相当する負債を認識している。
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2.2. 外貨
各当グループ企業の財務諸表に含まれている項目は各社が営業活動を行う主たる経済環境の通貨(機能通貨)で測定して
いる。
外貨建取引
外貨建取引は取引日の為替レートで記録している。期末日における外貨建貨幣性資産及び負債は、報告日の為替レートで
機能通貨に換算している。当初認識時の為替レートとは異なる為替レートで貨幣性項目を換算した結果生じる換算差額
は、発生した期間の連結損益計算書で認識される。
在外営業活動体の換算
連結財務諸表に含まれている在外子会社の資産及び負債は、報告日の為替レートで当グループの報告通貨であるユーロに
換算している。収益及び費用は、取引日の実際の為替レートに最も近いと考えられる報告期間の平均為替レートで換算し
ている。この方法を適用することで生じる差額は、その他の包括利益で認識し、在外営業活動体を処分するまで為替換算
調整勘定として資本の部に独立項目として表示している。在外営業活動体の買収により生じたのれん及び公正価値の調整
は、在外営業活動体の資産及び負債として扱い、報告日における為替レートで換算している。
2021年度及び2020年度の在外子会社の財務諸表をユーロ建てに換算する上で使用した主な為替レートは以下のとおりであ
る。
期中平均レート 期末日レート
2021年度 2020年度 2021年12月31日 2020年12月31日
AED 4.343610 4.194720 4.159500 4.506500
AUD 1.574940 1.654920 1.561500 1.589600
BRL 6.377890 5.894260 6.310100 6.373500
CAD 1.482600 1.530000 1.439300 1.563300
CHF 1.081150 1.070520 1.033100 1.080200
CNY 7.628230 7.874700 7.194700 8.022500
CZK 25.640500 26.455100 24.858000 26.242000
DKK 7.437030 7.454210 7.436400 7.440900
GBP 0.859604 0.889704 0.840280 0.899030
HKD 9.193180 8.858700 8.833300 9.514200
HUF 358.516000 351.249000 369.190000 363.890000
JPY 129.877000 121.846000 130.380000 126.490000
KRW 1,354.060000 1,345.580000 1,346.380000 1,336.000000
KZT 504.428000 472.998000 492.750000 517.040000
MOP 9.468970 9.124460 9.098300 9.799600
MXN 23.985200 24.519400 23.143800 24.416000
NOK 10.163330 10.722790 9.988800 10.470300
NZD 1.672400 1.756100 1.657900 1.698400
PLN 4.565200 4.443000 4.596900 4.559700
RON 4.921480 4.838280 4.949000 4.868300
RUB 87.152700 82.724800 85.300400 91.467100
SEK 10.146500 10.484800 10.250300 10.034300
SGD 1.589100 1.574240 1.527900 1.621800
TRY 10.512370 8.054720 15.233500 9.113100
TWD 33.036100 33.622700 31.367100 34.480700
UAH 32.259200 30.850600 30.921900 34.768900
USD 1.182740 1.142200 1.132600 1.227100
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2.3. 企業結合
企業結合は、取得法で会計処理している。
取得法では、識別可能な取得資産及び引受負債を取得日の公正価値で測定する。企業結合により発生した費用は、サービ
スが提供された期間に費用として会計処理している。
のれんは、取得日における、譲渡対価の公正価値、被取得企業に対する非支配持分の認識額及び企業結合が段階的に達成
される場合において取得企業が従前から保有している持分の合計が、取得資産及び引受負債の公正価値の純額を超過する
部分として決定される。取得した純資産の公正価値が取得原価を超える場合、その差額は取得日に利益として直接認識さ
れる。非支配持分は、取得日の公正価値、又は識別可能な純資産の非支配持分に係る比率持分のいずれかで測定される。
いずれの方法を選択するかは、それぞれの企業結合毎に決定される。
企業結合が生じた報告期間の末日までに企業結合の当初の会計処理が完了していない場合には、当グループは会計処理が
完了していない項目の暫定的な金額を財務諸表上で報告する。取得日から1年間を超えない測定期間中において、取得日
で存在し、それを知っていたならば取得日で認識した資産及び負債の測定に影響したであろう事実及び状況について新し
い情報を入手した場合、当該情報を反映するために、取得日で認識した暫定的な金額は遡及修正される。
2.4. 売却可能な非流動資産及び非継続事業
売却可能な非流動資産及び非継続事業は、その価値が、発生する蓋然性が高い販売取引により回収可能であるとき、売却
可能と分類される。このような状況では、売却可能な非流動資産及び非継続事業は、帳簿価額と公正価値のいずれか低い
方の額で評価される。公正価値は、売却可能な非流動資産及び非継続事業の価値が、継続使用せずに、確実な販売取引に
より回収可能である場合に、売却費用とネットされる。
非継続事業とは以下の事業を言う。
・独立の主要な事業分野又は営業地域
・独立の主要な事業分野又は営業地域を処分する統一された計画の一部
・転売のみのために取得した子会社
連結損益計算書上、売却可能な非流動資産及びIFRS第5号の要求により非継続事業と定義された処分部門は、処分価額と
関連する税効果による利益又は損失だけではなく、利益と損失の両方を含む単一の項目に記載される。比較期間は、IFRS
第5号に従って比較期間の期首に変更が行われたように、遡及処理される。
財政状態計算書においては、IFRS第5号の要件を満たした期間において、売却可能な非流動資産及び非継続事業は、流動
資産・負債に組み換えられる。比較年度の財政状態計算書は、遡及処理又は組替えは行われない。
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2.5. 有形固定資産
有形固定資産は、取得原価又は製造原価から、減価償却累計額、減損損失累計額を控除した額で計上されている。取得原
価は、資産の購入価格及びその資産を意図した方法で稼働可能な状態にするための費用を含んでいる。
減価償却
有形固定資産の減価償却費は、以下の表に示した見積耐用年数にわたって定額法で算定し、損益として認識している。
資産項目 耐用年数
土地 対象外
建物 25年から33年
機械設備 8年から12年
什器備品 5年から10年
電子機器 3年から5年
リース附属設備 リース期間又は耐用年数のいずれか短い期間
使用権 リース期間
その他の固定資産 一般に当社にとって利用が予想される期間内において市場環境を考慮して決定
リース資産は、リース期間終了時までに当グループが所有権を取得することに合理的確実性がない場合には、リース期間
又は耐用年数のいずれか短い期間で償却している。
減価償却方法、耐用年数及び残存価額は、各報告期間において見直しを行い、必要に応じて改定している。
有形固定資産の処分損益
有形固定資産の処分損益は、処分日において処分により受け取る金額と帳簿価額との差額として算定している。なお、該
当する取引が終了し、所有権が移転されたときに処分損益を計上している。
2.6. 無形資産
のれん
「企業結合」に関する注記に記載されているとおり、企業結合から生じるのれんは、取得日で認識される。
のれんは耐用年数を確定できない無形資産に含まれるため、償却は行われないが、年に一度以上、事象又は状況の変化が
帳簿価額を回収できない可能性を示唆しているかどうかを確認する減損テストが実施される。当初認識後、のれんは、取
得原価から減損損失累計額を控除した額で測定される。
IFRSの初年度適用において、当グループは、IFRSへの移行日(2009年1月1日)以前に行われた買収に関して、IFRS第3
号「企業結合」の遡及適用を実施しないことを選択した。その結果、IFRSへの移行日以前の買収から生じたのれんは、移
行日以降にIFRSに基づくのれんの減損損失が認識されていない場合、イタリアにおいて一般に公正妥当と認められた会計
基準に基づき計上されている。
追加的な情報については、注記2.7「非金融資産の減損」に記載している。
ブランド
個々に取得されたブランドは取得原価で表示される。企業結合によって取得されたブランドは、取得日の公正価値で認識
される。
ブランドは、耐用年数を確定できないため、取得原価から減損損失累計額を控除した額で計上される。ブランドは償却さ
れないが、年に一度以上、事象又は状況の変化が帳簿価額を回収できない可能性を示唆しているかどうかを確認する減損
テストが実施される。
追加的な情報については、注記2.7「非金融資産の減損」に記載している。
のれんとブランド以外の無形資産
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ライセンス権は無形資産として資産計上され、経済的耐用年数にわたり定額法によって償却される。ライセンス権の経済
的耐用年数は、基礎となる契約の条項に従って個々に決定される。
敷金は、新規直営店の出店に際し支払った金額によって資産計上される。敷金は一般的に耐用年数を確定することがで
き、その期間は、通常リース期間と一致する。しかし、敷金が、法的に保護されている場合や、リース期間の終了時に払
い戻しを受けることが法的管轄区域、又は、市場の一般的な慣習になっている場合などの特定の状況においては、耐用年
数を確定できない。こうした限定的な状況で、かつ、それらが十分な根拠に基づく場合、敷金は償却されず、非金融資産
の減損に関する注記に記載されている方法に従い、少なくとも年に一度、減損テストの対象となる。
ソフトウェア(ライセンス及び個別に識別可能な外部への開発費用を含む。)は、購入価格に、その資産を利用可能にす
るために直接関連した支出を加えた額で、無形資産に計上される。当グループが取得した、耐用年数を確定できるソフト
ウェアとその他の無形資産は、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除して測定される。
耐用年数を確定できる無形資産の償却費
耐用年数を確定できる無形資産は、以下の表に示した見積耐用年数にわたって定額法で償却される。
資産項目 耐用年数
ライセンス権 使用している資産のライセンス期間または法定期間内において市場環境に基づき決定
敷金 賃借期間内において市場環境に基づき決定
ソフトウェア 3年から5年
受注残高 取得原価の配分で識別した受注残高の履行に基づき決定
その他の無形資産 資産に対する支配を有する期間内において市場環境に基づき決定
2.7. 非金融資産の減損
当グループは少なくとも年に1度、耐用年数を確定できる無形資産及び有形固定資産について減損の兆候の有無を検討し
ている。減損の兆候を示す証拠が存在する場合には、該当する資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額する。
のれん及び耐用年数を確定できない資産は償却の対象にはならず、事象又は状況の変化が、帳簿価額を回収できない可能
性を示唆している場合に、年に一度以上、減損テストを実施している。
個々の資産の回収可能価額を見積ることができない時は、その資産が属している資金生成単位(以下、CGU)の回収可能価
額を決定している。回収可能価額は、使用価値と、売却コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きい方の金額である。
当グループは、資産又は資金生成単位から生み出される税引前の割引率を用いて現在価値に割り引いて、使用価値を算定
している。減損損失は帳簿価額が回収可能価額を上回った場合の当該差額として認識される。
のれんに関する減損損失を除き、減損損失の原因が存在しなくなった場合には、減損損失は戻し入れる。減損損失の戻し
入れは、減損損失が認識されなかった場合の帳簿価額を限度として行う。減損損失の戻し入れは損益として直ちに認識す
る。
減損テストの目的で、モンクレールののれん及びモンクレール・ブランドは、モンクレールの事業全体を構成するCGUグ
ループで測定される。ストーン・アイランドののれん及びストーン・アイランド・ブランドは、ストーン・アイランドの
CGU(ストーンアイランド・グループ全体と一致)で測定される。
2019年現在、IFRS第16号により、財務諸表に使用権資産及び賃料を支払う義務に関する負債の認識が求められる。使用権
資産の減損は、IAS第36号の規定に準拠して算出及び認識する必要がある。
モンクレール事業に関連する使用権資産の減損テストの目的で、以下の各資金生成単位が定義されており、それぞれの市
場(以下、「地域」)のモニタリングに責任を有する組織単位と一致している。
• EMEA地域
• アメリカ諸国地域
• APAC地域
• 日本地域
• 韓国地域
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CGUごとに次のような重要な業績指標によって減損の兆候が識別された場合、各CGUの「使用権」は減損テストの対象とな
る。
• 売却計画
• 予想を下回る業績指標
• 営業損失
以下の方法で減損テストが実施される。
• リース負債に関するキャッシュ・フローを除いて、CGUの使用価値総額を算定する
• 使用価値総額からリース負債の帳簿価額を控除し、CGUの回収可能価額を算定する
• CGUの回収可能価額と帳簿価額を比較する(帳簿価額はリース負債の帳簿価額を除いて算定される)
使用価値の算出において、使用される割引率は各地域のWACCであり、各地域のWACCの総価値でグループのWACCが決定され
る。
2.8. リース資産
IASBは2016年1月13日、新基準であるIFRS第16号「リース」を公表した。現行のIAS第17号を置き換えるものである。欧
州連合(EU)は2017年11月9日に、当該基準のエンドースメントを行った。IFRS第16号は、2019年1月1日以降に開始す
る事業年度から適用される。新基準により、オペレーティング・リース及びファイナンス・リースの認識において区別を
廃止して適用を簡素化し、リースの定義について支配の概念に基づく考え方が導入される。契約がリースであるかを判断
するために、IFRS第16号では一定期間特定の資産の使用権を契約上移転させる必要があるとしている。
リース開始日において、当グループは使用権資産及びリース負債を認識する。使用権資産は当初測定において取得原価で
評価される。取得原価は、リース負債の当初測定の金額、開始日以前に支払ったリース料の調整、発生した当初直接コス
ト、リース契約条件で要求されている原資産の解体及び除去、原資産の敷地の原状回復又は原資産の原状回復の際に借手
に生じるコストの見積り、受け取ったリース・インセンティブの控除を含む。
使用権資産は、リース期間終了時点で、リースにより当該原資産の所有権が当グループに移転していない限り、リース開
始日から終了日までの期間にわたり定額法で償却される。この場合、使用権資産は、有形固定資産と同じ基準に基づき耐
用年数が決定され、原資産の耐用年数にわたって償却される。さらに、使用権資産は減損損失により減少し、リース負債
の事後測定に伴う再評価を反映するように調整する。
リース開始日において、当社グループは、未払いリース料をリースの計算利子率で割り引いた現在価値でリース負債を測
定する。
リース負債の測定に含まれる当該リース料は以下を含む。
• 固定リース料(実質的な固定リース料を含む)
• 変動リース料のうち、指数又はレートに応じて決まる金額。当初測定には開始日現在の指数又はレートを用いる。
• 残価保証に基づいて支払うことが見込まれる金額
• 任意の更新期間のリース料(当グループが更新オプションを行使することが合理的に確実である場合)及び早期解約
キャンセル料(当グループが契約期間終了前に当該リース契約を解約しないことが合理的に確実である場合を除く)
リース負債は、実効金利法を用いて償却原価で測定される。指数またはレートの変動による将来のリース料に変動がある
場合、当グループが残価保証に基づいて支払うと見込まれる金額に変動がある場合、当グループが購入、延長や解約のオ
プションを行使するか否かの判定に関連して再測定する場合、または実質上の固定リース料の見直しを実施する際に再測
定される。
リース負債が再測定される場合、借手は使用権資産もそれに応じて変更する。使用権資産の帳簿価額が0(ゼロ)まで減
少する場合、借手は残額を当該事業年度の純損益に認識する。
財政状態計算書において、当グループは不動産投資の定義を満たさない使用権資産及びリース負債をそれぞれ「有形固定
資産」及び「借入金」に計上している。
当グループはリースに関連する支払いをリース期間にわたって定額法で費用認識している。
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2019年1月1日より前に締結された契約に関して、当グループは、以下の項目を確認し、当該契約がリース契約であった
か、またはリースを含むものであったか否かを明確にしている。
• 当該契約の履行は1つまたはそれ以上の特定の資産の利用によるものであったか否か
• 当該契約は同資産を使用する権利を移転させたか否か
リース対象となるその他の資産は、オペレーティング・リースとして分類され、当グループの連結財政状態計算書で認識
されていない。オペレーティング・リースに関連するリース料は、リース期間にわたって定額法で認識された。一方で借
手に付与されたインセンティブはリース期間にわたってリース料総額に反映するように認識された。
新型コロナウイルスの感染拡大に起因する貸手から受けたレント・コンセッション(以下、「レント・コンセッショ
ン」)が以下の条件を満たす場合、当該レント・コンセッションは、減額された変動リース料として会計処理され、純損
益に認識される。
・リース料の減額は、従来の支払期日が2021年6月30日までに到来するものに限定されること
・リース料の変更後の対価が、当初のリース契約の賃料とほぼ同額であるか、またはそれを下回ること
・当該リース契約の他の契約条件に実質的な変更がないこと
2.9. 棚卸資産
棚卸資産は、加重平均法に基づき算定された購入価格又は製造原価と正味実現可能価額のいずれか低い額で評価される。
加重平均コストは、原材料や人件費のような直接費用と通常操業度に基づき適切に配賦された製造間接費を含んでいる。
引当金は、当グループの販売チャネル(アウトレット店や流通在庫)を通じての完成品の販売可能性、製造過程での原材
料の利用可能性及び在庫の滞留状況等を考慮し、正味実現可能価額まで取得原価を減額するために設定される。
2.10. 金融商品
営業債権及び発行された負債証券は発生した時点で認識される。その他の全ての金融資産及び金融負債は取引日に、すな
わち当グループが金融商品の契約当事者となった時点で当初認識される。
重大な金融要素を構成しない営業債権を除き、純損益を通じて公正価値で測定しない金融資産又は金融負債の場合には、
金融資産は、金融資産の取得又は発行に直接起因する取引コストを加算又は減算した公正価値で当初測定する。重大な金
融要素を構成しない営業債権は、当初認識の時点で取引価格により評価する。
当初認識では金融資産は評価方法に基づき分類される。つまり、償却原価で測定するのか、その他の包括利益を通じて公
正価値で測定するのか、純損益を通じて公正価値で測定するのかに基づく。
当グループが金融資産の管理に関する事業モデルを変更しない限り、金融資産は当初認識後、分類変更をしない。事業モ
デルを変更する場合には、関連する金融資産は全て、事業モデル変更後の最初の報告期間の初日に分類変更をする。
金融資産は、次の条件をともに満たし、かつ純損益を通じた公正価値で測定されない場合には、償却原価で測定される。
・当該金融資産が、関連する契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モ
デルの中で保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じ
る。
本カテゴリーに分類される資産は、事後測定において、実効金利を用いて償却原価で測定される。測定の影響は金融収益
で認識される。これらの資産はまた、「営業債権、金融資産とその他の流動及び非流動債権」に記載されている減損モデ
ルの対象である。
金融資産は、次の条件をともに満たし、かつ純損益を通じた公正価値で測定されない場合には、その他の包括利益を通じ
て公正価値で測定される。
・当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有さ
れている。
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・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じ
る。
売買目的保有ではない有価証券の当初認識において、当グループは事後の公正価値の変動をその他の包括利益に表示する
という取消不能の選択を行うことができる。当該選択は個々の資産に対して行う。
事後測定において、当初認識時に行った測定を更新し、公正価値の変動を包括利益計算書上で認識する。上記のカテゴ
リーに関し、これらの資産は「営業債権、金融資産とその他の流動及び非流動債権」に記載されている減損モデルの対象
である。
上記に記載した償却原価又はその他の包括利益を通じた公正価値で評価される金融資産以外の全ての金融資産は、純損益
を通じて公正価値で測定される。これには全てのデリバティブ商品が含まれる。当初認識時において、当グループは、金
融資産を期間損益を通じて公正価値で測定するものとして取消不能の指定をすることができるが、この指定が認められる
のは、金融資産を償却原価又はその他の包括利益を通じた公正価値で測定することにより生じたであろう会計上のミス
マッチを解消又は著しく低減する場合のみである。
純損益を通じて公正価値で測定された金融資産は、事後測定において、公正価値で評価される。公正価値の変動により生
じた純損益は、金融収益/金融費用を認識する期の連結損益計算書に計上される。
金融資産は、当該金融資産からのキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利が消滅した場合、当該金融資産の所有に係
るリスクと経済価値のほとんどすべてが実質的に移転する取引により、キャッシュ・フローを受け取る契約上の権利が譲
渡された場合、又は当グループが当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを移転したわけでも、ほ
とんどすべてを保持しているわけでもない場合であって、当該金融資産に対する支配も保持していない場合に、財務諸表
上での認識が中止される。
金融負債は償却原価又は純損益を通じた公正価値での測定に分類される。金融負債は売買目的で保有される場合、デリバ
ティブを含む場合、又は当初認識で純損益を通じた公正価値で測定する金融負債として指定した場合に、純損益を通じた
公正価値で測定するものとして分類される。純損益を通じて公正価値で測定される金融負債は公正価値で測定され、利息
費用を含むいかなる変動も当期の純損益として認識される。その他の金融負債は、実効金利法を用いて償却原価で測定さ
れる。利息費用及び為替差益(又は差損)は、認識の中止から生じる利得又は損失と同様に、当期の利益(又は損失)に
認識される。
当グループの金融商品は、主に現金及び現金同等物、売掛金、買掛金、その他の流動及び非流動の資産及び負債、投資、
借入金及びデリバティブから構成されている。
現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、現金、短期の預金、容易に換金可能であり価値の変動に僅少なリスクしか負わない流動性の高い
資産で構成されている。当座借越は当グループの連結財政状態計算書上、流動負債に計上されている。
営業債権、金融資産とその他の流動及び非流動債権
営業債権とその他の債権は、当グループが、債権を売買する意図の無い第三者に直接、現金や商品、サービスを提供した
時に発生する。これらは、報告日後12ケ月を超えて満期が到来するものを除いて、流動資産に含まれている。
デリバティブを除き、満期が確定した又は支払条件が確定した金融資産は、公正価値で当初認識され、その後、実効金利
法を用いて償却原価で測定する。期日が一年を超える債権で、市場利率よりも低金利の債権は、市場金利を用いて評価さ
れる。
上記の金融資産は、IFRS第9号で採用されている減損モデルに基づき、又は通常、発生した損失の評価に基づくIAS第39
号のフレームワークに代わる予想損失モデルを採用して評価される。
営業債権については、当グループはいわゆる簡易アプローチを採用しており、これは信用リスクの期日経過の認識ではな
く、信用の全期間にわたり算出した予想信用損失(ECL)(いわゆるlifetime ECL)の会計処理を要求している。
特に当グループが採用する方針には、期日経過日数に基づく営業債権の階層化及び当事者の支払能力の評価が規定されて
おり、関連する回収可能性を反映した異なる評価減率が適用されている。また当グループは債務者の信頼度及び残高の支
払能力に基づき、減損した債権の分析評価を行っている。
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債権の簿価は、関連する貸倒引当金を控除し、財政状態計算書に記載している。IFRS第9号に従い行った評価減は、減損
の戻入によるプラスの影響と相殺し、連結損益計算書に計上している。
金融負債、営業債務とその他の流動及び非流動負債
営業債務とその他の債務は、当グループが供給業者から直接、現金や商品、サービスを取得するときに発生する。これら
は、報告日後12ケ月を超えて満期が到来するものを除いて、流動負債に含まれている。
デリバティブを除き、金融負債は、当初、公正価値、すなわち自発的な当事者が独立第三者間で取引される価格で認識さ
れ、その後、実効金利法を用いて償却原価で測定する。ヘッジ対象として指定されている金融負債は、ヘッジ会計の要件
の対象となっている。
デリバティブ商品
IFRS第9号の規定に従い、デリバティブ金融商品は以下の場合のみ、ヘッジ会計を用いて計上することができる。
・ヘッジ対象及びヘッジ手段が適格要件を満たしている。
・ヘッジ関係の開始時に、当グループのリスク管理目的及びヘッジ戦略の公式な指定と文書化がある。
・ヘッジ関係が以下の有効性に係る要件を全て満たしている。
・ヘッジ対象とヘッジ手段の間に経済的関係がある。
・信用リスクの影響がヘッジリスクに係る変動に対し、優越するものではない。
・ヘッジ関係のヘッジ比率がバランス再調整を含めた上で、当グループが採用するリスクマネジメント戦略と整合
している。
公正価値ヘッジ
認識されている資産や負債の公正価値の変動に対するエクスポージャーをヘッジし、それが特定のリスクに起因し、か
つ、純損益に影響し得る場合は、当該デリバティブ商品は公正価値ヘッジとして指定される。ヘッジされたリスクに起因
するヘッジ対象の損益は、ヘッジ対象の帳簿価額を調整し、純損益として認識される。
キャッシュ・フローヘッジ
デリバティブ金融商品がキャッシュ・フローの変動に対するエクスポージャーのヘッジ手段として指定されている場合、
デリバティブ金融商品の公正価値の変動の有効部分は、包括利益計算書のその他の構成要素として認識し、キャッシュ・
フロー剰余金に表示する。包括利益計算書のその他の構成要素として認識されたデリバティブ金融商品の公正価値の変動
の有効部分は、ヘッジ開始以降のヘッジ手段(現在価値)の公正価値の変動の累計に限定される。デリバティブ金融商品
の公正価値の変動の非有効部分は、純損益に直ちに認識している。
ヘッジが適格要件を満たさなくなった場合、又はヘッジ手段が売却、満期若しくは行使となった場合、ヘッジ会計は将来
に向かって中止する。キャッシュ・フローヘッジのヘッジ会計を中止する際、資本のキャッシュ・フロー剰余金に累積さ
れた金額は、ヘッジ取引が非金融資産又は非金融負債の認識から生じる場合、当初認識で非金融資産又は非金融負債の原
価に含め、それ以外のキャッシュ・フローヘッジについてはヘッジされた予想将来キャッシュ・フローが純損益に影響を
与えるのと同じ期間に純損益に振り替えられる。
ヘッジされた将来のキャッシュ・フローが見込まれなくなった場合、当該金額を直ちにキャッシュ・フローヘッジ剰余金
及びヘッジ費用剰余金から純損益に振り替える。
ヘッジ会計が適用できない場合、デリバティブ金融商品の公正価値測定から生じる純損益は直ちに損益計算書に認識す
る。
ヘッジ関係の開始後、外貨建ての収益は関連するヘッジ対象の数量について対応する先物相場により換算され、連結財務
諸表に計上される。
2.11. 従業員給付
賃金、給与、社会保障負担、期末日から12ケ月以内に期限が到来する有給休暇及び年次休暇、その他すべての福利厚生を
含め、短期従業員給付は、従業員によってサービスが提供された期に認識される。
確定給付制度や確定拠出制度を通じて、雇用の終了日以降に支払われる従業員への給付は、権利確定期間にわたって認識
される。
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確定給付制度
確定給付制度は、従業員の報酬と勤務年数に基づいて決定された退職制度である。
従業員給付制度への掛金と当該制度に関連する当期勤務費用は、予測単位積増方式として定義された年金数理計算を用い
て算定されている。すべての数理計算上の差異の純累積額は資本のその他の包括利益で認識される。
確定給付制度で負債として認識される額は、関連する債務の現在価値として認識され、その債務には過去の期間の従業員
の勤務によって将来認識される費用が考慮されている。
確定拠出制度
確定拠出制度への拠出額は、従業員が勤務を提供した期間に費用として認識される。
2006年12月31日まで、イタリアの従業員は、退職後給付(TFR)と呼ばれる確定給付制度の適格者だった。2006年12月27
日法律第296号(act n. 296 of December 27, 2006)と2007年初めに発行されたその後の法令(年金改革)によって、
TFR制度の規則と取扱いが変更された。2007年1月1日以降に確定された拠出金で報告日現在未払いのものについて、50
名超の従業員が属する会社では、イタリアの退職後給付は確定拠出制度として認められている。2006年12月31日までに確
定している拠出金は、確定給付制度のものとして認識され、年金数理計算上の仮定を用いて会計処理されている。
2.12. 引当金
当グループは、過去の事象の結果として、現在の法的あるいは推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済
的便益をもつ資源の流出が必要となる可能性が高く、債務の金額を信頼性をもって見積ることが出来る場合に、引当金を
認識している。
リストラクチャリング引当金は、詳細で正式なリストラクチャリング計画があり、当該計画が実施されているか、あるい
は当該計画の影響を受ける従業員等に公表されたときに認識される。リストラクチャリングの日までの識別可能な将来の
営業損失は引当金に含まれない。
見積りの変更は、その変更が生じた期間の損益として認識している。
2.13. 株式報酬
通常、持分決済型の株式報酬については、従業員に付与されるインセンティブを、付与日における公正価値で測定し、そ
れを従業員がインセンティブの権利を獲得する期間にわたって費用に含め、費用に対応する資本の増加を認識する。最終
的な費用の金額が権利確定日において条件を満たしたインセンティブの数に基づくように費用の金額は、継続勤務の条件
を充足し、かつ市況以外の条件が達成されたインセンティブの実数を反映して調整される。株式報酬として付与されるイ
ンセンティブの条件に期間が定められていない場合には、それらの条件を付与日における株式報酬の公正価値の測定に反
映させる。権利確定条件以外の条件については、付与時の公正価値と条件が充足されたインセンティブの公正価値の差は
連結財務諸表に影響を与えない。
従業員に対し現金で決済される新株予約権の公正価値は、従業員が無条件に支払いを受ける資格を獲得するまでの期間に
わたって費用及びこれに対応する負債の増加として認識される。負債は、年度末及び決済日において、その時点の新株予
約権の公正価値に基づいて評価される。負債の公正価値の変動はその期の利益又は損失として認識される。
2.14. 収益認識
当グループはIFRS第15号が採用している5ステップモデルに基づき、顧客との契約及び提供される関連サービス(財及
び/又はサービスの移転)を定義し、各サービスの提供と引き換えに取得する対価を決定し、(一時点又は一定の期間に
わたり)これらのサービスが提供される方法を評価したうえで収益を認識している。
卸販売による収益は、顧客へ商品を出荷した時点において認識される。これは、出荷という事実が、所有に伴うリスク及
び経済的便益の移転を反映しているためである。返品や値引きに備えるための引当金は、過去の実績に基づき将来発生す
ると見込まれる額を見積って会計処理し、返品による負債及び対応する資産を財政状態計算書に同時認識したうえで、契
約上の対価の変動要素として計上している。
対価の変動要素(例えば、返品による影響)は、将来認識する収益額に大幅な修正が行われない可能性が非常に高い場合
にのみ財務諸表に認識する。
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小売販売による収益は最終的な顧客との取引日に認識している。
ライセンシーから受領するロイヤルティは、ロイヤルティ契約に基づき発生主義で認識している。契約は、主として、販
売数量に基づいている。
顧客から前払金を受け取った場合、当グループは将来の資産移転義務に関して受領した前払金をその他の流動負債に認識
し、資産が移転した時に収益を認識することで当該負債の認識を中止する。
当グループは顧客への支払額を、サービス費用を信頼性を持って見積ることができない場合は収益の減少として、サービ
ス費用を信頼性を持って見積ることができる場合は費用として認識している。
2.15. 借入コスト
借入コストは、金融資産と金融負債の正味帳簿価額に計上された実効金利法に基づく利息を考慮し、発生主義の原則に基
づき認識される。
2.16. 税金
損益として認識された税金費用は、当期税金及び繰延税金の合計額をいう。
当期税金は現地の課税当局によって制定された強制的な規則に従って決定される。当期税金は、税金が直接資本又はその
他の包括利益のいずれかで認識される取引又は事象から生じる場合を除き、期間損益として認識される。
繰延税金資産及び負債は、資産及び負債の税務基準額と財務諸表の帳簿価額の差額に起因して生じている将来減算一時差
異及び将来加算一時差異に基づき算定される。当期税金資産及び負債並びに繰延税金資産及び負債は、法人所得税が同一
の税務当局により課税され、相殺するために法律上強制力のある権利を有している場合に、相殺して表示される。
繰延税金資産及び負債は、報告期間の末日における法定税率に基づいて、繰延税金資産が実現する期又は繰延税金負債が
決済される期に適用される税率を用いて測定される。繰延税金資産及び負債は割り引かれない。
繰越欠損金及び将来減算一時差異に対する繰延税金資産は、将来それらが解消する際に対応する課税所得が稼得される可
能性が高い範囲内で認識される。
税金負債は、新しいIFRIC第23号にしたがって、法人所得税を決定する際に税務上の取り扱いの不確実性に関連するリス
クを含んでいる。この不確実性は、次のような事象に起因している場合がある。ⅰ)不明確又は複雑な税法、ⅱ)税制の
改正又は税務当局による解釈の変更、ⅲ)進行中の税務調査や訴訟の状況、ⅳ)他の企業の進行中の税務調査や訴訟に関
する公開情報、等。
2.17. 一株当たり利益
当グループは、一株当たり利益及び希薄化後一株当たり利益を開示している。一株当たり利益は、株主に帰属する損益
を、保有自己株式調整後の加重平均発行済普通株式数により除して算出される。希薄化後一株当たり利益は、株主に帰属
する損益を調整し、潜在株式の希薄化効果考慮後の加重平均株式数により算出される。
2.18. セグメント報告
IFRS第8号「事業セグメント」に基づき、当グループの事業はモンクレール事業とストーン・アイランド事業に関連する
2つの事業セグメントに分類することが可能だが、基準に基づき特徴が類似しているこれらの事業を1つのセグメントに
集約している。
2.19. 公正価値
IFRS第13号は、公正価値測定とそれに関する開示が他の基準により要求または許容されているときに参照されるべき唯一
の基準である。具体的には、当該基準は、公正価値を、測定日時点で、市場参加者間の秩序ある取引において、資産の売
却により受け取る対価又は負債の移転により支払う金額と定義している。また、当該基準は、IFRS第7号を含む他の会計
基準により要求されている公正価値測定の開示を置き換え、追加的な開示基準を定めている。
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IFRS第13号は、公正価値ヒエラルキーを設け、公正価値を測定するために必要な評価技法に用いられるインプットを異な
るレベルに区分している。公正価値ヒエラルキーは、階層順には、以下のとおりである。
・ レベル1:同一の資産又は負債に関する活発な市場における相場価格(無調整)を用いて測定された公正価値
・ レベル2:レベル1に含まれる相場価格以外のインプットのうち、資産又は負債について直接的(例えば、価格)又
は間接的(例えば、価格から派生したもの)に観察可能なインプットを用いて測定された公正価値
・ レベル3:観察可能な市場の情報に基づかない資産又は負債に関するインプット(例えば、観察可能ではないイン
プット)を用いて測定された公正価値
2.20 非支配株主とのプットオプション及びコールオプション契約
当グループは、非支配株主に付与されるプットオプションに関する金融負債をオプション権利行使価格の現在価値で計上
している。プットオプションの契約条件上、当グループが資本オプションの持分に関連した経済的便益を得られる場合、
当該負債の当初認識時に、非支配持分を減額して資本から負債に組み替えを行う。当グループは、既に予想利息法を適用
して取得したかのように当該持分を算定している。当該負債はIFRS第9号の規定に従い、決算日毎に事後測定される。
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2.21. 新たに公表された基準書及び解釈指針
2021年1月1日以後有効な基準書及び解釈指針
基準書名 公表日 発効日 承認日 EU規制及び発行日
金利指標改革 - フェーズ2 2020年8月 2021年1月1日 2021年1月13日 (EU)2021/25
(IFRS第9号、IAS第39号、IFRS
2021年1月14日
第7号、IFRS第4号及びIFRS第16
号の改訂)
COVID-19関連レント・コンセッ 2021年3月 2021年4月1日 2021年8月30日 (EU)2021/1421
ション(2021年6月30日以降)
2021年8月31日
(IFRS第16号の改訂)
2020年6月 2021年1月1日 2020年12月15日 (EU)2020/2097
IFRS第9号適用の一時的な免除期
間の延長(IFRS第4号の改訂)
2020年12月16日
当グループが早期適用していない未発効の新基準及び解釈指針
本年次財務諸表の作成日に、欧州連合(EU)の所管当局は下記の会計基準の適用及び改訂に必要な承認プロセスを終了し
た。適用される方針に関し、当社は該当する場合は早期適用の選択権を行使しないことを決定している。
基準書名 公表日 発効日 承認日 EU規制及び発行日
IFRSの年次改善(2018年から2020 2020年5月 2022年1月1日 2021年6月28日 (EU)2021/1080
年サイクル)[IFRS第1号、IFRS
2021年7月2日
第9号、IFRS第7号、IFRS第16号
及びIAS第41号の改訂]
2020年5月 2022年1月1日 2021年6月28日 (EU)2021/1080
有形固定資産:意図した使用の前
の収入(IAS第16号の改訂)
2021年7月2日
2020年5月 2022年1月1日 2021年6月28日 (EU)2021/1080
不利な契約 - 契約履行のコスト
(IAS第37号の改訂)
2021年7月2日
2020年5月 2022年1月1日 2021年6月28日 (EU)2021/1080
概念フレームワークへの参照
(IFRS第3号の改訂) 2021年7月2日
2017年5月 2023年1月1日 2021年11月19日 (EU)2021/2036
IFRS第17号「保険契約」(2020年
6月に公表された改訂を含む)) 2020年6月 2021年11月23日
なお、欧州連合(EU)の適格な構成機関において、財務諸表日現在、下記の会計基準及び改訂に関するエンドースメント
作業が未了となっている。
基準書名 IASBによる公表日 IASB文書の発効日 EUによる承認日
基準書
「料金規制対象活動」
IFRS第14号「規制繰延勘定」 2014年1月 2016年1月1日 に関するIASBのプロ
ジェクトの結論を延期
改訂
IFRS第10号及びIAS第28号の改訂:「投資者とそ IASBの持分法に関する IASBの持分法に関する
の関連会社又は共同支配企業との間の資産の売却 2014年9月 プロジェクトが完了す プロジェクトの結論を
又は拠出」 るまで延期 延期
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負債について流動または非流動の分類(IAS第1
2020年1月
号の改訂)(2020年7月に公表されたその後の改 2023年1月1日 TBD
2020年7月
訂を含む)
会計方針の開示(IAS第1号及びIFRS実務記述書
2021年2月 TBD
2023年1月1日
第2号の改訂)
会計上の見積りの定義(IAS第8号の改訂) 2021年2月 2023年1月1日 TBD
単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税
2021年5月 2023年1月1日 TBD
金(IAS第12号の改訂)
IFRS第17号とIFRS第9号の適用開始 - 比較情報
2021年12月 2023年1月1日 TBD
(IFRS第17号の改訂)
当グループは、欧州連合(EU)に承認された発効日に基づいてこれらの新しい基準及び改訂に従うとともに、連結財務諸
表への潜在的な影響を評価する。
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モンクレール・エスピーエー(E30200)
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3. 連結の範囲
2021年12月31日現在、当グループの連結財務諸表には、親会社であるモンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)と
次の表に記載されている47の連結子会社が含まれている。
連結対象会社 登記事務所 資本金 通貨 所有割合(%) 親会社
モンクレール・エスピーエー ミラノ (イタリア) 54,736,558 EUR
(Moncler S.p.A.)
