欧州投資銀行 有価証券報告書 第64期(令和3年1月1日-令和3年12月31日)
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 令和4年6月30日
【事業年度】 第63期(自 令和3年1月1日 至 令和3年12月31日)
【発行者の名称】 欧州投資銀行
(European Investment Bank)
【代表者の役職氏名】 Richard Teichmeister
( 資本市場部ヘッド・オブ・ディビジョン)
Xavier Leroy
( 資本市場部キャピタル・マーケッツ・オフィサー)
【事務連絡者氏名】 弁護士 黒 丸 博 善
弁護士 海 江 田 光
弁護士 奥 村 文 彦
【住所】 東京都港区六本木六丁目10番1号
六本木ヒルズ森タワー23階
TMI総合法律事務所
【電話番号】 (03) 6438-5511
【縦覧に供する場所】 該当なし
(注)1. 本書中、「発行者」「 EIB 」または「当行」とは、欧州投資銀行を意味する。
2.本書中、「ユーロ」または「EUR」と表示される金額は、欧州単一通貨を意味する。2022年5月31日現在、株
式会社三菱UFJ銀行により公表されたユーロに対する日本円の対顧客電信直物売買相場の中値は1ユーロに
つき137.76円であった。
3.EIBの会計年度は暦年である。
4.本書の表で計数が四捨五入されている場合、合計は計数の総和と必ずしも一致しない。
1/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
第1 【募集(売出)債券の状況】
会計年度末の 上場証券取引所名又
募集債券の名称 発行年月 券面総額 償還額
未償還額 は登録証券業協会名
第1回 欧州投資銀行
豪ドル・円金利差額型
5,000,000,000 5,000,000,000
0 円
2014 年3月 該当なし
円 円
変動利付(当初固定利付)
円貨債券(2014)
2/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
会計年度末の 上場証券取引所名又
売出債券の名称 発行年月 券面総額 償還額
未償還額 は登録証券業協会名
欧州投資銀行
2027年9月21日満期
1,082,000,000 1,082,000,000
0 円
2007 年9月 該当なし
期限前償還条項付
円 円
円建・円/ユーロ為替連
動債券
欧州投資銀行
2023年3月満期 40,500,000 40,500,000
0 メキシコペソ
2020 年3月 該当なし
メキシコペソ メキシコペソ
メキシコペソ建債券
(環境貢献債)
欧州投資銀行
2023年3月満期
20,360,000 20,360,000
0 ブラジルレアル
ブラジルレアル建債券 2020 年3月 該当なし
ブラジルレアル ブラジルレアル
(円貨決済型)
(環境貢献債)
欧州投資銀行
2023年3月満期
1,078,400,000 1,078,400,000
0 インドルピー
インドルピー建債券
2020 年3月 該当なし
インドルピー インドルピー
(円貨決済型)
(環境貢献債)
欧州投資銀行
2023年10月満期
21,650,000 21,650,000
0 ブラジルレアル
ブラジルレアル建債券 2020 年10月 該当なし
ブラジルレアル ブラジルレアル
(円貨決済型)
(環境貢献債)
欧州投資銀行
2023年10月満期
342,000,000 342,000,000
0 インドルピー
インドルピー建債券
2020 年10月 該当なし
インドルピー インドルピー
(円貨決済型)
(環境貢献債)
欧州投資銀行
2024年12月満期
193,200,000 193,200,000
0 インドルピー
インドルピー建債券
2021 年12月 該当なし
インドルピー インドルピー
(円貨決済型)
(環境貢献債)
2021 年度中、EIBの経済的健全性およびEIBが業務を行う法的枠組みについて、本債券所有者の権利に重
要かつ悪影響を与えるような変更はなかった。
3/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
第2 【外国為替相場の推移】
豪ドル、ユーロ、ブラジルレアル、メキシコペソおよびインドルピーについては、そのそれぞれと円と
の間の為替相場が、日本国内において時事に関する事項を掲載する2以上の日刊新聞紙に最近5年間の会
計年度において掲載されているため、記載を省略する。
(1) 【最近5年間の会計年度(又は事業年度)別為替相場の推移】
該当なし
(2) 【当会計年度(又は事業年度)中最近6月間の月別為替相場の推移】
該当なし
(3) 【最近日の為替相場】
該当なし
4/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
第3 【発行者の概況】
1 【発行者が国である場合】
該当事項なし
2 【発行者が地方公共団体である場合】
該当事項なし
3 【発行者が国際機関又は政府関係機関等である場合】
(1) 【設立】
① 設立の根拠、設立年月日および沿革
欧州投資銀行(「EIB」)は、欧州連合(「EU」)の機関として設立され、EU機能条約(随時改正、
補足済)(「TFEU」)第308条により完全な法人格を与えられている。EIBは独自の統治機関、収益源
および金融業務を擁する。EIBは自己の債務についてのみ責任を負う。
EIB のガバナンスは、EU条約(「TEU」)およびTFEU(合わせて「両条約」)の第5付属議定書であ
り両条約の不可欠な一部であるEIB定款により定められる。EIBは両条約、EIB定款ならびにEUの特権お
よび免責に係る第7議定書(「PPI」)をはじめとする両条約のその他すべての関連議定書の規定によ
り統治される。
TFEU 第308条および定款の規定に従い、EIBの構成員はEU加盟国(「加盟国」)である。EIBの資本金
は、EIB定款第4.1条が定めるとおり、各加盟国によって応募される。EIBはこれまでEIBが発行した証
券のいかなる元利金の支払も怠ったことがない。TFEU第309条および定款第16条に従い、EIBは、自身
の資金源および資本市場からの借入を利用し、投資に対して特に貸付金および保証の形で資金を供給
する。EIBは、98-100, boulevard Konrad Adenauer, L-2950 Luxembourg, Grand Duchy of
Luxembourg に所在する。
EIB は欧州投資基金(「EIF」)の過半数の株式を所有し、EIFはEIB、欧州委員会および金融機関の
三者による株式所有構成となっている。EIBグループはEIBおよびEIFで構成され、それぞれが法人格お
よび法的自立性を備えた別個の法人を形成している。
② 目的
TFEU 第309条に基づき、EIBは、主に資本市場にアクセスを有することにより、加盟国間の共同市場
における安定的かつ均衡のとれた発展に貢献することを目的としている。その実現に向け、EIBは非営
利で営業し、EU内の発展が充分でない地域を開発するプロジェクト、および、以下のプロジェクトが
個々の加盟国内で利用可能な財源からの資金提供ではすべてが賄えない規模と性質のものである場合
は、事業を現代化もしくは開発するまたは新たな活動を開発するプロジェクト、または複数の加盟国
に共通の利益となるプロジェクトに貸付および保証を行うことを要求されている。さらに、定款の規
定に従い、EIBはEU域外のプロジェクトに対しても通常、EUと非加盟国との合意の枠内において、貸付
および保証を行う。
5/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
③ 法的地位、特権および免責特権
EIB は法人格を有し、各加盟国内においては当該各加盟国の法律のもとで法人に与えられる最も広範
な法的資格を有する。EIBは自らの名において財産の取得および譲渡を行うことができ、また訴訟当事
者能力を有する。
PPI に従い、EIBならびにその資産、収入およびその他の財産は、加盟国のあらゆる直接税を免除さ
れる。EIBはまた、EIBが所在する加盟国内における、応募済資本金および払込済資本金の増額に伴う
あらゆる課税その他の賦課ならびに当該増額に伴うあらゆる法的手続を免除される。定款に基づき行
われるEIBの活動は、加盟国内におけるいかなる取引高税の対象にもならない。
定款に基づく加盟国の義務の履行ならびに総務会および理事会によって採られた措置の法的有効性
に関する一定の訴訟については、TFEUにより、欧州連合司法裁判所(「司法裁判所」)が専属的管轄
権を有する。当該専属的管轄権に属するものを除き、加盟国の行なった保証に基づく請求を含む、EIB
とその債権者または債務者との間の訴訟については、その基礎をなす契約関係の定めに従いそれぞれ
の国内管轄裁判所において行うことができる。PPIに基づき、加盟国内のEIBの財産および資産は、裁
判所の判決を受けかつ司法裁判所がそれを承認した場合を除き、強制執行による差押えまたは押収の
対象とはならない。
また、EIBの活動に参加するEIBの機関の構成員、職員および加盟国の代表は、その公的な立場で自
ら行った行為に関し、一部の例外を除いて法的手続を免除される。
④ 日本との関係
該当なし
6/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
(2) 【資本構成】
① 資本構成および準備金
表示日現在のEIBの資本構成および準備金は次のとおりである。
2021 年
12 月31日現在
( 単位:千ユーロ)
資本金:
-応募済資本金(2)(3) 248,795,607
-226,604,892
-払込未請求資本金(2)(3)
-払込請求済資本金
22,190,715
-344,106
-払込請求済だが払込未済の応募済資本金(3)
-払込請求済資本金および
21,846,609
払込請求済だが払込未済の応募済資本金
準備金および当期利益:
準備基金:
-期首残高 24,328,415
-前年度利益処分額(1) 551,146
-期末残高 24,879,561
その他準備金:
-期首残高
11,398,958
-払込請求済資本金への振替え:均衡的資本差替え(2)
0
-払込請求済だが払込未済の準備金:
0
ポーランドおよびルーマニアの拠出金(3)
-前年度利益処分額(1)
859,673
-期末残高
12,258,631
-払込請求済だが払込未済の準備金(3)
-774,842
-その他準備金および払込請求済だが払込未済の準備金
11,483,789
特別活動準備金:
-期首残高 11,736,896
416,058
-前年度利益処分額(1)
-期末残高
12,152,954
一般貸倒準備金:
-期首残高 2,135,891
- 114,554
-前年度利益処分額(1)
-期末残高
2,021,337
当期利益 2,565,998
自己資本合計 74,950,248
注(1) 2021年4月23日、総務会は、2020年12月31日終了年度のEIBの当期純利益 1,712,323 ,000 ユーロを準備
基金、その他準備金、特別活動準備金および一般貸倒準備金に繰り入れることを決定した。一般貸倒準
備金または特別活動準備金からの取崩し/への繰入れが 生じているが、これは基礎的業務のリスクの動
きに伴うものである 。
7/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注(2) 2017年3月29日、英国は、TEU第50条に従ってEUから離脱する決定を欧州理事会に通知した。2020年2
月1日をもって、英国は、TEU第50条および「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国の欧州
連 合および欧州原子力共同体からの離脱協定」(「離脱協定」)に基づきEU加盟国でなくなった(「ブ
レグジット」)。
EUからの離脱により、英国は自動的にEIBの構成員でなくなり、応募済資本金の分担も終了した。
2020年2月1日より、EIBの応募済資本金における英国の分担金は、その全額につき、残りの加盟国が
按分負担する増資をもって差し替えられた。この資本の差替え(均衡的資本差替え)は、EIBにおける
英国の応募済資本金の払込請求済みの部分に加え、払込未請求部分も対象とするものであった。払込請
求済みの部分の差替えは、EIBの準備金を応募済資本金に振り替えることで賄われた。増資の結果、残
りの加盟国において、EIBの応募済資本金のうち払込未請求の(請求可能な)持分が按分で増加した。
注(3) 以下「第3 発行者の概況-(5) 経理の状況-③ EU会計指令に基づく個別財務書類」に収載の法定財務
書類の注H.3を参照のこと。
8/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
② 応募済資本金
2021 年12月31日現在、EIBの構成員は、加盟国27か国である。
下表は2021年12月31日のEIBの応募済資本金に関する各加盟国の分担である。
金 額
加 盟 国
( 単位: ユーロ )
ドイツ 46,722,369,149
フランス 46,722,369,149
イタリア 46,722,369,149
スペイン 28,033,421,847
ベルギー 12,951,115,777
オランダ 12,951,115,777
ポーランド 11,366,679,827
スウェーデン 8,591,781,713
デンマーク 6,557,521,657
オーストリア 6,428,994,386
フィンランド 3,693,702,498
ギリシャ 3,512,961,713
ポルトガル 2,263,904,037
チェコ共和国 2,206,922,328
ハンガリー 2,087,849,195
アイルランド 1,639,379,073
ルーマニア 1,639,379,073
クロアチア 1,062,312,542
スロバキア 751,236,149
スロベニア 697,455,090
ブルガリア 510,041,217
リトアニア 437,633,208
ルクセンブルク 327,878,318
キプロス 321,508,011
ラトビア 267,076,094
エストニア 206,248,240
マルタ 122,381,664
計 248,795,606,881
EIB の理事会は、EIBの債務を賄うためにEIBが必要とする限度において、応募済資本金の残額の払込
を要求することができる。各加盟国はそれぞれの応募済資本金の分担に比例して、かかる払込を行
9/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
う。EIB定款にEIBからの脱退について明確な規定はないが、TFEU第308条は、EIBの構成員は加盟国で
(1)
ある旨を明記している 。
注(1) したがって、2020年2月1日の英国のEUからの離脱に伴い英国はEIBの構成員ではなくなった。離脱
の手順は、離脱協定において合意および記載されている。
(3) 【組織】
EIB は、総務会、理事会および経営委員会によって指揮および管理される。総務会は各加盟国より任命
された国務大臣(通常は財務大臣)をもって構成される。2021年12月31日現在、理事会は、加盟国およ
び欧州委員会の指名に基づき、総務会により選任された理事28名および理事代理31名をもって構成され
ている。理事会にはさらに6名の議決権のない専門家が選任される。経営委員会は、理事会の提案に基
づき総務会により6年任期で選任される総裁および副総裁をもって構成されている。
① 総務会
総務会は、各加盟国より1名ずつ任命された国務大臣(通常は財務大臣)をもって構成され、定款
に規定された特定の機能を有している。これらの機能は、理事会および経営委員の任免、経営委員の
定数の変更、ならびに理事会の年次報告書、年次貸借対照表および損益計算書の承認を含む。年次報
告書が承認されない場合、定款に従い、理事会は全員辞任しなければならない。EIB定款に別段の記載
がない限り、総務会の決議は応募済資本金の少なくとも50%を代表する多数決をもって行われる。特
別多数決では18票および応募済資本金の68%の賛成が必要となる。
② 理事会
2021 年12月31日現在、理事会は、加盟国および欧州委員会の指名に基づき、5年任期で総務会によ
り選任された理事28名および理事代理31名をもって構成する。
また、理事会は、理事会構成員として3名、理事代理として3名の、6名の議決権のない専門家を
選任する。
10/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
以下は別段の表示のない限り、2022年6月27日現在のEIBの理事、理事代理、および議決権のない専
門家の一覧表である。
理 事
Marc DESCHEEMAECKER Marinela PETROVA
Petr PAVELEK Julie SONNE
Elke KALLENBACH Andres KUNINGAS
Des CARVILLE Konstantin J. ANDREOPOULOS
Enrique RUIZ de VILLA SAIZ Anne BLONDY-TOURET
Silvija BELAJEC Francesca UTILI
Kyriacos KAKOURIS Armands EBERHARDS
Darius TRAKELIS Arsène JACOBY
László BARANYAY Paul DEBATTISTA
Robin UYTERLINDE Karin RYSAVY
Piotr PATKOWSKI Filipe CARTAXO
Attila GYÖRGY Nina MARIN
Peter FRÖLICH Kristina SARJO
Anna BJÖRNERMARK Elena FLORES GUAL
議決権のない専門家
Giorgio GOBBI Joes LEOPOLD
(1つの議決権のない専門家席が空席である。)
理事代理
Ludivine HALBRECQ Gergana BEREMSKA
Radek H Ř EB ĺ K Morten PRÆSTEGAARD KLINGE
Susanne BLOMENHOFER Hendrik KAELBLE
Riina LAIGO Des O’LEARY
Nikos MANTZOUFAS Isabel GARAYO ORBE
Matthieu PHILIPPOT Estelle de BEAUCÉ
Ana ZORI Ć Francesca MERCUSA
Eleni PITTA Aija ZITCERE
Jurgita UZIELIENE Miguel MARQUES
Paulanne MAMO Jan de BOER
Christian REININGER Maciej TABACZAR
Rosa CAETANO Boni Florinela CUCU
Urška GRMEK Martin POLÓNYI
Anne af URSIN Saskia BODIN
Saila VALTONEN
(2つの理事代理席が空席である。)
11/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
議決権のない代理専門家
Olivier BAILLY Antonio OPORTO
(1つの議決権のない代理専門家席が空席である。)
12/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
理事会は、EIBが適切に運営され、両条約(随時改正、補足済)および定款の規定ならびに総務会の
一般的指示に従って管理されることを確保する責任を負う。理事会は、融資の供与、特に貸付金およ
び保証の形によるものに関し、その貸付金利および保証手数料の設定およびEIBによる借入の承認を決
定する(加盟国域外投資への融資の場合は、当該対象事業の承認にあたり総務会の事前の意思決定を
要する。)。また特定多数の決定に基づき、その権限を一部経営委員会に委任することができる。
定款は、理事会の構成員はEIBに対してのみ責任を負う旨を規定している。各理事は、1議決権を有
し、いつでも、EIBの手続規定に従ってその議決権を委任することができる。定款に別段の定めある場
合を除き、理事会の決定は、少なくとも応募済資本金の50%以上を代表する議決権を有する3分の1
以上の構成員によりなされなければならない。特別多数決は、賛成が18票以上入り、かつそれが応募
済資本金の68%を代表していることを要する。
③ 経営委員会
EIB の経営委員会は、現在のところ、理事会の推薦に基づき総務会により6年任期で選任されるEIB
の総裁1名および副総裁8名をもって構成されている。2022年6月27日現在の経営委員およびそのEIB
における役職は、次のとおりである。
経営委員 EIB での役職
Werner HOYER
総裁
Ambroise FAYOLLE
副総裁
Lilyana PAVLOVA
副総裁
Thomas ÖSTROS
副総裁
Teresa Tatiana CZERWI Ń SKA 副総裁
Christian Kettel THOMSEN 副総裁
Ricardo MOURINHO FÉLIX 副総裁
Kris PEETERS 副総裁
Gelsomina VIGLIOTTI 副総裁
経営委員会は、総裁の権限および理事会の監督のもとEIBの現行事業の管理につき責任を負う。経営
委員会は、多数決により、貸付および保証の供与ならびに借入につき理事会に対し提案を行う。総
裁、または総裁が不在の場合は副総裁のうち1名が、議決権を持たない理事会の議長となる。総裁、
もしくは総裁に支障のある場合には副総裁1名が、裁判その他の事項についてEIBを代表する。定款
は、経営委員会およびEIBの職員は、EIBに対してのみ責任を負い、その職務の遂行について完全に独
立であるべき旨を規定している。
13/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
④ 監査委員会
監査委員会は、総務会により選任される6名の委員からなる。監査委員会は毎年、EIBの業務が適切
に管理され、かつ帳簿が適切に記録されている旨を検査する。また監査委員会は、理事会によって作
成された財務書類および年次報告に含まれるその他の財務情報が、当該事業年度の資産および負債に
関するEIBの財務状況、ならびにその業績およびキャッシュ・フローについて正確かつ公正に表示して
いる旨の確認を行う。
2022 年6月27日現在の監査委員は次のとおりである。
Christos G. TRIANTOPOULOS
議長
Nuno GRACIAS FERNANDES
委員
Katja PLUTO
委員
Ivan ŠRAMKO
委員
Eva-Lena NORGREN
委員
(1つの監査委員席が空席である。)
オブサーバー
John SUTHERLAND Beatrice DEVILLON-COHEN
Vasile IUGA
14/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
(4) 【業務の概況】
① 業 務
イ) EU域内における貸付政策
EIB は、加盟国において実施される投資について、加盟国ならびに官・民の事業に対し、これらの
借手が他の方法によっては資金を妥当な条件で調達できない範囲で、特に貸付金および保証の形で
資金を供給する。定款は、このような事業が経済一般の生産性を高めることに寄与し、共同市場の
実現を促進するものでなければならない旨を規定している。
加盟国以外の企業または団体に対して貸付を行う場合には、EIBは、投資の実施予定地を領土とす
る加盟国による保証もしくはその他の適切な担保、または債務者自体の財務信用力のいずれかが得
られることをかかる貸付の条件としなければならない。さらに借手が生産部門に従事する者である
場合は、定款は、貸付に関する利息および分割償還金の支払が当該事業の予想営業利益によって賄
いうる場合についてのみ、EIBが貸付および保証を供与することを認めている。
EIB により給付される貸付金および保証の残高の合計は、いかなる時点においても、応募済資本
金、準備金、未割当引当金、および損益計算書の当期純利益の250%を超えることができない。EIB
による資本参加の場合、後者の合計額から(払込済みか否かにかかわらず)応募済金額相当額が控
除される。これは連結および非連結ベースにおいて適用される。EIBによる貸付および保証は対象プ
ロジェクトの費用の一部のみを賄うもので、これは当該借手の自己資金や当該借手が他から調達し
た資金を補完するものでしかない。すなわち、一般的にEIBは対象プロジェクトの総費用の50%を上
回る額の貸付は行わない。
EIB の貸付内容は多様化されており、1つの産業、経済部門もしくは国に偏在していない。EIBの
貸付金は加盟国のすべてを通じて広範囲な企業の資金調達に供せられている。
ロ) EU域外への貸付
1960 年代から、EIBはおよそ150の国々においてEUが推進している協力政策に積極的に参加してい
る。EIBによる協力活動の付託条件は、通常、複数年のマンデートとなっており、EUによりEIBに割
り当てられる。
定款第16条第1項第2号に従い、総務会は理事会の提案に基づき、特別多数決により、加盟国の
域外において全体または一部が実施される予定の投資についての融資も決定することができる。か
かる貸付は、その他の点においては、上述した加盟国内部の貸付に関する定款の各規定に沿って行
われる。
EIB は、このような貸付を、多くの場合EUと他国家間の協力協定の融資関係議定書に基づき行って
きた。域外貸付においてほとんどの場合、EIBは、他の担保に加えて加盟国またはEUの保証を得てい
る。
ハ) 資金借入
EIB は、いかなる通貨であれ、EIBにとって最も有利と思われる通貨で、またEIBが活動する資本市
場においてその時の最も有利な条件で借入を行う。
EIB はいかなる借入金の元利金の支払に関しても、その履行を怠ったことはない。
ニ) 業績
2021 年の動向ハイライト
(1)
概 要
15/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注(1) このセクションでは欧州投資銀行の活動および財務情報に触れる。表示される数額は、(別段の記載が
ない限り)EU会計指令に準拠して作成されたEIBの法定財務書類(以下「第3 発行者の概況-(5) 経理
の 状況-③ EU会計指令に基づく個別財務書類」に収載される。)とあわせて読まれる必要がある。
欧州投資銀行(EIB)は、欧州連合の政策および優先課題の推進において引き続き重要な役割を
担っている。2021年にEIBは、COVID-19のパンデミックからの景気回復に向けて特例的な支援を提供
しつつ、同時にその重点を、意欲的なパンデミック対策の実施から欧州連合が直面する長年の組織
的課題(特に気候・環境、結束、イノベーションおよび開発における相互補完分野)への取組みへ
と移しはじめた。
2020 年中の支援アクション・プランおよび汎ヨーロッパ保証基金(EGF)の設定は、経済の活性化
およびパンデミックで始まった景気後退の緩和に向けたEIBの前例のない取組みの一部である。2021
年にわたりこれらを適切に実施した結果、パンデミックで深刻な影響を受けた企業でも投資の継続
が可能となり、ひいては企業の競争力やビジネス・モデルの耐性が維持・強化されることとなっ
た。
欧州連合全域の企業にパンデミックの財政的な影響が及んで多くの企業が政府やEUの諸制度に緊
急支援を要請するに至っただけでなく、COVID-19の危機は従来からの組織的課題を凝縮し投資
ギャップを深刻化させた。こうした課題に対処して持続可能な回復を確保するためには、民・官の
多額の資金を活用する必要がある。EIBは、欧州連合の貸付機関として、欧州連合の内外でチャンス
を解放して生活を向上させることにより景気循環に対抗するという重大な役割を担う。EIBは、復
興・強靭化ファシリティ(RRF)(COVID-19の危機に伴う中長期的な経済的悪影響に対処するための
欧州連合の中核的制度)から支援を受ける新規投資のインパクトを強化するため、加盟国の国内
パートナーと協力している。EIBは、RRFの資金源を活用するためのサポートを提供したり、ベス
ト・プラクティスの共有や現地需要を取り込んだ新たな金融イニシアチブの開発などの多彩な手段
を通じて新規投資プロジェクトの実施を推進するなどして、加盟国の支援に当たっている。
COVID-19 のパンデミックは、危機であると同時にチャンスであることも分かってきた。欧州の政
策担当当局は、気候変動の克服、環境サステナビリティ、およびグリーン化とデジタル化という双
子の課題(ツイン・チャレンジ)に改革努力と景気浮揚支出を集中させることで、より良い復興
(ビルド・バック・ベター)という目標に意欲的に取り組んでいる。EIBグループは、EUの気候対策
銀行として、環境サステナビリティおよび強靭化を支援し、またパンデミック、気候変動および環
境破壊で深まった福祉の不平等を是正するために活動している。EIBグループのイノベーション支援
は、その政策優先課題に内在する相乗効果を最大限に活かしつつ、突破口となるグリーン・テクノ
ロジーに対してその研究開発の萌芽期から最終製品化・商用化に至るまで融資を行うことで、気候
目標への焦点化を強めていく。
2021 年11月にグラスゴーで開催された国連気候変動会議のCOP26において、EIBグループは、パリ
協定適合カウンターパーティー枠組みおよび気候特化型の第一次適応プランを策定した。このプラ
ンは、地域社会が気候変動の影響に適応していくための世界中の支援プロジェクトのサポートを目
標に据える。2021年にEIBは、気候行動や環境サステナビリティに関連する投資に世界中で276億
(2)
ユーロ(融資総額の51%) を提供し、また、EIBグループの気候銀行ロードマップ(欧州グリー
ンディールや欧州連合の気候目標(2030年・2050年)を支援するために昨年策定した意欲的な5年
次業務計画)の実施に着手した。このロードマップは、EIBグループが2019年に出した気候に関する
画期的なコミットメント(約束)を実践していく方法について定めており、これには (i) 2030年ま
での重要な10年間で気候行動・環境サステナビリティ投資に対して1兆ユーロの支援を行うこと、
16/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
(ii) EIBの融資に占める気候行動・環境サステナビリティの比率を2025年までに50%に引き上げる
こと、および (iii) すべてのEIBの融資活動をパリ気候協定の目標および原則に確実に整合させる
こ とが含まれる。
サステナブル・ファイナンスに対するEIBのコミットメントは、この分野におけるEUや国際社会の
取組みを反映している。EIBグループは、EUサステナブル・ファイナンス・プラットフォームのメン
バーとして、環境サステナブルな経済活動に関するEUタクソノミのさらなる充実化に向けて欧州委
員会を支援する。EIBグループは内部的にも、気候行動や環境サステナビリティの定義について、EU
タクソノミの進展に応じた整合化を進めている。ガスと原子力に関して、EIBは長期的なソリュー
ションに焦点を当てつつ、引き続きエネルギー貸出方針および気候銀行ロードマップを適用してい
く。これらについてはいずれも中間レビューが組まれ、これがEUの政策動向を評価する際の座標点
を提供する。
EIB は引き続き、欧州連合の経済・社会的な結束の支援、ならびにイノベーション・デジタル化投
資および欧州連合の競争力向上への貢献という定款上の使命に全力で取り組んでいる。2021年10月
にEIB理事会は、欧州の経済的脆弱地域に対するEIBの新たな支援枠組みを定める結束政策文書を承
認した。EIBグループは、対象期間を2021年から2027年とするこの新たな政策の一環として、一人当
たりGDPがEU平均未満である地域向けの融資を、2025年までに30%から45%にまで増加させることを
目指す。この文書ではまた、気候行動や環境保護のための貸出に関するEIBの支援強化、かかる地域
の中堅企業(mid-cap)のイノベーションや金融アクセスの促進、および欧州連合の新規長期予算上
のEU結束政策資金へのEIBによる金融補完に関して基盤整備が行われている。
同時にEIBグループは、インベストEUプログラムの実施パートナーの中でも特別の権限を与えられ
ており、持続可能な復興支援に民・官の多額の資金を活用することで、欧州連合に不可欠な長期資
金調達を提供していく。EIBグループは、インベストEUの保証のうち75%の設定を担うことにより、
公正な移行の対象地域に恩恵をもたらす追加投資の創出、持続可能な成長の支援、および市場の失
敗や投資ギャップの解消を最優先で目指す。
欧州連合域外での活動を強化するため、および開発のための欧州金融アーキテクチャ(EFAD)の
プロセスに関する公式協議や2021年6月の欧州連合理事会の結論文書への対応として、EIB理事会
は、開発に特化した新たな支店「EIBグローバル」を作る構想を承認し、かかる支店が2022年1月1
日に正式に開設された。
EIB の不可欠な要素となる開発特化型の新支店により、気候、医療およびデジタル化などの主要な
優先分野において、EIBの専門知識と経験をより効果的に欧州連合域外で展開することが可能とな
る。
COVID-19 の感染防止措置にもかかわらず、2021年中、EIBグループはすべての事業を全面的に維持
(3)
し、通常業務で活動を続けている。2021年、EIBの貸付契約は、654億ユーロ (このうち543億
ユーロはEIBの自己資金源)となり(2020年:661億ユーロ、このうち646億ユーロはEIBの自己資金
(4)
源)、2021年の業務計画 で設定された幅のある目標金額の下限をやや上回った。2021年の実行済
(5)
総額は414億ユーロ (このうち404億ユーロはEIBの自己資金源)であった。2020年の実行済額は
583億ユーロ(このうち568億ユーロはEIBの自己資金源)であった。 2021年のEIBの貸出動向には、
欧州連合内の第三者資金の活用に対する一層の集中が反映されており、それに伴いEIBの自己資金源
が補完され、EIBはより高リスクな事業の取扱全体量を増やすことができるようになる。
注(2) EIBの自己資金源に基づく暫定データ。
注(3) 貸付金、株式および保証のすべての財源を含む。
17/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注(4) 年次業務計画は業績指針を含み、またEIBグループの翌3年間にわたる主な優先課題および活動を詳細
に記述する。
注(5) 貸付金、株式および保証のすべての財源を含む。
貸付業務およびその他のキャッシュ・フロー需要の規模に応じて資金調達プログラムを調整した
結果、2021年中のEIBの国際資本市場における資金調達額は553億ユーロとなった。EIBは有数の発行
体であり、継続して資本市場のイノベーションと開発に貢献し、最先端の基準を推進している。 EIB
は、IBORに代わる新しい無リスク金利ですでに先陣を切っており、また2021年4月には 分散型台帳
技術を用いた債券 を パブリック・ブロックチェーン・ネットワーク上で初めて 発行した。 EIBは、 気
候変動への意識を高めるための債券(CAB) および持続可能性 への意識を高めるための債券 (SAB)
の発行で過去最高の115億ユーロを記録したことで、グリーンボンドおよびサステナビリティ・ボン
ドのグローバル市場でのリーダー的役割を再確認したとともに、資金調達総額に占めるサステナビ
リティ・ファンディングの比率を2020年の15%から21%に増加させた。当年に発表された2020年
CAB・SABフレームワークでは、整備が進むEUタクソノミやEUグリーンボンド基準(EU GBS)の 早期
適用および段階的適用に関する EIBの戦略の進捗状況が示されている。借入金およびコマーシャル・
ペーパーの残高は、2020年末の4,353億ユーロから48億ユーロ(1.1%)増加して2021年末現在で
4,401億ユーロであった。
EIB は、流動性管理に対して慎重な姿勢をとっており、流動性を備えた超優良投資に集中してい
る。 自己勘定取引資産は2021年末現在で総額1,056億ユーロ(2020年末:856億ユーロ)であった。
EIBの総流動性比率は内部限度の範囲内で良好に維持されており、流動性資産が2022年の予想純
キャッシュ・アウトフローに占める比率は(2020年末の78.1%に対して)117.2%、および流動性カ
バレッジ比率は(2020年末の366.7%に対して)564.9%であった。 極端な流動性ストレス状況にお
いて、EIBのユーロシステム再融資枠へのアクセスが補完的な保護を提供する点は重要である。
EIB のリスク管理戦略は、厳格なデューデリジェンス・プロセス、十分な水準の担保および保証、
ならびに貸付金契約に含まれる標準的な保護条項に基づいている。COVID-19に伴う不確実な一般情
(6)
勢下にあっても、貸付金ポートフォリオ は引き続き全体的に良好な成果をあげており、減損が生
じている貸付金は2021年末で0.3%(2020年末:0.4%)にすぎなかった。90日超の支払延滞の金額
は僅少に維持され、2021年末現在で1億1,630万ユーロ(2020年末:1億1,710万ユーロ)であり、
リスク・ポートフォリオの0.03%を占めるにすぎない。
注(6) 本「概要」で提供される貸付金ポートフォリオの情報は、(別段の記載がない限り)自己資金源による
貸付金ポートフォリオに対応しており、これには「リスク・ポートフォリオ」および欧州連合または加
盟国からのグローバル保証により利益を受ける欧州連合域外のポートフォリオ部分が含まれる(詳細
は、以下「第3 発行者の概況-(5) 経理の状況-③ EU会計指令に基づく個別財務書類」に収載の法定
財務書類の注記Uを参照のこと。)。
貸付金に係る引当金は、活動の入念なモニタリングの結果として昨年計上した一括引当金を解放
した結果、2020年末現在の6億6,210万ユーロから4億4,390万ユーロに減少した。
保守的なリスク管理方針により、また対象プロジェクトのデュー・デリジェンスを通じて、EIBの
高い信用状態が支えられている。 EIB は、2020年の17億ユーロに対して2021年は26億ユーロの当期純
利益を計上し、プラスの財務成績を確保した(詳細は以下「-1.EIBの良好な2021年財務業績」を
参照のこと。)。当期純利益は全額留保され、それがEIBの自己資金の形成および長期融資能力の維
持につながっている。EIBのCET1(コア資本Tier1)比率は2020年末現在の33.1%から2021年末現
在には32.3%へと低下した。EIBの自己資本要件規則(CRR)上のレバレッジ比率は、レバレッジの
18/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
エクスポージャー金額の減少およびTier1資本の減少の両方を主因として、2021年中に10.3%から
10.9%に増加した。EIFの増資に伴い、欧州委員会とEIBは、欧州委員会が保有するEIF株式に関する
EIF 代替株式取得約束(RSPU)を2021年に終了させる一方で、欧州委員会を除くEIFの少数株主の応
募株式に関してはRSPUを維持することで合意した。
19/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
1. EIB の良好な 2021 年財務業績
E IB は低いマージンで多額の貸付金を融資することにより収益を生み出しており、設立以降は毎
(7)
年、年次の法定 財務書類に当期純利益を計上している。 2021 事業年度の当期純利益は 25 億 6,600
万ユーロであり、 2020 年の当期純利益( 17 億 1,230 万ユーロ)から増加した。 2021 年の財務実績に影
響を与えた主な要素は次のとおりである。
(8)
・ EIB により生成された正味受取利息 が、 2020 年の 30 億 6,150 万ユーロに対して 31 億 8,500
万ユーロとなった。受取利息および支払利息のさらなる詳細は、以下「第3 発行者の概況-
(5) 経理の状況-③ EU 会計指令に基づく個別財務書類」に収載の法定財務書類の注 N に記載
されている。
・ 有価証券からの収益が前年比で5億 1,880 万ユーロ増加した。この増加は主に、 2020 年比で
の受取配当金額の増加に起因する。
・ 一般管理費が3億 3,620 万ユーロ増加した。この増加は主に、保険数理上の欠損の償却増加
に由来する福利厚生拠出金およびその他の職員費用の増加により生じた。さらなる詳細は、
以下「第3 発行者の概況- (5) 経理の状況-③ EU 会計指令に基づく個別財務書類」に収載
の法定財務書類の注 L および注 R に記載されている。
・ 貸付金および保証に係る引当金純額の推移において、前年比で4億 50 万ユーロのプラスの
影響が出た。以下「第3 発行者の概況- (5) 経理の状況-③ EU 会計指令に基づく個別財務
書類」に COVID-19 の潜在的影響の評価を反映するため 2020 年に設定された集合的引当金につ
いて、 2021 年中に戻入れが行われた。
EIB の貸借 対照表 総額は、 2020 年末現在の 5,543 億ユーロに対して 2021 年末現在は 5,655 億ユーロ
( 112 億ユーロの増加)であった。
注 (7) EU 会計指令に従って作成されている。
注 (8) 受取利息および類似収益から支払利息および類似費用を差し引いたもの。
純損益および総資産の推移 ( 単位:百万ユーロ)
20/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
1.1. 強固な資本構成
純利益は EIB の業務を支えるために留保されることから、 EIB の着実な収益性は、長年にわたり十
分な準備金の積上げをもたらしてきた。自己資金は、当期純利益の充当を受けて僅かに増加し、
2020 年末現在の 735 億ユーロから 2021 年末現在の 761 億ユーロとなった。
2021 年 12 月 31 日現在の自己資金構成
自己資金
2021 年 2020 年
12 月 31 日 12 月 31 日
(単位:千ユーロ)
資本金
248,795 607
‐応募済 248,795,607
-226,604,892 -226,604,892
‐払込未請求
22,190,715 22,190,715
準備金
a) 準備基金
24,879,561 24,328,415
b) その他準備金
12,258,631 11,398,958
c) 特別活動準備金
12,152,954 11,736,896
d) 一般貸倒準備金
2,021,337 2,135,891
51,312,483 49,600,160
2,565,998 1,712,323
当期純利益
自己資金合計 76 , 069 , 196 73,503,198
当期純利益については、以下の処理が提案された。
( ⅰ ) その他準備金: 43 億 2,110 万ユーロ
( ⅱ ) 特別活動準備金: - 18 億 4,970 万ユーロ
( ⅲ ) 一般貸倒準備金: 9,460 万ユーロ
1.2. EIB の払込未請求資本金は十分な緩衝(バッファー)を提供
EIB は EU 加盟国により所有されている。ブレグジットに伴う 2020 年第1四半期の資本金の差替えな
らびにポーランドおよびルーマニアの増資を受けて、 EIB の払込請求済資本金は 222 億ユーロとな
り、応募済だが払込みが未了の資本金、すなわち払込未請求資本金は 2,266 億ユーロとなった。 EIB
の加盟国には、 EIB がその債務を履行するために必要とする場合、必要な払込未請求資本金の各々の
(9)
分担割合分を、 EIB の定款の規定 に従い、 EIB の理事会の請求により払い込むべき法的な義務があ
る。この法的義務は国法に優先する EU の条約に由来しており、このことは EIB の際立った特徴となっ
ている。払込未請求資本金(自己資金の勘定に含まれず、また CRR/CRD ( 自己資本要件規則・指令 )
の自己資本充足目的にもならない。)は、 EIB の借入金の概ね半分に相当するバッファーを構成す
る。
注 (9) EIB の定款第5条 (3) :「理事会は、 EIB の債務を履行するために EIB が必要とする限度において、応募済
資本金の残額の払込みを求めることができる。」
21/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
1.3. 今後の見通し
(10)
2022-2024 年の EIB グループの業務計画 が EIB の理事会により 2021 年 12 月 15 日に承認され、 2022
年1月 27 日に公表された。 COVID-19 の危機に対する EIB グループの対応が進められる中、 2022-2024
年融資プログラムでは、正味排出量ゼロ(ネット・ゼロ)経済への移行の支援、持続可能な復興へ
の 投資、および急迫する構造的な投資ギャップへの対応という EU の気候対策銀行としての意欲的な
構想をどのように進めていくかについて EIB グループの考えが示されている。これらは主にグリーン
化とデジタル化に連なっており、ひいては持続可能な開発目標( SDGs )の達成につながるものであ
る。
注 (10) 年次業務計画は業績指針を含み、また EIB グループの主な優先課題および活動を詳細に記述する
( https://www.eib.org/en/publications/operational-plan-2022 (英文))。
この計画では、 EIB グループの戦略を実行するための今後3年間の主な優先課題と活動がまとめら
れている。同計画はまた、 EIB グループの自己資金源および第三者資金源を活用した融資目標も提示
している。 2022 年の EIB グループの契約目標額は 691 億ユーロであり、このうち EIB グローバルが 96 億
ユーロを、および EIF が 103 億ユーロを担当する。同計画は、自己資金源によるより高リスクの事業
やアドバイザリー・サービスを段階的に増やすことで、追加性およびインパクトを最適化するよう
調整されている。同計画には財政的に持続可能な上方弾力性マージン( +10 %)が組み込まれてお
り、これにより EIB グループは、長期的な信用力を確保しつつその意欲的な構想に向けて最大限の力
を注ぐことができる。 EIB は、 COVID-19 の危機に関する動向、 EIB グループの新規融資に対する外部
市場の需要、およびプロジェクトの組成や契約の実際の進捗具合を考慮に入れ、通年で活動のレ
ビューを継続していく。
2022-2024 年の計画対象期間は、 EIB グループによるパンデミックへの景気循環対抗策の段階的終
了を視野に入れており、また EU の政策優先課題に沿って構造的な投資ギャップに対処することに新
たな重点を置いている。さらに、アドバイザリー・サービスが、 EIB グループの業務活動に完全に統
合される形で融資計画に組み込まれている。同計画は、新設の支店である「 EIB グローバル」の業務
活動を織り込み、同支店の事業計画の範囲を定め、欧州連合域外での EIB の影響力を強化するための
戦略的課題および機会について初期構想を提示する。さらに EIB は、 EIB グローバルの設置により、
債務負担や債務持続可能性の課題に直面する多くの途上国において欧州連合の政策目標や基準の対
外的推進を支援することで、国際連合の SDGs への貢献を強化していく。
2021-2027 年の多年次財政枠組み( MFF )に関連して、 EU の優先課題は、その新たな重点を単一市
場、イノベーション、デジタル、結束、天然資源、環境、輸送、エネルギー、公正な移行、近隣・
開発・国際協力に置いている。 EIB の貸付は、気候行動と環境サステナビリティ、および経済と社会
的結束という横断的な2つの指標に加え、欧州連合の政治的優先課題に準じた EIB の公共政策上の目
標、とりわけ持続可能な都市および地域づくり、持続可能なエネルギーおよび天然資源、イノベー
ション、デジタル資本および人的資本、ならびに SME および 中堅企業( mid-cap )向け融資に重点を
置き続けている。これらの目標に沿って、 EIB は、雇用創出およびグローバル競争力に貢献し、グ
リーン化およびデジタル化の課題に取り組み、欧州の価値を向上させ、ならびに欧州連合全域にお
ける生活水準および繁栄の格差を継続的に縮小させるようなプロジェクトのために利用可能な長期
金融を実施している。
業務計画における資金調達プログラムの予測は、業務目標を達成するために必要と想定される借
入を反映している。理事会は 2022 年について、グローバル借入承認案件の上限を 500 億ユーロとする
ことを承認し、また EIB は 450 億ユーロにのぼる資金調達プログラムを想定している旨を公表した。
22/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
EIB の良好な信用格付は、そのビジネス・モデルの要諦である。そのため EIB は、そのリスク選好
および公的使命に合致する信用リスク、市場リスクおよび流動性リスクのみを受け入れることとし
て いる。健全な財務方針を追求することで、 EIB は長期的な成長のための資金を自給できるよう努め
ている。
2.貸付業務
EU の銀行としての EIB の使命は、 TFEU 第 309 条に規定されているとおり、欧州連合の政策目的に貢
献する実現可能なプロジェクトに投資することである。資金供与先のプロジェクトは、厳格な経
済、技術、環境および社会的基準をみたす必要があり、入念なデュー・デリジェンスおよびリスク
管理の実施対象となる。
(11)
2021 年 12 月 31 日現在、契約済貸付金の残高は 5,564 億ユーロ ( 2020 年末: 5,587 億ユーロ)と
僅かに減少し、 2021 年中に契約を締結した貸付金の 82.0 %( 2020 年: 82.2 %)が欧州連合域内プロ
(12)
ジェクト向けであった。 EIB の実行済貸付金ポートフォリオは 4,334 億ユーロ であり、これに対
して 2020 年末は 4,446 億ユーロであった。 2021 年の EIB の融資動向には、欧州連合内の第三者資金の
活用(汎ヨーロッパ保証基金( EGF )による展開事業など)や分散型金融商品への一層の集中が反映
されており、それらにより EIB の自己資金源が補完され、 EIB はより高リスクな事業の取扱全体量を
増やすことができるようになる。
注 (11) 自己資金源、貸付金および代替貸付金を含む。
注 (12) 自己資金源、貸付金および代替貸付金を含む。
2.1. 新規契約
(13)
2021 年の新規契約の成約高は合計 654 億ユーロ であり、このうち 543 億ユーロが EIB の自己資金
源によるものであった( 2020 年: 661 億ユーロ、うち 646 億ユーロが EIB の自己資金源によるもの)。
新規契約の 88.5 %( 2020 年: 85.9 %)が EU 加盟国のプロジェクトを融資提供先とするものである
(地理的分布の詳細は以下の表を参照のこと。)。
注 (13) 自己資金源、貸付金および代替貸付金を含む。
国別または地域別の契約実績
2021 年 合計比 2020 年 合計比
契約先
( 百万ユーロ ) ( % ) ( 百万ユーロ ) ( % )
イタリア 9,860 15% 10,856 16%
フランス 9,153 14% 8,938 14%
スペイン 8,962 14% 7,625 12%
ポーランド 5,769 9% 4,615 7%
ドイツ 4,612 7% 5,946 9%
ギリシャ 2,898 5% 2,391 4%
ベルギー 2,700 4% 1,279 2%
オランダ 2,041 3% 2,037 3%
フィンランド 1,724 3% 652 1%
オーストリア 1,437 2% 1,636 2%
スウェーデン 1,409 2% 2,106 3%
チェコ共和国 1,003 2% 1,195 2%
23/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
ハンガリー 880 1% 758 1%
ポルトガル 876 1% 1,614 2%
ルーマニア 842 1% 460 1%
デンマーク 689 1% 547 1%
(
注 )
EFTA 266 0% 68 0%
3,015 *
他の EU 加盟国 5% 4,108 6%
候補国および
潜在的候補国 849 1% 873 1%
6,371 8,385
その他諸国 10% 13%
65,356 66,089
(*) ブルガリア1億 7,600 万ユーロ、クロアチア1億 1,300 万ユーロ、キプロス2億 3,400 万ユーロ、エストニ
ア2億 7,100 万ユーロ、アイルランド6億 7,200 万ユーロ、ラトビア 9,900 万ユーロ、リトアニア 9,700 万
ユーロ、ルクセンブルク 3,400 万ユーロ、スロバキア2億 4,000 万ユーロ、スロベニア 8,000 万ユーロ、
多国間契約9億 9,900 万ユーロ。
( 注 ) EFTA :欧州自由貿易連合
24/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2.2. COVID-19 への EIB の対応策
EIB グループは、欧州連合の COVID-19 のパンデミック対策において一翼を担っており、この危機の
経済的な影響を抑え込み当面の医療関連緊急事態に対処するために欧州の諸機関と協働している。
COVID-19 のパンデミックに陥って以降、 EIB グループは、危機の直撃を受けた企業、公衆衛生および
ワクチン供給を対象に約 720 億ユーロの支援を承認してきた。 2021 年だけでも EIB は、 COVID-19 の危
機への直接的対応を目的とする 109 件の単独事業について(既承認総枠の 558 億ユーロに対して)合
計 129 億ユーロを承認した。
COVID-19 のパンデミックがもたらした危機に対応して EU レベルでその他の活動を行う場合は、汎
ヨーロッパ保証基金( EGF )( 2020 年下半期に 244 億ユーロ規模で設定された基金)がその資金を補
完することになっている。
EGF は、欧州連合の COVID-19 対策総合パッケージの一部として欧州理事会により承認され、これに
より EIB グループは、主に欧州の中小企業向けに最大 2,000 億ユーロの追加融資ができるようになっ
た。
EGF の保証の出所はその参加者である EU 加盟国であり、 EIB への資本拠出金に比例して保証が提供
される。かかる保証は、同基金の活動に関連する損失をカバーするために設定される。 EGF に基づく
事業は、 EGF の計算で EIB グループにより実施される。
2021 年 12 月 31 日現在、 EGF の出資者委員会および EIB の統治機関は総額 232 億ユーロのプロジェクト
を承認している。これらのプロジェクトは全部で 22 の参加加盟国で展開され、投資総額で 1,744 億
ユーロの動員を見込んでいる。契約金額は EIB グループ全体で 181 億ユーロ( EIB が 101 億ユーロ、お
よび EIF が 80 億ユーロ)であり、 EGF の資金が欧州連合全域の企業に効果的に行き渡っていることを
示している。
EGF -承認額、契約額、予想投資動員額(事業主体別)
2021 年 12 月現在
(百万ユーロ)
予想投資動員額
承認総額 契約総額
(評価額)
EIB 10,442 10,050 82,431
EIF 12,778 8,041 91,967
合計 23,220 18,091 174,398
EGF の保証は、金融仲介機関が企業に対してより好条件でより多くの資金を貸し付けようとするイ
ンセンティブとして機能し、これにより企業は速やかに有利な融資を受け、 COVID-19 のパンデミッ
クの経済的影響を克服できるようになる。保証商品の承認および契約は 2021 年 12 月をもって終了さ
れているが、割当期間は 2022 年6月 30 日および 2022 年 12 月 31 日(国家補助に関する第三次通達パッ
ケージの承認により適用される国家補助フレームワークによる。)まで延長された。
保証商品と同様に、汎ヨーロッパ保証基金( EGF )によるエクイティ・オペレーション(持分取
引)およびエクイティ・タイプ・オペレーション(持分型取引)の承認は 2021 年をもって終了され
ているが、これらの契約は件数に限定はあるが 2022 年2月まで可能である。
25/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021 年8月、欧州委員会は、合成証券化形式による EGF の新商品を承認した。その予算は 14 億ユー
ロで、 EIB は 145 億ユーロの投資の動員を見込んでいる。資産担保証券( ABS )取引の契約は 2022 年6
月 30 日まで可能である。
EGF の取組みとは別に、 EIB グループは、医療分野への投資に活用可能な 60 億ユーロの起債見込案
件を有している。これは、 医療インフラ、研究の推進、その他ワクチンや治療法に関する融資に利
用可能である。 EIB は、この重大な疾病に対する治療法および診断法ならびに COVID-19 ワクチンを開
発する欧州の革新的なバイオ医薬品・医療技術会社を直接支援している。
EIB グループはプロジェクトの一部に対して資金や保証を提供することも可能であり、そのため、
現状の起債見込案件から支援対象投資先に対してさらに巨額の資金が動員されることも想定され
る。 2021 年 12 月 31 日現在、 EIB の医療系の起債見込案件に基づいて成約した貸付金は 54 億ユーロとな
り、このうち4億 700 万ユーロが COVID-19 ワクチンの応用研究に関するものであった。
2.3. 経済・社会的な結束の支援に尽力
欧州連合の結束政策に対する支援は、設立当初から EIB の事業の心臓部であり、 EIB の定款にも明
記されている。結束のための EIB の融資は、1人当たり GDP の低い EU 地域でのプロジェクトを支援
し、それにより雇用・教育の機会、公共インフラ・サービスへのアクセス、および健康的で持続可
能な環境を提供することで格差の解消を目指す。新たな 2021-2027 年 EU 結束政策の下、 EIB グループ
は経済・社会・地域的な結束に貢献することで、今後も欧州連合全域の国や地域を支援していく。
2021 年だけでも、欧州連合の結束上の重点地域に対する EIB の融資は 198 億ユーロにのぼり、この額
は欧州連合域内における EIB の契約総額の 41 %超に相当する。 EIB の結束のための貸出は 2021 年に気
候行動への集中を強めており、気候行動への貸出金の比率は欧州連合域内の EIB 貸出金総額比では
50 %であるところ、結束支援地域向けの EIB の貸出金ベースでは 55 %を占めた。
2021 年 10 月に承認された新たな 2021-2027 年結束政策の一環で、 EIB グループは、結束に特化した
融資を 2022 年までに欧州連合域内融資の 30 %から 40 %に、および 2025 年までに 45 %に増やす準備が
できている。低開発地域については、 EU 域内貸出金の 20 %を充て、 2025 年までに EU 域内契約総額の
23 %に増やすという重要な業績指標が導入された。 EIB は、プロジェトの経済・環境上の利益が地域
レベルで明確である場合において、実証済み技術を初めて導入しようとする低開発地域の中堅企業
(従業員数が 250 人から 3,000 人の企業)( mid-cap )向けに資金を供給することを目標としている。
気候行動と結束という EIB グループの2つの横断的な主要政策目標をつなぐ重要な橋渡し役となっ
ているのが、伝統的に化石燃料や炭素集約型産業に依存的な地域における結束および欧州連合の公
正な移行メカニズム( JTM )への EIB グループの貢献である。
2.4. EIB と欧州委員会やその他のパートナー機関との協働
EIB グループは、 EU 機関やその他のパートナーと緊密に連携して、欧州連合の目標および政策優先
課題の支援に取り組んでいる。経済の先行き不透明感が顕著なこの 10 年間において、かかる協力の
成功例としてまず挙げられるのは欧州戦略投資基金( EFSI )であり、他の方法では実施できなかっ
たであろう共同融資プロジェクトが同基金の支援で可能となった。 EFSI はまた、新しい融資手法へ
の道筋も提示している。
2021 年中、 EFSI は、 5,000 億ユーロの投資支援という意欲的な目標を超過達成した。 EFSI は、イン
フラなどの比較的古い分野だけでなく、研究・イノベーションの周辺領域や気候変動緩和策への貢
献などの面で、 EU 経済に確固たる影響を与えている。同基金はまた、コロナウィルスのパンデミッ
クへの欧州連合としての対策にも貢献し、その守備範囲の広さを実証している。経済見積りにおい
26/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
て、 EFSI 関連の投資によって、 2025 年までにベースライン・シナリオ比で GDP が 2.4 %増加し、 210 万
(14)
件の雇用が新たに創出されることになっている 。
注 (14) RHOMOLO-EIB (マクロ経済への影響評価のための定評ある厳格なモデル)による。
EFSI のマンデートに基づく最終プロジェクトの承認が 2020 年 12 月に行われ、また EFSI の対象事業
の契約期限は 2022 年 12 月 31 日までとされている。
もっとも、欧州委員会は、 EFSI のグローバル承認案件に関する投資期間について、合意により解
釈を変更した。かかる解釈により、 EIB は、すでに承認が下りている EFSI のグローバル承認案件/承
認枠の新規のサブ事業を 2022 年末まで承認することができるようになっている。
(15)
2021 年末現在、 EIB グループは総額 993 億ユーロ にのぼる 1,513 件の対象事業を抱え、実施する
投資は目標の 5,000 億ユーロを超える 5,243 億ユーロと見込んでいる。
注 (15) この金額は、グローバル承認案件や全部解約された事業を除いたアクティブな事業を参照している。
2021 年 12 月 31 日現在、総額 658 億ユーロの融資を伴うインフラストラクチャーおよびイノベー
ション・ウィンドウ( IIW )の 708 件の対象事業が承認されており、 598 億ユーロは契約済みである。
このうち 440 億ユーロは実行済みであり、その内訳は 403 億ユーロがデット・タイプ・オペレーショ
ン(負債型取引)および 37 億ユーロがエクイティ・タイプ・オペレーション(持分型取引)であっ
た。
SME ウィンドウのもとで、 204 億ユーロにのぼる 455 件の金融保証取引が承認された。 2021 年末現
在、 EFSI の支援の恩恵を受ける保証取引について 155 億ユーロが契約済みであった。 EIF はまた、 SME
ウィンドウの持分およびリスク資金源のマンデートを通じて、 131 億ユーロ相当の投資基金を用いた
350 件の取引を承認しており、 2021 年 12 月 31 日現在における契約額は 120 億ユーロとなった。
インフラストラクチャーおよびイノベーション・ウィンド
合計
ウ( IIW )
承認済事業件数
708
2021 年 12 月 31 日現在の承認済事業( 100 万ユーロ) 65,759
うち持分型取引 6,965
うち負債型取引 58,794
契約済事業件数 664
2021 年 12 月 31 日現在の契約済事業( 100 万ユーロ) 59,843
うち持分型取引 6,788
うち負債型取引 53,055
2021 年 12 月 31 日現在の実行済事業( 100 万ユーロ) 44,044
うち持分型取引 3,768
うち負債型取引 40,276
(*) 前年と同様、金額は 2021 年中に解約された事業を控除している。
SME ウィンドウ( SMEW ) 合計
承認済事業件数
805
27/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021 年 12 月 31 日現在の承認済事業(百万ユーロ) 33,503
契約済事業件数 799
2021 年 12 月 31 日現在の契約済事業(百万ユーロ) 27,552
EFSI は、 EU の公的融資に基づく将来の経済活性化プログラムを一変させるゲームチェンジャーと
して機能し、またインベスト EU プログラム( 2021-2027 年の EU 多年次財政枠組み ( MFF )に基づき展
開される EFSI の後継プログラム) への道筋を切り拓いてきた。欧州連合の 2021-2027 年長期予算(現
価で1兆 2,000 億ユーロ)は、ネクスト・ジェネレーション EU ( NGEU )の臨時復興支援商品(現価で
8,069 億ユーロ)も組み合わせて、 COVID-19 のパンデミックで生じた経済・社会的損害を手当てする
ためのかつてない対策を打ち出し、より時代に即した持続可能なヨーロッパへの移行を支援してい
く。
2021-2027 年次 MFF や NGEU の新復興手段の法的根拠の採択の遅れや、新時代の EU プログラムの実施
に向けた協議に要する時間を理由として、 EIB グループがこれらのプログラムに基づくマンデートを
導入し実行に移すのは 2022 年中となる見込みである。 EIB グループは、 EU の新しいプログラムやマン
デートの円滑な実施を確保するために欧州委員会と連携して作業を進め、顧客であり協調融資の
パートナーである各国の振興銀行および振興機関ならびに開発金融機関と引き続き緊密に協力して
いく。
EIB グループは、「近隣・開発・国際協力手段( NDICI )-グローバル・ヨーロッパ」などのよう
な EU 予算で賄われる資金調達手段の成功において重要な役割を担っている。 EIB はまた、インベスト
EU の主要な実施パートナーであり、マンデート総予算額の 75 %について運用責任を負っている。欧
州連合長期予算の現行の期間にわたり、インベスト EU の 262 億ユーロの保証は、 MFF およびネクス
ト・ジェネレーション EU からの資金提供も駆使しつつ、ヨーロッパで 3,720 億ユーロ超の民・官の追
加投資を動員するものと見込まれており、その主な対象は持続可能インフラ、研究・イノベーショ
ン・デジタル化、 SME および社会的投資・技能である。
また、加盟国は、復興・強靭化ファシリティ( RRF )に基づく復興および強靭化を実施するため
の手段として、インベスト EU を活用することができるようになる。 EIB グループは、ギリシャやイタ
リアなどの EU 諸国との二国間マンデートによる分散型金融商品を通じて、 RRF の資金源を活用した実
施支援を行っている。さらに、 EIB のアドバイザリー・サポートは、新規および既存のマンデートに
基づいて、 EU の資金調達のより有効な活用に向けて加盟国を支援することができる。新設のインベ
スト EU アドバイザリー・ハブは、他の実施パートナーを取り込んだオープン・アーキテクチャで欧
州委員会により運用されるが、その中にあっても、 EIB はその独自の広く深い専門知識が認められ、
メインのアドバイザリー・パートナーを引き続き務めていく。
(16)
2.5. 欧州連合域外の事業
注 (16) 本項で示す数値は、別途に記載する場合を除き、自己資金源による貸付金および代替貸付金を含む。
欧州連合域外の投資に融資をすることにより、 EIB は約 60 年にわたり EU の対外的政策目標を積極的
に推進してきた。 EIB は、欧州連合にとって戦略上の重要性が最も高い EU 近圏(東部近隣諸国、西バ
ルカン諸国、中東および北アフリカを含む。)における最大の国際貸付機関である。 EIB は、アフリ
カ、ラテンアメリカおよびアジアに置かれた約 30 の在外事務所ネットワークを通じて欧州連合域外
での業務を運営している。
28/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021 年は欧州連合域外での需要が引き続き大きく、 2021 年末現在で 1,001 億ユーロ(うち 2021 年に
契約したものは 75 億ユーロ)の貸付金を 94 か国に付与してきた。
アフリカおよび東部近隣諸国を主とする欧州連合外の活動の大部分は、欧州連合からの保証(対
外貸付マンデート)または EIB の構成員からの(コトヌゥー協定フレームワークの範囲内での)保証
により、包括保証または政治リスク保証の形でカバーされる。次世代のマンデートに関する MFF の協
議の中で、 EIB はすでに、政策的一貫性をさらに高め EU の外部パートナーと対話するという EU のプロ
セスに重要な一員として関与している。「近隣・開発・国際協力手段( NDICI )-グローバル・ヨー
ロッパ」を設定するための規則が 2021 年6月に採択され、これにより翌年以降の EIB の欧州連合域外
事業における継続性が基礎付けられてゆく。
EIB は、欧州連合の政治経済目標の実現に貢献し、また東部・地中海近隣地域の政情憂慮国を含む
世界のあらゆる地域において欧州連合の対外活動を支援している。
EIB は、 EU の共同外交安全保障政策全般(適用ある制裁措置を含む。)の目的に沿い、 2014 年以降
ロシア連邦での貸出業務を停止している。 EIB は、専用の制裁遵守プログラムを含む厳格なコンプラ
イアンス統制を敷き、これによりロシア連邦に(間接的にでも)関連する EIB の活動は適用あるすべ
ての制裁をこれまで確実に遵守してきており、またロシア連邦に影響ある部門別制裁を含むあらゆ
る新たな制裁をこれからも確実に遵守していく。
現段階で最終的な影響を予測することは困難であるものの、ロシア連邦によるウクライナへの軍
事侵攻以降の現在の事態拡大の動向は、 EIB のポートフォリオに対する潜在的影響(課されうる追加
制裁の影響を含む。)に備えて注意深く監視されている。
以下に詳述するように、ウクライナにおける EIB の実行済エクスポージャーの大部分は EU 域外貸付
マンデートの保証でカバーされており、またロシア連邦の債務者に対する EIB の自己リスクによる実
行済エクスポージャーは存在しない。 EIB の貸付金ポートフォリオの質は現在も適切な水準を維持し
ている。
ウクライナへの軍事侵攻に伴うグローバル金融市場の不確実な一般情勢下でも、 EIB は、流動性管
理に対する慎重なアプローチにより、引き続き強固な流動性ポジションおよび必要な流動性リソー
スへの柔軟なアクセスを維持している。
ロシア連邦
EIB は引き続き、同国に関する適用ある EU の政策ガイドラインに従う。ロシア連邦内の借手に対す
る EIB の実行済エクスポージャーの総額は、 2021 年末現在で 1,610 万ユーロ( 2020 年: 1,780 万ユー
ロ)であり、このうち EIB が自己リスクを負うものはなかった。
ウクライナ
ウクライナの借手に付与した貸付金における実行済エクスポージャーの総額は、 2021 年末現在で
15 億 7,010 万ユーロ( 2020 年: 14 億 8,610 万ユーロ)であった。このうち 13 億 180 万ユーロ( 2020 年:
12 億 3,670 万ユーロ)は EU 域外貸付マンデートに基づく欧州連合の包括保証でカバーされる。残部の
2億 6,830 万ユーロは EIB の自己リスク部分であるが、2億 5,130 万ユーロは EU 域外貸付マンデートに
基づく EU 政治リスク保証によりカバーされる。
さらに、未実行の契約済事業において 46 億 5,220 万ユーロが確約されている。 このうち 44 億 3,700
万ユーロは域外貸付マンデートに基づく欧州連合の包括保証でカバーされる。残部の2億 1,520 万
ユーロは自己リスクを負うが、うち1億 8,040 万ユーロは EU 域外貸付マンデートに基づく EU 政治リス
ク保証によりカバーされる。
さらに、 EIB は 2021 年末現在、4億 5,910 万ユーロ( 2020 年:4億 2,380 万ユーロ)の契約金額につ
いてウクライナに所在するカウンターパーティーに金融保証を提供していたが、これは域外貸付マ
ンデートに基づく欧州連合の包括保証により全額カバーされる。
29/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
ベラルーシ
ベラルーシにおける EIB の実行済エクスポージャーは至って限定的( 2021 年末で1億 7,330 万ユー
ロ、 2020 年末で1億 9,000 万ユーロ)であり、このうち 94 %は EU 域外貸付マンデートにより担保され
る。さらに、未実行の契約済事業において3億 6,000 万ユーロが確約されているが、 EIB が自己リス
クを負うのは 1,000 万ユーロのみと見込まれ る。しかし、それは EU 域外貸付マンデートに基づく EU 政
治リスク保証によりカバーされる。昨年来、 EIB は重大な懸念をもってベラルーシの動向を観察して
いる。 EIB は、問題視された 2020 年8月の同国の大統領選挙を受けてベラルーシでの活動を停止し、
EU の政策に沿って今後も同じ対応をとり続ける。 EU の制裁が発動され続ける限り、 EIB は今後ベラ
ルーシに対する一切の貸付を実行しない予定である。
トルコ
トルコにおける実行済エクスポージャーの総額は、 2021 年末現在で 91 億ユーロ( 2020 年: 104 億
ユーロ)であった。このうち 59 億ユーロ( 2020 年: 62 億ユーロ)は EU 域外貸付マンデートの保証で
カバーされるが、 32 億ユーロ( 2020 年: 42 億ユーロ)は EIB が自己リスクを負う。さらに、未実行の
契約済事業において3億ユーロが確約されており、このうち EIB の自己リスクを負うのは1億ユーロ
と見込まれている。
レバノン
レバノンのカウンターパーティーの信用状態は、同国の政治経済の混乱による影響が生じてい
る。レバノンにおける実行済エクスポージャーの総額は、 2021 年末現在で4億 780 万ユーロ( 2020
年:4億 5,840 万ユーロ)であり、このうち3億 5,640 万ユーロ(対レバノンの実行済エクスポー
ジャー総額の 87 %、 2020 年:3億 9,190 万ユーロ)は EU 域外 貸付 マンデートにより担保されている。
さらに、 未実行の契約済事業において 8億 8,700 万ユーロが確約されており、これは EU 域外貸出マ
ンデートにより全額が担保される。慎重を期すため、実行済事業の EIB のリスク・ポートフォリオに
ついては個別引当金が設定されている。
チュニジア
チュニジアのカウンターパーティーの信用状態は、 2021 年第3四半期中の同国のマクロ経済およ
び政治状況の悪化により影響を受けた。チュニジアにおける EIB の実行済エクスポージャー総額は 17
億 1,730 万ユーロ( 2020 年は 19 億 2,250 万ユーロ ) で、そのうち 15 億 3,710 万ユーロ( 2020 年: 17 億
2,020 万ユーロ)は EU 域外貸付マンデートにより保証されている。さらに、未実行の契約済事業で9
億 7,510 万ユーロが確約されており、このうち EIB が自己リスクを負うのは 1,800 万ユーロのみと見込
まれている。 EIB は、状況の推移を注意深く監視し、リスク・ポートフォリオに関する追加の個別引
当金の必要性について検討する。
EIB と開発金融
開発のための欧州金融アーキテクチャ( EFAD )に関する 2021 年6月の欧州連合理事会の結論文
書は、 EU の銀行としての EIB の重要な役割を認めるとともに、欧州の開発銀行や金融機関のすべて
が協働できるオープンで包摂的なアーキテクチャを EFAD の基盤とすべきことを強調した。結論文
書はまた、 EIB に対し、パートナーの国内での対象事業の開発インパクトを高めるための改善策を
提示するよう要請しており、その重点として EIB の欧州連合域外活動について差別化された戦略を
確保すること、関連する EU の開発政策担当当局と連携すること、および現地でのプレゼンスおよ
び現地パートナーとの協力関係を強化することが挙げられた。
30/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
欧州連合理事会の結論文書を受けて、 EIB 理事会は 2021 年9月、 EIB の欧州連合域外活動のため
の新たな支店の設立(開設は 2022 年1月1日)を承認した。
「 EIB グローバル」という新たな支店は、拡大地域、欧州連合の東・南部近隣諸国、サブサハラ
(サハラ以南)アフリカ、アジア、ラテンアメリカ、カリブ海地域および太平洋地域における EIB
のすべての活動を担当する。 EIB グローバルは、 EIB の内部組織ユニットであり、 EIB の現行の法的
枠組みに基づいて運営される。同支店は、固有のブランドおよびアイデンティティを備え、固有
のスタッフと経営陣を擁し、充実した EU 域外拠点ネットワークを持つことになる。同支店は、グ
ループ業務計画に基づき EIB 理事会から年次で専用の資本金の配分を受け、また EU の開発関係機関
が参加する専用の諮問団会議から意見を傾聴する。
これらの要素を駆使して、開発へのより大胆な集中を確保し、またインセンティブを用いたよ
りインパクト志向なカルチャー、様々なリスク選好に基づく差別化された支店戦略、より特化さ
れ適切に調整された政策および指針、ならびにチーム・ヨーロッパのパートナーとの強い協力関
係を築き上げることにより、欧州連合理事会の結論文書の要請に適切に対応していく。
同支店は、 EIB 理事会が定める EIB グループ全体の方針、枠組みおよび基準に全面的に則って運
営される。
2.6. 綿密なデュー・デリジェンスおよび厳格な選別基準
EIB のデュー・デリジェンス手続は、 EIB が資金を供給するプロジェクトに厳格な適格基準を適用
することによっても貸付金ポートフォリオの優良性を確保している。貸付業務の評価手続には、貸
付担当役員、エコノミスト、エンジニアおよびその他の分野の専門家、リスク管理者および法律家
による取引相手方およびプロジェクトの査定が含まれる。プロジェクトの実現可能性は、いくつか
の角度(経済、技術、環境/社会および財務)から検討される。
評価段階から貸付金の残存期間にわたってリスク方針が適用される。 EIB は、早期介入を可能とす
るため、必要に応じて契約後の監視を実施している。貸付金の残存期間にわたって、 EIB は取引相手
方の信用度および契約上の義務全般の遵守状況を監視している。また、プロジェクトの審査および
事前評価の徹底は、定期的な事後検証と相まって、 EIB の貸付金ポートフォリオの優良性を支えてい
る。
31/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
気候行動および環境サステナビリティの観点は、全プロジェクトの調査およびモニタリングを通
じて考慮される。 EIB は、直接に資金供給を行ったプロジェクトで重大な排出を伴うものすべてに関
し、二酸化炭素排出量を絶対値と相対値で計算および報告する。さらに、二酸化炭素の経済的価値
を 環境外部経済性の会計処理に含めている。
32/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2.7. 高度 に担保された優良な貸付金ポートフォリオ
不確実な一般情勢下にあっても、 COVID-19 のパンデミックにより EIB の貸付金ポートフォリオの信
用力が重大な影響を受けることはなかった。信用リスク管理の戦略は、融資対象プロジェクトの特
性と相まって、 EIB がよりリスクの高い貸付に傾注する中でも優良な貸付金ポートフォリオを支えて
いる。貸付金ポートフォリオの信用力は、 EIB の減損率の低さでも表される。
・ EIB の貸付金ポートフォリオの多くは、信用補完もしくは EU へのリコースまたは EU 加盟国の保
証により手当てされている。信用補完の多くは、 EU ソブリン、 EU 予算、投資適格を有する銀行
および企業ならびに優良金融担保によるポートフォリオ保証、ならびに権利や質権の設定の形
(17)
をとる。銀行および企業に対する無担保貸付金は、合計で 1,406 億ユーロ ( 2020 年末:
1,358 億ユーロ)であり、 2021 年 12 月 31 日現在のリスク・ポートフォリオ全体の 27.7 %( 2020 年
末: 26.7 %)を占めた。
注 (17) 自己資金源、貸付金および代替貸付金を含む。
・ EIB のリスク・ポートフォリオの資産の質は極めて優良である。 2021 年末現在の EIB のリス
(18)
ク・ポートフォリオのうち、内部格付上の投資適格水準 をみたす優良な借手または保証人
(19)
を相手先とするものが 83.5 % ( 2020 年: 83.2 %)を占めた。
注 (18) Baa3 を上回る格付。
注 (19) 自己資金源による貸付金および代替貸付金を含む。
(20)
・ 2021 年末の EIB の実行済ソブリン・エクスポージャー は 455 億ユーロ( 2020 年: 465 億ユー
(21)
ロ)であり、ソブリンによる保証が付された契約済エクスポージャー は 784 億ユーロ( 2020
年: 780 億ユーロ)であった。 EIB は保有する EU ソブリン・エクスポージャーおよび EU ソブリン
保証エクスポージャーに関していかなる減損も計上しなかった。 EIB の優先債権者としての地位
および定款に基づいて与えられる保護により、 EIB のソブリン資産は全額の回復が保証されと考
えて差し支えない。
注 (20) 自己資金源による貸付金および代替貸付金を含む。
注 (21) 自己資金源による貸付金および代替貸付金を含む。
・ 2021 年末現在、全実行済エクスポージャーのうち、 15 億ユーロ( 2020 年: 19 億ユーロ)の 49
件の貸付契約( 2020 年: 61 件の貸付契約)について減損が生じて個別引当の対象となった。こ
のような取引は貸付金ポートフォリオ全体の 0.3 %( 2020 年: 0.4 %)であり、そのために EIB は
エクスポージャーの総額(実行済エクスポージャー、経過利息および延滞エクスポージャー)
に対して総額4億 4,390 万ユーロ( 2020 年:5億 8,730 万ユーロ)の個別引当金を計上してい
る。設定されている担保、保証およびポートフォリオ信用補強に照らせば、個別引当は比較的
低い水準であった。
・ COVID-19 のパンミックに対する EIB のカウンターパーティーの脆弱性を監視した結果、 2020 年
に一括引当金の形で設定された追加の引当金について、 2021 年第2四半期に戻入を行った。か
かる引当金は、法定財務書類に対する COVID-19 の潜在的な影響の評価を反映するために計上さ
れ、その金額は 2020 年末現在で 7,480 万ユーロであった。
33/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
(22)
・ 欧州連合または加盟国のグローバル/包括保証により担保されていない貸付金 で、 90 日
を超えて延滞しているものは、 2021 年末現在で1億 1,630 万ユーロ( 2020 年:1億 1,710 万ユー
ロ)であった。
注 (22) 貸付金ポートフォリオのうち 90 日を超えて延滞しているものの詳細は、以下「第3 発行者の概況
- (5) 経理の状況- ③ EU 会計指令に基づく個別財務書類」に収載の法定財務書類の注 U を参照のこ
と。
・ EIB の通常の活動よりも高いリスクを伴う事業は、「特別活動」と呼ばれる。 2021 年に締結さ
(23)
れた EIB の自己資金源による新規特別活動 の規模は 36 億ユーロ( 2020 年:8億ユーロ)で
(24)
あった。自己資金源による特別活動 の累積残高は 216 億ユーロ( 2020 年: 196 億ユーロ)に
増加し、リスク・ポートフォリオ全体の 4.0 %( 2020 年: 3.6 %)を占めた。
注 (23) 自己資金源による貸付金および代替貸付金を含むが、 EIB の EIF に対するマンデートは除く。
注 (24) 自己資金源による貸付金および代替貸付金を含むが、 EIB の EIF に対するマンデートは除く。
・ 貸付エクスポージャーに関する予想損失は、専用の一般貸倒準備金( GLR )に割り当てられ
る。
・ 一般貸倒準備金の他、特別活動事業のための想定準備金割当が専用の特別活動準備金に充当
される。 2021 年決算の充当案を反映した後の特別活動準備金は 103 億ユーロ( 2020 年: 121 億
ユーロ)であり、このうち 56 億ユーロ( 2020 年: 57 億ユーロ)は EIB に代わって EIF が運営する
活動に関するものであった。
・ 貸付金格付に基づく要注意リストには、入念なモニタリングが必要な貸付取引が含まれる。
こうした取引は、内部貸付金格付の大幅な引下げを受けて、または重大な信用事象が発生した
後に要注意リストに入れられる。要注意リストの金額は 70 億ユーロ( 2020 年: 74 億ユーロ)に
減少し、リスク・ポートフォリオの 1.3 %( 2020 年: 1.3 %)を占めた。
3. 資金調達業務
EIB は、国際資本市場での債券発行を通じて長期資金を調達することにより、貸付の需要に対応し
ている。資金調達活動は、決められた目標額を、 EIB の資産負債管理に沿った満期設定により達成
し、コストを持続可能な範囲で最適化することを目指す。 資金調達源および調達期間の分散化は、
様々な資金調達市場で継続的なプレゼンスを維持する EIB の柔軟性を支えている。
EIB の資金調達戦略は、世界の主要通貨建の大規模かつ流動性が高いベンチマーク起債に依拠して
いる。これを補完するものとして、通常は照会により対象を限定する発行(普通債および仕組債)
がある。 EIB の気候銀行ロードマップおよび整備が進む EU の持続可能金融法制に進取的に対応すると
いう EIB の戦略と関連して、借入プログラムで増加が目立つもうひとつの要素がサステナビリティ・
ファンディングであり、その額は過去最高の 115 億ユーロ相当に達した。これにより EIB は昨年、国
際開発金融機関として、発行手取金の使途を限定したグリーンボンドおよびサステナビリティ・ボ
ンドの最大の発行体となった。
EIB は、 600 億ユーロの資金調達プログラムおよび 700 億ユーロの借入承認を発表して当年をスター
トさせた 。 2021 年の資金調達目標には、前年に計上済みの事前調達資金( 55 億ユーロ)(パンデ
ミックへの EIB の政策的対応に基づく貸出実行高の増加に伴い、 EIB は 2020 年に発行額を 700 億ユーロ
に増額していた。)が織り込まれている。 2021 年の資金調達目標額では、 EIB の貸付目標、債務の返
済、高格付債券市場での供給の増加、および堅実な所要流動性額が考慮されている。 2021 年に、 EIB
34/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
は 21 通貨(そのうち5つは合成通貨)建で 553 億ユーロ相当の債券を発行した。 EIB は例年通り、世
界の資本市場の発行業務がピークを迎える年初において、資金調達活動の初動に力を注いだ。 2021
年 1月、 EIB は、ユーロ建および米ドル建の両ベンチマーク債で過去最高額のオーダーブック 、英ポ
ンド建債の過去最高額の新規発行、ならびに SSA 債(ソブリン債、国際機関債および政府機関債の総
称)の分野で 過去最高額の豪ドル建グリーンボンドを実現した。純発行額は、 2021 年はマイナス 97
億となり、発行額が償還額を下回るのは過去 10 年間でこれが2度目(前回は 2019 年)である。ここ
数年、純発行額はわずかなプラスで推移していた。
2021 年はまた、分散型台帳技術を用いた債券をパブリック・ブロックチェーン・ネットワーク上
で初めて発行するという功績を残した。
3.1. EIB の資金調達の満期構成
・ 2021 年の資金調達の平均満期はユーロ建および米ドル建の長期債の発行に伴い 8.0 年となり、
近年( 2020 年は 6.9 年および 2019 年は 7.2 年)との比較において伸長した。
・ 通貨別では通常、 EIB の主要通貨の中で平均満期が最長となるのはユーロ建債の発行である。
2021 年のユーロ建資金調達の平均満期は 10.2 年( 2020 年は 8.9 年)であった。
これを支えたのは、 30 億ユーロ( 15 年物)および 50 億ユーロ( 10 年物)のユーロ・エリア・
リファレンス・ノート( EARN 債)、 15 億ユーロの新規 SAB ( 2041 年満期)および CAB ( 2047 年満
期)のタップ発行(総額 17 億 5,000 万ユーロ)、ならびに 10 億ユーロの新規ユーロコオペレー
ション債( ECoop 債)( 30 年物)であった。また、前年からの変動には、パンデミック初期の
2020 年3月に 30 億ユーロの EARN 形式のベンチマーク債が短期(3年物)で発行されたことも影
響している。
・ EIB の米ドル建債の発行における平均満期は 2020 年の 5.1 年から 2021 年の 6.1 年に伸びたが、そ
の大きな要因は 40 億米ドルの 10 年物グローバル債プログラムであり、これがイールドカーブに
年限の伸長をもたらした。
・ 商品別では、サステナビリティ・ファンディング( CAB および SAB ) が平均満期としては最長
の 9.5 年( 2020 年は 11.1 年)となり、この市場セグメントにおける長期投資家の重要性が際立っ
た。
平均満期 ( 単位:年 )
通 貨 2021 年 2020 年
ユーロ
10.2 8.9
米ドル 6.1 5.1
英ポンド 5.3 4.8
その他 5.5 5.2
全体
8.0 6.9
3.2. 地理別ハイライト
・ 2021 年中、全体的な投資家の分布に大きな変化はなかった。欧州は引き続き投資家需要の主
要な源泉であり、その比率は 64 %( 2020 年: 69 %)であった。
・ アジアの投資家の関心は、主にユーロ建、英ポンド建およびその他通貨建債の発行において
高まり、その比率は 2020 年の 17 %から 2021 年は 20 %となった。米州の投資家の比率は、 2020 年
の 12 %から微増の 14 %となり、特にユーロ建以外の債券の発行で増加した。
35/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
・ 通貨間の地理的な偏差は依然として大きく、欧州域外の需要の大部分が米ドル建債に集中し
ている。 また、主にアジアや米州に拠点を置く投資家が扱うその他の通貨(すなわち豪ドル、
カ ナダ・ドルおよびニュージーランド・ドル)建債の発行も増加し、 2021 年の欧州域外投資家
の比率の拡大に寄与した。
36/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
3.3. 投資家別
・ EIB の投資家層は通常、投資家のタイプ別に、銀行の自己勘定取引( 2021 年の EIB の発行額の
37 %)、中央銀行および公的機関( 32 %)、ならびにファンドマネージャー、保険会社および
年金基金( 27 %)の3つに大別される。
・ 銀行の自己勘定取引は前年並みで、引き続き需要の大部分を占めた。ユーロ建債の発行につ
いては、銀行の自己勘定取引による購入の比率は 2020 年の 35 %に対して 31 %に減少した。 一方
で 2021 年中に、その他の通貨建債券の銀行自己勘定保有比率は英ポンド建で 60 %( 2020 年:
59 %)、および米ドル建で 39 %( 2020 年: 31 %)に増加した。
・ EIB の債券で最も大きい投資家区分は依然として銀行の自己勘定取引であるが、ここ数年は投
資元がその他の投資家群に若干シフトしている。この変化は主に、 (i) 米ドル建およびユーロ
建のベンチマーク債の発行に対する中央銀行(大半がヨーロッパ以外)の関心の高まり、 (ii)
EIB の発行債券全体に占める CAB/SAB の比率の増加により増幅する CAB および SAB への実質貨幣需
要、および (iii) 銀行の自己勘定取引に係る適格流動資産の保有圧力の緩和が牽引した。
・ その他の投資家(法人およびリテール投資家を含む。)による需要の比率は、 EIB のその他通
貨建債の発行を中心とする需要により、 2020 年(4%)と同水準を維持した。
・ 保険会社、年金基金およびその他のファンドマネージャーは、引き続きサステナビリティ・
ファンディングの重要な推進役である。 ESG に特化したポートフォリオの構築により、銀行の自
己勘定取引需要は(配分比で 2020 年の 29 %から 37 %に)高まったが、中央銀行の関心に大きな
動きはなかった。
37/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
3.4. EIB の主要発行通貨による資金調達パターンおよび商品タイプ
ユーロ、米ドルおよび英ポンドの主要通貨建債の発行は、合わせて 2021 年の調達総額の 88 %
( 2020 年は 90 %)を占めた。商品別では、資金調達プログラム全体のうち 53 %が英ポンド建および
米ドル建ベンチマーク債のフォーマットで発行され、前年の 59 %から減少した。 CAB と SAB による調
達比率は過去最高の 21 %となり、 2020 年( 15 %)から大幅に増加した。
2021 年に EIB は、ユーロ建ベンチマーク債(典型的に 30 億- 50 億ユーロの範囲内で設定)( EARN 債
フォーマットによるもの、およびベンチマーク・フォーマットによらないものの両方)で 266 億ユー
ロを調達し、これは調達総額の 48 %を占めた( 2020 年: 330 億ユーロ、 47 %)。 EIB は、ユーロ建ベ
ンチマーク債の発行で強固な投資家需要を集めており、第1回 EARN 債( 50 億ユーロの 10 年物)では
488 億ユーロ規模のオーダーブックが形成され、また9月に発行した第4回 EARN 債( 30 億ユーロの5
年物)では予定額の 12 倍の応募を集めこの種の取引で過去最大の応募超過となった。
EIB は 2021 年に、 205 億米ドル( 170 億ユーロ相当)の資金を調達し( 2020 年: 254 億米ドル)、米
ドル建債の発行体としての主導的な地位を確保した。 2021 年1月に発行された 50 億米ドルの5年物
グローバル債は 140 の投資家顧客から 126 億米ドル超の引き合いを受け、 EIB の米ドル建ベンチマーク
債は 2021 年に過去最高額を記録した。さらに EIB は 2021 年に、 44 億英ポンド( 49 億ユーロ相当)の英
ポンド建債を発行した( 2020 年: 64 億英ポンド)。
ユーロ相当額 (単位:十億ユーロ)
通貨 2021 年 2020 年
ユーロ 26.6 33.0
米ドル 17.0 22.6
英ポンド 4.9 7.4
その他 6.8 7.0
合計
55.3 70.0
3.5. その他の通貨による資金調達パターン
EIB の通貨多角化の方針は資金調達の柔軟性を強化するものであり、 EIB が費用優位性を獲得し、
現地通貨による実行の需要に応え、資金調達の満期プロファイルを細かく調整することを可能にし
ている。 2021 年に、 EIB はユーロ、米ドルおよび英ポンド以外の 18 の通貨建(そのうち5つ( BRL 、
(25)
EGP 、 IDR 、 INR および GEL ) は合成通貨建)で債券を発行した( 2020 年: 16 のその他の通貨建、
そのうち4つは合成通貨建)。その他の通貨建債の発行額は 70 億ユーロから 2021 年には 68 億ユーロ
へと微減し、当期の調達総額の 12 %を占めた(前年の 10 %から微増)。
注 (25) BRL :ブラジル・レアル、 EGP :エジプト・ポンド、 IDR :インドネシア・ルピア、 INR :インド・ル
ピー、および GEL :ジョージア・ラリ。
サステナビリティ・ファンディングでは過去最多の 15 通貨建で資金調達を実施し、これにより EU
基準を世界に普及させ、また EIB の資金調達構成の全体的な多様化にも寄与した。 EIB の 21 の発行通
貨のうち7通貨はもっぱら CAB/SAB 形式にて用いられており、また5通貨(中国人民元、ニュージー
38/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
ランド・ドル、ハンガリー・フォリント、ロシア・ルーブルおよびルーマニア・レウ)が CAB/SAB 形
式に初参入した。
2021 年に EIB は、堅調な投資家需要に支えられ、豪ドル建債の発行で 2010 年以降で最高額の資金を
調達した( 24 億ユーロ、または 38 億豪ドル)。 EIB はまた、ポーランド・ズロチ建債の最大の国際機
関発行体としてその地位を確立しており、貸付実行の必要額に対応するため 56 億ポーランド・ズロ
チ( 12 億ユーロ)を債券で調達した。新興市場においては、 2021 年に EIB は、 EIB では初のグルジ
ア・ラリ建合成債券を発行した。2件で合計1億 8,560 万グルジア・ラリ( 5,170 万ユーロ)にのぼ
るこれらの起債は、フロンティア市場における EIB のエクスポージャーを補充するための広範な取組
みの一環として、当該通貨建の優良債券を選好する国際投資家向けに設定された。
ユーロ相当額
(単位:十億ユーロ)
通貨 2021 年
豪ドル( AUD ) 2.42
ポーランド・ズロチ( PLN ) 1.23
カナダ・ドル( CAD ) 1.13
ノルウェー・クローネ( NOK ) 0.68
ブラジル・レアル( BRL ) 0.25
スウェーデン・クローナ( SEK ) 0.23
メキシコ・ペソ( MXN ) 0.16
ニュージーランド・ドル( NZD ) 0.15
中国人民元( CNY ) 0.13
エジプト・ポンド( EGP ) 0.10
南アフリカ・ランド( ZAR ) 0.09
ロシア・ルーブル( RUB ) 0.08
ジョージア・ラリ( GEL ) 0.04
インドネシア・ルピア( IDR ) 0.04
香港ドル( HKD ) 0.03
ルーマニア・レウ( RON ) 0.02
ハンガリー・フォリント( HUF ) 0.02
インド・ルピー( INR ) 0.00
合計
6.80
3.6. 資本市場のイノベーションおよびデジタル化におけるリーダーシップ
EIB は、資本市場のイノベーションおよびデジタル化で市場開発の先頭を走る。 EIB は、すでに
ユーロ建、米ドル建および英ポンド建の既発行債券で新しい無リスク金利市場の先駆者的かつ支配
的な発行体となっているが、 2021 年もこれらの市場で引き続き活発に活動し、4件の起債( 10 億
ユーロの 2028 年満期短期金利( STR )債、5年物と7年物で合計 25 億米ドルの STR 債、および 15 億英
ポンドの一括起債方式による 2027 年1月満期債)を通じて 47 億ユーロ( 2020 年は7件で 61 億ユー
ロ)の債券を発行した。
39/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021 年4月に EIB は、 分散型台帳技術を用いたパブリック・ブロックチェーン・ネットワーク上で
1億ユーロ相当の2年債(利回り 0.0 %) を発行した。この債券の受渡し決済はフランス中央銀行が
発行する中銀デジタル通貨により進められた。
3.7. EU サステナビリティ・アジェンダに関連付けた EIB サステナビリティ・ファンディング
3.7.1. サステナブル投資を促す EU タクソノミ規則
2021 年3月、 EIB 理事会は、 EIB の気候変動への意識を高めるための債券の評価に係る独立的な報
告書を承認した。この報告書は、 EIB が引き続き「グリーンボンド市場の一層の形成において重要な
役割」を果たすことや、「率先して EU グリーンボンド基準や EU タクソノミの適用を実践し EU 基準を
世界に広める」ことを提言している。
EU の気候対策銀行としての役割を踏まえ、 EIB は、 EIB の気候・環境対策貸付を EU タクソノミ規則
が設定する枠組みと整合させることに取り組んでいる。資金調達方面では、気候変動およびサステ
ナビリティへの意識を高めるための債券が、発行手取金の使途と EU タクソノミとの一致を求める EU
グリーンボンド基準の規定に段階的に整合させていく。 CAB は気候変動の緩和を、 SAB はその他の環
境・社会目標を資金使途の重点とする。
(26)
これに関連する重要なマイルストーンとして、 2020 年 CAB ・ SAB フレームワーク の公表があ
り、その中で EU タクソノミおよび EU グリーンボンド基準の早期適用や段階的適用に向けた EIB の戦略
が明らかにされた。これらの文書に合理的保証( ISAE 3000 )を提供した独立監査人の KPMG は以下の
ように結論した。
・ CAB/SAB のフレームワークは、グリーンボンド・フレームワーク、報告および検証の分野におい
て、技術専門家グループ( TEG )の EU グリーンボンド基準案と整合的である。
(27)
・ CAB/SAB のプロジェクト適格基準は、 EU タクソノミのロジックと整合的 である。
・ CAB の実質的貢献に係る 2020 年技術審査基準は、低炭素輸送および低炭素技術の分野において
TEG の基準と整合的であり、また再生可能エネルギーおよびエネルギー効率の分野においてある
程度整合的である。
注 (26) https://www.eib.org/attachments/fi/eib-cab-framework-2020.pdf ( 英文 )
https://www.eib.org/attachments/fi/eib-sab-framework-2020.pdf ( 英文 )
注 (27) 「 EU タクソノミのロジックと整合的」とは、「「実質的な貢献」、「重大な害の回避」および「最
低限の社会安全基準」の評価のための基準またはプロセスを取り入れた構成となっていることを意
味する。」
3.7.2 2021 年のサステナビリティ・ファンディング
サステナビリティ・ファンディングによる資金調達は、借入プログラム全体における比率を 2020
年( 15 %)から大幅に伸ばして 21 %とし、 2021 年に市場で大きな認知を得た。 EIB は、
GlobalCapital 誌の「最優秀国際機関グリーン/ SRI 債発行体賞」を受賞し、また SAB については
Environmental Finance 誌より「イノベーション・アワード-発行手取金の使途(サステナビリティ
債)」の認定を受けた。 12.5 億豪ドルの 2027 年満期 CAB は、 KangaNews 誌の「年間最優秀 SSA カンガ
ルー債ディール賞」に選ばれた。
ユーロ建債は引き続き単一通貨での最大の資金調達源であり、 EIB は5年物、7年物、 10 年物、 15
年物、 20 年物および 25 年物の CAB/SAB についてイールドカーブを更新した。 15 億ユーロの 2041 年満期
SAB で初めて、 SAB の適格対象を生物多様性と生態系の保護・回復に拡張した。ドイツの貯蓄銀行に
よる「気候に配慮した持続可能な業務慣行への自主的取組み」の公表を受けて発行された専用の
40/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2030 年満期ユーロ建 CAB (発行残高は 10 億ユーロ)は、 EIB の ESG 課題関連の取引相手方に対する取組
みとして注目された。
15 億米ドルの 2031 年満期グローバル CAB は、ルクセンブルグ・グリーン取引所( LGX )に上場され
た 1,000 件目の債券となり、打鐘セレモニーで祝福された。英ポンド建債市場では、5億英ポンドの
2026 年満期 SAB の初発行により、社会的住宅や低・中価格帯住宅(アフォーダブル住宅)へのアクセ
スの提供枠組みを拡張した点に関心が寄せられた。
2021 年は豪ドル建のサステナビリティ・ファンディング( 13 %)が記録的成果をあげた1年であ
り、 EIB は最大の豪ドル建 SSA 債の発行体となった。は、サステナビリティ・ファンディングにおけ
る4番手の発行通貨はカナダ・ドル(9%)であった。3年の空白期間を置いて、 EIB は初発行の
ニュージーランド・ドル建 CAB (カウリ CAB )によりニュージーランド市場に復帰した。同様に EIB
は、ルーマニア・レウ建 CAB で 2018 年以来ぶりに同通貨建債に参入した。
CAB SAB
(28) (29)
2021 年中に EIB は 88 億ユーロ の CAB を発行 2021 年中に EIB は 29 億ユーロ の SAB を発行
した。当年中に、 93 億ユーロの実行が CAB の発 した。当年中に、 27 億ユーロの実行が SAB の
行手取金からの配分適格をみたすと認定さ 発行手取金からの配分適格をみたすと認定さ
れ、 92 億ユーロの CAB の発行手取金が EIB の配 れ、 27 億ユーロの SAB の発行手取金が EIB の配
分手続を経てかかる実行に配分された。自己 分手続を経てかかる実行に配分された。自己
保有 CAB の未使用の CAB 手取金残高は、年初で 保有 SAB ポートフォリオの未使用の SAB 手取金
4億ユーロおよび年末で0億ユーロであっ 残高は、年初で1億ユーロおよび年末で3億
た。 ユーロであった。
注 (28) CAB からの発行手取金純額に基づく暫定データ。
注 (29) SAB からの発行手取金純額に基づく暫定データ。
4. EIB のサステナビリティ・アジェンダ
EIB は EU の気候対策銀行であり、気候変動、環境悪化および生物多様性の喪失というグローバルな
喫緊の課題の克服において重要な役割を担っている。 2021 年だけでも EIB は、同年の EIB の貸付全体
の 51 %を占める約 276 億ユーロ( 2020 年のグリーン・ファイナンス実績は推計 260 億ユーロ)を気候
行動および環境サステナビリティに投資して、 EIB が最大の国際気候行動金融機関のひとつであるこ
とを確認した。 2021 年7月に発表された気候関連財務情報開示タスクフォース( TCFD )の第1次報
告書において、 EIB はこれまでの成果を総括し、また気候関連のリスクとチャンスを EIB の中核事業
に組み込むための今後の活動について概説している。
ガバナンスについて、 TCFD 報告書は、現統治構造が気候に関するリスクとチャンスを理事会レベ
ルで管理することをいかに重視しているかを説いている。また、 TCFD 報告書に記載のとおり、気候
に関する責任は(アドホック委員会、特別な部署やチームなどの)経営レベルで分担する。
戦略については、 2020 年 11 月に承認された EIB グループの 2021-2025 年気候銀行ロードマップ
( CBR )が、グリーン・プロジェクトへの支援強化により EIB グループが意欲的な目標をいかに達成
していくかを説明している。このロードマップは EIB の気候戦略(改訂済)に基づいて作成されてお
り、 2021 年1月1日以降に評価が開始される全プロジェクトをパリ協定の目標と整合させるための
明確で透明性のある基準一式を設定している。 2021 年に EIB は、 CBR の4つのワークストリーム(グ
リーン・ファイナンスを通じた移行の加速化、網羅的で公正な移行の確保、パリ協定に整合的な事
41/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
業の支援、および戦略的一貫性と説明責任の確立)の実施を支えるための 10 のアクション・プラン
からなる CBR 実施計画を策定および採択した。
CBR の承認の一環で特に EIB のパリ協定適合カウンターパーティー枠組み( PATH )が承認されたこ
とを受け、 EIB は、資金供与先の投資対象プロジェクトの範囲を超えて顧客の幅広い企業活動に対処
していく。 EIB が目指すのは、脱炭素化ならびに気候変動に伴う物理的リスクおよび移行リスクの管
理における顧客支援である。 2022 年1月1日以降、評価の検討下にあるすべての新規対象事業につ
いて、 EIB グループのカウンターパーティーに PATH の枠組みが適用される。
リスク管理については、そのプロセスやグローバル・リスク管理手法に気候への配慮を組み込む
ため、 EIB は適切な審査ツールを導入している。 EIB は、物理的リスクおよび移行リスクの両面で顧
客のエクスポージャーを一貫して評価するため、カウンターパーティー・レベルの気候リスク審査
ツールを開発した。このツールを補完するために、 EIB は国レベルや産業レベルの気候リスクを評価
する2つのモデルを別途開発した。さらに 2021 年に EIB は、気候リスクのエクスポージャーを追跡管
理するための新たな報告体制を導入してリスク管理手法を強化した。
CBR に基づき、 EIB グループは、気候行動および環境サステナビリティに関する定義と追跡管理を
EU タクソノミと整合させる取組みも行っている。 EU タクソノミの充実化に向けた欧州委員会への助
言を担うサステナブル・ファイナンスに関する EU プラットフォームを積極的に支援するため、 EIB は
現場の専門知識も活用している。最後に、 EIB はより多くの協力が世界中で育まれるよう尽力してお
り、その表れとして、 EIB はサステナブル・ファイナンスに関する国際連携プラットフォーム、金融
システムのグリーン化ネットワーク、および気候行動に取り組む財務大臣連合に関与している。
新規政策の展開、新出の環境・社会問題および顧客やプロモーターの需要の変化に対応するた
め、 EIB グループは環境・社会サステナビリティ・フレームワーク( ESSF )の改訂を進めている。こ
のフレームワークには、 EIB グループの新たな環境・社会方針のほか、 EIB の仲介金融に係る 11 の新
基準など EIB の環境・社会( E&S )に係る改訂基準が含まれる。これらの文書は、多くの関係者から
貢献を取り付けた 2021 年夏の公開協議を経て 2022 年2月に EIB 理事会で承認され、 2022 年3月からす
べての新規プロジェクトに適用される。
4.1. COP26 における EIB
EIB は世界有数の気候ファイナンスのプロバイダーとして、 2021 年 11 月にグラスゴーで開催された
国連気候変動会議 COP26 に参加した。この会議で EIB は、グローバルな気候行動における自らのリー
ダーシップを確認し、パリ協定適合カウンターパーティー枠組み( PATH )を策定した。 2022 年以
降、特に脆弱な企業顧客や高炭素排出部門で活動する EIB の顧客は、脱炭素化・事業再興プランの策
定および開示が必要となる。一般論として、 EIB は今後、パリ協定の目標にそぐわない活動の運営や
それらへの投資を続ける高炭素排出企業に対して資金を供与しない。他方で、大手金融機関は、気
候関連の情報開示の改善を求められている。 EIB グループは、顧客が信頼性のある充実した気候対策
計画を作成できるよう技術的な支援を提供している。
背景を同じくして、気候変動の影響に適応できるよう世界中のプロジェクトを支援するため、 EIB
は初めて気候に特化した適応プランを策定した。 EIB は、気候行動融資全体に占める適応支援の比率
を 2025 年までに 15 %(過去5年間の適応対策ファイナンス比で約3倍)に引き上げる旨を誓約し
た。
EIB はまた、公正な移行のためのグローバルな融資をはじめとする気候行動業務を通じて、 EIB が
どのように気候、イノベーションおよび開発を連携させているか、ならびに EIB が気候行動および環
境サステナビリティの目標支援のためにどのように自然を保護し自然に投資しているかを説明する
数多くの声明を出した。さらに EIB は、正味排出量ゼロ(ネット・ゼロ)経済への移行を可能にする
42/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
鍵はイノベーションとテクノロジーにあるとの認識に立ち、欧州委員会およびブレークスルー・エ
ナジー財団(ビル・ゲイツ氏により設立されたファンド)とのパートナーシップを発表した。この
パー トナーシップは、欧州グリーンディールの意欲的構想および欧州連合の 2030 年気候目標の実現
を支える革新的技術の開発を加速して早急に商用化するため、 2022 年から 2026 年にかけて最大 10 億
米ドルの動員を目指す。
EIB は、他の主要な国際開発金融機関とともに気候への集合的野心に関する共同声明に署名し、国
や経済部門を超えた気候行動の大幅な拡大と加速を訴えた。 EIB は同様に、志を同じくする国際金融
機関とともに自然・人・地球に関する共同声明に参加し、自然の保護と生物多様性喪失の阻止のた
めにさらに活動していく旨を約束した。
5. 自己勘定取引活動
5.1. 優良資産
自己勘定取引管理は、財務コミットメントを継続的に履行する能力を EIB に確実に備えさせ、およ
び EIB の資産負債方針を実践するという2つの役割を果たしている。資金は、多様化における低リス
ク戦略に基づく所定の基準に従って定まるポートフォリオに投資される。 EIB のポートフォリオ管理
は常に、 EIB の統治機関が設定したガイドライン、健全性に係る制限および指標に準拠していなけれ
ばならない。
2021 年末現在、自己勘定取引の対象には以下のポートフォリオが含まれる。
・ 短期自己勘定取引ポーオフォリオ( TMP ):日々の流動性管理のために設定される。
・ 証券流動性ポートフォリオ( SLP ):ユーロ、英ポンドおよび米ドルの通貨に投資して自己勘
定取引資産のリターンを向上させるとともに、多様性を提供することを目指す。欧州中央銀行
( ECB )の適格担保資産の 75 %保有が課される中での運用となり、 SLP もまた流動性の補完ルー
トとして機能する。
・ 長期適格流動資産ポートフォリオ( LTHP ):従来の長期ヘッジ・ポートフォリオを元に新た
に設定されたポートフォリオである。新しい LTHP ポートフォリオは、高格付と高流動性を備え
たユーロ建債および米ドル建債からなる EIB の長期的なコア流動性準備を構築する目的で運用さ
れる。
当期末現在、これらの資産の大部分( 94 %)は満期1年未満の短期商品に投資される自己勘定取
引金融ポートフォリオとして保有されていた。自己勘定取引ポートフォリオの信用エクスポー
ジャーの内訳については、以下「第3 発行者の概況- (5) 経理の状況- ③ EU 会計指令に基づく個
別財務書類」に収載の EIB の法定財務書類の注記を参照のこと。
5.2. 慎重 な流動性管理
自己勘定取引活動は、投資される資本を保護し、かつ EIB が確実に全額について期限弁済できるこ
とを第一目標に据えて実施されている。流動性は一貫して、 EIB の業務環境に対応して設定される健
全性に係る限度内で維持されている。
COVID-19 のパンデミックに伴いグローバル金融市場の情勢全般が不確実であるにもかかわらず、
EIB は、流動性管理に対する慎重なアプローチの結果として、引き続き強固な流動性ポジションおよ
び必要なすべての流動性リソースへの柔軟なアクセスを維持している。 EIB のすべての流動性リスク
指標は、各限度値を十分に上回る水準で安定的に維持されている。
2021 年末現在の総自己勘定取引資産は 1,056 億ユーロ( 2020 年: 856 億ユーロ)であり、また EIB の
(30)
総流動性比率は 117.2 %( 2020 年: 78.1 %)と、最低流動性要件の 25 % を十分に上回った。流動
43/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
性カバレッジ比率は当期末現在で 564.9 %( 2020 年: 366.7 %)であった。 一方、 2021 年6月から EU
フレームワークに導入された純安定調達比率( NSFR )は、当年末現在で 130.0 %であった。 2021 年を
通 じて、流動性カバレッジ比率( LCR )と NSFR の両方とも規制上の最低基準である 100 %を十分に上
回っていた。
注 (30) 最低流動性比率は、翌 12 か月に関する予想純キャッシュ・アウトフローの 25 %である。
ユーロシステムの金融政策オペレーションの適格取引当事者として、 EIB は欧州中央銀行( ECB )
の金融政策オペレーションへのアクセスも有している。
EIB は、ルクセンブルク中央銀行( BCL )を介して、ユーロシステムの公開市場操作や常設ファシ
リティへのアクセスを確保している。
欧州中央銀行( ECB )適格担保をレポする能力は、 EIB のオペレーションに関する流動性を実質的
に強靭化する。 2021 年末現在、 EIB がルクセンブルク中央銀行( BCL )に在庫保有するユーロシステ
ム上のリユース適格を備えた有価証券の総額は 287 億ユーロであり、その内訳は専有資産が 163 億
ユーロおよびリユース受取担保が 124 億ユーロであった。これに対して、 2020 年における EIB の有価
証券の在庫保有総額は 260 億ユーロであり、その内訳は EIB の所有資産が 140 億ユーロおよびリユース
適格受取担保が 120 億ユーロであった。ルクセンブルク中央銀行への翌日物中銀預入れの総額は 567
億ユーロ( 2020 年末は 346 億ユーロ)であった。
5.3. 2020 年の自己勘定取引金融損益
ユーロの中短期のマイナス金利が依然として市場環境を規定しており、すなわち、期間、信用の
質および流動性の要件をみたす投資機会を見出すことは困難であった。当期の EIB の自己勘定取引
ポートフォリオによる金融業績はマイナス1億 6,520 万ユーロ( 2020 年:マイナス 1,640 万ユーロ)
となった。 この数字には、主に自己勘定取引で観察されたマイナス金利に関連するグロス業績が反
映されている。もっとも、自己勘定取引資産の資金を供給するための借入プログラムのネガティ
ブ・コストを考慮に入れる場合は、 2021 年の自己勘定取引のリターンは純額ベースでプラス1億 750
万ユーロ( 2020 年: 6,950 万ユーロ)であった。 欧州中央銀行( ECB )の金融政策における姿勢が招
いた EU の超短期金利の一層の引下げという特徴的な市場環境において、 EIB の自己勘定に係る総合平
均リターン率はマイナス 0.3 %( 2020 年: 0.0 %)であった。
5.4. 資産 負債管理
EIB の資産および負債に係る金利、為替および基礎的リスクのポジションは、所定の制限の範囲内
で管理されている。この中で、管理対象リスク・ファクターの対象エクスポージャーを実現するた
めに、標準的なデリバティブ商品を用いて多様なリスクプロファイルを調整している。金利リスク
戦略は、 EIB の事業の自立的な持続可能性および自己資金の増強を確保することを目標としている。
6.最良の銀行業の慣行に従った保守的なリスク管理
EIB の最良の銀行業の慣行( BBP )(ベスト・バンキング・プラクティス)枠組みの明確化および
充実化のため、 EIB の総務会は、 EIB の BBP に関する指針的原則を承認した。 BBP の指針的原則は、 EIB
にベスト・プラクティスとして適用される銀行業務の規則や指針の原則全般および一般的な範囲を
定義したハイレベル文書である。同文書はまた、関連する規則を同定するための評価基準を定め、
また EIB のビジネス・モデルを全体的に調整しつつその詳細を検討している。同文書は、 EIB の統治
機関による定期レビューを受け、 EIB のウェブサイトで入手可能である。 EIB の監査委員会は、総務
会に直接報告をあげる独立的な機関であり、 EIB の活動の BBP への適合性を検証することが定款上の
44/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
職務とされている。この職務を推進するため、監査委員会は、 EIB レビュー・評価プロセスに関する
指導的原則およびその実施規則に基づき、内部レビュー・評価プロセス( EIB REP )の実施に向けた
準 備を進めている。このプロセスは、 EIB グループの性質、政策的使命、固有の業務およびガバナン
ス構造を考慮した EIB グループに特有のレビュー・評価アプローチおよび方法論により組み立てられ
ている。 EIB REP は、適用ある BBP を EIB に確実に遵守させるという監査委員会の職務を支援する。
年次の業務目標および方向性を決定するためのアプローチにおいては、堅固な信用状態、貸付事
業の長期性向およびポートフォリオの粒度を維持するという EIB の目的が考慮される。 EIB は、その
活動に付随する信用リスク、流動性リスク、市場リスクおよびオペレーショナル・リスクを監視す
る指標一式(総合リスク選好基準など)を定めている。この指標には、最低自己資本要件、 EIB の貸
付金ポートフォリオの信用状態の分布、リスク集中措置および流動性措置が特に含まれる。
EIB の貸付方針は、貸付対象事業に係る債務者および保証人の双方に最低信用基準を設定してお
り、受入れ可能な取引構成を特定している。リスク分析において、 EIB は貸付に関して内部格付制度
を適用しており、カウンターパーティーに内部格付を付与している。 貸付金ポートフォリオの分散
は、カウンターパーティー枠および主要産業の部門枠の設定によって支えられている。
EIB のグループ・リスク・コンプライアンス部門( GR&C )は、 EIB グループの事業に関連する金融
リスクと非金融リスクの両方を担当する。かかるリスクには、信用リスク、市場リスク、流動性お
よび資金調達リスク、オペレーショナル・リスク、気候リスク、風評リスクおよび戦略リスクが含
まれる。 2019 年6月に EIB グループのリスク管理憲章およびその実施規定が承認されたことを受け、
リスク監視対象が EIB グループのすべての関連事業ラインにまで拡大され、 EIB グループのすべての
リスク・エクスポージャーの経済実態を十分に把握して十分な情報に基づくリスク・テイクの意思
決定ができるようになった。同憲章は、グループ・リスクを効果的かつ一貫した方法で確実に監
視・管理することを目的として、グループ・リスク管理枠組みの主要原則を定める。
リスク管理の詳細については、以下「第3 発行者の概況- (5) 経理の状況- ③ EU 会計指令に基
づく個別財務書類」に収載の法定財務書類の注 U および EIB のウェブサイト上のグループ・リスク管
理開示報告書(英文)を参照のこと。
7.企業の社会的責任
欧州投資銀行の使命は、欧州連合の内外で持続可能な成長を促進する点にある。サステナビリ
ティは EIB のあらゆる活動の中心に位置付けられ、貸出、借入およびアドバイザリー業務に組み込ま
れている。
EU の気候対策銀行として、 EIB は、気候行動および環境サステナビリティのための年間融資額を
2025 年までに貸出金総額の 50 %超に増やし、また翌 10 年間でこの分野に最低1兆ユーロの投資支援
を行うなど、すべての活動をパリ協定と整合させることを約束している。
そうした取組みの中で、 EIB は、透明性と説明責任の模範を示すよう努めている。 EIB は、プロ
ジェクトや活動に関する情報を進んで公開し、関係者と積極的に連携し、 ESG の情報開示の最前線に
立つ。 EIB は毎年サステナビリティ報告書とカーボン・フットプリント(排出負荷)報告書を発行し
ており、またグローバル・レポーティング・イニシアチブ( GRI )枠組み、サステナビリティ会計基
準機構( SASB )および 気候関連財務情報開示タスクフォース( TCFD )の書式 に沿って情報を開示し
ている。 EIB のいずれの報告書も、 EIB ウェブサイトの専用ページで閲覧可能である。
(31)
8. EIB グループの財務実績
EIB グループは EIB と EIF で構成される。
注 (31) このセクションでは、 EU 会計指令および国際会計基準( IFRS )に基づいて作成された EIB グループの連
結財務書類に触れる。
45/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
8.1 EU 会計指令に基づく EIB の連結財務書類
EU 会計指令に基づく 2021 年の連結当期損益は 26 億 4,750 万ユーロで、これに対して 2020 年の当期純
利益は 17 億 4,990 万ユーロであった(8億 9,760 万ユーロまたは 51.3 %のプラス)。 EU 会計指令に基
づく連結損益はそのほぼすべてが EIB 単体の損益からなるため、この結果は法定財務書類の当期純利
益と密接に連動する。
2021 年 12 月 31 日現在の EIB グループの貸借対照表金額は、 2020 年 12 月 31 日現在に対して 119 億ユー
ロの増加を示し、 5,680 億ユーロとなった。
8.2 IFRS (国際会計基準)に基づく EIB の連結財務書類
IFRS に基づく 2021 年の連結当期損益は、 2020 年に確認された同損益が 26 億 3,740 万ユーロであった
のに対して 82 億 7,730 万ユーロであった(前期比で 56 億 3,990 万ユーロの増加)。
IFRS に基づく同損益に関するその他の情報は、 EIB グループの IFRS に基づく連結財務書類の注記で
提供される。
② 業務上の重要な協約
該当なし
③ 日本との関係
日本の資本市場における EIB の活動は 1970 年代まで遡り、その中には1兆円を上回る規模の 60 を超え
る案件(シンジケートローン、公募および私募債券発行)が含まれる。
EIB は日本および日本の居住者に対して貸付を行ったことがない。
46/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
(5) 【経理の状況】
以下の和文財務書類は、英文財務書類を原本として作成されている。英文財務書類はそれぞれEIBの監
査人であるKPMGルクセンブルクによる監査を受けている。
①【IFRSに基づく連結財務書類】
当有価証券報告書の本項に記載されているEIBグループの 2021 年12月31日現在の連結貸借対照表な
らびに同日に終了した事業年度の連結損益計算書、連結純損益およびその他の包括利益計算書、連
結持分変動計算書および連結キャッシュ・フロー計算書( 「IFRSに基づく連結財務書類」)は、欧
州連合によって採用された 国際財務報告基準(「IFRS」)に 準拠して作成されている。
次へ
47/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結貸借対照表
2021年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
資産 2021 年12月31日 2020 年12月31日
1. 現金、中央銀行および郵便局預け金
(注B.1) 1,483,285 835,163
2. 中央銀行担保適格国庫証券およびその他短
期証券 (注B.2) 37,237,861 32,194,810
3. 金融機関貸付金および預け金
a )要求払 797,488 613,764
b )その他の貸付金および預け金(注C) 74,741,569 60,268,922
c )貸付金(注D.1) 94,682,744 106,066,078
d )貸付金および預け金の減損(戻入れ控除
-75,226 -125,922
後)(注D.2)
170,146,575 166,822,842
4. 対顧客貸付金および預け金
a )その他の貸付金および預け金(注C) 677,197 900,604
b )貸付金(注D.1) 339,994,473 344,965,282
c )貸付金および預け金の減損
-288,259 -482,180
(戻入れ控除後)(注D.2)
340,383,411 345,383,706
5. 確定利付証券を含む負債証券 (注B.2)
a )公共機関による発行 5,024,595 5,200,497
7,034,187 7,720,588
b )その他による発行
12,058,782 12,921,085
6. 株式およびその他の変動利付証券
(注B.3) 18,872,305 13,323,450
7. デリバティブ資産 (注Q) 41,734,302 53,285,964
8. 有形固定資産 (注E) 374,320 371,854
9. 無形資産 (注E) 58,408 39,279
10. その他の資産 (注G.1)
183,884 81,132
11. 払込請求済だが払込未済の応募済資本金お
よび準備金 (注W.1) 1,133,642 1,454,535
12. 前払金
271,753 319,762
13. 売却目的保有資産 0 11,000
623,938,528 627,044,582
資産合計
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
48/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結貸借対照表(続き)
2021 年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
負債および資本 2021 年12月31日 2020 年12月31日
負債
1. 金融機関に対する債務 (注H.1)
a )要求払 4,775,575 4,197,199
18,796,352 12,302,079
b )期日払または通知払
23,571,927 16,499,278
2. 顧客に対する債務 (注H.2)
a )要求払 1,645,154 1,680,511
175,496 20,951
b )期日払または通知払
1,820,650 1,701,462
3. 債務証書借入 (注I)
a )負債証券 461,915,358 471,636,014
11,987,275 13,260,959
b )その他
473,902,633 484,896,973
4. デリバティブ負債 (注Q) 29,529,619 38,355,226
5. その他の負債 (注G.2) 4,981,663 5,487,842
6. 繰延収益 (注F) 443,133 434,583
7. 引当金
a )年金制度および健康保険制度(注J) 8,623,332 9,569,495
42,537 61,084
b )保証および契約債務引当金(注D)
8,665,869 9,630,579
542,915,494 557,005,943
負債合計
資本
8. 資本金 (注W)
a )応募済資本金 248,795,607 248,795,607
-226,604,892 -226,604,892
b)払込未請求資本金
22,190,715 22,190,715
9. 連結準備金
a )準備基金 24,879,561 24,328,415
b )その他準備金 9,736,449 6,486,767
c )公正価値準備金 575,725 522,532
d )特別活動準備金 12,152,954 11,736,896
2,021,337 2,135,891
e )一般貸倒準備金
49,366,026 45,210,501
8,277,324 2,637,423
10. 当期純利益 (注K)
79,834,065 70,038,639
EIB 株主に帰属する資本合計
1,188,969 0
1 1 . 非支配持分
81,023,034 70,038,639
資本合計
623,938,528 627,044,582
負債および資本合計
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
49/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結損益計算書
2021年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2021 年 2020 年
(1)
1. 受取利息および類似収益 (注L) 16,312,260 17,823,932
2. 支払利息および類似費用 (注L) -13,272,582 -14,901,098
3. 株式およびその他の変動利付証券からの収益 838,815 275,473
4. 受取手数料 (注O) 585,247 497,687
5. 支払手数料 (注O) -434,377 -327,649
(2)
6. 金融業務損益 (注M) 5,630,207 649,410
7. その他の業務収益および費用の純額 (注N) -1,397 5,557
8. 貸付金および預け金の減損ならびに保証引当
金の変動(戻入れ控除後) (注D.2、D.4) 291,582 -26,464
9. 固定金融資産として保有される譲渡可能有価
証券、株式およびその他の変動利付証券の
減損の変動(戻入れ控除後) 38,890 835
10. 一般管理費 (注P)
a)人件費 -1,207,031 -1,049,435
-246,922 -223,575
b)その他の管理費
-1,453,953 -1,273,010
11. 減価償却費および償却費:有形固定資産お
よび無形資産 (注E)
a)有形固定資産 -70,272 -69,240
-21,035 -18,010
b)無形資産
-91,307 -87,250
8,443,385 2,637,423
12. 当期純利益
帰属先:
166,061 0
非支配持分
8,277,324 2,637,423
EIB株主
(1) 2021年12月31日終了年度の受取利息および類似収益には、償却原価で保有される資産について実効金利法を用いて計
算された5,493,411千ユーロ(2020年:6,260,630千ユーロ)が含まれる。
(2) 2021年12月31日終了年度の金融業務損益には、償却原価で測定される金融資産の認識中止による純利益2,649千ユー
