デンマーク地方金融公庫 有価証券報告書
| 提出書類 | 有価証券報告書 |
|---|---|
| 提出日 | |
| 提出者 | デンマーク地方金融公庫 |
| カテゴリ | 有価証券報告書 |
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デンマーク地方金融公庫(E06107)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第１項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 令和３年６月30日
【事業年度】 自 令和２年１月１日 至 令和２年12月31日
【発行者の名称】 デンマーク地方金融公庫 (KommuneKredit)
【代表者の役職氏名】 最高経営責任者兼マネジング・ディレクター
Jens Lundager
マネジング・ディレクター
Henrik Andersen
【事務連絡者氏名】 弁護士 黒 丸 博 善
【住所】 東京都港区六本木六丁目10番１号
六本木ヒルズ森タワー23階
ＴＭＩ総合法律事務所
【電話番号】 東京(03)6438-5511
【縦覧に供する場所】 該当なし
注 (1) 「発行者」または「公庫」とは、デンマーク地方金融公庫を意味する。
(2) 本書中、別段の記載がない限り、「デンマーク・クローネ」または「DKK」と表示される金額はデンマーク王国の通貨
であるデンマーク・クローネを意味する。2021年６月４日現在、東京の主要銀行により公表されたデンマーク・ク
ローネに対する日本円の為替相場の中値は１デンマーク・クローネにつき17.98円であった。
(3) デンマーク地方金融公庫の事業年度およびデンマーク王国の会計年度は暦年である。
(4) 本書中の表で、計数が四捨五入されている場合、合計は計数の総和と必ずしも一致しないことがある。
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第１ 【募集（売出）債券の状況】
上場金融商品
事業年度末の 取引所名又は
売出債券の名称 発行年月 券面総額 償還額
未償還額 登録認可金融商品
取引業協会名
デンマーク地方金融公庫 2012 年７月 2,500 万 0 2,500 万 該当なし
2027 年７月30日満期 トルコ・リラ トルコ・リラ
トルコ・リラ建
ディスカウント債券
デンマーク地方金融公庫 2013 年２月 32,460,000 32,460,000 0 該当なし
2020 年２月20日満期 ブラジルレアル ブラジルレアル
円決済型ブラジルレアル建
ディスカウント債券
デンマーク地方金融公庫 2013 年11月 2,100 万 豪ドル 2,100 万 豪ドル 0 該当なし
2020年11月24日満期
豪ドル建債券
デンマーク地方金融公庫 2014 年２月 600 万 豪ドル 0 600 万 豪ドル 該当なし
（注1）
2021年２月23日満期
豪ドル建債券
デンマーク地方金融公庫 2015 年１月 29 億5,000万円 29 億5,000万円 0 該当なし
2020 年１月24日満期
期限前償還条項付
ブラジル・レアル／円為替
参照円建債券
デンマーク地方金融公庫 2015 年２月 4 億6,500万円 4 億6,500万円 0 該当なし
2020 年２月 19日満期
期限前償還条項・円償還条
項付 円/豪ドル デジタル
クーポン デュアル・カレ
ンシー債券
デンマーク地方金融公庫 2015 年２月 34 億6,000万円 34 億6,000万円 0 該当なし
2020 年２月 19日満期
期限前償還条項付
ブラジル・レアル／円為替
参照円建債券
デンマーク地方金融公庫 2015 年４月 12 億4,200万円 12 億4,200万円 0 該当なし
2020 年４月16日満期
期限前償還条項付
ブラジル・レアル／円為替
参照円建債券
デンマーク地方金融公庫 2015 年５月 9 億7,900万円 9 億7,900万円 0 該当なし
2020 年５月18日満期 早期
償還条項付 ブラジルレア
ル円為替レート連動 デジ
タル・クーポン円建債券
デンマーク地方金融公庫 2015 年８月 10 億円 10 億円 0 該当なし
2020 年８月14日満期
早期償還条項付 ブラジル
レアル円為替レート連動
デジタル・クーポン
円建債券
デンマーク地方金融公庫 2015 年８月 13,000,000 0 13,000,000 該当なし
2022 年８月 22日満期 トルコ・リラ トルコ・リラ
トルコ・リラ建債券
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デンマーク地方金融公庫 2015 年11月 12,000,000 12,000,000 0 該当なし
2020年11月25日満期 トルコ・リラ トルコ・リラ
トルコ・リラ建債券
デンマーク地方金融公庫 2017 年10月 528,540,000 528,540,000 0 該当なし
2020年10月満期 トルコリラ トルコリラ
トルコリラ建債券
デンマーク地方金融公庫 2017 年10月 75,840,000 75,840,000 0 該当なし
2020年10月満期 ブラジルレアル ブラジルレアル
ブラジルレアル建債券（円
貨決済型）
デンマーク地方金融公庫 2017 年10月 825,900,000 825,900,000 0 該当なし
2020年10月満期 インドルピー インドルピー
インドルピー建債券（円貨
決済型）
デンマーク地方金融公庫 2017 年11月 85,000,000 85,000,000 0 該当なし
2020年11月30日満期
メキシコ・ペソ メキシコ・ペソ
メキシコ・ペソ建債券
デンマーク地方金融公庫 2018 年１月 68,700,000 0 68,700,000 該当なし
2021年２月３日満期 ブラジル・レア ブラジル・レア
ブラジル・レアル建債券 ル ル （注1）
（円貨売買型）
デンマーク地方金融公庫 2018 年４月 121,880,000 121,880,000 0 該当なし
2020年４月満期 トルコリラ トルコリラ
トルコリラ建債券
デンマーク地方金融公庫 2018 年４月 30,300,000 0 30,300,000 該当なし
2021年４月満期 メキシコペソ メキシコペソ
（注1）
メキシコペソ建債券
デンマーク地方金融公庫 2018 年４月 204,100,000 0 204,100,000 該当なし
2021年４月満期 ブラジルレアル ブラジルレアル
（注1）
ブラジルレアル建債券（円
貨決済型）
デンマーク地方金融公庫 2018 年４月 652,500,000 0 652,500,000 該当なし
2021年４月満期 インドルピー インドルピー
（注1）
インドルピー建債券（円貨
決済型）
注(1) 本債券は2021年１月１日以降本書提出日までに全額が満期償還された。
当事業年度において、上記債券の所有者の権利等に重要な悪影響を与える事実は発生しなかった。
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第２ 【外国為替相場の推移】
(1) 【最近５年間の会計年度(又は事業年度)別為替相場の推移】
該当事項なし。
(2) 【当会計年度(又は事業年度)中最近６月間の月別為替相場の推移】
該当事項なし。
(3) 【最近日の為替相場】
該当事項なし。
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第３ 【発行者の概況】
１ 【発行者が国である場合】
該当事項なし
２ 【発行者が地方公共団体である場合】
該当事項なし
３ 【発行者が国際機関又は政府関係機関等である場合】
(1) 【設立】
① 設立の根拠および法的地位
デンマーク地方金融公庫の設立は、1898年３月19日付デンマーク議院法第35号に基づき承認され、公庫は法
人格を与えられた。同法律は、2007年１月１日付で2006年５月３日付法律第383号「デンマークの地方自治体お
よび州のための信用機関に関する法律（lov om kreditforeningen af kommuner og regioner i Danmark）」
（「法律第383号」）により継承された。公庫の目的は、デンマークにおいて、デンマークの自治体および１つ
または複数の自治体により融資が全額保証を受ける場合に公共的な活動の遂行を担うデンマークの自治体間企
業その他のデンマークの企業に対してのみに向けて融資を行うことである。公庫は自己名義で資金を借り入
れ、当該資金を貸付またはリースとして再貸付する。
公庫の構成員は、公庫に対し借入金残高を有するか、または公庫の貸付についての保証残高を有する「地方
自治体（kommuner）」および「州（regioner）」で構成されている。行政上の３つの区画単位のうち、地方自
治体はデンマークにおける３番目かつ最小行政区画単位であり、州は２番目の行政区画単位で、地理的にみて
地方自治体と州が国全体を構成している。州は多数の地方自治体の領土によって構成されている。2021年１月
１日現在において公庫の構成員は、デンマークの全ての地方自治体および全ての州からなっていた。従って、
公庫の構成員はデンマークの全人口を代表している。
公庫の構成員は、公庫の借入を含む公庫の全債務に対して法定の直接連帯責任を負う。
法律第383号は、「構成員は、公庫が負う全債務に対して直接かつ連帯して責任を負う。」と規定している。
公庫がそのいずれかの債務を履行できない場合、債権者は連帯責任を直接的に求めることができる。直接的
に責任を負うということは、債権者が構成員に対して直接請求を行うことができることを意味する。連帯して
責任を負うということは、各々の構成員が公庫の負う全額の債務について責任を負うことを意味する。
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保証に関するデンマーク法に基づき、保証は法定の責任とされ、それに従って各構成員が主債務者として自
身が責任を負うことを約束する。そのため、公庫が適時に債務を履行しなかった場合、債権者は、各々の構成
員に債務の即時支払いを要求することができる。債権者は訴訟を提起する必要はない。
かかる債務の仕組みは1898年から存在し、公庫の全債権者を保護している。上記の請求が行われたことはな
く、また、公庫はこれまでいかなる貸付についても損失を被ったことはない。
② デンマークの自治体の構成
デンマークは98の地方自治体および５つの州に分割されており、州はそれぞれいくつかの地方自治体を包含
する。
自治体の主な職務は法律条項によって定められている。最も重要な職務には、社会保障、学校、病院、保健
医療、医療サービス、託児サービス、高齢者向け住宅およびインフラ・プロジェクトの提供が含まれる。水
道、地域向け熱供給、下水、廃棄物処理および「廃棄物からのエネルギー回収（waste to energy）」の整備計
画、および多くの場合にはその供給もまた通常では自治体が責任を負う。さらに、自治体は、公園、運動場、
スポーツ施設および文化センターなどの公共施設を提供する。自治体はまた失業者に対するサービスも提供す
る。
いくつかのサービスは、非営利ベースで公共的な活動の遂行を担う自治体間企業その他の企業によって提供
される。かかるサービスの例としては、地域向け熱供給、「廃棄物発電所(waste to energy plant)」および給
水に対する資本投資がある。
自治体のサービス提供コストは通常、投資および債務返済を含めて、地方税の当期収入、一定の提供される
サービスの使用料および中央政府からの交付金から賄われなければならない。地方自治体は、課税の権限を有
し、サービス料金および中央政府からの交付金等のその他の歳入も考慮して、年度予算の均衡を図るために十
分な課税を行う義務がある。さらに、歳入の少ない自治体が適正なサービスを提供できるよう均衡化システム
が確立されている。州は中央政府からの交付金を通じて賄われる。
しかし、地域の公共的任務を満たす資本投資は、一定の条件の下で借入（自治体による保証を受けた借入を
含む。）により賄うことができる。上記の借入および保証の付与は、当時の経済内務省（現在は内務住宅省）
による2013年12月17日付行政命令第1580号および2013年12月17日付行政命令第1581号に定められた厳格な規則
に服しており、かかる規則には、例えば、最長満期など一定の借入条件や各自治体の各事業年度における借入
による資金調達総額の上限の計算方法についての要件が規定されている。
自治体は中央政府に対し監査済財政書類を提出する。資本的支出および経常的支出の双方の目的のための自
治体の全体的な支出水準は、中央政府と合意されるガイドラインに基づき設定される。
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地方自治体および州ならびにデンマークの福祉社会
デンマークは世界で最も分権化した公共部門の１つを有し、公共部門の任務は中央政府、地方自治体および
州の間で分担されている。デンマークの地方自治体および州は併せて公共支出の半分以上を占めている。
地方自治体は、住民に直接関連した任務の大半を担っており、デンマークの福祉社会において提供される公
共サービスの大半に責任を負っている。これらの責任には、学校、高齢者介護、子供・若年者向け託児所、雇
用創出政策、周縁化された人々の社会統合、地方道路、環境、文化および芸術が含まれる。
地方自治体はまた、水道および熱供給などの住民への種々の公益事業サービスの計画ならびに公営企業を通
じてこれらのサービス供給を利用可能とすることにも責任を負う。
州は、デンマークの大規模な地方自治体の人口規模よりも大きな人口基盤を必要とする任務に責任を負って
いる。州が負う責任には、病院、地域開発、州の運輸会社への資本参加、および専門的な社会的機関が含まれ
る。
中央政府と循環変動に関するリスク
住民が支払う所得税は、地方自治体の収入の半分強を占める。残りの収入は、包括補助金および中央政府か
らの補填ならびに地方自治体が個別に設定した使用料および財産税から得られる。
原則として、地方自治体は、借入を行うことなしに、現在の収入により資本支出を賄う。しかしながら、地
方自治体は、デンマーク内務住宅省により設定された枠組みにおいて地方自治体の資本支出のために借入を行
うことができる。また、地方自治体は、かかる保証が地方自治体の法律の下で許可されている場合に限り、他
の機関（例えば公益企業）の資本支出のために借入保証を与えることができる。デンマークの地方自治体の負
債資本比率は国際的に見て低くなっている。
デンマークは、地方自治体との間に大規模な経済均一化システムを有しており、それにより地方自治体は、
それぞれの税収基盤やサービス支出にかかわらず、より均一なレベルでのサービス提供を行うことができる。
地方自治体の経済全体は、一般的な景気動向に関わるリスクを負うのは中央政府であるため、景気循環上の
後退局面による影響を受けない。地方自治体は、景気減速により生じた移転支出および税収減少に関する支出
の超過に対して、補償を受けている。
デンマークの行政法の基本原則により地方自治体は破産を宣告できない。さらに、監督機関である政府は地
方自治体がその金融上の義務を履行できるよう確保しなければならない事実に照らして、この原則は最高裁判
所の判断において支持された。
州の資金調達は、政府補助金ならびに地方自治体からの拠出および負担金で構成されている。州は、デン
マーク内務住宅省により設定された枠組みにおいて特定の資本支出のために借入を行うことができる。地方自
治体および州の長期債務に公庫が占める割合が低下したのは、とりわけ、州において2020年の従業員の休暇基
金が長期債務に計上されたためであった。
公庫は、その歴史を通じて、貸倒損失を被ったことはない。
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デンマークの地方自治体および州は、CRR/CRD IVのリスク・ウェイトが０％であることが示す高い信用力に
より特徴づけられている。このリスク・ウェイトは信用機関の資本要件を算出するために用いられている。リ
スク・ウェイトが０％であることは、地方自治体および州が、損失が想定されない最も安全なカテゴリーに属
することを意味する。
地方自治体および州の監督省庁
内務住宅省は自治体に関する最高監督機関である。
③ 目 的
公庫の目的は、デンマークにおいて、デンマークの自治体および１つまたは複数の自治体により融資が全額
保証を受ける場合に公共的な活動の遂行を担うデンマークの自治体間企業その他のデンマークの企業に対して
のみに向けて融資を行うことである。公庫は自己名義で資金を借り入れ、当該資金を貸付またはリースとして
再貸付する。
公庫の定款では、公庫の目的を以下のように規定している。
(1) 公庫の目的は、
(a)地方自治体、州および自治体の組合に対し、
(b)下記(2)の条件に従ったその他の地方自治体または州の目的のため、
融資を行うことである。
(2) 上記(1)(b)の融資は、１または複数の地方自治体または州が融資全額に対して保証を与える場合か、ま
たは当該融資が会社等に対して行われ、その定款に全参加者が当該融資につき連帯して責任を負うことが
規定されており、かつ１または複数の地方自治体または州がその組合員または参加者になっている場合に
限り、行われるものとする。
公庫の定款に基づき、商務・金融省により承認された限度内において、公庫は即座に再貸付することがなく
ても資金を調達すること（ミスマッチ）が認められている。ミスマッチの限度額は、直近の四半期の帳簿価額
による貸付総額の25％として算出される。
④ 特 権
該当なし
⑤ デンマーク地方金融公庫の監督省庁
公庫により行われる貸付は、自治体の借入に関する現行の規則に従うものとする。
監査規則は商務・金融大臣により制定され、理事会は毎年公庫の完全な財務書類を公表し、かつ四半期毎に
商務・金融大臣に対し要約財務書類を提出する責任を負う。
理事会は商務・金融大臣が要求する公庫の業務に関する一切の情報を商務・金融大臣に提出する責任を負
い、当該商務・金融大臣はいつでも公庫の費用で公庫に関する一切の状況の調査を行わせる権利を有する。
公庫の定款は、同規則に規定する方法によってのみ修正され、かつかかる修正には商務・金融大臣の同意を
要する。
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公庫の理事会が債権者に対する担保を著しく毀損していると商務・金融大臣がみなすとき、および理事会が
定められた期限内にかかる損失の回復に必要な措置を講ずることができないときは、商務・金融大臣は公庫の
事業活動を停止し、または事情によりその財産を清算手続に付することができるものとする。
⑥ 日本との関係
（公庫の設立に関して）該当なし
(2) 【資本構成】
以下の表は、2020年12月31日現在の公庫の資本構成を示す。(1)(2)(3)
2020年12月31日現在
デンマーク地方金融公庫
(単位：百万デンマーク・クローネ)
ナスダック（コペンハーゲン） (2)
52,853
外国債務 (3)
159,875
デリバティブ金融商品の公正価値
11,722
その他の負債、年金および税を除く負債合計 224,450
1,025
その他の負債、年金および税合計
負債合計 225,475
持分
2020年１月１日現在の持分 8,179
税引後当期利益 218
0
IFRS第９号の施行
2020 年12月31日現在の持分 8,397
233,872
資本合計
注 (1) 上記の表の目的上、長期債務からは、１年以内に満期を迎える長期債務は除外している。
(2) 指数連動債。本表記載の残高は指数変動による調整を含む。
(3) 外国通貨による借入は、2020年12月31日の実勢為替レート、あるいは2020年中の借入に関しては実行日の
為替レートにより、デンマーク・クローネに換算されている。
2020年12月31日以降、公庫の資本構成に重大な変化はなかった。
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流動性リスク－残存期間に基づく満期別内訳（額面価額） (1)
デンマーク地方金融公庫 2020年12月31日 2019年12月31日
(単位：百万デンマーク・クローネ)
貸付およびリース
３か月以内 46,386
32,972
３か月超１年以内 22,010 22,895
１年超５年以内 46,900 37,533
76,826 66,529
５年超
178,708 173,343
合 計
信用機関への債権
３か月以内 22 5
３か月超１年以内 0 0
１年超５年以内 0 0
0 0
５年超
22 5
合 計
発行証券
３か月以内 9,574 8,182
３か月超１年以内 12,227 20,515
１年超５年以内 93,887 100,212
84,151 81,210
５年超
199,839 210,118
合 計
注 (1) 流動性リスクは額面金額に基づいており、利息、キャピタル・ロス、拠出金等を含めない。
満期別内訳は、満期までの期間別に、または拘束力ある流動性コミットメントの期間が満期までの期
間より短い場合には当該拘束力のある流動性コミットメント期間別に、額面価額により示されている
が、利息は含まれていない。実行日が確定している貸付の確約（コミットメント）は、現在の日付を
基準に認識されるが、実行日も金額も未定の貸付の確約（コミットメント）は、対象の信用枠の満期
までの期間に基づき認識される。
公庫は、法律第383号に基づき事業体として設立された。株式資本、授権資本または条件付資本ならびに利益
分配証書は有していない。
法律第383号第８条に従い、公庫の持分は常に負債合計の少なくとも１％（22億5,500万デンマーク・クロー
ネの持分に相当）に等しくなければならない。2020年12月31日現在の持分は83億9,700万デンマーク・クローネ
であった。
これに基づき算出すると、2020年12月31日現在において持分は公庫の資産合計の3.6％であった。
公庫は、その構成員に対して配当金の支払いを行っていない。
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(3) 【組織】
① 構 成 員
公庫の定款に基づき、公庫から融資を受けているかまたは上記「(1) 設立‐③ 目的」中の(1)(b)項記載の
融資に責任を負う地方自治体または州は全て公庫の構成員となる。構成員は、将来の改訂を含め、定款の規
定を遵守しなければならない。構成員は、公庫が負う全ての債務に直接かつ連帯して責任を負う。構成員
は、公庫に対するその債務を全て弁済し、また当該構成員が定款に定めるとおりその直接かつ連帯の責任を
免除された時にのみその構成員でなくなるものとする。
構成員は、規定された利息に加え、管理費を負担し、また準備金を設定および維持するために毎年適正な
分担金を支払う。
② 理 事 会
理事会は、公庫の業務を全般的に監督および指示する。理事会は、公庫の業務が相当の注意をもって組織
