テルストラ・コーポレーション・リミテッド 有価証券報告書
提出書類 | 有価証券報告書 |
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提出日 | |
提出者 | テルストラ・コーポレーション・リミテッド |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
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テルストラ・コーポレーション・リミテッド(E05845)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 令和3年11月9日
【事業年度】 自 2020年7月1日 至 2021年6月30日
【会社名】 テルストラ・コーポレーション・リミテッド
(Telstra Corporation Limited)
【代表者の役職氏名】 会社秘書役
スー・レーバー
(Sue Laver , Company Secretary )
【本店の所在の場所】 オーストラリア連邦 ヴィクトリア州3000
メルボルン市 エクスビション・ストリート242
(242 Exhibition Street, Melbourne, Victoria 3000
Commonwealth of Australia)
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 梅 津 立
【代理人の住所又は所在地】 東京都千代田区大手町一丁目1番1号
大手町パークビルディング
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
【電話番号】 (03)6775-1000
【事務連絡者氏名】 弁護士 望 月 亮 佑
【連絡場所】 東京都千代田区大手町一丁目1番1号
大手町パークビルディング
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
【電話番号】 (03)6775-1000
【縦覧に供する場所】 該当事項なし
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テルストラ・コーポレーション・リミテッド(E05845)
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第一部 【企業情報】
(注)1 本書において、別段の記載がある場合を除き、下記の語は以下の意味を有するものとする。
「我々」、「当社」または「テルストラ」 別段の記載がある場合を除き、テルストラ・コーポレーション・リ
ミテッド(ABN 33 051 775 556)およびその被支配会社全体
「普通株式」 テルストラ・コーポレーション・リミテッドの普通株式
「連邦」 オーストラリア連邦
2 別段の記載がある場合を除き、本書に記載の「豪ドル」および「豪セント」は連邦政府の法定通貨を指すものと
する。本書において便宜上記載されている日本円への換算は、別段の記載のある場合を除き、1豪ドル=80.46円
の換算率(2021年9月30日現在の株式会社三菱UFJ銀行の対顧客電信直物売買相場の仲値)により計算されてい
る。
3 テルストラの会計年度は、6月30日をもって終了する1年間である。本書では、2021年6月30日に終了した会計
年度を「2021年度」または「2021事業年度」といい、他の会計年度についてもこれに準ずる。特に明記しない限
り、本書における情報は2021年8月12日現在のものとする。
4 本書中の表で計数が四捨五入されている場合、合計は計数の総和と必ずしも一致しない。
5 「将来予測に関する記述」についての注意点
本書に記載する情報には、最新の情報および想定に基づき、種々のリスクや不確実性に左右される将来予測に関
する記述を構成するものがある。これらの記述は、「可能性がある」、「予定である」、「予期する」、「予想す
る」、「見積もる」、「引き続き~する」、「計画である」、「意図している」、「信じる」、「目標」、「見通
し」、「指針」等、またはこれらに類する将来を予測する用語の使用により確認することができる。当社の実際の
業績、パフォーマンスや成果は、かかる将来予測に関する記述において明示的もしくは暗示的に記載されているも
のとは著しく異なる可能性がある。
当社の実際の業績、パフォーマンスや成果が本書に明示的もしくは暗示的に記載されている将来予測に関する記
述と大きく相違することとなる可能性のある重要な要因については、「第一部 第3 2 事業等のリスク」およ
び本書のその他の項目(「第一部 第3 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を含む。)に記載して
いる。これらのリスク、不確実性やその他の要因を踏まえ、将来予測に関する記述に過度に依拠すべきではない。
TM TM
nbn 、nbn coおよびその他のnbn のロゴおよびブランドは、nbn co・リミテッドの商標であり、ライセンスに従って
使用される。
ケイヨー(Kayo)は、ストリーモーション・ピーティワイ・リミテッドの登録商標である。
フォクステル(Foxtel)は、20世紀フォックス・フィルム・コーポレーションの登録商標である。
ビンジ(Binge)は、フォクステル・マネジメント・ピーティワイ・リミテッドの登録商標である。
エックスボックス(Xbox)は、ワシントン州の法人であるマイクロソフト社の登録商標である。
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第1 【本国における法制等の概要】
1 【会社制度等の概要】
(1) 【提出会社の属する国・州等における会社制度】
当社は、オーストラリア連邦の法律である2001年会社法(Corporations Act)によって規制されている。会
社法は、オーストラリア証券・投資委員会(Australian Securities and Investments Commission)の管轄の
下にある。会社事務書類は、オーストラリア証券・投資委員会のウェブサイトを通じてオンライン上で提出す
るか、または、ヴィクトリア州に所在するオーストラリア証券・投資委員会のトララルゴン事務所にメールで
提出することができる。当社はオーストラリア連邦に於いて設立され、オーストラリア首都特別地域に登録さ
れている。
会社法の規制を受ける上場公開会社として当社に適用のある会社法の主要な規定の概略は以下の通りであ
る。
会社を登録するには、その申請書をオーストラリア証券・投資委員会に提出しなければならない。オースト
ラリア証券・投資委員会がこの申請書を受理し、登記証明書を発行して初めて会社は適法な法人として存在す
ることとなる。
オーストラリア証券取引所(「ASX」)に 上場 している 企業として、当社は、当社および ASX 間の契約として
機能する、オーストラリア証券取引所上場規則の規定に服する。オーストラリア証券取引所上場規則の一部
(オーストラリア証券取引所の市場公表基盤を通じた情報の継続開示に関するもの。)は、会社法のもとで法
的効力を与えられる。
定款
会社はその選択により、定款(Constitution)を置くことができる。定款は会社の基礎をなす書類として、
会社法とともに会社内の経営および管理に関する規則を定めるものである。会社が定款を置かないことを選択
する場合、社内の経営および管理に関する事項は会社法のみに基づくことになる。
定款には、会社の業務、事務、権利および権限並びに株主、取締役その他の役員の権利および権限に関し
て、法律の規定と矛盾しないあらゆる事項を定めることができる。定款は、28日以上前に通知がなされた株主
総会において、自らまたは代理人または代表者により出席し投票した株主の議決権の少なくとも75%によって
特別に決議された場合にのみ変更することができる。
定款は通常次の事項に関する規定を含んでいる。
・会社の株式に付随する権利および義務(株式の名義書換および譲渡に関する事項を含む)。
・株主総会に於ける議決権の行使(定足数および議長の任命に関する事項を含む)。
・取締役の員数、権限および職務、任免に関する手続並びに取締役会の議事の運営。
・配当の宣言およびその支払。
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・財務書類の管理および特定の財務報告書等の株主総会への提出。
・株主への通知の送付に係る諸手続。
・会社の清算時における財産の分配。
株主
会社法の規定に従い、1名以上の株主を有する公開会社については、株主総会は少なくとも毎年1回開催さ
れなければならない。この株主総会を年次株主総会と称する。また、取締役および一定比率以上の株式を保有
する株主は、その他の株主総会を招集することができる。年次株主総会の通常の活動は、取締役の選任、取締
役報酬の上限額の決定、監査人の任命、財務書類および報告書の審議並びに報酬報告書(Remuneration
Report)の採択である。
会社の株式に付随する議決権については、株主総会におけるその行使方法と共に、定款に定められている。
株主総会への出席権および議決権を有する株主は、代理人(プロクシー、法定代理人または代表者)によっ
て株主総会に出席することができる。この場合の代理人は会社の株主たることを要しない。
株主総会の決議は、一般に普通決議、即ち自らまたは代理人により出席し投票した株主議決権の単純過半数
によって採択される。しかし、特定の事項(例えば定款の変更)については、会社法、オーストラリア証券取
引所上場規則または定款によって、特別決議、即ち自らまたは代理人により出席し投票した株主の議決権の少
なくとも75%をもって可決されることを要する。
会社法第671条Bによる通知-ある者(またはその関係者)が関連する持分を有する議決権付株式に付された
議決権の数の合計が ASXに上場している企業 の議決権付株式に付された議決権の総数の5%以上である場合、
かかる者は当該持分をオーストラリア証券取引所および当社に通知しなければならない。さらに、かかる持分
の一定の変動も通知しなければならない。
会社法第672条Aによる通知-オーストラリア証券・投資委員会は自発的に、 ASXに上場している企業 の株主
名簿上の株主に対し、その株主の株式に対する権利やその保有する株式について当該株主以外で「関連する利
害」を有する者全員の利害に関して詳細を報告するよう請求した通知書を送付することができる。かかる通知
書は当該通知書を既に送付した者からの回答において開示された者に対してもさらに送付することができる。
ただし、オーストラリア証券・投資委員会は、株主から請求があれば、(いかなる状況においても不合理であ
ると考えられる場合を除き)これらを行う義務を負う。本手続は、連鎖する株主系統の最終的な実質株主の情
報が開示されるまで続けて行うことができる。オーストラリア証券・投資委員会のほか、 ASXに上場している
企業 も自発的にかかる「追跡型の」通知を送付することができる。
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第672条Aによる通知はオーストラリア国外に居住している株主または株式に利害を有する者に交付すること
ができる。第672条Aによる通知を受け取った者は、法律により2営業日以内に通知に従うよう義務づけられて
いる。但し、かかる通知を受け取った者がオーストラリア証券・投資委員会に対し開示義務の変更を証する免
除証書または告知書を申請し、これを取得した場合にはこの限りではない。第672条Aによる通知に従い正確な
詳細情報を開示しなかった者は、かかる違反行為により損失を被った者に対し損害賠償の責任を負うことがあ
る。
経営および運営
当社のような公開会社は3名以上の取締役によって運営しなければならない。取締役は自然人でなければな
らず、そのうち少なくとも2名はオーストラリアに通常居住する者であることを要する。 また、1991年連邦テ
ルストラ・コーポレーション法(「テルストラ法」)の規定によると、当社の会長および当社の取締役の過半
数は、オーストラリア市民でなければならない。 取締役の会社運営権限(およびこの権限に対するすべての制
限)は一般的には定款で定められている。定款は通常、取締役に対して、特定の職務の遂行または特定分野の
業務の処理のために委員会を設置する権限を付与している。
取締役は、取締役会として行為しなければならず、取締役会は諸決議を会議で行うほか、定款に別段の規定
がない限り、会議を開催することなく書面決議の方法によりこれを行うことができる。取締役は、取締役会の
決議で付与された権限の範囲内に於いてのみ会社を単独で代理して行為する実際の権限を有するが、マネージ
ング・ディレクター(Managing Director)は会社を代理して行為する一定の黙示的な権限を有する。
公開会社は1名または複数の秘書役を置くことを義務づけられているが、会社法はその他の特定の役員の任
命を要求していない。秘書役は会社法に基づく特定の機能と責任を有しており、各秘書役はオーストラリア国
内に通常居住する1名以上の自然人でなければならない。
定款は、会社の業務運営権限を取締役に付与するのみならず、通常は、取締役が業務運営権限を専有するも
のと定めており、これによって、株主が会社業務の運営方法につき取締役会に指示を与え、業務遂行につき取
締役会の決定した事項を覆すことを排除している。但し、株主は次の事項について最終的決定権を保持してい
る。
(a) 取締役会に諸権限を付与している定款の規定を株主総会において修正すること。
(b) 取締役の全員若しくは一部の解任または不再任を決議すること。
取締役は合理的な注意をもってこれにあたる義務を負い、その権限の行使と義務の履行に際しては常時会社
の利益が最大となるように誠実に、かつ適切なる目的をもってこれを行うことが要求されている。また、取締
役は、自己または第三者が不当な利益を得るためにその地位または知識を利用してはならない。
株式の発行
取締役会が適切と判断した条件により新株式を発行することができる。但し、定款またはオーストラリア証
券取引所上場規則に別段の定めがある場合はこの限りでない。
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会計
当社は、会社法に基づき、その取引ならびに財政状態および経営成績を正確に記録しかつこれを説明する会
計帳簿を保持することを要する。これらの帳簿は、真正かつ公正な財務書類を作成し、その監査を受けるのに
十分なものでなければならない。当社はまた、各会計年度について会計基準によって要求される財務書類、そ
の注記ならびに財務書類および注記に対する取締役会の宣言からなる財務報告書を作成しなければならない。
財務報告書は、会社法ならびに関連する会計士および監査人の職業団体が定める手続および基準に従って、登
録会社監査人(「監査人」)による監査を受けなければならない。監査人は、財務報告書が会計基準に従って
会社(連結財務書類が要求される場合は連結会社)の財政状態および業績の真正かつ公正な概観を示している
か否かを含め、会社法に則っているか否かを記載した報告書を作成し、これを当社に提出しなければならな
い。
取締役は、会社法で特定された事項に関する株主宛の報告書を作成しなければならない。これらの事項に
は、主要業務活動、配当提案額(もしあれば)および配当支払額または宣言額、当該会計年度の当社の事業
(およびそれらの事業の業績)の検討、一定の会計年度中に於ける重要な業務内容の変更および当該会計年度
末以降に生じた事象のうち当社の業務、経営成績または財政状態に重大な影響を及ぼしたかまたは将来の事業
年度中に重大な影響を及ぼす可能性のあるすべての事項が含まれる。取締役報告書には、取締役および主要経
営陣の報酬に関連する取締役会の方針その他の情報を含めなければならない。
当社は、株主に当社の財務報告書および取締役報告書(または当社が作成することを決定した場合には、簡
易財務報告書)を、年次株主総会の21日前または当社の事業年度末から4ヶ月後のいずれか早い方までに提供
しなければならない。これは、財務報告書および取締役報告書(または当社が作成することを決定した場合に
は、簡易財務報告書)の写しを、当社のウェブサイトで入手可能な状態にすることならびにこれを入手できる
場所および方法を株主に通知することにより充足される。株主がこれらの書類の写しを受領することを書面に
より選択した場合には、当社は、株主に財務報告書および取締役報告書(または当社が作成することを決定し
た場合には、簡易財務報告書)を送付しなければならない。財務報告書は、各事業年度終了後3ヶ月以内に
オーストラリア証券取引所およびオーストラリア証券・投資委員会にも提出しなければならない。株主は上の
書類を受けとらないことを選択することができる。
配当
当社の場合、すべての配当について、これを支払うか否かの決定権が取締役会に付与されている。会社法の
規定によると、会社は、会社の資産が配当の宣言の直前に負債を上回っており、その超過額が配当の支払いに
十分な額でない限り、配当を支払ってはならない。配当の支払は、総じて株主にとって公正かつ合理的であ
り、支払は、当社の債権者に対する支払能力を実質的に害することはない。
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オーストラリアの各州および各テリトリー(州未編入地域)の法律は未請求の配当は当社が留保し、一定の
年限(各法域により期間は異なる。)経過後は、当該州またはテリトリーに支払われる旨を規定する。当該州
またはテリトリーに支払われる未請求配当に関する詳細は、当該州またはテリトリーの登記において公告され
なければならない。正当な権利者は申請により当該州またはテリトリーに支払われた金額の払戻しを請求でき
る。
また、当社の定款は、取締役会が株主を代理して未請求の配当金、分配金もしくはその他の資金を当社の株
式の取得の為に再投資すること、または請求が行われるもしくは未請求金の関連法令に基づく取り扱いを義務
づけられるまで当社の利益のために適宜当該資金を取り扱うことができると規定している。かかる再投資によ
り生じる残額は、取締役の決定により、繰越または株主を代理して慈善事業に対して寄付されることができる
が、しなくても良い。
減資
当社は法律の認めるところに従い、裁判所の許可を得ずとも随時資本金を減少させることができる。「平等
な減資」の場合、当会社の株主総会において単純過半数の承認を受けなければならない。「選択的減資」の場
合、当社の株主総会(減資の一部として対価を受け取るか、株式に関して未払いの金額を支払う債務が減額さ
れることとなる株主またはその関係者は議決権を有しない。)における特別決議または普通株式保有者全員一
致の決議による承認を受けなければならない。当社はまた一定の条件に従って裁判所の承認を得ずに株式を買
い戻すことができる。
取引市場の性質
株式が上場されている取引所
当社および当社の全ての発行済株式はオーストラリア証券取引所(「ASX」)に上場している。当社の株式
は、オーストラリア証券取引所と競合する代替株式取引市場であるチャイエックス・オーストラリア(「Chi-
X Australia」)においても取引可能である。
2021年6月16日まで、当社の株式はニュージーランド証券取引所(「NZX」)にも上場されていた。当社
は、2021年6月18日にNZXにおいて上場廃止となった。詳細については、下記「第1 1 (2)提出会社の定款
等に規定する制度」を参照のこと。
(2) 【提出会社の定款等に規定する制度】
株式および定款の概要
以下に記載するのは、株式に関する一定の情報ならびに当社の定款の重要な規定の要約である。当社の定款
は株主の権利について多数規定している。この要約は定款に含まれる全ての情報を網羅したものではなく、株
主としての権利の詳細については当社の定款の全文を参照すべきものである。
2021 年6月30日現在、テルストラ・コーポレーション・リミテッドの全額払込済発行済普通株式数は
11,893,297,855株であった。
現在、当社は普通株式1種類の株式を保有する。オーストラリアにおいては授権資本の概念が廃止されたた
め、発行可能株式数には制限がない。オーストラリアでは、株式に係る額面価額の概念も廃止された。つま
り、株式の発行価格は自由に決定できる。
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株主名簿
株主の電子的登録が行われる
オーストラリア株主名簿は電子的である。すべての株主はオーストラリア株主名簿に登録される。当社は、
オーストラリア証券取引所の上場規則、オーストラリア証券取引所決済業務規則(ASX Settlement Operating
Rules)ならびにASXクリアの業務規則(ASX Clear Operating Rules)に従い、決済機構電子予備登録システ
ム(Clearing House Electronic Sub-register System)(「CHESS」)に参加することが認められている。こ
のシステムのもとでは、発行者運営電子予備登録簿および電子CHESS予備登録簿を維持する。これらの予備登
録簿を合わせてオーストラリアの株主名簿とする。株主は、無償で株主名簿を閲覧することができる。会社法
に基づき、ある一定の状況のもとで、いかなる第三者も株主名簿を閲覧またはその写しを取得することができ
る。会社法は、株主名簿上の情報の株主または第三者による使用および開示に対して一定の制限を設けてい
る。
取締役会は、法令またはオーストラリア証券取引所の上場規則に従い、株券の不発行を決定することができ
る。株主名簿が電子的なものであるため、すべての株主はその株式保有の内容について通知を受ける。通知は
銀行の残高通知書と類似のものであり、株主の保有株式数を知らせるものである。株主名簿上の株式保有に変
更があった場合、株主は月末時点における株式保有に関して新たな通知を受領する。株主は株券の交付を受け
ない。株主がCHESS予備登録簿に登録されている場合、株主の保有者識別番号(Holder Identification
Number)(「HIN」)が株主に対する通知に記載される。株主が発行者運営予備登録簿に登録されている場
合、有価証券保有者参照番号(Security Holder Reference Number)(「SRN」)が株主に通知される。株主
は、証券会社と取引する際または当社の株式登録機関に連絡する場合、自己のHINまたはSRNを申し出なければ
ならない。
オーストラリアにおける株式登録機関は、リンク・マーケット・サービシズ・リミテッド(Link Market
Services Limited)である。
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NZX のメインボードにおける上場廃止
2021年6月18日まで、テルストラは、NZXのメインボードに上場されていた。2021年3月26日、テルスト
ラは以下のとおり発表を行った。
・経営を簡素化し、株主サービスを合理化するため、テルストラの取締役会は、NZXのメインボードにおけ
る上場を廃止し、上場をASXのみとすることを決議した。
・NZ RegCo(ニュージーランドの関連規制当局)は、テルストラが一定の条件を満たすことを条件に、上場
廃止を承認した。
・NZXにおけるテルストラ株式の取引は、2021年6月16日(水曜日)の営業終了時に終了した。
・テルストラは、2021年6月18日(金曜日)の営業終了時にNZXにおいて上場廃止となった。NZXを通じて株
式を保有していたテルストラ株主の保有株式は、自動的にASXに名義書換がなされ、2021年6月19日と20
日の週末にわたってオーストラリアの株主名簿に移行された。
・ASXのみでの上場は、2021年6月21日(月曜日)の取引日開始時に開始された。
・ニュージーランドの株主は、ASXを通じて取引の仲介を行うことができるニュージーランドの証券会社を
通じて、またはオーストラリアの証券会社を通じて、引き続きテルストラの株式について取引を行うこ
とができる。
株式の譲渡
オーストラリアにおける株式譲渡の方法は以下のとおりである。
オーストラリアにおける株式の譲渡
株式の電子決済による場合は、オーストラリア証券取引所決済業務規則および当社が参加しているオースト
ラリア証券取引所策定または認定の電子決済制度の規則に従って、株式の譲渡は行われなければならない。そ
の他の場合には、譲渡人および譲受人によって作成された譲渡証書(必要がある場合、印紙を貼付する。)に
より行われる。当社の取締役会は、会社法、オーストラリア証券取引所の上場規則、ならびにオーストラリア
証券取引所決済業務規則、当社の定款その他テルストラ法を含む法律の規定に従い、上記の手続に従う譲渡の
登録を行わなければならない。取締役は、特定の状況において、電子決済を取り止めるためにオーストラリア
証券取引所決済に対しホールディング・ロックを適用するよう要求することができる。
当社株式の外国人による所有には一定の制限がある
外国人は、個別にまたは合計して当社株式の一定割合以上を保有できない。これは、
・テルストラ法 およびテルストラ法に基づき定められた規制
・当社の定款 および当社の定款に従いテルストラによって定められた規制
に定められている要件である。
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オーストラリアの会社の外国資本による買収は、オーストラリアの1975年外資企業取得買収法およびオース
トラリア連邦政府の外国資本政策によっても規制されている。この規制については、下記「第1 2 外国為
替管理制度」を参照のこと。
定款および備置書類
当社の定款
以下は、株主に影響を与える可能性のある当社定款の主要な規定の要約である。
当社の定款は、2020年10月13日に開催された2020年度年次株主総会において採択された。
株式の追加発行
当社の取締役会は、その裁量により株式を発行することができる。しかしながら、取締役は当社の定款、
会社法、テルストラ法、オーストラリア証券取引所の上場規則、ならびに株主に付与された特別の権利に
従って行為しなければならない。
払込請求
当社の取締役会は、株主が保有する株式にかかる払込未了の金銭について、当該株式の発行条件に従い、
株主に払込を請求することができる。当社の株主は、それ以上の資本の払込請求につきその他に何ら責任を
負わない。
優先株式
当社の取締役会は、普通株式による強制償還条項または普通株式への転換条項を含むことのある優先株式
を発行することができる。
各優先株式の保有者には優先配当受領権および清算の権利が付与されるが、一定の状況または取締役が定
めるところを除き株主総会における議決権は付与されない。
償還可能な優先株式の発行条項に従った償還通知を受領した場合、当社は当該優先株式の該当価格を支払
わなければならない。
外資所有制限
テルストラ法は、テルストラに対する特定の外資所有を制限している。当社の定款は、当社がかかる制限
を監視し実施することを意図した規定を置いている。当社は、当該規定を実施するための規則を採択した。
当該規則はすべての株主を拘束する。これらの概要については本書の下記「第1 2 外国為替管理制度」
の項を参照。
権利の変更
当社の株式に付された権利は、当該種類の発行済株式の75%を有する株主による書面の同意または当該種
類の発行済株式の株主による種類株主総会において採択された特別決議による承認をもって変更し、または
放棄することができる。
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一般的権限
定款に基づき、当社は株式有限責任会社が法律上行使できるあらゆる権限および実行することができるあ
らゆる行為を行使し実行することができる。当社の定款には特定の目的は掲げられていない。
借入権限
当社の取締役は、その絶対的な裁量により借入にかかる一切の権限を行使することができる。この権限
は、当社の定款を変更することによってのみ変更することができる。なお、定款の変更には、当社株主が株
主総会において特別決議を採択する必要がある。
株主による承認の必要性
当社の業務遂行権限は取締役に付与されている。しかしながら、定款、会社法およびオーストラリア証券
取引所上場規則により、取締役の選任および主要事業の売却または処分等の一定の重要事項については株主
の承認を要する。
取締役会および株主は株主総会を招集できる
取締役会は、その裁量により株主総会を招集することができる。また、株主総会において行使可能な議決
権の5%以上を有する株主の要求がある場合、取締役は株主総会を招集し開催の手続をしなければならな
い。
株主総会への出席および招集通知
株主は、株主総会にかかる通知を受け、株主総会に出席することができる。当社は、会議の28日前までに
招集通知を株主全員に送付する。
株主総会の議長は、一定の状況において総会への出席を制限することのほか、株主総会の出席者の安全を
確保し、議事を整然と進行するために適切であると考えるあらゆる行為を行うことができる。
取締役または議長から株主総会への出席を要請された者(株主であるか否かを問わない。)は、株主総会
に出席し、議長から要請がある場合には総会の席上で発言する権利を有する。
当社は、株主全員が参加できる合理的な機会を提供する、取締役が承認した技術を利用した株主総会を開
催することができる。当該総会への参加は、当該総会に「直接」出席しているものとみなされる。
かかる技術を通じて出席した株主は総会の主たる会場に出席した場合と同様にあらゆる議決権を行使する
ことが認められる。 当社は、COVID-19パンデミックとこれに伴う政府の制限措置により、2020年度および
2021年度において、取締役が承認した技術を利用して株主総会を開催した。
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議決権
株主(オーストラリアの居住者または非居住者の別を問わない。)は、株主総会において自らまたは代理
人もしくは代表者により(当該株主が個人であるか法人であるかによる。)議決権を行使することができ
る。
取締役会は、株主が、株主総会で審議される決議事項に関し、総会前に当社に議決権行使の内容を郵送、
ファックスまたは取締役会により認められたその他の電子的手段により送付することで直接議決権を行使す
ることを許可することができる。かかる取扱いを認めるか否かは取締役会の裁量による。かかる選択肢は、
株主が自ら総会に出席することができず、代理人、代行者または代表者の指名を希望しない場合であっても
当該株主の議決権を算入することができるということを意味する。
定足数を満たすためには、3名の株主が自らまたは代理人もしくは代表者により出席しなければならな
い。技術を利用して総会が開催される場合、当該3名の株主は同じ場所にいる必要はなく、技術を利用した
参加で十分である。定刻を30分経過しても定足数を満たさない場合において、
・当該株主総会が株主により招集されたものであるときは、当該総会は解散され、
・その他の場合においては、株主総会は翌週の同じ日時および場所、または、出席した取締役が決定する日
時および場所に延期される。延期された総会の定刻を30分経過しても定足数を満たさない場合には、延
期された株主総会は解散される。
投票が要求されない限り、総会に出席した株主による決議の採択は挙手により行われる。投票は、採決さ
れるまで、または挙手による表決の結果が宣言される前もしくはその直後に請求することができる。投票
は、会議の議長、決議に参加し得る5名以上の株主、または投票による決議時に行使可能な議決権の5%以
上を有する株主が請求できる。
投票の要求が撤回された場合には、挙手により採決する。
当社の定款および当社株式に付された権利または制限に服することを条件として、挙手による場合、自ら
または代理人もしくは代表者により出席する各株主は1個の議決権を有し、投票による場合は保有する全額
払込済株式1株につき1個の議決権を有する。当社の株式は現在1種類の全額払込済普通株式のみであり、
議決権行使上の制限はない。払込請求金額の全額の払込が完了していない場合には、当該株式にかかる議決
権数は、投票において、当社の定款に従って削減される。
普通決議は、
・挙手による場合には、決議のために自らまたは代理人もしくは代表者により出席し議決権を行使する、議
決権を行使することができる株主の過半数の賛成により、また
・投票による場合には、(取締役会により承認された場合)直接投票を行うか、普通決議のために自らまた
は代理人もしくは代表者により出席し、かつ行使された議決権の過半数に相当する株主の賛成により
採択される。
特別決議は、
・挙手による場合には、決議のために自らまたは代理人もしくは代表者により出席し議決権を行使する、議
決権を行使することができる株主の75%以上の賛成により、また
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・投票による場合には、(取締役会により承認された場合)直接投票を行うか、特別決議のために自らまた
は代理人もしくは代表者により出席し、かつ行使された議決権の75%以上に相当する株主の賛成により
採択される。
配当
当社株式に付された特別な権利および株式の発行条件に従うことを条件として、株主は、保有する株式
の数および当該株式への払込金額に応じて配当を収受する。現在、当社株式に特別な権利は付されていな
い。
取締役会は、配当の支払方法を決定し、株主に対して、指定の口座への電信振替により配当を支払うこ
とができる。請求のない配当金は、一定の状況においては、関連する株主を代理して、およびその名義によ
り、テルストラ株式に再投資すること、または請求が行われるもしくは未請求金の関連法令に基づく取り扱
いを義務づけられるまで取締役会が当社の利益のために適宜当該資金を取り扱うことができる。
株式に対する配当金は取締役が指定した基準日、または基準日が指定されていない場合には配当支払日と
して指定された日において株主名簿に株主として登録される資格を有する者に対して支払わなければならな
い。基準日以前に登録されていない株式の譲渡による配当を受領する権利の移転は効力を有しない。
利益に対する権利
配当を支払う権限およびその支払時期を決定する権限は、取締役会に付与されている。
当社の取締役は、配当の支払を決議しまたは支払う前に、積立金に充当すべきと判断する金額を当社の
利益から控除することができる。また、配当として分配すべきでないと判断する利益について、積立金に積
み立てず繰り越すことができる。
株主に送付される書類
株主は、財務諸表または当社の定款、会社法またはオーストラリア証券取引所の上場規則に基づき当社が
送付しなければならないその他の文書の写しを受領する。
株主は、当社の財務諸表の写しを受領することを書面により選択した場合にのみ、当該写しを受領する。
株主はその他に、当社のウェブサイトにて、当社の財務諸表の写しにアクセスすることができる。
清算
当社が清算される場合、清算人は(当社の特別決議を条件として)株主間で当社の財産を分割し、分割さ
れる財産を評価し、また、(特別条件で発行された株式の株主権利を条件として)株主間または異なる種類
株主間での当該分割方法を決定することができる。
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取締役の員数
当社は、常時3名以上11名以下の取締役を置かなければならない。株主は、取締役の上限数を変更するた
めに議決権を行使することができる。
取締役の株式保有に対する資格
当社の取締役は、取締役に任命されるための資格としてテルストラの株式を保有することを要求されな
い。
取締役の退任
当社は毎年取締役を選任しなければならず、全ての取締役は選任または最後の再任から3年後もしくは3
回目の年次株主総会(いずれか遅い方)において退任しなければならない。選任後3回目の年次株主総会に
該当して退任すべき取締役が存在しない場合、退任すべき取締役は、退任して再任を申し出ることを希望す
る取締役となり、かかる取締役がいなければ、再任なしに在任期間が最長の取締役となる。かかる取締役の
交代は、退任および再任から免除される「マネージング・ディレクター」1名には適用されない。
取締役の利害関係
取締役会において審議している提案、取決めまたは契約に対し個人的に重大な利害関係を有する取締役
は、当該会議に出席し、当該事項に関して議決権を行使する上で限られた権利しか有しない。
当該取締役会の会議に出席し、議決権を行使する権限は、会社法に定める一定の場合にのみ存在する。例
えば、
・取締役会が、当該取締役およびその利害関係を確認する決議を採択するとともに、当該関係により当該取
締役が会議に出席し、議決権を行使する資格を喪失させるべきでないことを他の取締役が確認している
旨を公表した場合、または
・個人的に重大な利害関係があるにもかかわらず、当該取締役が会議に出席し、議決権を行使できる旨を
ASICが宣言し、または集団的命令を出した場合。
定款および会社法に基づき、取締役には自己の報酬に関する取締役会の決議に関し議決権を行使する権限
が認められている。これらの規定によれば、当社の取締役としての報酬に関連して生じる取締役の利害関係
は、当該利害関係自体が会議で審議され、決議の対象となるものの、当該取締役の出席を禁止すべき利害関
係にはあたらない。
当社の株主総会において、報酬関連の決議または会社法およびオーストラリア証券取引所上場規則に基づ
き利害関係を有すると判断されるその他の決議についての取締役の議決権に対しては、さらなる制約が適用
される。
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役員の免責および保険
当社の定款は、法により許容される限度において、以下について補償する旨を規定している。
・テルストラおよび関連法人の特定の役員および従業員(「テルストラ役員」)がその資格の下で被った責
任および訴訟費用。
・テルストラと関係を有しない会社の役員への就任要請をテルストラから受けたテルストラ役員について、
当該会社の役員として被った責任
当社は、法律により、以下を含むテルストラまたは関連法人の役員として被った特定の責任および訴訟費
用について補償することを禁止されている。
・当社または関連法人に対する責任、
・会社法に基づく罰金刑もしくは賠償命令またはその他の法律の特定の違反に対する民事制裁金、
・悪意による行為から生じた責任、および
・有罪判決がされた、または当社が補償することのできない上記の責任を有すると判決がされた刑事裁判の
弁護費用
当社は、過去または現在においてテルストラ役員であった者が当該地位の下で被った一定の債務に対し、
当該者を付保する保険料を支払うことができる。この保険は、当該者の当社に対する故意による職務違反ま
たは当該者の地位もしくは会社の情報の不正使用により生ずる債務を含む、特定の債務については保険の対
象とはならない。
「役員」、「従業員」および「社外取締役」の各用語については、当社の定款において定義している。
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2 【外国為替管理制度】
証券保有者に影響を及ぼす外国為替およびその他の規制
外国為替管理規制および取引に関するその他の規制
オーストラリア外務大臣は、2011年独立制裁法および2011年独立制裁規制に基づき、一定の個人および団体に
対する制裁を定めた。以下を含む一定の個人または団体に対して資金を支払う場合またはその者から資金を受け
取る場合、オーストラリアへの資金の持ち込みおよび持ち出しにはオーストラリア外務大臣(またはその適切に
権限を与えられた代理人)の同意が必要となる。
・前ユーゴスラビア連邦共和国政府の特定の支援者
・ジンバブエ政府の特定の大臣および高官
・朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に関係する一定の人物および団体
・国連安全保障理事会によるリストに載っていないイランの一定の団体および人物
・リビアのカダフィ政権に関係する一定の重要な人物および団体
・シリアにおける人権侵害に責任があり、または関与している特定の個人および団体
・ウクライナの統治権および領土の保全に対する脅威に責任があり、またはこれに加担する特定の個人および
団体
・ミャンマーの軍部に関与している一定の団体および重要な人物
・ また、1945年国際連合憲章法は、国連安全保障理事会により指定された特定の個人および団体の資産に関す
る金融取引および取引に対して規制を課す。これには、テロに関係しているとされるおよび/またはテロに
関係のある特定の国家と関係のある人物および団体を含む。
・ オーストラリア外交貿易省は、2011年独立制裁法または1945年国際連合憲章法のいずれかが適用される個人
ま た は 団 体 の 総 合 リ ス ト を 管 理 し て い る 。 本 リ ス ト は 、 現 在
http://www.dfat.gov.au/sanctions/consolidated-list.html.において入手可能である。
現在オーストラリア連邦準備銀行は、テルストラが行う上述の者以外の非オーストラリア人の有価証券の保有
者に対する配当、利子その他の支払の送金について、外国為替管理または制限を課していない。
外資所有制限
1975年外資企業取得買収法(FATA)は、オーストラリア連邦財務 長官(「連邦財務長官」) に対して特定の
状況においてオーストラリア企業の株式に対する持分の取得を禁止する権限を与えている。さらに、オースト
ラリア 電気通信事業者 の 直接的な 持分( 10 %以上)を含む特定のオーストラリアの持分の直接的または間接的
な取得の申入れの届出を(外国投資審査委員会(FIRB)を介して)財務 長官 に対して行う義務がある。また、
テルストラ法には外資所有にかかる制限を扱う規定がある。
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テルストラ法
1991年連邦テルストラ・コーポレーション法(「テルストラ法」)は、「外国人」およびその関係者があわ
せて連邦以外の者の保有する株式の35%(「総額規制」)を超えるテルストラの「特定種類の持分」を保有
する場合、またはある外国人およびその関係者が連邦以外の者の保有する株式の5%(「個別規制」)を超
えるテルストラの特定種類の持分を保有している場合には、テルストラに関して「容認できない外資所有状
況」が存在すると規定している。「外国人」、「関係者」、「グループ」、特定種類の「持分」、「直接支
配持分」および「株式に対する持分」の各語句は、すべてテルストラ法において定義されており、後掲の
「定義」の項においてその要約が記載されている。
ある会社の株式または株式に対する持分の取得により、
(ⅰ)テルストラに関して容認できない外資所有状況が生じ、
(ⅱ)ある外国人グループが保有するテルストラのいずれかの種類の持分の合計が増加して総額規制に違
反し、または
(ⅲ)既に個別規制に違反している外国人が保有するテルストラのいずれかの種類の持分が増加し、か
つ、
(ⅳ)当該株式の取得者がその取得によりそうした状況が発生するか否かについて認識していた場合また
はその注意を怠っていた場合には、当該者は最高 884,800 豪ドルの罰金刑に処せられる。
有効な総額規制は35%であり、有効な個別規制は5%である。
通信大臣またはテルストラは、容認できない外資所有状況が存在する場合に株式の処分を要求し、株式に
付された権利の行使を制限し、株式につき支払われるべき金額の受領を禁止もしくは繰り延べさせ、または
株式に付された権利の行使を無視する命令等の救済命令を連邦裁判所に申請することができる。また、テル
ストラ法に基づき、当社に関して容認できない外資所有状況が存在しないよう、あらゆる合理的な措置を講
じることが当社に義務づけられている。
当社の定款には、当社が外資所有制限を監視し実施できる旨の規定が定められている。当社の定款に記載
されるこれらの規定は、すべての株主を拘束する。 当社はまた、 これらの規定を実施するためのテルストラ
外資所有規則 (「本規則」) を採択した。以下にその要約 (2021年10月15日現在) を記載する。 本 規則は、
変更されることがある。
株式の譲渡または移転申請の登録以後その取得者が初めて株主となる場合には、当該取得者は、原則とし
て
(ⅰ)外国人もしくは外国人の関係者として株式に対する持分を有する者であるか、または
(ⅱ)外国人もしくは外国人の関係者が持分を有している株式を保有する者
(いずれの場合も「外国人保有者」)
であるかどうかを当社に届け出なければならない。
これらの届出から得た情報は、外国人保有者により保有されている株式に関係する名簿上に反映される 場
合がある 。
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オーストラリア証券取引所において売買される株式についてはシステムが構築されており、オーストラリ
ア証券取引所決済情報の定期的な提供の一環として証券会社が届出を行う。米国預託証書(米国預託証券制
度)上、預託機関またはその保管機関(「ADR機構」)は、定款との関係において当然に外国人株主として
取り扱われる。その他の譲渡または移転申請の場合においては、取得者が外国人保有者であるときは当該取
得者が当社に届け出る義務を負う。 オーストラリア国外に登記上の住所を有するすべての株主は、当該株主
から別段の通知がない限り、外国人株主として取り扱われる。
外国人保有者が保有する株式は、当該保有者が当社に対してその保有する株式の一部は外国人または外国
人の関係者が持分を有するもの(「外国株式」または「外国分割払証書」)があるが残りは全てそうではな
い(「国内株式」)旨の届出を行い、かつ、
(ⅰ)自己の持分を(それぞれオーストラリア証券取引所のCHESSシステム(決済機構電子予備登録システ
ム)または発行者が提供している予備登録システムの下で)保有者識別番号(外国株式を対象とする。)も
しくは有価証券保有者参照番号(国内株式を対象とする。)に分割するか、または
(ⅱ)取締役が、外国人保有者を2人の別個の株主(国内株式を有する者と外国株式を有する者)として扱
うと決定した場合を除き、すべて外国株式または外国分割払証書として扱われる。
当社は特定の株式の名義人が外国人株主であるか否かを決定し、当該株式に対する持分を有する外国人ま
たは外国人の関係者の詳細ならびに外資所有状況に関して要求されるその他の情報を要求するために当該者
に通知を送付することができる。当該通知は、通知に記載される日数以内 、または本規則にて別途定められ
た日数以内 に回答されなければならない。
上述の届出および通知に対する回答から得られる情報の結果、当社に関して容認できない外資所有状況が
存在すると当社が判断した場合、当社はこの状況を治癒するために株式の処分を要求する権限を有する。こ
の処分権限を行使するにあたり、当社は、上述の届出および通知に対する回答に依拠することができる。外
資所有の水準が総額規制の5パーセント・ポイント以内となった場合、また以後1パーセント・ポイントの
変動ごとに、当社はオーストラリア証券取引所に通知する。
処分権限の範囲は広く定められており、当社および当社の取締役は、その行使方法について株主に責任を
負わない。個別規制に違反していると判断した場合には、当社は、各自で処分を要求する通知(「処分通
知」。)の送付日から通知に記載される日数以内に、違反している「持分」の一部を構成すると判断される
株式の保有者から株式を剥奪するよう要求することができる。
総額規制に違反していると判断した場合、現在の規則では、外国の登録総数が規制を上回った日に、外国
株式が自己の名義で登録されることとなったすべての株主に対し処分通知を送付する旨を定めている。(当
該日に登録された外国株式の処分を受け、なお総額規制に違反していると判断した場合、当社は、前日まで
に登録された外国株式の処分を要求することができる。)
処分通知の受領者は、通知において指定された処分日までに、通知の対象となった株式を処分するよう要
求される。処分日は、処分通知が発せられた月の翌月の第5営業日である(ただし、その日が通知の発送日
から数えて30日に満たない場合は、その翌月の第5営業日が処分日となる。)。
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処分日において名簿上に記載された外国株式が個別規制または総額規制(適用される方)を超えていない
場合は、当該日の処分は要しない。処分通知が遵守されなかった場合について、当社はその処分日以後に保
有者に代わって当該株式を売却することができる(同日以後、保有者は株式を譲渡する能力を失う。)。
外国人保有者の間の譲渡
ある外国人保有者から別の外国人保有者への一定の譲渡については、特別の措置が適用される。
外国人保有者間の譲渡のために特別の方式による特別CHESSシステム(外国間配賦システム)の下で取得
した外国株式(ただし、現に処分通知の対象ではなくまたその対象となりそうでもない場合。)について
は、処分通知はなされない。
上述の要約は完全なものではなく、当社の定款および外資所有規定を施行するために当社が採択した規則
および手続、ならびにテルストラ法を参照することが必要である。当社の定款およびテルストラ外資所有規
則の写しは、テルストラのウェブサイト(www.telstra.com)上で入手可能であり、テルストラ法の写し
は、オーストラリア連邦ヴィクトリア州3000、メルボルン市、エクスビション・ストリート242の会社秘書
役を通じて通常の営業時間中に縦覧可能である。
定義
テルストラ法において、
「 外国人 」とは、
(ⅰ)通常はオーストラリアに居住していない外国市民(テルストラ法において、非オーストラリア市民
と定義されている。)(「外国市民」)、
(ⅱ)外国市民もしくは外国会社(テルストラ法において、オーストラリア国外で設立された会社と定義
されている。)が15%以上の特定種類の持分を保有している会社、
(ⅲ)外国市民もしくは外国会社である2以上の者のグループが全体で40%以上の特定種類の持分を保有
している会社、
(ⅳ)外国市民もしくは外国会社が相当の持分(具体的には、当該外国市民もしくは外国会社の関係者の
持分を含めて15%の実質持分)を保有している信託財産の受託者、または
(ⅴ)外国市民もしくは外国会社である2以上の者があわせて相当の持分(具体的には、当該外国市民ま
たは外国会社の関係者の持分を含めて40%の実質持分)を保有している信託財産の受託者
と定義される。
ある者が保有するある会社に対する 特定種類の「持分」 とは、当該者およびその関係者が有する当該会社
に対する当該種類の「直接支配持分」の合計として定義される。
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ある者の「 関係者 」には、
(ⅰ)当該者の親類、パートナー、被用者および使用者等、広範囲にわたる直接および間接の関係、
(ⅱ)当該者がある個人の被用者である場合には、当該個人のその他の被用者、
(ⅲ)当該者が会社である場合にはその会社の役員、また当該者がある会社の役員である場合には、その
会社およびその会社のその他の役員、
(ⅳ)当該者または当該者の関係者が受益者である裁量信託の受託者、
(ⅴ)取締役が当該者の意思、命令もしくは指図に従って行為することが慣習となっているか、またはそ
のように行為する義務を公式もしくは非公式に負っている会社、
(ⅵ)当該者が会社の意図、命令もしくは指図に従って行為することが慣習となっているか、またはその
ように行為する義務を公式もしくは非公式に負っている会社、
(ⅶ)当該者が少なくとも15%の特定種類の持分を有している会社、また当該者が会社である場合には、
その会社に対して少なくとも15%の特定種類の持分を保有する者、ならびに
(ⅷ)当該者の関係者の関係者(上記の関係に基づく)
を含むと定義される。
会社の外資所有状況を決定する目的上、ある者の関係者には、当該者がその会社の議決権を共同で支配す
ることを可能にし、もしくはその会社の取締役の選任もしくは解任を行う取極めを締結しているか、もしく
は締結することを提案しているか、またはその会社の一名もしくは複数の取締役が、行動を共にする者の意
図、命令もしくは指図に従って行為することが慣習となっているか、もしくはそのように行為する義務を公
式もしくは非公式に負っている場合におけるその他の者も含まれる。
外資所有制限に関連して、「グループ」には一名または複数名の者が含まれる(これらの者が相互に資本
関係を有さず、または共同して行為しない場合も含まれる。)。
ある者のある会社に対する「 直接支配持分 」とは、 次に掲げるものに相当する割合として定義される。
(ⅰ)当該者が持分を有する会社の払込資本の総額、
(ⅱ)当該者が支配する立場にある会社の「議決権」、
(ⅲ)清算時に株主に対して分配される会社の資本または利益にかかる分配請求権、および
(ⅳ)清算以外の場合に株主に対して分配される資本または利益にかかる分配請求権。
「 株式に対する持分 」とは、
(ⅰ)株式に対するコモン・ローまたはエクイティ上の権利、
(ⅱ)株式購入契約の締結、
(ⅲ)株式または株式に対する持分を取得するためのオプション、
(ⅳ)(信託の受益権によるものではなく)当該者または当該者の指図により株式を移転させる権利、お
よび
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(ⅴ)株式もしくは株式に対する持分を取得し、または株式に付された権利を行使し、もしくは行使を支
配する権利(当社の株主総会において議決権を行使するための代理人または代表者として指名され
る場合を除く。)
を含むと定義される。
これは、他の者と共同で保有する持分を含む。ただし、担保権に基づく、または担保権実行に伴う貸し手
の一定の持分など、テルストラ法およびテルストラ法に基づき定められた規制に定める株式に対する一定の
持分は除外する。
テルストラに対する外国投資に必要な承認
オーストラリアにおける外国投資は、主に買収法を含む連邦法およびオーストラリア連邦政府の外国資本
政策(「外国資本政策」)により規制されている。この規制制度は、上述のテルストラの外資所有における
特別の制限に加えて適用される。
買収法または外国資本政策を適用するためには、取得者は買収法にそれぞれ定義される「外国政府投資
家」または「外国人」でなければならない。「外国人」の定義は当該言葉が持つ通常の意味よりも幅広く、
買収法に規定されるように、ある程度の外国株式を保有するオーストラリアまたは外国で設立された会社を
含む。
買収法は、
(ⅰ)投資の価値に関わらず、全ての外国政府投資家に、オーストラリア企業の直接の持分(通常、外国
政府投資家がその関係者とともに保有する10%以上の株式)を取得する前に連邦財務長官に(FIRB
を通じて)届出をする(および連邦財務長官から事前承認を得る)こと
(ⅱ)ほとんどの外国人に、資産総額(純資産額ではなく)が 281 百万豪ドルまたはそれ以上(米国、
ニュージーランド、チリ、中国、日本、シンガポールおよび韓国の投資家が電気通信業界などの指
定業種に投資する場合にも、かかる 281 百万豪ドルの制限が適用され、規定された指定業種を含ま
ない投資については 1,216 百万豪ドルの制限が適用される。)となるオーストラリア企業の相当量
の持分(すなわち外国人がその関係者とともに直接的または間接的に保有する20%以上の株式)を
取得する前に連邦財務長官に(FIRBを通じて)届出をする(および連邦財務長官から事前承認を得
る)こと(注:価値基準値は毎年インデックス化されている。) および
(ⅲ)投資の価値に関わらず、全ての外国人に、電気通信プロバイダーなどの国家安全関連事業の直接の
持分(通常、外国人がその関係者とともに保有する10%以上)を取得する前に連邦財務長官に
(FIRBを通じて)届出をする(および連邦財務長官から事前承認を得る)ことを義務付けている。
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国家安全関連事業
2021年1月1日以降、オーストラリアの外国投資制度に対する大規模改革の一環として、国家安全関連事
業における持分の取得は、0豪ドルの届出価値基準値および10%の比例所有基準値を条件としている。取締
役の任命や取締役会の決議に対する拒否権などの支配的要素が取得された場合、10%の所有基準値は0%ま
で引き下げられる。
国家安全関連事業の定義は、他のカテゴリーの中でも、テルストラのような、電気通信業者または指定電
気通信サービスのプロバイダーである事業が含まれる。
テルストラは国家安全関連事業に該当することから、テルストラにおける持分を10%以上(または支配的
要素を有する場合は任意の割合)取得しようとするすべての外国人は、買収法に基づき外国投資に係る承認
を必要とする。
任意の届出
取得が義務的届出要件を満たさない場合において、当該取得が国家安全保障上の懸念を引き起こす可能性
があると連邦財務長官が判断したとき、連邦財務長官は、当該投資が行われてから10年以内に、当該投資に
ついて「コールイン」を行い、審査を行うことができる。
投資についてコールインが行われた場合、連邦財務長官による審査および承認が必要となる。投資につい
てコールインが行われた場合、取得が承認されない場合でも、当該投資家は買収法に違反したものとはみな
されない。
連邦財務長官によるコールイン権限が発動されるリスクを取り除くため、投資家は、任意の届出を提出
し、取得について外国投資に係る承認を得ることができる。公開されているガイダンスにおいて、FIRBは、
電気通信事業への投資が義務的届出要件に該当しない場合には、任意の届出を行うことを推奨している。
追加情報
(ⅰ)届出をせずに相当量の /直接的な 持分を取得するために契約を締結すること(当該契約が適切な状
況において締結された場合を除く)、または
(ⅱ)届出後、連邦財務長官から異議がない旨の通知を受ける前に取得を進めること
は違反となる。
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各届出につき、申込費用がFIRBに支払われる。当該費用の金額は、当該取得を考慮して決定される。 任意
の届出に係る費用は、標準適用費用の25%である。
外国人または 外国政府投資家による10%未満の完全な受動的投資については、買収法の強制届出義務は適
用されない。しかし、取得の状況によっては取得に関して命令をする 連邦 財務長官の権限(取得を禁止する
権限を含む)を発動する場合がある。これらの状況においては、買収法に基づく 連邦 財務長官の異議がない
旨の通知を求めて任意の届出を行うことを考慮する必要がある。当該異議が存在しない旨の通知の発行によ
り、取得に関する 連邦 財務長官の権限は停止する。
買収法に基づいてなされた届出は、個別的にオーストラリアの国益に反しているか否かを審査される。 特
定の届出は、国家安全保障に基づいてのみ検討される。 国益についての定義はない。ただし、オーストラリ
ア連邦政府により検討される予定の関連要因の詳細については外国資本政策に含まれている。
オーストラリアの外国投資制度は複雑であり、特別の状況および取得の申入れに関する事情について助言
を求めるべきである。
外資所有状況
2021年10月8日 現在、テルストラの名簿上に外国株式として登録されたテルストラ株式は、テルストラの
発行済株式の合計の約 20.74 %に相当する 2,466,629,405 株であった。
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3 【課税上の取扱い】
普通株式
(1) オーストラリアの課税上の取扱い
本項は、株式の所有に関するオーストラリアの主要な課税上の取扱いについて記載したものであり、株式
を公募により取得した場合にのみ適用され、オーストラリアのキャピタルゲイン課税(「CGT」)のルール
に基づき当該株式の取引を行うことにより生じた利益または損失に対して評価が行われる。本項は、株式の
所有に関する重要な課税上の取扱いをすべて取扱うものでなく、以下をはじめとする特定の区分の所有者
(一部には他の規則が適用される場合がある。)について取扱うものではない。
・非課税法人
・一定の保険会社
・有価証券または通貨の売買を業とする者
・時価評価を選択する有価証券を取引する者
・代替ミニマム税の納税義務を負う投資家
・当社の議決権付き株式の10%以上を現に所有し、または所有しているとみなされる投資家
・オーストラリアの税法上の一時的居住者
・ストラドル取引もしくはヘッジ取引またはコンバージョン取引の一環として株式を保有する投資家
・資産勘定よりもむしろ収益勘定で投資商品を保有する金融機関
同様に、オーストラリアの税法上オーストラリアの非居住者である一定の投資家(「課税対象非居住
者」)の課税上の取扱いも著しく異なる場合がある。一定の投資家に関するオーストラリア所得税の取扱い
は、当該投資家の税務上の地位および状況に左右される。
ここでの議論は、本書の日付現在で施行されている法律に基づいている。
株式の取扱い
配当に対する課税
オーストラリアでは、法人所得税について「帰属方式」が用いられている。例外または特権が存在しない場
合、オーストラリア国内の企業は、その課税所得について、法人税率(現在は、年間総売上高の閾値が(i)50
百万豪ドル以下、かつ、(ii)課税所得の80%以下が基準率法人の受動的所得(例:利息、賃借料および使用
料)の団体については 、2021年6月30日終了年度には26%、2022年6月30日終了年度およびこれ以降の年度に
は25 %、その他すべての団体については30%)のオーストラリア所得税を支払う義務がある。しかしながら、
テルストラなどのオーストラリア国内の企業によるオーストラリア所得税の支払いからは、特に、普通配当の
非課税控除が作り出される。企業が支払う税額は、当社が株主に対して非課税の配当を支払った場合には通
常、(非課税控除として)株主に対して付与される。
オーストラリア国内に在住する株主に対して支払われる配当は、通常その課税所得に含まれる。
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配当が非課税配当である場合、かかる配当に関する非課税控除も、通常当該オーストラリア国内に在住する
株主の課税所得に含まれる。
非課税控除と同額の税務上の相殺金(「税務相殺金(tax offset)」として知られる)は、オーストラリア
に居住する株主のみが利用できる。
株主に対して非課税控除の特典を利用する資格が付与されない状況が存在する。これらの規則の適用は、株
式が保有される期間および株主が当該投資につき「リスクを負う」程度を含む、株主自身の状況に左右され
る。
非居住株主に対して支払われる完全非課税配当(100%非課税とされる配当)は、オーストラリア非居住配
当源泉課税(「DWHT」)の適用を受けない。完全非課税とされない範囲の配当は、通常、30%の比率(該当す
る二重課税防止のための租税条約の規定に基づき軽減されない限り)でDWHTの適用を受ける。
日本の居住者である場合、保有するテルストラの議決権が10%に満たない日本の居住者である株主に対して
は、新たに締結された、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とオースト
ラリアとの間の条約(「日本条約」)第10条に基づき、この比率は10%に軽減される。DWHTは、日本の居住者
がテルストラの議決権の少なくとも10%を有している場合において、5%まで減額される。
特に、日本条約に基づきDWHTの比率の軽減を受けるためには、株式は、オーストラリアにおける課税対象非
居住者の恒久的施設(これらを通して課税対象非居住者がオーストラリアにおいて取引を実施し、または事業
を経営する場合。)と事実上関係性を有していないことが要求される。
「導管外国所得」であると宣言された課税済みでない一切の部分については、DWHTの適用を受けない可能性
がある。一般的に導管外国所得とは、オーストラリア税が課税されないエンティティにより得られた外国所得
の額をいう。
テルストラが課税対象非居住者に対して支払う一切の配当のうち、非課税とされない部分で、導管外国所得
であると宣言されていないものについては、DWHTの適用を受ける。テルストラは、該当する支払配当からDWHT
を控除し、その差額を課税対象非居住者に対して支払う。
課税対象非居住者に対して支払われる完全非課税とされた配当および、DWHTの適用を受けた配当が、さらに
オーストラリア所得税の課税を受けることはない。
株式処分時の利益に対する課税
課税対象非居住者によるテルストラの株式の処分によるオーストラリアにおける税効果は、処分にかかる利
益または損失に対してオーストラリアのCGTのルールに基づく課税がなされるか否かも含み、課税対象非居住
者が処分に際してどのように課税されるかにより変化する。
オーストラリアのCGT法に基づき、課税対象非居住者による株式の処分によるキャピタルゲインは、課税対
象非居住者が「課税オーストラリア資産」に対する持分を保有している場合にのみ、オーストラリア所得税の
課税対象となる。
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「課税オーストラリア資産」には、課税対象非居住者の、オーストラリア国内に所在する不動産またはオー
ストラリア国内の恒久的施設の事業資産に対する直接および間接的持分が含まれる。また、これには以下の場
合の株式も含まれる。
(a) 株主 およびその関係者 が当該時点より24ヶ月以上前に開始し当該時点までに終了した12ヶ月間の間
に、10%以上を保有する場合、および
(b) 株式の50%以上の価値が、株式が保有されている会社によって直接又は間接的に所有されている課
税対象のオーストラリア国内不動産に起因する場合。
一定の課税対象非居住者も、CGT規定に基づくものではなく株式取引による経常利益としての利益につい
て、納税義務を負うことがある。
課税対象非居住者による特定の課税オーストラリア資産の売却に対して最終的でない源泉徴収税が適用され
る場合がある。大まかに言って、CGT源泉所得税に係る制度の下では、外国居住者から特定の課税オーストラ
リア資産(「オーストラリア不動産に対する間接的持分」を含む。)を取得した者は、(2016年7月1日以降
に締結された2百万豪ドル以上の市場価値を有する契約については)購入価格の10%または(2017年7月1日
以降に締結された750,000豪ドル以上の市場価値を有する契約については)購入価格の12.5%をオーストラリ
ア税務局に支払うことを義務付けられている。
日本条約は、その目的上、日本の居住者である課税対象非居住者のオーストラリア所得税の納税義務を免除
することがある。
日本条約第7条は、オーストラリア国内の恒久的施設を通じて事業を行っており、その事業所得が当該恒久
的施設に起因する場合を除いて、日本の居住者である企業は、その事業所得につき、オーストラリアでの課税
を受けない旨を規定している。「恒久的施設」は、日本条約第5条において定義されている。
株主は、株式処分により実現された利益が、所得として扱われるのか、またはオーストラリアのCGT規定に
基づき課税されるのかについて、独自に税務上の助言を求める必要がある。さらに、もし株式処分に係るオー
ストラリア所得税の納税義務の免除を求めて二重課税防止のための租税条約に依拠することを望むのであれ
ば、それについてもまた独自に税務上の助言を求める必要がある。
オーストラリアの課税目的上、株式処分により実現された利益がキャピタルゲインとして扱われる場合に
は、キャピタルゲインの額は、通常、株式の処分に係る公正妥当な対価の額と基礎となる原価(買収の対価お
よび買収に関連する附随費用を含む。)との差額となる。
株主が分割払証書を以前保有していたことにより保有している株式については、基礎となる原価の決定に特
別な規定が適用される。この規定の適用は、課税対象者が当該分割払証書の原保有者であったか否かによって
決定される。
株主が個人居住者、オーストラリア適格年金機関または信託である場合、CGT減額特権に基づき正味キャピ
タルゲインの減額を受ける資格を有する。これは、株主が当該株式の処分前にこれを12ヶ月以上保有してお
り、減額を受けるためのその他の要件が満たされた場合にのみ当てはまる。
株主がキャピタルゲインの減額措置を受ける資格を有する場合で、個人または信託(オーストラリア適格年
金機関である信託を除く。)である場合、正味キャピタルゲインは、半額に減額される。
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株主がオーストラリア適格年金機関である場合、正味キャピタルゲインは、3分の1減額される。
株主が法人である場合、CGT減額特権は、株式の処分に対する正味キャピタルゲインについては適用されな
い。
一定の課税対象非居住者は、2012年5月8日よりも後に取得した資産に関してキャピタルゲインの課税減額
を受けることができない。課税対象非居住者は、2012年5月8日までに(同日を含む。)発生した利益のみに
ついて、CGT減額を受けることができる。
オーストラリア所得税の納税義務を有する課税対象非居住株主は、オーストラリアにおいて確定申告をする
必要がある。
オーストラリア印紙税
・ オーストラリアでは、印紙税は特定の種類の取引に課される州ごとの税金である。
・ 株式に関する取引には通常、土地保有税のみが課され、この場合であっても、一定の条件が満たされる
場合のみ課税される。
・ テルストラは上場会社であるため、テルストラ株式の90%以上を取得しない限り、現行法に基づき、そ
の後のテルストラ株式の購入者もしくは譲受人が土地保有税の納税義務を負うことはない。
(2) 日本の課税上の取扱い
下記「第8 2 (7)本邦における配当等に関する課税上の取扱い」参照。
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4 【法律意見】
当社の スーパーバイジング・カウンセル(S&Fプラクティス・リード)であるリビー・レイドン により、以
下の趣旨の法律意見が提出されている。
(1) 当社は、オーストラリア連邦法に基づいて、適式に設立されかつ有効に存続している。
(2) 本書「第一部 第1 本国における法制等の概要」および「第一部 第5 提出会社の状況 3 コーポ
レート・ガバナンスの状況等」中のオーストラリア連邦法に関する記述は、すべての重要な点において真実
かつ正確である。
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第2 【企業の概況】
1 【主要な経営指標等の推移】
以下の要約連結財務情報は当社の監査済連結財務書類に基づくが、本書「第6 経理の状況」中の監査済連結
財務書類等と併せて検討すること。2017年、2018年、2019年、2020年および2021年6月30日に終了した事業年度
に関する当社の監査済連結財務書類は、オーストラリア2001年会社法、オーストラリアにおいて適用される会計
基準およびオーストラリア会計基準審議会(AASB)によるその他の正式な発表の要件に従って作成されている。
当社の連結財務書類はまた、国際会計基準審議会(IASB)が公表した国際財務報告基準(IFRS)および解釈指針
にも準拠している。これらの基準は、日本で一般に公正妥当と認められた会計原則および米国で一般に公正妥当
と認められた会計原則と一定の重要な点において異なっている。
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2017 年、2018年、2019年、2020年および2021年6月30日に終了した事業年度に関する財務データ
(1株当たりの金額を除き、単位:百万豪ドル)
* * *
6月30日に終了した年度 2021 年度 2017 年度
2020 年度 2019 年度 2018 年度
損益計算書データ
継続的事業
収益合計(金融収益を除く)
23,132 26,161 27,807 28,841 28,205
(注1)
営業費用(減価償却費および
償却費ならびに金融費用を除 15,470 16,951 19,835 18,622 17,558
く)(注1)(注2)
ジョイント・ベンチャーおよ
び関連会社の純利益/(損 (24) (305) 12 (22) 32
失)に対する持分
減価償却費および償却費 4,646 5,338 4,282 4,470 4,441
純金融費用 551 771 630 588 591
税引前当期利益 2,441 2,796 3,072 5,139 5,647
継続事業からの当期純利益 1,902 1,839 2,149 3,557 3,874
非継続事業からの当期の利
- - - - -
益/(損失)
基本的1株当たり当期純利益
15.6 豪セント 15.3豪セント 18.1豪セント 30.2豪セント 32.5豪セント
(注3)
希薄化後1株当たり当期純利
15.6 豪セント 15.3豪セント 18.1豪セント 30.2豪セント 32.5豪セント
益(注3)
支払配当金(注4) 1,902 1,903 2,259 3,150 3,736
1株当たり配当金 16.0 豪セント 16.0豪セント 19.0豪セント 26.5豪セント 31.0豪セント
収益合計の構成
継続的事業
顧客との契約からの収入
20,998 22,745 24,291 24,950 25,910
(2017事業年度:収入)
その他の収入源からの収入
(2017事業年度:その他収 560 965 968 898 103
入)
その他収益 1,574 2,451 2,548 2,993 2,192
金融収益 103 274 238 218 138
継続事業からの合計 23,235 26,435 28,045 29,059 28,343
非継続事業からの合計 - - - - -
貸借対照表データ
資産合計 42,525 44,403 42,589 42,723 42,133
短期借入金 3,631 2,763 2,222 1,635 2,476
長期借入金 10,505 13,066 15,031 15,316 14,808
資本金 4,436 4,451 4,447 4,428 4,421
株主持分合計 15,275 15,147 14,530 14,619 14,560
(注1)商品グループ別の営業収入の内訳および費用項目別の営業費用の内訳については、下記「第3 3 (3)財政状態、
経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照。
(注2)被共同支配会社および関連会社からの純(利益)/損失の持分を含まない。
(注3)下記「第6 1 財務書類」注記2.5を参照。
(注4)2021事業年度中、当社は951百万豪ドルの配当金を支払った。前事業年度の最終配当金は1,903百万豪ドルであり、
2021事業年度の中間配当は951百万豪ドルであった。
*
当社は、2020年6月30日に終了した事業年中、遡及調整なしにAASB第16号「リース」を適用し、2019年6月30日に終了し
た事業年度中、2018事業年度の比較業績を修正再表示することによりAASB第15号「顧客との契約から生じる収入」を適用
した。AASB第16号の適用に関する詳細については、下記「第6 1 財務書類」注記1.5、また、AASB第15号の適用に関す
る詳細については、2019年度年次報告書内の財務報告書の注記1.5を参照のこと。
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2 【沿革】
テルストラの起源は、1901年にすべての国内電信電話および郵便業務を所轄するため、オーストラリア政府が
逓信省を設置したこと、ならびに1946年に国際通信業務を所轄するため、オーストラリア政府が海外通信委員会
を設置したことに遡る。
以来、テルストラは数々の変化を遂げ、1991年11月にはオーストラリアの公開有限責任会社として設立され
た。テルストラ・コーポレーション・リミテッドは現在、会社法に基づいて、設立され運営されている、株式有
限責任会社である。1997年7月に、オーストラリア通信市場に完全競争が導入された後、オーストラリア政府
は、テルストラ株式の保有を100%から徐々に減少させ、2007年2月以降は、当該株式をもはや直接保有してい
ない。
日本における活動
テルストラは、1987年から東京に事務所を置いている。
また、1999年2月以降株式会社インテックコミュニケーションズ(特別第二種通信事業者)の株式を少し保有
していたが、2005年度に株式会社インテックコミュニケーションズが親会社である株式会社インテックに吸収合
併された際にこの持分を売却した。
2000年2月、日本テルストラ株式会社(1999年設立、第一種通信事業者免許を有する事業者)およびテルスト
ラ・シンガポール株式会社日本支社(特別第二種通信事業者免許を有する事業者であり、データ・サービスと音
声サービスを合わせて提供する。)がPCCWリミテッドとの合弁会社(折半出資)に売却された。この合弁会社
リーチ・リミテッドは、株主にサービスを提供している。
リーチ・リミテッドの設立後、日本においてリテール利用者へのサービス提供およびサポート、さらに日本の
通信事業者との関係維持を目的として、テルストラは全額出資子会社日本テルストラ・リテール株式会社を日本
に設立した。2005年、同社はテルストラ・ジャパン株式会社に社名変更し、大半が付加価値サービスおよび再販
売サービスのための、「届出」型の免許を保有していた。2011年10月に、テルストラ・ジャパン株式会社は、通
信事業者が施設およびネットワーク構成要素を保有および運営し、当該施設およびネットワーク構成要素におい
て商品およびサービスを提供することを可能とする「登録」型の免許を取得した。テルストラ・ジャパン株式会
社は、現在は日本の多国籍企業、日本に拠点を有する外国企業、通信事業者およびサービス・プロバイダーを対
象とした新規事業成長活動に重点を置いた大規模電気通信回路および施設事業者である。
パクネット・サービス(ジャパン)株式会社は、2015年のパクネット・グループ買収の一環として、テルスト
ラによって買収された。同社は、ケーブル・インフラストラクチャーの運営と取り扱いを可能とする「登録」型
の免許を有している。テルストラが日本で運営している海底ケーブル・インフラストラクチャーは、パクネッ
ト・サービス(ジャパン)株式会社の免許によるものである。
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テルストラ・ジャパン株式会社は、当社の日本における主要な顧客契約事業体であり、現地の契約締結、日本
の利用者に対する現地通貨での請求、国際プライベート専用回線(IPLC)等のグローバル・ワイド・エリア・
ネットワーク(GWAN)ソリューション、イーサネット・プライベート専用回線(EPLC)、IPヴァーチャル・プラ
イベート・ネットワーク(IPVPN)、ヴァーチャル・プライベートLANサービス(VPLS)、イーサネット・ヴァー
チャル・プライベート回線(EVPL)、ウェーブレンスサービス、グローバル・インターネット・ダイレクトおよ
びIPトランジット・ソリューション、PENおよび衛星放送サービス、グローバルCPEソリューション、グローバ
ル・データ・センター・ソリューション、マネージド・ネットワークス・ソリューション、クラウド、SIP、グ
ローバル・ヴォイス・オーバーIP(VOIP)ソリューションおよびデジタルメディア等のコラボレーションを含む
広範囲の情報通信技術(ICT)ならびにITサービスの提供を行っている。
2021年10月25日現在、テルストラは、オーストラリア-ジャパン・ケーブル(Australia-Japan Cable)の
46.94%の持分を保有している。オーストラリア-ジャパン・ケーブルは、グアムを経由してオーストラリアと
日本を直接結ぶ、12,700キロメートルの光ファイバーリング海底ケーブル・ネットワークである。
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3 【事業の内容】
別段の記載がない限り、本セクションの情報は、2021年8月12日現在の最新の情報である。
セグメントおよび分類された収入
セグメント情報は、経営者が事業上の意思決定を行う際に使用する情報に基づいているため、情報の利用者
は、経営者の視点で当社グループの事業を評価することができる。
当社グループの事業セグメントは、市場で主要な製品およびサービスを提供する機能を表すが、報告セグメ
ントの開示基準を満たす事業セグメントは一部のみである。
収入の表示は、商品およびサービスの譲渡時期、主要な商品ならびに当社の地域別市場に基づき、カテゴ
リーおよびセグメントによって分類されている。
事業セグメント
当社グループは、報告日現在における当社グループの内部管理報告体制と同じ基準により、セグメント情報
を報告している。セグメントの比較数値は、同一条件による開示のために、前事業年度の終了時点以降に発生
した組織変更を反映するものである。
2021 事業年度中、当社の事業セグメントに変更はなかった。ただし、簡素さを推し進め、当社の市場開拓の
進め方およびT22戦略との整合性を高めるため、当社は商品の管理・報告方法を変更した。同一条件による開
示のために、比較対象期間の修正再表示を行っている。
セグメント業績において、「その他全て」のカテゴリーには、事業セグメントとして適格ではない機能およ
び個別の報告を要するほど重要ではない事業セグメントが含まれる。
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当社グループの報告セグメントは以下の4つである。
セグメント 業務内容
テルストラ・ ・オーストラリアの消費者および小規模企業の顧客に対し、電気通信製品、サービスお
よびソリューション(モバイル通信、固定およびモバイルブロードバンド、メディア
コンシューマー&
およびデジタル・コンテンツ)を提供し、プリペイド式およびポストペイド式サービ
スモール・
スを提供する
ビジネス
・コール・センター、テルストラ・ショップおよびテルストラの販売代理店ネットワー
(TC&SB)
クを運営する
テルストラ・ ・オーストラリア国内外の政府機関および大規模なエンタープライズ顧客に対する、電
気通信サービス、先端技術ソリューション、ネットワーク容量・管理、ユニファイ
エンタープライズ
ド・コミュニケーション、クラウド、産業ソリューション、インテグレーテッドおよ
(TE)
び監視サービスを提供する
・ネットワーク&ITおよびインフラCoのセグメントと協力したオーストラリア国外にお
けるテルストラのネットワークを管理する
ネットワーク&IT ・当社のネットワーク・プラットフォームおよびデータの高い信頼性およびセキュリ
(N&IT) ティを維持することで、他のセグメントおよびその収入稼得活動を支援する
・顧客のデジタル体験を裏打ちするデジタル・プラットフォームを構築および管理する
・あらゆる内部機能のためのソフトウェアを構築および管理する
インフラCo ・他の電気通信業者、電気通信サービスのプロバイダーおよびインターネット・サービ
ス・プロバイダーに対し、テルストラのネットワークによる電気通信製品およびサー
ビスを提供する
・データ・センター、電話交換局、電信柱、ダクト、ピットおよびパイプ、光ファイ
バー・ネットワークならびに携帯電話の中継塔を含む、固定パッシブ・ネットワー
ク・インフラストラクチャーを運営する
・他のテルストラの機能およびホールセール顧客に対しテルストラ・インフラCoの資産
勘定項目に含まれるネットワーク・インフラストラクチャーへのアクセスを提供する
・nbn coに対し、インフラストラクチャー・サービス契約および商業契約に基づく、そ
れぞれ当社のインフラストラクチャーの特定部分および特定のネットワーク・サービ
スへの長期アクセスを提供する
・光ファイバー、電話交換局およびその他のインフラストラクチャーを設計および構築
する
各セグメントの損益は、内部管理報告の目的で表示された情報に一致するよう、EBITDAに対する貢献額に基
づき測定されている。
主にテルストラ・インフラCoセグメントの業績に関連するいくつかの例外を除いて、EBITDAに対する貢献額
からはセグメント間残高および取引の影響額が除外されている。テルストラ・インフラCoセグメントは、独立
して(下表に記載された項目を除く。)、また、他の機能との取引を含めて、管理および表示されている。し
かしながら、他の機能は、そのセグメント業績においてテルストラ・インフラCoとの取引は反映していない。
セグメント間取引は、グループレベルにおいて除かれている。
EBITDA に対する貢献額は、報告額基準EBITDAとは異なる。特に、当社がバック・トゥ・バック契約でTC&SB
顧客にサブリースを行っている(テルストラを賃借人とする)リースから発生する携帯端末の使用権資産に係る
減価償却費は、セグメント業績に含まれている。当該リース契約の性質上、当社の経営成績について透明性を
確保するため、管理を目的として、携帯端末の使用権資産に係る減価償却費を営業費用として計上している。
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下表は、セグメント間取引および個別のセグメントレベルで除かれていない取引の影響を概説しており、ま
た、当社がどのようにしてセグメントの財務成績に関する内部報告を行っているかについて詳述している。
テルストラ・
取引の性質 TC &SB TE N &IT その他全て
インフラCo
テルストラ・インフラCoの テルストラ・インフラCoがアクセス 該当 該当 収入および
ネットワーク・インフラス 手数料を得ているセグメントの なし なし EBITDAに対する
トラクチャーの使用に係る EBITDAに対する貢献額には、かかる 貢献額には、他
内部アクセス手数料は、収 手数料は含まれない のセグメントと
入として表示される(独立 の取引に係るア
当事者間取引を反映する社 クセス手数料が
内外で観察される様々なイ 含まれる(テル
ンプットに基づき決定され ストラ・グルー
る。) プレベルで除か
れる。)
販売代理店を通じてTE顧客 EBITDAに対する EBITDAに対する 該当 該当 該当
に販売した携帯端末に関連 貢献額には、 貢献額には、か なし なし なし
する商品の収入および費用 TC&SBが当社の かる取引は含ま
供給業者、納品 れない(ただ
および販売代理 し、TE顧客に販
店の契約を管理 売したモバイル
する取引が含ま 通信サービスか
れる ら生じる収入は
含まれる。)
国際コネクティビティに係 EBITDAに対する EBITDAに対する 該当 内部取引は除か EBITDAに対する
る内部取引は、外部顧客か 貢献額には、TE 貢献額には、 なし れる 貢献額には、
らの収入および外部費用と により再賦課さ (TC&SBおよび (TEから得られ
して開示される れたセグメント テルストラ・イ た)セグメント
間費用が含まれ ンフラCoから得 間収入および費
る られた)セグメ 用(TEにより再
ント間収入およ 賦課される。)
び費用(テルス が含まれる
トラ・インフラ
Coにより再賦課
される。)が含
まれる
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テルストラ・
取引の性質 TC &SB TE N &IT その他全て
インフラCo
nbn接続停止に係る手数料 EBITDAに対する貢献額には、かかる 該当 EBITDAに対する EBITDAに対する
および関連する費用による 取引は含まれない なし 貢献額には、か 貢献額には、か
収益 かる取引が含ま かる取引は含ま
れる れない
テルストラ・インフラCoの 該当 該当 EBITDAに対する貢献額に EBITDAに対する
資産に関連する特定の運 なし なし は、N&ITセグメントおよ 貢献額には、N&
営・保守および付随するサ びその他全てのカテゴ ITセグメントお
ポート機能(人事やITな リーで生じた費用のう よびその他全て
ど)に係る費用(共通の運 ち、テルストラ・インフ のカテゴリーで
営・保守費用は使用実績を ラCoの資産に関連する費 生じた費用のう
基礎に配賦される一方、付 用が含まれる ち、テルスト
随するサポート機能に係る ラ・インフラCo
費用は作業員ベースの割当 の資産に関連す
基準を用いて配賦され る費用(テルス
る。) トラ・グループ
レベルでは除か
れる。)が含ま
れる
全セグメントへのネット EBITDAに対する貢献額には、TC&SB EBITDAに対する貢献額に EBITDAに対する
ワーク・サービス提供費用 およびTE顧客へのネットワーク・ は、TC&SB、TEおよびテ 貢献額には、テ
(当社のインフラストラク サービス提供費用は含まれない ルストラ・インフラCo顧 ルストラ・イン
チャーへのアクセスをnbn 客に関連するネットワー フラCo顧客への
ク・サービス提供費用が ネットワーク・
coに提供するための費用を
含まれる サービス提供費
含む。)
用は含まれない
全セグメントにおける国内 EBITDAに対する EBITDAに対する貢献額には、かかる費用は含まれない
の販売促進費および広告宣 貢献額には、テ
伝費 ルストラ社の費
用が含まれる
全セグメントにおける国内 EBITDAに対する貢献額には、かかる費用は含 EBITDAに対する EBITDAに対する
の人員整理およびリストラ まれない 貢献額には、テ 貢献額には、か
クチャリング費用 ルストラ社の費 かる費用は含ま
用が含まれる れない
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4 【関係会社の状況】
(1) 親会社
当社に親会社はない。
(2) 子会社
下記「第6 1 財務書類」注記6.1を参照。
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5 【従業員の状況】
別段の記載がない限り、本セクションの情報は、2021年8月12日現在の最新の情報である。
労務費
労務費合計は、1.1%(46百万豪ドル)減少して4,012百万豪ドルとなった。給与および関連費用は、従業員数
の減少が従業員一人あたりの費用増加によって相殺されたことにより、108百万豪ドル増加した。代替労働費
は、COVID-19への対応として代替労働従業員数の一部が正規社員数に転換されたことも一因となり、労働力のア
ウトソーシングが減少したことにより242百万豪ドル減少した。従業員の人員整理費用は、T22プログラムに関連
する人員削減により96百万豪ドル増加した。正規社員および同等者(FTE)の合計は、6.7%(1,944人)減少し
て27,015人となった。
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第3 【事業の状況】
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
下記「第3 2 事業等のリスク」、「第3 3 (3)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の
分析」および「第3 4 経営上の重要な契約等」を含む本書のその他セクション、また、2021年3月30日提出
の半期報告書を参照のこと。
提案されたテルストラの法的組織再編に関する最新情報
2021年3月22日、テルストラは、当社のインフラ資産の価値をより良く実現し、現金化する潜在的な機会を利
用し、株主にさらなる価値をもたらすことを可能にするための提案された法的リストラクチャリングについて、
次のステップを発表した。2021年3月22日の発表に関する情報については、2021年3月30日提出の半期報告書を
参照のこと。
2021年9月16日のテルストラのT25戦略に関する発表の一部として、提案されたテルストラの法的組織再編に
関する最新情報が提供された。詳細については、以下を参照のこと。
テルストラはタワーズ事業の49%を2.8十億豪ドルで売却し、株主への還元について発表した
2021年6月30日、テルストラは、49%の持分を取得することに合意したことで、フューチャー・ファンド
(Future Fund)、コモンウェルス・スーパーアニュエーション・コーポレーション(Commonwealth
Superannuation Corporation)およびサンスーパー(Sunsuper)からなるコンソーシアムが、テルストラ・イン
フラCoタワーズの戦略的パートナーになることを発表した。
2021年6月30日にASXにて公表された発表には、以下の内容が含まれる。
「タワーズ事業は、約8,200の中継塔を有する、オーストラリア最大の携帯電話の中継塔のインフラストラク
チャー・プロバイダーである。
本取引により、テルストラ・インフラCoタワーズの評価額は5.9十億豪ドルとなり、これは2021事業年度にお
(i)
けるリース料支払い後EV/EBITDA 倍率に係る見積り額の28倍に相当する。テルストラは、本取引完了時に2.8
十億豪ドルの取引費用控除後の正味手取額が発生し、タワーズ事業に債務は発生しないと見込んでいる。本取引
は、2022事業年度第1四半期に完了する予定である。テルストラは、2022事業年度において正味手取額の約50%
を株主に還元する意向である。」
テルストラのCEOであるアンドリュー・ペンは、本日の発表は、重要なT22のマイルストーンであり、これらの
資産の価値を引き出すためのテルストラの戦略を加速させるものであると述べた。
「当社のT22戦略はいくつもの領域で成果をもたらしており、これまで達成したことを私は誇りに思ってい
る。本日の発表は、戦略をさらに支えるものであり、インフラ資産を独立した事業として設立することは、これ
らの資産の価値をより良く実現し、現金化する潜在的な機会を利用し、株主にさらなる価値をもたらすことを可
能にすることを目的としており、これは、本日の発表がまさに達成していることである。」とペン氏は述べた。
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「当社は、モリソン&Coが管理運用する、フューチャー・ファンド、コモンウェルス・スーパーアニュエー
ション・コーポレーションおよびサンスーパーからなるオーストラリアの超一流コンソーシアムとの間で、長期
戦略的なパートナーシップを結ぶことを喜ばしく思っている。
「戦略的パートナーを得ようとするにあたってのテルストラの目的は、株主のために全体的な価値を最大化
し、資産の管理を維持し、また、将来に向けてテルストラの移動体ネットワークにおけるリーダーシップおよび
競争上の差別化を確保できる条件について合意することであった。本日発表された本取引を通じて、これを予定
よりも早く達成できたことを嬉しく思っている。」
「テルストラ・インフラCoタワーズの資産は、オーストラリアで最も戦略的なインフラ資産の1つであり、テ
ルストラの世界をリードする移動体ネットワークを支えている。テルストラ内の独立した事業として設立されて
以降、タワーズへの商業上の重視が高まったことで、すでに効果は現れ始めており、当社は、パートナーと協力
して、新しいインフラストラクチャーやサービスへの投資、競争力のある市場サービスの提供、そして速度およ
び効率性を向上させるための新しいテクノロジーの活用を通じて、長期的に市場におけるリーダーシップを維持
することを期待している。」
「当社は以前、2022事業年度初めにタワーズ事業への外部による戦略的投資を求める手続きを開始する意向で
おり、2022暦年末までに必要な取引を完了することを目指していた。当年度の初めに当社は、これらの資産の価
値を認識し予定よりも早く取引を進展させるための説得力のある論理的根拠を提供してくれた本コンソーシアム
より、打診を受けた。当社は、本取引の価値、すなわち超一流コンソーシアムのメンバーとテルストラのネット
ワーク差別化を保つ合意の条件が、手続きを加速するための当社の決定を後押しするものであると確信してい
る。」
本取引の一部として、テルストラはインフラCoタワーズの過半数の所有権を維持し、無線アクセス設備および
周波数帯資産を含むネットワークのアクティブ・パートを引き続き所有することにより、引き続き業界トップの
移動体受信可能地域の提供とネットワークにおける優位性の維持を確実にするとペン氏は述べた。
「当社がインフラCoタワーズの潜在的な収益化を発表したとき、私は、当社がテルストラの移動体における戦
略的な差別化を保ち、ネットワークにおけるリーダーシップを維持することをはっきりさせた。私は、当社が合
意したパートナーシップおよびアクセスに係る取り決めがこれを達成し、当社による事業の構築の中核に存在す
るものであると確信している。」とペン氏は述べた。
「当社は、オーストラリアで最も広範囲の移動体受信可能地域を顧客に提供する、当社のネットワークを非常
に誇りに思っている。当社は、何十年にもわたる投資と技術革新によってネットワークを今まで構築しており、
この世界をリードするコネクティビティを今後も顧客に提供できるよう、引き続き確実にする。」
テルストラは、既存および新規の中継塔への継続的なアクセスを確保するため、インフラCoタワーズと15年間
の契約(契約期間は延長可能)を締結した。
ペン氏は、資金の大部分が株主に還元されることについて発表できることを喜ばしく思っていると述べた。
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「正味手取額は、当社の資本管理フレームワークに沿って適用される。当社は、この手取額から75百万豪ドル
を投資して、オーストラリアの地域におけるコネクティビティをさらに向上させる。テルストラは、オーストラ
リアの地域におけるコネクティビティを構築し深化させることの重要性を認識しており、この投資を管理するに
あたって、地域電気通信審査委員会(RTRC)の勧告を指針とする。」とペン氏は述べた。
「その後、当社は、正味手取額の50%を株主に還元することを予定している。2022事業年度の実施を見込んで
いる自社株買いを含め、同手取額の還元方法の詳細については、8月公表の通年度の業績にて提供する予定であ
る。残りの手取額は、バランスシートの健全性と柔軟性を確実に維持するために、債務の削減に充当される。こ
の水準の債務の削減は、本取引によって生じる中継塔へのアクセスに係る長期的な債務に鑑み、広く中立的な信
用の結果を実現するために重要である。」
インフラCoタワーズは、インフラCoのCEOであるブレンドン・ライリーが会長を務め、テルストラおよびコン
ソーシアムのその他の代表者で構成される取締役会のもとで運営される。CEOは、現在テルストラ内のタワーズ
事業を統括する、ジョン・リプトンが務める。
テルストラは当年度初め、インフラCoタワーズを含むテルストラ・グループの提案された法的リストラクチャ
リングを発表した。インフラCoフィックストは、テルストラの固定(フィックスト)通信ネットワークを支える
パッシブまたは物理的なインフラ資産を所有・運用し、サーブCoは、革新的な商品とサービスの開発に引き続き
注力し、顧客のサポートおよび最高の最高の顧客経験価値の提供を行う。テルストラはまた、テルストラ・グ
ループ内の別の子会社の中に、国際事業を設立する予定である。」
i. リース料支払い後EV/EBITDAとは、リース料支払い後の利息、法人所得税、減価償却費および償却費控除前利益に対す
る企業価値として定義される。
テルストラによるタワーズ事業の49%の売却に関する2021年6月30日に開催された説明会の記録の写しは、
https://www.telstra.com.au/aboutus/investors/announcementsにて閲覧可能である。
テルストラは1.35十億豪ドルを上限とする市場での自社株買いを発表した
2021年8月12日、テルストラは、インフラCoタワーズの取引による正味手取額の約50%(または上限1.35十億
豪ドル)を、市場での自社株買いを通じて2022事業年度中に株主に還元すると発表した。
2021年8月12日にASXにて発表された内容には、以下が含まれる。
CEOのアンドリュー・ペンは、本取引によって、テルストラのインフラ資産が株主にさらなる価値を提供でき
るという見方が強化されたと述べた。
「T22を開始したとき、当社は3つの理由から、独立したインフラ事業部門を設立することにコミットした。
3つの理由とはすなわち、これらの資産の透明性を確保すること、運用方法にさらなる商業上の優位性をもたら
すこと、そして、株主価値を最大化するための選択肢を生み出すことである。」とペン氏は述べた。
「この自社株買いは、当社が株主のためにさらなる長期的な価値をどのように生み出しているかを明確に示す
ものである。」
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6月において、テルストラは、テルストラ・インフラCoタワーズについて49%の持分を取得する、フュー
チャー・ファンド、コモンウェルス・スーパーアニュエーション・コーポレーションおよびサンスーパーからな
るコンソーシアムとの長期戦略的なパートナーシップを発表した。タワーズ事業は、約8,200の中継塔を有する
オーストラリア最大の携帯電話の中継塔のインフラストラクチャー・プロバイダーである。
本取引によって、テルストラ・インフラCoタワーズの評価額は5.9十億豪ドルとなり、これは、2021事業年度
におけるリース料支払い後EV/EBITDA倍率に係る見積額の28倍に相当する。取引費用控除後の正味手取額は、取
引完了時に2.8十億豪ドルになると見込まれている。本取引は、2022事業年度第1四半期中に完了する予定であ
る。
手取額を迅速かつ効率的に株主に還元できるよう、テルストラは、手取額の受領後すぐに市場での自社株買い
を開始する予定である。株式の取得は、2021年9月16日以降に開始される見込みである。
市場での自社株買いは、通常の取引過程で12ヶ月にわたって実施される。市場での自社株買いの正確な金額お
よび時機は、市況に左右され、テルストラは、必要に応じて他の形式での還元を検討する場合がある。市場での
(i)
自社株買いは、会社法で認められる「10/12」の限度内で実施される 。
インフラCoタワーズの取引による残りの正味手取額は、テルストラがバランスシートの健全性と柔軟性を確実
に維持できるよう、債務の削減に充当される。
i. 自社株買いを提案している企業に適用される「10/12」の限度とは、直近12ヶ月間で当該企業の議決権付株式に付され
た議決権の最小数の10%をいう。
成長、卓越した顧客経験価値、そして継続的なネットワークおよびテクノロジーにおけるリーダーシップを提供す
るためのテルストラのT25戦略
2021年9月16日、テルストラは、ASXにて以下の発表を行った。
「テルストラは本日、成長を加速させ、予測分析およびローカライズされたサポートを通じて顧客経験価値を
向上させ、人々の働き方および生活における恒久的な変化から収益を得るためのT25戦略を発表した。
2022年7月1日より、T25は、以下を実現するため、4つの戦略的な柱の上に構築される。
・信頼できる卓越した顧客経験価値
・顧客の未来を実現する主導的なネットワークおよびテクノロジー・ソリューション
・株主のための持続的な成長および価値
・働きたいと思える場所」
テルストラのCEOであるアンドリュー・ペンは、当社のT22戦略が、テルストラを根本的に変革させ、T25で成
長を実現するための道を切り開いたと述べた。
「T22は、世界中の電気通信会社で最も規模が大きく、急速で、野心的な変革の1つであり、当社は今や、全
く違う会社になったと言える。」とペン氏は述べた。
「これは、社会と経済がますますデジタル化し、全ての人々がオンラインで働き、学び、取引を行い、また、
娯楽を享受する中で、当社は、成長の準備が整っていることを意味する。これらの根本的な変化は、T25ととも
に、当社の将来における成長および株主価値の向上を裏打ちするものとなる。
「T22が必要性の戦略であったならば、T25は成長のための戦略である。」とペン氏は述べた。
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T25は、以下を含む、多くの恩恵をもたらすことを目的としている。
・ コンシューマーおよびスモール・ビジネス顧客: 電気通信、エネルギーおよびテクノロジーの商品やサー
ビスが、予測分析を使用して顧客一人一人に合わせてパーソナライズおよびローカライズされることで、
卓越した顧客経験価値が実現される。これは、オーストラリアで最大かつ最高の移動体ネットワーク(主
導的な5Gネットワークを含む。)で提供される、国内最大級のリテール・フットプリント(電波到達範
囲)、オーストラリアに拠点を置くコールセンター、そして24時間年中無休のデジタル・ショップにより
サポートされる。
・ エンタープライズ顧客: 顧客のデジタル変革および成長を手助けするための、様々なマネージド・サービ
スおよびコンサルティング・サービス、電気通信商品(コネクティビティ、クラウド、IoTおよびサイ
バーセキュリティ)、そしてテルストラ・パープルの内部ノウハウを提供する、オーストラリアで最大の
ワンストップ・サービス・ショップにアクセスすることができる。
・ 地方の顧客: 地方の受信可能地域について、新たな4Gおよび5Gの受信可能地域が100,000平方キロ
メートル拡大され、これにより、テルストラのネットワークの対象範囲はさらに拡大することとなる。
・ 株主: テルストラは、2021事業年度から2025事業年度にかけて、基礎EBITDAについて一桁台半ば、また、
1株当たり基礎利益の年平均成長率(CAGR)について10台後半の値を目標として、持続的な成長および価
値創出を目指す。T25はまた、更新された資本管理フレームワークを通じて、500百万豪ドルの費用純額の
削減、キャッシュ・コンバージョンおよび現金創出、アクティブなポートフォリオ管理、ならびに株主価
値の提供を目指している。
・ 従業員: テルストラが世界最大級のアジャイル労働力への投資を継続し、デジタルにおけるリーダーシッ
プを加速させ、また、ハイブリッド型の働き方におけるスタンダードを確立し続ける中で、従業員は、従
業員のエンゲージメントが90パーセンタイルに位置する業界トップの雇用主のもとで勤務する。
・ コミュニティーおよび国: T25の中核的な部分として、環境、社会およびコーポレート・ガバナンスの分
野にわたる、テルストラの責任ある事業としてのコミットメントを体験する。これには、少なくとも1百
万人の社会的弱者である顧客に対する継続的な接続のためのサポート、2030年度までに炭素排出量を50%
削減すること、また、商品やサービスに対する公平性、包摂性およびアクセシビリティを継続的に構築す
ることが含まれる。
全ての人々が成功できるよう、つながりのある未来を構築するというテルストラの目的および理念は、T25の
4つの戦略の柱における中核である責任ある事業へのアプローチを裏打ちするものであるとペン氏は述べた。
第1の柱:信頼できる卓越した顧客経験価値
「私たちの生活においてコネクティビティがますます重要な動力となる中で、テルストラは、対応として、コ
ンシューマーおよびスモール・ビジネス向けに、オーストラリアで最大かつ最高の移動体ネットワークを活用
し、簡単にアクセス可能かつ幅広い電気通信およびエネルギーのサービスを提供する。」とペン氏は述べた。
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「当社はまた、電気通信の商品やサービス、エネルギー、テクノロジー設備またはインテグレーテッド・ホー
ム・ソリューションを求める顧客が、希望する時間に希望するチャネルを利用できるよう、完全に統合された
チャネル体験を確立する。」
「さらに、当社の顧客経験価値はより一層ローカライズされ、これにより、顧客は電話でオーストラリアの
コールセンターのサービス担当者と話をしたり、テルストラが所有する店舗ネットワークの地元のエキスパート
を訪ねたりすることができるようになる。」
「当社は、商品やサービスについてよりパーソナライズされた体験を顧客に提供し、顧客が問題の発生を認識
する前にこれを予測して解決するため、テクノロジー、AIおよび分析を活用する。」
「また、nbnの敷設は完了したものの、nbn上の全てのリテール・サービス・プロバイダーが同一であるわけで
ないため、当社は、固定ネットワークについて主導的な立場および差別化を継続する。当社は、顧客の接続方法
について差別化を行う。テルストラ・スマート・モデム、テルストラTV、WiFiドクターおよび当社のパイプライ
ンにおけるその他の機能をアップグレードすることで、家庭での顧客経験価値を向上させる。また、当社のエネ
ルギー顧客には、包括的な家庭内ソリューションを実現するスマートメーターが提供される。」
「これらの機能により、顧客は当社とのやり取りをより簡単に行えるようになる。いずれ、90%超の顧客サー
ビスについては、顧客が当社とのやり取りを一度行えば済み、それ以上のやり取りは必要なく、1度で完了でき
るようになる。」
テルストラの特典プログラムであるテルストラ・プラスは、すでに3.5百万人の顧客を有しており、T25のもと
で、これは完全な販売およびマーケティングのチャネルに拡張される。
「当社は、他では入手不可能なパーソナライズされた特典を提供するためにテルストラ・プラスを拡張させ、
このために顧客に特典を提供し感謝を伝え、オーストラリアにおいて最高の特典プログラムに匹敵するよう強化
していく。」とペン氏は述べた。
「これを実現するため、当社は、オーストラリアの大規模企業との多くのつながりを活用し、また、小規模事
業と提携することにより地方市場へのリーチを強化していく。これは大きなチャンスであり、当社は、国内最大
規模の特典プログラムの一つとするため、2025事業年度までにテルストラ・プラスのメンバーが6百万人となる
ことを目標としている。」
T25では、テルストラのエンタープライズ顧客は、テルストラ・パープルによって提供・管理される、電気通
信商品、エッジ・コンピューティング、サイバーセキュリティ、クラウド、AIおよびIoTを用いて事業結果をも
たらすために、テルストラをますます活用できるようになる。
「今日の事業におけるテクノロジーの普及と、その運営を変革する能力は、もはや1つの規模や1つのソ
リューションで全てをまかなえるものではない。エンタープライズ顧客は、最も緊急性の高い事業上の問題や機
会を解決するために、目的に合わせたテクノロジー・ソリューションを求めている。」とペン氏は述べた。
「このニーズに対応するため、当社は、特定業界のテクノロジー・サービスのエキスパートとの連携を強化で
きるよう、エンタープライズ事業を構築し、拡張性に優れた業界固有のソリューションを提供している。」
「T25を通じて、当社のエンタープライズ顧客は、商品の複雑さを軽減し、販売能力を向上させ、また顧客サ
ポートを改善するための当社の取り組みによる恩恵を引き続き受ける。これらの変化は、当社のNAS事業につい
て10台半ばの値のEBITDA利益率を達成するのに寄与するものと期待している。」
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第2の柱:顧客の未来を実現する主導的なネットワークおよびテクノロジー・ソリューション
T25により、テルストラは、国内で最高の受信可能地域、速度、レイテンシー、回復力および国内中核的接続
を有する、移動体ネットワークを含む主導的なネットワークへの投資を継続するとペン氏は述べた。
「当社の顧客は、5Gへの投資による成果を引き続き享受する。4Gおよび5Gネットワークにおけるフット
プリント(電波到達範囲)の100,000平方キロメートル拡大をはじめとして、人口におけるカバー率は約95%に
なり、地方における受信可能地域が大幅に拡大する。」
「これは、今後3年から5年の間に、5Gネットワーク敷設の進行と、容量の拡張およびより速い速度を得ら
れるよう密度を高めるためのメトロセルの倍増によって後押しされる。これにより、当社は、2025事業年度まで
に全ての移動体トラフィックのうち80%が5Gを利用すると見込んでいる。」
「当社は、3Gを停止させる中で、4Gおよび5Gの複合受信可能地域、速度および性能について引き続き
リードすることができるよう、2024事業年度までに4Gの受信可能地域をネットワークの100%まで拡大させる
予定である。これにより、当社は、T25の完了までにアジェンダになることが明らかである、6Gの早期計画に
ついて準備を整えることができる。」
「差別化が可能であるのは、物理ネットワークだけに留まらなくなっている。これまで、ネットワークの機能
における重要な側面は、比較的静的なものであった。しかし現在では、ソフトウェアを利用することで、ネット
ワーク体験のあらゆる側面を動的に管理し、5Gネットワークおよびエッジ・コンピューティング機能を利用し
てセキュリティを向上させることができるため、顧客は、在宅の人々から大企業に至るまで、安心かつ安全な
サービスを利用することができる。」
「当社のネットワークと技術プラットフォーム全体において、当社は、小規模なブラスト・ゾーンの作成や自
動化するオーケストレーションによって、かつてないほと高まった回復力を構築している。つまり、ネットワー
クの一部がダウンした場合、影響を受ける顧客の人数とサービスの数が最小限に抑えられるよう、ネットワーク
は自動的に再構成される。」
第3の柱:株主のための持続的な成長および価値
T25では、テルストラは、2023事業年度までに基礎ROICを約8%、2021事業年度から2025事業年度の基礎
EBITDAを一桁台半ば、また、1株当たり利益の年平均成長率(CAGR)を10台後半の値まで引き上げるという野心
(i)
的な目標を実行する 。
(ii)
本日より有効となるテルストラの更新された資本管理フレームワーク には、完全税額控除適格の配当を最
大化し、長期的な成長を目指すこと、また、成長のための投資を行い、余剰現金を株主に還元するための指針が
含まれている。
テルストラは、T25コミットメントの実行を通じて、重大な不測の事態が生じない限り、また、資本管理フ
レームワークの要件を満たす限り、1株当たり最低16豪セントの完全税額控除適格の配当を維持できると確信し
ている。
「当社の財務目標は、資本的支出の統制および効率性、ならびに旧来ITシステムの廃止または終了によるコス
ト削減を通じて、包括的サービスを提供する電気通信事業として業界トップの営業費用指標を維持することであ
る。」とペン氏は述べた。
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「T22ですでに実行されている2.7十億豪ドルに加えて、さらに500百万豪ドルのコスト削減を実現すると同時
に、成長のための投資も行う。ヘルス・アンド・エネルギー事業の利益となる大規模な成長もまた、当社の将来
の成功に貢献する。」
「当社は、価値を引き出し、Aバンド信用格付と一致したバランスシート状況を管理するため、今後もアク
ティブなポートフォリオ管理を継続し、資本管理フレームワークを通じて価値を創出する。」
「新持株会社と4つの主要子会社(インフラCoフィックスト、アンプリテル(またはインフラCoタワーズ)、
テルストラ・リミテッド(またはサーブCo)、およびテルストラ・インターナショナル)からなるテルストラの
リストラクチャリングは、業績を改善し、選択肢を提示するための独立したインフラストラクチャー事業を設立
するというT22のコミットメントにおける重要な最終ステップである。」
「当社は、株主および裁判所によって承認されたスキーム・オブ・アレンジメントを通じて、リストラクチャ
リングを実施できるよう取り組んでいる。」
「リストラクチャリングのプロセスは全て順調に進行している。当社は、T22の終了までにリストラクチャリ
ングを完成させることができると見込んでおり、本日発表したT25戦略の一環としての、収益化の機会について
準備する次の段階に進むための好位置につけることができると考えている。」
「株主投票より前に行われなければならない外的要因の数(このうちいくつかは当社による管理の範囲外であ
る。)、また、休暇シーズン前後におけるこれらの順序を鑑みるに、スキームに係る総会は、現時点では来年度
の初め頃となる可能性が高い。」
「当社はまた、新しい組織体制が実行された際には、これを適切に反映するよう、政府が法律の改正を検討し
ていることも認識している。」
「これらの変更を行うにあたって、政府は規制上の同等性の原則を適用している。つまり、現在テルストラに
適用されている規制上の義務は、事実上同じ方法で新しい企業グループの事業体にも適用されることになる。」
第4の柱:働きたいと思える場所(トップ雇用者としてのテルストラ)
COVID-19による過去18ヶ月間の経験は、今までの働き方を覆し、将来成功する企業は、変化を受け入れ、従業
員が働きたいと思える場所を作り出すきっかけとして利用する企業となることは疑いようがないとペン氏は述べ
た。
「当社は、新しい働き方に秀で、デジタル分野でのリーダーシップを加速させ、また、責任ある事業を行うこ
とで、これをテルストラにおいて実行する。」
「T22を通じて、当社は17,000人近くの従業員の働き方を大規模にアジャイルへ転換し、T25では、顧客のニー
ズにより敏感に反応し、市場により早く反応できるようにするため、BizDevOpsアプローチを拡張させ、開発
者、運用チームおよびビジネス・チームの連携をより密にしていく。」
「当社はまた、積極的かつ予測的な人工知能や機械学習機能を活用した、商品、プロセスおよび体験の改善を
含む、デジタル分野でのリーダーシップへの投資を継続する。」
「当社は、2025年度までに、主要な事業アプリケーションのうち100%がAPIファースト・アーキテクチャを使
用し、アプリケーションのうち90%がパブリック・クラウド・インフラストラクチャ上で動作するようになるこ
とを見込んでいる。」
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「当社のデジタル・ファーストの考え方とアジャイルな(俊敏な)働き方によって、当社は世界で最も反応が
良く、顧客重視の電気通信会社の一つとなるだろう。」
「柔軟性および持続可能なハイブリッド型の働き方を推し進めることは、最高の才能を引き付け、保持するた
めに極めて重要である。また、テクノロジー、ツールおよび事業慣習が、どこで働くかに関係なく従業員を関与
させ、生産性を高めることをサポートする、未来に適合した新しいスキルや職場への投資も継続する。」
「当社はまた、責任ある事業としての重点的な取り組みの一環として、絶対排出量を削減し、オーストラリア
で最大のカーボンニュートラル認定企業になるという野心的な目標を設定した。」
「さらに、当社は、特に地方や遠隔地のオーストラリア人のためにインターネットへの接続を妨げる障壁に対
処し、1百万人の社会的弱者である顧客を接続し、また、500,000のオーストラリア人がデジタルスキルを構築
するためのプログラムを継続する。」
T22 の取り組みを終えるにあたって
ペン氏は、これまでにT22で達成したこと、そしてT25のための基盤を構築したことを非常に誇りに思っている
と述べた。
ペン氏曰く、「T22の実施を成功させるということは、それがこれまで電気通信会社が行った最も大きな変革
の一つであり、さらにCOVID-19の中で行うという複雑さが加わっていることを考えると、非常に大きな偉業であ
る。
T22を通じて、当社は将来の成功に向けた基盤を築くことができた。当社は、事業と商品を簡素化し、顧客経
験価値を向上させ、コストを削減し、また、インフラCoの計画は順調に進められており株主に価値を提供するこ
とができている。T22は成功したが、まだやるべきことがある。当社は、この取り組みを完遂する決意である。
本日発表したT25は、変革から成長への移行の表れであり、必要に迫られて行った戦略から、成長に集中する
ために望んで行う戦略への移行を示すものである。この戦略は、過去3年間に構築した強固な基盤の上に築かれ
る戦略であり、引き続き最も重要な顧客、従業員、株主に焦点を当て、さらにオーストラリアの活気あるデジタ
ル経済の創出を支援することに重点を置くものである。」とのことである。
i. 基礎EBITDAは、「nbnに係る1回限りの受取金純額およびガイダンス調整を除いたEBITDA。2021事業年度の基礎EBITDA
には、移動体のリースに係る使用権資産の減価償却費を含む。」と定義される。基礎EPS(基本的1株当たり当期純利
益)は、「nbnに係る1回限りの受取金純額および1株当たりのガイダンス調整を除く、継続事業からのPATMI(税引後
当期純利益から少数株主持分を控除した後の利益)。」と定義される。これらの財務目標はガイダンスではない。2021
年9月16日にASXに提出した経営プレゼンテーション資料に含まれるスライドの免責事項を参照のこと。
ii.最新の資本管理フレームワークの詳細は、2021年9月16日にASXに提出された経営プレゼンテーション資料に含まれる
CFOのスライドに記載されている。
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2021 年テルストラ・インベスター・デイ
テルストラは、2021年9月16日に以下の内容を含むインベスター・デイを開催した。
・CEOのアンドリュー・ペンによるテルストラの新しいT25戦略についてのプレゼンテーション