ロ(2020年:6,610千ユーロ)が含まれる。
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
50/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結純損益およびその他の包括利益計算書
2021 年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2021 年 2020 年
当期純利益 8,443,385 2,637,423
その他包括損益
その後に純損益に振替えられることのない項目:
確定給付債務の再測定(注J) 1,474,982 -1,157,082
FVO に指定された金融負債の自己信用リスクの変
動に起因する公正価値の変動-公正価値準備金
(注R) 66,183 -109,852
FVOCI での測定に指定された資本性金融商品に対
する投資の純利益/損失(注B.3) 83,048 22,122
その後に純損益に振替えられる項目:
ヘッジ・デリバティブの通貨ベーシス・スプレッ
ドに起因する公正価値の変動-公正価値準備金
(注Q) -96,038 -102,184
1,528,175 -1,346,996
その他包括損益合計
9,971,560 1,290,427
包括損益合計
帰属先:
251,427 0
非支配持分
9,720,133 1,290,427
EIB株主
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
51/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結持分変動計算書
2021年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
応募済 払込未請求 その他 公正価値
準備基金
資本金 資本金 準備金 準備金
243,284,155 -221,585,020 24,328,415 8,000,597 712,446
2020年1月1日現在の残高
包括損益
当期純利益/損失 0 0 0 0 0
その他包括損益 0 0 0 -1,157,082 -189,914
包括損益合計 0 0 0 -1,157,082 -189,914
前年度利益処分額 0 0 0 2,032,655 0
その他 0 0 0 -416 0
株主との取引
2020年2月1日より英国に
支払われる資本金(*) -39,195,022 35,699,118 0 0 0
2020年3月1日付の均衡的
資本差替え(*) 39,195,022 -35,699,118 0 -3,495,904 0
2020年3月1日付のポーランド
およびルーマニアからの非均衡
的増資(*) 5,511,452 -5,019,872 0 1,106,917 0
5,511,452 -5,019,872 0 -2,388,987 0
株主との取引合計
248,795,607 -226,604,892 24,328,415 6,486,767 522,532
2020年12月31日現在の残高
包括損益
当期純利益/損失 0 0 0 0 0
その他包括損益 0 0 0 1,389,616 53,193
包括損益合計 0 0 0 1,389,616 53,193
前年度利益処分額 0 0 551,146 1,784,773 0
その他 0 0 0 75,293 0
株主との取引
子会社の非支配持分の変動 0 0 0 0 0
0 0 0 0 0
株主との取引合計
248,795,607 -226,604,892 24,879,561 9,736,449 575,725
2021年12月31日現在の残高
52/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結持分変動計算書(続き)
2021年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
特別活動 一般貸倒 利益処分前 連結自己
合計 非支配持分
準備金 準備金 当期純利益 資本合計
10,777,675 2,170,177 2,957,590 70,646,035 0 70,646,035
2020年1月1日現在の残高
包括損益
当期純利益/損失 0 0 2,637,423 2,637,423 0 2,637,423
その他包括損益 0 0 0 -1,346,996 0 -1,346,996
包括損益合計 0 0 2,637,423 1,290,427 0 1,290,427
前年度利益処分額 959,221 -34,286 -2,957,590 0 0 0
その他 0 0 0 -416 0 -416
株主との取引
2020年2月1日より英国に
支払われる資本金(*) 0 0 0 -3,495,904 0 -3,495,904
2020年3月1日付の均衡的
資本差替え(*) 0 0 0 0 0 0
2020年3月1日付のポーランド
およびルーマニアからの非均衡
的増資(*) 0 0 0 1,598,497 0 1,598,497
0 0 0 -1,897,407 0 -1,897,407
株主との取引合計
11,736,896 2,135,891 2,637,423 70,038,639 0 70,038,639
2020年12月31日現在の残高
包括損益
当期純利益/損失 0 0 8,277,324 8,277,324 166,061 8,443,385
その他包括損益 0 0 0 1,442,809 85,366 1,528,175
包括損益合計 0 0 8,277,324 9,720,133 251,427 9,971,560
前年度利益処分額 416,058 -114,554 -2,637,423 0 0 0
その他 0 0 0 75,293 0 75,293
株主との取引
子会社の非支配持分の変動 0 0 0 0 937,542 937,542
0 0 0 0 937,542 937,542
株主との取引合計
12,152,954 2,021,337 8,277,324 79,834,065 1,188,969 81,023,034
2021年12月31日現在の残高
(*) 注A.1.3を参照
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
53/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結キャッシュ・フロー計算書
2021 年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2021 年 2020 年
A. 営業活動によるキャッシュ・フロー:
当期純利益 8,443,385 2,637,423
調整額:
貸付金および預け金の減損ならびに保証引当金の変動(注D.2、D.4) -291,582 26,464
有形固定資産および無形資産の減価償却費および償却費ならびに償却(注E) 91,415 87,300
固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券、株式およびその他の変
動利付証券の減損の変動 38,890 -835
負債証券の公正価値調整の変動額 216,851 -82,783
貸付金および関連するスワップのIFRSに基づく調整(注M.1) 182,635 -36,174
借入金および関連するスワップのIFRSに基づく調整(注M.1) -278,609 -267,844
その他デリバティブのIFRSに基づく調整(注M.1) -81,535 540,944
正味受取利息(注L.1) -3,039,678 -2,922,834
79,838 10,530
為替調整額
5,361,610 -7,809
営業活動による利益/損失
金融機関および対顧客貸付金および預け金の実行額 -37,670,096 -51,605,321
金融機関および対顧客貸付金および預け金の返済額 50,381,755 48,874,685
その他の貸付金および預け金の変動額(注C) 8,658,820 12,798,500
ルクセンブルク中央銀行の最低預金準備率を充足するための預け金の変動
額(注B.1) -35,110 1,621
財務運用ポートフォリオの変動額 -9,224,164 593,177
金融機関および顧客に対する債務の変動額(注H) 7,276,336 9,134,010
年金制度および健康保険制度の引当金の変動額 -2,210,900 602,440
保証および契約債務引当金の変動額(注D.4) 16,692 2,825
現金および現金同等物に係る経過利息の変動額 1,058 30,054
その他の資産およびその他の負債の変動額 -867,565 -64,392
利息受取額 15,224,602 14,298,798
-12,257,565 -14,262,269
利息支払額
24,655,473 20,396,319
営業活動による/(で使用した)正味現金
2021 年 2020 年
B. 投資活動によるキャッシュ・フロー:
期中に購入した長期HQLAポートフォリオの有価証券 -385,243 0
期中に満期償還または売却された長期HQLAポートフォリオの有価証券 701,588 61,000
負債証券ポートフォリオに含まれる代替貸付金およびEIFのABSポートフォ
リオの購入 -2,266,247 -3,109,456
負債証券ポートフォリオに含まれる代替貸付金およびEIFのABSポートフォ
リオの償還 4,335,592 3,307,500
株式およびその他の変動利付証券取得額(注B.3) -2,720,926 -2,185,459
株式およびその他の変動利付証券売却額(注B.3) 2,345,863 1,194,465
-63,109 -62,285
有形固定資産および無形資産購入額(注E)
1,947,518 -794,235
投資活動による/(で使用した)正味現金
54/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結キャッシュ・フロー計算書(続き)
2021 年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2021 年 2020 年
C. 財務活動によるキャッシュ・フロー:
債務証書借入の発行 100,348,462 150,299,236
債務証書借入の償還 -107,709,303 -150,160,396
加盟国の拠出 319,700 159,850
EIF株式購入/応募 484,363 -13,267
EIF株式売却 0 7,510
-41,366 -40,697
リース負債の返済
-6,598,144 252,236
財務活動による/(で使用した)正味現金
2021 年 2020 年
キャッシュ・フローの要約表:
現金および現金同等物期首残高 48,074,653 29,709,759
以下による正味現金:
営業活動 24,655,473 20,396,319
投資活動 1,947,518 -794,235
財務活動 -6,598,144 252,236
1,041,968 -1,489,426
保有現金に係る為替調整
69,121,468 48,074,653
現金および現金同等物期末残高
現金および現金同等物の内訳:
現金、中央銀行および郵便局預け金(ルクセンブルク中央銀行の最低預金
準備率を充足するための預け金を除く)(注B.1) 1,338,806 725,794
短期金融市場証券(注B.2) 142,403 2,801,772
金融機関および対顧客貸付金および預け金:
要求払 797,488 613,764
66,842,771 43,933,323
その他の貸付金および預け金(注C)
69,121,468 48,074,653
55/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結キャッシュ・フロー計算書(続き)
2021 年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
現金を伴わない変動
金融負債の
キャッシュ・
公正価値調 その他の
2020 年 2021 年
為替差額
整および
フロー
変動額
未払利息
長期借入
474,605,141 -10,279,554 11,237,410 -15,845,450 0 459,717,547
リース負債 124,275 -41,366 -923 265 49,900 132,151
10,291,832 2,918,713 974,541 0 0 14,185,086
短期借入
財務活動による負債合計 485,021,248 -7,402,207 12,211,028 -15,845,185 49,900 474,034,784
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
次へ
56/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
欧州投資銀行グループ
連結財務書類に対する注記
2021 年12月31日現在
欧州投資銀行(「EIB」)は、1958年にローマ条約により、欧州連合(「EU」)の長期貸付銀行として設立
された。EIBの任務は、EU加盟国の統合、均衡の取れた発展、経済的および社会的な結束に貢献することであ
る。EIBは、資本市場で多額の資金を調達し、それらの資金をEU政策目標を促進するプロジェクトに有利な条
件で貸し付けている。EIBは継続的に、その業務をEU政策の展開に適合させている。
登記上の事務所所在地は、98-100, boulevard Konrad Adenauer, L-2950 Luxembourgである。
EIB と子会社を合わせて「グループ」または「EIBグループ」と総称する。
EIB の子会社については、注B.4.1に開示されている。
注A: 重要な会計方針
A.1. 作成基準
A.1.1. 基準等への準拠
欧州投資銀行グループの連結財務書類(「本財務書類」)は、欧州連合により採択された国際財務
報告基準(「IFRS」)に準拠して継続企業を前提として作成されている。
経営委員会の提案を受け、理事会は2022年3月10日に本財務書類を採択し、2022年4月22日までに
これを総務会に提出して承認を求めることを承認した。
A.1.2. 測定基準
本連結財務書類は、デリバティブ金融商品、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融
資産、純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融資産および金融負債、強制的に純損益を通
じた公正価値で測定される金融商品ならびに、当初認識額からIFRS第15号に基づく償却額(該当する
場合)を控除した金額とIFRS第9号に準拠して決定された損失引当金のいずれか高い金額で測定され
ている金融保証を除き、償却原価に基づいて作成されている。受取レグは、IFRS第9号に従い、将来
キャッシュ・フローを割り引くことによって、純損益を通じて公正価値で測定されている。
適格公正価値ヘッジ関係におけるヘッジ対象に指定された金融資産および金融負債の償却原価
(「AC」)は、ヘッジ損益に関して調整されている。
確定給付債務に関する負債は、同債務の現在価値に未認識の保険数理利益を加算した値から未認識
過去勤務費用または未認識の保険数理損失を差し引いた金額で認識される。
また、別途明記されていない限り、本財務書類は千ユーロ単位に四捨五入して表示されている。
A.1.3. EIBの英国に対するエクスポージャー
2017年3月29日、英国は、欧州連合条約(「TEU」)第50条に従って欧州連合(「EU」)から離脱す
る決定を欧州理事会に通知した。英国は、TEU第50条および「グレートブリテンおよび北アイルランド
連合王国の欧州連合および欧州原子力共同体からの離脱協定」(「離脱協定」)に基づき、2020年2
月1日をもってEU加盟国でなくなった。英国のEUからの離脱により、英国は自動的に欧州投資銀行
(「EIB」)の構成員でなくなり、応募済資本金の分担も終了した。
57/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2020年2月1日より、EIBの応募済資本金における英国の分担金は、その全額につき、残りのEU加盟
国が按分負担する増資をもって差し替えられた。この資本の差替え(均衡的資本差替え)は、EIBにお
ける英国の応募済資本金の払込請求済部分に加え、払込未請求部分も対象とするものであった。払込
請 求済部分の差替えは、EIBの準備金を払込請求済の応募済資本金に振り替えることで賄われた。増資
の結果、残りの各EU加盟国において、EIBの応募済資本金の払込未請求(請求可能)持分が按分で増加
した。
また、ポーランドおよびルーマニアのEIBに対する応募済資本金が、それぞれ5,386,000,000ユーロ
および125,452,381ユーロ引き上げられた。この増資(非均衡的増資)は、英国のEU離脱から1ヵ月後
の2020年3月1日に効力を生じた。ポーランドとルーマニアは、EIBの応募済資本金の増加分の払込請
求済部分につき支払いを行うものとし、10回の均等分割により半年ごとにEIBの準備金に拠出を行って
いく。
なお、英国のEU離脱に伴うEIB定款の数多くの変更がすでに効力を生じた。EIB定款変更の第一群
は、2020年2月1日に効力を生じた。
英国がEIBの構成員でなくなったことを反映するこれらの法定の変更には、EIB定款における英国へ
の言及の削除が含まれた。ガバナンス条項のいくつかの変更も同時に効力を生じ、かかる変更には、
EIB理事会の代理メンバーの増員、ならびにEIBの業務計画、手続規則および経営委員会の委員の任命
の承認に係る特定多数決方式の導入が含まれた。EIB定款変更の第二群は、ポーランドおよびルーマニ
アからの増資ならびに関連するガバナンスの変更に関するものであり、2020年3月1日に効力を生じ
た。
英国がEIBの構成員でなくなった結果として、離脱協定には、EIBに関する財務決済を定めるいくつ
かの規定が盛り込まれている。離脱協定第150条に定める条項に従い、英国は、EIBに対する応募済資
本金の従前の分担に従い、EU離脱前のEIBのエクスポージャーについて引き続き責任を負う。これに関
連して、2021年12月31日現在で、EU離脱前のEIBのエクスポージャーは506,596百万ユーロとなり、一
方、英国の負債の限度額は39,195百万ユーロとなった。
英国は、EIBのその他のリスクについても、それが離脱後の融資に関するものでない限り引き続き責
任を負う。また、EIBは、離脱協定第150条に定める条項に従い、EUに代わって、EIBの払込請求済資本
金に対する英国の分担金相当額を12回の分割により毎年英国に支払う。英国の払込請求済資本金の払
戻しを除き、EIBは、英国がEIBの構成員でなくなることに関連して、または離脱協定の関連条項に定
める英国の一部債務の留保を理由として、英国に対してその他の弁済、返金または報酬を支払う義務
を負わないものとする。
英国のEU離脱およびその結果としてのEIBの構成員でなくなることは、2020年12月31日現在(上記の
EIBの自己資本に対する影響を除く)および2021年12月31日現在の連結財務書類に重要な影響は与えな
かった。
58/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
A.2. 重要な会計上の判断および見積り
本連結財務書類を作成するにあたり、経営委員会は報告されている収益、費用、資産、負債ならび
に偶発資産および偶発債務の開示に影響する見積りおよび仮定を立てることが求められている。入手
可能な情報の使用、および判断の適用は、見積りに特有のものである。将来の実際の結果は、これら
の見積りとは異なる場合があり、これらの差異は本財務書類に対して重要なものとなる可能性があ
る。
最も重要な判断および見積りは、次のとおりである。
金融商品の公正価値
連結貸借対照表に計上する金融商品の公正価値は、活発な市場から入手できない場合は、数学的モ
デルの使用も含め、様々な評価技法を用いて算定する。これらのモデルに使用するデータは、可能で
あれば観察可能な市場から入手するが、不可能な場合は、時価の設定に際しある程度の判断を要す
る。こうした判断には、流動性や長期デリバティブの相関性やボラティリティ等のモデルへの入力
データの検討が含まれる(注A.4.6)。
金融商品の減損
予想信用損失(「ECL」)の測定には、特に当初認識時からの大幅な信用リスクの増加の評価、将来
を考慮した情報の組入れ、さらに、減損損失の算定の際の将来キャッシュ・フローの金額と発生時期
および担保価値の予測において、経営陣は重要な判断を下すことが求められる。これらの見積りは多
くの要因によって決定され、その要因は認識される貸倒引当金の発生時期と金額を著しく変動させる
結果をもたらし得る(注A.4.4)。COVID-19による減損への影響に関連する仮定は注A.4.4および注Sに
詳述されている。
非上場持分投資の評価
非上場持分投資の評価は、通常、次のいずれかに基づいて行われる。
- 最近の第三者間市場取引
- 実質的に同様な他の金融商品の時価
- 予想キャッシュ・フローを、条件とリスク特性が類似した項目に適用される現行の割引率で割
り引いた値、または
- その他の評価モデル
非上場持分投資のキャッシュ・フローおよび割引係数を決定するにあたっては、重要な見積りを要
する。グループでは評価技法を定期的に調整しており、同じ金融商品で観察可能な現行の市場取引の
価格か、入手および観察可能な他の市場データの価格のどちらかを用いて、妥当性をテストしている
(注A.4.6)。
年金および他の退職給付
確定給付年金制度および他の退職後医療費給付に係る費用は、数理計算上の評価を用いて算定す
る。数理計算上の評価に際しては、割引率、死亡率、ならびに将来の給与および年金の増加に関する
仮定を行う。これらの制度は長期にわたるため、こうした見積りは重要な不確実性を伴う(注
A.4.14)。
59/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
グループが持分を保有する事業体の連結
グループは、グループが持分を保有する事業体で、個別の事業体に対する経済的持分総額(キャ
リード・インタレストと予想管理報酬で構成される)および意思決定機関を解任する権限に基づき、
当年度末現在でグループが支配している事業体はない(欧州投資基金(「EIF」)を除く)という重要
な 判断を行った。
すべての場合において、上記の要因の評価に基づき、グループはゼネラル・パートナーとファン
ド・マネージャーのいずれも、また当該投資先の活動および業務の管理および統制の責任を単独で担
い、当該投資先の目的および目標を遂行するために必要なすべての事項を実行する権限を有している
理事会を個別に支配することはできない(注B.4)。
IBOR 改革から生じる不確実性
2021年12月31日をもって廃止された英ポンド、スイス・フランおよび日本円のLIBORという指標金利
について、グループは2021年12月31日現在でIBOR改革の時期および金額に関する不確実性は存在しな
いとみなしている。したがって、これらのLIBORについて、グループはIASBによる金利指標改革の
フェーズ1の修正を免除されていたが、その免除適用を停止する。2023年6月30日をもって廃止され
る指標金利である米ドルLIBORについては、グループは不確実性に関連するIASBによるフェーズ1の修
正を適用している。
A.3. 会計方針の変更
下記の変更を除き、グループは注A.4に記載した会計方針を、本連結財務書類において表示されてい
る期間について継続的に適用している。グループは、以下の新基準および基準の改訂を適用した。
適用された基準
以下の解釈指針ならびに既存の基準の改訂および修正が、2021年1月1日付でグループの連結財務
書類に対して有効となった。
金利指標改革フェーズ2-IFRS第9号、IAS第39号、IFRS第7号およびIFRS第16号の修正
2020年8月27日に公表されたこれらの修正により、現在進行中の銀行間取引金利(IBOR)およびそ
の他の金利指標の改革に対するIASBの対応は完了した。
これらの修正は、金利指標改革の結果として企業が従来の金利指標を 代替指標金利 に置き換えた場
合の財務書類への影響に焦点を当てている。これらの修正は、会計基準の一定の要件からの実務上の
救済措置を提供している。
具体的には、これらの救済措置は、契約上の指標金利が新しい代替指標金利に置き換えられた場合
の、金融商品、リース契約またはヘッジ関係の変更に関連している。
金融商品の契約上のキャッシュ・フローの変更が金利指標改革の直接の結果であり、この変更が経
済的に同等の基礎に基づいて実施される場合、フェーズ2の修正は、金融商品の認識の中止や帳簿価
額の調整を行うことなく、実効金利を更新してこの変更を反映するための実務上の便法を提供してい
る。また、金利指標改革に伴い要求されたリースの条件変更によりリース負債を再測定する場合に、
金利の変更を反映した改訂後の割引率を用いることができるという例外規定も設けられている。
最後に、フェーズ2の修正は、変更が改革の直接の結果であり、経済的に同等の基礎に基づいて実
施される場合に、ヘッジ会計要件に対する一連の救済措置を提供している。具体的には、企業は、金
利指標改革によって要求された変更を行ったことのみを理由として、ヘッジ会計を中止する必要はな
い。
この基準の修正の適用は遡及的に行われ、期首残高に影響はなかった。
60/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021年6月30日より後のCOVID-19に関連する賃料減免-IFRS第16号の修正
2021年3月、IASBは、COVID-19のパンデミックの直接的影響として発生する賃料減免について、
IFRS第16号のリースの条件変更に関する指針の適用を免除する救済措置を借手に提供する実務上の便
法の条件を修正した。
実務上の便法として、借手はCOVID-19に関連して貸手から受けた賃料減免がリースの条件変更にあ
たるかどうかを評価しないことを選択することができる。この修正の結果、現在では、実務上の便法
を適用するための他の条件が充足されている場合に限り、実務上の便法は、リース料の減額が2022年
6月30日以前に当初の期限が到来する支払にのみ影響を与える賃料減免に適用される。
この修正は2021年8月30日にEUによって承認されており、2021年4月1日以降に開始する年次会計
期間から効力を有している。
グループは、この修正を早期適用したが、この修正はグループの連結財務書類に影響を与えなかっ
た。
公表済みではあるものの未適用の基準でEIBに影響を与えるもの
2018-2020年サイクルの年次改善(IFRS第1号、IFRS第9号およびIFRS第16号の修正)およびIFRS第
3号、IAS第16号、IAS第37号の狭い範囲の修正
IFRS第3号「企業結合」の修正-企業結合の会計要件を変更することなく、IFRS第3号における
「財務報告の概念フレームワーク」への参照を更新している。
IAS第16号「有形固定資産」の修正-企業が有形固定資産を意図した使用のために準備している間に
生産した製品の販売によって受領した金額を、当該有形固定資産の取得原価から控除することを禁止
している。その代わり、企業はその販売収入および関連費用を純損益に認識する。
IAS第37号「引当金、偶発債務および偶発資産」の修正-契約が損失をもたらす契約になるかを評価
する際に、企業がどのコストを含めるかを規定している。
これらの修正は2021年6月28日にEUによって承認されており、2022年1月1日以降に開始する年次
会計期間から効力を有している。
グループは、これらの修正を早期適用しておらず、また、これらの修正がグループの連結財務書類
に重要な影響を及ぼすとは見込んでいない。
61/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
A.4. 重要な会計方針の要旨
A.4.1. 連結基準
子会社
子会社とは、グループによって直接的または間接的に支配されているすべての企業である。グルー
プが企業を支配するとは、グループが当該企業への関与から生じる変動リターンにさらされている
か、または変動リターンに対する権利を有しており、かつ、こうしたリターンに対して当該企業への
権限を通じて影響を及ぼす能力を有している場合である。
すべての重要な子会社はIFRSに基づき連結財務書類に含まれているが、グループにとって重要性の
ない企業は連結の範囲から除外されている。あらゆる子会社の財務書類は、支配を開始した日から、
支配を停止した日まで、連結財務書類に含められている。
EIB グループの本財務書類は、欧州投資銀行(「EIB」)およびその子会社である欧州投資基金
(「EIF」)の財務書類により構成される。子会社の財務書類は、EIBと同じ報告年度について作成さ
れ、EIBと一貫した会計方針に基づいている。
EIB は、EIFに対する支配を行使しているため、連結財務書類を作成するにあたり、IFRS第10号で規
定されている会計原則を適用した。したがってグループは、資産、負債、資本、収益、費用の類似項
目を合算し、EIBおよびEIFの財務書類を科目ごとに連結している。
非支配持分
IFRSの下では、非支配持分は、子会社の識別可能純資産に対する比例持分で測定される。これら
は、EIBが直接的にも間接的にも所有していない純損益および純資産の部分を表している。EIFの少数
株主である欧州委員会(「EC」)に帰属する非支配持分は、連結貸借対照表の「非支配持分に帰属す
る資本」と連結損益計算書の「非支配持分に帰属する当期純利益」にそれぞれ表示されている。
第三者投資家が保有するEIF株式に係るコミットメント
EIFのEC以外の非支配株主が保有する株式に関するリプレースメント・シェア・パーチェス・アン
ダーテイキング(「RSPU」)の条件に従い、EIBはこれらの株式の買付けの募集を毎年行っている。権
利行使価格はEIFの監査済年次財務書類に基づいて算定されるが、これはEIF払込請求済資本金に資本
剰余金勘定、法定準備金、留保利益、公正価値準備金、当期純利益を加えて、EIF株主総会で決議され
た配当を差し引いた値における各株式相当分に対応する(注Gも参照のこと)。
IFRSの下では、RSPUはこの少数株主グループからEIF株式を購入するために将来現金を支払う契約上
の義務を反映した、上記の非支配持分に対する売建プットオプションとみなされる。IAS第32号に従
い、たとえその現金支払が所有者によるオプションの行使を条件とするものであっても、かかる取決
めは償還金額の現在価値について金融負債を生じさせる。
したがって、IFRSの下では、このコミットメントは「非支配持分」から組み替えられ、対応する金
融負債がオプションの行使価格(年毎に設定される合意価格に相当する)の公正価値で「その他負
債」に認識され、親会社の株主に帰属する。その後、この金融負債はIFRS第9号に従って測定され、
すなわち、取得日後に金融負債の公正価値に生じた変動は、連結損益計算書の「支払利息および類似
費用」に計上される。非支配持分の合意価格に対する超過額または不足額は、「連結準備金」に組み
替えられる。
62/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
関連会社および共同支配企業における持分
グループの被投資会社における持分は、関連会社および共同支配企業における持分で構成される。
関連会社は、グループが財務および業務上の方針に対して重要な影響力を持つが、支配力または共同
支配力は持たない企業である。共同支配企業は、グループが共同支配力を持ち、それによってグルー
プ が当該事業体の資産に対する権利および負債に対する債務ではなく、純資産に対する権利を有する
事業体である。
関連会社および共同支配企業に係る会計上の取扱いは注A.4.8.6で詳述されている。
連結上消去される取引
貸借対照表および損益計算書上の勘定を合算した後、グループ内取引から生じたグループ内の残高
ならびに取引、収益および費用をすべて相殺消去している。
A.4.2. 外国通貨の換算
本連結財務書類は、グループの機能通貨、ならびに構成員の資本勘定の測定単位とされているユー
ロ(「EUR」)建てで、表示されている。
グループは、ユーロ、欧州連合加盟国の他の通貨および非EU通貨で業務を運営している。EIBの財源
は様々な通貨建ての出資、借入および利益剰余金によって調達される。
外貨建取引は、取引日の実勢為替レートで換算される。
ユーロ以外の通貨建ての貨幣性資産および負債は、貸借対照表日の実勢換算レートに基づきユーロ
に換算される。これらの換算から生じた損益は連結損益計算書の「金融業務損益」に計上される。
外貨建ての取得原価で測定される非貨幣性項目は、当初の取引日の為替レートで換算されている。
外貨建ての公正価値で測定される非貨幣性項目は、公正価値算定日の為替レートで換算されている。
非貨幣性金融資産の為替差損益は、公正価値変動に含まれる。非貨幣性金融資産の分類に応じて、
為替差損益は連結損益計算書か連結貸借対照表の資本の中の準備金のどちらかで認識される。
取引日の為替レートと決済日の為替レートの差異により発生する為替差損益、および未決済の外貨
建貨幣性資産および負債に関する未実現為替差損益は、連結損益計算書の「金融業務損益」で認識さ
れている。
A.4.3. 分類および測定
金融資産および金融負債
当初測定時に、グループは金融資産または金融負債を、純損益を通じた公正価値(「FVTPL」)で測
定する項目以外については、公正価値にその取得または発行に直接的に起因する取引費用を加算また
は減算して測定する。当初認識時の公正価値は、通常取得原価である。
金融資産は、当初認識時に償却原価(「AC」)での測定、その他の包括利益を通じた公正価値
(「FVOCI」)での測定、またはFVTPLでの測定に分類され、金融負債はACまたはFVTPLでの測定に分類
される。
IFRS第9号の下では、分類は、当該金融資産が負債性金融商品または資本性金融商品とみなされる
かの判定から開始される。IFRS第9号「金融商品」は、IAS第32号「金融商品:表示」における定義を
参照している。
負債性金融商品は、貸付金、政府債、社債など、IAS第32号に従って、発行体の観点から金融負債の
定義に適合する金融商品である。
負債性金融商品は、以下の両方の条件を満たし、純損益を通じた公正価値での測定に指定されてい
ない場合に、償却原価での測定に分類される。
63/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
- 当該資産が、契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的として
いるビジネスモデルで保有されている。
- 金融資産の契約条件により、元本と元本残高に対する利息のみの支払(SPPI基準)である
キャッシュ・フローが特定の日に発生する。
負債性金融商品は、以下の両方の条件を満たし、純損益を通じた公正価値での測定に指定されてい
ない場合にのみ、その他の包括利益を通じた公正価値での測定に分類される。
- 当該資産が、契約上のキャッシュ・フローの回収と金融資産の売却の両方により目的が達成さ
れるビジネスモデルで保有されている。
- 金融資産の契約条件により、SPPI基準に適合するキャッシュ・フローが特定の日に発生する。
上記要件は、たとえ金融資産に組込デリバティブが含まれている場合でも、金融資産全体に適用さ
れる。
資本性金融商品は、IAS第32号に従って、発行体の観点から持分の定義に適合する金融商品、すなわ
ち、契約上の支払義務を含まず、発行体の純資産の残存持分の証拠となる金融商品である。
売買目的保有ではない持分投資の当初認識時に、グループはその後の変動をその他包括損益に表示
することを取消不能で選択することができる。この選択は、投資ごとに行われる。
他のすべての金融資産は、純損益を通じた公正価値での測定に分類される。
金融負債は、以下のものを除き、償却原価で測定される。
- 売買目的保有の定義に適合する(例えば、デリバティブ負債)。
- 純損益を通じた公正価値での測定に指定されている。
また、当初認識時に、グループは償却原価測定の要件に適合する金融資産または金融負債を、純損
益を通じた公正価値での測定に指定することによって、指定しない場合に発生する会計上のミスマッ
チが解消されるまたは大幅に削減される場合、または当該金融資産および金融負債が公正価値で管理
され、その運用成績が公正価値に基づいて評価される場合に、純損益を通じた公正価値での測定に取
消不能で指定することができる(いわゆる選択された場合の「公正価値オプション(「FVO」)」また
はFVTPL)。FVOに指定されている主な金融商品は、ヘッジ対象貸付金およびヘッジ会計適格ではない
証書によって表される債務である。
開示要件目的上、グループは特性の類似性に基づいて金融商品の区分を定義している。
ビジネスモデル評価
EIB グループは、負債性金融商品が保有されるビジネスモデルの目的の評価をポートフォリオ・レベ
ルで行う。これは、事業が管理され、経営陣に情報が提供される方法を最も良く反映しているためで
ある。検討される情報には以下が含まれる。
- ポートフォリオの定められた方針および目的、ならびに実際におけるその方針の運用。特に、
経営陣の戦略が、契約上の金利収益の稼得、特定の金利プロファイルの維持、金融資産のデュ
レーションとその資産向けの資金調達のための負債のデュレーションの一致、または資産の売
却を通じてのキャッシュ・フローの実現に焦点を当てているか。
- ポートフォリオの運用成績がどのように評価され、グループの経営陣に報告されているか。
- ビジネスモデル(およびそのビジネスモデルで保有されている金融資産)の運用成績に影響を
及ぼすリスク、ならびにそれらのリスクがどのように管理されているか。
64/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
- 過去の期間における売却の頻度、金額および時期、その売却の理由ならびに将来の売却活動に
ついての見込。
しかし、売却活動に関する情報は切り離して考慮されるのではなく、グループの金融資産の管理の
定められた目的がどのように達成され、キャッシュ・フローがどのように実現しているかについての
全体的な評価の一環として検討される。
元本と利息のみの支払(「SPPI」)基準
この評価の目的上、「元本」とは、負債性金融商品の当初認識時の公正価値と定義される。「利
息」とは、貨幣の時間価値および特定の期間中の元本金額に伴う信用リスク、その他の基本的な貸付
リスクおよびコスト(例えば、流動性リスクおよび管理費用)の対価、ならびに利益マージンと定義
される。
契約上のキャッシュ・フローが元本と利息のみの支払であるかを評価する際に、EIBグループは当該
商品の契約条件を検討する。これには、当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローの発生時期ま
たは金額を変更する契約条件を含んでおり、この基準を満たさなくなる可能性があるか否かの評価が
含まれる。
認識中止
グループは、金融資産からのキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利が失効した場合、または
金融資産の所有に伴うリスクと経済価値を実質的にすべて移転する取引、もしくはグループが所有に
伴う実質的にすべてのリスクと経済価値を移転も留保もせず、当該金融資産に対する支配を留保しな
い取引で契約上のキャッシュ・フローを受け取る権利を譲渡した場合、同金融資産の認識を中止す
る。
グループは、契約上の義務が履行された場合、取り消された場合、または失効した場合に金融負債
の認識を中止している。
金融資産または金融負債の認識中止時に、資産または負債の帳簿価額(または認識が中止された資
産または負債の部分に配分された帳簿価額)と、(i) 受け払いされた対価および(ii) その他の包括利
益で認識された累積利益または損失の合計額の差異は、純損益で認識されるが、処分時に損益計算書
ではなくその他準備金に振り替えられる、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される持分投資
についてその他の包括利益で認識された累積利益または損失を除く。
IBOR 改革との関連において、償却原価で測定される金融商品の条件変更が実質的であるかどうかの
グループの評価は、IBOR改革のフェーズ2で導入された実務上の便法を適用した後に行われる。IASB
が発行した修正に基づき、契約上のキャッシュ・フローが金利指標改革の直接の結果として変更さ
れ、その変更が契約上のキャッシュ・フローを決定する従前の基礎(すなわち、変更直前の基礎)と
経済的に同等である場合、グループは当該金融商品の認識の中止を行っていない。
組替
金融資産は、当初認識後は、グループが金融資産を管理するビジネスモデルを変更した後の期間を
除き、組み替えられない。
条件変更
65/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
償却原価で測定される金融資産は、その契約上のキャッシュ・フローが再交渉またはその他の方法
で修正された場合、条件変更されたとみなされる。再交渉または条件変更は、既存の金融商品の認識
を中止し、新たな金融商品を認識することに至る場合も至らない場合もあり得る。
償却原価で測定される金融資産のキャッシュ・フローの重要な契約上の条件変更の結果、当該金融
資産が認識中止となる場合は、新たな金融資産を公正価値で認識し、条件変更に係る損益の影響額を
連結損益計算書上の「金融業務損益」で計上する。
契約上の条件変更は、新たな条件によるキャッシュ・フローの割引現在価値(当初の実効金利を使
用して割り引いたもの)が、当初の金融資産の残りのキャッシュ・フローの割引現在価値と、少なく
とも10%異なる場合に大幅な変更とみなされる。金融資産の通貨の変更や転換機能などの定性要因
も、考慮される。
IBOR 改革との関連において、償却原価で測定される金融商品の条件変更が実質的であるかどうかの
グループの評価は、IBOR改革のフェーズ2で導入された実務上の便法を適用した後に行われる。償却
原価で測定される金融商品の契約上のキャッシュ・フローを決定するための基礎が金利指標改革から
の直接の結果として変更され、かつ、その変更が従前の基礎(すなわち、変更直前の基礎)と経済的
に同等である場合には、グループは実効金利を更新し、当該金融商品の帳簿価額を修正する必要はな
い。
相殺
グループは、金融資産と金融負債が、IAS第32号の下での対応する基準を満たす場合、それらをグ
ループの連結貸借対照表上で相殺している。また、金融資産および金融負債は、グループの連結貸借
対照表上で相殺されているか否かを問わず、法的に強制力のあるマスター・ネッティング契約または
類似した金融商品を対象とした類似契約の適用を受ける場合がある。類似契約にはグローバル・マス
ター・リパーチェス契約が含まれる。類似した金融商品には、リパーチェス契約およびリバース・リ
パーチェス契約が含まれる。
A.4.4. 減損
IFRS 第9号は、将来を見越した「予想信用損失」(「ECL」)モデルに基づいている。これは、経済
的要因の変化が予想信用損失にどのように影響するかについての判断を要求するものであり、この判
断は確率加重に基づいて行われている。
グループ内では、このIFRS第9号の減損モデルは償却原価で測定される金融資産だけでなく、オ
フ・バランスシートのコミットメントおよび金融保証にも適用されている。
IFRS 第9号の下では、損失引当金は次の何れかに基づいて測定されている。
- 12ヵ月ECL:これらは、報告日後12ヵ月以内に発生する可能性のあるデフォルト事象によるECL
である。
- 全期間ECL:これらは、金融商品の全期間にわたって発生する可能性のあるデフォルト事象によ
るECLである。
IFRS 第9号は、減損について、当初認識以来の信用度の変動に基づいた「3ステージ」モデルを提
示している。金融商品は、当初認識以降に信用リスクの著しい増加(「SICR」)が特定された金融商
品を除き、ステージ1に分類される。これには、将来を考慮した情報を含む定量的および定性的の両
方の情報、ならびにグループの専門知識に基づいた分析が含まれる。信用リスク方針に関する詳細
は、注S.2で詳述されている。
66/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
グループによる信用リスクの著しい増加の評価は、カウンターパーティーまたは商品に固有の情報
を用いた段階的アプローチに基づいており、これは特に早期警戒トリガー、内部格付(最新の内部格
付が投資適格を下回るカウンターパーティーの過去の内部格付と比較して3ノッチ以上の格下げ)、
延 滞(延滞30日)および要注意先リスト(「WL」)をカバーする信用リスク・ガイドライン
(「CRG」)ならびに財務モニタリング・ガイドラインおよび手続き(「FMGP」)に記載された方針と
整合している。
基準設定母体が発行した指針および市場慣行に沿って、グループは、COVID-19のパンデミックのシ
ステミックな経済的悪影響に対処することを目的とした、正常債権カウンターパーティーに対する
COVID-19に関連する短期返済猶予措置の適用は、それ自体のみではSICRが発生したと結論付けるため
の自動的なトリガーとはみなすべきではないと考えている。注S.2.3.3.3で開示されているように、グ
ループは、このようなカウンターパーティーの信用リスクを評価する際に専門家の判断を利用する。
グループは、COVID-19のパンデミックのあらゆる影響は既存の将来予測的なECLモデルに反映されて
おり、このモデルはかかる極端な事象を織り込めるほど十分に堅固であるとみなしている。特に、な
んらかの影響があった場合、それぞれの影響はマクロ経済予測とPDの期間構造を通じて直接的に把握
されている。
信用リスクの著しい増加が発生した場合、当該金融商品はステージ2に移動されるが、まだ信用毀
損があるとはみなされない。金融商品に信用毀損がある場合は、当該金融商品はステージ3に移動さ
れる。
ステージ3のエクスポージャーを特定するために、EIBは不良債権エクスポージャーの客観的証拠が
存在するか否かを判定する。この目的のために、グループは、グループが償還請求を行うことなく、
借手によるグループに対する信用債務の完済の可能性が低い場合、または借手がグループに対する重
要な信用債務で90日超延滞している場合に、金融資産がデフォルト状態にあるとみなしている。
この点において、グループが原契約条件に従って全額または同等額を回収することができない可能
性が高いとEIBが判断したときは、金融資産は信用減損したものとみなされる。個々の相手先に対する
与信エクスポージャーは、借手の性質、総括的な財政および資金状況、返済履歴、財政的に信用でき
る保証人からの援助の可能性、また該当する場合は担保の実現可能価額に基づき評価される。
すべての減損された債権は最低半期ごとに検討および分析される。それまでの見積りと比較した将
来の予想キャッシュ・フローの金額や時期にその後生じた変化は貸倒引当金に反映され、連結損益計
算書に費用計上または貸方計上される。信用の質が改善し債権契約書の原契約条件どおり元本および
利息が適時に回収されるという合理的保証が得られた場合のみ、貸倒引当金は戻入される。債権の全
部または一部について、回収不能と認めるか、または債権を放棄する場合は、貸倒損失として処理さ
れる。貸倒損失は、以前に設定された貸倒引当金を取り崩す形で、または当該債権元本を減額し直接
連結損益計算書に費用計上される。貸倒償却処理された債権の一部または全部の回収については、連
結損益計算書上で貸方計上される。
ECL の測定-インプット、仮定および技法
全期間ECLの測定は、ステージ2およびステージ3の資産に適用され、12ヵ月ECLはステージ1の資
産に適用される。
予想信用損失の測定は、次の信用リスク・パラメーターに基づいて実施された。
- デフォルト確率(「PD」)
- デフォルト時損失率(「LGD」)
- デフォルト時エクスポージャー(「EAD」)
67/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
デフォルト確率は、貸付先が翌12ヵ月間または当該債務の残存期間のいずれかでその金融債務につ
いてデフォルトする確率を表す。PDは、統計的格付モデルに基づいて計算され、カウンターパー
ティーおよびエクスポージャーの各種のカテゴリーに適合させた格付ツールを使用して評価される一
定 日時点での見積値である。
格付は、エクスポージャーに関するデフォルト確率の期間構造の決定のための主たるインプットで
ある。グループは、グループの信用リスク・エクスポージャーについて、履行とデフォルトに関する
情報を収集している。収集されたデータは業種別、地域別に分類される。信用状況およびマクロ経済
環境の変動に同質の方法で反応する異なる業種および地域は、合わせて分析される。
グループは、複数期間にわたるデフォルト確率を見積るために、マクロ経済予測を組み込んだ統計
モデルを採用している。
デフォルト時損失率は、カウンターパーティーのデフォルトによるエクスポージャーに係る損失
の、デフォルト時の残高に対する比率についての予想を表す。デフォルト時損失率は、「1-回収
率」としても定義される。LGDの見積値は、主に地域別、そしてソブリン、公共機関、金融機関、企業
およびプロジェクト・ファイナンスの5つの主要なクラスのカウンターパーティーの種類別に決定さ
れる。LGDの値は、エクスポージャーの商品および契約固有の特徴に基づいて、さらに調整される可能
性がある。
グループは、商品の当初認識時から信用リスクが大幅に増加したかの評価、および予想信用損失の
測定の両方に将来を考慮した情報を組み入れている。
ECL の測定については、グループは以下を含めたPDの期間構造を計算するために条件付きモデル化手
法を開発した。
- 経済的に合理的な信用サイクルとマクロ経済変数の間のリンク関数の定義
- 複数年のGDPの潜在的な達成およびそれらに関連する確率を備えた3種のマクロ経済シナリオ
(1つのベースライン・シナリオおよび景気の拡大と後退を反映した2つのシナリオ)
マクロ経済シナリオを作成するために、EIBは国別ブロックと共に世界経済のマクロ的な半構造的複
数国かつ高次方程式モデルを使用している。セントラル/ベースライン・シナリオは、最新の欧州委
員会(「EC」)予測と整合するよう設計されている。楽観的および悲観的シナリオは、セントラル・
シナリオに関して、複数国/高次方程式モデルの展開により設計されている。シナリオは、経済活動
の主要尺度であるGDPにショックを与えることで得られる。実質GDPに対するショックは、観察された
変数のボラティリティを複製するためにその水準が調整される。また、GDPに対するショックの規模お
よび持続期間を精緻化するために、適切な場合は専門家による判断が適用される。その結果、ショッ
クは減衰関数と共に決定され、経時的なショックの影響が決定される。各シナリオに割り当てられる
確率は、市場(ボラティリティ)指標および不確実性を捕捉するために長期にわたって一貫して使用
された内部開発の指標/トラッカーを反映して決められる。
EAD は、デフォルト時の予想エクスポージャーを表し、現在の当該カウンターパーティーに対するエ
クスポージャーおよび現在契約で認められている金額の、分割返済を含む潜在的な変動に基づく。金
融資産のEADは、帳簿価額総額である。貸付コミットメントおよび金融保証については、EADには使用
済金額に加えて、契約下で引き出される可能性がある潜在的な将来の金額が含まれる。
優先債権者の地位(「PCS」)
EU 一次法優位の原則および、EIB定款に定められているEIBの財産があらゆる形の接収および収用か
ら免除されるものとする旨の原則は、満期時における欧州連合加盟国のソブリン・エクスポージャー
の全額回収を保証するとみなされる。この財務保護および優先債権者としての地位により、欧州連合
加盟国のソブリン・エクスポージャーまたは欧州連合加盟国の保証についての信用リスクも減損も発
68/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
生しない。しかし、他の債権者と同様に、EIBは欧州連合加盟国ソブリン発行体の負債性金融商品に含
まれる集団行動条項(「CAC」)に基づいた多数による決定事項に拘束される。
A.4.5. デリバティブおよびヘッジ活動
グループは主に借入取引、財務取引および貸付取引に係る市場のエクスポージャーをヘッジするた
め、またその資産および負債の管理活動の一環としてデリバティブ商品を利用しており、それによ
り、予定取引に伴うエクスポージャーを含む、金利および為替リスクを管理している。
グループのすべてのデリバティブ商品は純損益を通じた公正価値で測定され、デリバティブ資産ま
たは負債として計上される。デリバティブに伴い発生する未収利息は、計上される公正価値の一部と
なる。公正価値は、市場インプット、ディスカウント・キャッシュ・フロー・モデルおよびオプショ
ン・モデルにより入手される。オプション・モデルでは、現在の市況および原資産の契約価額と同様
に、時間的価値、イールドカーブおよび原資産のボラティリティが考慮される。デリバティブの公正
価値変動は、「金融業務損益」に含まれている。
グループのヘッジ活動は、資産および負債の両方について、金利リスク・プロファイルを標準的な
変動金利リスクに変換するスワップを用いて金利リスクおよび通貨リスクを軽減することを目的とし
ている。グループがミクロ・ヘッジを締結する場合、各ヘッジ関係には、全部または部分的にヘッジ
される、1つまたは複数のヘッジ対象が含まれる。
ヘッジ手段次第で、ヘッジ対象のヘッジ対象リスクは以下のように決定される。
- 金利スワップを使用する場合、ヘッジ対象のベンチマーク金利カーブに関する金利リスクのみ
がヘッジされる。
- 通貨スワップを使用する場合、ヘッジ対象のベンチマーク金利カーブに関する金利リスクおよ
びベンチマーク通貨に関連する通貨リスクがヘッジされる。
IFRS 第9号で認識されている3種類のヘッジ関係のうち、グループは現在公正価値ヘッジ会計のみ
を適用している。公正価値ヘッジは、認識された資産もしくは負債、または未認識の確定契約債務、
またはこうした項目の一構成部分の、特定のリスクに起因し、損益に影響を及ぼす可能性がある公正
価値の変動に関連するリスクを軽減するヘッジの取決めである。ヘッジ会計の目的は、損益に影響を
及ぼすおそれのある特定のリスクから発生するエクスポージャーを管理するために、ミクロベースで
金融商品を使用したグループのリスク管理活動の効果を財務書類において表すことである。
グループはまた、金利リスクおよびベーシスリスクを資産負債管理の一環として、ヘッジ会計を適
用せずにマクロベースでヘッジしている。
ヘッジ会計適格であるためには、ヘッジ関係は適格ヘッジ手段と適格ヘッジ対象で構成されていな
ければならない。
純損益を通じた公正価値で測定されるデリバティブは、ヘッジ手段として指定することができる。
グループは次の適格ヘッジ手段とその組み合わせを用いている。
- 金利スワップ
- 通貨スワップ
適格ヘッジ手段は、ヘッジ指定から分離し除外されている通貨スワップの場合の外貨ベーシス・ス
プレッドを除き、そのすべてがヘッジ手段に指定されている。
ヘッジ対象は、認識されている資産もしくは負債、または未認識の確定契約債務がなり得る。ヘッ
ジ対象は、単一の項目もしくは項目のグループがなり得、またそのような単一の項目もしくは項目の
グループの構成部分がなり得る。次の適格ヘッジ対象がグループによって指定されている。
69/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
- 借入金
- 代替貸付金
- 貸付金
- 財務ポートフォリオの負債証券
グループはまた、前述の適格金融資産および金融負債の額面金額の構成部分をヘッジ対象または
ヘッジ手段として指定する場合がある。
金利リスクの公正価値ヘッジを適用するにあたり、グループは個別に識別可能かつ信頼性をもって
測定可能な契約上明示されていない指標金利のリスク要素をヘッジ対象リスクとして指定している。
LIBORから代替的なリスクフリーレート(RFR)へ移行されていない未決済のヘッジ関係については、
グループはリスク要素が個別に識別可能であるという要件をヘッジ関係の開始時にのみ満たす必要が
あり、その後は再評価の必要がない場合に、IBOR改革のフェーズ1の一時的救済措置を適用してい
る。
ヘッジ関係の当初指定時に、グループはヘッジ手段とヘッジ対象の間の関係を文書化し、これに
は、リスク管理目的およびヘッジの実行戦略に加えて、ヘッジ関係の有効性を継続的に評価するため
に使用される方法が含まれる。
IBOR 改革のフェーズ2の修正の適用に伴い、グループは既存のIBORからRFRへの置換時にもヘッジ関
係の継続を可能とする一時的救済措置を適用している。
ヘッジ関係が以下の有効性要件のすべてを満たしている場合に、ヘッジ会計適格となる。
- ヘッジ対象とヘッジ手段の間に経済的関係がある。
- 信用リスクの影響が、当該経済的関係から発生する価値変動を支配していない。
- ヘッジ関係のヘッジ比率が、グループが実際にヘッジしているヘッジ対象の数量と、当該ヘッ
ジ対象の数量をヘッジするためにグループが実際に用いるヘッジ手段の数量による比率と同一
である。
ヘッジ対象とヘッジ手段の間の経済的関係を示すために、グループはヘッジ手段とヘッジ対象の重
要な条件が一致しているまたは密接に整合されており、その場合ヘッジ関係の有効性が高いとみなす
ことができるかを評価することによって、定性分析を実施している。
ヘッジ対象の重要な条件がヘッジ手段の重要な条件と正確には一致しない状況においては、ヘッジ
対象とヘッジ手段の感応度の相関関係に基づいて両者の間の定量的な分析を行い、ヘッジの有効性を
評価している。ヘッジ関係の有効性が高いと見込まれるかを評価する目的上、グループは指標金利が
IBOR改革の結果として変更されていないとみなしている。
信用リスクによる公正価値変動が、公正価値変動全体に対して支配していないことを示すために、
グループはヘッジ対象とヘッジ手段両方にとってのすべての環境を検討して、信用度を総合的に評価
している。
経済的ヘッジ関係がIFRS第9号に従ったヘッジ関係として適格ではない場合、グループは、潜在的
な会計上のミスマッチを低減するために、取引開始日にヘッジ対象を取消不能で公正価値オプション
(「FVO」)に指定する。 すなわち、ヘッジ対象はその後に純損益を通じた公正価値(「FVTPL」)で
測定される。
グループが金融負債を公正価値オプション(「FVO」)に指定する際、「自行信用リスク調整」
(「OCA」)と呼ばれる信用リスクの変動に起因する公正価値の変動額は、その他の包括利益の「公正
価値準備金」に表示される(注R)。
70/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
公正価値ヘッジが上記適格基準を満たしている限り、ヘッジ関係は以下のように会計処理されるも
のされる。
- ヘッジ手段に係る公正価値損益は、連結貸借対照表および連結損益計算書で認識される。
- ヘッジ対象に係る公正価値損益は、(該当する場合)ヘッジ対象の帳簿価額を修正し、連結損
益計算書で認識される(いわゆる、「ベーシス調整」)。ヘッジ対象が未認識の確定契約債務
の場合、指定後のヘッジ対象の公正価値の累積的変動は、資産または負債として認識され(対
顧客貸付金および預け金などのそれぞれの連結貸借対照表科目で認識される)、対応する利益
または損失は連結損益計算書で認識される。ヘッジ関係の指定およびヘッジ対象の公正価値の
計算は、取引日に開始される。ヘッジ指定が遅延した場合には、ヘッジ指定日時点でヘッジ対
象に係る公正価値損益が計算され、実効金利法に従ってヘッジ関係の期間にわたって償却され
る。その後、会計処理は上記のヘッジ関係の通常の過程に従う。
IFRS 第9号で認められているように、グループは外貨ベーシス・スプレッド(「CBS」)をヘッジ手
段(「CCIRS」)から分離し、ヘッジ対象と相互関係を持つ範囲で、ヘッジコスト・アプローチとして
知られている特別な取扱いを適用する。指定日に測定され繰り延べられたヘッジ手段の当初CBSは、
ヘッジの残りの全期間にわたり直線的に償却される。CBSのその後の公正価値の変動は、その他の包括
利益の独立科目で直接的に認識される。CBSの公正価値は、満期日でゼロに収束し、したがってその他
の包括利益に計上された金額が連結損益計算書に振り替えられる必要はなくなる。
ヘッジ関係の(部分的な)指定解除の代表的な理由は、ヘッジの有効性基準の違反をもたらすヘッ
ジ対象のおよび/またはヘッジ手段の契約条件の変更、部分的な期限前償還/買戻し/早期期限満
了、ならびにヘッジ対象またはヘッジ手段の信用リスクに起因する部分が支配的となる信用リスクの
増加である。ヘッジ対象の全額の期限前償還/全額の買戻し、またはヘッジ対象の連結貸借対照表か
らの除外を引き起こすその他の事象の場合に、ヘッジ関係の中止が起こり得る。
COVID-19のパンデミックに対応するために、特にヘッジの指定解除プロセスおよびヘッジ非有効性
の源泉の開示という分野において、ヘッジ会計の方針および手続きを更新する必要性はなかった。
ヘッジの非有効性は、ヘッジ手段とヘッジ対象のヘッジ利益またはヘッジ損失の差異と定義され
る。非有効性の考え得る源泉は以下のとおりである。
- スワップのCVA/DVA/CollVAが金利変動に起因するヘッジ対象の公正価値に反映されていな
い。
- ヘッジ手段とヘッジ対象の評価に異なった割引率およびフォワードカーブが使用されている。
- 重要な条件の重要性のない乖離(許容される閾値の範囲内)。
- IBOR改革の結果としての、i) ISDAフォールバック・プロトコルの修正の適用を受けたヘッジ手
段の再測定、および、ii) 英ポンド、スイス・フランおよび日本円のLIBORの割引カーブの調整
によるヘッジ対象の再測定から発生する軽微な一回限り(移行時)の評価差額。
71/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
ヘッジ会計の損益実績は連結損益計算書の「金融業務損益」で認識されているが、これは、ヘッジ
コスト・アプローチによる当初CBSの償却による影響も受けている。連結損益計算書のこの科目には、
グループがマクロベースでの金利リスクのヘッジに使用しているが、ヘッジ会計を適用していないデ
リバティブに起因する損益も含まれる。
IBOR 改革との関連におけるヘッジ対象、ヘッジ手段およびその他のデリバティブの公正価値の決定
IBOR 改革との関連において、グループは、2021年12月31日現在で、グループの公正価値ヘッジ関係
は、英ポンド、スイス・フランおよび日本円のLIBOR指標のIBOR改革による不確実性の影響を受けなく
なったと結論した。米ドル建ての公正価値ヘッジ関係については、グループはIASBのIBORプロジェク
トのフェーズ1を適用している。
EIB は、2021年3月よりISDAのIBORフォールバック・プロトコルを遵守している。したがって、関連
するLIBOR指標のヘッジ手段のキャッシュ・フローを決定するため、フォールバック・レートを導入し
ている。
同様に、EIBは、英ポンド、スイス・フランおよび日本円建てのヘッジ対象の公正価値の決定に際し
ては経済的に同等の修正割引率を適用しており、米ドル建てのヘッジ対象の公正価値は米ドルLIBORの
割引カーブを使用して決定している。
ヘッジ関係は、ヘッジ手段の契約上のキャッシュ・フローを決定するための基礎がIBOR改革の直接
の結果として変更され、かつ、それが従前の基礎(すなわち、変更直前の基礎)と経済的に同等であ
る場合には、中止されない。また、グループによるIFRS第9号に基づくヘッジ会計の導入以降、グ
ループのすべての既存および新規のヘッジ関係に関する正式なヘッジ文書には、IBOR改革を見越し
(1)
て、代替的な金利指標の参照が含まれている。したがって、グループはフェーズ1の終了時点 で
LIBORの後継金利指標がヘッジ対象リスクになるとみなしている。
(1) IBOR改革に起因する不確実性が存在しなくなった時点。
その結果、グループは当該ヘッジ手段およびヘッジ対象の累積変動額を、関連する新しい代替指標
金利に基づいて再測定している。一回限りの移行時における差額は、EIBの損益計算書の「金融業務損
益」に計上されている。
ヘッジ手段のデリバティブと同様に、ヘッジ会計を適用していないデリバティブのキャッシュ・フ
(2)
ローは、LIBOR指標に代わるISDAフォールバック・レートを使用して算定された 。
(2) 米ドルLIBORを参照するキャッシュ・フローは、米ドルLIBORの設定が廃止されていない場合に
は、LIBOR指標を使用して決定される。
72/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
A.4.6. 金融商品の公正価値
デリバティブ金融商品は、取引日基準により計上される。
金融商品の公正価値
公正価値は、グループが測定日時点で利用することができる主要な市場、またはその市場が存在し
ない場合は最も有利な市場における、測定日の市場参加者間の秩序だった取引において、資産の売却
により受領する、あるいは負債の移転で支払う価格である。負債の公正価値には、不履行リスクが反
映されている。
該当する場合には、グループは商品の公正価値を当該商品の活発な市場における公表価格を使用し
て測定する。当該資産または負債について、継続的に価格情報を提供するために十分な頻度と量の取
引が行われる場合、市場は活発とみなされる。
連結貸借対照表に計上する金融資産および金融負債の公正価値は、活発な市場から入手できない場
合は、数学的モデルの使用も含め、評価技法を用いて算定する。
これらのモデルに使用するデータは、可能であれば観察可能な市場から入手するが、不可能な場合
は、時価の設定に際しある程度の判断を要する。選択された評価技法には、市場参加者が取引の価格
決定の際に考慮すると考えられるすべての要素が組み込まれる。
グループがその市場リスクまたは信用リスクのいずれかについて正味エクスポージャー・ベースで
管理している市場リスクまたは信用リスクのある金融資産または金融負債のポートフォリオは、特定
のリスク・エクスポージャーについてその正味ロング・ポジションを売却する際に受け取る価格また
は正味ショート・ポジションを移転するために支払う価格に基づいて測定される。これらのポート
フォリオ・レベルでの調整は、個別の資産および負債にポートフォリオ内の個別の商品それぞれの相
対的リスク調整に基づいて配分される。
グループは公正価値での測定に使用されるインプットの重要性を反映した以下のヒエラルキーを用
いて公正価値を測定する。
- レベル1:グループが利用可能な同一の商品の活発な市場における未修正の公表市場価格であ
るインプット
- レベル2:レベル1に含まれる公表市場価格以外の、直接的(価格等)あるいは間接的(価格
から導出された値等)に観察可能なインプット。このカテゴリーには、類似した商品について
の活発な市場における公表市場価格、同一または類似した商品についての活発ではない市場に
おける公表市場価格、またはすべての重要なインプットが直接的または間接的に市場データか
ら観察可能なその他の評価技法を使用して評価される商品が含まれる。
- レベル3:観察不能なインプット。このカテゴリーには、評価技法に観察可能なデータに基づ
いていないインプットが含まれ、観察不能なデータが当該商品の評価額に重要な影響を持つす
べての商品が含まれる。このカテゴリーには、類似した商品の公表市場価格に基づいて評価さ
れ、商品間の相違を反映するために重要な観察不能な修正または仮定が必要とされる商品が含
まれる。
グループは、公正価値ヒエラルキーのレベル間の移動を、変更が起きた報告期間の期末時点で認識
している。
73/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
A.4.7. 受取手数料
グループは様々な種類のサービスを顧客に提供することにより、受取手数料を得ており、これらの
受取手数料はIFRS第15号に従って会計処理されている。グループは、約束されたサービスの支配を顧
客に移転することによって履行義務が充足された際に、収益を認識する。原則として、顧客はその
サービスを直接利用する能力、またはそのサービスからの実質的にすべての利益を得る能力を得た時
点で支配を獲得する。一部の状況では、支配が移転した時点を判定するために、判断が必要となり得
る。
受取手数料は、以下に基づいて大きく2種類に分けられる。
- 一定期間:一定期間にわたって、グループが履行義務を充足し、その結果、支配を移転する。
- 一時点(ポイント・イン・タイム):グループが履行義務を充足し、一定時点で顧客に支配を
移転する。
受取手数料の主要な源泉は、保証、貸付金および第三者マンデートによるサービスである。
受け取った受取手数料の金額は、確約されたEUの拠出のパーセンテージなどの様々な構成要素に応
じた、または単一の履行義務に関連付けられた特定の基準に基づいて、固定されている場合もあれば
変動する場合もある。対価が変動金額を含む場合、グループは顧客へのサービスの移転と引き換えに
受け取る権利を有する対価の金額を見積る。
変動対価は、契約開始時に見積られ、変動対価に関する不確実性が後に解消された際に、認識した
収益の累計額において重要な収益の戻入れが発生しない可能性が非常に高い範囲に制限される。
一定期間にわたって充足される収益による受取手数料は、サービスの提供期間にわたって発生主義
により計上される。一時点でのサービスの提供または履行からの受取手数料は、サービスの提供が完
了した際に計上される。
一定期間にわたって充足される履行義務に関して、グループは、当該履行義務の充足に対するグ
ループの努力またはインプットを基準として収益を認識するために、「インプット法」を使用し、手
数料を時間の経過と共に認識している。
履行義務に関しては、管理手数料の最大金額または「キャップ」が特定のマンデートに適用され
る。これが適用される場合、通常は15年から25年のマンデートが終了する前に管理手数料を受け取ら
なくなる可能性が高く、管理手数料はマンデートの最初の数年など、限られた期間に支払われること
になり、したがって、履行したサービスおよびグループで発生する費用と相関しなくなる。
この事項に対処するために、グループは繰延収益方針(「契約負債メカニズム」とも呼ばれる)を
使用している。契約負債メカニズムは、マンデートに関連してグループで発生する総費用に基づいて
おり、すべての新しいマンデートについてその承認プロセスの一環として事前金融モデルを使用す
る。この繰延方針は、持続可能な業務および契約の進捗度に基づいた収益認識を確実にする。それぞ
れの調整は、連結貸借対照表の「繰延収益」に計上される。
74/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
A.4.8. 中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期証券、確定利付証券を含む負債証券、ならびに株
式およびその他の変動利付証券
連結貸借対照表科目「 中央銀行担保適格国庫証券 およびその他短期証券」および「確定利付証券を
含む負債証券」には以下が含まれる。
- 償却原価で測定される負債証券
- 強制的に純損益を通じた公正価値で測定される負債証券
- 純損益を通じた公正価値での測定に指定された負債証券
A.4.8.1. 短期財務ポートフォリオ
グループの短期財務ポートフォリオ(「TMP」)は、以下の目的で保有されている。
- EIBの主たる流動性バッファーとして、EIBが資金活動を実施したあらゆる通貨で、必要とされ
る現金を適時に提供する。
- 金融市場の状況およびグループにおける適切な水準の流動性維持という以前の包括的な目的と
矛盾なく、適切な振替価格を取り扱う。
- このポートフォリオは、 短期国庫証券 および公共機関や金融機関が発行した譲渡可能負債証券
等の、満期が12ヵ月以下の短期金融市場商品によって構成されている。
これらの有価証券は、当初、公正価値に直接帰属する取引費用を加えた値で計上される。有価証券
の帳簿価額と償還金額との差額は、保有する有価証券の残存期間にわたり実効金利法により償却され
る。
このポートフォリオにおける有価証券は、契約上のキャッシュ・フローを回収する目的で保有され
ており、償却原価での測定に分類されている。このビジネスモデルの一環として、売却の頻度は低
い、あるいは売却額には重要性がないとみなされる。
A.4.8.2. 有価証券流動性ポートフォリオ(「SLP」)
有価証券流動性ポートフォリオ(「SLP」)は、政府、国際機関、金融機関および企業が発行または
保証した上場負債証券で構成されている。このポートフォリオのビジネスモデルは、資産クラスの配
分を変更することによるデュレーションの迅速な再調整および信用リスクの軽減を可能にするために
デリバティブを使用し、長期資産を売却するグループの能動的な運用により動かされているため、こ
のポートフォリオにおける有価証券は強制的に純損益を通じた公正価値で測定されている。
売却または償還により実現された損益および公正価値変動による未実現損益は、「金融業務損益」
として計上される。SLPの資産からの受取利息は、「受取利息および類似収益」に含められている。
「有価証券流動性ポートフォリオ」の時価は、第一情報源としての活発な市場における公表相場価
格に基づいている。入手できる公表相場価格がない金融商品については、市場参加者からの提示価格
を入手することにより、および/または評価手法もしくはモデルを使用して、時価を決定している。
評価手法もしくはモデルは観察可能な貸借対照表日現在の実勢市場データに基づくことが可能である
場合に用いられる。
A.4.8.3. 長期高品質流動資産(HQLA)ポートフォリオ(「LTHP」)
従来の長期ヘッジポートフォリオ(「LTHP」)は、2021年に長期高品質流動資産(HQLA)ポート
フォリオ(「LTHP」)に改編された。この改編とは、ポートフォリオの規模、新たな適格通貨および
承認されている投資の範囲の変更等である。
75/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
このポートフォリオの主要な目的は、高格付けの流動性の高い債券で構成された、EIBのユーロおよ
び米ドルでの中核的な長期の流動性準備金としての機能を果たすことである。
この新しい改編の下では、以下によって発行または保証された有価証券への投資が認められる。
- 欧州連合加盟国政府およびアメリカ合衆国(USA)政府
- 欧州連合、欧州安定メカニズム、欧州金融安定基金
この改編後のポートフォリオの下で購入した有価証券に関するビジネスモデルに変更はなく、当該
有価証券は、引き続き満期まで保有し契約上のキャッシュ・フローを回収する目的で購入されるた
め、償却原価での測定に分類されている。このビジネスモデルの一環として、売却の頻度は低い、あ
るいは売却額には重要性がないとみなされる。
LTHP の有価証券がヘッジ会計の適格性基準(注A.4.5)を満たしている場合、償却原価はヘッジ対象
のリスクに起因する公正価値で調整され、連結損益計算書の「金融業務損益」に認識される。ヘッジ
の公正価値測定は、割引キャッシュ・フロー技法に基づく。
A.4.8.4. EIF運用ポートフォリオ
EIF 運用ポートフォリオは、以下の2つの目的を持つ。
- 投資の長期的性質に見合ったリターンを提供する。
- 副次的な流動性としての役割を果たす。
債券、ノート、その他の債務などの長期負債性金融商品に対する投資で構成される。
このポートフォリオにおける有価証券は、満期まで保有して契約上のキャッシュ・フローを回収す
る目的で保有されており、そのため、償却原価での測定に分類されている。このビジネスモデルの一
環として、売却の頻度は低い、あるいは売却額には重要性がないとみなされる。
A.4.8.5. 代替貸付金ポートフォリオおよびABSポートフォリオ・EIF
代替貸付金ポートフォリオおよびABSポートフォリオ・EIFは、満期まで保有して契約上のキャッ
シュ・フローを回収する目的の、主に特別目的事業体(「SPV」)または信託事業体が発行した債券、
ノートあるいは証書の形の債務で構成されている。
代替貸付金は、契約上関連している商品または単一トランシェの商品の形をとり得る。このポート
フォリオへの投資がSPPI基準に適合する場合、償却原価での測定に分類される。ただし、投資が代替
固定金利貸付金の性質を持ち、ヘッジ会計適格であるため(注A.4.5)、ヘッジ関係に指定され、償却
原価がヘッジ対象のリスクに起因する公正価値について調整される場合は除く。
ヘッジの公正価値測定は、割引キャッシュ・フロー技法に基づく。
経済的にヘッジされたがヘッジ会計に含めることができない代替貸付金は、ヘッジ手段が純損益を
通じた公正価値での測定に分類されることから生じる会計上のミスマッチを低減するために、取消不
能で公正価値オプションに指定される。
76/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
代替貸付金ポートフォリオに含まれる、SPPI基準を満たさない契約上関連しているまたは単一トラ
ンシェの商品は、強制的に純損益を通じて公正価値で測定される。
代替貸付金のフロントエンド・フィーは繰り延べられ、実効利回りの調整として認識されて、関連
する代替貸付金の実行から返済までの期間にわたって連結損益計算書に計上される。フロントエン
ド・フィーは繰り延べられ、原代替貸付金の残存期間にわたり、損益計算書上の「受取利息および類
似収益」で認識される。
代替貸付金の未実行部分は、名目値でオフ・バランスシートに記録される。
負債証券の減損
グループは、 財務ポートフォリオ に係る信用リスクは、その固有の信用リスクの低さから、当初認
識時から大幅に増加していないとみなしている。 財務ポートフォリオの負債証券 (債券、割引証券
等)に関連する信用リスクは、内部方針に従って、当初の最低格付を投資適格以上として、健全なカ
ウンターパーティーおよび発行体を選択することにより管理されている。また、各財務報告日時点
で、財務ポートフォリオの資産が低信用リスク基準に適合することを確実にするために、定期的な評
価が実施されている(注S.2.4を参照)。
その結果、償却原価で測定される財務ポートフォリオ資産に関連する貸倒引当金は、12ヵ月ECLに相
当する金額で算定される。
代替貸付金については、貸付金および預け金に適用されるECLの減損モデルが代替貸付金ポートフォ
リオ内の償却原価で測定される商品に加え、関連する未実行のコミットメントにも同様に適用され
る。
IFRS 第9号に基づくそれぞれの貸倒引当金は、注A.4.4で説明されている減損モデルに従って、12ヵ
月ECLまたは全期間ECLのいずれかに基づいて算出される。
A.4.8.6. 株式およびその他の変動利付証券
この連結貸借対照表科目には、以下が含まれる。
- 強制的に純損益を通じて公正価値で測定される金融商品
- その他の包括利益を通じた公正価値での測定に指定された金融商品
- 純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融商品(FVO)
グループの株式ポートフォリオは、主にプライベート・エクイティおよびベンチャー・キャピタル
事業、債券ファンド、インフラ基金、投資基金および欧州復興開発銀行(「EBRD」)参加持分で構成
され、公正価値で計上されている。
プライベート・エクイティ、ベンチャー・キャピタル、債券ファンド、インフラ基金、投資基金
プライベート・エクイティおよびベンチャー・キャピタル(「VC」)事業、債券ファンド、インフ
ラ基金ならびに投資基金は、強制的に損益を通じた公正価値で測定されており、公正価値の変動は
「金融業務損益」に計上される。
EIB が実施する一部の共同投資では、投資は取得原価で当初認識され、純払込額は合意されたウォー
ターフォールに従って配分された資本返済控除後の出資履行額である。
これらの投資の未実行だが確約した部分は、名目値で連結オフ・バランスシート・コミットメント
に計上される。
公正価値(ウォーターフォールの適用がある場合は、適用前)は、合計純資産価額(「NAV」)法を
適用して測定される(容易に確認可能な市場価値は欠如しているが、NAVが公正価値の最良見積とみな
す)。
77/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
この評価方法では、組み入れられたファンドのNAV(年度末のファンド・マネージャーの報告書より
前の最新の利用可能な情報に基づく)がIFRS第13号に準拠して算定された公正価値の最良見積と考え
られる場合には、全ファンドのNAV合計も同じように算定された公正価値に相当すると暗黙的に仮定し
て いる。公正価値は、次のいずれかを、利用可能な場合に優先順位に従い適用して決定される。
- 各ファンド・マネージャーから提出された、利用可能な直近の日におけるグループの持分価値
- グループが保有する株式数または口数に、ファンド・マネージャーが報告する利用可能な直近
の日の1株当たりまたは1口当たりの価格を乗じた値
- 特定のコンパートメントにおけるグループの所有比率に、最新のファンド・マネージャーの報
告に反映された当該特定のコンパートメントの純資産価額(「NAV」)を乗じた値
- 当該ファンドにおけるグループの所有比率に利用可能な直近のファンドNAVを乗じた値
EIB が実施する一部の共同投資においては、公正価値は合意されたウォーターフォールの計算に基づ
いて決定される場合がある。
また、入手可能な直近のNAVの日付から貸借対照表日の間に発生した事象について調整することが重
要と経営委員会がみなす場合に限り、EIB帰属分のNAVに対してかかる調整を行う。
これに関連して、COVID-19のパンデミックやパフォーマンスの変動を受けて、グループは、グルー
プの財務書類の報告日時点でファンド・マネージャーが報告していないNAVについて、VC投資の公正価
値の調整を見積もるために、評価技法を強化した。特に、グループはこれらの投資の公正価値を決定
するために、以下の要素を検討する。
- 報告日時点で入手可能な前四半期のNAVから観察可能な推移
- 市場から収集した知見に基づく情報
- ポートフォリオ間の相関関係を検討することによる、関連するベンチマークのパフォーマンス
とポートフォリオのパフォーマンスとの比較
報告日現在入手できない前四半期のNAVについては、上記の3つの要素を総合的に考慮して、グルー
プは調整率がある場合にはそれを決定し、パフォーマンスの見積りを導出することが可能である。
NAV が容易には決定できない特定の投資に関しては、他の指針(例えばインターナショナル・プライ
ベート・エクイティ・ベンチャー・キャピタル・バリュエーション(「IPEV」)理事会が公表したイ
ンターナショナル・プライベート・エクイティ・ベンチャー・キャピタル評価ガイドライン等)が使
用されることもあり、その場合はより綿密な監視と検証が必要とされる。この方法に従い、ファンド
は内部的に次の3種類に分類される。
- カテゴリーI IFRS第13号またはIPEVガイドラインの公正価値要件を適用しており、NAVが信頼性
の高い公正価値の見積りであることを確認するため特定の検証が実施されているファンド。
- カテゴリーII IFRS第13号に沿ったものと考えることができる他の評価ガイドライン(旧EVCAの
2001年版ガイドライン等)または評価基準を適用しており、同等のNAVの計算が可能なファン
ド。
- カテゴリーIII IFRS第13号またはそれに沿った他の評価ガイドラインの公正価値要件を適用し
ていないファンド。
セカンダリーセール
ベンチャー・キャピタル・ファンドおよび投資ファンドに係るセカンダリーセール取引により、原
資産の認識が中止される。
78/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
セカンダリーセールからの損益は「金融業務損益」に計上され、売却手取額と正味帳簿価額の差異
として算出される。
共同支配企業および関連会社における持分
グループはIFRS第11号およびIAS第28号に含まれるベンチャー・キャピタル企業および同様の事業体
の測定の適用除外を使用するために必要な条件を充足しており、その結果、かかる投資に関して持分
法会計や比例連結を使用しないことを決定している。
当初認識時に、共同支配企業や関連会社に対する持分は純損益を通じた公正価値での測定の区分に
指定されており、以後はIFRS第9号に従って公正価値で測定されて、公正価値の変動はその変動が
あった年度の連結損益計算書上で認識されている。
共同支配企業は、グループと他の当事者が共同支配の対象となる経済活動の実施を約束した契約合
意である。共同支配とは契約により合意された経済活動に対する支配の共有で、活動に関する戦略
上、財務上または業務上の決定が支配を共有する当事者(合弁参加者)全員の同意を必要とする時に
のみ存在する。一般的に、グループが自己勘定で、または委任者に代わって取得する参加権は、プラ
イベート・エクイティまたはベンチャー・キャピタル・ファンドへの投資である。業界の慣行によれ
ば、そのような投資は概して多数の投資家が共同で応募する投資であり、どの投資家も当該ファンド
の日々の運営および投資活動に対し、個人的に影響力を行使することはできない。
結果として、ある投資家がそのようなファンドの統治機関のメンバーになったとしても、原則的に
は、それにより当該投資家がそのファンドの日々の運営に影響を与える権利を手にするものではな
い。さらに、プライベート・エクイティやベンチャー・キャピタル・ファンドに対する個別投資家
は、配当その他の分配に関する方針等、ファンドの方針を決定することがない。一般的にそのような
決定は、ファンドの経営陣と全株主の権利および義務を規定した株主契約に基づき、ファンドの経営
陣が行っている。また一般的に株主間の合意は、個別投資家がファンドとの間で実質的な取引を行っ
たり、役員を相互に交換したり、重要な専門情報にアクセスする特権を得たりすることも防止してい
る。グループが自己勘定で、または委任者に代わって行う投資は、上記の業界慣行に沿って執行され
る。加えて、グループはこれらの投資からのリターンの変動性にさらされている。したがって、支配
を有しているかどうかを検討する際に、グループはこれらの投資リターンに最も著しく影響を及ぼす
主要な決定を管理しているかどうかを評価する。その結果、そしてIFRS第10号に従って、グループは
これらの事業体を支配していないと結論した。関連会社は、グループが財務および業務上の方針に対
して重要な影響力を持つが、支配力または共同支配力を持たない企業である。
EBRD 参加持分
グループはまた、EBRDへの参加持分を保有しているが、この投資は長期戦略的目的で行われたた
め、取消不能でその他の包括利益を通じた公正価値での測定に指定することをグループの経営陣は選
択した。
当初認識時に、グループはこの参加持分を公正価値に取引費用を加算した値で測定している。その
後、外貨換算損益を含む公正価値変動による損益はその他の包括利益で認識され、当該損益はたとえ
処分時であっても純損益に組み替えられることはない。
グループにより応募済であるがEBRDへの投資について払込未請求の資本は、連結オフ・バランス
シートのコミットメントとして記録されている。
79/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
A.4.9. 金融機関および対顧客貸付金および預け金
金融機関および対顧客貸付金および預け金には、主に直接借手に資金が提供される貸付金が含まれ
る。
貸付金および預け金は、現金が借手に渡った時に認識される。それらは当初原価(正味実行額)、
すなわち貸付金の公正価値に付随費用を含めたもので計上され、その後は実効金利法により償却され
る。貸付金の未実行部分は、名目値で連結オフ・バランスシートのコミットメントに記録される。
貸付金がヘッジ会計の適格性基準(注A.4.5)に適合する場合、当該貸付金に係る公正価値ヘッジ損
益は、貸付金の帳簿価額を修正し、連結損益計算書の「金融業務損益」で認識される。
貸付金が公正価値オプションの基準に適合するか、あるいは償却原価もしくはその他の包括利益を
通じて公正価値で測定に分類される基準(注A.4.3)に適合しない場合、当該貸付金は、当初の認識時
に連結損益計算書を通じた公正価値での測定に指定され、その公正価値で測定される。この場合、割
引キャッシュ・フローを公正価値の見積り方法として採用する。公正価値評価に指定された貸付金
は、連結貸借対照表に公正価値で計上される。公正価値の変動は「金融業務損益」に計上される。
償却原価で測定される金融機関貸付金および預け金、ならびに対顧客貸付金および預け金の再測定
に対するIBOR改革の影響については、注A.4.3「分類および測定」の「条件変更」と題する項を参照の
こと。
ヘッジ会計の適格基準を満たす金融機関貸付金および預け金、ならびに対顧客貸付金および預け金
の再測定に対するIBOR改革の影響については、注記A.4.5「デリバティブおよびヘッジ活動」の「IBOR
改革との関連におけるヘッジ対象、ヘッジ手段およびその他のデリバティブの公正価値の決定」と題
する項を参照のこと。
公正価値オプションの下で報告される英ポンド、スイス・フランおよび日本円の各通貨建ての金融
機関貸付金および預け金、ならびに対顧客貸付金および預け金の再測定に対するIBOR改革の影響につ
いては、EIBは経済的に同等の割引率を適用しており、米ドル建てのヘッジ対象の公正価値は米ドル
LIBORの割引カーブを用いて決定されている。
A.4.9.1. 貸付金利息
グループによる貸付金の利息は、実効金利法によって連結損益計算書では「受取利息および類似収
益」に、連結貸借対照表では「貸付金および預け金」に計上される。
A.4.9.2. リバース・リパーチェス取引(リバース・レポ)
リバース・リパーチェス取引は、担保有価証券を提供する金融機関に対してグループが流動資金を
貸し出す取引である。双方の当事者は、確定日に確定金額で取引を行うという取消不能の契約を結ぶ
ことになる。
この取引は、支払引替渡しの原則に基づき行われる。すなわち流動資金の借手は、契約価額での決
済と引き換えに、グループの保管業者に有価証券を引き渡すのである。これによってグループに金融
市場と連動したリターンが発生する。
こうした種類の業務は、グループの目的から、保証された金利が付加された貸付とみなされる。こ
れらの取引は一般的に有担保金融取引として取り扱われるため、提供または受領した現金額に未収
(経過)利息を加えた金額で計上されている。リバース・レポは、連結貸借対照表の資産側の「金融
機関貸付金および預け金: b) その他の貸付金および預け金」に計上される。
リバース・リパーチェス契約に基づいて受け取った有価証券は、有価証券に含まれる契約上の権利
を支配できない限り、連結貸借対照表において認識されない。グループは、これらの受け取った有価
証券の市場価格を日々管理しており、原契約に従い追加担保を要求する。
80/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
A.4.9.3. 定期預金および要求払預金(「預金」)
預金とは、グループが一定期間、または当事者間で合意した収益に対して要求払いで、金融機関ま
たは顧客に流動性のある資金を貸し付ける業務である。預金は、連結貸借対照表の資産側の「金融機
関 貸付金および預け金: その他の貸付金および預け金」に額面金額で計上される。
A.4.9.3.1. 預金およびリバース・リパーチェス契約に係る利息
預金およびリバース・リパーチェス契約に係る利息は、それぞれの契約の期間にわたり受取利息ま
たは支払利息として計上される。預金およびリバース・リパーチェス契約に係る利息は、それぞれの
契約の期間にわたり「受取利息および類似収益」または「支払利息および類似費用」として計上され
る。
A.4.9.4. 貸付金手数料
貸付金のフロントエンド・フィーは、融資枠の発生および維持に関連する直接費用と共に繰り延べ
られ、実効利回りの調整として関連する貸付金の実行から返済までの期間にわたり連結損益計算書に
計上される。融資が実行されることなく融資枠の期間が満了した場合の手数料は、満了時に一括して
認識される。フロントエンド・フィーは繰り延べられ、原貸付金の残存期間にわたり、損益計算書上
の「受取利息および類似収益」で認識される。
81/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
A.4.9.5. 利子補助金
前受利子補助金(注F)は繰り延べられ、実効利回りの調整として認識されて、補助金支給対象貸付
金の実行から返済までの期間にわたって連結損益計算書の「受取利息および類似収益」に計上され
る。
A.4.10. 貸付金および預け金の減損
グループ内では、予想信用損失減損モデルは償却原価で測定される貸付金および預け金だけでな
く、連結オフ・バランスシートのコミットメントにも適用されている。IFRS第9号に基づく貸倒引当
金は、注A.4.4で分析されている減損モデルに従って、12ヵ月ECLまたは全期間ECLのいずれかに基づい
て測定される。
A.4.11. 金融保証
金融保証契約は、特定の債務者が、負債性金融商品の条件に従って支払期日に支払いを履行できな
い場合に、グループに、その商品の保有者に損失を補填するための所定の支払いを義務付ける。
発行済の金融保証は通常、オフ・バランスシート項目として会計処理され開示される。
金融保証は当初総額アプローチを使用して会計処理され、受取レッグと支払レッグは相殺されて連
結貸借対照表に公正価値で認識される。
EIB グループの金融保証契約は単独の独立企業間取引として非関連当事者に対して発行されるため、
契約開始時におけるその公正価値は受取プレミアムと同額とみなされる。当初認識時において、支払
義務は、予想プレミアムの正味現在価値(「NPV」)または当初予想損失に対応する。
その後、金融保証は総額アプローチを使用して会計処理され、将来の受取プレミアムは金融資産と
して独立して計上され公正価値で測定される一方で、金融負債は、以下のうち高いほうの金額で測定
される。
- IFRS第9号の下で算定される損失引当金の額。
- 当初認識額、すなわち、NPVから、適切な場合に、IFRS第15号の原則に従って認識された累積償
却額を控除した金額。
適合する場合、予想プレミアムの正味現在価値(「NPV」)および予想支払義務の金額は相殺され
る。
企業は、IAS第32号に従って、以下の場合に限り、金融資産と金融負債とを相殺し(純額表示)、純
額を連結貸借対照表に表示しなければならない。
- 認識している金額を相殺する法的に強制可能な権利を現在有している。
- 純額で決済するかまたは資産の実現と負債の決済を同時に実行する意図を有している。
金融保証契約の測定の結果として正味資産ポジションとなった場合、それぞれの保証は「その他の
資産」として連結貸借対照表に表示される。
金融保証契約の測定の結果として正味負債ポジションとなった場合、それぞれの業務は連結貸借対
照表に以下のように表示される。
- 償却後の当初NPVが12ヵ月ECLまたは全期間ECLよりも高い契約については、「その他の負債」
- 信用減損があり、したがって全期間ECLに基づいた損失引当金が認識されている契約について
は、「保証および契約債務引当金」
82/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
金融保証が純額表示の対象ではない場合、資産サイドと負債サイドはグループの貸借対照表上で、
別々に表示される。
金融保証に関連する「その他の資産」または「その他の負債」の増加または減少は、連結損益計算
書の「金融業務損益」に認識される。
保証履行請求に対する決済以外の金融保証に伴う「保証および契約債務引当金」の増加または減少
は、連結損益計算書の「貸付金および預け金の減損ならびに保証引当金の変動(戻入れ控除後)」に
認識される。
受取プレミアムは、連結損益計算書の「受取手数料」で認識される。前受手数料は連結貸借対照表
の「繰延収益」で認識され、金融保証期間にわたって定額法で連結損益計算書において償却される。
A.4.12. 有形固定資産
有形固定資産には、土地、グループが使用している不動産ならびにその他機械および設備が含まれ
る。
有形固定資産については、定期的に減損の検討が行われている。
土地は、取得原価で計上されており、建物は、取得原価から減価償却累計額を控除した金額で計上
されている。ルクセンブルクのキルヒベルクに所在する本店の建物、ならびに同国のワイマールショ
フの建物の取得原価は、以下のように定額法で減価償却されている。
恒久使用の設備および備品、家具、事務機器ならびに自動車は、取得価額から減価償却累計額を控
除した金額で連結貸借対照表に計上される。
減価償却費は購入品目ごとに、以下に示されている見積耐用年数の期間にわたって定額法で計算さ
れている。
- キルヒベルクおよびワイマールショフの建物:30年
- 恒久使用の設備および備品:10年
- 家具:5年
- 事務機器および自動車:3年
建設仮勘定資産は、工事が完了し、当該資産が意図された目的のための使用に供されることが可能
となるまで、その減価償却累計額は計上されない。
A.4.13. 無形資産
無形資産には、コンピューター・ソフトウェアが含まれている。ソフトウェア開発費は、識別可能
性、企業への将来の経済的便益の流入可能性、取得原価測定の信頼性に関する特定の基準を満たした
場合に資産計上される。
無形資産は資産として認識され、見積経済耐用年数にわたり定額法で償却される。無形資産は、連
結貸借対照表日ごとに減損または将来の予測便益の変化の兆候について検討されている。もし、その
ような兆候が存在する場合は、帳簿価額が全額回収可能かどうかを評価する分析が行われる。帳簿価
額が回収可能額を超える場合は、減損を行う。
これらの基準に適合する自社開発のソフトウェアは、償却累計額(完成から3年にわたり定額法で
計算)控除後の取得原価で計上されている。
建設仮勘定資産は、作業が完了し、当該資産が意図された目的のための使用に供されることが可能
となるまで、その償却累計額は計上されない。
83/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
A.4.14 年金制度および健康保険制度
グループは、ほぼすべての職員に退職給付を提供するため、確定給付年金制度を運営している。ま
た、グループはEIBの元職員に対して、特定の追加的な退職後医療費給付も行っている。これらの退職
給付はIAS第19号の定義による非積立型の年金制度である。年金給付に要するそれぞれの年金制度の費
用 は、予測単位積立数理評価方式により決定される。確定給付年金制度に関する連結損益計算書上の
費用は、資格を有する外部の保険数理士により確定された当期の勤務費用および利息費用に基づき計
上される。
A.4.14.1. 職員年金制度
EIB の主な年金制度は職員とEIBの拠出金を原資とする確定給付年金制度で、EIBの全職員が対象とさ
れている。EIBおよびその職員の全拠出額がEIBの資産へ投資されている。
退職給付債務は、適正な債務水準となるように予測単位積立方式を用いて、少なくとも年に1度は
評価を受ける。最新の評価は、2021年9月30日現在の加入者データおよび2021年12月31日までの
キャッシュ・フローに基づき、2021年12月31日現在で実施された。保険数理士が用いた主な仮定につ
いては、注Jを参照のこと。
数理計算上の積立過不足累計額は、全額が「その他包括損益」で認識される。純利息費用は、連結
損益計算書の「支払利息および類似費用」で認識される。
EIF の主要な年金制度は、職員とEIFの拠出金を原資とする確定給付年金制度で、全EIF職員が対象と
されている。この制度は、従来の確定拠出年金制度に代わり、2003年3月に実施された。
A.4.14.2. 健康保険制度
EIB は職員のため、EIBおよび職員の拠出金を原資とする独自の健康保険制度を設けている。これ
は、確定給付制度として会計処理される非積立型の制度である。定年退職年齢にある職員について
は、特定の引当金が連結貸借対照表の負債側に計上される。EIFは定年退職年齢に達した職員の福利厚
生のため保険会社の健康保険制度に加入しており、EIFとその職員からの拠出金を原資としている。
これらの給付の受給資格は、定年退職年齢まで職員が勤めあげること、および最低勤続年数を満た
していることである。この給付の見積給付費用は、確定給付年金制度と同じような方法を用いて、雇
用期間にわたり発生する。健康保険債務は、年金制度と同日に行われる保険数理計算に基づいて算定
される。
84/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
A.4.14.3. 経営委員会委員年金制度
グループ連結貸借対照表の「負債」に表示されている関連する引当金は、すべての制度がそうであ
るように、IAS第19号に準拠して算定されたものである。給付額は、勤続年数と当該制度で定義されて
いる最終年の総基本給に対する一定の比率に基づいて決定される。経営委員会委員に対する年金制度
は、職員に対する年金制度と同じ方針によって管理され、会計処理されている(注A.4.14.1)。
A.4.14.4. 任意補足年金制度
任意補足年金制度とは、職員の任意拠出金および使用者の拠出金を原資とする確定拠出年金制度で
ある。これは職員および使用者の拠出金に基づいて会計処理され、対応する負債は「その他の負債」
に計上されている。
A.4.15. 金融機関および顧客に対する債務
金融機関および顧客に対する債務は、当初の時点においては原価で計上され、連結財務書類におい
て償却原価で表示される。金融機関および顧客に対する債務の利息は、実効金利法を用いて「支払利
息および類似費用」または金利がマイナスの場合には「受取利息および類似収益」として連結損益計
算書に計上される。
EIBによるECBの金融政策オペレーションへの参加に関連して、BCLから借り入れた金額は当初原価で
計上され、中央銀行からの借入金として、連結財務書類において「金融機関に対する債務-b) 期日払
または通知払」に償却原価で計上されている。この点で、グループは金利に関連してそれぞれの取引
の契約条件を評価したが、市場における同様の取引で利用可能な資金調達条件と比較して、著しい利
益を特定していない。したがって、グループは当該取引を独立当事者間取引とみなしている。
この取引の借入利率は、所定の貸付実績の基準値を達成することを条件として引き下げられる可能
性があるが、この取引は後払いでのみ、とりわけ当該金融政策オペレーションの満期時または早期返
済時に決済される。グループにおけるこのリベート部分の重要性の観点、および年度末時点において
適格性の判定基準を信頼性をもって見積もることができないという事実を考慮し、グループはこのリ
ベート部分を当該取引の実効金利の計算から除外することが適切であるとみなしている。結果とし
て、借入金利のこの部分はIFRS第9号の要件を満たさないが、IFRS第15号の適用範囲に基づき会計処
理されている。取引の性格により、またグループの会計方針に沿って、発生する可能性のある将来の
リベートは、一時点で認識されている。
A.4.15.1. リパーチェス取引(レポ)
リパーチェス取引は、金融機関からグループが流動資金を借り入れ、担保有価証券を提供する取引
である。双方の当事者は、確定日に確定金額で取引を行うという取消不能の契約を結ぶことになる。
この取引は支払引替渡しの原則に基づいており、これは注A.4.9.2に記載されている。
85/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
こうした種類の業務は、グループの目的から、合意された金利が付加された借入とみなされる。こ
れらの取引は一般的に有担保金融取引として取り扱われるため、借入金額に経過利息を加えた金額で
計上されている。レポは連結貸借対照表上、「金融機関に対する債務-b) 期日払または通知払」の下
で負債側に名目金額で計上される。
A.4.15.1.1. リ パーチェス契約に係る利息
リパーチェス契約に係る利息は、それぞれの契約の期間にわたり支払利息または受取利息として計
上される。
A.4.15.2. 担保払込勘定
片務的担保サポート・アネックスに基づき、グループはデリバティブ、貸付および財務ポートフォ
リオに係るカウンターパーティー信用エクスポージャーを低減するために担保として現金を受領す
る。受け取った現金担保は、名目金額で計上され、翌日物預金として、連結財務書類において「金融
機関に対する債務-a) 要求払」に表示される。
A.4.16. 債務証書借入
債務証書借入は、当初、受取額の公正価値である原価で測定される。取引費用および正味のプレミ
アム(ディスカウント)は当初測定額に含まれる。その後は、償却原価で測定され、純受取額と償還
額との差額は借入期間にわたって実効金利法を用いて償却される。
ヘッジ会計の適格基準を満たす債務証書借入の再測定に対するIBOR改革の影響については、注記
A.4.5 「デリバティブおよびヘッジ活動」の「IBOR改革との関連におけるヘッジ対象、ヘッジ手段お
よびその他のデリバティブの公正価値の決定」と題する項を参照のこと。
公正価値オプションの下で報告される公表市場価格のない債務証書借入の再測定に対するIBOR改革
の影響については、EIBは経済的に同等の割引率を適用している。
借入金は、IFRS第9号の下でヘッジ会計適格の場合にヘッジ関係に指定され(注A.4.5)、その償却
原価はその後にヘッジ対象のリスクに起因する公正価値について調整される。
決済日が将来の借入金における確定契約債務も、ヘッジされヘッジ会計に指定することができる。
借入金のヘッジの公正価値は、割引キャッシュ・フロー法に基づいて算出される。借入金がヘッジ
会計に含まれず、公正価値オプションの適格基準を満たし、当初認識時にそのように指定された場
合、当該借入金は純損益を通じた公正価値で測定される。流動市場価格が無い場合、採用される公正
価値測定手法は、カレント・イールドカーブを用いた割引キャッシュ・フローである。
グループが借入金を純損益を通じた公正価値での測定に指定する際、「自行信用リスク調整」
(「OCA」)と呼ばれる信用リスクの変動に起因する公正価値の変動額は、「その他包括損益」に表示
される。金融負債の当初認識時に、グループは自行信用リスク調整の変動額をその他の包括利益に表
示することにより、損益における会計上のミスマッチを発生させる、または拡大することになるかを
評価する。
86/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
この評価は、以下を比較することによって行われる。
- 自行信用リスク調整の変動に関連する借入金の公正価値の予想変動額
- 関連する金融商品の公正価値の予想変動額の損益影響額
「その他包括損益」に表示される金額は、その後も純損益に振り替えられない。これらの金融商品
の認識が中止される際、関連するその他の包括利益での累積額はグループのその他準備金に振り替え
られる。組込デリバティブを含む、外国為替レートおよび指数に関連する仕組債商品については、グ
ループは当該エクスポージャーを完全にヘッジするために、スワップ契約を締結している。
負債性金融商品の未払利息は、原負債性金融商品が計上されている連結貸借対照表の負債項目に計
上されている。
A.4.17. 前払金-繰延収益
これらの項目は、以下のものから構成される。
- 前払金:当期の支出であるが翌期に関連する費用
- 繰延収益:貸借対照日以前に支払いを受けるが翌期に関連する収益
A.4.18. リース
契約開始時に、グループは契約がリースであるか、すなわち、契約が特定された資産の使用を支配
する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転するかを評価する。開始日後に、グループは使用権資
産とリース負債を認識する。
リース負債は、契約上の将来の固定および変動リース料、残価保証に基づく支払い、購入オプショ
ンの行使価格、ならびに解約ペナルティで構成されるリース料の現在価値で測定される。リース負債
はグループの追加借入利子率を使用して割り引かれる。その後、リース負債は実効金利法を使用して
償却原価で測定され、リース料およびリース負債に係る割引の巻戻しによる利息を反映して修正さ
れ、再評価またはリースの条件変更を反映するために再測定が行われる。
使用権資産は、上記のリース負債の当初測定の金額、借手に発生した当初直接コスト、リース開始
日以前に支払ったリース料から受け取ったリース・インセンティブを控除したものおよび解体費用
(該当する場合、リース終了日時点で)で測定される。EIBグループは、原資産のクラスごとに、非
リース構成部分をリース構成部分と区別せずに、各リース構成部分と関連する非リース構成部分を単
一のリース構成部分として会計処理することを選択した。
その後、グループは使用権資産を、原価モデルを適用して計上して、使用権資産をリース開始日か
らリース契約の終了まで減価償却し、IAS第36号に準拠して年次で減損の評価を行っている。
借手として、グループはIFRS第16号のリース会計の範囲でリース資産を、a)不動産(商業用および
住宅用不動産の両方)とb)車両の2つの資産クラスにグループ分けを行った。このグループ分けは、
特性、性質およびEIBのグループ業務における用途に類似性を持つ原資産に基づいて行われた。
グループは、連結貸借対照表において、使用権資産を「有形固定資産」そして対応するリース負債
を「その他の負債」で表示している。
87/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
短期リースおよび少額資産のリース
グループは少額資産のリースおよび短期リース(例えば、IT機器および事務機器)について、使用
権資産およびリース負債を認識しないことを選択した。グループは、これらのリースに伴う支払リー
ス料をリース期間にわたって定額法で費用として認識している。
A.4.19. 準備金
A.4.19.1. 準備基金
定款第22(-1)条で規定されているように、EIBの留保利益より「応募済資本金の10%を上限に、準備
基金に段階的に組み入れるものとする」。
A.4.19.2. その他準備金
その他準備金には、グループの残りの留保利益が含まれている。
A.4.19.3. 公正価値準備金
公正価値準備金には公正価値オプションに指定された金融負債の自行信用リスク調整の変動に起因
する公正価値、通貨ベーシス・スプレッドの公正価値、およびその他の包括利益を通じた公正価値評
価に指定された持分投資に起因する公正価値変動が含まれる。
A.4.19.4. 特別活動準備金
定款第16(-5)条で規定されているように、「EIBの特別活動(中略)には個別に準備金を配分す
る」。特別活動準備金は、EIBが一般的に受け入れているものよりもリスクの高い活動によって生じる
予想外の損失をカバーするために割り当てられた専用準備金であり、ベンチャー・キャピタル業務が
これに含まれる。この準備金は各業務の資本配分に基づき、EIBの法定利益の処分を通じて年次で調整
される。
A.4.19.5. 一般貸倒準備金
2009年、EIBの方針ガイドラインにより、EIBの貸付金および保証ポートフォリオから生じる可能性
のある損失に対し、「一般貸倒準備金」が導入された。この準備金は原資産の推移に応じて、EIBの法
定利益の処分を通じて年次で調整される。また、IFRS第9号の導入により、予想信用損失引当金はグ
ループの償却原価で測定される金融資産だけでなく、グループの連結オフ・バランスシートのコミッ
トメントについても会計処理される。後者は、連結損益計算書に影響し、自己資本の中での想定配分
であり、EIBが供与する貸付および保証業務に関連する一般貸倒準備金とは区別されなければならな
い。
A.4.20. 租税
欧州連合に関する条約および欧州連合の機能に関する条約に付属する欧州連合の特権および免除に
関する議定書は、欧州連合機関の資産、収益およびその他の財産について、あらゆる直接税を免除す
ると定めている。
A.4.21. 受取利息および支払利息
受取利息および支払利息は、すべての利付商品に関して、実際の購入価額(直接取引費用を含む)
に基づき、実効金利法により発生主義で連結損益計算書に認識される。これは、金融商品の償却原価
88/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
を計算し、当該期間にわたり受取利息を配分するという方法である。実効利率は、当該金融商品の見
積保有期間を通して将来受け取る金額の見積りを同金融商品の純帳簿価額に割り引く際の割引率にあ
た る。マイナス金利が計算される場合、対応する金利は受取利息から支払利息に組み替えられ、また
その逆のこともある。
この科目には、貸付金・預け金利息および手数料、有価証券ポートフォリオからのその他の収益の
他、貸付金の期限前返済に関してグループが受け取った債務者による補償金支払いが含まれている。
貸付金の期限前返済に関して受け取った補償金は、同貸付金の認識中止時に直ちに連結損益計算書
に計上される。
IAS 第32号「金融商品:表示」に準拠して、リプレースメント・シェア・パーチェス・アンダーテイ
キング(注A.4.1参照)の結果取得したEIFのプットオプションの公正価値の変動は、「支払利息およ
び類似費用」に表示される。
A.4.22. 株式およびその他の変動利付証券からの収益
「株式およびその他の変動利付証券からの収益」は、主に元本を超える当期売却額で構成されてい
る。
A.4.23. 現金および現金同等物
現金および現金同等物は、連結キャッシュ・フロー計算書に開示されており、手許現金、非拘束性
の中央銀行預け金、要求払い預け金および取得日から3ヵ月以内に満期日の到来する流動性の高い短
期金融市場証券または定期預金から構成されている。これらの金融商品は、その価値変動リスクが軽
微であり、容易に現金化が可能であり、グループは短期的な契約債務の管理に使用している。現金お
よび現金同等物に属する項目は、連結財務書類において償却原価で計上されている。
A.4.24. 売却目的保有資産
IFRS第5号で定義された売却目的保有非流動資産は、現時点では、セカンダリーセール対象の金融
商品のみで構成されている。こうした金融資産は引き続きIFRS第9号およびグループの会計方針に
従って測定される。これらの資産は、帳簿価額が、継続使用を通じてではなく主に売却取引を通じて
回収される場合に売却目的保有として分類される。以下の場合に、この条件は充足されているとみな
される。
- 売却の可能性が非常に高い。
- 資産が現状のまま即時に売却が可能である。
- 経営委員会の決定を通じて経営陣が売却を確約している。
- 売却目的保有に分類した日から1年以内に売却が完了すると見込まれる。
89/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注B: 現金、中央銀行および郵便局預け金、負債証券ポートフォリオ、株式およびその他の変動利付証
券ならびに他の事業体に対する持分(単位:千ユーロ)
B.1. 現金、中央銀行および郵便局預け金
現金、中央銀行および郵便局預け金は、2021年12月31日現在1,483,285千ユーロ(2020年:835,163
千ユーロ)である。
EIBは、ユーロ・システムの金融政策オペレーションにおける適格カウンターパーティーであること
から、EIBも欧州中央銀行の金融政策オペレーションに参加するようになった。EIBは、最低預金準備
率を充足するために預け金を置いているルクセンブルク中央銀行を通じて金融政策オペレーションを
実施する。この預け金残高は、2021年12月31日現在144,479千ユーロ(2020年:109,369千ユーロ)で
ある。
B.2. 負債証券ポートフォリオ
各ポートフォリオの2021年12月31日および2020年12月31日現在の詳細は、以下のとおりである。
2021 年12月31日 2020 年12月31日
中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期証券
37,237,861 32,194,810
12,058,782 12,921,085
確定利付証券を含む負債証券
(*)
49,296,643 45,115,895
負債証券合計
(*) うち非上場分は、2021年12月31日現在6,510,405千ユーロ(2020年:9,791,997千ユーロ)であった。
分類 帳簿価額 公正価値
2021 年12月31日現在
LTHP AC 1,443,699 1,436,504
TMP AC 22,456,300 22,457,103
SLP 強制的にFVTPLで測定 4,747,686 4,747,686
運用ポートフォリオ-EIF AC 2,297,749 2,291,361
381,039 381,039
資産担保証券ポートフォリオEIF 強制的にFVTPLで測定
代替貸付金ポートフォリオ (注D) AC 16,865,124 16,935,383
代替貸付金ポートフォリオ (注D) 強制的にFVTPLで測定 903,348 903,348
201,698 201,698
代替貸付金ポートフォリオ (注D) FVTPL に指定
(1)
49,296,643 49,354,122
負債証券合計
(1) うち現金および現金同等物142,403千ユーロ
90/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
分類 帳簿価額 公正価値
2020 年12月31日現在
LTHP AC 1,646,354 1,764,984
TMP AC 17,602,091 17,605,081
SLP 強制的にFVTPLで測定 4,179,891 4,179,891
運用ポートフォリオ-EIF AC 1,191,786 1,208,204
322,971 322,971
資産担保証券ポートフォリオEIF 強制的にFVTPLで測定
代替貸付金ポートフォリオ (注D) AC 18,956,929 19,159,729
代替貸付金ポートフォリオ (注D) 強制的にFVTPLで測定 1,002,525 1,002,525
213,348 213,348
代替貸付金ポートフォリオ (注D) FVTPL に指定
(1)
45,115,895 45,456,733
負債証券合計
(1) うち現金および現金同等物2,801,772千ユーロ
代替貸付金は、証券化取引に関連する貸付金または債権のプールにおける持分の取得を表してお
り、貸付金総額(注D)の一部とみなされる。こうした取引の一部は、与信またはプロジェクト関連の
救済措置を付加した上で組成されているため、追加的な償還請求手段が備わっている。
91/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
欧州連合加盟国ソブリン債に対するエクスポージャー
EIBおよびEIFの優先債権者の地位およびEIB定款による保護を考慮し、また公正価値修正要件の詳細
な見直しの結果、グループは、期末現在の満期保有目的EU加盟国ソブリン債およびEU加盟国ソブリン
保証債のエクスポージャーに関して、2021年度および2020年度には減損を計上しなかった。
下表は、2021年12月31日および2020年12月31日現在のグループの負債証券ポートフォリオにおけ
る、EU加盟国またはその政府機関が発行または保証する負債証券に対するエクスポージャーを示した
ものである。
帳簿価額 公正価値
2021 年12月31日現在
EU 加盟国ソブリン債
オーストリア 57,523 57,473
ベルギー 62,072 62,114
ブルガリア 41,238 40,755
チェコ共和国 397,333 400,545
デンマーク 17,620 17,620
フランス 1,277,213 1,276,540
ドイツ 988,825 1,038,633
ハンガリー 16,784 16,706
アイルランド 705,945 706,040
イタリア 7,462,310 7,468,126
ラトビア 14,997 15,070
リトアニア 32,371 32,630
ルクセンブルク 30,227 30,303
オランダ 357,993 370,237
ポーランド 585,712 532,983
ポルトガル 47,169 47,282
ルーマニア 85,980 85,911
スロバキア 7,986 8,180
スロベニア 39,446 39,021
スペイン 5,876,519 5,876,193
96,096 96,087
スウェーデン
18,201,359 18,218,449
31,095,284 31,135,673
EU 加盟国以外のソブリン債およびその他の債券
49,296,643 49,354,122
合計
92/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
帳簿価額 公正価値
2020 年12月31日現在
EU 加盟国ソブリン債
オーストリア
287,401 287,604
ベルギー
180,300 180,353
チェコ共和国
621,137 625,415
16,284 16,284
デンマーク
エストニア
10,010 10,010
フィンランド
41,066 41,066
フランス
527,304 532,619
ドイツ
2,346,829 2,410,491
ハンガリー
10,547 10,585
アイルランド
568,012 568,278
イタリア
97,341 126,731
ラトビア
14,985 15,206
16,993 17,822
リトアニア
ルクセンブルク
92,471 92,471
オランダ
770,356 783,634
ポーランド
185,180 186,022
ポルトガル
40,050 40,095
ルーマニア
10,127 10,123
スロバキア
113,160 113,514
スロベニア
14,929 15,467
スペイン
3,660,683 3,663,202
スウェーデン
62,794 62,794
9,687,959 9,809,786
EU 加盟国以外のソブリン債およびその他の債券
35,427,936 35,646,947
合計
45,115,895 45,456,733
93/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
負債証券ポートフォリオ-貸倒引当金
下表は、IFRS第9号のECLモデルに基づく、負債証券ポートフォリオの貸倒引当金の期首残高と期末
残高の間の調整を示している。
2021 年
信用減損のない 信用減損のある
12 ヵ月ECL 合計
全期間ECL 全期間ECL
(単位:千ユーロ)
AC で測定される負債証券
1月1日現在の残高 1,808 11,468 0 13,276
12 ヵ月ECLへの振替 0 -23 0 -23
信用減損のない全期間ECLへの振替 0 0 0 0
貸倒引当金の純額の再測定 -1,198 -6,029 0 -7,227
組成または購入された新規金融資産 175 0 0 175
-411 0 0 -411
認識が中止された金融資産
374 5,416 0 5,790
12 月31日現在の残高
2020 年
信用減損のない 信用減損のある
12 ヵ月ECL 合計
全期間ECL 全期間ECL
(単位:千ユーロ)
AC で測定される負債証券
1月1日現在の残高 2,298 11,797 0 14,095
12 ヵ月ECLへの振替 13 -117 0 -104
信用減損のない全期間ECLへの振替 0 24 0 24
貸倒引当金の純額の再測定 421 -228 0 193
組成または購入された新規金融資産 637 22 0 659
-1,561 -30 0 -1,591
認識が中止された金融資産
1,808 11,468 0 13,276
12 月31日現在の残高
94/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
B.3. 株式およびその他の変動利付証券
残高の内訳は以下のとおりである。
株式およびその他の変動利付証券
プライベー
ト・エクイ
投資基金
ティおよび
その他の
EBRD 持分 および 合計
ベンチャー・
持分投資
インフラ基金
キャピタル
事業
取得原価:
2021 年1月1日現在 6,976,035 157,500 2,568,911 244 9,702,690
(2)
取得 1,871,099 0 849,826 20 2,720,945
(2)
-1,945,518 0 -400,344 0 -2,345,862
売却/満期
(1)
6,901,616 157,500 3,018,393 264 10,077,773
2021 年12月31日現在
未実現利益/損失
2021 年1月1日現在 2,961,897 357,379 301,216 268 3,620,760
未実現利益 4,926,911 83,048 517,937 144 5,528,040
-353,257 0 -1,011 0 -354,268
未実現損失
7,535,551 440,427 818,142 412 8,794,532
2021 年12月31日現在
純帳簿価額:
14,437,167 597,927 3,836,535 676 18,872,305
2021 年12月31日現在
9,937,932 514,879 2,870,127 512 13,323,450
2020 年12月31日現在
(1) 157,500千ユーロ(2020年:157,500千ユーロ)は、欧州復興開発銀行(「EBRD」)の資本金に対するグループの応
募額900,440千ユーロに係る2021年12月31日現在のグループの払込資本である。2021年12月31日現在、グループは、
EBRDの応募済資本金の3.03%(2020年:3.03%)を所有している。
(2) 「取得」および「売却/満期」の金額には為替変動が含まれている。
グループがEBRDへの投資をその他の包括利益を通じて公正価値で測定するものとしての指定した理
由は、この投資が戦略的目的で長期間の保有が見込まれ、短期的にも中期的にもこの投資を処分する
計画がないためである。2021年12月31日現在の公正価値は、計上されている正味帳簿価額に対応す
る。2021年度中に認識された配当金はなく、また、この投資に関連して資本の部の中で振り替えられ
た累積損益もなかった。
95/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
B.4. 他の事業体に対する持分
B.4.1. グループの構成
欧州投資基金(「EIF」)は、1994年6月14日にルクセンブルクで国際金融機関として設立された。
登記上の事務所所在地は、37B, avenue J.F.Kennedy, L-2968 Luxembourgである。
EIFの主要任務は、十分な自己資本利益率を提供しつつ、以下を通じて欧州連合の目的追求に貢献す
ることである。
- 金融機関に対する中小企業(「SME」)向け融資保証の提供
- 持分投資の取得、保有、運用および処分
- 第三者から受託した特別財源の管理
- 関連業務
EIF の株式資本は普通株式のみで構成され、EIBはEIFの普通株式を直接的に保有しており、保有する
所有持分割合は、EIBが保有する議決権に等しい。EIFの設立国または登記国は、主たる事業所の所在
地でもある。
EIF株主総会におけるEIFの2021年2月の増資の承認の結果、EIFの授権資本は2021年度中に額面百万
ユーロの新株2,870株の発行を通じて、45億ユーロから74億ユーロに増加した。
新株の発行は、以下に詳述するように1応募期間で応募が可能な1回の応募で行われた。応募され
た新授権株式は、その額面金額の20%について払込が行われている。残りの80%は、EIF株主総会の決
定を受けて払込請求を行うことができる。この増資において応募された新授権株式についての申込価
格は、新規発行株式の払込部分を含んだ435,970.88ユーロと決定された。この金額は、リプレースメ
ント・シェア・パーチェス・アンダーテイキング(「RSPU」)の算式によって、外部監査人のレ
ビューを受けた2020年9月30日現在のEIFの財務データに基づいて算定された。EIF定款第5条に沿っ
て、EIFの各株主は、当該増資前で当該株主が引き受けた株数とEIFの全応募済株数との間の比率に対
応して、増資の一部に対して応募する権利を有していた。その結果として、EIBは2021年2月に約736
百万ユーロで、その比例配分部分である1,689株について応募した。
EIB は、EIFの応募済資本金73億ユーロ(2020年:45億ユーロ)の59.40%(2020年:58.82%)を保
有している。
2021 年度に、EIBは他の投資家からの購入も、他の投資家への売却も行わなかった。この結果、EIB
の保有株数は、2021年1月1日時点の2,647株から、2021年12月31日時点では4,336株へと増加した。
2021 年度中、欧州委員会(「EC」)が保有するEIFの応募済株式に関するRSPUは解除されたが、EC以
外のEIFの少数株主からの応募済株式に関するRSPUは依然として有効である。
この結果、これらの少数株主が引き受けたEIF株式774株について、EIBはRSPUに基づき、これらの株
式を1株当たり439,717.18ユーロで随時買い取る旨申し入れている。この価格は、EIF払込請求済資本
金に、資本剰余金勘定、法定準備金、留保利益、公正価値準備金および当期純利益を加えて当期配当
金を調整した値の1株当たり金額に相当する。合意された算式が、オプションが行使される会計年度
のEIFの承認済かつ監査済年次財務書類に適用されている。
96/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
B.4.2. 非連結ストラクチャード・エンティティへの関与
ストラクチャード・エンティティの定義
ストラクチャード・エンティティは、議決権または類似した権利が、誰が事業体を支配しているか
を決定する際の支配的な要因とならないように設計された事業体である。IFRS第12号では、ストラク
チャード・エンティティが次の特徴の一部または全部を備えていることが多いとしている。
- 制限された活動
- 限定され、明確に定義された目的。例えば、節税効果のあるリースの実行、研究開発活動の実
施、企業への資本もしくは資金源の提供、または当該ストラクチャード・エンティティの資産
に付随するリスクおよび利益を投資家に移転することによる投資家への投資機会の提供等
- 不十分な資本。ストラクチャード・エンティティが業務活動資金の調達を可能にするためには
劣後的な財務支援が必要
- トランシェ。信用リスクまたはその他のリスクの集中を発生させる、複数の契約上関連してい
る投資家向け商品の資金調達
非連結ストラクチャード・エンティティ
「非連結ストラクチャード・エンティティ」という用語は、グループによって支配されていないす
べてのストラクチャード・エンティティを指し、連結されていないストラクチャード・エンティティ
における持分を含む。
ストラクチャード・エンティティにおける持分の定義
IFRS 第12号は、「持分」を広義に定義しており、エンティティの業績から生じるリターンの変動に
報告企業がさらされるような、契約上または契約に拠らない関与を含むものとしている。このような
持分の例には、株式持分または資金の提供、流動性支援、信用補完、他のエンティティに対するコ
ミットメントおよび保証等のその他の形での関与が含まれる。IFRS第12号は、通常の顧客・サプライ
ヤーの関係だけでは、報告企業が他のエンティティの持分を持つことにはならないと述べている。
97/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
ストラクチャード・ グループが保有する持
性質および目的
エンティティの種類 分
プロジェクト・ プロジェクト・ファイナンス取引(「PF業務」)は、債務者から 正味実行済金額
の債務の返済が、当該債務者の唯一または主要な収益源に依存す
ファイナンス:
受取利息
る取引であり、その収益源は、当該借入によって資金調達された
特別目的事業体
資産または当該プロジェクトに契約によって関係づけられたその
(「SPV」)への
他の既存の資産などの単一または限定的な数の資産から生じる。
貸付
PF業務はSPVを通じて資金調達されることが多い。
ベンチャー・ グループは、ベンチャー・キャピタルおよび投資基金に資金提供 ベンチャー・キャピタ
している。ベンチャー・キャピタルおよび投資基金は、優れた成 ルおよび投資基金が発
キャピタルおよび
長潜在性を備えた中小企業におけるプライベート・エクイティ持 行する受益証券/株式
投資基金
分やインフラストラクチャー・プロジェクトへの投資を望む投資 への投資
家からの資金をプールし、管理する。
受取配当として受領し
た配当金
SPVが発行する SPVが発行する債券へのグループによる投資は、プロジェクトの SPVが発行した債券への
プロモーターまたは仲介者への資金提供の代替的な手段である。 投資
資産担保証券
資産担保証券は、分離されたSPVによって発行され、金融機関ま
受取利息
たはその他の機関によって組成された資産プールによって裏付け
られる。グループは、かかるSPVのスポンサー/プロモーターと
しての機能は果たさないことに留意するべきである。
第三者SPVが グループは、金融機関、公共団体またはSPVに供与されうる保証 保証エクスポージャー
および資金を拠出しない証券取引を行う。
