株式会社リコー 有価証券報告書 第122期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
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株式会社リコー(E02275)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2022年6月27日
【事業年度】 第122期(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
【会社名】 株式会社リコー
【英訳名】 RICOH COMPANY,LTD.
【代表者の役職氏名】 代表取締役 社長執行役員・CEO 山下 良則
【本店の所在の場所】 東京都大田区中馬込一丁目3番6号
【電話番号】 03(3777)8111(大代表)
【事務連絡者氏名】 コーポレート執行役員・CFO 川口 俊
【最寄りの連絡場所】 東京都大田区中馬込一丁目3番6号
【電話番号】 03(3777)8111(大代表)
【事務連絡者氏名】 コーポレート執行役員・CFO 川口 俊
【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
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第一部 【企業情報】
第1 【企業の概況】
1 【主要な経営指標等の推移】
(1) 連結経営指標等
回次 第118期 第119期 第120期 第121期 第122期
決算年月 2018年3月 2019年3月 2020年3月 2021年3月 2022年3月
売上高 (百万円) 2,063,363 2,013,228 2,008,580 1,682,069 1,758,587
税引前利益又は損失(△) (百万円) △ 124,182 83,964 75,891 △ 41,028 44,388
親会社の所有者に帰属
(百万円) △ 135,372 49,526 39,546 △ 32,730 30,371
する当期利益又は損失
(△)
親会社の所有者に帰属
(百万円) △ 118,072 30,304 6,949 21,897 90,733
する当期包括利益又は
損失(△)
親会社の所有者に帰属
(百万円) 909,565 932,577 920,371 920,246 902,042
する持分
総資産額 (百万円) 2,641,030 2,725,132 2,867,645 1,887,868 1,853,254
1株当たり親会社所有者
(円) 1,254.79 1,286.56 1,270.47 1,281.29 1,416.08
帰属持分
基本的1株当たり親会社
の所有者に帰属する (円) △ 186.75 68.32 54.58 △ 45.20 45.35
当期利益又は損失(△)
希薄化後1株当たり
親会社の所有者に帰属
(円) - - 54.58 △ 45.20 45.34
する当期利益又は損失
(△)
親会社所有者帰属持分
(%) 34.44 34.22 32.10 48.75 48.67
比率
親会社所有者帰属持分
(%) △ 13.87 5.38 4.27 △ 3.56 3.33
当期利益率
株価収益率 (倍) - 16.93 14.55 - 23.42
営業活動による
(百万円) 110,288 81,947 116,701 126,962 82,462
キャッシュ・フロー
投資活動による
(百万円) △ 81,077 △ 45,931 △ 164,591 △ 63,559 △ 59,355
キャッシュ・フロー
財務活動による
(百万円) 6,407 42,424 75,757 △ 4,085 △ 131,685
キャッシュ・フロー
現金及び現金同等物
(百万円) 160,568 240,099 263,688 330,344 234,020
期末残高
従業員数 (人) 97,878 92,663 90,141 81,184 78,360
(注)1 当社は、国際会計基準(以下、IFRS)に準拠して連結財務諸表を作成しております。
2 第118期及び第119期の希薄化後1株当たり親会社の所有者に帰属する当期利益又は損失(△)については、
潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3 第118期及び第121期の株価収益率は、基本的1株当たり親会社の所有者に帰属する当期損失であるため記載
しておりません。
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(2) 提出会社の経営指標等
回次 第118期 第119期 第120期 第121期 第122期
決算年月 2018年3月 2019年3月 2020年3月 2021年3月 2022年3月
売上高 (百万円) 862,291 889,341 891,192 445,297 483,481
経常利益又は
(百万円) 16,796 1,399 △ 10,085 64,025 30,314
経常損失(△)
当期純利益又は
(百万円) △ 93,519 50,958 4,215 88,057 25,368
当期純損失(△)
資本金 (百万円) 135,364 135,364 135,364 135,364 135,364
発行済株式総数 (百株) 7,449,120 7,449,120 7,449,120 7,449,120 6,374,681
純資産額 (百万円) 482,095 478,233 461,015 529,551 444,771
総資産額 (百万円) 1,026,776 963,455 923,360 967,753 862,653
1株当たり純資産額 (円) 665.07 659.76 636.38 737.31 698.22
1株当たり配当額
15.00 23.00 26.00 15.00 26.00
(内1株当たり (円)
( 7.50 ) ( 10.00 ) ( 13.00 ) ( 7.50 ) ( 13.00 )
中間配当額)
1株当たり当期純利益
(円) △ 129.01 70.30 5.81 121.59 37.88
又は純損失(△)
潜在株式調整後
(円) - - 5.81 121.59 37.87
1株当たり当期純利益
自己資本比率 (%) 46.95 49.64 49.93 54.72 51.56
自己資本利益率 (%) △ 18.17 10.61 0.90 17.78 5.21
株価収益率 (倍) - 16.46 136.66 9.24 28.04
配当性向 (%) - 32.7 447.1 12.3 66.9
従業員数
7,740 7,925 8,216 8,022 7,613
(ほか、平均臨時 (人)
( 534 ) ( 621 ) ( 699 ) ( 736 ) ( 709 )
雇用人員)
株主総利回り
116.4 130.5 93.7 131.3 127.4
(比較指標:配当込み (%)
( 115.9 ) ( 110.0 ) ( 99.6 ) ( 141.5 ) ( 144.3 )
TOPIX)
最高株価 (円) 1,255.0 1,270.0 1,289.0 1,244.0 1,429.0
最低株価 (円) 837.0 938.0 667.0 625.0 909.0
(注) 1 第121期の当期純利益の大幅な増加は、関係会社からの配当金の計上等によるものです。
2 第118期の当期純利益の大幅な減少は、関係会社株式の評価損の計上等によるものです。
3 第119期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりませ
ん。
4 第118期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であり、また、潜在株
式が存在しないため記載しておりません。
5 第118期の株価収益率及び配当性向は、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
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6 株主総利回り及び比較指標の最近5年間の推移は以下のとおりです。
(株主総利回りは、(a)各事業年度末日の株価と、(b)当事業年度の4連結会計年度前から各事業年度末まで
の1株当たり配当額の累計金額の合計金額(a)+(b)を、当事業年度の5連結会計年度前末日の株価で除した
比率を記載しております。)
7 最高・最低株価は東京証券取引所市場第一部におけるものです。
8 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第122期の期首から適用してお
り、第121期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となってお
ります。
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2 【沿革】
1936年2月 財団法人理化学研究所における発明、考案の工業化を目的とする理化学興業株式会社の感光紙
部門を独立し、理研感光紙株式会社として設立。
1938年3月 商号を理研光学工業株式会社に変更し、光学機器の製造販売を開始。
1949年5月 東京及び大阪両証券取引所市場に株式を公開。
1954年4月 東京都大田区に大森光学工場を新設(現・本社事業所)。
1955年5月 小型卓上複写機の製造販売を開始。
1961年5月 大阪府池田市に感光紙工場を新設(現・池田事業所)。
1961年10月 東京及び大阪両証券取引所市場第一部に上場。
1962年6月 静岡県沼津市で製紙工場の操業を開始し、原紙から感光紙の一貫生産を実施(現・沼津事業
所)。
1962年12月 米国に現地法人RICOH OF AMERICA INC.を設立(現・RICOH USA, INC.)。
1963年4月 商号を株式会社リコーに変更。
1967年7月 宮城県柴田郡に東北リコー株式会社を設立。
1971年5月 神奈川県厚木市に事業所を新設し、大森事業所より事務機製造の一部を移転(現・厚木事業
所)。
1971年6月 オランダに現地法人RICOH NEDERLAND B.V.を設立(現・RICOH EUROPE HOLDINGS B.V.)。
1973年1月 米国に現地法人RICOH ELECTRONICS,INC.を設立。
1976年12月 リコークレジット株式会社を設立(現・リコーリース株式会社)。
1978年12月 香港に現地法人RICOH BUSINESS MACHINES,LTD.を設立(現・RICOH HONG KONG LTD.)。
1981年3月 大阪工場に電子部品を開発、製造する電子技術開発センターを新設(現・池田事業所)。
1982年5月 福井県坂井市に感光紙製造工場を新設(現・福井事業所)。
1983年12月 英国に現地法人RICOH UK PRODUCTS LTD.を設立。
1985年10月 静岡県御殿場市に複写機器製造工場を新設し、厚木事業所より複写機器製造の一部を移転。
1986年4月 神奈川県横浜市に創立50周年を機に研究所を新設し、大森事業所より研究開発部門の一部を移
転(現・横浜仲町台事業所)。
1987年4月 仏国に現地法人RICOH INDUSTRIE FRANCE S.A.を設立(現・RICOH INDUSTRIE FRANCE S.A.S.)。
1991年1月 中国に現地法人RICOH ASIA INDUSTRY (SHENZHEN) LTD.を設立。
1995年3月 米国のOA機器販売会社SAVIN CORPORATIONを米国の現地法人RICOH CORPORATIONを通じて買収。
1995年9月 英国のOA機器販売会社GESTETNER HOLDINGS PLCを買収(現・RICOH EUROPE PLC)。
1996年1月 リコーリース株式会社の株式を東京証券取引所市場第二部に上場(2001年3月、同所市場第一
部に指定)。
1996年12月 シンガポールに現地法人RICOH ASIA PACIFIC PTE LTD.を設立。
1997年3月 米国に現地法人RICOH SILICON VALLEY,INC.を設立(現・RICOH INNOVATIONS CORPORATION)。
1999年8月 香港のOA機器販売会社INCHCAPE NRG LTD.を香港の現地法人RICOH HONG KONG LTD.を通じて買
収。
2001年1月 米国のOA機器販売会社LANIER WORLDWIDE,INC.を米国の現地法人RICOH CORPORATIONを通じて買
収。
2002年10月 中国に現地法人RICOH CHINA CO.,LTD.を設立。
2003年4月 東北リコー株式会社を完全子会社化。
2004年10月 日立プリンティングソリューションズ株式会社を買収。
2005年8月 神奈川県海老名市にリコーテクノロジーセンターを開設し、開発部門を統合。
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2005年11月 東京都中央区に本社事業所を移転。
2007年1月 Danka Business Systems PLCの欧州におけるOA機器の販売・サービス網をオランダの現地法人
RICOH EUROPE B.V.(現・RICOH EUROPE HOLDINGS B.V.)を通じて譲り受け。
2007年6月 International Business Machines Corporation (IBM) との共同出資会社であるINFOPRINT
SOLUTIONS COMPANY, LLCが営業開始。
2008年5月 タイに現地法人RICOH MANUFACTURING (THAILAND) LTD.を設立。
2008年8月 リコーエレメックス株式会社を完全子会社化。
2008年10月 米国のOA機器販売会社IKON Office Solutions,Inc.を米国の現地法人RICOH AMERICAS
CORPORATIONを通じて買収(現・RICOH USA, INC.)。
2010年7月 株式会社リコーの販売事業部門及び国内の販売会社7社を合併しリコージャパン株式会社を設
立。
2010年8月 リコーテクノロジーセンター(神奈川県海老名市)敷地内に新棟が完成。
2011年10月 HOYA株式会社のPENTAXイメージング・システム事業を買収(現・リコーイメージング株式会
社)。
2013年4月 リコーテクノロジーズ株式会社へ、国内製造子会社及び株式会社リコーの設計機能の一部を移
管。
リコーインダストリー株式会社へ、国内製造子会社及び株式会社リコーの生産機能の一部を移
管。
2014年7月 リコージャパン株式会社へ、国内販売関連会社を統合。
2014年10月 リコーインダストリアルソリューションズ株式会社へ、国内製造子会社及び株式会社リコーの
光学機器及び電装ユニット外販事業を移管。
リコー電子デバイス株式会社 (現・日清紡マイクロデバイス株式会社) へ、株式会社リコーの
電子デバイス事業を移管。
2016年4月 リコー環境事業開発センター(静岡県御殿場市)を開設。
2017年11月 中国に現地法人RICOH MANUFACTURING (CHINA) LTD.を設立。
2018年1月 東京都大田区に本社事業所を移転。
2018年3月 リコー電子デバイス株式会社 (現・日清紡マイクロデバイス株式会社) の発行済株式の80%を
日清紡ホールディングス株式会社へ譲渡 (2021年12月に当社が保有する全株式を日清紡ホール
ディングス株式会社に譲渡 )。
2018年8月 リコーロジスティクス株式会社(現・SBSリコーロジスティクス株式会社)の発行済株式の
66.6%(小数点第二位以下を切り捨て)をSBSホールディングス株式会社へ譲渡。
2020年4月 リコーリース株式会社の発行済株式の約20%をみずほリース株式会社へ譲渡。
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3 【事業の内容】
当社グループは、当連結会計年度末現在、当社及び子会社207社、関連会社17社で構成されております。
当社グループでは、デジタルサービス、デジタルプロダクツ、グラフィックコミュニケーションズ、インダストリ
アルソリューションズ及びその他において、開発、生産、販売、サービス等の活動を展開しております。
開発については、主として当社が担当しております。また、生産については、当社及び当社の生産体制と一体と
なっている国内外の生産関係会社が行っております。
また、販売・サービス体制は、国内、米州、欧州・中東・アフリカ、中華圏・アジア等のその他地域にて、世界約
200の国と地域で事業を展開しております。
事業区分における主要な製品及び子会社の位置付けは、以下のとおりです。
なお、当社グループは2021年4月1日より社内カンパニー制を導入しました。そのため、当連結会計年度より、事
業の種類別セグメントを変更しております。この変更に関して、前連結会計年度についても遡及適用した数値で表示
しております。
変更内容の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 5 事業セグメント」をご
覧ください。
また、事業セグメントとしてのデジタルサービスはオフィスサービス事業及びオフィスプリンティングの販売を主
とした事業に限定した事業セグメントであり、当社グループが目指す「はたらく場をつなぎ、はたらく人の想像力を
支えるデジタルサービスの会社」への変革、として掲げるデジタルサービスすべてを網羅しているものではありませ
ん。当社グループが「デジタルサービスの会社」として掲げる「デジタルサービス」は、事業セグメントではデジタ
ルサービスの他、すべてのセグメントの事業内容に含まれております。
<デジタルサービス>
当事業セグメントは、世界トップシェアを有するオフィス向け複合機、プリンターなどの画像機器や消耗品の販売
や、全世界に広がる顧客基盤をベースに、お客様のワークフロー全体の変革や働き方改革を支援するIT関連ソリュー
ションをはじめ、お客様のさまざまな経営課題や生産性向上をデジタルで解決するサービスの提供を通じた事業を展
開しています。
<デジタルプロダクツ>
当事業セグメントは、世界トップシェアを有するオフィス向け複合機をはじめ、プリンターなどの画像機器、さら
にデジタルによるコミュニケーションを支えるエッジデバイスの開発・生産(OEM含む)に取り組んでいます。
<グラフィックコミュニケーションズ>
当事業セグメントには、商用印刷事業と産業印刷事業があります。
商用印刷事業:印刷業を営むお客様に、多品種少量印刷に対応可能なデジタル印刷関連の製品・サービスを提供し
ています。
産業印刷事業:建材や家具、壁紙、サインディスプレイ、服飾品生地など、多種多様な印刷を可能とする産業用イ
ンクジェットヘッド、インクジェット用インク、産業用プリンターなどを製造・販売しています。
(上記3事業セグメントにおける主要な子会社)
(生産)
国内 … リコーインダストリー㈱、リコーエレメックス㈱
米州 … RICOH ELECTRONICS,INC.
欧州 … RICOH UK PRODUCTS LTD.、RICOH INDUSTRIE FRANCE S.A.S.
その他地域 … SHANGHAI RICOH DIGITAL EQUIPMENT CO., LTD.、RICOH MANUFACTURING (CHINA)
LTD.、RICOH MANUFACTURING (THAILAND) LTD.
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(販売・サービス・サポート)
国内 … リコージャパン㈱、リコーITソリューションズ㈱
米州 … RICOH AMERICAS HOLDINGS, INC.、RICOH CANADA INC.、RICOH USA, INC.、RICOH
PRINTING SYSTEMS AMERICA, INC.
欧州 … RICOH EUROPE HOLDINGS PLC、RICOH SVERIGE AB.、RICOH UK LTD.、RICOH
DEUTSCHLAND GmbH、DOCUWARE GmbH、RICOH NEDERLAND B.V.、RICOH EUROPE SCM
B.V.、RICOH BELGIUM N.V.、RICOH FRANCE S.A.S.、RICOH SCHWEIZ AG、RICOH
ITALIA S.R.L.、RICOH ESPANA S.L.U.
その他地域 … RICOH CHINA CO., LTD.、RICOH ASIA INDUSTRY LTD.、RICOH ASIA PACIFIC
OPERATIONS LTD.、RICOH HONG KONG LTD.、RICOH THAILAND LTD.、RICOH ASIA
PACIFIC PTE LTD.、RICOH AUSTRALIA PTY, LTD.、RICOH NEW ZEALAND LTD.
<インダストリアルソリューションズ>
当事業セグメントには、サーマル事業と産業プロダクツ事業があります。
サーマル事業:食品用のPOSラベル、バーコードラベル、配送ラベルなどに利用されているサーマルペーパーや、
衣料品の値札やブランドタグ、チケットなどに使われる熱転写リボンを製造・販売しています。
産業プロダクツ事業:光学技術や画像処理技術を活かした精密機器部品などを提供しています。
(主要な子会社)
(生産)
国内 … リコーインダストリアルソリューションズ㈱、リコーエレメックス㈱
その他地域 … RICOH ELECTRONICS,INC.、RICOH INDUSTRIE FRANCE S.A.S.、RICOH THERMAL MEDIA
(WUXI) CO., LTD.
<その他>
当事業セグメントは、Smart Vision事業とその他事業があります。
Smart Vision事業:360°カメラRICOH THETAにソフトウェアやクラウドサービスを組み合わせ、不動産や建設、建
築などをはじめとする、はたらく現場を効率化するプラットフォーム事業を強化しています。
その他事業:コンシューマ市場でお客様から支持をいただいているデジタルカメラ関連事業をはじめ、植物由来で
プラスチック代替の新素材である「PLAiR(プレアー)」事業、iPS分化細胞、細胞チップによる創薬を支援するバイ
オメディカルや脳磁計事業を中心とするメディカルイメージングなどのヘルスケア事業、社会課題に対応し、路面、
トンネル、のり面などを点検する社会インフラ事業、環境技術や環境事業の創出など、新たな事業機会の拡大を行っ
ています。また、関連会社が独自に事業拡大を行っている事業なども含まれています。
(主要な子会社)
(生産)
その他地域 … RICOH IMAGING PRODUCTS (PHILIPPINES) CORPORATION
(販売・その他)
国内 … リコーイメージング㈱、リコークリエイティブサービス㈱
米州 … RICOH IMAGING AMERICAS CORPORATION
欧州 … RICOH IMAGING EUROPE S.A.S.
<事業系統図>
以上に述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。
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4 【関係会社の状況】
(連結子会社)
2022年3月31日 現在
議決権の
名称 住所 資本金 主要な事業の内容 所有割合 関係内容
(%)
リコーインダスト
デジタルサービス向け 当社のデジタルサービス向け
神奈川県
リー㈱
100百万円 100.0
厚木市
デバイスの製造 デバイスの製造
*1
デジタルサービス向け
当社のデジタルサービス向け
愛知県
リコーエレメックス
3,456百万円 デバイス・精密機器の 100.0
㈱
岡崎市
デバイスの製造
製造販売
デバイス・アプリケー 当社のデバイス・アプリケー
ション・保守等を組み ション・保守等を組み合わせ
リコージャパン㈱ 東京都
2,517百万円 100.0
*1,3 大田区
合わせたデジタルサー たデジタルサービスの販売業
ビスの提供 務
ネットワークシステム 当社製品のネットワークシス
リコーITソリュー 神奈川県
250百万円 100.0
ションズ㈱ 横浜市
の開発・構築・販売 テムの開発・構築・販売
東京都
リコーイメージング デジタルカメラ等光学 デジタルカメラ等光学機器の
100百万円 100.0
㈱ 機器の販売 販売
大田区
東京都 施設管理業務 当社施設管理業務
リコークリエイティ
60百万円 100.0
ブサービス㈱
大田区 広告・印刷業 広告印刷等の委託業務
リコーインダストリ
東京都
光学機器及び電装ユ
アルソリューション 350百万円 100.0 当社製品部品の製造
ニットの製造販売
大田区
ズ㈱
デジタルサービス向け 当社製品及び光学機器製品の
神奈川県
リコーテクノロジー
10百万円 100.0
ズ㈱
海老名市
デバイスの開発・設計 開発・設計
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議決権の
名称 住所 資本金 主要な事業の内容 所有割合 関係内容
(%)
デジタルサービス
向けデバイス関連 当社のデジタルサービス向け
RICOH ELECTRONICS,
米国
27,120千 100.0
INC. 消耗品の製造及び デバイスの製造及びサーマル
ジョージア
米ドル (100.0)
州
*4
サーマルメディア メディアの製造販売
の製造販売
デジタルサービス 当社のデジタルサービス向け
RICOH UK PRODUCTS
英国
5,500千
100.0
LTD. スターリング 向けデバイス及び デバイス及び関連消耗品の製
テルフォー
(100.0)
ポンド
ド
*4
関連消耗品の製造 造
仏国
サーマルメディア 当社のサーマルメディアの製
RICOH INDUSTRIE
22,105千
100.0
ヴェトルス
FRANCE S.A.S. ユーロ
の製造販売 造販売
ハイム
RICOH THERMAL
当社のサーマルメディアの製
MEDIA (WUXI) CO., 中国
411,588千 サーマルメディア 99.0
元 の製造販売 (10.0)
LTD. 無錫市
造販売
*4
SHANGHAI RICOH
デジタルサービス
当社のデジタルサービス向け
DIGITAL EQUIPMENT 中国
42,340千 100.0
向けデバイスの製
米ドル (55.3)
CO.,LTD. 上海市
デバイスの製造販売
造販売
*4
デジタルサービス
RICOH MANUFACTURING
当社のデジタルサービス向け
中国
31,000千 100.0
(CHINA) LTD. 向けデバイスの製
米ドル (100.0)
東莞市
デバイスの製造
*4
造
デジタルサービス 当社のデジタルサービス向け
RICOH MANUFACTURING
タイ
1,418,000千
(THAILAND) LTD. 向けデバイス及び 100.0 デバイス及び関連消耗品の製
タイバーツ
ラヨーン県
*1
関連消耗品の製造 造の製造
RICOH IMAGING
PRODUCTS
フィリピン
29千 デジタルカメラ等 100.0 デジタルカメラ等光学機器の
(PHILIPPINES)
米ドル 光学機器の製造 (100.0) 製造
セブ
CORPORATION
*4
米国
RICOH AMERICAS
当社の米州地域における販売
1,342,000千 米州地域における
ニュー
持株会社
HOLDINGS, INC. 100.0
米ドル 販売持株会社
ジャージー
当社より資金の貸付…有
*1
州
デバイス・アプリ
当社のデバイス・アプリケー
ケーション・保守
カナダ
ション・保守等を組み合わせ
RICOH CANADA INC.
74,616千 100.0
等を組み合わせた
オンタリオ
カナダドル (100.0)
*4
たデジタルサービスの販売業
州
デジタルサービス
務
の提供
デバイス・アプリ
当社のデバイス・アプリケー
ケーション・保守
米国
ション・保守等を組み合わせ
RICOH USA, INC.
885,342千 100.0
等を組み合わせた
ペンシルバ
米ドル (100.0)
*1,3,4
たデジタルサービスの販売業
ニア州
デジタルサービス
務
の提供
RICOH PRINTING
米国
SYSTEMS AMERICA,
631,179千 インクジェット 100.0 インクジェットヘッド等の販
カリフォル
米ドル ヘッド等の販売 (4.4) 売
INC.
ニア州
*1,4
RICOH IMAGING
米国
AMERICAS
0千 デジタルカメラ等 100.0 デジタルカメラ等光学機器の
ニュー
米ドル 光学機器の販売 (100.0) 販売
CORPORATION ジャージー
州
*4
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議決権の
名称 住所 資本金 主要な事業の内容 所有割合 関係内容
(%)
RICOH EUROPE
1,962千
英国
欧州地域における 当社の欧州地域における販売
スターリング
HOLDINGS PLC 100.0
販売持株会社 持株会社
ロンドン
ポンド
*1
デバイス・アプリ
当社のデバイス・アプリケー
スウェーデ
ケーション・保守
5,106千
ション・保守等を組み合わせ
RICOH SVERIGE AB. ン
100.0
スウェーデン 等を組み合わせた
(100.0)
*4 ストックホ
たデジタルサービスの販売業
クローナ
デジタルサービス
ルム
務
の提供
デバイス・アプリ
当社のデバイス・アプリケー
ケーション・保守
英国
30,000千
ション・保守等を組み合わせ
RICOH UK LTD.
100.0
スターリング 等を組み合わせた
ノーサンプ
(100.0)
*4
たデジタルサービスの販売業
ポンド
トン
デジタルサービス
務
の提供
デバイス・アプリ
当社のデバイス・アプリケー
ケーション・保守
RICOH DEUTSCHLAND 独国
ション・保守等を組み合わせ
8,750千 100.0
GmbH ハノー 等を組み合わせた
ユーロ (100.0)
たデジタルサービスの販売業
*4 ファー
デジタルサービス
務
の提供
CSP (Contents
CSP (Contents Service
DOCUWARE GmbH 独国
168千 100.0
Service Platform)
ユーロ (100.0) Platform) の開発・販売
*4 ミュンヘン
の開発・販売
デバイス・アプリ
当社のデバイス・アプリケー
ケーション・保守
RICOH NEDERLAND
オランダ
ション・保守等を組み合わせ
309千 100.0
B.V. 等を組み合わせた
スヘルトヘ
ユーロ (100.0)
たデジタルサービスの販売業
ンボス
*4
デジタルサービス
務
の提供
デバイス・アプリ
当社のデバイス・アプリケー
ケーション・保守
RICOH EUROPE
オランダ
ション・保守等を組み合わせ
27千 100.0
SCM B.V. 等を組み合わせた
ベルヘンオ
ユーロ (100.0)
たデジタルサービスの販売業
プソーム
*4
デジタルサービス
務
の提供
デバイス・アプリ
当社のデバイス・アプリケー
ケーション・保守
ベルギー
ション・保守等を組み合わせ
RICOH BELGIUM N.V.
47,271千 100.0
等を組み合わせた
ヴィル
ユーロ (100.0)
*4
たデジタルサービスの販売業
ヴォールド
デジタルサービス
務
の提供
デバイス・アプリ
当社のデバイス・アプリケー
ケーション・保守
RICOH FRANCE
ション・保守等を組み合わせ
仏国
12,895千 100.0
S.A.S. 等を組み合わせた
ユーロ (100.0)
ランジス
たデジタルサービスの販売業
*4
デジタルサービス
務
の提供
デバイス・アプリ
当社のデバイス・アプリケー
ケーション・保守
スイス
ション・保守等を組み合わせ
RICOH SCHWEIZ AG
2,252千 100.0
等を組み合わせた
チューリッ
スイスフラン (100.0)
*4
たデジタルサービスの販売業
ヒ
デジタルサービス
務
の提供
デバイス・アプリ
当社のデバイス・アプリケー
ケーション・保守
RICOH ITALIA
ション・保守等を組み合わせ
イタリア
4,260千 100.0
S.R.L. 等を組み合わせた
ユーロ (100.0)
ミラノ
たデジタルサービスの販売業
*4
デジタルサービス
務
の提供
MAUDEN S.R.L. イタリア 1,500千
100.0
ITサービス販売 ITサービス販売
(100.0)
*4 ミラノ ユーロ
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議決権の
名称 住所 資本金 主要な事業の内容 所有割合 関係内容
(%)
デバイス・アプリ
当社のデバイス・アプリケー
ケーション・保守
ション・保守等を組み合わせ
RICOH ESPANA S.L.U.
スペイン 879千 100.0
等を組み合わせた
マドリッド ユーロ (100.0)
*4
たデジタルサービスの販売業
デジタルサービス
務
の提供
RICOH IMAGING
仏国 750千 デジタルカメラ等 100.0 デジタルカメラ等光学機器の
EUROPE S.A.S.
ランジス ユーロ 光学機器の販売 (100.0) 販売
*4
デバイス・アプリ
当社のデバイス・アプリケー
ケーション・保守
ション・保守等を組み合わせ
RICOH CHINA CO., 中国
328,541千
等を組み合わせた 100.0
元
LTD. 上海市
たデジタルサービスの販売業
デジタルサービス
務
の提供
デジタルサービス
デジタルサービス向けデバイ
RICOH ASIA
中国
180,700千
向けデバイスの販 100.0
INDUSTRY LTD. 香港ドル
香港
スの当社の販売拠点への提供
売拠点への提供
デバイス・アプリ
当社のデバイス・アプリケー
ケーション・保守
RICOH ASIA PACIFIC
ション・保守等を組み合わせ
中国
350,842千 100.0
OPERATIONS LTD. 等を組み合わせた
香港ドル (100.0)
香港
たデジタルサービスの販売業
*4
デジタルサービス
務
の提供
デバイス・アプリ
当社のデバイス・アプリケー
ケーション・保守
RICOH HONG KONG
ション・保守等を組み合わせ
中国
50,120千 100.0
LTD. 等を組み合わせた
香港ドル (100.0)
香港
たデジタルサービスの販売業
*4
デジタルサービス
務
の提供
デバイス・アプリ
当社のデバイス・アプリケー
ケーション・保守
ション・保守等を組み合わせ
RICOH THAILAND LTD. タイ
346,913千 100.0
等を組み合わせた
タイバーツ (100.0)
*4 バンコク
たデジタルサービスの販売業
デジタルサービス
務
の提供
ア ジ ア ・ パ シ
31,672千
当社のアジア・パシフィック
RICOH ASIA PACIFIC
シンガポー
シンガポール フィック地域にお 100.0
PTE LTD. ル
地域における販売持株会社
ドル
ける販売持株会社
デバイス・アプリ
オーストラ
当社のデバイス・アプリケー
ケーション・保守
リア
RICOH AUSTRALIA
ション・保守等を組み合わせ
68,734千 100.0
ニュー
PTY, LTD. 等を組み合わせた
豪ドル (100.0)
たデジタルサービスの販売業
サウス
*4
デジタルサービス
務
ウェールズ
の提供
デバイス・アプリ
当社のデバイス・アプリケー
ニュージー 14,070千
ケーション・保守
RICOH NEW ZEALAND
ション・保守等を組み合わせ
ランド ニュージー 100.0
等を組み合わせた
LTD.
オークラン ランド (100.0)
たデジタルサービスの販売業
*4
デジタルサービス
ド ドル
務
の提供
当社グループへの資金管理業
グループ各社への
RICOH EUROPE
英国
5,890千 100.0
務の提供
FINANCE LIMITED 資金管理業務の提
ユーロ (100.0)
ロンドン
*4
供
当社より資金の貸付…有
その他 163社
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(関連会社)
2022年3月31日 現在
議決権の
名称 住所 資本金 主要な事業の内容 所有割合 関係内容
(%)
当社のデジタルサービス向け
SBSリコーロジスティ
東京都
物流及び船積通関 33.3
クス㈱ 448百万円 デバイス等の物流船積通関業
業務 (33.3)
大田区
*4
務
当社製品のリース及びレンタ
リコーリース㈱ 東京都
7,897百万円 総合リース業 33.7 ル
*2 千代田区
ファクタリング
その他 15社
*1 特定子会社に該当しております。
*2 有価証券報告書を提出しております。
*3 リコージャパン㈱及びRICOH USA, INC.は連結売上高に占める売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)
の割合が10%を超えております。
<主要な損益情報等> (単位:百万円)
RICOH USA, INC.
名称 リコージャパン㈱
売上高 604,132 346,476
税引前当期純利益 4,461 35,570
当期純利益 2,189 42,073
純資産額 27,042 △65,585
総資産額 206,204 325,324
RICOH USA, INC.は、過年度ののれんの減損損失の計上により債務超過となっております。
*4 議決権の所有割合の( )内の数字は間接所有割合(内数)です。
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5 【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
2022年3月31日 現在
セグメントの名称 従業員数(人)
デジタルサービス 51,446
デジタルプロダクツ 12,832
グラフィックコミュニケーションズ 6,307
インダストリアルソリューションズ 3,086
その他 2,477
全社(共通) 2,212
合計 78,360
(注) 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は重要性がないので記載を省略しております。
(2)提出会社の状況
2022年3月31日 現在
従業員数(人) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(円)
7,613 ( 709 ) 45.3 20.5 8,040,733
セグメントの名称 従業員数(人)
デジタルサービス 734
デジタルプロダクツ 2,668
グラフィックコミュニケーションズ 1,169
インダストリアルソリューションズ 407
その他 463
全社(共通) 2,172
合計 7,613
(注) 1 従業員数は就業人員であり、従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員(1日7.5時間換算)
であります。
2 臨時従業員には、嘱託(シニアを含む)、パート・アルバイトの従業員を含み、人材派遣社員、業務委託、
請負の従業員を除いております。
3 平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3)労働組合の状況
当社及び一部の連結子会社において労働組合が結成されておりますが、労使関係については特に記載すべき事項
はありません。
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第2 【事業の状況】
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
(1)変わることと変わらないこと
新型コロナウイルス感染症は、世界を、そして人々の暮らしを大きく変えました。人々はオフィスに出社でき
ず、働き方の変革を余儀なくされ、徐々に進展すると考えられていた「いつでもどこでもはたらく」という新しい
ワークスタイルへの変革が強制的に加速されることとなりました。この変化は、新型コロナウイルス感染症の拡大
が収束したとしても元に戻らず、さらに進むと想定されます。その中で、私たち自らが実践で培ってきた働き方の
ノウハウが、お客様へのさらなるお役立ちにつながると確信しています。
このように働き方が変わっていく中で、私たちが変わらずに大切にし続けることが2つあります。
1つは、私たちは徹底的にお客様に寄り添い続けるということです。当社は1977年にオフィスオートメーション
を提唱して以来、半世紀近くにわたりオフィスの効率化や生産性向上のお手伝いをしてきました。今後、仕事の価
値が業務の効率化から人にしかできない創造力の発揮へと移っていく中で、私たちは変わらずにお客様の「はたら
く」に寄り添い続け、すべてのお客様が「はたらく」を通じて歓びや幸せを感じることに役に立つ会社でありたい
と考えています。そして、もう1つ変わらずに大切にするもの、それは当社の原点であり創業の精神である「三愛
精神」です。「人を愛し 国を愛し 勤めを愛す」からなる三愛精神は、SDGs*の原則である「誰一人取り残さな
い社会」という考え方にも通じるものがあります。当社は、この三愛精神に基づいて設定したマテリアリティ(23
頁参照)に取り組むことで企業価値向上を図っていきます。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり
ます。
*SDGs (Sustainable Development Goals):持続可能な開発目標。貧困や飢餓、健康や安全衛生、経済発展、環境課題等、17の目標と
169のターゲットに全世界が取り組むことによって、「誰も取り残さない」社会を2030年までに実現することを目指す。2015年9月の国連
サミットで採択。
(2) 当社の中期展望
当社は、2025年に「はたらく場をつなぎ、はたらく人の創造力を支えるデジタルサービスの会社」となることを
目指しています。まず、将来財務と位置づけているESG(環境・社会・ガバナンス)の視点から、サステナビリ
ティやESGに関してグローバルでトップレベルの評価を受ける会社であることを基本とした上で、高まる顧客や投
資家のESG要求に応えるべくバリューチェーン全体を俯瞰した活動を進めます。財務の視点では、現在のオフィス
サービス事業が成長を続けて全社業績を牽引し、第20次中期経営計画(以下、20次中計)の最終年度である2022年
度にはROE7%*を、2025年度には10%を超える水準を継続的に創出できる経営体質の実現を目指しています。
*2022年5月10日に、20次中計最終年度である2022年度の営業利益計画について、直近のコロナ禍からの回復状況や外部環境を考慮し、当
初計画の1,000億円から900億円に見直しました。これに伴い、ROEの目標値も9%以上から7%に修正しました。
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◆将来財務(ESG)の視点
ESGの取り組みは、将来の財務を生み出すために不可欠なものと位置づけ、7つのマテリアリティに紐づく将来
財務目標(ESG目標)を設定した上で活動しています。DX(デジタルトランスフォーメーション)や地球環境問
題、人権問題への対応等のグローバルな潮流及び、経営戦略の実行力向上の観点から全社目標を設定し、各ビジネ
スユニットにブレークダウンして取り組んでいます。DXへの対応では、デジタルサービスの会社への変革に向けた
デジタル人材の量・質の確保を図るとともに、関連特許の質の向上にも取り組みます。脱炭素社会の実現に向けて
は、地域性やビジネスユニット特性を踏まえた再生可能エネルギー由来の電力導入ロードマップに基づく着実な
GHG(温室効果ガス)削減を進めています。循環型社会づくりについては、再生材料の活用、再生製品・部品事業
の強化、お客様の循環型ビジネスモデルを支える技術・ソリューション開発に取り組んでいます。また、人権問題
については、2021年に定めた人権方針に基づき人権デュー・デリジェンスを行い、取引先も含めた対応を進めてい
ます。
◆財務の視点
目標達成に向けて、①社内カンパニー制導入後のPDCA*推進、②当社らしい事業ポートフォリオ管理、③経営基
盤の強化、④資本政策の確実な実行、に取り組んでいます。
*PDCA:Plan(計画)-Do(実行)-Check(評価)-Act(改善)サイクル
① 社内カンパニー制導入後のPDCA推進
2021年4月より、当社グループは社内カンパニー制を導入しました。この体制では、事業ポートフォリオ管理の
徹底による資本効率経営の実現と権限委譲による意思決定の迅速化を主な狙いとし、事業を運営する5つのビジネ
スユニットと、グループ本部で構成されます。当社は、社内カンパニー制導入後における効果と課題を定点観測的
にリスト化し状況を把握、PDCAを回してより良い制度への進化を目指しています。
社内カンパニー制導入の効果は、各ビジネスユニットに権限を委譲したことで、各ビジネスユニットが自律的に
この外部環境の変化に柔軟かつ迅速に対応し、危機を乗り越えることができたことです。開発・生産・販売の一気
通貫の事業運営体制に移行したことで、各機能間の連携が高まり、コスト上昇分の価格転嫁、複数部品に対応する
ための設計変更と生産との連携等を迅速に実施することができました。課題としては、各ビジネスユニット内のさ
らなる一気通貫体制の強化および本社機能の先鋭化が挙げられます。
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② 当社らしい事業ポートフォリオ管理
これまでのオフィスプリンティング事業への依存から脱皮し、グローバルヘッドクォーターによる厳正な事業
ポートフォリオ管理のもとで、デジタルサービスの会社への変革を加速します。
当社の事業ポートフォリオ管理では、収益性と市場性という従来型のポートフォリオの切り口に加えて、新たに
「デジタルサービス親和性」という観点を追加しています。この3つの観点において、各事業を客観的に評価し、
「成長加速」「収益最大化」「戦略転換」「事業再生」の4つに分類しています。
「成長加速」に分類しているのは、オフィスサービス事業と商用印刷事業です。この2つの事業は、収益性が高
く、市場も拡大し勝ち筋があり、デジタルサービスとの親和性が高く、当社の成長を牽引する事業として取り組ん
でいきます。
「収益最大化」に分類しているのは、オフィスプリンティング事業であり、当社の現在の稼ぎ頭として収益性を
維持しながら、キャッシュの安定創出を狙い続けます。
「戦略転換」と分類しているのは、サーマル事業と企業内印刷事業です。それぞれ状況は異なりますが、市場の
拡大が見込めない、あるいはデジタルサービスとの親和性がそれほど高くない事業は、戦略転換による価値最大化
を狙っていきます。
「事業再生」に分類しているのは、産業プロダクツ事業とカメラ事業です。価値貢献に向けてさまざまな方策を
検討します。
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この事業ポートフォリオ管理の目的は、デジタルサービスの成長を推進することによる企業価値の向上にありま
す。
当社のデジタルサービスは、オフィス・現場のデジタル化により、オフィスと現場をつなぎ、ワークフロー全体
を変革してお客様の生産性向上に貢献します。各ビジネスユニットでは、それぞれの強みであるデジタル技術・
エッジデバイス*とお客様の“はたらく”に寄り添ったサービスで、お客様の期待を超える新しい価値創造を支援
していきます。
*エッジデバイス:文字・写真・音声・動画等のさまざまな情報の出入り口となる複合機やカメラをはじめとしたデータ処理機能を持
つネットワーク機器
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2021年度のデジタルサービス売上構成比は、連結売上高の42%です。2025年度には、60%を超える水準まで引き上
げることを目標としています。
③ 経営基盤の強化
当社は現在、OA*メーカーから脱皮し、デジタルサービスの会社へ転換しようとしています。これまでの大量生
産大量消費の時代は、同じ製品をいかに品質良く効率的に作り、お届けするかが求められてきました。
しかし現在は、社会の情報化が進み、より小さな単位での意思決定でビジネスが回るような世の中に変わりつつ
あります。
そのために、特に人的資本を着実に転換していく必要があると考えています。従来の働き方を変えていかなけれ
ばなりません。例えば、従来はバリューチェーンに沿って各自が決められたことをやり切ることが大切でしたが、
これからは、社員が自律的に問題を発見し、課題解決にあたることが望まれます。
この人的資本の転換のために、(A)デジタル人材の育成・獲得、(B)180の社内システムのクラウド移行を含
む約7割の基幹システムの刷新、(C)リコー式ジョブ型人事制度導入(国内)による社員の自律化の促進を行っ
ていきます。
*OA:オフィスオートメーション
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④ 資本政策の確実な実行
当社は、ステークホルダーの期待に応えながら、企業価値・株主価値を最大化することを目指しています。株主
の皆様からお預かりした資本に対して、資本コストを上回るリターンの創出を目指します。
当連結会計年度の実績、進捗状況について、「利益成長」では、資本収益性向上に向けた取り組みとして自己株
式1,000億円の取得を完了し、保有自己株式を2022年2月28日に消却しました。また、「資産効率向上」では、
ROIC管理を各ビジネスユニットで展開し、投下資本利益率をこれまで以上に意識し、スピードを上げて業務改善に
取り組んでいます。さらに、「資本コスト最適化」では、リスクに応じた資本量最適化と負債の積極活用などに加
え、企業価値向上の源泉となる人材に対する積極的な投資を推進しています。
バランスシート・マネジメントの視点では、2020年4月にリコーリースを非連結としたことで、自己資本(純資
産)比率が高くなっていましたが、今後はデジタルサービスの会社への転換に向けて、リスク評価に基づいて適切
な資本構成を目指し、投資の原資に借入を積極的に活用しながら、負債と資本をバランスよく事業に投下していき
ます。オフィスプリンティング事業等の安定事業には負債を積極的に活用し、比較的リスクの高い成長事業には資
本を中心に配分する考えです。
事業投資によって創出した営業キャッシュ・フローは、さらなる成長に向けた投資と株主還元に対して計画的に
活用していきます。デジタルサービスの会社への転換に向けて、2025年度までに成長投資で5,000億円程度を投じ
る計画としています。これまでに欧州で買収を進め、日本においても2022年4月28日にPFU社の買収を決定する等
事業成長のためのM&A投資を着実に進めています。投資原資は、営業キャッシュ・フローを中心に有利子負債も活
用しながら、メリハリを効かせて戦略的に実施します。
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また、株主還元方針としては、総還元性向50%を目安とし、配当利回りを意識した継続的な増配と機動的な自己
株式取得を行う方針です。配当については、2021年度の水準から毎年、利益拡大に沿った継続的な増配を目指しま
す。自己株式取得は、経営環境や成長投資の状況を踏まえつつ、機動的に実施し、EPS*の向上を図ってまいりま
す。
この株主還元方針を踏まえ、2022年度の配当見通しについては、前連結会計年度から1株当たり8円増配し年間
34円とし、配当利回りを勘案して配当を実施します。加えて、2022年5月10日の取締役会で300億円を上限とする
自己株式の取得を決議しました。2022年度上期中に実行し、取得した自己株式はすべて消却します。
*EPS(Earnings Per Share):1株あたり利益
(3) 2022年度の見通し
20次中計は、2025年度までの中期展望を達成するための大事な道筋となります。その最終年度となる2022年度の
業績見通しは、売上高2兆500億円、営業利益900億円、ROE7%とし、さらなる事業成長を目指します。2021年4
月より移行した社内カンパニー制のもと、各ビジネスユニットの自律的な事業運営を進め、それぞれの市場で起こ
る変化に迅速に対応しながら、体質強化に向けた取り組みを加速していきます。デジタルサービスの会社を支える
人材育成や、基幹システムの刷新等にも取り組み、変革に全社一丸となってデジタルサービスの成長を実現してま
いります。
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(4) 7つのマテリアリティに対する当社グループの取り組みとESG目標
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*1 トップスコア率:最も高い評価の選択率
*2 国内スクラムパッケージの顧客比率
*3 ICT商材不足の影響により、20%から目標を修正
*4 IPA:独立行政法人情報処理推進機構。ITSS:IPAが定めるITスキル標準。レベル0~レベル6の7段階
*5 SBT:Science Based Targets
*6 RBA:Responsible Business Alliance
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*7 ISO/IEC:International Organization for Standardization/International Electrotechnical Commission
*8 NIST:National Institute of Standards and Technology
*9 評価スコア:当社に対する各パートナーからの評価結果
*10 CDP:気候変動等環境分野に取り組む国際NGOによる評価
*11 ETR:External Technology Relevanceの略。他社に引用された特許の多さを示すスコア
*12 RFG:Ricoh Family Group
(5) 気候変動への対応:TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示
「気候変動」は、グローバル社会が直面している最も重要な社会課題の1つです。
当社グループでは、パリ協定を踏まえて、「2050年にバリューチェーン全体のGHG *1 排出ゼロを目指す」という長
期環境目標を設定しています。加えて「2030年にGHG排出スコープ1、2 63%削減、スコープ3(調達、使用、物流カ
テゴリー)40%削減(いずれも2015年比)」という野心的な環境目標を定めており、この目標は気候変動の国際的な
イニシアチブであるSBTイニシアチブ *2 から「SBT1.5℃」水準として認定されています。この目標達成に向け徹底的
な省エネ活動を進めるとともに、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の積極的な利活用を進めるべく「RE100 *3 」
に日本企業として初めて参加、2021年3月には再エネ使用率の2030年目標を50%に引き上げ、より野心的な目標設
定としました。また、2030年までのGHG削減ロードマップを策定し、生産プロセスの改善や高効率設備の導入、物流
プロセスの見直しによる徹底的な省エネ活動を進めています。2021年度より国内拠点の再エネ比率向上と良質な再
エネの確保を図るために独自の「再エネ総合評価制度」を導入し、この制度に基づいて実施した評価において本社
事業所で使用する電力は全て良質な再エネとなりました。海外については2030年までに主要拠点の再エネ化を目指
し、国内外4拠点でオンサイトPPAモデル *4 を導入するなど様々な施策を展開しています。
気候変動対策は重要な経営課題の1つであることから、2020年からは経営戦略に基づいた「ESG目標」の1つに
「GHG排出削減目標」を位置づけ、役員等経営幹部の報酬とも連動することで実効性のある取り組みを推進していま
す。また、取締役会においては気候変動を含むESG課題をテーマとした議論を進め、CEOを議長とするESG委員会の監
督のもと、気候変動に伴うリスク及び機会を明確にした上で気候変動の緩和・適応に向けた活動に取り組んでいま
す。特に、激甚化傾向にある自然災害に対しては、リスクマネジメント計画・BCP(事業継続計画)の策定と実行に
よりリスク低減に努めています。さらに、製品のエネルギー効率向上及びビジネスパートナーや顧客との協働等を
通じてバリューチェーン全体での脱炭素社会づくりに貢献していきます。
*1 GHG(Greenhouse Gas):温室効果ガス
*2 SBT(Science Based Targets)イニシアチブ:企業のGHG削減目標が科学的な根拠と整合したものであることを認定する
国際的なイニシアチブ
*3 RE100:再生可能エネルギーへの100%転換を目指す国際的なイニシアチブ
*4 Power Purchase Agreement(電力販売契約)モデル
TCFD推奨4項目への取り組みと2021年度の進展状況
・ 取締役会およびCEOを委員長としたESG委員会による気候変動問題の経営レベ
ルでの監督
・ 環境目標の進捗管理、脱炭素関連の投資判断の審議
アプローチ
・ ESG委員会での決定に基づきESG主管部門が全社の気候変動施策推進
・ 役員および経営幹部を対象とした「GHG削減目標」の達成度合により変動する
ESG連動報酬制度採用
ガバナンス
・ ESG委員会(計4回開催)[79頁参照]において審議・決定された気候変動
関連事項
2021年度
- TCFDに沿った気候変動リスクと機会
取り組み状況
- 脱炭素活動の進捗状況
- 脱炭素活動GHG削減シナリオの整合
・ SDGsへの貢献を重視した中期経営計画の策定
・ 重要社会課題(マテリアリティ)の1つに「脱炭素社会の実現」を設定。
アプローチ
具体的な数値目標をESG目標で管理
・ ESG委員会を通じ、シナリオ分析によるリスクと機会の特定
戦略
・ 脱炭素ロードマップに沿った施策推進(再エネ総合評価制度・主要拠点の
RE100化など)
2021年度
・ 脱炭素活動と顧客訴求に向けた活動が進展
取り組み状況
・ 脱炭素活動促進を目的として株式会社みずほ銀行と「Mizuho Eco Finance
(みずほエコファイナンス)」の融資契約を締結
・ リスクマネジメント委員会を設置し、業績への影響が大きいリスクを経営重
点リスクとして戦略リスクとオペレーショナルリスクに分けて管理
アプローチ
・ リスクレベルを財務への影響度・緊急度・リスクマネジメントレベルにより
分類し対策の優先順位づけを実施
リスク管理
・ 非常時の初期対応、報告方法、各対策本部の設置と役割の文書化
2021年度
・ 定期的な設備点検、防災訓練などの地域や事業に応じたBCPの作成
取り組み状況
・ 国内主要拠点に対する水害リスクの具体的な対策実施
指標と目標 28頁参照
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気候変動リスク認識と対応
<シナリオ分析の実施と結果>
当連結会計年度は、シナリオ分析により各リスクにおける財務影響と緊急度について再評価を行いました。「サ
プライヤーへの炭素税・排出量取引制度の適用」においては排出権取引がグローバルで制度化され、日本でもカー
ボンプライシング導入の動きを勘案して緊急度の評価を変更しました。年々増加する自然災害については、自社拠
点を含むサプライチェーンにおいてどのようなリスクの影響があるか再評価した上で、特に国内における水害リス
クへ対処すべくリスクの高い主要生産拠点を優先し具体的な対策への投資を決定しました。
自然災害リスクは、先送りにすると当社にとって大きな事業インパクトが発生しかねない喫緊の課題であり、気
候変動に伴う感染症リスクに関しても緊急度は高くはありませんが、一度発生すると大きな財務損失を招くことか
ら、今後も継続的にBCPの強化を図っていきます。また気候変動に対する緩和・適応への積極的な対応は、将来の財
務効果を生み出す大きな可能性があることが再確認できました。
気候変動のリスクと当社における対応
移行リスク:2℃/1.5℃シナリオ*1に基づいて分析 物理リスク:4℃シナリオ*2に基づいて分析
緊
影
急
当社グループへの影響 響 当社における対応
度
*3
*3
・GHG排出量の多い素材系サプライヤ ・再生機販売・再生材の活用によ
サプライヤー
ーを中心にカーボンプライシング る新規 投入資源量の削減
への炭素税・
(炭素税・排出 量取引)が適用さ
・サプライヤーにおける脱炭素活
2 3
排出量取引制度
れ原材料への価格転嫁が進み調達 動を積 極的に支援し、調達コス
の適用
コストが上昇 ト上昇のリスクに対処
移行
・SBT1.5℃目標に資する省エネ・
リスク
再エネ 施策の積極展開(再エネ
・1.5℃目標、RE100達成の前倒し要
脱炭素社会への
求に、省 エネ・再エネ投資、再エ
証書の戦略的 活用やPPAモデル
消費行動の急速 1 3
ネ電力切替え等施策前倒しの追加
の導入等)
な変化
費用が発生
・サステナビリティ・リンク・ロ
ーンに よる資金調達
・ 気候変動により異常気象の激甚化
が進み、 サプライチェーンの寸断等
自然災害の ・サプライチェーンのリスク対処
3 5
急激な増加 で生産停止 ・国内拠点のリスク対応強化
・販売機会の損失拡大
・感染症BCP対策の強化
・部品供給の寸断等で生産計画への 影響
・業務・商談のIT化、生産拠点の
が発生
感染症の
物理
2 2
リスク
分散 化/プロセスの自動化、部
地域性流行
・生産工場の稼働率低下による在庫 不足
品・製品在庫積み増し
・対面販売が困難となり販売機会が 減少
・温暖化により山火事、害虫等の森 林
・環境に配慮した剥離紙レスラベ
被害が増え、紙の原材料の安定供給が
ルによ る原紙利用の削減
森林資源の減少 1 2
悪化、紙の調達コストが上昇
・ 森林保全活動の推進
*1 2℃/1.5℃シナリオ:2100年までの平均気温上昇が2℃未満に抑えられている世界
*2 4℃シナリオ:2100年までの平均気温上昇が4℃上昇する世界
*3 影響度・緊急度は32 頁 「リスクレベル」をご参照ください
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気候変動リスクのモニタリング
気候変動リスクは、毎年ESG委員会において経営レベルでリスク評価を行い監督及び必要な対策への投資な
どを決定しています。
リスク評価においては、財務影響と緊急度の2軸で対策投資の優先順位づけを行っています。「自然災害リス
ク」に関しては、緊急度が高く財務影響も中程度であるため全社の重点経営リスクとして管理しています。当年
度は、重要な国内における生産・開発拠点にて水害対策投資を実行しました。
財務を生み出す気候変動における機会
当社グループにとって気候変動は、事業リスクのみならず、自社製品・サービスの提供価値及び企業価値を高め
る機会につながると認識しています。気候変動に取り組むことは、省エネ技術、サービス等を活かしたお客様の脱
炭素化を支援する製品やソリューションの提供、感染症対策につながるソリューションの販売拡大、環境・エネル
ギー分野における事業拡大、新規事業創出等の機会をもたらし、現時点で環境配慮型のオフィス機器、感染症対策
ソリューション、環境エネルギー事業は1兆円規模の売上に貢献しています。
気候変動に対する機会
貢献領域 2021年度実績の概要
・ 脱炭素貢献(環境ラベル認定)製品の売上
約9,300億円
・ ESG対応を伴う商談の売上
約200億円
・ 製品再生・部品再生事業関連の売上
気候変動 約300億円
約10,000億円
「緩和への貢献」 ・ 省エネ・創エネ関連事業の売上 約200億円
―
・ 新規事業による貢献(環境に配慮した剥離紙レスラ
ベルの販売、PLAiRの販売など)
・ 新しい働き方を支援するソリューション
約900億円
(スクラムパッケージおよびスクラムアセット *1 ・
気候変動
WTA *2 )の売上
約900億円
「適応への貢献」
―
・ 新規事業による貢献(エネルギーハーベスト *3 商品
の販売など)
*1 スクラムアセット:日本で販売する中堅企業向けの課題適応型ソリューションモデル
*2 WTA(Work Together Anywhere):欧州で販売するパッケージ型ソリューション
*3 エネルギーハーベスト:周辺環境に存在する光や熱、振動から発電する環境発電
(注)最新の「気候変動に対する機会」詳細情報については後日開示予定のTCFDレポート2022をご参照ください。
https://jp.ricoh.com/environment/management/tcfd
脱炭素貢献製品
当社グループでは、お客様に環境配慮商品を提供する為、国内外の環境ラベルを積極的に取得しています。オ
フィス機器の省エネルギー化を推進する国際エネルギースタープログラムにおいては、2021年度に発売した製品を
含む画像機器の95%がエネルギースター認証を取得し、脱炭素に貢献しています。また、省エネ・省資源・汚染予
防・快適性・使いやすさを独自の厳しい基準で製品評価する「リコーサステナブルプロダクツプログラム」を運用
し環境に貢献するものづくりを進めています。
ESG対応を伴う商談の増加
近年、お客様からのESG要求が非常に高まってきています。特に、欧州の公共機関やグローバル企業はサプライ
ヤー選定条件にESGへの取組状況を組み込む動きが加速しています。例えば、スペインの公共調達商談では価格・
サービス以外に環境ラベル取得状況や省エネ性能等CSR側面の評価割合が10%以上になるケースもありました。ま
た、国内においてはお客様から当社のESGへの取り組みについてのヒアリングが年々増加しており、顧客関係力強化
に寄与しビジネスの後押しになっています。
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製品再生・部品再生事業
当社グループでは、1994年から培ってきたリデュース・リユース・リサイクル(以下、3R)関連技術とグローバ
ルな回収体制を活かして製品再生・部品再生事業に積極的に取り組んできました。当社独自の循環型社会実現のコ
ンセプト“コメットサークル”に基づき3Rを推進し、再生製品のリユース部品使用率は80~90%と高いレベルを維
持しています。昨今のサーキュラーエコノミーへの潮流に沿った製品ラインアップを拡充することで、お客様の
ニーズに応えると同時に脱炭素社会および循環型社会の実現に貢献していきます。
[ ご参考 ]「サーキュラーエコノミーレポート2021」(2022年3月発行)
https://jp.ricoh.com/info/2022/0303_1
省エネ・創エネ関連事業
脱炭素の潮流が加速する中、日本では省エネ・創エネ関連事業も拡大しています。IT/ネットワーク機器の分野で
培った監視サービスを活用しお客様の太陽光発電設備のO&M(オペレーション&メンテナンス)やEV充電設備の保
守・照明空調制御システム等省エネ・創エネ関連事業を進めています。
新しい働き方を支援するソリューション販売
当社グループが提供するスクラムパッケージは自社及び協業パートナーのエッジデバイスやソフトウェア・クラ
ウドサービス等を組み合わせてお客様の新しい働き方・業務のデジタル化を支援しています。ニューノーマル時代
に即したサービスを提供することでお客様の生産性向上に伴うCO2排出量削減にも貢献しています。
*GHGスコープ1、2、3
・GHGスコープ1:自社の工場・オフィス・車両などから直接排出されるGHG
・GHGスコープ2:自社が購入した熱・電力の使用に伴うGHG
・GHGスコープ3:企業活動のサプライチェーンの排出量(GHGスコープ1、2を除く)
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(6) ダイバーシティ&インクルージョンとワークライフ・マネジメント
デジタルサービスの会社への変革に不可欠なイノベーションは、多様な人材が個々の能力を活かし、協働するこ
とで創出されます。それには、多様な人材が活躍でき、社員それぞれが自身のパフォーマンスを最大化できる環境
が必要となります。この実現のために、「ダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)」と「ワークライフ・マ
ネジメント」を経営戦略の1つと位置づけて取り組みを進めています。
(注)正社員女性比率:2022年3月末時点
女性管理職比率及び女性上級管理職比率:2022年4月1日時点
※1 上級管理職はライン部長相当職以上
※2 グローバルは国内外全グループ会社
※3 日本は㈱リコー含む日本国内グループ会社
当社では、多様な人材が自律的にキャリアを築き、活躍できる組織風土醸成に取り組んでいます。新規事業創出
を目的とした共創プログラム「TRIBUS(トライバス)」の展開もその1つです。現在は日本のみでの取り組みとな
りますが、社員の誰もが、やりたいこと、社会に価値を届けたいことをビジネスとして実現できるプログラムで、
社外のスタートアップ企業も参加しています。多くの社員が、副業制度を利用して社内起業家や外部スタートアッ