インダストリーズ・エスピーエー モンクレール・エスピーエー
ミラノ (イタリア) 15,000,000 EUR 100.00%
(Industries S.p.A.) (Moncler S.p.A.)
モンクレール・ドイチュラント・ゲーエム ミュンヘン(ドイツ) 700,000 EUR 100.00% インダストリーズ・エスピーエー
ベーハー (Industries S.p.A.)
(Moncler Deutschland GmbH)
モンクレール・エスパニア・エスエル インダストリーズ・エスピーエー
マドリード(スペイン) 50,000 EUR 100.00%
(Moncler España S.L.) (Industries S.p.A.)
モンクレール・アジア・パシフィック・リミ 香港 (中国) 300,000 HKD 100.00% インダストリーズ・エスピーエー
テッド (Industries S.p.A.)
(Moncler Asia Pacific Ltd)
モンクレール・フランス エスエーアールエル インダストリーズ・エスピーエー
パリ (フランス) 8,000,000 EUR 100.00%
(Industries S.p.A.)
(Moncler France S.à.r.l.)
モンクレール・ユーエスエー・インコーポ ニューヨーク(アメリ 1,000 USD 100.00% インダストリーズ・エスピーエー
レーテッド
カ) (Industries S.p.A.)
(Moncler USA Inc)
モンクレール・ユーケー・リミテッド ロンドン (イギリス) 2,000,000 GBP 100.00% インダストリーズ・エスピーエー
(Moncler UK Ltd) (Industries S.p.A.)
モンクレール・ジャパン・コーポレーション 東京 (日本) 104,776,859 JPY 94.94% インダストリーズ・エスピーエー
(Moncler Japan Corporation)(*)(**) (Industries S.p.A.)
モンクレール・上海・コマーシャル・カンパ インダストリーズ・エスピーエー
上海(中国) 82,483,914 CNY 100.00%
ニー・リミテッド (Industries S.p.A.)
(Moncler Shanghai Commercial Co. Ltd)
モンクレール・スイス・エスエー インダストリーズ・エスピーエー
キアッソ (スイス) 3,000,000 CHF 100.00%
(Moncler Suisse SA) (Industries S.p.A.)
モンクレール・ベルギー・エスピーアールエ ブリュッセル (ベル インダストリーズ・エスピーエー
1,800,000 EUR 100.00%
ル (Industries S.p.A.)
ギー)
(Moncler Belgium S.p.r.l.)
モンクレール・デンマーク・エーピーエス コペンハーゲン (デン インダストリーズ・エスピーエー
2,465,000 DKK 100.00%
(Moncler Denmark ApS) (Industries S.p.A.)
マーク)
モンクレール・オランダ・ビーヴィー アムステルダム (オラ 18,000 EUR 100.00% インダストリーズ・エスピーエー
(Moncler Holland B.V.) (Industries S.p.A.)
ンダ)
モンクレール・ハンガリー・ケイエフティー ブタペスト (ハンガ 150,000,000 HUF 100.00% インダストリーズ・エスピーエー
(Moncler Hungary KFT) (Industries S.p.A.)
リー)
モンクレール・イスタンブール・ジュイム・ イスタンブール(トル インダストリーズ・エスピーエー
1,000,000 TRY 51.00%
ヴェ・テクスチル・チカレット・リミテッ コ) (Industries S.p.A.)
ド・エスティーアイ
(Moncler Istanbul Giyim ve Tekstil
Ticaret Ltd. Sti. )(*)
モンクレール・ルス・エルエルシー インダストリーズ・エスピーエー
モスクワ(ロシア) 590,000,000 RUB 99.99%
(Moncler Rus LLC) (Industries S.p.A.)
0.01%
モンクレール・スイス・エスエー
(Moncler Suisse SA)
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連結対象会社 登記事務所 資本金 通貨 所有割合(%) 親会社
モンクレール・ブラジル・コメルシオ・デ・ サンパウロ(ブラジル) 10,000,000 BRL 95.00% インダストリーズ・エスピーエー
モダ・エ・アセソリオス・リミタダ
5.00% (Industries S.p.A.)
(Moncler Brasil Comércio de moda e
モンクレール・ユーエスエー・イ
acessòrios Ltda.) ンコーポレーテッド(Moncler USA
Inc)
モンクレール・台湾・リミテッド インダストリーズ・エスピーエー
台北(台湾) 10,000,000 TWD 100.00%
(Moncler Taiwan Limited) (Industries S.p.A.)
モンクレール・カナダ・リミテッド バンクーバー(カナ 1,000 CAD 100.00% インダストリーズ・エスピーエー
(Moncler Canada Ltd) ダ) (Industries S.p.A.)
モンクレール・プラハ・エスアールオー プラハ(チェコ) 200,000 CZK 100.00% インダストリーズ・エスピーエー
(Moncler Prague s.r.o. ) (Industries S.p.A.)
ホワイト・テック・エスピージーオーオー カトヴィツェ(ポーラ インダストリーズ・エスピーエー
369,000 PLN 70.00%
(White Tech Sp.zo.o.) ンド) (Industries S.p.A.)
モンクレール・韓国・インコーポレーテッド ソウル(韓国) 2,833,000,000 KRW 90.01% インダストリーズ・エスピーエー
(Moncler Korea Inc.)(*) (Industries S.p.A.)
モンクレール・ミドル・イースト・エフ ドバイ(アラブ首長国 3,050,000 AED 100.00% インダストリーズ・エスピーエー
ジー・エルエルシー
連邦) (Industries S.p.A.)
(Moncler Middle East FZ-LLC)
モンクレール・シンガポール・ピーティー シンガポール 5,000,000 SGD 100.00% インダストリーズ・エスピーエー
イー・リミテッド (Industries S.p.A.)
(Moncler Singapore PTE,Limited)
インダストリーズ・イールド・エスアールエ インダストリーズ・エスピーエー
バカウ(ルーマニア) 25,897,000 RON 99.00%
ル (Industries S.p.A.)
1.00%
(Industries Yield S.r.l)
モンクレール・ドイチュラント・
ゲーエムベーハー(Moncler
Deutschland GmbH)
モンクレール・ユーエーイー・エルエルシー アブダビ(アラブ首長 モンクレール・ミドル・イース
1,000,000 AED 49.00%
ト・エフジー・エルエルシー
(Moncler UAE LLC)(*) 国連邦)
(Moncler Middle East FZ-LLC)
モンクレール・アイルランド・リミテッド ダブリン(アイルラン 350,000 EUR 100.00% インダストリーズ・エスピーエー
(Moncler Ireland Limited) ド) (Industries S.p.A.)
モンクレール・オーストラリア・ピーティー メルボルン(オースト インダストリーズ・エスピーエー
2,500,000 AUD 100.00%
ワイ・リミテッド ラリア) (Industries S.p.A.)
(Moncler Australia PTY LTD)
モンクレール・カザフスタン・エルエルピー アルマトイ(カザフス 250,000,000 KZT 99.00% インダストリーズ・エスピーエー
(Moncler Kazakhstan LLP) タン) 1.00% (Industries S.p.A.)
モンクレール・ルス・エルエル
シー(Moncler Rus LLC)
モンクレール・スウェーデン・エービー ストックホルム(ス 1,000,000 SEK 100.00% インダストリーズ・エスピーエー
(Moncler Sweden AB) ウェーデン) (Industries S.p.A.)
モンクレール・ノルウェー・エーエス オスロ(ノルウェー) 3,000,000 NOK 100.00% インダストリーズ・エスピーエー
(Moncler Norway AS) (Industries S.p.A.)
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連結対象会社 登記事務所 資本金 通貨 所有割合(%) 親会社
モンクレール・メキシコ・エセ・デ・エレ・ メキシコシティ(メキシ 33,000,000 MXN 99.00% インダストリーズ・エスピーエー
エレ・デ・セ・ヴェ
コ) 1.00% (Industries S.p.A.)
(Moncler Mexico, S. de R.L. de C.V.)
モンクレール・ユーエスエー・イ
ンコーポレーテッド(Moncler
USA Inc)
モンクレール・メキシコ・サービシーズ・エ メキシコシティ(メキシ 11,000,000 MXN 99.00% インダストリーズ・エスピーエー
セ・デ・エレ・エレ・デ・セ・ヴェ
コ) 1.00% (Industries S.p.A.)
(Moncler Mexico Services, S. de R.L. de
モンクレール・ユーエスエー・イ
C.V.) ンコーポレーテッド(Moncler
USA Inc)
モンクレール・ウクライナ・エルエルシー インダストリーズ・エスピーエー
キエフ(ウクライナ) 47,367,417 UAH 99.99%
(Moncler Ukraine LLC) (Industries S.p.A.)
0.01%
モンクレール・スイス・エスエー
(Moncler Suisse SA)
モンクレール・ニュージーランド・リミテッ オークランド(ニュー インダストリーズ・エスピーエー
2,000,000 NZD 100.00%
ド ジーランド) (Industries S.p.A.)
(Moncler New Zealand Limited)
スポーツウェア・カンパニー・エスピーエー ボローニャ(イタリ モンクレール・エスピーエー
10,084,166 EUR 100.00%
(Sportswear Company S.p.A) ア) (Moncler S.p.A.)
ストーン・アイランド・リテイル・エスアー ボローニャ(イタリ スポーツウェア・カンパニー・エ
99,000 EUR 100.00%
ルエル(Stone Island Retail S.r.l.) ア) スピーエー(Sportswear Company
S.p.A)
ストーン・アイランド・ジャーマニー・ゲー スポーツウェア・カンパニー・エ
ミュンヘン(ドイツ) 500,000 EUR 100.00%
スピーエー(Sportswear Company
エムベーハー(Stone Island Germany Gmbh)
S.p.A)
ストーン・アイランド・アントウェルペン・ アントウェルペン(ベ 400,000 EUR 100.00% スポーツウェア・カンパニー・エ
ビーヴィービーエー(Stone Island Antwerp スピーエー(Sportswear Company
ルギー)
Bvba) S.p.A)
ストーン・アイランド・アムステルダム・ アムステルダム(オラ 25,000 EUR 100.00% スポーツウェア・カンパニー・エ
ビーヴィー(Stone Island Amsterdam BV) ンダ) スピーエー(Sportswear Company
S.p.A)
ストーン・アイランド・ユーエスエー・イン ニューヨーク(アメリ スポーツウェア・カンパニー・エ
2,500,000 USD 100.00%
コーポレーテッド(Stone Island Usa Inc) カ) スピーエー(Sportswear Company
S.p.A)
オフィチーナ・デラ・マグリア・エスアール カルピ(イタリア) 10,000 EUR 100.00% スポーツウェア・カンパニー・エ
スピーエー(Sportswear Company
エル(Officina della Maglia S.r.l.)
S.p.A)
ストーン・アイランド・カナダ・インコーポ トロント(カナダ) 500,000 CAD 100.00% スポーツウェア・カンパニー・エ
スピーエー(Sportswear Company
レーテッド(Stone Island Canada Inc)
S.p.A)
ストーン・アイランド・ロジスティクス・エ ボローニャ(イタリ スポーツウェア・カンパニー・エ
50,000 EUR 100.00%
スアールエル(Stone Island Logistics ア) スピーエー(Sportswear Company
Srl) S.p.A)
ストーン・アイランド・チャイナ・カンパ スポーツウェア・カンパニー・エ
上海(中国) 2,500,000 EUR 100.00%
ニー・リミテッド(Stone Island China Co. スピーエー(Sportswear Company
Ltd) S.p.A)
ストーン・アイランド・フランス・エスエー サンプリースト(フラ 50,000 EUR 100.00% スポーツウェア・カンパニー・エ
スピーエー(Sportswear Company
エス(Stone Island France S.a.s.) ンス)
S.p.A)
(*) 完全連結(第三者への持分の帰属なし)
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(**) 資本金額及び所有割合はモンクレール・ジャパン・コーポレーション(Moncler Japan Corporation)が所有する
自己株式を考慮している。
モンクレール・エスピーエーは2021年3月31日に、ストーン・アイランド・ブランドを保有するスポーツウェア・カンパ
ニー・エスピーエー(Sportswear Company S.p.A.)の全株式資本、並びにその子会社及び関連会社の取得を完了した。
同社及びその子会社、関連会社を2021年4月1日から連結の範囲に含めている。
2021年度第1四半期に当グループは締結済みの契約に基づき、現地パートナー企業からモンクレール・ジャパン・コーポ
レーション(Moncler Japan Corporation)の株式(総株式資本の29%に相当する第3トランシェ)を取得し、当グルー
プの持分比率は94.9%となった。
2021年度第4四半期に、スポーツウェア・カンパニー・エスピーエーは非支配株主からオフィチーナ・デラ・マグリア・
エスアールエル(Officina della Maglia S.r.l.)の株式24.9%を取得し、これにより持分比率が100%となった。またモ
ンクレール・シルト・ゲーエムベーハー(Moncler Sylt Gmbh)の清算手続が完了した。
なお、モンクレール・韓国・インコーポレーテッド(Moncler Korea Inc.)、モンクレール・イスタンブール・ジュイ
ム・ヴェ・テクスチル・チカレット・リミテッド・エスティーアイ(Moncler Istanbul Giyim ve Tekstil Ticaret Ltd.
Sti.)及びモンクレール・ジャパン・コーポレーション(Moncler Japan Corporation)、は、過年度と同様に、当該
パートナー企業との契約書に基づく会計処理に従い、第三者への利益分配はなく、100%連結している。
3.1. ストーン・アイランドの取得
モンクレール・エスピーエーは2021年3月31日にストーン・アイランド・ブランドを保有するスポーツウェア・カンパ
ニー・エスピーエーの全株式を取得した。本取引の条件は、モンクレール・エスピーエー、カルロ・リベッティが代表を
務め、スポーツウェア・カンパニー・エスピーエーの株式50.10%を保有するリベテックス・エスアールエル(Rivetex
S.r.l.)及びスポーツウェア・カンパニー・エスピーエーの株式19.90%を保有するリベッティ一族の間で締結された枠組
み合意に従っている。
2021年12月31日までの9ヵ月間にストーン・アイランド・グループ(Stone Island Group)は、221.9百万ユーロ(2021年
度期首からの累計期間では310.0百万ユーロ)の収益及び45.0百万ユーロ(2021年度期首からの累計期間では62.0百万
ユーロ)の利益を計上している。
当該取得が2021年1月1日に実施されたと仮定した場合、グループにおける連結売上収益の計上額は2,134.2百万ユー
ロ、年間の連結利益は410.5百万ユーロとなる。期首に取得されたと仮定した場合においても取得日における公正価値の
測定に変動はないものとして算定している。
取得の対価
以下の表は、移転した対価の取得日時点での公正価値の内訳を示している。
単位:千ユーロ
現金 574,999
資本性金融商品(普通株式15,330,166株)
575,001
移転対価合計 1,150,000
発行した資本性金融商品
発行した普通株式の公正価値は、2021年3月31日における当社の上場株価(1株当たり37.51ユーロ)に基づいている。
取得関連費用
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当グループでは2021年度に、取得及びそれに伴う増資により4.3百万ユーロの費用が発生した。取得関連費用には法務関
連費用、公証費用、デューデリジェンス費用、財務アドバイザリー費用、フェアネスオピニオン費用及び金融取引税
(tobin tax)が含まれ、このうち3.6百万ユーロは一般管理費に、0.7百万ユーロは株主資本の増加に関連しているため
株主資本に計上している。
取得原価の配分
取得原価の配分の内訳は以下のとおりである。
単位:千ユーロ
移転対価合計 1,150,000
取得した資本相当額 (129,015)
1,020,985
超過差額
ブランド 775,454
受注残高 20,226
繰延税金負債 (221,995)
のれん 447,300
1,020,985
取得原価の配分
取得した株主資本相当額及び取得原価の配分額は以下のとおりである。
単位:千ユーロ 取得した資本相当額 取得原価の配分 移転対価合計
のれん 535 447,300 447,835
ブランド 0 775,454 775,454
受注残高 0 20,226 20,226
その他の無形資産 5,246 0 5,246
有形資産 21,930 0 21,930
使用権資産 65,018 0 65,018
正味運転資本 76,132 0 76,132
正味金融資産(負債) 28,124 0 28,124
リース負債 (66,272) 0 (66,272)
繰延税金資産(負債) 9,533 (221,995) (212,462)
その他の流動/非流動資産(負債) (10,819) 0 (10,819)
第三者持分 (412) 0 (412)
129,015 1,020,985 1,150,000
合計
取得原価の配分により、純額で702.7百万ユーロの資産が識別され、残額として算定された447.3百万ユーロがのれんとし
て計上されている。
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公正価値測定
取得した主な資産の公正価値を算定する際に適用する評価方法は、以下のとおりである。
取得した資産 評価方法
ロイヤルティ免除法を適用する。対象となる商標によって創出されうる収益額に対
ブランド してロイヤルティ料率を適用した場合のキャッシュ・フローに基づいて評価を行
う。評価は耐用年数が無期限であるという仮定に基づいて行っている。
超過収益法を適用する。取得日時点での顧客からの受注残高から生じると見込まれ
受注残高 るキャッシュフローから、その他の資産に関する費用に係るキャッシュ・フローを
除いた正味キャッシュ・フローに基づいて評価を行う。
繰延税金負債は、取得原価の配分による識別可能資産(ブランド及び受注残高)の正味価額に対して税率27.9%で計算さ
れている。
取得原価の配分は、大手コンサルティング企業のサポートを受けてモンクレール・エスピーエーが実施した。
2021年12月30日に、モンクレール・エスピーエーの同意に基づいてスポーツウェア・カンパニー・エスピーエーの部分的
分割が実施された。モンクレール・エスピーエーは、ストーン・アイランド・ブランドに代表されるスポーツウェア・カ
ンパニー・エスピーエーのスタイル部門とマーケティング部門の資産及び契約を承継した。
本取引によるグループの連結財務諸表への影響はない。
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4. 連結損益計算書の注記
4.1. 収益
ブランド別の収益
2021年度 2020年度
% %
単位:千ユーロ 金額 金額
2,046,103 100.0% 1,440,409 100.0%
収益合計
うち:
モンクレール 1,824,166 89.2% 1,440,409 100.0%
ストーン・アイランド 221,936 10.8% 0 0.0%
モンクレール・グループの2021年度連結収益は2,046.1百万ユーロとなり、前年比42.1%増であった。この中には、モンク
レールブランドの収益(1,824.2百万ユーロ)及びストーン・アイランド・ブランドの収益(221.9百万ユーロ(4月1日以
降連結))が含まれる。
モンクレールブランドの収益分析
2021年度においてモンクレールブランドの収益は1,824.2百万ユーロとなり、2020年度から26.6%増加した。2021年度を通
して同ブランドの収益が堅調かつ加速度的に推移し、第4四半期にさらに好調であったのは、実施した戦略の効果、コレ
クションの成功及び小売チャネル(特にオンライン販売)の構築が要因であった。
地域別セグメントの収益
地域別の収益の詳細は以下のとおりである。
地域別収益
% % 変動(%)
単位:千ユーロ 2021年度 2020年度 変動額
アジア 894,817 49.1% 717,860 49.8% 176,957 24.7%
EMEA 624,469 34.2% 501,883 34.9% 122,586 24.4%
アメリカ諸国 304,881 16.7% 220,666 15.3% 84,215 38.2%
1,824,166 100.0% 1,440,409 100.0% 383,758 26.6%
総計
2021年度のアジア(APAC、日本及び韓国を含む)における収益は、中国及び韓国で引き続き業績が非常に好調であったこ
とから、2020年度から24.7%増加し、894.8百万ユーロであった。
EMEAの収益は前年比24.4%増であった。これには全チャネル及び各国の業績が寄与しているが、中でもオンライン販売
チャネルの寄与が大きく、また、卸売チャネルも堅調に推移した。
アメリカ諸国では、主に小売チャネルにより収益は2020年度と比較して38.2%増加した。
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チャネル別の収益
販売チャネル別の収益の詳細は以下のとおりである。
2021年度 2020年度
% %
単位:千ユーロ 金額 金額
1,824,166 100.0% 1,440,409 100.0%
収益合計
うち:
卸売 394,947 21.7% 350,913 24.4%
小売 1,429,219 78.3% 1,089,496 75.6%
当グループは小売と卸売の2つの主要な販売チャネルを通じて収益を得ている。小売チャネルは、ブランドの直営店(路
面店、テナント店、ネット販売、ファクトリーアウトレット)での販売であり、卸売チャネルは第三者が営業している店
舗で、単一ブランドのスペース(例えば店舗の中の区画)の場合と複数ブランドを扱う店舗(実店舗及びオンラインの両
方)の場合がある。
2021年度において小売チャネルの収益は1,429.2百万ユーロとなり、2020年度から31.2%増加した。
卸売チャネルの収益は394.9百万ユーロとなり、2020年度比12.5%増であった。
ストーン・アイランドブランドの収益分析
2021年度(1月1日-12月31日)においてストーン・アイランドは310.0百万ユーロの収益を計上しており、このうちモン
クレール・グループに連結された4月1日以降では221.9百万ユーロの収益を創出した。
ストーン・アイランドの最重要地域であるEMEAは、連結会計期間における収益の77%を占めており、連結会計期間におけ
るストーン・アイランドの収益の地域別内訳は、アジア地域が13%、残り10%がアメリカ諸国であった。
卸売チャネルは全市場で非常に好調であったため、連結会計期間の総収益に占める割合が71%であった。また、小売チャ
ネルにおいても、実店舗とオンライン販売の両方で販売が大きく伸びた。
4.2. 売上原価
2021年度において売上原価は、2020年度の350.8百万ユーロから2021年度に479.2百万ユーロへと絶対値ベースで128.4百
万ユーロ(+36.6%)増加した。売上高に対する売上原価の割合は、2020年度の24.4%から2021年度は23.4%へと低下し
た。
4.3. 販売費
2021年度の販売費は608.5百万ユーロであり、2020年度の463.6百万ユーロから144.9百万ユーロ増加した。
収益に対する割合は2020年度が32.2%であったのに対し、2021年度は29.7%であった。店舗運営に関する費用(特に賃料及
び人件費)のさらなる抑制を行ったことが、販売費の割合低下につながった。
販売費は主に、IFRS第16号の適用対象外となった賃借料143.6百万ユーロ(2020年度の貸借料の合計は110.7百万ユー
ロ)、人件費136.9百万ユーロ(2020年度は107.3百万ユーロ)、使用権の減価償却費126.4百万ユーロ(2020年は113.1百
万ユーロ)及びその他の償却費66.3百万ユーロ(2020年度は62.6百万ユーロ)から構成されている。
当年度において、当グループは新型コロナウイルスの感染拡大による影響を鑑み、主要な所有者との間で賃料の見直しに
関する重要な交渉を引き続き行った。14.4百万ユーロ(2020年度は26.2百万ユーロ)の経済的便益は、2020年に公表され
たIFRS第16号の改訂により導入された実務上の便法に従って、同期間の利益に反映されており、当該項目に認識されてい
る。
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モンクレール・エスピーエー(E30200)
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販売費には、株式報酬制度に関する費用5.4百万ユーロ(2020年度は6.1百万ユーロ)も含まれている。
4.4. 一般管理費
2021年度において、一般管理費は237.1百万ユーロと前年度に比べ63.7百万ユーロ増加している。
一般管理費は売上高の11.6%である。2020年度は同割合が12.0%であった。
一般管理費には、株式報酬制度に関する費用23.2百万ユーロも含まれている(2020年度は24.9百万ユーロ)。
4.5. マーケティング費
マーケティング費用は142.1百万ユーロであり、収益に対する割合は、新型コロナウイルス感染症の流行の影響を受けて
費用が減少していた2020年度の5.8%から、6.9%となった。
4.6. 営業利益
モンクレール・グループの営業利益は、2020年度が368.8百万ユーロであったのに対し、2021年度は579.2百万ユーロとな
り、EBITマージンは28.3%(2020年度は25.6%)であった。
4.7. 金融収益及び金融費用
内訳は以下のとおりである。
2021年度 2020年度
単位:千ユーロ
受取利息及びその他の金融収益 3,061 759
3,061 759
金融収益合計
支払利息及びその他の金融費用 (3,750) (2,002)
為替換算差額-負 (1,332) (1,038)
(5,082) (3,040)
金融費用合計
リース負債から生じる利息費用を除いた金融費用の純額 (2,021) (2,281)
リース負債から生じる利息費用 (19,587) (21,021)
(21,608) (23,302)
純額
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4.8. 法人所得税
法人所得税が連結損益計算書に与える影響は以下のとおりである。
2021年度 2020年度
単位:千ユーロ
当期税金 (178,961) (130,998)
繰延税金 14,902 85,845
(164,059) (45,153)
連結損益計算書上の法人所得税
2020年度の繰延税金には、モンクレールの商標権の税務上の簿価を法定価格に再調整したことによる戻入れが含まれてい
た 。
繰延税金資産及び負債の性質ごとの内訳については、5.4を参照のこと。
会社の理論上の税率に基づく税負担率と実効税率との調整は以下のとおりである。
理論上の実効税率の調整
課税所得 税額 税率 課税所得 税額 税率
2021年度 2021年度 2021年度 2020年度 2020年度 2020年度
単位:千ユーロ
税引前利益 557,612 345,519
(133,827) 24.0% (82,925) 24.0%
理論上の実効税率を用いた法人所得税
一時差異 (18,810) 3.4% (20,872) 6.0%
永久差異 (2,193) 0.4% (8,467) 2.5%
その他の差異 (24,131) 4.3% (18,734) 5.4%
連結損益計算書に認識される繰延税金 14,902 (2.7)% 85,845 (24.8)%
(164,059) 29.4% (45,153) 13.1%
実効税率を用いた法人所得税
2020年度の繰延税金は主にモンクレールの商標権の税務上の簿価を法定価格に再調整したことによって生じた繰延税金負
債の戻入れが含まれていた。
4.9. 人件費
人件費の、性質別内訳及び前年同期との比較は以下のとおりである。
単位:千ユーロ 2021年度 2020年度
給料及び賃金 (216,920) (161,874)
従業員給付費用 (15,956) (10,943)
(232,876) (172,817)
合計
2021年度の人件費は、2020年度の172.8百万ユーロから34.8%増加し232.9百万ユーロとなった。この増加には、2021年度
にストーン・アイランドを取得したことによる影響が反映されている。その一方で、2020年度は新型コロナウイルス感染
拡大の緊急事態の状況下において雇用維持をサポートするための政府からの支援金の恩恵があった。
取締役に対する報酬については、関連当事者注記において別途記載している(注記10.1)。
2021年度の株式報酬制度関連の費用は28.6百万ユーロ(2020年度は31.0百万ユーロ)であり、これは注記10.2に別途記載
している。
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以下の表は、2021年度の前年度と比較した地域別平均従業員数(フルタイム相当数)である。
地域別平均従業員数 2021年度 2020年度
イタリア 1,395 1,027
その他の欧州諸国 1,720 1,655
アジアおよび日本 1,167 1,102
アメリカ諸国 353 307
4,635 4,091
合計
2021年12月31日現在の当グループの従業員数は5,290人である(2020年12月31日現在では4,398人)。
4.10. 減価償却費及び償却費
減価償却費及び償却費の内訳は以下のとおりである。
2021年度 2020年度
単位:千ユーロ
有形固定資産の減価償却費 (208,276) (185,302)
無形資産の償却費 (38,243) (15,674)
(246,519) (200,976)
減価償却費及び償却費計
減価償却費及び償却費の増加は、新規出店または既存店の移転/拡大のための投資、並びにIT、ロジスティクス及び事業
運営への投資が主な要因であった。
使用権資産に関連する償却費は137.5百万ユーロ(2020年は120.8百万ユーロ)であった。詳細は注記5.3を参照のこと。
当年度の投資についての詳細は、注記5.1と注記5.3に記載している。
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5. 連結財政状態計算書の注記
5.1. のれん、ブランド及びその他の無形資産
ブランド及びその他の無形資産 2021年12月31日 2020年12月31日
償却及び
取得原価 帳簿価額 帳簿価額
単位:千ユーロ 減損損失累計額
ブランド 999,354 0 999,354 223,900
敷金 68,576 (53,557) 15,019 15,104
ソフトウェア 105,728 (59,298) 46,430 37,004
その他の無形資産 31,455 (29,145) 2,310 2,147
無形資産仮勘定 6,961 0 6,961 4,153
のれん 603,417 0 603,417 155,582
1,815,491 (142,000) 1,673,491 437,890
合計
無形資産の変動は以下のとおりである。
2021年12月31日
ブランド及び
その他の無形資産の ソフト その他の 無形資産
ブランド 敷金 のれん 合計
取得価額 ウェア 無形資産 仮勘定
単位:千ユーロ
223,900 56,837 77,839 10,888 4,153 155,582 529,199
2021年1月1日
取得 0 0 13,734 931 6,239 0 20,904
除売却 0 0 (121) (587) 0 0 (708)
連結範囲の変更 775,454 10,799 6,799 20,226 3 447,835 1,261,116
換算差額 0 940 76 (19) 2 0 999
振替えを含むその他の
0 0 7,401 16 (3,436) 0 3,981
変動
999,354 68,576 105,728 31,455 6,961 603,417 1,815,491
2021年12月31日
ブランド及び
その他の無形資産の償
ソフト その他の 無形資産
却及び減損 ブランド 敷金 のれん 合計
ウェア 無形資産 仮勘定
損失累計額
単位:千ユーロ
0 (41,733) (40,835) (8,741) 0 0 (91,309)
2021年1月1日
償却 0 (3,927) (13,313) (21,003) 0 0 (38,243)
除売却 0 0 51 586 0 0 637
連結範囲の変更 0 (7,211) (5,144) 0 0 0 (12,355)
換算差額 0 (686) (57) 13 0 0 (730)
振替えを含むその他の
0 0 0 0 0 0 0
変動
0 (53,557) (59,298) (29,145) 0 0 (142,000)
2021年12月31日
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2020年12月31日
ブランド及び
その他の無形資産の取 ソフト その他の 無形資産
ブランド 敷金 のれん 合計
得価額 ウェア 無形資産 仮勘定
単位:千ユーロ
223,900 57,690 58,597 10,078 5,416 155,582 511,263
2020年1月1日
取得 0 0 13,960 682 3,307 0 17,949
除売却 0 0 (295) (34) 0 0 (329)
換算差額 0 (853) (253) (22) 0 0 (1,128)
振替えを含むその他の
0 0 5,830 184 (4,570) 0 1,444
変動
223,900 56,837 77,839 10,888 4,153 155,582 529,199
2020年12月31日
ブランド及び
その他の無形資産の償
ソフト その他の 無形資産
却及び減損 ブランド 敷金 のれん 合計
ウェア 無形資産 仮勘定
損失累計額
単位:千ユーロ
0 (37,177) (31,193) (7,921) 0 0 (76,291)
2020年1月1日
減価償却 0 (4,978) (9,831) (865) 0 0 (15,674)
除売却 0 0 6 32 0 0 38
換算差額 0 422 183 13 0 0 618
振替えを含むその他の
0 0 0 0 0 0 0
変動
0 (41,733) (40,835) (8,741) 0 0 (91,309)
2020年12月31日
無形資産の増加は、ストーン・アイランドの取得を反映している。具体的には、ブランド、その他の無形資産及びのれん
が増加したのは、前述の取得原価の配分においてストーン・アイランドブランド、受注残高及びのれんを配分したためで
ある。受注残高は2021年度に全額償却した。
ソフトウェア及び無形資産仮勘定は、事業管理及び企業機能管理並びにネット販売の内部化プロジェクトのためのIT投資
により増加している。
当年度に行われた投資に関連する追加情報については、取締役会の報告書を参照のこと。
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5.2. のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損テスト
買収に伴うブランド、耐用年数を確定できないその他の無形資産及びのれんは、償却されず、毎期減損テストの対象と
なっている。
モンクレールブランド及びストーン・アイランドブランドの減損テストでは、当該ブランドに配分された価値の割引現在
価値が帳簿価額と比較される。配分される価値は、当該ブランドが生成可能な総収益に対するロイヤルティの割合に関連
したキャッシュ・フローを基に、ロイヤルティ免除法により計算される。
モンクレールののれん及びストーン・アイランドののれんの回収可能価額は、資金生成単位の使用価値と投下資本の純額
の帳簿価額とを比較した資産サイドアプローチに基づいてテストされる。
2021年度の評価における予想キャッシュ・フロー及び収益は2022年2月24日の取締役会で承認された2022-2024年度経営
計画に基づいており、2025-2026年度については想定される成長シナリオと一貫した経営者の見積りを基礎としている。
見積りに使用した成長率は2.5%としている。
割引率は、類似ビジネスの株式投資から期待されるリターンと借入コストの加重平均であるWACC(加重平均資本コスト)を
使用して算定される。計算は前期に関連した経済シナリオの変化とその結果としての金利の影響を考慮している。WACCは
8%と計算された。
感応度分析の結果、成長率が0%、WACCが87.7%の場合にモンクレールブランドの帳簿価額と等しくなり、成長率が
0%、WACCが8.1%の場合にストーン・アイランドブランドの帳簿価額と等しくなることが示された。
のれんについては幅広い回収可能性があると判断できるため、ブランドに関するパラメータよりもより高いパラメータの
変化を考慮しているが、資金生成単位グループであるモンクレールブランドと資金生成単位であるストーン・アイランド
ブランドに適用される感応度分析では、同様に完全な回収可能性を示している。
また、モンクレール株式の2021年の平均株価に基づいた企業の時価総額はグループの純資産を十分に上回っていることか
ら、のれんの価値があると判断できる。
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5.3. 有形固定資産
有形固定資産 2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ 減価償却及び
取得原価 帳簿価額 帳簿価額
減損損失累計額
土地及び建物 1,024,942 (349,475) 675,467 598,028
機械設備 47,437 (25,266) 22,171 21,005
什器備品 154,740 (106,310) 48,430 43,516
リース附属設備 333,106 (205,286) 127,820 107,454
その他の固定資産 37,239 (27,215) 10,024 9,367
建設仮勘定 29,410 0 29,410 23,617
1,626,874 (713,552) 913,322 802,987
合計
以下の表は、有形固定資産の変動を示している。
2021年12月31日
有形固定資産の取得価
土地及び リース その他の
額 機械装置 什器備品 建設仮勘定 合計
建物 附属設備 固定資産
単位:千ユーロ
790,863 33,273 127,187 263,157 31,079 23,617 1,269,176
2021年1月1日
取得 133,700 7,988 11,627 29,733 4,016 43,145 230,209
除売却 (8,689) (3,600) (3,564) (7,673) (1,021) (2,315) (26,862)
連結範囲の変更 86,248 9,728 7,148 15,365 1,124 2,179 121,792
換算差額 23,084 (148) 4,412 9,161 596 345 37,450
振替えを含むその他の
(264) 196 7,930 23,363 1,445 (37,561) (4,891)
変動
1,024,942 47,437 154,740 333,106 37,239 29,410 1,626,874
2021年12月31日
有形固定資産の減価償
却及び 土地及び リース その他の
機械装置 什器備品 建設仮勘定 合計
減損損失累計 建物 附属設備 固定資産
単位:千ユーロ
(192,835) (12,268) (83,671) (155,703) (21,712) 0 (466,189)
2021年1月1日
減価償却 (138,992) (5,726) (17,037) (41,624) (4,897) 0 (208,276)
除売却 5,109 214 3,233 6,730 659 0 15,945
連結範囲の変更 (13,348) (7,401) (5,212) (8,115) (768) 0 (34,844)
換算差額 (10,319) (85) (3,782) (6,497) (415) 0 (21,098)
振替えを含むその他の
910 0 159 (77) (82) 0 910
変動
(349,475) (25,266) (106,310) (205,286) (27,215) 0 (713,552)
2021年12月31日
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2020年12月31日
有形固定資産の取得価
土地及び リース その他の
額 機械装置 什器備品 建設仮勘定 合計
建物 附属設備 固定資産
単位:千ユーロ
699,688 22,960 119,019 246,730 26,525 19,740 1,134,662
2020年1月1日
取得 141,183 4,357 15,575 25,453 4,739 21,251 212,558
除売却 (12,758) (323) (3,328) (4,385) (200) (409) (21,403)
換算差額 (23,574) (74) (5,016) (9,788) (403) (363) (39,218)
振替えを含むその他の
(13,676) 6,353 937 5,147 418 (16,602) (17,423)
変動
790,863 33,273 127,187 263,157 31,079 23,617 1,269,176
2020年12月31日
有形固定資産の減価償
却 土地及び リース その他の
機械装置 什器備品 建設仮勘定 合計
及び減損損失累計 建物 附属設備 固定資産
単位:千ユーロ
(101,758) (8,531) (73,555) (126,798) (17,480) 0 (328,122)
2020年1月1日
減価償却 (121,643) (3,931) (15,925) (39,230) (4,573) 0 (185,302)
除売却 6,698 167 2,179 4,297 92 0 13,433
換算差額 7,889 27 3,556 6,102 249 0 17,823
振替えを含むその他の
15,979 0 74 (74) 0 0 15,979
変動
(192,835) (12,268) (83,671) (155,703) (21,712) 0 (466,189)
2020年12月31日
IFRS第16号の適用から生じた使用権資産に関する変動は以下のとおりである。
使用権資産 土地及び その他の
合計
単位:千ユーロ 建物 固定資産
2021年1月1日 589,507 1,291 590,798
取得 128,990 1,295 130,285
除売却 (3,562) (278) (3,840)
減価償却 (137,924) (956) (138,880)
連結範囲の変更 64,947 71 65,018
換算差額 12,812 3 12,815
2021年12月31日 654,770 1,426 656,196
ストーン・アイランド取得の影響を除き、2021年度における増加は、主にヨーロッパ及び中国市場において小売店舗の新
規開店または移転に関する新規リース契約及び既存のリース契約の更新によるものである。
2021年度の有形固定資産の変動は、IFRS第16号の適用による前述の影響に加え、什器備品、リース附属設備及び建設仮勘
定の増加によるものであり、これらは全て主に流通網の整備、既存店舗の移転/拡大並びにロジスティクス及び事業運営
への投資に関連している。