供与した貸付金に
保証料
対する保証の付与
マンデート管理 グループは、第三者の代理でマンデートの管理を行い、外部資金 サービスに対する管理
の管理を受託し、関連する事務管理および会計サービスを提供す 報酬
る。
98/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
下表は、グループが報告日現在で持分を有する非連結ストラクチャード・エンティティの帳簿価
額、およびこれらのエンティティに関する信用リスクの最大エクスポージャーを示している。信用リ
スクの最大エクスポージャーには、帳簿価額および関連する未実行コミットメントが含まれる。
2021 年12月31日 2020 年12月31日
信用リスクの 信用リスクの
( 単位:百万ユーロ) 項目
最大エクス 最大エクス
帳簿価額 帳簿価額
ポージャー ポージャー
プロジェクト・ 対顧客貸付金
ファイナンス:SPVへの貸付 および預け金 8,530 9,212 8,744 9,418
ベンチャー・キャピタル 株式および
および投資基金 その他の変動利付
証券
(注B.3参照) 18,274 27,003 12,808 21,472
代替貸付金:SPVおよび 確定利付証券を
その他のストラクチャード・ 含む負債証券
エンティティが発行する
資産担保証券への投資 5,213 5,213 4,881 4,881
第三者SPVが供与した 保証引当金
貸付金に対する保証の付与
(注S.2.5.3参照) 39 11,834 23 5,822
合計 32,056 53,262 26,456 41,593
EIB グループから仕組事業体に対しては、それぞれへの資金供与以上の支援は提供されていない。
注C: 金融機関および対顧客貸付金および預け金-その他の貸付金および預け金(単位:千ユーロ)
2021 年12月31日 2020 年12月31日
定期預金 60,466,570 44,562,537
要求払預金 386,649 239,935
リバース・レポ 13,888,350 15,466,450
その他の金融機関貸付金および預け金 74,741,569 60,268,922
677,197 900,604
その他の対顧客貸付金および預け金
75,418,766 61,169,526
その他の貸付金および預け金合計
うち現金および現金同等物 66,842,771 43,933,323
99/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注D: 貸付金明細表(単位:千ユーロ)
D.1. 貸付金総額
貸付金総額は貸付金の実行済金額と未実行金額で構成されている。分析は以下のとおりである。
金融仲介機関に 最終受益者に
2021年 2020年
対して実行 直接実行
12月31日 12月31日
される貸付金 される貸付金
実行済金額 94,676,737 339,527,627 434,204,364 450,870,307
31,936,008 91,041,283 122,977,291 114,063,130
未実行金額
126,612,745 430,568,910 557,181,655 564,933,437
貸付金総額
6,007 466,846 472,853 161,053
分割貸付債権
17,970,168 20,172,802
代替貸付金ポートフォリオ
575,624,676 585,267,292
代替貸付金ポートフォリオを含む貸付金総額
D.2. 貸付金および預け金の減損-貸倒引当金
下表は、IFRS第9号のECLモデルに基づく、実行済貸付金および預け金ならびに未実行貸付金(貸付
コミットメント)の貸倒引当金の期首残高と期末残高の間の調整を示している。
2021 年
信用減損の 信用減損の
12 ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
AC で測定される金融機関貸付金
および預け金
2021 年1月1日現在の残高 14,905 49,994 61,023 125,922
12 ヵ月ECLへの振替 5 -322 0 -317
信用減損のない全期間ECLへの振替 -814 1,169 0 355
信用減損のある全期間ECLへの振替 0 -1,844 4,823 2,979
貸倒引当金の純額の測定 -10,505 -20,652 -10,279 -41,436
組成または購入された新規金融資産 213 2,623 0 2,836
認識が中止された金融資産 -1,941 -9,915 -3,257 -15,113
0 0 0 0
貸倒償却
1,863 21,053 52,310 75,226
2021 年12月31日現在の残高
100/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
金融機関貸付金および預け金に係る貸倒引当金の変動は、主に次の理由による。
- 12ヵ月ECL、信用減損のない全期間ECLおよび信用減損のある全期間ECLの純変動による増加
3,017千ユーロ
- 組成または購入された新規金融資産による増加2,836千ユーロ
- 同一ステージレベル内での既存の事業の貸倒引当金の純額の測定による減少41,436千ユーロ
- 金融資産の認識中止による減少15,113千ユーロ
2020 年
信用減損の 信用減損の
12 ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
AC で測定される金融機関貸付金
および預け金
2020 年1月1日現在の残高 17,863 68,514 72,669 159,046
12 ヵ月ECLへの振替 302 -8,074 0 -7,772
信用減損のない全期間ECLへの振替 -435 6,518 -37,579 -31,496
信用減損のある全期間ECLへの振替 0 -686 0 -686
貸倒引当金の純額の測定 -818 -17,254 40,396 22,324
組成または購入された新規金融資産 3,028 10,537 0 13,565
認識が中止された金融資産 -5,035 -9,561 -14,463 -29,059
0 0 0 0
貸倒償却
14,905 49,994 61,023 125,922
2020 年12月31日現在の残高
2021 年
信用減損の 信用減損の
12 ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
AC で測定される対顧客貸付金
および預け金
2021 年1月1日現在の残高 57,747 176,796 247,637 482,180
12 ヵ月ECLへの振替 302 -15,129 0 -14,827
信用減損のない全期間ECLへの振替 -4,342 13,872 0 9,530
信用減損のある全期間ECLへの振替 -16 -132 390 242
(1)
貸倒引当金の純額の測定 -37,566 -61,446 -52,717 -151,729
組成または購入された新規金融資産 1,955 4,841 0 6,796
認識が中止された金融資産 -2,794 -13,861 -24,834 -41,489
0 0 -2,444 -2,444
貸倒償却
2021 年12月31日現在の残高 15,286 104,941 168,032 288,259
(1) この金額には、条件変更の結果として、対応する資産の認識が中止されたことによるECLの使用に関連する21,217千
ユーロが含まれる。さらに、2020年度に認識が中止された資産に対応する43,739千ユーロが2021年度中に再計上さ
れている。これらの再計上された資産にはECL額は必要ないとみなされた。
101/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
対顧客貸付金および預け金に係る貸倒引当金の変動は、主に次の理由による。
- 12ヵ月ECL、信用減損のない全期間ECLおよび信用減損のある全期間ECLの純変動による減少
5,055千ユーロ
- 組成または購入された新規金融資産による増加6,796千ユーロ
- 金融資産の認識中止による減少41,489千ユーロ
- 同一ステージレベル内での既存の事業の貸倒引当金の純額の測定による減少151,729千ユーロ
- 貸付金事業1件についてリストラクチャリングが完了したことによる減少2,444千ユーロ
2020 年
信用減損の 信用減損の
12 ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
AC で測定される対顧客貸付金
および預け金
2020 年1月1日現在の残高 49,238 162,346 385,556 597,140
12 ヵ月ECLへの振替 2,346 -46,162 -6,150 -49,966
信用減損のない全期間ECLへの振替 -4,580 75,226 -6,376 64,270
信用減損のある全期間ECLへの振替 -153 -13,740 84,415 70,522
(1)
貸倒引当金の純額の測定 4,701 -20,951 -186,125 -202,375
組成または購入された新規金融資産 9,435 22,950 12,144 44,529
認識が中止された金融資産 -3,240 -2,873 -35,827 -41,940
0 0 0 0
貸倒償却
57,747 176,796 247,637 482,180
2020 年12月31日現在の残高
(1) この金額には、条件変更の結果として、対応する資産の認識が中止されたことによるECLの使用に関連する79,144千
ユーロが含まれる。また、20,417千ユーロは、対応する資産が「売却目的保有資産」に組み替えられた結果として
のECLの組替に関連している。
2021 年
信用減損の 信用減損の
12 ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
AC で測定される貸付コミットメント
2021 年1月1日現在の残高 9,655 37,518 3,101 50,274
12 ヵ月ECLへの振替 15 -1,253 0 -1,238
信用減損のない全期間ECLへの振替 -781 1,443 0 662
信用減損のある全期間ECLへの振替 -14 0 0 -14
貸倒引当金の純額の測定 -3,725 -17,821 0 -21,546
組成または購入された新規金融資産 2,051 10,692 0 12,743
認識が中止された金融資産 -3,735 -4,060 0 -7,795
0 0 0 0
貸倒償却
3,466 26,519 3,101 33,086
2021 年12月31日現在の残高
102/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
貸付コミットメントに係る貸倒引当金の変動は、主に次の理由による。
- 12ヵ月ECL、信用減損のない全期間ECLおよび信用減損のある全期間ECLの純変動による減少590
千ユーロ
- 組成または購入された新規金融資産による増加12,743千ユーロ
- 金融資産の認識中止による減少7,795千ユーロ
- 同一ステージレベル内での既存の事業の貸倒引当金の純額の測定による減少21,546千ユーロ
2020 年
信用減損の 信用減損の
12 ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
AC で測定される貸付コミットメント
2020 年1月1日現在の残高 9,175 52,553 0 61,728
12 ヵ月ECLへの振替 234 -2,622 0 -2,388
信用減損のない全期間ECLへの振替 -647 15,722 0 15,075
信用減損のある全期間ECLへの振替 -61 -7,057 3,101 -4,017
貸倒引当金の純額の測定 241 -6,327 0 -6,086
組成または購入された新規金融資産 5,299 1,151 0 6,450
認識が中止された金融資産 -4,586 -15,902 0 -20,488
0 0 0 0
貸倒償却
9,655 37,518 3,101 50,274
2020 年12月31日現在の残高
103/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
D.3. プロジェクトが実施されている国別に表示した貸付金の地域別内訳
欧州連合内のプロジェクトに対する貸付金:
2021 年貸付金 2020 年貸付金
プロジェクトが実施
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
合計額に対する 合計額に対する
されている国および地域
割合 割合
スペイン 80,122,284 71,665,075 8,457,209 13.93% 15.13%
イタリア 65,716,944 51,960,038 13,756,906 11.43% 11.44%
フランス 65,078,383 49,218,828 15,859,555 11.31% 10.66%
ドイツ 45,333,324 34,447,460 10,885,864 7.88% 7.94%
ポーランド 44,746,959 34,511,930 10,235,029 7.78% 7.60%
ギリシャ 21,393,124 17,536,581 3,856,543 3.72% 3.73%
オランダ 17,513,719 12,833,155 4,680,564 3.05% 2.84%
オーストリア 16,096,095 15,004,200 1,091,895 2.80% 2.80%
ベルギー 15,998,214 11,991,777 4,006,437 2.78% 2.50%
ポルトガル 13,698,019 11,553,557 2,144,462 2.38% 2.64%
スウェーデン 12,331,179 8,770,157 3,561,022 2.14% 2.14%
フィンランド 10,922,494 9,404,363 1,518,131 1.90% 1.90%
ハンガリー 10,040,845 8,157,120 1,883,725 1.75% 1.70%
アイルランド 7,690,337 6,207,697 1,482,640 1.34% 1.29%
チェコ共和国 6,900,905 4,871,005 2,029,900 1.20% 1.21%
ルーマニア 6,800,510 4,010,820 2,789,690 1.18% 1.15%
スロバキア 4,939,574 4,136,146 803,428 0.86% 0.90%
クロアチア 3,994,294 2,924,809 1,069,485 0.69% 0.76%
デンマーク 3,541,724 2,565,977 975,747 0.62% 0.54%
スロベニア 2,947,110 2,288,667 658,443 0.51% 0.57%
キプロス 2,783,706 1,923,356 860,350 0.48% 0.47%
リトアニア 2,738,056 2,507,746 230,310 0.48% 0.49%
ブルガリア 2,302,035 2,026,938 275,097 0.40% 0.40%
エストニア 1,605,579 935,407 670,172 0.28% 0.26%
ラトビア 1,261,109 678,201 582,908 0.22% 0.21%
ルクセンブルク 685,921 229,695 456,226 0.12% 0.15%
マルタ 422,763 288,840 133,923 0.07% 0.08%
小計 467,605,206 372,649,545 94,955,661 81.30% 81.50%
104/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
欧州連合域外のプロジェクトに対する貸付金:
2021 年貸付金 2020 年貸付金
プロジェクトが実施
貸付金総額 実行済金額 未実行金額 合計額に対する 合計額に対する
されている国および地域
割合 割合
英国 39,406,084 38,724,345 681,739 6.85% 7.01%
地中海沿岸諸国 19,653,351 12,161,533 7,491,818 3.42% 3.28%
候補国 15,052,876 13,275,658 1,777,218 2.62% 2.82%
ロシア、東欧諸国、
南コーカサス諸国 9,525,799 3,396,402 6,129,397 1.66% 1.59%
アジア 8,238,239 3,479,582 4,758,657 1.43% 1.29%
アフリカ、カリブ海
および太平洋(ACP)
諸国 6,058,609 2,339,317 3,719,292 1.05% 0.90%
ラテンアメリカ諸国 4,856,909 2,769,840 2,087,069 0.84% 0.78%
潜在的候補国 2,229,213 1,231,822 997,391 0.39% 0.37%
欧州自由貿易連合
(EFTA)加盟国 1,828,978 1,568,178 260,800 0.32% 0.28%
南アフリカ 588,765 544,765 44,000 0.10% 0.16%
加盟国の属国および
属領(OCT) 107,794 33,545 74,249 0.02% 0.02%
小計 107,546,617 79,524,987 28,021,630 18.70% 18.50%
(*)
2021年の合計 575,151,823 452,174,532 122,977,291 100.00%
(*)
2020年の合計 585,106,239 471,043,109 114,063,130 100.00%
(*) 代替貸付金を含み、分割貸付債権(2021年:473百万ユーロ、2020年:161百万ユーロ)を除く貸付金総額
105/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
D.4. 保証業務における変動
下表は、金融保証の期首残高と期末残高の間の調整を示している。2020年の比較対象金額は下に開
示されている。
2021 年
その他の負債 引当金
信用減損の 信用減損の
12 ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
金融保証
1月1日現在の残高 11,680 149 10,810 22,639
12 ヵ月ECLへの振替 0 -87 0 -87
信用減損のない全期間ECLへの振替 -1 42 0 41
信用減損のある全期間ECLへの振替 0 0 0 0
再測定純額 18,915 98 -1,295 17,718
引当金の使用 0 0 -63 -63
供与または購入された新規保証 1,340 1 0 1,341
-2,259 0 -1 -2,260
認識が中止された保証
29,675 203 9,451 39,329
12 月31日現在の残高
2020 年
その他の負債 引当金
信用減損の 信用減損の
12 ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
金融保証
1月1日現在の残高 6,467 999 12,349 19,815
12 ヵ月ECLへの振替 155 -515 0 -360
信用減損のない全期間ECLへの振替 -82 -201 309 26
信用減損のある全期間ECLへの振替 0 14 -14 0
再測定純額 6,470 34 -1,001 5,503
引当金の使用 0 0 -833 -833
供与または購入された新規保証 4,123 0 0 4,123
-5,453 -182 0 -5,635
認識が中止された保証
11,680 149 10,810 22,639
12 月31日現在の残高
106/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注E: 有形固定資産および無形資産(単位:千ユーロ)
ルクセン
使用権
家具備品 有形固定 無形資産
ブルクの
土地
(2)
および設備 資産合計 合計
資産
(1)
建物
2021 年1月1日現在取
得原価 20,145 406,099 70,917 201,091 698,252 56,639
当期取得額 0 4,550 18,287 51,262 74,099 40,272
0 0 -17,793 -1,902 -19,695 -17,291
当期除却額
20,145 410,649 71,411 250,451 752,656 79,620
2021 年12月31日現在
減価償却/償却累計額
2021 年1月1日現在 0 -206,342 -42,060 -77,996 -326,398 -17,360
当期減価償却/償却額 0 -9,792 -19,117 -41,363 -70,272 -21,035
0 0 17,793 541 18,334 17,183
当期除却額
0 -216,134 -43,384 -118,818 -378,336 -21,212
2021 年12月31日現在
純帳簿価額:
20,145 194,515 28,027 131,633 374,320 58,408
2021 年12月31日現在
20,145 199,757 28,857 123,095 371,854 39,279
2020 年12月31日現在
(1) 土地および建物はすべて、グループが自身の活動のために使用している。グループは事後測定用には、IAS第16号の
「原価モデル」を採用している。ルクセンブルクの建物には、新棟の建設に係る原価67,920千ユーロ(2020年:
63,370千ユーロ)が含まれており、新棟は、2025年に完成予定である。
(2) 使用権資産は、不動産(商業用不動産および住宅用不動産)および車両の2つの資産クラスで構成される。2021年
度の減価償却費は、不動産が41,174千ユーロ(2020年:39,911千ユーロ)であり、車両が189千ユーロ(2020年:89
千ユーロ)であった。2021年12月31日現在の帳簿価額は、不動産が131,474千ユーロ(2020年:129,909千ユー
ロ)、車両が159千ユーロ(2020年:186千ユーロ)であった。
注F: 繰延収益(単位:千ユーロ)
2021 年12月31日 2020 年12月31日
前受および繰延運用報酬 290,656 284,252
前受利子補助金 92,233 89,027
貸付金および保証に係る繰延収益 51,768 51,533
8,476 9,771
その他
443,133 434,583
合計
107/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注G: その他の資産およびその他の負債(単位:千ユーロ)
G.1. その他の資産
2021 年12月31日 2020 年12月31日
未収金およびその他債権 81,480 18,611
金融保証契約による資産純額 57,062 44,786
未収EGF管理報酬 26,440 128
保証履行請求債権 12,831 12,986
前払給与および手当 2,985 2,780
3,086 1,841
その他
183,884 81,132
合計
G.2. その他の負債
2021 年12月31日 2020 年12月31日
(*)
英国への資本の未払払戻金
2,895,904 3,195,904
任意補足年金制度
792,891 721,903
(**)
EIF の非支配持分の購入コミットメント
340,341 819,467
ファースト・ロス一部負担金
202,171 204,070
リース負債
132,151 124,275
未払人件費
104,190 100,020
未払金およびその他債務
95,935 75,598
繰延収益
44,856 33,981
金融保証契約による負債純額(注D.4)
29,878 11,829
(***)
重債務貧困国(HIPC)イニシアチブに係る未払費用
13,596 13,596
西バルカン諸国のインフラ基金
393 393
その他
329,357 186,806
合計
4,981,663 5,487,842
(*) グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国の欧州連合および欧州原子力共同体からの離脱協定の第150(4)条
および2020年6月10日付理事会決定(EU)2020/769による修正に従い、EIBは払込請求済資本金の35億ユーロを2020年
10月15日より開始する12回の分割により毎年英国に支払う(最初の11回の分割払いは各300,000,000ユーロで最終回
の支払いは195,903,950ユーロ)。2020年10月15日および2021年10月15日に期日を迎えた分割金は全額が決済され
た。
(**) 2021年12月31日現在、連結されたその他の負債に対するEIFの非支配持分は340百万ユーロ(2020年:819百万ユー
ロ)、連結純損益(注L)の非支配持分はマイナス59百万ユーロ(2020年:マイナス53百万ユーロ)であった。
(***) 重債務貧困国(「HIPC」)イニシアチブ
108/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注H: 金融機関および顧客に対する債務(単位:千ユーロ)
H.1. 金融機関に対する債務
2021 年12月31日 2020 年12月31日
要求払 4,775,575 4,197,199
- 翌日物預金 4,775,575 4,197,199
期日払または通知払 18,796,352 12,302,079
- 短期預かり金 178,404 1,559
- 金融機関とのレポ取引 5,711,476 4,310,742
12,906,472 7,989,778
- 中央銀行からの借入金(1)
23,571,927 16,499,278
合計
(1) この金額は、ECBの金融政策オペレーションへのEIBの参加を表す。
H.2. 顧客に対する債務
2021 年12月31日 2020 年12月31日
要求払 1,645,154 1,680,511
-翌日物預金 163 2,962
-欧州連合および加盟国口座
-特別部門業務および関連未決済金額に係るもの 412,934 398,386
-預金口座 1,232,057 1,279,163
期日払または通知払 175,496 20,951
175,496 20,951
-短期預かり金
1,820,650 1,701,462
合計
109/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注I: 債務証書借入(単位:千ユーロ)
財務活動におけるグループの目標の1つとして、その資金調達戦略を貸付金供与に要する資金と合
致させることが挙げられる。「債務証書借入」の項には、「負債証券」(一般投資家に対して公募し
た有価証券)および「その他」(私募)が含まれる。下表は、2021年12月31日および2020年12月31日
現在の債務残高の通貨別内訳、ならびに平均利率と満期日(最短/最長)をまとめたものである。
債務証書借入(単位:千ユーロ)
2021 年 2020 年
平均利率 平均利率
支払通貨 12月31日現在 満期日 12月31日現在
(*) (*)
2021年 2020年
残高 残高
ユーロ 246,913,410 1.30 2022/2061 245,471,198 1.52
米ドル 105,073,224 1.48 2022/2058 102,980,060 1.79
英ポンド 43,705,819 2.15 2022/2054 42,714,537 2.41
豪ドル 9,703,908 2.59 2022/2042 8,097,915 3.33
スウェーデン・クローナ 6,234,940 1.41 2022/2040 6,625,774 1.51
ポーランド・ズロチ 6,169,375 2.23 2022/2029 6,417,089 2.15
ノルウェー・クローネ 5,541,206 1.77 2022/2037 5,092,022 1.80
カナダ・ドル 4,765,848 2.10 2022/2045 4,251,495 2.24
スイス・フラン 4,179,005 1.90 2022/2036 4,089,335 2.01
南アフリカ・ランド 2,331,323 7.75 2022/2035 2,529,078 8.02
日本円 1,520,384 1.46 2022/2053 2,191,824 1.12
メキシコ・ペソ 1,174,850 6.35 2022/2028 1,359,375 6.09
デンマーク・クローネ 783,195 0.70 2024/2031 782,722 0.71
トルコ・リラ 677,022 10.41 2022/2027 1,407,381 10.14
人民元 472,292 2.56 2022/2024 298,909 2.50
チェコ・コルナ 339,828 2.52 2022/2034 338,599 1.94
ニュージーランド・ドル 271,428 2.57 2023/2028 264,955 2.12
ロシア・ルーブル 140,679 4.75 2022/2026 54,665 5.85
香港ドル 79,246 0.41 2022/2025 131,380 1.56
ルーマニア・レイ 20,812 2.23 2026/2026 0 0
17,065 3.25 2024/2024 165,436 0.82
ハンガリー・フォリント
440,114,859 435,263,749
合計
2021 年 2020 年
12月31日現在 12月31日現在
残高 残高
(**)
440,114,859 435,263,749
合計(名目値)
33,787,774 49,633,224
借入金のIFRSに基づく調整
473,902,633 484,896,973
債務証書借入の合計
(*) 貸借対照表日現在の加重平均利率
(**) 2021年12月31日現在、ヘッジ会計目的で保有されている債務証書借入の名目値は3,244億ユーロ(2020年:3,362億
ユーロ)、純損益を通じた公正価値で測定される債務証書借入の名目値は276億ユーロ(2020年:268億ユーロ)、
償却原価で評価される債務証書借入の名目値は881億ユーロ(2020年:723億ユーロ)である。
110/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注J: 年金制度および健康保険制度(単位:千ユーロ)
グループは3種類の確定給付年金制度を運営している。また、グループはEIBの元職員に対して、特
定の退職後の医療費給付も行っている。これらの給付は、IAS第19号の定義による非積立型の年金制度
であり、制度は規制対象外である。年金給付に要するそれぞれの年金制度の費用は、予測単位積立数
理評価方式により決定される。保険数理評価は2021年12月31日現在で実施された。
これらの制度により、概してグループは金利リスク、長寿リスク、インフレリスクおよび昇給リス
クなどの保険数理リスクを負う。もう一つのリスクは、制度加入者の扶養家族(遺族配偶者および遺
児給付)に対する支払に伴うリスクである。
金利リスク 確定給付債務の現在価値は、高格付の社債利回りを参照して決定される割引率を使用して算
出される。社債利率が低下することにより、年金債務は増加する。
長寿リスク 確定給付制度債務の現在価値は、制度加入者の雇用期間中および退職後の両方の死亡率の最
善見積りを参照して算出される。制度加入者の平均寿命が延びることにより、制度の債務は
増加する。
インフレリスク 確定給付制度債務の現在価値は、ルクセンブルクのインフレ率に連動した将来の年金の増加
を参照して算出される。ルクセンブルクのインフレ率の上昇は、制度の債務を増加させる。
昇給リスク 確定給付制度債務の現在価値は、制度加入者の将来の給与を参照して算出される。制度加入
者の昇給により、制度債務は増加する。
下表には、追加的制度である任意補足年金制度(確定拠出年金制度)は算入されていない。それに
対応する債務793百万ユーロ(2020年:722百万ユーロ)は、「その他の負債」(注G)に分類されてい
る。
グループの制度における年金および退職給付債務の決定に当たって使用された主要な仮定は以下の
とおりである。
2021 年 2020 年
(単位:%)
年金制度の割引率
1.35 0.75
健康保険制度の割引率 1.35 0.75
将来昇給率(インフレーションを含む) 3.50 3.50
将来年金給付上昇率 1.75 1.75
医療費上昇率 3.75 3.75
現受給者の60歳時の平均余命(年) 26.90 26.80
現従業員の60歳時の平均余命(年) 29.40 29.30
ICSLT 2018 - ICSLT 2018 -
保険数理表
Static 2021 Static 2020
111/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
感応度分析:
確定給付債務の算定のための重要な保険数理上の仮定は、割引率、予想昇給率および死亡率であ
る。以下の感応度分析は、それぞれの仮定の合理的に可能性のある変動が報告期間末において発生
し、他のすべての仮定は変動しないとの前提に基づいて算定された。
EIB 年金:
- 割引率が0.5%上昇(低下)した場合、確定給付債務は10.9%減少(12.8%増加)する。
- 予想昇給率が1%上昇(低下)した場合、確定給付債務は6.2%増加(5.3%減少)する。
- 男女について平均寿命が1年延伸(短縮)した場合、確定給付債務は3.6%増加(3.6%減少)
する。
- インフレにより将来の予想年金が1%増加(減少)した場合、確定給付債務は20.7%増加
(16%減少)する。
EIF 年金:
- 割引率が0.5%上昇(低下)した場合、確定給付債務は13.9%減少(16.7%増加)する。
- 予想昇給率が1%上昇(低下)した場合、確定給付債務は7.9%増加(6.8%減少)する。
- 男女について平均寿命が1年延伸(短縮)した場合、確定給付債務は3.5%増加(3.4%減少)
する。
- インフレにより将来の予想年金が1%増加(減少)した場合、確定給付債務は27.2%増加
(20.1%減少)する。
経営委員会年金:
- 割引率が0.5%上昇(低下)した場合、確定給付債務は7.9%減少(8.8%増加)する。
- 予想昇給率が1%上昇(低下)した場合、確定給付債務は0.8%増加(0.9%減少)する。
- 男女について平均寿命が1年延伸(短縮)した場合、確定給付債務は4.1%増加(4.2%減少)
する。
- インフレにより将来の予想年金が1%増加(減少)した場合、確定給付債務は18.2%増加
(14.6%減少)する。
EIB の健康保険制度:
- 割引率が0.5%上昇(低下)した場合、確定給付債務は9.6%減少(15.8%増加)する。
- 男女について平均寿命が1年延伸(短縮)した場合、確定給付債務は4.7%増加(5.4%減少)
する。
- インフレにより将来の予想医療費が1%増加(減少)した場合、確定給付債務は38.6%増加
(27.2%減少)する。
112/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
EIF の健康保険制度:
- 割引率が0.5%上昇(低下)した場合、確定給付債務は13.6%減少(19.6%増加)する。
- 男女について平均寿命が1年延伸(短縮)した場合、確定給付債務は5.3%増加(5.3%減少)
する。
- インフレにより将来の予想医療費が1%増加(減少)した場合、確定給付債務は50.7%増加
(33.3%減少)する。
一部の仮定は相関している可能性があり、仮定の変動が互いに独立して発生する可能性は少ないた
め、上記で示された感応度分析は、確定給付債務の実際の増減を示さない場合がある。
さらに、上記の感応度分析の表示において、確定給付債務の現在価値は、報告期間末時点において
予測単位積立方式を使用して算出されており、連結貸借対照表における確定給付債務に関する負債の
計算に適用された方式と同一である。
感応度分析の作成に使用された方法および仮定において、前年からの変更はなかった。
下表は、各種制度の保険数理(利益)/損失実績および確定給付債務の合計を示している。
経営委員会 確定給付
EIB 年金 EIF 年金 健康保険 合計
年金 債務合計
2021年 -23,091 -1,088 5,063 102,798 83,682 8,623,332
2020年 25,397 1,754 19,479 -97,605 -50,975 9,569,495
201 9 年 -3,987 -2,545 1,420 -29,060 -34,172 7,892,289
81,333 5,268 13,494 -14,616 85,479 5,703,104
201 8 年
下表は、確定給付債務の2021年および2020年中の変動の内訳を示している
(単位:千ユーロ)。
経営委員会 2021 年の
EIB 年金 EIF 年金 健康保険
年金 合計
期首債務 7,704,597 86,317 711,503 1,067,078 9,569,495
a) 当期勤務費用
340,801 3,132 49,885 104,226 498,044
b) 利息費用
57,461 639 5,331 7,979 71,410
c) 過去勤務費用 2,713 0 70 0 2,783
400,975 3,771 55,286 112,205 572,237
純損益合計
a) 保険数理(利益)/損失実績
-43,103 -1,088 5,063 102,798 63,670
b) 人口統計上の仮定の変更
20,012 418 -55,653 -88,179 -123,402
c) 財務上の仮定の変更 -1,089,024 -8,462 -122,195 -195,570 -1,415,251
(*)
-1,112,115 -9,132 -172,785 -180,951 -1,474,983
OCI 合計
a) 従業員による拠出金
44,723 0 5,803 1,806 52,332
b) 支払給付金 -86,151 -2,219 -1,382 -5,997 -95,749
-41,428 -2,219 4,421 -4,191 -43,417
その他合計
6,952,029 78,737 598,425 994,141 8,623,332
2021 年12月31日現在の給付債務
(*) EIB株主帰属(1,389,615千ユーロ)および非支配持分帰属(85,365千ユーロ)。
113/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
経営委員会 2020 年の
EIB 年金 EIF 年金 健康保険
年金 合計
期首債務 6,392,057 75,501 525,432 899,299 7,892,289
a) 当期勤務費用
270,405 2,344 37,160 88,797 398,706
b) 利息費用
82,525 968 6,850 11,656 101,999
c) 過去勤務費用 5,130 0 0 0 5,130
358,060 3,312 44,010 100,453 505,835
純損益合計
a) 保険数理(利益)/損失実績
25,397 1,754 19,479 -97,605 -50,975
b) 人口統計上の仮定の変更
28,057 374 2,279 5,980 36,690
c) 財務上の仮定の変更 947,204 7,523 112,087 162,179 1,228,993
(*)
1,000,658 9,651 133,845 70,554 1,214,708
OCI 合計
a) 従業員による拠出金
41,860 0 5,305 -772 46,393
b) 支払給付金 -88,038 -2,147 2,911 -2,456 -89,730
-46,178 -2,147 8,216 -3,228 -43,337
その他合計
7,704,597 86,317 711,503 1,067,078 9,569,495
2020 年12月31日現在の給付債務
(*) EIB株主帰属(1,157,082千ユーロ)および非支配持分帰属(57,626千ユーロ)。
EIBの従業員は一定の比率の拠出金を支払い、その比率は5年ごとに見直される。2019年1月1日か
ら2023年12月31日までの期間の従業員の拠出金は年金算定基礎給与の11.3%である。残りの拠出金
(バックサービス支払を含む)はグループによって支払われる。グループおよびその職員の全拠出額
がグループの資産へ投資されている。積立要件は、現地の保険数理測定の枠組みに基づいている。こ
の枠組みにおいては、割引率は無リスク金利に設定されている。さらに、プレミアムが現在の給与に
基づいて算定される。グループは確定給付制度から生じるすべての年金支払に対して責任を負う。
2021 年12月31日現在の給付債務の平均デュレーションは、以下のとおりに分かれている。
EIB年金:
- 現従業員: 28.88 年( 2020 年: 29.27 年)
- 待機者 (*) : 29.30 年( 2020 年: 30.27 年)
- 受給者: 14.09 年( 2020 年: 14.70 年)
EIF年金:
- 現従業員: 32.85 年( 2020 年: 32.94 年)
- 待機者 (*) : 31.31 年( 2020 年: 30.21 年)
- 受給者: 18.92 年( 2020 年: 19.61 年)
経営委員会年金:
- 現従業員: 21.34 年( 2020 年: 24.10 年)
- 待機者 (*) : 23.52 年( 2020 年: 21.58 年)
- 受給者: 12.29 年( 2020 年: 12.67 年)
EIB の健康保険制度:
- 現従業員: 33.85 年( 2020 年: 34.26 年)
- 待機者 (*) : 27.63 年( 2020 年: 31.32 年)
114/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
- 受給者: 17.63 年( 2020 年: 18.36 年)
EIF の健康保険制度:
- 現従業員: 36.48 年( 2020 年: 38.61 年)
- 待機者 (*) : 28.25 年( 2020 年: 29.09 年)
- 受給者: 21.98 年( 2020 年: 25.87 年)
グループが確定給付制度について翌事業年度に純損益に認識すると見込んでいる金額は、539,123千
ユーロ(2020年:571,713千ユーロ)である。
(*) 通常退職年齢前にグループを離職し、繰延年金に対する権利を有する元職員。
注K: 当期損益
2021年12月31日終了事業年度のEIB個別財務書類(欧州連合会計指令に基づいて作成)に計上された
当期純利益2,565,998千ユーロの処分案は、承認を受けるため2022年4月22日までに総務会に提出され
る。当事業年度のEIB剰余金の処分案の詳細については、EIBの財務書類の前書き(訳注:本報告書の
「第3 発行者の概況-(4) 業務の概況-① 業務-ニ)業績」に抜粋されている。)を参照のこと。
115/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注L: 受取利息および類似収益ならびに支払利息および類似費用(単位:千ユーロ)
L.1. 正味受取利息
2021 年 2020 年
受取利息および類似収益:
デリバティブ 10,018,309 10,567,897
金融機関および対顧客貸付金および預け金 5,946,535 6,890,425
中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期証券ならびに確定利付証券
を含む負債証券 194,580 269,747
有利子負債に係るマイナス金利 130,677 57,650
EU からの利子補助金 17,710 17,405
4,449 20,808
その他
16,312,260 17,823,932
合計
支払利息および類似費用:
債務証書借入 -7,051,168 -8,873,958
デリバティブ -5,592,829 -5,563,091
利付資産に係るマイナス金利 -411,488 -245,197
給付債務に係る利息費用(注J) -71,410 -101,999
第三者委託に係る利息 -62,686 -35,850
EIF の非支配持分の購入コミットメント(注G.2) -58,690 -52,530
金融機関および顧客に対する債務 -1,943 -4,828
(1)
-22,368 -23,645
その他
-13,272,582 -14,901,098
合計
3,039,678 2,922,834
正味受取利息
(1) リース負債に係る支払利息265千ユーロ(2020年:431千ユーロ)を含む。
116/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
下表は、各種類の金融資産および金融負債に関する正味受取利息を示したものである。
2021 年 2020 年
受取利息および類似収益:
リスク管理のために保有するデリバティブ 10,018,309 10,567,897
AC で測定される金融資産 5,493,411 6,260,630
FVTPL での測定に指定された金融商品 615,909 872,386
強制的にFVTPLで測定される金融商品 49,506 44,552
135,125 78,467
その他
16,312,260 17,823,932
合計
支払利息および類似費用:
AC で測定される金融負債 -7,014,116 -8,328,508
リスク管理のために保有するデリバティブ -5,592,829 -5,563,091
FVTPL での測定に指定された金融商品 -101,680 -586,129
(*)
非金融負債 -92,320 -125,211
(*)
-471,637 -298,159
その他
-13,272,582 -14,901,098
合計
3,039,678 2,922,834
正味受取利息
(*) 2020年について、財務書類をより理解しやすくするために、2つの項目間での組替が行われた。
117/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
L.2. 受取利息および類似収益の国別分析
2021 年 2020 年
欧州連合加盟国:
スペイン 759,149 860,833
ポーランド 485,490 529,331
ギリシャ 449,134 474,384
フランス 448,268 477,566
イタリア 424,708 473,379
ドイツ 296,424 320,589
オーストリア 255,563 261,080
オランダ 159,001 173,972
ベルギー 150,811 170,751
ポルトガル 144,992 215,481
ハンガリー 130,417 137,575
スウェーデン 124,908 110,274
アイルランド 87,233 87,940
ルーマニア 69,827 76,102
スロバキア 66,445 66,768
フィンランド 66,438 65,087
クロアチア 48,123 52,333
スロベニア 39,729 43,224
ブルガリア 38,922 40,572
チェコ共和国 31,007 42,977
ルクセンブルク 19,964 2,821
リトアニア 18,174 26,359
デンマーク 18,151 22,149
ラトビア 14,475 14,848
キプロス 9,356 11,582
マルタ 9,199 9,585
4,173 4,639
エストニア
4,370,081 4,772,201
欧州連合加盟国の合計
1,584,135 2,046,324
欧州連合域外
5,954,216 6,818,525
国別分析の対象の収益合計
(1)
10,358,044 11,005,407
国別分析の対象外の収益
16,312,260 17,823,932
受取利息および類似収益合計
(1) 国別分析の対象外の収益:
-長期HQLAポートフォリオおよび代替貸付金ポートフォリオからの収益 147,141 168,181
-有価証券流動性ポートフォリオおよびEIF運用ポートフォリオからの収
益 36,322 52,090
-短期金融市場証券からの収益 11,104 49,458
-その他有価証券からの収益 13 18
-短期金融市場オペレーションからの収益 140,706 146,955
-デリバティブからの収益 10,018,309 10,567,897
-払込請求済資本金および払込予定準備金の現在価値調整額による受取
利息の戻入れ 0 15,887
4,449 4,921
-その他
118/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021 年 2020 年
10,358,044 11,005,407
119/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注M: 金融業務損益(単位:千ユーロ)
M.1. 損益の性質別
2021 年 2020 年
(1)(8)
デリバティブの純損益 81,535 -540,944
(2)(8)
FVO に基づく貸付金および関連するスワップの純損益 30,139 126,458
(3)(8)
FVO に基づく借入金および関連するスワップの純損益 -39,984 -29,315
(4)(8)
貸付金および関連するスワップのヘッジ会計による純損益 -212,774 -90,284
(5)(8)
318,593 297,159
借入金および関連するスワップのヘッジ会計による純損益
(6)
21,064 0
国債および関連するスワップのヘッジ会計による純損益
198,573 -236,926
外国為替損益 14,614 -16,813
スワップの解消に係る損益 -5,638 -22,039
(7)
株式およびその他の変動利付証券に係る純損益 5,017,547 712,189
負債証券ポートフォリオの純損益 -36,771 27,149
金融保証に係る純損益 -5,456 2,573
(9)
FVTPL に基づく貸付金および代替貸付金の純損益 397,557 1,154
AC に基づく貸付金および代替貸付金の純損益 2,611 6,144
47,170 175,979
当初CBSの償却
5,630,207 649,410
金融業務損益
(1) デリバティブの純損益の大部分は、マクロ・ヘッジのスワップおよび 財務ポートフォリオのデリバティブ商品 の公
正価値修正であった。これらのスワップの効果は、2021年12月31日現在が81,535千ユーロのプラスであったのに対
し、2020年12月31日現在は540,944千ユーロのマイナスであった。
(2) デリバティブでヘッジする貸付金および代替貸付金はヘッジ会計適格ではなく、公正価値オプションを適用してい
る。公正価値での測定に指定されている貸付金および代替貸付金の帳簿価額は、2021年12月31日現在、170億ユーロ
(2020年:180億ユーロ)であった。貸付金および代替貸付金への公正価値オプションの適用による複合効果とし
て、2021年12月31日現在で連結損益計算書に30,139千ユーロの増加(2020年:126,458千ユーロの増加)が計上され
ている。
(3) デリバティブでヘッジする借入金はヘッジ会計適格ではなく、公正価値オプションを適用している。公正価値での
測定に指定されている借入金の帳簿価額は、2021年12月31日現在、310億ユーロ(2020年:300億ユーロ)であっ
た。借入金への公正価値オプションの適用による複合効果として、2021年12月31日現在で、連結損益計算書におい
て39,984千ユーロの損益悪化(2020年:29,315千ユーロの損益悪化)が生じている。
(4) IFRS第9号に基づくヘッジ会計基準に適合する適格貸付金および代替貸付金に対しては、ヘッジ会計が適用されて
いる。ヘッジ会計に指定されている貸付金および代替貸付金の帳簿価額は、2021年12月31日現在、1,470億ユーロ
(2020年:1,430億ユーロ)であった。貸付金および代替貸付金ならびに関連するスワップへのヘッジ会計の適用に
よる複合効果として、2021年12月31日現在で連結損益計算書において212,774千ユーロの損益悪化(2020年:90,284
千ユーロの損益悪化)が生じている。
(5) IFRS第9号に基づくヘッジ会計基準に適合する適格借入金に対しては、ヘッジ会計が適用されている。ヘッジ会計
に指定されている借入金の帳簿価額は、2021年12月31日現在、3,530億ユーロ(2020年:3,810億ユーロ)であっ
た。借入金および関連するスワップへのヘッジ会計の適用による複合効果として、2021年12月31日現在で連結損益
計算書において318,593千ユーロの損益改善(2020年:297,159千ユーロの損益改善)が生じている。
120/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
(6) 2021年10月1日より、IFRS第9号の下でのヘッジ会計の要件を満たしている場合には、LTHPの国債に対してヘッジ会
計が適用されている。ヘッジ会計に指定されているLTHP債券の帳簿価額は、2021年12月31日現在、5億ユーロで
あった。LTHP債券および関連するスワップへのヘッジ会計の適用による複合効果として、2021年12月31日現在で連
結損益計算書において21,064千ユーロの損益改善が生じている。
(7) この項目は、主に資本性金融商品に係る未実現損益および実現損益で構成されている。この損益改善5,017,547千
ユーロの主要因は、2021年中におけるプライベート・エクイティ市場での評価額のプラスの影響(2020年:712,189
千ユーロのプラスの影響)であった。
(8) IBOR改革の影響については、注S.4.2「金利リスク」を参照のこと。
(9) この項目は、主にFVTPLで測定された貸付業務に係る未実現損益および実現損益で構成されている。この連結損益計
算書における損益改善397,557千ユーロの主要因は、2021年中における評価額のプラスの影響(2020年:1,154千
ユーロのプラスの影響)であった。
M.2. 資産および負債の分類別
2021 年 2020 年
強制的にFVTPLで測定される金融資産(デリバティブ資産を除く)
5,164,660 694,075
FVTPL での測定に指定された金融資産(FVO) 166,361 25,801
FVTPL での測定に指定された金融負債(FVO) 372,280 401,921
AC で測定される金融資産 -7,917,553 2,634,030
AC で測定される金融負債 15,890,499 -5,487,569
ヘッジ手段として指定されたデリバティブ -7,821,710 3,037,469
ヘッジ会計目的以外で、リスク管理目的のために保有するデリバティブ -280,231 -819,914
(1)
55,901 163,597
その他
金融業務損益 5,630,207 649,410
(1) 当初CBSの償却を含む。
注N: その他の業務収益および費用の純額(単位:千ユーロ)
2021 年 2020 年
過年度未使用引当金の戻入れ 4,276 3,309
賃貸料収益 78 78
-5,751 2,170
その他
-1,397 5,557
その他の業務収益および費用の純額合計
121/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注O: 受取手数料および支払手数料(単位:千ユーロ)
2021 年 2020 年
受取手数料:
保証手数料 210,162 173,812
インベストメント・ファシリティ「コトヌー」の手数料 55,682 61,215
EGFの手数料 46,596 128
EFSIの手数料 45,052 42,649
貸付金手数料収益 35,014 12,020
Jaspersの手数料 27,214 30,499
InnovFinの手数料 22,980 44,008
Jeremie/ESIFの手数料 12,802 12,824
Jessicaの手数料 11,532 8,348
近代化基金の手数料 9,268 0
近隣インベストメント・ファシリティの手数料 1,939 4,395
コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティの手数料 1,926 7,927
ヤウンデ/ロメ協定の手数料 1,250 1,646
103,830 98,216
その他の委託に係る手数料
585,247 497,687
受取手数料合計
2021 年 2020 年
支払手数料:
保証人へのリスク報酬 -410,647 -302,635
その他の支払手数料 -23,730 -25,014
-434,377 -327,649
支払手数料合計
注P: 一般管理費(単位:千ユーロ)
2021 年 2020 年
(1)
給与および手当 -547,408 -509,975
-659,623 -539,460
福利厚生費およびその他人件費
人件費 -1,207,031 -1,049,435
-246,922 -223,575
その他の管理費
-1,453,953 -1,273,010
一般管理費合計
(1) このうち経営委員会委員に対する金額は、2021年12月31日現在が3,441千ユーロ、2020年12月31日現在は3,113千
ユーロである(注Y.2)。
グループの職員数は、2021年12月31日現在、4,412名(2020年12月31日現在は4,092名)であった。
122/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注Q: デリバティブおよびヘッジ活動
Q.1. デリバティブ金融商品の利用
グループの資金調達活動において
グループは、主として調達資金の通貨・金利といった属性を貸付金のそれに一致させるため、およ
び資金調達費用を削減するために、資金調達戦略の一環としてデリバティブを利用している。また特
定の財務取引をヘッジするため、および資産負債管理のため、長期スワップを利用している。
長期デリバティブは、資金調達、貸付金および財務取引のヘッジ、ならびに市場リスク・エクス
ポージャーの低減に関連して利用される。
最も一般的に利用されているデリバティブは、以下のものである。
通貨スワップ
通貨スワップは、2つのカテゴリーの金融商品で構成されている。
(i) クロス・カレンシー・スワップは、ある通貨の資金を別の通貨に交換することを合意し、それ
と同時に調達された資金を期日に返済できるよう、両通貨を将来において再度交換するための
先渡為替予約を締結する契約である。
(ii) クロス・カレンシー金利スワップは、外貨で変動金利を固定金利に交換するか、その逆を行う
ことを合意する契約である。
金利スワップ
金利スワップは一般的に、変動金利を固定金利に交換するか、その逆を行うことを合意する契約で
ある。
金利および通貨スワップの利用により、グループは、顧客からの要求に応えて借入ポートフォリオ
と他のポートフォリオの金利および通貨を変えることができるとともに、グループのある特定の資本
市場への有利なアクセス条件をスワップ・カウンターパーティーと交換することにより、資金調達コ
ストを削減することも可能となる。
グループの流動性管理において
グループは、基本通貨であるユーロに関連してその運用財務ポートフォリオの通貨ポジションを調
整するため、また貸付実行に伴う通貨需要を満たすために、短期の通貨スワップおよび為替予約を
行っている(短期外国為替契約の想定元本および公正価値の開示については、注Q.3を参照)。
先物契約(先物)は、一部の政府債投資から生ずるエクスポージャーをヘッジするため、財務活動
の一環として使用することができる。先物は、規制市場において取引される標準化されたデリバティ
ブであり、カウンターパーティー・リスクの測定と統制に関する一般方針の対象外となっている。
グループの資産負債管理(「ALM」)において
グループのALM方針は、グループの経済的価値のボラティリティを制限するだけでなく、高収益、安
定収益を維持することを目的としている。
したがってグループは、
- 安定した高収益を確保する自己資金投資プロファイルを採用し、
- この投資プロファイルに関連する残余金利リスクを管理している。
残余金利リスクを管理する目的で、グループは貸付金と借入金に関するナチュラル・ヘッジ、を活
用し、またはグローバル・ヘッジ・オペレーション(金利スワップ)を行っている。
123/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
資産負債管理の一環として用いるマクロ・ヘッジのスワップは、IFRS第9号に従い公正価値で評価
される。
リスク管理の詳細については、注Sを参照のこと。
124/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
Q.2. ヘッジ活動
金利リスクの公正価値ヘッジ
ヘッジ手段として指定された項目に関連する金額は、次のとおりである(単位:百万ユーロ)。
2021 年
IBOR改革によって直接的に
ヘッジの
帳簿価額
(**)
非有効性の計算
影響を受ける想定元本
想定元本
に使用された
米ドル 英ポンド
その他 合計
資産 負債
公正価値の変動
LIBOR LIBOR
金利スワップ 444,031 27,230 14,826 -6,582 0 478 126 604
(*)
33,786 3,799 3,115 -1,235 0 0 0 0
通貨スワップ
477,817 31,029 17,941 -7,817 0 478 126 604
合計
(*) ヘッジされている主要な通貨は、米ドル、豪ドルおよびカナダ・ドルである。
(**) 通貨スワップについて、グループはスワップの受取レグの想定元本を使用した。
予期される2023年6月の米ドルLIBOR置換日の前に満期となる取引は含まれていない。
上表で示された金利スワップおよび通貨スワップは、連結貸借対照表上、「デリバティブ資産」お
よび「デリバティブ負債」で表示されている。
2020 年
IBOR改革によって直接的に
ヘッジの
帳簿価額
(**)
非有効性の計算
影響を受ける想定元本
想定元本
に使用された
米ドル 英ポンド
その他 合計
資産 負債
公正価値の変動
LIBOR LIBOR
金利スワップ 446,320 39,117 19,687 2,749 45,502 38,770 2,754 87,026
(*)
38,989 5,101 2,946 318 14,323 0 181 14,504
通貨スワップ
485,309 44,218 22,633 3,067 59,825 38,770 2,935 101,530
合計
(*) ヘッジされている主要な通貨は、米ドル、豪ドルおよびカナダ・ドルである。
(**) 通貨スワップについて、グループはスワップの受取レグの想定元本を使用した。
予期される2021年のLIBOR置換日(米ドルLIBORの場合は2023年6月)の前に満期となる取引は含まれていない。
上表で示された金利スワップおよび通貨スワップは、連結貸借対照表上、「デリバティブ資産」お
よび「デリバティブ負債」で表示されている。
125/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
ヘッジ対象として指定された項目に関連する金額は、次のとおりである(単位:百万ユーロ)。
2021 年
ヘッジ損益調整が中止
ヘッジの
されたヘッジ対象に
公正価値
帳簿価額
連結貸借対照表に
非有効性の計算
ついて連結貸借対照表
ヘッジ調整
に使用された
おける科目
に残存する公正価値
の累計額
価値の変動
資産 負債
ヘッジ調整の累計額
金融機関貸付金および
貸付金および預け金
24,177 0 977 -1,209 6
預け金
対顧客貸付金および
120,024 0 11,092 -6,675 49
預け金
中央銀行担保適格
代替貸付金 2,126 0 34 国庫証券および -48 0
その他短期証券
負債証券-a)
697 0 -29 -67 0
公共機関による発行
負債証券-b) その他
450 0 -14 -33 0
の借手による発行
中央銀行担保適格
国債 15 0 3 国庫証券および 3 0
その他短期証券
負債証券-a)
512 0 82 82 0
公共機関による発行
債務証書借入-a)
債務証書借入 0 346,091 -22,874 15,414 -32
負債証券
債務証書借入-b)
0 7,349 -1,403 477 0
その他
合計 148,001 353,440 -12,132 7,944 23
126/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2020 年
ヘッジ損益調整が中止
ヘッジの
されたヘッジ対象に
公正価値
帳簿価額
連結貸借対照表に
非有効性の計算
ついて連結貸借対照表
ヘッジ調整
に使用された
おける科目
に残存する公正価値
の累計額
価値の変動
資産 負債
ヘッジ調整の累計額
金融機関貸付金および
貸付金および預け金
24,692 0 2,186 367 5
預け金
対顧客貸付金および
118,162 0 17,767 2,216 41
預け金
中央銀行担保適格
代替貸付金 2,425 0 82 国庫証券および 20 0
その他短期証券
負債証券-a)
618 0 38 7 0
公共機関による発行
負債証券-b) その他の
513 0 19 18 0
借手による発行
債務証書借入-a)
債務証書借入 0 373,779 -38,288 -5,350 -34
負債証券
債務証書借入-b)
0 7,548 -1,880 -138 0
その他
合計 146,410 381,327 -20,076 -2,860 12
2021年度の連結損益計算書において認識されたヘッジの非有効性、すなわちヘッジ手段とヘッジ対
象のヘッジに係る利得または損失の差額は127百万ユーロ(2020年:207百万ユーロ)であり、「金融
業務損益」に含まれている。
下表は、ヘッジ会計に関連して、資本の各構成部分の調整とその他の包括利益の内訳を示している
(単位:百万ユーロ)。
公正価値準備金-ヘッジコスト
2021 年 2020 年
1月1日現在の残高 -145 -247
クロス・カレンシー・ベーシス・スプレッドの再評価 96 94
0 8
純損益に振替えられた金額
-49 -145
12 月31日現在の残高
127/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
Q.3. デリバティブ金融商品の公正価値
公正価値で測定されている金融資産については、以下の公正価値測定値ヒエラルキーのレベル別に
公正価値での測定を開示することが必要である。
・ レベル1 - 活発な市場における同一資産または負債の(未修正の)時価。
・ レベル2 - レベル1に含まれる時価以外の、当該資産または負債に関して直接的(価格等)ある
いは間接的(価格から導出された値等)に観察可能なインプットを組入れた評価技
法。
・ レベル3 - 観察可能な市場データに依拠していない当該資産または負債のインプット(観察不能
なインプット)を用いた評価技法。これらの金融商品の公正価値は、内部評価モデル
を用いて算定する。
評価技法には、正味現在価値・割引キャッシュ・フロー・モデル、金利モデルのハル・ホワイト・
モデルおよびLiborマーケット・モデル(LMM)、確率的ボラティリティを用いたLMM、ならびにオプ
ション・モデルのブラック・ショールズ・モデルが含まれる。評価技法で用いる仮定およびインプッ
トとしては、無リスク金利、ベーシス・スワップ・スプレッド、通貨ベーシス・スワップ・スプレッ
ド、為替レートおよび先渡レート、株価および株価指数ならびにそれらの予想ボラティリティおよび
予想相関性、消費者物価指数ならびにその予想ボラティリティおよび予想相関性が挙げられる。評価
技法の目的は、独立第三者として行動する市場参加者が決定したであろう報告日現在の当該金融商品
の価格を反映した公正価値を算定することである。適用した評価モデルは、金融商品の価格設定向け
に一般に認められている経済学的手法と整合しており、市場参加者が価格設定時に考慮する諸要因も
盛り込んでいる。デリバティブ取引の一部に関して市場インプットを直接入手できない場合に、主に
ある種の金利およびクロス・カレンシー・モデルにおける相関性の推定ならびに長期株価連動取引、
長期金利連動取引または長期物価連動取引のボラティリティの推定に、グループ内の見積りや仮定が
評価方法に取り入れられることがある。
下表は、資産または負債として計上されているデリバティブ金融商品の公正価値(市場価格に基づ
く公正価値、評価モデルへのインプットがすべて市場で観察可能な評価技法に基づく公正価値、およ
び市場で観察不能なインプットを用いた評価技法に基づく公正価値)と想定元本をまとめたものであ
る。想定元本の値は期末時点で未決済の取引高を示すものであって、市場リスクや信用リスクを示す
ものではない。
128/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
評価方法別に示した2021年12月31日現在のデリバティブ(単位:百万ユーロ)
レベル1 レベル2 レベル3
デリバティブ資産
市場で観察可能な 市場で観察できな
2021 年の合計
いインプットを
公表市場価格
インプットを用いた
評価技法 用いた評価技法
想定 公正 想定 公正 想定 公正 想定 公正
元本 価値 元本 価値 元本 価値 元本 価値
金利スワップ 0 0 325,704 31,016 2,399 300 328,103 31,316
通貨スワップ 0 0 155,209 10,051 417 86 155,626 10,137
短期為替契約 0 0 9,545 278 0 0 9,545 278
先物契約 6,383 3 0 0 0 0 6,383 3
合計 6,383 3 490,458 41,345 2,816 386 499,657 41,734
レベル1 レベル2 レベル3
デリバティブ負債
市場で観察可能な 市場で観察できな
2021 年の合計
いインプットを
公表市場価格
インプットを用いた
評価技法 用いた評価技法
想定 公正 想定 公正 想定 公正 想定 公正
元本 価値 元本 価値 元本 価値 元本 価値
金利スワップ
0 0 228,910 22,911 2,068 91 230,978 23,002
通貨スワップ
0 0 91,812 5,723 245 43 92,057 5,766
短期為替契約
0 0 15,981 143 0 0 15,981 143
先物契約
1,891 0 0 0 0 0 1,891 0
その他
0 0 0 0 0 619 0 619
合計
1,891 0 336,703 28,777 2,313 753 340,907 29,530
評価方法別に示した2020年12月31日現在のデリバティブ(単位:百万ユーロ)
レベル1 レベル2 レベル3
デリバティブ資産
市場で観察可能な 市場で観察できな
2020 年の合計
いインプットを
公表市場価格
インプットを用いた
評価技法 用いた評価技法
想定 公正 想定 公正 想定 公正 想定 公正
元本 価値 元本 価値 元本 価値 元本 価値
金利スワップ
0 0 352,813 43,788 2,940 241 355,753 44,029
通貨スワップ
0 0 94,819 8,964 596 130 95,415 9,094
短期為替契約
0 0 8,508 163 0 0 8,508 163
合計
0 0 456,140 52,915 3,536 371 459,676 53,286
129/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
レベル1 レベル2 レベル3
デリバティブ負債
市場で観察可能な 市場で観察できな
2020 年の合計
いインプットを
公表市場価格
インプットを用いた
評価技法 用いた評価技法
想定 公正 想定 公正 想定 公正 想定 公正
元本 価値 元本 価値 元本 価値 元本 価値
金利スワップ
0 0 182,713 28,978 529 70 183,242 29,048
通貨スワップ
0 0 127,638 8,882 203 35 127,841 8,917
短期為替契約
0 0 14,418 253 0 0 14,418 253
その他
0 0 0 0 0 137 0 137
合計
0 0 324,769 38,113 732 242 325,501 38,355
グループが行ったデリバティブ取引の大部分の時価は、市場では入手できない。そのような金融商
品に関しては、可能な限り貸借対照表日現在の観察可能な実勢市場データに基づき、評価技法や評価
モデルを用いて公正価値が見積られる。
スワップ取引の公正価値は、将来のキャッシュ・フローから割引後現在価値を導出する評価技法を
適用するインカム・アプローチにより算出される。公正価値の見積りは将来価値に対する市場の期待
値に基づいている。評価技法は、既知のキャッシュ・フローを割り引く単純なものから複雑なオプ
ション・モデルに至るまで、多岐にわたる。適用した評価モデルは、金融商品の価格設定向けに一般
に認められている経済学的手法と整合しており、市場参加者が価格設定時に考慮する諸要因を盛り込
んでいる。
デリバティブ取引の一部に関しては、市場インプットを直接入手できない場合には、内部見積りや
仮定が評価技法に取り入れられることもある。
130/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
下表は、年度末において公正価値ヒエラルキーのレベル3に分類されるデリバティブ金融商品の測
定に使用された市場で観察できない重要なインプットについての情報を示している(単位:百万ユー
ロ)。
レベル3の
2021 年
スワップの
観察不能な
2021年
12月31日 重要な観察不能な
金融商品の種類 評価技法
インプットについて
12月31日
現在の インプット
の見積りの範囲
現在の
公正価値
公正価値
平均回帰または
ボラティリティの ボラティリティの
ボラティリティなど ボラティリティまた
確率論的金利
金利スワップ 8,295 190
の確率論的ボラティ は平均回帰スピード
モデル
リティ。 の20%増減。
シフト後対数正規 上下に1ppシフト。
モデルのシフト。
異なった相関観察窓
の使用およびより
ボラティリティス
多くのボラティリ
確率論的クロス・
マイルを使用した
カレンシー・
通貨スワップ 4,371 43 ティ行使価格を捕捉
イールドカーブとFX
するための局所
モデル
レート間の相関
ボラティリティ・
モデルの使用
異なる配当利回り
確率論的
エクイティ・ 配当利回りおよび およびボラティリ
19 19 エクイティ・
スワップ ボラティリティ ティの使用
モデル
(相対的+/-20%)
レベル3の
2020 年
スワップの
観察不能な
2020年
12月31日 重要な観察不能な
金融商品の種類 評価技法
インプットについて
12月31日
現在の インプット
の見積りの範囲
現在の
公正価値
公正価値
平均回帰または
ボラティリティの
ボラティリティの
確率論的金利
ボラティリティまた
金利スワップ 14,951 141
ボラティリティなど
モデル は平均回帰スピード
の確率論的ボラティ
の10%増減
リティ
異なった相関観察窓
の使用およびより
ボラティリティスマ
確率論的クロス・
多くのボラティリ
イルを使用したイー
カレンシー・
通貨スワップ 177 95
ティ行使価格を捕捉
ルドカーブとFXレー
モデル するための局所ボラ
ト間の相関
ティリティ・モデル
の使用
異なる配当利回り
確率論的エクイ
配当利回りおよびボ
およびボラティリ
エクイティ・
30 30
スワップ
ラティリティ
ティ・モデル ティの使用(相対的
+/-10%)
重要な観察不能なインプットは、次のように策定される。
131/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
- 相関およびボラティリティは、観察可能なボラティリティ、最近の取引価格、他の市場参加者
による指値、コンセンサス価格サービスからのデータおよび最新の状況を反映して調整した過
去のデータより推計される。
- リスク調整後スプレッドは、利用可能な場合にはCDS市場、ならびに最新の状況を反映して調整
した過去のデフォルトおよび期限前返済の推移から導出される。
IFRS第13号の適用により、2021年12月31日現在のデリバティブの公正価値評価には次の評価調整が
含まれている。
- カウンターパーティーのデリバティブ取引に係る信用リスクを反映した信用評価調整(CVA)マ
イナス73.0百万ユーロ(2020年:マイナス105.4百万ユーロ)が以下のとおり計上されている。
・ 貸付金および代替貸付金をヘッジしているスワップにマイナス21.5百万ユーロ(2020年:
マイナス30.0百万ユーロ)
・ 借入をヘッジしているスワップにマイナス24.3百万ユーロ(2020年:マイナス35.6百万
ユーロ)
・ ALMスワップにマイナス27.1百万ユーロ(2020年:マイナス39.7百万ユーロ)
・ 長期財務スワップにマイナス0.1百万ユーロ(2020年:0百万ユーロ)
・ 短期財務スワップ(通貨スワップおよび為替予約)に0百万ユーロ(2020年:マイナス0.1
百万ユーロ)
- デリバティブ取引に係る自行の信用リスクを反映した債務評価調整(DVA)62.5百万ユーロ
(2020年:132.6百万ユーロ)が以下のとおり計上されている。
・ 貸付金および代替貸付金をヘッジしているスワップに23.5百万ユーロ(2020年:55.5百万
ユーロ)
・ 借入をヘッジしているスワップに22.0百万ユーロ(2020年:49.5百万ユーロ)
・ ALMスワップに16.7百万ユーロ(2020年:27.2百万ユーロ)
・ 長期財務スワップに0.2百万ユーロ(2020年:0.3百万ユーロ)
・ 短期財務スワップ(通貨スワップおよび為替予約)に0.1百万ユーロ(2020年:0.1百万
ユーロ)
- 上記のCVAおよびDVAに加えて、2021年12月31日現在で、EIBのカウンターパーティーがデリバ
ティブ取引に関して差し入れた担保に関連した特定のわずかな調整を反映した担保評価調整
(CollVA)がマイナス5.1百万ユーロ(2020年:マイナス18.3百万ユーロ)あった。
デリバティブの大半については、EIBのカウンターパーティーが差し入れた担保はすでにCVAの額に
含まれている。しかし、一部の僅かな場合においては、担保は直接的に考慮されず(特定のCSA、現金
担保)、そのため、個別のCollVA調整に分離される。
132/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
Q.4. レベル3の商品の公正価値の感応度
グループは、公正価値の見積りは適切であると確信しているが、異なる手法または仮定を使用する
ことにより公正価値の測定が異なる可能性がある。
観察不能なインプットにより、レベル3の商品の評価額にある程度の不確実性と変動が加わる可能
性がある。
EIB は、それを評価し定量化するために、観察不能なインプットに関する合理的に可能な仮定の範囲
を用いて、代替的な評価を実施している。
代替的な仮定は評価モデルに特化したものであり、個別に適用することができる。
レベル3のデリバティブは、原資産および評価モデルによって次の3種類のスワップにグループ分
けすることができる。
a. 仕組金利スワップ
b. クロス・カレンシー・スワップおよび為替連動スワップ
c. エクイティ・スワップ
a. 仕組金利スワップは、多因子のLibor市場モデル(LMM)のダイナミクスを使用してモデル化
されており、ボラティリティのボラティリティのパラメーターがモデルのサブセットについ
て外部によって指定されている場合には、スワップションおよびスプレッド・オプションを
使用して微調整されている。これらのモデルには、外部によって設定されたボラティリティ
の平均回帰のスピードも組み込まれている。このカテゴリー(a)について、ボラティリティの
ボラティリティを20%増減させること、および平均回帰を20%増減させる(1%を下限)こ
と、そして利率が低い場合には、IRのシフトの仮定を変更することによって、代替的な評価
額が得られる。このカテゴリー(a)について、最初のシナリオでは「ボラティリティのボラ
ティリティ」を上昇させ、平均回帰のスプレッドを縮小させ、スワップションの価格におけ
る金利水準を低下させた際に、最初のシナリオは0.2百万ユーロの減少、第2のシナリオは
1.8百万ユーロの増加をもたらした。
b. クロス・カレンシー・スワップおよび為替連動スワップは、金利についてはハル・ホワイト
の1ファクターモデル、為替レートについてはブラック・ショールズ・モデルに従って評価
されている。モデルは、金利、スワップションのボラティリティ、為替レート、為替オプ
ションのボラティリティならびに金利と為替レート間の相関関係を考慮して調整されてい
る。金利と為替レートの間の相関は、時系列から見積られる。これらのカテゴリーについ
て、代替的な評価額は、最初のシナリオよりも短期間(半分)からの相関を算出し、第2の
シナリオにおけるボラティリティスマイルの考慮を行うことによって算定される。このカテ
ゴリー(b)については、最初のシナリオは悪影響をもたらすことが判明して、評価額は0.02百
万ユーロ減少し、他方のシナリオは好影響を及ぼし、1.3百万ユーロの増加をもたらした。
c. エクイティ・スワップは、ブラック・ショールズ・モデルを使用してモデル化され、ボラ
ティリティを市場から捕捉している。金利および配当も、市場相場から捕捉される。長期ス
ワップについては、ボラティリティと配当は長期の満期にわたって推定される。このシナリ
オはボラティリティと配当金の仮定の相対的な20%増減で構成される。有利なシナリオは10
百万ユーロの増加をもたらし、不利なシナリオは8.2百万ユーロの減少をもたらした。
下表は、レベル3のデリバティブを金融商品の種類ごとに要約したものであり、代替的な仮定によ
り公正価値が変動する(単位:百万ユーロ)。
133/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021年12月31日現在 有利な影響 不利な影響 評価技法 重要な観察不能なインプット
ボラティリティのパラメーター
の平均回帰およびボラティリ
確率論的金利
仕組金利スワップ(OTC) 1.8 -0.2 ティのボラティリティの変更
モデル
シフト後対数正規モデルのシフ
トの変更
クロス・カレンシー・
金利と為替レートの相関関係お
確率論的クロス・
スワップおよび為替連動 1.3 0 よびボラティリティスマイルの
カレンシー・モデル
考慮
スワップ
確率論的
エクイティ・スワップ 10 -8.2 ボラティリティと配当の変動
エクイティ・モデル
2020年12月31日現在 有利な影響 不利な影響 評価技法 重要な観察不能なインプット
確率論的金利
確率論的ボラティリティ・パラ
仕組金利スワップ(OTC) 2.7 0
メーターの変更
モデル
クロス・カレンシー・
金利と為替レートの相関関係お
確率論的クロス・
スワップおよび為替連動 7.2 -0.3 よびボラティリティスマイルの
カレンシー・モデル
考慮
スワップ
確率論的
エクイティ・スワップ 5.6 -3.2 ボラティリティと配当の変動
エクイティ・モデル
134/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注R: 金融資産および金融負債の公正価値(単位:百万ユーロ)
下表は、連結財務書類に計上されているグループの金融資産および金融負債の公正価値ヒエラル
キー別の公正価値と帳簿価額を比較したものである。ただし、金融資産以外および金融負債以外の公
正価値は記載していない。
公正価値
2021年12月31日現在
帳簿価額
レベル1 レベル2 レベル3 合計
公正価値で計上される資産:
FVTPL での測定に指定された
金融資産 0 6,475 11,624 18,099 18,099
金融機関および対顧客貸付金および
預け金 0 6,273 10,840 17,113 17,113
株式およびその他の変動利付証券 0 0 784 784 784
代替貸付金ポートフォリオ 0 202 0 202 202
強制的にFVTPLで測定される
金融資産 4,751 41,345 21,974 68,070 68,070
デリバティブ資産 3 41,345 386 41,734 41,734
SLP 4,748 0 0 4,748 4,748
株式およびその他の変動利付証券 0 0 17,490 17,490 17,490
金融機関および対顧客貸付金および
預け金 0 0 2,814 2,814 2,814
代替貸付金ポートフォリオ 0 0 903 903 903
資産担保証券ポートフォリオEIF 0 0 381 381 381
FVOCI で測定される金融資産
(リサイクルなし) 0 0 598 598 598
株式およびその他の変動利付証券 0 0 598 598 598
合計 4,751 47,820 34,196 86,767 86,767
AC で計上される資産:
回収目的保有 20,430 473,855 51,780 546,065 536,283
LTHP 1,437 0 0 1,437 1,444
TMP 14,845 7,612 0 22,457 22,456
運用ポートフォリオ-EIF 2,264 27 0 2,291 2,298
代替貸付金ポートフォリオ 401 10,134 6,400 16,935 16,865
金融機関および対顧客貸付金および
預け金 0 454,948 45,380 500,328 490,603
現金、中央銀行および郵便局預け金 1,483 0 0 1,483 1,483
払込請求済だが払込未済の
応募済資本金および準備金 0 1,134 0 1,134 1,134
売却目的保有資産 0 0 0 0 0
合計 20,430 473,855 51,780 546,065 536,283
金融資産合計 25,181 521,675 85,976 632,832 623,050
公正価値で計上される負債
強制的にFVTPLで測定される
金融負債 0 29,117 753 29,870 29,870
デリバティブ負債 0 28,777 753 29,530 29,530
その他の負債 0 340 0 340 340
FVTPL での測定に指定された金融負債 20,171 6,614 3,892 30,677 30,677
債務証書借入 20,171 6,614 3,892 30,677 30,677
合計 20,171 35,731 4,645 60,547 60,547
135/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
公正価値
2021年12月31日現在
帳簿価額
レベル1 レベル2 レベル3 合計
AC で計上される負債
AC で測定される負債 418,696 57,990 0 476,686 471,987
金融機関および顧客に対する債務 0 25,393 0 25,393 25,393
債務証書借入 418,696 29,229 0 447,925 443,226
その他の未払金 およびリース負債 0 3,368 0 3,368 3,368
合計 418,696 57,990 0 476,686 471,987
金融負債合計 438,867 93,721 4,645 537,233 532,534
公正価値
2020 年12月31日現在
帳簿価額
レベル1 レベル2 レベル3 合計
公正価値で計上される資産:
FVTPL での測定に指定された
金融資産 0 7,227 11,040 18,267 18,267
金融機関および対顧客貸付金および
預け金 0 7,014 10,464 17,478 17,478
株式およびその他の変動利付証券 0 0 576 576 576
代替貸付金ポートフォリオ 0 213 0 213 213
強制的にFVTPLで測定される
金融資産 4,088 53,007 15,737 72,832 72,832
デリバティブ資産 0 52,915 371 53,286 53,286
SLP 4,088 92 0 4,180 4,180
株式およびその他の変動利付証券 0 0 12,232 12,232 12,232
金融機関および対顧客貸付金および
預け金 0 0 1,808 1,808 1,808
代替貸付金ポートフォリオ 0 0 1,003 1,003 1,003
資産担保証券ポートフォリオEIF 0 0 323 323 323
FVOCI で測定される金融資産
(リサイクルなし) 0 0 515 515 515
株式およびその他の変動利付証券 0 0 515 515 515
合計 4,088 60,234 27,292 91,614 91,614
AC で計上される資産:
回収目的保有 14,551 480,025 55,727 550,303 534,619
LTHP 1,760 5 0 1,765 1,646
TMP 10,254 7,351 0 17,605 17,602
運用ポートフォリオ-EIF 1,180 28 0 1,208 1,192
代替貸付金ポートフォリオ 511 11,906 6,743 19,160 18,957
金融機関および対顧客貸付金および
預け金 0 459,280 48,984 508,264 492,921
現金、中央銀行および郵便局預け金 835 0 0 835 835
払込請求済だが払込未済の
応募済資本金および準備金 0 1,455 0 1,455 1,455
売却目的保有資産 11 0 0 11 11
合計 14,551 480,025 55,727 550,303 534,619
金融資産合計 18,639 540,259 83,019 641,917 626,233
公正価値で計上される負債
強制的にFVTPLで測定される
金融負債 0 38,932 242 39,174 39,174
136/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
公正価値
2020 年12月31日現在
帳簿価額
レベル1 レベル2 レベル3 合計
デリバティブ負債 0 38,113 242 38,355 38,355
(1)
その他の負債 0 819 0 819 819
FVTPL での測定に指定された
金融負債 18,578 8,103 3,182 29,863 29,863
債務証書借入 18,578 8,103 3,182 29,863 29,863
合計 18,578 47,035 3,424 69,037 69,037
AC で計上される負債
AC で測定される負債 433,856 49,761 0 483,617 476,794
金融機関および顧客に対する債務 0 18,201 0 18,201 18,201
債務証書借入 433,856 28,001 0 461,857 455,034
(1)
その他の未払金およびリース負債 0 3,559 0 3,559 3,559
合計 433,856 49,761 0 483,617 476,794
金融負債合計 452,434 96,796 3,424 552,654 545,831
(1) 財務書類の可読性を向上させるために、組替が行われている。
137/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
以下、金融資産および金融負債の公正価値算定に用いる方法と仮定を記載する。
帳簿価額が公正価値に近似する資産
流動性が高い、あるいは満期が短い(3ヵ月未満)金融資産および金融負債の場合、帳簿価額と公
正価値は近似していると仮定される。
公正価値で計上される資産および負債
金融商品の公正価値の算定に当たっては、まず、活発な市場の公表気配値が第一の情報源とされ
る。入手できる市場価格がない金融商品の場合は、可能な限り貸借対照表日現在の観察可能な実勢市
場データに基づき、評価技法や評価モデルを用いて公正価値が見積られる。
こうした金融商品の公正価値は、将来のキャッシュ・フローから割引現在価値を導出する評価技法
を用いて算定される。公正価値の見積りは将来価値に対する市場の期待値に基づいている。評価技法
は、既知のキャッシュ・フローを割り引く単純なものから複雑なオプション・モデルに至るまで、多
岐にわたる。適用した評価モデルは、金融商品の価格設定向けに一般に認められている経済学的手法
と整合しており、市場参加者が価格設定時に考慮する諸要因を盛り込んでいる。市場情報が直接入手
可能でない場合には、内部的な見積りおよび仮定が評価技法に用いられることもある。
IFRS第13号の適用による、純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融負債に係るグループ
自体の信用リスクを反映した自己信用調整(「OCA」)は、2021年12月31日現在で86.0百万ユーロ
(2020年:19.8百万ユーロ)であった。
2021年には、次の項目が公正価値ヒエラルキーのレベル1からレベル2に振替えられた。
- 0.0百万ユーロの強制的にFVTPLで測定される金融資産(2020年: 26.8百万ユーロ)
- 0.0百万ユーロの償却原価で評価される金融資産(2020年: 5.0百万ユーロ)
- 純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融負債ゼロ(2020年:ゼロ)
次の項目は、公正価値ヒエラルキーのレベル2からレベル1に振替えられた。
- 63.0百万ユーロの強制的にFVTPLで測定される金融資産(2020年: 30.7百万ユーロ)
- 27.7百万ユーロの償却原価で評価される金融資産(2020年: 36.0百万ユーロ)
- 182.7百万ユーロの純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融負債(2020年:491.0百
万ユーロ)
当事業年度中、これらの有価証券の活発な市場における公表価格が入手可能となり、その結果、レ
ベル2からレベル1へ振替えられた。
138/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
下表は、2021年12月31日終了事業年度におけるレベル3の金融商品の変動を示したものである(単
位:百万ユーロ)。
FVOCI で
強制的にFVTPL FVTPL での測定 強制的にFVTPL FVTPL での測定
で測定される に指定された で測定される に指定された
測定される
金融資産 金融資産 金融負債 金融負債
金融資産
2021 年1月1日現在の残高 15,737 11,040 515 242 3,182
損益合計
- 純損益に計上
5,343 554 0 509 27
- その他包括損益に計上
0 0 83 0 -12
買付 3,448 94 0 0 0
売却 -1,816 -129 0 0 0
発行 0 68 0 0 0
決済 -826 -3 0 0 -128
レベル3への移動合計 88 0 0 2 884
レベル3からの移動合計 0 0 0 0 -61
2021 年12月31日現在の残高 21,974 11,624 598 753 3,892
下表は、2020年12月31日終了事業年度におけるレベル3の金融商品の変動を示したものである(単
位:百万ユーロ)。
FVOCI で
強制的にFVTPL FVTPL での測定 強制的にFVTPL FVTPL での測定
で測定される に指定された で測定される に指定された
測定される
金融資産 金融資産 金融負債 金融負債
金融資産
2020 年1月1日現在の残高 13,008 12,853 493 181 2,366
損益合計
- 純損益に計上
862 -616 0 24 -1
- その他包括損益に計上
0 0 22 0 13
買付 3,254 105 0 11 0
売却 0 0 0 0 0
発行 0 0 0 0 337
決済 -1,504 -1,302 0 -30 -289
レベル3への移動合計 151 0 0 56 1,105
レベル3からの移動合計 -34 0 0 0 -349
2020 年12月31日現在の残高 15,737 11,040 515 242 3,182
139/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
下表におけるレベル3の商品に係る損益合計は、2021年12月31日終了事業年度の連結包括利益計算
書に以下のとおりに表示されている(単位:百万ユーロ)。
FVOCI で
強制的にFVTPL FVTPL での測定 強制的にFVTPL FVTPL での測定
で測定される に指定された で測定される に指定された
測定される
金融資産 金融資産 金融負債 金融負債
金融資産
当期純損益に含まれた損益合計:
- 金融業務損益
5,343 554 0 509 27
その他包括損益に認識された損益合
計
- FVOCI で測定される金融資産および
OCA 0 0 83 0 -12
2021 年12月31日現在に保有する資産
および負債に係る未実現損益の変動
に起因する純損益に含まれる当期損
益合計
- 金融業務損益
5,343 554 0 509 27
下表におけるレベル3の商品に係る損益合計は、2020年12月31日終了事業年度の連結包括利益計算
書に以下のとおりに表示されている(単位:百万ユーロ)。
FVOCI で
強制的にFVTPL FVTPL での測定 強制的にFVTPL FVTPL での測定
で測定される に指定された で測定される に指定された
測定される
金融資産 金融資産 金融負債 金融負債
金融資産
当期純損益に含まれた損益合計:
- 金融業務損益
862 -616 0 24 -1
その他包括損益に認識された損益合
計
- FVOCI で測定される金融資産および
OCA 0 0 22 0 13
2020 年12月31日現在に保有する資産
および負債に係る未実現損益の変動
に起因する純損益に含まれる当期損
益合計
- 金融業務損益
862 -616 0 24 -1
市場で観察不能なインプットに基づく評価技法を用いた場合において、代替的な仮定を用いること
により、純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融商品の公正価値に生じる変化
グループは、公正価値の見積りは適切であると確信しているが、異なる手法または仮定を使用する
ことにより公正価値の測定が異なる可能性がある。
市場で観察不能な仮定について合理的に代替可能なものを評価技法へのインプットとして使用し、
それに基づき損益を通じて公正価値で評価されるものに指定された金融商品の公正価値を算定した場
合の潜在的影響としては、2021年12月31日現在の公正価値は、最も不利となる仮定を用いた場合は約
8.4百万ユーロ低くなり、最も有利となる仮定を用いた場合は約13.1百万ユーロ高くなるものと定量化
された。2020年12月31日現在の公正価値は、最も不利となる仮定を用いた場合は約3.5百万ユーロ低く
なり、最も有利となる仮定を用いた場合は約15.5百万ユーロ高くなるものと定量化された。
140/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
レベル3評価カテゴリーに属する借入金および貸付金の公正価値算出には、代替的な仮定が使用さ
れる。レベル3の借入金および貸付金の公正価値は、それらの借入金および貸付金をヘッジするデリ
バ ティブの価値から導出される。したがって代替的な仮定がまずレベル3デリバティブの評価に適用
され、次にその影響がレベル3の借入金および貸付金に適用される。レベル3のデリバティブは、原
資産および/または評価モデルによって次の3種類のスワップにグループ分けすることができる。
a. 仕組金利スワップ
b. クロス・カレンシー・スワップおよび為替連動スワップ
c. エクイティ・スワップ
仕組金利スワップは、多因子のLibor市場モデル(LMM)のダイナミクスを使用してモデル化されて
おり、ボラティリティのボラティリティのパラメーターが外部によって指定されている場合には、ス
ワップションおよびスプレッド・オプションを使用して微調整されている。クロス・カレンシー・ス
ワップおよび為替連動スワップは、金利についてはハル・ホワイトの1ファクターモデル、為替レー
トについてはブラック・ショールズ・モデルに従って評価されている。
モデルは、金利、スワップションのボラティリティ、為替レート、為替オプションのボラティリ
ティならびに金利と為替レート間の相関関係を考慮して調整されている。カテゴリー(c) は、エクイ
ティ・スワップの金額の大きな1ポジションで構成され、このエクイティ・スワップにはアジア型
コール・オプションが埋め込まれている。オプショナリティの価値は、配当とボラティリティに大き
く影響され、代用指標を用いる必要がある。
純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融資産
金利スワップや通貨スワップでヘッジされ、ヘッジ会計適格ではない貸付金および代替貸付金ポー
トフォリオは、純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融資産に含まれる。
純損益を通じた公正価値での測定に指定された実行済の金融機関および対顧客貸付金および預け金
(代替貸付金を含む)の最大信用エクスポージャーは、12,264百万ユーロ(2020年:12,621百万ユー
ロ)であった。グループのカウンターパーティーの信用リスクの変動に起因する貸付金および代替貸
付金の公正価値の累積変動は、156.5百万ユーロの評価損(2020年:164.2百万ユーロの評価損)で
あった。純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融資産の公正価値の変動のうち、信用リス
クの変動に起因する部分は、かかる貸付金および代替貸付金の見積貸倒損失の変動を算定して計算さ
れている。
純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融資産の信用リスクヘッジのために締結されたク
レジット・デリバティブはない。
141/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融負債
純損益を通じた公正価値での測定に指定された金融負債はグループが発行した債務証書借入で、金
利スワップおよび通貨スワップでヘッジされているもので構成されている。
FVTPL での測定に指定された金融負債については、グループは当該負債の信用リスクの変動影響を、
その他の包括利益に表示するよう義務付けられている。
下表は、2021年12月31日終了事業年度におけるかかる金融負債について要求される情報を示したも
のである。
信用リスクの
当期中の
帳簿価額と、
変動に起因する 当期中の
認識中止による
( 単位:百万ユーロ) 約定の満期支払額と
公正価値の 資本科目間振替
の差額
実現額
累積的変動
FVTPL での測定に指定された
金融負債 86 0 -1 -2,537
下表は、2020年12月31日終了事業年度におけるかかる金融負債について要求される情報を示したも
のである。
信用リスクの
当期中の
帳簿価額と、
変動に起因する 当期中の
認識中止による
( 単位:百万ユーロ) 約定の満期支払額と
公正価値の 資本科目間振替
の差額
実現額
累積的変動
FVTPL での測定に指定された
金融負債 20 0 -12 -2,493
グループは、FVOに指定された借入金の信用リスク特性とヘッジ手段との間に直接の経済的関連性は
存在しないことから、自己信用リスクの変動額をOCIで表示することにより純損益における会計上のミ
スマッチを減らすことにした。
金融資産と金融負債の相殺
下表で表示されている開示には、以下の金融資産および金融負債が含まれている。
- EIBグループの会計方針に従ってグループの連結貸借対照表上で相殺されているもの。
- 法的強制力を持ったマスター・ネッティング契約または類似した金融商品を対象とした類似契
約の適用を受けるもので、グループの連結貸借対照表上で相殺されているか否かは問わない。
類似契約にはグローバル・マスター・リパーチェス契約が含まれる。類似した金融商品には、リ
パーチェス契約およびリバース・リパーチェス契約が含まれる。貸付金および預金などの金融商品
は、連結貸借対照表上で相殺されていない限り、下表では表示されていない。
取引所で取引されていないグループのデリバティブ取引は、国際スワップ・デリバティブ協会
(ISDA)のマスター契約の下で行われている。通常、このような契約の下では、いずれの日において
も各当事者の同一の取引および同一の通貨に関する支払債務の金額は合算されて、一方の当事者から
他方の当事者に支払われるべき単一の純額となる。例えばデフォルトが発生するなどの特定の状況下
142/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
では、契約下のすべての未決済取引は解約され、解約価値が査定され、すべての取引の決済として単
一の純額が支払われるべき金額とされる。
グループのリパーチェス契約およびリバース・リパーチェス契約は、ISDAマスター契約の相殺条項
と類似した相殺条項を備えたマスター契約による。
上記のISDAおよび類似したマスター・ネッティングの取決めは、連結貸借対照表における相殺基準
を満たさない。これは、これらの契約によって発生する(認識された金額に対する)相殺権が、いず
れかの当事者の支払不能または破産を含むデフォルトを受けての未決済取引の解約後のみ強制可能と
なるためである。
グループは、次の取引に関連して現金または市場性のある有価証券の形で担保を受領し、預け入れ
ている。
- デリバティブ
- リパーチェス契約およびリバース・リパーチェス契約
デリバティブに関連して受領する担保は、ISDAクレジット・サポート・アネックスの業界の標準的
条件の適用を受ける。このことは、担保として受領した有価証券は取引期間中に質権を設定しまたは
売却を行うことができるが、取引の満了時には返却しなければならないことを意味する。また、これ
らの条件により、カウンターパーティーが担保の差入れを怠った場合に、グループは関連する取引を
終了する権利を与えられている。
143/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
相殺、法的に強制可能なマスター・ネッティング契約または類似した契約の適用を受ける金融資産
(単位:百万ユーロ)
認識された
貸借対照表上で相殺されて
金融負債の
貸借対照表上
いない関連金額
認識された
うち貸借対照 で表示されて
金融資産の 純額
表上で相殺 いる金融資産
総額
の純額
されている
債券 受取現金担保
2021 年12月31日現在 総額
金融資産:
リスク管理のために保有するデ
リバティブ資産 42,229 -498 41,731 10,624 4,775 26,332
リバース・レポ 13,888 0 13,888 13,556 2 330
830 -773 57 0 0 57
金融保証
56,947 -1,271 55,676 24,180 4,777 26,719
合計
認識された
貸借対照表上で相殺されて
金融負債の
貸借対照表上
いない関連金額
認識された
うち貸借対照 で表示されて
金融資産の 純額
表上で相殺 いる金融資産
総額
の純額
されている
債券 受取現金担保
2020 年12月31日 総額
金融資産:
リスク管理のために保有するデ
リバティブ資産 53,796 -510 53,286 13,300 4,198 35,788
リバース・レポ 15,466 0 15,466 13,496 2 1,968
713 -668 45 0 0 45
金融保証
69,975 -1,178 68,797 26,796 4,200 37,801
合計
144/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
相殺、法的に強制可能なマスター・ネッティング契約または類似した契約の適用を受ける金融負債
(単位:百万ユーロ)
認識された
貸借対照表上で相殺されて
金融資産の
貸借対照表上
いない関連金額
認識された
うち貸借対照 で表示されて
金融負債の 純額
表上で相殺 いる金融負債
総額
の純額
されている
金融商品 差入現金担保
2021 年12月31日現在 総額
金融負債:
リスク管理のために保有するデ
リバティブ負債 28,940 -29 28,911 0 0 28,911
レポ契約 5,711 0 5,711 5,711 0 0
債務証書借入 453 -453 0 0 0 0
276 -237 39 0 0 39
金融保証
35,380 -719 34,661 5,711 0 28,950
合計
認識された
貸借対照表上で相殺されて
金融資産の
貸借対照表上
いない関連金額
認識された
うち貸借対照 で表示されて
金融負債の 純額
表上で相殺 いる金融負債
総額
の純額
されている
金融担保 差入現金担保
2020 年12月31日 総額
金融負債:
リスク管理のために保有するデ
リバティブ負債 38,386 -31 38,355 0 0 38,355
レポ契約 4,311 0 4,311 4,315 0 -4
債務証書借入 461 -461 0 0 0 0
172 -149 23 0 0 23
金融保証
43,330 -641 42,689 4,315 0 38,374
合計
上表で開示されている貸借対照表に表示された金融資産および金融負債の総額および純額は、貸借
対照表上で以下に基づいて測定されている。
- デリバティブ資産および負債-公正価値
- セール・アンド・リパーチェス契約、リバース・セール・アンド・リパーチェス契約および証
券貸借により発生した資産および負債-償却原価または公正価値
- 対顧客貸付金および預け金-償却原価または公正価値
- 顧客に対する債務-償却原価
- 金融保証契約(注 A.4.11. )
上表における貸借対照表上で相殺されている金額は、金融保証契約(注A.4.11.)を除き、同じ基準
で測定されている。下表は、上表で表示された「貸借対照表上で表示されている金融資産および金融
負債の純額」と、貸借対照表または注Gのそれぞれの見出しで表示された科目との調整を示している
(単位:百万ユーロ)。
145/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結貸借対照表上の 相殺の開示の対象
連結貸借対照表上
純額
2021 年12月31日現在
の金額
科目 範囲外の金融資産
金融資産:
リスク管理のために保有するデ
41,731 デリバティブ資産 41,734 3
リバティブ資産
金融機関貸付金および
リバース・レポ 13,888 170,147 156,259
預け金
金融保証 57 その他の資産(注G) 57 0
連結貸借対照表上の 相殺の開示の対象
連結貸借対照表上
純額
の金額
2021 年12月31日現在 科目 範囲外の金融負債
金融負債:
リスク管理のために保有するデ
28,911 デリバティブ負債 29,530 619
リバティブ負債
レポ契約 5,711 金融機関に対する債務 23,572 17,861
債務証書借入 0 債務証書借入 473,903 473,903
保証および契約債務
金融保証 39 39 0
引当金/その他の負債
(注D.4)
連結貸借対照表上の 相殺の開示の対象
連結貸借対照表上
純額
の金額
2020 年12月31日 科目 範囲外の金融資産
金融資産:
リスク管理のために保有するデ
53,286 デリバティブ資産 53,286 0
リバティブ資産
金融機関貸付金および預
リバース・レポ 15,466 166,823 151,357
け金
金融保証 45 その他の資産(注G) 45 0
連結貸借対照表上の 相殺の開示の対象
連結貸借対照表上
純額
の金額
2020 年12月31日 科目 範囲外の金融負債
金融負債:
リスク管理のために保有するデ
38,355 デリバティブ負債 38,355 0
リバティブ負債
レポ契約 4,311 金融機関に対する債務 16,499 12,188
債務証書借入 0 債務証書借入 484,897 484,897
保証および契約債務
金融保証 23 23 0
引当金/その他の負債
(注D.4)
146/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注S: リスク管理
本注記は、グループのリスクに対するエクスポージャーならびにその管理および統制についての情
報を、特に金融商品の使用に関連した主なリスクについて記載している。それらは以下のとおりであ
る。
- 信用リスク-決済リスク等、顧客またはカウンターパーティーのデフォルトにより発生する損
失のリスクで、あらゆる形式の信用エクスポージャーから発生する。
- 金利リスク-金利感応商品に影響を及ぼす金利の不利な変動から生じるグループの投資の利益
および経済価値の両方に対するリスクで、ギャップリスク、ベーシスリスクおよびオプション
リスクを含む。
- 流動性および資金調達リスク-グループが合理的な価格により、あるいは、極端な状況下では
いかなる価格によっても、資金調達または義務の履行ができないリスク。
- 為替レートリスク-為替レートの不利な変動が原因で、グループのポジションから得られる経
済価値または収益の変動性から生じるリスク。
- オペレーショナル・リスク-不適切もしくは機能不全のプロセスもしくはシステム、人的要因
から発生する、外部事象による損失リスクで、法務リスクを含むが、戦略リスクおよび風評リ
スクは除かれる。
2021年には、リスクの管理とモニタリング専任のチームを含む職員の大半がテレワークで勤務して
いた。このような業務に関連して、ポジション管理システムは、通常の状況下と同一の機能性で、フ
ロント・オフィス、ミドル・オフィスおよびバック・オフィスの職員に加えて、リスク管理の職員も
リモートモードで利用が可能であった。
S.1. リスク管理組織
グループ内の各事業体は、独自のリスクの管理および統制を実行している。本注記に記載するリス
ク管理情報はEIBとEIFを分けて表示する。
また、EIBはグループ・リスク・コンプライアンス部門(GR&C)の中に、グループ全体のリスク管理
を強化するために、規制およびEIBグループ・リスク部を設置した。規制およびEIBグループ・リスク
部は主に、リスク報告、ベスト・バンキング・プラクティスの枠組みおよび内部方針・リスクの枠組
み(リスク選好の枠組み、自己資本充実度評価プロセス(「ICAAP」およびストレス・テストの枠組み
を含む)に関する健全性規制の遵守、ならびに内部モデルの作成および検証を担当する。EIBの連結レ
ベルでのリスク管理の概括的な原則は、グループ・リスク管理憲章に示されている。グループ・リス
ク管理憲章は、グループのリスクのグループ全体からの見方およびリスク管理の統合的なアプローチ
を規定することを目的としている。
グループは、グループ最高リスク責任者(「GCRO」)が率いるグループ・リスク課を設置してい
る。総裁およびEIB経営委員会のそれぞれの法定責任が影響を受けることなく、GCROはグループ・リス
クについて、リスク担当の経営委員会委員の監督の下、EIB経営委員会に報告する。グループ・リスク
に関連した主要なリスク方針の事項に関して、GCROはEIB経営委員会および他のEIBの統治機関の関連
するすべての会議に参加し、EIF理事会の関連する会議およびEIF経営陣との協議に招待される。EIF
は、GCROを通じてグループ・リスク事項をEIBに報告する。
S.1.1. EIBのリスク管理組織
EIB の目的は、その資産、財務的業績、ひいては自己資本を可能な限り最大限に守るため、リスクを
分析・管理することにある。EIBは一般にEUの機関、機構および局によって発令または採択される商業
147/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
銀行に適用される法や指針(「EU法および指針」)の適用を受けないが、EIBはその任意の決定によ
り、EIBが公表しているベスト・バンキング・プラクティスの指針的原則を含むベスト・バンキング・
プ ラクティスの枠組みで特定されるEU法および指針を遵守することとしている。
EIB内では、EIBのグループ・リスク・コンプライアンス部門(「GR&C」)は、EIBがさらされている
信用リスク、市場リスク、流動性および資金調達リスク、オペレーショナル・リスクを独立した立場
から特定、評価、モニタリングおよび報告する。GR&Cは、職務分掌を維持するために、そして3つの
防衛線の原則に従って、フロント・オフィスから独立した組織となっており、リスクに関するすべて
の提案に対して、セカンド・オピニオンを提供する。
以下の項では、EIBが自己のリスク負担において実施する活動の中でさらされる信用リスク、市場リ
スク、流動性および資金調達リスク、オペレーショナル・リスクについて開示している。詳細につい
ては、EIBグループ・リスク管理開示報告書を参照のこと。
S.1.1.1. リスクの測定および報告システム
EIB は、変化する経済情勢や進化する規制当局の基準に合わせて、リスク管理システムを調整してい
る。市場慣行が発達するにつれ、EIBも継続的にそれらを適応させている。EIBの業務に内在する主な
リスク、すなわち、信用リスク、市場リスク、流動性および資金調達リスク、オペレーショナル・リ
スクを統制し、報告するため、管理システムを導入している。
リスクは、EIBの支払能力、流動性、利益および業務への影響を定量化することを目的として、通常
の環境下および起こり得るストレス状態下で、評価・測定される。リスク測定では、資本構成、利
益、流動性、市場に対するエクスポージャーおよびオペレーショナル・リスクの指標を組み合わせ
る。
信用リスク、ALMリスク、流動性リスク、財務リスクおよびオペレーショナル・リスクに関する詳細
な情報は、経営委員会および理事会に対して毎月報告される。かかる情報は、経営委員会および理事
会のリスク方針委員会に対して定期的に報告・説明される。
S.1.1.2. EIBのリスク選好
リスク選好とは、EIBがその公的使命と目的との関連において、業務の遂行の中で進んで負担し、か
つ負担できるリスクの水準である。EU加盟国(さらにはパートナーシップ参加国)全体に魅力的な条
件でEUの目的に適う長期資金を提供するEIBの能力が、リスク選好の鍵となる。EIBのビジネスモデル
の主たる柱は、主要格付機関による長期格付でAAA格を維持することである。EIBがリスク選好を管理
するために実施するプロセスおよび業務は、理事会によって承認されたEIBリスク選好の枠組み
(「RAF」)において正式に決定されている。
RAF は、主要な財務リスク(信用リスク、流動性リスク、市場リスク、財務リスクを含む)と非財務
リスク(オペレーショナル、情報、コミュニケーション、テクノロジー、行動、コンプライアンス、
および風評に関するリスクを含む)を対象としている。RAFには、測定可能なリスク選好指標の導入お
よびモニタリングを通じてEIBに健全なリスク文化を根付かせる作用があり、このリスク選好指標には
限度額が適用され、(場合により)EIBの下位組織へと落とし込まれる。EIBのRAFは、自己のリスク負
担およびリスク・シェアリング契約に基づく貸付業務、EIFに委託された業務、資金調達および財務活
動を対象としている。
EIBは公的金融機関として、リスクに対する投機的エクスポージャーにより収益を獲得することを目
指していない。その結果、それぞれに業績目標が定められていても、EIBは財務活動や資金調達・提供
活動を利益の最大化を図る中心的業務とみなしていない。投資活動は、投資資本の保護という主目的
の範囲内で行われる。よって、EIBの貸付業務や借入業務で生じるエクスポージャーに関しては、すべ
148/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
ての重要な市場リスクのヘッジを確保することが、EIBの財務リスク管理方針の主要原則とされてい
る。
EIB は、金利(IR)リスク(ギャップリスクおよびベーシスリスク)ならびにFXリスクを管理するた
めの枠組みを整備している。EIBはIRおよびFXのポジションを日次でモニターし、適用される限度内で
管理している。
オペレーショナル・リスクや財務リスクを招く新しい種類の取引はすべて、新商品委員会の承認を
受けた上で改めて経営委員会の承認を取得することが義務付けられており、その承認を受けた限度枠
の範囲内で管理されている。
S.1.1.3. 収益の持続可能性および自己資金力
EIBの金利リスク戦略は、EIBの全体的な財務リスク管理で不可欠な部分を占めている。この方針
は、利益の安定性、自己資本の経済価値の保持、EIBの長期成長資金の自力調達に関する、EIBの主要
利害関係者の期待を反映した内容になっている。
これらの目標を達成するため、金利リスク戦略では、一段の収益安定と全体的なリターンの拡大を
目指して、自己資本投資に中・長期物価スライド方式を採用している。この物価スライドの方針は、
中・長期利回りに対するエクスポージャーを意味しており、金利の趨勢に関する短期的な見方に左右
されることはない。
EIBの自己資本の目標投資期間を現在は4.5年から5.5年の間に設定することで、この方針は達成され
ている。
資産負債委員会(「ALCO」)は、EIBの金利リスク戦略、貸出金利設定原則およびEIBの活動から生
じる財務リスクを検討するために上級経営陣による会議を開催する。
S.1.2. EIFのリスク管理組織
EIFの使命は、欧州連合の中小企業(「SME」)に関する目標の範囲内でSMEの設立、成長および発展
のための資金調達を支援することである。グループの両事業体のプライベート・エクイティ
(「PE」)業務、ベンチャー・キャピタル事業ならびにポートフォリオ保証、証券化およびマイクロ
ファイナンス(「GSM」)業務の大半は、EIFが管理・運営している。
EIF も、変化する経済情勢に合わせて、リスク管理システムを調整している。EIFの業務に内在する
主なリスクを統制し、報告するため、信用リスク、市場リスク、オペレーショナル・リスクの管理シ
ステムを導入している。
リスク管理は、EIFの企業文化に組み込まれており、EIFのすべての事業機能およびプロセスに浸透
した、(i) フロント・オフィス、(ii) 独立した立場のリスク課および、(iii) 監査および保証の3つ
の防衛線モデルに基づいている。事務総局の長が委員長を務める投資およびリスク委員会(「IRC」)
は、CEOおよび副CEOにあらゆる取引に関して助言を行う。最高リスク責任者が議長を務めるポート
フォリオIRCの定例会議はまた、EIFポートフォリオのリスクおよび投資関連の面、特に取引格付変更
の承認、減損および引当についての措置、関連する市場リスク事象および潜在的なストレスのテスト
を監視する。リスクおよびポートフォリオ管理の措置は、EIFの監査役会が統括する保証プロセスの一
部を構成する。
さらに、EIBグループとの関連で見た場合、EIFのリスク管理部門は、特に、グループ・リスク管理
憲章、ならびに保証・証券化業務、EIBのリスク資本財源マンデート(「RCR」)に基づくPE業務、EIB
グループ・リスク補完マンデート(「EREM」)に基づくEIBの様々な機会、およびEIFの方針に関する
一般的な問題に関連するグループのリスク・エクスポージャーについて、EIBのグループ・リスク・コ
ンプライアンス部門と定期的に連絡を取りながら業務を運営している。
149/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
EIF の財務管理は、両当事者が署名し、取引の選定、執行、決済および監視の実行をEIBの担当サー
ビス部署に委託する財務管理契約に基づき、全面的にEIBに委託されている。この管理は、契約に付属
す る財務ガイドラインに従って行われるが、当該ガイドラインはEIB自身の財務ガイドラインの関連箇
所を密接に反映するものになっている。
S.1.2.1. リスク評価 プライベート・エクイティ
プライベート・エクイティ業務では、EIFは、ファンド・オブ・ファンズの手法を採っており、広範
囲の投資家からの出資契約を促すため、主として独立した立場のチームが運用するビジネス・エン
ジェル、ベンチャー・キャピタル、プライベート・エクイティ・ファンドおよびメザニン・ファンド
への少数持分参加を行っている。EIFのプライベート・エクイティ事業には、すべての投資ステージ
(シード、アーリーステージ、レイトステージ、グロース等)にわたるベンチャー・キャピタル・
ファンドへの投資のほか、一般的にリスク・プロファイルの低いミッドマーケット・ファンドやメザ
ニン・ファンドへの投資も含まれる。
EIFは、PE市場の動きに応じたPEファンド・ポートフォリオを設計し、運用し、モニタリングするた
めの一連のツールを、過去数年間かけて開発した。これらのツールはグループ内のモデルであるグ
レーディング・ベースト・エコノミック・モデル(「GEM」:格付に基づく経済モデル)に基づいてお
り、これを使用することにより、EIFは各ファンドおよび各ファンド・ポートフォリオの評価、リス
ク、予想される将来のキャッシュ・フローとパフォーマンスの査定ならびに妥当性検査を改善するこ
とができる。EIFでは、取引チームが実施しリスク管理チームが審査した広範囲にわたるデューデリ
ジェンスの結果に基づき、エクイティ・スコアを割り当ててから、PEファンドと出資契約を交わして
いる。これらのファンドは、EIFのトランザクション・チームによって、基礎となるリスクのレベルに
応じた頻度と強度でモニターされ、エクイティ・スコアは、EIFのリスク管理チームによって年次でレ
ビューされる。
独自のITシステムと(フロント・オフィスからバック・オフィスに至るまでの)統合ソフトウェア
の開発に下支えされたこうした取り組みによって、投資判断プロセスならびにポートフォリオの財務
リスクと流動性の管理も改善され、特に将来を見据えた、およびストレス・テストに基づいた意思決
定が可能となる。
150/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
S.1.2.2. リスク評価 保証
EIF は、中小企業向け融資に従事する金融仲介機関に対し、ポートフォリオ保証を提供し、中小企業
の証券化取引に参加している。このようなリスクをとることにより、EIFは資金調達を容易にし、およ
び/またはオリジネーターの資本コストを削減し、ひいては条件の改善やSMEの金融アクセスの強化を
もたらす。
保証・証券化業務に関しても、EIFは過去数年間をかけて内部手法およびモデルを開発した。これ
は、市場のベスト・プラクティスに従って、ポートフォリオ保証と仕組金融取引を分析するためのも
のである。EIFは、信用リスク管理方針およびモデル審査指針に準拠して、自らリスクを負担する新規
の保証取引それぞれに内部格付を割り当ててから、法律上正式に保証取引を行っている。この格付
は、定量パラメーターだけでなく定性面も考慮して、取引の信用の質(予想損失概念)を分析し集約
するグループ内のモデルに基づく。このプロセスではその全領域において、フロント・オフィスがア
クションを起こしリスク管理部門がレビューを行うという、「4つの目」の原則が適用されている。
保証取引は、定期的に(少なくとも四半期ごとに)モニターし、その状況は、EIFのIRCが定期的に見
直している。その際、委員会は、業績次第で、内部格付の見直しをもたらすことがある。この後者の
プロセスはリスク管理部門によって開始され、フロント・オフィスが見直しを行う。
保証ポートフォリオは、IFRS原則に基づき、「モデルに基づいた価格」手法によって評価される。
ポートフォリオにおける取引の評価に対する主な影響は、当該資産に使用されている一時点での累積
デフォルト率の仮定の変化に起因する。
EIF のモニタリングは、潜在的な格付の悪化または改善を監視し、適切な取引の管理の基礎を提供す
る。EIFのストレス・テスト方法、すなわちポートフォリオの格下げおよび債務不履行、ならびにそれ
に伴う資本配分、予想損失および損益計算書への影響に関するシナリオ分析は、取引の開始時および
ポートフォリオの期間全体にわたって適用され、EIBのグループ・ストレス・テスト・プロセスに組み
込まれている。
S.2. 信用リスク
S.2.1. 信用リスク管理方針
信用リスクは主にグループの貸付業務および負債証券、譲渡性預金、銀行間の定期預金等の財務商
品ならびにグループのデリバティブおよび保証取引に関するものが含まれている。
EIB における信用リスクは、詳細な行内指針に沿って管理されている。こうした指針の目的は、信用
リスクの慎重な管理が確実に行われるようにする点にある。ある事業体がEIBの貸付業務のカウンター
パーティーとして認められるか否かは、定量的および定性的指標を用いた当該事業体の注意深い分析
および評価に基づくだけでなく、経験および専門家の判断にも依拠して決定される。同指針は、貸付
業務の債務者、保証人双方について最低限の信用の質の水準を定めており、許容される取引構造も特
定している。また、EIBの地位が十分に保護されるように、主要な法的条項や他の契約条件の点で貸付
契約が満たしていなければならない最低基準も、細かく定めている。貸付金ポートフォリオの分散
は、カウンターパーティー別限度額の枠組みおよび主要産業の業種別限度額によって支えられてい
る。複雑な貸付取引または仕組貸付取引に含まれる追加的なリスクの十分な分析、計量および軽減が
確実になされるように、特定の種類の業務に関して具体的で詳細な指針が策定され、これが一般指針
を補完している。リスクの分析にあたっては、EIBは内部格付制度を適用し、カウンターパーティーに
内部格付を付与している。
151/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
EIF は、法に基づく規定、およびEIF理事会の承認を受けた信用リスク運用指針、またはマンデート
に基づき定められた指針を受けた、保守的な方針の枠組み内で、エクスポージャーとリスクを管理し
ている。
信用リスク管理指針は、進化している業務環境および適用されるベスト・バンキング・プリンシプ
ルの変更を盛り込み、グループが受領する新たなマンデートに対応できるよう、定期的に調整されて
いる。
S.2.2. 信用リスク・エクスポージャーおよび信用リスク引当金
S.2.2.1. 最大信用リスク・エクスポージャー(担保およびその他の信用補完を考慮しない場合)
下表は、デリバティブを含め、連結貸借対照表構成要素の最大信用リスク・エクスポージャーを示
したものである。最大エクスポージャーの値は、担保設定契約によってリスクを軽減した影響を考慮
する前の総額で表示している(注S.2.3.4)。
2021 年12月31日 2020 年12月31日
最大エクスポージャー (単位:百万ユーロ)
金融資産:
AC で測定される金融資産 536,283 534,619
強制的にFVTPLで測定される金融資産 26,336 19,546
リスク管理のために保有するデリバティブ資産 41,734 53,286
FVTPL での測定に指定された金融資産 18,099 18,267
598 515
FVOCI での測定に指定された金融資産
623,050 626,233
合計
オフ・バランスシート項目:
偶発債務および保証 30,901 21,982
契約債務
- 未実行貸付金額
122,977 114,063
- プライベート・エクイティ/ベンチャー・キャピタル事業への未実
行額 5,526 5,391
4,140 4,210
- その他
163,544 145,646
合計
786,594 771,879
信用リスク・エクスポージャー合計
152/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
S.2.2.2. 信用リスク引当金の要約
下表は、償却原価で測定される金融資産およびオフ・バランスシートのコミットメントに関する
IFRS第9号のECLモデルの下での信用リスク引当金の内訳を示している。
2021 年
信用減損のない 信用減損のある
12 ヵ月ECL 合計
全期間ECL 全期間ECL
償却原価で測定される金融資産
金融機関および対顧客貸付金および
預け金(D.2.) 17,149 125,994 220,342 363,485
短期国庫証券・負債証券ポートフォリオ
(B.2.) 374 5,416 0 5,790
売却目的保有資産 0 0 0 0
オフ・バランスシートのコミットメント
金融保証(D.4.) 29,675 203 9,451 39,329
償却原価で測定される貸付コミット
3,466 26,519 3,101 33,086
メント(D.2.)
50,664 158,132 232,894 441,690
貸倒引当金
2020 年
信用減損のない 信用減損のある
12 ヵ月ECL 合計
全期間ECL 全期間ECL
償却原価で測定される金融資産
金融機関および対顧客貸付金および
72,652 226,790 308,660 608,102
預け金(D.2.)
短期国庫証券・負債証券ポートフォリオ
1,808 11,468 0 13,276
(B.2.)
売却目的保有資産 0 0 20,417 20,417
オフ・バランスシートのコミットメント
金融保証(D.4.) 11,680 149 10,810 22,639
償却原価で測定される貸付コミット
9,655 37,518 3,101 50,274
メント(D.2.)