化、管理および執行されるよう配慮する。理事会は公庫の業務運営に関し経営陣に指示を発する。2020年６
月より、理事会は10名で構成されている。州は２名の理事とその補欠を各１名選出する。地方自治体は６名
の理事とその補欠を各１名選出する。現職の理事会は、公庫から独立し、会計または監査を行う資格を有す
るもう２名の理事を選出する。かかる２名の追加の理事は４年の任期で選出され、その選出時期は２年違い
となる。このため、理事会は、州または地方自治体の直近の地方議員選挙が行われた翌暦年の６月１日より
前に１人目の追加の理事を選出し、かかる選挙から３暦年後の６月１日より前に２人目の追加の理事を選出
する。
理事会は理事会構成員選挙のための候補者指名についての詳細なガイドラインを制定する。理事会構成員
の選挙は理事長が管理し、理事長は任期が開始される少なくとも１か月前までに投票用紙が公庫の構成員に
送付されるよう手配する。選任可能な各理事会構成員および補欠につき１名の候補者のみが指名されている
場合は、上記の投票手続きに従うことなく無競争選挙とすることができる。ただし、理事長が当該手続きを
認可し、かつ、いずれの公庫の構成員も上記の期限までにかかる投票の実施を要求していないことを条件と
する。理事会は投票権および実施された選挙の有効性に関する全ての問題を確定的に裁定する。
理事会の構成員およびその補欠は４年の任期で選出される。理事会に加入したかかる構成員およびその補
欠は、公庫の構成員である地方自治体または州政府議会の構成員であるものとする。理事会に選出された構
成員がこの必要事項を充たすことができない場合、その補欠が代わりに理事会に加入する。かかる補欠が、
公庫の構成員である地方自治体または州政府議会の構成員ではない場合、理事会は補欠選挙を上記の規則に
従い行わせる。任期は６月１日に開始する。（イ）上記のように構成員が構成員でなくなった場合、（ロ）
構成員が理事会から辞任した場合、または（ハ）構成員が死亡した場合、補欠が理事会構成員に代わりその
残存する任期を果たすものとする。かかる補欠が上述の理由により理事会の務めを果たせない場合、その残
存任期に関し新たな理事会構成員と新たな構成員の補欠が選出されるものとする。しかしながら、かかる残
存任期が１年未満である場合、理事会は補欠選挙を行わないよう決定することができる。理事会により選出
された理事が理事会を退任する場合、理事会は、その残存任期の長さにかかわらず、公庫から独立し、会計
または監査を行う資格を有する新たな９人目または10人目の理事を選出する。
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理事会は年に４回定例会議を招集する。臨時会議は理事長、１名の経営陣の構成員、少なくとも３名の理
事会構成員または指名された監査役１名の要求により開催される。
理事会は、その構成員の少なくとも半数が出席し、かつ投票を行った場合、定足数に達したものとする。
全ての決議は投票の単純過半数により採択される。投票が同数であった場合、理事長が、または理事長が不
在の場合には副理事長が、決定票を保持する。
３月末より前に開催される理事会の定例会議で、経営陣は前事業年度の公庫の業務についての報告書を提
出し、財務書類に監査役の勧告書を添えて理事会の承認を得るために提出する。理事会はかかる報告書およ
び財務書類を承認した後、かかる報告書および財務書類をデンマークの商務・金融省および公庫の構成員に
提出する。理事会における議事には議事録が作成され、理事会の構成員が署名する。
2020年12月31日現在の理事会の構成員は以下のとおりである。
名 前 主たる役職
ラース・クラーロプ（理事長） 市 長
トマス・ルゲ・ピーダスン（副理事長） 市 長
ハンス・トフト 市 長
イーレク・ニルスン 地方自治体議会議員
ミケール・クリトゴー 市 長
イーレク・ラウリトスン 市 長
ライラ・リンデン 州議会議員
マーティン・ギアトスン 州議会議員
カイ・Ｖ.ホルム 独立の構成員
ビアギド・オーゴー・スヴェンスン 独立の構成員
2021年１月１日以降において理事会の構成員に変更はなかった。
③ 経営陣および従業員
公庫の経営陣は２名からなる経営委員会により統括されており、その両者とも理事会により選任され、そ
のうち１名は最高経営責任者を兼ねる。経営陣は日常業務に関し全ての決定を行う権限を付与されている。
経営陣は、公庫の事業を、理事会により与えられた指示に従い管理する。公庫の業務に鑑み、性質または規
模が例外的であると経営陣により判断される取引は、理事会に付託される。
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理事長もしくは副理事長および１名の経営陣の構成員が共同して署名した場合、または２名の経営陣の構
成員が共同して署名した場合、公庫を拘束する。さらに、公庫は、経営陣の構成員１名と共に理事長にその
ために特に授権された役員１名が共同して署名した場合、またはそのように授権された役員２名が共同して
署名した場合、拘束される。経営陣は、個々の役員に、特定の機能を執行するにあたり公庫を拘束する特定
の権限を付与することができる。
公庫の職員は経営陣により任免される。
2020年12月31日現在において経営委員会は、 イェンス・ロンエーヤ（最高経営責任者）およびヘンレク・アナス
ンにより構成されていた。
2020年12月31日現在の経営陣チームの構成員は以下の通りである。
名 前 主たる職務
イェンス・ロンエーヤ 最高経営責任者兼マネジング・ディレクター
ヘンレク・アナスン マネジング・ディレクター
クレスチャン・イェベスン ディレクター（貸付・リース部門長）
イェッテ・モルドラップ ディレクター（トレジャリー部門長）
ディレクター（リスク・バランス部門長、
ヨーナス・トフト・モンソン
最高リスク責任者）
ヒリーネ・ヴィンテン ジェネラル・カウンセル（法務部門長）
モーデン・ストフテ ディレクター（最高財務責任者）
ナディーム・ザファル ディレクター（情報技術部門長、最高情報責任者）
セーアン・スティーン・モーデンスン ディレクター（事業開発・戦略部門長）
2021年１月１日以降において経営陣チームの構成員に変更はなかった。
2020年の公庫の正規の平均従業員数は、経営陣の構成員を含めて82名であった。
④ 監査役
理事会は、監査役を１または２名選任し、かかる監査役は国家資格を有する公認会計士でなければならな
い。さらに１名の監査役が商務・金融省により任命され、とりわけ地方自治体および州に適用される関係規
則に従った貸付の実行など、公庫に適用される関係法令上の規制のなかでの運営を確保する責任を負う。
2020年度の監査役は、Anders Oldau Gjelstrup氏およびBj ø rn W ü rtz Rosendal氏（国家資格を有する公認
会計士）に代表されるデロイト公認会計士パートナーシップならびに商務・金融省に任命されたThorkil
Juul氏である。デロイト公認会計士パートナーシップはデンマーク公認会計士協会（FSR-Danske
Revisorer）のメンバーである。
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(4) 【業務の概況】
① 概 要
金融危機の期間と同様に、今期はCOVID-19のパンデミックに端を発した国際金融市場の混乱の中で、公庫
の堅固かつ安定したビジネスモデルがその価値を示した。2020年を通じて、公庫は投資家にとってセーフヘ
イブン（安全な資金の逃避先）であり続けた。貸付と資金調達のリバランスを継続した結果、流動性資金に
よる投資ポートフォリオを小さくする必要が生じ、貸付が増加したものの、資産合計は若干減少した。
収益および自己資本
2020年における純受取利息は、４億4,000万デンマーク・クローネとなり、資産合計に対する持分の３％以
上の比率の維持の面で十分な水準を達成した。純受取利息の予測は約４億デンマーク・クローネとされてい
た。
2020年において、公庫は、予想される資金調達コストに応じて貸付価格を調整した。全般的に公庫は貸付
マージンを比較的一定水準に維持した。しかしながら、COVID-19のパンデミックに関連して、春には著しく
資金調達コストが変動した。公庫は、顧客に対して比較的安定した貸付価格を維持することを選択し、その
結果、貸付マージンが大幅に変動した。公庫は、新たな資金を調達する必要なく、最長１年間の融資を可能
とするビジネスモデルを構築している。資金調達コストが高騰した春には、資金調達の先送りを選択したた
め、一時的なコスト増が顧客や業績に影響を及ぼすことはなかった。
管理費用は、昨年の１億2,600万デンマーク・クローネからわずかに増加して2020年には１億3,000万デン
マーク・クローネとなった。当期における当該費用は年初に予測された１億5,000万デンマーク・クローネを
若干下回った。費用が下回ったのは、主に公庫の変革プログラムの費用におけるタイミングの差異によるも
ので、これによりコンサルタント料が予測より少なくなった。
価値調整前および税引前の当期利益は、３億1,100万デンマーク・クローネとなった。これは2019年比で
5,800万デンマーク・クローネの減少となった一方、予想していた２億5,000万デンマーク・クローネを若干
上回った。2020年末現在における当期の価値調整額はマイナス3,300万デンマーク・クローネであった。この
マイナスの価値調整は主に、金融市場におけるリスク・プレミアムの上昇により証券ポートフォリオにマイ
ナスの価値調整がなされたことによる。
公庫のリスク許容度が低いことにより、資産と負債の対称性は高いが、金融市場の混乱により引き起こさ
れた春における価値調整額の変動は、通常の変動とされるプラス/マイナス５億デンマーク・クローネを上
回った。2020年における価値調整は、主に自己資金調達スプレッドに関する価格リスクによって引き起こさ
れた。公庫の資金調達スプレッドは2020年下半期に正常化し、価値調整は通常の水準に戻っている。
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当期包括利益は、2019年の４億4,100万デンマーク・クローネに対して２億1,800万デンマーク・クローネ
となった。この減少は、主に2020年において価値調整が減少したことによる。当期包括利益は持分（資本）
に組入れられる。現在の持分は合計83億9,700万デンマーク・クローネである。持分は全体が利益剰余金から
なり、普通株式等Tier1（CET1）資本に相当する。理事会の目標に従い、資産合計に対する持分の比率で少な
くとも３％に相当する適切な資本が利益により確保されなければならない。2020年末において、資産合計に
対する持分の比率は3.6％で、理事会の定めた目標を14億デンマーク・クローネ上回った。
2020年末現在のリスク・エクスポージャー総額（REA）は、2019年末現在の119億デンマーク・クローネか
ら115億デンマーク・クローネへと減少した。この結果、信用機関のソルベンシー規則に基づいて算出された
自己資本比率（リスク・エクスポージャー総額に対する自己資本の比率）は2019年末現在の67％に対して
72％となった。
貸付およびリース
リースを含めた貸付総額は、75億デンマーク・クローネ増加して1,925億デンマーク・クローネとなった。
この増加のうち、51億デンマーク・クローネが貸付高（純額）（分割返済額および償還金額を控除した新規
の貸付高）によるものであった。これ以外の増加は主に、貸付にかかる市場金利が全般的に低下したことに
よる価値調整に起因した。
リースがほぼ横ばいで推移する中、貸付高（純額）が増加となったのは貸付活動の活発化によるもので
あった。活動が活発化したのは主に、デンマーク政府、デンマーク地方自治体連合(KL)およびデンマーク州
連合(Danske Regioner)との間の合意により、自治体の資本支出の上限が撤廃されたことによるものであっ
た。特に、地方自治体または州の保証を受けた企業および機関への公庫による貸付高（純額）が増加した。
資金調達および投資
投資総額（信用機関への債権および証券ポートフォリオ）は、114億デンマーク・クローネ減少して2020年
末には336億デンマーク・クローネとなった。この減少は、資金調達の満期が長期化したことにより、流動性
資産による投資ポートフォリオを小さくする必要が生じたことによる。
また、このことは、資金調達（信用機関への債務および発行債券）が全体的に2019年末と比べて64億デン
マーク・クローネ減少することにもつながった。資金調達は額面価額で102億デンマーク・クローネ減少した
が、これは市場金利の低下による価値調整額の増加によって一部相殺された。資金調達残高の大部分は依然
としてユーロ、米ドルおよびデンマーク・クローネ建てである。
資産合計はわずかに減少したが、これは貸付の増加を上回る投資ポートフォリオの縮小の必要性が生じた
ためであった。
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② 貸付およびリース
概 要
公庫は、法律第383号およびその定款第２条に従い、デンマークの自治体および自治体により融資が全額保
証を受ける場合に公共的な活動の遂行を担う自治体間企業その他の企業に対し融資を提供している。2020年
12月31日現在の貸付ポートフォリオの総額は1,920億デンマーク・クローネにのぼり、そのうち80億デンマー
ク・クローネがリース債権であった。
公庫の顧客に対する貸付の満期は、資金提供を受ける活動次第で決定され（上記「(1) 設立‐② デンマー
クの自治体の構成」に記載の2013年12月17日付行政命令第1580号および2013年12月17日付行政命令第1581号
を参照）、40年を上限としている。貸付は分割払いによるかもしくは満期において返済される。利息は借主
の選択により固定金利もしくは変動金利に基づいて支払われる。公庫の事業は非営利で、一般管理費用を賄
い適正な自己資本を維持するために、資金のコストに加えてマージンのみを請求し、構成員に対する配当金
の支払いを行うことは認められていない。
また、法律第383号および定款第２条に従い、公庫は、同一の種類の借主に対して金融リース・サービスを
提供している。
リース契約により、主に業務用機器（例えば、コンピュータ機器、車両、技術的装置および医療用機器）
に資金提供がなされる。
公庫は、デンマークにおける自治体に対する最大の単独貸付機関である。公庫の貸付水準は、毎年大幅に
変化する顧客の資本支出の需要によって決まる。
120年以上にわたり、公庫はデンマークの地方自治体および州に対して、可能な限り低いコストで融資を提
供してきた。今日において、公庫は、自治体のほぼ全ての資金調達の需要を賄っている。デンマークにおけ
るプロジェクトの完成場所やその規模にかかわらず、その条件はすべての顧客に同一である。
2020年末における公庫の貸付およびリースの合計は、75億デンマーク・クローネ増加し、1,925億デンマー
ク・クローネとなった。この増加額のうち51億デンマーク・クローネは、新規の貸付高から分割返済額およ
び償還金額を控除した貸付高（純額）であった。
貸付の54％は、港湾インフラ、高齢者向け住宅、クライメイト・プルーフィング（気候変動に対する耐久
性確保）対策、医療用機器および自治体における在宅ケアサービス向けの車両のような公共目的の資金供給
のために地方自治体および州に直接付与された。
その他の貸付は、例えば、地域のスポーツセンター、劇場および学校などの公共的な事業を行う企業また
は機関に供与され、また熱供給、廃棄物および廃水の管理や飲用水生産などの公共のサービスを提供する企
業にも供与された。
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貸付およびリース業務の活発化の持続
2020年において、公庫は総額410億デンマーク・クローネにのぼる800件超の新規の貸付を実行した。
このうち、金利水準が極めて低かったことに伴い、固定金利ローンへの変動金利ローンおよびそれに伴う
金利マージンの条件変更は、100億デンマーク・クローネを占めた。
公庫は場合によりマイナス金利による変動金利ローンおよび固定金利ローンの双方を提供することができ
る。
COVID-19を受けて、政府とデンマーク地方自治体連合（KL）は春に合意に至ったが、この合意の一部とし
て地方自治体の資本支出の上限の撤廃が含まれていた。この合意の結果、貸付は約15億デンマーク・クロー
ネ増加したが、公庫はこの傾向は2021年も続くと予測している。
さらに、地方自治体および州は、16億デンマーク・クローネにのぼる2,600件超の新規リース契約を公庫と
の間で締結した。かかるリース契約は、様々な異なる種類の資産を対象としており、一般的なものとして車
両、バン、IT機器および医療用機器のリースを対象としている。
公庫によるグリーン・トランジション（グリーン転換）への支援
公庫のグリーンボンド委員会は、貸付がグリーンローンとして適格であるかを評価するために、一定の基
準を用いる。2020年において、グリーンボンド委員会は94件のローンをグリーン適格として承認し、貸付総
額は30億デンマーク・クローネ強にのぼった。承認を受けたグリーンローンの大部分が地域向け熱供給およ
び上下水道管理のプロジェクトに充当されるものであった一方、かかるローンのごく一部はエネルギー節減
策に基づくプロジェクトに向けて付与された。
2019年において、公庫はデジタル・グリーン証明書を導入したが、借主は例えば証明書をそのウェブサイ
トや発行物に掲載することで、公庫によるグリーンローンを調達したことを証明できる。286の顧客がデジタ
ル・グリーン証明書を付与されている。
公庫は、グリーン・ファンディングがローン・ポートフォリオ全体において占める割合は増加し続けると
予測している。グリーン・ファンディングは公庫の2025年戦略の戦略的優先事項であり、同戦略において公
庫はビジネスモデルのあらゆる部分に持続可能性（サステナビリティ）を取入れることを目指している。
ユーザー・フレンドリー・カスタマー・ジャーニー
公庫は顧客に利便性を与えることを目標としている。これに基づき、2025年戦略の戦略的優先事項の一つ
は優れた顧客体験に関するものとなっている。ストレート・スルー・プロセッシング（STP）アプローチに基
づき、公庫はシステムサポートを提供し、それによって、貸付とリースの契約の手続きを簡便かつ使いやす
いものにするため、ライフサイクル全体のプロセスを自動化することを目指している。カスタマー・ジャー
ニーのデジタル化は今後数年にわたって完成される予定である。
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以下の表は、2020年12月31日終了年度までの５年間の公庫の活動について示したものである。
税引前
12 月31日時点 新規貸付 貸付残高 持分
当期利益
（単位：百万デンマーク・クローネ）
2016 年度 8,998 168,589 639 6,844
2017 年度 5,022 173,580 628 7,333
2018 年度 3,554 177,454 541 7,736
2019 年度 2,427 184,965 596 8,179
2020 年度 5,057 192,457 278 8,397
公益への貢献
責任と公益への貢献は、公庫のビジネスモデルの本質的な要素であり、そのため公庫は、国連の「持続可
能な開発のための2030アジェンダ」および17の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援することを当然のこと
としてコミットしている。
2020年には、SDGsについて公庫の貸付の目的に照らしたハイレベル・マッピングを実施し、公庫の貸付が
様々なSDGsの支援となっていることが実証されている。
公庫の構成員の連帯責任、自治体との密接な関係およびビジネスモデルの非営利性のために、公庫は、社
会の持続可能な発展を支援し、プラスの効果を生み出すために、特に好ましい前提条件を備えている。
公庫の貸付業務とSDGs
教育施設の建設と改修への資金提供により、全ての者に包摂的かつ効果的な
学習環境を提供することに貢献する。
水供給施設および配水ならびに排水施設および下水処理への資金提供によ
り、安全な飲料水へのアクセス提供、持続可能な水の管理の確保および水質
汚染の削減に貢献する。
地域向け熱供給プラントおよび熱配給に加え、ソーラーコレクター・システ
ム（太陽熱集熱器）ならびにバイオマス・プラントおよびバイオガス・プラ
ントへの資金提供により、安価で信頼性の高い近代的エネルギーへのアクセ
スを確保し、再生可能エネルギーの割合を高めることに貢献する。
港湾インフラや公共輸送機関への資金提供により、持続可能で強靭（レジリ
エント）なインフラの開発と経済発展の支援に貢献する一方、IT機器への資
金提供により、情報通信技術へのアクセス向上に貢献する。
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公共輸送機関、廃棄物収集、緊急事態への備えに加えて、難民や高齢者のた
めの住宅への資金提供により、包摂的、安全、強靭かつ持続可能な都市づく
りに貢献する。
リサイクルセンターやグリーン・ビルディングへの資金提供により、廃棄物
の発生を抑え、天然資源の効率的な利用に貢献する。
省エネ対策、クライメイト・プルーフィング（気候変動に対する耐久性確
保）および海岸保全への資金提供により、気候変動への対策に貢献すると同
時に、気候関連の災害および自然災害に対する強靭性（レジリエンス）を強
化する。
③ 資金調達
公庫のデンマークでの調達資金源の一つとして、デンマークの資本市場で発行され、ナスダック（コペン
ハーゲン）に上場される債券がある。通常、かかる発行の範囲は、公庫の顧客の需要に合致する資金調達を
行えるように追加のトランシュが発行できるように設定される。さまざまなシリーズの債券は、多様な満期
および金利にわたる。
また、公庫は長年にわたりデンマーク国外における資金調達を行っており、多数のユーロ・ミディアム・
ターム・ノート（EMTN）の発行および私募により公庫は国際資本市場における地位を発展させ、強化してき
た。
資金調達の目的で、公庫はEMTNプログラム、オーストラリア債券発行プログラムおよびユーロ・コマー
シャル・ペーパー（ECP）プログラムを設定している。自治体は最終的にデンマーク・クローネまたはユーロ
のみ受取ることが認められている。公庫が直接再貸付できる通貨以外の通貨で資金調達が行われた場合、公
庫は要求される通貨により資金を借主に提供するためスワップを利用する。公庫は、スワップの相手方を選
ぶ際の厳格なガイドラインを持っている。
公庫は、即座に再貸付することがなくても資金を調達すること（ミスマッチ）を監督機関により認められ
ている。ミスマッチの限度額は、直近の四半期の帳簿価額による貸付総額の25％を上限として設定されてい
る。
公庫はエクイティ・リンク債および為替連動債の売出しを日本において行ったことがある。