プ企業の支援に取り組む等、自分自身の知識や経験、本業との兼ね合いで捻出できる頻度や時間等にあった形でこ
の活動に参加しています。また、これまでに事業化アイディアとして採択された社内起業家チームのリーダーに
は、職務経験が浅い人や豊富な人、自分の専門性とは異なる分野に挑戦した人等が含まれ、さまざまな人材が活躍
する場が広がっています。
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2 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす
可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響があると経営者が認識してい
るリスクを以下で取り上げていますが、すべてのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業
は、現在は未知のリスク、あるいは現時点では特筆すべき、又は重要と見なされていない他のリスクの影響を将来
的に受ける可能性もあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものでありま
す。
■「重点経営リスク」の決定プロセス
グループマネジメントコミッティ(以下、GMC)とリスクマネジメント委員会は、経営理念や事業目的などに照
らし、利害関係者への影響を含めて、経営に大きな影響を及ぼすリスクを網羅的に識別した上で、重点経営リスク
を決定し、その対応活動に積極的に関与しております。(図1:重点経営リスク決定プロセス)
・重点経営リスクは、その特性から「戦略リスク」と「オペレーショナルリスク」に分類し管理しております。戦
略リスクについては、短期の事業計画達成に関わるリスクから中長期の新興リスクまで経営に影響を与えるリス
クを幅広く網羅しております。
・リスクマネジメント委員会は、GMCの諮問機関として、より精度の高い重点経営リスク候補を提案すべく、委員
会メンバーそれぞれの専門領域の知見・経験則を活かし、十分な議論のもと、リスクの識別・評価を行っており
ます。
なお、当社グループのリスクマネジメントシステムとリスクマネジメント委員会については、「第4提出会社の
状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及
び当該体制を採用する理由 (Ⅷ) リスクマネジメントシステムとリスクマネジメント委員会」を参照ください。
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図1:重点経営リスク決定プロセス
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「事業等のリスク」
リスクマ
リスク リスク 影響 緊急
リスクの説明 リスク対策 ネジメン
分類 項目 度 度
トレベル
事業 新型コロ 新型コロナウイルス感染症の当 新型コロナウイルス感染症の世 3 5 C
環境 ナウイル 社グループへの影響や対応につい 界的な拡大に伴う業績への影響に
ス感染症 ては、「3経営者による財政状 ついては、ワクチンや経口薬の開
態、経営成績及びキャッシュ・フ 発・普及など明るい兆しが見えて
ローの状況の分析(2)経営成績」 きているものの、地域ごとの状況
を参照ください。 も異なり、未だに全体を正確に見
通すことは難しい状況にありま
す。
主要市場 当社グループはグローバルで事 当社グループでは、グローバル 3 5 D
における 業活動を行っており、その主要市 での経済状況の変化を注意深く見
経済状況 場である日本、米国、欧州の経済 守り、状況に応じた対応が取れる
状況は事業に大きな影響を及ぼし ように対策を行っております。
ます。先に述べた新型コロナウイ ロシア/ウクライナ情勢につい
ルス感染症が各市場に及ぼす影響 て、従業員とその家族の安全安心
が想定と乖離した場合はもちろん の担保を最優先にした危機管理
のこと、ロシア/ウクライナ情勢 チームを設置し、刻々と進展する
や、先行きが不透明な米中貿易摩 状況に対応しています。
擦等、保護主義の台頭による各国 米中貿易摩擦については、従来
の動きについては業績に影響を及 から行ってきたBCP対策(並行生
ぼしうる主なリスクであると認識 産)を活用し、主力製品の生産を
しております。 出荷地域別に中国工場とタイ工場
また、その他の想定外の事象に に振分け、関税リスク軽減策を実
より主要国の経済状況が急速に悪 施して参りました。
化するリスクは潜在的に存在して 関税やサプライチェーンの混乱
いると認識しております。 により発生する当社製品の原価コ
スト増分に対し、お客様のご理解
を頂いた上で、製品の価格に一部
転嫁させて頂いております。
競合の激 当社グループが関連するそれぞ 当社グループでは、各事業分野 3 4 C
化 れの事業分野において、競合会社 において顧客の価値を高める新製
との競争激化により、業績に悪影 品を企画し、継続的に導入するこ
響が出る場合があります。 とを計画しております。
・競合による競争力のある新製品 ・従来のハードウエア中心の価値
の発売 提供から、より顧客のワークフ
・価格競争の激化 ローまで踏み込める高品質、高付
・低価格品などへの需要シフト 加価値製品とサービスの提供等に
・ 新型コロナウイルス感染症 等、 より常に競合優位を構築してまい
急激な環境変化による競争軸の変 ります。
化、競合の拡大 ・状況変化 ・価格競争については、規模の拡
等 がリスクとして考えられます。 大からの脱却と上述の競合優位な
製品提供により売価を下げること
なく顧客満足を獲得してまいりま
す。
・新型コロナウイルス感染症によ
る、急激な環境変化による競争軸
の変化をチャンスと捉え、ニュー
ノーマル下での働き方や行動の変
容をサポートできる提案を強化す
ると共に製品開発強化に反映して
まいります。
・社内カンパニー制の導入によ
り、権限委譲されたリーダーの元
で各カンパニーがお客様・現場に
より近いところでの迅速な意思決
定を行い、事業競争力強化に努め
ます。またグループ本部が競合環
境、市場環境や動向を常に観測し
各事業への最適経営資源配分を実
施いたします。
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リスクマ
リスク リスク 影響 緊急
リスクの説明 リスク対策 ネジメン
分類 項目 度 度
トレベル
事業 部品・原 当社グループでは、生産活動及 当社グループでは、 3 4 C
環境 材料の価 び販売活動の相当部分を日本以外 ・材料の市況変動に柔軟に対応す
格、為替 の米国、欧州及び中国等その他地 るべく、製品開発時及び量産移行
レートの 域で行っており、事業活動におい 後において代替材料の検討、材料
変動 て部品・原材料の価格変動及び為 調達における複数購買化を推進す
替レートの変動による影響を受け ると共に、吸収できない市況変動
ます。 に関しては、競合他社の動きも見
・材料の市況変動の直接的な影響 つつ、適切に売価反映を行ってお
・海外子会社の現地通貨建ての業 ります。
績が各会計年度の平均レートを用 ・為替変動に関しては、米ドル、
いて円換算されていることによ ユーロ及び円等の主要通貨の短期
る、連結損益計算書及び連結包括 的な変動の影響を最小限に抑える
利益計算書への為替レート変動影 ため、金融機関等と為替予約等の
響 ヘッジ取引を実施しております。
・現地通貨建ての資産・負債が各 また、ヘッジ取引を行うことので
決算日現在の為替レートを用いて きる会社又は組織は限定されてお
円換算され、連結財政状態計算書 り、それらは財務ルールとして徹
に計上されることによる資産・負 底されております。
債額への為替レート変動影響 ・グループ全体として決済におけ
るネッティングを最大限に行うこ
等がリスクとして考えられます。
とにより、為替リスクを最小化し
ております。
・海外子会社の資産・負債の通貨
マッチングを実施しております。
他社との 当社グループは、お客様のニー 当社グループでは、多様化する 2 3 B
業務提 ズの変化に対応して様々な製品・ ニーズに柔軟かつ確実に対応して
携、戦略 サービスを提供するために必要に いくために、他社との協業や戦略
的投資 応じて他社との業務提携、合弁事 的投資は今後ますます重要性が増
業や戦略的投資を行っておりま してくると考えており、これを
す。これらの施策は双方の経営資 “重点経営(戦略)リスク”と位
源を有効に活用し、タイムリーに 置づけ、事業ポートフォリオ管理
新技術・新製品・新サービスを開 プロセスや意思決定のプロセスの
発・販売する上で有効な手段と考 更なる強化に努めております。
えております。様々な理由によ 当社グループにおける執行の最
り、 高意思決定機関であるGMCの諮問
機関として“投資委員会”を設立
・当事者間で利害の不一致が起こ
し、投資について、資本コストも
ることによる提携の解消
踏まえた財務的視点での妥当性、
・検討における情報が十分ではな
事業戦略視点での収益性や成長性
い事などにより、狙いどおりの戦
リスク等の観点で投資計画の検証
略的投資にならない
を行っております。多様化する外
・事業、技術、製品及び人材等の
部への投融資案件について、専門
統合について期待する成果や効果
的なメンバーが事前に確認/協議
が得られない
することにより、経営戦略との整
等の状況に陥るリスクが考えられ
合性や投資効果を高め、投資判断
ます。
のスピードと適確性を向上させる
ことを狙いとしております。
投資委員会の審議結果は、GMC
における投資案件審議の際に共有
され、意思決定をサポートしま
す。また、決裁された外部への投
融資案件に関して、投資委員会が
進捗モニタリングを行うことによ
り、継続的にプロセス改善が回る
仕組みを構築しております。
また、2019年度からPMI人材育
成プログラムを期ごとに開催し、
継続的なノウハウ蓄積と人材の育
成を実施しております。
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リスクマ
リスク リスク 影響 緊急
リスクの説明 リスク対策 ネジメン
分類 項目 度 度
トレベル
事業 技術変化 近年の急速な技術進化、革新へ グローバルでの競争激化の中、 2 2 C
環境 への対応 の適切な対応は、当社グループの お客様や社会が直面する課題をい
製品・サービスの競争力の源泉で ち早く解決する技術の重要性がま
あります。 すます高まっております。当社グ
・技術変化に対する適切な情報収 ループではこれを“重点経営(戦
集と予測 略)リスク”と位置づけ、新たな
・変化に対応した重点技術強化領 社内カンパニー制度の下で意思決
域の設定と適切な資源の投下 定プロセスのさらなる強化に努め
・新規領域に対する技術力強化 ております。
・社内カンパニー制の導入により グローバルマーケット向けの製
個別最適が生じ、技術者の適切な 品・サービスの技術変化に対応す
配置や情報共有に影響を及ぼす るため、グローバルに研究開発拠
等に対して十分な対応が取れてい 点を設け、それぞれの地域特性も
ないことで、当社グループの業 活かしつつ、グローバルに拠点間
績、成長に悪影響を及ぼすリスク の連携を深めて研究開発を推進し
があります。 ております。また、変化の激しい
市場環境に対応するために、自社
単独での研究開発にこだわらず、
大学・研究機関・企業と積極的に
連携し、研究開発活動を加速させ
るオープンイノベーションを推進
しております。
更に、CTO(Chief Technology
Officer:最高技術責任者)、CDIO
(Chief Digital Innovation
Officer:最高デジタルイノベー
ション責任者)を設置し、全社を
通じた研究開発・技術開発の重点
領域の選定、CTO/CDIO主催のグ
ループ内連携会議等を通じて、経
営戦略と連携した適切な資源配分
を行い、技術力強化に向けた活動
を推進しております。
加えて、グループ本部機能であ
るCTO配下の「先端技術研究
所」、CDIO配下の「デジタル戦略
部」がデジタルサービスの会社に
必要な研究開発領域に特化し、カ
ンパニー間の連携強化、及び、グ
ループ横断での技術者の連携の推
進・技術力強化と、全体最適に配
慮した人材配置を行っておりま
す。
人材の確 当社グループがデジタルサービ 当社グループでは、人材の確 3 3 C
保 スの会社への事業変革を成し遂 保・育成を“重点経営(戦略)リス
げ、中長期的に成長を続けること ク”と位置づけ、次のとおり対策
は、人材に大きく依存します。 を進めております。
・事業変革をリードする経営人材 ・グローバルで事業変革、成長を
・デジタルサービスに必要なDXス 進めるキーとなるトップタレント
キル・ノウハウを保有する人材 を明らかにし、育成計画を策定し
・事業変革の中で、変化する必要 て実行しております。
スキルを自律的に獲得、実力を高 ・デジタル人材の育成体制を強化
め続ける人材 し、全社員のデジタルスキル・ノ
等を継続して獲得、育成しなけれ ウハウの向上を計画的に進めると
ば、当社グループの業績、成長に ともに、そのスキル・ノウハウを
悪影響を及ぼすリスクがありま 社内実践することにより、お客様
す。 への提供価値を明らかにし、具体
的に提供することを進めておりま
す。
・リコー式ジョブ型人事制度を導
入し、事業変化の中で適所適材で
実力ある人材が活躍できる環境を
整え、事業戦略の実行力を高める
とともに、自律的なスキル向上、
キャリア形成と職務へのチャレン
ジを全社員に促します。
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リスクマ
リスク リスク 影響 緊急
リスクの説明 リスク対策 ネジメン
分類 項目 度 度
トレベル
当社グループは当社グループ製 当社グループは、
事業 ファイナ 2 5 B
品の販売及びリースに伴い、一部 ・ファイナンス契約の締結前及び
環境 ンス事業
のお客様に対してファイナンス事 ファイナンス期間中は定期的に、
業を行っており、 お客様の信用度及び信用の供与額
・お客様の信用度及び信用の供与 を評価しております。また、信用
額のモニタリングを行っておりま リスクの集中、与信の未払い等の
すが、お客様の債務不履行は完全 潜在的リスクも最小限に抑える必
には予測できないため、信用供与 要があると考えているため、こう
額をすべて回収できない した評価によって、信用供与の程
・当社グループがお客様と締結す 度を調整しております。
るファイナンス契約は固定金利の ・外部環境の急激な変化によって
長期営業債権になるが、当該契約 ファイナンス契約の信用リスクに
用の資金の一部は変動金利による 相当の変動発生が予見される場
短期借入で調達しており、営業損 合、随時の再評価を通じて予想信
益が金利変動の影響を受ける 用損失を見直す場合があります。
等のリスクが考えられます。 ・長期確定の債権に対する金利変
動リスクをヘッジする目的で、当
社グループでは契約期間にあわせ
た固定金利による調達も行ってお
ります。
当社グループは、デジタルサー 当社グループは、各国、国策レ
事業 情報セ 2 5 C
ビスの会社への転換に向け、様々 ベルで対策が求められてきている
運営 キュリ
なデジタルサービスの活用・提 中、変化し続ける情報セキュリ
ティ
供、自社業務のデジタル化の実践 ティ情勢を常に把握した上で、グ
などを行ってまいります。その上 ローバルに活動拠点のある当社グ
で、情報セキュリティを確保する ループにとって適切な対策を検
体制・運用を重視し取組んでおり 討・推進していくことを、“重点
ます。 経営(オペレーショナル)リス
・巧妙化・複雑化するサイバーア ク”の中でも最重要課題の一つと
タックにより、当社グループ各社 位置づけております。
の業務システムの停止/誤作動に ・国際的な情報セキュリティ標準
よる事業活動の停止や、データの (ISO/IEC(*2)、NIST(*3)など)
改ざん/漏洩/破壊などの発生 に基づき、当社グループのサプラ
・従来生産工場は外部との接続が イチェーン全体の情報セキュリ
制限されてきたことからリスクは ティを意識した体制を構築/強化
少なかったが、近年DXが進んだ するとともに、企画・設計・購
ことで当社グループ各社の業務シ 買・生産・販売・サポートの各
ステムと当社グループ各社の生産 フェーズの業務システムに関わる
工場との境界が薄れており、生産 セキュリティリスクを適時想定
工場のシステムから侵入され、当 し、継続的に対策検討及び実施を
社グループ各社の業務システムの 行っております。
停止/誤作動による事業活動の停 ・当社グループ各社の生産工場に
止や、データの改ざん/漏洩/破壊 おいても国際的な情報セキュリ
などの発生 ティ標準(ISO/IEC、NISTなど)
・インターネット公開サイトへの に基づき、生産工場システムに関
セキュリティ対策の不備や、お客 わるセキュリティリスクを適時想
様に納入した当社グループの製商 定し、継続的に対策検討及び実施
品に内在する重大なセキュリティ を行っております。
問題により、意図せず他者への攻 ・インターネット公開サイトの構
撃の踏み台として悪用されるなど 築や製品開発において、情報セ
のインシデントの発生 キュリティに関わる品質マネジメ
・各国で個人情報保護に関する法 ントを継続的に強化するととも
律(改正個人情報保護法やGDPR に、公開済みのサイトや発売済み
(*1)など)が施行され、自国外の の製商品に対しても継続的に脆弱
事象にまで適用(域外適用)され 性の確認を行い、リスクが発見さ
るようになる中、グローバルでの れた場合に適切に対応いたしま
共同利用にあたり、各国の規制に す。そのために、セキュリティ問
抵触し制裁金が課せられる 題の専用窓口の設置、製商品の安
等の事象が発生した場合、信用の 全な利用方法の案内、製商品の脆
低下による企業ブランド価値の毀 弱性対応ガイドラインの整備と
損やビジネス機会の喪失等、事業 いった活動を継続的に実施してお
に影響を与えるリスクがありま ります。
す。 ・当社グループ内における個人情
*1 GDPR:General Data 報取扱標準の改定検討や個人情報
の取扱状況の調査・是正など、整
Protection Regulation
備が進む各国での個人情報保護に
関する法律を踏まえた
対応方針の策定と対策の検討を進
めております。
*2 ISO/IEC:International
Organization of
Standardization/International
Electrotechnical Commission
*3 NIST:National Institute of
Standards and Technology
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リスクマ
リスク リスク 影響 緊急
リスクの説明 リスク対策 ネジメン
分類 項目 度 度
トレベル
事業 製造物責 当社グループが製造・販売する 当社グループでは、「製造物責 2 2 B
運営 任 製品に、 任」に対する予防・対応プロセス
・重大な安全性問題(焼損・人 を強化しております。
損) ・機器の信頼性・安全性の向上に
・安全・環境法規制問題 向け、故障、事故が生じるメカニ
・品質問題の長期化 ズムの分析精度を高め、開発過程
等が発生することで、お客様や社 に反映しリスク低減につなげてお
会の信頼を失墜させ、企業ブラン ります。
ドや製品ブランドが毀損され事業 ・万が一、問題が発生した際に市
継続が困難になるリスクが考えら 場対応が迅速かつ確実に行われる
れます。 よう体制を整備しております。
・各国における安全・環境法に準
拠した製品をお客様に提供するた
め、現地と密に連携をとり適切な
標準・ガイドの制定、定期的な見
直しを実施しております。
製品の長 大規模地震、津波、政変・騒 当社グループでは、 感染症 3 5 D
期供給遅 乱、洪水、感染症の拡大、サプラ 「製品の長期供給遅れ/ 継続
れ/停止 イヤーの供給停止及び地政学リス 停止」を“重点経営(オ
クによる不測の事態により、 ペレーショナル)リス
・部品供給の遅延や停止 ク”と位置づけ、予
・製品工場の製造の遅延や停止 防・対応プロセスを強
・輸送機関の遅延や停止 化しており、BCP在庫の
・販売会社へ供給遅延や停止 確保、重要部品別に複
等が発生し、ビジネス機会を損失 数仕入先選定を実施し
するリスク等が考えられます。 ております。
更には仕入先様が被
災後、供給再開までの
工場稼働停止等により
地政学 3 5 D
お客様への製品提供が
止まることの無いよう
にしております。
また、リスク範囲を
局部、復旧期間を短期
と想定してきました
が、新型コロナウイル
ス感染症の急速な世界
的拡大の経験や地政学
リスクから、これまで
の活動に加え今後はリ
スク範囲を局部からエ
地震・ 3 1 B
リアへ拡大、復旧期間
噴火・
を短期から長期とし有
台風・
事に備えた環境整備を
洪水
行ってまいります。ま
た、想定リスクに基づ
く行動計画及び机上訓
練のみならず一定の実
践を常態的に行い、対
応策の有効性の確認と
改善を継続的に行って
まいります。
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リスク リスク 影響 緊急
リスクの説明 リスク対策 ネジメン
分類 項目 度 度
トレベル
事業 知的財産 当社グループは、知的財産権を 当社グループでは、特許等の出 1 2 B
運営 権の保護 重要な経営資源と捉え、現在及び 願前に先行技術調査を徹底すると
将来の自社事業とそれを支える技 ともに、各国の知的財産に係る法
術等の保護、差別化とその拡大の 律、審査基準やプロセスを把握
ために、特許権、意匠権、商標権 し、知的財産権獲得の精度向上に
等の知的財産権を獲得しておりま 努めております。
すが、競合他社が同等の技術等を また、自社製品・サービスを市
開発して独自性が低下したり、各 場に提供する前に、第三者の知的
国特許庁の審査で狙いどおりの権 財産権の調査と、自社製品・サー
利獲得ができず十分な保護が得ら ビスと第三者の知的財産権との対
れないリスクがあります。 比検討を徹底しております。第三
また、当社グループが第三者の 者の知的財産権を侵害するリスク
知的財産権を侵害するとして、第 がある場合、外部の弁護士や弁理
三者から、販売の差し止めや損害 士による鑑定、必要であれば設計
賠償金の支払い等を求める警告を 変更、ライセンス交渉やライセン
受けたり、訴訟を提起されるリス ス取得を行い、第三者との係争リ
クがあります。 スクを低減しております。
更に、当社グループの新規事業 当社グループでは、「知的財産
立上げで、他社との協業、共同研 権の保護」を業績に影響を及ぼす
究や共同開発が活性化しているこ リスクとして重要視し、過去に発
とに伴い、知的財産権に関する契 生した、知的財産権に関する契約
約が増えておりますが、当該契約 トラブル事例を形式知化し、トラ
でトラブル等が発生すると、自社 ブルの予防とリスク低減をしてお
事業に悪影響を与えるリスクが大 ります。
きくなります。
公的な規 輸出入関連法違反に対する輸出 ・刻々と変化する国際情勢を把握 3 5 B
制(輸出 停止措置等の行政制裁による生 し、積極的なリスク回避策を実施
入管理) 産・販売への影響、社会的信用の しています。
失墜による取引の機会損失、罰金 (国際的有事の際は迅速にプロ
や刑事罰・国際的有事等の外的要 ジェクトが編成されます)
因による各国の輸出規制法違反等 ・役員及び社員への教育の実施
のリスクがあります。 や、重要な輸出入管理情報のグ
ループ内周知を行っています。
・輸出入関連のマネジメント及び
プロセスの定期的な内部監査を実
施しています。
公的な規 当社グループの事業活動を行う 当社グループでは、独占禁止法 2 5 B
制(法 中で、独占禁止法/競争法の違反 及び各国競争法の遵守徹底のた
務) が発生した場合、課徴金(行政処 め、各地域の法務部門が主導し教
分)の負担や刑事罰、官公庁との 育活動及び発生時対応の強化に努
取引停止、社会的信用の失墜によ めております。
るビジネスへの悪影響等、会社に
甚大な損害を与えるリスクがあり
ます。
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分類 項目 度 度
トレベル
事業 公的な規 当社グループの事業活動を行う 当社グループでは、「公的な規 1 5 C
運営 制(人 中で、人事関連の各種・コンプラ 制への対応(人事)」を“重点経
事) イアンス違反(ハラスメント、雇 営(オペレーショナル)リスク”と
用関連、人権等)が発生した場 位置づけ、役員・社員一人ひとり
合、社会的信頼を失墜し、事業に が「リコーウェイ」を実践し、社
悪影響を及ぼすリスクがありま 会的責任を果たすために、国内外
す。 における関連法令、国際ルール及
びその精神を理解し遵守しつつ高
い倫理観をもって行動するという
観点から「リコーグループ企業行
動規範」を定め周知徹底を図って
おります。
人事関連の各種法規制の制定や
改訂に関しては、速やかに対応
し、社内ルールの新設、見直し、
及び社員教育の実施を行う事で未
然防止に努めると共に、発生時の
対応体制の整備、ルール化を行っ
ております。また、当社は2019年
10月にサプライチェーンにおける
企業の社会的責任を推進する企業
同盟「Responsible Business
Alliance」(RBA)に加盟しまし
た。人権に関しては、国際社会に
おける人権課題の広範化を踏ま
え、従来の人権方針の内容を見直
し、2021年4月に「リコーグルー
プ人権方針」を策定致しました。
本方針に基づいた事業活動の実践
のため、社内教育の徹底に加え、
サプライチェーンに属する企業に
対しても、RBA行動規範に準じ児
童労働や強制労働の排除等を規定
した 「リコーグループサプライ
ヤー行動規範」の遵守をお願いし
ております。その遵守状況は定期
的な 「CSRセルフアセスメント」
を通じてモニタリングし、必要な
改善を促しております。 また、
英国現代奴隷法 (The UK Modern
Slavery Act 2015) に基づくス
テートメントを公表しておりま
す。
公的な規 当社グループの事業活動を行う 当社グループでは、環境マネジ 3 5 B
制への対 中で、各種環境・労働安全衛生関 メントシステムを構築し、定期的
応(環 連法の違反が発生した場合、行政 なアセスメントによる環境関連法
境) 処分等による生産への影響や課徴 の順守徹底とともに、規制変化等
金の負担、刑事罰、社会信用の失 のタイムリーな把握・対応に努め
墜やブランド価値の毀損によるビ ています。
ジネスへの悪影響等、会社に甚大 また、リスク項目「公的な規制
な損害を与えるリスクがありま (人事)」に記載しましたとおり、
す。 当社はグローバルなサプライ
チェーンにおける企業の社会的責
任を推進する企業同盟RBAにも加
盟しRBA規格に準じた社内規範の
制定、人材の育成等、グループ全
体でESGリスクマネジメントシス
テムを構築しています。
さらに、RBA規格に基づく第三
者監査を通じてESGリスクを把握
し、リスクを最小化する改善活動
を進めています。
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会計 のれん、 当社グループは、企業買収の際 当社グループでは、リスク項目 2 2 B
制度 固定資産 に生じたのれん、事業用の様々な 「他社との業務提携、戦略的投
の減損 有形固定資産及び無形資産を計上 資」に記載しましたとおり、投資
しております。 委員会において買収金額の妥当性
これらの資産については、今後 審議を行い、投資を決定しており
の業績計画との乖離や市場の変化 ます。
等によって、期待されるキャッ
シュ・フローが生み出せない場
合、当社グループの経営成績及び
財政状態に悪影響を及ぼす可能性
があります。
確定給付 確定給付制度債務及び年金制度 当社グループは、政府の規制や 2 2 B
制度債務 の資産に関し、一定の会計方針に 人材戦略・人事制度を踏まえ、適
基づいて当社グループはこれらの 宜制度の見直しを検討、実施して
給付費用を負担し、政府の規制に おります。
従って資金を拠出しております。
現時点では、直ちに多額の資金
は不要ですが、株式や債券市場等
の予測し得ない市況変動により制
度資産の収益性が低下すれば、追
加的な資金拠出と費用負担が必要
になるリスクがあります。
環境 気候変動 気候変動はグローバルに活動す 気候変動に関する事業影響につ 3 5 B
・ に関する る当社グループにとって重要な課 いては、全社リスクマネジメント
災害 影響 題であると認識し、TCFD(*4)のフ の枠組みの中で“重点経営(戦略)
レームワークに沿った分析と対策 リスク”の一つとして管理してい
を実施しております。 ます。
主なリスクとしては「脱炭素社
会移行への対応遅れによるリス (脱炭素社会移行への対応遅れに
ク」及び「気候変動による物理的 よるリスク)
リスク」があります。 ・脱炭素社会への移行に対処すべ
く代表取締役社長を委員長とする
(脱炭素社会移行への対応遅れに ESG委員会を設置し変化する国際
よるリスク) 要請を常に確認し環境目標の見直
・サプライヤーへの炭素税・排出 しやリスクの未然防止・迅速な対
量取引制度の適用による調達コス 処に努める体制を整備していま
ト増加 す。
・脱炭素社会への急速な移行によ ・移行対応遅れリスクへの対処と
る対応コスト(再エネ電力証書の してESG委員会で審議し「リコー
購入等)の増加 グループ環境目標」を見直しまし
等がリスクとして考えられます。 た。2030年の自社排出のGHG(温
室効果ガス)削減目標を2015年比
(気候変動による物理的リスク) で従来の30%削減から63%削減に改
・異常気象による罹災への対処が 定。更に再生可能エネルギー利用
遅れ、工場操業停止やサプライ 率も30%から50%へ引き上げまし
チェーンの寸断による製品・サー た。
ビスの供給停止
・異常気象による紙などの原材料 (気候変動による物理的リスク)
の高騰が及ぼす事業への悪影響 詳細は、リスク項目「部品・原材
・異常気象による感染症の発生が 料の価格、為替レートの変動」
及ぼす主要拠点の操業停止 「製品の長期供給遅れ/停止」
等がリスクとして考えられます。 「災害等による影響」に記載のと
おり、水害リスク分析による設備
*4 TCFD:気候関連財務情報開示 投資の検討、調達系列の二重化、
材料や部品在庫の積み増し等、サ
タスクフォース。金融安定理事会
プライチェーンに対するリスクマ
(FSB)によって設立され、企業
ネジメントを強化しています。ま
に対する気候関連リスク・機会の
た、サプライヤーと協力し、事業
情報開示の促進と、低炭素社会へ
継続能力向上に取り組むため2021
のスムーズな移行による金融市場
年度にサプライヤー様向けにESG
の安定化を目的としている。
説明会を行いました。サプライ
ヤーにおける気候変動リスクを含
めたESGへの対応を強化しコミュ
ニケーションを通じて強靭なサプ
ライチェーンを継続して構築して
いきます。
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リスク リスク 影響 緊急
リスクの説明 リスク対策 ネジメン
分類 項目 度 度
トレベル
環境 災害等に 当社グループでは、国内外で発 当社グループでは、 国内: 3 1 C
・ よる影響 生する大規模な自然災害・事件・ 「災害などによる影 地震
災害 事故において、人的(家族を含 響」を“重点経営(オペ
む)/物的被害が生じ、経営に著 レーショナル)リスク”
しい影響を受けるリスクを想定し と位置づけ、標準にお
ています。 いて、非常時の初期対
応(事業所復旧含
(想定している災害・事故・事件) む)、報告方法、各対
・自然災害:地震、津波、洪水、 策本部の設置を含めた
暴風雨、竜巻、大雪、噴火等 体制と役割について明
・事故:火災、爆発、危険物質の 記し、災害発生の際に
漏洩等の社内事故、列車、航空 適切な対応が取れるよ
機、船舶など交通機関の大事故等 うな仕組み(予防策、
・事件:テロ、誘拐、脅迫、社会 発生している事案の早
情勢の変化(内乱・戦争・危険な 期発見/事案発覚後の対
社会運動等)、感染症等 応力を高めるための取
組み)を構築しており
ます。
災害の発生を防ぎ、
万が一災害が生じた場
国内: 1 5 C
合の被害を最小限に抑
風水雪
えるために、国内グ
害
ループ合同での災害対
応訓練や事業所単位で
の防災訓練、定期的な
設備点検等を実施して
おります。また地域や
事業に応じたBCPを作成
し、被災時でも重要な
事業を継続し、早期に
事業復旧できるよう準
備を行っております。
特に近年は気候変動
により、国内における
水害リスクが高まって
おります。2020年度は
国内の主要19拠点を対
象とした水害リスクに
関する詳細調査を行
国外: 2 3 D
い、調査結果に基づく
大自然
被害想定と対策案を経
災害・
営会議にて報告しまし
事件事
た。その結果、特にリ
故
スクが高いと想定され
る3拠点の重点的対応
が決定し、2021年度か
ら必要な工事等に着手
するとともに関連自治
体等との連携を図りな
がら対策を実施してい
ます。
また、大地震発生時
と同様に大規模な水害
発生時の復旧行動計画
も策定しており、その
計画書に基づいた実地
訓練も行っています。
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3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)
の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の
とおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり
ます。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、株式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により
IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり必要と思われる見積りは、合理的な基準に基
づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等
連結財務諸表注記 3 重要な会計方針」に記載しております。
(2) 経営成績
経営を取り巻く経済環境
当連結会計年度の世界経済は、一部の国や地域で新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展により経済活動
が再開しつつあるものの、新型コロナウイルス感染症の新たな変異ウイルスの世界的な感染再拡大により経済活動
の回復が鈍化しました。加えて、半導体等の供給不足や海運等の流通網の停滞により広範な物価の上昇に直面し、
経済活動は一進一退の状況となりました。
このような経済情勢の中で、当社のメイン市場であるオフィスにおいても、変異ウイルスまん延に伴う各国におけ
る経済活動に対するさまざまな規制・要請により、オフィスの出社率が引き続き低位に推移し、プリンティング需
要は限定的な回復に留まりました。また、部材不足や物流の問題により供給が制約され、物価指数が主要国におい
て上昇しており、地政学リスクの顕在化とあわせて先行きの不透明さが増しております。
なお、当連結会計年度の主要通貨の平均為替レートは、対米ドルが 112.36 円(前年度に比べ 6.31 円の円安)、対
ユーロが 130.55 円(同 6.85 円の円安)となりました。
当連結会計年度の業績
当社グループは、当連結会計年度からスタートした第20次中期経営計画(以下、20次中計)期間の2年間で「“は
たらく”の生産性を革新するデジタルサービスの会社への変革」の実現を目指しております。
当連結会計年度は、オフィスプリンティング事業および商用印刷事業において一昨年から続く新型コロナウイルス
感染症拡大による事業影響は継続しているものの、欧米での経済活動の再開等によりノンハードを中心に回復基調
となりました。また、開発・生産、サービス体制の最適化等の体質強化をさらに進めながら、20次中計の目標達成
に向けて成長に舵を切り、オフィスサービス事業を中心としたデジタルサービスの成長と資本収益性向上を実現す
ることで企業価値の向上を図ってまいりました。
当連結会計年度の連結売上高は、前連結会計年度に比べ 4.5%増加 し、 17,585億円 となりました。世界的に新型コ
ロナウイルス感染症が再拡大したことによる販売の減少と生産ラインの停止、コンテナ船の不足、部材不足による
供給の制約等多くの外的要因により事業活動が制限されましたが、前連結会計年度に比べ増収となりました。オ
フィスプリンティング事業では製品の供給不足によるハードウェア販売の回復の遅れがありながらも、ノンハード
は日本を除く全地域で増収となりました。オフィスサービス事業においてもサービスの構成要素である複合機やIT
商材の品不足が販売活動に影響を及ぼしましたが、ソフトウエア等を中心としたパッケージ販売等が前年に対し堅
調に推移したことにより、増収となりました。この他、商用印刷事業においても、顧客である印刷業の事業活動の
回復によりノンハードを中心に増収となりました。なお、社内カンパニー制導入に伴い当連結会計年度より採用し
ております新事業セグメントであるデジタルサービス、デジタルプロダクツ、グラフィックコミュニケーション
ズ、インダストリアルソリューションズのすべての事業セグメントで増収となりました。
地域別では、日本では主要都市での緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の継続による断続的な行動制限や、部材
不足による供給の制約等もあり販売の回復が遅れました。また前連結会計年度のGIGAスクール案件による売上増の
反動もあり、国内売上高全体では前連結会計年度に比べ 6.3%の減少 となりました。米州においては、製品の不足
や港湾問題によるサプライチェーンの混乱等販売活動への影響が続いているものの、ワクチン接種の進展に伴い経
済活動が再開し、売上高は前連結会計年度に比べ 14.8%の増加 となりました(為替影響を除くと 8.3%の増加 )。
欧州・中東・アフリカにおいても同様にワクチン接種の進展により経済活動が再開された一方で、製品の供給が間
に合わない状況が続きましたが、オフィスサービス事業での買収による事業成長やパッケージ販売の展開により成
長を持続し売上高は前連結会計年度に比べ 14.4%の増加 となりました(為替影響を除くと 8.4%の増加 )。その他
地域は、オフィスプリンティング事業の増収等により、売上高は前連結会計年度に比べ 7.1%の増加 となりました
(為替影響を除くと 0.2%の増加 )。
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以上の結果、海外売上高全体では前連結会計年度に比べ 13.4%の増加 となりました。なお、為替変動による影響
を除いた試算では、海外売上高は前連結会計年度に比べ 7.1%の増加 となりました。
売上総利益は、前連結会計年度に比べ 8.8%増加 し 6,226億円 となりました。売上高の増加による利益の回復に加
え、利益率の高いノンハードの回復、開発・生産プロセスの効率化、製品原価の低減活動やサービス改革等の体質
強化策により利益率が改善し、前連結会計年度と比べ大幅に増益となりました。
販売費及び一般管理費は、 前連結会計年度に比べ 3.1%減少 し 6,002億円 となりました。 前連結会計年度は、商用
印刷事業等における 有形固定資産及び無形資産等の減損損失 248億円 や体質強化のための費用等を計上していまし
た。当連結会計年度においては、前連結会計年度からの売上の回復や成長投資により費用が増加しましたが、体質
強化や機動的な経費コントロール等により支出を抑制しました。
その他の収益については、当連結会計年度において米国子会社における土地をはじめ遊休資産売却等による利益を
計上し、前連結会計年度に比べて大幅に増加しました。
のれんの減損については、前連結会計年度において商用印刷事業等における減損損失 37億円 を計上していました
が、当連結会計年度は大幅に減少しました。
なお、当社グループは、2021年4月より社内カンパニー制を導入いたしました。上記の通り、当 連結会計年度 は部
材逼迫、物流費の高騰、そして新型コロナウイルス感染症の変異ウイルスまん延などの外部要因により約570億円も
の大きな減益要因となりましたが、社内カンパニー制による権限委譲を受けた各ビジネスユニットが自律的な体質
強化や、機動的に経費コントロールに取り組んだ結果、約430億円のリカバリーを実現しました。
以上の結果、営業利益は、前連結会計年度に比べて 854億円増加 と大幅に改善し、 400億円 となりました(前連結
会計年度 営業利益 454億円(損失))。
金融収益及び金融費用は、前連結会計年度では為替差益を計上していましたが、当連結会計年度は為替による差損
益は少額となり前連結会計年度に比べて金融収支は悪化しました。また、持分法による投資損益は、持分法適用会
社の業績改善により前連結会計年度に比べ増加しました。
税引前利益は 443億円 となり、前連結会計年度に比べて 854億円 増加しました (前連結会計年度 税引前利益 410
億円(損失))。
法人所得税費用は税引前利益が大幅に改善したこと等により、前連結会計年度に比べて 221億円 増加しました。
以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は 303億円 となり、前連結会計年度に比べて 631億円 増加しまし
た(前連結会計年度 親会社の所有者に帰属する当期利益 327億円(損失))。
当期包括利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益や在外営業活動体の換算差額の増加等により、前連結会計年
度に比べ 312.4%増加 し、 909億円 となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。 (単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
自 2020年4月1日 増減
自 2021年4月1日
至 2021年3月31日
至 2022年3月31日
金額 (%) 金額 (%) 金額 (%)
売上高計 1,376,613 100.0 1,428,192 100.0 51,579 3.7
デジタルサービス 外部顧客向け 1,376,613 1,428,192 51,579 3.7
営業損益 △2,631 △0.2 16,209 1.1 18,840 -
売上高計 357,166 100.0 364,968 100.0 7,802 2.2
デジタルプロダクツ 外部顧客向け 12,111 13,172 1,061 8.8
営業損益 16,451 4.6 41,731 11.4 25,280 153.7
売上高計 159,909 100.0 187,082 100.0 27,173 17.0
グラフィック
外部顧客向け 159,909 187,082 27,173 17.0
コミュニケーションズ
営業損益 △47,451 △29.7 △466 △0.2 46,985 -
売上高計 115,274 100.0 119,259 100.0 3,985 3.5
インダストリアル
外部顧客向け 108,878 110,791 1,913 1.8
ソリューションズ
営業損益 △1,634 △1.4 1,307 1.1 2,941 -
売上高計 40,098 100.0 35,554 100.0 △4,544 △11.3
外部顧客向け 24,558 19,350 △5,208 △21.2
その他
△15,521 △43.7
営業損益 △13,867 △34.6 △1,654 -
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a. デジタルサービス
当連結会計年度は、国内において、中小企業のお客様にエッジデバイス*1やソフトウエア、クラウドサービス
を組み合わせて、業種業務ごとに固有のプロセスをデジタル化し課題解決を行うスクラムパッケージを、また、
中堅企業向けには、これまでシステムエンジニアがお客様に提供してきた開発事例・導入事例に最新技術を組み
合わせて水平展開できるようモデル化したスクラムアセットの拡販を進めました。欧州では、重点国でのITサー
ビスの販売やサービス基盤の強化・拡大に向けてICT*2企業3社の買収を行いデジタルサービスを提供する能力
の強化を図るとともに、在宅・リモートワーク向け等のパッケージ型ソリューション販売が進展し、売上高を伸
ばすことができました。さらに、オフィスサービス事業のさらなる強化に向けシステムエンジニアの育成も進め
ました。加えて、2019年に買収したドキュウェア社のソフトウエアは、グローバル 45か国の販売会社で販売・
サポート体制を構築し、グローバルでの水平展開を開始しました。
当連結会計年度のデジタルサービスの売上高は、前連結会計年度に比べ 3.7%増加 し 14,281億円 となりまし
た。オフィスサービス事業は、PCやサーバー、ネットワーク機器等のIT商材不足等による販売機会への影響が
あったものの、日欧でのパッケージ展開が引き続き堅調に推移しました。オフィスプリンティング事業は、複合
機やプリンター等エッジデバイスが部材不足の影響を受けたことにより回復が鈍化したものの、新型コロナワク
チン接種の進展等に伴うオフィスへの回帰によりノンハードが回復しました。営業利益は、オフィスサービス事
業の収益性が改善し利益率が上昇したことに加え、オフィスプリンティング事業においても保守サービス体制の
体質強化をはじめとした構造改革や経費削減策の効果により、前連結会計年度 26億円(損失) から、当連結会
計年度は 162億円 と 前連結会計年度に比べて 増益となりました。
*1 エッジデバイス:文字・写真・音声・動画等のさまざまな情報の出入り口となる複合機やカメラをはじめとしたデータ処理機能を
持つネットワーク機器
*2 ICT(Information and Communication Technology):情報通信技術
b. デジタルプロダクツ
デジタルプロダクツは、「変動原価低減」「ものづくりの体質強化」等コスト構造の見直しを推し進めていま
す。当連結会計年度は「変動原価低減」では部材価格の高騰による影響を大きく受けましたが、部品の共通化や
AI(人工知能)を活用した生産の自動化等の取り組みを着実に進めました。また、「ものづくりの体質強化」で
は、設計業務のデジタル化推進を強力に進め、生産面では、主にデジタルマニュファクチュアリングと生産拠点
の集約・再編を進めました。さらに、沖電気工業株式会社とA3モノクロプリンターのプリンターエンジン(印刷
機構)の共同開発を行う等、他社との協業を積極的に進めて開発コストの低減に取り組みました。
デジタルによるコミュニケーションを支えるエッジデバイスにおいては、2022年3月に電子黒板の教育現場向
けモデル「RICOH Interactive Whiteboard A6500-Edu」を発売しました。1人1台端末時代の授業に対応した、
児童・生徒のパソコン/タブレットからの無線投影機能を標準搭載しており、分割投影による回答の比較や、電
子黒板からのリモート指導も可能です。
当連結会計年度のデジタルプロダクツの売上高は、前連結会計年度に比べ 2.2%増加 の 3,649億円 *となりまし
た。営業利益は、部材不足や海外生産拠点周辺での新型コロナウイルス感染症の拡大により生産に大きな影響を
受けましたが、製品原価の低減や開発・生産の効率化等の体質強化による収益改善、米国子会社での土地売却益
等もあり、前連結会計年度に比べ 252億円 増加し 417億円 となりました。
*セグメント間売上高消去後の売上高は 8.8%増加 の 131億円
c. グラフィックコミュニケーションズ
商用印刷事業においては、高画質や高生産性、幅広い用紙への対応力のみならず、新たなビジネスを切り開く
付加価値の高い印刷物の生産を目指す印刷業のお客様のニーズにお応えしながら、お客様のビジネス成長に貢献
することで事業拡大を図っています。産業印刷事業においては、さまざまなインクへの高い対応力を有するリ
コーのインクジェットヘッドを核として、産業向けの新たな市場・お客様の獲得を目指しています。
当連結会計年度は、商用印刷事業では、印刷業のお客様、ビジネスパートナーとのナレッジ共有を通じてお客
様のビジネス拡大を目指す価値共創プラットフォーム「RICOH BUSINESS BOOSTER」を立ち上げました。この取り
組みは、オンデマンド*ブック、カスタマイズドカタログ等新しい印刷アプリの共有、印刷プロセスの自動化・
省人化ソリューションの提供等を通じて印刷業のお客様の事業規模拡大や経営品質向上に寄与し、総合的なパー
トナーになることを目指しています。産業印刷事業では、2021年9月に北米に続き高速ガーメントプリンター
「RICOH Ri 2000」を国内でも発売し、Tシャツ等の服飾品生地に直接印刷するガーメントプリント市場におい
て、衣料印刷業、総合印刷業のお客様のビジネス効率化や業務拡大を支援することで事業拡大を図っています。
また、2021年11月に産業用インクジェットヘッドの最上位機種となる「RICOH TH6310F」の受注をグローバルで
開始、2022年3月に産業用インクジェットヘッド「RICOH MH5422シリーズ」を発売し、さらなる事業拡大に向
け、インクジェットヘッドのラインアップ拡充を進めました。
当連結会計年度のグラフィックコミュニケーションズの売上高は、前連結会計年度に比べ 17.0%増加 し 1,870
億円 となりました。商用印刷事業では主力市場である欧米での経済活動の再開により回復し、特にノンハードの
売上が大きく改善しました。産業印刷事業では競争力のあるインクジェットヘッド等が大きく伸長しました。ま
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た、開発・生産のデジタル化の展開やサービス活動の効率化による原価低減活動も引き続き順調に進みました。
営業損益は、前連結会計年度に商用印刷事業にかかるのれん、有形固定資産及び無形資産等の一部について減損
損 失 265億円を計上していたことから、前連結会計年度に比べ 469億円 増加と大きく改善し 4億円(損失) と
なりました。
*オンデマンド:さまざまな可変情報を必要に応じて印刷するシステム
d. インダストリアルソリューションズ
サーマル事業においては、eコマースの拡大による配送ラベルへのニーズが全世界的に拡大する等、需要が堅調
に拡大する中で、当社グループが長年培ってきた材料技術等を活かし、耐熱性、耐擦過性、印字精細性、保存
性、環境配慮等に優れたサーマルペーパーや熱転写リボン等を提供し、事業を着実に拡大しています。産業プロ
ダクツ事業においては、安全運転支援システムの普及が進む自動車業界へのステレオカメラ等の光学デバイスの
提供をはじめとして顧客基盤の拡大を図っています。
当連結会計年度は、サーマル事業では、2021年6月に生産工程向け高速印刷ソリューション「RICOH FC-LDA
Printer 500」を発売しました。大量生産ラインで高速搬送されているフィルムやラベル等の包装材に対して、
レーザーにより最大毎分300mの速度で可変情報印字が可能なシステムで、生産工程内での印刷業務効率向上や省
資源化による環境負荷の低減に貢献します。産業プロダクツ事業では、産業車両業界向けに、フォークリフト用
ステレオカメラを株式会社豊田自動織機と共同開発しました。人と物が混在するフォークリフトの作業現場にお
いて、周辺の障害物の中から人、物を立体的にとらえ、高精度に検知することを可能にし、フォークリフト作業
における安全性向上に貢献します。
当連結会計年度のインダストリアルソリューションズの売上高は、前連結会計年度に比べ 3.5%増加 し 1,192
億円 となりました。サーマル事業では剥離紙を使用しないラベルや流通分野での需要が堅調に推移しました。産
業プロダクツ事業では自動車関連の顧客生産調整の影響を大きく受けました。営業利益は前連結会計年度に比べ
改善し 13億円 となりました(前連結会計年度 営業利益 16億円(損失))。
e. その他
その他において、社会課題解決に貢献するという強い思いのもと、デジタル技術を活用し、特許やノウハウと
いった知的財産を強みとするビジネスモデルを描き、新しい事業の創出に取り組んでいます。さらに、自社のみ
では成し得ない新たな未来の価値は、オープンイノベーションで創り出します。Smart Vision事業では、リコー
の強みであるキャプチャリング技術や画像処理技術を活かした360°カメラと物件案内をバーチャルに行うアプ
リケーションを不動産業界に提供し、好評をいただいています。当連結会計年度は、2014年から日本市場におい
て提供していたバーチャルツアー作成サービス「THETA 360.biz」に加え、海外市場で展開していた「RICOH360
Tours」の日本市場での提供を2021年7月から開始しました。バーチャルツアーの需要は全世界で伸長してお
り、
「THETA 360.biz」と「RICOH360 Tours」を合わせて現在、全世界で6万を超えるお客様にご利用いただいてい
ます。
また、新規事業として、2022年1月に植物由来の新素材「PLAiR(プレアー)」のテスト販売を開始しました。
「PLAiR」は、トウモロコシやさとうきび等に含まれるデンプンを原料としたポリ乳酸(PLA)を、独自の「CO2
微細発泡技術」で発泡させた、しなやかさと強さを兼ね備えた発泡PLAシートです。「PLAiR」のテスト販売を通
じて、さまざまな用途への活用可能性の検証を実施し、温暖化による気候変動や廃棄物による環境汚染といった
社会問題の解決に貢献します。
当連結会計年度のその他の売上高は、主にリコーリース株式会社(以下、リコーリース)の持分法適用会社へ
の移行の影響により前連結会計年度に比べ 11.3%減少 し 355億円 となりました。なおこの影響を除くと、カメ
ラ事業で新製品の販売が好調に推移し増収となりました。その他全体の営業損益は新規事業への先行投資もあり
155億円(損失) となりました(前連結会計年度 営業損益 138億円(損失))。なおリコーリースの持分法適用
会社への移行による影響を除くと実質 144億円(損失)となりました。
(注) 当社グループは2021年4月1日より社内カンパニー制を導入しました。そのため、当連結会計年度より、事業の種類別セグメントを
変更しております。この変更に関して、前連結会計年度についても遡及適用した数値で表示しております。
なお、事業セグメントとしてのデジタルサービスはオフィスサービス事業及びオフィスプリンティングの販売を主とした事業に限定
した事業セグメントであり、当社グループが目指す「はたらく場をつなぎ、はたらく人の想像力を支えるデジタルサービスの会社」へ
の変革、として掲げるデジタルサービスすべてを網羅しているものではありません。当社グループが「デジタルサービスの会社」とし
て掲げる「デジタルサービス」は、事業セグメントではデジタルサービスの他、すべてのセグメントの事業内容に含まれております。
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生産、受注及び販売の実績は、以下のとおりです。
① 生産実績
前連結会計年度及び当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、以下のとおりで
す。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
前連結会計年度比
事業の種類別セグメントの名称
(%)
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
デジタルサービス - - -
デジタルプロダクツ 305,674 308,036 0.8
グラフィック
104,203 143,192 37.4
コミュニケーションズ
インダストリアル
109,286 114,715 5.0
ソリューションズ
その他 16,791 19,021 13.3
合計 535,954 584,964 9.1
(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 当社グループは2021年4月1日より社内カンパニー制を導入しました。そのため、当連結会計年度より、事
業の種類別セグメントを変更しております。また、当連結会計年度よりサービスに係る生産実績を除き、製
造に係る生産実績としました。事業構造の変化により当社グループの提供するサービス事業はハードウエア
の設置・保守サービスからクラウド型サービス、ライセンス提供型及びその他保守サービス等のソフトウエ
アサービスまで広範かつ多種多様となってきており、サービスの生産実績を一様の定義で示すことが困難で
あることから、製造に係る実績のみを対象とすることで、より適切な生産実績を示すと考えております。こ
れらの変更に関して、前連結会計年度についても遡及適用した数値で表示しております。
② 受注実績
当社グループは見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。
③ 販売実績
前連結会計年度及び当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、以下のとおりで
す。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
前連結会計年度比
事業の種類別セグメントの名称
(%)
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
デジタルサービス 1,376,613 1,428,192 3.7
デジタルプロダクツ 12,111 13,172 8.8
グラフィック
159,909 187,082 17.0
コミュニケーションズ
インダストリアル
108,878 110,791 1.8
ソリューションズ
その他 24,558 19,350 △21.2
合計 1,682,069 1,758,587 4.5
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が10%以上の主要な相手先は
ありませんので、記載を省略しております。
3 当社グループは2021年4月1日より社内カンパニー制を導入しました。そのため、当連結会計年度より、事
業の種類別セグメントを変更しております。この変更に関して、前連結会計年度についても遡及適用した数
値で表示しております。
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(3) 財政状態
資産合計は、前連結会計年度末に比べ 346億円減少 し 18,532億円 となりました。前連結会計年度末と比較して為
替レートが大幅に円安となったことから海外資産の換算差額が発生し、為替影響を除いた試算では 1,137億円の減
少となりました。当連結会計年度の主要通貨の期末日レートは、対米ドルが 122.39円(前連結会計年度に比べ
11.68円の円安)、対ユーロが 136.70円(同 6.90円の円安)となりました。
資産の部は、前連結会計年度末の販売により減少した棚卸資産の在庫形成に加え、部材不足による仕掛品の増加や
海運等の流通網の停滞の影響もあり棚卸資産が 405億円増加しました。また、欧州でのサービス事業に関わる一連
の買収や開発資産の増加等により、のれん及び無形資産が 339億円増加しました。また、株主還元策として自己株
式の取得を行ったこと等により現金及び現金同等物が 945億円減少しました。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ 165億円減少 し 9,474億円 となりました。為替影響を除いた試算では 494億
円の減少となりました。負債の部では、営業債務及びその他の債務は取引先との支払い条件の見直しによる支払期
間の短縮により 186億円減少しました。また、金利上昇による割引率の上昇等により退職給付に係る負債が 247億
円減少しました。
資本合計は、前連結会計年度末から 180億円減少 し、 9,058 億円となりました。2021年3月3日開催の取締役会に
おいて決議した自己株式の取得を実施し、資本が 927億円減少しました。また、2021年3月以前に取得していた自
己株式と合わせ、2022年2月28日に 1,372億円の自己株式の消却を実施しました。円安により在外営業活動体の換
算差額が 468億円増加しました。
親会社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末に比べ 182億円減少 し 9,020億円 となりました。親会社所有
者帰属持分比率は 48.7% となり、引き続き安全な水準を維持しています。
(4) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金収入が 445億円減少 し 824億円の収入 となりま
した。当期利益は前連結会計年度に比べ大幅に増加しましたが、前連結会計年度では現金の支出を伴わない有形固
定資産、のれん及び無形資産の減損を計上していたことに加え、当連結会計年度は、前連結会計年度と比べ棚卸資
産が増加し、また営業債務及びその他の債務が減少した結果、収入額が減少しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金支出が 42億円減少 し 593億円の支出 となりま
した。当連結会計年度においては、米国子会社の土地等の有形固定資産の売却による現金収入が増加しました。一
方で事業拡大のための開発投資による無形資産の取得の増加やITサービス、ソフトウエアサービス会社の継続的な
買収により支出が増加しました。
以上の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計となるフリー・
キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金収入が 402億円減少し 231億円の収入 となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金支出が 1,276億円増加 し 1,316億円の支出 とな
りました。前連結会計年度は新型コロナウイルス感染症拡大による事業環境悪化リスクに備えた調達を実施し収入
額が増加した一方、当連結会計年度では株主還元策として自己株式の取得等を実施したことに伴い、支出が増加し
ました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ 963億円減少 し 2,340億円
となりました。
当社グループでは、事業投資によって創出した営業キャッシュ・フローは、さらなる成長に向けた投資と株主還元
に対して計画的に活用していきます。デジタルサービスの会社への転換に向けて、成長投資に5,000億円程度を投じ
る予定としています。投資原資は、営業キャッシュ・フローに加えて有利子負債も活用しながら、メリハリを効か
せて戦略的に実施します。
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(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2018年3月 期 2019年3月 期 2020年3月 期 2021年3月 期
2022年3月 期
34.4 % 34.2 % 32.1 % 48.7 %
親会社所有者帰属持分比率 48.7 %
時価ベースの
28.8 % 30.8 % 20.1 % 42.8 % 36.5 %
親会社所有者帰属持分比率
8.0 年 11.4 年 9.1 年 1.8 年 2.9 年
債務償還年数
26.9 倍
18.8 倍 17.3 倍 25.5 倍 47.1 倍
インタレスト・カバレッジ・レシオ
親会社所有者帰属持分比率:親会社所有者帰属持分/資産合計
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
債務償還年数:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/支払利息
※いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち社債及び借入金を対象としております。
当社グループの流動性と資本源泉は次のとおりです。
現金及び資産負債総合管理
事業発展に充分な資金流動性を確保し、堅固な財務体質を維持することが当社グループの方針です。この方針に
従って、当社グループはここ数年、連結子会社が保有する流動性資金残高の効率的運用に努めてまいりました。そ
の方策のひとつとして実施しているのが、各地域及びグローバルにおけるキャッシュマネジメントシステムの推進
です。各地域にキャッシュマネジメントの要として設置している金融子会社を中心に地域内外のグループ企業間で
手元流動性を有効活用するグループ内の資金融通の制度を構築、推進しております。この一環として、グローバル
キャッシュプーリングシステムを導入し、グローバルベースでの更なる資金効率向上を実現しました。
また、当社グループは資産並びに負債の管理においてデリバティブを締結しております。為替変動が外貨建て資
産と負債に与える潜在的な悪影響をヘッジするため、為替予約等を設定しております。当社グループはリスクの低
減を目的として、定められた方針に従ってデリバティブを利用しております。自己売買、あるいは投機目的でデリ
バティブを利用しておらず、またレバレッジを効かせたデリバティブ取引も行っておりません。
資金源泉
当社グループは主に手元資金及び現金同等物、様々な信用枠及び社債の発行を組み合わせて資金を調達しており
ます。流動性と資金源泉の必要額を判断する際、連結キャッシュ・フロー計算書の現金及び現金同等物の残高、並
びに営業活動によるキャッシュ・フローを重視しております。
当連結会計年度末において、現金及び現金同等物の残高は 2,340億円 、信用枠は 3,693億円であり、そのうち未
使用残高は 3,690億円でありました。当社は 1,500億円(信用枠 3,693億円の一部)のコミットメント・ラインを金
融機関との間に設定しております。これらは信用枠の範囲内で、各国市場の金利で金融機関から借入が可能です。
当社及び一部の連結子会社は、銀行借入及び社債の発行により資金を調達しております。また、当社グループは
グローバルでキャッシュマネジメントシステムを活用してグループ資金を効率的に管理し、有利子負債残高の削減
に取り組んでおります。
当社は大手格付機関(スタンダード・アンド・プアーズ・レーティング・サービス(以下「S&P」)、及び格付投資
情報センター(以下「R&I」))から格付を取得しております。当連結会計年度末現在、当社の格付はS&Pが長期BB
B+及び短期A-2、R&Iが長期A+及び短期a-1となっております。
必要資金及び契約債務
当社グループは現金及び現金同等物、営業活動により創出が見込まれる資金、並びに借入金・社債等の調達資金
で少なくとも翌連結会計年度の必要資金を充分賄えると予想しております。お客様の需要が変動し、営業キャッ
シュ・フローが減少した場合でも、現在の手元資金、及び当社グループが満足できる信用格付けを持つ金融機関に
設定している信用枠で少なくとも翌連結会計年度中は事業用資金を充分賄えると考えております。さらに、足元の
業務にとって必要な資金、及び事業拡大並びに新規プロジェクトの開発に関連する投資に対し、充分な資金を金融
市場又は資本市場から調達できると考えております。各国の経済動向等による金利の変動は、当社グループの流動
性に悪影響を及ぼす可能性がありますが、手元の現金及び現金同等物は充分であり、営業活動からも持続的に
キャッシュ・フローが創出されキャッシュマネジメントシステムを活用していることから、こうした影響はあまり
大きくないと考えております。
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4 【経営上の重要な契約等】
(1) 技術の導入及び供与に関する契約等
国・
契約会社名 相手方の名称 契約の内容 契約期間
地域
International
情報処理分野に関する包括的特
2007年3月28日から
許クロスライセンスの許諾
株式会社リコー Business Machines 米国
契約対象特許権の満了日まで
(相互)
Corporation
プリンター開発及び販売ライセ
1999年1月1日から
Adobe Inc. ンスの許諾
株式会社リコー 米国
2023年3月31日まで
(導入)
Lemelson Medical,
コンピュータイメージ分析
Education &
1993年3月31日から
(CIA)
株式会社リコー Research 米国
他の特許実施権の許諾
契約対象特許権の満了日まで
Foundation Limited
(導入)
Partnership
文書処理システム分野に関する
2011年10月31日から
HP Inc.