当年度に行われた投資の分析については、取締役会の報告書を参照のこと。
分析対象期間の業績及び最新の将来の動向予測は、2020年12月31日時点の年次の連結財務諸表作成時に、使用権の価値の
回収可能性をテストした際に設定した仮定と一致している。そのため、これらの項目については、潜在的な減損の兆候は
特定されず、具体的に減損テストは実施されていない。
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5.4. 繰延税金資産及び繰延税金負債
同一の税務管轄内における当期税金負債と当期税金資産を相殺する法的強制力のある権利が存在する場合にのみ繰延税金
資産及び繰延税金負債は相殺される。2021年12月31日及び2020年12月31日の金額が以下の表に記載されている。
繰延税金 2021年 2020年
単位:千ユーロ 12月31日 12月31日
繰延税金資産 179,312 150,832
繰延税金負債 (225,621) (6,396)
(46,309) 144,436
純額
繰延税金負債の増加は主に、前述の取得原価の配分において生じたブランドに係る繰延税金負債の認識によるものであ
る。
繰延税金資産(純額)の性質及び新しい経営計画の下で予想される将来の課税所得を考慮した場合でも、財務諸表に認識
された繰延税金資産の回収可能性に疑義を生じさせる事象は特定されていない。
同一の税務管轄内における相殺を考慮しない場合の繰延税金資産及び繰延税金負債の変動については、以下の表の通りで
ある。
期首残高 連結損益計 期末残高
繰延税金資産(負債)
連結範囲の 持分におけ その他の
2021年 算書におけ 為替換算 2021年
変更 る税金 変動
単位:千ユーロ
1月1日 る税金 12月31日
有形固定資産及び無形資産 21,041 1,499 362 0 493 22 23,417
棚卸資産 97,143 6,831 8,946 0 4,029 27 116,976
営業債権 3,235 300 (934) 0 18 0 2,619
デリバティブ 384 55 5 2,332 0 0 2,776
従業員給付 2,029 14 (346) (12) 9 1 1,695
引当金 15,589 348 1,034 0 (109) 1 16,863
営業債務 4,857 0 1,321 0 23 (1) 6,200
その他の一時差異 5,039 628 2,111 0 (122) 858 8,514
繰越欠損金 1,515 0 (1,274) 0 11 0 252
150,832 9,675 11,225 2,320 4,352 908 179,312
税金資産
有形固定資産及び無形資産 (3,596) (78) 3,478 0 (362) (221,989) (222,547)
金融資産 (300) (76) (8) 0 0 0 (384)
棚卸資産 (1,065) 0 (37) 0 0 0 (1,102)
デリバティブ (879) 0 (150) 879 0 0 (150)
引当金 0 0 0 0 0 0 0
営業債務 7 0 (51) 0 (2) 0 (46)
その他の一時差異 (568) 12 445 663 (1) (1,943) (1,392)
5 0 0 0 0 (5) 0
繰越欠損金
(6,396) (142) 3,677 1,542 (365) (223,937) (225,621)
税金負債
144,436 9,533 14,902 3,862 3,987 (223,029) (46,309)
繰延税金資産(負債)純額
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期首残高 連結損益計 期末残高
繰延税金資産(負債)
連結範囲の 持分におけ その他の
2020年 算書におけ 為替換算 2020年
変更 る税金 変動
単位:千ユーロ
1月1日 る税金 12月31日
有形固定資産及び無形資産 18,768 0 3,603 0 (743) (587) 21,041
棚卸資産 84,787 0 15,758 0 (3,966) 564 97,143
営業債権 3,858 0 (538) 0 (85) 0 3,235
デリバティブ 427 0 0 (43) 0 0 384
従業員給付 3,105 0 (1,012) 25 (89) 0 2,029
引当金 11,487 0 4,814 0 (712) 0 15,589
営業債務 3,921 0 968 0 (32) 0 4,857
その他の一時差異 2,740 0 2,084 0 193 22 5,039
繰越欠損金 41 0 1,471 0 3 0 1,515
129,134 0 27,148 (18) (5,431) (1) 150,832
税金資産
有形固定資産及び無形資産 (65,640) 0 61,810 0 233 1 (3,596)
金融資産 52 0 (352) 0 0 0 (300)
棚卸資産 (753) 0 (312) 0 0 0 (1,065)
デリバティブ (120) 0 0 (759) 0 0 (879)
営業債務 3 0 (3) 0 7 0 7
その他の一時差異 (2,252) 0 (2,451) (118) 4,253 0 (568)
繰越欠損金 0 0 5 0 0 0 5
(68,710) 0 58,697 (877) 4,493 1 (6,396)
税金負債
60,424 0 85,845 (895) (938) 0 144,436
繰延税金資産(負債)純額
以下の表は、繰延税金資産が計算された課税対象額を示している。
繰延税金資産 2021年度 2021年 2020年度 2020年
単位:千ユーロ 一時差異 12月31日残高 一時差異 12月31日残高
有形固定資産及び無形資産 86,248 23,417 79,586 21,041
棚卸資産 446,472 116,976 392,633 97,143
営業債権 10,608 2,619 12,787 3,235
デリバティブ 11,569 2,776 1,596 384
従業員給付 6,488 1,695 8,798 2,029
引当金 57,346 16,863 63,928 15,589
営業債務 28,815 6,200 17,483 4,857
その他の一時差異 33,749 8,514 21,761 5,039
繰越欠損金 982 252 5,662 1,515
682,277 179,312 604,234 150,832
税金資産
有形固定資産及び無形資産 (806,583) (222,547) (15,654) (3,596)
金融資産 (965) (384) (1,254) (300)
棚卸資産 (3,819) (1,102) (3,819) (1,065)
デリバティブ 625 (150) (3,659) (879)
営業債務 (185) (46) 23 7
その他の一時差異 (2,197) (1,392) (1,740) (515)
0 0 25 (48)
繰越欠損金
(813,124) (225,621) (26,078) (6,396)
税金負債
繰延税金資産(負債) (130,847) (46,309) 578,156 144,436
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5.5. 棚卸資産
2021年12月31日時点の棚卸資産は263.5百万ユーロ(2020年12月31日時点では202.8百万ユーロ)であり、明細は以下のと
おりである。
棚卸資産 2021年 2020年
単位:千ユーロ 12月31日 12月31日
原材料 98,688 88,252
仕掛品 52,335 14,197
製品 342,148 284,437
493,171 386,886
棚卸資産総額
陳腐化引当金 (229,650) (184,116)
263,521 202,770
合計
棚卸資産(総額)は約106.3百万ユーロ(27.5%)増加した。これは主にストーン・アイランドの取得による影響である。
この影響のほか、棚卸資産には主に次のシーズンに向けた原材料及び製品が含まれている。
陳腐化引当金は、予測販売動向や代替チャネルを通じた販売に関連した過去の経験に基づき、年度や季節性を考慮して決
定された経営者による評価減の最善の見積りを反映している。当該仮定は各マーケットの特性を考慮しており、当グルー
プが事業を展開する地域ごとに異なっている。
陳腐化引当金の変動は下表のとおりである。
陳腐化引当金・変動 2021年 2021年
連結範囲の変更 引当 使用 換算差額
単位:千ユーロ 1月1日 12月31日
陳腐化引当金 (184,116) (17,928) (40,834) 16,347 (3,119) (229,650)
(184,116) (17,928) (40,834) 16,347 (3,119) (229,650)
合計
陳腐化引当金・変動 2020年 2020年
連結範囲の変更 引当 使用 換算差額
単位:千ユーロ 1月1日 12月31日
陳腐化引当金 (139,237) 0 (61,291) 13,419 2,993 (184,116)
(139,237) 0 (61,291) 13,419 2,993 (184,116)
合計
5.6. 営業債権
2021年12月31日時点の営業債権は234.3百万ユーロ(2020年12月31日時点では174.1百万ユーロ)であり、明細は以下のと
おりである。
営業債権
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
売掛金 248,237 185,043
貸倒引当金 (13,871) (10,699)
返品・値引引当金 (92) (200)
234,274 174,144
合計、純額
2021年度に関する増加は、主にストーン・アイランド(Stone Island)の取得によるものである。
営業債権は、当グループの卸売事業に関連しており、回収期間が3ケ月未満となっている。2021年度及び2020年度におい
て、債権総額の10%を超える個別の相手先はなく、信用リスクの集中はない。営業債権の外国為替リスクに係るエクス
ポージャーに関する詳細は、注記9.1に記載している。
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貸倒引当金及び返品引当金の変動は以下の表のとおりである。
貸倒引当金及び返品引当金 2021年 連結の範囲 2021年
引当 使用 換算差額
単位:千ユーロ 1月1日 の変更 12月31日
貸倒引当金 (10,699) (2,016) (1,721) 635 (70) (13,871)
返品・値引引当金 (200) 0 0 114 (6) (92)
(10,899) (2,016) (1,721) 749 (76) (13,963)
合計
貸倒引当金及び返品引当金 2020年 連結の範囲 2020年
引当 使用 換算差額
単位:千ユーロ 1月1日 の変更 12月31日
貸倒引当金 (9,462) 0 (1,364) 69 58 (10,699)
返品・値引引当金 (137) 0 (72) 0 9 (200)
(9,599) 0 (1,436) 69 67 (10,899)
合計
貸倒引当金は、債務者の滞留期間分析と長期債権及び強制執行対象債権の回収可能性分析に基づいて決定された経営者に
よる最善の見積りを反映している。貸倒処理された債権は、支払期間を超過し回収可能性に不確実性が存在している個別
の債権残高に対するものである。加えて、貸倒引当金には、経済状況の変化を反映して、2021年に増加している営業債権
の回収に関する予想信用損失の見積りが含まれている。当該資金はまた、主に北米の顧客に関する営業債権の失効リスク
もカバーしている。
5.7. 現金及び現金同等物
2021年12月31日現在の現金及び現金同等物は932.7百万ユーロ(2020年12月31日現在は923.5百万ユーロ)であり、銀行で
使用可能な資金を含んでいる。
利用可能な流動性資産の帳簿価額は、報告日における公正価値を表している。関連する信用リスクは、相手が大手の銀行
のため非常に限定的である。
連結キャッシュ・フロー計算書は会計期間中に発生した手許現金及び当座借越を含む現金及び現金同等物の変動を記載し
ている。
以下の表は、現金及び現金同等物と連結キャッシュ・フロー計算書における正味の現金及び現金同等物との差額の調整を
表示している。
連結キャッシュ・フロー計算書における現金及び現金同等物
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
現金及び現金同等物 932,718 923,498
当座借越 (130,003) (15)
802,715 923,483
合計
5.8. 金融資産
金融資産は為替変動リスクのヘッジに係るデリバティブの市場評価の結果生じた債権を示している。
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5.9. その他の流動及び非流動資産
その他の流動及び非流動資産
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
前払金及び未収収益―流動 12,117 10,310
その他の流動債権 15,641 10,776
27,758 21,086
その他の流動資産
前払金及び未収収益―非流動 70 110
保証金 35,989 33,036
関連会社株式 36 36
その他の非流動債権 987 341
37,082 33,523
その他の非流動資産
64,840 54,609
合計
その他の流動債権は、付加価値税に係る税務当局への債権に係るものである。
保証金は主に関連するリース契約を締結するために貸手に支払う預け金である。
関連会社株式はケータリングサービスを取扱う3B・レストラン・エス・アール・エル(3B Restaurant S.r.l)
の株式に対する持分22.5%(2020年度も同率)を含む。
関連する資産の帳簿価額と公正価値との間に差異はない。
5.10. 営業債務
2021年12月31日現在の営業債務残高は349.0百万ユーロ(2020年12月31日現在では211.9百万ユーロ)で、商品やサービス
の供給業者に対する短期債務を含んでいる。この債務は短期間で決済されるものであり、12ヶ月を超えて支払われる債務
残高は含まれていない。
2021年度及び2020年度において、債務総額の10%を超える個別の仕入先に対する未払残高はない。
財務諸表に計上された金額とそれらの項目の公正価値との間に差異はない。
外貨で計上された営業債務の分析は、注記9.1に記載している。
5.11. その他の流動及び非流動負債
その他の流動及び非流動負債
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
繰延収益及び未払費用―流動 1,595 695
前受金 18,079 12,641
従業員及び社会保障機関への未払金 53,018 31,603
法人所得税を除いた未払税金 33,711 17,329
その他の流動債務 18,876 21,742
125,279 84,010
その他の流動負債
繰延収益及び未払費用―非流動 163 142
163 142
その他の非流動負債
125,442 84,152
合計
未払税金は主に付加価値税(VAT)及び給与に係る源泉徴収税額である。
5.12. 税金資産及び負債
税金資産は、2021年12月31日現在では5.0百万ユーロ(2020年12月31日現在では5.1百万ユーロ)である。
税金負債は、2021年12月31日現在では131.2百万ユーロ(2020年12月31日現在では93.6百万ユーロ)である。
同じ税務管轄地域及び税制度のもとで生じる未収法人所得税は、未払法人所得税と相殺し純額で認識されている。
5.13. 非流動引当金
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引当金の変動額は以下のとおりである。
連結範囲の
偶発債務及び損失に対する引当金 2021年 その他の 2021年
増加 減少 換算差額
変更
単位:千ユーロ 1月1日 変動 12月31日
その他の偶発損失引当金 (12,949) 0 (340) 3,855 (149) (1,737) (11,320)
(12,949) 0 (340) 3,855 (149) (1,737) (11,320)
合計
連結範囲の
偶発債務及び損失に対する引当金 2020年 その他の 2020年
増加 減少 換算差額
変更
単位:千ユーロ 1月1日 変動 12月31日
その他の偶発損失引当金 (10,703) 0 (3,819) 1,334 313 (74) (12,949)
(10,703) 0 (3,819) 1,334 313 (74) (12,949)
合計
その他の引当金-長期は、店舗改修費用、継続中の係争事件に係る費用及び製品保証費用である。
5.14. 従業員給付
従業員給付の変動は以下のとおりである。
連結範囲の
従業員給付 2021年 その他の 2021年
増加 減少 換算差額
変更
単位:千ユーロ 1月1日 変動 12月31日
年金基金 (4,628) (1,776) (998) 755 23 (149) (6,773)
退職補償金 (2,558) (1,322) (1,801) 0 0 0 (5,681)
(7,186) (3,098) (2,799) 755 23 (149) (12,454)
合計
連結範囲の
従業員給付 2020年 その他の 2020年
増加 減少 換算差額
変更
単位:千ユーロ 1月1日 変動 12月31日
年金基金 (3,878) 0 (897) 279 42 (174) (4,628)
退職補償金 (2,558) 0 0 0 0 0 (2,558)
(6,436) 0 (897) 279 42 (174) (7,186)
合計
年金基金は主にイタリア所在の会社に関連している。近年の社会保障改革により、2007年1月以降は確定拠出型年金の性
質を持つようになった。この改革の適用日以前に発生し、期末日現在において従業員に支払が行われていない部分
(TFR)は、確定給付制度によるものとみなされ、変動は以下のとおりである。
従業員給付―変動 2021年 2020年
単位:千ユーロ 12月31日 12月31日
確定給付債務―期首 (3,015) (2,479)
連結範囲の変更 (1,776) 0
利息費用 (19) (20)
勤務費用 (689) (425)
給付額 702 83
数理計算上の差異(利益/(損失)) (159) (174)
(4,956) (3,015)
確定給付債務―期末
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従業員の解雇給付(TFR)に係る数理計算は、予測単位積増方式に基づき評価している。以下は、数理計算において使用
された主な経済上、人口統計上の仮定である。
仮定
割引率 0.65%
インフレ率 1.75%
名目賃金上昇率 1.15%
離職率 8.66%
解雇給付の前払いを要求される確率 2.58%
前払いの場合に必要な率 74.43%
M2019-M2017
生命表-男性
(*)
F2019-F2017
生命表-女性
(*)
(*) ISTAT表 - 居住人口
以下は、合理的な範囲で数理計算上の仮定が変動した場合に期末時点の確定給付制度債務に与える影響を示している。
感応度分析
影響
(千ユーロ)
割引率 +0.5%
(185)
割引率 -0.5%
199
支払い水準の上昇 x(1+0.5%)
(22)
支払い水準の下落 x(1-0.5%)
24
価格インフレ率の上昇 (+0,5%)
158
価格インフレ率の下落 (-0,5%)
(149)
給与水準の上昇 (+0,5%)
32
給与水準の下落 (-0,5%)
(31)
退職年齢の上昇 (+1 年)
12
退職年齢の下落 (-1 年)
(16)
寿命の伸び (+1 年)
(342)
寿命の縮小 (-1 年)
(354)
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5.15. 金融負債
金融負債の内訳は、以下のとおりである。
借入金
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
当座借越 130,003 15
長期借入金の短期部分 11,801 0
短期リース債務 125,597 102,791
その他の短期借入金 21,790 47,617
289,191 150,423
短期借入金
長期借入金の長期部分 9,713 0
長期リース負債 584,679 537,506
その他の長期借入金 30,340 25,338
624,732 562,844
長期借入金
913,923 713,267
合計
短期借入金には、当座借越及び短期銀行借入金、長期借入金の1年内返済部分、IFRS第16号の適用から生じる短期リース
負債が含まれる。その他の短期借入金には、主に銀行以外の第三者からの金融負債で1年以内返済部分が含まれる。
長期借入金には、長期借入金の非流動部分、IFRS第16号の適用から生じる長期リース負債及び銀行以外の第三者からの金
融負債が含まれる。
リース負債は710百万ユーロ(2020年度は640百万ユーロ)であり、詳細は以下のとおりである。
リース負債
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
短期リース負債 125,597 102,791
長期リース負債 584,679 537,506
710,276 640,297
合計
2021年度のリース負債の変動は以下のとおりである。
IFRS16による IAS17による影
リース負債
単位:千ユーロ 影響 響を除く
640,251 46 640,297
2021年1月1日
取得 115,445 72 115,517
除売却 (146,148) (153) (146,301)
金融費用 19,469 6 19,475
連結範囲の変更 66,272 236 66,508
換算差額 14,780 0 14,780
710,069 207 710,276
2021年12月31日
以下の表は、長期借入金の支払予定年数別の内訳を示している。
長期借入金の年齢表
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
2年以内 139,137 101,932
2年~5年 289,848 262,618
5年超 195,747 198,294
624,732 562,844
合計
以下の表は、リース負債を除く長期借入金の返済日別の内訳を示している。
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リース負債を除く長期借入金の年齢表
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
2年以内 18,026 7,551
2年~5年 22,027 17,787
5年超 0 0
40,053 25,338
合計
リース負債に関する割引前キャッシュ・フローは以下のとおりである。
割引前リース負債の年齢表
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
1年以内 149,378 125,094
1年~5年 432,758 352,442
5年超 210,691 231,189
792,827 708,725
合計
長期借入金には取得したストーン・アイランド(Stone Island)の銀行からの無担保ローンが含まれている。
その他の短期借入金残高は、為替変動リスクに対するヘッジ契約に関連したマイナスの公正価値19.0百万ユーロ(2020年
12月31日時点はマイナスの公正価値0.8百万ユーロ)を含んでいる。詳細については、注記9.3に記載している。
正味の金融資産(負債)は下表のとおりである。
正味の金融資産(負債)
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
A. 現金
932,718 923,498
B. 現金同等物
0 0
C. その他の流動金融資産
722 4,793
D. 流動資産 (A)+(B)+(C)
933,440 928,291
E. 流動金融負債 (151,793) (47,632)
F. 1年以内返済予定非流動金融負債
(137,398) (102,791)
G. 流動金融負債(E)+(F)
(289,191) (150,423)
H. 流動金融負債(純額)(G)+(D)
644,249 777,868
I. 非流動金融負債
(594,392) (537,506)
J. 債務債券
0 0
K. 非流動買掛金及び未払金
(30,340) (25,338)
L. 非流動金融負債 (I)+(J)+(K)
(624,732) (562,844)
M. 金融負債総額 (H)+(L)
19,517 215,024
正味の金融資産(負債)は、2021年3月4日の欧州証券市場監督機構(ESMA)の新ガイドライン(2006年7月28日のイタ
リア証券取引委員会(CONSOB)通達(DEM/6064293)に対するCONSOB警告(No.5/21))で定義されている。
5.16. 株主持分
2021年度及び比較年度の株主持分の変動は連結持分変動計算書に記載している。
2021年12月31日時点の払込資本総額は54,736,558ユーロであり、273,682,790株が発行されている。1株当たり額面金額
は0.2ユーロである。
2021年12月31日時点で、総額146.5百万ユーロにて発行済株式総数の1.5%にあたる4,106,680株の自己株式を保有してい
る。
法定準備金と資本剰余金は親会社であるモンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A)に帰属する。
2021年度は、親会社の株主へ121.3百万ユーロの配当を実施した。2020年度は、親会社の株主への配当は行われなかっ
た。
資本金及び資本剰余金の変動は、スポーツウェア・カンパニー・エスピーエー(Sportswear Company S.p.A)の株主との
取引(普通株式15,330,660株、1株当たり37.51ユーロ)により増加している。
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IFRS第2号に対する引当金の変更は、業績連動株式プランの会計上の取扱、つまりこれらの制度/プランに関係する会計
期間の非現金支出の認識及び既に終了している当該プラン/制度の累積非現金支出の留保利益への組替えによるものであ
る。
利益剰余金の変動は、主に2020年度純利益の配分、配当、前述のIFRS第2号に係る引当金の組換え及び銀行以外の第三者
に対する金融負債の市場価格を調整したことによるものである。
FTA剰余金にはIFRS第16号の初度適用の影響が含まれる。
その他の剰余金は、その他の包括利益を含んでおり、在外営業活動体の外貨建財務諸表の換算から生じる為替換算調整勘
定、金利リスク、為替リスクのヘッジ損益及び退職給付制度における数理計算上の差異(利益/(損失))から構成され
る。繰延ヘッジ損益は、ヘッジの有効部分の公正価値の変動累計額が含まれている。その他の包括利益の変動は、以下の
とおりである。
その他の包括利益 為替換算調整勘定 その他の包括利益項目
税効果 税効果 税効果 税効果
単位:千ユーロ 税効果 税効果
考慮前 考慮後 考慮前 考慮後
(2,876) 0 (2,876) (2,237) 528 (1,709)
2020年1月1日現在の剰余金
当期変動額 (15,307) 0 (15,307) 3,668 (895) 2,773
換算差額 0 0 0 0 0 0
純損益への組替え 0 0 0 0 0 0
(18,183) 0 (18,183) 1,431 (367) 1,064
2020年12月31日現在の剰余金
(18,183) 0 (18,183) 1,431 (367) 1,064
2021年1月1日現在の剰余金
当期変動額 19,052 0 19,052 (16,059) 3,862 (12,197)
換算差額 0 0 0 0 0 0
純損益への組替え 0 0 0 0 0 0
869 0 869 (14,628) 3,495 (11,133)
2021年12月31日現在の剰余金
1株当たり利益
2021年度及び2020年度の1株当たり利益は、以下の表に記載のとおりであり、親会社株主に帰属する利益を自己株式数を
控除した発行済平均株式数で除することによって算定される。
希薄化後1株当たり利益は2021年12月31日時点の時点で基本的1株当たり利益と整合しており、株式報酬制度による重要
な希薄化効果は生じていない。
希薄化後1株当たり利益の計算においては、IAS第33号第45項に規定されている自己株式方式を適用している。
1株当たり利益 2021年度 2020年度
当期純利益(単位:千ユーロ) 393,533 300,351
親会社株主の平均株式数 265,570,691 252,674,625
株主に帰属する利益(ユーロ) 1.48 1.19
希薄化後1株当たり利益(ユーロ) 1.47 1.18
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6. セグメント情報
IFRS第8号「事業セグメント」に基づき、当グループが行っている活動は、モンクレール事業及びストーン・アイランド
(Stone Island)事業に関する事業セグメントにおいて認識することができる。これらの事業セグメントは経済的特徴が
類似しており、以下のような共通の特徴を有するため、IFRS第8号の基本原則に従って2つのセグメントを単一の報告セ
グメントに集約した。
・製品の性質
・製造工程の性質
・顧客の種類
・販売チャネル
7. コミットメント及び保証債務
7.1. コミットメント
当社グループは、IFRS第16号の範囲に含まれないオペレーティング・リース契約またはその他の契約事例に起因する重要
なコミットメントを有していない。
7.2. 保証債務
2021年12月31日現在における当グループの第三者に対する保証は以下の通りである。
提供している保証
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
保証による便益享受者:
第三者である企業又は個人 36,403 27,230
36,403 27,230
保証提供総額
当該保証は、主に新店舗関連のリース契約に関するものである。
8. 偶発債務
当グループは、ビジネスをグローバルに展開しているため、通常のビジネス活動において法的及び税務的なリスクにさら
されている。当グループは、現在までに入手可能な情報に基づき、当該連結財務諸表日現在、連結財務諸表に既に引当計
上している対象に加え、さらなる潜在的な負債はないと判断している。
9. 財務リスクに関する情報
当グループの金融商品は、現金及び現金同等物、借入金、営業債権、営業債務、その他の流動資産負債、その他の非流動
資産負債及びデリバティブから構成されている。
当グループは、当グループの事業に関連する財務リスクにさらされており、それらには市場リスク(主として為替レート
と利子率に関係する)、信用リスク(通常の顧客関係と財務活動の両方に関連する)、流動性リスク(特に財務資源の利用
可能性と信用市場及び金融商品へのアクセスに関連する)及びキャピタル・リスクがある。
当グループの本社が財務リスク管理を行っており、主に事業開発のニーズを満たすための十分な財源を持ち、その財源は
利益を創出する活動に適切に投資することを確実にしている。
当グループは、取締役会が定めた方針を基に、為替変動や金利変動などの特定の市場リスクをヘッジするためにデリバ
ティブを使用している。
9.1. 市場リスク
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外国為替リスク
当グループは国際的に活動しており、主として米ドル、日本円及び中国の人民元、より小さい程度では香港ドル、イギリ
スポンド、韓国ウォン、カナダドル、スイスフラン 、 台湾ドル、シンガポールドル及びオーストラリアドルによる取引か
ら発生する外国為替リスクにさらされている。
当グループは、定期的に金融市場のリスクに対するエクスポージャーを評価し、確立されたリスク管理方針に従って、デ
リバティブ商品を使用することにより、これらのリスクを管理している。
当グループの方針に基づき、デリバティブは、将来のキャッシュ·フローに関連する為替レートの変動に対するエクス
ポージャーを管理する目的のみに使用され、投機目的のために使用されることはない。
2021年度中に、当グループは、米ドル、日本円、中国人民元、香港ドル、イギリスポンド、韓国ウォン、カナダドル、ス
イスフラン、台湾ドル、シンガポールドル及びオーストラリアドルに関係する取引における為替レートリスクをヘッジす
る方針を導入している。新型コロナウイルス感染拡大に起因した取引量の減少によるヘッジ方針への重要な影響はなく、
オーバーヘッジも生じていない。
これらのヘッジのために使用される手段は、主に為替予約及び通貨オプション契約である。
当グループは、外貨建予定取引の為替レートを決定する目的のためにキャッシュ·フロー·ヘッジとしてデリバティブ商品
を使用している。
これらの契約先は様々な大手金融機関である。
外貨建偶発資産及び偶発資産のエクスポージャーの詳細は、次の表のとおりである。(各通貨のユーロ建て残高)
外貨建残高の詳細 2021年12月31日
スイス イギリス 韓国 カナダ
単位:千ユーロ ユーロ 日本円 米ドル 人民元 香港ドル その他 合計
フラン ポンド ウォン ドル
現金及び現金同等物
559,819 56,422 51,010 118,885 18,462 3,427 27,001 45,485 5,131 47,076 932,718
金融資産 530 0 0 0 192 0 0 0 0 0 722
営業債権 70,589 46,456 17,319 64,433 520 (18) 7,721 19,973 2,901 4,380 234,274
その他の流動資産 14,929 1,993 707 5,429 165 39 1,570 162 445 2,319 27,758
その他の非流動資産 4,928 10,485 2,166 7,488 6,513 598 701 723 931 2,549 37,082
資産合計
650,795 115,356 71,202 196,235 25,852 4,046 36,993 66,343 9,408 56,324 1,232,554
営業債務 (264,236) (23,617) (18,900) (23,938) 567 (469) (5,533) (2,070) (1,702) (9,055) (348,953)
借入金 (578,134) (45,096) (122,188) (32,917) (39,526) (10,079) (23,170) (3,622) (9,265) (49,926) (913,923)
その他の流動債務 (69,494) (8,380) (19,274) (5,948) (1,260) (1,065) (8,645) (6,076) (1,080) (4,057) (125,279)
その他の非流動債務 (161) 0 0 0 0 0 (2) 0 0 0 (163)
負債合計
(912,025) (77,093) (160,362) (62,803) (40,219) (11,613) (37,350) (11,768) (12,047) (63,038) (1,388,318)
エクスポージャー純額 (261,230) 38,263 (89,160) 133,432 (14,367) (7,567) (357) 54,575 (2,639) (6,714) (155,764)
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外貨建残高の詳細 2020年12月31日
スイス イギリス 韓国 カナダ
単位:千ユーロ ユーロ 日本円 米ドル 人民元 香港ドル その他 合計
フラン ポンド ウォン ドル
現金及び現金同等物
555,687 69,614 84,190 95,984 10,276 6,552 19,081 32,999 4,442 44,673 923,498
金融資産
4,793 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4,793
営業債権 33,222 43,356 4,125 65,248 694 245 5,554 15,364 2,824 3,512 174,144
その他の流動資産
9,308 2,455 1,872 697 2,036 34 1,143 65 452 3,024 21,086
その他の非流動資産 4,144 9,329 3,539 5,438 6,028 507 701 727 929 2,181 33,523
資産合計 607,154 124,754 93,726 167,367 19,034 7,338 26,479 49,155 8,647 53,390 1,157,044
営業債務
(150,364) (24,187) (14,494) (13,241) 635 (1,118) (1,744) (1,084) (1,551) (4,755) (211,903)
借入金
(392,544) (44,192) (118,139) (15,959) (42,708) (11,287) (27,563) (4,509) (9,747) (46,619) (713,267)
その他の流動債務 (34,319) (8,372) (10,931) (11,138) (1,005) (482) (5,714) (7,356) (1,269) (3,424) (84,010)
その他の非流動債務 (140) 0 0 0 0 0 (2) 0 0 0 (142)
負債合計 (577,367) (76,751) (143,564) (40,338) (43,078) (12,887) (35,023) (12,949) (12,567) (54,798) (1,009,322)
エクスポージャー純額 29,787 48,003 (49,838) 127,029 (24,044) (5,549) (8,544) 36,206 (3,920) (1,408) 147,722
報告日現在において、当グループは債権に対して108.1百万ユーロ(2020年12月31日時点は77.8百万ユーロ)のヘッジ残
高、及び将来収益に対して477.7百万ユーロ(2020年12月31日時点は226.6百万ユーロ)のヘッジ残高を保有している。外
貨建取引に関して、為替レートがプラスかマイナスに1%変動した場合の影響は次のとおりである。
外貨建取引の詳細
イギリス
単位:千ユーロ 日本円 米ドル 人民元 香港ドル 韓国ウォン その他
ポンド
為替レート増加の影響総額
+1%
収益 2,488 3,317 3,808 199 1,656 905 1,330
営業利益 1,515 1,985 2,402 (15) 1,062 615 498
為替レート増加の影響総額
-1%
収益 (2,538) (3,376) (3,882) (203) (1,690) (923) (1,357)
営業利益 (1,545) (2,025) (2,450) 15 (1,083) (628) (508)
IFRS第13号の規定に関連して、公正価値で測定される金融商品の区分は、為替変動リスクのヘッジに有用である点を指摘
する。これらの商品の評価は、報告日における為替レートを考慮した将来キャッシュ・フローを割り引く方法に基づいて
いる(重要な会計方針の要約で詳述したレベル2の公正価値測定)。
金利リスク
当グループの金利リスクへの対応は、主に現金、現金同等物及び借入金に関連しており、一元管理されている。
金融機関に対するエクスポージャーが限られているため、2021年12月31日時点において、金利変動ヘッジは有していな
い。
9.2. 信用リスク
当グループは、信用リスクの高い金融資産(営業債権、その他流動資産)の重要な集中保有はない。金融資産の管理に関
する当グループの方針は、卸売顧客の支払不能のリスクを減らすことを目指している。小売チャネルの販売は、現金とク
レジットカードによって行われる。さらに、当グループは、未決済の債権を継続的に監視している。そのため、当グルー
プの不良債権のエクスポージャーに重要性はなく、貸倒率も低い状態が継続している。2021年12月31日における信用リス
クの最大エクスポージャーは、連結財務諸表で報告されている営業債権残高によって表わされる。
営業債権(現金と短期性預金を含む)以外のその他の金融資産から生じる信用リスクに関しては、当グループの理論上の
信用リスクは相手先の債務不履行から生じるものであり、その最大のエクスポージャーは、連結財務諸表上の当該資産の
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帳簿価額と第三者への保証契約の金額、もしくは、連結財務諸表注記7に記載しているコミットメントを合わせたもので
ある。当グループの方針により、異なる金融機関を利用することにより、信用リスクを制限している。
9.3. 流動性リスク
流動性リスクは、日常の営業活動を行うために、適切なコストにより、必要な財源を確保する能力から生じるものであ
る。流動性リスクに影響を与える要因は、営業活動、投資や財務活動、金融市場における資金によって発生し、使用され
る財源に関連している。
ダイナミックなビジネス活動に伴い、資金調達の柔軟性と利用可能な信用与信枠を維持するために、当グループは資金管
理を一元化させた。
流動性リスクを低減するための手続は、下記のとおりである。
・資金管理の一元化と財務計画。子会社とグループ全体の財政状態の管理の集中コントロールシステムの利用。個々の会
社の銀行口座の集約と仕入先への支払の集約を目的とした銀行の商品及び金融商品の利用。
・信用システムにより提供される流動性のより適切な利用に向けて、適切な負債構造を構築することによる十分な信用枠
の獲得。
・グループの予算に基づく将来キャッシュ・フローの継続的なモニタリング。
当グループは、現在の事業から発生した利用可能な財源をもって、当グループの目的を達成し、その投資のニーズを満た
し、満期までの債務の返済を可能にすることができると判断している。
IFRS第13号の規定に従い、非支配持分から持分を購入するコミットメントに関連する金融負債は、主にレベル3のイン
プットに基づく公正価値で計上される。
金融負債の契約満了日分析(金利を含む)は、以下の通りである。
非デリバティブ金融債務
契約上のキャッシュ・フロー
(純額)
帳簿価額
合計
1年超 2年超
単位:千ユーロ 計 1年以内 5年超
2年以内 5年以内
当座借越 3 3 3 0 0 0
自己弁済融資 130,000 130,000 130,000 0 0 0
第三者に対する金融負債 0 0 0 0 0 0
無担保ローン 21,514 21,514 11,801 7,446 2,266 0
リース負債 710,276 710,276 125,597 121,111 267,821 195,747
デリバティブ金融債務
契約上のキャッシュ・フロー
(純額)
帳簿価額
合計
1年超 2年超
単位:千ユーロ 計 1年以内 5年超
2年以内 5年以内
金利スワップ 23 23 23 0 0 0
為替予約 18,215 18,215 17,057 1,159 0 0
- 流出
18,937 18,937 17,778 1,159 0 0
- 流入
(722) (722) (722) 0 0 0
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9.4. 事業リスクと資本管理
事業リスクの管理において、当グループの主要な目的は、特定の法律及び規制の支配下にある海外市場における事業の拡
大に付随するリスクを管理することにある。
当グループは次のエリアにおいて指針を導入している。
・ 適切な職務分掌
・ 重要な取引の調整と継続的なモニタリング
・ コントロールと手続の文書化
・ 従業員の技術的、専門的な研修
・ 企業リスクの定期的な評価と是正措置の特定
資本管理の面からは、当グループの目的は、資本及び債権市場での高い格付けを維持し、株主及びその他の利害関係者へ
の公正な経済的な便益を確保するために、事業の継続を目指すことにある。当グループは、全般的な経済情勢の変化や戦
略目標を踏まえて資本構成を管理し、調整を行っている。
10. その他の情報
10.1. 関連当事者取引
以下に記載されている取引は、当グループが採用している“関連当事者に関する手続”の目的に該当するとみなされる取
引である。
“関連当事者に関する手続”は、当グループのウェブサイト( www.monclergroup.com , under “Governance/Corporate
documents”)で閲覧可能である。
連結グループ会社間の取引及び残高については連結財務諸表上相殺消去されているため、以下には記載されていない。
2021年度において、関連当事者取引は主に下記の取引先との独立第三者間取引と同等の取引条件により実行された事業取
引である。
・ 八木通商株式会社は、モンクレール・ジャパン・リミテッド(Moncler Japan Ltd.)の設立取引の相手先であり、設
立時に締結した契約に基づき、当グループの会社から製品を仕入れ(2021年度は97.4百万ユーロ 、 2020年度は107.2百万
ユーロ)、それらをモンクレール・ジャパン・リミテッド(Moncler Japan Ltd.)へ販売している(2021年度は108.1百万
ユーロ 、 2020年度は119.0百万ユーロ)。
・ ゴクセ・テクスチル・コズメティック・サナイ・イス・ヴェ・ディス・チカレット・リミテッド・スィルケティ
(Gokse Tekstil Kozmetik Sanayi ic ve dis ticaret limited sirketi)は、モンクレール・イスタンブール・ジュイ
ム・ヴェ・テクスチル・チカレット・リミテッド・エスティーアイ(Moncler Istanbul Giyim ve Tekstil Ticaret Ltd.