・グループ・エグゼクティブのマイケル・アクランドおよびデーヴィッド・バーンズによるコンシュー
マー&スモール・ビジネスおよびエンタープライズの戦略の詳細な解説
・テルストラ・インフラCoのCEOのブレンドン・ライリーによる、インフラストラクチャーに関する詳細な
プレゼンテーション
・CFOのヴィッキー・ブレーディーによるテルストラの財務戦略に関するプレゼンテーション
2021年9月16日に開催されたテルストラのインベスター・デイにおいてCEOおよび上級経営陣らが行ったス
ピ ー チ を 含 む プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン ( お よ び イ ベ ン ト の 記 録 ) は 、
https://www.telstra.com.au/aboutus/investors/announcementsにて閲覧可能である。
資本管理フレームワーク
今回のインベスター・デイでは、最新の資本管理フレームワークが発表された。テルストラのCFOである
ヴィッキー・ブレーディーによる発表内容は以下の通りである。
当社は引き続き財政規律を適用し、このフレームワークを用いて資本を管理し、株主価値を提供していく。
資本管理フレームワークの目的は、株主の利回りを最大化し、財務力を維持し、財務上の柔軟性を保持するこ
とにあるが、これらの目的に変更はない。
このフレームワークには4つの指針が含まれているが、そのうち3つの指針を本日2021年9月16日より変更す
る。
1つ目の指針は、Aクラスの信用格付けに見合ったバランスシート状況に取り組むことである。この取り組み
は、株主および債権者にとって引き続き重要であるため、変更はない。
Aクラスの信用格付けは、当社の事業の強さを示すものであり、世界中の低コスト資本への継続的なアクセス
を可能にするものである。
2つ目の指針は、完全税額控除適格の配当を最大化し、長期的な成長を目指すことである。
この指針は、完全税額控除適格の配当の重要性についての株主からの継続的なフィードバックを反映したもの
である。
また、この指針は、資本管理フレームワークの目的および指針とのバランスを取りながら、利益および税額控
除によって持続的に支えられる完全税額控除適格の配当を通じて、株主にできるだけ多くのキャッシュ・フロー
を還元するという意図も反映している。
当社は、重大な不測の事態が生じない限り、また、資本管理フレームワークの要件を満たす限り、1株当たり
最低16豪セントの完全税額控除適格の配当を維持できると確信している。もっとも、当社のフランキング勘定残
高は少ない。
2021事業年度のEPSは15.6豪セント、基礎EPSは9.7豪セントとなった。当社は、財務目標に沿って基礎利益を
増加させる必要があり、また、完全税額控除適格の配当を増加させるためにフランキング勘定残高を増加させる
必要がある。
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これは、基礎利益の70%から90%の完全税額控除適格の普通株式配当金を支払うという従来の指針に代わるも
のである。
この指針を変更したのは、キャッシュ・フローが会計利益を上回る状態が続くと予想されるためであり、当社
は、基礎利益を増やして全体の配当に反映させることに重点を置く。
基礎利益を原資とする普通配当と、nbnに係る1回限りの受取金純額を原資とする特別配当とを分けること
は、将来的にはあまり意味をなさなくなる。当社は、今後もnbnに係る1回限りの受取金純額の75%程度を還元
することを約束するが、nbnに係る受取金を原資とする特別配当は2022事業年度が最後になると見込まれる。
第3の指針は、周波数帯を除く年間約3十億豪ドルの通常の事業活動における資本的支出を継続することであ
る。
最後の指針は、成長のための投資を行い、余剰現金を株主に還元することである。
これは、「ポートフォリオ管理と戦略的投資のための柔軟性を維持する」という指針に代わるものである。
新しい指針はより具体的で、利益を上回るキャッシュ・フローがもたらす柔軟性を利用し、成長のための投資
を行い、株主に追加の利益を提供するという当社の意図を示すものである。
当社は、資本管理フレームワークの最初の3原則に従って資本を投入した後、余剰のキャッシュ・フローを生
み出すことを期待している。
余剰現金があれば、焦点は成長のための投資と株主への還元に移ることになる。
当社は、成長のための投資を行う際には、引き続き規律を守り、以前伝えた有機的機会やM&A機会についての
基準を適用していく。
当社が有機的機会を判断する基準は、加重平均資本コスト(WACC)および適切なリスク分析を用いて、純現在
価値がプラスとなることである。
当社のM&A機会の基準は、以下の通りである。
・2年目にEPSが増加すること。
・3年目にWACCを上回る投資利益率となること。
・買収が、同規模の自社株買戻しよりも価値の高いものであること。
当社は、資本コストを上回る財務リターンと株主への長期的な価値創造が期待できる長期的な戦略的機会を活
用するための裁量権を保持する。
余剰現金を株主に還元するためのオプションについては、利用可能な非課税控除の分配を伴うオプションに参
加することを優先する。
それが不可能な場合は、自社株買戻し、資本還元、および非適格配当を検討する。
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資本管理フレームワーク
財務規律
目的 株主の利回りの最大化 財務力の維持 財務上の柔軟性の保持
指針 1. Aクラスの信用格付けに見合ったバランスシート状況に取り組むこと
(i)
2. 完全税額控除適格の配当を最大化し、長期的な成長を目指すこと
3. 周波数帯を除く年間約3十億豪ドルの通常の事業活動における資本的支出を継続すること
(ii)
4. 成長のための投資を行い、余剰現金を株主に還元すること
i. 配当は、重大な不測の事態が生じないことを条件とし、財務状況や市況、ビジネスニーズ、およびテルストラの資本管
理フレームワークに合致した財務力と柔軟性の維持を考慮して、取締役会の裁量により決定される。
ii.資本的支出は発生主義ベースで測定され、周波数帯に対する支出、ガイダンス調整額、外部資金による資本的支出およ
び資産計上されるリースは除かれる。
成長のための投資
有機的機会の基準 M&A 機会の基準
・プラスの純現在価値 ・2年目にEPSが増加すること
・適切なリスク分析 ・3年目にWACCを上回る投資利益率となること
・買収が、同規模の自社株買戻しよりも価値の高いも
のであること
戦略的機会について裁量を保持
資本管理オプションを利用した株主への余剰現金の還元 ―自社株買戻し、資本還元、非適格配当など
テルストラ・ヘルスによるメディカルディレクターの買収
2021年8月9日、テルストラは、テルストラ・ヘルスが一般開業医(GP)の臨床・診療管理ソフトウェアを提
供する大手企業であるメディカルディレクターを企業価値350百万豪ドルで買収する拘束力のある契約を締結し
(i)
たことを発表した 。
メディカルディレクターは、アフィニティ・エクイティ・パートナーズがアドバイザーを務めるファンドから
買収され、取引は2021年8月16日に完了した。
メディカルディレクターの買収は、テルストラ・ヘルスが先日発表した、グローバルな成長戦略の一環とし
て、世界的な医療機関であるパワーヘルスの株式の過半数を取得するという発表に続くものである。
発表の全文は、https://www.telstra.com.au/aboutus/investors/announcementsにて閲覧可能である。
i. 通常の調整を前提としている。
テルストラは、オーストラリア政府との提携により、デジセル・パシフィックを買収
2021年10月25日、テルストラは、オーストラリア政府と提携して、南太平洋地域のデジセルの事業を1.6十億
米ドルで、また、今後3年間の業績に応じて最大250百万米ドルを追加して、買収することを発表した。2021年
10月25日にASXにて公表された発表には、以下の内容が含まれる。
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「デジセルの事業は、テルストラによって所有・運営される。テルストラは、1.6十億米ドルの購入価格に対
し270百万米ドルの出資を行い、オーストラリア政府は、エクスポート・ファイナンス・オーストラリアを通じ
て、残りの1.33十億米ドルをノンリコース型債務ファシリティおよび株式に類似した証券の組み合わせによって
提供する。テルストラは、普通株式の100%を保有する。
最高経営責任者であるアンドリュー・ペンは、テルストラは当初、オーストラリア政府から、デジセル・パシ
フィックに関して、技術的なアドバイスを提供することについて打診を受けており、その後、政府による財務
的・戦略的リスク管理のサポートの下で、事業の買収を検討することとなったと述べた。この提携は、オースト
ラリア政府との関係において重要なマイルストーンを示しているとペン氏は述べた。
売却条件について合意はなされており、今後3から6ヶ月以内に完了する見込みだとペン氏は述べた。
「デジセル・パシフィックは、商業的に魅力的な資産であり、当該地域の通信にとって重要である。オースト
ラリア政府は、太平洋地域における質の高い民間セクターの投資インフラストラクチャーを支えることについて
強くコミットしている。当社は以前、もしテルストラが取引を進めるとする場合には、政府による財務的・戦略
的リスク管理のサポートの下で行われることになるだろうことを述べた。当社はまた、政府からの資金提供と支
援に加えて、いかなる投資も一定の財務的制限範囲内で行う必要があり、テルストラの出資は取引全体の中でも
わずかな割合となることも述べた。私は、当社がその両方の結果を達成できたことを嬉しく思っている。」とペ
ン氏は述べた。
デジセル・パシフィックの事業の経済性、テルストラの中核的な強みとの整合性、また、オーストラリア政府
によるサポートをはじめとした複数の理由により、この買収は魅力的であったとペン氏は述べた。
「デジセルは、南太平洋地域における強力な市場ポジションを有しており、第2位のフィジー以外のすべての
市場で、強力な第1位のポジションを有している。2021年3月31日終了事業年度のEBITDAは、合わせて233百万
米ドルとなり、強力な利益率を確保している。デジセル・パシフィックはすでに、人口の55%に対する4Gを含
む広範なネットワーク範囲を実現するため、最大の市場であるパプアニューギニアに多額の投資を行っている。
中長期的な売上に対する資本的支出の比率は、約15%になると見込みである。」とペン氏は述べた。
この取引は、魅力的な内部収益率をもたらすことが期待されており、テルストラにおけるすべてのM&A基準
(EPSが増加すること、投資利益率がWACCを上回ること、また、自社株買戻しよりも価値の高いものであるこ
と)を上回っている。この取引は、デジセル・パシフィックの買収に関して2021事業年度EBITDAの5.8から6.9倍
(i)
をもたらすと考えられている。
「テルストラは最近行われた通年度の業績発表で2022事業年度の市場へのガイダンスを提供し、2023事業年度
の目標も提供した。これらにはデジセル・パシフィックの買収に対する引当金は含まれておらず、完了時期に
よって、見通しはさらに強化される。」とペン氏は述べた。
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「この取引は、テルストラのT22またはT25の戦略を妨げるものではなく、固有の商業的機会を提供するもので
ある。これは、オーストラリア政府が太平洋地域への質の高い投資を奨励することに関心を持っていることと一
致しており、財務的な取り決めはテルストラにとって非常に魅力的なものであり、またこれは、オーストラリア
政府および太平洋地域との当社の関係を強化するものである。取締役会は、この取引が株主にとって最善の利益
になると一致して考えており、これに基づきテルストラは買収を進めることについて同意した。」
政府および規制当局の承認が必要となる取引が完了し、テルストラの組織再編が行われた後、デジセル・パシ
フィックへの投資は、法的リストラクチャリングの一環として発表された、テルストラの新持株会社の4つめの
子会社となるテルストラ・インターナショナルによって保有される。デジセル・パシフィックの事業は、テルス
トラによって統制された取締役会が監督することになり、これには現在の所有者であるデニス・オブライエン氏
と2名の独立取締役も含まれる。
「当社は、これが独立した事業であることを保証する必要性、また、テルストラがT22およびT25戦略の一環と
してそのコミットメントを実行することだけでなく、今後数年間にわたって成長させるという当社の目的を認識
している。」とペン氏は述べた。
デジセル・パシフィックは、世界的な起業家のオブライエン氏によって2006年に設立され、成長事業で成功を
収めている。パプアニューギニア、フィジー、ナウル、サモア、トンガ、およびバヌアツにおいて通信サービス
を提供する大手企業である。同社は、約2.5百万人の契約者および1,700人の従業員を有しており、3月31日終了
事業年度のサービス収入は431百万米ドルであった。収入の大部分は、パプアニューギニアで生み出されてい
る。
同社は、フィジー以外のすべての市場においてトップ企業であり、強力な基礎的収入の成長を実現している。
収入の約76%は主にプリペイド方式の移動体事業において生み出されており、残りはビジネス・ソリューショ
ン、テレビおよびブロードバンド・サービスから生み出されている。デジセル・パシフィックは現在、パプア
ニューギニアにおいて、中小企業1,500社、大企業250社、そして法人200社に対してサービスを提供してい
る。」
テルストラの、オーストラリア政府との提携によるデジセル・パシフィックの買収(これには、資金調達およ
び優先利回り、価値の増加、戦略的一致、法的構造、補完的収益源、資本構成ならびにデジセルの財務成績指標
が含まれる。)に関する詳細については、2021年10月25日の市場に対する発表
(https://www.telstra.com.au/aboutus/investors/announcementsにて閲覧可能)を参照のこと。
2021年10月26日に市場に対して発表された、テルストラのデジセルに係る提携発表に関連して、2021年10月25
日に開催された説明会の記録のコピーは、https://www.telstra.com.au/aboutus/investors/announcementsにて
閲覧可能である。
i. 見積り取引倍数は、取引構造について調整されている。
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2 【事業等のリスク】
2021年8月12日現在の本書の以下およびその他のセクション(下記「第6 3 (2)訴訟事件」を含む。)を
参照のこと。
特に、進行中のCOVID-19パンデミックおよび気候変動に誘発された異常気象事象に伴う困難および圧力に対処
する中で、当社の事業の最重要リスクを特定、計測および監視し続けることの重要性はかつてないほどに高まっ
ている。
当社の重要リスクを効果的に管理することは、当社の戦略の成功を確実にすること、また、顧客経験価値、当
社の評判、財政状態および配当支払能力の向上において重要な要素である。
以下は、環境または社会的リスクに対する重大なエクスポージャーを含む、テルストラに影響を与える可能性
のある重大なリスクおよび当社がどのようにそれらを管理していくかを説明している。これらは重要度の順で列
挙されている訳ではなく、また包括的でもない。これらは、リスク管理プロセスを通じて企業全体のレベルとし
て確認されている最も重大なリスクを反映している。
グループのリストラクチャリング
提案されたテルストラ・グループの法的リストラクチャリングでは、新持株会社の設立、また、サーブCo、イ
ンフラCoフィックストおよびインフラCoタワーズという3つの主要な独立した子会社の設立が行われる。
2021年6月30日に発表されたインフラCoタワーズの取引に沿って、インフラCoタワーズの設立は進行中であ
る。新持株会社の設立および資産のサーブCoへの移転は、スキーム・オブ・アレンジメントの形で行うことが提
案されており、当社はこれについて株主の承認を求める意向である。
当社はまた、関連する承認および該当する利害関係者とのやり取りを条件として、別の子会社内に国際事業を
設立し、国際資産を徐々にその新しい子会社に移転させる予定である。
当社は引き続き、リストラクチャリングについて懸命に取り組み、これに関連する政府、規制当局およびその
他の主要な利害関係者とのやり取りを継続するものの、遅延が発生したり、完了しなかったりすることで、当社
のインフラ資産から付加価値を実現するための選択肢および機会が減るリスクが存在する。
これらのリスクを軽減するため、当社は、当社のインフラストラクチャーからさらなる価値を実現する取り組
みが継続されるよう確実にするための専任チームを有している。また、この再編が株主、政府、サプライヤー、
顧客および従業員を含む利害関係者にもたらす多くのメリットを説明するための包括的な協議プログラムを用意
している。
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変革および市場原理
周囲の急速な変化に対応するため、当社は、T22戦略を通じて当社の未来を構築している。当社は現在、T22の
完了まで12ヶ月を切っており、当該戦略における指標の80%超を達成したか、2022事業年度末までの達成に向け
て順調に進行している。
当社は、顧客への提供を簡素化し、テルストラ・インフラCoを独立した事業部門として設立し、アジャイルの
方法による働き方を採用し、また、新しいITプラットフォームへ戦略的に投資を行い、旧来システムの多くを廃
止しながら、同時に5GおよびIoTを活用して将来に向けたネットワークの構築を行っている。
自動化を活用したデジタル・ビジネスモデルへの移行の加速、サプライチェーンおよびビジネスモデルの回復
力および効率性のバランス、また、柔軟性および費用削減に対する顧客のニーズなど、COVID-19パンデミックに
より生じた不確実性の中で、この変革を完了させることが現在の課題となっている。
これらのリスクを管理するために、当社は外部環境の変化に対して業績や業績見通しを定期的に監視し、様々
な市場シナリオに対して当社の取り組みについてストレステストを実施している。さらに当社は、主要なサプラ
イヤーへの依存度およびその回復力の水準を監視するためにいくつかの評価を実施し、当該サプライヤーの事業
継続性に影響が及んだ場合に下流への影響を受けるリスクを軽減している。
当社は、変革リスクおよび当社が事業を行う市場セグメント内のリスクを特定し、上位レベルに検討を打診
し、管理することができるよう、効率的なガバナンスおよびリーダーシップの維持に引き続き注力している。
責任ある事業
テルストラは、当社の事業慣習が、当社の目的および企業理念ならびに広範なコミュニティーの期待に沿って
いることを確実にするために取り組み続けてきた。当社は、これほど事業が社会において果たす役割について深
く考えるための重要な機会は今までになかったと認識している。
当社は、正しく行動する責任は、当社の営業慣行の中核(特に社会的に弱い立場にいる顧客に影響を与える可
能性のあるもの)にまで至るものであることを認識している。
当社は、これを常に正しく行うことができていたわけではないことを認識している。詳細については、2021年
概観サステナビリティ報告を参照のこと。
責任を持って事業を行わないリスクは広範囲に及び、責任ある企業市民としてのコミュニティーからの信頼お
よび利害関係者による当社の評判の低下、また、規制上および財務上の潜在的な影響のリスクが存在する。
当社は、様々な施策を通じて、責任を持って事業を行うことができるよう取り組んでいる。これには、公正な
販売慣行、顧客のニーズに合った商品やプランの提供、顧客からの苦情の解決方法の改善、困難に対する十分に
検討されたアプローチ、また、従業員が責任ある行動をとることを後押しする広範な文化の醸成などが含まれ
る。
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従業員および文化
高度な技能を有しかつ積極的に関与している人材を呼び込み、成長させ、保持することは不可欠である。
当社は、シンプルさと説明責任に焦点を当てた機動的で能力の高い文化を築き、変化に応じて動的に転換でき
る労働力を築くことを目指している。
当社はまた、当社がサステナビリティ戦略の一環で優先課題として認識している、責任ある事業慣習へのコ
ミットメントに沿って、広範なコミュニティーの期待および基準を反映する目的および価値主導の文化を維持す
ることにも焦点を当てている。当社の刷新された企業理念は、事業にわたって一体化され、当社の行動および意
思決定に組み込まれている。当社のアプリーシエイト(Appreciate)報酬・表彰プログラムでは、日々の行動を
通じて企業理念を実行する従業員を評価している。
当社は、従業員エンゲージメント調査、主要な人材セグメントにおける当社の能力範囲の監視、また、重要な
役割の後継範囲の確保を含む、当社の従業員および文化リスクを管理するためのいくつかのメカニズムを有して
いる。当社の企業理念と一致しない行動が発生した場合、当社は、内部通報プロセスおよび内部調査チームを通
じたものを含め、これを特定および適切に対処するためのプロセスを整備している。
当社は運営モデルの進化を続けており、最近、2021暦年末までに完全にアジャイルな(俊敏な)方法で本格的
に事業を行う意思を表明した。当社は、追加のマイクロ・クレデンシャルおよび未来に対応できる
(FutureReady)能力の構築への注力により包括的な一連の技術訓練を補完するため、従業員の再教育およびス
キルアップのために多額の投資を行っている。
健康、安全および福利
健康、安全性、セキュリティおよび福利の効果的な管理は、従業員(身体的および/または精神的の両方)、
当社の資産、環境および当社が事業を行うコミュニティーに与えるリスクを踏まえて、基本的な優先事項であ
る。当社の事業および当社が事業を行う環境が変化するにつれて、このリスクの性質は絶えず変化している。
当社は、広範囲の健康、安全性および福利の結果を積極的に監視および管理している。これには、(特に、よ
り多くの従業員が、より頻繁に在宅で勤務するようになったことから)当社の様々な職場における身体的安全、
従業員および職場のセキュリティ、従業員のメンタルヘルスおよび福利(変革に関連する福利リスクを含む。)
ならびに当社が事業を運営する環境およびコミュニティーへの危害の可能性が含まれる。
当社は、依然として困難かつ変化し続ける世界情勢の中で、COVID-19パンデミックの間、従業員の安全と健康
を維持するため、引き続き全世界の従業員を支援している。当社のアプローチにより、当社の事業は引き続き効
果的に行われ、従業員の安全を確保し、情報を提供するためにできることを実行することができた。
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気候変動
気候変動は、この10年間で最も重要な問題の1つである。国内最大の電力消費者の1つであることから、当社
は、これについて先頭に立って取り組む責任がある。
自然災害(森林火災、サイクロン、洪水、そしてより頻繁かつ深刻な気象事象の脅威を含む。)の頻度および
深刻さの増加は、気候変動が当社の従業員、顧客、インフラストラクチャーおよびネットワークならびにサプラ
イチェーンに重大かつ継続的な課題を引き起こすものであることを示している。当社は、気候変動および低炭素
経済への移行に伴う財務上および評判上のリスクを理解している。
対応の一環として、当社は、2020年7月より、事業運営においてカーボンニュートラルを達成しているとして
認証を受けている。当社は、2025年までに再生可能エネルギーの発電量を当社の消費量の100%に相当する量に
すること、また、2030年までに絶対的排出量を少なくとも50%削減することにコミットしている。
2020年より、当社は「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の枠組みに沿った報告を行っている。
2021年における当社のTCFD報告については、2021年概観サステナビリティ報告の「気候変動およびエネルギー」
項および添付されているTCFD別表を参照のこと。
ネットワークITおよび回復力
テルストラの競争上の優位の一つとして、当社のネットワークの規模、速度および回復力が挙げられる。シー
ムレスかつ高品質なコネクティビティへのアクセスを有することの重要度は、COVID-19パンデミックによって変
化した仕事および教育の性質によって最近浮き彫りになっている。
多くの顧客が当社のネットワークおよびその品質に依存していることからも、当社は、ネットワークの混雑や
停止の潜在的に重大な影響を認識している。これらの事象は、顧客にとって、混乱を生じさせ、苛立たしいもの
であり、当社のブランドに対する評判上のリスクおよび人々の信頼という点で、当社にとって重要なものであ
る。
当社のネットワークの回復力は、自然災害、予期しない需要の急増、悪意のある行為者による活動、人為的ミ
ス、設備故障、データ品質またはネットワークに電力を供給する基盤となる電力グリッドの故障によって損なわ
れる可能性がある。当社は、熟考されたリスク管理アプローチを通じてこのようなリスクシナリオを提起および
評価し、サービスおよびネットワークの遅延を防止し、これに対応し、これから回復することを目指す様々な戦
略およびプロセスを通じて当該リスクシナリオに対応している。当社は、ネットワークならびにITパフォーマン
スおよび回復力を動的に監視するためのいくつかの指標を設定しており、リスク・エクスポージャーを着実に軽
減するために、当社のネットワークにおけるリスクの是正および改善を長期にわたり積極的に追跡している。さ
らに、システムおよびプロセスのデジタル化は、当社のT22戦略を実現するための重要な要素であり、商品の簡
素化および複雑さの低減を手助けしている。
当社は、顧客サービスに潜在的に影響を与えうる全ての要素(当社のネットワークおよびIT技術への混乱を含
む。)を考慮し、主要な商品およびサービスのエンドツーエンドの回復力を管理する全社的なアプローチを引き
続き実施している。
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プライバシーおよびサイバーセキュリティ
オンラインで生活し、働き、そして学ぶことができることに対する需要および依存度の高まりとともに、情報
およびサイバーセキュリティの脅威は高まっている。これは、当社がデータのプライバシー、情報セキュリティ
およびサイバーセキュリティを第一に念頭に置いている理由の一つである。そうしなければ、犯罪、スパイ行為
およびエラーを前例のないペース、規模および範囲で発生させる可能性のある重大リスクが生じることを当社は
理解している。
全てのサイバーリスクを軽減することは不可能であるものの、当社が提供するコネクティビティを顧客が信頼
できるよう、当社が行動することが重要となる。
当社は、当社のネットワークおよびシステムへの不正アクセスの可能性および影響を最小限にするために、
様々なテクノロジーおよびセキュリティ管理を活用している。これには、内外の脅威を未然に防ぎ、積極的に備
えるためのログ機能および監視機能や、業界標準のインフラストラクチャー設定が含まれる。
当社は、新たなセキュリティ脅威の一歩先を常に行くことができるよう、既存のテクノロジーを維持および強
化することを含め、当社のセキュリティ能力に対して継続的に投資している。また、変化するセキュリティおよ
び詐欺脅威の範囲に確実に適応できるように、新しいテクノロジーも導入している。
マルウェア、ランサムウェアやフィッシングを通じた顧客データの漏洩をさらに減らすことに焦点を当てた、
クリーナー・パイプ・イニシアチブの一環として、当社は、詐欺の疑いのある電話が最終顧客まで到達し詐欺の
被害に遭う可能性が生じる前に、平均して毎月約13百万件の電話をブロックしている。
サイバーセキュリティのリスク管理プロセスに対する当社のアプローチは、適切な所有権、監督および継続的
なリスク管理が、ITシステム、データおよびリスクに適用されることを確実にしている。当社はまた、プロジェ
クトやソリューションの技術的レビューや、重要なポイントにおけるセキュリティ管理のプレゼンスおよび有効
性をテストするための第三者によるデュー・デリジェンスを含む、セキュリティ・プロセスも有している。当社
は、堅牢なサイバーセキュリティ文化を発展させるために設計されたプログラムを実行している。これには、全
従業員および請負業者を対象として義務付けられている年1回の研修や、定期的なフィッシング演習が含まれ
る。技術が進化するにつれ、当社は人工知能や機械学習に関連して生じる新たな問題を認識しており、これらの
リスクを検討するためのガバナンス・プログラムを導入している。
当社は、当社のプライバシー保護方針および保護手続を定期的に精査および更新しており、法的義務を引き続
き遵守し、また、顧客の個人情報の収集、保管および使用に関する社会の期待を考慮している。テルストラによ
るプライバシーの管理方法についての詳細は、下記「第5 3 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」を参照
のこと。
当社はまた、オーストラリア政府が2020年サイバーセキュリティ戦略を実行するにあたり、オーストラリア政
府と引き続き協働しており、最高経営責任者(CEO)であるアンドリュー・ペンは産業諮問委員会の会長を務め
ている。
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規制の変更および利害関係者の関わり
テルストラの製品およびサービスならびにそれらの提供方法に対して、広範な規制当局および機関からの継続
的な監視を受けている。
これらの規制を遵守していることを確実にするため、政策および規制が公平、均衡の取れたものかつ社会的に
許容されるものであることを確実にするための取り組みとして、当社は関連する全ての規制当局、消費者および
コミュニティー・グループならびに政策立案者との透明性のある関係を維持し続けることが重要である。
現在のテルストラに関連する主な規制問題は、期待が高まった環境の中で生じ、規制遵守、責任ある事業慣
習、新たなリテール向けエネルギー事業の設立、NBN Coの規制および方針、消費者の保護およびサービス基準、
周波数帯の割り当て、政府のセキュリティおよびデジタル化政策、地域や地方コミュニティーのコネクティビ
ティならびにユニバーサル・サービス方針に関連するものである。
これらの、また、その他の規制および政策に係る問題は、当社の戦略および事業モデルに直接的な影響をもた
らし、当社事業にかかる規制費用および複雑性の増加リスクが上昇する可能性がある。
当社は、これらのリスクを管理するための強力なフレームワークを有しており、積極的に規制当局、政府機
関、産業および消費者グループならびにその他の利害関係者と関わっている。
当社のリスク管理フレームワークおよびリスク管理に対する全般的なアプローチに関する詳細は、下記「第
5 3 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載されている。
当社のサステナビリティ関連のリスクに関する詳細は、当社の2021年概観サステナビリティ報告
(www.telstra.com/sustainability/reportにて閲覧可能)に記載されている。
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3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績等の概要
下記「第3 3 (3)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照のこと。
(2) 生産、受注及び販売の状況
下記「第3 3 (3)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を含む本書のその他のセク
ションを参照のこと。
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(3) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
下記および「第6 1 財務書類」注記4.5.4を参照のこと。
本セクションの情報は、別段の記載がない限り、2021年8月12日現在の最新の情報である。
会長および最高業務執行役員(CEO)のメッセージ
COVID-19 が我々の生活、社会、経済に深刻な影響を与え続けた一年でした。この間に株主各位からテルストラ
に寄せられた変わらぬご支援と投資にお礼申し上げます。私たちはそれぞれに何らかの形で影響を受けておりま
すが、このかつてない困難なパンデミックの期間を通して、株主各位とご家族の皆様がご健勝で安心安全な生活
を続けて頂くことを当社は強く願います。
さて、この期間を通して、テルストラは、従業員、顧客および我が国の手本になることを目指して、未知とも
言える荒波の海域を航行し続けた。
このような異常事態の中にありながら、当社は事業を維持し、野心的な戦略を引き続き遂行した。当社事業は
順調に推移し、好調な状態で当事業年度を終えることができた。
当事業年度は、変革をもたらすT22戦略の進展をはじめ、数多くの誇るべき成果を収めた。後述するように既
にT22の具体的なメリットが多々顕現しており、事業の基礎的な成長への復帰と将来の成功に向けての地歩固め
という我々のコミットメントを実証している。
T22 を立ち上げた際、我々は事業を抜本的に簡素化してデジタル化し、顧客のペインポイントを取り除き、旧
来システムとプロセスを除去し、アジャイルな(俊敏な)仕事のやり方を新たに導入し、そして5Gの首位の座
を含むネットワークにおける主導的地位をさらに拡大する必要性を特に明確にした。言い換えれば、デジタル経
済の加速化に対して事業を周到に備える必要性である。
厳格な規律遵守、有言実行の徹底そして3年間にわたる変革(世界の電気通信会社による変革で規模および野
心性において最大級であった。)を経て、当社は今や全く異なる会社になっている。進捗は極めて順調であり、
我々は今後1年間で戦略目標を達成する軌道に乗っている。
上記のことは、当社がチャンスを逃さずに素早く対応できるようにするための法的組織再編についての当社提
案および当社が最近公表したインフラCoタワーズ事業の49%を2.8十億豪ドルで売却する提案(当該金額の約
50%は1.35十億豪ドルを上限に市場での自社株買いを通じて2022事業年度中に株主に還元される予定)を含む。
ターニングポイント
2021 事業年度は、財務業績のターニングポイントになった点においてテルストラにとり重要であった。当社は
過去4年間、毎年その事業の重要部分をnbnに移転するという極めて厳しい財務上のヘッドウィンドを受け続け
なければならなかった。それは取りも直さず、当社は過去4年の間、年度のスタート時点においてEBITDAが最大
800百万豪ドル足を引っ張られるということであった。
しかもこれと同時期に、市場競争が当社の固定および移動体両事業の利益を減少させ、さらにテクノロジーの
創造的破壊と重要な構造的変化が業界を大きく変貌させつつあった。多くの意味においてこれらが原動力となっ
て、当社が事業の抜本的変革のためのT22戦略を2018事業年度に立ち上げるきっかけになった。また同じよう
に、技術革新がどのように加速し続けるかについての確信もそのきっかけになっていた。
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nbn 設立後、10年間の混乱を経て、今や我々は基礎的な成長への道筋をはっきりと見ることができる。イノ
ベーションとテクノロジー、デジタル化およびネットワークへの投資、顧客経験価値の向上、そして規律ある資
本管理により、テルストラは成長するための強固なポジションを得ることができた。
本報告書に詳述される財務成績は、当社が到達したターニングポイントを示すものであり、株主への長期的な
価値の提供という当社のコミットメントを実証している。
当社が提案する法的組織再編の現状と当社の継続開示義務に鑑み、当社としては、配当金再投資制度を一時停
止することが賢明と判断した。状況が許せば同制度を再開する積りである。
当社は、株主にとり配当金がいかに重要であるかは良く理解しており、当事業年度の財務成績を踏まえて、取
締役会は、1株当たり8豪セントの完全税額控除適格の配当金を支払うことを決議した。内訳は1株当たり5豪
セントが最終普通配当金および1株当たり3豪セントが最終特別配当金である。これによって、2021事業年度の
配当金合計は1株当たり16豪16セントとなり、2021事業年度の株主への直接還元は1.9十億豪ドルとなる。
2022 事業年度の当社の重点取組み
では、これからの1年はどうなのだろうか。当社は引き続き、T22のもとに任務の完遂に全力を尽くす決意で
ある。これには、顧客経験価値の向上の継続、提案している組織再編の推進、および5Gにおける当社の主導的
地位の拡大が含まれる。テルストラほど地域のコネクティビティに力を注いでいる企業はない。当社は、オース
トラリア各地が我が国経済の一層のデジタル化からの便益を確実に得られるよう、これからも顧客、パート
ナー、ステークホルダーおよび政府と協働していく方針である。
当社は中核事業の育成に引き続き注力するとともに、健康やエネルギーなど活力に満ちた分野での成長機会の
探求にも引き続き注力していく。テルストラ・ヘルスは、過去数年間で飛躍的に変貌し、その能力と長期成長戦
略の一角としてその重要性は著しく高まった。我々は、事業のデジタル化と簡素化、そして新しい働き方の拡大
の完成を強く望んでいる。これらすべてにより、我々の野心的な財務目標の究極的な達成が可能になる。
我々はそれと同時に、社会に対する責任を果たすトップ企業としての取組みのさらなる強化も継続する。
150 年の歴史を持つオーストラリアを代表する企業として、経済への重要な貢献者であり主要な雇用者とし
て、また資源の大量ユーザーとして、当社は社会の改善に寄与する責任を負う。すなわち、顧客に対して当社が
負う義務は、契約書の細かい印刷文字によって定義されるだけではなく、組織としての当社の社会的存在意義と
企業理念によって定義されるべきものである。それは、気候変動、多様性、デジタル・インクルージョンなどの
主要な社会的課題に対して主導的な立場をとり続けることや、数年前の当社の一部提携店舗による不適切な販売
慣行を受けて開始された先住民族のコミュニティー(First Nations communities)との信頼関係の再構築に取
り組むことも意味する。この問題に対する当社対応および社会に対する責任を果たす企業についての当社の広範
な取組みの詳細に関して、当社の「2021年概観サステナビリティ報告」をご一読願いたい。
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重要な事業年度への絶大な自信
2022 事業年度の開始にあたり、我々は戦略的野心の達成に絶大なる自信を有している。また、我々は、当事業
年度後半にT22を終了したその“先”についてのさらなる情報を共有して頂くことも楽しみにしている。
COVID-19 の収束が当面難しそうな中で、当社は、COVID-19がもたらす課題に対処し、従業員、顧客、株主そし
て経済全体の利益のために主導的な役割を担い続けていく方針である。今我々が行っている選択と実行している
行動は、テルストラがこれからの時代に必要な会社であるための準備にほかならない。
戦略および業績
2021 事業年度の財務成績
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我々の多くにとって、変化のペースはかつてないほど速くなっている。COVID-19の登場以前から、デジタル
ディスラプション(デジタルテクノロジーがもたらす破壊的イノベーション)により、テルストラは迅速かつ大
胆に行動することが求められていた。このディスラプションは、当社に、そして顧客に、課題と機会をもたらし
た。
当社が成し遂げた野心的なT22戦略の大きな進展は、デジタル化された非接触型の体験が常態になり、信頼で
きる安全なコネクティビティが優先される世界において(パンデミックは世界をそのように変容させた。)素早
く反応し、リードしていく上で、当社が優位性を持っていることを意味する。
継続するT22の進展状況
当社のT22戦略は2018事業年度に開始され、4本の柱がある。
提供商品を抜本的に簡素化 独立組織のインフラビジネ 組織構造と働き方を大幅に 業界の先頭を切るコスト削
し、顧客のペインポイント ス・ユニットを設立し、こ 簡素化して従業員への権限 減プログラムおよびポート
を除去し、そしてあらゆる れにより業績の推進を図る 委譲を進め、顧客にサービ フォリオ管理を実施する。
デジタル経験価値を創出す とともにnbn敷設後の選択 スを提供する。
る。 肢を用意する。
この戦略は、2016事業年度に発表した「未来のためのネットワーク」の創設と事業のデジタル化に対する最大
3十億豪ドルの戦略的投資を通じて既に構築されてきた多くの重要な機能を駆使している。
当社は、2021事業年度も戦略の実現に向けて引き続き尽力した。そしてその努力は報われつつある。
世界をリードする技術への当社の継続的な投資により、顧客は、当社との取引をより簡便かつ迅速に行うこと
が可能になった。
従業員がサポートを受けているという実感を伴うような支援が困難な時期を通じて続けられた。新しい働き方
やハイブリッド型の勤労形態の採用は、ベストのパフォーマンスを発揮できる柔軟性を従業員にもたらした。
T22 の具体的利益は、株主の目にも明らかになり始めている。我々は、当社の世界クラスのインフラストラク
チャーと強固な財務力の価値を明確にし、事業を基礎的な成長に復帰させることをコミットした。
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当社は当事業年度末時点において、T22のスコアカード測定指標の約80%を既に達成済みであったか、また
は、達成に向かう軌道に乗っていた。戦略の終了を前に、当社は他の測定指標の進捗にも注力し続けた。
顧客サポート
COVID-19 は当社の顧客経験価値に影響を与え、顧客との関与方法は多種多様になった。当社は、デジタルメッ
セージチャネルを拡張したが、顧客の当社とのインタラクト方法に重要な変化がもたらされた。顧客はマイテル
ストラ(My Telstra)アプリを通じて当社とコンタクトし、顧客の都合が良い時に必要なサポートを受けること
が可能になった。
また、当社は、nbnネットワークへの接続を必要とする小規模事業者顧客には、エンド・ツー・エンドで当該
プロセスのサポートする専任コネクション・マネジャーを置くことによって、より簡便に接続できるようにし
た。
当社は、地元店舗への来店を多くの顧客が希望していることを承知している。当社はテルストラのライセン
シー店舗を社内組織化する計画を公表したが、これにより、当社のオンラインチャネルと実店舗網の全体で、よ
り一貫性のある顧客経験価値の提供が可能になる。また顧客ニーズの変化に対して、より迅速な対応が可能にな
るとともに、当社がより直接的に関与できる最前線のチーム・メンバーの数が増えることにもなる。
当社は、2022事業年度末までに消費者および小規模事業者の顧客からの全てのインバウンドコールをオースト
ラリア国内で応答することをコミットしている。これにより、改良されたデジタルツールの利用顧客の増加を後
押しする一方で、より複雑な問題についての顧客からの来電に当社が集中できるようになる。
当事業年度中、当社は新規のデジタルセールス・プラットフォーム上で移動体および固定電話の発売を新たに
開始することにより、提供商品の抜本的簡素化とあらゆるデジタル経験価値の創出支援に引き続き取り組んだ。
新しいアップフロント・プラン(Upfront Plans)の顧客は、ノー・ロックイン(期間縛りのない)契約で非従
量課金の自動月払いであるため、毎月の支払額を正確に把握することが可能である。
当社事業のデジタル化も引き続き進展した。デジタル化は、顧客だけでなく当社の代理店にとってもゲーム
チェンジャーである。新たなデジタル・プラットフォームによりプロビジョニング時間が短縮され、代理店は顧
客とより多くの有意義なインタラクションが可能になるからである。例えば、代理店は、以前45分近くかかって
いた注文の入力を5分足らずで済ませることができる。
新しいデジタル・プラットフォーム基盤の完成とともに、当社は既存サービスの移行作業に目下注力してい
る。引き続きこの作業は、2022事業年度の重点事項である。
テルストラ・エンタープライズでは、サービスのインタラクションの28.1%がデジタル化されており、前事業
年度の12.3%から上昇した。
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また、当事業年度にテルストラ・エンタープライズは、新らたな簡素型商品ポートフォリオとパートナーシッ
プの導入にも注力した。簡素化された柔軟な提供商品から顧客が受けたメリットの一例は、アダプティブ・モビ
リティおよびアダプティブ・ネットワークスのソリューションの投入による柔軟なプランの提供である。同プラ
ンはテルストラ・エンタープライズが提供サービスを変更または拡張することを可能にする。
ニューサウスウェールズ州(NSW)の2,000校超の公立学校の生徒および教師は、テルストラ・エンタープライ
ズおよびNSW省教育省間で締結した高速ファイバー配信契約に基づき、格段に向上したインターネット配信速度
を利用することによって教育の将来像を体験した。
家庭でエンターテインメントをますます多くの人々が求めるようになっていることを受けて、当社は、ケイ
ヨースポーツ(Kayo Sports)社との提携によりスポーツプログラムの提供を拡大した。この結果、世界レベル
の経験価値がライブおよびオンデマンドの50超のスポーツ番組について複数のデバイスとスクリーンを通じて配
信されている。
また、当社は、テルストラ専用の新エックスボックス・オール・アクセス・バンドル(new Xbox All Access
bundle)によりゲーム商品の価値を一段と増大させるとともに、家庭内のゲームトラフィックに優先順位を付
け、またラグスパイスの発生を抑制することによりゲーム経験価値の向上を得られるゲーム・オプティマイザー
(Game Optimiser)を導入した。
また、顧客ニーズに応えられていない可能性のある固定接続の顧客のために、当社は5Gホームインターネッ
ト(5G Home Internet)を開始した。典型的な繁忙夕刻時間帯の通信速度として50Mbpsから600Mbpsを実現し
た。
テルストラ・プラス(Telstra Plus)は引き続き強い支持を得ており、3.5百万の会員が登録している。今で
は、会員はブッキング・ドット・コム(Booking.com)やハドル(Huddle)との提携を通じてさらに多くの特典
を獲得できる。テルストラ・プラスに加入した顧客は、提供サービスにこれまで以上に満足しており、顧客が当
社との取引を継続する追加的な理由になっている。
引続き当社は、オーストラリアで最も優れ、最大で、最も信頼できる移動体ネットワークを提供している。当
社はオーストラリアの人々の75%が住んでいる場所をカバーできるよう5Gのフットプリント(電波到達範囲)
を拡大した。当社の4Gのフットプリントは、全オーストラリア人の99.5%をカバーし、2.5百万平方キロメー
トルを超えている。
投資とイノベーションを通じたテクノロジーにおけるトップの座は引き続き最大関心事である。当社は5Gの
可能性を最大限に引き出すための狭域、高周波、超高容量の周波数帯であるmmWave5G用の26Ghz帯のために277
百万豪ドルを投資した。9月には、mmWave周波数帯を使用して、5G mmWaveデータ通話においてピークダウン
ロード速度4.2Gbpsを達成し、ネットワーク速度の新記録を樹立した。
このような進展やその他の取組みに支えられて、戦略的ネットプロモーター・スコア(NPS)は2020事業年度
に対して全体で7ポイント上昇し、エピソードNPSは9ポイント上昇した。
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従業員への権限移譲
当社の従業員にとってT22の継続的な進捗とは、16,000人を超える従業員がアジャイルな(俊敏な)仕事のや
り方(仕事を片付けるプロセスをシンプルにするアプローチ)で仕事に取り組んだことを意味する。この方法に
より、我々は優先順序を定期的に見直し、変化する顧客ニーズに対応したシフトが可能になる。
アジャイル業務要員の一例として、Agent@Homeプログラムがある。コンタクトセンターのメンバーの在宅勤務
の可能性を探るための小規模な試験的取組みとして始まったが、COVID-19が収束しない中、ほぼ一夜にして規模
を拡大し、当社のコールセンター、顧客サービスの提供方法、コンタクトセンターのメンバーの働き方に革命的
な変化をもたらした。
今では、オーストラリアのコンタクトセンターの相談スタッフの80%が特定の日の在宅勤務を選択済みであ
り、100%が在宅勤務を可能としている。
また、当社史上初の全社的なエンド・ツー・エンドの計画策定プロセスを完了し、2022事業年度に向けて優先
順位をつけた全ての仕事と、それを完了するために必要な人員を一元的に把握できるようにした。これにより、
顧客および株主のために必要とされる仕事をこなしつつ、特に毎四半期の計画策定時には、過剰な仕事のプレッ
シャーを軽減するために仕事量のバランスをとることが可能になる。
従業員の仕事への関与意欲は引き続き高い水準にある。2021事業年度のエンゲージメント・スコアは78%で、
目標の83%には5ポイント届かなかったものの、業務プロセスのさらなる簡素化や一部のチームの業務負担の軽
減などの分野において改善に向けた取組みが進行中である。
株主還元の実施
インフラストラクチャーの真の価値を引き出すために、当社は、ザ・フューチャー・ファンド(the Future
Fund)、コモンウェルス・スパーアニュエーション・コーポレーション(Commonwealth Superannuation
Corporation)およびサンスーパー(Sunsuper)からなる超一流コンソーシアムとの間で、インフラCo タワーズ
(InfraCo Towers)事業の49%を2.8十億豪ドルで売却するとの重要な合意に達した。
当社は51%の所有権を維持し、そしてネットワークのアクティブ・パートを引き続き所有することにより、引
き続き業界トップの移動体カバレッジの提供とネットワークにおける主導的地位の維持を確実に可能にする。
この取引による正味手取額の約50%(または上限1.35十億豪ドル)は、市場での自社株買いを通じて、2022事
業年度中に株主に還元される。また、同手取額のうち75百万豪ドルは地域におけるコネクティビティのさらなる
改善のための投資に振り向けられる予定である。残りの手取額は、バランスシートの健全性と柔軟性を維持する
ために、負債の削減に充当される。
当社が達成したT22の進捗により、当社はより効率的な運営が可能になった。T22がもたらした簡素さは、コス
ト削減につながり、2022事業年度末までに純額で2.7十億豪ドルのコストを削減する目標の達成に向かう軌道に
乗っている。
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成長軌道への復帰
2021 事業年度中、当社はガイダンスに沿った業績を達成した。
(3)
報告額基準では、当事業年度の収益合計 は、11.6%減少して23.1十億豪ドルに、NPAT(税引後純利益)は
3.4%増加して1.9十億豪ドルとなった。
しかしながら、nbnに係るヘッドウィンド、熾烈な競争およびCOVID-19の世界的流行などの影響が続いたにも
かかわらず、重要な転換点である事業の基礎的な成長が見られ始めた。
(4)
1回限りのnbnに係る受取金およびリストラクチャリング費用を除くガイダンス基準による基礎EBITDA は、
9.7%減少して6.7十憶豪ドルとなった。これには、650百万豪ドルと見積られるnbnに係る年間ヘッドウィンド
(5)
、およびCOVID-19に関連する前年度対比で約180百万豪ドルのマイナスの影響額が含まれた。
2021 事業年度のフリー・キャッシュ・フローは、運転資金の改善がEBITDAの減少を相殺して余りあったため、
ガイダンスの上限を上回る11.6%増の3.8十億豪ドルとなった。
当事業年度中、固定費の基礎費用の490百万豪ドル(8.1%)の減少を含めて、営業費用合計は10.2%減少し
た。この結果、2016事業年度以降のコスト削減の累計額は、2.3十億豪ドルとなった。
当社は、新らたなサービスとイノベーションを通じた中核事業の成長、ならびに健康およびエネルギーといっ
た成長事業の発展をそれぞれ推進することに引き続き注力していく。
変革の完遂に向けた集中的取組み
当社はT22の完遂に向けて今後も全力で取り組んでいく。これにより当社は優位性を引き続き維持し、将来に
向けて地歩を固めていく。
現在続けているデジタル化投資が顧客経験価値の向上に大きな違いをもたらすことを我々は確信している。よ
り多くの顧客を当社の新しいデジタル・プラットフォームに迎えることは、提供プランの数や種類の削減、顧客
のショッピング方法、顧客の当社とのコミュニケーション方法、サービス料金を顧客が支払う方法などを含む当
社の顧客サービスの内容の簡素化を後押しすることになる。
これにより多少の混乱が短期的に生じる可能性があるが、より迅速で簡便なサービスを当社が確実に提供する
のを促進することは極めて重要である。
当社は今後1年間、5Gの人口カバレッジにおけるトップの座の維持を含め、5Gにおける当社の主導的地位
を拡大していく。
また、将来に備えた業務要員の開発計画も実行している。オーストラリアで最大のアジャイルな業務要員の一
つを擁する当社では、働き方改革への投資が当社従業員に継続的に還元される。また、いくつかの一流大学と協
働して、従業員のスキルアップと再スキルアップを目的とした一連のマイクロ・クレデンシャルを開発してい
る。
これらの優先事項を実現することは、T22を完了するための鍵となるが、我々が行っていることはこれらにと
どまらない。T22戦略に加えて、変化と挑戦の時期にあって当社は従業員に様々な方法で支援を行っている。
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予防接種のための有給休暇を導入したほか、専用のメンタルヘルス・ハブ、さまざまなオンライン・ウェビ
ナーや対話型セッションを通じた福利厚生支援、さらに、健康保険の割引などのイニシアチブへの継続的アクセ
スも提供している。海外では、予防接種、遠隔医療サービス、保険適用などの継続的な支援を提供している。
過去18ヵ月にわたって、我々は柔軟性に富んだ、支援の手厚い職場が従業員にとって、いかに重要となり得る
かをあらためて多く学んだ。COVID-19による混乱は、当社におけるハイブリッドな働き方の採用をひたすら加速
し、定期的に自宅で仕事をする従業員が大幅に増えた。
フレックス勤務制度のアップデートと場所を問わない求人活動に加えて、当社は従業員が異なる場所で執務し
てもお互いにコネクティッドの状態のままでいられるようなツールやテクノロジーに投資を行ってきた。これに
は、COVID-19の感染リスクがないオフィスでの執務のためのカスタムデザイン予約システムであるマイワークプ
レース(myWorkplace)ソリューションの機能向上、会議室におけるマクロソフトチームズ(Microsoft Teams)
とシスコ(Cisco)間の相互運用性の導入、仕事場所を問わない従業員のための必須オフィス機器(モニターか
らシットスタンドデスクまで)をセルフサービスのツールキットソリューションとともに支給することなどが含
まれる。
生産性の向上を実感するといった声が従業員から我々に寄せられるなど、既に効果が表れている
社会に対する責任を果たす事業運営
世界が我々の周りで変化し続ける中にあって、変わることなく当社を主導し、そして牽引するのは、当社の社
会的存在意義と企業理念である。
当事業年度に、未来へと当社を導く指針とすべく、従業員からの意見も取り入れて当社の企業理念を一新し
た。企業理念は組織の中で重要な役割を果たす。それは、平穏時における容易な決断にせよ、難局に臨んでの困
難な決断にせよ、我々を絶えず導いてくれるからだ。
当社の社会的存在意義に主導され、企業理念に牽引された組織として、当社は社会に対する責任を果たす企業
の第一人者をもって自ら任じている。当事業年度に当社は、社会に対する責任を果たす企業の原則を事業活動の
あらゆる側面に組み込むことを目指して「社会に対する責任を果たす企業戦略」(Responsible Business
Strategy)を導入した。当社事業への信頼性を高めるのと同時に、当社が目的とするのは、技術的専門知識の駆
使によりデジタル・インクルージョンと環境保護活動の推進において主導的役割を果たすことである。
気候変動は、社会が直面する最大課題のひとつであり、当社事業、当社顧客、そして当社がサービスを提供す
るコミュニティーに影響を与え続けている。
当事業年度に当社は、気温上昇を1.5度までに抑えるという「国連ビジネス・アンビション」(the United
Nations Business Ambition)に署名した。また当社は、CO 換算で2百万トン分を超えるカーボンクレジットを
2
購入したこと、およびクライミット・アクティブ(Climate Active)のカーボンニュートラル認証を維持したこ
とにより、オーストラリア最大のカーボンニュートラル組織としての地位を維持した。
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当社は、当社として3件目となる電力購入契約に投資した。当該契約は、2025年までに当社のエネルギー消費
量の100%に相当する再生可能エネルギーの生成を成し遂げるという当社の野心的な目標に貢献する。また、エ
ネルギー効率化プロジェクトおよびネットワークのアップグレードなどのプログラムを通じて、2030事業年度ま
でに絶対排出量を50%削減するという目標に対しても前進した。
当事業年度は、従来の気候変動目標を達成するとともに、より広範な環境戦略の一環として、3つの資源効率
目標を導入した。これらの目標には、携帯端末、モデムおよびその他のデバイスの再利用とリサイクルを増やす
こと、およびテルストラ・ブランドの包装材を再生可能またはリサイクルされた素材のみを使用して2022事業年
度末までに完全にリサイクル可能に移行するコミットメントが含まれる。また、2025事業年度までにネットワー
ク廃棄物のリサイクル率を85%に引き上げることもコミットした。
オーストラリアを世界有数のデジタル経済にすることは、引き続き国家的な優先事項でなければならない。た
だし、より多くの人々が仕事、学習、そして接続状態の維持のためにテクノロジーに依存している状況を考える
と、デジタル・インクルージョンに対する継続的かつ共有されたコミットメントが必須である。
当社は、デジタル・インクルージョンの水準が低い状態に置かれている人々が、ただ参加するだけでなく、デ
ジタル経済の便益も受けられるように支援することをコミットしている。当事業年度に、当社はデジタル・イン
クルージョンのグローバル・リーダーとしての地位を顕彰され、法人として初のワールド・ベンチマーキング・
アライアンス・デジタル・インクルージョン・ベンチマーク(World Benchmarking Alliance Digital
Inclusion Alliance)で首位の座を獲得した。
2021 事業年度に当社は、低所得者向けのサービス、困窮者支援および家庭内暴力や家族内暴力の被害者のため
の安全・安心な通信へのアクセス提供、ならびに障害のある人々が利用可能な商品・サービスの確保などによ
(6)
り、1百万人の社会的に弱い立場にいる顧客の接続維持 を支援した。また、当社はオーストラリア全土の高齢
者や先住民族コミュニティー(First Nations communities)を対象に、デジタル能力向上トレーニングを実施
した。
オーストラリアン・デジタル・インクルージョン・インデックス(the Australian Digital Inclusion
Index)の一環として当社が支援する調査において、オーストラリアのデジタル・ディバイドを解消するため
に、まだやるべきことが多くあることが判明している。当社は顧客およびコミュニティーが接続状態にあること
の便益を確実に享受できるようにすることを引き続きコミットしている。
期待に応えるためのさらなる取組み
この1年間、多くのポジティブな出来事があった一方で、当社も認めるところであるが課題もあり、自らの期
待に応えられなかったことも何度かあった。
これらの中には、先住民族顧客への商品の不適切販売事案をめぐり、オーストラリア競争・消費者委員会
(ACCC)との間で達した合意が含まれる。また、COVID-19の第一波世界的流行の中で、プロバイダーを変更する
際に、既存の市内電話番号を継続使用する機会を一部の顧客に提供しなかったとして、オーストラリア通信メ
ディア庁(ACMA)から処罰を受けたことも含まれる。
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nbn ブロードバンドの到達可能な最大通信速度および利用可能な是正方法について当社が一部の顧客に通知し
(7)
ていなかった問題 に関して当社はACMAおよびACCCの両方に協力した。
このように当社が期待に応えられなかったと時でも、当社は透明性と説明責任を目指してきた。
毎事業年度の「概観サステナビリティ報告」は、当社自らが設定した期待、または顧客および規制当局により
設定された期待に応えられなかった状況についての詳細が記載されている。
モメンタムの維持
急速な変化の時代にあって、会社が自らに問わなければなければならない最も重要な質問は、「我々は、これ
からの時代に必要な会社であるといえるのだろうか?」ということである。
なすべきことがもっと多くあることを我々は知っている。しかしながら、我々が行っている選択と実行してい
る行動は、我々が必ずやそこに到達するという自信を我々に与えてくれる。
T22 の達成に我々が成功したことにより、背中を押す強いモメンタムを我々は得た。この仕事を完遂できるこ
とを我々は確信している。
世界が急速な変化に対応し続けている中にあって、我々は生まれてくるチャンスをつかみ取る準備ができてい
る。
(1) 金融収益を除く収益合計。
(2) 2021 事業年度のガイダンスは、投資、非流動資産および無形資産に対する減損の不発生を前提としており、また事業
の売却代金、合併・買収費用および周波数帯の購入費用ならびにピットストリート電話交換局のセール・アンド・
リースバックの影響を除いた。ガイダンスは、このガイダンスの作成時点において公表されていたnbnの最新のコー
ポレート・プランのインプットを含むnbnの影響についての経営陣の最善見積りに基づいた。後出「通年度の業績お
よび事業運営の検討」のセクションの「ガイダンスと業績報告額との対比―調整表」を参照のこと。
(3) 金融収益を除く収益合計。
(4) 2021 事業年度のガイダンスは、投資、非流動資産および無形資産に対する減損の不発生を前提としており、また事業
の売却代金、合併・買収費用および周波数帯の購入費用ならびにピットストリート電話交換局のセール・アンド・
リースバックの影響を除いた。ガイダンスは、このガイダンスの作成時点において公表されていたnbnの最新のコー
ポレート・プランのインプットを含むnbnの影響についての経営陣の最善見積りに基づいた。後出「通年度の業績お
よび事業運営の検討」のセクションの「ガイダンスと業績報告額との対比―調整表」を参照のこと。
(5) nbn に係る年間ヘッドウィンドは、報告期間中の当社事業に与える純額ベースでの反復的なEBITDA上のマイナスの影響
額として定義される。
(6) 社会的に弱い立場にいる顧客を支援するために、特別なプログラムや商品・サービスを当社が提供した件数に基づい
て算出されている。顧客が複数の方法を利用した件数を含む場合がある。
(7) 「偶発債務の開示」を参照のこと。
将来の見通し
T22 プログラムの最終年度を迎えた我々は、成長軌道への復帰に向けて強固なポジションを保っている。すな
わち、変革に取り組んだ我々は、うち続く創造的破壊、出現するテクノロジーシフト、そして拡大する一方のデ
ジタル経済を巧みに生かすに十分な力を蓄えるに至った。
当社にとって2022事業年度は、当社の財務軌跡上、極めて重要な成長年度になる。それは、2021事業年度の変
曲点を通過し、T22を完遂し、そして2023-2025事業年度に向けて強力なモメンタムを構築する年度になるからで
ある。
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(1) (2)
2022 事業年度のガイダンス では、収益合計は21.6十億豪ドルから23.6十億豪ドルの間、基礎EBITDA は7.0
(3)
十億豪ドルから7.3十億豪ドルの間、資本的支出 は2.8十億豪ドルから3.0十億豪ドルの間、リース料支払い後
(4)
のフリー・キャッシュ・フロー は3.5十億豪ドルから3.9十億豪ドルの間と見込んでいる。
nbn に係る年間ヘッドウィンドとして約350百万豪ドルが残っているが、基礎EBITDAは増加が見込まれる。
また、2022事業年度の基礎EBITDAには、小売販路の内部委託による約50百万豪ドルのキャッシュ・フローを伴
わない会計上のヘッドウィンドが含まれる。なお、国際移動体ローミングからの収入の返金はない。
当社は、2016事業年度以降、累計2.3十億億豪ドルのコスト削減を既に達成しており、2022事業年度末までに
2.7十億豪ドルの目標の達成が可能であることを確信している。
規律ある継続的なコスト削減、移動体事業の好調の持続、およびnbn敷設が及ぼす財務上の影響の減少などに
支えられ、今後の見通しには自信があり、2023事業年度までに基礎EBITDAは7.5十億豪ドルから8.5十億豪ドルの
間、ROICは約8%という野心的な財務目標の達成に向かう軌道に乗っていることを確信している。
今後1年間の当社の重点分野に含まれるのは、地域の顧客を含む顧客経験価値の向上を継続すること、簡素化
への注力継続、5Gにおける主導的地位拡大およびネットワークへの戦略的投資からの価値実現を含むデジタル
化プログラムを完遂すること、ならびにコアのコネクティビティとサービスおよび既存事業と新規成長事業の育
成を継続することである。これらの優先事項を実現することは、T22を終了するための鍵であり、絶え間なく変
化する新しい世界に当社が立ち向かうことを可能にする。
当社は提案しているテルストラの法的組織再編を引き続き進める方針である。法的組織再編により、当社は、
資産管理および資産からの追加的価値を実現するための綿密さと柔軟さを備えた最新かつ柔軟性のある組織を構
築することが可能になる。それは電気通信インフラストラクチャーに対する世界的な需要の高まりに対応する上
で当社が有利な立場に立つことも意味する。
インフラCoタワーズ(InfraCo Towers)の少数株主持分の売却は、2022事業年度第1四半期に完了することが
見込まれる。取引費用控除後の正味手取額の約50%は、市場での自社株買いを通じて株主に還元される。
T22 の完遂にあたり、当社は将来に向けた会社の戦略について検討を進めた。2020年9月16日に開催されたイ
ンベスター・デー・イベントにおいて、T22後の展開と将来の戦略について詳細を説明した。説明において重点
的に焦点が当てられたのは、成長のこと、ならびに当社がこれまでに構築した基盤および能力の活用方法につい
てであった。
当社は、顧客、業界のパートナー、規制当局、政治的利害関係者と引き続き協力しながら、nbnのホールセー
ル向け価格設定およびサービス基準の改革を強く主張していく。競争的で持続可能なブロードバンド市場を支え
る長期的な解決策が見出されることを願っている。
収束を見せないCOVID-19パンデミックには、予測不能のところがあり、前述したように当社事業も顧客もこの
影響から免れることは難しいと思われる。
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テルストラは 、引き続き当社の社会的存在意義および企業理念に従い、長期的な株主価値の創出に注力する所
存である。
(1) 2022 事業年度のガイダンスは、合併・買収、売却、減損、周波数帯、リストラクチャリング費用などの重要な1回限
りの項目、および取締役会と経営陣が決定するその他の項目を除いている。
(2) 基礎EBITDAは、nbn接続費用(C2C)純額を差し引いたnbn正式契約に基づく1回限りの受取金純額およびガイダンス調
整額を含まない。2020事業年度/2021事業年度の基礎EBITDAは、移動体リースに係る使用権資産の減価償却費も含
む。
(3) 資本的支出は発生主義ベースで測定され、周波数帯およびガイダンス調整額、外部資金による資本的支出およびキャ
ピタル・リースは含まれない。
(4) リース料支払い後のフリー・キャッシュ・フローは、「投資活動によるキャッシュ・フローを控除した営業活動によ
るキャッシュ・フロー」から「リース負債についての支払い」を差し引いたものとして定義され、周波数帯およびガ
イダンス調整額は含まれない。
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通年度の業績および事業運営の検討
2021 事業年度 2020 事業年度 増減
財務情報概要 百万豪ドル 百万豪ドル %
収入(金融収益を除く) 21,558 23,710 (9.1)
収益合計(金融収益を除く) 23,132 26,161 (11.6)
営業費用 15,470 16,951 (8.7)
持分法適用会社の純利益/(損失)に
対する持分 (24) (305) 92.1
利息、法人所得税、減価償却費および
償却費控除前利益(EBITDA) 7,638 8,905 (14.2)
減価償却費および償却費 4,646 5,338 (13.0)
利息および法人所得税控除前利益
(EBIT) 2,992 3,567 (16.1)
純金融費用 551 771 (28.5)
法人所得税費用 539 957 (43.7)
当期利益 1,902 1,839 3.4
テルストラの株主に帰属する当期利益 1,857 1,819 2.1
(1)
資本的支出
3,020 3,233 (6.6)
フリー・キャッシュ・フロー 4,887 4,034 21.1
1株当たり利益(豪セント) 15.6 15.3 2.0
(1) 資本的支出は発生主義ベースで測定され、周波数帯およびガイダンス調整額、外部資金による資本的支出ならびに
キャピタル・リースは除かれる。
業績報告額
テルストラは、ガイダンスに沿った2021事業年度の業績を達成することができた。それが示すのは、事業が財
務成績および見通しにおいて重要な転換点に到達したことである。すなわち、財務モメンタムは上昇し、基礎と
なる事業は通年度ベースで2022事業年度に成長軌道に復帰する見通しにある。
報告額基準では、収益合計が11.6%減少し、EBITDAが14.2%減少する一方で、NPAT (税引後純利益) は3.4%
増加した。基礎EBITDAは、ガイダンス基準では9.7%減少した(nbnに係る年間ヘッドウィンドの650百万豪ドル
を含む)。基礎EBITDAには、COVID-19の見積り影響額の380百万豪ドルが含まれる。nbnに係る年間ヘッドウィン
ドを除くと基礎EBITDAは約70百万豪ドル減少した。
当社は、T22戦略を継続的に実行し、スコアカード測定指標の約80%が達成済みであるか、または、達成に向
かう軌道に乗っており、将来のために大胆に事業を変革するとの決定が明らかに成果を上げていることを我々は
目の当たりにしている。すなわち、固定費の基礎費用は490百万豪ドル(8.1%)減少し、2016事業年度以降の固
定費の基礎費用の削減の合計は約2.3十億豪ドルになった。当社は、2022事業年度までの目標である2.7十億豪ド
ルのコスト削減を達成する軌道に引き続き乗っている。
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当社のマルチブランド戦略は、引き続き移動体のSIO(稼働中サービス)の成長をもたらし、リテール向けポス
トペイド式携帯サービスはビロングからの34,000を含めて101,000の増加、リテール向けプリペイド式携帯ユ
ニークユーザーは95,000の増加、およびホールセール向けサービスは240,000の増加を見せた。当社は、オース
トラリア全土の200を超える市および町の特定エリアに5Gの展開を拡げ、今やネットワークは全人口の75%を
5Gでカバーしている。現在、当社のネットワークには、約1.6百万台の5Gのデバイスが接続されている。
当事業年度中、好調な業績が見られたのは、テルストラ・ヘルス、テルストラ・ベンチャーズ、フォクステル
などの成長事業であり、またテルストラ・エナジーにも進展が見られた。フォクステルは2021事業年度に記録的
な加入者の増加を発表し、有料ストリーミングの加入者は155%増加して2百万を超えた。この類を見ない加入
者の増加は、フォクステルおよびフォクステルへの当社投資にとって強力なプラス材料である。
テルストラの取締役会は、1株当たり8 豪 セントの完全税額控除適格の最終配当金(内訳は5 豪 セントの最終
普通配当金および3 豪 セントの最終特別配当金)を支払うことを決議した。2021事業年度の配当金合計は、1株
当たり16 豪 セント(完全税額控除適格)である。また、テルストラは、2022事業年度の一連の測定指標について
の仮定を含む財務ガイダンスを提供した。同ガイダンスは、基礎となる事業が通年度ベースで成長に復帰しつつ
あることを示している。
その他の情報
内部管理報告の目的で提示されている情報と一致しさせて、各セグメントの業績は、当社の法定のEBITDAとは
異なるEBITDAに対する貢献額に基づいて測定される。詳細については財務報告の注記2.1.1を参照のこと。
以下の説明は、法定および管理会計の報告を反映している。
(1) (2)
ガイダンス基準による業績 2021 事業年度のガイダンス
2021 事業年度 業績
収益合計 22.9 十億豪ドル 22.6 十億豪ドル から23.2十億豪ドル
基礎EBITDA 6.7 十億豪ドル 6.6 十億豪ドル から6.9十億豪ドル
nbn 接続費用純額を差し引いたnbn正式
契約に基づく1回限りの受取金純額 0.8 十億豪ドル 0.7 十億豪ドル から1.0十億豪ドル
資本的支出 3.0 十億豪ドル 2.8 十億豪ドル 3.2十億豪ドル
オペレーティング・リース料支払い後
のフリー・キャッシュ・フロー 3.8 十億豪ドル 3.3 十億豪ドル から3.7十億豪ドル
2021 事業年度 2021 事業年度 2021 事業年度 2020 事業年度
ガイダンスと業績報告額との
ガイダンス基準に ガイダンス基準に
業績報告額 調整額 よる業績 よる業績
(1)
対比
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
収益合計 23,132 (208) 22,924 26,141
基礎EBITDA 7,638 (949) 6,689 7,409
フリー・キャッシュ・フロー 4,887 (1,075) 3,812 3,415
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(1) 当該ガイダンスは 、 投資、非流動資産および無形資産に対する減損の不発生を前提としており、また事業の売却代
金、合併・買収費用および周波数帯の購入費用ならびにピットストリート電話交換局のセール・アンド・リースバッ
クの影響を除いた。 ガイダンスは、このガイダンスの作成時点において公表されていたnbnの最新のコーポレート・
プランのインプットを含むnbnの影響についての経営陣の最善見積りに基づいた。収益合計は金融収益を除く。基礎
EBITDAは、nbn接続費用純額を差し引いたnbn正式契約に基づく1回限りの受取金純額、1回限りのリストラクチャリ
ング費用およびガイダンス調整額を含まないが、移動体リースに係る使用権資産の減価償却費は含む。資本的支出は
発生主義ベースで測定され、周波数帯およびガイダンス調整額、外部資金による資本的支出およびキャピタル・リー
スは含まれない。フリー・キャッシュ・フローは、「投資活動によるキャッシュ・フローを控除した営業活動による
キャッシュ・フロー」から「リース負債についての支払い」を差し引いたものとして定義され、周波数帯およびガイ
ダンス調整額は含まれない。後出「通年度の業績および事業運営の検討」のセクションの「ガイダンスと業績報告額
との対比―調整表」を参照のこと。同調整表内の表の中の調整は当社の監査人のレビューを受けている。
(2) 2021 事業年度のガイダンスは、2021年2月11日付の2021事業年度上半期の業績発表時に改訂された。
2021 年8月12日にテルストラ・コーポレーション・リミテッドの取締役は、普通株式1株当たり8 豪 セントの
完全税額控除適格の最終配当金(内訳は1株当たり5 豪 セントの最終普通配当金および1株当たり3 豪 セントの
最終特別配当金)を支払うことを決議した。株式は、2021年8月25日から配当権利落ちとして売買され、配当金
は2021年9月23日に支払われる。202 1事業年度の配当金合計は、1株当たり16 豪 セント(完全税額控除適格)
であり、その内訳は10 豪 セントの普通配当金および6 豪 セントの特別配当金であった。これは2021年2月11日に
当社が提出した2021事業年度の配当金ガイダンスと一致している。
(1)
普通配当金は2021事業年度の基礎利益 に対して103%の配当性向に相当し、基礎利益の70%から90%の完全
税額控除適格の普通配当金を支払うとする当社の資本管理フレームワークが示す範囲を上回っている。取締役会
は、(1)2023事業年度以降、7.5十億豪ドルから8.5十億豪ドルの間の基礎EBITDAを実現する当社の野心的目標が
達成可能であること、(2)配当性向はフリー・キャッシュ・フローにより引き続き裏付けられており、また当社
は強固な財政状態を保持していること、および(3)当該水準の普通配当金の支払いを不健全とする他の要因はな
いことを理由に、2021事業年度について基礎利益に対する優先普通配当金の配当性向の超過を認める決定を行っ
た。
(2)
特別配当金は2021事業年度のnbnに係る1回限りの受取金純額 に対して128%の配当性向に相当する。当社
は2018事業年度の期首以降、nbnに係る1回限りの受取金純額の累計額の74%を株主に還元してきた。これは、
nbnに係る1回限りの受取金純額のおよそ75%を完全税額控除適格の特別配当金により時間の経過に応じて株主
に還元するとの当社の資本管理フレームワークと一致している。
2021 事業年度の当社の基礎利益は1,191百万豪ドルであり、nbnに係る1回限りの受取金純額は561百万豪ドル
であった。これに対して2020事業年度の基礎利益は1,224百万豪ドルであり、nbnに係る1回限りの受取金純額は
1,075百万豪ドルであった。
当社が提案している法的組織再編の現状に鑑み、また、継続開示義務を果たすために、当社は配当金再投資制
度(DRP)を2021事業年度の最終配当金については運用しないことを決定した。状況が許せば同制度を再開する積
りである。
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(1) 「基礎利益」は、nbnに係る1回限りの受取金純額(脚注(2)に定義される。)、1回限りのリストラクチャリング費
用およびガイダンス調整額(脚注(3)に定義される。)を控除した継続事業からの税引後純利益として定義される。
(2) 「nbnに係る1回限りの受取金純額」とは、nbn接続費用純額(税額控除後)を差し引いたnbn正式契約に基づく1回限
りの受取金純額(PSAA、インフラ所有権および再訓練により構成される。)として定義される。
(3) ガイダンス調整額は、投資、非流動資産、無形資産に対する減損、事業の売却代金、合併・買収費用および周波数帯
の購入費用を含み、ピットストリート電話交換局のセール・アンド・リースバックの影響は除いた。
ガイダンスと業績報告額との対比―調整表
本セクションは、当社が市場にガイダンスを提供した基準に基づいて事業の業績を反映させるために、当事業年
度および比較対象事業年度の業績報告額になされた調整の詳細を示す。当該基準とは、基礎EBITDAであり、投資、
非流動資産および無形資産に対する減損の不発生を前提とし、また事業の売却代金、合併・買収費用および周波数
帯の購入費用ならびにピットストリート電話交換局のセール・アンド・リースバックの影響を除いた。ガイダンス
は、 このガイダンスの作成時点において公表されていたnbnの最新のコーポレート・プランのインプットを含むnbn
の影響についての経営陣の最善見積りに基づいた。フリー・キャッシュ・フローは、「投資活動によるキャッ
シュ・フローを控除した営業活動によるキャッシュ・フロー」から「オペレーティング・リース負債についての支
払い」を差し引いたもとして定義され、周波数帯およびガイダンス調整額は含まれない。
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以下の調整は、ガイダンス基準項目ごとに報告額基準業績からガイダンス基準による業績への調整過程の詳細を
示す。
フリー・キャッシュ・フ
収益合計 基礎EBITDA ロー
2020 2021 2020 2021 2020 2021
事業年度 事業年度 事業年度 事業年度 事業年度 事業年度
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
報告額基準
フリー・
キャッ
報告額基準 報告額基準 シュ・フ
収益合計 26,161 23,132 EBITDA 8,905 7,638 ロー 4,034 4,887
調整額
(1)
M&A 調整
M&A 調整
(1)
(1)
M&A 調整
(20) (106) (20) (96) (39) (164)
(2) (2) (2)
減損 減損 減損
n/a n/a 308 34 0 0
ピットス ピットス ピットス
トリート トリート トリート
のセー のセー のセー
ル・アン ル・アン ル・アン
ド・リー ド・リー ド・リー
スバック スバック スバック
(3) (3) (3)
n/a (102) 0 (102) 0 (282)
リストラ リストラ リストラ
クチャリ クチャリ クチャリ
ング費用 ング費用 ング費用
(4) (4) (4)
n/a n/a 246 211 n/a n/a
NBN に係る NBN に係る NBN に係る
1回限り 1回限り 1回限り
の受取金 の受取金 の受取金
(5) (5) (5)
純額 純額 純額
n/a n/a (1,536) (802) n/a n/a
周波数帯 周波数帯 周波数帯
の支払い の支払い の支払い
(6) (6) (6)
n/a n/a n/a n/a 435 88
(7) (7) (7)
リース リース リース
n/a n/a (494) (194) (1,015) (717)
ガイダン
ス基準に
よるフ
ガイダン リー・
ス基準に ガイダンス キャッ
よる収益 基準による シュ・フ
合計 26,141 22,924 基礎EBITDA 7,409 6,689 ロー 3,415 3,812
上表に示される調整は、本ページに示されるガイダンス基準との整合性について当社の監査人のレビューを受
けている。
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注記:
(1) 被支配会社、ジョイント・ベンチャー、関連会社、その他の投資の取得または処分および関連する純利得または損失
ならびに条件付対価に係る調整。2021事業年度中、当社はe-コマース・プラットフォーム事業であるFTTP高速デー
タ通信サービス事業を処分し、エピコン・ITソリューションズ・ピーティーワイ・リミテッド(その完全子会社で
あるサービス・ポテンシャル・ピーティーワイ・リミテッドを含む)、エピコン・ソフトウェア・ピーティーワ
イ・リミテッドならびにメディアクラウド・リミテッドの事業および資産を取得した。2020事業年度に含まれるの
は、チーフ・エンターテインメント・ピーティーワイ・リミテッド、スナップ・インクおよびファームXピーティー
ワイ・リミテッド(テルストラ・シンガポール・ピーティーイー・リミテッドが保有するデータセンター)に対す
る投資処分に関連する調整、ウーヤラ・インクに対して当社が保有するワラントの実行、ならびにテルストラ・ベ
ンチャーズ・ファンドⅡエル・ピー、テルストラ・ベンチャーズ・ファンドⅢエル・ピーおよびサザン・クロス・
ケーブル・ホールディングス・リミテッドに対する当社持分への追加投資である。
(2) プロジェクト・サンシャイン1ピーティーワイ・リミテッド(センシス)に対する投資の減損損失に係る調整。2020
事業年度は、NXEオーストラリア・ピーティーワイ・リミテッド(フォクステル)に対する投資の減損に係る調整。
(3) ピットストリート電話交換局の不動産のセール・アンド・リースバック取引に係る調整。
(4) 顧客経験価値の向上、組織構造の簡素化および通常時の人員整理に加えてのコスト削減を目的とする戦略的重点取組
み(T22プログラム)についての調整。
(5) nbn に係る1回限りの受取金純額についての調整。当該受取金純額とは、nbn接続費用純額を差し引いたnbn正式契約に
基づく1回限りの受取金純額(PSAA, インフラ所有権および再訓練から構成される。)として定義される。
(6) 以下を含む当期中の周波数帯の購入および更新に関連するフリー・キャッシュ・フローへの影響に係る調整。
● 26 GHz周波数帯の新規ライセンスのための56百万豪ドル(5回年賦の初回支払い)
● 900 MHz帯の周波数帯のライセンス更新のための28百万豪ドル
● その他の様々な周波数帯および装置のライセンスのための少額支払い
(7) 移動体リースに係る使用権資産の減価償却費についてのEBITDA上の影響の調整。AASB第16号「リース」への移行前
(すなわち2019年7月1日より前)にオペレーティング・リースとして分類されたリースおよび2019年7月1日以降
に会計処理された新規リースのそれぞれに関するリース料支払いに係るフリー・キャッシュ・フローの影響の調整。
n/a 調整が該当しないガイダンス規準項目
セグメント業績
当社は報告日現在の当社の内部管理報告システムと同じ基準に基づきセグメント情報を報告している。セグメ
ントの比較数値は、前報告期間以後に生じた組織変更を反映させて同一条件ベースで表示している。
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2021 事業年度 2020 事業年度 増減
社外収益の合計 百万豪ドル 百万豪ドル %
テルストラ・コンシューマー&スモール・ビジネス 12,342 13,474 (8.4)
テルストラ・エンタープライズ 6,985 7,743 (9.8)
ネットワーク&IT 33 30 10.0
その他全て
1,230 1,940 (36.6)
(1)
テルストラ・インフラCo
3,745 4,664 (19.7)
内部アクセス手数料 (1,203) (1,690) 28.8
合計 23,132 26,161 (11.6)
(1) 内部アクセス手数料を除く。
報告額基準では、収益合計(金融収益を除く)は11.6%減少して23,132百万豪ドルとなった。ガイダンス基準
では、収益合計(金融収益を除く)は22,924百万豪ドルであった。旧来商品・サービスの減少、ハードウェアお
TM
よび機器の販売台数の減少、国際ローミング収入の落ち込み、およびnbn ネットワークの敷設が収益に悪影響
を与えた。移動体では、顧客サービスの増加、ポストペイド式トランザクティング最低月額料金プラン(TMMC)
の増加、および2021事業年度下期における利用者当たり平均収入(ARPU)の回復などのポジティブな傾向が見ら
れた。セグメント業績は、別途の記載がある場合を除いて報告額基準である。
テルストラ・コンシューマー&スモール・ビジネス
テルストラ・コンシューマー&スモール・ビジネスは、オーストラリアの消費者および小規模事業者の顧客
に、移動体、固定・移動体ブロードバンド、メディアおよびデジタル・コンテンツにわたる電気通信の商品・
サービスおよびソリューションを提供している。当セグメントはコールセンター、テルストラ・ショップおよび
テルストラの販売代理店ネットワークも運営する。
収益は、nbnへの移行に伴うオンネット通話・通信収入の46.0%の減少を含む固定商品全体にわたる6.8%の減
少およびハードウェア収入の落ち込みを主因とする移動体収入の9.9%の減少に影響されて8.4%減少して12,342
百万豪ドルとなった。
テルストラ・エンタープライズ
テルストラ・エンタープライズは、オーストラリア国内外において、電気通信サービス、先端技術ソリュー
ション、ネットワーク容量および管理、ユニファイド・コミュニケーション、クラウド、インダストリー向け統
合ソリューションおよびモニタリング・サービスを提供している。またネットワーク&ITセグメントおよびテル
ストラ・インフラCoセグメントと協働してオーストラリア国外の当社のネットワークの管理も行っている。
収益は、9.8%減少して6,985百万豪ドルとなった。これは稼働中サービス(SIO)およびARPUの減少による
データ・アンド・コネクティビティ収益の7.5%の減少を含めて固定商品全体が9.3%減少したこと、ならびに通
話アプリケーションおよび機器の販売の落ち込みを主因にNAS収益が10.0%減少したことが影響している。
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ネットワーク&IT
ネットワーク&ITは、主に他のセグメントの収入稼得活動を支援する。同セグメントは、顧客のデジタル経験
価値を支えるデジタル・プラットフォームや、全ての社内機能のためのソフトウェアを構築し、管理する。収益
は10.0%増加して33百万豪ドルとなった。
テルストラ・インフラCo
テルストラ・インフラCoは、データセンター、電話交換局、電信柱、ダクト、縦坑、導管、全ての光ファイ
バー・ネットワーク、および移動体中継タワーを含む重要なパッシブ・ネットワーク資産について責任を負う。
このセグメントはテルストラ・ホールセールを含む。
内部アクセス手数料を除いた収益は、14.5%減少して2,542百万豪ドルとなった。それをもたらしたのは、テ
ルストラ・ホールセールの旧来固定 商品 およびnbn向けの商業ベース工事からの想定されていた収益の減少であ
る。当該減少は、nbnネットワークの敷設の進捗に伴うnbn正式契約に基づく反復的受取金およびパッシブ・イン
フラストラクチャーへのアクセスに係る受取金の増加ならびにホールセール向け移動体の増加により部分的に相
殺された。内部アクセス手数料を含めた場合の収益は、19.7%減少して3,745百万豪ドルとなった。2020事業年
度の内部アクセス手数料は、2021事業年度と異なる資産範囲および価格設定に基づいているため、数値は同一条
件ベースではない。
その他全て
その他全ては、その他の営業セグメントおよび当社のコーポレート部門に計上されるコーポレート機能に関連
する一定の収益および費用項目を含む。この区分にはプロダクト&テクノロジー・グループ、グローバル・ビジ
ネス・サービス(GBS)およびテルストラ・ヘルスが含まれる。収益は36.6%減少したが、これは契約者アドレ
ス当たり受取金額(PSAA)とnbnネットワークの敷設の進捗に伴うインフラストラクチャー・サービス契約
(ISA)所有権に係る受取金の減少が、センシスに対する当社投資の売却代金78百万豪ドルにより部分的に相殺
されてもたらされた。
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商品別業績
収入の商品別内訳
2021 業年度 2020 事業年度 増減
主要商品の収入 百万豪ドル 百万豪ドル %
移動体 9,310 10,130 (8.1)
固定-C&SB 4,736 5,083 (6.8)
固定-エンタープライズ 3,724 4,106 (9.3)
固定-ホールセール 1,356 1,872 (27.6)
グローバル 1,496 1,725 (13.3)
nbn 正式契約に基づく反復的受取金 908 874 3.9
nbn 正式契約に基づく1回限りの受取金&接続 1,050 2,004 (47.6)
その他 552 367 50.4
合計 23,132 26,161 (11.6)
EBITDA に対する貢献額の利益
2021 事業年度 2021 事業年度
2021 事業年度 2020 事業年度
(1)
下半期 % 上半期 %
率 % %
移動体 39.2 41.4 37.0 34.3
固定-C&SB 5.8 5.1 6.4 11.2
固定-エンタープライズ 23.8 24.4 23.2 28.0
固定-ホールセール 45.8 42.3 48.4 47.9
グローバル 22.5 23.2 21.7 21.9
nbn 正式契約に基づく反復的
受取金 94.7 94.7 94.7 93.8
nbn 接続費用純額を差し引い
た nbn 正式契約に基づく1回
限りの受取金純額 76.4 71.9 79.0 76.6
(1) 商品分類の変更を反映させるために、上表のデータには既往の数字に微調整が加えられている。
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移動体
移動体収益は、ハードウェア台数の減少(マイナス748百万豪ドル)および国際ローミングの減少(約マイナ
ス200百万豪ドル)を主因に、8.1%減少して9,310百万豪ドルとなった。移動体の収益性の重要な原動力である
移動体サービス収入は、2021事業年度下半期は3.7%の増加(国際ローミングを除くと5.2%の増加)であった。
リテールのSIOは、696,000増加して総数は19.5百万となった。現在、当社は、8.6百万のポストペイド式携帯リ
テールSIOを有している。これは101,000の増加であり、これに含まれるのは、ビロングからの34,000とエンター
プライズからの堅調な貢献である。
ポストペイド式携帯サービスの収入は、1.7%減少して4,830百万豪ドルとなった。これは純増加が、ARPUの
3.7%の低下(48.96豪ドルから47.16豪ドル)により相殺されたことによる。国際ローミングの低下を除くと、
ARPUは量販市場におけるTMCC(トランザクティング最低月額料金プラン)の改善および価格改定のプラス効果
が、一括プラン外の収入の減少、ハードウェアに収入の配分を多めに回す新商品プランの会計処理およびビロン
グの顧客構成による希釈効果により相殺されたため概ね横這いだった。
プリペイド式携帯収入は、ユニークユーザーが95,000増加したため、4.7%増加して809百万豪ドルとなった。
ARPUは19.46豪ドルから20.83豪ドルに7.0%増加した。
移動体ブロードバンド収入は、プリペイドおよびエンタープライズの一括外の収入の減少を主因に4.4%減少
して612百万豪ドルとなった。
モノのインターネット(IoT)収入は、輸送関連サービスおよびマネッジド・サービスの収入の増加により
1.2%増加して246百万豪ドルとなった。
ホールセール・サービス収入は20.8%増加して267百万豪ドルとなった。ホールセールのSIOは、テルストラ移
動体ネットワークで提供されるモバイル・バーチャル・ネットワーク・オペレーターズ(MVNO)プランの人気が
高まったため、240,000増加して合計1.7百万となった。
ハードウェア、相互接続およびその他の収入は、携帯端末の販売台数が減少したことを主因に24.5%減少して
2,529百万豪ドルとなった。
移動体のEBITDAに対する貢献額の利益率は、ハードウェアの利益率の改善および生産性の向上を主因に、4.9
パーセント・ポイント上昇して39.2%となった。2021事業年度下半期の利益率も移動体サービスの収入の増加に
支えられた。
固定―コンシューマー&スモール・ビジネス(C&SB)
固定―C&SB収益は、旧来の音声およびフォクステル・フロム・テルストラにおける減少と並んでnbnへの移行
の影響により6.8%減少して4,736百万豪ドルとなった。C&SB向け一括および単体データのSIOは、ビロングから
の10,000の追加分込みで69,000減少し、総数は3.6百万となった。
当社は引き続き nbn 市場を先導しており、nbnへの接続は246,000増加して総数は3.5百万である。当社のnbn市
場のシェアは現在45%(衛星通信を除く)であり、現時点でnbnへの移行は約90%が完了している。テルスト
ラ・スマート・モデム は、現在、当社の固定データ顧客ベースの81%が利用しており、強力なWi-Fiコネクティ
ビティと移動体のバックアップで、より優れた顧客経験価値をnbn上で提供している。
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オンネット固定収入(テルストラ・ネットワーク上のサービスによる収入)は、46.0%減少して784百万豪ド
ルとなった。他方、オフネット固定収入(当社が再販売するサービスからの収入)は、15.6%増加して3,001百
万豪ドルとなった。これは顧客が引き続きnbnネットワークに移行しているためである。
消費者向けコンテンツおよびサービスによる収入は、ゲームの伸びにかかわらずフォクステル・フロム・テル
ストラのSIOが減少したため9.1%減少して661百万豪ドルとなった。
事業者向けアプリおよびサービスによる収入は、旧来商品の減少がIP音声およびビデオ通話ならびにプロ
フェッショナル・サービスの増加により一部相殺されたため、5.2%減少して183百万豪ドルとなった。
相互接続、公衆電話およびE000による収入は、7.0%減少して107百万豪ドルとなった。その主因は、公衆電話
の利用およびインバウンド通話サービスの減少が継続したことである。
固定―C&SBのEBITDAに対する貢献額の利益率は、5.4パーセント・ポイント低下して5.8%となった。この低
下は、利益率の高い収入の減少およびNBN Coに対するネットワーク支払いの増加が固定費の削減で部分的に相殺
されたことによる。
固定―エンタープライズ
固定―エンタープライズ収益は、データ・アンド・コネクティビティ収益とNAS収益の減少を反映し、9.3%減
少して3,724百万豪ドルとなった。
データ・アンド・コネクティビティ収益は、7.5%減少の1,103百万豪ドルであった。当社のファイバーのSIO
基盤は維持できたが、銅線のSIOの減少とARPUの低下がこれを相殺した。
NAS 収益は、ISDNを含む旧来の通話アプリケーションの減少と利益率の低い機器の販売減により10.0%減少し
て2,621百万豪ドルとなった。
通話アプリケーション収入は、ISDN、インバウンドおよび固定の通話商品の減少、ならびにクラウドをベース
とするコンタクトソリューションへの顧客のシフトにより14.5%減少して708百万豪ドルとなった。
マネージド・サービス収入は、マネージド・クラウド・サービスの成長に加えて、サイバー・セキュリティ・
サービスを付帯するネットワーク顧客が増えたことから、5.8%増加して671百万豪ドルとなった。
プロフェッショナル・サービス収入は、大型の戦略的契約がデジタル・トランスフォーメーションの短期取決
めに置き換えられたため11.9%減少して376百万豪ドルとなった。
クラウド・アプリケーション収入は、マネージド・サービスへの付帯が可能なAWSおよびマイクロソフトを含
むパートナー先のクラウド商品に対する需要を背景に4.5%増加して257百万豪ドルとなった。
機器の販売収入は、COVID-19がもたらした市況下でのハードウェア支出の全般的先送り、およびクラウドを
ベースとするテクノロジーへのシフトにより、31.4%減少して343百万豪ドルとなった。
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固定―エンタープライズの EBITDA に対する貢献額の利益率は、4.2パーセント・ポイント低下して23.8%と
なった。データ・アンド・コネクティビティのEBITDAに対する貢献額の利益率は、収入の減少と費用の増加を反
映し、6.7パーセント・ポイント低下して60.1%となった。NASのEBITDAに対する貢献額の利益率は、3.6パーセ
ント・ポイント低下して8.5%となった。これは、高い利益率の旧来の通話アプリケーション、プロフェショナ
ル・サービスおよび機器の販売の減少が、マネージド・サービスおよびクラウド・アプリケーションの増加によ
り一部相殺されたことによる。
固定―ホールセール
固定―ホールセール収益は、nbnへの移行の継続および 商業ベース工事の減少に影響を受けて、27.6%減少し
て1,356百万豪ドルとなった。
データ・アンド・コネクティビティ収入は、エンタープライズ・グレード級の銅線商品のSIOの減少、ワイド
バンドのファイバー商品の価格競争および銅線サービスからの移行を反映して、6.5%減少して343百万豪ドルと
なった。
旧来通話および固定収入は、nbnへの移行が完了に近づく中で、旧来固定商品のSIOが引き続き減少したことに
より、34.0%減少して412百万豪ドルとなった。
商業ベース工事および修復工事の収入は、nbnネットワークの敷設が完了に近づく中で、31.8%減少して601百
万豪ドルとなった。
固定―ホールセールのEBITDAに対する貢献額の利益率は、旧来およびnbn関連の収入が引き続き減少したこと
により、2.1パーセント・ポイント低下して45.8%となった。
グローバル
グルーバルとはテルストラ・エンタープライズの国際事業を指す。収益は、利益率の低い旧来音声商品が引き
続き減少したこと、および1回限りの取引が2020事業年度にはあったため、恒常通貨(CC)ベースで8.1%減少
した。
固定の旧来音声収入は、市場の落ち込みの継続と収益率極大化への戦略的な集中取組みにより8.9%(CCベー
ス)減少した。
*
データ・アンド・コネクティビティ収入は、市場がSD-WAN に向かう中にあって、業界全体における情報伝送
商品の全般的値崩れ、およびエンタープライズにおける顧客離れのために2.9%(CCベース)減少した。
NAS およびその他の収入は、利益率の低い顧客構内機器(CPE)の販売およびプロフェッショナル・サービスの
減少、ならびにプライベート・クラウドにおける顧客離れのために4.2%(CCベース)減少した。
グローバルのEBITDAに対する貢献額の利益率は、費用の削減が収入の減少により相殺されて、0.6パーセン
ト・ポイント上昇の22.5%だった。
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nbn 正式契約に基づく反復項目
nbn 正式契約に基づく反復的収益には、NBN Coに提供されるダクト、ラックおよびファイバー・バックホール
の全てについてのインフラストラクチャー・サービスが含まれる。収益はnbnネットワークの敷設を反映して、
3.9%増加して908百万豪ドルとなった。
nbn 正式契約に基づく1回限りの受取金&接続
nbn 正式契約に基づく1回限りの受取金&接続の収益には、旧来ネットワークから顧客を接続停止するためのNBN Coからの
受取金およびnbnネットワークに接続するために顧客から受領する1回限りの収益が含まれる。収益は、nbnへの移行が完了
に近づいているため、47.6%減少して1,050百万豪ドルとなった。
その他
その他の商品の収益に含まれるのは、テルストラ・ヘルスおよびコーポレート調整額である。コーポレート調
整額には、社債利回りの変動が長期勤続休暇引当金に与える影響のように商品に関連しない項目も含まれる。収
益は50.4%増加して552百万豪ドルとなった。その主因は、ピットストリート電話交換局のセール・アンド・
リースバックおよびその他の合併・買収取引に係る利得、ならびにテルストラ・ヘルス収入の6.4%の増加であ
る。
費用実績
営業費用合計は、報告額基準では8.7%減少して15,470百万豪ドルに、報告額基準リース調整後では10.2%
減少して15,664百万豪ドルになった。減少の一因は、当社の生産性向上プログラムによる固定費の基礎費用の
8.1%(490百万豪ドル)の減少である。
収入および顧客の増加に関連する直接費用である売上原価は7.0%減少して8,184百万豪ドルとなった。これ
はハードウェア費用の減少によるその他売上原価の低下862百万豪ドルがnbnアクセス支払いの増加244百万豪
ドルにより部分的に相殺されたことに起因する。その他固定費が24.5%減少した一方で、nbn正式契約に基づ
く1回限りの費用およびnbn接続費用は、nbnネットワークの敷設の進捗に伴い47.0%減少した。営業費用合計
は基礎費用ベースでは、固定費用の基礎費用の削減がnbnアクセス支払いの増加を上回ったため9.3%減少し
た。
当社は、基準年次である2016事業年度における固定費の基礎費用約7.9十億豪ドルとの対比で、2022事業年度
までの固定費の基礎費用の年間削減額を2.7十億豪ドルとする目標を掲げている。現在当社は2016事業年度以降
約2.3十億豪ドルの年間コスト削減を達成した。
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2021 事業年度 2020 事業年度 増減
(1)
営業費用
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル %
売上原価 8,184 8,802 (618) (7.0)
- nbn 支払い
1,975 1,731 244 14.1
- その他
6,209 7,071 (862) (12.2)
固定費 6,977 7,916 (939) (11.9)
(2)
- 基礎費用
5,593 6,083 (490) (8.1)
(3)
- その他
1,384 1,833 (449) (24.5)
基礎費用 15,161 16,718 (1,557) (9.3)
nbn 正式契約に基づく1回限りの費用およびnbn接続
費用 248 468 (220) (47.0)
リストラクチャリング 211 259 (48) (18.5)
(4)
その他ガイダンス調整
44 - 44 n/m
(5)
報告額基準リース調整後
15,664 17,445 (1,781) (10.2)
(6)
リース調整
(194) (494) 300 n/m
報告額基準 15,470 16,951 (1,481) (8.7)
(1) 売上原価および固定費は、nbn正式契約に基づく1回限りの費用およびnbn接続費用に関連する費用を除く。
(2) 「固定費-基礎費用」は、2016事業年度において約7.9十億豪ドルであった。これを2022事業年度までに当社の費用効
率性の目標純額である2.7十億豪ドルの減額を目標とした。固定費の基礎費用とは、その他の固定費(脚注(3)に定義
される。)を除いた費用である。
(3) 「固定費-その他」には、収入増を支える費用項目である、関連のNAS費用、携帯端末リース費用および商品の減損費
用が含まれる。
(4) 「その他ガイダンス調整」には合併・買収取引が含まれる。
(5) 「報告額基準リース調整後」に含まれるのは、営業費用として計上する全ての携帯端末リース、およびEBITDAより下の
行に区分表示する全ての賃貸借/その他のリースである。
(6) 「ガイダンスと業績報告額との対比―調整表」の注記(7)を参照のこと。
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有価証券報告書
生産性目標を達成する進捗状況は、上記の営業費用の表に示される。以下に記載の詳細は、当社の法定計算
書で開示されている営業費用についての注釈である。
2021 事業年度 2020 事業年度 増減
報告額基準営業費用 百万豪ドル 百万豪ドル %
労務費 4,012 4,058 (1.1)
購入商品および購入サービス 8,318 9,107 (8.7)
金融資産の減損損失純額 160 202 (20.8)
その他費用 2,980 3,584 (16.9)
合計 15,470 16,951 (8.7)
労務費
労務費合計は、1.1%(46百万豪ドル)減少して4,012百万豪ドルとなった。給与および関連費用は、従業員数
の減少が従業員1人当たりの費用の上昇により相殺されて108百万豪ドル増加した。代替労務費は、外部委託労
働の減少により242百万豪ドル減少したが、COVID-19への当社対応で代替労務要員の一部が正社員にシフトした
こともその一因である。従業員解雇手当は、T22プログラムに関連する人員削減により96百万豪ドル増加した。
正規社員および同等者(FTE)の合計は、6.7%(1944人)減少して27,015人となった。
購入商品および購入サービス
購入商品および購入サービスの合計は、8.7%(789百万豪ドル)減少して8,318百万豪ドルとなった。
売上原価(携帯端末・付属品、タブレット、セルラーWi-Fi、ブロードバンド・モデムおよびその他の固定
ハードウェアを含む。)は、19.9%(693百万豪ドル)減少して2,797百万豪ドルとなった。これは、ハードウェ
アおよびNAS機器の販売台数が落ち込んだことによる。
ネットワーク支払いは、0.1%(2百万豪ドル)減少して3,153百万豪ドルとなった。これは、グローバル音
声、データ・アンド・コネクティビティ収入の落ち込み、および国際ローミング支払いの減少に伴い費用が243
百万豪ドル減少した一方で、nbnサービスへの顧客の移行に伴うnbnアクセス支払いが244百万豪ドル増加したこ
とによる。
その他の購入商品および購入サービスの費用は、3.8%(94百万豪ドル)減少して2,368百万豪ドルとなった。
その主因はフォクステル・フロム・テルストラの契約者が減少した結果、フォクステルサービス手数料が減少し
たことである。
金融資産の減損損失純額
金融資産の減損損失純額合計は、20.8%(42百万豪ドル)減少して160百万豪ドルとなった。
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その他費用
その他費用合計は、16.9%(604百万豪ドル)減少して2,980百万豪ドルとなった。
サービス契約およびその他の契約費用は、生産性向上およびコスト削減プログラムに起因して、22.3%(329
百万豪ドル)減少して1,144百万豪ドルとなった。減損損失(金融資産に係る純損失を除く)は、センシスに対す
る投資についての34百万豪ドルの減損損失を主因に25.6%(33百万豪ドル)増加して162百万豪ドルとなった。
その他の費用は、一般管理費の112百万豪ドルの減少を含めて15.5%(308百万豪ドル)減少して1,674百万豪ド
ルとなった。
減価償却費および償却費
減価償却費および償却費は、13.0%(692百万豪ドル)減少して4,646百万豪ドルとなった。これに含まれるの
は、使用権資産の減価償却費の減少291百万豪ドル、有形固定資産の減価償却費の減少151百万豪ドル、および無
形資産の償却費の減少250百万豪ドルである。資産耐用年数を2021事業年度中に見直した結果、減価償却費が7
百万豪ドル、償却費が71百万豪ドルそれぞれ減少した。
外国通貨の影響
当社の連結業績報告上、外貨建ての在外営業活動体の豪ドルへの換算は、当社の営業収入を157百万豪ドル減
少させた。この外国為替の影響は、労務費、購入商品および購入サービス、その他費用など全体で132百万豪ド
ルの費用の減少により部分的に相殺され、結果としてマイナス25百万豪ドルのEBITDAに対する貢献額がもたらさ
れた。
純金融費用
純金融費用は、28.5%(220百万豪ドル)減少して551百万豪ドルとなった。この減少は、借入金に係る利息の
減少160百万豪ドル、リース負債に係る利息の減少26百万豪ドル、および注記4.4.3に記載されたその他の金融項
目によるものである。借入金に係る利息は、当社の平均総借入費用が4.6%から3.8%に低下したこと、および発
行済債務が減少したことにより減少した。
財政状態
2021 事業年度 2020 事業年度 増減
要約キャッシュ・フロー計算書
百万豪ドル 百万豪ドル %
営業活動により得られた現金純額 7,231 7,010 3.2
投資活動により使用された現金純額 (2,344) (2,976) 21.2
- 資本的支出(投資前)
(3,140) (3,442) 8.8
- その他の投資活動のキャッシュ・フロー
796 466 70.8
フリー・キャッシュ・フロー 4,887 4,034 21.1
財務活動により使用された現金純額 (4,236) (4,138) (2.4)
現金および現金同等物純増加/(減少) 651 (104) n/m
現金および現金同等物期首残高 499 604 (17.4)
現金および現金同等物に係る為替レートの変動の影響 (25) (1) n/m
現金および現金同等物期末残高 1,125 499 n/m
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資本的支出およびキャッシュ・フロー
営業活動および投資活動により得られたフリー・キャッシュ・フローは4,887百万豪ドルであり、これは853百
万豪ドル(21.1%)の増加に相当した。フリー・キャッシュ・フローは、携帯端末の販売台数とローミング収入
の減少に伴う受取債権の減少および債権の回収強化に起因する運転資金の1,394百万豪ドルの改善、ならびに
ピットストリート電話交換局の不動産のセール・アンド・リースバックおよび他の合併・買収取引を含む前年度
対比で407百万豪ドルの改善によりプラスの影響を受けた。このプラスの影響は、nbn正式契約に基づく1回限り
の受取金純額の734百万豪ドルの減少および固定事業全般にわたるEBITDAの減少を主因とする報告額基準リース
調整後EBITDAの967百万豪ドルの減少によって部分的に相殺された。
営業活動により得られた現金純額は、3.2%(221百万豪ドル)増加して7,231百万豪ドルとなった。その主因
は、サプライヤーおよび従業員に対する支払いの減少2,994百万豪ドルが顧客からの受取りの減少2,779百万豪ド
ルにより部分的に相殺されたことによる。
投資活動により使用された現金純額は、21.2%(632万豪ドル)減少して2,344百万豪ドルとなった。その主因
は、セール・アンド・リースバックからの収入の273百万豪ドルの増加、被支配会社の事業および投資の売却に
よる収入の160百万豪ドルの増加(処分された現金控除後)、および他の持分法適用投資の売却による収入の132
百万豪ドルの増加である。
財務活動により使用された現金純額は、2.4%(98百万豪ドル)増加して4,236百万豪ドルとなった。これは、
2020事業年度上半期における被支配信託受益証書の売却による698百万豪ドルの収入および借入金の収入の3,168
百万豪ドルの減少が、借入金の返済の3,302百万豪ドルの減少、リース負債の元本部分の支払いの287百万豪ドル
の減少および金融費用の支払いの199百万豪ドルの減少により部分的に相殺されたことによるものである。
発生主義ベースで測定した当事業年度のガイダンス基準による資本的支出は、3,020百万豪ドルすなわち営業
収入の14.4%であった。
オペレーティング・リース料支払い後のガイダンス基準によるフリー・キャッシュ・フローは、3,812百万豪
ドルであった。ガイダンスに対する実績は、フリー・キャッシュ・フローについて、オペレーティング・リース
料支払い関連としてマイナス717百万豪ドル、ピットストリート電話交換局の不動産のリース・アンド・リース
バック関連としてマイナス282百万豪ドル、合併・買収関連としてマイナス164百万豪ドル、および周波数帯関連
としてプラス88百万豪ドルの調整が加えられている。
債務の発行 百万豪ドル 債務の返済 百万豪ドル
引き出し(バイラテラル銀行ファシリ
753 豪ドル建社債 (800)
ティ)
セール・アンド・リースバック取引から
414 ユーロ建社債 (708)
(1)
の収入
バイラテラル銀行ファシリティ (452)
短期コマーシャル・ペーパーおよびリボ
203 豪ドル建変動金利債 (150)
ルビング銀行ファシリティ(純額)
私募債 (145)
その他借入金 35 その他借入金 (102)
合計 1,405 合計 (2,357)
(1) 会計基準の下では金融負債として取り扱われる。
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債務の状況
当社の総債務は、16,388百万豪ドルであり、14,136百万豪ドルの借入金と3,305百万豪ドルのリース負債から
1,053百万豪ドルの正味デリバティブ資産を差し引いた額で構成される。総債務は、5.5%(955百万豪ドル)減
少したが、これは1,405百万豪ドルの債務の発行がそれを上回る2,357百万豪ドルの債務の返済により相殺された
ことが主因である。 純債務は、9.4%(1,581百万豪ドル)減少して15,263百万豪ドルとなった。これは、現金保
有残高の626百万豪ドルの増加と総債務の減少を反映している。
財務の設定目標 2021 事業年度 実績 2021 事業年度 安全値域
(1)
デッド・サービス 2.0 倍 1.5 倍から2.0倍
(2)
ギアリング 50.0 % 50 %から70%
(3)
インタレスト・カバー 13.2 倍 7 倍超
(1) デッド・サービス・レシオは、純債務を報告額基準EBITDAで除して計算される。
(2) ギアリング・レシオは、純債務を純債務と株主持分の和で除して計算される。
(3) インタレスト・カバーは、報告額基準EBITDAを純利息費用(資産計上された利息、借入金およびデリバティブに係る
再評価影響額ならびにその他キャッシュ・フローを伴わない会計上の影響額を除く)で除して計算される。
当社は引き続き信用リスク測定指標の安全値域内におさまっており、デット・サービスは2.0倍(2020年6月
30日時点:1.9倍)、ギアリング・レシオは50.0%(2020年6月30日時点:52.7%)、インタレスト・カバーは
13.2倍(2020年6月30日時点:11.7倍)となっている。
財政状態計算書
当社の貸借対照表は引き続き強固であり、純資産は15,275百万豪ドルであった。
流動資産は8.9%増加して7,114百万豪ドルとなった。現金および現金同等物は、事業および資産の売却代金を
含めて626百万豪ドル増加した。他方、デリバティブ金融資産は、12ヵ月以内に満期が到来する金融商品につい
ての流動資産への再分類ならびに外国通貨およびその他の評価影響額を主因に477百万豪ドル増加した。これら
の増加は、収入の減少および債権の回収強化を反映する売上債権およびその他受取債権ならびに契約資産の544
百万豪ドルの減少により部分的に相殺された。
非流動資産は6.5%減少して35,411百万豪ドルとなった。デリバティブ金融資産は、12ヵ月以内に満期が到来
する金融商品についての流動資産への再分類ならびに外国通貨およびその他の評価影響額を主因に1,225百万豪
ドル減少した。有形固定資産は636百万豪ドル減少した。その主因は減価償却費用がネットワークへの投資に
よって部分的に相殺されたことによる。他方、無形資産は、償却費用が周波数帯のライセンスおよびソフトウェ
ア資産の取得によって部分的に相殺された結果、281百万豪ドル減少した。
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流動負債は3.3%増加して10,424百万豪ドルとなった。借入金は868百万豪ドル増加したが、これは12ヵ月以内
に満期が到来する債務についての流動負債への再分類およびコマーシャル・ペーパーの発行が、当事業年度中に
満期が到来した債務および評価影響額などの影響によって部分的に相殺された結果である。買掛債務およびその
他支払債務は、発生主義ベースで測定した資本的支出の減少により214百万豪ドル減少した。当期未払税金は、
過年度に納税引当金を計上したため100百万豪ドル減少した。
非流動負債は12.2減少して16,826百万豪ドルとなった。借入金は2,561百万豪ドル減少した。これは、12ヵ月
以内に満期が到来する債務の流動負債への再分類ならびに外国通貨およびその他の評価影響額が、バイラテラル
銀行ファシリティからの引き出しおよびクレイトン・データセンターを収容する土地・建物のセール・アンド・
リースバックについて認識した金融負債により相殺された結果である。
2021 年6月30日 2020 年6月30日 増減
要約財政状態計算書 百万豪ドル 百万豪ドル %
流動資産 7,114 6,534 8.9
非流動資産 35,411 37,869 (6.5)
資産合計 42,525 44,403 (4.2)
流動負債 10,424 10,094 3.3