株式会社リコー 米国 包括的特許クロスライセンスの
契約対象特許権の満了日まで
許諾(相互)
2019年10月1日から
ブラザー工業株式会 事務機器製品に関する特許実施
株式会社リコー 日本
社 権の許諾(供与)
2024年9月30日まで
(2) 株式譲渡契約
当社は、2022年4月28日開催の取締役会において、富士通株式会社から、同社の子会社である株式会社PFUの普通
株式の一部(発行済株式数の80%)を取得することを決議し、株式譲渡契約を締結いたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 39後発事象」をご参照くださ
い。
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5 【研究開発活動】
当社グループ(当社及び連結子会社)は、世の中の役に立つ新しい価値を生み出し、提供しつづけることで、人々の生
活の質の向上と持続可能な社会づくりに積極的に貢献することを基本理念としております。
2021年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的まん延が継続し、更に、半導体不足、各種材料不足、輸送手段の高
騰など年度初めには予想できなかった事態により、根本的な事業構造の変革を迫られる年度になりました。その状況の
中でも研究開発分野においては、アフターコロナを見据えた変革加速として、「OAメーカーからの脱皮」及び「デジタ
ルサービスの会社への変革」に力をいれてまいりました。
当社グループの2036年ビジョン「“はたらく”に歓びを」の実現に向け、デジタルサービスの会社として、ワークプ
レイスを変化させていく商品やサービスを提供してまいります。
体制面では、CTO(Chief Technology Officer)のもと、技術面・経営面の両面から技術開発に取り組んでおりますが、
2020年度からCDIO(Chief Digital Innovation Officer)を配置し、社内外でのデジタルとデータを活用した基盤及び価
値創出の機能を強化しております。カスタマーサクセスを当社グループの提供価値と定め、既存ビジネスの深化と新た
な顧客価値の進化、及びこれらを持続的に可能にする社内外でのデータ活用基盤、機能を強化しております。グローバ
ルに広がる約140万社の顧客基盤を生かし、デジタルサービスの会社としてさらなる拡大を目指しております。
これまで当社では中長期的な研究開発及び要素技術開発は本社研究所機能にて集約的に行い、それらの成果を基に事
業実施区にて製品設計に応用する研究開発体制を取ってまいりました。2021年度から導入された社内カンパニー制下に
おいては、事業ドメインごとのビジネスユニットそれぞれが受け持つお客様・商品毎に向けたリソースを集約運用する
という考え方から、研究開発についても将来に備えた中長期的な研究から直近の製品開発・設計・生産までを一貫とし
て事業分野毎に集約した体制へと変更いたしました。
上記の体制変更に伴い、本社研究開発の役割・内容も変更しております。
本社での研究領域として、当社の現事業ドメイン以外での中長期的な成長を支える技術戦略として「ワークプレイス
ではたらく人の働き方を進化させるデジタルツイン」と「マスカスタマイゼーション時代のデジタルプリンティング」
の2つの領域を定めました。これらの実現に向けた研究開発及び当社グループの共通基盤技術開発に集中・特化した
「先端技術研究所」を設立いたしました。
また共創プラットフォーム「 RICOH Smart Integration (RSI)」 を支えるデジタル基盤技術の研究開発を行う「デジ
タル戦略部」を設立いたしました。AI/ICT技術の開発や“はたらく”をデジタル化する技術の開発、それらに携わるデ
ジタル人材の育成・強化を担いデジタルサービスの会社としての拡大を支えます。
更にこれらの本社研究所の技術開発からの事業インキュベーションに向け、2021年度から組織を新設し、開発体制の
強化を行っております。
研究開発の進め方としては、グローバルに拠点間の連携を深めながらそれぞれの地域特性を活かした市場ニーズの調
査・探索、研究・技術開発を行っております。また、世界各地にテクノロジーセンターやカスタマーエクスペリエンス
センターを開設し、お客様のサポートを通じて直接把握したニーズを製品開発へフィードバックする仕組みにより、お
客様と一体となった価値共創活動を展開しております。
オープンイノベーションにおいては、大学・研究機関、企業の力を積極的に活用し、最先端技術の開発を効率的に進
めております。
また、スタートアップ企業や社内外の起業家の成長を支援して事業共創を目指すアクセラレータープログラム
「TRIBUS(トライバス)」を2019年度より実施しております。3年目になります2021年度では195件の応募の中からコンテ
ストを実施し、選出された優秀なテーマには当社グループ内に登録されている約250名のサポーターをはじめとした様々
なリソースを活用可能とし、チャレンジする人の支援・育成、新規事業の創出を促進する文化のさらなる醸成を目指し
ております。
IFRSの適用に伴い、当社グループでは開発投資の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資
産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発投資は 96,721 百万円です。
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(1) デジタルサービス
当社グループでは、お客様への提供価値を「EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES」と定め、働く現場のデジタルトランス
フォーメーションを支援することで、お客様の業務効率化や生産性向上に貢献しております。
近年、時間や場所にとらわれない多様な働き方が求められており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策を
きっかけに、その要望は飛躍的に大きくなっております。当社グループでは、オフィス業務のペーパーレス化だけでな
く、企業間取引業務を支援するトレードエコシステム、遠隔機器による現場作業支援など、様々なワークフローにおい
て、デジタルトランスフォーメーションによりお客様の課題解決に貢献できるサービス開発に取り組んでおります。
当社グループでは、クラウドサービス等と親和性の高いMFPをはじめとした各機器がつながり、お客様がいつでも最新
のサービスを利用可能な統合プラットフォーム「EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES プラットフォーム」を提供しており
ます。このプラットフォームを中心とした「RICOH Digital Processing Service」では、お客様の基幹システムや業務
システムと「スクラムパッケージ」を連携させることで、手作業に頼っていたアプリ間のデータ受け渡しを自動化し、
お客様の業務効率や生産性を向上いたします。お客様の働く環境をトータルにサポートすることで、お客様の生産性向
上、多様な働き方に寄与する価値提供を目指しております。
2021年度は、お客様のワークフローをデジタル化するコンテンツ管理ソフトウエアの「DocuWare」を提供する
DocuWare GmbHの全株式取得(2019年度)に続き、企業の業務プロセス自動化を支援するプラットフォームやアプリケー
ションを開発・販売するAxon Ivy AG(本社:スイス)の全株式を取得しました。当社グループの強みである顧客接点力や
これまで培ってきた製品や技術、ノウハウなどを組み合わせることで、さらなる顧客価値の創出に取り組むとともに、
デジタルサービスの会社への変革を加速させてまいります。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
自然言語処理AIでデータを分析し、業務効率化や新しい価値の創造に貢献する「仕事のAI」を提供開始
~業種業務ごとにラインアップを拡充し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を支援~
・これまで業務に精通した人が行ってきた「問題の発見」「課題解決策の策定」「新たな価値の創出」といった付加価
値の高い業務を、デジタルの力でよりスムーズに、人の判断によるばらつきを抑えて行える支援を実現
・第一弾として、食品業界の大手・中堅企業向けに「RICOH 品質分析サービス Standard for 食品業」を発売。コール
センターやヘルプデスクに集まる膨大な問い合わせ情報を自然言語処理AIで分析し、重要度順に表示することで、迅速
な顧客対応や品質改善によるリスク低減に貢献
世界最薄・最軽量42インチ電子ペーパーを使ったソリューションを提供開始
~図面などの大型用紙を使った作業が必要な現場のデジタル化を後押し~
* *
・世界最薄・最軽量 、世界初防塵・防水(IP65対応) の42インチ電子ペーパーデバイス「RICOH eWhiteboard 4200」
と、ソフトウエア、クラウドサービスを組み合わせた商品・ソリューションを発売
・バッテリーを内蔵し、建設現場や工場をはじめとした、電源が確保しにくい場所での長時間利用を実現
・手書き入力文字のテキスト変換や、専門用語などをカスタム辞書に登録した即時変換が可能
・クラウド対応することで「RICOH eWhiteboard 4200」同士で離れた場所で相互書き込みや、遠隔共有が可能
*42インチ電子ペーパー製品で、バッテリー内蔵の入力・表示装置において(2021年7月現在、当社調べ)
映像や音声のリアルタイム配信機能を提供する「RICOH Live Streaming API」を提供開始
~APIを活用した機能提供によるビジネスモデルを構築~
・API連携により、アプリケーションやWebサービスに短期間で埋め込み可能
・テレビ会議・Web会議システムなどで培ってきた動画や音声などのメディア帯域制御の技術により、高品質と低遅延を
両立し、4Gなどのモバイルネットワーク環境においても安定した接続が可能
・当社の360度カメラ「RICOH THETA」などとの組み合わせで、臨場感あるライブストリーミングも実現
2022年1月施行の改正電子帳簿保存法に対応する「RICOH 証憑電子保存サービス」を提供開始
~様々な証憑をひとまとめに。手軽に手間なく始められる電子保存サービス~
・様々な証憑を版管理方式(削除・修正の履歴による方式)でクラウド上に法定年数に応じた長期保存が可能
・電子帳簿保存法のスキャナ保存・電子取引要件に準拠した検索が可能
・電子帳簿保存法改正で求められる「取引先名」「取引金額」「取引日」の項目の入力代行サービスも用意
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「DocuWareバージョン 7.4/7.5」を提供開始
~より安全かつ高速にデータ、プロセス、ドキュメントを管理するための継続改善~
・ライブコラボレーション機能の追加、ドキュメントとデータ検索の高速化を提供(バージョン7.4)
・言語追加、Webhook機能による外部連携、 自動ドキュメント処理機能 を提供(バージョン7.5)
再生可能エネルギートラッキングの実証事業を開始へ
~蓄電池に充放電した再生可能エネルギーの環境価値を担保し、取引できる仕組み構築を目指す~
・日本ガイシ株式会社と、再生可能エネルギーの発電から消費及び余剰発電の電力貯蔵用NAS®電池への充放電も含めた
全てのプロセスのトラッキング(追跡)を行う実証実験を、2022年度から開始
・発電した再生可能エネルギーをその環境価値が見える形で最大限活用するため、当社が開発するブロックチェーン(分
散型台帳)技術を活用した再エネ流通記録プラットフォームを用いて、再生可能エネルギーの発電、蓄電、消費のトラッ
キングについて恵那電力株式会社を実フィールドとして検証実施
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 11,890 百万円です。
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(2) デジタルプロダクツ
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、世界的なワークスタイルの変化が著しい中、オフィスにおいてはワー
クフローのさらなる効率化、そして在宅ワークにおいては安心して利用できるデバイスや機能のタイムリーな提供が求
められております。これらのご要望にお応えするプリンティングやスキャニング環境を迅速に実現するための技術開
発、また、外部環境変化の影響を受けずに安定して製品をお届けできる生産プロセス構築に力を注いでおります。
当社のデジタルサービスを実現するための特徴的なクラウド型統合プラットフォームである「EMPOWERING DIGITAL
WORKPLACES プラットフォーム」との親和性を重視したオフィス機器の開発など、時間や場所の制約を受けずに働くため
の環境を実現するクラウドサービスへのご要望にもお応えしてまいります。
複合機やプリンターにおいては、電子写真技術、サプライ技術、光学設計技術、画像処理技術、次世代作像エンジン
要素技術、常に最新の機能をご利用いただけるソフトウエア技術「RICOH Always Current Technology」の新バージョン
など、各領域での設計・技術開発を継続して行っております。また、インタラクティブホワイトボード(電子黒板)、プ
ロジェクターなど、働き方改革を実現するためのスマートコミュニケーションデバイスの商品開発にも引き続き注力し
てまいります。
2021年度においては、原料価格の高騰、半導体部品の不足、ロックダウンによる生産停止など、数々の困難に直面し
ました。そのような外部環境変化に左右されないものづくり体制を構築し、お客様へ必要な製品を安定的にお届けでき
るよう、設計面と生産面で様々な施策を打ちました。たとえば、有事において切り替えに時間を要する部品について
は、製品の開発段階からあらかじめ代替候補を選定した上で設計するようにプロセスを変更しました。
さらに、再生材料の使用促進など、近年重要となっている脱炭素社会や循環型社会の実現へ貢献するための技術開発
も進めております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
デジタルモノクロ複合機「RICOH IM 6000/5000/4000/3500/2500」を新発売
~充実の基本性能と最新のクラウドサービス対応でユーザーの業務効率化に貢献~
・オフィスワークの自動化・省力化を推進する「RICOH Intelligent WorkCore」に対応
・多様なワークフローに対応できる後処理オプション、高速出力により高い生産性を実現
・デジタルサービスとの連携に不可欠となる紙文書のスキャナ機能を強化し、OCR(光学文字認識)処理速度も向上
・導入後も基本機能を最新の状態にアップデートできる「RICOH Always Current Technology」に対応
クラウド対応複合機の基本機能をアップデートする「RICOH Always Current Technology Version 2.0」を提供開始
~スマホライクな拡張性で最新機能に対応し、使いやすさやセキュリティを向上~
・最新のセキュリティ機能に対応したほか、ファクスやスキャンに関連するニーズの高い機能の追加・改善が可能に
・サブスクリプション型商品のラインアップを拡大し、お客様の業務環境変化に柔軟に追従できる便利な追加機能を提
供
A4 カラーレーザープリンター/複合機「RICOH P C200L/C200SFL」を新発売
~小型・軽量で小規模オフィスや在宅勤務にも最適~
・一人でも持ち運び可能な軽さを実現する一方、印刷速度は24枚/分に高速化
・国際エネルギースタープログラム、グリーン購入法、エコマークなど各種環境基準に適合
A3 カラープリンター「RICOH P C6000L」を新発売
*
~世界最小クラス のコンパクトボディに多様な機能を凝縮~
・オフィスのデスクサイドから店舗窓口まで、様々な場所への設置が可能
・無線LANを標準搭載するとともに、幅広い用紙サイズに対応
*A3カラーLED/レーザープリンターの設置面積(A3用紙使用時)において(2021年12月現在、当社調べ)
「RICOH Interactive Whiteboard A6500-Edu」を新発売
~学びの質を高める機能が充実の、シンプルで使いやすい電子黒板~
・「映す・書く・つながる・共有する」でコラボレーションを促進する教育現場向けモデル
・65インチで4K対応(3840×2160pixels)の高精細なディスプレイで地図や映像などのコンテンツを細部まで表示可能
・難しい操作をせずに直感的に使えるホワイトボードアプリケーションを内蔵
・児童・生徒のパソコン/タブレットからの無線投影機能を標準搭載
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 34,684 百万円です。
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(3) グラフィックコミュニケーションズ
当社グループは、現場で働くお客様の課題をデジタルトランスフォーメーションにより解決し、お客様のビジネス拡
大をサポートする総合パートナーとなることを目指しており、コンサルティングから印刷、デリバリーに至るお客様の
バリューチェーン全体の生産性向上に寄与するソリューションを提供していきます。
商用印刷事業分野においては、印刷業のお客様に向けて、生産性向上に寄与する印刷機やゴールド、シルバーなど高
付加価値を可能にする特色トナー、上流から下流まで工程を統合的に管理するワークフローソリューションを組み合わ
せた提案を行っており、Offset to Digitalを加速して、お客様の現場プロセスのデジタル化・働き方改革を牽引してい
きます。
そのために、電子写真技術、サプライ技術、光学設計技術、画像処理技術、インクジェット技術、次世代作像エンジン
要素技術、最先端ソフトウエア技術の開発を継続して行っております。
また印刷DXを推進するハイデルベルグ社(ドイツ)との長年のパートナーシップや、多様な印刷物を支える加工機ベン
ダーなどとのアライアンス、お客様と連携してソリューションを開発する取り組みを通じて、印刷のトータルソリュー
ションを提供していきます。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
「RICOH Pro VC70000」がFogra認証を取得
~連帳インクジェット印刷機として、業界初のFogra認証取得~
・Fograは印刷業界をリードする認証機関
・Fogra認証取得は、「RICOH Pro VC70000」が業界最高水準に準拠していることを示し、一貫して優れた印刷品質を提
供することでお客様のビジネス拡大に貢献
・Fograは以下2つの異なる印刷条件で「RICOH Pro VC70000」がISO 12647-8標準に準拠することを認定
-Fogra59(最新の広色域プリンタ向け基準での印刷)
-Fogra51(ISO 12647-2:2013に準拠したプレミアムコート紙への印刷)
印刷事業者のビジネス拡大を支援する「RICOH BUSINESS BOOSTER」を国内展開
~印刷事業者、ビジネスパートナー、リコーグループによる共創活動を強化~
・「RICOH BUSINESS BOOSTER」は、当社グループで北米・欧州を中心に2014年から展開している印刷事業者やビジネス
パートナーの方々との共創活動の総称
・お客様である印刷事業者の課題ごとに当社のプロダクションプリンターや各種ソフトウエア、サービスと、ビジネス
パートナー各社の機器、ソフトウエア、サービスを組み合わせたソリューションを3つの軸で最適化して提供
・既存の製品やサービスの組み合わせでは解決できない課題に対しては、価値共創プロジェクトを立ち上げ、印刷事業
者やビジネスパートナーとともに新たなソリューション開発に取り組む
・リコージャパン株式会社ではこれまでも、印刷事業者、ビジネスパートナー、当社グループによる課題解決活動を
行ってきましたが、この度新たに、価値共創プロジェクトを推進する専門組織を設立し、「RICOH BUSINESS BOOSTER」
の活動を加速
産業印刷事業分野においては、産業用インクジェットヘッド技術の開発、製品化に注力し、製品ラインアップの拡充
に取り組んでおります。高耐久性と幅広いインク対応力でお客様よりご好評をいただいているMHシリーズヘッドに加
え、MEMS (Micro Electro Mechanical System) 技術を活用した小型・高精細印刷に対応するTHシリーズヘッドのフラッ
グシップモデルを新たに発売し、多様なアプリケーションへの対応力を強化しております。
また、衣料印刷市場向けには、北米・欧州地域でご好評を得ているクラス最高の印刷生産性を実現したガーメントプ
リンター「RICOH Ri 2000」を日本市場向けに発売しました。エントリークラスの「RICOH Ri 100」と合わせ、お客様の
用途に応じた製品提供を行っております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
産業用インクジェットヘッド「RICOH TH6310F」を新発売
~高ギャップ印刷対応とインク循環機能を備えたフラッグシップモデル~
・MEMS技術を活用した独自の高集積設計により、100×8列×2モジュールの1,600ノズルを配列、 2.6インチ印刷幅を実
現
・吐出不良のリスクを大幅に軽減するインク循環構造を採用し、吐出信頼性を確保
・UV、溶剤、水性のすべてに対応したインクにより、サイングラフィックス、テキスタイルなど幅広い用途に対応
・2階調時には周波数80kHz、4階調時には新機能により周波数40kHzの圧倒的な吐出性能を実現
高速ガーメントプリンター「RICOH Ri 2000」を国内市場に向けて発売
~ガーメントプリント市場で求められる高い生産性と使いやすさを両立~
・2つのキャリッジを搭載。ホワイト用キャリッジで下地となるベースレイヤーを印刷した上に、カラー用キャリッジ
でカラーレイヤーを連続して印刷することで高速印刷を実現
・自動ヘッド清掃機能による簡単メンテナンス、テーブルの自動高さ調整による高い操作性、定期自動クリーニングに
よるダウンタイムの低減など、お客様の使いやすさを重視した機能を搭載
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 25,300 百万円です。
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(4)インダストリアルソリューションズ
サーマル事業分野においては、世界で圧倒的なシェアを占める高付加価値サーマルペーパー(感熱紙)をはじめ、高い
品質の製品・サービスを提供し、さらなるお客様の信頼獲得を目指しております。
高付加価値サーマルペーパーは、近年の環境意識の高まりから、社会課題解決型商品(環境負荷低減:フェノールフ
リー化)の欧州市場販売を皮切りに、2021年度は日本市場においても販売を開始しました。2022年度は北米市場で販売を
開始し、順次、グローバル展開を進めてまいります。
また、長年にわたり培ってきた光学系の独自技術を生かし、半導体レーザー光を用いた「リライタブル レーザーシス
テム」と「高速印刷ソリューション(FC-LDA Printer)」を事業展開し、人手不足が深刻な物流現場における省人化や製
造業における自動化の進展に貢献しております。
リライタブル レーザーシステム「RICOH Rewritable Laser System L3000/C3000」を、2021年4月に日本、7月に北
米、中国で発売いたしました。発売以降コンビニ、日用品卸等のお客様において「環境負荷低減」、「自動化省力化実
現」が評価され導入が進んできております。製造業のお客様では特に食品業界において「ラベルごみゼロによる衛生環
境実現」、「異物混入防止」の実現のため導入が図られております。また本製品と他社製品、システムとの組合せによ
るソリューションの展開も順次図っていく予定でおります。
産業プロダクツ事業分野においては、これまで培ってきた光学技術、電装技術、画像認識などの最先端技術を融合
し、自動車、物流・建機車両の自動制御や安全補助をするステレオカメラの開発を様々なパートナーと進めておりま
す。
2021年度は、フォークリフト作業現場の複雑な環境下において、周辺の障害物の中から人、物を立体的にとらえ、高
精度に検知することを可能とする後方作業者検知運転支援システムを株式会社豊田自動織機との共同開発にて量産を開
始しました。
また、生産技術とIoT、AI、画像認識などの最先端技術を融合し、データ認識処理による情報変換を通じた情報の見え
る化により、様々な生産設備のインテグレーション、車体・外装部品等の塗装外観を中心とした検査ライン、近年では
成長著しい車載リチウムイオンバッテリー生産における安全・信頼性を高める検査ラインの生産・販売を行って現場に
おける少人化、自動化に貢献しております。今後、これら検査設備等から得られるデータの活用により、お客様への新
たな価値提案へと繋げていく予定でおります。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
生産工程向け高速印刷ソリューション「RICOH FC-LDA Printer 500」を発売
~大量生産ライン内での印刷業務効率向上と省資源化による環境負荷の低減に貢献~
*
・世界最高出力 の2000Wレーザーマーカー
-10万分の1秒ほどの短時間照射で熱反応を起こして、高速にサーマル印字が可能
・192chレーザーアレイを80kHzで独立変調
-チャンネルごとに最高毎秒8万回変調制御するレーザードライバーを独自に開発し、高速・高精細な印字を実現
・透明性の高いサーマルメディア層
-分散技術や高耐性発色技術を生かしてサーマルインクを開発。これをコーティングすることでラベル、袋、箱など
様々なものをメディア化し、レーザー印字が可能に
*2020年8月19日現在、当社調べ
フォークリフト用ステレオカメラを株式会社豊田自動織機と共同開発
~フォークリフト作業における車両と人・物の接触事故の発生を抑制し、現場の安全性向上に貢献~
・広角化技術により水平角130度という広範囲の検知を実現
・3次元ベースの認識技術により不特定多数の人に対してタグ携帯なしでも検知を実現
・画像処理・電源機能をカメラ内に実装することで小型化、ワンパッケージ化を実現
・厳しい使用環境にあるフォークリフトの現場においても動作可能な高い耐環境性能を実現
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 3,727 百万円です。
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(5) その他
当社グループの持つ技術力を活かして、産業向けからコンシューマー向けまで幅広い製品・サービスを提供しており
ます。また、ヘルスケア、環境、社会インフラなど、社会課題解決に貢献する新たな事業創出を目指しております。
■デジタルカメラ事業
デジタルカメラ事業を担うリコーイメージング株式会社は22年1月に“リコーイメージングは生まれ変わります”
(https://news.ricoh-imaging.co.jp/rim_info/2022/20220120_031454.html)と体制刷新のメッセージを公表しまし
た。PENTAXとGRの2つのブランド価値をより高め、"デジタル"手法を駆使してお客様とダイレクトにつながり、"工房
的"ものづくりによって両ブランドの魅力をより一層研ぎ澄ませて深化させる新しい事業体制を構築しております。
当社グループでは、100年に及ぶカメラ開発の歴史で培われた、光学設計、光学部品加工技術を柱に、最先端のデジタ
ル画像処理技術を搭載した画像処理エンジンPRIME VやGR ENGINE 6と、高度なノイズ処理を実現するアクセラレーター
ユニットI, IIのコンビネーションにより、すべての感度域で優れた階調再現や質感描写を実現したデジタルカメラ製品
の開発を行っております。また、これらの技術に加え、当社独自のボディ内手振れ補正機構SR(Shake Reduction)を搭載
し、優れた手振れ補正性能を有するとともに、この機構を応用したローパスセレクター機能やリアルレゾリューション
機能を開発しております。写真に拘りを持つユーザーの皆様へ、これらの技術を搭載したデジタルカメラを以下のシ
リーズで提供しております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
APS-Cフラッグシップデジタル一眼レフカメラ「PENTAX K-3 Mark III」を発売
・高い基本性能と「PENTAX STATEMENT」を体現する製品として、こだわりの機能を小型堅牢ボディに凝縮、一眼レフカ
メラの本質的な価値にこだわり、写真を生涯の趣味として楽しまれている多くの方々が、撮影のプロセスまで愉しめる
機能・性能を備えたカメラとして開発
★
KマウントAPS-Cサイズデジタル一眼レフカメラ用大口径標準ズームレンズ「HD PENTAX-DA 16-50mm F2.8ED PLM AW」を
発売
・ズーム全域で開放F2.8と明るく、高い描写性能を追求した「★(スター)」シリーズのAPS-Cサイズデジタル一眼レフカ
メラ専用大口径標準ズームレンズ
ハイエンドコンパクトデジタルカメラ「RICOH GR IIIx」を発売
・プロフェッショナルユースにも応える高画質とスナップシューティングに最適な小型軽量ボディを両立し、新たに35
ミリ判換算で40mm相当の標準画角で撮影が楽しめる新レンズを搭載したハイエンドコンパクトデジタルカメラ
■ヘルスケア事業
当社グループでは高齢化社会への対応、医療費削減、ウイルス等の感染拡大防止などが求められるヘルスケア事業
を、社会課題の解決に取り組む分野の1つとして位置付けております。
統合医療介護連携システムなどの「ヘルスケアソリューション」領域、脳磁計・脊磁計などの「メディカルイメージ
ング」領域、独自のインクジェット方式を活用したバイオプリンティング技術を生かした「バイオメディカル」領域の
3つの領域を重点領域とし技術開発に取り組んでおります。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
脊磁計が国家プロジェクト(AMED)で採択
・国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募する 令和3年 「医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)」(第6
回)において「脊磁計による神経機能情報を活用した新たな診断技術の確立」で採択
■環境事業
当社グループは事業を通じて注力する重要社会課題の1つとして、脱炭素社会の実現を掲げており、国内企業で初め
てRE100に参加するなど、徹底した省エネや再生可能エネルギーの積極活用に向けた取り組みを強化しております。
製品のエネルギー効率向上、リサイクル材や植物由来原料を用いた素材開発など、技術開発を介して環境負荷の削減
に取り組み、室内光で効率的に発電するエネルギーハーベストな環境発電デバイス(DSSC)を搭載したセンサーの製品化
や、植物由来のポリ乳酸(PLA)を独自のCO 2微細発泡技術にてしなやかさと強度を持たせたPLA発泡シート「PLAiR(プレ
アー)」の活用可能性を検証するテスト販売を開始しました。ビジネスパートナーや顧客にも協力を働きかけることで、
バリューチェーン全体での脱炭素社会づくりへの貢献に取り組んでおります。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
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電池交換・配線不要な環境センシングデバイスの新製品「RICOH EH 環境センサーD201/D202」を発売
~冷凍環境や高温・高湿度環境のモニタリングをメンテナンスフリーで実現~
・屋内の温度・湿度・照度・気圧といった環境情報を電池交換レス・配線レスで取得できる環境センサーを発売
・発電効率が従来比20%向上、マイナス30℃の低温環境下に対応など、性能アップした固体型色素増感太陽電池を搭載
・冷凍環境や高温・高湿度環境でも使用が可能。自立電源で配線レス&電池交換レスを実現
・防水・防塵機能を備えた「D202」をラインアップに追加することで、利用可能なシーンを大きく広げる
植物由来の新素材「PLAiR」のテスト販売を開始
~緩衝性・断熱性を備え、加工が可能な発泡PLAシートの活用可能性を検証~
・脱炭素・循環型社会の実現を目指し、カーボンニュートラルかつコンポスタブルな植物由来99%の新素材PLAiRを開発
・発泡倍率を変えることで、梱包材や緩衝材、各種容器などに広く使用可能
・発泡倍率15倍を長さ80mのロール状にして発売
・テスト販売を通してお客様の声を伺い、様々な用途への活用可能性を検証
■スマートビジョン事業
360度画像活用ビジネス「RICOH360」では、不動産、建設、広告、店舗などの業種業務を始めとして、様々な業界を横
断するグローバルプラットフォームを構築することを目指しております。
品質に定評があるカメラ機器に加え、全天球カメラなどユニークで魅力的なハードウエアとそのデータ活用により、
新たな画像・映像体験を創造していきます。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
デジタルサービスの拡大に向けて「RICOH360」プラットフォーム事業を強化
・ 時間や場所にとらわれない情報共有やデータ収集・活用が容易になることで、不動産、建設・建築をはじめとする、
様々な業種でのはたらく現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速し、業務効率化と生産性の向上に貢献
建設現場の状況共有を効率化するクラウドサービス「RICOH360 Projects」の強化
・RICOH THETA開発の利点を活かし、競合サービスが持たない「タイムラプス機能/ライブ映像機能」を実装。さらに、
建設現場に適合した独自デバイス「Wearable」の開発に向けて、モック制作やユーザー価値検証の活動を展開中
・施工管理ワークフローに適合した機能(URL共有)、UX向上(ウォークスルー)、建設DXの推進に寄与する機能(BIM連携)
を拡充し、プロダクト価値を向上
・BIM連携は国交省の「イノベーション促進事業」に採択
はたらく現場を効率化する360度カメラ「RICOH THETA X」を新発売
・360度カメラ「RICOH THETA X」を海外先行発売
・2.25型の大型タッチパネルモニターを搭載し、現場で撮影した画像をすぐに確認できるほか、RICOH THETAシリーズで
初となるバッテリー、メモリーカードの交換に対応したことで、ビジネスの現場においても効率よく、確実な撮影が可
能
■社会インフラ事業
社会インフラの老朽化や自然災害の頻発化、激甚化が進み、インフラの効率的な維持管理が大きな社会課題となって
おります。当社は社会インフラの課題解決に取り組み、安心安全なまちづくりの実現を目指しております。
一般車両に搭載した独自の撮影システムとAIなどのデジタル技術を用いて自動化し、低コストで効率的な点検の提案
を行っております。従来の路面・トンネルモニタリングサービス提供に加え、2022年2月から宮崎県にてのり面モニタ
リングシステムの大規模実証実験を開始しております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
宮崎県と協同でのり面モニタリングシステムの大規模実証実験を開始
~安心安全なまちづくりを目指し、インフラ点検のDXを推進する新技術の実用化を加速~
・複数のラインセンサーカメラやLiDAR(3次元計測システム)を搭載した車両で道路を走行するだけで、高さや幅が広い
のり面でも一度に高画質で撮影して3次元形状を計測し、AI(人工知能)でひび割れなどの変状を抽出
・撮影データの解析に加え、調書作成などの業務プロセスまでをデジタル化し、点検業務の効率化や省力化を実現
・宮崎県が大量に保有する人手での点検結果と本システムで測定した結果を突合し、システム精度の確認や効率化の度
合い等の検証を一気に行うことで、のり面点検業務のDXを推進する新技術の実用化を加速
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 5,836 百万円です。
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(6) 基礎研究分野
当社グループではこれまで、商品の差別化につながる基礎研究分野として、フォトニクス技術、MEMS、画像認識・画
像処理技術を融合した高度なセンシング技術・エッジデバイス技術、分析・シミュレーション等の基盤技術や検証、シ
ミュレーション等の技術機能性材料、プリンティング技術の応用研究開発や、お客様の業務の効率化や時間、場所に捉
われない新しい働き方に貢献するためのデータ収集・解析技術、人工知能を応用したシステムソリューション開発を進
めてきました。
先端技術研究所では、将来に向けてこれらの技術を核として、2つの提供価値領域にフォーカスして開発を行ってお
ります。
・HDT(Human Digital Twin at Work):ワークプレイスで働く人のデジタル化技術。行動センシングやバイタルセンシ
ン グ等の技術と、認識やAI等の技術とを活用し、働く人の創造力発揮を支援する
・IDPS(Industrial Digital Printing System):インクの代わりに機能材料を吐出する産業用インクジェット技術を発
展させ、製造・生産プロセスをデジタル化し、飛躍的な改善や廃棄物削減、省エネにつなげる
分析・シミュレーション等の共通基盤技術は、引き続き当社グループの開発生産現場に展開し、さらなる効率化と品
質向上を図っていきます。
協業パートナーとの共創も積極的に促進しており、2021年度では十数社の協業パートナーと価値検証を実施いたしま
した。共創のためのコラボレーションスペース「RICOH Collaboration Hub」では遠隔の顧客・パートナー候補に向けた
オンラインセミナーを積極的に開催し、それをきっかけとした個別のオンラインミーティングを実施するなどして、直
接来訪していただけない状況でも、コラボレーションの機会を継続的に創出しております。
デジタル戦略部では、お客様に最適なソリューションを提供する共創プラットフォーム「RICOH Smart Integration
(RSI)」を支えるデジタル基盤技術として、当社独自のデバイスで獲得できる画像や音声などを利用したAI/ICT技術、並
びに、人、システム、業務、企業同士をつなぎ、“はたらく”をデジタル化する技術開発に取り組み、新たな顧客価値
創出の具現化を進めております。
これらデジタル基盤技術によって、自社やパートナーの技術をコンポーネントやマイクロサービス、コンテナとして
整備することで柔軟に組み合わせ、データを活用した新たなサービスを創造するプラットフォームを実現しておりま
す。また、当社の強みである自然言語処理AI技術の研究開発からサービス化された「法務支援クラウド」や「仕事の
AI」などから得られた知見をAI化することで、パートナーやお客様にAIを容易にご活用いただけるプラットフォームを
目指しております。さらに、創出したサービスをお客様に継続利用いただくため、カスタマーサクセスに適した販売シ
ステムに革新していきます。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
インクジェット技術による二次電池の量産向け製造プロセス技術
~IoTデバイスなどに向けた多種多様な電池提供を目指す~
・リチウムイオン二次電池の電極材料や、安全性を付与するセラミック材料やセパレータをインク化し、狙った場所に
狙った塗布量をデジタル印刷することで、高品質かつ柔軟に形状や膜厚を調整することが可能
・開発パートナーとともに、量産プロセスに適用可能なインクジェット印刷装置を開発し、電池製造に関わるお客様に
製造プロセスを提案
・次世代電池として有望視される全固体リチウムイオン電池の固体電解質印刷技術をあわせて開発中
・以上の開発成果を、2022年3月の国際二次電池展で発表
プラスチック容器に直接文字やデザインをレーザーマーキングする技術
~完全ラベルレスで文字・デザインを表示し、プラごみ削減や資源リサイクル推進に貢献~
・商品名や原材料名など、食品表示法などで規定された情報をペットボトルにレーザーで直接書き込むことで、完全ラ
ベルレスを実現
・深さ数十ミクロン程度でごく表面のみを加工し、ペットボトルの品質に影響をあたえずに描画可能
・細かい描画ができるため、成分表示などの小さな文字から、ロゴマークやイラストに至るまで幅広く表現
・描画部分がより白く見えるように光の散乱状態をコントロールすることで、視認性の高い表示が可能
・第一弾としてテスト販売用の「『アサヒ 十六茶』PET630ml ダイレクトマーキングボトル」に採用
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は 15,284 百万円です。
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第3 【設備の状況】
1 【設備投資等の概要】
当社グループ(当社及び連結子会社)の当連結会計年度の設備投資金額は 37,359 百万円であり、事業の種類別セグ
メントごとの内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
事業の種類別セグメントの名称 主な設備投資の目的・内容
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
デジタルサービス関連のインフラ
デジタルサービス 16,610 15,934
投資
生産設備の拡充、更新及び生産性
デジタルプロダクツ 9,897 9,502
向上
グラフィック 生産設備の拡充、更新及び生産性
4,826 4,540
コミュニケーションズ 向上
インダストリアル 生産設備の拡充、更新及び生産性
3,056 2,407
ソリューションズ 向上
その他 3,572 1,236 新規事業に関連する設備投資等
本社又は全社 4,194 3,740 社内DX投資等
合計 42,155 37,359
(注) 上記設備投資に伴う所要資金は、自己資金及び借入金により賄っております。
2 【主要な設備の状況】
当社グループ(当社及び連結子会社)における主要な設備は、以下のとおりです。
(1) 提出会社
2022年3月31日 現在
帳簿価額(百万円)
事業の種類別
事業所名
従業員数
セグメントの 設備の内容
機械装置
(人)
(所在地)
建物及び 土地
名称
及び 使用権資産 合計
構築物 (千㎡)
器具備品
デジタルサー
リコーインダストリー㈱
デジタルプロダクツ
ビス向けデバ -
東北事業所 及びグラフィックコ 800 1,985 1 2,786 -
イス関連消耗 (-)
ミュニケーションズ
(宮城県柴田郡柴田町)
品等生産設備
本社、デジタルサー
ビス、グラフィック
本社事業所
コミュニケーション 開発用設備、 119
6,136 361 40 6,656 917
ズ、インダストリア その他設備 (16)
(東京都大田区)
ルソリューションズ
及びその他
横浜仲町台事業所
3,200
全社 その他設備 1,320 204 328 5,052 155
(17)
(神奈川県横浜市都筑区)
デジタルプロダク
リコーテクノロジーセン
ツ、グラフィックコ 4,944
ター
開発用設備 18,403 3,637 949 27,933 4,433
ミュニケーションズ (89)
(神奈川県海老名市)
及びその他
デジタルプロダクツ デジタルサー
厚木事業所
2,011
及びグラフィックコ ビス向けデバ 2,742 2,009 10 6,772 213
(98)
(神奈川県厚木市)
ミュニケーションズ イス生産設備
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帳簿価額(百万円)
事業の種類別
事業所名
従業員数
セグメントの 設備の内容
機械装置
(人)
(所在地)
建物及び 土地
名称
及び 使用権資産 合計
構築物 (千㎡)
器具備品
デジタルプロダク
デジタルサー
ツ、グラフィックコ
沼津事業所
ビス向けデバ 1,194
ミュニケーションズ 7,962 4,290 3 13,449 687
イス関連消耗 (128)
(静岡県沼津市)
及びインダストリア
品等生産設備
ルソリューションズ
リコー環境事業開発セン
2,205
ター
その他 その他設備 2,642 130 3 4,980 33
(93)
(静岡県御殿場市)
デジタルサー
デジタルプロダクツ
福井事業所
ビス向けデバ 1,120
及びインダストリア 1,305 2,019 - 4,444 139
イス関連消耗 (93)
(福井県坂井市)
ルソリューションズ
品等生産設備
池田事業所 98
全社 その他設備 1,721 220 13 2,052 89
(大阪府池田市) (19)
(2) 国内子会社
2022年3月31日 現在
帳簿価額(百万円)
事業の種類別
会社名
従業員数
セグメントの 設備の内容
機械装置
(人)
(所在地)
建物及び 土地
名称
及び 使用権資産 合計
構築物 (千㎡)
器具備品
デジタルプロダクツ デジタルサー
リコーインダストリー㈱
234
及びグラフィックコ ビス向けデバ 6,070 3,711 241 10,256 1,195
(151)
(神奈川県厚木市)
ミュニケーションズ イス生産設備
デジタルプロダク
デジタルサー
ツ、グラフィックコ
リコーエレメックス㈱
ビス向けデバ 3,244
ミュニケーションズ 1,567 2,389 76 7,276 471
イス・精密機 (546)
(愛知県岡崎市)
及びインダストリア
器生産設備
ルソリューションズ
デジタルサービス及
リコージャパン㈱
2,450
びグラフィックコ その他設備 4,900 9,186 10,736 27,272 16,388
(53)
(東京都大田区)
ミュニケーションズ
リコークリエイティブ
-
サービス㈱ その他 その他設備 42 9 1,733 1,784 627
(-)
(東京都大田区)
リコーインダストリアル
光学機器及び
インダストリアルソ 331
ソリューションズ㈱
電装ユニット 2,194 1,864 88 4,477 958
リューションズ (40)
生産設備
(東京都大田区)
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(3) 在外子会社
2022年3月31日 現在
帳簿価額(百万円)
事業の種類別
会社名
従業員数
セグメントの 設備の内容
機械装置
(人)
(所在地)
建物及び 土地
名称
及び 使用権資産 合計
構築物 (千㎡)
器具備品
デジタルサー
デジタルプロダク
ビス向けデバ
ツ、グラフィックコ
RICOH ELECTRONICS,INC.
イス関連消耗 306
ミュニケーションズ 1,168 2,726 475 4,675 618
品及びサーマ (51)
(米国 ジョージア州)
及びインダストリア
ルメディア生
ルソリューションズ
産設備
デジタルサー
デジタルプロダクツ ビス向けデバ
RICOH UK PRODUCTS LTD.
351
及びグラフィックコ イス及び関連 411 741 54 1,557 508
(210)
(英国 テルフォード)
ミュニケーションズ 消耗品生産設
備
RICOH INDUSTRIE FRANCE
デジタルプロダクツ サーマルメ
54
S.A.S. 及びインダストリア ディア生産設 744 3,451 - 4,249 575
(209)
ルソリューションズ 備
(仏国 ヴェトルスハイム)
RICOH THERMAL MEDIA
サーマルメ
インダストリアルソ -
(WUXI) CO., LTD. ディア生産設 1,794 2,776 16 4,586 271
リューションズ [64]
備
(中国 無錫市)
SHANGHAI RICOH DIGITAL
デジタルサー
-
EQUIPMENT CO., LTD. デジタルプロダクツ ビス向けデバ 1,090 1,257 6 2,353 1,082
[59]
イス生産設備
(中国 上海市)
RICOH MANUFACTURING
デジタルサー
-
(CHINA) LTD. デジタルプロダクツ ビス向けデバ 7,746 4,431 131 12,308 3,449
[93]
イス生産設備
(中国 東莞市)
デジタルサー
RICOH MANUFACTURING
デジタルプロダクツ ビス向けデバ
521
(THAILAND) LTD. 及びインダストリア イス及び関連 3,614 862 15 5,012 2,430
(121)
ルソリューションズ 消耗品生産設
(タイ ラヨーン県)
備
デジタルサービス及
RICOH USA INC. 他
296
びグラフィックコ その他設備 1,403 10,543 13,873 26,115 17,747
米州販売会社 35社 (148)
ミュニケーションズ
RICOH EUROPE HOLDINGS
デジタルサービス及
-
PLC 他
びグラフィックコ その他設備 863 9,469 14,671 25,003 14,520
(-)
ミュニケーションズ
欧州販売会社 90社
RICOH ASIA PACIFIC PTE,
デジタルサービス及
-
LTD. 他
びグラフィックコ その他設備 27 4,903 5,886 10,816 5,199
(-)
ミュニケーションズ
その他地域販売会社 14社
(注) 1 上表には、建設仮勘定は含まれておりません。
2 現在休止中の主要な設備はありません。
3 リコーインダストリー㈱ 東北事業所に記載している設備は、提出会社にて保有しておりますが、製造は連
結子会社であるリコーインダストリー㈱へ委託しております。
4 RICOH ELECTRONICS,INC.の数値は各社の連結決算値です。
5 RICOH THERMAL MEDIA (WUXI) CO., LTD.、SHANGHAI RICOH DIGITAL EQUIPMENT CO., LTD.及びRICOH
MANUFACTURING (CHINA) LTD.の土地は、連結会社以外から賃借しており、賃借している土地の面積について
は、[ ]内で外書きしております。
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3 【設備の新設、除却等の計画】
当社グループ(当社及び連結子会社)の当連結会計年度後1年間の設備投資計画は 41,000 百万円であり、事業の種
類別セグメントごとの内訳は以下のとおりです。
事業の種類別セグメントの名称 2022年度計画金額(百万円) 設備等の主な内容・目的
デジタルサービス 17,700 デジタルサービス関連のインフラ投資
デジタルプロダクツ 10,400 生産設備の拡充、更新及び生産性向上
グラフィックコミュニケーションズ 5,000 生産設備の拡充、更新及び生産性向上
インダストリアルソリューションズ 2,600 生産設備の拡充、更新及び生産性向上
その他 1,400 新規事業に関連する設備投資等
本社又は全社 3,900 社内DX投資等
合計 41,000
(注) 上記設備投資に伴う所要資金は、自己資金及び借入金により賄う予定です。
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第4 【提出会社の状況】
1 【株式等の状況】
(1) 【株式の総数等】
① 【株式の総数】
種類 発行可能株式総数(株)
普通株式 1,500,000,000
計 1,500,000,000
② 【発行済株式】
事業年度末現在 提出日現在 上場金融商品取引所名
種類 発行数(株) 発行数(株) 又は登録認可 内容
( 2022年3月31日 ) (2022年6月27日) 金融商品取引業協会名
東京証券取引所
普通株式 637,468,178 637,468,178 市場第一部(事業年度末現在) 単元株式数100株
プライム市場(提出日現在)
計 637,468,178 637,468,178 - -
(2) 【新株予約権等の状況】
① 【ストックオプション制度の内容】
該当事項はありません。
② 【ライツプランの内容】
該当事項はありません。
③ 【その他の新株予約権等の状況】
該当事項はありません。
(3) 【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当事項はありません。
(4) 【発行済株式総数、資本金等の推移】
発行済株式 発行済株式 資本準備金 資本準備金
資本金増減額
資本金残高
年月日 総数増減数 総数残高 増減額 残高
(百万円)
(百万円)
(百株) (百株) (百万円) (百万円)
2022年2月28日(注) △1,074,439 6,374,681 - 135,364 - 180,804
(注) 2022年2月4日開催の取締役会決議により、2022年2月28日付で自己株式を消却したことによる減少です。
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(5) 【所有者別状況】
2022年3月31日 現在
株式の状況(1単元の株式数 100 株)
単元未満
区分 外国法人等 株式の状況
政府及び
金融商品 その他の 個人
(株)
地方公共 金融機関 計
取引業者 法人 その他
団体
個人以外 個人
株主数
- 65 34 494 637 51 38,976 40,257 -
(人)
所有株式数
- 2,556,083 223,829 276,992 2,736,128 194 574,403 6,367,629 705,278
(単元)
所有株式数
- 40.14 3.52 4.35 42.97 0.00 9.02 100.00 -
の割合(%)
(注) 1 自己株式70,100株は「個人その他」に701単元含まれ、「単元未満株式の状況」には含まれておりません。
2 当社が設定する役員向け株式交付信託及び執行役員等向け株式交付信託において、当該信託が保有する当社
株式398,600株は、「金融機関」に3,986単元含まれております。
(6) 【大株主の状況】
2022年3月31日 現在
発行済株式(自
己株式を除
所有株式数
氏名又は名称 住所 く。)の総数に
(百株)
対する所有株式
数の割合(%)
日本マスタートラスト信託銀行株
東京都港区浜松町二丁目11番3号 1,185,483 18.60
式会社(信託口)
PLUMTREE COURT,25 SHOE LANE,LONDON EC4A
GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL
4AU,U.K. 304,201 4.77
(常任代理人 ゴールドマン・
サックス証券株式会社)
(東京都港区六本木六丁目10番1号)
日本生命保険相互会社 東京都千代田区丸の内一丁目6番6号 294,415 4.62
株式会社日本カストディ銀行(信
東京都中央区晴海一丁目8番12号 267,538 4.20
託口)
新生信託銀行株式会社ECM MF信託
東京都中央区日本橋室町二丁目4番3号 210,000 3.29
口8299004
公益財団法人市村清新技術財団 東京都大田区北馬込一丁目26番10号 158,395 2.49
CGML PB CLIENT
CITIGROUP CENTRE, CANADA SQUARE,
ACCOUNT/COLLATERAL
CANARY WHARF LONDON E14 5LB
158,332 2.48
(常任代理人 シティバンク、エ
(東京都新宿区新宿六丁目27番30号)
ヌ・エイ東京支店)
49 MARKET STREET, P.O. BOX1586 CAMANA
ECM MF
BAY, GRAND CAYMAN, KY1-1110 145,999 2.29
(常任代理人 立花証券株式会社)
(東京都中央区日本橋茅場町一丁目13番14号)
J.P. MORGAN SECURITIES PLC FOR
AND ON BEHALF OF ITS CLIENTS
25 BANK STREET, CANARY WHARF LONDON
JPMSP RE CLIENT ASSETS-SEGR
E14 5JP UK 130,226 2.04
ACCT
(東京都新宿区新宿六丁目27番30号)
(常任代理人 シティバンク、エ
ヌ・エイ東京支店)
バークレイズ証券株式会社 東京都港区六本木六丁目10番1号 127,762 2.00
計 - 2,982,353 46.79
(注) 1 上記のほか、自己株式が701百株あります。なお、当該自己株式には、当社が設定する役員向け株式交付信
託及び執行役員等向け株式交付信託において、当該信託が保有する当社株式(3,986百株)は含まれておりま
せん。
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2 2022年1月20日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書に係る変更報告書において、三井住友信託銀
行株式会社及びその共同保有者である三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社及び日興アセット
マネジメント株式会社が2022年1月14日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社
として2022年3月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めて
おりません。
なお、変更報告書の内容は以下のとおりです。
発行済株式
所有株式数 総数に対する
氏名又は名称 住所
(百株) 所有株式数
の割合(%)
東京都千代田区丸の内一丁目4番
三井住友信託銀行株式会社 47,140 0.63
1号
三井住友トラスト・アセットマネ
東京都港区芝公園一丁目1番1号 203,340 2.73
ジメント株式会社
日興アセットマネジメント株式会
東京都港区赤坂九丁目7番1号 132,993 1.79
社
3 2021年7月9日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書に係る変更報告書において、株式会社三菱
UFJ銀行及びその共同保有者他3社が2021年3月22日現在で以下の株式を所有している旨が記載されている
ものの、当社として2022年3月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状
況には含めておりません。
なお、変更報告書の内容は以下のとおりです。
発行済株式
所有株式数 総数に対する
氏名又は名称 住所
(百株) 所有株式数
の割合(%)
東京都千代田区丸の内二丁目7番
株式会社三菱UFJ銀行 107,867 1.45
1号
東京都千代田区丸の内一丁目4番
三菱UFJ信託銀行株式会社 232,211 3.12
5号
東京都千代田区有楽町一丁目12番
三菱UFJ国際投信株式会社 56,330 0.76
1号
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 東京都千代田区大手町一丁目9番
23,214 0.31
株式会社 2号
4 2021年6月28日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書に係る変更報告書において、エフィッシモ
キャピタル マネージメント ピーティーイー エルティーディーが2021年6月25日現在で以下の株式を所
有している旨が記載されているものの、当社として2022年3月31日時点における実質所有株式数の確認がで
きませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、変更報告書の内容は以下のとおりです。
発行済株式
所有株式数 総数に対する
氏名又は名称 住所
(百株) 所有株式数
の割合(%)
エフィッシモ キャピタル
260 オーチャードロード #12-06
マネージメント ピーティーイー 1,119,892 15.03
ザヒーレン シンガポール 238855
エルティーディー
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5 2021年2月19日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書に係る変更報告書において、ブラックロッ
ク・ジャパン株式会社及びその共同保有者他10社が2021年2月15日現在で以下の株式を所有している旨が記
載されているものの、当社として2022年3月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上
記大株主の状況には含めておりません。
なお、変更報告書の内容は以下のとおりです。
発行済株式
所有株式数 総数に対する
氏名又は名称 住所
(百株) 所有株式数
の割合(%)
ブラックロック・ジャパン株式会 東京都千代田区丸の内一丁目8番
77,898 1.05
社 3号
米国 ニューヨーク州 ニューヨー
ブラックロック・フィナンシャ
13,827 0.19
ル・マネジメント・インク ク イースト52ストリート 55
米国 ニュージャージー州 プリン
ブラックロック・インベストメン
ストン ユニバーシティ スクウェ
8,970 0.12
ト・マネジメント・エルエルシー
ア ドライブ 1
オランダ王国 アムステルダム
ブラックロック(ネザーランド)BV 24,991 0.34
HA1096アムステルプレイン 1
英国 ロンドン市 スログモート
ブラックロック・ファンド・マネ
13,523 0.18
ジャーズ・リミテッド ン・アベニュー 12
英国 ロンドン市 スログモート
ブラックロック・ライフ・リミ
7,285 0.10
テッド ン・アベニュー 12
カナダ国 オンタリオ州 トロント
ブラックロック・アセット・マネ
11,355 0.15
ジメント・カナダ・リミテッド 市 ベイ・ストリート 161, 2500号
アイルランド共和国 ダブリン
ブラックロック・アセット・マネ
ボールスブリッジ ボールスブリッ
ジメント・アイルランド・リミ 37,238 0.50
テッド
ジパーク2 1階
米国 カリフォルニア州 サンフ
ブラックロック・ファンド・アド
ランシスコ市 ハワード・スト 109,324 1.47
バイザーズ
リート 400
ブラックロック・インスティ 米国 カリフォルニア州 サンフ
テューショナル・トラスト・カン ランシスコ市 ハワード・スト 150,504 2.02
パニー、エヌ.エイ. リート 400
ブラックロック・インベストメン
英国 ロンドン市 スログモート
ト・マネジメント(ユーケー)リ 18,988 0.25
ン・アベニュー 12
ミテッド
6 2020年4月22日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書に係る変更報告書において、株式会社みずほ
銀行及びその共同保有者他3社が2020年4月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているもの
の、当社として2022年3月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況に
は含めておりません。
なお、変更報告書の内容は以下のとおりです。
発行済株式
所有株式数 総数に対する
氏名又は名称 住所
(百株) 所有株式数
の割合(%)
東京都千代田区大手町一丁目5番
株式会社みずほ銀行 10,000 0.13
5号
東京都千代田区大手町一丁目5番
みずほ証券 株式会社
768 0.01
1号
東京都千代田区丸の内一丁目8番
アセットマネジメントOne株式会社 262,367 3.52
2号
Asset Management One Mizuho House,30 Old
10,081 0.14
International Ltd. Bailey,London,EC4M 7AU,UK
7 2019年5月8日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書に係る変更報告書において、イーストスプリ
ング・インベストメンツ(シンガポール)リミテッド及びその共同保有者であるM&Gインベストメント・
マネジメント・リミテッドが2019年4月30日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、
当社として2022年3月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含
めておりません。
なお、変更報告書の内容は以下のとおりです。
発行済株式
所有株式数 総数に対する
氏名又は名称 住所
(百株) 所有株式数
の割合(%)
シンガポール共和国マリーナ・ブ
イーストスプリング・インベスト
ルバード10、#32-10、マリーナ・
メンツ(シンガポール)リミテッ 321,461 4.32
ベイ・フィナンシャルセンター・
ド
タワー2
英国、ロンドン、フェンチャー
M&Gインベストメント・マネジ
17,451 0.23
チ・アベニュー10、EC3M 5AG
メント・リミテッド
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(7) 【議決権の状況】
① 【発行済株式】
2022年3月31日 現在
区分 株式数(株) 議決権の数(個) 内容
無議決権株式 - - -
議決権制限株式(自己株式等) - - -
議決権制限株式(その他) - - -
普通株式
完全議決権株式(自己株式等) - 単元株式数100株
70,100
普通株式
完全議決権株式(その他) 6,366,928 同上
636,692,800
普通株式
単元未満株式 - 一単元(100株)未満の株式
705,278
発行済株式総数 637,468,178 - -
総株主の議決権 - 6,366,928 -
(注) 1 「完全議決権株式(その他)」欄の普通株式には、当社が設定する役員向け株式交付信託及び執行役員等向け
株式交付信託において、該当信託が保有する当社株式が398,600株(議決権の数3,986個)含まれております。
2 「単元未満株式」には、当社所有の自己保有株式は含まれておりません。
② 【自己株式等】
2022年3月31日 現在
発行済株式
自己名義 他人名義 所有株式数
所有者の氏名 総数に対する
所有者の住所 所有株式数 所有株式数 の合計
又は名称 所有株式数
(株) (株) (株)
の割合(%)
東京都大田区中馬込
(自己保有株式)
70,100 - 70,100 0.01
株式会社リコー
一丁目3番6号
計 - 70,100 - 70,100 0.01
(注) 上記には、当社が設定する役員向け株式交付信託及び執行役員等向け株式交付信託において、当該信託が保有
する当社株式は含まれておりません。
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(8) 【役員・従業員株式所有制度の内容】
当社は、2019年6月21日開催の第119回定時株主総会において、当社取締役及び執行役員等(社外取締役及び非執行
取締役を除く。以下、「取締役等」という。)を対象とした株価条件付株式報酬制度(以下、本制度)の導入を決議
しております。なお、2022年3月2日開催の取締役会決議により、本制度の運用を延長しております。
本制度では役員向け株式交付信託及び執行役員等向け株式交付信託(以下、本信託)を用いております。
① 本信託の概要
(1)名称 役員向け株式交付信託 執行役員等向け株式交付信託
(2)委託者 当社
三井住友信託銀行株式会社
(3)受託者
(再信託受託者:株式会社日本カストディ銀行)
当社と雇用契約を締結している
当社取締役のうち受益者要件を
(4)受益者 執行役員等のうち受益者要件を
満たす者
満たす者
(5)信託管理人 株式会社赤坂国際会計
信託の期間を通じて、本信託内 本信託内の当社株式について
(6)議決権行使 の当社株式に係る議決権は行使 は、信託管理人が議決権行使の
いたしません 指図を行います
(7)信託の種類 金銭信託以外の金銭の信託(他益信託)
2019 年8月7日
(8)信託契約日
2019 年8月7日
(9)金銭を信託する日
2023 年8月末日(予定)
(10)信託終了日
② 本信託に取得させる予定の株式の総数
役員向け株式交付信託:1 事業年度当たり100,000株を上限とする
執行役員等向け株式交付信託: 334,400株
③ 本信託による受益権その他の権利を受けることができる者の範囲
役員向け株式交付信託: 当社取締役のうち受益者要件を満たす者
執行役員等向け株式交付信託: 当社と雇用契約を締結している執行役員等のうち受益者要件を満たす者
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2 【自己株式の取得等の状況】
【株式の種類等】 会社法第155条第3号に該当する普通株式の取得及び会社法第155条第7号に該当する普
通株式の取得
(1) 【株主総会決議による取得の状況】
該当事項はありません。
(2) 【取締役会決議による取得の状況】
区分 株式数(株) 価額の総額(円)
取締役会(2021年3月3日)での決議状況
145,000,000 100,000,000,000
(取得期間2021年3月4日~2022年3月3日)
当事業年度前における取得自己株式 6,213,000 7,290,939,800
当事業年度における取得自己株式 81,230,900 92,709,040,000
残存決議株式の総数及び価額の総額 - -
当事業年度の末日現在の未行使割合(%) - -
当期間における取得自己株式 - -
提出日現在の未行使割合(%) - -
(注) 2021年3月3日の取締役会決議に基づき2021年3月4日から2021年12月8日の期間に自己株式を取得しておりま
す。また、取得した自己株式は2022年2月4日の取締役会決議に基づき2022年2月28日に消却しております。
区分 株式数(株) 価額の総額(円)
取締役会(2022年5月10日)での決議状況
48,000,000 30,000,000,000
(取得期間2022年5月11日~2022年9月30日)
当事業年度前における取得自己株式 - -
当事業年度における取得自己株式 - -
残存決議株式の総数及び価額の総額 48,000,000 30,000,000,000
当事業年度の末日現在の未行使割合(%) 100.0 100.0
当期間における取得自己株式 10,565,400 11,378,518,300
提出日現在の未行使割合(%) 78.0 62.1
(注) 当期間における取得自己株式には、この有価証券報告書提出日の取得による株式数は含まれておりません。
(3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
区分 株式数(株) 価額の総額(円)
当事業年度における取得自己株式 6,913 7,936,479
当期間における取得自己株式 869 866,789
(注) 1 当期間における取得自己株式には、2022年6月1日からこの有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取
による株式数は含まれておりません。
2 上記には、当社が設定する役員向け株式交付信託及び執行役員等向け株式交付信託において、当該信託が保有
する当社株式は含まれておりません。
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(4) 【取得自己株式の処理状況及び保有状況】
当事業年度 当期間
区分
処分価額の総額 処分価額の総額
株式数(株) 株式数(株)
(円) (円)
引き受ける者の募集を行った
- - - -
取得自己株式
消却の処分を行った取得自己株式 107,443,900 137,103,251,325 - -
合併、株式交換、株式交付、会社分割に
- - - -
係る移転を行った取得自己株式
その他
145 203,020 - -
(単元未満株式の買増請求による売渡)
保有自己株式数 70,100 - 5,019,669 -
(注) 1 当期間における保有自己株式には、2022年6月1日からこの有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取
及び買増請求による株式数は含まれておりません。
2 上記には、当社が設定する役員向け株式交付信託及び執行役員等向け株式交付信託において、当該信託が保有
する当社株式は含まれておりません。
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3 【配当政策】
株主還元については、持続的成長による中長期的な株価上昇と安定的な配当による、株主の皆様への利益還元の拡
大が重要であると考えており、総還元性向50%を目安に段階的に引き上げます。配当については安定的かつ業績の改
善を反映させた増配の継続を目指すことに加え、資本収益性向上への取り組みの結果として発生した余剰資金を利用
して、経営を取り巻く諸環境等を踏まえ、機動的に自己株式の取得を行います。
当事業年度の配当につきましては、中間配当といたしまして1株当たり 13円、期末配当につきましては、1株当
たり 13円とし、年間 26円 を実施いたしました。
当社は、中間と期末の年2回の剰余金の配当を行うこととしており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配
当については株主総会、中間配当については取締役会です。
当社は、「毎年9月30日を基準日として、取締役会の決議によって、中間配当を行うことができる。」旨を定款に
定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりです。
配当金の総額 1株当たり配当額
決議年月日
(百万円) (円)
2021年11月4日
8,677 13.0
取締役会決議
2022年6月24日
8,286 13.0
定時株主総会決議
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4 【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1) 【コーポレート・ガバナンスの概要】
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社グループは、多様なステークホルダーの期待に応えられるように、経営者の活動を含む企業活動全体
が、企業倫理と遵法の精神に基づく経営の透明性を確保しつつ、競争力の強化を目指したコーポレート・ガ
バナンスの充実に取り組んでおります。これにより、持続的な成長と企業価値・株主価値の向上を図ってま
いります。
また、企業活動の基礎となる理念・価値観を「リコーウェイ」として定めております。「リコーウェイ」
は、「創業の精神」及び「私たちの使命・私たちの目指す姿・私たちの価値観」で構成されております。経
営の方針・戦略は「リコーウェイ」に基づき策定されるなど、「リコーウェイ」は自律的なコーポレート・
ガバナンスの根本的な考え方となっております。
② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
当社は監査役制度を採用しております。また、取締役会による経営監督の強化、及び執行役員制度による
経営執行の効率化を図っております。さらに、社外取締役を招聘し、当社から独立した客観的な立場での議
論を通じた意思決定及び経営監督により、コーポレート・ガバナンスのさらなる強化を図っております。
取締役及び執行役員の指名・報酬については、取締役会の諮問機関であり、委員の過半数を独立社外取締
役で構成する「指名委員会」、「報酬委員会」において審議を行い、取締役会へ答申しております。
・社内カンパニー制におけるガバナンスの仕組み
当社グループはデジタルサービスの会社への事業構造の転換と資本収益性の向上をさらに進めるため、2021年
4月1日より社内カンパニー制に移行しております。
各ビジネスユニットが自律的に事業運営を行い、本社部門は中長期戦略の立案や各ビジネスユニットへの資本
配分、及び成長性/資本収益性による厳格な事業管理に重点化し、グループ全体の企業価値の向上を実現してお
ります。
今回の組織体制の刷新を踏まえ、当社は監督、執行、監査の各視点から、以下のようなガバナンスに関する取
り組みを進めております。
①監督の視点
