第一カッター興業株式会社 内部統制報告書 第54期(令和2年7月1日-令和3年6月30日)
提出書類 | 内部統制報告書-第54期(令和2年7月1日-令和3年6月30日) |
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提出者 | 第一カッター興業株式会社 |
カテゴリ | 内部統制報告書 |
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第一カッター興業株式会社(E00320)
内部統制報告書
【表紙】
【提出書類】 内部統制報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条の4の4第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2021年10月29日
【会社名】 第一カッター興業株式会社
【英訳名】 DAI-ICHI CUTTER KOGYO K.K.
【代表者の役職氏名】 代表取締役社長 高 橋 正 光
【最高財務責任者の役職氏名】 該当事項はありません。
【本店の所在の場所】 神奈川県茅ヶ崎市萩園833番地
【縦覧に供する場所】 第一カッター興業株式会社 東京支店
(東京都江東区亀戸四丁目25番8号第二川村ビル)
第一カッター興業株式会社 千葉営業所
(千葉県千葉市稲毛区山王町360番地24)
第一カッター興業株式会社 さいたま営業所
(埼玉県さいたま市岩槻区古ケ場二丁目7番10号)
株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
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内部統制報告書
1 【財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項】
代表取締役社長高橋正光は、当社及び連結子会社(以下「当社グループ」 という。)の財務報告に係る内部統
制の整備及び運用に責任を有しており、企業会計審議会の公表した 「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基
準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」に示されている内
部統制の基本的枠組みに準拠して財務報告に係る内部統制を整備及び運用しております。
なお、 内部統制は、内部統制の各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合
理的な範囲で達成しようとするものであります。このため、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載
を完全には防止又は発見することができない可能性があります。
2 【評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項】
財務報告に係る内部統制の評価は、当事業年度の末日である2021年6月30日を基準日として行われており、評価に
当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しております。
本評価においては、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制 (全社的な内部統制)の評価を
行った上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定しております。当該業務プロセスの評価に
おいては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別
し、当該統制上の要点について整備及び運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行い
ました。
財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、当社並びに連結子会社及び持分法適用会社について、財務報告の信頼
性に及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲を決定しました。財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、金額
的及び質的影響の重要性を考慮して決定しております。当社及び連結子会社4社を対象として行った全社的な内部統
制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定しました。なお、連結子会社1社及
び持分法適用会社2社については、金額的及び質的重要性の観点から僅少であると判断し、全社的な内部統制の評価
範囲に含めておりません。
業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、前連結会計年度の連結売上高(連結会社間取引消去後)の
概ね3分の2以上の拠点を「重要な事業拠点」 と定めております。選定した重要な事業拠点においては、企業の事業
目的に大きく関わる勘定科目として完成工事高、完成工事未収入金、棚卸資産及び完成工事原価に至る業務プロセ
スを評価の対象といたしました。さらに、重要な虚偽記載の発生可能性が高く、見積りや予測を伴う重要な勘定科
目に係る業務プロセス並びにリスクが大きい業務に係るプロセスを財務報告への重要性を勘案して評価対象に追加
しております。
3 【評価結果に関する事項】
下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不
備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有
効でないと判断いたしました。
記
当社は、連結子会社である株式会社光明工事(以下「光明工事」という。)における、裏金作りを目的とした不
適切な会計処理等の発覚を受け、2021年8月6日に当社と利害関係を有しない弁護士および公認会計士、ならびに社
外役員をメンバーとする第三者委員会を設置し、全容の解明および原因究明ならびに同様の事象の有無について調
査を進めてまいりました。
第三者委員会による調査の結果、光明工事において、一部の元役員及び従業員が、「旅費交通費」の名目で資金
を引き出し、その一部を手元に留保し、接待等に費消するとともに、内部書類の偽造等により旅費を過剰計上して
いた事実が判明いたしました。
この事実は、光明工事の元代表取締役を含む経営トップの信頼性ある財務報告に対する意識やコンプライアンス