非流動負債 16,826 19,162 (12.2)
負債合計 27,250 29,256 (6.9)
純資産 15,275 15,147 0.8
株主持分合計 15,275 15,147 0.8
平均資産利益率(%) 7.0 8.0 (1.0)pp
平均株主持分利益率(%) 12.8 12.5 0.3pp
サステナビリティ
当社の目標は、社会と環境についての配慮を当社の事業にしっかり組み込みつつ当社とその利害関係者のため
に価値を創出することである。
当社のアプローチ
当事業年度に、当社はサステナビリティへの取組み方を見直し、戦略を当社の社会的存在意義および全社的な
組織目標により密接に一致させるための措置を取った。見直しの結果、新たに打ち出されたのが「社会に対する
責任を果たす企業戦略」(以下「企業戦略」という。)およびガバナンス体制である。これらは、社会に対する
責任を果たす企業原則を当社の活動のありとあらゆる側面の中に(すなわち顧客、サプライヤー、多くの人々と
の当社のインタラクト方法、地球に与えている当社の影響、デジタル経済の恩恵を受けるオーストラリアの人々
を増やすために当社が果たし得る役割など、何から何まで)しっかり組み込むことを目指している。
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社会に対する責任を果たす企業とは何かを考える時、明確なことは、ビジネスをどのように行うかは、何を行
うのか、なぜそれを行うのかと同じように重要である。会社に対するコミュニティーからの信頼は、過去10年間
に最悪水準に陥ってしまったが、それにもかかわらずテルストラのように気候変動などの重要問題に立ち向かう
企業が短期間のうちに増えてきている。我々はそうした行動を通じて、我々に期待されていることや当社が事業
活動を行うコミュニティーに対する支援責任を当社が自覚していること示すことができる。
「企業戦略」は、当社の最重要テーマ、当社における「国際連合の持続可能な開発目標(SDG)」の優先事
項、当社が有する専門知識により有意義な影響力を与えることが可能な分野、そして社会が抱える重要な課題と
そこに潜む可能性に対する社会の取組みの助けになる革新的な技術的ソリューションを活用する機会があると当
社が認める分野を反映している。当社は「企業戦略」を通じて信頼される持続可能な事業者としての評判をさら
に強化し、そして当社の技術的な専門知識を駆使することにより、先頭に立ってデジタル・インクルージョンと
環境保護活動の推進に取り組む方針である。
「企業戦略」は、主要なステークホルダーとの協議を経て策定されたものであり、サステナビリティに対する
包括的アプローチ(中核事業活動により情報を提供され、中核事業活動と一体化される。)に相当する。「企業
戦略」は次の3本の柱から成る。
当社の「2021年概観サステナビリティ報告」(telstra.com/sustainability/reportで閲覧可能)は、当社の
当事業年度における進捗状況と実績についての平易な概説が記載されている。本報告書は国際連合の持続可能な
開発目標(SDG)を支援する当社の取組みも詳述しており、また気候関連財務開示タスクフォース(TCFD)に
沿った開示を含む。
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3つの新しい資源効率目標を導入
当社は、2020事業年度に気候変動への対応を大幅に加速させたことを公表したが、当事業年度は、環境保護活
動に対する当社取組みをさらに具体化する3つの新しい資源効率目標を立ち上げた。これらは次のとおりであ
る。
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4 【経営上の重要な契約等】
投資家またはその専門アドバイザーが、当社の資産、負債、財政状態、経営成績および見通しに関し十分な情
報に基づく評価を行うために合理的に必要とする全ての重要な契約等に関する情報は本書(上記「第3 3 (3)
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」で提供される情報を含む。)に記載されている。
テルストラは、国防省との重大な契約について更新を行った
2021年11月3日、テルストラは、不可欠なネットワークおよび電気通信サービスを提供するため、オーストラ
リア国防省との契約を更新することについて合意に至ったことを発表した。
この5年間の契約は1十億豪ドル超の価値に相当し、テルストラは引き続き、最先端の技術および電気通信会
社のソリューションを同省に提供する。この契約には、国防省が、最長3年までの期間を1回またはそれ以上、
この契約を延長できるオプションが含まれている。これは、テルストラ・エンタープライズが今まで締結した同
種の契約の中で最大の顧客契約であり、エンタープライズ事業を成長軌道に復帰させるという、テルストラが以
前発表した目標に貢献するものである。
この合意では、専用のWi-Fi6敷設プログラムと、国防省関係者のための、テルストラの業界トップの5G移
動体ネットワーク機能(利用可能であれば)の導入により、無線受信可能地域が大幅に拡大される。またこれに
は、より柔軟で、自己修復型であり、かつ予測的なネットワーク機能を提供するための、完全なSDWANおよびSDN
機能の導入も含まれる。
2021年11月3日に行われたASXに対するテルストラの発表の完全なコピーは、
https://www.telstra.com.au/aboutus/investors/announcementsにて閲覧可能である。
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5 【研究開発活動】
上記「第3 3 (3)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照のこと。
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第4 【設備の状況】
1 【設備投資等の概要】
上記「第3 3 (3)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」、および下記「第6 1
財務書類」(注記3.1を含む。)を参照のこと。
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2 【主要な設備の状況】
有形固定資産
下記「第6 1 財務書類」注記3.1を参照のこと。
環境規制および業績
下記の情報は、2021年8月12日現在の最新の情報である。
テルストラは、最低でも、その事業に関連する環境法および規制上の義務の遵守を目指す。不遵守の事例が発
生した場合には、テルストラは、不遵守の原因を特定し、再発のリスクが最小化されることを確実にするための
内部調査が行われることを義務付ける手続を有している。テルストラの手続は、さらに、規制上の要件に従い、
関連する政府当局が(必要に応じて)あらゆる環境問題について通知されることを義務付ける。テルストラは、
政府当局および規制当局が発行する通知を遵守している。
(a) 起訴および有罪判決
テルストラは、当事業年度中に環境規制の重大な違反について起訴または有罪判決を受けていない。
(b) エネルギーおよび温室効果ガス排出量
オーストラリアにおいて、テルストラは、2007年連邦国家温室効果ガスおよびエネルギーレポートに関する法
律の報告義務を負っている。同法律に基づき、テルストラは、自社のオーストラリアにおける年間の温室効果ガ
ス排出量、エネルギー消費量およびエネルギー生産量を報告することを義務づけられている。テルストラは、
データの収集および報告のためのシステムおよびプロセスを実施しており、当社の義務にのっとって、毎年ク
リーンエネルギー監視局に報告を行ってきた。次回の報告は、2021年11月1日が提出期限であり、また独立した
保証レポートによって裏付けられる予定である。
英国において、テルストラは、2014年省エネ機会スキーム(ESOS)規制の対象となっている。テルストラはESOS
の資格を得ているため、4年ごとに省エネ評価を実施しなければならない。これらの評価は、費用効率の高い省
エネルギー対策を特定するために、当社の建物、ネットワーク設備および運送で消費されるエネルギーの監査で
ある。テルストラは、現在までの全ての遵守期間、すなわち2015年12月5日および2019年12月5日にそれぞれ終
了した第1および第2遵守期間において、ESOSに基づく当社の義務を果たした。
環境規制を含む、環境面での実績の詳細は、2021年概観サステナビリティ報告
(telstra.com/sustainability/reportにて閲覧可能)を参照のこと。
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3 【設備の新設、除却等の計画】
設備の新設、除却等の計画に関する情報は、本書において提供されている。特に、上記「第3 2 事業等の
リスク」、上記「第3 3 (3)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」および上記「第
3 4 経営上の重要な契約等」を参照のこと。
すでに述べたように、当社は2021年9月16日に、5Gを含むテルストラのネットワーク投資に関する情報を含
む、T25戦略を発表した。詳細については、上記「第3 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参
照のこと。
テルストラは、26 GHz周波数帯の競売で1000 MHzを全国的に確保するために277百万豪ドルを投資し、5Gにおけ
るリーダーシップを強化した
2021年4月23日、テルストラは、現在および将来に向けて5Gにおけるリーダーシップをさらに拡大するた
め、277百万豪ドルを投資し、26 GHz周波数帯の競売で1000 MHzを確保したことを発表した。2021年4月23日に
行われた発表の内容には、以下が含まれる。
テルストラは、競売の対象となったすべての主要都市および地域で周波数帯を確保した。
テルストラのCEOであるアンドリュー・ペンは、新たなmmWave周波数帯はテルストラ顧客のための容量と速度
を劇的に向上させ、テルストラがすでに全国で提供している優れた5G経験価値をより一層強化するものである
と述べた。
「高速コネクティビティは、オーストラリアの将来における繁栄と、世界をリードするデジタル経済になると
いう当社の野心にとって不可欠である。これは、私たち全員の生活、つまり、私たちがどのように生活し、働
き、娯楽を享受し、つながりを維持するかにおいて中心的な役割を果たすようになってきており、5Gは、ます
ますその中心になっていく。」とペン氏は述べた。
「テルストラは、すでに5G分野で業界をリードしており、非常に需要が高い周波数帯に対する、この277百
万豪ドルの投資は、全国のより多くのオーストラリア人のために5Gコネクティビティを拡大させ、深化させる
一助となる。
「mmWave周波数帯は、人口密度の高い都市や街、駅、スポーツスタジアムなど、移動体デバイスを使用する人
が集中する場所で高速移動体ブロードバンドを提供するのに特に適している。
「選手のリアルタイムの統計データを重ねることができる5G搭載の拡張現実ゴーグルを使って、メルボル
ン・クリケット・グラウンドでグランドファイナルを観戦しながら、同時に、何千人もの人が自分と一緒に同じ
ゲームを楽しんでいる様子を想像してみてほしい。これはまさに、mmWaveが提供できる膨大な帯域幅と速度の体
験である。
「テルストラは、しばらく前から、いくつかの基地局でmmWaveのテストを行っており、今年度でこれまでに行
われたテストにおいて5Gbpsという記録的なピークダウンロード速度を実現した。当社は、2020年5月に最初
のmmWave互換デバイスを発売し、2021暦年中に、より多くのmmWave対応デバイスを市場に投入するために、世界
的なデバイスメーカーと緊密に協力している。」
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容量の追加により、家庭における5Gブロードバンドについて移動体ネットワークをより効果的に利用できる
ようにもなり、顧客のニーズが必ずしも満たされない現在の固定接続に、高速かつ信頼性の高いインターネット
を提供するための別の手段を提供するものであるとペン氏は述べた。
「当社は、競売の成果を喜ばしく思っており、ライセンス自体の効力は年度の半ばにならないと発生しないも
のの、ACMAは、早期のアクセス・ライセンスを提供しており、これにより、当社はより早く周波数帯を利用でき
るようになる。」とペン氏は述べた。
テルストラの5G技術は今や、オーストラリア人口の3分の2近くをカバーしており、2021年6月末までに
75%に達する見込みである。
現在、160超の都市や街で、3,200超のテルストラの5G基地局が稼働しており、国内の2,450超の郊外で5G
受信可能地域が提供されている。
テルストラは、この周波数帯の支払いを5回の均等年賦で支払う予定である。
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第5 【提出会社の状況】
1 【株式等の状況】
(1) 【株式の総数等】
① 【株式の総数】
オーストラリアでは授権資本の概念は廃止された。当社の発行済株式数は、2021年10月27日時点で
11,893,297,855株である。
2021年8月12日、当社は、インフラCoタワーズの取引による正味手取額の約50%(または上限1.35十億豪
ドル)を、市場での自社株買いを通じて2022事業年度中に株主に還元すると発表した。
詳細については、「第3 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照のこと。
② 【発行済株式】 (2021年10月27日現在)
記名・無記名の別 上場金融商品取引所名又は
及び 種類 発行済株式数 登録認可金融商品取引業 内容
額面・無額面の別 協会名
普通株式(完全議決権
記名式無額面 全額払込済 株式であり、権利内容
株式 普通株式 オーストラリア証券取引所
(注1) 11,893,297,855株 に何らの限定のない標
準的な株式)
(注1)オーストラリアでは株式の額面金額という概念が廃止された。
(2) 【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当なし。
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(3) 【発行済株式総数及び資本金の推移】
株式数
資本金額
年月日 摘要
(百万豪ドル)
全額払込済 一部払込済
5,284
2016年6月30日現在 12,225,655,836株 ―
(約4251.51億円)
-754
期中増減 -332,357,981株 ―
(約-606.67億円)
4,530
2017年6月30日現在 11,893,297,855株 ―
(約3644.84億円)
期中増減 ― ― ―
4,530
2018年6月30日現在 11,893,297,855株 ―
(約3644.84億円)
期中増減 ― ― ―
4,530
2019年6月30日現在 11,893,297,855株 ―
(約3644.84億円)
期中増減 ― ― ―
4,530
2020年6月30日現在 11,893,297,855株 ―
(約3644.84億円)
期中増減 ― ― ―
4,530
2021年6月30日現在 11,893,297,855株 ―
(約3644.84億円)
(4) 【所有者別状況】 ( 2021 年 10 月 27 日現在)
所有株式数 割合
上場株主 11,893,297,855株 100.0%
合計 11,893,297,855株 100.0%
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(5) 【大株主の状況】 (2021年7月23日現在)
株主 株式数 保有割合(%)
HSBCカストディー・ノミニーズ・(オーストラリア・)リミテッド 2,537,293,511 21.33
JPモルガン・ノミニーズ・オーストラリア・リミテッド 1,364,254,008 11.47
シティコープ・ノミニーズ・プロプライエタリー・リミテッド 1,002,867,181 8.43
BNPパリバ・ノミニーズ・プロプライエタリー・リミテッド 628,114,475 5.28
ナショナル・ノミニーズ・リミテッド 568,047,203 4.78
合計 6,100,576,378 51.29
残余株式数 5,792,721,477 48.71
総計 11,893,297,855 100.00
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2 【配当政策】
以下の情報は2021年8月12日現在の最新の情報である。2021年9月16日より適用される当社の最新の資本管理
フレームワークおよび配当政策についての詳細(下記の資本管理フレームワークについての記述に優先する。)
は、「第3 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「2021年テルストラ・インベスター・デイ」を
参照のこと。
当社の資本管理フレームワークの目的は、株主の利回りを最大化し、財務力を維持し、財務上の柔軟性を保持
することである。資本管理フレームワークの目的は、以下の指針に基づいている。
・Aバンド信用格付と一致したバランスシート状況に取り組む。
・下記に定義される当社基礎利益の70から90%の完全税額控除適格の普通配当金を支払う。
・2023事業年度からは、周波数帯を除いておよそ12%の営業収入に対する資本的支出の比率を目標とする。
・ポートフォリオ管理のための柔軟性を維持し、戦略的投資を行う。
通常の配当金に加え、nbnの1回限りの受取金純額の約75%を完全税額控除適格の特別配当金により株主に漸
次還元するつもりである。
基礎利益は、nbnの1回限りの受取金純額、1回限りのリストラクチャリング費用およびガイダンス調整を除
く、継続事業からの税引後利益と定義される。ガイダンス調整には、投資または有形固定資産および無形固定資
産に対する減損、ならびに事業の売却、合併・買収および周波数帯の購入に関する収益も含まれる。「nbnの1
回限りの受取金純額」は、nbn正式契約の1回限りの受取金純額(契約者アドレス当たり金額、インフラストラ
クチャー所有権および再訓練から構成される。)からnbn接続費用純額と税額を控除したものとして定義され
る。配当金は不測の重大な事象が発生しないことを条件とし、また財政状況、市況、ビジネスニーズおよび当社
の資本管理フレームワークと整合的な財務の健全性および柔軟性の維持を考慮した取締役会の裁量に従う。
2021 年2月11日、取締役は、1株当たりの中間普通配当金5豪セントおよび1株当たりの中間特別配当金3豪
セントから成る、2021事業年度に係る完全税額控除適格の普通株式1株当たり8豪セントの中間配当金の支払い
を決議した。
2021 年8月12日、取締役は、1株当たりの最終配当金5豪セントおよび普通株式1株当たりの最終特別配当金
3豪セントから成る、完全税額控除適格の普通株式1株当たりの最終配当金8豪セント(951百万豪ドル)の支
払いを決議した。最終配当の基準日は2021年8月26日で、2021年9月23日に支払われた。株式は、2021年8月25
日に、最終配当権利落ちとして売買された。
2021 事業年度配当金に関するさらなる情報は、上記「第3 3 (3)財務状態、経営成績及びキャッシュ・フ
ローの状況の分析」の「会長および最高業務執行役員(CEO)のメッセージ」ならびに「通年度の業績および事
業運営の検討」に記載されている。
取締役会は、配当金再投資計画(DRP)が2021事業年度の最終配当については稼働しないことを決定した。
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年度中に支払われた配当は以下の通りである。
1株当たりの完全 配当合計
配当 決定日 支払日
税額控除適格の配当 (百万豪ドル)
2020年6月30日終了
2020年8月13日 2020年9月24日 8.0豪セント 951
年度の最終配当合計
2021年6月30日終了
2021年2月11日 2021年3月26日 8.0豪セント 951
年度の中間配当合計
当社の配当政策の詳細については、上記「第3 3 (3)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況
の分析」を参照のこと。
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3 【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1) 【コーポレート・ガバナンスの概要】
本セクションの情報は、別段の記載がない限り、2021年8月27日現在の最新の情報である。
我々は、優れたコーポレート・ガバナンス、透明性および説明責任に関して努力している。
これは、当社の長期的な業績および持続可能性、ならびに当社の株主およびその他の利害関係者の利益の保
護および拡大に不可欠である。
当社は、テルストラのガバナンスに関する情報を記載した2021年度コーポレート・ガバナンス声明を喜んで
提供する。
当社は、第4版オーストラリア証券取引所コーポレート・ガバナンス評議会のコーポレート・ガバナンス原
則および勧告(「オーストラリア証券取引所勧告」)を遵守している。これは、この声明だけでなく、2021年
度コーポレート・ガバナンス声明の別表4Gにも反映されている。
テルストラのガバナンスに関する詳細は、当社のウェブサイトのコーポレート・ガバナンス・セクション
(telstra.com/governance(ガバナンスに関するウェブサイト))で閲覧可能である。
我々のガバナンス体制は、当社の事業をサポートし、当社の戦略の実行を支援する重要な役割を果たす。当
社の戦略および事業目的を定め、当社の業績が監視され、当社の直面するリスクが管理される構造を提供す
る。
意思決定および当社の事業における説明責任の明瞭な体制を含み、互いに期待する行動基準の指針を提供す
る。
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当社は、市場慣行、期待および規制変更を反映するため、当社に関連する現在および新興のコーポレート・
ガバナンスの進展に照らし、定期的にガバナンスの慣行を精査している。
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2021 事業年度中のガバナンスの焦点となる分野-スナップショット
2021事業年度中のテルストラ取締役会および経営陣によるガバナンスの焦点となる分野には以下が含まれ
る。
戦略および業績 2021 事業年度において、取締役会の重要な焦点のひとつが、T22戦略の実行および
業績を引き続き監視することであった。
2021 事業年度は、COVID-19が私たちの生活、社会および経済に引き続き多大な影響
を及ぼした一年となった。これを通じて、テルストラは、全ての人々が困難かつ前
代未聞の時代を切り抜けようとする中で、当社の従業員、顧客およびオーストラリ
アにとって模範となるよう努めた。このような異例の事態にもかかわらず、当社は
事業を維持することができ、野心的な戦略の実行を継続した。
テルストラの事業は好調であり、当社は優位な立場で当年度を終了した。2021事業
年度において、当社はT22戦略に対して成果を上げることに引き続き取り組み、こ
れまでの懸命な努力による成果が出ている。当社の顧客は、世界をリードする技術
への当社の継続的な投資による恩恵を受け、これは当社との関与をよりシンプルか
つ迅速にすることの一助となった。当社の従業員は、困難な時期を通じてサポート
を受けることができた。従業員は、新しい働き方と、最高のパフォーマンスを発揮
するための柔軟性を提供するハイブリッド型の働き方モデルを採用した。当社の株
主は、当社が事業を基礎的な成長に回帰させるというコミットメントとともに、当
社の世界レベルのインフラストラクチャーおよび財務の健全性の価値を明確にした
ことにより、T22の具体的な利益を認識できるようになった。
当社は、T22の仕事を完了させることに引き続き全力を尽くしており、これには顧
客経験価値の向上を継続すること、提案されたリストラクチャリングを進行させる
こと、また、5Gにおけるリーダーシップを拡大させることが含まれる。同時に、
当社は、優れた責任ある事業としての活動も継続する。COVID-19の影響が長引くこ
とは明らかであるものの、当社は、これが引き起こす課題に対処し続け、当社の従
業員、顧客、株主および経済の利益のために主導的な役割を果たしていく。
リスク管理 当社のリスクを理解し管理することは、当社の仕事の一部である。そうすること
で、当社の戦略および事業目的ならびに法的および規制上の義務を果たすことに役
立ち、また、テルストラ・グループおよび当社の株主の最善の利益のために確かな
情報に基づく事業に関する決定を行い、倫理的に行動することが可能となる。
2021 事業年度、当社は、リスク管理に関連して数多くのイニシアチブを実行し、こ
れらは引き続き当社のリスク管理の成熟度を向上させた。これには、当社のアジャ
イル運営モデルにおけるリスク管理に対する説明責任および責任に係る全般的な注
力の強化、また、意識的なリスクの考え方が事業に関する決定において第一に念頭
に置かれていることを引き続き確実にすることが含まれる。当社のリスク管理に改
善をもたらした(または完了した際に改善をもたらす)イニシアチブには、誤販売
のリスクを軽減するための統制の大幅な強化、ますます困難になる外部の脅威環境
を踏まえたサイバーセキュリティに対するリスク選好度の再評価、物理的インフラ
ストラクチャーおよびネットワークの回復力の継続的な強化、ならびにコンプライ
アンスの強化プログラムの開始が含まれる。
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責任ある事業 目的主導であり、理念に基づいた組織として、当社は責任ある事業のリーダーとな
ることにコミットしている。テルストラにとって、責任ある事業を行うことは、顧
客のニーズを理解し、それに公正に対処することを意味する。また、当社の企業理
念と一致しない問題について発言し、正しいと感じないことを指摘しても安心でき
る文化を作り出すことを意味する。これは、当社の従業員に投資し、公平に扱い、
また従業員の安全を確保することを意味する。そして何よりも、正しくないことを
したときを含め、自らの行動に対して説明責任を持つことを意味する。
150 年の歴史を持つオーストラリアの象徴的な事業、経済の重要な貢献者、主要な
雇用主、そして資源の重大な利用者として、当社は、社会の向上に貢献する責任を
負っている。つまり、当社の顧客に対する義務は、契約書の小さな文字だけではな
く、当社の組織としての目的および企業理念によっても定義されるべきであること
を意味する。また、気候変動、多様性、デジタル・インクルージョンなどの重要な
社会問題について主導的な立場をとり続け、数年前に当社の少数のパートナー店舗
が不適切な販売活動を行ったことを受けた先住民族のコミュニティーとの信頼関係
の再構築に取り組むことも意味する。この問題に対する当社の対応、また、責任あ
る事業に対するより広範なアプローチについての詳細は、「2021年概観サステナビ
リティ報告」に記載されている。
当社の従業員、 当社の文化は、当社の目的および事業戦略を遂行する当社の能力にとって不可欠で
文化および ある。これは、当社の企業理念への強いコミットメントに裏打ちされており、当社
企業理念 は当年度において、従業員からの意見を得て企業理念の更新を行った。
当社は、事業活動全体を通じて、当社の行動規範およびガバナンス方針、義務付け
られたコンプライアンス研修、ならびに当社の企業理念を実行する従業員への報奨
を通じて、公正かつ責任ある文化を推進している。当社の目的および企業理念とと
もに、当社の行動規範および支援方針は、取締役、従業員および請負業者だけでな
く、サプライヤーおよびその他の第三者ビジネスパートナーが、公正、倫理的にか
つ法令を遵守して行動するという当社の期待に応えるための指針となるものであ
る。
これらの分野の詳細については、本セクションおよび以下を参照のこと。
・当社の戦略、財務成績および報酬の慣習について記載した2021年年次報告書
・当社にとって最も重要な社会・環境テーマに関する当社のアプローチおよび業績を詳細に記載した2021年
概観サステナビリティ報告
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1.株主および投資家との関わり
当社は、当社の株主および投資家との双方向の直接対話に価値を置き、促進している。株主に関連情報を提
供し、株主の考え方に耳を傾けてそれらを理解し、株主からのフィードバックに対処することが大切であると
考えている。
当社の年次株主総会(AGM)は、会長およびCEOから直接、当社の事業、ガバナンス、財務成績および今後の
見通しについて聞く機会を株主に与えるという重要な役割を果たしている。これはまた、取締役会、経営陣お
よび監査人に対して、当社の経営および業績についての質問をする機会を株主に与えている。
2020年おいて、COVID-19パンデミックにより私たちは物事を行う新しい方法に迅速に適応することが求めら
れた。これには、従来のAGMの開催方法を変更することも含まれた。
2020年10月13日、当社は完全にバーチャル(オンライン)なAGMを初めて開催した。バーチャルAGMの開催
は、何か新しいことに挑戦する機会を当社にもたらし、1.2百万名の株主全員に対し、地理に関係なくAGMに参
加する機会を提供することができた。
当社のAGMウェブサイト(www.telstra.com/agm)では、オンライン施設の使用方法に関するバーチャルAGM
オンラインガイドを含め、AGMに参加するために株主が必要とするあらゆる情報を提供した。
2020年AGMには、820名超の株主、議決権行使代理人およびゲストが参加した。株主は、AGMに直接出席した
場合と同様の機会をオンラインでも提供された。また、会長および最高経営責任者(CEO)によるプレゼン
テーションを視聴したり、AGMの最中に投票や質問を行ったりすることができた。AGMの最中に提出された全て
の質問は、AGMの最中に会長とCEOのいずれかによって、またはAGM後に会長とCEOに代わって回答された。
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当社は、AGMにおける株主の参加や関与を促進し、株主および投資家との効果的なコミュニケーションを広
く推し進めるするため、いくつかのイニシアチブをとっている。2021事業年度において、これには以下が含ま
れた。
AGM その他の株主および投資家との関与イニシアチブ
・2020年11月にインベスター・デ
イを開催したこと。これには、
当社のCEOおよびCFOによる最新
情報の提供が含まれ、テルスト
・2020年AGMの開催に先立ち、2020 ラ・インフラCoと5Gに関する
年9月にバーチャル・リテール 詳細な解説のほか、コンシュー
・AGM開催前の質問の提供を株主に
株主総会を開催したこと。これ マー&スモール・ビジネスおよ
促進すること。
には、当社のCEO(アンド びエンタープライズにわたるテ
これは、さらに株主の持つ問題
リュー・ペン)および最高財務 ルストラ執行役員によるプレゼ
や関心事を当社が理解すること
責任者(CFO)(ヴィッキー・ブ ンテーションも含まれていた。
に役立ち、これにより、AGMにお
レーディー)によるプレゼン この説明会はウェブ放送され、
いて株主によるフィードバック
テーションが含まれた。 イベントの記録は終了後にASXに
の分野について取り上げること
・株主と電子的に連絡が取れるよ て公開された。
ができる。
う、株主にEメールアドレスの提 ・テルストラの戦略および業績に
当社はまた、株主のよくある質
供を継続的に促すこと。 ついて話し合うことができるよ
問への回答をウェブサイトに掲
・当社の事業の業績および戦略を う、機関投資家と公式に会うた
載している。
説明する半期および通年度の財 めの国内外における投資家向け
・AGMのウェブ放送を録画し、AGM
務成績の説明会、ならびにその 巡回説明会の開催および会議へ
終了後に株主が視聴できるよう
他の投資家のイベント等の重要 の参加を行うこと。
にすること。
なイベントをウェブ放送するこ ・テルストラの最重要の持続可能
・当社の慣習として、できるだけ
と。 性テーマおよびESG開示の妥当性
多くの株主の考えを反映するこ
・(ASXに対して説明資料の提出を に関する見解を得るため、ESG調
とができるよう、当社はあらゆ
行うことに加えて、)特定の主 査を機関投資家に配布するこ
る決議を挙手ではなく投票で採
要なイベントおよび説明会の記 と。その後、2020年12月にウェ
択している。
録をASXおよび当社のウェブサイ ブ放送された、主要なESGに係る
トで公開すること。 問題を議論するための持続可能
性座談会を開催した。
・機関投資家、リテール・ブロー
カー、セル・サイド・アナリス
トおよび議決権行使助言者との
特別対話の予定を立てた。
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2.取締役会
2.1.取締役会の役割および責任
取締役会は、テルストラの事業を運営する責任を負い、その役割を果たすことについて株主に説明する責任
を負う。
取締役会の中心的な役割は、テルストラの戦略を策定し、マネージング・ディレクターおよびCEOを選任
し、テルストラの経営、業績およびガバナンスを監督することである。
当社の取締役会規程は、取締役会の責任だけでなく、活動を行う取締役会の構成、行動および取決めに関す
るその他の事項について詳細に定めている。
取締役会はテルストラの日々の経営に関する責務をCEOに委任している。CEOに委任した権限および取締役会
が特に保留している権限について定めた正式な委任体制が整備されている。取締役会は、これらの委任を毎年
見直している。
取締役会規程にも記載されているとおり、経営陣に委任されていない事項には、重大な支出および取締役会
によってCEOに委任されている限度を超える取得および処分取引、戦略および/または当社の年間企業計画の
大幅な変更、また、配当の支払い、株式の発行および買戻しならびに投資利益を含む、資本管理のイニシアチ
ブが含まれる。
取締役会からCEOへの委任は、CEOから当社の従業員への委任を設定する形式的な体制によって補完されてお
り、随時見直される。かかる委任に対する重要な変更は取締役会または監査・指名委員会に通知される。
CEOは、取締役会に対し、とりわけ、当社の戦略の策定および実施、ならびに当社の戦略および企業計画に
沿った組織の管理、また、テルストラの企業理念および行動規範の浸透および強化について責任を負ってい
る。
CEOは、経営陣とともに、年間を通じて報告、説明および発表を行うことにより取締役会に報告し、取締役
は、経営陣に対し説明を求めることで説明責任を問う。
取締役会は、確立されたサイクルを有しており、12ヶ月の期間で検討される項目の高レベルの概要が提供さ
れている。その目的は、取締役会プログラムを戦略および運営上の優先事項と結びつけ、取締役会がそのサイ
クルに合わせて当社の事業の様々な側面の検討に適切に時間を使うことができるようにすることである。
サイクル中に取り上げられる項目は、当社の戦略の実施、企業プランに対する業績、テルストラに関係する
当社の事業に重大な影響を及ぼしうるリスクの状況および取締役会の承認を必要とする事項だけでなく、当社
の従業員、文化およびガバナンスの枠組みに関連する事項が含まれる。
取締役会、CEOおよび上級経営陣の役割および責任に関する詳細は、当社のガバナンスに関するウェブサイ
トにて閲覧可能な取締役会規程(および取締役会委員会規程)を参照のこと。
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2.2.当社の会長
当社の会長は、取締役会により任命された独立取締役でなければならず、当社の会長およびCEOの役割は、
同一人物により充足することができない。
当社の会長である、ジョン・マレンは、独立した非業務執行取締役である。同氏は、2008年7月以降当社の
取締役を務めており、2016年4月に会長に選任された。
会長の最も重要な責務は、取締役会およびテルストラに対して適切なリーダーシップを提供すること、およ
び取締役会が取締役会規程に基づく義務を履行するよう確保することである。会長の責務は、取締役会規程に
より詳細に記載されている。
2.3.取締役会の構成、任期、更新および取締役の任命
取締役会は、取締役会がその責務を効果的に果たし、当社が直面する様々なチャンスおよび課題をつかみ、
問題を切り抜けることを支援するために十分に身につけておくべき適切な割合の多様性、技能、経験および専
門知識を有することを確実にするために積極的に努力している。
当社の定款では、取締役会の最大構成人数は11名であることを定めており、2021年8月27日現在、当社の取
締役会には11名の取締役(10名の非業務執行取締役およびCEO)がおり、会長であるジョン・マレンCEOおよび
マネージング・ディレクターであるアンドリュー・ペンならびに非業務執行取締役であるエールコ・ブロッ
ク、ロイ・チェスナット、クレイグ・ダン、ピーター・ハール、ブリジット・ラウドン、エラナ・ルービン、
ノラ・シャインケステル、マーガレット・シーレおよびニーク・ヤン・ファン・ダンメにより構成されてい
た。
当社は、経験、専門知識と新しい考え方の適切なバランスを取るため、引き続き取締役会の刷新に取り組ん
でいる。2021事業年度中に非業務執行取締役1名が新たに任命され、(2020年度コーポレート・ガバナンス声
明にて概説されているとおり)2020年8月にブリジット・ラウドンが取締役会の一員となった。ラウドン氏
は、当社の2020年AGMにおいて株主によって取締役に選任された。
2021年10月12日、マーガレット・シーレがテルストラの取締役会から退任した。また、2021年8月27日、テ
ルストラは、ピーター・ハールが2021年12月31日付で取締役会から退任することも発表した。
資格および経験を含む、取締役の詳細については、任期の詳細とともに、下記「第5 3 (2) ①取締役
および役員の略歴」ならびにwww.telstra.com.au/aboutus/our-company/present/the-boardに記載されてい
る。
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取締役会の構成
取締役会(および取締役委員会)の構成に関連する事項は、指名委員会規程に定める枠組みに基づき、およ
び取締役会により実施されるプロセスを経て、取締役会および指名委員会により検討される。
重点分野の特定を支援すること、およびその構成員に適切な割合かつ多様な経験を維持するため、取締役会
は、技能マトリクスを活用しており、これは、取締役会が現在その構成員について有し、獲得することを目指
す技能を定めている。
当社の取締役会技能マトリックスは、取締役会が、特に関係すると考える、技能および経験に関する3つの
幅広いカテゴリーならびに個人的技能に焦点を当てている。
このマトリックスは、取締役会によって、3つのカテゴリーそれぞれについて取締役会に高度に開発された
能力が代表されているかどうかを検討するために活用される。取締役は、多くの場合、多くの一般的および特
定の分野にわたって、幅広いスキルおよび経験を様々なレベルで有していることが多い。このマトリックス
は、意図的にこれを評価基準で捉えたり、テルストラの取締役会における取締役であることと関連性がある可
能性のある全てのスキルを反映したりしようとするものではない。
カテゴリー 以下のような分野における技能および経験を含む。
電気通信 電気通信 -電気通信業界における豊富な経験(国際的な経験を含む。)
および技術 技術、革新およびデジタル -技術および革新に焦点を当てている組織における経験、電
子商取引、デジタル製品およびサービスならびに働き方の商業化などの分野における経
験
製品およびサービス -大口リテール顧客基盤に対し製品およびサービスを提供している
組織における経験
ASX またはその他で 上級役員および取締役会の経験 - CEO または上級役員ポジションおよびその他の非業務
上場している大企業 執行取締役の経験
におけるCEOまたは 財務 - 会計、財務報告および財務管理における高いレベルの財務見識、資格または経験
上級経営陣レベルで 資本市場およびインベスター・リレーションズ -コーポレート・ファイナンス、財務、
の経験 株式および債券市場ならびに一般投資家および機関投資家に関する知識
人材 - 報酬、職場の文化、人材管理および後継者計画における経験
ガバナンス、 評判および地位 - 評判、コミュニティーにおける地位および主要な利害関係者(業界、
利害関係者、 政府および規制機関を含む。)との関係の管理における経験
評判および規範 ガバナンス - ASX に上場している大企業および高度に規制されている企業に適用される
法律上、コンプライアンス上および規制上の環境を含む、ガバナンスおよび持続可能性
の問題に関する堅実な知識
リスク管理 - リスク管理枠組みおよび規制の理解ならびに大規模な組織におけるリスク
の特定、評価および管理
農村部、地方および遠隔地 - オーストラリアの地方、農村部および遠隔地のコミュニ
ケーションに関するニーズの理解
個人属性
健全な対人スキル
誠実さおよび高 好奇心、創造力 良好なビジネス感覚 (機転が利く一方、率直に
批判的思考
い倫理規範 および勇気 および堅実な判断力 意見を伝えることができる
良好な聞き役)
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マトリックスにおいて定められているこれらの3つの各カテゴリーは、現在取締役会に十分に表れており、
複数の取締役が各カテゴリーについて高度に開発された能力を有しているものとして認定されている。さら
に、取締役会は、取締役個人の特定の分野に関する技能および経験の組み合わせ、ならびに多様な背景を有す
る取締役との交流により発生する多様な見地および見識から利益を享受する。取締役会は、最高の機能を備え
てその役割を効果的に果たすことができるよう、取締役会に代表される技能および経験を高める方法を探究し
続ける。
マトリックスに反映されている個人スキルもまた、取締役会が建設的かつ効果的に上級経営陣と協働するた
めの能力の重要な要素である。取締役会は、取締役会の構成、取締役の任命および業績の審議の一環として、
年間を通じてこれらの要素を検討している。
多様性に関して、取締役会は、取締役会に新しい考え方および異なる視点を(年齢、経験またはその他を通
じて)提供するため、ジェンダーおよびそれ以外のいくつかの観点を通じて、多様性について検討している。
新しい取締役を任命するにあたり、取締役会は、その責任を効果的に果たし、付加価値を与えることができる
よう、取締役会における技能、知識、経験および多様性の適切なバランスを取ることを強く意識している。
2021事業年度における取締役会の多様性の目標は、取締役会の刷新期間中一時的に取締役会の多様性レベル
が影響を受ける可能性があることを認識したうえで、取締役会に最低4名の女性が在籍することであった(非
業務執行取締役のうち、女性の代表が最低40%となることを意味する。)。取締役会は、2022事業年度につい
てもこの目標を維持する。
2021年6月30日現在、取締役会に4名の女性取締役が在籍しており、非業務執行取締役における女性の割合
は40%(または取締役会全体においては36.3%)である。
取締役会における多様性に関する詳細については、セクション6.1を参照のこと。
取締役会の任期および刷新
取締役会の刷新および承継計画の重要性を認識するため、取締役会は、以下の原則を含む、取締役会および
委員会の任期に係る方針を採用した。
取締役の地位 非業務執行取締役の3年の任期が近づいている場合、より広範な取締役会の刷新およ
び取締役会の構成への配慮ならびにテルストラ法の要件を考慮した上で、取締役とし
て続投すべきかについて、より正式な審査を行う。
取締役会委員会 非業務執行取締役の取締役会委員会の委員長の地位を保持することのできる最長任期
の委員長の地位 は、一般的に5年である。
取締役会委員会 委員会の委員は、委員会の承継計画および委員会の全体的な構成/技能/経験を考慮
の委員 した上で3年から5年毎に交代するものとする。
取締役会は、取締役の独立性の評価の一環として、各非業務執行取締役の任期についても検討する。
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取締役の任命、選挙および再選
取締役の選定、指名および任命に関する当社のプロセスは、取締役会による正式な選任手続の実施が含ま
れ、その過程において、通常この手続を補佐する役員調査会社が利用されている。この過程の一環として、取
締役会は、一般的な資格および経験についての基準、ならびに候補者が保有すべき特定の資格、技能および専
門性に関する基準を設定した。当社は、有力候補者に対して、その候補者が取締役の選挙の候補者として取締
役により任命される前、または株主に周知される前に適切なチェックを実施する。
2020年8月におけるラウドン氏の任命については、取締役調査会社が任命プロセスに協力するために関与
し、当社は、取締役会による任命前に、適切なチェックを実施した。
当社は、個人の資格による任命条件を記載した正式な任命書類を新たな取締役(および上級経営陣)の全員
に交付する。取締役の任命書類には、新たな非業務執行取締役または執行役員の任命を取締役が受け入れるか
否かを会長に通知する要件が含まれる。特に、取締役は、テルストラの非業務執行取締役としての役割と相反
し、またはその役割のために充てられる時間に影響を及ぼす可能性のある新たなコミットメントを受諾する前
に、会長と協議することが義務付けられる。テルストラの業務に対して適切な時間を充てることは、取締役の
業績審査で取り上げられている問題の一つである。
オーストラリア証券取引所上場規則に基づき、当社は、AGMにおいて取締役を毎年選出する。取締役は当社
の定款に定めるプロセスに従い選任または再選のために立候補する。
非業務執行取締役は、再任されることなく、3年を超えてまたは選任後3度目のAGMを超えて(いずれか遅
い方)在任することはできない。事業年度中に取締役会により任命された新非業務執行取締役は、その次の
AGMの選挙に立候補する必要がある。
取締役としてのCEOの任期は、業務執行役員としての任務と結びついているため、CEOは、このプロセスによ
る再選に立候補する必要はない。
任期終了時の非業務執行取締役再選への推薦は、自動的に行われるものではない。取締役会は各AGMの前
に、再選に向けて立候補を予定する非業務執行取締役の再選に株主が賛成票を投じることを推薦するか否かを
決定する。この決定は、当社のニーズ、取締役の年間業績の評価および取締役会が関連すると考えるその他の
事項を考慮したうえで取締役会により行われる。
当社はまた、取締役を選任または再任するか否かの判断に関連する、当社が有する全ての重要な情報を、
AGMの招集通知において株主に対して提供する。
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2.4.取締役の独立性
取締役会は、独立取締役が健全なコーポレート・ガバナンスに対して行う重要な貢献についても認識してい
る。独立取締役であるか否かを問わず、全ての取締役はテルストラの最善の利益となるよう行為し、自由かつ
独立した判断を行うことが求められている。
取締役会は、CEOが唯一の業務執行取締役であり、全ての非業務執行取締役も独立取締役であるべきと考え
る。
取締役会は、少なくとも年に1回、各非業務執行取締役の独立性について評価する。当社は、独立取締役
を、取締役会に提起された問題に取り組むための取締役の独立した判断を行う能力、および個別の有価証券保
有者またはその他の当事者の利益ではなくテルストラの最善の利益となる形で行為する能力に著しく影響を及
ぼす可能性があるか、または著しく影響を及ぼすと合理的に認められる可能性のある利害関係、地位または関
係等の存在しない非業務執行取締役であると考える。
取締役の独立性を評価する際、取締役会は、オーストラリア証券取引所勧告の表2.3に記載されている取締
役の独立性に潜在的に影響を及ぼす関係について考慮する。著しいと認められるかはテルストラおよび取締役
双方の観点から個々に評価され、質的要素および量的要素の双方に対する検討が行われる。
取締役会は、上記にて言及されている関係の存在にかかわらず取締役が独立していると判断することがあ
る。しかしながら、その場合には、取締役会は、その判断を行った理由を記載する。
年度中のいずれかの時に取締役が独立性を喪失したか、または独立性を喪失した可能性がある場合には直ち
に会長に届け出る必要がある。取締役がもはや独立性を有しないと取締役会が判断した場合には、テルストラ
は、市場に対して公表する。
CEOを除く当社の全ての取締役が非業務執行取締役である。また、各非業務執行取締役は独立していると取
締役会により判断されている。独立性の評価の一環として、取締役会は、各非業務執行取締役の取締役会にお
ける任期を検討し、取締役の何れも、その独立性を損なう可能性のある期間にわたり、テルストラの取締役で
あった者はいなかったと結論づけた。取締役会に9年超在籍している会長ジョン・マレン、ノラ・シャインケ
*
ステルおよびマーガレット・シーレ については、取締役会は、取締役会における在籍期間にかかわらず、各
氏ともに人格および判断の独立性を保ち続けていると結論づけた。
*
2021 年10月12日、マーガレット・シーレはテルストラの取締役会から退任した。
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2.5.取締役会および取締役の業績ならびにCEOおよび上級経営陣の業績のレビュー
取締役会は、取締役会の業績、ならびに各委員会の業績および各取締役の業績(取締役会の会長としての会
長の評価を含む。)を毎年レビューしている。これらの業績のレビューは、定期的に、内部で、および支援業
者の支援を受けて外部で交互に実施されている。
2021年度の業績評価は、外部のファシリテーターの協力のもとで実施された。このプロセスは、以下を含む
数多くの要素により構成された。
・取締役および上級経営陣によって実施された調査
・外部のファシリテーターによる、取締役会および委員会の書類レビュー、ならびに取締役会および委員会
の会議の監視
・外部のファシリテーターとの取締役および上級経営陣の面接
・外部のファシリテーターによるレビュー結果に関する取締役会への報告の提出および発表
・それぞれのフィードバック報告について話し合うための個別の取締役との面接、また、委員会の業績に関
するフィードバックを含む各委員会の会長との協議、そして会長の業績に関するフィードバックを含む会
長との協議
・会長と個別の取締役間の協議
この評価では、取締役会、委員会および取締役の業績(取締役会の構成および刷新、テルストラ取締役会の
常設委員会、取締役会の議題および書類、ならびに取締役会の経営陣との関係を含む。)に関する多くの側面
について検討が行われ、全体的なアセスメントには、取締役会が非常に効果的に運営されていると評価され
た。
さらに、取締役会は、2021事業年度について、取締役会規程の要求事項に対して業績の評価を行い、同様
に、各常設取締役委員会の自己評価レビューも行われ、取締役会に提供された。
取締役会は、2021年AGMでの再選に立候補する取締役について、その再選に関する株主への推奨を決定する
際に、当該取締役の業績を考慮した。
取締役会は、CEOの業績について、合意された指標およびその他の関連要因に照らして毎年レビューを行
う。CEOは、上級経営陣について同様の評価を行う。CEOが毎年行う上級経営陣の業績および報酬の評価の結果
は、取締役会の審査および承認を条件とする。CEOおよび上級経営陣の業績のレビューは、2021事業年度末に
実施された。
報酬の枠組みおよび方針についての情報ならびにCEOおよび経営幹部であった上級経営陣に対する2021事業
年度の報酬の成果の詳細は、下記「第5 3 (2) ②取締役の株式保有および報酬」を参照のこと。
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2.6.取締役の任命、研修および継続的教育
新取締役はいずれも会社秘書役が手配する任命手続に参加する。この任命手続は、新たな取締役会のメン
バーへの円滑な移行を支援する。当社の非業務執行取締役の任命手続には、当社の構造、戦略、事業運営、な
らびに当社が活動を行っているセクターおよび環境、重大なリスク、そして従業員についての上級役員からの
概要説明だけでなく、現地視察を含む。
テルストラはまた、取締役に対する継続教育プログラムも実施しており、当社は、取締役としての役割を効
率的に行うことに必要な技能および知識を向上および維持するための、取締役に対する他の適切な専門性の向
上のための機会を提供する。
2021事業年度中、当社のプログラムには、サイバーセキュリティ、エネルギーの小売ならびにいじめ、ハラ
スメントおよび文化についての教育セッションだけでなく、主要な利害関係者および規制当局とのセッション
が含まれた。また、これには、一部の取締役による関連する業界およびテルストラ関連の会議への出席も取り
入れられた。2021事業年度に予定されていたその他の活動(海外の現地視察など)は、COVID-19パンデミック
により実施することができなかった。
2.7.取締役会による経営陣および独立した専門家の助言へのアクセス
取締役は、会長、CEOまたは会社秘書役を通じていつでも当社の上級経営陣チームに接触することができ
る。上級経営陣が取締役会に対して行う定期的なプレゼンテーションのほか、取締役は、個別事項について上
級経営陣に状況説明を求めることができる。
取締役会は、その責務を遂行するために必要な調査を行い、もしくは必要な調査を指示する権限を有し、ま
た職務遂行にあたり随時必要と認める法律、会計等のアドバイザー、コンサルタントおよび専門家をテルスト
ラの費用負担により採用することができる。取締役会委員会はいずれもこれに基づき独立した専門家の助言を
得ることができる。
また、一定の状況では、特定の限度内で、各取締役はテルストラの費用負担により独立した専門家の助言を
求めることができる。
2.8.利益相反
会社法および当社の定款の要件に従い、取締役は、利益相反を申告し、一定の状況下において、重大な個人
的利害を有する事項についての協議または議決権行使への参加を見合わせることを含む、取締役利害関係方針
に定める手続に従わなければならない。
2.9.会社秘書役
会社秘書役は、取締役会によって任命される。会社秘書役は、会長を経由して取締役会に直属し、全ての取
締役が会社秘書役に接触することができる。取締役会の適切な機能に関連する会社秘書役の役割には、取締役
会およびその委員会に対するガバナンス事項についての助言、取締役会および委員会の方針および手続が遵守
されているかの監視、あらゆる取締役会の業務の調整、ならびに取締役会および経営陣との間の取引に関する
評価基準の提供を含む。
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3.取締役会委員会
取締役会には、3つの常設委員会があり、これらは一体となって当社の運営およびガバナンス体制の特定の
エリアにより詳細に焦点をあてることで重要な役割を果たし、取締役会によるテルストラの監視を強化に役
立っている。
以下の3つの常設委員会が、取締役会がその責務を遂行することを補佐している。
・監査・リスク委員会
・人事・報酬委員会
・指名委員会
監査・リスク委員会 人事・報酬委員会 指名委員会
・テルストラ・グループの外 ・テルストラの企業理念また ・取締役会の構成および職務
部財務報告、ならびにテル はリスク選好度に反する行 の遂行(取締役会の多様性
ストラの主要な会計および 為には報いずに、テルスト を含む。)
統合報告プロセスの完全性 ラの戦略および成功の追求 ・取締役の独立性
・テルストラのリスク管理フ を従業員に促すものである ・CEOの任命およびCEO承継計
レームワーク(リスク文化 かを含む、テルストラの報 画
を含む。)、コンプライア 酬の枠組み、戦略、方針お ・CEOおよび会社秘書役の業
ンス・フレームワークなら よび慣行 績
びに内部統制システムおよ ・取締役、CEOおよび会社秘
主要な責務-
びプロセスの設計、実施お 書役の報酬ならびに上級経
右記に関する
よび有効性 営陣の報酬および業績
事項について
・選定されたリスクの検討、 ・テルストラの従業員株式制
取締役会を
また、新たに発生し拡大し 度の設計および結果
支援すること
ているリスク原因に関する ・テルストラ内の文化および
経営陣からの報告の検討 行動
・独立性を含む、内部および ・選定された従業員に関連す
外部の監査 るリスク、また、テルスト
・気候変動を含む、コーポ ラの多様性目標達成に係る
レート・ガバナンスおよび 進捗状況ならびに上級経営
持続可能性 陣の後継者計画および人材
育成計画などのその他の従
業員に関連する事項の検討
クレイグ・ダン(委員長) ピーター・ハール(委員長) ジョン・マレン(委員長)
2021 年 ロイ・チェスナット ニーク・ヤン・ファン・ その他全ての
6月30日 マーガレット・シーレ ダンメ 非業務執行取締役
現在の委員 ノラ・シャインケステル エラナ・ルービン
ノラ・シャインケステル
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監査・リスク委員会 人事・報酬委員会 指名委員会
・テルストラのリスク管理フ ・2021事業年度役員変動報酬 ・取締役会の構成および刷新
レームワーク(リスク文化 制度(EVP)および短期イ (潜在的な取締役会の候補
を含む。)の設計、実施お ンセンティブ制度に基づく 者の多様性の検討および
よび有効性、また、当社事 設計および結果について検 2021事業年度中の新たな非
業の全ての側面に、リスク 討および勧告を行うこと 業務執行取締役1名の任命
特定、評価および管理が組 ・テルストラの全体的な報酬 を含む。)
み込まれていることの監視 の枠組み、また、CEOおよ
を継続すること び上級経営陣の報酬取決め
・特に効果的なリスク管理 および結果が、テルストラ
(リスク文化および報告を の企業理念またはリスク選
含む。)に焦点をおいた、 好度に反する行為には報い
社内のコンプライアンスお ずに、テルストラの戦略お
よびガバナンスのレベルが よび成功の追求を従業員に
適切であったかについての 促すものであるかを監視す
監視を継続すること ること
・業務の規制上のプログラム ・選定された従業員に関連す
を注意深く監視すること るリスク、また、それらの
・当社が顧客にとって適切な リスクに対処するためのリ
結果を達成する方法につい スク管理計画を検討し、テ
2021
ての監視を進展させるため ルストラが取締役会によっ
事業年度中の
の責任ある事業についての て設定されたリスク選好度
重点活動/分野
取組みを引き続き進展させ の範囲内で活動しているか
ること どうかを監視すること
・当社のサイバーセキュリ ・テルストラの企業理念およ
ティプログラム、ネット びテルストラの行動規範の
ワークおよび物理的インフ 遵守を促進および強化する
ラストラクチャーの回復力 ため、テルストラ内の文化
の強化ならびにコンプライ および経営陣のイニシアチ
アンス強化プログラムを含 ブの有効性を監督すること
む、当社のリスクの監視お
よび管理を強化するための
取り組みに係る重要かつ進
行中のイニシアチブの監視
を継続すること
・内部通報者によって指摘さ
れた事項についての管理プ
ロセスを監視することおよ
びかかるプロセスを通じて
指摘された重大な事項を検
討すること
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各委員会は、以下のとおり運営される。
・取締役会は、各委員会の委員および委員長を任命し、また、独立非業務執行取締役のみが委員となることが
できる。
・各委員会は、取締役会が承認した規程に基づき運営される(規程は、当社のガバナンスに関するウェブサイ
トで閲覧することができる。)。
・各委員会は、必要に応じ、取締役会に対して報告および勧告を行い、いずれかの委員会が検討した情報およ
び書類は、関連する他の委員会および取締役会にも提供される。
・各委員会の役割、規程、業績および委員は、毎年見直される。
2021事業年度中に取締役会および取締役会の常設委員会が開催した会議数および取締役の出欠の詳細につい
ては、2021年度年次報告書に含まれる2021年取締役報告書に記載されている。関連する資格および経験の詳細
に関する情報については、下記「第5 3 (2) ①取締役および役員の略歴」において記載されている。
取締役会は適宜、取締役会がその責務を遂行することを支えるため特別委員会を設置する。
取締役会によって以下の2つの特別委員会が設置され、2021事業年度中に運営されていた。
・テルストラの販売、苦情処理および債務回収の慣行(下記「第6 1 財務書類」注記7.2.1で言及されて
いるこれらの慣行に関するACCCによる調査事項を含む。)の見直しを監督するため、2020事業年度に設置さ
れた委員会。当該委員会は、2021事業年度中に活動を終了した。当該委員会のメンバーは、ジョン・マレン
(会長)、クレイグ・ダン(監査・リスク委員会委員長)およびピーター・ハール(人事・報酬委員会委員
長)であった。
・2020年11月12日に公表された、テルストラ・グループの提案されたリストラクチャリングの策定および実施
ならびに提案されたリストラクチャリングに起因または関連するその他の事項に関して設置された委員会。
当該委員会は、2021事業年度に活動を開始し、終了した。当該委員会のメンバーは、ジョン・マレン(会
長)、クレイグ・ダン(監査・リスク委員会会長)、エラナ・ルービンおよびアンドリュー・ペン(CEO)
であり、後にノラ・シャインケステルも加わっていた。
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4.保証およびリスク管理
4.1.外部監査人
当社の外部監査人は、アーンスト・アンド・ヤング(「EY」)である。当社のアーンスト・アンド・ヤング
統括監査人は、AGMに出席し、監査の実施および監査報告書の作成・内容に関する株主の質問に答えることが
できる。
監査・リスク委員会は、以下をはじめとするアーンスト・アンド・ヤングとの関係を監督する。
・アーンスト・アンド・ヤングの業績、独立性および客観性の検討ならびに評価。
・経営陣の、アーンスト・アンド・ヤングにより提供される監査および非監査業務に関する方針の遵守状況の
監督。
・アーンスト・アンド・ヤングの採用条件および費用を見直し、これに合意すること。
・アーンスト・アンド・ヤングが提案する毎年行われる監査範囲および監査手法(重大性の水準を含む。)を
検討すること。
監査・リスク委員会は、2021事業年度においてアーンスト・アンド・ヤングから提供された非監査業務の内
容および規模、ならびに当該非監査業務の提供がどのように監査人の独立性と両立し得たかについての説明を
詳述した正式な年次報告書を提出した。当該年度において提供された非監査業務に関してアーンスト・アン
ド・ヤングに支払われたかまたは支払われる金額の詳細は、下記「第6 1 財務書類」注記7.1において開
示されている。
4.2.内部監査
当社の内部監査業務は、テルストラの内部監査の役割を果たす、グループ・インターナル・オーディットに
より行われている。グループ・インターナル・オーディットの役割は、取締役会および経営陣に対し、当社の
ガバナンス、リスク管理および内部統制の手続の有効性について独立かつ客観的な保証を提供することであ
る。グループ・インターナル・オーディットは、その役割を果たすために必要な独立性を維持するために、当
社のいかなる事業またはリスク管理業務においても直接的な運営責任または権限を有していない。
グループ・インターナル・オーディットの機能的責務は、取締役会によりその任命が承認されるグループ・
インターナル・オーディット・エグゼクティブに属する。グループ・インターナル・オーディット・エグゼク
ティブは、監査・リスク委員会に報告し、実務上、最高財務責任者(CFO)にも報告を行う。グループ・イン
ターナル・オーディットは、その業務を遂行するため、当社のあらゆる情報システム、記録、物理的資産およ
び従業員に対して完全かつ無制限のアクセスを有している。グループ・インターナル・オーディットの業務
は、内部監査人協会により提供されている、専門職的実施の国際フレームワークに基づき行われる。監査・リ
スク委員会は、グループ・インターナル・オーディットの業務および業績を監視する(その独立性を含む)。
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4.3.リスク管理
当社のリスクを理解し管理することは、当社の仕事の一部である。そうすることで、当社の戦略および事業
目的ならびに法的および規制上の義務を果たすことに役立ち、また、テルストラ・グループおよび当社の株主
の最善の利益のために確かな情報に基づく事業に関する決定を行い、倫理的に行動することが可能になる。
当社は、グループ内のリスク管理方法の基礎および組織的取決めを提供するリスク管理フレームワークを実
施している。このフレームワークは、リスク管理の国際規格であるISO 31000:2018に沿っており、テルストラ
のリスク管理の策定、実施、監視、審査および継続的な向上のための一揃いの構成要素からなっている。当社
のリスク管理フレームワークの目的は、リスク管理が当社のガバナンス、戦略的意思決定、事業活動、営業お
よび文化に組み込まれることを確実にすることである。
当社のリスク管理フレームワークは、下記を含む当社の「3つの防衛線」説明責任モデルによって裏打ちさ
れている。
第1の防衛線 リスクの特定、評価および管理の責任を負う、事業の利害関係者および運営管理担当
者
第2の防衛線 リスクおよびコンプライアンスのフレームワーク、監督、監視の責任を負う、各事業
分野においてリスク管理チームと協働する最高リスク担当室およびその他の第2の防
衛線の監視機能(例:健康、安全、福利および環境ならびにサイバーセキュリティ、
サプライヤー・ガバナンスおよびグループ・コンプライアンス)
第3の防衛線 ガバナンス、リスク管理および内部統制プロセスに関して独立した保証をすることに
責任を負う、当社のグループ・インターナル・オーディット機能
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当社のフレームワークの中核となる構成要素の一つは、成功を阻む可能性がある数多くのリスクを管理する
ために特定、評価および行動を取ることができるよう組織化された一連の活動を提供するリスク管理プロセス
である。このプロセスは、リスク選好度の声明および当社の主要リスクに係る指標と一致している。リスク管
理プロセスは、戦略、業務、財務および規制、ならびに行動、経済、環境および社会的持続可能性に関するリ
スクを含む、内部および外部ソースからのリスクの全タイプが確実に考慮されるようにする。
テルストラに影響を及ぼしうる重大なリスク(経済的なものだけでなく、環境的または社会的リスクに対す
る重大なエクスポージャーを含む。)の概要、および当社がいかにしてそのリスクの管理しようとするかにつ
いては、上記「第3 2 事業等のリスク」に記載されている。当社は、事業に対する新たなかつ拡大しつつ
あるリスク原因を特定するための継続的なプロセスを維持している。これには、設計から市場投入までの製品
およびサービスのリスク評価、業界および市場動向の分析、当社のパートナーとのリスクワークショップ、な
らびに上級経営陣との定期的なリスクフォーラムが含まれる。
当社のCEOリーダーシップ・チームは、テルストラ全体にわたるリスク管理のための経営ガバナンスの頂点
のフォーラムとして機能している。当社は、当社のチームが、当社のリスクを特定、管理および監視するため
の効果的なリスク管理および内部統制フレームワークを実行できるようにし、かつリスク管理の責務を審査お
よび検討するために、CEOリーダーシップ・チームとともに一連のリスク・ガバナンス・フォーラムを設置し
ている。
このフォーラムは、上級経営陣に対して、現存するリスク、新たなリスク、法令遵守、プライバシー、不正
行為、顧客経験価値、責任ある事業、事業の継続性、ネットワーク回復力、サイバーおよびデータセキュリ
ティ、サプライヤー・ガバナンス、健康、安全および福利、気候変動、そして内部の監査活動を含む当社の主
要なリスクおよびコントロールに関する、より詳細かつタイムリーな情報を提供している。
当社は、環境および社会的要因を当社のリスクの検討事項の一部として考えている。当社は毎年、これらの
要因に関連するリスクおよび機会ならびにこれらが当社の事業、利害関係者および社会全体に与える影響を決
定するための評価を実施している。
気候変動に関連するリスクおよび機会の確実な監視を維持することは、当社の持続可能性ガバナンスの優先
事項のひとつである。当社は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組みを採用し、気候変動関
連の開示を強化することに取り組んでいる。気候変動およびその他の持続可能性リスク、当該リスクの管理方
法および当社の業績に関する詳細は、上記「第3 2 事業等のリスク」および「2021年概観サステナビリ
ティ報告」(telstra.com/sustainability/report)にて閲覧可能である。
特定されたリスクは、そのコントロールおよび取り扱い計画と併せて、エクスポージャー中の変化または有
効性が監視され、年度中に取締役会(委員会を含む。)に報告される。監査・リスク委員会は、選定されたリ
スクについてより詳細に検討を行うことを通して、リスクの検討および特定について取締役会を補佐する。
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監査・リスク委員会は、以下を含む、テルストラのリスク管理フレームワーク(リスク文化を含む。)の設
計、実行および有効性を監督する。
・テルストラのリスク管理フレームワークを少なくとも年1回見直すことで、当該フレームワークが引き続
き健全かつ効果的であり、テルストラが取締役会によって設定されたリスク選好度を十分に考慮して活動
しているかを確認すること
・監査・リスク委員会の責務に関係する、リスク文化およびテルストラの企業理念または行動規範と著しく
矛盾する行為(重大な違反、および当該違反に対して講じられた措置または講じるよう提案された措置を
含む。)に関する経営陣からの報告書を検討すること
当社は、当社のリスク管理フレームワークが計画通り行なわれることを確実にするため、当社のリスク管理
フレームワークの監視および審査のためのいくつかの活動を行なっている。当社は少なくとも年1回、会社全
体でフレームワークの審査および自己評価を行っており、上級経営陣リスクフォーラムおよび監査・リスク委
員会に結果を報告している。当社は、それらの審査およびグループ・インターナル・オーディットからの提案
を、フレームワークを改善する機会を特定・実施するために使用する。
2021事業年度、当社は、リスク管理に関連して数多くのイニシアチブを実行し、これらは引き続き当社のリ
スク管理の成熟度を向上させた。これには、当社のアジャイル運営モデルにおけるリスク管理に対する説明責
任および責任に係る全般的な注力の強化、また、資本計画、M&Aおよびより広範な戦略開発を含む、意識的な
リスクの考え方が事業に関する決定において第一に念頭に置かれていることを引き続き確実にすることが含ま
れる。
当社のリスク管理に改善をもたらした(または完了した際にもたらす)イニシアチブには、誤販売のリスク
を軽減するための統制の大幅な強化、ますます困難になる外部の脅威環境を踏まえたサイバーセキュリティに
対するリスク選好度の再評価、物理的インフラストラクチャーおよびネットワークの回復力の継続的な強化、
ならびにコンプライアンスの強化プログラムの開始が含まれる。当社はまた、一連のリスク報告におけるデー
タ駆動型の洞察を強化し、当社の組織の全ての分野にわたって協力的かつ機能的なリスクコミュニティーを引
き続き発展させている。
2021事業年度に関して、監査およびリスク委員会は、テルストラのリスク管理フレームワークを精査し、当
該フレームワークが引き続き健全かつ有効であり、テルストラが取締役会によって設定されたリスク選好度を
十分に考慮して活動していることについて確認済みである。
4.4.CEOおよびCFOによる宣言
2021年6月30日終了事業年度および2020年12月31日終了半期の当社の財務書類に関連して、当社のCEOおよ
びCFOは、取締役会に対し、以下の宣言を行った。
・彼らの意見によると、テルストラの財務記録は、適切に管理されたこと。
・彼らの意見によると、財務書類は、適切な会計基準を遵守しており、テルストラの財政状態および経営成
績に対する真実かつ公正な概観を提供していること。
・彼らの意見は、有効に機能している健全なリスク管理および内部統制システムに基づき形成されたこと。
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4.5.定期的な統合報告書の完全性の検証
当社の年次財務報告書および年次取締役報告書に含まれる報酬報告書は、当社の外部監査人による監査を受
けている。当社の半期財務報告書は、当社の外部監査人により審査される。
当社は、投資家の利益のために作成した他の定期的な統合報告書の完全性を、市場に公表する前に検証する
ための方針およびプロセスを有している。
定期的な統合報告書は全て、外部に公表する前に承認を受けなければならない。一般的に、当社の承認プロ
セスには、機能対象分野の専門家、インベスター・リレーションズ、通信およびリーガルを含む、複数の内部
グループによる審査および承認が含まれる。
審査プロセスは、とりわけ、以下を確認することを目的としている。
・提出された資料が事実に基づき正確であること、また、テルストラの状態を公正に表していること
・報告書に商業もしくは財務情報が含まれる場合、またはその性質が商業戦略的であり市場に影響されやす
いと考えられる場合、市場にとって重要な報告書の要素が、他の公知情報およびテルストラの財務会計の
開示と一致していること
・報告書が、全ての適用法令を遵守していること
・資料が専門的な発表基準を満たしていること、また、必要に応じて、利害関係者に係る問題についての管
理計画が作成されていること、および関連する利害関係者の当事者への説明が行われていること
概観サステナビリティ報告では、環境・社会問題や関連する指標について、外部による保証を定期的に要求
している。これには、当社の規制上の開示の一部を構成する環境指標(例:連邦国家温室効果ガスおよびエネ
ルギーレポート)が含まれる。
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5.合法的、倫理的および責任感のある行動
個性および行動規範は、個人と同じように、組織にとっても重要なものである。テルストラでは、当社がど
のように事業を運営し、顧客を支援しているかは、当社がもたらす事業結果と同じように重要である。
5.1.どのように責任を持って事業を行うか
これほど事業が、社会において果たす役割について深く考えるための重要な機会は今までになかった。技術
革新およびデジタル・ディスラプションにより、パンデミックが私たちを引き離し続ける中でつながりを維持
するための新たな機会が切り開かれた一方で、同時に、倫理的な問題に取り組む必要性と、当社の製品やサー
ビスを使用および供給する人々を支援、教育および保護する責任も浮き彫りになった。
世界がCOVID-19のある暮らしに適応しなければならない現実に直面する中、オーストラリアの大規模かつ象
徴的な事業としての当社の義務は、契約書の小さな文字だけではなく、当社の目的および企業理念によっても
定義されていることを、当社は日々再認識させられている。2021事業年度においても、責任ある事業は、当社
の組織としての優先事項の中心となった。
テルストラにとって、責任ある事業を行うことは、顧客のニーズを理解し、それに公正に対処することを意
味する。また、当社の企業理念と一致しない問題について発言し、正しいと感じないことを指摘しても安心で
きる文化を作り出すことを意味する。これは、当社の従業員に投資し、公平に扱い、また従業員の安全を確保
することを意味する。そして何よりも、正しくないことをしたときを含め、自らの行動に対して説明責任を持
つことを意味する。
当社の長期的な成功は、事業活動においてだけでなくサプライチェーンやビジネスパートナーとの関係にお
いても、当社の顧客および従業員の信頼を獲得し維持することにかかっていることを当社は認識している。当
社の責任ある事業戦略におけるトラステッド事業活動の柱は、顧客、サプライヤーおよび従業員と責任を持っ
て関与するという当社のコミットメントを実現するものである。
当社の責任ある事業戦略についての詳細は、当社のウェブサイト(telstra.com/sustainability/report)
で閲覧可能な「2021年概観サステナビリティ報告」に記載されている。
5.2.当社の倫理、企業理念およびガバナンス
当社の文化は、当社の目的および事業戦略を遂行する当社の能力にとって不可欠であり、当社の企業理念に
対する強いコミットメントによって裏打ちされている。
当社は、事業活動全体を通じて、当社の行動規範およびガバナンス方針、義務付けられたコンプライアンス
研修、ならびに当社の理念を実行する従業員への報奨を通じて、公正かつ責任ある文化を推進している。当社
の目的および企業理念とともに、当社の行動規範および支援方針は、取締役、従業員および請負業者だけでな
く、サプライヤーおよびその他の第三者ビジネスパートナーが、公正、倫理的にかつ法令を遵守して行動する
という当社の期待に応えるための指針となるものである。全ての従業員は、不適切な行動に関して発言および
懸念を表明することを促されている。
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当社の企業理念
2013年以来、当社の企業理念は当社の働き方の指針となっている。これまでの間、これは共通の言語として
従業員のつながりをより緊密にし、従業員の多様なバックグラウンドへのより深い理解を促し、また、当社の
コミットメントを実行するための動機付けとなった。また、お互い、顧客およびコミュニティーを思いやれる
よう、危機の時代において一層の努力をするための刺激となった。
当社の目的と併せて、これは当社がテルストラを変革するための一助となっている。
当年度において、当社は企業理念の進化を継続した。従業員からのフィードバックをもとに、当社は企業理
念を刷新した。当社の4つの企業理念は、当社の存在意義を表明しており、当社を未来へと導いていくもので
ある。
・変化をもたらす
・共に行動する
・気遣い/関心
・シンプルにする
テルストラの企業理念および行動規範(本規範)は、当社がどのように事業を行うかを定義し、また、戦略
を実行し顧客の期待に応えるために必要な行動を示すものである。テルストラおよび被支配会社のあらゆる領
域における全ての取締役、従業員および請負業者(および当社の本規範が適用されることを通知されたその他
の者)は、それぞれの職務に適用される原則および方針の要件を認識、理解および遵守する責任、また、本規
範に抵触する懸念またはインシデントを報告する責任を負う。当社のグループ・エグゼクティブおよび従業員
リーダーは、責任を持って行動することが日常的な意思決定の中核となる文化、また、適格かつ持続可能性の
ある結果を達成するために当社が取らなければならない行動を作り出し促進することについて責任を負う。
率直に発言すること
本規範はまた、あらゆる懸念が自信を持って取り上げられ、従業員がこれを行うことによる不利益から守ら
れることを理解している文化を促進している。テルストラの内部通報方針および関連法は、現従業員や元従業
員、その親族や扶養家族、そしてサプライヤーを含む様々な者が、テルストラにおける非倫理的もしくは違法
な行動、または不適切な状況の懸念を報告するための保護制度を確立している。
当社の内部通報方針は、懸念事項を報告する全ての者に適切な保護を提供する機密性のある手続によって支
えられている。内部通報サービスでは、専門の調査員およびケース・マネージャーによる調査依頼のために懸
念事項を匿名で報告することができる。テルストラの内部通報委員会は、会社秘書役が委員長を務めており、
あらゆる内部通報の開示を受領し、それぞれの事項に関する調査および要求されたフォローアップを監督して
いる。当社の監査・リスク委員会は内部通報者によって取り上げられた問題の管理に係るプロセスを監視し、
プロセスを通じて取り上げられた重大な問題の検討を行う。
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当社は引き続き、テルストラのチームおよび機能全体にわたって、積極的な発言文化を推進することに注力
している。当社のスピークアップ・プラットフォームでは、従業員は懸念を表明することができ、これを対処
のために経営陣に上申することができる。スピークアップは、全ての従業員が発言権を有し、貢献することが
でき、また、正しくないことを発見したら率直に発言できるような文化を築くことに対する当社の注力の一環
である。
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5.3.その他の主要なガバナンス方針および慣行
当社は、企業理念および本規範に加え、優れたコーポレート・ガバナンスおよび合法的、倫理的かつ責任あ
る行動文化の促進方法の中核となるガバナンスの方針および活動を数多く有している。
当社の従業員 健康、安全および福利(HSW) - 当社の従業員、パートナーおよび当社が事業を行う
コミュニティーの健康、安全および福利厚生ならびに環境に対する当社のコミットメ
ントを認識する。
従業員の健康および安全の重要性を強調することに加えて、当社の運営におけるHSWリ
スクの減少に対する当社のコミットメントを定めている。
当社は、従業員およびパートナーに対しHSWの問題、出来事および危険を報告するよう
求め、経営陣が安全を高めるために正しい判断が行えるようデータおよび分析を用い
ており、また、取締役会、監査・リスク委員会、エグゼクティブ・リーダーシップ・
チームおよび上級経営者に対する定期的な報告を通じてなど、当社の業績の監視を行
うことができるよう、ガバナンス・フォーラムを設置した。
当社は、従業員の心身の健康づくりを支援するためのツール、リソースや健康管理支
援を提供することで、従業員が自らの力を最大限に発揮できるようにしている。従業
員が怪我や病気の後に、安全、持続可能かつ価値ある仕事に復帰することを支援する
ことは、当社の責任の基本的な部分である。
テ ル ス ト ラ の HSW に 関 す る 詳 細 は 、 当 社 の ウ ェ ブ サ イ ト
(telstra.com/sustainability/report)で閲覧可能な「2021年概観サステナビリティ
報告」に記載されている。
多様性および包摂性 - 多様性および包摂性、ならびにこれらがテルストラにもたら
すプラス効果(目的の達成、評判の高まり、ならびに優れた人材の引き付け、雇い入
れ、および雇用継続面でのプラス効果)に価値を置くこと。テルストラの多様性およ
び包摂性についての詳細は、下記6に記載されている。
差別、いじめ、ハラスメントおよび迫害 - 当社が不当な差別、いじめ、ハラスメン
トおよび迫害のない職場であることを確実にすることを目標とする。
当社の顧客 プライバシー - 顧客の個人情報保護への当社の責任を反映している。当社は、当社
の顧客の個人情報の収集の方法および理由、当社による当該情報の利用および公開方
法、当社がどのように当該情報を保護し、正確性を維持するか、ならびに顧客による
顧客の個人情報へのアクセス方法を示す一連の内部指針を定めている。テルストラに
おけるプライバシーの詳細については、「2021年概観サステナビリティ報告」および
当社のウェブサイト(telstra.com.au/privacy)(当社のプライバシー方針を含
む。)において提供されている。
優れたコーポレー 贈賄防止および腐敗防止 - 当社が適用ある全ての贈賄および腐敗防止法令を確実に
ト・ガバナンス
遵守することを目的としている。
および責任ある
事業慣習
利益相反 - 利益相反をどのように特定および管理するかを定める。
贈答品および歓待 - 贈答品および歓待が、不適切な状況(その受領が独立性を阻害す
るとして、または賄賂としてみなされる(またはみなされる可能性のある)ものを含
む。)において受領されることがないよう確実にすること。
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継続的な開示 - 取締役会に留保される権限(および経営陣に委任されていない責
任)の範囲内にある事項またはテルストラにとって根本的に重要である事項に関する
公表について、取締役会の承認を要する場合を含む、オーストラリア証券取引所に対
する公表の承認についての責務およびその手順、ならびに開示事項に関する当社の
CEO、CFOおよび当社の継続開示委員会の役割を概括する。
当社は、当社の株主、投資家および金融取引参加者に適切かつタイムリーな情報を提
供すると同時に、当社が会社法およびオーストラリア証券取引所規則に基づく法定の
報告義務を履行することを確実にすることを目指しており、市場への開示方針につい
て定期的に検討および更新を行っている。
当社は、業績の発表等、重要なグループ・ブリーフィングの事前通知を提供し、ウェ
ブ放送の使用および市場に対して行われる全ての発表を当社のウェブサイト
(telstra.com.au/aboutus/investors/announcements)に掲載することでこれを広く
閲覧できるようにしている。
当社は、あらゆる重要な発表の写しを、オーストラリア証券取引所に公表された後、
速やかに取締役会に提供する。投資家またはアナリスト向けの新たなかつ実質的なプ
レゼンテーションを行う場合、当社は、当該プレゼンテーションの実施前に、そのプ
レゼンテーション資料の写しをオーストラリア証券取引所の市場公表基盤において公
表する。
有価証券の取引 - 取締役、CEO、上級経営陣、特定のその他従業員および当該従業員
と近い関係にある当事者(該当従業員)によるテルストラの有価証券の売買またはそ
の他の取引に関する規則および制約を、取引ウィンドウ・アプローチにより定めてい
る。
該当従業員は、金融取引(信用取引に基づく貸付を含む。)においてテルストラの株
式を担保として利用すること、テルストラの株式に関するいかなる空売り、株券貸借
取引に関与すること、ならびに当社の株式に関する短期売買および(当社の株式プラ
ンに基づき保有する株式を含め)テルストラの株式を保有する経済的リスクを限定す
るヘッジの取決めを行うことも禁止されている。
当社の従業員は全員、インサイダー取引法の遵守を義務づけられ、取引を行う前に、
提案されたテルストラ有価証券(または他の会社の株式)の取引が市場にどのように
認識される可能性があるかを考慮しなければならない。
サステナビリティ(持続可能性) - 社会および自然環境に対する影響が差し引きで
プラスとなるよう目指し、当社の顧客、従業員、株主、コミュニティー全体およびそ
の他の利害関係者がデジタルな世界で成功することが確実にできるよう努める。当社
の責任ある事業戦略は、当社の事業にとって最も重要な問題、当社が有意義な影響を
及ぼすことのできる専門知識を有する分野、および革新的な技術ベースのソリュー
ションを使用して主要な社会的課題と機会を解決する機会のある場所を反映してい
る。COVID-19の影響は、これらの優先事項を強化した。当社は当年度、COVID-19パン
デミックの影響を引き続き管理するために、顧客、従業員、そして国家を支援するた
めの多くのイニシアチブを実行した。
当社のアプローチは、当社の事業、利害関係者および社会全体にとって最も重要な環
境、社会およびガバナンス(ESG)のトピックを特定し、優先順位付けをする年間重要
性評価、ならびに有意義な関わりや対話を通じて利害関係者との質の高い関係性を構
築する努力によって支えられている。
当社は自らが事業を行うコミュニティーに対し責任を負っているため、当社は、多く
のコミュニティーおよび非営利団体に対して寄付および提携を行っている。当社は政
治団体に対し現金の寄付を行わない。ただし、重要な政策問題について政策決定者お
よびオピニオン・リーダーと議論することができる政党または関連団体が主催する可
能性があるイベントへの参加または促進に係る費用を負担する。これらの支払いは、
場合によっては政治献金と捉えられることがあり得、そのため、必要に応じて該当す
る選挙委員会または政府機関に申告される。
当社の持続可能性に対するアプローチのさらなる詳細については、当社のウェブサイ
ト(telstra.com/sustainability/report)で閲覧可能な「2021年概観サステナビリ
ティ報告」に記載されている。
内部通報 - テルストラにおける非倫理的もしくは違法な行動、または不適切な状況
の懸念について報告するよう従業員に促している。テルストラにおける内部通報の詳
細については、セクション5.2および当社のガバナンスに関するウェブサイトで閲覧す
ることができる。
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本規範(テルストラの企業理念を含む。)は、テルストラの取締役会により承認されている。当社または当
社従業員による本規範、重要なガバナンス方針(当社の贈賄防止および腐敗防止に係る方針を含む。)または
法的および規制上の要件の重大な違反は、経営陣により、取締役会および/また関連する委員会に対し、対応
として経営陣が取ったまたは取ることを提案された行動の詳細と併せて報告される。
当社のガバナンス体制(本規範、有価証券取引、継続開示、多様性および包摂性、健康および安全、贈賄防
止および腐敗防止ならびに内部通報に関する規程の写しを含む。)に関する追加の情報は、当社のガバナンス
に関するウェブサイトおよび2021年概観サステナビリティ報告で閲覧することができる。
6.テルストラにおける多様性と包摂性
我々は、多様性および包摂性、ならびにこれらが当社の目的を達成するためにテルストラにもたらすプラス
効果を重視している。
テルストラは、数百万人もの多様な顧客に対しサービスを提供している。当社は、独自の視点を表す多様な
従業員を有することの価値を認識している。意見の多様性は、当社の戦略の達成に不可欠である革新を後押し
し、全ての人々が成功できるよう、つながりのある未来を構築する当社の目的を支える。
当社は、包摂性があり、支援が得られる環境、すなわち、全ての人々が自分らしくいられる場所を構築する
ことについて情熱を注いでいる。
テルストラを変革させていく中で、当社は、性別、年齢および民族等の人口統計を越えて、総合的に多様性
を捉え、過小評価されている従業員や候補者のための公平性および機会を引き続き優先している。
当社はまた、新しい働き方、主導方法、革新方法を備えた、全く異なるビジネスを構築している。当社は、
オンライン学習における技術スキル、マイクロクレデンシャルおよび当社の多様性へのコミットメントを共有
する教育プロバイダーとのより強固な協力に対して投資している。
テルストラの全ての従業員は、人々が安全であり、価値が認められており、発言する権利があると感じるこ
とができる文化を構築する手助けをすることができる。当社の野心を達成するための戦略は、3つの基礎的な
流れを中心として形成されている。
・多様な人材を引き付け、育成し、強化すること
・内外のパイプラインに投資すること
・柔軟性および公平性-テクノロジーによって可能となった柔軟性。公平な方針およびプロセス。
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当社には、CEOのアンドリュー・ペンが議長を務め、各機能の役員レベルの代表者で構成される、単一かつ
組織レベルの多様性および包摂性評議会が存在する。この評議会は、四半期ごとに2回開催され、次の事項に
ついて責任を負う。
・テルストラにおける多様性および包摂性の推進
・各機能の多様性目標に係る達成支援
・各機能における多様性および包摂性に係る活動を、当社の全体的な多様性および包摂性戦略に確実に合致さ
せること
・従業員代表グループの多様な視点および専門性の活用
・多様性および包摂性における企業レベルの戦略的優先事項を特定すること
当社の6つの従業員代表者グループ(スペクトラム、ブリリアント・コネクテッド・ウィメン、テルストラ
ビリティー、ダーラン、モザイク、そしてジャンプスタート)は、CEOリーダーシップ・チームのメンバーに
よって出資され、多様性および包摂性チームによる支援を受けており、過小評価されているグループの視点や
経験が理解され支持されるよう確実にするために、さらなる協議をもたらしている。
(当社のガバナンスに関するウェブサイトにて閲覧可能な)当社の多様性および包摂性に関する方針は、取
締役会が多様性達成のための測定可能な目標を設定している。年間を通じて、経営陣ならびに取締役会(指名
委員会および人事・報酬委員会を経由したものを含む。)は、当社の目標達成に向けた進歩を評価する。多様
性に関する目標は、月次の事業報告書やグループ・エグゼクティブ・スコアカードに含まれている。
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下表は、2021年6月30日時点における当社の目標およびその目標に照らした進歩の概要である。
多様性目標および実績
施策 2021 事業年度における結果 2022 事業年度における目標
(またはその他の結果) (またはその他の目標)
取締役に就任して 目標 -少なくとも4名の女性が取締役会に在籍 少なくとも4名の女性が取締役会
いる女性 し、非業務執行取締役中の女性の割合が少なくと に在籍し、非業務執行取締役中の
も40%を占めるようにする。 女性の割合が少なくとも40%を占
進展 -2021年6月30日時点で、取締役会に4名の めるようにする。
女性が在籍しており、非業務執行取締役中の女性
の割合は40%であった。
新卒採用人員の 目標 -2021年に入社する2020年の新卒採用決定者 女性の合計割合のパイプラインを
多様性 のうちの女性の割合を50%にすること。また、 強化するため、2021年の新卒採用
2021年までに、新卒採用決定者のうち障害を抱え 決定者のうちの女性の割合が60%
る人々の割合が10%、先住民族の割合が5%に達 に達すること、また、新卒採用決
することも目標とする。 定者のうち障害を持つ人の割合が
結果および進展 -2021年2月において開始したコ 12%、先住民族の割合が5%に達
ホートでは女性の割合は49%、障害を抱える人々 することを目標とする。
の割合は12%、先住民族の割合は3.5%であっ
た。2021年の採用活動では、多様性のある候補者
のための、より個人ごとにサポートされたプロセ
スが存在した。
6 月30日時点での 目標 -2021年6月30日現在の女性の割合:33% 2022年6月30日時点の女性の割
(i)
(テルストラ合計)、33%(上級管理職)および 合:
女性の割合
31%(上級管理職を除く全ての管理職) ・テルストラ合計-34%
結果および進展 -2021年6月30日現在の女性の割 ・上級管理職-36%
合: ・上級管理職を除く全ての管理職
・テルストラ合計:32.1% -33%
・上級管理職(バンドAからC):34.4%
・全ての管理職(上級管理職を除く):31.3%
(i) テルストラ・コーポレーション・リミテッドおよびその完全所有子会社の正規社員、パートタイム社員およびアル
バイトを含み、請負業者および代理店職員を除く。これにはテルストラ・グループのその他の被支配会社の従業員
は含まれない。
2022事業年度の測定可能な目標の重要な変更点は上記で概説した従業員カテゴリーにわたって女性の割合を
引き上げることであり、これは、特に技術分野をはじめとする組織のあらゆるレベルにわたって、将来におけ
る女性人材の内部パイプラインを構築することに対する当社の重点的な取組みとも一致している。
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6.1.取締役会の多様性
セクション2.3に記載のとおり、取締役会は、取締役会に新しい考え方および異なる視点を(年齢、経験ま
たはその他を通じて)提供するため、ジェンダーおよびそれ以外のいくつかの観点を通じて、多様性について
検討している。
2021事業年度における取締役会の多様性の目標は、取締役会の刷新期間中一時的に取締役会の多様性レベル
が影響を受ける可能性があることを認識したうえで、取締役会に最低4名の女性が在籍することであった(非
業務執行取締役のうち、女性の代表が最低40%となることを意味する。)。取締役会は、2022事業年度につい
てもこの目標を維持する。
2021年6月30日現在、取締役会には4名の女性取締役が在籍しており、非業務執行取締役における女性の割
合は40%(または取締役会全体においては36.3%)である。
取締役会は、当社が多様性のある取締役会を有することを確保するという戦略的要請を満たすため、任命に
際し、資格要件を満たした多様な範囲の候補者が検討されることを確保すること、潜在的な取締役候補者との
つながりを構築することを含み、多数の取組みを実施している。多くの取締役はまた、公共、民間および非営
利部門にわたる執行委員および非業務執行取締役(男女両方)のためのメンタリングなど、能力のある経験豊
富な取締役候補者を幅広く確保することに資するための公式および非公式のプログラムおよびアレンジメント
に参加している。
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6.2.男女共同参画
2020年における世界的なパンデミックおよびその経済的余波は、世界中の人々に不公平な結果を及ぼし、こ
れは今後数年間も続くことが見込まれている。多くの報告が、多様性グループに不均衡な影響を及ぼす潜在的
リスクについて警告している。これを念頭に、多様性、包摂性および柔軟性に対するテルストラのコミットメ
ントは、2021事業年度において強化された。当社は、多様性および包摂性に係る目標を危機にさらさないため
には、かなりの注力があることを認識していた。
当社の組織おける大規模なアジャイルへの移行およびリーダーシップ・パイプライン管理への注力により、
女性のための機会が生まれたことも一因となり、当年度における管理職およびエグゼクティブ・リーダーシッ
プ・レベルにおける女性の割合は上昇した。
我々はテルストラにおける男女共同参画の達成にコミットしており、この目標を当社が達成するのを後押し
するために多岐にわたる方針、プログラムおよびエンゲージメント面での率先的取組みを整備している。当社
の取組みの一部には以下を含む。
・当社のCEOであるアンドリュー・ペンは、「変革の旗手グループ(Champions of Change)」のメンバーであ
る。創設グループは、組織がCOVID-19に対応するにつれ、男女平等について苦労して得られた進歩が失われ
てしまわないよう確実にするため、定期的に会合を開いた。
・COVID-19に対応する中で、当社は、コールセンターのスタッフ向けにAgent@Homeイニシアチブを拡大するな
ど、より多くのテルストラの従業員のために職場の柔軟性を迅速に高めることができた。また、今後の柔軟
な働き方や職場経験価値に対する従業員の希望を幅広く聞き取り、これに応じた変革を順次展開している。
・地域にとらわれない役割への当社のコミットメントは、地域参加の機会を拡大させ、従業員が家庭と仕事の
責任のバランスを取れるよう柔軟性をもたらした。
・男女平等かつ柔軟なオーストラリアの育児休業方針の下で、当社は、対象となる親に16週間の有給育児休暇
を提供している。このイニシアチブは、オーストラリアを拠点とする全ての新たな親が、性別に関係なく、
キャリアを維持しながら育児の責任を分担できるように設計されている。制度の導入を受けて、育児休暇を
取得する男性の人数が増加した。2021事業年度の育児休暇取得者のうち69%は男性であり、男女平等の施策
を含むよう見直された方針により、育児の責任を分担し、女性のキャリア追求の選択肢を広げることが可能
となったことを示している。
・当社は、テルストラの女性の開発や昇進の機会を増やす方法について取り組んでいる。当社は、技術分野に
おける女性の活躍を可能とするキャリアおよびリーダーシップ開発プログラムである、キャリアArchiTECH
を開始した。これは、当社の新たな女性技術リーダーが、テルストラの将来の技術ロードマップに貢献し、
技術分野、従業員および/または仕事をリードする準備を整えられるよう設計されている。このプログラム
は、仮想ワークショップ、コーチング、カジュアルな座談会、行動学習プロジェクトをはじめとした革新的
な組み合わせを提供している。2021事業年度中、当社の45名の女性技術者がこのプログラムに参加した。
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当社はまた、テルストラが女性技術者人材の優れたインキュベーターになる方法、また、大学とのパート
ナーシップおよびスポンサーシップを通じてSTEMにおける次世代の女性の開発を促進する方法を模索してい
る。当社は、オーストラリアの5つの大学と提携し、ネットワークおよびソフトウェア・エンジニアリン
グ、サイバーセキュリティやデータ分析などの分野で重要な技能および能力を共同で開発している。2021事
業年度において、当社は、メルボルン大学のSTEMプログラムで最初の2つのテルストラ技術および革新修士
奨学金を女性に支給した。
・テルストラ全体で男女共同参画を公式に推進し、採用過程における平等基準を確立するため、当社の採用平
等手続では、全ての職種において候補者リストおよび面接リストに最低50%の割合の女性を載せなくてはな
らない(特定の職種については労働市場に既に男女の数の著しい不均衡があることから、35%としてい
る。)。
・当社は従業員に対して「ブリリアント・コネクテッド・ウィメン(Brilliant Connected Women)」(事業
における男女共同参画の促進にコミットする、2,500人超の男女の会員を擁するフォーラム)に入会し、積
極的に参加するよう勧めている。このコミュニティーは、2022事業年度に初めて国際規模で実施される、集
合知メンタリング・プログラムの開始を手助けした。
・当社は、より多様性および包摂性を有する企業であるためのコミットメントを支える方法で、採用、人材開
発、昇進、および給与の支払を行う。
男女平等かつ柔軟なオーストラリアの育児休業方針
マーク・ソファー-テルストラの内部サービス・マネジメント主任
「オーストラリアにおける男女平等な育児休暇制度によって、私は16週間の有給育児休暇を取得することが
できただけでなく、妻がCOVID-19への対応をサポートするために職場に呼び戻された際、家庭の都合に合わ
せられる形で、この休暇を延長することができた。テルストラのリーダーシップはとても理解のあるもので
あり、従業員全員に適した柔軟な制度が開発された。」
キャリアArchiTECH
ミーラ・モハナン-テルストラのソフトウェア・エンジニアリング-上級スペシャリスト
「移動体技術の上級スペシャリストとして、このプログラムは、自分の強みについてより深く理解し、自信
を持ち、リーダーシップスキルを向上させるためにどのように使うかを理解するための助けとなった。この
経験により、私は技術分野における女性リーダーとしてより多くの活力と信頼性を獲得し、事業全体におけ
る自分のネットワークを拡大し、また、技術分野の他の優秀な女性たちとのサポートネットワークを構築す
ることができた。」
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2021 年6月30日現在のテルストラにおける女性の割合
職務 人数 割合
(ⅰ)
4 40%
取締役会
*(ⅱ)
56 34.4%
上級管理職
CEO 0 0%
CEO-1 3 33.3%
CEO-2 18 36.0%
CEO-3 35 33.7%
*(ⅲ)
2,603 28.7%
中間管理職
*(ⅳ)
5,584 34.0%
運営レベル
*
8,243 32.1 %
テルストラ合計
**
8,454 32.1 %
テルストラ・グループ合計
*
テルストラ・コーポレーション・リミテッドおよびその完全所有子会社の正規社員、パートタイム社員およびアルバイ
トを含み、請負業者および代理店職員を除く。これにはテルストラ・グループのその他の被支配会社の従業員は含まれ
ない。
**
テルストラ・グループの被支配会社の正規社員、パートタイム社員およびアルバイトを含み、請負業者および代理店
職員を除く。
テルストラ・グループ内の被支配企業の情報は、当社のウェブサイト(telstra.com.au/aboutus/investors/financial-
information/financial-results)を参照のこと。
注記:
(i) 人数および割合は、非業務執行取締役に係るものである。
(ii) 上級管理職は、バンドA、BおよびCに指定されるテルストラ内の職務に就いている者により構成される。CEOも上級
管理職の合計に含まれている。
(iii) 中間管理職は、テルストラにおいて、バンド1もしくは2またはこれらに相当するものに指定されている職務に就
いている者により構成される。
(iv) 運営レベルは、テルストラにおいて、バンド3もしくは4またはこれらに相当するものに指定されている職務に就
いている者により構成される。
当社は、2012年職場における男女平等法により、毎年3月31日時点における従業員の性別統計を報告するこ
とを義務づけられている。当社の2021年度の報告書は、職場における男女平等局に提出されており、当社の
ウェブサイト上のtelstra.com/governanceで閲覧可能である。
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6.3.従業員の多様性と包摂性
当年度中のテルストラにおける多様性と包摂性をさらに高めるための当社の取組みは以下を含む。
公平かつアクセス可能な採用
採用候補者のための当社の「面接保証」は、先住民族または障害を抱えていると認定される外部候補者が、
役職の候補者となった場合、面接を提案されることを意味する。新しい手続の先住民族の要素は、オーストラ
リアにおける役職について全ての外部候補者に対して適用される。障害を抱えている人々の要素については、
世界中で適用される。
全ての採用決定は引き続き実績に基づいて行われ、全ての質の高い候補者は、引き続き採用プロセスを通過
していく。しかし、当社の主要な多様性基準を満たし、既に最終選考に残っている候補者が面接を受けられる
よう確保することによって、当社はこうした人々を空席の役職について検討する機会を最大化することがで
き、これにより当社の多様な人材のパイプラインを拡大することができる。
先住民族の雇用
2021事業年度において、当社は、先住民族の雇用へのコミットメントを引き続き実行し、オーストラリアの
従業員数のうち先住民族の割合を1%とする雇用目標を達成した。当社はまた、先住民族であるオーストラリ
ア人の参加率の向上を手助けし、将来における人材を育成するため、キャリア・トラッカーズの先住民族イン
ターンシップ・プログラムとのパートナーシップを継続した。2021事業年度新卒プログラムに申し込んだ以前
のキャリア・トラッカーズのインターン生2人が、プログラムの参加権を得た。当年度、当社はテルストラで
34名のインターンを受け入れ、これによりコミットメントを新たに達成できたことを誇りに思っている。当社
は、キャリア・トラッカーズとの10年間のパートナーシップを継続し、このコミットメントを2030年度まで延
長した。
障害を持つ従業員の雇用
当社は、オーストラリアン・ネットワーク・オン・ディスアビリティ(AND)を通じて障害信頼採用の認定
を受けている。当社は、認定を受けてから今年で3年目に入っており、また、AND年次会議のスポンサーと
なった。当社は職場の評価および調整プロセスを大幅に改善し、障害のある従業員が職場で活躍することがよ
り容易となった。当社は、支援従業員プログラムに投資しており、障害を抱える人々をサポートできるリー
ダーを育成している。
当年度、テルストラはスペシャリスト(Specialisterne)と協働して、ニューロ・ダイバース個人のための
障壁を取り除く代替的な採用方法に注目する、ニューロ・ダイバース採用プログラムを試験的に実施した。こ
の試みを通じて、6名の従業員を新しく採用することができた。このプログラムは、テルストラがソフトウェ
ア・エンジニアリング、AIやその他のIT関連のスキルセットにおける重大な人材の隔たりに対処し、当社の包
摂性のある文化を強化し、障害を抱える現従業員との関与を改善する方法の1つである。
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ニューロ・ダイバース採用
テルストラの採用マネージャーのうち100%が、この試験的プログラムは、従来の採用プロセスにおける障
壁によって通常は見過ごされていた人材に出会う機会を提供するものであることに同意した。ネットワー
ク・ソフトウェア・チャプター・リードのシャロン・カヴァナーは、「このプログラムによって、私は採用
における自身の無意識的・意識的バイアスに気づかされた。結果には目を見張るものがある。」と報告して
いる。
LGBTQI の包摂
レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランス・ジェンダー、クィアおよびインターセックス(LGBTQI)
の包摂は、当社にとって重要である。当社は従業員には自分を隠さずにありのままで来て働くことを後押しす
る、「アウト」ロール・モデルや味方がいることを望んでいる。当社は、プライド・イン・ダイバーシティの
メンバーとして活動しており、当社のスペクトラム・ネットワークは12年目において引き続き活躍している。
2020年、当社は、インターテック・アライアンスに参加し、組織間のメンター・プログラムの開始を主催し
た。ウェア・イット・パープル・デイ(Wear it Purple Day)では、アライシップの重要性をテーマにしたイ
ベントを開催し、包摂について開かれた話し合いを促すために学校でリストバンドを配布できるよう多額の寄
付を行った。当社は、意識を高めるためにLGBTQ+学習モジュールを開始した。2022事業年度において当社は、
ジェンダー肯定方針に基づき、LGBTQ+従業員をサポートするための有給休暇の付与を計画している。
文化的・言語的多様性(CALD)
文化的・言語的に多様な人々の包摂は、当社にとって重要である。テルストラ・チームは、多様な民族的背
景、国籍、言語、伝統、社会構造および宗教によって構成されている。これらの人々が共に、当社の組織に多
様な経験と視点をもたらしており、当社はこれを真に価値のあるものだと考えている。モザイクは、これらの
人々の豊かな多様性を表すために、当社のCALDネットワークによって選ばれた名称である。これは、世界中の
人々がつながり、包摂性がありかつ支援的な環境を作り出すことができるグループである。テルストラ内の多
様性意識を促進することで、当社は全ての人が本当に自分らしくいることができる場所を作り出す。
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6.4. 男女間賃金平等
組織全体でより大きな公平性を推進するための方針とイニシアチブを最適化する中で、男女間賃金平等は、
引き続きテルストラの重要な事項である。当社は、同様の仕事をしている個人の報酬における差異に注目する
ことで、組織内に存在する男女間の賃金不平等を特定および標的化し、削減することに継続的に取り組んでい
る。当社は、類似した役割において、男女間で賃金の支払いに差があるとは考えていない。
昨年と同様に、賃金格差は運営レベルに存在し、ワークストリームと呼ばれる労働協約に基づく固定賃金率
で管理される大部分の運営従業員が主な原因となっている。これらの固定賃金率は、主に男性中心の専門職で
あり、ワークストリーム固定賃金率体系に基づいて雇用されていない同レベルの同僚の賃金と比較した場合、
著しく高い。
当社は、「コンパレシオ」を基準として個人の報酬を比較している。コンパレシオは、従業員の固定報酬
を、当該従業員が位置する市場の報酬範囲の中間値に対して比較するものである。これにより、異なる従業員
グループの報酬について相対的な「公平性」を、従事している仕事の種類とレベルを考慮して比較することが
できる。
以下の2つの表は、テルストラの全体的なポジションおよび男性と女性の従業員両方のコンパレシオを平均
したときの2.6%の差異を示している。当社は、しばらく平等に近い状態が続いているものの、差が0になる
ことを見込んでおらず、また、目指す予定もない。むしろ、時間の経過ととも自然かつ継続的に変化する個人
のコンパレシオが、経験、実績、才能および新たな役職への昇進などの要因を反映していること、また、それ
がいかなる差別や偏見(男女差を含むがそれに限定されない。)の結果ではないことを確実にするよう取り組
んでいる。
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*
オーストラリア平均コンパレシオ
年度 男性 女性 差
2015 1.04 1.01 0.031
2016 1.04 1.00 0.035
2017 1.01 0.99 0.024
2018 1.01 0.98 0.023
2019 1.01 0.97 0.034
2020 0.98 0.95 0.035
2021 1.01 0.96 0.041
*
オーストラリア平均コンパレシオ (ワークストリーム従業員を除く^)
年度 男性 女性 差
2015 1.00 0.99 0.012
2016 0.99 0.98 0.011
2017 0.98 0.97 0.006
2018 0.97 0.97 0.000
2019 0.96 0.95 0.011
2020 0.93 0.94 0.015
2021 0.98 0.95 0.026
*
コンパレシオ分析は、テルストラ・コーポレーション・リミテッドおよびその完全所有子会社の正規社員およびパート
タイム社員を含み、アルバイト、請負業者および代理店職員を除く。これにはテルストラ・グループのその他の被支配
会社の従業員は含まれない。基本給プラス年金の割合として計算される(男性の固定報酬に対する女性の固定報酬の割
合)。
^ ワークストリーム従業員には、テルストラ労働協約に基づき定められた固定報酬が支払われる。
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(2) 【役員の状況】
① 取締役および役員の略歴
取締役
本報告書の日付現在における当社取締役は以下のとおりである。
男性:7名(業務執行取締役であるCEOを含む。)、女性:3名(女性取締役の割合:全体で30%、非業務
執行取締役のうち33%。)
最初に選任 前回再選された
氏名 年齢 役職
された年度 年度(注)
ジョン P マレン
66 会長および非業務執行取締役 2008 2020
最高経営責任者およびマネー
アンドリュー R ペン
58 2015 -
ジング・ディレクター
エールコ・ブロック 64 非業務執行取締役 2019 -
ロイ H チェスナット
62 非業務執行取締役 2018 -
クレイグ W ダン
58 非業務執行取締役 2016 2019
ピーター R ハール
70 非業務執行取締役 2014 2020
ブリジット・ラウドン 33 非業務執行取締役 2020 -
エラナ・ルービン 63 非業務執行取締役 2020 -
ノラ L シャインケステル
61 非業務執行取締役 2010 2019
ニーク・ヤン・ファン・ダンメ 60 非業務執行取締役 2018 -
(注)CEOを除き、取締役は、再選無しに3年以上または選任後3回目の年次株主総会(「AGM」)を超えて(いずれか遅
い方)在職することはできない。一時的な空位を補充するために選任された取締役は、次のAGMにおいて立候補しな
ければならない。
年次株主総会後の2021年10月12日、マーガレット・シーレがテルストラの取締役会から退任した。また、
ピーター・ハールは2021年12月31日付で取締役会から退任する予定である。
2021年8月12日現在(別段の記載がない限り)の各取締役の略歴は以下のとおりである。
ジョン P マレン:
66歳、理学士
2008年7月から非業務執行取締役、2016年4月27日から会長を務めており、直近では2020年に再選された。
指名委員会委員長であり、以前は報酬委員会委員長を務めた(2009-2016年)。
マレン氏は、国際運送および物流における長年の経験を有し、20年以上の間、いくつかの世界最大の運送お
よびインフラストラクチャ企業において上級役職に就いていた。同氏はこの期間に13ヶ国に居住し、勤務して
きた。2011年から2017年の間、同氏は、オーストラリア最大の港湾・鉄道会社であるアシアノの最高経営責任
者を務めた。これ以前には、220ヶ国で140,000名以上もの従業員を雇用する20十億米ドルの企業であるDHLエ
クスプレスに15年間勤務し、2005年から2009年にはグローバル最高経営責任者を務めた。
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DHLの前には、TNTグループに10年間勤務し、1991年から1994年の4年間はオランダに拠点を置くTNTエクス
プレス・ワールドワイドにおいて最高経営責任者を務めた。
その他の上場会社における地位(過去3年間): ブランブルズ・リミテッド会長(2019年に参加、2020年から
会長)およびブルックフィールド・インフラストラクチャ・パートナーズL.P取締役(2021年以降。過去2017-
2020年)。
その他の地位および非営利団体における任命: トール・ホールディングス会長(非公開会社-2017年以降)。
オーストラリア国立海事博物館会長(2016年に参加、2019年から会長)。職場における性差別およびハラスメ
ントに関するUNICEFのタスクフォースメンバー(2018-2019年)。ニューサウスウェールズ大学ビジネスス
クールの諮問委員会メンバー(2005年以降)。ワシントンの全米貿易協議会元会長(2008-2010年)。
アンドリュー R ペン:
58歳、MBA(キングストン)、アドバンスド・マネジメント・プログラム(ハーバード)、勅許公認会計士会
フェローメンバー(FCCA)、オーストラリアPM協会名誉会員
2015年5月1日から最高経営責任者およびマネージング・ディレクターを務める。
オーストラリア最大手の電気通信会社であるテルストラのCEOおよびマネージング・ディレクターに2015年
5月1日付で就任。テルストラにおいて、ペン氏は、5Gを中核に、急激に変化する将来のテクノロジー世界
において競争しうる体制を築くべくテルストラを変革させる意欲的な変革プログラムを主導している。
ペン氏は、電気通信業、金融サービス業および海運業の3つの異なる業界にわたる約40年に及ぶ広範な経歴
を持つ。テルストラには2012年に最高財務責任者として加わった。2014年にはグループ・エグゼクティブ・イ
ンターナショナルとして更なる職責を引き受けた。
テルストラ入社前は、世界有数の保険および投資グループであるアクサ・グループにおいて23年間勤務し
た。アクサ時代には、アクサ・アジア・パシフィック・ホールディングス最高経営責任者(2006-2011年)、
最高財務責任者、アジア担当の最高責任者ならびにオーストラリアおよびニュージーランド担当の最高責任者
を含む役職に就いていた。アクサにおいて、ペン氏は、2011年には10十億豪ドル以上で親会社に売却された、
オーストラリアの会社によるアジアで最も成功したビジネスの一つを築き上げることに尽力した。
その他の地位および任命: ビクトリア国立美術館の理事会メンバー、グループ・スペシャル・モバイル・アソ
シエーション(GSMA)の取締役(2018年以降)、オーストラリア政府のサイバーセキュリティ業界諮問委員会
の委員長、テルストラを代理したナショナル・アンド・トレス・ストレイツ・アイランダーズ・アーツ・ア
ワード(NATSIAA)のパトロン、ベリー・スペシャル・キッズのライフ・ガバナー(2003年以降)およびエイ
ミー・ジレット基金大使。ビッグ・イシューのホームズ・フォー・ホームズおよび若年性糖尿病研究財団の双