Sti)の非支配株主に所有されている会社であり、設立時に締結した契約に基づき、当該会社にサービスを提供している。
2021年度に認識された費用の合計額は、0.1百万ユーロ(2020年度は0.1百万ユーロ)であった。
・ ラ・ロトンダ・エスアールエル(La Rotonda S.r.l.)は、モンクレールグループのマネジャーが所有する企業であ
り、インダストリーズ・エスピーエー(Industries S.p.A)から製品を仕入れ、同企業にサービスを提供している。2021年
度に認識された収益の合計額は1.4百万ユーロ(2020年度は1.2百万ユーロ)であり、認識された費用の合計額は0.2百万
ユーロ(2020年度は0.2百万ユーロ)であった。
・ モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)の取締役会会長兼最高経営責任者の兄弟であるファブリツィオ・ルッ
フィーニ(Fabrizio Ruffini)は、モンクレールブランド製品の研究、開発及び品質管理に関するコンサルティング・
サービスを提供している。2021年度に認識された費用の合計額は、0.6百万ユーロ(2020年度は0.6百万ユーロ)であっ
た。
インダストリーズ・エスピーエー(Industries S.p.A)は、親会社であるモンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)の
連結納税制度に含まれている。
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取締役、監査役及び経営戦略に責任のある幹部への報酬
2021年度における取締役への報酬は、7,484千ユーロ(2020年度は3,882千ユーロ)である。
2021年度における監査役への報酬は、142千ユーロ(2020年度は152千ユーロ)である。
2021年度における経営戦略に責任のある幹部への報酬の総額は、2,616千ユーロ(2020年度は994千ユーロ)である。
2021年度における取締役、及び重要な管理職従業員へのストック・オプション制度(10.2で説明)に関連する費用の総額
は、8,916千ユーロ(2020年度は10,017千ユーロ)である。
以下の表は、2021年度及び前年度に行われた前述の関連当事者取引の要約である。
2021年 2020年
% %
単位:千ユーロ 関係 注記
12月31日 12月31日
八木通商株式会社
配給契約 a 97,416 (20.3)% 107,178 (30.6)%
(Yagi Tsusho Ltd)
八木通商株式会社
配給契約 a (108,056) 22.5% (119,027) 33.9%
(Yagi Tsusho Ltd)
ゴクセ・テクスチル・コズメティック・
サナイ・イス・ヴェ・ディス・チカレッ
ト・リミテッド・スィルケティ
サービス契約 b (109) 0.0% (127) 0.1%
(Gokse Tekstil Kozmetik Sanayi ic ve
dis ticaret limited sirketi)
ラ・ロトンダ・エスアールエル
事業取引 c 1,391 0.1% 1,198 0.1%
(La Rotonda S.r.l.)
ラ・ロトンダ・エスアールエル
事業取引 d (155) 0.0% (154) 0.0%
(La Rotonda S.r.l.)
リベテックス・エスアールエル
事業取引 d (356) 0.0% 0 0.0%
(Rivetex S.r.l.)
ファブリツィオ・ルッフィーニ
事業取引 b (552) 0.2% (552) 0.3%
(Fabrizio Ruffini)
取締役、監査役会及び戦略的責任を負う
労働サービス b (17,265) 7.3% (13,342) 7.7%
幹部社員
戦略的責任を負う幹部社員 労働サービス d (1,893) 0.3% (1,703) 0.4%
(29,579) (26,529)
合計
a – 売上原価に占める割合(%)
b – 一般管理費に占める割合(%)
c – 収益に占める割合(%)
d – 販売費に占める割合(%)
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2021年 2020年
% %
単位:千ユーロ 関係 注記
12月31日 12月31日
八木通商株式会社
営業債務 a (13,609) 3.9% (15,677) 7.4%
(Yagi Tsusho Ltd)
八木通商株式会社
営業債権 b 12,078 5.2% 10,392 6.0%
(Yagi Tsusho Ltd)
ラ・ロトンダ・エスアールエル
営業債権 b 7 0.0% 813 0.5%
(La Rotonda S.r.l)
ラ・ロトンダ・エスアールエル
営業債務 a (37) 0.0% (37) 0.0%
(La Rotonda S.r.l.)
ファブリツィオ・ルッフィーニ
営業債務 a 126 0.0% (137) 0.1%
(Fabrizio Ruffini)
取締役、監査役会及び戦略的責任を負う
その他流動負債 c (5,161) 4.1% (589) 0.7%
幹部社員
(6,596) (5,235)
合計
a – 営業債務に占める割合(%)
b – 営業債権に占める割合(%)
c – その他の流動負債に占める割合(% )
以下の表は、2021年12月31日及び2020年12月31日現在並びに同日をもって終了した連結会計年度に係る連結財務諸表にお
ける関連当事者取引の割合を要約したものである。
2021年12月31日
単位:千ユーロ 収益 売上原価 販売費 一般管理費
関連当事者 計 1,391 (10,640) (2,404) (17,926)
連結財務諸表 計 2,046,103 (479,197) (608,495) (237,109)
% 0.1% 2.2% 0.4% 7.6%
2021年12月31日
その他の
単位:千ユーロ 営業債権 営業債務
流動負債
関連当事者 計 12,085 (13,520) (5,161)
連結財務諸表 計 234,274 (348,953) (125,279)
% 5.2% 3.9% 4.1%
2020年12月31日
単位:千ユーロ 収益 売上原価 販売費 一般管理費
関連当事者 計 1,198 (11,849) (1,857) (14,021)
連結財務諸表 計 1,440,409 (350,775) (463,583) (173,444)
% 0.1% 3.4% 0.4% 8.1%
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2020年12月31日
その他の
単位:千ユーロ 営業債権 営業債務
流動負債
関連当事者 計 11,205 (15,851) (589)
連結財務諸表 計 174,144 (211,903) (84,010)
% 6.4% 7.5% 0.7%
10.2. 株式報酬制度
2021年12月31日時点の連結財務諸表には、2018年度及び2020年度に承認された業績連動株式プランの価値が反映されてい
る。
2021年度の株式報酬制度に係る費用は28.6百万ユーロ(2020年度は31.0百万ユーロ)であった。
2018年4月16日のモンクレール株主総会において「2018-2020業績連動株式プラン」(2018プラン)が承認された。この
プランは、戦略的重要性を有する、または、当グループの戦略的目的の達成に大きな貢献を果たせると考えられるモンク
レール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)及び子会社の取締役、主要メンバー、従業員、協力者、外部コンサルタントを
対象としている。
このプランは、3年間の権利確定期間の終了時に一定の業績目標を達成できた場合に、モンクレール株式を無償で割り当
てることを目的とする。
業績目標は、権利確定期間における一株当たり利益(EPS)指標として定められており、業績の上振れ、下振れに応じて
修正される。
プランで提示されている株式付与数は最大で2,800,000株であり、自己株式の処分により調達される。
このプランは、最大で3サイクルに配分される。第1サイクル(2018年承認)は終了し、1,365,531個のオプションが付
与された。第2サイクル(2019年承認)については、341,514個のオプションが付与された。
第1サイクルの割り当てに関する事項
・2020年12月31日時点の財務諸表の承認とともに3年間の権利確定期間が終了した。
・業績目標は達成され、一部は目標を上回った。
・そのため、受益者に1,479,123株(目標を上回る部分に対する246,520株を含む)が自己株式の処分により割り当てられ
た。
・2021年度における損益計算書への影響額は4.2百万ユーロであった。
2021年12月31日時点において、第2サイクルに係る262,152個(2021年度における損益計算書への影響額は3.1百万ユー
ロ)の権利が未行使である。
2020年6月11日の株主総会において、統合金融法(Consolidated Law on Finance)の第114条の2に従い株式付与制度
「2020業績連動株式プラン」が承認された。このプランは、モンクレール及び子会社の取締役、主要メンバー、従業員、
協力者、外部コンサルタントを対象としている。
このプランは、3年間の権利確定期間の終了時に一定の業績目標を達成できた場合に、モンクレール株式を無償で割り当
てることを目的とする。
業績目標は、権利確定期間における指標(①当期純利益、②フリー・キャッシュ・フロー、③ESG(環境・社会・ガバナン
ス))として公表され、業績の上振れ下振れに応じて修正される。
プランで提示されている株式付与数は最大で2,000,000株であり、新株発行又は自己株式の処分により調達される。
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このプランは、最大で3サイクルに配分される。第1サイクルについては、2020年6月11日の取締役会において
1,350,000個のオプションを付与することが決議された。第2サイクルについては、2021年中に承認され、463,425個のオ
プ ションが付与された。
2021年12月31日時点において、第1サイクルに係る1,132,742個(2021年度における損益計算書への影響額は15.3百万
ユーロ)、及び第2サイクルに係る459,155個(2021年度における損益計算書への影響額は4.5百万ユーロ)の権利が未行
使である。
IFRS第2号に基づくと、これらの制度は持分決済型と定義されている。
上記のストック・オプション制度に関する詳細な内容については、当社のウェブサイト www.monclergroup.com 中の項目
「Governance/Shareholder's Meeting」を参照のこと。
10.3. 子会社及び非支配持分
重要な非支配持分を有する子会社の財務情報は、以下の通りである。
子会社財務情報の要約 2021年12月31日
利益 非支配
資産 負債 純資産 収益
(損失) 持分利益
単位:千ユーロ
(損失)
ホワイト・テック・エスピージーオーオー
425 64 361 225 66 20
(White Tech Sp.zo.o.)
子会社財務情報の要約 2020年12月31日
利益 非支配
資産 負債 純資産 収益
(損失) 持分利益
単位:千ユーロ
(損失)
ホワイト・テック・エスピージーオーオー
354 56 298 188 51 15
(White Tech Sp.zo.o.)
2021年度
ホワイト・テック・エ
キャッシュ・フロー(*)
スピージーオーオー
単位:千ユーロ
White Tech Sp.zo.o.
営業キャッシュ・フロー 84
フリー・キャッシュ・フロー 69
正味キャッシュ・フロー 66
2020年度
ホワイト・テック・エ
キャッシュ・フロー(*)
スピージーオーオー
単位:千ユーロ
White Tech Sp.zo.o.
営業キャッシュ・フロー 97
フリー・キャッシュ・フロー 106
正味キャッシュ・フロー 88
(*) 上記金額は取締役報告書に含まれるキャッシュ・フロー計算書に従って開示している。
10.4. 重要な非経常的事象及び取引
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2021年6月14日にモンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)の取締役会は、2020年6月11日の株主総会の決議内容
を実行に移すため、株式付与制度「2020業績連動株式プラン」に基づき、463,425株を59人の受益者に付与することを決
議した。
株式報酬制度の詳細及び関連費用については、注記10.2を参照のこと。
10.5. 非定型的又は異常な取引
2021年度は、当グループにおいて非定型的又は異常な取引は発生していない。
10.6. 金融商品
以下は公正価値で測定される金融商品の公正価値ヒエラルキーのレベルを含む、金融資産、金融負債の帳簿価額及び公正
価値について記載した表である。なお、帳簿価額が公正価値の合理的な推定額であり、公正価値で測定されていない金融
資産及び金融負債に関する公正価値情報は記載していない。
2021年12月31日
流動 非流動 公正価値 レベル
単位:千ユーロ
公正価値で測定される金融資産
ヘッジ手段である金利スワップ - - -
ヘッジ手段である為替予約 722 - 722 2
小計 722 - 722
公正価値で測定されない金融資産
営業債権及び未収入金(*) 234,919 35,989
現金及び現金同等物(*) 932,718 -
小計 1,167,637 35,989 -
1,168,359 35,989 722
合計
2020年12月31日
流動 非流動 公正価値 レベル
単位:千ユーロ
公正価値で測定される金融資産
ヘッジ手段である金利スワップ - - -
ヘッジ手段である為替予約 4,793 - 4,793 2
小計 4,793 - 4,793
公正価値で測定されない金融資産
営業債権及び未収入金(*) 174,144 33,036
現金及び現金同等物(*) 923,498 -
小計 1,097,642 33,036 -
1,102,435 33,036 4,793
合計
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2021年12月31日
流動 非流動 公正価値 レベル
単位:千ユーロ
公正価値で測定される金融負債
ヘッジ手段である金利スワップ - - - 2
ヘッジ手段である為替予約 (18,959) - (18,959) 2
その他の金融負債 (2,831) (30,340) (33,171) 3
小計 (21,790) (30,340) (52,130)
公正価値で測定されない金融負債
営業債務及び未払金 (*)
(385,908) -
当座借越 (*)
(3) -
短期借入金 (*)
(130,000) -
長期借入金 (*)
(11,801) (9,713)
IFRS16 借入金 (*)
(125,597) (584,679)
小計 (653,309) (594,392) -
(675,099) (624,732) (52,130)
合計
2020年12月31日
流動 非流動 公正価値 レベル
単位:千ユーロ
公正価値で測定される金融負債
ヘッジ手段である金利スワップ - - - 2
ヘッジ手段である為替予約 (765) - (765) 2
その他の金融負債 (46,852) (25,338) (72,190) 3
小計 (47,617) (25,338) (72,955)
公正価値で測定されない金融負債
営業債務及び未払金 (*)
(246,286) -
当座借越 (*)
(15) -
短期借入金 (*)
- -
長期借入金 (*)
- -
IFRS16 借入金 (*)
(102,791) (537,506)
小計 (349,092) (537,506) -
(396,709) (562,844) (72,955)
合計
(*)帳簿価額が公正価値の合理的な推定額である短期の金融資産及び金融負債などの項目は含まれていない。
10.7. 独立監査人へ支払われた報酬
独立監査人に対する報酬の要約は以下のとおりである。
監査及び証明業務
サービスを提供している会社 2021年度の報酬
単位:ユーロ
ケーピーエムジー・エスピーエー
監査 529,119
KPMG S.p.A.
ネットワークケーピーエムジー・エスピーエー
226,337
Network KPMG S.p.A.
ケーピーエムジー・エスピーエー
証明業務 126,839
KPMG S.p.A.
ネットワークケーピーエムジー・エスピーエー
2,000
Network KPMG S.p.A.
ケーピーエムジー・エスピーエー
その他のサービス 221,124
KPMG S.p.A.
ネットワークケーピーエムジー・エスピーエー
653,230
Network KPMG S.p.A.
1,758,649
合計
10.8. イタリアの法律(第124号/2017年)に基づく開示
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イタリアの法律(第124号/2017年)の要求により2021年度に記載が要求される事項は以下のとおりである。
・モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A)は、研究開発関連で512,000ユーロ、芸術に関する優遇税制で13,000
ユーロ、広告投資に対する優遇税制で33,000ユーロの税額控除を受けた。
・インダストリーズ・エスピーエー(Industries S.p.A.)は、衛生関連で60,000ユーロ、棚卸資産で512,000ユーロ、新
たな設備投資関連で125,000ユーロの税額控除を受けた。
・スポーツウェア・カンパニー・エスピーエー(Sportswear Company S.p.A.)は、衛生関連で34,000ユーロ、広告投資
に対する優遇税制で82,000ユーロ、棚卸資産で131,000ユーロの税額控除を受けた。
・ストーン・アイランド・リテール・エスアールエル(Stone Island Retail S.r.l)及びストーン・アイランド・ロジ
スティクス・エスアールエル(Stone Island Logistics S.r.l.)はそれぞれ、衛生関連で26,000ユーロ及び1,000ユーロ
の税額控除を受けた。
上記要件の目的及び規定されているその他の資金援助に関しては、特定のイタリア国内登録簿(閲覧可能)を参照のこ
と。
11. 重要な後発事象
ストーン・アイランド・コリア(Stone Island Korea)
2022年1月1日から韓国におけるストーン・アイランドブランドの流通は当グループが51%を出資する、現地パートナー
企業との合弁会社が担うこととなった。
サステナリティクス(Sustainalytics)
2022年1月に、モンクレールは、大手のリサーチ兼ESG・コーポレートガバナンス・レーティング会社であるサステナリ
ティクス(Sustainalytics)から、業界上位格付(Industry Top-Rated Badge)及び地域上位格付(Regional Top-Rated
Badge)の評価を得た。同レーティング会社は、責任投資戦略の開発及び実施において投資家を支援している。
自社株買いプログラム
2022年3月3日、モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)は、2022年3月4日から、最大で普通株式1,000,000
株(同社資本金の0.4%相当)の自社株買いプログラムの開始を発表した。これは、イタリア民法典の第2357条及び第
2357条の3に基づき、2021年4月22日付の株主総会決議に基づき実行されるものであり、この自社株買いプログラムによ
る対価は最大で56百万ユーロであり、額面金額の定めは無い。
この自社株買いプログラムの目的は、市場濫用規制(EU)第596/2014号、欧州委員会委任規則(EUR)第2016/1052号及び
イタリア証券取引委員会(CONSOB)規則第11971/1999号に規定されたパラメーター内で、すべてのパラメーター(価格及
び1日当たりの出来高を含む)及び2021年4月22日に開催されたモンクレールの株主総会により決議され公表された諸条
件に従い、モンクレール及び子会社の従業員、取締役会のメンバー、コンサルタントへの株式によるインセンティブ制
度、あるいはその他の株式割当制度の義務を履行するために実施するものである。
連結業績案の承認日現在、本プログラムは継続中である。
地政学関連の最新情報
2月24日に始まったウクライナの紛争に関連して、モンクレール・グループの経営者は、キーウの店舗及びロシアの全商
業活動の両方が一時的に閉店、停止していることを確認している。当グループは、両国において、専用の電子商取引を展
開し、モンクレールブランドに関して直販店(DOS)2店舗及び単一ブランドの卸売店(SiS)3店舗を運営している。さ
らに、当グループは、複数のブランドを取り扱う店舗、約100店舗と取引がある。
2021年度の両国に対するエクスポージャーの合計(ロシア国外でのロシア人観光客による購入によって生じる収益を含
む)は、当グループの収益の2%未満であった。状況の進展及び想定される世界経済への影響の不確実性は非常に高いま
まだが、現在では2022年度の業績への重要な影響は予測されていない。
サプライチェーンに関して、モンクレール・グループは、ウクライナ及びロシアにおいて原材料を購入せず、両国に拠点
を置く第三者製造業者も使用していないことを明らかにしている。連結業績案の承認日現在、ルーマニアのバカウに所在
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する直接製造拠点及び近隣地域に所在する全ての第三者製造業者は、ウクライナにおける紛争によるいかなる混乱もな
く、操業を続けている。 さらに、物流レベルでは、現在の状況により輸送システムが影響を受けている恐れがあり、商
品 の出荷に遅延が生じる可能性があるが、現在は重要な問題は発生していない。地政学的な状況だけでなく物流コストの
潜在的な上昇に関連する製造コストの上昇に関して、当グループは、現時点において、2022年度の収益性に対して影響は
無いと見込まれることを確認している。
ロシア及びウクライナにおいて、モンクレールは19人を雇用しており、必要なサポート全て確実に提供されるよう常に彼
らと連絡を取っている。特に、ウクライナを出国することを決めている従業員に関して、当グループは経済的及び組織的
な支援を提供している。
モンクレール・グループは、世界中の難民を保護、支援する国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)及びウクライナで積極
的に活用しているその他組織も支援している。
***
連結財務諸表は、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結財政状態計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・
フロー計算書及び注記により構成され、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローについて真実かつ公正に表示してお
り、親会社及び連結会社の会計記録と整合している。
モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)取締役会を代表して
会長兼最高経営責任者
レモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)
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政令58/98号第154条の2に基づく連結財務諸表の証明書
1. 署名者であるモンクレール・エスピーエーの最高経営責任者レモ・ルッフィーニ及び同社の財務諸表の作成責任者ル
チアノ・サンテルは、1998年2月24日政令第58号第154条の2第3項及び第4項に従い、以下についてここに証明す
る:
・ 当社の組織体制の適切性
・ 2021年12月31日に終了する連結会計年度の連結財務諸表の作成に際し適用した管理手続及び会計手続の有効性
2. 2021年12月31日に終了する連結会計年度の連結財務諸表の作成に際し適用した管理手続及び会計手続の適正性の評価
は、内部統制の枠組みとして国際的に認められているCOSO(トレッドウェイ委員会支援組織委員会)により発行され
た内部統制の統合的枠組みに従い、モンクレール・エスピーエーが策定したプロセスに基づいている。
3. 署名者はさらに以下について証明する:
3.1 当該連結財務諸表は、
a)2002年7月19日付の欧州議会及び理事会の規定(EC)第1606/2002号により欧州連合により承認されている国際
財務報告基準に準拠して作成されている。
b)当社の勘定、会計帳簿及び記録の金額と一致している。
c)2021年12月31日現在及び2021年12月31日をもって終了する連結会計年度における当社及び連結子会社の財政状
態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を公正かつ正確に表示している。
3.2 取締役会の報告書は、当社及び当グループがさらされている主なリスク及び不確実性に関する記述と、事業及び財務
上の信頼性の高い分析を含んでいる。
2022年3月16日
取締役会会長兼最高経営責任者
レモ・ルッフィーニ
財務諸表作成責任者
ルチアノ・サンテル
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モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)個別財務諸表
損益計算書
損益計算書
うち うち
関連当事者 関連当事者
単位:ユーロ 注記 2021年度 2020年度
(注記8.1) (注記8.1)
収益 3.1 302,092,463 299,144,224 238,601,274 237,971,274
一般管理費(*) 3.2 (54,996,276) (12,048,171) (39,637,058) (7,197,557)
マーケティング費 3.3 (58,599,541) (2,987) (40,052,139) 0
188,496,646 158,912,077
営業利益
金融収益 3.5 33,122 33,122 420,336 331,968
金融費用 3.5 (1,684,431) (830,841) (352,564) (78,843)
186,845,337 158,979,849
税引前利益
法人所得税 3.6 (50,363,722) 14,949,883
136,481,615 173,929,732
当期純利益
損益計算書
うち うち
関連当事者 関連当事者
単位:円 注記 2021年度 2020年度
(注記8.1) (注記8.1)
収益 3.1 41,776,366,708 41,368,654,803 32,996,170,181 32,909,047,484
一般管理費(*) 3.2 (7,605,435,008) (1,666,141,625) (5,481,408,751) (995,350,111)
マーケティング費 3.3 (8,103,730,525) (413,006) (5,538,810,302) 0
26,067,201,175 21,975,951,128
営業利益
金融収益 3.5 4,580,441 4,580,466 58,128,265 45,907,787
金融費用 3.5 (232,939,963) (114,896,973) (48,756,076) (10,903,229)
25,838,841,654 21,985,323,318
税引前利益
法人所得税 3.6 (6,964,799,115) 2,067,419,320
18,874,042,538 24,052,742,638
当期純利益
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包括利益計算書
包括利益計算書
2021年 2020年
単位:ユーロ 注記
12月31日 12月31日
136,481,615 173,929,732
当期純利益
ヘッジの公正価値の変動 4.15 0 0
0 0
純損益に振替えられる可能性のある項目
退職給付制度における数理計算上の差異(利益/(損失)) 4.15 (7,948) (90,274)
(7,948) (90,274)
純損益に振替えられることのない項目
その他の包括利益(損失)(税引後) (7,948) (90,274)
136,473,667 173,839,458
当期包括利益(損失)計
包括利益計算書
2021年 2020年
単位:円 注記
12月31日 12月31日
18,874,042,538 24,052,742,638
当期純利益
ヘッジの公正価値の変動 4.15 0 0
0 0
純損益に振替えられる可能性のある項目
退職給付制度における数理計算上の差異(利益/(損失)) 4.15 (1,099,129) (12,483,991)
(1,099,129) (12,483,991)
純損益に振替えられることのない項目
その他の包括利益(損失)(税引後) (1,099,129) (12,483,991)
18,872,943,409 24,040,258,647
当期包括利益(損失)計
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財政状態計算書
財政状態計算書
うち うち
2021年 2020年
関連当事者 関連当事者
単位:ユーロ 注記
12月31日 12月31日
(注記8.1) (注記8.1)
ブランド及びその他の無形資産(純額) 4.1 1,001,460,254 225,634,820
有形固定資産(純額) 4.3 6,957,036 1,400,751
子会社株式 4.4 924,669,525 312,662,899
その他の非流動資産 4.9 126,400 1,141,900
繰延税金資産 4.5 2,178,482 1,429,224
1,935,391,697 542,269,594
非流動資産
売掛金 4.6 1,219,240 257,807
関係会社売掛金 4.6 83,877,769 83,877,769 135,820,122 135,820,122
その他の流動資産 4.9 1,387,217 1,438,114
その他の流動資産(関係会社) 4.9 4,110,773 4,110,773 269,095 269,095
関係会社金融債権 4.8 1,075,337 1,075,337 54,438,695 54,438,695
現金及び現金同等物 4.7 901,195 62,293,432
92,571,531 254,517,265
流動資産
2,027,963,228 796,786,859
資産合計
資本金 4.15 54,736,558 51,670,525
資本剰余金 4.15 745,308,990 173,374,223
その他の剰余金 4.15 426,983,425 348,383,314
当期純利益 4.15 136,481,615 173,929,732
1,363,510,588 747,357,794
資本合計
長期借入金 4.13 5,685,596 993,514
関係会社長期借入金 4.13 327,000,000 327,000,000 0
従業員給付 4.12 1,658,378 1,618,516
繰延税金負債 4.5 220,014,187 2,410,021
554,358,161 5,022,051
非流動負債
短期借入金 4.13 1,077,384 322,754
関係会社短期借入金 4.13 38,610,403 0
買掛金 4.10 29,983,918 16,111,947
関係会社買掛金 4.10 2,408,945 2,408,945 41,797 41,797
当期税金負債 4.14 14,355,724 12,251,795
その他の流動負債 4.11 12,008,839 3,630,802 6,333,653 441,845
その他の関係会社流動負債 4.11 11,649,266 11,649,266 9,345,068 9,345,068
110,094,479 44,407,014
流動負債
2,027,963,228 796,786,859
資本及び負債合計
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財政状態計算書
うち うち
2021年 2020年
関連当事者 関連当事者
単位:円 注記
12月31日 12月31日
(注記8.1) (注記8.1)
ブランド及びその他の無形資産(純額) 4.1 138,491,938,526 31,203,039,258
有形固定資産(純額) 4.3 962,088,508 193,709,856
子会社株式 4.4 127,872,548,612 43,238,152,303
その他の非流動資産 4.9 17,479,856 157,913,351
繰延税金資産 4.5 301,262,276 197,647,387
267,645,317,778 74,990,462,154
非流動資産
売掛金 4.6 168,608,700 35,652,130
関係会社売掛金 4.6 11,599,456,675 11,599,456,675 18,782,564,671 18,782,564,671
その他の流動資産 4.9 191,838,239 198,876,785
その他の流動資産(関係会社) 4.9 568,478,798 568,478,798 37,213,148 37,213,148
関係会社金融債権 4.8 148,708,354 148,708,354 7,528,327,132 7,528,327,132
現金及び現金同等物 4.7 124,626,257 8,614,558,711
12,801,717,022 35,197,192,577
流動資産
280,447,034,800 110,187,654,731
資産合計
資本金 4.15 7,569,518,606 7,145,516,902
資本剰余金 4.15 103,068,780,227 23,975,921,299
その他の剰余金 4.15 59,047,537,843 48,177,928,493
当期純利益 4.15 18,874,042,538 24,052,742,638
188,559,879,215 103,352,109,332
資本合計
長期借入金 4.13 786,261,071 137,393,051
関係会社長期借入金 4.13 45,220,830,000 45,220,830,000 0
従業員給付 4.12 229,337,094 223,824,578
繰延税金負債 4.5 30,425,761,920 333,281,804
76,662,190,085 694,499,433
非流動負債
短期借入金 4.13 148,991,433 44,633,651
関係会社短期借入金 4.13 5,339,432,631 0
買掛金 4.10 4,146,476,020 2,228,121,151
関係会社買掛金 4.10 333,133,004 333,133,004 5,780,107 5,780,107
当期税金負債 4.14 1,985,253,072 1,694,300,731
その他の流動負債 4.11 1,660,702,345 502,103,548 875,880,873 61,102,777
その他の関係会社流動負債 4.11 1,610,976,995 1,610,976,995 1,292,329,454 1,292,329,454
15,224,965,501 6,141,045,966
流動負債
280,447,034,800 110,187,654,731
資本及び負債合計
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持分変動計算書
持分変動計算書
その他の
注記 資本金 資本剰余金 法定準備金
単位:ユーロ 包括利益
4.15 51,595,905 172,271,861 10,300,000 (103,178)
2020年1月1日残高
前年度純利益の配分 0 0 19,181 0
資本及び資本剰余金の増加 74,620 1,102,362 0 0
配当 0 0 0 0
その他の変動 0 0 0 (90,274)
当期純利益 0 0 0 0
4.15 51,670,525 173,374,223 10,319,181 (193,452)
2020年12月31日残高
4.15 51,670,525 173,374,223 10,319,181 (193,452)
2021年1月1日残高
前年度純利益の配分 0 0 14,924 0
資本及び資本剰余金の増加 3,066,033 571,934,767 0 0
配当 0 0 0 0
その他の変動 0 0 0 (7,948)
当期純利益 0 0 0 0
4.15 54,736,558 745,308,990 10,334,105 (201,400)
2021年12月31日残高
持分変動計算書 その他の剰余金
IFRS 2 FTA 当期純利益
再評価 利益
注記 資本合計
(損失)
単位:ユーロ 剰余金 剰余金
剰余金 剰余金
4.15 37,223,824 12,261 (20,638) 114,247,722 157,649,576 543,177,333
2020年1月1日残高
前年度純利益の配分 0 7,134 0 157,623,261 (157,649,576) 0
資本及び資本剰余金の増加 0 0 0 (60,960) 0 1,116,022
配当 0 0 0 0 0 0
その他の変動 21,227,983 0 0 7,996,998 0 29,134,707
当期純利益 0 0 0 0 173,929,732 173,929,732
4.15 58,451,807 19,395 (20,638) 279,807,021 173,929,732 747,357,794
2020年12月31日残高
4.15 58,451,807 19,395 (20,638) 279,807,021 173,929,732 747,357,794