COVID-19が資本市場に影響を及ぼし、年初に価格変動が生じたが、2020年を通して公庫の資金調達に困難
は生じなかった。公庫の資金調達戦略は、バランスシートの最適化を積極的に支えており、とりわけ、顧客
の借入ニーズを金融市場における過度なストレス状況（エクストリーム・ストレス）が長期化した場合でも
常に支援する公庫の意欲を支えている。
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当年度のCOVID-19の渦中での安定した資金調達
公庫の資金調達戦略は、貸付、資金調達、ヘッジおよび投資の最適なマッチングを確保するために用いる
手段であり、これにより公庫のバランスシート構成の堅実かつ安定した管理が支えられている。
AaaおよびAAA格付の発行体として、公庫は、幅広い多様な投資家基盤を確実に維持するため、複数の市場
において債券発行を多様化する戦略を推進している。2020年に、発行において最も大きな割合を占めた通貨
は、これまでと同じようにユーロ、米ドルおよびデンマーク・クローネであった。
近年、公庫の顧客は長期の固定金利ローンを選択するケースが増えている。その結果、2020年において、
資金調達の満期も長期化した。2020年に満期が長期化したものにはかなりの数の小規模な発行債券が含まれ
たが、その満期の期間は比較的多様であった。2020年には2019年より発行件数が増加した一方、発行総額は
2019年に比べ減少した。
2020年春において、市場価格は短期的に満足のいくものではなかったものの、公庫はその資金調達戦略か
ら逸脱することなく、年間を通して必要とされた満期で資金を調達した。年間を通して全般的に、既存の発
行形式の債券募集による資金調達の割合が相対的にみて大きかった。また、貸付と資金調達の満期のマッチ
ングを支えるため、とりわけ、長期の私募債の発行を再開した。
2020年8月末において、公庫は５億ユーロのグリーンボンドを発行した。かかる債券の期間は20年で、国際
資本市場協会（ICMA）のグリーンボンド原則に従って発行された。かかるグリーンボンドは特にグリーン関
連またはESG（環境・社会・ガバナンス）プロファイルを持つ投資家からの関心を引き寄せ、それらからの申
込みが70％強を占めた。これは公庫の４度目のグリーンボンド発行にあたった。2017年以降、公庫は総額171
億デンマーク・クローネのグリーンボンドを発行してきた。
過年度と同じく、公庫は、地方自治体所有の居住型の介護施設および高齢者用住宅向けの補助金付き調整
金利ローンの資金を賄うために債券を発行した。2020年において、これらの総発行額は73億デンマーク・ク
ローネに達し、政府は補助金を受けた住宅への資金供給のために再度債券を買取った。デンマーク国家はこ
れらの債券を買取る戦略を維持しているため、近い将来に満期が訪れる債券の借換えリスクに公庫は晒され
ない。
短期の流動性需要を満たすため、2020年において、公庫は満期が12か月未満のコマーシャル・ペーパー
（ECP）を発行し、その合計額は145億デンマーク・クローネにのぼった。
2020年において、公庫は総額432億デンマーク・クローネの証券を発行し、発行債券の総額は1,998億デン
マーク・クローネにのぼった。
買戻しによる満期構成の積極的管理への支援
バランスシートの最適化を図る取組みの一環として、公庫はバランスシートの満期構成を積極的に管理す
る買戻しの戦略をとっている。これは、多額の資金調達における償還に関連する借換えリスクを軽減する助
けとなっている。
2020年において、公庫は既存債券の同時買戻しオプション付きの米ドル建債券を新たに１件発行した。
2020年において、公庫は総額で２億4,300万米ドルの買戻しを行った。
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2021年の資金調達計画
公庫は、期間が12か月を超える新規の資金調達需要が360億デンマーク・クローネになると見込んでいる。
これは2020年に比べてわずかに増加しているが、主に今後の資金調達における償還に対応するための戦略に
よるものである。公庫の資金調達戦略に沿って、2021年においても、様々な市場において債券発行を多様化
させ、それにより資金調達源の利用の最適化を図り、一方で広範かつ十分に多様化された投資家基盤を確保
し続けていく。
2021年において、公庫は３件から５件の公募発行を予定しており、ユーロ、米ドルおよびデンマーク・ク
ローネ市場において引き続き活動を行う。同時に公庫は、顧客が引き続きその貸付についてより長期の借換
期間を求めると予想しており、そのため中長期の満期を有する発行に注力していく。公庫は今後も特定の長
期的な満期に対するニーズを満たすための手段として、私募債を利用する。
2021年も公庫の短期の流動性需要を賄うために、コマーシャル・ペーパー（ECP）を発行する予定である。
投資家のグリーン債券発行への投資家の関心が引き続き高まっていることから、公庫は、対応するグリー
ンローンのポートフォリオの動向に応じて、2021年において少なくとも１件の新たなグリーンボンドを発行
する予定である。
④ 流動性資金
公庫は、監督機関により、貸付総額の25％を上限として（貸付総額を上回る）追加的な資金を調達するこ
とが認められている。かかる資金調達は公庫の流動性資金に組入れられる。公庫の流動性資金および持分に
より総流動性資金は構成されており、公庫はかかる資金を非常に高い信用の質を有する債券に定期的に投資
している。
投資の構成は、今年度を通じて若干の調整がなされたが、大幅な変更には至らなかった。過年度と同様
に、2020年には、公庫は流動性資金の大部分をAAAおよびAA-の信用格付を有する政府債券および抵当証券に
投資した。公庫は投資を多くの異なる発行体に分散し、また、そのほとんどは短期の満期を有するものに対
して行っている。ポートフォリオの45％が2021年において満期を迎える。
公庫は総流動性資金、さらには投資ポートフォリオを定期的に調整する。これは、総流動性資金を適用可
能な範囲内で調整し、同時にリターンとバランスシートの構成を最適化することを目的としている。総流動
性資金は、2019年末における450億デンマーク・クローネから2020年末には340億デンマーク・クローネに減
少した。
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⑤ 信用格付
公庫は、国際的な格付会社であるムーディーズ・インベスターズ・サービスからAaaおよびスタンダード・
アンド・プアーズからAAAの最高格付を取得している。これはデンマーク王国に付与された信用格付と同位で
ある。
格付会社の評価は以下に基づく。
・ 強固な資本基盤
・ 信用力の高い借主および質の高い資産
・ 非常に堅固な市場における地位
・ 公庫の構成員の連帯責任
高い信用格付の背景となったその他要因には、デンマークの地方自治体および州に対する融資の主要な提
供者として公庫が経済において果たす重要な役割がある。
⑥ 公庫の価値、戦略および責任
価 値
公庫の価値は、以下のように定義されている。
優れた技能 「公庫は、公庫の顧客のための価値を創出するために、専門的な技能および専門家の知見
を採用することに長けている。公庫は、パートナーおよび顧客から公庫が技能および専門
性に優れた協議相手として認識されるよう、進歩に遅れをとることなく引き続き技能を向
上させていく。」
課題解決志向 「公庫は、効率的にプロセスを進めて目標に到達することに長けている。公庫は、意図し
た効果をあげない場合、方法や解決策を改変することを厭わない。公庫は、総体的なアプ
ローチをとり、また可能なところでは簡素化に努める。」
責 任 「公庫は、任務をやり遂げ、長期的に思考して顧客のことを考える。公庫は、公庫の行為
の正当性を常に主張できるべきであり、また可能な限り透明性の高い方法で物事を進める
よう努めるべきである。」
包 摂 性 「公庫は、顧客およびビジネスパートナーの利益となるよう、互いに最善を求め、また同
僚から最善を引き出すことを求めている。公庫は変化を受け容れ、またお互いの知見を組
み入れて全体を形成することに長けている。公庫は、決定が下された場合はその決定を尊
重し、いったん道筋が定められればそれに従いそれを支持する。」
かかる価値は、公庫の強みおよびカルチャーを反映しつつ、公庫の使命、ビジョンおよび戦略を支援する
ために執行役員および従業員が示すべき行動に焦点を当てている。
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2025年戦略
公庫のビジョンに沿って、公庫は、市場における公庫の地位を将来的にも確立するための発展の方向性を
描く、優劣のない６つの戦略的優先事項を策定した。
６つの戦略的優先事項のうち、「優れた顧客体験」、「堅実で安定した市場プレーヤー」、「シンプルで
堅固なIT基盤」および「透明性と確かなレピュテーション」の４つは事業に直結している。
戦略的優先事項の「持続可能性のビジネスモデルへの取入れ」では、組織全体で集中的に持続可能性に取
り組む。他方、従業員、中核的価値およびカルチャーの育成に重点を置いた優先事項である「専門性」は、
戦略プロセスを成功させるための前提条件である。
公庫の戦略的方向性
公庫の新しい2025年戦略は、公庫の変革の継続および責任への取り組みについて方向性を定めている。
2020年後半に導入された公庫の2025年戦略は、地域におけるインフラおよび持続可能な転換への投資に対
して最低限のコストで資金を供給する、公的所有で安定した利用しやすいサステナブルな金融機関としての
将来性を公庫に与えるよう設定されている。2025年戦略の６つの優先事項の１つには「持続可能性のビジネ
スモデルへの取入れ」があり、公庫は、強固な環境・社会・ガバナンス（ESG）プロファイルを組織全体に定
着させることを目指している。公庫は、公庫の使命、公庫の従来戦略および近年達成した成果、ならびに
2020年初頭に開始した変革プログラムに基づいて戦略を策定した。プログラムは戦略を支えるものであり、
プログラムの達成手段の１つではサステナブル・ファイナンスに重点が置かれている。かかるサステナブ
ル・ファイナンスによる達成手段を通じて、公庫は、他の取組みの中でも特に、貸付ポートフォリオ全体に
占めるグリーンローンの割合を増加させることを目指している。
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公庫は、デンマーク社会のグリーン転換（グリーン・トランジション）において重要な役割を果たしてい
く所存である。グリーンボンドの発行は、公庫の最重点の取組みの１つであるが、公庫はソーシャルボンド
やサステナブルボンドなど別種のサステナブル・ファイナンスも含めて将来のビジョンを描いている。
公庫の責任の重点
責任は、公庫の４つの中核的価値の１つであり、2018年以降、公庫は、方針および重点分野の選定を通じ
て責任に対するアプローチの形成および充実をさらに進めた。公庫の「責任の指針」は、従業員および活動
のガイドラインとして機能する。また、公庫の「行動規範」には、公庫内での従業員相互の接し方およびビ
ジネスパートナーへの対外的な振舞いについてのガイドラインが記載されている。
2018年以降、公庫は、重要性評価から導かれた３つの責任分野に重点的に取り組んできた。主要な利害関
係者から様々な責任の題材についてそれらの重要性を聞き取り、公庫は、責任あるガバナンス、責任ある資
金調達、および責任ある内部オペレーションに重点を置くことにした。各重点分野について、公庫は毎年目
標を設定し、組織の様々な部署が所管する関連ある活動を定め、その進捗状況を報告する。重点分野は、公
庫の新戦略および変革プログラムにおける達成手段であるサステナブル・ファイナンスを支えるものであ
る。公庫は３つの重点分野のいずれにおいても順調に前進したが、周知のとおり2020年は異例の年であり、
多くの点で当年は将来に向けた公庫の取組みに関して指標性を持たない。
SDGとのリンケージ
2019年に公庫は、３つの重点分野にわたって17のSDGsへの貢献の評価を開始し、2020年も引き続きこれに
取り組んだ。目標設定プロセスの一環として、公庫は評価を見直し、公庫の活動に関連するSDG目標を改定し
た。また、2020年に公庫は、2021年に向けた目標と活動を通じた公庫の支援の照準をどのSDGのターゲットに
当てるかについて評価し、貸付目的全般に上位の評価を与えた。これらの評価は、北欧公債発行体団体
（Nordic Public Sector Issuers）の2020年グリーンボンド影響評価報告の方針文書および国際資本市場協
会（ICMA）の「グリーンボンド、ソーシャルボンドおよびサステナビリティ・ボンド：持続可能な開発目標
に照らしたハイレベル・マッピング」2020年版で報告された。
自ずと、公庫のSDGsへの主な貢献は、中核的な活動である貸付を通じたものとなる。したがって、公庫が
社会に最大のプラスの影響を与えることができるのは、３つの重点分野の中でも特にグリーン・ファイナン
スを含む「責任ある資金調達」である。組織の規模に鑑み、重点分野の「責任あるガバナンス」および「責
任ある内部オペレーション」に関して公庫がSDGsに与える影響は相対的に小さい。しかし公庫の取組みは、
2025年に向けた公庫の構想を実現するため、およびサステナブル・ファイナンスにおける公庫の信頼性に
とって、重要である。
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重点分野：「責任あるガバナンス」
公庫は引き続き、優れたガバナンスと企業倫理を培い、透明性を向上させる。
2020年に公庫は「変革プログラム」に責任の観点を取り入れてESG構想を充実させ、同時に優れたガバナン
ス、マネジメントおよび責任ある調達活動も推進し、また内部統制を強化した。COVID-19のパンデミックで
いくつかの活動に遅れが生じたが、重点分野である「責任あるガバナンス」の全ての目標および活動は達成
された。継続的な手当てとして、公庫の2021年の展望では優れたコーポレート・ガバナンスや持続可能なビ
ジネスの開発と経営をさらに推進すること、およびESGプロファイルを強化することが中心に据えられてい
る。
公庫のESG構想
2020年の主な活動の一つは、公庫の2025年戦略に定める将来のESG構想を充実させることであった。持続可
能性を公庫のビジネスモデルに取入れる戦略的優先事項において責任へのアプローチをさらに重点化し、公
庫全体にわたって強固なESGプロファイルを定着させたいと公庫は考えている。公庫は、主要なESG格付機関
による公庫のESG格付けで上位４分の１に入ることを目指しており、また最低限のコストで資金を供給するこ
とを通じて地方自治体や州の持続可能性構想を支援していく所存である。可能な場合は、関連する規制およ
び基準が認める範囲でサステナブル・ファイナンスを提供することによって、これを実施することを目指し
ている。公庫は今後、システム面での支援も強化していく。
ESG 格付け
2020年、公庫は２年連続でInstitutional Shareholder Services（ISS）ESGからESG格付けにおいてベスト
インクラスの評価を受け、業界内において「プライム」に分類された。企業は、「ESGコーポレート・レー
ティング」においてISS ESGが特定の産業に対して定めた持続可能性のパフォーマンス要件を達成または上
回っている場合に「プライム」に分類される。ISS ESG格付けの評価尺度はD-からA+までの段階がある。2018
年以来、公庫の格付けは、当初のD+から2019年にCに、続いて2020年にCからC+に引き上げられた。
経営および組織
公庫の経営全般は理事会が担っており、理事会は公庫の方針、戦略およびレスポンシビリティ・レポート
を含む一連の年次報告の承認を行う。理事会の構成員は全部で10名であり、そのうち６名は地方自治体か
ら、２名は州から選出され、２名は独立した構成員である。2020年６月以降、理事会に占める女性の割合は
20％となっている。
日常の運営は２名の構成員からなる経営委員会が行う。公庫の経営陣チームは、経営委員会、各部門の責
任者および各チームの責任者を務める16名のメンバーからなる。当年度末時点での女性の割合は37.5％で
あった。
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公庫は、貸付・リース、トレジャリー、リスク・バランス、財務、事業開発・戦略、法務、情報技術の７
つの部門で組織されている。公庫の責任に向けた取組みは、サステナブル・ファイナンスの責任者が主導す
るが、その目標と活動は組織全体にわたって経営陣チームの構成員と従業員により認知され、実行される。
従業員に占める女性の割合は、年度末において41.1％であった。
企業倫理とカルチャー
優れたガバナンスと倫理的なビジネス・コンダクト（企業行動）は、公庫のコーポレート・カルチャーの
基本的な側面をなす。あらゆるレベルにおけるリーダーは模範を示す必要があり、公庫の責任の指針と行動
規範がその責任範囲内にある従業員に確実に周知されるよう、個々のリーダーが責任を負う。2019年には新
しい経営理念を導入し、2020年には経営陣チームを対象に、チェンジマネジメントや戦略的リーダーシップ
などのテーマに取り組むリーダーシップ研修プログラムを実施した。
公庫は、あらゆる形態の贈収賄や汚職に対して一切の寛容を持たず（ゼロ・トレランス）、贈り物の授受
に関する一連の規則を定め、従業員ハンドブックに記載している。従業員は、特定の状況下での行動の仕方
が不明な場合には、公庫内部のガイドラインや手順、または直属の上司に詳しい指導を求めることができ
る。また、内部の規則やガイドラインに違反の可能性や重大な違反に関する情報を匿名で報告できる内部通
報の方針と制度を設けている。
責任ある調達慣行
公庫は、持続可能なサプライチェーンを積極的に育成しており、また公庫にとって責任あるビジネス行動
が重要であることを潜在的サプライヤーに周知している。公庫は、サプライヤーに関する内部ガイドライン
を一新し、公庫の全ての調達プロセスにおける持続可能性と責任に関して基本理念を策定した。公庫は、契
約締結前にサプライヤーから、持続可能性と責任への真のコミットメントを示すことを求めている。
2020年のガイドライン適用事例として、施設管理サプライヤーの選定に関するものがある。入念な調査と
緊密な対話に基づき、公庫とサプライヤーが共同関与アプローチに合意し、これにより両当事者は特に、相
手方当事者の求めに応じて対象サービスに関するサステナビリティ報告書およびESGのデータを提出する義務
を負う。
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SDGs リンケージ
調達慣行などに持続可能な慣行を採り入れ、また、持続可能性に関する情報を報
告慣行に組み込むことで、SDG12を支援する。
良質なコーポレート・ガバナンスと優れた経営慣行を推進することで、SDG16を
支援する。
重点分野：責任ある資金調達
公庫は、グリーン・ファイナンスに関する取組みを強化し、社会のグリーン・トランジションを引き続き
支援する。
公庫の重点分野の「責任ある資金調達」は、グリーンローンやグリーンボンドを含むグリーン・ファイナ
ンスを顧客および投資家にそれぞれ提供する公庫の取組みに関連する。グリーンボンド・フレームワークや
グリーンボンド影響評価報告手法の改定など、いくつか途上の活動があるものの、2020年に公庫は「責任あ
る資金調達」の目標に向けて順調に前進した。これらは2021年の展望の構成要素にもなっており、同展望で
は新たな2025年戦略に沿ってグリーンローン・ポートフォリオのさらなる向上および拡大ならびにグリー
ン・ファイナンスの推進に重点が置かれている。
グリーンローン
グリーンローンが供与されるためには、公庫のグリーンボンド委員会から融資の承認を受けなければなら
ない。2017年から2020年末にかけて、公庫のグリーンボンド委員会は額にして224億デンマーク・クローネの
合計504件のグリーンローンを承認した。このうち、94件のローンが2020年に承認され、そのプロジェクト総
費用額は30億デンマーク・クローネを超えた。
2020年は、グリーンローンの大半を占める地域向け熱供給および上下水道管理プロジェクトへの融資プロ
ジェクトのために承認されたグリーンローン額が前年比で微増した。公共輸送機関に対するグリーンローン
は微減し、2020年中のエネルギー効率分野に対するグリーンローンは僅少であった。
公庫は、ESG構想に定めるとおり、地方自治体や州のサステナビリティ・トランジション（持続可能性への
転換）を支援したいと考えており、2021年にはグリーンローンの割合を最大限増やすことを目指している。
2020年に公庫はまた、公庫のSDGマッピングを再検討し、公庫がグリーン貸付の分野を通じてどのSDGを支援
していくかについて評価した。
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グリーンボンドのフレームワークおよび発行
公庫は、グリーンボンドを発行して公庫のグリーンローンの資金を賄っている。これにより、世界中のグ
リーン投資家がデンマークの地方のグリーン・プロジェクトに投資できるようになっている。サステナブ
ル・ファイナンスは国際資本市場で急速に発展している分野であり、公庫はさらなる強化に注力している。
公庫のグリーンボンド・フレームワークに基づく適格グリーンローンは現在、水道管理、地域向け熱供給、
エネルギー効率化、クリーン公共輸送機関に分類されている。このフレームワークは、国際資本市場協会
（ICMA）のグリーンボンド原則（2016年版）に沿っている。公庫は定期的にグリーンボンドを発行している
が、公庫初のグリーンボンドは2017年に発行された。それ以後は毎年発行しており、2020年８月には第4回グ
リーンボンドを発行した。公庫はまた、2020年に4,000万豪ドルのグリーン私募を実施した。
2020年には「グリーンボンド・フレームワーク」の改訂を開始し、この作業の完了は2021年の目標となっ
ている。 公庫は、新しいグリーンボンド・フレームワークが可能な限り多くのプロジェクト分野を包含する
と同時に、ベスト・プラクティスを範とし、時とともに進展する新しいグリーン・ファイナンス基準と整合
的となるよう努める。 ICMAの最新のグリーンボンド原則（2018年）、ならびに成立予定のEUグリーンボンド
基準（EU GBS）および気候変動の緩和と適応に関するEUタクソノミの他、多くの後発の新たな基準およびガ
イドラインが、市場の発展を形成しつつあり、公庫はこれを注視している。
グリーンボンドの影響
公庫が資金を供給するプロジェクトの影響を継続的に投資家その他のパートナーに周知するために、公庫
は毎年、グリーンボンド影響評価報告書を発行している。この報告書では、公庫のグリーンボンドへのアプ
ローチを紹介し、公庫のグリーンボンドを原資とするデンマーク全域でのプロジェクトによって達成された
グリーンな影響を記載している。2020年６月に公庫は、2019年末までのグリーンボンドの影響を記載した報