方の諮問委員会の委員である。
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エールコ・ブロック:
64歳、理学修士、経営学士
2019年2月15日、非業務執行取締役に任命され、2019年10月15日に選出された。指名委員会の委員を務め
る。
オランダを拠点とする地上通信線および携帯電話の電気通信会社であり、2018年4月まで7年間CEOを務め
たKPNにおいて、約35年間、電気通信業界を経験した。
通信事業サービス、コーポレート・ネットワークス、ネットワーク・オペレーションズを含む複数の事業に
おいて職責を担う前に、KPNの財務においてキャリアを開始した。2006年、KPNの理事会のメンバーに任命さ
れ、順次、固定電話部門、ビジネス市場、ホールセール、オペレーションズおよびモバイル・インターナショ
ナルの職責を担った。2011年4月にCEOに任命された。
2011年から2017年まで、オランダ政府の諮問機関であるオランダ・ナショナル・サイバー・セキュリティ・
カウンシルの共同議長を務めた。2017年から2018年4月まで、国際団体であるGSMAの取締役も務めた。
その他の上場会社における地位(過去3年間): シグニファイNVの監査委員会の委員(2017年以降)。OTEグ
ループの取締役(2019年以降)。ポストNLの監査委員会の元委員(2017-2021年)。
その他の地位および任命: Koninklijke VolkerWessels N.V(2019年以降)およびフェアフォン(2020年以
降)の監査委員会の委員。Reggeborgh Groep BVのアドバイザー(2018年以降)。
ロイ H チェスナット :
62歳、理学士、文学士、MBA
2018年5月11日、非業務執行取締役に任命され、2018年10月16日付で選任された。監査・リスク委員会およ
び指名委員会の委員を務める。
チェスナット氏は、直接通信産業において30年以上の経験を有する。直近では、ベライゾン・コミュニケー
ションズの業務執行副社長および最高戦略責任者を務め、モトローラ、グランデ・コミュニケーションズ、ス
プリント・ネクステルおよびエアタッチを含むその他の主要企業において指導的地位を担った。同氏のベライ
ゾンでの過去6年間のうち、約5年間はベライゾン全体の企業戦略(事業開発、ジョイント・ベンチャー、戦
略的投資、買収および事業売却を含む。)の開発および実施を担う戦略室長を務めていた。
同氏は、国際的業界団体であるGSMAの取締役を務めた経験があり、世界をリードする無線通信事業者から25
名のグローバルな戦略家が集まった最高戦略責任者グループの前会長である。
その他の上場会社における地位(過去3年間): デジタル・タービン・インクの取締役(2018年以降)。アク
センチュア・ルミナリ―の諮問委員会(2021年以降)。サウジ・テレコム(2018-2021年)およびボインゴ・
ワイヤレス・インク(2019-2021年)の元取締役。
その他の地位および任命: FTIコンサルティング・グループ/デルタ・パートナーズ非業務執行パートナー。
ヴイエムウェア・インクおよびティルマン・グローバル・ホールディングスLLCの上級顧問。
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クレイグ W ダン :
58歳、商学士、勅許会計士(FCA)
2016年4月12日、非業務執行取締役に選任され、直近では2019年10月に再選された。監査・リスク委員会委
員長および指名委員会の委員を務める。
ダン氏は、金融サービス、アジア全域の事業活動ならびに政府および主要な企業への戦略的アドバイスの分
野で20年以上の経験を有する、高い評価を受ける実業界のリーダーである。ダン氏は、2008年から2013年ま
で、AMPの最高経営責任者およびマネージング・ディレクターを務め、13年間のキャリアの中で、AMPフィナン
シャル・サービシズのマネージング・ディレクター、AMPバンクのマネージング・ディレクター、企業戦略お
よびM&A部門の代表を含む様々な役職を務めてきた。
以前ダン氏は、1991年から2000年までコロニアル・ミューチュアル・グループに在籍しており、マレーシア
のEON CMBライフ・インシュアランスのマネージング・ディレクター、グループ戦略、M&Aおよびファイナンス
での上級職などを務めた。同氏はまた、2014年の連邦政府の金融制度審議会ならびに消費者および金融リテラ
シー・タスクフォースのメンバーも務めた。
その他の上場会社における地位(過去3年間): ウェストパック取締役(2015年以降)。
その他の地位および任命: ISOブロックチェーン標準委員会委員長(2017年以降)。オーストラリアン・バレ
エの会長(2014年に参加、2015年から会長)。ライオン・ピーティワイ・リミテッドおよびライオン・グロー
バル・クラフト・ビバレッジ・ピーティワイ・リミテッドの取締役(2021年以降)。
ピーター R ハール:
70歳、商学士(ニューサウスウェールズ大学)、インスティチュート・オブ・マネジャーズ・アンド・リー
ダーズ・オーストラリア・アンド・ニュージーランドのメンバー(MIML ANZ)、オーストラリア取締役協会
フェロー(FAICD)、オーストラリア医師会(AMA)メンバー
2014年8月15日、非業務執行取締役に選任され、直近では2020年10月に再選された。人事・報酬委員会委員
長および指名委員会の委員を務める。
ハール氏は、経験豊富な企業取締役であり、日用消費財セクターの上級役員として豊かな国際経験を有して
いる。ハール氏は、1997年から2008年までヤム・ブランズ・インクの上級役員の職務を務めた(2006年から
2008年まで務めたヤム・ブランズのグローバル最高業務執行開発責任者および2002年から2006年まで務めたピ
ザハットの社長を含む。)。過去には、米国およびオーストラリアのエクソンで様々な職務を努めるとともに
シドニーおよびロンドンのペプシコ・インクに従事し、地域副社長の地位にまで到達した。ハール氏は、2012
年から2017年までトレジャリー・ワイン・エステイツの取締役であった。
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その他の上場会社における地位(過去3年間): エンデバー・グループ・リミテッド会長(2021年以降。2021
年6月の上場以前、2019年より次期会長)サントス・リミテッド取締役(2016年以降)。
その他の地位および任命: ニューサウスウェールズ大学のオーストラリア経営学アルムナイ・リーダーズ・グ
ループのメンバー、ステッピング・ストーン基金の理事(2020年以降)およびステッピング・ストーン基金投
資委員会のメンバー(2018年以降)。以前は、米国に拠点のあるUNSWスタディ・アブロード-フレンズおよび
USアルムナイ・インクの名誉会長。
ブリジット・ラウドン:
33歳、商学士(ユニバーシティ・カレッジ・ゴールウェイ)
2020年8月14日、非業務執行取締役に任命され、2020年10月13日付で選任された。指名委員会の委員を務め
る。
ラウドン氏は、Expert360の創設者かつ最高経営責任者である。Expert360はオーストラリアで最も優れた人
材プラットフォームであり、高度な審査・マッチング技術を用いて1,000社以上の企業と3万人以上の優秀な
コンサルタント、プロジェクト・マネージャー、データ・アナリスト、および開発者を結びつけている。
Expert360はハーバード・ビジネス・レビューやエコノミストなどから革新的なプラットフォームとして認め
られている。
2013年にExpert360を設立する前は、シドニーでベイン・アンド・カンパニーの経営コンサルタントとして
働いていた。ベインでは、小売、消費財、鉱業、および教育などの様々な業界にわたり戦略と変革について
ASX 50のリーダーに助言を行うチームの一員であった。
ラウドン氏は、テクノロジーの発展がもたらす機会を捉えるための組織変革を牽引する。顧客の問題の解決
に情熱を持ち、テクノロジーを使って社会に良い結果を生み出したいという強い意志を持っている。
その他の地位および任命: Expert360ピーティワイ・リミテッド(2013年以降)およびE360 ホールディング
ス・ピーティワイ・リミテッド(2019年以降)の取締役。
エラナ・ルービン:
63歳、オーストラリア勲章メンバー(AM)、文学士(優等学位)、修士、フィナンシャル・サービシズ・イン
スティチュート・オブ・オーストラリアのフェロー(FFin)、オーストラリア取締役協会フェロー(FAICD)
2020年2月14日、非業務執行取締役に任命され、2020年10月13日付で選任された。人事・報酬委員会および
指名委員会の委員を務める。
ルービン氏は、不動産、インフラおよび政府部門だけでなく、退職年金やファンドのマネジメントを含む金
融サービス業界において20年以上の取締役会の経験を有する。役員としてのキャリアは労使関係、社会経済政
策および退職年金など多岐にわたる。
顧客重視の消費者向け組織での業務に精通し、商業的利益と規制業界の複雑な要件とのバランスを図る能力
を有する。
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オーストラリア最大かつ革新的なスーパーファンドの一つであるオーストラリアンスーパーの会長および高
い評価を受けている監督機関であり傷害保険機関であるビクトリアン・ワークカバー・オーソリティの会長な
ど、規制の厳しい業界で働いた経験を有し、リスク管理と規制関連の経験が豊富である。
その他の上場会社における地位(過去3年間): アフターペイ・リミテッド会長(2017年に参加、2020年から
会長)。スレーター・アンド・ゴードン・リミテッドの会長代理(2021年8月1日から数か月の予定。2018年
から取締役)。ミルバック・リミテッドの元取締役(2010-2019年)。
その他の地位および任命: イメディエーション・ピーティワイ・リミテッドの諮問委員会の委員(2021年10月
以降)。
ノラ L シャインケステル:
61歳、法学士(優等学位)、博士、オーストラリア取締役協会フェロー(FAICD)
2010年8月から非業務執行取締役を務め、直近では2019年10月に再選された。監査・リスク委員会(元委員
長、2012-2019年)、指名委員会および人事・報酬委員会の委員を務める。
シャインケステル氏は、公的、政府および民間を含む幅広い業界の企業において、25年以上に及ぶ非業務執
行会長および非業務執行取締役としての経験を有する経験豊富な企業取締役である。同氏は、インフラや金融
サービスなどの規制の厳しい分野およびテクノロジーや市場の変化によって大きな混乱に直面している業界で
長年の実績を有する。
シャインケステル氏は、元銀行役員であり、国際金融およびプロジェクト・ファイナンシングでの経験が豊
富である。多数の上場企業の監査委員会やリスク委員会の委員長を務めるなど、財務管理およびリスク管理に
関する幅広い専門知識を有している。
シャインケステル氏は著書を出版しており、かつてメルボルン大学のメルボルン・ビジネス・スクールにお
いて准教授を務めた。また、買収裁定機関の元委員でもあり、ビジネスリーダーシップにおけるオーストラリ
ア社会への貢献によって100周年記念メダルを授与された。
その他の上場会社における地位(過去3年間): AusNetサービシズ・リミテッド(2016年以降)、ブランブル
ズ・リミテッド(2020年以降)、ウェストパック・バンキング・コーポレーション(2021年以降)の取締役。
アトラス・アーテリア・リミテッド(2014-2020年)、アトラス・アーテリア・インターナショナル・リミ
テッド(2015-2020年)およびオセアナゴールド・コーポレーション(2018-2019年)の元取締役。
ニーク・ヤン・ファン・ダンメ:
60歳、修士
2018年10月16日付で非業務執行取締役に選任された。人事・報酬委員会および指名委員会の委員を務める。
ファン・ダンメ氏は、約20年間の直接通信産業の経験を有し、初めのキャリアは、消費財およびリテールを
含む幅広い事業でのブランドおよびカテゴリー管理を主とするものであった。最近では、ドイツ・テレコムの
理事会のメンバーを務め、ドイツ国内の固定回線および移動体通信の責任者であった。また、挑戦的な移動体
ブランドであるベン・ネダーランド(後のT-Mobileネザーランド)を含むその他の主要な企業で指導的地位に
就いていた。ベン・ネダーランドでは、経営委員会の会長を務めた。
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ドイツ・テレコムでは、移動体および固定回線事業の統合を主導し、ドイツ・テレコムを集中型サービスの
主要な事業者にするための基礎を築いた。また、新たなIPコアの設立および4Gネットワークへの多額の投資
を行ない、主要なネットワークの近代化計画を進めた。
会社秘書役
スー・レーバー:
文学士、法学士(優等学位)(モナシュ大学)、オーストラリア取締役協会グラジュエイト(GAICD)、ガバ
ナンス・インスティチュート・オブ・オーストラリアのフェロー(FGIA)
レーバー氏は、2018年2月1日に当社の会社秘書役として選任された。
同氏は、上級経営幹部および取締役会への顧問経験を20年以上有する法律およびガバナンスの上級専門職で
ある。同氏は、取締役会に直属し、同氏の職責には、継続開示遵守、コーポレート・ガバナンスおよび1.4百
万人の当社の株主への連絡が含まれる。
同氏は、1997年に当社へ入社し、副グループ・ゼネラル・カウンセルを含む当社の上級法務職、ならびに、
紛争解決、人事、財務、リスクおよびコンプライアンス、メディアならびにテルストラ・カントリー・ワイド
などを含む当社のゼネラル・カウンセルの役職に従事してきた。
同氏は、モナシュ大学の法学士(優等学位)および文学士を有する。
CEO リーダーシップ・チーム
本報告書の日付現在におけるテルストラCEOリーダーシップ・チームの構成は、以下のとおりである。
●アンドリュー・ペン-CEO(兼業務執行取締役)
●ヴィッキー・ブレーディー-最高財務責任者およびストラテジー&ファイナンス・グループ・エグゼク
ティブ
●マイケル・アクランド-コンシューマー&スモール・ビジネス・グループ・エグゼクティブ
●キム・クロー・アンデルセン-プロダクト&テクノロジー・グループ・エグゼクティブ
●アレックス・バデノック-トランスフォーメーション、コミュニケーション&ピープル・グループ・エグ
ゼクティブ
●デーヴィッド・バーンズ-エンタープライズ・グループ・エグゼクティブ
●ニコス・カティナキス-ネットワーク&IT・グループ・エグゼクティブ
●ブレンドン・ライリー-テルストラ・インフラCo CEO
●ディーン・ソルター-グローバル・ビジネス・サービス・グループ・エグゼクティブ
●リンダル・ストイルズ-サステナビリティ・エクスターナル・アフェアーズ&リーガル・グループ・ゼネ
ラル・カウンセルおよびグループ・エグゼクティブ
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② 取締役の株式保有および報酬
取締役のテルストラ株式保有状況
2021 年8月12日現在、取締役のテルストラ株式保有状況は、下表のとおりである。
取締役
(1)
保有株式数
ジョン P マレン
101,159
(2)
2,152,021
アンドリュー R ペン
エールコ・ブロック 75,000
ロイ H チェスナット
70,000
クレイグ W ダン
70,073
ピーター R ハール
100,000
ブリジット・ラウドン -
エラナ・ルービン 67,961
ノラ L シャインケステル
148,037
ニーク・ヤン・ファン・ダンメ 77,000
(1) 保有株式数は、2021年8月12日時点またはこれより取締役退任日が早い場合は当該取締役退任日時点で取締役により
直接または間接的に保有されている株式である。取締役の関係者(親族を含む。)により保有されている株式を含
む、取締役が関連持分を有さない株式は除外されている。2021年6月30日時点で、取締役およびその関係者により直
接的、間接的および受益的に保有されている総株式数については、下記の報酬報告書の表を参照のこと。
(2) アンドリュー・ペン氏もまた、1,201,242の業績連動型行使権を保有している。
報酬
本セクションの情報は、2021年8月12日現在の最新の情報である。
役員の報酬については下記「第6 1 財務書類」注記5.4を参照のこと。上級役員および非業務執行取締
役の報酬の詳細については以下のとおりである。
テルストラ2021事業年度報酬報告書
人事・報酬委員会委員長のメッセージ
私は、人事・報酬委員会を代表して、テルストラの2021事業年度報酬報告書を喜んで提供する。
当社が最も上級の従業員に対してどのように報酬を提供しているかは、多くの株主にとって重要な問題であ
る。取締役会は、株主の利益を守りながら、同時に当社が引き付けることのできる最高の経営人材を刺激し、
動機付け、保持することとのバランスをとるため、多くの時間を費やしている。
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2021 事業年度の業績
2021 事業年度の業績は、当社が到達した転換点を示しており、株主に長期的な価値を提供するという当社の
コミットメントを明確にしている。報告額基準では、当年度の収益合計(金融収益を除く。)は11.6%減少し
て23.1十億豪ドルとなり、NPAT(税引後純利益)は3.4%増加して1.9十億豪ドルとなった。ガイダンス基準
(1)
では、基礎EBITDAは9.7%減少して6.7十億豪ドルとなった。基礎EBITDAには、650百万豪ドルのnbnに係る
(2) (3)
年間ヘッドウィンド およびCOVID-19による推定380百万豪ドルの財務的影響 が含まれていた。しかし、
nbnヘッドウィンド、激しい競争やCOVID-19パンデミックによる影響が続いたにもかかわらず、当社の基礎事
業において成長の兆しが見られた。
T22 変革プログラム(T22)の進捗は、簡素化とデジタル化、顧客のペインポイントの除去、旧来のシステム
と業務プロセスの除去に焦点を当てることを含め、固定費の基礎費用を490百万豪ドル(8.1%)の削減を促進
した。これにより、2016事業年度以降の固定費の基礎費用の削減の合計は2.3十億豪ドルになり、2022事業年
度の終了時点までに費用純額を2.7十億豪ドル削減する目標の達成に向かう軌道に乗っている。当事業年度の
終了時点で、当社はT22スコアカード測定指標のうち約80%を達成したか、達成に向かう軌道に乗っている。
T22の終わりに近づきつつある中で、当社はT22戦略目標の達成に向けて順調に進行している。2021事業年度の
業績に関する詳細は、上記「第3 3 (3)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の
「通年度の業績および事業運営の検討」に記載されている。
当年度を通じて、当社は、従業員経験価値の向上および働き方の変革に重点を置いていた。当年度において
当社は、従業員との話し合いを経て企業理念を刷新した。企業理念は、より余裕のある時代や意思決定だけで
なく、より困難な時代や意思決定においても導いてくれるものであるため、組織の中で重要な役割を果たす。
当社は、アジャイルな(俊敏な)運営モデルをさらに発展させて柔軟な働き方において主導的立場に立ちつ
つ、私生活と労働生活の両方においてCOVID-19による困難な影響に対処し続ける中で従業員の支援も行った。
従業員エンゲージメント・スコアの結果は当年度終了時点で78となり、これは、当社が設定した野心的な目標
を完全に達成したわけではないものの、世界的な業績の良い企業の上位4分の1にわずか2ポイント及ばない
位置につけることができた。
2021 事業年度の役員報酬結果
テルストラの役員変動報酬制度(EVP)は、報酬の大部分が変動し、リスクにさらされることを確実にする
ように設計されている。業績は、第1次業績評価基準(財務、戦略、顧客および変革の評価基準で構成され
る。)および第2次業績評価基準(つまり付与された業績連動型行使権に関するRTSR業績条件をいう。)の両
方に対して評価される。
2021 事業年度の第1次業績評価基準および目標は、CEOとグループ・エグゼクティブが引き続き当社のT22戦
略に対して成果を上げ、当該役員の報酬が、個人の貢献、当社の業績および長期的な株主価値の創出に直結す
るようにするために取締役会が選定したものである。
2021 事業年度EVPに基づく主な報酬結果には以下が含まれる。
・最大機会の63.8%のCEOの個別EVP結果
・最大機会の58.0%のその他全ての上級役員(すなわち、CEOを除く。)の個別EVP結果平均
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2021 事業年度の多くの財務および非財務の第1次業績評価基準においてプラスの結果が達成され、2021事業
年度のコーポレート・プランおよびT22戦略に対して大きな成果がもたらされた。COVID-19が引き続き当社の
事業に与えた影響にもかかわらず、取締役会は、第1次業績評価基準の結果および基本EVP結果は、達成され
た業績によって左右されると判断したため、COVID-19の影響について調整は行われなかった。ピットストリー
トの電話交換局の売却に関して、この取引は通常、基礎EBITDAに計上されるものであり、実際に、経営陣の
2021事業年度の目標ではこの通りに売却が予算計上された。しかし、利益の規模が大きかったことから、株主
に対する完全な透明性を確保するため、業績報告においては基礎EBITDAから除外されている。もっとも、この
利益は、当該特定の取引において大幅に目標を上回る成果(予算35百万豪ドルに対して102百万豪ドルの利
益)を挙げたこと、およびより広くは、全体的なT22の資産収益化に対して経営陣が高い成績を達成したこと
が認められ、基本EVP結果に計上することが許されている(詳細についてはセクション2.2を参照のこと。)。
ピットストリートの電話交換局の売却がテルストラの全インセンティブ制度の成果に与える平均的な影響は+
1.9%であり、上級役員のEVPへの影響は最大で+2.5%である。
当年度は、2018年にEVPが初めて導入されて以来、EVPに基づき付与された業績連動型行使権が初めてRTSR業
績条件に対してテストされた。第1トランシェは、2017年7月1日から2021年6月30日の4年の業績期間の間
にテストされる、RTSR業績条件の対象となった。直近12ヶ月間の好調な株価業績にもかかわらず、当社は4年
間のRTSR業績条件を下回り、2018事業年度EVPのトランシェ1について権利確定した業績連動型行使権はな
かった。この結果は、「二重ハードル」構造(当初業績期間およびRTSR業績期間の両方で業績が測定され
る。)の影響と、執行役員がEVPに基づき付与された業績連動型行使権から報酬を得るために必要な株価業績
の持続水準に基づくものである。第2トランシェは、2017年7月1日から2022年6月30日の5年の業績期間の
間にテストされる、RTSR業績条件の対象となる。
CEO およびその他の上級役員の2021事業年度の主要な報酬結果ならびに非業務執行取締役の報酬の詳細につ
いては、本報酬報告書内に記載されている。
将来に向けて
2022 事業年度は、2021事業年度の転換点を通過し、T22を完了させ、2023事業年度から2025事業年度に向け
て勢いを強める中で、財務面の成長に関して極めて重要となる年度である。
当社は、地方の顧客を含めた顧客経験価値の向上を継続することや、5Gにおける地理的リーダーシップを
拡大することなど、T22の仕事を完了させることに引き続き全力で取り組んでいる。当社は引き続き、事業の
中核を成長させることだけでなく、医療やエネルギーをはじめとした分野における成長機会の模索を続けてい
く。また、当社は、事業のデジタル化および簡素化ならびに新しい働き方を拡大させる取り組みを完了させた
いと考えている。そしてそうすることで、当社の財務面の目標を実現したいと考えている。
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市場をリードする透明性および開示を提供するという当社のコミットメントの一環として、当社はまた、次
年度の報酬枠組みや目標についても、詳細を提供している。これらは、本報酬報告書内のセクション4に記載
されている。これは、当社の報酬目標および結果の適切性を評価するための有意義な情報を株主に対して提供
するものである。2022事業年度の業績評価基準を設定するにあたり、取締役会は、T22戦略に示された主な成
果および注目すべき出来事、2022事業年度コーポレート・プランに示した計画財務結果ならびに2022事業年度
ガイダンス(2021年8月12日に公表されたもの)を考慮した上で、妥協のない、十分に要求の高い基準および
目標となるようにした。
当社は、2022事業年度について、非業務執行取締役の基本報酬の増加は見込んでいない。また同様に、2022
事業年度について、就任時、新たな役職への昇進時または説明責任の大幅な増加による以外に、上級役員の固
定報酬の増加は見込んでいない。
(1) 2021事業年度のガイダンスは、有形固定資産・無形固定資産に対する減損の不発生を前提としており、また事業の売
却手取金、合併・買収費用および周波数帯の購入費用ならびにピットストリートの電話交換局のセール・アンド・
リースバックによる影響を除いた。当該ガイダンスは、このガイダンスの作成時点において公表されていたnbnコー
ポレート・プランのインプットを含むnbnの影響についての経営陣の最善見積りに基づいている。基礎EBITDAは、nbn
接続費用純額を控除したnbn正式契約に基づく1回限りの受取金純額、1回限りのリストラクチャリング費用および
ガイダンス調整額を除くが、移動体リースの使用権資産の減価償却を含む。
(2) nbnに係る年間ヘッドウィンドは、報告期間における当社事業に与えるnbnの純額ベースでの反復的なEBITDA上のマイ
ナスの影響額として定義される。
(3) 2021 事業年度のCOVID-19による影響には、国際ローミングの減少、コスト削減の遅れ、カスタマーサポートおよびNAS
プロフェッショナル・サービスの繰延における見積りが含まれる。
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テルストラの報酬および2021事業年度における報酬の結果-要旨
下表には、2021事業年度における要旨および報酬の結果が含まれている。
主要分野の焦点 要旨/詳細
テルストラの全体的な報酬体系およびアプローチについて、2020事業年度からの変更はな
かった。
2021事業年度中、就任時もしくは新たな役職への昇進時、または説明責任の大幅な増加によ
る以外に、上級役員の固定報酬の増加は行われていない。2021事業年度中、役員変動報酬制
報酬体系、 度(EVP)の体系および変動報酬機会のレベルに変更はなかった。
固定報酬および 非業務執行取締役の報酬については、2021事業年度中、会長の報酬、非業務執行取締役の年
非業務執行取締役 間基本報酬および常設委員会の報酬に変更はなかった。一部の取締役は、テルストラ・グ
報酬 ループの提案された組織再編に関連して行った、追加のまたは特別な職務に対する報酬を受
け取った。2021事業年度中に非業務執行取締役に対して支払われた報酬については、セク
ション3を参照のこと。
2022事業年度について、当社は、上級役員の固定報酬、また、会長の報酬、非業務執行取締
役の基本報酬および常設委員会の報酬への変更は見込んでいない。
2021 事業年度の 2021事業年度の個別EVP結果は以下のとおりである。
業績および
個別EVP結果(最大値に対する割合)
役員変動報酬制度
CEO 63.8%
(EVP)結果
その他の上級役員(平均) 58.0%
各上級役員の2021事業年度の個別EVP結果は、基本EVP結果、目標EVP機会および個人業績を考
慮して決定され、最終的には取締役会の裁量に委ねられた。
取締役会は、2021事業年度EVPに基づく第1次業績評価基準に対するテルストラの業績評価を
受けて、基本EVP結果を決定した。多くの財務・非財務の評価基準においてプラスの結果が得
られ、2021事業年度のコーポレート・プランおよびT22戦略に対して好調な成果が示された。
基本EVP結果の詳細については、セクション2.2を参照のこと。
上級役員による2021事業年度の個別EVP結果の受領形式は、以下のとおりである。
報酬 時機および条件
現金25% 2021年9月に支払われる。
制限付株式35% 継続的雇用条件に従い、2025年6月30日ま
での4年間にわたり毎年25%が権利確定す
る資格を付与される。
業績連動型行使権40% 相対的株主総利回り(RTSR)業績条件およ
び継続的雇用条件が達成された場合に限
り、2025事業年度末に権利確定する。
詳細については、セクション2.1を参照のこと。
2018 事業年度EVP 2018事業年度EVPに基づき付与された業績連動型行使権の第1トランシェに関するRTSR業績条
業績連動型行使権 件は、2021年6月30日の業績期間終了後にテストされた。この結果および権利確定結果は以
(トランシェ1) 下に詳述されており、業績連動型行使権の権利確定はなかった。
RTSR 結果
業績条件 テルストラの 権利確定した業績連動型
パーセンタイル順位 行使権の割合
2017年7月1日時点のRTSR- 32パーセンタイル 0%
ASX100(資源会社を除く。)
詳細についてはセクション2.3を参照のこと。
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本書で対象となる経営幹部(KMP)
テルストラのKMPは、毎年評価され、テルストラの取締役および上級役員により構成されている。上級役員
という用語は、直接的または間接的に、CEOならびにテルストラおよび当グループの事業の計画、指揮および
統制を行う権限および責務を有する執行役員をいう。各KMPは、別段の記載がない限り、2021事業年度の全期
間、当該役職についていた。
非業務執行取締役 上級役員
現職 現職 KMP ポジション
ジョン P マレン アンドリュー・ペン 最高経営責任者およびマネージング・ディレクター
(CEO)
エールコ・ブロック マイケル・アクランド テルストラ・コンシューマー&スモール・ビジネス
(TC&SB)・グループ・エグゼクティブ(GE)
ロイ H チェスナット キム・クロー・ プロダクト&テクノロジー・グループ・エグゼクティブ
アンデルセン
クレイグ W ダン アレックス・ トランスフォーメーション、コミュニケーションズ&
バデノック ピープル(TC&P)・グループ・エグゼクティブ
*
ヴィッキー・ 最高財務責任者(CFO)およびストラテジー・アンド・
ピーター R ハール
ブレーディー ファイナンス・グループ・エグゼクティブ
ブリジット・ラウドン デーヴィッド・ グローバル・ビジネス・サービス(GBS)・グループ・エ
(2020年8月14日以降) バーンズ グゼクティブ(2020年10月26日まで)
エラナ・ルービン テルストラ・エンタープライズ(TE)・グループ・エグ
ゼクティブ(2020年10月27日以降)
ノラ L シャインケステル ニコス・カティナキス ネットワーク&IT・グループ・エグゼクティブ
*
ブレンドン・ライリー テルストラ・インフラCo・グループ・エグゼクティブ
マーガレット L シーレ
および同CEO
ニーク・ヤン・ ディーン・ソルター グローバル・ビジネス・サービス(GBS)・グループ・エ
ファン・ダンメ グゼクティブ(2021年2月19日以降)
前職
マイケル・エベードAM テルストラ・エンタープライズ(TE)・グループ・エグゼ
クティブ
(2020年10月26日まで)
*
「第5 3 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおり、2021年10月12日、マーガレット・シーレはテルストラ
の取締役会から退任した。また、2021年8月27日、テルストラは、ピーター・ハールが2021年12月31日付で取締役会から退任
することも発表した。
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1.0 報酬方針、戦略およびガバナンス
当社の報酬方針および枠組みは、当社の戦略のサポートならびに当社の文化および価値を強化することを目
的とするものである。
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上級役員の報酬を決定するための当社のガバナンス体制は、以下に概述する要素を含む。
(a) 人事・報酬委員会
委員会はとりわけ、以下を行っている。
・非業務執行取締役、CEOおよびその他の上級役員の報酬ならびにテルストラの全体的な報酬の枠組みを検
討し、取締役会に勧告を行うこと。
・テルストラの全体的な報酬枠組み、また、CEOおよび上級役員の報酬の取決めおよび結果が、テルストラ
の企業理念またはリスク選好度に反する行為には報いずに、テルストラの戦略および成功の追求を従業員
に促すものであるかを監視すること。
・特定の従業員に関するリスクおよび経営陣がそれらのリスクに対処するために導入したリスク管理計画を
検討し、テルストラがそれらのリスクに関してリスク選好度の範囲内で活動しているかどうかを監視する
こと。
・テルストラ内の文化ならびにテルストラの企業理念およびテルストラの行動規範の遵守を促進および強化
するための経営陣のイニシアチブの有効性を監視すること。
・上級役員の後継者計画および人材育成計画について検討すること。
監査・リスク委員会の委員長は、特定の人事・報酬委員会に出席し、監査・リスク委員会が検討した主要な
問題のうち、人事・報酬委員会によるCEOおよび上級役員の業績および報酬結果の評価に関係すると考えられ
るものの概要を提供する。いずれかの委員会が検討した情報および書類は、関連する他の委員会および取締役
会にも提供される。
人事・報酬委員会およびその責務の詳細については、いずれもtelstra.com/governanceにおいて閲覧可能
な、上記「第5 3 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」および人事・報酬委員会規程を参照のこと。
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(b) 年次報酬審査
その役割の一環として、人事・報酬委員会は、CEOおよびその他の上級役員の報酬パッケージについて、固
定報酬およびインセンティブ報酬のバランスがとれており、適切な短期および長期の業績目標を反映している
ことを毎年審査する。
人事・報酬委員会および取締役会は、CEOの固定報酬および変動報酬を審査し、CEOは、他の上級役員に関し
同様の審査を行う。CEOによる他の上級役員の業績および報酬の年次審査の結果は、人事・報酬委員会の審査
および取締役会の承認を必要とする。
(c) インセンティブ設計および業績評価
人事・報酬委員会は、EVPの第1次業績評価基準を含む、業績およびテルストラの企業理念に沿った行動を
促す、健全な測定基準および目標の設定を監督する。取締役会は、それぞれの第1次業績評価基準に対して業
績を評価することにより、基本EVP結果を決定する。基本EVP結果は、各上級役員の個別EVP結果を評価する際
のインプットとして使用される。取締役会はまた、偶発的利益または偶発的損失が生じないようにするため、
結果を調整する裁量権を有する。詳細については、セクション2.1(c)を参照のこと。
(d) 取締役会の意思決定枠組み
取締役会は、変動報酬結果について裁量権を行使する際の指針を提供し、報酬調整の一貫性を高めるため
の、意思決定枠組みを有している。この枠組みは、2021事業年度EVPに基づく個別EVP結果を決定する際に考慮
された。
(e) コンサルタントとの契約
当社は、2021事業年度中、報酬コンサルタントから当社KMPの報酬に関する提案を求めなかった。
(f) 株主および利害関係者との関わり
取締役会会長および人事・報酬委員会委員長は、当社の役員の利益と長期的な株主価値の創出の一致を目的
として、フィードバックを得て当社の報酬体系の有効性をさらに高める機会について検討するため、1年間を
通して利害関係者と話し合いを行った。2021事業年度中、株主および株主助言機関と数多くの会合が開催され
た。
(g) 株式保有方針
テルストラは、CEO、グループ・エグゼクティブおよび非業務執行取締役に適用される株式保有方針を有し
ている。かかる方針の意図は、CEO、グループ・エグゼクティブおよび非業務執行取締役の利益を株主の利益
と合致させることである。
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当社の株式保有方針要件の概要は、以下のとおりである。
株式保有方針要件の概要
任命されてから5年以内の
役職
最低保有要件
CEO 固定報酬の200%
グループ・エグゼクティブ 固定報酬の100%
非業務執行取締役の
取締役会会長
年間基本報酬の200%
非業務執行取締役の
非業務執行取締役
年間基本報酬の100%
以下は、本方針のために個人の株式保有を計算する際に、各種テルストラ株式がどのように評価されるかを
概説している。
本方針におけるテルストラ株式の評価方法
役職 株式 本方針における評価基準
市場で購入された普通株式 取得価格
関連する従業員株式制度に基づい
て付与された制限付株式数を決定
制限付株式
するために使用されるテルストラ
CEOおよび
株式の出来高加重平均株価
グループ・エグゼクティブ
業績連動型行使権 含まれない
業績連動型行使権の権利確定時に 業績連動型行使権が権利確定され
付与されたあらゆる株式 る日のテルストラ株価の終値
会長および非業務執行取締役 市場で購入された普通株式 取得価格
上級役員は、最低保有要件を満たしていない場合には、テルストラ株式売却前に、取締役会、または特定の
状況においては、CEOもしくは会長の承認を得なければならない。最低保有要件に向けての進捗状況は、継続
的に監視されている。
2021 年6月30日現在、CEOは、本方針において認識されている固定報酬の403%の価値に相当するテルストラ
株式を保有していた。少なくとも5年間グループ・エグゼクティブとして在職していた上級役員は、2021年6
月30日時点で、株式保有要件を満たしていた。テルストラ株式における上級役員の持分についての情報は、セ
クション2.5(e)を参照のこと。
本報告書の日付現在の取締役の株式保有状況は以下のとおりである。
・会長は、非業務執行取締役の年間基本報酬の160%の価値に相当するテルストラ株式を保有している。会
長はまだ200%の最低保有要件を満たしていないものの、テルストラの有価証券取引規程に従い許可され
次第、これについて対応することを確認した。
・取締役会における在職期間が12ヶ月以下である1名の取締役を除き、その他の全ての非業務執行取締役
が、最低保有要件を満たしていた。
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2021 年8月12日現在の取締役の株式保有状況は、上記「取締役のテルストラ株式保有状況」に記載されてい
る。
(h) 有価証券取引規程
全てのKMPは、テルストラの有価証券取引規程を遵守しなければならない。この規程は、テルストラの有価
証券は、事前の書面による承諾を得た上で、特定の取引ウィンドウ中でしか取引を行ってはならないという要
件を含んでいる。また、KMPは、テルストラの有価証券の提案された取引がどのように市場に判断される可能
性があるかを考慮し、提案された取引が不適切な方法でそのポジションを利用しているととらえられる可能性
がある場合には、取引を実行してはならない。彼らは、テルストラの有価証券(テルストラの株式制度に基づ
き保有されるものを含む。)を保有することの経済的リスクを制限するヘッジ取引を締結することについても
禁止されている。これは、KMPの利益と株主の利益を合致させることに役立つ。KMPは、毎年当社の有価証券取
引規程の要件を遵守していることを確認することを義務づけられており、これは当社の方針を監視し、実施す
ることの一助となる。当社の有価証券取引規程は、telstra.com/governanceにて閲覧可能である。
(i) クローバック(マルス)方針
クローバック(マルス)方針の適用を監督するため、クローバック委員会が設置されており、これは、有価
証券の権利確定前に、クローバック事由が発生したかどうか、また、権利が確定していない業績連動型行使
権、制限付株式および現金受給権を失効または権利喪失させるかどうかを取締役会が判断できるようにするた
めのプロセスを規定している。クローバック委員会は四半期ごとに開催され、年2回、人事・報酬委員会に対
して報告を行う。クローバック委員会は、TC&Pグループ・エグゼクティブ、CFO、サステナビリティ・エクス
ターナル・アフェアーズ&リーガル(SEAL)・グループ・エグゼクティブ、および最高リスク管理責任者で構
成される。その後、人事・報酬委員会は、権利が確定していない株式に対してクローバックを行う裁量権を行
使するかどうかにつき、取締役会に勧告を行う。
クローバック委員会による検討および勧告を受け、2021事業年度中、上級役員が所有する権利が確定してい
ない株式のクローバックについて勧告および承認はなかった。
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2.0 上級役員の報酬
2.1 2021 事業年度報酬の構成
下表は、2021事業年度中、当社の上級役員について適用される報酬の枠組みを示している。この枠組みにつ
いて、2020事業年度からの変更はなかった。
高度な技能を有する人々 当社の戦略をサポート 金銭的報酬結果を、従業
長期的な株主価値の創出
を引き付け、刺激し、 し、文化および価値を 員の貢献および会社の業
へ調整を行うこと
保持すること 強化すること 績と関連付けること
固定報酬 役員変動報酬制度(EVP)
現金 株式
各上級役員の個別EVP結果は、基本EVP結果(財務、戦略、顧客および変革優先事
基本給与+退職年金 項に対するテルストラの業績に基づく。)、目標EVP機会および個人業績を考慮
して決定され、最終的には取締役会の裁量に委ねられた。
これは、以下を考慮して ・2021事業年度の個別 ・2021事業年度の個別 ・2021事業年度の個別
設定される。 EVP結果のうち25%が EVP結果のうち35%が EVPの結果のうち40%
・スキル、能力、経験お 現金で提供される。 制限付株式として繰り が5年間の相対的株主
よび業績 延べられる。 総利回り(RTSR)の業
・事業の業績、人材の希 ・当初業績期間終了後4 績状況に従う業績連動
少性、経済情勢および 年間にわたり、毎年 型行使権に割り当てら
市況 25%が権利確定の資格 れる。
・テルストラ内のその他 を付与される4つのト ・許容事由以外で雇用が
の部門における増加と ランシェ。 終了した場合または特
の一致 ・許容事由以外で雇用が 定のクローバック(マ
・テルストラと同様の規 終了した場合またはク ルス)事由が発生した
模および複雑性を有す ローバック(マルス) 場合には失効する可能
る企業で構成される外 事由が発生した場合に 性がある。
部対照グループ は権利喪失する可能性
がある。
中長期の持続可能な業績を認識する。
内部で一貫性があり、
戦略的な優先事項につい 長期的な価値創造の推進
利害関係者のための長期
市場競争力のある
て特定の焦点を提供し、 力としての戦略的な非財
的で優秀な業績の達成に
基本報酬
年間業績に対し報酬を提 務の基準の重要性を認識
注力する。
供する。 する。
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(a) 上級役員の2021事業年度報酬の構成要素
以下のグラフは、固定報酬(FR)の割合として示される上級役員の2021事業年度の報酬構成を示している。
目標値の個別EVP結果=以下から構成される固定報酬の200%
* * *
100 %
50 % 70 % 80 %
CEO
固定報酬
EVP 現金 EVP 制限付株式 EVP 業績連動型行使権
株式合計=固定報酬の150%
目標値の個別EVP結果=以下から構成される固定報酬の180%
* * *
100 %
その他の
45 % 63 % 72 %
上級役員
固定報酬
EVP 現金 EVP 制限付株式 EVP 業績連動型行使権
株式合計=固定報酬の135%
*
表示されている割合は、2021事業年度EVPの25%の現金、35%の制限付株式および40%の業績連動型行使権の構成要素
と、CEO(固定報酬の200%)およびその他の上級役員(固定報酬の180%)の2021事業年度EVP目標機会を乗じて計算さ
れている。マイケル・エベード氏は、EVPに基づく2020事業年度および2021事業年度の制限付株式および業績連動型行使
権が割り当てられる前に、許容事由により退職したため、これらの制限付株式および業績連動型行使権に代わって現金
受給権を付与された。上級役員が現金受給権の付与を受けた場合、制限期間およびRTSR業績期間またはRTSR業績条件に
変更はない。
(b) 現在の上級役員の固定報酬および契約の詳細
下表は、2021年8月12日現在、現在の上級役員の現行のサービス契約に適用される固定報酬ならびに通知お
よび退職金の条件を要約したものである。
固定報酬
氏名 役職 通知期間 退職金
(豪ドル)
アンドリュー・ペン CEO 2,390,000 6ヶ月 6ヶ月
GE コンシューマー&スモール・
マイケル・アクランド 1,150,000 6ヶ月 6ヶ月
ビジネス
キム・クロー・
GE プロダクト&テクノロジー
1,000,000 6ヶ月 6ヶ月
アンデルセン
GE トランスフォーメーション、
アレックス・バデノック 930,000 6ヶ月 6ヶ月
コミュニケーションズ&ピープル
CFOおよびGE ストラテジー・アン
ヴィッキー・ブレーディー 1,200,000 6ヶ月 6ヶ月
ド・ファイナンス
GE テルストラ・エンタープライ
デーヴィッド・バーンズ 1,150,000 6ヶ月 6ヶ月
ズ
GE ネットワーク&IT
ニコス・カティナキス 1,100,000 6ヶ月 6ヶ月
*
GE兼CEO テルストラ・インフラCo
ブレンドン・ライリー 1,400,000 6ヶ月
12ヶ月
GE グローバル・ビジネス・サー
ディーン・ソルター 950,000 6ヶ月 6ヶ月
ビス
*
ブレンドン・ライリーは、2011年2月にテルストラに就職した際に交渉された、12ヶ月の退職金条項を契約に有してい
る。テルストラは現在、執行役員の契約においては6ヶ月分の退職金を支払うという方針をとっている。
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テルストラは、通知を行うことで、上級役員に対して、通知期間中の従業を要求することができ、また、通
知の代わりに支払いを行うこと、またはその両方を行うことによって、直ちに雇用を終了することができる。
通知の代わりになされる支払いは、退職日時点の上級役員の固定報酬に基づき算出される。
雇用の終了が、重大な不正行為または人員整理による場合には、退職金の支払いは行われない(テルストラ
の解雇方針に基づく解雇手当が退職金を下回る場合を除く。この場合、退職金の支払いが代わりに適用され
る。)。
(c) 2021 事業年度役員変動報酬制度(EVP)の構成
上級役員が、2021事業年度EVPに参加した。2021事業年度EVPの構成は、下図に示される。
2021 年10月12日に開催された2021年AGMにおいて、当社は、2021事業年度EVPに基づきCEOに分配される制限
付株式および業績連動型行使権について株主の承諾を得た。
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下表は、2021事業年度EVPの主要な特性を概説したものである。
EVP 設計特性 詳細
EVP 報酬機会
固定報酬に対する割合としての報酬機会
グループ・
CEO
エグゼクティブ
閾値 100% 90%
目標値 200% 180%
最大値 300% 300%
当初業績期間 1年(2020年7月1日から2021年6月30日まで)
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個別EVP結果 概要
の計算 各上級役員の2021事業年度の個別EVP結果は、セクション2.5(c)に記載されている。
CEOおよび各グループ・エグゼクティブの個別EVP結果は、それぞれの「目標値の」EVP
報酬機会、基本EVP結果、それぞれの個人業績(グループ・エグゼクティブの場合に
は、各グループ・エグゼクティブに対する相対的な業績を含む。)、ならびに特定され
た重大なリスク事象、その影響の重大性およびその問題に対する執行役員の説明責任な
ど、取締役会の意思決定枠組みに従ったその他の要素を考慮して取締役会によって決定
された。
基本EVP結果
基本EVP結果は、2021事業年度中(当初業績期間という。)の第1次業績評価基準(下
記に詳述される。)に対するテルストラの業績評価を受けて、取締役会によって決定さ
れた。
第1次業績評価基準は独立して運用され、また、各基準には加重があり、定義された業
績閾値、目標値および最大値が存在した。
業績がこれらの水準のいずれかの中間に該当する場合、結果は、CEOおよびその他の上
級役員に関して以下の範囲に応じて比例的に決定された。
取締役会は、偶発的利益または偶発的損失が生じないようにするため、それぞれの第1
次業績評価基準の結果を調整する裁量権を有した。2021事業年度について取締役会に
よって承認された調整の詳細は、セクション2.2に概説されている。
基本EVP結果は、それぞれの第1次業績評価基準の結果の合計として計算されるが、取
締役会は、テルストラの業績、顧客経験価値および株主の期待を含む事項を考慮して、
当該結果が不適切であると判断した場合には、当該結果を調整する裁量権を有した。
基本EVP結果は、各上級役員の個別EVP結果を決定するにあたってインプットとして使用
された。2021事業年度の個別EVP結果を決定するにあたって行使された裁量権の詳細に
ついては、セクション2.3を参照のこと。
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第1次 下記に概説されている第1次業績評価基準は、テルストラのT22戦略およびテルストラ
業績評価基準 のコーポレート・プランの実行ならびに株主価値の向上を達成するにあたり重要な関連
性があるため、2021事業年度について選択された。取締役会は、戦略、顧客および変革
の非財務評価基準がT22戦略の極めて重要な部分の達成を直接実証するものであり、長
期的な価値創造の基本的な牽引役であると考える。
これらの評価基準およびテルストラの業績との関連性についての株主の理解を助けるた
め、各評価基準の詳細を以下に示す。
各評価基準および加重の閾値、目標値および最大値については、セクション2.2を参照
のこと。
第1次業績評価基準
評価基準および指標 選択理由
収益合計 ・財務成績の主要な指標である。
テルストラ社外収益 ・顧客維持および成長への継続した注力を保証する。
(金融収益を除く。) ・T22戦略の第1の柱に合致する。
基礎EBITDA
基礎 EBITDA とは、 nbn 接続
費用( C2C )純額を控除し
た nbn 正式契約に基づく1
回限りの受取金純額ならび
・財務成績の主要な指標である。
に1回限りのリストラク
・利益および費用の適切な追及を保証する。
チャリング費用およびガイ
・基礎的な会社の収益性の強力な指標である。
ダンス調整を除くが、移動
・T22戦略の第4の柱に合致する。
体リース使用権資産の減価
償却費を含む、 EBITDA (利
財務
息、法人所得税、減価償却
( 60 % )
費および償却費控除前利
益)をいう。
フリー・キャッシュ・
フロー(FCF)
M&A 、 周波数帯およびオペ ・財務成績の主要な指標である。
レーティング・リース支払 ・資本集約型の事業に適切であり、また、配当金を支払い、強
を除いたフリー・キャッ 固な資本基盤を維持する会社の能力を管理するために必須で
シュ・フロー( AASB 第 16 号 ある。
に基づく財務活動による ・T22戦略の第4の柱に合致する。
キャッシュ・フローに報告
された。)
・費用の積極的な削減は競争の強まる市場における競争および
堅調な財務成績の達成に不可欠である。
純営業費用の削減
・大幅かつ完全な費用削減は生産性向上および費用削減の目的
非直接変動費の前年比減
に合致する。
・T22戦略の第4の柱に合致する。
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・経営陣が顧客サービス経験価値の継続的改善に特に注力し、
顧客の誘引および維持を牽引することは株主の利益になる。
エピソードNPS ・顧客の不要な労力およびペインポイントの原因を特定および
エピソードNPSの改善 除去することによる経営の質の高さの改善に焦点をおいた会
社全体の改善プログラムを支える。
・ T22 戦略の第1の柱に合致する。
・商品およびサービスを簡素化させることは、顧客が経験する
簡便性、透明性および満足度を向上させ、大幅な費用削減の
商品ポートフォリオの
達成を可能にする。
簡素化
・これらの指標はいずれも、T22戦略の第1の柱に合致する。
現行エンタープライズ商品
・T22戦略の一環として、当社は、2021事業年度末までにテル
現行エンタープライズ商品 ストラ・エンタープライズの商品の50%を合理化することに
テルストラ・エンター 取り組んだ。エンタープライズ顧客にとって簡素化は、充実
プライズ の現行プラン数 した顧客経験価値および収入の維持を確保するため、ときに
顧客との相談を踏まえた、目的に合ったソリューションを要
する。
現行プランのサービス
現行プランのサービス
現行プランにおけるコン
・20の簡素化した接続プランに顧客を移行することで、向上し
シューマー&スモール・ビ
た顧客経験価値の提供を後押しし、単純かつ簡単なテルスト
ジネス固定およびポストペ
ラとの取引を顧客に提供し、顧客に対する将来のデジタル経
イド式サービス
験の提供の準備を後押しする。
・顧客とのデジタル・エンゲージメントの強化は、費用削減へ
デジタル・
の注力を後押ししながら、顧客経験価値を向上させる。
エンゲージメント
・これらの指標はいずれも、T22戦略の第1の柱に合致する。
デジタル・デリバリー
戦略、
・当社は デジタルな販売に係るインターアクト(相互作用)お
顧客
よびデジタルな販売チャネルを通じたマス・マーケットの顧
および
デジタル・デリバリー 客のエンゲージメントを増加させることに引き続き注力して
変革
コンシューマー&スモー おり、3分の1をわずかに超える販売がデジタル・チャネル
( 40 % )
ル・ビジネス・セールスの を通じた販売となることを目標としている。
デジタル・チャネルを通じ ・ これを達成する鍵は、顧客にとって当社のデジタル・チャネ
た取引 ルを利用する価値と利用の簡単さを最大限に高めることにあ
る。
・ 顧客に選択肢を与え、当社のサービスに係る費用を削減し、
利益率を高めることを目的としている。
テルストラ・コネクト
・当社のエンタープライズ顧客にセルフ・サービスのソリュー
テルストラ・コネクト
ションを提供することは、顧客経験価値の向上およびサービ
2021 事業年度の最後の3ヶ
スに関する通話を減らすことによる費用削減の鍵となる。こ
月間においてテルストラ・
れを達成する鍵は、より伝統的なサービス・チャネルから離
コネクトを積極的に利用す
れていく顧客層について、導入を増加させ、新たな機能を発
るテルストラ・エンタープ
展させることにある。この戦略は、顧客のコネクティビティ
ライズ顧客
および経験価値を強化し、当社のサービスに係る費用を削減
し、利益率を高めることを目的としている。
・大規模な混乱の間、当社の従業員および従業員エンゲージメ
ントに焦点を当てることは極めて重要である。
・当社は、経営陣が当社の従業員エンゲージメントの維持およ
従業員の能力および び育成に強く注力することは、当社の意欲的な戦略を達成す
エンゲージメント るために必要な、重要なリーダーシップおよび技術的人材の
高水準かつ持続可能な 双方を当社が確保することを後押しするため、当社の株主の
従業員エンゲージメント・ 利益になると考えている。
スコア ・当社の雇用エンゲージメント・スコアの完全性を確実にする
ため、この業績評価基準は、テルストラ上級リーダーの報酬
にのみ影響を与える。
・T22戦略の第3の柱に合致する。
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第1次業績評価基準を評価するため、取締役会は、外部監査人であるアーンスト・アン
ド・ヤング(「EY」)によって監査された財務書類を含む当グループの業績の審査を
行った。また、第1次業績評価基準に対する業績についてEYおよびテルストラのグルー
プ内部監査によって実施されたその他の業務についても審査を行った。詳細について
は、セクション2.2を参照のこと。
EVP 結果-現金対 各上級役員のEVP結果は、現金(25%)、制限付株式(35%)およびRTSR業績条件に従
株式のバランス う業績連動型行使権(40%)の組み合わせとして提供されている。これにより、現金対
株式の割合は25対75となる。業績連動型行使権の権利を確定する際、保有者は、株式を
受け取るか、テルストラの裁量により、権利確定時に株式の価値に相当する現金額を受
け取る。
株式分配の方法
上級役員に割り当てられる制限付株式および業績連動型行使権の数は、個別EVP結果の
豪ドル額を、制限付株式については35%、業績連動型行使権については40%で乗じて、
2021事業年度の業績の発表の翌日に開始する5日間のテルストラ株式の出来高加重平均
株価で除した数(VWAP)(すなわち額面価額分配法)に基づく。
発行/行使価格 制限付株式および業績連動型行使権は、上級役員の変動報酬の一部を構成するものであ
るため、制限付株式の付与時または業績連動型行使権の付与時もしくは権利確定時にお
いて、上級役員によって支払われるべき額は存在しない。制限付株式および業績連動型
行使権の権利確定時に給付されるあらゆる株式は、いずれも市場で購入される。
株式の制限および 制限付株式
業績期間 制限付株式は、4つの均等なトランシェに権利確定する資格を有し、2021年6月30日
(つまり、当初業績期間終了後)から4年間にわたり、毎年(すなわち、2022年6月30
日、2023年6月30日、2024年6月30日および2025年6月30日)25%が権利確定の資格と
して付与されるようになる。
業績連動型行使権
業績連動型行使権は、2020年7月1日から2025年6月30日の5年の業績期間の間にテス
トされる、RTSR業績条件の対象となる。詳細については下記に概説されている第2次業
績評価基準セクションを参照のこと。
テルストラ株式の50%以上が取得される企業買収など、特定の限定された状況におい
て、取締役会は、業績連動型行使権の権利確定を早め、制限付株式の制限期間の終了を
早めるため、裁量権を行使することができる。
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第2次 第1次業績評価基準に加え(これは2021年6月30日までの1年間に評価される。)、各
業績評価基準 上級役員の個別EVP結果の業績連動型行使権部分は、2025年6月30日における5年間の
業績期間の終了時に、RTSR業績条件が達成された場合に限り、権利が確定する。RTSR業
績条件のテスト後に権利確定する業績連動型行使権は、テルストラの2025事業年度年間
業績の公表を受けて自動的に行使され、また、テスト後に権利確定しない業績連動型行
使権は、その時点で失効する。これは、上級役員が、それぞれの個別EVP結果の業績連
動型行使権部分に関連して、当初業績期間および5年間のRTSR業績期間の両方で業績が
測定されるという二重のハードルを有することを意味している。
RTSRは、RTSR業績期間中に対照グループの他の会社(2020年7月1日時点でS&P/ASX100
指数に含まれる企業(資源会社を除く。))が発行する普通株式の業績と比較した、テ
ルストラ株式の業績(RTSR業績期間中に支払われた現金配当額およびその他の株主に対
する給付を含む。)を測定する。
取締役会は、長期的に役員報酬とテルストラの株価および対照グループの企業の配当金
実績を結びつけていることから、RTSRが適切な二次的業績評価基準であると考えてい
る。これは、株主価値の創出に対し最終的に焦点を当てることを強化するものであり、
実際の報酬結果と長期株主に対し提供される利益を一致させるのに役立っている。
RTSR業績条件に基づき、権利確定する業績連動型行使権の数は、以下のとおり決定され
る。
RTSR 順位 権利確定
50パーセンタイル未満に位置する 0%
50パーセンタイルに位置する 50%
50パーセンタイルから75パーセンタイル 50%から100%まで
の間に位置する ストレートライン基準で権利確定
75パーセンタイル以上に位置する 100%
テルストラのRTSRを計算するために使用される始値および終値のいずれも、当該年度の
6月30日までの30日間のテルストラ株式の日次終値の平均価格である。2021事業年度
EVPについてRTSR業績期間終了時にテルストラのRTSRを決定するために使用される始値
は3.19豪ドルである。
配当 制限付株式
参加者は、制限期間において他のテルストラ株主と一致した制限付株式に対する配当を
受領する。
業績連動型行使権
業績連動型行使権に対する配当は権利確定以前には支払われない。RTSR業績要件の充足
後、最終的に権利確定する業績連動型行使権については、業績連動型行使権の付与と権
利確定の間にテルストラによって支払われた配当と同額の現金が、適用される税制に従
い、権利確定する頃に支払われる(配当同等物支払)。
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退職者 制限付株式および業績連動型行使権の分配前
上級役員が許容事由のために雇用を終了した場合、上級役員は2021事業年度中に雇用さ
れた時間の割合に比例した個別EVP結果を受領する資格を有する。上級役員は、比例す
る個別EVP結果の現金部分を受領する。上級役員は、業績連動型行使権および制限付株
式に代わって現金受給権(または、上級役員が死亡、完全永久障害もしくは特定疾患の
ために雇用を終了した場合、取締役会の裁量により、現金)の付与を受ける。権利確定
時に、上級役員は、適用される制限期間または(該当する場合)RTSR業績期間終了時の
テルストラ株式価値に相当する現金支払いを受給する権利を得る。また、制限付株式に
代わって現金受給権を付与された上級役員は、現金受給権が割り当てられた日から適用
される制限期間の終了日までにテルストラ株式について支払われる配当金に相当する金
額を、テルストラが配当金を支払うのと同じ頃に受給する権利を得る。業績連動型行使
権に代わって現金受給権を付与された上級役員は、現金受給権の権利が確定した場合、
現金受給権の割り当てから権利確定までにテルストラ株式について支払われる配当金に
相当する金額を、RTSR業績期間の終了後に受給する権利を得る。上級役員が現金受給権
の付与を受けた場合、制限期間、RTSR業績期間またはRTSR業績条件に変更はない。上級
役員がその他の理由で雇用を終了した場合、EVPの権利は失効する。これにより、全て
の役員が平等な待遇を受け、退職する役員が引き続き株主の長期的な利益に合致した意
思決定を行うことを確実にする。
制限付株式および業績連動型行使権の分配後
制限付株式および業績連動型行使権の割り当て後に上級役員が許容事由のために雇用を
終了する場合、当該制限付株式および業績連動型行使権は維持される。制限期間、RTSR
業績期間またはRTSR業績条件に変更はない。上級役員がその他の理由で雇用を停止した
場合、制限付株式および業績連動型行使権は失効する。
クローバック 取締役会は、業績連動型行使権の権利確定前または該当する制限期間の終了後に制限付
(マルス) 株式が上級役員に譲渡される前に特定のクローバック事由が発生した場合、業績連動型
行使権および制限付株式をクローバックする裁量権を有する。クローバック事由には、
上級役員による詐欺、不正、重大な違法行為もしくは重大な義務違反、またはテルスト
ラの評判を落とし、もしくはテルストラの長期的な財務の健全性に悪影響を与える行動
を含む。またこれは、業績連動型行使権または制限付株式の付与に繋がった財務成績に
ついてその後重大な誤表示が認められた場合、上級役員がテルストラのリスク管理フ
レームワークに基づく責務を果たすことができず、テルストラのリスク管理フレーム
ワークに対する重大な違反となった場合、また、業績連動型行使権または制限付株式が
不適切な利益であると取締役会が決定した場合といった、テルストラの財務成績に重大
な悪化をもたらす、または主要な規制当局との間のテルストラの立場、評判または関係
性に悪影響を及ぼす可能性のある行為も含まれる。
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(d) 財務成績
下表は、過去5年間のテルストラの主要な財務成績の概略を示している。
2021事業年度 2020事業年度 2019事業年度 2018事業年度 2017事業年度
(1)
財務成績
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
収益
収益合計 23,132 26,161 27,807 28,841 28,205
EBITDA 7,638 8,905 7,984 10,197 10,679
(2)
1,857 1,819 2,154 3,591 3,891
純利益
株主価値
(3)
3.76 3.13 3.85 2.62 4.30
株価(豪ドル)
1株当たりの支払配当金
16.0 16.0 19.0 26.5 31.0
(4)
(豪セント)
(1) これらの結果は、当該期間における会計基準の変更により完全には比較可能となっていない。AASB第16号「リース」
の適用に関する詳細については2020年度年次報告書内の注記1.5を、また、AASB第15号「顧客との契約からの収入」
の適用に関する詳細については2019年度年次報告書内の注記1.5を参照のこと。
(2) テルストラ社の株主に帰属する純利益は、継続事業および非継続事業の業績を含んでいる。
(3) 株価は、毎年6月30日時点のものである。2016事業年度の株価の終値は、5.56豪ドルであった。
(4) 当社は、テルストラの普通株式の保有者に対し、中間および最終配当金の計2回の配当金を毎事業年度中に支払って
いる。この表に含まれる金額は、当事業年度中において支払われた配当金と関連している。そのため、各事業年度に
ついて、金額には前事業年度の最終配当金および当事業年度の中間配当金として支払われた配当金が含まれる。更な
る情報については、下記「第6 1 財務書類」注記4.1を参照のこと。
(e) テルストラ株価と比較した過去の個別EVP結果
以下のグラフは、業績の有用な比較を提供するものであり、過去4年間のテルストラの株価の実績と比較し
た目標機会に対する、2018事業年度から2021事業年度の平均個別EVP結果の割合を示す。
(1) 目標に対する平均した個別EVP結果の割合は、該当期間における全ての上級役員(CEOを含む。)について示してい
る。現金、制限付株式および業績連動型行使権の相対的割合を含め、当期中、EVP構成について変更が行われた。
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2.2 2021 事業年度の基本EVP結果
取締役会は、第1次業績評価基準に照らしてテルストラの業績を評価した。各指標の閾値、目標値および最
大値(2020年報酬報告書に記載の通り。)は、T22戦略に示された主な成果および注目すべき出来事、コーポ
レート・プランに示した計画財務結果ならびに2020年8月13日に公表された2021事業年度ガイダンス(nbnに
係る年間ヘッドウィンドおよびCOVID-19パンデミックが2021事業年度基礎EBITDAに及ぼすと想定されるマイナ
スの影響を考慮したもの)を考慮して、妥協のない、十分に要求の高い基準に設定された。全ての財務評価基
準(純営業費用の削減を除く。)の水準は、各目標値がガイダンスの中央値程度、各最大値がガイダンスの上
限値または上限を上回る値に設定され、市場ガイダンスに照らして評価された。取締役会は引き続き、これら
の水準は、極めて厳しい市場に対して、妥協のない、要求の高い目標だと考えている。
取締役会は、テルストラの業績、顧客経験価値、株主の期待等を考慮して、適切な基本EVP結果を確保する
ための絶対的な裁量権を維持した。COVID-19による当社の事業への継続的な影響にもかかわらず、当社の業績
はガイダンスおよび市場の期待に沿ったものであった。2021事業年度の基本EVP結果は、CEOについて目標機会
の95.7%(最大値の63.8%)、他の上級役員について目標機会の102.7%(最大値の61.6%)であった。
取締役会は、2021事業年度の第1次業績評価基準の結果および基本EVP結果は達成された業績に基づき導き
出されるものと判断し、COVID-19の影響について経営陣への救済は行わなかった。ピットストリートの電話交
換局の売却に関して、この取引は通常、基礎EBITDAに計上されるものであり、実際に、経営陣の2021事業年度
の目標ではこの通りに売却が予算計上された。しかし、利益の規模が大きいことから、株主に対する完全な透
明性を確保するため、業績報告においては基礎EBITDAから除外されている。もっとも、この利益は、当該特定
の取引において大幅に目標を上回る成果(予算35百万豪ドルに対して102百万豪ドルの利益)を挙げたこと、
およびより広くは、全体的なT22の資産収益化に対して経営陣が高い成績を達成したことが認められ、基本EVP
結果に計上することが許されている。ピットストリートの電話交換局の売却がテルストラの全インセンティブ
制度の成果に与える平均的な影響は+1.9%であり、上級役員のEVPへの影響は最大で+2.5%である。
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加重結果
(対目標値(%))
評価項目 加重 目標および業績結果 追加情報
CEO GE
テルストラは2021事業
年度の収益合計(金融
収益を除く。)を
23,132百万豪ドルと報
告した。この結果は外
部監査人のEYによる監
査を受けた。収益合計
は下記の要因により調
整され、23,108百万豪
ドルとなった。これは
収益合計(百万豪ド EVP業績評価基準におい
ル) て閾値を下回るもので
15 % 0% 0%
金融収益を除くテル あった。
ストラの社外収益 取締役会は、2021事業
年度の基本EVP結果が適
切に上級役員の業績を
反映するよう、NBN取引
からの偶発的利益また
は偶発的損失がないよ
うに24百万豪ドルのマ
イナスの調整を承認
し、事業の売却、合併
および買収による収入
を除外した。
テルストラは2021事業
年度の基礎EBITDAを
6,689百万豪ドルと報告
した。この結果は外部
基礎EBITDA(百万豪 監査人のEYによる審査
ドル) を受けた。基礎EBITDA
利息、法人所得税、 は下記の要因により調
減価償却費および償 整され、6,765百万豪ド
却費控除前利益をい ルとなった。これは EVP
い、nbn接続費用 業績評価基準において
(C2C)純額を差し引 閾値および目標値の範
いたnbn正式契約に基 囲内であった。
15 % 14.7 % 14.7 %
づく1回限りの受取 取締役会は、2021事業
金純額、1回限りの 年度の基本EVP結果が適
リストラクチャリン 切に上級役員の業績を
グ費用およびガイダ 反映するよう、NBN取引
ンス調整を除くが、 からの偶発的利益また
移動体のリースに係 は偶発的損失がないよ
る使用権資産の減価 うに76百万豪ドルのプ
償却費を含む ラスの調整を承認し、
ピットストリートの電
話交換局のセール・ア
ンド・リースバックの
影響を盛り込んだ。
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テルストラは2021事業
年度のガイダンスに基
づくFCFを3,812百万豪
ドルと報告した。この
結果は外部監査人のEY
による審査を受けた。
FCF は下記の要因により
フリー・キャッ
調整され、 3,903 百万豪
シュ・フロー
ドルとなった。これは
(百万豪ドル)
EVP業績評価基準におい
周波数帯およびM&Aな
て最大値に達するもの
らびにオペレーティ
であった。
ング・リース支払い
15 % 22.5 % 25.0 % 取締役会は、2021事業
を除くフリー・
年度の基本EVP結果が適
キャッシュ・フロー
切に上級役員の業績を
(AASB第16号に基づ
反映するよう、NBN取引
く財務活動による
からの偶発的利益また
キャッシュ・フロー
は偶発的損失がないよ
に報告された)
うに91百万豪ドルのプ
ラスの調整を承認し、
ピットストリートの電
話交換局のセール・ア
ンド・リースバックか
らの影響を盛り込ん
だ。
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加重結果
(対目標値(%))
評価項目 加重 目標および業績結果 追加情報
CEO GE
上記「通年度の業績およ
び事業運営の検討」セク
ションに示すとおり、基
礎的な固定費用の削減
(EVPにおいて純営業費
用の削減という。)は、
490百万豪ドルとなっ
た。これは、目標値およ
び最大値の範囲内の結果
となった。取締役会は、
純営業費用の削減 結果に対して追加的要因
(百万豪ドル) による調整を行わなかっ
15 % 21.8 % 24.1 %
非直接変動費(DVC) た。純営業費用の削減の
の対前年比の削減 計算は、外部監査人のEY
によって再度行われた。
この結果は、組織全体で
大幅な費用削減を実現す
るという優れた規律によ
るものである。当社は、
2022事業年度末までに
2.7十億豪ドルの純費用
を削減するという目標の
達成に向けた軌道にのっ
ている。
エピソードNPS全体の結
果は目標値にあり、ま
た、テルストラの事業セ
グメントからの調査結果
を加重したものである
(コンシューマー&ス
モール・ビジネスが65%
(合算)およびエンター
プライズが35%(テルス
トラ・エンタープライ
ズ・オーストラリアの
み))。この結果はテル
エピソードNPS ストラのグループ内部監
当社のエピソードNPS 10 % 10.0 % 10.0 % 査による監査を受けた。
の改善 厳しい天候やCOVID-19に
伴うロックダウンなど、
年間を通じて多くの課題
に直面したものの、エピ
ソードNPSの目標である
+32を達成し、前年比で
9ポイントの改善となっ
た。これは、コンシュー
マー&スモール・ビジネ
スおよびテルストラ・エ
ンタープライズの好調な
業績を反映した結果であ
る。
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加重結果
(対目標値(%))
評価項目 加重 目標および業績結果 追加情報
CEO GE
当社は、(618のTE商品と
いう当初の2018事業年度
ベースラインに対して)
2021事業年度末までにテ
ルストラ・エンタープラ
イズの現行商品の数を半
減するというT22戦略の大
きな目標を達成した。
2021事業年度には現行商
品を299に削減し、 これは
EVPにおいて目標値および
最大値の範囲内にあると
判断され た。この結果は
テルストラのグループ内
部監査による監査を受け
た。
当該年度中に当社が廃止
したエンタープライズ商
品には、以下の商品が含
まれる。
テルスト
・コーポレート・モバイ
ラ・エン
ル・プラス、フリー
タープライ
5% 5.6 % 5.8 % ト・コネクト/プラス
ズのプラン
およびビジネス・モバ
(現行プラ
イル・プラス/アドバ
ン数)
ンテージ・プラン(こ
れは、アダプティヴ・
モビリティの立ち上げ
により可能となっ
た。)
・テルストラ・インター
ネット・ダイレクト
(TID)、ビジネスIPお
よびコネクトIPの中の
特定の商品
商品ポー
・マネージド・インター
トフォリ
ネット・ゲートウェイ
オの簡素
およびIPバリュー・ア
化
デッド・サービスの特
定の商品(これは、セ
キュアエッジ・サイ
バー・セキュリティ・
ソリューションの立ち
上げにより可能となっ
た。)
T22 の変革の一環として、
当社は抜本的に簡素化し
た商品の提案を実施し、
C&SB顧客に対し市場にお
いて20の中核的接続プラ
ンを提供している(T22の
変革の開始前は1,800のプ
ランがあった。)。2020
コンシュー 事業年度において、当社
マー&ス はこれらのプランへの顧
モール・ビ 客の移行を開始し、2021
ジネスの固 事業年度においても継続
定およびポ して移行を進め、2022事
ストペイド 5% 7.5 % 8.3 % 業年度までに現行プラン
式のサービ でのサービス数を10百万
スの現行プ とする目標の達成に取り
ラン 組んだ。
(サービス 2021 事業年度末には、現
数) 行の固定およびポストペ
イド式の移動体プランで
8.8百万のサービスの提供
があった。これはEVPにお
いて最大値に達している
と判断された。この結果
はテルストラのグループ
内部監査による監査を受
けた。
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加重結果
(対目標値(%))
評価項目 加重 目標および業績結果 追加情報
CEO GE
デジタル・デリバリーの結
果は、39.3%と判断され、
EVPにおいて目標値および最
大値の範囲内の結果であっ
た。この結果はテルストラ
のグループ内部監査による
監査を受けた。
2021 事業年度のデジタル・
デリバリーは、顧客の重要
なデジタル経験価値の改善
が著しく向上したことに牽
引された。この結果は、主
に、以下の要因に支えられ
た。
・移動体機器やメディア
デジタル・ サービス(ケイヨー
デリバリー (Kayo)やビンジ
(デジタ (Binge)など)のデジタ
ル・チャネ ル販売が大きく伸びたこ
ルを通じた と。
5% 6.1 % 6.4 %
コンシュー ・従来の顧客システムであ
マー&ス るシーベル(Siebel)か
モール・ビ ら新しい顧客システムの
ジネスの販 セールスフォース
売取引) (Salesforce)へと顧客
を移行したこと。
・従来のプランから現行プ
ランへと顧客を移行した
こと。
T22 の一環として確立された
新しい中核的な機能によ
り、COVID-19流行下におけ
るツールのデジタル化と自
動化を迅速に進めることが
デジタ
でき、より多くの顧客の問
ル・
い合わせを迅速にオンライ
エンゲー
ン処理できるようになり、
ジメント
その結果、多くの顧客から
の電話での問い合わせが不
要になった。
顧客経験価値を向上させ、
コストを削減するための鍵
は、サービス・コールを削
減し、当社のプラット
フォームであるテルスト
ラ・コネクトを通じてテル
ストラ・エンタープライズ
の顧客にセルフサービス・
ソリューションを提供する
テルスト
ことにある。テルストラ・
ラ・
コネクトは、テルストラの
コネクト
ビジネスおよびエンタープ
(2021事業
ライズの顧客が、自社の商
年度の最後
品・サービスを1つの場所
の3ヶ月間
で表示および管理するため
においてテ
5% 7.5 % 8.3 % のデジタル・プラット
ルストラ・
フォームである。
コネクトを
2021 事業年度の最後の3ヶ
積極的に利
月間において、テルスト
用したテル
ラ・コネクトのアクティブ
ストラ・エ
ユーザーは9,842存在し、
ンタープラ
EVP において 最大の結果と
イズ顧客)
なった。当社は引き続き、
テルストラ・コネクト上で
仕様や機能を構築・公開
し、テルストラの事業とエ
ンタープライズの顧客経験
価値を向上させていく。 こ
の結果はテルストラのグ
ループ内部監査による監査
を受けた。
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加重結果
(対目標値(%))
評価項目 加重 目標および業績結果 追加情報
CEO GE
従業員の能力&エンゲー
ジメントの結果は78と判
断され、EVPにおいて閾
値を下回り、その結果こ
の要素に対する支払いは
なかった。
当社は、2020事業年度の
エンゲージメント(これ
は主に、COVID-19のパン
デミックに対応して、当
社が組織的に従業員のペ
インポイントを明らかに
し、従業員の経験にプラ
スの影響となるよう行動
したことにより牽引され
た。)の結果に続いて、
2020事業年度のエンゲー
ジメントの結果である83
を維持するという野心的
な目標を設定した。
しかし、2021事業年度の
従業員のエンゲージメン
従業員の能力&エン ト・スコアは、主に従業
10 % 0% 0%
ゲージメント 員が当社のプロセスに不
安を抱えていたことおよ
び物事をシンプルに保つ
必要があったことを理由
として、78に低下した。
エンゲージメントが高く
維持されている事項に
は、従業員が尊重されて
いると感じていること、
職場に柔軟性があるこ
と、およびテルストラで
働くことに誇りを持って
いることなどが含まれ
る。多くの従業員は、自
分の仕事が達成感を与え
てくれると述べ、テルス
トラを素晴らしい職場と
して勧めると述べてい
る。
従業員のエンゲージメン
ト・スコアの計算は、外
部監査人のEYによって再
度行われた。
(対目標値(%)) 95.7 % 102.7 %
合計
(対最大値(%)) 63.8 % 61.6 %
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2.3 個人業績および個別EVP結果を判断する際の取締役会の裁量権の行使
基本EVP結果(上述)は、各上級役員の個別EVP結果のインプットの一つであった。上記2.1で概説したとお
り、各上級役員の個別EVP結果は、基本EVP結果、各上級役員の「目標値の」EVP報酬機会およびその業績(グ
ループ・エグゼクティブの場合には、各グループ・エグゼクティブに対する相対的な業績を含む。)を考慮し
て決定された。また、取締役会は、上級役員の個別EVP結果を決定するにあたり、取締役会の決定の枠組みに
従い、特定された重大なリスク事象、その影響の重大性、問題に対する経営幹部の説明責任等の要因を考慮す
ることに関しても裁量権を有した。
2021 事業年度終了時点で、以下のとおりであった。
・CEOの個人業績は、CEOの年次業績評価プロセスに従い、CEOの個別スコアカード業績、リーダーシップ行
動、リスク管理慣行の効果的な適用を含む様々な事項を考慮して、取締役会によって評価された。
・各グループ・エグゼクティブの個人業績は、年次業績評価プロセスに従い、グループ・エグゼクティブの個
別スコアカード業績、リーダーシップ行動、リスク管理慣行の効果的な適用、他のグループ・エグゼクティ
ブに対する相対的な業績を含む様々な事項を考慮して、CEOによって評価された。CEOによる各グループ・エ
グゼクティブについての提案された評価は、推奨のため人事・報酬委員会に提供され、その後、承認のため
取締役会に提供された。
2021 年5月13日、オーストラリア連邦裁判所は、先住民族の顧客への非良心的販売について当社がACCCと合
意した和解(罰金を含む。)を承認した。昨年、取締役会は、2020事業年度の個別EVP結果を決定するにあた
り、これらの問題が発生した事業分野に対し責任のある上級役員について、2020事業年度のEVPに基づく個別
報酬の結果を減額した(これらの役員への支払いは総額で758,000豪ドル減少した。)。今回、本件が終結し
たことから、取締役会は個別報酬の結果についてこれ以上の調整を行っていない。
2021 事業年度の個別EVP結果については、下記2.5(c)の表を参照のこと。
2.4 2018 事業年度EVP業績連動型行使権RTSR結果
2018 事業年度EVPの下で、2つのトランシェの業績連動型行使権が付与された。第1トランシェは、2017年
7月1日から2021年6月30日までの4年間の業績期間において測定されたRTSR業績条件の対象となった。第2
トランシェは、2017年7月1日から2022年6月30日までの5年間のRTSR業績条件の対象となる。各トランシェ
の業績連動型行使権は、該当する業績期間において、テルストラのRTSRが、2017年7月1日現在ASX100を構成
する対照グループ(資源会社を除く。)との比較で50パーセンタイル以上に位置する場合にのみ権利が確定す
る。業績条件のテストを受けて権利が確定した各業績連動型行使権により、上級役員にはテルストラ株式1株
(または、テルストラの裁量により、テルストラ株式1株の価値に等しい現金)を受け取る権利が付与され
る。
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業績連動型行使権の第1トランシェのRTSR業績条件は、2021年6月30日に業績期間が終了したことに伴いテ
ストされた。テスト結果および権利確定の結果は以下のとおりである。結果は外部の会社によって算定され
た。
2018 事業年度EVP(トランシェ1)権利確定の結果
パーセンタイル・
テスト日 業績条件 権利確定
ランク
2017年7月1日現在のASX100(資源会
2021年6月30日 32パーセンタイル 0%
社を除く。)との比較でRTSRを測定
取締役会は、買収、支払不能および上場廃止などの事情がある場合には、対照グループから企業を除外する
裁量権を有する。取締役会は、結果の算定に先立ち、2018事業年度EVPの条件に基づき以下の企業を対照グ
ループから除外する裁量権を行使した。
2018 事業年度EVP(トランシェ1)対照グループからの除外
対照グループから除外された企業 除外の理由
タッツ・グループ(Tatts Group)
買収
ウェストフィールド・コーポレーション(Westfield Corporation)
買収
インベスタ・オフィス・ファンド(Investa Office Fund)
買収
フェアファックス・メディア(Fairfax Media)
合併
ヘルスコープ(Healthscope) 買収
デュラックスグループ(Duluxgroup) 買収
TPGテレコム・リミテッド(TPG Telecom Limited)
合併
2.5 報酬およびテルストラ株式における持分の詳細
本セクションの表は、上級役員情報を開示しており、上級役員としての任期のみ表している。
(a) 上級役員について2021事業年度中に具体化した実際の報酬
一般的原則として、オーストラリア会計基準は、株式報酬の価値が、付与時に計算され、業績期間および該
当する役務提供期間にわたって経費処理されることを義務づけている。これは、上級役員が当該事業年度中に
実際に受領または権利を得たものを反映していない場合がある。
本セクションの各表は、任意に開示されたものであり、オーストラリア会計基準に準拠して作成されたもの
ではない。これらは、2021事業年度において上級役員であった期間中に上級役員が実際に受領した、または受
領する権利を与えられた報酬および給付について、株主に対してより高い透明性を提供するものである。
上級役員は変動報酬のうち大部分を株式という形で受け取る。変動報酬について上級役員が実際に受け取る
報酬額は、テルストラの株価の実績および変動報酬が付与されるか否かに直接的に結びついている。これは、
当社の報酬制度が株主の利益と効果的に一致すること、また報酬と業績の連動性を示していると考える。
上級役員の報酬についての表は下記2.5(b)から(e)を参照のこと。
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以下の表は、CEOが2021事業年度中に受領した、または受領する権利を与えられた実際の報酬を2020事業年
度と比較したものである。CEOが受け取った実際の報酬が45.1%増加したことは、以下を反映している。
- 2021 事業年度の会社の業績が好調であったことに伴い2021事業年度の個別EVP結果が2020事業年度と比較し
て増加した結果、また、2020事業年度EVPの下で取締役会がCEOの個別報酬の結果を減額させる裁量権を行使
したことに伴い2020事業年度の支払いが減少した影響の結果、付与された現金が増加したこと(上記2.3参
照)。
- 2021 事業年度において、2020事業年度との比較でより多くの制限付株式(前事業年度に取得した変動報酬に
関連するもの。)の制限が解除され、また、当該株式の価値が(2020年6月30日現在の株価3.13豪ドルに対
し)2021年6月30日現在の株価3.76豪ドルを用いて報告されていること。
権利が確定したEVP
制限の解除された
現金払いの 業績連動型行使権
EVP 制限付株式
固定報酬 合計 前年比
個別EVP結果 およびその他の権
氏名 事業年度
の価値
(千豪ドル) (千豪ドル) (%)
利の価値
2
(千豪ドル) 3、4
5
(千豪ドル)
(千豪ドル)
2021 2,390 1,144 1,771 - 5,305
アンドリュー・ペン +45.1%
1
2,390 866 400 - 3,656
2020
1. 2020年報酬報告書の報告に基づく。
2. 2021事業年度については、同事業年度中に取得し、2021年9月に支払われる同事業年度のEVPの現金部分に関連する額
である。2020事業年度については、同事業年度中に取得し、2020年9月に支払われた同事業年度のEVPの現金部分に関
連する額である(この金額は、2020年報酬報告書の2.3に概説されているとおり、CEOの2020事業年度の個別EVP結果を
決定する際に取締役会が裁量権を行使したことに起因する減額を反映している。)。
3. 本表の株式は、各年6月30日のテルストラの株価に基づき評価されている。かかる株価は、2021事業年度については
3.76豪ドル、2020事業年度については3.13豪ドルである。
4. 金額は、前事業年度に制限付株式として提供された変動報酬の価値に関連する。2021事業年度において報告された額に
ついては、これらの株式の制限期間は2021年6月30日に終了し、2019事業年度のEVPおよび2020事業年度のEVPのトラン
シェ1に関連する。2020事業年度において報告された額については、これらの株式の制限期間は2020年6月30日に終了
し、2018事業年度のEVPのトランシェ2に関連する。
5. 2018事業年度(トランシェ1)のEVPの結果では、業績連動型行使権は権利確定されなかった。
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以下の表は、上級役員(CEOを除く。)が2021事業年度中に受領した、または受領する権利を与えられた実
際の報酬である。
権利が確定した
制限の解除された
EVP 業績連動型行使権
現金払いの
EVP 制限付株式
固定報酬 合計
およびその他の権利
個別EVP結果
氏名
の価値
(千豪ドル) (千豪ドル)
の価値
1
2、3
(千豪ドル)
2、4
(千豪ドル)
(千豪ドル)
マイケル・アクランド 1,144 516 782 766 3,208
キム・クロー・アンデルセン 1,000 518 75 − 1,593
アレックス・バデノック 930 443 738 − 2,111
ヴィッキー・ブレーディー 1,200 525 407 − 2,132
デーヴィッド・バーンズ 1,102 505 889 − 2,496
ニコス・カティナキス 1,100 500 585 − 2,185
ブレンドン・ライリー 1,400 723 906 − 3,029
ディーン・ソルター 344 151 − − 495
本表は、2021年6月30日現在上級役員の地位にある者(CEOを除く。)のみを記載している。
1. 2021事業年度中に取得し、2021年9月に支払われる同事業年度のEVPの現金部分に関連する額である。
2. 本表の株式は、2021年6月30日のテルストラの株価の終値3.76豪ドルに基づき評価されている。
3. 金額は、前事業年度中に取得されたが2021年6月30日に終了する制限期間の対象となった、2019事業年度および2020事
業年度(トランシェ1)のEVPに基づき付与された制限付株式の価値に関連する。マイケル・アクランド氏およびデー
ヴィッド・バーンズ氏についてのみ、グループ・エグゼクティブに任命される前に発行された、2018事業年度のSTI繰
延制度に基づき付与された制限付株式の価値を含む。
4. 2018事業年度(トランシェ1)のEVPの結果では、業績連動型行使権は権利確定されなかった。マイケル・アクランド
氏については、金額は、C&SBグループ・エグゼクティブに任命される前に付与されたリテンション権の第2トランシェ
に関連する。
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(b) 上級役員の報酬(主要な表)
下表は、会社法および関連するオーストラリア会計基準の要件に基づき作成され、各役員が上級役員であっ
た期間にのみ関連するものである。持分決済型の株式報酬欄に記載されている数値は、会計上の価値に基づく
ものであり、2021事業年度または2020事業年度に上級役員が受領した実際の金額を反映するものではない。
株式報酬
退職後 退職 その他の
会計上の価値(アット・リス
短期従業員給付
給付 給付 長期給付
8
ク)
給与 非貨幣 業績連動
制限付 現金受給
EVP 退職年 未払 未払
および報 性 その他 退職給付 型 報酬合計
株式 権
現金 金 休業給付 配当相当
酬 給付 行使権
(千豪ド (千豪ド (千 豪ド
氏名および役職 年度 額
(千豪ド (千豪ド
(千豪ド (千豪ド (千豪ド
(千豪ド (千豪ド (千豪ド
4 6 12
(千豪ド
2 5 7 9 11
ル) ル) ル)
1 3 10
ル) ル) ル)
ル) ル)
ル)
ル) ル) ル)
アンドリュー・ペン 2021 2,368 1,144 12 20 22 – 59 156 1,338 662 – 5,781
CEO 2020 2,369 866 10 (46) 21 – 59 106 942 711 – 5,038
マイケル・アクランド 2021 1,122 516 0 (21) 22 – 28 48 559 428 – 2,702
コンシューマー&スモー
ル・ビジネス
2020 1,091 379 1 (22) 21 – 28 16 351 477 – 2,342
グループ・エグゼクティ
ブ
キム・クロー・アンデル
2021 978 518 20 (5) 22 – 25 7 330 119 – 2,014
セン
プロダクト&テクノロ
ジー
2020 473 175 149 204 11 – 12 – 47 17 – 1,088
グループ・エグゼクティ
ブ
アレックス・バデノック 2021 908 443 2 3 22 – 23 62 529 278 – 2,270
トランスフォーメーショ
ン、
コミュニケーションズ&
2020 909 406 3 – 21 – 23 36 375 234 – 2,007
ピープル
グループ・エグゼクティ
ブ
ヴィッキー・ブレー
2021 1,178 525 4 (5) 22 – 30 43 498 251 – 2,546
ディー
CFO 2020 1,179 461 8 44 21 – 30 28 311 176 – 2,258
デーヴィッド・バーンズ 2021 1,080 505 12 35 22 – 28 51 597 253 – 2,583
テルストラ・エンタープ
ライズ
2020 979 435 60 (14) 21 – 25 16 373 184 – 2,079
グループ・エグゼクティ
ブ
ニコス・カティナキス 2021 1,078 500 20 (1) 22 – 27 43 526 234 – 2,449
ネットワーク&IT
グループ・エグゼクティ 2020 1,079 405 30 26 21 – 27 13 303 142 – 2,046
ブ
ブレンドン・ライリー 2021 1,378 723 16 (38) 22 – 35 81 734 387 – 3,338
インフラCo
グループ・エグゼクティ 2020 1,379 513 10 – 21 – 34 54 487 366 – 2,864
ブ兼CEO
ディーン・ソルター 2021 336 151 – 11 8 – 8 – 32 10 – 556
グローバル・ビジネス・
サービス
2020 – – – – – – – – – – – –
グループ・エグゼクティ
ブ
マイケル・エベード AM
2021 365 69 4 11 7 1,154 9 9 (40) 147 662 2,397
テルストラ・エンタープ
ライズ
2020 1,129 356 8 28 21 – 28 13 282 135 – 2,000
前グループ・エグゼク
ティブ
2021 10,791 5,094 90 10 191 1,154 272 500 5,103 2,769 662 26,636
現KMPおよび前KMP合計
2020 10,587 3,996 279 220 179 – 266 282 3,471 2,442 – 21,722
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上記の表において、EVP現金、制限付株式および業績連動型行使権は、業績条件(当該業績条件の概要は上記2.1(c)に記
載)の充足に依拠する。その他の項目は全て業績に関連しない。
1. 給与および給与繰延給付(退職年金に含まれる給与繰延退職年金を除く。)を含み、該当する場合、無給休暇について
の調整を行っている。
2. 2021事業年度の額は、2021事業年度EVPに基づく2021事業年度の業績に関連し、2021年9月に支払われた。2020事業年
度の額は、2020事業年度EVPに基づく2020事業年度の業績に対して支払われた現金の額に関連する(アンドリュー・ペ
ン氏、マイケル・アクランド氏およびヴィッキー・ブレーディー氏については、2020年報酬報告書の2.3に概説されて
いるとおり、同氏らの2020事業年度の個別EVP結果を決定する際に取締役会が裁量権を行使したことに起因する減額を
反映している。)。当該現金額は、2020年9月に支払われた。
3. テルストラの商品およびサービスの個人使用、駐車場の提供ならびに該当する場合はこの数年でオーストラリアに帰国
または転勤した役員のためのテルストラの転勤ポリシーに従った継続的な税務アドバイスにかかる費用を含む。該当す
る場合、非貨幣性給付の価値は、関連するFBTの利率によってFBTにグロスアップ計算されている。
4. 年次休暇給付金額の純増減額を含む。2020事業年度については、キム・クロー・アンデルセン氏に提供された額には、
テルストラの転勤ポリシーに従いオーストラリアへの転勤の一環として提供された現金支給およびプロダクト&テクノ
ロジー・グループ・エグゼクティブの役職への任命の一環として提供された100,000豪ドルの現金での契約金について
も含まれる。
5. 退職年金への会社の拠出額を示す。テルストラはその他の退職後給付は提供しない。
6. マイケル・エベード氏の退職給付1.154百万豪ドルは、いずれも同氏の雇用契約のとおり、かつ該当する場合には退職
年金拠出額を含み、通知の代わりの支払い577,000豪ドル(オーストラリア連邦2009年公正労働法に基づく法定最低額
を含む。)および退職金577,000豪ドルから成る。退職給付は、会社法2D.2、第2部を遵守して提供された。
7. 長期勤続休暇給付金額の純増減額を含む。
8. 表中の会計上の価値は、事業年度の開始時点で完全に付与が行われていない全ての制限付株式、業績連動型行使権およ
び現金受給権の当事業年度の償却価額に関連している。各持分証券の価値は、下記「第6 1 財務書類」注記5.2で
記載されるとおり、評価方法を適用することで計算され、または付与日におけるテルストラ株式の市場価格に基づいて
おり、その後当該権利確定期間の最大達成分配に基づき償却された。この価値には、証券が当事業年度中に権利喪失し
ない限り、権利確定期間の末日に確定されるとの想定が含まれている。
9. これには、2021事業年度、2020事業年度および2019事業年度のEVPの制限付株式部分の償却価額が含まれる。マイケ
ル・アクランド氏およびデーヴィッド・バーンズ氏については、グループ・エグゼクティブに任命される前にSTI繰延
制度に基づき付与された制限付株式の償却額も含む。マイケル・エベード氏のマイナスの値は、これまでは株式報酬費
用として認識されていた費用の戻入れによるものであり、これは現金受給権に再分類されている。
10.これには、2021事業年度、2020事業年度および2019事業年度のEVPの業績連動型行使権部分の償却価額が含まれる。マ
イケル・アクランド氏についてのみ、2021事業年度について開示された額には、コンシューマー&スモール・ビジネ
ス・グループ・エグゼクティブに任命される前に付与されたリテンション権についての償却価額も含まれる。
11.EVP現金受給権はそれぞれの制限期間および業績期間の終了まで権利確定の対象とはならないものの、AASB第2号に基
づき要求されるとおり、マイケル・エベード氏に付与された2020事業年度および2021事業年度のEVP現金受給権の会計
費用は当報告期間において全額認識されている。現金受給権は、他の上級役員に割り当てられた(または割り当てられ
る)2020事業年度および2021事業年度の制限付株式および業績連動型行使権と同一の時間条件および業績評価の対象と
なる。
12. 本表の2020事業年度の合計の21.722百万豪ドルは、昨年の報告書で報告されたクリスチャン・フォン・レーベントロー
氏(前プロダクト&テクノロジー・グループ・エグゼクティブ)についての1.306百万豪ドルを含まないため、2020事
業年度報酬報告書における2020事業年度の合計の23.028百万豪ドルとは異なる。
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(c) 2021 事業年度EVP支払い(現金および持分)
1
2021 事業年度個別EVP結果の内訳
制限付
業績連動型
最大潜在
現金部分 個別EVP 最大機会
株式部分
行使権部分 最大機会の
的EVP機会
氏名 25 % 結果 喪失の割合
35 %
40% 割合(%)
2
(千豪ドル) (千豪ドル) (% )
3
(千豪ドル)
(千豪ドル)
(千豪ドル)
アンドリュー・ペン 7,170 1,144 1,602 1,830 4,576 63.8 % 36.2 %
マイケル・アクランド 3,431 516 723 826 2,065 60.2 % 39.8 %
キム・クロー・アンデルセン 3,000 518 724 828 2,070 69.0 % 31.0 %
アレックス・バデノック 2,790 443 619 708 1,770 63.4 % 36.6 %
ヴィッキー・ブレーディー 3,600 525 735 840 2,100 58.3 % 41.7 %
デーヴィッド・バーンズ 3,450 505 707 808 2,020 58.6 % 41.4 %
ニコス・カティナキス 3,300 500 700 800 2,000 60.6 % 39.4 %
ブレンドン・ライリー 4,200 723 1,011 1,156 2,890 68.8 % 31.2 %
ディーン・ソルター 1,031 151 212 242 605 58.7 % 41.3 %
マイケル・エベード AM
1,134 69 96 110 275 24.3 % 75.7 %
1. 2021事業年度の個別EVP結果は、取締役会により2021年8月10日に承認された。
2. 利用可能な最大潜在EVP機会に影響を与える2021事業年度を通した固定報酬における変動または無給休暇に対して調整
された、2021事業年度の上級役員を務めた期間に特有の最大潜在EVP機会を示す。最低限の業績を満たさない場合、EVP
の最低支払可能額はゼロである。
3. 付与された制限付株式および業績連動型行使権は、テルストラの2021年年次株主総会の直後に分配された。また、制限
期間および業績期間に服し(上記2.1(c)に記載されている。)、上級役員の勤続を条件とする。
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(d) 2021 事業年度に分配、権利確定および行使される持分証券に対する権利の数および価値
持分の動き
2021 2021
2020 年 確定または その他の 2021 年
付与された
事業年度中 事業年度
7月1日の 行使された 変更 6月30日の
権利の価値
氏名 中に確定
保有権利 に付与され 権利の価値 (失効した 保有権利
3
または行使
1 4 5 6
(千豪ドル)
2
合計 (千豪ドル) 権利) 合計
た権利
された権利
アンドリュー・ペン 941,835 451,184 496 – – (191,777) 1,201,242
マイケル・アクランド 405,920 197,525 377 (203,688) 766 – 399,757
キム・クロー・アンデルセン – 91,175 174 – – – 91,175
アレックス・バデノック 340,390 211,657 404 – – (57,774) 494,273
ヴィッキー・ブレーディー 215,334 240,312 459 – – (65,886) 389,760
デーヴィッド・バーンズ 203,130 226,636 433 – – – 429,766
ニコス・カティナキス 164,095 211,006 403 – – – 375,101
ブレンドン・ライリー 475,929 267,014 510 – – (101,104) 641,839
ディーン・ソルター – – – – – – –
マイケル・エベード AM
168,169 – – – – – 168,169
過去の事業年度に付与され、2021事業年度に確定した権利についての全ての役務条件および業績条件は、付与された各
当該年度の有価証券報告書の報酬セクションに要約されている。上表中の2021事業年度に権利が付与、確定または行使さ
れた各持分証券(該当する場合)は、テルストラにより発行されたものであり、(権利の確定および行使により)各持分
証券につき1株のテルストラ普通株式(またはテルストラの裁量により、テルストラ普通株式1株に相当する金額の現
金)が株主に提供された、または、将来提供されるものである。権利の付与、確定または行使に際して、KMPによる支払い
は不要である。制限付株式は、本表から除外されているため、詳細は上記表2.5(c)および下記表2.5(e)を参照のこと。
1. 残高は、2020年7月1日または役員がKMPに就任した日のいずれか遅い日において保有していた持分証券数を反映して
いる。詳細は上記「本書で対象となる経営幹部(KMP)」を参照のこと。
2. 2021事業年度に分配された権利は、2020年11月13日に分配された2020事業年度EVP業績連動型行使権であった。アンド
リュー・ペン氏に分配された業績連動型行使権の発行については、2020年年次株主総会において株主により承認され
た。2021事業年度EVP業績連動型行使権は、2021年年次株主総会の直後に分配された。詳細は上記2.1を参照のこと。
3. 公正価格は、業績連動型行使権についてのオプション・プライシング・モデルを使用したAASB第2号に基づき要求され
る評価方法を反映している。2020事業年度EVPに基づき2021事業年度中に分配された業績連動型行使権の公正価格は、
CEOについては2020年10月13日の付与日、その他の上級役員については2019年8月15日の付与日に基づいている。2020
事業年度EVPに基づき付与された業績連動型行使権の公正価格は、CEOについては1.10豪ドル、上級役員については1.91
豪ドルである。
4. 権利が確定/行使された業績連動型行使権の価値は、証券の権利が確定した日付の市場価格を反映している。2021事業
年度中にマイケル・アクランド氏について権利確定したリテンション権は、2021年年次報告書の日付以降に株式として
付与された。
5. 特定の業績評価基準または役務条件が達成されなかったことにより失効した権利に関連している。この欄に記載されて
いる失効した権利は、2021事業年度末に業績テストが行われ、業績連動型行使権の100%が失効した2018事業年度のEVP
の下で付与された業績連動型行使権の第1トランシェに関連する。
6. 残高は、2021年6月30日またはそれ以前の場合は役員のKMPとしての地位が終了した日において保有されていた権利の
数を反映している。詳細については、上記「本書で対象となる経営幹部(KMP)」を参照のこと。
KMPの関連当事者が保有する業績連動型行使権またはオプションおよび当社グループのKMPが間接的または受益者として
保有する業績連動型行使権またはオプションはない。2021年6月30日現在、権利確定がなされ、当該権利が行使可能また
は行使不可能なオプションまたは業績連動型行使権はない。
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(e) 上級役員のテルストラ株式における持分
2021 事業年度中、当社の上級役員およびその関連当事者は、以下のようにテルストラ株式を直接的、間接的
にまたは受益者として保有していた。
2021 年
2020 年 2021 年
売買された
付与された 6月30日の
7月1日の 6月30日の
氏名 株式および
名義上保有
3
1,2 1,4
制限付株式
その他の変更
4,5
保有株式合計 保有株式合計
株式数
アンドリュー・ペン 1,757,235 394,786 – 2,152,021 825,773
マイケル・アクランド 327,488 172,834 – 500,322 342,723
キム・クロー・アンデルセン – 79,778 – 79,778 79,778
アレックス・バデノック 256,349 185,200 – 441,549 335,095
ヴィッキー・ブレーディー 179,216 210,273 – 389,489 265,981
デーヴィッド・バーンズ 363,186 198,306 – 561,492 385,286
ニコス・カティナキス 169,397 184,630 – 354,027 294,027
ブレンドン・ライリー 1,018,553 233,637 – 1,252,190 1,252,190
ディーン・ソルター 5,500 – – 5,500 5,500
マイケル・エベード AM
112,113 – – 112,113 112,113
合計 4,189,037 1,659,444 – 5,848,481 3,898,466
1. 保有株式合計には、当社の上級役員およびその関連当事者により保有される株式が含まれている。当社の従業員持株制
度に関連していない限り、2021事業年度中に当社の上級役員およびその関連当事者により売買された株式は、市場価格
による独立当事者間取引に基づいている。
2. 2020年7月1日または役員がKMPに就任した日のいずれか遅い日において保有されていた株式数を反映している。詳細
は上記「本書で対象となる経営幹部(KMP)」を参照のこと。
3. この欄の制限付株式は、2020年11月13日に分配され、2020事業年度EVPに関連する。アンドリュー・ペン氏に分配され
た制限付株式の発行については、2020年年次株主総会において株主により承認された。2021事業年度EVPに基づく制限
付株式の分配は、2021年6月30日の報告日後に行われたため、それらは上表に含まれていない。
4. 残高は、2021年6月30日またはそれ以前の場合は役員がKMPから退任した日において保有される株式数を反映してい
る。詳細は、上記「本書で対象となる経営幹部(KMP)」を参照のこと。
5. 名義上、上級役員が間接的にまたは受益者として保有していた株式およびその関連当事者が保有していた株式を示し、
上級役員が受益者として保有していた特定の制限付株式が含まれる。これらの株式は、制限期間が終了するまで上級役
員が取引を制限される制限期間の対象となっている。詳細については、下記「第6 1 財務書類」注記5.2を参照の
こと。
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3.0 非業務執行取締役の報酬
3.1 2021 事業年度報酬構成
(a) 概要
当社の非業務執行取締役は、定額の報酬を受け取り、業績ベースの報酬は受け取らない。これにより、非業
務執行取締役が、当社の将来の方向性に影響を与える決定を行う際に、独立性および公平性を保つことが可能
となる。
オーストラリア証券取引所上場規則およびテルストラの規程に従って、退職年金拠出額は、各非業務執行取
締役の合計報酬に含まれる。非業務執行取締役は、法的要件に従い、その報酬のうち退職年金とされる割合を
増加させることを選択することができる。
テルストラは、上記の退職年金拠出額の他に退職給付を提供していない。
本報酬セクションの1.2(g)および(h)は、非業務執行取締役に適用される、株式所有方針および証券取引に
おける制約の詳細を提供している。下記表3.2は、2021事業年度の非業務執行取締役の報酬の詳細を提供して
いる。
当社の非業務執行取締役は、AGMにおける株主の決議による承認のみにより決定および変更することのでき
る報酬額の合計を定める、テルストラの定款に基づき報酬を与えられている。現在の3.5百万豪ドルの年間報
酬額は、テルストラの2012年AGMにおいて株主により承認された。2021事業年度に非業務執行取締役に支払わ
れた、退職年金を含む取締役会または委員会の報酬の合計は、承認された報酬の範囲内であった。
(b) 2021 事業年度の取締役会および常設委員会の報酬
事業年度中、取締役会または常設委員会の報酬に増加はなかった。2021事業年度の取締役会および常設委員
会の報酬の構成(退職年金を含む。)は、以下のとおりであった。
非業務執行取締役
2021 事業年度取締役会報酬 会長
(年間報酬)
取締役会 775,000豪ドル 235,000豪ドル
2021 事業年度委員報酬 委員長 委員
監査・リスク委員会 70,000豪ドル 35,000豪ドル
人事・報酬委員会 56,000豪ドル 28,000豪ドル
*
- -
指名委員会
*
非業務執行取締役は全員が指名委員会の委員であり、当該委員会の報酬を受領しない。
取締役会会長の報酬は2014年以降、非業務執行取締役の年間報酬は2012年以降変更がなく、2022事業年度に
おいてもこれらの報酬の増額はない予定である。取締役会会長は、取締役委員会の委員である場合、委員報酬
を受領しない。
(c) テルストラの会社再編案に関連する追加的または特別な職務に対する報酬
当社の定款では、取締役会の要請により取締役が会社のために追加的または特別な職務を行う場合、テルス
トラは取締役会の定めるところにより取締役に報酬を支払うことができる。
2021 事業年度中に、一部の取締役は、テルストラ・グループの再編案に関連して行った追加的または特別な
職務に対して、以下のとおり報酬を受領した。
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・クレイグ・ダン氏、エラナ・ルービン氏およびノラ・シャインケステル氏―2020年11月12日に公表された
テルストラ・グループの再編案の策定および実施、ならびに再編案からまたは再編案に関連して生じるその他
の事項に関して取締役会が設置した特別取締役委員会の委員としての職務に対する報酬(ジョン・マレン氏に
ついては、この委員会の委員としての職務に対して追加の支払いは行われなかった。)。
・クレイグ・ダン氏およびノラ・シャインケステル氏―テルストラの会社再編案に関するスキーム・ブック
レットに関連して実施されるデュー・ディリジェンス・プロセスについて取締役会の承認を得て設立された委
員会の委員としての職務に対する報酬。
クレイグ・ダン氏、エラナ・ルービン氏およびノラ・シャインケステル氏が受領した追加的または特別な職
務に対する報酬の詳細については、下記3.2に記載される。
(d) 取締役会および委員会の構成の変化
当年度中、ブリジット・ラウドン氏は、2020年8月14日付で取締役会に任命された。2021事業年度中の取締
役会および委員会の構成にその他の変更はなかった。
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3.2 報酬およびテルストラ株式における持分の詳細
(a) 非業務執行取締役の報酬
短期従業員給付 退職後給付
給与および報酬 非貨幣性給付
事業 退職年金 報酬合計
氏名および役職
1 2
年度 (千豪ドル) (千豪ドル)
(千豪ドル) (千豪ドル)
2021 753 7 22 782
ジョン P マレン
会長
2020 754 8 21 783
4
2021 231 – 4 235
エールコ・ブロック
2020 231 – 4 235
取締役
4
2021 265 – 5 270
ロイ H チェスナット
2020 265 – 5 270
取締役
2021 296 – 22 318
クレイグ W ダン
取締役
2020 284 – 21 305
2021 291 – – 291
ピーター R ハール
取締役
2020 280 – 11 291
3
2021 189 – 18 207
ブリジット・ラウドン
2020 – – – –
取締役
2021 268 – – 268
エラナ・ルービン
取締役
2020 83 – 8 91
2021 284 – 22 306
ノラ L シャインケステル
取締役
2020 277 – 21 298
2021 248 – 22 270
マーガレット L シーレ
取締役
2020 249 – 21 270
4
2021 258 – 5 263
ニーク・ヤン・ファン・ダンメ
2020 258 – 5 263
取締役
2021 3,083 7 120 3,210
合計
2020 2,681 8 117 2,806
1. 取締役常設委員会の委員のための報酬および追加的または特別な職務に対する報酬(該当する場合。)を含む。2021事
業年度において、追加的または特別な職務に対する報酬を受領した非業務執行取締役は、クレイグ・ダン氏(12,500豪
ドル)、エラナ・ルービン氏(4,500豪ドル)およびノラ・シャインケステル氏(7,500豪ドル)である。
2. 会長に提供されるテルストラの商品およびサービスの原価の他、駐車場の提供を含む。非貨幣性給付の価値は、関連す
るFBTの税率でFBTにグロスアップされている。
3. ブリジット・ラウドン氏は、テルストラの非業務執行取締役に任命された2020年8月14日から、当社のKMPとしての資
格を有している。
4. エールコ・ブロック氏、ニーク・ヤン・ファン・ダンメ氏およびロイ・チェスナット氏は、海外居住者であるため、彼
らの2021事業年度の退職年金拠出額は、オーストラリア居住の非業務執行取締役に対する拠出額よりも少ない。
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(b) テルストラ社の株式における非業務執行取締役の持分
2021 事業年度中、当社の非業務執行取締役およびその関連当事者は、以下のとおりテルストラ株式を直接
的、間接的にまたは受益者として保有していた。
2020年7月1日の 売買された株式お 2021年6月30日の 2021年6月30日の
氏名
1,2 1 1 3
保有株式合計 よびその他の変更 保有株式合計 名義上保有株式
ジョン P マレン
101,159 – 101,159 75,000
エールコ・ブロック 75,000 – 75,000 –
ロイ H チェスナット
70,000 – 70,000 70,000
クレイグ W ダン
73,173 – 73,173 72,473
ピーター R ハール
100,000 – 100,000 –
ブリジット・ラウドン – – – –
エラナ・ルービン 51,728 16,233 67,961 –
ノラ L シャインケステル
150,265 8,142 158,407 125,854
マーガレット L シーレ
310,540 – 310,540 310,540
ニーク・ヤン・ファン・ダンメ 74,000 3,000 77,000 –
合計 1,005,865 27,375 1,033,240 653,867
1. 保有株式合計には、当社の非業務執行取締役およびその関連当事者により保有される株式が含まれている。2021事業年
度中に当社の非業務執行取締役およびその関連当事者により売買した株式は、市場価格による独立当事者間取引に基づ
いている。
2. ブリジット・ラウドン氏について、2020年7月1日時点の残高は、KMP就任日付で保有されていた株式を表している。
3. 名義上、非業務執行取締役が間接的にまたは受益者として保有していた株式を示し、その関連当事者が保有していた株
式を含む。
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4.0 2022 事業年度の見通し