2021年1月1日残高
前年度純利益の配分 0 66,568 0 173,848,240 (173,929,732) 0
資本及び資本剰余金の増加 0 0 0 0 0 575,000,800
配当 0 0 0 (121,274,690) 0 (121,274,690)
その他の変動 (23,472,071) 0 1,053 49,424,035 0 25,945,069
当期純利益 0 0 0 0 136,481,615 136,481,615
4.15 34,979,736 85,963 (19,585) 381,804,606 136,481,615 1,363,510,588
2021年12月31日残高
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有価証券報告書
持分変動計算書
その他の
単位:円 注記 資本金 資本剰余金 法定準備金
包括利益
4.15 7,135,197,702 23,823,475,658 1,424,387,000 (14,268,501)
2020年1月1日残高
前年度純利益の配分 0 0 2,652,540 0
資本及び資本剰余金の増加 10,319,200 152,445,641 0 0
配当 0 0 0 0
その他の変動 0 0 0 (12,483,991)
当期純利益 0 0 0 0
4.15 7,145,516,902 23,975,921,299 1,427,039,540 (26,752,492)
2020年12月31日残高
4.15 7,145,516,902 23,975,921,299 1,427,039,540 (26,752,508)
2021年1月1日残高
前年度純利益の配分 0 0 2,063,840 0
資本及び資本剰余金の増加 424,001,704 79,092,858,928 0 0
配当 0 0 0 0
その他の変動 0 0 0 (1,099,129)
当期純利益 0 0 0 0
4.15 7,569,518,606 103,068,780,227 1,429,103,380 (27,851,636)
2021年12月31日残高
持分変動計算書 その他の剰余金
IFRS 2 FTA 当期純利益
再評価 利益
注記 資本合計
(損失)
単位:円 剰余金 剰余金
剰余金 剰余金
2020年1月1日
4.15 5,147,682,621 1,695,574 (2,854,029) 15,799,317,475 21,801,359,865 75,115,993,365
残高
前年度純利益の
0 986,561 0 21,797,720,764 (21,801,359,865) 0
配分
資本及び資本剰
0 0 0 (8,430,158) 0 154,334,682
余金の増加
配当 0 0 0 0 0 0
その他の変動 2,935,617,769 0 0 1,105,904,853 0 4,029,038,631
当期純利益 0 0 0 0 24,052,742,638 24,052,742,638
2020年12月31日
4.15 8,083,300,390 2,682,135 (2,854,029) 38,694,512,934 24,052,742,638 103,352,109,317
残高
2021年1月1日
4.15 8,083,300,390 2,682,135 (2,854,029) 38,694,512,934 24,052,742,638 103,352,109,302
残高
前年度純利益の
0 9,205,689 0 24,041,473,110 (24,052,742,638) 0
配分
資本及び資本剰
0 0 0 0 0 79,516,860,632
余金の増加
配当 0 0 0 (16,771,076,880) 0 (16,771,076,880)
その他の変動 (3,245,952,699) 0 145,619 6,834,849,795 0 3,587,943,586
当期純利益 0 0 0 0 18,874,042,538 18,874,042,538
2021年12月31日
4.15 4,837,347,691 11,887,823 (2,708,410) 52,799,758,958 18,874,042,538 188,559,879,179
残高
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キャッシュ・フロー計算書
うち うち
キャッシュ・フロー計算書
関連当事者 関連当事者
2021年度 2020年度
(注記 8.1) (注記 8.1)
単位:ユーロ
営業活動によるキャッシュ・フロー
当期純利益 136,481,615 173,929,732
減価償却費及び償却費 1,351,600 1,147,967
金融費用(収益)純額 1,651,309 (67,772)
持分決済型の株式に基づく報酬取引 6,507,510 7,858,405
法人所得税費用 50,363,722 (14,949,883)
営業債権の(増加)/減少 50,980,920 51,942,353 (75,238,156) (75,489,832)
営業債務の増加/(減少) 15,072,092 2,367,148 (3,848,195) 31,022
その他の流動資産/負債の増減 8,496,403 3,188,956 312,860 (1,765,162)
270,905,171 89,144,958
営業活動から生じたキャッシュ・フロー
利息の支払額 (1,449,348) (342,356)
利息の受取額 33,122 336,600
法人所得税の支払額 (78,659,157) (89,382,904)
連結納税による法人所得税の受取額 17,446,765 17,446,765 53,725,682 53,725,682
連結納税によるVATの受取額 11,918,361 11,918,361 (12,346,306) (12,346,306)
その他の非流動資産/負債の増減 55,937 348,527
営業活動による正味キャッシュ・フロー(a) 220,250,851 41,484,201
投資活動によるキャッシュ・フロー
有形固定資産及び無形資産の取得による支出 (1,113,719) (830,916)
ストーン・アイランド関連の取引 (578,267,579) 0
投資活動による正味キャッシュ・フロー(b) (579,381,298) (830,916)
財務活動によるキャッシュ・フロー
流動及び非流動リース負債の返済による支出 (618,547) (448,972)
銀行からの借入金以外の借入金の増減 419,035,978 418,973,761 (35,498,470) (35,498,470)
株主への配当金の支払額 (120,679,237) 0
資本及び資本剰余金の増加 0 1,116,022
財務活動による正味キャッシュ・フロー(c) 297,738,194 (34,831,420)
現金及び現金同等物の純増加(減少)額
(61,392,253) 5,821,865
(a)+(b)+(c)
62,293,383 56,471,518
現金及び現金同等物の期首残高
現金及び現金同等物の純増加(減少)額 (61,392,253) 5,821,865
901,130 62,293,383
現金及び現金同等物の期末残高
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うち うち
キャッシュ・フロー計算書
関連当事者 関連当事者
2021年度 2020年度
(注記 8.1) (注記 8.1)
単位:円
営業活動によるキャッシュ・フロー
当期純利益 18,874,042,538 24,052,742,638
減価償却費及び償却費 186,912,764 158,752,356
金融費用(収益)純額 228,359,522 (9,372,190)
持分決済型の株式に基づく報酬取引 899,923,558 1,086,738,827
法人所得税費用 6,964,799,115 (2,067,419,320)
営業債権の(増加)/減少 7,050,151,427 7,183,107,996 (10,404,684,593) (10,439,488,867)
営業債務の増加/(減少) 2,084,319,603 327,352,897 (532,166,887) 4,290,032
その他の流動資産/負債の増減 1,174,967,571 441,000,725 43,265,409 (244,104,253)
37,463,476,098 12,327,856,242
営業活動から生じたキャッシュ・フロー
利息の支払額 (200,430,335) (47,344,411)
利息の受取額 4,580,441 46,548,414
法人所得税の支払額 (10,877,774,822) (12,360,761,794)
連結納税による法人所得税の受取額 2,412,713,132 2,412,713,132 7,429,724,564 7,429,724,564
連結納税によるVATの受取額 1,648,190,143 1,648,190,143 (1,707,370,657) (1,707,370,657)
その他の非流動資産/負債の増減 7,735,528 48,197,799
営業活動による正味キャッシュ・フロー(a) 30,458,490,185 5,736,850,156
投資活動によるキャッシュ・フロー
有形固定資産及び無形資産の取得による支出 (154,016,201) (114,907,374)
ストーン・アイランド関連の取引 (79,968,623,500) 0
投資活動による正味キャッシュ・フロー(b) (80,122,639,700) (114,907,374)
財務活動によるキャッシュ・フロー
流動及び非流動リース負債の返済による支出 (85,538,865) (62,088,338)
銀行からの借入金以外の借入金の増減 57,948,485,398 57,939,881,409 (4,909,083,416) (4,909,083,416)
株主への配当金の支払額 (16,688,731,685) 0
資本及び資本剰余金の増加 0 154,334,682
財務活動による正味キャッシュ・フロー(c) 41,174,214,848 (4,816,837,072)
現金及び現金同等物の純増加(減少)額
(8,489,934,667) 805,105,711
(a)+(b)+(c)
8,614,551,935 7,809,446,224
現金及び現金同等物の期首残高
現金及び現金同等物の純増加(減少)額 (8,489,934,667) 805,105,711
124,617,268 8,614,551,935
現金及び現金同等物の期末残高
モンクレール・エスピーエー(Moncler S. p. A. ) 取締役会代表
会長兼最高経営責任者
レモ・ルッフィーニ
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財務諸表注記
1. 企業の概況
1.1. モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)
モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)(当社又はモンクレール)は、イタリアで設立され、同国に所在する企業
であり、登録事業所の住所はイタリア国ミラノ市ステンダール47、登録番号は04642290961である。
またレモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)は、イタリア法の下に設立された法人であるルッフィーニ・パーテシパチオー
ニ・ホールディング・エスアールエル(Ruffini Partecipazioni Holding S.r.l.)(以下、RPH)の株式を100%保有し
ており、RPHは、イタリア法の下に設立された法人であるルッフィーニ・パーテシパチオーニ・エスアールエル(Ruffini
Partecipazioni S.r.l.)(以下、RH)を支配している。RHは、2021年12月31日現在、当社の株式資本の19.9%を保有し
ていることから、当社は事実上、RPHを通じてレモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)により間接的に支配されている。
当社はモンクレール・グループ(以下、当グループ)の親会社であり、他の子会社47社を構成している。
当社の主要事業は、モンクレール所有ブランド名に基づく男性向け・女性向け・子供向け服とアクセサリーの研究、デザ
イン、生産、販売である。
当社はモンクレール取締役会により設定されたガイドライン及び戦略に基づき事業経営している。
また、当社は政令第127/91号第40/2条の2第B項に基づいて、連結財務諸表及び取締役会の報告書を単一の書類として開
示している。
1.1.1. モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)へのスポーツウェア・カンパニー・エスピーエー(Sportswear
Company S.p.A.)の部分的分割
モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)へのスポーツウェア・カンパニー・エスピーエー(Sportswear Company
S.p.A.)(「SPW」)の部分的分割の取引が、2021年12月9日に実施された。この分割は、モンクレールとSPW間の広範な
統合、さらには当グループのその後の再編の一部であり、当グループの運営、機能及び経済の効率性を高めるものであ
る。
この分割の結果、この分割に関連してモンクレールに譲渡されるSPWの資産は、ストーン・アイランド・ブランド及びSPW
スタイル及びマーケティング事業部門を構成する一連の資産及び契約である。
本取引の会計上の効力発生日は2021年12月30日である。
分割された資産及び負債の明細は以下のとおり。
単位:千ユーロ 分割された資産及び負債
有形固定資産
182
使用権資産
4,751
リース負債
(4,813)
買掛金
(941)
(254)
その他の流動資産/(負債)
(1,075)
合計
分割により譲渡された資産および負債の純額について、対価が支払われており、株主資本の変動はない。
分割を受けて、当初投資価値に含まれていたストーン・アイランドのブランド価値(775.5百万ユーロ)は、無形資産内
のブランドの項目に振り替えられた。対応する繰延税金負債(216.4百万ユーロ)が認識されている。
1.2. 個別財務諸表作成の基礎
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1.2.1. 関連する会計方針
2021年度個別財務諸表は、国際会計基準審議会(IASB)が設定し欧州連合が承認した国際財務報告基準(IFRS)に基づき作
成されている。IFRSには、国際会計基準(IAS)、国際財務報告解釈指針委員会(IFRIC、以前の解釈指針委員会(SIC))の解
釈指針すべてが含まれる。
個別財務諸表には、財政状態計算書、損益計算書、包括利益計算書、持分変動計算書、キャッシュ・フロー計算書及びそ
れらの注記が含まれる。
1.2.2. 財務諸表の表示
当社は、損益計算書を目的別に表示しており、この表示方法が最も適切に現在の事業を表現すると考えている。この方法
は内部報告及び事業管理と首尾一貫したものである。
財政状態計算書は、IAS第1号第60項以降の規定に従い、資産と負債を流動と非流動に区分する方法により表示してい
る。
キャッシュ・フロー計算書は間接法により作成している。
1.2.3. 測定の基礎
個別財務諸表は、特定の金融商品の測定(すなわち、IFRS第9号の規定に基づき公正価値で測定されるデリバティブ)を
除き、取得原価主義及び継続企業の前提に基づき作成されている。
個別財務諸表は、当社が主に事業を展開している市場の機能通貨であるユーロで表示しており、金額は特に記載がない限
り、千ユーロ単位で記載されている。
1.2.4. 取締役による継続企業の前提に関する評価
当期業績及び将来予測に基づき、経営者は継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと判断している。特に、当期末
時点のモンクレールの財務基盤並びに現金及び現金同等物によって高い財務上の自立性が確保されており、当グループの
経営上のニーズ及び開発プログラムをサポートできる状態である。2021年は、様々な市場及び販売チャネルにおける商品
の提供並びに事業活動の管理能力の両面において事業の運営が確実に保証されている。
1.2.5. 見積り及び評価の利用
IFRSに準拠した個別財務諸表及びそれに関する注記の作成において、経営者は、報告日現在の資産及び負債の報告額、ま
た、偶発資産及び偶発負債の開示に影響を及ぼす見積りや仮定を設定することが要求されている。見積りと仮定は、過去
の実績やその他の要因に基づいている。実際の結果は、これらの見積り等とは異なる可能性がある。
見積りと基礎となる仮定は定期的に見直しが行われ、見積りの変更が行われた期のみに影響がある場合は見積りの変更が
なされた期の個別財務諸表に、見積りの変更が行われた期及び将来の期間に影響がある場合は変更が行われた期以降の期
間の個別財務諸表に、見積りの変更が反映される。
経営者の見積りと判断が個別財務諸表に重要な影響を与える場合、もしくは報告日直後において資産や負債の認識金額を
修正する可能性がある場合には、関連する情報が以下に開示される。
見積りは、主に下記の連結財務諸表の項目に関連する。
• 耐用年数を確定できない非流動資産及び投資の減損
• 損失に対する引当及び偶発債務
• インセンティブ制度と変動報酬
耐用年数を確定できない非流動資産及び投資の回収可能価額(減損)
経営者は、事象や環境の変化が帳簿価額を回収できない可能性を示唆しているか否か、非流動資産(売却目的で保有する
資産や関係会社株式)の減損について定期的に検討している。減損の検討が行われる場合、回収可能価額は、その資産が
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生み出すと予測される将来キャッシュ・フロー、もしくは資産自体を売却することで得られる将来キャッシュ・フロー
を、適切な割引率で割引いた現在価値に基づいて見積られる。
非流動資産の回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合、損益計算書において減損損失が直ちに認識され、帳簿価額
は、最新の当グループの事業計画に基づき、使用価値もしくは独立第三者間取引に基づく売却価格のいずれか高い金額で
ある回収可能価額まで減額される。
損失に対する引当及び偶発債務
当グループは、事業展開している国々で起こる法的及び税務的訴訟リスクに晒されている。訴訟は、個別の申し立てや現
地の法規制に関連する事象や環境に起因し、必然的にリスクと不確実性に晒されている。通常の事業運営の過程において
は、経営者は、グループ法務コンサルタントや税務の専門家にアドバイスを求めている。引当金は、債務を解消するため
の資源流出の可能性が高く、信頼性をもってその金額を見積ることができる場合に、経営者の最善の見積りに基づき認識
される。資源流出の可能性が高くない場合、又は十分な信頼性をもって債務の金額を測定することができない場合には、
偶発債務は財務諸表の注記に開示される。
インセンティブ制度と変動報酬
モンクレール・グループの経営者に対する持分決済型のインセンティブ報酬の公正価値の決定に関する説明については、
2.9を参照のこと。
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2. 重要な会計方針
以下に記載されている会計方針は、表示されているすべての期間の個別財務諸表に継続的に適用されている。
2.1. 有形固定資産
有形固定資産は、取得原価又は製造原価から、減価償却累計額、減損損失累計額を控除した額で計上されている。取得原
価は、資産の購入価格及びその資産を意図した方法で稼働可能な状態にするための費用を含んでいる。
減価償却
有形固定資産の減価償却費は、以下の表に示した見積耐用年数にわたって定額法で算定し、損益として認識している。
資産項目 耐用年数
土地 対象外
建物 25年から33年
機械設備 8年から12年
什器備品 5年から10年
電子機器 3年から5年
リース附属設備 リース期間又は経済的耐用年数のいずれか短い期間
使用権 リース期間
その他の固定資産 一般に当社にとって利用が予想される期間内において市場環境を考慮して決定
リース資産は、リース期間終了時までに当グループが所有権を取得することに合理的確実性がない場合には、リース期間
又は経済的耐用年数のいずれか短い期間で償却している。
減価償却方法、耐用年数及び残存価額は、各報告期間において見直しを行い、必要に応じて変更している。
有形固定資産の処分損益
有形固定資産の処分損益は、処分日において処分により受け取る金額と帳簿価額との差額として算定している。なお、該
当する取引が終了し、所有権が移転されたときに処分損益を計上している。
2.2. 無形資産
ブランド
個々に取得されたブランドは取得原価で表示される。企業結合によって取得されたブランドは、取得日の公正価値で認識
される。
ブランドは、耐用年数を確定できないため、取得原価から減損損失累計額を控除した額で計上される。ブランドは償却さ
れないが、年に一度以上、減損テストを実施し、事象又は状況の変化により帳簿価額を回収できない可能性が示唆されて
いるかどうかを確認する。
追加的な情報については、注記2.5「非金融資産の減損」に記載している。
耐用年数を確定できる無形資産
ソフトウェア(ライセンス及び個別に識別可能な外部への開発費用を含む。)は、購入価格に、その資産を利用可能にす
るために直接関連した支出を加えた額で、無形資産に計上される。当グループが取得した、耐用年数を確定できるソフト
ウェアとその他の無形資産は、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除して測定される。
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耐用年数を確定できる無形資産の償却費
耐用年数を確定できる無形資産は、以下の表に示した見積耐用年数にわたって定額法で償却される。
資産項目 耐用年数
ライセンス権 使用している資産のライセンス期間または法定期間内において市場環境に基づき決定
ソフトウェア 3年から5年
その他の無形資産 資産に対する支配を有する期間内において市場環境に基づき決定
2.3. 売却可能な非流動資産及び非継続事業
売却可能な非流動資産及び非継続事業は、その価値が、発生する蓋然性の高い確実な販売取引により回収可能であると
き、売却可能と分類される。このような状況では、売却可能な非流動資産及び非継続事業は、帳簿価額と公正価値のいず
れか低い方の額で評価される。公正価値は、売却可能な非流動資産及び非継続事業の価値が、継続使用せずに、確実な販
売取引により回収可能である場合に、売却費用とネットされる。
非継続事業とは以下の事業をいう。
・独立の主要な事業分野又は営業地域
・独立の主要な事業分野又は営業地域を処分する統一された計画の一部
・転売のみのために取得した子会社
損益計算書上、売却可能な非流動資産及び処分グループのうちIFRS第5号の「非継続事業」の定義を満たすものは、処分
価額と関連する税効果による利益又は損失だけではなく、利益と損失の両方を含む単一の項目として表示される。比較期
間は、IFRS第5号に従って比較期間の期首に変更が行われたように、遡及処理される。
財政状態計算書においては、IFRS第5号の要件を満たす売却可能な非流動資産及び処分グループは、その要件を満たした
期に流動資産・負債に組み替えられる。比較年度の財政状態計算書は、遡及処理又は組替えは行われない。
2.4. 投資
子会社、関連会社及びその他の事業体に対する投資は、以下のいずれかで会計処理される。
・ 取得原価(取得関連費用を含む)
・ IFRS第9号に規定される方法
会社は、子会社、関連会社及びその他の事業体からの配当を受け取る権利が実現した時に、その配当を利益として認識す
る。
2.5. 非金融資産の減損
少なくとも年1回、当社は、耐用年数を確定できる無形資産、有形固定資産及び投資が減損したことを示す兆候の有無に
ついて検証している。減損の証拠が存在する場合、当該資産の帳簿価額はその回収可能価額まで引き下げられる。
耐用年数を確定できない資産は償却の対象にはならず、事象又は状況の変化が、帳簿価額を回収できない可能性を示唆し
ている場合に、年に一度以上、減損のテストを実施している。
個々の資産の回収可能価額を見積ることができない時は、その資産が属している資金生成単位の回収可能価額を決定して
いる。回収可能価額は、使用価値と、売却コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きい方の金額である。当社は、資産
又は資金生成単位から生み出される税引前の割引率を用いて現在価値に割り引いて、使用価値を算定している。減損損失
は帳簿価額が回収可能価額を上回った場合の当該差額として認識される。
のれんに関する減損損失を除き、減損損失の原因が存在しなくなった場合には、減損損失は戻し入れられる。減損損失の
戻し入れは、減損損失が認識されなかった場合の帳簿価額を限度として行う。減損損失の戻し入れは損益として直ちに認
識する。
2.6. リース資産
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IASBは2016年1月13日、新基準であるIFRS第16号「リース」を公表した。現行のIAS第17号を置き換えるものである。欧
州連合(EU)は2017年11月9日に、当該基準のエンドースメントを行った。IFRS第16号は、2019年1月1日以降に開始す
る 事業年度から適用される。新基準により、オペレーティング・リース及びファイナンス・リースの認識において区別を
廃止して適用を簡素化し、リースの定義について支配の概念に基づく考え方が導入される。契約がリースであるかを判断
するために、IFRS第16号では一定期間特定の資産の使用権を契約上移転させる必要があるとしている。
リース開始日において、当社は使用権資産及びリース負債を認識する。使用権資産は当初測定において取得原価で評価さ
れる。取得原価は、リース負債の当初測定の金額、開始日以前に支払ったリース料の調整、発生した当初直接コスト、
リース契約条件で要求されている原資産の解体及び除去、原資産の敷地の原状回復又は原資産の原状回復の際に借手に生
じるコストの見積り、受け取ったリース・インセンティブの控除を含む。
使用権資産は、リース期間終了時点で、リースにより当該原資産の所有権が当社に移転していない限り、リース開始日か
ら終了日までの期間にわたり定額法で償却される。この場合、使用権資産は、有形固定資産と同じ基準に基づき耐用年数
が決定され、原資産の耐用年数にわたって償却される。さらに、使用権資産は減損損失により減少し、リース負債の事後
測定に伴う再評価を反映するように調整する。
リース開始日において、当社グループは、未払いリース料をリースの計算利子率で割り引いた現在価値でリース負債を測
定する。
リース負債の測定に含まれている当該リース料は以下を含む。
• 固定リース料(実質的な固定リース料を含む)
• 変動リース料のうち、指数又はレートに応じて決まる金額。当初測定には開始日現在の指数又はレートを用いる。
• 残価保証に基づいて支払うことが見込まれている金額
• 任意の更新期間のリース料(当社が更新オプションを行使することが合理的に確実である場合)及び早期解約
キャンセル料(当社が契約期間終了前に当該リース契約を解約しないことが合理的に確実である場合を除く)
リース負債は、実効金利法を用いて償却原価で測定される。指数またはレートの変動による将来のリース料に変動がある
場合、当社が残価保証に基づいて支払うと見込まれる金額に変動がある場合、当社が購入、延長や解約のオプションを行
使するか否かの判定に関連して再測定する場合、または実質上の固定リース料の見直しを実施する際に再測定される。
リース負債が再測定される場合、借手は使用権資産もそれに応じて変更する。使用権資産の帳簿価額が0(ゼロ)まで減
少する場合、借手は残額を当該事業年度の純損益に認識する。
財政状態計算書において、当社は不動産投資の定義を満たさない使用権資産及びリース負債をそれぞれ「有形固定資産」
及び「借入金」に計上している。
当社はリースに関連する支払いをリース期間にわたって定額法で費用認識している。
2019年1月1日より前に締結された契約に関して、当社は、以下の項目を確認し、当該契約がリース契約であったか、ま
たはリースを含むものであったか否かを明確にする。
• 当該契約の履行は1つまたはそれ以上の特定の資産の利用によるものであったか否か
• 当該契約は同資産を使用する権利を移転させたか否か
リース対象となるその他の資産は、オペレーティング・リースとして分類され、当社の財政状態計算書で認識されていな
い。オペレーティング・リースに関連するリース料は、リース期間にわたって定額法で認識された。一方で借手に付与さ
れたインセンティブはリース期間にわたってリース料総額に反映するように認識された。
2.7. 金融商品
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営業債権及び発行された負債証券は発生した時点で認識される。その他の全ての金融資産及び金融負債は取引日に、すな
わち当社が金融商品の契約当事者となった時点で当初認識される。
重大な金融要素を構成しない営業債権を除き、純損益を通じて公正価値で測定しない金融資産又は金融負債の場合には、
金融資産は、金融資産の取得又は発行に直接起因する取引コストを加算又は減算した公正価値で当初測定する。重大な金
融要素を構成しない営業債権は、当初認識の時点で取引価格により評価する。
当初認識では金融資産は評価方法に基づき分類される。つまり、償却原価で測定するのか、その他の包括利益を通じて公
正価値で測定するのか、純損益を通じて公正価値で測定するのかに基づく。
当社が金融資産の管理に関する事業モデルを変更しない限り、金融資産は当初認識後、分類変更をしない。事業モデルを
変更する場合には、関連する金融資産は全て、事業モデル変更後の最初の報告期間の初日に分類変更をする。
金融資産は、次の条件をともに満たし、かつ純損益を通じた公正価値で測定されない場合には、償却原価で測定される。
・当該金融資産が、関連する契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モ
デルの中で保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じ
る。
本カテゴリーに分類される資産は、事後測定において、実効金利を用いて償却原価で測定される。測定の影響は金融収益
で認識される。これらの資産はまた、「営業債権、金融資産とその他の流動及び非流動債権」に記載されている減損モデ
ルの対象である。
金融資産は、次の条件をともに満たし、かつ純損益を通じた公正価値で測定されない場合には、その他の包括利益を通じ
て公正価値で測定される。
・当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有さ
れている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じ
る。
売買目的保有ではない有価証券の当初認識において、当社は事後の公正価値の変動をその他の包括利益に表示するという
取消不能の選択を行うことができる。当該選択は個々の資産に対して行う。
事後測定において、当初認識時に行った測定を更新し、公正価値の変動を包括利益計算書上で認識する。上記のカテゴ
リーに関し、これらの資産は「営業債権、金融資産とその他の流動及び非流動債権」に記載されている減損モデルの対象
である。
上記に記載した償却原価又はその他の包括利益を通じた公正価値で評価される金融資産以外の全ての金融資産は、純損益
を通じて公正価値で測定される。これには全てのデリバティブ商品が含まれる。当初認識時において、当社は、金融資産
を期間損益を通じて公正価値で測定するものとして取消不能の指定をすることができるが、この指定が認められるのは、
金融資産を償却原価又はその他の包括利益を通じた公正価値で測定することにより生じたであろう会計上のミスマッチを
解消又は著しく低減する場合のみである。
純損益を通じて公正価値で測定された金融資産は、事後測定において、公正価値で評価される。公正価値の変動により生
じた純損益は、金融収益/金融費用を認識する期の連結損益計算書に計上される。
金融資産は、当該金融資産からのキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利が消滅した場合、当該金融資産の所有に係
るリスクと経済価値のほとんどすべてが実質的に移転する取引により、キャッシュ・フローを受け取る契約上の権利が譲
渡された場合、又は当社が当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを移転したわけでも、ほとんど
すべてを保持しているわけでもない場合であって、当該金融資産に対する支配も保持していない場合に、財務諸表上での
認識が中止される。
金融負債は償却原価又は純損益を通じた公正価値での測定に分類される。金融負債は売買目的で保有される場合、デリバ
ティブを含む場合、又は当初認識で純損益を通じた公正価値で測定する金融負債として指定した場合に、純損益を通じた
公正価値で測定するものとして分類される。純損益を通じて公正価値で測定される金融負債は公正価値で測定され、利息
費用を含むいかなる変動も当期の純損益として認識される。その他の金融負債は、実効金利法を用いて償却原価で測定さ
れる。利息費用及び為替差益(又は差損)は、認識の中止から生じる利得又は損失と同様に、当期の利益(又は損失)に
認識される。
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当社の金融商品は主に、現金及び現金同等物、売掛金、買掛金、その他の流動及び非流動資産及び負債、投資、借入金及
びデリバティブから構成されている。
現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、現金、短期の預金、容易に換金可能であり価値の変動に僅少なリスクしか負わない流動性の高い
資産で構成されている。当座借越は当社の財政状態計算書上、流動負債に計上されている。
営業債権とその他の流動及び非流動資産
営業債権とその他の債権は、当社が、債権を売買する意図のない第三者に直接、現金や商品、サービスを提供した時に発
生する。これらは、報告日後12ケ月を超えて満期が到来するものを除いて、流動資産に含まれている。
債権は確定期日がある場合、実効金利法を用いて算出した償却原価で評価される。確定期日がない場合、金融資産は費用
で評価される。無利子又は市場金利より低い利子が生じる返済期限が1年超の債権は、市場金利で割引かれる。
上記の金融資産は、IFRS第9号で採用されている減損モデルに基づき、又は通常、発生した損失の評価に基づくIAS第39
号のフレームワークに代わる予想損失モデルを採用して評価される。
営業債権については、当社はいわゆる簡易アプローチを採用しており、これは信用リスクの期日経過の認識ではなく、信
用の全期間にわたり算出した予想信用損失(ECL)(いわゆるlifetime ECL)の会計処理を要求している。
特に当社が採用する方針には、期日経過日数に基づく営業債権の階層化及び当事者の支払能力の評価が規定されており、
関連する回収可能性を反映した異なる評価減率が適用されている。また当社は債務者の信頼度及び残高の支払能力に基づ
き、減損した債権の分析評価を行っている。
債権の簿価は、関連する貸倒引当金を控除し、財政状態計算書に記載している。IFRS第9号に従い行った評価減は、減損
の戻入によるプラスの影響と相殺し、連結損益計算書に計上している。
営業債務とその他の流動及び非流動負債
営業債務とその他の債務は、当社が供給業者から直接、現金や商品、サービスを取得するときに発生する。これらは、報
告日後12ケ月を超えて満期が到来するものを除いて、流動負債に含まれている。
債務は、当初、付随費用を含め取引に係る費用から構成される公正価値で測定する。公正価値は、通常、その後、実効金
利法を用いて償却原価で測定する。
金融負債
金融負債の分類については、IFRS第9号の適用後も変更はない。銀行及びその他の貸手への未払金額は、直接帰属する付
随費用を控除して公正価値で初期認識され、実効金利法を適用して償却原価で事後測定される。予想されるキャッシュ・
フローに変更が生じる場合、負債の価値は新たに予想されるキャッシュ・フローの現在価値及び当初決定された内部収益
率に基づき当該変更を反映するために再計算される。銀行及びその他の貸手への未払金額は、当社が基準日以降12ケ月以
上支払いを繰り延べられる制限のない権利を有していない場合に、流動負債に分類される。借入金は、当社が報告日以降
12ケ月以上支払いを繰り延べられる制限のない権利を有している場合に、非流動負債に分類される。
デリバティブ商品
IFRS第9号の規定に従い、デリバティブ金融商品は以下の場合のみ、ヘッジ会計を用いて計上することができる。
・ヘッジ対象及びヘッジ手段が適格要件を満たしている。
・ヘッジ関係の開始時に、当社のリスク管理目的及びヘッジ戦略の公式な指定と文書化がある。
・ヘッジ関係が以下の有効性に係る要件を全て満たしている。
・ヘッジ対象とヘッジ手段の間に経済的関係がある。
・信用リスクの影響がヘッジリスクに係る変動に対し、優越するものではない。
・ヘッジ関係のヘッジ比率がバランス再調整を含めた上で、当社が採用するリスクマネジメント戦略と整合してい
る。
公正価値ヘッジ
認識されている資産や負債の公正価値の変動に対するエクスポージャーをヘッジし、それが特定のリスクに起因し、か
つ、純損益に影響し得る場合は、当該デリバティブ商品は公正価値ヘッジとして指定される。ヘッジされたリスクに起因
するヘッジ対象の損益は、ヘッジ対象の帳簿価額を調整し、純損益として認識される。