告書を発行した。同報告書は、130億デンマーク・クローネのグリーンボンドの発行を裏付けに承認された
200億デンマーク・クローネ相当の407件のグリーンローンに触れている。
2020年に公庫は、グリーンボンド・フレームワークの改定に関連して見直した関連するガイドラインおよ
び基準に従い、グリーンボンド影響評価報告手法の改訂を始めた。公庫の2021年の目標は、影響評価の手法
の改定を完了することである。
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SDGs リンケージ
水や衛生の利用可能性と持続可能な管理の確保に貢献する、水供給施設およ
び配水や排水施設および下水道処理向けにグリーンローンを提供することに
より、SDG6を支援する。
安価で信頼性が高い持続可能な近代的エネルギーへのアクセスの確保に貢献
する低炭素エネルギーや再生可能エネルギーの供給プラントと配給向けにグ
リーンローンを提供することで、SDG7を支援する。
持続可能で強靭なインフラの開発および経済発展の支援に貢献するインフラ
向けにグリーンローンを提供することにより、SDG9を支援する。
包摂的、安全、強靭かつ持続可能な都市づくりに貢献する公共輸送機関向け
のグリーンローンを提供することで、SDG11を支援する。
気候変動対策や気候変動レジリエンスの強化に貢献する省エネ対策とクライ
メイト・プルーフィング（気候変動に対する耐久性確保）向けにグリーン
ローンを提供するとともに、気候変動対策に対する社会の認識を高めるグ
リーン・ファイナンスを推進することで、SDG13を支援する。
重点分野:責任ある内部オペレーション
公庫は、常に環境負荷の極小化および従業員の健康と福利の増進に努めている。
もちろん、COVID-19のパンデミックは公庫の組織および日々のオペレーションに影響を及ぼしており、
2020年３月のデンマークで初のロックダウン以降、多く従業員が自宅でリモート勤務を行っている。ビジネ
スと開発プロジェクトの運営を継続するためには個人およびとチームの両レベルでの献身的な取組みが必要
であり、組織として何を実現できるかを示す年であった。2020年に公庫は組織を拡大し、平均正規従業員数
が76人から82人となり、困難な年であるにもかかわらず、重点分野の「責任ある内部オペレーション」の目
標および活動すべてについて前進することができた。持続可能なITの要求確定および処分に関する実務の形
成という目標については、活動が2021年に持ち越されている。
当年は、IT機器を処分し、階段や廊下エリアの全光源をLED化し、社員食堂で菜食オプションを提供するに
当たり、また持続可能性への配慮を公庫の出張方針に取り入れ、従業員の持続可能性啓蒙イベントを開催す
ることにより、社会的・環境的な活動を実践した。公庫はまた、個人の能力開発プランを改善するために、
経営陣および従業員向けの新しい発想に基づく年次パフォーマンス・レビューを導入した。
公庫は、2021年の展望において、環境フットプリントの低減ならびに従業員の健康および福利の増進に引
き続き重点を置いている。
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SDGs リンケージ
安全で安心な職場環境を確保し、従業員の健康と福利を支援することによ
り、SDG8を支援する。
天然資源の利用を最適化し、廃棄物を削減するとともに、事業活動および日
常業務に関連する持続可能性の問題を従業員に認識させることにより、
SDG12を支援する。
エネルギー消費量や出張を削減するとともに、従業員の気候変動対策に対す
る意識を高めることにより、SDG13を支援する。
⑦ コーポレート・ガバナンス
公庫は事業体として組織されており、コーポレート・ガバナンスは公庫の構成員および投資家双方の利益
となる責任ある効率的な管理と定義されている。
法的根拠
公庫は1898年３月19日付法律第35号により設立され、同法律は、2006年５月3日付法律第383号「デンマー
クの地方自治体および州のための信用機関に関する法律」に置き換えられた。法律第383号および公庫の定款
は、www.kommunekredit.comで閲覧できる。
管理構成
公庫の主要な活動分野における理事会と経営委員会の間の責任の配分は、方針として定められている。
理事会は、公庫の事業および業務の全体かつ戦略的な管理を担い、公庫の事業の健全な体制を確保しなけ
ればならない。理事会は、公庫のリスク許容度およびリスク方針ならびに資本および流動性目標を決定す
る。年に１度、理事会はその責任の履行に関連する事項に関して見解を示す。
経営委員会は、公庫に関する法律第383号および公庫の定款、理事会により定められた方針および指針、理
事会によるその他の指示ならびに他の法令に従い、公庫の日常の運営に責任を負う。
理事会は経営委員会に権限を委任する。ただし、理事会は、経営委員会に対し、理事会の全般的な管理任
務に属する権限、通常とは異なる性質の権限または公庫にとって重要な権限を委任することはできない。
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理事会
理事会は10名で構成されている。そのうち６名は地方自治体、２名は州により選出され、２名が独立の構
成員で理事会により選出され、会計、監査、金融またはリスク管理のスキルを有する。
理事会の構成員は、１期４年を任期として選出される。州および地方自治体の議会の選挙に適用される任
期に対して、理事会に適用される任期は５か月遅れとなる。2018年６月１日から2022年５月31日までの任期
についての公庫の理事選挙は、2018年春に行われた。ただし、理事会の独立の構成員の２名のうち１名の任
期は、他の理事会構成員より２年遅れとなっている。
理事会は少なくとも年４回の定例会合を開き、その職務は重要な事業分野の全てを含めた年間日程表に従
う。2020年に、理事会は３月、６月、９月および12月に会合を開いた。少なくとも理事の半数が出席して投
票に参加する場合に定足数が満たされる。通常、経営委員会は理事会の会合に参加するが、理事会の一員で
はない。理事会はその業務および理事会と経営委員会との間の連携について年次評価を行う。
監査委員会
2020年９月、監査委員会に関するデンマーク商務庁の指針に従い、理事会は、小規模な監査委員会の設置
を決定した。これに対し、これまでは監査委員会の任務は理事会構成員全体が遂行していた。監査委員会は
２名の独立の理事会構成員を構成員とし、そのうち１名が委員会の議長を務め、もう１名の委員会メンバー
は理事会構成員が務める。理事会は、監査委員会の業務についての付託条項を承認した。2020年において監
査委員会の会合は３回行われ、そのうち１回は新体制の下で行われた。
監査委員会は、少なくとも年に１回、経営委員会やその他の公庫の従業員が参加しない状態で、独立監査
人との会合を行っている。
経営委員会
最高経営責任者は、公庫の日常の運営を担う。貸付、リース契約、資金調達、金融商品の利用および投資
に関する決定は経営委員会の意見の一致が必要であるため、最高経営責任者は最大限可能な限りもう１名の
経営委員会の構成員と協力してその職務を遂行しなければならない。経営委員会において上記の分野の事項
に関して意見の不一致があった場合には、理事会がかかる事項に関して最終決定を下す。
経営委員会は、公庫の業務における全ての重大な変更を理事会に報告し、公庫の業務によってもたらされ
た全ての重要な事象について理事会に報告する。経営委員会は、理事会がその管理義務を果たすことができ
るよう、公庫の進展について理事会に最新の情報を提供するために会計、財務およびリスク関連の情報を理
事会に提供する。理事会の各会合において、経営委員会は、財務およびオペレーショナル・リスク管理に関
する理事会の指針の遵守について報告する。
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リスク管理およびコンプライアンス
理事会は、公庫が内部統制環境を備えなければならない旨の決定を下しており、それにあたり関連がある
程度において銀行等の管理および統制に関する行政命令に従う。このことによって、公庫の財務リスクおよ
びオペレーショナル・リスク管理に対する機能ならびにコンプライアンス機能が強化されている。これらの
機能は独立しており、適切に運営がなされている金融機関に対する規範や基準に準拠したガバナンスおよび
リスク管理のための枠組みを公庫において提供することを目的としている。
部門長および従業員
７名の部門長、それぞれの部門内に所属するチームの長および個々の従業員に対して意思決定権限を委譲
する取組みがなされている。
2020年における公庫の平均正規従業員数は82名であった。公庫は、外部の需要に応えることができるよ
う、従業員の専門的および個人的な能力の開発に対して高い優先度を与えている。また、業務の安定性を維
持するため、知識の共有および職務機能の重複についても高い優先度が与えられている。
監督機関
公庫は商務・金融省による監督を受けている。商務・金融省は、公庫に関する法律第383号に従い継続的な
監督を実施する任務をデンマーク金融監督庁に委任している。公庫に関する法律第383号に従い、監督機関は
監査役１名を任命しなければならない。商務・金融省は、Thorkil Juul（旧国家社会福祉サービス不服審査
委員会委員長）を監査役として任命し、同氏は、とりわけ、公庫の貸付が、自治体の借入に関して適用ある
規則やデンマークの法令に規定された公庫の顧客グループの区分に従っているかについて監督する。
職務の分離に関する契約が商務・金融省より任命された監査役と理事会により任命された国家資格を有す
る公認会計士との間で締結されている。
報 酬
公庫の報酬に関する方針は理事会により定められる。公庫の従業員は労働協約の適用を受けない。
賞与制度が導入されておりが、経営委員会を除く全ての従業員が対象となっている。経営委員会は、その
部門の給与と、年度中の努力と実績の評価に基づいて、合計賞与額を各部門に配分する。通常、正規従業員
の賞与は、１万デンマーク・クローネから当該従業員の月給（年金額を控除する。）の範囲内となる。
従業員構成
公庫は、従業員がジェンダー、民族および年齢にかかわらず、キャリアを形成する平等な機会を持てるカ
ルチャーを備えることを重視している。
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⑧ リスク管理
公庫は、常にデンマークの自治体と投資家を確実かつ安定的に結び付ける存在でなければならない。
公庫は多くのリスクにさらされているが、いかなる時も公庫の低いリスク許容度と合致するように、これ
らのリスクを定期的に特定、制御および軽減している。
公庫の財務リスクの管理については、リスク許容度の決定も含めて、理事会が全体的な責任を負う。公庫
の監督機関である商務・金融省は、理事会が採択したガイドラインを変更するよう理事会に命じる権限を与
えられている。
低い水準のリスク許容度
公庫は、顧客と投資家を確実かつ安定的に結び付ける存在でなければならず、構成員に対して配当を支払
うことはできない。したがって公庫のリスク許容度は低めに設定されており、公庫の使命を達成するために
不可欠である財務リスクに限定されている。デンマークの自治体は公庫の債務に対して連帯して責任を負う
ため、公庫が引き受けるリスクは最終的に自治体のリスクともなる。
公庫は、さまざまな通貨建てで資金調達を行っており、これらの資金はデンマークの地方自治体および州
のプロジェクトに対して再貸付されている。これは、公庫の再貸付を行う者としての役割において、顧客が
望む貸付プロファイルにあわせて公庫がその資金調達を計画することを意味する。
低水準の市場リスク
公庫は、デリバティブを利用して、全ての調達資金を貸付および総流動性資金に応じて必要な通貨プロ
ファイルおよび金利プロファイルに変換する。
公庫は、公庫の市場リスクを低水準に保つために、金利および通貨のエクスポージャーをヘッジする。市
場リスクが低いことにより、市場価格の変動による損失リスクが抑えられる。
低水準の信用リスク
公庫は、総流動性資金が債券に投資される際に投資の取引相手に関して、また、公庫がデリバティブ契約
を締結している金融取引相手に関して信用リスクにさらされている。投資の取引相手に関する信用リスク
は、取引相手の種類および取引相手の格付の双方の面において、信用の質の高さに対する要件により抑えら
れている。金融取引相手に関する信用リスクは、同様に信用の質の高さに対する要件より抑えられている。
さらに、公庫は、担保契約を締結した金融取引相手とのみデリバティブの取引を実施することができる。
公庫は、デンマークの自治体にのみに貸付またはリースを付与する。また、これらの自治体による全額保
証がある場合にも貸付が付与される。デンマークの自治体は、内務住宅省による厳格な規制および厳重な監
督を受ける。公庫による貸付およびリースは、高い安全性に特徴づけられている。120年以上の歴史の中で、
公庫は一度も融資またはリースを償却したことはない。
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低水準の流動性リスク
流動性リスクを抑えるために、流動性資金の貸付に関する拘束力のあるコミットメントは、少なくともこ
れに対応する持分があるか、または拘束力のある資金調達コミットメントが最低限それに対応した満期によ
り実行されていない限り、締結することができない。これにより、公庫の貸付はコミットメントの期間にわ
たり資金調達源が確保される。
公庫の総流動性資金は、高い信用力を持つ流動性の高い債券（HQLA（適格流動資産））で構成される。
理事会は、公庫が金融市場での長期間のエクストリーム・ストレス状況をカバーできる総流動性資金を保
有しなければならない旨を決定した。公庫は、これを補完するものとして、流動性が逼迫した場合に活用で
きる流動性資金についての緊急時対応プランを作成した。
さらに理事会は、資本要件規則（CRR/CRD IV）に従って算出される流動性カバレッジ比率（LCR）および安
定調達比率に関する公庫のガイドラインを定めた。
流動性リスクが低いことにより、公庫が金融上の債務をいかなる時でも返済できるよう確保されている。
自己資金調達スプレッドの価格リスク
公庫の資金調達スプレッドは、デンマーク・クローネの変動市場金利に対する公庫の資金調達コストに相
当する。言い換えれば、資金調達スプレッドは、公庫のデンマーク・クローネにおける資金調達の価格であ
る。これにより、公庫は自己資金調達スプレッドの変動に晒される。貸付マージンを相対的に一定に保つこ
とにより、公庫は自己資金調達スプレッドの変動を貸付価格に転嫁する。貸付（リースを除く。）も公正価
値で認識されるため、自己資金調達スプレッドにおける価格リスクは低減されている。
これ以外にリスクは主に２つの理由により生じる。１つ目は、公庫の資金調達コミットメントは場合によ
り拘束力ある貸出コミットメントよりも長期であることが原因となる。とりわけ、これは流動性エクスポー
ジャーの軽減のために行われる。他の理由には、公庫が質の高い適格流動資産（HQLA）から構成される総流
動性資金を有していることがある。これによるリスクは、資金調達の公正価値が公庫の資金調達スプレッド
に左右される一方、総流動性資金で構成される債券は左右されないために生じる。この総流動性資金は主に
各国政府または公的機関が発行した高格付けの債券およびAAA-の格付を付与されたデンマーク抵当証券で構
成されている。
公庫の資金調達の公正価値は顧客のローンの公正価値より大きく下落するため、公庫の資金調達スプレッ
ドの拡大は公正価値に有利な効果を与える可能性がある。公庫の資金調達スプレッドの縮小は公正価値に不
利な効果を与える。公庫は自己資金調達スプレッドに係るリスクを低水準に維持するよう努めているが、か
かるリスクは公庫のビジネスモデルの一部であり、回避できないものである。
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デンマーク地方金融公庫(E06107)
有価証券報告書
貸付マージンの価格リスク
公庫は、相対的に一定の貸付マージンを維持しているが、収益上の必要性に変更が生じた場合には貸付
マージンの調整を行う。とりわけ、貸付の伸びの変化や総流動性資産に関連するコストの増加があった場合
に、長期的に十分な資本を確保するためにこの調整を行う。公庫は、貸付（リースを除く。）を公正価値で
認識するため、貸付マージンの拡大は、既存の貸付の公正価値の毀損につながる。これは、現在の貸出曲線
に基づいて公正価値を割引現在価値として計算するためである。しかしながら、顧客が貸付金を早期償還し
ない限り、公正価値の損失は一時的なものとなる。
業務リスク（オペレーショナル・リスク）
公庫の活動の大部分は、オペレーショナル・リスクにさらされている。公庫は、リスクの事象を登録する
ことで、業務手続および業務プロセスを系統的に改善し、これによりリスク事象の発生数を減らしている。
公庫の業務手続は文書化されており、責任の配分、職務の分離、プロセス管理および事業慣行が記載され
ている。公庫は、人為的なミスのリスクを減らすために、できるだけ多くの手続を自動化している。全ての
重要なプロセスは、自動であっても手動であっても同僚間のチェックまたはオブジェクティブ・コントロー
ルのいずれかによりサポートされなければならない。
公庫は高い機能性を備えたIT基盤に大きく依存している。災害回復プラン、ならびにアクセス制御、役割
および権限の割当、システムクラッシュおよびシステムエラー等に関するガイドラインを定めたITセキュリ
ティ方針を通じて、公庫はこの分野に特に重点を置いている。
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デンマーク地方金融公庫(E06107)
有価証券報告書
(5) 【経理の状況】
2007年１月１日より、公庫は、EU委員会が採用している国際財務報告基準（IFRS）にしたがって財務書類を作
成している。
2007年より前までは、公庫の財務書類はデンマーク王国において一般に認められた会計原則および慣例ならび
にデンマーク王国の法律に従い作成されていた。
公庫の事業年度は暦年である。
公庫の監査役は、商務・金融省によって任命されたThorkil Juulおよび国家資格を有する公認会計士であるデ
ロイト公認会計士パートナーシップが任命されている。
公庫の監査役は一般に認められた監査基準に基づき公庫の年次財務書類を監査している。
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デンマーク地方金融公庫(E06107)
有価証券報告書
独立監査人の監査報告書
デンマーク地方金融公庫理事会に対して
監査意見
私共は、2020年１月１日から同年12月31日までの事業年度についてのデンマーク地方金融公庫の財務書類の監査
を行った。財務書類は、包括利益計算書、財政状態計算書、持分変動計算書、キャッシュフロー計算書および注記
（会計方針を含む。）で構成されている。財務書類は、EUが採用している国際財務報告基準（IFRS）および上場債
券の発行体向けのデンマークの追加開示要件に準拠して作成されている。
私共の意見によれば、財務書類は、EUが採用している国際財務報告基準（IFRS）および上場債券の発行体向けの
デンマークの追加開示要件に準拠して、2020年12月31日現在の公庫の財務状態ならびに2020年１月１日から同年12
月31日までの事業年度の公庫の経営成績およびキャッシュフローを真実かつ公正に表示している。
私共の監査意見は、監査委員会および理事会に対して提出された帳簿監査コメントと一致している。
監査意見の根拠
私共は、国際監査基準（ISA）およびデンマークで適用される追加要件に準拠して監査を実施した。上記の基準
および要件のもとでの私共の責任は、本監査報告書中の「財務書類監査に対する監査人の責任」の項に詳述されて
いる。私共は、国際会計士倫理基準審議会の職業会計士の倫理規定（IESBA Code）およびデンマークにおいて適用
されているその他の要件に従った公庫に対する独立性を保持しており、これらの要件に従ってその他の倫理的責任
も果たしている。私共は、入手した監査証拠が私共の意見の基礎を提供するのに十分かつ適切であると信じる。
私共の知識および確信が及ぶ限り、私共は規則（EU）第537/2014号の第5(1)条に記載の禁止されている非監査業
務を一切提供していない。
私共は、2017事業年度について、2016年８月26日に公庫の監査人に初めて指名された。このため、私共は、理事
会の決定により、これまでのところ2020事業年度（同年度を含む。）までの合計４年の期間について指名を受けて
いる。
監査上の主要な事項
監査上の主要な事項とは、私共の職業的専門家としての判断において2020事業年度の財務書類の監査において最
も重要であった事項を指す。これらの事項は財務書類全体に対する監査の過程および監査意見の形成において対応
した事項であり、私共はこれらの事項に対して個別に意見を表明するものではない。
公正価値による金融資産および負債の評価
貸付、証券ポートフォリオおよびプラスのデリバティブを含め、公庫の金融資産は公正価値で測定されており、
それらは2020年12月31日現在において資産合計の97％（2019年：97％）に相当した。発行債券およびマイナスのデ
リバティブを含む金融負債は公正価値で測定されており、それらは2020年12月31日現在において負債合計の96％
（2019年：96％）に相当した。
公正価値で測定される金融資産および負債の評価に関する重要性および複雑性のため、これは監査上の主要な事
項となる。評価の主要原則は会計方針に記載されており、経営陣はさらに、公正価値調整等および財務リスク管理
に関する注記において、公正価値の決定および市場リスクの管理について詳述している。
公正価値の見積りは、観測可能および観測不能なデータの双方を含む様々な仮定および判断に基づいており、こ
のことが不確実性を増加させている。そのため、監査との関連で高度な注意を払う必要のある領域は、契約のマス
ターデータの記録、モデルおよび手法の適用ならびに以下のパラメータである。
・ 為替マージン
・ 資金調達カーブ
・ 信用スプレッド
・ 貸付価格
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デンマーク地方金融公庫(E06107)
有価証券報告書
私共の監査における対象事項への対応
私共の監査には、関連手続の検証、主要な統制のテストおよび公正価値変動の分析が含まれる。
また、私共の監査手続には特に以下も含まれる。
・締結した契約のマスターデータの正確かつ完全な記録のテスト
・適用される公正価値の算出モデルおよび手法の審査、テストおよび検証
・評価に関連して適用される主要なパラメータの関連性および正確性の審査およびテスト
最後に、監査には金融資産、負債およびデリバティブの開示要件に対する遵守のテストが含まれる。