(ア) 取締役会並びに指名委員会において、従来より実施しているCEOを含めた取締役に対する評価に加え、ビ
ジネスユニットプレジデントをはじめとする経営執行幹部に対するパフォーマンス評価を2021年度より実
施しております。
(イ) 取締役会が四半期ごとに各ビジネスユニットのパフォーマンス状況について審議を行い、投下資本や資本
収益性などのモニタリングを実施しております。
(ウ) 各ビジネスユニットへの権限委譲、関連会社管理の見直しなど、社内カンパニー制へ移行後の体制・運用
に対して、内部統制やリスクマネジメントが適切に機能しているか、取締役会によるモニタリングを強化
しております。
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②執行の視点
(ア) 社内カンパニー制により各ビジネスユニットの責任範囲の透明性を高めた上で、各ビジネスユニットの目
標値(資本収益性など)を設定し、毎月各ビジネスユニットの運営会議の中で達成状況をモニタリングし、
課題・対策についてCEO・グループ本部責任者と討議しております。
(イ) 各ビジネスユニットにおいて獲得した収益はグループ全体で一度集約し、GMCの一部であるポートフォリ
オマネジメント会議にて資源の再配分の方針を決定しております。
(ウ) 各ビジネスユニットは、各自の事業運営に関して自律的な内部統制・リスクマネジメントを実施すること
に加え、グループ本部のリスクマネジメント部門と、各ビジネスユニット内での統制状況の共有やグルー
プ全体での重点リスクへの対応において連携体制を構築しております。
③監査の視点
(ア) 監査役会は、各ビジネスユニットにおける内部統制・子会社管理体制やグループ本部によるガバナンスの
実効性を2021年度における注視すべき監査上の課題と認識し、それぞれの部門・子会社のレビューに加
え、各ビジネスユニットプレジデント、グループ本部機能責任者との適宜の面談や各種会議への参加を通
して、上記、監督の視点・執行の視点の取り組み状況を含め監査を行っております。
(イ) 内部監査部門、会計監査人及び監査役は、社内カンパニー制移行後のガバナンスや内部統制上の課題・懸
念事項について緊密な意見交換・情報共有を行い、それぞれの監査ポイントに反映するなど三様監査の連
携、強化を図っております。
(Ⅰ) 取締役会
取締役会では経営監督及びグループ経営に関わる重要な意思決定を行っております。独立性の高い社外取
締役を招聘することにより、経営の透明性の確保と公正な意思決定の一層の向上を図っております。
独立社外取締役を含む非執行取締役、執行を担う取締役がそれぞれの専門性や経験などを活かし、重要案
件に対して深い議論を行うことで、成長につながる新たな挑戦を促すとともに、株主をはじめとする多様な
ステークホルダーの視点で経営の監督が行われる体制を構築しております。また、すべての取締役に対し、
取締役会への出席率が原則80%を下回らないことを求め、経営に対する実効的な監督機能を果たすよう要請
しております。2021年度は取締役10名のうち、半数の5名が独立社外取締役で構成されており、多様な意見
を取り入れるとともに、経営の恣意性を排除するよう努めてきました。
また、2022年度より、当社は取締役会に占める独立社外取締役の割合を3分の1以上から過半数とする方
針に変更しました。あわせて、取締役会における社外取締役の役割・機能をより発揮できるよう、新たに筆
頭社外取締役を選任しております。従前より取締役会議長は非執行取締役が担う定めとしておりますが、筆
頭社外取締役は、取締役会議長と協働してガバナンスの整備・高度化を担い、当社における独立社外取締役
の職務を主導する役割となります。
なお、筆頭社外取締役は、当社の経営状況、議長及び取締役の就任状況などに照らして、取締役会の判断
に基づき、必要に応じて選任を行います。議長と筆頭社外取締役による適切な協働・役割分担のもと、取締
役会の円滑な運営と機能発揮を確保しております。
取締役会議長 波多野 睦子
取締役 山下 良則
取締役 坂田 誠二
取締役 大山 晃
独立社外取締役(筆頭社外取締役)飯島 彰己
独立社外取締役 横尾 敬介
独立社外取締役 谷 定文
独立社外取締役 石村 和彦
なお、当社は飯島彰己氏、波多野睦子氏、横尾敬介氏、 谷定文氏及び石村和彦氏 と、会社法第427条第1項
の規定に基づき、会社法第423条第1項の賠償責任を限定する契約を締結しており、当該契約に基づく賠償責
任限度額は、1,000万円又は会社法第425条第1項に定める最低責任限度額とのいずれか高い額となります。
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(Ⅱ) 監査役会
監査役会では、監査の方針及び業務の分担などを協議決定し、取締役の職務の執行を監査するほか、当社
の会計監査人、及び内部監査部門との連携や、当社各部門・子会社監査を通じて、経営への監督機能を果た
しております。監査役は、取締役会にとどまらず、重要な会議に出席し、また、代表取締役と定期的な情報
交換を行っております。
当社の監査役は5名で、社内の事情に通じた常勤監査役2名と、当社の定める独立役員の要件を満たす社
外監査役3名としており、過半数が独立社外監査役となります。また、監査役会として必要な知識、経験、
専門能力をバランスよく確保して、監査役会を構成することとしており、各監査役の専門分野における豊富
な経験と幅広い見識、及び独立した客観的な視点で深い議論が行える体制を構築しております。
監査役 辻 和浩
監査役 佐藤 愼二
独立社外監査役 太田 洋
独立社外監査役 小林 省治
独立社外監査役 古川 康信
なお、当社は太田洋氏、小林省治氏及び古川康信氏と、会社法第427条第1項の規定に基づき、会社法第
423条第1項の賠償責任を限定する契約を締結しており、当該契約に基づく賠償責任限度額は、500万円又は
会社法第425条第1項に定める最低責任限度額とのいずれか高い額となります。
(Ⅲ) 指名委員会/報酬委員会
CEOをはじめとした経営幹部の指名、報酬などの決定については、取締役会の経営監督の最重要事項の1つ
として、独立社外取締役を委員長、委員の過半数を独立社外取締役とする「指名委員会」、並びに「報酬委
員会」を設置することで、取締役、執行役員などの選解任や報酬の透明性、客観性を確保しております。ま
た、指名委員会、報酬委員会の審議には、毎回社外監査役1名がオブザーバーとして出席しております。
指名委員会は独立社外取締役4名、社内執行取締役1名の体制、報酬委員会は独立社外取締役4名、社内
執行取締役1名の体制で構成されております。
指名委員会
委員長(筆頭社外取締役) 飯島 彰己
委員(社内執行取締役) 山下 良則
委員(独立社外取締役) 横尾 敬介
委員(独立社外取締役) 波多野 睦子
委員(独立社外取締役) 石村 和彦
報酬委員会
委員長(独立社外取締役) 横尾 敬介
委員(社内執行取締役) 山下 良則
委員(筆頭社外取締役) 飯島 彰己
委員(独立社外取締役) 波多野 睦子
委員(独立社外取締役) 谷 定文
(Ⅳ) ガバナンス検討会/取締役検討会/社外役員会議
ガバナンス検討会は、当社グループのガバナンスの方向性や課題について、取締役、監査役などが包括的
な議論を行う場として開催しております。実施した検討会の概要はガバナンス報告書などで開示しておりま
す。
取締役検討会は、取締役会における会社の重要なテーマ(中期経営計画など)の決議に向けて、取締役及び
監査役が事前に十分な議論を尽くすための機会・時間として開催しております。
社外役員会議は、取締役会における議論に積極的に貢献する観点から、社外役員間、又は社外役員と常勤
監査役などとの間で独立した客観的な立場に基づく情報交換・認識共有を図る場として開催しております。
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(Ⅴ) グループマネジメントコミッティ
当社グループ全体の経営について全体最適の観点での審議及び意思決定を迅速に行うために、 取締役会か
ら権限委譲された社長執行役員が主催する意思決定機関として、一定の資格要件を満たす執行役員及び経営
企画部門責任者で構成される「グループマネジメントコミッティ(以下、GMC)」を設置しております。取締役
会での決裁必要項目は取締役会規程にて定めており、その基準に満たない決裁案件や事業執行に関する重要
事項はGMCにて意思決定がなされております。また、GMCによる業務執行に関する以下の事項について、3か
月に1回以上取締役会に報告を行っております。
● 経営戦略上重要な経営指標及び重要施策の実施状況
● GMCにおける決議事項とその結果
GMCにおける審議対象事項は以下のとおりです。
1.経営戦略の立案
・中長期経営戦略
・短期(年度)経営方針の決裁及び事業計画
・連結資金計画及び借入枠
2.経営戦略の執行
・取締役会議案における審査と上程の決定
・社内規定に基づく金銭決裁
・当社グループ重点経営リスク項目の決定
・当社の人事政策上の重要事項
3.その他重要事項に係る意思決定・報告
また、GMCには執行業務の理解を深める目的で、社外取締役もオブザーブ参加しております。
(Ⅵ) 開示委員会
開示委員会は、投資家の投資判断に影響を与える情報の適切な開示に加え、投資家の投資判断に資する会
社情報の主体的な開示を実施することで、株主及び資本市場との対話を促進し、それを通じて株主及び資本
市場との信頼関係を構築し、当社に対する適正な評価の獲得を実現することを目的としております。
当委員会は、開示統括部門/経理部門/法務部門/経営企画部門/取締役会運営部門/広報部門/情報発生・情
報認知部署/関連会社の主管管理部門/内部統制部門の各機能の代表と開示責任者であるCFOで構成されており
ます。
2021年度は新たに適正な情報開示を実施するための社内プロセスの見直しに取り組んでおります。
年次報告書類や適時開示書類の適切性・正確性の判断、開示手続きにおける情報開示の要否判断に加え
て、投資家の投資判断に資する会社情報の積極的な開示に関する審議や開示手続きのモニタリングを実施し
ております。また、開示情報の適時性、開示書面内容の正確性・妥当性、開示判断の合理性などに関して、
内部統制部門が定期的に評価を行い、内部統制委員会、取締役会へ報告を行っております。
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(Ⅶ) 内部統制委員会
内部統制委員会は、当社グループ全体の内部統制に関する審議及び意思決定を行うために当社の社長執行
役員の下に設置される機関となります。
当委員会は、一定の資格要件を満たす執行役員で構成されており、四半期ごとの開催を原則としておりま
すが、状況に応じて臨時あるいは緊急で開催しております。
当委員会における審議内容は以下のとおりとなります。
1.内部統制の整備・運用評価及び是正
・内部統制全般の整備・運用評価
・財務報告に係る内部統制有効性の評価
・情報開示に係る内部統制有効性の評価
・内部統制の是正
2.内部統制に関する活動方針の決定
・財務報告に係る内部統制の基本方針の決定
・年度内部監査計画の決定
3.内部統制の不備への対応
・重大なインシデントが発生した場合の対応の決定
4.内部統制原則の改定の取締役会への提案
・環境変化を考慮の上、内部統制原則の改定の取締役会への提案
特に当社グループ全体への影響が懸念される重大なインシデントについては、発生の背景・要因、再発防
止策などの詳細を確認し、その再発防止策の有効性や当社グループ内での同インシデントの再発に対する懸
念が残る場合は、必要な対策を速やかに決定し、トップダウンで確実な実行につなげております。
また、内部監査で報告された内部統制の課題やリスクマネジメント及びコンプライアンス活動などを勘案
し、インシデントの未然防止につなげるための議論と対応策の決定をしております。
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(Ⅷ) リスクマネジメントシステムとリスクマネジメント委員会
当社グループのリスクマネジメントシステムには、図1に示すように大きく2つの層があります。
1. GMCが当社グループの経営において、重要度が高いと考える管理項目を主体的に選択し、管理する重
点経営リスク
2. 各事業執行組織が責任を持って、自組織のリスク管理を行う部門・各ビジネスユニットリスク
この2つの層は、リスクのレベルごとに機動的な意思決定・迅速な活動を可能とするべく管理主体を明確
にするために存在しており、全体で1つのリスクマネジメントシステムを構成しております。また、環境変
化に応じた影響度の変化によって、各層で扱うリスクの入れ替えなどが行われております。
図1の右側に各活動主体の役割を記載しております。
リスクマネジメント委員会は、当社グループ全体のリスクマネジメントプロセス強化のために、GMCの諮問
機関として設立されております。
当委員会は、リスクマネジメント担当役員を委員長とし、各組織の有識者を委員とすることで、リスクの
網羅性確保と議論の充実を図り、当社グループの経営において対応・重点化すべきリスクをGMCに提案してお
ります。また、当社グループのリスクマネジメント実効性強化のため、必要に応じて図1中の1及び2に示
すリスクマネジメントシステムの見直し・再構築を行っております。
また、経営と各事業執行組織の連携を取り、より実効性の高い一気通貫のリスクマネジメントシステムと
するために、各組織からリスクマネジメント責任者・推進者を選定し、各組織における自律的なリスク管理
体制を整備しております。
さらに、リスクマネジメント推進者を対象とした“リスクマネジメント連携強化会議”において、リスク
管理に関連する勉強会や情報共有を行い、リスクに強い組織になるため継続的な取り組みを進めておりま
す。
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(Ⅸ) 投資委員会
投資委員会は、GMCの諮問委員会と位置づけ、投資について、資本コストも踏まえた財務的視点での妥当
性、事業戦略視点での収益性や成長性リスクなどの観点で投資計画の検証を行っております。多様化する外
部への投融資案件について、専門的なメンバーが事前に確認/協議することにより、経営戦略との整合性や投
資効果を高め、投資判断のスピードと的確性を向上させることを狙いとしております。
当委員会は、戦略、財務、リスクを主な審議の視点としており、そのメンバーは、CEOの指名する委員長
と、各視点の専門家として経営企画/経理/法務/内部統制の各機能の代表と案件に応じた有識者から構成され
ております。立案部門との関係では、事前協議先として対象案件の投資価値を総合的に審議の上、評価、ア
ドバイスすることを役割としているため、投融資案件についての決定権及び拒否権は有しませんが、各案件
に対し、当委員会としての審議結果を明確に示すことにより、各案件決裁者の客観的判断をサポートしてお
ります。
GMCの諮問機関として当社全体の外部投融資判断の的確性を向上させるために、GMC決裁基準金額以下の案
件も審議の対象とし、立案部門の投資判断力強化を行うとともに、必要に応じて決裁基準金額の変更など、
GMCに対して提言を行っております。
<投融資のモニタリング>
投融資実行後は、投資委員会の審議プロセスを経てGMCなどの決裁会議で承認を得た事業計画・定量指標
(KPI)の内容・時期に沿って、半期に一度を目途として定期的に進捗状況を取りまとめ、GMCに対してモニタ
リング報告を行っております。
<M&A人材育成の取り組み>
2019年度よりM&AやPMI*を成功に導くことのできる人材を体系的に育成しております。立案部門のレベル
アップにより、投資案件の質を向上させ、投資委員会での議論・審議の充実化を図っております。育成プロ
グラムは、当社の過去事例などを踏まえ、当社独自のプログラム(20講座/6か月間コース)を用意し、これま
でに118名が修了認定を取得しております。2022年度はさらに受講者を増やし実施する予定となります。
また、本育成プログラムの修了認定後も、企業価値評価や財務分析の講座、人事、環境、ITなど機能別の
専門講座を開設し、受講者への継続的な支援を行いさらなる能力向上を図っております。
これらの取り組みにより、立案部門の投資検討のスピードと的確性が向上しております。
* PMI(Post Merger Integration ポスト・マージャー・インテグレーション)
当初計画したM&A後の統合効果を最大化するための統合プロセスを指しております。統合の対象範囲は、
経営、業務、意識など統合に関わるすべてのプロセスとなります。
(Ⅹ) ESG委員会
ESG委員会は、環境・社会・ガバナンス分野における当社グループの課題を経営レベルで継続的に議論し、
グループ全体の経営品質の向上につなげていくことで、ステークホルダーからの期待・要請に迅速かつ適切
に応えていくことを目的としております。
当委員会は、具体的に以下の役割を担っております。
1.SDGsへの取り組みなど、ビジネスを通じた社会課題解決を経営の根幹に据えるための当社グループサ
ステナビリティ戦略の策定
2.グループ全体の中長期的なサステナビリティリスク・機会及び重要課題の特定(TCFD*で求められる気
候変動リスク・機会に関する投資判断など)
3.グループ全体のサステナビリティ戦略/重要課題/各事業部門のKPIの進捗状況の監督及び助言
4.取締役会で審議すべきサステナビリティ課題の特定と取締役会への上申
当委員会はCEOを委員長とし、GMCメンバーと監査役及びESG担当役員から構成されております。四半期に一
度開催される委員会では、議論するテーマに応じて事業部門の責任者を招集し、サステナビリティ課題を横
断的に検討・議論していく体制を整えております。
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2021年度はESG委員会を4回開催し、以下について議論を行っております。
*TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース。金融安定理事会(FSB)によって設立され、企業に対する気
候関連リスク・機会の情報開示の促進と、低炭素社会へのスムーズな移行による金融市場の安定化を
目的としている。
③ 企業統治に関するその他の事項
(Ⅰ) 株主との建設的な対話に関する方針
●当社は、株主と積極的かつ建設的な対話を行い、その対話を通して得られた意見を企業活動に反映させる
サイクルを通じ、相互理解による信頼関係の醸成を行います。また、そのサイクルに基づく企業活動を通
じて、世の中の役に立つ新しい価値を生み出し、提供し続けることで、人々の生活の質の向上と持続可能
な社会づくりに積極的に貢献し、中長期的な企業価値の向上に努めます。
●株主との対話の責任者は社長執行役員とし、必要に応じて担当役員を置きます。
●株主との対話を促進するためIR専任部署を設け、関連部署との連携はIR専任部署が行います。
●株主との対話は原則としてIR専任部署が行います。必要に応じて社長執行役員、担当役員、社外も含めた
取締役又は監査役が行います。
●株主との面談以外に、中期経営計画説明会、決算説明会、IR Day、事業説明会などを実施する他、スモー
ルミーティングの開催、外部主催のIRイベント・カンファレンスへの参加なども適宜検討の上、実施しま
す。
●株主との対話を通して得られた意見などは四半期ごとに経営層に対しフィードバックを行います。
●インサイダー情報取扱に関する内規を遵守し、個別株主との対話ではインサイダー情報の開示は行いませ
ん。なお、インサイダー情報漏洩を防止し情報開示の公平性を保つため決算期末日の翌日から決算発表日
までを沈黙期間とします。
(Ⅱ) 取締役選任の考え方
当社の取締役選任の考え方は下記のとおりとなります。
取締役の選任基準
[経営能力]
(経営機能の適切な遂行にあたっての高い洞察力及び判断力)
1.事業・機能の広い領域に識見をもち、全社的・長期的視点に立って適切に思考し、判断する能力を有
すること
2.本質を見極め、課題を明らかにする洞察力を有すること
3.グローバルに発想し、グローバルに最適な判断を行うことができること
4. 判断力・洞察力の基点として幅広い経験を有し、企業価値及び競争力の飛躍的向上に繋がる高い実績
をあげていること
5.コーポレート・ガバナンスのあり方をしっかり認識した上で、株主及び顧客をはじめとする多様なス
テークホルダーの視点に立って、適切に思考し判断を行うことができること
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[人格・人間性]
(監督機能の円滑な遂行にあたっての取締役相互及び経営執行との良好な信頼関係)
1.高潔(誠実かつ高い道徳観・倫理観を有する)であり、法令及び社内ルールの厳格な遵守はもとより、
高い道徳観、倫理観に基づくフェアで誠実な判断・行動を率先していること
2.人間尊重の精神に立って、他者に対し敬意と信頼を持って接するとともに、多様な価値観や考え方を
深く理解・受容し、個々の人格と個性を尊重した判断・言動・行動を率先していること
社外取締役の選任基準
社外取締役の選任基準は、社内取締役と同じ上記の基準に加え、異分野に関する専門性、問題の発見及
び解決能力、洞察力、戦略的思考能力、リスク管理能力、指導力などに優れていること、さらに、当社所
定の「社外役員の独立性基準」に照らしあわせ、独立性に問題がないことを付加的な基準としておりま
す。
なお、当社が定める独立性基準は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (2)
役員の状況 ② 社外役員の状況」をご参照ください。
ダイバーシティについて
取締役の選任にあたっては経営能力や人格・人間性などの他に、多様な視点や経験、さらに多様かつ高
度なスキルを持った取締役で構成されることが必要であると考えております。
加えて、人種、民族、性別、国籍などの区別なく、それぞれの人格及び識見に基づいて候補者を選定
し、これらの属性に関する多様性を確保することを方針としております。
(Ⅲ) 取締役の選任プロセス・評価プロセス
当社は、持続的な成長と企業価値・株主価値の向上のためコーポレート・ガバナンスの強化・充実に継続
して取り組んでおります。
当社の取締役の選任プロセス・評価プロセスは下記のとおりです。
[指名委員会]
取締役会は、取締役、CEO、及び経営幹部などの選解任・評価における手続の客観性・透明性・適時性を確
保するため、取締役会の諮問機関である指名委員会を設置しております。
指名委員会は、客観性・独立性を高めるために、独立社外取締役を委員長、過半数を独立社外取締役で構
成しております。また、委員会には社外監査役1名が同席し、審議の透明性の確保に努めております。
(有価証券報告書提出日現在、独立社外取締役4名、社内執行取締役1名で構成されており、独立社外取締役
が過半数、かつ指名委員長も独立社外取締役となっております。)
指名委員会は、以下について審議を行い、取締役会へ審議内容及び結果を報告・答申しております。
(取締役会からの諮問事項)
①CEO及び取締役候補者の指名
②CEO及び取締役の交代の可否
③CEO及び執行兼務取締役の実績評価
④CEO後継計画及び将来のCEO候補者の育成状況の確認
⑤執行役員、顧問及びフェロー*の選解任案及び選解任理由の確認
⑥取締役、執行役員の選解任制度制定・改廃の可否
⑦その他個別に取締役会から諮問のあった事項
* 当社では、世間的に認められた卓越した技術力もしくは知見を有し、その専門性のさらなる探求や、専門
性の活用・発展のための研究活動をリードすることができる人材をフェローと定義しております。フェロー
は、取締役会の決議により選任されております。
(その他の審議事項)
①監査役会からの依頼に基づく監査役候補者の選出理由の確認
②執行役員のパフォーマンス評価の確認
③その他CEOからの相談事項など
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[選任プロセス]
取締役候補者の指名に先立って、取締役会実効性評価会で認識された課題などを踏まえ、指名委員会は、
取締役会が経営判断及び執行監督を適切かつ有効に行うことができる体制を維持するために、取締役会の構
成や取締役に求められる専門性・経歴(スキルマトリックス)などについて継続的な審議を行っております。
取締役候補者の指名に関しては、指名委員会における数回の審議を経て、厳選な審査を行っております。
取締役の役割・責務を果たすために必要不可欠となる経営能力や人格・人間性を基本要件とし、当社におけ
る経営環境・目指す方向性・課題などに応じた当社の取締役として求められる資質・経験・スキル・多様性
などについて多面的に審査するとともに、指名の根拠を明確にした上で取締役会へ答申しております。取締
役会は、指名委員会からの答申を踏まえ株主視点で審議を行い、株主総会へ付議する取締役候補者を決定し
ております。
なお、執行体制においても、GMCが的確かつ迅速な意思決定を行える体制を構築するとともに、サクセッ
ションプランにおける適切な経営人材の登用・育成を図ることを目的に、人材と役割・スキル・キャリアな
どを俯瞰したスキル・キャリアマトリックスを活用し、CEOが経営人材候補者の選抜や育成方針について指名
委員会へ報告しております。
[評価プロセス]
取締役の評価は、取締役会から諮問を受けた指名委員会が毎年実施しており、二段階による評価を行って
おります。一次評価は、取締役の職務継続の妥当性について慎重かつ適正に審議することで、選解任の適時
性を確保しております。また、二次評価においては、実績を多面的に評価し、課題などを明確にして、本人
へ評価結果のフィードバックを行うことにより、経営の質的向上を図っております。なお、指名委員会での
取締役の評価に関する審議の内容及び結果は、取締役会に答申され、取締役会で取締役の職務継続の妥当性
について監督を徹底しております。
なお、評価にあたっては、「取締役としての経営監督の遂行状況」、「業績・資本収益性・その他の主要
経営指標など財務の視点」、並びに「株主への貢献度や資本市場の評価の視点」などを基準としておりま
す。
<取締役評価の主な項目>※非執行、社外を除く
評価の視点 カテゴリ 評価項目(代表的なもの) 項目詳細・補足
企業価値、株主価値の最大化に向け
経営監督の た行動、執行監督と取締役間での相
資質・能力
遂行 互牽制の姿勢、リスクマネジメン
ト、会社経営に必要な見識
売上高、営業利益、当期利益、ROE、
連結業績推移
ROIC、FCF
ビジネスユニット別、地域別、主要
財務指標 業績
2021年度事業計画の状況
施策
第20次中期経営計画に対する実績 財務、主要施策
株価指標推移 株価、時価総額、PBR
資本市場
資本市場・
格付
株主指標
株主 TSR・株主還元
なお、取締役の評価にあたっては、「株主への貢献度や資本市場の評価の視点」の基準の1つとしてTSRを
採用しておりますが、突発的な株価変動の影響を避けるため年度平均株価により算出したTSR(下表参照)を
使用しております。
保有期間 1年 2年 3年 4年 5年 6年
リコー(配当込み) 145.3% 112.2% 109.5% 118.5% 132.1% 106.0%
TOPIX(配当込み) 119.2% 128.3% 125.0% 127.3% 156.4% 146.6%
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(Ⅳ) CEO評価とサクセッションプラン
当社グループが中長期にわたり、継続的に株主価値・企業価値を高め、社会の構成員としてその社会的責
任を果たし永続していくための重要な取り組みとして、CEOサクセッションプランを位置付けております。
コーポレート・ガバナンスの強化の観点から、客観性、適時性、透明性の高い手続によるCEOサクセッショ
ンプランの構築を目指しております。
①CEO評価
CEOの評価は取締役会から諮問を受けた指名委員会が毎年実施しており、二段階による評価を実施しており
ます。
一次評価は、職務継続の妥当性について慎重かつ適正に審議することで、選解任の適時性を確保しており
ます。また、二次評価においては、実績を多面的に評価し、課題などを明確にして、本人へ評価結果の
フィードバックを行うことにより、経営の質的向上を図っております。なお、指名委員会での評価に関する
審議の結果は、取締役会へ報告され、CEOに対する実効性の高い監督を行うこととしております。
なお、CEOの評価にあたっては、執行兼務取締役と同様、「取締役としての経営監督の遂行状況」、「業
績・資本収益性・その他の主要経営指標など財務の視点」、並びに「株主への貢献度や資本市場の評価の視
点」(注)に基づく評価に加え、「将来財務の視点」に基づく評価を組み合わせることで、CEOとしての総合的
な経営監督並びに業務執行能力の評価を行っております。
(注) (Ⅲ) 取締役の選任プロセス・評価プロセス [評価プロセス] <取締役評価の主な項目>参照
<CEO評価の主な項目>
評価の視点 カテゴリ 評価項目(代表的なもの) 項目の詳細・補足
経営監督の遂行 取締役評価と同一カテゴリ・評価項目
財務指標 同上
資本市場・株主指標 同上
環境 環境経営の取り組み
ESG 社会 SDGsの取り組み
ガバナンス 制度・開示・IR・コンプライアンス
人材の育成・活用 人事制度・職場環境
将来財務指標
社員 社員エンゲージメント 外部調査
安全・健康 職場の安全管理・健康管理
重大事故 製品・情報セキュリティ
顧客
顧客満足 外部調査
②CEO候補者の選定・育成・評価
年に1回(9月頃)、CEOは将来のCEO候補者案を作成するとともに、それらのCEO候補者に対する育成計画を
策定し、11月初めの指名委員会でCEO候補者案及び育成計画について説明を行っております。指名委員会は、
CEO候補者案並びに育成計画の妥当性を審議するとともに、CEOに対して育成に関する助言を行い、その結果
を取締役会へ報告しております。取締役会は、指名委員会からの報告を受けて候補者選定及び育成計画の妥
当性を確認するなど、CEO候補者の選定・育成に主体的に関与しております。
<候補者の選定>
CEO候補者の選定にあたっては、交代時期を想定し以下のタームごとの候補者を選定しております。なお、
下表の事故あるときの交代候補者1名は、CEOの選定と同時に取締役会の決議により決定しております。
ターム 選定人数
事故あるときの交代候補者 1名
次期交代候補者 数名程度
次々期交代候補者 数名程度
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<候補者の育成>
CEOは、将来のCEO候補者の育成計画についての指名委員会での審議・助言を踏まえて、次年度、CEO候補者
それぞれの課題に応じた当人の成長に必要なチャレンジの場を付与し、実績を積ませるとともに、CEO候補者
のアセスメントを踏まえ当人の成長に必要な助言などを実施しております。
<候補者の評価>
CEO候補者の評価は毎年実施し、CEOはCEO候補者の育成期間(4月から翌年3月)における実績及び育成状況
(評価期間は4月から指名委員会開催前月である10月まで)について11月初めの指名委員会へ報告を行ってお
ります。指名委員会は、CEO候補者の継続・交代などについて審議を行うとともに、必要に応じて、外部専門
家の助言なども活用しながら、CEO候補者の評価を実施し、その結果を取締役会へ報告しております。取締役
会は、指名委員会からの報告を受けてCEO候補者の評価及び継続・交代における審議の妥当性を確認するな
ど、CEO候補者の評価プロセスに主体的に関与しております。
(Ⅴ) 2021年度 取締役会の実効性評価結果の概要の開示
当社は2021年度(2021年4月から2022年3月まで)に開催された取締役会の実効性評価会を2022年5月10日
に実施しました。結果の概要は以下のとおりとなります。
Ⅰ.2021年度 取締役会の実効性評価にあたって
評価にあたっては、引き続き、取締役会の実効性に留まらず、任意の指名・報酬委員会及び取締役会にお
ける執行の対応も対象とした評価を行いました。あわせて、評価の客観性を確保するため、第三者による評
価を実施しました。
[評価プロセスについて]
取締役・監査役による記述評価、及び匿名性を確保した第三者によるアンケートの分析結果を共有した上
で、すべての取締役と監査役が参加した討議により評価を行いました。討議では、前回の実効性評価で当社
取締役会が設定した以下の取締役会運営の基本方針及び3つの対応項目について、2021年度の取締役会を振
り返って評価を実施しました。
<2021年度の基本方針>
1)第20次中期経営計画(以下、20次中計)の着実な実行と2021年度事業計画の達成にむけたモニタリング
と支援を行う
2)有事(コロナ禍)後の持続的成長を加速するための経営基盤や戦略に関する議論を充実する
<2021年度の対応項目>
① 2021年度事業計画達成の確度を上げるため、業績(非財務目標含む)と施策展開の進捗をモニタリン
グ し、適切な対応を促す
② 中長期目標である事業構造の転換と資本収益性向上を実現するための監督と審議を充実させ、資源配
分・体制・事業運営等の最適化を図る
③ 新たな事業環境(新型コロナウイルス感染症拡大収束後)をみすえて、人的資本、技術資本、知的資
本、成長/DX戦略などの経営基盤に関する議論を深化させる
Ⅱ.2021年度「取締役会実効性評価」の結果概要
Ⅱ-1.取締役会の運営実績
2021年度は新たに導入した社内カンパニー制のもと、各ビジネスユニットの業績や施策のモニタリング・
支援を行うとともに、持続的な成長の加速に向けた人的資本やデジタル戦略など、経営基盤に関する議論を
適切に行うための取締役会の運営に努めました。具体的には、取締役会主導で重点的に審議すべき事項を決
定し、年間スケジュールに基づいて報告と審議を行いました。あわせて、社外役員会議の設置や社外取締役
の経営会議オブザーブ参加に加え、M&Aなどの重要テーマにおける事前説明の強化を通じて、取締役・監査役
への情報共有の充実化を図りました。
当社取締役会における審議状況の透明性の確保を目的として、2021年度取締役会の議案に関する時間の配
分について、以下のとおり開示します。
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*1 決議議案:取締役会での決議議案に加え、決議にむけた審議を行う取締役検討会及びガバナンス検討会を含む。
*2 その他:会社法上の規定等に則った決議、人事案件、その他個別案件など。
Ⅱ-2.総括
取締役・監査役による記述評価並びに第三者による評価を取締役会のメンバーで討議した結果につき、以
下のとおり総括します。
●当社取締役会は、全会一致の評価として、取締役の構成は適切であり、経営環境への対応や経営体制・経
営基盤の強化等をはじめとする経営課題に対して、監督や意思決定を通じた取締役会の機能が発揮されてお
り、取締役会の実効性は確保されている、との結論に至りました。
●また、長引くコロナ禍に加えて半導体不足や物流費の高騰などの外部要因に対し、執行側から事業状況が
適時適切に報告され、経営環境を的確に把握した上で審議・支援を行うなど、取締役会としての監督機能が
継続的に向上している、と評価されました。
●指名委員会/報酬委員会では、社外取締役が委員長かつ過半数を占める構成において、客観性を確保した
CEOサクセッションプランの実施、報酬等におけるより株主目線でのインセンティブ設計など、委員会主導に
よる主要テーマでの審議の充実化が図られ、取締役会の諮問機関として有効に機能している、と評価されま
した。
●一方で、取締役会の実効性のさらなる向上にむけて、「専門性を含む多様性の観点からの取締役会最適構
成の継続検討」、「事業ポートフォリオの議論に基づく、非連続性を含めた成長戦略の具体化」、「経営基
盤を構成する諸資本などの継続検討」、また社外役員の知見を十分に活かし、これらの議論を深化させるた
めの自由討議の充実が重要であるとの指摘がありました。
●加えて、監督の視点から「社内カンパニー制における経営管理・リスクマネジメントの高度化に向けたモ
ニタリング」、「経営にインパクトのあるリスクの定点評価」などの取り組みが必要であるとの指摘があり
ました。
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<2021年度の対応項目①②>について
●社内カンパニー制における、各ビジネスユニットの自律的な事業運営のもと、それぞれのビジネスユニッ
ト長による定期的な事業状況の報告が行われ、継続的なモニタリングを通じて、外部要因への迅速な対応を
促しました。
●また、事業ポートフォリオなどの議論を通じて、事業成長と資本収益性向上のための施策や体質強化の取
り組みを監督・支援したほか、ESGへの取り組み、並びに人事制度改革など、将来財務や経営基盤に関する審
議が充実した点が評価されました。
●一方で、事業計画の進捗管理と的確な対応のための継続的改善の必要性に加えて、事業構造の転換加速に
むけた各ビジネスユニットのデジタルサービスの一層の具体化、さらに事業ポートフォリオマネジメント・
ROIC経営の定着にむけた継続的な審議の必要性について指摘がありました。
<2021年度の対応項目③>について
●20次中計で示した経営諸資本(人財・技術・知財・流動性資産等)及び成長/DX戦略などの経営基盤に対する
方針・施策に関して取締役会で審議を行い、適時適切な指摘や支援を行ったほか、社内外のステークホル
ダーに対し、経営基盤強化の進捗や人的投資の考え方を示した点が評価されました。
●また、新たな人事制度の導入に向け、人材活用やデジタル人材の育成などの議論を取締役会で重ねた結
果、多面的な視点による検証が行われ、新制度への円滑な移行につながりました。
●一方で、中長期に求める人材像の明確化と人的資本の強化、経営環境の変化に備えた総合的なリスクマネ
ジメントの高度化、また社内カンパニー制のもとでのガバナンス体制・制度の点検と継続的改善の重要性に
ついて指摘がありました。
Ⅲ.2022年度 取締役会実効性向上にむけた取り組み
上記の評価に加え、2022年度は次期中計策定年度であることを勘案し、当社取締役会は、以下の<基本方
針>にもとづいて運営し、3つの具体的な<対応項目>を軸として取締役会の実効性向上に取り組んでまい
ります。
<2022年度の基本方針>
1)20次中計の最終年度として、目標達成に向けた重要施策のモニタリングと支援を行う
2)第21次中期経営計画(以下、21次中計)の策定にあたり、デジタルサービスの会社としての企業価値の
最大化に向けた議論と支援を行う
<2022年度の対応項目>
①不確実性の高い経営環境において、2022年度の事業計画を達成するため、重要な経営指標や施策の進捗
をモニタリングし、必要に応じて執行への働きかけを行う
②デジタルサービスの会社として企業価値の最大化を図るため、事業構造の転換と資本収益性の向上、そ
れを支える人的資本をはじめとした経営基盤に関する議論をさらに充実させ21次中計に反映する
③コーポレート・ガバナンスの継続的改善とともに、社内カンパニー制、リスク管理体制、新人事制度、
ESG(将来財務)などの点検と監督を行い、持続的な成長に向けた環境整備を図る
なお、今回の実効性評価においては、当社が企業価値向上を目指すにあたって、当社取締役会の基軸とす
べき考え方や姿勢、礎となるカルチャーなどについてもあわせて審議を行いました。今後、議論がまとま
りましたら、開示を検討していきます。
(Ⅵ) 業務の適正を確保するための体制
業務の適正を確保するための体制については、経営環境の変化などに対応して、定期的かつ継続的に見直しを
実施し、取締役会で決議しております。
内部統制システム基本方針
当社は、当社グループの事業活動の基礎となる理念・価値観を「リコーウェイ」として定めております。
「リコーウェイ」は、当社の創業者による「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」という「創業の精神(三愛精
神)」と、「私たちの使命・私たちの目指す姿・私たちの価値観」によって構成され、当社グループにおける
事業活動の根本的な考え方として、経営の方針と戦略及び内部統制システムの基礎となっております。当社
は「リコーウェイ」に込められた価値観に立脚して、企業倫理と遵法の精神に基づき、経営の透明性を確保
しつつ、競争力の強化を目指した内部統制システムを整備・運用し、その継続的な改善に努めております。
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(1)取締役及び従業員の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
当社は、企業風土が企業活動の規律を形成する重要な要素であるという自律的なコーポレート・ガバナン
スの考え方に基づき、多様なステークホルダーの期待に応えるという使命感と、社会的良識に適う高い倫理
観をともに備えた企業風土の維持・強化に努める。
1) 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
1.社外取締役の招聘により、経営の透明性と公正な意思決定をより強化する。また、取締役会の過半数
を社外取締役とし、多様な視点での監督機能を強化する。
2.取締役会を経営の最高意思決定機関として位置づけ、その取締役会議長を非執行取締役とし、中立的
な立場で取締役会をリードすることで、重要案件に対する深い議論を促し、果断な意思決定につなげ
る。
3.取締役会の経営監督機能強化の一環として、社外取締役を委員長とする「指名委員会」及び「報酬委
員会」を設置し、各委員会の過半数を社外取締役とすることで、取締役、執行役員などの候補者選定及
び報酬の透明性、客観性を確保する。
4.会社情報開示の正確性、適時性及び網羅性を確保するために開示に関する方針を定めており、開示情
報の重要性、開示の要否及び開示内容の妥当性の判定・判断を行うために、情報開示責任者であるCFOを
委員長とする「開示委員会」を設置している。
2) 従業員の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
1.コンプライアンスを含めたCSR(Corporate Social Responsibility)について、当社グループ、それら
の役員及び従業員の基本的な行動の規範を定めた「リコーグループ企業行動規範」を徹底するために、
専門委員会の設置、通報・相談窓口の設置及び各種教育を通じて国内外のコンプライアンスの充実を図
る。また、当該窓口に報告を行った事を理由として不利な取り扱いを行うことを禁止する。
2.金融商品取引法及びその他の法令に適合することを含め、「法律、規範、社内ルールの遵守」、「業
務の有効性と効率性の向上」、「財務報告の高い信頼性の維持」、「資産の保全」を狙いとして、当社
グループ全体で対応する、標準化された内部統制の仕組みを構築し、ビジネスプロセスの改善に努め
る。
3.上記機能を統合的に強化推進する専門部門(リスクマネジメント・リーガルセンター)を設置する。
4.内部監査については内部監査部門を設け、経営諸活動の遂行状況を、法令などの遵守と合理性の観点
から検討・評価し、改善を行うために監査を実施する。
5.当社グループの内部統制システムの構築・改善を実現するため、内部統制の整備・運用状況を評価
し、審議、決定する定期開催の「内部統制委員会」を設置する。
(2)取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
取締役の業務執行に係る決定に関する記録・稟議書については、法令及び社内規則に基づき作成・保存・
管理する。保存されている書類は、取締役及び監査役の要求に応じて出庫、閲覧可能な状態にする。
(3)損失の危険の管理に関する規程その他の体制
1.リスクマネジメントに関する規定に基づき損失の危険の発生を未然に防止する。
2.万一損失の危険が発生した場合においても、初期対応に関する標準に基づき、被害(損失)の極小化を
図る。
3.当社グループ内外の多様化する不確実性に対応するため、「リスクマネジメント委員会」にて重大な
リスクの把握とその対応状況を評価し、リスクマネジメントに係る施策を立案する。また、リスクマネ
ジメント推進部門を設置し、諸活動をグローバルに展開する。
(4)取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
1.執行役員制度を導入しており、職務分掌を明確にし、また事業執行については各ビジネスユニットへ
権限委譲を促進することにより意思決定の迅速化を図る。
2.取締役会から権限委譲された社長執行役員が主催する意思決定機関として、一定の資格要件を満たす
執行役員などで構成されるGMCを設置し、委譲された範囲内でビジネスユニットの監督や当社グループ全
体に最適な戦略立案など、当社グループ全体の経営に対し全体最適の観点で審議・意思決定を迅速に行
う体制をとる。
3.取締役会室を設置し、取締役会をサポートすることで果断な意思決定や透明性の高い経営監督を実現
する。
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(5)当該株式会社並びにその子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
当社グループは、相互の独立性を尊重しつつ、当社グループの業績向上と繁栄を図るため、以下のとおり
適正な業務を行う体制をとる。
1.当社の取締役会及びGMCは、当社グループ全体の経営監督と意思決定を行う。
2.当社は当社グループ各社に関する管理規定を定め、当社グループ各社の取締役の職務の執行に係る事
項を当社に報告する体制、及び前述の職務の執行が効率的に行われるための職務権限を規定する。
3.当社グループ各社は自社に関係する損失の危険の管理を行う。万一、インシデントが発生した場合に
は、被害の極小化と速やかな回復を図り、当社へ速やかに報告する。
4.当社グループの取締役及び従業員の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するために、当
社グループとして遵守すべき共通の規則については、グループ共通規則「リコーグループスタンダー
ド」として制定し、当社グループ全体で遵守していくよう推進する。
(6)監査役の職務の遂行が実効的に行われることを確保するための体制
1)監査役の職務を補助すべき従業員の取締役からの独立性及び当該従業員に対する指示の実効性の確保に
関する事項
1.監査役室を設置し、監査役の指揮命令のもとで職務遂行を補助する専属の従業員を配置する。
2.上記従業員の人事評価は常勤監査役が行い、異動は常勤監査役の同意を得て実施する。
2)当社グループの取締役及び従業員などが監査役に報告をするための体制及びその他監査役への報告に関
する体制
1.経営もしくは業績に影響を及ぼすリスクが発生した場合、または職務の遂行に関連して重大なコンプ
ライアンス違反もしくはそのおそれのある事実を認識した場合、直ちに監査役に報告する。
2.監査役に対し、重要な会議への出席の機会、重要な会議の議事録・資料を提供するとともに、重要な
決裁書類などを閲覧可能にする。
3.監査役の求めに応じ、定期的または随時、事業及び財産の状況などを報告する。
4.監査役に報告を行った当社グループの取締役及び従業員などに対し、当該報告を行った事を理由とし
て不利な取り扱いを行う事を禁止する。
3)その他監査役の職務の遂行が実効的に行われることを確保するための体制
1.監査役は、代表取締役と定期的な意見交換ができる。
2.当社グループの取締役及び従業員などは、監査役が当社及び当社グループ各社への監査に際し、実効
的な監査を実施できるよう環境を整備する。
3.当社は監査役が会計監査人及び内部監査部門との相互連携により、効率的な監査が行えるよう、環境
を整備する。
4.監査役の職務遂行及び必要に応じて外部の専門家の助言を受けることにより生ずる費用などは当社が
負担する。
(Ⅶ) 監査役選任の考え方
監査役の選任基準
監査役候補者は、監査役としての職務の遂行を通じて、当社の健全で持続的な成長と中長期的な企業価値
の向上に貢献できる人材、かつ監査役会としての知識、経験、専門能力のバランスを考慮し、適切な要件の
候補者を選任することとしております。
なお、監査役候補者の選任にあたって、客観的な適格性評価を行うための基準(要件定義)を監査役会にて
以下のように策定しております。
[ 監査能力 ]
1. 適切な経験、能力及び必要な財務・会計・法律に関する知識を有していること
2. 職業的懐疑心を持ち、真摯な態度で事実を正しく調査し、客観的に物事の判断ができること
3. 自らの信念に基づいて使命感と勇気を持って、取締役又は従業員に対し能動的・積極的な助言・提言が
できること
4. 株主の立場で考え、行動し、現場・現物・現実から学ぶ姿勢に基づいた監査ができること
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[ 素養・人間性 ]
1. 心身ともに健康であり、監査役の任期4年を全うすることができること
2. 常に向上心を持ち、新たな事に対する学習意欲を持っていること
3. 各地域のマネジメントと英語によるコミュニケーションができること
社外監査役の選任基準
社外監査役の選任基準は、上記の基準に加え、企業経営・財務会計・法律における高い専門的知見及び豊
富な経験を有していること、及 び「第4提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(2) 役員の
状況② 社外役員の状況」に示す「社外役員の独立性基準」と照らし合わ せ、会社との関係、代表取締役その
他の取締役及び主要な従業員との関係などを勘案して、独立性に問題がないことを付加的な基準としており
ます。
ダイバーシティについて
監査役の選任にあたって、ダイバーシティを考慮する際には、人種、民族、性別、国籍などの区別なく、
それぞれの人格及び識見に基づいて候補者を選定することで、これらの属性に関する多様性を確保すること
も重視しております。
(Ⅷ) 監査役の選任プロセス
監査役候補者の選任にあたっては、監査役の独立性確保を重視し、「候補者の推薦」「候補者の指名」を
監査役会主導で下図のプロセスにて行っております。
監査役会は、監査役の選任基準に基づき、CEOと協議の上、候補者の推薦を行い、指名委員会による確認を
経て、候補者の指名・提案を行っております。
取締役会では、監査役会の判断を尊重し、監査役候補者の指名について決議しております。
(Ⅸ) 関連当事者間の取引について
当社は当社役員との取引が生じる場合には、事前に取締役会にて審議・決議を行うことを内規に定めてお
ります。また、監査役は全ての取締役から年に一度、利益相反取引に関する報告書の提出を受け、関連取引
の監督を行っております。
(Ⅹ) 取締役の定数
当社の取締役は、15名以内とする旨定款に定めております。
(ⅩⅠ) 取締役の選任の決議要件
当社は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権
の過半数をもって行う旨定款に定めております。
(ⅩⅡ) 自己の株式の取得の決定機関
当社は、会社法第165条第2項の規定により、取締役会の決議によって自己の株式を取得することができる
旨を定款に定めております。これは、機動的に自己株式の取得を行うことを目的とするものです。
(ⅩⅢ) 株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に定める決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以
上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨を定款に定めております。これは、株
主総会の円滑な運営を行うことを目的とするものです。
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(ⅩⅣ) 中間配当
当社は、会社法第454条第5項の規定に基づき、取締役会の決議によって毎年9月30日を基準日として、中
間配当を行うことができる旨を定款に定めております。これは、株主への機動的な利益還元を目的とするも
のです。
(ⅩⅤ) 責任限定契約の内容の概要
当社は、会社法第427条第1項の規定に基づき、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)及び監査役
の責任限定契約に関する規定を定款に設けております。当該定款に基づき、当社が責任限定契約を締結して
いるのは社外取締役及び社外監査役のみであり、当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、社外取締役は
10百万円又は会社法第425条第1項に定める最低責任限度額とのいずれか高い額、社外監査役は5百万円又は
会社法第425条第1項に定める最低責任限度額のいずれか高い額としております。
(ⅩⅥ) 賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険(D&O保険)契約を保険会社と締結してお
り、保険料は当社が全額を負担しております。当該保険契約では、被保険者である役員が、その地位に基づ
いて行った行為に起因して、保険期間中に損害賠償請求を受けた場合の損害・争訟費用などを填補するもの
です。但し、被保険者である役員が法令違反を認識して行った行為に起因して受けた損害など、一定の損害
などについては保険の適用対象外となります。なお、当該保険契約は、任期途中に更新する予定です。
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(2) 【役員の状況】
① 役員一覧
男性 12 名 女性 1 名 (役員のうち女性の比率 7.7 %)
所有
役職名 氏名 生年月日 略歴 任期 株式数
(百株)
1980年3月 当社入社
1995年2月 RICOH UK PRODUCTS LTD. 管理部長
2008年4月 RICOH ELECTRONICS, INC. 社長
2010年4月 当社グループ執行役員
2011年4月 当社常務執行役員
当社総合経営企画室 室長
代表取締役
2012年6月 当社取締役
指名委員
山下 良則 1957年8月22日 当社専務執行役員 (注)4 543
報酬委員
2014年4月 当社ビジネスソリューションズ事業本部 事業本部長
CEO
2015年4月 当社基盤事業担当
2016年6月 当社副社長執行役員
2017年4月 当社代表取締役(現在)
当社社長執行役員(現在)
当社CEO(Chief Executive Officer:最高経営責任者)(現在)
2020年4月 当社CHRO(Chief Human Resource Officer:最高人事責任者)
1981年4月 当社入社
2006年4月 当社MFP事業本部 第一設計センター所長
2007年4月 当社MFP事業本部 設計センター所長 兼
周辺機事業センター所長
2008年4月 当社MFP事業本部 副事業本部長
2009年4月 当社コントローラ開発本部 本部長 兼
MFP事業本部 副事業本部長
2010年4月 当社執行役員
2011年4月 当社人事本部 本部長
2012年4月 当社常務執行役員
取締役
2014年4月 当社日本統括本部 本部長
坂田 誠二 1958年9月12日 (注)4 200
CTO
2015年2月 当社日本統括本部 本部長 兼
画像システム開発本部 本部長
2017年4月 当社オフィスプリンティング開発本部 本部長 兼
オフィスプリンティング事業本部 副事業本部長
2018年4月 当社専務執行役員
当社オフィスプリンティング事業本部 事業本部長
2018年6月 当社取締役(現在)
2019年4月 当社CTO(Chief Technology Officer :最高技術責任者)(現在)
2021年4月 当社コーポレート専務執行役員(現在)
当社先端技術研究所 所長
1986年7月 当社入社
2011年4月 RICOH EUROPE PLC 社長 兼 COO
2012年8月 当社グループ執行役員
当社欧州販売事業本部 事業本部長
RICOH EUROPE PLC CEO
RICOH EUROPE B.V. 会長
2014年4月 当社常務執行役員
当社コーポレート統括本部 本部長
2015年4月 RICOH AMERICAS HOLDINGS, Inc.社長
取締役
2015年6月 当社取締役
リコーデジタル 2015年9月 新規事業開発本部 本部長
大山 晃 1961年1月6日 2016年6月 当社専務執行役員 (注)4 271
サービスビジネ
2017年4月 当社CFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)
スユニットプレ
ジデント CEO室 室長
2018年4月 当社販売本部 本部長
2019年4月 当社CMO(Chief Marketing Officer:最高マーケティング責任
者)
2020年4月 当社ワークプレイスソリューション事業本部 事業本部長
2021年4月 当社コーポレート専務執行役員(現在)
当社リコーデジタルサービスビジネスユニットプレジデント
(現在)
2021年6月 当社取締役(現在)
2022年4月 リコージャパン株式会社 取締役会長(現在)
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所有
職名 氏名 生年月日 略歴 任期 株式数
(百株)
1974年4月 三井物産株式会社入社
2000年6月 同社鉄鋼原料本部製鋼原料部長
2004年4月 同社金属総括部長
2005年4月 同社金属・エネルギー総括部長
2006年4月 同社執行役員鉄鋼原料・非鉄金属本部長
2007年4月 同社執行役員金属資源本部長
2008年4月 同社常務執行役員
2008年6月 同社代表取締役常務執行役員
2008年10月 同社代表取締役専務執行役員
取締役
指名委員長 飯島 彰己 1950年9月23日 (注)4 135
2009年4月 同社代表取締役社長
報酬委員
2015年4月 同社代表取締役会長
2016年6月 当社社外取締役(現在)
2018年6月 ソフトバンクグループ株式会社 社外取締役(現在)
2019年6月 日本銀行 参与(現在)
株式会社三越伊勢丹ホールディングス 社外取締役(現在)
2021年4月 三井物産株式会社 取締役
2021年6月 同社顧問(現在)
武田薬品工業株式会社 社外取締役 監査等委員(現在)
2022年6月 当社筆頭社外取締役(現在)
1983年4月 株式会社日立製作所入社
1997年9月 米国カリフォルニア州立大学バークレー校 客員研究員
2005年4月 株式会社日立製作所 中央研究所 主管研究員
2010年7月 国立大学法人東京工業大学工学院電気電子系 教授(現在)
取締役
2014年10月 日本学術会議会員
波多野 睦子
報酬委員 1960年10月1日 (注)4 67
2016年6月 当社社外取締役(現在)
指名委員
2020年10月 日本学術会議連携会員(現在)
2022年3月 国立大学法人東京工業大学 学長特別補佐(現在)
総合科学技術・イノベーション会議議員(現在)
2022年6月 当社取締役会議長 (現在)
1974年4月 株式会社日本興業銀行(現 株式会社みずほ銀行)入行
2000年4月 同社名古屋支店長
2001年6月 みずほ証券株式会社 常務執行役員 経営企画グループ長
2007年4月 同社取締役社長(2009年5月 新光証券株式会社と合併)
2011年6月 同社取締役会長
2012年6月 同社常任顧問
取締役
指名委員 横尾 敬介 1951年11月26日 2015年4月 公益社団法人経済同友会 副代表幹事・専務理事 (注)4 21
報酬委員長
2016年10月 第一生命保険株式会社 社外取締役(現在)
2017年6月 日本水産株式会社 社外取締役
2019年5月 ソナー・アドバイザーズ株式会社 取締役会長(現在)
2019年12月 株式会社産業革新投資機構 代表取締役社長CEO(現在)
2020年5月 株式会社髙島屋 社外取締役(現在)
2020年6月 当社社外取締役(現在)
1977年4月 株式会社時事通信社入社
1988年4月 同社ワシントン支局 特派員
2001年12月 同社編集局経済部長
2004年6月 同社神戸総局長
2006年6月 同社編集局長
2009年6月 同社総務局長
2010年1月 同社社長室長
2010年6月 同社取締役
取締役
2010年7月 同社取締役 編集局長委嘱
谷 定文 1954年9月15日 (注)4 14
報酬委員
2013年6月 同社常務取締役
2016年3月 一般財団法人(現 公益財団法人)
ニッポンドットコム 理事
2016年5月 クォンツ・リサーチ株式会社 監査役
2016年6月 一般財団法人(現 公益財団法人)
ニッポンドットコム 常務理事 編集局長(現在)
2021年6月 当社社外取締役(現在)
2022年5月 株式会社時事総合研究所 顧問 (現在)
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所有
役職名 氏名 生年月日 略歴 任期 株式数
(百株)
1979年4月 旭硝子株式会社(現 AGC株式会社)入社
2006年1月 同社執行役員 関西工場長
2007年1月 同社上席執行役員 エレクトロニクス&エネルギー事業本部
長
2008年3月 同社代表取締役 社長執行役員COO
2010年1月 同社代表取締役 社長執行役員CEO
2015年1月 同社代表取締役会長
2015年6月 TDK株式会社 社外取締役
取締役
2017年6月 株式会社IHI 社外取締役
石村 和彦 1954年9月18日 (注)4 -
指名委員
2018年1月 旭硝子株式会社(現 AGC株式会社)取締役会長
2018年4月 公益社団法人経済同友会 副代表幹事(現在)
2018年6月 野村ホールディングス株式会社 社外取締役(現在)
2020年3月 AGC株式会社 取締役
2020年4月 国立研究開発法人産業技術総合研究所 理事長
2021年4月 国立研究開発法人産業技術総合研究所 理事長 兼
最高執行責任者(現在)
2022年6月 当社社外取締役(現在)
1984年3月 当社入社
2010年3月 当社人事本部 ヒューマンキャピタル開発部長
2011年4月 当社人事本部 シェアードサービスセンター所長
2011年7月 当社GA統括センター 副所長(GA:General Administration)
監査役
辻 和浩 1961年1月25日 (注)5 61
(常勤)
2013年4月 当社秘書室長
2018年4月 当社人事本部長
2019年4月 当社執行役員
2020年6月 当社監査役(常勤)(現在)
1983年4月 三井物産株式会社入社
2010年5月 三井物産フィナンシャルマネジメント株式会社
代表取締役社長
2012年4月 三井物産株式会社アジア・大洋州本部 CFO
アジア・大洋州三井物産株式会社Senior Vice President
2015年4月 三井物産株式会社内部監査部検査役
監査役
2017年12月 当社入社 顧問
佐藤 愼二 1960年5月2日 (注)6 61
(常勤)
2018年4月 当社執行役員 兼 財務担当 経理法務本部 本部長
Ricoh Americas Holdings, Inc.社長
2019年6月 リコーリース株式会社 取締役
2020年4月 当社経理本部 本部長
2021年4月 当社財務統括部 部長
2021年6月 当社監査役(常勤)(現在)
2001年4月 法務省民事局付(参事官室商法グループ)
2003年1月 西村あさひ法律事務所 パートナー(現在)
2005年6月 カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 社外監査役
2005年6月 電気興業株式会社 社外取締役
2012年5月 一般社団法人 日本取締役協会 幹事(現在)
監査役
2013年4月 東京大学大学院 法学政治学研究科 教授
太田 洋 1967年10月3日 (注)6 -
(非常勤)
2013年6月 公益財団法人ロッテ財団 評議員(現在)
2014年7月 一般社団法人 日本取締役協会
コーポレート・ガバナンス委員会 副委員長(現在)
2016年6月 日本化薬株式会社 社外取締役(現在)
2017年6月 当社社外監査役(現在)
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役職名 氏名 生年月日 略歴 任期 株式数
(百株)
1979年4月 花王石鹸株式会社(現 花王株式会社)入社
1998年2月 同社化学品研究所 所長
2002年9月 同社産業資材事業部長
2006年6月 同社執行役員 化学品事業本部 副本部長
2010年6月 同社執行役員 ケミカル事業ユニット長
2013年3月 同社常勤監査役(2017年3月まで)
2017年6月 独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE) 「契約監視委員
監査役
会」 委員
小林 省治 1953年12月29日 (注)5 -
(非常勤)
2018年1月 幸商事株式会社 顧問
2019年6月 同社取締役 管理本部管掌[非常勤](現在)
2020年6月 当社社外監査役(現在)
2021年6月 独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)「契約監視委員
会」 委員長
2022年4月 独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)「契約監視委員
会」 委員(現在)
1976年4月 監査法人太田哲三事務所(現EY 新日本有限責任監査法人)入所
1980年9月 公認会計士登録(現在)
1999年5月 同監査法人代表社員
2008年8月 同監査法人常務理事
2010年8月 同監査法人経営専務理事
監査役
古川 康信 1953年10月11日 (注)5 -
2012年8月 同監査法人シニア・アドバイザー
(非常勤)
2014年6月 京成電鉄株式会社 社外取締役(現在)
2015年6月 株式会社埼玉りそな銀行 社外監査役
2015年6月 日本精工株式会社 社外取締役
2019年6月 株式会社埼玉りそな銀行 社外取締役 監査等委員(現在)
2020年6月 当社社外監査役(現在)
計 1,373
(注) 1 取締役飯島彰己氏、波多野睦子氏、横尾敬介氏、谷定文氏及び石村和彦氏は、社外取締役であります。
2 監査役太田洋氏、小林省治氏及び古川康信氏は、社外監査役であります。
3 取締役飯島彰己氏、波多野睦子氏、横尾敬介氏、谷定文氏及び石村和彦氏、監査役太田洋氏、小林省治氏及
び古川康信氏は、東京証券取引所有価証券上場規定第436条の2に定める独立役員であります。
4 2022年6月24日開催の定時株主総会の終結の時から1年以内に終了する事業年度(2023年3月期)に係る定時
株主総会の終結の時まで
5 2020年6月26日開催の定時株主総会の終結の時から4年以内に終了する事業年度(2024年3月期)に係る定時
株主総会の終結の時まで
6 2021年6月24日開催の定時株主総会の終結の時から4年以内に終了する事業年度(2025年3月期)に係る定時
株主総会の終結の時まで
7 当社では執行役員制度を導入しております。執行役員は16名で、構成は以下のとおりとなります。
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役名 氏名 担当・職名
CEO(Chief Executive Officer:最高経営責任者)
社長執行役員 山下 良則
輸出入管理統括責任者
リコーデジタルサービスビジネスユニット プレジデント
コーポレート
大山 晃
専務執行役員
リコージャパン株式会社 取締役会長
コーポレート
CTO(Chief Technology Officer:最高技術責任者)
坂田 誠二
専務執行役員
コーポレート
中田 克典 リコーデジタルプロダクツビジネスユニット プレジデント
上席執行役員
コーポレート リコーグラフィックコミュニケーションズビジネスユニット
加藤 茂夫
上席執行役員 プレジデント
CDIO(Chief Digital Innovation Officer:
最高デジタルイノベーション責任者)
コーポレート
デジタル戦略部 部長
田中 豊人
上席執行役員
中国総合戦略部 部長
Ricoh Software Research Center(Beijing)CO., Ltd. 会長
CHRO(Chief Human Resource Officer:最高人事責任者)
コーポレート
瀬戸 まゆ子
人事部 部長
上席執行役員
人事部 タレントディベロップメントCOE室 室長
リコーインダルトリアルソリューションズビジネスユニット
コーポレート
森 泰智 プレジデント
執行役員
リコーエレメックス株式会社 社長
コーポレート
入佐 孝宏 リコーフューチャーズビジネスユニット プレジデント
執行役員
リコーデジタルサービスビジネスユニット 北米極統括 統括長
コーポレート
Carsten Bruhn
Ricoh USA, Inc. 社長・CEO
執行役員
リコーデジタルサービスビジネスユニット 欧州極統括 統括長
コーポレート
Nicola Downing
Ricoh Europe PLC CEO
執行役員
リコーデジタルサービスビジネスユニット APAC・LA統括 統括長
Ricoh Asia Pacific Pte Ltd. 社長
コーポレート
Ricoh Australia Pty, Ltd. 会長
徳永 譲二
執行役員
Ricoh Hong Kong Ltd. 会長
Ricoh(Thailand) Ltd. 会長
リコーデジタルサービスビジネスユニット RDS-Japan/日本極統
コーポレート
木村 和広 括 統括長
執行役員
リコージャパン株式会社 社長
CFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)
コーポレート 財務統括部 部長
川口 俊
執行役員 プロフェッショナルサービス部 経理センター 所長
Ricoh Americas Holdings,Inc. 会長・社長
コーポレート
鈴木 美佳子 ESG戦略部 部長
執行役員
コーポレート
西宮 一雄 プロフェッショナルサービス部 部長
執行役員
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② 社外役員の状況
当社は社外取締役5名及び社外監査役3名を選任しております。
当該社外取締役及び社外監査役と当社との関係
社外取締役
氏名 当社との人的関係、資本的関係又は取引関係その他の利害関係
2022年3月31日現在、当社株式を13,500株所有しております。
飯島彰己氏は、三井物産株式会社の顧問であります。当社と三井物産株式会社との間に
は製品の販売などの取引がありますが、取引額は当社及び三井物産株式会社それぞれの連
結売上高の1%未満と極めて僅少であり、社外取締役の独立性に影響を及ぼすものではな
いと判断しております。
また同氏は、ソフトバンクグループ株式会社及び株式会社三越伊勢丹ホールディングス
の社外取締役、武田薬品工業株式会社の社外取締役監査等委員であります。当社と各該当
飯島 彰己
会社との間には、製品の販売などの取引がありますが、取引額は当社及び各該当会社それ
ぞれの連結売上高の1%未満と極めて僅少であり、社外取締役の独立性に影響を及ぼすも
のではないと判断しております。
当社は飯島彰己氏との間で、会社法第423条第1項の賠償責任を限定する契約を締結し
ており、当該契約に基づく賠償責任限度額は、1,000万円又は会社法第425条第1項に定め
る最低責任限度額とのいずれか高い額となります。
2022年3月31日現在、当社株式を6,700株所有しております。
波多野睦子氏は、国立大学法人東京工業大学工学院の教授及び同大学の学長特別補佐で
あります。当社と同氏の間では、2016年4月1日から2016年6月16日まで業務委託契約を
締結し、当社から、同氏に対して業務委託料として150万円を支払っておりました。当該
契約は、当社グループ技術経営会議に参加いただき、当社の技術経営に対して外部の視点
で助言・提案を行っていただくことを目的としたものであります。もっとも、当該契約は
同氏が当社社外取締役として選任される前に終了していること、加えて当社の社外役員の
波多野 睦子
独立性基準に該当しないことから、社外取締役の独立性に影響を及ぼすものではないと判
断しております。
当社は、国立大学法人東京工業大学に主に研究開発委託に関する取引がありますが、取
引額は当社連結売上高及び同大学の年間活動収入の1%未満と極めて僅少であります。
当社は波多野睦子氏との間で、会社法第423条第1項の賠償責任を限定する契約を締結
しており、当該契約に基づく賠償責任限度額は、1,000万円又は会社法第425条第1項に定
める最低責任限度額とのいずれか高い額となります。
2022年3月31日現在、当社株式を2,100株所有しております。
横尾敬介氏は、第一生命保険株式会社及び株式会社髙島屋の社外取締役であります。当
社と各該当会社との間には、製品の販売などの取引がありますが、取引額は当社及び各該
当会社それぞれの連結売上高の1%未満と極めて僅少であり、社外取締役の独立性に影響
を及ぼすものではないと判断しております。
また、同氏が過去10年以内に在籍していたみずほ証券株式会社、日本水産株式会社と当
横尾 敬介
社の間には製品の販売などの取引がありますが、取引額は当社及び各該当会社それぞれの
連結売上高の1%未満と極めて僅少であり、社外取締役の独立性に影響を及ぼすものでは
ないと判断しております。
当社は横尾敬介氏との間で、会社法第423条第1項の賠償責任を限定する契約を締結し
ており、当該契約に基づく賠償責任限度額は、1,000万円又は会社法第425条第1項に定め
る最低責任限度額とのいずれか高い額となります。
2022年3月31日現在、当社株式を1,400株所有しております。
谷定文氏は、公益財団法人ニッポンドットコムの常務理事編集局長及び株式会社時事総
合研究所の顧問であります。
同氏が過去10年以内に在籍していた株式会社時事通信社、クォンツ・リサーチ株式会社
と当社の間には製品の販売などの取引がありますが、取引額は当社及び各該当会社それぞ
谷 定文
れの連結売上高の1%未満と極めて僅少であり、社外取締役の独立性に影響を及ぼすもの
ではないと判断しております。
当社は谷定文氏との間で、会社法第423条第1項の賠償責任を限定する契約を締結して
おり、当該契約に基づく賠償責任限度額は、1,000万円又は会社法第425条第1項に定める
最低責任限度額とのいずれか高い額となります。
石村和彦氏は、野村ホールディングス株式会社の社外取締役であります。当社と野村
ホールディングス株式会社との間には、製品の販売などの取引がありますが、取引額は当
社及び野村ホールディングス株式会社それぞれの連結売上高の1%未満と極めて僅少であ
り、社外取締役の独立性に影響を及ぼすものではないと判断しております。
また、同氏が過去10年以内に在籍していたAGC株式会社、TDK株式会社と当社の間
石村 和彦 には製品の販売などの取引がありますが、取引額は当社及び各該当会社それぞれの連結売
上高の1%未満と極めて僅少であり、社外取締役の独立性に影響を及ぼすものではないと
判断しております。
当社は石村和彦氏との間で、会社法第423条第1項の賠償責任を限定する契約を締結し
ており、当該契約に基づく賠償責任限度額は、1,000万円又は会社法第425条第1項に定め
る最低責任限度額とのいずれか高い額となります。
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社外監査役
氏名 当社との人的関係、資本的関係又は取引関係その他の利害関係
太田洋氏は、西村あさひ法律事務所のパートナー弁護士であります。同法律事務所は、
当社が案件ベースで法律事務を適宜依頼している法律事務所の一つであり、当社は同法律
事務所の他の弁護士との間に法律業務を委託するなどの取引関係がありますが、当事業年
度における取引額は同法律事務所の年間取引高のいずれに対しても1%未満と極めて僅少
であり、社外監査役の独立性に影響を及ぼすものではないと判断しております。また、同
氏が当社グループの法務相談に関与したことはございません。
また、同氏は、日本化薬株式会社の社外取締役であります。当社と日本化薬株式会社と
太田 洋
の間には、製品の販売などの取引がありますが、取引額は当社及び日本化薬株式会社それ
ぞれの連結売上高の1%未満と極めて僅少であり、社外監査役の独立性に影響を及ぼすも
のではないと判断しております。
当社は太田洋氏との間で、会社法第423条第1項の賠償責任を限定する契約を締結して
おり、当該契約に基づく賠償責任限度額は、500万円又は会社法第425条第1項に定める最
低責任限度額とのいずれか高い額となります。
小林省治氏は、花王株式会社の出身者であります。同氏が2017年3月まで在籍していた
花王株式会社と当社との間には製品の販売などの取引がありますが、取引額は当社及び花
王株式会社それぞれの連結売上高の1%未満と極めて僅少であり、社外監査役の独立性に
影響を及ぼすものではないと判断しております。
また、同氏は幸商事株式会社の取締役[非常勤]であります。当社と幸商事株式会社との