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キャッシュ・フローヘッジ
デリバティブ金融商品がキャッシュ・フローの変動に対するエクスポージャーのヘッジ手段として指定されている場合、
デリバティブ金融商品の公正価値の変動の有効部分は、包括利益計算書のその他の構成要素として認識し、キャッシュ・
フロー剰余金に表示する。包括利益計算書のその他の構成要素として認識されたデリバティブ金融商品の公正価値の変動
の有効部分は、ヘッジ開始以降のヘッジ手段(現在価値)の公正価値の変動の累計に限定される。デリバティブ金融商品
の公正価値の変動の非有効部分は、純損益に直ちに認識している。
ヘッジが適格要件を満たさなくなった場合、又はヘッジ手段が売却、満期若しくは行使となった場合、ヘッジ会計は将来
に向かって中止する。キャッシュ・フローヘッジのヘッジ会計を中止する際、資本のキャッシュ・フロー剰余金に累積さ
れた金額は、ヘッジ取引が非金融資産又は非金融負債の認識から生じる場合、当初認識で非金融資産又は非金融負債の原
価に含め、それ以外のキャッシュ・フローヘッジについてはヘッジされた予想将来キャッシュ・フローが純損益に影響を
与えるのと同じ期間に純損益に振り替えられる。
ヘッジされた将来のキャッシュ・フローが見込まれなくなった場合、当該金額を直ちにキャッシュ・フローヘッジ剰余金
及びヘッジ費用剰余金から純損益に振り替える。
ヘッジ会計が適用できない場合、デリバティブ金融商品の公正価値測定から生じる純損益は直ちに損益計算書に認識す
る。
2.8. 従業員給付
賃金、給与、社会保障負担、期末日から12ケ月以内に期限が到来する有給休暇及び年次休暇、その他すべての福利厚生を
含め、短期従業員給付は、従業員によってサービスが提供された期に認識される。
確定給付制度や確定拠出制度を通じて、雇用の終了日以降に支払われる従業員への給付は、権利確定期間にわたって認識
される。
確定給付制度
確定給付制度は、従業員の報酬と勤務年数に基づいて決定された退職制度である。
従業員給付制度への掛金と当該制度に関連する当期勤務費用に対応する当社の債務は、予測単位積増方式として定義され
た年金数理計算を用いて算定されている。すべての数理計算上の差異の純累積額は資本のその他の包括利益で認識され
る。
確定給付制度に関しては、過去の期間の従業員の勤務に係る確定給付債務の現在価値の増加額(過去勤務費用)は、給付
が確定するまでの平均期間にわたり定額法により費用として計上される。
確定給付制度で負債として認識される額は、関連する債務の現在価値として認識され、その債務には過去の期間の従業員
の勤務によって将来認識される費用が考慮されている。
確定拠出制度
確定拠出制度への拠出額は、従業員が勤務を提供した期間に費用として認識される。
2006年12月31日まで、イタリアの従業員は、退職後給付(TFR)と呼ばれる確定給付制度の適格者だった。2006年12月27
日法律第296号(act n. 296 of December 27, 2006)と2007年初めに発行されたその後の法令(年金改革)によって、
TFR制度の規則と取扱いが変更された。2007年1月1日以降に確定された拠出金で報告日現在未払いのものについて、50
名超の従業員が属する会社では、イタリアの退職後給付は確定拠出制度として認められている。2006年12月31日までに確
定している拠出金は、確定給付制度のものとして認識され、年金数理計算上の仮定を用いて会計処理されている。
2.9. 株式報酬
通常、持分決済型の株式報酬については、従業員に付与されるインセンティブを、付与日における公正価値で測定し、そ
れを従業員がインセンティブの権利を獲得する期間にわたって費用に含め、費用に対応する資本の増加を認識する。最終
的な費用の金額が権利確定日において条件を満たしたインセンティブの数に基づくように費用の金額は、継続勤務の条件
を充足し、かつ市況以外の条件が達成されたインセンティブの実数を反映して調整される。株式報酬として付与されるイ
ンセンティブの条件に期間が定められていない場合には、それらの条件を付与日における株式報酬の公正価値の測定に反
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映させる。権利確定条件以外の条件については、付与時の公正価値と条件が充足されたインセンティブの公正価値の差は
財務諸表に影響を与えない。
従業員に対し現金で決済される新株予約権の公正価値は、従業員が無条件に支払いを受ける資格を獲得するまでの期間に
わたって費用及びこれに対応する負債の増加として認識される。負債は、年度末及び決済日において、その時点の新株予
約権の公正価値に基づいて評価される。負債の公正価値の変動はその期の利益又は損失として認識される。
2.10. 引当金
当社は、過去の事象の結果として、現在の法的あるいは推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済的便益
をもつ資源の流出が必要となる可能性が高く、債務の金額を、信頼性をもって見積ることが出来る場合に、引当金を認識
している。
見積りの変更は、その変更が生じた期間の損益として認識している。
2.11. 収益認識
当グループはIFRS第15号が採用している5ステップモデルに基づき、顧客との契約及び提供される関連サービス(財及
び/又はサービスの移転)を定義し、各サービスの提供と引き換えに取得する対価を決定し、(一時点又は一定の期間に
わたり)これらのサービスが提供される方法を評価したうえで収益を認識している。
対価の変動要素は、将来認識する収益額に大幅な修正が行われない可能性が非常に高い場合にのみ財務諸表に認識する。
ライセンシーから受領するロイヤルティは、ロイヤルティ契約に基づき発生主義で認識している。契約は、主として、販
売数量に基づいている。
2.12. 借入コスト
借入コストは、金融資産と金融負債の正味帳簿価額に計上された実効金利法に基づく利息を考慮し、発生主義の原則に基
づき認識される。
2.13. 税金
損益として認識された税金費用は、当期税金及び繰延税金の合計額をいう。
当期税金は現地の課税当局によって制定された強制的な規則に従って決定される。当期税金は、税金が直接資本又はその
他の包括利益のいずれかで認識される取引又は事象から生じる場合を除き、期間損益として認識される。
繰延税金資産及び負債は、資産及び負債の税務基準額と財務諸表の帳簿価額の差額に起因して生じている将来減算一時差
異及び将来加算一時差異に基づき算定される。当期税金資産及び負債並びに繰延税金資産及び負債は、法人所得税が同一
の税務当局により課税され、相殺するために法律上強制力のある権利を有している場合に、相殺して表示される。
繰延税金資産及び負債は、報告期間の末日における法定税率に基づいて、繰延税金資産が実現する期又は繰延税金負債が
決済される期に適用される税率を用いて測定される。繰延税金資産及び負債は割り引かれない。
繰越欠損金及び将来減算一時差異に対する繰延税金資産は、将来それらが解消する際に対応する課税所得が稼得される可
能性が高い範囲内で認識される。
税金負債は、新しいIFRIC第23号にしたがって、法人所得税を決定する際に税務上の取り扱いの不確実性に関連するリス
クを含んでいる。この不確実性は、次のような事象に起因している場合がある。ⅰ)不明確又は複雑な税法、ⅱ)税制の
改正又は税務当局による解釈の変更、ⅲ)進行中の税務調査や訴訟の状況、ⅳ)他の企業の進行中の税務調査や訴訟に関
する公開情報、等。
2.14. 外貨
当社の財務諸表に含まれている項目は、当社が営業活動を行う主たる経済環境の通貨(機能通貨)で測定している。
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外貨建取引
外貨建取引は取引日の為替レートで記録している。期末日における外貨建貨幣性資産及び負債は、報告日の為替レートで
機能通貨に換算している。当初認識時の為替レートとは異なる為替レートで外貨建資産及び負債を換算又は決済した結果
生じる換算差額は、発生した期間の損益計算書で認識される。
2.15. 公正価値
IFRS第13号は、公正価値測定とそれに関する開示が他の基準により要求または許容されているときに参照されるべき唯一
の基準である。具体的には、当該基準は、公正価値を、測定日時点で、市場参加者間の秩序ある取引において、資産の売
却により受け取る対価又は負債の移転により支払う金額と定義している。また、当該基準は、IFRS第7号を含む他の会計
基準により要求されている公正価値測定の開示を置き換え、追加的な開示基準を定めている。
IFRS第13号は、公正価値ヒエラルキーを設け、公正価値を測定するために必要な評価技法に用いられるインプットを異な
るレベルに区分している。公正価値ヒエラルキーは、階層順には、以下のとおりである。
・ レベル1:同一の資産又は負債に関する活発な市場における相場価格(無調整)を用いて測定された公正価値
・ レベル2:レベル1に含まれる相場価格以外のインプットのうち、資産又は負債について直接的(例えば、価格)又
は間接的(例えば、価格から派生したもの)に観察可能なインプットを用いて測定された公正価値
・ レベル3:観察可能な市場の情報に基づかない資産又は負債に関するインプット(例えば、観察可能ではないイン
プット)を用いて測定された公正価値
2.16. 新たに公表された基準書及び解釈指針
2021年1月1日以後有効な基準書及び解釈指針
基準書名 公表日 発効日 承認日 EU規制及び発行日
金利指標改革-フェーズ2(IFRS 2020年8月 2021年1月1日 2021年1月13日 (EU)2021/25
第9号、IAS第39号、IFRS第7
2021年1月14日
号、IFRS第4号及びIFRS第16号の
改訂)
2021年6月30日を超えるCOVID-19 2021年3月 2021年4月1日 2021年8月30日 (EU)2021/1421
関連レント・コンセッション
2021年8月31日
(IFRS第16号の改訂)
2020年6月 2021年1月1日 2020年12月15日 (EU)2020/2097
IFRS第9号の適用の一時的延期の
延長(IFRS第4号の改訂)
2020年12月16日
当社が早期適用していない未発効の新基準及び解釈指針
本年次財務諸表の作成日に、欧州連合(EU)の所管当局は下記の会計基準の適用及び改訂に必要な承認プロセスを終了し
た。適用される方針に関し、当社は該当する場合は早期適用の選択権を行使しないことを決定している
基準書名 公表日 発効日 承認日 EU規制及び発行日
IFRSの年次改善(2018年から2020
年サイクル)
(EU)2021/1080
2020年5月 2022年1月1日 2021年6月28日
[IFRS第1号、IFRS第9号、IFRS
2021年7月2日
第7号、IFRS第16号、及びIAS第
41号の改訂]
(EU)2021/1080
有形固定資産:意図した使用の前
2020年5月 2022年1月1日 2021年6月28日
の収入(IAS第16号の改訂)
2021年7月2日
(EU)2021/1080
不利な契約-契約履行のコスト
2020年5月 2022年1月1日 2021年6月28日
(IAS第37号の改訂)
2021年7月2日
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(EU)2021/1080
概念フレームワークへの参照
2020年5月 2022年1月1日 2021年6月28日
(IFRS第3号の改訂)
2021年7月2日
2017年5月 (EU)2021/2036
IFRS第17号「保険契約」(2020年
2023年1月1日 2021年11月19日
6月に公表された改訂を含む)
2020年6月 2021年11月23日
なお、欧州連合(EU)の適格な構成機関において、財務諸表日現在、下記の会計基準及び改訂に関するエンドースメント
作業が未了となっている。
基準書名 IASBによる公表日 IASB文書の発効日 EUによる承認日
基準書
「料金規制対象活動」
IFRS第14号「規制繰延勘定」 2014年1月 2016年1月1日 に関するIASBのプロ
ジェクトの結論を延期
改訂
IFRS第10号及びIAS第28号の改訂:「投資者とそ IASBの持分法に関する IASBの持分法に関する
の関連会社又は共同支配企業との間の資産の売却 2014年9月 プロジェクトが完了す プロジェクトの結論を
又は拠出」 るまで延期 延期
負債について流動または非流動の分類(IAS第1
2020年1月
号の改訂)(2020年7月に公表されたその後の改 2023年1月1日 TBD
2020年7月
訂を含む)
会計方針の開示(IAS第1号及びIFRS実務記述書
2021年2月 2023年1月1日 TBD
第2号の改訂)
会計上の見積りの定義(IAS第8号の改訂) 2021年2月 2023年1月1日 TBD
単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税
2021年5月 2023年1月1日 TBD
金(IAS第12号の改訂)
IFRS第17号とIFRS第9号の適用開始―比較情報
2021年12月 2023年1月1日 TBD
(IFRS第17号の修正案)
当社は、欧州連合(EU)に承認された発効日に基づいてこれらの新しい基準及び改訂に従うとともに、財務諸表への潜在
的な影響を評価する。
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3. 損益計算書の注記
3.1. 収益
会社の収益は、主に、モンクレールの商標利用料、管理手数料を含む。収益の対前年比63,491千ユーロの増加は、取引量
の増加による影響である。
3.2. 一般管理費
2021年度の一般管理費は、54,996千ユーロ(2020年度は39,637千ユーロ)であり、これは主に、デザイン及び商品開発費
用12,755千ユーロ(2020年度は10,763千ユーロ)、その他の人件費13,401千ユーロ(2020年度は9,663千ユーロ)、法
務・財務関連費用3,327千ユーロ(2020年度は2,250千ユーロ)、役員報酬6,907千ユーロ(2020年度は2,308千ユーロ)、
監査、その他の保証サービス費、法定監査人費用、監視体制及び内部統制に係る費用499千ユーロ(2020年度は404千ユー
ロ)である。
一般管理費には、株式報酬制度に関する費用6,663千ユーロも含まれる(2020年度は7,958千ユーロ)。
3.3. マーケティング費
2021年度のマーケティング費は、58,600千ユーロ(2020年度は40,452千ユーロ)であり、これは主にメディアでの宣伝や
イベントに関する費用である。
3.4. 従業員費用、減価償却費及び償却費
一般管理費に含まれる従業員費用は、2021年度は16,533千ユーロ(2020年度は12,463千ユーロ)であり、社会保障費及び
離職補償費を含んでいる。
2021年度のFTE(フルタイム相当量)の平均従業員数は、129人(2020年度は111人)である。
2021年度の減価償却費及び償却費は、1,352千ユーロ(2020年度は1,148千ユーロ)である。
3.5. 金融収益及び金融費用
内訳は以下のとおりである。
2021 2020
単位:千ユーロ
受取利息及びその他の金融収益 33 337
為替換算差額-正 0 84
33 421
金融収益合計
支払利息及び銀行手数料 (1,439) (322)
為替換算差額-負 (225) 0
(1,664) (322)
金融費用合計
リース負債から生じる利息費用を除いた金融費用の純額 (1,631) 99
リース負債から生じる利息費用 (20) (31)
(1,651) 68
純額
2021年度の支払利息は主に、子会社であるインダストリーズ・エス・ピー・エー(Industries S.p.A)から受領した借入
金に発生する利息に関するものである。
2021年度及び2020年度において、当社は配当金を受け取っていない。
3.6. 法人所得税
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損益計算書への税金の影響は以下のとおりである。
2021 2020
単位:千ユーロ
当期税金 (49,861) (48,470)
繰延税金収益(費用) (503) 63,420
(50,364) 14,950
損益計算書上の法人所得税
2020年度の繰延税金には、モンクレールの商標権の税務上の簿価を法定価格に再調整したことによって生じた繰延税金負
債の戻入れが含まれている。
親会社の理論上の税率に基づく実効税率と実際の負担税率との調整は以下のとおりである。
理論上の実効税率の調整 課税所得 税額 税率 課税所得 税額 税率
単位:千ユーロ 2021年度 2021年度 2021年度 2020年度 2020年度 2020年度
税引前利益 186,846 158,980
(44,843) 24.0% (38,155) 24.0%
理論上の実効税率を用いた法人所得税
一時差異 (173) (0.1)% 16 (0.0)%
永久差異 1,879 1.0% (755) 0.5%
その他の差異 (7,227) (3.9)% 53,844 (33.9)%
(50,364) 27.0% 14,950 (9.4)%
実効税率を用いた法人所得税
2021年度におけるその他の差異には主に、当期地方法人税(IRAP)及び研究開発に関する税優遇措置が含まれており、
2020年度におけるその他の差異には、モンクレールの商標権の税務上の簿価を法定価格(関連する代替税控除後)に再調
整したことによる繰延税金負債の戻入れが含まれている。
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4. 財政状態計算書の注記
4.1. ブランド及びその他の無形資産
ブランド及びその他の無形資産 2021年度 2020年度
償却及び減損損失
単位:千ユーロ 取得原価 帳簿価額 帳簿価額
累計額
ブランド 999,354 0 999,354 223,900
ソフトウェア 641 (438) 203 7
その他の無形資産 8,788 (6,885) 1,903 1,728
1,008,783 (7,323) 1,001,460 225,635
合計
無形資産の変動は以下のとおりである。
2021年12月31日
ブランド及びその他の
その他の
無形資産の取得価額 ブランド ソフトウェア 合計
無形資産
単位:千ユーロ
223,900 434 7,898 232,232
2021年1月1日
SPWからの承継 775,454 0 0 775,454
取得 0 207 874 1,081
処分 0 0 0 0
減損損失 0 0 0 0
振替を含むその他の変動 0 0 16 16
999,354 641 8,788 1,008,783
2021年12月31日
ブランド及びその他の
無形資産の償却及び その他の
ブランド ソフトウェア 合計
減損損失累計額 無形資産
単位:千ユーロ
0 (427) (6,170) (6,597)
2021年1月1日
減価償却 0 (11) (715) (726)
処分 0 0 0 0
振替えを含むその他の変動 0 0 0 0
0 (438) (6,885) (7,323)
2021年12月31日
2020年12月31日
ブランド及びその他の
その他の
無形資産の取得価額 ブランド ソフトウェア 合計
無形資産
単位:千ユーロ
223,900 434 7,032 231,366
2020年1月1日
取得 0 0 682 682
処分 0 0 0 0
減損損失 0 0 0 0
振替を含むその他の変動 0 0 184 184
223,900 434 7,898 232,232
2020年12月31日
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ブランド及びその他の
無形資産の償却及び その他の
ブランド ソフトウェア 合計
減損損失累計額 無形資産
単位:千ユーロ
0 (419) (5,440) (5,859)
2020年1月1日
減価償却 0 (8) (730) (738)
処分 0 0 0 0
振替えを含むその他の変動 0 0 0 0
0 (427) (6,170) (6,597)
2020年12月31日
ブランドの増加は、当社へのスポーツウェア・カンパニー・エスピーエー(Sportswear Company S.p.A)の部分的分割に
よるものである。
その他の無形資産の増加は、主に商標登録に係るものである。
4.2. 耐用年数が確定できない無形資産の減損テスト
ブランドは、その耐用年数を確定できないため償却されず、毎期減損テストの対象となっている。
モンクレール・ブランド及びストーン・アイランド・ブランドの減損テストでは、当該ブランドに配分された価値の割引
現在価値が帳簿価額と比較される。配分される価値は、当該ブランドが生成可能な総収益に対するロイヤルティの割合に
関連したキャッシュ・フローを基に、ロイヤルティ免除法により計算される。
2021年度の評価における予想キャッシュ・フロー及び収益は、2022年2月24日の取締役会で承認された2022-2024年度の
経営計画、2025-2026年度については想定される成長シナリオと一貫した経営者の見積りを基礎としている。
見積りに使用した成長率は2.5%としている。
割引率は、類似ビジネスの株式投資から期待されるリターンと借入コストの加重平均であるWACC(加重平均資本コスト)を
使用して算定される。計算は前期に関連した経済シナリオの変化とその結果としての金利の影響を考慮している。WACCは
8%と計算された。
感応度分析の結果、成長率が0%、WACCが87.7%の場合にモンクレール・ブランドの帳簿価額及び成長率が0%、WACCが
8.1%の場合にストーン・アイランド・ブランドの帳簿価額と等しくなる。
4.3. 有形固定資産
有形固定資産 2021年度 2020年度
単位:千ユーロ 減価償却及び
取得原価 帳簿価額 帳簿価額
減損損失累計額
土地及び建物 7,160 (739) 6,421 1,189
機械設備 123 (110) 13 0
什器備品 234 (146) 88 0
リース附属設備 106 (27) 79 2
その他の固定資産 833 (503) 330 194
建設仮勘定 26 0 26 16
8,482 (1,525) 6,957 1,401
合計
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以下の表は、有形固定資産の変動を示している。
2021年12月31日
有形固定資産の取得価額 土地及び リース その他の
機械装置 備品 建設仮勘定 合計
単位:千ユーロ 建物 附属設備 固定資産
1,629 5 0 4 459 16 2,113
2021年1月1日
SPWからの承継 4,792 118 234 102 91 0 5,337
取得 1,384 0 0 0 288 33 1,705
処分 (645) 0 0 0 (12) 0 (657)
振替えを含むその他の変動 0 0 0 0 7 (23) (16)
7,160 123 234 106 833 26 8,482
2021年12月31日
有形固定資産の減価償却及
土地及び リース その他の
び減損損失累計額 機械装置 備品 建設仮勘定 合計
建物 附属設備 固定資産
単位:千ユーロ
(440) (5) 0 (2) (265) 0 (712)
2021年1月1日
SPWからの承継 (41) (105) (146) (24) (87) 0 (403)
減価償却 (461) 0 0 (1) (163) 0 (625)
処分 203 0 0 0 12 0 215
振替えを含むその他の変動 0 0 0 0 0 0 0
(739) (110) (146) (27) (503) 0 (1,525)
2021年12月31日
2020 年12月31日
有形固定資産の取得価額 土地及び リース その他の
機械装置 備品 建設仮勘定 合計
単位:千ユーロ 建物 附属設備 固定資産
1,710 5 0 4 295 108 2,122
2020年1月1日
取得 119 0 0 0 164 92 375
処分 (200) 0 0 0 0 0 (200)
振替えを含むその他の変動 0 0 0 0 0 (184) (184)
1,629 5 0 4 459 16 2,113
2020年12月31日
有形固定資産の減価償却及
土地及び リース その他の
び減損損失累計額 機械装置 備品 建設仮勘定 合計
建物 附属設備 固定資産
単位:千ユーロ
(228) (5) 0 (1) (171) 0 (405)
2020年1月1日
減価償却 (315) 0 0 (1) (94) 0 (410)
処分 103 0 0 0 0 0 103
振替えを含むその他の変動 0 0 0 0 0 0 0
(440) (5) 0 (2) (265) 0 (712)
2020年12月31日
IFRS第16号の適用から生じた使用権資産に関する変動は以下のとおりである。
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使用権資産
土地及び建物 その他の固定資産 合計
単位:千ユーロ
1,189 94 1,283
2021年1月1日
取得 1,384 288 1,672
除売却 (442) 0 (442)
減価償却 (461) (123) (584)
SPWからの承継 4,751 0 4,751
6,421 259 6,680
2021年12月31日
4.4. 子会社株式
子会社株式の詳細は以下のとおりである。
所有割合(%)
子会社株式 帳簿価額
2021年 2020年 2021年 2020年
所属地
単位:千ユーロ 12月31日 12月31日 12月31日 12月31日
インダストリーズ・エスピーエー
100 % 100 %
イタリア 332,772 312,663
(Industries S.p.A.)
スポーツウェア・カンパニー・エスピーエー
100 % 0 %
イタリア 591,898 0
(Sportswear Company S.p.A)
924,670 312,663
合計
子会社に係る財務情報は以下のとおりである。
子会社の財務情報の要約 2021年12月31日
利益(損失)
単位:千ユーロ 資産 負債 純資産 収益
インダストリーズ・エスピーエー
1,730,773 799,962 930,811 1,081,382 92,061
(Industries S.p.A.)
スポーツウェア・カンパニー・エスピーエー
272,964 98,256 174,708 317,951 62,703
(Sportswear Company S.p.A)
2,003,737 898,218 1,105,519 1,399,333 154,764
合計
子会社の財務情報の要約 2020年12月31日
利益(損失)
単位:千ユーロ 資産 負債 純資産 収益
インダストリーズ・エスピーエー
1,444,336 611,970 832,366 933,489 57,663
(Industries S.p.A.)
1,444,336 611,970 832,366 933,489 57,663
合計
インダストリーズ・エスピーエー(Industries S.p.A.)及びスポーツウェア・カンパニー・エスピーエー(Sportswear
Company S.p.A)への投資の帳簿価額には、各社の取得(2008年度及び2021年度)において認識された超過収益力も含ま
れており、モンクレール及びストーン・アイランドに関連するのれんに、それぞれ配分されている。
財務諸表の報告日において、当社は、モンクレール及びストーン・アイランドの業績、並びに開発計画の見通しに基づ
き、認識された金額に減損リスクはないと判断している。当該判断は、モンクレール・グループの連結財務諸表に記載さ
れているモンクレール事業及びストーン・アイランド事業の資金生成単位(CGU)に対して実施した減損テストによって
も裏付けされている。インダストリーズ・エスピーエー(Industries S.p.A.)への投資額の増加は、当社が採用したス
トック・オプション制度及び業績連動株式プランの会計上の取扱いによるものであり、詳細は注記8.2に記載している。
さらに2021年における平均株価に基づく当社の時価総額は純資産を上回っており、のれんの資産性に問題はない。
当社によって直接的又は間接的に支配されている当グループ会社の一覧については、連結財務諸表に記載している。
4.5. 繰延税金資産及び繰延税金負債
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同一の税務管轄内における当期税金負債と当期税金資産を相殺する法的強制力のある権利が存在する場合にのみ繰延税金
資産及び繰延税金負債は相殺される。2021年12月31日及び2020年12月31日の金額が以下の表に記載されている。
繰延税金
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
繰延税金資産 2,178 1,429
繰延税金負債 (220,014) (2,410)
(217,836) (981)
純額
繰延税金資産及び繰延税金負債の変動については、以下の表の通りである。
繰延税金資産(負債)
期首残高 期末残高
損益計算書に 資本の部で
2021年 その他の変動 2021年
単位:千ユーロ
おける税金 認識される税金
1月1日 12月31日
有形固定資産 4 (1) 0 (1) 2
従業員給付 35 0 0 (1) 34
その他の一時差異 1,390 751 0 1 2,142
1,429 750 0 (1) 2,178
税金資産
無形資産 5 (1,253) 0 (216,351) (217,599)
金融資産 (2,415) 0 0 0 (2,415)
(2,410) (1,253) 0 (216,351) (220,014)
税金負債
(981) (503) 0 (216,352) (217,836)
繰延税金資産(負債)純額
繰延税金資産(負債)
期首残高 期末残高
損益計算書に 資本の部で
2020年 その他の変動 2020年
単位:千ユーロ
おける税金 認識される税金
1月1日 12月31日
有形固定資産 12 (8) 0 0 4
従業員給付 27 0 8 0 35
その他の一時差異 418 973 0 (1) 1,390
457 965 8 (1) 1,429
税金資産
無形資産 (62,450) 62,455 0 0 5
金融資産 (2,415) 0 0 0 (2,415)
(64,865) 62,455 0 0 (2,410)
税金負債
(64,408) 63,420 8 (1) (981)
繰延税金資産(負債)純額
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以下の表は、繰延税金資産が計算された課税対象額を示している。
繰延税金資産(負債)
2021年度一時差異 2021年12月31日残高 2020年度一時差異 2020年12月31日残高
単位:千ユーロ
有形固定資産 5 2 13 4
従業員給付 143 34 143 35
その他一時差異 8,928 2,142 5,798 1,390
9,076 2,178 5,954 1,429
税金資産
無形資産 (779,925) (217,599) 19 5
金融資産 (10,064) (2,415) (10,064) (2,415)
(789,989) (220,014) (10,045) (2,410)
税金負債
(780,913) (217,836) (4,091) (981)
繰延税金資産(負債)純額
その他の一時差異の主なものは役員報酬に関するものである。
4.6. 営業債権
営業債権
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
売掛金 1,219 258
関係会社売掛金 83,878 135,820
85,097 136,078
合計、純額
営業債権は、ブランド開発やグループ事業に関連した当社のマーケティング及び情報通信に関連して、主に関係会社との
取引により発生している。
回収期日が5年を超える営業債権はない。また営業債権の帳簿価額と公正価値に差異はない。
グループ会社からの営業債権は主に子会社であるインダストリーズ・エスピーエー(Industries S.p.A.)からのもので
あり、モンクレールの商標利用料及び管理手数料のロイヤリティに関連する。
これらの営業債権は、回収可能性リスクを有していない。
4.7. 現金及び現金同等物
2021年12月31日現在、現金及び現金同等物は901千ユーロ(2020年12月31日現在は62,293千ユーロ)であり、銀行で使用
可能な資金を含んでいる。現金及び現金同等物の変動については、キャッシュ・フロー計算書を参照のこと。
キャッシュ・フロー計算書における現金及び現金同等物
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
現金及び現金同等物 901 62,293
901 62,293
合計
4.8. 関係会社金融債権
金融債権は、1,075千ユーロであり、前述の部分的分割の対価の支払いに関する債権である。2020年度(54,439千ユー
ロ)は、子会社であるインダストリーズ・エスピーエー(Industries S.p.A.)のキャッシュ・プーリング勘定に関連す
る。
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4.9. その他の流動資産及び非流動資産
その他の流動資産
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
仕入先への前払金 872 490
前払金 391 577
その他税金(流動) 114 342
その他の流動資産 10 29
その他の流動資産(関係会社) 4,111 269
5,498 1,707
その他の流動資産合計
敷金/保証金 126 142
その他の非流動資産 0 1,000
126 1,142
その他の非流動資産合計
5,624 2,849
合計
その他税金(流動)は主に税務当局に対する債権である。IRAP(地方法人税)の算定の際に人件費が控除されていないこ
とによる、所得税(IRES)の還付に関するものである。
その他の流動資産(関係会社)には主に連結納税に関する金額が含まれており、2020年度の同項目には主に付加価値税
(VAT)の連結納税に関する金額が含まれている。
保証金は、主にリース契約の保証金として賃借人の代わりに支払われた金額に関するものである。
関連する資産の帳簿価額と公正価値との間に差異はない。
4.10. 営業債務
2021年12月31日現在、営業債務は、主にマーケティング及び情報通信に関連するものである。
営業債務
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
買掛金 29,984 16,112
関係会社買掛金 2,409 42
32,393 16,154
合計
子会社との取引の詳細は、関連当事者に関する注記8.1に記載している。
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4.11. その他の流動負債
2021年12月31日時点における、その他の流動負債の詳細は、以下のとおりである。
その他の流動負債
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
取締役及び監査役への未払報酬 3,631 442
従業員及びコンサルタントへの未払金 4,269 1,936
従業員の預り源泉税 1,399 943
その他の流動負債 2,710 3,013
その他の流動負債(関係会社) 11,649 9,345
23,658 15,679
合計
2021年12月31日現在のその他の関係会社流動負債には主に付加価値税(VAT)の連結納税に関する金額が含まれており、
2020年度の同項目には連結納税に関連する金額が含まれている。詳細は注記8.1を参照のこと。
4.12. 従業員給付
2021年12月31日現在の従業員給付は以下のとおりである。
従業員給付―変動
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
1,619 1,141
確定給付債務―期首
SPWからの承継 45 0
利息費用 5 10
勤務費用 547 425
給付額 (566) (55)
数理計算上の差異(利益/(損失)) 8 98
1,658 1,619
確定給付債務―期末
従業員の解雇給付(TFR)に係る数理計算は、予測単位積増方式に基づき評価している。以下は、数理計算において使用
された主な経済上、人口統計上の仮定である。
仮定
0.56 %
割引率
1.75 %
インフレ率
1.25 %
名目賃金上昇率
17.10 %
離職率
3.80 %
解雇給付の前払いを要求される確率
70.00 %
前払いに必要な率
M2019 (*)
生命表-男性
F2019 (*)
生命表-女性
(*) 表 「ISTAT - resident population」
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以下は、合理的な範囲で数理計算上の仮定が変動した場合に期末時点の確定給付制度債務に与える影響を示している。
感応度分析
影響
(千ユーロ)
割引率 +0.5%
(47)
割引率 -0.5%
50
支払い水準の上昇 x(+0.5%)
(4)
支払い水準の下落 x(-0.5%)
4
価格インフレ率の上昇 (+0.5%)
37
価格インフレ率の下落 (-0.5%)
(35)
給与水準の上昇 (+0.5%)
17
給与水準の下落 (-0.5%)
(16)
退職年齢の上昇 (+1 年)
2
退職年齢の下落 (-1 年)
(2)
寿命の伸長 (+1 年)
0
寿命の縮小 (-1 年)
(0)
4.13. 金融負債
借入金
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
短期リース負債 1,077 323
関係会社短期借入金 38,610 0
39,687 323
短期借入金
長期リース負債 5,686 994
関係会社長期借入金 327,000 0
332,686 994
長期借入金
372,373 1,317
合計
借入金は372,373千ユーロ(2020年は1,317千ユーロ)であり、インダストリーズ・エスピーエー(Industries S.p.A.)