経営陣のレビューについての陳述
経営陣は、経営陣によるレビューに対して責任を負う。
財務書類に関する私共の意見の対象範囲には経営陣のレビューは含まれておらず、私共はそれに関していかなる
保証の結論も表明しない。
財務書類の監査に関する私共の責任は、経営陣のレビューを読み、その過程において、経営陣のレビューが財務
書類または私共が監査の過程で得た知識との間に重要部分における整合性があるかどうか、またはそれ以外に重要
な虚偽記載の兆候があるかどうか考慮することにある。
さらに、経営陣のレビューに上場債券の発行体向けのデンマークの開示要件に従った必要な情報が含まれている
か否かを検討することも、私共の責任である。
私共の手続に基づき、経営陣のレビューは財務書類と整合しており、また上場債券の発行体向けのデンマークの
開示要件に準拠して作成されていると判断した。私共は、経営陣のレビューにおいていかなる虚偽表示も確認する
ことはなかった。
財務書類に対する経営陣の責任
経営陣は、EUが採用している国際財務報告基準（IFRS）に準拠して真実かつ公正な表示を提供する財務書類の作
成に対して責任を負い、また、不正によるものかまたは誤謬によるものかに拘らず、重要な虚偽表示がない財務書
類の作成を行うのに経営陣が必要と判断した内部統制に責任を負う。
財務書類を作成するにあたり、経営陣は、継続企業として存続する公庫の能力を評価すること、該当する場合に
は継続企業の前提に関する事項を開示すること、および経営陣が公庫を清算もしくは事業停止にする意図があるか
またはそうする以外に現実的な代替案がない場合を除いて、財務書類の作成において会計上の継続企業基準を用い
ることに対して責任を負う。
財務書類監査に対する監査人の責任
私共の目的は、全体としての財務書類に不正または誤謬によるものかに拘らず重要な虚偽表示がないかに関す
る合理的な保証を得て、私共の意見を含む監査報告書を発行することである。合理的な保証は、高い水準の保証で
あるが、国際監査基準（ISA）およびデンマークにおいて適用されるその他の要件に準拠して行った監査が、重要
な虚偽表示がある場合に常にこれを発見することを保証するものではない。虚偽表示は、不正または誤謬から発生
する可能性があり、個別にまたは全体的にみて財務書類に基づき行われる利用者の経済的決定に影響を及ぼすと合
理的に見込まれる場合に、重要性があるとみなされる。
国際監査基準（ISA）およびデンマークにおいて適用されるその他の要件に準拠した監査の過程において、私共
は職業的専門家としての判断を行い、監査を通じて職業的懐疑心を保持し、また、以下を行う。
・ 不正によるか誤謬によるかに拘らず、財務書類の重要な虚偽表示リスクを識別および評価し、当該リスク
に対応した監査手続を立案および実施し、私共の意見の基礎を提供する十分かつ適切な監査証拠を入手す
る。不正による重要な虚偽表示を発見できないリスクは、誤謬によるそれよりも高くなるが、これは、不正
には共謀、偽造、故意による除外、虚偽の陳述または内部統制の無効化が伴うことがあるからである。
・ 状況に応じて適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を理解する。ただし、これは公
庫の内部統制の有効性に対する意見を表明するためのものではない。
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デンマーク地方金融公庫(E06107)
有価証券報告書
・ 用いられた会計方針の適切性、ならびに経営陣により行われた会計上の見積りおよび関連する開示の妥当
性について評価する。
・ 財務書類の作成にあたり、経営陣が会計上の継続企業の前提を用いることが適切かについて、また、入手
した監査証拠に基づき公庫の継続企業として存続する能力に重要な疑義を生じさせるような事象または状況
に関して重要な不確実性が存在するかについて結論を与える。私共は、重要な不確実性が存在すると結論し
た場合は、監査報告書において財務書類における関連する開示について注意を向けること、またはそのよう
な開示が適切でない場合は監査報告書を修正することが求められている。私共の結論は、監査報告書の日付
までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象または状況により公庫は継続企業として存続できな
くなる可能性がある。
・ 注記による開示を含めた財務書類の全体的な表示、構成および内容を評価し、財務書類が基礎となる取引
または事象を真実かつ公正な表示を提供する方法で表示しているかを評価する。
私共は、とりわけ、計画された監査の範囲および時期ならびに監査の過程で識別した内部統制の重要な不備を
含む監査上の重要な発見事項に関して、統治責任者に報告を行う。
また、私共は、統治責任者に対し、独立性に関する倫理的要件を遵守している旨の陳述書を提供し、私共の独
立性に影響を与えると合理的に考えられうるすべての関わり合いその他の事項、および該当する場合は関連する予
防措置（セーフガード）について報告する。
統治責任者に報告した事項により、私共は、当年度の財務書類の監査において最も重要であり、それゆえ監査
上の主要な事項となるものを決定する。私共は、かかる事項を監査報告書において記載する。ただし、法律または
規則がそれらの事項の開示を除外している場合、または大変稀な状況ではあるが、かかる事項を報告することによ
る公共の利益を、公表することによる不利益が上回ると合理的に見込まれるため、私共の報告書において報告すべ
きでないと判断した場合を除く。
2021年３月11日、コペンハーゲンにて
デロイト公認会計士パートナーシップ
事業登録番号 33 96 35 56
Anders Oldau Gjelstrup Bj ø rn Würtz Rosendal
国家資格を有する
国家資格を有する
公認会計士
公認会計士
MNE no mne10777
MNE no mne40039
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デンマーク地方金融公庫(E06107)
有価証券報告書
商務・金融 省より任命された監査人の報告書
デンマーク地方金融公庫理事会に対して
私は、商務・金融省より任命された監査人として、経営陣により作成された2020年１月１日から同年12月31日ま
での事業年度のデンマーク地方金融公庫の財務書類のレビューを行った。さらに、私は経営陣のレビューを読ん
だ。
レビューに際して、私は、デンマーク地方金融公庫が準拠するデンマークの法令またはデンマーク地方金融公庫
の定款への不遵守を確認することはなかった。デロイトにより行われた監査手続に関して私はコメントすべきこと
はなかった。
2021年３月11日、コペンハーゲンにて
Thorkil Juul
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有価証券報告書
2020 年度包括利益計算書
（単位：百万デンマーク・クローネ）
注 記 2020 年 2019 年
受取利息 1.1
1,696 1,724
-1,256 -1,229
支払利息 1.2
純受取利息
440 496
その他の営業利益 15 13
その他の営業費用 -14 -13
-130 -126
管理費用 2.1 、2.2
価値調整前当期利益
311 369
-33 227
金融商品の価値調整 1.3 、1.4
税引前当期利益
278 596
-60 -148
当期利益課税額 3.1
当期利益
218 448
その他の包括利益
保険数理上の損益 0 -7
0 0
保険数理上の損益に対する税額 3.1
当期包括利益
218 441
計上先は以下の通り：
218 441
持分への組入
合 計 218 441
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デンマーク地方金融公庫(E06107)
有価証券報告書
2020 年12月31日現在の貸借対照表
（単位：百万デンマーク・クローネ）
資 産 注 記 2020 年 2019 年
信用機関への債権 1.4
22 5
貸 付 1.4 、1.5 184,807 176,983
リース 1.6 7,650 7,982
証券ポートフォリオ 1.4 、1.7 33,568 44,982
デリバティブ 1.4 7,670 6,610
その他の資産 120 338
35 35
当期税金資産 3.2
資産合計 233,872 236,935
負 債 および 持 分 2020 年 2019 年
負 債
信用機関への債務 1.4 50 244
発行債券 1.4 、1.8 212,728 218,932
デリバティブ 1.4 11,722 8,327
その他の負債 479 746
当期税金負債 3.2 23 31
473 476
繰延税金負債 3.3
負債合計
225,475 228,756
持 分 8,397 8,179
負債および持分合計 233,872 236,935
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有価証券報告書
2020 年度持分変動計算書
（単位：百万デンマーク・クローネ）
注 記 2020 年 2019 年
持 分
１月１日現在の持分 8,179 7,738
持分への組入
当期利益 218 448
その他の包括利益
保険数理上の損益 0 -7
0 0
その他の包括利益に対する税額
その他の包括利益（税引後）
0 -7
持分への組入合計 218 441
8,397 8,179
12 月31日現在の持分
当期包括利益は公庫の定款に従い持分（資本）に組入れられる。
持分は、2019年度末現在の81億7,900万デンマーク・クローネから2020年度末現在には83億9,700万デンマーク・
クローネに増加した。2020年度末現在、資産合計に対する持分の割合は2019年度末現在よりわずかに上昇して
3.6％となった。持分は組入れられた包括利益全体からなる。
公庫に適用される法的枠組みの下では、持分は負債合計の少なくとも1.0％（すなわち22億5,500万デンマーク・
クローネ）に等しくなければならない。理事会の目標は、資産に対する持分の割合を公庫の活動を支えるために適
切だと考えられる３％に少なくともすることである。
2020年１月１日および12月31日現在の持分には、200万デンマーク・クローネの再評価準備金が含まれている。
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有価証券報告書
2020 年度キャッシュフロー計算書
（単位：百万デンマーク・クローネ）
注 記 2020 年 2019 年
税引前当期利益
278 596
1 2
減価償却費、償却費および減損費用
合計
279 599
純受取利息 -440 -496
受取金融収益 1,696 1,724
支払金融費用 -1,256 -1,229
支払法人税 -71 -129
貸付の増加 -7,492 -7,511
その他の資産 217 -218
-267 88
その他の負債
営業活動からのキャッシュフロー
-7,613 -7,770
資産の取得等 -0 -1
有形固定資産の売却 0 0
11,414 -2,038
証券の変動
投資活動からのキャッシュフロー
11,414 -2,039
発行債券の変動 -6,318 10,602
デリバティブ金融負債 3,395 -473
-1,060 -554
デリバティブ金融資産
財務活動からのキャッシュフロー
-3,983 9,575
現金・現金同等物残高の変動 97 364
信用機関への預け金 5 2
-80 -440
信用機関への短期債務
１月１日現在の現金・現金同等物残高
-75 -438
信用機関への預け金 22 5
0 -80
信用機関への短期債務
12 月31日 現在の現金・現金同等物残高
22 -75
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有価証券報告書
一般注記事項
注記1.0 会計方針
概 要
デンマーク地方金融公庫の2020年についての財務書類は、欧州連合が採用している国際財務報告基準（IFRS)に
従って作成されている。
事業年度は暦年と一致する。機能通貨はデンマーク・クローネで、年次報告書は百万デンマーク・クローネ単位
で表示されている。
年次報告書の作成にあたり、重要性の概念が適用されている。個別で見ても総体的に見ても、年次報告書におい
て重要でないため、一定の項目は合算され、一定の開示は省略されている。
別途記載されていない限り、年次報告書の金額は全て百万デンマーク・クローネ単位で記載されている。記載さ
れている合計額は、四捨五入前の実際の金額に基づき計算されたものである。金額は百万デンマーク・クローネ単
位に四捨五入されているため、個別の金額の合計と記載されている合計額とで多少の差額が生じる場合がある。
以下に記載される変更点を除き、会計方針は、2019年度の年次報告書で適用されている方針から変更されていな
い。
新基準および改正基準
2020事業年度に発効し2020年度の財務報告に影響を与えると判断された新規のまたは改正された基準および解釈
指針はない。
2021事業年度以降に発効し2021年度の財務報告に影響を与えると判断される、新規のまたは改正されたIFRS基準
はない。
重要な 会計上の見積りおよび判断
財務書類の作成において、経営陣は多くの会計上の見積りおよび判断を行う。この見積りおよび判断は、経営陣
が合理的かつ現実的であると判断した仮定に基づく会計方針に従ってなされるが、これらは本質的に不確実で予測
不能である。会計上の見積りおよび判断は、過去の実績および将来の状況の評価が確実に反映されるよう、継続的
なプロセスによりテストおよび評価される。
財務書類にとってきわめて重要とみなされる会計上の見積りおよび判断は、公正価値の算出が市場で直接観測で
きないインプットに基づく場合および反対の影響が示されない場合になされる。
特に、債券サーキットを構成しない発行債券の評価に関する見積りおよび判断は、財務書類に影響を与える可能
性がある。これらの債券には活発な市場が存在せず、結果としてその評価には重要な会計上の見積りが用いられ
る。
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有価証券報告書
一部のデリバティブの評価に用いる見積りおよび判断もまた、市場で直接観測可能な価格が存在しないことか
ら、財務書類に影響を与える可能性がある。一般に認められるキャッシュフローモデルの観測可能なインプットで
代用されている。
債券サーキットを構成しないローンの評価において、観測可能な市場が存在せず、それゆえ公庫は独自のさしあ
たりの貸付価格を市場価格として適用している。
その他の全ての金融商品について、その評価に重要な見積りは含まれていない。これは、これらの商品には、活
発な市場における相場価格が存在するか、または適用される見積りに重要な会計上の影響がないためである。
注記1.4は、金融商品の公正価値測定に関する会計上の見積りおよび判断を記述しており、参照金利の変更が公
庫の財務および事業にいかなる影響を与えるか、ならびに公庫がいかに最適な移行を実施し、リスクを軽減し、契
約関係等の変更を取り入れることができるかなどが含まれている。
2019年の年次報告書の情報と比較して、会計上の見積りに変更点はなかった。
外貨換算
財務書類において使用される表示通貨はデンマーク・クローネである。外国通貨建項目は貸借対照表日現在にお
ける終値により換算される。実現済みおよび未実現の外国為替調整額は包括利益計算書において認識される。
認識および測定
資産は、その将来的な経済利益が公庫に流入する可能性が高い場合に、貸借対照表で認識される。
負債は、その将来的な経済利益が公庫から流出する可能性が高く、かつ負債の価額が信頼性をもって算出できる
場合に、貸借対照表で認識される。
公庫の利益は、取得時に損益において認識される。費用は公庫による負担時に認識される。
金融資産および金融負債は、約定日において認識される。公正価値オプションを用いて損益を通じてなされる金
融資産および金融負債の実現済みおよび未実現の価値の公正価値への調整は、包括利益計算書の金融商品の価値調
整の項目で認識される。金融資産および金融負債のどちらも、期限到来または処分時に認識が中止される。
公正価値は、活発な市場で取引される金融商品の市場相場価格を基準として測定される。活発な市場が存在する
場合、公正価値は直近で観察された市場価格に基づく。
１または複数の金融資産または金融負債に関する市場が流動性に乏しい場合、公正価値は一般に認められている
評価手法を用いて決定される。
取引の費用および利益は、当初の認識時に測定される。
相殺
金融商品のプラスとマイナスの公正価値は、貸借対照表上で個別の項目に計上され、プラスおよびマイナスの価
値の相殺は、公庫がいくつかの金融商品を純額ベースで相殺して決済できる権利および意図を有する場合にのみ行
われる。
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公正価値オプションを用いた金融商品の価値の決定
公庫は、貸借対照表の構成要素に関する透明かつ明解な計算を財務書類の読者に提供するため、IFRS第９号に基
づく公正価値オプションの採用を決定した。
公正価値オプションの採用はまた、金融機関への債権、貸付、証券ポートフォリオ、発行債券ならびにリスク関
連項目に関するデリバティブの一貫した会計処理を確保することにも資する。これは、貸付、証券およびデリバ
ティブが純損益を通じて公正価値で測定されることを意味する。
全体として、96％の項目が公正価値で測定されている。
また、公庫の投資収益の測定が公正価値に基づき、経営委員会および理事会への関連する開示も公正価値に基づ
くため、公正価値オプションが適用された。
貸付、発行債券およびデリバティブの公正価値測定のための観測不能な市場データの決定と手作業に関連する業
務リスクを軽減するため、公庫は、責任の配分、職務の分掌およびプロセス管理を確実にする内部統制および業務
手続を実施している。全ての重要な手動によるプロセスは、オブジェクティブ・コントロールまたは同僚間の
チェックによりサポートされる。
観測不能な市場データの利用に関する感応度の定量化の詳細については、金融商品の公正価値についての注記
1.4に記載されている。
その他の資産
その他の資産は、不動産、その他の非流動資産、VAT債権およびその他の債権で構成される。
その他の負債
その他の負債は、事前請求収益、未払給料項目および貸方項目で構成される。
年金債務
公庫は、従業員の大部分と年金制度について契約を締結している。確定拠出制度に関する債務は、それらが生じ
た期間において損益計算書上で認識され、支払債務は貸借対照表のその他の負債の項目において認識される。
公庫は、確定給付制度を数名の元従業員と締結している。確定給付制度については、年間の数理計算は同制度に
基づき支払われる将来の給付の現在価値（純額）で行われる。現在価値（純額）は、とりわけ給与、金利、インフ
レおよび死亡率などの将来的な変動についての仮定に基づき算出される。現在価値（純額）は、現在までに公庫に
おける雇用を通じて従業員が取得した給付についてのみ算出される。
算出はデンマーク金融監督庁の死亡率および寿命の改善の基準に基づき行われている。計算基礎率の変更により
生じた算出済の現在価値（純額）の調整はその他の包括利益において認識される。イールド・カーブは、デンマー
ク金融監督庁が金融機関に対して保険債務の測定に関して使用するよう要請しており、また自治体の公務員の予算
の合意に使用される。
2019年、公庫は、年金基金サムペンションに対し年金債務を支払う選択をしたため、当該債務を貸借対照表に認
識していない。しかしながら、現在も元従業員への将来の給付に対する金融債務を有している。
セグメント情報
公庫の年次報告書では、公庫が有する報告可能な事業セグメントは一つだけであるため、事業セグメント情報を
開示していない。
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中核利益および公正価値調整等
注記1.1 受取利息および
注記1.2 支払利息
受取利息および支払利息は包括利益計算書上において発生主義に基づき計上される。受取利息および支払利息
は、金融商品の利息、リースおよび管理手数料で構成されている。公正価値により測定された金融商品に関する
受取利息および支払利息は純受取利息の項目に計上される。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
受取利息 2020 年 2019 年
償却原価による純金融収支
リース 35 29
公正価値による純金融収支
個別の要求に応じ調整される貸付 1,297 1,148
債券発行により調達された資金による貸付 361 382
3 165
証券ポートフォリオ
受取利息合計 1,696 1,724
支払利息
公正価値による純金融収支
未払債券利息 334 355
922 874
その他のローンおよびデリバティブ
支払利息合計 1,256 1,229
注記1.3 金融商品の価値調整
価値調整は、金融商品の実現済みおよび未実現の価値調整額で構成されている。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
金融商品の価値調整 2020 年 2019 年
証券ポートフォリオ
-120 -137
貸付 2,414 4,972
リースの減損 0 0
発行債券 -3,629 -4,798
1,302 190
デリバティブ
金融商品の価値調整合計 -33 227
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公正価値調整等
注記1.4.1 金融商品の公正価値の詳細
IFRS第13号に従い、公正価値により測定される金融商品は、公正価値が決定される方法および基準とするデー
タによって、公正価値についてのレベル１から３の階層に分類されなければならない。公正価値は、金融資産ま
たは金融負債が必要な知識を持つ自発的な取引相手との間で取引されうる価額である。
公正価値は、以下の階層に基づき決定される。
レベル１：
同一の資産または負債についての活発な市場における相場価格。
レベル２：
類似の資産もしくは負債についての活発な市場における相場価格に基づくか、または観測可能なインプットに
より実質的に基礎付けられるその他の評価手法に基づく、観測可能なインプット。
レベル３：
評価が観測可能なインプットによっては実質的に基礎付けられない、観測不能なインプット。
レベル２および３の公正価値は一般に認められているモデルに基づき評価される。公庫は、A) 流動性、信用リ
スクおよび転換権により調整された類似の証券の上場市場での価格、ならびにB) 全ての見積キャッシュフローお
よび固定キャッシュフローをゼロクーポン・イールド・カーブ、金利の期間構造およびオプション・モデルを用
いて割り引く割引キャッシュフローモデルの双方を用いている。