小林 省治 間には、製品の販売などの取引がありましたが、その取引額は当社及び幸商事株式会社の
年間の連結売上高の1%未満と極めて僅少であり、当事業年度においては取引関係はあり
ません。よって、社外監査役の独立性に影響を及ぼすものではないと判断しております。
当社は小林省治氏との間で、会社法第423条第1項の賠償責任を限定する契約を締結し
ており、当該契約に基づく賠償責任限度額は、500万円又は会社法第425条第1項に定める
最低責任限度額とのいずれか高い額となります。
古川康信氏は、EY新日本有限責任監査法人の出身者であります。同氏が、2014年6月ま
でシニア・アドバイザーを務めていたEY新日本有限責任監査法人と当社との間には製品の
販売などの取引がありますが、取引額は当社及びEY新日本有限責任監査法人それぞれの連
結売上高の1%未満と極めて僅少であり、社外監査役の独立性に影響を及ぼすものではな
いと判断しております。
また、同氏は京成電鉄株式会社の社外取締役であります。当社と京成電鉄株式会社との
間には製品の販売などの取引がありますが、取引額は当社及び京成電鉄株式会社それぞれ
の連結売上高の1%未満と極めて僅少であり、社外監査役の独立性に影響を及ぼすもので
古川 康信
はないと判断しております。
また、同氏は株式会社埼玉りそな銀行の社外取締役(監査等委員)であります。当社と
株式会社埼玉りそな銀行との間には製品の販売などの取引がありますが、取引額は当社及
び株式会社埼玉りそな銀行それぞれの連結売上高の1%未満と極めて僅少であり、社外監
査役の独立性に影響を及ぼすものではないと判断しております。
当社は古川康信氏との間で、会社法第423条第1項の賠償責任を限定する契約を締結し
ており、当該契約に基づく賠償責任限度額は、500万円又は会社法第425条第1項に定める
最低責任限度額とのいずれか高い額となります。
上記のほか各社外取締役及び各社外監査役と当社の間には、特別の利害関係はございません。
また、取締役飯島彰己氏、波多野睦子氏、横尾敬介氏、谷定文氏及び石村和彦氏、監査役太田洋氏、小林
省治氏及び古川康信氏は、東京証券取引所有価証券上場規定第436条の2に定める独立役員として届け出てお
ります。
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当該社外取締役及び社外監査役が当社の企業統治において果たす機能及び役割
社外取締役
氏名 当社の企業統治において果たす機能及び役割
飯島彰己氏は、グローバルに事業展開する三井物産株式会社の経営者として卓越した実
績と豊富な経験から、グローバルガバナンスやリスクマネジメントなどをはじめとする
様々な分野において、積極的な指摘・助言を行っております。また、当社の筆頭社外取締
飯島 彰己 役として、取締役会議長と協働してガバナンスの整備・高度化や社外取締役の職務を主導
する役割を担っております。さらに、指名委員長として、事務局を指揮し、委員会の事前
準備、審議進行を行い、その結果について取締役会へ上程・報告を行っております。加え
て、報酬委員として企業の経営トップを経験した立場から提案や議論を行っております。
波多野睦子氏は、国立大学法人東京工業大学工学院電気電子系教授として、またその他
多くの行政機関委員などの実績と豊富な経験から、技術や教育、政策などをはじめとする
様々な分野において、多面的かつ積極的な指摘・助言を行っております。また、取締役会
波多野 睦子
議長として、中立的な立場から取締役会の議題設定や議事進行、さらに筆頭社外取締役と
協働して、株主との対話や監督上の重要案件への対応を主導する役割を担っております。
加えて、指名委員及び報酬委員として企業経営者とは異なる視点から提案や議論を行って
おります。
横尾敬介氏は、みずほ証券株式会社の経営者に就任して以降、同社の取締役社長、取締
役会長などを歴任するなど長年にわたる金融・資本市場での豊富な経験並びにファイナン
スなどに関する幅広い知識・見識を活かし、独立した立場からの投資家・株主目線による
横尾 敬介 経営判断及び経営監督を行っております。また、報酬委員長として事務局を指揮し、委員
会の事前準備、審議進行を行い、その結果について取締役会へ上程・報告を行う役割を
担っております。さらに、指名委員として、企業の経営トップの経験に基づき提案や議論
を行っております。
谷定文氏は、長年にわたる経済記者としてのグローバル経済や社会課題に関する幅広い
見識・洞察力、及び優れたコミュニケーション能力に基づき、投資家・株主目線による積
谷 定文 極的な指摘・助言を行っております。また、高度な情報収集・分析能力などに基づき、客
観的かつ社会的な視点による経営判断及び経営監督を行っております。さらに、報酬委員
として、企業の経営を経験した立場から提案や議論を行っております。
石村和彦氏は、旭硝子株式会社(現AGC株式会社)の経営者に就任して以降、同社の
代表取締役社長、代表取締役会長を歴任するなど長年にわたり日本を代表する製造業のグ
ローバル展開を主導し、同社の発展に貢献してきました。また、国立研究開発法人産業技
石村 和彦 術総合研究所理事長として、日本の産業競争力の強化にも寄与しております。同氏の卓越
した経営手腕と豊富な経験から、組織・ガバナンスのあり方や環境問題などをはじめとす
る様々な分野において、助言・提言などが期待されております。さらに、指名委員として
企業の経営トップを経験した立場から提案や議論を行うことが期待されております。
社外監査役
氏名 当社の企業統治において果たす機能及び役割
太田洋氏は、弁護士としてM&A、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンスなどの
企業法務全般における多くの案件実績、及びコーポレート・ガバナンスの専門家としての
太田 洋 豊富な経験に基づく観点から、監査役会及び取締役会において、積極的に発言しておりま
す。また、専門領域や重要性などから注視している分野に関連した部門・子会社の監査に
も参加し、助言や提言を行っております。
小林省治氏は、花王株式会社における事業部門長や執行役員などの要職の歴任や、研究
開発や事業経営における長年にわたる豊富な経験、さらに同社の常勤監査役としてグロー
バル企業の経営やガバナンスに関する高い知見、技術全般に関する幅広い識見により、監
査役会及び取締役会において、客観的な立場から積極的に発言しております。また、ビジ
小林 省治
ネスユニットやグループ本部の各組織、子会社の監査に同席し、技術や事業運営をはじ
め、ESGやエンゲージメント等幅広い観点で助言や提言を行っております。加えて、指名
委員会へのオブザーブ出席により、指名プロセスの透明性の確保への貢献が期待されてお
ります。
古川康信氏は、公認会計士及びEY新日本有限責任監査法人で長年にわたり業務執行役員
として海外展開するグローバル企業の監査を歴任してきた経験、及び他社における社外取
締役、監査等委員や社外監査役として企業経営に関する豊富な知見・経験から、監査役会
及び取締役会において、積極的に発言しております。また、専門領域や重要性から注視し
古川 康信
ている分野に関連した部門・子会社の監査に参加し、助言や提言を行うほか、特に会計監
査人とのコミュニケーションにおいて、専門的な見地から積極的に質問や発言を行ってお
ります。加えて、報酬委員会へのオブザーブ出席により、報酬プロセスの透明性の確保へ
の貢献が期待されております。
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株式会社リコー(E02275)
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当社は、社外取締役の選任基準を「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)
コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項 (Ⅱ)取締役選任の考え方」とし、
社外取締役に対して、その見識や経験を活かし、当社から独立した客観的な立場での議論を通じた意思決定
及び経営監督によりコーポレート・ガバナンスの強化に寄与することを期待しております。また、監査役の
選任基準については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレー
ト・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項 (Ⅶ)監査役選任の考え方、及び(Ⅷ)監査役の
選任プロセス」とし、監査役の独立性確保を重視するとともに、監査役候補者の選任基準に基づきその適格
性を客観的に確認するものとしております。社外監査役には、それぞれの専門的知見やバックグラウンドを
活かす形で、積極的な発言、監査を行うことを期待しております。各社外取締役、各社外監査役は、これら
の期待を踏まえて求められる機能、役割を果たしており、また当社が定める社外役員の独立性基準を満たす
こともあり、当社としては社外取締役、社外監査役の選任状況は適切と認識しております。
当社は、社外役員の独立性基準を以下のように定め、社外取締役及び社外監査役の選任にあたっては、こ
れらの事項を確認しております。
1.当社の社外取締役及び社外監査役は、原則として独立性を有するものとし、以下各号のいずれにも該当す
る者とする。なお、リコーグループとは、当社及び当社の子会社で構成される企業集団をいう。
1)当社の総議決権の10%以上の株式を有する者(以下「主要株主」という。)または当社の主要株主の取
締役、監査役、会計参与、執行役、理事、執行役員、支配人またはその他の使用人でないこと。
2)リコーグループが主要株主となっている会社の取締役、監査役、会計参与、執行役、理事、執行役員、
支配人またはその他の使用人でないこと。
3)現在リコーグループの取締役(独立性を有する社外取締役を除く。)、監査役、会計参与、執行役、理
事、執行役員、支配人またはその他の使用人でないこと、または就任の前10年内にリコーグループの取
締役(独立性を有する社外取締役を除く。)、監査役、会計参与、執行役、理事、執行役員、支配人ま
たはその他の使用人でなかったこと。
4)直近事業年度においてまたは直近事業年度に先行する3事業年度のいずれかにおいて、リコーグループ
を主要な取引先としていた者(リコーグループへの売上額がその者の連結売上額の2%以上である者を
いう。)またはその者(その者の親会社及び子会社を含む。)の取締役(独立性を有する社外取締役を
除く。)、執行役、理事、執行役員、支配人若しくはその他の使用人でないこと。
5)直近事業年度においてまたは直近事業年度に先行する3事業年度のいずれかにおいて、リコーグループ
の主要な取引先であった者(その者への売上額がリコーグループの連結売上額の2%以上である者をい
う。)またはその者(その者の親会社及び子会社を含む。)の取締役(独立性を有する社外取締役を除
く。)、執行役、理事、執行役員、支配人若しくはその他の使用人でないこと。
6)リコーグループから役員としての報酬以外で直近事業年度においてまたは過去3事業年度の平均で1事
業年度に1,000万円以上の金額の金銭その他の財産を直接または間接に得ているコンサルタント、公認会
計士、税理士、弁護士またはその他の専門家でないこと。
7)リコーグループから直近事業年度においてまたは過去3事業年度の平均で1事業年度にその団体の総収
入の2%以上の金額の金銭その他の財産を直接または間接に得ている法律事務所、監査法人、税理士法
人、コンサルティング・ファームまたはその他の専門的アドバイザリー・ファームなどの団体に所属す
る者でないこと。
8)第1号から第7号までに該当する者の配偶者、二親等内の親族または生計を一にする親族でないこと。
9)リコーグループから取締役を受け入れている会社またはその会社の親会社若しくは子会社の取締役、監
査役、会計参与、執行役、理事、執行役員、支配人またはその他の重要な使用人である者でないこと。
10)その他、当社との間で実質的に利益相反が生じるおそれのある者でないこと。
2.前項第1号及び第4号ないし第9号のいずれかに該当しない者であっても、当社の社外取締役及び社外監
査役として適格であると判断される者については、当該人物が社外取締役及び社外監査役として適格である
と判断する理由を対外的に説明することを条件として、当該人物を社外取締役及び社外監査役に選任するこ
とができる。
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③ 社外取締役又は社外監査役による監督又は監査と内部監査、監査役監査及び会計監査との相互連携並びに内
部統制部門との関係
社外取締役は、取締役会において、業務の執行について監督しております。社外監査役は、取締役会にお
ける業務執行の監督状況及び意思決定について監査しております。
また、社外監査役は、内部監査部門である内部監査室、会計監査を担当する監査法人及び常勤監査役が定
期的に行う三様監査会議の内容について、監査役会において常勤監査役等から報告を受けております。三様
監査会議では、監査方針・計画・方法についての擦り合わせ、監査内容、監査結果の共有及び意見交換等が
行われております。
その他、監査法人が実施し、内部監査室、常勤監査役が同席する取締役へのヒアリング及び監査役監査に
おいては、必要に応じて社外監査役も同席する等、緊密な連携を維持しております。
これらの連携及び関係を通して、社外取締役及び社外監査役はそれぞれの専門的見地から適時に意見を述
べております。
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(3) 【監査の状況】
① 監査役監査の状況
a.組織・人員
当社の監査役会は、監査役5名であり、うち社外監査役が3名となります。各監査役の状況は以下のとお
りです。
役職名 氏名 経歴等
当社の人事・総務・秘書室での豊富な経験、及びグローバ
常勤監査役 辻 和浩 ルな人的ネットワークを有し、子会社へのリスクマネジメ
ント推進を通じた監査視点も有しております。
当社及び前職の三井物産株式会社において、国内外事業所
及び関係会社での経理財務業務並びに関係会社社長・内部
常勤監査役 佐藤 愼二
監査業務などの豊富な経験があり、財務及び会計に関する
相当程度の知見を有しております。
M&Aや企業法務を専門とする弁護士として多くの案件実績
社外監査役 太田 洋 があり、コーポレート・ガバナンスの専門家としての豊富
な経験を有しております。
花王株式会社の事業部門長や執行役員等を歴任、同社常勤
監査役も勤める等、研究開発・グローバル企業の事業経営
社外監査役 小林 省治
及びガバナンスに関して、豊富な経験と高い知見を有して
おります。
公認会計士及びEY新日本有限責任監査法人において業務執
行社員として海外展開するグローバル企業の監査を歴任し
社外監査役 古川 康信
ており、財務及び会計に関する相当程度の知見を有してお
ります。
また、監査役室を設置し、専従かつ執行側からの一定の独立性が確保された従業員4名を配置し、グロー
バルな情報収集・分析や現地調査の支援など、監査役の職務を補助しております。
b.監査役会の運営
当事業年度において、監査役会は合計14回開催され、1回あたりの平均所用時間は約2時間20分でありま
した。なお、当事業年度においても新型コロナウイルス感染予防対策として、監査役会についてもリモート
会議を併用しながらの開催としております。各常勤監査役、及び社外監査役の監査役会並びに取締役会への
出席状況は以下のとおりとなります。
当事業年度の 当事業年度の
役職名 氏名
監査役会出席率 取締役会出席率
常勤監査役 大澤 洋 (注1) 100%(4/4回) 100%(2/2回)
常勤監査役 辻 和浩 100%(14/14回) 100%(12/12回)
佐藤 愼二 (注2)
常勤監査役 100%(10/10回) 100%(10/10回)
社外監査役 太田 洋 93%(13/14回) 92%(11/12回)
社外監査役 小林 省治 100%(14/14回) 100%(12/12回)
社外監査役 古川 康信 93%(13/14回) 83%(10/12回)
(注) 1 大澤洋氏は、2021年6月24日開催の第121回定時株主総会終結の時をもって退任するまでの出席回
数を記載しております。
(注) 2 佐藤愼二氏は、同総会において選任され、就任した後の出席回数を記載しております。
また、監査役会における主な共有・検討事項は以下のとおりです。
決議13件:監査方針、監査計画及び業務分担、監査役会の監査報告書、監査役の選任議案への同意、会計
監査人の再任、会計監査人の監査報酬に関する同意 など
協議27件:取締役会に向けた意見交換・審議状況レビュー、会計監査人の評価、監査方針・計画案、監査
役会の監査報告書案、監査実績説明書案、監査役監査活動まとめ内容、代表取締役・取締役会
議長との定例会議案・フォロー内容 など
報告50件:常勤監査役職務執行状況(月次)、監査実績レビュー結果、投資委員会の運用状況、開示体制の
構築・運用状況、会計監査人の非監査業務状況、有価証券報告書内容 など
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C.監査役会及び監査役の活動状況
監査役会は、(1)取締役、(2)業務執行、(3)子会社、(4)内部監査、(5)会計監査 の5つの領域についての
リスクや課題を検討し年間の活動計画を定めました。各領域に対する監査活動の概要は表1のとおりになり
ます。
これらの監査活動を通じて認識した事項について、取締役や執行部門に課題提起や提言を行いました。
表1:監査活動の概要 ★監査役が主催する会議
職務分担
領域 内容
常勤 社外
監査役 監査役
取締役会への出席 ● ●
指名委員会・報酬委員会へのオブザーブ出席 ●
(1)取締役 取締役会議長・代表取締役との定例会の開催(四半期ごと)★ ● ●
取締役・監査役によるガバナンス検討会の開催★ ● ●
社外役員会議(社外取締役・監査役による意見交換会)の開催★ ● ●
本社・事業所への往査(リモート含む) ● □
グループマネジメントコミッティ(GMC)への出席 ●
業績審議会、各ビジネスユニット事業運営会議、投資委員会、その他重要
●
会議への出席
(2)業務執行
CEO定例会・CFO定例会の開催(月次)★ ●
主要部門長及び各ビジネスユニットプレジデントとの情報共有会の開催★ ●
リスクマネジメント部門との定例会の開催(月次)★ ●
重要書類の閲覧・確認(重要会議議案書・議事録、決裁書類、契約書等) ●
子会社の往査(リモート含む) ● □
(3)子会社 子会社監査役との定例会の開催(月次)★ ●
グループ監査役情報交換会の開催★ ● □
内部監査部門からの内部監査計画説明、結果報告(四半期ごと)★ ● ●
(4)内部監査 内部監査部門との定例会の開催(月次)★ ●
三様監査会議の開催(月次)★ ●
(5)会計監査 会計監査人からの監査計画説明、四半期レビュー報告、監査結果報告 ● ●
会計監査人評価の実施 ● ●
職務分担[●:職務担当 □:任意/部分的に担当]
なお、当事業年度の監査上の主要な検討事項(KAM:Key Audit Matters)については、会計監査人の監査計
画説明や四半期監査報告などで検討状況について確認するとともに、執行側に対しても適宜コミュニケー
ションを図っております。
当事業年度より、当社は新しく社内カンパニー制へ移行しております。監査役会ではこれらの事業活動にお
いて想定されるリスクの検討を行いました。その結果、表1に示した監査活動に加えて、「各ビジネスユニッ
トにおける内部統制システム、リスクマネジメント及び子会社管理体制の監査」並びに「グループ本部による
ガバナンスの実効性の監査」を当事業年度の重点実施項目として定めました。
(1) 各ビジネスユニットにおける内部統制システム、リスクマネジメント及び子会社管理体制の監査
社内カンパニー制により、各ビジネスユニットには権限委譲が行われ、自律的・スピーディーな経営が求め
られており、ガバナンス上の変化が生じる①~③の点について監視・検証を行いました。
①各ビジネスユニットにおける内部統制システム・リスクマネジメントの設計・構築・運用状況
②各ビジネスユニットとグループ本部側との役割分担及び各ビジネスユニットへの支援機能の利用状況
③主管管理部門(注3)変更による子会社管理の実効性と、子会社側で新たに生じた課題の有無
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●重要会議の出席・各ビジネスユニットプレジデントとの情報共有
・各ビジネスユニットの監査役レビューに加え、それぞれの事業運営会議への参加や各ビジネスユニットプ
レジデントとのミーティングを適宜行い、各ビジネスユニットによる意思決定や報告内容、事業運営状況
の把握に努めました。
・ポートフォリオマネジメント会議へ参加し、将来の事業ポートフォリオに対する検討状況を確認しまし
た。
●社内カンパニー制による子会社管理体制の変更も考慮した監査役レビュー先の選定(29子会社)
・管轄する主管管理部門の変更や、複数のビジネスユニットの事業が共存する子会社を監査役レビュー先と
して選定し、その管理状況について確認しました。
・従来から監査役室にて整備、活用している「拠点リスクマップ」(注4)のリスク情報に基づく選定に加
え、主要な子会社としての選定も行い、上記①~③の視点における影響について確認しました。
(注) 3 主管管理部門:本社の子会社管理部門
(注) 4 拠点リスクマップ:子会社の基本情報、リスク情報を一元管理、情報共有できるようにしたデー
タベース
(2) グループ本部によるガバナンス実効性の監査
グループ本部による当社グループ全体へのガバナンスや牽制機能、本社横串機能及び各ビジネスユニットへ
の支援機能、並びにグループ本部内部の役割分担の明確化について監視・検証を行いました。
また、内部統制システムの全体設計、及び経理、法務などグループ本部と内部監査との包括的な強化につい
て、課題と今後の方向性の確認を行いました。
●グループ本部機能責任者との適宜の情報共有・機能部門の会議への参加
・グループ本部の各組織(18組織:グローバルヘッドクォーター、プラットフォーム、プロフェッショナル
サービスの各組織)の監査役レビューに加えて、グループ本部の機能責任者との情報共有を適宜行い、情
報収集・報告体制の強化を図りました。
・SCM経営会議やデジタル戦略会議などのグループ本部の機能部門による会議にも参加し、事業遂行状況や
課題などの確認を行いました。
●取締役・監査役間の情報共有及び意見交換
・社外役員会議において、監査活動を通じて把握した、グループ本部によるガバナンスの状況などを、社外
取締役と共有し、意見交換を行いました。
・ガバナンス検討会においては、社内カンパニー制移行に伴うガバナンスの点検をテーマとした議論を行
い、特に社外取締役への情報共有や意見交換を行う機会の充実を図りました。
d. 監査役の職務分担
表1に示した監査活動については、常勤監査役が主に担っており、その内容は監査役会で適時共有してお
ります。
社外監査役は、それぞれの専門的知見やバックグラウンドを活かす形で、常勤監査役とともに、各ビジネ
スユニット、グループ本部の各機能組織、及び子会社への監査及び提言を行いました。また、取締役会議
長・代表取締役との定例会では、経営上の重要なテーマ等に関する詳細な説明を受け、独立役員の立場から
意見を述べました。
② 内部監査の状況
内部監査につきましては、有価証券報告書提出日現在、独立した専任組織の「内部監査室」が23名のス
タッフにて、各事業執行部門の当社グループを含めた事業執行状況について、法令等の遵守、業務効率、財
務報告の信頼性及び資産の保全の観点から内部監査を実施し、公正かつ客観的な立場で改善のための助言・
勧告を行っております。その結果については、 社長執行役員のもとに設置された「内部統制委員会」に、定
期的に報告しております。
「内部監査室」は、監査役との定期的な情報交換会を実施し、当社グループの監査結果や内部統制状況を
監査役へ報告しております。また、日常においても、共通のデータベースを活用し、双方の情報閲覧を可能
としており、緊密な連携の下に監査を実施しております。
また、監査役及び監査役会、並びに内部監査室は、会計監査人である監査法人と、監査実施内容に関する
情報交換会を定期、不定期に実施しております。監査結果や監査法人が把握した内部統制の状況及びリスク
の評価等に関する意見交換を行い、緊密な連携を維持しております。
これらの監査において指摘された事項については、各部門及び連結子会社において改善の検討が行われ、
必要な改善がなされているか再確認するというサイクルを通して、内部統制の強化、及び業務遂行の質の向
上を図っております。
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③ 会計監査の状況
a. 監査法人の名称
有限責任監査法人トーマツ
b. 継続監査期間
3年間
c. 業務を執行した公認会計士
東海林 雅人
濵口 豊
渡辺 規弘
d. 監査業務に係る補助者の構成
当社の会計監査業務に係る補助者は、公認会計士12名、その他46名になります。
e. 監査法人の選定方針と選定した理由
監査役会は会計監査人の解任又は不再任の決定の方針を次のように定めております。
会計監査人の解任又は不再任の決定の方針
監査役会は、会計監査人が会社法第340条第1項の各号に該当すると判断した場合に、監査役全員の同
意によって解任いたします。この場合、解任及びその理由を解任後最初に招集される株主総会において
報告いたします。
また、上記のほか、会計監査人による適正な職務の遂行が困難であること、その他会計監査人の変更
が相当であると認められる場合には、監査役会は、株主総会に提出する会計監査人の解任又は不再任に
関する議案の内容を決定いたします。
監査役会は、「会計監査人の解任又は不再任の決定の方針」に照らし、以下を確認しております。
・会社法第340条第1項の各号に該当する事項の有無
・会計監査人として適正な職務の遂行の可否
・その他会計監査人の変更が相当であると認められるかどうか
その結果、会計監査人の監査の方法と結果を相当と認め、監査役会は有限責任監査法人トーマツを再任
することが適当であると判断いたしました。
f.監査役及び監査役会による監査法人の評価
会計監査人である有限責任監査法人トーマツの評価にあたり、監査役会で定めた会計監査人評価基準に規定
されている評価項目(注5)にてモニタリングを行いました。
会計監査人の評価方法は以下のとおりです。
-マネジメントレターや期中報告にて、経営者へ適切な情報共有や提言がなされているか確認しました。
-三様監査会議などを通じて、取り組み姿勢やネットワークファームとの連携状況などを確認しました。
-執行部門(経理、内部監査)からのヒアリング結果を元に、監査役会で会計監査人のパフォーマンスレ
ビューを行い、期中(12月)での会計監査人への要望事項を取り纏め、その回答について説明を受けまし
た。
-要望事項に対する回答なども参考に、監査役会で期末時点の評価レビューを実施し、再任に向けての相
当性の判断や、次年度に向けての改善点等を確認しました。
(注) 5 会計監査人の評価項目:監査法人の品質管理、監査チーム、監査報酬など、監査役などとのコミ
ュニケーション、経営者等との関係、グループ監査、不正リスク
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④ 監査報酬の内容等
a. 監査公認会計士等に対する報酬
前連結会計年度 当連結会計年度
区分
監査証明業務に 非監査業務に 監査証明業務に 非監査業務に
基づく報酬(百万円) 基づく報酬(百万円) 基づく報酬(百万円) 基づく報酬(百万円)
提出会社 215 - 215 1
連結子会社 97 - 93 -
計 312 - 308 1
監査公認会計士等の提出会社に対する非監査業務の内容
(前連結会計年度)
該当事項はありません。
(当連結会計年度)
当社が監査公認会計士等に対して報酬を支払っている非監査業務の内容といたしましては、リスクマネジメ
ントに関する教育の委託業務になります。
監査公認会計士等の連結子会社に対する非監査業務の内容
(前連結会計年度)
該当事項はありません。
(当連結会計年度)
該当事項はありません。
b. 監 査公認会計士等と同一のネットワークに対する報酬 (a. を除く)
前連結会計年度 当連結会計年度
区分
監査証明業務に 非監査業務に 監査証明業務に 非監査業務に
基づく報酬(百万円) 基づく報酬(百万円) 基づく報酬(百万円) 基づく報酬(百万円)
提出会社 - 335 - 199
連結子会社 1,271 72 1,496 122
計 1,271 407 1,496 321
監査公認会計士等と同一のネットワークの提出会社に対する非監査業務の内容
(前連結会計年度)
当社が監査公認会計士等と同一のネットワーク(デロイト トウシュ トーマツ リミテッド)に対して報酬を
支払っている非監査業務の内容といたしましては、組織構造再編に関する助言業務等になります。
(当連結会計年度)
当社が監査公認会計士等と同一のネットワーク(デロイト トウシュ トーマツ リミテッド)に対して報酬を
支払っている非監査業務の内容といたしましては、組織構造再編に関する助言業務等になります。
監査公認会計士等と同一のネットワークの連結子会社に対する非監査業務の内容
(前連結会計年度)
連結子会社が監査公認会計士等と同一のネットワーク(デロイト トウシュ トーマツ リミテッド)に対して
報酬を支払っている非監査業務の内容といたしましては、税務コンプライアンス業務等になります。
(当連結会計年度)
連結子会社が監査公認会計士等と同一のネットワーク(デロイト トウシュ トーマツ リミテッド)に対して
報酬を支払っている非監査業務の内容といたしましては、税務コンプライアンス業務等になります。
c. その他の重要な監査証明業務に基づく報酬の内容
該当事項はありません。
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d. 監査報酬の決定方針
当社は、監査報酬の決定に際して、当社の事業規模や業務特性に応じた適正な監査時間について監査公認会
計士等と十分な検討を行っております。
e. 監査役会が会計監査人の報酬等に同意した理由
監査役会は、会計監査人の監査計画の内容、会計監査の職務遂行状況及び報酬見積りの算出根拠などが適切
であるかどうか必要な検証を行ったうえで、会計監査人の報酬等の額について合理的な水準であると認め、同
意の判断をいたしました。
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(4) 【役員の報酬等】
① 役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針に係る事項
・個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針の決定方法
当該方針は、取締役会の諮問機関である報酬委員会において審議を行い、取締役会へ答申し、これを踏
まえ取締役会で決定しております。
・取締役の報酬に対する考え方
当社は、当社グループの株主価値の増大に向けて、中長期にわたって持続的な業績向上を実現すること
に対する有効なインセンティブとして、役員報酬を位置付けております。また、コーポレート・ガバナン
ス強化の視点から、報酬水準の設定や個別報酬の決定について、客観性・透明性・妥当性の確保を図るた
めの取り組みを行っており、以下の基本方針に基づいて報酬を決定しております。
1)報酬構成
・「期待される役割・責任を反映する基本報酬」、「会社業績を反映する賞与(業績連動報酬)」、「中長
期的な株主価値向上を反映する報酬」の3つの要素で構成する。
・社内の非執行取締役の報酬は常勤取締役として会社の実情に精通した上で業務執行の監督を担う役割を踏
まえて基本報酬と賞与のみとする。
・経営の監督を担う社外取締役及び監査を担う監査役の報酬は、公正な監督や監査に専念するため、基本報
酬のみとすることで業務執行からの独立性を確保する。
2)ガバナンス
・適切な外部ベンチマーク及び報酬委員会による継続的な審議・モニタリングにより、報酬制度設計、報酬
水準設定及び個別報酬決定の客観性・透明性・妥当性を確保する。
・取締役の個別の報酬額は、指名委員会における取締役評価の結果などを踏まえて、報酬委員会及び取締役
会で妥当性を審議する。
・個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針並びに2021年度に係る業績連動報酬等及び非金銭
報 酬等に関する事項
1)報酬の決定プロセス
当社は、インセンティブ付与を通じた収益拡大と企業価値向上及びコーポレート・ガバナンス強化に向
け、より客観的で透明性のある報酬の検討プロセスを構築するために、報酬委員会を設置しております。報
酬委員会は、取締役の報酬基準、及び業績に基づき、また、指名委員会における取締役の評価結果などを踏
まえ、複数回にわたる審議を経た上で、基本報酬、賞与、株式取得目的報酬、及び株価条件付株式報酬に関
する各々の報酬案を決定し、取締役会へ答申しております。
取締役会は、報酬委員会から答申のあった各報酬議案について、審議・決定を行っております。賞与につ
いては、取締役賞与フォーミュラに基づく個人別賞与額が適切であることを確認の上、賞与支給総額並びに
株主総会への取締役賞与支給議案及び付議の要否を決定しております。株主総会で取締役賞与支給議案が決
議された後、取締役会で決定された個人別賞与額が支払われます。
2)報酬水準の決定方針
企業業績との適切な連動性確保の観点から、毎期の報酬委員会で当社の業績に対して狙いとする水準を報
酬区分ごとに確保できているかを判定しております。基本報酬は外部専門機関の調査結果に基づくベンチ
マーク企業群*の役員の報酬水準を目安とし、短期・中長期インセンティブはベンチマーク企業群の業績と
比較して当社の営業利益水準が「上位」であれば「ベンチマーク企業群の上位」の水準、「下位」であれば
「ベンチマーク企業群の下位」の水準となるように設定しております。
* オフィスオートメーション分野の競合企業、電気機器及び近い規模(売上高・従業員数など)のグローバ
ル企業の中から約20社を選定しております。
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3)取締役の報酬
1.基本報酬(固定)
取締役に期待される役割・責任を反映する報酬として、在任中に支払う月次金銭報酬になります。
株主総会で決定された報酬総額の範囲内で支給額を決定し、2021年度の支給総額は、2億9,615万円にな
ります。
報酬構成 報酬水準の主な設定方法
・執行役員を兼務する取締役の経営責任や
「経営監督の役割に対する報酬」、「経営 役割の重さは、外部専門機関の職務グレー
責任や役割の重さを反映する報酬」を軸と ドフレームワークを参考にして設定。
社内取締役
し、「代表取締役や取 締役会議長などの役 ・非執行取締役の報酬は常勤としての会社
割給」を加算。 の実情に精通した上で業務執行の監督を担
う役割を踏まえて設定。
「経営監督の役割に対する報酬」、「経営
への助言に対する報酬」を軸とし、「指名 ・外部専門機関の客観的なデータを参照し
社外取締役
委員長・報酬委員長などの役割給」を加 た上で設定。
算。
2.業績連動型賞与(短期)
業績連動型賞与は対象事業年度の会社業績と株主価値向上を反映する報酬として、事業年度終了後に支
払う金銭報酬となり、2021年度は以下を評価指標として設定しております。
評価指標 設定理由(狙い)
時価総額と相関を有し、かつ事業活動による成果を示す営業利益を評価指標とす
連結営業利益
ることで、取締役が利益成長と収益性向上に責任を持つことを明確にする。
ROEの当該年度実績に 資本収益性向上の重要指標であるROEを評価指標に設定することにより、取締役
基づく達成率 が株主価値向上に責任を持つことを明確にする。
全社的なESGの取り組みの確認ツールとして活用しているDJSIの年次Ratingを評
DJSI*の年次Rating
価指標とすることで、ESG向上へのインセンティブとする。
また、報酬委員会においては、下記フォーミュラにより算出された結果を踏まえ、指名委員会における
取締役評価の結果なども含めて、個別賞与支給額の妥当性を審議の上で取締役会に答申し、取締役会は、
これを踏まえ、株主総会への取締役賞与支給議案付議の要否を決定しております。
2021年度の賞与については、報酬委員会の審議において下記フォーミュラにより算出された結果が適切
であると判断され、支給総額は2,969万円になります。
*DJSI(ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス)
米国のダウ・ジョーンズ(Dow Jones)社と、サステナビリティ投資に関する調査専門会社であるS&Pグ
ローバル(S&P Global)社が共同開発した株価指標で、経済・環境・社会の3つの側面から世界各国の大
手企業の持続可能性(サステナビリティ)を評価するもの
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(ご参考)
各評価指標の目標値と実績値(2021年度)
評価指標 目標値 実績値 係数
連結営業利益 500億円 400億円 2.0
ROEの当該年度実績に基づく達成率 4.0% 3.3% 0.8
DJSIの年次Rating World World 1.05
3.株主価値向上を反映する報酬(中長期)
株主価値向上を反映する報酬は、中長期的な当社の企業価値向上へのコミットメントを強化する目的と
して、以下の「株式取得目的報酬」と「株価条件付株式報酬」で構成されております。
(株式取得目的報酬)
株式取得目的報酬は、取締役の保有株式数を着実に増やし、株価の変動による利益・リスクを株主と共
有することを目的とした金銭報酬となります。
在任中に定額を毎月支給し、その同額を当社役員持株会を通じて自社株式の取得に充当しております。
報酬額は、株主総会で決定された報酬総額の範囲内で役位別に設定しており、2021年度の支給総額は、
1,173万円になります。
(株価条件付株式報酬)
株価条件付株式報酬は、取締役の報酬と当社株式価値との連動性をより明確にし、取締役が株価の変動
による利益・リスクを株主と共有することで、中長期的な企業価値・株主価値の向上に貢献する意識を高
めることを目的としております。
株価条件付株式報酬は、当社が金銭を拠出することにより設定する株式交付信託(以下「信託」)が取引
所市場から当社株式を取得し、当社が各取締役に付与するポイント数に相当する数の当社株式が本信託を
通じて各取締役に対して交付される制度(以下「本制度」)になります。
取締役が当社株式の交付を受ける時期は、原則として取締役の退任時になります。
当社が各取締役に付与するポイント数は、取締役会決議により定められた株式交付規程に基づいて役位
別のポイントが付与され、取締役が株価の変動による利益・リスクを株主と共有する趣旨から、原則とし
て在任期間中の当社株価の伸長率とTOPIXの伸長率との比較結果に応じた率(0~200%)を乗じ、最終的
な交付株式数が決定されております。また、取締役在任期間中に、会社に損害を及ぼす重大な不適切行為
があった場合には、株式報酬の返還要請を行うべく、マルス・クローバック条項を定めております。
なお、2021年度の株価条件付株式報酬の付与ポイントに基づく費用計上額は1,474万円になります。2021
年度は取締役の退任実績がないため、当社株価の伸長率の実績に関する開示事項はありません。
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1 本制度の対象者となる取締役 当社の取締役(社外取締役及び非執行取締役を除く)
2020年3月31日で終了する事業年度から2023年3月31日で終了す
2 対象期間(延長後) る事業年度まで(当社取締役会の決定により、対象期間を5事業年
度以内の期間で都度定めて延長することができる)。
対象期間に、対象となる取締 当初対象期間(2020年3月31日で終了する事業年度から2022年3月
役に交付するために必要な当 31日で終了する事業年度まで)分として、合計3億円。対象期間を
3
社株式の取得資金として当社 延長する場合は、当該延長分の対象期間の事業年度数に1億円を
が拠出する金銭の上限 乗じた金額を加算。
4 当社株式の取得方法 取引所市場(立会外取引を含む)から取得する方法。
当初対象期間分として、合計30万ポイント。対象期間を延長する
対象となる取締役に付与され 場合は、当該延長分の対象期間の事業年度数に10万ポイントを乗
5
るポイント総数の上限 じたポイント数を加算。
(注) 1ポイントは当社株式1株
役位、及び当社の株価成長率とTOPIX(東証株価指数)成長率との比
6 ポイント付与基準
較結果に応じたポイントを付与
対象となる取締役に対する当
7 原則として退任時
社株式の交付時期
(注) 役員退職慰労金制度については、2007年6月27日開催の第107回定時株主総会の日をもって廃止し
ております。
4.2022年度の取締役報酬の改定
デジタルサービスの会社への変革による持続的な企業価値向上に向けて、2022年度より取締役の基本報
酬及び賞与フォーミュラを変更することを、2022年3月2日の取締役会で決定しております。
(執行役員を兼務する取締役の基本報酬の改定)
これまでの役位ごとの報酬設定から、職務グレードごとの報酬設定に変更いたします。
職務グレードは、外部専門機関の職務グレードフレームワークを参考に、執行役員を兼務する取締役の
委嘱内容、その責任の大きさ及び難易度に応じて決定されております。
(取締役賞与フォーミュラの改定)
取締役の全社業績達成責任をより明確にし、目標達成意欲を高めるフォーミュラに変更いたします。
(改定ポイント)
・従来は連結営業利益を軸とし、資本収益性(ROE)は加点・減点要素としておりましたが、ROEも重要指
標として独立で評価します。
・従来の「利益分配型」から「目標達成型」の算定式に変更することで、達成が求められるKPIの水準を
明瞭にするとともに、実績値に応じた賞与支給額のメリハリを高めます。
・目標を上回る全社業績を達成した場合は、傾きの高いインセンティブカーブを設定します。
なお、来年度より始まる第21次中期経営計画の策定において、引き続き、企業価値・株主価値向上にむ
けたインセンティブ設計を検討していきます。
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5.固定報酬と変動報酬の支給割合の決定に関する方針
役割・責任毎の業績に対する責任を明確にするため、固定報酬(基本報酬)と変動報酬(業績連動型賞
与、株式取得目的報酬、株価条件付株式報酬)の支給割合は、経営責任の重い者ほど変動報酬の割合が
増える設計としております。2022年度の取締役賞与フォーミュラの改定などにより、最上位の社長執行役
員は、業績目標の標準達成時には、概ね固定・変動の比率が5:5の割合となり、業績目標の最大達成時
には固定・変動の比率が4:6の割合となります。
今後も中長期的な企業価値・株主価値の向上を重視し、株主価値や業績に連動した変動報酬の割合を一
層高めていく方針で、報酬区分ごとの適切な報酬額の検討を継続審議していきます。
6.その他個人別の報酬等についての決定に関する重要な事項
1)株式報酬の返還(マルス・クローバック条項)
株価条件付株式報酬においては、当社取締役会で決定した株式交付規程にマルス条項及びクローバック
条項が定められており、当社に損害を及ぼす重大な不適切行為があったことに起因して取締役を解任され
る、又は辞任する者については、取締役会の決議により、その該当した時点において、それまでに付与さ
れていたポイントの全部又は一部を失効するとともに以降のポイント付与も行われないものとし、当該制
度対象者は失効したポイントに係る受益権を取得しないものとしております。
また、当社株式の交付、及び会社株式に代わる金銭の交付を既に受けた者においても、株式交付ポイン
トの総数に請求日の東京証券取引所における会社株式の終値を乗じて得た額について、返還を請求するこ
とができるものとしております。
2)一定期間の株式売買禁止
株価条件付株式報酬においては、インサイダー取引規制への対応として、当社株式交付後も、退任の翌
日から1年間が経過するまでは当該株の売買を行ってはならないものとしております。
3)著しい環境変化などにおける報酬の取り扱い
著しい環境変化や、急激な業績の悪化、企業価値を毀損するような品質問題、重大事故、不祥事などが
発生した場合には、取締役会の決議により、臨時に取締役報酬を減額又は不支給とすることがあるとして
おります。
7.取締役の個人別の報酬等の内容が決定方針に沿うものであると取締役会が判断した理由
2021年度の取締役の個人別の報酬等の内容の決定にあたっては、報酬委員会が上記決定方針との整合性
を含めた多角的な検討を行い、取締役会は基本的にその答申を尊重した上で審議・決定を行っているた
め、2021年度の取締役の個人別の報酬等の内容は、上記決定方針に沿うものであると判断しております。
8.監査役の報酬に対する考え方
監査役の報酬は、適切に監査を行う役割に対する報酬のみで構成されております。
報酬水準は、監査役会が外部ベンチマークの調査結果を踏まえて協議し、第84回定時株主総会で決議さ
れた監査役報酬枠の範囲内で決定しております。
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② 役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額及び対象となる役員の員数
報酬等の種類別の総額
(百万円)
報酬等の総額 対象人数
固定 短期 中長期
役員区分
(百万円) (名)
株価条件付
株式取得
基本報酬 賞与
株式報酬
目的報酬
取締役
281 224 29 11 14 5
(社外取締役を除く)
監査役
57 57 - - - 3
(社外監査役を除く)
社外役員 107 107 - - - 8
社外取締役 71 71 - - - 5
社外監査役 36 36 - - - 3
計 445 389 29 11 14 16
1 取締役の基本報酬の限度額は、2016年6月17日開催の第116回定時株主総会において、月額46百万円以
内(うち社外取締役分月額7百万円以内)と決議されております。監査役の基本報酬の限度額は、1984
年6月29日開催の第84回定時株主総会において、月額9百万円以内と決議されております。
2 取締役の報酬等の額には、従業員兼務取締役の従業員分給与は含まれておりません。
3 2019年6月21日開催の第119回株主総会において、株価連動給の新規支給の取り止め、株価条件付株式
報酬の導入が決議されております。上記は日本基準により2021年度に費用計上した金額を記載してお
ります。
③ 役員ごとの連結報酬等の総額等
連結報酬等 連結報酬等の種類別の額(百万円)
氏名 の総額 役員区分 会社区分
株式取得
株価条件付
基本報酬 賞与
(百万円)
株式報酬
目的報酬
山下 良則 106 取締役 提出会社 81 10 4 9
(注) CEO及び連結報酬等の総額が1億円以上である者に限定して記載をしております。
④従業員兼務役員の従業員分給与について
従業員兼務役員の従業員分給与に重要なものはありません。
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(5) 【株式の保有状況】
① 投資株式の区分の基準及び考え方
当社は、株式の価値の変動又は株式に係る配当によって利益を受けることを目的とする投資を純投資目的で
ある投資株式とし、それ以外を純投資以外の目的である投資株式としております。
② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式
a. 保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の
内容
当社は、業務提携や、協働ビジネス展開等の円滑化及び強化の観点から、配当等のリターンも勘案しつつ、
今後の当社グループの発展に必要かつ有効と認められる場合に限り、関連するパートナーの株式等を保有する
ことができるものとします。
具体的には、毎年取締役会において個別銘柄ごとに保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか
等を検証し、中長期的に保有の意義が認められなくなったと判断される銘柄については縮減を図るものとして
おります。
b. 銘柄数及び貸借対照表計上額
銘柄数 貸借対照表計上額の
(銘柄) 合計額(百万円)
非上場株式 32 523
非上場株式以外の株式 17 8,042
(当事業年度において株式数が増加した銘柄)
該当事項はありません。
(当事業年度において株式数が減少した銘柄)
銘柄数
株式数の減少に係る売却
価額の合計額(百万円)
(銘柄)
非上場株式 2 5
非上場株式以外の株式 4 3,684
c. 特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報
特定投資株式
当事業年度 前事業年度
当社の株
保有目的、定量的な保有効果
株式数(株) 株式数(株)
銘柄 式の保有
及び株式数が増加した理由
の有無
貸借対照表計上額 貸借対照表計上額
(百万円) (百万円)
390,000 390,000
業務提携や協働ビジネス展開等の
㈱大塚商会 有
円滑化及び強化。
1,694 2,020
121,976 121,976
安定的な仕入取引関係の維持及び
日本電産㈱ 無
強化。
1,189 1,638
1,113,320 3,362,820
安定的な販売取引関係の維持及び
三愛石油㈱ 有
強化。
1,045 4,415
313,748 313,748
安定的な販売取引関係、仕入取引
Sindoh Co., Ltd
無
関係の維持及び強化。
1,010 941
500,429 500,429
安定的な販売取引関係、仕入取引
ウシオ電機㈱ 有
関係の維持及び強化。
913 730
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当事業年度 前事業年度
当社の株
保有目的、定量的な保有効果
株式数(株) 株式数(株)
銘柄 式の保有
及び株式数が増加した理由
の有無
貸借対照表計上額 貸借対照表計上額
(百万円) (百万円)
40,000 40,000
安定的な販売取引関係の維持及び
東海旅客鉄道㈱ 無
強化。
638 662
118,100 118,100
安定的な販売取引関係の維持及び
久光製薬㈱ 有
強化。
432 851
1,701,500 1,701,500
業務提携や協働ビジネス展開等の
XAVIS.co.,Ltd. 無
円滑化及び強化。
343 366
34,500 34,500
東京海上ホールディ 安定的な販売取引関係、保険取引
有
ングス㈱ 関係の維持及び強化。
245 181
業務提携や協働ビジネス展開等の
200,000 -
円滑化及び強化。東京証券取引所
Tokyo Pro Marketに株式を上場し
エヴィクサー㈱ 無
たため当事業年度より記載してお
240 -
ります。
81,024 81,024
安定的な販売取引関係の維持及び
日本製紙㈱ 有
強化。
84 107
12,403 12,403
SOMPOホールディン 安定的な販売取引関係、保険取引
有
グス㈱ 関係の維持及び強化。
66 52
17,185 17,185
安定的な仕入取引関係の維持及び
日本紙パルプ商事㈱ 有
強化。
66 62
12,409 12,409
安定的な販売取引関係の維持及び
SMK㈱ 有
強化。
27 35
17,500 330,000
業務提携や協働ビジネス展開等の
㈱WACUL 無
円滑化及び強化。
17 941
5,813 5,813
安定的な販売取引関係の維持及び
スタンレー電気㈱ 有
強化。
13 19
安定的な販売取引関係、仕入取引
2,790 930
TDK㈱ 関係の維持及び強化。株式分割に 有
12 14
より株式数が増加しております。
- 500,000
2021年12月9日に売却が完了して
マックス㈱ 有
おります。
- 818
- 112,409
三井住友トラスト・ 2021年8月23日に売却が完了して
有
ホールディングス㈱ おります。
- 433
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みなし保有株式
当事業年度 前事業年度
当社の株
保有目的、定量的な保有効果
株式数(株) 株式数(株)
銘柄 式の保有
及び株式数が増加した理由
の有無
貸借対照表計上額 貸借対照表計上額
(百万円) (百万円)
7,790,000 7,790,000
㈱三菱UFJフィナン 退職給付信託契約による議決権行
有
シャル・グループ 使の指図権限。
6,018 4,691
5,800,000 5,800,000
退職給付信託契約による議決権行
三愛石油㈱ 有
使の指図権限。
5,514 7,684
1,300,000 1,300,000
退職給付信託契約による議決権行
スタンレー電気㈱ 有
使の指図権限。
3,048 4,311
1,388,000 1,388,000
退職給付信託契約による議決権行
ウシオ電機㈱ 有
使の指図権限。
2,593 2,055
544,500 544,500
㈱みずほフィナン 退職給付信託契約による議決権行
有
シャルグループ 使の指図権限。
871 887
(注) 1 貸借対照表計上額の上位銘柄を選定する段階で、特定投資株式とみなし保有株式を合算しておりません。
2 「-」は、当該銘柄を保有していないことを示しております。
3 当該株式の発行者が子会社の経営管理を行うことを主たる業務とする場合に該当すると考えられる者等に
ついては、その者の子会社の保有状況を含めて当社の株式の保有の有無を記載しております。
4 定量的な保有効果は個別の取引条件を開示できないため記載が困難であります。なお、保有の合理性につ
いては、業務提携や、協働ビジネス展開等の円滑化及び強化の観点から、配当等のリターンも勘案しつ
つ、今後の当社グループの発展に必要かつ有効と認められるか、保有に伴う便益やリスクが資本コストに
見合っているか等の観点から検証しております。
③ 保有目的が純投資目的である投資株式
当社は保有目的が純投資目的である投資株式を保有しておりません。
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第5 【経理の状況】
1 連結財務諸表及び財務諸表の作成方法について
(1) 当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)
第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、第93条の規定により、国際会計基準
(以下、IFRS)に準拠して作成しております。
(2) 当社の財務諸表は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号。以下「財
務諸表等規則」という。)に基づいて作成しております。
また、当社は、特例財務諸表提出会社に該当し、財務諸表等規則第127条の規定により財務諸表を作成しておりま
す。
2 監査証明について
当社は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日ま
で)の連結財務諸表及び事業年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)の財務諸表について、有限責任監査法
人トーマツにより監査を受けております。
3 連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組み及びIFRSに基づいて連結財務諸表を適正に
作成することができる体制の整備について
当社は、連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組み及びIFRSに基づいて連結財務諸表を適正に作成す
ることができる体制の整備を行っております。その内容は以下のとおりです。
(1) 会計基準等の内容を適切に把握し、又は会計基準等の変更等について的確に対応するため、公益財団法人財務
会計基準機構等から情報の収集を行い、適正性の確保に努めております。
(2) IFRSの適用については、国際会計基準審議会が公表するプレスリリースや基準書を随時入手し、最新の基準の
把握を行っております。また、IFRSに基づく適正な連結財務諸表等を作成するために、IFRSに準拠したグループ会計
方針及び会計指針を作成し、それらに基づいて会計処理を行っております。
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1 【連結財務諸表等】
(1) 【連結財務諸表】
① 【連結財政状態計算書】
前連結会計年度 当連結会計年度
注記
区分 (2021年3月31日) (2022年3月31日)
番号
(百万円) (百万円)
(資産の部)
流動資産
現金及び現金同等物 7 334,810 240,308
定期預金 7 238 81
営業債権及びその他の債権 8 392,132 397,148
その他の金融資産 14,15 92,823 92,293
棚卸資産 9 192,016 232,558
46,725 50,034
その他の流動資産
流動資産合計
1,058,744 1,012,422
非流動資産
有形固定資産 11,13 191,963 188,439
使用権資産 13,14 63,653 57,730
のれん及び無形資産 12,13 225,510 259,482
その他の金融資産 14,15 136,093 128,321
持分法で会計処理されている投資 38 79,504 81,396
その他の投資 16 18,504 12,329
その他の非流動資産 29,773 31,942
84,124 81,193
繰延税金資産 22
非流動資産合計
829,124 840,832
資産合計 5 1,887,868 1,853,254
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当連結会計年度
前連結会計年度
注記
区分 (2021年3月31日) (2022年3月31日)
番号
(百万円)
(百万円)
(負債及び資本の部)
流動負債
社債及び借入金 18 82,731 114,395
営業債務及びその他の債務 17 287,160 268,534
リース負債 14 25,475 22,665
その他の金融負債 20 1,669 2,079
未払法人所得税 7,213 11,143
引当金 19 12,946 9,941
240,322 264,691
その他の流動負債 21
流動負債合計
657,516 693,448
非流動負債
社債及び借入金 18 139,676 121,042
リース負債 14 46,737 44,444
退職給付に係る負債 23 70,463 45,728
引当金 19 11,413 9,607
その他の非流動負債 21 34,469 29,029
3,742 4,131
繰延税金負債 22
非流動負債合計
306,500 253,981
負債合計 964,016 947,429
資本
資本金 25 135,364 135,364
資本剰余金 25 186,231 180,942
自己株式 25 △ 45,024 △ 460
その他の資本の構成要素 82,097 126,341
561,578 459,855
利益剰余金 25
親会社の所有者に帰属する持分合計
920,246 902,042
非支配持分 3,606 3,783
資本合計 923,852 905,825
負債及び資本合計 1,887,868 1,853,254
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② 【連結損益計算書及び連結包括利益計算書】
【連結損益計算書】
前連結会計年度 当連結会計年度
注記 (自2020年4月1日 比率 (自2021年4月1日 比率
区分
番号 至2021年3月31日) (%) 至2022年3月31日) (%)
(百万円) (百万円)
売上高 5,29 1,682,069 100.0 1,758,587 100.0
1,109,762 1,135,920
売上原価 21
売上総利益 34.0 35.4
572,307 622,667
13,21,
販売費及び一般管理費 619,740 600,269
30,31
その他の収益 21,27 5,791 17,960
3,787 306
のれんの減損 13
営業利益(△損失) △2.7 2.3
△ 45,429 40,052
金融収益 32 4,373 2,532
金融費用 32 3,617 3,800
3,645 5,604
持分法による投資損益 38
税引前利益(△損失) △2.4 2.5
△ 41,028 44,388
△ 8,364 13,763
法人所得税費用 22
当期利益(△損失)
△ 32,664 30,625
当期利益(△損失)の帰属
先:
親会社の所有者 △ 32,730 △1.9 30,371 1.7
非支配持分 66 254
前連結会計年度 当連結会計年度
注記
(自2020年4月1日 (自2021年4月1日
区分
番号
至2021年3月31日) 至2022年3月31日)
1株当たり当期利益(△損失)(親会社の所有者に
34
帰属):
基本的 △ 45.20 円 45.35 円
希薄化後 △ 45.20 円 45.34 円
(注) その他の収益には固定資産売却益等が含まれております。
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【連結包括利益計算書】
前連結会計年度 当連結会計年度
注記 (自2020年4月1日 (自2021年4月1日
区分
番号 至2021年3月31日) 至2022年3月31日)
(百万円) (百万円)
△ 32,664 30,625
当期利益(△損失)
その他の包括利益 33
純損益に振り替えられることのない項目
確定給付制度の再測定 13,804 14,515
その他の包括利益を通じて測定する金融資産の
2,868 △ 1,851
公正価値の純変動
持分法適用会社におけるその他の包括利益に対
197 187
する持分相当額
純損益に振り替えられることのない項目合計 16,869 12,851
純損益に振り替えられる可能性のある項目
キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値の純変動 △ 827 590
在外営業活動体の換算差額 38,594 46,775
持分法適用会社におけるその他の包括利益に対す
81 99
る持分相当額
純損益に振り替えられる可能性のある項目合計 37,848 47,464
その他の包括利益合計 54,717 60,315
当期包括利益
22,053 90,940
当期包括利益の帰属先:
親会社の所有者 21,897 90,733
非支配持分 156 207
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③ 【連結持分変動計算書】
その他の資本の構成要素
その他の
包括利益を
キャッシュ・
通じて
資本金 資本剰余金 自己株式
注記
在外営業活動
確定給付制度 フロー・ヘッ
区分
測定する
番号
(百万円) (百万円) (百万円)
の再測定 ジの公正価値 体の換算差額
金融資産の
の純変動
(百万円)
(百万円)
公正価値の
(百万円)
純変動
(百万円)
2020年4月1日残高 135,364 186,173 △ 37,795 - 5,191 409 36,168
当期利益(△損失)
13,882 2,880 △ 839 38,552
その他の包括利益 33
当期包括利益 - - - 13,882 2,880 △ 839 38,552
自己株式の取得及び売却
△ 7,296
配当金 25
株式報酬取引 24 58 5
連結子会社の株式報酬取引
子会社の支配喪失に伴う変動 28
その他の資本の構成要素
△ 13,882 △ 264
から利益剰余金への振替
62
その他
所有者との取引等合計
- 58 △ 7,229 △ 13,882 △ 264 - -
2021年3月31日残高 135,364 186,231 △ 45,024 - 7,807 △ 430 74,720
当期利益(△損失)
14,571 △ 1,720 676 46,835
その他の包括利益 33
当期包括利益 - - - 14,571 △ 1,720 676 46,835
自己株式の取得及び売却 25
△ 139 △ 92,717
自己株式の消却 25 △ 5,188 137,265
配当金 25
株式報酬取引 24 38 16
その他の資本の構成要素
△ 14,571 △ 1,547
から利益剰余金への振替
その他
所有者との取引等合計
- △ 5,289 44,564 △ 14,571 △ 1,547 - -
2022年3月31日残高 135,364 180,942 △ 460 - 4,540 246 121,555
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その他の資本の
構成要素
売却目的で
親会社の所有
保有する
非支配持分 資本合計
利益剰余金 者に帰属する
注記 処分グループに
区分
その他の資本の
番号 関連するその他
(百万円) 持分合計
(百万円) (百万円)
構成要素合計
の包括利益
(百万円)
(百万円)
(百万円)
2020年4月1日残高 41,768 130 594,731 920,371 88,156 1,008,527
当期利益(△損失) △ 32,730 △ 32,730 66 △ 32,664
54,475 152 54,627 90 54,717
その他の包括利益 33
当期包括利益 54,475 152 △ 32,730 21,897 156 22,053
自己株式の取得及び売却
△ 7,296 △ 7,296
配当金 25 △ 14,851 △ 14,851 △ 34 △ 14,885
株式報酬取引 24 63 63
連結子会社の株式報酬取引 - 4 4
子会社の支配喪失に伴う変動 28 - △ 84,676 △ 84,676
その他の資本の構成要素
△ 14,146 △ 282 14,428 - -
から利益剰余金への振替
62 62
その他
所有者との取引等合計
△ 14,146 △ 282 △ 423 △ 22,022 △ 84,706 △ 106,728
2021年3月31日残高 82,097 - 561,578 920,246 3,606 923,852
当期利益(△損失) 30,371 30,371 254 30,625
60,362 60,362 △ 47 60,315
その他の包括利益 33
当期包括利益 60,362 - 30,371 90,733 207 90,940
自己株式の取得及び売却 25
△ 92,856 △ 92,856
自己株式の消却 25 △ 132,077 - -
配当金 25 △ 14,058 △ 14,058 △ 30 △ 14,088
株式報酬取引 24 54 54
その他の資本の構成要素
△ 16,118 16,118 - -
から利益剰余金への振替
△ 2,077 △ 2,077 △ 2,077
その他
所有者との取引等合計
△ 16,118 - △ 132,094 △ 108,937 △ 30 △ 108,967
2022年3月31日残高 126,341 - 459,855 902,042 3,783 905,825
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④ 【連結キャッシュ・フロー計算書】
前連結会計年度 当連結会計年度
注記
(自2020年4月1日 (自2021年4月1日
区分
至2021年3月31日) 至2022年3月31日)
番号
(百万円) (百万円)
Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー
当期利益(△損失) △ 32,664 30,625
営業活動による純増額への調整
減価償却費及び無形資産償却費 5 104,618 90,479
有形固定資産及び無形資産等の減損 13 24,879 762
のれんの減損 13 3,787 306
その他の収益 27 △ 1,502 △ 13,299
持分法による投資損益 38 △ 3,645 △ 5,604
金融収益及び金融費用 32 △ 756 1,268
法人所得税費用 22 △ 8,364 13,763
営業債権及びその他の債権の減少 29,727 13,448
棚卸資産の減少(△増加) 16,413 △ 28,533
リース債権の減少 15,572 23,285
営業債務及びその他の債務の減少 △ 4,712 △ 26,212
退職給付に係る負債の減少 △ 12,315 △ 9,306
その他(純額) 14,056 13,907
利息及び配当金の受取額 3,418 3,457
利息の支払額 △ 3,259 △ 3,795
法人所得税の支払額 △ 18,291 △ 22,089
営業活動によるキャッシュ・フロー 126,962 82,462
Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー
有形固定資産の売却 4,823 15,062
有形固定資産の取得 △ 42,155 △ 37,359
無形資産の売却 60 -
無形資産の取得 △ 24,779 △ 33,683
有価証券の取得 △ 1,052 △ 442
有価証券の売却 491 6,327
定期預金の増減(純額) △ 168 162
事業の買収(取得時の現金及び現金同等物受入額控除後) △ 8,431 △ 9,422
子会社の支配喪失による増加 28 7,846 -
その他 △ 194 -
投資活動によるキャッシュ・フロー △ 63,559 △ 59,355
Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー
短期借入債務の増減(純額) 18 △ 19,428 15,990
長期借入債務による調達 18 98,482 37,140
長期借入債務の返済 18 △ 12,817 △ 46,664
社債の償還 18 △ 12,413 -
リース負債の返済 18 △ 35,728 △ 31,146
支払配当金 25 △ 14,851 △ 14,058
自己株式の取得 25 △ 7,296 △ 92,717
その他 △ 34 △ 230
財務活動によるキャッシュ・フロー △ 4,085 △ 131,685
Ⅳ 換算レートの変動に伴う影響額 7,338 12,254
Ⅴ 現金及び現金同等物の純増額 66,656 △ 96,324
Ⅵ 現金及び現金同等物の期首残高 263,688 330,344
Ⅶ 現金及び現金同等物の期末残高 7 330,344 234,020
(注)連結財政状態計算書上の現金及び現金同等物と連結キャッシュ・フロー計算書上の現金及び現金同等物の差異は当座借越であります。
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有価証券報告書
【連結財務諸表注記】
1 報告企業
株式会社リコー(以下、当社)は日本に所在する企業であります。当社の連結財務諸表は、当社及び連結子会社(以
下、当社グループ)、並びに当社の関連会社に対する持分により構成されております。当社グループは、デジタルサー
ビス、デジタルプロダクツ、グラフィックコミュニケーションズ、インダストリアルソリューションズ及びその他のセ
グメントにおいて、開発、生産、販売・サービス等の活動を展開しております。各分野の内容については、注記5 事業
セグメント に記載しております。
当社グループは2021年4月1日より社内カンパニー制を導入しました。そのため、当連結会計年度より、事業の種類
別セグメントを変更しております。この変更に関して、前連結会計年度についても遡及適用した数値で表示しておりま
す。
2 作成の基礎
(1)連結財務諸表がIFRSに準拠している旨の記載
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに準拠して作成しております。当
社は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。以下、「連結財務諸
表規則」という)第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件をすべて満たしているため、同第93条
の規定を適用しております。
(2)測定の基礎
当社グループの連結財務諸表は、注記3 重要な会計方針 に記載のとおり、公正価値で測定されている特定の金
融商品、退職後給付に係る資産又は負債等を除き、取得原価を基礎として作成しております。
(3)機能通貨及び表示通貨
当社グループ各社の財務諸表に含まれる項目は、当社グループ各社がそれぞれ営業活動を行う主たる経済環境の
通貨(以下、「機能通貨」という。)を用いて測定しております。連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円
を表示通貨としており、百万円未満を四捨五入して表示しております。
(4)新基準書の早期適用
早期適用した基準書等はありません。
(5)見積り及び判断の利用
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報
告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定をすることが義務付けられております。ただし、実際の業績はこ
れらの見積りとは異なる場合があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直しております。会計上の見積りの改定は、見積りが改定された会
計期間及び影響を受ける将来の会計期間において認識されます。
当社グループは、当連結会計年度の連結財務諸表においては、新型コロナウイルス感染症の新たな変異株の世界
的な再拡大及び部材不足や物流の問題に伴う供給の制約による当社グループの業績への影響が翌連結会計年度以降
においても一定程度残るものの、将来に向けて徐々に改善に向かうものと仮定しております。
見積り及び仮定のうち、当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える事項は、有形固定資
産、無形資産及びのれんの減損、及び繰延税金資産の認識であります。当社グループは、上述の仮定に基づいて将
来の事業計画を設定した上で、のれん及び固定資産の減損テストや繰延税金資産の回収可能性の評価を行っており
ます。詳細につきましては、注記13 減損損失 (有形固定資産、無形資産及びのれんの減損)及び注記22 法人
所得税 (繰延税金資産の認識)をそれぞれ参照ください。
なお、上述の事項以外に翌連結会計年度において重要な修正をもたらすリスクのある仮定及び見積りの不確実性
に関する事項は以下のとおりです。
注記14 リース(リース期間の見積り)
注記19 引当金(債務を決済するために必要となる支出の見積り)
注記23 従業員給付(確定給付制度債務の現在価値等の見積り)
注記26 金融商品及び関連する開示(貸倒引当金、金融商品の公正価値の見積り)
注記29 売上高(収益の認識における変動対価の見積り)
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3 重要な会計方針
(1) 連結の基礎
① 企業結合
企業結合は取得法を用いて会計処理しております。のれんは、取得日時点で移転された対価、被取得企業の非支
配持分の金額、及び段階取得の場合には取得日以前に保有していた被取得企業の資本持分の取得日公正価値の合計
額から、取得日時点の識別可能な取得資産及び引受負債の純認識額を控除した額で、測定しております。この差額
が負の金額である場合には即時に純損益として認識しております。企業結合が生じた期間の末日までに企業結合の
当初の会計処理が完了していない場合には、暫定的な金額で会計処理を行い、取得日から1年以内の測定期間にお
いて、暫定的な金額の修正を行います。発生した取得費用は損益として処理しております。
共通支配下における企業結合取引、すなわち、すべての結合企業又は結合事業が最終的に企業結合の前後で同じ
当事者によって支配され、その支配が一時的なものではない企業結合取引については、帳簿価額に基づき会計処理
しております。
② 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。企業への関与により生じる変動リターンに対
するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、企業に対するパワーによりそのリターンに影響を及ぼす能力を有し
ている場合、当社グループはその企業を支配しています。
