株式会社アイ・テック 内部統制報告書 第63期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
提出書類 | 内部統制報告書-第63期(令和3年4月1日-令和4年3月31日) |
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提出者 | 株式会社アイ・テック |
カテゴリ | 内部統制報告書 |
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株式会社アイ・テック(E01297)
内部統制報告書
【表紙】
【提出書類】 内部統制報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条の4の4第1項
【提出先】 東海財務局長
【提出日】 2022年6月29日
【会社名】 株式会社アイ・テック
【英訳名】 ITEC CORPORATION
【代表者の役職氏名】 代表取締役社長 大畑 大輔
【最高財務責任者の役職氏名】 該当事項はありません。
【本店の所在の場所】 静岡県静岡市清水区三保387番地7
【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
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内部統制報告書
1【財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項】
代表取締役社長大畑大輔は、当社及び連結子会社(以下、「当社グループ」)の財務報告に係る内部統制を整備及
び運用する責任を有しており、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評
価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」(企業会計審議会 平成19年2月15日)に示されている内部
統制の基本的枠組みに準拠して整備及び運用し、当社グループの財務報告における記載内容の適正性を担保するとと
もに、その信頼性を確保しております。
なお、内部統制は、判断の誤り、不注意、複数の担当者による共謀によって有効に機能しなくなる場合や当初想定
していなかった組織内外の環境の変化や非定型的な取引等には必ずしも対応しない場合があり、固有の限界を有する
ため、その目的の達成にとって絶対的なものではなく、財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することがで
きない可能性があります。
2【評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項】
財務報告に係る内部統制の評価は、当事業年度の末日である2022年3月31日を基準日として行われており、評価に
当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しました。
本評価においては、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(全社的な内部統制)の評価を
行った上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定しております。当該業務プロセスの評価にお
いては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、
当該統制上の要点について整備及び運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行いまし
た。
財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、当社グループについて、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点
から必要な範囲を決定しました。財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、金額的及び質的影響の重要性を考慮し
て決定しており、当社及び連結子会社2社を対象として行った全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセス
に係る内部統制の評価範囲を合理的に決定しました。なお、連結子会社5社については、金額的及び質的重要性の観
点から僅少であると判断し、全社的な内部統制の評価範囲に含めておりません。
業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、各事業拠点の前連結会計年度の売上高(連結会社間取引消去
後)の金額が高い拠点から合算していき、その合算金額が概ね3分の2に達するまでの事業拠点を「重要な事業拠
点」として選定しました。選定した重要な事業拠点においては、当社グループの事業目的に大きく関わる勘定科目と
して売上高、売掛金、商品及び製品、原材料及び貯蔵品、未成工事支出金に至る業務プロセスを評価対象としまし
た。さらに、選定した事業拠点にかかわらず、重要な虚偽記載の発生可能性が高く、見積りや予測を伴う重要な勘定
科目に係る業務プロセスやリスクが大きい取引を行っている事業又は業務に係る業務プロセスを財務報告への影響を
勘案して重要性の大きい業務プロセスとして評価対象に追加しました。
3【評価結果に関する事項】
下記に記載した財務報告に係る内部統制に関する事項は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき
重要な不備に該当すると判断しました。したがって、当事業年度末日時点における当社グループの財務報告に係る内
部統制は有効ではないと判断しました。
記
当社は、当社の取引先における法人税法違反の捜査の過程で、当社役員及び従業員が当該取引先に対して外注費の
過剰支払い及びそれらのものに対するキックバックを受けていた可能性があることが判明したため、2021年7月26日
に当該事件に係る事実関係の解明等を目的とした第三者調査委員会を設置の上、調査を進めて参りました。2021年9
月7日に第三者調査委員会より中間調査報告書を受領し、記載された調査結果から2014年2月以降、外注費の過剰支
払い及びそれらのものに対するキックバックが継続的に行われていたことを認識するに至りました。
当社は、報告内容を検討の結果、過大計上となっていた売上原価の修正を行なうと共に、法人税等の再計算等を行