A) 公庫は、発行債券および貸付の一部につき、流動性、信用リスクおよび転換権により調整された類似の証
券の上場市場での価格を用いており、これを債券サーキットという。債券サーキットはモーゲージ信用残高の原
則に基づいていることで特徴づけられ、公庫が発行した債券を構成する条件が債券発行により調達された資金に
よる顧客への貸付に直接転嫁され、公庫が決定した貸付マージンが加えられる。
これらの証券は全てナスダック（コペンハーゲン）で発行されているが、債券はその取引頻度および取引量が
不十分であるため非流動的である。したがって、上場市場での価格は使用できず、その代わりに、流動性、信用
リスクおよび転換権により調整された類似の証券の上場市場での価格が用いられる。類似の証券とは、類似の特
性を有するモーゲージ債または政府債である可能性がある。顧客への貸付に対する信用リスクは、発行債券に対
応しているため、発行債券の価格は債券発行により調達された資金による貸付にも用いられている。よって、価
格変動は業績に影響を与えない。
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B) 公庫は、デリバティブ、公正価値で評価される貸付および発行債券の残りの部分につき、割引キャッシュ
フロー法を用いている。これらの発行債券も非流動的と判断されている。
レベル２の公正価値の算出には、スワップレート、為替ベースのスワップ・スプレッドおよび為替レート等の
観測可能なインプットが含まれている。また、発行債券の評価は公庫の実際の資金調達費用についての見積りを
含む。貸付の評価には、公庫の現在の貸付価格が含まれる。公庫は、見積もられた当座の資金調達費用に応じて
実際の貸付価格を定期的に調整することにより、貸付マージンを相対的に一定に保つよう努めている。実際の資
金調達費用の見積りに関する感応度は、当座の貸付価格の変動により一部相殺されることになる。これによる
と、価値調整全体による正味の影響は最大でプラス/マイナス２億5,000万デンマーク・クローネの範囲内と考え
られる。
公庫のごく一部の発行債券およびデリバティブは、公正価値レベル３に分類されている。当該レベルは、仕組
債および関連するヘッジ・デリバティブに用いられており、そのインプットは、公正価値レベル２に適用される
インプットに加えて、通貨、株式およびコモディティのボラティリティならびにそれらの相関といった観測不能
なインプットから成る。発行済仕組債はデリバティブによりミクロ・ヘッジされており、よって観測不能なイン
プットの変動は、発行における変動がデリバティブと逆に作用するため、利益に重要な影響を及ぼすことはな
い。
公庫は、金融商品を利用することにより市場リスクを解消するリスク管理戦略を追求している（注記1.9から
1.11を参照）。この結果、レベル２およびレベル３に基づく公正価値を算出するのに用いられる見積りおよび仮
定の変更による包括利益計算書および持分への影響（正味ベースでみた総額による）は、資金調達費用および貸
付価格の変動を含むにとどまる。
現在進められている「金利ベンチマーク改革」は、現行の「ロンドン銀行間取引金利（LIBOR）」を代替のリス
クフリーレートに置き換えることを目的としている。公庫は、その評価プロセスにおいてヘッジ会計を使用せず
に、レベル２および３の公正価値の評価において割引キャッシュフローを使用しており、公庫のデリバティブの
うちLIBORに基づくものの割合が少ないため、影響を受けるベンチマーク・レートの変動による公庫への影響は限
定的となる。
公庫は、新しいベンチマーク・レートへの移行への処理およびフォールバック条項に関するISDAのプロトコル
の遵守を目的としたプロジェクト・グループを設置した。最終的な改革の概要はまだ不確定要素を含んでいる
が、影響を受けるキャッシュフローの大部分がヘッジされているため、公庫の業績に重大な影響を与えないと予
想される。
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2020年におけるレベル間での組替えはなかった。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
レベル１ レベル２ レベル３ 合 計
2020 年
資産
信用機関への債権 22 0 0 22
貸付 0 184,807 0 184,807
証券ポートフォリオ 33,568 0 0 33,568
0 6,854 816 7,670
デリバティブ
資産合計 33,590 191,661 816 226,067
負債
信用機関への債務 0 50 0 50
発行債券 0 206,368 6,360 212,728
0 11,325 397 11,722
デリバティブ
負債合計 0 217,743 6,757 224,500
2019 年
資産
信用機関への債権 5 0 0 5
貸付 0 176,983 0 176,983
証券ポートフォリオ 43,014 1,968 0 44,982
0 5,796 814 6,610
デリバティブ
資産合計 43,019 184,747 814 228,580
負債
信用機関への債務 80 164 0 244
発行債券 0 211,110 7,822 218,932
0 7,973 354 8,327
デリバティブ
負債合計 80 219,247 8,176 227,503
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注記1.4.2 レベル３の公正価値の詳細
（単位：百万デンマーク・クローネ）
1 月1日現在の
当期利益に 12 月31日現在
新規 処分
おける認識 の残高
残高
2020 年
資産
信用機関への債権 0 0 0 0 0
貸付 0 0 0 0 0
証券ポートフォリオ 0 0 0 0 0
814 0 -11 13 816
デリバティブ
資産合計 814 0 -11 13 816
負債
信用機関への債務 0 0 0 0 0
発行債券 7,822 0 -1,008 -454 6,360
354 0 -164 207 397
デリバティブ
負債合計 8,176 0 -1,172 -247 6,757
2019 年
資産
信用機関への債権 0 0 0 0 0
貸付 0 0 0 0 0
証券ポートフォリオ 0 0 0 0 0
747 0 -14 81 814
デリバティブ
資産合計 747 0 -14 81 814
負債
信用機関への債務 0 0 0 0 0
発行債券 8,601 0 -919 140 7,822
1,217 0 -858 -5 354
デリバティブ
負債合計 9,818 0 -1,777 135 8,176
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注記1.4.3 信用スプレッドの状況
包括利益計算書および貸借対照表の公正価値調整（デリバティブのCVA/DVAに等しい。）における信用スプレッ
ドの財務上の影響を以下に示す。かかる算出は、債務不履行の可能性およびその結果としての損失により調整さ
れた将来におけるプラスおよびマイナスのエクスポージャーに基づくモデルに従い行われている。かかる算出
は、市場を基準とした債務不履行の可能性に基づき行われている。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
2019 年 変動 2020 年
包括利益計算書
金融商品の価値調整 -17 -10 -27
包括利益計算書への影響総額
-17 -10 -27
貸借対照表
資産 -37 -1 -38
-20 9 -11
負債
貸借対照表への影響総額
-17 10 -27
注記1.4.4 相殺
公庫は、マスター・ネッティング契約（ISDAマスター契約）にクロス取引の支払いのネッティングについての
合意が含まれる場合に、外国為替取引およびデリバティブを差金ベースで決済している。差金決済の場合は必然
的に貸借対照表においてデリバティブの会計上の価額には相殺を含めることになる。相殺総額は、2019年12月31
日現在で52億8,900万デンマーク・クローネであったのに対し、2020年12月31日現在では49億6,500万デンマー
ク・クローネとなった。
ISDAマスター契約にクロス取引の支払いのネッティングが含まれない場合、会計上の価額は相殺を含まない。
相殺されていないデリバティブの純額は、取引相手ごとに算出される資産および負債のうち少額である方を上限
とする。かかる金額は資産および負債の双方に含まれる。
ISDAマスター契約には、デリバティブに関連する片務的または双務的担保契約が含まれる。これらの契約に基
づく受入担保および差入担保は、高格付の債券のみからなる。担保価額は取引相手ごとに算出され、債券が担保
として供された金融商品の正味価額を上限とする。担保契約は、通常取引のためではなく専ら倒産の場合に備え
て相殺を認める。担保価値に対して相殺は適用されない。
公庫は、貸付、リースまたは発行債券に関して、ネッティング契約の締結および担保の差入れまたは受入れを
行っていない。このため、これらの金融商品は下記の表には含まれていない。帳簿価額は貸借対照表から引用し
ている。
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貸借対照表において表示されたデリバティブ
（単位：百万デンマーク・クローネ）
財政状態計算書上 財政状態計算書上
相殺された金額 相殺されていない金額
帳簿価額
相殺額 帳簿価額 金融商品 担保 純額
総額
2020 年
資産 12,635 -4,965 7,670 -759 -5,386 1,525
負債 16,687 -4,965 11,722 -759 -8,052 2,911
純額 -4,052 0 -4,052 0 2,666 -1,386
2019 年
資産 11,899 -5,289 6,610 -874 -4,069 1,667
負債 13,616 -5,289 8,327 -874 -4,359 3,094
純額 -1,717 0 -1,717 0 290 -1,427
注記1.4.5 担保の詳細
（単位：百万デンマーク・クローネ）
差入担保 受入担保
市場価値 市場価値
債券の種類 格付
市場価値 ( 担保掛目 市場価値 ( 担保掛目
考慮後) 考慮後)
2020 年
デンマーク政府債券 AAA 0 0 0 0
デンマーク抵当証券 AAA 0 0 0 0
デンマーク抵当証券 AA+ 0 0 330 324
ドイツ政府債券 AAA 0 0 157 154
英国政府債券 AA 1,131 1,025 2,107 1,925
フランス政府債券 AA 7,403 7,128 3,318 3,083
合 計 8,534 8,153 5,912 5,486
うちネッティングできない担保 0 -101 0 -100
ネッティング可能担保の合計 8,534 8,052 5,912 5,386
2019 年
デンマーク政府債券 AAA 0 0 0 0
デンマーク抵当証券 AAA 0 0 102 100
デンマーク抵当証券 AA+ 0 0 379 372
ドイツ政府債券 AAA 0 0 82 79
英国政府債券 AA 954 848 2,238 2,109
フランス政府債券 AA 3,888 3,761 1,823 1,692
合 計 4,842 4,609 4,624 4,352
うちネッティングできない担保 0 -250 0 -283
ネッティング可能担保の合計 4,842 4,359 4,624 4,069
要件等の詳細については、注記1.10.3に記載されている。
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注記1.5 貸 付
貸付は、純損益を通じて公正価値で測定される。リースは償却原価で測定されているが、完全を期すために下
記の表に表示する。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
貸付件数 2020 年 2019 年
貸 付
1 月1日現在
18,681 184,965 177,454
新規 3,434 43,507 36,745
3,159 36,015 29,234
処分
貸付合計 18,956 192,457 184,965
債券発行により調達された資金による貸付 2,200 30,138 30,748
個別の要求に応じ調整される貸付 5,266 154,669 146,235
11,490 7,650 7,982
リース
貸付合計 18,956 192,457 184,965
債券発行により調達された資金による貸付 30,138 30,748
-2,132 -2,082
公正価値調整
債券発行により調達された資金による貸付
28,006 28,667
（額面価額）
個別の要求に応じ調整される貸付 154,669 146,235
-11,923 -9,539
公正価値調整
個別の要求に応じ調整される貸付（額面価額） 142,746 136,696
リース 7,650 7,982
2 2
減損
リース（額面価額） 7,652 7,984
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注記1.6 リースに関する未実現収益
リースは公正価値オプションの対象とならない。公庫はファイナンス・リースの賃手である。ファイナンス・
リースについては、貸借対照表上において、リースにおける計算利子率により割引された将来の最低リース支払
額に相当する金額が受取債権として認識される。その後の認識において、リースは償却原価で評価される。当初
の認識における価値と名目価値との差額は、満期までの期間にわたり計上され、受取利息の項目の下に「リース
における利息」として認識される。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
2020 年 2019 年
リース期間別による
ファイナンス・リースへの投資純額
1 年 未満 1,177 1,416
1 年 から5年 3,262 3,640
3,214 2,930
5 年 超
リースへの投資純額合計 7,653 7,986
リース期間別による
ファイナンス・リースへの総投資額
1 年 未満 1,209 1,444
1 年 から5年 3,362 3,728
3,403 3,104
5 年 超
リースへの総投資額合計 7,974 8,276
未実現収益 321 291
注記1.7 証券ポートフォリオ
証券ポートフォリオは、純損益を通じて公正価値で測定される。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
2020 年 2019 年
証券ポートフォリオ
政府／公的機関
10,917 17,867
多国間の取引相手 1,193 1,336
抵当信用機関 21,458 25,419
0 360
銀行
証券ポートフォリオ合計 33,568 44,982
うち担保として使用される証券ポートフォリオ 4,811 3,486
担保権を設定されていない証券ポートフォリオ 28,757 41,496
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注記1.8 発行債券
発行債券は、純損益を通じて公正価値で測定される。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
1 月1日 処分および 12 月31日 12 月31日 現在
新 規 価値調整
現在 価値調整 現在 の公正価値
2020 年
ナスダック（コペンハー
48,154 9,526 -8,622 49,058 3,796 52,853
ゲン）上場債券
ECP 0 14,550 -12,247 2,303 -1 2,303
私募債 23,619 612 -2,690 21,541 3,390 24,931
売出債 4,992 0 -2,488 2,504 -582 1,921
ベンチマーク債 129,623 18,474 -27,402 120,695 5,748 126,444
3,731 0 6 3,737 539 4,276
カンガルー債
発行債券合計 210,118 43,163 -53,442 199,839 12,890 212,728
2019 年
ナスダック（コペンハー
38,910 13,595 -4,351 48,154 2,823 50,976
ゲン）上場債券
ECP 0 22,068 -22,068 0 0 0
私募債 26,866 0 -3,247 23,619 2,981 26,600
売出債 6,469 0 -1,478 4,992 -1,016 3,976
ベンチマーク債 128,412 14,036 -12,824 129,623 3,672 133,295
3,670 0 61 3,731 354 4,085
カンガルー債
発行債券合計 204,327 49,699 -43,908 210,118 8,815 218,932
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財務リスク管理
概 要
デンマークの資本市場と自治体の間を財務面において結び付けるその機能により、公庫は財務リスクにさらさ
れている。慎重なリスク管理を通じて公庫のリスク・プロファイルが理事会の低いリスク許容度に確実に合致す
るようにされている。リスク許容度が低いことにより、公庫はその使命を達成するのに不可欠な財務リスクのみ
を受け入れる。公庫は財務委員会を設置しており、市場リスクおよび信用リスクといった関連のリスク・エクス
ポージャーについて検討するために定期的に会合を開いている。
公庫は、財務リスクを下記の種類に分類している。
・ 市場リスクは、市場要素の変動が金融商品の価値に影響を与えるリスクを指す。市場リスクは、通貨リス
ク、金利リスク、ボラティリティ・リスクおよびその他の価格リスクで構成される。
・ 信用リスクは、信用損失が生じるリスクを指す。信用損失は、取引相手による公庫への債務不履行および
取引相手の全般的な債務を履行する能力に対する市場予想の変化と定義される。
・ 流動性リスクは、公庫がある時点において、その債務および貸出コミットメントをカバーするための十分
な流動資金を保有せずまた調達できないリスクを指す。
注記1.9 市場リスク
公庫は、デリバティブの利用により市場リスクを抑えている。市場リスクが抑えられることにより、市場要素
の変動による損失のリスクが緩和される。
公庫は市場リスクを以下の種類に分類している。
・ 通貨リスクは、為替相場の変動が金融商品の価値に影響を与えるリスクを指す。
・ 金利リスクは、金利の変動が金融商品の価値に影響を与えるリスクを指す。
・ ボラティリティ・リスクは、金利、通貨、株式指標、商品価格または類似の要素のボラティリティの変化
が金融商品の価値に影響を与えるリスクを指す。
・ その他の価格リスクは、金利、通貨およびボラティリティの変化に起因するもの以外の市場要素の変動が
金融商品の価値に影響を与えるリスクを指す。これには、例えば商品指標、株価指標等のエクスポー
ジャーおよび公庫の自己資金調達スプレッドのエクスポージャーが挙げられる。
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注記1.9.1 通貨リスク
方針および手続き
公庫の使命を遂行するためにほとんどの場合で通貨リスクを受け入れる必要がないため、公庫の通貨リスクに
対するリスク許容度は非常に低く設定されている。
通貨リスクは、外貨建ての資金調達をデリバティブを用いてヘッジするか、または総流動性資金を資金調達通
貨と同じ通貨で投資することにより管理される。このような方法で、公庫はその通貨ポジションを最小化してい
る。ユーロや米ドルなどの主要な資金調達通貨において、公庫は未実現の損益という形で少々の通貨リスクを
負っている。
上記のガイドラインに従い、将来の支払いの現在価値として算出されるユーロのポジション純額は10億デン
マーク・クローネを超過してはならず、他の全ての通貨を合わせたポジション純額は１億デンマーク・クローネ
を超過してはならない。
測 定
通貨ポジションは、債権および負債ならびにデリバティブについて個別に表示され、この場合、ポジション
は、同じディスカウント・カーブに基づく価値を用いて算出される。この分類により、どのようにデリバティブ
が債権および負債から生じる通貨ポジションをヘッジするために利用されているかが示される。
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2020年末現在の公庫の通貨ポジションは、ユーロが2,800万デンマーク・クローネ、米ドルがマイナス600万デ
ンマーク・クローネおよびスイス・フランが100万デンマーク・クローネであり、その他の全ての通貨エクスポー
ジャーは０デンマーク・クローネであった。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
通貨
通貨リスク 資 産 負 債 デリバティブ
ポジション
2020 年
オーストラリア・ドル AUD 0 7,927 7,927 0
ブラジル・レアル BRL 0 529 529 0
スイス・フラン CHF 160 6,983 6,824 1
ユーロ EUR 8,195 93,988 85,821 28
英ポンド GBP 0 2,973 2,973 0
日本円 JPY 0 1,373 1,373 0
メキシコ・ペソ MXN 0 1,057 1,057 0
ノルウェー・クローネ NOK 0 2,481 2,481 0
スウェーデン・クローネ SEK 0 3,854 3,854 0
米ドル USD 2,087 40,261 38,168 -6
0 526 526 0
その他の通貨（注）
合 計 10,442 161,952 151,533 23
（注） その他の通貨は、カナダ・ドル、インド・ルピー、ニュージーランド・ドル、 トルコ・リラ、南アフリ
カ・ランドにより構成される。
2019 年
オーストラリア・ドル AUD 138 7,792 7,654 0
ブラジル・レアル BRL 0 1,043 1,043 0
スイス・フラン CHF 306 7,160 6,854 0
ユーロ EUR 12,281 90,066 77,758 -27
英ポンド GBP 0 3,145 3,145 0
日本円 JPY 0 2,074 2,074 0
メキシコ・ペソ MXN 0 1,238 1,238 0
ノルウェー・クローネ NOK 0 4,130 4,130 0
スウェーデン・クローネ SEK 0 3,206 3,206 0
米ドル USD 7,965 48,189 40,226 3
0 1,759 1,759 0
その他の通貨（注）
合 計 20,690 169,802 149,087 -24
（注） その他の通貨は、カナダ・ドル、香港ドル、インド・ルピー、ニュージーランド・ドル、 トルコ・リ
ラ、南アフリカ・ランドにより構成される。
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注記1.9.2 金利リスク