子会社の財務諸表は、支配を獲得した日から支配を喪失する日までの間、当社の連結財務諸表に含まれておりま
す。
子会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財
務諸表の調整を行っております。
連結財務諸表の作成にあたり、連結会社間の債権・債務及び連結会社間の取引は、消去しております。
支配が継続する子会社に対する当社の持分変動は、資本取引として会計処理しております。非支配持分の調整額
と対価の公正価値との差額は、当社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識しております。
支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得及び損失は純損益で認識しております。
③ 関連会社
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配をしてい
ない企業をいいます。
関連会社(以下、持分法適用会社)への投資は、持分法を用いて会計処理しており、取得時に取得原価で認識し
ております。当社グループの投資には、取得時に認識したのれんが含まれております。
連結財務諸表には、重要な影響が開始した日から終了する日までの持分法適用会社の収益・費用及び持分の変動
に対する当社持分が含まれております。持分法適用会社の会計方針は、当社グループが適用する会計方針と整合さ
せるため、必要に応じて修正しております。
(2) 外貨
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日における為替レートで当社グループの各機能通貨に換算しております。期末日における外
貨建貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に再換算しております。公正価値で測定される外貨建
非貨幣性資産及び負債は、当該公正価値の算定日における為替レートで機能通貨に再換算しております。
再換算及び決済により発生した換算差額は、その期間の純損益で認識しております。
② 在外営業活動体
在外営業活動体の資産及び負債は、取得により発生したのれん及び公正価値の調整額を含め、期末日の為替レー
トで換算しております。また、在外営業活動体の収益及び費用は、為替レートが著しく変動している場合を除き、
期中の平均レートで換算しております。為替レートに著しい変動がある場合には、取引日の為替レートが使用され
ます。
換算差額はその他の包括利益で認識しております。在外営業活動体を処分し、支配、重要な影響力を喪失する場
合には、この在外営業活動体に関連する換算差額の累積額は、処分に係る利得又は損失の一部として純損益に振り
替えられます。
(3) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に一定の金額に換金可能であり、かつ価値
の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されてお
ります。
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(4) 棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のうちいずれか低い方の金額で測定しております。棚卸資産の取得原
価には、購入原価及び加工費が含まれており、主として総平均法に基づいて算定されております。加工費は、固定
及び変動製造間接費の適切な配賦額を含んでおります。
正味実現可能価額は、通常の事業過程における予想売価から、完成までに要する見積原価及び販売に要する見積
費用を控除した金額であります。
(5) 売却目的で保有する資産
継続的使用ではなく、主に売却取引により帳簿価額が回収される非流動資産(又は処分グループ)は、売却目的
保有として分類しております。
非流動資産(又は処分グループ)を売却目的へ分類するためには、現状のままで直ちに売却することが可能であ
り、かつ、経営者が非流動資産(又は処分グループ)の売却計画の実行を確約し、売却が1年以内に完了する見込
みである場合に限っており、その売却の可能性が非常に高いと言えることを条件としております。
売却目的保有へ分類した後には、非流動資産(又は処分グループ)を帳簿価額と売却費用控除後の公正価値のい
ずれか低い方の金額で測定し、減価償却を行っておりません。
非流動資産(又は処分グループ)の測定について、当社グループは、売却コスト控除後の公正価値までの当初又
は事後の評価減にかかる減損損失を純損益で認識しており、利得を認識する場合には過去に認識した減損損失累計
額を超えない金額を上限としております。
(6) 有形固定資産
① 認識及び測定
有形固定資産については、原価モデルを適用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額
で表示しております。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、資産の解体・除去等に係る費用の見積り額が含まれておりま
す。
有形固定資産の構成要素の耐用年数が構成要素ごとに異なる場合は、それぞれ別個の有形固定資産項目として計
上しております。
② 取得後の支出
通常の維持及び補修に係る支出については発生時に費用として処理し、主要な取替及び改良に係る支出について
は、その支出により将来当社グループに経済的便益がもたらされることが見込まれる場合に限り資産計上しており
ます。
③ 減価償却
土地及び建設仮勘定以外の有形固定資産は、主として見積耐用年数にわたる定額法で減価償却を行っておりま
す。主な有形固定資産の見積耐用年数は建物及び構築物が2年から60年、機械装置及び運搬具が1年から20年、工
具器具及び備品が1年から20年であります。減価償却方法、耐用年数及び残存価額は、連結会計年度期末日ごとに
見直しを行い、必要に応じて改定しております。
(7) のれん及び無形資産
① のれん
のれんの当初認識時における測定は、「(1) 連結の基礎 ① 企業結合」に記載しております。のれんについては
償却を行わず、取得原価から減損損失累計額を控除して測定しております。
② 無形資産
当社グループは、無形資産の測定において原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を
控除した価額で表示しております。
(ⅰ)自社利用ソフトウエア
当社グループは、自社利用ソフトウエアの取得及び開発に際し発生した内部及び外部向けの一定の原価を資産計
上しております。これはアプリケーション開発段階及びソフトウエアのアップグレードや機能性を付加する増強の
際に発生するもので、概ね2年から10年にわたり定額法で償却しております。
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(ⅱ)開発資産
当社グループの開発活動(又は内部プロジェクトの開発局面)で発生した費用は、以下のすべての条件を満たし
たことを立証できる場合にのみ、資産計上しております。
・使用又は売却できるように無形資産を完成させることの技術上の実行可能性
・無形資産を完成させ、さらにそれを使用又は売却するという企業の意図
・無形資産を使用又は売却できる能力
・無形資産が蓋然性の高い将来の経済的便益を創出する方法
・無形資産の開発を完成させ、さらにそれを使用又は売却するために必要となる、適切な技術上、財務上及び
その他の資源の利用可能性
・開発期間中の無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力
これらの開発資産の償却は、当該プロジェクトの終了の後、量産が開始される時点より償却され、当該開発資産
が正味のキャッシュ・インフローをもたらすと期待される2年から10年の見積耐用年数にわたって定額法により
行っております。なお、上記の資産計上の要件を満たさない開発費用及び研究活動に関する支出は、発生時に費用
処理しております。
(ⅲ)その他の無形資産
個別に取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しております。企業結合の一部として取得し、のれん
と区別して認識された無形資産は、当初認識時に取得日時点の公正価値で測定しております。
(ⅳ)償却(開発資産を除く)
耐用年数の確定できる無形資産については、経済的耐用年数にわたって償却し、減損の兆候がある場合には減損
の有無を判定しております。耐用年数が確定できる無形資産は、主にソフトウエア、顧客関係及び商標権からなっ
ており、その見積耐用年数にわたり定額法で償却しております。その見積耐用年数は1年から20年です。耐用年数
が確定できない無形資産又は未だ使用可能ではない無形資産は償却を行わず、耐用年数が明らかになるまで減損テ
ストを行っております。
(8) 有形固定資産、使用権資産、のれん及び無形資産の減損
当社グループは、棚卸資産及び繰延税金資産を除く非金融資産の帳簿価額について、報告期間の末日ごとに減損
の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能価額に基づく減損テスト
を実施しております。のれん、耐用年数を確定できない無形資産及び未だ使用可能ではない無形資産については、
減損の兆候の有無に関わらず毎年減損テストを実施しております。
減損テスト実施の単位である資金生成単位については、他の資産又は資産グループのキャッシュ・インフローか
ら概ね独立したキャッシュ・インフローを生成させるものとして識別される資産グループの最小単位としておりま
す。のれんの資金生成単位については、内部管理目的でモニターされている最小の単位で、集約前における事業セ
グメントの範囲内となっております。
資産又は資金生成単位の回収可能価額は、処分費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額として
おります。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間価値及び将来キャッシュ・フ
ローの見積りにおいて考慮されていない当該資産に固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割
り引いております。
全社資産は独立したキャッシュ・インフローを生成しないため、全社資産に減損の兆候がある場合、当該全社資
産が帰属する資金生成単位の回収可能価額に基づき減損テストを実施しております。
減損損失は、資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に認識しております。資金生成単
位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に当
該単位内のその他の資産に対し、各資産の帳簿価額の比に基づき配分しております。
過去の期間に減損損失を認識した資産又は資金生成単位については、過去の期間に認識した減損損失の戻し入れ
の兆候の有無を判断しております。減損損失の戻し入れの兆候が存在する資産又は資金生成単位については、回収
可能価額を見積り、回収可能価額が帳簿価額を上回る場合に減損損失の戻し入れを行っております。減損損失の戻
し入れ後の帳簿価額は、減損損失を認識しなかった場合に戻し入れが発生した時点まで減価償却又は償却を続けた
場合の帳簿価額を上限としております。なお、のれんに関連する減損損失は戻し入れをしておりません。
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(9) リース
① 借手としてのリース
当社グループは、リースの契約時に、当該契約がリース又はリースを含んだものであるのか否かを判定しており
ます。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約
はリースであるか又はリースを含んでいると判定しております。
原資産が不動産である場合、契約の対価を、独立価格の比率に応じてリース構成部分と非リース構成部分に配分
しております。また、原資産が不動産以外である場合、リース構成部分と非リース構成部分を区別せずに、単一の
リース構成部分として会計処理をすることを選択しております。契約がリースであるか又はリースを含んでいる場
合、当社グループはリースの開始日において使用権資産及びリース負債を認識しております。
リース負債は、リース料総額の未決済分を開始日における借手の追加借入利子率を用いて割り引いた現在価値で
測定しております。使用権資産は、リース負債の当初測定額に前払リース料等を調整した額で当初の測定を行って
おります。
使用権資産については、原価モデルを適用し、見積耐用年数又はリース期間のいずれか短い方の期間にわたって
定額法により減価償却しております。リース料は、実効金利法に基づき、金利費用とリース負債の返済額とに配分
しております。金利費用は連結損益計算書上、使用権資産に係る減価償却費と区分して表示しております。ただ
し、リース期間が12か月以内の短期リース及び原資産が少額のリースについては、使用権資産及びリース負債を認
識せず、当該リースに関連したリース料を、リース期間にわたり定額法により費用として認識しております。
② 貸手としてのリース
契約により、実質的にすべてのリスク及び経済的便益が借手に移転するリースは、ファイナンス・リースとして
分類しております。ファイナンス・リース以外のリースはオペレーティング・リースに分類しております。
製造業者又は販売業者としての貸手となる場合、ファイナンス・リースに係る販売損益は、物品販売と同様の会
計方針に従って認識しております。金融収益については、リース期間の起算日以降実効金利法に基づき認識してお
ります。製造業者又は販売業者としての貸手にならない場合、金融収益について、リース期間の起算日以降実効金
利法に基づき認識しております。計算利子率は、最低受取リース料総額と無保証残存価値を合計した現在価値を、
リース資産の公正価値と貸手の当初直接コストの合計額と等しくする割引率を使用しております。
オペレーティング・リースに係る収益は、リース期間にわたり定額法で認識しております。
(10) 引当金
引当金は、当社グループが過去の事象の結果として現在の債務を有しており、当該債務を決済するために経済的
便益をもつ資源の流出が必要となる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に認
識しております。
貨幣の時間的価値の影響が重要である場合、引当金は当該負債に特有のリスクを反映させた割引率を用いた現在
価値により測定しております。
資産除去債務は、資産の解体・除去費用、原状回復費用、並びに資産を使用した結果生じる支出に関して引当金
を認識するとともに、当該資産の取得原価に加算しております。将来の見積費用及び適用された割引率は毎年見直
され、修正が必要と判断された場合は当該資産の帳簿価額に加算又は控除し、会計上の見積りの変更として処理し
ております。
製品保証引当金は、製品のアフターサービスに対する費用支出に備えるため、保証期間内のサービス費用見積額
に基づき計上しております。なお、製品保証引当金繰入額は、連結損益計算書上、売上原価に含めて表示しており
ます。
(11) 政府補助金
政府補助金は、その補助金交付に付帯する諸条件を満たし、かつ補助金を受領するという合理的な保証が得られ
た時に公正価値で認識しております。収益に関する補助金は、補助金により保証される期間にわたって、純損益と
して認識しています。純損益として認識された補助金については主に関連する費用から控除しております。また、
資産の取得に対する補助金は、繰延収益として認識し、補助金の対象設備の耐用年数にわたって、純損益で認識し
ております。
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(12) 従業員給付
① 退職後給付
当社グループは、確定給付型年金制度及び確定拠出型年金制度を採用しています。
確定給付型年金制度に関連する純債務は、制度ごとに従業員が過年度及び当連結会計年度において獲得した将来
給付額の現在価値から制度資産の公正価値を差し引くことにより算定しています。確定給付型年金制度から生じる
数理計算上の差異はその他の包括利益で認識し、発生時にその他の資本の構成要素から利益剰余金に振り替えてい
ます。また、過去勤務費用は発生時に純損益として認識しています。
確定拠出型年金制度の拠出は、従業員が関連するサービスを提供した時点で費用として認識しています。
② 短期従業員給付
短期従業員給付は、関連するサービスが提供された時点で費用として認識しています。当社グループが従業員か
ら過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的及び推定的債務を負っており、かつその金額を信頼性
をもって見積ることができる場合、支払われると見積られる額を負債として認識しています。
(13) 株式に基づく報酬
当社グループは、持分決済型の株式報酬制度を採用しております。
持分決済型の株式報酬制度において、受け取ったサービスの対価は、付与した資本性金融商品の付与日における
公正価値を参照して測定し、付与日から権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を資本剰余金の増加として
認識しております。
(14) 金融商品
当社グループは、非デリバティブ金融資産及び金融負債をそれぞれ、(ⅰ)償却原価で測定する金融資産、(ⅱ)
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品、(ⅲ)その他の包括利益を通じて公正価値で測定す
る資本性金融商品、(iv)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産、(v)償却原価で測定する金融負債に分類
しています。
① 当初認識及び測定
当社グループは、営業債権及びその他の債権を発生日に当初認識しています。通常の方法で売買される金融資産
は決済日に当初認識しております。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は公正価値で当初認識しておりま
す。償却原価で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品及び資本性金
融商品は、取得に直接帰属する取引コストを公正価値に加算した金額で当初認識しております。ただし、重大な金
融要素を含んでいない売上債権は、取引価格で当初測定しております。
② 分類及び事後測定
(ⅰ)償却原価で測定する金融資産
当社グループが保有する金融資産のうち、以下の要件をともに満たす場合には、償却原価で測定する金融資産
に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて
保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが特定
の日に生じる。
当初認識後、実効金利法を用いて算定し、必要な場合には減損損失を控除した金額で測定しております。実効
金利法による償却及び認識が中止された場合の利得又は損失は、当期の純損益で認識しております。
(ⅱ)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品
当社グループが保有する金融資産のうち、以下の要件をともに満たす場合には、その他の包括利益を通じて公
正価値で測定する負債性金融商品に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収と売却の両方を目的とする事業モデルに基づいて保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが特定
の日に生じる。
当初認識後は公正価値で測定し、事後的な変動のうち、為替差損益、減損利得又は減損損失、利息収益は純損
益に認識し、その他の変動は、その他の包括利益に含めて認識しております。認識を中止した場合には、その他
の包括利益の累積額を純損益に振り替えております。
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(ⅲ)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品
償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品以外の金融資産
のうち、当初認識時に事後の公正価値の変動をその他の包括利益で表示するという取消不能な選択をした資本性
金融商品につきましては、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品に分類しております。
当初認識後は公正価値で測定し、その変動額はその他の包括利益として認識しております。当該金融資産の公
正価値が著しく下落した場合、又は認識を中止した場合にはその他の包括利益の累積額を利益剰余金に直接振り
替えております。
なお、当該金融資産からの配当金につきましては、純損益として認識しております。
(iv)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産、又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品及び資本性
金融資産以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
当初認識後は公正価値で測定し、その変動額は純損益として認識しております。
(v)償却原価で測定する金融負債
当社グループが保有する社債及び借入金、営業債務及びその他の債務につきましては公正価値から金融負債の
発行に直接帰属する取引費用を控除して当初認識しております。当初認識後は、これらの金融負債は償却原価で
測定しております。
③ 非デリバティブ金融資産及び非デリバティブ金融負債の認識の中止
金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は、当該金融資産の所有に係
るリスク及び便益を実質的にすべて移転する取引において金融資産を譲渡する場合に、当該金融資産の認識を中止
しております。
金融負債は、契約上の義務が免責、取消、又は失効となった場合に、認識を中止しております。
④ 非デリバティブ金融資産の減損
償却原価で測定する金融資産等に係る減損につきましては、当該金融資産に係る予想信用損失に対して貸倒引当
金を認識しております。当社グループは、年度の末日ごとに、金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく
増大したかどうかを評価しております。信用リスクが著しく増大しているか否かの判断は、債務不履行が発生する
リスクの変化に基づいており、その判断にあたっては、一定の期日経過情報や取引先の財政状態悪化等の客観的情
報を考慮しております。
金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、当該金融商品に係る貸倒引当金を
12ヶ月の予想信用損失と同額で測定しております。金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大してい
る場合には、当該金融商品に係る貸倒引当金を全期間の予想信用損失と同額で測定しております。ただし、重大な
金融要素を含んでいない売上債権等につきましては、単純化したアプローチにより貸倒引当金を測定しておりま
す。
金融商品の予想信用損失は、以下のものを反映する方法で見積もっております。
・一定範囲の生じ得る結果を評価することにより算定される、偏りのない確率加重金額
・貨幣の時間価値
・過去の事象、現在の状況及び将来の経済状況の予測についての、連結会計期間の末日時点で過大なコストや
労力をかけずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報
当該測定に係る金額は、純損益として認識しております。減損損失認識後に減損損失を減額する事象が発生した
場合は、減損損失の減少額を純損益として戻し入れております。
⑤ 資本
(ⅰ)普通株式
当社が発行した資本性金融商品の発行に直接関連する費用は、資本の控除項目として認識しております。
(ⅱ)自己株式
当初発行後に再取得した自己の資本性金融商品(自己株式)は、支払対価(株式の取得に直接起因する取引コ
ストを含む)を、資本の控除項目として認識しております。自己株式を売却した場合、受取対価を資本の増加と
して認識しております。
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⑥ デリバティブ及びヘッジ活動
当社グループは為替、金利に係る市場リスクを管理するためにデリバティブを利用しております。しかし、グ
ループ内規定に基づき、売買目的及び投機目的のデリバティブは保有しておりません。当社グループはすべてのデ
リバティブを連結財政状態計算書に公正価値で認識しております。当社グループはデリバティブの契約を締結する
際に、当該デリバティブがヘッジ関係の一部として適格であるか否かの判定を行っております。当社グループはデ
リバティブを、(ⅰ) 連結財政状態計算書に計上された資産又は負債の公正価値の変動をヘッジするための公正価値
ヘッジ、(ⅱ) 連結財政状態計算書に計上された資産又は負債に付随する受払い及び可能性が非常に高い予定取引に
関連するキャッシュ・フローの変動をヘッジするためのキャッシュ・フロー・ヘッジのいずれかとして指定してお
ります。
当社グループはリスク管理の目的や様々なヘッジ取引の戦略とあわせて、ヘッジ手段とヘッジ対象の関係につい
て正式に文書化しております。このプロセスには、公正価値ヘッジ又はキャッシュ・フロー・ヘッジとして指定さ
れるすべてのデリバティブと、連結財政状態計算書の特定の資産及び負債又は特定の確定約定あるいは可能性が非
常に高い予定取引との関連付けが含まれております。
(ⅰ)公正価値ヘッジ
公正価値ヘッジとして指定されるデリバティブについては公正価値評価され、デリバティブの公正価値の変動
による純損益と、ヘッジ対象の公正価値の変動による純損益を相殺しております。
(ⅱ)キャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されるデリバティブについては、ヘッジが有効である部分の公正価値
の変動額をその他の包括利益に含めて表示し、ヘッジされた取引が純損益に影響を与える時点で純損益に組替え
ております。キャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジの有効でない部分については直ちに純損益に計上しておりま
す。
(ⅲ)ヘッジ会計が適用されないデリバティブ
ヘッジ会計が適用されないデリバティブは公正価値で計上し、公正価値の変動額は当期の純損益に計上してお
ります。
(15) 収益
当社グループは、以下の5ステップアプローチに基づき収益の認識及び測定を行っています。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:企業が履行義務の充足時に収益を認識する
具体的な収益認識の基準は注記29 売上高 に記載しております。
(16) 金融収益及び金融費用
金融収益は主に受取配当金、受取利息及び為替差益から構成されております。受取配当金は当社グループの受領
権が確定した日に認識しております。受取利息は実効金利法を用いて発生時に認識しております。
金融費用は主に支払利息及び為替差損から構成されております。支払利息は実効金利法を用いて発生時に認識し
ております。
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(17) 法人所得税
法人所得税費用は当期税金費用と繰延税金費用から構成されております。これらは、その他の包括利益又は資本
で直接認識する項目から生じる場合、及び企業結合から生じる場合を除き、純損益で認識しております。
当期税金は、期末日時点において施行又は実質的に施行される法定税率及び税法を使用して算定する当期の課税
所得又は損失に係る納税見込額あるいは還付見込額の見積りに、前連結会計年度までの納税見込額あるいは還付見
込額の調整額を加えたものです。
繰延税金資産及び負債は、資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務基準額との一時差異、繰越欠損金及び繰越税
額控除に対して認識しております。企業結合以外の取引で、かつ取引時に会計上の利益にも課税所得(税務上の欠
損金)にも影響を及ぼさない取引における資産又は負債の当初認識に係る差異については、繰延税金資産及び負債
を認識しておりません。さらに、のれんの当初認識において生じる将来加算一時差異についても、繰延税金負債を
認識しておりません。
子会社及び関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異について繰延税金負債を認識しております。ただし、
一時差異の解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高い場合には認
識しておりません。子会社及び関連会社に対する投資に係る将来減算一時差異から発生する繰延税金資産は、一時
差異からの便益を利用するのに十分な課税所得があり、予測可能な将来に解消される可能性が高い範囲でのみ認識
しております。
繰延税金資産及び負債は、期末日時点において施行又は実質的に施行される法律に基づいて、資産が実現する期
又は負債が決済される期に適用されると予想される税率を用いて測定しております。
繰延税金資産及び負債は、当期税金資産と負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ法人所得
税が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合、又は、異なる納税主体に課されているものの、
これらの納税主体が当期税金資産及び負債を純額で決済することを意図している場合、もしくはこれら税金資産を
実現させると同時に負債を決済することを予定している場合に相殺しております。
繰延税金資産は、未使用の税務上の欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用
できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産は毎期末日に再査定し、税務便益を実現させるだ
けの十分な課税所得を稼得する可能性が高くなくなった範囲内で、繰延税金資産の帳簿価額を減額しております。
(18) 1株当たり利益
基本的1株当たり利益は、親会社の普通株主に帰属する当期利益を、各算定期間の自己株式を調整した普通株式
の加重平均発行済株式数で除して計算しております。希薄化後1株当たり利益は、加重平均発行済株式数の算定に
おいて、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響を考慮しております。
(19) セグメント報告
事業セグメントとは、他の事業セグメントとの取引を含む、収益を稼得し費用を発生させる事業活動の構成単位
の1つです。すべての事業セグメントの事業の成果は、個別にその財務情報が入手可能なものであり、かつ各セグ
メントへの経営資源の配分及び業績の評価を行うために、マネジメントが定期的にレビューしております。
4 適用されていない基準書及び解釈指針
連結財務諸表の承認日までに新設又は改訂が行われた新基準書及び新解釈指針のうち、2022年3月31日現在にお
いて当社グループが適用していない主なものは、以下のとおりです。IAS第12号の適用による当社グループへの影響
は検討中であります。
強制適用時期 当社グループ
基準書 基準名 新設・改訂の概要
(以降開始年度) 適用年度
単一の取引から生じた資産及び負債
IAS第12号 法人所得税 2023年1月1日 2024年3月期
に係る繰延税金の会計処理の明確化
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5 事業セグメント
当社グループは2021年4月1日より社内カンパニー制を導入しました。そのため、当連結会計年度より、事業の種
類別セグメントを変更しております。この変更に関して、前連結会計年度についても遡及適用した数値で表示してお
ります。事業の種類別セグメントの主な事業内容は以下のとおりです。
従来セグメント 主な事業内容
複合機・複写機・プリンター・印刷機・広幅機・FAX・スキャナ等機器、関連消耗品・サービス・サ
オフィスプリンティング分野
ポート・ソフトウエア等の製造・販売
パソコン・サーバー・ネットワーク関連機器、関連サービス・サポート・ソフトウエア、ドキュメン
オフィスサービス分野
ト関連サービス・ソリューション等の製造・販売
カットシートPP(プロダクションプリンター)・連帳PP等機器、関連消耗品・サービス・サポート・
商用印刷分野
ソフトウエア等の製造・販売
産業印刷分野 インクジェットヘッド・作像システム・産業プリンター等の製造・販売
サーマル分野 サーマルペーパー、サーマルメディア等の製造・販売
産業用光学部品・モジュール、電装ユニット、精密機器部品、デジタルカメラ、3Dプリント、環境、
その他分野
ヘルスケア等
新セグメント 主な事業内容
複合機、プリンター、印刷機、広幅機、FAX、スキャナ、パソコン、サーバー、ネットワーク関連等
デジタルサービス 機器、及び、関連する消耗品、サービス、サポート、ソフトウエア、ドキュメント関連サービス、ソ
リューション等の販売
複合機、プリンター、印刷機、広幅機、FAX、スキャナ、ネットワーク関連等機器、関連消耗品等の
デジタルプロダクツ
製造・OEM
カットシートPP(プロダクションプリンター)、連帳PP、インクジェットヘッド、作像システム、産
グラフィックコミュニケーションズ
業プリンター等機器、及び、関連する消耗品、サービス、サポート、ソフトウエア等の製造・販売
サーマルペーパー、サーマルメディア、産業用光学部品・モジュール、電装ユニット、精密機器部品
インダストリアルソリューションズ
等の製造・販売
その他 デジタルカメラ、360度カメラ、環境、ヘルスケア等
(注)事業セグメントとしてのデジタルサービスはオフィスサービス事業及びオフィスプリンティングの販売を主とした事業に限定した事業セ
グメントであり、当社グループが目指す「はたらく場をつなぎ、はたらく人の想像力を支えるデジタルサービスの会社」への変革、とし
て掲げるデジタルサービスすべてを網羅しているものではありません。当社グループが「デジタルサービスの会社」として掲げる「デジ
タルサービス」は、事業セグメントではデジタルサービスの他、すべてのセグメントの事業内容に含まれております。
セグメント損益は、営業利益(△損失)で表示しており、当社の経営者により経営資源の配分の決定や業績の評価
の目的に使用されております。セグメント損益に含まれない項目としては、主にセグメント間取引における棚卸資
産・固定資産の未実現利益の消去となります。
前連結会計年度及び当連結会計年度における事業の種類別セグメント及び地域別情報は以下のとおりです。セグメ
ント間取引は独立企業間価格で行っております。なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において、連結売上高の
10%以上を占める重要な単一顧客はありません。
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(1) 事業の種類別セグメント情報
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
損益情報:
売上高:
デジタルサービス 1,376,613 1,428,192
デジタルプロダクツ 357,166 364,968
グラフィックコミュニケーションズ 159,909 187,082
インダストリアルソリューションズ 115,274 119,259
その他 40,098 35,554
△ 366,991 △ 376,468
セグメント間取引
合計 1,682,069 1,758,587
セグメント損益:
デジタルサービス △ 2,631 16,209
デジタルプロダクツ 16,451 41,731
グラフィックコミュニケーションズ △ 47,451 △ 466
インダストリアルソリューションズ △ 1,634 1,307
△ 13,867 △ 15,521
その他
合計 △ 49,132 43,260
セグメント損益と
税引前利益(△損失) との調整項目:
消去又は全社 3,703 △ 3,208
金融収益 4,373 2,532
金融費用 △ 3,617 △ 3,800
3,645 5,604
持分法による投資損益
税引前利益(△損失) △ 41,028 44,388
セグメント間の売上高は、主にデジタルプロダクツからデジタルサービスに対する売上です。
前連結会計年度及び当連結会計年度のセグメントごとの構造改革費用は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
構造改革費用:
デジタルサービス
16,403 -
デジタルプロダクツ
5,427 2,096
グラフィックコミュニケーションズ
360 -
インダストリアルソリューションズ
537 -
本社又は全社
500 -
合計 23,227 2,096
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前連結会計年度及び当連結会計年度のセグメントごとの資産合計、資本的支出、減価償却費及び無形資産償却費
は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
資産合計:
デジタルサービス 887,142 905,921
デジタルプロダクツ 220,776 237,539
グラフィックコミュニケーションズ 102,878 126,582
インダストリアルソリューションズ 86,515 92,026
その他 34,458 34,785
セグメント間取引消去 △ 22,982 △ 21,607
579,081 478,008
本社又は全社
合計 1,887,868 1,853,254
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
資本的支出:
デジタルサービス 21,513 20,691
デジタルプロダクツ 14,731 20,149
グラフィックコミュニケーションズ 12,381 15,903
インダストリアルソリューションズ 3,119 2,449
その他 4,028 1,689
11,162 10,161
本社又は全社
合計 66,934 71,042
減価償却費及び無形資産償却費:
デジタルサービス 43,308 43,438
デジタルプロダクツ 23,332 18,272
グラフィックコミュニケーションズ 15,560 8,796
インダストリアルソリューションズ 5,448 4,899
その他 6,318 5,324
10,652 9,750
本社又は全社
合計 104,618 90,479
各資産は、その資産から主に利益を享受する事業の種類別セグメントに割り当てられています。
本社又は全社に含まれる資産の主なものは、特定のセグメントに属さない現金及び現金同等物、その他の金融資
産、持分法で会計処理されている投資、繰延税金資産です。
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(2) 製品別売上高情報
製品別の外部顧客に対する売上高は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
売上高:
デジタルサービス
1,376,613 1,428,192
デジタルプロダクツ 12,111 13,172
グラフィックコミュニケーションズ 159,909 187,082
インダストリアルソリューションズ 108,878 110,791
24,558 19,350
その他
合計 1,682,069 1,758,587
複合機、プリンター、印刷機、広幅機、FAX、スキャナ、パソコン、
デジタルサービス:
サーバー、ネットワーク関連等機器、及び、関連する消耗品、サービ
ス、サポート、ソフトウエア、ドキュメント関連サービス、ソリュー
ション等
複合機、プリンター、印刷機、広幅機、FAX、スキャナ、ネットワーク
デジタルプロダクツ:
関連等機器、関連消耗品等のOEM
カットシートPP(プロダクションプリンター)、連帳PP、インクジェッ
グラフィックコミュニケーション ズ:
トヘッド、作像システム、産業プリンター等機器、及び、関連する消耗
品、サービス、サポート、ソフトウエア等
サーマルペーパー、サーマルメディア、産業用光学部品・モジュール、
インダストリアルソリューションズ:
電装ユニット、精密機器部品等
その他: デジタルカメラ、360度カメラ、環境、ヘルスケア等
(3) 地域別情報
顧客の所在地別売上高、地域別非流動資産(有形固定資産、使用権資産、のれん及び無形資産)残高は以下の
とおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
売上高:
日本 753,041 705,242
米州 386,609 443,647
欧州・中東・アフリカ 393,409 450,178
149,010 159,520
その他地域
合計 1,682,069 1,758,587
上記米州のうち米国 327,858 367,876
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
非流動資産:
日本 210,513 218,760
米州 97,986 98,660
欧州・中東・アフリカ 132,897 145,588
39,730 42,643
その他地域
合計 481,126 505,651
上記米州のうち米国 84,185 86,293
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6 企業結合
(前連結会計年度)
重要な企業結合は発生しておりません。
(当連結会計年度)
重要な企業結合は発生しておりません。
7 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
現金及び現金同等物
現金及び預金
335,048 240,389
預入期間が3ヶ月超の定期預金 △238 △81
連結財政状態計算書における現金及び現金同等物 334,810 240,308
銀行当座借越
△4,466 △6,288
連結キャッシュ・フロー計算書における現金及び現金同等物 330,344 234,020
8 営業債権及びその他の債権
営業債権及びその他の債権の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
受取手形及び電子記録債権
37,475 33,636
売掛金 304,172 300,998
その他 58,693 71,890
△8,208 △9,376
控除:貸倒引当金
合計 392,132 397,148
また、回収又は決済までの期間別内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
12ヶ月以内
391,853 396,425
279 723
12ヶ月超
合計 392,132 397,148
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9 棚卸資産
棚卸資産の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
製商品
114,421 125,831
77,595 106,727
仕掛品及び原材料
合計 192,016 232,558
費用として認識された棚卸資産の評価減の金額は以下のとおりであり、連結損益計算書の「売上原価」に含まれ
ています。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
評価減の金額
7,156 7,680
10 売却目的で保有する資産
(前連結会計年度)
該当事項はありません。
(当連結会計年度)
該当事項はありません。
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11 有形固定資産
有形固定資産の取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額の増減、及び帳簿価額は以下のとおりです。
〔取得原価〕
建物及び
機械装置 工具器具
土地 建設仮勘定 合計
構築物
及び運搬具 及び備品
(百万円) (百万円) (百万円)
(百万円) (百万円)
(百万円)
2020年4月1日 残高 29,129 263,096 221,124 390,517 12,898 916,764
取得
- 3,422 2,744 18,956 17,033 42,155
企業結合による取得 - 18 8 270 - 296
処分 △1,502 △8,392 △10,084 △26,354 △418 △46,750
建設仮勘定からの振替 - 10,443 4,976 5,260 △20,679 -
為替換算差額 88 3,245 3,509 15,157 473 22,472
- △1,632 △84 5,746 △1,073 2,957
その他
2021年3月31日 残高 27,715 270,200 222,193 409,552 8,234 937,894
取得
- 2,941 2,068 17,179 15,171 37,359
企業結合による取得
- 53 54 256 - 363
処分 △1,687 △10,822 △13,973 △20,586 △84 △47,152
建設仮勘定からの振替 - 3,765 7,674 3,949 △15,388 -
為替換算差額 120 4,977 4,489 15,630 550 25,766
93 △143 △671 △114 127 △708
その他
2022年3月31日 残高 26,241 270,971 221,834 425,866 8,610 953,522
〔減価償却累計額及び減損損失累計額〕
建物及び
機械装置 工具器具
土地 合計
構築物
及び運搬具 及び備品
(百万円) (百万円)
(百万円) (百万円)
(百万円)
2020年4月1日 残高 △1,356 △187,442 △186,537 △339,860 △715,195
減価償却費
- △8,116 △9,784 △27,489 △45,389
処分 - 7,954 9,133 23,180 40,267
減損損失 - △2,742 △1,907 △1,409 △6,058
為替換算差額 - △2,193 △2,741 △13,282 △18,216
- 230 209 △1,779 △1,340
その他
2021年3月31日 残高 △ 1,356 △ 192,309 △ 191,627 △ 360,639 △ 745,931
減価償却費
- △7,622 △8,223 △24,006 △39,851
処分 - 10,134 11,881 18,541 40,556
減損損失 - △12 △49 △286 △347
為替換算差額 - △3,125 △3,437 △13,445 △20,007
- △56 696 △143 497
その他
2022年3月31日 残高 △ 1,356 △ 192,990 △ 190,759 △ 379,978 △ 765,083
〔帳簿価額〕
建物及び
機械装置 工具器具
土地 建設仮勘定 合計
構築物
及び運搬具 及び備品
(百万円) (百万円) (百万円)
(百万円) (百万円)
(百万円)
2020年4月1日 残高 27,773 75,654 34,587 50,657 12,898 201,569
2021年3月31日 残高 26,359 77,891 30,566 48,913 8,234 191,963
2022年3月31日 残高 24,885 77,981 31,075 45,888 8,610 188,439
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12 のれん及び無形資産
のれん及び無形資産の取得原価、償却累計額及び減損損失累計額の増減、及び帳簿価額は以下のとおりです。
〔取得原価〕
ソフト 商標権及び
のれん 開発資産 その他 合計
ウエア 顧客関係
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
(百万円) (百万円)
2020年4月1日 残高 319,046 155,481 84,775 81,248 20,373 660,923
取得
- 13,407 - - 178 13,585
企業結合による取得 7,916 91 3,697 - - 11,704
内部開発による増加 - - - 11,194 - 11,194
処分 - △3,088 △2,547 △28,736 △20 △34,391
為替換算差額 11,165 4,781 5,698 - 892 22,536
- △292 - - 350 58
その他
2021年3月31日 残高 338,127 170,380 91,623 63,706 21,773 685,609
取得
- 12,686 - - - 12,686
企業結合による取得 9,806 1 2,380 - - 12,187
内部開発による増加 - - - 20,997 - 20,997
処分 - △11,252 - △10,778 △23 △22,053
為替換算差額 29,745 4,645 5,254 - 1,254 40,898
- △1,177 - 596 - △581
その他
2022年3月31日 残高 377,678 175,283 99,257 74,521 23,004 749,743
〔償却累計額及び減損損失累計額〕
ソフト 商標権及び
のれん 開発資産 その他 合計
ウエア 顧客関係
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
(百万円) (百万円)
2020年4月1日 残高 △184,148 △109,580 △79,927 △38,398 △16,972 △429,025
償却費
- △11,948 △850 △16,066 △295 △29,159
処分 - 3,146 2,291 28,418 △1 33,854
減損損失 △3,787 △626 △66 △18,010 - △22,489
為替換算差額 △4,427 △2,793 △5,185 - △976 △13,381
- 129 - - △28 101
その他
2021年3月31日 残高 △ 192,362 △ 121,672 △ 83,737 △ 44,056 △ 18,272 △ 460,099
償却費
- △11,656 △1,414 △7,718 △658 △21,446
処分 - 10,622 - 8,805 10 19,437
減損損失 △306 △236 - - - △542
為替換算差額 △19,145 △3,081 △4,807 - △563 △27,596
- △15 - - - △15
その他
2022年3月31日 残高 △ 211,813 △ 126,038 △ 89,958 △ 42,969 △ 19,483 △ 490,261
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〔帳簿価額〕
ソフト 商標権及び
のれん 開発資産 その他 合計
ウエア 顧客関係
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
(百万円) (百万円)
2020年4月1日 残高 134,898 45,901 4,848 42,850 3,401 231,898
2021年3月31日 残高 145,765 48,708 7,886 19,650 3,501 225,510
2022年3月31日 残高 165,865 49,245 9,299 31,552 3,521 259,482
開発資産の償却費は連結損益計算書の「売上原価」に、その他の無形資産の償却費は連結損益計算書の「売上原
価」及び「販売費及び一般管理費」にそれぞれ含めております。
13 減損損失
(1) 減損損失を認識した資産のセグメント別及び資金生成単位(グループ)別内訳
減損損失を認識した資産のセグメント別及び資金生成単位(グループ)別内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
オフィスプリンティング分野 計 - 179
オフィスサービス分野 計 14 119
デジタルサービス 計 14 298
商用印刷(販売以外の共通機能グループ)
26,547 -
商用印刷分野 計
26,547 -
産業印刷分野 計 162 265
グラフィックコミュニケーションズ 計 26,709 265
その他 計 1,943 505
減損損失 計 28,666 1,068
(2) 減損損失を認識した資産の種類別内訳
減損損失を認識した資産の種類別内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
建物及び構築物
2,742 12
機械装置及び運搬具 1,907 49
1,409 286
工具器具及び備品
有形固定資産 計 6,058 347
のれん
3,787 306
ソフトウエア 626 236
商標権及び顧客関係 66 -
18,010 -
開発資産
のれん及び無形資産 計 22,489 542
使用権資産 計 119 179
減損損失 計 28,666 1,068
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減損損失は、前連結会計年度の連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に 24,879百万円、「のれんの減損」
に 3,787百万円、当連結会計年度の「販売費及び一般管理費」に 762百万円、「のれんの減損」に 306百万円、そ
れぞれ含まれております。
(3) 認識した減損損失及び認識に至った事象及び状況
(前連結会計年度)
当社グループは前連結会計年度において、商用印刷分野の販売以外の共通機能グループ(主に生産及び開発等の
機能に関する資金生成単位グループ)にかかる開発資産及びのれんを含む資産について減損損失を認識しました。
商用印刷分野の販売以外の共通機能グループでは、将来の事業拡大に向けた成長を織り込むとともに、新型コロナ
ウイルス感染症拡大による業績への影響を慎重に考慮した将来計画を策定した結果、想定されていた収益の実現時
期が当初よりも遅れることとなりました。また、これまでオフィス向け製品の生産を手掛けていた国内工場の一部
を、印刷業者向け事業(企業内印刷含む)の生産拠点に変更することを決定致しました。本施策の決定により関連
諸経費の配分を見直し、将来計画に反映しました。その結果として、過去の買収により計上したのれんを含む資産
について減損損失を計上することとなりました。当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額しており、回収可能
価額は使用価値により測定しております。
使用価値は、経営者が承認した事業計画と事業計画期間後の成長率を基礎としたキャッシュ・フローを税引前の
加重平均資本コスト10%で割り引いて算定しており、使用価値の見積りにおいて、事業計画における商用印刷機の
販売台数及びプリント出力量、事業計画期間後の成長率、割引率を重要な仮定と認識しております。
減損損失は、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に 23,906百万円、「のれんの減損」に 2,641百万円含
まれております。また、減損損失の資産別の主な内訳は、無形資産 18,514百万円(主に開発資産)、のれん 2,641
百万円、有形固定資産等 5,392百万円となっております。
(当連結会計年度)
当社グループは当連結会計年度において、重要な減損損失は計上しておりません。
(4) のれんの減損テスト
(前連結会計年度)
のれんの減損テストの回収可能価額は使用価値に基づき算定しております。使用価値は、主として経営者が承認
した事業計画と事業計画期間後の成長率を基礎としたキャッシュ・フローの見積額を現在価値に割り引いて計算し
ております。成長率は、資金生成単位又は資金生成単位グループが属する市場の長期期待成長率を参考に決定して
おります(△4%~2%)。割引率は、各資金生成単位又は資金生成単位グループの税引前の加重平均資本コスト
を基礎に算定しております(9%~14%)。事業計画は5年を限度としており、市場の長期期待成長率を超過する
成長率は用いておりません。
なお、注記2 作成の基礎 (5)見積り及び判断の利用に記載のとおり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に
伴う当社グループの業績への影響が翌連結会計年度以降においても一定程度残るものの、ワクチン普及が更に進ん
でいくこと等により、将来に向けて徐々に収束に向かうものと仮定しております。
翌連結会計年度中にのれんの帳簿価額に重要な修正を生じるリスクがある資金生成単位又は資金生成単位グルー
プとしては、オフィスプリンティング(欧州販売グループ)があります。オフィスプリンティング(欧州販売グ
ループ)における回収可能価額は、使用価値により測定しており、帳簿価額を 31,529百万円上回っております。使
用価値の見積りにおいて、事業計画における複合機等の販売台数やプリント出力量、事業計画期間後の成長率、割
引率を重要な仮定と認識しております。
前連結会計年度における、割引率の変動に関する試算結果は以下のとおりです。これは、割引率の上昇がどの程
度変動した場合に、のれんの減損損失を認識する必要があるかを試算したものです。なお、事業計画における複合
機等の販売台数やプリント出力量及び成長率については合理的に起こりうる変化があっても、帳簿価額は回収可能
価額を超えることはないと考えております。
割引率
オフィスプリンティング(欧州販売グループ)
+4.9%
上記以外でのれんが配分されている資金生成単位又は資金生成単位グループは、回収可能価額の基礎となってい
る主要な仮定(成長率、割引率等)に合理的に起こりうる変化があっても、帳簿価額は回収可能価額を超えること
はないと考えております。
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(当連結会計年度)
のれんの減損テストの回収可能価額は使用価値に基づき算定しております。使用価値は、主として経営者が承認
した事業計画と事業計画期間後の成長率を基礎としたキャッシュ・フローの見積額を現在価値に割り引いて計算し
ております。成長率は、資金生成単位又は資金生成単位グループが属する市場の長期期待成長率を参考に決定して
おります(△4%~2%)。割引率は、各資金生成単位又は資金生成単位グループの税引前の加重平均資本コスト
を基礎に算定しております(10%~13%)。事業計画は5年を限度としており、市場の長期期待成長率を超過する
成長率は用いておりません。
なお、注記2 作成の基礎 (5)見積り及び判断の利用に記載のとおり、新型コロナウイルス感染症の新たな変異
株の世界的な再拡大及び部材不足や物流の問題に伴う供給の制約による当社グループの業績への影響が翌連結会計
年度以降においても一定程度残るものの、将来に向けて徐々に改善に向かうものと仮定しております。
のれんの減損テストにおいては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う影響の長期化並びにオフィスの縮
小や在宅勤務の定着によるオフィスへの出社率の低下といった新しい働き方(ニューノーマル)の浸透を鑑み、新
型コロナウイルス感染症拡大前の状況には今後も完全には戻らないこと、及び部材不足や物流の問題に伴う供給の
制約、並びに部材などのコスト上昇への対応等による販売価格の変動等による業績への影響を考慮しております。
翌連結会計年度中にのれんの帳簿価額に重要な修正を生じるリスクがある資金生成単位又は資金生成単位グルー
プとしては、オフィスプリンティング(欧州販売グループ)があります。オフィスプリンティング(欧州販売グ
ループ)における回収可能価額は、使用価値により測定しており、帳簿価額を 15,789百万円上回っております。使
用価値の見積りにおいて、事業計画における複合機等の販売台数やプリント出力量及び販売価格、事業計画期間後
の成長率、並びに割引率を重要な仮定と認識しております。
当連結会計年度における、成長率及び割引率の変動に関する試算結果は以下のとおりです。これは、成長率及び
割引率がどの程度変動した場合に、のれんの減損損失を認識する必要があるかを試算したものです。なお、事業計
画における複合機等の販売台数やプリント出力量及び販売価格については合理的に起こりうる変化があっても、帳
簿価額は回収可能価額を超えることはないと考えております。
成長率 割引率
オフィスプリンティング(欧州販売グループ)
△4.3% +2.0%
上記以外でのれんが配分されている資金生成単位又は資金生成単位グループは、回収可能価額の基礎となってい
る主要な仮定(成長率、割引率等)に合理的に起こりうる変化があっても、帳簿価額は回収可能価額を超えること
はないと考えております。
また、減損損失認識後ののれんの帳簿価額の資金生成単位又は資金生成単位グループごとの内訳は、以下のとお
りです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
オフィスプリンティング(販売以外の共通機能グループ)
65,469 70,888
オフィスプリンティング(欧州販売グループ) 48,431 51,187
オフィスサービス(DocuWare) 12,775 13,454
オフィスプリンティング(日本販売グループ) 4,981 4,981
14,109 25,355
その他の資金生成単位又は資金生成単位グループ
合計 145,765 165,865
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14 リース
(1) 貸手側
リース債権はその他の金融資産に含まれております。
当社グループは、主に当社グループの製品のリース事業を行っております。これらのリース取引は、そのほとん
どがファイナンス・リースに分類されます。
当社グループの製品に関する中古流通市場の存在や、顧客との契約延長等の販売上の手段を有しているため、
リース機器の残存価値リスクに重要なものはありません。
①ファイナンス・リース
当社グループが保有するファイナンス・リースに基づく将来の受取額は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
リース投資未回収総額
1年以内 109,798 109,260
1年超2年以内 72,341 71,698
2年超3年以内 46,637 44,724
3年超4年以内 24,458 22,302
4年超5年以内 7,952 6,999
1,319 904
5年超
割引前リース料総額 262,505 255,887
無保証残存価値 △ 5,746 △ 5,839
△ 26,912 △ 26,426
控除:将来の金融収益請求額
最低受取リース料の現在価値 229,847 223,622
連結損益計算書に含まれるファイナンス・リースに係る損益及び収益は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
販売損益
29,880 32,312
正味リース投資未回収額に対する金融収益 18,024 16,881
②オペレーティング・リース
当社グループが保有するオペレーティング・リースに基づく将来の受取額は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
1年以内
10,062 11,771
1年超2年以内 6,082 6,830
2年超3年以内 4,044 3,754
3年超4年以内 1,529 2,117
4年超5年以内 444 1,091
105 578
5年超
割引前リース料総額 22,266 26,141
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連結損益計算書に含まれるオペレーティング・リースに係る収益は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
リース収益
31,461 35,520
変動リースに係る収益 1,773 1,816
(2) 借手側
当社グループは、土地、建物、機械装置、器具備品を含む多くの資産をリースしています。当社グループが借手
となるリースの情報は以下のとおりです。
①使用権資産
使用権資産の帳簿価額の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
土地、建物及び構築物
49,847 47,375
13,806 10,355
車両運搬具、器具備品及びその他
合計 63,653 57,730
前連結会計年度及び当連結会計年度における使用権資産の増加額はそれぞれ 27,137百万円及び 25,309百万円で
す。
前連結会計年度及び当連結会計年度におけるリースに係るキャッシュ・アウトフローの合計額は、それぞれ
36,877百万円及び 32,195百万円です。
②使用権資産に関連する損益
使用権資産に関連する損益は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
使用権資産の減価償却費:
土地、建物及び構築物 24,496 23,746
5,574 5,436
車両運搬具、器具備品及びその他
合計 30,070 29,182
短期リース及び少額資産のリースに係る費用 4,039 4,306
サブリース収入及びセール・アンド・リースバック取引から生じた利得又は損益は重要ではありません。
リース負債に係る金利費用については注記32 金融収益及び金融費用、リース負債の満期分析については注記26
金融商品及び関連する開示 (4)流動性リスク管理 に記載しております。
③延長オプション及び解約オプション
当社グループにおいては、各社がリース契約の管理に責任を負っており、リース条件は個々に交渉され、幅広く
異なる契約条件となっております。延長オプション及び解約オプションは、主に営業所及び倉庫に係る不動産リー
スに含まれております。これらのオプションは、リース契約主体が不動産を事業に活用する上で、必要に応じて使
用されております。
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15 その他の金融資産
その他の金融資産の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
デリバティブ資産
407 147
リース債権 235,593 229,461
△7,084 △8,994
控除:貸倒引当金
合計 228,916 220,614
流動
92,823 92,293
136,093 128,321
非流動
16 その他の投資
その他の投資の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
株式及び出資持分
17,770 11,841
734 488
社債
合計 18,504 12,329
流動
- -
18,504 12,329
非流動
17 営業債務及びその他の債務
営業債務及びその他の債務の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
支払手形及び電子記録債務
43,926 10,276
買掛金 157,269 167,098
85,965 91,160
その他
合計 287,160 268,534
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18 社債及び借入金
社債及び借入金の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
社債
無担保普通社債
(当社による発行)
年利0.22% 償還期限2022年7月 12,980 13,670
年利0.20% 償還期限2023年12月 10,000 10,000
年利0.47% 償還期限2028年12月 10,000 10,000
(連結子会社による発行)
年利6.75% 償還期限2025年12月
1,562 1,729
年利7.30% 償還期限2027年11月 2,297 2,544
社債合計 36,839 37,943
無担保借入金
銀行及び保険会社借入金
0.23 0.22
加重平均年利(%)
返済期限2028年迄 148,441 130,231
507 260
リース債権流動化に伴う借入負債(注記26参照)
185,787 168,434
小計
△46,111 △47,392
差引-1年以内返済社債及び借入金
139,676 121,042
合計
すべての普通社債は、各々の引受契約に規定されているいくつかの条件により当社グループの任意で償還できま
す。
普通社債には、引受契約に規定されている追加担保借入制限等いくつかの条件がありますが、当社グループは
2022年3月31日 現在、それらの条件を遵守しております。
短期借入金の内訳は以下のとおりです。
期末残高
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
銀行等からの借入金
36,620 67,003
加重平均年利(注)
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(%) (%)
銀行等からの借入金
0.4 0.3
(注)加重平均年利については、借入金等の期末残高に対する利率を記載しております。
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財務活動に係る負債の変動は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日 ) (百万円)
財務活動
キャッシュ・フローを
による
伴わない変動
2020年4月 キャッシュ 2021年3月
連結範囲
1日残高 ・フローを 31日残高
為替換算
取得 の変動 その他
伴う変動
差額
(注2)
(注3)
短期借入債務
29,276 23,572 - △22,822 2,128 4,466 36,620
長期借入債務
102,691 42,665 - 2,110 1,482 - 148,948
(注1)
社債(注1) 47,697 △12,413 - - 1,555 - 36,839
65,971 △35,728 27,489 17,071 2,899 △5,490 72,212
リース負債
合計
245,635 18,096 27,489 △3,641 8,064 △1,023 294,619
(注1)1年内返済及び償還予定の残高を含んでおります。
(注2)主として、リコーリース株式会社が連結除外となったことによる影響であります。
(注3)連結キャッシュ・フロー計算書に記載している長期借入債務による調達及び長期借入債務の返済には、3か月
超1年未満の借入債務の調達及び返済金額を含んでおります。
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 ) (百万円)
財務活動
キャッシュ・フローを
による
伴わない変動
2021年4月 キャッシュ 2022年3月
1日残高 ・フローを 31日残高
為替換算
取得 その他
伴う変動
差額
(注2)
短期借入債務
36,620 25,961 - 2,909 1,513 67,003
長期借入債務
148,948 △19,495 - 1,038 - 130,491
(注1)
社債(注1) 36,839 - - 1,104 - 37,943
72,212 △31,146 25,164 3,466 △2,587 67,109
リース負債
合計
294,619 △24,680 25,164 8,517 △1,074 302,546
(注1)1年内返済及び償還予定の残高を含んでおります。
(注2)連結キャッシュ・フロー計算書に記載している長期借入債務による調達及び長期借入債務の返済には、3か月
超1年未満の借入債務の調達及び返済金額を含んでおります。
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19 引当金
当連結会計年度における引当金の増減は以下のとおりです。
資産除去 製品保証 構造改革
その他 合計
債務 引当金 費用引当金
(百万円) (百万円)
(百万円) (百万円) (百万円)
期首残高 5,886 2,828 11,306 4,339 24,359
増加額
66 1,544 63 1,781 3,454
目的使用による減少額 △839 △1,576 △3,225 △629 △6,269
戻入による減少額 △505 △340 △920 △1,202 △2,967
割引計算による利息費用 22 - - - 22
170 130 508 141 949
その他
期末残高 4,800 2,586 7,732 4,430 19,548
流動
- 2,586 4,426 2,929 9,941
4,800 - 3,306 1,501 9,607
非流動
資産除去債務は、主に賃借事業所・建物等に対する原状回復義務及び固定資産に関連する有害物質の除去に関す
るものです。将来において経済的便益の流出が予測される時期は、主に連結会計年度期末日より1年を経過した後
の時期であることが見込まれておりますが、将来の事業計画等により影響を受けます。
製品保証引当金は、製品が合意された仕様に従っているという保証に対する費用支出に備えるため、保証期間内
の費用見積額に基づき計上しております。なお、製品保証引当金繰入額は、連結損益計算書上、「売上原価」に含
めて表示しております。
構造改革費用引当金は、さらなる競争力強化のために固定費の削減を進める等、構造改革活動に対する費用支出
に備えるために計上しております。支払時期は、主に翌連結会計年度に支払われることが見込まれておりますが、
将来の事業計画等により影響を受けます。
その他の引当金には、訴訟損失引当金等が含まれております。
20 その他の金融負債
その他の金融負債の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
デリバティブ負債 1,669 2,079
合計 1,669 2,079
流動
1,669 2,079
- -
非流動
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21 政府補助金
政府補助金は、その補助金交付に付帯する諸条件を満たし、かつ補助金を受領するという合理的な保証が得られ
た時に公正価値で認識しております。収益に関する補助金は、補助金により補償される期間にわたって、純損益と
して認識しています。純損益として認識された補助金については主に関連する費用から控除しております。また、
資産の取得に対する補助金は、繰延収益として認識し、補助金の対象設備の耐用年数にわたって、純損益で認識し
ております。
前連結会計年度及び当連結会計年度における収益に関する補助金は、主として、新型コロナウイルス感染症の影
響に伴う従業員の雇用等に関わる政府補助金であります。また、資産の取得に対する補助金は、主として、当社開
発拠点及び国内製造子会社における生産設備の投資案件に関連して発生したものです。
前連結会計年度及び当連結会計年度において 17,016百万円及び 7,954百万円を連結損益計算書に純損益として
認識しております。内訳としては、前連結会計年度において「売上原価」から 6,118百万円、「販売費及び一般管
理費」から 9,538百万円控除するとともに、「その他の収益」に 1,360百万円含まれております。当連結会計年度
において「売上原価」から 4,281百万円、「販売費及び一般管理費」から 2,531百万円控除するとともに、「その
他の収益」に 1,142百万円含まれております。
前連結会計年度末及び当連結会計年度末における政府補助金の残高は、 3,844百万円 及び 3,383百万円 であり、
連結財政状態計算書の「その他の流動負債」「その他の非流動負債」に繰延収益として含まれております。
繰延収益として認識された政府補助金に付随する未履行の条件もしくはその他の偶発事象はありません。
22 法人所得税
繰延税金資産及び繰延税金負債の主な内訳は以下のとおりです。
その他の その他
前連結会計年度
純損益を 企業結合に