関連の金融負債及びリース負債である。
リース負債の内訳は、以下のとおりである。
リース負債
単位:千ユーロ
短期リース負債 1,077
長期リース負債 5,686
6,763
合計
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2021年度のリース負債の変動は以下のとおりである。
IFRS16
IAS17による影響を除く リース負債
単位:千ユーロ
1,314 3 1,317
2021年1月1日
取得 1,232 0 1,232
除売却 (616) (3) (619)
金融費用 20 0 20
SPWからの承継 4,813 0 4,813
振替えを含むその他の変動 0 0 0
6,763 0 6,763
2021年12月31日
長期借入金の支払予定年数別の内訳は以下のとおりである。
金融負債の年齢表
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
2年以内 1,032 255
2年~5年 329,199 494
5年超 2,455 245
332,686 994
合計
リース負債に関する割引前キャッシュ・フローは以下のとおりである。
割引前リース負債の年齢表
2021年12月31日 2020年12月31日
単位:千ユーロ
1年以内 1,155 343
1年~5年 3,443 798
5年超 2,538 249
7,136 1,390
合計
4.14. 当期税金資産及び当期税金負債
2021年12月31日時点の当期税金負債(純額)は、14,356千ユーロ(2020年度は12,252千ユーロ)である。これらは、法人
所得税(IRES)及び地方法人税(IRAP)に関連するものである。
4.15. 純資産
2021年12月31日時点の払込資本総額は54,736,558ユーロであり、273,682,790株が発行されている。1株当たり額面金額
は0.20ユーロである。
2021年度及び比較年度における純資産の変動は、持分変動計算書に記載されている。
2021年12月31日時点で、総額146,487千ユーロで発行済株式総数の1.5%に相当する4,106,180株の自己株式を保有してい
る。
資本金及び資本剰余金の変動は、スポーツウェア・カンパニー・エスピーエー(Sportswear Company S.p.A)の株主との
取引(普通株式15,330,166株、1株当たり37.51ユーロ)により増加している。
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IFRS第2号に対する引当金の変更は、業績連動株式プランの会計上の取扱、つまりこれらの制度/プランに関係する会計
期間の非現金支出の認識及び既に終了している当該プラン/制度の累積非現金支出の留保利益への組替によるものであ
る。
利益剰余金の変動は主に、2020年度の利益の分配、配当及び前述のIFRS2剰余金への組替えによるものである。
2021年度は、当社株主へ121,274,490ユーロの配当を実施した。2020年度は、当社の株主へ配当を行わなかった。
以下の表は、剰余金がどのように使用されるのかを示している。
剰余金 過去3年間で 過去3年間で
単位:ユーロ ヘッジ損失に その他の理由
金額 使途 利用可能金額 制限金額
より使用され により使用さ
た金額 れた金額
資本金 54,736,558 - - 54,736,558 - -
剰余金
法定準備金 10,334,105 B - 10,334,105 - -
A, B, C
資本剰余金 745,308,990 744,695,783(*) 613,207 - -
その他の包括利益からの
(201,400) - - (201,400) - -
振替え
A, B
再評価剰余金 85,963 85,963 - - -
A, B, C
FTA剰余金 (19,585) - (19,585) - -
A, B, C
IFRS2剰余金 34,979,736 34,979,736 - - -
A, B, C
利益剰余金 381,804,606 381,603,206 201,400 - 171,313,688
資本金及び剰余金
1,227,028,973 1,161,364,688 65,664,285 - 171,313,688
合計
85,963
非分配可能額
1,161,278,725
分配可能額
(注)A:資本金の増加、B)ヘッジ損失、C)株主への配当
(*)資本剰余金は、資本金の20%に達するまで法定準備金を積み立てた後、全額使用可能となる。
モンクレールの商標権の税務上の簿価を法定価格に再調整したことを考慮し、法令104/2020(いわゆる「8月令」)の第
110条第8項に従い、取締役会は利益剰余金217,150,636ユーロについて、納税に備えて積み立てることを株主総会に提案
する。
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OCI(その他の包括利益)剰余金には、退職給付制度に係る数理計算上の差異が含まれる。
OCI剰余金の変動は以下のとおりである。
従業員給付における
その他の包括利益 金利スワップの公正価値
数理計算上の差異
税効果 税効果 税効果 税効果
単位:千ユーロ 税効果 税効果
考慮前 考慮後 考慮前 考慮後
(133) 30 (103) 0 0 0
2020年1月1日現在の残高
その他の剰余金への振替え 0 0 0 0 0 0
当期変動額 (98) 8 (90) 0 0 0
換算差額 0 0 0 0 0 0
当期純利益への組替え 0 0 0 0 0 0
(231) 38 (193) 0 0 0
2020年12月31日現在の残高
(231) 38 (193) 0 0 0
2021年1月1日現在の残高
その他の剰余金への振替え 0 0 0 0 0 0
当期変動額 (8) 0 (8) 0 0 0
換算差額 0 0 0 0 0 0
当期純利益への組替え 0 0 0 0 0 0
(239) 38 (201) 0 0 0
2021年12月31日現在の残高
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5. コミットメント及び保証債務
5.1. コミットメント
当社は、IFRS第16号の適用範囲に含まれないオペレーティング・リース契約又はその他の契約事例に起因する重要なコ
ミットメントを有していない。
5.2. 保証債務
財務諸表日において、当社には当社グループ会社及び第三者に対する保証を有していない。
6. 偶発債務
当社は、通常のビジネス活動においてリスクにさらされている。現在までに入手可能な情報に基づき、当社は現時点にお
いて、財政状態計算書に計上すべき偶発債務はないと判断している。
7. 財務リスクに関する情報
当社の金融商品には、現金及び現金同等物、借入金、営業債権、営業債務、その他の流動資産負債、その他の非流動資産
負債及びデリバティブから構成されている。
当社は、金利リスク、流動性リスク及び資本管理リスクにさらされている。
市場リスク
外国為替リスク
当社は主にヨーロッパにおいて活動しており、外国為替リスクに係るエクスポージャーは限定されている。2020年12月31
日現在、当社の外貨建資産及び負債(例えば、営業債権や営業債務)の保有割合は小さい。
金利リスク
2021年度における当社の金利リスクのエクスポージャーは、主に借入金の利息変動である。
2021年12月31日現在、当社は銀行からの借入金がないことから、金利変動ヘッジを有していない。そのため、報告期間の
期末における金利変動は当年度の結果に重要な影響を持たない。
当社は金利の変動に晒されていない。
信用リスク
当社は、当社グループに含まれていない会社に対する著しい信用リスクの集中はない。信用リスクの最大エクスポー
ジャーは、財務諸表で報告されている営業債権残高により表わされる。
その他の金融資産(現金、短期性預金、一部のデリバティブ金融商品を含む)から生じる信用リスクに関しては、当社の
信用リスクは相手先の債務不履行から生じるものであり、その最大のエクスポージャーは、財務諸表上の当該資産の帳簿
価額と等しい。
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流動性リスク
流動性リスクは、当グループが日常の営業活動を行うために、適切なコストをもって、必要な財源を確保することが困難
な場合に生じるものである。流動性リスクに影響を与える要因として、営業活動、投資活動及び財務活動から発生または
獲得される財源と、金融市場における資金の利用可能性から獲得される財源に関連している。
当社は、現在の事業から発生した利用可能な財源をもって、当社の目的を達成し、その投資のニーズを満たし、満期日ま
での債務の返済を可能にすることができると判断している。
事業リスクと資本管理
事業リスクの管理において、当社の主要な目的は、特定の法律及び規制の支配下にある海外市場における事業の拡大に付
随するリスクを管理することにある。
当社は次のエリアにおいて指針を導入している。
・ 適切な職務分掌
・ 重要な取引の調整と継続的なモニタリング
・ コントロールと手続の文書化
・ 従業員の技術的、専門的な研修
・ 企業リスクの定期的な評価と是正措置の特定
資本管理の面からは、当社の目的は、資本及び債権市場での高い格付けを維持し、株主及びその他の利害関係者への公正
な経済的な便益を確保するために、事業の継続を目指すことにある。当社は、全般的な経済情勢の変化や戦略目標を踏ま
えて資本構成を管理し、調整を行っている。
8. その他の情報
8.1. 関連当事者取引
以下に記載されている取引は、当グループが採用している「関連当事者に関する手続」の目的に該当するとみなされる取
引である。
「関連当事者に関する手続」は、当グループのウェブサイト( www.monclergroup.com 中の項目「Governance/Corporate
documents」)で閲覧可能である。
子会社との取引は、経済合理性があり、第三者との取引と同様の条件によりなされている。詳細は以下のとおりである。
2021年12月31日
内部取引残高
単位:千ユーロ
債権 債務 残高
インダストリーズ・エスピーエー
87,927 (379,577) (291,650)
( Industries S.p.A.)
スポーツウェア・カンパニー・エスピーエー
1,075 0 1,075
( Sportswear Company S.p.A.)
その他のグループ会社 62 (91) (29)
89,064 (379,668) (290,604)
合計
2021年
内部取引残高
費用/その他
単位:千ユーロ
収益 純額
収益控除後
インダストリーズ・エスピーエー
299,144 (3,689) 295,455
(Industries S.p.A.)
その他のグループ会社 0 115 115
299,144 (3,574) 295,570
合計
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当社は、子会社であるインダストリーズ・エスピーエー(Industries S.p.A.)に対してモンクレール・ブランドを使用す
る権利を与えている。ライセンス契約に基づき、当社はロイヤルティの支払いを受けている。
2021年度のロイヤルティ及びコンサルティング料の合計は、299.1百万ユーロ(2020年度は238.0百万ユーロ)であった。
さらに、当社は、インダストリーズ・エスピーエー(Industries S.p.A.)と法務、会計及び管理に係るコンサルティング
契約を締結している。
モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)は、モンクレール・グループの連結納税グループ及びVAT連結グループ
に含まれており、インダストリーズ・エス・ピー・エー(Industries S.p.A)の未払税金及び関連する利息の支払責任を
負っている。
2021年度における取締役への報酬は、6,837千ユーロ(2020年度は2,253千ユーロ)である。
2021年度における監査役への報酬は、142千ユーロ(2020年度は142千ユーロ)である。
2021年度における取締役へのストック・オプション制度及び業績連動株式プラン(注記8.2で説明)に関連する費用の総
額は、2,296千ユーロである。(2020年度は2,611千ユーロ)
その他に関連当事者取引はない。
下記の表は2021年度と2020年度の前述した関連当事者取引について要約したものである。
2021年 2020年
% %
単位:千ユーロ 関係 注
12月31日 12月31日
インダストリーズ・エスピーエー
99.0 % 99.7 %
事業取引 c 299,144 237,971
Industries S.p.A.
インダストリーズ・エスピーエー
2.5 % 2.8 %
事業取引 b (2,891) (2,266)
Industries S.p.A.
インダストリーズ・エスピーエー
100.0 % 79.0 %
利息収益 d 33 332
Industries S.p.A.
インダストリーズ・エスピーエー
49.3 % 22.4 %
利息費用 a (831) (79)
Industries S.p.A.
その他のグループ会社 事業取引 b 115 (0.1)% 74 (0.1)%
6.1 % 3.0 %
取締役及び監査役会 労働サービス b (6,979) (2,395)
2.0 % 3.3 %
取締役 労働サービス b (2,296) (2,611)
286,295 231,026
合計
a – 金融費用に占める割合(%)
b – 営業費用に占める割合(%)
c – 収益に占める割合(%)
d - 金融収益に占める割合(%)
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2021年 2020年
% %
単位:千ユーロ 関係 注
12月31日 12月31日
インダストリーズ・エスピーエー
7.2 % 0.2 %
営業債務 b (2,318) (25)
Industries S.p.A.
インダストリーズ・エスピーエー
0.0 % 0.0 %
金融負債 a (365,610) 0
Industries S.p.A.
インダストリーズ・エスピーエー
0.0 % 100.0 %
金融債権 f 0 54,439
Industries S.p.A.
インダストリーズ・エスピーエー
49.2 % 0.0 %
連結納税による債務 d (11,649) 0
Industries S.p.A.
インダストリーズ・エスピーエー
0.0 % 0.0 %
連結納税による債権 e 0 269
Industries S.p.A.
インダストリーズ・エスピーエー
98.5 % 99.8 %
営業債権 c 83,816 135,761
Industries S.p.A.
インダストリーズ・エスピーエー
74.8 % 0.0 %
連結納税による債権 e 4,111 0
Industries S.p.A.
インダストリーズ・エスピーエー
0.0 % 0.0 %
連結納税による債務 d 0 (9,345)
Industries S.p.A.
スポーツウェア・カンパニー・エス
ピーエー 100.0 % 0.0 %
金融債権 f 1,075 0
Sportswear Company S.p.A.
0.1 % 0.0 %
その他のグループ会社 営業債権 c 62 59
0.3 % 0.1 %
その他のグループ会社 営業債務 b (91) (17)
15.3 % 2.8 %
取締役及び監査役会 その他の流動負債 d (3,631) (442)
294,235 180,699
合計
a – 金融債務に占める割合(%)
b – 営業債務に占める割合(%)
c – 営業債権に占める割合(%)
d – その他の流動負債に占める割合(%)
e – その他の流動資産に占める割合(%)
f - 金融債権合計に占める割合(%)
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以下の表は、2021年12月31日及び2020年12月31日現在並びに同日をもって終了した会計年度に係る財務諸表における関連
当事者取引の割合を要約したものである。
2021年12月31日
その他の その他の 金融債務 金融未収
単位:千ユーロ 収益 営業費用 金融費用 金融収益 営業債権 営業債務
流動資産 流動負債 合計 入金合計
関連当事者 計 299,144 (12,051) (831) 33 83,878 4,111 (2,409) (15,280) (365,610) 1,075
個別財務諸表 計 302,093 (113,596) (1,684) 33 85,097 5,498 (32,393) (23,658) (372,373) 1,075
% 99.0 % 10.6 % 49.3 % 100.0 % 98.6 % 74.8 % 7.4 % 64.6 % 0.0 % 100.0 %
2020年12月31日
その他の その他の 金融債務 金融未収
単位:千ユーロ 収益 営業費用 金融費用 金融収益 営業債権 営業債務
流動資産 流動負債 合計 入金合計
関連当事者 計 237,971 (7,198) (79) 332 135,820 269 (42) (9,787) 0 54,439
個別財務諸表 計 238,601 (79,689) (352) 420 136,078 1,707 (16,154) (15,679) (1,316) 54,439
% 99.7 % 9.0 % 22.4 % 79.0 % 99.8 % 15.8 % 0.3 % 62.4 % 0.0 % 100.0 %
8.2. 株式報酬制度
2021年12月31日時点の財務諸表には、2018年度及び2020年度に承認された業績連動株式プランの価値が反映されている。
2021年度の株式報酬制度に係る費用は6,663千ユーロ(2020年度は7,958千ユーロ)である。
2018年4月16日のモンクレール株主総会において「2018-2020業績連動株式プラン」(プラン2018)が承認された。この
プランは、戦略的重要性を有する、または、当グループの戦略的目的の達成に大きな貢献を果たせると考えられるモンク
レール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)及び子会社の取締役、主要メンバー、従業員、外部コンサルタント、協力者を
対象としている。
このプランは、3年間の権利確定期間の終了時に一定の業績目標を達成できた場合に、モンクレール株式を無償で割り当
てることを目的とする。
業績目標は、権利確定期間における一株当たり利益(EPS)指標として公表され、業績の上振れ、下振れに応じて修正さ
れる。
プランで提示されている株式付与数は最大で2,800,000株であり、自己株式の処分により調達される。
このプランは、最大で3サイクルに配分される。第1サイクル(2018年承認)は終了し、1,365,531個のオプションが付
与された。第2サイクル(2019年承認)は341,514個のオプションが付与された。
第1サイクルの割り当てに関する事項
・ 2020年12月31日時点の財務諸表の承認とともに3年間の権利確定期間が終了した。
・ 業績目標は達成され、一部は目標を上回った。
・ そのため、受益者に1,479,123株(目標を上回る部分に対する246,520株を含む)が自己株式の処分により割り当
てられた(モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A)に関しては、受益者に目標を上回る部分に対する58,519
株を含む351,114株が割り当てられた)。
・ 2021年度の損益計算書への影響額は1,008千ユーロである。
2021年12月31日時点において、第2サイクルに係る262,152個の権利が未行使である。モンクレール・エスピーエー
(Moncler S.p.A.)については、2021年12月31日時点において、第2サイクルに係る98,280個の権利が未行使である。
2021年度における損益計算書への影響額は971千ユーロである。
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2020年6月11日の株主総会において、統合金融法(Consolidated Law on Finance)の第114条の2に従い株式付与制度
「2020業績連動株式プラン」が承認された。このプランは、モンクレール及び子会社の取締役、主要メンバー、従業員、
協力者、外部コンサルタントを対象としている。
このプランは、3年間の権利確定期間の終了時に一定の業績目標を達成できた場合に、モンクレール株式を無償で割り当
てることを目的とする。
業績目標は、権利確定期間における指標(①当期純利益、②フリー・キャッシュ・フロー、③ESG(環境・社会・ガバナ
ンス))として公表され、業績の上振れ、下振れに応じて修正される。
プランで提示されている株式付与数は最大で2,000,000株であり、新株発行又は自己株式の処分により調達される。
このプランは、最大で3サイクルに配分される。第1サイクルについては、2020年6月11日の取締役会において
1,350,000個のオプションを付与することが決議された。第2サイクルについては、2021年中に承認され、463,425個の権
利が付与された。
2021年12月31日時点において、第1サイクルに係る1,132,742個の権利、及び第2サイクルに係る459,155個の権利がそれ
ぞれ未行使である。モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)については、2021年12月31日時点において、第1サ
イクルに係る165,273個の権利、及び第2サイクルに係る246,759個の権利がそれぞれ未行使である。
2021年度の損益計算書への影響額は4,529千ユーロである。
IFRS第2号に基づくと、これらの制度は持分決済型と定義されている。
上記のストック・オプション制度に関する詳細な内容については、当社のウェブサイト www.monclergroup.com 中の項目
「Governance/Shareholders' Meeting」を参照のこと。
8.3. 重要な非経常的事象及び取引
2021年6月14日にモンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)の取締役会は、2020年6月11日の株主総会の決議内容
を実行に移すため、株式付与制度「2020業績連動株式報酬プラン」に基づき、463,425株を59人の受益者に付与すること
を決議した。
この株式に基づく報酬制度の詳細及び関連する費用について注記8.2に記載している。
モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)へのスポーツウェア・カンパニー・エスピーエー(Sportswear Company
S.p.A)の部分的分割を受け、2021年12月30日にモンクレール・エスピーエーは、ストーン・アイランド・ブランドを有
するスポーツウェア・カンパニー・エスピーエーの資産、並びにスタイル及びマーケティング事業部門を構成する一連の
資産及び契約が譲渡された。
8.4. 非定型的又は異常な取引
2021年度は、非定型的又は異常な取引は発生していない。
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8.5. 金融商品
以下は公正価値で測定される金融商品の公正価値ヒエラルキーのレベルを含む、金融資産、金融負債の帳簿価額及び公正
価値について記載した表である。なお、帳簿価額が公正価値の合理的な推定額であり、公正価値で測定されていない金融
資産及び金融負債に関する公正価値情報は記載していない。
2021年12月31日
流動 非流動 公正価値 レベル
単位:千ユーロ
公正価値で測定される金融資産
ヘッジ手段である金利スワップ - - -
ヘッジ手段である為替予約 - - - 2
小計 - - -
公正価値で測定されない金融資産
営業債権及び未収入金(*) 85,097 126
現金及び現金同等物(*) 901 -
金融負債(*) 1,075
小計 87,073 126 -
87,073 126 -
合計
2020年12月31日
流動 非流動 公正価値 レベル
単位:千ユーロ
公正価値で測定される金融資産
ヘッジ手段である金利スワップ - - -
ヘッジ手段である為替予約 - - -
小計 - - -
公正価値で測定されない金融資産
営業債権及び未収入金(*) 136,078 1,142
現金及び現金同等物(*) 62,293 -
金融負債(*) 54,439
小計 252,810 1,142 -
252,810 1,142 -
合計
2021年12月31日
流動 非流動 公正価値 レベル
単位:千ユーロ
公正価値で測定される金融負債
ヘッジ手段である金利スワップ - - - 2
ヘッジ手段である為替予約 - - - 2
その他の金融負債 - - - 3
小計 - - -
公正価値で測定されない金融負債
営業債務及び未払金(*) (35,103) -
金融債務(*) (38,610) (327,000)
当座借越(*) - -
短期借入金(*) - -
長期借入金(*) - -
IFRS第16号金融借入金(*) (1,078) (5,686)
小計 (74,791) (332,686) -
(74,791) (332,686) -
合計
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2020年12月31日
流動 非流動 公正価値 レベル
単位:千ユーロ
公正価値で測定される金融負債
ヘッジ手段である金利スワップ - - - 2
ヘッジ手段である為替予約 - - - 2
その他の金融負債 - - - 3
小計 - - -
公正価値で測定されない金融負債
営業債務及び未払金(*) (19,167) -
金融債務(*) - -
当座借越(*) - -
短期借入金(*) - -
長期借入金(*) - -
IFRS第16号金融借入金(*) (323) (994)
小計 (19,490) (994) -
(19,490) (994) -
合計
(*)帳簿価額が公正価値の合理的な推定額である短期の金融資産及び金融負債などの項目は含まれていない。
8.6. 独立監査人へ支払われた報酬
独立監査人に対する報酬の要約は以下のとおりである。
監査及び証明業務 サービスを提供している会社 2021年度の
単位:ユーロ 報酬
ケーピーエムジー・エスピーエー
監査 270,104
KPMG S.p.A.
ネットワークケーピーエムジー・エスピーエー
0
Network KPMG S.p.A.
ケーピーエムジー・エスピーエー
証明業務 57,749
KPMG S.p.A.
ネットワークケーピーエムジー・エスピーエー
2,000
Network KPMG S.p.A.
ケーピーエムジー・エスピーエー
その他のサービス 221,124
KPMG S.p.A.
ネットワークケーピーエムジー・エスピーエー
398,900
Network KPMG S.p.A.
949,877
合計
8.7. イタリアの法律(124号/2017年)に基づく開示
イタリアの法律(124号/2017年)の要件に基づき、モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)は2021年度におい
て、2021年度の研究開発関連で512千ユーロ、芸術への貢献による優遇税制で13千ユーロ、広告投資に対する優遇税制で
33千ユーロの税額控除を受けた。
上記要件の目的及び規定されているその他の資金援助に関しては、特定の国内登録簿(閲覧可能)を参照のこと。
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9. 重要な後発事象
サステナリティクス(Sustainalytics)
2022年1月に、モンクレールは、大手のリサーチ兼ESG・コーポレートガバナンス・レーティング会社であるサステナリ
ティクス(Sustainalytics)から、業界上位格付(Industry Top-Rated Badge)及び地域上位格付(Regional Top-Rated
Badge)の評価を得た。同レーティング会社は、責任投資戦略の開発及び実施において投資家を支援している。
自社株買いプログラム
2022年3月3日、モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)は、2022年3月4日から、最大で普通株式1,000,000
株(同社資本金の0.4%相当)の自社株買いプログラムの開始を発表した。これは、イタリア民法典の第2357条及び第
2357条の3に基づき、2021年4月22日付の株主総会決議に基づき実行するものであり、この自社株買いプログラムによる
対価は最大で56百万ユーロであり、額面金額の定めは無い。
この自社株買いプログラムの目的は、市場濫用規制(EU)第596/2014号、欧州委員会委任規則(EUR)第2016/1052号及び
イタリア証券取引委員会(CONSOB)規則第11971/1999号に規定されたパラメーター内で、すべてのパラメーター(価格及
び1日当たりの出来高を含む)及び2021年4月22日に開催されたモンクレールの株主総会により決議され公表された諸条
件に従い、株式によるインセンティブ制度又はモンクレール及び子会社の従業員、取締役会のメンバー、コンサルタント
へのその他株式の割り当てにより生じる債務を履行することである。
連結業績案の承認日現在、本プログラムは継続中である。
地政学関連の最新情報
2月24日に始まったウクライナの紛争に関連して、モンクレール・グループの経営者は、キーウの店舗及びロシアの全商
業活動の両方が一時的に閉店、停止していることを確認している。当グループは、両国において、専用の電子商取引を展
開し、モンクレールブランドに関して直販店(DOS)2店舗及び単一ブランドの卸売店(SiS)3店舗を運営している。さ
らに、当グループは、複数のブランドを取り扱う店舗、約100店舗と取引がある。
2021年度の両国に対するエクスポージャーの合計(ロシア国外でのロシア人観光客による購入によって生じる収益を含
む)は、当グループの収益の2%未満であった。状況の進展及び想定される世界経済への影響の不確実性は非常に高いま
まだが、現在では2022年度の業績への重要な影響は予測されていない。モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)
に限ると、 当グループの収益の減少に比例してロイヤルティの収入が減少することとなる。
モンクレール・グループは、世界中の難民を保護、支援する国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)及びウクライナで積極
的に活用しているその他組織も支援している。
10. 財務諸表に対する承認への提案及び2021年12月31日に終了する年度の収益分配
1
注記の最後に、モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)の個別財務諸表のご承認についてお願いしたい。
モンクレール・エスピーエーの2021年度の利益(136,481,615ユーロ)及び利益剰余金に基づいた普通株式1株当たり
0.60ユーロの配当をご承認いただきたい。
配当金の総額は161.7百万ユーロである。これは、2021年12月31日時点における発行済株式数(260,576,110株)から当社
が直接保有する株式数(4,106,680株)を控除した株式数を考慮している 。
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***
財務諸表は、財政状態計算書、損益計算書、包括利益計算書、持分変動計算書、キャッシュ・フロー計算書及び財務諸表
注記により構成され、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローについて真実かつ公正に表示しており、当社の会計記
録と整合している。
モンクレール・エスピーエー(Moncler S.p.A.)取締役会代表
会長兼最高経営責任者
レモ・ルッフィーニ
株式報酬制度に自己株式を使用する可能性及び自己株式の追加購入のため、変動する場合がある。
1
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政令58/98号第154条の2に基づく個別財務諸表の証明書
1. 署名者であるモンクレール・エスピーエーの最高経営責任者レモ・ルッフィーニ及び同社の財務諸表の作成責任者ル
チアノ・サンテルは、1998年2月24日政令第58号第154条の2第3項及び第4項に従い、以下についてここに証明す
る:
・ 当社の組織体制の適切性
・ 2021年12月31日に終了する事業年度の個別財務諸表の作成に際し適用した管理手続及び会計手続の有効性
2. 2021年12月31日に終了する事業年度の個別財務諸表の作成に際し適用した管理手続及び会計手続の適正性の評価は、
内部統制の枠組みとして国際的に認められているCOSO(トレッドウェイ委員会支援組織委員会)により発行された内
部統制の統合的枠組みに従い、モンクレール・エスピーエーが策定したプロセスに基づいている。
3. 署名者はさらに以下について証明する:
3.1 当該個別財務諸表は、
a)2002年7月19日付の欧州議会及び理事会の規定(EC)第1606/2002号により欧州連合により承認されている国際
財務報告基準に準拠して作成されている。
b)当社の勘定、会計帳簿及び記録の金額と一致している。
c)2021年12月31日現在及び2021年12月31日をもって終了する事業年度における当社の財政状態、経営成績及び
キャッシュ・フローの状況を公正かつ正確に表示している。
3.2 取締役会の報告書は、当社がさらされている主なリスク及び不確実性に関する記述と、事業及び財務上の信頼性の高
い分析を含んでいる。
2022年3月16日
取締役会会長兼最高経営責任者
レモ・ルッフィーニ
財務諸表作成責任者
ルチアノ・サンテル
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2【主な資産・負債及び収支の内容】
「1 財務書類」を参照のこと。
3【その他】
(1)後発事象
「1 財務書類」の連結財務諸表の注記11を参照のこと。
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4【日本と国際財務報告基準における会計原則及び会計慣行の主要な相違】
以下は、国際財務報告基準(IFRS) と適用可能な日本の会計原則及び会計慣行との間の主要な差異を示している。IFRS
には、国際会計基準(IAS)、国際財務報告解釈指針委員会(IFRIC、以前の解釈指針委員会(SIC))の解釈指針すべてが含
まれている。
(1) 収益認識
IFRSでは、IFRS第15号の5ステップ(顧客との契約の識別、契約における履行義務の識別、取引価格の決定、取引価格
の履行義務への配分、及び履行義務充足時点での収益の認識)に基づき、財またはサービスが顧客に移転した場合に収
益を認識することとされている。
日本基準では、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日 企業会計基準委員会)及び「収
益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日 企業会計基準委員会)(以下、
「収益認識会計基準等」という。)は2021年4月1日以降開始する事業年度から強制適用され、早期適用も認められて
いる。
当該収益認識会計基準等を未適用の会社については一般原則に基づき実現主義により収益を認識している。収益認識会
計基準等は、IFRS第15号と整合性を図る便益の1つである財務諸表間の比較可能性の観点から、IFRS第15号の基本的な
原則を取り入れることを出発点として会計基準が定められており、また、これまで日本で行われてきた実務等に配慮す
べき項目がある場合には、比較可能性を損なわせない範囲で代替的な取扱いが追加されている。
(2) 有形固定資産、無形資産の減損の認識と測定
IFRSでは、減損の兆候がある場合に、減損テストを実施し減損損失の認識及び測定を行う。減損損失の認識と測定が同
時に行われることから、1ステップ方式とよばれる。
他方、日本基準では、減損の兆候がある場合に、割引前将来キャッシュ・フローを用いて減損の認識に関する検討を行
い、減損を認識すべきと判定された場合にのみ、回収可能価額を用いて減損損失を測定する。この方法は、減損損失の
認識と測定を2段階に分けて行うため、2ステップ方式とよばれる。
上記のとおりIFRSと日本基準とでは、1ステップ方式か2ステップ方式かで相違があり、一般に1ステップ方式を採用
するIFRSの方が、減損損失を早いタイミングで認識する傾向にある。
(3) 有形固定資産、無形資産の減損損失の戻入れ
IFRSでは、過去に認識した減損がもはや存在しないか、減少している場合に、減損損失の戻入れを行う。ただし、のれ
んに関する減損損失の戻入れは禁止されている。
他方、日本基準では、すべての固定資産について減損の戻入れが禁止されている。
(4) のれん
IFRSでは、企業結合によって生じたのれんは、全部のれん方式と買入のれん方式のいずれかの方法で認識し、事後の償
却は行わない。減損の兆候の有無にかかわらず、少なくとも年に1回、減損テストを行う。
他方、日本基準では、買入のれん方式に類似した方法でのれんを認識し、最長20年の期間にわたって規則的に償却す
る。減損の兆候がある場合にのみ、減損の認識・測定について検討する。
(5) 耐用年数を確定できない無形資産
IFRSでは、耐用年数を確定できない無形資産は、減損の兆候の有無にかかわらず、少なくとも年に1回、減損テストを
行う。
他方、日本基準では、耐用年数を確定できないという概念を用いていないため、すべての無形資産について規則的な償
却を行う。
(6) リース
借手の会計処理において、IFRSでは、免除規定を適用する短期リース、及び少額資産のリースを除くすべてのリースに
ついて使用権資産モデルを適用し、資金調達を伴う使用権資産の取得として処理する。リース負債は、リース料総額の
未決済分の割引現在価値として、使用権資産は、リース負債の当初測定額に必要な調整を加味した取得原価で当初測定
される。
他方、日本基準では、解約不能かつフルペイアウトの要件を充足するか否かにより、ファイナンス・リースとオペレー
ティング・リースに分類する。さらに、ファイナンス・リースは、所有権移転リースと所有権移転外リースに分類され
る。ファイナンス・リースは通常の売買取引に準じて会計処理を行い、オペレーティング・リースは通常の賃貸借取引
に準じて会計処理を行う。ファイナンス・リースについては、所有権が移転するか否か、貸手の購入価額が明らかか否
かにより、貸手の購入価額、リース料総額の現在価値、または見積現金購入価額でリース資産及びリース債務を計上す
る。
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(7) ヘッジ会計
IFRSでは、公正価値ヘッジ、キャッシュ・フロー・ヘッジ、純投資ヘッジの3つの会計手法が認められる。公正価値
ヘッジは、日本基準の時価ヘッジと類似し、キャッシュ・フロー・ヘッジは日本基準の繰延ヘッジと類似する。純投資
ヘッジは、在外営業活動体に対する外貨建ての投資をヘッジ対象とするもので、会計処理はキャッシュ・フロー・ヘッ
ジと同様である。
IFRSのキャッシュ・フロー・ヘッジでは、ヘッジ手段の公正価値の変動のうち、有効部分をその他の包括利益で認識
し、非有効部分は純損益で認識する。他方、日本基準の繰延ヘッジでは、有効性の評価においてヘッジ全体が有効であ
れば、ヘッジ手段の公正価値の変動のうち非有効部分もその他の包括利益で認識する。
日本基準では、ヘッジ会計の例外処理である振当処理や特例処理が広く用いられるが、IFRSにこのような会計手法はな
い。
(8) ストック・オプション
IFRSでは、株式に基づく報酬取引を、持分決済型、現金決済型、現金選択権付き、の3つに分類し、それぞれについて
会計処理を定めている。このうち持分型が日本のストック・オプションに相当する。持分決済型の株式報酬取引では、
オプション付与の対価として受け取った従業員勤務サービスの公正価値を、権利確定期間にわたり費用として認識す
る。オプションが行使されずに失効した場合、過去に資本に認識した対価の戻入れは行わない。
他方、日本基準では、2005年12月に公表された企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」によ