4.1 2022 事業年度の上級役員の報酬の枠組み
2022 事業年度について、当社は、就任時もしくは新たな役職への昇進時または説明責任の大幅な増加による
以外に、上級役員の固定報酬の増加は見込んでおらず、また、EVPの報酬体系についても大幅な変更を行う予
定はない。
T22 完了後の当社の戦略を検討するにあたり、当社の役員報酬の枠組みが、今後も当社の報酬方針および戦
略に沿ったものとなるよう確保していく。
2022 事業年度についてのEVPの構成は以下のとおりである。
2022 事業年度EVPの構成の詳細については、2022年報酬報告書に記載する予定である。
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4.2 2022 事業年度EVPの業績評価基準および目標
2022 事業年度は、2021事業年度の転換点を通過し、T22を完了させ、2023~2025事業年度に向けて力強い勢
いをつけるという、財務面での成長の要となる年である。
当社は、株主が当社の報酬の目標および結果の妥当性を評価することができるよう、引き続き有意義な情報
を提供していく考えである。これにより、株主に当社の報酬の枠組みおよび結果について高い透明性が提供さ
れる。取締役会は、当社の経営環境においては会社および株主のために生み出される価値について好調な経営
業績を適切に評価し、報酬を与える必要性を株主が慎重に検討することが要求されるため、このような透明性
は必要不可欠であると考える。
下記の表は、2022事業年度EVPに適用される業績評価基準および目標を示している。これらの業績評価基準
および目標は、CEOおよびその他の上級役員がT22戦略に対して引き続き成果を出せるように、また、金銭的報
酬が上級役員の貢献、会社の業績および長期的な株主価値の創造に直接的に結びつくように、取締役会が選定
した。
2022 事業年度EVPの第1次業績評価基準は、テルストラ・エンタープライズ商品の商品ポートフォリオ簡素
化の指標の廃止以外は、ほとんど変更されていない。この指標は、2021事業年度末までに現行のテルストラ・
エンタープライズ商品数を半減させるというT22の目標を達成したことから廃止された。これまでこの指標に
割り当てられていた加重はエピソードNPSに再配分され、これにより15%の加重へと修正された(これまでは
10%)。戦略、顧客および変革の指標は、当社の製品およびサービスに対する顧客満足度の向上と密接に関連
しているため、廃止された指標からエピソードNPSに加重を移すことで、当社の経営陣がサービスに対する経
験価値とサービスの提供の継続的な改善に注力し続けることにつながると考えている。
2022 事業年度EVPの第1次業績評価基準および目標を設定するにあたり、取締役会は、T22戦略に示された主
な成果および注目すべき出来事、2022事業年度コーポレート・プランに示した計画財務結果ならびに2022事業
年度ガイダンス(2021年8月12日に公表されたもの)を考慮した上で、妥協のない、十分に要求の高い基準お
よび目標となるようにした。
2022 事業年度EVPに適用される目標は、市場ガイダンスを構成しない。1年を通じたその後のガイダンスの
調整(例えば、計画外の1回限りの出来事に関する調整)およびそれらの調整によるEVP結果への影響は、上
級役員の業績が適切に結果に反映されるように、確立された原則に従い、これらの事象が発生する可能性のあ
る事業年度中および事業年度末の両方で考慮される。取締役会が行う調整は、翌年の報酬報告書において株主
に完全に開示される。また、取締役会は、テルストラのビジネス状況および優先事項を考慮した上で適切であ
ると判断する場合は、自ら業績評価基準を修正することができる。
次の全ての評価基準は、下記のとおりT22戦略に直接的に結びついていることを前提に選定された。
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2022 事業年度EVP業績評価基準および目標
2021
*
2022 事業年度
事業年度
業績評価基準 指標 加重 選択理由
ベース
閾値 目標値 最大値
ライン^
・財務成績の主要な指標であ
る。
テルストラの社
23,108 ・顧客維持および成長への継続
収益合計 外収益(金融収 15.0%
百万豪ドル した注力を保証する。
益を除く。)
・T22戦略の第1の柱に合致す
る。
基礎EBITDAと
は、利息、法人
所得税、減価償
却費および償却
・財務成績の主要な指標であ
費控除前利益を
る。
いい、nbn接続費
・利益および費用の適切な追及
市場ガイ 市場ガイ
用(C2C)純額を
6,765 を保証する。
* *
市場ガイ
基礎EBITDA 控除したnbn正式 15.0%
ダンス の ダンス の
百万豪ドル ・基礎的な会社の収益性の強力
*
契約に基づく1
下限値ま ダンス の 上限値ま
な指標である。
回限りの受取金
たは下限 中央値程 たは上限
・T22戦略の第4の柱に合致す
純額、1回限り
を上回る 度 を上回る
る。
のリストラク
値 値
財務
チャリング費用
加重
およびガイダン
全体の
ス調整を除く。
60 %
・財務成績の主要な指標であ
る。
M&A および周波数 ・資本集約型の事業に適切であ
フリー・ 帯を除いたリー り、配当金を支払い、強固な
3,903
キャッシュ・ ス支払い後のフ 15.0% 資本基盤を維持する会社の能
百万豪ドル
フロー(FCF) リー・キャッ 力を管理するために必須であ
シュ・フロー る。
・T22戦略の第4の柱に合致す
る。
・費用の積極的な削減は競争の
強まる市場における競争およ
び堅調な財務成績の達成に不
非直接変動費の 可欠である。
純営業費用の 490 380 430 530
削減(対前年 15.0% ・大幅かつ完全な費用削減は生
削減 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
比) 産性向上および費用削減の目
的に合致する。
・T22戦略の第4の柱に合致す
る。
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2022 事業年度EVP業績評価基準および目標
2021
*
2022 事業年度
事業年度
業績評価基準 指標 加重 選択理由
ベース
閾値 目標値 最大値
ライン^
・経営陣が顧客のサービス体験を継続
的に改善させることに特に注力し、
それにより顧客の集客および定着の
いずれも促進することは、当社株主
の利益にかなう。
エピソードNPS
エピソード NPS 15 % +32 +34 +36 +38 ・顧客の不要な労力とペインポイント
の改善
の原因を特定して除去することによ
り、経営の質の高さを向上させるこ
とに焦点を置いた全社的な改善プロ
グラムを支える。
・ T22 戦略の第1の柱に合致する。
・商品およびサービスを簡素化するこ
とで、顧客が経験する簡便性、透明
性および満足度を向上させ、かつ大
固定およびポ 幅な費用削減の達成が可能になる。
商品ポート ストペイド式 ・簡素化された20の接続プランに顧客
フォリオの の移動体サー 5% 8.8 百万 9.7 百万 10 百万 10.2 百万 を移行することで、顧客経験価値を
簡素化 ビスの現行プ 向上させ、顧客にとってテルストラ
ラン との取引を簡潔かつ容易にし、将来
的に顧客にデジタル化された体験を
提供するための準備が整う。
・T22戦略の第1の柱に合致する。
戦略、
顧客
・顧客とのデジタル・エンゲージメン
および
トを強化することで、費用削減に重
変革
点を置いた取り組みを後押ししつ
加重
つ、顧客経験価値を向上させる。
C&SB のデジタ
全体の
・デジタル販売チャネルを通じたデジ
ル販売のイン 5% 39.3 % 43 % 45 % 55 %
40 %
タル販売のインタラクションおよび
タラクション
マス・マーケットの顧客のエンゲー
ジメントの拡大は、引き続き重要な
焦点であり、売上の3分の1強がデ
デジタル・
ジタル販売チャネルを通じたものと
エンゲージ
なることを目標としている。
メント
・これを実現するために重要なこと
は、デジタル・チャネルを利用する
TE のデジタル
顧客にとっての価値と使いやすさを
サービスのイ
最大化することである。
5% n/a 38.5 % 40 % 45 %
ンタラクショ
・顧客に選択肢を提供し、サービス費
ン
用を削減し、利益率を向上させるこ
とを予定している。
・これらの各指標は、T22戦略の第1の
柱に合致する。
・従業員のエンゲージメントを重視す
最重視される る。
従業員の
持続可能な従 ・当社の意欲的な戦略を達成するため
能力および
業員のエン 10% 78 80 84 85 に必要な、重要なリーダーおよび技
エンゲージ
ゲージメン 術人材の双方を当社が確保すること
メント
ト・スコア を後押しする。
・T22戦略の第3の柱に合致する。
^ 2022 事業年度の目標値について、ベースラインとは、上記2.2に概説された2021事業年度EVP業績結果を意味する。
*
市場ガイダンスとは、テルストラの2021年8月12日付ASX公表に記載されているとおり、2022事業年度のガイダンスを意味す
る。
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5.0 用語
基本EVP結果 取締役会が、当初業績期間中のEVPに基づき第1次業績評価基準に対するテルストラの
業績を評価し、結果が適切であることを確保するために必要と考える調整を行った上で
決定した結果で、各上級役員の個別EVP結果を決定するためのインプットの一つとして
使用される。
現金受給権 EVPに関して制限付株式および業績連動型行使権が付与される前に、許容事由のために
雇用を中止する上級管理職に対し、制限付株式および業績連動型行使権の代わりに付与
される権利。現金受給権は、制限付株式および業績連動型行使権に適用されるものと同
じ時間制限および業績評価基準の対象となる。権利を確定した時点で、上級役員は、適
用される制限期間または業績期間終了時のテルストラ株式の価値に相当する現金の支払
いを受ける権利を得る。また、上級役員は、制限付株式の代わりに付与された現金受給
権により、現金受給権が割り当てられた日から適用される制限期間の終了日までにテル
ストラ株式に対して支払われる配当金に相当する額を、テルストラが配当金を支払うの
と同時期に受給する権利を得る。上級役員は、業績連動型行使権の代わりに付与された
現金受給権により、現金受給権が確定した場合には、現金受給権の割当てから権利確定
までに支払われる配当金に相当する額を、適用される業績期間の終了後に受給する権利
を得る。
EBITDA 利息、法人所得税、減価償却費および償却費控除前利益
EVP 役員変動報酬制度
固定報酬またはFR 基本給に会社および個人の給与繰延退職年金給付を加えたもの。
FY 事業年度
個別EVP結果 各上級役員の業績、基本EVP結果、「目標値の」EVP報酬機会および取締役会の決定の枠
組みに従ったその他の要因(特定された重大なリスク事象、その影響の重大性および問
題に対する上級役員の説明責任等)を考慮して、EVPに基づき各上級役員が取得した個
別の報酬。
当初業績期間 1年(2020年7月1日-2021年6月30日)
KMP 経営幹部
TM
NBN取引
nbn coネットワークの敷設におけるテルストラの参加に関するnbn および政府との間の
契約。これは、正式契約の全体的収益および当社の事業に対する純額ベースでの反復的
なマイナスのNBNヘッドウィンドを含む。
NPS ネット・プロモーター・スコアは、テルストラにおける顧客経験価値を測定するために
使用する財務以外の業績評価基準。
エピソードNPSの業績評価基準は、顧客が実際にテルストラのサービスを体験した後に
実施される内部調査に対する回答に基づく指標。
テルストラのエピソードNPS全体の結果は、テルストラの事業セグメントからの調査結
果を加重平均したものである(コンシューマー&スモール・ビジネスが合わせて65%、
テルストラ・エンタープライズが35%寄与)。
業績連動型行使権 一定の業績評価基準および継続雇用条件への適合を条件とした業績期間終了時における
株式または、テルストラの裁量により、株式価値に相当する現金を受給する権利。
許容事由 EVPに基づく許容事由は、死亡、完全永久障害、特定疾患、業績または行動とは無関係
の理由による企業主導の別離、解雇または退職である。EVPの業績連動型行使権および
制限付株式にかかる条件に基づく許容事由には、相互別離も含まれる。
関連当事者 ある人物の関連当事者とは、以下の者を意味する。
・当該人物の近しい家族、および/または
・当該人物または近しい家族が直接または間接的に支配力、共同支配力または著しい影
響力を有している事業体
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制限付株式 制限期間の対象となっているテルストラ株式。
制限期間 テルストラ株式が継続雇用条件の制約下にあり、取引できない期間。制限付株式は、上
級役員がテルストラ有価証券取引規程に基づいて株式の取引ができる制限期間が終了し
た翌日に上級役員に譲渡される。
RTSR 相対的株主総利回り(RTSR)は、同一期間中に対照グループの他の会社が発行する普通
株式のパフォーマンスと比較した、テルストラの普通株式のパフォーマンス(期間中に
支払われた現金配当額およびその他の株主に対する給付を含む。)を測定する。
RTSR業績期間 2025年6月30日に終了する5年間の業績期間で、当該期間にわたり、2021事業年度EVP
の業績連動型行使権のRTSR業績条件が測定される。
上級役員 CEOならびにテルストラおよびグループの事業を直接的または間接的に計画、指揮およ
び管理する権限および責務を有するKMPであるグループ・エグゼクティブを指す。
基礎EBITDA 基礎EBITDAとは、利息、法人所得税、減価償却費および償却費控除前利益をいい、nbn
接続費用(C2C)純額を差し引いたnbn正式契約に基づく1回限りの受取金純額、1回限
りのリストラクチャリング費用およびガイダンス調整を除く(2021事業年度に限り、基
礎EBITDAは、移動体のリースに係る使用権資産の減価償却費も含む。)。
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(3) 【監査の状況】
上記「第5 3 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」の項目3、4.1及び4.2を参照のこと。
また、アーンスト・アンド・ヤングは、2007年より当社の外部監査人を15年間つとめている。1999年から
2006年までの間、オーストラリアの会計検査院長が当社の監査人であることが会社法に基づく法的要件であっ
た。会計検査院長は、独立した外部監査業務の遂行を支援するための代理人にアーンスト・アンド・ヤングを
任命した。
監査報酬の内容等
① 外国監査公認会計士等に対する報酬の内容
前連結会計年度 当連結会計年度
区分
監査証明業務に基づく 非監査業務に基づく 監査証明業務に基づく 非監査業務に基づく
報酬(百万豪ドル) 報酬(百万豪ドル) 報酬(百万豪ドル) 報酬(百万豪ドル)
7.583 2.160 8.076 3.069
提出会社
(610.13百万円) (173.79百万円) (649.79百万円) (246.93百万円)
2.587 0.064 2.545 0.262
連結子会社
(208.15百万円) (5.15百万円) (204.77百万円) (21.08百万円)
10.170 2.224 10.621 3.331
計
(818.28百万円) (178.94百万円) (854.57百万円) (268.01百万円)
② その他重要な報酬の内容
該当なし。
③ 外国監査公認会計士等の提出会社に対する非監査業務の内容
下記「第6 1 財務書類」注記 7.1 参照。
④ 監査報酬の決定方針
下記「第6 1 財務書類」注記 7.1 参照。
(4) 【役員の報酬等】
該当なし。
(5) 【株式の保有状況】
該当なし。
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第6 【経理の状況】
( イ)本書記載のテルストラ・コーポレーション・リミテッド(以下「テルストラ社」という。)およびその被支配
会社(総称して「テルストラ・グループ」という。)の2021年および2020年6月30日に終了した事業年度の財務
書類は、2001年オーストラリア会社法およびオーストラリア会計基準、ならびに国際財務報告基準と同等のオー
ストラリア版国際財務報告基準(A-IFRS)に従って作成されたものである。テルストラ・グループおよびテルス
トラ社の採用した会計基準、会計処理および表示方法と、日本において一般に公正妥当と認められる会計基準、
会計処理および表示方法との間の相違点に関しては、「4 日本とオーストラリアにおける会計原則および会計
慣行の主な相違」に説明されている。
テルストラ・グループおよびテルストラ社の財務書類は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規
則」(昭和38年大蔵省令第59号-以下「財務諸表等規則」という。)第131条第1項の規定の適用を受けてい
る。
( ロ) 本書記載の財務書類は、外国監査法人等(「公認会計士法」(昭和23年法律第103号)第1条の3第7項に規
定されている外国監査法人等をいう。)であるアーンスト・アンド・ヤング(オーストラリアにおける独立監査
人)の「金融商品取引法」(昭和23年法律第25号)第193条の2第1項第1号に規定されている監査証明に相当
すると認められる証明を受けており、同意書および別紙掲載のとおり監査報告書を受領している。
( ハ)本書記載の財務書類、取締役会の宣誓書および監査報告書の原文(英文)は、テルストラ社がオーストラリア証
券取引所に提出したものと同一内容である。
( ニ)本書記載の財務書類の原文(英文)は豪ドルで表示されている。日本文中に「円」で表示されている金額は、
「財務諸表等規則」第134条の規定に基づき、主要な数値について、2021年9月30日現在の株式会社三菱UFJ銀行
の対顧客電信直物売買相場の仲値、1豪ドル=80.46円の為替レートで換算された金額である。金額は百万円単
位(四捨五入)で表示されている。この換算は、単に便宜のためで、その金額が該当為替相場または他の為替相場
での円を表したり、あるいは円換算されたものであったり、円換算し得るものと解釈されるわけではない。
( ホ)円換算額および「4 日本とオーストラリアにおける会計原則および会計慣行の主な相違」に関する記載は、
原文の財務書類には含まれておらず、上記(ロ)の会計監査の対象になっていない。
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1 【財務書類】
損益計算書
2021年6月30日終了事業年度
6月30日終了事業年度
テルストラ・グループ
2021 年 2020 年
注記
百万豪ドル 百万円 百万豪ドル 百万円
収益
売上高(金融収益を除く) 2.2 21,558 1,734,557 23,710 1,907,707
1,574 126,644 2,451 197,207
その他収益 2.2
23,132 1,861,201 26,161 2,104,914
費用
労務費 4,012 322,806 4,058 326,507
購入商品および購入サービス 8,318 669,266 9,107 732,749
金融資産に係る純減損損失 160 12,874 202 16,253
2,980 239,771 3,584 288,369
その他費用 2.3
15,470 1,244,716 16,951 1,363,877
ジョイント・ベンチャーおよび関連会社の純損失に対する持
6.2 (24) (1,931) (305) (24,540)
分
15,494 1,246,647 17,256 1,388,418
利息、法人所得税、減価償却費および償却費控除前
7,638 614,553 8,905 716,496
利益(EBITDA)
減価償却費および償却費 2.3 4,646 373,817 5,338 429,495
利息および法人所得税控除前利益(EBIT) 2,992 240,736 3,567 287,001
金融収益 2.2
103 8,287 274 22,046
654 52,621 1,045 84,081
金融費用 2.3
純金融費用 551 44,333 771 62,035
税引前当期利益 2,441 196,403 2,796 224,966
法人所得税 2.4 539 43,368 957 77,000
当期利益 1,902 153,035 1,839 147,966
以下に帰属する当期利益 :
テルストラ社の株主 1,857 149,414 1,819 146,357
45 3,621 20 1,609
非支配株主持分
1,902 153,035 1,839 147,966
1株当たり利益(1株当たり豪セント/円) 豪セント 円 豪セント 円
基本的 2.5
15.6 12.55 15.3 12.31
希薄化後 2.5 15.6 12.55 15.3 12.31
添付の注記は当財務書類の一部を構成している。
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包括利益計算書
2021年6月30日終了事業年度
6月30日終了事業年度
テルストラ・グループ
2021 年 2020 年
注記
百万豪ドル 百万円 百万豪ドル 百万円
以下に帰属する当期利益:
テルストラ社の株主 1,857 149,414 1,819 146,357
45 3,621 20 1,609
非支配株主持分
1,902 153,035 1,839 147,966
損益計算書に組替られない項目
利益剰余金
テルストラ社の株主に帰属する確定給付年金制度に係る
5.3 60 4,828 (82) (6,598)
年金数理差益/(損)
確定給付年金制度に係る年金数理差(益)/損に対する
(18) (1,448) 25 2,012
法人所得税
資本性金融商品の公正価値積立金
持分法適用投資のその他の包括利益に対する持分 292 23,494 16 1,287
持分法適用投資のその他の包括利益に対する持分 に係る法人
(77) (6,195) (2) (161)
所得税
為替換算積立金
(1) (80) - -
非支配株主持分に帰属する在外営業活動体の換算差額
256 20,598 (43) (3,460)
翌期以降に損益計算書に組替られる可能性がある項目
為替換算積立金
テルストラ社の株主に帰属する在外営業活動体の換算差額 (95) (7,644) 21 1,690
キャッシュ・フロー・ヘッジ積立金
キャッシュ・フロー・ヘッジ積立金の変動 4.5 68 5,471 54 4,345
持分法適用投資のその他の包括利益に対する持分 3 241 (6) (483)
キャッシュ・フロー・ヘッジ積立金の変動に係る法人所得税 4.5 (20) (1,609) (16) (1,287)
外貨ベーシス・スプレッド積立金
外貨ベーシス・スプレッドの価値の変動 (54) (4,345) (6) (483)
16 1,287 2 161
外貨ベーシス・スプレッド積立金の変動に係る法人所得税
(82) (6,598) 49 3,943
その他の包括利益合計 174 14,000 6 483
当期包括利益合計 2,076 167,035 1,845 148,449
以下に帰属する当期包括利益合計:
テルストラ社の株主 2,032 163,495 1,825 146,840
非支配株主持分 44 3,540 20 1,609
添付の注記は当財務書類の一部を構成している。
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財政状態計算書
2021年6月30日現在
6月30日現在
テルストラ・グループ
2021 年 2020 年
注記
百万豪ドル 百万円 百万豪ドル 百万円
流動資産
現金および現金同等物 2.6 1,125 90,518 499 40,150
売上債権およびその他受取債権ならびに契約資産 3.3 4,577 368,265 5,121 412,036
繰延契約コスト 3.6 113 9,092 82 6,598
棚卸資産 3.7 385 30,977 418 33,632
デリバティブ金融資産 4.4 624 50,207 147 11,828
未収税金 2.4 5 402 2 161
285 22,931 265 21,322
前払金
流動資産合計 7,114 572,392 6,534 525,726
非流動資産
売上債権およびその他受取債権ならびに契約資産 3.3 1,168 93,977 1,428 114,897
繰延契約コスト 3.6 1,342 107,977 1,354 108,943
棚卸資産 3.7 21 1,690 28 2,253
投資-持分法適用 6.2 1,018 81,908 897 72,173
投資-その他 15 1,207 21 1,690
有形固定資産 3.1 20,863 1,678,637 21,499 1,729,810
使用権資産 3.2 2,852 229,472 3,030 243,794
無形資産 3.1 7,131 573,760 7,412 596,370
デリバティブ金融資産 4.4 786 63,242 2,011 161,805
繰延税金資産 2.4 60 4,828 66 5,310
155 12,471 123 9,897
確定給付年金資産 5.3
非流動資産合計 35,411 2,849,169 37,869 3,046,940
資産合計 42,525 3,421,562 44,403 3,572,665
流動負債
買掛債務およびその他支払債務 3.8 3,766 303,012 3,980 320,231
従業員給付引当金 5.1 682 54,874 727 58,494
その他引当金 7.2 87 7,000 124 9,977
リース負債 3.2 503 40,471 611 49,161
借入金 4.4 3,631 292,150 2,763 222,311
デリバティブ金融負債 4.4 26 2,092 54 4,345
未払税金 2.4 124 9,977 224 18,023
1,605 129,138 1,611 129,621
契約負債およびその他前受収益 3.4
流動負債合計 10,424 838,715 10,094 812,163
非流動負債
その他支払債務 3.8 9 724 4 322
従業員給付引当金 5.1 150 12,069 127 10,218
その他引当金 7.2 126 10,138 143 11,506
リース負債 3.2 2,802 225,449 2,687 216,196
借入金 4.4 10,505 845,232 13,066 1,051,290
デリバティブ金融負債 4.4 331 26,632 320 25,747
繰延税金負債 2.4 1,580 127,127 1,605 129,138
確定給付債務 5.3 10 805 8 644
1,313 105,644 1,202 96,713
契約負債およびその他前受収益 3.4
非流動負債合計 16,826 1,353,820 19,162 1,541,775
負債合計 27,250 2,192,535 29,256 2,353,938
純資産 15,275 1,229,027 15,147 1,218,728
株主持分
資本金 4.3 4,436 356,921 4,451 358,127
積立金 4.3 138 11,103 5 402
10,014 805,726 10,017 805,968
利益剰余金
テルストラ社の株主に帰属する株主持分 14,588 1,173,750 14,473 1,164,498
非支配株主持分 687 55,276 674 54,230
株主持分合計
15,275 1,229,027 15,147 1,218,728
添付の注記は当財務書類の一部を構成している。
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有価証券報告書
キャッシュ・フロー計算書
2021年6月30日終了事業年度
6月30日終了事業年度
テルストラ・グループ
2021 年 2020 年
注記
百万豪ドル 百万円 百万豪ドル 百万円
営業活動によるキャッシュ・フロー
顧客からの受取(物品およびサービス税(GST)を含む) 26,727 2,150,454 29,506 2,374,053
業者および従業員に対する支払(GSTを含む) (18,901) (1,520,774) (21,895) (1,761,672)
167 13,437 153 12,310
営業活動に係る政府補助金の受取額
営業から生じた現金純額 7,993 643,117 7,764 624,691
法人所得税の支払額 2.4 (762) (61,311) (754) (60,667)
営業活動により得られた現金純額 2.6 7,231 581,806 7,010 564,025
投資活動によるキャッシュ・フロー
有形固定資産の取得による支出 (2,079) (167,276) (2,341) (188,357)
(1,061) (85,368) (1,101) (88,586)
無形資産の取得による支出
資本的支出(投資前) (3,140) (252,644) (3,442) (276,943)
被支配会社株式の取得(取得現金控除後)
(26) (2,092) - -
持分法適用会社に対する持分の取得 (30) (2,414) (33) (2,655)
(152) (12,230) (122) (9,816)
その他の投資の取得
資本的支出合計(投資を含む) (3,348) (269,380) (3,597) (289,415)
有形固定資産の売却による収入
154 12,391 258 20,759
セール・アンド・リースバックによる収入 3.2 291 23,414 18 1,448
事業および被支配会社株式の売却による収入(処分現金控除
218 17,540 58 4,667
後)
持分法適用会社およびその他の投資の売却による収入 147 11,828 15 1,207
持分法適用会社からの受取配当金 20 1,609 83 6,678
ファイナンス・リース債権の回収による収入 120 9,655 135 10,862
投資活動に係る政府補助金の受取額 36 2,897 28 2,253
18 1,448 26 2,092
利息の受取額
投資活動により使用された現金純額 (2,344) (188,598) (2,976) (239,449)
投資活動によるキャッシュ・フローを控除した
4,887 393,208 4,034 324,576
営業活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フロー
借入による収入 2,308 185,702 5,476 440,599
借入金の返済による支出 (3,260) (262,300) (6,562) (527,979)
リース負債の返済による支出 3.2 (706) (56,805) (993) (79,897)
従業員持株制度のための株式の購入による支出 (39) (3,138) (22) (1,770)
金融費用の支払額 (613) (49,322) (812) (65,334)
非支配株主持分への配当金支払額 (35) (2,816) (23) (1,851)
テルストラ社の株主への配当金の支払額 4.2 (1,902) (153,035) (1,903) (153,115)
被支配信託受益証券の売却による収入 - - 698 56,161
11 885 3 241
その他
財務活動により使用された現金純額 (4,236) (340,829) (4,138) (332,943)
現金および現金同等物の正味増加/(減少)額 651 52,379 (104) (8,368)
現金および現金同等物期首残高
499 40,150 604 48,598
(25) (2,012) (1) (80)
現金および現金同等物に係る為替レートの変動の影響
現金および現金同等物期末残高 2.6
1,125 90,518 499 40,150
添付の注記は当財務書類の一部を構成している。
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有価証券報告書
株主持分変動計算書
2021年6月30日終了事業年度
利益
非支配株主 株主持分
資本金 積立金 合計
テルストラ・グループ
持分 合計
剰余金
注記
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
4,447 (58) 10,158 14,547 (19) 14,528
201 9年 7 月 1 日現在残高
当期利益
- - 1,819 1,819 20 1,839
- 63 (57) 6 - 6
その他の包括利益
当期包括利益合計 - 63 1,762 1,825 20 1,845
配当金
- - (1,903) (1,903) (26) (1,929)
被支配信託受益証券の売却により生じた非
- - - - 698 698
支配株主持分
非支配株主との取引 - - - - 1 1
従業員に提供した持株貸付金に係る返済額 3 - - 3 - 3
従業員持株制度のための株式の購入 (22) - - (22) - (22)
23 - - 23 - 23
株式報酬
2020 年 6月30日現在残高 4,451 5 10,017 14,473 674 15,147
当期利益
- - 1,857 1,857 45 1,902
- 133 42 175 (1) 174
その他の包括利益
当期包括利益合計 - 133 1,899 2,032 44 2,076
配当金
- - (1,902) (1,902) (35) (1,937)
非支配株主との取引 - - - - 4 4
従業員に提供した持株貸付金に係る返済額 7 - - 7 - 7
従業員持株制度のための株式の購入 4.3 (39) - - (39) - (39)
17 - - 17 - 17
株式報酬
2021 年 6月30日現在残高
4,436 138 10,014 14,588 687 15,275
添付の注記は当財務書類の一部を構成している。
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有価証券報告書
株主持分変動計算書
2021年6月30日終了事業年度(続き)
利益
非支配株主 株主持分
資本金 積立金 合計
テルストラ・グループ
持分 合計
剰余金
注記
百万円 百万円 百万円 百万円 百万円 百万円
357,806 (4,667) 817,313 1,170,452 (1,529) 1,168,923
201 9年 7 月 1 日現在残高
当期利益
- - 146,357 146,357 1,609 147,966
- 5,069 (4,586) 483 - 483
その他の包括利益
当期包括利益合計 - 5,069 141,771 146,840 1,609 148,449
配当金
- - (153,115) (153,115) (2,092) (155,207)
被支配信託受益証券の売却により生じた非
- - - - 56,161 56,161
支配株主持分
非支配株主との取引 - - - - 80 80
従業員に提供した持株貸付金に係る返済額 241 - - 241 - 241
従業員持株制度のための株式の購入 (1,770) - - (1,770) - (1,770)
1,851 - - 1,851 - 1,851
株式報酬
2020 年 6月30日現在残高 358,127 402 805,968 1,164,498 54,230 1,218,728
当期利益
- - 149,414 149,414 3,621 153,035
- 10,701 3,379 14,081 (80) 14,000
その他の包括利益
当期包括利益合計 - 10,701 152,794 163,495 3,540 167,035
配当金
- - (153,035) (153,035) (2,816) (155,851)
非支配株主との取引 - - - - 322 322
従業員に提供した持株貸付金に係る返済額 563 - - 563 - 563
従業員持株制度のための株式の購入 4.3 (3,138) - - (3,138) - (3,138)
1,368 - - 1,368 - 1,368
株式報酬
2021 年 6月30日現在残高
356,921 11,103 805,726 1,173,750 55,276 1,229,027
添付の注記は当財務書類の一部を構成している。
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有価証券報告書
財務書類注記
1. 作成の基本方針
本セクションでは、当社グループの財務書類作成の基本方針を説明し、会計方針の変更について記載し、主要な
会計上の見積りおよび判断の要約を提供している。
1.1 財務書類作成の基本方針
当財務書類は、2001年オーストラリア会社法、オーストラリア会計基準およびオーストラリア会計基準委員会
(以下「AASB」という。)のその他の解釈指針に従って営利目的企業として作成された一般目的の財務書類であ
る。当財務書類はまた、国際会計基準審議会(以下「IASB」という。)が公表した国際財務報告基準(以下
「IFRS」という。)および解釈指針にも準拠している。
当財務書類はオーストラリアドル(豪ドル)で表示され、特に記載がない限り、オーストラリア証券投資委員会
(以下「ASIC」という。)の企業(財務書類および取締役会報告書における端数の取扱いに関する)通達2016/191
号に従ったオプションに基づき、全ての金額は百万豪ドル未満を四捨五入している。テルストラ社およびオースト
ラリアに所在するその被支配会社の機能通貨は、豪ドルであるが、オーストラリア外の一部の被支配会社の機能通
貨は、豪ドルではない。これらの会社の経営成績は、注記1.3.1の会計方針に従って、豪ドル建に換算されてい
る。
当財務書類は 、 公正価値により計上されている一部のカテゴリーの金融商品を除き、取得原価主義に基づいて作
成されている。
比較情報は必要に応じて、当期の開示および表示との比較可能性を確保するため組替えられている。
1.2 損益計算書上使用されている用語
EBITDAは、利息、法人所得税、減価償却費および償却費控除前利益を表している。EBITは、EBITDAに類似する指
標であるが、減価償却費および償却費を控除したものである。
当社グループでは、EBITDAは広く認められている主要な業績指標として有用であると考えている。
1.3 連結原則
当社グループの財務書類は、テルストラ社およびその被支配会社全体の事業年度末における連結の資産および負
債と、事業年度における連結損益および連結キャッシュ・フローを含むものである。
当社グループが、事業体への関与により変動リターンに対するエクスポージャーまたは権利を有し、かつ事業体
の活動を指示するパワーを通じてこれらのリターンに影響する能力を有する場合に、当該事業体は被支配会社とみ
なされる。当社グループは、被支配会社に関して、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失した日までの
経営成績を連結する。
グループ内の取引および残高が及ぼす影響は連結財務書類から消去されている。
被支配会社の非支配株主持分に帰属する損益および持分は、当社グループの損益計算書、包括利益計算書、財政
状態計算書および株主持分変動計算書上、別途開示されている。
被支配会社の財務書類は、一貫性のある会計方針を適用して、テルストラ社と同一の報告期間で作成される。
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1.3.1 機能通貨が豪ドル以外の在外営業活動体の財務書類の換算
当該在外営業活動体の財務書類は、以下の方法により豪ドル(当社グループの表示通貨)に換算される。
外貨額 為替レート
資産および負債(のれんおよび連結時に 報告日のレート
生じる公正価値調整を含む)
株主持分項目 当初の投資実行日のレート
損益計算書 平均レート(または重要な識別可能な取引の
場合は取引日のレート)
在外営業活動体の財務書類の換算により生じる為替差損益は、その他の包括利益に認識される。
1.4 主要な会計上の見積りおよび判断
財務報告書の作成において、経営者は見積りおよび判断が求められる。
1.4.1 COVID-19パンデミック
COVID-19パンデミックによる財務的影響は、当社グループの2021事業年度の経営成績に反映されており、2021年
6月30日現在の当社グループの財政状態において考慮されている。継続的な影響が識別されている、または合理的
に予想できる範囲で、当社グループは、以下の注記において特定の開示を行っている。
・注記3.1:ユビキタス電気通信ネットワークのテストにおける減損の兆候に関する経営者の判断
・注記3.3:金融資産の予想信用損失の測定に関する経営者の判断
・注記4.5.5:ヘッジ会計
テルストラは、我々の短期資金需要に対応し、かつ予期せぬ事象による経済環境の悪化に対処するためのアクセ
ス可能な流動性資金を引き続き確保している。
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有価証券報告書
1.4.2 主要な経営者の判断の概要
使用された会計方針および重要な経営者の判断や見積り、ならびにそれらの変更は、関連する注記に記載されて
いる。主要な会計上の見積りおよび判断は、以下の注記に含まれている。
ページ
主要な会計上の見積りおよび判断 注記 (訳者注:原文
のページ)
量販契約に含まれる重大な金融要素の評価 2.2 F18
独立販売価格の決定 2.2 F19
破棄できない使用権(IRU)に含まれる重大な金融要素の評価 2.2 F20
顧客との契約から生じる収益およびその他収益に対するnbnインフラ・サービ
2.2 F21
ス契約(ISA)の影響
nbn 正式契約に含まれる重大な金融要素の評価 2.2 F21
未払法人税の見積り 2.4 F26
未認識の繰延税金資産 2.4 F27
開発費の資産計上 3.1 F31
有形固定資産および無形資産の耐用年数および残存価額 3.1 F32
ユビキタス電気通信ネットワークの減損評価 3.1 F33
のれんの減損評価におけるCGUおよびその回収可能価額の決定 3.1 F34
リース期間の決定 3.2 F36
不動産リースの追加借入利子率の決定 3.2 F38
予想信用損失の見積り 3.3 F42
繰延契約コストの償却期間 3.6 F45
長期勤続休暇引当金 5.1 F65
確定給付制度 5.3 F70
テルストラ・スーパー・ピーティワイ・リミテッドに対する重要な影響力 6.2 F76
テルストラ・ベンチャーズ・ファンドⅡ・エル・ピーの共同支配 6.2 F76
持分法適用投資の減損 6.2 F77
1.5 その他の会計方針
該当する会計方針は、財務書類のそれぞれの注記に記載されている。会計方針の変更、将来の報告期間に適用さ
れる会計基準の影響、当財務書類の他の部分で開示されていないその他の会計方針は、以下に詳述されている。
1.5.1 会計方針の変更
複数の新会計基準または修正会計基準が当報告期間中に強制適用となった。当報告期間において適用された会計
基準および修正で、当社グループの会計方針に重要な影響を及ぼすものはなかった。
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有価証券報告書
1.5.2 将来の報告期間に適用される新会計基準
公表済であるが未発効の基準、解釈または修正については早期適用しておらず、当社グループでは、それらの適
用時に当社グループの経営成績に重要な影響はないものと予想している。
AASB 第2020-8号「オーストラリア会計基準の修正-金利指標改革-フェーズ2」が2020年9月に公表され、テル
ストラには2021年7月1日に適用される。これらの修正は、金融資産および負債の契約上のキャッシュ・フローの
決定の基礎における変更を会計処理する場合の実務上の簡便法について定め実効金利の調整を認めており、また金
利指標改革によってヘッジ関係が終了されることへの実務的な簡便法を提供している。当社グループは、この基準
による重大な影響はないと予想している。
1.5.3 外貨建取引および残高
外貨建取引は取引日の直物為替レートで関連する機能通貨に換算される。報告日現在における外貨建受取債権ま
たは支払債務は報告日の市場為替レートで関連する機能通貨に換算される。発生した換算差損益は損益計算書に計
上される。
公正価値で測定されている外貨建の非貨幣性項目(トレーディング目的保有ではない一部の資本性金融商品な
ど)は、公正価値が算定される日の為替レートを用いて換算される。換算により生じる差額は、当該非貨幣性項目
の公正価値の変動が認識される際に公正価値に係る損益の一部として計上される。
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2. 当社グループの業績
本セクションでは、当社グループの経営成績、当社グループの内部管理体制と同一の基準で報告されているセグ
メントの業績、および当期の1株当たり利益を説明する。また、収益内訳、特定の収益および費用項目についての
詳細、課税情報ならびに当期利益から営業活動により得られた現金純額への調整が記載されている。
2.1 セグメントおよび収益内訳
セグメント情報は、経営者が事業上の意思決定を行う際に使用する情報に基づいているため、情報
の利用者は、経営者の視点で当社グループの事業を評価することができる。
当社グループの事業セグメントは、市場で主要な製品およびサービスを提供する機能を表すが、報
告セグメントの開示基準を満たす事業セグメントは一部のみである。
収益は、財およびサービスの移転時期、主要製品ならびに市場が存在する地域に基づきカテゴリー
別およびセグメント別に表示されている。
2.1.1 事業セグメント
当社グループは、報告日現在における当社グループの内部管理報告体制と同じ基準により、セグメント情報を報
告している。セグメントの比較数値は、同一条件による開示のために、前事業年度末以降に発生した組織変更を反
映するものである。
2021事業年度において事業セグメントに変更はなかった。ただし、簡素化と、当社グループの市場開拓方法およ
びT22戦略との整合性向上のために、当社グループは、製品の管理および報告方法を変更した。当社グループは、
同一条件による開示を行うため比較期間を修正再表示している。
当社グループのセグメント損益における「その他全て」のカテゴリーには、事業セグメントとして適格ではない
機能および個別に報告するほど重要ではない事業セグメントが含まれる。
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当社グループの報告セグメントは以下の4つである。
セグメント 業務内容
テルストラ・ ・オーストラリアの消費者および小規模企業の顧客に対する、電気通信製品、サービスお
よびソリューション(モバイル通信、固定およびモバイルブロードバンド、メディアお
コンシューマー&
よびデジタル・コンテンツ)の前払い方式と後払い方式での提供
スモール・
・コール・センター、テルストラ・ショップおよびテルストラの販売代理店ネットワーク
ビジネス
の運営
(TC&SB)
テルストラ・ ・オーストラリア国内外の政府機関および大規模企業に対する、電気通信サービス、先端
技術ソリューション、ネットワーク容量および管理、ユニファイド・コミュニケーショ
エンタープライズ
ン、クラウド、産業ソリューション、インテグレーテッド・サービスならびに監視サー
(TE)
ビスの提供
・ネットワーク&ITおよびテルストラ・インフラ・コと協力したオーストラリア国外にお
けるテルストラのネットワークの管理
ネットワーク& ・当社グループのネットワーク・プラットフォームおよびデータの信頼性およびセキュリ
ティを高い水準で維持することによる、他のセグメントおよびそれらの収益創出事業の
IT(N&IT)
支援
・顧客のデジタル・エクスペリエンスを支える当社グループのデジタル・プラットフォー
ムの構築および管理
・グループ内の全域で共通するソフトウェアの構築および管理
テルストラ・ ・他の電気通信事業者、電気通信サービスのプロバイダーおよびインターネット・サービ
ス・プロバイダーに対する、テルストラのネットワークによる電気通信製品およびサー
インフラ・コ
ビスの提供
・データセンター、交換機、電柱、ダクト、ピットおよび配管、ファイバー・ネットワー
クならびにモバイル用中継タワーを含む、ネットワークを支える固定パッシブ・ネット
ワーク・インフラの運用
・テルストラの他の機能およびホールセール顧客に対する、テルストラ・インフラ・コの
資産の管理責任の範囲に含まれるネットワーク・インフラへの接続サービスの提供
・nbn coへの、インフラ・サービス契約および契約に基づく当社グループのインフラ構成
要素の一部およびネットワーク・サービスの一部に対する長期接続サービスの提供
・ファイバー、交換機およびその他のインフラに関する設計および構築
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各セグメントの損益は、内部管理報告の目的で表示された情報に一致するよう、EBITDAに対する貢献額に基づき
測定されている。
主にテルストラ・インフラ・コのセグメント損益に関連する一部の例外を除いて、EBITDAに対する貢献額からは
セグメント間残高および取引の影響額が除外されている。テルストラ・インフラ・コは、単独セグメントとして管
理されており、他の機能との取引を含めて表示している(以下の表に詳述される項目を除く)。しかし他の機能は
テルストラ・インフラ・コとの取引を各自のセグメント損益に反映していない。セグメント間取引はグループレベ
ルで消去されている。
EBITDA に対する貢献額は、EBITDA報告額とは異なる。特に、セグメント損益には、バック・ツー・バック契約に
よりTC&SBの顧客にサブリースしている携帯端末のリース(テルストラが借手)から生じる使用権資産の減価償却
費が含まれている。当社グループは、これらのリースの性質を考慮し、当社グループの業績に透明な概観を与える
ために、管理会計上、携帯端末の使用権資産の減価償却費を営業費用として処理している。
以下の表は、セグメント間取引の要約を示したものであり、セグメント間取引の影響は個々のセグメント・レベ
ルでは消去されておらず、セグメントの経営成績がグループ内でどのように報告されるかをさらに詳しく説明した
ものである。
テルストラ・
取引の性質 TC &SB TE N &IT その他全て
インフラ・コ
収益として表示されている テルストラ・インフラ・コが接続 該当なし 該当なし 収益およびEBITDAに
テルストラ・インフラ・コ 料金を稼得する相手先セグメント 対する貢献額には、
のネットワーク・インフラ のEBITDAに対する貢献額には、当 その他セグメントと
の使用に係る内部の接続料 該接続料金は含まれない の取引による接続料
金(請求において独立企業 金が含まれる(テル
間取引と同様の条件を反映 ストラ・グループレ
するために、当社グループ ベルでは消去され
内外で観察可能な様々なイ る)
ンプットに基づいて決定さ
れる)
ディーラーを通じてTEの顧 EBITDAに対す EBITDAに対する 該当なし 該当なし 該当なし
客に販売した携帯端末に関 る貢献額に 貢献額には、当
連する収益および原価 は、当該取引 該取引は含まれ
が含まれる。 ない。ただし、
これは、TC& TEの顧客に販売
SBが当社グ したモバイル通
ループの供給 信サービスから
業者、納品お 生じる継続的な
よび販売代理 収益は含まれ
店の契約を管 る。
理しているた
めである。
外部顧客に対する売上高お EBITDAに対す EBITDAに対する 該当なし グループ会 EBITDAに対する貢献
よび外部費用として開示さ る貢献額に 貢献額には、セ 社間取引の 額には、セグメント
れている国際接続に係るグ は、TEから再 グメント間売上 消去 間売上高(TEから稼
ループ会社間取引 請求されるセ 高(TC&SBおよ 得)および費用(TE
グメント間費 びテルストラ・ からの再請求)が含
用が含まれる インフラ・コか まれる
ら稼得)および
費用(テルスト
ラ・インフラ・
コからの再請
求)が含まれる
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nbn接続停止に係る手数料 EBITDAに対する貢献額には、当該 該当なし EBITDAに対 EBITDAに対する貢献
による収益および関連する 取引は含まれない する貢献額 額には、当該取引は
費用 には、当該 含まれない
取引が含ま
れる
テルストラ・インフラ・コ 該当なし 該当なし EBITDAに対する貢献額 EBITDAに対する貢献
の資産に関連した一部の運 には、当該費用のう 額には、当該費用の
用保守費用および関連サ ち、N&ITセグメントお うち、N&ITセグメ
ポート機能の費用(人事や よび「その他全て」の ントおよび「その他
IT等)(共通の運用保守費 カテゴリーから発生す 全て」のカテゴリー
は使用方法に基づき配分さ るが、テルストラ・イ から発生するが、テ
れ、関連サポート機能の費 ンフラ・コの資産に関 ルストラ・インフ
用は要因を基礎とした配分 連するものが含まれる ラ・コの資産に関連
方法を用いて配分される) するものが含まれる
(テルストラ・グ
ループレベルでは消
去される)
全てのセグメントに係る EBITDAに対する貢献額には、TC& EBITDAに対する貢献額 EBITDAに対する貢献
ネットワーク・サービス提 SBおよびTEの顧客に係るネット には、TC&SB、TEおよ 額には、テルスト
供費用(当社グループのイ ワーク・サービス提供費用は含ま びテルストラ・インフ ラ・インフラ・コの
ンフラに対する接続サービ れない ラ・コの顧客に関連す 顧客に係るネット
スをnbn coに提供すること るネットワーク・サー ワーク・サービス提
ビス提供費用が含まれ 供費用は含まれない
に伴う費用が含まれる)
る
全てのセグメントに係る国 EBITDAに対す EBITDAに対する貢献額には、当該費用は含まれない
内の販売促進費および広告 る貢献額に
宣伝費 は、テルスト
ラ社に係る当
該費用が含ま
れる
全てのセグメントに係る国 EBITDAに対する貢献額には、当該費用は含まれ EBITDAに対 EBITDAに対する貢献
内の人員整理費用および事 ない する貢献額 額には、当該費用は
業再編費用 には、テル 含まれない
ストラ社に
係る当該費
用が含まれ
る
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2.1.2 セグメント損益および収益内訳
表Aは、セグメント損益ならびにEBITDAに対する貢献額からテルストラ・グループのEBITDA、EBITおよび税引前
当期利益への調整についての詳細を示している。また、財またはサービスの性質および移転時期に基づく収益内訳
も示している。
テルスト
TC &SB TE N&IT その他全て 小計 ラ・イン 消去 合計
表A
フラ・コ
テルストラ・グループ 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
2021 年6月30日終了事業年度
サービスの提供 9,774 6,194 - 9 15,977 2,260 - 18,237
商品の販売 2,020 646 - 28 2,694 2 - 2,696
顧客との契約から生じる
17 44 - 4 65 - - 65
その他収益
11,811 6,884 - 41 18,736 2,262 - 20,998
顧客との契約から生じる収益
その他の収入源から生じる収益
288 62 1 4 355 205 - 560
12,099 6,946 1 45 19,091 2,467 - 21,558
外部顧客に対する売上高
その他セグメントがテルストラ・
インフラ・コ に接続することから
n/a n/a n/a n/a n/a 1,203 (1,203) -
発生する接続収益
外部顧客およびテルストラ・
12,099 6,946 1 45 19,091 3,670 (1,203) 21,558
インフラ・コ に対する売上高
合計
その他収益
243 39 32 1,185 1,499 75 - 1,574
12,342 6,985 33 1,230 20,590 3,745 (1,203) 23,132
収益合計
持分法適用会社の純損失
- (1) - (23) (24) - - (24)
に対する持分
4,818 2,921 (1,360) (679) 5,700 2,664 (920) 7,444
EBITDA に対する貢献額
携帯端末の使用権資産の減価償却費
194
7,638
テルストラ・グループのEBITDA
減価償却費および償却費
(4,646)
2,992
テルストラ・グループのEBIT
純金融費用
(551)
テルストラ・グループの
2,441
税引前当期利益
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テルスト
TC &SB TE N&IT その他全て 小計 ラ・イン 消去 合計
表A(続き)
フラ・コ
テルストラ・グループ 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
2020 年6月30日終了事業年度
サービスの提供 10,135 6,824 - (106) 16,853 2,573 - 19,426
商品の販売 2,605 660 - 5 3,270 3 - 3,273
顧客との契約から生じる
6 37 - 3 46 - - 46
その他収益
12,746 7,521 - (98) 20,169 2,576 - 22,745
顧客との契約から生じる収益
その他の収入源から生じる収益
576 166 3 8 753 212 - 965
13,322 7,687 3 (90) 20,922 2,788 - 23,710
外部顧客に対する売上高
その他セグメントがテルストラ・
インフラ・コ に接続することから
n/a n/a n/a n/a n/a 1,690 (1,690) -
発生する接続収益
外部顧客およびテルストラ・
13,322 7,687 3 (90) 20,922 4,478 (1,690) 23,710
インフラ・コ に対する売上高
合計
その他収益
152 56 27 2,030 2,265 186 - 2,451
13,474 7,743 30 1,940 23,187 4,664 (1,690) 26,161
収益合計
持分法適用会社の純利益/(損失)
- 3 - (308) (305) - - (305)
に対する持分
4,888 3,274 (1,619) (153) 6,390 2,758 (737) 8,411
EBITDA に対する貢献額
携帯端末の使用権資産の減価償却費
494
8,905
テルストラ・グループのEBITDA
減価償却費および償却費
(5,338)
3,567
テルストラ・グループのEBIT
純金融費用
(771)
テルストラ・グループの
2,796
税引前当期利益
当社グループでは、財またはサービスに対する支配が顧客に移転した時点で顧客との契約から生じる収益を認識
する。サービスの提供による収益は一定期間にわたり認識され、商品の販売による収益は一時点において認識され
る。顧客との契約から生じるその他収益には、ライセンス収益(一時点において、または一定期間にわたり認識)
と代理業務収益(一定期間にわたり認識)が含まれる。当社グループの顧客との契約の詳細については、注記
2.2.1を参照のこと。
以下のセグメント間取引の影響は、セグメントのEBITDAに対する貢献額から除外されていない。
・TEセグメントの外部顧客に対する売上高には、セグメント間売上高219百万豪ドル(2020年:292百万豪ド
ル)が含まれている。当該金額はTC&SBおよびテルストラ・インフラ・コの両セグメントの外部費用として
処理されており、「その他全て」のカテゴリーで消去されている。
・TEセグメントのEBITDAに対する貢献額には、セグメント間費用7百万豪ドル(2020年:11百万豪ドル)が反
映されている。当該金額はテルストラ・インフラ・コの外部売上高として処理されており「その他全て」の
カテゴリーで消去されている。
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2021事業年度において、当社グループは、プロジェクト・サンシャインⅠ・ピーティワイ・リミテッド(センシ
ス)に対する投資の売却により、34百万豪ドルの減損損失控除後の利益1百万豪ドルを「その他全て」のカテゴ
リーに認識した。詳細については注記6.1.3を参照のこと。
2020事業年度において、当社グループは、「その他全て」のカテゴリーに、持分法適用による純損失308百万豪
ドルを認識しており、これにはエヌエックスイー・オーストラリア・ピーティワイ・リミテッドに対する投資の減
損損失も含まれている。
表Bは、以下の内訳を示したものである。
・主要製品別の外部顧客に対する売上高およびその他収益を含む収益合計
・市場地域別の外部顧客に対する売上高
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テルストラ・
TC &SB TE N&IT その他全て 合計
表B
インフラ・コ
テルストラ・グループ 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
2021 年6月30日終了事業年度
主要製品別の収益合計
モバイル 7,509 1,513 - 13 275 9,310
顧客との契約から生じる収益 7,277 1,509 - 13 275 9,074
その他の収入源から生じる収益 232 4 - - - 236
固定-C&SB 4,736 - - - - 4,736
顧客との契約から生じる収益 4,500 - - - - 4,500
その他の収入源から生じる収益 56 - - - - 56
その他収益 180 - - - - 180
固定-エンタープライズ - 3,724 - - - 3,724
顧客との契約から生じる収益 - 3,682 - - - 3,682
その他の収入源から生じる収益 - 42 - - - 42
固定-ホールセール - - - - 1,356 1,356
顧客との契約から生じる収益 - - - - 1,076 1,076
その他の収入源から生じる収益 - - - - 205 205
その他収益 - - - - 75 75
グローバル - 1,715 - (219) - 1,496
顧客との契約から生じる収益 - 1,691 - (219) - 1,472
その他の収入源から生じる収益 - 15 - - - 15
その他収益 - 9 - - - 9
継続的に締結されるnbn正式契約 - - - 9 899 908
顧客との契約から生じる収益 - - - 9 899 908
単発のnbn正式契約および接続料 34 - - 1,016 - 1,050
顧客との契約から生じる収益 34 - - - - 34
その他収益 - - - 1,016 - 1,016
その他の製品およびサービス 63 33 33 411 12 552
顧客との契約から生じる収益 - 2 - 238 12 252
その他の収入源から生じる収益 - 1 1 4 - 6
その他収益 63 30 32 169 - 294
顧客との契約から生じる収益合計 11,811 6,884 - 41 2,262 20,998
その他の収入源から生じる収益合計 288 62 1 4 205 560
その他収益合計 243 39 32 1,185 75 1,574
12,342 6,985 33 1,230 2,542 23,132
市場地域別の外部顧客に対する売上高合計
オーストラリア国内の顧客 12,099 5,470 1 265 2,467 20,302
顧客との契約から生じる収益 11,811 5,423 - 261 2,262 19,757
その他の収入源から生じる収益 288 47 1 4 205 545
海外顧客 - 1,476 - (220) - 1,256
顧客との契約から生じる収益 - 1,461 - (220) - 1,241
その他の収入源から生じる収益 - 15 - - - 15
12,099 6,946 1 45 2,467 21,558
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テルストラ・
TC &SB TE N&IT その他全て 合計
表B(続き)
インフラ・コ
テルストラ・グループ 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
2020 年6月30日終了事業年度
主要製品別の収益合計
モバイル 8,330 1,593 - (23) 230 10,130
顧客との契約から生じる収益 7,808 1,587 - (23) 230 9,602
その他の収入源から生じる収益 522 6 - - - 528
固定-C&SB 5,083 - - - - 5,083
顧客との契約から生じる収益 4,879 - - - - 4,879
その他の収入源から生じる収益 54 - - - - 54
その他収益 150 - - - - 150
固定-エンタープライズ - 4,106 - - - 4,106
顧客との契約から生じる収益 - 3,977 - - - 3,977
その他の収入源から生じる収益 - 129 - - - 129
固定-ホールセール - - - - 1,872 1,872
顧客との契約から生じる収益 - - - - 1,476 1,476
その他の収入源から生じる収益 - - - - 212 212
その他収益 - - - - 184 184
グローバル - 2,017 - (292) - 1,725
顧客との契約から生じる収益 - 1,967 - (292) - 1,675
その他の収入源から生じる収益 - 31 - - - 31
その他収益 - 19 - - - 19
継続的に締結されるnbn正式契約 - - - 9 865 874
顧客との契約から生じる収益 - - - 9 865 874
単発のnbn正式契約および接続料 65 - - 1,939 - 2,004
顧客との契約から生じる収益 65 - - - - 65
その他収益 - - - 1,939 - 1,939
その他の製品およびサービス (4) 27 30 307 7 367
顧客との契約から生じる収益 (6) (10) - 208 5 197
その他の収入源から生じる収益 - - 3 8 - 11
その他収益 2 37 27 91 2 159
顧客との契約から生じる収益合計 12,746 7,521 - (98) 2,576 22,745
その他の収入源から生じる収益合計 576 166 3 8 212 965
その他収益合計 152 56 27 2,030 186 2,451
13,474 7,743 30 1,940 2,974 26,161
市場地域別の外部顧客に対する売上高合計
オーストラリア国内の顧客 13,322 5,958 3 205 2,788 22,276
顧客との契約から生じる収益 12,746 5,800 - 197 2,576 21,319
その他の収入源から生じる収益 576 158 3 8 212 957
海外顧客 - 1,729 - (295) - 1,434
顧客との契約から生じる収益 - 1,721 - (295) - 1,426
その他の収入源から生じる収益 - 8 - - - 8
13,322 7,687 3 (90) 2,788 23,710
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その他の製品およびサービスから生じる収益には、雑収益およびテルストラ・ヘルスにより稼得される収益が含
まれる。その他収益の詳細については、注記2.2を参照のこと。
「その他全て」のカテゴリーには、注記2.1.2の表Aの下に記載されているセグメント間取引の消去が含まれて
いる。その他のマイナスの収益の金額は、全社レベルでの一定の調整に関連するものであった。
市場地域別の非流動資産に関する情報は、表Cに示すとおりである。
6月30日現在
表C
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
非流動資産の帳簿価額
所在地がオーストラリア国内 30,128 30,918
1,736 1,920
所在地がオーストラリア以外の国
31,864 32,838
当社グループの地域別営業活動は、オーストラリア国内と海外の営業活動とに分かれている。海外の営業活動の
どの地域も単独では当社グループの営業活動において重要ではない。
当社グループのセグメント非流動資産の帳簿価額は、金融資産、棚卸資産、確定給付年金資産、繰延契約コスト
および繰延税金資産を含んでいない。
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2.2 収益
6月30日終了事業年度
表A
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
顧客との契約から生じる収益 20,998 22,745
560 965
その他の収入源から生じる収益
売上高合計(金融収益を除く) 21,558 23,710
その他収益
有形固定資産および無形資産売却益(純額) 66 402
事業および投資売却益(純額) 107 13
セール・アンド・リースバック取引による純利益 102 4
nbn接続停止に係る手数料 1,022 1,721
政府補助金 216 189
為替換算差益(純額) 13 22
48 100
その他雑収益
1,574 2,451
収益合計(金融収益を除く) 23,132 26,161
金融収益
金融収益(ファイナンス・リースからの収益を除く) 93 261
10 13
ファイナンス・リースからの金融収益(テルストラが貸手)
103 274
収益合計
23,235 26,435
顧客との契約から生じる収益に関する、財およびサービスの性質および移転の時期に基づく内訳、ならびに主要
製品別および市場地域別の内訳については、それぞれ注記2.1.2の表Aおよび表Bに示すとおりである。
その他の収入源から生じる収益には、当社グループのリース契約(詳細は注記3.2.2を参照)による収益および
ネットワーク資産を拡大、移転または修繕するための顧客による拠出(取引相手が同一(または連動する)契約に
基づき現行のサービスを購入しない場合)による収益が含まれる。
事業および投資売却益(純額)には、テルストラのベロシティ事業の売却による利益60百万豪ドルおよびイーコ
マース・プラットフォームの資産および負債の売却益45百万豪ドルが含まれる。詳細については注記6.1.3を参照
のこと。
セール・アンド・リースバック取引による純利益は、主に当社グループの交換機用不動産のセール・アンド・
リースバック取引から生じたものである。 詳細については注記3.2.1を参照のこと。
nbn co との加入者契約に基づき稼得したnbn接続停止に係る手数料は、当社グループの通常の事業活動とは関係
がないため、その他収益として認識される。当社グループは、当該契約に基づく当社グループの契約上の義務を履
行した時点で当該収益を認識する。
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政府補助金には、テルストラ・ユニバーサル・サービス義務履行契約、連邦政府のモバイル通信ブラックスポッ
ト・プログラムおよび個別に重要性に乏しいその他の政府補助金からの収益が含まれている。これらの補助金に付
随した未履行条件およびその他の偶発事象はない。
2.2.1 顧客との契約
当社グループは外部顧客との契約から収益を生み出しており、契約は様式(標準または特約)、期間(一時的、
短期または長期)および顧客セグメント(消費者、中小企業、政府機関および大企業)において多岐にわたるもの
である。主要な契約は以下のとおりである。
・消費者向けリテール契約(前払い方式と後払い方式による量販モバイル通信、固定通信およびメディア・プラ
ン)
・中小企業向けリテール契約(量販および既製品としてのテクノロジー・ソリューション)
・大企業および政府機関向けリテール契約(電気通信、標準契約または特約のテクノロジー・ソリューションお
よびその管理)
・ネットワーク容量契約(主に破棄できない使用権(IRU))
・電気通信サービスのホールセール契約
・nbn正式契約および関連契約
・ネットワークの設計、構築および保守に係る契約(主にnbn coと)
顧客との契約の性質および種類の詳細は、以下に記載のとおりである。
当社グループは幅広い財およびサービスの販売を行っており、これらの財およびサービスは、当社グループから
直接または第三者により提供されている。当社グループは通常、顧客との契約については代理人ではなく、本人と
して締結している。
(a) テルストラ・コンシューマー&スモール・ビジネス(TC&SB)契約
当社グループは、量販の顧客に対して前払い方式と後払い方式によるサービスを提供している。量販の顧客の契
約は均一な性質を有しており、当社グループから直接またはディーラー・チャンネルを通じて販売されている。当
社グループの量販契約は、多くの場合、財とサービスを束で販売しており、これにはハードウェア等の製品、音
声、テキストおよびデータサービス、メディア・コンテンツ等が含まれる。財またはサービスを無料または値引価
格で追加購入できるオプション(すなわち、重要な権利)を含むものもある。
当社グループは現在、固定およびモバイルの量販の顧客に対して、ノーロックイン(月次)サービスプランを提
供している。この取決めでは、顧客はノーロックイン・サービスプランと共に、ハードウェアを即時払いまたは返
済プランにて購入することができる。顧客がノーロックイン・サービスプランの更新を中止した場合、ハードウェ
アの未払残高は直ちに支払われることになる。
2019年6月まで、当社グループは期間固定の後払い方式のプラン(顧客が契約を早期解約した場合、早期解約金
が課せられる)を提供していた。これらの契約の大半は期間が24ヶ月であったが、一部の小規模事業者向け契約の
期間はこれより長期間であった。これらの旧契約はすでに販売されていないが、当社グループは顧客が現在販売中
のプランへ移行するまで、これらの契約から生じる収益を継続して計上する。
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当社グループが直接行う、または当社グループの代理人として行動するディーラーを通じた、携帯端末とサービ
スのバンドルプランの販売に係る値引額は、相対的な独立販売価格に基づき携帯端末とサービスに配分される。顧
客に対して独自の携帯端末販売も行っているディーラーを通じて当社グループのサービスのバンドルプランが販売
される場合、値引額全額がサービスに配分される。
通常、当社グループは、束で販売される全ての製品の観察可能な独立販売価格と見積独立販売価格の組み合わせ
に基づき、対価および関連する値引きを当該製品に配分している。
一般的に、当社グループは、商品の販売による収益を商品引渡し時に認識し、サービスの提供による収益を時間
の経過に応じて認識している。契約開始時に重要な権利に配分された対価は、顧客がオプションを行使し、無料ま
たは値引きされた製品から便益を受けた時点または権利が失効した時点で収益に認識される。
当社グループは顧客に対し、携帯端末またはその他の機器の繰延支払条件を提示している。ノーロックイン契約
への移行により、当社グループが直接販売するモバイル通信の束に重大な金融要素が存在するかどうかの再評価が
必要となった。
量販契約に含まれる重大な 当社グループでは、直接販売するノーロックインのモバイル返済契約に重大な金
金融要素の評価 融要素が存在しないことを決定するために、判断を用いている。当社グループは、
契約全体の観点からの金融要素の重要性、当社グループのオファーの商業目的、繰
延支払条件の期間および市場金利等の要素を検討した。
当社グループは、携帯端末およびその他の機器を繰延支払条件で提供する固定期
間の旧量販契約に含まれる重大な金融要素を区別して会計処理している。当社グ
ループは、顧客の信用特性を反映した割引率を用いて契約開始時に当該金融要素を
測定している。
当社グループはロイヤルティプログラムであるテルストラ・プラスを提供しており、これに基づき消費者および
小規模企業の顧客は将来において特定の商品やサービスに交換可能なポイントを獲得できる。また、当該プログラ
ムは、顧客にエンターテイメントやテクニカルサポートのような無料または割引サービスの形で、階層別特典を提
供している。テルストラの商品およびサービスの購入により授与されるポイントは、重要な権利として会計処理さ
れ、ポイントに配分された金額は、顧客がポイントを交換するか、ポイントが失効するまで財政状態計算書におい
て契約負債として認識される。会計上の契約とは関係のない裁量ボーナスポイントは、マーケティング・オファー
として分類され、ポイント付与時に費用計上される。階層別特典は、関連する会計上の契約の収益を減少させる。
量販契約は、均一な性質を有していることから変更されないのが一般的である。ただし、当社グループのノー
ロックインの量販契約による固定およびモバイル通信サービスプランは月額契約であり、顧客は月に一回プランを
変更またはサービスを完全に解約することが可能である。
(b) テルストラ・エンタープライズ(TE)契約
TEは、中規模企業から大企業および政府機関の顧客と取引を行っている。規模が大きく複雑なTE契約は通常、
個々の状況に応じたソリューションおよびサービスを提供するため、特約型の性質を有している。大規模顧客以外
との契約は、大部分が標準型である。
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TEの法的契約の多くは複数年にわたる枠組み合意の形式をとっており、顧客は、この合意に基づき当社グループ
の財およびサービスを注文することができる。枠組み合意には履行条件が盛り込まれており、様々な種類の値引き
やインセンティブが付与される。この枠組み合意は、会計上、契約とみなされることはほとんどないが、枠組み合
意の条件に基づき提示された有効な注文書または作業指示書に従って注文された財およびサービス単位で、収益認
識の原則が適用される。
一部のTE契約において、当社グループは、ソリューション・マネジメントおよびアウトソーシング・サービスの
一環として、顧客が使用するコンピューターのメインフレーム、コンピューター処理設備およびその他の関連機器
の販売代理店兼貸手になっている。これらの契約に組み込まれたリースは通常、販売代理店兼貸手型のファイナン
ス・リースとして個別に会計処理され、ファイナンス・リース債権が財政状態計算書に認識される。
TE契約の中には、構築フェーズとそれに続くテクノロジー・ソリューションの管理という2つのフェーズを含む
ものがある。こうした取決めは内容が複雑であることから、当社グループは注文された財およびサービスならびに
収益認識のタイミングを決定するために各契約の事実や状況を分析している。構築フェーズ(あるいはその構成要
素)が個別のサービスと見なされる場合、当社グループは、顧客がどの時点でテクノロジー・ソリューションに対
する支配を獲得したかに応じて、構築期間にわたり、または構築の完了時に構築フェーズの収益を認識する。
当社グループのTE特約契約は多様であり、また適宜変更交渉が行われる。その際、当社グループは変更の範囲ま
たは変更による取引価格への影響を評価し、既存の契約が終了して新規の契約を締結したものと仮定して当該変更
を個別の契約として処理するのか、あるいは変更を既存契約の変更とみなすのかを判断する。
当社グループは、企業との複数の取決めに基づき、顧客による拠出を受けてネットワーク資産を拡大または修繕
し、最終的にその顧客に対する電気通信サービスの提供を可能としている。取引相手がネットワーク構築活動に拠
出しており、同一(または連動する)契約に基づき現行のサービスを購入する場合、初期の拠出は顧客との契約の
合計対価に加算され、当該契約に基づき引渡される財およびサービスに配分される。
TEの会計上の契約には、複数の財およびサービスが含まれる。通常、当社グループは、対価および関連する値引
きを、独立販売価格を基礎として、会計上の契約に含まれる全ての製品に配分する。しかし、枠組み合意で付与さ
れた一部の値引きは、特定の履行条件が適用される場合、特定の財およびサービスのみに配分されることがある。
リース要素に配分される対価は、当該リースの相対的な独立販売価格に基づいている。
独立販売価格の決定 当社グループは、同一の顧客契約に基づいて販売された財およびサービスに対価
を配分するために判断を用いて独立販売価格を決定している。
観察可能な価格が存在しない場合は、独立販売価格を算定するために、調整後市
場評価アプローチおよびコストにマージンを加算するアプローチといった様々な推
定手法を用いる。当社グループは、協議した価格は独立販売価格に概ね整合してい
ると判断した。
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当社グループは、マネジメント・サービスまたは固定料金のサービスによる収益を、時間の経過に応じておよび
サービス消費時の使用量に基づき認識している。
当社グループの一部の枠組み合意では企業向けロイヤルティプログラムおよびテクノロジーファンドを提供して
おり、これにより顧客は製品を無料で追加取得できる。契約開始時に、対価の一部はかかる製品に配分され、財政
状態計算書において契約債務として認識される。当社グループは、顧客がオプションを行使し、無料の製品から便
益を受けた時点または権利が失効した時点のいずれかで収益を認識している。
当社グループの大規模契約には、多くの場合、サービスレベルに関する合意(デリバリータイムやサービス復元
時間に関する合意)が盛り込まれている。これらのコミットメントを順守できない場合、当社グループは顧客に補
償する。このような補償金の予想額は、サービスレベルのコミットメントが履行されなかった期間の収益を減少さ
せることになり、コミットメントが履行されておらず、将来においても履行される可能性が低い場合は、即時に認
識される。また、こうした取決めには、ベンチマークまたは消費者物価指数に関する条項を含むものもあり、通
常、価格変更の適用時から変動対価として会計処理される。
当社グループの国際的なTEの取決めには、長期ネットワーク容量契約(一部はテイク・オア・ペイ契約)ならび
にセキュリティやバックアップ等のマネージド・サービスが含まれ、これらに関する収益は、通常、時間の経過に
応じて認識される。IRUに関する取決めには、通常、複数年にわたって引渡されるサービスに係る前払金が含まれ
ている。
破棄できない使用権 当社グループでは、金融要素が契約全体の観点から重要であるかどうかを評価
し、該当する場合には適切な割引率を決定するために、判断を用いている。
(IRU)に含まれる重大
当社グループでは、当社グループのネットワーク容量に関する国内および国際的
な金融要素の評価
な特約契約、すなわち、顧客がサービスを受ける前に前払金を支払うタイプのIRUに
含まれる重大な金融要素を加味して会計処理を行っている。こうした契約の法的な
平均契約期間は、10年から33年にわたる。
テルストラが顧客から資金提供を受ける場合、契約期間にわたり認識される収益
は、履行前に受領した資金総額に純金融費用に認識される支払利息相当分を加えて
計上される。
(c) テルストラ・ホールセール契約
テルストラ・ホールセール(テルストラ・インフラ・コ・セグメント内)は、電気通信サービスのプロバイダー
およびインターネット・サービス・プロバイダーと取引を行い、当該事業者およびプロバイダーは、リテールのエ
ンドユーザーに各自のサービスを提供している。
収益は、期間が最長2年間の固定ネットワーク・サービス契約(使用量を基礎とする契約や固定通信との束を含
む)から生じる。その他の契約では、相互接続、大容量SMS、後払い方式のモバイル通信サービスといったデー
タ&IPおよびモバイル製品を提供している。
テルストラ・ホールセールの法的契約は、一般的には複数年の枠組み合意として締結され、合意されたサービス
の価格設定、期間および更新オプション、インセンティブ、値引きならびに1回限りの料金について定めている。
しかし、当社グループのホールセール顧客の顧客(すなわち、エンドユーザー)がサービスを注文するまで、財ま
たはサービスの引渡し義務は存在しない。このため、会計上の契約は一般的に、エンドーザーによるサービスの注
文段階で発生する。
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当社グループの一部の枠組み合意では、最低支払コミットメント(すなわち、テイク・オア・ペイ条項)につい
て規定しており、このような場合は、枠組み合意の段階で会計上の契約が存在するとみなされる場合がある。
当社グループのネットワーク資産を拡大または修繕し、最終的に電気通信サービスの提供を可能にするための顧
客負担は、これらのサービスが引渡された時点で認識される。
テルストラ・ホールセールによるサービス提供収益は、サービス・プロバイダー(当社グループの顧客)が無制
限の通話やデータを受信することから、主に時間の経過に応じて、サービス提供期間にわたり認識される。
テルストラ・ホールセール契約の中には、複数の財およびサービスを含むものがある。通常、当社グループは、
対価および関連する値引きを、交渉後の価格(契約に基づき約束された財およびサービスの見積独立販売価格に概
ね整合している)を基礎として、会計上の契約に含まれる全ての製品に配分する。しかし、枠組み合意で付与され
た一部の値引きは、枠組み合意における特定の履行条件に基づき、特定の財またはサービスにのみ配分されること
がある。
(d) nbn co との契約
当社グループは、nbn coと以下の2種類の契約を締結している。
・nbn正式契約および関連契約
・ネットワークの設計、構築および保守サービスに係る契約
nbn coとの契約から生じる収益は、主にテルストラ・インフラ・コ・セグメントに報告されている。その他収益
として認識された金額は、TC&SBセグメントおよび当社グループのコーポレート・エリアに計上されている。
当社グループのnbn正式契約および関連する取決めには、nbn coおよび連邦政府の両者との多数の個別の法的契
約が含まれており、これらは商業上の目的が共通しているためまとめて交渉されている。これらの契約は収益の評
価上、結合されている。結合された会計上の契約の最低期間は30年である。
結合されたnbn正式契約および関連契約には個別に価格設定された要素が多く含まれており、この中には、収益
認識基準に基づいて会計処理されないものがある。例えば、nbn接続停止に係る手数料は当社グループの通常の活
動とは関係がなく、他のnbn正式契約に対する価格の関連性もないことから、その他収益として表示される。
インフラ・サービス契約(以下「ISA」という。)に基づき提供されるサービスは、収益認識基準に従って会計
処理されている。当社グループは、ダクトやピットならびにダーク・ファイバーや交換ラック・スペースを含むそ
TM
の他のインフラの長期使用権を提供することにより生じる収益を、当初はnbn ネットワークの累積敷設割合によ
り認識し、敷設完了後は時間の経過に応じて認識している。
nbn関連インフラの構築は個別のサービスとはみなされないため、別個の法的契約に基づき当該構築の対価とし
て受領した支払いは、合算してISA長期使用権サービスと一緒に会計処理されている。これらの前受金は、財政状
態計算書において契約負債として計上され、ISAの平均契約期間である35年間にわたり移転されるサービスとして
計上される。
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さらに、ISAには、当社グループのインフラ資産の売却代金も含まれており、当該資産の売却益(純額)は支配
がnbn coに移転した時点でnbnネットワークの敷設割合に応じてその他収益に認識される。
当社グループは、これらの取決めに基づき様々なサービスを提供しており、対価には、以下に記載される固定要
素と変動要素が数多く含まれている。
顧客との契約から生じる ISAに基づき、当社グループはnbn coより以下の支払いを受ける。
収益およびその他収益に ・ダクトおよびピットの長期接続サービスに関連した、インフラ接続サービスに
対する支払い(以下「IAP」という。)
対するnbnインフラ・
・インフラ資産の段階的な移転に伴うインフラ所有権に対する支払い(以下
サービス契約(ISA)の
「IOP」という。)
影響
・ダーク・ファイバーおよび交換ラック・スペースを含む、その他のインフラの
長期接続サービスに対する支払い
IAPは消費者物価指数に連動しており、nbnネットワークの敷設に応じてその完了
まで増加する(当該正式契約に規定されている)。その後IAPは、平均残存契約期間
である26年にわたり、引き続き消費者物価指数に連動する。
IOPはnbnネットワークの敷設期間にわたり受領されるもので、消費者物価指数に
より調整されて、nbnネットワークの敷設の進捗度と連動する。
IAPおよびIOPは、損益計算書において、それぞれ売上高およびその他収益として
分類され、nbnネットワークの設置面積の敷設割合で認識する。
任意の期間において、nbn coから最終的に受領するIAPおよびIOPの金額は、nbn
ネットワークの敷設の進捗度および現行のISAで規定されている当社グループの既存
の固定回線の最終的な施設数によって、損益計算書において認識された金額と異な
る可能性がある。nbnネットワークの敷設の進捗度および/または最終的な施設数の
変更は、損益計算書および関連するキャッシュ・フローにおいて認識されるIAPおよ
びIOPの金額に重要な変更をもたらす可能性がある。これらの調整額の一部は敷設完
了まで確定できず、また関連金額も決済できず、金利の影響を受ける。
nbnネットワークの敷設の進捗度およびその完了日はnbn coにより支配されてお
り、固定回線の最終的な施設数は関連するすべての資産がnbn coへ移転された後も
引き続き変更される可能性がある。したがって、nbn coが正式契約に従ってnbnネッ
トワークの敷設が完了したことを表明するまで最終的な価格調整額およびその結果
生じるキャッシュ・フロー(該当する場合は未払利息を含む)は、判明しない可能
性がある。
当社グループは、2021事業年度において認識されるIAPおよびIOPの金額を決定す
るために、上記に記載の変数に関して判断を用いており、接続サービスから生じる
収益7百万豪ドルを含む14百万豪ドルおよび当社グループの資産の売却から生じる
収益7百万豪ドルの累計戻入を計上した。将来の報告期間において、従前に報告し
たIAPおよびIOPの金額を変更させる証拠が存在する場合、将来の報告期間に売上高
およびその他収益が調整される。
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全体的なISAの対価に重要な変動性があることから、法的契約には未収利息および未払利息の算定の要否、算定
時期および算定方法に関する特定の条項が含まれている。
nbn 正式契約に含まれる重 当社グループでは、金融要素が契約全体の観点から重要であるかどうかを評価
大な金融要素の評価 し、該当する場合には適切な割引率を決定するために、判断を用いている。
会計上、契約において金融要素は重大ではないため、当社グループはnbn正式契約
および関連する取決めについて金融要素の個別の会計処理を行わない。
nbn coとのその他の契約は、ネットワークの設計、構築および保守サービスに係る保守契約である。これらの契
約では予定料金を含む枠組み合意を提供しており、nbn coは当該合意に基づき必要なサービスを注文することがで
きる。これらの契約に基づく会計上の契約には、通常は12ヶ月を超える固定期間や最低注文数量は含まれない。
収益の大部分は、進行基準に基づき一定期間にわたり認識され、見積原価総額に対して、報告日までに発生した
原価を参照して計算される。
2.2.2 契約済みであるが未引渡しの財およびサービスに係る収益
同一の顧客との契約に基づき購入された財およびサービスが、複数期間にわたって当該顧客に移転される場合が
ある。
表Bは、顧客が決算日以前に確約を行ったが、財およびサービスは2021年6月30日よりも後に移転されるという
契約に基づき約束された、残存する財、サービスおよび重要な権利に配分された対価の総額を示している。使用量
ベースの契約など、顧客が確約していない契約から発生する将来の金額は、開示金額には含まれていない。表示さ
れている期間は、将来の収益認識プロファイルの最善の見積りである。
6月30日現在
表B
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
1年未満 4,589 5,194
1年から2年 2,419 2,567
2年から5年 3,864 3,947
5年から10年 5,922 5,915
10年から20年 13,659 13,699
9,671 11,471
20年超
40,124 42,793
nbn正式契約から生じる将来の収益は多くの仮定に基づき見積られており、各報告期間において評価されるが、
その規模と長期的性質および契約の対価に影響を及ぼす変動要素の数の多さ(詳細は注記2.2.1を参照)を勘案す
ると、将来の期間における実際の認識額は、当社グループの見積額と大幅に異なる可能性がある。
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また、既存の顧客契約から生じる金額のうち、「その他の収入源から生じる収益」または「その他収益」(例え
ば、オペレーティング・リース収益や資産の売却益(純額)等)として認識される金額は、契約済みであるが未引
渡しの財およびサービスに係る収益から除外されている。
2.2.3 認識および測定
当社グループの収益認識の会計方針は以下のとおりである。
(a) 顧客との契約から生じる収益
顧客との契約から生じる収益は、当社グループの通常の活動の一環として販売される財およびサービスから生じ
る。
(ⅰ) 顧客との会計上の契約
2者以上の当事者間に強制力のある権利および義務を生じさせる取決めは会計上の契約であり、収益認識の原則
が適用される。
会計上の契約は法的契約と一致しない可能性があり、場合によっては、複数の法的契約を結合して単一の会計上
の契約にする必要がある。また、法的契約は枠組み合意(すなわち、オファー)を提供するのみで、会計上の契約
は顧客が財またはサービスの購入を約束する場合にのみ存在するというケースもある。
契約の構成要素のうち他の会計基準により会計処理されている部分は分離され、当該基準により会計処理され
る。
(ⅱ) 財、サービスおよび/または重要な権利
収益は、約束された財およびサービス(または財およびサービスの束)を顧客に引渡す契約上の義務をテルスト
ラが履行した時点で認識される。
財およびサービスを値引価格で追加購入できるオプション(すなわち、重要な権利)を顧客に付与する契約上の
約束は、値引きが他の顧客と比較して5%以上ある場合に個別に会計処理される。
顧客が単独でまたは顧客にとって容易に利用可能な他の資源と組み合わせて便益を受けることができ、それ以外
の約束された財またはサービスとの関係に変化を生じさせない場合、財またはサービスは個別に会計処理される。
(ⅲ) 変動対価
契約上の金額に変動要素が含まれる場合、当社グループは約束された財およびサービスと交換に権利を得る金額
を見積る。変動対価の例には、値引き、リベート、返金、クレジットおよび価格譲歩がある。当社グループは変動
対価の金額を見積る際、どちらが変動額をより正確に予測できるかによって、最も可能性の高い金額か期待値法の
いずれかを用いている。変動対価は契約開始時に見積られ、収益累計認識額の重大な戻入が生じない可能性が極め
て高くなるまで制限される。
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(ⅳ) 重大な金融要素
当社グループが財またはサービスを顧客に移転してから、顧客が対価を支払うまでの期間が1年を超えると予想
される場合、当社グループは重大な金融要素に応じて収益を調整する(すなわち、当社グループが繰延支払条件を
提示する場合は減額し、顧客から前受金を受領する場合は増額する)べきかを評価する。金融要素の重大性は契約
価値に応じて評価され、使用される金利は融資を受ける契約相手方の信用特性を反映している。
(ⅴ) 収益の財およびサービスへの配分
当社グループは相対的な独立販売価格に基づき、対価を財およびサービスに配分している。独立販売価格は、当
社グループが財またはサービスを、束ではなく単独で販売する価格である。当社グループは、類似の状況下で、類
似クラスの顧客に対して実質的に同一の財またはサービスを単独で販売する場合の観察可能な価格を用いて、契約
開始時に独立販売価格を決定する。観察可能な価格が入手できない場合は、例えば、調整後市場評価アプローチ、
予想コストにマージンを加算するアプローチまたは残余アプローチなどの適切な方法を用いて独立販売価格を見積
る。
当社グループが権利を得る見込みの収益の額を正確に反映するために、変動対価、値引きまたは重大な金融要素
を、全部ではなく一部の財、サービスおよび/または重要な権利に配分する場合もある。
(ⅵ) 収益認識のタイミング
収益は、財またはサービスの支配が顧客に移転する時点、すなわち顧客が財またはサービスから便益を受け、そ
れらの利用方法を決定することができるようになる時点で認識される。
顧客が提供された便益を受け取り、同時に消費する場合、または当社グループが、顧客が支配する資産を創出ま
たは増価する場合、当社グループは収益を一定期間にわたり認識している。それ以外の場合、当社グループは一時
点において収益を認識する。
当社グループは、財およびサービスを販売する際に進捗度の測定にインプット法またはアウトプット法のいずれ
かの方法を用いる。アウトプット法では、顧客にとっての価値を直接的に測定する(達成したマイルストーン
等)。インプット法では、履行の測定には、当社グループの労力またはインプットを用いる(予想される全労働時
間に対する当社グループで発生した労働時間等)。
一時点において収益が認識された場合、配分された対価は、財に対する支配が顧客に移転された時点で認識され
る。この判断の際に、当社グループは、顧客の支払義務、財に対する法的所有権の移転、財の物理的占有、顧客に
よる資産の検収、ならびに所有に伴うリスクと経済価値を考慮している。
(ⅶ) 契約変更
当社グループの契約は、契約開始後に随時再交渉され、その範囲および/または価格が変更される。残存する財
およびサービスが引渡し済みのものと分離されない場合にのみ、契約変更は、認識済みの収益に対する累積的変更
を生じさせる。
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(ⅷ) 総額または純額表示
当社グループが、顧客に移転されるまで約束された財およびサービスを支配し、引渡しの主たる義務を負う場
合、当社グループは顧客との契約において本人として行動しており、収益を総額で認識する。当社グループが第三
者プロバイダーの代理人として行動する場合、当該第三者に対する支払債務控除後の純額で収益を認識する。
(b) その他の収入源から生じる収益
その他の収入源から生じる収益には、収益認識基準に基づき会計処理されるもの以外の取決めから生じる収益が
含まれる。
契約の解約により、通常、異なる権利および義務が発生する。こうした権利および義務は当社グループの活動に
関連しておらず、会計上の契約の開始時には考慮されていない。したがって、引渡された財またはサービスの対価
の回収額を超える収益がある場合、顧客との契約から生じる収益には分類されない。代わりに、当社グループはそ
のような収益をその他の収入源から生じる収益に分類している。
当社グループは、注記3.2に記載のリース契約の一部から収益を稼得しており、それは特に以下の契約である。
・テルストラが顧客端末の販売代理店兼貸手となっているファイナンス・リース。当社グループでは、リース
開始日に、こうした商品の販売による収益を認識している。
・バック・ツー・バック契約(テルストラが借手)により第三者からリースした携帯端末を、オペレーティン
グ・サブリース(テルストラが貸手)によりリテール顧客に提供するリース契約。また、不動産オペレー
ティング・リースによる収益も計上している。オペレーティング・リース収益は、リース期間にわたって定
額で認識される。
(結合された)会計上の契約がリース構成部分と非リース構成部分を含みテルストラが貸手である場合、顧客と
の契約から生じる収益については、独立販売価格の比率の要件を適用してリース構成部分と非リース構成部分に対
価を配分する。
当社グループは、ネットワーク資産を拡大、移転または修繕するための拠出を受けている。取引相手がネット
ワーク構築活動への拠出を行っており、それが政府補助金ではない、また同一(または連動する)契約に基づく現
行のサービスの購入にも関係しない場合、当社グループはネットワーク構築活動の期間にわたって収益を認識して
いる。
その他の収入源から生じる収益には支払遅延手数料も含まれる。支払遅延手数料は、請求され、回収可能性が合
理的に保証される場合に認識される。
(c) 政府補助金
政府からの補助金は、補助金を受取り、テルストラが全ての付帯条件に従うことが合理的に保証される場合に認
識される。費用に関連する政府補助金は繰延べられ、補償対象の費用と当該補助金を対応させるために必要な期間
にわたって損益計算書にその他収益として認識される。
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2.3 費用
当社グループでは、費用(金融費用を除く)をその性質によって分類しているが、これは、このような分類が当
社グループの行う事業の形態をより正確に反映するためである。
6月30日終了事業年度
テルストラ・グループ
2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
労務費には以下が含まれる:
従業員解雇手当 253 157
株式報酬 18 23
確定拠出年金制度費用 212 210
確定給付年金制度費用 52 51
購入商品および購入サービスには以下が含まれる:
ネットワーク支払 3,153 3,155
売上原価 2,797 3,490
その他費用
減損損失(金融資産に係る純損失を除く) 162 129
リース契約に関連する費用 214 256
サービス契約およびその他協定 1,144 1,473
販売促進費および広告宣伝費 248 268
一般管理費 982 1,089
230 369
その他営業費用
2,980 3,584
減価償却費および償却費
有形固定資産の減価償却費 2,606 2,757
使用権資産の減価償却費 726 1,017
1,314 1,564
無形資産の償却費
4,646 5,338
金融費用
借入金の利息 518 678
リース負債に係る利息(テルストラが借手) 83 109
108 315
その他
709 1,102
控除:資産計上された借入金の利息 (55) (57)
654 1,045
当社グループの費用および金融費用の詳細は以下のとおりである。
・株式報酬は、現金決済型と持分決済型の両方の株式報酬制度に関連するものである。詳細については注記5.2
を参照のこと。
・減損損失には繰延契約コストの減損113百万豪ドル(2020事業年度:124百万豪ドル)およびプロジェクト・サ
ンシャインⅠ・ピーティワイ・リミテッドに対する当社グループの投資を2020年12月31日現在の売却コスト控
除後の公正価値で再測定した減損損失34百万豪ドル(2020事業年度:ゼロ)が含まれている。繰延契約コスト
およびプロジェクト・サンシャインⅠ・ピーティワイ・リミテッドに対する当社グループの投資の処分に関す
る詳細については、それぞれ注記3.6および6.1.3を参照のこと。
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・借入金の利息は、資産化率3.7%(2020事業年度:4.6%)を用いて資産計上されている。
・その他の金融費用には、当社グループの借入金およびデリバティブに係る未実現の評価影響額が含まれてい
る。これらには、ヘッジ会計が有効でない場合またはヘッジ会計の要件が満たされない場合に、デリバティブ
金融商品の公正価値の変動に伴い発生する正味損失が含まれている。これらの公正価値は、当社グループが管
理できない金融指標および価格の変動により増減する。未実現損益は全て、基礎となる商品の満期日にゼロに
なるよう解消される。
2.4 法人所得税
本注記では、当社グループの税務会計方針を記載し、法人所得税および繰延税金残高の内訳(税金
費用から会計上の利益への調整を含む)を示す。
当期法人所得税は、会計上の収益および費用と税務上の益金および損金の差異を加減算した会計上
の利益(すなわち、課税所得)に基づいている。
繰延税金は、資産負債法を適用して会計処理され、会計上の利益が課税所得と必ずしも一致しない
ために生じる。この不一致により一時差異が発生し、通常は時間の経過とともに解消される。当該一
時差異が解消されるまで、財政状態計算書に繰延税金資産または繰延税金負債を認識する必要があ
る。
また、本注記は、オーストラリア税制委員会による自主的な税務情報の透明性規範の要件の一部を
構成する開示も提供している。
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2.4.1 法人所得税費用
表Aは、名目法人所得税から実際の法人所得税費用への調整を示している。
6月30日終了事業年度
表A
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
法人所得税の主な構成要素
当期税金費用 665 980
一時差異の発生および戻入による繰延税金 (138) (16)
12 (7)
過年度過小/(過大)計上税額
539 957
名目法人所得税の実際の法人所得税への調整
税引前利益 2,441 2,796
オーストラリアの税率である30%を用いて算定した名目法人所得税
732 839
(2020事業年度:30%)
以下の税効果により名目法人所得税は実際の法人所得税と異なる:
非課税項目および損金不算入項目 (194) 118
繰延税金資産の取崩し - 18
評価の修正 - 1
過年度過小/(過大)計上税額 12 (7)
(11) (12)
海外の管轄で異なる税率
利益に対応する法人所得税 539 957
当期においてその他の包括利益または株主持分に直接認識された
99 (9)
税務上の法人所得税費用/(ベネフィット)
表Bおよび表Cには、オーストラリア税制委員会による自主的な税務情報の透明性規範の要件の一部を構成する
開示が含まれている。開示されている金額は全て、オーストラリア会計基準に従って算定されている。
表Bは、オーストラリア経済グループ(テルストラ社およびオーストラリアに所在するその被支配会社)とテル
ストラ・グループの両方に適用される実効法人税率と税務情報の透明性規範における実効法人税率(以下「TTC
ETR」という。)の内訳を示している。
6月30日終了事業年度
表B
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
当社グループ オーストラリア 当社グループ オーストラリア
実効法人税率 22.1% 22.7% 34.2% 35.2%
税務情報の透明性規範における
21.6% 22.2% 34.9% 35.5%
実効法人税率
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テルストラ・グループの実効法人税率22.1%(2020事業年度:34.2%)は、法人所得税を税引前当期利益で除し
て算定されている。当社グループの実効法人税率に影響を及ぼす、主要な非課税項目および損金不算入項目の詳細
については、次ページ(訳者注:原文のページ)を参照のこと。
テルストラ・グループのTTC ETR21.6%(2020事業年度:34.9%)は、過年度の過小または過大計上税額および
評価の修正による影響を除外しているため、実効法人税率とは異なっている。2020事業年度のTTC ETRは、当事業
年度の法人所得税に反映されている過小計上税額(純額)および2020事業年度の評価の修正による影響を含めるよ
うに更新されている。
TTC ETRは、各事業年度においてテルストラがオーストラリアおよびグループ全体の事業に関連して負担する法
人所得税を開示するための、自主的な税務情報の透明性規範の要件の一部を形成している。
非課税項目および損金不算入項目には以下による税効果が含まれる。
・不動産売却時に認識された、非課税の利益200百万豪ドルおよび繰延税金資産(純額)101百万豪ドル
・サンシャイン・ニューコー・ピーティワイ・リミテッドの処分に係る繰延税金負債27百万豪ドルの認識中止
(詳細は注記6.1.3を参照)
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表Cは、法人所得税から当期中の法人所得税支払額への調整を示している。
6月30日現在
表C
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
法人所得税 539 957
過年度(過小)/過大計上税額 (12) 7
繰延税金として認識された一時差異
売上債権およびその他受取債権ならびに契約資産 (12) 22
繰延契約コスト 5 20
投資 27 4
有形固定資産 (40) 11
使用権資産 52 (239)
無形資産 (39) (33)
買掛債務およびその他支払債務 19 41
従業員の諸権利に対する引当金 (10) 32
リース負債 (11) 195
借入金およびデリバティブ金融商品 103 (8)
契約負債およびその他前受収益 60 (37)
(16) 8
その他
138 16
当期税金費用 665 980
過年度に関連する法人所得税支払/(還付)額
213 (4)
当年度に関連する翌年度の未払法人税 (119) (222)
3 -
その他
法人所得税支払額
762 754
未払法人税の見積り 当社グループは、オーストラリアおよび当社グループが在外活動営業体を有する
その他の租税管轄地における税法の適用を受けている。当社グループは、各国の未
払法人税の算定および繰延税金残高の財政状態計算書への認識につき、判断を用い
ている。当社グループが事業活動を行っている諸国で税法に変更があった場合、未
払法人税の額および繰延税金残高の認識額が影響を受ける可能性がある。
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2.4.2 繰延税金資産/(負債)
表Dは、財政状態計算書に認識された繰延税金資産および繰延税金負債の額の詳細を示している。これには、為
替変動による影響が含まれている。
6月30日終了事業年度
表D
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
損益計算書に認識された繰延税金項目
売上債権およびその他受取債権ならびに契約資産 (221) (203)
貸倒引当金 54 63
繰延契約コスト (370) (376)
投資 (15) (47)
有形固定資産 (1,626) (1,566)
使用権資産 (832) (867)
無形資産 (567) (533)
買掛債務およびその他支払債務 169 123
従業員の諸権利に対する引当金 246 257
その他引当金 128 141
リース負債 909 925
確定給付債務 114 106
借入金およびデリバティブ金融商品 46 (48)
契約負債およびその他前受収益 514 445
税務上のキャピタルロス 33 20
税務上の欠損金 9 31
(13) (11)
その他
(1,422) (1,540)
その他の包括利益または株主持分に認識された繰延税金項目
投資 (109) (32)
確定給付年金資産 (161) (143)
172 176
借入金およびデリバティブ金融商品
(98) 1
正味繰延税金負債 (1,520) (1,539)
内訳:
繰延税金資産 60 66
(1,580) (1,605)
繰延税金負債
(1,520) (1,539)
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未認識の繰延税金資産 当社グループでは、繰延税金資産を認識し、各報告日において当該資産の帳簿価
額を見直すために、判断を用いている。帳簿価額は、資産の便益を利用できる十分
な課税所得が将来に発生する可能性が高い範囲内でのみ認識される。認識されな
かった金額はその後、将来の課税所得により当社グループが当該繰延税金資産から
便益を受けることが確実となった場合、認識される可能性がある。
表Eは、財政状態計算書に認識されていない繰延税金資産の詳細を示している。
6月30日終了事業年度
表E
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
未認識の繰延税金資産
税務上のキャピタルロス 1,285 1,907
税務上の欠損金 257 292
118 138
将来減算一時差異
1,660 2,337
2021年6月30日に、当社グループはテルストラのタワーズ事業において、コンソーシアムが戦略的パートナーと
なることを発表した。その結果、当社グループは、タワーズ事業の売却取引に係るキャピタルゲイン見積額と相殺
後の税務上のキャピタルロスについて、444百万豪ドルの繰延税金資産を認識した。テルストラのタワーズ事業の
売却取引の詳細については、注記7.3.1を参照のこと。当社グループの未認識の税務上のキャピタルロスを減少さ
せた他の重要な取引には、交換機用不動産およびデータセンターの不動産に関する課税対象となる売却が含まれて
おり、これらは注記3.2.1(f)および4.4にそれぞれ開示されている。
2.4.3 連結納税グループ
オーストラリアの税法上、テルストラ社とオーストラリアに所在する完全所有会社(以下「メンバー会社」とい
う。)は、連結納税グループを構成しており、連結納税グループは、法人所得税計算上、単一の企業体として扱わ
れる。テルストラ社は、当該グループの親会社として、自社の取引に加えて、グループ内全メンバー会社の当期税
金負債、ならびに未使用の税務上の欠損金および税額控除から生じる繰延税金資産を認識する。
連結納税グループ内の各社は親会社と納税分担契約および税金積立契約を交わした。
納税分担契約には、親会社がグループの納税義務を履行できない場合に税金負債を配賦する方法、およびメン
バー会社が連結納税グループを離脱する場合の取扱いが明確に定められている。
税金積立契約に従い、親会社および各メンバー会社は、親会社に対する当期未払税金/当期未収税金を、各メン
バー会社の財務書類に計上された当期税金負債または当期税金資産に基づいて支払う/受取ることに同意した。ま
たテルストラ社は、未使用の税務上の欠損金および税額控除に関する繰延税金資産をメンバー会社に補償する。
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税金積立契約に基づくテルストラ社の未収金27百万豪ドル(2020事業年度:55百万豪ドル)および未払金17百万
豪ドル(2020事業年度:24百万豪ドル)は、翌期に連結納税グループの当期未払税金の最終決済を行う際に振替え
られる。
2.4.4 認識および測定
法人所得税は当期法人所得税と繰延税金の合計である。当期法人所得税は税務当局が定めた規則に基づいて、会
計上の利益から益金不算入項目と損金不算入項目を加減算して計算される。繰延税金は、繰延税金資産の実現また
は繰延税金負債の決済が行われる期間に適用が予想される税率により算定される。当期法人所得税と繰延税金は双
方とも報告日現在で制定または実質的に制定されている税率を使用して計算される。
当期税金および繰延税金は損益計算書に費用として認識されるが、その他の包括利益または株主持分に直接認識
される項目に関連する場合は除外される。この場合、当期税金および繰延税金もその他の包括利益または株主持分
に直接認識される。
当社グループの当期税金および繰延税金は、不確実な税務上のポジションによる影響も認識しなければならな
い。関連する税務当局が当社グループの税務処理を認める可能性が高い場合、当社グループの税金残高は当該税務
処理に基づき認識される。関連する税務当局が当社グループの税務処理を認める可能性が高くない不確実な税務上
のポジションである場合には、当社グループの税金残高には最も可能性の高い金額もしくは予想見積価額を用い
る。
当社グループは繰延税金残高の計算に資産負債法を適用している。繰延税金とは、全ての将来加算一時差異およ
び将来減算一時差異に係る予想未払税金または予想未収税額で、これらは、報告日現在の税務上の資産および負債
と財務書類上の当該帳簿価額を参照して算定される。
当社グループでは通常、全ての将来加算一時差異について繰延税金負債を認識しているが、当該繰延税金負債が
以下のいずれかに起因する場合は除外される。
・のれんの当初の認識
・企業結合ではなく、取引時に会計上の利益または課税所得のいずれにも影響を与えない取引による資産または
負債の当初の認識
被支配会社、ジョイント・ベンチャーおよび関連会社に対する投資に関しては、当社グループが一時差異解消の
時期を管理できない場合および当該一時差異が解消されない可能性が高い場合を除き、繰延税金負債を認識する必
要がある。
将来減算一時差異ならびに税務上の繰越欠損金および税額控除の繰越額を利用できる課税所得を獲得できる可能
性が高い場合には、繰延税金資産が認識される。
同一の税務当局によって徴収される法人所得税に関連する場合で、当期の税金資産と税金負債を純額で決済する
予定である場合、繰延税金資産と繰延税金負債は財政状態計算書上で相殺されている。
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2.5 1株当たり利益
本注記では、1株当たり利益(以下「EPS」という。)の計算を概説する。EPSは各株式に帰属する
税引後当期利益の金額である。EPSは非支配株主持分に帰属する利益を除外し、株式が発行済であっ
た日数で加重平均した株式数を考慮している。
当社グループは基本的EPSおよび希薄化後EPSを算定している。希薄化後EPSは、テルストラ・グ
ロースシェア信託に基づく当社グループの従業員株式制度に割り当てられる資本性金融商品の影響を
考慮している。
6月30日終了事業年度
テルストラ・グループ
2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
基本的および希薄化後EPSの算定に用いられた利益
1,857 1,819
テルストラ社の株主に帰属する当期利益
株式数 株式数
加重平均普通株式数
(百万株) (百万株)
基本的EPSの算定に用いられた加重平均普通株式数
11,875 11,880
17 15
特定の従業員持株金融商品による希薄化効果
希薄化後EPSの算定に用いられた加重平均普通株式数 11,892 11,895
豪セント 豪セント
基本的EPS
15.6 15.3
希薄化後EPS 15.6 15.3
当社グループは基本的EPSの算定時に、テルストラ・グロースシェア信託(以下「グロースシェア」という。)
が信託内に保有する株式を除外するよう加重平均普通株式数を調整している。
グロースシェアの下で発行された資本性金融商品についての情報は、注記5.2に記載されている。
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2.6 キャッシュ・フロー計算書に対する注記
2.6.1 当期利益と営業活動により得られた現金純額との調整
6月30日終了事業年度
表A
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
1,902 1,839
当期利益
投資/財務活動に分類される項目の加算/(減算)
金融収益 (103) (274)
金融費用 654 1,045
有形固定資産および無形資産の正味売却益 (66) (402)
事業、被支配会社および持分法適用投資の正味売却益 (107) (13)
販売代理店兼貸手の収益 (42) (122)
リース関連の取引に係る純利益/(損失) 4 (2)
投資活動に関連して受領した政府補助金 (19) (16)
その他 (1) -
非資金項目の加算/(減算)