貸倒引当金 95,795 275,925 342,988 714,708
S.2.3. 貸付金の信用リスク
S.2.3.1. 金融機関および対顧客貸付金および預け金に関する信用リスクの測定
貸付業務に関しては、(予想損失法に基づく)内部貸付金格付システムが導入されている。同シス
テムは、貸付査定プロセスおよび信用リスク監視の重要な部分を占めており、それが適切な場合に
は、信用リスク価格決定の基準点でもある。
貸付金格付(「LG」)システムは、貸付業務の信用リスク評価と予想損失見積りの計量をサポート
する方法、プロセス、データベースおよびITシステムで構成されている。
153/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
このシステムは、貸付金の信用リスクを相対的にランク付けする目的で、大量の情報を要約してい
る。LGは、全期間「予想損失」の見積もられた水準の現在価値を反映し、これはデフォルト確率、リ
スク負担している貸付金エクスポージャーおよびデフォルト時損失率の積の正味現在価値である。LG
は次の目的で使用される。
- 貸付金のリスク評価をより精密かつより定量化するための支援ツールとして
- モニタリングの取組みに優先順位付けをするための信用リスク変動の指標として
- 特定の日付における貸付金ポートフォリオの質を示すツールとして
- 一般貸倒準備金および特別活動準備金の年間追加分を算出するベンチマークとして
- リスク・プライシングの決定におけるインプットとして
LG の決定に当たっては、次の要素が使用される。
i) 債務者の信用度:GR&Cが独自で債務者を審査し、グループ内の方法と外部データに基づきそ
の信用度を評価する。選択したバーゼルIIIの内部格付に基づく手法に従い、EIBは債務者と
保証人の内部格付を決定する内部格付方法(「IRM」)を開発した。これは、定義されたカウ
ンターパーティーの種類に応じた一連のスコア・シートに基づくものである。
ii) デフォルトの相関性:債務者と保証人の双方が、同時に資金繰りが苦しくなる可能性を計量
する。債務者と保証人のデフォルトの相関性が高いほど、保証の価値が減ずるため、LGも低
くなる(悪化する)。
iii) 保証手段および有価証券の価値:これらの価値は、発行体の信用度と保証手段の種類とを考
え合わせて評価される。
iv) 適用される回収率:関連する取引相手ごとのデフォルト後の回収見込み額を、関連する貸付
金エクスポージャーに対する割合で表す。
v) 契約の枠組み:貸付金の質が高い上に、契約の枠組みが盤石であるならば、LGも高くなる。
vi) 貸付期間または、より一般的には、貸付金のキャッシュ・フロー:他の要素がすべて等しい
ならば、貸付期間が長いほど、貸付金の返済で問題が生じるリスクが高くなる。
貸付金の予想損失は上述した6要素を組み合わせて計算され、改訂公正価値オプションの適格基準
に合致する貸付金で、当初損益を通じた公正価値評価に指定されたものの公正価値を算定する。この
予想損失の水準に応じて、貸付金は下に記載されたLG種類のいずれかに割り当てられる。
「A0」はEU加盟国への貸付金またはEU加盟国による保証が付加されている貸付金で構成され、予想
損失率は0%である(満期時にEIBの資産の全額の回収を保証しているとみなされるEIBの優先債
権者ステータスおよび法定の保護に基づく)。
「A」は、貸付期間にわたり信用度が悪化しない、または悪化は限定的と予想されるEU加盟国を除く
事業体に供与される貸付金(またはかかる事業体による保証が付加されている貸付金)で構成さ
れる。
「B」高い質の貸付金:将来若干悪化する可能性は排除できないものの、EIBが不安はないと判断し
た資産クラスを示す。「B+」および「B-」はそのような悪化が生じる可能性の大小を示すのに用
いられる。
「C」良好な質の貸付金:一例が、手堅い銀行や企業への無担保貸付金であって、満期の期間が合理
的であり、十分な保護条項が定められているものである。
「D」容認可能な信用力の貸付金(D+として指定)と、これよりも劣るリスク特性を伴う貸付金(D-
として指定)との間の境界。LGがD-以下の貸付は特別活動(後述のセクションを参照)に分類さ
154/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
れ、具体的な規模の制限、準備金の割当ておよびリスク値付け規則を含む固有の規則の適用を受
ける。
「E」は、高リスク特別活動貸付として明示的に承認された貸付金、または信用度が大幅に悪化し
て、これよりも高い貸付金格付カテゴリーと比べ、損失が発生しない可能性が低い貸付金で構成
される。下位区分である「E+」と「E-」は、貸付金のリスク特性をさらに識別するものであり、
E-格の貸付業務は、期日どおりの債務返済を維持することができないために何らかの形での債務
再構築を要する可能性があり、減損損失が生じるおそれのあるものである。
「F」(失格)は、許容範囲以上のリスクを伴う貸付金を示す。「F」格の貸付金が発生するのは、
完済されていない貸付取引が契約後に不測の異例で劇的な悪状況に見舞われた場合に限られる。
「F」格のエクスポージャーには、固有の引当金が設定されている。
一般的に、内部格付が「D-」格以下の貸付金は、内部貸付金格付に基づく要注意リストに掲載され
る。しかしながら、貸付金が当初「D-」格以下のリスク特性で承認されていた場合、当該貸付金は、
重大な信用事象により承認時のものを下回るLG区分への悪化がもたらされた場合にのみ、要注意リス
トに入れられる。
グループによるIFRS第9号のステージ評価は、カウンターパーティーまたは商品に固有の情報を用
いた段階的アプローチに基づいており、これは特に貸付金格付に基づく要注意先リスト、内部格付お
よび延滞をカバーする信用リスク・ガイドライン(「CRG」)ならびに財務モニタリング・ガイドライ
ンおよび手続き(「FMG」)に記載された方針と整合している。
各貸付金の案件ごとの分析に加えて、EIBはEIBの経済資本の枠組みを用いて信用エクスポージャー
をポートフォリオ・レベルで閲覧できる機能を開発した。ここでは、様々な債務者が共通のリスク・
パラメーターに依存していることによって生じる集中と相関の影響が統合して表示される。ポート
フォリオの信用リスクの側面を付け加え、不測の損失(すなわち、一定の信頼レベルまでの範囲で予
想される損失を超えて発生する可能性のある損失)に焦点を当てることにより、LGの取引ごとのアプ
ローチを補完することができ、その結果、EIBの貸付残高の中の信用リスクをさらに厳密かつ総合的に
査定することが可能になる。
いずれの時点においても、EIBが供与する貸付金および保証の残高総額は、定款で定められたギアリ
ング比率(定款第16.5条)で制限されている。この比率を算出するために、EIBは欧州連合会計指令
(「AD」)の枠組みによるデータを使用している。2021年度末時点で、EIBの定款で定められたギアリ
ング比率は、EU会計指令準拠の個別財務書類に基づくと202.7%(2020年:203.0%)、EU会計指令準
拠の連結財務書類に基づくと206.6%(2020年:205.8%)であった(定款第16.5条に基づく上限は
250%)。
155/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
S.2.3.2. 外部貸付マンデートまたはコトヌー協定に基づく欧州連合または加盟国による保証で担保
されている貸付金
ELM またはコトヌー協定の下でプロジェクトのために締結された貸付金は、欧州連合予算または加盟
国(ACP諸国とOCTにおける貸付金の場合)の保証によって担保されている。こうした保証は、包括型
(すべてのリスクが対象)か、または定義された政治リスク(送金の停止、収用、戦争または市民暴
動、契約違反時の裁判拒否)に限定されているかのいずれかである。
欧州連合および加盟国は、保証条件に従い、各ポートフォリオに組み入れられている一連の契約済
(3)
貸付業務の最大65%、70%、75%および100%まで信用補完を提供している。グループは、個別貸
付金それぞれに伴う信用リスクが完全に保証されていると考えており、そのためこれらを注S.2.3(貸
(4)
付業務に係る信用リスク)の値に算入していない 。
(3) 2007年8月1日および29日に欧州委員会との間で締結した保証契約の下で、2007年4月17日以降に締
結された欧州連合保証の貸付は、「融資実行総額」の最大65%を対象とするものとされる。信用補完
は、ファースト・ロス補償の形態で提供される。かかる保証によってカバーされる貸付金ポートフォ
リオに関連してグループが負担する残余リスクは、EIBの内部信用リスク指針および手続に従って管
理される。
(4) 信用リスクが全額カバーされているとみなされる欧州連合または加盟国の保証に基づき契約されたエ
クスポージャーは、49,521百万ユーロ(2020年:48,755百万ユーロ)であった。
欧州連合または加盟国の保証により担保されている実行済貸付金の帳簿価額は2021年12月31日現在
31,428百万ユーロ(2020年:30,633百万ユーロ)、2021年12月31日現在の未実行分は20,753百万ユー
ロ(2020年:21,536百万ユーロ)である。これらの値には、欧州連合加盟前に供与され、欧州連合ま
たは加盟国による保証が付されている欧州連合の現加盟国への貸付金も算入されている。
S.2.3.3. 貸付金による信用リスク・エクスポージャーの分析
下表は、グループがリスクを負担するすべてのエクスポージャーについて、契約済・実行済貸付金
(金融機関貸付金および預け金の要求払とその他の貸付金および預け金は除く)の最大信用リスク・
エクスポージャーと、一部の契約済であるものの未実行分の内訳を示したものである。よって、欧州
連合予算または加盟国により担保されているELMおよびコトヌー協定に基づく欧州連合予算域外の貸付
金は、算入されていない(注S.2.3.2参照)。
保証人
2021 年 実行済 契約済
(1)
無保証
( 単位:百万ユーロ) 合計 未実行分
企業 銀行 公共機関 国
企業 32,798 8,087 4,433 8,107 90,803 144,228 28,453
銀行 11,561 12,741 17,000 26,235 20,469 88,006 29,801
債務者
公共機関 224 198 20,050 33,167 71,967 125,606 27,800
0 0 0 0 47,301 47,301 16,466
国
(2)(3)(4)(5)
44,583 21,026 41,483 67,509 230,540 405,141
実行済合計
(2)(3)(4)
契約済未実行分
7,049 3,125 10,352 14,532 67,462 102,520
(5)
156/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
保証人
2020 年 実行済 契約済
(1)
無保証
( 単位:百万ユーロ) 合計 未実行分
企業 銀行 公共機関 国
企業 33,209 9,892 4,476 10,153 89,356 147,086 23,108
銀行 15,104 16,852 17,049 27,947 23,785 100,737 29,384
債務者
公共機関 180 187 20,835 31,392 73,165 125,759 27,004
0 0 0 0 49,651 49,651 13,449
国
(2)(3)(4)(5)
48,493 26,931 42,360 69,492 235,957 423,233
実行済合計
(2)(3)(4)
契約済未実行分
7,066 2,689 8,910 14,588 59,692 92,945
(5)
(1) これらの金額には、債務者の支払能力自体が妥当な担保となっているため、債務者および貸付金自体以外の正式な
保証が不要な貸付金も含まれている。所定の事由が発生した場合には、適切な契約条項により、グループが独立し
た担保を請求できる権利が確保されている。
(2) 2021年12月31日現在のリスク・シェアリング業務(加盟国または政治リスク保証の形でのEU予算により信用補完さ
れている)における貸付金は、2,660百万ユーロ(2020年:3,414百万ユーロ)であった。
(3) これらの金額には、代替貸付金(2021年:17,970百万ユーロ、2020年:20,173百万ユーロ)は算入されていない。
(4) これらの金額は、欧州連合への加盟前に供与され、欧州連合予算または加盟国の保証が付されている欧州連合の現
加盟国への貸付金を除いている。
(5) グループは、EFSI SMEウィンドウ契約および欧州保証基金に関連して、コミットメント総額が9,187百万ユーロ
(2020年:3,300百万ユーロ)を超えない資金供与枠を締結した。グループは、確定的なコミットメントがそれぞれ
の基礎的なリスクを伴うカウンターパーティーとの間で締結され、資金供与枠の引出が予期される場合に、未実行
エクスポージャーを認識する。
(5)
貸付業務に関しては、2021年12月末現在の 銀行セクターに対するグループの直接的エクスポー
ジャーは計117,807百万ユーロ(2020年:130,121百万ユーロ)であり、2021年12月31日現在の実行済
貸付金および未実行貸付金の合計507,661百万ユーロ(2020年:516,178百万ユーロ)の23.2%(2020
年:25.2%)に相当する。
(5) 契約済未実行金額を含む。
2021年12月末現在の企業への無担保貸付金は113,362百万ユーロである(2020年:107,657百万ユー
ロ)。法人顧客に対する無担保エクスポージャーは相対的な限度枠で統制されており、一般的には個
別エクスポージャーの上限はグループの自己資本の5%相当とされている。
EIB は、その貸付金エクスポージャーに対して提供される担保や保証に加え、リスク・シェアリン
グ・マンデートを対象に金融保証の形で欧州連合により提供される追加的な信用補完も享受してい
る。
157/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
S.2.3.3.1. 貸付金の信用の質
(6)
内部格付が「A」から「D+」の貸付金 は、2021年12月31日現在の貸付金ポートフォリオの97.7%
を占めた。この比率は、2020年12月31日現在では97.8%であった。内部格付が「D-」以下の貸付金
(特別活動準備金の割当対象となるもの)の割合は、貸付金ポートフォリオのうちの2.3%(2020年:
2.2%)で、金額では118億ユーロ(2020年:112億ユーロ)であった。
(6) 貸付金格付には、外部保証人によってポートフォリオ・ベースで提供された信用補完が反映されてい
る。
当年度中、貸付金ポートフォリオの信用の質は僅かに悪化し、高度のモニタリングの対象となる内
部貸付金格付に基づく要注意リストの貸付金(契約時にD+以上であったもののD-以下に格付されたす
べての貸付金、および契約時にD-以下であったものの重大な信用事象が判明しLGが引き下げられた他
のすべての貸付金)は6,738百万ユーロとなった(2020年:7,448百万ユーロ)。
全般的に不透明な状況にもかかわらず、グループの貸付金ポートフォリオの信用の質は現在も高
い。EIBは厳格なデューデリジェンス・プロセス、十分な水準の担保および保証に基づくリスク管理戦
略や貸付金契約に含まれる標準的な保護条項に依拠している。
信用リスクを軽減するため、グループは次の手段等を用いている。
- 許容範囲内の信用の質に対する第三者による保証
- 金融担保
- 抵当、収益請求権等
債務者の種類別の信用の質の分析
下表は、契約済貸付金(実行済および未実行の貸付金)のエクスポージャーに基づき、2021年12月
31日および2020年12月31日現在のグループの貸付金ポートフォリオの信用の質的分析を貸付金格付別
に分析したものである。
最低限
エクイティの
標準的
2021 年
種類に基づく
ソブリン 高格付 許容可能な 高リスク
格付
合計 ECL
リスク
リスク
( 単位:百万ユーロ)
A0 A からB- C D+ D- 以下
実行済
ステージ1
貸付金 94,786 216,236 23,932 8,998 3,520 該当なし 347,472 17
ステージ2 9,185 16,715 3,144 3,579 3,340 該当なし 35,963 126
ステージ3 116 906 0 0 879 該当なし 1,901 220
1,593 11,471 1,721 1,259 1,003 2,758 19,805 該当なし
FVTPL 指定
2021 年の合計 105,680 245,328 28,797 13,836 8,742 2,758 405,141 363
158/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
最低限
エクイティの
標準的
2021 年
種類に基づく
ソブリン 高格付 許容可能な 高リスク
格付
合計 ECL
リスク
リスク
( 単位:百万ユーロ)
A0 A からB- C D+ D- 以下
未実行 ステージ1
27,059 42,320 16,507 9,014 2,154 該当なし 97,054 3
金額 ステージ2
110 1,558 470 404 852 該当なし 3,394 27
ステージ3
35 174 0 0 62 該当なし 271 3
FVTPL 指定
0 127 95 0 0 1,579 1,801 該当なし
2021 年の合計 27,204 44,179 17,072 9,418 3,068 1,579 102,520 33
最低限
エクイティの
標準的
2020 年
種類に基づく
ソブリン 高格付 許容可能な 高リスク
格付
合計 ECL
リスク
リスク
( 単位:百万ユーロ)
A0 A からB- C D+ D- 以下
実行済
ステージ1
貸付金 97,002 222,865 27,550 10,931 2,723 該当なし 361,071 73
ステージ2 10,241 19,619 3,403 3,902 3,710 該当なし 40,875 227
ステージ3 39 617 302 9 1,252 該当なし 2,219 308
1,818 10,829 2,374 1,146 1,124 1,777 19,068 該当なし
FVTPL 指定
2020 年の合計 109,100 253,930 33,629 15,988 8,809 1,777 423,233 608
最低限
エクイティの
標準的
2020 年
種類に基づく
ソブリン 高格付 許容可能な 高リスク
格付
合計 ECL
リスク
リスク
( 単位:百万ユーロ)
A0 A からB- C D+ D- 以下
未実行 ステージ1
25,290 39,638 13,250 8,305 1,491 該当なし 87,974 10
金額 ステージ2
76 1,266 300 53 792 該当なし 2,487 37
ステージ3
0 0 0 0 67 該当なし 67 3
FVTPL 指定
0 139 89 0 0 2,189 2,417 該当なし
2020 年の合計 25,366 41,043 13,639 8,358 2,350 2,189 92,945 50
159/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
各内部リスク格付の信用リスク・エクスポージャー
グループはバーゼル規制の基準に従った内部格付手法に沿った内部格付法を使用している。グルー
プの大部分のカウンターパーティーには、この方法により内部格付が割り当てられている。下表は、
グループの貸付金ポートフォリオの内訳を、債務者と保証人のいずれか内部格付の高い方の格付別に
示したものである。内部格付が決まっていない場合は、ここでの分析に外部の格付を用いた。
下表は、限度枠管理に用いているグループ内の方法に基づき、契約済貸付金(実行済および未実行
の貸付金)の両方のエクスポージャーを示したものである。
( 単位:百万ユーロ) 2021 年
信用減損の 信用減損の
12 ヵ月ECL ない全期間 ある全期間 FVTPL 合計
ECL ECL
償却原価で測定される金融機関および
対顧客貸付金および預け金
内部格付 1-最小信用リスク 5,567 270 70 0 5,907
内部格付 2-非常に低い信用リスク 53,484 1,459 78 2,172 57,193
内部格付 3-低信用リスク 124,570 5,626 16 1,537 131,749
内部格付 4-中程度の信用リスク 130,427 5,642 181 9,864 146,114
内部格付 5-財務的に脆弱な貸付先 31,027 17,300 0 2,004 50,331
内部格付 6-高信用リスク 2,381 5,314 1 1,331 9,027
内部格付 7-非常に高い信用リスク 16 352 0 0 368
内部格付 8-デフォルト状態の貸付先 0 0 1,555 139 1,694
FVTPL で測定される金融機関および
該当なし 該当なし 該当なし 2,758 2,758
対顧客貸付金および預け金
347,472 35,963 1,901 19,805 405,141
帳簿価額
-17 -126 -220 該当なし -363
貸倒引当金
貸付コミットメント
内部格付 1-最小信用リスク 2,783 0 0 0 2,783
内部格付 2-非常に低い信用リスク 14,920 60 0 0 14,980
内部格付 3-低信用リスク 27,664 425 0 0 28,089
内部格付 4-中程度の信用リスク 37,803 561 95 95 38,554
内部格付 5-財務的に脆弱な貸付先 11,117 1,822 0 127 13,066
内部格付 6-高信用リスク 2,767 93 0 0 2,860
内部格付 7-非常に高い信用リスク 0 433 0 0 433
内部格付 8-デフォルト状態の貸付先 0 0 176 0 176
該当なし 該当なし 該当なし 1,579 1,579
FVTPL
97,054 3,394 271 1,801 102,520
帳簿価額
-3 -27 -3 該当なし -33
貸倒引当金
160/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
( 単位:百万ユーロ) 2020 年
信用減損の 信用減損の
12 ヵ月ECL ない全期間 ある全期間 FVTPL 合計
ECL ECL
償却原価で測定される金融機関および対顧客貸
付金および預け金
内部格付 1-最小信用リスク 4,339 290 81 0 4,710
内部格付 2-非常に低い信用リスク 59,039 1,554 56 2,122 62,771
内部格付 3-低信用リスク 129,363 5,830 250 4,253 139,696
内部格付 4-中程度の信用リスク 135,167 6,573 58 6,985 148,783
内部格付 5-財務的に脆弱な貸付先 30,784 19,590 0 2,456 52,830
内部格付 6-高信用リスク 2,357 6,699 37 1,322 10,415
内部格付 7-非常に高い信用リスク 22 339 39 0 400
内部格付 8-デフォルト状態の貸付先 0 0 1,698 153 1,851
FVTPL で測定される金融機関および対顧客貸付金
該当なし 該当なし 該当なし 1,777 1,777
および預け金
361,071 40,875 2,219 19,068 423,233
帳簿価額
-73 -227 -308 該当なし -608
貸倒引当金
貸付コミットメント
内部格付 1-最小信用リスク 1,077 0 0 0 1,077
内部格付 2-非常に低い信用リスク 15,479 0 0 0 15,479
内部格付 3-低信用リスク 25,170 351 0 0 25,521
内部格付 4-中程度の信用リスク 32,636 640 0 89 33,365
内部格付 5-財務的に脆弱な貸付先 11,806 1,323 0 139 13,268
内部格付 6-高信用リスク 1,608 164 0 0 1,772
内部格付 7-非常に高い信用リスク 198 9 0 0 207
内部格付 8-デフォルト状態の貸付先 0 0 67 0 67
該当なし 該当なし 該当なし 2,189 2,189
FVTPL
87,974 2,487 67 2,417 92,945
帳簿価額
-10 -37 -3 該当なし -50
貸倒引当金
グループは債務者と保証人、特に銀行に影響を及ぼす事象を継続的に監視している。中でもグルー
プは、格下げされた場合の契約上の権利を個別に評価し、影響軽減策を模索している。また貸付金に
供与されている銀行保証の更新状況も綿密に追跡調査し、必要な場合には適時に保証が差し替えられ
ていること、あるいは措置が講じられていることを確認している。
EIBおよびEIFの優先債権者の地位およびEIB定款による保護は、満期時におけるグループ資産の全額
回収を保証すると思われるため、グループは期末現在、欧州連合加盟国ソブリン債および欧州連合加
盟国ソブリン保証債のエクスポージャーに関して、減損を計上しなかった。
下表は、グループが全額の自己リスクまたは信用補完による残余リスクを負担する貸付金(「リス
ク・ポートフォリオ」)に係るソブリン信用リスクに関する情報を開示している(欧州連合予算また
はELMおよびコトヌー協定に基づくMS保証の恩恵を受ける欧州連合域外への貸付金を除く)。
2021 年 2020 年
( 単位:百万ユーロ)
161/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
保証人と 保証人と
債務者となっているもの 債務者となっているもの
なっている なっている
もの もの
国名 実行済金額 未実行金額 契約済金額 実行済金額 未実行金額 契約済金額
オーストリア 0 0 146 0 0 33
ベルギー 0 0 191 0 0 68
ブルガリア 1,175 0 115 1,241 0 110
クロアチア 657 210 2,713 694 210 3,174
キプロス 905 359 1,348 899 222 1,466
チェコ共和国 1,065 784 0 1,257 743 0
デンマーク 0 0 270 0 0 240
エストニア 452 120 91 525 0 99
フィンランド 0 0 92 6 0 59
フランス 0 0 3,489 0 0 3,049
ドイツ 0 0 1,668 0 0 1,394
ギリシャ 8,821 1,192 9,278 9,344 695 9,648
ハンガリー 6,038 1,143 1,096 6,265 985 1,133
アイルランド 1,680 0 1,179 1,478 225 1,138
イタリア 4,934 2,160 6,497 4,045 1,720 6,715
ラトビア 374 400 12 395 400 21
リトアニア 2,102 0 54 2,216 0 51
ルクセンブルク 151 0 240 302 0 245
マルタ 0 72 311 0 72 333
オランダ 0 0 205 0 0 74
ポーランド 6,357 1,472 18,199 7,373 1,380 18,458
ポルトガル 1,253 600 3,955 1,319 400 4,561
ルーマニア 1,885 2,052 0 1,944 1,647 0
スロバキア 2,671 541 88 2,675 641 50
スロベニア 568 400 1,428 613 400 1,750
スペイン 4,399 0 24,030 5,421 0 24,435
スウェーデン 0 0 136 0 0 52
1,814 4,961 5,210 1,639 3,709 5,724
非EU加盟国
47,301 16,466 82,041 49,651 13,449 84,080
合計
さらに注S.2.3.2に記載したとおり、ELMおよびコトヌー協定に基づく欧州連合域外への貸付金は、
最終的には、欧州連合や加盟国(アフリカ、カリブ海および太平洋諸国ならびに海外の属国および属
領への貸付金の場合)の保証により担保されている。このカテゴリーに該当する貸付金の2021年12月
(7)
31日現在の契約済エクスポージャーは、計52,181百万ユーロ(2020年:52,169百万ユーロ )であ
る。この52,181百万ユーロのうち、48,229百万ユーロ(2020年:47,965百万ユーロ)は欧州連合の保
証が付され、3,952百万ユーロ(2020年:4,204百万ユーロ)は加盟国により保証が付されている。
(7) このうち2,660百万ユーロ(2020年:3,414百万ユーロ)は、リスク・シェアリング業務(加盟国保証
または政治リスク保証の形でのEU予算により信用補完されている)による。
162/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
S.2.3.3.2. 貸付金の最大信用リスク・エクスポージャーにおけるリスク集中度
グループの貸付金ポートフォリオは、次の地域別に分析することができる(債務者の所在国に基づ
く)。
2021 年 2020 年
( 単位:百万ユーロ)
契約済貸付金の 契約済貸付金の
エクスポージャー エクスポージャー
(1)
491,558 499,909
EU
そのうち
- ドイツ
42,771 44,174
- スペイン
70,286 77,108
- イタリア
60,016 62,289
- フランス
63,316 61,158
- 英国
39,450 41,324
(2)
4,129 5,109
拡大国
11,974 11,160
パートナーシップ参加国(3)
合計 507,661 516,178
(1) EIB定款第16条(旧第18条)に従い総務会の承認を受けた欧州連合域外の貸付金、ならびにEFTA諸国および英国の貸
付金を含む。
(2) 2021年末時点の拡大国は、アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ、北マケドニア、モンテネグロ、セル
ビア、トルコである。
(3) パートナーシップ参加国の貸付金は、地中海パートナーシップ・ファシリティ、加盟候補国向ファシリティ、リス
ク・シェアリングでの貸付金を含む。
リスク管理の重大な要素は、十分な信用エクスポージャー分散を徹底することであり、これは、単
一の債務者、債務者グループまたは業界に貸し付けることができる上限額によって支えられている。
(債務者の業種に基づく)グループの貸付金ポートフォリオの業種別分析は、次のとおりである。
163/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021 年 2020 年
( 単位:百万ユーロ)
契約済貸付金の 契約済貸付金の
エクスポージャー エクスポージャー
(1)
311,969 320,698
サービス
運輸 70,514 71,941
エネルギー 51,038 49,519
工業 29,917 28,461
上下水道施設 17,207 17,618
医療・教育 12,916 13,069
電気通信 9,345 9,542
その他インフラ 4,405 4,964
350 366
農業・漁業・林業
合計 507,661 516,178
(1) 「サービス」には、銀行セクターの信用エクスポージャーも算入されている。2021年末現在、銀行セクターの貸付
先に対する直接的なエクスポージャーは、計117,807百万ユーロ(2020年末:130,121百万ユーロ)であった。貸付
先の銀行に対するエクスポージャーには、経営委員会の承認を受けた限度枠が設けられている。特定の場合には、
限度枠を一時的に停止、制限、あるいは取消した。グループは公表されるニュース、特に外部格付の変更を日々追
跡調査している。
下表は、グループが追跡調査している集中度指標の2021年12月31日および2020年12月31日現在の値
を示したものである。
2020 年
2021 年
(1)
額面ベースのグループ・エクスポージャー上位
(4)
12月31日
12月31日
額面ベースのエクスポージャー
(グループの貸付金ポートフォリオに対する割合)
上位3件 3.8% 4.2%
上位5件 5.9% 6.4%
上位10件 10.3% 10.9%
(2)
エクスポージャー件数
(グループの自己資本に対する割合)
- 10 %超
0 3
- 15 %超
0 0
- 20 %超
0 0
グループの自己資本の5%を超えるSSSRの
3 2
(3)
エクスポージャー件数
(1) このエクスポージャーの定義は、ソブリンおよび準ソブリンを除く債務者/保証人に適用され、全額が明示的なソ
ブリン保証の対象である貸付金を除外する。
(2) 財務業務の市場エクスポージャー純額も含む。
(3) 契約書の署名数に関係なく、グループが独立した第三者または他の形の自律的担保に対する実質的な請求権を持っ
ていない場合の貸付業務を示すため、「シングル・シグネチャー」かつ「シングル・リスク」(端的には「無担
保」あるいは「SSSR」)の貸付金という表現が用いられる。
164/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
S.2.3.3.3. 貸付金に係る延滞
延滞額の特定、監視、報告は、全行的な「財務的監視ガイドラインおよび手続き」に定義される手
続きに従って行われている。こうした手続きは、銀行業務のベストプラクティスに沿っており、EIBが
管理するすべての貸付金について適用される。
1a. 欧州連合または加盟国によるグローバル/包括保証により担保されていない貸付金の延滞:
2021年12月31日現在、自己資金源からの貸付金で90日を超える延滞が生じ、欧州連合または加盟国
の包括保証により担保されていないものは、116.3百万ユーロ(2020年:117.1百万ユーロ)である。
2021年12月31日現在のこれらの延滞が生じている貸付金に関連する元本金額は、531.3百万ユーロ
(2020年:187.8百万ユーロ)である。
1b. 欧州連合または加盟国によるグローバル/包括保証により担保されていない貸付金の延滞につ
いての保証請求:
2021 年には、欧州連合の政治リスク保証に基づく24.1百万ユーロの履行請求があり(2020年:ゼ
ロ)、年間を通じて、以前からの履行請求金額のうち0.1百万ユーロが弁済された(2020年:ゼロ)。
さらに、2021年中、請求払民間保証に基づく357.5百万ユーロの履行請求があった(2020年:ゼ
ロ)。
2a. 欧州連合または加盟国によるグローバル/包括保証(請求可能)により担保されている貸付金
の延滞:
このような貸付金については、期限が経過した場合に、可能であればまず第一次保証に基づき履行
を請求、それ以外の場合は加盟国または欧州連合による保証に基づき正式に履行を請求する。
2021年12月31日現在、こうした90日超の延滞が生じている額は2.4百万ユーロ(2020年:4.0百万
ユーロ)であった。
2b. 欧州連合または加盟国によるグローバル/包括保証により担保されている貸付金の延滞につい
ての保証請求:
2021年中、欧州連合による保証の履行の請求が68.4百万ユーロあり、加盟国保証に基づく履行請求
はなかった。2020年における応当額は、それぞれ52.4百万ユーロおよびゼロであった。
2021 年中、以前に欧州連合または加盟国による保証に基づく履行請求金額のうち、0.4百万ユーロ
(2020年:ゼロ)が弁済された。
(8)
2021 年12月31日現在、欧州連合または加盟国から受けている信用補完 の額面金額合計は、
28,578.8百万ユーロ(2020年:28,261.4百万ユーロ)である。
(8) 最終的に欧州連合予算や加盟国の保証により担保されている欧州連合域外への貸付金を除く。
165/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
貸付金の再交渉と支払猶予
グループは、支払猶予措置がとられた貸付金を、支払猶予貸付金(すなわち、貸付金、負債証券お
よびローン・コミットメント)とみなしている。支払猶予措置はグループの「譲歩」によるもので、
財務困難により契約上の債務返済条項を遵守できないとみなされる債務者に対して、債務返済または
契約の全部もしくは一部の借換えができるようにするために、グループが決定するものである。エク
スポージャーは、延滞の有無、または当該エクスポージャーが債務不履行に分類されているか否かに
関わらず、譲歩が行われた場合には支払猶予として取り扱う。債務者が財務困難に陥っていない場合
には、当該エクスポージャーは支払猶予として取り扱わない。
通常の事業の過程においては、再交渉の前に問題が生じている貸付金の貸付金格付(LG)は低下
し、厳重に監視されており、当該貸付金は減損の「3ステージ」モデルでステージ1からステージ2
に変更される。再交渉後に、EIBは、当該貸付金を厳格に監視し続け、当該金融資産は信用減損がある
とされ、ステージ3に変更される。
グループはまた、特定の状況下にある債務者が利用できる多くの支援措置を提供しており、これに
は (i) 財務制限条項およびその他の重要条項の暫定的な条件緩和(権利放棄を含む)、(ii) 新たな
返済スケジュールの設定または返済義務の一時凍結によるキャッシュ・フローの再構築、ならびに
(iii) 新規契約の締結、ローンの実行前倒しおよび債務者貸付の増額など、その他の一定の補完的支
援策が含まれる。グループは、具体的状況における制約の下で、かかる措置の申請を案件ごとに評価
している。こうした措置は、構造的な財政の困難またはソルベンシー上の問題に陥っているわけでは
なく、かかる措置の供与の時点で、ゴーイング・コンサーンとみなされる債務者に提供されることを
意図している。評価の結果として、債務者がこれらの要件を満たさない場合、またはグループが債務
者のビジネスモデルの長期的持続可能性についてリスクを特定した場合に、グループは他の適切な措
置を検討し、必要な場合には、グループの標準的な条件変更のプロセスに従う。
こうしたEIBの支援措置は、COVID-19の具体的な経済効果への対応の一環としては、2021年6月以降
利用できなくなっている。
グループが報告期間中に着手した支払猶予措置および手続きには、返済期限の延期、元本返済のみ
の繰延、元利返済の繰延、重大な財務制限条項の破棄および延滞金の元本算入が含まれるが、これら
に限定されるわけではない。
166/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
支払猶予措置の対象である貸付金は、下表のとおりである。
2021 年12月31日 2020 年12月31日
( 単位:百万ユーロ)
正常債権 不良債権 正常債権 不良債権
支払猶予措置の対象となった契約件数
88 74 81 64
帳簿価額(金利および延滞金額を含む) 4,979 2,341 5,025 2,332
認識されたECL引当金 7 150 17 242
支払猶予された契約に係る受取利息 121 73 139 59
認識中止されたエクスポージャー
0 34 0 28
(償却/貸付金売却後)
支払猶予措置
元本
重大な
契約上の
2020 年 2021 年
返済期限の および
元本のみ 財務制限
返済および
( 単位:百万ユーロ)
その他
12月31日 の繰延 条項の 12月31日
延期 利息の
(1)
契約終了
破棄
繰延
公共機関 3,024 0 0 0 94 139 -179 3,078
銀行 76 0 0 0 124 108 -35 273
4,256 81 54 23 448 39 -931 3,970
企業
合計 7,356 81 54 23 666 286 -1,145 7,321
(1) 減少は、(i)元本、利息および延滞金額の返済、(ii)2020年12月31日現在で支払猶予貸付金とみなされていた取引に
関して当年度中に発生した償却、ならびに(iii)当期中の契約終了による。
支払猶予措置
元本
重大な
契約上の
2019 年 2020 年
および
返済期限の 元本のみ 財務制限
( 単位:百万ユーロ)
その他
返済および
12月31日 延期 の繰延 条項の 12月31日
利息の
契約終了
破棄
繰延
公共機関 791 0 0 11 142 -87 857
銀行 135 0 0 179 6 -20 300
2,128 10 37 571 115 -302 2,559
企業
合計 3,054 10 37 761 263 -409 3,716
167/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
S.2.3.4. 貸付金に付する担保
グループは、その貸付金エクスポージャーに関して受領した保証(注S.2.3.3に記載)に加え、金融
有価証券質権も使用する。これらの質権は、関連する法域で執行可能な質権設定契約によって設定さ
れる。質権設定契約により受け取った担保のポートフォリオは、2021年末現在11,504百万ユーロ
(2020年:16,193百万ユーロ)である。
グループが売却するまたは再担保とすることが認められている質権設定契約に基づき、グループが
受け取った担保のポートフォリオの公正価値は、4,352百万ユーロ(2020年:5,149百万ユーロ)であ
る。2021年中に、2,025百万ユーロが第三者に売却された、または再担保として差し入れられた。
実行済貸付金に対する保管担保の公正価値は、次のとおりである。
2021 年
保管担保
エクスポー エクスポー
( 単位:百万ユーロ) ECL
ジャー総額 ジャー純額
債券 現金 合計
ステージ1 367,759 7,856 56 7,912 359,847 17
ステージ2 43,846 3,177 265 3,442 40,404 126
ステージ3 2,722 96 0 96 2,626 220
FVTPL 指定 19,877 54 0 54 19,823 0
(*)
434,204 11,183 321 11,504 422,700 363
2021 年の合計
(*) 2021年中にグループが上記の担保権を行使して所有権を取得したものはなかった。
2020 年
保管担保
エクスポー エクスポー
( 単位:百万ユーロ) ECL
ジャー総額 ジャー純額
債券 現金 合計
ステージ1 381,768 11,450 73 11,523 370,245 73
ステージ2 46,830 4,067 387 4,454 42,376 227
ステージ3 3,010 157 0 157 2,853 308
FVTPL 指定 19,262 59 0 59 19,203 0
(*)
450,870 15,733 460 16,193 434,677 608
2020 年の合計
(*) 2020年中にグループが上記の担保権を行使して所有権を取得したものはなかった。
168/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
S.2.3.5. 将来の経済状況に対するECLの感応度
ECL は、将来を見越したシナリオの形成に関しての判断および仮定に対する感応度が高い。グループ
は、重要な資産クラスについて認識されたECLの感応度分析を実施している。
将来の経済状況の予測(マクロ経済シナリオを介して)は、損失引当金の計算へのインプットであ
る条件付リスク・パラメーターを作成する予測モデルへのインプットである。
シナリオは、経済活動の主要尺度であるGDPにショックを与えることで得られる。実質GDPに対する
ショックは、過去の変数のボラティリティを複製するためにその水準が調整される。また、GDPに対す
るショックの規模および持続期間を精緻化するために、適切な場合は専門家による判断が適用され
る。長短金利もまたモデル化され、マクロ経済シナリオの一部として含められている。各シナリオに
割り当てられる確率は、市場(ボラティリティ)指標、および不確実性を捕捉するために長期にわ
たって一貫して使用された内部開発の指標を反映して決められる。プラスおよびマイナスのショック
の加重は、経済におけるリスクのバランスに左右される。マイナスおよびプラスショックの確率はそ
れぞれ30%および10%であり、最後に行われた計算において四半期ごとの予測で適用された。
下表は、金融機関および対顧客貸付金および預け金に係る損失引当金を示している。将来を見越し
たシナリオのそれぞれ(例えば、ベースライン、楽観的、悲観的)は、3シナリオ全体にシナリオ確
率加重を適用するのではなく、100%加重される。
2021 年12月31日現在
楽観的 ベースライン 悲観的
(単位:百万ユーロ)
エクスポージャー総額
金融機関 93,268 93,268 93,268
309,622 309,622 309,622
対顧客
貸倒引当金
金融機関 65 72 84
252 279 318
対顧客
2020 年12月31日現在
楽観的 ベースライン 悲観的
(単位:百万ユーロ)
エクスポージャー総額
金融機関 103,397 103,397 103,397
308,620 308,620 308,620
対顧客
貸倒引当金
金融機関 99 118 148
410 463 540
対顧客
169/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
S.2.4. 財務取引および代替貸付金の信用リスク
S.2.4.1. 財務取引および代替貸付金の信用リスクの測定
財務投資は、(i)流動性維持を主な目的とした短期金融市場の財務資産、(ii)第二の流動性供給源と
しての有価証券流動性ポートフォリオ、(iii)長期HQLAポートフォリオ(以前の投資ポートフォリ
オ)、の3つに分かれる。
代替貸付金ポートフォリオは、カバード・ボンドと資産担保証券(「ABS」)で構成されている。カ
バード・ボンドは発行体に対する全面的遡及権があるのに対して、ABSは、原証券を裏付けに、特別目
的事業体が発行する。カバード・ボンドは大部分が住宅抵当のプールで裏付けられている一方、大半
のABSの仕組ではSME向け貸付金またはリースによって証券化されている。
こうした取引の一部は、与信またはプロジェクト関連の救済措置を付け加えて組成されており、追
加的な回収手段を提供する。
財務取引に関する信用リスク管理方針の遵守状況は、カウンターパーティーに対して設定されてい
る資金取引および債券取引の与信限度枠を通じて監視されている。各カウンターパーティーの加重エ
クスポージャーが承認を受けている限度枠を超えることは禁じられている。
代替貸付金について、規制や格付会社によって組み込まれた信用リスク軽減手段および要件は、発
行体に信用事象が生じた場合に発動される一次的な救済策となる。3件の代替貸付金取引は、EIBの要
注意リストに入れられている(2020年:3件の代替貸付金取引)。
財務ポートフォリオ(有価証券、コマーシャル・ペーパー、定期預金等)関連の信用リスクは、健
全なカウンターパーティーおよび発行体を選択することにより管理されている。
有価証券ポートフォリオの構成および財務商品残高に適用される限度枠は、経営陣が設定してい
る。この限度枠は、グループ・リスク・コンプライアンス部門により定期的に見直しが行われる。
グループは、取引のカウンターパーティーが契約債務を履行できなかった場合に信用リスクにさら
される可能性のある有担保リバース・リパーチェスおよびリパーチェス契約取引を行っている。グ
ループは、カウンターパーティーの信用リスクおよび担保の価値を日次でモニターし、必要とみなさ
れる場合には、グループに追加担保を差し入れるよう要求することで、これらの業務に関連した信用
リスクを統制している。
三者間レポおよびリバース・レポ取引は、第三者保管機関と共同で行われる。第三者保管機関は、
枠組み契約に従って特に以下に関する契約条件の遵守を保証する。
- 支払引替渡し
- 担保の検証
- 貸手が要求する担保マージン。これは常に充分かつ充当可能であることが必要であり、保管機
関は、当該有価証券の時価を日々検証しなければならない。
- 契約要件をすべて満たす代替担保の組成
財務投資総額は、様々なポートフォリオおよび分散化された商品(預け金、有価証券およびデリバ
ティブ商品)に配分される。
170/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
同等のムーディーズ格付別の信用リスク・エクスポージャー(帳簿価額総額に基づく)
2021 年
信用減損の 信用減損の
12 ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
( 単位:百万ユーロ)
償却原価で測定される資金運用資産
および代替貸付金
Aaa 59,529 0 0 59,529
Aa1 からAa3 28,275 300 0 28,575
A1 からA3 17,677 0 0 17,677
Baa1 からBaa3 11,220 108 0 11,328
771 361 0 1,132
Baa3 未満
117,472 769 0 118,241
償却原価での帳簿価額総額
0 -5 0 -5
貸倒引当金
117,472 764 0 118,236
償却原価での正味帳簿価額
2020 年
信用減損の 信用減損の
12 ヵ月ECL 合計
ない全期間ECL ある全期間ECL
( 単位:百万ユーロ)
償却原価で測定される資金運用資産
および代替貸付金
Aaa 40,224 0 0 40,224
Aa1 からAa3 32,629 500 0 33,129
A1 からA3 23,099 0 0 23,099
Baa1 からBaa3 2,337 121 0 2,458
517 728 0 1,245
Baa3 未満
172 0 0 172
格付なし
98,978 1,349 0 100,327
償却原価での帳簿価額総額
-2 -11 0 -13
貸倒引当金
98,976 1,338 0 100,314
償却原価での正味帳簿価額
2021 年 2020 年
( 単位:百万ユーロ)
FVTPL で測定される資金運用資産
および代替貸付金
Aaa 1,701 1,622
Aa1 からAa3 1,833 1,897
A1 からA3 1,520 942
Baa1 からBaa3 459 441
Baa3 未満 636 733
85 84
格付なし
6,234 5,719
FVTPL での帳簿価額
171/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
S.2.4.2. 財務取引に供する担保
受取担保
2021年12月31日現在の名目残高13,894百万ユーロ(2020年:15,474百万ユーロ)の二者間および三
者間リバース・リパーチェス契約は財務取引に係る受取担保が伴う取引であり、グループはこのうち
13,334百万ユーロ(2020年:13,173百万ユーロ)について金融担保、560百万ユーロ(2020年:2,301
百万ユーロ)についてコモディティを受領している。エクスポージャーは、全額が担保されており、
追加担保請求は日々行われる。担保ポートフォリオの市場価格は監視されており、原契約に準拠し
て、必要に応じて追加担保が請求される。金融担保ポートフォリオの時価は、2021年12月31日現在、
13,558百万ユーロ(2020年:13,498百万ユーロ)であった。
これらの受取担保のうち、2021年度および2020年度末時点で、グループが担保権を行使して所有権
を取得したものはなかった。グループが受領した担保は、当年度中、資金調達業務のために再利用さ
れた。
預託担保
二者間および三者間リパーチェス契約は、財務取引に係る担保差入れが伴う取引であり、その名目
残高は2021年12月31日現在5,717百万ユーロ(2020年:4,315百万ユーロ)であった。二者間および三
者間リパーチェス契約の下で差し入れられている担保(ルクセンブルク中央銀行への差入れを除く)
の時価は、2021年12月31日現在、5,711百万ユーロ(2020年:4,315百万ユーロ)であった。
グループは、2021年12月31日現在、時価149億ユーロ(2020年:121億ユーロ)の有価証券をルクセ
ンブルク中央銀行に預託しており、そのうち140億ユーロ(2020年:83億ユーロ)は処分の制約を受け
ている。
2021年12月31日現在、先物契約に付された現金担保は3.8百万ユーロ(2020年:ゼロ)であった。
S.2.4.3. 貸借対照表日現在で認識の中止がなかった譲渡資産
グループの資産のうち、貸借対照表日現在で譲渡されている資産はなかった。
172/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
S.2.5. デリバティブの信用リスク
S.2.5.1. デリバティブの信用リスク管理方針
デリバティブ取引の信用リスク管理方針は、スワップ・カウンターパーティーの資格条件と格付制
限の定義に基づいている。信用エクスポージャーを削減するため、グループはほとんどの現行契約下
にあるスワップ・カウンターパーティーとクレジット・サポート・アネックスを交わしており、エク
スポージャーが契約で定義されている所定の信用極度額を上回った場合に担保を受け取る。
デリバティブに関する信用リスクは、カウンターパーティーが契約債務を履行できない場合にグ
ループが被りうる損失に関連する。
デリバティブ取引の特殊な性質および複雑さを考慮し、当該金融商品の利用から生ずる損失に対し
てグループを保護するための一連の手続きが整備されている。
取引契約の枠組み
グループのデリバティブ取引はすべて、ISDAスワップ取引契約と、該当する場合にはエクスポー
ジャーに対する担保差入条件が明記されているクレジット・サポート・アネックスの取引契約の枠組
みの中で行われる。これらは一般的に採用され、実施されている契約の様式である。新規契約の最低
条件はリスク・ガイドラインに規定されている。
カウンターパーティーの選択
取引開始時の格付は、A3以上とリスク・ガイドラインに定められている。格付がある一定のレベル
を下回った場合にはEIBは期限前に契約を解除する権利を有する。
担保設定
- (限度枠を超過した)エクスポージャーに対しては、現金および債券による担保が差入れられ
る。
- 複雑で流動性の低い取引の場合は、現在の時価以上の担保が要求される。
- 個々のカウンターパーティーとのデリバティブ・ポートフォリオと受取担保は定期的にモニ
ターされて評価され、それを受けて追加担保が請求されるか、担保の引出しが行われる。
担保所要額は、カウンターパーティーの信用リスクの評価によって決まる。担保および評価パラ
メーターの許容範囲に関する指針が、定められている。
ISDA契約の一環として、グループは、売却または再担保とすることが認められている有価証券や現
金を受け取っている。そのような条件の下で受け取った有価証券の公正価値は、2021年12月31日現
在、15,399百万ユーロ(2020年:17,498百万ユーロ)で、担保の性質および格付に基づいた詳細は、
以下のとおりであった。
173/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
スワップ担保 (単位:百万ユーロ)
債券
政府機関債、
2021 年の
同等のムーディーズ格付 現金
国際機関債、
合計
政府債
カバード・
ボンド
Aaa 1,042 962 0 2,004
Aa1 からAa3 3,130 0 0 3,130
A1 からA3 6 0 0 6
Baa1 からBaa3 5,484 0 0 5,484
Baa3 未満 0 0 0 0
0 0 4,775 4,775
格付なし
2021 年の合計 9,662 962 4,775 15,399
スワップ担保 (単位:百万ユーロ)
債券
政府機関債、
2020 年の
同等のムーディーズ格付 現金
国際機関債、
合計
政府債
カバード・
ボンド
Aaa 1,526 1,007 0 2,533
Aa1 からAa3 4,439 0 0 4,439
A1 からA3 14 0 0 14
Baa1 からBaa3 6,310 0 0 6,310
Baa3 未満 4 0 0 4
0 0 4,198 4,198
格付なし
2020 年の合計 12,293 1,007 4,198 17,498
EIBは、ITシステムである担保管理システム(「CMS」)の使用を開始した。CMSの主な目的は、EIB
がレポ目的で資産と有担保市場の受入担保のリアルタイムの一覧を確実に利用できるようにする点に
ある。貸付金、デリバティブ、リバース・レポおよびレポに対する担保として受け入れた有価証券
は、市場価格サービス・プロバイダー(すなわち、ブルームバーグ)から提供された活発な市場の相
場価格を用いて、または相場価格が入手不可能な場合は市場ベースの評価額を使用して、CMSで日次評
価される。
S.2.5.2. デリバティブの信用リスクの測定
デリバティブ関連の信用リスクは様々なパラメーターにより変化し(例えば金利や為替レート)、
一般的に想定元本のごく一部に相当するに過ぎない。グループは、内部目的上、財務報告と限度枠の
モニタリングにはカレント無担保エクスポージャーとポテンシャル・フューチャー・エクスポー
ジャーを使用して、スワップ取引およびデリバティブ取引に関する信用リスク・エクスポージャーを
測定している。自己資本要件規則(CRR)に従った資本配分については、グループはカウンターパー
ティー信用リスクに係る標準的手法(SA-CCR)を用いている。
グループは、カレント無担保エクスポージャーを、ゼロと、カウンターパーティーとのネッティン
グ・セットに含まれている取引ポートフォリオの時価から受入担保の価値を差し引いた数値のいずれ
か大きな方の値で測定している。これは、カウンターパーティーが不履行を起こした場合に生ずる損
174/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
失に相当する金額で、受領した担保を相殺に充当し、取引の回収価値をゼロとした上で、すべての取
引につき直ちにスワップ・カウンターパーティーの代替を行うことを想定している。2021年12月31日
現 在のカレント無担保エクスポージャーは927百万ユーロ(2020年12月31日現在:1,389百万ユーロ)
であった。
さらにグループは、リスクのマージン期間である20営業日にネッティング・セットに生ずる可能性
のあるエクスポージャーの増加を考慮した、ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを計算
している。EIBは、保守的な見積りを出すため、ストレス下の市場パラメーターに基づき、また信頼区
間を90%として、ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを計算している。これは、重要な
市場参加者の不履行があった場合に生じるであろう状況を考慮するための規制当局の勧告に沿ったも
のである。 2021年12月31日現在の初期ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーは10,001百万
ユーロ(2020年12月31日現在:12,225百万ユーロ)であった。
限度枠
銀行向け限度枠システムは、ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを3種の期間グルー
プ(1年未満、1年以上5年以下および5年超)と2種の格付シナリオ(現状維持およびA3格未満へ
の格下げ)でカバーする。
デリバティブ・ポートフォリオは毎日評価され、限度枠との比較が行われる。
下表にあるように、デリバティブ・ポートフォリオの大部分は、A3格以上に格付されたカウンター
パーティーに集中している。
カレント無担保 無担保
エクスポージャー エクスポージャー総額
額面価額割合
格付グループ
( 単位:百万ユーロ) ( 単位:百万ユーロ)
同等のムーディーズ格付 2021 年 2020 年 2021 年 2020 年 2021 年 2020 年
Aaa
0.47% 0.49% 496 816 920 1,434
Aa1 からAa3 19.31% 24.34% 236 373 2,273 2,480
A1 からA3 74.76% 66.87% 195 192 6,628 7,916
5.46% 8.30% 0 8 180 395
A3 未満
合計 100.00% 100.00% 927 1,389 10,001 12,225
175/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
下表は、2021年および2020年12月31日現在の主要デリバティブ・カウンターパーティーに対する集
中度を示したものである。
2021 年 2020 年
額面ベースのエクスポージャー
(グループのデリバティブ・ポートフォリオに対する割合):
上位3件 31.7% 31.3%
上位10件 71.7% 68.5%
上位25件 97.1% 96.2%
カレント無担保エクスポージャー:
上位3件 70.9% 73.2%
上位10件 95.5% 94.6%
上位25件 100.0% 100.0%
ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャー:
上位3件 34.8% 36.4%
上位10件 72.0% 68.3%
上位25件 96.5% 94.5%
下表は、想定元本および公正価値に基づいて分類した通貨スワップ(ストラクチャード・スワップ
を含み、短期通貨スワップを除く)の満期を示している。
2021 年12月31日現在の通貨スワップ
1年超 5年超 2021 年の
1年以内 10 年超
5年以内 10年以内 合計
( 単位:百万ユーロ)
想定元本
34,954 137,297 45,792 29,640 247,683
公正価値(すなわち、CVA、DVAおよび
-740 3,085 985 1,041 4,371
(*)
CollVAを含む割引価値(純額))
1年超 5年超 2020 年の
2020 年12月31日現在の通貨スワップ
1年以内 10 年超
( 単位:百万ユーロ) 5年以内 10年以内 合計
想定元本
34,590 125,732 36,450 26,484 223,256
公正価値(すなわち、CVA、DVAおよび
-691 -2,858 2,114 1,612 177
(*)
CollVAを含む割引価値(純額))
(*) 2021年12月31日現在3,133百万ユーロ(2020年:マイナス2,548百万ユーロ)となっているマクロ・ヘッジ通貨ス
ワップの公正価値を含む。
176/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
下表は、想定元本および公正価値に基づいて分類した金利スワップ(ストラクチャード・スワップ
を含む)の満期を示している。
2021 年12月31日現在の金利スワップ
1年超 5年超 2021 年の
1年以内 10 年超
5年以内 10年以内 合計
( 単位:百万ユーロ)
想定元本
53,438 243,656 127,981 134,006 559,081
公正価値(すなわち、CVA、DVAおよび
301 4,748 3,036 229 8,314
(*)
CollVAを含む割引価値(純額))
2020 年12月31日現在の金利スワップ
1年超 5年超 2020 年の
1年以内 10 年超
5年以内 10年以内 合計
( 単位:百万ユーロ)
想定元本
61,603 227,767 126,884 122,741 538,995
公正価値(すなわち、CVA、DVAおよび
917 8,021 5,954 89 14,981
(*)
CollVAを含む割引価値(純額))
(*) 2021年12月31日現在マイナス789百万ユーロ(2020年:マイナス1,237百万ユーロ)となっているマクロ・ヘッジ金
利スワップの公正価値を含む。
グループは、通常そのリスクヘッジ方針に関連してオプション取引を行っていない。ただし、金融
市場で、より低いコストで資金を調達するという戦略の一環として、グループは、主に金利リスクま
たは株価指数オプションを含む借入契約および貸付を行う。このようなストラクチャード借入金およ
び貸付金は、関連する市場リスクをヘッジするためのスワップ契約により完全にカバーされている。
上表は、ストラクチャード・スワップの想定元本および公正価値を、クロス・カレンシー要素を含
んでいるか否かに基づいて示している。下表は、ストラクチャード・スワップの取引件数、公正価値
および想定元本の詳細を示している。
12 月31日現在のストラクチャー
特別なストラクチャーに
期限前解約が
ド・スワップ
株価指数 基づくクーポンまたは
組み込まれているもの
類似するもの
(単位:百万ユーロ)
2021 年 2020 年 2021 年 2020 年 2021 年 2020 年
取引件数
127 131 1 1 161 164
想定元本(単位:百万ユーロ) 4,568 4,421 500 500 11,583 12,529
公正価値(すなわち、CVA、DVA
およびCollVAを含む割引価値
(純額))(単位:百万ユーロ) 518 801 19 30 -2,979 -2,479
177/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
スワップ取引の公正価値は、将来のキャッシュ・フローから割引後現在価値を導出する評価技法を
適用するインカム・アプローチにより算出される。公正価値の見積りは将来価値に対する市場の期待
値に基づいている。評価技法は、既知のキャッシュ・フローを割り引く単純なものから複雑なオプ
ション・モデルに至るまで、多岐にわたる。適用した評価モデルは、金融商品の価格設定向けに一般
に認められている経済学的手法と整合しており、市場参加者が価格設定時に考慮する諸要因を盛り込
んでいる。デリバティブ取引の一部に関しては、市場インプットを直接入手できない場合には、内部
見積りや仮定が評価技法に取り入れられることもある。
借入れに組込まれている、もしくは借入れに関連するオプション契約は、すべて店頭取引で行われ
る。ストラクチャード・ディールとしては、金利、為替レート、インフレ率、株価、および金利のボ
ラティリティに左右される様々な取引がある。
2021 年12月31日現在、未決済の金利先渡契約はなかった(2020年12月31日現在も同じ)。
S.2.5.3. 保証の信用リスク
自己資金を原資とするグループの保証取引から生じる信用リスクは、行内指針に従って管理されて
いる。
2021 年12月31日現在、契約済エクスポージャーは計309億ユーロ(2020年:220億ユーロ)であっ
た。グループにより保証された実行済貸付金に係るエクスポージャーは167億ユーロ(2020年:124億
ユーロ)であり、かかる保証について計上された負債および引当金は39.3百万ユーロ(2020年:22.6
百万ユーロ)であった(注D.4)。
EIB の保証型業務の一部は、リスク・シェアリング業務から発生しており、EIBは、確立された委託
モデルに基づいて、金融仲介機関が組成するローン・タイプのエクスポージャーをローンごとに保証
している。EIBがリスクを負う原リスク・エクスポージャーを組成する金融仲介機関は、EIBが当該金
融仲介機関に信用管理業務を委託できることを確認するための、詳細なデューデリジェンスの対象と
なる。一方、残りのEIB保証型業務は通常、合成証券化取引として行われ、EIBは通常、既存のポート
フォリオのリスクを特定の仲介者に対して保証する。
EIB は、これらのタイプの取引の集中リスクを制限するための専用の枠組みを確立している。取引の
特異性に応じて、これには、最低適格格付区分、特定のセクター、債務者および/または債務者グ
ループのエクスポージャーを含むが、これらに限定されない適格基準の確立が含まれる。形式的に言
えば、信用リスクは金融仲介機関が組成する原エクスポージャーにあるため、金融仲介機関のカウン
ターパーティー・リスクは限定的である。すなわち、カウンターパーティー・リスクは、 (1) 保証料
の支払い、および (2) EIBが保証・支払いを行う原エクスポージャーが債務不履行となった場合の潜
在的な回収額のEIBに対する返済に限定される。いずれにしても、EIBは、いくつかの軽減措置(詳細
なデューデリジェンス、担保権、介入権、原リスク・エクスポージャーの重大な修正に関する同意権
または解約権を含むがこれらに限定されない)を確立している。
178/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
各内部格付の信用リスク・エクスポージャー(単位:百万ユーロ)
2021 年
信用減損のない 信用減損のある
12 ヵ月ECL 合計
全期間ECL 全期間ECL
金融保証
内部格付 1-最小信用リスク 15 0 0 15
内部格付 2-非常に低い信用リスク 3,540 0 0 3,540
内部格付 3-低信用リスク 18,790 45 0 18,835
内部格付 4-中程度の信用リスク 2,409 397 0 2,806
内部格付 5-財務的に脆弱な貸付先 2,006 391 0 2,397
内部格付 6-高信用リスク 2,288 746 0 3,034
内部格付 7-非常に高い信用リスク 134 1 129 264
0 0 10 10
内部格付 8-デフォルト状態の貸付先
29,182 1,580 139 30,901
信用リスク・エクスポージャー合計
30 0 9 39
帳簿価額
2020 年
信用減損のない 信用減損のある
12 ヵ月ECL 合計
全期間ECL 全期間ECL
金融保証
内部格付 1-最小信用リスク 43 0 0 43
内部格付 2-非常に低い信用リスク 3,946 0 0 3,946
内部格付 3-低信用リスク 2,071 0 0 2,071
内部格付 4-中程度の信用リスク 9,493 69 0 9,562
内部格付 5-財務的に脆弱な貸付先 3,563 157 0 3,720
内部格付 6-高信用リスク 2,200 281 0 2,481
内部格付 7-非常に高い信用リスク 0 0 153 153
0 0 6 6
内部格付 8-デフォルト状態の貸付先
21,316 507 159 21,982
信用リスク・エクスポージャー合計
12 0 11 23
帳簿価額
179/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
S.3. 流動性および資金調達リスク
流動性リスクは、資産の増加に対応して資金を調達し、期限の到来時に債務を弁済することを、受
入不能な損失を負担することなしに行うグループの能力に関するリスクである。それは、さらに資金
流動性リスクと市場流動性リスクに分けることができる。
資金流動性リスクとは、連結貸借対照表の資産を支え、容易に利用できる流動性リソースから期限
どおりに債務を全額返済することができなくなるリスクに関するものである。資金流動性リスクは、
支払義務の履行に関する差し迫ったリスクおよびこれに伴う不利な条件での借入を増加させうるた
め、グループのポジションの経済価値あるいはグループのポジションから生み出される収益の変動性
に影響を与える可能性がある。
市場流動性リスクとは、ポジション残高を相殺、解消、または削減するための取引を合理的な市場
価格で執行できないかもしれないという理由で、グループのポジションの経済価値の変動、または同
ポジションによる収益の変動が激しくなることを指す。取引を執行できないことにより、清算を避け
た方が良いと思われる場合でも好ましくない価格で早い段階に当該資産を清算せざるを得なくなるお
それがある。このリスクは、取引される証券の流動性と比較したポジションの規模、ならびに市場の
アベイラビリティおよび効率性の悪化と密接に関係している。
S.3.1. 流動性リスク管理
EIB の流動性リスク管理
EIB の中核業務活動を妥当なコストで正常に機能させるため、流動性リスクは慎重に管理されてい
る。流動性リスク管理方針の主な目的は、EIBが常に期限内に支払債務を満額履行できることの確保に
ある。商業銀行とは対照的に、EIBは個人預金を保有しておらず、顧客に貸し付ける資金の調達を資本
市場に依存している。
EIB は慎重に流動性バッファーを維持するため、新規発行予定を管理している。流動性維持計画で
は、EIBの債務の元利払いおよび貸付金の実行によるキャッシュ・アウトフローならびに貸付金ポート
フォリオからのキャッシュ・インフローを考慮している。また、流動性維持計画では、一般的に債務
者の要請に応じて実行される多額の契約済未実行貸付金も考慮している。
EIB は、短期流動資産を十分な水準に保つこと、および資金需要予測に応じて自行の募集有価証券の
償還日を分散することによって、流動性リスクの管理を一層確実にしている。流動性リスク方針には
財務ポートフォリオの水準の下限が組み込まれており、EIBの全体的な流動性比率(見積年間ネット・
キャッシュ・フローに対する目標比率と定義)は、常に翌年の見積年間ネット・キャッシュ・フロー
の25%を上回っていることが、義務付けられている。
グループはグループ非常時資金調達計画(「グループCFP」)を定めており、そこでは適切な意思決
定手続とそれに対応する責任分担が定められている。グループCFPは定期的に、欧州銀行監督機構がこ
の件に関して発行した関連するガイドラインを含む該当するベスト・バンキング・プラクティスを基
準に、テストおよび評価されている。グループCFPは理事会によって毎年承認される。
定期的なストレス・テスト分析は、流動性リスク・モニタリングの一環として実施され、EIBおよび
EIFの流動性バッファーの規模を決定する。
180/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2009 年7月8日にユーロ・システムの金融政策オペレーションにおける適格カウンターパーティー
となったことから、EIBも欧州中央銀行の金融政策オペレーションに参加できることとなった。EIB
は、最低預金準備率およびその他の業務ニーズを充足するために預け金を置いているルクセンブルク
中央銀行を通じて金融政策オペレーションを実施する。
EIB は日次で流動性カバレッジ比率(「LCR」)を欧州連合CRRに沿って、機能通貨(ユーロ)だけで
なく、他の重要な通貨についても計算している。過度の通貨のミスマッチを防止するために、流動性
資産の通貨と正味流動性の流出の通貨の整合性を継続的にとることが確実にされている。2021年末現
在、EIBのLCRは564.9%(2020年末は366.7%)であり、2021年から開示が開始されたグループLCRは
586.0%であった。
(9)
また、EIBは安定調達比率(「NSFR」)を欧州連合CRR に沿って、機能通貨(ユーロ)だけでな
く、他の重要な通貨についても計算している。2021年末現在、EIBのNSFRは130.0%、グループのNSFR
は130.1%であった。
(9) 2021年6月発効。
COVID-19 のパンデミックに伴いグローバル金融市場の一般的情勢が不確実であるにもかかわらず、
グループは、主にグループの流動性管理に対する慎重なアプローチの結果として、現在も引き続き強
固な流動性ポジションおよび必要な流動性リソースへの柔軟なアクセスを維持している。
EIF の流動性リスク管理
払込資本金の価値を損なうことなく、今後生じうる保証請求、プライベート・エクイティ・コミッ
トメント、および一般管理費の支出に対応する適切な水準の流動性を確保し、かつリスク最小化に配
慮しながら投資資産で合理的な収益を獲得できるような方法で、流動性リスクは管理されている。
S.3.2. 流動性リスクの測定
下表は、貸借対照表日から契約上の満期日(契約で定められている割引前キャッシュ・フローに基
づく)までの残存期間別の、グループ金融負債残高を示している。契約によって定められた満期日の
ない負債は、「満期日未確定」に区分されている。表の値は、利札を含めた割引前キャッシュ・フ
ローを示しているため、連結貸借対照表計上の数値と一致していない。
元本のキャッシュ・フローと利息は、契約上生じうる最初の返済日に対応する欄に算入されてい
る。したがってこれは予想シナリオではなくむしろ理論上のシナリオを表している。
借入金および関連するスワップの一部は、ヘッジ・スワップの契約相手に期限前解約条項もしくは
コール・オプションを認めており、グループにも関連債券を期限前償還する権利を与えている。その
場合、キャッシュ・フローは可能性のある最初の償還可能日に対応する欄に表示されている。しかし
ながらこれは保守的措置であって、グループは契約により関連する任意償還条項付債券の期限前償還
を強制されておらず、現実的なシナリオとしては、そのようなすべての債券を最初の償還可能日に償
還する理由はない。
181/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
契約済未実行貸付金に関する流出額は、グループ内部の流動性ストレス・テスト法に従って表示さ
れている。大きなストレスがかかった場合に繰り上げて実行されうる最大貸付額は、初回満期日が該
当する欄に表示されている。
金利スワップおよび金利先渡契約については、キャッシュ・フロー純額で表示されている。他方、
総額で決済される金利デリバティブ(本質的にはクロス・カレンシー金利スワップ)および為替デリ
バティブ(為替先渡、為替スワップ等)は、満期分析ではキャッシュ・フロー総額で表示されてい
る。
非デリバティブ金融負債の満期特性
(2021年12月31日現在、 3ヵ月超 1年超 満期日未
流出総額
3ヵ月以内 5年超 帳簿価額
(名目値)
単位:百万ユーロ) 1年以内 5年以内 確定
金融機関および顧客に対す
る債務 12,301 13,195 0 0 0 25,496 25,393
コマーシャル・ペーパー 6,015 8,177 0 0 0 14,192 14,185
債務証書借入-初回償還日
の場合 15,717 42,103 233,597 185,210 0 476,627 459,718
その他の負債 10 670 1,289 1,396 340 3,705 3,708
供与済保証およびその他の
オフ・バランスシート項目 0 0 0 0 40,344 40,344
契約済未実行貸付金に関す
14,857 2,120 6,416 188 99,396 122,977
る流出額
48,900 66,265 241,302 186,794 140,080 683,341 503,004
合計
非デリバティブ金融負債の満期特性
(2020年12月31日現在、 3ヵ月超 1年超 満期日
流出総額
3ヵ月以内 5年超 帳簿価額
(名目値)
単位:百万ユーロ) 1年以内 5年以内 未確定
金融機関および顧客に対す
る債務 10,219 8,000 0 0 0 18,219 18,201
コマーシャル・ペーパー 7,253 3,039 0 0 0 10,292 29,863
債務証書借入-初回償還日
の場合 18,992 53,364 226,314 180,493 0 479,163 455,034
(1)
その他の負債 10 1,148 1,285 1,696 239 4,378 4,378
供与済保証およびその他の
オフ・バランスシート項目 0 0 0 0 31,360 31,360
契約済未実行貸付金に関す
12,962 1,714 5,663 560 93,164 114,063
る流出額
49,436 67,265 233,262 182,749 124,763 657,475 507,476
合計
(1) 財務書類の可読性を向上させるために、組替が行われている。
182/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
デリバティブ金融負債の満期特性
3ヵ月超 1年超
流入/流出総
(2021年12月31日現在、単位:百万ユーロ) 3ヵ月以内 5年超
額(名目値)
1年以内 5年以内
差金決済される金利デリバティブ 402 2,152 3,505 2,655 8,714
総額で決済される金利デリバティブ-流入額 9,659 27,379 143,949 82,624 263,611
総額で決済される金利デリバティブ-流出額 -8,825 -27,354 -139,636 -79,971 -255,786
為替デリバティブ-流入額 18,470 6,260 0 0 24,730
-18,418 -6,146 0 0 -24,564
為替デリバティブ-流出額
合計 1,288 2,291 7,818 5,308 16,705
デリバティブ金融負債の満期特性
3ヵ月超 1年超
流入/流出総
(2020年12月31日現在、単位:百万ユーロ) 3ヵ月以内 5年超
額(名目値)
1年以内 5年以内
差金決済される金利デリバティブ 616 2,727 6,122 5,598 15,063
総額で決済される金利デリバティブ-流入額 12,290 22,085 128,643 68,735 231,753
総額で決済される金利デリバティブ-流出額 -12,959 -21,713 -128,963 -64,980 -228,615
為替デリバティブ-流入額 18,365 4,294 266 0 22,925
-18,400 -4,355 -255 0 -23,010
為替デリバティブ-流出額
合計 -88 3,038 5,813 9,353 18,116
183/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
S.4. 市場リスク
市場リスクとは、金利、為替レート、株価等の市場の変動要因の変化が原因で金融商品の将来
キャッシュ・フローの正味現在価値が変動するリスクを指す。
S.4.1. 市場リスクの管理
EIB の市場リスク
グループの信用リスク管理方針を通じて貸付業務で適用されている「4つの目」の原則と同様に、
グループの市場リスク管理方針も、グループ・リスク・コンプライアンス部門(GR&C)が、重大な市
場リスクを伴うグループの全金融業務、および財務ヘッジやデリバティブ取引業務等の信用リスクが
生じうるすべての金融取引を監視するよう定めている。
市場リスクは、定期的に更新される「財務リスク・ガイドライン」(「FRG」)と呼ばれる一連の方
針と手続きに従って、特定され、測定され、管理され、報告される。これらの方針を下支えする一般
原則については、後述する。
ストレス・テストは、特に過去の市場動向を分析しても将来のリスクを評価するには不十分と思わ
れる場合に、将来実現しうるシナリオがEIBの利益や自己資金の経済価値に及ぼす影響を分析するため
に広く用いられている方法である。適用するシナリオは、市場レート(金利、為替レート、スプレッ
ド、株価等)の変動、流動性の状況、またはこれらに影響しうる最悪の場合、例えば突然マクロ経済
が悪化する、大口の債務者が一斉にデフォルトに陥る、広範囲にわたってシステムが故障する等の事
象に関係したシナリオのこともある。
ストレス・テストは定期的に実施されており、EIBの経済価値や利益特性が変化した場合のテスト結
果は、EIBの市場リスク測定プロセスの中で報告される。
EIF の市場リスク
EIFのプライベート・エクイティ(「PE」)ポートフォリオに影響を及ぼしている市場リスクの主要
な種類は、株価リスクおよび外貨リスクである。当該ポートフォリオにおける大部分の基金はレバ
レッジをほとんどまたは全く使用していない。そのため、金利リスクはEIFのPEポートフォリオに直接
的には影響を与えない。確定利付商品の金利リスクは、EIFの負債証券投資および自己のリスクのG&S
エクスポージャーから発生する。現在、これらの保有資産のすべての平均期間またはWALは限定的で、
証券化エクスポージャーのみが公正価値評価され(財務部門(FI)が自己保有する財務ポートフォリ
オは償却原価で計上され)、そのため、EIFの損益の変動を限定している。
S.4.2. 金利リスク
金利リスクとは、市場利回りや金利の期間構造の不利な動きによる、グループのポジションの経済
価値または同ポジションによる収益の予想変動率(ボラティリティ)を指す。異なる資産、負債、
ヘッジ商品の間で金利更改特性や満期特性に差異があると、金利リスク・エクスポージャーが生じ
る。
184/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
グループの金利リスクの管理
金利リスクの測定および管理にあたり、グループはバーゼル銀行監督委員会(「BCBS」)および欧
州銀行監督機構(「EBA」)の関連する主要原則を参考にしている。金利リスクの主要な源泉は、
ギャップリスク、ベーシスリスクおよびオプションリスクである。ギャップリスクとは、グループに
とって最も関係が深い金利リスクであり、グループの金利感応商品の金利変動のタイミングの差異に
よる、当該金利感応商品の期間構造の経済価値または同商品からの収益の予想変動率(ボラティリ
ティ)と定義される。
金利リスクは、グループのリスク選好の枠組みで取り扱われている。グローバルの構造的金利ポジ
ションは、グループが負担する用意がある、リスク選好で定められているリスク水準に従って管理さ
れる。
IBOR 改革
ロンドン銀行間金利(LIBOR)などの指標金利は金融契約で広く用いられていた。近年、指標金利の
信用性や安定性に対する信頼は低下してきており、世界中の規制当局は金利指標改革を推進してきて
いる。代替指標金利への世界的な移行は、金融市場において着手された最も困難な課題を含んだ改革
の一つである。他の銀行と同様に、EIBは、これらの市場全体にわたる取組みの一環として改革の対象
となっている金融商品について、IBORに重大なエクスポージャーを有している。
行内における準備
2018年2月、資産・負債委員会(ALCO)は、代替金利への移行に関連する進展を積極的に追跡・監
視するためのIBOR専任のALCO直属ワーキンググループであるIBORワーキンググループを設置した。
IBORワーキンググループの目的には、金利指標の改革に関連した進展を注意深く監視することが含ま
れ、これには特に、契約修正、顧客との双務交渉、ITシステムおよびアプリケーションの更新および
新契約へのフォールバックの文言の導入ならびに通貨別および資産クラス別のIBORへのエクスポー
ジャーの定期的モニタリングの進展が含まれる。確立した作業計画の実施における進捗は定期的に監
視され、ALCOで討議され、定期的に経営幹部および監査委員会に報告されている。
リスクに関する検討
IBOR改革における主なリスクは、オペレーショナル・リスクと財務リスクである。これらは、例え
ば、記帳、決済/支払、評価、リスクシステムを含むITシステムの更新、IBOR改革に関連した業務統
制の変更、契約の修正(貸付契約の双務交渉を含む)およびフォールバック条項の導入に伴う業務上
の課題、ならびに異なる取引タイプ間の潜在的ベーシスリスクに関連している。財務リスクは、金融
商品全体にわたって、頑健で、発生の可能性がありかつ実行が可能な範囲で一貫性のあるフォール
バックを導入することによって軽減される。これに加えて、EIBは、IBOR改革に関連した将来の結果を
予想して設計したベーシスリスクの枠組みを策定している。
185/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021 年における主な進展
2021年はLIBOR移行の重要な節目であった。2021年3月、FCAは、英ポンド、スイス・フラン、日本
円のLIBORを2021年末に廃止し、米ドルLIBORを2023年6月末に廃止することを発表した。
金融商品クラス別の移行状況
貸付活動および資金調達活動の一環として、EIBは主に顧客への変動金利貸付金およびEIBの活動に
資金提供するための発行債券に関して、IBOR改革へのエクスポージャーを有している。金利リスクお
よび為替リスクへのエクスポージャーを管理するために、EIBはデリバティブ商品を利用している(固
定金利貸付金や借入業務のヘッジなど)。
デリバティブは、対応するキャッシュ・フローの大部分がIBOR金利を参照しているため(すなわ
(10)
ち、「変動金利」)、IBORレートの影響を直接的に受ける最大の金融商品クラスである 。EIBは、
2021年にISDAの「IBORフォールバック・プロトコル」を遵守した。このプロトコルは、デリバティブ
の従前のポートフォリオの円滑な移行を確保するために、金利指標の廃止時に適用される強固な
フォールバック条項をカウンターパーティーが組み込むための修正メカニズムを提供するものであ
る。LIBORに連動するスワップにおけるEIBのすべてのカウンターパーティーも、このプロトコルを遵
守している。2021年12月31日現在、EIBはISDAフォールバック・プロトコルの適用を通じて、英ポン
ド、スイス・フラン、日本円および米ドルのLIBORを参照するデリバティブの想定元本エクスポー
ジャーの99%以上をシステム上で移行しており、それぞれのLIBOR廃止日以前および以後のすべての
キャッシュ・フローの決定が正しく反映されるようにしている。残りは、主にストラクチャード・ス
ワップでその影響は僅少であるが、2022年初めに移行された。
(10) デリバティブは、注A.4.5に記載されている手法に従って再測定される。
変動金利貸付金は、IBOR金利の影響を直接的に受ける金融商品の中で2番目に大きなクラスであ
る。2020年7月1日以降、EIBはすべての新規貸付契約において改訂されたフォールバック文言を導入
し、含めている。EIBはまた、該当する通貨のLIBORを参照する契約を締結している顧客に接触し、認
識を高め、可能な限りフォールバック文言を導入し、積極的にIBORから移行することに重点を置いた
タスクフォースを設置している。2021年12月31日現在、当初にスイス・フランおよび日本円のLIBORに
連動していた契約の帳簿残高の100%、ならびに当初に英ポンドLIBORに連動していた契約の帳簿残高
の87%は、これらのIBOR金利に連動しなくなっている。さらに、2022年初めには、英ポンドLIBORの残
存エクスポージャーの12%(帳簿価額)で顧客との契約が予定されている。また、FCAは、EIBがごく
限られた期間、ごく一部(英ポンドのエクスポージャー合計の1%未満)に使用する可能性のあるい
わゆる「合成」LIBORの公表を延長する権限を付与されている。また、EIBは米ドルLIBORに連動した貸
付金の移行も継続する。移行と並行して、EIBは貸付商品ポートフォリオを新たな貸付金組成に適応さ
せており、現在も継続している。
186/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
またグループは、英ポンド、スイス・フランおよび日本円の公正価値ヘッジ会計の適格基準を満た
(11)
す貸付金、ならびに英ポンド建て の公正価値オプションの適格基準を満たす貸付金について、修正
後の割引曲線を反映させるための再測定を行った(それぞれ注A.4.5およびA.4.9に記載されている技
法を参照のこと)。その影響は、下表(第3表)に表示されている。
(11) 2021年12月31日現在、EIBにはFVOで報告された日本円およびスイス・フラン建ての貸付金はない。
資金調達面では、EIBは2018年より貸借対照表で新たなRFRを参照する債券商品を発行している。加
えて、優先市場構成の設定に基づいて、EIBは必要な流動性を備えた関連するRFR市場の支援に重点を
置いている。
2021年12月31日現在、EIBには英ポンド、スイス・フランおよび日本円のLIBORに連動したリスク・
エクスポージャー残高はすでになくなっている。米ドルLIBOR連動債については、帳簿価額の56%が
2023年6月末までに満期を迎える。残りの44%は2022年中に評価され、適切なエクスポージャー移行
の機会が検討される予定である。
またグループは、公正価値ヘッジ会計の適格基準を満たす英ポンド、スイス・フランおよび日本円
建て資金調達債券(「借入金」)、ならびに英ポンド、米ドル、スイス・フランおよび日本円建ての
公正価値オプションの適格基準を満たす公表市場価格のない借入金について、修正後の割引曲線を反
映させるための再測定を行った(それぞれ注A.4.5およびA.4.9に記載されている技法を参照のこ
と)。その影響は、下表(第3表)に表示されている。
187/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021年12月31日現在、変動金利によりIBOR改革リスクにさらされている金融商品の帳簿価額は以下
のとおりである
米ドルLIBOR 英ポンドLIBOR その他
帳簿価額 (単位:百万ユーロ)
非デリバティブ金融資産
金融機関貸付金および預け金
a) 要求払
0 0 0
b) その他の貸付金および預け金
0 0 0
c) 貸付金
8,956 0 0
対顧客貸付金および預け金
a) その他の貸付金および預け金
0 0 0
b) 貸付金
4,173 1,056 0
中央銀行担保適格国庫証券および
823 0 0
その他短期証券
確定利付証券を含む負債証券
334 0 0
b) その他による発行
非デリバティブ金融資産合計 14,286 1,056 0
非デリバティブ金融負債
債務証書借入
a) 負債証券
599 0 0
b) その他 95 0 0
非デリバティブ金融負債合計 694 0 0
貸付コミットメント 20,683 0 0
米ドルLIBOR 英ポンドLIBOR その他
想定元本(単位:百万ユーロ)
(1)
デリバティブ金融商品
デリバティブ資産
金利スワップ 31 478 279
31 0 115
クロス・カレンシー・スワップ
デリバティブ資産合計 62 478 394
デリバティブ負債
金利スワップ 370 0 0
0 0 0
クロス・カレンシー・スワップ
デリバティブ負債合計 370 0 0
(1) LIBORにリンクされたデリバティブはすべてISDAフォールバック・プロトコルの対象となっており、帳簿価額は2021
年12月31日時点でシステム上で移行されていない取引を指している。前述のように、これらは実際には2022年初め
にシステム上で移行された。
188/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
予期される2023年6月の米ドルLIBOR置換日の前に満期となる米ドル契約は含まれていない。
2021年12月31日現在、割引曲線見直し後(当初はIBORベース)にIBOR改革リスクにさらされる金融
商品の帳簿価額は以下のとおりである。
帳簿価額 (単位:百万ユーロ) 米ドルLIBOR 英ポンドLIBOR その他
非デリバティブ金融資産
金融機関貸付金および預け金
a) 要求払 0 0 0
b) その他の貸付金および預け金 0 0 0
c) 貸付金 2,746 0 0
対顧客貸付金および預け金
a) その他の貸付金および預け金 0 0 0
2,748 0 0
b) 貸付金
非デリバティブ金融資産合計 5,494 0 0
非デリバティブ金融負債
債務証書借入
a) 負債証券 83,746 0 0
b) その他 303 0 733
非デリバティブ金融負債合計 84,049 0 733
2021年12月31日現在、IBOR改革に伴う移行による金融業務の損益の性格別の影響は以下のとおりで
ある。
未決済残高 金融業務損益
スワップ/デリバティブの純損益
289,861 7
FVO による公表市場価格にない借入金の純損益 -2,238 -1
貸付金のヘッジ会計による純損益 15,295 -13
借入金のヘッジ会計による純損益 -36,318 23
損益合計 16
S.4.2.1. グループの自己資金の経済価値に対する金利リスク
グループの金利リスク戦略は、グループの経済価値のボラティリティを抑制しながら、バランスが
良く持続可能な収益特性を維持することを目指している。またグループ成長資金の自力調達という目
標を踏まえて、こうした収益特性に明確な選好が定められている。かかる全体目標は、中長期投資特
性に沿ったグループの自己資金投資によって達成されており、これは現在4.5~5.5年の範囲の自己資
金の目標投資期間を意味する。
自己資金の期間目標とは別に、グループの連結貸借対照表上、通貨および金利特性に応じた資金調
達が図られるべきだとされている。しかし、業務上の理由から小幅の逸脱は承認されており、このこ
とはグループをベーシスリスクにさらす可能性がある。このような若干の逸脱が残ることによって生
じる残余ベーシスリスク・ポジション純額は、ベーシス市場リスクを重要性の閾値未満に維持するべ
く、既定の限度枠内に収めて管理されている。
運用されている金利リスク限度額の枠組みに加えて、金利の深刻な変動がグループの自己資金に及
(12)
ぼす潜在的な悪影響を特定するために、EBAにより標準化されたショック・シナリオ に基づいてグ
ループレベルでの定期的なストレス・テストが実施されている。2021年12月31日現在、EBAの監督上の
189/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
異常値テストシナリオの最悪の影響は、自己資金の経済価値を43.7億ユーロ(2020年:49.3億ユー
(13)
ロ)減少させる 。
(12) EBA/GL/2018/02
(13) ストレス・テストは、保険数理プロバイダーの計算による年金および医療保険債務(DBO)を含む、
すべてのリスク感応度の高い銀行勘定商品について実施されている。
グループは、金利(IR)リスク(ギャップリスクおよびベーシスリスク)ならびにFXリスクを管理
するための枠組みを整備している。グループはIRおよびFXのポジションを日次でモニターし、適用さ
れる限度内で管理している。
グループのポートフォリオに組入れられている金融商品のうち、一部の業務(借入れおよび関連す
るスワップ)には償還オプションが規定されており、満期前に償還される場合があるため、最終満期
日については不確実性が組み込まれている。
キャッシュ・フロー・レベルでは、こうした借入金はすべてスワップで十分にヘッジされているた
め、合成変動利付債とみなすことができる。
下表は、2021年12月31日現在および2020年12月31日現在のグループの任意償還条項付ポートフォリ
オの特性をまとめ、想定元本合計、平均の契約上の満期日、平均予想償還日(双方とも、当該取引の
想定元本で加重)を資金調達通貨別と関係する主要リスク・パラメーター別に表示したものである。
資金調達通貨別(スワップの影響考慮後):
支払通貨
2021 年12月31日
合計
( 単位:百万ユーロ)
ユーロ 米ドル
ユーロ建想定元本 -2,659 -1,284 -3,943
平均満期日 2047 年3月19日 2038 年9月6日 2044 年6月7日
平均予想償還日 2031 年1月2日 2027 年7月7日 2029 年11月13日
支払通貨
2020 年12月31日
合計
( 単位:百万ユーロ)
ユーロ 米ドル
ユーロ建想定元本 -2,213 -1,606 -3,819
平均満期日 2047 年1月26日 2037 年3月16日 2042 年12月3日
平均予想償還日 2028 年12月25日 2023 年7月28日 2026 年9月16日
190/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
関係するリスク・パラメーター別:
リスク・パラメーター
2021 年12月31日
合計
( 単位:百万ユーロ) 為替レートの水準 金利カーブの水準
ユーロ建想定元本
-323 -3,620 -3,943
平均満期日 2036 年1月1日 2045 年3月9日 2044 年6月7日
平均予想償還日 2029 年2月13日 2029 年12月7日 2029 年11月13日
リスク・パラメーター
2020 年12月31日
合計
( 単位:百万ユーロ) 為替レートの水準 金利カーブの水準
ユーロ建想定元本
-452 -3,367 -3,819
平均満期日 2033 年12月4日 2044 年2月17日 2042 年12月3日
平均予想償還日 2027 年12月21日 2026 年7月16日 2026 年9月16日
S.4.2.2. グループの金利リスク管理(利益面)
利益の感応度は、金利カーブ全体が1パーセンテージ・ポイント上昇した場合、あるいは低下した
場合の向こう12ヵ月間で変動しうる正味受取利息の金額を定量化する。このようなエクスポージャー
は、承認を受けた限度枠内でグループが容認する、資産と負債の間の金利更改期間、金額または利率
の不一致により生じる。
2021年12月31日現在のポジションでは、金利が100ベーシス・ポイント上昇すると、利益が96.5百万
ユーロ(2020年:83.4百万ユーロ)増加し、金利が100ベーシス・ポイント低下すると、利益が90.8百
万ユーロ(2020年:78.5百万ユーロ)減少する計算である。
グループは、案件ごとに利益のシミュレーションを実行する専用のソフトウェアで感応度指標を計
算している。利益の感応度は発生主義で測定され、分析対象期間にわたり、グループは業務計画の中
で予想されている新規貸付業務を実現し、承認を受けた限度枠内にエクスポージャーを維持し、資金
不足の補充または余剰現金の投資を目的とする短期金融市場取引を執行するという「現行」の仮定に
基づいて算出される。利益に関して月次で行われるシミュレーションは、固定利付項目の場合には、
すべて契約で定められた利率が維持され、変動利付項目の場合には、すべて、シミュレーションで適
用された金利シナリオに応じて金利が更改されるという仮定に基づいて実施されている。資金不足の
補充または余剰現金の投資を目的とする短期金融市場取引の利率は、シミュレーションで適用された
金利シナリオに応じた短期金融市場の実勢利率に等しいとされる。現行実務に従い、モデルでは、シ
ミュレーション上の利益は株主には配分されず、グループ業務の資金補充に当てられると仮定してい
る。管理費は、業務計画の予想に応じて見積られる。
EIFの感応度は、グループが運用するEIFの財務および貸付金ポートフォリオに組入れられている全
ポジションを考慮して、案件ごとに算出される。各固定利付財務資産は、その満期日に、年度末にお
ける残存期間が従前資産と同じである新規資産に再投資されると仮定している。変動利付財務資産の
ポジションの場合、四半期ごとに利率が更改されるとの仮定に基づいている。
191/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
S.4.3. 為替リスク
為替(「FX」)リスクは、為替レートの不利な変動が原因で、グループのポジションの経済価値の
変動、または同ポジションによる収益の変動が激しくなることを指す。資産、負債およびヘッジ手段
の間で通貨のミスマッチがある場合に、グループは為替リスクにさらされる。
EIB は定款を遵守して、貸付業務を遂行するため、またはEIBが供与する貸付金もしくは保証から発
生するコミットメントを履行するために、直接必要でない為替業務には従事しない。
グループの資産・負債構造における通貨のミスマッチは、厳しい限度額内に維持されている。
S.4.3.1. 為替ポジション
ポジション(純額)(単位:百万ユーロ) 2021 年 2020 年
ユーロ(EUR) -129 -103
英ポンド(GBP) 47 25
米ドル(USD) 52 43
30 35
その他の通貨
ユーロ以外の通貨の合計 129 103
S.4.3.2. 為替リスク管理
定款に従い、EIBは積極的に為替リスク・エクスポージャーをヘッジしている。
グループの為替リスク管理方針の主な目的は、為替ポジションを経営委員会の承認を受けた限度枠
内に維持し、為替レートの変動が連結損益計算書に及ぼす影響を最小限に抑えることにある。
S.4.4. 株価リスク
株価リスクは、株価指数の水準および個々の持分投資価値が低下した結果、持分の公正価値も低下
するリスクである。
2021 年12月31日現在の株価リスクは、主に理事会の承認を受けた戦略的業務(EIFがEIBに代わって
自身の財源で行うプライベート・エクイティ/ベンチャー・キャピタルおよびインフラ基金投資、投
資ファンド、特別活動として行う株式類似商品への投資、EBRDへの出資)に限られていた。これらの
業務は特別な監視体制のもとに置かれ、当該エクスポージャーは十分な資本で裏付けされる。
継続的に監視し統制するために非上場持分ポジションの価額を入手するのは、容易ではない。この
ようなポジションの場合、入手できる最良の指標としては、類似資産の価格、該当する評価技法によ
る評価の結果が挙げられる。
他の変動要因がいずれも変わらない場合に、合理的に可能性のある株価指数の変動が原因で(2021
年12月31日および2020年12月31日現在の持分投資の公正価値が増減した結果)グループの自己資本が
受ける影響は、次のとおりである。
192/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021 年 2020 年
自己資本が受ける 自己資本が受ける
株価の変動 株価の変動
影響 影響
( 単位:%) ( 単位:千ユーロ) ( 単位:%) ( 単位:千ユーロ)
プライベート・エクイティ/ベンチャー・
-10 -1,352,194 -10 -932,505
(1)
キャピタル事業/インフラ基金
EBRD 持分 -10 -59,793 -10 -51,488
投資基金 -10 -381,026 -10 -287,013
(1) プライベート・エクイティ/ベンチャー・キャピタル事業およびインフラ基金の感応度は、公開市場のポジションの
市場リスクに基づき、EIFが計算する。
193/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
S.5. オペレーショナル・リスク
EIBグループのオペレーショナル・リスク方針に定義されているように、オペレーショナル・リスク
とは、不十分もしくは機能不全の内部プロセス、人員もしくはシステム、または外部事象に起因する
損失リスクを意味する。
EIBグループのすべての活動はオペレーショナル・リスクの影響を受ける可能性があり、したがって
グループはオペレーショナル・リスクを体系的に特定、評価、監視および報告し、オペレーショナ
ル・リスクへのエクスポージャーを限定するために十分な統制とリスク軽減策を実施することを目標
としている。
グループのオペレーショナル・リスク課である、EIBおよびEIFのリスク管理、ならびにEIBの財務統
制における内部統制およびアサーション部(「FC/-/ICA」)が、オペレーショナル・リスクの枠組み
および関連する方針を決定する責任を有し、その枠組みの実施責任はグループのすべての部署が担
う。グループは、連結レベルでオペレーショナル・リスク管理業務を、適用されるベスト・バンキン
グ・プラクティス(「BBP」)に準拠して編成している。
グループでは、特に、オペレーショナル・リスク・エクスポージャーを監視するために使用される
一連の重要リスク指標(「KRI」)を通じて、内部損害履歴ならびに事業・統制環境等、入手可能なあ
らゆる情報を考慮する評価方法を採用している。
リスク水準が臨界値を上回った場合には、適切な措置が講じられる。特に、オペレーショナル・リ
スク課は、オペレーショナル・リスクに係る現実の損害につながるまたはつながりうる重要なオペ
レーショナル・リスク事象および現れつつあるリスク分野を分析する。
オペレーショナル・リスクの分類とKRIの見直しは、2022年に予定されており、その後、データ収集
プロセスを自動化する新しいツールが導入される予定である。一方、オペレーショナル・リスク課
は、健全なオペレーショナル・リスク管理のすべてのBBP要件に対応するために、新しい部分的に自動
化された事象および損害のデータベースを開発し、このデータベースは後に新システムに移行する予
定である。
EIBにおける報告については、月次オペレーショナル・リスク報告書が、オペレーショナル・リスク
の管理とモニタリングのすべての側面について責任を有するグループ最高リスク責任者(「GCRO」)
によって承認され、経営委員会(「MC」)、監査委員会(「AC」)およびディレクター・ジェネラル
(「DG」)に提出される。加えて、0.1百万ユーロを超える損失/利益は、即座に総裁に報告される。
EIFでは、オペレーショナル・リスク課が監査役会(「AB」)および上級経営陣に定期的な報告を行
う。
194/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注T: 資産および負債の会計上の分類および公正価値(単位:百万ユーロ)
下表は、グループの各種類、各区分の資産および負債の分類を示したものである。
強制的に 金融資産/ 帳簿価額
FVTPL での測定 FVOCI -資本性
注 AC
に指定(FVO) 金融商品
2021 年12月31日現在 FVTPLで測定 負債以外 合計
現金、中央銀行および
郵便局預け金 B.1 1,483
0 0 0 0 1,483
短期国庫証券・負債証券
ポートフォリオ B.2 43,063
202 6,032 0 0 49,297
金融機関および対顧客貸付金
および預け金 C/D 490,603
17,113 2,814 0 0 510,530
株式およびその他の変動利付証券 B.3 0
784 17,490 598 0 18,872
デリバティブ資産 Q 0
0 41,734 0 0 41,734
有形固定資産 E 0
0 0 0 374 374
無形資産 E 0
0 0 0 58 58
その他の資産/払込請求済だが
払込未済の応募済資本金および
準備金 G.1/W.1 1,134
0 0 0 183 1,317
前払金 0
0 0 0 272 272
売却目的保有資産 0
0 0 0 0 0
合計
536,283 18,099 68,070 598 887 623,937
金融機関および顧客に対する債務 H 25,393
0 0 0 0 25,393
債務証書借入 I 443,226
30,677 0 0 0 473,903
デリバティブ負債 Q 0
0 29,530 0 0 29,530
その他の負債 G.2 3,368
0 340 0 1,274 4,982
繰延収益 F 0
0 0 0 443 443
引当金 J/D.4 0
0 0 0 8,666 8,666
合計
471,987 30,677 29,870 0 10,383 542,917
195/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
強制的に 金融資産/ 帳簿価額
FVTPL での測定 FVOCI -資本性
注 AC
に指定(FVO) 金融商品
2020 年12月31日現在 FVTPLで測定 負債以外 合計
現金、中央銀行および
郵便局預け金 B.1 835
0 0 0 0 835
短期国庫証券・負債証券
ポートフォリオ B.2 39,397
213 5,506 0 0 45,116
金融機関および対顧客貸付金およ
び預け金 C/D 492,921
17,478 1,808 0 0 512,207
株式およびその他の変動利付証券 B.3 0
576 12,232 515 0 13,323
デリバティブ資産 Q 0
0 53,286 0 0 53,286
有形固定資産 E 0
0 0 0 372 372
無形資産 E 0
0 0 0 39 39
その他の資産/払込請求済だが
払込未済の応募済資本金および
準備金 G.1/W.1 1,455
0 0 0 81 1,536
前払金 0
0 0 0 320 320
売却目的保有資産
11 0 0 0 0 11
合計 534,619
18,267 72,832 515 812 627,045
金融機関および顧客に対する債務 H 18,201
0 0 0 0 18,201
債務証書借入 I 455,034
29,863 0 0 0 484,897
デリバティブ負債 Q 0
0 38,355 0 0 38,355
(1)
その他の負債 G.2 3,559
0 819 0 1,110 5,488
繰延収益 F 0
0 0 0 435 435
引当金 J/D.4
0 0 0 0 9,630 9,630
合計
476,794 29,863 39,174 0 11,175 557,006
(1) 財務書類の可読性を向上させるため、項目間での組替が行われている。
196/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
下表は、グループの各種類、各区分の資産および負債の公正価値を示したものである。
金融資産以外および金融負債以外の場合、帳簿価額を公正価値としている。
FVTPL での
強制的に FVOCI -資本性 金融資産/ 帳簿価額
AC 測定に指定
FVTPLで測定 金融商品 負債以外 合計
(FVO)
2021 年12月31日現在
現金、中央銀行および
郵便局預け金 1,483 0 0 0 0 1,483
短期国庫証券・負債証券
ポートフォリオ 43,120 202 6,032 0 0 49,354
金融機関および対顧客貸付金
および預け金 500,328 17,113 2,814 0 0 520,255
株式およびその他の変動利付
証券 0 784 17,490 598 0 18,872
デリバティブ資産 0 0 41,734 0 0 41,734
有形固定資産 0 0 0 0 374 374
無形資産 0 0 0 0 58 58
その他の資産/払込請求済だが
払込未済の応募済資本金および
準備金 1,134 0 0 0 183 1,317
前払金 0 0 0 0 272 272
売却目的保有資産 0 0 0 0 0 0
合計 546,065 18,099 68,070 598 887 633,719
金融機関および顧客に対する
債務 25,393 0 0 0 0 25,393
債務証書借入 447,925 30,677 0 0 0 478,602
デリバティブ負債 0 0 29,530 0 0 29,530
その他の負債 3,368 0 340 0 1,274 4,982
繰延収益 0 0 0 0 443 443
引当金 0 0 0 0 8,666 8,666
合計 476,686 30,677 29,870 0 10,383 547,616
197/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
FVTPL での
強制的に FVOCI -資本性 金融資産/ 帳簿価額
AC 測定に指定
FVTPLで測定 金融商品 負債以外 合計
(FVO)
2020 年12月31日現在
現金、中央銀行および
郵便局預け金 835 0 0 0 0 835
短期国庫証券・負債証券
ポートフォリオ 39,738 213 5,506 0 0 45,457
金融機関および対顧客貸付金
および預け金 508,264 17,478 1,808 0 0 527,550
株式およびその他の変動利付
証券 0 576 12,232 515 0 13,323
デリバティブ資産 0 0 53,286 0 0 53,286
有形固定資産 0 0 0 0 372 372
無形資産 0 0 0 0 39 39
その他の資産 1,455 0 0 0 81 1,536
前払金 0 0 0 0 320 320
売却目的保有資産 11 0 0 0 0 11
合計 550,303 18,267 72,832 515 812 642,729
金融機関および顧客に対する
債務 18,201 0 0 0 0 18,201
債務証書借入 461,857 29,863 0 0 0 491,720
デリバティブ負債 0 0 38,355 0 0 38,355
(1)
その他の負債 3,559 0 819 0 1,110 5,488
繰延収益 0 0 0 0 435 435
引当金 0 0 0 0 9,631 9,631
合計 483,617 29,863 39,174 0 11,176 563,830
(1) 財務書類の可読性を向上させるため、項目間での組替が行われている。
198/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注U: セグメント報告(単位:百万ユーロ)
この注記で開示するセグメント情報はIFRS第8号により適用される「マネジメント・アプローチ」
に準拠して作成されたものであり、セグメントの定義とセグメント報告に用いる情報の作成は、いず
れもグループ内の経営判断用に作成された情報に基づいている。
EIB グループの報告セグメントは1つのみである。すなわち、欧州内外の貸付業務、借入業務、およ
び財務業務で構成される長期資金提供活動である。EIBのベンチャー・キャピタル投資は、単独では
2021年度に報告セグメントの決定のための量的基準のいずれも満たさず、そのため、EIBの長期資金提
供活動と共に報告されている。経営委員会は、事業運営に関するグループの最高意思決定機関とし
て、EIBの長期資金提供活動の業績を記した内部経営報告書を少なくとも四半期に1回検証する。
プライベート・エクイティ/ベンチャー・キャピタルおよびインフラストラクチャー投資ならびに
保証供与を通じてEIFが行っている中小企業(SME)向け金融支援は、2021年、2020年ともに報告セグ
メントの決定に係る量的基準のいずれも満たしておらず、報告セグメントの収益、損益ならびに資産
および負債の調整では「その他」として開示されている。
長期貸付業務
報告セグメントの情報
2021 年 2020 年
対外収益:
正味受取利息 3,097 2,971
正味株式収益 777 257
正味受取手数料 -67 -3
金融業務損益 5,216 600
-1 6
その他の業務収支
セグメント収益合計 9,022 3,831
その他の重要な非現金項目:
330 -27
貸付金および株式の減損損失
330 -27
7,994 2,599
報告セグメントの利益
619,097 624,084
報告セグメントの資産
541,726 555,751
報告セグメントの負債
199/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
報告セグメントの収益、利益ならびに資産および負債の調整
2021 年 2020 年
収益:
報告セグメントの収益合計 9,022 3,831
636 192
その他の収益
連結収益 9,658 4,023
利益
報告セグメントの利益合計 7,994 2,599
449 38
その他の利益
連結損益 8,443 2,637
資産:
報告セグメントの資産合計 619,097 624,084
4,842 2,961
その他の資産
連結資産合計 623,939 627,045
負債:
報告セグメントの負債合計 541,726 555,751
1,189 1,255
その他の負債
542,915 557,006
連結負債合計
200/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注V: 契約債務、偶発債務、担保差入資産およびその他の注記事項(単位:千ユーロ)
グループは顧客の財務上のニーズを満たすために貸付に関連する様々な金融商品を使用している。
グループは、融資枠、スタンドバイおよびその他の信用状、保証、レポ取引枠、ノート発行ファシリ
ティならびにリボルビング・アンダーライティング・ファシリティを提供している。保証は、一定条
件を満たすことを条件として、顧客が第三者に対して債務不履行を起こした場合にグループが弁済を
行うという取消不能の保証である。
これらの商品の契約額は、顧客が債務不履行を起こした場合におけるグループにとってのリスクの
最高額である。このリスクは、融資ファシリティを提供する際に伴うリスクに類似しており、同等の
リスク管理プロセスおよび特定の与信リスク管理方針により管理されている。
2021 年12月31日および2020年12月31日現在の契約債務、偶発債務、およびその他の注記事項は以下
のとおりである(額面価格、単位:千ユーロ)。
2021 年 2020 年
12月31日 12月31日
契約債務:
- EBRD払込未請求資本
712,630 712,630
- 未実行貸付金(注D.1)
金融機関 31,936,008 32,365,353
91,041,283 81,697,777
対顧客
122,977,291 114,063,130
- プライベート・エクイティおよびベンチャー・キャピ
タル事業への未実行額 5,525,911 5,390,859
- 投資基金およびインフラ基金への未実行額
3,203,307 3,273,437
- 未実行代替貸付金
223,950 223,950
偶発債務および保証:
- 第三者からの貸付金に係るもの
30,901,227 21,982,164
(*)
第三者に代わって保有している資産 :
- イノベーション基金
4,202,032 0
- インベストメント・ファシリティ・コトヌー
4,097,718 3,578,669
- 近代化基金
2,957,006 0
- イノベーターのためのEU資金提供(InnovFin)
1,976,460 1,836,483
- NER300
1,139,006 1,958,977
- ファンド・オブ・ファンズ(JESSICA II)
1,021,159 851,994
- コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(CEF)
876,872 803,347
- JESSICA(保有基金)
611,609 549,216
- COSME借入保証ファシリティ(LGF)および成長株式投
資ファシリティ(EFG) 606,867 610,789
-汎ヨーロッパ保証基金 595,260 0
- EUアフリカ・インフラ信託基金
473,359 481,831
- 欧州構造投資基金(ESIF)
458,942 444,895
- 中小企業向け欧州共同財源(JEREMIE)
275,376 311,157
- イタリア向けSMEイニシアチブ
263,392 165,539
- 欧州戦略投資基金(「EFSI EIF」)
248,261 171,248
201/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021 年 2020 年
12月31日 12月31日
- ルーマニア向けSMEイニシアチブ
236,188 240,293
- REG
193,115 159,057
- 資金パートナーシップ・プラットフォーム
187,315 138,271
- GF ギリシャ
162,285 162,004
- 特別部門
132,372 182,785
- GIF 2007
110,383 67,375
- 雇用および社会イノベーション・プログラム(EaSI)
103,276 116,387
- InnovFin中小企業保証
99,327 75,964
- リスク・シェアリング・ファイナンス・ファシリティ
(RSFF)(リスク・シェアリング・インスツルメント
(RSI)を含む) 91,629 105,733
- ブルガリア向けSMEイニシアチブ
87,104 93,965
- InnovFin エクイティ
77,164 60,177
- 欧州近隣パートナーシップ枠組み(ENPI)
72,537 77,135
- マルチ・アニュアル・プログラム(MAP)エクイティ
64,594 53,751
- フィンランド向けSMEイニシアチブ
62,275 67,943
- SMEG 2007
56,658 64,996
- エネルギー効率関連プライベート・ファイナンス商品
53,438 53,745
- 国際開発協力機構(AECID)
53,087 56,952
- 加盟候補国向け支援制度(IPA)II
52,626 36,137
- 文化・クリエイティブ部門保証ファシリティ
52,087 43,435
- 深化した包括的自由貿易協定地域(DCFTA)
50,740 52,269
- 西バルカン諸国企業開発および新規事業育成ファシリ
ティ(WB EDIF)
46,649 48,560
- NPI
43,245 13,349
- 近隣インベストメント・ファシリティ(NIF)信託基
金 38,259 42,483
- 欧州戦略投資基金(EFSI)-欧州投資アドバイザ
リー・ハブ(EIAH) 35,559 16,633
- 近隣インベストメント・ファシリティ(NIF)リスク
資本ファシリティ 35,454 28,563
- マルチ・アニュアル・プログラム(MAP)ギャラン
ティー 30,652 30,445
- グレーター・アナトリア・ギャランティー・ファシリ
ティ(GAGF) 30,060 30,781
- マルタ向けSMEイニシアチブ
26,629 20,779
- 欧州地中海投資パートナーシップ制度(FEMIP)信託
基金 21,864 27,577
- 連邦経済技術省
19,680 18,031
- 多地域保証プラットフォーム・イタリア(AGRI)
17,297 17,400
- EPTA信託基金
15,659 19,509
- 自然環境保護資金調達ファシリティ
10,274 10,731
- 技術移転アクセラレーター(TTA)トルコ
9,113 5,938
- BIF
3,907 4,623
- ドイツ・コロナ・マッチング・ファシリティ(CMF)
3,630 62,423
- 学生ローン保証ファシリティ
3,570 4,550
- グローバル・エネルギー効率・再生可能エネルギー基
金(GEEREF) 3,457 3,548
202/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021 年 2020 年
12月31日 12月31日
- ポーランド・グロース・ファンド・オブ・ファンズ
(PGFF) 2,990 2,575
- ドイツ未来基金成長ファシリティ
2,849 0
- スペイン向けSMEイニシアチブ
2,022 2,018
- ドイツのためのメザニン・ダッハ・ファンド(MDD)
1,809 2,157
- アルプス地域成長投資プラットフォーム(AlpGIP)
1,409 1,521
- LfA-EIFファシリティ
1,115 1,826
- EU貿易振興・競争力向上プログラム
968 1,056
- GEEREF技術支援ファシリティ
775 727
- 中央ヨーロッパ・ファンド・オブ・ファンズ
526 1,409
- 技術移転パイロット・プロジェクト(TTP)
516 471
- 欧州技術ファシリティ
412 1,068
- G43信託基金
284 284
- グリーン・フォー・グロース・ファンド(GGF)
7 7
- ギャランティー・ファンド
0 2,855,047
0 11
- 欧州議会準備行動(EPPA)
22,212,159 16,948,619
その他の項目:
- 金利スワップの想定元本(注S.2.5.2)
559,081,060 538,995,110
- 通貨スワップ契約(受取)の想定元本(注S.2.5.2)
247,683,252 223,256,109
- 通貨スワップ契約(支払)の想定元本
245,975,779 226,957,983
- 短期通貨スワップ契約(受取)の想定元本(注Q.3)
25,123,575 22,374,714
- 短期通貨スワップ契約(支払)の想定元本
24,956,095 22,471,884
- 先物契約
8,274,106 0
- 為替予約取引(注Q.3)
402,384 551,359
(*)
- 借入債務支払に係る特別預け金
582 810
(*) 運用下の資産は、利用可能な最新の数値に基づいて、オフ・バランスシート項目として開示されている。比較対象
数値は、利用可能な最新の情報を反映するために修正再表示されることがあり得る。
(**) この項目は、グループが支払代理人に支払ったが、グループが発行した債券の保有者による支払いのための提示が
なされていない、期日到来済みのクーポンおよび債券の金額に相当する。
203/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
V.1. イノベーション基金
イノベーション基金は、指令2003/87/ECの第10a条(8)により設立され、気候変動の緩和に著しく寄
与する環境上安全な二酸化炭素回収・有効利用(「CCU」)および生産された炭素集約的なものに代わ
る製品を含む、低炭素技術およびプロセスにおけるイノベーションを全加盟国で支援し、環境上安全
な二酸化炭素の回収・貯留(CCS)ならびに革新的な再生可能エネルギーおよびエネルギー貯蔵技術を
目的とするプロジェクトの建設および運営を振興することを支援する。EIBは、イノベーション基金の
個別財務書類を作成している。
V.2. インベストメント・ファシリティ・コトヌー
EIB が管理するインベストメント・ファシリティは、アフリカ・カリブ海および太平洋地域諸国と欧
州連合および加盟国との間における協力・開発に関する2000年6月23日付(その後改正済)のコト
ヌー協定に基づき設立されたものである。EIBは、インベストメント・ファシリティの個別財務書類を
作成している。
V.3. 近代化基金
改正EU排出量取引制度(ETS)指令第10d条に基づき設立された近代化基金は、エネルギーシステム
を近代化し、次のEUの受益加盟国(「MS」)10ヵ国のエネルギー効率を改善することを目的としてい
る。ブルガリア、チェコ共和国、クロアチア、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、
ポーランド、ルーマニアおよびスロバキア。近代化基金は、再生可能エネルギー源からのエネルギー
の生成と利用、エネルギー効率、エネルギー貯蔵、地域暖房、パイプラインおよびグリッドを含むエ
ネルギーネットワークの近代化、労働者の再配置、技能再教育およびスキルアップ、教育、求職活動
ならびに起業への投資を支援し、EIBは近代化基金の個別財務書類を作成している。
V.4. イノベーターのためのEU資金提供(InnovFin)
InnovFinまたは「InnovFin-イノベーターのためのEU資金提供」は、EUの新規の2014年-2020年の
研究プログラムである「ホライズン2020」に基づくEIB、EIFおよび欧州委員会の共同の取組みであ
る。2013年12月11日、研究およびイノベーションのための包括プログラム(2014年-2020年)である
ホライズン2020を確立し、決定事項N1982/2006/ECを廃止する欧州議会および理事会規則(EU)
N1291/2013(「ホライズン2020規則」)が採択された。2014年6月12日、欧州委員会、EIBおよびEIF
は、金融商品であるInnovFinを設定する委任契約を締結した。InnovFinは、EIBグループによって提供
される一連の統合され、かつ補完的な金融ツールおよびアドバイザリー・サービスで構成され、零細
企業から巨大企業までの企業による投資を支援するために研究およびイノベーション(「R&I」)のバ
リュー・チェーン全体を対象としている。EIBは、InnovFinの個別財務書類を作成している。
204/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
V.5. NER300
EIBは、NER300イニシアチブ(炭素回収・貯蔵実証プロジェクト、および革新的再生可能エネルギー
技術のための資金調達プログラム)を遂行する際、エージェントとしてECをサポートする。当該ファ
シリティには、i) EU の割当量単位(EUA)の収益化、ii)EUA収益化活動を通じて受け取る資金の管
理および支出、といった2つの活動が含まれる。EIBは、NER300のために個別財務書類を作成してい
る。
V.6. ファンド・オブ・ファンズ(「JESSICA II」)
ファンド・オブ・ファンズ(「FoF」)は、欧州構造投資基金(「ESIF」)が、2014年から2020年ま
での間に加盟国運用プログラムにより資金供給した地域金融商品(「DFI」)で構成されている。FoF
は、選定された金融仲介機関と協力して、貸付、出資および保証の実行を通じて、最終受領者の資金
調達を促進している。
EIB は、ファンド・マネージャーとして、関係運営当局から資金供給(拠出)の取りまとめを行い、
拠出者と合意した投資戦略に従って、金融仲介機関を介して当該資金を投資している。EIBは、各ファ
ンド・オブ・ファンズの個別財務書類を作成している。
V.7. コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(「CEF」)
コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(「CEF」)は、運輸、電気通信およびエネルギーのイ
ンフラストラクチャー・セクターにおける共益プロジェクトを支援するために、欧州横断的なネット
ワークに欧州連合の財政支援を提供することを目的とした、EIBと欧州委員会の間の共同協定である。
欧州委員会は、CEFに基づく負債性金融商品の業務および管理をEIBに委託しており、これにより、欧
州横断交通網プロジェクト融資保証手段(「LGTT」)およびプロジェクト債券イニシアチブ
(「PBI」)の試験段階への連続性が確保される。LGTTとPBIは、CEFの下で2016年1月1日に統合され
た。CEF委任契約は、最新かつ共通のリスク・シェアリングの取決めを定めている。EIBは、CEFの個別
財務書類を作成している。
V.8. JESSICA(保有基金)
JESSICA (都市部への持続可能な投資に対する欧州共同支援)は、欧州委員会とEIBが欧州評議会開
発銀行と共同で策定したイニシアチブである。
JESSICA 保有基金はJESSICAイニシアチブに関連して使用される。新しい手続きに基づき、関係運営
当局は、持続可能な総合都市開発計画の一部を形成するプロジェクトへの有償投資を行うために、自
身のEU助成金の一部を使用する選択権を付与される。EIBは、運用者として、関係運営当局から受領し
た資金を取りまとめ、拠出者と合意した投資ガイドラインに従って都市開発基金に投資している。EIB
は、JESSICAの個別財務書類を作成している。
205/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
V.9. COSME借入保証ファシリティ(LGF)および成長株式投資ファシリティ(EFG)
中小企業の資金調達の困難に対処するため、COSMEは、借入保証ファシリティ(「LGF」)および成
長株式投資ファシリティ(「EFG」)を設立している。LGFおよびEFGは、中小企業が借入またはエクイ
ティの形での資金調達の利用可能性を向上させることを目的としている。当該金融商品にも、SMEイニ
シアチブに基づくEUの拠出制度が含まれている。EFGは、域内企業の成長および研究・イノベーション
を支援する持分金融商品の形で組成されている。LGFは、直接的または間接的な保証金融商品の形で組
成されている。LGFの目的は、中小企業向けの資金調達市場の構造的な欠陥の軽減に貢献し、中小企業
向けのより多様な資金調達市場の創生を支援することである。直接的または間接的な保証を通じて、
LGFは、成長力のある中小企業が資金調達の際に直面するとりわけ困難な状況に対処するため、借入に
よる資金調達時に保証を行うことを目的としている。さらに、適格かつ透明性の高い証券化取引のメ
ザニン・トランシェを保証することによって、LGFは中小企業の資金調達に新たな手段を提供すること
を目指している。EIFは、COSME LGFおよびEFGの個別財務書類を作成している。
V.10. 汎 ヨーロッパ 保証基金(「EGF」)
EGF は2020年4月23日に欧州理事会により、EU全体のCOVID-19対応パッケージの一部として承認され
た。2021年7月現在、22ヵ国の加盟国が約244億ユーロと見込まれる保証枠で参加を確認しており、参
加国の事業体のみが支援適格となっている。EGFは、金融仲介機関の商業的資金供与の要件を満たす
が、COVID-19のパンデミックの経済的影響により苦戦している高リスク事業と最終的な受益者に資金
提供を行うことを目的としている。この理由から、EGFはSMEに焦点を当てており、SMEはEGFが支援す
る資金供与の少なくとも65%の恩恵を受けることとなる。EGFはEIBとEIFによって共同で実施されてお
り、それぞれが約半分の金額を担当するが、商品構成は異なっている。EIFは、上限付きおよび上限な
しのポートフォリオ保証と間接的な株式型投資(ファンド)を想定していたのに対して、EIB側では、
展開されている商品は、連動型リスク・シェアリング、ベンチャー債、合成資産ベース証券である。
EIBは、EGFの個別財務書類を作成している。
V.11. EU-アフリカ・インフラ(「EUAI」)信託基金
EUAI 信託基金は、創設・援助組織としての欧州連合を代表するECと、運用者としてのEIBとの間の、
信託基金協定に基づき創設され、創設後は、欧州連合加盟国もこの協定に資金提供者として参加でき
る。2006年2月9日、ECとEIBは、EU-アフリカ・インフラ・パートナーシップを共同で推進し、特に
それを支援するEU-アフリカ・インフラ信託基金を設立する旨の覚書を交わした。EIBは、EUAI信託基
金の個別財務書類を作成している。
206/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
V.12. 欧州構造投資基金(「ESIF」)
欧州構造投資基金(「ESIF」)の下、EIFは、加盟国により2015年11月以降の保有基金管理運営者と
して任命され、ESIFファンドの管理・運営を行っている。ESIFイニシアチブは、中小企業の資金調
達、ならびにプライベート・エクイティ・ファンド、ギャランティー・ファンドおよびローン・ファ
ンドなどの金融工学商品の利用を促進することを目的としている。EIFは、現在、加盟国・地域(バス
=ノルマンディー地域圏およびラングドック=ルシヨン地域圏)との間で締結した19件のESIF資金供
与契約を管理している。EIFは、ESIFの個別財務書類を作成している。
V.13. 中小企業向け欧州共同財源(JEREMIE)
JEREMIE (中小企業向け欧州共同財源)は、欧州委員会の地域政策総局(DG Regio)とEIBグループ
によるイニシアチブである。EIFは、JEREMIEの個別財務書類を作成している。
V.14. イタリア向けSMEイニシアチブ
2016年中に、SMEイニシアチブに関連して、EIFとフィンランド、ブルガリア、ルーマニアおよびイ
タリアの運用当局は、ホライズン2020金融商品に基づくフィンランド、ブルガリア、ルーマニア向け
およびCOSME LGFとの関係で結果的にイタリア向けとなる特定の配分に関して実施される専用ウィンド
ウの実行および運営について、4件の個別の資金供与契約を締結した。これらのSMEイニシアチブは、
各国の適格中小企業向け新規デット・ファイナンスのポートフォリオのために、ホライズン2020に関
して上限を設けず保証を提供することを目的としている。EIFは、イタリア向けSMEイニシアチブの個
別財務書類を作成している。
V.15. 欧州戦略投資基金(「EFSI EIF」)
適用されるEFSI規則に基づき、欧州委員会およびEIBは、EFSIの管理・運営、EUの保証提供に関する
契約(「EFSI契約」)、および欧州投資アドバイザリー・ハブ(「EIAH」)の実施に関する契約
(「EIAH契約」)を締結した。
EFSI 契約に基づき、ECは、EFSIが支援するプロジェクトに関して、EIBにEUの保証を提供した。EUの
保証に充当する資産は、欧州委員会が直接管理する。EFSIが支援するプロジェクトは、通常のEIBのプ
ロジェクトのサイクルおよびガバナンスに従う。また、EFSIは自己専用のガバナンス構造を有してい
る。当該構造は、EFSIの下で行う投資において、欧州に対する投資の妨げとなる市場のリスク負担の
失敗に対処するという特別の目的に、確実に重点が置かれ続けるようにするために設置されている。
EIAH は、プロジェクトおよび投資に対し、財務以外の支援を拡充することを目的としている。EIAH
は3つの補完的な構成要素であるa) 公共受益者および民間受益者向けの広範なアドバイザリー技術支
援プログラムおよびイニシアチブへの足掛かり、b) パートナー機関の間での専門知識の活用、交換お
よび普及を目的とした協同プラットフォーム、およびc) 既存のアドバイザリー・サービスの強化もし
くは拡大または未対処のニーズに対応する新規のサービスの創出、で構成される。EIBは、EIAHの個別
財務書類を作成している。
207/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
EFSI -欧州基金戦略投資
EFSI は、戦略的投資のための民間資金を動員することにより、EUにおける現在の投資ギャップを克
服することを支援するために、EIBグループと欧州委員会が共同で開始したイニシアチブである。
EFSI はEU予算からの160億ユーロの保証であり、EIBの自己資金50億ユーロの配分によって補完され
る。EFSIは、EIBとEIFがそれぞれ実施するイノベーション・インフラ・ウィンドウ(「IIW」)とSME
ウィンドウ(「SMEW」)の両ウィンドウから構成される。
総額50億ユーロは、EFSIの下で当初以下のようにSMEWに割り当てられる。 (i) EUの保証によって間
接的に裏付けられる最大25億ユーロ、(ii) 既存のRCRマンデートを増額させるために、EIBが自己のリ
スク負担で拠出する25億ユーロ。EFSI運営理事会は、SMEWへのEU保証枠への配分をあと5億ユーロ
(すなわち、その時々の最大金額30億ユーロまで)増額する権限を有している。
EFSI - プライベート・クレジット
このプログラムは、現金投資商品と投資家保証商品の2つの優遇商品で構成される。
現金投資商品は、EIFの適格DDFへの直接投資を可能にし、初回クロージングを優先させる。これら
のファンド投資は、ファンドの組成を支援し、EIFにファンド・ガバナンスと投資戦略に関するイン
プットを提供する機会を与える。EIFの直接投資は、EIFの参加とデューデリジェンスによって相当な
安心感を得る他のファンド投資家を呼び込むことを目的としている。
投資家保証商品は、EIFが既に投資を確約しているDDFへの機関投資家の投資を一部保証(最大
50%)することにより、EIFが資金調達の支援を拡大することを可能にする。この保証商品は、この新
生資産クラスに未経験の投資家に訴求するだけでなく、すでに投資を検討している投資家からのより
大きな投資を促すと期待されている。投資家保証商品は、資産クラスの拡大に貢献することができ
る。
EFSI - コンビネーション商品
EFSI の財源とEAFRD国家財源を組み合わせて新たな金融商品を創出するための枠組み商品。資金調達
ギャップに対処し、EU加盟国とEUの政策目標が一致する特定の優先度の高い投資目標を支援すること
を目的としている。農業は当初、中小企業が大きな資金調達ギャップに悩む分野として優先されてき
ている。
EFSI- 技能・教育
技能・教育保証パイロットは、上限付き(再)保証の形態で、教育、訓練、技能の分野における資
金調達手段を拡大することを目的としたもので、次のMFFに向けてEFSI 2の下で試験的に実施される商
品の一つである。これは、学生および成人の学習者向け(SMEも対象とすることができる)の、広範な
教育訓練プログラムをカバーする幅広い適格性を有し、様々な仲介機関を通じて実施される。
- カテゴリーA:学生および学習者
- カテゴリーB:従業員の技能と技能の活用に投資している企業
- カテゴリーC:教育、訓練、技能および関連サービスを提供する組織(幼稚園、保育所、幼児サー
ビスなど)
EFSI-ESCALAR
ESCALAR は、欧州の高成長企業(スケールアップ)が悩む資金調達ギャップをターゲットとした300
百万ユーロの試験的マンデートである。ESCALARは、スケールアップに投資の重点を置いたファンドに
投資する。ESCALARは、他の投資家とは異なる種類株式またはファンド受益証券を通じて、ファンドお
よびファンドのサイド・ビークルに持分投資を行う。ESCALARの投資は、他の投資家による投資とは異
208/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
なる条件となる。具体的には、(1) 一定の事前に定義されたダウンサイド・シナリオ時におけるファ
ンドの分配に係る優先権、(2) 投資の返還に関する劣後性および請求権の減額。
V.16. ルーマニア向けSMEイニシアチブ
2016 年中に、SMEイニシアチブに関連して、EIFとフィンランド、ブルガリア、ルーマニアおよびイ
タリアの運用当局は、ホライズン2020金融商品に基づくフィンランド、ブルガリア、ルーマニア向け
およびCOSME LGFとの関係で結果的にイタリア向けとなる特定の配分に関して実施される専用ウィンド
ウの実行および運営について、4件の個別の資金供与契約を締結した。これらのSMEイニシアチブは、
各国の適格中小企業向け新規デット・ファイナンスのポートフォリオのために、ホライズン2020に関
して上限を設けず保証を提供することを目的としている。EIFは、ルーマニア向けSMEイニシアチブの
個別財務書類を作成している。
V.17. REG
これは3つの地域マンデートに対応している。
アイルランド経済構造安定性投資プラットフォーム(「アイルランドSME」)。アイルランドSME
は、アイルランド政府とEIFの間で締結された、アイルランドの国立産業振興銀行との間で、主に中期
貸付およびすべてのSME向けに注力し、SMEイニシアチブと類似した構造によって裏付けられた上限を
設けない当事者間債務・権利共通保証契約を結ぶためのマンデートである。国家資金がファースト・
ロスを担当し、EIBグループが中位リスク(EFSIを通じたEIB)および優先リスク(EIBおよび潜在的に
EIF)を担当する。
フランスの「投資計画2018-2022」(マクロン投資計画として知られている)の下で、農業専用窓口
が、このセクターへの投資50億ユーロを動員するために設置された。これに関連して、フランス農業
省はEIFに対し、7.5億ユーロから11億ユーロの間のフランスの農家向けの新たなデット・ファイナン
スの呼び水となることを目的とした保証制度の設計を要請した。
この点を考慮して、フランス農業省はこの制度に60百万ユーロを割り当てることを決定し、EIFに対
し、FMA拠出金とEFSI拠出金を合計して45百万ユーロを上限とするよう要請した。
Prêt Participatif Grand Est は、グラン・エスト地域圏とEIFの緊密な協力の結果としてフランス
において導入された新たな金融商品である。この基金は、「グラン・エスト地域圏ビジネス法」とし
て知られる同地域の意欲的な復興プログラムの重要な構成要素であり、地元の起業家のために250百万
ユーロを超える劣後ローン(prêts participatifs)を動員することを目的としている。
209/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
この金融商品はグラン・エストの自己財源から資金供与され、金融仲介機関を通じて展開されるEIF
の標準モデルであるファースト・ロス・ポートフォリオ保証(「FLPG」)を土台に構築される。期待
される成果は次のとおりである。
- このイニシアチブにコミットされた地域財源に大きなレバレッジ効果を生み出すこと
- 危機の影響を受けたが依然として成長のための実行可能なプロジェクトを追求する意志のある企
業を含むSMEを支援することにより、市場に大きな影響を与えること
- グラン・エストを拠点とする起業家に優遇的な融資条件を提供すること
V.18. 資金パートナーシップ・プラットフォーム(「PPF」)
PPFはEIBが運用する複数地域、複数拠出者、かつ複数セクターの、複数のファンドを組み込んだプ
ラットフォームであり、持続可能な発展のために金融の流れを増加させる必要性を考慮し、また欧州
投資銀行の成功体験を基礎として設立された。PPFに基づく基金は、プラットフォーム規則に従って導
入された。EIBは、PPFの個別ベースの合算財務報告を作成している。
V.19. GF ギリシャ
ファンドは、ギリシャ共和国、ECおよびEIBによる共同イニシアチブで、設立の目的は、ギリシャの
中小企業に対する融資を支援することである。ファンドは、ギリシャのために用意された構造基金の
未使用部分を使って設立されており、ギリシャのパートナー銀行経由で、EIBの中小企業向けローンの
保証を行う。EIBは、GF ギリシャの個別財務書類を作成している。
V.20 特別部門
特別部門は、総務会によって1963年5月27日に設定された。1977年8月4日の決議に基づき、その
目的は見直され、第三者の勘定で第三者の委託に基づいてEIBが実行した金融業務を記録するためとさ
れた。特別部門には、FED、MED/FEMIPおよび欧州開発金融機関民間部門開発ファシリティの保証部分
が含まれる。
V.21. GIF 2007
競争力および革新枠組みプログラムと技術移転パイロット・プロジェクトに基づくGIF 2007
(CIP/GIF 2007)において、EIFは、自己の名義で、ただし欧州委員会に代わり欧州委員会のリスクに
おいて、投資の取得、管理および処分を行う権限を与えられている。EIFは、GIF 2007の個別財務書類
を作成している。
V.22. 雇用および社会イノベーション・プログラム(「EaSI」)
EaSI保証金融商品は、欧州プログレス・マイクロファイナンス・ファシリティ(プログレス・マイ
クロファイナンス)に基づくマイクロクレジット保証の後継制度であるEaSIマイクロファイナンス保
証を中心に構成されている。プログレス・マイクロファイナンスに基づきマイクロクレジット提供者
に対する支援が拡大される予定である。
210/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
また、EaSI保証金融商品は、EaSIソーシャル・アントレプレナーシップ保証で構成される。これは
新しい商品であり、社会的企業の資金調達を促進し、社会的投資市場の発展を支援していくものであ
る。EIFは、EaSIの個別財務書類を作成している。
雇用および社会イノベーション基金(EaSI基金)は、EUマイクロファイナンスFCP-FISの新しいサブ
ファンドとして設立された。このマンデートは、2010年に設置された欧州プログレス・マイクロファ
イナンス・サブファンドの後継であり、財源は欧州委員会、EIB、EIFからの混合であり、目標規模は
200百万ユーロである。
EaSI基金は、新たな社会起業エコシステムの発展に貢献すると同時に、マイクロファイナンス市場
におけるEIFの役割を強化する。 EaSI基金が提供する貸付商品は、通常預金資金へのアクセスが限ら
れているノンバンクや小規模/ニッチ銀行(例えば、エシカルバンク)のような小規模な仲介機関の
資金調達ギャップに特に対応するものである。一方、大規模な銀行は、融資活動のために確保された
資金へのアクセスがあり、保証商品を通じて追加的なリスク・カバーを求める可能性がある。
V.23. InnovFin中小企業保証
ホライズン2020の「リスク・ファイナンスへのアクセス・プログラム」との関連で、このプログラ
ムは負債性金融商品および持分金融商品の設定を規定している。InnovFin 中小企業保証と呼ばれるリ
スク・シェアリング・ファシリティは、保証の形で組成され、EUの拠出金を一次的に不履行金額の補
てんに使用し、EIFのリスク・テイク能力を二次的に不履行金額の補てんに使用する。この制度の目的
は、研究・開発およびイノベーションにおいて顕著な活動を行っている中小企業および中堅企業に、
金融仲介機関が貸付またはファイナンス・リースを提供する動機を与えることである。EIFは、
InnovFin中小企業保証の個別財務書類を作成している。
V.24. リスク・シェアリング・ファイナンス・ファシリティ(「RSFF」)
RSFFは、欧州連合を代表するECとEIBとの間で締結され、2007年6月5日付で発効した協力協定に基
づき設立された。RSFFは、研究、技術開発と実証プロジェクトおよび技術革新への投資を育成するこ
とを目的としている。RSFFの一環として、EIFは、技術革新および研究を中心とする中小企業(SME)
および中堅企業のためのリスク・シェアリング・インスツルメント(「RSI」)を用意した。
RSIは、研究を推進する中小企業(「SME」)や中堅企業の借入やファイナンス・リースのため、銀
行やリース会社に保証を提供している。EIBは、RSIを含めたRSFFの連結財務書類を個別に作成してい
る。
V.25. ブルガリア向けSMEイニシアチブ
2016年中に、SMEイニシアチブに関連して、EIFとフィンランド、ブルガリア、ルーマニアおよびイ
タリアの運用当局は、ホライズン2020金融商品に基づくフィンランド、ブルガリア、ルーマニア向け
およびCOSME LGFとの関係で結果的にイタリア向けとなる特定の配分に関して実施される専用ウィンド
ウの実行および運営について、4件の個別の資金供与契約を締結した。これらのSMEイニシアチブは、
各国の適格中小企業向け新規デット・ファイナンスのポートフォリオのために、ホライズン2020に関
して上限を設けず保証を提供することを目的としている。EIFは、ブルガリア向けSMEイニシアチブの
個別財務書類を作成している。
V.26. InnovFin エクイティ
ホライズン2020金融商品は、対象となる研究およびイノベーションを支援するために、最終受領者
がリスクを伴う資金調達を活用しやすくすることを目的としている。当該金融商品には、貸付、保
211/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
証、株式その他のリスク・ファイナンスの形が含まれる。また、ホライズン2020金融商品は、アー
リーステージ投資ならびに既存および新規のベンチャー・キャピタル・ファンドの発展の促進、知的
財 産に係る知識移転および市場の改善、ベンチャー・キャピタル市場への資金の呼び込み、ならびに
全体として、新しい製品およびサービスの構想、開発およびデモンストレーションから商品化につな
げるための支援も目的としている。ホライズン2020負債性金融商品にも、SMEイニシアチブに基づくEU
の拠出実施制度が含まれている。
アーリーステージ向けInnovFinエクイティ・ファシリティは、革新的な企業に対し、特にアーリー
ステージのベンチャー・キャピタルまたはメザニン・キャピタルの形によるエクイティ・ファイナン
スを提供することにより、アーリーステージ投資ならびに既存および新規のベンチャー・キャピタ
ル・ファンドの発展を促進することを目的としている。EIFは、InnovFinプライベート・エクイティの
個別財務書類を作成している。
V.27. 欧州近隣パートナーシップ枠組み(「ENPI」)
欧州近隣政策の対象国における欧州連合の一般予算から資金調達される事業の実施について定めた
欧州連合とEIBとの間の枠組み協定は、ENPIを通じて実施される。EIBは、ENPIの個別財務書類を作成
している。
V.28. マルチ・アニュアル・プログラム(MAP)エクイティ
企業および起業のためのマルチ・アニュアル・プログラム(「MAP」)に基づき、EIFは欧州委員会
に代わり欧州委員会のリスクにおいてリソースの管理を行っている。EIFは、MAPエクイティの個別財
務書類を作成している。
V.29. フィンランド向けSMEイニシアチブ
2016 年中に、SMEイニシアチブに関連して、EIFとフィンランド、ブルガリア、ルーマニアおよびイ
タリアの運用当局は、ホライズン2020金融商品に基づくフィンランド、ブルガリア、ルーマニア向け
およびCOSME LGFとの関係で結果的にイタリア向けとなる特定の配分に関して実施される専用ウィンド
ウの実行および運営について、4件の個別の資金供与契約を締結した。これらのSMEイニシアチブは、
各国の適格中小企業向け新規デット・ファイナンスのポートフォリオのために、ホライズン2020に関
して上限を設けず保証を提供することを目的としている。EIFは、フィンランド向けSMEイニシアチブ
の個別財務書類を作成している。
212/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
V.30. SMEG 2007
競争力および革新枠組みプログラムに基づくSMEG 2007(CIP/SMEG 2007)において、EIFは、自己の
名義で、ただし欧州委員会に代わり欧州委員会のリスクにおいて、保証を付与する権限を与えられて
いる。EIFは、SMEG 2007の個別財務書類を作成している。
V.31. エネルギー効率関連プライベート・ファイナンス(「PF4EE」)商品
エネルギー効率関連プライベート・ファイナンス(「PF4EE」)商品は、エネルギー効率関連投資向
けの十分かつ低価格の商業金融の利用可能性が限定的であることに対処することを目的とした、EIBと
欧州委員会の協定である。この商品は、EU加盟国の国別エネルギー効率行動計画、またはその他のエ
ネルギー効率プログラムの実施を支援するプロジェクトを対象としている。2014年12月、欧州委員会
およびEIBは、金融商品であるPF4EEを設定する委任契約を締結した。EIBは、PF4EEの個別財務書類を
作成している。EIFは、PF4EEの個別財務書類を作成している。
V.32. 国際開発協力機構(「AECID」)
このパートナーシップ契約は、スペイン王国(スペインの国際開発協力機構(「AECID」))とEIB
との間で調印されたもので、モーリタニアおよびFEMIPによってカバーされる諸国(「南地中海沿岸地
域」)の活動に投資するために設立された。地域の零細企業や中小企業に関してリスク資本を提供す
ること、および民間セクターの幅広い発展に従事することを主目的としている。EIBは、AECIDの個別
財務書類を作成している。
V.33. 加盟候補国向け支援制度II(「IPA II」)
加盟候補国向け支援制度(「IPA」)に係る協定は、EUが「拡大国」の改革を財政面および技術面で
援助する支援措置である。加盟候補国向け支援ファンドも、持続性のある経済回復、エネルギー供
給、運輸、自然環境および気候変動などに関する目標をEUが達成できるよう支援する。IPA Iの後継制
度IPA IIは、すでに達成された成果を土台とし、2014年から2020年までの期間に117億ユーロを充当し
て構築される予定である。IPA IIの最も重要な革新性は、戦略的焦点にある。フレームワーク・パー
トナーシップ契約は、2015年末に締結され、EIBにより履行される。様々な「特別供与契約」の締結に
より、DG NEARからの財源が配分される。IPA II規則は2020年12月31日まで適用されたが、実施は依然
として継続している。EIBは、IPA IIの個別財務書類を作成している。
V.34. 文化・クリエイティブ部門保証ファシリティ
この金融商品は、文化・クリエイティブ部門向けに力を注ぐ欧州連合の主要プログラムであるクリ
エイティブ・ヨーロッパの下で設定され、欧州連合に代わってEIFにより運用される。このイニシアチ
ブは、EIFが保証や念書を選定金融仲介機関に提供することを認め、これにより金融仲介機関が文化・
クリエイティブ分野の企業家に対するデット・ファイナンスの提供を増やすことを可能とする。生成
された貸付金により、10,000社を超えるオーディオビジュアル(映画、テレビ、アニメーション、ビ
デオゲーム、マルチメディアを含む)、フェスティバル、音楽、文学、建築、記録資料、図書館、博
物館、美術工芸、文化遺産、デザイン、芸能、出版、ラジオ、視覚芸術など、広範囲のセクターのSME
が支援を受けると予想される。EIFは、文化・クリエイティブ部門保証ファシリティの個別財務書類を
作成している。
213/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
V.35. 深化した包括的自由貿易協定地域(「DCFTA」)
欧州投資銀行および欧州連合は、2016年12月19日に、深化した包括的自由貿易協定地域
(「DCFTA」)の委任契約に署名した。東部DCFTAイニシアチブは、EUと協力協定を締結した国である
ジョージア、モルドバおよびウクライナに対し、的を絞った金融および技術的支援を中小企業
(「SME」)向けに提供することによって、これら3国の経済発展を強化することを目的としている。
DCFTAの一環として、EIFは保証枠ウィンドウの実行および管理を行う。EIFが実行および展開する保証
枠ウィンドウは、各国の仲介銀行がより多くのリスクを取り、各国経済で十分なサービスを受けてい
ないセグメントに支援を差し伸べる動機を与えるための、SMEポートフォリオ・ファースト・ロス保証
で構成される。EIBは、保証枠ウィンドウを含めたDCFTAの連結財務書類を個別に作成している。
V.36. 西バルカン諸国企業開発および新規事業育成ファシリティ(WB EDIF)
西バルカン諸国企業開発および新規事業育成ファシリティ(「WB EDIF」)は、2012年12月にEC拡大
総局(「DG ELARG」)、EIBグループおよび欧州復興開発銀行(「EBRD」)の間で締結された共同イニ
シアチブである。同イニシアチブは、加盟候補国向け支援制度(「IPA」)基金の展開を通じて、西バ
ルカン諸国の中小企業の資金へのアクセスの改善および同地域の経済発展を育成することを目的とし
ている。WB EDIFにおいて、EIFはプラットフォーム・コーディネーター、企業拡大基金(「ENEF」)
におけるECのトラスティー、企業育成基金(「ENIF」)におけるECのトラスティーおよびギャラン
ティー・ファシリティの管理者としての役割を果たす。EIFは、WB EDIFの個別財務書類を作成してい
る。
V.37. 国家開発機関(「NPI」)
- NPI証券化イニシアチブ(「ENSI」)
EIFならびにKfW、フランス公的投資銀行(bpifrance)、CDP、マルタ開発銀行ワーキンググルー
プ、IFD、ICOおよびBBBを含めたいくつかの国家開発機関(「NPI」)は、中小企業(「SME」)への資
本市場を通じた資金提供の増加を目的とした協力およびリスク・シェアリング・プラットフォームで
あるEIF-NPI証券化イニシアチブ(「ENSI」)を開始した。このSME証券化取引における相互協力の目
的は、民間セクターからの資金を触媒としてSME証券化市場を活性化することによって、欧州のSME向
けファイナンスの利用可能性を高める点にある。これは、より広範囲にSMEの支援を行き渡らせようと
する欧州戦略投資基金の考えを反映したものである。
このマンデートの下で、EIFはCassa Depositi e Prestiti (「CDP」)からの最大100百万ユーロの
資金を運用することが可能となる。マンデートの下でのCDPの資金は、EIFからの1対1のマッチング
拠出による共同投資の形態で、技術移転ファンド/プラットフォームへの投資を通じて展開され、こ
の結果、EIFがこのプログラムの下で運用する総資金は最大200百万ユーロとなる。
NPIエクイティ・プラットフォーム
EIF-NPIエクイティ・プラットフォームは、EIFが2016年に開始した共同イニシアチブであり、EIFと
EU加盟国の国家開発機関(NPI)または国家開発銀行(NPB)との間で知識共有およびベスト・プラク
ティスの推進を目的としている。その目標は、中小企業および中規模資本企業向けの資金調達へのア
クセスを向上させ、株式市場の最適化を支援し、国内、EU、民間の資金調達源を均衡させることであ
る。
214/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
V.38. 近隣インベストメント・ファシリティ(「NIF」)信託基金
EIB が管理するNIF信託基金は、欧州近隣政策(「ENP」)の戦略的目標を達成するために設立され
た。当基金は、SME向け、人的資源育成を含む社会セクター向け、および地方自治体のインフラストラ
ク チャー開発向けの支援を通じて、より適切で持続可能性の高いエネルギーおよび輸送の相互接続性
を確立し、エネルギー効率の向上および再生可能エネルギー資源の利用促進を進め、気候変動および
より広い意味での環境への脅威に対処し、スマートで持続可能かつ包括的な成長を促進することに重
点を置いている。EIBは、NIF信託基金の個別財務書類を作成している。
V.39. 近隣インベストメント・ファシリティ(「NIF」)リスク資本ファシリティ
近隣インベストメント・ファシリティ(「NIF」)リスク資本ファシリティは、欧州連合の一般予算
を財源とする。主な目標として、民間セクターの開発、包括的な成長および民間セクターの雇用創出
を支援するため、南方の近隣地域のSMEにエクイティ・ファイナンスおよびデット・ファイナンスへの
アクセスを提供することに注力している。
このファシリティは、エクイティ・ファイナンスおよびデット・ファイナンスの手段から成る金融
商品ウィンドウと、技術支援サービスから成る付加的任務ウィンドウで構成される。EIBは、金融商品
ウィンドウの個別財務書類を作成している。
V.40. マルチ・アニュアル・プログラム(MAP)ギャランティー
この原資は、プライベート・エクイティと保証商品に等分されている。ESU 1998 (「G&E」)およ
びESU 2001 (「MAP」)と呼ばれるエクイティ部門は、ETFの起業投資を取り扱っている。SMEG 1998
G&EおよびSMEG 2001 MAPと呼ばれる保証部門は、受益者の事業に対して保証を提供する。EIFは、MAP
ギャランティーの個別財務書類を作成している。
V.41. グレーター・アナトリア・ギャランティー・ファシリティ(「GAGF」)
2010 年5月に調印されたGAGFに基づき、EIFは欧州連合およびトルコによって地域競争力戦略プログ
ラムに割り当てられた加盟候補国向け支援制度(IPA)の資金管理をしている。このファシリティは、
トルコで最も開発が遅れている地域の中小企業および零細企業に対し、トルコの大手銀行と連携して
実態に合わせた金融支援を提供するものである。EIFは、GAGFの個別財務書類を作成している。
215/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
V.42. マルタ向けSMEイニシアチブ
2015 年1月19日、欧州委員会、EIBおよびEIFは、SMEイニシアチブに対応する専用ウィンドウの一部
の条項に適用される諸条件およびホライズン2020金融商品の当該専用ウィンドウに対する欧州連合の
拠出について定めたホライズン2020委任契約の修正に調印した。スペインおよびマルタ向けのSMEイニ
シアチブは、前年に開始された。EIFは、マルタ向けSMEイニシアチブの個別財務書類を作成してい
る。
V.43. 欧州地中海投資パートナーシップ制度(「FEMIP」)信託基金
EIBが管理するFEMIP(ユーロ地中海投資パートナーシップ・ファシリティ)信託基金は、多数の援
助国の支援を得て、地中海パートナーシップ・ファシリティ参加国におけるEIBの既存業務を強化する
ために設立された。当基金は、技術援助とリスク資本の提供を通じて、特定の優先分野の事業に資源
を投入することを目指している。EIBは、FEMIP信託基金の個別財務書類を作成している。
V.44. 連邦経済技術省
EIF は、ドイツ連邦経済技術省および欧州復興計画のために資金を管理している。
V.45. 多地域保証プラットフォーム・イタリア(「AGRI」)
イタリアの農業プラットフォームは、EIFとイタリアの6地域(ヴェネト、エミリア・ロマーニャ、
ウンブリア、カンパニア、カラブリア、プーリア)との間の資金提供契約の締結で正式に開始され
た。2018年にはイタリアの2つの地域(ピエモンテ州とトスカーナ州)が加わった。イタリアにおけ
る農業プラットフォームは、欧州農業農村振興基金(「EARFD」)からの構造基金を使用して、各加盟
農村開発プログラム(「RDP」)の財源を使用してファースト・ロスをカバーする金融商品を展開して
いる。このプラットフォームの目的は、地域レベルで新規事業を育成し、同時に農民および農業関連
事業への新規貸付けを支援するために、地域実行官庁を標準的商品の方向に導くことである。
V.46. EPTA信託基金
EPTA (東方パートナーシップ技術支援)信託基金は、技術支援のための多分野向けの多目的融資枠
を提供し、EIB東方パートナーシップ事業の質を高め、かつ開発効果を増幅させることに重点的に取り
組んでいる。同基金は、近隣インベストメント・ファシリティを補完する。EIBは、EPTA信託基金の個
別財務書類を作成している。
V.47. 自然環境保護資金調達ファシリティ(「NCFF」)
自然環境保護資金調達ファシリティ(「NCFF」)は、EIBと欧州委員会との共同契約であり、自然環
境保護資金の保全のための収益創出またはコスト削減プロジェクト(気候変動適応プロジェクトを含
む)に係る市場の格差および障壁に対処することにより、生物多様性分野および気候変動への適応に
関するEUおよび加盟国の目標の達成に貢献することを目的としている。EIBは、NCFFの個別財務書類を
作成している。
216/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
V.48. 技術移転アクセラレーター(TTA)トルコ
TTA トルコは、EIFが科学産業技術省(「MoSIT」)、トルコ科学研究審議会(「TUBITAK」)、駐ト
ルコ欧州連合代表部および欧州委員会地域政策ディレクター・ジェネラルと協力して計画したイニシ
アチブである。TTAトルコは、加盟候補国向け支援制度(「IPA」)の資金に係る協定書の地域開発項
目に基づき、EUとトルコ共和国が共同融資し、EIFが管理している。
TTA トルコは、2つの目的を達成すること、すなわち、大学および研究センターに限定されている科
学的な研究開発(「R&D」)の事業化の促進による、財務的に持続可能なファンドの設立、ならびに特
にトルコの後進地域および発展途上地域への波及効果に重点を置いた、トルコにおける技術移転市場
の発展を促進することを目指している。
V.49. バルト諸国新規事業育成基金(「BIF」)
2012 年9月に署名されたバルト諸国新規事業育成基金(「BIF」)は、パートナーシップとして組成
されたファンド・オブ・ファンズであり、バルト海沿岸地域に重点を置いてベンチャー・キャピタル
およびプライベート・エクイティ・ファンドに投資する。この基金は、EIBグループならびにエストニ
アのFund KredEx、ラトビアのLatvijas Garantiju Agentiiraおよびリトアニアのlnvesticiju ir
verslo garantijosinというバルト諸国の国家機関から共同出資を受けている。EIFは、BIFの個別財務
書類を作成している。
バルト諸国新規事業育成基金2(「BIF2」)は、EIFが管理するバルト諸国新規事業育成基金
(「BIF」)の後継基金である。BIF2は、BIFと同一の構造を持ち(コストを最小化し、類似のイニシ
アチブとの相乗効果を可能にする仮想FoF)、156百万ユーロと僅かに規模が増加することを想定して
いる(BIFの規模は130百万ユーロ)。バルト三国は、EIFが管理するRCR資金からの78百万ユーロとと
もに、合計78百万ユーロ(各26百万ユーロ)を確約することになる。EIFはこのファシリティのマネー
ジャーとしての役割を果たす。BIF2は、アーリーステージ投資に対する現地の取組みを補完するため
に、グロースキャピタルにより多くの焦点を当てることになる。
バルト3国の3つのNPIの拠出目標水準は以下のとおりである。
- KredEx(エストニア):26百万ユーロ
- Altum(ラトビア):26百万ユーロ
- INVEGA(リトアニア):26百万ユーロ
V.50. ドイツ・コロナ・マッチング・ファシリティ(CMF)
ドイツ政府は、ドイツ経済向けのCOVID-19危機対策の一環として、2021年6月30日までベン
チャー・キャピタル・ファンドに、すべてのドイツのポートフォリオの企業についてすべての資金調
達時において自動的かつ公平な共同投資を提供することを目的としている。
V.51. 学生ローン保証ファシリティ(エラスムス計画)
欧州構造投資基金(「ESIF」)の下、EIFは、加盟国により2015年11月以降の保有基金管理運営者と
して任命され、ESIFファンドの管理・運営を行っている。ESIFイニシアチブは、中小企業の資金調
達、ならびにプライベート・エクイティ・ファンド、ギャランティー・ファンドおよびローン・ファ
ンドなどの金融工学商品の利用を促進することを目的としている。EIFは、現在、加盟国・地域(バス
=ノルマンディー地域圏およびラングドック=ルシヨン地域圏)との間で締結した2件のESIF資金供
与契約を管理している。EIFは、学生ローン保証の個別財務書類を作成している。
217/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
V.52. グローバル・エネルギー効率・再生可能エネルギー基金(GEEREF)
グローバル・エネルギー効率・再生可能エネルギー基金(「GEEREF」)の下で、EIFは2007年12月よ
り投資アドバイザーの機能を果たしている。GEEREFは、EC、ドイツ連邦政府およびノルウェー王国の
支援を受けており、その目的は主に、エネルギー効率および再生可能エネルギーに関与し、開発途上
国および市場経済移行国におけるクリーン・エネルギーの利用可能性を高めるプロジェクトおよび企
業を資産に持つ、地域のファンドに投資することである。GEEREF事業の開拓は、サブアドバイザリー
契約の下で、正式にEIBに委任されている。
V.53. ポーランド・グロース・ファンド・オブ・ファンズ(「PGFF」)
2013 年4月に署名されたポーランド・グロース・ファンド・オブ・ファンズ(「PGFF」)は、パー
トナーシップとして組成されたファンド・オブ・ファンズであり、ポーランドに重点を置いてベン
チャー・キャピタルおよびプライベート・エクイティ・ファンドに投資する。同ファンドは、EIBグ
ループとBank Gospodarstwa Krajowegoが共同出資している。EIFは、PGFFの個別財務書類を作成して
いる。
V.54. ドイツ未来基金成長ファシリティ(「GFFGF」)
特にデジタル化とクリーンテクノロジーに焦点を当てた資本性金融商品の開発を見込んだドイツの
連立政権プログラム(全体の目標規模は100億ユーロ)で、ドイツ未来基金と呼ばれる。EIFには、ド
イツの成長ファンドへの投資や、委託された形での企業への共同投資、あるいはブラインドプール型
の共同投資ビークルを通じた投資のために、最大30億ユーロが割り当てられる可能性がある。このマ
ンデートには、10年を超えるファンドへの初期コミットメントのための投資期間が与えられる。
V.55. スペイン向けSMEイニシアチブ
2015年1月26日、スペイン王国と欧州投資基金との間で委任契約が締結された。EIFは、適格な中小
企業向けデット・ファイナンスの新規ポートフォリオ、ならびに中小企業および従業員が500名未満の
その他の企業向けの既存のデット・ファイナンスの証券化および/または中小企業向けデット・ファ
イナンスの新規ポートフォリオの証券化に対して、上限を設けず保証を提供する予定である。スペイ
ン向けSMEイニシアチブに対するEUの拠出は、EIFが受領し、EIBが実施する国庫資産運用の対象とな
る。当該運用については、欧州投資基金と欧州投資銀行との間で締結された資産運用サイド・レター
に準拠する。EIFは、スペイン向けSMEイニシアチブの個別財務書類を作成している。
218/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
V.56. ドイツのためのメザニン・ダッハ・ファンド(「MDD」)
MDDは2013年6月に調印された投資プログラムであり、ドイツの中堅企業に投資するハイブリッド債
および株式ファンドを引き受けるために、ドイツ連邦経済技術省(「BMWi」)および州の様々な機関
が資金を供出している。
V.57. アルプス地域成長投資プラットフォーム(「AlpGIP」)
2017 年9月、EIFは革新的な、EUのアルプス・マクロ・リージョンにおける最近のベンチャー・キャ
ピタルおよび成長セグメントを対象とした、地域持分投資プラットフォーム(非法人構造)を立ち上
げた。イタリアのロンバルディア、ピエモンテ、ヴァッレ・ダオスタ、アルト・アディジェ(ボル
ツァーノ地域)の各州は、すでにこのプラットフォームに投資しており、他の地域も後の段階での参
加が見込まれている。
V.58. LfA-EIFファシリティ
LfA-EIF ファシリティは、2009年に調印されたもので、ドイツ・ババリア地方における技術志向の初
期および拡大段階にある企業を支援するために投資を提供するEIFおよびLfAフォルダーバンク・バイ
エルンの共同ベンチャーである。
V.59. EU貿易振興・競争力向上プログラム(「EUTCP」)
経済成長を加速させ、民間セクターの発展を支援し、地域統合ならびに気候変動の軽減および適応
を強化するというEUの政策目的に沿って、EIBはEUTCPを展開するためにECと協力している。EUTCPは以
下を合わせたものである。(i) バリュー・チェーン向けのEIBの長期貸付金、(ii) 保証手段(リス
ク・シェリング・ファシリティ)および (iii) 選別された国における市場の機能不全に対処するため
の技術的支援(専門家支援ファシリティ)。EUTCPはまた、EIBにとってそれぞれの国におけるポジ
ショニングについて戦略的に重要な取組みを表す。このプログラムは、EIBの伝統的な商品を補完する
新たな保証商品を可能にするため、選択された対象国におけるバリュー・チェーンに沿ってSMEに対す
る多額の投資をもたらすことが見込まれる。EIBは、EUTCPのリスク・シェアリング・ファシリティの
個別財務書類を作成している。
V.60 GEEREF(「基金および技術支援ファシリティ」)
GEEREF (グローバル・エネルギー効率・再生可能エネルギー基金)は、ECのイニシアチブで設定さ
れたファンド・オブ・ファンズである。その目的は、新興市場(ACP、ALAおよび欧州近隣諸国)にお
ける再生可能エネルギーおよびエネルギー効率の分野を重点とするプライベート・エクイティ・ファ
ンドに投資することである。EIFも、GEEREFフロント・オフィスが実施する関連業務の対象となる技術
援助の提供を委任されている。
V.61. 中央ヨーロッパ・ファンド・オブ・ファンズ(「CEFoF」)
中央ヨーロッパ・ファンド・オブ・ファンズ(「CEFoF」)は、オーストリア、チェコ共和国、スロ
バキア、ハンガリーおよびスロベニア(CE諸国)の政府および国家機関との緊密な協力の下で欧州投
資基金(「EIF」)によって創設されたファンド・オブ・ファンズ・イニシアチブであり、これらの地
域全体にわたって中小企業(「SME」)へのエクイティ投資を促進し、健全な市場に基づくリスク資金
219/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
調達インフラストラクチャーを確立し、事業投資における最良市場標準を導入し、中央ヨーロッパに
機関投資家および投資マネージャーを呼び込むことを目的としている。
V.62. 技術移転パイロット・プロジェクト(「TTP」)
欧州委員会の資金提供を受けて2008年11月に調印されたTTPに基づき、EIFはシード前およびシード
段階における資金提供を通じて技術移転体制を支援している。EIFは、TTPの個別財務書類を作成して
いる。
V.63. 欧州技術ファシリティ(「ETF」)
ETFスタートアップ・ファシリティでは、EIFは自己の名義で、ただし欧州委員会に代わり欧州委員
会のリスクにおいて、ETFスタートアップ投資を取得、運用、処分する権限を与えられている。
V.64. G43信託基金
EIF は、2012年8月に署名されたG43アナトリア・ベンチャー・キャピタル・ファンドの下で、トル
コ・セントラル・ファイナンス・ユニット(「CFCU」)から委託を受けている。このファンドは、ト
ルコの南東アナトリア地方の中小企業への投資を専門にしている。EIFは、G43の個別財務書類を作成
している。
V.65. グリーン・フォー・グロース・ファンド(「GGF」)
グリーン・フォー・グロース・ファンドはEIFによって2009年12月に設立され、トルコを含む欧州東
南部諸国のエネルギー効率改善に特化して資金提供を行っている。
V.66. ギャランティー・ファンド
域外活動のためのギャランティー・ファンドは、非加盟国に供与された貸付および貸付保証の債務
不履行をカバーするため、または非加盟国におけるプロジェクトのために、1994年に設立された。欧
州委員会(EC)は、1994年11月に二者間で締結された契約およびその後の当該契約の改訂に基づき、
ギャランティー・ファンドの財務管理をEIBに委託している。
近隣・開発・国際協力手段(「NDIC」)の発効により、ギャランティー・ファンドは欧州委員会が
管理する共通準備基金のコンパートメントとなった。EIBによるファンドの管理は終了した。
ギャランティー・ファンドの純資産の欧州委員会への移管に伴い、EIBは2021年7月31日現在で最終
財務書類を作成した。
V.67. 欧州議会準備行動(「EPPA」)
2010年、EIFは、DG RegioとEPPAに調印した。EIFは、幾つかの選別されたマイクロファイナンス金
融機関が有意な規模に達し、事業継続の見通しを改善することができるよう支援するため、キャパシ
ティ・ビルディングのためのリスク資本と金融支援を提供している。EIFは、EPPAの個別財務書類を作
成している。ファンドは2021年に終了した。
220/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
(1)
特別部門計算書
2021年12月31日および2020年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
2021 年12月31日 2020 年12月31日
資産
地中海沿岸諸国
欧州連合の財源によるもの
実行済貸付残高 5,828 8,333
リスク資本業務
- 未実行金額
21,523 21,747
- 実行済金額
28,479 30,465
50,002 52,212
(2)
55,830 60,545
合計
アフリカ、カリブ海および太平洋地域諸国ならびに加盟国の
属国および属領
欧州連合の財源によるもの
- ヤウンデ協定
リスク資本による業務
- 実行済金額 0 419
(3)
0 419
合計
- ロメ協定
リスク資本による業務
- 実行済金額 76,542 121,821
(4)
76,542 121,821
合計
132,372 182,785
合計
221/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
(1)
特別部門計算書
2021年12月31日および2020年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
2021 年12月31日 2020 年12月31日
負債
受託管理資金
欧州連合の委託によるもの
- 地中海沿岸諸国金融議定書
34,307 38,798
- ヤウンデ協定
0 419
- ロメ協定 76,542 121,821
110,849 161,038
受託管理資金の合計
未実行金額
21,523 21,747
地中海沿岸諸国における貸付業務およびリスク資本業務
21,523 21,747
未実行金額の合計
132,372 182,785
合計
付記:
欧州連合の委託に基づきEIBが元利回収を引き受けた、欧州委員会提供の特別条件付貸付金の実行済・未返済残高合
計:
a) 2021年12月31日現在における第1次、第2次および第3次ロメ協定に基づくもの:211,266千ユーロ(2020
年:232,416千ユーロ)
b) 2021年12月31日現在における地中海沿岸諸国との間で署名した金融議定書に基づくもの:29,660千ユーロ
(2020年:35,417千ユーロ)
欧州連合-欧州開発金融機関民間部門開発ファシリティとの関連において、保証部分の導入契約が2014年8月20日
に締結された。2019年に受けた履行請求後の、2021年12月31日現在に発行済EU保証はゼロ(2020年:ゼロ)であっ
た。EU保証の総額は、2021年12月31日現在で38,920千ユーロ(2020年:38,920千ユーロ)である。
注(1): 特別部門は、総務会によって1963年5月27日に設定された。1977年8月4日の決議に基づき、その目的が見直さ
れ、第三者の勘定で第三者の委託に基づいて欧州投資銀行が実行した金融業務を記録するためとされた。ただ
し、コトヌー協定、欧州連合-アフリカ・インフラ信託基金、近隣インベストメント・ファシリティ信託基金
(「NIF」)およびFEMIP信託基金に基づくインベストメント・ファシリティについては、個別財務書類に表示
されている。また、EIBは2005年より他の委託について異なる種類の財務書類を作成している。
特別部門計算書は、欧州連合および加盟国の委託に基づく実行済金額もしくは未実行金額から解約額および
返済額を控除した金額を示している。実行済金額および未実行金額ならびに受取済および受取予定資金は、額
面価額で計上されている。特別部門計算書では、これらの業務に付随するリスクを補填するために必要となり
うる引当金もしくは評価損益は、確定的な償却を除き、考慮されていない。外貨建ての金額は、12月31日現在
の実勢為替レートで換算されている。
222/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注(2): 欧州連合の委託に基づき、欧州連合の勘定により、またそのリスク負担の下に、マグレブおよびマシュレク諸
国、マルタ、キプロス、トルコならびにギリシャにおけるプロジェクト資金(1981年1月1日の欧州共同体加
盟前に10百万ユーロ融資)のため締結された契約の実行時の金額:
実行時の金額: 840,457
減算: 為替差額 55,632
解約額 178,863
550,132
返済額
-784,627
55,830
注(3): 欧州連合の委託に基づき、欧州連合の勘定により、またそのリスク負担の下に、連合アフリカ諸国、マダガスカ
ルおよびモーリシャスならびに加盟国の属国、属領および地区(AASMM-OCTD)におけるプロジェクト資金のた
め締結された契約の実行時の金額:
特別条件付貸付金 139,483
2,503
リスク資本形成拠出金
実行時の金額: 141,986
加算: 資産計上された利息 1,178
9,823
為替差額
11,001
減算: 解約額 3,729
149,258
返済額
-152,987
0
注(4): 欧州連合の委託に基づき、欧州連合の勘定により、またそのリスク負担の下に、アフリカ・カリブ海および太平
洋諸国ならびに加盟国の属国および属領(ACP-OCT)におけるプロジェクト資金のため締結された契約の実行時
の金額:
リスク資本による貸付金:
条件付劣後貸付金 3,116,097
121,002
出資
実行時の金額: 3,237,099
加算: 資産計上された利息 9,548
減算: 解約額 742,432
返済額 2,371,822
55,851
為替差額
-3,170,105
76,542
223/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注W: 資本金および準備金
W.1. 資本金および準備金
欧州連合の金融機関であるEIBは、1957年3月25日付のローマ条約に基づいて設立された。EIB構成
員は欧州連合加盟国であり、いずれもグループの資本金に対し応募済みである。EIBの応募済資本金
は、248,795,606,881ユーロ(2020年12月31日現在では248,795,606,881ユーロ)であり、払込未請求
資本金は、2021年12月31日現在、226,604,891,420ユーロ(2020年12月31日現在では226,604,891,420
ユーロ)である。
新規加盟国、またはEIB応募済資本金分担分を増額する加盟国は、払込請求を受けた資本金分担分に
準備金、準備金に相当する引当金および同様金額の分担分を加算した金額を、通常は数年間にわたり
均等に分割して払い込む。EIB資本金の新規加盟国分担金の算定(通常、欧州委員会統計局
(Eurostat)が公式に発表した各国のGDPに基づいて行われる)を含めた払込みの具体的な方法は、加
盟条約および/または総務会のEIB増資決議により設定される。
2017年3月29日、英国は、欧州連合条約(「TEU」)第50条に従って欧州連合(「EU」)から離脱す
る決定を欧州理事会に通知した。英国は、TEU第50条および「グレートブリテンおよび北アイルランド
連合王国の欧州連合および欧州原子力共同体からの離脱協定」(「離脱協定」)に基づき、2020年2
月1日をもってEU加盟国でなくなった。英国のEUからの離脱により、英国は自動的に欧州投資銀行
(「EIB」)の構成員でなくなり、応募済資本金の分担も終了した。
2020年2月1日より、EIBの応募済資本金における英国の分担金は、その全額につき、残りのEU加盟
国が按分負担する増資をもって差し替えられた。この資本の差替え(均衡的資本差替え)は、EIBにお
ける英国の応募済資本金の払込請求済部分に加え、払込未請求部分も対象とするものであった。払込
請求済部分の差替えは、EIBの準備金を応募済資本金に振り替えることで賄われた。増資の結果、残り
の各EU加盟国において、EIBの応募済資本金の払込未請求(請求可能)持分が按分で増加した。
2020年3月1日、応募済資本金はポーランドおよびルーマニアからの拠出(それぞれ、
5,386,000,000ユーロおよび125,452,381ユーロ)により、243,284,154,500ユーロから
248,795,606,881ユーロへと増加した(非均衡的増資)。払込請求済の応募済資本金および準備金への
拠出は、それぞれ0.5百万ユーロおよび1.1百万ユーロであった。当該加盟国から支払われる総額は、
10回の均等分割により半年ごとに支払われ、2020年12月31日、2021年6月30日、2021年12月31日、
2022年6月30日、2022年12月31日、2023年6月30日、2023年12月31日、2024年6月30日、2024年12月
31日および2025年6月30日に支払期日を迎える。
2021年12月31日までに期日を迎えた分割金は全額が決済された。
「払込請求済だが払込未済の応募済資本金および準備金」として貸借対照表に表示されている
1,133,642千ユーロは、2020年3月1日の非均衡的増資の結果の、加盟国であるポーランドおよびルー
マニアからのディスカウント適用後の未収額(1,118,948千ユーロ)を含んでいる。
EIBの総務会および理事会における議決権は、各加盟国の応募済資本金分担金だけでなく、EIB定款
の第8条と第10条で定められている別の基準にも一部基づいて設定されているが、その適用は、具体
的な議決手続に応じて双方に基づく場合もあれば一方だけに基づく場合もある。
224/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
W.2. 自己資本管理
強固な自己資本ポジションの維持は、グループの主要な目的の一つである。自己資本の十分性確保
のためのグループの自己資金は、予想損失および引当金控除後の払込請求済資本および準備金で構成
されている。グループの自己資本はすべて、コア資本Tier1の金融商品で構成されている。加えて、
グループは、必要が生じたときにEIBが払込請求できる払込未請求の応募済資本から恩恵を受けてい
る。グループは、法人業務計画およびリスク許容度に従い、将来の見通しに基づき、自己資本につい
て計画している。
規制当局の監督下に置かれていないものの、関連する銀行業に関する欧州連合指令および銀行業の
ベスト・プラクティスに従うことを目指している。特に、このことはバーゼルIIIの枠組みをEU法に変
換した自己資本要件指令(2013年6月26日、575/2013/EP)に該当する。具体的には、グループは2021
年に、2021年6月28日に施行された新自己資本要件規則(CRRII)を導入した。グループは、規制上お
よび経済上の自己資本所要額の双方をモニタリングするとともに、ストレス・テストを実施して、マ
クロ経済環境およびグループの業務の変化に対する自己資本所要額の感応度を評価している。
自己資本要件規則に従い、欧州連合会計指令に基づくEIBグループの連結財務書類に基づいて算出さ
れたグループのコア資本Tier1比率は、2021年12月31日現在で32.0%(2020年末は32.7%)であっ
た。当該比率が前年に比べ低下したのは、主にCRRIIの実施によるものであった。2021年12月31日現
在、法定財務書類に基づくEIBのコア資本Tier1比率は、32.3%(2020年末現在33.1%)であった。
225/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注X: 換算レート
2021 年12月31日現在および2020年12月31日現在の連結貸借対照表の作成にあたり使用されている換
算レートは、以下のとおりである。
2021 年12月31日 2020 年12月31日
欧州連合加盟国のユーロ以外の通貨
ブルガリア・レフ(BGN) 1.9558 1.9558
チェコ・コルナ(CZK) 24.8580 26.2420
デンマーク・クローネ(DKK) 7.4364 7.4409
クロアチア・クーナ(HRK) 7.5156 7.5519
ハンガリー・フォリント(HUF) 369.1900 363.8900
ポーランド・ズロチ(PLN) 4.5969 4.5597
ルーマニア・レウ(RON) 4.9490 4.8683
スウェーデン・クローナ(SEK) 10.2503 10.0343
欧州連合加盟国以外の通貨
豪ドル(AUD) 1.5615 1.5896
アゼルバイジャン・マナト(AZN) 1.9207 2.0758
カナダ・ドル(CAD) 1.4393 1.5633
スイス・フラン(CHF) 1.0331 1.0802
中国人民元(CNY) 7.1947 8.0225
ドミニカ・ペソ(DOP) 64.8310 71.2661
エジプト・ポンド(EGP) 17.7663 19.2469
エチオピア・ブル(ETB) 55.8100 48.0400
英ポンド(GBP) 0.8403 0.8990
ジョージア・ラリ(GEL) 3.4806 4.0070
香港ドル(HKD) 8.8333 9.5142
インド・ルピー(INR) 84.2292 89.6605
アイスランド・クローナ(ISK) 147.6000 156.1000
日本円(JPY) 130.3800 126.4900
ケニア・シリング(KES) 128.2600 133.8000
カザフスタン・テンゲ(KZT) 493.3100 516.7300
モロッコ・ディルハム(MAD) 10.5191 10.9017
モルドバ・レウ(MDL) 20.0900 20.9200
メキシコ・ペソ(MXN) 23.1438 24.4160
ノルウェー・クローネ(NOK) 9.9888 10.4703
ニュージーランド・ドル(NZD) 1.6579 1.6984
セルビア・ディナール(RSD) 117.5100 117.5300
ロシア・ルーブル(RUB) 85.3004 91.4671
チュニジア・ディナール(TND) 3.2611 3.2919
トルコ・リラ(TRY) 15.2335 9.1131
台湾ドル(TWD) 31.4420 34.4399
ウクライナ・グリブナ(UAH) 30.9151 34.7156
米ドル(USD) 1.1326 1.2271
中央アフリカCFAフラン(XAF) 655.9570 655.9570
西アフリカCFAフラン(XOF) 655.9570 655.9570
南アフリカ・ランド(ZAR) 18.0625 18.0219
226/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注Y: 関連当事者取引
Y.1. 関連会社(単位:千ユーロ)
以下に、連結財務書類に含まれる関連会社に関連する金額を表示している。
2021 年12月31日 2020 年12月31日
株式およびその他の変動利付証券 783,945 575,615
金融業務損益 243,089 46,334
プライベート・エクイティ/ベンチャー・キャピタル事業への未
実行額 576,951 611,372
Y.2. 主要経営陣(単位:千ユーロ)
グループは、理事会、監査委員会、経営委員会の委員およびEIBの各種組織部門の責任者であるディ
レクター・ジェネラル、ならびに内部統制独立部署の責任者を主要経営陣とみなしている。
一般管理費(注P)に算入されている主要経営者の当該報告期間の報酬は、下表のとおりである。
2021 年 2020 年
(1)
短期給付 10,772 9,404
(2)
退職後給付 919 962
965 552
退職手当
合計 12,656 10,918
(1) 短期従業員給付は、経営委員会委員、GCRO、ディレクター・ジェネラルおよびその他ディレクターの給与および手
当、賞与、社会保障負担金、ならびに理事会および監査委員会の委員に支払われた給付である。
(2) 退職後給付は、経営委員会委員、GCRO、ディレクター・ジェネラル、およびその他ディレクターに支払われた年金
および退職後健康保険費である。
主要経営陣に対して前渡金も信用供与行っておらず、またいかなる種類の保証の形態でも主要経営
陣の利益のための契約を締結していない。
2021 年12月31日現在の主要経営陣との間の未決済残高は、強制および任意の補足年金制度および健
康保険制度に関する負債、ならびに期末現在の未払残高で構成されている。
2021 年12月31日 2020 年12月31日
年金制度および健康保険(注J) 111,689 122,927
その他の負債(注G) 18,737 16,508
227/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注Z: 後発事象
ウクライナに対する軍事侵略
EIBは、EUの共同外交安全保障政策全般(適用ある制裁措置を含む。)の目的に沿い、2014年以降ロ
シア連邦での貸出業務を停止している。
EIB は、専用の制裁遵守プログラムを含む厳格なコンプライアンス統制を敷き、これによりロシア連
邦に(間接的にでも)関連するEIBの活動は適用あるすべての制裁をこれまで確実に遵守してきてお
り、またロシア連邦に影響あるセクター別制裁を含むあらゆる新たな制裁をこれからも確実に遵守し
ていく。
現段階で最終的な影響を予測することは困難であるものの、ロシア連邦によるウクライナへの軍事
侵攻以降の現在の事態拡大の動向は、EIBのポートフォリオに対する潜在的影響(課されうる追加制裁
の影響を含む。)に備えて注意深く監視されている。
ウクライナにおけるEIBの実行済エクスポージャーの大部分はEU域外貸付マンデートの保証でカバー
されており、またロシア連邦の債務者に対するEIBの自己リスクによる実行済エクスポージャーは存在
しない。EIBの貸付金ポートフォリオの質は現在も適切な水準を維持している。
ウクライナへの軍事侵攻に伴うグローバル金融市場の不確実な一般情勢下でも、EIBは、流動性管理
に対する慎重なアプローチにより、引き続き強固な流動性ポジションおよび必要な流動性リソースへ
の柔軟なアクセスを維持している。
228/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
②【EU会計指令に基づく連結財務書類】
当有価証券報告書の本項に記載されているEIBグループの 2021 年12月31日現在の連結貸借対照表お
よび連結オフ・バランスシート、ならびに同日に終了した事業年度の連結損益計算書および連結
キャッシュ・フロー計算書( 以下「EU会計指令に基づく連結財務書類」という。)は、 銀行および
その他の金融機関の年次財務書類および連結財務書類に関する1986年12月8日付 欧州経済共同体理事
会 指令(86/635/EEC)の一般原則 (一部の銀行およびその他の金融機関の年次財務書類および連結
財務書類に関して、 2001年9月27日付欧州共同体指令2001/65/EC、2003年6月18日付欧州共同体指
令2003/51/ECおよび2006年6月14日付欧州共同体指令2006/46/ECにより改正済み) に 準拠して作成
されている。
次へ
229/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結貸借対照表
2021年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
資産 2021年12月31日 2020年12月31日
1. 現金、中央銀行および郵便局預け金 (注B.1) 1,483,285 835,163
2. 中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期
証券 (注B.2) 37,160,351 32,073,906
3. 金融機関貸付金および預け金
a )要求払 797,488 613,764
b )その他の貸付金および預け金(注C) 74,749,439 60,275,644
c )貸 付金(注D.1) 93,562,111 103,720,205
d)評価損益(注D.2) -57,842 -80,237
169,051,196 164,529,376
4. 対顧客貸付金および預け金
a )その他の貸付金および預け金(注C) 677,437 900,604
b ) 貸付金(注D.1) 322,374,311 321,119,208
-381,166 -567,532
c ) 評価損益(注D.2)
322,670,582 321,452,280
5. 確定利付証券を含む負債証券 (注B.2)
a )公共機関による発行 4,946,262 5,150,059
7,025,006 7,658,631
b )その他による発行
11,971,268 12,808,690
6. 株式およびその他の変動利付証券 (注E.2) 9,223,497 8,745,640
7. 参加持分 (注E.2) 345,023 363,188
8. 無形資産 (注F) 58,408 39,279
9. 有形資産 (注F) 242,687 248,759
10. その他の資産 (注G) 141,673 37,312
11. 払込請求済だが払込未済の応募済資本金
および準備金 (注H.2) 1,118,948 1,438,648
12. 14,565,820 13,544,357
前払金および未収収益 (注I)
資産合計
568,032,738 556,116,598
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
230/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結貸借対照表(続き)
2021 年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
負債 2021年12月31日 2020年12月31日
1. 金融機関に対する債務 (注J)
a)要求払 4,777,422 4,199,057
18,895,071 12,316,334
b )期日払または通知払
23,672,493 16,515,391
2. 顧客に対する債務 (注J)
a)要求払 1,645,154 1,680,511
175,542 20,951
b )期日払または通知払
1,820,696 1,701,462
3. 債務証書借入 (注K)
a)負債証券 431,104,111 425,622,598
9,010,748 9,641,151
b)その他
440,114,859 435,263,749
4. その他の負債 (注G) 4,265,084 4,449,751
5. 未払金および繰延収益 (注I) 15,470,655 19,382,783
6. 引当金
a )年金制度および健康保険制度(注L) 4,510,251 3,818,049
39,332 22,640
b )保証業務に係る引当金(注D.4)
4,549,583 3,840,689
7. 応募済資本金 (注H)
a)応募済資本金 248,795,607 248,795,607
-226,604,892 -226,604,892
b)払込未請求資本金
22,190,715 22,190,715
8. 準備金 (注H)
a)準備基金 24,879,561 24,328,415
b)その他準備金 12,776,663 11,888,087
c)特別活動準備金 12,152,954 11,736,896
2,021,337 2,135,891
d)一般貸倒準備金
51,830,515 50,089,289
9. 当期純利益 2,647,454 1,749,853
10. 1,470,684 932,916
少数株主に帰属する持分 (注H)
負債合計
568,032,738 556,116,598
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
231/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結オフ・バランスシート
2021 年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
2021年12月31日 2020年12月31日
契約債務:
- 未実行貸付金(注D.1)
- 金融機関
31,936,008 32,365,353
- 対顧客 91,041,283 81,697,777
122,977,291 114,063,130
- 株式およびその他の変動利付証券への未実行額
- プライベート・エクイティおよびベン
チャー・キャピタル事業への未実行額(注
E.2) 4,948,960 4,779,487
- 投資基金およびインフラ基金への未実行額
(注E.2) 3,203,307 3,273,437
- EBRD払込未請求資本 712,630 712,630
8,864,897 8,765,554
- 参加持分未実行額
- プライベート・エクイティおよびベン
チャー・キャピタル事業への未実行額(注
576,951 611,372
E.2)
576,951 611,372
- 未実行代替貸付金
223,950 223,950
偶発債務および保証:
- 第三者からの貸付金に係るもの(注U.2.3)
30,901,227 21,982,164
(*)
第三者に代わって保有している資産 (注Z) :
- イノベーション基金
4,202,032 0
- インベストメント・ファシリティ・コトヌー
4,097,718 3,578,669
- 近代化基金
2,957,006 0
- イノベーターのためのEU資金提供(InnovFin)
1,976,460 1,836,483
- NER300
1,139,006 1,958,977
- ファンド・オブ・ファンズ(JESSICA II)
1,021,159 851,994
- コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ
(CEF) 876,872 803,347
- JESSICA (保有基金)
611,609 549,216
- COSME 借入保証ファシリティ(LGF)および
成長株式投資ファシリティ(EFG) 606,867 610,789
- 汎ヨーロッパ保証基金
595,260 0
- EU アフリカ・インフラ信託基金
473,359 481,831
- 欧州構造投資基金(ESIF)
458,942 444,895
- 中小企業向け欧州共同財源(JEREMIE)
275,376 311,157
- イタリア向けSMEイニシアチブ
263,392 165,539
- 欧州戦略投資基金(「EFSI EIF」)
248,261 171,248
- ルーマニア向けSMEイニシアチブ
236,188 240,293
- REG
193,115 159,057
- 資金パートナーシップ・プラットフォーム
187,315 138,271
232/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結オフ・バランスシート(続き)
2021 年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
2021年12月31日 2020年12月31日
- GF ギリシャ
162,285 162,004
- 特別部門
132,372 182,785
- GIF 2007
110,383 67,375
- 雇用および社会イノベーション・プログラム
(EaSI) 103,276 116,387
- InnovFin 中小企業保証
99,327 75,964
- リスク・シェアリング・ファイナンス・
ファシリティ(RSFF)(リスク・シェアリング・
インスツルメント(RSI)を含む) 91,629 105,733
- ブルガリア向けSMEイニシアチブ
87,104 93,965
- InnovFin エクイティ
77,164 60,177
- 欧州近隣パートナーシップ枠組み(ENPI)
72,537 77, 135
- マルチ・アニュアル・プログラム(MAP)
エクイティ 64,594 53,751
- フィンランド向けSMEイニシアチブ
62,275 67,943
- SMEG 2007
56,658 64,996
- エネルギー効率関連プライベート・ファイナンス
商品 53,438 53,74 5
- 国際開発協力機構(AECID)
53,087 56,952
- 加盟候補国向け支援制度(IPA)II
52,626 36,137
- 文化・クリエイティブ部門保証ファシリティ
52,087 43,435
- 深化した包括的自由貿易協定地域(DCFTA)
50,740 52,269
- 西バルカン諸国企業開発および新規事業育成
ファシリティ(WB EDIF)
46,649 48,560
- NPI
43,245 13,349
- 近隣インベストメント・ファシリティ(NIF)
信託基金 38,259 42,483
- 欧州戦略投資基金(EFSI)-欧州投資アドバイザ
リー・ハブ(EIAH) 35,559 16,633
- 近隣インベストメント・ファシリティ(NIF)
リスク資本ファシリティ 35,454 28,563
- マルチ・アニュアル・プログラム(MAP)
ギャランティー 30,652 30,445
- グレーター・アナトリア・ギャランティー・
ファシリティ(GAGF) 30,060 30,781
- マルタ向けSMEイニシアチブ
26,629 20,779
- 欧州地中海投資パートナーシップ制度(FEMIP)
信託基金 21,864 27,577
233/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結オフ・バランスシート(続き)
2021 年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
2021 年12月31日 2020 年12月31日
- 連邦経済技術省
19,680 18,031
- 多地域保証プラットフォーム・イタリア(AGRI)
17,297 17,400
- EPTA 信託基金
15,659 19,509
- 自然環境保護資金調達ファシリティ
10,274 10,731
- 技術移転アクセラレーター(TTA)トルコ
9,113 5,938
- BIF
3,907 4,623
- ドイツ・コロナ・マッチング・ファシリティ
(CMF) 3,630 62,423
- 学生ローン保証ファシリティ
3,570 4,550
- グローバル・エネルギー効率・
再生可能エネルギー基金(GEEREF) 3,457 3,548
- ポーランド・グロース・ファンド・オブ・
ファンズ(PGFF) 2,990 2,575
- ドイツ未来基金成長ファシリティ
2,849 0
- スペイン向けSMEイニシアチブ
2,022 2,018
- ドイツのためのメザニン・ダッハ・ファンド
(MDD) 1,809 2,157
- アルプス地域成長投資プラットフォーム
(AlpGIP) 1,409 1,521
- LfA-EIF ファシリティ
1,115 1,826
- EU 貿易振興・競争力向上プログラム
968 1,056
- GEEREF 技術支援ファシリティ
775 727
- 中央ヨーロッパ・ファンド・オブ・ファンズ
526 1,409
- 技術移転パイロット・プロジェクト(TTP)
516 471
- 欧州技術ファシリティ
412 1,068
- G43 信託基金
284 284
- グリーン・フォー・グロース・ファンド(GGF)
7 7
- ギャランティー・ファンド
0 2,855,047
- 欧州議会準備行動(EPPA) 0 11
22,212,159 16,948,619
その他の項目:
- 金利スワップ契約の想定元本(注V.1.2)
559,081,060 538,995,110
- 通貨スワップ契約(受取)の想定元本
(注V.1.1) 247,683,252 223,256,109
- 通貨スワップ契約(支払)の想定元本
245,975,779 226,957,983
- 短期通貨スワップ契約(受取)の想定元本
(注V.2) 25,123,575 22,374,714
- 短期通貨スワップ契約(支払)の想定元本
24,956,095 22,471,884
- 先物契約の想定元本(注V.2)
8,274,106 0
- 為替予約取引の想定元本(注V.2)
402,384 551,359
- EIF の少数株主に付与されたプット・オプション
(注E.2) 340,341 819,467
- 借入債務支払に係る特別預け金(注S) 582 810
(*) 運用資産は、利用可能な最新の数値に基づいて、オフ・バランスシート項目として開示されている。比較対象数値
は、利用可能な最新の情報を反映するために修正再表示されることがあり得る。
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
234/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結損益計算書
2021年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2021年 2020年
1. 受取利息および類似収益 (注N) 16,473,694 18,049,312
2. 支払利息および類似費用 (注N) -13,285,486 -14,980,625
3. 証券からの収益 838,815 275,473
4. 受取手数料 (注O) 573,701 484,530
5. 支払手数料 (注O) -434,377 -327,649
6. 金融業務損益 (注P) 51,958 -176,808
7. その他の業務収益および費用の純額 (注Q) -1,397 5,557
8. 一般管理費 (注R)
a)人件費(注L) -1,371,657 -1,013,949
-288,287 -264,271
b)その他の管理費
-1,659,944 -1,278,220
9. 有形・無形資産に係る評価損益 (注F)
a)有形資産 -28,909 -29,240
-21,035 -18,010
b)無形資産
-49,944 -47,250
10. 固定金融資産として保有される譲渡可能有価証
券および参加持分に係る(再)評価損益 16,618 -8,350
11. 貸付金および預け金ならびに偶発債務引当金に
係る(再)評価損益 178,967 -222,137
12. 当期純利益 2,702,605 1,773,833
13. 少数株主に帰属する当期利益 55,151 23,980
14.