に対する意識の欠如に端を発するものでありますが、当社による管理・監督が機能しなかったことも原因として認
識しております。
第三者委員会の調査結果報告書には、本件の発生原因として、主に下記の原因が挙げられております。
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1.光明工事に関する主な原因
(1)土木建設業界の旧弊、裏金づくりの目的
受注のために、発注担当者に対するキックバック、費用の肩代わりなど、表に出せない資金が必要といった、旧
態依然とした土木建設業界の悪弊に光明工事が浸かっていたこと。
(2)創業者の影響力
光明工事では創業者の影響力が強く、上場会社である当社の子会社となった後も、創業者の影響力が依然として
色濃く残っており、社内の牽制が機能しない体質があったこと。
(3)組織的な不備
光明工事の創業者の身内が長期にわたって事務長を務め、管理業務を統括しており、創業者と事務長が家族経営
的に会社の資金を自らの財布のごとく事実上管理する状況が長期にわたり継続してきたこと。
2.当社に関する主な原因
(1)光明工事の特殊性
光明工事は、当社が進出できていなかった関西、中国、四国地方における営業を担う営業上重要な子会社であ
り、かつ質の高い水中工事を担うことができる国内屈指の会社であったことに加え、強いリーダーシップや影響力
を背景に同社を実質的に支配する創業者に対して、当社による管理・監督が機能しにくい状況にあったこと。
(2)不十分な管理・監督体制
①派遣取締役、監査役の不十分な職務執行
光明工事には、当社から取締役2名及び常勤監査役1名を派遣し、取締役会での多数を確保するとともに、派遣役
員を毎月の取締役会に出席させ、監査役には現金を確認させるなどの管理体制を採ってきたものの、派遣された各
役員は、同社のずさんな管理体制に対して、寛容な態度で臨んでおり、管理・監督のためのそれぞれの機能を果た
してこなかった。
②管理部門等の不十分な体制
当社は、法務部門を設置せず、法的問題に対応する法務担当は兼任で賄っている。また、内部監査室は1名で運用
しており、業務の一部を外部に委託するなどの体制を採っている。上場会社の管理部門や内部監査室の体制として
は不十分であり、また、内部監査での検出事項などの情報は代表取締役に報告するのみで、特に社外役員に対する
情報経路が十分に整備されてない状況にある。
また、業務監査の具体的なチェック項目が規定されておらず、業務監査に対する対応が実態として十分に運用さ
れてこなかった。
③不十分な内部通報制度
当社は、内部通報制度の一環として「目安箱」をサイボウズ上に設置することで、グループの全構成員からハラ
スメント相談などを申告できるようにしているが、「目安箱」に寄せられたメッセージについて、報告経路などの
取扱ルールが明文化されていないこと、外部通報窓口が設けられていないなど、内部通報制度が適切に運用され、
リスクの管理、発見、調査、是正に向けた取組みに対して有効に機能する仕組みが十分に整備されていない。
④現場の重視とコンプライアンス意識の低さ
当社が現場を重視する経営を行ってきたことが、相対的にコンプライアンスへの意識を低下させる要因となって
いることは否定できず、このことは、一部の監査役にも及んでいる。
⑤当社役員の光明工事に対する寛容さ
第三者委員会の調査結果報告書では、光明工事に派遣されていない当社役員についても、今回の発覚以前に、本
件に係る情報を入手していたものの、取締役会への報告、実態調査の指示には至らなかったことも指摘されてい
る。光明工事の重要性や特殊性からの寛容さもあったものの、しかるべき役職者が、しかるべき行動をとる体制、
仕組みの脆弱さは否定できない。
第三者委員会の調査結果報告書や当社の内部調査の結果を踏まえれば、光明工事の重要性や特殊性により、当社
の同社に対する管理・監督が十分に機能しなかったことに加え、当社の管理機能の脆弱性、コンプライアンス意識
の低さ、全社的な内部統制における情報伝達やモニタリング機能の実効性ある仕組みの不足などが、今回の不正の
早期発見、調査、是正を遅らせた要因であると認識しております。
第三者委員会では、当社および光明工事を除く当社グループの連結子会社に対して、経費精算担当者等に対する
ヒアリング、関連証憑の分析および全役員・全従業員へのアンケート調査などを実施しており、光明工事と類似の
不正の疑いを生じさせる事実は発見されておりません。
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内部統制報告書
また、当社による、これまでの内部監査の結果では、当社および光明工事以外の連結子会社において、不正に係
る兆候等は検出されておりません。
加えて、第三者委員会の調査結果報告書によれば、光明工事以外の過去の不適切な取引の兆候に係る対応につい
て、当社水戸営業所における従業員による取引先からのキックバックの事例や株式会社新伸興業における元代表取
締役による無断での役員賞与支給の事例などにおいて、当社として適切な対応がとられていたとの記載がございま
す。
以上の第三者委員会や当社における評価結果を踏まえ、当社は、当社及び光明工事の財務報告に係る内部統制の
うち、全社的な内部統制の統制環境、情報伝達及びモニタリングに不備が存在するものと判断しております。
当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、全社的な内部統制の統制環境、情報
伝達及びモニタリングにおける、開示すべき重要な不備を是正するとともに、今後の再発を防止するため、第三者
委員会の提言も踏まえ、2021年10月に以下の再発防止策を作成しております。なお、再発防止策については、当事
業年度末までに運用に至っていないことから、当事業年度末時点においては、全社的な内部統制の統制環境、情報
伝達及びモニタリングに係る不備は、開示すべき重要な不備に該当するものと判断しております。
なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、すべて連結財務諸表に反映されております。
(再発防止策)
1.コンプライアンスを真ん中に置く企業文化を創る
2. 役員・従業員のガバナンス・コンプライアンスに対する意識改革のための教育
3. 取締役会のあり方の見直し
4. コンプライアンス体制の強化
5. グループ全体のガバナンスシステムの構築
6. 内部通報制度の充実化
7. グループの内部監査、監査役監査、監査人による会計監査の連携強化および実効性確保
8. コンプライアンス重視の人事
9. 社内コミュニケーションの改善
4 【付記事項】
該当事項はありません。
5 【特記事項】
該当事項はありません。
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