減価償却費および償却費 4,646 5,338
株式報酬 18 23
確定給付年金制度費用 52 51
ジョイント・ベンチャーおよび関連会社の純損失に対する持分 24 305
減損損失(棚卸資産、売上債権およびその他受取債権を除く) 40 5
その他 3 (24)
営業活動資産および負債の資金変動
売上債権およびその他受取債権ならびに契約資産の減少/(増加) 589 (169)
棚卸資産の減少 31 37
前払金およびその他資産の増加 (88) (15)
繰延契約コストの増加 (18) (109)
買掛債務およびその他支払債務の減少 (98) (544)
契約負債およびその他前受収益の増加/(減少) 111 (62)
未払税金純額の(減少)/増加 (222) 203
(79) (84)
引当金の減少
営業活動により得られた現金純額
7,231 7,010
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2.6.2 現金および現金同等物
6月30日終了事業年度
表B
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
要求払預金および手元現金 266 238
859 261
銀行預金および譲渡性預金
キャッシュ・フロー計算書上の現金および現金同等物
1,125 499
2.6.3 認識、測定および表示
(a) 現金および現金同等物
現金および現金同等物には、要求払預金および手元現金、投資目的よりも短期の運転資金用に保有されている銀
行預金および譲渡性預金が含まれている。
銀行預金および譲渡性預金は、償却原価で測定する金融資産として分類されている。
(b) 財務活動のキャッシュ・フローにおける短期借入金
短期借入金が短期の運転資金用に保有されている場合、財務活動における現金の受取額およびその後の返済額は
キャッシュ・フロー計算書において純額ベースで計上されている。
(c) 物品およびサービス税(以下「GST」という。)(その他付加価値税を含む)
当社グループは、発生したGSTの金額がオーストラリア税務庁(以下「ATO」という。)から回収不能である場合
を除き、収益、費用および資産をGST控除後の金額により計上している。回収不能な場合には、GSTは資産の取得原
価の一部または費用項目の一部として認識される。
当社グループが顧客からGSTを徴収しているか、仕入先が当社グループからGSTを徴収している場合、受取債権お
よび支払債務にはGSTが含まれている。ATOに対して支払うべき未払GSTは、流動項目の買掛債務およびその他支払
債務に含まれている。
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3. 中核資産、リース契約および運転資本
本セクションでは、当社グループの業績を支える中核となる長期有形資産(保有およびリース)および無形資産
について記載し、また、資産の減損評価の概要を説明する。本セクションではまた、短期資産および負債、すなわ
ち、当社グループの事業の営業流動性を支える運転資金についても記載する。
3.1 有形固定資産および無形資産
本注記では、有形固定資産およびのれんを含む無形資産、ならびにそれら資産の減損評価の詳細に
ついて記載する。
当社グループの減損評価では、資金生成単位(以下CGUという)の帳簿価額と、「使用価値」の計
算により算定された回収可能価額とを比較する。使用価値は、キャッシュ・フロー予測、割引率、残
存価値の測定に使用した成長率などの主要な仮定を用いて計算される。
3.1.1 有形固定資産
表Aは、当事業年度における有形資産の帳簿価額純額の変動を示している。
その他設備
土地および 通信設備 有形固定資産
表A
建物 資産 合計
テルストラ・グループ および備品
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
2019 年 7月1日現在の帳簿価額純額 620 20,846 301 21,767
取得 65 2,467 22 2,554
減価償却費 (62) (2,607) (88) (2,757)
1 (79) 13 (65)
その他変動
2020 年 6月30日現在の帳簿価額純額の内訳: 624 20,627 248 21,499
原価
1,340 61,879 1,075 64,294
減価償却および減損損失累計額 (716) (41,252) (827) (42,795)
2020 年 7月1日現在の帳簿価額純額 624 20,627 248 21,499
取得 52 2,064 48 2,164
減価償却費 (55) (2,476) (75) (2,606)
(33) (158) (3) (194)
その他変動
2021 年 6月30日現在の帳簿価額純額の内訳: 588 20,057 218 20,863
原価
1,344 62,302 1,096 64,742
減価償却および減損損失累計額 (756) (42,245) (878) (43,879)
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当社グループの固定資産の種類に関する詳細は、以下のとおりである。
・有形固定資産の取得は、適格資産に直接帰属する、資産計上された借入費用41百万豪ドル(2020事業年度:41
百万豪ドル)を含む。
・土地および建物は、当社グループのリース契約(テルストラが借手)に基づき認識された使用権資産に関連す
る賃借物改良費を含む。
・当社グループの有形固定資産には、主に当社グループが収益を生み出すのに使用している建物が含まれ、当該
資産から賃借料収入を獲得しているものもあるが、その金額的重要性は低い。二重の用途および賃借料収入の
金額的重要性の低さを勘案して、これらの資産は引き続き、オペレーティング・リースの対象ではなく保有資
産として表示されている。
・通信設備資産は、当社グループの通信設備資産の運用にとって不可欠である特定のネットワーク用土地および
建物を含む。
・2021年6月30日現在、有形固定資産1,133百万豪ドル(2020事業年度:1,158百万豪ドル)は建設中であり、設
置されていない、または使用可能な状態ではない。
・その他変動は、除売却85百万豪ドル(2020事業年度:3百万豪ドル)、正味為替換算差額による減少74百万豪
ドル(2020事業年度:25百万豪ドル増加)、建設仮勘定から無形資産への振替(純額)30百万豪ドル(2020事
業年度:104百万豪ドル)およびその他の個別には重要性の低い取引を含む。
3.1.2 のれんおよびその他の無形資産
表Bは、当事業年度における無形資産の帳簿価額純額の変動を示している。
表B
ソフトウェア その他の 無形資産
のれん ライセンス
テルストラ・グループ
資産 無形資産 合計
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
2019 年 7月1日現在の帳簿価額純額 1,076 3,983 2,023 624 7,706
取得 - 734 403 22 1,159
償却費 - (1,234) (239) (91) (1,564)
9 27 2 73 111
その他変動
2020 年 6月30日現在の帳簿価額純額の内訳: 1,085 3,510 2,189 628 7,412
原価
1,172 11,046 3,265 1,508 16,991
償却および減損損失累計額 (87) (7,536) (1,076) (880) (9,579)
2020 年 7月1日現在の帳簿価額純額 1,085 3,510 2,189 628 7,412
取得
14 924 120 7 1,065
償却費 - (964) (265) (85) (1,314)
(47) (15) (1) 31 (32)
その他変動
2021 年 6月30日現在の帳簿価額純額の内訳: 1,052 3,455 2,043 581 7,131
原価
1,139 11,281 3,328 1,525 17,273
償却および減損損失累計額 (87) (7,826) (1,285) (944) (10,142)
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当社グループの無形資産の種類に関する詳細は、以下のとおりである。
・ソフトウェア資産の取得は、適格資産に直接帰属する、資産計上された借入費用14百万豪ドル(2020事業年
度:16百万豪ドル)を含む。
・ソフトウェア資産の大部分は自己創設資産である。2021年6月30日現在、ソフトウェア資産451百万豪ドル
(2020事業年度:211百万豪ドル)は設置されておらず、使用可能な状態ではない。
・ライセンスは、様々な無線通信機器を稼働させるために取得したスペクトルライセンスおよび装置ライセンス
で構成されている。
・その他変動は、正味為替換算差額による減少61百万豪ドル(2020事業年度:9百万豪ドル増加)、有形固定資
産の建設仮勘定から無形資産への振替(純額)30百万豪ドル(2020事業年度:104百万豪ドル)、被支配会社
の取得による増加13百万豪ドル(2020事業年度:ゼロ)およびその他の個別には重要性の低い取引を含む。
開発費の資産計上 当社グループでは、判断により開発費を資産計上するか否かを決定している。
開発費の資産計上は、プロジェクトが技術的にも商業的にも実現可能である場
合、当社グループが当該資産を使用または販売できる場合、当社グループが開発を
完了するための十分な資源および意思を有する場合に限られる。
3.1.3 減価償却費および償却費
表Cは、当社グループの有形固定資産および識別可能無形資産に係る加重平均耐用年数を表示している。
期待便益(年)
表C
テルストラ・グループ 6月30日現在
2021 年 2020年
有形固定資産
建物 30 30
通信設備資産 25 25
その他設備および備品 8 8
無形資産
ソフトウェア資産 9 8
ライセンス 13 14
その他の無形資産 17 16
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有形固定資産および 当社グループでは、判断により資産の耐用年数および残存価額を見積り、毎年見
直している。耐用年数または残存価額を修正する必要がある場合、減価償却費およ
無形資産 の耐用年数
び償却費は(当期および将来の事業年度のいずれについても)再評価の日から改定
ならびに残存価額
耐用年数の終了まで変更される。
当該評価の際には電気通信事業者の国際的趨勢との比較も行い、通信設備資産に
ついては、当該資産が後継技術に取り替えられる時期、または陳腐化する時期も判
断している。無形資産、特にビジネスソフトウェアについては、現在の企業戦略の
下での関連するアプリケーションの除却予定日に合わせて耐用年数が調整される。
耐用年数の純影響額は、減価償却費は7百万豪ドル(2020事業年度:37百万豪ド
ル)減少、償却費は71百万豪ドル(2020事業年度:87百万豪ドル)減少した。
3.1.4 減損評価
全ての有形固定資産および無形資産は、事象や状況の変化によりその帳簿価額が回収可能ではない兆候がある場
合に、減損についての検討が行われる。耐用年数を確定できないのれんおよび無形資産は償却の対象にはならず、
少なくとも年1回減損テストが行われる。資産の帳簿価額が回収可能価額を上回る場合、当該資産は減損の対象と
なり、減損損失が当該報告期間の損益計算書に計上され帳簿価額が減額される。
資産の回収可能価額は、処分コスト控除後の公正価値または使用価値のうち高い方の金額である。処分コスト控
除後の公正価値は、活発な市場における市場相場価格を参照して測定される。使用価値は、当該資産の継続的な使
用およびその後の売却によって生じる現金の流入額と流出額を通して回収が期待される将来の金額の現在価値を表
している。
当社グループでは、他の資産または資産グループからおおむね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小
単位の資産グループであるCGUを識別する。のれんが配分されるCGUは、事業セグメントより大きな単位であっては
ならない。
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(a)テルストラ社のユビキタス電気通信ネットワーク
減損評価は、テルストラ社のユビキタス電気通信ネットワークCGUのレベルで実施される。
当社グループの 当社グループは、顧客アクセスネットワークと中核ネットワークとで構成される
テルストラ社のユビキタス電気通信ネットワークの一部を構成する資産は、独立し
ユビキタス電気通信
たキャッシュ・インフローを生み出すために連携して機能しているとみなしてい
ネットワークの減損評価
る。どの電気通信機器も、製品またはサービスを提供するために接続すべき他の資
産がなければ、単独では価値を有しない。
減損の兆候には、当社グループの事業および経済の仮定の変更またはCOVID-19や
気候変動等の新たに発生したリスクによる潜在的な影響が含まれる可能性がある。
当社グループでは、判断により、当社グループのキャッシュ・フローに悪影響をも
たらす特定の動向が減損の兆候とみなされるか否かを決定している。
COVID-19パンデミックは、当社グループが事業活動を行っている経済環境におい
て引き続き不確実性を生み出しているが、当社グループの資産の大部分が長期性で
あることや提供するサービスの性質を鑑み、ユビキタス電気通信ネットワークの減
損の兆候を示すものではないと判断した。
当社グループは、気候変動および低炭素経済への移行による潜在的な影響を引き
続き評価する。カーボンニュートラルな状態を維持し、2025年までに当社グループ
が消費する電力を100%再生可能エネルギー発電に転換することを含む、当社グルー
プの中期的な環境目標を達成するための財務的影響の一部を経営予測に組み込んで
いる。
一方で、当社グループはまだ、気候変動による長期的な財務的影響の可能性を識
別し、当社グループの予測に組み込むことを行っていない。テルストラは、電話交
換機、モバイル用中継タワー、データセンターおよびファイバー・ネットワークを
含む重要な有形資産を運営している。これらはオーストラリアの都市部や地方のみ
ならずシティ中心部にも位置しており、多くは極端な気候条件にさらされている。
森林火災、沿岸部の供水や氾濫、サイクロン、気温上昇および鉄砲水等の極端な気
象現象の高頻度化および深刻化は、当社グループの事業活動やサービス提供に損害
を与え、混乱をきたす可能性がある。
極端な気象現象に対する当社グループの経験に基づき、また、当社グループの資
産の拠点および性質が分散されていることや、当社グループによるネットワークの
レジリエンスと事業継続プログラムへの継続的な注力を考慮し、現段階において、
当社グループは、気候変動の潜在的な影響と低炭素経済への移行は減損の兆候を示
すものではないと判断している。
当社グループは事業に及ぼす気候の影響を引き続き評価しており、識別された財
務的影響を減損評価に組み込む予定である。気候変動や低炭素経済への移行による
キャッシュ・フローへの重大な悪影響を識別した場合、将来において減損の兆候と
みなす可能性がある。
経営予測には重要な判断と仮定が要求され、当社グループによる統制が及ばない
可能性のあるリスクや不確実性にさらされている。したがって、状況が変化すれば
予測が大きく修正される可能性があり、当社グループによる減損の兆候の評価や各
報告日における資産の回収可能価額に影響を及ぼす可能性がある。
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(b)のれん
CGUへ配賦されているのれんの帳簿価額の詳細は、表Dのとおりである。
6月30日現在
表D
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
1
543 587
テルストラ・エンタープライズ・インターナショナル・グループ
2
437 437
テルストラ・エンタープライズ・オーストラリア・グループ
3
72 61
その他
1,052 1,085
1 当該CGUは海外拠点で営業活動を行っているため、当該CGUに配分されたのれんは外国為替相場の変動により変動する。
2 テルストラ・エンタープライズ・オーストラリア・グループには、過去の買収により生じ当事業に統合されたのれんが含
まれている。
3 その他には、個別に重要性に乏しいCGUが含まれている。
のれんの減損評価における 当社グループでは、判断によりCGUを識別し、使用価値の算定を用いて回収可能価
CGUおよびその回収可能価 額を決定している。当該判断には、キャッシュ・フローの予測、ならびに実績と将
額の決定 来の予想に基づく成長率、残存価値の測定に使用した成長率および割引率の選択が
含まれる。
当社グループのキャッシュ・フローの予測は、異なる期間が妥当とされる場合を
除き、経営者の承認を受けた5年間の予想に基づいている。当該予想においては、
各資産およびCGUの収益、費用、資本的支出およびキャッシュ・フローの算定に、経
営者による見積りを用いている。
当社グループは、割引後キャッシュ・フローは引き続き帳簿価額を裏付けている
との結論に至ったため、減損は識別していない。
当社グループでは、のれんが配賦されたCGUの回収可能価額を算定するにあたり、以下の主要な仮定を用いてい
る。
割引率 残存価値の測定に使用した成長率
表E
テルストラ・グループ 2021 年 2020年 2021 年 2020年
% % % %
テルストラ・エンタープライズ・インター
9.0 9.5 2.0 2.0
ナショナル・グループ
テルストラ・エンタープライズ・オースト
13.1 13.1 2.3 2.3
ラリア・グループ
割引率は、キャッシュ・フロー予測に使用した税引前割引率を示す。当該割引率は市場において決定されたリス
ク調整後の割引率で、当該CGUおよびその事業を行う国々に関連する特定のリスクに応じて調整されている。
残存価値の測定に使用した成長率は、予想期間以降の当社グループのキャッシュ・フロー予測を推定するにあた
り、適用した成長率を示す。当該成長率は、各市場における当該CGUの長期業績予想に基づいている。
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当社グループはまた、残りのCGUに係る主要な仮定の変動による影響を検証する感応度分析も実施している。ど
のCGUについても回収可能価額が帳簿価額と等しくなるためには、税引前割引率を300ベーシス・ポイント(2020事
業年度:47ベーシス・ポイント)引き上げる、または、残存価値の測定に使用した成長率を584ベーシス・ポイン
ト(2020事業年度:82ベーシス・ポイント)引き下げる必要がある。主要な仮定のその他の変更により、どのCGU
についても重要な減損費用が生じることはない。
3.1.5 認識および測定
資産の種類 認識および測定
有形固定資産 建設仮勘定を含む有形固定資産は、取得原価から減価償却累計額および減損損失
累計額を控除した額で計上される。取得原価には、購入価格および当該資産の設置
や当該資産を意図した方法で使用可能にするために要した直接付随費用が含まれ
る。
当社グループは、適格資産の取得、建設および生産に直接帰属する借入費用を資
産計上する。その他の借入費用は全て、発生時に損益計算書に費用として認識され
る。
有形固定資産項目(建物およびリース資産を含むが、土地は除く)は、見積耐用
年数にわたって、損益計算書上定額法により減価償却される。当該資産の減価償却
は、設置され使用可能となった日から開始される。
のれん 企業結合により取得したのれんは、取得原価で測定される。当該原価はグループ
が企業結合の対価として支払った額が取得した識別可能純資産の取得日における公
正価値を上回る額を表している。
のれんは償却されず、年1回または減損の兆候が生じている場合に減損テストが
実施される。
ジョイント・ベンチャーまたは関連会社の取得に伴い発生したのれんは投資の取
得原価を構成する。
自己創設無形資産 自己創設無形資産は主に、新規または改良IT製品およびシステムの設計、制作、
検証の際に発生したIT開発費用である。
研究費は発生時に費用処理される。
資産計上された開発費には、以下が含まれる。
・原材料およびサービス使用に対する外部直接費
・プロジェクトに直接関与した従業員(契約社員を含む)の給与および直接労務
費関連費用
・適格資産に直接帰属する借入費用
自己創設無形資産は有限の耐用年数を有しており、耐用年数にわたって定額法で
償却される。
取得した無形資産 当社グループは、企業結合の一環として、または独立した取引を通じて、その他
無形資産を取得する。企業結合により取得した無形資産は、取得日現在の公正価値
により計上され、のれんとは区分して認識される。特定の取引を通じて取得した無
形資産は、取得原価で計上される。
有限の耐用年数を有すると考えられる無形資産は、耐用年数にわたって、定額法
により償却される。耐用年数を確定できないと考えられる無形資産は償却されず、
年1回または減損の兆候がある場合に減損テストが行われる。
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3.2 リース契約
本注記では、テルストラが借手または貸手のいずれかとなっているリース契約の詳細を記載してお
り、これにはテルストラが中間的な貸手である契約(すなわちサブリース)も含まれる。
3.2.1 テルストラが借手であるリース
当社グループにおける最も重要なリース契約は、以下を含むネットワーク不動産および非ネットワーク不動産に
関連している。
・当社グループのネットワーク資産およびデータセンターを支える土地ならびに建物
・オフィスビル、店舗スペースおよび倉庫
その他のリース契約には、以下が含まれている。
・当社グループが顧客に提供しているソリューション・マネジメント用の通信設備資産
・当社グループがリースし、消費者および小規模企業の顧客にサブリースしている携帯端末
・モバイル用中継タワー上のスペース
・再生可能エネルギープラント
・車両
・ラップトップ、パソコンおよびプリンター
当社グループのリースには残価保証のあるものはない。その他の特徴は以下のとおりである。
(a) 延長、解約および購入オプションを伴うリース
当社グループは、不動産リースにおいては、重要な購入オプションを有していない。
商業用およびネットワーク用不動産リースの多くには延長オプションが付されているが、これは当社グループの
中核事業で使用する資産を管理するという観点で、できるだけ柔軟に運用するためである。
ソリューション・マネジメント用の通信設備資産のリースには、購入オプションが付されている。これらの資産
は通常、販売代理店兼貸手型のファイナンス・リース契約(貸手としてのテルストラに関する詳細については注記
3.2.2を参照)により当社グループの法人顧客に提供されており、購入オプションにより、当社グループは関連機
器の法的所有権をリース終了時に最終顧客に移転することができる。
当社グループのリース契約における延長および解約オプションの大部分は、当社グループのみが行使可能であり
各貸手によって行使されるものではないが、通常、いずれの当事者もリースを解約できる不動産リースにおける
「ホールドオーバー期間」は例外である。
延長、解約および購入オプションは、リース期間の決定時に考慮される。
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リース期間の決定 当社グループでは、判断により、延長、解約および購入オプションを伴うリースの
リース期間を決定している。また、同じ原資産を延長期間において継続して使用する場
合は、リースの条件変更についても考慮する。
当社グループの不動産リースの条件は個別に交渉されるもので契約条件は様々である
が、通常は3年から15年の固定期間である。
テルストラがソリューション・マネジメント用の通信設備資産または車両の借手であ
る場合、すなわちリース資産がより一般的な性質および/または少額である場合、通常
は固定リース期間が3年から5年のマスター・リース契約が締結される。
リース期間の決定においては、延長、解約または購入オプションを行使する経済的イ
ンセンティブを生み出す全ての事実および状況を考慮し、該当する場合にはホールド
オーバー期間も考慮する。
当社グループが特に考慮するのは、リース期間の延長または解約を可能とする契約条
件、購入オプション(該当する場合)の行使価格、潜在的な再設置コスト、資産特有の
要因や関連する賃借物改良費、または当社グループの幅広い戦略および方針の決定であ
る。
延長オプションは、リースの延長が合理的に確実である場合に限りリース期間に含ま
れる。解約オプションを超える期間については、リースが解約されないことが合理的に
確実である場合に限りリース期間に含まれる。
固定リース期間が長いほど、借手がリース期間を延長するオプションを行使する確実
性は低くなる。
オフィスビルのリースの延長オプションは、通常はリース期間に含めないが、これは
市場に競争性があり、当社グループは延長オプションを行使する代わりにリースの大幅
な再交渉を行うかリース対象資産を交換する商業的能力を有しているためである。
当社グループの解約オプションには権利行使が合理的に確実であると考えられるもの
はないため、リース期間は短縮されておらず、将来のキャッシュ・フローは全てリース
負債の測定に含まれている。
リース期間の評価は、借手としての当社グループの統制の及ぶ範囲内にあり、評価に
影響を及ぼす重要な事象または状況の変化が発生した場合に見直される。
(b) 支払リース料が増加するリース
リース契約の大半において当社グループは固定リース料を支払っており、当該金額は当初認識時または再評価時
におけるリース負債の測定に含められる。当社グループの不動産リースにおける固定リース料には通常、固定割増
が含まれる。しかし、不動産リースの中にはその他のエスカレーション条項を含むものもあり、消費者物価指数、
固定割増と消費者物価指数の大きい方、または市場金利に応じてリース料が増加する。市場競争の激しさに対応
し、当社グループの固定費を最小限に抑えるために、市場賃料見直し条項が用いられる。2021事業年度において、
このようなエスカレーション条項から生じるリース負債に対する重要な調整は認識されていない。
(c) 指数またはレートに応じて決まるものではない変動リース料を伴うリース
再生可能エネルギープラントのリース等、当社グループのリースには、指数またはレートに応じて決まるもので
はない変動リース料を伴うものもある。当該支払額は、リース負債の測定には含まれず、発生時に損益計算書の
「その他費用」に計上される。
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(d) 使用権資産
表Aは、当事業年度における当社グループの使用権資産の帳簿価額純額の変動を示している。
種類別使用権資産
表A
土地および
テルストラ・グループ その他 合計
建物
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
2019 年 7月1日現在の帳簿価額純額 2,899 852 3,751
取得 309 122 431
減価償却費 (454) (563) (1,017)
解約 (9) (155) (164)
37 (8) 29
その他変動
2020 年 6月30日現在の帳簿価額純額の内訳: 2,782 248 3,030
原価
3,230 612 3,842
減価償却および減損損失累計額 (448) (364) (812)
2020 年 7月1日現在の帳簿価額純額
2,782 248 3,030
取得 409 243 652
減価償却費 (448) (278) (726)
解約 (33) (25) (58)
(17) (29) (46)
その他変動
2021 年 6月30日現在の帳簿価額純額の内訳: 2,693 159 2,852
原価
3,583 400 3,983
減価償却および減損損失累計額 (890) (241) (1,131)
両事業年度において、 その他資産の解約されたリースには、主にバック・ツー・バックの顧客オペレーティン
グ・リースの解約に伴い中止された、当社グループの携帯端末のリース(テルストラが借手)に係る使用権資産の
認識中止が含まれていた。
その 他変動には、ファイナンス・リースに基づきサブリースされた使用権資産20百万豪ドル(2020事業年度:17
百万豪ドル)の認識中止、およびその他の個別には重要性の低い取引が含まれている。
表Bは、当社グループの使用権資産に係る加重平均耐用年数の情報を示している。
加重平均耐用年数(年)
表B
テルストラ・グループ 6月30日現在
2021 年 2020年
使用権資産
土地および建物 9 10
その他 4 2
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(e) リース負債
リース負債には、少額資産リース(パソコン、ラップトップ、プリンター等)または指数もしくはレートに応じ
て決まるものではない変動リース料を伴うリースは含まれず、これらに関連する財政状態計算書日における未払賃
料は、引き続き買掛債務およびその他支払債務に含まれる。
不動産リースに係る 不動産リースにおいてはリースの計算利子率が容易に算定できないため、当社グ
ループでは、判断により追加借入利子率を算定している。
追加借入利子率の算定
追加借入利子率は、独立して得られる市場ベースの利回り曲線に信用調整を加え
た、借手の信用リスクを合理的に反映するレートを参照して算定される。割引率に
は以下も反映される。
・リース期間(加重平均返済期間に基づく)
・保証(ある場合)
・担保が価格設定において重要である場合には、その影響
2021年6月30日現在、加重平均追加借入利子率は2.3%(2020事業年度:2.5%)
であった。
表Cは、当社グループのリース負債の満期分析を示している。
6月30日現在
表C
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
割引前の将来キャッシュ・フロー
1年未満 566 633
1年から2年 577 471
2年から5年 1,118 1,105
5年超 1,444 1,560
3,705 3,769
割引前リース負債合計
将来の金融費用
(400) (471)
3,305 3,298
リース負債の現在価値
内訳:
流動 503 611
非流動 2,802 2,687
3,305 3,298
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リース負債の測定には、合理的に確実な延長オプションおよびリースの変更(状況が変化した場合には再評価が
必要である)から生じる割引後の将来キャッシュ・フローに関する判断が反映される。
2,194 百万豪ドル(2020事業年度:2,750百万豪ドル)の見込まれる将来キャッシュ・アウトフローが、まだ開始
されていないリース、および/または当社グループが合理的に確実ではないと評価した延長オプションに関連する
ため、リース負債の測定に反映されていない。これらのキャッシュ・フローの90%近くが5年後以降に発生する。
当該アウトフローは、法的に解約不能なリース期間(リースがまだ開始されていない場合)、および/または、財
政状態計算書に既に認識されているが開始されていないリースの当社グループのみが行使可能なすべての延長オプ
ション(すなわち、ホールドオーバー期間を除く)の期間にわたって支払われる固定リース料にのみ基づいて見積
られた契約上の割引前将来キャッシュ・フローを表している。
こうしたキャッシュ・フローは、オプションが(行使される場合には)法的に行使されるまで、および/または
締結済の新しい契約の発効日まで契約上の債務とはならない。
(f) リースに係る損益計算書計上額およびキャッシュ・アウトフロー
表Dは、当社グループのリース契約に関連する損益計算書計上額およびキャッシュ・アウトフローを示してい
る。
6月30日現在
表D
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
損益計算書計上額
オペレーティング・サブリースから生じる収益
181 468
(その他の収入源から生じる収益に計上)
使用権資産の減価償却費(減価償却費および償却費に計上) (726) (1,017)
リース負債に係る金利費用(純金融費用に計上) (83) (109)
セール・アンド・リースバック取引による純利益(その他収益に計上) 102 4
リースの解約および条件変更に係る純損失(その他費用に計上) (189) (226)
少額資産リースおよび変動リース料に係る費用(その他費用に計上) (25) (30)
リースに係るキャッシュ・アウトフロー
営業活動によるキャッシュ・フロー (25) (30)
財務活動によるキャッシュ・フロー(元本部分) (706) (993)
財務活動によるキャッシュ・フロー(利息部分) (83) (109)
2020 年12月に、当社グループは交換機用不動産のセール・アンド・リースバック取引による純利益102百万豪ド
ルを認識し、売却収入282百万豪ドルを受領した。また、当社グループは、当該取引により136百万豪ドルのリース
負債と39百万豪ドルの使用権資産を認識した。
当事業年度において、当社グループは、ファイナンス・リースに基づき当社グループの企業顧客にサブリースさ
れたモバイル機器に関するセール・アンド・リースバック取引を数件締結した。当社グループは売却収入9百万豪
ドルを受領し、それらの取引からごくわずかな純利益を認識している。
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リース解約に係る純損失には、主に携帯端末リースの早期解約手数料が含まれているが、これは当該端末のオペ
レーティング・サブリースの解約により認識された収益と一部相殺されている。
3.2.2 テルストラが貸手(販売代理店兼貸手および中間的な貸手である場合を含む)
テルストラが貸手(販売代理店兼貸手および中間的な貸手である場合を含む)であるリース契約には、主に以下
のカテゴリーが含まれている。
・オフィスビルおよびネットワークビルを含む、リースおよび不動産使用権資産のサブリース
・テルストラがソリューション・マネジメント用の通信設備資産の販売代理店兼貸手であるファイナンス・
リース
・消費者および小規模企業の顧客に対する携帯端末のサブリース
当社グループのリースには残価保証のあるものはない。当社グループの主要なファイナンス・リースおよびオペ
レーティング・リースは以下のとおりである。
(a) ファイナンス・リース
(ⅰ) テルストラが販売代理店兼貸手であるファイナンス・リース
当社グループは、主にソリューション・マネジメント用の通信設備資産に関するファイナンス・リース契約を顧
客と締結している。当社グループは原資産に残存する権利に関連するリスクは有していないため、リース開始日に
これらの取引からの収益および販売利益を認識している。当社グループの顧客契約におけるファイナンス・リース
の加重平均残存期間は4年(2020事業年度:5年)である。
(ⅱ) サブリース
一般的に、当社グループは、自社利用目的でオフィスビルおよびネットワークビルを賃借しており、賃貸料の稼
得を目的とはしていない。しかしながら、当社グループのニーズや賃借物件の利用目的が変更されたもののリース
を解約することは経済的でないと判断した場合には、ヘッドリースの残存解約不能期間にわたり市場条件で不動産
のサブリースを行っている。
これらのサブリースはファイナンス・リースとして分類され、リース開始日に、認識を中止した使用権資産の純
損益を計上し、ファイナンス・リース債権を認識する。解約不能リース期間終了時には当該不動産は明け渡され所
有者に返還されるため、当社グループには、原資産に留保された権利に関連するリスクはない。
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(ⅲ) ファイナンス・リース 債権の満期分析
表Eは、当社グループのファイナンス・リース債権に係る割引前のリース料債権の満期分析および未稼得金融収
益を示している。当社グループのファイナンス・リースでは、保証されていない残存価額はない。
6月30日現在
表E
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
ファイナンス・リースに基づく割引前のリース料債権
1年未満 89 99
1年から2年 64 79
2年から3年 38 47
3年から4年 22 28
4年から5年 22 21
5年超 30 48
265 322
割引前のリース料債権合計
控除:未稼得金融収益
(24) (33)
241 289
正味リース投資未回収額
貸倒引当金 (1) (1)
240 288
内訳
流動 80 90
非流動 160 198
240 288
当事業年度において、当社グループは、新たなファイナンス・リース債権61百万豪ドル(2020事業年度:171百
万豪ドル)を追加計上し、受取利息10百万豪ドル(2020事業年度:13百万豪ドル)を認識した。
当社グループのファイナンス・リース債権の減損評価に関する詳細については、注記3.3.1を参照のこと。
(b) 携帯端末のオペレーティング・サブリース
過去の事業年度においては、当社グループは、リースされた端末とモバイル通信サービスの束を消費者および小
規模企業の顧客に提供していた。これらの端末のリースは、テルストラが借手となっている第三者とのバック・
ツー・バック契約によるものであった。当社グループは2019年6月25日から当該モバイル通信の束の提供を中止し
たが、当社グループは、リース期間終了日または顧客による解約日のいずれか早い方まで当該契約の会計処理を継
続する。
2021 年6月30日現在、これらの契約に基づく重要な将来のリース料債権はなかった。
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(c) 損益計算書計上額
表Fは、テルストラが貸手(中間的な貸手を含む)であるリース契約に関連する、当事業年度における損益計算
書計上額を示している。
6月30日現在
表F
テルストラ・グループ 2021 年 2020 年
百万豪ドル 百万豪ドル
販売代理店兼貸手型のファイナンス・リースから生じる収益
39 122
(その他の収入源から生じる収益に計上)
サブリースを含むオペレーティング・リースから生じる収益
203 474
(その他の収入源から生じる収益に計上)
3.2.3 認識および測定
(a) リースの識別とリース期間
契約が特定の資産(一つの資産の物理的に別個の部分を含む)の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と
交換に移転する場合には、当該契約はリースであるかまたはリースを含んでいる。顧客は、供給者が実質的な差替
えの権利を有しておらず、かつ、顧客が特定の資産の使用からの経済的便益のほとんど全てを得て、その使用を指
図する権利を有している場合には、特定の資産の使用を支配する権利を有している。
契約にはリース構成部分と非リース構成部分が含まれる場合があり、それらは個別に会計処理される。当社グ
ループは、相対的な独立(販売)価格に基づいてリース構成部分と非リース構成部分に対価を配分する。
契約開始時にリースが識別されている場合、リース期間は解約不能期間および合理的に確実な延長、解約または
購入オプションを考慮して決定される。
(b) テルストラが借手であるリース
借手は、リース開始日に、使用権資産およびリース負債を認識する。リース負債は以下の支払リース料の現在価
値として当初測定される。
・リース・インセンティブ債権控除後の固定リース料(実質上のリース料を含む)
・変動リース料のうち、指数またはレートに基づく金額(当初は、開始日現在の指数またはレートを用いる)
・購入オプションが合理的に確実に行使されると評価された場合の購入オプションの行使価格
・リースの解約に対するペナルティの支払額(リース期間が借手による当該オプションの行使を反映している
場合)
合理的に確実な延長オプションに基づいて予想される支払リース料も、リース負債の測定に反映される。
市場賃料見直し条項がリース契約に含まれている場合、リース負債は、市場賃料見直しから予想される影響に法
的拘束力が生じ、かつ信頼性をもって測定できるまで、そうした影響を除外して測定される。
リース料は、リースの計算利子率を用いて割り引かれる。ただし、当該利子率が容易に算定できない場合には、
借手の追加借入利子率を用いる。
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支払リース料は、元本と金融費用の間で配分される。金融費用は、各期における負債の残高に対して毎期一定の
率の金利を生じさせるように、リース期間にわたり損益計算書に計上される。
指数またはレートに応じて決まるものではない変動リース料は、これらの支払いを発生させる事象または条件が
生じた期間に損益計算書に認識される。
少額資産のリースに関連する支払いは、損益計算書に費用として定額で認識される。
使用権資産の取得原価は、対応するリース負債の当初測定額、開始日以前に支払ったリース料、および当初直接
コストから構成される。リース資産またはその資産が設置されている敷地について解体、撤去または原状回復の義
務が存在し、引当金が設定されている場合には、これらの原状回復コストも使用権資産に含まれる。
使用権資産は、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した金額で事後測定される。
使用権資産は、通常、当該資産の耐用年数とリース期間のいずれか短い方の期間にわたって、定額法で減価償却
される。当社グループが購入オプションを行使することが合理的に確実である場合、使用権資産は原資産の耐用年
数にわたって減価償却される。減価償却は、リース開始日に開始する。
使用権資産については、当社グループの有形固定資産と同様の方針で減損の見直しが行われる。減損テストに関
する詳細については、注記3.1.4を参照のこと。
リース不動産の改良コストは、賃借物改良費として資産計上され、改良の耐用年数とリース期間のいずれか短い
方の期間にわたって償却される。
当社グループは、以下の場合にはいつでも、リース負債の見直し(および関連する使用権資産への対応する修
正)を行う。
・リース期間が変更された場合(過去にリース負債の測定に含まれていなかった延長もしくは解約オプション
の見直しもしくは行使を反映して)、または購入オプションの行使の評価が変更された場合、リース負債は
改訂後のリース料を改訂後の割引率で割り引くことによって再測定される。
・指数またはレートの変更によって将来のリース料が変更された場合、リース負債は改訂後のリース料を当初
の割引率で割り引くことによって再測定される。
・リース契約の条件が変更され、リースの条件変更が独立したリースとして会計処理されない場合、リース負
債は改訂後のリース料を改訂後の割引率で割り引くことによって再測定される。
(c) テルストラが貸手の場合(販売代理店兼貸手および中間的な貸手である場合を含む)
当社グループは、リース資産の所有権に付随して発生するほぼ全てのリスクおよび便益が実質的に貸手から借手
に移転するファイナンス・リースと、このようなリスクおよび便益のほぼ全てが実質的に貸手に留保されるオペ
レーティング・リースとを区分している。リースの分類は開始日に行われ、リースの条件変更があった場合にのみ
見直しが行われる。
当社グループが中間的な貸手である場合、当社グループはヘッドリースとサブリースを2つの別個の契約として
会計処理している。サブリースは、ヘッドリースから生じる使用権資産を参照してファイナンス・リースまたはオ
ペレーティング・リースに分類される。
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ファイナンス・リースにより資産をリースしている場合、ファイナンス・リース債権(すなわち、正味リース投
資額)がリース開始日に認識され、リース料債権の現在価値とリース期間終了時に発生する見込みの保証されてい
ない残存価額をリースの計算利子率を用いて割り引いた現在価値との合計で測定される。
受取ファイナンス・リース料は、当該リースに関する純投資残高に対する一定した期間収益率を反映させるよう
に、リース期間にわたり金融収益とファイナンス・リース債権の減額に配分される。
当社グループが販売代理店兼貸手である場合、当社グループは、リース開始時に、ファイナンス・リース債権に
加えて原資産の販売による販売損益(その他の収入源から生じる収益と売上原価との差額)も認識している。
オペレーティング・リースによる収益は、当該リース期間にわたり定額により認識され、損益計算書にその他の
収入源から生じる収益として表示される。
(d) セール・アンド・リースバック取引
同一資産を売却してリースバックする場合の当社グループの会計処理は、当該資産の支配が買手に移転されてい
るかどうかによって異なる。
・ 支配が移転されている場合には、当社グループは、リースバックから生じた使用権資産を、資産の従前の帳
簿価額のうち売手である借手として当社グループが保持した使用権に係る部分で測定する。したがって、当
社グループは、買手である貸手に移転された権利に係る利得または損失の金額のみを認識する。
・ 支配が移転されていない場合には、売手である借手としての当社グループは、譲渡した資産を引き続き認識
し、譲渡収入と同額の金融負債を認識する。
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3.3 売上債権およびその他受取債権ならびに契約資産
3.3.1 流動および非流動の売上債権およびその他受取債権ならびに契約資産
6月30日現在
表A
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
注記
百万豪ドル 百万豪ドル
流動
顧客との契約から生じる売上債権 3,136 3,248
ファイナンス・リース債権 3.2 80 90
未収収益 325 565
253 355
その他受取債権
3,794 4,258
契約資産 3.5 783 863
4,577 5,121
非流動
顧客との契約から生じる売上債権 694 977
ファイナンス・リース債権 3.2 160 198
ジョイント・ベンチャーおよび関連会社に対する債権 6.2 79 16
51 8
その他受取債権
984 1,199
契約資産 3.5 184 229
1,168 1,428
売上債権の大部分は顧客との契約上の合意という形式によるものである。通常、当該契約の条件として、請求日
より14日から30日の間での決済が求められる。売上債権およびその他受取債権ならびに契約資産に関連する信用リ
スクに対しては、引当金を計上している。
当社グループの売上債権には、ハードウェアとサービスを束とする量販プランから生じる12ヶ月、24ヶ月または
36ヶ月の繰延支払条項付債権が含まれている。報告日から12ヶ月以内に回収が見込まれる金額は流動資産として表
示される。
顧客との契約から生じる売上債権は対価(主として現金)を受取る無条件の権利を表し、これは通常、財および
サービスが引渡された時点および/または有効な請求書が発行された時点で発生する。一方、契約資産は、顧客に
提供されたものの、当社グループが支払を得る無条件の権利を報告日現在において有していない財またはサービス
の対価にかかる権利に関連している。
通常、当社グループは、前払いまたは固定(通常は月次)の手数料契約に基づき提供されるサービスに関して事
前に顧客に請求し、使用量ベースの契約(大企業の契約に基づく電気通信サービス等)については後払いで請求す
る。こうした場合、当社グループは、契約負債と契約資産をそれぞれ認識することになる。
契約資産と契約負債の純額の変動については、注記3.5を参照のこと。
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(a) 売上債権およびその他受取債権ならびに契約資産の減損
売上債権およびその他受取債権ならびに契約資産は、顧客の信用リスクにさらされており、減損評価の対象とな
る。
信用損失(すなわち、契約上のキャッシュ・フローと予想キャッシュ・フローとの間の不足額)が予想される場
合、売上債権およびその他受取債権ならびに契約資産の帳簿価額を減額するために貸倒引当金が計上される。受取
債権および契約資産の両方について、当社グループは、予想信用損失をポートフォリオ・アプローチおよび/また
は個別評価のいずれか、またはそれらの組み合わせにより見積っている。
(ⅰ) ポートフォリオ・アプローチ
ポートフォリオ・アプローチは過去の信用損失実績に基づくものであり、現在の状況と将来の経済見通しの見積
りを反映するよう適宜調整される。このアプローチは、主に当社グループの消費者および小規模企業の顧客との契
約から生じる残高に適用される。このアプローチでは、債権および契約資産は、以下のような共通の信用リスク特
性に基づき区分される。
・顧客の状況(サービスをまだ提供中か否か)
・顧客の過去の支払履歴
・延滞日数
各区分について、当該区分内の顧客が債務不履行となる可能性、つまり90日超延滞する可能性に基づき予想信用
損失が算定され、また債務不履行となる場合の予想損失率が算出されるが、これらはいずれも顧客レベルで算出さ
れるデフォルト時エクスポージャーに対する割合として示される。
当社グループの引当金比率は、0.1%(2020事業年度:0.2%)(支払期限内の残高)から91.0%(2020事業年
度:81.7%)(支払が90日超延滞し、顧客へのサービスが停止されている残高)の範囲である。
(ⅱ) 個別アプローチ
個別アプローチは、過去の信用履歴、債務者の財政状況についての知識(例えば、支払不能や支払計画に関する
もの)または債務者固有のその他既知の信用リスク(例えば、債務者の業界に基づく判断)に基づく個別の顧客毎
の評価である。当該アプローチは、大企業および政府機関との契約から生じる残高、ならびにテルストラ・エン
タープライズ・セグメント、テルストラ・インフラ・コ・セグメントおよびテルストラ・コンシューマー&スモー
ル・ビジネス・セグメントのその他の勘定で、不利益になるような支払行動の変化が検知されている、または顧客
による一定の基準の超過がある場合に適用される。
nbn coとの取引により生じる残高(テルストラ・インフラ・コ・セグメントおよび「その他全て」のカテゴリー
に計上)は、オーストラリア政府の信用リスク格付に基づき個別に評価される。
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予想信用損失の見積り 当社グループでは、判断により、償却原価で測定される売上債権およびその他受
取債権ならびに契約資産に対する予想信用損失を見積っている。
当社グループのテルストラ・コンシューマー&スモール・ビジネスおよびテルス
トラ・エンタープライズのオーストラリア国内の顧客から生じる売上債権および契
約資産については、当社グループは基準時、好況時および不況時のシナリオを組み
込んだシナリオベースのアプローチを実施した。全体的な予想信用損失は、これら
3つのシナリオの加重平均として算定している。
当社グループの分析では、失業率、金利または国内総生産などの全般的なマクロ
経済要因は、一定の基準を上回らない限り、通常、当社グループの貸倒損失と強い
相関関係がないことを示している。2021年6月30日現在、これらのマクロ経済要因
は該当する基準の範囲内であった。当年度における当社グループの減損引当金に対
するCOVID-19特有の重要な調整はない。
顧客との契約から生じる売上債権、ファイナンス・リース債権および契約資産に関連する年齢調べおよび貸倒引
当金の詳細は、表Bのとおりである。一部の長期滞留売上債権の返済条件を既に再交渉したものも含め、当該分析
は債権の当初の支払期日に基づいている。
6月30日現在
表B
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
総額 引当金 総額 引当金
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
以下で測定されるものを含む、支払期限内:
-償却原価 4,266 (47) 3,516 (33)
397 - 1,346 -
-公正価値
4,663 ( 47) 4,862 (33)
1~30日の延滞
301 (21) 447 (2)
31~60日の延滞 84 (11) 141 (2)
61~90日の延滞 44 (10) 89 (9)
144 (110) 267 (155)
91日超の延滞
5,236 ( 199) 5,806 (201)
契約資産は回収期限が到来していないため、全ての残高は「支払期限内」の区分に含まれている。
未収収益、ジョイント・ベンチャーおよび関連会社が保有する債権、ならびにその他受取債権(貸倒引当金控除
前)の合計717百万豪ドル(2020事業年度:953百万豪ドル)は、通常のアプローチを用いた減損評価の対象であ
り、外部格付機関による信用格付けA-以上の取引相手との残高を67%(2020事業年度:79%)含んでいる。
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当社グループでは、保証、信用状、差入金の形で、支払期限を過ぎた、または減損した債権を含む多数の売上債
権に対して担保を保有している。2021事業年度において当社グループが請求した担保は重要ではなかった。当該売
上債権は、支払期限を過ぎておらず、減損に至ってもいない売上債権とともに、これまで返済に問題がなく、回収
可能と見込まれる顧客に対する債権で構成されている。さらに、当社グループは、最長支払期限を設定することに
より、信用リスクに対する売上債権からのエクスポージャーを制限しており、特定の状況においては支払期限から
90日経過後にサービスを停止している。
減損引当金の測定に用いた方法を問わず、当社グループの全ての売上債権およびその他受取債権ならびに契約資
産に対する貸倒引当金の変動の詳細は、表Cのとおりである。
6月30日終了事業年度
表C
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
7月1日期首残高 (210) (152)
追加引当金 (121) (113)
使用金額 26 19
97 36
戻入金額
6月30日期末残高
(208) (210)
未収収益、ジョイント・ベンチャーおよび関連会社が保有する債権、ならびにその他の受取債権に関連する減損
引当金(すなわち、表Bには表示されていない残高)は9百万豪ドル(2020事業年度:9百万豪ドル)であった。
3.3.2 認識および測定
売上債権およびその他受取債権ならびに契約資産は金融資産であり、当初公正価値により計上され、その後実効
金利法を用いた償却原価により測定される。ただし、顧客との契約から生じる特定の売上債権は、その後公正価値
で測定される(詳細は、注記4.5.6を参照のこと)。
契約資産は、顧客に提供される財またはサービス(その支払を回収する権利が同一のまたは一連の契約に基づき
他の財またはサービスを提供することを条件としており、かつ/または当社グループがまだ有効な請求書を発行し
ていないもの)の報酬として配分された取引価格で当初計上される。契約資産は、要求されている場合は関連する
取引価格調整を反映するためにその後測定され、支払に対する権利が無条件になった時点で売上債権に振替えられ
る。
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(a) 金融資産の減損
当社グループは、償却原価で測定される当社グループの契約資産を含む金融資産の予想信用損失を、以下のいず
れかに基づいて見積っている。
・通常のアプローチ、すなわち、報告日後12ヶ月以内に発生し得る全ての債務不履行事象により生じる12ヶ月の
予想信用損失。ただし報告日現在における金融資産の信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合、
減損引当金は、全期間の予想信用損失で算定され る (未収収益、ジョイント・ベンチャーおよび関連会社が保
有する債権、ならびにその他受取債権に適用される)。
・簡便的アプローチ、すなわち、金融商品の予想存続期間にわたり発生し得る全ての債務不履行事象により生じ
る全期間の予想信用損失。(顧客との契約から生じる売上債権、契約資産およびリース債権に適用される)
予想信用損失は当初の実効金利で割り引かれる。
90日超延滞の債務がある顧客は債務不履行とみなされる。
売上債権およびその他受取債権ならびに契約資産は、全ての回収努力が尽くされ、当該金融資産が回収不能と見
なされた場合には、減損引当金で相殺されるか、帳簿価額から直接減額され、損益計算書に費用計上される。回収
が合理的に見込まれないことを示す要因には、支払不能や、直近の請求書を発行してから長期間が経過しているこ
とが含まれる。
3.4 契約負債およびその他前受収益
契約負債は顧客との契約から生じ、契約に基づき約束した財および/またはサービスを受取る前に顧客から当社
グループに支払われた(または支払期限を迎えた)金額を表している。
前受収益は、例えば、nbn接続停止に係る手数料または資産の売却などからの、その他の収入源から生じる収益
やその他収益を発生させる契約に基づく事前の対価から構成されている。
報告日から12ヶ月以内に収益として認識が見込まれる金額は流動負債として表示される。
表Aは、当社グループが様々な種類の契約上の取決めに基づき顧客から事前に受領した支払を表している。
6月30日現在
表A
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
注記
百万豪ドル 百万豪ドル
流動
契約負債 3.5 1,534 1,540
71 71
その他前受収益
1,605 1,611
非流動
契約負債 3.5 974 947
339 255
その他前受収益
1,313 1,202
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3.5 契約資産と契約負債の純額
契約資産および契約負債は、収益認識時期と顧客への請求時期との差異から生じる。当社グループの財および
サービスに係る請求の取決めは、様々な種類の値引き、クレジットまたはその他のインセンティブと同様に、顧客
との契約の種類や性質により異なる。その結果、当社グループは、同一の会計上の契約に基づく場合でも契約資産
と契約負債の両方を認識する場合がある。各報告日において、同一の会計上の契約から生じる残高は、財政状態計
算書において契約資産純額または契約負債純額として純額で表示される。
純額での表示は主として、小規模企業および大企業向けのロイヤルティプログラムおよびテクノロジーファンド
を提供するフレームワーク契約、ならびに複数の法的契約が単一の会計上の契約として統合されている場合のnbn
正式契約に影響を及ぼす。
表Aは、当社グループの流動および非流動の契約資産および契約負債の期首および期末残高、ならびに当期にお
ける変動純額を示している。
6月30日現在
表A
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
流動契約資産 783 863
184 229
非流動契約資産
契約資産合計 967 1,092
流動契約負債
(1,534) (1,540)
(974) (947)
非流動契約負債
契約負債合計 (2,508) (2,487)
契約負債純額合計 (1,541) (1,395)
契約負債純額の当期増加額
(146) (283)
通常、契約資産は、当社グループが請求前に顧客に移転された財およびサービスに関して収益を認識する時に増
加し、すでに提供された財およびサービスに関して顧客に請求する時に減少する。
一方、契約負債は、当社グループが財およびサービスの顧客への移転に先立って対価を受取る時に増加し、顧客
によりすでに前払いされた財およびサービスに関して収益を認識する時に減少する。
当社グループの契約資産および契約負債におけるその他の変動は、請求時期と値引き、クレジットおよびその他
のインセンティブの認識時期との相違に起因する取引価格の変動から生じる。
契約負債純額は全体として146百万豪ドル(2020事業年度:283百万豪ドル)の増加となっており、これには契約
負債の期首残高に含まれている、当報告期間に認識された収益1,562百万豪ドル(2020事業年度:1,722百万豪ド
ル)が反映されている。
契約資産の減損評価の詳細については、注記3.3.1を参照のこと。
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3.6 繰延契約コスト
当社グループは、顧客との契約を獲得するための販売代理店手数料を支払っており、顧客との契約に関連して前
払いの設置費用やその他の費用が発生する。これらのコストは、将来における財およびサービスの引渡しを裏付
け、回収が期待される場合、財政状態計算書で繰延べられ、これらのコストに関連する財およびサービスの移転と
同じ基準で償却される。
表Aは、繰延契約コストの帳簿価額純額の変動を示している。
契約を獲得する 繰延契約
契約を履行するためのコスト
表A
ためのコスト コスト合計
テルストラ・グループ サービス・
手数料 設置費用 プロバイダー 合計
費用
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
2019 年 7月1日現在の
1,085 57 185 242 1,327
帳簿価額純額の内訳:
流動
n/a - 95 95 95
非流動 1,085 57 90 147 1,232
取得 607 9 677 686 1,293
償却費 (407) (19) (634) (653) (1,060)
(124) - - - (124)
減損損失
2020 年 6月30日現在の
1,161 47 228 275 1,436
帳簿価額純額の内訳:
流動
n/a - 82 82 82
非流動 1,161 47 146 193 1,354
2020 年 7月1日現在の
1,161 47 228 275 1,436
帳簿価額純額
取得
488 14 835 849 1,337
償却費 (390) (20) (795) (815) (1,205)
(113) - - - (113)
減損損失
2021 年 6月30日現在の
1,146 41 268 309 1,455
帳簿価額純額の内訳:
流動
n/a - 113 113 113
非流動 1,146 41 155 196 1,342
繰延契約コストの償却期間 当社グループでは、判断により契約獲得のための繰延契約コストの償却期間を見
積もっている。
当初の契約獲得時に支払われた販売手数料が再契約の手数料と見合わない場合に
は、償却期間は、契約の種類ごとの顧客の見積平均契約期間を反映している。
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3.6.1 認識および測定
当社グループは、会計上の契約を獲得するための増分コスト(すなわち、契約が獲得されていなければ発生して
いないコスト)で、顧客との精算を通じて直接的にもしくは契約マージンを通じて間接的に回収可能であるものを
資産計上している。
当社グループは、便益を受ける期間が1年以内である場合には、契約を獲得するための増分コストを即時に費用
計上している。
契約を履行するためのコストは、識別された財またはサービスに直接的に、または契約において必須であるが財
またはサービスの移転を伴わないその他の活動に間接的に関係している。
契約を履行するためのコストには、将来の報告期間に移転されることになる財およびサービスに関連する設置費
用およびサービス・プロバイダー前払費用が含まれている。
当社グループは以下の場合には、契約を履行するためのコストを資産計上している。
・当該コストが契約または特に識別され想定される契約に直接的に関係している。
・当社グループが支配し、将来の財およびサービスを移転する際に費やされることとなる資源が、当該コスト
により生成または強化されている。
・当社グループが当該コストの回収を見込んでいる。
当社グループは、繰延契約コストを当該コストによる便益が期待される期間を反映する期間にわたり「購入商品
および購入サービス」費用で償却している。この期間は、当初契約期間を超えて、顧客の見積契約期間または顧客
集団の平均契約期間にまでわたる場合がある。当社グループは、関連する財またはサービスの提供の進捗度の測定
および収益認識に用いる手法と整合する償却方法を用いている。
当社グループは、事象や状況の変化によりその帳簿価額が回収可能ではない兆候がある場合に、繰延契約コスト
の減損についての検討を行う。当社グループは減損損失を「その他費用」に認識している。
3.7 棚卸資産
6月30日現在
テルストラ・グループ
2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
流動
再販売用製品 305 353
80 65
原材料およびネットワーク在庫
385 418
非流動
21 28
ネットワーク在庫
21 28
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3.7.1 認識および測定
棚卸資産は原価と正味実現可能価額のいずれか低い方の額で評価される。棚卸資産の大部分については、加重平
均法で原価を配分している。
販売予定の製品の正味実現可能価額は、見積販売価格から完成に要する見積費用およびマーケティング、販売、
流通に要する見積費用を控除した金額である。
使用予定の製品(例えば他の資産の建設に使用される等)の正味実現可能価額は、将来の使用を通じて得られる
と期待される正味価値である。
3.8 買掛債務およびその他支払債務
6月30日現在
テルストラ・グループ
2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
流動
買掛債務 1,204 988
未払費用 1,723 1,774
未払資本的支出 280 438
未払利息 185 221
374 559
その他支払債務
3,766 3,980
非流動
9 4
その他支払債務
9 4
買掛債務およびその他支払債務は無利子負債である。当社グループの支払条件は様々であるが、通常、請求書の
日付から20日から90日以内に支払われる。
2021 年6月30日現在、サプライチェーンファイナンス契約に基づくベンダーによる融資は、当該プログラムが終
了したため、行われていない(2020事業年度:143百万豪ドル)。
3.8.1 認識および測定
未払費用を含む買掛債務およびその他支払債務は、当社グループが資産またはサービスを購入した結果として将
来支払を行う義務が生じた時点で計上される。買掛債務およびその他支払債務は、当初公正価値で認識され、実効
金利法を用いた償却原価で計上される金融負債である。
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4. 資本およびリスク管理
本セクションでは、当社グループの資本管理に対するアプローチおよび資本構成に関する情報を提供している。
当社グループの総資本は、株主持分および純債務と定義される。また、当社グループがさらされている金融リスク
と、それらの金融リスクをどのように管理しているかも本セクションで概説している。
4.1 資本管理
資本管理は、取締役会により定期的に見直しおよび承認される財務指標に従って行われている。
当社グループは、株主に対して利益を還元すること、およびその他の利害関係者に対して便益を提供することを
目的として当社グループの資本構造を管理する一方で、
・継続企業としての当社グループの存続能力を維持し、
・柔軟に戦略的な投資を実行できる最適な資本構造および資本コストを維持している。
資本構造の維持または調整を目的として、当社グループは、債務の発行や返済、株主に対する配当金支払額の調
整または株主に対する資本の払い戻しを行う場合がある。
注記4.3および4.4は、資本の構成要素である株主持分および純債務のそれぞれについて詳細を示している。
4.2 配当金
本注記には、前年度の最終支払配当金および当期の中間支払配当金が含まれる。当社グループの配
当金は、普通配当金と特別配当金により構成されている。
当社グループは現在、テルストラ社の株主に対し年2回配当金の支払を行っている(中間配当金および最終配当
金)。以下の表 A は、当事業年度における支払配当金の詳細を示している。
6月30日終了事業年度
表A
テルストラ社 2021 年 2020年 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル 豪セント 豪セント
前年度の最終支払配当金 951 951 8.0 8.0
951 952 8.0 8.0
中間支払配当金
1,902 1,903 16.0 16.0
2021年8月12日、テルストラ・コーポレーション・リミテッドの取締役会は、5豪セントの最終普通配当金と3
豪セントの最終特別配当金から成る、普通株式1株当たり8豪セントの2021事業年度の全額フランキング済みの最
終配当金を支払うことを決議した。最終配当金は税率30%で全額フランキング済となる予定である。最終配当金の
基準日は2021年8月26日であり、2021年9月23日に支払われる。株式は、2021年8月25日から配当権利落ちとして
売買される。
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2021年8月12日、取締役会は2021事業年度の最終配当金について、配当金再投資制度(以下「DRP」という。)
の運用を行わないことを決定した。
2021年6月30日現在、2021事業年度の最終配当金について、取締役会は決定または公式に提案していない。
したがって、配当引当金は財政状態計算書に未払計上されていない。未払最終配当金に対する引当金951百万豪
ドルは取締役会の決議日現在で計上されている。
将来フランキング勘定において調整される、当該配当金の支払に起因する408百万豪ドルのフランキングデビッ
トを除き、最終配当金の決議および支払がテルストラ・グループの法人所得税に与える影響はない。
表Bは、翌報告期間以降において利用可能なフランキングクレジットに関する情報を示している。
6月30日終了事業年度
表B
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
フランキング勘定残高 29 98
6月30日現在の未払法人所得税の支払により発生する
99 207
フランキングクレジット(支払税額ベースで税率30%)
128 305
当社グループは、当社グループのフランキング勘定の当期末残高と2022事業年度に分割納付予定の法人所得税に
より発生するフランキングクレジットを合計した金額が、2021事業年度の最終配当金の全額を適格分配するために
十分な残高となると考えている。
4.3 株主持分
本注記では、株主持分変動計算書に表示されている当社グループの資本金および積立金に関する情
報を提供する。
当社グループは、当社の従業員持株制度を管理するために、テルストラ・グロースシェア信託を設
立した。当該信託は、当社グループが支配しているため、連結されている。当該信託で保有する株式
は、従業員持株制度における将来の権利確定に充足するために使用され、当社グループの払込資本は
減少する。
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4.3.1 資本金
表Aは、当社グループの資本金残高の構成要素に関する詳細を示している。
6月30日現在
表A
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
払込資本 4,530 4,530
従業員持株貸付金 - (7)
従業員持株制度信託保有株式 (69) (39)
(25) (33)
従業員持株制度の下で提供を受けた正味役務
4,436 4,451
(a)払込資本
2021年6月30日現在、当社グループの発行済・全額払込済授権普通株式数は、11,893,297,855株(2020事業年
度:11,893,297,855株)である。全額払込済普通株式1株は、株主総会における議決権1個を有する。
また、株主は、配当金を受取る権利を有しており、当社が清算される場合には発行済株式合計に対する持分比率
に応じて全ての余剰資産の売却による収入を受取る権利を有している。
(b)従業員持株制度信託保有株式
2021年6月30日現在、従業員持株制度が保有する株式総数は、19,895,768株(2020事業年度:9,107,647株)で
あった。
2021事業年度において、テルストラ・グロースシェア・ピーティワイ・リミテッド(テルストラ・グロースシェ
ア信託の受託者)は、従業員インセンティブ・スキーム目的のため11,620,823株を1株あたり平均2.88豪ドルで市
場から購入した。
同社はまた、テルストラ・イーエスオーピー・トラスティー・ピーティワイ・リミテッド(テルストラ従業員持
株制度信託Ⅱ(以下「TESOP99」という。)の受託者)から、当該受託者の解散に伴い、1,510,500株を購入日の市
場終値である1株あたり3.55豪ドルで市場外で購入した。この市場外での購入により、TESOP99関連の従業員持株
貸付金は全額返済された。
(c)従業員持株制度の下で提供を受けた正味役務
当社グループは、従業員持株制度の下で提供を受けた役務の公正価値を、付与された資本性金融商品の公正価値
を参照して測定している。従業員持株制度の下で提供を受けた正味役務は、発行された全ての商品の累積価値に相
当する。
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4.3.2 積立金
表Bは、当社グループの積立金残高の詳細を示している。
表B キャッシュ・
外貨ベーシス・ 資本性金融商品
為替換算 積立金
テルストラ・グループ
スプレッド の公正価値
フロー・ 別途積立金
積立金 合計
積立金 積立金
ヘッジ積立金
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
2019 年 7月1日現在残高 109 (209) (21) 70 (7) (58)
21 32 (4) 14 - 63
その他の包括利益
2020 年 6月30日現在残高
130 (177) (25) 84 (7) 5
(95) 51 (38) 215 - 133
その他の包括利益
2021 年 6月30日現在残高
35 (126) (63) 299 (7) 138
以下の表は、当社グループの積立金の内容および目的を示したものである。
積立金 内容および目的
為替換算積立金 為替換算積立金は、オーストラリア外の被支配会社の財務書類の豪ドルへの換算に
伴い発生した為替換算差額を示す。この積立金はまた、ジョイント・ベンチャーお
よび関連会社に対する持分法適用の海外投資から発生した為替換算差額における当
社グループ持分を計上するために用いられる。
キャッシュ・フロー・ヘッ キャッシュ・フロー・ヘッジ積立金とは、あるヘッジ取引にヘッジ会計を適用でき
ジ積立金 る場合に、ヘッジ手段の公正価値の再測定により生じた損益の有効部分を示す。
外貨ベーシス・ 外貨ベーシス・スプレッド積立金は、外貨ベーシス・スプレッドの変動によるデリ
バティブ金融商品の公正価値の変動を示す。通貨ベーシスは、借入金の残存期間に
スプレッド積立金
わたり、損益計算書の借入金に係る利息に含まれる。
資本性金融商品の 資本性金融商品の公正価値積立金は、当社グループがその他の包括利益を通じて公
正価値で測定することを選択している資本性金融商品の公正価値の変動を示す。
公正価値積立金
別途積立金 別途積立金は、株主持分に直接計上された他の項目を示す。
4.3.3 認識および測定
発行され払い込まれた資本金は、テルストラ社が受取った対価の公正価値により認識される。
普通株式発行時に発生した取引費用(税額控除後)は、払込対価の減少として株主持分に直接認識される。
従業員持株制度の下で提供を受けた役務(すなわち、株式報酬)により資本金残高は増加し、権利が確定した従
業員持株制度により資本金残高は減少し、その結果、当社グループの株主持分が変動する。当該従業員持株制度に
参加するために従業員に提供されるノンリコース・ローンは資本金の控除項目として計上される。
従業員持株制度の基礎となるテルストラ株式の購入も資本金の減少として計上している。
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4.4 純債務
当社グループの資本管理の一環として、当社グループは純債務を監視している。純債務は、有利子
金融負債とデリバティブ金融商品の合計から、現金および現金同等物を差し引いた額に等しい。本注
記では、当社グループの純債務の構成要素および関連する金融費用に関する情報を提供する。
表Aは、当社グループの純債務の構成要素の帳簿価額(流動および非流動残高)を示している。
6月30日現在
表A
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
リース負債 (3,305) (3,298)
借入金 (14,136) (15,829)
デリバティブ金融商品(純額) 1,053 1,784
(16,388) (17,343)
総債務
現金および現金同等物
1,125 499
純債務 (15,263) (16,844)
純債務の構成要素で、外部より課される資本要件の対象となっているものはない。当社グループの子会社による
違反8百万豪ドル(これはその後、2021年1月に全額返済された)を除いて、2021事業年度において、当社グルー
プの貸手との契約に関する債務不履行または違反はなかった。2021年6月30日現在、当社グループの借入契約に基
づく違反はない。
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表Bは当事業年度における純債務の主要な変動の要約と、当社グループのギアリング・レシオを示したものであ
る。当社グループのギアリング・レシオは、純債務を資本合計で除して求められる。この場合、資本合計は、財政
状態計算書に記載の株主持分に純債務を加算したものに等しい。
6月30日終了事業年度
表B
テルストラ・グループ 2021 年 2020 年
百万豪ドル 百万豪ドル
7月1日現在期首純債務 (16,844) (14,727)
債務の発行 (449) (1, 178 )
引出(相対の銀行融資) (753) (2)
コマーシャル・ペーパー(純額) (463) (255)
リボルビング銀行融資ファシリティ(純額) 260 (260)
債務の返済 2,357 2,781
リース負債に係る支払額 706 993
1,658 2,079
正味キャッシュ・アウトフロー
以下に及ぼす公正価値の変動による評価益/(損)の影響:
株主持分 15 50
その他の費用 31 (24)
金融費用 10 (5)
その他の非資金の変動
リース負債(テルストラが借手) (713) (4,000)
その他借入金 (46) (112)
非資金の変動合計 (703) (4,091)
955 (2,012)
総債務の減少/(増加)合計
現金および現金同等物の純増加/(減少)
626 (105)
(為替換算レート変動の影響を含む)
1,581 (2,117)
純債務の減少/(増加)合計
6月30日現在期末純債務 (15,263) (16,844)
株主持分合計
(15,275) (15,147)
(30,538) (31,991)
資本合計
ギアリング・レシオ
50.0% 52.7 %
2021事業年度において発行された債務449百万豪ドル(豪ドル相当額)には以下が含まれている。
・オーストラリアのビクトリア州にあるクレイトン・データセンターの土地および建物を対象としたセール・
アンド・リースバック取引から生じた収入414百万豪ドル(会計基準に基づき金融負債として認識されてい
る)。当該負債の当初期間は30年で、2回リース期間を10年間延長できるオプションが付されている。
・35百万豪ドルのその他借入金
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4.4.1 借入金
表Cは、財政状態計算書に計上されている借入金の帳簿価額および公正価値を示している。
2021 年 6月30日現在 2020年6月30日現在
表C
テルストラ・グループ 帳簿価額 公正価値 帳簿価額 公正価値
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
短期借入金
無担保債券 2,704 2,727 1,956 1,966
銀行およびその他借入金-無担保 65 65 432 435
862 864 375 378
コマーシャル・ペーパー-無担保
3,631 3,656 2,763 2,779
長期借入金
無担保債券 9,425 10,151 12,787 13,963
銀行およびその他借入金-無担保 667 686 279 285
413 416 - -
その他金融負債
10,505 11,253 13,066 14,248
借入金合計
14,136 14,909 15,829 17,027
無担保債券は、社債および私募債から構成される。
その他金融負債は、会計基準に基づき金融負債として会計処理されるセール・アンド・リースバック取引から生
じた金額を表している。
(a)認識および測定
認識および測定
当初認識および 借入金は、取引日(当社グループが当該商品に係る契約規定の当事者となる日)
測定 において当初認識される。
全ての借入金は当初、公正価値で計上され、通常は受取額から取引費用に直接帰
属する額を控除した金額を反映している。
その後の測定 当初認識後、有利子借入金は全て実効金利法を用いた償却原価で計上される。受
取額から直接取引費用を控除した金額と満期日の返済額との間に差額がある場合、
当該差額は実効金利法を用いて借入期間にわたって認識される。
公正価値ヘッジ関係に指定されている借入金は、ヘッジ対象リスクに起因する公
正価値の変動に応じて調整される。当社グループのヘッジ方針については注記4.5.5
を参照のこと。
利益または損失は、当該借入金の認識が中止された時点で損益計算書に認識され
る。
認識の中止 借入金は、当社グループの契約上の債務の免責、取消し、または失効となった時
に、認識を中止する。
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借入金は、報告日から12ヶ月未満に満期が到来するもの(短期借入金に分類)を除いて、長期借入金に分類され
る。
4.4.2 デリバティブ
デリバティブとは、金利、為替レート、信用スプレッドその他指標等の原資産の価格からその価値
が派生して定められる金融商品である。
当社グループは、市場リスクおよび通常の営業活動の一環として生じる財務結果のボラティリティ
に対するエクスポージャーを管理するために、取締役会が承認した方針に従ってデリバティブ取引を
締結している。当社グループは、デリバティブによる投機的取引は行っていない。
表Dは、デリバティブ金融商品の帳簿価額を種類別に示したものである。
2021 年 6月30日現在 2020年6月30日現在
表D
テルストラ・グループ 資産 負債 資産 負債
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
デリバティブ金融商品-流動
クロス・カレンシー・スワップ 552 - 128 -
金利スワップ 42 (15) 18 (2)
30 (11) 1 (52)
為替先渡契約
624 (26) 147 (54)
デリバティブ金融商品-非流動
クロス・カレンシー・スワップ 728 (223) 1,781 (91)
58 (108) 230 (229)
金利スワップ
786 (331) 2,011 (320)
デリバティブ金融商品合計
1,410 (357) 2,158 (374)
デリバティブ契約の条件は取引開始時に決定されるため、時間の経過に伴い原資産の価格に変動が生じることに
より、契約価値が変動することになる。このような変動はデリバティブの公正価値の変動に反映される。
デリバティブの公正価値のポジションがプラスの場合は資産として計上され、マイナスの場合は負債として計上
される。したがって、両当事者ともに契約相手方の信用リスクにさらされていることになる。契約相手方が契約上
の債務を履行しない可能性があることから、当社グループは、デリバティブ資産に係る信用リスクにさらされてい
る。
信用リスク方針については注記4.5.3を参照のこと。
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(a)認識および測定
当初認識および事後測定 デリバティブ金融商品は、デリバティブ契約の締結日に公正価値で当初認識さ
れ、その後、各報告日現在において公正価値で再測定される。公正価値の算定に関
する詳細については注記4.5.6を参照のこと。
相殺する権利 当社グループは、財政状態計算書上、以下の場合にデリバティブ金融商品を純額
で計上している。
・デリバティブ資産とデリバティブ負債を相殺するための法的に認められた権利
を当社グループが有しており、純額でまたは同時に決済する意思がある場合。
・当社グループが複数の金融商品に関連してマスター・ネッティング契約を締結
しており、相殺の法的権利を有しており、かつ当該権利を行使する意思がある
場合。
金利スワップについて、当社グループでは、当該取引は通常異なる取引相手と行
われ、純額で決済されないのが一般的であるため、ヘッジ債権またはヘッジ債務と
ヘッジ対象である金融資産または金融負債を相殺していない。
認識の中止 デリバティブ資産は、デリバティブ資産からのキャッシュ・フローを受取る権利
が失効するか、または譲渡により当社グループが当該資産に伴うリスクおよび便益
のほぼ全てを移転した場合に、認識が中止される。
デリバティブ負債は、契約上の債務が免責、中止または失効した場合に、認識が
中止される。
損益計算書への影響 結果として生じる損益の認識方法は、ヘッジ手段としてのデリバティブの指定お
よびヘッジ対象の性質によって異なる。
デリバティブ金融商品は、流動資産に分類される報告日から12ヶ月未満で期限が到来するものを除き、非流動資
産または非流動負債に含まれる。
デリバティブは、金融資産である主契約に組込まれている場合、この主契約である金融資産から分離されない。
またハイブリッド契約は全体として、償却原価または公正価値のいずれかで分類される。
デリバティブが他の金融負債または主契約に組込まれている場合で、当該リスクおよび性質が主契約と密接には
関連しておらず、当該主契約が損益を通じて公正価値で測定されていないときは、個別の金融商品であるとみなさ
れる。
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4.4.3 金融費用
表Eは、当社グループの純金融費用を示している。借入金に係る支払利息は、関連するデリバティブ金融商品に
係る受取利息と支払利息を相殺した純額である。
6月30日終了事業年度
表E
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
受取利息 12 13
ファイナンス・リースから生じる金融収益(テルストラが貸手) 10 13
顧客との契約から生じる金融収益 79 244
2 4
確定給付年金制度に係る受取利息純額
金融収益合計 103 274
借入金に係る支払利息
(518) (678)
(83) (109)
リース負債に係る支払利息
債務に係る総利息 (601) (787)
顧客との契約から生じる金融費用
(134) (326)
26 11
再測定に含まれる金融商品の純利益
(108) (315)
資産計上された利息
55 57
(654) (1,045)
金融費用合計
純金融費用
(551) (771)
純金融費用のうち再測定に含まれるデリバティブ金融商品の純損益は、当社グループの借入金およびデリバティ
ブに係る未実現の評価影響額から構成されている。これらには、デリバティブ金融商品の公正価値の変動に伴い発
生する正味未実現損益のうち、ヘッジ会計が実現されないまたは有効でない部分が含まれている。これらの公正価
値は、当社グループが管理できない金融指標および価格の変動により増減する。
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4.5 金融商品およびリスク管理
当社グループの基礎となる事業活動は、業務リスクおよび金融リスク(金利リスク、外国為替リス
ク、信用リスクおよび流動性リスクを含む)にさらされることとなる。
当社グループの総合的なリスク管理プログラムは、当該リスクを軽減し、当社グループの経営成績
のボラティリティを抑えること、および当社グループの財務目標を達成することを目的としている。
金融リスク管理は、取締役会により承認された方針に基づいて、当社グループの財務部門が集中的に
行っている。
金融リスク管理戦略により、当社グループが長期間にわたる市場の混乱に耐えうることを確実にし
ている。
本注記では、これらの金融リスクの管理方法の概要を説明する。2020年6月30日以降、当社グルー
プのリスク管理方針に重要な変更はない。
4.5.1 金利リスクの管理
金利リスクは、市場金利の変動から生じる。固定金利による借入によって、当社グループは、公正
価値の金利リスクにさらされる。変動金利による借入は、キャッシュ・フローの金利リスクを生じさ
せるが、これは変動金利による現金および現金同等物の残高によって一部相殺される。
当社グループの純負債ポートフォリオに係るリスクについては、以下のように管理している。
・当社グループの負債管理方針により要求されるように、変動金利負債に対する固定金利負債の目標比率を設定
する。
・多様な資金調達源に対するアクセスを確保する。
・当社グループの満期プロファイル目標を設定し、管理を行うことでリファイナンスのリスクを軽減する。
・クロス・カレンシー・スワップおよび金利スワップを締結する。デリバティブに関する詳細については、注記
4.4.2を参照のこと。
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(a)エクスポージャー
クロス・カレンシー・スワップおよび金利スワップを利用することで、当社グループは、金利リスクに対する当
社グループの借入金のエクスポージャー水準を管理することができる。表Aは、当社グループの借入金の帳簿価額
に基づく、固定金利と変動金利の割合を示している。当社グループがデリバティブのヘッジ手段を用いる場合、
ヘッジ後のポジションはヘッジ前のポジションと異なる。
2021 年 6月30日現在 2020年6月30日現在
表A
テルストラ・グループ ヘッジ前 ヘッジ後 ヘッジ前 ヘッジ後
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
変動金利借入金 (1,321) (5,236) (980) (6,035)
固定金利借入金 (12,402) (8,487) (14,849) (9,794)
(413) (413) - -
その他金融負債
借入金合計
(14,136) (14,136) (15,829) (15,829)
当社グループの借入金に関する詳細については、注記4.4.1を参照のこと。
表Bは、IBOR改革の影響を受けることになるヘッジを適用している変動金利のデリバティブ商品の6月30日現在
の情報を要約したものであり、満期までの名目変動金利キャッシュ・フローの見積総額、原通貨の関連する名目額
および満期までの加重平均期間を示している。
これらの金融商品に係る当社グループの純額エクスポージャーは豪ドルBBSWを参照する金融商品であり、外貨建
ての受取および支払キャッシュ・フローは完全に一致している。
2021 年 6月現在 2020年6月現在
表B
テルストラ・グループ
満期まで 満期まで
名目金利 名目金利
受取/ 名目額/ の加重平 名目額/ の加重平
キャッシュ キャッシュ
現地通貨
均 均
(支払) 元本額 元本額
・フロー ・フロー
期間 期間
百万 百万 百万 百万
年 年
豪ドル 豪ドル 豪ドル 豪ドル
金利スワップ
3ヶ月BBSW 豪ドル 受取 7 2,223 1.4 9 2,283 2.3
3ヶ月BBSW 豪ドル 支払 (3) (50) 2.5 (4) (50) 3.5
3ヶ月EURIBOR ユーロ 支払 (17) (1,750) 1.1 (49) (2,250) 1.8
3ヶ月LIBOR 米ドル 支払 (6) (1,000) 0.3 (28) (1,000) 1.3
クロス・カレンシー・
スワップ
3ヶ月BBSW 豪ドル 支払 (381) (5,495) 2.5 (428) (6,313) 3.1
3ヶ月EURIBOR ユーロ 受取 17 1,750 1.1 49 2,250 1.8
3ヶ月LIBOR 米ドル 受取 6 1,000 0.3 28 1,000 1.3
純額
3ヶ月BBSW 豪ドル 支払 (377) (3,322) (423) (4,080)
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(b)感応度
当社グループでは、6月30日現在の当社グループの金融商品に係る金利リスクに対するエクスポージャーに基づ
いて感応度分析を実施している。外貨建借入金を豪ドル建へスワップするという当社グループの方針に従い、金利
の感応度は主に豪ドル金利の変動に関連するものである。
当社グループは、短期金利および長期金利の双方の現在の水準、過去のボラティリティならびに将来の変動に対
する市場予測を考慮し、合理的に可能な金利の変動であるとして、感応度の範囲としてプラス100ベーシス・ポイ
ント(2020事業年度:100ベーシス・ポイント)およびマイナス25ベーシス・ポイント(2020事業年度:25ベーシ
ス・ポイント)を選択した。当該感応度は指標金利の変動のみを反映している。これは、将来の市況の予想または
予測ではない。
表Cは、税引後純利益および株主持分に与える影響の感応度分析の結果である。
6月30日現在
表C
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
ベーシス・ポイント ベーシス・ポイント
利益/(損失)
純利益/ 純利益/
株主持分 株主持分
(損失) (損失)
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
金利(+100ベーシス・ポイント) (28) (11) (36) 37
金利(-25ベーシス・ポイント) 7 3 10 (10)
感応度分析の結果は、主に以下の要因によるものである。
・金利の上昇または低下は当社グループの純非ヘッジ変動利付金融商品に影響を与えるため、直接的に損益に影
響を及ぼす。
・有効なキャッシュ・フロー・ヘッジ関係の一部であるデリバティブの公正価値の変動は、株主持分で繰延べら
れる。
分析には、金利の変動が発生した場合に経営者がとりうる行動による影響は含まない。
4.5.2 外国為替リスクの管理
外国為替リスクとは、財務コミットメント、予定取引、認識された資産または負債の価値が外国為
替相場の変動により変動する当社グループのリスクを指す。当社グループはオフショア市場で債務を
発行し国際的に事業を運営しているため、様々な通貨による外国為替リスクにさらされている。
このようなリスク・エクスポージャーは主に以下の事由により発生する。
・外貨建借入金
・外貨建の買掛債務およびその他支払債務残高
・外貨または外貨の影響を受ける価格で決済される受取および支払に係る確定コミットメントまた
は可能性の非常に高い予定取引
・当社グループの在外被支配会社(在外営業活動体)に対する純投資に関連する為替換算リスク
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(a)借入金
当社グループは、クロス・カレンシー・スワップを利用して借入金を豪ドルに転換して、外貨建借入金に係る外
国為替エクスポージャーを軽減している。
表Dは、オフショア債券および私募債の豪ドル相当の帳簿価額を原通貨別に示したものである。
6月30日現在
表D
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
ユーロ (7,511) (8,697)
米ドル (3,321) (3,628)
日本円 (62) (138)
(194) (248)
その他
オフショア債券および私募債合計
(11,088) (12,711)
2021年6月30日現在、当社グループはまた、650百万米ドル(2020事業年度:260百万米ドル)の米ドル建コマー
シャル・ペーパーを保有しており、豪ドル相当の帳簿価額は862百万豪ドル(2020事業年度:375百万豪ドル)で
あった。当該米ドル建コマーシャル・ペーパーは為替スワップを用いて豪ドルに転換されている。
(b)営業取引
当社グループは、営業(取引)活動から生じる外国為替リスクの影響にある程度さらされている。当社グループ
では、以下によりこのリスクを管理している。
・当社グループのリスク管理方針に従って、確定コミットメントまたは可能性が非常に高い外貨建予定取引から
生じる外国為替取引リスクのエクスポージャーの一定割合をヘッジする。かかる取引は外貨または豪ドルで決
済される場合があるが、契約上の計算式に基づく見積為替レートを直接参照して決済される。
・買掛債務およびその他支払債務残高に関連する外国為替リスクの一定割合を経済的にヘッジする。
当社グループでは、為替先渡契約を用いて上記のリスクをヘッジしている。
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表Eは、取引上の為替エクスポージャーをヘッジしている未決済の為替先渡契約の影響を要約したものである。
2021 年6月30日現在 2020 年6月30日現在
表E
エクスポー 為替先渡契約 エクスポー 為替先渡契約
テルストラ・グループ
ジャー 受取/(支払) ジャー 受取/(支払)
平均為替 平均為替
現地通貨 豪ドル 現地通貨 豪ドル
相場 相場
百万 百万
百万 百万 豪ドル 百万 百万 豪ドル
豪ドル 豪ドル
コマーシャル・ペーパーによる借入
米ドル (650) 650 (858) 0.76 (260) 260 (396) 0.66
WOCE との取引
英スターリング・ポンド (38) 19 (34) 0.54 (27) 30 (54) 0.55
米ドル - - - - (372) 200 (314) 0.64
その他(各種通貨) - - 10 - - - 6 -
予定取引
米ドル (340) 157 (200) 0.78 (447) 195 (289) 0.66
インド・ルピー (6,999) 2,800 (47) 59.60 (1,413) 565 (11) 51.95
フィリピン・ペソ (1,188) 475 (13) 37.92 - - - -
買掛債務
(67) (98)
米ドル (52) 52 0.78 (65) 65 0.67
豪ドル合計
(1,209) (1,156)
2021年6月30日現在、当社グループは、完全所有被支配会社(WOCE)との取引に関連する438百万米ドルの債務
エクスポージャーにもさらされており、これは同通貨建の175百万米ドルの銀行預金で一部ヘッジされている。
2020事業年度において、このエクスポージャーは、為替先渡契約を利用してヘッジされている。
(c)自然な相殺
在外会社の実績の豪ドル換算に伴う影響から生じる、当社グループの直接的な外国為替エクスポージャーは、各
機能の外貨建営業費用および資本的支出(ヘッジが適用されていない)によって、グループレベルで一部自然に相
殺される。
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(d)感応度
当社グループは、決算日に存在する外国為替リスクに対するエクスポージャーに基づいて感応度分析を実施し
た。表Fは、該当する換算レートの10%の変動が、当社グループの税引後利益および株主持分に与える影響を表し
ている。
6月30日現在
表F
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
利益/(損失)
純利益/(損失) 株主持分 純利益/(損失) 株主持分
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
外国為替相場(+10%) 40 (33) 26 (56)
外国為替相場(-10%) (49) 40 (32) 68
現在の外国為替の水準ならびに過去の実績および将来の変動に対する市場予測の双方に基づき観察されたボラ
ティリティを考慮し、10%の変動が合理的に可能な変動として選択されている。これは将来における市況の予想ま
たは予測ではない。当社グループは、通貨毎ではなく、ポートフォリオ全体をベースとした感応度分析を開示して
いる。
当社グループの取引に係るエクスポージャーに関連する非ヘッジ外国為替ポジションは、外国為替の変動により
直接的に損益に影響を及ぼす。
オフショア借入金に係る当社グループの最大の外国為替リスクの集中はユーロおよび米ドルに起因している。し
かし、借入金ポートフォリオに関連する外国為替の変動が損益にもたらす重要な影響はない。これは、関連する
ヘッジ手段が有効な公正価値ヘッジまたはキャッシュ・フロー・ヘッジ関係にあり相殺項目が認識されることにな
るためである。
当社グループは、当社グループのオフショア投資およびキャッシュ・フロー・ヘッジのデリバティブに関連し
て、外国為替の変動が株主持分に及ぼす影響にさらされている。在外会社の実績の、当社グループの表示通貨への
換算は、これが取引リスクではなく換算リスクを表しているため、上記の感応度分析に含まれていない。
分析には、これらの事象が発生した場合に経営者がとりうる行動による影響は含まない。
4.5.3 信用リスクの管理
信用リスクとは、契約相手方が金融商品に係る債務を履行せず、財務上の損失が発生するリスクで
ある。当社グループは、営業活動(主に顧客信用リスク)および財務活動から生じる信用リスクにさ
らされている。
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信用リスクを管理するために、当社グループは以下を実施している。
・取締役会で承認された信用方針を適用する。
・リスクの高い債務者に対するエクスポージャーを監視する。
・適切な場合には、担保を要求する。
・全ての財務取引相手に対して、信用枠を設定する。
また、当社グループは、他者に保証を供与する場合等、財政状態計算書に計上されない取引の信用リスクにさら
される可能性もある。偶発債務の詳細は注記7.3.3に開示されている。
(a)顧客信用リスク
売上債権およびその他受取債権ならびに契約資産は、一般消費者、ビジネス、法人、政府および国際部門にわた
る多数の顧客に対する債権で構成されている。当社グループは、nbn coを除き、単一の顧客または顧客グループに
対する重要な信用リスク・エクスポージャーを有していない。
売上債権およびその他受取債権ならびに契約資産、また顧客信用リスクの管理方法の詳細については注記3.3を
参照のこと。
(b)財務信用リスク
当社グループは、余剰資金(主に預金)の投資およびデリバティブ金融商品の利用から生じる信用リスクにさら
されている。
当社グループは個々の取引相手に対する多くのエクスポージャーにさらされている。こうしたリスクを管理する
ため、当社グループの取締役会が承認した方針において、個別の取引相手に対する信用エクスポージャーの金額に
制限を設けている。取引相手の信用格付けや市場環境は継続的に再検討され、必要に応じてエクスポージャーの上
限が見直されるとともに、その利用が調整される。
当社グループはまた、バリュー・アット・リスク(VaR)という手法を用いて、信用エクスポージャーを管理し
ている。当該手法は業界で標準的な測定方法であり、市場金利の将来の変動の結果として生じる当社グループのリ
スクポジションに係る最大限の潜在的なエクスポージャーを見積るものである。これにより、当社グループが取引
相手個々の信用エクスポージャーを過小評価しないようにすることができる。2021年6月30日現在で実施したVaR
分析によると、当社グループのデリバティブに係る信用エクスポージャーの94%(2020事業年度:95%)が、信用
格付けA-以上の取引相手との取引によるものであった。
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4.5.4 流動性リスクの管理
当社グループの目的は、流動性のある金融商品、長期および短期借入金、ならびに利用可能な契約済銀行ファシ
リティの利用を通じて、資金調達の継続と柔軟性との間の均衡を維持することである。
流動性リスクを管理するために、当社グループは以下を実施している。
・現金および現金同等物の最低残高水準を規定する。
・現金および現金同等物の残高水準に、未実行の銀行ファシリティを加算した金額の最低額を規定する。
・予想営業キャッシュ・フローに基づく流動性準備金の増減予測を綿密に監視する。
・高格付けの取引相手と流動性の高い市場で売買されている金融商品を利用する。
・余剰資金を流動性の高い金融商品に投資する。
当社グループによるコマーシャル・ペーパー・プログラムの利用は、流動性のある金融資産の組み合わせ、およ
び契約済銀行ファシリティの利用に引き続き裏付けされている。表Gは、当社グループの契約済銀行ファシリティ
の合計額および未実行額を示している。2021年6月30日現在、200百万豪ドルが翌12ヶ月間に満期を迎える。当社
グループの銀行ファシリティの引出およびコマーシャル・ペーパーの発行は、キャッシュ・フロー計算書において
総額で表示されている。
6月30日現在
表G
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
使用可能なファシリティ 2,800 4,090
( 300 ) (260)
使用済のファシリティ
未使用のファシリティ
2,500 3,830
表Hは、当社グループの金融負債(利息支払額の見積りを含む)に係る契約上のキャッシュ・フローの満期構成
を示している。当社グループでは、借入金の満期が異なるようにすることで、借換リスクを軽減している。
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開示額は割引前の契約上の将来キャッシュ・フローであるため、財政状態計算書上の額と一致しない。
契約上の満期
表H
テルストラ・グループ 2021 年6月30日現在 2020 年6月30日現在
1年から 2年から 1年から 2年から
1年未満 5年超 合計 1年未満 5年超 合計
2年 5年 2年 5年
百万 百万 百万 百万 百万 百万 百万 百万 百万 百万
豪ドル 豪ドル 豪ドル 豪ドル 豪ドル 豪ドル 豪ドル 豪ドル 豪ドル 豪ドル
無担保債券 (2,658) (2,084) (4,331) (2,957) (12,030) (1,932) (2,820) (5,464) (4,302) (14,518)
コマーシャル・ペーパー (865) - - - (865) (377) - - - (377)
銀行およびその他借入金 (65) (227) (440) - (732) (432) (53) (227) - (712)
その他金融負債 (18) (20) (55) (725) (818) - - - - -
無担保債券、銀行および
(339) (241) (386) (125) (1,091) (809) (348) (702) (214) (2,073)
その他借入金に係る利息
リース負債 (566) (577) (1,118) (1,444) (3,705) (633) (471) (1,105) (1,560) (3,769)
買掛債務/その他支払債務および
(3,766) (9) - - (3,775) (3,980) (4) - - (3,984)
未払費用
デリバティブ金融資産 4,046 1,784 4,580 2,511 12,921 2,504 2,972 5,384 3,920 14,780
(3,541) (1,517) (4,422) (2,756) (12,236) (2,474) (2,314) (4,650) (3,945) (13,383)
デリバティブ金融負債
合計
(7,772) (2,891) (6,172) (5,496) (22,331) (8,133) (3,038) (6,764) (6,101) (24,036)
4.5.5 ヘッジ会計
ヘッジとは、当社グループの金融リスクに対するエクスポージャーを管理するために、デリバティブを主とした
金融商品を用いる方法を指している。原資産(以下「ヘッジ対象」という。)に係る損益は、デリバティブ(以下
「ヘッジ手段」という。)に係る損益とは逆方向に変動すると予想され、それによりリスクポジションが相殺され
る。ヘッジ会計は、損益計算書上のボラティリティを最小限にするために、同じ会計期間におけるヘッジ対象と関
連するヘッジ手段に係る損益のマッチングを可能にする。
ヘッジ会計が適格となるためには、事前ヘッジ有効性テストにおいて以下の全ての要件を満たす必要がある。
・ヘッジ対象とヘッジ手段との間に経済的関係が存在している。
・信用リスクの影響は、経済的関係から生じる価値の変動に影響を及ぼさない。
・ヘッジ比率は、リスク管理のためのヘッジ対象およびヘッジ手段の実際の金額から生じる比率と同じである。
COVID-19パンデミックの影響は当社グループのヘッジ関係に影響を及ぼしておらず、引き続きヘッジ会計の基準
を満たしている。
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オーストラリア会計基準で認められる範囲で、当社グループは金融商品を以下の種類のヘッジ取引に正式に指定
し、文書化している。
公正価値ヘッジ キャッシュ・フロー・ヘッジ
ヘッジ取引の目 豪ドル建の変動利付借入金に転換することに 変動利付または外貨建の借入金により
的 より、固定利付または外貨建借入金の公正価値 生じるキャッシュ・フローの変動に対す
の変動に対するエクスポージャーをヘッジする るエクスポージャーをヘッジすること。
こと。 またキャッシュ・フロー・ヘッジは、発
生の可能性が非常に高い、約定済みの将
来の為替キャッシュ・フローより生じる
外国為替エクスポージャーを軽減するた
めにも利用される。
使用ヘッジ手段 クロス・カレンシー・スワップおよび金利ス 借入金により生じる将来キャッシュ・
ワップを締結し、当社グループの長期借入金の フローをヘッジするためにクロス・カレ
公正価値の変動に対するエクスポージャーを減 ンシー・スワップおよび金利スワップを
少させている。 締結している。
また、確定取引および可能性が非常に
高い予定取引の一部をヘッジするために
為替先渡契約を利用している。
経済的関係 当社グループの全てのヘッジ関係において、ヘッジ手段とヘッジ対象の重要な条件(額面
価額、キャッシュ・フローおよび通貨を含む)は一致している。
ヘッジ会計の中 ヘッジ手段が失効した場合、売却された場合、終了した場合、あるいはヘッジ会計の要件
止 を満たさなくなった場合に、ヘッジ会計は中止される。その場合、株主持分に認識されてい
るキャッシュ・フロー・ヘッジに係る累積損益は当初、株主持分に留保され、その後、従前
のヘッジ対象が損益に影響を及ぼす時点で損益計算書に認識される。公正価値ヘッジについ
て、ヘッジ会計の中止日にヘッジ対象の帳簿価額に対して計上されている累積調整額は、実
効金利法を用いて償却され、損益計算書に計上される。
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表Iは、当社グループの総債務(デリバティブ金融商品を含む)の各構成要素の帳簿価額をヘッジ種類別に示し
ている。
6月30日現在
表I
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
ヘッジ指定別の借入金
公正価値ヘッジ (3,912) (5,052)
キャッシュ・フロー・ヘッジ (7,029) (7,522)
ヘッジ関係にないもの (3,195) (3,255)
借入金合計 (14,136) (15,829)
リース負債 (3,305) (3,298)
借入金およびリース負債合計 (17,441) (19,127)
ヘッジ指定別のデリバティブ資産
公正価値ヘッジ 622 945
キャッシュ・フロー・ヘッジ 769 1,213
ヘッジ関係にないもの 19 -
デリバティブ資産合計 1,410 2,158
ヘッジ指定別のデリバティブ負債
公正価値ヘッジ (109) (50)
キャッシュ・フロー・ヘッジ (237) (279)
ヘッジ関係にないもの (11) (45)
デリバティブ負債合計 (357) (374)
総債務合計 (16,388) (17,343)
当社グループの総債務の元本は、相当額ベースで16,070百万豪ドル(2020事業年度:17,018百万豪ドル)であ
る。元本は、公正価値の再測定の場合を除き、将来の金融費用控除後の契約上の債務を表しており、外貨建残高の
場合は2021年6月30日時点の直物為替レートで換算された原通貨の元本に相当する。
(a)正式なヘッジ関係にないデリバティブ
一部のデリバティブは、自然な相殺により実質的に同様の会計上の結果が得られることから、ヘッジ会計の要
件を満たさない場合や特にヘッジに指定されない場合がある。これには、外貨建の買掛債務およびその他支払債
務、ならびに資産残高に関連する外国為替レートの変動を経済的にヘッジするために用いられる為替先渡契約が
含まれている。
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(b)公正価値ヘッジ
ヘッジ対象リスクに関連する原資産の公正価値の変動は全て、デリバティブの公正価値の変動とともに損益計
算書に認識される。正味の差額は、非有効部分として損益計算書に計上される。有効な公正価値ヘッジ関係にあ
る借入金の帳簿価額は、ヘッジ対象リスクに起因する損益に応じて調整される。
表Jは、財政状態計算書の借入金の帳簿価額に含まれている公正価値ヘッジ調整の累積額の概要を示してい
る。
6月30日現在
表J
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
元本 (3,792) (4,799)
10 8
未償却割引/プレミアム
償却原価 (3,782) (4,791)
累積公正価値ヘッジ調整 (130) (261)
帳簿価額
(3,912) (5,052)
表Kは、損益計算書に認識された非有効部分を示している。当社グループでは、指定した公正価値ヘッジおよ
びキャッシュ・フロー・ヘッジ関係から外貨ベーシス・スプレッドを除外している。
6月30日終了事業年度
表K
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
( 利益)/損失 (利益)/損失
百万豪ドル 百万豪ドル
非有効部分の測定に利用されるヘッジ対象の再測定 (254) (111)
249 122
ヘッジ手段の価値の変動
非有効部分による税引前純(利益)/損失 (5) 11
税引後純(利益)/損失
(4) 8
(c)キャッシュ・フロー・ヘッジ
ヘッジ手段に係る損益のうち有効な(ヘッジ対象の変動を相殺する)部分は株主持分のキャッシュ・フロー・
ヘッジ積立金に直接認識され、非有効部分は金融費用として損益計算書に直接認識される。
キャッシュ・フロー・ヘッジ積立金に繰延べられた損益は、その後以下のとおり処理される。
・ヘッジ対象取引が損益に影響を及ぼす時点で損益計算書に振替えられる。
・ヘッジ対象が有形固定資産の購入の場合、当該資産の初期コストの測定に含められる。
・ヘッジ対象の予定取引の発生が見込まれなくなった場合、損益計算書に即時に振替えられる。
当事業年度および前事業年度において、キャッシュ・フロー・ヘッジの非有効部分または発生が見込まれなく
なった予定取引に対するヘッジ会計の中止から生じた損益への重要な影響はなかった。
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表Lは、キャッシュ・フロー・ヘッジ積立金へ/から振替えられたヘッジ損益を表示している。
6月30日終了事業年度
表L
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値の変動 (515) 72
その他費用に振替えられた公正価値の変動 439 (115)
購入商品および購入サービスに振替えられた公正価値の変動 16 (27)
金融費用に振替えられた公正価値の変動 124 128
有形固定資産に振替えられた公正価値の変動 4 (4)
68 54
キャッシュ・フロー・ヘッジ積立金
キャッシュ・フロー・ヘッジ積立金の変動に係る法人所得税
(20) (16)
48 38
表Mは、キャッシュ・フロー・ヘッジの各項目について、キャッシュ・フローが発生すると予想される時点を示
している(すなわち、名目キャッシュ・アウトフロー)。当該金額は、豪ドルで計上された割引前のキャッシュ・
フローであり、報告日現在の当社グループの外国為替エクスポージャーを示している。
6月30日現在
表M
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
非資産項目
1年以内 (556) (592)
資産項目
1年以内 (55) (85)
借入金
1年以内 (1,491) (275)
1年から5年 (4,498) (5,086)
(1,687) (3,061)
5年超
(8,287) (9,099)
非資産項目は、キャッシュ・フローが発生すると予想される期間と同じ期間に損益計算書に認識されることにな
る。資産項目の場合、ヘッジ対象資産は、当該資産がその耐用年数にわたって減価償却されることから、損益計算
書に影響を及ぼす。
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4.5.6 公正価値ヒエラルキー内の評価および開示
財政状態計算書に含まれる金融商品は、償却原価で測定される借入金を除き、公正価値または公正
価値に近似する帳簿価額のいずれかで測定される。
当社グループは、公正価値の算定に、観察可能なインプットと観察不能なインプットの双方を用い
る。当社グループは、金融商品の評価に用いられるインプットを以下に掲げる3つのレベルのヒエラ
レルキーに従って分類している。公正価値測定全体に対して重要な最も低いレベルのインプットに基
づき分類が行われる。
2021事業年度において、当社グループの金融商品に関する継続的な公正価値測定の評価手法に変更はなかった。
また、公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替もなかった。
以下の表は、当社グループの金融商品の公正価値を見積る際に使用する手法の概要を示している。
レベル 金融商品 公正価値
レベル1:同一の資産または 上場資本性金融商品に対する 活発な市場における公表価格
負債についての活発な市場に 投資
おける(無調整の)公表価格
レベル2:公正価値測定に 借入金、クロス・カレンシー・ 評価手法には、観察可能な市場データを最大限
とって重要な最も低いレベル 使用している。独立して得られる適切な市場
スワップ および金利スワップ
のインプットが直接的に ベースの利回り曲線を用いた見積将来キャッ
シュ・フローの現在価値。利回り曲線は、全主
(価格として)または間接的
要通貨に対して容易に入手可能な市場データを
に(価格から導き出されて)
使用している。
観察可能である
為替先渡契約 満期が類似している契約についての報告日現在
の提示された為替先渡レート。
レベル3:金融商品に係る 顧客との契約から生じる売上 公正価値で測定する顧客との契約から生じる売
上債権は、契約上のキャッシュ・フローの変動
1つ以上の主要なインプット 債権
性により、償却原価で測定する金融商品の分類
が観察可能な市場データに
要件を満たさないものである。
基づいていない(観察不能な
評価手法は、貨幣の時間的価値に対する現在の
インプット)
市場評価および当該資産に特有のリスクを反映
する割引率を用いて見積将来キャッシュ・フ
ローを現在価値に割引くものである。予想
キャッシュ・フローは、キャッシュ・フローの
金額および時期に係る変動可能性を考慮しなが
ら、顧客との契約の条件に基づいて見積られて
いる。割引率は、リスク・フリー・レートに
キャッシュ・フローに関連する信用リスクを反
映したリスク調整を加味して決定される。
未上場資本性金融商品に対す 評価手法には、(1つ以上の重要なインプット
が観察可能な市場データに基づいていない場
る投資
合)割引キャッシュ・フロー法もしくは、実質
的に同一である商品に関する市場参加者間の直
近の通常売却取引における公正価値の参照が含
まれる。
条件付対価 当初認識時:事業の将来の業績予想。その後の
測定時:将来予想キャッシュ・フローの現在価
値。
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表Nは、適用される評価手法に従い公正価値で測定される当社グループの金融商品を分類したものである。