2,647,454 1,749,853
EIB 株主に帰属する当期利益
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
235/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結キャッシュ・フロー計算書
2021 年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2021年 2020年
A. 営業活動によるキャッシュ・フロー:
当期純利益 2,702,605 1,773,833
調整額:
貸付金および預け金ならびに偶発債務引当金に係る(再)評価損益 -178,967 222,137
固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券および
参加持分に係る(再)評価損益 -16,618 8,350
有形・無形資産に係る評価損益および償却(注F) 50,052 47,300
株式およびその他の変動利付証券に係る(再)評価損益(注E.2) -84,609 158,115
正味受取利息(注N) -3,188, 208 -3,068,687
79,838 10,530
為替調整額
-635,907 -848,422
営業活動による損失
金融機関および対顧客貸付金および預け金の実行額 -37,670,096 -51,605,321
金融機関および対顧客貸付金および預け金の返済額 50,381,755 48,874,685
その他の貸付金および預け金の変動額(注C) 8,658,820 12,798,500
ルクセンブルク中央銀行の最低預金準備率を充足するための
預け金の変動額(注B.1) -35,110 1,621
財務運用ポートフォリオの変動額 -9,007,313 510,394
金融機関および顧客に対する債務の変動額(注J) 7,276,336 9,134,010
年金制度および健康保険制度の引当金の変動額(注L) 692,202 408,985
保証業務に係る引当金の変動額(注D.4) 16,692 2,825
その他の資産およびその他の負債の変動額(注G) -289,028 -58,063
前払金および未収収益ならびに未払金および繰延収益の変動額 1,375,527 -2,176,485
利息受取額 16,107,529 17,575,162
-12,257,300 -14,262,269
利息支払額
24,614,107 20,355,622
営業活動による/(で使用した)正味現金
B. 投資活動によるキャッシュ・フロー:
期中に購入した長期HQLAポートフォリオの有価証券 -385,243 0
期中に満期償還または売却された長期HQLAポートフォリオの有価証券 701,588 61,000
負債証券ポートフォリオに含まれる代替貸付金およびEIFの
ABSポートフォリオの購入 -2,266,247 -3,109,456
負債証券ポートフォリオに含まれる代替貸付金およびEIFの
ABSポートフォリオの償還 4,335,592 3,307,500
株式およびその他の変動利付証券取得額(注E.2) -2,627,018 -2,116,091
株式およびその他の変動利付証券売却額(注E.2) 2,217,195 1,159,662
参加持分取得額(注E.2) -93,908 -69,368
参加持分売却額(注E.2) 128,668 34,803
-63,109 -62,285
有形・無形資産の購入(注F)
1,947,518 -794,235
投資活動による/(で使用した)正味現金
236/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結キャッシュ・フロー計算書(続き)
2021 年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2021年 2020年
C.財務活動によるキャッシュ・フロー:
債務証書借入の発行(注K) 100,348,462 150,299,236
債務証書借入の償還(注K) -107,709,303 -150,160,396
加盟国の拠出 319,700 159,850
EIF株式購入/応募 484,363 -13,267
0 7,510
EIF株式売却
-6,556,778 292,933
財務活動による/(で使用した)正味現金
キャッシュ・フローの要約表:
48,074,653 29,709,759
現金および現金同等物期首残高
以下による正味現金:
営業活動 24,614,107 20,355,622
投資活動 1,947,518 -794,235
財務活動 -6,556,778 292,933
1,041,968 -1,489,426
保有現金に係る為替調整
69,121,468 48,074,653
現金および現金同等物期末残高
現金および現金同等物の内訳:
現金、中央銀行および郵便局預け金(ルクセンブルク中央銀行の
最低預金準備率を充足するための預け金を除く)(注B.1) 1,338,806 725,794
短期金融市場証券(注B.2) 142,403 2,801,772
金融機関および対顧客貸付金および預け金:
要求払 797,488 613,764
6 6,842,771 43,933,323
その他の貸付金および預け金(注C)
69,121,468 48,074,653
添付の注記は本連結財務書類に不可欠の部分である。
次へ
237/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
欧州投資銀行グループ
連結財務書類に対する注記
2021 年12月31日現在
欧州投資銀行(「EIB」)は、1958年にローマ条約により、欧州連合(「EU」)の長期貸付銀行として設立
された。EIBの任務は、EU加盟国の統合、均衡の取れた発展、経済的および社会的な結束に貢献することであ
る。EIBは、資本市場で多額の資金を調達し、それらの資金をEU政策目標を促進するプロジェクトに有利な条
件で貸し付けている。EIBは継続的に、その業務をEU政策の展開に適合させている。
登記上の事務所所在地は、98-100, boulevard Konrad Adenauer, L-2950 Luxembourgである。
EIB と子会社を合わせて「グループ」または「EIBグループ」と総称する。
EIB の子会社については、注E.1に開示されている。
注A: 重要な会計方針
A.1. 作成基準
A.1.1. 会計原則
欧州投資銀行の連結財務書類(「本財務書類」)は、銀行およびその他の金融機関の年次財務書類
および連結財務書類に関する1986年12月8日付欧州共同体理事会86/635/EEC指令書(特定の業種の会
社、銀行およびその他の金融機関の年次財務書類および連結財務書類に関する2001年9月27日付
2001/65/EC指令書、2003年6月18日付2003/51/EC指令書および2006年6月14日付2006/46/EC指令書に
より改正済)(以下、「指令書」と総称する)の一般原則に準拠し、継続企業の前提に基づいて作成
されている。
経営委員会の提案を受け、理事会は2022年3月10日に本財務書類を採択し、2022年4月22日までに
これを総務会に提出して承認を求めることを承認した。
グループは、欧州連合が承認した国際財務報告基準(「IFRS」)に従って作成した連結財務書類も
公表している。
A.1.2. 重要な会計上の判断および見積り
本財務書類を作成するにあたり、経営委員会は報告されている収益、費用、資産、負債ならびに偶
発資産および偶発債務の開示に影響する見積りおよび仮定を立てることが求められている。入手可能
な情報の使用、および判断の適用は、見積りに特有のものである。将来の実際の結果は、これらの見
積りとは異なる場合があり、これらの差異は本財務書類に対して重要なものとなる可能性がある。
最も重要な判断および見積りは、次のとおりである。
貸付金および預け金ならびに代替貸付金に係る評価損益
グループでは、報告日ごとに貸付金および預け金ならびに代替貸付金を検証し、評価調整に係る引
当金を計上すべきか否かを評価している。特に、引当金所要額を算定するにあたっては、将来キャッ
シュ・フローの金額と発生時期の見積りにおいて経営陣の判断を要する。こうした見積りは多くの要
素に関する仮定に基づいており、実際の結果は見積りと異なることがあり、結果として、将来、引当
金が変動する場合もある。個別に重要な貸付金および預け金ならびに代替貸付金に対する個別引当金
の他に、個別引当金を計上する必要があると具体的に特定されていないものの、貸付金および預け金
238/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
ならびに代替貸付金のデフォルト・リスクが付与された当初よりも高まっているエクスポージャーに
対して、グループは集合的引当金を計上するためのテストも実施している(注A.2.7を参照)。
株式およびその他の変動利付証券ならびに参加持分に係る評価損益
取得原価と時価のいずれか低い方を決定するために、EIBは、各報告日において間接的な持分投資を
見直し、評価損益を計上すべきかどうかを評価する。特に、EIBは、(i) 適用される業界のガイドライ
ンおよび基準に基づく入手可能な最新のファンド・マネージャー・レポートを考慮することにより、
(ii) 他の同等のガイドラインまたは基準に基づいて算出されたNAVにより、または(iii) ファンド・
マネージャーから提供された情報に基づいて内部的に、間接的な持分投資のNAVのEIB帰属部分を決定
する。ほとんどの原投資の公正価値は、容易に確認可能な時価がない状況で見積られている。評価額
に内在する不確実性および現在の市場の状況により、将来における実際の結果はファンド・マネー
ジャーが見積もった評価額とは異なる可能性があり、かかる差異は財務書類に重要な影響を及ぼす可
能性がある。また、貸借対照表日後にのみ利用可能な帰属するNAVは、経営陣が財務書類に重大な影響
を与えると判断した場合にのみ考慮される(注A.2.8参照)。
保証業務に係る引当金
グループは、金融保証契約を、予想プレミアムの正味現在価値(「NPV」)または当初予想損失に対
応する公正価値で当初認識している。その後金融保証は、対応する損失引当金と、当初認識時の受取
プレミアムから認識済収益を控除した額のいずれか高い方の金額により、将来の予想プレミアムの正
味現在価値の不足額として測定される(注A.2.14を参照)。
年金および他の退職給付
確定給付年金制度および他の退職後医療費給付に係る費用は、数理計算上の評価を用いて算定す
る。数理計算上の評価に際しては、割引率、死亡率、ならびに将来の給与および年金の増加に関する
仮定を行う。これらの制度は長期にわたるため、こうした見積りは重要な不確実性を伴う(注A.2.11
を参照)。
A.1.3. EIBの英国に対するエクスポージャー
2017年3月29日、英国は、欧州連合条約(「TEU」)第50条に従って欧州連合(「EU」)から離脱す
る決定を欧州理事会に通知した。英国は、TEU第50条および「グレートブリテンおよび北アイルランド
連合王国の欧州連合および欧州原子力共同体からの離脱協定」(「離脱協定」)に基づき、2020年2
月1日をもってEU加盟国でなくなった。英国のEUからの離脱により、英国は自動的に欧州投資銀行
(「EIB」)の構成員でなくなり、応募済資本金の分担も終了した。
2020年2月1日より、EIBの応募済資本金における英国の分担金は、その全額につき、残りのEU加盟
国が按分負担する増資をもって差し替えられた。この資本の差替え(均衡的資本差替え)は、EIBにお
ける英国の応募済資本金の払込請求済部分に加え、払込未請求部分も対象とするものであった。払込
請求済部分の差替えは、EIBの準備金を払込請求済の応募済資本金に振り替えることで賄われた。増資
の結果、残りの各EU加盟国において、EIBの応募済資本金の払込未請求(請求可能)持分が按分で増加
した。
また、ポーランドおよびルーマニアのEIBに対する応募済資本金が、それぞれ5,386,000,000ユーロ
および125,452,381ユーロ引き上げられた。この増資(非均衡的増資)は、英国のEU離脱から1ヵ月後
の2020年3月1日に効力を生じた。ポーランドとルーマニアは、EIBの応募済資本金の増加分の払込請
239/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
求済部分につき支払いを行うものとし、10回の均等分割により半年ごとにEIBの準備金に拠出を行って
いく。
なお、英国のEU離脱に伴うEIB定款の数多くの変更がすでに効力を生じた。EIB定款変更の第一群
は、2020年2月1日に効力を生じた。英国がEIBの構成員でなくなったことを反映するこれらの法定の
変更には、EIB定款における英国への言及の削除が含まれた。ガバナンス条項のいくつかの変更も同時
に効力を生じ、かかる変更には、EIB理事会の代理メンバーの増員、ならびにEIBの業務計画、手続規
則および経営委員会の委員の任命の承認に係る特定多数決方式の導入が含まれた。EIB定款変更の第二
群は、ポーランドおよびルーマニアからの増資ならびに関連するガバナンスの変更に関するものであ
り、2020年3月1日に効力を生じた。
英国がEIBの構成員でなくなった結果として、離脱協定には、EIBに関する財務決済を定めるいくつ
かの規定が盛り込まれている。離脱協定第150条に定める条項に従い、英国は、EIBに対する応募済資
本金の従前の分担に従い、EU離脱前のEIBのエクスポージャーについて引き続き責任を負う。これに関
連して、2021年12月31日現在で、EU離脱前のEIBのエクスポージャーは506,596百万ユーロとなり、一
方、英国の負債の限度額は39,195百万ユーロとなった。
英国は、EIBのその他のリスクについても、それが離脱後の融資に関するものでない限り引き続き責
任を負う。また、EIBは、離脱協定第150条に定める条項に従い、EUに代わって、EIBの払込請求済資本
金に対する英国の分担金相当額を12回の分割により毎年英国に支払う。英国の払込請求済資本金の払
戻しを除き、EIBは、英国がEIBの構成員でなくなることに関連して、または離脱協定の関連条項に定
める英国の一部債務の留保を理由として、英国に対してその他の弁済、返金または報酬を支払う義務
を負わないものとする。
英国のEU離脱およびその結果としてのEIBの構成員でなくなることは、2020年12月31日現在(上記の
EIBの自己資本に対する影響を除く)および2021年12月31日現在の連結財務書類に重要な影響は与えな
かった。
A.2. 重要な会計方針の要旨
A.2.1. 外国通貨の換算
グループは、加盟国の資本勘定の測定単位として、そしてグループの財務書類の表示にユーロ
(「EUR」)を使用している。
グループは、各欧州連合加盟国の通貨、ユーロおよび非欧州連合通貨で業務を行っている。EIBの財
源は様々な通貨建ての出資、借入および利益剰余金によって調達される。
外貨建取引は、取引日の実勢為替レートで換算される。グループのユーロ以外の通貨建ての貨幣性
資産および負債は、貸借対照表日の実勢為替レート(終値)に基づきユーロに換算される。これらの
換算から生じた損益は損益計算書の「金融業務損益」に計上される。
A.2.2. 連結基準
子会社
子会社とは、グループによって直接的または間接的に支配されているすべての企業である。EIBグ
ループは、グループが企業への関与から生じる変動リターンにさらされているか、または変動リター
ンに対する権利を有しており、かつ、こうしたリターンに対して当該企業への権限を通じて影響を及
ぼす能力を有している、その支配下の企業を連結することが義務付けられている。
240/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
すべての重要な子会社は連結財務書類に含まれているが、グループにとって重要性のない企業は連
結の範囲から除外されている。あらゆる子会社の財務書類は、支配を開始した日から、支配を停止し
た日まで、連結財務書類に含められている。
EIB グループの本財務書類は、欧州投資銀行(「EIB」)およびその子会社である欧州投資基金
(「EIF」)の財務書類により構成される。子会社の財務書類は、EIBと同じ報告年度について作成さ
れ、EIBと一貫した会計方針に基づいている。
少数株主持分
EIB の子会社における少数株主持分は、グループが直接的にも間接的にも所有していない損益および
純資産の部分を表し、連結貸借対照表上の「少数株主に帰属する持分」および連結損益計算書上の
「少数株主に帰属する当期利益」で、それぞれ表示されている。
欧州委員会以外のEIFの少数株主が保有する株式に関して、プット・オプションの形態で提供してい
るコミットメントは、適用される行使価格でオフ・バランスシートに計上されている。
連結上消去される取引
貸借対照表および損益計算書上の勘定を合算した後、グループ内取引から生じたグループ内の残
高、取引、収益および費用をすべて相殺消去している。
代理人または受託者の資格で保有されている資産はグループの資産ではなく、注Zに記載されてい
る。
A.2.3. デリバティブ
グループは、金利リスクおよび外貨リスクのエクスポージャーを管理するため、デリバティブ商品
(主に通貨スワップおよび金利スワップ)を資産負債管理(「ALM」)活動の一環として使用してい
る。すべてのデリバティブ取引は、想定元本により、取引日にオフ・バランス項目として計上されて
いる。
グループのスワップの大部分は、債券発行および長期HQLAポートフォリオ(「LTHP」)の国債を
ヘッジする目的で締結されている。グループは、通貨スワップおよび金利スワップを締結し、これに
より借入資金を当初別の通貨に交換し、満期時には借入返済に必要な資金を元の通貨で入手し、また
は借入もしくは国債の金利ポジションを変更する。
またグループは、貸付金のヘッジの一環として、またはグローバルなALMポジションのために通貨ス
ワップ、金利スワップおよびオーバーナイト・インデックス・スワップを行っている。これに関する
利息は、関連期間に対する比例配分で計上されている。
グループは、財務オペレーションの一部としての為替スワップを主とした短期デリバティブ金融商
品を使用するほか、アクティブ運用ポートフォリオ(有価証券流動性ポートフォリオ)をヘッジする
手段としてのデリバティブも利用している。
A.2.3.1. 有価証券流動性ポートフォリオのデリバティブ
有価証券流動性ポートフォリオ(「SLP」)の一部として、デリバティブが締結され、貸借対照表に
時価で計上される。すなわち、その時価が正の値の場合には、「その他の資産」に、負の値の場合に
は、「その他の負債」に計上される。時価の変動は、「金融業務損益」に含まれている。時価は、市
場の公表価格、ディスカウント・キャッシュ・フロー・モデルおよびオプション価格モデルにより入
手している。オプション価格モデルには、現在の市況および原資産の契約価額と同様に、時間的価
値、イールドカーブおよび原資産のボラティリティが考慮される。
241/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
デリバティブ金融商品の金利は、関連期間に対する比例配分で「前払金および未収収益」または
「未払金および繰延収益」の勘定科目に計上される。
金利スワップ
金利スワップは、金利ポジションを修正するために締結される。金利スワップにおける受取利息お
よび支払利息は関連期間に対する比例配分で計上され、損益計算書では「受取利息および類似収益」
または「支払利息および類似費用」に計上される。金利スワップの時価が正の値の場合には、「その
他の資産」に、負の値の場合には、「その他の負債」に計上される。時価の変動は、「金融業務損
益」に含まれている。
先物契約
金利および債券の先物契約(先物)は、政府債およびその他の債券への投資から発生するエクス
ポージャーをヘッジするために締結される。先物は高度に標準化されたデリバティブ契約であり、規
制対象市場で取引され、日次での証拠金要件が適用される。先物契約の時価が正の値の場合には、
「その他の資産」に、負の値の場合には、「その他の負債」に計上される。時価の変動は、「金融業
務損益」に含まれている。
A.2.3.2. その他のデリバティブ
通貨スワップ
通貨スワップ契約は、通貨ポジションを調整するために締結される。通貨スワップの直物レッグの
再評価は、「未払金および繰延収益」または「前払金および未収収益」で相殺されている。通貨ス
ワップの先渡レッグは決済金額でオフ・バランスシート処理されており再評価されていない。直物金
額と先渡金額の決済差額として生ずるプレミアム/ディスカウントは、損益計算書の「受取利息およ
び類似収益」または「支払利息および類似費用」を通じ、関連期間に対する比例配分で償却される。
金利スワップ
金利スワップ契約は、金利ポジションを修正するために締結される。ヘッジのための金利スワップ
は再評価されず、その想定元本はオフ・バランスシートに計上される。金利スワップにおける受取利
息および支払利息は関連期間に対する比例配分で計上され、損益計算書では「受取利息および類似収
益」または「支払利息および類似費用」に計上される。
為替予約取引
為替予約取引は、将来の通貨ポジションを調整するために締結される。先渡レッグは、決済金額で
オフ・バランスシート処理されており再評価されていない。直物金額と先渡金額の差額は、損益計算
書の「受取利息および類似収益」または「支払利息および類似費用」を通じ、関連期間に対する比例
配分で償却される。
デリバティブ金融商品の金利は、関連期間に対する比例配分で「前払金および未収収益」または
「未払金および繰延収益」の勘定科目に計上される。
A.2.4. 金融資産および金融負債
金融資産および金融負債は決済日基準で計上されている。
242/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
A.2.5. 現金および現金同等物
現金および現金同等物は、連結キャッシュ・フロー計算書に開示されており、手許現金、非拘束性
の中央銀行預け金、要求払い預け金および取得日から3ヵ月以内に当初の満期日が到来する流動性の
高い短期金融市場証券または定期預金から構成されている。これらの金融商品は、その価値変動リス
ク が軽微であり、容易に現金化が可能であり、グループは短期的な契約債務の管理に使用している。
A.2.6. 中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期証券ならびに確定利付証券を含む負債証券
A.2.6.1. 長期優良流動資産(HQLA)ポートフォリオ(「LTHP」)
従来の長期ヘッジポートフォリオ(「LTHP」)は、2021年に長期優良流動資産(HQLA)ポートフォ
リオ(「LTHP」)に改編された。この改編とは、特に、ポートフォリオの規模、新たな適格通貨およ
び承認されている投資の範囲の変更等である。この新ポートフォリオで購入した有価証券で、満期ま
で保有する目的で保有しているものに関するビジネスモデルに変更はない。この新しい改編の下で
は、以下によって発行または保証された有価証券への投資が認められる。
- 欧州連合加盟国政府およびアメリカ合衆国(USA)政府
- 欧州連合、欧州安定メカニズム、欧州金融安定基金
これらの有価証券は、当初、購入価額で計上される。一時的でない評価損益は計上されている。購
入価格と償還価額との差額は、有価証券の残存期間にわたり、関連期間に対する比例配分で「受取利
息および類似収益」または「支払利息および類似費用」として計上される。
A.2.6.2. 運用ポートフォリオ
短期財務ポートフォリオ(「TMP」)
適切な水準の流動性を維持するため、EIBは満期が12ヵ月以内の短期金融商品、特に短期国庫証券お
よび公共機関や金融機関が発行した譲渡可能負債証券を購入している。短期財務ポートフォリオの有
価証券は、最終満期日まで保有されるもので、当初は購入価格で計上され、その後は償却原価で本財
務書類に計上される。購入価格と償還価額との差額は、有価証券の残存期間にわたり、関連期間に対
する比例配分で「受取利息および類似収益」または「支払利息および類似費用」として計上される。
評価損益は、一時的ではない場合、「固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券および参加持
分に係る(再)評価損益」に計上される。
有価証券流動性ポートフォリオ(「SLP」)
SLPは、政府、国際機関、金融機関および企業が発行または保証した上場負債証券で構成されてい
る。このポートフォリオは主にアクティブ運用され、ポートフォリオ内の有価証券は取得原価で当初
認識され、その後は財務書類に時価で表示される。時価の変動は、損益計算書の「金融業務損益」に
計上される。
SLPの時価は、第一情報源としての活発な市場における公表相場価格に基づいている。入手できる公
表相場価格がない金融商品については、市場参加者からの提示価格、および/または評価手法もしく
はモデルを使用して、時価を決定している。評価手法もしくはモデルは観察可能な貸借対照表日現在
の実勢市場データに基づくことが可能である場合に用いられる。
EIF 運用ポートフォリオ
EIF 運用ポートフォリオは、残存期間が10年以内の上場負債証券で構成されている。これらの有価証
券は償却原価で測定されている。
243/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
A.2.6.3. 代替貸付金およびABSポートフォリオ・EIF
代替貸付金およびABSポートフォリオ・EIFは、主に特別目的事業体(「SPV」)、信託事業体または
金融機関が発行した債券、ノートあるいは証書の形の債務で構成されている。これらの有価証券は満
期保有目的として分類されており、当初購入価格で計上され、その後は償却原価で評価されている。
購入価格と償還価額との差額は、有価証券の残存期間にわたり、関連期間に対する比例配分で「受取
利息および類似収益」として計上される。一時的でない評価損益は、個別に計上されている。減損し
ているが、そのように認識されていない契約を捕捉するために、それぞれ発生はしているが報告され
ていない損失について、集合的な評価損益が計上されている。個別および集合的な評価損益は、損益
計算書に「固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券および参加持分に係る(再)評価損益」
として計上され、貸借対照表上は対応する資産項目から減算されている。
代替貸付金の未実行部分は、名目値でオフ・バランスシートに記録される。
A.2.6.4. 優先債権者の地位(「PCS」)
EU 一次法優位の原則および、EIB定款に定められているEIBの財産があらゆる形の接収および収用か
ら免除されるものとする旨の原則は、満期時における欧州連合加盟国のソブリン・エクスポージャー
の全額回収を保証するとみなされる。この財務保護および優先債権者としての地位により、欧州連合
加盟国のソブリン・エクスポージャーまたは欧州連合加盟国の保証についての信用リスクも減損も発
生しない。しかし、他の債権者と同様に、EIBは欧州連合加盟国ソブリン発行体の負債性金融商品に含
まれる集団行動条項(「CAC」)に基づいた多数による決定事項に拘束される。
A.2.7. 金融機関および対顧客貸付金および預け金
A.2.7.1. 貸付金および預け金
貸付金および預け金は、正味実行額をもってグループの資産に計上される。期末における貸付金残
高について、その全額または一部の金額につき回収不能のリスクがある場合、個別の評価損益が計上
されている。減損しているが、そのように認識されていないポートフォリオの貸付金を捕捉するため
に、または発生しているがまだ報告されていない損失について、集合的な評価損益が計上されてい
る。これらの評価損益は、関連資産と同じ通貨で把握される。
評価損益は「貸付金および預け金ならびに偶発債務引当金に係る(再)評価損益」として損益計算
書に計上されており、貸借対照表の対応する資産項目から減算されている。
貸付金および預け金の未実行部分は、名目値でオフ・バランスシートに記録される。
A.2.7.2. 貸付金利息
貸付金利息は、発生主義で、すなわち貸付期間にわたって、損益計算書に計上される。未収利息
は、貸借対照表の資産の「前払金および未収収益」勘定に計上される。これらの貸付金利息の評価損
益は、グループの経営陣が個別に決定し、貸借対照表の適当な資産項目から控除される。
不良債権に関しては、評価損益が生じた場合、当初の契約条件に基づく未収利息の計上は停止され
る可能性がある。
A.2.7.3. リバース・リパーチェス取引(リバース・レポ)
リバース・リパーチェス取引は、担保有価証券を提供する金融機関に対してグループが流動資金を
貸し出す取引である。双方の当事者は、確定日に確定金額で取引を行うという取消不能の契約を結ぶ
ことになる。
244/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
この取引は、支払引替渡しの原則に基づき行われる。すなわち流動資金の借手は、契約価額での決
済と引き換えに、グループの保管業者に有価証券を引き渡すのである。これによってグループに金融
市場と連動したリターンが発生する。
こうした種類の業務は、グループの目的から、保証された金利が付加された貸付とみなされる。こ
れらの取引は一般的に有担保金融取引として取り扱われるため、提供または受領した現金額に未収
(経過)利息を加えた金額で計上されている。リバース・レポは、連結貸借対照表の資産側の「金融
機関貸付金および預け金: b) その他の貸付金および預け金」に額面金額で計上される。
リバース・リパーチェス契約に基づいて受け取った有価証券は、有価証券に含まれる契約上の権利
を支配できない限り、連結貸借対照表において認識されない。グループは、これらの受け取った有価
証券の市場価格を日々管理しており、原契約に従い追加担保を要求する。
リバース・リパーチェス契約に係る利息は、それぞれの契約の期間にわたり「受取利息および類似
収益」または「支払利息および類似費用」として計上される。
A.2.7.4. 利子補助金
前受利子補助金(注Iを参照)は繰り延べられ、補助金支給対象貸付金の実行から返済までの期間に
わたって、損益計算書で認識される。
A.2.7.5. 定期預金および要求払預金(「預金」)
預金とは、EIBが一定期間、または当事者間で合意した収益に対して要求払いで、金融機関または顧
客に流動性のある資金を貸し付ける業務である。預金は、法定貸借対照表の資産側の「金融機関貸付
金および預け金: その他の貸付金および預け金」に額面金額で計上される。
預金に係る利息は、預金期間にわたり「受取利息および類似収益」または「支払利息および類似費
用」として計上される。
A.2.8. 株式、その他の変動利付証券および参加持分
グループは、プライベート・エクイティおよびベンチャー・キャピタル事業開始、債券ファンド設
定、インフラ基金設定、投資基金設定または直接資本の形態での資本参加時に、株式、その他の変動
利付証券および参加持分を保有する。これらの投資は当初は取得原価で記録され、返済による資金の
還流額が減額される。それらの帳簿価額は、その後の貸借対照表日における測定で、取得原価と時価
のいずれか低い方に調整される。
グループが実施する一部の共同投資では、投資は取得原価で当初認識され、純払込額は合意された
ウォーターフォールに従って配分された資本返済控除後の出資履行額である。
ファンド・マネージャーから受けた報告に基づき、投資ポートフォリオは、取得原価もしくはEIBに
帰属する分の純資産価額(「NAV」)のどちらか低い方の値で個々に評価されるため、ポートフォリオ
に含まれている可能性があるEIB帰属分の未実現利益は除外される。帰属するNAVは、次のいずれか
を、報告日時点で利用可能な場合に優先順位に従い適用して決定される。
- 各ファンド・マネージャーから提出された、利用可能な直近の日におけるNAVのグループの持分
- グループが保有する株式数または口数に、ファンド・マネージャーが報告する利用可能な直近
の日の1株当たりまたは1口当たりの価格を乗じた値
- 特定のコンパートメントにおけるグループの所有比率に、最新のファンド・マネージャーの報
告に反映された当該特定のコンパートメントの純資産価額(「NAV」)を乗じた値
- 当該ファンドにおけるグループの所有比率に利用可能な直近のファンドNAVを乗じた値
245/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
グループが実施する一部の共同投資においては、帰属するNAVは合意されたウォーターフォールの計
算に基づいて決定される場合がある。
また、入手可能な直近のNAVの日付から貸借対照表日の間に発生した事象について調整することが重
要と経営委員会がみなす場合に限り、EIB帰属分のNAVに対してかかる調整を行う。
これらの投資の未実行だが確約した部分は、名目値でオフバランスシート・コミットメントに計上
される。
セカンダリーセール
ベンチャー・キャピタル・ファンドおよび投資ファンドに係るセカンダリーセール取引により、原
資産の認識が中止される。セカンダリーセールからの損益は「金融業務損益」に計上され、売却手取
額と正味帳簿価額の差異として算出される。
参加持分
EIB グループが自己勘定で取得した株式は、通常ベンチャー・キャピタル事業、債券ファンド、イン
フラ基金および投資基金への投資である。業界の慣行によれば、そのような投資は概して多数の投資
家が応募する投資であり、どの投資家も当該基金の日々の運営および投資活動に対し、個人的に影響
力を行使することはできない。結果として、ある投資家がそのような基金の統治機関のメンバーに
なったとしても、原則的には、それにより当該投資家がその基金の日々の運営に影響を与える権利を
手にするものではない。さらに、ベンチャー・キャピタル事業、インフラ基金または投資基金の個別
投資家は、資本の払戻しまたはその他の分配に関する分配方針等、基金の方針を決定することがな
い。一般的にそのような決定は、基金の経営陣と全株主の権利および義務を規定した株主契約に基づ
き、基金の経営陣が行っている。また一般的に株主間の合意は、個別投資家が基金との間で実質的な
取引を行ったり、役員を相互に交換したり、重要な専門情報にアクセスする特権を得たりすることも
防止している。EIBは、株式を取得したこうした事業体に対して重要な影響力または共同支配を有して
いるかを判定するために、判断を伴う包括的な分析を通じて上記の判定基準を評価している。当該事
業体に対する重要な影響力または共同支配が存在する場合、当該投資は、「参加持分」として開示さ
れる。
グループにより応募済であるがEBRDへの投資について払込未請求の資本は、オフ・バランスシート
項目として記録されている。
A.2.9. 有形資産
有形資産には、土地、グループが使用している不動産ならびにその他機械および設備が含まれる。
土地は、取得原価で計上されており、建物は、取得原価から減価償却累計額を控除した金額で計上
されている。ルクセンブルクのキルヒベルクに所在する本店の建物、ならびに同国のワイマールショ
フの建物の取得原価は、以下のように定額法で減価償却されている。
恒久使用の設備および備品、家具、事務機器ならびに自動車は、取得原価から減価償却累計額を控
除した金額で連結貸借対照表に計上されている。
減価償却費は購入品目ごとに、以下に示されている見積耐用年数の期間にわたって定額法で計算さ
れている。
- キルヒベルクおよびワイマールショフの建物:30年
- 恒久使用の設備および備品:10年
- 家具:5年
- 事務機器および自動車:3年
246/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
建設仮勘定資産は、工事が完了し、当該資産が意図された目的のための使用に供されることが可能
となるまで、その減価償却累計額は計上されない。
A.2.10. 無形資産
無形資産には、コンピューター・ソフトウェアが含まれている。ソフトウェア開発費は、識別可能
性、企業への将来の経済的便益の流入可能性、取得原価測定の信頼性に関する特定の基準を満たした
場合に資産計上される。
これらの基準に適合する自社開発のソフトウェアは、償却累計額(完成から3年にわたり定額法で
計算)控除後の取得原価で計上されている。
建設仮勘定資産は、作業が完了し、当該資産が意図された目的のための使用に供されることが可能
となるまで、その償却累計額は計上されない。
A.2.11. 年金制度および健康保険制度
A.2.11.1. 職員年金制度
グループは、ほぼすべての職員に退職給付を提供するため、確定給付年金制度を運営している。
EIB の主な年金制度は職員とEIBの拠出金を原資とする確定給付年金制度で、全職員が対象とされて
いる。EIBおよびその職員の全拠出額がEIBの資産へ投資されている。
EIF の主要な年金制度は、職員とEIFの拠出金を原資とする確定給付年金制度で、全職員が対象とさ
れている。この制度は、従来の確定拠出年金制度に代わり、2003年3月に実施された。
退職給付債務は、適正な引当水準となるように予測単位積立方式を用いて、少なくとも年に1度は
評価を受ける。最新の評価は、2021年9月30日現在の加入者データおよび2021年12月31日までの
キャッシュ・フローに基づき、2021年12月31日現在で実施された。保険数理士が用いた主な仮定につ
いては、注Lを参照のこと。
グループは、数理計算上の積立過不足累計額の認識に関して、2021年1月1日から非遡及的に会計
方針を変更した。
2020年12月31日まで適用された会計方針:
退職給付債務の10%を超過する過年度の数理計算上の積立過不足累計額は、制度加入者の予想平均
残存勤続年数(2020年:14.6年)にわたって定額法で認識される。
2021 年1月1日から適用されている会計方針:
2021 年の会計年度から、退職給付債務の10%を超える当年度の数理計算上の差異の累計額は、7年
間にわたり定額法で認識される。引当金が退職給付および健康保険給付の保険数理的価値の償却可能
部分に達した場合、それ以上の償却は損益計算書に認識されない。また、引当金が退職給付および健
康保険給付の保険数理的価値を超えることとなった場合には、その超過額はその後の期間に損益に算
入されることはない。
A.2.11.2. 健康保険制度
グループは職員のため、グループおよび職員の拠出金を原資とする独自の健康保険制度を設けてい
る。この健康保険制度は、注A.2.11.1に記載された職員に対する年金制度と同じ方針によって管理さ
れ、会計処理されている。最新の評価は、2021年9月30日現在の加入者データおよび2021年12月31日
までのキャッシュ・フローに基づき、2021年12月31日現在で実施された。
247/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
A.2.11.3. 経営委員会年金制度
経営委員会年金制度は確定給付年金制度で、グループのみからの拠出金を原資とし、経営委員会委
員全員を対象としている。グループからの拠出金は全額グループの資産に投資される。この経営委員
会年金制度は、注A.2.11.1に記載された職員に対する年金制度と同じ方針によって管理され、会計処
理されている。
A.2.11.4. 任意補足年金制度
任意補足年金制度とは、職員の任意拠出金および使用者の拠出金を原資とする確定拠出年金制度で
ある。対応する負債は「その他の負債」に計上されている。
A.2.12. 金融機関および顧客に対する債務
金融機関および顧客に対する債務は、財務書類において償還額で表示される。金融機関および顧客
に対する負債の利息は、発生主義により、「支払利息および類似費用」または金利がマイナスの場合
には「受取利息および類似収益」として損益計算書に計上される。経過利息は、負債勘定の「未払金
および繰延収益」に含まれる。
グループによるECBの金融政策オペレーションへの参加に関連して、BCLから借り入れた金額は額面
金額で計上され、中央銀行からの借入金として、連結財務書類において「金融機関に対する債務-b)
期日払または通知払」に計上されている。
A.2.12.1. リパーチェス取引(レポ)
リパーチェス取引は、金融機関からグループが流動資金を借り入れ、担保有価証券を提供する取引
である。双方の当事者は、確定日に確定金額で取引を行うという取消不能の契約を結ぶことになる。
この取引は支払引替渡しの原則に基づいており、これは注A.2.7.3に記載されている。
こうした種類の業務は、グループの目的から、合意された金利が付加された借入とみなされる。こ
れらの取引は一般的に有担保金融取引として取り扱われるため、借入金額に経過利息を加えた金額で
計上されている。レポは連結貸借対照表上、「金融機関に対する債務-b) 期日払または通知払」の下
で負債側に名目金額で計上される。
リパーチェス契約に係る利息は、それぞれの契約の期間にわたり「受取利息および類似収益」また
は「支払利息および類似費用」として計上される。
A.2.12.2. 担保払込勘定
片務的担保サポート・アネックスに基づき、グループはデリバティブ、貸付および財務ポートフォ
リオに係るカウンターパーティー信用エクスポージャーを低減するために担保として現金を受領す
る。受け取った現金担保は、名目金額で計上され、翌日物預金として、連結財務書類において「金融
機関に対する債務-a) 要求払」に表示される。
A.2.13. 債務証書借入
債務証書借入は、償却原価で表示されるゼロ・クーポン債を除き、償還金額で表示されている。取
引費用およびプレミアム/ディスカウントは、「未払金および繰延収益」または「前払金および未収
収益」を通じて債務の残存期間にわたって定額法により損益計算書で償却される。負債性金融商品の
支払利息は、連結損益計算書の「支払利息および類似費用」に計上されている。
248/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
A.2.14. 金融保証
金融保証契約は、特定の債務者が、負債性金融商品の当初条件または修正後条件に基づいて期日に
支払いを履行できない場合に、発行者に、その商品の保有者に発生した損失を補償するための所定の
支 払を行うことを義務付ける契約である。
発行済の金融保証は通常、オフ・バランスシート項目として会計処理され開示される。
金融保証による負債純額は、貸借対照表上で「保証業務に係る引当金」に表示されている。保証引
当金は、金融仲介機関に対するグループの保証業務または第三者が供与した貸付金に関する保証に内
在するリスクに対応するためのものである。
金融保証は、予想プレミアムの正味現在価値(「NPV」)または当初予想損失に対応する公正価値で
当初認識される。
当初認識後、金融保証は以下のうちの高い方の金額に対する、将来の予想プレミアムの正味現在価
値の不足額として測定される。
- 予想信用損失の額
- 当初認識された公正価値から、認識された収益/償却累計額を控除した額
将来の予想プレミアムの正味現在価値が予想支払義務を超過する額を表す未実現利益は、引き続き
認識されていない。
金融保証に関連する純負債の増加または減少は、損益計算書上、「貸付金および預け金ならびに偶
発債務引当金に係る(再)評価損益」で認識される。
受取プレミアムは、損益計算書の「受取手数料」で認識される。前受手数料は貸借対照表の「未払
金および繰延収益」で認識され、金融保証期間にわたって定額法で損益計算書において償却される。
A.2.15. 契約債務引当金
この引当金は、貸付金、インフラ基金および投資基金ならびにプライベート・エクイティおよびベ
ンチャー・キャピタル事業に対するグループの契約済・未実行契約債務に内在するリスクに対応する
ためのものである。
A.2.16. 準備金
A.2.16.1. 準備基金
定款第22(-1)条で規定されているように、EIBの留保利益より「応募済資本金の10%を上限に、準備
基金に段階的に組み入れるものとする」。
A.2.16.2. その他準備金
その他準備金には、グループの残りの留保利益が含まれている。
A.2.16.3. 特別活動準備金
定款第16(-5)条で規定されているように、「EIBの特別活動(中略)には個別に準備金を配分す
る」。特別活動準備金は、EIBが一般的に受け入れているものよりもリスクの高い活動によって生じる
予想外の損失をカバーするために割り当てられた専用準備金であり、ベンチャー・キャピタル業務が
これに含まれる。この準備金は各業務の資本配分に基づき、原資産の推移に応じて月次で計算され
る。
249/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
A.2.16.4. 一般貸倒準備金
2009 年、EIBの方針ガイドラインにより、EIBの貸付金および保証ポートフォリオから生じる可能性
のある損失に対し、「一般貸倒準備金」が導入された。この準備金は、原資産の推移に応じて月次で
計 算される。
A.2.17. 前払金および未収収益
当期の支出であるが翌期に関わる費用、および原商品の満期日まで支払いがなされない収益。
A.2.18. 未払金および繰延収益
貸借対照表日以前に支払いを受けるが翌期に帰属する収益、および当期に関連するが翌期に支払う
費用。
A.2.19. 受取利息および類似収益
「受取利息および類似収益」には、主に金融機関および対顧客貸付金および預け金、負債性金融商
品および短期金融市場商品ならびにデリバティブに係る利息が含まれる。
A.2.20. 支払利息および類似費用
「支払利息および類似費用」には、主に金融機関および顧客に対する負債の利息、ならびに負債性
金融商品、短期金融市場商品およびデリバティブに係る支払利息が含まれる。
A.2.21. 証券からの収益
「証券からの収益」は、主に元本を超える当期売却額で構成されている。
A.2.22. 租税
欧州連合に関する条約および欧州連合の機能に関する条約に付属する欧州連合の特権および免除に
関する議定書は、欧州連合機関の資産、収益およびその他の財産について、あらゆる直接税を免除す
ると定めている。
A.2.23. 会計方針の変更
年金制度および健康保険制度:グループは、退職給付債務の10%を超過する数理計算上の積立過不
足累計額の認識に関して、2021年1月1日から会計方針を変更した。
この会計方針の変更により、以前の会計方針の適用と比較して、当期純利益は214.0百万ユーロ減少
した。注A.2.11.1を参照のこと。
グループは、指令書に示された一般的な健全性の原則に従って、退職給付引当金を、年金制度と健
康保険制度の保険数理上の評価とさらに一致させるために、会計方針を変更することを選択した。
250/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注B: 現金、中央銀行および郵便局預け金ならびに負債証券ポートフォリオ(単位:千ユーロ)
B.1. 現金、中央銀行および郵便局預け金
現金、中央銀行および郵便局預け金は、2021年12月31日現在1,483,285千ユーロ(2020年:835,163
千ユーロ)である。
EIBは、ユーロ・システムの金融政策オペレーションにおける適格カウンターパーティーであること
から、EIBも欧州中央銀行の金融政策オペレーションに参加するようになった。EIBは、最低預金準備
率を充足するために預け金を置いているルクセンブルク中央銀行を通じて金融政策オペレーションを
実施する。この預け金残高は、2021年12月31日現在144,479千ユーロ(2020年:109,369千ユーロ)で
ある。
B.2. 負債証券ポートフォリオ(単位:千ユーロ)
負債証券ポートフォリオは、長期HQLAポートフォリオ(「LTHP」)、短期財務ポートフォリオ
(「TMP」)、有価証券流動性ポートフォリオ(「SLP」)、代替貸付金ポートフォリオならびにEIFの
ABSポートフォリオおよび運用ポートフォリオにより構成されている。
これらポートフォリオの2021年および2020年12月31日現在の詳細は、以下のとおりである。
2021年12月31日 2020年12月31日
中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期証券 37,160,351 32,073,906
確定利付証券を含む負債証券 11,971,268 12,808,690
(*)
49,131,619 44,882,596
負債証券合計
(*) うち非上場分は、2021年12月31日現在6,550,937千ユーロ(2020年:9,766,074千ユーロ)であった。
未償却
プレミア
(**)
2021年12月31日現在 購入価額 帳簿価額 評価損益 償還価値
時価
ム/ディス
カウント
LTHP 1,384,662 1,340,985 0 -97,342 1,243,643 1,418,398
TMP 22,484,695 22,434,606 0 -35,118 22,399,488 22,435,374
4,761,521 4,733,721 0 0 4,714,307 4,733,721
SLP
運用ポートフォリオ-EIF 2,302,307 2,289,463 0 -48,327 2,241,136 2,282,898
資産担保証券ポートフォリオ
409,395 381,153 0 0 381,153 380,709
-EIF
17,993,220 17,951,691 1,243 -6,339 17,946,595 18,033,089
代替貸付金(注D)
49,335,800 49,131,619 1,243 -187,126 48,926,322 49,284,189
負債証券合計(*)
(*) うち現金および現金同等物142,403千ユーロ
(**) 時価には経過利息は含まれない。
251/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
未償却
プレミア
(**)
2020年12月31日現在 購入価額 帳簿価額 評価損益 償還価値
時価
ム/ディス
カウント
LTHP 1,685,874 1,624,791 0 -64,803 1,559,988 1,743,413
TMP 17,611,913 17,580,727 0 -22,545 17,558,182 17,583,528
SLP 4,143,518 4,167,007 0 0 4,111,766 4,167,007
運用ポートフォリオ-EIF
1,194,317 1,187,076 0 -17,619 1,169,457 1,203,251
資産担保証券ポートフォリオ
413,594 321,642 0 0 321,642 322,417
-EIF
代替貸付金(注D)
20,044,919 20,001,353 1,266 -9,990 19,992,629 20,368,520
(*)
45,094,135 44,882,596 1,266 -114,957 44,713,664 45,388,136
負債証券合計
(*) うち現金および現金同等物2,801,772千ユーロ
(**) 時価には経過利息は含まれない。
代替貸付金は、証券化取引に関連する貸付金または債権のプールにおける持分の取得を表してお
り、貸付金総額(注D)の一部とみなされる。こうした取引の一部は、与信またはプロジェクト関連の
救済措置を付加した上で組成されているため、追加的な償還請求手段が備わっている。2021年12月31
日現在で、1件の取引(2020年:1件の取引)について個別の評価損益1,243千ユーロ(2020年:
1,224千ユーロ)が計上された。2020年度に、代替貸付金ポートフォリオに対するCOVID-19の影響を捕
捉するために計上された集合的な評価損益42千ユーロは、2021年12月31日現在で戻し入れられた。
債券保有における欧州連合加盟国ソブリン債に対するエクスポージャー
EIBおよびEIFの優先債権者の地位ならびにEIB定款による保護を考慮し、また評価調整要件の詳細な
見直しの結果、グループは、期末現在の満期保有目的EU加盟国ソブリン債およびEU加盟国ソブリン保
証債のエクスポージャーに関して、2021年度および2020年度に評価損益を計上しなかった。
252/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
下表は、2021年および2020年12月31日現在のグループの負債証券ポートフォリオ(代替貸付金およ
びEIFのABSポートフォリオを含む)における、EU加盟国またはその政府機関が発行または保証する負
債証券に対するエクスポージャーを示したものである。
購入価額 帳簿価額 償還価値 時価
2021年12月31日現在
EU 加盟国ソブリン債
オーストリア 60,407 56,707 55,500 56,657
ベルギー 62,150 62,072 62,000 62,114
ブルガリア 41,191 40,768 37,515 40,285
チェコ共和国 426,516 385,879 378,085 390,877
デンマーク 17,615 17,616 17,658 17,616
フランス 1,284,757 1,271,840 1,268,288 1,273,797
ドイツ 992,034 980,836 960,664 1,030,645
ハンガリー 16,827 16,663 16,000 16,585
アイルランド 704,819 705,945 706,339 706,040
イタリア 7,484,756 7,459,403 7,439,999 7,465,218
ラトビア 14,962 14,984 15,000 15,056
リトアニア 32,567 32,071 31,779 32,331
ルクセンブルク 30,218 30,217 30,000 30,293
オランダ 366,403 355,095 348,000 367,345
ポーランド 610,834 609,454 605,758 527,211
ポルトガル 47,184 47,124 46,500 47,237
ルーマニア 88,047 83,733 83,214 83,665
スロバキア 7,960 7,973 8,000 8,167
スロベニア 39,490 39,335 39,000 38,909
スペイン 5,880,531 5,868,301 5,863,235 5,867,975
96,478 95,644 95,487 95,635
スウェーデン
18,305,746 18,181,660 18,108,021 18,173,658
31,030,054 30,949,959 30,818,301 31,110,531
EU 加盟国以外のソブリン債およびその他の債券
49,335,800 49,131,619 48,926,322 49,284,189
合計
253/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
購入価額 帳簿価額 償還価値 時価
2020年12月31日現在
EU 加盟国ソブリン債
オーストリア 288,335 286,399 282,408 286,602
ベルギー 180,634 180,300 180,000 180,353
チェコ共和国 614,184 571,803 560,111 615,434
デンマーク 16,259 16,280 16,299 16,280
エストニア 10,026 10,010 10,000 10,010
フィンランド 41,510 41,066 40,000 41,066
フランス 537,815 523,359 516,192 528,678
ドイツ 2,345,313 2,337,531 2,307,758 2,401,193
ハンガリー 10,495 10,471 10,000 10,510
アイルランド 567,651 568,013 567,861 568,279
イタリア 101,745 96,613 95,150 126,003
ラトビア 14,962 14,971 15,000 15,192
リトアニア 17,022 16,940 16,700 17,769
ルクセンブルク 90,837 92,471 95,000 92,471
オランダ 783,954 765,999 754,000 779,276
ポーランド 184,587 184,071 180,671 185,498
ポルトガル 40,130 40,050 40,000 40,095
ルーマニア 10,041 10,022 10,000 10,017
スロバキア 113,208 112,993 113,000 113,348
スロベニア 14,902 14,818 14,000 15,356
スペイン 3,662,501 3,655,147 3,644,290 3,657,666
62,017 62,377 61,120 62,377
スウェーデン
9,708,128 9,611,704 9,529,560 9,773,473
35,386,007 35,270,892 35,184,104 35,614,663
EU 加盟国以外のソブリン債およびその他の債券
45,094,135 44,882,596 44,713,664 45,388,136
合計
254/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注C: 金融機関および対顧客貸付金および預け金-その他の貸付金および預け金(単位:千ユーロ)
2021年12月31日 2020年12月31日
(*)
定期預金 60,466,600 44,562,150
要求払預金 388,680 239,935
リバース・レポ 13,894,159 15,473,559
その他の金融機関貸付金および預け金 74,749,439 60,275,644
677,437 900,604
その他の対顧客貸付金および預け金
75,426,876 61,176,248
その他の貸付金および預け金合計
うち現金および現金同等物 66,842,771 43,933,323
(*)2021年のルクセンブルク中央銀行への預け金567億ユーロ(2020年:346億ユーロ)を含む。
注D: 貸付金明細表
D.1. 貸付金総額(単位:千ユーロ)
貸付金総額は貸付金の実行済金額と未実行金額で構成されている。分析は以下のとおりである。
金融仲介機関に 最終受益者に
対して実行される 直接実行される 2021年12月31日 2020年12月31日
貸付金 貸付金
実行済金額 93,556,104 321,907,465 415,463,569 424,646,943
31,936,008 91,041,283 122,977,291 114,063,130
未実行金額
125,492,112 412,948,748 538,440,860 538,710,073
貸付金総額
分割貸付債権 6,007 466,846 472,853 192,470
17,952,934 20,002,619
代替貸付金ポートフォリオ
556,866,647 558,905,162
代替貸付金ポートフォリオを含む貸付金総額 (注D.3)
D.2. 貸付金に係る評価損益(単位:千ユーロ)
評価損益の推移の詳細は、以下のとおりである。
2021年 2020年
1月1日現在 647,769 479,759
(1)
当期取崩額 -229,532 -95,695
(2)
当期目的使用額 -31,561 -27,833
(1)
当期繰入額 35,843 307,234
16,489 -15,696
為替調整額
(3)
439,008 647,769
12月31日現在
(1) 2020年のCOVID-19の流行を受けて、グループは貸付金ポートフォリオに対するこのパンデミックの影響の定性評価
を実施した。この関連で、カウンターパーティー・レベルで脆弱性評価が行われ、COVID-19危機に関連するエクス
ポージャーの感応度を評価した。この分析の結果に基づき、それぞれの貸付金の残存期間にわたっての予想信用損
失に基づいた74,740千ユーロにのぼる集合的引当金が認識された。
2021年度に、(1) 貸付金ポートフォリオに対するCOVID-19の影響についてのより詳細な評価を可能にする年次カウ
ンターパーティー格付の見直し、および(2) それぞれの貸付金の残存期間の予想信用損失の減少の結果、グループ
255/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
はこの集合的引当金は必要ではなくなったとみなした。COVID-19が貸付金ポートフォリオ全体に与える影響の詳細
な評価を使用して、個別の評価損益の必要性は適時に評価され、それに従って計上されている。
(2) 2021年度に、グループは貸付金事業1件について、一部が引当済のリストラクチャリングを完了した。このリスト
ラクチャリングの結果、2,444千ユーロ(2020年:1件の貸付金事業において1,317千ユーロ)が既存の引当金から
目的使用された。また、グループは2件の不良債権事業の売却取引を完了した。この結果、資産売却損22,367千
ユーロ(2020年:1件の貸付金事業において25,336千ユーロ)に既存の引当金が充当された。最後に、グループは
貸付金事業2件におけるエクスポージャーを償却し、この結果、6,750千ユーロ(2020年:1件の貸付金事業におい
て1,180千ユーロ)が既存の引当金から目的使用された。
(3) 評価損益は、延滞を含む実行済貸付金のみに関連している。また、グループは追加的に「前払金および未収収益」
に計上されている未収利息について、総額4,919千ユーロ(2020年:14,291千ユーロ)の評価損益を計上している。
256/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
D.3. プロジェクトが行われている国別に表示した貸付金の地域別内訳(単位:千ユーロ)
D.3.1. 欧州連合内のプロジェクトに対する貸付金
2021 年 2020 年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
スペイン 77,399,794 68,942,585 8,457,209 13.90% 15.13%
イタリア 64,854,249 51,097,343 13,756,906 11.66% 11.73%
フランス 63,924,071 48,064,516 15,859,555 11.49% 10.85%
ドイツ 44,557,592 33,671,728 10,885,864 8.01% 8.12%
ポーランド 43,660,661 33,425,632 10,235,029 7.85% 7.54%
ギリシャ 19,914,438 16,057,895 3,856,543 3.58% 3.52%
オランダ 17,040,300 12,359,736 4,680,564 3.06% 2.91%
ベルギー 15,540,904 11,534,467 4,006,437 2.79% 2.72%
オーストリア 15,005,998 13,914,103 1,091,895 2.70% 2.66%
ポルトガル 13,515,255 11,370,793 2,144,462 2.43% 2.50%
スウェーデン 12,187,860 8,626,838 3,561,022 2.19% 2.20%
フィンランド 10,893,129 9,374,998 1,518,131 1.96% 1.98%
ハンガリー 10,031,384 8,147,659 1,883,725 1.80% 1.73%
アイルランド 7,569,481 6,086,841 1,482,640 1.36% 1.32%
チェコ共和国 6,924,345 4,894,445 2,029,900 1.24% 1.25%
ルーマニア 6,751,738 3,962,048 2,789,690 1.21% 1.18%
スロバキア 4,589,460 3,786,032 803,428 0.82% 0.85%
クロアチア 3,952,382 2,882,897 1,069,485 0.71% 0.79%
デンマーク 3,522,232 2,546,485 975,747 0.63% 0.57%
スロベニア 2,841,648 2,183,205 658,443 0.51% 0.56%
キプロス 2,778,108 1,917,758 860,350 0.50% 0.50%
リトアニア 2,745,828 2,515,518 230,310 0.49% 0.49%
ブルガリア 2,210,812 1,935,715 275,097 0.40% 0.40%
エストニア 1,591,185 921,013 670,172 0.29% 0.27%
ラトビア 1,222,553 639,645 582,908 0.22% 0.21%
ルクセンブルク 681,996 225,770 456,226 0.12% 0.15%
407,226 273,303 133,923 0.07% 0.08%
マルタ
456,314,629 361,358,968 94,955,661 81.99% 82.21%
小計
257/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
D.3.2. 欧州連合域外のプロジェクトに対する貸付金
D.3.2.1. 候補国
2021 年 2020 年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
9,738,640 9,470,004 268,636
トルコ
3,354,012 2,287,877 1,066,135
セルビア
703,172 510,843 192,329
モンテネグロ
470,064 322,446 147,618
北マケドニア
355,661 253,161 102,500
アルバニア
14,621,549 12,844,331 1,777,218 2.63% 2.85%
小計
258/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
D.3.2.2. アフリカ、カリブ海および太平洋地域(「ACP」)諸国
2021 年 2020 年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
セネガル 555,397 216,691 338,706
ギニア 422,271 84,166 338,105
マダガスカル 413,694 189,284 224,410
ザンビア 409,711 121,905 287,806
ケニア 385,513 183,878 201,635
ベナン 368,683 65,404 303,279
アフリカ地域 330,000 330,000 0
ガーナ 281,976 29,010 252,966
マラウイ 218,999 62,007 156,992
モザンビーク 178,480 78,480 100,000
ナイジェリア 175,000 0 175,000
ルワンダ 167,000 0 167,000
カメルーン 162,600 56,600 106,000
ドミニカ共和国 159,709 47,048 112,661
レソト 155,645 73,645 82,000
コートジボワール 152,700 94,524 58,176
ニジェール 152,370 26,370 126,000
タンザニア連合共和国 134,561 75,148 59,413
ウガンダ 110,859 110,859 0
ブルキナファソ 105,847 52,847 53,000
アンゴラ 100,000 789 99,211
マリ 90,769 39,819 50,950
西アフリカ地域 70,976 70,976 0
ブルンジ 70,000 42,500 27,500
フィジー 66,219 0 66,219
ガンビア 65,000 1,410 63,590
リベリア 60,105 40,105 20,000
バルバドス 59,755 10,000 49,755
カーボベルデ 54,047 52,768 1,279
パプア・ニューギニア 52,286 30,902 21,384
ACP 地域 50,000 0 50,000
モーリタニア 42,582 2,582 40,000
エチオピア 40,000 15,000 25,000
エスワティニ王国 37,929 28,674 9,255
セーシェル 37,669 25,169 12,500
コンゴ民主共和国 27,677 27,677 0
サントメ・プリンシペ 24,500 0 24,500
チャド 15,000 0 15,000
トーゴ 13,374 13,374 0
ナミビア 9,737 9,737 0
コンゴ 7,211 7,211 0
カリブ海地域 5,862 5,862 0
モーリシャス 4,948 4,948 0
ドミニカ 1,970 1,970 0
ベリーズ 1,104 1,104 0
ボツワナ 662 662 0
129 129 0
セント・ヴィンセント・グレナディン
6,050,526 2,331,234 3,719,292 1.09% 0.94%
小計
259/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
D.3.2.3. アジア
2021 年 2020 年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
3,126,038 1,560,702 1,565,336
インド
2,466,495 1,090,705 1,375,790
中国
635,000 143,401 491,599
バングラデシュ
331,991 25,160 306,831
ウズベキスタン
287,059 38,647 248,412
ネパール
232,732 68,702 164,030
カンボジア
206,876 156,376 50,500
ベトナム
176,983 49,578 127,405
ラオス人民民主共和国
166,245 9,324 156,921
カザフスタン
155,386 105,386 50,000
スリランカ
112,000 50,000 62,000
キルギス
107,397 59,034 48,363
タジキスタン
84,842 48,719 36,123
モルディブ
83,261 57,914 25,347
モンゴル
50,000 0 50,000
パキスタン
8,222,305 3,463,648 4,758,657 1.48% 1.34%
小計
D.3.2.4. 潜在的候補国
2021 年 2020 年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
2,023,320 1,211,729 811,591
ボスニア・ヘルツェゴビナ
202,800 17,000 185,800
コソボ
2,226,120 1,228,729 997,391 0.40% 0.38%
小計
260/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
D.3.2.5. ラテンアメリカ諸国
2021 年 2020 年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
1,548,264 870,386 677,878
ブラジル
767,759 430,472 337,287
エクアドル
446,839 113,621 333,218
アルゼンチン
413,551 367,532 46,019
パナマ
286,967 148,044 138,923
ニカラグア
276,010 276,010 0
メキシコ
208,370 120,078 88,292
ペルー
181,882 0 181,882
コロンビア
167,756 10,595 157,161
ラテンアメリカ地域
150,909 95,073 55,836
パラグアイ
112,680 86,398 26,282
ボリビア
83,453 83,453 0
中央アメリカ地域
78,074 69,100 8,974
ホンジュラス
57,897 57,897 0
コスタリカ
35,317 0 35,317
エルサルバドル
4,815,728 2,728,659 2,087,069 0.87% 0.81%
小計
D.3.2.6. 欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国
2021 年 2020 年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
1,215,090 969,290 245,800
ノルウェー
555,340 555,340 0
アイスランド
36,508 21,508 15,000
スイス
1,806,938 1,546,138 260,800 0.32% 0.29%
小計
261/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
D.3.2.7. 地中海沿岸諸国
2021 年 2020 年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
7,218,622 4,604,067 2,614,555
エジプト
5,310,908 3,305,095 2,005,813
モロッコ
2,696,317 1,721,253 975,064
チュニジア
1,351,965 464,965 887,000
レバノン
1,164,035 565,154 598,881
ヨルダン
872,214 768,612 103,602
イスラエル
422,625 118,722 303,903
ガザ・西岸地区
295,950 295,950 0
アルジェリア
103,000 100,000 3,000
地中海沿岸地域
81,471 81,471 0
シリア・アラブ共和国
19,517,107 12,025,289 7,491,818 3.51% 3.38%
小計
D.3.2.8. 海外の属国および属領(OCT)
2021 年 2020 年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
50,214 14,444 35,770
ニューカレドニア
44,218 5,739 38,479
シント・マールテン
13,382 13,382 0
仏領ポリネシア
107,814 33,565 74,249 0.02% 0.02%
小計
D.3.2.9. 東欧諸国、南コーカサス諸国およびロシア
2021 年 2020 年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
6,222,290 1,570,092 4,652,198
ウクライナ
1,673,866 929,866 744,000
ジョージア
725,594 428,477 297,117
モルドバ共和国
533,333 173,333 360,000
ベラルーシ
313,914 237,832 76,082
アルメニア
49,458 49,458 0
ロシア連邦
5,446 5,446 0
アゼルバイジャン
9,523,901 3,394,504 6,129,397 1.71% 1.66%
小計
262/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
D.3.2.10. 英国
2021 年 2020 年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
32,599,501 31,917,762 681,739
英国
32,599,501 31,917,762 681,739 5.87% 5.95%
小計
D.3.2.11. 南アフリカ
2021 年 2020 年
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
貸付金合計額 貸付金合計額
国および地域
に対する割合 に対する割合
587,676 543,676 44,000
南アフリカ
587,676 543,676 44,000 0.11% 0.17%
小計
欧州連合域外のプロジェクトに対す
100,079,165 72,057,535 28,021,630 18.01% 17.79%
る貸付金合計
(1)
556,393,794 433,416,503 122,977,291 100.00%
2021 年貸付金合計
(1)
558,712,692 444,649,562 114,063,130 100.00%
2020 年貸付金合計
(1) 代替貸付金(注B.2およびD.1)を含み、分割貸付債権(2021年:473百万ユーロ、2020年:192百万ユーロ)を除
く。
D.4. 保証業務に係る引当金
グループが付与した保証に係る引当金は、受益者に対して支払義務を負うと見込まれる損失に対応
して認識されている。2021年12月31日現在、こうした引当金は39,332千ユーロにのぼる(2020年:
22,640千ユーロ)。
263/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注E: グループの構成、株式、その他の変動利付証券および参加持分
E.1. グループの構成
欧州投資基金
欧州投資基金(「EIF」)は、1994年6月14日にルクセンブルクで国際金融機関として設立された。
登記上の事務所所在地は、37B, avenue J.F.Kennedy, L-2968 Luxembourgである。
EIF の主要任務は、十分な自己資本利益率を提供しつつ、以下を通じて欧州連合の目的追求に貢献す
ることである。
- 金融機関に対する中小企業(「SME」)向け融資保証の提供
- 持分投資の取得、保有、運用および処分
- 第三者から受託した特別財源の管理
- 関連業務
EIFの株式資本は普通株式のみで構成され、EIBはEIFの普通株式を直接的に保有しており、保有する
所有持分割合は、EIBが保有する議決権に等しい。EIFの設立国または登記国は、主たる事業所の所在
地でもある。
EIF株主総会におけるEIFの2021年2月の増資の承認の結果、EIFの授権資本は2021年度中に額面百万
ユーロの新株2,870株の発行を通じて、45億ユーロから74億ユーロに増加した。
新株の発行は、以下に詳述するように1応募期間で応募が可能な1回の応募で行われた。応募され
た新授権株式は、その額面金額の20%について払込が行われている。残りの80%は、EIF株主総会の決
定を受けて払込請求を行うことができる。この増資において応募された新授権株式についての申込価
格は、外部監査人のレビュー済であり新規発行株式の払込部分を含めた2020年9月30日現在のEIFの財
務データに基づいて、代替株式取得約束(「RSPU」)の算式に従い算定された435,970.88ユーロと決
定された。EIF定款第5条に沿って、EIFの各株主は、当該増資前で当該株主が出資した株数とEIFの全
応募済株数との間の比率に対応して、増資の一部に対して応募する資格を持っていた。その結果とし
て、EIBは2021年2月に約736百万ユーロで、その比例配分部分である1,689株について応募した。
EIBは、EIFの応募済資本金73億ユーロ(2020年:45億ユーロ)の59.40%(2020年:58.82%)を保
有している。
2021年度に、EIBはEIF株式の他の投資家からの購入も、他の投資家への売却も行わなかった。この
結果、EIBが保有するEIFの株数は2021年1月1日時点の2,647株から、2021年12月31日時点では4,336
株へと増加した。
2021年度中、欧州委員会 (「EC」)が保有するEIFの応募済株式に関するRSPUは解除されたが、EC
以外のEIFの少数株主からの応募済株式に関するRSPUは依然として有効である。
この結果、これらの少数株主が引き受けたEIF株式774株について、EIBはRSPUに基づき、これらの株
式を1株当たり439,717.18ユーロで随時買い取る旨申し入れている。この価格は、EIF払込請求済資本
金に、資本剰余金勘定、法定準備金、留保利益、公正価値準備金および当期純利益を加え、当期配当
金の調整を施した値の1株当たり金額に相当する。合意された算式が、オプションが行使される会計
年度のEIFの承認済かつ監査済年次財務書類に適用されている。
264/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
オフ・バランスシートに表示されているEIFの少数株主グループに付与されたプット・オプションの
名目金額340,341千ユーロ(2020年:819,467千ユーロ)は、国際財務報告基準に準拠して作成された
2020年度のEIFに監査済法定決算書に基づいて計算されている。
E.2. 株式、その他の変動利付証券および参加持分(単位:千ユーロ)
参加持分 株式およびその他の変動利付証券
プライ プライ
投資基金
ベート・ ベート・
および
エクイティ エクイティ
インフラ
その他の
(2) (3)
および および
EBRD 持分 合計
ストラク
持分投資
ベンチャー・ ベンチャー・
チャー基金
キャピタル キャピタル
(1)
(1) (1)
事業 事業
取得原価:
399,715 6,576,320 157,500 2,568,911 244 9,302,975
2021年1月1日現在
(4)
93,908 1,777,192 0 849,826 20 2,627,038
当期取得額
(4)
-128,668 -1,816,851 0 -400,344 0 -2,217,195
売却/満期
364,955 6,536,661 157,500 3,018,393 264 9,712,818
2021年12月31日現在
評価損益:
-36,527 -464,073 0 -93,262 0 -557,335
2021年1月1日現在
-3,838 -94,324 0 -24,996 0 -119,320
当期取得額
20,433 163,348 0 23,986 0 187,334
当期減少額
-19,932 -395,049 0 -94,272 0 -489,321
2021年12月31日現在
純帳簿価額:
345,023 6,141,612 157,500 2,924,121 264 9,223,497
2021年12月31日現在
363,188 6,112,247 157,500 2,475,649 244 8,745,640
2020年12月31日現在
(1) オフ・バランスシートで開示されている契約済の未実行額は、それぞれ次のとおりである。
株式およびその他の変動利付証券に関連して:
・ プライベート・エクイティおよびベンチャー・キャピタル事業に対して4,948,960千ユーロ(2020年:
4,779,487千ユーロ)
・ 投資基金およびインフラ基金に対して3,203,307千ユーロ(2020年:3,273,437千ユーロ)
参加持分に関連して:
・ プライベート・エクイティおよびベンチャー・キャピタル事業に対して576,951千ユーロ(2020年:611,372千
ユーロ)
(2) 157,500千ユーロ(2020年:157,500千ユーロ)は、欧州復興開発銀行(「EBRD」)の資本金に対するEIBの応募額
900,440千ユーロに係る2021年12月31日現在のEIBの払込資本である。
(3) 合計額は、株式およびその他の変動利付証券のみを含む。
(4) 「当期取得額」 および 「売却/満期」 の金額には為替変動が含まれている。
265/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021年12月31日現在、 EIBは、EBRDの応募済資本金の3.03%(2020年:3.03%)を所有している。
3.03%).国際財務報告基準に準拠して作成されたEBRDの監査済2020年度財務書類に基づいた、EBRDにお
けるEIBの正味資本持分は541百万ユーロである。
持分比率(%) 自己資本合計 純損益合計 資産合計
(単位:百万ユーロ)
(*)
3.03 17,891 290 69,772
EBRD (2020年12月31日)
(*) データはEBRDの最新の監査済財務書類に基づいている。
266/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注F: 無形・有形資産(単位:千ユーロ)
ルクセン 家具備品
土地 有形資産合計 無形資産合計
ブルクの建物 および設備
取得原価:
2021 年1月1日現在 20,145 406,099 70,917 497,161 56,639
当期取得額 0 4,550 18,287 22,837 40,272
0 0 -17,793 -17,793 -17,291
当期除却額
20,145 410,649 71,411 502,205 79,620
2021 年12月31日現在
減価償却/償却累計額
2021 年1月1日現在 0 -206,342 -42,060 -248,402 -17,360
当期減価償却/償却額 0 -9,792 -19,117 -28,909 -21,035
0 0 17,793 17,793 17,183
当期除却額
0 -216,134 -43,384 -259,518 -21,212
2021 年12月31日現在
純帳簿価額:
20,145 194,515 28,027 242,687 58,408
2021 年12月31日現在
20,145 199,757 28,857 248,759 39,279
2020 年12月31日現在
ルクセンブルクの建物には、新棟の建設に係る原価67,920千ユーロ(2020年:63,370千ユーロ)が
含まれており、新棟は、2025年に完成予定である。
267/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注G: その他の資産およびその他の負債(単位:千ユーロ)
その他の資産 2021年12月31日 2020年12月31日
未収金およびその他債権 78,202 18,611
未収EGF管理報酬 26,440 128
デリバティブの公正価値 18,124 967
保証履行請求債権 12,831 12,986
前払給与および手当 2,985 2,780
3,091 1,840
その他
141,673 37,312
合計
その他の負債 2021年12月31日 2020年12月31日
(*)
英国への資本の未払払戻金 2,895,904 3,195,904
任意補足年金制度(注L) 792,891 721,903
ファースト・ロス一部負担金 202,171 204,070
未払人件費 104,190 100,020
未払金およびその他債務 95,935 75,598
繰延収益 44,856 33,981
貸付金の未達勘定 35,601 43,289
重債務貧困国(HIPC)イニシアチブに係る未払費用(**) 13,596 13,596
デリバティブの公正価値 10,606 36,686
西バルカン諸国のインフラ基金 393 393
68,941 24,311
その他
4,265,084 4,449,751
合計
(*) グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国の欧州連合および欧州原子力共同体からの離脱協定の第150(4)条
および2020年6月10日付理事会決定(EU)2020/769による修正に従い、EIBは払込請求済資本金の35億ユーロを2020年
10月15日より開始する12回の分割により毎年英国に支払う(最初の11回の分割払いは各300,000,000ユーロで最終回
の支払いは195,903,950ユーロ)。2020年10月15日および2021年10月15日に期日を迎えた分割金は全額が決済され
た。
(**) 重債務貧困国(「HIPC」)イニシアチブ
268/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注H: 応募済資本金、グループ自己資本および前年度利益の処分(単位:千ユーロ)
H.1. 連結自己資本および前年度利益の処分
連結自己資本変動計算書 2021年 2020年
資本金:
(2)(3)
- 応募済資本金
248,795,607 248,795,607
(2) (3)
- 払込未請求資本金 -226,604,892 -226,604,892
- 払込請求済資本金
22,190,715 22,190,715
(3)
- 払込請求済だが払込未済の応募済資本金
-344,106 -442,423
- 払込請求済資本金および払込請求済だが払込未済の
21,846,609 21,748,292
応募済資本金
準備金および当期純利益:
準備基金:
- 期首残高
24,328,415 24,328,415
(1)
- 前年度利益処分額 551,146 0
- 期末残高
24,879,561 24,328,415
その他準備金:
- 期首残高
11,888,087 12,792,307
(2)
- 払込請求済資本金への振替:均衡的資本差替え 0 -3,495,904
- 払込請求済だが払込未済の準備金:ポーランドおよびルーマニア
(3)
の拠出金 0 1,106,917
(1) (4)
- 前年度利益処分額
897,203 1,493,901
(5)
- 所有持分の変動 -8,627 -9,134
- 期末残高
12,776,663 11,888,087
(3)
- 払込請求済だが払込未済の準備金 -774,842 -996,225
- その他準備金および払込請求済だが払込未済の準備金
12,001,821 10,891,862
特別活動準備金:
- 期首残高
11,736,896 10,777,675
(1)
- 前年度利益処分額 416,058 959,221
- 期末残高
12,152,954 11,736,896
一般貸倒準備金:
- 期首残高
2,135,891 2,170,177
(1)
- 前年度利益処分額 -114,554 -34,286
- 期末残高
2,021,337 2,135,891
2,647,454 1,749,853
EIB 株主に帰属する当期純利益
75,549,736 72,591,209
EIB 株主に帰属する連結自己資本合計
少数株主に帰属する持分 2021年 2020年
- 1月1日現在の残高
932,916 910,980
- 準備金の変動
482,617 -2,044
55,151 23,980
- 当期損益処分
1,470,684 932,916
12 月31日現在の少数株主に帰属する持分合計
(1) 2021年4月23日、総務会は、2020年12月31日終了年度のEIBの当期純利益1,712,323千ユーロを準備基金、その他準
備金、特別活動準備金および一般貸倒準備金に繰り入れることを決定した。一般貸倒準備金または特別活動準備金
からの取崩し/への繰入れが生じているが、これは基礎的業務のリスクの動きに伴うものである。
269/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
(2) 2017年3月29日、英国は、欧州連合条約(「TEU」)第50条に従って欧州連合(「EU」)から離脱する決定を欧州理
事会に通知した。英国は、TEU第50条および「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国の欧州連合および欧
州原子力共同体からの離脱協定」(「離脱協定」)に基づき、2020年2月1日をもってEU加盟国でなくなった。英
国のEUからの離脱により、英国は自動的に欧州投資銀行(「EIB」)の構成員でなくなり、応募済資本金の分担も終
了した。
2020年2月1日より、EIBの応募済資本金における英国の分担金は、その全額につき、残りのEU加盟国が按分負担す
る増資をもって差し替えられた。この資本の差替え(均衡的資本差替え)は、EIBにおける英国の応募済資本金の払
込請求済部分に加え、払込未請求部分も対象とするものであった。払込請求済部分の差替えは、EIBの準備金を応募
済資本金に振り替えることで賄われた。増資の結果、残りの各EU加盟国において、EIBの応募済資本金の払込未請求
(請求可能)持分が按分で増加した。
(3) 注H.2を参照のこと。
(4) EIBの法定利益とグループの連結当期純利益との差額(37,530千ユーロ)は、「EIB株主に帰属するその他準備金」
に配分された。
(5) この残高は、EIF株式の購入/応募および売却に関連するものであった。
H.2. 払込請求済だが払込未済の応募済資本金および準備金
「払込請求済だが払込未済の資本金および準備金」として貸借対照表に表示されている1,118,948千
ユーロは、2020年3月1日の非均衡的増資の結果の、加盟国であるポーランドおよびルーマニアから
の未収額を含んでいる。払込請求済の応募済資本金および準備金への拠出は、それぞれ0.5百万ユーロ
および1.1百万ユーロであった。
当該加盟国から支払われる総額は、10回の均等分割により半年ごとに支払われ、2020年12月31日、
2021年6月30日、2021年12月31日、2022年6月30日、2022年12月31日、2023年6月30日、2023年12月
31日、2024年6月30日、2024年12月31日および2025年6月30日に支払期日を迎える。
2021年12月31日までに期日を迎えた分割金は全額が決済された。
2021年12月31日 2020年12月31日
払込請求済だが払込未済の応募済資本金
(ポーランドおよびルーマニア)
344,106 442,423
払込請求済だが払込未済の準備金
(ポーランドおよびルーマニア) 774,842 996,225
合計 1,118,948 1,438,648
270/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注I: 前払金および未収収益ならびに未払金および繰延収益(単位:千ユーロ)
2021年12月31日 2020年12月31日
前払金および未収収益
通貨スワップ契約に係る外国為替変動の影響 7,305,157 5,940,603
未収利息および手数料 6,636,136 6,930,359
繰延借入費用 370,279 361,691
委託の受取手数料 223,529 270,828
(*)
スワップに係る未収償還プレミアム 28,774 38,380
1,945 2,496
その他
14,565,820 13,544,357
合計
2021年12月31日 2020年12月31日
未払金および繰延収益
未払利息および手数料 7,392,104 7,477,145
通貨スワップ契約に係る外国為替変動の影響 5,472,236 9,761,152
繰延借入収益 1,606,502 1,170,651
(*)
スワップに係る未払償還プレミアム 370,728 372,209
貸付金および保証に係る繰延収益 292,267 283,893
前受運用報酬 241,673 223,723
前受利子補助金 92,233 89,027
2,912 4,983
その他
15,470,655 19,382,783
合計
(*) スワップの未収および未払に係る償還プレミアムは、そのような特性が盛り込まれた契約に係る原スワップ契約の
最終支払額を示す。
271/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注J: 金融機関および顧客に対する債務(単位:千ユーロ)
J.1. 金融機関に対する債務
2021年12月31日 2020年12月31日
要求払 4,777,422 4,199,057
-翌日物預金 4,777,422 4,199,057
期日払または通知払 18,895,071 12,316,334
-短期預かり金 178,248 1,560
-金融機関とのレポ取引 5,716,823 4,314,774
-中央銀行からの借入金 (1) 13,000,000 8,000,000
23,672,493 16,515,391
合計
(1) この金額は、ECBの金融政策オペレーションへのEIBの参加を表す。
J.2. 顧客に対する債務
2021年12月31日 2020年12月31日
要求払 1,645,154 1,680,511
-翌日物預金 163 2,962
-欧州連合および加盟国口座
-特別部門業務および関連未決済金額に係るもの 412,934 398,386
-預金口座 1,232,057 1,279,163
期日払または通知払 175,542 20,951
175,542 20,951
-短期預かり金
1,820,696 1,701,462
合計
272/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注K: 債務証書借入(単位:千ユーロ)
財務活動におけるグループの目標の1つとして、特に通貨に関し、その資金調達戦略を貸付金供与
に要する資金と合致させることが挙げられる。「債務証書借入」の項には、「負債証券」(一般投資
家に対して公募した有価証券)および「その他」(私募)が含まれる。下表は、2021年12月31日およ
び2020年12月31日現在の債務残高の通貨別内訳、ならびに平均利率と満期日(最短/最長)をまとめ
たものである。
2021 年 2020 年
平均利率 平均利率
12月31日 満期日 12月31日
支払通貨
(*) (*)
2021年 2020年
現在残高 現在残高
ユーロ 246,913,410 1.30 2022/2061 245,471,198 1.52
米ドル 105,073,224 1.48 2022/2058 102,980,060 1.79
英ポンド 43,705,819 2.15 2022/2054 42,714,537 2.41
豪ドル 9,703,908 2.59 2022/2042 8,097,915 3.33
スウェーデン・クローナ 6,234,940 1.41 2022/2040 6,625,774 1.51
ポーランド・ズロチ 6,169,375 2.23 2022/2029 6,417,089 2.15
ノルウェー・クローネ 5,541,206 1.77 2022/2037 5,092,022 1.80
カナダ・ドル 4,765,848 2.10 2022/2045 4,251,495 2.24
スイス・フラン 4,179,005 1.90 2022/2036 4,089,335 2.01
南アフリカ・ランド 2,331,323 7.75 2022/2035 2,529,078 8.02
日本円 1,520,384 1.46 2022/2053 2,191,824 1.12
メキシコ・ペソ 1,174,850 6.35 2022/2028 1,359,375 6.09
デンマーク・クローネ 783,195 0.70 2024/2031 782,722 0.71
トルコ・リラ 677,022 10.41 2022/2027 1,407,381 10.14
人民元 472,292 2.56 2022/2024 298,909 2.50
チェコ・コルナ 339,828 2.52 2022/2034 338,599 1.94
ニュージーランド・ドル 271,428 2.57 2023/2028 264,955 2.12
ロシア・ルーブル 140,679 4.75 2022/2026 54,665 5.85
香港ドル 79,246 0.41 2022/2025 131,380 1.56
ルーマニア・レイ 20,812 2.23 2026/2026 0 0
17,065 3.25 2024/2024 165,436 0.82
ハンガリー・フォリント
440,114,859 435,263,749
合計
(*) 貸借対照表日現在の加重平均利率
仕組借入の中には、その元本および利息が株価指数に連動しているものもある(実行時の価額:
2021年は500百万ユーロ、2020年は500百万ユーロ)。借入金はすべて、仕組スワップ・オペレーショ
ンにより十分にヘッジされている。
273/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
下表は、2021年度および2020年度の債務証書借入の変動を示したものである。
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
1月1日現在の残高 435,264 449,322
当期発行額 100,348 150,299
契約に基づく償還 -106,974 -148,992
期限前償還および買戻し -735 -1,168
12,212 -14,197
為替差額
440,115 435,264
12月31日現在の残高
274/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注L: 引当金-年金制度および健康保険制度(単位:千ユーロ)
グループの主な年金制度は職員とグループからの拠出金を原資とする確定給付年金制度で、全職員
が対象とされている。グループおよびその職員の全拠出額がグループの資産へ投資されている。
年金制度および健康保険制度の引当金は、以下のとおりである(単位:千ユーロ)。
2021年 2020年
職員年金制度:
1月1日現在の引当額 3,315,119 2,967,608
期中支給額 -85,433 -84,729
保険数理損失の認識 479,391 217,942
210,000 214,298
年間の拠出金および利息
3,919,077 3,315,119
職員年金制度小計
経営委員会年金制度
経営委員会年金制度 38,932 35,510
保険数理損失の認識 4,110 3,009
3,164 2,541
年間の拠出金
46,206 41,060
経営委員会年金制度小計
健康保険制度:
1月1日現在の引当額 461,870 403,891
期中支給額 -27,680 -18,580
保険数理損失の認識 60,142 27,238
50,636 49,321
年間の拠出金および利息
544,968 461,870
健康保険制度小計
4,510,251 3,818,049
12月31日現在引当金合計
上記金額は、任意補足年金制度(確定拠出年金制度)加入者への債務を含んでいない。それに対応
する債務793百万ユーロ(2020年:722百万ユーロ)は、「その他の負債」(注G)に分類されている。
将来の退職給付および健康保険給付に対する引当金は、9月30日現在の加入者データおよび12月31
日までのキャッシュ・フローに基づいて、2021年12月31日付で、独立した保険数理士により、予測単
位積立方式を用いて評価された。この保険数理評価は、2021年12月31日現在の実勢市場金利および以
下の(職員年金制度および健康保険制度に関する)仮定に基づいて2021年12月31日付で更新された。
275/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
・ 25.5年(2020年:26.3年)の期間に対応する年金制度および健康
保険制度における未払給付の保険数理上の現在価値を算定するた
めの割引率 1.35 %(2020年:0.75%)
・ グループは、退職給付準備金の報酬率を上記割引率1.35%に1.5%
(2020年:1.5%)上乗せしたものに設定されると見込んでいる。
・ 55歳から65歳までの間に段階的退職が予想され、NRA(通常の退職
年齢)に依存する(2020年:想定された退職年齢は2021年よりも
低く、NRAに依存しない)。
・ 物価および賃金の平均的上昇率 3.5 %(2020年:3.5%)
・ 予想年間退職率 27 %から1%(2020年:
26%から0%)で、年齢とと
もに低下
・ 年金調整率(年) 1.75 %(2020年と同じ)
・ 2021年まで予測したICSLT生命表 2018 年度版を使用(2020
年:2020年まで予測した
ICSLT生命表2018年度版)
・ 医療費上昇率(年) 3.75 %(2020年:3.75%)
このようなスキームのための引当金は、上記の表のとおり、保険数理評価に従って、必要に応じて
調整される。
2020 年、年金制度および健康保険制度に関する保険数理評価は、5,751,446千ユーロの未認識損失で
あった。10%の回廊部分を超過した金額は4,794,497千ユーロで、2021年1月1日から制度加入者の予
想平均残存勤続年数にわたり定額法で認識される予定であった。
2020 年12月31日まで適用されていた会計方針に基づくと、2021年に認識されたであろう純損失は、
329,652千ユーロであった。
2021 年1月1日から非遡及的に適用された会計方針の変更(注A.2.11.1およびA.2.23)の結果、
2021年12月31日現在の年金制度および健康保険制度の数理計算上の評価額は4,113,082千ユーロの未認
識損失であり、そのうち3,250,748千ユーロは10%の回廊を超えて計上され、2021年の連結損益計算書
に計上された償却費総額は543,644千ユーロとなった。この会計方針の変更(注A.2.23)の結果として
計上された追加的な金額のうち、355,276千ユーロは償却期間の変更によるものであり、マイナス
141,284千ユーロは前年度の数理計算上の差異ではなく当期の数理計算上の差異を使用したことによる
ものである。
276/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注M: 当期純利益
2021年12月31日終了年度の法定損益計算書に計上された当期純利益2,565,998千ユーロの処分案は、
承認を受けるため2022年4月22日までに総務会に提出される。当事業年度のEIB剰余金の処分案の詳細
については、EIBの本財務書類の前書き(訳注:本報告書の「第3 発行者の概況-(4) 業務の概況-
① 業務-ニ)業績」に抜粋されている。)を参照のこと。
注N: 受取利息および類似収益ならびに支払利息および類似費用
N.1. 正味受取利息(単位:千ユーロ)
2021年 2020年
受取利息および類似収益:
中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期証券ならびに
負債証券(確定利付証券を含む) 194,911 270,367
金融機関および対顧客貸付金および預け金 5,954,381 6,917,317
デリバティブ 10,189,276 10,799,057
有利子負債に係るマイナス金利 130,677 57,650
4,449 4,921
その他
16,473,694 18,049,312
合計
支払利息および類似費用:
金融機関および顧客に対する債務 -1,943 -4,828
債務証書借入 -7,134,932 -8,548,961
デリバティブ -5,583,363 -6,038,607
利付資産に係るマイナス金利 -411,488 -245,197
-153,760 -143,032
その他
-13,285,486 -14,980,625
合計
3,188,208 3,068,687
正味受取利息
277/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
N.2. 受取利息および類似収益の国別分析(単位:千ユーロ)
2021年 2020年
欧州連合加盟国
スペイン 759,172 860,839
ポーランド 485,490 529,331
ギリシャ 449,134 474,384
フランス 448,293 477,584
イタリア 424,709 473,371
ドイツ 296,209 318,367
オーストリア 255,564 261,081
オランダ 159,011 173,982
ベルギー 150,872 170,796
ポルトガル 145,230 215,698
ハンガリー 130,417 137,575
スウェーデン 124,909 110,276
アイルランド 87,233 87,940
ルーマニア 69,850 76,111
スロバキア 66,574 66,897
フィンランド 66,435 65,090
クロアチア 48,123 52,333
スロベニア 39,729 43,224
ブルガリア 38,922 40,572
チェコ共和国 31,005 42,979
ルクセンブルク 19,964 2,821
リトアニア 18,174 26,359
デンマーク 18,151 22,149
ラトビア 14,475 14,848
キプロス 9,356 11,582
マルタ 9,199 9,585
4,173 4,639
エストニア
4,370,373 4,770,413
欧州連合加盟国の合計
1,573,979 2,057,599
欧州連合域外
5,944,352 6,828,012
国別分析対象の収益合計
(1)
10,529,342 11,221,300
国別分析の対象外の収益
16,473,694 18,049,312
受取利息および類似収益の合計
278/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
(1) 国別分析の対象外の収益:
・ 長期HQLAポートフォリオ、代替貸付金およびEIFの
ABSポートフォリオからの収益 147,472 168,801
・ 有価証券流動性ポートフォリオおよびEIF運用ポートフォリオ
からの収益 36,322 52,090
・ 短期金融市場証券からの収益 11,104 49,458
・ その他有価証券からの収益 13 18
・ 短期投資およびその他の事業からの収益 140,706 146,955
・ デリバティブからの収益 10,189,276 10,799,057
4,449 4,921
・ その他
10,529,342 11,221,300
注O: 受取手数料および支払手数料(単位:千ユーロ)
2021年 2020年
受取手数料:
保証手数料 210,162 173,812
インベストメント・ファシリティ「コトヌー」の手数料 55,682 61,215
EGF の手数料 46,596 128
EFSI の手数料 45,052 42,649
貸付金手数料収益 35,014 12,020
Jaspers 手数料 27,214 30,499
InnovFin の手数料 18,157 38,626
Jeremie /ESIFの手数料 12,778 13,559
Jessica の手数料 11,532 8,348
近代化基金の手数料 9,268 0
近隣インベストメント・ファシリティの手数料 1,939 4,395
コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティの手数料 1,926 7,927
ヤウンデ/ロメ協定の手数料 1,250 1,646
97,131 89,706
その他の委託に係る手数料
573,701(*) 484,530
受取手数料合計
2021年 2020年
支払手数料:
保証人へのリスク報酬 -410,647 -302,635
-23,730 -25,014
その他の支払手数料
-434,377 -327,649
支払手数料合計
(*) 一定の委託について、グループは繰延収益のメカニズムを改正したため、手数料の当年度の収益認識にマイナス
11,546千ユーロ(2020年:マイナス13,157千ユーロ)の影響があった。
279/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注P: 金融業務損益(単位:千ユーロ)
2021年 2020年
株式およびその他の変動利付証券に係る純損益 27,272 -144,939
貸借対照表上のポジションの換算に係る純損益 13,263 -13,557
デリバティブの純損益 44,214 -43,112
-32,791 24,800
負債証券ポートフォリオの純損益
51,958 -176,808
金融業務損益合計
注Q: その他の業務収益および費用の純額(単位:千ユーロ)
2021年 2020年
過年度未使用引当金の戻入れ 4,276 3,309
賃貸料収益 78 78
-5,751 2,170
その他
-1,397 5,557
その他の業務収益および費用の純額合計
注R: 一般管理費(単位:千ユーロ)
2021年 2020年
(*)
給与および手当 -547,408 -509,975
福利厚生費およびその他人件費 -824,249 -503,974
人件費 -1,371,657 -1,013,949
-288,287 -264,271
その他の管理費
-1,659,944 -1,278,220
一般管理費合計
(*) このうち経営委員会委員に対する金額は、2021年12月31日現在が3,441千ユーロ、2020年12月31日現在は3,113千
ユーロである。
グループの職員数は、2021年12月31日現在、4,412名(2020年12月31日現在は4,092名)であった。
280/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注S: オフ・バランスシートの借入債務支払に係る特別預け金
この項目は、グループが支払代理人に支払ったが、グループが発行した債券の保有者による支払い
のための提示がなされていない、期日到来済みのクーポンおよび債券の金額に相当する。
注T: 金融商品の公正価値(*)
グループは貸借対照表日において、(有価証券流動性ポートフォリオを除き)負債の場合は受領
額、資産の場合は取得のための支払額を示す外貨建ての取得原価に基づき、貸借対照表の金融商品を
計上している。下表は、資産または負債に計上されている金融商品(主として貸付金、財務、有価証
券、借入)の公正価値と帳簿価額とを比較したものである。
(**)
帳簿価額
2021 年12月31日現在(単位:百万ユーロ)
公正価値
金融資産:
現金、中央銀行および郵便局預け金 1,483 1,483
金融機関および対顧客貸付金および預け金(代替貸付金を除く) 491,722 520,255
短期国庫証券および負債証券ポートフォリオ(代替貸付金を含む) 49,132 49,354
9,569 18,872
株式、その他の変動利付証券および参加持分
551,906 589,964
金融資産合計
金融負債:
金融機関および顧客に対する債務 25,493 25,393
440,115 478,602
債務証書借入
465,608 503,995
金融負債合計
(*) デリバティブはこの表には含まれていない。注V.を参照のこと。
(**) 経過利息を含めた公正価値
(**)
帳簿価額
2020 年12月31日現在(単位:百万ユーロ)
公正価値
金融資産:
現金、中央銀行および郵便局預け金 835 835
金融機関および対顧客貸付金および預け金(代替貸付金を除く) 485,983 527,550
短期国庫証券および負債証券ポートフォリオ(代替貸付金を含む) 44,883 45,457
9,109 13,323
株式、その他の変動利付証券および参加持分
540,810 587,165
金融資産合計
金融負債:
金融機関および顧客に対する債務 18,217 18,201
435,264 491,720
債務証書借入
453,481 509,921
金融負債合計
(*) デリバティブはこの表には含まれていない。注V.を参照のこと。
(**) 経過利息を含めた公正価値
281/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注U: リスク管理
本注記は、グループのリスクに対するエクスポージャーならびにその管理および統制についての情
報を、特に金融商品の使用に関連した主なリスクについて記載している。それらは以下のとおりであ
る。
- 信用リスク-決済リスク等、顧客またはカウンターパーティーのデフォルトにより発生する損
失のリスクで、あらゆる形式の信用エクスポージャーから発生する。
- 金利リスク-金利感応商品に影響を及ぼす金利の不利な変動から生じるグループの投資の利益
および経済価値の両方に対するリスクで、ギャップリスク、ベーシスリスクおよびオプション
リスクを含む。
- 流動性および資金調達リスク-グループが合理的な価格により、あるいは、極端な状況下では
いかなる価格によっても、資金調達または義務の履行ができないリスク。
- 為替レートリスク-為替レートの不利な変動が原因で、グループのポジションから得られる経
済価値または収益の変動性から生じるリスク。
- オペレーショナル・リスク-不適切もしくは機能不全のプロセスもしくはシステム、人的要因
から発生する、外部事象による損失リスクで、法務リスクを含むが、戦略リスクおよび風評リ
スクは除かれる。
2021年には、リスクの管理とモニタリング専任のチームを含む職員の大半がテレワークで勤務して
いた。このような業務に関連して、ポジション管理システムは、通常の状況下と同一の機能性で、フ
ロント・オフィス、ミドル・オフィスおよびバック・オフィスの職員に加えて、リスク管理の職員も
リモートモードで利用が可能であった。
U.1. リスク管理組織
グループ内の各事業体は、独自のリスクの管理および統制を実行している。本注記に記載するリス
ク管理情報はEIBとEIFを分けて表示する。
また、EIBはグループ・リスク・コンプライアンス部門(GR&C)の中に、グループ全体のリスク管理
を強化するために、規制およびEIBグループ・リスク課を設置した。規制およびEIBグループ・リスク
部は主に、リスク報告、ベスト・バンキング・プラクティスの枠組みおよび内部方針・リスクの枠組
み(リスク選好の枠組み、自己資本充実度評価プロセス(「ICAAP」およびストレス・テストの枠組み
を含む)に関する健全性規制の遵守、ならびに内部モデルの作成および検証を担当する。EIBの連結レ
ベルでのリスク管理の概括的な原則は、グループ・リスク管理憲章に示されている。グループ・リス
ク管理憲章は、グループのリスクのグループ全体からの見方およびリスク管理の統合的なアプローチ
を規定することを目的としている。
グループは、グループ最高リスク責任者(「GCRO」)が率いるグループ・リスク担当部署を設置し
ている。総裁およびEIB経営委員会のそれぞれの法定責任が影響を受けることなく、GCROはグループ・
リスクについて、リスク担当の経営委員会委員の監督の下、EIB経営委員会に報告する。グループ・リ
スクに関連した主要なリスク方針の事項に関して、GCROはEIB経営委員会および他のEIBの統治機関の
関連するすべての会議に参加し、EIF理事会の関連する会議およびEIF経営陣との協議に招待される。
EIFは、GCROを通じてグループ・リスク事項をEIBに報告する。
282/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
U.1.1. EIBのリスク管理組織
EIB の目的は、その資産、財務的業績、ひいては自己資本を可能な限り最大限に守るため、リスクを
分析・管理することにある。EIBは一般にEUの機関、機構および局によって発令または採択される商業
銀 行に適用される法や指針(「EU法および指針」)の適用を受けないが、EIBはその任意の決定によ
り、EIBが公表しているベスト・バンキング・プラクティスの指針的原則を含むベスト・バンキング・
プラクティスの枠組みで特定されるEU法および指針を遵守することとしている。
EIB 内では、EIBのグループ・リスク・コンプライアンス部門(GR&C)は、EIBがさらされている信用
リスク、市場リスク、流動性および資金調達リスク、オペレーショナル・リスクを独立した立場から
特定、評価、モニタリングおよび報告する。GR&Cは、職務分掌を維持するために、そして3つの防衛
線の原則に従って、フロント・オフィスから独立した組織となっており、リスクに関するすべての提
案に対して、セカンド・オピニオンを提供する。
以下の項では、EIBが自己のリスク負担において実施する活動の中でさらされる信用リスク、市場リ
スク、流動性および資金調達リスク、オペレーショナル・リスクについて開示している。詳細につい
ては、EIBグループ・リスク管理開示報告書を参照のこと。
U.1.1.1. リスクの測定および報告システム
EIB は、変化する経済情勢や進化する規制当局の基準に合わせて、リスク管理システムを調整してい
る。市場慣行が発達するにつれ、EIBも継続的にそれらを適応させている。EIBの業務に内在する主な
リスク、すなわち、信用リスク、金利リスク、流動性および資金調達リスク、為替レートリスクなら
びにオペレーショナル・リスクを統制し、報告するため、管理システムを導入している。
リスクは、EIBの支払能力、流動性、利益および業務への影響を定量化することを目的として、通常
の環境下および起こり得るストレス状態下で、評価・測定される。リスク測定では、資本構成、利
益、流動性、市場に対するエクスポージャーおよびオペレーショナル・リスクの指標を組み合わせ
る。
信用リスク、ALMリスク、流動性リスク、財務リスクおよびオペレーショナル・リスクに関する詳細
な情報は、経営委員会および理事会に対して毎月報告される。かかる情報は、経営委員会および理事
会のリスク方針委員会に対して定期的に報告・説明される。
U.1.1.2. EIBのリスク選好
リスク選好とは、EIBがその公的使命と目的との関連において、業務の遂行の中で進んで負担し、か
つ負担できるリスクの水準である。EU加盟国(さらにはパートナーシップ参加国)全体に魅力的な条
件でEUの目的に適う長期資金を提供するEIBの能力が、リスク選好の鍵となる。EIBのビジネスモデル
の主たる柱は、主要格付機関による長期格付でAAA格を維持することである。EIBがリスク選好を管理
するために実施するプロセスおよび業務は、理事会によって承認されたEIBリスク選好の枠組み
(「RAF」)において正式に決定されている。RAFは、主要な財務リスク(信用リスク、流動性リス
ク、市場リスク、財務リスクを含む)と非財務リスク(オペレーショナル、情報、コミュニケーショ
ン、テクノロジー、行動、コンプライアンス、および風評に関するリスクを含む)を対象としてい
る。RAFには、測定可能なリスク選好指標の導入およびモニタリングを通じてEIBに健全なリスク文化
を根付かせる作用があり、このリスク選好指標には限度額が適用され、(場合により)EIBの下位組織
へと落とし込まれる。EIBのRAFは、自己のリスク負担およびリスク・シェアリング契約に基づく貸付
業務、EIFに委託された業務、資金調達および財務活動を対象としている。
EIB は公的金融機関として、リスクに対する投機的エクスポージャーにより収益を獲得することを目
指していない。その結果、それぞれに業績目標が定められていても、EIBは財務活動や資金調達・提供
283/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
活動を利益の最大化を図る中心的業務とみなしていない。投資活動は、投資資本の保護という主目的
の範囲内で行われる。よって、EIBの貸付業務や借入業務で生じるエクスポージャーに関しては、すべ
て の重要な市場リスクのヘッジを確保することが、EIBの財務リスク管理方針の主要原則とされてい
る。
EIB は、金利(IR)リスク(ギャップリスクおよびベーシスリスク)ならびにFXリスクを管理するた
めの枠組みを整備している。EIBはIRおよびFXのポジションを日次でモニターし、適用される限度内で
管理している。
オペレーショナル・リスクや財務リスクを招く新しい種類の取引はすべて、新商品委員会の承認を
受けた上で改めて経営委員会の承認を取得することが義務付けられており、その承認を受けた限度枠
の範囲内で管理されている。
U.1.1.3. 収益の持続可能性および自己資金力
EIBの金利リスク戦略方針は、EIBの全体的な財務リスク管理で不可欠な部分を占めている。この方
針は、利益の安定性、自己資本の経済価値の保持、EIBの長期成長資金の自力調達に関する、EIBの主
要利害関係者の期待を反映した内容になっている。
これらの目標を達成するため、金利リスク戦略方針では、一段の収益安定と全体的なリターンの拡
大を目指して、自己資本投資に中・長期物価スライド方式を採用している。この物価スライドの方針
は、中・長期利回りに対するエクスポージャーを意味しており、金利の趨勢に関する短期的な見方に
左右されることはない。
EIBの自己資本の目標投資期間を現在は4.5年から5.5年の間に設定することで、この方針は達成され
ている。
資産負債委員会(「ALCO」)は、EIBの金利リスク戦略、貸出金利設定原則およびEIBの活動から生
じる財務リスクを検討するために上級経営陣による会議を開催する。
U.1.2. EIFのリスク管理組織
EIF の使命は、欧州連合の中小企業(「SME」)に関する目標の範囲内でSMEの設立、成長および発展
のための金融を支援することである。グループの両事業体のプライベート・エクイティ(「PE」)業
務、ベンチャー・キャピタル事業ならびにポートフォリオ保証、証券化およびマイクロファイナンス
(「GSM」)業務の大半は、EIFが管理・運営している。
EIF も、変化する経済情勢に合わせて、リスク管理システムを調整している。EIFの業務に内在する
主なリスクを統制し、報告するため、信用リスク、市場リスク、オペレーショナル・リスクの管理シ
ステムを導入している。
リスク管理は、EIFの企業文化に組み込まれており、EIFのすべての事業機能およびプロセスに浸透
した、(i) フロント・オフィス、(ii) 独立した立場のリスク担当課および、(iii) 監査および保証の
3つの防衛線モデルに基づいている。事務総局の長が委員長を務める投資およびリスク委員会
(「IRC」)は、CEOおよび副CEOにあらゆる取引に関して助言を行う。最高リスク責任者が議長を務め
るポートフォリオIRCの定例会議はまた、EIFポートフォリオのリスクおよび投資関連の面、特に取引
格付変更の承認、減損および引当についての措置、関連する市場リスク事象および潜在的なストレス
のテストを監視する。リスクおよびポートフォリオ管理の措置は、EIFの監査役会が統括する保証プロ
セスの一部を構成する。
さらに、EIBグループとの関連で見た場合、EIFのリスク管理部門は、特に、グループ・リスク管理
憲章、ならびに保証・証券化業務、EIBのリスク資本財源マンデート(「RCR」)に基づくPE業務、EIB
グループ・リスク補完マンデート(「EREM」)に基づくEIBの様々な機会、およびEIFの方針に関する
284/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
一般的な問題に関連するグループのリスク・エクスポージャーについて、EIBのグループ・リスク・コ
ンプライアンス部門と定期的に連絡を取りながら業務を運営している。
EIF の財務管理は、両当事者が署名し、取引の選定、執行、決済および監視の実行をEIBの担当サー
ビス部署に委託する財務管理契約に基づき、全面的にEIBに委託されている。この管理は、契約に付属
する財務ガイドラインに従って行われるが、当該ガイドラインはEIB自身の財務ガイドラインの関連箇
所を密接に反映するものになっている。
U.1.2.1. リスク評価 プライベート・エクイティ
プライベート・エクイティ業務では、EIFは、ファンド・オブ・ファンズの手法を採っており、広範
囲の投資家からの出資契約を促すため、主として独立した立場のチームが運用するビジネス・エン
ジェル、ベンチャー・キャピタル、プライベート・エクイティ・ファンドおよびメザニン・ファンド
への少数持分参加を行っている。EIFのプライベート・エクイティ事業には、すべての投資ステージ
(シード、アーリーステージ、レイトステージ、グロース等)にわたるベンチャー・キャピタル・
ファンドへの投資のほか、一般的にリスク・プロファイルの低いミッドマーケット・ファンドやメザ
ニン・ファンドへの投資も含まれる。
EIFは、PE市場の動きに応じたPEファンド・ポートフォリオを設計し、運用し、モニタリングするた
めの一連のツールを、過去数年間かけて開発した。これらのツールはグループ内のモデルであるグ
レーディング・ベースト・エコノミック・モデル(「GEM」:格付に基づく経済モデル)に基づいてお
り、これを使用することにより、EIFは各ファンドおよび各ファンド・ポートフォリオの評価、リス
ク、予想される将来のキャッシュ・フローとパフォーマンスの査定ならびに妥当性検査を改善するこ
とができる。EIFでは、取引チームが実施しリスク管理チームが審査した広範囲にわたるデューデリ
ジェンスの結果に基づき、エクイティ・スコアを割り当ててから、PEファンドと出資契約を交わして
いる。これらのファンドは、EIFのトランザクション・チームによって、基礎となるリスクのレベルに
応じた頻度と強度でモニターされ、エクイティ・スコアは、EIFのリスク管理チームによって年次でレ
ビューされる。
独自のITシステムと(フロント・オフィスからバック・オフィスに至るまでの)統合ソフトウェア
の開発に下支えされたこうした取り組みによって、投資判断プロセスならびにポートフォリオの財務
リスクと流動性の管理も改善され、特に将来を見据えた、およびストレス・テストに基づいた意思決
定が可能となる。
U.1.2.2. リスク評価 保証
EIF は、中小企業向け融資に従事する金融仲介機関に対し、ポートフォリオ保証を提供し、中小企業
の証券化取引に参加している。このようなリスクをとることにより、EIFは資金調達を容易にし、およ
び/またはオリジネーターの資本コストを削減し、ひいては条件の改善やSMEの金融アクセスの強化を
もたらす。
保証・証券化業務に関しても、EIFは過去数年間をかけて内部手法およびモデルを開発した。これ
は、市場のベスト・プラクティスに従って、ポートフォリオ保証と仕組金融取引を分析するためのも
のである。EIFは、信用リスク管理方針およびモデル審査指針に準拠して、自らリスクを負担する新規
の保証取引それぞれに内部格付を割り当ててから、法律上正式に保証取引を行っている。この格付
は、定量パラメーターだけでなく定性面も考慮して、取引の信用の質(予想損失概念)を分析し集約
するグループ内のモデルに基づく。このプロセスではその全領域において、フロント・オフィスがア
クションを起こしリスク管理部門がレビューを行うという、「4つの目」の原則が適用されている。
285/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
保証取引は、定期的に(少なくとも四半期ごとに)モニターし、その状況は、EIFのIRCが定期的に
見直している。その際、委員会は、業績次第で、内部格付の見直しをもたらすことがある。この後者
のプロセスはリスク管理部門によって開始され、フロント・オフィスが見直しを行う。
保証ポートフォリオは、関連する会計原則に基づき、「モデルに基づいた価格」手法によって評価
される。ポートフォリオにおける取引の評価に対する主な影響は、当該資産に使用されている一時点
での累積デフォルト率の仮定の変化に起因する。
EIF のモニタリングは、潜在的な格付の悪化または改善を監視し、適切な取引の管理の基礎を提供す
る。EIFのストレス・テスト方法、すなわちポートフォリオの格下げおよび債務不履行、ならびにそれ
に伴う資本配分、予想損失および損益計算書への影響に関するシナリオ分析は、取引の開始時および
ポートフォリオの期間全体にわたって適用され、EIBのグループ・ストレス・テスト・プロセスに組み
込まれている。
U.2. 信用リスク
信用リスクは主にグループの貸付業務および負債証券、譲渡性預金、銀行間の定期預金等の財務商
品ならびにグループのデリバティブおよび保証取引に関するものが含まれている。
デリバティブの使用に関する信用リスクについては、「デリバティブ」のセクション(注V)で分析
する。
EIB における信用リスクは、詳細な行内指針に沿って管理されている。こうした指針の目的は、信用
リスクの慎重な管理が確実に行われるようにする点にある。ある事業体がEIBの貸付業務のカウンター
パーティーとして認められるか否かは、定量的および定性的指標を用いた当該事業体の注意深い分析
および評価に基づくだけでなく、経験および専門家の判断にも依拠して決定される。同指針は、貸付
業務の債務者、保証人双方について最低限の信用の質の水準を定めており、許容される取引構造も特
定している。また、EIBの地位が十分に保護されるように、主要な法的条項や他の契約条件の点で貸付
契約が満たしていなければならない最低基準も、細かく定めている。貸付金ポートフォリオの分散
は、カウンターパーティー別限度額の枠組みおよび主要産業の業種別限度額によって支えられてい
る。複雑な貸付取引または仕組貸付取引に含まれる追加的なリスクの十分な分析、計量および軽減が
確実になされるように、特定の種類の業務に関して具体的で詳細な指針が策定され、これが一般指針
を補完している。リスクの分析にあたっては、EIBは内部格付制度を適用し、カウンターパーティーに
内部格付を付与している。
EIF は、法に基づく規定、およびEIF理事会の承認を受けた信用リスク運用指針、またはマンデート
に基づき定められた指針を受けた、保守的な方針の枠組み内で、エクスポージャーとリスクを管理し
ている。
信用リスク管理指針は、進化している業務環境および適用されるベスト・バンキング・プリンシプ
ルの変更を盛り込み、グループが受領する新たなマンデートに対応できるよう、定期的に調整されて
いる。
グループの貸付金ポートフォリオの質は現在も引き続き高水準である。EIBは厳格なデューデリジェ
ンス・プロセス、十分な水準の担保および保証に基づくリスク管理戦略や貸付金契約に含まれる標準
的な保護条項に依拠している。
いずれの時点においても、EIBが供与する貸付金および保証の総額は、定款で定められたギアリング
比率(定款第16.5条)で制限されている。この比率を算出するために、EIBは欧州連合会計指令
(「EU-AD」)の枠組みによるデータを使用している。2021年度末時点で、EIBの定款で定められたギ
アリング比率は、EU指令に基づくEIBの個別財務書類に基づくと202.7%(2020年:203.0%)、EU指令
286/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
に基づく連結財務書類に基づくと206.6%(2020年:205.8%)であった(定款第16.5条に基づく上限
は250%)。
EIF 保証ポートフォリオに関連する信用リスクは、注U.1.2.2に表示されている。
U.2.1. 貸付金
貸付金に関する信用リスクを測定・管理するために、グループは一般に認められた基準に基づい
て、債務者の質および取引の構造、そして適当な場合は差し入れられた担保の質に応じて貸付業務の
格付を行っている。
未実行分も含めた2021年12月31日現在の貸付金ポートフォリオの債務者と保証人の構成を以下に分
析する。
下表は、グループが供与するプロジェクトに対する締結済貸付金を表示している(単位:百万ユー
ロ)。ただし、外部貸付マンデート(ELM)およびコトヌー協定に基づいて供与された欧州連合域外の
(*)
貸付金のうち、欧州連合予算または加盟国(ACP諸国およびOCTにおける貸付金の場合)の保証 に
よりグループが最終的に保護されるものを除く。
(*) こうした保証は、包括型(すべてのリスクが対象)か、または定義された政治リスク(送金の停止、
収用、戦争または市民暴動、契約違反時の裁判拒否)に限定されているかのいずれかである。
287/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
保証人
2021年の 2020年の
(1)
国 公共機関 銀行 企業
無保証
合計 合計
債務者
国 0 0 0 0 61,631 61,631 59,522
公共機関 32,417 23,129 367 397 88,813 145,123 141,679
銀行 37,308 22,368 14,757 14,520 27,737 116,690 127,812
8,133 4,461 7,657 35,506 110,353 166,110 161,848
企業
(2)(3)(4)(5)
77,858 49,958 22,781 50,423 288,534 489,554
2021 年の合計
(2)(3)(4)(5)
77,914 48,599 28,242 54,222 281,884 490,861
2020 年の合計
(1) これらの金額には、債務者の支払能力自体が妥当な担保となっているため、債務者および貸付金自体以外の正式な
保証が不要な貸付金も含まれている。所定の事由が発生した場合には、適切な契約条項により、グループが独立し
た担保を請求できる権利が確保されている。
(2) 2021年12月31日現在のリスク・シェアリング業務(加盟国保証または政治リスク保証の形でのEU予算により信用補
完されている)における貸付金は、2,687百万ユーロ(2020年:3,408百万ユーロ)であった。
(3) この金額に、契約済代替貸付金(2021年:17,953百万ユーロ、2020年:20,003百万ユーロ)は算入されていない。
(4) これらの金額は、現在の欧州連合加盟国が欧州連合への加盟を認定される前に供与された貸付金であって、欧州連
合予算または加盟国により保証されているものを除いている。
(5) グループは、EFSI SMEウィンドウおよび欧州保証基金に関連して、コミットメント総額が9,187百万ユーロ(2020
年:3,300百万ユーロ)を超えない資金供与枠を締結した。グループは、確定的なコミットメントがそれぞれの基礎
的なリスクを伴うカウンターパーティーとの間で締結され、資金供与枠の引出が予期される場合に、未実行エクス
ポージャーを認識する。
EIBおよびEIFの優先債権者の地位およびEIB定款による保護は、満期時におけるグループ資産の全額
回収を保証すると思われるため、グループは期末現在の欧州連合加盟国ソブリン債および欧州連合加
盟国ソブリン保証債のエクスポージャーに関して、2021年においても、2020年においても、評価損益
を計上しなかった。
下表は、グループが全額の自己リスクまたは信用補完による残余リスクを負担する貸付金(「リス
ク・ポートフォリオ」)に係るソブリン信用リスクに関する情報を開示している(ただし、欧州連合
予算またはELMおよびコトヌー協定に基づく加盟国保証の恩恵を受ける欧州連合域外への貸付金を除
く)。
288/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
保証人となっ 保証人となっ
債務者となっているもの 債務者となっているもの
ているもの ているもの
国名 実行済金額 未実行金額 契約済金額 実行済金額 未実行金額 契約済金額
オーストリア 0 0 146 0 0 33
ベルギー 0 0 186 0 0 61
ブルガリア 1,107 0 115 1,145 0 110
クロアチア 633 210 2,702 662 210 3,158
キプロス 900 359 1,348 890 222 1,465
チェコ共和国 1,068 784 0 1,247 743 0
デンマーク 0 0 271 0 0 240
エストニア 452 120 91 525 0 99
フィンランド 0 0 92 6 0 59
フランス 0 0 3,428 0 0 2,927