方針および手続き
公庫の金利リスクに対するリスク許容度は限られたものとなっているが、公庫の使命を遂行するためにいくら
かの金利リスクを受け入れる必要があるとみなされている。
公庫は、主として総流動性資金が債券に投資される場合に金利リスクを受け入れる。
金利リスクは、デリバティブを用いて、一定規模の固定金利の貸付、資金調達および投資を個別にヘッジする
ことで管理される。残りの金利リスクもまた、デリバティブを用いてポートフォリオ・レベルでヘッジを行うこ
とにより管理される。
ガイドラインに従い、金利リスクは、持分の4.5％（３億7,800万デンマーク・クローネに相当）を超えてはな
らない。金利リスクは、利回り曲線の１パーセンテージ・ポイントの変動に連動する変動として算出される。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
2020 年 2019 年
金利リスク合計
230 180
8,397 8,179
限度の算定に用いられる持分
持分の4.5％に相当する金利リスク限度 378 368
限度に対するリスクの比率 61 49
注記1.9.3 ボラティリティ・リスク
方針および手続き
公庫の使命を遂行するためにボラティリティ・リスクを受け入れる必要がないため、公庫のボラティリティ・
リスクに対するリスク許容度は非常に低く設定されている。
公庫は、非常に限られた範囲内で金利変動リスクの形でボラティリティ・リスクを負担する可能性がある。金
利変動リスクは、公庫がコーラブル債またはキャップ／フロアーを有する債券に投資した時に発生する。
理事会のガイドラインに従い、金利変動リスクは持分の0.2％（1,700万デンマーク・クローネに相当）を超え
てはならない。金利変動リスクは、１パーセンテージ・ポイントの金利の変動に対して算出される。2020年末現
在において金利変動リスクは限定的であった。
注記1.9.4 その他の価格リスク
方針および手続き
公庫は、自己資金調達スプレッドの変動に関するリスクにさらされている。貸付マージンを相対的に一定に保
つことにより、公庫の自己資金調達スプレッドの変動は貸付価格に転嫁される。拘束力のある貸出コミットメン
トよりも資金調達の額が大きく満期までの期間が長い場合、資金調達スプレッドの変動の影響の一部については
貸付価格に転嫁されない。自己資金調達スプレッドにかかるリスクは、公庫のビジネスモデルの一部であるた
め、公庫の使命を遂行するために必要であるが、当該リスクを低く保つよう努めている。
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公庫の自己資金調達スプレッドに関するリスクは、継続ベースで測定および報告される。
自己資金調達スプレッドの変動リスク以外のその他の価格リスクに対する公庫のリスク許容度は非常に低く設
定されている。
公庫の自己資金調達スプレッドの変動リスク以外のその他の価格リスクは、公庫がインフレ指数などに関連し
た債券を発行するときに発生する可能性がある。理事会のガイドラインに従い、その他の価格リスクは、発行日
においてヘッジされなければならない。
注記1.10 信用リスク
方針および手続き
公庫は、総流動性資金の債券への投資に関連して、および市場リスクを低減するデリバティブの締結を行う際
に、信用リスクにさらされる。さらに信用リスクは、デンマークの地方自治体部門および州部門に対する貸付お
よびリースに付随して生じる。
貸付およびリースは、デンマークの自治体に対して、またはそれらの自治体から全額保証がある場合のみに行
われる。本項では、かかる貸付およびリースの受け手を顧客と称する。顧客向けのデリバティブは、貸付および
リースと同じ方法でヘッジされる。顧客ではない投資の取引相手およびデリバティブに関する取引相手方は、取
引相手方と称する。
顧客の信用の質の特殊性により、公庫は、顧客向けの貸付、リース契約およびデリバティブに関連する信用リ
スクは極めて限定的であると評価している。しかしながら、IFRS第９号に従い、償却原価で認識されているリー
スについては信用リスクを算定しなければならない。リースに係る信用リスクは、200万デンマーク・クローネと
算定された。公庫は信用供与審査委員会を有しており、その責務は３億デンマーク・クローネ超のローンその他
標準的な取引とは異なるローンの承認等である。債務免除要請等の信用事象は、信用供与審査委員会により検討
される。公庫は、これまで貸倒損失を計上したことはない。
顧客向けの貸付、リースおよびデリバティブの信用リスク
（単位：百万デンマーク・クローネ）
帳簿価額 信用リスク
2020 年
デンマークの地方自治体および州 102,016 2
91,297 0
デンマークの地方自治体および州から保証を受けている機関
合計 193,313 2
2019 年
デンマークの地方自治体および州 105,473 2
80,542 0
デンマークの地方自治体および州から保証を受けている機関
合計 186,015 2
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信用リスクを低減するために、公庫は双務的担保契約がすでに締結されている取引相手との間でのみ金融商品
について契約することができる。担保の差入れに関するガイドラインに従い、上記の契約は以下の要件を最低限
満たしていなければならない。
・ 日々の担保の交換および閾値についての低水準の設定。
・ 契約に基づく受入担保は高格付で流動性の高い債券でなければならない。
取引相手の信用リスクをさらに低減するために、信用リスクに関するガイドラインには、取引相手の種類およ
び信用格付機関による取引相手の格付の双方に係る信用の質についての厳格な要件が含まれる。この結果、金融
商品は以下の種類の取引相手とのみ締結できる。
・ 中央政府、州および地方自治体ならびにその他の公的機関
・ 多国間開発銀行および国際機関
・ 銀行、その他の金融機関およびカバード・ボンドの発行体
取引相手は、OECDのカントリーリスク分類において最小のリスク分類を付与された国、またはかかる目的にお
いては監査または分類されていないが、高所得のOECD加盟国として監査される国かもしくはユーロ圏諸国の居住
者でなければならない。
さらに、取引相手は、ムーディーズ・インベスターズ・サービシズもしくはスタンダード・アンド・プアーズ
よりAa3/AA-以上の格付またはフィッチ・レーティングスから同等の格付を取得していなければならない。担保契
約が取引相手とすでに締結済みである場合は、格付はA-までが最低限として認められる。最終的に、これより格
付が低いデンマークのシステム上重要な銀行との契約は許可される。
理事会のガイドラインに従い、上記の要件を満たした取引相手は、信用リスク枠を経営委員会より与えられ
る。
信用リスクから生じる期待損失は、継続的に包括利益計算書において認識される。
公庫は、信用機関および投資会社に対する健全性要件についてのEUの規則における大口エクスポージャー規制
に基づき、信用集中リスク限度を設定している。同規則に従い、単一の顧客または関連ある顧客グループに関す
るエクスポージャー（完全に担保でカバーされているエクスポージャーを控除後）は、自己資本（公庫において
は持分に相当する。）の25％を超えることはできない。経営委員会はまた、特定の発行体が発行する証券ポート
フォリオについて上限を設定している。
格付、取引相手の種類、地理的エリアおよび商品の種類別の信用集中リスクは、注記1.10.2に記載されてい
る。
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注記1.10.1 信用リスク格付の測定
測 定
取引相手に関する信用リスクは２つの主要な要素に分類できる。一つ目の要素は、信用機関への債権および証
券に関する信用リスクで、投資に関する信用リスクと総称される。これは、総流動性資金を用いた投資から生じ
るリスクである。もう一つの要素は、デリバティブおよび関連する担保に関する信用リスクで、デリバティブに
関する信用リスクと総称される。これは、主に金利リスクおよび通貨リスクのヘッジから生じるリスクである。
この２つの要素に係る信用リスクは、デリバティブ取引を行う際に高格付要件および担保契約要件により制限
されている。
信用リスクに関するエクスポージャーは、2019年の456億デンマーク・クローネから2020年には342億デンマー
ク・クローネとなり、114億デンマーク・クローネ減少した。この減少は専ら投資に関するエクスポージャーの減
少に起因した。信用リスクが低下したのは、2020年における公庫の貸借対照表の最適化に向けた取り組みによる
ものであった。
投資に係る信用の質は、エクスポージャーの99％が格付がAA-以上の証券への投資であることからみて依然とし
て非常に高い。投資ポートフォリオの大部分は、デンマーク抵当証券、フランス政府債券、ならびにその他の高
格付の機関および多国間開発銀行で構成される。
担保考慮後のデリバティブに関するエクスポージャーはわずかに増加した。担保考慮前のエクスポージャーは
14億デンマーク・クローネ増加したが、担保掛目考慮後の担保は13億デンマーク・クローネ増加した。2020年末
現在、デリバティブのポートフォリオの公正価値の89％が受入担保によりカバーされていた。
格付は、ムーディーズ・インベスターズ・サービシズ、スタンダード・アンド・プアーズおよび／または
フィッチ・レーティングスの格付による。取引相手が２つの格付機関より格付を取得している場合は、低い方の
格付を適用する。取引相手が３つの信用格付機関から格付を取得している場合には、３つの信用格付のうちの真
ん中に位置する格付を使用する。証券への投資については、証券の格付がある場合はその格付けを使用し、格付
がない場合は発行体の格付が使用される。証券に保証が付されている場合は、保証人の格付が使用される。
取引相手側のデリバティブの公正価値を超過して受け入れられた担保は、信用リスクを減少させる担保には含
められない。公庫に対する債務について担保を提供した取引相手については、担保は取引相手の格付に基づき分
類される。そのためこれらの分類は担保の格付を反映していない。信用リスクを減少させる担保の要素は、注記
1.4.5における「ネッティング可能担保」の価値と等しくなる。
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取引相手レベルでは公正価値による信用リスクがマイナスになりえないため、これに関する調整が「取引相手
のマイナスの公正価値に対する修正」において行われている。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
投資に関する信用リスク デリバティブに関する信用リスク 合計
取引相手
デリバティブ
のマイナ 担保（担
信用機関
格 付 証券 合計 スの公正 保掛目 合計 純額
への債権
価値に対 考慮後）
プラス マイナス
する修正
2020 年
AAA 0 18,011 18,011 0 0 0 0 0 18,011
AA+ 0 7,897 7,897 160 0 0 -154 6 7,903
AA 0 7,660 7,660 613 -382 223 -394 60 7,720
AA- 1 0 1 5,878 -7,126 3,731 -2,036 447 448
A+ 3 0 3 2,185 -788 361 -1,641 117 120
A 18 0 18 1,397 -7,866 6,633 -152 12 30
A- 0 0 0 655 -228 0 -423 4 4
BBB+ 0 0 0 870 -278 0 -585 7 7
合計 22 33,568 33,590 11,758 -16,668 10,948 -5,385 653 34,243
2019 年
AAA 0 29,611 29,611 0 0 0 0 0 29,611
AA+ 0 6,589 6,589 0 0 0 0 0 6,589
AA 0 7,691 7,691 256 -90 0 -95 71 7,762
AA- 0 1,091 1,091 4,363 -5,636 2,471 -894 304 1,395
A+ 3 0 3 1,918 -1,575 914 -1,042 215 218
A 2 0 2 1,523 -5,361 3,902 -64 0 2
A- 0 0 0 1,973 -636 163 -1,488 12 12
BBB+ 0 0 0 796 -295 0 -486 15 15
合計 5 44,982 44,987 10,829 -13,593 7,450 -4,069 617 45,604
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注記1.10.2 信用の質
公庫は、その顧客がデンマークの地方自治体および州、ならびにそれらの機関から保証を受けている会社およ
び組織であることから、貸倒れが生じたことはない。当年末現在、公庫は延滞債権を抱えていない。
エクスポージャー総額のうち53％が最高位の格付を受けている取引相手に関連するもので、46％がAA+からAA-
までの信用格付を受けており、１％未満がそれよりも低い信用格付を受けている。このように、公庫の取引相手
の信用の質は非常に高い。
投資の全般的な減少に加えて、公庫の貸借対照表の最適化に向けた取組みの結果、2020年末においてデンマー
ク抵当証券が投資に占める割合は政府その他の公的機関の発行債券に比べて大きくなった。2019年と比べ、2020
年末においてデンマーク抵当証券に対する投資にAA+の格付債券が占める割合は、AAAの格付債券に比べて大き
かった。この結果、格付に基づくエクスポージャーはAAAからAA+へ12パーセンテージ・ポイント変動した。
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注記1.10.3 受入担保
全ての公庫の担保契約はISDAマスター契約に対するアネックス（クレディット・サポート・アネックス（担保
契約））として締結されている。信用リスクを確実に最小化するように、低水準の閾値ならびに日次ベースでの
担保の評価および交換に関する合意がなされている。
担保が差し入れられる際に、金融商品の種類、格付および満期までの期間に応じてその担保に関する担保掛目
（控除比率）が算出される。この担保掛目は、担保が実行された場合に市場価値の変動に対して当事者を保護す
るバッファー（緩衝材）となる。
2020年において、額面総額910億デンマーク・クローネの2,803件の担保の移転が行われた。上記が活発に行わ
れたのは、低水準の閾値および日々の交換が定められていたことによるもので、これにより信用リスクの可能な
限り多くの部分に対して定期的に担保の差入れが行われることが確保される。
また、信用リスクをさらに低減するために、担保契約には、差入れが行われる担保の質についての厳格な要件
が含まれる。担保契約に基づき、担保は高格付の抵当証券または高格付の国が発行した政府債券でなければなら
ない。注記1.4.5に記載の通り、2020年末現在において、受入担保の94％が英国、フランスまたはドイツの政府債
券であった。残りの６％は最高位もしくは２番目に高い格付を受けたデンマークの抵当債券であった。このよう
に、全ての受入担保は高い質を有する流動性の高い債券である。
受入担保のわずかな部分は、取引相手のデリバティブの正味価値を超過している。したがって、かかる部分は
信用リスクを減少させる担保には含まれない。
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注記1.11 流動性リスク
方針および手続き
公庫の流動性リスクに対するリスク許容度は非常に低く設定されているものの、かかるリスクを回避すること
はできない。経営委員会は、財務委員会の他のメンバーと会合を定期的に開き、流動性リスクについて討議して
いる。
流動性リスクの緩和に向けた一般原則は、資金調達と貸付のコミットメント期間の満期を一致させることに基
づく。流動性に対する制限により、拘束力のある貸出コミットメントは、少なくとも対応する満期を有するこれ
に対応する拘束力のある資金調達コミットメントが実行されない限り締結できない。持分は、資金調達目的に利
用することができる。
流動性に関するガイドラインに従い、30日間のストレス・シナリオにおいて質が高くかつ非拘束性である適格
流動資産（HQLA）の保有総額が流動性の累積流出額を超過していなくてはならない。これは、常に110％を上回る
流動性カバレッジ比率（LCR）を維持することにより達成される。さらに、ストレス・シナリオにおいて安定的な
中長期（すなわち１年超）の資金調達は流動性要件を上回っていなければならない。これは、常に110％を上回る
安定調達比率（NSFR）を維持することにより達成される。LCRおよびNSFRは、資本要件規則による流動性カバレッ
ジ比率および安定調達比率に基づく。2020年末現在、LCRは198％であり、NSFRは152％であった。
新たな資金調達への考えうる最善のアクセスを確保するため、上記のガイドラインは源泉、通貨、および満期
（資金調達の償還の多様化の要件を含む。）に関する資金調達の多様化の要件を定めている。
総流動性資金における債券の流動性を確保するために、当該債券の大部分がHQLA債券であり、デンマーク国立
銀行または欧州中央銀行のいずれかにおいて適格担保に分類されている必要がある。2020年末現在で全債券の
98％がHQLAに分類されており、97％がデンマーク国立銀行または欧州中央銀行のいずれかにおいて適格担保に分
類されていた。
理事会は、継続事業のためのストレス・シナリオによる営業可能期間についての最低180日の要件を定めてい
る。2020年末現在、営業可能期間は320日であった。このストレス・シナリオは、資金調達市場の利用の機会がな
く、公庫が新規の貸付を継続しており、投資およびデリバティブのための担保に関して市場が公庫にとって不利
な状況となっているとの仮定に基づいている。再交渉の対象となる貸付のうち、拘束力ある流動性コミットメン
トが貸付の満期までの期間よりも短いものは、シナリオ上では期限がないものとみなされる。
この営業可能期間は、短期流動性のための追加的なストレス・シナリオにより補完されており、公庫は流動性
が逼迫した場合に活用できる流動性資金についての緊急対応プランを有している。
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注記1.11.1 満期の分布
満期の分布は、満期までの期間別に、または拘束力ある流動性コミットメントの期間が満期までの期間より短
い場合には当該拘束力のある流動性コミットメント期間別に、額面価額により示されているが、利息は含まれて
いない。実行日が確定している貸付の確約（コミットメント）は、現在の日付を基準に認識されるが、実行日も
金額も未定の貸付の確約（コミットメント）は、対象の信用枠の満期までの期間に基づき認識される。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
3 か月超 1 年 超
3 か月以内 5 年 超 合 計
1 年 以内 5 年 以内
2020 年
金融資産
信用機関への債権 22 0 0 0 22
証券ポートフォリオ 9,773 5,329 18,057 0 33,159
貸付 32,852 20,953 43,638 73,612 171,055
120 1,057 3,262 3,214 7,653
リース
認識された金融資産の合計
42,767 27,339 64,957 76,826 211,889
資金提供の確約（コミット
0 0 0 0 0
メント）
金融資産合計 42,767 27,339 64,957 76,826 211,889
金融負債
信用機関への債務 0 50 0 0 50
発行債券 9,574 12,227 93,887 84,151 199,839
403 768 1,270 -341 2,100
デリバティブ
認識された金融負債の合計 9,977 13,045 95,157 83,810 201,989
貸付の確約（コミットメン
2,403 4,503 2,971 0 9,877
ト）
金融負債合計 12,380 17,548 98,128 83,810 211,866
2019 年
金融資産
信用機関への債権 5 0 0 0 5
証券ポートフォリオ 9,332 14,704 18,605 0 42,641
貸付 46,186 21,681 33,894 63,599 165,360
200 1,214 3,639 2,930 7,983
リース
認識された金融資産の合計
55,723 37,599 56,138 66,529 215,989
資金提供の確約（コミット
0 0 0 0 0
メント）
金融資産合計 55,723 37,599 56,138 66,529 215,989
金融負債
信用機関への債務 94 100 50 0 244
発行債券 8,182 20,515 100,212 81,210 210,118
141 100 -745 -790 -1,294
デリバティブ
認識された金融負債の合計 8,417 20,715 99,517 80,420 209,068
貸付の確約（コミットメン
1,995 3,224 2,041 0 7,260
ト）
金融負債合計 10,412 23,938 101,558 80,420 216,328
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注記1.11.2 流動性資金
監督当局は、前四半期末における貸付総額の25％を限度として事前調達に基づき流動性資金を積み立てること
を公庫に対して認めている。2020年末において、かかる上限は478億デンマーク・クローネであったが、公庫の流
動性資金は244億デンマーク・クローネであった。限度に対する流動性資金の割合は2020年を通じて変動したが、
月末で見た場合の流動性資金の最高割合は16％であった。
流動性資金は、帳簿価額で認識された信用機関への債務、発行債券およびデリバティブから貸付総額および
リース債権を控除して算出される。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
流動性資金 2020 年 2019 年
信用機関への債務、発行債券およびデリバティブ
信用機関への債務 50 244
発行債券 212,728 218,932
デリバティブ（負債） 11,722 8,327
-7,670 -6,610
デリバティブ（資産）
信用機関への債務、発行債券およびデリバティブ総額 216,830 220,893
貸付およびリース
貸付 184,807 176,983
7,650 7,982
リース
貸付総額 192,457 184,965
24,373 35,928
流動性資金
流動性資金は前四半期末の貸付総額の25％を超過してはならない。
流動性資金 24,373 35,928