2021 年 6月30日現在 2020年6月30日現在
表N
テルストラ・グループ レベル1 レベル2 レベル3 合計 レベル1 レベル2 レベル3 合計
百万 百万 百万 百万 百万 百万 百万 百万
豪ドル 豪ドル 豪ドル 豪ドル 豪ドル 豪ドル 豪ドル 豪ドル
資産
顧客との契約から生じる売上
- - 397 397 - - 1,346 1,346
債権
デリバティブ金融商品 - 1,410 - 1,410 - 2,158 - 2,158
非上場有価証券に対する投資 - - 15 15 - - 21 21
- 1,410 412 1,822 - 2,158 1,367 3,525
負債
デリバティブ金融商品 - (357) - (357) - (374) - (374)
- (357) - (357) - (374) - (374)
合計
- 1,053 412 1,465 - 1,784 1,367 3,151
注記4.4.1の表Cに表示されている借入金の公正価値は、レベル2のインプットを用いて測定された。
表Oは、レベル3のインプットを用いて測定された顧客との契約から生じる売上債権の変動の詳細を表したもの
である。
6月30日終了事業年度
表 O
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
7月1日期首残高 1,346 1,506
当期に組成 - 1,564
顧客による決済 (960) (1,756)
損益計算書に認識された受取利息純額 4 37
損益計算書に認識された再測定 7 (5)
6月30日期末残高 397 1,346
当社グループは、通常の営業活動の一環として、顧客との契約から売上債権を認識している。当該売上債権の決
済は、営業活動によるキャッシュ・フローにおける顧客からの受取に含まれている。
4.5.7 相殺およびネッティング契約
表Pは、相殺されている、または強制力のあるマスター・ネッティング契約もしくはその他の類似する契約の対
象となるが相殺されていない金融資産および金融負債を示している。
「純額」の列は、全ての相殺の権利が行使された場合の財政状態計算書への影響を示している。
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財政状態計算書において相殺されていない関連金額には、条件付の相殺契約が付されている金額が反映されてい
る。
財政状態計算書において
財政状態計算書における相殺の影響
表P
相殺されていない関連金額
テルストラ・グループ
財政状態 財政状態
担保として
計算書 計算書
受取った、
総額 において において 金融商品 純額
または担保
相殺された 表示されて
に供した額
総額 いる純額
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
A B C =A-B D E F =C-D-E
2021 年 6月30日現在
売上債権およびその他
受取債権ならびに契約 311 64 247 58 9 180
資産
買掛債務およびその他
(209) (64) (145) (58) - (87)
支払債務
デリバティブ金融資産 1,410 - 1,410 287 - 1,123
(357) - (357) (287) - (70)
デリバティブ金融負債
合計
1,155 - 1,155 - 9 1,146
2020年6月30日現在
売上債権およびその他
受取債権ならびに契約 328 77 251 67 10 174
資産
買掛債務およびその他
(246) (77) (169) (67) - (102)
支払債務
デリバティブ金融資産 2,158 - 2,158 344 - 1,814
(374) - (374) (344) - (30)
デリバティブ金融負債
合計
1,866 - 1,866 - 10 1,856
B列に含まれていない、当社グループの相殺の権利は以下に関連するものである。
・当社グループが一部の国際ローミング・パートナーと結んでいる内部運用料率(Inter-Operative Tariff)契
約。当社グループは、契約停止時に債権債務を相殺することを認める契約を締結している。
・ホールセール顧客。当社グループは、サービスの提供を一時停止する権利があるといった特定の状況下、また
は契約の失効時あるいは終了時において、債権債務を相殺することを認める顧客関係契約を締結している。
・当社グループのデリバティブ金融商品。当社グループは国際スワップ・デリバティブ協会の契約に従って、マ
スター・ネッティング契約を締結している。当該契約は、債務不履行またはクレジット・イベントが発生した
場合、当社グループまたは取引相手方が債権債務を相殺することを認めている。契約条項によると、破産の場
合は各取引相手方が保有するプラスまたはマイナスの公正価値のデリバティブ全てを各々相殺し、純債権また
は純負債を計上することになる。
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5. 従業員
当社グループは、市場に最大限の貢献をするために、技術と情熱を持った従業員を採用・維持するよう努めてい
る。本セクションでは、当社グループの従業員給付債務に関する情報を提供する。また、従業員持株制度および主
要な経営幹部の報酬についても詳しく記載する。
5.1 従業員給付
5.1.1 従業員給付全体
当社グループの従業員に関連する債務には以下のものが含まれている。
・賃金、給与および関連諸費用(買掛債務およびその他支払債務に表示)
・年次休暇、長期勤続休暇および従業員インセンティブ(流動および非流動項目の従業員給付引当金に表示)
・人員整理引当金(流動項目のその他引当金に表示)
表Aは、これら全ての従業員に関連する債務の要約を示している。
6月30日現在
表A
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
未払賃金および未払関連諸費用 515 424
流動従業員給付引当金 682 727
150 127
非流動従業員給付引当金
1,347 1,278
2021年6月30日現在認識されている人員整理引当金はなかった(2020事業年度:ゼロ)。
長期勤続休暇引当金 長期勤続休暇受給権を算定する際に用いる以下の主要な仮定は、判断を適用して
決定された。
・給与の加重平均予想昇給率3%(2020事業年度:3.5%)
・割引率2.5%(2020事業年度:2.3%)
現在価値の計算に用いる割引率は、当社グループの債務と同様の満期日の9年物
(2020事業年度:9年物)優良社債に係る2021年6月30日現在の市場利回りを参照
して決定されている。
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流動項目として表示されている引当金の金額については、当社グループは当該債務の支払を繰延べる無条件の権
利を有していない。しかし、実績から、全ての従業員が今後12ヶ月以内に、未払計上された休暇の全額を取得す
る、または支払を要求することはないと予想している。表Bに開示されている金額は、数理計算に従って算定され
た金額であり、今後12ヶ月以内に取得される、または支払われることが見込まれない休暇を反映している。
6月30日現在
表B
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
12ヶ月より後に精算されると見込まれる未払休暇 398 435
5.1.2 認識および測定
賃金、給与、年次休暇およびその他の流動項目の従業員給付は、名目額により負債に引当計上されている。当該
金額は、決済日現在に適用が予想される報酬率に基づいて計算されており、関連費用を含んでいる。
テルストラに10年以上勤務している一部の従業員は、3ヶ月間、または実際の雇用期間によりそれ以上の長期勤
続休暇が付与される。報告日後12ヶ月以内に支払または精算する予定のない長期勤続休暇に対する債務について
は、将来の予想支払額の現在価値により引当計上している。この金額は平均10年間の予想昇給率、従業員離職率お
よび勤務期間の実績に基づくものである。
引当金は以下の場合に認識される。
・テルストラ・グループは、過去の取引または事象によって、将来において経済的便益の犠牲が生じる法的なま
たは推定される債務を現在負っている。
・経済的便益が将来において犠牲になる可能性が高い。
・当該債務の金額を合理的に見積ることができる。
詳細な公式の人員整理計画が策定され、対象者の従業員に対して人員整理が実行されると予想される場合には、
人員整理費用引当金が認識される。
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5.2 従業員持株制度
当社グループには多数の従業員持株制度があり、これらの制度に基づき、執行役員および従業員に
報酬総額の一部として株式が付与されている。現在有効な株式制度はテルストラ・グロースシェア信
託(以下「グロースシェア」という。)を通じて実施されている。テルストラは、グロースシェアの
受託会社(以下「受託者」という。)であるテルストラ・グロースシェア・ピーティワイ・リミテッ
ドを完全所有している。同社の経営成績はテルストラ・グループの財務書類に連結されている。
当社グループが従業員から役務の提供を受け、その対価が株式あるいは類似の資本性金融商品また
はテルストラ株式の株価に基づく支払額で現金で支払われる場合、当該取引は株式報酬として分類さ
れる。
本注記では、グロースシェアを通じて実施されている主要な従業員持株制度および当事業年度に生
じた株式報酬制度の主たる変動について要約している。
当社グループは、持分決済型の従業員持株制度の一環として、以下の種類の資本性金融商品を付与している。
・譲渡制限付株式
・業績連動型行使権
・リテンション権
譲渡制限付株式とは、譲渡制限期間が設けられているテルストラ株式をいう。
業績連動型行使権とは、所定の業績期間において一定の業績評価値および役務条件を満たした場合にテルストラ
株式を受取ることができる権利である。
リテンション権とは、役務条件を満たした場合にテルストラ株式を受取ることができる権利である。
テルストラは、業績連動型行使権およびリテンション権の保有者に対し、当該権利の権利確定時に株式または株
式の価値に相当する現金額を提供する裁量を有している。詳細については注記5.2.1を参照のこと。
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以下の表Aは、2021年6月30日現在未行使であった、主要な持分決済型の従業員持株制度の下で付与された金融
商品の要約を示している。
表A
業績基準 2021 年6月30日
付与された
テルストラ・グループ
譲渡制限期間 に照らした 業績基準 現在未行使の
事業年度
検証日 金融商品割当数
資本性金融商品の種類
EVP に基づく譲渡制限付株 2021 事業年度 4つの均等なトランシェに n/a n/a 2021 事業年度 に係る
式 よる付与で、各トランシェ 譲渡制限付株式は
は当初の業績期間末から 2022事業年度上半期
1~4年間、譲渡が制限さ に割当の見込み
れる。
2020 事業年度 4つの均等なトランシェに n/a n/a 1,694,774
よる付与で、各トランシェ
は当初の業績期間末から
1~4年間、譲渡が制限さ
れる。
2019 事業年度 1つのトランシェによる付 n/a n/a 1,252,021
与で、当初の業績期間末か
ら2年間、譲渡が制限され
る。
短期インセンティブ(以下 2021 事業年度 、 1つのトランシェによる付 n/a n/a 6,325,934
「STI」という。)譲渡制 2020事業年度、 与で、業績期間末から3年
限付株式 2019事業年度、 間、譲渡が制限される。
2018事業年度
EVP に基づく業績連動型行 2021 事業年度 n/a 2025 年6月30日 相対的株主総利 2021 事業年度 に係る
使権 回り(以下 業績連動型行使権は
「RTSR」とい 2022事業年度上半期
う。) に割当の見込み
2020 事業年度 n/a 2024 年6月30日 RTSR 1,936,886
2019 事業年度 n/a 2023 年6月30日 RTSR 1,878,032
2018 事業年度 n/a 50 %は2021年6 RTSR 416,541
月30日
50 %は2022年6
月30日
リテンション権 2019 事業年度 2つのトランシェによる付 n/a n/a 7,412,658
与で、それぞれ2019年12月
31日および2021年6月30日
まで譲渡が制限される。
EVPおよびSTIに基づく譲渡制限付株式、ならびにEVPに基づく業績連動型行使権またはリテンション権の権利確
定時に割り当てられた株式は、それらの権利を以前に喪失していない場合、テルストラの有価証券取引方針に基づ
き、関連する譲渡制限期間の末日または権利確定日の後の最初の市場取引の初日に執行役員に譲渡される。
RTSRの定義は、報酬報告書の用語集に記載されている。
5.2.1 株式報酬制度の概要
(a)執行役員変動報酬制度(以下「EVP」という。)
EVPにおけるCEOおよび当社グループの適格執行役員の受取額は、事前に定義された一定の業績評価値に照らした
テルストラの業績および執行役員個人のパフォーマンス(他の執行役員との相対的なパフォーマンスを含む)など
の特定の要素に基づき当初の1年間の業績期間終了時に決定され、結果が適切となるよう調整する裁量は取締役会
が有している。EVPにおける受取額の構成要素は、譲渡制限付株式および業績連動型行使権により提供される。
2021事業年度のEVPの仕組みに関する詳細は、報酬報告書を参照のこと。
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2021事業年度のEVPに基づく譲渡制限付株式および業績連動型行使権の割当は、2021事業年度の年次株主総会の
直後に行われる予定である。CEOへの2021事業年度のEVPの割当については、2021事業年度の年次株主総会で株主の
承認を求める予定である。
執行役員が、関連する業績期間または譲渡制限期間が終了する前に許容事由以外の事由(報酬報告書の用語集に
その定義が記載されている)によりテルストラを退職した場合、当該業績連動型行使権は失効し、譲渡制限付株式
の場合はその権利を喪失する。また、該当する業績期間または譲渡制限期間が終了してから、業績連動型行使権が
権利確定する前または譲渡制限付株式が執行役員に譲渡される前に特定のクローバック(マルス)事由が発生した
場合にも、業績連動型行使権が失効する、または譲渡制限付株式の権利を喪失する可能性がある。
(ⅰ)譲渡制限付株式(持分決済型)
表Aは、EVPに基づく譲渡制限付株式制度それぞれの譲渡制限期間の一覧である。譲渡制限付株式の割当後に
他の業績基準が追加適用されることはない。譲渡制限期間中において、執行役員は、実際の割当日から譲渡制限
付株式に係る議決権および配当を受取る権利を有するが、同期間中は当該株式を売買できない。
(ⅱ)業績連動型行使権(持分決済型)
割り当てられたEVPに基づく業績連動型行使権は、当初の1年間の業績期間を含む4年間または5年間(検証
日については表Aを参照のこと)のRTSRの評価基準と比較して検証される。
2021 事業年度および2020事業年度のEVPに基づく業績連動型行使権は定額法により権利確定し、業績期間中の
テルストラのRTSRが、資源会社を除くASX100から成る対照グループ(以下「対照グループ」という。)の50パー
センタイルに位置する場合には業績連動型行使権の50%が権利確定し、テルストラのRTSRが対照グループの75
パーセンタイル以上に位置する場合には業績連動型行使権の最大100%が権利確定する。テルストラのRTSRが対
照グループの50パーセンタイル未満に位置する場合は、権利が確定する業績連動型行使権はない。RTSR評価基準
によるテスト後に権利が確定しない業績連動型行使権は全て失効する。
2019 事業年度および2018事業年度のEVPに基づく業績連動型行使権は、業績期間中のテルストラのRTSRが、対
照グループの50パーセンタイル以上に位置する場合に、権利が確定することになる。RTSR評価基準が達成されな
い場合、関連するトランシェに該当する業績連動型行使権は全て失効する。2021年6月30日時点で2018事業年度
のEVPに基づく業績連動型行使権の50%について検証を行った結果、RTSRの業績基準が満たされていなかったた
め、業績連動型行使権は全て失効した。
権利確定前の業績連動型行使権に係る配当金は支払われない。権利確定した業績連動型行使権については、権
利確定日または権利確定日前後において、業績連動型行使権の割当日から権利確定日までの期間にテルストラが
支払った配当金に相当する現金が支払われ、これは課税対象となる。この現金を受取る権利は、個別に会計処理
されるため、付与日における業績連動型行使権の公正価値に含まれない。
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(ⅲ)現金受給権(現金決済型)
2021 年6月30日現在、当社グループは過去の事業年度に許容事由により退職した一部の元執行役員に対して付
与された現金受給権の未行使残高に関連する負債を4百万豪ドル(2020事業年度:4百万豪ドル)計上してい
る。
(b)リテンション権(持分決済型)
2019事業年度において、テルストラは13百万個のリテンション権を適格従業員に付与した。これらのリテンショ
ン権のうち5百万個は2020事業年度に権利が確定し、残る7百万個は2021年6月30日に権利が確定した。
(c)STI譲渡制限付株式
STI制度の下で適格執行役員へ支払われる実際のSTIの25%は、譲渡制限付株式として付与され、業績期間終了か
ら3年間の譲渡制限付である。
譲渡制限付株式の執行役員への割当数の決定に業績基準が適用されるため、割当後には、譲渡制限付株式は他の
業績基準により一切制約されない。譲渡制限期間中において、執行役員は、実際の付与日から譲渡制限付株式に係
る議決権および配当を受取る権利を有するが、同期間中は当該株式を売買できない。
執行役員が関連する譲渡制限期間が終了する前に許容事由以外の事由によりテルストラを退職した場合、当該譲
渡制限付株式の権利は失効する。また、該当する譲渡制限期間が終了してから、譲渡制限付株式が執行役員に譲渡
される前にクローバック(マルス)事由が発生した場合にも、譲渡制限付株式の権利を喪失する可能性がある。
5.2.2 公正価値測定
(a)EVPに基づく譲渡制限付株式
EVPに基づく譲渡制限付株式は、取締役会が承認した2021事業年度の豪ドル建業績に基づき測定され、最終的な
株式数がテルストラの2021事業年度の年次株主総会の直後に割り当てられる。2021事業年度に付与された株式の1
株当たりの見積公正価値は3.75豪ドル(2020事業年度:3.44豪ドル)であった。
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(b)EVP業績連動型行使権
表Bは、付与日現在のEVP業績連動型行使権の公正価値を測定するために用いた入力値の加重平均を示してい
る。
6月30日終了事業年度
表B
テルストラ・グループ
2021 年 2020年
株価 3.28豪ドル 3.87豪ドル
リスク・フリー・レート 0.37% 0.67%
配当利回り 5.58% 5.22%
予想期間 4.6年 4.9年
予想株価ボラティリティ 22% 19%
公正価値 1.63豪ドル 1.91豪ドル
予想株価ボラティリティとは、ある期間中において株価が変動すると予想される金額を測定するものである。こ
れは、測定日までの一定期間における株価終値の日次の年率換算ヒストリカル・ボラティリティに基づいている。
5.2.3 損益に認識された費用
従業員給付費用に関する詳細は注記2.3を参照のこと。
5.2.4 認識および測定
当社グループの持分決済型の各持株制度において、当社グループは付与日現在の資本性金融商品の公正価値を測
定し、関連する権利確定期間にわたって費用を損益計算書に認識するとともに、同額を株式持分(すなわち、資本
金)の増加として計上している。当該費用は、権利確定の実際水準および予想水準を反映するよう調整される。
付与日とは、従業員とテルストラとの間に制度の契約条件に関して共通の理解がある中で、従業員がこのオ
ファーを受諾した日である。これは、従業員への資本性金融商品の割当前に発生する場合が多い。
当社グループの資本性金融商品の公正価値は、個々の制度の条件を考慮の上、計算されており、以下のとおりで
ある。
資本性金融商品 公正価値アプローチ
譲渡制限付株式 当社グループは、取締役会により承認された豪ドル建業績を参照して
報酬の価値を測定する
業績連動型行使権 ブラック-ショールズ方式およびモンテ・カルロ・シミュレーション
を利用
現金決済型取引の報酬については公正価値で負債が認識される。公正価値は、当初、および決済日までの各報告
日に測定され、その結果生じた公正価値の変動は損益計算書の従業員給付費用に認識される。
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5.3 退職後給付
当社グループは、従業員向けの確定給付年金制度および確定拠出年金制度に参加もしくは拠出して
いる。本注記では、テルストラ・スーパー退職年金制度(以下「テルストラ・スーパー」という。)
の確定給付制度についての詳細情報を提供する。
当社グループのテルストラ・スーパーへの雇用主の拠出金は、法律上の要求事項に従いテルスト
ラ・スーパーのアクチュアリーの助言に基づいている。決算日現在の純確定給付制度資産/債務は、
テルストラ・スーパーの投資対象の評価およびテルストラ・スーパー加入者への当社グループの債務
による影響も受ける。
5.3.1 純確定給付制度資産/債務
表Aは、財政状態計算書上認識されている当社グループの純確定給付制度資産/(債務)の詳細を示している。
6月30日現在
表A
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
確定給付制度資産の公正価値 1,704 1,781
1,559 1,666
確定給付債務の現在価値
純確定給付資産 145 115
以下に帰属:
テルストラ・スーパー 155 123
(10) (8)
その他
145 115
5.3.2 テルストラ・スーパー退職年金制度(以下「テルストラ・スーパー」という。)
テルストラ社は、オーストラリア健全性規制庁による退職年金業監督法に準拠した規制基金であるテルストラ・
スーパーに参加している。
テルストラ・スーパーの取締役会は、投資判断も含め、当該制度を運営し、管理している。
テルストラ・スーパーには、確定給付型と確定拠出型の両方がある。確定給付型は新規加入者を受け付けておら
ず、勤続年数および最終平均給与に基づく給付を一括払いで供与している。退職後給付には、医療費の支給は含ま
れていない。
年1回、当社グループは有資格のアクチュアリーに確定給付債務の現在価値の計算を依頼している。
確定給付型に対する拠出水準は、テルストラが、アクチュアリーの助言を受けてテルストラ・スーパー・ピー
ティワイ・リミテッド(以下「受託者」という。)と相談した上で決定する。このような拠出水準は、加入者およ
び受給者に発生する給付が、満期日には確実に全額積立てられるよう設計されている。各確定給付型の加入者が受
取る給付金は、各従業員の勤続年数、最終平均給与、雇用主および従業員の拠出金等の要素を考慮する。
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テルストラ・スーパーは、オーストラリアのインフレ、信用リスク、流動性リスクおよび市場リスクにさらされ
ている。市場リスクには、金利リスク、株価リスクおよび外国為替リスクが含まれる。確定給付制度の予測給付債
務に見合うよう資産ポートフォリオを分散化させるのが基金の戦略的投資方針である。
(a)確定給付制度資産の公正価値
表Bは、確定給付制度資産の公正価値の期首残高と期末残高の調整を示している。
6月30日現在
表B
テルストラ・スーパー 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
期首現在の確定給付制度資産の公正価値 1,781 2,108
雇用主拠出金 15 15
加入者拠出金 18 24
支払給付金(拠出金に対する課税を含む) (226) (400)
税引後年金制度費用 (6) (7)
年金制度資産の利息収益 35 49
87 (8)
資産の実際の利益/(損失)
期末現在の確定給付制度資産の公正価値
1,704 1,781
(b)全額積立型確定給付債務の現在価値
表Cは、確定給付債務の現在価値の期首残高と期末残高の調整を示している。
6月30日現在
表C
テルストラ・スーパー 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
期首現在の確定給付債務の現在価値 1,658 1,876
当期勤務費用 51 61
利息費用 33 45
加入者拠出金 7 10
過去勤務(収益) (1) (8)
支払給付金 (226) (400)
財務上の仮定の変更による年金数理差異 (9) 49
人口統計上の仮定の変更による年金数理差異 - 1
36 24
実績による年金数理差異
期末現在の全額積立型確定給付債務の現在価値
1,549 1,658
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確定給付制度資産の実際の収益率は5.8%(2020事業年度:1.5%)であった。
その他の包括利益に認識された、テルストラ・スーパーに係る年金数理差益(純額)は60百万豪ドル(2020事業
年度:82百万豪ドルの差異(純額))となった。
事業再編プログラムを実施した結果、当社グループは人員整理の対象となった従業員に関連する確定給付制度債
務を精算し、精算に係る収益1百万豪ドル(2020事業年度:8百万豪ドル)を認識した。この金額は過去勤務費用
(収益)として表示されている。
(c)制度資産の種類
表Dは、制度資産合計の公正価値における加重平均資産配分比率を、当該資産の内容およびリスクに基づいた分
類毎に示したものである。
6月30日現在
表D
テルストラ・スーパー 2021 年 2020年
% %
資産配分
資本性金融商品
1
9 6
オーストラリア国内株式
1
10 7
外国株式
未公開株式 2 2
負債性金融商品
1
64 63
固定利付
その他
不動産 10 9
現金および現金同等物 5 11
- 2
その他
100 100
1 当該資産には活発な市場における相場価格がある。
(ⅰ)関連当事者の開示
以下の関連当事者の開示は、確定給付制度のみでなく、テルストラ・スーパー全体に関連している。
2021 年6月30日現在、テルストラ・スーパーは、テルストラ社の株式56,797,514株(2020事業年度:
49,396,553株)を所有し、その取得原価は181百万豪ドル(2020事業年度:184百万豪ドル)、市場価値は214百
万豪ドル(2020事業年度:155百万豪ドル)であった。2021年6月30日現在、当該株式は全て、全額払込済で
あった。2021事業年度に当社グループがテルストラ・スーパーに支払った配当金は、8百万豪ドル(2020事業年
度:8百万豪ドル)であった。当社グループは、テルストラ・スーパーの受託者であるテルストラ・スーパー・
ピーティワイ・リミテッドの持分の100%を所有している。
テルストラ・スーパーは、テルストラ社が発行した約束手形および社債も保有している。当該証券は、2021年
6月30日現在、取得原価が10百万豪ドル(2020事業年度:16百万豪ドル)、市場価値は10百万豪ドル(2020事業
年度:17百万豪ドル)であった。
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テルストラ・スーパーによるテルストラ株式、約束手形およびテルストラ社債の全ての売買については独立企
業間取引と同様の条件で行われており、受託者および/または投資マネージャーがテルストラ・スーパーの加入
者に代わり決定する。
(d)数理計算上の仮定および感応度分析
確定給付制度 以下の主要な仮定が、当社グループの確定給付債務の算定に使用された。
・将来給与の予想平均上昇率2.5%(2020事業年度:2.5%)
・割引率2.2%(2020事業年度:2.1%)
当社グループは8年物(2020事業年度:8年物)優良社債の利回りを利用して割
引率を決定した。これは、当該社債の期間が確定給付債務の期間と最も近いためで
ある。
テルストラ・スーパーの昇給率の仮定は、昇給の長期予想を反映している。
上記の見積りと実績に差異が生じることが判明した場合、翌報告期間の残高に重
大な影響を及ぼす可能性がある。
表Eは、各仮定を1パーセンテージ・ポイント(以下「1pp」という。)増減させた場合の、2021年6月30日現
在の確定給付債務の増加/(減少)額の要約である。
確定給付債務
表E
テルストラ・スーパー 1pp増加 1pp減少
百万豪ドル 百万豪ドル
割引率 (107) 122
将来給与の予想上昇率 107 (97)
(e)雇用主拠出金
当事業年度において当社グループが支払った拠出金の合計は、テルストラ・スーパーのアクチュアリーの助言に
従い、確定給付型に対して拠出率5%(2020事業年度:5%)で、合計15百万豪ドル(2020事業年度:15百万豪ド
ル)であった。
現行の5%の拠出率は、2021年6月30日現在、次回の年金数理レビューの対象となっており、当該レビューは
2021年12月31日までに完了する予定である。当該拠出率は、2022事業年度における市況および年金数理レビューに
よって変更される可能性がある。
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表Fは、将来において確定給付債務から支払われる給付金の予想比率を示している。
6月30日終了事業年度
表F
テルストラ・スーパー 2021 年 2020年
% %
1年以内 7 13
1年から4年 23 22
5年から9年 26 23
10年から19年 39 36
5 6
20年以降
100 100
報告期間末現在における確定給付債務の加重平均期間は8年(2020事業年度:8年)である。
5.3.3 その他の確定給付年金制度
当社グループの被支配会社も、積立型と非積立型の両方の確定給付年金制度に加入しているが、それらは、個別
としてもまた合計としても、重要性に乏しい。
5.3.4 認識および測定
(a)確定拠出制度
確定拠出年金制度に対する債務は、最低法定要件およびその他の義務に従った拠出を行うことに限定されてい
る。拠出金は、支払債務が生じた時点で、損益計算書に費用計上される。従業員による勤務の提供の結果、当社グ
ループに将来の支払債務が生じる場合に、負債を認識する。
(b)確定給付制度
(ⅰ)テルストラ・スーパー退職年金制度
当社グループは現在、テルストラ・スーパー退職年金制度に基づき、退職後確定給付年金制度に資金を拠出し
ている。
報告日現在において、年金制度資産の公正価値が確定給付債務の現在価値を下回っている場合、当該純不足額
は負債として認識される。その逆の場合、当該純剰余金は資産として認識される。当社グループは将来の拠出の
減額または現金還付の形で利用可能な将来の資金を生成するための剰余金を管理することができる範囲で、当該
資産を認識している。
アクチュアリーは、年金制度の確定給付債務の現在価値を見積るために予測単位積増方式を使用している。こ
の方式では、勤続年数が1年増す毎に受給する権利の単位も1つ増える。最終的な給付債務を算定するために、
単位毎に分けて測定される。優良社債に基づく利率を用いて将来の見積現金支出額を割引くことによって、現在
価値が決定される。
当社グループでは、その他の包括利益に直接認識される年金数理差異を除き、全ての確定給付費用は損益計算
書に認識される。
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年金数理差異は、報告日現在の各確定給付年金制度の年金数理評価に基づいている。年金数理差異は、年金数
理上の仮定の変化の影響に加え、将来の結果に関する過去の年金数理上の仮定と実際の結果との差異を表してい
る。
5.4 経営幹部の報酬
経営幹部とは、テルストラ・グループの事業活動の計画、指示および管理に関する権限および責任
を有する者をいう。経営幹部は以下の構成からなると考えられる。
・テルストラ社の非業務執行取締役
・最高業務執行役員(以下「CEO」という。)の上級管理職チームのメンバー(CEOを含む)である
特定の執行役
5.4.1 経営幹部報酬総額
2021事業年度および2020事業年度において、当社グループの経営幹部に提供された報酬の総額は以下のとおりで
あった。
6月30日現在
テルストラ・グループ
2021 年 2020年
千豪ドル 千豪ドル
短期従業員給付 19,075 18,052
退職後給付 311 301
その他の長期給付 772 555
退職給付 1,154 1,100
8,534 5,826
株式報酬
29,846 25,834
経営幹部の報酬に関する詳細については、取締役会報告書の一部を成す報酬報告書を参照のこと。
5.4.2 当社グループの経営幹部およびその関連当事者とのその他の取引
2021事業年度および2020事業年度において、通常の取引条件に基づいて行われた些少な国内の取引を除き、当社
グループの経営幹部およびその関連当事者とのその他の取引はなかった。
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6. 出資
本セクションでは、当社グループの構造を概説しており、被支配会社、ジョイント・ベンチャーおよび関連会社
の情報を含んでいる。また、かかる投資の変更ならびに当社グループの当期の財政状態および経営成績に及ぼす影
響の詳細を示している。また、重要なジョイント・ベンチャーおよび関連会社の経営成績も含んでいる。
6.1 被支配会社に対する投資
6.1.1 被支配会社に対する投資
テルストラ・グループは、150超の子会社に直接持分または間接持分を保有しており、その国際的なプレゼンス
は20ヶ国超に及ぶ。当社グループは、オーストラリア、北アジア、南アジア、ニュージーランド、ヨーロッパ、中
東およびアメリカ合衆国において被支配会社を管理してきた。当社グループはほとんどの事業をテルストラ社を通
じて行っており、当社グループの被支配会社はいずれも、グループのEBITDAにとって個別に重要ではない。
2021年6月30日現在、当社グループの被支配会社であるエクスチェンジ・トラストはオーストラリアにある36の
テルストラエクスチェンジで構成されたポートフォリオを保有しており、その49%(2020事業年度:49%)の非支
配持分残高は700百万豪ドル(2020事業年度:700百万豪ドル)であった。当該不動産信託の受託者は当社グループ
の完全所有被支配会社、メリックス・ニューコー・ピーティワイ・リミテッドである。2021事業年度において、当
社グループは当該信託の非支配株主に30百万豪ドル(2020事業年度:23百万豪ドル)の配当金を支払った。
被支配会社の全リストは、www.telstra.com/investorで入手できる。
6.1.2 エピコンの取得
2020 年11月30日、当社グループは、エピコン・ITソリューションズ・ピーティワイ・リミテッド(完全所有子会
社のサービス・ポーテンシャル・ピーティワイ・リミテッドを含む)およびエピコン・ソフトウェア・ピーティワ
イ・リミテッドの100%を株式購入により取得し、前払い対価として25百万豪ドルを支払った。エピコン各社は、
大企業および政府顧客に対しIT管理サービスを提供している。
6.1.3 被支配会社およびその他の事業の売却
2020 年12月、当社グループは、テルストラ・ベロシティ敷設設備およびサウス・ブリスベン・エクスチェンジ
(ベロシティ)地域に高速ブロードバンドを提供するテルストラのベロシティ事業を売却した。売却収入140百万
豪ドルは分割で受取ることになっており、2020年12月に85百万豪ドルを受領し、残額は3年にかけて受領する。売
却後、ネットワークの統合および顧客の移行作業が各地域で完了するまで、当社グループは売却資産をリースバッ
クする。その後、それらの地域の設備に対して、当社グループは、購入者のリテール・サービス・プロバイダーと
してサービスを提供する。売却による利益(純額)60百万豪ドルは、主にセール・アンド・リースバック取引によ
る利益であった。
2020 年12月、当社グループはイーコマース・プラットフォームの資産および負債を売却収入合計55百万豪ドルで
売却し、45百万豪ドルの純利益を認識した。
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2021 年3月、当社グループは、プロジェクト・サンシャインⅠ・ピーティワイ・リミテッド(センシス)への非
支配持分投資を保有する当社グループの被支配会社であるサンシャイン・ニューコー・ピーティワイ・リミテッド
を、売却収入合計78百万豪ドルで売却し、1百万豪ドルの純利益(この投資を2020年12月31日に売却費用控除後公
正価値に再測定した際に認識された34百万豪ドルの減損損失を含む)を認識した。繰延税金の影響の詳細について
は、注記2.4.1を参照のこと。
2021 事業年度全体では、当社グループは被支配会社およびその他の事業の売却に関して、186百万豪ドルの資産
および98百万豪ドルの負債を連結対象から除外した。
6.1.4 相互保証契約
テルストラ・コーポレーション・リミテッドおよび以下に記載された各完全所有子会社(以下「ク
ローズド・グループ」と総称する。)は、ASICの法的文書:「ASICの企業(完全所有会社に関する)
通達2016/785号」(以下「ASIC通達」という。)に規定された相互保証契約(以下「契約」とい
う。)の当事者である。
当該契約は、クローズド・グループ内の各企業が、クローズド・グループ内の他の企業が解散する
場合に当該企業の債務を全額支払うことを保証するものである。
ASIC通達に従って、クローズド・グループ内の完全所有子会社は、個別の財務書類、取締役会報告
書および監査報告書を作成し、提出する義務を免除される。
本セクションに開示されている包括利益計算書および財政状態計算書は、クローズド・グループの
連結業績を表している。
以下の企業が当該契約の当事者であり、クローズド・グループの一部を構成している。
・テルストラ・コーポレーション・リミテッド
・ブリッジ・ポイント・コミュニケーションズ・ピーティワイ・リミテッド
・エピコン・ITソリューションズ・ピーティワイ・リミテッド
・クラウド・ソリューションズ・ピーティワイ・リミテッド
・メリックス・ニューコー・ピーティワイ・リミテッド
・モバイル・トラッキング・アンド・データ・ピーティワイ・リミテッド
・エムティーデータ・ホールディングス・ピーティワイ・リミテッド
・ネットワーク・デザイン・アンド・コンストラクション・リミテッド
・O2 ネットワークス・ピーティワイ・リミテッド
・パクネット・インターネット(A)ピーティワイ・リミテッド
・テルストラ・ブロードキャスト・サービシズ・ピーティワイ・リミテッド
・テルストラ・コミュニケーションズ・リミテッド
・テルストラ・エナジー(ホールディングス)・ピーティワイ・リミテッド
・テルストラ・エナジー(リテール)・ピーティワイ・リミテッド
・テルストラ・エナジー(ジェネレーション)・ピーティワイ・リミテッド
・テルストラ・パープル・ピーティワイ・リミテッド
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・テルストラ・ヘルス・ピーティワイ・リミテッド
・テルストラ・ホールディングス・ピーティワイ・リミテッド
・テルストラ・インターナショナル(オーストラリア)リミテッド
・テルストラ・マルチメディア・ピーティワイ・リミテッド
・テルストラ・ペイTV・ピーティワイ・リミテッド
・テルストラ・プラス・ピーティワイ・リミテッド
・テルストラ・サービシズ・ソリューションズ・ホールディングス・リミテッド
・テルストラ・ソフトウェア・グループ・ピーティワイ・リミテッド
・テルストラ・ベンチャーズ・ピーティワイ・リミテッド
・バーチャル・マシーン・テクノロジー・ピーティワイ・リミテッド
以下の企業は2021年5月13日に仮契約により当該契約の当事者に加えられ、クローズド・グループの一部を構成
するようになった。
・エピコン・ITソリューションズ・ピーティワイ・リミテッド
・テルストラ・エナジー(ホールディングス)・ピーティワイ・リミテッド
・テルストラ・エナジー(リテール)・ピーティワイ・リミテッド
・テルストラ・エナジー(ジェネレーション)・ピーティワイ・リミテッド
2021年3月18日、O2 ネットワークス・ピーティワイ・リミテッドおよびバーチャル・マシーン・テクノロ
ジー・ピーティワイ・リミテッドの自発的な登録抹消に向けて両社を当該契約の当事者から外すために、取消証書
がASICに提出された。この取消証書は、ASICへの提出日から6ヶ月の有効期限が経過した翌日に発効し、その時点
でこれらの企業はクローズド・グループの一員ではなくなる。
上記以外に、(ASIC通達に規定されている)広義のクローズド・グループの加盟企業はなかった。テルストラ・
ファイナンス・リミテッドは当該契約における受託者であるが、クローズド・グループまたは広義のクローズド・
グループの加盟企業ではない。
表Aから表Cに表示されているクローズド・グループの加盟企業の財務情報には、テルストラ・ファイナンス・
リミテッドは含まれていない。加盟企業間の取引は消去されている。
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6月30日現在
表A
クローズド・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
流動資産
現金および現金同等物 936 489
売上債権およびその他受取債権ならびに契約資産 3,843 4,330
繰延契約コスト 109 78
棚卸資産 364 398
デリバティブ金融資産 624 147
255 211
前払金
流動資産合計 6,131 5,653
非流動資産
売上債権およびその他受取債権ならびに契約資産 1,175 1,429
繰延契約コスト 1,342 1,354
棚卸資産 21 28
投資-被支配会社 3,112 3,165
投資-持分法適用 1,036 909
投資-その他 10 16
有形固定資産 20,032 20,567
使用権資産 2,649 2,823
無形資産 5,982 6,138
デリバティブ金融資産 786 2,011
155 123
確定給付年金資産
非流動資産合計 36,300 38,563
資産合計 42,431 44,216
流動負債
買掛債務およびその他支払債務 3,425 3,528
従業員給付引当金 665 710
その他引当金 85 123
リース負債 455 553
借入金 4,761 3,951
デリバティブ金融負債 26 54
未払税金 103 209
1,523 1,522
契約負債およびその他前受収益
流動負債合計 11,043 10,650
非流動負債
その他支払債務 5 4
従業員給付引当金 149 126
その他引当金 118 135
リース負債 2,577 2,485
借入金 11,913 14,465
デリバティブ金融負債 331 320
繰延税金負債 1,529 1,546
774 613
契約負債およびその他前受収益
非流動負債合計 17,396 19,694
負債合計 28,439 30,344
純資産 13,992 13,872
株主持分
資本金 4,436 4,451
積立金 243 19
9,313 9,402
利益剰余金
クローズド・グループに帰属する株主持分
13,992 13,872
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6月30日終了事業年度
表B
クローズド・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
クローズド・グループに帰属する当期利益 1,745 1,710
267 (9)
クローズド・グループに帰属するその他の包括利益合計
クローズド・グループに帰属する当期包括利益合計
2,012 1,701
表Cは、クローズド・グループの利益剰余金について、期首残高から期末残高への調整を示している。
6月30日終了事業年度
表C
クローズド・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
クローズド・グループに帰属する期首利益剰余金 9,402 9,702
クローズド・グループに企業を追加することによる利益剰余金への影響 23 (2)
クローズド・グループから企業を除外することによる利益剰余金への影響 3 (48)
利益剰余金に認識される包括利益合計 1,787 1,653
(1,902) (1,903)
配当金
クローズド・グループに帰属する期末利益剰余金
9,313 9,402
6.2 ジョイント・ベンチャーおよび関連会社に対する投資
当社グループでは、持分法を用いてジョイント・ベンチャーおよび関連会社を会計処理している。
持分法では、投資は取得原価で認識され、その後、損益に対する当社グループ持分(損益計算書に認
識)およびその他の包括利益に対する当社グループ持分(包括利益計算書に認識)に応じて当該原価
が調整される。通常、配当金を受取った場合は、投資の帳簿価額が減少する。
ジョイント・ベンチャーおよび関連会社に対する持分法が適用される投資の帳簿価額の変動を表Aに要約する。
6月30日現在
表A
テルストラ・グループ ジョイント・ベンチャー 関連会社
2021 年 2020年 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
期首投資帳簿価額 266 348 631 950
追加 79 28 13 5
処分 - - (153) (4)
- - (30) -
損益計算書に認識された減損損失(純額)
345 376 461 951
純損失に対する持分
(8) (9) (16) (296)
分配金に対する持分 (51) (117) (8) (18)
292 16 3 (6)
積立金に対する持分
期末投資帳簿価額
578 266 440 631
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損益計算書に認識された純減損損失には、プロジェクト・サンシャインⅠ・ピーティワイ・リミテッドへの投資
を2020年12月31日に売却費用控除後公正価値に再測定した際に認識された34百万豪ドル(2020年:ゼロ)の減損損
失が含まれている。この投資の売却の詳細については、注記6.1.3を参照のこと。
当事業年度における純損失に対する持分には、当社グループの関連会社に対する投資の減損は含まれていない
(2020事業年度:当社グループのエヌエックスイー・オーストラリア・ピーティワイ・リミテッドに対する投資の
減損308百万豪ドルが含まれる)。
ジョイント・ベンチャーにおける積立金に対する持分には、当社グループのその他の包括利益に対する持分292
百万豪ドル(2020事業年度:16百万豪ドル)が含まれる。
6.2.1 ジョイント・ベンチャーおよび関連会社に対する投資の一覧
表Bは、当社グループのジョイント・ベンチャーおよび関連会社に対する投資、被投資先の主たる事務所の所在
地/会社設立国ならびに所有持分の一覧である。
所有持分
表B
テルストラ・グループ 6月30日現在
2021 年 2020 年
主たる事務所の所在
会社名 主要事業
% %
地/会社設立国
ジョイント・ベンチャー
3GISピーティワイ・リミテッド 旧3GISパートナーシップの オーストラリア 50.0 50.0
マネジメント(営業停止中)
プロクオ・ピーティワイ・リミテッド 小規模事業者向けデジタル市場 オーストラリア 45.0 45.0
リーチ・リミテッド 国際相互接続サービス バミューダ 50.0 50.0
テルストラ・ベンチャーズ・ファンドⅡ・エル・ピー ベンチャー・キャピタル ガーンジー 62.5 62.5
関連会社
アジア・ネットコム・フィリピン・コーポレーション 現物資産の所有 フィリピン 40.0 40.0
オーストラリア-ジャパン・ケーブル・ ネットワーク・ケーブル・ バミューダ 46.9 46.9
ホールディングス・リミテッド プロバイダー
デイコム・クロッシング・コーポレーション ネットワーク・ケーブル・ 韓国 49.0 49.0
プロバイダー
デジテル・クロッシング・インク 電気通信サービス フィリピン 48.0 48.0
エネパス(グループ・ホールディングス) トレーディング・タレットおよび シンガポール - 28.1
呼び出しソフトウェア・プロバイ
ピーティイー・リミテッド
ダー
エヌエックスイー・オーストラリア・ピーティワイ・ 有料テレビ オーストラリア 35.0 35.0
リミテッド
パシフィック・キャリッジ・ホールディングス・リミ ネットワーク・ケーブル・ オーストラリア 25.0 25.0
テッド
プロバイダー
パシフィック・キャリッジ・ホールディングス・リミ ネットワーク・ケーブル・ オーストラリア 25.0 25.0
テッド・インク
プロバイダー
ピボタル・ラボズ・シドニー・ピーティワイ・ ソフトウェア開発 オーストラリア 20.0 20.0
リミテッド
プロジェクト・サンシャインⅠ・ピーティワイ・リミ センシス・ピーティワイ・ オーストラリア - 30.0
テッド
リミテッド (電話番号案内サービ
ス)の持株会社
サザン・クロス・ケーブルズ・ホールディングス・リミ ネットワーク・ケーブル・ オーストラリア 25.0 25.0
テッド
プロバイダー
テルストラ・スーパー・ピーティワイ・リミテッド 退職年金信託 オーストラリア 100.0 100.0
テルストラ・ベンチャーズ・ファンドⅢ・エル・ピー ベンチャー・キャピタル ガーンジー 55.0 -
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テルストラ・スーパー・ 当社グループでは、判断により、テルストラ・スーパー・ピーティワイ・リミ
ピーティワイ・リミテッド テッドの持分の100%を所有しているが、同社を支配していないと決定した。
に対する重要な影響力 テルストラ・スーパー・ピーティワイ・リミテッドは、テルストラ・スーパー退
職年金制度の受託者である。当社グループが取締役会を支配していないため、テル
ストラ・スーパー・ピーティワイ・リミテッドを連結していない。取締役会は、雇
用主代表と加入者代表が同数で構成されており、独立した者が議長を務める。関連
する活動についての当社グループの議決権は44%で、これは取締役会における当社
グループの代表権に相当する。したがって、当該会社は当社グループが重要な影響
力を有するため、関連会社に分類されている。
(a)取得
2021年4月21日に、当社グループは、関連会社として会計処理されているテルストラ・ベンチャーズ・ファンド
Ⅲ・エル・ピーの55%の持分を取得した。2021年6月30日現在、このファンドへの投資価値は9百万豪ドルであっ
た。
テルストラ・ベンチャー 当社グループでは、判断により、テルストラ・ベンチャーズ・ファンドⅡ・エ
ズ・ファンドⅡ・エル・ ル・ピーを共同支配しているとの結論に至った。当社グループは、出資約束金ベー
ピーの共同支配 スでパートナーシップ持分の62.5%を所有しているが、当該事業体に係る重要な意
思決定を行うには、諮問委員会(当社グループは2議席のうち1議席を保有)にお
ける全会一致の承認か、出資約束金の75.0%以上の賛成が必要となる。
(b)処分
2020年9月25日および2021年3月2日に、当社グループはエネパス(グループ・ホールディングス)ピーティ
イー・リミテッドおよびプロジェクト・サンシャインⅠ・ピーティワイ・リミテッドへの投資をそれぞれ売却し
た。プロジェクト・サンシャインⅠ・ピーティワイ・リミテッドへの投資の売却に関する詳細については、注記
6.1.3を参照のこと。
(c)エヌエックスイー・オーストラリア・ピーティワイ・リミテッド
テルストラは、有料テレビ放送およびストリーミング・サービスを提供する関連会社であるエヌエックスイー・
オーストラリア・ピーティワイ・リミテッドに対して35%の持分を有している。エヌエックスイー・オーストラリ
ア・ピーティワイ・リミテッドに対するテルストラの持分は、連結財務書類において持分法を適用して会計処理さ
れている。
表Cは、エヌエックスイー・オーストラリア・ピーティワイ・リミテッドおよびその被支配会社の2021事業年度
の財務情報を、オーストラリア会計基準に準拠して作成された連結経営財務書類に基づき要約したものである。開
示されている情報は、エヌエックスイー・オーストラリア・ピーティワイ・リミテッドの財務書類に表示されてい
る金額を反映しており、当該金額に対するテルストラの持分は反映していない。この経営財務情報は、持分法適用
時にテルストラが行った調整を反映するように調整されている。これには、公正価値調整、会計方針の相違に応じ
た修正および当社グループの投資の減損が含まれる。
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6月30日終了事業年度
表C
エヌエックスイー・オーストラリア・ピーティワイ・リミテッド 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
流動資産 575 530
非流動資産 4,039 4,563
流動負債 (756) (763)
(2,847) (3,182)
非流動負債
株主持分 1,011 1,148
株主持分に対するテルストラの持分35%(2020事業年度:35%)
354 402
61 28
持分法調整額
テルストラの投資の帳簿価額 415 430
収益
2,767 2,801
(2,958) (3,893)
営業費用
税引前損失 (191) (1,092)
法人所得税収益
54 7
(137) (1,085)
当期損失
その他の包括利益
9 (16)
(128) (1,101)
当期包括利益合計
持分法調整額
86 143
(42) (958)
修正後当期包括利益
当期包括利益に対するテルストラの持分(35%)
(15) (335)
6.2.2 その他のジョイント・ベンチャーおよび関連会社
表Dは、ジョイント・ベンチャーおよび関連会社の財務情報の合計に対する当社グループの持分を示している。
6月30日終了事業年度/6月30日現在
表D
テルストラ・グループ ジョイント・ベンチャー 関連会社
2021 年 2020年 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
投資帳簿価額 578 266 440 631
当社グループの持分:
当期損失 (8) (12) (16) (294)
292 13 3 (6)
その他の包括利益
包括利益合計
284 1 (13) (300)
持分法が適用される投資の 当社グループでは、「使用価値」法を用いて投資の回収可能価額を決定するため
減損 に判断を用いている。重要な仮定には、過去の実績と将来の予想に基づく、残存価
値の測定に使用した成長率や割引率の選択が含まれる。
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6.2.3 持分法適用の中止
表Eは、企業が計上した損失および/または持分法上の帳簿価額の減少により、持分法の適用が中止され、当該
投資がゼロで計上されている、当社グループ企業の当期および累積の利益/(損失)に対する当社グループの未認
識の持分を示している。
6月30日終了事業年度
表E
テルストラ・グループ 当期 累積 当期 累積
2021 年 2021年 2020 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
ジョイント・ベンチャー
リーチ・リミテッド (3) (553) (3) (550)
関連会社
オーストラリア-ジャパン・ケーブル・
(1) (68) 2 (67)
ホールディングス・リミテッド
(4) (621) (1) (617)
6.2.4 ジョイント・ベンチャーおよび関連会社との取引
当社グループは、関連会社であるエヌエックスイー・オーストラリア・ピーティワイ・リミテッドおよびその子
会社(以下「エヌエックスイー・グループ」という。)と取引を行っている。これら企業との主要な取引の要約
は、以下のとおりである。
(a)商品売上およびサービス売上ならびに商品購入およびサービス購入
当社グループは、その関連会社との間で、商品およびサービスの売買ならびに利息の受取を行っている。当該取
引は通常の事業活動の範囲内で通常の商取引の条件に基づいて行われている。
個別に重要性のある取引の詳細は以下のとおりである。
・当社グループは、エヌエックスイー・グループから625百万豪ドル(2020事業年度:706百万豪ドル)の有料テ
レビ・サービスを購入した。当該購入により、当社グループにおいて継続中の製品の束の販売イニシアティブ
の一環として、既存の顧客に対して有料テレビのコンテンツを含むフォクステルのサービスの再販売が可能と
なった。
・当社グループはフォクステルに、ブロードバンド・システム・サービス、ネットワーク・アクセス・サービス
およびその他の専門サービスを109百万豪ドル(2020事業年度:123百万豪ドル)で、また、ホールセール・
サービスを64百万豪ドル(2020事業年度:57百万豪ドル)で販売した。
(b)ジョイント・ベンチャーおよび関連会社に対する債権
2020年2月、当社グループはエヌエックスイー・オーストラリア・ピーティワイ・リミテッドとの間に劣後ロー
ン契約を締結しており、これにより、当社グループはエヌエックスイー・オーストラリア・ピーティワイ・リミ
テッドに対して上限170百万豪ドルの融資枠を市場金利で提供する。当該融資枠の期日は2027年12月22日である。
2021年6月30日現在、当該融資枠に基づく引出額は79百万豪ドル(2020事業年度:16百万豪ドル)であった。
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(c)買掛債務
2021年6月30日現在、当社グループは、有料テレビ・サービスの購入に関してエヌエックスイー・グループに対
する買掛債務を58百万豪ドル(2020事業年度:62百万豪ドル)有していた。
6.2.5 認識および測定
(a)ジョイント・ベンチャーに対する投資
ジョイント・ベンチャーとは、共同支配の取り決めであり、共同支配を有する当事者が当該取決めの純資産に対
する権利を有していることをいう。ジョイント・ベンチャーに対する当社グループの持分は持分法を用いて会計処
理されている。
(b)関連会社に対する投資
この投資は、当社グループが重要な影響力を行使する能力を有しているが、意思決定を支配していない企業に対
する投資である。関連会社に対する当社グループの持分は持分法を用いて会計処理されている。
(c)持分法会計
関連会社およびジョイント・ベンチャーに対する投資は、連結貸借対照表上、取得原価に、当該被投資会社の純
資産に対する当社グループ持分の取得後の変動(減損損失控除後)を加算して計上される。関連会社またはジョイ
ント・ベンチャーに対する投資に係るのれんは、当該投資の帳簿価額に含められ、償却されない。損失に対するテ
ルストラの持分が関連会社またはジョイント・ベンチャーに対する投資を超過する場合、当該投資の帳簿価額はゼ
ロまで減額され、それ以上の損失は認識されない。
持分法適用投資については、年1回または減損の兆候が生じている場合に減損テストが行われる。
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7. その他の情報
本セクションでは、他のセクションに記載されていない情報や開示(外部監査人の報酬、コミットメントおよび
偶発事象、親会社の開示、報告日後に発生した重要な事項など)を提供する。
7.1 監査人報酬
当社グループの外部監査人はアーンスト・アンド・ヤング(以下「EY」という。)である。財務書
類の監査およびレビューに加えて、EYは年間を通じて他のサービスも提供している。本注記は、当社
グループの外部監査人に対する報酬額の合計を詳述している。
6月30日終了事業年度
テルストラ・グループ
2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
アーンスト・アンド・ヤング(オーストラリア)に対する報酬
カテゴリー1 8.272 7.741
カテゴリー3 2.806 2.009
0.407 0.107
カテゴリー4
アーンスト・アンド・ヤング(オーストラリア)に対する報酬合計
11.485 9.857
アーンスト・アンド・ヤング(オーストラリア)の他の海外メンバー・
ファームに対する報酬
カテゴリー1 2.349 2.429
カテゴリー2 0.049 0.054
0.069 0.054
カテゴリー4
アーンスト・アンド・ヤング(オーストラリア)の他の海外メンバー・
2.467 2.537
ファームに対する報酬合計
監査人報酬合計 13.952 12.394
監査報酬および非監査報酬は以下のカテゴリーで開示している。
・カテゴリー1:当社グループの親会社およびグループの法定財務報告書の監査、および被支配会社の法定財務報
告書の監査に対する、当社グループ監査人に支払われる報酬
・カテゴリー2:監査人により提供されることが法律で義務付けられた保証業務に対する報酬
・カテゴリー3:業務の提供者を監査人または他社とすることに関して裁量がある場合の、その他の保証業務およ
び合意された手続に関する業務に対する報酬
・カテゴリー4:その他の業務に対する報酬(税務コンプライアンスなど)
カテゴリー3の業務には、ITセキュリティ統制評価業務および合意された手続に関する様々な業務が含まれる。
カテゴリー4の業務には、税務およびその他のアドバイザリー・サービスが含まれる。
当社グループは、非監査業務に対する支出の性質も含めて当社グループの外部監査人の独立性を維持する手続を
設けている。EYもまた、監査人の独立性を確保する一定の社内手続および方針を設けている。
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7.2 その他引当金
以下の表は、流動および非流動項目のその他引当金を要約したものである。
6月30日現在
テルストラ・グループ
2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
流動その他引当金 87 124
126 143
非流動その他引当金
213 267
7.2.1 オーストラリア競争・消費者委員会(以下「ACCC」という。)による調査に対する引当金
2020 年6月、当社グループは、当社グループの販売、苦情処理および債権回収に係る慣行に対するACCCによる調
査から生じる潜在的な罰金に対して50百万豪ドルの引当金を計上しており、当該調査の焦点はオーストラリア先住
民に対する行為(ノーザンテリトリー、西オーストラリア州、クイーンズランド州、ニュー・サウス・ウェールズ
州および南オーストラリア州の特定の場所における行為を含む)に当てられている。この罰金は、連邦裁判所によ
る承認を受けて2021年6月に支払われた。
規制当局による調査に関する偶発負債についての詳細は、注記7.3.3を参照のこと。
7.3 親会社の開示
本注記では、テルストラ社の経営成績および財政状態の詳細を単独の事業体として示している。経
営成績には被支配会社との取引も含まれている。
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表Aおよび表Bは、テルストラ社の財務情報の要約である。
6月30日現在
表A
テルストラ社 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
財政状態計算書
流動資産合計 7,302 6,248
38,425 41,352
非流動資産合計
資産合計 45,727 47,600
流動負債合計
14,753 14,025
16,811 19,592
非流動負債合計
負債合計 31,564 33,617
資本金
4,436 4,451
キャッシュ・フロー・ヘッジ積立金 (126) (177)
外貨ベーシス・スプレッド積立金 (63) (25)
別途積立金 201 201
9,715 9,533
利益剰余金
株主持分合計
14,163 13,983
6月30日終了事業年度
表B
テルストラ社 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
包括利益計算書
当期利益 2,042 1,764
包括利益合計 2,097 1,735
非流動資産合計は、当期に認識された、減損損失による影響額150百万豪ドル(2020事業年度:329百万豪ドル)
を含む。この金額のうち、当社グループの関連会社に係る減損損失は34百万豪ドル(2020事業年度:308百万豪ド
ル)、被支配会社に係る減損損失は106百万豪ドル(2020事業年度:16百万豪ドル)であった。後者はテルスト
ラ・グループの連結上相殺消去されている。当社グループの関連会社の減損については注記6.2を参照のこと。
7.3.1 テルストラのタワーズ事業における戦略的パートナー
2021年6月30日、当社グループは、フューチャー・ファンド、コモンウェルス・スーパーアニュエーション・
コーポレーションおよびサンスーパーから成るコンソーシアムが、テルストラのタワーズ事業の49%の持分を取得
することに合意し、同事業の戦略的パートナーとなることを公表した。当社グループは、この取引の完了時に、取
引費用控除後の正味現金収入28億豪ドルを受領する見込みである。完了の前提条件はないものの、売却の準備とし
て、グループ内リストラクチャリングの手順を実行し、2022事業年度の第1四半期に予定されている完了日からテ
ルストラのタワーズ事業を開始させる必要がある。
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当社グループは、テルストラのタワーズ事業における51%の過半数の所有権を保持し、無線アクセス機器や周波
数帯資産を含むネットワークのアクティブな部分を引き続き所有することで、業界をリードするモバイルカバレッ
ジとネットワークの優位性を維持し続ける。
テルストラグループ・レベルでは引き続きテルストラのタワーズ事業を連結するが、テルストラ社の財務書類で
は、テルストラ社が取引完了日にタワーズ事業を売却するまでの間、同事業の資産496百万豪ドルおよび負債452百
万豪ドルを売却目的保有に分類している。
また、当社グループは、タワーズ事業の売却取引に係るキャピタルゲイン見積額と相殺後の、過年度に認識され
ていなかった税務上のキャピタルロスについて、繰延税金資産444百万豪ドルを認識した。当社グループの税務上
の欠損金の詳細については、注記2.4.2を参照のこと。
7.3.2 有形固定資産に関するコミットメント
2021年6月30日現在、有形固定資産の取得に係るテルストラ社のコミットメントは、124百万豪ドル(2020事業
年度:331百万豪ドル)であった。
7.3.3 偶発負債および保証
(a)規制当局による調査
テルストラは、オーストラリアおよび海外において様々な法規制の適用を受けており、これには、電気通信、会
社法、消費者・競争法、労働安全衛生の分野における法規制が含まれる。オーストラリアにおいて、これらの法規
制の執行者でありテルストラに関わりのある主な規制当局として、オーストラリア競争・消費者委員会(以下
「ACCC」という。)、オーストラリア通信メディア庁(以下「ACMA」という。)、オーストラリア証券投資委員会
(以下「ASIC」という。)およびオーストラリア証券取引所(以下「ASX」という。)がある。
テルストラは、該当する法規制に従っているか否かについての特定の現行の調査を含め、規制当局による調査お
よびレビューを随時受けている。これらは、精査と規制当局の期待が高まっている環境の中、また、テルストラが
該当する法規制に従っていなかった状況を自己申告している中で実施されているものである。当社グループは、通
常の事業活動の過程で、該当する法規制に従っていない、または当社グループの基準を満たしていない、当社グ
ループの顧客および評判に影響を与える可能性のある問題を識別しており、今後も識別する可能性がある。当社グ
ループは、これらの問題を識別した場合には、会計基準またはその他の法的開示義務に基づいて開示を行うか、ま
たは必要に応じて当該債務に対する引当金を計上する。
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規制当局による調査およびレビューにより、強制執行、訴訟(集団訴訟手続きを含む)、および罰則(民事罰、
および限られた状況下では刑事罰も)の対象となる可能性がある。その一つが2021年8月にACCCが提起した訴訟で
あり、特定のnbnサービスで受信する最大インターネット速度についてテルストラが顧客に行った表示、および最
大速度が利用できない場合にテルストラが速度を確認して救済策を提供するために講じる措置が、「2010年競争・
消費者法」(以下「競争・消費者法」という。)に違反して虚偽または誤解を招くものであったとの主張がなされ
ている。この訴訟は、テルストラが同様の行為に関して2017年11月にACCCに競争・消費者法第87B条に基づく「当
局との強制的約束」を行い、その後、当該約束への違反をACCCに自己申告したことを受けたものである。当社グ
ループは、こうした表示の影響を受けた全ての顧客の救済を進めており、返金見積りによる財務上の影響額を2021
事業年度の財務成績に反映させている。当社グループは同様の問題をACMAに自己申告しており、その結果、2021年
6月に改善指示が出された。この改善指示はテルストラに対し、nbnでの最大インターネット速度を顧客に通知ま
たは必要に応じて改善策を提示するするためのシステム、プロセスおよび慣行をレビューする独立した第三者監査
人の任命を求めている。
ACCCの訴訟の結果は、これらの訴訟の一部として与えられる罰則やその他の救済措置の範囲を含めて不確実であ
ることから、2021年6月30日現在、これらの訴訟から生じる可能性のある負債をカバーするための引当金は計上さ
れていない。
(b)民事訴訟
従業員および第三者によるいくつかの民事訴訟が未解決である。2021年6月30日現在、経営者は、当該偶発事象
が解決する際にも、テルストラ社の経営成績に重要な影響はないと考えている。当該偶発負債の最大額を確実に見
積ることは不可能である。
(c)補償、履行保証および金融支援
当社グループが、テルストラ社を通して行っている補償、履行保証および金融支援は以下のとおりである。
・契約の履行に関して銀行保証を裏付けるため金融機関に対して行う303百万豪ドル(2020事業年度:292百万豪
ドル)の補償。
・当社グループの被支配会社の履行保証およびその他の債務に関する金融機関およびその他の第三者に対する補
償。当該補償による偶発負債の最大額は126百万豪ドル(2020事業年度:126百万豪ドル)である。
・特定の被支配会社が返済期日到来時に債務を履行するのに必要な額までを補助するという被支配会社に対する
支援を示すコンフォート・レター。これには、一定の条件(当該企業が引き続き当社グループの被支配会社で
なければならないこと等)が課せられている。
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・1998事業年度において、当社グループは、アイビーエム・グローバル・サービシズ・オーストラリア・リミ
テッド(以下「IBMGSA」という。)に対し、IBMGSAの株主として、複数の基準に基づき210百万豪ドルを上限
とする保証を提供することを決定した。2000事業年度において、当社グループはIBMGSAのために68百万豪ドル
の保証を行った。2004事業年度において、当社グループは同社の保有株式を売却した。IBMGSAと第三者が締結
したサービス契約を裏付けるために、68百万豪ドルの保証が、IBMGSAの取引銀行との間または直接IBMGSAの顧
客に対して供与された。2021年6月30日現在、当該保証は依然として変更がなく、210百万豪ドルの保証枠の
うち、142百万豪ドル(2020事業年度:142百万豪ドル)が未使用の状態であった。当社グループがIBMGSAの保
有株式を売却した際、また株主間の免責証書のもと、当該履行保証に基づく当社グループの債務は、売却時に
存在した履行保証全てについて免責されている。そのため、請求に伴う損失に対する全体的な純エクスポー
ジャーは、実質的に相殺されている。
(d)その他
上記の事項に加え、テルストラ・グループ内のある企業を送達受取人または被告とした、特定の請求、規制上ま
たは法的な手続き、申立てが提出される、または開始されている、またはそのおそれがある。2021年6月30日現
在、経営者は、これらの偶発事象の解決はテルストラ・グループの財政状態に重要な影響を与えない、または当該
事項の可能性のある結果を合理的に評価できる段階ではないと考えている。
7.3.4 認識および測定
以下に記載される項目を除き、テルストラ社の会計方針はテルストラ・グループの会計方針と一致している。
・当社グループ内の税金積立契約に基づき、オーストラリア国内の完全所有会社の当期未払(未収)税金に対し
てテルストラ社が認識した受取債権(支払債務)は、流動資産または負債として計上される。
・非流動資産に含まれた被支配会社に対する投資は、取得原価から投資価値の減損を控除した額により計上され
る。海外被支配会社に対する当社グループの投資価値をヘッジしている場合、当該ヘッジは注記4.5.5に従っ
て会計処理される。被支配会社に対する当社グループの投資に関する詳細については、注記6.1を参照のこ
と。
・パートナーシップを含む関連会社およびジョイント・ベンチャーに対する当社グループの持分は、原価法を用
いて会計処理されており、非流動資産に含まれている。
7.4 コミットメントおよび偶発事象
本注記では、契約上の合意から生じる資本的支出に対する当社グループのコミットメントの詳細を
示している。
さらに本注記では、将来の事象の結果が不確実であること、および/または当該債務を信頼性を
もって測定できないことから、引当金が認識されていない偶発負債に関する情報も記載している。
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7.4.1 資本的支出コミットメント
表Aは、決算日現在契約済であるが、財務書類に計上されていない資本的支出コミットメントの詳細を示してい
る。これには、注記7.3.2に開示されているテルストラ社のコミットメントが含まれている。
6月30日現在
表A
テルストラ・グループ 2021 年 2020年
百万豪ドル 百万豪ドル
有形固定資産に関するコミットメント 130 336
無形資産に関するコミットメント 282 62
7.4.2 偶発負債および偶発資産
テルストラ社の偶発負債の内容および見積最大額(合理的な見積りが可能な場合)は、注記7.3.3に開示されて
いる。
テルストラ・グループについて識別されたその他の偶発負債はASIC相互保証契約に関連している。当社グループ
の相互保証契約に含まれる会社の一覧表は、注記6.1.4に記載されている。各社(テルストラ・ファイナンス・リ
ミテッドを除く)は、一覧表に記載された他の会社が解散した場合、その債務全額の支払を保証する。
2021年6月30日現在、当社グループには重要な偶発資産はなかった。
7.5 後発事象
当社グループの意見に基づくと、2021年6月30日以降に発生し、以下のいずれかの事象に重要な影響を及ぼして
いる、もしくは将来において及ぼす可能性がある事象または状況について、当社グループは認識していない。
・当社グループの事業
・経営成績
・当社グループの財政状態
ただし、以下の事項はこの限りではない。
7.5.1 最終配当金
2021 事業年度の最終配当金の詳細については、注記4.2に開示されている。
7.5.2 メディカル・ディレクターの取得
2021 年8月6日に、テルストラ・ヘルスは、クリニカル・テクノロジー・ホールディングス・ピーティワイ・リ
ミテッドおよびその子会社(以下「メディカル・ディレクター」という。)の株式の100%を企業価値350百万豪ド
ル(完了時の調整を前提とする)で取得する、拘束力のある契約を締結した。メディカル・ディレクターは、一般
診療の臨床および診療管理ソフトウェアを提供する大手企業である。この取得は、2022事業年度の第1四半期に完
了する予定である。
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7.5.3 市場における株式買戻し
2021 年8月12日に、テルストラは、タワーズ事業に係る取引による純収入のうち最大13.5億豪ドルを、2022事業
年度中に市場での株式買戻しにより株主に還元する意向であることを公表した。
この株式買戻しは、2021年9月16日以降に開始される可能性が高い。市場での株式買戻しは、通常の取引の過程
で行われる予定である。市場での株式買戻しの正確な金額と時期は、市場の状況に応じて決定される。
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2 【主な資産・負債及び収支の内容】
上記財務書類注記を参照のこと。
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3 【その他】
(1)決算日後の状況
上記財務書類注記7.5、7.5.1、7.5.2および7.5.3を参照のこと。
(2)訴訟事件
本セクションの情報は、2021年8月12日現在の最新の情報である。
上記財務書類注記7.3.3を参照のこと。
(a)規制当局による調査
テルストラは、通信、会社法、競争・消費者法および労働安全衛生の分野を含むオーストラリアおよび
海外の様々な法令の対象となっている。オーストラリアにおいて、これらの法令を執行し、テルストラが
関係する主要な規制当局は、オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)、オーストラリア通信メディア
庁(ACMA)、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)およびオーストラリア証券取引所(ASX)である。
テルストラは、随時、規制当局による調査および審査の対象となっている。これにはテルストラが関連
法令を遵守しているかどうかに関する現在の調査が含まれる。これらは規制当局による厳しい監視と要求
の中で行われており、またテルストラが関連法令の不遵守を自己申告した場合においても行われている。
当社は、通常の業務過程において、当社の顧客および評判に影響を及ぼす可能性がある問題、関連法令を
遵守しない問題、または当社の基準を満たさない問題を(場合により継続して)特定する。当社はこれら
の問題を特定した場合、会計基準またはその他の法的開示義務に従って開示を行い、または必要に応じて
当該債務を計上する。
規制当局の調査および審査により、強制措置、訴訟(集団訴訟手続きを含む。)および罰則(民事上お
よび限られた状況下では刑事上のいずれの罰則も含む。)が科される可能性がある。その一つは、2021年
8月にACCCが開始した訴訟で、顧客が特定のnbnサービスで受信する最大インターネット速度についてテ
ルストラが顧客に対して行った表明と、最大速度が利用できない場合にテルストラが速度を確認して救済
策を提供するために講じる措置が、2010年競争・消費者法に違反して誤解を招く、あるいは虚偽であった
と主張するものである。今回の訴訟は、テルストラが2017年11月に同様の行為に関して同法s87Bに基づき
ACCCに執行可能な合意を提示し、当該合意の違反をACCCに自己申告したことを受けたものである。当社
は、これらの表明によって影響を受けた全ての顧客の救済を進めており、予想される払戻しによる財務上
の影響を2021年の財務成績に反映している。当社は、ACMAに対して同様の問題を自己申告し、2021年6月
に是正指示が出された。この是正指示は、テルストラが独立した第三者監査人を任命し、nbnでの最大イ
ンターネット速度を顧客に通知するためのシステム、プロセスおよび慣行を見直し、必要に応じて是正措
置を講じることを求めている。
ACCCの訴訟の結果は、当該訴訟の一環として与えられる罰則またはその他の救済措置の範囲を含めて不
確実であることから、2021年6月30日現在、当該訴訟から発生する可能性のある債務を補填する引当金は
計上されていない。
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(b)民事訴訟
従業員および第三者によるいくつかの民事訴訟が未解決である。2021年6月30日現在、経営者は、当該
偶発事象が解決する際にも、テルストラ社の財務成績に重要な影響はないと考えている。当該偶発債務の
最大額を確実に見積ることは不可能である。
(c)補償、履行保証および金融支援
当社グループが、テルストラ社を通して行っている補償、履行保証および金融支援は以下のとおりであ
る。
・契約の履行に関して銀行保証を裏付けるため金融機関に対して行う303百万豪ドル(2020事業年度:292
百万豪ドル)の補償。
・当社グループの被支配会社の履行保証およびその他の債務に関する金融機関およびその他の第三者に対
する補償。当該補償による偶発債務の最大額は126百万豪ドル(2020事業年度:126百万豪ドル)であ
る。
・特定の被支配会社が返済期日到来時に債務を履行するのに必要な額までを補助するという被支配会社に
対する支援を示すコンフォート・レター。これには、一定の条件(当該企業が引き続き当社グループの
被支配会社でなければならないこと等)が課せられている。
・1998事業年度において、当社グループは、アイビーエム・グローバル・サービシズ・オーストラリア・
リミテッド(以下「IBMGSA」という。)に対し、IBMGSAの株主として、複数の基準に基づき210百万豪
ドルを上限とする保証を提供することを決定した。2000事業年度において、当社グループはIBMGSAのた
めに68百万豪ドルの保証を行った。2004事業年度において、当社グループは同社の保有株式を売却し
た。IBMGSAと第三者が締結したサービス契約を裏付けるために、68百万豪ドルの保証が、IBMGSAの取引
銀行との間または直接IBMGSAの顧客に対して供与された。2021年6月30日現在、当該保証は依然として
変更がなく、210百万豪ドルの保証枠のうち、142百万豪ドル(2020事業年度:142百万豪ドル)が未使
用の状態であった。当社グループがIBMGSAの保有株式を売却した際、また株主間の免責証書のもと、当
該履行保証に基づく当社グループの債務は、売却時に存在した履行保証全てについて免責されている。
そのため、請求に伴う損失に対する全体的な純エクスポージャーは、実質的に相殺されている。
(d)その他
上記の事項に加え、テルストラ・グループ内のある企業を送達受取人または被告とした、特定の請求、
規制上または法的な手続き、申立てが提出される、または開始されている、またはそのおそれがある。
2021年6月30日現在、経営者は、これらの偶発事象の解決はテルストラ・グループの財政状態に重要な影
響を与えない、または当該事項の可能性のある結果を合理的に評価できる段階ではないと考えている。
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4 【日本とオーストラリアにおける会計原則および会計慣行の主な相違】
本書記載の財務書類は、2001年オーストラリア会社法およびオーストラリア会計基準、ならびに国際財務報告基
準と同等のオーストラリア版国際財務報告基準(A-IFRS)が適用されている。日本の会計原則および会計慣行との
主要な相違点は、以下の通りである。
(1)有形固定資産の再評価
オーストラリアでは、当初計上後、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した価額で計
上する。公正価値が信頼性をもって測定可能な場合、再評価日における公正価値からその後の減価償却累計額
および減損損失累計額を控除した再評価額で計上する方法を選択適用可能である。
日本では、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づいて減損損失を測定し、損益計算書上減損損失を計上
する場合を除き、固定資産の公正価値に基づく再評価は行われない。
(2)減損会計
オーストラリアでは、減損の兆候があり、資産の回収可能価額(売却費用控除後公正価値と使用価値のいず
れか大きい方)が帳簿価額より低い場合、その差額を減損損失として計上する。売却費用控除後公正価値と
は、独立第三者間取引により資産または資金生成単位の売却で得られる金額から処分費用を控除した金額であ
る。また、使用価値とは、資産または資金生成単位から得られる見込の割引後将来キャッシュ・フロー(現在
価値)である。減損の要因がなくなった場合には、当初の帳簿価額を超えない範囲で過去に計上した減損損失
を戻し入れる(のれんを除く)。
日本では、固定資産の減損について、「固定資産の減損に係る会計基準」が適用されている。当該基準にお
いて、減損の兆候があり、固定資産の割引前将来キャッシュ・フローが帳簿価額より低い場合、割引後将来
キャッシュ・フローに基づいて減損損失を測定し、固定資産を回収可能価額まで減額する。減損損失の戻入は
禁止されている。
(3)のれん
オーストラリアでは、のれんは償却されず、各報告日または潜在的な減損の兆候を示す要因が発生した際に
減損テストが行われる。その際、のれんは、資金生成単位に配分され、資金生成単位の帳簿価額が回収可能価
額を上回る場合、のれんの減損損失が計上される。
日本では、「企業結合に関する会計基準」が適用され、のれんは20年以内のその効果のおよぶ期間にわたっ
て規則的に償却される。
(4)有給休暇引当金
オーストラリアでは、従業員に対する年次有給休暇および長期勤続従業員に与えられる特別有給休暇等の従
業員の権利に対して引当金を計上する。
日本では、有給休暇に関する会計処理について規定はなく、通常関連する債務の認識は行われない。
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(5)退職給付会計
オーストラリアでは、確定給付費用は制度資産に係る期待収益を含めず、その代わりに確定給付資産または
負債の純額に割引率(国債の利回りに基づく)を適用して算定された、利息収益または費用の純額を含める。
また、確定給付費用は、3つの構成要素に分類され表示される。勤務費用は損益計算書に表示され、確定給付
資産または負債の純額に係る利息純額は金融費用の一部として損益計算書に表示され、再測定はその他の包括
利益に表示される。
日本では、「退職給付に関する会計基準」により、確定給付型退職給付制度について、連結財務諸表上年金
資産控除後の確定給付債務の全額が連結貸借対照表に計上されている。過去勤務費用および数理計算上の差異
の発生額のうちその期に費用処理されない部分は、連結貸借対照表のその他の包括利益累計額に計上される。
これらはその後の期間にわたって費用処理され、当期純利益を構成する。
(6)研究開発費
オーストラリアでは、研究費は発生時に費用計上されるが、開発費は技術的および経済的実現可能性が認め
られ、かつ所定の要件を満たす場合に資産計上される。
日本では、研究開発費は、原則として発生時に費用計上される。
(7)投資不動産
オーストラリアでは、投資不動産は、取得時において取得原価で受入れ、その後公正価値で評価する公正価
値モデル、もしくは減価償却後の帳簿価額をもって評価額とする原価モデルにより評価される。公正価値で評
価する会計方針を採用した場合には、原則として、全ての投資不動産に対して適用され、評価損益は当事業年
度の損益として計上される。
日本では、公正価値の変動をそのまま損益に算入せず、他の有形固定資産と同様に取得原価基準による会計
処理を行い、「固定資産の減損に係る会計基準」の規定に従って減損処理が適用される。
ただし、「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」に基づいて、重要な投資不動産を含む賃貸等不
動産について、当該時価が「注記」として開示される。
(8)金融負債および資本の分類
オーストラリアでは、負債もしくは資本に含まれる金融商品の適切な分類の判定について、A-IFRSの中の1
つの包括的な基準であるAASB第132号に規定されている。AASB第132号は、金融資産および資本の分類につい
て、法的形態よりも契約関係の実質的側面を重視している。
日本では、負債および資本の分類について詳細な規定はない。優先株式等の金融商品は、原則として会社法
等に規定されている法的形態を重視して負債または資本に分類される。
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(9)金融商品
金融資産および金融負債の分類および測定
オーストラリアでは、金融資産の分類および測定は、それらの管理方法(企業の事業モデル)および契約上の
キャッシュ・フローの特性により異なる。これらの要因により、償却原価、その他包括利益を通じた公正価値
または損益を通じた公正価値のいずれかにより金融商品が測定されるかが決定される。金融負債は、純損益を
通じて公正価値で測定する金融負債(売買目的負債および公正価値オプション)または償却原価で測定する金融
負債に分類される。
日本では、金融資産は、原則として法的形態をベースに、有価証券、債権、金銭の信託、デリバティブなど
に分類されている。さらに、有価証券については、売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社および関
連会社株式、その他有価証券に分類される。支払手形、買掛金などの金融負債は、債務額をもって貸借対照表
価額とし、社債については社債金額より低いまたは高い価額で発行した場合に償却原価で評価する必要があ
る。
金融資産の減損
オーストラリアでは、減損に関する規定は償却原価およびその他包括利益を通じた公正価値により測定され
た金融資産、リース債権および一部の貸付コミットメントならびに金融保証契約に適用される。当初認識時、
予想信用損失で翌12ヶ月間に発生する可能性のある債務不履行事象から生じるものに対する損失評価引当金の
計上が要求される。信用リスクが著しく増加した場合、金融商品の予測残存期間にわたり可能性のあるすべて
の債務不履行事象から生じる予想信用損失に対して引当金の計上が要求される。
日本では、有価証券(満期保有目的の債券、子会社および関連会社株式、その他有価証券)については、時価
または実質価額が著しく下落した場合に、相当の減額を行う。貸倒引当金の対象となる金融商品は、法的形式
が債権であるもの(売掛金、受取手形、貸付金、リース債権等)である。時価を把握することが極めて困難と
認められる社債その他の債券も、債権に準じて貸倒引当金を設定する。貸倒引当金の算定は、以下(ⅰ)から
(ⅲ)の区分に応じて測定する。
(ⅰ)一般債権
過去の貸倒実績率等合理的な基準により貸倒見積高を算定する。貸倒損失の過去のデータから貸倒実績率を
算定する期間は、一般には、債権の平均回収期間が妥当とされている。
(ⅱ)貸倒懸念債権
以下のいずれかの方法による。
・債権額から担保の処分見込額および保証による回収見込額を減額し、その残額について債務者の財政状態
および経営成績を考慮して貸倒見積高を算定する方法
・債権の元本および利息に係るキャッシュ・フローを合理的に見積り、当期末まで当初の約定利子率で割り
引いた金額の総額と債権の帳簿価額との差額を貸倒見積高とする方法
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(ⅲ)破産更生債権等
債権額から担保の処分見込額および保証による回収見込額を減額し、その残額を貸倒見積高とする方法
なお、金融商品の時価の算定方法に関する詳細なガイダンスおよび開示について国際的な会計基準との整合
性を図るため、2019年7月4日付で企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」および企業会計基準
適用指針第31号「時価の算定に関する会計基準の適用指針」が公表されている。この基準は、2021年4月1日
以後開始する事業年度の期首から適用されるが、2020年4月1日以後開始する事業年度の期首からの早期適用が
認められている。
(10)借入費用
オーストラリアでは、AASB第123号「借入費用」に基づいて適格資産の取得、建設および生産に直接関連す
る借入費用は資産計上される。
日本では、借入費用は、原則として発生した期間の費用として認識され、資産化は特定の条件を充足したも
ののみ、容認されている。
(11)顧客との契約から生じる収益
オーストラリアでは、AASB第15号が顧客との契約から生じる収益およびキャッシュ・フローの性質、金額、
時期および不確実性についての報告に関する原則を定めており、約束した財またはサービスの顧客への移転を
当該財またはサービスの移転と交換に受取ると見込んでいる対価を反映する金額で描写するように収益を認識
することを要求している。これは以下の5つのステップの適用により達成される。
・顧客との契約を識別する
・契約における履行義務を識別する
・取引価格を算定する
・独立販売価格に基づき、取引価格を契約における履行義務に配分する
・履行義務の充足時に(または充足するにつれて)収益を認識する
日本では、出荷基準、検収基準等の収益認識基準があるが、当事業年度において適用可能なAASB第15号のよ
うな包括的な規定はない。2018年3月30日、企業会計基準委員会は、「収益認識に関する会計基準」等を公表
した。当該基準は、AASB第15号に基づく収益認識基準と大部分において類似している。本会計基準は、2021年
4月1日以後開始する事業年度から適用され、2018年4月1日以後開始する事業年度から早期適用も認められる。
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(12)リース
オーストラリアでは、AASB第16号「リース」に従い、借手に対してリースを財政状態計算書において資産
(リースされた物品の使用権)および将来の支払リース料を反映する負債として認識するよう求められてい
る。使用権資産の減価償却およびリース負債の利息はリース期間にわたり認識される。借手は、短期リースお
よび少額のリースに関して実務上の簡便法を利用することができるが、サブリースされる、またはサブリース
される見込みのある資産は少額の免除規定に該当しない。
AASB第16号において、貸手はリース取引をオペレーティング・リースまたはファイナンス・リースとして分
類し、会計処理する。
日本では、ファイナンス・リース取引とは、解約不能かつフルペイアウトの要件を満たすものをいい、ファ
イナンス・リース取引に該当するかどうかについてはその経済的実質に基づいて判断すべきものであるが、解
約不能リース期間が、リース物件の経済的耐用年数の概ね75%以上または解約不能のリース期間中のリース料
総額の現在価値が、リース物件を借手が現金で購入するものと仮定した場合の合理的見積金額の概ね90%以上
のいずれかに該当する場合は、ファイナンス・リースと判定され、通常の売買取引に係る方法に準じて、リー
ス物件およびこれに係る債務をリース資産およびリース債務として借手の財務諸表に計上する。ただし、少額
(リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下の所有権移転外ファイナンス・リース)または短期
(1年以内)のファイナンス・リースについては、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うこと
ができる。
オペレーティング・リース 取引は オフ・バランスで処理し、支払リース料はリース期間にわた り 費用処理さ
れる。
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第7 【外国為替相場の推移】
日本円と豪ドルとの間の為替相場に関する情報は、過去5事業年度において2紙以上の日刊新聞紙に掲載され
ているので、これを記載しない。
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第8 【本邦における提出会社の株式事務等の概要】
1 本邦における株式事務等の概要
普通株式の取得者(以下「実質株主」という。)と、その取得窓口となった証券会社(以下「窓口証券会社」
という。)との間では、外国証券取引口座約款(以下「約款」という。)を締結する必要がある。当該約款によ
り実質株主の名で外国証券取引口座(以下「取引口座」という。)が開設される。売買取引の執行、売買代金の
決済および普通株式に関するその他の取引に関する事項はすべてこの取引口座を通じて処理される。
以下において、約款等に定める株式取扱手続の内容を概説する。
(1) 証券の登録
株式は、窓口証券会社を代理するオーストラリアにおける保管機関(以下「現地保管機関」という。)また
はその名義人の名義で当社に登録され、株式の所有および移転は、オーストラリアにおいては当社または当社
の承認仲介機関の株主名簿により表章されるので、その株券は発行されない。
(2) 株式の移転に関する手続
実質株主は窓口証券会社との間の約款にしたがい売却注文をなすことができる。
実質株主と窓口証券会社との間の決済は円貨または窓口証券会社が応じうる範囲内の外貨による。
(3) 実質株主に対する諸通知
当社が株主に対して行う通知および通信は株式の登録所持人たる現地保管機関またはその名義人に対してな
される。現地保管機関はこれを窓口証券会社に送付する義務があり、窓口証券会社はこれを3年間保管し、実
質株主の閲覧に供される。ただし、実質株主がその送付を希望する場合は、窓口証券会社はこれを実質株主に
送付し、実費は実質株主に請求される。
(4) 実質株主の議決権の行使に関する手続
決議権の行使は実質株主が窓口証券会社を通じて行う指示にもとづき、現地保管機関またはその名義人が行
う。しかし、実質株主が特に指示しない場合、現地保管機関またはその名義人は議決権の行使を行わない。
(5) 現金配当の交付手続
約款に従い、配当金は、窓口証券会社が現地保管機関またはその名義人から一括受領し、取引口座を通じて
実質株主に交付される。
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(6) 株式配当等の交付手続
株式分割等により割り当てられた株式は現地保管機関またはその名義人の名義で登録され、窓口証券会社は
かかる株式を取引口座を通じて処理する。一方で、実質株主が別段に要求しない限り、売買単位を構成しない
株式の数は、オーストラリアにおいて窓口証券会社の代理である現地保管機関によって処分され、当該売却の
純利益は、窓口証券会社が現地保管機関またはその名義人から一括受領した後、それぞれの取引口座を通じて
実質株主に分配される。
株式配当により割り当てられる株式は、実質株主が特に要請した場合を除き、売買単位未満の株式について
は、窓口証券会社を代理する現地保管機関によりオーストラリアで売却され、その純手取金は、窓口証券会社
が現地保管機関またはその名義人から一括受領し、取引口座を通じて実質株主に支払われる。
(7) 新株引受権
株式について新株引受権が与えられる場合には、新株引受権は、オーストラリアで売却され、その純手取金
は窓口証券会社が現地保管機関またはその名義人から一括受領し、取引口座を通じて実質株主に支払われる。
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2 本邦における実質株主の権利行使に関する手続
(1) 株主名簿管理人、名義書換取扱場所および実質株主明細書の作成
本邦には当社の株主名簿管理人または名義書換取扱場所はない。
(2) 実質株主明細表の基準日
取締役会は配当の支払および新株引受権の付与のため基準日を定めることができる。
(3) 事業年度の終了
当社の事業年度は毎年6月30日に終了する。
(4) 公告
日本においては公告は行わない。
(5) 実質株主に対する株式事務に関する手数料
実質株主は、取引口座を開設・維持するための年間管理料を支払う。この管理料には現地保管機関の手数料
その他の費用を含む。
(6) 普通株式の譲渡制限
普通株式の実質的所有権の移転については、上記「第1 2 外国為替管理制度」において述べる制約を除
き、何ら制限はない。
(7) 本邦における配当等に関する課税上の取扱い
普通株式に関する本邦における課税上の取扱いの概要は、以下のとおりである。
配当
当社から支払われる配当は、日本の税法上、配当所得として取扱われる。日本の居住者たる個人または日本
の法人に対して支払われる当社の配当金については、当該配当金額(オーストラリアにおける当該配当の支払
の際にオーストラリアまたはそれぞれの地方自治体の源泉徴収税が徴収される場合、当該控除後の金額)につ
き、当該配当の支払いを受けるべき期間に応じ、下表に記載された源泉徴収税率に相当する金額の日本の所得
税・住民税が源泉徴収される。
配当課税の源泉徴収税率
配当を受けるべき期間 日本の法人 日本の居住者たる個人
2014 年1月1日~2037年12月31日 所得税15.315% 所得税15.315%、住民税5%
2038 年1月1日~ 所得税15% 所得税15%、住民税5%
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また、日本の居住者たる個人は、当社から支払われる配当については、源泉徴収がなされた場合には確定申
告をする必要はなく、また当社から株主に支払われる当該配当については、配当金額の多寡に関係なく確定申
告をしない方法を選択することができる。
2009 年1月1日以降に当社から株主に支払われる配当については、日本の居住者たる個人は、申告分離課税
を選択することが可能である。申告分離課税を選択した場合における税率は、2014年1月1日から2037年12月
31日までに当社から当該個人株主に支払われる配当については20.315%(所得税15.315%、住民税5%)、
2038年1月1日以降に当社から当該個人株主に支払われる配当については20%(所得税15%、住民税5%)で
あるが、かかる配当所得の計算においては、2009年分以後における上場株式等の株式売買損を控除することが
できる。上記にかかわらず、日本の居住者たる個人が2016年1月1日以後に支払いを受ける申告分離課税の下
での配当所得の計算においては、上場株式等および一定の公社債等の売買損を控除することができる。
なお、配当控除(個人の場合)および受取配当益金不算入(法人の場合)の適用はない。
オーストラリアにおいて課税された税額は、日本の税法の規定に従い、確定申告した場合には外国税額控除
の対象となりうる。
売買損益
1 ) 居住者である個人株主の当社株式の売買によって生じた株式売却益は、原則として所得税の対象とな
り、株式売却損は、他の株式売却益から控除することができる。また、2009年分以後における上場株式
等の株式売買損については、株式およびその他の上場株式等の配当所得の金額(申告分離課税を選択し
たものに限る。)から控除することができ、2016年1月1日分以後における上場株式等の売却損につい
ては、当社株式およびその他の上場株式等の配当所得の金額ならびに一定の公社債等の利子所得の金額
等(申告分離課税を選択したものに限る。)から控除することができる。
2 ) 当社株式の内国法人株主については、当社株式の売買損益は課税所得の計算上算入される。
相続税
日本の税法上日本の居住者である当社株式の実質保有者が、当社株式を相続または遺贈によって取得した場
合、日本の相続税法によって相続税が課されるが、国外で日本の相続税に相当する税が課される等、一定の要
件を満たしているときには、外国税額控除が認められることがある。
オーストラリアにおける課税上の取扱いについては、上記「第1 3 課税上の取扱い」を参照のこと。
オーストラリアにおいて徴収された税額については、日本の税法に従い外国税額控除を利用することができ
る。
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第9 【提出会社の参考情報】
1 【提出会社の親会社等の情報】
当社は金融商品取引法第24条第1項第1号又は第2号に掲げる有価証券の発行者に該当しないため、該当する
記載事項はない。
2 【その他の参考情報】
提出会社が提出した書類
有価証券報告書 2020年11月6日
半期報告書 2021年3月30日
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第二部 【提出会社の保証会社等の情報】
該当事項なし
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(訳文)
取締役会の宣誓書
取締役会の宣誓書は、2001年オーストラリア会社法で求められている。
テルストラ・コーポレーション・リミテッドの取締役会は、以下の事項を宣言する決議を行った:
(a)取締役会の意見では、ファイナンシャル・レポートに記載されている2020年6月30日終了事業年度のテルス
トラ・グループの財務書類および注記は:
(ⅰ)オーストラリアで適用される会計基準、国際財務報告基準および解釈指針(財務書類の注記1.1に開
示されている)ならびに2001年会社規則に準拠している。
(ⅱ)テルストラ・コーポレーション・リミテッドおよびテルストラ・グループの2020年6月30日現在の財政
状態ならびにテルストラ・コーポレーション・リミテッドおよびテルストラ・グループの2020年6月30
日終了事業年度の経営成績に対して、真実かつ公正な概観を提供している。
(ⅲ)2001年会社法に準拠して作成されている。
(b)2001年会社法第295A条において求められている宣誓書を受領している。
(c)取締役会の意見に基づくと、本宣誓書の提出日現在、テルストラ・コーポレーション・リミテッドの債務に
ついてその満期が到来時に支払能力を有すると確信するに足る合理的な根拠がある。
(d)本宣誓書の提出日現在、財務書類の注記6.1.2において相互保証契約の当事者として特定されているク
ローズド・グループのメンバーが、注記6.1.2に詳述される相互保証契約に基づき対象となっている、ま
たは対象となる可能性がある何らかの債務を履行することが可能であると確信するに足る合理的な根拠があ
る。
取締役会を代表して
[ 署名] [ 署名]
ジョン・P・マレン アンドリュー・R・ペン
会長 最高経営責任者兼業務執行取締役
日付:2020年8月13日
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DIRECTORS’
DECLARATION
This Directors’ Declaration is required by the Corporations Act 2001
of Australia.
The Directors of Telstra Corporation Limited have made a resolution
that declared:
(a) in the Directors’ opinion, the financial statements and
notes of the Telstra Group for the financial year ended 30
June 2020 as set out in the financial report:
(i) comply with the Accounting Standards applicable in
Australia, International Financial Reporting
Standards and Interpretations (as disclosed in note
1.1 to the financial statements) , and Corporations
Regulations 2001
(ii) give a true and fair view of the financial position of
Telstra Corporation Limited and the Telstra Group as
at 30 June 2020 and of the performance of Telstra
Corporation Limited and the Telstra Group, for the
year ended 30 June 2020
(iii) have been made out in accordance with the
Corporations Act 2001.
(b) they have received declarations as required by section
295A of the Corporations Act 2001
(c) at the date of this declaration, in the Directors’ opinion,
there are reasonable grounds to believe that Telstra
Corporation Limited will be able to pay its debts as and
when they become due and payable
(d) at the date of this declaration there are reasonable
grounds to believe that the members of the extended
closed group identified in note 6.1.2 to the financial
statements, as parties to a Deed of Cross Guarantee, will
be able to meet any liabilities to which they are, or may
become, subject to because of the Deed of Cross
Guarantee described in note 6.1.2.
For and on behalf of the board
John P Mullen Andrew R Penn
Chairman
Chief Executive Officer and
Managing Director
13 August 2020
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(訳文)
テルストラ・コーポレーション・リミテッドの株主に対する独立監査人の報告書
財務書類の監査に関する報告
意見
私たちは、2020年6月30日現在の連結財政状態計算書、同日をもって終了する事業年度の連結損益計算書、連結
包括利益計算書、連結株主持分変動計算書および連結キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針の要約を含む財
務書類注記、ならびに取締役会の宣誓書から構成されているテルストラ・コーポレーション・リミテッド(以下
「会社」という。)およびその子会社(以下総称して「グループ」という。)の財務書類の監査を行った。
私たちは、以下について認める。
グループの添付の財務書類は、以下を含む2001年会社法に準拠している:
a .2020年6月30日現在のグループの連結財政状態および同日をもって終了する事業年度の連結経営成績に対する
真実かつ公正な概観の提供。
b .オーストラリア会計基準および2001年会社規則に対する準拠。
意見の基礎
私たちは、オーストラリア監査基準に準拠して監査を行った。本基準のもとでの私たちの責任は、本報告書の
「財務書類の監査に対する監査人の責任」区分に詳述されている。私たちは、オーストラリアにおける財務書類の
監査に関連のある2001年会社法の独立性要件および職業的監査人倫理基準審議会のAPES110「職業的監査人の倫理
規定(独立性基準を含む)(以下「規定」という。)」における職業倫理に関する規定に基づき、グループに対し
て独立性を保持している。私たちはまた、当規定で定められるその他の倫理上の責任を果たした。
私たちは、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
監査上の主要な事項
監査上の主要な事項とは、当事業年度の財務書類の監査において監査人の職業的専門家としての判断によって特
に重要であると決定された事項をいう。監査上の主要な事項は、財務書類監査の過程および監査意見の形成におい
て対応した事項であり、私たちは、当該事項に対して個別の意見を表明するものではない。以下の各事項につい
て、私たちが監査上どのように対応したかを記載している。
私たちは、本報告書の「財務書類の監査に対する監査人の責任」区分に記載された責任を果たしており、これに
は当該事項に関する責任も含まれる。したがって、私たちの監査には財務書類の重要な虚偽表示リスクの評価に対
応するよう計画された手続の実施が含まれている。私たちの監査手続の結果は、以下の事項に対処するために実施
した手続を含め、添付の財務書類に対する私たちの監査意見の基礎を提供するものである。
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監査上の主要な事項の内容及び決定理由 監査上の対応
収益認識
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グループは、以下の領域において収益認識に関 全ての重要な商流に関して、収益取引の認識と
する重要な判断を行っている。 測定に対する主要な統制の整備状況および運用状
況の有効性について、関連するITシステムの評価
・製品および/またはサービスの束を含む、新製
を含め評価した。
品および計画に関する会計処理
・大規模ネットワーク・アプリケーション・サー 新製品および計画に係る収益認識時期の認識・
ビス(以下「NAS」という。)契約に関する会計 評価プロセスおよび統制を検証し、さらに新計画
処理 を各監査証拠と突き合わせるサンプルテストを実
・nbn coおよび連邦政府との改定正式契約に基づ 施した。
くNBN収益に関する会計処理
全ての重要な商流に関して、当事業年度に計上
された収益取引から抽出したサンプルについて、
・束で販売される製品の独立販売価格の算定
顧客契約、作業指示書、その他の契約上の取決
・重大な金融要素の評価
め、サービス詳細記録および顧客からの支払証憑
収益認識に関する開示は、セクション2.1「セ
などの監査証拠を入手した。
グメント情報」および2.2「収益」に記載されて
NAS 契約について、契約の内容、引渡が段階的で
いる。
ある、または引渡資産の量的重要性からリスクが
収益計上額の正確性には、請求システムの複雑
高いとみなされ、金額的重要性が高いものについ
性、製品およびサービスの複雑性、ならびに事業
て重点的にテストを実施した。
年度における販売製品と価格変動の組合せを要因
当該テストの実施において、これらの主な契約
とする業界特有の固有リスクがある。
の会計処理の根拠となる仮定および見積りの適切
請求システムの複雑性は、以下に概説する監査
性を以下の通り評価した。
上の主要な事項のうち「自動処理および統制への
・主な契約のライフサイクル全般を通じて運用さ
依拠」においても検討されている。
れる統制の有効性をテストした。
・契約上の収益、契約解約時の主要な条項(違約
金やグループにとって費用回収が可能か等)お
よびその他の重要な履行義務を識別するため
に、特定の契約の関連する条項を入手し通読し
た。
・契約の修正やその他の付属文書に対する重要な
変更(新サービス等)をテストし、将来の収益
予測に契約条件が反映されているかどうかを判
断した。
・収益および費用が認識済の取引のサンプルにつ
いて、引渡および/または顧客による受領を裏
付ける監査証拠を入手した。
・契約の履行および過去における予測の正確性を
評価するために、特定の契約について過去にお
ける予測と実際の結果を比較した。
・契約固有の資産の回収可能性を評価し、損失引
当金の計上を必要とする契約があるかを判断す
るため、将来の収益性予測と契約条件を検討し
た。
接続停止の時期、NBN敷設の進捗ならびに銅線お
よびハイブリッド・ファイバー同軸(HFC)ネット
ワークのnbn coへの移転に関する理解を含め、改
定正式契約の会計処理の根拠となる仮定および見
積りの適切性を評価した。
セクション2.2に記載されたグループの会計方
針および開示の妥当性がオーストラリア会計基準
の収益認識要件に準拠しているかを評価した。
自動処理および統制への依拠
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グループの財務プロセスの大部分は、取引の認 監査人が利用するIT専門家は、収益認識を含む
識、評価、記録に係る自動処理および統制を実施 財務報告に関連のあるITシステムに係るグループ
するITシステムに大きく依拠している。これは、 の手動統制および自動統制を評価した。統制テス
以下の理由により私たちの監査において主要な部 トが適切または効率的な検証手法ではないと判断
分となる。 された場合は、システムにより生成される財務情
報に対して代替的な監査手続を実施した。
・各種の事業プロセスを支えるIT環境が複雑であ
る。 監査人が利用するIT専門家は、監査上重要な新
・手動統制と自動統制が混在する。 システムが監査に及ぼす影響を分析した。これに
・社内および外注サポート契約が複数存在する。 は関連する自動処理および統制の整備の評価が含
・収益認識につながる請求システムが複雑であ まれる。
る。
新システム上の統制の有効性を評価した。
グループは継続してITシステムを強化してお
り、当事業年度において、監査上重要な新システ
ムが導入された。
のれん、無形資産および投資の減損
グループが営業活動を行う業界は常に環境が激 減損評価に用いられた資金生成単位(以下
しく変化することから、のれん、その他の無形資 「CGU」という。)に関するグループの判断を評価
産残高、投資およびその他の固定資産に重要な減 した。
損が生じるリスクがある。
減損の兆候または減損の 戻入に関するグループ
資産または 資金 生成単位(以下「CGU」とい の評価を評価した。
う。)に減損があるか否かを決定するには、当該
私たちまたはグループが兆候あり と判断した場
資産およびCGUに係る将来キャッシュ・フローと計
合は、各CGUおよび投資の回収可能 価額に関する グ
画についての重要な判断が必要となる。
ループによる 算定について評価した。さらに、 減
当事業年度において、テルストラのエヌエック 損モデルに使用された取締役会承認済のキャッ
スイーに対する投資は減損しており、308百万豪ド シュ・フロー予測の妥当性およびグループのこれ
ルの減損損失が当事業年度の純損失に対する持分 までのキャッシュ・フロー予測の信頼性について
に含めて認識された。グループの減損テストに関 も評価した。
する詳細な開示は、セクション3.2に記載されて
監査人が利用する評価専門家を利用して減損モ
いる。
デルを評価し、割引率、残存価値の測定に使用し
た成長率、予測成長前提等の主要な仮定の合理性
を評価した。また、COVID-19のパンデミックの潜
在的な影響を含むキャッシュ・フロー予測の主要
素に対する感応度分析も実施した。CGUの減損判定
に必要な仮定の変更を(個別または集合的に)決
定し、そのような主要な仮定の変更が生じる確率
を検討した。
当事業年度中に認識された減損の妥当性を評価
した。
セクション3.2に記載された開示の妥当性を評
価した。
資産計上(耐用年数、償却および減損を含む)
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有形固定資産およびソフトウェア無形資産の帳 私たちの監査手続には以下が含まれる。
簿価額ならびにそれらの減価償却および償却に対
・固定資産の取得および処分に対するグループの
して判断が重要な影響を与える領域が多数ある。
統制の有効性を評価した
これらには以下の領域がある。
・資産計上の方針の適切性を評価した
・資産計上するか費用計上するかの決定
・資産計上が適切であったか否かを判断するため
・耐用年数の年次レビュー
に当事業年度中に資産計上された費用のサンプ
・建設仮勘定からの適時振替 ルを抽出した
・資産が使用される、または使用が見込まれる範 ・資産の減価償却開始日の適切性を評価した
囲または方法に影響を及ぼす、当期に生じた、
資産の耐用年数に関するグループの年次レ
または近い将来に生じると見込まれる重要な変
ビューの適用について評価した。これには、以下
更
の事項についてのグループの判断の評価も含まれ
これらの判断の変更はグループの業績に重要な る。