ドイツ 0 0 1,659 0 0 1,377
ギリシャ 7,756 1,192 8,852 7,790 695 9,060
ハンガリー 6,011 1,143 1,099 5,990 985 1,118
アイルランド 1,665 0 1,154 1,440 225 1,105
イタリア 4,755 2,160 6,397 3,756 1,720 6,516
ラトビア 337 400 12 341 400 21
リトアニア 2,110 0 54 2,170 0 51
ルクセンブルク 150 0 236 300 0 240
マルタ 0 72 297 0 72 313
オランダ 0 0 205 0 0 75
ポーランド 6,254 1,472 17,123 7,167 1,380 16,562
ポルトガル 1,163 600 3,903 1,196 400 4,484
ルーマニア 1,847 2,052 0 1,853 1,647 0
スロバキア 2,399 541 88 2,299 641 50
スロベニア 530 400 1,366 549 400 1,662
スペイン 4,215 0 22,558 5,110 0 22,278
スウェーデン 0 0 136 0 0 52
1,813 4,961 4,340 1,637 3,709 4,798
非EU加盟国
45,165 16,466 77,858 46,073 13,449 77,914
合計
289/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
下表は、ELMおよびコトヌー協定に基づきEU予算または加盟国の保証の恩恵を受ける、EU域外のプロ
ジェクトに対する締結済み貸付金を示している(単位:百万ユーロ)。
2021年12月31日 2020年12月31日
以下による保証:
加盟国 3,945 4,195
(1)
47,629 47,062
欧州連合予算
(2)(3)
51,574 51,257
合計
(1) このうち2,687百万ユーロ(2020年:3,408百万ユーロ)は、上記で説明したリスク・シェアリング業務(加盟国保
証または政治リスク保証の形でのEU予算により信用補完されている)による。
(2) 現在の欧州連合加盟国が欧州連合への加盟を認定される前に供与された貸付金であって、欧州連合予算または加盟
国により保証されている貸付金を含む。
(3) グループが供与した総額459.1百万ユーロ(2020年:423.8百万ユーロ)の金融保証は、加盟国または欧州連合予算
によって保証されている。上記の保証は上記の表に示されている内訳には含まれていない。
290/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
EU 予算または加盟国保証に基づくプロジェクトに対する貸付金 (単位:百万ユーロ)
(新規加盟国で加盟以前に実行された貸付金を含む。)
契約済貸付金の保証形態別内訳
2021年12月31日 2020年12月31日
協定
加盟国による75%グローバル保証
- ACP/OCT 第4次ロメ協定-第2次財務議定書 8 21
8 21
加盟国による75%グローバル保証合計
加盟国による75%保証
- コトヌー・パートナーシップ協定
198 314
- 第2次コトヌー・パートナーシップ協定
1,172 1,302
- コトヌー議定書3 -OR/ACP
2,473 2,478
- コトヌー議定書3 -OR/OCT 94 80
3,937 4,174
加盟国による75%保証合計
3,945 4,195
加盟国による保証合計
欧州連合予算による100%保証
- ロシア-100百万・2001年-2005年
16 18
131 147
- ロシア-500百万・2004年-2007年
147 165
欧州連合予算による100%保証合計
欧州連合予算による70%保証
- 南アフリカ-375百万・1997年1月29日決定
14 16
- ボスニア・ヘルツェゴビナ-100百万・1999年/2001年
11 19
- ユーロメッド(EIB)-2,310百万・1997年1月29日決定
14 25
- 北マケドニア-150百万・1998年/2000年
9 12
75 120
- CEEC -3,520百万-1997年1月29日決定
123 192
欧州連合予算による70%保証合計
欧州連合予算による65%保証
- 南アフリカ-825百万・2000年7月-2007年1月
86 98
- 南アフリカ-2007年2月-2013年12月決定
142 311
- ALA III -2,480百万・2000年2月-2007年7月
88 100
- ALA デシジョン-2007年2月-2013年12月
1,484 1,536
- ユーロメッド II-6,520百万・2000年2月-2007年1月
928 1,246
- 南東近隣諸国-9,185百万・2000年2月-2007年7月
2,542 2,836
- トルコ・スペシャル・アクション-450百万・2001年-2006年
98 105
- トルコ-TERRA-600百万・1999年11月-2002年11月
244 264
- PEV EE/CAS/RUS 2007 年2月1日-2013年12月31日
1,877 1,983
- PEV MED 2007 年2月1日-2013年12月31日
5,180 5,831
- 加盟候補国-9,048百万・2007年-2013年
5,127 5,529
- 気候変動マンデート・2011年-2013年
1,056 1,163
- ELM アジア2014年-2020年
1,276 1,238
- ELM 中央アジア2014年-2020年
352 304
- ELM 東ロシア2014年-2020年
7,258 6,876
- ELM ラテンアメリカ諸国2014年-2020年
2,757 2,537
- ELM MED2014 年-2020年
9,650 8,139
- ELM 加盟候補国2014年-2020年
4,151 3,682
- ELM RSA2014 年-2020年
272 440
- ELM ERI 民間マンデート
1,394 1,211
1,397 1,276
- ELM ERI 公共機関マンデート
47,359 46,705
欧州連合予算による65%保証合計
47,629 47,062
欧州連合予算による保証合計
(1)
51,574 51,257
合計
(1) グループが供与した総額459.1百万ユーロ(2020年:423.8百万ユーロ)の金融保証は、加盟国または欧州連合予算
によって保証されている。上記の保証は上記の表に示されている内訳には含まれていない。
291/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
貸付金に付する担保 (単位:百万ユーロ)
その他の信用リスク軽減手段の中のひとつとして、グループは、金融有価証券に質権を設定する手
法を使用している。これらの質権は、関連する法域で執行可能な質権設定契約によって設定される。
質 権設定契約により受け取った担保のポートフォリオは12,596百万ユーロ(2020年:17,943百万ユー
ロ)であり、その内訳は以下の通りである。
貸付金融担保(単位:百万ユーロ)
2021 年12月31日現在
債券
担保付債券
同等のムーディーズ格付
現金 合計
国際 政府 銀行債および
政府債 (カバード・
機関債 機関債 社債
ボンド)
Aaa 189 181 4 40 62 0 476
Aa1 からAa3 1,042 14 10 694 149 0 1,909
A1 48 0 0 17 14 0 79
A1 未満 8,212 0 39 94 598 0 8,943
41 0 0 0 705 443 1,189
格付なし
9,532 195 53 845 1,528 443 12,596
合計
貸付金融担保(単位:百万ユーロ)
2020 年12月31日現在
債券
担保付債券
同等のムーディーズ格付
現金 合計
国際 政府 銀行債および
政府債 (カバード・
機関債 機関債 社債
ボンド)
Aaa 327 79 0 68 87 0 561
Aa1からAa3 1,044 20 38 917 217 0 2,236
A1 17 0 0 31 57 0 105
A1未満 11,683 0 170 1,005 832 0 13,690
41 0 0 0 722 588 1,351
格付なし
13,112 99 208 2,021 1,915 588 17,943
合計
292/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
12 月31日現在の実行済貸付残高の債務者の契約業種別明細(単位:百万ユーロ)は以下のとおりで
ある。
2021年 2020年
業種
運輸 129,253 129,299
グローバル・ローン(1) 66,310 74,889
エネルギー 62,255 63,790
医療・教育 36,296 35,787
その他インフラ 32,571 30,768
工業 28,518 28,301
上下水道施設 27,761 28,061
サービス 16,980 18,332
電気通信 11,282 11,208
4,238 4,212
農業・漁業・林業
(2)
415,464 424,647
合計
(1) グローバル・ローンとは、金融仲介機関または銀行に提供する融資枠で、その後にそれらの機関または銀行が、自
らリスクを負担してその資金を官民が請け負う中小規模のプロジェクトに転貸するというものである。
(2) この金額に、実行済代替貸付金(2021年:17,953百万ユーロ、2020年:20,003百万ユーロ)は算入されていない。
貸付金に係る延滞
延滞額の特定、監視、報告は、全行的な「財務的監視ガイドラインおよび手続き」に定義される手
続きに従って行われている。こうした手続きは、銀行業務のベストプラクティスに沿っており、EIBが
管理するすべての貸付金について適用される。
1a. 欧州連合または加盟国によるグローバル/包括保証により担保されていない貸付金の延滞:
2021年12月31日現在、自己資金源からの貸付金で90日を超える延滞が生じ、欧州連合または加盟国
の包括保証により担保されていないものは、116.3百万ユーロ(2020年:117.1百万ユーロ)である。
2021年12月31日現在のこれらの延滞が生じている貸付金に関連する元本金額は、531.3百万ユーロ
(2020年:187.8百万ユーロ)である。これらの延滞が生じている貸付金契約は、貸倒引当金74.5百万
ユーロ(2020年:136.9百万ユーロ)によりカバーされている。
293/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
1b. 欧州連合または加盟国によるグローバル/包括保証により担保されていない貸付金の延滞につ
いての保証請求:
2021 年には、欧州連合の政治リスク保証に基づく24.1百万ユーロの履行請求があり(2020年:ゼ
ロ)、年間を通じて、以前からの履行請求金額のうち0.1百万ユーロが弁済された(2020年:ゼロ)。
さらに、2021年中、請求払民間保証に基づく357.5百万ユーロの履行請求があった(2020年:ゼ
ロ)。
2a. 欧州連合または加盟国によるグローバル/包括保証(請求可能)により担保されている貸付金
の延滞:
このような貸付金については、期限が経過した場合に、可能であればまず第一次保証に基づき履行
を請求し、それ以外の場合は加盟国または欧州連合による保証に基づき正式に履行を請求する。
2021 年12月31日現在、こうした90日超の延滞が生じている額は2.4百万ユーロ(2020年:4.0百万
ユーロ)であった。
2b. 欧州連合または加盟国によるグローバル/包括保証により担保されている貸付金の延滞につい
ての保証請求:
2021年中、欧州連合による保証に基づく履行請求が68.4百万ユーロあり、加盟国保証に基づく履行
請求はなかった。2020年における応当額は、それぞれ52.4百万ユーロおよびゼロであった。
2021年中、以前に欧州連合または加盟国による保証に基づく履行請求金額のうち、0.4百万ユーロ
(2020年:ゼロ)が弁済された。
貸付金の再交渉と支払猶予
グループは、支払猶予措置がとられた貸付金を、支払猶予貸付金(すなわち、貸付金、負債証券お
よびローン・コミットメント)とみなしている。支払猶予措置はグループの「譲歩」によるもので、
財務困難により契約上の債務返済条項を遵守できないとみなされる債務者に対して、債務返済または
契約の全部もしくは一部の借換えができるようにするために、グループが決定するものである。エク
スポージャーは、延滞の有無、または当該エクスポージャーが債務不履行に分類されているか否かに
関わらず、譲歩が行われた場合には支払猶予として取り扱う。債務者が財務困難に陥っていない場合
には、当該エクスポージャーは支払猶予として取り扱わない。
通常の事業の過程においては、再交渉の前に問題が生じている貸付金の貸付金格付(LG)は低下し
ており、貸付金は集中的に監視されている。再交渉された場合、EIBは、当該貸付金を厳格に監視し続
けることとなる。再交渉による支払条件では当初の簿価が回収できない場合、EIBは損益計算書に評価
調整額を計上することを検討する。LGが「E-」まで低下した貸付金はすべて、定期的に評価損計上の
必要性が検討され、LGが「F」の貸付金は、すべて評価損計上の対象とされる。 貸付金のLGが十分に
回復した場合には、EIBの手続きに沿って、当該貸付金はその段階で定期的にモニターされる。
294/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
グループはまた、特定の状況下にある債務者が利用できる多くの支援措置を提供しており、これに
は (i) 財務制限条項およびその他の重要条項の暫定的な条件緩和(権利放棄を含む)、(ii) 新たな
返済スケジュールの設定または返済義務の一時凍結によるキャッシュ・フローの再構築、ならびに
(iii) 新規契約の締結、ローンの実行前倒しおよび債務者貸付の増額など、その他の一定の補完的支
援策が含まれる。グループは、具体的状況における制約の下で、かかる措置の申請を案件ごとに評価
している。こうした措置は、構造的な財政の困難またはソルベンシー上の問題に陥っているわけでは
なく、かかる措置の供与の時点で、ゴーイング・コンサーンとみなされる債務者に提供されることを
意図している。評価の結果として、債務者がこれらの要件を満たさない場合、またはグループが債務
者のビジネスモデルの長期的持続可能性についてリスクを特定した場合に、グループは他の適切な措
置を検討し、必要な場合には、グループの標準的な条件変更のプロセスに従う。
こうしたEIBの支援措置は、COVID-19の具体的な経済効果への対応の一環としては、2021年6月以降
利用できなくなっている。
グループが報告期間中に着手した支払猶予措置および手続きには、返済期限の延期、元本返済のみ
の繰延、元利返済の繰延、重大な財務制限条項の破棄および延滞金の元本算入が含まれるが、これら
に限定されるわけではない。
支払猶予措置の対象である貸付金は、下表のとおりである。
2021年12月31日 2020年12月31日
(単位:百万ユーロ)
正常債権 不良債権 正常債権 不良債権
支払猶予措置の対象となった契約件数 88 74 81 64
帳簿価額(金利および延滞金額を含む) 4,693 2,511 4,641 2,489
うち評価調整の対象となった貸付金 0 1,243 0 1,634
認識された評価損益 0 407 0 473
支払猶予された契約に係る受取利息 121 73 139 70
認識中止されたエクスポージャー
(リストラクチャリング、償却/貸付金売却後) 0 34 0 28
支払猶予措置
契約上の
元本
返済 元本
重大な財
返済
2020年 2021 年
および
(単位:百万ユーロ)
期限の のみの 務制限条 その他
および
12月31日 12月31日
利息の
項の破棄
延期 繰延
(1)
繰延
契約終了
公共機関 2,803 0 0 0 94 179 -147 2,929
銀行 79 0 0 0 126 110 -35 280
4,248 46 55 23 473 48 -898 3,995
企業
7,130 46 55 23 693 337 -1,080 7,204
合計
(1) 減少は、2020年12月31日現在で支払猶予貸付金とみなされていた取引に関して当年度中に発生した元本、利息およ
び延滞金額の返済ならびに償却、ならびに当期中の契約終了による。
295/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
U.2.2. 財務ポートフォリオ
財務ポートフォリオ(有価証券、コマーシャル・ペーパー、定期預金等)関連の信用リスクは、健
全なカウンターパーティーおよび発行体を選択することにより管理されている。
有価証券ポートフォリオの構成および財務商品残高に適用される限度枠は、経営陣が設定してい
る。この限度枠は、グループ・リスク・コンプライアンス部門により定期的に見直しが行われる。
グループは、取引のカウンターパーティーが契約債務を履行できなかった場合に信用リスクにさら
される可能性のある有担保リバース・リパーチェスおよびリパーチェス契約取引を行っている。グ
ループは、カウンターパーティーの信用リスクおよび担保の価値を日次でモニターし、必要とみなさ
れる場合には、グループに追加担保を差し入れるよう要求することで、これらの業務に関連した信用
リスクを統制している。
三者間レポおよびリバース・レポ取引は、第三者保管機関と共同で行われる。第三者保管機関は、
枠組み契約に従って特に以下に関する契約条件の遵守を保証する。
- 支払引替渡し
- 担保の検証
- 貸手が要求する担保マージン。これは常に充分かつ充当可能であることが必要であり、保管機
関は、当該有価証券の時価を日々検証しなければならない。
- 契約要件をすべて満たす代替担保の組成
下表は、財務ポートフォリオの有価証券および短期金融市場商品(預金およびリバース・レポ)に
係る信用リスク構成比を、適宜、カウンターパーティーの信用格付別、最終的な債務者格付別または
発行体格付別に示したものである。
有価証券ポートフォリオ 短期金融市場商品
同等のムーディーズ格付
(単位:%) (単位:%)
2021年 2020年 2021年 2020年
12月31日 12月31日 12月31日 12月31日
Aaa 13 28 82 57
Aa1からAa3 21 31 8 17
A1からA3 39 40 9 25
27 1 1 1
A3未満
100 100 100 100
合計
2021年12月31日現在、グループ連結財務ポートフォリオ資産のうち満期まで1年超で格付が下限の
Aa3であるものの名目金額合計は、3,906.84百万ユーロ(2020年:3,749.32百万ユーロ)であった。
296/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
財務取引に供する担保
受取担保
財務取引には、13,894百万ユーロ(2020年:15,474百万ユーロ)の二者間および三者間リバース・
リパーチェス契約が含まれており、グループはこのうち13,334百万ユーロ(2020年:13,173百万ユー
ロ)について財務担保、560百万ユーロ(2020年:2,301百万ユーロ)についてコモディティを受領し
ている。二者間および三者間リパーチェス契約は、2021年12月31日現在5,717百万ユーロ(2020年:
4,315百万ユーロ)であった。この残高は全額について担保が供されており、原契約に従い、その後に
追加担保の請求または担保の返還が行われる。財務担保ポートフォリオの時価は、2021年12月31日現
在、13,557百万ユーロ(2020年:13,498百万ユーロ)であり、以下のように分類される。
リバース・リパーチェス契約財務担保(単位:百万ユーロ)
2021年12月31日現在 債券
担保付債券
現金 合計
同等のムーディーズ
国際 政府 銀行債 資産
政府債 (カバード・
格付
機関債 機関債 および社債 担保証券
ボンド)
Aaa 998 655 712 1,480 4,192 0 0 8,037
Aa1 からAa3 2,047 78 389 8 300 0 0 2,822
A1 583 0 65 0 130 0 0 778
A1 未満 1,637 0 20 0 222 0 0 1,879
38 0 0 0 1 0 2 41
格付なし
5,303 733 1,186 1,488 4,845 0 2 13,557
合計
リバース・リパーチェス契約財務担保(単位:百万ユーロ)
2020年12月31日現在 債券
担保付債券
現金 合計
国際 政府 銀行債 資産
同等のムーディーズ格付
政府債 (カバード・
機関債 機関債 および社債 担保証券
ボンド)
Aaa 1,453 734 293 4,075 460 226 0 7,241
Aa1からAa3 2,393 133 123 94 830 0 0 3,573
A1 0 0 0 0 0 0 0 0
1,260 0 66 0 1,356 0 0 2,682
A1未満
0 0 0 0 0 0 2 2
格付なし
5,106 867 482 4,169 2,646 226 2 13,498
合計
297/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
預託有価証券
ユーロ制度の通貨政策の運用との関連で、グループは、2021年12月31日現在、時価149億ユーロの有
価証券をルクセンブルク中央銀行に預託している(2020年:121億ユーロ)。
二者間および三者間リパーチェス契約の下で差し入れられている担保(ルクセンブルク中央銀行へ
の差入れを除く)の時価は、2021年12月31日現在、5,711百万ユーロ(2020年:4,315百万ユーロ)で
あった。
U.2.3. 第三者が供与した貸付金に関してグループが付与した保証
自己資金を原資とするグループの保証取引および証券化取引から生じる信用リスクは、行内指針に
従って管理されている。
2021年末現在、グループにより保証された契約済エクスポージャーは309億ユーロ(2020年:220億
ユーロ)であり、このうち167億ユーロ(2020年:124億ユーロ)は保証された実行済貸付金に係るエ
クスポージャーで、その保証引当金は39.3百万ユーロ(2020年:22.6百万ユーロ)であった。
EIBの保証型業務の一部は、リスク・シェアリング業務から発生しており、EIBは、確立された委託
モデルに基づいて、金融仲介機関が組成するローン・タイプのエクスポージャーをローンごとに保証
している。EIBがリスクを負う原リスク・エクスポージャーを組成する金融仲介機関は、EIBが当該金
融仲介機関に信用管理業務を委託できることを確認するための、詳細なデューデリジェンスの対象と
なる。一方、残りのEIBの保証型業務は通常、合成取引として行われ、EIBは通常、既存のポートフォ
リオのリスクを特定の金融仲介者に対して保証する。
EIBは、このタイプの取引の集中リスクを制限するための専用の枠組みを確立している。取引の特異
性に応じて、これには適格基準(最低適格格付区分、特定のセクター、債務者および/または債務者
グループのエクスポージャーを含むがこれらに限定されない)の設定が含まれる場合がある。形式的
に言えば、信用リスクは金融仲介機関が組成する原エクスポージャーにあるため、金融仲介機関のカ
ウンターパーティー・リスクは限定的である。すなわち、カウンターパーティー・リスクは、 (1) 保
証料の支払い、および (2) EIBが保証・支払いを行う原エクスポージャーが債務不履行となった場合
の潜在的な回収額のEIBに対する返済に限定される。いずれにしても、EIBは、いくつかの軽減措置
(詳細なデューデリジェンス、担保権、介入権、原リスク・エクスポージャーの重大な修正に関する
同意権または解約権を含むがこれらに限定されない)を確立している。
298/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
U.3. 金利リスク
金利リスクとは、市場利回りや金利の期間構造の不利な動きによる、EIBのポジションの経済価値ま
たは同ポジションによる収益の予想変動率(ボラティリティ)を指す。異なる資産、負債、ヘッジ商
品の間で金利更改特性や満期特性に差異があると、金利リスク・エクスポージャーが生じる。
金利リスクの測定および管理にあたり、EIBはバーゼル銀行監督委員会(「BCBS」)および欧州銀行
監督機構(「EBA」)の関連する主要原則を参考にしている。金利リスクの主要な源泉は、ギャップリ
スク、ベーシスリスクおよびオプションリスクである。ギャップリスクとは、EIBにとって最も関係が
深い金利リスクであり、EIBの金利感応商品の金利変動のタイミングの差異による、当該金利感応商品
の期間構造の経済価値または同商品からの収益の予想変動率(ボラティリティ)と定義される。
金利リスクは、EIBのリスク選好の枠組みで取り扱われている。規制当局の指針に従い、EIBは金利
リスクに対する選好を、経済的価値および利益の両方に対するリスクの観点から明文化している。EIB
の自己資金に関する投資戦略である「金利リスク戦略」は、EIBが取る用意がある金利リスクの水準と
密接に関連し、この戦略の有効性は望ましい目標デュレーションを備えた比較可能なベンチマークと
なる想定ポートフォリオとの比較において測定される。
IBOR改革:
ロンドン銀行間金利(LIBOR)などの指標金利は金融契約で広く用いられていた。近年、指標金利の
信用性や安定性に対する信頼は低下してきており、世界中の規制当局は金利指標改革を推進してきて
いる。
代替指標金利への世界的な移行は、金融市場において着手された最も困難な課題を含んだ改革の一
つである。他の銀行と同様に、EIBは、これらの市場全体にわたる取組みの一環として改革の対象と
なっている金融商品について、IBORに重大なエクスポージャーを有している。
行内における準備
2018年2月、資産・負債委員会 (ALCO)は、代替金利への移行に関連する進展を積極的に追跡・監
視するためのIBOR専任のALCO直属ワーキンググループであるIBORワーキンググループを設置した。
IBORワーキンググループの目的には、金利指標の改革に関連した進展を注意深く監視することが含ま
れ、これには特に、契約修正、顧客との双務交渉、ITシステムおよびアプリケーションの更新および
新契約へのフォールバックの文言の導入ならびに通貨別および資産クラス別のIBORへのエクスポー
ジャーの定期的モニタリングの進展が含まれる。確立した作業計画の実施における進捗は定期的に監
視され、ALCOで討議され、定期的に経営幹部および監査委員会に報告されている。
リスクに関する検討
IBOR改革における主なリスクは、オペレーショナル・リスクと財務リスクである。これらは、例え
ば、記帳、決済/支払、評価、リスクシステムを含むITシステムの更新、IBOR改革に関連した業務統
制の変更、契約の修正(貸付契約の双務交渉を含む)およびフォールバック条項の導入に伴う業務上
の課題、ならびに異なる取引タイプ間の潜在的ベーシスリスクに関連している。財務リスクは、金融
商品全体にわたって、頑健で、発生の可能性がありかつ実行が可能な範囲で一貫性のあるフォール
バックを導入することによって軽減される。
2021年における主な進展
299/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021年はLIBOR移行の重要な節目であった。2021年3月、FCAは、英ポンド、スイス・フラン、日本
円のLIBORを2021年末に廃止し、米ドルLIBORを2023年6月末に廃止することを発表した。
金融商品クラス別の移行状況
貸付活動および資金調達活動の一環として、EIBは主に顧客への変動金利貸付金およびEIBの活動に
資金提供するための発行債券に関して、IBOR改革へのエクスポージャーを有している。金利リスクお
よび為替リスクへのエクスポージャーを管理するために、EIBはデリバティブ商品を利用している(固
定金利貸付金や借入業務のヘッジなど)。
デリバティブは、対応するキャッシュ・フローの大部分がIBOR金利を参照しているため(すなわ
ち、「変動金利」)、IBORレートの影響を直接的に受ける最大の金融商品クラスである。EIBは、2021
年にISDAの 「IBORフォールバック・プロトコル」 を遵守した。このプロトコルは、デリバティブの
従前のポートフォリオの円滑な移行を確保するために、金利指標の廃止時に適用される強固なフォー
ルバック条項をカウンターパーティーが組み込むための修正メカニズムを提供するものである。LIBOR
に連動するスワップにおけるEIBのすべてのカウンターパーティーも、このプロトコルを遵守してい
る。2021年12月31日現在、EIBはISDAフォールバック・プロトコルの適用を通じて、英ポンド、スイ
ス・フラン、日本円および米ドルのLIBORを参照するデリバティブの想定元本エクスポージャーの99%
以上をシステム上で移行しており、それぞれのLIBOR廃止日以前および以後のすべてのキャッシュ・フ
ローの決定が正しく反映されるようにしている。残りは、主にストラクチャード・スワップでその影
響は僅少であるが、2022年初めに移行された。
変動金利貸付金は、IBOR金利の影響を直接的に受ける金融商品の中で2番目に大きなクラスであ
る。2020年7月1日以降、EIBはすべての新規貸付契約において改訂されたフォールバック文言を導入
し、含めている。EIBはまた、該当する通貨のLIBORを参照する契約を締結している顧客に接触し、認
識を高め、可能な限りフォールバック文言を導入し、積極的にIBORから移行することに重点を置いた
タスクフォースを設置している。2021年12月31日現在、当初にスイス・フランおよび日本円のLIBORに
連動していた契約の帳簿残高の100%、ならびに当初に英ポンドLIBORに連動していた契約の帳簿残高
の87%は、これらのIBOR金利に連動しなくなっている。さらに、2022年初めには、英ポンドLIBORの残
存エクスポージャーの12%(帳簿価額)で顧客との契約が予定されている。また、FCAは、EIBがごく
限られた期間、ごく一部(英ポンドのエクスポージャー合計の1%未満)に使用する可能性のあるい
わゆる 「合成」 LIBORの公表を延長する権限を付与されている。また、EIBは米ドルLIBORに連動した
貸付金の移行も継続する。移行と並行して、EIBは貸付商品ポートフォリオを新たな貸付金組成に適応
させており、現在も継続している。
資金調達面では、EIBは2018年より貸借対照表で新たなRFRを参照する債券商品を発行している。加
えて、優先市場構成の設定に基づいて、EIBは必要な流動性を備えた関連するRFR市場の支援に重点を
置いている。
2021年12月31日現在、EIBには英ポンド、スイス・フランおよび日本円のLIBORに連動したリスク・
エクスポージャー残高はすでになくなっている。米ドルLIBOR連動債については、帳簿価額の56%が
2023年6月末までに満期を迎える。残りの44%は2022年中に評価され、適切なエクスポージャー移行
の機会が検討される予定である。
U.3.1. グループの自己資金の経済価値に対する金利リスク
グループの金利リスク戦略は、グループの経済価値のボラティリティを抑制しながら、バランスが
良く持続可能な収益特性を維持することを目指している。またグループ成長資金の自力調達という目
標を踏まえて、こうした収益特性に明確な選好が定められている。かかる全体目標は、中長期投資特
300/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
性に沿ったグループの自己資金投資によって達成されており、これは現在4.5~5.5年の範囲の自己資
金の目標投資期間を意味する。
自己資金の期間目標とは別に、グループの連結貸借対照表上、通貨および金利特性に応じた資金調
達が図られるべきだとされている。しかし、業務上の理由から小幅の逸脱は承認されており、このこ
とはグループをベーシスリスクにさらす可能性がある。このような若干の逸脱が残ることによって生
じる残余ベーシスリスク・ポジション純額は、ベーシス市場リスクを重要性の閾値未満に維持するべ
く、既定の限度枠内に収めて管理されている。
運用されている金利リスク限度額の枠組みに加えて、金利の深刻な変動がグループの自己資金に及
(1)
ぼす潜在的な悪影響を特定するために、EBAにより標準化されたショック・シナリオ に基づいてグ
ループレベルでの定期的なストレス・テストが実施されている。2021年12月31日現在、EBAの監督上の
異常値テストシナリオの最悪の影響は、自己資金の経済価値を43.7億ユーロ(2020年:49.3億ユー
(2)
ロ)減少させる 。
(1) EBA/GL/2018/02
(2) ストレス・テストは、保険数理プロバイダーの計算による年金および医療保険債務(DBO)を含む、
すべてのリスク感応度の高い銀行勘定商品について実施されている。
グループは、金利(IR)リスク(ギャップリスクおよびベーシスリスク)ならびにFXリスクを管理
するための枠組みを整備している。グループはIRおよびFXのポジションを日次でモニターし、適用さ
れる限度内で管理している。
グループのポートフォリオに組入れられている金融商品のうち、一部の業務(借入れおよび関連す
るスワップ)には償還オプションが規定されており、満期前に償還される場合があるため、最終満期
日については不確実性が組み込まれている。
キャッシュ・フロー・レベルでは、こうした借入金はすべてスワップで十分にヘッジされているた
め、合成変動利付債とみなすことができる。
下表は、2021年12月31日現在および2020年12月31日現在のグループの任意償還条項付ポートフォリ
オの特性をまとめ、想定元本合計、平均の契約上の満期日、平均予想償還日(双方とも、当該取引の
想定元本で加重)を資金調達通貨別と関係する主要リスク・パラメーター別に表示したものである。
301/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
資金調達通貨別(スワップの影響考慮後):
2021年12月31日
ユーロ 米ドル 合計
(単位:百万ユーロ)
ユーロ建想定元本 -2,659 -1,284 -3,943
平均満期日 2047年3月19日 2038年9月6日 2044年6月7日
平均予想償還日 2031年1月2日 2027年7月7日 2029年11月13日
2020年12月31日
ユーロ 米ドル 合計
(単位:百万ユーロ)
ユーロ建想定元本 -2,213 -1,606 -3,819
平均満期日 2047年1月26日 2037年3月16日 2042年12月3日
平均予想償還日 2028年12月25日 2023年7月28日 2026年9月16日
関係するリスク・パラメーター別:
2021 年12月31日 リスク・パラメーター
為替レートの 金利カーブの
水準 水準 合計
( 単位:百万ユーロ)
ユーロ建想定元本 -323 -3,620 -3,943
平均満期日 2036年1月1日 2045年3月9日 2044年6月7日
平均予想償還日 2029年2月13日 2029年12月7日 2029年11月13日
2020 年12月31日 リスク・パラメーター
為替レートの 金利カーブの
水準 水準 合計
( 単位:百万ユーロ)
ユーロ建想定元本 -452 -3,367 -3,819
平均満期日 2033年12月4日 2044年2月17日 2042年12月3日
平均予想償還日 2027年12月21日 2026年7月16日 2026年9月16日
U.3.2. グループの金利リスク管理(利益面)
利益の感応度は、金利カーブ全体が1パーセンテージ・ポイント上昇した場合、あるいは低下した
場合の向こう12ヵ月間で変動しうる正味受取利息の金額を定量化する。このようなエクスポージャー
は、承認を受けた限度枠内でグループが容認する、資産と負債の間の金利更改期間、金額または利率
の不一致により生じる。
2021 年12月31日現在のポジションでは、金利が100ベーシス・ポイント上昇すると、利益が96.5百万
ユーロ(2020年:83.4百万ユーロ)増加し、金利が100ベーシス・ポイント低下すると、利益が90.8百
万ユーロ(2020年:78.5百万ユーロ)減少する計算である。
グループは、案件ごとに利益のシミュレーションを実行する専用のソフトウェアで感応度指標を計
算している。利益の感応度は発生主義で測定され、分析対象期間にわたり、グループは業務計画の中
で予想されている新規貸付業務を実現し、承認を受けた限度枠内にエクスポージャーを維持し、資金
不足の補充または余剰現金の投資を目的とする短期金融市場取引を執行するという「現行」の仮定に
基づいて算出される。利益に関して月次で行われるシミュレーションは、固定利付項目の場合には、
すべて契約で定められた利率が維持され、変動利付項目の場合には、すべて、シミュレーションで適
用された金利シナリオに応じて金利が更改されるという仮定に基づいて実施されている。資金不足の
補充または余剰現金の投資を目的とする短期金融市場取引の利率は、シミュレーションで適用された
302/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
金利シナリオに応じた短期金融市場の実勢利率に等しいとされる。現行実務に従い、モデルでは、シ
ミュレーション上の利益は株主には配分されず、グループ業務の資金補充に当てられると仮定してい
る。 管理費は、業務計画の予想に応じて見積られる。
EIF の感応度は、グループが運用するEIFの財務および貸付金ポートフォリオに組入れられている全
ポジションを考慮して、案件ごとに算出される。各固定利付財務資産は、その満期日に、年度末にお
ける残存期間が従前資産と同じである新規資産に再投資されると仮定している。変動利付財務資産の
ポジションの場合、四半期ごとに利率が更改されるとの仮定に基づいている。
U.4. 流動性および資金調達リスク
流動性リスクは、資産の増加に対応して資金を調達し、期限の到来した債務を弁済することを、受
入不能な損失を負担することなしに行うグループの能力に関するリスクである。それは、さらに資金
流動性リスクと市場流動性リスクに分けることができる。
資金流動性リスクとは、貸借対照表の資産を支え、容易に利用できる流動リソースから期限どおり
に債務を全額返済することができなくなるリスクに関するものである。資金流動性リスクは、支払義
務の履行に関する差し迫ったリスクおよびこれに伴う不利な条件での借入を増加させうるため、グ
ループのポジションの経済価値あるいはグループのポジションから生み出される収益の変動性に影響
を与える可能性がある。
市場流動性リスクとは、ポジション残高を相殺、解消、または削減するための取引を合理的な市場
価格で執行できないかもしれないという理由で、グループのポジションの経済価値の変動、または同
ポジションによる収益の変動が激しくなることを指す。取引を執行できないことにより、清算を避け
た方が良いと思われる場合でも好ましくない価格で早い段階に当該資産を清算せざるを得なくなるお
それがある。このリスクは、取引される証券の流動性と比較したポジションの規模、ならびに市場の
アベイラビリティおよび効率性の悪化と密接に関係している。
EIB の流動性リスク管理
EIB の中核業務活動を妥当なコストで正常に機能させるため、流動性リスクの管理が行われている。
流動性リスク管理方針の主な目的は、EIBが常に期限内に支払債務を満額履行できることの確保にあ
る。商業銀行とは対照的に、EIBは個人預金を保有しておらず、顧客に貸し付ける資金の調達を資本市
場に依存している。
EIB は慎重に流動性バッファーを維持するため、新規発行予定を管理している。流動性維持計画で
は、EIBの債務返済上のニーズ、貸付金の実行、および貸付金ポートフォリオからのキャッシュ・イン
フローを考慮している。また、流動性維持計画では、一般的に債務者の要請に応じて実行される多額
の契約済未実行貸付金も考慮している。
EIB は、短期流動資産を十分な水準に保つこと、および資金需要予測に応じて自行の募集有価証券の
償還日を分散することによって、流動性リスクの管理を一層確実にしている。流動性リスク方針には
財務ポートフォリオの水準の下限が組み込まれており、EIBの全体的な流動性比率(翌12ヵ月間の見積
ネット・キャッシュ・フローに対する比率としての流動性)は、常に25%を上回っていることが、義
務付けられている。
グループはグループ非常時資金調達計画(「グループCFP」)を定めており、そこでは適切な意思決
定手続とそれに対応する責任分担が定められている。グループCFPは定期的に、欧州銀行監督機構がこ
の件に関して発行した関連するガイドラインを含む該当するベスト・バンキング・プラクティスを基
準に、テストおよび評価されている。グループCFPは理事会によって毎年承認される。
303/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
定期的なストレス・テスト分析は、流動性リスク・モニタリングの一環として実施され、EIBおよび
EIFの流動性バッファーの規模を決定する。
2009 年7月8日にユーロ・システムの金融政策オペレーションにおける適格カウンターパーティー
となったことから、EIBも欧州中央銀行の金融政策オペレーションに参加できることとなった。EIB
は、最低預金準備率およびその他の業務ニーズを充足するために預け金を置いているルクセンブルク
中央銀行を通じて金融政策オペレーションを実施する。
EIB は日次で流動性カバレッジ比率(「LCR」)を欧州連合CRRに沿って、機能通貨(ユーロ)だけで
なく、他の重要な通貨についても計算している。過度の通貨のミスマッチを防止するために、流動性
資産の通貨と正味流動性の流出の通貨の整合性を継続的にとることが確実にされている。2021年末現
在、EIBのLCRは564.9%(2020年は366.7%)であり、2021年から開示が開始されたグループLCRは
586.0%であった。
(3)
また、EIBは安定調達比率(「NSFR」)を欧州連合CRR に沿って、機能通貨(ユーロ)だけでな
く、他の重要な通貨についても計算している。2021年末現在、EIBのNSFRは130.0%、グループのNSFR
は130.1%であった。
(3) 2021年6月発効。
COVID-19のパンデミックに伴いグローバル金融市場の一般的情勢が不確実であるにもかかわらず、
グループは、主にグループの流動性管理に対する慎重なアプローチの結果として、引き続き強固な流
動性ポジションおよび必要な流動性リソースへの柔軟なアクセスを維持している。
EIF の流動性リスク管理
払込資本金の価値を損なうことなく、今後生じうる保証請求、プライベート・エクイティ・コミッ
トメント、および一般管理費の支出に対応する適切な水準のEIFの流動性を確保し、かつリスク最小化
に配慮しながら投資資産で合理的な収益を獲得できるような方法で、流動性リスクは管理されてい
る。
流動性リスクの測定
下表は、貸借対照表日から契約上の満期日までの残存期間別にグループの資産および負債を示して
いる。契約によって定められた満期日のない資産および負債は、「満期日未確定」に区分されてい
る。
304/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
流動性リスク(単位:百万ユーロ)
2021 年12月31日時点に 3ヵ月超 1年超 満期日 2021 年の
3ヵ月以内 5年超
おける満期 1年以内 5年以内 未確定 合計
資産:
現金、中央銀行および郵便局預け金 1,483 0 0 0 0 1,483
中央銀行担保適格国庫証券
およびその他短期証券 7,198 15,702 10,405 3,855 0 37,160
その他の貸付金および預け金:
- 当座預金
798 0 0 0 0 798
- 金融機関
71,400 3,349 0 0 0 74,749
- 対顧客 677 0 0 0 0 677
72,875 3,349 0 0 0 76,224
貸付金:
- 金融機関
2,443 9,928 46,116 35,011 6 93,504
- 対顧客 5,083 19,702 107,548 189,266 394 321,993
7,526 29,630 153,664 224,277 400 415,497
確定利付証券を含む負債証券 1,358 2,856 3,461 4,296 0 11,971
株式、その他の変動利付証券
および参加持分 0 0 0 0 9,569 9,569
288 773 5,414 1,978 7,676 16,129
その他の資産
90,728 52,310 172,944 234,406 17,645 568,033
資産合計
負債:
金融機関に対する債務 10,478 13,195 0 0 0 23,673
顧客に対する債務 1,821 0 0 0 0 1,821
債務証書借入 19,307 43,516 213,006 164,286 0 440,115
資本金、準備金、利益および少数株
主持分 0 0 0 0 78,139 78,139
331 1,472 3,774 3,163 15,545 24,285
その他の負債
31,937 58,183 216,780 167,449 93,684 568,033
負債合計
借入金および関連するスワップの一部は、投資家あるいはヘッジ・スワップの契約相手に期限前解
約条項もしくはコール・オプションを認めており、EIBにも関連債券を期限前償還する権利を与えてい
る。グループが債券に係るすべてのコール・オプションを契約で定められた次回権利行使日に行使し
た場合、2022年から2024年の期限前償還累計額は24.8億ユーロとなる。
305/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
流動性リスク(単位:百万ユーロ)
2020 年12月31日時点に 3ヵ月超 1年超 満期日 2020 年の
3ヵ月以内 5年超
おける満期 1年以内 5年以内 未確定 合計
資産:
現金、中央銀行および郵便局預け金 835 0 0 0 0 835
中央銀行担保適格国庫証券およびそ
の他短期証券 7,175 6,782 12,115 6,002 0 32,074
その他の貸付金および預け金:
- 当座預金
614 0 0 0 0 614
- 金融機関
55,394 4,882 0 0 0 60,276
- 対顧客 583 318 0 0 0 901
56,591 5,200 0 0 0 61,791
貸付金:
- 金融機関
2,705 13,329 50,439 37,161 6 103,640
- 対顧客 4,872 18,750 105,413 191,428 89 320,552
7,577 32,079 155,852 228,589 95 424,192
確定利付証券を含む負債証券 5,818 1,186 2,851 2,954 0 12,809
株式、その他の変動利付証券および
参加持分 0 0 0 0 9,109 9,109
442 1,235 3,574 2,244 7,812 15,307
その他の資産
78,438 46,482 174,392 239,789 17,016 556,117
資産合計
負債:
金融機関に対する債務 8,515 8,000 0 0 0 16,515
顧客に対する債務 1,701 0 0 0 0 1,701
債務証書借入 24,379 49,607 205,107 156,171 0 435,264
資本金、準備金、利益および少数株
主持分 0 0 0 0 74,963 74,963
716 1,828 7,404 3,382 14,344 27,674
その他の負債
35,311 59,435 212,511 159,553 89,307 556,117
負債合計
U.5. 為替リスク
為替(「FX」)リスクは、為替レートの不利な変動が原因で、グループのポジションの経済価値の
変動、または同ポジションによる収益の変動が激しくなることを指す。資産、負債およびヘッジ手段
の間で通貨のミスマッチがある場合に、グループは為替リスクにさらされる。
EIB は定款を遵守して、貸付業務を遂行するため、またはEIBが供与する貸付金もしくは保証から発
生するコミットメントを履行するために、直接必要でない為替業務には従事しない。
グループの資産・負債構造における通貨のミスマッチは、厳しい限度額内に維持されている。
306/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
為替ポジション(単位:百万ユーロ)
その他の ユーロ以外 2021 年の
2021年12月31日現在の通貨 ユーロ 英ポンド 米ドル
通貨 の通貨合計 合計
資産:
現金、中央銀行および郵便局預け金 1,483 0 0 0 0 1,483
中央銀行担保適格国庫証券およびその
他短期証券 29,481 1,388 6,291 0 7,679 37,160
その他の貸付金および預け金:
- 当座預金
579 58 46 115 219 798
- 金融機関
64,708 2,052 1,035 6,954 10,041 74,749
- 対顧客 600 0 0 77 77 677
65,887 2,110 1,081 7,146 10,337 76,224
貸付金:
- 金融機関
71,840 829 13,310 7,525 21,664 93,504
- 対顧客 261,909 30,971 8,225 20,888 60,084 321,993
333,749 31,800 21,535 28,413 81,748 415,497
確定利付証券を含む負債証券 5,288 0 1,809 4,874 6,683 11,971
株式、その他の変動利付証券および参
加持分 7,809 699 729 332 1,760 9,569
その他の資産 13,050 1,242 1,064 773 3,079 16,129
456,747 37,239 32,509 41,538 111,286 568,033
資産合計
負債:
金融機関に対する債務 23,473 0 44 156 200 23,673
顧客に対する債務 1,557 6 93 165 264 1,821
債務証書借入:
- 負債証券
240,681 43,587 104,778 42,058 190,423 431,104
- その他 6,235 119 295 2,362 2,776 9,011
246,916 43,706 105,073 44,420 193,199 440,115
資本金、準備金、利益および少数株主
持分 78,139 0 0 0 0 78,139
その他の負債 20,413 1,670 1,270 932 3,872 24,285
370,498 45,382 106,480 45,673 197,535 568,033
負債合計
-86,378 8,190 74,023 4,165 86,378
オフ・バランスシートの通貨スワップ
-129 47 52 30 129
ポジション(純額)
307/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
為替ポジション(単位:百万ユーロ)
その他の ユーロ以外 2020 年の
2020 年12月31日現在の通貨 ユーロ 英ポンド 米ドル
通貨 の通貨合計 合計
資産:
現金、中央銀行および郵便局預け金 835 0 0 0 0 835
中央銀行担保適格国庫証券およびその
他短期証券 25,785 623 5,666 0 6,289 32,074
その他の貸付金および預け金:
- 当座預金
415 48 34 117 199 614
- 金融機関
50,128 3,672 884 5,592 10,148 60,276
- 対顧客 160 0 0 741 741 901
50,703 3,720 918 6,450 11,088 61,791
貸付金:
- 金融機関
82,737 1,640 11,699 7,564 20,903 103,640
- 対顧客 261,675 30,774 7,737 20,366 58,877 320,552
344,412 32,414 19,436 27,930 79,780 424,192
確定利付証券を含む負債証券 3,740 465 1,410 7,194 9,069 12,809
株式、その他の変動利付証券および参
加持分 7,245 854 699 311 1,864 9,109
その他の資産 12,208 1,179 1,084 836 3,099 15,307
444,928 39,255 29,213 42,721 111,189 556,117
資産合計
負債:
金融機関に対する債務 16,509 0 6 0 6 16,515
顧客に対する債務 1,428 8 81 184 273 1,701
債務証書借入:
- 負債証券
239,351 42,653 102,508 41,111 186,272 425,623
- その他 6,118 62 472 2,989 3,523 9,641
245,469 42,715 102,980 44,100 189,795 435,264
資本金、準備金、利益および少数株主
持分 74,963 0 0 0 0 74,963
その他の負債 24,039 1,513 1,163 959 3,635 27,674
362,408 44,236 104,230 45,243 193,709 556,117
負債合計
-82,623 5,006 75,060 2,557 82,623
オフ・バランスシートの通貨スワップ
-103 25 43 35 103
ポジション(純額)
308/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
U.6. オペレーショナル・リスク
EIBグループのオペレーショナル・リスク方針に定義されているように、オペレーショナル・リスク
とは、不十分もしくは機能不全の内部プロセス、人員もしくはシステム、または外部事象に起因する
損失リスクを意味する。
EIBグループのすべての活動はオペレーショナル・リスクの影響を受ける可能性があり、したがって
グループはオペレーショナル・リスクを体系的に特定、評価、監視および報告し、オペレーショナ
ル・リスクへのエクスポージャーを限定するために十分な統制とリスク軽減策を実施することを目標
としている。
グループのオペレーショナル・リスク課、EIBおよびEIFのリスク管理、ならびにEIBの財務統制にお
ける内部統制およびアサーション部(「FC/-/ICA」)が、オペレーショナル・リスクの枠組みおよび
関連する方針を決定する責任を有し、その枠組みの実施責任はグループのすべての部署が担う。グ
ループは、連結レベルでオペレーショナル・リスク管理業務を、関連し、適用されるベスト・バンキ
ング・プラクティス(「BBP」)に準拠して編成している。
グループでは、特に、オペレーショナル・リスク・エクスポージャーを監視するために使用される
一連の重要リスク指標(「KRI」)を通じて、内部損害履歴ならびに事業・統制環境等、入手可能なあ
らゆる情報を考慮する評価方法を採用している。リスク水準が臨界値を上回った場合には、適切な措
置が講じられる。特に、オペレーショナル・リスク課は、オペレーショナル・リスクに係る現実の損
害につながるまたはつながりうる重要なオペレーショナル・リスク事象および現れつつあるリスク分
野を分析する。
オペレーショナル・リスクの分類とKRIの見直しは、2022年に予定されており、その後、データ収集
プロセスを自動化する新しいツールが導入される予定である。一方、オペレーショナル・リスク課
は、健全なオペレーショナル・リスク管理のすべてのBBP要件に対応するために、新しい部分的に自動
化された事象および損害のデータベースを開発し、このデータベースは後に新システムに移行する予
定である。
EIBにおける報告については、月次オペレーショナル・リスク報告書が、オペレーショナル・リスク
の管理とモニタリングのすべての側面について責任を有するグループ最高リスク責任者(「GCRO」)
によって承認され、経営委員会(「MC」)、監査委員会(「AC」)およびディレクター・ジェネラル
(「DG」)に提出される。加えて、0.1百万ユーロを超える損失/利益は、即座に総裁に報告される。
EIFでは、オペレーショナル・リスク課が監査役会(「AB」)および上級経営陣に定期的な報告を行
う。
309/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注V: デリバティブ
グループは、予定取引から発生するエクスポージャーを含む金利リスクおよび為替リスクへのエク
スポージャーを管理するため、デリバティブ商品を主に資産負債管理活動の一環として使用してい
る。デリバティブは契約金融商品であり、その価値は、原資産、利率、為替そして種々のインデック
ス動向により変動する。デリバティブ取引は売買目的で利用されるのではなく、資金調達関連の場合
および市場リスク・エクスポージャーを低減するためのみに限られている。
グループのスワップの大部分は、資金調達オペレーション(資金調達活動)の一環として、債券発
行をヘッジする目的で締結されている。借入ポートフォリオに関連したすべてのスワップは満期が関
連借入債務に対応しており、このため長期の性質を持つ(注V.1を参照)。
またグループは、貸付金や財務のヘッジ・オペレーションの一環として、またはグローバルな資産
負債管理(「ALM」)ポジションのヘッジ(ALMヘッジ活動)のために、スワップを行っている(注V.1
を参照)。
グループは、基本通貨であるユーロに関連してその運用財務の通貨ポジションを調整するため、ま
た貸付実行に伴う通貨需要を満たすために、短期通貨スワップも行っている(注V.2を参照)。
先物契約(先物)は、一部の政府債投資から生ずるエクスポージャーをヘッジするため、財務活動
の一環として使用することができる。先物は、規制市場において取引される標準化されたデリバティ
ブであり、カウンターパーティー・リスクの測定と統制に関する一般方針の対象外となっている。
V.1. 資金調達およびALMデリバティブ
資金調達およびALMヘッジとの関連で使用されるデリバティブには以下のものがある。
・ 通貨スワップ
・ 金利スワップ
・ ストラクチャード・スワップ
V.1.1. 通貨スワップ
通貨スワップとは、調達されたある通貨の資金を別の通貨に交換することを合意し、それと同時に
調達された資金を期日に返済できるよう、両通貨を将来において再度交換するための為替予約を締結
する契約である。
グループは、主に資金調達業務の一環として、開始時に借入資金を別の通貨に交換し、その後借入
返済に必要な資金を元の通貨でグループが入手することとなる、通貨スワップを締結している。
下表は、想定元本および公正価値に基づいて分類した通貨スワップ(ストラクチャード・スワップ
(注V.1.3を参照)を含み、短期通貨スワップ(注V.2.を参照)を除く)の満期を示している。想定元
本はオフ・バランスシートにて開示されている。
310/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021 年12月31日現在の通貨スワップ 1年超 5年超 2021 年の
1年以内 10 年超
(単位:百万ユーロ) 5年以内 10年以内 合計
想定元本(受取) 34,954 137,297 45,792 29,640 247,683
公正価値(すなわち、CVA、DVAおよび
(*)
COLVA)を含む割引価値(純額)) -740 3,085 985 1,041 4,371
2020 年12月31日現在の通貨スワップ 1年超 5年超 2020 年の
1年以内 10 年超
(単位:百万ユーロ) 5年以内 10年以内 合計
想定元本(受取) 34,590 125,732 36,450 26,484 223,256
公正価値(すなわち、CVA、DVAおよび
(*)
COLVA)を含む割引価値(純額)) -691 -2,858 2, 114 1,612 177
(*) 2021年12月31日現在3,133百万ユーロ(2020年:マイナス2,548百万ユーロ)となっているマクロ・ヘッジ通貨ス
ワップの公正価値を含む。
V.1.2. 金利スワップ
金利スワップは一般的に、変動金利を固定金利に交換するか、その逆を行うことを合意する契約で
ある。
金利スワップの利用により、グループは、顧客からの要求に応えて借入ポートフォリオと他のポー
トフォリオの金利構造を変えることができるとともに、グループのある特定の資本市場への有利なア
クセス条件をカウンターパーティーと交換することにより、資金調達コストを削減することも可能と
なる。
下表は、金利スワップ(ストラクチャード・スワップ(注V.1.3を参照)を含み、外貨建てで計算さ
れた利息を合成的にユーロ建てに交換するシンセティック・スワップを含む)の満期を想定元本およ
び公正価値に細分して示したものである。想定元本はオフ・バランスシートにて開示されている。
2021 年12月31日現在の金利スワップ 1年超 5年超 2021 年の
1年以内 10 年超
(単位:百万ユーロ) 5年以内 10年以内 合計
想定元本 53,438 243,656 127,981 134,006 559,081
公正価値(すなわち、CVA、DVAおよび
(*)
COLVA)を含む割引価値(純額)) 301 4,748 3,036 229 8,314
311/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2020 年12月31日現在の金利スワップ 1年超 5年超 2020 年の
1年以内 10 年超
(単位:百万ユーロ) 5年以内 10年以内 合計
想定元本 61,603 227,767 126,884 122,741 538,995
公正価値(すなわち、CVA、DVAおよび
(*)
COLVA)を含む割引価値(純額)) 917 8,021 5,954 89 14,981
(*) 2021年12月31日現在マイナス789百万ユーロ(2020年:マイナス1,237百万ユーロ)となっているマクロ・ヘッジ金
利スワップの公正価値を含む。
V.1.3. ストラクチャード・スワップ
グループは、通常そのリスクヘッジ方針に関連してオプション取引を行っていない。ただし、金融
市場で、より低いコストで資金を調達するという戦略の一環として、グループは、主に金利オプショ
ンまたは株価指数オプションを含む借入契約および貸付を行う。このようなストラクチャード借入金
および貸付金は、関連する市場リスクをヘッジするためのスワップ契約により完全にカバーされてい
る。
下表は、ストラクチャード・スワップの取引件数、価額および想定元本の詳細を示している。
特別なストラクチャーに
期限前解約が
株価指数 基づくクーポンまたは
組み込まれているもの
類似するもの
2020年
2021年 2020年 2021年 2020年 2021年
取引件数 127 131 1 1 161 164
想定元本
(単位:百万ユーロ) 4,568 4,421 500 500 11,583 12,529
公正価値(すなわち、CVA、DVA
およびCOLVA)を含む割引価値
(純額))(単位:百万ユーロ) 518 801 19 30 -2,979 -2,479
スワップ取引の公正価値は、将来のキャッシュ・フローから割引後現在価値を導出する評価技法を
適用するインカム・アプローチにより算出される。公正価値の見積りは将来価値に対する市場の期待
値に基づいている。評価技法は、既知のキャッシュ・フローを割り引く単純なものから複雑なオプ
ション・モデルに至るまで、多岐にわたる。適用した評価モデルは、金融商品の価格設定向けに一般
に認められている経済学的手法と整合しており、市場参加者が価格設定時に考慮する諸要因を盛り込
んでいる。デリバティブ取引の一部に関しては、市場インプットを直接入手できない場合には、内部
見積りや仮定が評価技法に取り入れられることもある。
借入れに組込まれている、もしくは借入れに関連するオプション契約は、すべて店頭取引で行われ
る。ストラクチャード・ディールとしては、金利、為替レート、インフレ率、株価指数、および金利
のボラティリティに左右される様々な取引がある。
V.1.4. デリバティブ取引における信用リスクの軽減方針
デリバティブに関する信用リスクは、カウンターパーティーが契約債務を履行できない場合にグ
ループが被りうる損失に関連する。
312/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
デリバティブ取引の特殊な性質および複雑さを考慮し、当該金融商品の利用から生ずる損失に対し
てグループを保護するための一連の手続きが整備されている。
・ 取引契約の枠組み
グループのデリバティブ取引はすべて、ISDAスワップ取引契約と、該当する場合にはエクスポー
ジャーに対する担保差入条件が明記されているクレジット・サポート・アネックスの取引契約の枠組
みの中で行われる。これらは一般的に採用され、実施されている契約の様式である。新規契約の最低
条件はリスク・ガイドラインに規定されている。
・ カウンターパーティーの選択
取引開始時の格付は、A3以上とリスク・ガイドラインに定められている。格付がある一定のレベル
を下回った場合にはEIBは期限前に契約を解除する権利を有する。
・ 担保設定
- (限度枠を超過した)エクスポージャーに対しては、現金および債券による担保が差入れられ
る。
- 複雑で流動性の低い取引の場合は、現在の時価以上の担保が要求される。
- 個々のカウンターパーティーとのデリバティブ・ポートフォリオと受取担保は定期的にモニ
ターされて評価され、それを受けて追加担保が請求されるか、担保の引出しが行われる。
313/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
スワップについて受け取った担保の時価は、2021年12月31日現在、15,399百万ユーロ(2020年:
17,498百万ユーロ)で、担保の性質および同等のムーディーズの格付に基づいた詳細は、以下のとお
りであった。
スワップ担保(単位:百万ユーロ)
債券
政府機関債、
2021 年の
同等のムーディーズ格付
現金
国際機関債、
合計
政府債
カバード・
ボンド
Aaa 1,042 962 0 2,004
Aa1 からAa3 3,130 0 0 3,130
A1 からA3 6 0 0 6
Baa1 からBaa3 5,484 0 0 5,484
Baa3 未満 0 0 0 0
0 0 4,7 75 4,775
格付なし
9,662 962 4,775 15,399
2021年の合計
スワップ担保(単位:百万ユーロ)
債券
政府機関債、
2020 年の
同等のムーディーズ格付
現金
国際機関債、
合計
政府債
カバード・
ボンド
Aaa 1,526 1,007 0 2,533
Aa1 からAa3 4,439 0 0 4,439
A1 からA3 14 0 0 14
Baa1 からBaa3 6,310 0 0 6,310
Baa3 未満 4 0 0 4
0 0 4,198 4,198
格付なし
12,293 1,007 4,198 17,498
2020年の合計
・ デリバティブの信用リスクの測定
デリバティブ関連の信用リスクは様々なパラメーターにより変化し(例えば金利や為替レート)、
一般的に想定元本のごく一部に相当するに過ぎない。
グループは、内部目的上、財務報告と限度枠のモニタリングにはカレント無担保エクスポージャー
とポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを使用して、スワップ取引およびデリバティブ取
引に関する信用リスク・エクスポージャーを測定している。自己資本要件規則(CRR)に従った資本配
分については、グループはカウンターパーティー信用リスクに係る標準的手法(SA-CCR)を用いてい
る。
グループは、カレント無担保エクスポージャーを、ゼロと、カウンターパーティーとのネッティン
グ・セットに含まれている取引ポートフォリオの時価から受入担保の価値を差し引いた数値のいずれ
か大きな方の値で測定している。これは、カウンターパーティーが不履行を起こした場合に生ずる損
失に相当する金額で、受領した担保を相殺に充当し、破綻取引の回収価値をゼロとした上で、すべて
の取引につき直ちにスワップ・カウンターパーティーの代替を行うことを想定している。2021年12月
314/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
31日現在のカレント無担保エクスポージャーは927百万ユーロ(2020年12月31日現在:1,389百万ユー
ロ)であった。
さらにグループは、リスクのマージン期間である20営業日にネッティング・セットに生ずる可能性
のあるエクスポージャーの増加を考慮した、ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを計算
している。EIBは、保守的な見積りを出すため、ストレス下の市場パラメーターに基づき、また信頼区
間を90%として、ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを計算している。
これは、重要な市場参加者の不履行があった場合に生じるであろう状況を考慮するための規制当局
の勧告に沿ったものである。2021年12月31日現在の初期ポテンシャル・フューチャー・エクスポー
ジャーは10,001百万ユーロ(2020年12月31日現在:12,225百万ユーロ)であった。
・ 限度枠
銀行向け限度枠システムは、ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを3種の期間グルー
プ(1年未満、1年以上5年以下および5年超)と2種の格付シナリオ(現状維持およびA3格未満へ
の格下げ)でカバーする。
デリバティブ・ポートフォリオは毎日評価され、限度枠との比較が行われる。
下記の表は、カウンターパーティーの内部格付別内訳を示している。
ポテンシャル・
カレント無担保
フューチャー・
エクスポージャー
格付グループ 額面価額割合
エクスポージャー
(単位:百万ユーロ) (単位:百万ユーロ)
同等のムーディーズ格付 2021年 2020年 2021年 2020年 2021年 2020年
Aaa 0.47% 0.49% 496 816 920 1,434
Aa1からAa3 19.31% 24.34% 236 373 2,273 2,480
A1からA3 74.76% 66.87% 195 192 6,628 7,916
A3未満 5.46% 8.30% 0 8 180 395
合計
100.00% 100.00% 927 1,389 10,001 12,225
V.2. 流動性管理の一環として
グループは、SLP債券ポートフォリオの金利エクスポージャーを修正するために、長期先物も使用し
ている。2021年12月31日現在、長期先物の想定元本は8,274百万ユーロ(2020年:ゼロ)、公正価値は
3百万ユーロ(2020年:ゼロ)であった。
グループはまた、基本通貨であるユーロに関連してその運用財務ポートフォリオの通貨ポジション
を調整するため、また貸付実行に伴う通貨需要を満たすために、短期通貨スワップを行っている。
短期通貨スワップ(受取)の想定元本は、2021年12月31日現在で25,124百万ユーロであり、これに
対して2020年12月31日現在は22,375百万ユーロであった。短期通貨スワップ(受取)の公正価値は、
2021年12月31日現在147百万ユーロ(2020年:マイナス107百万ユーロ)であった。
短期為替予約取引の想定元本は、2021年12月31日現在402百万ユーロ(2020年:551百万ユーロ)で
あった。短期為替予約取引の公正価値は、2021年12月31日現在マイナス12百万ユーロ(2020年:17百
万ユーロ)であった。
315/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注W: 換算レート
2021 年12月31日現在および2020年12月31日現在の貸借対照表の作成にあたり使用されている換算
レートは、以下のとおりである。
2021年12月31日 2020年12月31日
欧州連合加盟国のユーロ以外の通貨
ブルガリア・レフ(BGN) 1.9558 1.9558
チェコ・コルナ(CZK) 24.8580 26.2420
デンマーク・クローネ(DKK) 7.4364 7.4409
クロアチア・クーナ(HRK) 7.5156 7.5519
ハンガリー・フォリント(HUF) 369.1900 363.8900
ポーランド・ズロチ(PLN) 4.5969 4.5597
ルーマニア・レウ(RON) 4.9490 4.8683
スウェーデン・クローナ(SEK) 10.2503 10.0343
欧州連合加盟国以外の通貨
豪ドル(AUD) 1.5615 1.5896
アゼルバイジャン・マナト(AZN) 1.9207 2.0758
カナダ・ドル(CAD) 1.4393 1.5633
スイス・フラン(CHF) 1.0331 1.0802
中国人民元(CNY) 7.1947 8.0225
ドミニカ・ペソ(DOP) 64.8310 71.2661
エジプト・ポンド(EGP) 17.7663 19.2469
エチオピア・ブル(ETB) 55.8100 48.0400
英ポンド(GBP) 0.8403 0.8990
ジョージア・ラリ(GEL) 3.4806 4.0070
香港ドル(HKD) 8.8333 9.5142
インド・ルピー(INR) 84.2292 89.6605
アイスランド・クローナ(ISK) 147.6000 156.1000
日本円(JPY) 130.3800 126.4900
ケニア・シリング(KES) 128.2600 133.8000
カザフスタン・テンゲ(KZT) 493.3100 516.7300
モロッコ・ディルハム(MAD) 10.5191 10.9017
モルドバ・レウ(MDL) 20.0900 20.9200
メキシコ・ペソ(MXN) 23.1438 24.4160
ノルウェー・クローネ(NOK) 9.9888 10.4703
ニュージーランド・ドル(NZD) 1.6579 1.6984
セルビア・ディナール(RSD) 117.5100 117.5300
ロシア・ルーブル(RUB) 85.3004 91.4671
チュニジア・ディナール(TND) 3.2611 3.2919
トルコ・リラ(TRY) 15.2335 9.1131
台湾ドル(TWD) 31.4420 34.4399
ウクライナ・グリブナ(UAH) 30.9151 34.7156
米ドル(USD) 1.1326 1.2271
中央アフリカCFAフラン(XAF) 655.9570 655.9570
西アフリカCFAフラン(XOF) 655.9570 655.9570
南アフリカ・ランド(ZAR) 18.0625 18.0219
316/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注X: 関連当事者取引(単位:千ユーロ)
X.1. 参加持分
以下に、連結財務書類に含まれる参加持分に関連する金額を表示している。
2021年12月31日 2020年12月31日
(単位:千ユーロ)
参加持分 345,023 363,188
固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券および参加持分に係
る(再)評価損益 16,595 -8,226
払込未請求参加持分 576,951 611,372
X.2. 主要経営陣
グループは、理事会、監査委員会、経営委員会の委員およびGCRO、EIBの各種組織部門の責任者であ
るディレクター・ジェネラル、ならびに内部統制独立部署の責任者を主要経営陣とみなしている。
一般管理費(注R)に算入されている主要経営陣の当該報告期間の報酬は、下表のとおりである。
2021年 2020年
(単位:千ユーロ)
(1)
短期給付 10,772 9,404
(2)
退職後給付 919 962
965 552
退職手当
12,656 10,918
合計
(1) 短期従業員給付は、経営委員会委員、GCRO、ディレクター・ジェネラルおよびその他ディレクターの給与および手
当、賞与、社会保障負担金、ならびに理事会および監査委員会の委員に支払われた給付である。
(2) 退職後給付は、経営委員会委員、GCRO、ディレクター・ジェネラル、およびその他ディレクターに支払われた年金
および退職後健康保険費である。
主要経営陣に対して前渡金も信用供与行っておらず、またいかなる種類の保証の形態でも主要経営
陣の利益のための契約を締結していない。
2021 年12月31日現在の主要経営陣との間の未決済残高は、強制および任意の補足年金制度および健
康保険制度に関する負債、ならびに期末現在の未払残高で構成されている。
2021年12月31日 2020年12月31日
(単位:千ユーロ)
年金制度および健康保険制度(注L) 74,834 61,952
その他の負債(注G) 18,737 16,508
317/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注Y: 後発事象
ウクライナに対する軍事侵略
EIBは、EUの共同外交安全保障政策全般(適用ある制裁措置を含む。)の目的に沿い、2014年以降ロ
シア連邦での貸出業務を停止している。
EIB は、専用の制裁遵守プログラムを含む厳格なコンプライアンス統制を敷き、これによりロシア連
邦に(間接的にでも)関連するEIBの活動は適用あるすべての制裁をこれまで確実に遵守してきてお
り、またロシア連邦に影響あるセクター別制裁を含むあらゆる新たな制裁をこれからも確実に遵守し
ていく。
現段階で最終的な影響を予測することは困難であるものの、ロシア連邦によるウクライナへの軍事
侵攻以降の現在の事態拡大の動向は、EIBのポートフォリオに対する潜在的影響(課されうる追加制裁
の影響を含む。)に備えて注意深く監視されている。
ウクライナにおけるEIBの実行済エクスポージャーの大部分はEU域外貸付マンデートの保証でカバー
されており、またロシア連邦の債務者に対するEIBの自己リスクによる実行済エクスポージャーは存在
しない。EIBの貸付金ポートフォリオの質は現在も適切な水準を維持している。
ウクライナへの軍事侵攻に伴うグローバル金融市場の不確実な一般情勢下でも、EIBは、流動性管理
に対する慎重なアプローチにより、引き続き強固な流動性ポジションおよび必要な流動性リソースへ
の柔軟なアクセスを維持している。
318/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注Z: 第三者資金の管理
Z.1. イノベーション基金
イノベーション基金は、指令2003/87/ECの第10a条(8)により設立され、気候変動の緩和に著しく寄
与する環境上安全な二酸化炭素回収・有効利用(「CCU」)および生産された炭素集約的なものに代わ
る製品を含む、低炭素技術およびプロセスにおけるイノベーションを全加盟国で支援し、環境上安全
な二酸化炭素の回収・貯留(「CCS」)ならびに革新的な再生可能エネルギーおよびエネルギー貯蔵技
術を目的とするプロジェクトの建設および運営を振興することを支援する。EIBは、イノベーション基
金の個別財務書類を作成している。
Z.2. インベストメント・ファシリティ・コトヌー
EIB が管理するインベストメント・ファシリティは、アフリカ・カリブ海および太平洋地域諸国と欧
州連合および加盟国との間における協力・開発に関する2000年6月23日付(その後改正済)のコト
ヌー協定に基づき設立されたものである。EIBは、インベストメント・ファシリティの個別財務書類を
作成している。
Z.3. 近代化基金
改正EU排出量取引制度(ETS)指令第10d条に基づき設立された近代化基金は、エネルギーシステム
を近代化し、次のEUの受益加盟国(MS)10ヵ国のエネルギー効率を改善することを目的としている。
ブルガリア、チェコ共和国、クロアチア、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ポーラ
ンド、ルーマニアおよびスロバキア。近代化基金は、再生可能エネルギー源からのエネルギーの生成
と利用、エネルギー効率、エネルギー貯蔵、地域暖房、パイプラインおよびグリッドを含むエネル
ギーネットワークの近代化、労働者の再配置、技能再教育およびスキルアップ、教育、求職活動なら
びに起業への投資を支援し、EIBは近代化基金の個別財務諸表を作成している。
Z.4. イノベーターのためのEU資金提供(InnovFin)
InnovFin または「InnovFin-イノベーターのためのEU資金提供」は、EUの新規の2014年-2020年の
研究プログラムである「ホライズン2020」に基づくEIB、EIFおよび欧州委員会の共同の取組みであ
る。2013年12月11日、研究およびイノベーションのための包括プログラム(2014年-2020年)である
ホライズン2020を確立し、決定事項N1982/2006/ECを廃止する欧州議会および理事会規則(EU)
N1291/2013(「ホライズン2020規則」)が採択された。2014年6月12日、欧州委員会、EIBおよびEIF
は、金融商品であるInnovFinを設定する委任契約を締結した。InnovFinは、EIBグループによって提供
される一連の統合され、かつ補完的な金融ツールおよびアドバイザリー・サービスで構成され、零細
企業から巨大企業までの企業による投資を支援するために研究およびイノベーション(「R&I」)のバ
リュー・チェーン全体を対象としている。EIBは、InnovFinの個別財務書類を作成している。
Z.5. NER300
EIB は、NER300イニシアチブ(炭素回収・貯蔵実証プロジェクト、および革新的再生可能エネルギー
技術のための資金調達プログラム)を遂行する際、エージェントとしてECをサポートする。当該ファ
シリティには、i) EU の割当量単位(EUA)の収益化、ii)EUA収益化活動を通じて受け取る資金の管
理および支出、といった2つの活動が含まれる。EIBは、NER300のために個別財務書類を作成してい
る。
319/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
Z.6. ファンド・オブ・ファンズ(「JESSICA II」)
ファンド・オブ・ファンズ(「FoF」)は、欧州構造投資基金(「ESIF」)が、2014年から2020年ま
での間に加盟国運用プログラムにより資金供給した地域金融商品(「DFI」)で構成されている。FoF
は、選定された金融仲介機関と協力して、貸付、出資および保証の実行を通じて、最終受領者の資金
調達を促進している。
EIBは、ファンド・マネージャーとして、関係運営当局から資金供給(拠出)の取りまとめを行い、
拠出者と合意した投資戦略に従って、金融仲介機関を介して当該資金を投資している。EIBは、各ファ
ンド・オブ・ファンズの個別財務書類を作成している。
Z.7. コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(「CEF」)
コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(「CEF」)は、運輸、電気通信およびエネルギーのイ
ンフラストラクチャー・セクターにおける共益プロジェクトを支援するために、欧州横断的なネット
ワークに欧州連合の財政支援を提供することを目的とした、EIBと欧州委員会の間の共同協定である。
欧州委員会は、CEFに基づく負債性金融商品の業務および管理をEIBに委託しており、これにより、欧
州横断交通網プロジェクト融資保証手段(「LGTT」)およびプロジェクト債券イニシアチブ
(「PBI」)の試験段階への連続性が確保される。LGTTとPBIは、CEFの下で2016年1月1日に統合され
た。CEF委任契約は、最新かつ共通のリスク・シェアリングの取決めを定めている。EIBは、CEFの個別
財務書類を作成している。
Z.8. JESSICA(「保有基金」)
JESSICA (都市部への持続可能な投資に対する欧州共同支援)は、欧州委員会とEIBが欧州評議会開
発銀行と共同で策定したイニシアチブである。
JESSICA 保有基金はJESSICAイニシアチブに関連して使用される。新しい手続きに基づき、関係運営
当局は、持続可能な総合都市開発計画の一部を形成するプロジェクトへの有償投資を行うために、自
身のEU助成金の一部を使用する選択権を付与される。EIBは、運用者として、関係運営当局から受領し
た資金を取りまとめ、拠出者と合意した投資ガイドラインに従って都市開発基金に投資している。EIB
は、JESSICAの個別財務書類を作成している。
Z.9. COSME借入保証ファシリティ(LGF)および成長株式投資ファシリティ(EFG)
中小企業の資金調達の困難に対処するため、COSMEは、借入保証ファシリティ(「LGF」)および成
長株式投資ファシリティ(「EFG」)を設立している。LGFおよびEFGは、中小企業が借入またはエクイ
ティの形での資金調達の利用可能性を向上させることを目的としている。当該金融商品にも、SMEイニ
シアチブに基づくEUの拠出制度が含まれている。EFGは、域内企業の成長および研究・イノベーション
を支援する持分金融商品の形で組成されている。LGFは、直接的または間接的な保証金融商品の形で組
成されている。LGFの目的は、中小企業向けの資金調達市場の構造的な欠陥の軽減に貢献し、中小企業
向けのより多様な資金調達市場の創生を支援することである。直接的または間接的な保証を通じて、
LGFは、成長力のある中小企業が資金調達の際に直面するとりわけ困難な状況に対処するため、借入に
よる資金調達時に保証を行うことを目的としている。さらに、適格かつ透明性の高い証券化取引のメ
ザニン・トランシェを保証することによって、LGFは中小企業の資金調達に新たな手段を提供すること
を目指している。EIFは、COSME LGFおよびEFGの個別財務書類を作成している。
320/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
Z.10. 汎 ヨーロッパ 保証基金(「EGF」)
EGF は2020年4月23日に欧州理事会により、EU全体のCOVID-19対応パッケージの一部として承認され
た。2021年7月現在、22ヵ国の加盟国が約244億ユーロと見込まれる保証枠で参加を確認しており、参
加国の事業体のみが支援適格となっている。EGFは、金融仲介機関の商業的資金供与の要件を満たす
が、 COVID-19のパンデミックの経済的影響により苦戦している高リスク事業と最終的な受益者に資金
提供を行うことを目的としている。この理由から、EGFはSMEに焦点を当てており、SMEはEGFが支援す
る資金供与の少なくとも65%の恩恵を受けることとなる。EGFはEIBとEIFによって共同で実施されてお
り、それぞれが約半分の金額を担当するが、商品構成は異なっている。EIFは、上限付きおよび上限な
しのポートフォリオ保証と間接的な株式型投資 (ファンド)を想定していたのに対して、EIB側で
は、展開されている商品は、連動型リスク・シェアリング、ベンチャー債、合成資産ベース証券であ
る。EIBは、EGFの個別財務書類を作成している。
Z.11. EU-アフリカ・インフラ(「EUAI」)信託基金
EUAI 信託基金は、創設・援助組織としての欧州連合を代表するECと、運用者としてのEIBとの間の、
信託基金協定に基づき創設され、創設後は、欧州連合加盟国もこの協定に資金提供者として参加でき
る。2006年2月9日、ECとEIBは、EU-アフリカ・インフラ・パートナーシップを共同で推進し、特に
それを支援するEU-アフリカ・インフラ信託基金を設立する旨の覚書を交わした。EIBは、EUAI信託基
金の個別財務書類を作成している。
Z.12. 欧州構造投資基金(「ESIF」)
欧州構造投資基金(「ESIF」)の下、EIFは、加盟国により2015年11月以降の保有基金管理運営者と
して任命され、ESIFファンドの管理・運営を行っている。ESIFイニシアチブは、中小企業の資金調
達、ならびにプライベート・エクイティ・ファンド、ギャランティー・ファンドおよびローン・ファ
ンドなどの金融工学商品の利用を促進することを目的としている。EIFは、現在、加盟国・地域(バス
=ノルマンディー地域圏およびラングドック=ルシヨン地域圏)との間で締結した19件のESIF資金供
与契約を管理している。EIFは、ESIFの個別財務書類を作成している。
Z.13. 中小企業向け欧州共同財源(JEREMIE)
JEREMIE (中小企業向け欧州共同財源)は、欧州委員会の地域政策総局(DG Regio)とEIBグループ
によるイニシアチブである。EIFは、JEREMIEの個別財務書類を作成している。
Z.14. イタリア向けSMEイニシアチブ
2016 年中に、SMEイニシアチブに関連して、EIFとフィンランド、ブルガリア、ルーマニアおよびイ
タリアの運用当局は、ホライズン2020金融商品に基づくフィンランド、ブルガリア、ルーマニア向け
およびCOSME LGFとの関係で結果的にイタリア向けとなる特定の配分に関して実施される専用ウィンド
ウの実行および運営について、4件の個別の資金供与契約を締結した。これらのSMEイニシアチブは、
各国の適格中小企業向け新規デット・ファイナンスのポートフォリオのために、ホライズン2020に関
して上限を設けず保証を提供することを目的としている。EIFは、イタリア向けSMEイニシアチブの個
別財務書類を作成している。
321/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
Z.15. 欧州戦略投資基金(「EFSI EIF」)
適用されるEFSI規則に基づき、欧州委員会およびEIBは、EFSIの管理・運営、EUの保証提供に関する
契約(「EFSI契約」)、および欧州投資アドバイザリー・ハブ(「EIAH」)の実施に関する契約
(「EIAH契約」)を締結した。
EFSI 契約に基づき、ECは、EFSIが支援するプロジェクトに関して、EIBにEUの保証を提供した。EUの
保証に充当する資産は、欧州委員会が直接管理する。EFSIが支援するプロジェクトは、通常のEIBのプ
ロジェクトのサイクルおよびガバナンスに従う。また、EFSIは自己専用のガバナンス構造を有してい
る。当該構造は、EFSIの下で行う投資において、欧州に対する投資の妨げとなる市場のリスク負担の
失敗に対処するという特別の目的に、確実に重点が置かれ続けるようにするために設置されている。
EIAH は、プロジェクトおよび投資に対し、財務以外の支援を拡充することを目的としている。EIAH
は3つの補完的な構成要素であるa) 公共受益者および民間受益者向けの広範なアドバイザリー技術支
援プログラムおよびイニシアチブへの足掛かり、b) パートナー機関の間での専門知識の活用、交換お
よび普及を目的とした協同プラットフォーム、およびc) 既存のアドバイザリー・サービスの強化もし
くは拡大または未対処のニーズに対応する新規のサービスの創出、で構成される。EIBは、EIAHの個別
財務書類を作成している。
EFSI -欧州基金戦略投資
EFSI は、戦略的投資のための民間資金を動員することにより、EUにおける現在の投資ギャップを克
服することを支援するために、EIBグループと欧州委員会が共同で開始したイニシアチブである。
EFSI はEU予算からの160億ユーロの保証であり、EIBの自己資金50億ユーロの配分によって補完され
る。EFSIは、EIBとEIFがそれぞれ実施するイノベーション・インフラ・ウィンドウ(「IIW」)とSME
ウィンドウ(「SMEW」)の両ウィンドウから構成される。
総額50億ユーロは、EFSIの下で当初以下のようにSMEWに割り当てられる。 (i) EUの保証によって間
接的に裏付けられる最大25億ユーロ、(ii) 既存のRCRマンデートを増額させるために、EIBが自己のリ
スク負担で拠出する25億ユーロ。EFSI運営理事会は、SMEWへのEU保証枠への配分をあと5億ユーロ
(すなわち、その時々の最大金額30億ユーロまで)増額する権限を有している。
EFSI - プライベート・クレジット
このプログラムは、現金投資商品と投資家保証商品の2つの優遇商品で構成される。
現金投資商品は、EIFの適格DDFへの直接投資を可能にし、初回クロージングを優先させる。これら
のファンド投資は、ファンドの組成を支援し、EIFにファンド・ガバナンスと投資戦略に関するイン
プットを提供する機会を与える。EIFの直接投資は、EIFの参加とデューデリジェンスによって相当な
安心感を得る他のファンド投資家を呼び込むことを目的としている。
投資家保証商品は、EIFが既に投資を確約しているDDFへの機関投資家の投資を一部保証 (最大
50%)することにより、EIFが資金調達の支援を拡大することを可能にする。この保証商品は、この新
生資産クラスに未経験の投資家に訴求するだけでなく、すでに投資を検討している投資家からのより
大きな投資を促すと期待されている。投資家保証商品は、資産クラスの拡大に貢献することができ
る。
EFSI - コンビネーション商品
EFSI の財源とEAFRD国家財源を組み合わせて新たな金融商品を創出するための枠組み商品。資金調達
ギャップに対処し、EU加盟国とEUの政策目標が一致する特定の優先度の高い投資目標を支援すること
322/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
を目的としている。農業は当初、中小企業が大きな資金調達ギャップに悩む分野として優先されてき
ている。
EFSI- 技能・教育
技能・教育保証パイロットは、上限付き(再)保証の形態で、教育、訓練、技能の分野における資
金調達手段を拡大することを目的としたもので、次のMFFに向けてEFSI 2の下で試験的に実施される商
品の一つである。これは、学生および成人の学習者向け(SMEも対象とすることができる)の、広範な
教育訓練プログラムをカバーする幅広い適格性を有し、様々な仲介機関を通じて実施される。
- カテゴリーA:学生および学習者
- カテゴリーB:従業員の技能と技能の活用に投資している企業
- カテゴリーC:教育、訓練、技能および関連サービスを提供する組織(幼稚園、保育所、幼児サー
ビスなど)
EFSI-ESCALAR
ESCALAR は、欧州の高成長企業(スケールアップ)が悩む資金調達ギャップをターゲットとした300
百万ユーロの試験的マンデートである。ESCALARは、スケールアップに投資の重点を置いたファンドに
投資する。ESCALARは、他の投資家とは異なる種類株式またはファンド受益証券を通じて、ファンドお
よびファンドのサイド・ビークルに持分投資を行う。ESCALARの投資は、他の投資家による投資とは異
なる条件となる。具体的には、(1) 一定の事前に定義されたダウンサイド・シナリオ時におけるファ
ンドの分配に係る優先権、(2) 投資の返還に関する劣後性および請求権の減額。
Z.16. ルーマニア向けSMEイニシアチブ
2016 年中に、SMEイニシアチブに関連して、EIFとフィンランド、ブルガリア、ルーマニアおよびイ
タリアの運用当局は、H2020金融商品に基づくフィンランド、ブルガリア、ルーマニア向けおよび
COSME LGFとの関係で結果的にイタリア向けとなる特定の配分に関して実施される専用ウィンドウの実
行および運営について、4件の個別の資金供与契約を締結した。これらのSMEイニシアチブは、各国の
適格中小企業向け新規デット・ファイナンスのポートフォリオのために、ホライズン2020に関して上
限を設けず保証を提供することを目的としている。EIFは、ルーマニア向けSMEイニシアチブの個別財
務書類を作成している。
Z.17. REG
これは3つの地域マンデートに対応している。
アイルランド経済構造安定性投資プラットフォーム(「アイルランドSME」)。アイルランドSME
は、アイルランド政府とEIFの間で締結された、アイルランドの国立産業振興銀行との間で、主に中期
貸付およびすべてのSME向けに注力し、SMEイニシアチブと類似した構造によって裏付けられた上限を
設けない当事者間債務・権利共通保証契約を結ぶためのマンデートである。国家資金がファースト・
ロスを担当し、EIBグループが中位リスク(EFSIを通じたEIB)および優先リスク(EIBおよび潜在的に
EIF)を担当する。
フランスの 「投資計画2018-2022」(マクロン投資計画として知られている)の下で、農業専用窓
口が、このセクターへの投資50億ユーロを動員するために設置された。これに関連して、フランス農
業省はEIFに対し、7.5億ユーロから11億ユーロの間のフランスの農家向けの新たなデット・ファイナ
ンスの呼び水となることを目的とした保証制度の設計を要請した。
この点を考慮して、フランス農業省はこの制度に60百万ユーロを割り当てることを決定し、EIFに対
し、FMA拠出金とEFSI拠出金を合計して45百万ユーロを上限とするよう要請した。
323/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
Prêt Participatif Grand Est は、グラン・エスト地域圏とEIFの緊密な協力の結果としてフランス
において導入された新たな金融商品である。この基金は、 「グラン・エスト地域圏ビジネス法」 と
し て知られる同地域の意欲的な復興プログラムの重要な構成要素であり、地元の起業家のために250百
万ユーロを超える劣後ローン(prêts participatifs)を動員することを目的としている。
この金融商品はグラン・エストの自己財源から資金供与され、金融仲介機関を通じて展開されるEIF
の標準モデルであるファースト・ロス・ポートフォリオ保証(FLPG)を土台に構築される。期待され
る成果は次のとおりである。
- このイニシアチブにコミットされた地域財源に大きなレバレッジ効果を生み出すこと
- 危機の影響を受けたが依然として成長のための実行可能なプロジェクトを追求する意志のある企
業を含むSMEを支援することにより、市場に大きな影響を与えること
- グラン・エストを拠点とする起業家に優遇的な融資条件を提供すること
Z.18. 資金パートナーシップ・プラットフォーム(「PPF」)
PPF はEIBが運用する複数地域、複数拠出者、かつ複数セクターの、複数のファンドを組み込んだプ
ラットフォームであり、持続可能な発展のために金融の流れを増加させる必要性を考慮し、また欧州
投資銀行の成功体験を基礎として設立された。PPFに基づく基金は、プラットフォーム規則に従って導
入された。EIBは、PPFの個別ベースの合算財務報告を作成している。
Z.19. GF ギリシャ
ファンドは、ギリシャ共和国、ECおよびEIBによる共同イニシアチブで、設立の目的は、ギリシャの
中小企業に対する融資を支援することである。ファンドは、ギリシャのために用意された構造基金の
未使用部分を使って設立されており、ギリシャのパートナー銀行経由で、EIBの中小企業向けローンの
保証を行う。EIBは、GF ギリシャの個別財務書類を作成している。
Z.20. 特別部門
特別部門は、総務会によって1963年5月27日に設定された。1977年8月4日の決議に基づき、その
目的は見直され、第三者の勘定で第三者の委託に基づいてEIBが実行した金融業務を記録するためとさ
れた。特別部門には、FED、MED/FEMIPおよび欧州開発金融機関民間部門開発ファシリティの保証部分
が含まれる。
Z.21. GIF 2007
競争力および革新枠組みプログラムと技術移転パイロット・プロジェクトに基づくGIF 2007
(CIP/GIF 2007)において、EIFは、自己の名義で、ただし欧州委員会に代わり欧州委員会のリスクに
おいて、投資の取得、管理および処分を行う権限を与えられている。EIFは、GIF 2007の個別財務書類
を作成している。
Z.22. 雇用および社会イノベーション・プログラム(「EaSI」)
EaSI 保証金融商品は、欧州プログレス・マイクロファイナンス・ファシリティ(「プログレス・マ
イクロファイナンス」)に基づくマイクロクレジット保証の後継制度であるEaSIマイクロファイナン
ス保証を中心に構成されている。プログレス・マイクロファイナンスに基づきマイクロクレジット提
供者に対する支援が拡大される予定である。
324/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
また、EaSI保証金融商品は、EaSIソーシャル・アントレプレナーシップ保証で構成される。これは
新しい商品であり、社会的企業の資金調達を促進し、社会的投資市場の発展を支援していくものであ
る。EIFは、EaSIの個別財務書類を作成している。
雇用および社会イノベーション基金(「EaSI基金」)は、EUマイクロファイナンスFCP-FISの新しい
サブファンドとして設立された。このマンデートは、2010年に設置された欧州プログレス・マイクロ
ファイナンス・サブファンドの後継であり、財源は欧州委員会、EIB、EIFからの混合であり、目標規
模は200百万ユーロである。
EaSI 基金は、新たな社会起業エコシステムの発展に貢献すると同時に、マイクロファイナンス市場
におけるEIFの役割を強化する。 EaSI基金が提供する貸付商品は、通常預金資金へのアクセスが限ら
れているノンバンクや小規模/ニッチ銀行 (例えば、エシカルバンク) のような小規模な仲介機関
の資金調達ギャップに特に対応するものである。一方、大規模な銀行は、融資活動のために確保され
た資金へのアクセスがあり、保証商品を通じて追加的なリスク・カバーを求める可能性がある。
Z.23. InnovFin中小企業保証
ホライズン2020の「リスク・ファイナンスへのアクセス・プログラム」との関連で、このプログラ
ムは負債性金融商品および持分金融商品の設定を規定している。InnovFin 中小企業保証と呼ばれるリ
スク・シェアリング・ファシリティは、保証の形で組成され、EUの拠出金を一次的に不履行金額の補
てんに使用し、EIFのリスク・テイク能力を二次的に不履行金額の補てんに使用する。この制度の目的
は、研究・開発およびイノベーションにおいて顕著な活動を行っている中小企業および中堅企業に、
金融仲介機関が貸付またはファイナンス・リースを提供する動機を与えることである。EIFは、
InnovFin中小企業保証の個別財務書類を作成している。
Z.24. リスク・シェアリング・ファイナンス・ファシリティ(「RSFF」)
RSFF は、欧州連合を代表するECとEIBとの間で締結され、2007年6月5日付で発効した協力協定に基
づき設立された。RSFFは、研究、技術開発と実証プロジェクトおよび技術革新への投資を育成するこ
とを目的としている。RSFFの一環として、EIFは、技術革新および研究を中心とする中小企業(SME)
および中堅企業のためのリスク・シェアリング・インスツルメント(「RSI」)を用意した。
RSI は、研究を推進する中小企業(「SME」)や中堅企業の借入やファイナンス・リースのため、銀
行やリース会社に保証を提供している。EIBは、RSIを含めたRSFFの連結財務書類を個別に作成してい
る。
Z.25. ブルガリア向けSMEイニシアチブ
2016 年中に、SMEイニシアチブに関連して、EIFとフィンランド、ブルガリア、ルーマニアおよびイ
タリアの運用当局は、H2020金融商品に基づくフィンランド、ブルガリア、ルーマニア向けおよび
COSME LGFとの関係で結果的にイタリア向けとなる特定の配分に関して実施される専用ウィンドウの実
行および運営について、4件の個別の資金供与契約を締結した。これらのSMEイニシアチブは、各国の
適格中小企業向け新規デット・ファイナンスのポートフォリオのために、ホライズン2020に関して上
限を設けず保証を提供することを目的としている。EIFは、ブルガリア向けSMEイニシアチブの個別財
務書類を作成している。
Z.26. InnovFin エクイティ
ホライズン2020金融商品は、対象となる研究およびイノベーションを支援するために、最終受領者
がリスクを伴う資金調達を活用しやすくすることを目的としている。当該金融商品には、貸付、保
325/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
証、株式その他のリスク・ファイナンスの形が含まれる。また、ホライズン2020金融商品は、アー
リーステージ投資ならびに既存および新規のベンチャー・キャピタル・ファンドの発展の促進、知的
財 産に係る知識移転および市場の改善、ベンチャー・キャピタル市場への資金の呼び込み、ならびに
全体として、新しい製品およびサービスの構想、開発およびデモンストレーションから商品化につな
げるための支援も目的としている。ホライズン2020負債性金融商品にも、SMEイニシアチブに基づくEU
の拠出実施制度が含まれている。
アーリーステージ向けInnovFinエクイティ・ファシリティは、革新的な企業に対し、特にアーリー
ステージのベンチャー・キャピタルまたはメザニン・キャピタルの形によるエクイティ・ファイナン
スを提供することにより、アーリーステージ投資ならびに既存および新規のベンチャー・キャピタ
ル・ファンドの発展を促進することを目的としている。EIFは、InnovFinプライベート・エクイティの
個別財務書類を作成している。
Z.27. 欧州近隣パートナーシップ枠組み(「ENPI」)
欧州近隣政策の対象国における欧州連合の一般予算から資金調達される事業の実施について定めた
欧州連合とEIBとの間の枠組み協定は、ENPIを通じて実施される。EIBは、ENPIの個別財務書類を作成
している。
Z.28. マルチ・アニュアル・プログラム(MAP)エクイティ
企業および起業のためのマルチ・アニュアル・プログラム(MAP)に基づき、EIFは欧州委員会に代
わり欧州委員会のリスクにおいてリソースの管理を行っている。EIFは、MAPエクイティの個別財務書
類を作成している。
Z.29. フィンランド向けSMEイニシアチブ
2016 年中に、SMEイニシアチブに関連して、EIFとフィンランド、ブルガリア、ルーマニアおよびイ
タリアの運用当局は、ホライズン2020金融商品に基づくフィンランド、ブルガリア、ルーマニア向け
およびCOSME LGFとの関係で結果的にイタリア向けとなる特定の配分に関して実施される専用ウィンド
ウの実行および運営について、4件の個別の資金供与契約を締結した。これらのSMEイニシアチブは、
各国の適格中小企業向け新規デット・ファイナンスのポートフォリオのために、ホライズン2020に関
して上限を設けず保証を提供することを目的としている。EIFは、フィンランド向けSMEイニシアチブ
の個別財務書類を作成している。
Z.30. SMEG 2007
競争力および革新枠組みプログラムに基づくSMEG 2007(CIP/SMEG 2007)において、EIFは、自己の
名義で、ただし欧州委員会に代わり欧州委員会のリスクにおいて、保証を付与する権限を与えられて
いる。EIFは、SMEG 2007の個別財務書類を作成している。
Z.31. エネルギー効率関連プライベート・ファイナンス(「PF4EE」)商品
エネルギー効率関連プライベート・ファイナンス(「PF4EE」)商品は、エネルギー効率関連投資向
けの十分かつ低価格の商業金融の利用可能性が限定的であることに対処することを目的とした、EIBと
欧州委員会の協定である。この商品は、EU加盟国の国別エネルギー効率行動計画、またはその他のエ
ネルギー効率プログラムの実施を支援するプロジェクトを対象としている。2014年12月、欧州委員会
およびEIBは、金融商品であるPF4EEを設定する委任契約を締結した。EIBは、PF4EEの個別財務書類を
作成している。EIFは、PF4EEの個別財務書類を作成している。
326/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
Z.32. 国際開発協力機構(「AECID」)
このパートナーシップ契約は、スペイン王国(スペインの国際開発協力機構(「AECID」))とEIB
との間で調印されたもので、モーリタニアおよびFEMIPによってカバーされる諸国(「南地中海沿岸地
域」)の活動に投資するために設立された。地域の零細企業や中小企業に関してリスク資本を提供す
ること、および民間セクターの幅広い発展に従事することを主目的としている。EIBは、AECIDの個別
財務書類を作成している。
Z.33. 加盟候補国向け支援制度II(「IPA II」)
加盟候補国向け支援制度(「IPA」)に係る協定は、EUが「拡大国」の改革を財政面および技術面で
援助する支援措置である。加盟候補国向け支援ファンドも、持続性のある経済回復、エネルギー供
給、運輸、自然環境および気候変動などに関する目標をEUが達成できるよう支援する。
IPA I の後継制度IPA IIは、すでに達成された成果を土台とし、2014年から2020年までの期間に117
億ユーロを充当して構築される予定である。IPA IIの最も重要な革新性は、戦略的焦点にある。フ
レームワーク・パートナーシップ契約は、2015年末に締結され、EIBにより履行される。様々な「特別
供与契約」の締結により、DG NEARからの財源が配分される。IPA II規則は2020年12月31日まで適用さ
れたが、実施は依然として継続している。EIBは、IPA IIの個別財務書類を作成している。
Z.34. 文化・クリエイティブ部門保証ファシリティ
この金融商品は、文化・クリエイティブ部門向けに力を注ぐ欧州連合の主要プログラムであるクリ
エイティブ・ヨーロッパの下で設定され、欧州連合に代わってEIFにより運用される。このイニシアチ
ブは、EIFが保証や念書を選定金融仲介機関に提供することを認め、これにより金融仲介機関が文化・
クリエイティブ分野の企業家に対するデット・ファイナンスの提供を増やすことを可能とする。生成
された貸付金により、10,000社を超えるオーディオビジュアル(映画、テレビ、アニメーション、ビ
デオゲーム、マルチメディアを含む)、フェスティバル、音楽、文学、建築、記録資料、図書館、博
物館、美術工芸、文化遺産、デザイン、芸能、出版、ラジオ、視覚芸術など、広範囲のセクターのSME
が支援を受けると予想される。EIFは、文化・クリエイティブ部門保証ファシリティの個別財務書類を
作成している。
Z.35. 深化した包括的自由貿易協定地域(「DCFTA」)
欧州投資銀行および欧州連合は、2016年12月19日に、深化した包括的自由貿易協定地域
(「DCFTA」)の委任契約に署名した。東部DCFTAイニシアチブは、EUと協力協定を締結した国である
ジョージア、モルドバおよびウクライナに対し、的を絞った金融および技術的支援を中小企業
(「SME」)向けに提供することによって、これら3国の経済発展を強化することを目的としている。
DCFTAの一環として、EIFは保証枠ウィンドウの実行および管理を行う。EIFが実行および展開する保証
枠ウィンドウは、各国の仲介銀行がより多くのリスクを取り、各国経済で十分なサービスを受けてい
ないセグメントに支援を差し伸べる動機を与えるための、SMEポートフォリオ・ファースト・ロス保証
で構成される。EIBは、保証枠ウィンドウを含めたDCFTAの連結財務書類を個別に作成している。
Z.36. 西バルカン諸国企業開発および新規事業育成ファシリティ(WB EDIF)
西バルカン諸国企業開発および新規事業育成ファシリティ(「WB EDIF」)は、2012年12月にEC拡大
総局(「DG ELARG」)、EIBグループおよび欧州復興開発銀行(「EBRD」)の間で締結された共同イニ
シアチブである。同イニシアチブは、加盟候補国向け支援制度(「IPA」)基金の展開を通じて、西バ
327/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
ルカン諸国の中小企業の資金へのアクセスの改善および同地域の経済発展を育成することを目的とし
ている。WB EDIFにおいて、EIFはプラットフォーム・コーディネーター、企業拡大基金(「ENEF」)
に おけるECのトラスティー、企業育成基金(「ENIF」)におけるECのトラスティーおよびギャラン
ティー・ファシリティの管理者としての役割を果たす。EIFは、WB EDIFの個別財務書類を作成してい
る。
Z.37. 国家開発機関(「NPI」)
NPI 証券化イニシアチブ(「ENSI」)
EIF ならびにKfW、フランス公的投資銀行(bpifrance)、CDP、マルタ開発銀行ワーキンググルー
プ、IFD、ICOおよびBBBを含めたいくつかの国家開発機関(「NPI」)は、中小企業(「SME」)への資
本市場を通じた資金提供の増加を目的とした協力およびリスク・シェアリング・プラットフォームで
あるEIF-NPI証券化イニシアチブ(「ENSI」)を開始した。このSME証券化取引における相互協力の目
的は、民間セクターからの資金を触媒としてSME証券化市場を活性化することによって、欧州のSME向
けファイナンスの利用可能性を高める点にある。これは、より広範囲にSMEの支援を行き渡らせようと
する欧州戦略投資基金の考えを反映したものである。
このマンデートの下で、EIFはCassa Depositi e Prestiti (「CDP」)からの最大100百万ユーロの
資金を運用することが可能となる。マンデートの下でのCDPの資金は、EIFからの1対1のマッチング
拠出による共同投資の形態で、技術移転ファンド/プラットフォームへの投資を通じて展開され、こ
の結果、EIFがこのプログラムの下で運用する総資金は最大200百万ユーロとなる。
NPI エクイティ・プラットフォーム
EIF-NPI エクイティ・プラットフォームは、EIFが2016年に開始した共同イニシアチブであり、EIFと
EU加盟国の国家開発機関(NPI)または国家開発銀行(NPB)との間で知識共有およびベスト・プラク
ティスの推進を目的としている。その目標は、中小企業および中規模資本企業向の資金調達へのアク
セスを向上させ、株式市場の最適化を支援し、国内、EU、民間の資金調達源を均衡させることであ
る。
Z.38. 近隣インベストメント・ファシリティ(「NIF」)信託基金
EIB が管理するNIF信託基金は、欧州近隣政策(「ENP」)の戦略的目標を達成するために設立され
た。当基金は、SME向け、人的資源育成を含む社会セクター向け、および地方自治体のインフラストラ
クチャー開発向けの支援を通じて、より適切で持続可能性の高いエネルギーおよび輸送の相互接続性
を確立し、エネルギー効率の向上および再生可能エネルギー資源の利用促進を進め、気候変動および
より広い意味での環境への脅威に対処し、スマートで持続可能かつ包括的な成長を促進することに重
点を置いている。EIBは、NIF信託基金の個別財務書類を作成している。
Z.39. 近隣インベストメント・ファシリティ(「NIF」)リスク資本ファシリティ
近隣インベストメント・ファシリティ(「NIF」)リスク資本ファシリティは、欧州連合の一般予算
を財源とする。主な目標として、民間セクターの開発、包括的な成長および民間セクターの雇用創出
を支援するため、南方の近隣地域のSMEにエクイティ・ファイナンスおよびデット・ファイナンスへの
アクセスを提供することに注力している。このファシリティは、エクイティ・ファイナンスおよび
デット・ファイナンスの手段から成る金融商品ウィンドウと、技術支援サービスから成る付加的任務
ウィンドウで構成される。EIBは、金融商品ウィンドウの個別財務書類を作成している。
328/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
Z.40. マルチ・アニュアル・プログラム(MAP)ギャランティー
この原資は、プライベート・エクイティと保証商品に等分されている。ESU 1998 (「G&E」)およ
びESU 2001 (「MAP」)と呼ばれるエクイティ部門は、ETFの起業投資を取り扱っている。SMEG 1998
G&EおよびSMEG 2001 MAPと呼ばれる保証部門は、受益者の事業に対して保証を提供する。EIFは、MAP
ギャランティーの個別財務書類を作成している。
Z.41. グレーター・アナトリア・ギャランティー・ファシリティ(「GAGF」)
2010 年5月に調印されたGAGFに基づき、EIFは欧州連合およびトルコによって地域競争力戦略プログ
ラムに割り当てられた加盟候補国向け支援制度(IPA)の資金管理をしている。このファシリティは、
トルコで最も開発が遅れている地域の中小企業および零細企業に対し、トルコの大手銀行と連携して
実態に合わせた金融支援を提供するものである。EIFは、GAGFの個別財務書類を作成している。
Z.42. マルタ向けSMEイニシアチブ
2015 年1月19日、欧州委員会、EIBおよびEIFは、SMEイニシアチブに対応する専用ウィンドウの一部
の条項に適用される諸条件およびH2020金融商品の当該専用ウィンドウに対する欧州連合の拠出につい
て定めたホライズン2020委任契約の修正に調印した。スペインおよびマルタ向けのSMEイニシアチブ
は、前年に開始された。EIFは、マルタ向けSMEイニシアチブの個別財務書類を作成している。
Z.43. 欧州地中海投資パートナーシップ制度(「FEMIP」)信託基金
EIB が管理するFEMIP(ユーロ地中海投資パートナーシップ・ファシリティ)信託基金は、多数の援
助国の支援を得て、地中海パートナーシップ・ファシリティ参加国におけるEIBの既存業務を強化する
ために設立された。当基金は、技術援助とリスク資本の提供を通じて、特定の優先分野の事業に資源
を投入することを目指している。EIBは、FEMIP信託基金の個別財務書類を作成している。
Z.44. 連邦経済技術省
EIF は、ドイツ連邦経済技術省および欧州復興計画のために資金を管理している。
Z.45. 多地域保証プラットフォーム・イタリア(「AGRI」)
イタリアの農業プラットフォームは、EIFとイタリアの6地域(ヴェネト、エミリア・ロマーニャ、
ウンブリア、カンパニア、カラブリア、プーリア)との間の資金提供契約の締結で正式に開始され
た。2018年にはイタリアの2つの地域(ピエモンテ州とトスカーナ州)が加わった。イタリアにおけ
る農業プラットフォームは、欧州農業農村振興基金(「EAFRD」)からの構造基金を使用して、各加盟
農村開発プログラム(「RDP」)の財源を使用してファースト・ロスをカバーする金融商品を展開して
いる。このプラットフォームの目的は、地域レベルで新規事業を育成し、同時に農民および農業関連
事業への新規貸付けを支援するために、地域実行官庁を標準的商品の方向に導くことである。
Z.46. EPTA信託基金
EPTA (東方パートナーシップ技術支援)信託基金は、技術支援のための多分野向けの多目的融資枠
を提供し、EIB東方パートナーシップ事業の質を高め、かつ開発効果を増幅させることに重点的に取り
組んでいる。同基金は、近隣インベストメント・ファシリティを補完する。EIBは、EPTA信託基金の個
別財務書類を作成している。
329/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
Z.47. 自然環境保護資金調達ファシリティ(「NCFF」)
自然環境保護資金調達ファシリティ(「NCFF」)は、EIBと欧州委員会との共同契約であり、自然環
境保護資金の保全のための収益創出またはコスト削減プロジェクト(気候変動適応プロジェクトを含
む) に係る市場の格差および障壁に対処することにより、生物多様性分野および気候変動への適応に
関するEUおよび加盟国の目標の達成に貢献することを目的としている。EIBは、NCFFの個別財務書類を
作成している。
Z.48. 技術移転アクセラレーター(TTA)トルコ
TTA トルコは、EIFが科学産業技術省(「MoSIT」)、トルコ科学研究審議会(「TUBITAK」)、駐ト
ルコ欧州連合代表部および欧州委員会地域政策ディレクター・ジェネラルと協力して計画したイニシ
アチブである。TTAトルコは、加盟候補国向け支援制度(「IPA」)の資金に係る協定書の地域開発項
目に基づき、EUとトルコ共和国が共同融資し、EIFが管理している。
TTA トルコは、2つの目的を達成すること、すなわち、大学および研究センターに限定されている科
学的な研究開発(「R&D」)の事業化の促進による、財務的に持続可能なファンドの設立、ならびに特
にトルコの後進地域および発展途上地域への波及効果に重点を置いた、トルコにおける技術移転市場
の発展を促進することを目指している。
Z.49. バルト諸国新規事業育成基金(「BIF」)
2012 年9月に署名されたバルト諸国新規事業育成基金(「BIF」)は、パートナーシップとして組成
されたファンド・オブ・ファンズであり、バルト海沿岸地域に重点を置いてベンチャー・キャピタル
およびプライベート・エクイティ・ファンドに投資する。この基金は、EIBグループならびにエストニ
アのFund KredEx、ラトビアのLatvijas Garantiju Agentiiraおよびリトアニアのlnvesticiju ir
verslo garantijosinというバルト諸国の国家機関から共同出資を受けている。EIFは、BIFの個別財務
書類を作成している。
バルト諸国新規事業育成基金2(「BIF2」)は、EIFが管理するバルト諸国新規事業育成基金
(「BIF」)の後継基金である。BIF2は、BIFと同一の構造を持ち(コストを最小化し、類似のイニシ
アチブとの相乗効果を可能にする仮想FoF)、156百万ユーロと僅かに規模が増加することを想定して
いる(BIFの規模は130百万ユーロ)。バルト三国は、EIFが管理するRCR資金からの78百万ユーロとと
もに、合計78百万ユーロ(各26百万ユーロ)を確約することになる。EIFはこのファシリティのマネー
ジャーとしての役割を果たす。BIF2は、アーリーステージ投資に対する現地の取組みを補完するため
に、グロースキャピタルにより多くの焦点を当てることになる。
バルト3国の3つのNPIの拠出目標水準は以下のとおりである。
- KredEx(エストニア):26百万ユーロ
- Altum(ラトビア):26百万ユーロ
- INVEGA(リトアニア):26百万ユーロ
Z.50. ドイツ・コロナ・マッチング・ファシリティ(CMF)
ドイツ政府は、ドイツ経済向けのCOVID-19危機対策の一環として、2021年6月30日までベン
チャー・キャピタル・ファンドに、すべてのドイツのポートフォリオの企業についてすべての資金調
達時において自動的かつ公平な共同投資を提供することを目的としている。
330/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
Z.51. 学生ローン保証ファシリティ(エラスムス計画)
欧州構造投資基金(「ESIF」)の下、EIFは、加盟国により2015年11月以降の保有基金管理運営者と
して任命され、ESIFファンドの管理・運営を行っている。ESIFイニシアチブは、中小企業の資金調
達、ならびにプライベート・エクイティ・ファンド、ギャランティー・ファンドおよびローン・ファ
ン ドなどの金融工学商品の利用を促進することを目的としている。EIFは、現在、加盟国・地域(バス
=ノルマンディー地域圏およびラングドック=ルシヨン地域圏)との間で締結した2件のESIF資金供
与契約を管理している。EIFは、学生ローン保証の個別財務書類を作成している。
Z.52. グローバル・エネルギー効率・再生可能エネルギー基金(GEEREF)
グローバル・エネルギー効率・再生可能エネルギー基金(「GEEREF」)の下で、EIFは2007年12月よ
り投資アドバイザーの機能を果たしている。GEEREFは、EC、ドイツ連邦政府およびノルウェー王国の
支援を受けており、その目的は主に、エネルギー効率および再生可能エネルギーに関与し、開発途上
国および市場経済移行国におけるクリーン・エネルギーの利用可能性を高めるプロジェクトおよび企
業を資産に持つ、地域のファンドに投資することである。GEEREF事業の開拓は、サブアドバイザリー
契約の下で、正式にEIBに委任されている。
Z.53. ポーランド・グロース・ファンド・オブ・ファンズ(「PGFF」)
2013 年4月に署名されたポーランド・グロース・ファンド・オブ・ファンズ(「PGFF」)は、パー
トナーシップとして組成されたファンド・オブ・ファンズであり、ポーランドに重点を置いてベン
チャー・キャピタルおよびプライベート・エクイティ・ファンドに投資する。同ファンドは、EIBグ
ループとBank Gospodarstwa Krajowegoが共同出資している。EIFは、PGFFの個別財務書類を作成して
いる。
Z.54. ドイツ未来基金成長ファシリティ(「GFFGF」)
特にデジタル化とクリーンテクノロジー に焦点を当てた資本性金融商品の開発を見込んだドイツの
連立政権プログラム(全体の目標規模は100億ユーロ)で、ドイツ未来基金と呼ばれる。EIFには、ド
イツの成長ファンドへの投資や、委託された形での企業への共同投資、あるいはブラインドプール型
の共同投資ビークルを通じた投資のために、最大30億ユーロが割り当てられる可能性がある。このマ
ンデートには、10年を超えるファンドへの初期コミットメントのための投資期間が与えられる。
Z.55. スペイン向けSMEイニシアチブ
2015 年1月26日、スペイン王国と欧州投資基金との間で委任契約が締結された。EIFは、適格な中小
企業向けデット・ファイナンスの新規ポートフォリオ、ならびに中小企業および従業員が500名未満の
その他の企業向けの既存のデット・ファイナンスの証券化および/または中小企業向けデット・ファ
イナンスの新規ポートフォリオの証券化に対して、上限を設けず保証を提供する予定である。スペイ
ン向けSMEイニシアチブに対するEUの拠出は、EIFが受領し、EIBが実施する資産運用の対象となる。当
該運用については、欧州投資基金と欧州投資銀行との間で締結された資産運用サイド・レターに準拠
する。EIFは、スペイン向けSMEイニシアチブの個別財務書類を作成している。
Z.56. ドイツのためのメザニン・ダッハ・ファンド(「MDD」)
MDD は2013年6月に調印された投資プログラムであり、ドイツの中堅企業に投資するハイブリッド債
および株式ファンドを引き受けるために、ドイツ連邦経済技術省(「BMWi」)および州の様々な機関
が資金を供出している。
331/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
Z.57. アルプス地域成長投資プラットフォーム(「AlpGIP」)
2017 年9月、EIFは革新的な、EUのアルプス・マクロ・リージョンにおける最近のベンチャー・キャ
ピタルおよび成長セグメントを対象とした、地域持分投資プラットフォーム(非法人構造)を立ち上
げた。イタリアのロンバルディア、ピエモンテ、ヴァッレ・ダオスタ、アルト・アディジェ(ボル
ツァーノ地域)の各州は、すでにこのプラットフォームに投資しており、他の地域も後の段階での参
加が見込まれている。
Z.58. LfA-EIFファシリティ
LfA-EIF ファシリティは、2009年に調印されたもので、ドイツ・ババリア地方における技術志向の初
期および拡大段階にある企業を支援するために投資を提供するEIFおよびLfAフォルダーバンク・バイ
エルンの共同ベンチャーである。
Z.59. EU貿易振興・競争力向上プログラム(「EUTCP」)
経済成長を加速させ、民間セクターの発展を支援し、地域統合ならびに気候変動の軽減および適応
を強化するというEUの政策目的に沿って、EIBはEUTCPを展開するためにECと協力している。EUTCPは以
下を合わせたものである。(i) バリュー・チェーン向けのEIBの長期貸付金、(ii) 保証手段(リス
ク・シェリング・ファシリティ)および (iii) 選別された国における市場の機能不全に対処するため
の技術的支援(専門家支援ファシリティ)。EUTCPはまた、EIBにとってそれぞれの国におけるポジ
ショニングについて戦略的に重要な取組みを表す。このプログラムは、EIBの伝統的な商品を補完する
新たな保証商品を可能にするため、選択された対象国におけるバリュー・チェーンに沿ってSMEに対す
る多額の投資をもたらすことが見込まれる。EIBは、EUTCPのリスク・シェアリング・ファシリティの
個別財務書類を作成している。
Z.60. GEEREF(「基金および技術支援ファシリティ」)
GEEREF (グローバル・エネルギー効率・再生可能エネルギー基金)は、ECのイニシアチブで設定さ
れたファンド・オブ・ファンズである。その目的は、新興市場(ACP、ALAおよび欧州近隣諸国)にお
ける再生可能エネルギーおよびエネルギー効率の分野を重点とするプライベート・エクイティ・ファ
ンドに投資することである。EIFも、GEEREFフロント・オフィスが実施する関連業務の対象となる技術
援助の提供を委任されている。
Z.61. 中央ヨーロッパ・ファンド・オブ・ファンズ(「CEFoF」)
中央ヨーロッパ・ファンド・オブ・ファンズ(「CEFoF」)は、オーストリア、チェコ共和国、スロ
バキア、ハンガリーおよびスロベニア(CE諸国)の政府および国家機関との緊密な協力の下で欧州投
資基金(「EIF」)によって創設されたファンド・オブ・ファンズ・イニシアチブであり、これらの地
域全体にわたって中小企業(「SME」)へのエクイティ投資を促進し、健全な市場に基づくリスク資金
調達インフラストラクチャーを確立し、事業投資における最良市場標準を導入し、中央ヨーロッパに
機関投資家および投資マネージャーを呼び込むことを目的としている。
Z.62. 技術移転パイロット・プロジェクト(「TTP」)
欧州委員会の資金提供を受けて2008年11月に調印されたTTPに基づき、EIFはシード前およびシード
段階における資金提供を通じて技術移転体制を支援している。EIFは、TTPの個別財務書類を作成して
いる。
332/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
Z.63. 欧州技術ファシリティ(「ETF」)
ETF スタートアップ・ファシリティでは、EIFは自己の名義で、ただし欧州委員会に代わり欧州委員
会のリスクにおいて、ETFスタートアップ投資を取得、運用、処分する権限を与えられている。
Z.64. G43信託基金
EIF は、2012年8月に署名されたG43アナトリア・ベンチャー・キャピタル・ファンドの下で、トル
コ・セントラル・ファイナンス・ユニット(「CFCU」)から委託を受けている。このファンドは、ト
ルコの南東アナトリア地方の中小企業への投資を専門にしている。EIFは、G43の個別財務書類を作成
している。
Z.65. グリーン・フォー・グロース・ファンド(「GGF」)
グリーン・フォー・グロース・ファンドはEIFによって2009年12月に設立され、トルコを含む欧州東
南部諸国のエネルギー効率改善に特化して資金提供を行っている。
Z.66. ギャランティー・ファンド
域外活動のためのギャランティー・ファンドは、非加盟国に供与された貸付および貸付保証の債務
不履行をカバーするため、または非加盟国におけるプロジェクトのために、1994年に設立された。欧
州委員会(EC)は、1994年11月に二者間で締結された契約およびその後の当該契約の改訂に基づき、
ギャランティー・ファンドの財務管理をEIBに委託している。
近隣・開発・国際協力手段(「NDIC」)の発効により、ギャランティー・ファンドは欧州委員会が
管理する共通準備基金のコンパートメントとなった。EIBによるファンドの管理は終了した。
ギャランティー・ファンドの純資産の欧州委員会への移管に伴い、EIBは2021年7月31日現在で最終
財務書類を作成した。
Z.67. 欧州議会準備行動(「EPPA」)
2010年、EIFは、DG RegioとEPPAに調印した。EIFは、幾つかの選別されたマイクロファイナンス金
融機関が有意な規模に達し、事業継続の見通しを改善することができるよう支援するため、キャパシ
ティ・ビルディングのためのリスク資本と金融支援を提供している。EIFは、EPPAの個別財務書類を作
成している。ファンドは2021年に終了した。
333/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
(1)
特別部門計算書
2021年12月31日および2020年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
資産 2021年12月31日 2020年12月31日
地中海沿岸諸国
欧州連合の財源によるもの
実行済貸付残高 5,828 8,333
リスク資本業務
- 未実行金額
21,523 21,747
- 実行済金額 28,479 30,465
50,002 52,212
(2)
55,830 60,545
合計
アフリカ、カリブ海および太平洋地域諸国ならびに
加盟国の属国および属領
欧州連合の財源によるもの
- ヤウンデ協定
リスク資本による業務
- 実行済金額 0 419
(3)
0 419
合計
- ロメ協定
リスク資本による業務
- 実行済金額 76, 542 121,821
(4)
76,542 121,821
合計
132,372 182,785
合計
334/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
(1)
特別部門計算書 (続き)
2021年12月31日および2020年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
負債 2021年12月31日 2020年12月31日
受託管理資金
欧州連合の委託によるもの
- 地中海沿岸諸国金融議定書
34,307 38,798
- ヤウンデ協定
0 419
- ロメ協定 76,542 121,821
110,849 161,038
受託管理資金の合計
未実行金額
21,523 21,747
地中海沿岸諸国における貸付業務およびリスク資本業務
21,523 21,747
未実行金額の合計
132,372 182,785
合計
付記:
欧州連合の委託に基づきEIBが元利回収を引き受けた、欧州委員会提供の特別条件付貸付金の実行済・未返
済残高合計:
a) 2021年12月31日現在における第1次、第2次および第3次ロメ協定に基づくもの:211,266千ユーロ
(2020年:232,416千ユーロ)
b) 2021年12月31日現在における地中海沿岸諸国との間で署名した金融議定書に基づくもの:29,660千
ユーロ(2020年:35,417千ユーロ)
欧州連合-欧州開発金融機関民間部門開発ファシリティとの関連において、保証部分の導入契約が2014年
8月20日に締結された。2019年に受けた履行請求後の、2021年12月31日現在に発行済EU保証はゼロ(2020
年:ゼロ)であった。EU保証の総額は、2021年12月31日現在で38,920千ユーロ(2020年:38,920千ユーロ)
である。
335/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注(1): 特別部門は、総務会によって1963年5月27日に設定された。1977年8月4日の決議に基づき、その目的が
見直され、第三者の勘定で第三者の委託に基づいて欧州投資銀行が実行した金融業務を記録するためとさ
れた。ただし、コトヌー協定、欧州連合-アフリカ・インフラ信託基金、近隣インベストメント・ファシリ
ティ信託基金(「NIF」)およびFEMIP信託基金に基づくインベストメント・ファシリティについては、個
別財務書類に表示されている。また、EIBは2005年より他の委託について異なる種類の財務書類を作成して
いる。
特別部門計算書は、欧州連合および加盟国の委託に基づく実行済金額もしくは未実行金額から解約額お
よび返済額を控除した金額を示している。実行済金額および未実行金額ならびに受取済および受取予定資
金は、額面価額で計上されている。特別部門計算書では、これらの業務に付随するリスクを補填するため
に必要となりうる引当金もしくは評価損益は、確定的な償却を除き、考慮されていない。外貨建ての金額
は、12月31日現在の実勢為替レートで換算されている。
注(2): 欧州連合の委託に基づき、欧州連合の勘定により、またそのリスク負担の下に、マグレブおよびマシュレ
ク諸国、マルタ、キプロス、トルコならびにギリシャにおけるプロジェクト資金(1981年1月1日の欧州
共同体加盟前に10百万ユーロ融資)のため締結された契約の実行時の金額:
実行時の金額: 840,457
減算: 為替差額 55,632
解約額 178,863
550,132
返済額
-784,627
55,830
注(3): 欧州連合の委託に基づき、欧州連合の勘定により、またそのリスク負担の下に、連合アフリカ諸国、マダ
ガスカルおよびモーリシャスならびに加盟国の属国、属領および地区(AASMM-OCTD)におけるプロジェク
ト資金のため締結された契約の実行時の金額:
特別条件付貸付金 139,483
2,503
リスク資本形成拠出金
実行時の金額: 141,986
加算: 資産計上された利息 1,178
9,823
為替差額
11,001
減算: 解約額 3,729
149,258
返済額
-152,987
0
336/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注(4): 欧州連合の委託に基づき、欧州連合の勘定により、またそのリスク負担の下に、アフリカ・カリブ海およ
び太平洋諸国ならびに加盟国の属国および属領(ACP-OCT)におけるプロジェクト資金のため締結された契
約の実行時の金額:
リスク資本による貸付金:
条件付劣後貸付金 3,116,097
121,002
出資
実行時の金額: 3,237,099
加算: 資産計上された利息 9,548
減算: 解約額 742,432
返済額 2,371,822
55,851
為替差額
-3,170,105
76,542
337/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
③【EU会計指令に基づく個別財務書類】
当有価証券報告書の本項に記載されているEIBの 2021 年12月31日現在の貸借対照表およびオフ・バ
ランスシート、ならびに同日に終了した事業年度の損益計算書およびキャッシュ・フロー計算書
( 以下「個別財務書類」という。)は、銀行およびその他の金融機関の年次財務書類および連結財
務書類に関する1986年12月8日付 欧州経済共同体理事会 指令(86/635/EEC) の一般原則 (一部の銀行
およびその他の金融機関の年次財務書類および連結財務書類に関して、 2001年9月27日付欧州共同
体指令2001/65/EC、2003年6月18日付欧州共同体指令2003/51/ECおよび2006年6月14日付欧州共同
体指令2006/46/ECにより改正済み) に 準拠して作成されている。
次へ
338/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