り、2006年5月1日以後に付与されるストック・オプションに対してほぼ同様の会計処理が求められることとなった。
ただし、オプションが満期になった場合、新株予約権のうち対応する部分を特別利益として戻し入れる。
(9) 特別損益
IFRSでは、いかなる項目も異常項目として表示することは認められない。日本基準に基づくと特別損益として表示され
る項目は、IFRSでは一般に営業利益よりも上の区分に表示される。
(10) その他の包括利益(OCI)のリサイクリングの有無
IFRSでは、その他の包括利益で認識した項目が事後的に純損益に振り替えられる可能性があるか否か(リサイクリング
の有無)に従って分類し、その他の包括利益計算書上、区分して表示する。
他方、日本基準では、その他の包括利益で認識した項目は、すべて事後的に純損益に振り替えられる可能性があるた
め、そのような分類を行わない。
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第7【外国為替相場の推移】
ユーロと日本円の間の為替相場は、日本国内において時事に関する事項を掲載する2以上の日刊新聞紙に最近5事業年度
及び最近6ヶ月間において掲載されているため記載を省略する。
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第8【本邦における提出会社の株式事務等の概要】
以下は、当社株式に関する株式事務、権利行使の方法及び関連事項の概要である。
1.本邦における株式事務等の概要
(1) 株式の名義書換取扱場所及び名義書換代理人
日本においては、当社株式の名義書換取扱場所又は名義書換代理人は存在しない。
当社株式の取得者(以下「実質株主」という。)は、その取得窓口となった証券会社(以下「窓口証券会社」という。)
との間に外国証券取引口座約款(以下「約款」という。)を締結する必要があり、約款により、実質株主の名義で外国証
券取引口座(以下「取引口座」という。)が開設される。売買取引の執行、売買代金の決済、証券の保管及び当社株式に
関するその他の取引に関する事項は、全て取引口座を通じて処理される。
(2) 株主に対する特典
該当事項なし
(3) 株式の譲渡制限
当社株式に譲渡制限はない。
(4) その他株式事務に関する事項
(a) 当社株式の登録
取引口座を通じて保有される当社株式は、窓口証券会社を代理するイタリアにおける保管機関(以下「現地保管機関」と
いう。)又はその被任命者の名義で、当社の株主名簿に登録される。
(b) 配当等基準日
当社から配当等を受け取る権利を有する実質株主は、当社の取締役会が配当支払等のために定めた基準日現在において当
社株式を実質的に所有する者である。
(c) 事業年度の終了
毎年12月31日
(d) 公告
日本においては、当社株式に関する公告が行われない。
(e) 実質株主に対する株式事務に関する手数料
実質株主は、窓口証券会社の定めるところにより、約款に規定された手続及び関連行為のための費用として、取引口座を
維持するための管理費を支払う。さらに、実質株主は、約款に規定されたその他の費用を支払う可能性もある。
2.日本における実質株主の権利行使方法
(1) 実質株主の議決権の行使に関する手続
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議決権の行使は、実質株主が窓口証券会社を通じて行う指示に基づき、現地保管機関又はその被任命者が行う。他方、実
質株主が指示をしない場合、現地保管機関又はその被任命者は実質株主のために保有されている当社株式について議決権
を行使しない。
(2) 配当請求等に関する手続
(a) 現金配当の交付手続
約款に従い、現金配当は、窓口証券会社が現地保管機関又はその被任命者から一括受領し、取引口座を通じて実質株主に
交付する。
(b) 株式配当等の交付手続
株式分割により割り当てられた当社株式は、現地保管機関又はその被任命者の名義で登録され、窓口証券会社はかかる当
社株式を取扱口座を通じて処理する。ただし、実質株主から別段の要請がない限り、売買数がイタリアにおける売買単位
未満の端数の当社株式については、窓口証券会社を代理する現地保管機関によりイタリアで売却され、その純手取金は、
窓口証券会社が現地保管機関又はその被任命者から一括受領し、取引口座を通じて実質株主に支払う。
株式配当により割り当てられた当社株式は、実質株主から別段の要請がない限り、窓口証券会社を代理する現地保管機関
によりイタリアで売却され、その純手取金は、窓口証券会社が現地保管機関又はその被任命者から一括受領し、取引口座
を通じて実質株主に支払う。
(3) 株式の譲渡に関する手続
実質株主がその持株の売却注文をなす際の実質株主と窓口証券会社との間の決済は円貨又は窓口証券会社が応じうる範囲
内の外貨による。窓口証券会社は、国内店頭取引についての当社株式の決済を口座の振替によって行い、当社株式の取引
の結果として現地保管機関の当社株式数残高に増減が生じた場合には、当社株式の名義書換の手続に従ってイタリアの登
録機関において当該当社株式の譲渡手続がとられる。
(4) 新株引受権
実質株主が保有する当社株式について新株引受権が与えられる場合には、新株引受権は、通常、窓口証券会社を代理する
現地保管機関によりイタリアで売却され、その純手取金は、窓口証券会社が現地保管機関又はその被任命者から一括受領
し、取引口座を通じて実質株主に支払う。
(5) 本邦における配当等に関する課税上の取扱い
本邦における課税上の取扱いの概要は以下のとおりである。
(a) 配当
日本において実質株主に対して支払われる配当金は、日本の税法上の課税対象となる。国内における支払の取扱者を通じ
て交付を受ける「上場株式等」(租税特別措置法(昭和32年法律第26号。その後の改正を含む。)に定義され、外国金融
商品市場で売買取引される外国株式を含む。)の配当金については、外国において当該配当の支払の際に徴収された源泉
徴収税がある場合にはこの額を外国における当該配当の支払額から控除した後の金額に対して、20%(所得税15%、住民
税5%)の税率(ただし、平成25年12月31日までは、特例措置として10%(所得税7%、住民税3%)の税率が適用され
る。)で源泉徴収により課税される。
申告不要の特例を利用する場合は、当該配当所得の金額の多寡にかかわらず源泉徴収で課税関係が終了する。上場株式等
の配当等を申告する場合には、その申告する上場株式等の配当等の全てについて総合課税と申告分離課税のいずれか一方
を選択することになる。当該配当所得について総合課税による確定申告をした場合、外国株式の配当所得について配当控
除の適用はないが、外国において徴収された税額については日本の税法に従い外国税額控除を申請することができる。申
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告分離課税を選択した場合は、上場株式等にかかる課税配当所得の金額の20%(所得税15%、住民税5%)の税率(ただ
し、平成25年12月31日までは10%(所得税7%、住民税3%)の軽減税率とする。)で課税される。平成21年分以後の所
得 税については、その年分の上場株式等の譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額があるとき又はその年の前年以前
3年内の各年に生じた上場株式等の譲渡損失の金額(前年以前に既に控除したものを除く。)があるときは、これらの損
失の金額を上場株式等の配当所得の金額(申告分離課税を選択したものに限る。)から控除される。
日本の法人である実質株主の場合には、支払を受けた配当は税法上益金として課税される。なお、法人に対する支払につ
いて源泉徴収された税額は納付税額から控除される。外国において徴収された税額については、日本の税法に従い外国税
額控除を申請することができる。
上記に加え、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法により、平成
25年1月1日から平成49年12月31日まで、上記各記載の所得税率に基づく所得税額の2.1%が復興特別所得税として課さ
れる。
(b) 売買損益
日本の居住者たる個人又は日本の法人による当社株式の日本における売買に基づく損益についての課税は、内国会社の上
場株式等の売買損益課税と原則として同様である。
(c) 相続税
当社株式を相続し又は遺贈を受けた日本の実質株主には、日本の相続税法に基づき相続税が課せられるが、外国税額控除
が認められる場合がある。
(6) 実質株主に対する諸通知
当社が登録株主に対して行う通知及び通信は、現地保管機関又はその被任命者に対してなされる。現地保管機関はこれを
窓口証券会社に送付する義務があり、窓口証券会社はこれをさらに各実質株主に送付する義務がある。実費は実質株主に
請求される。ただし、実質株主がその送付を希望しない場合又は当該通知若しくは通信の性格上重要性が乏しい場合に
は、送付することなく窓口証券会社の店頭に備え付け、実質株主の閲覧に供される。
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第9【提出会社の参考情報】
1【提出会社の親会社等の情報】
当社の発行する有価証券は金融商品取引法第24条第1項及び第2項に該当しないため、該当事項はない。
2【その他の参考情報】
当社は、2021年度の開始日(2021年1月1日)から本有価証券報告書の提出日までの間に、以下の書類を関東財務局長に
提出している。
(1)有価証券報告書(2021年6月30日提出)
(2)半期報告書及びその添付書類(2021年9月30日提出)
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第二部【提出会社の保証会社等の情報】
第1【保証会社情報】
該当事項なし。
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第2【保証会社以外の会社の情報】
該当事項なし。
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第3【指数等の情報】
該当事項なし。
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(添付のモンクレール・グループ連結財務諸表の翻訳版は、欧州委員会委任規則2019/815の規定に準拠していない非公式
なものである。この独立監査人報告書は、各国の読者の利便性のためにのみ、英語に翻訳された。したがって、原本のイ
タリア語版のみが正本である。)
2010年1月27日政令第39号14条及び2014年4月16日EU規則第537号10条に基づく監査人の報告書
モンクレール・エスピーエー
株主各位
連結財務諸表監査に関する報告
意見
当監査法人は、モンクレール・グループの2021年12月31日現在の連結財政状態計算書、同日をもって終了する事業年
度の連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書及び連結キャッシュ・フロー計算書、並びに重要な
会計方針の要約が含まれる連結財務諸表に対する注記から構成されている連結財務諸表についての監査を行った。
当監査法人の意見では、上記の連結財務諸表は、欧州連合及びイタリアの政令第38/05号第9条において採用されてい
る国際財務報告基準に準拠して、モンクレール・グループの2021年12月31日現在の財政状態、並びに同日をもって終
了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローの真実かつ公正な概観を与えている。
意見の根拠
当監査法人は、国際監査基準に準拠して監査を実施した。当該基準に基づく当監査法人の責任は、本報告書の「連
結財務諸表監査に対する監査人の責任」の項で詳述されている。当監査法人は、財務諸表監査に関連してイタリア
で適用される倫理・独立性規則及び基準に従い、モンクレール・エスピーエー(親会社)から独立した立場にあ
る。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと考えている。
監査上の主要な検討事項
監査上の主要な検討事項とは、当監査法人の専門的判断により、当期の連結財務諸表監査で最も重要であると判断さ
れた事項である。これらの事項は、全体としての連結財務諸表に対する当監査法人の監査及び当監査法人の意見形成
において検討された事項であり、当監査法人はこれらの事項に対して個別に意見を表明するものではない。
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ストーン・アイランド・グループの取得の一環としての取得原価の配分
連結財務諸表の注記「3.1 ストーン・アイランドの取得」を参照のこと。
監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項に対する監査手続
2021年3月31日に、親会社はストーン・アイランドの商標 当監査法人が実施した監査手続(当監査法人の専門家の利用
権の所有者であるスポーツウェア・カンパニー・エスピー も含む。)には以下が含まれる。
エー(Sportswear Company S.p.A.)の全株式資本を取得し ・ストーンアイランドグループの取得の一環として実施さ
れた、取得資産及び引受負債の識別、移転した対価の配分
た。
に関して経営者が採用したプロセスを理解する。
2021年度中に、モンクレール・グループは取得資産及び引
・ストーン・アイランド・グループの取得日現在の連結財
受負債について公正価値による認識を完了した。
務諸表について監査手続を実施する。
2021年12月31日現在の財政状態計算書は、2021年4月1日時
・ストーン・アイランド・グループの取得の一部である取
点のストーン・アイランド・グループの取得に対する取得原
得資産及び引受負債の公正価値の測定においてモンクレー
価の配分を反映している(1,150百万ユーロ)。
ル・グループを支援する親会社が利用した独立専門家の評
取得資産及び引受負債に帰属する公正価値は、親会社が利
価を入手する
用した独立専門家による評価により確認されている。この評
・取得した純資産の公正価値を測定する際に使用した評価
価に基づき、モンクレール・グループは以下の資産及び負債
手法及び適用パラメーターの合理性を検討する。
を認識した。
・取得原価の配分に関連して親会社が行った連結仕訳を検
・ストーン・アイランドの商標権(775百万ユーロ)
討する。
・受注残高(20百万ユーロ)
・ストーン・アイランド・グループの取得に関する注記に
・繰延税金負債(222百万ユーロ)
記された開示内容の妥当性を検討する。
・のれん(447百万ユーロ)
当該取得原価の配分は、本質的に、経営者による以下に関
する複雑な評価を要する手法を用いて実施された。
・取得資産及び引受負債の識別
・予測キャッシュ・フロー。一般的な景気動向やモンク
レール・グループが属する業界の経済状況、近年の実績
キャッシュ・フロー及び予測成長率を踏まえて算出され
る。
・割引率を算出するために使用された金融パラメータ
以上から、当監査法人は取得原価の配分は監査上の主要な
検討事項の一つに該当すると判断した。
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のれん、モンクレール及びストーン・アイランドの商標権の回収可能性
連結財務諸表の注記「5.1 のれん、ブランド及びその他の無形資産」及び「5.2 のれん及び耐用年数を確定できない
無形資産の減損テスト」を参照のこと。
監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項に対する監査手続
2021年12月31日現在、連結財務諸表には、帳簿価額224百万
ユーロ及び775百万ユーロの耐用年数を確定できない無形資
産であるモンクレール及びストーン・アイランドの商標権 当監査法人が実施した監査手続(当監査法人の専門家の利用
(以下「商標権」という。)並びに(モンクレールの資金生 も含む。)には以下が含まれる。
成単位に配分された156百万ユーロ及びストーン・アイラン ・減損テストのプロセスを理解する。
ドの資金生成単位に配分された447百万ユーロを含む)603百 ・減損テストに用いられる予測キャッシュ・フローの基礎
万ユーロののれんが含まれている。 となる、①2022年2月24日に親会社の取締役会で承認され
モンクレール・グループは、少なくとも年に1回、報告日に た2022年-2024年度の(CGU別の)事業計画、②2025年-2026
商標権及びのれんの回収可能額を確認している。 年度の(CGU別の)経営者の見積りの作成プロセスを理解す
商標権及びのれんの回収可能額は、予想キャッシュ・フ る。
ローを割り引く方法を用いて使用価値を見積ることにより算 ・前年の事業計画と実績の乖離の分析を含め、予測キャッ
出される。具体的には、商標権の場合はロイヤルティ免除法 シュ・フローの見積りに経営者が用いた主要な仮定の適切
が適用されている。 性を評価する。
これらの方法において、以下については本質的に経営者に ・商標権とのれんの回収可能額を判断するために経営者が
よる複雑な評価が求められる。 用いた主要な前提条件と減損テストモデルの合理性を評価
・予測キャッシュ・フロー。一般的な景気動向やモンク する。
レール・グループが属する業界の経済状況、近年の実績 ・金利や定常成長率等、減損テストのために用いた主要な
キャッシュ・フロー及び予測成長率を踏まえて算出され 前提条件に関して注記に開示した感度分析の妥当性を検討
る。 する。
・割引率を算出するために使用された金融パラメータ ・商標権、のれん及び関連する減損テストについて注記の
以上から、当監査法人は、商標権及びのれんの回収可能性 開示した内容の妥当性を検討する。
は監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。
棚卸資産の評価
連結財務諸表の注記「5.5 棚卸資産」を参照のこと。
監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項に対する監査手続
当監査法人が実施した監査手続には以下が含まれる。
2021年12月31日現在の連結財務諸表には、264百万ユーロの
- 棚卸資産の評価プロセス及び関連するIT環境、並びに主
棚卸資産(230百万ユーロの棚卸資産の評価減との純額)が
含まれている。
要な内部統制の運用状況を評価する統制及び手続の整備及
棚卸資産の評価減に伴う引当金の測定は、複雑な会計上の見
び適用状況を理解する。
積であり、以下を含む多くの要素が影響するため高度な判断
- 季節ごとの過去の売上実績や収益性に基づく分析、保有
を要する。
期間に基づくライフサイクルの検討を行うことにより、棚
- グループの属する事業セグメントの特徴
卸資産の変動状況を検討する。
- 売上の季節的要因
- 商品の販売予測の前提条件を理解するために、関係する
- 採用された価格政策及び流通チャネルの販売能力
内部の部署に質問すると共に棚卸資産の評価減に対する引
当金の算出に係る文書を評価する。
以上から、当監査法人は、棚卸資産の評価は監査上の主要
- 棚卸資産に関する注記の開示内容の妥当性を評価する。
な検討事項の一つに該当すると判断した。
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モンクレール・エスピーエー(E30200)
有価証券報告書
連結財務諸表に対する親会社の経営者及び監査役会(Collegio Sindacale)の責任
経営者は、欧州連合及びイタリアの政令38/05号第9条において採用されている国際財務報告基準に準拠した真実かつ
公正な概観を与える連結財務諸表の作成、及びイタリア法に準拠して不正か誤謬かを問わず重要な虚偽表示のない財
務諸表の作成を可能とするために経営者が必要と判断する内部統制について責任を負う。
経営者は、継続企業としてのモンクレール・グループの存続能力の評価、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作
成することの適切性、及び関連する開示の十分性について責任を負う。親会社の清算もしくは事業停止の状況が存在
するか、もしくはそれ以外に現実的な選択肢がない場合を除き、継続企業の前提に基づき会計処理することは適切で
ある。
イタリア法に準拠し、監査機関として機能する監査役会 (Collegio Sindacale) は、グループの財務報告プロセスを
監視する責任を負う。
連結財務諸表監査に対する監査人の責任
当監査法人の監査の目的は、不正か誤謬を問わずに、全体としての連結財務諸表に重要な虚偽表示がないかについて
合理的な保証を得て、監査意見を含む監査報告書を発行することにある。合理的な保証は高水準の保証であるが、国
際監査基準に準拠して実施された監査が、存在する重要な虚偽表示を常に発見することを保証するものではない。虚
偽表示は、不正又は誤謬から発生する可能性があり、個別に又は合計すると、財務諸表利用者が連結財務諸表に基づ
いて行う経済的意思決定に影響をおよぼすと合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
国際監査基準に準拠した監査の一環として、当監査法人は、職業的専門家としての判断を講師し、監査を通いて職業
的専門家として懐疑心を保持することに加え、以下を実施する。
― 不正又は誤謬による連結財務諸表の重要な虚偽表示のリスクを識別、評価し、当該リスクに対応する監査手続を立
案、実施し、当監査法人の意見の基礎を提供する十分かつ適切な監査証拠を入手する。不正は、共謀、文書の偽造、
意図的な除外、虚偽の陳述、もしくは内部統制の無効化を伴う可能性があるため、不正による重要な虚偽表示を発見
できないリスクは、誤謬による重要な虚偽表示を発見できないリスクよりも高い。
― 状況に適した監査手続を立案するために、監査に関連性のある内部統制を理解するが、グループの内部統制の有効
性に対して意見を表明することを目的とはしない。
― 経営者が採用している会計方針の適切性、経営者が行った会計上の見積りと関連する開示内容の合理性を評価す
る。
― 経営者が継続企業の前提に基づき会計処理したことの適切性、及び入手した監査証拠に基づき、継続企業としての
モンクレール・グループの存続能力に著しい疑義をもたらす事象又は状況に関連する重要な不確実性の有無について
結論付ける。重要な不確実性が存在すると結論付ける場合には、当監査法人は報告書の中で財務諸表内の関連する開
示への参照を促すか、又は関連する開示が妥当ではない場合には意見を修正することが求められる。当監査法人の結
論は、本報告書日までに入手した監査証拠に基づいている。ただし、将来の事象や状況によって、モンクレール・グ
ループが継続企業として存続できなくなることがある。
― 開示を含む連結財務諸表の全体的な表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や事象を適正に表
示しているか否かを評価する。
― 連結財務諸表に対する意見を表明するため、モンクレール・グループ内の企業又は事業活動の財務情報に関し、十
分かつ適切な監査証拠を入手する。当監査法人は、モンクレール・グループの監査の指示、監督及び実施に対して責
任を負う。当監査法人は、監査意見に対して単独で責任を負う。
当監査法人は、特に計画した監査の範囲とその実施時期、及び監査上の重要な発見事項(監査の過程で認識した内部
統制の重要な不備を含む)について国際監査基準で求められる適切な水準で統治責任者とコミュニケーションを行
う。
また、独立性について、イタリアで適用される倫理・独立性規則及び基準を遵守した旨を統治責任者に文書で提出
し、独立性に影響を与えると合理的に考えられるすべての関係及びその他の事項、並びに該当する場合には、関連す
るセーフガードについてコミュニケーションを行う。
統治責任者にコミュニケーションを行った事項の中から、当事業年度の連結財務諸表監査において最も重要な影響を
与える事項を監査上の主要な検討事項として決定する。当監査法人は、これらの事項を報告書に記載している。
EU規則第537/14号第10条で求められるその他の情報
2013年10月1日に、親会社の株主は、2013年12月31日から2021年12月31日までに終了する各事業年度の個別財務諸表
及び連結財務諸表の法定監査の実施に関して、当監査法人を選任した。
当監査法人は、EU規則第537/14号第5.1条にある禁止非監査業務を提供していないこと、及び法定監査の実施にあた
り親会社からの独立性が確保されていることを宣誓する。
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モンクレール・エスピーエー(E30200)
有価証券報告書
当監査法人は、本報告書に示された連結財務諸表に対する意見が、監査委員会として機能する監査役会に対する、上
記の規則第11条に従って作成された追加報告と整合していることを確認している。
その他の法令及び規則の要件に対する報告
欧州委員会委任規則(EU)第2019/815号の規定の準拠性に対する意見
親会社の経営者は、単一電子報告フォーマット(ESEF)の仕様に係る規制上の技術基準に関する欧州委員会委任規則
(EU)第2019/815号の規定を、年次財務報告書に含まれる連結財務諸表に適用することに責任を負う。
当監査法人は、当該連結財務諸表に関する欧州委員会委任規則(EU)第2019/815の準拠性に対して意見を表明するた
めに、監査基準(SAイタリア)700Bに規定されている手続を実施した。
当監査法人は、当該連結財務諸表は、全ての重要な点について欧州委員会委任規則(EU)第2019/815号の規定に準拠
して、XHTMLフォーマットで作成され表示されているものと認める。
政令第39/10号第14.2条e)及び政令第58/98号第123条の2第4項に基づく意見
親会社の経営者は、モンクレール・グループの取締役会報告書の作成、コーポレートガバナンス及び2021年12月31日
時点の株主構成に関する報告書の作成、及びこれら報告書と関連する連結財務諸表との首尾一貫性、並びにこれら報
告書に適用される法令への準拠について責任を負う。
当監査法人は、政令第58/98号第123条の2第4項に基づき作成される取締役会報告書、並びに、コーポレートガバナン
ス及び株主構成に関する報告書において開示される特定の情報とモンクレール・グループの2021年12月31日現在の連
結財務諸表との首尾一貫性、及びこれら報告書に適用される法令への準拠性に対して意見を表明するために、また、
重要な虚偽表示を発見したか否かを述べるにあたり、イタリアの監査基準720Bで要求されている手続を実施した。
当監査法人は、上記の取締役会報告書、並びに、コーポレートガバナンス及び株主構成に関する報告書において開示
される特定の情報が、モンクレール・グループの2021年12月31日現在の連結財務諸表と首尾一貫し、適用される法令
に準拠して作成されているものと認める。
政令第39/10号第14.2条e)で求められている上述の重要な虚偽表示に関する見解について、監査の過程で得たモンク
レール・グループやその事業環境に関する知識及び理解に基づき、当監査法人が報告すべき事項はない。
イタリア証券取引委員会(CONSOB)規則第4条(政令第254/16号)に基づく見解
モンクレール・エスピーエーの経営者は、政令第254/16号に基づく連結非財務諸表の作成に対する責任を負う。当監
査法人は、経営者が連結非財務諸表を承認したことを確認している。当監査法人は、政令第16/号第8条に従い、別
途、非財務情報が準拠していることを証明した。
トレヴィーゾ市、2022年3月30日
KPMG S. p. A.
(署名)
ジャンルカ・ザニボーニ
監査ダイレクター
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モンクレール・エスピーエー(E30200)
有価証券報告書
(添付のモンクレール・エスピーエーの個別財務諸表の翻訳版は、欧州委員会委任規則2019/815の規定に準拠していない
非公式なものである。この独立監査人報告書は、各国の読者の利便性のためにのみ、英語に翻訳された。したがって、原
本のイタリア語版のみが正本である。)
2010年1月27日政令第39号第14条及び2014年4月16日EU規則第537号第10条に基づく独立監査人の報告書
モンクレール・エスピーエー
株主各位
個別財務諸表監査に関する報告
意見
当監査法人は、モンクレール・エスピーエーの2021年12月31日現在の財政状態計算書、同日をもって終了する事業年
度の損益計算書、包括利益計算書、持分変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書、並びに重要な会計方針の要約が
含まれる財務諸表に対する注記から構成されている個別財務諸表についての監査を行った。
当監査法人の意見では、上記の個別財務諸表は、欧州連合及びイタリアの政令第38/05号第9条において採用されて
いる国際財務報告基準に準拠して、モンクレール・エスピーエーの2021年12月31日現在の財政状態、並びに同日を
もって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローについて真実かつ公正な概観を与えている。
意見の根拠
当監査法人は、国際監査基準に準拠して監査を実施した。当該基準に基づく当監査法人の責任は、本報告書の「個別
財務諸表監査に対する監査人の責任」の項で詳述されている。当監査法人は、財務諸表に関連してイタリアで適用さ
れる倫理・独立性規則及び基準に従い、モンクレール・エスピーエーから独立した立場にある。当監査法人は、意見
表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと考えている。
監査上の主要な検討事項
監査上の主要な検討事項とは、当監査法人の専門的判断により、当事業年度の個別財務諸表監査で最も重要であると
判断された事項である。これらの事項は、個別財務諸表全体に対する当監査法人の監査及び当監査法人の意見形成に
おいて検討された事項であり、当監査法人はこれらの事項に対して個別の意見を表明するものではない。
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モンクレール・エスピーエー(E30200)
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モンクレール及びストーン・アイランドの商標権の回収可能性
個別財務諸表の注記「4.1 ブランド及びその他の無形資産」及び「4.2 耐用年数が確定できない無形資産の減損テス
ト」を参照のこと。
監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項に対する監査手続
2021年12月31日現在、個別財務諸表には、帳簿価額224百万
当監査法人が実施した監査手続(当監査法人の専門家の利用
ユーロ及び775百万ユーロの耐用年数を確定できない無形資
も含む)には以下が含まれる。
産であるモンクレール及びストーン・アイランドの商標権
・減損テストのプロセスを理解する。
(以下、「商標権」という。)が含まれている。
・減損テストに用いられる予測キャッシュ・フローの基礎
モンクレール・エスピーエーは、少なくとも年に1回、報告
となる、①2022年2月24日に当社の取締役会で承認された
日に商標権の回収可能額を確認している。
2022年-2024年度の(CGU別の)事業計画、②2025年-2026年
商標権の回収可能額は、予測キャッシュ・フローを割り引
度の(CGU別の)経営者の見積りの作成プロセスを理解す
く方法を用いて使用価値を見積ることにより算出される。具
る。
体的には、ロイヤルティ免除法が適用されている。
・前年の計画と実績の乖離の評価を含め、予測キャッ
この方法において、以下については本質的に経営者による
シュ・フローの見積りに経営者が用いた主な仮定を評価す
複雑な評価が求められる。
る。
・予測キャッシュ・フロー。一般的な景気動向やモンク
・商標権の回収可能額を判断するために経営者が用いた主
レール・エスピーエーが属する業界の経済状況、近年の実
要な前提条件と減損テストモデルの合理性を評価する。
績キャッシュ・フロー及び予測成長率を踏まえて、算出さ
・金利や定常成長率等、減損テストのために用いた主要な
れる。
前提条件に関して、注記に開示した感度分析を検討する。
・割引率を算出するために使用された金融パラメータ
・商標権及び関連する減損テストについて注記の開示内容
以上から、当監査法人は、商標権の回収可能性は監査上の
の妥当性を評価する。
主要な検討事項に該当すると判断した。
個別財務諸表に対するモンクレール・エスピーエーの経営者及び監査役会(Collegio Sindacale)の責任
経営者は、欧州連合及びイタリアの政令38/05号第9条において採用されている国際財務報告基準に準拠した真実かつ
公正な概観を与える個別財務諸表の作成、及びイタリア法に準拠して不正か誤謬かを問わず重要な虚偽表示のない財
務諸表の作成を可能とするために経営者が必要と判断する内部統制について責任を負う。
経営者は、継続企業としてのモンクレール・エスピーエーの存続能力の評価、継続企業の前提に基づき個別財務諸表
を作成することの適切性、及び関連する開示の十分性について責任を負う。経営者は、モンクレール・エスピーエー
の清算又は事業停止の状況が存在するか、もしくはそれ以外に現実的な選択肢がない場合を除き、継続企業の前提に
基づき会計処理することは適切である。
イタリア法に準拠し、監査機関として機能する監査役会(Collegio Sindacale)は、モンクレール・エスピーエーの
財務報告プロセスを監視する責任を負う。
個別財務諸表監査に対する監査人の責任
当監査法人の監査の目的は、不正か誤謬かを問わずに、個別財務諸表全体に重要な虚偽表示がないかについて合理的
な保証を得て、監査意見を含む監査報告書を発行することにある。合理的な保証とは高水準の保証であるが、国際監
査基準に準拠して実施された監査が、存在する重要な虚偽表示を常に発見することを保証するものではない。虚偽表
示は、不正又は誤謬から発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表利用者が個別財務諸表に基づいて
行う経済的意思決定に影響を及ぼすと合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
国際監査基準に準拠した監査の一環として、当監査法人は、職業的専門家としての判断を行い、監査を通じて職業的
専門家として懐疑心を保持することに加え、以下を実施する。
― 不正又は誤謬による財務諸表の重要な虚偽表示のリスクを識別、評価し、当該リスクに対応する監査手続を立案、
実施し、当監査法人の意見の基礎を提供する十分かつ適切な監査証拠を入手する。不正は、共謀、文書の偽造、意図
的な除外、虚偽の陳述、もしくは内部統制の無効化を伴う可能性があるため、不正による重要な虚偽表示を発見でき
ないリスクは、誤謬による重要な虚偽表示を発見できないリスクよりも高い。
― 状況に適した監査手続を立案するために、監査に関連性のある内部統制を理解するが、モンクレール・エスピー
エーの内部統制の有効性に対して意見を表明することを目的とはしない。
― 経営者が採用している会計方針の適切性、経営者が行った会計上の見積り及び関連する開示内容の合理性を評価す
る。
― 経営者が継続企業の前提に基づき会計処理することの適切性、及び入手した監査証拠に基づき、継続企業としての
モンクレール・エスピーエーの存続能力に重大な疑義をもたらす事象又は状況に関連する重要な不確実性の有無につ
いて結論付ける。重要な不確実性が存在すると結論付ける場合には、当監査法人は報告書の中で個別財務諸表内の関
連する開示への参照を促すか、又は関連する開示が妥当ではない場合には意見を修正することが求められる。当監査
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EDINET提出書類
モンクレール・エスピーエー(E30200)
有価証券報告書
法人の結論は、本報告書日までに入手した監査証拠に基づいている。ただし、将来の事象や状況によって、モンク
レール・エスピーエーが継続企業として存続できなくなることがある。
― 開示を含む個別財務諸表の全体的な表示、構成及び内容、並びに個別財務諸表が基礎となる取引や事象を適正に表
示しているか否かを評価する。
当監査法人は、特に、計画した監査の範囲とその実施時期、及び監査上の重要な発見事項(監査の過程で認識した内
部統制の重要な不備を含む)について国際監査基準で求められる適切な水準で統治責任者とコミュニケーションを行
う。
また、独立性について、イタリアで適用される倫理・独立性規則及び基準を遵守した旨を統治責任者に文書で提出
し、独立性に影響を与えると合理的に考えられるすべての関係及びその他の事項、並びに該当する場合には、関連す
るセーフガードについてコミュニケーションを行う。
統治責任者にコミュニケーションを行った事項の中から、当事業年度の個別財務諸表監査において最も重要な影響を
及ぼす事項を監査上の主要な検討事項として決定する。当監査法人は、これらの事項を報告書に記載している。
EU規則第537/14号第10条で求められるその他の情報
2013年10月1日に、モンクレール・エスピーエーの株主は、2013年12月31日から2021年12月31日までに終了する各事
業年度の個別財務諸表及び連結財務諸表の法定監査の実施に関して、当監査法人を選任した。
当監査法人は、EU規則第537/14号第5.1条にある禁止非監査業務を提供していないこと、及び法定監査の実施にあた
りモンクレール・エスピーエーからの独立性が確保されていることを宣誓する。
当監査法人は、本報告書に示された連結財務諸表に対する意見が、監査委員会として機能する監査役会に対する、上
記の規則第11条に従って作成された追加報告と整合していることを確認している。
その他の法令及び規則の要件に対する報告
欧州委員会委任規則(EU)第2019/815号の規定の準拠性に対する意見
当社の取締役は、単一電子報告フォーマット(ESEF)の仕様に係る規制上の技術基準に関する欧州委員会委任規則
(EU)第2019/815号の規定を、年次財務報告書に含まれる個別財務諸表に適用することに責任を負う。
当監査法人は、当該個別財務諸表に関する欧州委員会委任規則(EU)第2019/815の準拠性に対して意見を表明するた
めに、監査基準(SAイタリア)700Bに規定されている手続を実施した。
当監査法人は、当該個別財務諸表は全ての重要な点について欧州委員会委任規則(EU)第2019/815号の規定に準拠し
てXHTMLフォーマットで作成されているものと認める。
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モンクレール・エスピーエー(E30200)
有価証券報告書
政令第39/10号第14.2条e)及び政令第58/98号第123条の2第4項に基づく意見
モンクレール・エスピーエーの経営者は、取締役会報告書の作成、コーポレートガバナンス及び2021年12月31日時点
の株主構成に関する報告書の作成、及びこれら報告書と関連する個別財務諸表との首尾一貫性、並びにこれら報告書
へ適用される法令への準拠について責任を負う。
当監査法人は、政令第58/98号第123条の2第4項に基づき作成される取締役会報告書、並びに、コーポレートガバナ
ンス及び株主構成に関する報告書において開示される特定の情報とモンクレール・エスピーエーの2021年12月31日現
在の個別財務諸表との首尾一貫性、及びこれら報告書に適用される法令への準拠性に対して意見を表明するために、
また、重要な虚偽表示を発見したか否かを述べるにあたり、イタリアの監査基準720Bで要求されている手続を実施し
た。
当監査法人は、上記の取締役会報告書、並びに、コーポレートガバナンス及び株主構成に関する報告書において開示
される特定の情報が、モンクレール・エスピーエーの2021年12月31日現在の個別財務諸表と首尾一貫し、適用される
法令に準拠して作成されているものと認める。
政令第39/10号第14.2条e)で求められている重要な虚偽表示に関する見解について、監査の過程で得たモンクレー
ル・エスピーエー及びその事業環境に関する知識及び理解に基づき、当監査法人が報告すべき事項はない。
トレヴィーゾ市、2022年3月30日
KPMG S.p.A.
(署名)
ジャンルカ・ザニボーニ
監査ダイレクター
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