影響がある。したがって、これを監査上の主要な
・資産計上された費用の性質
事項とみなした。
・減価償却費および償却費の計算に用いられる資
資産計上および資産の償却に関する開示は、セ
産の耐用年数の適切性
クション3 . 1および3 . 2に記載されている。
経営者による有形固定資産およびソフトウェア
無形資産の減損評価を評価した。これには、以下
の事項についてのグループの判断の評価も含まれ
る。
・どの特定の資産が影響を受けるかを含む、テル
ストラ2022(T22)戦略による事業変更の内容お
よび影響
・識別された有形固定資産、ソフトウェア無形資
産の帳簿価額にこれらの変更が影響する範囲
・影響を受ける資産のリストの網羅性
セクション3 . 1および3 . 2に記載されている
開示の妥当性についても評価した。
AASB 第16号「リース」の適用
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グループは、2019年7月1日にAASB第16号 残高の網羅性や関連するITシステムの評価を含
「リース」(以下「AASB第16号」という。)を適 め、使用権資産およびリース負債を認識し、測定
用した。当該基準の適用により、グループの使用 するためのプロセスと統制の整備状況および運用
権資産およびリース負債は、2019年7月1日現 状況の有効性について評価した。
在、それぞれ38億豪ドルおよび39億豪ドル増加し
適用による影響額の算定に使用された主要な仮
た。
定の適切性を評価した。これには以下が含まれ
当該会計基準の適用は、以下の理由により本質 る。
的に複雑である。
・行使することが合理的に確実であるオプション
・グループが保有するリースの規模 を含む、リース期間の決定
・各リースのリース期間および適切な割引率の決 ・専門家を利用して市場の利子率曲線を基準にグ
定を含む、経営者が行う必要のある判断および ループの利子率曲線を評価することにより、使
見積り 用された割引率(すなわち、追加借入利子率)
の適切性および整合性の評価
したがって、これを監査上の主要な事項とみな
した。 グループのAASB第16号に基づく計算の正確性を
評価するため、リースのサンプルについて当初の
AASB 第16号の適用に関連する開示は、セクショ
リース契約条件またはその他の根拠資料と突合
ン1.5および3.3に記載されている。
し、それぞれ使用権資産およびリース負債を再計
算した。
2019 年6月30日現在のグループのリース・コ
ミットメントからAASB第16号に基づき計算された
期首残高への経営者による調整を監査することに
より、グループのリースの母集団の網羅性を評価
し、また、リースを含む可能性のある契約の認
識・評価に係るプロセスおよび統制を検証した。
セクション1.5および3.3に記載されている
グループの会計方針を評価し、AASB第16号への準
拠に関する開示の妥当性を評価した。
財務書類および監査報告書以外のその他の情報
取締役会は、その他の情報について責任を有する。その他の情報は、グループの2020事業年度の年次報告書に含
まれる情報のうち、財務書類および監査報告書以外の情報から成る。私たちは年次報告書に含まれる取締役会報告
書を、本監査報告書の日付より前に入手しており、年次報告書の残りの部分については、本監査報告書の日付より
後に入手する予定である。
報酬報告書および「報酬報告書に関する意見」を除き、財務書類に関する私たちの意見は、その他の情報を対象
としていないため、私たちは、当該その他の情報に対していかなる形式の保証の結論も表明しなければ、表明する
予定もない。
財務書類の監査に関する私たちの責任は、その他の情報を読み、その過程で、当該その他の情報に財務書類また
は私たちが監査上入手した知識と著しく矛盾する点がないか、もしくは重要な虚偽記載であると疑われるようなも
のがないかを検討することである。
本監査報告書の日付より前に入手したその他の情報について実施した作業に基づき、当該その他の情報に重要な
虚偽の記載があるとの結論に至った場合、私たちは、かかる事実を報告する必要がある。私たちはこの点に関し、
報告すべきことはない。
財務書類に対する取締役会の責任
会社の取締役会の責任は、オーストラリア会計基準および2001年会社法に準拠して、真実かつ適正な概観を与え
る財務書類を作成すること、また、真実かつ適正な概観を与え、不正か誤謬かを問わず重要な虚偽表示のない財務
書類を作成するために取締役会が必要と判断する内部統制を整備することにある。
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財務書類の作成において、取締役会は、継続企業としてのグループの存続能力の評価、継続企業に関連する事項
の開示(該当する場合)および継続企業の前提による会計処理の実施に責任を有する。ただし、取締役会がグルー
プ を清算または業務を停止する意思を有する場合、あるいはそうするより他に現実的な代替方法がない場合はこの
限りでない。
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財務書類の監査に対する監査人の責任
私たちの目的は、全体として財務書類に不正または誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかに関する合理的な
保証を得て、意見を含めた監査報告書を発行することにある。合理的な保証は、高い水準の保証であるが、オース
トラリア監査基準に準拠して実施された監査が、存在するすべての重要な虚偽表示を常に発見することを確約する
ものではない。虚偽表示は、不正または誤謬から発生する可能性があり、個別にまたは集計すると、当該財務書類
の利用者の経済的意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
オーストラリア監査基準に準拠した監査の一環として、私たちは、監査を通じて職業的専門家としての判断を行
使し、職業的専門家としての懐疑心を保持する他、以下を行う。
・不正または誤謬による財務書類の重要な虚偽表示リスクを識別、評価し、当該リスクに対応した監査手続を立
案、実施し、監査意見の基礎を提供する十分かつ適切な監査証拠を入手する。不正による重要な虚偽の表示を発
見できないリスクは、誤謬による当該リスクよりも高くなる。これは、不正には、共謀、文書を偽造すること、
意図的な除外、虚偽の言明、および内部統制の無効化が伴うためである。
・状況に応じて適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を理解する。ただし、これは、グルー
プの内部統制の有効性に対する意見を表明するためではない。
・使用されている会計方針の適切性、取締役会によって行われた会計上の見積りおよび関連する開示の妥当性を評
価する。
・取締役会が継続企業の前提により会計処理を実施したことの適切性について結論を下す。また、入手した監査証
拠に基づき、グループの継続企業としての存続能力に重要な疑義を生じさせるような事象または状況に関して、
重要な不確実性が存在するか否かを判断する。重要な不確実性が存在するとの結論に至った場合、監査報告書に
おいて、財務書類の関連する開示を参照するよう促すか、または当該開示が不十分な場合は、私たちの意見を修
正する必要がある。私たちの結論は監査報告書の日付までに入手した監査証拠に基づいている。しかし、将来の
事象または状況により、グループが継続企業として存続しなくなる可能性がある。
・財務書類の全体的な表示、構成および内容(開示を含む。)ならびに、財務書類が基礎となる取引や会計事象を
適正に表しているかを評価する。
・財務書類に対する意見を表明するため、グループ内の企業および事業活動の財務情報に関する十分かつ適切な監
査証拠を入手する。私たちは、グループ監査の指示、監督および実施について責任を有する。私たちの監査意見
に単独で責任を負う。
私たちは、取締役会と、特に、計画した監査の範囲とその実施時期、および監査上の重要な発見事項(監査の過
程で識別した内部統制の重要な不備を含む。)に関して、協議する。
また、私たちは、取締役会に、独立性についての職業倫理に関する規定を遵守している旨を書面で伝達し、ま
た、独立性に影響を与えると合理的に考えられる全ての関係やその他の事項、また該当する場合には、脅威を除去
するための措置または講じているセーフガードについて取締役会と協議する。
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取締役会との協議事項から、私たちは、当事業年度の財務書類の監査において最も重要性のある事項、すなわち
監査上の主要な事項を決定し、かかる事項を監査報告書に記載する。ただし、法令により当該事項の公開が禁止さ
れている場合、あるいは極めてまれな状況ではあるが、報告書において言及することで公共の利益よりも悪影響が
大きいと合理的に予想されるため、報告書で当該事項について言及すべきではないと私たちが判断した場合は、こ
の限りでない。
報酬報告書の監査に関する報告
報酬報告書に関する意見
私たちは2020年6月30日終了事業年度における取締役会報告書に含まれる報酬報告書について監査を行った。
私たちは、2020年6月30日終了事業年度におけるテルストラ・コーポレーション・リミテッドの報酬報告書は
2001年会社法第300A条に準拠しているものと認める。
責任
会社の取締役会は、2001年会社法第300A条に準拠した報酬報告書の作成および表示について責任を有している。
私たちの責任は、オーストラリア監査基準に準拠して実施した監査に基づき報酬報告書に対して意見を表明するこ
とである。
[ 署名]
アーンスト・アンド・ヤング
[ 署名]
アンドリュー・プライス
パートナー
メルボルン
2020 年8月13日
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Independent A uditor 's Report to the Shareholders of T elstra C orporation L imited
Report on the Audit of the F inancial R eport
Opinion
We have audited the financial report of Telstra Corporation Limited (the Company) and its subsidiaries (collectively the Group),
which comprises the consolidated statement of financial position as at 30 June 20 20 , the consolidated income statement, the
consolidated statement of comprehensive income, the consolidated statement of changes in equity and the consolidated
statement of cash flows for the year then ended, notes to the financial statements, including a summary of significant accounting
policies and the Directors’ Declaration.
In our opinion, the accompanying financial report of the Group is in accordance with the Corporations Act 2001 , including:
a. giving a true and fair view of the consolidated financial position of the Group as at 30 June 2020 and of its consolidated
financial performance for the year ended on that date; and
b. complying with Australian Accounting Standards and the Corporations Regulations 2001 .
Basis for Opinion
We conducted our audit in accordance with Australian Auditing Standards. Our responsibilities under those standards are further
described in the Auditor’s Responsibilities for the Audit of the Financial Report section of our report. We are independent of the
Group in accordance with the auditor independence requirements of the Corporations Act 2001 and the ethical requirements of
the Accounting Professional and Ethical Standards Board’s APES110 Code of Ethics for Professional Accountants (including
Independence Standards) (the Code) that are relevant to our audit of the financial report in Australia. We have also fulfilled our
other ethical responsibilities in accordance with the Code.
We believe that the audit evidence we have obtained is sufficient and appropriate to provide a basis for our opinion.
Key Audit Matters
Key audit matters are those matters that, in our professional judgment, were of most significance in our audit of the financial
report of the
current year. These matters were addressed in the context of our audit of the financial report as a whole, and in forming our
opinion thereon, but we do not provide a separate opinion on these matters. For each matter below, our description of how our
audit addressed the matter is provided in that context.
We have fulfilled the responsibilities described in the Auditor’s Responsibilities for the Audit of the Financial Report section of
our report, including in relation to these matters. Accordingly, our audit included the performance of procedures designed to
respond to our assessment of the risks of material misstatement of the financial report. The results of our audit procedures,
including the procedures performed to address the matters below, provide the basis for our audit opinion on the accompanying
financial report.
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Why significant How our audit addressed the matter
Revenue recognition
The Group exercises significant judgment relating to We evaluated the design and operating effectiveness of
revenue recognition in the following areas: key controls over the capture and measurement of
• accounting for new products and plans including revenue transactions across all significant revenue
bundles of products and/or services; streams, including evaluating the relevant IT systems.
• accounting for large Network Application Services
We examined the process and controls over the capture
(NAS) contracts;
and assessment of the timing of revenue recognised for
• accounting for NBN revenue under the revised
new products
Definitive Agreements (DAs) with nbn co and the
and plans, as well as performed testing of a sample of
Commonwealth Government;
new plans to supporting evidence.
• determination of standalone selling prices for products
sold in bundles; and
For all significant revenue streams, for a sample of
• assessment of significant financing components.
revenue transactions recorded during the year, we
The accuracy of amounts recorded as revenue is an
obtained supporting evidence such as customer
inherent industry risk due to the complexity of billing
contracts, statements of work, other contractual
systems, the complexity of products and services, and
agreements, service detail records and evidence of
the combination of products sold and price changes in
customer payment.
the year.
For the NAS contracts, we focused our work on those
The complexity of the billing systems was also
which we regarded as higher risk because of the nature
considered as part of the reliance on automated
of the contract, its stage of delivery or the quantum of
processes and controls Key Audit Matter outlined
the related assets and those which were significant by
below.
size.
In performing this testing, we assessed the
appropriateness of the assumptions and estimates
supporting the accounting for these major contracts as
follows:
• We tested the effectiveness of controls that operate
across the ontract life cycle for major contracts.
• We obtained and read the relevant sections of certain
contracts to identify the contracted revenues, key
provisions in the event of contract termination (such
as penalties or the ability for the Group to recover
costs) and other significant obligations.
• We determined whether the future forecasts reflected
the contract terms, testing any significant changes
(such as new services) to contract amendments or
other supporting documentation.
• For a sample of recorded revenue and cost
transactions we obtained evidence to support delivery
and/or customer acceptance.
• We compared the historical forecast results of certain
contracts with the actual results to assess the
performance of the contract and the historical
accuracy of forecasting.
• We considered the future forecast profitability and the
contractual terms to assess the recoverability of the
contract-specific assets and to determine if any
contracts required loss provisions.
We assessed the appropriateness of the assumptions
and estimates supporting the accounting for the revised
DAs including
understanding the timing of disconnections, the
progress of the NBN rollout and the transfer of the
copper and Hybrid Fibre Coaxial (HFC) networks to nbn
co.
We assessed the Group accounting policies as set out
in Section 2.2, and the adequacy of disclosures for
compliance with the revenue recognition requirements
of Australian Accounting Standards.
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Why significant How our audit addressed the matter
Reliance on automated processes and controls
A significant part of the Group’s financial processes are Our IT specialists assessed the Group’s manual and
heavily reliant on IT systems with automated processes automated controls relating to IT systems relevant to
and controls over the capturing, valuing and recording of financial reporting, including the recognition of revenue.
transactions. This is a key part of our audit because of When testing control was not considered an appropriate
the:
or efficient testing approach, alternative audit
• complex IT environment supporting diverse
procedures were performed on the financial information
business processes;
being produced by systems.
• mix of manual and automated controls;
• multiple internal and outsource support Our IT specialists analysed the impact on our audit of
arrangements; and new systems that are significant to our audit. This
• complexity of the billing systems which result in included assessing the design of relevant automated
revenue being recognised. processes and controls.
The Group continues to enhance its IT systems and
We evaluated the effectiveness of the controls in the
during the year implemented new systems which were
new systems.
significant to our audit.
Impairment of the goodwill and intangible assets and investments
Given the dynamic nature of the industry in which the We assessed the Group’s determination of cash
Group operates, there is a risk that there could be generating units (CGU) used for their impairment
assessment.
material impairment to goodwill, other intangible asset
balances, investments and other non-current assets.
We evaluated the Group’s assessment of indicators of
impairment or impairment reversal.
Determination as to whether or not there is an
impairment relating to an asset or Cash Generating Unit
Where we or the Group determined indicators existed,
(CGU) involves significant judgment about the future
we evaluated the Group’s calculation of the recoverable
cash flows and plans for these assets and CGUs.
amount of each CGU and investment. Additionally, we
assessed the reasonableness of the Board approved
During the current year, Telstra’s investment in NXE
cash flow projections used in the impairment models as
has been impaired and a loss of $308 million was
well as the reliability of the Group’s historical cash flow
recognised in their share of the net loss for the year.
forecasts.
Further disclosure regarding the Group’s impairment
testing can be found in Section 3.2.
We involved our valuation specialists to assess the
impairment models and evaluate the reasonableness of
key assumptions including the discount rate, terminal
growth rates and forecast growth assumptions. We also
performed sensitivity analysis around the key drivers of
the cash flow projections, including any potential impact
of the COVID-19 pandemic. Having determined the
change in assumptions (individually or collectively) that
would be required for the CGUs to be impaired, we
considered the likelihood of such a movement in those
key assumptions arising.
We evaluated the adequacy of impairments that had
been recognised during the financial year.
We evaluated the adequacy of the disclosures included
in Section 3.2.
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Why significant How our audit addressed the matter
Capitalisation of assets, including useful lives, amortisation and impairment
There are a number of areas where judgments Our audit procedures included the following:
significantly impact the carrying value of property, plant • A ssessed the effectiveness of the Group’s controls
and equipment, software intangible assets and their over the acquisition and disposal of fixed assets.
respective depreciation and amortisation profiles. These • E valuated the appropriateness of capitalisation
policies.
areas are as follows:
• Selected a sample of costs capitaised during the
• the decision to capitalise or expense costs;
year to determine whether capitalization was
• the annual asset life review;
appropriate.
• the timeliness of the transfer from assets in the
• Assessed the appropriateness of the date from
course of construction; and
which assets commenced being depreciated.
• significant changes that have taken place during the
period or are expected to take place in the near
We assessed the application of the Group’s annual
future, which will impact the extent to which, or
asset life review.
manner in which, an asset is used or is expected to
This included assessing judgments made by the Group
be used.
on:
• the nature of underlying costs capitalised; and
Changes in these judgments have a significant impact
• the appropriateness of assets lives applied in the
on the results of the Group. Accordingly, this was
calculation of depreciation and amortisation.
considered a key audit matter.
We evaluated management’s impairment assessment of
Disclosures relating to the capitalisation and write-off of
property, plant and equipment and software intangible
assets can be found at Sections 3.1 and 3.2.
assets. This included assessing judgments made by the
Group on:
• the nature and impact of changes on the business
from the Telstra 2022 (T22) strategy, including
which specific assets are impacted;
• the extent of the impact of these changes on the
carrying value of identified property, plant and
equipment, software intangible assets; and
• the completeness of the listing of impacted assets.
We evaluated the adequacy of disclosures included in
Sections 3.1 and 3.2
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Why significant How our audit addressed the matter
Implementation of AASB 16 Leases
The Group adopted AASB 16 Leases (AASB 16) on 1 We evaluated the design and operating effectiveness of
July 2019. The adoption of the standard resulted in an the processes and controls to capture and measure the
increase in the Group’s right of use assets and lease right of use assets and lease liabilities, including the
liabilities of $3.8 billion and $3.9 billion respectively as at completeness of the balances and evaluating the
1 July 2019. relevant IT systems.
The adoption of this accounting standard is inherently
We evaluated the appropriateness of key assumptions
complex due to:
used in calculating the impact upon adoption which
included:
• the volume of leases held by the Group; and
• the judgements and estimates required to be
• determining lease terms including options that are
applied by management including determination of
reasonably certain to be exercised; and
the lease term and appropriate discount rate for
• assessing the appropriateness and consistency of
each lease.
the discount rate used (i.e. incremental borrowing
rate) by using our specialists to benchmark the
Accordingly, this was considered a key audit matter.
Group’s rate curves to market curves.
Disclosures relating to the adoption of AASB 16 can be
We agreed a sample of leases to the original lease
found at Sections 1.5 and 3.3.
contract terms or other supporting documentation and
recalculated the right of use asset and lease liability for
each to assess the accuracy of the Group’s AASB 16
calculation.
We evaluated the completeness of the Group’s lease
population by auditing management’s reconciliation of
the Group’s lease commitments at 30 June 2019 to the
opening AASB 16 calculation and examined the process
and controls over the capture and assessment of
arrangements that may contain a lease.
We assessed the Group’s accounting policies as set out
in Sections 1.5 and 3.3, and the adequacy of
disclosures for compliance with AASB 16.
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Information Other than the Financial Statements and Auditor’s Report Thereon
The Directors are responsible for the other information. The other information comprises the information included in the Group’s
2020 Annual Report other than the financial report and our auditor’s report thereon. We obtained the Directors’ Report that is to
be included in the Annual Report, prior to the date of this auditor’s report, and we expect to obtain the remaining sections of the
Annual Report after the date of this auditor’s report.
Our opinion on the financial report does not cover the other information and we do not and will not express any form of
assurance conclusion thereon, with the exception of the Remuneration Report and our related assurance opinion.
In connection with our audit of the financial report, our responsibility is to read the other information and, in doing so, consider
whether the other information is materially inconsistent with the financial report or our knowledge obtained in the audit or
otherwise appears to be materially misstated.
If, based on the work we have performed on the other information obtained prior to the date of this auditor’s report, we conclude
that there is a material misstatement of this other information, we are required to report that fact. We have nothing to report in
this regard.
Responsibilities of the Directors for the Financial Report
The Directors of the Company are responsible for the preparation of the financial report that gives a true and fair view in
accordance with Australian Accounting Standards and the Corporations Act 2001 and for such internal control as the Directors
determine is necessary to enable the preparation of the financial report that gives a true and fair view and is free from material
misstatement, whether due to fraud or error.
In preparing the financial report, the Directors are responsible for assessing the Group’s ability to continue as a going concern,
disclosing, as applicable, matters relating to going concern and using the going concern basis of accounting unless the Directors
either intend to liquidate the Group or to cease operations, or have no realistic alternative but to do so.
Auditor’s Responsibilities for the Audit of the Financial Report
Our objectives are to obtain reasonable assurance about whether the financial report as a whole is free from material
misstatement, whether due to fraud or error, and to issue an auditor’s report that includes our opinion. Reasonable assurance is
a high level of assurance, but is not a guarantee that an audit conducted in accordance with the Australian Auditing Standards
will always detect a material misstatement when it exists. Misstatements can arise from fraud or error and are considered
material if, individually or in the aggregate, they could reasonably be expected to influence the economic decisions of users
taken on the basis of this financial report.
As part of an audit in accordance with the Australian Auditing Standards, we exercise professional judgment and maintain
professional scepticism throughout the audit. We also:
• Identify and assess the risks of material misstatement of the financial report, whether due to fraud or error, design and
perform audit procedures responsive to those risks, and obtain audit evidence that is sufficient and appropriate to provide a
basis for our opinion. The risk of not detecting a material misstatement resulting from fraud is higher than for one resulting
from error, as fraud may involve collusion, forgery, intentional omissions, misrepresentations, or the override of internal
control.
• Obtain an understanding of internal control relevant to the audit in order to design audit procedures that are appropriate in
the circumstances, but not for the purpose of expressing an opinion on the effectiveness of the Group’s internal control.
• Evaluate the appropriateness of accounting policies used and the reasonableness of accounting estimates and related
disclosures made by the Directors.
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• Conclude on the appropriateness of the Directors’ use of the going concern basis of accounting and, based on the audit
evidence obtained, whether a material uncertainty exists related to events or conditions that may cast significant doubt on
the Group’s ability to continue as a going concern. If we conclude that a material uncertainty exists, we are required to draw
attention in our auditor’s report to the related disclosures in the financial report or, if such disclosures are inadequate, to
modify our opinion. Our conclusions are based on the audit evidence obtained up to the date of our auditor’s report.
However, future events or conditions may cause the Group to cease to continue as a going concern.
• Evaluate the overall presentation, structure and content of the financial report, including the disclosures, and whether the
financial report represents the underlying transactions and events in a manner that achieves fair presentation.
• Obtain sufficient appropriate audit evidence regarding the financial information of the entities or business activities within the
Group to express an opinion on the financial report. We are responsible for the direction, supervision and performance of the
Group audit. We remain solely responsible for our audit opinion.
We communicate with the Directors regarding, among other matters, the planned scope and timing of the audit and significant
audit findings, including any significant deficiencies in internal control that we identify during our audit.
We also provide the Directors with a statement that we have complied with relevant ethical requirements regarding
independence, and to communicate with them all relationships and other matters that may reasonably be thought to bear on our
independence, and where applicable, actions taken to eliminate threats or safeguards applied..
From the matters communicated to the Directors, we determine those matters that were of most significance in the audit of the
financial report of the current year and are therefore the key audit matters. We describe these matters in our auditor’s report
unless law or regulation precludes public disclosure about the matter or when, in extremely rare circumstances, we determine
that a matter should not be communicated in our report because the adverse consequences of doing so would reasonably be
expected to outweigh the public interest benefits of such communication.
Report on the Audit of the Remuneration Report
Opinion on the Remuneration Report
We have audited the Remuneration Report included in the Directors' Report for the year ended 30 June 2020.
In our opinion, the Remuneration Report of Telstra Corporation Limited for the year ended 30 June 2020, complies with section
300A of the Corporations Act 2001.
Responsibilities
The Directors of the Company are responsible for the preparation and presentation of the Remuneration Report in accordance
with section 300A of the Corporations Act 2001. Our responsibility is to express an opinion on the Remuneration Report, based
on our audit conducted in accordance with Australian Auditing Standards.
Ernst & Young
Andrew Price
Partner
Melbourne
13 August 2020
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テルストラ・コーポレーション・リミテッド(E05845)
有価証券報告書
(訳文)
取締役会の宣誓書
取締役会の宣誓書は、2001年オーストラリア会社法で求められている。
テルストラ・コーポレーション・リミテッドの取締役会は、以下の事項を宣言する決議を行った:
(a)取締役会の意見では、ファイナンシャル・レポートに記載されている2021年6月30日終了事業年度のテルス
トラ・グループの財務書類および注記は:
(ⅰ)オーストラリアで適用される会計基準、国際財務報告基準および解釈指針(財務書類の注記1.1に開示さ
れている)ならびに2001年会社規則に準拠している。
(ⅱ)テルストラ・コーポレーション・リミテッドおよびテルストラ・グループの2021年6月30日現在の財政
状態ならびにテルストラ・コーポレーション・リミテッドおよびテルストラ・グループの2021年6月30
日終了事業年度の経営成績に対して、真実かつ公正な概観を提供している。
(ⅲ)2001年会社法に準拠して作成されている。
(b)2001年会社法第295A条において求められている宣誓書を受領している。
(c)取締役会の意見に基づくと、本宣誓書の提出日現在、テルストラ・コーポレーション・リミテッドの債務に
ついてその満期が到来時に支払能力を有すると確信するに足る合理的な根拠がある。
(d)本宣誓書の提出日現在、財務書類の注記6.1.4において相互保証契約の当事者として特定されている広義のク
ローズド・グループのメンバーが、注記6.1.4に詳述される相互保証契約に基づき対象となっている、または
対象となる可能性がある何らかの債務を履行することが可能であると確信するに足る合理的な根拠がある。
取締役会を代表して
[ 署名] [ 署名]
ジョン・P・マレン アンドリュー・R・ペン
会長 最高経営責任者兼業務執行取締役
日付:2021年8月12日
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有価証券報告書
DIRECTORS’
DECLARATION
This Directors’ Declaration is required by the Corporations Act 2001
of Australia.
The Directors of Telstra Corporation Limited have made a resolution
that declared:
(a) in the Directors’ opinion, the financial statements and
notes of the Telstra Group for the financial year ended 30
June 2021 as set out in the financial report:
(i) comply with the Accounting Standards applicable in
Australia, International Financial Reporting
Standards and Interpretations (as disclosed in note
1.1 to the financial statements) , and Corporations
Regulations 2001
(ii) give a true and fair view of the financial position of
Telstra Corporation Limited and the Telstra Group as
at 30 June 2021 and of the performance of Telstra
Corporation Limited and the Telstra Group, for the
year ended 30 June 2021
(iii) have been made out in accordance with the
Corporations Act 2001.
(b) they have received declarations as required by section
295A of the Corporations Act 2001
(c) at the date of this declaration, in the Directors’ opinion,
there are reasonable grounds to believe that Telstra
Corporation Limited will be able to pay its debts as and
when they become due and payable
(d) at the date of this declaration there are reasonable
grounds to believe that the members of the extended
closed group identified in note 6.1.4 to the financial
statements, as parties to a Deed of Cross Guarantee, will
be able to meet any liabilities to which they are, or may
become, subject to because of the Deed of Cross
Guarantee described in note 6.1.4.
For and on behalf of the board
John P Mullen Andrew R Penn
Chairman
Chief Executive Officer and
Managing Director
12 August 2021
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有価証券報告書
(訳文)
テルストラ・コーポレーション・リミテッドの株主に対する独立監査人の報告書
財務書類の監査に関する報告
意見
私たちは、2021年6月30日現在の連結財政状態計算書、同日をもって終了する事業年度の連結損益計算書、連結
包括利益計算書、連結株主持分変動計算書および連結キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針の要約を含む財
務書類注記、ならびに取締役会の宣誓書から構成されているテルストラ・コーポレーション・リミテッド(以下
「会社」という。)およびその子会社(以下総称して「グループ」という。)の財務書類の監査を行った。
私たちは、以下について認める。
グループの添付の財務書類は、以下を含む2001年会社法に準拠している。
a .2021年6月30日現在のグループの連結財政状態および同日をもって終了する事業年度の連結経営成績に対する
真実かつ公正な概観の提供。
b .オーストラリア会計基準および2001年会社規則に対する準拠。
意見の基礎
私たちは、オーストラリア監査基準に準拠して監査を行った。本基準のもとでの私たちの責任は、本報告書の
「財務書類の監査に対する監査人の責任」区分に詳述されている。私たちは、オーストラリアにおける財務書類の
監査に関連のある2001年会社法の独立性要件および職業的監査人倫理基準審議会のAPES110「職業的監査人の倫理
規定(独立性基準を含む)(以下「規定」という。)」における職業倫理に関する規定に基づき、グループに対し
て独立性を保持している。私たちはまた、当規定で定められるその他の倫理上の責任を果たした。
私たちは、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
監査上の主要な事項
監査上の主要な事項とは、当事業年度の財務書類の監査において監査人の職業的専門家としての判断によって特
に重要であると決定された事項をいう。監査上の主要な事項は、財務書類監査の過程および監査意見の形成におい
て対応した事項であり、私たちは、当該事項に対して個別の意見を表明するものではない。以下の各事項につい
て、私たちが監査上どのように対応したかを記載している。
私たちは、本報告書の「財務書類の監査に対する監査人の責任」区分に記載された責任を果たしており、これに
は当該事項に関する責任も含まれる。したがって、私たちの監査には財務書類の重要な虚偽表示リスクの評価に対
応するよう計画された手続の実施が含まれている。私たちの監査手続の結果は、以下の事項に対処するために実施
した手続を含め、添付の財務書類に対する私たちの監査意見の基礎を提供するものである。
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収益認識
監査上の主要な事項の内容及び決定理由 監査上の対応
グループは、以下の領域において収益認識に関 全ての重要な商流に関して、収益取引の認識と
する重要な判断を行っている。 測定に対する主要な統制の整備状況および運用状
・製品および/またはサービスの束を含む、新製 況の有効性について、関連するITシステムの評価
品および計画に関する会計処理 を含め評価した。
・大規模ネットワーク・アプリケーション・サー 新製品および計画に係る収益認識時期の認識・
ビス(以下「NAS」という。)契約に関する会計 評価プロセスおよび統制を検証し、さらに新計画
処理 を各監査証拠と突き合わせるサンプルテストを実
・nbn coおよび連邦政府との改定正式契約に基づ 施した。
全ての重要な商流に関して、当事業年度に計上
くNBN収益に関する会計処理
された収益取引から抽出したサンプルについて、
・束で販売される製品の独立販売価格の算定
顧客契約、作業指示書、その他の契約上の取決
・重大な金融要素の評価
め、サービス詳細記録および顧客からの支払証憑
収益計上額の正確性には、請求システムの複雑
などの監査証拠を入手した。
性、製品およびサービスの複雑性、ならびに事業
また、直近の規制当局による調査が当期の収益
年度における販売製品と価格変動の組合せを要因
の認識に及ぼした影響についても検討した。
とする業界特有の固有リスクがある。
NAS 契約について、契約の内容、引渡が段階的で
請求システムの複雑性は、以下に概説する監査
ある、または引渡資産の量的重要性からリスクが
上の主要な事項のうち「自動化された処理および
高いとみなされ、金額的重要性が高いものについ
統制への依拠」においても検討されている。
て重点的にテストを実施した。
収益認識に関する開示は、セクション2.1「セグ
当該テストの実施において、これらの主な契約
メント情報」および2.2「収益」に記載されてい
の会計処理の根拠となる仮定および見積りの適切
る。
性を以下の通り評価した。
・主な契約のライフサイクル全般を通じて運用さ
れる統制の有効性をテストした。
・契約上の収益、契約解約時の主要な条項(違約
金やグループにとって費用回収が可能か等)お
よびその他の重要な履行義務を識別するため
に、特定の契約の関連する条項を入手し通読し
た。
・契約の修正やその他の付属文書に対する重要な
変更(新サービス等)をテストし、将来の収益
予測に契約条件が反映されているかどうかを判
断した。
・収益および費用が認識済の取引のサンプルにつ
いて、引渡および/または顧客による受領を裏
付ける監査証拠を入手した。
・契約の履行および過去における予測の正確性を
評価するために、特定の契約について過去にお
ける予測と実際の結果を比較した。
・契約固有の資産の回収可能性を評価し、損失引
当金の計上を必要とする契約があるかを判断す
るため、将来の収益性予測と契約条件を検討し
た。
接続停止の時期、NBN敷設の進捗ならびに銅線お
よびハイブリッド・ファイバー同軸(HFC)ネット
ワークのnbn coへの移転に関する理解を含め、改
定正式契約の会計処理の根拠となる仮定および見
積りの適切性を評価した。
セクション2.2に記載されたグループの会計方針
および開示の妥当性がオーストラリア会計基準の
収益認識要件に準拠しているかを評価した。
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自動化された処理および統制への依拠
監査上の主要な事項の内容及び決定理由 監査上の対応
グループの財務プロセスの大部分は、取引の認 監査人が利用するIT専門家は、収益認識を含む
識、評価、記録に係る自動化された処理および統 財務報告に関連のあるITシステムに係るグループ
制を実施するITシステムに大きく依拠している。 の手作業統制および自動化された統制を評価し
これは、以下の理由により私たちの監査において た。統制テストが適切または効率的な検証手法で
主要な部分となる。 はないと判断された場合は、システムにより生成
・各種の事業プロセスを支えるIT環境が複雑であ される財務情報に対して代替的な監査手続を実施
る。 した。
・手作業統制と自動化された統制が混在する。 監査人が利用するIT専門家は、監査上重要な新
・社内および外注サポート契約が複数存在する。 システムが監査に及ぼす影響を分析した。これに
・収益認識につながる請求システムが複雑であ は関連する自動化された処理および統制の整備の
る。 評価が含まれる。
グループは継続してITシステムを強化してお 新システム上の統制の有効性を評価した。
り、当事業年度においても監査上重要な新システ
ムの導入を継続した。
資産計上(耐用年数、償却および減損を含む)
監査上の主要な事項の内容及び決定理由 監査上の対応
有形固定資産およびソフトウェア無形資産の帳 私たちの監査手続には以下が含まれる。
簿価額ならびにそれらの減価償却および償却の特 ・固定資産の取得および処分に対するグループの
性に対して判断が重要な影響を与える領域が多数 統制の有効性を評価した
ある。これらには以下の領域がある。 ・資産計上の方針の適切性を評価した
・資産計上するか費用計上するかの決定 ・資産計上が適切であったか否かを判断するため
・耐用年数の年次レビュー に当事業年度中に資産計上された費用のサンプ
・建設仮勘定からの適時振替 ルを抽出した
・資産が使用される、または使用が見込まれる範 ・資産の減価償却開始日の適切性を評価した
囲または方法に影響を及ぼす、当期に生じた、 資産の耐用年数に関するグループの年次レ
または近い将来に生じると見込まれる重要な変 ビューの適用について評価した。これには、以下
更 の事項についてのグループの判断の評価も含まれ
これらの判断の変更はグループの業績に重要な る。
影響を与える。したがって、これを監査上の主要 ・資産計上された費用の性質
な事項とみなした。 ・減価償却費および償却費の計算に用いられる資
資産計上および資産の償却に関する開示は、セ 産の耐用年数の適切性
クション3.1「有形固定資産および無形資産」に記 経営者による有形固定資産およびソフトウェア
載されている。 無形資産の減損評価を評価した。これには、以下
の事項についてのグループの判断の評価も含まれ
る。
・どの特定の資産が影響を受けるかを含む、テル
ストラ2022(T22)戦略による事業変更の内容お
よび影響
・識別された有形固定資産、ソフトウェア無形資
産の帳簿価額にこれらの変更が影響する範囲
・影響を受ける資産のリストの網羅性
セクション3.1に記載されている開示の妥当性に
ついても評価した。
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財務書類および監査報告書以外のその他の情報
取締役会は、その他の情報について責任を有する。その他の情報は、グループの2021事業年度の年次報告書に含
まれる情報のうち、財務書類および監査報告書以外の情報から成る。私たちは年次報告書に含まれる取締役会報告
書を、本監査報告書の日付より前に入手しており、年次報告書の残りの部分については、本監査報告書の日付より
後に入手する予定である。
報酬報告書および「報酬報告書に関する意見」を除き、財務書類に関する私たちの意見は、その他の情報を対象
としていないため、私たちは、当該その他の情報に対していかなる形式の保証の結論も表明しなければ、表明する
予定もない。
財務書類の監査に関する私たちの責任は、その他の情報を読み、その過程で、当該その他の情報に財務書類また
は私たちが監査上入手した知識と著しく矛盾する点がないか、もしくは重要な虚偽記載であると疑われるようなも
のがないかを検討することである。
本監査報告書の日付より前に入手したその他の情報について実施した作業に基づき、当該その他の情報に重要な
虚偽の記載があるとの結論に至った場合、私たちは、かかる事実を報告する必要がある。私たちはこの点に関し、
報告すべきことはない。
財務書類に対する取締役会の責任
会社の取締役会の責任は、オーストラリア会計基準および2001年会社法に準拠して、真実かつ適正な概観を与え
る財務書類を作成すること、また、真実かつ適正な概観を与え、不正か誤謬かを問わず重要な虚偽表示のない財務
書類を作成するために取締役会が必要と判断する内部統制を整備することにある。
財務書類の作成において、取締役会は、継続企業としてのグループの存続能力の評価、継続企業に関連する事項
の開示(該当する場合)および継続企業の前提による会計処理の実施に責任を有する。ただし、取締役会がグルー
プを清算または業務を停止する意思を有する場合、あるいはそうするより他に現実的な代替方法がない場合はこの
限りでない。
財務書類の監査に対する監査人の責任
私たちの目的は、全体として財務書類に不正または誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかに関する合理的な
保証を得て、意見を含めた監査報告書を発行することにある。合理的な保証は、高い水準の保証であるが、オース
トラリア監査基準に準拠して実施された監査が、存在するすべての重要な虚偽表示を常に発見することを確約する
ものではない。虚偽表示は、不正または誤謬から発生する可能性があり、個別にまたは集計すると、当該財務書類
の利用者の経済的意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
オーストラリア監査基準に準拠した監査の一環として、私たちは、監査を通じて職業的専門家としての判断を行
使し、職業的専門家としての懐疑心を保持する他、以下を行う。
・不正または誤謬による財務書類の重要な虚偽表示リスクを識別、評価し、当該リスクに対応した監査手続を立
案、実施し、監査意見の基礎を提供する十分かつ適切な監査証拠を入手する。不正による重要な虚偽の表示を発
見できないリスクは、誤謬による当該リスクよりも高くなる。これは、不正には、共謀、文書を偽造すること、
意図的な除外、虚偽の言明、および内部統制の無効化が伴うためである。
・状況に応じて適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を理解する。ただし、これは、グルー
プの内部統制の有効性に対する意見を表明するためではない。
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・使用されている会計方針の適切性、取締役会によって行われた会計上の見積りおよび関連する開示の妥当性を評
価する。
・取締役会が継続企業の前提により会計処理を実施したことの適切性について結論を下す。また、入手した監査証
拠に基づき、グループの継続企業としての存続能力に重要な疑義を生じさせるような事象または状況に関して、
重要な不確実性が存在するか否かを判断する。重要な不確実性が存在するとの結論に至った場合、監査報告書に
おいて、財務書類の関連する開示を参照するよう促すか、または当該開示が不十分な場合は、私たちの意見を修
正する必要がある。私たちの結論は監査報告書の日付までに入手した監査証拠に基づいている。しかし、将来の
事象または状況により、グループが継続企業として存続しなくなる可能性がある。
・財務書類の全体的な表示、構成および内容(開示を含む。)ならびに、財務書類が基礎となる取引や会計事象を
適正に表しているかを評価する。
・財務書類に対する意見を表明するため、グループ内の企業および事業活動の財務情報に関する十分かつ適切な監
査証拠を入手する。私たちは、グループ監査の指示、監督および実施について責任を有する。私たちの監査意見
に単独で責任を負う。
私たちは、取締役会と、特に、計画した監査の範囲とその実施時期、および監査上の重要な発見事項(監査の過
程で識別した内部統制の重要な不備を含む。)に関して、協議する。
また、私たちは、取締役会に、独立性についての職業倫理に関する規定を遵守している旨を書面で伝達し、ま
た、独立性に影響を与えると合理的に考えられる全ての関係やその他の事項、また該当する場合には、脅威を除去
するための措置または講じているセーフガードについて取締役会と協議する。
取締役会との協議事項から、私たちは、当事業年度の財務書類の監査において最も重要性のある事項、すなわち
監査上の主要な事項を決定し、かかる事項を監査報告書に記載する。ただし、法令により当該事項の公開が禁止さ
れている場合、あるいは極めてまれな状況ではあるが、報告書において言及することで公共の利益よりも悪影響が
大きいと合理的に予想されるため、報告書で当該事項について言及すべきではないと私たちが判断した場合は、こ
の限りでない。
報酬報告書の監査に関する報告
報酬報告書に関する意見
私たちは2021年6月30日終了事業年度における取締役会報告書に含まれる報酬報告書について監査を行った。
私たちは、2021年6月30日終了事業年度におけるテルストラ・コーポレーション・リミテッドの報酬報告書は
2001年会社法第300A条に準拠しているものと認める。
責任
会社の取締役会は、2001年会社法第300A条に準拠した報酬報告書の作成および表示について責任を有している。
私たちの責任は、オーストラリア監査基準に準拠して実施した監査に基づき報酬報告書に対して意見を表明するこ
とである。
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[ 署名]
アーンスト・アンド・ヤング
[ 署名]
アンドリュー・プライス
パートナー
メルボルン
2021 年8月12日
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Independent Auditor’s Report to the Shareholders of Telstra Corporation Limited
Report on the audit of the financial report
Opinion
We have audited the financial report of Telstra Corporation Limited (the Company) and its subsidiaries (collectively the
Group), which comprises the consolidated statement of financial position as at 30 June 2021, the consolidated income
statement, the consolidated statement of comprehensive income, the consolidated statement of changes in equity and the
consolidated statement of cash flows for the year then ended, notes to the financial statements, including a summary of
significant accounting policies, and the Directors' Declaration.
In our opinion, the accompanying financial report of the Group is in accordance with the Corporations Act 2001 , including:
a) Giving a true and fair view of the consolidated financial position of the Group as at 30 June 2021 and of its consolidated
financial performance for the year ended on that date; and
b) Complying with Australian Accounting Standards and the Corporations Regulations 2001 .
Basis for opinion
We conducted our audit in accordance with Australian Auditing Standards. Our responsibilities under those standards are
further described in the Auditor’s responsibilities for the audit of the financial report section of our report. We are independent
of the Group in accordance with the auditor independence requirements of the Corporations Act 2001 and the ethical
requirements of the Accounting Professional and Ethical Standards Board’s APES 110 Code of Ethics for Professional
Accountants (including Independence Standards) (the Code) that are relevant to our audit of the financial report in Australia.
We have also fulfilled our other ethical responsibilities in accordance with the Code.
We believe that the audit evidence we have obtained is sufficient and appropriate to provide a basis for our opinion.
Key audit matters
Key audit matters are those matters that, in our professional judgement, were of most significance in our audit of the financial
report of the current year. These matters were addressed in the context of our audit of the financial report as a whole, and in
forming our opinion thereon, but we do not provide a separate opinion on these matters. For each matter below, our description
of how our audit addressed the matter is provided in that context.
We have fulfilled the responsibilities described in the Auditor’s responsibilities for the audit of the financial report section of
our report, including in relation to these matters. Accordingly, our audit included the performance of procedures designed to
respond to our assessment of the risks of material misstatement of the financial report. The results of our audit procedures,
including the procedures performed to address the matters below, provide the basis for our audit opinion on the accompanying
financial report.
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Revenue recognition
Why significant How our audit addressed the key audit matter
The Group exercises significant judgement relating to We evaluated the design and operating effectiveness of key
revenue recognition in the following areas: controls over the capture and measurement of revenue
transactions across all significant revenue streams, including
• accounting for new products and plans including
evaluating the relevant IT systems.
bundles of products and/or services;
We examined the process and controls over the capture and
• accounting for large Network Application Services
assessment of the timing of revenue recognised for new
(NAS) contracts;
products and plans, as well as performed testing of a sample
• accounting for NBN revenue under the revised
of new plans to supporting evidence.
Definitive Agreements (DAs) with nbn co and the
For all significant revenue streams, for a sample of revenue
Commonwealth Government;
transactions recorded during the year, we obtained supporting
• determination of standalone selling prices for
evidence such as customer contracts, statements of work,
products sold in bundles; and
other contractual agreements, service detail records and
• assessment of significant financing components.
evidence of customer payment.
We also considered the impact of recent regulatory
The accuracy of amounts recorded as revenue is an inherent investigations on the recognition of revenue to date.
industry risk due to the complexity of billing systems, the
For the NAS contracts, we focused our work on those which
complexity of products and services, and the combination of
we regarded as higher risk because of the nature of the
products sold and price changes in the year.
contract, its stage of delivery or the quantum of the related
The complexity of the billing systems was also considered as assets and those which were significant by size.
part of the reliance on automated processes and controls Key
In performing this testing, we assessed the appropriateness of
Audit Matter outlined below.
the assumptions and estimates supporting the accounting for
these major contracts as follows:
Disclosures relating to revenue recognition can be found at
Section 2.1 Segment Information and 2.2 Income.
• We tested the effectiveness of controls that operate
across the contract life cycle for major contracts.
• We obtained and read the relevant sections of
certain contracts, to identify the contracted
revenues, key provisions in the event of contract
termination (such as penalties or the ability for the
Group to recover costs) and other significant
obligations.
• We determined whether the future forecasts
reflected the contract terms, testing any significant
changes (such as new services) to contract
amendments or other supporting documentation.
• For a sample of recorded revenue and cost
transactions we obtained evidence to support
delivery and/or customer acceptance.
• We compared the historical forecast results of
certain contracts with the actual results to assess the
performance of the contract and the historical
accuracy of forecasting.
• We considered the future forecast profitability and
the contractual terms to assess the recoverability of
the contract-specific assets and to determine if any
contracts required loss provisions.
We assessed the appropriateness of the assumptions and
estimates supporting the accounting for the revised DAs
including understanding the timing of disconnections, the
progress of the NBN rollout and the transfer of the copper and
Hybrid Fibre Coaxial (HFC) networks to nbn co.
We assessed the Group accounting policies as set out in
Section 2.2, and the adequacy of disclosures for compliance
with the revenue recognition requirements of Australian
Accounting Standards.
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Reliance on automated processes and controls
Why significant How our audit addressed the key audit matter
A significant part of the Group’s financial processes are heavily Our IT specialists assessed the Group’s manual and automated
reliant on IT systems with automated processes and controls over the controls relating to IT systems relevant to financial reporting,
capturing, valuing and recording of transactions. This is a key part of including the recognition of revenue. When testing controls was not
our audit because of the: considered an appropriate or efficient testing approach, alternative
audit procedures were performed on the financial information being
• complex IT environment supporting diverse business
produced by systems.
processes;
Our IT specialists analysed the impact on our audit of new systems
• mix of manual and automated controls;
that are significant to our audit. This included assessing the design of
• multiple internal and outsourced support arrangements;
relevant automated processes and controls.
and
We evaluated the effectiveness of the controls in the new systems.
• complexity of the billing systems which result in revenue
being recognised.
The Group continues to enhance its IT systems and during the year
continued its implementation of new systems which were significant
to our audit.
Capitalisation of assets, including useful lives, amortisation and impairment
Why significant How our audit addressed the key audit matter
There are a number of areas where judgements significantly impact Our audit procedures included the following:
the carrying value of property, plant and equipment, software
• Assessed the effectiveness of the Group’s controls over
intangible assets and their respective depreciation and amortisation
the acquisition and disposal of assets.
profiles. These areas are as follows:
• Evaluated the appropriateness of capitalisation policies.
• the decision to capitalise or expense costs;
• Selected a sample of costs capitalised during the year to
• the annual asset life review;
determine whether capitalisation was appropriate.
• the timeliness of the transfer from assets in the course of
• Assessed the appropriateness of the date from which assets
construction; and
commenced being depreciated.
• significant changes that have taken place during the period
We assessed the application of the Group’s annual asset life review.
or are expected to take place in the near future, which will
This included assessing judgements made by the Group on:
impact the extent to which, or manner in which, an asset is
• the nature of underlying costs capitalised; and
used or is expected to be used.
• the appropriateness of asset lives applied in the calculation
Changes in these judgements have a significant impact on the results
of depreciation and amortisation.
of the Group. Accordingly, this was considered a key audit matter.
We evaluated management’s impairment assessment of property,
Disclosures relating to the capitalisation and write-off of assets can be
plant and equipment and software intangible assets. This included
found at Section 3.1 Property, Plant and Equipment, and Intangible
assessing judgements made by the Group on:
Assets.
• the nature and impact of changes on the business from the
Telstra 2022 (T22) strategy, including which specific
assets are impacted;
• the extent of the impact of these changes on the carrying
value of identified property, plant and equipment, software
intangible assets; and
• the completeness of the listing of impacted assets.
We evaluated the adequacy of disclosures included in Section 3.1.
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Information other than the financial report and auditor’s report thereon
The Directors are responsible for the other information. The other information comprises the information included in the Group
’s 2021 Annual Report other than the financial report and our auditor’s report thereon. We obtained the Directors’ Report that
is to be included in the Annual Report, prior to the date of this auditor’s report, and we expect to obtain the remaining sections
of the Annual Report after the date of this auditor’s report.
Our opinion on the financial report does not cover the other information and we do not and will not express any form of
assurance conclusion thereon, with the exception of the Remuneration Report and our related assurance opinion.
In connection with our audit of the financial report, our responsibility is to read the other information and, in doing so, consider
whether the other information is materially inconsistent with the financial report or our knowledge obtained in the audit or
otherwise appears to be materially misstated.
If, based on the work we have performed on the other information obtained prior to the date of this auditor’s report, we
conclude that there is a material misstatement of this other information, we are required to report that fact. We have nothing to
report in this regard.
Responsibilities of the directors for the financial report
The directors of the Company are responsible for the preparation of the financial report that gives a true and fair view in
accordance with Australian Accounting Standards and the Corporations Act 2001 and for such internal control as the directors
determine is necessary to enable the preparation of the financial report that gives a true and fair view and is free from material
misstatement, whether due to fraud or error.
In preparing the financial report, the directors are responsible for assessing the Group’s ability to continue as a going concern,
disclosing, as applicable, matters relating to going concern and using the going concern basis of accounting unless the directors
either intend to liquidate the Group or to cease operations, or have no realistic alternative but to do so.
Auditor’s responsibilities for the audit of the financial report
Our objectives are to obtain reasonable assurance about whether the financial report as a whole is free from material
misstatement, whether due to fraud or error, and to issue an auditor’s report that includes our opinion. Reasonable assurance is
a high level of assurance, but is not a guarantee that an audit conducted in accordance with the Australian Auditing Standards
will always detect a material misstatement when it exists. Misstatements can arise from fraud or error and are considered
material if, individually or in the aggregate, they could reasonably be expected to influence the economic decisions of users
taken on the basis of this financial report.
As part of an audit in accordance with the Australian Auditing Standards, we exercise professional judgement and maintain
professional scepticism throughout the audit. We also:
• Identify and assess the risks of material misstatement of the financial report, whether due to fraud or error, design and
perform audit procedures responsive to those risks, and obtain audit evidence that is sufficient and appropriate to provide
a basis for our opinion. The risk of not detecting a material misstatement resulting from fraud is higher than for one
resulting from error, as fraud may involve collusion, forgery, intentional omissions, misrepresentations, or the override
of internal control.
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テルストラ・コーポレーション・リミテッド(E05845)
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• Obtain an understanding of internal control relevant to the audit in order to design audit procedures that are appropriate
in the circumstances, but not for the purpose of expressing an opinion on the effectiveness of the Group’s internal
control.
• Evaluate the appropriateness of accounting policies used and the reasonableness of accounting estimates and related
disclosures made by the directors.
• Conclude on the appropriateness of the directors’ use of the going concern basis of accounting and, based on the audit
evidence obtained, whether a material uncertainty exists related to events or conditions that may cast significant doubt on
the Group’s ability to continue as a going concern. If we conclude that a material uncertainty exists, we are required to
draw attention in our auditor’s report to the related disclosures in the financial report or, if such disclosures are
inadequate, to modify our opinion. Our conclusions are based on the audit evidence obtained up to the date of our auditor
’s report. However, future events or conditions may cause the Group to cease to continue as a going concern.
• Evaluate the overall presentation, structure and content of the financial report, including the disclosures, and whether the
financial report represents the underlying transactions and events in a manner that achieves fair presentation.
• Obtain sufficient appropriate audit evidence regarding the financial information of the entities or business activities
within the Group to express an opinion on the financial report. We are responsible for the direction, supervision and
performance of the Group audit. We remain solely responsible for our audit opinion.
We communicate with the directors regarding, among other matters, the planned scope and timing of the audit and significant
audit findings, including any significant deficiencies in internal control that we identify during our audit.
We also provide the directors with a statement that we have complied with relevant ethical requirements regarding
independence, and to communicate with them all relationships and other matters that may reasonably be thought to bear on our
independence, and where applicable, actions taken to eliminate threats or safeguards applied.
From the matters communicated to the directors, we determine those matters that were of most significance in the audit of the
financial report of the current year and are therefore the key audit matters. We describe these matters in our auditor’s report
unless law or regulation precludes public disclosure about the matter or when, in extremely rare circumstances, we determine
that a matter should not be communicated in our report because the adverse consequences of doing so would reasonably be
expected to outweigh the public interest benefits of such communication.
Report on the audit of the Remuneration Report
Opinion on the Remuneration Report
We have audited the Remuneration Report included in the Directors' Report for the year ended 30 June 2021.
In our opinion, the Remuneration Report of Telstra Corporation Limited for the year ended 30 June 2021, complies with
section 300A of the Corporations Act 2001.
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Responsibilities
The Directors of the Company are responsible for the preparation and presentation of the Remuneration Report in accordance
with section 300A of the Corporations Act 2001. Our responsibility is to express an opinion on the Remuneration Report, based
on our audit conducted in accordance with Australian Auditing Standards.
Ernst & Young
Andrew Price
Partner
Melbourne
12 August 2021
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