貸借対照表
2021 年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
資産
2021 年12月31日 2020 年12月31日
1. 現金、中央銀行および郵便局預け金 (注
B.1)
1,483,285 835,163
2. 中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期
証券 (注B.2)
35,678,436 31,180,452
3. 金融機関貸付金および預け金
a) 要求払
562,513 463,568
b) その他の貸付金および預け金(注C)
74,551,456 60,182,631
c) 貸付金(注D.1)
93,558,227 103,714,971
d) 評価損益(注D.2)
-57,842 -80,237
168,614,354 164,280,933
4. 対顧客貸付金および預け金
a) その他の貸付金および預け金(注C)
677,437 900,604
b) 貸付金(注D.1)
322,374,311 321,119,208
c) 評価損益(注D.2)
-381,166 -567,532
322,670,582 321,452,280
5. 確定利付証券を含む負債証券 (注B.2)
a) 公共機関による発行
4,891,107 5,148,031
b) その他による発行
5,891,460 7,045,395
10,782,567 12,193,426
6. 株式およびその他の変動利付証券 (注E.1)
8,397,569 8,063,429
7. 参加持分 (注E.1)
318,380 334,410
8. 関係会社株式 (注E.2)
1,549,444 813,089
9. 無形資産 (注F)
57,189 38,698
10. 有形資産 (注F)
242,445 248,471
11. その他の資産 (注G)
157,329 40,490
12. 払込請求済だが払込未済の応募済資本金およ
び準備金 (注H.3)
1,118,948 1,438,648
13. 前払金および未収収益 (注I)
14,405,918 13,371,184
資産合計
565,476,446 554,290,673
添付の注記は本財務書類に不可欠の部分である。
339/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
貸借対照表(続き)
2021 年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
負債
2021 年12月31日 2020 年12月31日
1. 金融機関に対する債務 (注J)
a) 要求払
4,777,422 4,199,057
b) 期日払または通知払
18,895,071 12,316,334
23,672,493 16,515,391
2. 顧客に対する債務 (注J)
a) 要求払
1,648,539 1,682,533
b) 期日払または通知払
175,542 20,951
1,824,081 1,703,484
3. 債務証書借入 (注K)
a) 負債証券
431,104,111 425,622,598
b) その他
9,010,748 9,641,151
440,114,859 435,263,749
4. その他の負債 (注G)
4,373,509 4,581,947
5. 未払金および繰延収益 (注I)
15,233,362 19,165,727
6. 引当金
a) 年金制度および健康保険制度(注L)
4,161,030 3,546,431
b) 保証業務に係る引当金(注D.4)
27,916 10,746
4,188,946 3,557,177
7. 応募済資本金 (注H)
a) 応募済資本金
248,795,607 248,795,607
b) 払込未請求資本金
-226,604,892 -226,604,892
22,190,715 22,190,715
8. 準備金 (注H)
a) 準備基金
24,879,561 24,328,415
b) その他準備金
12,258,631 11,398,958
c) 特別活動準備金
12,152,954 11,736,896
d) 一般貸倒準備金
2,021,337 2,135,891
51,312,483 49,600,160
2,565,998 1,712,323
9. 当期純利益 (注M)
負債合計
565,476,446 554,290,673
添付の注記は本財務書類に不可欠の部分である。
340/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
オフ・バランスシート
2021 年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
2021 年12月31日 2020 年12月31日
契約債務:
- EIF 払込未請求資本(注E.2およびX.1)
3,468,800 2,117,600
- 未実行貸付金(注D.1)
- 金融機関
31,913,008 32,342,353
- 対顧客
91,041,283 81,697,777
122,954,291 114,040,130
- 株式およびその他の変動利付証券への未実行
額
- プライベート・エクイティおよびベン
チャー・キャピタル事業への未実行額(注
E.1)
4,121,195 4,041,038
- 投資基金およびインフラ基金への未実行額
(注E.1)
3,203,307 3,273,437
- EBRD 払込未請求資本
712,630 712,630
8,037,132 8,027,105
- 参加持分未実行額
- プライベート・エクイティおよびベン
チャー・キャピタル事業への未実行額(注
497,631 549,016
E.1)
497,631 549,016
- 未実行代替貸付金
223,950 223,950
偶発債務および保証:
- 第三者からの貸付金に係るもの(注U.1.3)
22,565,034 16,454,275
(*)
第三者に代わって保有している資産 (注Z):
- イノベーション基金
4,202,032 0
- インベストメント・ファシリティ・コトヌー
4,097,718 3,578,669
- 近代化基金
2,957,006 0
- EIF
2,304,236 1,193,139
- イノベーターのためのEU資金提供
(InnovFin)
1,976,460 1,836,483
- NER300
1,139,006 1,958,977
- ファンド・オブ・ファンズ(JESSICA II)
1,021,159 851,994
- コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ
(CEF)
876,872 803,347
- JESSICA(保有基金)
611,609 549,216
- 汎ヨーロッパ保証基金
595,260 0
- EUアフリカ・インフラ信託基金
473,359 481,831
- 資金パートナーシップ・プラットフォーム
187,315 138,271
341/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
オフ・バランスシート(続き)
2021 年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
2021 年12月31日 2020 年12月31日
- GF ギリシャ
162,285 162,004
- 特別部門
132,372 182,785
- リスク・シェアリング・ファイナンス・ファ
シリティ(RSFF)(リスク・シェアリング・
インスツルメント(RSI)を含む)
91,629 105,733
- 欧州近隣パートナーシップ枠組み(ENPI)
72,537 77,135
- エネルギー効率関連プライベート・ファイナ
ンス商品
53,438 53,745
- 国際開発協力機構(AECID)
53,087 56,952
- 加盟候補国向け支援制度(IPA)II
52,626 36,137
- 深化した包括的自由貿易協定地域(DCFTA)
50,740 52,269
- 近隣インベストメント・ファシリティ
(NIF)信託基金
38,259 42,483
- 欧州戦略投資基金(EFSI)-欧州投資アドバ
イザリー・ハブ(EIAH)
35,559 16,633
- 近隣インベストメント・ファシリティ
(NIF)リスク資本ファシリティ
35,454 28,563
- 欧州地中海投資パートナーシップ制度
(FEMIP)信託基金
21,864 27,577
- EPTA信託基金
15,659 19,509
- 自然環境保護資金調達ファシリティ
10,274 10,731
- EU貿易振興・競争力向上プログラム
968 1,056
- ギャランティー・ファンド
0 2,855,047
21,268,783 15,120,286
その他の項目:
- 金利スワップ契約の想定元本(注V.1.2)
559,081,060 538,995,110
- 通貨スワップ契約(受取)の想定元本(注
V.1.1)
247,683,252 223,256,109
- 通貨スワップ契約(支払)の想定元本
245,975,779 226,957,983
- 短期通貨スワップ契約(受取)の想定元本
(注V.2)
25,123,575 22,374,714
- 短期通貨スワップ契約(支払)の想定元本
24,956,095 22,471,884
- 先物契約の想定元本(注V.2)
8,274,106 0
- 為替予約取引の想定元本(注V.2)
402,384 551,359
- EIF の少数株主に付与されたプット・オプ
ション(注E.2)
340,341 819,467
- 借入債務支払に係る特別預け金(注S)
582 810
(*) 運用資産は、利用可能な最新の数値に基づいて、オフ・バランスシート項目として開示されている。比較対象数値
は、利用可能な最新の情報を反映するために修正再表示されることがあり得る。
添付の注記は本財務書類に不可欠の部分である。
342/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
損益計算書
2021年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2021 年 2020 年
1. 受取利息および類似収益 (注N)
16,460,213 18,033,106
2. 支払利息および類似費用 (注N)
-13,275,218 -14,971,606
3. 証券からの収益
776,756 257,960
4. 受取手数料 (注O)
374,641 329,160
5. 支払手数料 (注O)
-499,623 -383,772
6. 金融業務損益 (注P)
41,643 -160,514
7. その他の業務収益および費用の純額 (注Q)
10,254 15,909
8. 一般管理費 (注R)
a) 人件費(注L)
-1,216,123 -893,890
b) その他の管理費
-250,692 -236,740
-1,466,815 -1,130,630
9. 有形・無形資産に係る評価損益 (注F)
a) 有形資産
-28,863 -29,194
b) 無形資産
-21,020 -17,998
-49,883 -47,192
10. 固定金融資産として保有される譲渡可能有価
15,726 -7,933
証券、参加持分および関係会社株式に係る
(再)評価損益
11. 貸付金および預け金ならびに偶発債務引当金
178,304 -222,165
に係る(再)評価損益
12. 当期純利益 (注M)
2,565,998 1,712,323
添付の注記は本財務書類に不可欠の部分である。
343/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
キャッシュ・フロー計算書
2021 年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2021 年 2020 年
A. 営業活動によるキャッシュ・フロー:
当期純利益(注M)
2,565,998 1,712,323
調整額:
貸付金および預け金ならびに偶発債務引当金に係る(再)評価損益
-178,304 222,165
有形・無形資産に係る評価損益および償却(注F)
49,991 47,242
固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券、株式、その他の
変動利付証券および参加持分に係る(再)評価損益(注E.1)
-79,961 148,413
正味受取利息(注N)
-3,184,995 -3,061,500
42,462 -58,831
為替調整額
-784,809 -990,188
営業活動による利益/(損失)
金融機関および対顧客貸付金および預け金の実行額
-37,670,096 -51,605,321
金融機関および対顧客貸付金および預け金の返済額
50,380,405 48,873,751
その他の貸付金および預け金の変動額(注C)
8,693,821 12,813,500
ルクセンブルク中央銀行の最低預金準備率を充足するための預け金
の変動額(注B.1)
-35,110 1,621
財務運用ポートフォリオの変動額
-7,904,926 467,163
金融機関および顧客に対する債務の変動額(注J)
7,277,699 9,134,983
年金制度および健康保険制度の引当金の変動額(注L)
614,599 354,365
保証業務に係る引当金の変動額(注D.4)
17,170 2,628
その他の資産およびその他の負債の変動額(注G)
-325,277 -32,614
前払金および未収収益ならびに未払金および繰延収益の変動額
1,375,527 -2,176,485
利息受取額
16,097,396 17,559,625
-12,253,421 -14,260,904
利息支払額
25,482,978 20,142,124
営業活動による/(で使用した)正味現金
B. 投資活動によるキャッシュ・フロー:
EIF株式購入/応募
-736,355 -13,267
EIF株式売却
0 7,510
期中に購入した長期HQLAポートフォリオの有価証券
-385,243 0
期中に満期償還または売却された長期HQLAポートフォリオの有価証
券
701,588 61,000
負債証券ポートフォリオに含まれる代替貸付金の購入
-2,169,847 -2,961,456
負債証券ポートフォリオに含まれる代替貸付金の償還
4,298,703 3,229,575
株式およびその他の変動利付証券取得額(注E.1)
-2,303,579 -1,890,666
株式およびその他の変動利付証券売却額(注E.1)
2,033,717 1,085,887
参加持分取得額(注E.1)
-83,732 -61,625
参加持分売却額(注E.1)
115,465 31,597
-62,456 -61,692
有形・無形資産の購入(注F)
1,408,261 -573,137
投資活動による/(で使用した)正味現金
344/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
キャッシュ・フロー計算書(続き)
2021 年12月31日終了事業年度
(単位:千ユーロ)
2021 年 2020 年
C. 財務活動によるキャッシュ・フロー:
債務証書借入の発行(注K)
100,348,462 150,299,236
債務証書借入の償還(注K)
-107,709,303 -150,160,396
319,700 159,850
加盟国の拠出
-7,041,141 298,690
財務活動による/(で使用した)正味現金
キャッシュ・フローの要約表:
47,846,444 29,468,193
現金および現金同等物期首残高
以下による正味現金:
営業活動
25,482,978 20,142,124
投資活動
1,408,261 -573,137
財務活動
-7,041,141 298,690
1,041,968 -1,489,426
保有現金に係る為替調整
68,738,510 47,846,444
現金および現金同等物期末残高
現金および現金同等物の内訳:
現金、中央銀行および郵便局預け金(ルクセンブルク中央銀行の
最低預金準備率を充足するための預け金を除く)(注B.1)
1,338,806 725,794
短期金融市場証券(注B.2)
142,403 2,801,772
金融機関および対顧客貸付金および預け金:
要求払
562,513 463,568
66,694,788 43,855,310
その他の貸付金および預け金(注C)
68,738,510 47,846,444
添付の注記は本財務書類に不可欠の部分である。
次へ
345/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
欧州投資銀行
財務書類に対する注記
2021 年12月31日現在
欧州投資銀行(「EIB」)は、1958年にローマ条約により、欧州連合(「EU」)の長期貸付銀行として設立
された。EIBの任務は、EU加盟国の統合、均衡の取れた発展、経済的および社会的な結束に貢献することであ
る。EIBは、資本市場で多額の資金を調達し、それらの資金をEU政策目標を促進するプロジェクトに有利な条
件で貸し付けている。EIBは継続的に、その業務をEU政策の展開に適合させている。
登記上の事務所所在地は、98-100, boulevard Konrad Adenauer, L-2950 Luxembourgである。
注A: 重要な会計方針
A.1. 作成基準
A.1.1. 会計原則
欧州投資銀行の非連結財務書類(「本財務書類」)は、銀行およびその他の金融機関の年次財務書
類および連結財務書類に関する1986年12月8日付欧州共同体理事会86/635/EEC指令書(特定の業種の
会社、銀行およびその他の金融機関の年次財務書類および連結財務書類に関する2001年9月27日付
2001/65/EC指令書、2003年6月18日付2003/51/EC指令書および2006年6月14日付2006/46/EC指令書に
より改正済)(以下、「指令書」と総称する)の一般原則に準拠し、継続企業の前提に基づいて作成
されている。
経営委員会の提案を受け、理事会は2022年3月10日に本財務書類を採択し、2022年4月22日までに
これを総務会に提出して承認を求めることを承認した。
EIBは、本年次財務書類と同日付の連結財務書類も公表している。
A.1.2. 重要な会計上の判断および見積り
本財務書類を作成するにあたり、経営委員会は報告されている収益、費用、資産、負債ならびに偶
発資産および偶発債務の開示に影響する見積りおよび仮定を立てることが求められている。入手可能
な情報の使用、および判断の適用は、見積りに特有のものである。将来の実際の結果は、これらの見
積りとは異なる場合があり、これらの差異は本財務書類に対して重要なものとなる可能性がある。
最も重要な判断および見積りは、次のとおりである。
貸付金および預け金ならびに代替貸付金に係る評価損益
EIBでは、報告日ごとに貸付金および預け金ならびに代替貸付金を検証し、評価調整に係る引当金を
計上すべきか否かを評価している。特に、引当金所要額を算定するにあたっては、将来キャッシュ・
フローの金額と発生時期の見積りにおいて経営陣の判断を要する。こうした見積りは多くの要素に関
する仮定に基づいており、実際の結果は見積りと異なることがあり、結果として、将来、引当金が変
動する場合もある。個別に重要な貸付金および預け金ならびに代替貸付金に対する個別引当金の他
に、個別引当金を計上する必要があると具体的に特定されていないものの、貸付金および預け金なら
びに代替貸付金のデフォルト・リスクが付与された当初よりも高まっているエクスポージャーに対し
て、EIBは集合的引当金を計上するためのテストも実施している(注A.2.6を参照)。
346/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
株式およびその他の変動利付証券ならびに参加持分に係る評価損益
取得原価と時価のいずれか低い方を決定するために、EIBは、各報告日において間接的な持分投資を
見直し、評価損益を計上すべきかどうかを評価する。特に、EIBは、(i) 適用される業界のガイドライ
ンおよび基準に基づく入手可能な最新のファンド・マネージャー・レポートを考慮することにより、
(ii) 他の同等のガイドラインまたは基準に基づいて算出されたNAVにより、または(iii) ファンド・
マネージャーから提供された情報に基づいて内部的に、間接的な持分投資のNAVのEIB帰属部分を決定
する。ほとんどの原投資の公正価値は、容易に確認可能な時価がない状況で見積られている。評価額
に内在する不確実性および現在の市場の状況により、将来における実際の結果はファンド・マネー
ジャーが見積もった評価額とは異なる可能性があり、かかる差異は財務書類に重要な影響を及ぼす可
能性がある。また、貸借対照表日後にのみ利用可能な帰属するNAVは、経営陣が財務書類に重大な影響
を与えると判断した場合にのみ考慮される(注A.2.7.1参照)。
保証業務に係る引当金
EIB は、金融保証契約を、予想プレミアムの正味現在価値(「NPV」)または当初予想損失に対応す
る公正価値で当初認識している。その後金融保証は、対応する損失引当金と、当初認識時の受取プレ
ミアムから認識済収益を控除した額のいずれか高い方の金額により、将来の予想プレミアムの正味現
在価値の不足額として測定される(注A.2.13を参照)。
年金および他の退職給付
確定給付年金制度および他の退職後医療費給付に係る費用は、数理計算上の評価を用いて算定す
る。数理計算上の評価に際しては、割引率、死亡率、ならびに将来の給与および年金の増加に関する
仮定を行う。これらの制度は長期にわたるため、こうした見積りは重要な不確実性を伴う(注A.2.10
を参照)。
A.1.3. EIBの英国に対するエクスポージャー
2017年3月29日、英国は、欧州連合条約(「TEU」)第50条に従って欧州連合(「EU」)から離脱す
る決定を欧州理事会に通知した。英国は、TEU第50条および「グレートブリテンおよび北アイルランド
連合王国の欧州連合および欧州原子力共同体からの離脱協定」(「離脱協定」)に基づき、2020年2
月1日をもってEU加盟国でなくなった。英国のEUからの離脱により、英国は自動的に欧州投資銀行
(「EIB」)の構成国でなくなり、応募済資本金の分担も終了した。
2020年2月1日より、EIBの応募済資本金における英国の分担金は、その全額につき、残りのEU加盟
国が按分負担する増資をもって差し替えられた。この資本の差替え(均衡的資本差替え)は、EIBにお
ける英国の応募済資本金の払込請求済部分に加え、払込未請求部分も対象とするものであった。払込
請求済部分の差替えは、EIBの準備金を払込請求済の応募済資本金に振り替えることで賄われた。増資
の結果、残りの各EU加盟国において、EIBの応募済資本金の払込未請求(請求可能)持分が按分で増加
した。
また、ポーランドおよびルーマニアのEIBに対する応募済資本金が、それぞれ5,386,000,000ユーロ
および125,452,381ユーロ引き上げられた。この増資(非均衡的増資)は、英国のEU離脱から1ヵ月後
の2020年3月1日に効力を生じた。ポーランドとルーマニアは、EIBの応募済資本金の増加分の払込請
求済部分につき支払いを行うものとし、10回の均等分割により半年ごとにEIBの準備金に拠出を行って
いく。
なお、英国のEU離脱に伴うEIB定款の数多くの変更がすでに効力を生じた。EIB定款変更の第一群
は、2020年2月1日に効力を生じた。英国がEIBの構成国でなくなったことを反映するこれらの法定の
347/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
変更には、EIB定款における英国への言及の削除が含まれた。ガバナンス条項のいくつかの変更も同時
に効力を生じ、かかる変更には、EIB理事会の代理メンバーの増員、ならびにEIBの業務計画、手続規
則 および経営委員会の委員の任命の承認に係る特定多数決方式の導入が含まれた。EIB定款変更の第二
群は、ポーランドおよびルーマニアからの増資ならびに関連するガバナンスの変更に関するものであ
り、2020年3月1日に効力を生じた。
英国がEIBの構成国でなくなった結果として、離脱協定には、EIBに関する財務決済を定めるいくつ
かの規定が盛り込まれている。離脱協定第150条に定める条項に従い、英国は、EIBに対する応募済資
本金の従前の分担に従い、EU離脱前のEIBのエクスポージャーについて引き続き責任を負う。これに関
連して、2021年12月31日現在で、EU離脱前のEIBのエクスポージャーは506,596百万ユーロとなり、一
方、英国の負債の限度額は39,195百万ユーロとなった。
英国は、EIBのその他のリスクについても、それが離脱後の融資に関するものでない限り引き続き責
任を負う。また、EIBは、離脱協定第150条に定める条項に従い、EUに代わって、EIBの払込請求済資本
金に対する英国の分担金相当額を12回の分割により毎年英国に支払う。英国の払込請求済資本金の払
戻しを除き、EIBは、英国がEIBの構成国でなくなることに関連して、または離脱協定の関連条項に定
める英国の一部債務の留保を理由として、英国に対してその他の弁済、返金または報酬を支払う義務
を負わないものとする。
英国のEU離脱およびその結果としてのEIBの構成国でなくなることは、2020年12月31日現在(上記の
EIBの自己資本に対する影響を除く)および2021年12月31日現在の単独財務書類に重要な影響は与えな
かった。
A.2. 重要な会計方針の要旨
A.2.1. 外国通貨の換算
EIB は、加盟国の資本勘定の測定単位として、そしてグループの財務書類の表示にユーロ
(「EUR」)を使用している。
EIB は、各欧州連合加盟国の通貨、ユーロおよび非欧州連合通貨で業務を行っている。
EIB の財源は様々な通貨建ての出資、借入および利益剰余金によって調達される。
外貨建取引は、取引日の実勢為替レートで換算される。EIBのユーロ以外の通貨建ての貨幣性資産お
よび負債は、貸借対照表日の実勢為替レート(終値)に基づきユーロに換算される。これらの換算か
ら生じた損益は損益計算書の「金融業務損益」に計上される。
A.2.2. デリバティブ
EIBは、金利リスクおよび外貨リスクのエクスポージャーを管理するため、デリバティブ商品(主に
通貨スワップおよび金利スワップ)を資産負債管理(「ALM」)活動の一環として使用している。すべ
てのデリバティブ取引は、想定元本により、取引日にオフ・バランス項目として計上されている。
EIBのスワップの大部分は、債券発行および長期HQLAポートフォリオ(「LTHP」)の国債をヘッジす
る目的で締結されている。EIBは、通貨スワップおよび金利スワップを締結し、これにより借入資金を
当初別の通貨に交換し、満期時には借入返済に必要な資金を元の通貨で入手し、または借入もしくは
国債の金利ポジションを変更する。
またEIBは、貸付金のヘッジの一環として、またはグローバルなALMポジションのために通貨スワッ
プ、金利スワップおよびオーバーナイト・インデックス・スワップを行っている。これに関する利息
は、関連期間に対する比例配分で計上されている。
348/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
EIBは、財務オペレーションの一部としての為替スワップを主とした短期デリバティブ金融商品を使
用するほか、アクティブ運用ポートフォリオ(有価証券流動性ポートフォリオ)をヘッジする手段と
してのデリバティブも利用している。
A.2.2.1. 有価証券流動性ポートフォリオのデリバティブ
有価証券流動性ポートフォリオ(「SLP」)の一部として、デリバティブが締結され、貸借対照表に
時価で計上される。すなわち、その時価が正の値の場合には、「その他の資産」に、負の値の場合に
は、「その他の負債」に計上される。時価の変動は、「金融業務損益」に含まれている。時価は、市
場の公表価格、ディスカウント・キャッシュ・フロー・モデルおよびオプション価格モデルにより入
手している。オプション価格モデルには、現在の市況および原資産の契約価額と同様に、時間的価
値、イールドカーブおよび原資産のボラティリティが考慮される。
デリバティブ金融商品の金利は、関連期間に対する比例配分で「前払金および未収収益」または
「未払金および繰延収益」の勘定科目に計上される。
金利スワップ
金利スワップは、金利ポジションを修正するために締結される。金利スワップにおける受取利息お
よび支払利息は関連期間に対する比例配分で計上され、損益計算書では「受取利息および類似収益」
または「支払利息および類似費用」に計上される。金利スワップの時価が正の値の場合には、「その
他の資産」に、負の値の場合には、「その他の負債」に計上される。時価の変動は、「金融業務損
益」に含まれている。
先物契約
金利および債券の先物契約(先物)は、政府債およびその他の債券への投資から発生するエクス
ポージャーをヘッジするために締結される。先物は高度に標準化されたデリバティブ契約であり、規
制対象市場で取引され、日次での証拠金要件が適用される。先物契約の時価が正の値の場合には、
「その他の資産」に、負の値の場合には、「その他の負債」に計上される。時価の変動は、「金融業
務損益」に含まれている。
A.2.2.2. その他のデリバティブ
通貨スワップ
通貨スワップ契約は、通貨ポジションを調整するために締結される。通貨スワップの直物レッグの
再評価は、「未払金および繰延収益」または「前払金および未収収益」で相殺されている。通貨ス
ワップの先渡レッグは決済金額でオフ・バランスシート処理されており再評価されていない。直物金
額と先渡金額の決済差額として生ずるプレミアム/ディスカウントは、損益計算書の「受取利息およ
び類似収益」または「支払利息および類似費用」を通じ、関連期間に対する比例配分で償却される。
金利スワップ
金利スワップ契約は、金利ポジションを修正するために締結される。ヘッジのための金利スワップ
は再評価されず、その想定元本はオフ・バランスシートに計上される。金利スワップにおける受取利
息および支払利息は関連期間に対する比例配分で計上され、損益計算書では「受取利息および類似収
益」または「支払利息および類似費用」に計上される。
349/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
為替予約取引
為替予約取引は、将来の通貨ポジションを調整するために締結される。先渡レッグは、決済金額で
オフ・バランスシート処理されており再評価されていない。直物金額と先渡金額の差額は、損益計算
書 の「受取利息および類似収益」または「支払利息および類似費用」を通じ、関連期間に対する比例
配分で償却される。
デリバティブ金融商品の金利は、関連期間に対する比例配分で「前払金および未収収益」または
「未払金および繰延収益」の勘定科目に計上される。
A.2.3. 金融資産および金融負債
金融資産および金融負債は決済日基準で計上されている。
A.2.4. 現金および現金同等物
現金および現金同等物は、キャッシュ・フロー計算書に開示されており、手許現金、非拘束性の中
央銀行預け金、要求払い預け金および取得日から3ヵ月以内に当初の満期日が到来する流動性の高い
短期金融市場証券または定期預金から構成されている。これらの金融商品は、その価値変動リスクが
軽微であり、容易に現金化が可能であり、EIBは短期的な契約債務の管理に使用している。
A.2.5. 中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期証券ならびに確定利付証券を含む負債証券
A.2.5.1. 長期高品質流動資産(HQLA)ポートフォリオ(「LTHP」)
従来の長期ヘッジポートフォリオ (「LTHP」)は、2021年に長期高品質流動資産(HQLA)ポート
フォリオ(「LTHP」)に改編された。この改編とは、特に、ポートフォリオの規模、新たな適格通貨
および承認されている投資の範囲の変更等である。この新ポートフォリオで購入した有価証券で、満
期まで保有する目的で保有しているものに関するビジネスモデルに変更はない。この新しい改編の下
では、以下によって発行または保証された有価証券への投資が認められる。
- 欧州連合加盟国政府およびアメリカ合衆国 (USA)政府
- 欧州連合、欧州安定メカニズム、欧州金融安定基金
これらの有価証券は、当初、購入価額で計上される。一時的でない評価損益は計上されている。購
入価格と償還価額との差額は、有価証券の残存期間にわたり、関連期間に対する比例配分で「受取利
息および類似収益」または「支払利息および類似費用」として計上される。
A.2.5.2. 運用ポートフォリオ
短期財務ポートフォリオ(「TMP」)
適切な水準の流動性を維持するため、EIBは満期が12ヵ月以内の短期金融商品、特に短期国庫証券お
よび公共機関や金融機関が発行した譲渡可能負債証券を購入している。短期財務ポートフォリオの有
価証券は、最終満期日まで保有されるもので、当初は購入価格で計上され、その後は償却原価で本財
務書類に計上される。購入価格と償還価額との差額は、有価証券の残存期間にわたり、関連期間に対
する比例配分で「受取利息および類似収益」または「支払利息および類似費用」として計上される。
評価損益は、一時的ではない場合、「固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券および参加持
分に係る(再)評価損益」に計上される。
350/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
有価証券流動性ポートフォリオ(「SLP」)
SLPは、政府、国際機関、金融機関および企業が発行または保証した上場負債証券で構成されてい
る。このポートフォリオは主にアクティブ運用され、ポートフォリオ内の有価証券は取得原価で当初
認識され、その後は財務書類に時価で表示される。時価の変動は、損益計算書の「金融業務損益」に
計 上される。
SLPの時価は、第一情報源としての活発な市場における公表相場価格に基づいている。入手できる公
表相場価格がない金融商品については、市場参加者からの提示価格、および/または評価手法もしく
はモデルを使用して、時価を決定している。評価手法もしくはモデルは観察可能な貸借対照表日現在
の実勢市場データに基づくことが可能である場合に用いられる。
A.2.5.3. 代替貸付金
代替貸付金ポートフォリオは、主に特別目的事業体(「SPV」)、信託事業体または金融機関が発行
した債券、ノートあるいは証書の形の債務で構成されている。これらの有価証券は満期保有目的とし
て分類されており、当初購入価格で計上され、その後は償却原価で評価されている。購入価格と償還
価額との差額は、有価証券の残存期間にわたり、関連期間に対する比例配分で「受取利息および類似
収益」として計上される。一時的でない評価損益は、個別に計上されている。減損しているが、その
ように認識されていない契約を捕捉するために、それぞれ発生はしているが報告されていない損失に
ついて、集合的な評価損益が計上されている。個別および集合的な評価損益は、損益計算書に「固定
金融資産として保有される譲渡可能有価証券および参加持分に係る(再)評価損益」として計上さ
れ、貸借対照表上は対応する資産項目から減算されている。
代替貸付金の未実行部分は、名目値でオフ・バランスシートに記録される。
A.2.5.4. 優先債権者の地位(「PCS」)
EU 一次法優位の原則および、EIB定款に定められているEIBの財産があらゆる形の接収および収用か
ら免除されるものとする旨の原則は、満期時における欧州連合加盟国のソブリン・エクスポージャー
の全額回収を保証するとみなされる。この財務保護および優先債権者としての地位により、欧州連合
加盟国のソブリン・エクスポージャーまたは欧州連合加盟国の保証についての信用リスクも減損も発
生しない。しかし、他の債権者と同様に、EIBは欧州連合加盟国ソブリン発行体の負債性金融商品に含
まれる集団行動条項(「CAC」)に基づいた多数による決定事項に拘束される。
A.2.6. 金融機関および対顧客貸付金および預け金
A.2.6.1. 貸付金および預け金
貸付金および預け金は、正味実行額をもってEIBの資産に計上される。期末における貸付金残高につ
いて、その全額または一部の金額につき回収不能のリスクがある場合、個別の評価損益が計上されて
いる。減損しているが、そのように認識されていないポートフォリオの貸付金を捕捉するために、ま
たは発生しているがまだ報告されていない損失について、集合的な評価損益が計上されている。これ
らの評価損益は、関連資産と同じ通貨で把握される。
評価損益は「貸付金および預け金ならびに偶発債務引当金に係る(再)評価損益」として損益計算
書に計上されており、貸借対照表の対応する資産項目から減算されている。
貸付金および預け金の未実行部分は、名目値でオフ・バランスシートに記録される。
351/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
A.2.6.2. 貸付金利息
貸付金利息は、発生主義で、すなわち貸付期間にわたって、損益計算書に計上される。未収利息
は、貸借対照表の資産の「前払金および未収収益」勘定に計上される。これらの貸付金利息の評価損
益は、EIBの経営陣が個別に決定し、貸借対照表の適当な資産項目から控除される。
不良債権に関しては、評価損益が生じた場合、当初の契約条件に基づく未収利息の計上は停止され
る可能性がある。
A.2.6.3. リバース・リパーチェス取引(リバース・レポ)
リバース・リパーチェス取引は、担保有価証券を提供する金融機関に対してEIBが流動資金を貸し出
す取引である。双方の当事者は、確定日に確定金額で取引を行うという取消不能の契約を結ぶことに
なる。
この取引は、支払引替渡しの原則に基づき行われる。すなわち流動資金の借手は、契約価額での決
済と引き換えに、EIBの保管業者に有価証券を引き渡すのである。これによってEIBに金融市場と連動
したリターンが発生する。
こうした種類の業務は、EIBの目的から、保証された金利が付加された貸付とみなされる。これらの
取引は一般的に有担保金融取引として取り扱われるため、提供または受領した現金額に未収(経過)
利息を加えた金額で計上されている。リバース・レポは、法定貸借対照表の資産側の「金融機関貸付
金および預け金: b) その他の貸付金および預け金」に額面金額で計上される。
リバース・リパーチェス契約に基づいて受け取った有価証券は、有価証券に含まれる契約上の権利
を支配できない限り、法定貸借対照表において認識されない。EIBは、これらの受け取った有価証券の
市場価格を日々管理しており、原契約に従い追加担保を要求する。
リバース・リパーチェス契約に係る利息は、それぞれの契約の期間にわたり「受取利息および類似
収益」または「支払利息および類似費用」として計上される。
A.2.6.4. 利子補助金
前受利子補助金(注Iを参照)は繰り延べられ、補助金支給対象貸付金の実行から返済までの期間に
わたって、損益計算書で認識される。
A.2.6.5. 定期預金および要求払預金(「預金」)
預金とは、EIBが一定期間、または当事者間で合意した収益に対して要求払いで、金融機関または顧
客に流動性のある資金を貸し付ける業務である。預金は、法定貸借対照表の資産側の「金融機関貸付
金および預け金: その他の貸付金および預け金」に額面金額で計上される。
預金に係る利息は、預金期間にわたり「受取利息および類似収益」または「支払利息および類似費
用」として計上される。
A.2.7. 株式、その他の変動利付証券、参加持分および関係会社株式
A.2.7.1. 株式、その他の変動利付証券および参加持分
EIBは、プライベート・エクイティおよびベンチャー・キャピタル事業開始、債券ファンド設定、イ
ンフラ基金設定、投資基金設定または直接資本の形態での資本参加時に、株式、その他の変動利付証
券および参加持分を保有する。これらの投資は当初は取得原価で記録され、返済による資金の還流額
が減額される。それらの帳簿価額は、その後の貸借対照表日における測定で、取得原価と時価のいず
れか低い方に調整される。
EIBが実施する一部の共同投資では、投資は取得原価で当初認識され、純払込額は合意されたウォー
ターフォールに従って配分された資本返済控除後の出資履行額である。
352/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
ファンド・マネージャーから受けた報告に基づき、投資ポートフォリオは、取得原価もしくはEIBに
帰属する分の純資産価額(「NAV」)のどちらか低い方の値で個々に評価されるため、ポートフォリオ
に 含まれている可能性があるEIB帰属分の未実現利益は除外される。帰属するNAVは、次のいずれか
を、報告日時点で利用可能な場合に優先順位に従い適用して決定される。
- 各ファンド・マネージャーから提出された、利用可能な直近の日におけるNAVのEIBの持分
- EIBが保有する株式数または口数に、ファンド・マネージャーが報告する利用可能な直近の日の
1株当たりまたは1口当たりの価格を乗じた値
- 特定のコンパートメントにおけるEIBの所有比率に、最新のファンド・マネージャーの報告に反
映された当該特定のコンパートメントの純資産価額(「NAV」)を乗じた値
- 当該ファンドにおけるEIBの所有比率に利用可能な直近のファンドNAVを乗じた値
EIBが実施する一部の共同投資においては、帰属するNAVは合意されたウォーターフォールの計算に
基づいて決定される場合がある。
また、入手可能な直近のNAVの日付から貸借対照表日の間に発生した事象について調整することが重
要と経営委員会がみなす場合に限り、EIB帰属分のNAVに対してかかる調整を行う。
これらの投資の未実行だが確約した部分は、名目値でオフバランスシート・コミットメントに計上
される。
セカンダリーセール
ベンチャー・キャピタル・ファンドおよび投資ファンドに係るセカンダリーセール取引により、原
資産の認識が中止される。セカンダリーセールからの損益は「金融業務損益」に計上され、売却手取
額と正味帳簿価額の差異として算出される。
参加持分
EIB が自己勘定で取得した株式は、通常ベンチャー・キャピタル事業、債券ファンド、インフラ基金
および投資基金への投資である。業界の慣行によれば、そのような投資は概して多数の投資家が応募
する投資であり、どの投資家も当該基金の日々の運営および投資活動に対し、個人的に影響力を行使
することはできない。結果として、ある投資家がそのような基金の統治機関のメンバーになったとし
ても、原則的には、それにより当該投資家がその基金の日々の運営に影響を与える権利を手にするも
のではない。さらに、ベンチャー・キャピタル事業、インフラ基金または投資基金の個別投資家は、
資本の払戻しまたはその他の分配に関する分配方針等、基金の方針を決定することがない。一般的に
そのような決定は、基金の経営陣と全株主の権利および義務を規定した株主契約に基づき、基金の経
営陣が行っている。また一般的に株主間の合意は、個別投資家が基金との間で実質的な取引を行った
り、役員を相互に交換したり、重要な専門情報にアクセスする特権を得たりすることも防止してい
る。EIBは、株式を取得したこうした事業体に対して重要な影響力または共同支配を有しているかを判
定するために、判断を伴う包括的な分析を通じて上記の判定基準を評価している。当該事業体に対す
る重要な影響力または共同支配が存在する場合、当該投資は、「参加持分」として開示される。
EIB により応募済であるがEBRDへの投資について払込未請求の資本は、オフ・バランスシート項目と
して記録されている。
A.2.7.2. 関係会社株式
関係会社株式は、中長期投資に相当し、取得原価で計上されている。一時的でない評価損益は計上
されている。
353/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
少数株主が保有する株式に関して、プット・オプションの形態で提供しているコミットメントは、
行使価格でオフ・バランスシートに計上されている。
A.2.8. 有形資産
有形資産には、土地、EIBが使用している不動産、その他機械および設備が含まれる。
土地は、取得原価で計上されており、建物は、取得原価から減価償却累計額を控除した金額で計上
されている。ルクセンブルクのキルヒベルクに所在する本店の建物、ならびに同国のワイマールショ
フの建物の取得原価は、以下のように定額法で減価償却されている。
恒久使用の設備および備品、家具事務機器ならびに自動車は、取得原価から減価償却累計額を控除
した金額で貸借対照表に計上されている。
減価償却費は購入品目ごとに、以下に示されている見積耐用年数の期間にわたって定額法で計算さ
れている。
- キルヒベルクおよびワイマールショフの建物:30年
- 恒久使用の設備および備品:10年
- 家具:5年
- 事務機器および自動車:3年
建設仮勘定資産は、工事が完了し、当該資産が意図された目的のための使用に供されることが可能
となるまで、その減価償却累計額は計上されない。
A.2.9. 無形資産
無形資産には、コンピューター・ソフトウェアが含まれている。ソフトウェア開発費は、識別可能
性、企業への将来の経済的便益の流入可能性、取得原価測定の信頼性に関する特定の基準を満たした
場合に資産計上される。
これらの基準に適合する自社開発のソフトウェアは、償却累計額(完成から3年にわたり定額法で
計算)控除後の取得原価で計上されている。
建設仮勘定資産は、作業が完了し、当該資産が意図された目的のための使用に供されることが可能
となるまで、その償却累計額は計上されない。
A.2.10. 年金制度および健康保険制度
A.2.10.1. 職員年金制度
EIB は、ほぼすべての職員に退職給付を提供するため、確定給付年金制度を運営している。
EIB の主な年金制度は職員とEIBの拠出金を原資とする確定給付年金制度で、全職員が対象とされて
いる。EIBおよびその職員の全拠出額がEIBの資産へ投資されている。
退職給付債務は、適正な引当水準となるように予測単位積立方式を用いて、少なくとも年に1度は
評価を受ける。最新の評価は、2021年9月30日現在の加入者データおよび2021年12月31日までの
キャッシュ・フローに基づき、2021年12月31日現在で実施された。保険数理士が用いた主な仮定につ
いては、注Lを参照のこと。
EIB は、数理計算上の積立過不足累計額の認識に関して、2021年1月1日から非遡及的に会計方針を
変更した。
2020 年12月31日まで適用された会計方針:
354/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
退職給付債務の10%を超過する過年度の数理計算上の積立過不足累計額は、制度加入者の予想平均
残存勤続年数(2020年:14.4年)にわたって定額法で認識される。
2021 年1月1日から適用されている会計方針:
2021 年の会計年度から、退職給付債務の10%を超える当年度の数理計算上の差異の累計額は、7年
間にわたり定額法で認識される。引当金が退職給付および健康保険給付の保険数理的価値の償却可能
部分に達した場合、それ以上の償却は損益計算書に認識されない。また、引当金が退職給付および健
康保険給付の保険数理的価値を超えることとなった場合には、その超過額はその後の期間に損益に算
入されることはない。
A.2.10.2. 健康保険制度
EIBは職員のため、EIBおよび職員の拠出金を原資とする独自の健康保険制度を設けている。この健
康保険制度は、注A.2.10.1に記載された職員に対する年金制度と同じ方針によって管理され、会計処
理されている。最新の評価は、2021年9月30日現在の加入者データおよび2021年12月31日までの
キャッシュ・フローに基づき、2021年12月31日現在で実施された。
A.2.10.3. 経営委員会年金制度
経営委員会年金制度は確定給付年金制度で、EIBのみからの拠出金を原資とし、経営委員会委員全員
を対象としている。EIBからの拠出金は全額EIBの資産に投資される。この経営委員会年金制度は、注
A.2.10.1に記載された職員に対する年金制度と同じ方針によって管理され、会計処理されている。
A.2.10.4. 任意補足年金制度
任意補足年金制度とは、職員の任意拠出金および使用者の拠出金を原資とする確定拠出年金制度で
ある。対応する負債は「その他の負債」に計上されている。
A.2.11. 金融機関および顧客に対する債務
金融機関および顧客に対する債務は、財務書類において償還額で表示される。金融機関および顧客
に対する負債の利息は、発生主義により、「支払利息および類似費用」または金利がマイナスの場合
には「受取利息および類似収益」として損益計算書に計上される。経過利息は、負債勘定の「未払金
および繰延収益」に含まれる。
EIBによるECBの金融政策オペレーションへの参加に関連して、BCLから借り入れた金額は額面金額で
計上され、中央銀行からの借入金として、法定財務書類において「金融機関に対する債務-b) 期日払
または通知払」に計上されている。
A.2.11.1. リパーチェス取引(レポ)
リパーチェス取引は、金融機関からEIBが流動資金を借り入れ、担保有価証券を提供する取引であ
る。双方の当事者は、確定日に確定金額で取引を行うという取消不能の契約を結ぶことになる。この
取引は支払引替渡しの原則に基づいており、これは注A.2.6.3に記載されている。
こうした種類の業務は、EIBの目的から、合意された金利が付加された借入とみなされる。これらの
取引は一般的に有担保金融取引として取り扱われるため、借入金額に経過利息を加えた金額で計上さ
れている。レポは貸借対照表上、「金融機関に対する債務-b) 期日払または通知払」の下で負債側に
名目金額で計上される。
リパーチェス契約に係る利息は、それぞれの契約の期間にわたり「受取利息および類似収益」また
は「支払利息および類似費用」として計上される。
355/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
A.2.11.2. 担保払込勘定
片務的担保サポート・アネックスに基づき、EIBはデリバティブ、貸付および財務ポートフォリオに
係るカウンターパーティー信用エクスポージャーを低減するために担保として現金を受領する。受け
取った現金担保は、名目金額で計上され、翌日物預金として、法定財務書類において「金融機関に対
する債務-a) 要求払」に表示される。
A.2.12. 債務証書借入
債務証書借入は、償却原価で表示されるゼロ・クーポン債を除き、償還金額で表示されている。取
引費用およびプレミアム/ディスカウントは、「未払金および繰延収益」または「前払金および未収
収益」を通じて債務の残存期間にわたって定額法により損益計算書で償却される。負債性金融商品の
支払利息は、損益計算書の「支払利息および類似費用」に計上されている。
A.2.13. 金融保証
金融保証契約は、特定の債務者が、負債性金融商品の当初条件または修正後条件に基づいて期日に
支払いを履行できない場合に、発行者に、その商品の保有者に発生した損失を補償するための所定の
支払を行うことを義務付ける契約である。
発行済の金融保証は通常、オフ・バランスシート項目として会計処理され開示される。
金融保証による負債純額は、貸借対照表上で「保証業務に係る引当金」に表示されている。保証引
当金は、金融仲介機関に対するEIBの保証業務または第三者が供与した貸付金に関する保証に内在する
リスクに対応するためのものである。
金融保証は、予想プレミアムの正味現在価値(「NPV」)または当初予想損失に対応する公正価値で
当初認識される。
当初認識後、金融保証は以下のうちの高い方の金額に対する、将来の予想プレミアムの正味現在価
値の不足額として測定される。
- 予想信用損失の額
- 当初認識された公正価値から、認識された収益/償却累計額を控除した額
将来の予想プレミアムの正味現在価値が予想支払義務を超過する額を表す未実現利益は、引き続き
認識されていない。
金融保証に関連する純負債の増加または減少は、損益計算書上、「貸付金および預け金ならびに偶
発債務引当金に係る(再)評価損益」で認識される。
受取プレミアムは、損益計算書の「受取手数料」で認識される。前受手数料は貸借対照表の「未払
金および繰延収益」で認識され、金融保証期間にわたって定額法で損益計算書において償却される。
A.2.14. 契約債務引当金
この引当金は、貸付金、インフラ基金および投資基金ならびにプライベート・エクイティおよびベ
ンチャー・キャピタル事業に対するEIBの契約済・未実行契約債務に内在するリスクに対応するための
ものである。
356/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
A.2.15. 準備金
A.2.15.1. 準備基金
定款第22(-1)条で規定されているように、EIBの留保利益より「応募済資本金の10%を上限に、準備
基金に段階的に組み入れるものとする」。
A.2.15.2. その他準備金
その他準備金には、EIBの残りの留保利益が含まれている。
A.2.15.3. 特別活動準備金
定款第16(-5)条で規定されているように、「EIBの特別活動(中略)には個別に準備金を配分す
る」。特別活動準備金は、EIBが一般的に受け入れているものよりもリスクの高い活動によって生じる
予想外の損失をカバーするために割り当てられた専用準備金であり、ベンチャー・キャピタル業務が
これに含まれる。この準備金は各業務の資本配分に基づき、原資産の推移に応じて月次で計算され
る。
A.2.15.4. 一般貸倒準備金
2009 年、EIBの方針ガイドラインにより、EIBの貸付金および保証ポートフォリオから生じる可能性
のある損失に対し、「一般貸倒準備金」が導入された。この準備金は、原資産の推移に応じて月次で
計算される。
A.2.16. 前払金および未収収益
当期の支出であるが翌期に関わる費用、および原商品の満期日まで支払いがなされない収益。
A.2.17. 未払金および繰延収益
貸借対照表日以前に支払いを受けるが翌期に帰属する収益、および当期に関連するが翌期に支払う
費用。
A.2.18. 受取利息および類似収益
「受取利息および類似収益」には、主に金融機関および対顧客貸付金および預け金、負債性金融商
品および短期金融市場商品ならびにデリバティブに係る利息が含まれる。
A.2.19. 支払利息および類似費用
「支払利息および類似費用」には、主に金融機関および顧客に対する負債の利息、ならびに負債性
金融商品、短期金融市場商品およびデリバティブに係る支払利息が含まれる。
A.2.20. 証券からの収益
「証券からの収益」は、主に元本を超える当期売却額で構成されている。
A.2.21. 租税
欧州連合に関する条約および欧州連合の機能に関する条約に付属する欧州連合の特権および免除に
関する議定書は、欧州連合機関の資産、収益およびその他の財産について、あらゆる直接税を免除す
ると定めている。
357/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
A.2.22. 会計方針の変更
年金制度および健康保険制度:
EIB は、退職給付債務の10%を超過する数理計算上の積立過不足累計額の認識に関して、2021年1月
1日から会計方針を変更した。この会計方針の変更により、以前の会計方針の適用と比較して、当期
純利益は197.6百万ユーロ減少した。注A.2.10.1を参照のこと。
EIB は、指令書に示された一般的な健全性の原則に従って、退職給付引当金を、年金制度と健康保険
制度の保険数理上の評価とさらに一致させるために、会計方針を変更することを選択した。
358/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注B: 現金、中央銀行および郵便局預け金ならびに負債証券ポートフォリオ(単位:千ユーロ)
B.1. 現金、中央銀行および郵便局預け金
現金、中央銀行および郵便局預け金は、2021年12月31日現在1,483,285千ユーロ(2020年:835,163
千ユーロ)である。
EIBは、ユーロ・システムの金融政策オペレーションにおける適格カウンターパーティーであること
から、EIBも欧州中央銀行の金融政策オペレーションに参加するようになった。EIBは、最低預金準備
率を充足するために預け金を置いているルクセンブルク中央銀行を通じて金融政策オペレーションを
実施する。この預け金残高は、2021年12月31日現在144,479千ユーロ(2020年:109,369千ユーロ)で
ある。
B.2. 負債証券ポートフォリオ
負債証券ポートフォリオは、長期HQLAポートフォリオ(「LTHP」)、短期財務ポートフォリオ
(「TMP」)、有価証券流動性ポートフォリオ(「SLP」)および代替貸付金ポートフォリオにより構
成されている。
これらの負債証券ポートフォリオの2021年および2020年12月31日現在の内訳は、以下のとおりであ
る。
2021 年12月31日 2020 年12月31日
中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期証券
35,678,436 31,180,452
確定利付証券を含む負債証券
10,782,567 12,193,426
(*)
負債証券合計
46,461,003 43,373,878
(*) うち非上場分は、2021年12月31日現在6,550,937千ユーロ(2020年:9,766,074千ユーロ)であった。
未償却
プレミア
(**)
購入価額 帳簿価額 評価損益 償還価値
時価
ム/ディス
カウント
2021 年12月31日現在
LTHP 1,384,662 1,340,985 0 -97,342 1,243,643 1,418,398
TMP 22,484,695 22,434,606 0 -35,118 22,399,488 22,435,374
SLP 4,761,521 4,733,721 0 0 4,714,307 4,733,721
17,993,220 17,951,691 1,243 -6,339 17,946,595 18,033,089
代替貸付金 (注D)
(*)
46,624,098 46,461,003 1,243 -138,799 46,304,033 46,620,582
負債証券合計
(*) うち現金および現金同等物142,403千ユーロ。
(**) 時価には経過利息は含まれない。
359/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
未償却
プレミア
(**)
購入価額 帳簿価額 評価損益 償還価値
時価
ム/ディス
カウント
2020 年12月31日現在
LTHP
1,685,874 1,624,791 0 -64,803 1,559,988 1,743,413
TMP 17,611,913 17,580,727 0 -22,545 17,558,182 17,583,528
SLP 4,143,518 4,167,007 0 0 4,111,766 4,167,007
代替貸付金 (注D) 20,044,919 20,001,353 1,266 -9,990 19,992,629 20,368,520
(*)
43,486,224 43,373,878 1,266 -97,338 43,222,565 43,862,468
負債証券合計
(*) うち現金および現金同等物2,801,772千ユーロ。
(**) 時価には経過利息は含まれない。
代替貸付金は、証券化取引に関連する貸付金または債権のプールにおける持分の取得を表してお
り、貸付金総額(注D)の一部とみなされる。こうした取引の一部は、与信またはプロジェクト関連の
救済措置を付加した上で組成されているため、追加的な償還請求手段が備わっている。2021年12月31
日現在で、1件の取引(2020年:1件の取引)について個別の評価損益1,243千ユーロ(2020年:
1,224千ユーロ)が計上された。2020年度に、代替貸付金ポートフォリオに対するCOVID-19の影響を捕
捉するために計上された集合的な評価損益42千ユーロは、2021年12月31日現在で戻し入れられた。
債券保有における欧州連合加盟国ソブリン債に対するエクスポージャー
EIBの優先債権者の地位およびEIB定款による保護を考慮し、また評価調整要件の詳細な見直しの結
果、EIBは、期末現在の満期保有目的EU加盟国ソブリン債およびEU加盟国ソブリン保証債のエクスポー
ジャーに関して、2021年度および2020年度に評価損益を計上しなかった。
360/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
次の表は、2021年および2020年12月31日現在のEIBの負債証券ポートフォリオ(代替貸付金を含む)
における、EU加盟国またはその政府機関が発行または保証する負債証券に対するエクスポージャーを
示したものである。
2021 年12月31日現在
購入価額 帳簿価額 償還価値 時価
EU 加盟国ソブリン債
オーストリア
60,407 56,707 55,500 56,657
ベルギー
62,150 62,072 62,000 62,114
チェコ共和国
426,516 385,879 378,085 390,877
デンマーク
17,615 17,616 17,658 17,616
フランス
1,256,636 1,243,705 1,240,288 1,245,478
ドイツ
983,045 971,840 951,664 1,021,546
アイルランド
704,819 705,945 706,339 706,040
イタリア
7,484,756 7,459,403 7,439,999 7,465,218
リトアニア
9,242 8,878 8,829 8,872
ルクセンブルク
25,233 25,223 25,000 25,223
オランダ
366,403 355,095 348,000 367,345
ポーランド
547,662 547,489 547,480 466,185
ルーマニア
88,047 83,733 83,214 83,665
スペイン
5,839,387 5,827,451 5,823,235 5,826,979
スウェーデン
96,478 95,644 95,487 95,635
17,968,396 17,846,680 17,782,778 17,839,450
EU 加盟国以外のソブリン債およびその他の債券
28,655,702 28,614,323 28,521,255 28,781,132
合計
46,624,098 46,461,003 46,304,033 46,620,582
361/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2020 年12月31日現在
購入価額 帳簿価額 償還価値 時価
EU 加盟国ソブリン債
オーストリア
277,685 276,362 272,408 276,385
ベルギー
180,634 180,300 180,000 180,353
チェコ共和国
614,184 571,803 560,111 615,434
デンマーク
16,259 16,280 16,299 16,280
エストニア
10,026 10,010 10,000 10,010
フィンランド
41,510 41,066 40,000 41,066
フランス
519,865 505,391 498,192 510,241
ドイツ
2,326,692 2,318,539 2,288,758 2,381,993
アイルランド
567,650 568,012 567,860 568,278
イタリア
77,849 73,857 72,500 103,169
ルクセンブルク
90,837 92,471 90,000 92,471
オランダ
783,954 765,999 754,000 779,276
ポーランド
143,463 143,499 143,171 144,945
ポルトガル
40,130 40,050 40,000 40,095
ルーマニア
10,041 10,022 10,000 10,017
スロバキア
105,248 105,028 105,000 105,073
スペイン
3,621,357 3,614,175 3,604,290 3,615,992
スウェーデン
62,017 62,377 61,120 62,377
9,489,401 9,395,241 9,313,709 9,553,455
EU 加盟国以外のソブリン債およびその他の債券
33,996,823 33,978,637 33,908,856 34,309,013
合計
43,486,224 43,373,878 43,222,565 43,862,468
362/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注C: 金融機関および対顧客貸付金および預け金-その他の貸付金および預け金(単位:千ユーロ)
2021 年12月31日 2020 年12月31日
(*)
定期預金 60,416,600 44,469,137
要求払預金 240,697 239,935
リバース・レポ 13,894,159 15,473,559
その他の金融機関貸付金および預け金 74,551,456 60,182,631
677,437 900,604
その他の対顧客貸付金および預け金
75,228,893 61,083,235
その他の貸付金および預け金合計
うち現金および現金同等物 66,694,788 43,855,310
(*) 2021年のルクセンブルク中央銀行への預け金567億ユーロ(2020年:346億ユーロ)を含む。
注D: 貸付金明細表
D.1. 貸付金総額(単位:千ユーロ)
貸付金総額は貸付金の実行済金額と未実行金額で構成されている。分析は以下のとおりである。
最終受益者に直接
金融仲介機関に対し
2021 年12月31日 2020 年12月31日
て実行される貸付金
実行される貸付金
実行済金額
93,552,220 321,907,465 415,459,685 424,641,709
未実行金額
31,913,008 91,041,283 122,954,291 114,040,130
貸付金総額
125,465,228 412,948,748 538,413,976 538,681,839
分割貸付債権
6,007 466,846 472,853 192,470
代替貸付金ポートフォリオ
17,952,934 20,002,619
代替貸付金ポートフォリオを含む貸付金総額 (注D.3) 556,839,763 558,876,928
D.2. 貸付金に係る評価損益(単位:千ユーロ)
評価損益の推移の詳細は、以下のとおりである。
2021 年 2020 年
1月1日現在
647,769 479,759
(1)
当期取崩額
-229,532 -95,695
(2)
当期目的使用額
-31,561 -27,833
(1)
当期繰入額
35,843 307,234
為替調整額
16,489 -15,696
(3)
12 月31日現在
439,008 647,769
(1) 2020年のCOVID-19の流行を受けて、EIBは貸付金ポートフォリオに対するこのパンデミックの影響の定性評価を実施
した。この関連で、カウンターパーティー・レベルで脆弱性評価が行われ、COVID-19危機に関連するエクスポー
ジャーの感応度を評価した。この分析の結果に基づき、それぞれの貸付金の残存期間にわたっての予想信用損失に
基づいた74,740千ユーロにのぼる集合的引当金が認識された。
2021年度に、(1) 貸付金ポートフォリオに対するCOVID-19の影響についてのより詳細な評価を可能にする年次カウ
363/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
ンターパーティー格付の見直し、および(2) それぞれの貸付金の残存期間の予想信用損失の減少の結果、EIBはこの
集合的引当金は必要ではなくなったとみなした。COVID-19が貸付金ポートフォリオ全体に与える影響の詳細な評価
を 使用して、個別の評価損益の必要性は適時に評価され、それに従って計上されている。
(2) 2021年度に、EIBは貸付金事業1件について、一部が引当済のリストラクチャリングを完了した。このリストラク
チャリングの結果、2,444千ユーロ(2020年:1件の貸付金事業において1,317千ユーロ)が既存の引当金から目的
使用された。また、EIBは2件の不良債権事業の売却取引を完了した。この結果、資産売却損22,367千ユーロ(2020
年:1件の貸付金事業において25,336千ユーロ)に既存の引当金が充当された。最後に、EIBは貸付金事業2件にお
けるエクスポージャーを償却し、この結果、6,750千ユーロ(2020年:1件の貸付金事業において1,180千ユーロ)
が既存の引当金から目的使用された。
(3) 評価損益は、延滞を含む実行済貸付金のみに関連している。また、EIBは追加的に「前払金および未収収益」に計上
されている未収利息について、総額4,919千ユーロ(2020年:14,291千ユーロ)の評価損益を計上している。
364/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
D.3. プロジェクトが行われている国別に表示した貸付金の地域別内訳(単位:千ユーロ)
D.3.1. 欧州連合内のプロジェクトに対する貸付金
2021 年 2020 年
プロジェクトが実施されて 貸付金 貸付金
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
いる国および地域 合計額に 合計額に
対する割合 対する割合
スペイン 77,399,794 68,942,585 8,457,209 13.90% 15.13%
イタリア 64,853,385 51,096,479 13,756,906 11.66% 11.73%
フランス 63,924,071 48,064,516 15,859,555 11.49% 10.85%
ドイツ 44,557,224 33,671,360 10,885,864 8.01% 8.12%
ポーランド 43,660,661 33,425,632 10,235,029 7.85% 7.54%
ギリシャ 19,914,438 16,057,895 3,856,543 3.58% 3.52%
オランダ 17,040,300 12,359,736 4,680,564 3.06% 2.91%
ベルギー 15,540,904 11,534,467 4,006,437 2.79% 2.50%
オーストリア 15,005,557 13,913,662 1,091,895 2.70% 2.66%
ポルトガル 13,515,255 11,370,793 2,144,462 2.43% 2.72%
スウェーデン 12,187,419 8,626,397 3,561,022 2.19% 2.20%
フィンランド 10,893,129 9,374,998 1,518,131 1.96% 1.98%
ハンガリー 10,031,384 8,147,659 1,883,725 1.80% 1.73%
アイルランド 7,569,481 6,086,841 1,482,640 1.36% 1.32%
チェコ共和国 6,924,345 4,894,445 2,029,900 1.24% 1.25%
ルーマニア 6,751,023 3,961,333 2,789,690 1.21% 1.18%
スロバキア 4,589,460 3,786,032 803,428 0.82% 0.85%
クロアチア 3,952,382 2,882,897 1,069,485 0.71% 0.79%
デンマーク 3,522,232 2,546,485 975,747 0.63% 0.56%
スロベニア 2,841,648 2,183,205 658,443 0.51% 0.57%
キプロス 2,778,108 1,917,758 860,350 0.50% 0.49%
リトアニア 2,745,443 2,515,133 230,310 0.49% 0.50%
ブルガリア 2,210,812 1,935,715 275,097 0.40% 0.40%
エストニア 1,590,902 920,730 670,172 0.29% 0.27%
ラトビア 1,222,553 639,645 582,908 0.22% 0.21%
ルクセンブルク 658,996 225,770 433,226 0.12% 0.15%
406,839 272,916 133,923 0.07% 0.08%
マルタ
456,287,745 361,355,084 94,932,661 81.99% 82.21%
小計
365/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
D.3.2. 欧州連合域外のプロジェクトに対する貸付金
D.3.2.1. 候補国
2021 年 2020 年
プロジェクトが実施されて 貸付金 貸付金
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
いる国および地域 合計額に 合計額に
対する割合 対する割合
トルコ
9,738,640 9,470,004 268,636
セルビア
3,354,012 2,287,877 1,066,135
モンテネグロ
703,172 510,843 192,329
北マケドニア
470,064 322,446 147,618
アルバニア
355,661 253,161 102,500
小計
14,621,549 12,844,331 1,777,218 2.63% 2.85%
366/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
D.3.2.2. アフリカ、カリブ海および太平洋地域(「ACP」)諸国
2021 年貸付金 2020 年貸付金
プロジェクトが実施されている
貸付金総額 実行済金額 未実行金額 合計額に 合計額に
国および地域
対する割合 対する割合
セネガル 555,397 216,691 338,706
ギニア 422,271 84,166 338,105
マダガスカル 413,694 189,284 224,410
ザンビア 409,711 121,905 287,806
ケニア 385,513 183,878 201,635
ベナン 368,683 65,404 303,279
アフリカ地域 330,000 330,000 0
ガーナ 281,976 29,010 252,966
マラウイ 218,999 62,007 156,992
モザンビーク 178,480 78,480 100,000
ナイジェリア 175,000 0 175,000
ルワンダ 167,000 0 167,000
カメルーン 162,600 56,600 106,000
ドミニカ共和国 159,709 47,048 112,661
レソト 155,645 73,645 82,000
コートジボワール 152,700 94,524 58,176
ニジェール 152,370 26,370 126,000
タンザニア連合共和国 134,561 75,148 59,413
ウガンダ 110,859 110,859 0
ブルキナファソ 105,847 52,847 53,000
アンゴラ 100,000 789 99,211
マリ 90,769 39,819 50,950
西アフリカ地域 70,976 70,976 0
ブルンジ 70,000 42,500 27,500
フィジー 66,219 0 66,219
ガンビア 65,000 1,410 63,590
リベリア 60,105 40,105 20,000
バルバドス 59,755 10,000 49,755
カーボベルデ 54,047 52,768 1,279
パプア・ニューギニア 52,286 30,902 21,384
ACP 地域 50,000 0 50,000
モーリタニア 42,582 2,582 40,000
エチオピア 40,000 15,000 25,000
エスワティニ王国 37,929 28,674 9,255
セーシェル 37,669 25,169 12,500
コンゴ民主共和国 27,677 27,677 0
サントメ・プリンシペ 24,500 0 24,500
チャド 15,000 0 15,000
トーゴ 13,374 13,374 0
ナミビア 9,737 9,737 0
コンゴ 7,211 7,211 0
カリブ海地域 5,862 5,862 0
モーリシャス 4,948 4,948 0
ドミニカ 1,970 1,970 0
ベリーズ 1,104 1,104 0
ボツワナ 662 662 0
セント・ヴィンセント・グレナ
129 129 0
ディン
367/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
6,050,526 2,331,234 3,719,292 1.09% 0.94%
小計
D.3.2.3. アジア
2021 年貸付金 2020 年貸付金
プロジェクトが実施されて
貸付金総額 実行済金額 未実行金額 合計額に 合計額に
いる国および地域
対する割合 対する割合
3,126,038 1,560,702 1,565,336
インド
2,466,495 1,090,705 1,375,790
中国
635,000 143,401 491,599
バングラデシュ
331,991 25,160 306,831
ウズベキスタン
287,059 38,647 248,412
ネパール
232,732 68,702 164,030
カンボジア
206,876 156,376 50,500
ベトナム
176,983 49,578 127,405
ラオス人民民主共和国
166,245 9,324 156,921
カザフスタン
155,386 105,386 50,000
スリランカ
112,000 50,000 62,000
キルギス
107,397 59,034 48,363
タジキスタン
84,842 48,719 36,123
モルディブ
83,261 57,914 25,347
モンゴル
50,000 0 50,000
パキスタン
8,222,305 3,463,648 4,758,657 1.48% 1.34%
小計
D.3.2.4. 潜在的候補国
2021 年貸付金 2020 年貸付金
プロジェクトが実施されて
貸付金総額 実行済金額 未実行金額 合計額に 合計額に
いる国および地域
対する割合 対する割合
2,023,320 1,211,729 811,591
ボスニア・ヘルツェゴビナ
202,800 17,000 185,800
コソボ
2,226,120 1,228,729 997,391 0.40% 0.38%
小計
368/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
D.3.2.5. ラテンアメリカ諸国
2021 年貸付金 2020 年貸付金
プロジェクトが実施されて
貸付金総額 実行済金額 未実行金額 合計額に 合計額に
いる国および地域
対する割合 対する割合
1,548,264 870,386 677,878
ブラジル
767,759 430,472 337,287
エクアドル
446,839 113,621 333,218
アルゼンチン
413,551 367,532 46,019
パナマ
286,967 148,044 138,923
ニカラグア
276,010 276,010 0
メキシコ
208,370 120,078 88,292
ペルー
181,882 0 181,882
コロンビア
167,756 10,595 157,161
ラテンアメリカ地域
150,909 95,073 55,836
パラグアイ
112,680 86,398 26,282
ボリビア
83,453 83,453 0
中央アメリカ地域
78,074 69,100 8,974
ホンジュラス
57,897 57,897 0
コスタリカ
35,317 0 35,317
エルサルバドル
4,815,728 2,728,659 2,087,069 0.87% 0.81%
小計
D.3.2.6. 欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国
2021 年 2020 年
プロジェクトが実施されて 貸付金 貸付金
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
いる国および地域 合計額に 合計額に
対する割合 対する割合
1,215,090 969,290 245,800
ノルウェー
555,340 555,340 0
アイスランド
36,508 21,508 15,000
スイス
1,806,938 1,546,138 260,800 0.32% 0.29%
小計
369/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
D.3.2.7. 地中海沿岸諸国
2021 年貸付金 2020 年貸付金
プロジェクトが実施されて
貸付金総額 実行済金額 未実行金額 合計額に 合計額に
いる国および地域
対する割合 対する割合
7,218,622 4,604,067 2,614,555
エジプト
5,310,908 3,305,095 2,005,813
モロッコ
2,696,317 1,721,253 975,064
チュニジア
1,351,965 464,965 887,000
レバノン
1,164,035 565,154 598,881
ヨルダン
872,214 768,612 103,602
イスラエル
422,625 118,722 303,903
ガザ・西岸地区
295,950 295,950 0
アルジェリア
103,000 100,000 3,000
地中海沿岸地域
81,471 81,471 0
シリア・アラブ共和国
19,517,107 12,025,289 7,491,818 3.51% 3.38%
小計
D.3.2.8. 海外の属国および属領(OCT)
2021 年貸付金 2020 年貸付金
プロジェクトが実施されて
貸付金総額 実行済金額 未実行金額 合計額に 合計額に
いる国および地域
対する割合 対する割合
50,214 14,444 35,770
ニューカレドニア
44,218 5,739 38,479
シント・マールテン
13,382 13,382 0
仏領ポリネシア
107,814 33,565 74,249 0.02% 0.02%
小計
D.3.2.9. 東欧諸国、南コーカサス諸国およびロシア
2021 年貸付金 2020 年貸付金
プロジェクトが実施されて
貸付金総額 実行済金額 未実行金額 合計額に 合計額に
いる国および地域
対する割合 対する割合
6,222,290 1,570,092 4,652,198
ウクライナ
1,673,866 929,866 744,000
ジョージア
725,594 428,477 297,117
モルドバ共和国
533,333 173,333 360,000
ベラルーシ
313,914 237,832 76,082
アルメニア
49,458 49,458 0
ロシア連邦
5,446 5,446 0
アゼルバイジャン
9,523,901 3,394,504 6,129,397 1.71% 1.66%
小計
370/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
D.3.2.10. 英国
2021 年 2020 年
プロジェクトが実施されて 貸付金 貸付金
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
いる国および地域 合計額に 合計額に
対する割合 対する割合
32,599,501 31,917,762 681,739
英国
32,599,501 31,917,762 681,739 5.87% 5.95%
小計
D.3.2.11. 南アフリカ
2021 年 2020 年
プロジェクトが実施されて 貸付金 貸付金
貸付金総額 実行済金額 未実行金額
いる国および地域 合計額に 合計額に
対する割合 対する割合
587,676 543,676 44,000
南アフリカ
587,676 543,676 44,000 0.11% 0.17%
小計
欧州連合域外のプロジェクト
100,079,165 72,057,535 28,021,630 18.01% 17.79%
に対する貸付金合計
(1)
556,366,910 433,412,619 122,954,291 100.00%
2021 年貸付金合計
(1)
558,684,458 444,644,328 114,040,130 100.00%
2020 年貸付金合計
(1) 代替貸付金(注B.2およびD.1)を含み、分割貸付債権(2021年:473百万ユーロ、2020年:192百万ユーロ)を除
く。
D.4. 保証業務に係る引当金
EIBが付与した保証に係る引当金は、受益者に対して支払義務を負うと見込まれる損失に対応して認
識されている。2021年12月31日現在、こうした引当金は27,916千ユーロにのぼる(2020年:10,746千
ユーロ)。
371/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注E: 株式およびその他の変動利付証券、参加持分ならびに関係会社株式(単位:千ユーロ)
E.1. 株式、その他の変動利付証券および参加持分
参加持分 株式およびその他の変動利付証券
プライベート・ プライベート・
投資基金
エクイティ エクイティ
および
および および
その他の
(2) (3)
EBRD 持分 合計
インフラ
ベンチャー・ ベンチャー・
持分投資
(1)
キャピタル キャピタル
基金
(1) (1)
事業 事業
取得原価:
2021 年1月1日現在 368,967 5,855,161 157,500 2,568,911 244 8,581,816
(4)
当期取得額 83,732 1,453,753 0 849,826 20 2,303,599
(4)
-115,465 -1,633,373 0 -400,344 0 -2,033,717
売却/満期
337,234 5,675,541 157,500 3,018,393 264 8,851,698
2021 年12月31日現在
評価損益:
2021 年1月1日現在 -34,557 -425,125 0 -93,262 0 -518,387
当期取得額 -3,546 -88,521 0 -24,996 0 -113,517
19,249 153,789 0 23,986 0 177,775
当期減少額
-18,854 -359,857 0 -94,272 0 -454,129
2021 年12月31日現在
純帳簿価額:
318,380 5,315,684 157,500 2,924,121 264 8,397,569
2021 年12月31日現在
334,410 5,430,036 157,500 2,475,649 244 8,063,429
2020 年12月31日現在
(1) オフ・バランスシートで開示されている契約済の未実行額は、それぞれ次のとおりである。
株式およびその他の変動利付証券に関連して:
・ プライベート・エクイティおよびベンチャー・キャピタル事業に対して4,121,195千ユーロ(2020年:
4,041,038千ユーロ)
・ 投資基金およびインフラ基金に対して3,203,307千ユーロ(2020年:3,273,437千ユーロ)
参加持分に関連して:
・ プライベート・エクイティおよびベンチャー・キャピタル事業に対して497,631千ユーロ(2020年:549,016千
ユーロ)
(2) 157,500千ユーロ(2020年:157,500千ユーロ)は、欧州復興開発銀行(「EBRD」)の資本金に対するEIBの応募額
900,440千ユーロに係る2021年12月31日現在のEIBの払込資本である。
(3) 合計額は、株式およびその他の変動利付証券のみを含む。
(4) 「当期取得額」および「売却/満期」の金額には為替変動が含まれている。
2021年12月31日現在、 EIBは、EBRDの応募済資本金の3.03%(2020年:3.03%)を所有している。国際財務報告基準
に準拠して作成されたEBRDの監査済2020年度財務書類に基づいた、EBRDにおけるEIBの正味資本持分は541百万ユーロであ
る。
(単位:百万ユーロ)
持分比率(%) 自己資本合計 純損益合計 資産合計
(*)
EBRD (2020年12月31日) 3.03 17,891 290 69,772
(*) データはEBRDの最新の監査済財務書類に基づいている。
372/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
E.2. 関係会社株式
欧州投資基金
EIF株主総会におけるEIFの2021年2月の増資の承認の結果、EIFの授権資本は2021年度中に額面百万
ユーロの新株2,870株の発行を通じて、45億ユーロから74億ユーロに増加した。
新株の発行は、以下に詳述するように1応募期間で応募が可能な1回の応募で行われた。応募され
た新授権株式は、その額面金額の20%について払込が行われている。残りの80%は、EIF株主総会の決
定を受けて払込請求を行うことができる。この増資において応募された新授権株式についての申込価
格は、外部監査人のレビュー済であり新規発行株式の払込部分を含めた2020年9月30日現在のEIFの財
務データに基づいて、代替株式取得約束(「RSPU」)の算式に従い算定された435,970.88ユーロと決
定された。EIF定款第5条に沿って、EIFの各株主は、当該増資前で当該株主が出資した株数とEIFの全
応募済株数との間の比率に対応して、増資の一部に対して応募する資格を持っていた。その結果とし
て、EIBは2021年2月に約736百万ユーロで、その比例配分部分である1,689株について応募した。
残高1,549,444千ユーロ(2020年:813,089千ユーロ)は、登記上の事務所所在地がルクセンブルク
にある欧州投資基金(「EIF」または「ファンド」)の資本金に対するEIBの応募額4,336,000千ユーロ
(2020年:2,647,000千ユーロ)に係るEIBの払込済額に相当する。
EIBは、EIFの応募済資本金73億ユーロ(2020年:45億ユーロ)の59.40%(2020年:58.82%)を保
有している。
2021年度に、EIBはEIF株式の他の投資家からの購入も、他の投資家への売却も行わなかった。この
結果、EIBが保有するEIFの株数は2021年1月1日時点の2,647株から、2021年12月31日時点では4,336
株へと増加した。
EIFに一時的な資本の救済を提供するために、2020年12月31日に終了した事業年度に、EIFを受益者
としてEIBが発行したEIBの再保証は、EIFの増資にEIBが拠出を行った結果、2021年2月に解除され
た。
2021年度中、欧州委員会(「EC」)が保有するEIFの応募済株式に関するRSPUは解除されたが、EC以
外のEIFの少数株主からの応募済株式に関するRSPUは依然として有効である。
この結果、これらの少数株主が引き受けたEIF株式774株について、EIBはRSPUに基づき、これらの株
式を1株当たり439,717.18ユーロで随時買い取る旨申し入れている。この価格は、EIF払込請求済資本
金に、資本剰余金勘定、法定準備金、留保利益、公正価値準備金および当期純利益を加え、当期配当
金の調整を施した値の1株当たり金額に相当する。合意された算式が、オプションが行使される会計
年度のEIFの承認済かつ監査済年次財務書類に適用されている。
オフ・バランスシートに表示されているEIFの少数株主グループに付与されたプット・オプションの
名目金額340,341千ユーロ(2020年:819,467千ユーロ)は、国際財務報告基準に準拠して作成された
2020年度のEIFの監査済法定決算書に基づいて計算されている。
373/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
(単位:千ユーロ)
持分比率(%) 自己資本合計 純損益合計 資産合計
(*)
EIF (2020年12月31日) 58.82 1,978,727 128,597 3,256,017
(**)
EIF (2021年12月31日) 59.40 3,963,229 553,537 5,175,797
(*) データはEIFの最新の監査済財務書類に基づいている。
(**) データはEIFの未監査財務書類の速報に基づいている。
注F: 無形・有形資産(単位:千ユーロ)
ルクセン 家具備品 有形資産 無形資産
土地
ブルクの建物 および設備 合計 合計
取得原価:
2021 年1月1日現在
20,145 406,099 63,462 489,706 56,046
当期取得額
0 4,550 18,287 22,837 39,619
当期除却額
0 0 -17,793 -17,793 -17,291
2021 年12月31日現在
20,145 410,649 63,956 494,750 78,374
減価償却/償却累計額
2021 年1月1日現在
0 -206,342 -34,893 -241,235 -17,348
当期減価償却/償却額
0 -9,792 -19,071 -28,863 -21,020
当期除却額
0 0 17,793 17,793 17,183
2021 年12月31日現在
0 -216,134 -36,171 -252,305 -21,185
純帳簿価額:
2021 年12月31日現在
20,145 194,515 27,785 242,445 57,189
2020 年12月31日現在
20,145 199,757 28,569 248,471 38,698
ルクセンブルクの建物には、新棟の建設に係る原価67,920千ユーロ(2020年:63,370千ユーロ)が
含まれており、新棟は、2025年に完成予定である。
374/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注G: その他の資産およびその他の負債(単位:千ユーロ)
その他の資産 2021 年12月31日 2020 年12月31日
未収金およびその他債権 99,724 22,911
未収EGF管理報酬 22,448 128
デリバティブの公正価値 18,124 967
保証履行請求債権 12,831 12,986
前払給与および手当 1,100 1,093
3,102 2,405
その他
157,329 40,490
合計
その他の負債 2021 年12月31日 2020 年12月31日
(*)
英国への資本の未払払戻金 2,895,904 3,195,904
任意補足年金制度(注L) 705,302 646,071
EIF年金制度 262,011 225,947
ファースト・ロス一部負担金 202,171 204,070
未払人件費 74,105 76,306
未払金およびその他債務 71,786 60,544
貸付金の未達勘定 35,601 43,289
重債務貧困国(HIPC)イニシアチブに係る未払費用(**) 13,596 13,596
デリバティブの公正価値 10,606 36,686
西バルカン諸国のインフラ基金 393 393
102,034 79,141
その他
4,373,509 4,581,947
合計
(*) グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国の欧州連合および欧州原子力共同体からの離脱協定の第150(4)条
および2020年6月10日付理事会決定(EU)2020/769による修正に従い、EIBは払込請求済資本金の35億ユーロを2020年
10月15日より開始する12回の分割により毎年英国に支払う(最初の11回の分割払いは各300,000,000ユーロで最終回
の支払いは195,903,950ユーロ)。2020年10月15日および2021年10月15日に期日を迎えた分割金は全額が決済され
た。
(**) 重債務貧困国(「HIPC」)イニシアチブ
375/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注H: EIB応募済資本金、自己資本および前年度利益の処分
H.1. EIB応募済資本金明細表
2021年12月31日および2020年12月31日現在
(単位:ユーロ)
2021 年12月31日現在の
(*)
応募済資本金
払込未請求資本金
加盟国
払込請求済資本金
ドイツ
46,722,369,149 42,555,081,742 4,167,287,407
フランス
46,722,369,149 42,555,081,742 4,167,287,407
イタリア
46,722,369,149 42,555,081,742 4,167,287,407
スペイン
28,033,421,847 25,533,049,371 2,500,372,476
ベルギー
12,951,115,777 11,795,972,691 1,155,143,086
オランダ
12,951,115,777 11,795,972,691 1,155,143,086
ポーランド
11,366,679,827 10,352,856,629 1,013,823,198
スウェーデン
8,591,781,713 7,825,458,763 766,322,950
デンマーク
6,557,521,657 5,972,639,556 584,882,101
オーストリア
6,428,994,386 5,855,575,961 573,418,425
フィンランド
3,693,702,498 3,364,251,741 329,450,757
ギリシャ
3,512,961,713 3,199,631,688 313,330,025
ポルトガル
2,263,904,037 2,061,980,655 201,923,382
チェコ共和国
2,206,922,328 2,010,081,290 196,841,038
ハンガリー
2,087,849,195 1,901,628,594 186,220,601
アイルランド
1,639,379,073 1,493,158,667 146,220,406
ルーマニア
1,639,379,073 1,493,158,667 146,220,406
クロアチア
1,062,312,542 967,562,174 94,750,368
スロバキア
751,236,149 684,231,479 67,004,670
スロベニア
697,455,090 635,247,290 62,207,800
ブルガリア
510,041,217 464,549,338 45,491,879
リトアニア
437,633,208 398,599,585 39,033,623
ルクセンブルク
327,878,318 298,634,014 29,244,304
キプロス
321,508,011 292,831,891 28,676,120
ラトビア
267,076,094 243,254,895 23,821,199
エストニア
206,248,240 187,852,433 18,395,807
マルタ
122,381,664 111,466,131 10,915,533
合計
248,795,606,881 226,604,891,420 22,190,715,461
(*) 理事会の決議により、EIBの債務弁済に必要な金額の範囲内で、請求が行われうる。
376/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021年12月31日および2020年12月31日現在
(単位:ユーロ)
2020 年12月31日現在の
(**) (*)
応募済資本金 払込未請求資本金
加盟国
払込請求済資本金
ドイツ
46,722,369,149 42,555,081,742 4,167,287,407
フランス
46,722,369,149 42,555,081,742 4,167,287,407
イタリア
46,722,369,149 42,555,081,742 4,167,287,407
スペイン
28,033,421,847 25,533,049,371 2,500,372,476
ベルギー
12,951,115,777 11,795,972,691 1,155,143,086
オランダ
12,951,115,777 11,795,972,691 1,155,143,086
ポーランド
11,366,679,827 10,352,856,629 1,013,823,198
スウェーデン
8,591,781,713 7,825,458,763 766,322,950
デンマーク
6,557,521,657 5,972,639,556 584,882,101
オーストリア
6,428,994,386 5,855,575,961 573,418,425
フィンランド
3,693,702,498 3,364,251,741 329,450,757
ギリシャ
3,512,961,713 3,199,631,688 313,330,025
ポルトガル
2,263,904,037 2,061,980,655 201,923,382
チェコ共和国
2,206,922,328 2,010,081,290 196,841,038
ハンガリー
2,087,849,195 1,901,628,594 186,220,601
アイルランド
1,639,379,073 1,493,158,667 146,220,406
ルーマニア
1,639,379,073 1,493,158,667 146,220,406
クロアチア
1,062,312,542 967,562,174 94,750,368
スロバキア
751,236,149 684,231,479 67,004,670
スロベニア
697,455,090 635,247,290 62,207,800
ブルガリア
510,041,217 464,549,338 45,491,879
リトアニア
437,633,208 398,599,585 39,033,623
ルクセンブルク
327,878,318 298,634,014 29,244,304
キプロス
321,508,011 292,831,891 28,676,120
ラトビア
267,076,094 243,254,895 23,821,199
エストニア
206,248,240 187,852,433 18,395,807
マルタ
122,381,664 111,466,131 10,915,533
合計
248,795,606,881 226,604,891,420 22,190,715,461
(*) 理事会の決議により、EIBの債務弁済に必要な金額の範囲内で、請求が行われうる。
(**) 注A.1.3を参照のこと。
377/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
H.2. 自己資本および前年度利益の処分(単位:千ユーロ)
自己資本変動計算書 2021年 2020年
資本金:
(2)(3)
- 応募済資本金
248,795,607 248,795,607
(2)(3)
- 払込未請求資本金 -226,604,892 -226,604,892
- 払込請求済資本金
22,190,715 22,190,715
(3)
- 払込請求済だが払込未済の応募済資本金
-344,106 -442,423
- 払込請求済資本金および払込請求済だが払込未済の
応募済資本金 21,846,609 21,748,292
準備金および当期純利益:
準備基金:
- 期首残高
24,328,415 24,328,415
(1)
- 前年度利益処分額 551,146 0
- 期末残高
24,879,561 24,328,415
その他準備金:
- 期首残高
11,398,958 12,349,294
(2)
- 払込請求済資本金への振替:均衡的資本差替え
0 -3,495,904
- 払込請求済だが払込未済の準備金:ポーランドおよび
(3)
ルーマニアの拠出金 0 1,106,917
(1)
- 前年度利益処分額 859,673 1,438,651
- 期末残高
12,258,631 11,398,958
(3)
-774,842 -996,225
- 払込請求済だが払込未済の準備金
- その他準備金および払込請求済だが払込未済の準備金
11,483,789 10,402,733
特別活動準備金:
- 期首残高
11,736,896 10,777,675
(1)
416,058 959,221
- 前年度利益処分額
- 期末残高
12,152,954 11,736,896
一般貸倒準備金:
- 期首残高
2,135,891 2,170,177
(1)
-114,554 -34,286
- 前年度利益処分額
- 期末残高
2,021,337 2,135,891
2,565,998 1,712,323
当期純利益
74,950,248 72,064,550
自己資本合計
(1) 2021年4月23日、総務会は、2020年12月31日終了年度のEIBの当期純利益1,712,323千ユーロを準備基金、その他準
備金、特別活動準備金および一般貸倒準備金に繰り入れることを決定した。一般貸倒準備金または特別活動準備金
からの取崩し/への繰入れが生じているが、これは基礎的業務のリスクの動きに伴うものである。
(2) 2017年3月29日、英国は、欧州連合条約(「TEU」)第50条に従って欧州連合(「EU」)から離脱する決定を欧州理
事会に通知した。英国は、TEU第50条および「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国の欧州連合および欧
州原子力共同体からの離脱協定」(「離脱協定」)に基づき、2020年2月1日をもってEU加盟国でなくなった。英
国のEUからの離脱により、英国は自動的に欧州投資銀行(「EIB」)の構成国でなくなり、応募済資本金の分担も終
了した。
2020年2月1日より、EIBの応募済資本金における英国の分担金は、その全額につき、残りのEU加盟国が按分負担す
る増資をもって差し替えられた。この資本の差替え(均衡的資本差替え)は、EIBにおける英国の応募済資本金の払
込請求済部分に加え、払込未請求部分も対象とするものであった。払込請求済部分の差替えは、EIBの準備金を応募
378/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
済資本金に振り替えることで賄われた。増資の結果、残りの各EU加盟国において、EIBの応募済資本金の払込未請求
(請求可能)持分が按分で増加した。
(3) 注H.3を参照のこと。
H.3. 払込請求済だが払込未済の応募済資本金および準備金(単位:千ユーロ)
2020年3月1日、応募済資本金はポーランドおよびルーマニアからの拠出(それぞれ、
5,386,000,000ユーロおよび125,452,381ユーロ)により、243,284,154,500ユーロから
248,795,606,881ユーロへと増加した(非均衡的増資)。払込請求済の応募済資本金および準備金への
拠出は、それぞれ0.5百万ユーロおよび1.1百万ユーロであった。当該加盟国から支払われる総額は、
10回の均等分割により半年ごとに支払われ、2020年12月31日、2021年6月30日、2021年12月31日、
2022年6月30日、2022年12月31日、2023年6月30日、2023年12月31日、2024年6月30日、2024年12月
31日および2025年6月30日に支払期日を迎える。
2021年12月31日までに期日を迎えた分割金は全額が決済された。
2021 年12月31日 2020 年12月31日
(単位:千ユーロ)
払込請求済だが払込未済の応募済資本金
(ポーランドおよびルーマニア) 344,106 442,423
払込請求済だが払込未済の準備金
774,842 996,225
(ポーランドおよびルーマニア)
1,118,948 1,438,648
合計
注I: 前払金および未収収益ならびに未払金および繰延収益(単位:千ユーロ)
2021 年12月31日 2020 年12月31日
前払金および未収収益
通貨スワップ契約に係る外国為替変動の影響 7,305,157 5,940,603
未収利息および手数料 6,608,018 6,907,958
繰延借入費用 370,279 361,691
委託の受取手数料 91,745 120,056
(*)
スワップに係る未収償還プレミアム 28,774 38,380
1,945 2,496
その他
14,405,918 13,371,184
合計
2021 年12月31日 2020 年12月31日
未払金および繰延収益
未払利息および手数料 7,392,104 7,477,145
通貨スワップ契約に係る外国為替変動の影響 5,472,236 9,761,152
繰延借入収益 1,606,502 1,170,651
(*)
スワップに係る未払償還プレミアム 370,728 372,209
貸付金および保証に係る繰延収益 292,267 283,893
前受利子補助金 92,233 89,027
前受運用報酬 4,380 6,667
2,912 4,983
その他
15,233,362 19,165,727
合計
(*) スワップの未収および未払に係る償還プレミアムは、そのような特性が盛り込まれた契約に係る原スワップ契約の
最終支払額を示す。
379/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注J: 金融機関および顧客に対する債務(単位:千ユーロ)
J.1. 金融機関に対する債務
2021 年12月31日 2020 年12月31日
要求払 4,777,422 4,199,057
-翌日物預金 4,777,422 4,199,057
期日払または通知払 18,895,071 12,316,334
-短期預かり金 178,248 1,560
-金融機関とのレポ取引 5,716,823 4,314,774
(1)
13,000,000 8,000,000
-中央銀行からの借入金
23,672,493 16,515,391
合計
(1) この金額は、ECBの金融政策オペレーションへのEIBの参加を表す。
J.2. 顧客に対する債務
2021 年12月31日 2020 年12月31日
要求払 1,648,539 1,682,533
-翌日物預金 163 2,962
-欧州連合および加盟国口座
412,934 398,386
-特別部門業務および関連未決済金額に係るもの
1,235,442 1,281,185
-預金口座
期日払または通知払 175,542 20,951
175,542 20,951
-短期預かり金
1,824,081 1,703,484
合計
380/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注K: 債務証書借入(単位:千ユーロ)
財務活動におけるEIBの目標の1つとして、特に通貨に関し、その資金調達戦略を貸付金供与に要す
る資金と合致させることが挙げられる。「債務証書借入」の項には、「負債証券」(一般投資家に対
して公募した有価証券)および「 その他 」(私募)が含まれる。下表は、2021年12月31日および2020
年12月31日現在の債務残高の通貨別内訳、ならびに平均利率と満期日(最短/最終)をまとめたもの
である。
2021 年 2020 年
平均利率 平均利率
支払通貨 12月31日 満期日 12月31日
(*) (*)
2021年 2020年
現在残高 現在残高
ユーロ
246,913,410 1.30 2022/2061 245,471,198 1.52
米ドル
105,073,224 1.48 2022/2058 102,980,060 1.79
英ポンド
43,705,819 2.15 2022/2054 42,714,537 2.41
豪ドル
9,703,908 2.59 2022/2042 8,097,915 3.33
スウェーデン・クローナ
6,234,940 1.41 2022/2040 6,625,774 1.51
ポーランド・ズロチ
6,169,375 2.23 2022/2029 6,417,089 2.15
ノルウェー・クローネ
5,541,206 1.77 2022/2037 5,092,022 1.80
カナダ・ドル
4,765,848 2.10 2022/2045 4,251,495 2.24
スイス・フラン
4,179,005 1.90 2022/2036 4,089,335 2.01
南アフリカ・ランド
2,331,323 7.75 2022/2035 2,529,078 8.02
日本円
1,520,384 1.46 2022/2053 2,191,824 1.12
メキシコ・ペソ
1,174,850 6.35 2022/2028 1,359,375 6.09
デンマーク・クローネ
783,195 0.70 2024/2031 782,722 0.71
トルコ・リラ
677,022 10.41 2022/2027 1,407,381 10.14
人民元
472,292 2.56 2022/2024 298,909 2.50
チェコ・コルナ
339,828 2.52 2022/2034 338,599 1.94
ニュージーランド・ドル
271,428 2.57 2023/2028 264,955 2.12
ロシア・ルーブル
140,679 4.75 2022/2026 54,665 5.85
香港ドル
79,246 0.41 2022/2025 131,380 1.56
ルーマニア・レイ
20,812 2.23 2026/2026 0 0
ハンガリー・フォリント
17,065 3.25 2024/2024 165,436 0.82
合計
440,114,859 435,263,749
(*) 貸借対照表日現在の加重平均利率
仕組借入の中には、その元本および利息が株価指数に連動しているものもある(実行時の価額:
2021年は500百万ユーロ、2020年は500百万ユーロ)。借入金はすべて、仕組スワップ・オペレーショ
ンにより十分にヘッジされている。
381/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
下表は、2021年度および2020年度の債務証書借入の変動を示したものである。
2021 年 2020 年
(単位:百万ユーロ)
1月1日現在の残高
435,264 449,322
当期発行額
100,348 150,299
契約に基づく償還
-106,974 -148,992
期限前償還および買戻し
-735 -1,168
為替差額
12,212 -14,197
440,115 435,264
12 月31日現在の残高
注L: 引当金-年金制度および健康保険制度(単位:千ユーロ)
EIB の主な年金制度は職員とEIBからの拠出金を原資とする確定給付年金制度で、全職員が対象とさ
れている。EIBおよびその職員の全拠出額がEIBの資産へ投資されている。
年金制度および健康保険制度の引当金は、以下のとおりである(単位:千ユーロ)。
2021 年 2020 年
職員年金制度:
1月1日現在の引当額
3,102,089 2,795,328
期中支給額
-86,150 -88,037
保険数理損失の認識
435,612 199,833
年間の拠出金および利息
191,604 194,965
職員年金制度小計 3,643,155 3,102,089
経営委員会年金制度
経営委員会年金制度
38,932 35,510
保険数理損失の認識
4,110 3,009
年間の拠出金
3,164 2,541
経営委員会年金制度小計 46,206 41,060
健康保険制度:
1月1日現在の引当額
403,282 359,173
期中支給額
-27,658 -21,452
保険数理損失の認識
60,143 25,938
年間の拠出金および利息
35,902 39,623
471,669 403,282
健康保険制度小計
4,161,030 3,546,431
12 月31日現在引当金合計
上記金額は、任意補足年金制度(確定拠出年金制度)加入者への債務を含んでいない。それに対応
する債務705百万ユーロ(2020年:646百万ユーロ)は、「その他の負債」(注G)に分類されている。
将来の退職給付および健康保険給付に対する引当金は、9月30日現在の加入者データおよび12月31
日までのキャッシュ・フローに基づいて、2021年12月31日付で、独立した保険数理士により、予測単
位積立方式を用いて評価された。この保険数理評価は、2021年12月31日現在の実勢市場金利および以
下の(職員年金制度および健康保険制度に関する)仮定に基づいて2021年12月31日付で更新された。
382/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
1.35 %(2020年:0.75%)
・ 25.5 年(2020年:26.3年)の期間に対応する年金制度および健
康保険制度における未払給付の保険数理上の現在価値を算定す
るための割引率
・ EIB は、退職給付準備金の報酬率を上記割引率1.35%に1.5%
(2020年:1.5%)上乗せしたものに設定されると見込んでい
る。
・ 55 歳から65歳までの間に段階的退職が予想され、NRA(通常の
退職年齢)に左右される(2020年:想定された退職年齢は2021
年よりも低く、NRAに左右されない)
3.5 %(2020年:3.5%)
・ 物価および賃金の平均的上昇率
27%から1% (2020年:26%から
・ 予想年間退職率
0%)で、年齢とともに低下
1.75 %(2020年と同じ)
・ 年金調整率(年)
2018 年度版を使用(2020年:2020
・ 2021 年まで予測したICSLT生命表
年まで予測したICSLT生命表2018年
度版)
3.75 %(2020年:3.75%)
・ 医療費上昇率(年)
このようなスキームのための引当金は、上記の表のとおり、保険数理評価に従って、必要に応じて
調整される。
2020 年、年金制度および健康保険制度に関する保険数理評価は、5,219,205千ユーロの未認識損失で
あった。10%の回廊部分を超過した金額は4,342,642千ユーロで、2021年1月1日から制度加入者の予
想平均残存勤続年数にわたり定額法で認識される予定であった。
2020 年12月31日まで適用されていた会計方針に基づくと、2021年に認識される純損失は、302,267千
ユーロとなるはずであった。
2021 年1月1日から非遡及的に適用された会計方針の変更(注A.2.10.1およびA.2.22)の結果、
2021年12月31日現在の年金制度および健康保険制度の数理計算上の評価額は3,794,769千ユーロの未認
識損失であり、そのうち2,999,189千ユーロは10%の回廊を超えて計上され、2021年の連結損益計算書
に計上された償却費総額は499,865千ユーロとなった。この会計方針の変更(注A.2.22)の結果として
計上された追加的な金額のうち、318,110千ユーロは償却期間の変更によるものであり、マイナス
120,267千ユーロは前年度の数理計算上の差異ではなく当期の数理計算上の差異を使用したことによる
ものである。
383/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注M: 当期純利益
2021年12月31日終了年度の当期純利益2,565,998千ユーロの処分案は、承認を受けるため2022年4月
22日までに総務会に提出される。当事業年度の剰余金の処分案は以下のとおりである。
- その他準備金4,321.1百万ユーロ
- 特別活動準備金-1,849.7百万ユーロ
- 一般貸倒準備金94.6百万ユーロ
注N: 受取利息および類似収益ならびに支払利息および類似費用
N.1. 正味受取利息(単位:千ユーロ)
2021 年 2020 年
受取利息および類似収益:
中央銀行担保適格国庫証券およびその他短期証券ならびに負債証券
(確定利付証券を含む)
186,035 259,304
金融機関および対顧客貸付金および預け金
5,954,225 6,917,085
デリバティブ
10,189,276 10,799,057
有利子負債に係るマイナス金利
130,677 57,660
合計
16,460,213 18,033,106
支払利息および類似費用:
金融機関および顧客に対する債務
-1,712 -4,828
債務証書借入
-7,134,932 -8,548,961
デリバティブ
-5,583,363 -6,038,607
利付資産に係るマイナス金利
-409,124 -244,014
その他
-146,087 -135,196
合計
-13,275,218 -14,971,606
正味受取利息
3,184,995 3,061,500
384/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
N.2. 受取利息および類似収益の国別分析(単位:千ユーロ)
2021 年 2020 年
欧州連合加盟国
スペイン
759,172 860,839
ポーランド
485,490 529,331
ギリシャ
449,134 474,384
フランス
448,293 477,584
イタリア
424,701 473,357
ドイツ
296,208 318,365
オーストリア
255,563 261,079
オランダ
159,011 173,982
ベルギー
150,872 170,796
ポルトガル
145,230 215,698
ハンガリー
130,417 137,575
スウェーデン
124,908 110,274
アイルランド
87,233 87,940
ルーマニア
69,839 76,096
スロバキア
66,574 66,897
フィンランド
66,435 65,090
クロアチア
48,123 52,333
スロベニア
39,729 43,224
ブルガリア
38,922 40,572
チェコ共和国
31,005 42,979
ルクセンブルク
19,964 2,821
リトアニア
18,172 26,356
デンマーク
18,151 22,149
ラトビア
14,475 14,848
キプロス
9,356 11,582
マルタ
9,197 9,582
エストニア
4,169 4,633
欧州連合加盟国の合計
4,370,343 4,770,366
欧州連合域外
1,573,979 2,057,599
国別分析対象の収益合計
5,944,322 6,827,965
(1)
国別分析の対象外の収益
10,515,891 11,205,141
受取利息および類似収益の合計
16,460,213 18,033,106
(1) 国別分析の対象外の収益:
・ 長期HQLAポートフォリオおよび代替貸付金ポートフォリ
オからの収益 144,153 165,276
・ 有価証券流動性ポートフォリオからの収益 30,765 44,552
・ 短期金融市場証券からの収益 11,104 49,458
・ その他有価証券からの収益 13 18
・ 短期投資およびその他の事業からの収益 140,580 146,780
385/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
10,189,276 10,799,057
・ デリバティブからの収益
10,515,891 11,205,141
注O: 受取手数料および支払手数料(単位:千ユーロ)
2021 年 2020 年
受取手数料:
保証手数料 135,013 111,497
インベストメント・ファシリティ「コトヌー」の手数料 55,682 61,215
貸付金手数料収益 35,014 12,020
Jaspers手数料 27,214 30,499
EGFの手数料 23,534 64
EFSIの手数料 17,624 14,306
InnovFinの手数料 13,694 33,383
Jessicaの手数料 11,532 8,348
近代化基金の手数料 9,268 0
近隣インベストメント・ファシリティの手数料 1,939 4,395
コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティの手数料 1,926 7,927
ヤウンデ/ロメ協定の手数料 1,250 1,646
グループ内サービスからの受取手数料 7,277 4,507
33,674 39,353
その他の委託に係る手数料
374,641 329,160
受取手数料合計
2021 年 2020 年
支払手数料
保証人へのリスク報酬 -410,647 -302,635
グループ内サービスからの支払手数料 -65,246 -56,123
-23,730 -25,014
その他の支払手数料
-499,623 -383,772
支払手数料合計
386/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注P: 金融業務損益(単位:千ユーロ)
2021 年 2020 年
株式およびその他の変動利付証券に係る純損益 29,885 -138,540
貸借対照表上のポジションの換算に係る純損益 252 -3,551
デリバティブの純損益 44,214 -43,112
-32,708 24,689
負債証券ポートフォリオの純損益
41,643 -160,514
金融業務損益合計
注Q: その他業務収支(単位:千ユーロ)
2021 年 2020 年
賃貸料収益 11,775 8,168
過年度未使用引当金の戻入れ 4,276 3,309
EIF 株式売却 0 2,288
-5,797 2,144
その他
10,254 15,909
その他業務収支合計
注R: 一般管理費(単位:千ユーロ)
2021 年 2020 年
(*)
給与および手当 -488,110 -452,484
-728,013 -441,406
福利厚生費およびその他人件費
-1,216,123 -893,890
人件費
-250,692 -236,740
その他の管理費
-1,466,815 -1,130,630
一般管理費合計
(*) このうち経営委員会委員に対する金額は、2021年12月31日現在が3,441千ユーロ、2020年12月31日現在は3,113千
ユーロである。
EIBの職員数は、2021年12月31日現在、3,816名(2020年12月31日現在は3,542名)であった。
注S: オフ・バランスシートの借入債務支払に係る特別預け金
この項目は、EIBが支払代理人に支払ったが、EIBが発行した債券の保有者による支払いのための呈
示がなされていない期日の到来したクーポンおよび債券の金額に相当する。
387/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
(*)
注T: 金融商品の公正価値
EIBは貸借対照表日において、(有価証券流動性ポートフォリオを除き)負債の場合は受領額、資産
の場合は取得のための支払額を示す外貨建ての取得原価に基づき、貸借対照表の金融商品を計上して
いる。下表は、資産または負債に計上されている金融商品(主として貸付金、財務、有価証券、借
入)の公正価値と帳簿価額とを比較したものである。
(**)
帳簿価額
公正価値
2021 年12月31日現在(単位:百万ユーロ)
金融資産:
現金、中央銀行および郵便局預け金 1,483 1,483
金融機関および対顧客貸付金および預け金(代替貸付金を除く) 491,285 519,818
短期国庫証券および負債証券ポートフォリオ
(代替貸付金を含む) 46,461 46,681
8,716 17,343
株式、その他の変動利付証券および参加持分
547,945 585,325
金融資産合計
金融負債:
金融機関および顧客に対する債務 25,497 25,396
440,115 478,602
債務証書借入
465,612 503,998
金融負債合計
(*) デリバティブはこの表には含まれていない。注Vを参照のこと。
(**) 経過利息を含めた公正価値
(**)
帳簿価額
公正価値
2020 年12月31日現在(単位:百万ユーロ)
金融資産:
現金、中央銀行および郵便局預け金 835 835
金融機関および対顧客貸付金および預け金(代替貸付金を除く) 485,733 527,302
短期国庫証券および負債証券ポートフォリオ
(代替貸付金を含む) 43,374 43,926
8,398 12,258
株式、その他の変動利付証券および参加持分
538,340 584,321
金融資産合計
金融負債:
金融機関および顧客に対する債務 18,219 18,202
435,264 491,720
債務証書借入
453,483 509,922
金融負債合計
(*) デリバティブはこの表には含まれていない。注Vを参照のこと。
(**) 経過利息を含めた公正価値
388/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注U: リスク管理
本注記は、EIBのリスクに対するエクスポージャーならびにその管理および統制についての情報を、
特に金融商品の使用に関連した主なリスクについて記載している。それらは以下のとおりである。
- 信用リスク-決済リスク等、顧客またはカウンターパーティーのデフォルトにより発生する損
失のリスクで、あらゆる形式の信用エクスポージャーから発生する。
- 金利リスク-金利感応商品に影響を及ぼす金利の不利な変動から生じるEIBの投資の利益および
経済価値の両方に対するリスクで、ギャップリスク、ベーシスリスクおよびオプションリスク
を含む。
- 流動性および資金調達リスク-EIBが合理的な価格により、あるいは、極端な状況下ではいかな
る価格によっても、資金調達または義務の履行ができないリスク。
- 為替レートリスク-為替レートの不利な変動が原因で、EIBのポジションから得られる経済価値
または収益の変動性から生じるリスク。
- オペレーショナル・リスク-不適切もしくは機能不全のプロセスもしくはシステム、人的要因
から発生する、外部事象による損失リスクで、法務リスクを含むが、戦略リスクおよび風評リ
スクは除かれる。
2021年には、リスクの管理とモニタリング専任のチームを含む職員の大半がテレワークで勤務して
いた。このような業務に関連して、ポジション管理システムは、通常の状況下と同一の機能性で、フ
ロント・オフィス、ミドル・オフィスおよびバック・オフィスの職員に加えて、リスク管理の職員も
リモートモードで利用が可能であった。
リスク管理組織
EIBの目的は、その資産、財務的業績、ひいては自己資本を可能な限り最大限に守るため、リスクを
分析・管理することにある。EIBは一般にEUの機関、機構および局によって発令または採択される商業
銀行に適用される法や指針(「EU法および指針」)の適用を受けないが、EIBはその任意の決定によ
り、EIBが公表しているベスト・バンキング・プラクティスの指針的原則を含むベスト・バンキング・
プラクティスの枠組みで特定されるEU法および指針を遵守することとしている。
グループ・リスク・コンプライアンス部門(GR&C)は、EIBがさらされている信用リスク、市場リス
ク、流動性および資金調達リスク、オペレーショナル・リスクを独立した立場から特定、評価、モニ
タリングおよび報告する。GR&Cは、職務分掌を維持するために、そして3つの防衛線の原則に従っ
て、フロント・オフィスから独立した組織となっており、リスクに関するすべての提案に対して、セ
カンド・オピニオンを提供する。グループは、グループ最高リスク責任者(「GCRO」)が率いるグ
ループ・リスク課を設置している。総裁およびEIB経営委員会のそれぞれの法定責任が影響を受けるこ
となく、GCROはグループ・リスクについて、リスク担当の経営委員会委員の監督の下、EIB経営委員会
に報告する。GCROは、GCROの権限内の事項に関して、EIB経営委員会および他のEIBの統治機関の関連
するすべての会議に参加する。
以下の項では、EIBが自己のリスク負担において実施する活動の中でさらされる信用リスク、市場リ
スク、流動性および資金調達リスク、オペレーショナル・リスクについて開示している。詳細につい
ては、EIBグループ・リスク管理開示報告書を参照のこと。
リスクの測定および報告システム
EIB は、変化する経済情勢や進化する規制当局の基準に合わせて、リスク管理システムを調整してい
る。市場慣行が発達するにつれ、EIBも継続的にそれらを適応させている。EIBの業務に内在する主な
389/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
リスク、すなわち、信用リスク、金利リスク、流動性および資金調達リスク、為替レートリスクなら
びにオペレーショナル・リスクを統制し、報告するため、管理システムを導入している。
リスクは、EIBの支払能力、流動性、利益および業務への影響を定量化することを目的として、通常
の環境下および起こり得るストレス状態下で、評価・測定される。リスク測定では、資本構成、利
益、流動性、市場に対するエクスポージャーおよびオペレーショナル・リスクの指標を組み合わせ
る。
信用リスク、ALMリスク、流動性リスク、財務リスクおよびオペレーショナル・リスクに関する詳細
な情報は、経営委員会および理事会に対して毎月報告される。かかる情報は、経営委員会および理事
会のリスク方針委員会に対して定期的に報告・説明される。
EIB のリスク選好
リスク選好とは、EIBがその公的使命と目的との関連において、業務の遂行の中で進んで負担し、か
つ負担できるリスクの水準である。この鍵は、全EU加盟国(さらにはパートナーシップ参加国)全体
に魅力的な条件でEUの目益に適う長期資金を提供するEIBの能力が、リスク選好の鍵となる。EIBのビ
ジネスモデルの主たる柱は、主要格付機関による長期格付でAAA格を維持することである。EIBがリス
ク選好を管理するために実施するプロセスおよび業務は、理事会によって承認されたEIBリスク選好の
枠組み(「RAF」)において正式に決定されている。RAFは、主要な財務リスク(信用リスク、流動性
リスク、市場リスク、財務リスクを含む)と非財務リスク(オペレーショナル、情報、コミュニケー
ション、テクノロジー、行動、コンプライアンス、および風評に関するリスクを含む)を対象として
いる。RAFは、測定可能なリスク選好指標の導入およびモニタリングを通じてEIBに健全なリスク文化
を根付かせる作用があり、このリスク選好指標には限度額が適用され、(場合により)EIBの下位組織
へと落とし込まれる。EIBのRAFは、自己のリスク負担およびリスク・シェアリング契約に基づく貸付
業務、EIFに委託された業務、資金調達および財務活動を対象としている。
EIB は公的金融機関として、リスクに対する投機的エクスポージャーにより収益を獲得することを目
指していない。その結果、それぞれに業績目標が定められていても、EIBは財務活動や資金調達・提供
活動を利益の最大化を図る中心的業務とみなしていない。投資活動は、投資資本の保護という主目的
の範囲内で行われる。よって、EIBの貸付業務や借入業務で生じるエクスポージャーに関しては、すべ
ての重要な市場リスクのヘッジを確保することが、EIBの財務リスク管理方針の主要原則とされてい
る。
EIB は、金利(IR)リスク(ギャップリスクおよびベーシスリスク)ならびにFXリスクを管理するた
めの枠組みを整備している。EIBはIRおよびFXのポジションを日次でモニターし、適用される限度内で
管理している。
オペレーショナル・リスクや財務リスクを招く新しい種類の取引はすべて、新商品委員会の承認を
受けた上で改めて経営委員会の承認を取得することが義務付けられており、その承認を受けた限度枠
の範囲内で管理されている。
収益の持続可能性および自己資金力
EIBの金利リスク戦略方針は、EIBの全体的な財務リスク管理で不可欠な部分を占めている。この方
針は、利益の安定性、自己資本の経済価値の保持、EIBの長期成長資金の自力調達に関する、EIBの主
要利害関係者の期待を反映した内容になっている。
これらの目標を達成するため、金利リスク戦略方針では、一段の収益安定と全体的なリターンの拡
大を目指して、自己資本投資に中・長期物価スライド方式を採用している。この物価スライドの方針
390/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
は、中・長期利回りに対するエクスポージャーを意味しており、金利の趨勢に関する短期的な見方に
左右されることはない。
EIBの自己資本の目標投資期間を現在は4.5年から5.5年の間に設定することで、この方針は達成され
ている。
資産負債委員会(「ALCO」)は、EIBの金利リスク戦略、貸出金利設定原則およびEIBの活動から生
じる財務リスクを検討するために上級経営陣による会議を開催する。
U.1. 信用リスク
信用リスクは主にEIBの貸付業務および負債証券、譲渡性預金、銀行間の定期預金等の財務商品なら
びにEIBのデリバティブおよび保証取引に関するものが含まれている。デリバティブの使用に関する信
用リスクについては、「デリバティブ」のセクション(注V)で分析する。
信用リスクは、詳細な行内指針に沿って管理されている。こうした指針の目的は、信用リスクの慎
重な管理が確実に行われるようにする点にある。ある事業体がEIBの貸付業務のカウンターパーティー
として認められるか否かは、定量的および定性的指標を用いた当該事業体の注意深い分析および評価
に基づくだけでなく、経験および専門家の判断にも依拠して決定される。同指針は、貸付業務の債務
者、保証人双方について最低限の信用の質の水準を定めており、許容される取引構造も特定してい
る。また、EIBの地位が十分に保護されるように、主要な法的条項や他の契約条件の点で貸付契約が満
たしていなければならない最低基準も、細かく定めている。貸付金ポートフォリオの分散は、カウン
ターパーティー別限度額の枠組みおよび主要産業の業種別限度額によって支えられている。複雑な貸
付取引または仕組貸付取引に含まれる追加的なリスクの十分な分析、計量および軽減が確実になされ
るように、特定の種類の業務に関して具体的で詳細な指針が策定され、これが一般指針を補完してい
る。リスクの分析にあたっては、EIBは内部格付制度を適用し、カウンターパーティーに内部格付を付
与している。
信用リスク管理指針は、進化している業務環境および適用されるベスト・バンキング・プリンシプ
ルの変更を盛り込み、EIBが受領する新たなマンデートに対応できるよう、定期的に調整されている。
EIBの貸付金ポートフォリオの質は現在も引き続き高水準である。EIBは厳格なデューデリジェン
ス・プロセス、十分な水準の担保および保証に基づくリスク管理戦略や貸付金契約に含まれる標準的