(自2020年4月1日
期首残高 包括利益に (為替換算 期末残高
通じて認識 よる増加
至2021年3月31日)
おいて認識 差額等)
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
繰延税金資産:
未払費用 22,856 △440 - 24 365 22,805
未実現利益
10,021 △1,178 - - 488 9,331
減価償却費及び
7,652 3,920 - 3 746 12,321
償却額
退職給付に係る負債 30,683 △20 △8,070 - 1,636 24,229
繰越欠損金 18,288 10,167 - - 245 28,700
14,191 8,687 - - 736 23,614
その他
繰延税金資産合計 103,691 21,136 △8,070 27 4,216 121,000
繰延税金負債:
子会社及び関連会
△864 △1,029 - - △53 △1,946
社の未分配利益
その他の包括利益
を通じて測定する
△2,384 - △1,305 - 287 △3,402
金融資産の公正価
値の純変動
のれん及び無形資産 △20,558 1,667 - △1,057 △28 △19,976
△12,180 △2,531 214 - △797 △15,294
その他
繰延税金負債合計 △35,986 △1,893 △1,091 △1,057 △591 △40,618
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その他の その他
当連結会計年度
純損益を 企業結合に
(自 2021年4月1日
期首残高 包括利益に (為替換算 期末残高
通じて認識 よる増加
至 2022年3月31日 )
おいて認識 差額等)
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
繰延税金資産:
未払費用 22,805 △386 - - 477 22,896
未実現利益
9,331 931 - - 665 10,927
減価償却費及び
12,321 △3,361 - - 811 9,771
償却額
退職給付に係る負債 24,229 △6,579 △4,431 - 519 13,738
繰越欠損金 28,700 6,279 - - 1,960 36,939
23,614 1,951 - - 48 25,613
その他
繰延税金資産合計 121,000 △1,165 △4,431 - 4,480 119,884
繰延税金負債:
子会社及び関連会
△1,946 △91 - - △53 △2,090
社の未分配利益
その他の包括利益
を通じて測定する
△3,402 - 1,547 - △40 △1,895
金融資産の公正価
値の純変動
のれん及び無形資産 △19,976 △2,966 - △570 △189 △23,701
△15,294 1,874 △138 - △1,578 △15,136
その他
繰延税金負債合計 △40,618 △1,183 1,409 △570 △1,860 △42,822
当社グループは、繰延税金資産の認識にあたり、将来減算一時差異、繰越欠損金及び繰越税額控除の一部又は全
部が将来課税所得に対して利用できる可能性が高いかどうかを考慮しております。最終的な繰延税金資産の実現
は、一時差異が控除可能な期間及び繰越欠損金が利用できる期間における将来の課税所得の発生に依存します。当
社グループは、実現可能性の評価にあたり、繰延税金負債の実現予定時期、予想される将来の課税所得及び税務戦
略を考慮しております。過去の課税所得の水準及び一時差異が控除可能な期間及び繰越欠損金が利用できる期間に
おける将来の課税所得見込みに基づき、当社グループは当連結会計年度末現在の認識された繰延税金資産は実現す
る可能性が高いと考えております。繰延期間における将来の見積課税所得が減少した場合には、実現する可能性が
高いと考えられる繰延税金資産は減少することになります。
なお、注記2 作成の基礎(5)見積り及び判断の利用に記載のとおり、新型コロナウイルス感染症の新たな変異株
の世界的な再拡大及び部材不足や物流の問題に伴う供給の制約による当社グループの業績への影響が翌連結会計年
度以降においても一定程度残るものの、将来に向けて徐々に改善に向かうものと仮定しております。
繰延税金資産の回収可能性においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う影響及び部材不足や物流の
問題に伴う供給の制約、並びに部材などのコスト上昇への対応等による販売価格の変動等による業績への影響を考
慮しております。
当社グループは、日本国内において連結納税制度を適用しており、認識された繰延税金資産の大部分は連結納税
グループに係る繰延税金資産であります。 将来の連結納税グループの課税所得の見積りにおいて、 事業計画におけ
る複合機やトナー等の消耗品の販売価格及び販売数量などを重要な仮定と認識しております。
繰延税金資産を認識していない繰越欠損金及び将来減算一時差異、繰越外国税額控除は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
繰越欠損金
110,071 125,604
将来減算一時差異 4,629 3,071
2,107 602
繰越外国税額控除
合計 116,807 129,277
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繰延税金資産を認識していない繰越欠損金の金額と繰越期限は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
4年以内
27,517 44,531
82,554 81,073
5年目以降
合計 110,071 125,604
上記には国内連結納税制度の適用外である、地方税(住民税及び事業税)にかかる繰延税金資産を認識していな
い繰越欠損金の金額を含めておりません。前連結会計年度末及び当連結会計年度末現在の地方税(住民税及び事業
税)にかかる繰延税金資産を認識していない繰越欠損金の金額は、それぞれ住民税分 42,942百万円及び 32,417百
万円、事業税分 79,866百万円及び 85,686百万円です。
前連結会計年度又は当連結会計年度において税務上の欠損金が発生しており、かつ繰延税金資産の回収可能性が
将来の課税所得の有無に依存している当社又は一部の子会社について、繰延税金負債を超過する繰延税金資産を前
連結会計年度及び当連結会計年度において 65,461 百万円及び 63,413 百万円認識しております。これは当社及び各
子会社が繰越欠損金、繰越外国税額控除及び将来減算一時差異を使用できるだけの課税所得を稼得する可能性が高
いとする判断に基づいております。
なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において、国内連結納税グループにおいて税務上の欠損金が生じてい
るため、国内連結納税グループに関する繰延税金資産を含めております。
当期税金費用及び繰延税金費用の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
法人所得税費用:
当期税金費用
10,879 11,415
当期
当期税金費用計 10,879 11,415
繰延税金費用
一時差異の発生と解消 △18,606 3,559
△637 △1,211
過年度未認識の繰越欠損金又は一時差異の変動額
繰延税金費用計 △19,243 2,348
法人所得税費用 △8,364 13,763
税金費用には、従前は未認識であった税務上の欠損金、税額控除又は過去の期間の一時差異から生じた便益の額
が含まれております。これに伴う前連結会計年度及び当連結会計年度における税金費用の減少額はそれぞれ 1,812
百万円及び 4,837 百万円であります。
当社及び国内の連結子会社は、所得に対する種々の税金を課せられております。前連結会計年度及び当連結会計
年度における法定実効税率は 31%です。
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標準法定実効税率と実効税率との差異は以下のとおりです。
当連結会計年度
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
(自 2020年4月1日
至 2022年3月31日 )
至 2021年3月31日 )
標準法定実効税率
31% 31%
税務上損金算入されない費用 △1 5
税務上益金算入されない収益 0 △1
未認識の繰延税金資産 1 △3
法人所得税エクスポージャー 1 △6
子会社及び関連会社の未分配利益に係る税額 △12 5
海外連結子会社の法定税率との差異 4 △5
のれんの減損 △3 0
持分法による投資損益 3 △4
△4 9
その他
実効税率 20 31
当社は、国内子会社で発生した未分配利益については、国内税法により国内子会社からの配当金がほぼ無税であ
るため、繰延税金負債を計上しておりません。また、海外子会社における前連結会計年度末及び当連結会計年度末
現在の投資に係る将来加算一時差異 359,101 百万円及び 378,696 百万円について、当社が一時差異の解消時期をコ
ントロールでき、かつ予見可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高いと認められるため、当該一時差異に
関連する繰延税金負債を認識しておりません。
23 従業員給付
(1)確定給付型制度
当社グループは、確定給付型制度として確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を採用しております。給付額
は、従業員の勤続年数や給与水準等に基づき算定されております。上記の年金制度への拠出額は、賃金及び給与の
一定の比率により年金数理計算され、将来の年金給付に備えて積み立てられております。
当社及び一部の連結子会社は、年金規約に基づく規約型年金制度を設けております。当社及び一部の連結子会社
は、従業員の同意を得て、受給資格、給付内容・方法、掛金負担等年金制度の内容を規定したリコーグループ企業
年金規約を定め、年金規約について厚生労働大臣の承認を受けております。掛金の払込み及び積立金の管理等に関
して信託銀行や保険会社等と契約を締結し制度を運営しております。契約を締結した信託銀行等は、年金資産の管
理・運用を行うとともに、年金数理計算や年金・一時金の支給業務を行います。
当社及び一部の連結子会社は、法令、法令に基づく厚生労働大臣の処分及び規約を遵守し、加入者等のため忠実
にその業務を遂行しなければならず、自己又は加入者等以外の第三者の利益を図る目的をもって資産管理運用契約
を締結すること及び積立金の運用に関し特定の方法を指図することは禁止されております。
当連結会計年度に、海外の一部の連結子会社の退職給付制度において年金バイアウトを実施しました。これに伴
い当連結会計年度において清算損益を認識しております。
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前連結会計年度及び当連結会計年度の確定給付制度債務の現在価値及び制度資産の変動は以下のとおりです。
国内制度 海外制度
前連結会計年度 当連結会計年度 前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日 (自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 ) 至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
確定給付負債の純額の
51,924 30,876 49,006 38,686
期首残高
確定給付制度債務の
現在価値の変動
期首残高 219,495 210,118 243,376 265,934
当期勤務費用 7,327 6,817 1,338 1,438
過去勤務費用
- - △136 △56
利息費用 1,077 1,105 6,176 5,861
従業員拠出 - - 314 324
数理計算上の差異(注1) △1,551 △1,498 9,665 △19,035
清算 - - - △15,025
支払給付 △13,601 △16,327 △9,663 △10,580
連結除外による減少 △2,629 - - -
企業結合による増加 - - 403 439
- - 14,461 21,812
為替換算差額等
期末残高 210,118 200,215 265,934 251,112
制度資産の変動
期首残高 167,571 179,242 194,370 227,248
利息収益
746 835 5,296 5,453
制度資産に係る収益 (注2)
16,455 4,249 13,533 △5,836
事業主拠出 10,117 12,361 10,957 8,545
従業員拠出 - - 314 324
事業主への返還額 △400 △420 △677 △719
清算 - - - △14,181
支払給付 △13,601 △16,327 △9,663 △10,580
連結除外による減少 △1,646 - - -
- - 13,118 18,695
為替換算差額等
期末残高 179,242 179,940 227,248 228,949
確定給付負債の純額の
30,876 20,275 38,686 22,163
期末残高
(注1)前連結会計年度及び当連結会計年度の数理計算上の差異は主に財務上の仮定の変化により生じた差異で
す。
(注2)制度資産に係る収益には利息収益を含んでおりません。
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確定給付制度債務の現在価値の算定に使用した重要な数理計算上の仮定(加重平均)は以下のとおりです。
国内制度
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
割引率
0.5% 0.6%
給与水準の予想上昇率 2.4% 2.4%
海外制度
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
割引率
2.4% 3.0%
給与水準の予想上昇率 1.8% 1.9%
他の仮定に変更がないとして、以下に示された割合で割引率が変動した場合、前連結会計年度末及び当連結会計
年度末における確定給付制度債務は以下のとおり変動します。感応度分析はその他の仮定に変更がないことを前提
としておりますが、実際には他の仮定の変化が感応度分析に影響する可能性があります。なお、給与水準の予想上
昇率については変動を見込んでおりません。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
割引率
(百万円) (百万円)
0.5%増加
△27,461 △25,399
0.5%減少 29,642 27,851
前連結会計年度の制度資産の公正価値は以下のとおりです。
国内制度 海外制度
活発な市場に 活発な市場に 活発な市場に 活発な市場に
合計 合計
おける公表価 おける公表価 おける公表価 おける公表価
格があるもの 格がないもの 格があるもの 格がないもの
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
制度資産
持分証券:
国内株式 19,631 - 19,631 - - -
外国株式 - - - 3,904 - 3,904
合同運用信託 - 50,095 50,095 - 44,586 44,586
負債証券:
国内債券 - - - - - -
外国債券 - - - 90,385 - 90,385
合同運用信託 - 64,809 64,809 - 77,492 77,492
その他資産:
生保一般勘定 - 23,381 23,381 - 23,407 23,407
15 21,311 21,326 △20,292 7,766 △12,526
その他(注)
19,646 159,596 179,242 73,997 153,251 227,248
制度資産合計
(注)海外制度の活発な市場における公表価格があるものは、主に金利変動やインフレ等による確定給付制度債
務の現在価値の変動に制度資産を連動させるため、主にLiability Driven Investment(LDI)により運用
しております。
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当連結会計年度の制度資産の公正価値は以下のとおりです。
国内制度 海外制度
活発な市場に 活発な市場に 活発な市場に 活発な市場に
合計 合計
おける公表価 おける公表価 おける公表価 おける公表価
格があるもの 格がないもの 格があるもの 格がないもの
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
制度資産
持分証券:
国内株式 18,047 - 18,047 - - -
外国株式 - - - 5,240 - 5,240
合同運用信託 - 47,053 47,053 - 39,043 39,043
負債証券:
国内債券 - - - - - -
外国債券 - - - 101,611 - 101,611
合同運用信託 - 66,590 66,590 - 74,103 74,103
その他資産:
生保一般勘定 - 18,988 18,988 - 23,579 23,579
16 29,246 29,262 △22,938 8,311 △14,627
その他(注)
18,063 161,877 179,940 83,913 145,036 228,949
制度資産合計
(注)海外制度の活発な市場における公表価格があるものは、主に金利変動やインフレ等による確定給付制度債
務の現在価値の変動に制度資産を連動させるため、主にLiability Driven Investment(LDI)により運用
しております。
当社グループの投資の目標は、特定のリスク管理方針のもとに収益を最大化することにあります。当社グループ
のリスク管理方針では、投資信託、負債有価証券及び持分有価証券に投資することを認めておりますが、デリバ
ティブ金融商品について投機的に取引することは認めておりません。当社グループは国内外の確定利回り証券や国
内外の持分証券に投資する投資信託へ投資することにより、資産の多様性を確保しております。これらの投資信託
は支払いが必要となった退職給付債務の支払いに充てるために、随時売却することが可能です。当社グループの国
内制度の資産ポートフォリオは、大きく3つの資産区分に分類されます。約35%を持分証券で運用し、約40%を負
債証券で運用し、生保一般勘定等のその他の資産で約25%を運用しております。当社グループの海外制度の投資政
策は、国ごとに異なっておりますが、長期的な投資の目的及び政策は以下のように一貫しております。約20%を持
分証券で運用し、約75%を負債証券で運用し、生保一般勘定等のその他の資産で約5%を運用しております。
翌連結会計年度の制度資産への予想拠出額は 17,760百万円です。
当連結会計年度末における確定給付制度債務の加重平均デュレーションは 11年です。
(2)確定拠出型制度
当社グループでは、確定拠出年金制度を採用しております。前連結会計年度及び当連結会計年度における確定拠
出年金制度にかかる年金費用はそれぞれ 10,312百万円 及び 10,861百万円 です。
(3)従業員給付費用
前連結会計年度及び当連結会計年度における連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含
まれる従業員給付費用の合計額は、それぞれ 548,377百万円 及び 579,830百万円 です。
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24 株式に基づく報酬
当社における役員向け株式交付信託及び執行役員等向け株式交付信託を用いた株式報酬制度
(a) 株式報酬制度の内容
当社は、当社取締役及び執行役員等(社外取締役及び非執行取締役を除く。以下、「取締役等」という。)を対象
に、株主の皆様との利益共有意識を強化するとともに、持続的な成長と適切な株主還元も含めた株主価値の向上への
コミットメントを示すことを目的として、透明性・公正性の高い株価条件付の株式報酬制度を実現するため、株価条
件付株式報酬制度(以下、本制度)を導入しております。
本制度では役員向け株式交付信託及び執行役員等向け株式交付信託を用いております。当社が拠出する金銭を原資
として当社株式が本信託を通じて取得され、当社が定める「株式交付規程」に従い、当社の取締役等に対して、制度
開始日以降、対象期間中の月末に取締役等として在任していることなどを権利確定条件として、毎月、役位及び制度
適用日から退任時までの当社株価の伸長率とTOPIXの伸長率との比較結果に応じたポイント(1ポイント=1株)を付
与するものであります。各取締役等は、原則としてその退任時に、所定の受益者確定手続きを行うことにより、付与
されたポイント数に相当する当社株式等の交付等を受けることができます。
本制度は、持分決済型の株式報酬として会計処理しております。
(b) 期中に付与されたポイント数及びポイントの加重平均公正価値
ポイントの付与日における公正価値は、当社株式の市場価値を、予想配当利回りを考慮に入れて修正し算定してお
ります。期中に付与されたポイント数及びポイントの加重平均公正価値は、以下のとおりであります。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
期中に付与されたポイント数 57,230 51,585
加重平均公正価値(円) 1,101 1,047
(c) 株式に基づく報酬費用
本制度に係る費用計上額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、 それぞれ 63百万円及び 54百万円であ
り、連結損益計算書上、「販売費及び一般管理費」に計上しております。
25 資本金及びその他の資本項目
(1) 資本金
当社の発行可能株式総数及び発行済株式総数は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(株) (株)
発行可能株式総数:
普通株式 1,500,000,000 1,500,000,000
発行済株式総数:
期首 744,912,078 744,912,078
期中増減 - △107,443,900
期末 744,912,078 637,468,178
当連結会計年度の発行済株式総数の減少は、自己株式の消却によるものです。
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(2) 剰余金
①資本剰余金
会社法では、株式の発行に対しての払込又は給付に係る額の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本
剰余金に含まれる資本準備金に組み入れることが規定されております。資本準備金は株主総会の決議により、
資本金に組み入れることができます。
②利益剰余金
会社法では、剰余金の配当により減少する剰余金の額の10分の1を、資本準備金及び利益剰余金に含まれる
利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで、資本準備金又は利益準備金として積み立てることが規
定されております。積み立てられた利益準備金は、欠損填補に充当できます。また、株主総会の決議をもっ
て、利益準備金を取り崩すことができます。
当社における会社法上の分配可能額は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠し
て作成された親会社の会計帳簿上の利益剰余金の金額に基づいて算定されております。
また、会社法は分配可能額の算定にあたり一定の制限を設けております。当社の会計帳簿上、その他利益剰
余金として記帳されている金額は、前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、それぞれ 235,913百万
円 及び 110,112百万円 であり、上記の制約を受けておりません。
(3) 自己株式
発行済株式総数に含まれる自己株式数は、前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、それぞれ
26,692,132株 及び 468,700株 です。なお、当社は、役員向け株式交付信託及び執行役員等向け株式交付信託を
設定しており、当該信託が保有する当社株式(前連結会計年度末 415,800株及び当連結会計年度末 398,600
株)を、自己株式に含めております。
当社は、2021年3月3日開催の取締役会決議に基づき以下のとおり自己株式を取得しております。なお、当
該自己株式の取得は2021年12月10日(受渡ベース)をもって終了しております。
(1)取得対象株式の種類 当社普通株式
(2)取得した株式の総数 81,230,900 株
(3)取得価額の総額 92,709,040,000 円
(4)取得期間 2021年4月1日~2021年12月10日(受渡ベース)
(5)取得方法 東京証券取引所における市場買付
(ご参考)
2021年3月3日開催の当社取締役会における決議内容
(1)取得対象株式の種類 当社普通株式
(2)取得し得る株式の総数 145,000,000 株(上限)
(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合 20.02%)
(3)株式の取得価額の総額 1,000 億円(上限)
(4)取得期間 2021年3月4日~2022年3月3日
(5)取得方法 東京証券取引所における市場買付
また、当社は、2022年2月4日開催の取締役会決議に基づき以下のとおり自己株式を消却しております。
(1)消却した株式の種類 当社普通株式
(2)消却した株式の総数 107,443,900 株
(3)消却実施日 2022年2月28日
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(4) 配当金
①配当金支払額
1株当たり
配当金の総額
(決議) 株式の種類 配当額 基準日 効力発生日
(百万円)
(円)
2020年6月26日
普通株式 9,423 13.0 2020年3月31日 2020年6月29日
定時株主総会
2020年11月4日
普通株式 5,436 7.5 2020年9月30日 2020年12月1日
取締役会
2021年6月24日
普通株式 5,391 7.5 2021年3月31日 2021年6月25日
定時株主総会
2021年11月4日
普通株式 8,677 13.0 2021年9月30日 2021年12月1日
取締役会
(注) 2020年6月26日定時株主総会決議による配当金の総額には、当社が設定する役員向け株式交付信託及び執行
役員等向け株式交付信託が保有する当社株式に対する配当金5百万円が含まれております。
また、2020年11月4日取締役会決議による配当金の総額には、当社が設定する役員向け株式交付信託及び執
行役員等向け株式交付信託が保有する当社株式に対する配当金3百万円が含まれております。
また、2021年6月24日株主総会決議による配当金の総額には、当社が設定する役員向け株式交付信託及び執
行役員等向け株式交付信託が保有する当社株式に対する配当金3百万円が含まれております。
また、2021年11月4日取締役会決議による配当金の総額には、当社が設定する役員向け株式交付信託及び執
行役員等向け株式交付信託が保有する当社株式に対する配当金5百万円が含まれております。
②基準日が当期に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌期となるもの
配当金の
1株当たり
配当の
株式の
配当額
(決議) 総額 基準日 効力発生日
種類
原資
(円)
(百万円)
2022年6月24日 利益
普通株式 8,286 13.0 2022年3月31日 2022年6月27日
定時株主総会 剰余金
(注) 2022年6月24日株主総会決議による配当金の総額には、当社が設定する役員向け株式交付信託及び執行役員
等向け株式交付信託が保有する当社株式に対する配当金5百万円が含まれております。
26 金融商品及び関連する開示
(1) 資本リスク管理
当社グループの資本管理は、当社グループの持続的な成長と企業価値増大を実現するため、事業発展に充分な資
金を確保できる堅固な財務体質維持と効率的な資本構成の両立を方針としております。
当社グループは有利子負債から現金及び預金を控除したネット有利子負債及び親会社の所有者に帰属する持分、
D/Eレシオを管理対象としており、各数値は以下のとおりです。また、経営管理上は、販売金融の負債負担を除いた
ネット有利子負債も対象としております。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
有利子負債
294,619 302,546
△335,048 △240,389
現金及び預金
ネット有利子負債 △40,429 62,157
親会社の所有者に帰属する持分合計 920,246 902,042
D/Eレシオ △0.04 0.07
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(2) 市場リスク管理
① 為替リスク
(a) 為替リスク管理
当社グループは、生産活動及び販売活動の相当部分を日本以外の米国、欧州、並びに中国等その他地域で行っ
ており、外貨建の業績、資産・負債は為替レートの変動の影響を受ける可能性があります。
当社グループは、外貨建の資産及び負債に対する外国為替レートの変動リスクを軽減することを目的として為
替予約等を締結しております。
(b) 為替予約等
為替予約等の詳細は以下のとおりです。
為替予約等
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
為替 契約残高 公正価値 為替 契約残高 公正価値
レート (百万円) (百万円) レート (百万円) (百万円)
ユーロ/円
¥129.80 42,842 △1,344 ¥136.70 13,670 △710
ポンド/ユーロ €1.17 25,442 △81 €1.18 46,213 △255
(c) 為替感応度分析
各連結会計年度において、当社グループが保有する金融商品が米ドル、ユーロに対して日本円が1円円高と
なった場合の連結損益計算書の税引前利益に与える影響は以下のとおりです。計算にあたり残高や金利等は変動
しないものと仮定しております。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
米ドル
△47 94
ユーロ △105 △131
② 金利リスク
(a) 金利リスク管理
当社グループの有利子負債は、主に固定金利により調達している社債及び借入金であり、現在の金利リスクは
当社グループにとって重要なものではないと考えております。
(b) 金利リスク感応度分析
当社グループが決算日現在において保有する金融商品において、金利が1%上昇した場合の連結損益計算書の
税引前利益に与える影響は以下のとおりです。
金利変動の影響を受ける変動金利有利子負債を対象としており、為替変動の影響等その他の要因は一定である
ことを前提としております。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
税引前利益
△3 △107
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(3) 信用リスク管理
① 企業の有する金融資産の信用リスク
当社グループの営業活動から生じる債権は取引先の信用リスクにさらされております。
信用リスクとは、取引先が契約上の義務を果たすことができなかった場合に当社グループに生じる財務上の損
失リスクです。
当該リスクに関して、当社グループは、与信限度額の設定、継続した与信調査及び取引先のモニタリングを
行っております。また、信用リスクの集中等の潜在的リスクを最小限に抑える必要があると考えているため、モ
ニタリングの結果によって、信用供与の程度を調整しております。これらの財務情報のほか、将来の経済状況等
も考慮して予想信用損失の認識や測定を実施しております。
当社グループでは、支払期限の超過等による回収可能性の変動等が観察できた場合に当該金融資産の信用リス
クが著しく増大したものと判断しております。また、概ね180日を超過するような大幅な支払期限の超過に加えて
取引先の著しい財務状況の悪化等が観察できた場合に当該金融資産が信用減損しているものと判断しておりま
す。また、法的に債権が消滅する場合等、債権の回収が合理的に見込めない場合には、金融資産の帳簿価額を直
接償却しております。
デリバティブ取引の利用にあたっては、信用度の高い金融機関に限定しているため、信用リスクは僅少である
と認識しております。
金融資産の帳簿価額の合計額は信用リスクの最大エクスポージャーを表しております。
(i) 営業債権及びリース債権の予想信用損失の測定
営業債権及びリース債権には単純化したアプローチを採用しているため、債権が回収されるまでの全期間の予
想信用損失を用いて貸倒引当金を算定しております。
(ⅱ) 貸付金及びその他の債権の予想信用損失の測定
期末日時点で、貸付金及びその他の債権に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合、当社
グループでは過去の貸倒実績及び経済状況等の将来予測情報に基づき、将来12か月の予想信用損失を見積もるこ
とにより当該金融商品に係る貸倒引当金を算出しております。なお、貸付等の取引にあたっては与信調査を実施
し、与信限度額の設定及び信用状況を定期的にモニタリングすることにより、取引先の信用状況に応じて適切な
管理を行っているため、信用リスクは僅少であると判断しております。
② 予想信用損失から生じた金額に関する定量的・定性的情報
営業債権及びリース債権に係る貸倒引当金は以下のとおりです。
信用減損していない 信用減損している
合計
債権に係る貸倒引当金 債権に係る貸倒引当金
(百万円) (百万円) (百万円)
2020年4月1日 残高 9,452 4,433 13,885
貸倒引当金繰入額
1,359 1,123 2,482
目的使用 △597 △1,324 △1,921
506 340 846
為替換算差額
2021年3月31日 残高 10,720 4,572 15,292
貸倒引当金繰入額
257 3,116 3,373
目的使用 △586 △1,034 △1,620
715 610 1,325
為替換算差額
2022年3月31日 残高 11,106 7,264 18,370
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債権残高及び貸倒引当金の期日別分析は以下のとおりです。
債権残高 貸倒引当率 全期間の貸倒引当金
前連結会計年度
( 2021年3月31日 )
(百万円) (%) (百万円)
180日以内
567,224 1.9 10,720
10,016 45.6 4,572
180日超
合計 577,240 2.6 15,292
債権残高 貸倒引当率 全期間の貸倒引当金
当連結会計年度
( 2022年3月31日 )
(百万円) (%) (百万円)
180日以内
553,706 2.0 11,106
10,389 69.9 7,264
180日超
合計 564,095 3.3 18,370
(4) 流動性リスク管理
当社グループは、事業資金を金融機関からの借入金又は社債発行等により調達しております。このため、資金調
達環境の悪化等により債務を履行できなくなるリスクにさらされております。
当社及び一部の連結子会社は金融機関と借入枠並びに当座借越についての契約を締結しており、コマーシャル
ペーパー発行プログラムを保有しております。また当社グループは、各地域に設置している金融子会社を中心にグ
ループ企業間で手元流動性を有効活用するグループ内の資金融通の制度を構築しております。流動性リスクに対し
ては、資金調達手段の多様化を図り、複数の金融機関との間でコミットメント・ラインを設定しております。
保証債務以外の金融負債(デリバティブ金融商品を含む)の期日別残高は以下のとおりです。
契約上の
1年超 2年超 3年超 4年超
キャッ
帳簿価額 1年内 5年超
前連結会計年度
シュ・フ
2年以内 3年以内 4年以内 5年以内
(2021年3月31日)
ロー
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
非デリバティブ金融負債
営業債務及びその他の
287,160 287,160 287,160 - - - - -
債務
短期借入金 36,620 36,706 36,706 - - - - -
長期借入金 148,948 149,527 46,391 32,934 28,723 41,121 313 45
社債 36,839 38,912 368 13,329 10,335 320 1,855 12,705
72,212 76,947 25,955 16,047 10,716 7,155 4,201 12,873
リース負債
小計 581,779 589,252 396,580 62,310 49,774 48,596 6,369 25,623
デリバティブ負債
1,669 1,669 1,669 - - - - -
為替予約等
小計 1,669 1,669 1,669 - - - - -
合計 583,448 590,921 398,249 62,310 49,774 48,596 6,369 25,623
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契約上の
1年超 2年超 3年超 4年超
キャッ
帳簿価額 1年内 5年超
当連結会計年度
シュ・フ
2年以内 3年以内 4年以内 5年以内
( 2022年3月31日 )
ロー
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
非デリバティブ金融負債
営業債務及びその他の
268,534 268,534 268,534 - - - - -
債務
短期借入金 67,003 67,195 67,195 - - - - -
長期借入金 130,491 131,037 33,961 30,016 55,633 1,033 10,361 33
社債 37,943 39,793 14,049 10,364 349 2,050 233 12,748
67,109 71,342 23,614 15,260 10,151 6,415 5,293 10,609
リース負債
小計 571,080 577,901 407,353 55,640 66,133 9,498 15,887 23,390
デリバティブ負債
2,079 2,079 2,079 - - - - -
為替予約等
小計 2,079 2,079 2,079 - - - - -
合計 573,159 579,980 409,432 55,640 66,133 9,498 15,887 23,390
当社及び一部の連結子会社は金融機関と借入枠及び当座借越についての契約を締結しております。また当社及び
一部の連結子会社はコマーシャルペーパーの発行プログラムを保有しております。これらの信用枠の合計及び使用
状況は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
借入枠及び当座借越枠
使用 265 300
347,404 232,300
未使用
合計 347,669 232,600
コマーシャルペーパー発行枠
使用 - -
133,213 136,717
未使用
合計 133,213 136,717
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(5) 金融商品の公正価値
金融商品の帳簿価額と公正価値は、以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
帳簿価額 公正価値 帳簿価額 公正価値
<資産>
リース債権 228,509 234,007 220,467 224,834
デリバティブ資産 407 407 147 147
株式及び出資持分 17,770 17,770 11,841 11,841
734 734 488 488
社債
合計 247,420 252,918 232,943 237,310
<負債>
デリバティブ負債 1,669 1,669 2,079 2,079
139,676 136,416 121,042 117,985
社債及び借入金
合計 141,345 138,085 123,121 120,064
(注)1 現金及び現金同等物、定期預金、営業債務及びその他の債務
これらの勘定は短期間で決済されるので、帳簿価額と公正価値が近似しております。そのため、上記の表
中には含めておりません。
2 営業債権及びその他の債権
営業債権及びその他の債権のうち、短期間で決済される債権については、帳簿価額と公正価値が近似して
いるため上記の表中には含めておりません。なお、重要性の乏しい債権については上記の表中に含めており
ません。
3 リース債権
リース債権については、一定の期間ごとに区分した債権ごとに、債権額を満期までの期間及び信用リスク
を加味した利率により割り引いた現在価値に基づいて算定しております。観察不能なインプットを含む評価
技法から算出された公正価値を算定しているため、公正価値の測定及び開示ではレベル3に分類しておりま
す。
4 デリバティブ
デリバティブには、為替予約等が含まれており、金融機関より入手した見積価格や利用可能な情報に基づ
く適切な評価方法により公正価値を算定しているため、レベル2に分類しております。
5 株式及び出資持分、社債
株式及び出資持分、社債には、市場性のある株式及び社債、非上場の株式及び出資持分が含まれておりま
す。市場性のある株式及び社債は、活発な市場における同一資産の市場価格で公正価値を算定しており、観
察可能であるためレベル1に分類しております。非上場の株式及び出資持分は、類似企業の市場価格等の観
察可能な指標と観察不能な指標を用いた評価技法に基づき公正価値を算定しているため、レベル3に分類し
ております。
6 社債及び借入金
社債及び借入金のうち、12ヶ月以内に償還及び返済される部分については、帳簿価額と公正価値が近似し
ているため上記の表中には含めておりません。
社債及び借入金については、契約ごとの将来キャッシュ・フローから、類似の満期日の借入金に対して適用
される期末借入金利を用いて割り引いた現在価値に基づいて算定しております。観察可能な市場データを利
用して公正価値を算定しているため、公正価値の測定及び開示ではレベル2に分類しております。
7 各金融資産及び金融負債の事後測定方法
IFRS第9号「金融商品」に基づく各金融資産及び金融負債の測定方法は、以下のとおりです。
償却原価で測定:営業債権、社債(負債)及び借入金
純損益を通じて公正価値で測定:デリバティブ資産、デリバティブ負債、株式及び出資持分
その他の包括利益を通じて公正価値で測定:株式及び出資持分、社債(資産)
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当社グループは、取引関係の維持・強化を目的として保有する資本性金融商品に対する投資について、その保
有目的に鑑み、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品に対する投資の主な銘柄ごとの公正価値は次の
とおりです。
前連結会計年度( 2021年3月31日 )
公正価値
銘柄
(百万円)
三愛石油㈱ 4,415
㈱大塚商会 2,020
日本電産㈱ 1,638
Sindoh Co., Ltd
941
㈱WACUL 904
久光製薬㈱ 851
マックス㈱ 818
ウシオ電機㈱ 730
東海旅客鉄道㈱ 662
三井住友トラスト・ホールディングス㈱ 433
4,358
その他
合計
17,770
当連結会計年度( 2022年3月31日 )
公正価値
銘柄
(百万円)
㈱大塚商会 1,694
日本電産㈱ 1,189
三愛石油㈱ 1,045
Sindoh Co., Ltd
1,010
ウシオ電機㈱ 913
東海旅客鉄道㈱ 638
久光製薬㈱ 432
XAVIS.co.,Ltd. 343
東京海上ホールディングス㈱ 245
エヴィクサー㈱ 240
4,092
その他
合計
11,841
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当社グループは、資産の効率的活用や業務上の関係の見直し等により、その他の包括利益を通じて公正価値で
測定される金融資産の一部を売却により処分し、認識を中止しております。期中で売却した銘柄の売却時におけ
る公正価値、売却に係る累積利得又は損失及び受取配当金の合計額は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
公正価値
443 3,803
累積利得(△損失) 344 2,250
受取配当金 11 98
前連結会計年度及び当連結会計年度における、期末日時点で保有しているその他の包括利益を通じて公正価値
で測定される金融資産より認識された受取配当金はそれぞれ 505百万円及び 875百万円です。
当社グループでは、その他の資本の構成要素として認識していたその他の包括利益を通じて公正価値で測定さ
れる金融資産の累積利得又は損失は、当該金融資産の公正価値が著しく下落した場合、又は認識を中止した場合
にその他の包括利益の累積額から利益剰余金に振り替えております。前連結会計年度及び当連結会計年度におけ
る利益剰余金へ振り替えたその他の包括利益の累積利得はそれぞれ 264百万円及び 1,547百万円です。
(6) 連結財政状態計算書において認識された公正価値の測定
以下は金融商品を当初認識した後、公正価値で測定された金融商品の分析であります。分析に使用する公正価
値ヒエラルキーは、以下のように定義付けられております。
なお、公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替は、振替を生じさせた事象又は状況の変化が生じた日に認識し
ております。
レベル1・・・ 活発な市場における公表価格により測定された公正価値
レベル2・・・
レベル1以外の、観察可能なインプットを直接、又は間接的に使用して算出された公正価値
レベル3・・・ 観察不能なインプットを含む評価技法から算出された公正価値
公正価値により測定された金融商品
レベル1 レベル2 レベル3 合計
前連結会計年度
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
( 2021年3月31日 )
<資産>
純損益を通じて公正価値で
測定する金融資産
デリバティブ資産 - 407 - 407
その他の包括利益を通じて
公正価値で測定する金融
資産
株式及び出資持分 15,317 - 2,453 17,770
734 - - 734
社債
合計 16,051 407 2,453 18,911
<負債>
純損益を通じて公正価値で
測定する金融負債
- 1,669 - 1,669
デリバティブ負債
合計 - 1,669 - 1,669
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レベル1 レベル2 レベル3 合計
当連結会計年度
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
( 2022年3月31日 )
<資産>
純損益を通じて公正価値で
測定する金融資産
デリバティブ資産 - 147 - 147
株式及び出資持分 - - 1,259 1,259
その他の包括利益を通じて
公正価値で測定する金融
資産
株式及び出資持分 8,830 - 1,752 10,582
488 - - 488
社債
合計 9,318 147 3,011 12,476
<負債>
純損益を通じて公正価値で
測定する金融負債
- 2,079 - 2,079
デリバティブ負債
合計 - 2,079 - 2,079
(注)1 デリバティブ
デリバティブには、為替予約等が含まれており、これらの公正価値は、金融機関より入手した見積価格や利
用可能な情報に基づく適切な評価方法により算定しているため、レベル2に分類しております。
2 株式及び出資持分、社債
株式及び出資持分、社債には、市場性のある株式及び社債、非上場の株式及び出資持分が含まれておりま
す。市場性のある株式及び社債は、活発な市場における同一資産の市場価格で公正価値を算定しており、観
察可能であるためレベル1に分類しております。非上場の株式及び出資持分は、類似企業の市場価格等の観
察可能な指標と観察不能な指標を用いた評価技法に基づき公正価値を算定しているため、レベル3に分類し
ております。
レベル3に分類されている金融商品について、観察可能でないインプットを合理的に考え得る代替的な仮定に
変更した場合に重要な公正価値の変動は見込まれておりません。
レベル3に分類された金融商品の期首残高から期末残高への調整表
当連結会計年度
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日 )
至 2022年3月31日 )
(百万円)
(百万円)
期首残高 16,509 2,453
利得及び損失合計
純損益(注1) - 161
その他の包括利益(注2) △165 93
購入 564 369
売却 △119 △64
連結除外による減少 △14,142 -
上場によるレベル1への振替(注3) △330 △100
136 99
その他
期末残高 2,453 3,011
(注)1 純損益
純損益に含まれている利得及び損失は、報告期間期末時点に保有する純損益を通じて公正価値で測定する金
融資産に関するものであります。連結損益計算書の「金融収益」及び「金融費用」に含まれております。
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2 その他の包括利益
その他の包括利益に含まれている利得及び損失は、報告期間期末時点に保有するその他の包括利益を通じて
公正価値で測定する金融資産に関するものであります。連結包括利益計算書の「その他の包括利益を通じて
測定する金融資産の公正価値の純変動」(注記33 その他の包括利益 を参照)に含まれております。
3 上場によるレベル1への振替
レベル1への振替は、投資先の上場に伴いその株価により公正価値を測定することが可能となったことによ
る振替です。
(7) デリバティブ及びヘッジ活動
当社グループは為替、金利に係る市場リスクを管理するためにデリバティブを利用しております。しかし、グ
ループ内規定に基づき、売買目的及び投機目的のデリバティブは保有しておりません。当社グループはすべての
デリバティブを連結財政状態計算書に公正価値で認識しております。当社グループはデリバティブの契約を締結
する際に、当該デリバティブがヘッジ関係の一部として適格であるか否かの判定を行っております。
当社グループはデリバティブを、連結財政状態計算書上に計上された資産又は負債の公正価値の変動をヘッジ
するための公正価値ヘッジ、連結財政状態計算書上に計上された資産又は負債に付随する受払い及び予定取引に
関連するキャッシュ・フローの変動をヘッジするためのキャッシュ・フロー・ヘッジのいずれかとして指定して
おります。
キャッシュ・フロー・ヘッジについて、キャッシュ・フローが発生すると見込まれる期間及び純損益に影響を
与えることになると見込まれる期間は1年以内です。
前連結会計年度及び当連結会計年度における連結損益計算書の「金融収益」及び「金融費用」に含まれるヘッ
ジ会計が適用されないデリバティブの評価損益は、それぞれ 2,907百万円 (評価損)及び 670百万円 (評価損)
です。なお、上記の評価損益は主に為替から生じたものです。
前連結会計年度及び当連結会計年度においてキャッシュ・フロー・ヘッジとして指定したヘッジ手段の詳細は
以下のとおりです。
(前連結会計年度)
帳簿価額
想定元本 連結財政状態計算書上
(百万円)
(百万円) の表示科目
資産 負債
キャッシュ・フロー・ヘッジ
為替予約 32,457 - 724 その他の金融負債
(当連結会計年度)
該当事項はありません。
前連結会計年度及び当連結会計年度におけるキャッシュ・フロー・ヘッジ剰余金の残高は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
キャッシュ・フロー・ヘッジ
為替予約 △513 -
純損益に認識したヘッジ非有効部分の金額に重要性はないため、ヘッジ非有効部分の計算に用いた公正価値変
動の記載は省略しております。
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(8) 認識の中止要件を満たさない金融資産の譲渡
一部の海外子会社において、遡及権付リース債権の譲渡を行っております。これらについてはリスクと経済価
値のほとんどすべてを留保しており、金融資産の認識の中止の要件を満たさないことから、対象となった債権を
認識し、関連する負債を借入金として認識しております。
認識の中止要件を満たさない方法で譲渡された金融資産及び関連する負債に関する帳簿価額と、譲渡資産に関
する負債が譲渡資産のみに遡及権を有している場合の公正価値は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
帳簿価額 公正価値 帳簿価額 公正価値
リース債権
507 557 260 282
借入金 507 507 260 260
27 その他の収益
前連結会計年度及び当連結会計年度におけるその他の収益は、以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
有形固定資産及び無形資産売却益
1,420 14,004
政府補助金 1,360 1,142
3,011 2,814
その他
合計 5,791 17,960
28 子会社に対する支配喪失
(前連結会計年度)
①支配喪失の概要
当社は、2020年3月9日開催の取締役会において、当社の連結子会社であるリコーリース株式会社(以下、リコー
リース)の普通株式の一部をみずほリース株式会社(以下、みずほリース)へ譲渡することを決議し、株式譲渡契
約を締結しました。
2020年4月23日には、当社が保有するリコーリース株式の一部についてみずほリースへの譲渡が完了しました。本
株式譲渡によって、リコーリースに対する当社の議決権所有割合は 33.7%となり、リコーリースは、当社の連結子
会社から持分法適用関連会社となりました。
②支配喪失日における資産及び負債
(百万円)
現金及び現金同等物
28,954
営業債権及びその他の債権
219,572
その他の金融資産 824,971
有形固定資産 63,855
その他(資産) 46,144
社債及び借入金 △907,957
営業債務及びその他の債務 △40,824
△51,229
その他(負債)
処分した純資産 183,486
(注)上記は、連結会社間の消去前の金額で記載しております。
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③子会社の支配喪失に伴う損益
前連結会計年度
(自2020年4月1日
至2021年3月31日)
(百万円)
受取対価
36,800
処分した純資産 △183,486
非支配持分 84,676
62,010
支配喪失時の残余投資
連結除外損益 -
(注)売却目的保有に分類される処分グループを売却コスト控除後の公正価値で測定した結果、2,539百万円の損
失を認識しております。当該損失は「販売費及び一般管理費」に計上しております。
④支配喪失に伴う現金及び現金同等物の変動
前連結会計年度
(自2020年4月1日
至2021年3月31日)
(百万円)
現金による受取対価
36,800
△28,954
連結除外した子会社における現金及び現金同等物
子会社の支配喪失に伴う現金及び現金同等物の変動額 7,846
(当連結会計年度)
該当事項はありません。
29 売上高
(1) 収益の分解
当社グループは、注記5 事業セグメント に記載のとおり、 デジタルサービス、デジタルプロダクツ、グラフィック
コミュニケーションズ、インダストリアルソリューションズ、その他の5つを報告セグメントとしております。また、
売上高は顧客の所在地を基礎とし、地域別に分解しております。これらの分解した売上高と各報告セグメントの売上高
との関係は以下のとおりです。
欧州・中東・
前連結会計年度
日本 米州 その他地域 合計
アフリカ
(自2020年4月1日
至2021年3月31日)
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
デジタルサービス
651,116 293,814 335,151 96,532 1,376,613
デジタルプロダクツ 5,917 456 - 5,738 12,111
グラフィックコミュニケーションズ 26,699 72,188 40,093 20,929 159,909
インダストリアルソリューションズ 55,675 17,254 15,006 20,943 108,878
13,634 2,897 3,159 4,868 24,558
その他
合計 753,041 386,609 393,409 149,010 1,682,069
顧客との契約から認識した収益 739,473 343,481 316,944 124,281 1,524,179
その他の源泉から認識した収益 13,568 43,128 76,465 24,729 157,890
(注) 1 セグメント間の内部売上高を除いた金額を表示しております。
2 その他の源泉から認識した収益には、IFRS第16号に基づくリース収益等が含まれています。
3 当社グループは2021年4月1日より社内カンパニー制を導入しました。そのため、当連結会計年度より、事
業の種類別セグメントを変更しております。この変更に関して、前連結会計年度についても遡及適用した数
値で表示しております。
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欧州・中東・
当連結会計年度
日本 米州 その他地域 合計
アフリカ
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日 ) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
デジタルサービス
615,808 329,961 380,384 102,039 1,428,192
デジタルプロダクツ 6,603 639 3 5,927 13,172
グラフィックコミュニケーションズ 26,381 86,820 48,520 25,361 187,082
インダストリアルソリューションズ 47,779 22,145 17,663 23,204 110,791
8,671 4,082 3,608 2,989 19,350
その他
合計 705,242 443,647 450,178 159,520 1,758,587
顧客との契約から認識した収益 700,574 391,073 376,145 134,665 1,602,457
その他の源泉から認識した収益 4,668 52,574 74,033 24,855 156,130
(注) 1 セグメント間の内部売上高を除いた金額を表示しております。
2 その他の源泉から認識した収益には、IFRS第16号に基づくリース収益等が含まれています。
収益認識の時期は以下の通りです。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至2021年3月31日) 至 2022年3月31日 )
一定の期間 一定の期間
一時点で移 一時点で移
にわたり移 にわたり移
転される財 転される財
転される財 合計 転される財 合計
又はサービ 又はサービ
又はサービ 又はサービ
ス ス
ス ス
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
デジタルサービス
705,744 670,869 1,376,613 703,444 724,748 1,428,192
デジタルプロダクツ 12,111 - 12,111 13,172 - 13,172
グラフィックコミュニケーションズ 102,069 57,840 159,909 114,818 72,264 187,082
インダストリアルソリューションズ 108,659 219 108,878 110,548 243 110,791
18,695 5,863 24,558 18,902 448 19,350
その他
合計 947,278 734,791 1,682,069 960,884 797,703 1,758,587
(注)上記収益にはIFRS第15号以外のその他の源泉から認識した収益が含まれており、主にIFRS第16号に基づくリース
収益等が含まれています。
当社グループの事業は、デジタルサービス、デジタルプロダクツ、グラフィックコミュニケーションズ、インダスト
リアルソリューションズ、その他より構成されており、各事業において製品販売及び役務の提供を行っております。
売上高は顧客との契約において約束された対価から値引き、購入量に応じた割戻し等を控除した金額で測定しており
ます。変動性がある値引き、割戻し等を含む変動対価については、過去、現在及び予想を含む合理的に利用可能なすべ
ての情報を用いて当社グループが権利を得る対価の金額を見積り、重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲で
のみ収益を認識しております。
デジタルサービスやその他において、当社グループが代理人として商品の販売に関与している場合には、純額で収益
を認識しております。
なお、製品保証に関しては、顧客が当該保証を独立して購入するオプションを有しておらず、製品が合意された仕様
に従っているという保証に加えて顧客にサービスを提供していないことから、引当金として会計処理しております。返
品及び返金の義務並びにその他の類似の義務に重要なものはありません。
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デジタルサービス(複合機、プリンター、パソコン、サーバー等の機器)、デジタルプロダクツ(複合機、プリン
ターのOEM)、グラフィックコミュニケーションズ(プロダクションプリンター、インクジェットヘッド、作像システ
ム、産業プリンター等)の製品は、通常機器が設置され、顧客の受け入れが得られた時点で、また、関連消耗品は、物
品の引渡時点において顧客に製品の法的所有権、物理的占有、製品の所有に伴う重大なリスク及び経済価値が移転し、
履行義務が充足されると判断していることから、それぞれ当該時点で収益を認識しております。
インダストリアルソリューションズ(サーマルペーパーや産業用光学部品等)及びその他の主要な製品の販売の収益
は、通常物品の引渡時点において顧客が当該製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されると判断していることか
ら、当該物品の引渡時点で収益を認識しております。
デジタルサービスのオフィスプリンティング事業及びグラフィックコミュニケーションズの商用印刷事業においては
顧客の機器の使用量に応じた従量料金、固定料金、又は基本料金に加えて使用量に応じた従量料金を請求する製品のメ
ンテンナンス契約による収益を認識しております。当社グループは、メンテナンス契約の履行義務を、契約に基づき、
機器を常時利用可能な状態を顧客に提供することと判断しており、これらの収益を、関連する履行義務を充足するにつ
れて一定期間にわたり認識しております。固定料金のメンテナンス契約については顧客との契約に係る取引額を契約期
間にわたり均等に収益認識しています。機器の使用量に応じた従量料金及び基本料金に加えて使用量に応じた従量料金
を請求するメンテナンス契約については、顧客への請求金額により収益を認識しております。
デジタルサービスのオフィスサービス事業におけるソフトウエアサービス等の販売については、主にライセンス提供
型及びその保守サービスとクラウド型サービスの2種類に分かれます。ライセンス提供型については、顧客仕様に応じ
たソフトウエアが提供され、顧客の受け入れが確認できた時点で履行義務が充足されたと判断して収益を認識しており
ます。他方、保守サービスについては、一定の期間にわたり製品のメンテナンスやサポート業務等を実施するものであ
り、一定期間にわたって履行義務が充足されるため、時の経過に応じて収益を認識しております。またクラウド型サー
ビスについては顧客仕様に応じたアプリケーションを通じてサービスを一定期間にわたり提供しており、同様に時の経
過に応じて収益を認識しております。
割賦販売契約に基づく債権は割賦払い期間にわたって月次で請求されるため、金融要素について調整しております。
それ以外の契約では取引の対価は履行義務を充足してから主として1年以内に受領しており、重大な金融要素は含まれ
ておりません。
(2) 契約残高
顧客との契約から生じた債権及び顧客との契約から生じた負債は以下のとおりです。
当連結会計年度期首 当連結会計年度
( 2021年4月1日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
顧客との契約から生じた債権
370,667 372,249
契約負債 59,669 68,366
連結財政状態計算書において、契約負債は、「その他の流動負債」及び「その他の非流動負債」に含まれています。
契約負債は主に、メンテナンス契約に関する顧客からの前受金に関連するものであります。
認識された収益について、期首時点で契約負債に含まれていた金額は、前連結会計年度と当連結会計年度において、
それぞれ 18,873百万円及び 28,030百万円であります。また、前連結会計年度及び当連結会計年度において、過去の期
間に充足(又は部分的に充足)した履行義務から認識した収益の額に重要性はありません。
(3) 残存履行義務に配分した取引価格
個別の契約期間が1年を超える契約における、未充足の履行義務に配分した取引価格は前連結会計年度と当連結会計
年度において、それぞれ 196,143百万円及び 198,575百万円であります。当該取引価格は、主に顧客に販売される機器
のメンテナンス契約に係るものであり、固定料金契約、また、従量料金契約の基本料金部分が含まれております。な
お、従量料金契約の従量料金部分は含まれておりません。当該取引価格が収益として認識されると見込まれる期間は、
概ね1年から5年であります。なお、実務上の便法を適用しており、個別の契約期間が1年に満たない契約においては
開示を省略しております。
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(4) 顧客との契約の獲得又は履行のためのコストから認識した資産
当社グループは、顧客との契約獲得のための増分コストのうち、回収可能であると見込まれる部分について資産とし
て認識しており、連結財政状態計算書上は「その他の流動資産」及び「その他の非流動資産」に計上しています。契約
獲得のための増分コストとは、顧客との契約を獲得するために発生したコストで、当該契約を獲得しなければ発生しな
かったであろうものです。
当社グループにおいて資産計上されている契約獲得のための増分コストは、主に顧客を獲得するために発生した販売
員に対する手数料等です。当該資産については見積契約期間に基づき均等償却を行っております。
顧客との契約の履行のためのコストから認識した資産はありません。
当連結会計年度期首 当連結会計年度
( 2021年4月1日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
顧客との契約の獲得のためのコストから認識した資産
6,314 6,727
顧客との契約の獲得のためのコストから認識した資産から生じた償却費は、前連結会計年度と当連結会計年度におい
て、それぞれ 4,219百万円及び 4,232百万円であります。
30 販売費及び一般管理費
前連結会計年度及び当連結会計年度における販売費及び一般管理費の内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
人件費
381,898 403,240
減価償却費及び無形資産償却費 54,422 50,334
発送運送費
24,287 27,557
賃借料
7,452 8,661
広告宣伝費
4,013 4,206
構造改革費用
22,471 2,096
有形固定資産及び無形資産等の減損
24,879 762
100,318 103,413
その他
合計 619,740 600,269
31 研究開発費
前連結会計年度及び当連結会計年度における研究開発費は、以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
研究開発費
79,193 75,724
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32 金融収益及び金融費用
金融収益及び金融費用の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
金融収益
受取配当金
その他の包括利益を
516 973
通じて公正価値で測定する金融資産
受取利息
償却原価で測定する金融資産 1,597 1,116
その他の包括利益を
27 22
通じて公正価値で測定する金融資産
為替差益 2,213 -
20 421
その他の金融収益
合計 4,373 2,532
金融費用
支払利息
償却原価で測定する金融負債 1,841 2,188
リース負債 1,149 1,049
引当金 53 22
為替差損 - 10
574 531
その他の金融費用
合計 3,617 3,800
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33 その他の包括利益
その他の包括利益の構成は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
確定給付制度の再測定
13,804 14,515
当期発生
確定給付制度の再測定 計
13,804 14,515
その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動
2,868 △1,851
当期発生
その他の包括利益を通じて測定する金融資産の
2,868 △1,851
公正価値の純変動 計
キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値の純変動
当期発生 △1,042 △133
215 723
当期利益への組替修正額
キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値の純変動 計
△827 590
在外営業活動体の換算差額
当期発生 38,594 46,775
- -
当期利益への組替修正額
在外営業活動体の換算差額 計
38,594 46,775
持分法適用会社におけるその他の包括利益に対する持分相当額
当期発生
313 305
当期利益への組替修正額 △35 △19
持分法適用会社におけるその他の包括利益に対する
278 286
持分相当額 計
非支配持分を含むその他の包括利益に含まれる税効果調整額は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
税効果 税効果 税効果 税効果
税効果 税効果
調整前 調整後 調整前 調整後
確定給付制度の再測定
21,874 △8,070 13,804 18,946 △4,431 14,515
その他の包括利益を通じて測定する
4,173 △1,305 2,868 △2,695 844 △1,851
金融資産の公正価値の純変動
キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値の
△1,041 214 △827 728 △138 590
純変動
在外営業活動体の換算差額 38,594 - 38,594 46,775 - 46,775
持分法適用会社におけるその他の包括利益
278 - 278 286 - 286
に対する持分相当額
その他の包括利益 合計
63,878 △9,161 54,717 64,040 △3,725 60,315
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34 1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益及び希薄化後1株当たり当期利益は以下のとおりです。
(1)基本的1株当たり当期利益
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
親会社の所有者に帰属する当期利益(△損失)
△32,730 百万円 30,371 百万円
期中平均普通株式数 724,175 千株 669,698 千株
基本的1株当たり当期利益(△損失) △45.20 円 45.35 円
(2)希薄化後1株当たり当期利益
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
親会社の所有者に帰属する当期利益(△損失)
△32,730 百万円 30,371 百万円
当期利益調整額 - 百万円 - 百万円
希薄化後1株当たり当期利益の計算に
△32,730 百万円 30,371 百万円
使用する当期利益(△損失)
期中平均普通株式数(注1) 724,175 千株 669,698 千株
希薄化性潜在的普通株式の影響
株式報酬(注2) - 千株 100 千株
希薄化後期中平均普通株式数 724,175 千株 669,799 千株
希薄化後1株当たり当期利益(△損失) △45.20 円 45.34 円
(注1)基本的1株当たり当期利益及び希薄化後1株当たり当期利益の算定において、役員向け株式交付信託及び
執行役員向け株式交付信託が所有する当社株式を自己株式として処理していることから、期中平均普通株
式数から当該株式数を控除しております。
(注2)前連結会計年度については、株式報酬による普通株式増加数が1株当たり当期損失を減少させるため、潜
在株式は希薄化効果を有しておりません。
35 関連当事者
(1) 関連当事者との取引
関連当事者との取引(連結財務諸表において消去されたものを除く)については、以下のとおりです。
前連結会計年度( 2021年3月31日 )
取引金額 未決済残高
種類 名称 取引内容 科目
(百万円) (百万円)
リコーリース ファクタリング方式による営業 営業債務及びそ
関連会社 27,576
76,749
株式会社 債務及びその他の債務の譲渡 の他の債務
当連結会計年度( 2022年3月31日 )
取引金額 未決済残高
種類 名称 取引内容 科目
(百万円) (百万円)
リコーリース ファクタリング方式による営業 営業債務及びそ
関連会社 31,030
86,172
株式会社 債務及びその他の債務の譲渡 の他の債務
(注)関連当事者との取引は市場価格等を勘案して価格交渉の上で決定しております。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、担保、保証取引はありません。
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(2) 主要な経営幹部に対する報酬
主要な経営幹部(取締役)に対する報酬は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
報酬及び賞与
254 326
株式取得目的報酬 9 11
14 17
株価条件付株式報酬
合計 277 354
36 資本的支出契約及び偶発事象
前連結会計年度末及び当連結会計年度末における、決算日以降の有形固定資産及びその他の資産の取得に係る既
契約額は、それぞれ 5,956百万円 及び 7,662百万円 です。
また、前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、金額的重要性のある債務保証はありません。
37 グループ企業
当社の重要な連結子会社は「第1 企業の概況 4 関係会社の状況 (連結子会社)」に記載のとおりです。
38 関連会社
(1) 重要な関連会社
当社グループにおける重要な関連会社は、リコーリース株式会社(以下、リコーリース)(報告日3月31日)であ
ります。
リコーリースは、日本国内を中心に総合リース業を営んでおり、当社製品のリース及びレンタルを行う他、当社及
び国内グループ会社との間でファクタリング取引等を行っております。