なうため、2017年3月期から2021年3月期の有価証券報告書、並びに2017年3月期の第1四半期から2021年3月期の
第3四半期までの四半期報告書について決算訂正を行い、2021年9月14日に訂正報告書を提出致しました。
本件不正取引は鉄骨工事請負事業の発注プロセスにおいて、現場施工業者に対する発注額の妥当性の検証及び承認
などの体制が不十分であった事に加え、現場施工業者などの業務執行状況の確認、請求書内容の確認及び支払承認の
体制が不十分であった事が直接の原因であると認識しておりますが、その背景には、役職員のコンプライアンスへの
認識不足及び会社としての啓蒙活動の不足、また、職務権限に沿った明確な責任体制や内部統制に関する認識不足が
あったものと認識しております。
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内部統制報告書
以上のことから、当社の全社的な内部統制及び鉄骨工事請負事業の発注に関する業務プロセスに係る内部統制の不
備が、当社の財務報告に重要な影響を及ぼすこととなった点を踏まえ、2017年3月期から2021年3月期迄の各期の内
部統制報告書において、財務報告に係る内部統制に開示すべき重要な不備が存在する旨の報告をいたしました。
当社は、これらの開示すべき重要な不備を是正するために、鉄骨工事請負事業の発注に関する業務プロセスについ
て、内部統制3点セット(業務フロー、業務記述書、RCM)の見直しを行い、整備・運用を開始しております。ま
た、東京支社のガバナンスを強化するため、東京支社に本社管理本部を直轄とした管理課を設置し、本社による東京
支社への牽制機能を強化いたしました。
しかしながら、一部の全社的な内部統制に関しては、再発防止策を策定した2022年2月28日から当事業年度の末日
までに十分な期間が無く、是正措置を完了することができませんでした。このような是正措置の進捗状況を鑑み、全
社的な内部統制について、引き続き開示すべき重要な不備が存在すると判断いたしました。
なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する修正事項は、全て連結財務諸表に反映しております。
当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を十分認識しており、開示すべき重要な不備を是正するため、提出され
た第三者調査委員会の最終報告書の指摘・提言を踏まえて、以下のとおり、改善策を策定し適切な内部統制の整備及
び運用を進めております。
(1)取締役会の運営改善
(2)ガバナンス・コンプライアンス体制強化のための人材補強
(3)三様監査の強化
(4)東京支社のガバナンス強化
(5)役職員に対するコンプライアンス教育
(6)鉄骨工事請負業務に起因するリスクアセスメント
(7)人事ローテーション・人材育成
(8)営業手法及び接待交際費のルールの見直し
(9)下請業者への牽制
(10)内部通報制度の周知・利用対象者の拡大
(11)モニタリング委員会の設置
4【付記事項】
3「評価結果に関する事項」に記載した開示すべき重要な不備の対応策のうち、当事業年度の末日後、内部統制報
告書提出日までに以下の是正措置を実施いたしました。
・取締役会の運営改善
取締役会規程の報告事項及び付議事項の見直しを行い、取締役会規程の条項に内部監査に関する事項、内部通報
に関する事項、コンプライアンスに関する事項、取締役会付議事項にコンプライアンスに関する重要事項を追加し
ました。
・ガバナンス・コンプライアンス体制強化のための人材補強
ガバナンス・コンプライアンス体制強化のため2022年6月29日開催の当社第63期定時株主総会の決議を経て、社
外取締役1名が同日就任いたしました。また2022年4月21日付で内部監査部門の体制強化のため、内部監査室1名
の増員をしております。
・三様監査の強化
監査役、内部監査室及び会計監査人との連携をより密なものとするべく、定期的に三様監査報告会を設け、より
活発な意見交換を行っております。
・東京支社のガバナンス強化
東京支社を含む各支店への管理業務強化の為、本社管理本部1名の採用を決定し、本社管理本部の機能強化を
行っております。
・役職員に対するコンプライアンス教育
役職員に対するコンプライアンス教育のため、全役職員を対象にコンプライアンス研修を実施致しました。また
コンプライアンス意識強化のため、コンプライアンスの日を制定し、全役職員にて周知徹底しております。
・鉄骨工事請負業務に起因するリスクアセスメント
鉄骨工事請負業務に係る発注業務に関し、職務権限及び業務分掌の全社的な見直しを行い、発注権限を本社管理
本部の直属の管理課を含む合議制化とするとともに、その会議内容の定期的なモニタリングを実施しております。
・人事ローテーション・人材育成
人材育成プランとして、スキルアップを目的とした資格取得・研修プログラム等の作成をしております。
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内部統制報告書
・営業手法及び接待交際費のルールの見直し
接待交際費規程の新設、接待交際費等に係る行動指針の作成をしております。また、接待交際費に依存した受注
活動等を抜本的に見直し、技術力等を中心とした営業手法への転換等に関する方針、スローガン等を作成しており
ます。
・下請業者への牽制
下請業者との癒着を防止するため、下請業者との請負契約において、外注費の水増し及びキックバック等の不正
行為に関与しない旨の誓約条項、不正行為を行っていないことの表明保証条項及び誓約違反があった場合の無催告
解除条項を追加し、2022年4月28日より適用を開始しております。
・内部通報制度の周知・利用対象者の拡大
通報者保護を目的として、2022年4月1日付で「内部通報規程」を改訂し、新たな社外窓口を設置して匿名通報
への対応等通報しやすい仕組みとするとともに、ポスター・カードなどで周知し、内部通報制度の機能拡充を行い
ました。
・モニタリング委員会の設置
当社は当社の業務執行機関とは独立した立場から再発防止策の実施に係る進捗状況をモニタリングするため、社
外の専門家から構成されるモニタリング委員会の設置をいたしました。
今後も他の是正措置を追加実施するとともに、上記是正措置と継続的なモニタリングを行って更なる運用の強化
を実施して参ります。
5【特記事項】
特記すべき事項はありません。
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