な保護条項に依拠している。
いずれの時点においても、EIBが供与する貸付金および保証の総額は、定款で定められたギアリング
比率(定款第16.5条)で制限されている。この比率を算出するために、EIBは欧州連合会計指令
(「AD」)の枠組みによるデータを使用している。2021年度末時点で、EIBの定款で定められたギアリ
ング比率は、EU会計指令準拠の個別財務書類に基づくと202.7%(2020年:203.0%)、EU会計指令準
拠の連結財務書類に基づくと206.6%(2020年:205.8%)であった(定款第16.5条に基づく上限は
250%)。
U.1.1. 貸付金
貸付金に関する信用リスクを測定・管理するために、EIBは一般に認められた基準に基づいて、債務
者の質および取引の構造、そして適当な場合は差し入れられた担保の質に応じて貸付業務の格付を
行っている。
未実行分も含めた2021年12月31日現在の貸付金ポートフォリオの債務者と保証人の構成を以下に分
析する。
391/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
下表は、EIBが供与するプロジェクトに対する締結済貸付金を表示している(単位:百万ユーロ)。
ただし、外部貸付マンデート(ELM)およびコトヌー協定に基づいて供与された欧州連合域外の貸付金
(*)
のうち、欧州連合予算または加盟国(ACP諸国およびOCTにおける貸付金の場合)の保証 によりグ
ルー プが最終的に保護されるものを除く。
(*) こうした保証は、包括型(すべてのリスクが対象)か、または定義された政治リスク(送金の停止、
収用、戦争または市民暴動、契約違反時の裁判拒否)に限定されているかのいずれかである。
392/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021 年の 2020 年の
保証人
(1)
国 公共機関 銀行 企業
無保証
債務者
合計 合計
国 0 0 0 0 61,631 61,631 59,522
公共機関 32,417 23,129 367 397 88,813 145,123 141,679
銀行 37,308 22,368 14,757 14,520 27,710 116,663 127,783
8,133 4,461 7,657 35,506 110,353 166,110 161,848
企業
(2)(3)(4)(5)
77,858 49,958 22,781 50,423 288,507 489,527
2021 年の合計
(2)(3)(4)(5)
77,914 48,599 28,242 54,222 281,855 490,832
2020 年の合計
(1) これらの金額には、債務者の支払能力自体が妥当な担保となっているため、債務者および貸付金自体以外の正式な
保証が不要な貸付金も含まれている。所定の事由が発生した場合には、適切な契約条項により、EIBが独立した担保
を請求できる権利が確保されている。
(2) 2021年12月31日現在のリスク・シェアリング業務(加盟国保証または政治リスク保証の形でのEU予算により信用補
完されている)における貸付金は、2,687百万ユーロ(2020年:3,408百万ユーロ)であった。
(3) この金額に、契約済代替貸付金(2021年:17,953百万ユーロ、2020年:20,003百万ユーロ)は算入されていない。
(4) これらの金額は、現在の欧州連合加盟国が欧州連合への加盟を認定される前に供与された貸付金であって、欧州連
合予算または加盟国により保証されているものを除いている。
(5) EIBは、EFSI SMEウィンドウおよび欧州保証基金に関連して、コミットメント総額が9,187百万ユーロ(2020年:
3,300百万ユーロ)を超えない資金供与枠を締結した。EIBは、確定的なコミットメントがそれぞれの基礎的なリス
クを伴うカウンターパーティーとの間で締結され、資金供与枠の引出が予期される場合に、未実行エクスポー
ジャーを認識する。
EIBの優先債権者の地位およびEIB定款による保護は、満期時におけるEIB資産の全額回収を保証する
と思われるため、EIBは、期末現在の欧州連合加盟国ソブリン債および欧州連合加盟国ソブリン保証債
のエクスポージャーに関して、2020年においても、2021年においても、評価損益を計上しなかった。
393/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
下表は、EIBが全額の自己リスクまたは信用補完による残余リスクを負担する貸付金(「リスク・
ポートフォリオ」)に係るソブリン信用リスクに関する情報を開示している(ただし、欧州連合予算
またはELMおよびコトヌー協定に基づく加盟国保証の恩恵を受ける欧州連合域外への貸付金を除く)。
( 単位:百万ユーロ)
2021 年 2020 年
保証人となって 保証人となって
債務者となっているもの 債務者となっているもの
いるもの いるもの
国名
実行済金額 未実行金額 契約済金額 実行済金額 未実行金額 契約済金額
オーストリア
0 0 146 0 0 33
ベルギー
0 0 186 0 0 61
ブルガリア
1,107 0 115 1,145 0 110
クロアチア
633 210 2,702 662 210 3,158
キプロス
900 359 1,348 890 222 1,465
チェコ共和国
1,068 784 0 1,247 743 0
デンマーク
0 0 271 0 0 240
エストニア
452 120 91 525 0 99
フィンランド
0 0 92 6 0 59
フランス
0 0 3,428 0 0 2,927
ドイツ
0 0 1,659 0 0 1,377
ギリシャ
7,756 1,192 8,852 7,790 695 9,060
ハンガリー
6,011 1,143 1,099 5,990 985 1,118
アイルランド
1,665 0 1,154 1,440 225 1,105
イタリア
4,755 2,160 6,397 3,756 1,720 6,516
ラトビア
337 400 12 341 400 21
リトアニア
2,110 0 54 2,170 0 51
ルクセンブルク
150 0 236 300 0 240
マルタ
0 72 297 0 72 313
オランダ
0 0 205 0 0 75
ポーランド
6,254 1,472 17,123 7,167 1,380 16,562
ポルトガル
1,163 600 3,903 1,196 400 4,484
ルーマニア
1,847 2,052 0 1,853 1,647 0
スロバキア
2,399 541 88 2,299 641 50
スロベニア
530 400 1,366 549 400 1,662
スペイン
4,215 0 22,558 5,110 0 22,278
スウェーデン
0 0 136 0 0 52
非EU加盟国
1,813 4,961 4,340 1,637 3,709 4,798
合計
45,165 16,466 77,858 46,073 13,449 77,914
下表は、ELMおよびコトヌー協定に基づき、EU予算または加盟国の保証の恩恵を受ける、EU域外のプ
ロジェクトに対する締結済み貸付金を示している(単位:百万ユーロ)。
2021 年12月31日 2020 年12月31日
以下による保証:
394/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
加盟国
3,945 4,195
(1)
欧州連合予算
47,629 47,062
(2)(3)
合計
51,574 51,257
(1) このうち2,687百万ユーロ(2020年:3,408百万ユーロ)は、上記で説明したリスク・シェアリング業務(加盟国保
証または政治リスク保証の形でのEU予算により信用補完されている)による。
(2) 現在の欧州連合加盟国が欧州連合への加盟を認定される前に供与された貸付金であって、欧州連合予算または加盟
国により保証されている貸付金を含む。
(3) EIBが供与した総額459.1百万ユーロ(2020年:423.8百万ユーロ)の金融保証は、加盟国または欧州連合予算によっ
て保証されている。上記の保証は上記の表に示されている内訳には含まれていない。
395/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
EU 予算または加盟国保証に基づくプロジェクトに対する貸付金 (単位:百万ユーロ)
(新規加盟国で加盟以前に実行された貸付金を含む。)
契約済貸付金の保証形態別内訳
2021 年12月31日 2020 年12月31日
協定
加盟国による75%グローバル保証
8 21
- ACP/OCT 第4次ロメ協定-第2次財務議定書
8 21
加盟国による75%グローバル保証合計
加盟国による75%保証
- コトヌー・パートナーシップ協定
198 314
- 第2次コトヌー・パートナーシップ協定
1,172 1,302
- コトヌー議定書3 -OR/ACP
2,473 2,478
94 80
- コトヌー議定書3 -OR/OCT
3,937 4,174
加盟国による75%保証合計
3,945 4,195
加盟国による保証合計
欧州連合予算による100%保証
- ロシア-100百万・2001年-2005年
16 18
- ロシア-500百万・2004年-2007年 131 147
147 165
欧州連合予算による100%保証合計
欧州連合予算による70%保証
- 南アフリカ-375百万・1997年1月29日決定
14 16
- ボスニア・ヘルツェゴビナ-100百万・1999年/2001年
11 19
- ユーロメッド(EIB)-2,310百万・1997年1月29日決定
14 25
- 北マケドニア-150百万・1998年/2000年
9 12
- CEEC -3,520百万-1997年1月29日決定 75 120
123 192
欧州連合予算による70%保証合計
欧州連合予算による65%保証
- 南アフリカ-825百万・2000年7月-2007年1月
86 98
- 南アフリカ-2007年2月-2013年12月決定
142 311
- ALA III -2,480百万・2000年2月-2007年7月
88 100
- ALA デシジョン-2007年2月-2013年12月
1,484 1,536
- ユーロメッド II-6,520百万・2000年2月-2007年1月
928 1,246
- 南東近隣諸国-9,185百万・2000年2月-2007年7月
2,542 2,836
- トルコ・スペシャル・アクション-450百万・2001年-2006年
98 105
- トルコ-TERRA-600百万・1999年11月-2002年11月
244 264
- PEV EE/CAS/RUS 2007 年2月1日-2013年12月31日
1,877 1,983
- PEV MED 2007 年2月1日-2013年12月31日
5,180 5,831
- 加盟候補国-9,048百万・2007年-2013年
5,127 5,529
- 気候変動マンデート・2011年-2013年
1,056 1,163
- ELM アジア2014年-2020年
1,276 1,238
- ELM 中央アジア2014年-2020年
352 304
- ELM 東ロシア2014年-2020年
7,258 6,876
- ELM ラテンアメリカ諸国2014年-2020年
2,757 2,537
- ELM MED2014 年-2020年
9,650 8,139
- ELM 加盟候補国2014年-2020年
4,151 3,682
- ELM RSA2014 年-2020年
272 440
- ELM ERI 民間マンデート
1,394 1,211
- ELM ERI 公共機関マンデート 1,397 1,276
47,359 46,705
欧州連合予算による65%保証合計
47,629 47,062
欧州連合予算による保証合計
(1)
51,574 51,257
合計
(1) EIBが供与した総額459.1百万ユーロ(2020年:423.8百万ユーロ)の金融保証は、加盟国または欧州連合予算によっ
て保証されている。上記の保証は上記の表に示されている内訳には含まれていない。
396/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
貸付金に付する担保 (単位:百万ユーロ)
その他の信用リスク軽減手段の中のひとつとして、EIBは、金融有価証券に質権を設定する手法を使
用している。これらの質権は、関連する法域で執行可能な質権設定契約によって設定される。質権設
定契約により受け取った担保のポートフォリオは12,596百万ユーロ(2020年:17,943百万ユーロ)で
あ り、その内訳は以下の通りである。
貸付金融担保(単位:百万ユーロ)
2021 年12月31日現在
債券
担保付債券
同等の ムーディーズ 格付
現金 合計
国際 政府 銀行債
政府債 (カバード・
機関債 機関債 および社債
ボンド)
Aaa 189 181 4 40 62 0 476
Aa1 からAa3 1,042 14 10 694 149 0 1,909
A1 48 0 0 17 14 0 79
A1 未満 8,212 0 39 94 598 0 8,943
41 0 0 0 705 443 1,189
格付なし
9,532 195 53 845 1,528 443 12,596
合計
貸付金融担保(単位:百万ユーロ)
2020 年12月31日現在
債券
担保付債券
同等のムーディーズ格付
現金 合計
国際 政府 銀行債
政府債 (カバード・
機関債 機関債 および社債
ボンド)
Aaa 327 79 0 68 87 0 561
Aa1 からAa3 1,044 20 38 917 217 0 2,236
A1 17 0 0 31 57 0 105
A1 未満 11,683 0 170 1,005 832 0 13,690
41 0 0 0 722 588 1,351
格付なし
13,112 99 208 2,021 1,915 588 17,943
合計
397/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
12 月31日現在の実行済貸付残高の債務者の契約業種別明細(単位:百万ユーロ)は以下のとおりで
ある。
2021 年 2020 年
業種
運輸
129,253 129,299
(1)
グローバル・ローン
66,306 74,884
エネルギー
62,255 63,790
医療・教育
36,296 35,787
その他インフラ
32,571 30,768
工業
28,518 28,301
上下水道施設
27,761 28,061
サービス
16,980 18,332
電気通信
11,282 11,208
農業・漁業・林業
4,238 4,212
(2)
合計
415,460 424,642
(1) グローバル・ローンとは、金融仲介機関または銀行に提供する融資枠で、その後にそれらの機関または銀行が、自
らリスクを負担してその資金を官民が請け負う中小規模のプロジェクトに転貸するというものである。
(2) この金額に、実行済代替貸付金(2021年:17,953百万ユーロ、2020年:20,003百万ユーロ)は算入されていない。
貸付金に係る延滞
延滞額の特定、監視、報告は、全行的な「財務的監視ガイドラインおよび手続き」に定義される手
続きに従って行われている。こうした手続きは、銀行業務のベストプラクティスに沿っており、EIBが
管理するすべての貸付金について適用される。
1a.欧州連合または加盟国によるグローバル/包括保証により担保されていない貸付金の延滞:
2021年12月31日現在、自己資金源からの貸付金で90日を超える延滞が生じ、欧州連合または加盟国
の包括保証により担保されていないものは、116.3百万ユーロ(2020年:117.1百万ユーロ)である。
2021年12月31日現在のこれらの延滞が生じている貸付金に関連する元本金額は、531.3百万ユーロ
(2020年:187.8百万ユーロ)である。これらの延滞が生じている貸付金契約は、貸倒引当金74.5百万
ユーロ(2020年:136.9百万ユーロ)によりカバーされている。
1b.欧州連合または加盟国によるグローバル/包括保証により担保されていない貸付金の延滞につい
ての保証請求:
2021年には、欧州連合の政治リスク保証に基づく24.1百万ユーロの履行請求があり(2020年:ゼ
ロ)、年間を通じて、以前からの履行請求金額のうち0.1百万ユーロが弁済された(2020年:なし)。
さらに、2021年中、請求払民間保証に基づく357.5百万ユーロの履行請求があった(2020年:ゼ
ロ)。
398/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2a. 欧州連合または加盟国によるグローバル/包括保証(請求可能)により担保されている貸付金の
延滞:
このような貸付金については、期限が経過した場合に、可能であればまず第一次保証に基づき履行
を請求し、それ以外の場合は加盟国または欧州連合による保証に基づき正式に履行を請求する。
2021 年12月31日現在、こうした90日超の延滞が生じている額は2.4百万ユーロ(2020年:4.0百万
ユーロ)であった。
2b. 欧州連合または加盟国によるグローバル/包括保証により担保されている貸付金の延滞について
の保証請求:
2021年中、欧州連合による保証の履行請求が68.4百万ユーロあり、加盟国保証に基づく履行請求は
なかった。2020年における応当額は、それぞれ52.4百万ユーロおよびゼロであった。
2021年中、以前に欧州連合または加盟国による保証に基づく履行請求のうち、0.4百万ユーロ(2020
年:ゼロ)が弁済された。
貸付金の再交渉と支払猶予
EIBは、支払猶予措置がとられた貸付金を、支払猶予貸付金(すなわち、貸付金、負債証券および
ローン・コミットメント)とみなしている。支払猶予措置はEIBの「譲歩」によるもので、財務困難に
より契約上の債務返済条項を遵守できないとみなされる債務者に対して、債務返済または契約の全部
もしくは一部の借換えができるようにするために、EIBが決定するものである。エクスポージャーは、
延滞の有無、または当該エクスポージャーが債務不履行に分類されているか否かに関わらず、譲歩が
行われた場合には支払猶予として取り扱う。債務者が財務困難に陥っていない場合には、当該エクス
ポージャーは支払猶予として取り扱わない。
通常の事業の過程においては、再交渉の前に問題が生じている貸付金の貸付金格付(LG)は低下し
ており、貸付金は集中的に監視されている。再交渉された場合、EIBは、当該貸付金を厳格に監視し続
けることとなる。再交渉による支払条件では当初の簿価が回収できない場合、EIBは損益計算書に評価
調整額を計上することを検討する。LGが「E-」まで低下した貸付金はすべて、定期的に評価損計上の
必要性が検討され、LGが「F」の貸付金は、すべて評価損計上の対象とされる。 貸付金のLGが十分に
回復した場合には、EIBの手続きに沿って、当該貸付金はその段階で定期的にモニターされる。
EIBはまた、特定の状況下にある債務者が利用できる多くの支援措置を提供しており、これには (i)
財務制限条項およびその他の重要条項の暫定的な条件緩和(権利放棄を含む)、(ii) 新たな返済スケ
ジュールの設定または返済義務の一時凍結によるキャッシュ・フローの再構築、ならびに (iii) 新規
契約の締結、ローンの実行前倒しおよび債務者貸付の増額など、その他の一定の補完的支援策が含ま
れる。EIBは、具体的状況における制約の下で、かかる措置の申請を案件ごとに評価している。こうし
た措置は、構造的な財政の困難またはソルベンシー上の問題に陥っているわけではなく、かかる措置
の供与の時点で、ゴーイング・コンサーンとみなされる債務者に提供されることを意図している。評
価の結果として、債務者がこれらの要件を満たさない場合、またはEIBが債務者のビジネスモデルの長
期的持続可能性についてリスクを特定した場合に、EIBは他の適切な措置を検討し、必要な場合には、
EIBの標準的な条件変更のプロセスに従う。
こうしたEIBの支援措置は、COVID-19の具体的な経済効果への対応の一環としては、2021年6月以降
利用できなくなっている。
EIBの再編チームが報告期間中に着手した支払猶予措置および手続きには、返済期限の延期、元本返
済のみの繰延、元利返済の繰延、重大な財務制限条項の破棄および延滞金の元本算入が含まれるが、
これらに限定されるわけではない。
399/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
支払猶予措置の対象である貸付金は、下表のとおりである。
2021 年12月31日 2020 年12月31日
( 単位:百万ユーロ)
正常債権 不良債権 正常債権 不良債権
支払猶予措置の対象となった契約件数 88 74 81 64
帳簿価額(金利および延滞金額を含む) 4,693 2,511 4,641 2,489
うち評価調整の対象となった貸付金 0 1,243 0 1,634
認識された評価損益 0 407 0 473
支払猶予された契約に係る受取利息 121 73 139 70
認識中止されたエクスポージャー
(リストラクチャリング、償却/貸付金売却後) 0 34 0 28
支払猶予措置
契約上の
元本
重大な
返済
2020 年 2021 年
および
返済期限 元本のみ 財務制限
および
( 単位:百万ユーロ)
その他
12月31日 12月31日
の延期 の繰延 条項の
利息の
契約
破棄
繰延
(1)
終了
公共機関 2,803 0 0 0 94 179 -147 2,929
銀行 79 0 0 0 126 110 -35 280
4,248 46 55 23 473 48 -898 3,995
企業
7,130 46 55 23 693 337 -1,080 7,204
合計
(1) 減少は、2020年12月31日現在で支払猶予貸付金とみなされていた取引に関して当年度中に発生した元本、利息およ
び延滞金額の返済ならびに償却、ならびに当期中の契約終了による。
400/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
U.1.2. 財務ポートフォリオ
財務ポートフォリオ(有価証券、コマーシャル・ペーパー、定期預金等)関連の信用リスクは、健
全なカウンターパーティーおよび発行体を選択することにより管理されている。
有価証券ポートフォリオの構成および財務商品残高に適用される限度枠は、経営陣が設定してい
る。この限度枠は、グループ・リスク・コンプライアンス部門により定期的に見直しが行われる。
EIBは、取引のカウンターパーティーが契約債務を履行できなかった場合に信用リスクにさらされる
可能性のある有担保リバース・リパーチェスおよびリパーチェス契約取引を行っている。EIBは、カウ
ンターパーティーの信用リスクおよび担保の価値を日次でモニターし、必要とみなされる場合には、
EIBに追加担保を差し入れるよう要求することで、これらの業務に関連した信用リスクを統制してい
る。
三者間レポおよびリバース・レポ取引は、第三者保管機関と共同で行われる。第三者保管機関は、
枠組み契約に従って特に以下に関する契約条件の遵守を保証する。
- 支払引替渡し
- 担保の検証
- 貸手が要求する担保マージン。これは常に充分かつ充当可能であることが必要であり、保管機
関は、当該有価証券の時価を日々検証しなければならない。
- 契約要件をすべて満たす代替担保の組成
下表は、財務ポートフォリオの有価証券および短期金融市場商品(預金およびリバース・レポ)に
係る信用リスク構成比を、適宜、カウンターパーティーの信用格付別、最終的な債務者格付別または
発行体格付別に示したものである。
有価証券ポートフォリオ 短期金融市場商品
同等のムーディーズ格付
(単位:%) (単位:%)
2020 年
2021 年 2021 年 2020 年
(*)
12月31日 12月31日 12月31日
12月31日
Aaa 12 28 82 57
Aa1 からAa3 22 31 8 17
A1 からA3 39 40 9 25
27 1 1 1
A3 未満
100 100 100 100
合計
2021 年12月31日現在のEIBの財務ポートフォリオ資産のうち満期まで1年超で格付が下限のAa3であ
るものの名目金額合計は、3,220.74百万ユーロ(2020年:3,409.72百万ユーロ)であった。
財務取引に供する担保
受取担保
財務取引には、13,894百万ユーロ(2020年:15,474百万ユーロ)の二者間および三者間リバース・
リパーチェス契約が含まれており、EIBはこのうち13,334百万ユーロ(2020年:13,173百万ユーロ)に
ついて財務担保、560百万ユーロ(2020年:2,301百万ユーロ)についてコモディティを受領してい
る。二者間および三者間リパーチェス契約は、2021年12月31日現在5,717百万ユーロ(2020年:4,315
百万ユーロ)であった。この残高は全額について担保が供されており、原契約に従い、その後に追加
401/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
担保の請求または担保の返還が行われる。財務担保ポートフォリオの時価は、2021年12月31日現在、
13,557百万ユーロ(2020年:13,498百万ユーロ)であり、以下のように分類される。
リバース・リパーチェス契約財務担保(単位:百万ユーロ)
(*)
債券
現金
2021 年12月31日現在
担保付債券 銀行債
合計
政府
同等のムーディーズ 国際 資産担保
政府債 (カバード・ および
(*)
格付
機関債 証券
機関債
ボンド) 社債
Aaa 998 655 712 1,480 4,192 0 0 8,037
Aa1 からAa3 2,047 78 389 8 300 0 0 2,822
A1 583 0 65 0 130 0 0 778
A1 未満 1,637 0 20 0 222 0 0 1,879
38 0 0 0 1 0 2 41
格付なし
5,303 733 1,186 1,488 4,845 0 2 13,557
合計
リバース・リパーチェス契約財務担保(単位:百万ユーロ)
(*)
2020 年12月31日現在 債券
現金
担保付債券 銀行債
合計
政府
同等のムーディーズ 国際 資産担保
政府債 (カバード・ および
(*)
格付
機関債 証券
機関債
ボンド) 社債
Aaa 1,453 734 293 4,075 460 226 0 7,241
Aa1 からAa3 2,393 133 123 94 830 0 0 3,573
A1 0 0 0 0 0 0 0 0
A1 未満 1,260 0 66 0 1,356 0 0 2,682
0 0 0 0 0 0 2 2
格付なし
5,106 867 482 4,169 2,646 226 2 13,498
合計
預託有価証券
ユーロ制度の通貨政策の運用との関連で、EIBは、2021年12月31日現在、時価149億ユーロの有価証
券をルクセンブルク中央銀行に預託している(2020年:121億ユーロ)。
二者間および三者間リパーチェス契約の下で差し入れられている担保(ルクセンブルク中央銀行へ
の差入れを除く)の時価は、2021年12月31日現在、5,711百万ユーロ(2020年:4,315百万ユーロ)で
あった。
402/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
U.1.3. 第三者が供与した貸付金に関してEIBが付与した保証
自己資金を原資とするEIBの保証取引および証券化取引から生じる信用リスクは、行内指針に従って
管理されている。
2021年末現在、EIBにより保証された契約済エクスポージャーは226億ユーロ(2020年:165億ユー
ロ)であり、このうち57億ユーロ(2020年:80億ユーロ)は保証された実行済貸付金に係るエクス
ポージャーで、その保証引当金は27.9百万ユーロ(2020年:10.7百万ユーロ)であった。
EIBの保証型業務の一部は、リスク・シェアリング業務から発生しており、EIBは、確立された委託
モデルに基づいて、金融仲介機関が組成するローン・タイプのエクスポージャーをローンごとに保証
している。EIBがリスクを負う原リスク・エクスポージャーを組成する金融仲介機関は、EIBが当該金
融仲介機関に信用管理業務を委託できることを確認するための、詳細なデューデリジェンスの対象と
なる。一方、残りのEIBの保証型業務は通常、合成取引として行われ、EIBは通常、既存のポートフォ
リオのリスクを特定の金融仲介者に対して保証する。
EIBは、このタイプの取引の集中リスクを制限するための専用の枠組みを確立している。取引の特異
性に応じて、これには適格基準(最低適格格付区分、特定のセクター、債務者および/または債務者
グループのエクスポージャーを含むが。これらに限定されない)の設定が含まれる場合がある。形式
的に言えば、信用リスクは金融仲介機関が組成する原エクスポージャーにあるため、金融仲介機関の
カウンターパーティー・リスクは限定的である。すなわち、カウンターパーティー・リスクは、 (1)
保証料の支払い、および (2) EIBが保証・支払いを行う原エクスポージャーが債務不履行となった場
合の潜在的な回収額のEIBに対する返済に限定される。いずれにしても、EIBは、いくつかの軽減措置
(詳細なデューデリジェンス、担保権、介入権、原リスク・エクスポージャーの重大な修正に関する
同意権または解約権を含むがこれらに限定されない)を確立している。
403/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
U.2. 金利リスク
金利リスクとは、市場利回りや金利の期間構造の不利な動きによる、EIBのポジションの経済価値ま
たは同ポジションによる収益の予想変動率(ボラティリティ)を指す。異なる資産、負債、ヘッジ商
品の間で金利更改特性や満期特性に差異があると、金利リスク・エクスポージャーが生じる。
金利リスクの測定および管理にあたり、EIBはバーゼル銀行監督委員会(「BCBS」)および欧州銀行
監督機構(「EBA」)の関連する主要原則を参考にしている。金利リスクの主要な源泉は、ギャップリ
スク、ベーシスリスクおよびオプションリスクである。ギャップリスクとは、EIBにとって最も関係が
深い金利リスクであり、EIBの金利感応商品の金利変動のタイミングの差異による、当該金利感応商品
の期間構造の経済価値または同商品からの収益の予想変動率(ボラティリティ)と定義される。
金利リスクは、EIBのリスク選好の枠組みで取り扱われている。規制当局の指針に従い、EIBは金利
リスクに対する選好を、経済的価値および利益の両方に対するリスクの観点から明文化している。EIB
の自己資金に関する投資戦略である「金利リスク戦略」は、EIBが取る用意がある金利リスクの水準と
密接に関連し、この戦略の有効性は望ましい目標デュレーションを備えた比較可能なベンチマークと
なる想定ポートフォリオとの比較において測定される。
IBOR改革:
ロンドン銀行間金利(LIBOR)などの指標金利は金融契約で広く用いられていた。近年、指標金利の
信用性や安定性に対する信頼は低下してきており、世界中の規制当局は金利指標改革を推進してきて
いる。代替指標金利への世界的な移行は、金融市場において着手された最も困難な課題を含んだ改革
の一つである。他の銀行と同様に、EIBは、これらの市場全体にわたる取組みの一環として改革の対象
となっている金融商品について、IBORに重大なエクスポージャーを有している。
行内における準備
2018年2月、資産・負債委員会 (ALCO)は、代替金利への移行に関連する進展を積極的に追跡・監
視するためのIBOR専任のALCO直属ワーキンググループであるIBORワーキンググループを設置した。
IBORワーキンググループの目的には、金利指標の改革に関連した進展を注意深く監視することが含ま
れ、これには特に、契約修正、顧客との双務交渉、ITシステムおよびアプリケーションの更新および
新契約へのフォールバックの文言の導入ならびに通貨別および資産クラス別のIBORへのエクスポー
ジャーの定期的モニタリングの進展が含まれる。確立した作業計画の実施における進捗は定期的に監
視され、ALCOで討議され、定期的に経営幹部および監査委員会に報告されている。
リスクに関する検討
IBOR改革における主なリスクは、オペレーショナル・リスクと財務リスクである。これらは、例え
ば、記帳、決済/支払、評価、リスクシステムを含むITシステムの更新、IBOR改革に関連した業務統
制の変更、契約の修正(貸付契約の双務交渉を含む)およびフォールバック条項の導入に伴う業務上
の課題、ならびに異なる取引タイプ間の潜在的ベーシスリスクに関連している。財務リスクは、金融
商品全体にわたって、頑健で、発生の可能性がありかつ実行が可能な範囲で一貫性のあるフォール
バックを導入することによって軽減される。
2021年における主な進展
2021年はLIBOR移行の重要な節目であった。2021年3月、FCAは、英ポンド、スイス・フラン、日本
円のLIBORを2021年末に廃止し、米ドルLIBORを2023年6月末に廃止することを発表した。
404/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
金融商品クラス別の移行状況
貸付活動および資金調達活動の一環として、EIBは主に顧客への変動金利貸付金およびEIBの活動に
資金提供するための発行債券に関して、IBOR改革へのエクスポージャーを有している。金利リスクお
よび為替リスクへのエクスポージャーを管理するために、EIBはデリバティブ商品を利用している(固
定金利貸付金や借入業務のヘッジなど)。
デリバティブは、対応するキャッシュ・フローの大部分がIBOR金利を参照しているため(すなわ
ち、「変動金利」)、IBORレートの影響を直接的に受ける最大の金融商品クラスである。EIBは、2021
年にISDAの「IBORフォールバック・プロトコル」を遵守した。このプロトコルは、デリバティブの従
前のポートフォリオの円滑な移行を確保するために、金利指標の廃止時に適用される強固なフォール
バック条項をカウンターパーティーが組み込むための修正メカニズムを提供するものである。LIBORに
連動するスワップにおけるEIBのすべてのカウンターパーティーも、このプロトコルを遵守している。
2021年12月31日現在、EIBはISDAフォールバック・プロトコルの適用を通じて、英ポンド、スイス・フ
ラン、日本円および米ドルのLIBORを参照するデリバティブの想定元本エクスポージャーの99%以上を
システム上で移行しており、それぞれのLIBOR廃止日以前および以後のすべてのキャッシュ・フローの
決定が正しく反映されるようにしている。残りは、主にストラクチャード・スワップでその影響は僅
少であるが、2022年初めに移行された。
変動金利貸付金は、IBOR金利の影響を直接的に受ける金融商品の中で2番目に大きなクラスであ
る。2020年7月1日以降、EIBはすべての新規貸付契約において改訂されたフォールバック文言を導入
し、含めている。EIBはまた、該当する通貨のLIBORを参照する契約を締結している顧客に接触し、認
識を高め、可能な限りフォールバック文言を導入し、積極的にIBORから移行することに重点を置いた
タスクフォースを設置している。2021年12月31日現在、当初にスイス・フランおよび日本円のLIBORに
連動していた契約の帳簿残高の100%、ならびに当初に英ポンドLIBORに連動していた契約の帳簿残高
の87%は、これらのIBOR金利に連動しなくなっている。さらに、2022年初めには、英ポンドLIBORの残
存エクスポージャーの12%(帳簿価額)で顧客との契約が予定されている。また、FCAは、EIBがごく
限られた期間、ごく一部(英ポンドのエクスポージャー合計の1%未満)に使用する可能性のあるい
わゆる「合成」LIBORの公表を延長する権限を付与されている。また、EIBは米ドルLIBORに連動した貸
付金の移行も継続する。移行と並行して、EIBは貸付商品ポートフォリオを新たな貸付金組成に適応さ
せており、現在も継続している。
資金調達面では、EIBは2018年より貸借対照表で新たなRFRを参照する債券商品を発行している。加
えて、優先市場構成の設定に基づいて、EIBは必要な流動性を備えた関連するRFR市場の支援に重点を
置いている。
2021年12月31日現在、EIBには英ポンド、スイス・フランおよび日本円のLIBORに連動したリスク・
エクスポージャー残高はすでになくなっている。米ドルLIBOR連動債については、帳簿価額の56%が
2023年6月末までに満期を迎える。残りの44%は2022年中に評価され、適切なエクスポージャー移行
の機会が検討される予定である。
U.2.1. 自己資金の経済価値に対する金利リスク
EIBの金利リスク戦略は、EIBの経済価値のボラティリティを抑制しながら、バランスが良く持続可
能な収益特性を維持することを目指している。そのため、リスク選好の枠組みの中で、収益と経済価
値の変動性という観点から指標と限度枠を定義している。
405/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
また、EIB成長資金の自力調達という目標を踏まえて、こうした収益特性に明確な選好が定められて
いる。かかる全体目標は、中長期投資特性に沿ったEIBの自己資金投資によって達成されており、これ
は現在4.5~5.5年の範囲の自己資金の目標投資期間を意味する。
自己資金の期間目標とは別に、EIBの貸借対照表上、通貨および金利特性に応じた資金調達が図られ
るべきだとされている。しかし、業務上の理由から小幅の逸脱は承認されており、このことはEIBを
ベーシスリスクにさらす可能性がある。このような若干の逸脱が残ることによって生じる残余ベーシ
スリスク・ポジション純額は、ベーシス市場リスクを重要性の閾値未満に維持するべく、既定の限度
枠内に収めて管理されている。
EIBは、金利リスク限度額の枠組みに加えて、金利の深刻な変動がEIBの自己資金に及ぼす潜在的な
(1)
悪影響を特定するために、EBAにより標準化されたショック・シナリオ に基づいて定期的なストレ
ステストを実施している。2021年12月31日現在、EBAの監督上の異常値テストシナリオの最悪の影響
(2)
は、自己資金の経済価値を44.9億ユーロ(2020年:52.4億ユーロ)減少させる 。
(1) EBA/GL/2018/02
(2) ストレステストは、保険数理プロバイダーの計算による年金および医療保険債務(DBO)を含む、す
べてのリスク感応度の高い銀行勘定商品について実施されている。
EIBのポートフォリオに組入れられている金融商品のうち、一部の業務(借入れおよび関連するス
ワップ)には償還オプションが規定されており、満期前に償還される場合があるため、最終満期日に
ついては不確実性が組み込まれている。
キャッシュ・フロー・レベルでは、こうした借入金はすべてスワップで十分にヘッジされているた
め、LiborまたはEuriborに連動する合成変動利付債とみなすことができる。
下表は、2021年12月31日現在および2020年12月31日現在のEIBの任意償還条項付ポートフォリオの特
性をまとめ、想定元本合計、平均の契約上の満期日、平均予想償還日(双方とも、当該取引の想定元
本で加重)を資金調達通貨別と関係する主要リスク・パラメーター別に表示したものである。
資金調達通貨別(スワップの影響考慮後):
2021 年12月31日
(*)
英ポンド 米ドル 合計
(単位:百万ユーロ)
ユーロ建想定元本 -2,659 -1,284 -3,943
平均満期日 2047 年3月19日 2038 年9月6日 2044 年6月7日
平均予想償還日 2031 年1月2日 2027 年7月7日 2029 年11月13日
(*) 2021年に英ポンドはゼロであった。
米ド
( 単位:百万ユーロ) ユーロ ル 合計
2020 年12月31日
ユーロ 米ドル 合計
(単位:百万ユーロ)
ユーロ建想定元本 -2,213 -1,606 -3,819
平均満期日 2047 年1月26日 2037 年3月16日 2042 年12月3日
406/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
平均予想償還日 2028 年12月25日 2023 年7月28日 2026 年9月16日
関係するリスク・パラメーター別:
2021 年12月31日 リスク・パラメーター
為替レートの 金利カーブの
水準 水準 合計
( 単位:百万ユーロ)
ユーロ建想定元本 -323 -3,620 -3,943
平均満期日 2036 年1月1日 2045 年3月9日 2044 年6月7日
平均予想償還日 2029 年2月13日 2029 年12月7日 2029 年11月13日
(*) 2021年に英ポンドはゼロであった。
2020 年12月31日 リスク・パラメーター
為替レートの 金利カーブの
水準 水準 合計
( 単位:百万ユーロ)
ユーロ建想定元本 -452 -3,367 -3,819
平均満期日 2033 年12月4日 2044 年2月17日 2042 年12月3日
平均予想償還日 2027 年12月21日 2026 年7月16日 2026 年9月16日
U.2.2. 金利リスク管理(利益面)
利益の感応度は、金利カーブ全体が1パーセンテージ・ポイント上昇した場合、あるいは低下した
場合の向こう12ヵ月間で変動しうる正味受取利息の金額を定量化する。このようなエクスポージャー
は、承認を受けた限度枠内でEIBが容認する、資産と負債の間の金利更改期間、金額または利率の不一
致により生じる。
2021年12月31日現在のポジションでは、金利が100ベーシス・ポイント上昇すると、利益が94.9百万
ユーロ(2020年:82.2百万ユーロ)増加し、金利が100ベーシス・ポイント低下すると、利益が89.2百
万ユーロ(2020年:77.2百万ユーロ)減少する計算である。
EIBは、案件ごとに利益のシミュレーションを実行する専用のソフトウェアで感応度指標を計算して
いる。利益の感応度は発生主義で測定され、分析対象期間にわたり、EIBは業務計画の中で予想されて
いる新規貸付業務を実現し、承認を受けた限度枠内にエクスポージャーを維持し、資金不足の補充ま
たは余剰現金の投資を目的とする短期金融市場取引を執行するという「現行」の仮定に基づいて算出
される。利益に関して月次で行われるシミュレーションは、固定利付項目の場合には、すべて契約で
定められた利率が維持され、変動利付項目の場合には、すべて、シミュレーションで適用された金利
シナリオに応じて金利が更改されるという仮定に基づいて実施されている。資金不足の補充または余
剰現金の投資を目的とする短期金融市場取引の利率は、シミュレーションで適用された金利シナリオ
に応じた短期金融市場の実勢利率に等しいとされる。EIBの現行実務に従い、モデルでは、シミュレー
ション上の利益は株主には配分されず、EIB業務の資金補充に当てられると仮定している。管理費は、
業務計画の予想に応じて見積られる。
U.3. 流動性および資金調達リスク
流動性リスクは、資産の増加に対応して資金を調達し、期限の到来した債務を弁済することを、受
入不能な損失を負担することなしに行うEIBの能力に関するリスクである。それは、さらに資金流動性
リスクと市場流動性リスクに分けることができる。
407/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
資金流動性リスクとは、貸借対照表の資産を支え、容易に利用できる流動リソースから期限どおり
に債務を全額返済することができなくなるリスクに関するものである。資金流動性リスクは、支払義
務 の履行に関する差し迫ったリスクおよびこれに伴う不利な条件での借入を増加させうるため、EIBの
ポジションの経済価値あるいはEIBのポジションから生み出される収益の変動性に影響を与える可能性
がある。
市場流動性リスクとは、ポジション残高を相殺、解消、または削減するための取引を合理的な市場
価格で執行できないかもしれないという理由で、EIBのポジションの経済価値の変動、または同ポジ
ションによる収益の変動が激しくなることを指す。取引を執行できないことにより、清算を避けた方
が良いと思われる場合でも好ましくない価格で早い段階に当該資産を清算せざるを得なくなるおそれ
がある。このリスクは、取引される証券の流動性と比較したポジションの規模、ならびに市場のアベ
イラビリティおよび効率性の悪化と密接に関係している。
EIB の中核業務活動を妥当なコストで正常に機能させるため、流動性リスクの管理が行われている。
流動性リスク管理方針の主な目的は、EIBが常に期限内に支払債務を満額履行できることの確保にあ
る。商業銀行とは対照的に、EIBは個人預金を保有しておらず、顧客に貸し付ける資金の調達を資本市
場に依存している。
EIB は慎重に流動性バッファーを維持するため、新規発行予定を管理している。流動性維持計画で
は、EIBの債務返済上のニーズ、貸付金の実行、および貸付金ポートフォリオからのキャッシュ・イン
フローを考慮している。また、流動性維持計画では、一般的に債務者の要請に応じて実行される多額
の契約済未実行貸付金も考慮している。
EIB は、短期流動資産を十分な水準に保つこと、および資金需要予測に応じて自行の募集有価証券の
償還日を分散することによって、流動性リスクの管理を一層確実にしている。流動性リスク方針には
財務ポートフォリオの水準の下限が組み込まれており、EIBの全体的な流動性比率(翌12ヵ月間の見積
ネット・キャッシュ・フローに対する比率としての流動性)は、常に25%を上回っていることが、義
務付けられている。
EIB はグループ非常時資金調達計画(「グループCFP」)を定めており、そこでは適切な意思決定手
続とそれに対応する責任分担が定められている。グループCFPは定期的に、欧州銀行監督機構がこの件
に関して発行した関連するガイドラインを含む該当するベスト・バンキング・プラクティスを基準
に、テストおよび評価されている。グループCFPは理事会によって毎年承認される。
定期的なストレステスト分析は、流動性リスク・モニタリングの一環として実施され、EIBの流動性
バッファーの規模を決定する。
2009 年7月8日にユーロ・システムの金融政策オペレーションにおける適格カウンターパーティー
となったことから、EIBも欧州中央銀行の金融政策オペレーションに参加できることとなった。EIB
は、最低預金準備率およびその他の業務ニーズを充足するために預け金を置いているルクセンブルク
中央銀行を通じて金融政策オペレーションを実施する。
EIB は日次で流動性カバレッジ比率(「LCR」)を欧州連合CRRに沿って、機能通貨(ユーロ)だけで
なく、他の重要な通貨についても計算している。EIBは、過度の通貨のミスマッチを防止するために、
流動性資産の通貨と正味流動性の流出の通貨の整合性を継続的にとることを確実にしている。2021年
末現在、EIBのLCRは564.9%(2020年は366.7%)であった。
(3)
また、EIBは安定調達比率(「NSFR」)を欧州連合CRR に沿って、機能通貨(ユーロ)だけでな
く、他の重要な通貨についても計算している。2021年末現在、EIBのNSFRは130.0%であった。
(3) 2021年6月発効。
408/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
COVID-19 のパンデミックに伴いグローバル金融市場の一般的情勢が不確実であるにもかかわらず、
EIBは、主にEIBの流動性管理に対する慎重なアプローチの結果として、引き続き強固な流動性ポジ
ショ ンおよび必要な流動性リソースへの柔軟なアクセスを維持している。
409/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
下表は、貸借対照表日から契約上の満期日までの残存期間別にEIBの資産および負債を示している。
契約によって定められた満期日のない資産および負債は、「満期日未確定」に区分されている。
流動性リスク(単位:百万ユーロ)
3ヵ月超 1年超 満期日 2021 年の
2021 年12月31日時点におけ
3ヵ月以内 5年超
る満期
1年以内 5年以内 未確定 合計
資産:
現金、中央銀行および
郵便局預け金 1,483 0 0 0 0 1,483
中央銀行担保適格国庫証券
およびその他短期証券 7,169 15,543 9,758 3,208 0 35,678
その他の貸付金および
預け金:
- 当座預金
563 0 0 0 0 563
- 金融機関
71,203 3,349 0 0 0 74,552
677 0 0 0 0 677
- 対顧客
72,443 3,349 0 0 0 75,792
貸付金:
- 金融機関
2,443 9,928 46,113 35,010 6 93,500
- 対顧客 5,083 19,702 107,548 189,266 394 321,993
7,526 29,630 153,661 224,276 400 415,493
確定利付証券を含む負債
証券 1,322 2,795 3,023 3,643 0 10,783
株式、その他の変動利付
証券および参加持分 0 0 0 0 8,716 8,716
関係会社株式 0 0 0 0 1,549 1,549
288 773 5,414 1,978 7,529 15,982
その他の資産
90,231 52,090 171,856 233,105 18,194 565,476
資産合計
負債:
金融機関に対する債務 10,478 13,195 0 0 0 23,673
顧客に対する債務 1,824 0 0 0 0 1,824
債務証書借入 19,307 43,516 213,006 164,286 0 440,115
資本金、準備金および利益 0 0 0 0 76,069 76,069
331 1,472 3,774 3,163 15,055 23,795
その他の負債
31,940 58,183 216,780 167,449 91,124 565,476
負債合計
借入金および関連するスワップの一部は、投資家あるいはヘッジ・スワップの契約相手に期限前解
約条項もしくはコール・オプションを認めており、EIBにも関連債券を期限前償還する権利を与えてい
る。EIBが債券に係るすべてのコール・オプションを契約で定められた次回権利行使日に行使した場
合、2022年から2024年の期限前償還累計額は24.8億ユーロとなる。
410/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
3ヵ月超 1年超 満期日 2020 年の
2020 年12月Z31日時点にお
3ヵ月以内 5年超
ける満期
1年以内 5年以内 未確定 合計
資産:
現金、中央銀行および
郵便局預け金 835 0 0 0 0 835
中央銀行担保適格国庫証券
およびその他短期証券 7,146 6,624 11,637 5,773 0 31,180
その他の貸付金および
預け金:
- 当座預金
464 0 0 0 0 464
- 金融機関
55,301 4,882 0 0 0 60,183
583 318 0 0 0 901
- 対顧客
56,348 5,200 0 0 0 61,548
貸付金:
- 金融機関
2,704 13,328 50,436 37,161 6 103,635
4,872 18,750 105,413 191,428 89 320,552
- 対顧客
7,576 32,078 155,849 228,589 95 424,187
確定利付証券を含む負債
証券 5,818 1,109 2,586 2,680 0 12,193
株式、その他の変動利付
証券および参加持分 0 0 0 0 8,397 8,397
関係会社株式 0 0 0 0 813 813
442 1,235 3,574 2,244 7,643 15,138
その他の資産
78,165 46,246 173,646 239,286 16,948 554,291
資産合計
負債:
金融機関に対する債務 8,515 8,000 0 0 0 16,515
顧客に対する債務 1,703 0 0 0 0 1,703
債務証書借入 24,379 49,607 205,107 156,171 0 435,264
資本金、準備金および利益 0 0 0 0 73,503 73,503
716 1,828 7,404 3,382 13,976 27,306
その他の負債
35,313 59,435 212,511 159,553 87,479 554,291
負債合計
411/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
U.4. 為替リスク
為替(「FX」)リスクは、為替レートの不利な変動が原因で、EIBのポジションの経済価値の変動、
または同ポジションによる収益の変動が激しくなることを指す。資産、負債およびヘッジ手段の間で
通貨のミスマッチがある場合に、EIBは為替リスクにさらされる。
EIB は定款を遵守して、貸付業務を遂行するため、またはEIBが供与する貸付金もしくは保証から発
生するコミットメントを履行するために、直接必要でない為替業務には従事しない。
EIB の資産・負債構造における通貨のミスマッチは、厳しい限度額内に維持されている。
412/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
為替ポジション(単位:百万ユーロ)
その他の 2021 年の
ユーロ以外
2021 年12月31日現在の通貨 ユーロ 英ポンド 米ドル
の通貨合計
通貨 合計
資産:
現金、中央銀行および
郵便局預け金 1,483 0 0 0 0 1,483
中央銀行担保適格国庫証券
およびその他短期証券 27,999 1,388 6,291 0 7,679 35,678
その他の貸付金および
預け金:
- 当座預金
358 48 45 112 205 563
- 金融機関
64,511 2,052 1,035 6,954 10,041 74,552
- 対顧客 600 0 0 77 77 677
65,469 2,100 1,080 7,143 10,323 75,792
貸付金:
- 金融機関
71,836 829 13,310 7,525 21,664 93,500
- 対顧客 261,909 30,971 8,225 20,888 60,084 321,993
333,745 31,800 21,535 28,413 81,748 415,493
確定利付証券を含む負債
証券 4,100 0 1,809 4,874 6,683 10,783
株式、その他の変動利付
証券および参加持分 7,067 664 671 314 1,649 8,716
関係会社株式 1,549 0 0 0 0 1,549
12,906 1,242 1,064 770 3,076 15,982
その他の資産
454,318 37,194 32,450 41,514 111,158 565,476
資産合計
負債:
金融機関に対する債務 23,473 0 44 156 200 23,673
顧客に対する債務 1,560 6 93 165 264 1,824
債務証書借入:
- 負債証券
240,681 43,587 104,778 42,058 190,423 431,104
6,235 119 295 2,362 2,776 9,011
- その他
246,916 43,706 105,073 44,420 193,199 440,115
資本金、準備金および利益 76,069 0 0 0 0 76,069
19,940 1,666 1,270 919 3,855 23,795
その他の負債
367,958 45,378 106,480 45,660 197,518 565,476
負債合計
オフ・バランスシートの
-86,378 8,190 74,023 4,165 86,378
通貨スワップ
-18 6 -7 19 18
ポジション(純額)
413/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
為替ポジション(単位:百万ユーロ)
その他の 2020 年の
ユーロ以外
2020 年12月31日現在の通貨 ユーロ 英ポンド 米ドル
の通貨合計
通貨 合計
資産:
現金、中央銀行および
郵便局預け金 835 0 0 0 0 835
中央銀行担保適格国庫証券
およびその他短期証券 24,891 623 5,666 0 6,289 31,180
その他の貸付金および
預け金:
- 当座預金
276 41 31 116 188 464
- 金融機関
50,035 3,672 884 5,592 10,148 60,183
- 対顧客 160 0 0 741 741 901
50,471 3,713 915 6,449 11,077 61,548
貸付金:
- 金融機関
82,732 1,640 11,699 7,564 20,903 103,635
- 対顧客 261,675 30,774 7,737 20,366 58,877 320,552
344,407 32,414 19,436 27,930 79,780 424,187
確定利付証券を含む負債
証券 3,124 465 1,410 7,194 9,069 12,193
株式、その他の変動利付
証券および参加持分 6,647 808 649 293 1,750 8,397
関係会社株式 813 0 0 0 0 813
12,041 1,179 1,084 834 3,097 15,138
その他の資産
443,229 39,202 29,160 42,700 111,062 554,291
資産合計
負債:
金融機関に対する債務 16,509 0 6 0 6 16,515
顧客に対する債務 1,430 8 81 184 273 1,703
債務証書借入:
- 負債証券
239,351 42,653 102,508 41,111 186,272 425,623
6,118 62 472 2,989 3,523 9,641
- その他
245,469 42,715 102,980 44,100 189,795 435,264
資本金、準備金および利益 73,503 0 0 0 0 73,503
23,671 1,513 1,163 959 3,635 27,306
その他の負債
360,582 44,236 104,230 45,243 193,709 554,291
負債合計
オフ・バランスシートの
-82,623 5,006 75,060 2,557 82,623
通貨スワップ
24 -28 -10 14 -24
ポジション(純額)
414/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
U.5. オペレーショナル・リスク
EIBグループのオペレーショナル・リスク方針に定義されているように、オペレーショナル・リスク
とは、不十分もしくは機能不全の内部プロセス、人員もしくはシステム、または外部事象に起因する
損失リスクを意味する。
EIBのすべての活動はオペレーショナル・リスクの影響を受ける可能性があり、したがってEIBはオ
ペレーショナル・リスクを体系的に特定、評価、監視および報告し、オペレーショナル・リスクへの
エクスポージャーを限定するために十分な統制とリスク軽減策を実施することを目標としている。
オペレーショナル・リスク課および財務統制における内部統制およびアサーション部
(「FC/-/ICA」)が、オペレーショナル・リスクの枠組みおよび関連する方針を決定する責任を有
し、その枠組みの実施責任はEIBのすべての部署が担う。EIBは、オペレーショナル・リスク管理業務
を、適用されるベスト・バンキング・プラクティス(「BBP」)に準拠して編成している。
EIBでは、特に、オペレーショナル・リスク・エクスポージャーを監視するために使用される一連の
重要リスク指標(「KRI」)を通じて、内部損害履歴ならびに事業・統制環境等、入手可能なあらゆる
情報を考慮する評価方法を採用している。リスク水準が臨界値を上回った場合には、適切な措置が講
じられる。特に、オペレーショナル・リスク課は、オペレーショナル・リスクに係る現実の損害につ
ながるまたはつながりうる重要なオペレーショナル・リスク事象および現れつつあるリスク分野を分
析する。
オペレーショナル・リスクの分類とKRIの見直しは、2022年に予定されており、その後、データ収集
プロセスを自動化する新しいツールが導入される予定である。一方、オペレーショナル・リスク課
は、健全なオペレーショナル・リスク管理のすべてのBBP要件に対応するために、新しい部分的に自動
化された事象および損害のデータベースを開発し、このデータベースは後に新システムに移行する予
定である。
報告については、EIBの月次オペレーショナル・リスク報告書が、EIBにおけるオペレーショナル・
リスクの管理とモニタリングのすべての側面について責任を有するグループ最高リスク責任者
(「GCRO」)によって承認され、経営委員会(「MC」)、監査委員会(「AC」)およびディレク
ター・ジェネラル(「DG」)に提出される。加えて、0.1百万ユーロを超える損失/利益は、即座に総
裁に報告される。
415/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注V: デリバティブ
EIB は、予定取引から発生するエクスポージャーを含む金利リスクおよび為替リスクへのエクスポー
ジャーを管理するため、デリバティブ商品を主に資産負債管理活動の一環として使用している。デリ
バティブは契約金融商品であり、その価値は、原資産、利率、為替そして種々のインデックス動向に
より変動する。デリバティブ取引は売買目的で利用されるのではなく、資金調達関連の場合および市
場リスク・エクスポージャーを低減するためのみに限られている。
EIB のスワップの大部分は、資金調達オペレーション(資金調達活動)の一環として、債券発行を
ヘッジする目的で締結されている。借入ポートフォリオに関連したすべてのスワップは満期が関連借
入債務に対応しており、このため長期の性質を持つ(注V.1を参照)。
またEIBは、貸付金や財務のヘッジ・オペレーションの一環として、またはグローバルな資産負債管
理(「ALM」)ポジションのヘッジ(ALMヘッジ活動)のために、スワップを行っている(注V.1を参
照)。
EIB は、基本通貨であるユーロに関連してその運用財務の通貨ポジションを調整するため、また貸付
実行に伴う通貨需要を満たすために、短期通貨スワップも行っている(注V.2を参照)。
先物契約(先物)は、一部の政府債投資から生ずるエクスポージャーをヘッジするため、財務活動
の一環として使用することができる。先物は、規制市場において取引される標準化されたデリバティ
ブであり、カウンターパーティー・リスクの測定と統制に関する一般方針の対象外となっている。
V.1. 資金調達およびALMデリバティブ
資金調達およびALMヘッジとの関連で使用されるデリバティブには以下のものがある。
- 通貨スワップ
- 金利スワップ
- ストラクチャード・スワップ
V.1.1. 通貨スワップ
通貨スワップとは、調達されたある通貨の資金を別の通貨に交換することを合意し、それと同時に
調達された資金を期日に返済できるよう、両通貨を将来において再度交換するための為替予約を締結
する契約である。
EIB は、主に資金調達業務の一環として、開始時に借入資金を別の通貨に交換し、その後借入返済に
必要な資金を元の通貨でEIBが入手することとなる、通貨スワップを締結している。
下表は、想定元本および公正価値に基づいて分類した通貨スワップ(ストラクチャード・スワップ
(注V.1.3を参照)を含み、短期通貨スワップ(注V.2.を参照)を除く)の満期を示している。想定元
本はオフ・バランスシートにて開示されている。
416/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
2021 年12月31日現在の通貨 1年超 5年超 2021 年の
1年以内 10 年超
スワップ(単位:百万ユーロ) 5年以内 10年以内 合計
34,954 137,297 45,792 29,640 247,683
想定元本(受取)
公正価値
(すなわち、CVA、DVAおよびCOLVA
(*)
を含む割引価値(純額)) -740 3,085 985 1,041 4,371
2020 年12月31日現在の通貨 1年超 5年超 2020 年の
1年以内 10 年超
スワップ(単位:百万ユーロ) 5年以内 10年以内 合計
34,590 125,732 36,450 26,484 223,256
想定元本(受取)
公正価値
(すなわち、CVA、DVAおよびCOLVA
(*)
を含む割引価値(純額)) -691 -2,858 2,114 1,612 177
(*) 2021年12月31日現在3,133百万ユーロ(2020年:マイナス2,548百万ユーロ)となっているマクロ・ヘッジ通貨ス
ワップの公正価値を含む。
V.1.2. 金利スワップ
金利スワップは一般的に、変動金利を固定金利に交換するか、その逆を行うことを合意する契約で
ある。
金利スワップの利用により、EIBは、顧客からの要求に応えて借入ポートフォリオと他のポートフォ
リオの金利構造を変えることができるとともに、グループのある特定の資本市場への有利なアクセス
条件をカウンターパーティーと交換することにより、資金調達コストを削減することも可能となる。
下表は、金利スワップ(ストラクチャード・スワップ(注V.1.3を参照)を含み、外貨建てで計算さ
れた利息を合成的にユーロ建てに交換するシンセティック・スワップを含む)の満期を想定元本およ
び公正価値に細分して示したものである。想定元本はオフ・バランスシートにて開示されている。
2021 年12月31日現在の
1年超 5年超 2021 年の
金利スワップ
1年以内 10 年超
5年以内 10年以内 合計
( 単位:百万ユーロ)
想定元本 53,438 243,656 127,981 134,006 559,081
公正価値
(すなわち、CVA、DVAおよびCOLVA
(*)
を含む割引価値(純額)) 301 4,748 3,036 229 8,314
2020 年12月31日現在の
1年超 5年超 2020 年の
金利スワップ
1年以内 10 年超
5年以内 10年以内 合計
( 単位:百万ユーロ)
61,603 227,767 126,884 122,741 538,995
想定元本
417/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
公正価値
(すなわち、CVA、DVAおよびCOLVA
(*)
を含む割引価値(純額)) 917 8,021 5,954 89 14,981
(*) 2021年12月31日現在マイナス789百万ユーロ(2020年:マイナス1,237百万ユーロ)となっているマクロ・ヘッジ金
利スワップの公正価値を含む。
V.1.3. ストラクチャード・スワップ
EIB は、通常そのリスクヘッジ方針に関連してオプション取引を行っていない。ただし、金融市場
で、より低いコストで資金を調達するという戦略の一環として、EIBは主に金利オプションまたは株価
指数オプションを含む借入契約および貸付を行う。このようなストラクチャード借入金および貸付金
は、関連する市場リスクをヘッジするためのスワップ契約により完全にカバーされている。
下表は、ストラクチャード・スワップの取引件数、価額および想定元本の詳細を示している。
特別なストラクチャーに
期限前解約が組み込まれて
株価指数 基づくクーポンまたは
いるもの
類似するもの
2021 年 2020 年 2021 年 2020 年 2021 年 2020 年
取引件数 127 131 1 1 161 164
想定元本
(単位:百万ユーロ) 4,568 4,421 500 500 11,583 12,529
公正価値(すなわち、CVA、
DVAおよびCOLVAを含む
割引価値(純額))
(単位:百万ユーロ) 518 801 19 30 -2,979 -2,479
スワップ取引の公正価値は、将来のキャッシュ・フローから割引後現在価値を導出する評価技法を
適用するインカム・アプローチにより算出される。公正価値の見積りは将来価値に対する市場の期待
値に基づいている。評価技法は、既知のキャッシュ・フローを割り引く単純なものから複雑なオプ
ション・モデルに至るまで、多岐にわたる。適用した評価モデルは、金融商品の価格設定向けに一般
に認められている経済学的手法と整合しており、市場参加者が価格設定時に考慮する諸要因を盛り込
んでいる。デリバティブ取引の一部に関しては、市場インプットを直接入手できない場合には、内部
見積りや仮定が評価技法に取り入れられることもある。
借入れに組込まれている、もしくは借入れに関連するオプション契約は、すべて店頭取引で行われ
る。ストラクチャード・ディールとしては、金利、為替レート、インフレ率、株価指数、および金利
のボラティリティに左右される様々な取引がある。
V.1.4. デリバティブ取引における信用リスクの軽減方針
デリバティブに関する信用リスクは、カウンターパーティーが契約債務を履行できない場合にEIBが
被りうる損失に関連する。
デリバティブ取引の特殊な性質および複雑さを考慮し、当該金融商品の利用から生ずる損失に対し
てEIBを保護するための一連の手続きが整備されている。
418/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
・ 取引契約の枠組み
EIB のデリバティブ取引はすべて、ISDAスワップ取引契約と、該当する場合にはエクスポージャーに
対する担保差入条件が明記されているクレジット・サポート・アネックスの取引契約の枠組みの中で
行われる。これらは一般的に採用され、実施されている契約の様式である。新規契約の最低条件はリ
スク・ガイドラインに規定されている。
・ カウンターパーティーの選択
取引開始時の格付は、A3以上とリスク・ガイドラインに定められている。格付がある一定のレベル
を下回った場合にはEIBは期限前に契約を解除する権利を有する。
・ 担保設定
- (限度枠を超過した)エクスポージャーに対しては、現金および債券による担保が差入れられ
る。
- 複雑で流動性の低い取引の場合は、現在の時価以上の担保が要求される。
- 個々のカウンターパーティーとのデリバティブ・ポートフォリオと受取担保は定期的にモニ
ターされて評価され、それを受けて追加担保が請求されるか、担保の引出しが行われる。
スワップについて受け取った担保の時価は、2021年12月31日現在、15,399百万ユーロ(2020年:
17,498百万ユーロ)で、担保の性質および同等のムーディーズの格付に基づいた詳細は、以下のとお
りであった。
419/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
スワップ担保(単位:百万ユーロ)
債券
政府機関債、
2021 年の
同等のムーディーズ格付
現金
国際機関債、
合計
政府債
カバード・
ボンド
Aaa 1,042 962 0 2,004
Aa1 からAa3 3,130 0 0 3,130
A1 からA3 6 0 0 6
Baa1 からBaa3 5,484 0 0 5,484
Baa3 未満 0 0 0 0
0 0 4,775 4,775
格付なし
9,662 962 4,775 15,399
2021 年の合計
スワップ担保(単位:百万ユーロ)
債券
政府機関債、
2020 年の
同等のムーディーズ格付
現金
国際機関債、
合計
政府債
カバード・
ボンド
Aaa 1,526 1,007 0 2,533
Aa1 からAa3 4,439 0 0 4,439
A1 からA3 14 0 0 14
Baa1 からBaa3 6,310 0 0 6,310
Baa3 未満 4 0 0 4
0 0 4,198 4,198
格付なし
12,293 1,007 4,198 17,498
2020 年の合計
・ デリバティブの信用リスクの測定
デリバティブ関連の信用リスクは様々なパラメーターにより変化し(例えば金利や為替レート)、
一般的に想定元本のごく一部に相当するに過ぎない。
EIB は、内部目的上、財務報告と限度枠のモニタリングにはカレント無担保エクスポージャーとポテ
ンシャル・フューチャー・エクスポージャーを使用して、スワップ取引およびデリバティブ取引に関
する信用リスク・エクスポージャーを測定している。自己資本要件規則(CRR)に従った資本配分につ
いては、グループはカウンターパーティー信用リスクに係る標準的手法(SA-CCR)を用いている。
EIB は、カレント無担保エクスポージャーを、ゼロと、カウンターパーティーとのネッティング・
セットに含まれている取引ポートフォリオの時価から受入担保の価値を差し引いた数値のいずれか大
きな方の値で測定している。これは、カウンターパーティーが不履行を起こした場合に生ずる損失に
相当する金額で、受領した担保を相殺に充当し、破綻取引の回収価値をゼロとした上で、すべての取
引につき直ちにスワップ・カウンターパーティーの代替を行うことを想定している。2021年12月31日
現在のカレント無担保エクスポージャーは927百万ユーロ(2020年12月31日現在:1,389百万ユーロ)
であった。
さらにEIBは、リスクのマージン期間である20営業日にネッティング・セットに生ずる可能性のある
エクスポージャーの増加を考慮した、ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを計算してい
420/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
る。EIBは、保守的な見積りを出すため、ストレス下の市場パラメーターに基づき、また信頼区間を
90%として、ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを計算している。これは、重要な市場
参 加者の不履行があった場合に生じるであろう状況を考慮するための規制当局の勧告に沿ったもので
ある。2021年12月31日現在の初期ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーは10,001百万ユー
ロ(2020年12月31日現在:12,225百万ユーロ)であった。
・ 限度枠
銀行向け限度枠システムは、ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャーを3種の期間グルー
プ(1年未満、1年以上5年以下および5年超)と2種の格付シナリオ(現状維持およびA3格未満へ
の格下げ)でカバーする。
デリバティブ・ポートフォリオは毎日評価され、限度枠との比較が行われる。
下記の表は、カウンターパーティーの内部格付別内訳を示している。
ポテンシャル・
カレント無担保
フューチャー・
エクスポージャー
格付グループ 額面価額割合
エクスポージャー
( 単位:百万ユーロ) ( 単位:百万ユーロ)
同等のムーディーズ格付 2021 年 2020 年 2021 年 2020 年 2021 年 2020 年
Aaa 0.47% 0.49% 496 816 920 1,434
Aa1 からAa3 19.31% 24.34% 236 373 2,273 2,480
A1 からA3 74.76% 66.87% 195 192 6,628 7,916
5.46% 8.30% 0 8 180 395
A3 未満
100.00% 100.00% 927 1,389 10,001 12,225
合計
V.2. 流動性管理の一環として
EIB は、SLP債券ポートフォリオの金利エクスポージャーを修正するために、長期先物も使用してい
る。2021年12月31日現在、長期先物の想定元本は8,274百万ユーロ(2020年:ゼロ)、公正価値は3百
万ユーロ(2020年:ゼロ)であった。
EIB はまた、基本通貨であるユーロに関連してその運用財務ポートフォリオの通貨ポジションを調整
するため、また貸付実行に伴う通貨需要を満たすために、短期通貨スワップを行っている。
短期通貨スワップ(受取)の想定元本は、2021年12月31日現在で25,124百万ユーロであり、これに
対して2020年12月31日現在は22,375百万ユーロであった。短期通貨スワップ(受取)の公正価値は、
2021年12月31日現在147百万ユーロ(2020年:マイナス107百万ユーロ)であった。
短期為替予約取引の想定元本は、2021年12月31日現在402百万ユーロ(2020年:551百万ユーロ)で
あった。短期為替予約取引の公正価値は、2021年12月31日現在マイナス12百万ユーロ(2020年:17百
万ユーロ)であった。
421/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注W: 換算レート
2021 年12月31日現在および2020年12月31日現在の貸借対照表の作成にあたり使用されている換算
レートは、以下のとおりである。
2021 年12月31日 2020 年12月31日
欧州連合加盟国のユーロ以外の通貨
ブルガリア・レフ(BGN)
1.9558 1.9558
チェコ・コルナ(CZK)
24.8580 26.2420
デンマーク・クローネ(DKK)
7.4364 7.4409
クロアチア・クーナ(HRK)
7.5156 7.5519
ハンガリー・フォリント(HUF)
369.1900 363.8900
ポーランド・ズロチ(PLN)
4.5969 4.5597
ルーマニア・レウ(RON)
4.9490 4.8683
スウェーデン・クローナ(SEK)
10.2503 10.0343
欧州連合加盟国以外の通貨
豪ドル(AUD)
1.5615 1.5896
アゼルバイジャン・マナト(AZN)
1.9207 2.0758
カナダ・ドル(CAD)
1.4393 1.5633
スイス・フラン(CHF)
1.0331 1.0802
中国人民元(CNY)
7.1947 8.0225
ドミニカ・ペソ(DOP)
64.8310 71.2661
エジプト・ポンド(EGP)
17.7663 19.2469
エチオピア・ブル(ETB)
55.8100 48.0400
英ポンド(GBP)
0.8403 0.8990
ジョージア・ラリ(GEL)
3.4806 4.0070
香港ドル(HKD)
8.8333 9.5142
インド・ルピー(INR)
84.2292 89.6605
アイスランド・クローナ(ISK)
147.6000 156.1000
日本円(JPY)
130.3800 126.4900
ケニア・シリング(KES)
128.2600 133.8000
カザフスタン・テンゲ(KZT)
493.3100 516.7300
モロッコ・ディルハム(MAD)
10.5191 10.9017
モルドバ・レウ(MDL)
20.0900 20.9200
メキシコ・ペソ(MXN)
23.1438 24.4160
ノルウェー・クローネ(NOK)
9.9888 10.4703
ニュージーランド・ドル(NZD)
1.6579 1.6984
セルビア・ディナール(RSD)
117.5100 117.5300
ロシア・ルーブル(RUB)
85.3004 91.4671
チュニジア・ディナール(TND)
3.2611 3.2919
トルコ・リラ(TRY)
15.2335 9.1131
台湾ドル(TWD)
31.4420 34.4399
ウクライナ・グリブナ(UAH)
30.9151 34.7156
米ドル(USD)
1.1326 1.2271
中央アフリカCFAフラン(XAF)
655.9570 655.9570
西アフリカCFAフラン(XOF)
655.9570 655.9570
南アフリカ・ランド(ZAR)
18.0625 18.0219
422/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注X: 関連当事者取引
X.1. 関係会社株式および参加持分(単位:千ユーロ)
欧州投資基金(「EIF」)との関連当事者取引は、主として、EIBによるEIFの株式保有、EIFの財
務、IT、EIFの年金基金の管理・運営、およびEIFのために提供するその他のサービスに関する取引で
ある。また、EIFはEIBのプライベート・エクイティ/ベンチャー・キャピタル業務およびインフラ基
金業務(参加持分を含む)を管理し、EIBの保証および証券化ポートフォリオの一部についてフロン
ティングおよびモニタリング・サービスを提供している。
EIB の関連当事者取引に関連して、本財務書類に計上されている金額は、次のとおりである。
2021 年12月31日 2020 年12月31日
資産:
関係会社株式 1,549,444 813,089
参加持分 318,380 334,410
前払金および未収収益 2,013 10,627
25,646 6,429
その他の資産
1,895,483 1,164,555
資産合計
負債:
顧客に対する債務 -3,385 -2,022
-333,043 -293,579
その他の負債
-336,428 -295,601
負債合計
損益計算書:
固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券および
参加持分に係る(再)評価損益 15,703 -7,809
受取手数料 7,279 4,508
支払手数料 -65,246 -56,123
その他の業務収支 11,678 8,091
48 743
一般管理費
-30,538 -50,590
損益計算書計上額合計
オフ・バランスシート:
EIF 払込未請求資本 3,468,800 2,117,600
EIF 資金の管理 2,304,236 1,193,139
EIF の少数株主に付与されたプット・オプション 340,341 819,467
払込未請求参加持分 497,631 549,016
17,452,179 11,798,069
EIF に供与された保証
24,063,187 16,477,291
オフ・バランスシート項目合計
423/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
X.2. 主要経営陣(単位:千ユーロ)
EIB は、理事会、監査委員会、経営委員会の委員およびGCRO、EIBの各種組織部門の責任者である
ディレクター・ジェネラル、ならびに内部統制独立部署の責任者を主要経営陣とみなしている。
一般管理費(注R)に算入されている主要経営陣の当該報告期間の報酬は、下表のとおりである。
2021 年 2020 年
(1)
短期給付 10,772 9,404
(2)
退職後給付 919 962
965 552
退職手当
12,656 10,918
合計
(1) 短期従業員給付は、経営委員会委員、GCRO、ディレクター・ジェネラルおよびその他ディレクターの給与および手
当、賞与、社会保障負担金、ならびに理事会および監査委員会の委員に支払われた給付である。
(2) 退職後給付は、経営委員会委員、GCRO、ディレクター・ジェネラル、およびその他ディレクターに支払われた年金
および退職後健康保険費である。
主要経営陣に対して前渡金も信用供与行っておらず、またいかなる種類の保証の形態でも主要経営
陣の利益のための契約を締結していない。
2021 年12月31日現在の主要経営陣との間の未決済残高は、強制および任意の補足年金制度および健
康保険制度に関する負債、ならびに期末現在の未払残高で構成されている。
2021 年12月31日 2020 年12月31日
年金制度および健康保険制度(注L) 74,834 61,952
その他の負債(注G) 18,737 16,508
424/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注Y: 後発事象
ウクライナに対する軍事侵略
EIBは、EUの共同外交安全保障政策全般(適用ある制裁措置を含む。)の目的に沿い、2014年以降ロ
シア連邦での貸出業務を停止している。
EIB は、専用の制裁遵守プログラムを含む厳格なコンプライアンス統制を敷き、これによりロシア連
邦に(間接的にでも)関連するEIBの活動は適用あるすべての制裁をこれまで確実に遵守してきてお
り、またロシア連邦に影響あるセクター別制裁を含むあらゆる新たな制裁をこれからも確実に遵守し
ていく。
現段階で最終的な影響を予測することは困難であるものの、ロシア連邦によるウクライナへの軍事
侵攻以降の現在の事態拡大の動向は、EIBのポートフォリオに対する潜在的影響(課されうる追加制裁
の影響を含む。)に備えて注意深く監視されている。
ウクライナにおけるEIBの実行済エクスポージャーの大部分はEU域外貸付マンデートの保証でカバー
されており、またロシア連邦の債務者に対するEIBの自己リスクによる実行済エクスポージャーは存在
しない。EIBの貸付金ポートフォリオの質は現在も適切な水準を維持している。
ウクライナへの軍事侵攻に伴うグローバル金融市場の不確実な一般情勢下でも、EIBは、流動性管理
に対する慎重なアプローチにより、引き続き強固な流動性ポジションおよび必要な流動性リソースへ
の柔軟なアクセスを維持している。
425/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注Z: 第三者資金の管理
Z.1. イノベーション基金
イノベーション基金は、指令2003/87/ECの第10a条(8)により設立され、気候変動の緩和に著しく寄
与する環境上安全な二酸化炭素回収・有効利用(「CCU」)および生産された炭素集約的なものに代わ
る製品を含む、低炭素技術およびプロセスにおけるイノベーションを全加盟国で支援し、環境上安全
な二酸化炭素の回収・貯留(「CCS」)ならびに革新的な再生可能エネルギーおよびエネルギー貯蔵技
術を目的とするプロジェクトの建設および運営を振興することを支援する。EIBは、イノベーション基
金の個別財務書類を作成している。
Z.2. インベストメント・ファシリティ・コトヌー
EIB が管理するインベストメント・ファシリティは、アフリカ・カリブ海および太平洋地域諸国と欧
州連合および加盟国との間における協力・開発に関する2000年6月23日付(その後改正済)のコト
ヌー協定に基づき設立されたものである。EIBは、インベストメント・ファシリティの個別財務書類を
作成している。
Z.3. 近代化基金
改正EU排出量取引制度(ETS)指令第10d条に基づき設立された近代化基金は、エネルギーシステム
を近代化し、次のEUの受益加盟国(MS)10ヵ国のエネルギー効率を改善することを目的としている。
ブルガリア、チェコ共和国、クロアチア、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ポーラ
ンド、ルーマニアおよびスロバキア。近代化基金は、再生可能エネルギー源からのエネルギーの生成
と利用、エネルギー効率、エネルギー貯蔵、地域暖房、パイプラインおよびグリッドを含むエネル
ギーネットワークの近代化、労働者の再配置、技能再教育およびスキルアップ、教育、求職活動なら
びに起業への投資を支援し、EIBは近代化基金の個別財務諸表を作成している。
Z.4. EIF資金
EIF 資金は、EIBとEIFとの間で2000年12月に締結された資金管理契約に従い、EIBによって管理され
ている。
Z.5. イノベーターのためのEU資金提供(InnovFin)
InnovFin または「InnovFin-イノベーターのためのEU資金提供」は、EUの新規の2014年-2020年の
研究プログラムである「ホライズン2020」に基づくEIB、EIFおよび欧州委員会の共同の取組みであ
る。2013年12月11日、研究およびイノベーションのための包括プログラム(2014年-2020年)である
ホライズン2020を確立し、決定事項N1982/2006/ECを廃止する欧州議会および理事会規則(EU)
N1291/2013(「ホライズン2020規則」)が採択された。2014年6月12日、欧州委員会、EIBおよびEIF
は、金融商品であるInnovFinを設定する委任契約を締結した。InnovFinは、EIBグループによって提供
される一連の統合され、かつ補完的な金融ツールおよびアドバイザリー・サービスで構成され、零細
企業から巨大企業までの企業による投資を支援するために研究およびイノベーション(「R&I」)のバ
リュー・チェーン全体を対象としている。EIBは、InnovFinの個別財務書類を作成している。
Z.6. NER300
EIB は、NER300イニシアチブ(炭素回収・貯蔵実証プロジェクト、および革新的再生可能エネルギー
技術のための資金調達プログラム)を遂行する際、エージェントとしてECをサポートする。当該ファ
426/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
シリティには、i)EUの割当量単位(EUA)の収益化、ii)EUA収益化活動を通じて受け取る資金の管理
および支出、といった2つの活動が含まれる。EIBは、NER300のために個別財務書類を作成している。
Z.7. ファンド・オブ・ファンズ(「JESSICA II」)
ファンド・オブ・ファンズ(「FoF」)は、欧州構造投資基金(「ESIF」)が、2014年から2020年ま
での間に加盟国運用プログラムにより資金供給した地域金融商品(「DFI」)で構成されている。FoF
は、選定された金融仲介機関と協力して、貸付、出資および保証の実行を通じて、最終受領者の資金
調達を促進している。
EIB は、ファンド・マネージャーとして、関係運営当局から資金供給(拠出)の取りまとめを行い、
拠出者と合意した投資戦略に従って、金融仲介機関を介して当該資金を投資している。EIBは、各ファ
ンド・オブ・ファンズの個別財務書類を作成している。
Z.8. コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(「CEF」)
コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(「CEF」)は、運輸、電気通信およびエネルギーのイ
ンフラストラクチャー・セクターにおける共益プロジェクトを支援するために、欧州横断的なネット
ワークに欧州連合の財政支援を提供することを目的とした、EIBと欧州委員会の間の共同協定である。
欧州委員会は、CEFに基づく負債性金融商品の業務および管理をEIBに委託しており、これにより、欧
州横断交通網プロジェクト融資保証手段(「LGTT」)およびプロジェクト債券イニシアチブ
(「PBI」)の試験段階への連続性が確保される。LGTTとPBIは、CEFの下で2016年1月1日に統合され
た。CEF委任契約は、最新かつ共通のリスク・シェアリングの取決めを定めている。EIBは、CEFの個別
財務書類を作成している。
Z.9. JESSICA(保有基金)
JESSICA (都市部への持続可能な投資に対する欧州共同支援)は、欧州委員会とEIBが欧州評議会開
発銀行と共同で策定したイニシアチブである。
JESSICA 保有基金はJESSICAイニシアチブに関連して使用される。新しい手続きに基づき、関係運営
当局は、持続可能な総合都市開発計画の一部を形成するプロジェクトへの有償投資を行うために、自
身のEU助成金の一部を使用する選択権を付与される。EIBは、運用者として、関係運営当局から受領し
た資金を取りまとめ、拠出者と合意した投資ガイドラインに従って都市開発基金に投資している。
EIB は、JESSICAの個別財務書類を作成している。
Z.10. 汎ヨーロッパ保証基金(「EGF」)
EGF は2020年4月23日に欧州理事会により、EU全体のCOVID-19対応パッケージの一部として承認され
た。2021年7月現在、22ヵ国の加盟国が約244億ユーロと見込まれる保証枠で参加を確認しており、参
加国の事業体のみが支援適格となっている。EGFは、金融仲介機関の商業的資金供与の要件を満たす
が、COVID-19のパンデミックの経済的影響により苦戦している高リスク事業と最終的な受益者に資金
提供を行うことを目的としている。この理由から、EGFはSMEに焦点を当てており、SMEはEGFが支援す
る資金供与の少なくとも65%の恩恵を受けることとなる。EGFはEIBとEIFによって共同で実施されてお
り、それぞれが約半分の金額を担当するが、商品構成は異なっている。EIFは、上限付きおよび上限な
しのポートフォリオ保証と間接的な株式型投資 (ファンド)を想定していたのに対して、EIB側で
は、展開されている商品は、連動型リスク・シェアリング、ベンチャー債、合成資産ベース証券であ
る。EIBは、EGFの個別財務書類を作成している。
427/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
Z.11. EU-アフリカ・インフラ(「EUAI」)信託基金
EUAI 信託基金は、創設・援助組織としての欧州連合を代表するECと、運用者としてのEIBとの間の、
信託基金協定に基づき創設され、創設後は、欧州連合加盟国もこの協定に資金提供者として参加でき
る。2006年2月9日、ECとEIBは、EU-アフリカ・インフラ・パートナーシップを共同で推進し、特に
それを支援するEU-アフリカ・インフラ信託基金を設立する旨の覚書を交わした。EIBは、EUAI信託基
金の個別財務書類を作成している。
Z.12. 資金パートナーシップ・プラットフォーム(「PPF」)
PPF はEIBが運用する複数地域、複数拠出者、かつ複数セクターの、複数のファンドを組み込んだプ
ラットフォームであり、持続可能な発展のために金融の流れを増加させる必要性を考慮し、また欧州
投資銀行の成功体験を基礎として設立された。PPFに基づく基金は、プラットフォーム規則に従って導
入された。EIBは、PPFの個別ベースの合算財務報告を作成している。
Z.13. GF ギリシャ
ファンドは、ギリシャ共和国、ECおよびEIBによる共同イニシアチブで、設立の目的は、ギリシャの
中小企業に対する融資を支援することである。ファンドは、ギリシャのために用意された構造基金の
未使用部分を使って設立されており、ギリシャのパートナー銀行経由で、EIBの中小企業向けローンの
保証を行う。EIBは、GF ギリシャの個別財務書類を作成している。
Z.14. 特別部門
特別部門は、総務会によって1963年5月27日に設定された。1977年8月4日の決議に基づき、その
目的は見直され、第三者の勘定で第三者の委託に基づいてEIBが実行した金融業務を記録するためとさ
れた。特別部門には、FED、MED/FEMIPおよび欧州開発金融機関民間部門開発ファシリティの保証部分
が含まれる。
Z.15. リスク・シェアリング・ファイナンス・ファシリティ(「RSFF」)
RSFF は、欧州連合を代表するECとEIBとの間で締結され、2007年6月5日付で発効した協力協定に基
づき設立された。RSFFは、研究、技術開発と実証プロジェクトおよび技術革新への投資を育成するこ
とを目的としている。RSFFの一環として、EIFは、技術革新および研究を中心とする中小企業(SME)
および中堅企業のためのリスク・シェアリング・インスツルメント(「RSI」)を用意した。RSIは、
研究を推進する中小企業(「SME」)や中堅企業の借入やファイナンス・リースのため、銀行やリース
会社に保証を提供している。EIBは、RSIを含めたRSFFの連結財務書類を個別に作成している。
Z.16. 欧州近隣パートナーシップ枠組み(「ENPI」)
欧州近隣政策の対象国における欧州連合の一般予算から資金調達される事業の実施について定めた
欧州連合とEIBとの間の枠組み協定は、ENPIを通じて実施される。EIBは、ENPIの個別財務書類を作成
している。
Z.17. エネルギー効率関連プライベート・ファイナンス(「PF4EE」)商品
エネルギー効率関連プライベート・ファイナンス(「PF4EE」)商品は、エネルギー効率関連投資向
けの十分かつ低価格の商業金融の利用可能性が限定的であることに対処することを目的とした、EIBと
欧州委員会の協定である。この商品は、EU加盟国の国別エネルギー効率行動計画、またはその他のエ
ネルギー効率プログラムの実施を支援するプロジェクトを対象としている。2014年12月、欧州委員会
428/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
およびEIBは、金融商品であるPF4EEを設定する委任契約を締結した。EIBは、PF4EEの個別財務書類を
作成している。
Z.18. 国際開発協力機構(「AECID」)
このパートナーシップ契約は、スペイン王国(スペインの国際開発協力機構(「AECID」))とEIB
との間で調印されたもので、モーリタニアおよびFEMIPによってカバーされる諸国(「南地中海沿岸地
域」)の活動に投資するために設立された。地域の零細企業や中小企業に関してリスク資本を提供す
ること、および民間セクターの幅広い発展に従事することを主目的としている。EIBは、AECIDの個別
財務書類を作成している。
Z.19. 加盟候補国向け支援制度II(「IPA II」)
加盟候補国向け支援制度(「IPA」)に係る協定は、EUが「拡大国」の改革を財政面および技術面で
援助する支援措置である。加盟候補国向け支援ファンドも、持続性のある経済回復、エネルギー供
給、運輸、自然環境および気候変動などに関する目標をEUが達成できるよう支援する。IPA Iの後継制
度IPA IIは、すでに達成された成果を土台とし、2014年から2020年までの期間に117億ユーロを充当し
て構築される予定である。IPA IIの最も重要な革新性は、戦略的焦点にある。フレームワーク・パー
トナーシップ契約は、2015年末に締結され、EIBにより履行される。様々な「特別供与契約」の締結に
より、DG NEARからの財源が配分される。IPA II規則は2020年12月31日まで適用されたが、実施は依然
として継続している。EIBは、IPA IIの個別財務書類を作成している。
Z.20. 深化した包括的自由貿易協定地域(「DCFTA」)
欧州投資銀行および欧州連合は、2016年12月19日に、深化した包括的自由貿易協定地域
(「DCFTA」)の委任契約に署名した。東部DCFTAイニシアチブは、EUと協力協定を締結した国である
ジョージア、モルドバおよびウクライナに対し、的を絞った金融および技術的支援を中小企業
(「SME」)向けに提供することによって、これら3国の経済発展を強化することを目的としている。
DCFTAの一環として、EIFは保証枠ウィンドウの実行および管理を行う。EIBは、保証枠ウィンドウを含
めたDCFTAの連結財務書類を個別に作成している。
Z.21. 近隣インベストメント・ファシリティ(「NIF」)信託基金
EIB が管理するNIF信託基金は、欧州近隣政策(「ENP」)の戦略的目標を達成するために設立され
た。当基金は、SME向け、人的資源育成を含む社会セクター向け、および地方自治体のインフラストラ
クチャー開発向けの支援を通じて、より適切で持続可能性の高いエネルギーおよび輸送の相互接続性
を確立し、エネルギー効率の向上および再生可能エネルギー資源の利用促進を進め、気候変動および
より広い意味での環境への脅威に対処し、スマートで持続可能かつ包括的な成長を促進することに重
点を置いている。EIBは、NIF信託基金の個別財務書類を作成している。
Z.22. 欧州戦略投資基金(「EFSI」)
適用されるEFSI規則に基づき、欧州委員会およびEIBは、EFSIの管理・運営、EUの保証提供に関する
契約(「EFSI契約」)、および欧州投資アドバイザリー・ハブ(「EIAH」)の実施に関する契約
(「EIAH契約」)を締結した。
EFSI 契約に基づき、ECは、EFSIが支援するプロジェクトに関して、EIBにEUの保証を提供した。EUの
保証に充当する資産は、欧州委員会が直接管理する。EFSIが支援するプロジェクトは、通常のEIBのプ
ロジェクトのサイクルおよびガバナンスに従う。また、EFSIは自己専用のガバナンス構造を有してい
429/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
る。当該構造は、EFSIの下で行う投資において、欧州に対する投資の妨げとなる市場のリスク負担の
失敗に対処するという特別の目的に、確実に重点が置かれ続けるようにするために設置されている。
承 認を受けたプロジェクトおよびEIBのエクスポージャーに関する詳細な情報については、注D.1を参
照のこと。
EIAH は、プロジェクトおよび投資に対し、財務以外の支援を拡充することを目的としている。EIAH
は3つの補完的な構成要素であるa) 公共受益者および民間受益者向けの広範なアドバイザリー技術支
援プログラムおよびイニシアチブへの足掛かり、b) パートナー機関の間での専門知識の活用、交換お
よび普及を目的とした協同プラットフォーム、およびc) 既存のアドバイザリー・サービスの強化もし
くは拡大または未対処のニーズに対応する新規のサービスの創出、で構成される。EIBは、EIAHの個別
財務書類を作成している。
Z.23. 近隣インベストメント・ファシリティ(「NIF」)リスク資本ファシリティ
近隣インベストメント・ファシリティ(「NIF」)リスク資本ファシリティは、欧州連合の一般予算
を財源とする。主な目標として、民間セクターの開発、包括的な成長および民間セクターの雇用創出
を支援するため、南方の近隣地域のSMEにエクイティ・ファイナンスおよびデット・ファイナンスへの
アクセスを提供することに注力している。このファシリティは、エクイティ・ファイナンスおよび
デット・ファイナンスの手段から成る金融商品ウィンドウと、技術支援サービスから成る付加的任務
ウィンドウで構成される。EIBは、金融商品ウィンドウの個別財務書類を作成している。
Z.24. 欧州地中海投資パートナーシップ制度(「FEMIP」)信託基金
EIB が管理するFEMIP(ユーロ地中海投資パートナーシップ・ファシリティ)信託基金は、多数の援
助国の支援を得て、地中海パートナーシップ・ファシリティ参加国におけるEIBの既存業務を強化する
ために設立された。当基金は、技術援助とリスク資本の提供を通じて、特定の優先分野の事業に資源
を投入することを目指している。EIBは、FEMIP信託基金の個別財務書類を作成している。
Z.25. EPTA信託基金
EPTA(東方パートナーシップ技術支援)信託基金は、技術支援のための多分野向けの多目的融資枠
を提供し、EIB東方パートナーシップ事業の質を高め、かつ開発効果を増幅させることに重点的に取り
組んでいる。同基金は、近隣インベストメント・ファシリティを補完する。EIBは、EPTA信託基金の個
別財務書類を作成している。
Z.26. 自然環境保護資金調達ファシリティ(「NCFF」)
自然環境保護資金調達ファシリティ(「NCFF」)は、EIBと欧州委員会との共同契約であり、自然環
境保護資金の保全のための収益創出またはコスト削減プロジェクト(気候変動適応プロジェクトを含
む)に係る市場の格差および障壁に対処することにより、生物多様性分野および気候変動への適応に
関するEUおよび加盟国の目標の達成に貢献することを目的としている。EIBは、NCFFの個別財務書類を
作成している。
Z.27. EU貿易振興・競争力向上プログラム(「EUTCP」)
経済成長を加速させ、民間セクターの発展を支援し、地域統合ならびに気候変動の軽減および適応
を強化するというEUの政策目的に沿って、EIBはEUTCPを展開するためにECと協力している。EUTCPは以
下を合わせたものである。(i) バリュー・チェーン向けのEIBの長期貸付金、(ii) 保証手段(リス
ク・シェリング・ファシリティ)および (iii) 選別された国における市場の機能不全に対処するため
430/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
の技術的支援(専門家支援ファシリティ)。EUTCPはまた、EIBにとってそれぞれの国におけるポジ
ショニングについて戦略的に重要な取組みを表す。このプログラムは、EIBの伝統的な商品を補完する
新 たな保証商品を可能にするため、選択された対象国におけるバリュー・チェーンに沿ってSMEに対す
る多額の投資をもたらすことが見込まれる。EIBは、EUTCPのリスク・シェアリング・ファシリティの
個別財務書類を作成している。
Z.28. ギャランティー・ファンド
域外活動のためのギャランティー・ファンドは、非加盟国に供与された貸付および貸付保証の債務
不履行をカバーするため、または非加盟国におけるプロジェクトのために、1994年に設立された。欧
州委員会(EC)は、1994年11月に二者間で締結された契約およびその後の当該契約の改訂に基づき、
ギャランティー・ファンドの財務管理をEIBに委託している。
近隣・開発・国際協力手段(「NDIC」)の発効により、ギャランティー・ファンドは欧州委員会が
管理する共通準備基金のコンパートメントとなった。EIBによるファンドの管理は終了した。
ギャランティー・ファンドの純資産の欧州委員会への移管に伴い、EIBは2021年7月31日現在で最終
財務書類を作成した。
431/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
(1)
特別部門計算書
2021年12月31日および2020年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
資産 2021 年12月31日 2020 年12月31日
地中海沿岸諸国
欧州連合の財源によるもの
実行済貸付残高 5,828 8,333
リスク資本業務
- 未実行金額
21,523 21,747
- 実行済金額 28,479 30,465
50,002 52,212
(2)
55,830 60,545
合計
アフリカ、カリブ海および太平洋地域諸国ならびに加盟国の属国およ
び属領
欧州連合の財源によるもの
- ヤウンデ協定
リスク資本による業務
- 実行済金額 0 419
(3)
0 419
合計
- ロメ協定
リスク資本による業務
- 実行済金額 76,542 121,821
(4)
76,542 121,821
合計
132,372 182,785
合計
432/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
(1)
特別部門計算書 (続き)
2021年12月31日および2020年12月31日現在
(単位:千ユーロ)
負債 2021 年12月31日 2020 年12月31日
受託管理資金
欧州連合の委託によるもの
- 地中海沿岸諸国金融議定書
34,307 38,798
- ヤウンデ協定
0 419
- ロメ協定 76,542 121,821
110,849 161,038
受託管理資金の合計
未実行金額
21,523 21,747
地中海沿岸諸国における貸付業務およびリスク資本業務
21,523 21,747
未実行金額の合計
132,372 182,785
合計
付記:
欧州連合の委託に基づきEIBが元利回収を引き受けた、欧州委員会提供の特別条件付貸付金の実行済・未返
済残高合計:
a ) 2021年12月31日現在における第1次、第2次および第3次ロメ協定に基づくもの:211,266千ユーロ
(2020年:232,416千ユーロ)
b ) 2021年12月31日現在における地中海沿岸諸国との間で署名した金融議定書に基づくもの:29,660千
ユーロ(2020年:35,417千ユーロ)
欧州連合-欧州開発金融機関民間部門開発ファシリティとの関連において、保証部分の導入契約が2014年
8月20日に締結された。2019年に受けた履行請求後の、2021年12月31日現在の発行済EU保証はゼロ(2020
年:ゼロ)であった。EU保証の総額は、2021年12月31日現在で38,920千ユーロ(2020年:38,920千ユーロ)
である。
433/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注(1) 特別部門は、総務会によって1963年5月27日に設定された。1977年8月4日の決議に基づき、その目的が見
直され、第三者の勘定で第三者の委託に基づいて欧州投資銀行が実行した金融業務を記録するためとされ
た。ただし、コトヌー協定、欧州連合-アフリカ・インフラ信託基金、近隣インベストメント・ファシリ
ティ信託基金(「NIF」)およびFEMIP信託基金に基づくインベストメント・ファシリティについては、個別
財務書類に表示されている。また、EIBは2005年より他の委託について異なる種類の財務書類を作成してい
る。
特別部門計算書は、欧州連合および加盟国の委託に基づく実行済金額もしくは未実行金額から解約額およ
び返済額を控除した金額を示している。実行済金額および未実行金額ならびに受取済および受取予定資金
は、額面価額で計上されている。特別部門計算書では、これらの業務に付随するリスクを補填するために必
要となりうる引当金もしくは評価損益は、確定的な償却を除き、考慮されていない。外貨建ての金額は、12
月31日現在の実勢為替レートで換算されている。
注(2) 欧州連合の委託に基づき、欧州連合の勘定により、またそのリスク負担の下に、マグレブおよびマシュレク
諸国、マルタ、キプロス、トルコならびにギリシャにおけるプロジェクト資金(1981年1月1日の欧州共同
体加盟前に10百万ユーロ融資)のため締結された契約の実行時の金額:
実行時の金額: 840,457
減算: 為替差額 55,632
解約額 178,863
550,132
返済額
-784,627
55,830
注(3) 欧州連合の委託に基づき、欧州連合の勘定により、またそのリスク負担の下に、連合アフリカ諸国、マダガ
スカルおよびモーリシャスならびに加盟国の属国、属領および地区(AASMM-OCTD)におけるプロジェクト資
金のため締結された契約の実行時の金額:
特別条件付貸付金 139,483
2,503
リスク資本形成拠出金
実行時の金額: 141,986
加算: 資産計上された利息 1,178
9,823
為替差額
11,001
減算: 解約額 3,729
149,258
返済額
-152,987
0
434/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
注(4) 欧州連合の委託に基づき、欧州連合の勘定により、またそのリスク負担の下に、アフリカ・カリブ海および
太平洋諸国ならびに加盟国の属国および属領(ACP-OCT)におけるプロジェクト資金のため締結された契約
の実行時の金額:
リスク資本による貸付金:
条件付劣後貸付金 3,116,097
121,002
出資
実行時の金額: 3,237,099
加算: 資産計上された利息 9,548
減算: 解約額 742,432
返済額 2,371,822
55,851
為替差額
-3,170,105
76,542
435/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
④【EU会計指令に基づく連結財務書類とIFRSに基づくものとの差異】
EU 会計指令に基づき作成されたEIBグループの2021年12月31日現在の連結貸借対照表および2021年12月31日終
了年度の損益計算書ならびにIFRSに基づき作成されたそれらとの間における差異
連結 貸借対照表
2021 年 12 月 31 日現在
(単位:千 ユーロ )
EU 会計指令 調整 IFRS
影響 参照
資産
1,483,285 0 1,483,285
1 現金、中央銀行および郵便局預け金
2 中央銀行担保適格国庫証券およびそ
A.1, B.1, C
の他短期証券 37,160,351 77,510 37,237,861
3 金融機関貸付金および預け金
a)要求払 797,488 0 797,488
A.2, B.4
b)その他の貸付金および預け金 74,749,439 -7,870 74,741,569
A.2, B.4
c)貸付金 93,562,111 1,120,633 94,682,744
d)貸付金 および預け金の減損(戻
-57,842 -75,226
入れ控除後) -17,384 C
169,051,196 170,146,575
4 対顧客貸付金および預け金
A.2, B.4
a) その他の貸付金および 預け 金 677,437 -240 677,197
A.2, B.4
b)貸付金 322,374,311 17,620,162 339,994,473
c)貸付金および 預け 金の減損(戻
-381,166 -288,259
入れ控除後) 92,907 C
322,670,582 340,383,411
5 確定利付証券を含む負債証券
A.1, B.1, C
a)公共機関による発行 4,946,262 78,333 5,024,595
7,025,006 A.1, B.1, C 7,034,187
b)その他による発行 9,181
11,971,268 12,058,782
B.2, B.3
6 株式およびその他の変動利付証券 9,223,497 9,648,808 18,872,305
7 参加持分 345,023 -345,023 B.3 0
8 デリバティブ資産 0 41,734,302 B.5 41,734,302
9 有形固定資産 242,687 131,633 G 374,320
10 無形資産 58,408 0 58,408
B.5, H
11 その他の資産 141,673 42,211 183,884
12 応募済資本金および準備金(払込請
求済払込未了分) 1,118,948 14,694 I 1,133,642
A.1, A.2, A.4,
14,565,820 271,753
B.1, B.4, B.5
13 前払金 -14,294,067
568,032,738 623,938,528
資産合計
436/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結 貸借対照表
2021 年 12 月 31 日現在
(単位:千ユーロ)
EU 会計指令 調整 IFRS
影響 参照
負債および資本
1 金融機関に対する債務
a)要求払 4,777,422 -1,847 A.3 4,775,575
18,895,071 18,796,352
b)期日払または通知払 -98,719 A.3
23,672,493 23,571,927
2 顧客に対する債務
a)要求払 1,645,154 0 1,645,154
175,542 175,496
b)期日払または通知払 -46 A.3
1,820,696 1,820,650
3 債務証書借入
a)負債証券 431,104,111 30,811,247 A.4 461,915,358
9,010,748 11,987,275
b)その他 2,976,527 A.4
440,114,859 473,902,633
4 デリバティブ負債 0 29,529,619 B.5 29,529,619
A.2, B.5, E, G,
5 その他の負債 4,265,084 716,579 H 4,981,663
A.1, A.2, A.3,
A.4, B.1, B.4,
B.5, F
6 繰延収益 15,470,655 -15,027,522 443,133
7 引当金
a)年金制度および健康保険制度 4,510,251 4,113,081 D 8,623,332
39,332 42,537
b)保証引当金 3,205 C
4,549,583 8,665,869
負債合計 489,893,370 542,915,494
8 資本金
a)応募済資本金 248,795,607 0 248,795,607
-226,604,892 -226,604,892
b)払込未請求資本金 0
22,190,715 22,190,715
9 連結準備金
a)準備基金 24,879,561 0 24,879,561
b)その他準備金 12,776,663 -3,040,214 A-H 9,736,449
A.4 B.2, B.5
c)公正価値準備金 0 575,725 575,725
d) 特別活動準備金 12,152,954 0 12,152,954
2,021,337 2,021,337
e)一般貸倒準備金 0
51,830,515 49,366,026
10 当期純利益 2,647,454 5,629,870 A-I 8,277,324
1,470,684 1,188,969
11 非支配持分に帰属する資本
-281,715 E
78,139,368 81,023,034
資本合計
568,032,738 623,938,528
負債および資本合計
437/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
連結 損益計算書
2021 年 12 月 31 日終了事業年度
(単位:千 ユーロ )
EU 会計指令 調整 IFRS
影響 参照
A.1, A.2,
B.1, B.4,
B.5, I
1 受取利息および類似収益 16,473,694 -161,434 16,312,260
A.4, B.5, D,
E, G
2 支払利息および類似費用 -13,285,486 12,904 -13,272,582
3 株式およびその他の変動利付証券からの収益 838,815 0 838,815
4 受取手数料 573,701 11,546 F 585,247
5 支払手数料 -434,377 0 -434,377
A.1, A.2,
A.4, B.1,
B.2, B.3,
B.4, B.5, G,
6 金融業務損益 51,958 5,578,249 H 5,630,207
7 その他の業務収益および費用の純額 -1,397 0 -1,397
8 貸付金および預け金の減損ならびに保証引当
C, H
金の変動(戻入れ控除後) 178,967 112,615 291,582
9 固定金融資産として保有される譲渡可能有価
証券、株式およびその他の変動利付証券の減
C, B.3
損の変動(戻入れ控除後) 16,618 22,272 38,890
10 一般管理費
a) 人件費 -1,371,657 164,626 D -1,207,031
-288,287 -246,922
b) その他の管理費 41,365 G
-1,659,944 -1,453,953
11 減価償却費および償却費:有形固定資産およ
び無形資産
a) 有形固定資産 -28,909 -41,363 G -70,272
-21,035 -21,035
b) 無形資産 0
-49,944 -91,307
12 当期純利益 2,702,605 8,443,385
55,151 166,061
少数株主に帰属する当期利益 110,910 E
2,647,454 8,277,324
EIB 株主に帰属する当期利益
438/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
評価および収益認識におけるIFRSおよびEU会計指令の間の差異
A 損益を通じて公正価値で測定するものとして指定されたまたは償却原価で計上される金融資産および負債
(ヘッジ会計を含む。)
1 負債証券ポートフォリオ
EU 会計指令において、負債証券ポートフォリオは、購入価格で計上され償却原価で測定される(有価
証券流動性ポートフォリオを除く。)。経過利息は、連結貸借対照表の「前払金および未収収益」の項
目に計上される。未収割戻金およびアップフロント・フィーは、連結貸借対照表の「未払金および繰延
収益」の項目に計上される。
IFRS に基づき、グループは、適格なヘッジ対象の負債証券にヘッジ会計を適用している。これらの有
価証券の帳簿価額は、ヘッジの対象となるリスクに起因する公正価値について調整される。ヘッジ会計
に含めることのできない経済的ヘッジ対象の負債証券は、当初認識時に取消不能で公正価値オプション
に指定され、損益を通じて公正価値で測定される。
経過利息(未収割戻金控除後)および未償却のアップフロント・フィーは、連結貸借対照表上で関連
する金融商品の残高として報告される。
ヘッジ対象負債証券の公正価値変動およびヘッジの公正価値は、連結損益計算書の「金融業務損益」
に認識される。
2 貸付金および預け金
EU 会計指令において、すべての貸付金および預け金は、償却原価で計上されている。経過利息は連結
貸借対照表の「前払金および未収収益」または「未払金および繰延収益」の項目に計上される。貸付金
に係るアップフロント・フィーは償却され、連結損益計算書の「受取利息および類似収益」に認識され
る。
IFRS においては、グループは、適格なヘッジ対象の貸付金にヘッジ会計を適用している。これらの貸
付金の帳簿価額は、ヘッジの対象となるリスクに起因する公正価値について調整される。ヘッジ会計に
含めることのできない経済的ヘッジ対象の貸付金は、当初認識時に取消不能で公正価値オプションに指
定され、損益を通じて公正価値で測定される。
貸付金の公正価値変動およびヘッジの公正価値は、連結損益計算書の「金融業務損益」に認識され
る。
経過利息は、連結貸借対照表上で関連する資産の残高として報告される。
信用減損している貸付金および預け金に係る経過利息は、「受取利息および類似収益」に戻入れがな
される。
IFRS においては、貸付金に係るアップフロント・フィーは、
・ 公正価値オプションに指定された貸付金に関して連結損益計算書上の「金融業務損益」の項目で
即時認識される。
・ 貸付金の満期までの期間にわたり償却され、ヘッジ会計および/または償却原価で測定に指定さ
れた貸付金については、連結貸借対照表の「金融機関および対顧客貸付金および預け金」の項目
で認識される。
IFRS においては、償却原価で測定される金融資産のキャッシュ・フローについて大幅な契約の変更が
なされた場合、新たな金融資産をその公正価値で計上し、条件変更に係る損益の影響額を連結損益計算
書の「金融業務損益」に計上する。
貸付金の仮勘定は、「その他の負債」から当該貸付金仮勘定が関連する貸付金残高に再分類される。
439/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
3 金融機関および顧客に対する債務
EU 会計指令において、「金融機関に対する債務」および「顧客に対する債務」は、連結貸借対照表に
おいて償還額で表示される。
金融機関および顧客に対する債務の利息は、発生主義により、連結損益計算書の「支払利息および類
似費用」または利息がマイナスの場合には「受取利息および類似収益」に計上される。経過利息は、
「未払金および繰延収益」に含められる。
IFRS においては、「金融機関に対する債務」および「顧客に対する債務」は、当初は取得原価で計上
され、連結貸借対照表では償却原価で表示される。
金融機関および顧客に対する債務の利息は、実効金利法を用いて連結損益計算書の「支払利息および
類似費用」または「受取利息および類似収益」に計上される。
経過利息は、連結貸借対照表上で関連する金融商品の残高として報告される。
4 債務証書借入
EU 会計指令において、債務証書借入は償却原価で計上される。経過利息は連結貸借対照表の「未払金
および繰延収益」の項目に計上される。「前払金および未収収益」または「未払金および繰延収益」に
計上される発行手数料および償還プレミアムまたはディスカウントは定額法で償却され、その後連結損
益計算書の「支払利息および類似費用」の項目に認識される。
IFRS においては、グループは、適格である場合は常にそのヘッジ対象の発行債務の大部分にヘッジ会
計を適用する。これらの債務証書借入の帳簿価額は、ヘッジの対象となるリスクに起因する公正価値に
ついて調整される。ヘッジ会計に含めることのできない経済的ヘッジ対象の債務証書借入は、当初認識
時に取消不能で公正価値オプションに指定され、損益を通じて公正価値で測定される。
債務証書借入の公正価値変動およびヘッジの公正価値は、連結損益計算書の「金融業務損益」に認識
される。
経過利息は、連結貸借対照表上で関連する負債性金融商品の残高として報告される。
発行手数料および償還プレミアムまたはディスカウントは、連結貸借対照表で関連する金融商品の項
目において報告され、実効金利法を用いて関連する債務証書借入の満期までの期間にわたって償却され
る。ただし、債務証書借入が損益を通じて公正価値で測定され、発行手数料、プレミアム/ディスカウ
ントおよび償還プレミアムが連結損益計算書の「金融業務損益」に即時認識される場合を除く。
公正価値オプションに指定された債務証書借入については、IFRS第13号に従い自己信用リスクを反映
した自己信用調整(「OCA」)が計算され、それぞれの変動額が「公正価値準備金」として「その他の包
括利益(「OCI」)に計上される。
IFRS において、グループは金融資産および金融負債の相殺基準を充たす1件の取引を有している。
B 強制的に損益を通じて公正価値で分類されるまたはその他の包括利益を通じて公正価値で測定するものと
して指定された金融資産および金融負債
1 負債証券ポートフォリオ
EU 会計指令においては、有価証券流動性ポートフォリオを除く負債証券ポートフォリオは、購入価格で
計上され、償却原価で測定される。有価証券流動性ポートフォリオの負債証券は、公正価値で計上され
る。公正価値変動は、連結損益計算書の「金融業務損益」に直接反映される。経過利息は、連結貸借対照
表の「前払金および未収収益」および「未払金および繰延収益」の項目に計上される。
440/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
IFRS においては、一部の負債証券は償却原価で測定することができないため公正価値で計上しなければ
ならず、公正価値変動は直接損益に反映される。
これらの負債証券の公正価値変動は、連結損益計算書の「金融業務損益」に認識される。
経過利息は、連結貸借対照表上で関連する金融商品の残高として報告されるが、関連手数料は、連結損
益計算書の「金融業務損益」に即時認識される。
2 株式およびその他の変動利付証券
EU 会計指令においては、株式およびその他の変動利付証券は、当初は取得原価で計上され、返済による
資金の還流額が減額される。これらの帳簿価額は、その後取得原価または各貸借対照表日現在の時価のい
ずれか低い方の額に調整される。
個々の評価損益は「金融業務損益」に計上される。
IFRS においては、株式およびその他の変動利付証券は公正価値で計上され、公正価値変動は連結損益計
算書の「金融業務損益」に直接反映される。ただし、公正価値変動が「公正価値準備金」としてOCIに反映
されている欧州復興開発銀行(「EBRD」)に対する投資を除く。
3 参加持分
EU 会計指令においては、「参加持分」は、グループの会計方針と一致した手法に基づき、EU会計指令に
定める持分法を用いて会計処理されている。個々の評価損益は、「固定金融資産として保有される譲渡可
能有価証券および参加持分に係る(再)評価損益」に計上される。
IFRS においては、参加持分は「株式およびその他の変動利付証券」に含められ、個々の公正価値調整は
「金融業務損益」に計上される。
4 貸付金および預け金
EU 会計指令においては、すべての貸付金および預け金は償却原価で計上される。経過利息は、連結貸借
対照表の「前払金および未収収益」または「未払金および繰延収益」の項目に計上される。貸付金に係る
アップフロント・フィーは償却され、連結損益計算書の「受取利息および類似収益」に認識される。
IFRS においては、償却原価での測定に適格でない貸付金は、損益を通じて公正価値で測定に分類され
る。これらの貸付金に係るアップフロント・フィーは、契約時に連結損益計算書の「金融業務損益」に認
識される。
貸付金の公正価値変動は、連結損益計算書の「金融業務損益」に認識される。
5 デリバティブ資産および負債
a 財務デリバティブ
EU 会計指令において、有価証券流動性ポートフォリオに含まれるデリバティブ金融商品は、時価で
評価され、「その他の資産」または「その他の負債」に計上される。
IFRS においては、すべてのデリバティブ資産および負債は連結貸借対照表で認識され、損益を通じ
て公正価値で測定される。
経過利息は、連結貸借対照表上で関連する金融商品の残高として報告される。
信用評価調整(「CVA」)、債務評価調整(「DVA」)および担保評価調整(「CollVA」)は、デリ
バティブの公正価値評価に含まれている。
デリバティブの公正価値変動は連結損益計算書の「金融業務損益」に認識される。
441/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
b デリバティブおよびヘッジ活動
EU 会計指令において、ヘッジ・デリバティブ金融商品は貸借対照表で認識されない。これらはオ
フ・バランスシートにおいて額面価額で報告される。
デリバティブ金融商品について発生する利息は、「前払金および未収収益」または「未払金および
繰延収益」に表示される。
アップフロント・フィー、償還プレミアムまたはプレミアム/ディスカウントは、「支払利息およ
び類似費用」として、関連するデリバティブの満期までの期間にわたり償却される。
IFRS においては、すべてのデリバティブ資産および負債は貸借対照表で認識され、損益を通じて公
正価値で測定される。
経過利息は、連結貸借対照表上で関連する金融商品の残高として報告される。
CVA 、DVAおよびCollVAは、デリバティブの公正価値評価に含まれている。
デリバティブの公正価値変動は、連結損益計算書の「金融業務損益」に認識される。
為替スワップおよび外国為替予約のプレミアムおよびディスカウントの償却は、「金融業務損益」
に計上される。
ヘッジ会計におけるデリバティブについては、ヘッジ手段に指定された部分の利得または損失が連
結損益計算書に認識される。加えて、グループは、通貨ベーシス・スプレッド(「CBS」)の公正価値
をヘッジ手段指定から分離し、特定の会計処理を適用している。当初ヘッジ手段の指定日に測定され
たCBSの金額はOCIに計上され、連結損益計算書においてヘッジ期間にわたり定額法で償却される。CBS
のその後の公正価値変動は、OCIに直接認識される。
ヘッジ会計におけるデリバティブのアップフロント・フィーまたは償却プレミアムは、実効金利法
を用いて関連するデリバティブの満期までの期間にわたり償却される。ただし、これらのデリバティ
ブがヘッジ会計に指定されておらず、「金融業務損益」に即時認識される場合を除く。
IFRS により、グループは、金融資産および金融負債の相殺基準を充たす2件の取引を有している。
C 償却原価で測定される金融資産および貸付コミットメントの減損
EU 会計指令において、貸付金および預け金の評価損益は、(ⅰ)それらの金額のすべてもしくは一部が回
収できないリスクが存在する場合、または(ⅱ)減損しているがそのように認識されていないポートフォリ
オの貸付金もしくは発生しているが報告されていない損失を捕捉するために計上される。これらの評価損
益は、連結損益計算書の「貸付金および預け金ならびに偶発債務引当金に係る(再)評価損益」として会
計処理され、連結貸借対照表上の適切な資産項目から控除される。
負債証券の評価損益は、それが一時的でない場合に、または減損しているがそのように認識されていな
い負債証券もしくは発生しているが報告されていない損失を捕捉するために計上される。これらの評価損
益は、連結損益計算書の「固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券および参加持分に係る(再)
評価損益」として会計処理され、連結貸借対照表上の適切な資産項目から控除される。
IFRS により、グループは、償却原価で測定されるすべての貸付金および負債証券の損失引当金に加え、
オフ・バランスシートの貸付コミットメントの損失引当金を認識することが要求されている。この引当金
は、当初認識以降に信用リスクが著しく増大した場合、または当該金融商品が信用減損していると判断さ
れた場合は全期間予想信用損失(「ECL」)に基づき、そうでない場合は12ヵ月ECLに基づき計上される。
金融商品の性質に応じて、ECL引当金は、連結貸借対照表の適切な資産項目から控除される。オフ・バラ
ンスシート項目については、貸倒引当金は「引当金 b) 保証および契約債務引当金 」の項目で報告され
る。
ECL 引当金の変動は、連結損益計算書の以下のいずれかの項目に計上される。
442/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
・ 貸付金および貸付コミットメントについては、「貸付金および預け金の減損ならびに保証引当金
の変動(戻入れ控除後)」
・ 負債証券については、「固定金融資産として保有される譲渡可能有価証券、株式およびその他の
変動利付証券の減損の変動(戻入れ控除後)」
D 年金基金
EIB は、数理計算上の差異の累積額の認識に関して、その会計方針を将来に向かって変更した。
2020 年12月31日現在の財務書類に適用されたEU会計指令における会計方針は、以下のとおりである。
EU 会計指令においては、10%回廊方式が採用されており、退職給付債務の10%を超過する過年度の数理
計算上の差異の累積額は、制度加入者の予想平均残存勤続年数(2020年度:平均14.6年)にわたり定額法
で認識される。
2021 年12月31日現在の財務書類に適用されたEU会計指令における会計方針は、以下のとおりである。
2021 年会計年度より10%回廊方式を見直しが行われているが、退職給付債務の10%を超過する当年度の
数理計算上の差異の累積額は、7年の期間にわたり定額法で「一般管理費 a)人件費」に認識される。
IFRS において、グループは、退職後確定給付制度に関連する収益または費用を決定するために改訂され
たIAS第19号を適用している。
数理計算上の差異の累積額は、全額が「その他準備金」としてOCIで認識される。人件費の調整は、連結
損益計算書の「一般管理費 a)人件費」で、利息費用の調整は「支払利息および類似費用」で認識される。
E 非支配持分の調整
EIB および欧州投資基金(「EIF」)は総称して「グループ」と定義されている。
EIB はその子会社の1つであるEIFの少数株主の全所有株式を対象としてプット・オプションを付与し
た。
EU 会計指令において、非支配持分は連結貸借対照表上、「非支配持分に帰属する資本」として別に計上
される。プット・オプションは、グループの連結オフ・バランスシートに計上される。
IFRS においては、非支配持分は組み替えられ、対応する金融負債がオプションの行使価格の公正価値に
より「その他の負債」に認識されて親会社の株主に帰属する。その後、当該金融負債はIFRS第9号に従っ
て測定される。すなわち、取得日後の金融負債の公正価値変動は、連結損益計算書の「支払利息および類
似費用」に認識される。非支配持分の合意価格に対する超過額または不足額は「連結準備金」に戻入れが
なされる。
F 受取手数料
グループは、EU会計指令およびIFRSに基づき、一定期間にわたり履行義務が充足される収益からの受取
手数料を、サービス期間にわたり発生主義で認識している。一時点でのサービスの提供またはその履行に
より稼得した受取手数料(例えば業績連動)は、サービスが完了した時点で認識される。
グループは、一定のマンデートについて、収入を受領する時期と各マンデートの全期間にグループにお
いてサービス/コストが発生する時期との間のずれに対応するために、繰延収益方針を確立している。対
応する調整が「受取手数料」に対して連結貸借対照表の「繰延収益」に計上される。
EU 会計指令において、一定の期間にわたりこの繰延メカニズムを将来に向かって適用し当会計年度の繰
延収益を認識したが、IFRSにおいては、グループは修正遡及アプローチを使用し、IFRS第15号への移行時
に累積的影響額を資本に認識した。
この結果、繰延収益とそれに対応する個々の年度に計上される収益に差異が生じた。
443/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
G リース
EU 会計指令に基づき、賃借料は「一般管理費 b)その他の管理費」に計上される。
IFRS 第16号に従って、グループは、契約がリースに該当するかを評価する。リースに該当する場合、グ
ループは使用権資産およびリース負債を認識する。ただし、免除規定の対象となるもの(短期リース資産
および新規の取得原価を基準とした少額リース)を除く。上記の使用権資産は「有形固定資産」に認識さ
れ、対応するリース負債は「その他の負債」に認識される。
その後、グループは、原価モデルを適用して使用権資産を計上し、使用権資産を開始日からリース契約
終了時まで減価償却するとともに毎年減損評価を行う。使用権資産の減価償却は、「減価償却費および償
却費:有形固定資産および無形資産 a)有形固定資産」に計上される。リース負債の帳簿価額は、リース料
およびリース負債に係る割引の巻戻しによる利息を反映して調整され、再評価またはリースの条件変更を
反映するため再測定が行われる。リース負債に係る割引の巻戻しによる利息は、連結損益計算書の「支払
利息および類似費用」に計上される。再評価の金額は、連結損益計算書の「金融業務損益」に計上され
る。
H 金融保証契約
EU 会計指令に基づき、金融保証による負債純額は、連結貸借対照表の「引当金 b)保証業務に係る引当
金」に表示されている。将来の予想プレミアムの正味現在価値が予想支払義務を超過する額を表す未実現
利益は、引き続き認識されていない。
純負債の増加または減少は、連結損益計算書の「貸付金および預け金ならびに偶発債務引当金に係る
(再)評価損益」で認識される。
IFRS において、金融保証による未実現利益は、金融保証契約の測定の結果として正味資産ポジションと
なった場合、連結貸借対照表の「その他の資産」に計上される。金融保証契約の測定の結果として正味負
債ポジションとなった場合、償却後の当初NPVが12ヵ月ECLまたは全期間ECLよりも高い契約については、
「その他の負債」に表示される。信用減損があり、全期間ECLに基づいた損失引当金が認識されている保証
契約については、「保証および契約債務引当金」に表示される。金融保証に関連する「その他の資産」ま
たは「その他の負債」の増加または減少は、連結損益計算書の「金融業務損益」に認識される。保証履行
請求に対する決済以外の金融保証に伴う「保証および契約債務引当金」の増加または減少は、連結損益計
算書の「貸付金および預け金の減損ならびに保証引当金の変動(戻入れ控除後)」に認識される。
I 応募済資本金および準備金(払込請求済払込未了分)
EU 会計指令に基づき、「応募済資本金および準備金(払込請求済払込未了分)」の項目には、2020年3
月1日のポーランドおよびルーマニアの増資に伴う両国からの将来の支払額が含まれる。
IFRS において、当該支払額は、割引キャッシュ・フロー法を用いて割り引かれる。
割引の影響は「受取利息および類似収益」として計上され、その償却額は「支払利息および類似費用」
に計上されている。
444/445
EDINET提出書類
欧州投資銀行(E06005)
有価証券報告書
(6) 【その他】
当会計年度の末日後、本有価証券報告書提出日までに生じた重要な事実はない。
(7) 【発行者の属する国等の概況】
該当なし
445/445