リコーリースの要約連結財務諸表と当社グループの持分の帳簿価額との調整表は以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
流動資産
649,689 665,836
556,329 557,959
非流動資産
流動負債
311,964 284,164
703,583 737,808
非流動負債
資本合計 190,471 201,823
所有持分割合 33.7% 33.7%
資本合計のうち当社グループの持分
64,189 68,014
400 361
連結調整
持分の帳簿価額 64,589 68,375
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前連結会計年度末及び当連結会計年度末において当社グループが保有するリコーリースの株式数に同日の株式市場
における相場価格を乗じて算定した金額は、それぞれ 36,019百万円及び 34,565百万円です。
2020年4月23日、当社が保有するリコーリース株式の一部についてみずほリース株式会社への譲渡が完了しまし
た。本株式譲渡によって、リコーリースに対する当社の議決権所有割合は33.7%となり、リコーリースは、当社の連
結子会社から持分法適用関連会社となりました。
なお、2020年4月23日の支配喪失日において、残余投資を配当割引モデルに基づき公正価値評価しております。支
配喪失日の公正価値測定に用いた主なインプットは、株主に帰属するキャッシュ・フローである配当金及び割引率
10%であり、公正価値は 62,010百万円であります。当該公正価値は、保有株式数に株式市場における相場価格を乗じ
た金額に重要な影響力に対するプレミアムを反映して算定しております。
当連結会計年度
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
(自2020年4月24日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円)
(百万円)
売上高
60,592 71,897
当期利益 10,626 14,196
697 691
その他の包括利益
当社グループの持分:
当期利益 3,581 4,784
235 233
その他の包括利益
包括利益合計 3,816 5,017
当社グループが受け取った配当金 1,211 1,138
(2) 個々に重要性のない関連会社
個々に重要性のない関連会社に対する当社グループの持分の帳簿価額は、以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
関連会社
14,915 13,021
個々に重要性のない関連会社における包括利益合計に対する持分は、以下のとおりです。
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
(百万円) (百万円)
当社グループの持分:
当期利益 64 820
43 53
その他の包括利益
包括利益合計 107 873
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39 後発事象
(企業結合)
当社は、2022年4月28日開催の取締役会において、富士通株式会社から、同社の子会社である株式会社PFU
(以下、PFU)の普通株式の一部(発行済株式数の80%)を取得(以下、本株式取得)することを決議し、株式
譲渡契約を締結いたしました。本株式取得によって、PFUは当社の連結子会社になります。
1.被取得企業の名称及び事業の内容
被取得企業の名称:株式会社PFU
事業の内容 :ドキュメントスキャナー、インダストリーコンピューティング製品等のハードウエア及び、
セキュリティ・文書管理等のソフトウエアやサービス、IT インフラ構築や他企業と提携し
たマルチベンダーサービス等
2.株式の取得の理由
本株式取得は、当社が2025年度までの計画として示している成長投資の一環となるものです。PFUは業務用ス
キャナで世界No.1のシェアを持ち、国内においてはクラウド構築やマネージドセキュリティサービスを展開して
います。PFUを子会社化することで、業務ワークフローの入り口となる業種・業務スキャナの獲得によるデジタル
サービスを支えるエッジデバイスの強化を図るほか、マルチクラウド環境の構築運用及びセキュリティサービス
といったお客様に近い現場のデジタル人材やエッジデバイス・ソフトウエアの技術人材といった人的資本を強化
します。これにより、お客様のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現することで、当社が事業ポート
フォリオマネジメントにおいて成長加速領域と位置づけるオフィスサービス事業を拡大させます。さらに、PFU
は、産業用コンピューターボードの国内市場においてNo.1のシェアを持っており、豊富な商品ラインアップを揃
えています。当社のエレクトロニクス事業との連携により、生産、購買、開発面でのシナジーを創出し、コスト
競争力を高めるとともに、産業用コンピュータ事業を強化し、物流や製造業等の現場のデジタル化を進める新た
なエッジデバイスの開発を目指します。
3.株式取得日
公正取引委員会より排除措置命令を行わない旨の通知を受領し、準備が整い次第速やかに取得する予定です。
4.取得価額
約840億円
(注)本株式取得における実際の取得価額は、株式取得日におけるPFUのバランスシート等に基づいて調整される
ため、変動する可能性があります。
5. 支払資金の調達方法及び支払方法
自己資金の活用を予定しております。
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(自己株式の取得及び消却)
当社は、2022年5月10日開催の取締役会において、以下のとおり、会社法第165条第3項の規定により読み替
えて適用される同法第156条の規定に基づき、自己株式取得に係る事項を決議するとともに、会社法第178条の規
定に基づき、自己株式消却に係る事項を決議しました。
1.自己株式の取得及び消却を行う理由
株主還元の充実並びに資本効率の向上のため、自己株式の取得及び消却を実施いたします。
2.取得に係る事項の内容
(1)取得対象株式の種類 当社普通株式
(2)取得し得る株式の総数 48,000,000 株(上限)
(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する比率 7.5%)
(3)株式の取得価額の総額 300億円(上限)
(4)取得期間 2022年5月11日~2022年9月30日
(5)取得方法 東京証券取引所における市場買付
3.消却に係る事項の内容
(1)消却する株式の種類 当社普通株式
(2)消却する株式の数 上記2により取得した自己株式の全株式数
(3)消却予定日 2022年10月31日
4.上記取締役会決議に基づき取得した自己株式の累計(2022年6月24日現在)
(1)取得した株式の総数 10,565,400 株
(2)株式の取得価額の総額 11,378,518,300 円
(ご参考)2022年3月31日時点の自己株式保有状況
発行済株式総数(自己株式を除く) : 636,999,478 株
自己株式数 : 468,700 株
(多額な資金の借入)
当社は、事業資金の確保のため、以下のシンジケートローン契約を締結し実行しております。
①アレンジャー兼エージェント 株式会社三菱UFJ銀行
②借入形態 シンジケーション方式タームローン
③借入金額 50,000百万円
④借入金利 基準金利+スプレッド
⑤借入実行日 2022年6月20日
⑥返済期限 2027年6月21日~2032年6月21日
⑦担保等の有無 無担保・無保証
40 連結財務諸表の承認
2022年6月27日に、連結財務諸表は当社代表取締役社長執行役員 山下良則及びコーポレート執行役員 川口俊に
よって承認されております。
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(2) 【その他】
当連結会計年度における四半期情報等
第1四半期 第2四半期 第3四半期 当連結会計年度
自 2021年4月1日 自 2021年4月1日 自 2021年4月1日 自 2021年4月1日
(累計期間)
至 2021年6月30日 至 2021年9月30日 至 2021年12月31日 至 2022年3月31日
(百万円)
売上高 424,804 843,463 1,276,195 1,758,587
税引前四半期(当期)
(百万円)
7,682 15,974 30,703 44,388
利益
親会社の所有者に帰属
(百万円)
する四半期(当期)利 4,787 11,157 23,186 30,371
益
基本的1株当たり親会
(円)
社の所有者に帰属する 6.77 16.07 34.07 45.35
四半期(当期)利益
第1四半期 第2四半期 第3四半期 第4四半期
自 2021年4月1日 自 2021年7月1日 自 2021年10月1日 自 2022年1月1日
(会計期間)
至 2021年6月30日 至 2021年9月30日 至 2021年12月31日 至 2022年3月31日
基本的1株当たり親会
(円)
社の所有者に帰属する 6.77 9.34 18.43 11.28
四半期利益
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2 【財務諸表等】
(1) 【財務諸表】
①【貸借対照表】
(単位:百万円)
前事業年度 当事業年度
(2021年3月31日) (2022年3月31日)
資産の部
流動資産
現金及び預金 143,601 82,932
受取手形 1,718 1,771
※1 110,461 ※1 106,535
売掛金
有価証券 49,996 9,999
商品及び製品 31,418 32,747
原材料 2,186 3,529
仕掛品 3,655 2,424
貯蔵品 11,823 13,593
※1 17,580 ※1 20,232
未収入金
※1 39,323 ※1 40,473
短期貸付金
※1 19,025 ※1 16,330
その他
△ 81 △ 81
貸倒引当金
流動資産合計 430,710 330,489
固定資産
有形固定資産
建物 47,327 46,129
構築物 2,087 1,941
機械及び装置 12,175 11,682
車両運搬具 68 48
工具、器具及び備品 7,161 7,258
土地 18,884 18,883
リース資産 1,474 1,113
1,753 2,048
建設仮勘定
有形固定資産合計 90,932 89,106
無形固定資産
のれん 2,170 1,550
諸権利金 7,489 7,302
24,376 25,150
ソフトウエア
無形固定資産合計 34,036 34,002
投資その他の資産
投資有価証券 15,813 9,825
関係会社株式 344,743 344,417
関係会社出資金 13,357 13,357
※1 19,470 ※1 20,505
長期貸付金
破産更生債権等 115 113
繰延税金資産 16,534 19,905
※1 1,334 ※1 264
敷金及び保証金
その他 901 859
△ 196 △ 195
貸倒引当金
投資その他の資産合計 412,074 409,055
固定資産合計 537,043 532,164
資産合計 967,753 862,653
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(単位:百万円)
前事業年度 当事業年度
(2021年3月31日) (2022年3月31日)
負債の部
流動負債
支払手形 217 262
電子記録債務 33,897 3,772
※1 104,726 ※1 106,742
買掛金
1年内償還予定の社債 - 13,670
短期借入金 12,204 34,769
1年内返済予定の長期借入金 42,980 30,000
※1 458 ※1 434
リース債務
※1 65,342 ※1 74,764
未払金
※1 10,331 ※1 9,756
未払費用
賞与引当金 6,550 8,685
役員賞与引当金 - 29
製品保証引当金 1,865 1,570
※1 15,961 ※1 15,025
その他
流動負債合計 294,535 299,483
固定負債
社債 32,980 20,000
長期借入金 96,490 90,505
※1 1,207 ※1 765
リース債務
退職給付引当金 9,245 4,438
株式給付引当金 82 110
資産除去債務 3,158 2,064
※1 503 ※1 513
その他
固定負債合計 143,666 118,398
負債合計 438,202 417,882
純資産の部
株主資本
資本金 135,364 135,364
資本剰余金
180,804 180,804
資本準備金
資本剰余金合計 180,804 180,804
利益剰余金
利益準備金 14,955 14,955
その他利益剰余金
固定資産圧縮積立金 2,550 2,461
別途積立金 15,350 -
218,013 107,650
繰越利益剰余金
利益剰余金合計 250,868 125,067
自己株式 △ 44,862 △ 459
株主資本合計 522,175 440,776
評価・換算差額等
7,375 3,994
その他有価証券評価差額金
評価・換算差額等合計 7,375 3,994
純資産合計 529,551 444,771
負債純資産合計 967,753 862,653
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②【損益計算書】
(単位:百万円)
前事業年度 当事業年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日) 至 2022年3月31日)
※1 445,297 ※1 483,481
売上高
※1 309,113 ※1 327,072
売上原価
売上総利益 136,183 156,409
※1 ,※2 174,787 ※1 ,※2 179,537
販売費及び一般管理費
営業損失(△) △ 38,603 △ 23,128
営業外収益
※1 103,049 ※1 47,797
受取利息及び配当金
為替差益 758 940
※1 1,050 ※1 6,608
その他の収益
営業外収益合計 104,858 55,346
営業外費用
※1 716 ※1 542
支払利息
1,512 1,361
その他の費用
営業外費用合計 2,228 1,903
経常利益 64,025 30,314
特別利益
固定資産売却益 - 1,095
※3 33,464
-
関係会社株式売却益
特別利益合計 33,464 1,095
特別損失
固定資産減損損失 3,239 1,516
※4 3,915
移転価格税制調整金 -
※5 2,806
関係会社整理損 -
※6 1,063
-
関係会社株式評価損
特別損失合計 4,303 8,238
税引前当期純利益 93,186 23,171
法人税、住民税及び事業税
333 △ 309
4,795 △ 1,888
法人税等調整額
法人税等合計 5,128 △ 2,197
当期純利益 88,057 25,368
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③【株主資本等変動計算書】
前事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(単位:百万円)
株主資本
資本剰余金 利益剰余金
その他利益剰余金
資本金 自己株式
利益剰余金
資本準備金 利益準備金
固定資産圧縮 繰越利益
合計
別途積立金
積立金 剰余金
当期首残高 135,364 180,804 14,955 2,777 115,350 44,588 177,671 △ 37,572
当期変動額
剰余金の配当 △ 14,859 △ 14,859
当期純利益 88,057 88,057
固定資産圧縮積立金の取崩 △ 227 227 -
別途積立金の取崩 △ 100,000 100,000 -
自己株式の取得 △ 7,296
自己株式の処分 △ 0 △ 0 6
株主資本以外の項目の
当期変動額(純額)
当期変動額合計 - - - △ 227 △ 100,000 173,424 73,197 △ 7,290
当期末残高 135,364 180,804 14,955 2,550 15,350 218,013 250,868 △ 44,862
株主資本 評価・換算差額等
その他
純資産合計
評価・換算
株主資本合計 有価証券
差額等合計
評価差額金
当期首残高 456,268 4,746 4,746 461,015
当期変動額
剰余金の配当 △ 14,859 △ 14,859
当期純利益 88,057 88,057
固定資産圧縮積立金の取崩 - -
別途積立金の取崩 - -
自己株式の取得 △ 7,296 △ 7,296
自己株式の処分 5 5
株主資本以外の項目の
2,628 2,628 2,628
当期変動額(純額)
当期変動額合計 65,907 2,628 2,628 68,536
当期末残高 522,175 7,375 7,375 529,551
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当事業年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(単位:百万円)
株主資本
資本剰余金 利益剰余金
その他利益剰余金
資本金 自己株式
利益剰余金
資本準備金 利益準備金
固定資産圧縮 繰越利益
合計
別途積立金
積立金 剰余金
当期首残高 135,364 180,804 14,955 2,550 15,350 218,013 250,868 △ 44,862
当期変動額
剰余金の配当 △ 14,066 △ 14,066
当期純利益 25,368 25,368
固定資産圧縮積立金の取崩 △ 88 88 -
別途積立金の取崩 △ 15,350 15,350 -
自己株式の取得 △ 92,716
自己株式の処分 △ 0 △ 0 16
自己株式の消却 △ 137,103 △ 137,103 137,103
株主資本以外の項目の
当期変動額(純額)
当期変動額合計 - - - △ 88 △ 15,350 △ 110,363 △ 125,801 44,402
当期末残高 135,364 180,804 14,955 2,461 - 107,650 125,067 △ 459
株主資本 評価・換算差額等
その他
純資産合計
評価・換算
株主資本合計 有価証券
差額等合計
評価差額金
当期首残高 522,175 7,375 7,375 529,551
当期変動額
剰余金の配当 △ 14,066 △ 14,066
当期純利益 25,368 25,368
固定資産圧縮積立金の取崩 - -
別途積立金の取崩 - -
自己株式の取得 △ 92,716 △ 92,716
自己株式の処分 16 16
自己株式の消却 - -
株主資本以外の項目の
△ 3,381 △ 3,381 △ 3,381
当期変動額(純額)
当期変動額合計 △ 81,398 △ 3,381 △ 3,381 △ 84,780
当期末残高 440,776 3,994 3,994 444,771
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【注記事項】
(重要な会計方針)
1 有価証券の評価基準及び評価方法
(1) 子会社及び関連会社株式
移動平均法による原価法により評価しております。
(2) その他有価証券
市場価格のない株式等以外のもの…時価法(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は移動平均法
により算定)により評価しております。
市場価格のない株式等…移動平均法による原価法により評価しております。
2 デリバティブの評価基準及び評価方法
時価法により評価しております。
3 棚卸資産の評価基準及び評価方法
総平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切り下げの方法)により評価しております。
4 固定資産の減価償却方法
(1) 有形固定資産(リース資産を除く)
有形固定資産は定額法で行っております。なお、主な耐用年数は以下のとおりです。
建物……………5~50年
機械及び装置…4~12年
(2) 無形固定資産(リース資産を除く)
無形固定資産は定額法で行っております。
ただし、市場販売目的のソフトウエアについては、見込販売収益に基づく償却額と、残存見込販売有効期間に基
づく均等償却額との、いずれか大きい金額を計上しております。なお、当初における見込販売有効期間は3年とし
ております。また、自社利用ソフトウエアについては、社内における利用可能期間(3~10年)に基づく定額法に
よっております。
のれんについては、投資効果の及ぶ期間(16年)にわたり、定額法で償却しております。
(3) リース資産
所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産
リース期間を耐用年数とし、残存価額を零とする定額法を採用しております。
5 引当金の計上基準
(1) 貸倒引当金
売掛債権・貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債
権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
(2) 賞与引当金
従業員に対する賞与支給に備えるため、当事業年度に負担すべき支給見込額を計上しております。
(3) 役員賞与引当金
役員賞与の支出に備えるため、当事業年度における支給見込額を計上しております。
(4) 製品保証引当金
製品のアフターサービスに対する費用支出に備えるため、保証期間内のサービス費用見積額に基づき計上してお
ります。
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(5) 退職給付引当金
従業員の退職給付に備えるため、当事業年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき、事業年度
末において発生していると認められる額を計上しております。
退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当事業年度末までの期間に帰属させる方法については、給付算
定式基準によっております。
数理計算上の差異は、各事業年度の発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(11年)による定
額法により按分した額をそれぞれ発生の翌事業年度から費用処理することとしております。
過去勤務費用は、各事業年度の発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(11年)による定額法
により按分した額を費用処理することとしております。
未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の貸借対照表における取扱いが連結財政状態計算書と異なりま
す。
(6) 株式給付引当金
役員等に対する将来の当社株式の給付に備えるため、株式交付規程に基づき、役員等に割り当てられるポイント
の見込数に応じた給付額を基礎として計上しております。
6 収益の計上基準
当社は、顧客との契約に基づき、オフィス向け画像機器、ドキュメント・IT サービス・コミュニケーション関連
サービスやソリューション、商用印刷機器、産業印刷機器、各種機器に関連する消耗品及びサービス、サーマル
ペーパー、サーマルメディア等を提供しております。
当社は、約束した財又はサービスの支配が顧客に移転した時点、又は移転するにつれて、移転により獲得が見込
まれる対価を反映した金額により、収益を認識しております。各種機器等の販売による収益は、機器等の引き渡し
時点において顧客が当該機器等に対する支配を獲得することから、履行義務が充足されると判断しており、当該機
器等が顧客に引き渡された時点で認識しております。また、主としてメンテンナンス契約から生じるサービス収益
は、関連する履行義務を充足するにつれて、一定期間に渡り認識しております。
なお、収益は顧客との契約において約束された対価から、値引き、リベート及び返品などを控除した金額で測定
しております。
7 連結納税制度の適用
当社を連結親法人とする連結納税制度を適用しております。
8 連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用
当社は、翌事業年度から、連結納税制度からグループ通算制度へ移行することとなります。ただし、「所得税法
等の一部を改正する法律」(令和2年法律第8号)において創設されたグループ通算制度ヘの移行及びグループ通
算制度への移行にあわせて単体納税制度の見直しが行われた項目については、「連結納税制度からグループ通算制
度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い」(実務対応報告第39号 2020年3月31日)第3項の取扱いによ
り、「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第28号 2018年2月16日)第44項の定めを適
用せず、繰延税金資産及び繰延税金負債の額について、改正前の税法の規定に基づいております。
なお、翌事業年度の期首から、グループ通算制度を適用する場合における法人税及び地方法人税並びに税効果会
計の会計処理及び開示の取扱いを定めた「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」
(実務対応報告第42号 2021年8月12日)を適用する予定です。
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(重要な会計上の見積り)
会計上の見積りにより当事業年度に係る財務諸表にその額を計上した項目であって、翌事業年度に係る財務諸表
に重要な影響を及ぼす可能性があるものは、次のとおりであります。
(1) 当事業年度の財務諸表に計上した金額
当事業年度
前事業年度
( 2021年3月31日 )
( 2022年3月31日 )
繰延税金資産 16,534 百万円 19,905 百万円
(2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2作成の基礎 (5)見積り及び判断の利用」をご参照
ください。
(会計方針の変更)
(収益認識に関する会計基準等の適用)
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度から適用し、約束した財
又はサービスの支配が顧客に移転した時点で、当該財又はサービスと交換に受け取ると見込まれる金額で収益を認
識することといたしました。
これにより、適用前においては総額で収益を認識していた関係会社間取引のうち、仲介貿易及び他社仕入商品の
取引については、顧客への物品の提供を当社が他の当事者の代理人として行っているものと判断されたため、顧客
から受け取る対価の額から当該他の当事者に支払う額を控除した純額により収益を認識しております。
当該会計方針の変更は遡及適用しておりますが、利益剰余金の期首残高への影響はありません。遡及適用を行う
前と比べて前事業年度の損益計算書については、売上高及び売上原価が 316,099百万円減少しております。
(時価の算定に関する会計基準等の適用)
「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号 2019年7月4日。以下「時価算定会計基準」という。)
等を当事業年度の期首から適用し、時価算定会計基準第19項及び「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第
10号 2019年7月4日)第44-2項に定める経過的な取扱いに従って、時価算定会計基準等が定める新たな会計方針
を将来にわたって適用することとしております。なお、財務諸表に与える影響はありません。
(会計上の見積りの変更)
退職給付に係る会計処理において、当社従業員の平均残存勤務期間短縮に伴い、当事業年度より数理計算上の
差異及び過去勤務費用の費用処理年数を12年から11年に変更しております。
これにより、従来の方法と比べて当事業年度の営業利益、経常利益及び税引前当期純利益は9百万円減少して
おります。
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(貸借対照表関係)
※1 関係会社に対する金銭債権及び金銭債務
前事業年度 当事業年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
短期金銭債権 169,740 百万円 165,020 百万円
長期金銭債権 19,685 20,720
短期金銭債務 103,346 124,740
長期金銭債務 55 25
2 運転資金の効率的な調達を行うため金融機関と借入枠並びに当座借越についての契約を締結しております。これ
らの契約に基づく当事業年度末の借入未実行残高等は次のとおりであります。
前事業年度 当事業年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
当座借越極度額及び
269,000 百万円 169,000 百万円
借入枠の総額
借入実行残高 - -
差引額 269,000 169,000
3 偶発債務
(1) 関係会社のコマーシャルペーパープログラムに対して、債務保証を行っております。なお、保証先は以下のと
おりであります。
前事業年度 当事業年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
RICOH FINANCE CORPORATION
33,213 百万円 36,717 百万円
(2) 金融機関、当社及び関係会社との間で締結しているグローバル・コミットメントライン契約に基づき、関係会
社が個別借入を実行した場合、その借入残高に対する債務保証が発生いたします。保証先と極度額は以下のと
おりであります。なお、借入実行残高は、前事業年度及び当事業年度ともにございません。
前事業年度 当事業年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
RICOH AMERICAS HOLDINGS, INC.
10,000 百万円 10,000 百万円
RICOH EUROPE FINANCE LIMITED
10,000 10,000
(3) 関係会社の本社賃借契約に対して、債務保証を行っております。なお、保証先は以下のとおりであります。
前事業年度 当事業年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
RICOH INNOVATIONS CORPORATION
566 百万円 497 百万円
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(損益計算書関係)
※1 関係会社との主な取引高は、次のとおりであります。
前事業年度 当事業年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
売上高 415,650 百万円 456,412 百万円
仕入高 166,793 183,773
その他の営業取引高 36,817 34,554
営業取引以外の取引高 102,636 53,954
(注)当事業年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日) 等を適用
しており、前事業年度に係る関係会社との主な取引高については当該会計基準等を遡って適用した後の
数値となっております。
※2 販売費及び一般管理費の主要な費目及びおおよその割合は、次のとおりであります。
前事業年度 当事業年度
(自 2020年4月1日 (自 2021年4月1日
至 2021年3月31日 ) 至 2022年3月31日 )
研究開発費 83,513 百万円 85,778 百万円
給料及び賃金 22,555 20,077
減価償却費 8,523 9,986
賞与引当金繰入額 5,450 7,645
退職給付費用 3,710 318
おおよその割合
販売費 9 % 8 %
一般管理費 91 92
※3 関係会社株式売却益
リコーリース株式会社の株式の売却益であります。
※4 移転価格税制調整金
移転価格税制調整金は、移転価格に関する事前確認申請の合意に基づき、当社が米国子会社に支払う調整金であ
ります。
※5 関係会社整理損
ベクノス株式会社の清算結了に伴う整理損であります。
※6 関係会社株式評価損
メイクリープス株式会社の株式に係る評価損であります。
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(有価証券関係)
1 子会社株式及び関連会社株式
子会社株式及び関連会社株式で時価のあるもの
前事業年度( 2021年3月31日 ) 当事業年度( 2022年3月31日 )
貸借対照表 貸借対照表
区分
時価 差額 時価 差額
計上額 計上額
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
(百万円) (百万円)
子会社株式 - - - - - -
関連会社株式 5,620 36,019 30,398 5,620 34,565 28,944
合計 5,620 36,019 30,398 5,620 34,565 28,944
(注) 市場価格のない株式等
前事業年度 当事業年度
( 2021年3月31日 ) ( 2022年3月31日 )
区分
貸借対照表計上額 貸借対照表計上額
(百万円) (百万円)
子会社株式 336,309 336,032
関連会社株式 2,813 2,764
合計 339,123 338,797
これらについては、市場価格のない株式等のため、「子会社株式及び関連会社株式で時価のあるもの」には含めて
おりません。
2 減損処理を行った有価証券
前事業年度において子会社株式について 1,063百万円の減損処理を行っております。
なお、市場価格のない株式等の減損処理にあたっては、期末における株式の実質価額が著しく低下し、回復の可
能性が見込めない場合に、減損処理を行うこととしております。
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(税効果会計関係)
1 繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳
前事業年度 当事業年度
(2021年3月31日) (2022年3月31日)
(繰延税金資産)
棚卸資産評価減 1,022 百万円 1,001 百万円
賞与引当金 1,997 2,657
関係会社株式評価損等 65,557 65,460
退職給付引当金 10,422 8,878
減価償却費 3,156 2,861
税務上の繰越欠損金 22,464 27,542
資産除去債務 962 629
貸倒引当金 84 84
移転価格税制調整金 - 1,193
その他 6,468 6,765
繰延税金資産 小計 112,132 117,073
税務上の繰越欠損金に係る評価性引当額 △12,660 △16,706
将来減算一時差異等の合計に係る
△73,305 △72,459
評価性引当額
評価性引当額 小計 △85,965 △89,166
合計(※1) 26,167 27,907
(繰延税金負債)
固定資産圧縮積立金 △1,118 △1,079
その他有価証券評価差額金 △3,235 △1,752
資産除去債務に対応する除去費用 △50 △50
退職給付信託設定 △5,076 △5,076
吸収分割により承継した無形固定資産(※2) △154 △43
合計 △9,633 △8,001
繰延税金資産の純額 16,534 19,905
※1 繰延税金資産は、将来減算一時差異及び繰越欠損金等が将来の連結納税グループの課税所得との相殺により、税
金負担額を軽減する効果を有し回収可能性が認められる範囲内で計上しております。
※2 旧リコープリンティングシステムズ株式会社からの吸収分割に伴い承継した無形固定資産に係る税務上損金とな
らない金額に対する繰延税金負債の額
2 法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率の差異の内訳
前事業年度 当事業年度
(2021年3月31日) (2022年3月31日)
法定実効税率 30.5 % 30.5 %
(調整)
評価性引当額 5.1 13.6
外国税額控除 1.0 -
外国子会社合算課税 0.5 0.2
受取配当金等永久に益金に算入されない項目 △31.8 △60.0
連結納税適用による欠損金差額 - 3.9
その他 0.1 2.2
税効果会計適用後の法人税等の負担率 5.5 △9.6
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(収益認識関係)
顧客との契約から生じる収益を理解するための基礎となる情報は、 「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財
務諸表注記 29売上高」 に記載しております。
(重要な後発事象)
(企業結合)
当社は、2022年4月28日開催の取締役会において、富士通株式会社から、同社の子会社である株式会社PFU(以
下、PFU)の普通株式の一部(発行済株式数の80%)を取得(以下、本株式取得)することを決議し、株式譲渡契約
を締結いたしました。本株式取得によって、PFUは当社の連結子会社になります。
1.被取得企業の名称及び事業の内容
被取得企業の名称:株式会社PFU
事業の内容:ドキュメントスキャナー、インダストリーコンピューティング製品などのハードウエア及び、セ
キュリティ・文書管理などのソフトウエアやサービス、ITインフラ構築や他企業と提携したマルチ
ベンダーサービス等
2.株式の取得の理由
本株式取得は、当社が2025年度までの計画として示している成長投資の一環となるものです。PFUは業務用スキャ
ナで世界No.1のシェアを持ち、国内においてはクラウド構築やマネージドセキュリティサービスを展開していま
す。PFUを子会社化することで、業務ワークフローの入り口となる業種・業務スキャナの獲得によるデジタルサービ
スを支えるエッジデバイスの強化を図るほか、マルチクラウド環境の構築運用及びセキュリティサービスといった
お客様に近い現場のデジタル人材やエッジデバイス・ソフトウエアの技術人材といった人的資本を強化します。こ
れにより、お客様のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現することで、当社が事業ポートフォリオマネ
ジメントにおいて成長加速領域と位置づけるオフィスサービス事業を拡大させます。さらに、PFUは、産業用コン
ピューターボードの国内市場において No.1 のシェアを持っており、豊富な商品ラインアップを揃えています。当
社のエレクトロニクス事業との連携により、生産、購買、開発面でのシナジーを創出し、コスト競争力を高めると
ともに、産業用コンピュータ事業を強化し、物流や製造業等の現場のデジタル化を進める新たなエッジデバイスの
開発を目指します。
3.株式取得日
公正取引委員会より排除措置命令を行わない旨の通知を受領し、準備が整い次第速やかに取得する予定です。
4.取得価額
約840億円
(注)本株式取得における実際の取得価額は、株式取得日におけるPFUのバランスシート等に基づいて調整され
るため、変動する可能性があります。
5. 支払資金の調達方法及び支払方法
自己資金の活用を予定しております。
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(自己株式の取得及び消却)
当社は、2022年5月10日開催の取締役会において、以下のとおり、会社法第165条第3項の規定により読み替えて
適用される同法第156条の規定に基づき、自己株式取得に係る事項を決議するとともに、会社法第178条の規定に基
づき、自己株式消却に係る事項を決議しました。
1.自己株式の取得及び消却を行う理由
株主還元の充実並びに資本効率の向上のため、自己株式の取得及び消却を実施いたします。
2.取得に係る事項の内容
(1)取得対象株式の種類 当社普通株式
(2)取得し得る株式の総数 48,000,000 株(上限)
(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する比率 7.5%)
(3)株式の取得価額の総額 300億円(上限)
(4)取得期間 2022年5月11日~2022年9月30日
(5)取得方法 東京証券取引所における市場買付
3.消却に係る事項の内容
(1)消却する株式の種類 当社普通株式
(2)消却する株式の数 上記2により取得した自己株式の全株式数
(3)消却予定日 2022年10月31日
4.上記取締役会決議に基づき取得した自己株式の累計(2022年6月24日現在)
(1)取得した株式の総数 10,565,400 株
(2)株式の取得価額の総額 11,378,518,300 円
(ご参考)2022年3月31日時点の自己株式保有状況
発行済株式総数(自己株式を除く) : 636,999,478 株
自己株式数 : 468,700 株
(多額な資金の借入)
当社は、事業資金の確保のため、以下のシンジケートローン契約を締結し実行しております。
①アレンジャー兼エージェント 株式会社三菱UFJ銀行
②借入形態 シンジケーション方式タームローン
③借入金額 50,000百万円
④借入金利 基準金利+スプレッド
⑤借入実行日 2022年6月20日
⑥返済期限 2027年6月21日~2032年6月21日
⑦担保等の有無 無担保・無保証
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④ 【附属明細表】
【有形固定資産等明細表】
当期首 当期 当期 当期 当期末 減価償却
区分 資産の種類 残高 増加額 減少額 償却額 残高 累計額
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
287
建物 47,327 3,025 3,935 46,129 105,032
( 12 )
構築物 2,087 87 37 194 1,941 7,124
288
機械及び装置 12,175 2,983 3,187 11,682 112,588
( 49 )
有
車両運搬具 68 4 - 24 48 185
形
固 537
工具、器具及び備品 7,161 4,789 4,154 7,258 197,239
定 ( 322 )
資
土地 18,884 - 1 - 18,883 -
産
リース資産 1,474 32 - 392 1,113 816
建設仮勘定 1,753 5,531 5,235 - 2,048 -
6,387
計 90,932 16,451 11,890 89,106 422,987
( 383 )
のれん 2,170 - - 620 1,550 -
無
形
諸権利金 7,489 - - 187 7,302 -
固
定
8,828
ソフトウエア 24,376 15,416 5,813 25,150 -
資
( 1,133 )
産
8,828
計 34,036 15,416 6,621 34,002 -
( 1,133 )
(注) 有形固定資産の当期増加額の主な内容は、複合機等関連生産設備の増設であります。
なお、建設仮勘定の当期減少は当該理由による型・機械装置への振替であります。
(注) 「当期減少額」欄の( )は内数で、当期の減損損失計上額であります。
【引当金明細表】
当期首残高 当期増加額 当期減少額 当期末残高
区分
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円)
貸倒引当金 278 91 93 276
賞与引当金 6,550 8,685 6,550 8,685
役員賞与引当金 - 29 - 29
株式給付引当金 82 47 19 110
製品保証引当金 1,865 862 1,157 1,570
退職給付引当金 9,245 474 5,281 4,438
(2) 【主な資産及び負債の内容】
連結財務諸表を作成しているため、記載を省略しております。
(3) 【その他】
該当事項はありません。
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有価証券報告書
第6 【提出会社の株式事務の概要】
事業年度 4月1日から3月31日まで
定時株主総会 6月中
基準日 3月31日
9月30日
剰余金の配当の基準日
3月31日
1単元の株式数 100株
単元未満株式の買取り・
買増し
取扱場所 (特別口座)
東京都千代田区丸の内一丁目4番1号
三井住友信託銀行株式会社 証券代行部
株主名簿管理人 (特別口座)
東京都千代田区丸の内一丁目4番1号
三井住友信託銀行株式会社
取次所 ―
買取・買増手数料 無料
電子公告により行う。
公告掲載URL https://jp.ricoh.com/
公告掲載方法
ただし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告ができない場合は、日本経済
新聞に掲載して行う。
株主に対する特典 なし
(注) 当社定款の定めにより、単元未満株式を有する株主は、会社法第189条第2項各号に掲げる権利、会社法第166条
第1項の規定による請求をする権利、株主の有する株式数に応じて募集株式の割当て及び募集新株予約権の割当て
を受ける権利並びに単元未満株式の売渡しを請求する権利以外の権利を有しておりません。
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有価証券報告書
第7 【提出会社の参考情報】
1 【提出会社の親会社等の情報】
当社は、親会社等はありません。
2 【その他の参考情報】
当事業年度の開始日から有価証券報告書の提出日までの間に、次の書類を提出しております。
(1) 有価証券報告書及びその添付書類、確認書
事業年度 第121期 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日 ) 2021年6月25日関東財務局長に提出
(2) 内部統制報告書及びその添付書類
2021年6月25日関東財務局長に提出
(3) 四半期報告書及び確認書
第122期 第1四半期(自 2021年4月1日 至 2021年6月30日 ) 2021年8月6日関東財務局長に提出
第122期 第2四半期(自 2021年7月1日 至 2021年9月30日 ) 2021年11月9日関東財務局長に提出
第122期 第3四半期(自 2021年10月1日 至 2021年12月31日 ) 2022年2月10日関東財務局長に提出
(4) 臨時報告書
企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2(株主総会における決議)に基づく臨時報告書
2021年6月28日関東財務局長に提出
企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第3号並びに第8号の2(特定子会社の異動並びに子会社取得の
決定)に基づく臨時報告書
2022年4月28日関東財務局長に提出
(5) 訂正発行登録書(社債)
2021年6月28日関東財務局長に提出
2022年4月28日関東財務局長に提出
(6) 自己株券買付状況報告書
2021年7月7日、2021年8月6日、2021年9月7日、2021年10月7日、2021年11月8日、2021年12月7日、2022年
1月12日、2022年2月7日、2022年3月7日、2022年4月7日、2022年6月7日関東財務局長に提出
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有価証券報告書
第二部 【提出会社の保証会社等の情報】
該当事項はありません。
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独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書
2022年6月27日
株式会社リコー
取締役会 御中
有限責任監査法人トーマツ
東京事務所
指定有限責任社員
公認会計士 東 海 林 雅 人
業務執行社員
指定有限責任社員
公認会計士 濵 口 豊
業務執行社員
指定有限責任社員
公認会計士 渡 辺 規 弘
業務執行社員
<財務諸表監査>
監査意見
当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられて
いる株式会社リコーの2021年4月1日から2022年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結財政状
態計算書、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書及び連結財務
諸表注記について監査を行った。
当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条により規定
された国際会計基準に準拠して、株式会社リコー及び連結子会社の2022年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって
終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているもの
と認める。
監査意見の根拠
当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準におけ
る当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国におけ
る職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責
任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
監査上の主要な検討事項
監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重
要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見
の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
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有価証券報告書
オフィスプリンティング(欧州販売グループ)に係るのれんの評価
監査上の主要な検討事項の
監査上の対応
内容及び決定理由
連結財務諸表注記13 に記載のとおり、当連結会計年度 当監査法人は、オフィスプリンティング(欧州販売グ
末時点でオフィスプリンティング(欧州販売グループ) ループ)に係るのれんの評価を検討するにあたり、主と
に係るのれんが51,187百万円計上されている。当該のれ して以下の手続を実施した。これには、連結子会社の監
んは、オフィスプリンティング分野の販売・サービス網 査人に指示して実施した監査手続が含まれる。
及び顧客基盤の拡大を目的とした過去の買収に関連する
ものであり、計画との乖離や市場の変化等によって、期 1. 内部統制の評価
待されるキャッシュ・フローが生み出されないリスクが
のれんの評価に関連する内部統制の整備及び運用状況
存在する。
の有効性を評価した。評価にあたっては、事業計画に含
会社はのれんの減損テストを実施するにあたり、のれ
まれる重要な仮定の合理性を評価する内部統制に特に焦
んを含む資金生成単位グループの回収可能価額を使用価
点を当てた。
値により測定している。使用価値は、経営者が作成した
事業計画及び事業計画期間後の成長率に基づいた見積将
2. 使用価値の合理性の評価
来キャッシュ・フローの割引現在価値として算定してい
・複合機等の販売台数、プリント出力量の予測及び販売
る。
価格並びに成長率について、新型コロナウイルス感染
使用価値の見積りには、事業計画における次の項目が
症の新たな変異株の世界的な再拡大の状況や部材不足
重要な仮定として用いられている。
や物流の問題に伴う供給の制約からの回復状況の影響
・複合機等の販売台数、プリント出力量及び販売価格
を含め、会社と議論するとともに、過去実績からの趨
・事業計画期間後の成長率
勢分析を実施した。また、販売台数及びプリント出力
・割引率
量の予測並びに成長率については、市場予測に関する
これらの仮定は、欧州地域における新型コロナウイルス
利用可能な外部データとの比較を実施した。さらに、
感染症の新たな変異株の世界的な再拡大の状況や、それ
販売価格については、過去実績や関連資料との整合性
に伴うオフィス出社率等の影響を受ける。さらに、部材
を検討し、その実現可能性を評価した。
不足や物流の問題に伴う供給の制約からの回復状況、並
・過年度における事業計画とその実績を比較し、事業計
びに部材などのコスト上昇への対応等による販売価格の
画の精度を評価した。
変動等の影響も受け、経営者による判断や不確実性の程
・当監査法人のネットワーク・ファームの企業価値評価
度が高い。このため、当監査法人はオフィスプリンティ
の専門家を関与させ、使用価値の算定における評価方
ング(欧州販売グループ)に係るのれんの評価を監査上
法及び割引率の適切性について検証した。
の主要な検討事項と判断した。
・将来キャッシュ・フローの見積り、成長率及び割引率
に関して不確実性を加味した感応度分析を実施し、こ
れらが回収可能価額に与える影響を評価した。
日本国内の連結納税グループに係る繰延税金資産の評価
監査上の主要な検討事項の
監査上の対応
内容及び決定理由
会社は、会社及び日本国内の一部の連結子会社(以 当監査法人は、連結納税グループに係る繰延税金資産
下、連結納税グループ)を対象として連結納税制度を適 の評価を検討するにあたり、主として以下の手続を実施
用している。 した。
連結財務諸表注記22 に記載のとおり、当連結会計年度
1. 内部統制の評価
末時点で繰延税金負債と相殺前の繰延税金資産が
119,884百万円認識されており、このうちの大部分が連
連結納税グループに係る繰延税金資産の評価に関連す
結納税グループに係る繰延税金資産である。
る内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。評
会社は、連結納税グループに係る繰延税金資産の認識
価にあたっては、事業計画に含まれる重要な仮定の合理
にあたり、将来減算一時差異及び繰越欠損金等の一部又
性を評価する内部統制に特に焦点を当てた。
は全部が、将来の連結納税グループの課税所得に対して
利用できる可能性が高いかどうかを考慮している。
2. 将来課税所得の合理性の評価
将来の連結納税グループの課税所得の見積りは、経営
・複合機やトナー等の消耗品の販売数量について、新型
者が作成した事業計画を基礎としている。事業計画で
コロナウイルス感染症の新たな変異株の世界的な再拡
は、複合機やトナー等の消耗品の販売価格及び販売数量
大の状況や部材不足や物流の問題に伴う供給の制約か
などの重要な仮定が用いられている。これらの仮定は、
らの回復状況の影響を含め、会社と議論するととも
新型コロナウイルス感染症の新たな変異株の世界的な再
に、過去実績からの趨勢分析及び市場予測に関する利
拡大の状況、部材不足や物流の問題に伴う供給の制約か
用可能な外部データとの比較を実施した。また、販売
らの回復状況、並びに部材などのコスト上昇への対応等
価格については、過去実績や関連資料との整合性を検
による販売価格の変動等の影響を受け、経営者による判
討し、その実現可能性を評価した。
断や不確実性の程度が高い。このため、当監査法人は連
・過年度における事業計画とその実績を比較し、事業計
結納税グループに係る繰延税金資産の評価を監査上の主
画の精度を評価した。
要な検討事項と判断した。
・将来の連結納税グループの課税所得の見積りに関して
不確実性を加味した感応度分析を実施し、これらが回
収可能性の判断に与える影響を評価した。
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有価証券報告書
その他の記載内容
その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書
以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責
任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の
記載内容に対して意見を表明するものではない。
連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内
容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そ
のような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。
当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告
することが求められている。
その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。
連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任
経営者の責任は、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤
謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及
び運用することが含まれる。
連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるか
どうかを評価し、国際会計基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責
任がある。
監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにあ
る。
連結財務諸表監査における監査人の責任
監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表
示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明
することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利
用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家と
しての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続
を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切
な監査証拠を入手する。
・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評
価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。
・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及
び関連する注記事項の妥当性を評価する。
・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基
づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか
結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記
事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸
表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証
拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。
・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、国際会計基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた
連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどう
かを評価する。
・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を
入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査
意見に対して責任を負う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制
の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、
並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガー
ドを講じている場合はその内容について報告を行う。
監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判
断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表
が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利
益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。
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株式会社リコー(E02275)
有価証券報告書
<内部統制監査>
監査意見
当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社リコーの2022年3月
31日現在の内部統制報告書について監査を行った。
当監査法人は、株式会社リコーが2022年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部
統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報
告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠
当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統
制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人
の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から
独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十
分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任
経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告
に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。
監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。
なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があ
る。
内部統制監査における監査人の責任
監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかにつ
いて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することに
ある。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程
を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施す
る。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び
適用される。
・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内
部統制報告書の表示を検討する。
・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人
は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責
任を負う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、
識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項
について報告を行う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、
並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガー
ドを講じている場合はその内容について報告を行う。
利害関係
会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はな
い。
以 上
(注)1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。
2 XBRLデータは監査の対象には含まれておりません。
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株式会社リコー(E02275)
有価証券報告書
独立監査人の監査報告書
2022年6月27日
株式会社リコー
取締役会 御中
有限責任監査法人トーマツ
東京事務所
指定有限責任社員
公認会計士 東 海 林 雅 人
業務執行社員
指定有限責任社員
公認会計士 濵 口 豊
業務執行社員
指定有限責任社員
公認会計士 渡 辺 規 弘
業務執行社員
監査意見
当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられてい
る株式会社リコーの2021年4月1日から2022年3月31日までの第122期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損
益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。
当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会
社リコーの2022年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において
適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠
当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準におけ
る当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職
業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。
当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
監査上の主要な検討事項
監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要である
と判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成におい
て対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
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株式会社リコー(E02275)
有価証券報告書
繰延税金資産の回収可能性に関する判断
監査上の主要な検討事項の
監査上の対応
内容及び決定理由
会社は、会社及び日本国内の一部の連結子会社(以 当監査法人は、繰延税金資産の回収可能性に関する判
下、連結納税グループ)を対象として連結納税制度を適 断を検討するにあたり、主として以下の手続を実施し
用している。 た。
【注記事項】(税効果会計関係) に記載のとおり、当事
1. 内部統制の評価
業年度末時点で繰延税金負債と相殺前の繰延税金資産が
27,907百万円計上されている。
繰延税金資産の回収可能性の判断に関連する内部統制
繰延税金資産は、将来減算一時差異及び繰越欠損金等
の整備及び運用状況の有効性を評価した。評価にあ
が将来の連結納税グループの課税所得との相殺により、
たっては、事業計画に含まれる重要な仮定の合理性を
税金負担額を軽減する効果を有し回収可能性が認められ
評価する内部統制に特に焦点を当てた。
る範囲内で計上される。
将来の連結納税グループの課税所得の見積りは、経営
2. 将来課税所得の合理性の評価
者が作成した事業計画を基礎としている。事業計画で
・複合機やトナー等の消耗品の販売数量について、新型
は、複合機やトナー等の消耗品の販売価格及び販売数量
コロナウイルス感染症の新たな変異株の世界的な再拡
などの重要な仮定が用いられている。これらの仮定は、
大の状況や部材不足や物流の問題に伴う供給の制約か
新型コロナウイルス感染症の新たな変異株の世界的な再
らの回復状況の影響を含め、会社と議論するととも
拡大の状況、部材不足や物流の問題に伴う供給の制約か
に、過去実績からの趨勢分析及び市場予測に関する利
らの回復状況、並びに部材などのコスト上昇への対応等
用可能な外部データとの比較を実施した。また、販売
による販売価格の変動等の影響を受け、経営者による判
価格については、過去実績や関連資料との整合性を検
断や不確実性の程度が高い。このため、当監査法人は繰
討し、その実現可能性を評価した。
延税金資産の回収可能性に関する判断を監査上の主要な
・過年度における事業計画とその実績を比較し、事業計
検討事項と判断した。
画の精度を評価した。
・将来の連結納税グループの課税所得の見積りに関して
不確実性を加味した感応度分析を実施し、これらが回
収可能性の判断に与える影響を評価した。
その他の記載内容
その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書
以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責
任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載
内容に対して意見を表明するものではない。
財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と
財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような
重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。
当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告
することが求められている。
その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。
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EDINET提出書類
株式会社リコー(E02275)
有価証券報告書
財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任
経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表
示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営
者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。
財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを
評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要
がある場合には当該事項を開示する責任がある。
監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにあ
る。
財務諸表監査における監査人の責任
監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示が
ないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明すること
にある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決
定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家と
しての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続
を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切
な監査証拠を入手する。
・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の
実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。
・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及
び関連する注記事項の妥当性を評価する。
・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づ
き、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結
論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に
注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外
事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいてい
るが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。
・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかど
うかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計
事象を適正に表示しているかどうかを評価する。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制
の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、
並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガー
ドを講じている場合はその内容について報告を行う。
監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事
項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止さ
れている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回
ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。
利害関係
会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。
以 上
(注)1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。
2 XBRLデータは監査の対象には含まれておりません。
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