191,349 188,371
2020 年 ９月30日現在の貸付総額
流動性資金の割合（％） 13 19
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管 理 費 用
注記2.1 管理費用
管理費用は、人件費およびその他の管理費用、年金債務調整ならびに無形資産および有形固定資産の償却／減
価償却および減損で構成される。数理上の調整および変更は、包括利益計算書の「管理費用」ではなく「保険数
理上の損益」に認識されている。
無形資産および有形固定資産は、取得原価から償却／減価償却および減損費用の累計額を控除して測定され
る。
取得原価は、買入価格および資産が利用可能になる日までに取得を直接の原因として発生した費用で構成され
る。無形資産または有形固定資産項目の個々の構成要素が異なる耐用年数を有する場合、これらは独立した項目
として計上され、個別に償却／減価償却される。
ソフトウェアに関する開発コストは、公庫の開発活動のためのコンサルタント料およびその他の費用で構成さ
れる。適用ある会計要件を満たした開発プロジェクトは無形資産として認識される。無形資産および有形固定資
産についての償却／減価償却は、下記の通り、それぞれ資産または構成要素の見積耐用年数にわたり定額法で行
われる。
無形資産（ソフトウェア等） ３年
業務用設備（IT設備を含む） ３-５年
車両 ３-４年
土地は減価償却されない。
帳簿価額は、毎年、減損の兆候の有無を判断するためにテストされる。ある資産の減損可能性を示す兆候があ
る場合、資産の回収可能額が定められる。回収可能額は、資産の公正価値から売却のための見積費用を控除した
ものおよび使用価値のいずれか高い方となる。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
管理費用 2020 年 2019 年
給与および報酬等
67 61
年金拠出金等 9 9
その他の人件費 5 6
コンサルタント料 19 20
IT ライセンス 19 15
料金・手数料 3 3
不動産管理 4 4
無形資産および有形固定資産の償却／減価償却および減損 1 2
3 6
その他の管理費用
管理費用合計 130 126
82 76
期中平均従業員数
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費用の変動は、人員の増加により給与が増加し、公庫のサーバーの再配置によるITライセンス料が増加 したこと
に起因した 。
（単位：千デンマーク・クローネ）
定款に従った監査人への報酬 2020 年 2019 年
財務書類の法定監査
439 439
その他の保証業務 32 30
153 158
その他のサービス
監査報酬合計 624 627
その他のサービスに対する報酬は、発行プログラム等の年次の更新についての各種書類およびコンフォート・
レターで構成される。
注記2.2 理事会および経営委員会への報酬
（単位：千デンマーク・クローネ）
2020 年 2019 年
経営陣の報酬
理事会報酬
ラース・クラーロプ（理事長） 231 226
トマス・ルゲ・ピーダスン（副理事長） 127 124
マーティン・ギアトスン 77 75
カイ・Ｖ.ホルム 82 75
ミケール・クリトゴー 77 75
イーレク・ラウリトスン 77 75
ライラ・リンデン 77 75
イーレク・ニルスン 77 77
ハンス・トフト 77 75
54 －
ビアギド・オーゴー・スヴェンスン（2020年6月1日から）
理事会報酬合計 956 877
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公庫の理事会構成員は固定報酬を受け取る。固定報酬に加えて、監査委員会の独立構成員には委員会報酬が支
払われる。
（単位：千デンマーク・クローネ）
契約による
年金 合計
報酬
経営委員会報酬
2020 年
イェンス・ロンエーヤ（最高経営責任者） 2,759 278 3,037
2,094 207 2,301
ヘンレク・アナスン（マネジング・ディレクター）
経営委員会報酬合計 5,338
2019 年
イェンス・ロンエーヤ（最高経営責任者） 2,489 266 2,755
1,919 203 2,122
ヘンレク・アナスン（マネジング・ディレクター）
経営委員会報酬合計 4,877
経営委員会は公庫の賞与制度の対象になっていない。
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租 税
注記3.1 当期利益課税額
公庫は、時価評価主義に基づき金融商品に対する税を算出する。法人税の現行税率は22％である。
繰延税金は、資産および負債の帳簿価額と課税基準額の全ての一時的差異に基づき測定される。これに基づ
き、平均税率は22％で算出される。
当期利益課税額は、当期法人税、当期繰延税額の変動額、その他の包括利益に対する予定納税額および過年度
に関する調整で構成される。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
2020 年 2019 年
当期法人税
63 94
当期繰延税額の変動額 -3 54
0 0
過年度に関する調整
当期利益課税額合計 60 148
当期利益課税額の内訳：
税引前当期利益に対する予定納税額 61 131
非課税所得 -1 0
非控除費用 0 17
当期法人税の過年度に関する調整 0 3
0 -3
繰延税金の過年度に関する調整
当期利益課税額合計 60 148
22 25
実効税率
その他の包括利益に対する税額
0 0
数理上の調整に対する税額
その他の包括利益に対する税額合計 0 0
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注記3.2 当期税金資産／負債
当期税金資産および税金負債は、当期法人税、過年度の未還付税額または未払税額ならびに当期支払法人税の
合計として貸借対照表において認識される。
税金資産は、満期が到来した債券投資の源泉徴収税に関するスイスにおいて係属中の訴訟に関係する。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
2020 年 2019 年
1 月1日現在の 残高
35 33
当期法人税 0 0
当期価値調整 0 2
0 0
当期支払法人税
当期税金資産合計 35 35
1 月1日現在の 残高 -31 -63
過年度に関する調整 0 -3
当期法人税 -63 -94
71 129
当期支払法人税
当期税金負債合計 -23 -31
注記3.3 繰延税金負債
繰延税金資産および繰延税金負債は、資産および負債の帳簿価額と税務上の価額との間の全ての一時差異に関
して測定される。繰延税金資産および繰延税金負債は、貸借対照表日現在に有効である法令を考慮して繰延税金
が当期法人税として実現すると予測される時点で適用される課税規則に基づき評価される。税率の変更による繰
延税金の調整は包括利益計算書において認識される。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
2020 年 2019 年
1 月1日現在の 残高
476 425
過年度に関する調整 0 -3
-3 54
当期繰延税額
繰延税金負債合計 473 476
繰延税金負債の内訳：
有形固定資産および無形資産 5 5
リースに基づく保有資産 485 488
-17 -17
年金債務
繰延税金負債合計 473 476
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その他の注記
注記4.1 偶発資産および債務
2014年において、デンマークの税関・税務局は、公庫を監査の対象として選定し、公庫に対して追加の給与税
を支払うよう命じた。公庫は、この決定についてデンマーク国税不服審判所に不服を申立て、本件は同審判所に
おいて係属中である。公庫がほぼ確実に勝訴すると公庫は考えているため、その費用または引当金は財務書類に
おいて認識されていない。
公庫は、補助金付きローンの管理および当該ローンの支払配分について、公共サービス支払当局（Udbetaling
Danmark）と対話を進めている。これにより、公庫は補償を支払わなければならない可能性がある。当該補償の金
額については不確実性が大きいため、公庫は、かかる金額について費用または引当金を財務書類に計上していな
い。
注記4.2 関連当事者
公庫は、公庫を支配する関連当事者を有しない。重要な影響力を持つ公庫の関連当事者とは、公庫の理事会お
よび経営委員会の構成員ならびにその近親者を指す。
理事会および経営委員会
経営陣の報酬については、注記2.2に記載されている。信認義務を負う役職については、英文年次報告書の
「Corporate governance」の項に記載されている。当年中に理事会または経営委員会の構成員との取引は行われ
なかった。
注記4.3 貸借対照表日後の事象
公庫の業績に重大な影響を与えた貸借対照表日後に生じた事象はない。
注記5 IFRS 第９号 減損
公庫は、貸借対照表の大部分について公正価値オプションを採用しており、結果的にIFRS第９号はリースの測
定にのみ影響する。
公庫は、地方自治体、州および自治体による全額保証を受けた公営企業に対してのみ貸付およびリースを提供
している。デンマークの地方自治体および州は、内務住宅省による厳格な監督を受ける。
裁判所命令により、デンマークの自治体は、再編手続きの申立てを行えないと判断されている。内務住宅省
は、地方自治体および州が適切な流動性レベルの維持を確保するための管理規則（行政命令）を制定している。
これらの規則の遵守は同省により管理され、強制される。いわゆる「貸越ルール（overdraft rule）」に従い、
地方自治体における流動性は12か月平均として算出され、最低限プラスにならなければならない。
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これは、全てのデンマークの地方自治体および州が高い信用力を有し、デフォルト確率（PD）が低いことを意
味する。そのため、全ての自治体のPDレベルが最低のカテゴリーに分類されている。信用力の高さは適用される
PDの値に反映されており、現在値を決定するためにデンマーク王国のクレジット・デフォルト・スワップ（CDS）
価格が代替的に用いられる。
デンマーク王国のCDS価格は観測可能な市場データに基づき決定され、価値の減損の算出にはCDS価格の決定の
際に使用されたものと同じLGD（デフォルト時損失率）の値が用いられる。
IFRS第９号の適用により、リースの測定に予想信用損失が含まれる。これは、リース契約がすでに成立してい
る場合、企業は、今後12か月以内に発生し得るデフォルト事象から生じる予想信用損失に等しい額で減損損失を
認識しなければならないことを意味する。減損は、信用リスクの変動に応じて、３つのステージで認識される。
ステージ１：
信用リスクに著しい増加がない場合、減損は今後12か月以内に発生しうるデフォルト事象から生じる予想信用
損失と同額とする。減損損失はリース契約が成立した時点で認識され、その後信用リスクに著しい増加がない場
合は、減損損失はその変動について調整がなされる。
ステージ２：
信用リスクが著しく増加している場合、その契約はステージ２に移行し、残存期間の予想信用損失と同額の減
損が認識される。ステージ２への組替えは、金融資産の満期までの予想期間においてPDが100％上昇し12か月PDが
0.5パーセンテージ・ポイント上昇した場合に行われる。
ステージ３：
デフォルトまたはその他の信用減損が生じている場合、その契約はステージ３に移行する。減損はステージ２
と同じ原則を用いて認識されるが、契約のうち減損処理される部分に起因する受取利息が減損処理後の額に基づ
いて認識される点が異なる。
予想損失を計算する際、契約満期までの期間は契約条項で制限される。モデルで計算されるステージ１および
ステージ２の減損損失は、短期（12か月）または長期（契約満期までの期間）のPDおよびLGDの変数に基づく。
公庫の歴史を通じ、地方自治体および州への貸付またはリースにおいていかなる損失も発生したことはなく、
そのため、全てのリースはステージ１に分類されている。報告期間において、ステージ間におけるいかなる組替
えも生じなかった。
2020年12月31日現在における減損について以下の表に示す。貸借対照表日現在において全てのリース契約がス
テージ１に分類されていた。
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償却原価で測定した資産の減損
（単位：百万デンマーク・クローネ）
PD レベル 償却原価 減損 帳簿価額
ステージ１
（12か月の予想損失）
2020 年1月1日 0.0 ％～0.5％ 7,984 2 7,982
変動額 － -332 0 -332
2020 年12月31日 0.0 ％～0.5％ 7,652 2 7,650
PDはデフォルト確率を表す。ステージ１においてPDは、今後12か月以内の公庫に対する顧客の債務のデフォル
トの可能性を表す。
LGD（デフォルト時損失率）は顧客のデフォルト時における損失見込額の割合を表す。
2020年１月１日から12月31日までの変動額は、取引量の変動のみによるものであった。
注記6
主要な指標および財務比率
（単位：百万ユーロ／百万デンマーク・クローネ）
2020 年 2020 年 2019 年 2018 年 2017 年 2016 年
デンマーク・ デンマーク・ デンマーク・ デンマーク・ デンマーク・
ユーロ
クローネ クローネ クローネ クローネ クローネ
主要な指標
純受取利息 59 440 496 441 637 656
その他の営業利益 2 15 13 11 11 10
その他の営業費用 -2 -14 -13 -12 -14 -10
管理費用 -17 -130 -126 -127 -123 -106
価値調整前当期利益 42 311 369 314 511 550
金融商品の価値調整 -4 -33 227 227 117 89
当期利益課税額 -8 -60 -148 -119 -138 -141
29 218 441 405 489 497
当期包括利益
貸付およびリース 25,881 192,457 184,965 177,454 173,580 168,589
証券ポートフォリオ 4,514 33,568 44,982 42,944 42,361 34,049
資産 31,451 233,872 236,935 226,609 222,564 223,938
発行債券 28,607 212,728 218,932 208,218 202,145 202,642
1,129 8,397 8,179 7,736 7,333 6,844
持分
当期における活動
貸付およびリース
( 額面価額の純増加額)
680 5,057 2,427 3,554 5,022 8,998
(純貸付額)
貸付およびリース
5,851 43,507 36,745 38,261 29,835 31,113
( 額面価額の総増加額)
発行債券
5,804 43,163 49,699 60,055 71,379 85,963
( 額面価額の総増加額)
（単位：百万ユーロ／百万デンマーク・クローネ）
2020 年 2020 年 2019 年 2018 年 2017 年 2016 年
デンマーク・ デンマーク・ デンマーク・ デンマーク・ デンマーク・
ユーロ
クローネ クローネ クローネ クローネ クローネ
資本構成
リスク・エクスポー
1,546 11,496 11,911 13,843 17,544 7,393
ジャー総額（REA）
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普通株式等Tier1
1,129 8,397 8,179 7,736 7,333 6,844
（CET1）資本
自己資本 1,113 8,277 7,997 7,520 7,121 6,324
自己資本比率（％） 72 72 67 54 41 86
資産合計に対する持分の
3.6 3.6 3.5 3.4 3.3 3.1
比率（％）
財務比率（抜粋）
貸付およびリースにおけ
0 0 0 0 0 0
る損失
資産に対する管理費用の
0.06 0.06 0.05 0.06 0.06 0.05
比率（％）
資産に対する純受取利息
0.19 0.19 0.21 0.19 0.28 0.29
の比率（％）
13 13 19 19 20 16
流動性資金の割合（％)
ESG 関連数値（抜粋）
スコープ２（間接排出）
のCO e（CO 換算排出
2 2
16 16 18 21 20 23
量）
（トン）
ジェンダー構成（女性の
41.1 41.1 39.9 42.6 43.9 46.6
比率）（％）
82.1 82.1 83.3 86.1 80.6 86.1
理事会出席率（％）
82 82 76 70 70 66
正規従業員数
主要な指標および財務比率は、デンマークCFA（公認証券アナリスト）協会（CFA Society Denmark）により発行された「勧告
および財務比率」に従い算出されている。
2020 年 12月31日現在の為替レート：100ユーロ＝743.6126デンマーク・クローネ。
表中には、CSR報告書から抜粋されたESG関連の数値が含まれている。
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(6) 【その他】
COVID-19 を取り巻く現在の状況は資本市場に影響を与えているが、公庫が顧客のニーズに応える能力に影響す
るとは予測されていない。市場が完全に閉鎖された場合でも、公庫の総流動性資金により非常に長期にわたり貸
付が影響を受けない状態を持続させることが可能である。公庫の全ての業務は、従業員の所在にかかわらず遂行
することが可能である
2020 年12月31日以降、重大な後発事象は発生していない。
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(7) 【デンマーク王国の概況】
1. 概況
① 位置、面積、地形および人口
デンマークは、北欧諸国の中で最も南に位置し、16,630平方マイルの国土を有している。デンマークは、ノルウェーの方
角に伸びているヨーロッパ大陸の一部であるユトランド半島、そして大陸本土とスカンジナビア半島の間にある約500の島々
（そのうちの100島には人が居住している。）で構成されている。これらの島のうちで最大のものはシェラン島（2,913平方
マイル）で、その東海岸（スウェーデンからわずか８マイルの距離にある。）には首都コペンハーゲンが位置している。デ
ンマーク唯一の陸続きの国境は、ユトランド半島南端のドイツ連邦共和国との国境である。人口56,000人の世界最大の島グ
リーンランド（84万平方マイル）および人口51,400人のフェロー諸島（540平方マイル）は、いずれもある程度の自治を与え
られているが、同様にデンマークの一部を構成している。
2020年12月31日現在のデンマーク本土の人口は580万人（大コペンハーゲン地区に約185万人）で、過去10年間に約0.7％の
平均年率で増加している。
② 政治および外交
ａ）国家組織および政党
デンマークは、1849年以来立憲君主制を保っている。デンマーク憲法（直近では1953年６月５日に改正されている。）
は、行政府、立法府および司法府間の基本的な権力分立を定めている。
行政権は、女王に与えられ、女王はフォルケティング（国会）として知られる一院制の立法府の意思に従って、女王に
より正式に任命される大臣を通じて権力を行使する。大臣は、それぞれの省の行政上の長である。大臣の数は、首相を含
めて現在20名である。大臣は共に内閣を組閣し、いわゆる国策会議において定期的に女王に謁見する。女王は重要な国務
事項が議題とされる国策会議について、それを主宰する。内閣は、国を治めることに関して国会に責任を負う。
国会は、最長４年の任期で選出される179名の国会議員による一院制で構成される。国会議員のうちフェロー諸島および
グリーンランドからそれぞれ２名が選出される。残りの175名の国会議員は比例代表制により選出される。ただし、政党は
投票数の２％以上を獲得しなければならない。
立法権は、国会によって行使され、形式上、すべての法律は女王によって署名される。不信任投票によって国会は首相
の辞任と内閣の総辞職を強いることができ（総選挙が実施される場合はこの限りではない。）、また個々の大臣を罷免す
ることができる。女王は、いつでも正式に総選挙を宣言することができるが、実際は首相の要請によってのみそれを行
う。
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デンマークに居住し、年齢が18歳に達しているすべてのデンマーク国民は、選挙権を与えられている。デンマークには
数多くの政党が存在している。次の表は、最近実施された３回の総選挙の結果を示している。
最近の総選挙の結果
2011年９月15日 2015年６月18日 2019年６月５日
政党
社会民主党 44 47 48
自由党 47 34 43
保守党 8 6 12
社会人民党 16 7 14
デンマーク国民党（右派） 22 37 16
社会自由党 17 8 16
赤緑連合（旧連合左派）（左派） 12 14 13
自由同盟 9 13 4
オルタナティブ党 － 9 5
キリスト教人民党 － － －
フェロー諸島およびグリーンランド 4 4 4
新右派党 － － 4
合計 179 179 179
1982年９月から1993年１月まで、デンマークは保守党のポール・シュルター氏を首相とする少数与党連立政権によって
治められていた。デンマークの政権は、法案によって連携する政党を変えて当該法案の国会通過を図るという「法案ごと
の多数派」工作により機能する長い伝統をもっている。1982年９月から1988年５月の期間中、政府は、保守党、自由党、
中道自由党（2008年に廃党）およびキリスト教人民党の各代表により構成される連立政権であった。1988年５月から1990
年12月までの期間に、社会自由党が政権に参加し、一方、中道自由党とキリスト教人民党が連立政権から離脱した。1990
年12月の総選挙後、社会自由党が政権を離れたため、政府は保守党と自由党が政権に残る形となった。1993年１月、社会
民主党のポール・ニルップ・ラスムセン氏を首相とする新政府が誕生した。この政府は、社会自由党、中道自由党、キリ
スト教人民党および社会民主党による連立政権であった。1994年９月にキリスト教人民党が、1996年後半に中道自由党が
それぞれ政権を離脱してからは、1998年３月の総選挙後も社会民主党と社会自由党との連立政権が続いた。2001年11月の
選挙後、自由党および保守党が政権を奪回し、自由党のアナス・フォー・ラスムセン氏を首相とする政権が誕生した。同
政権は、2005年２月および2007年11月に再選された。2009年４月４日にフォー・ラスムセン氏は北大西洋条約機構
（NATO）事務総長に選出され（任期は2009年８月１日より開始）、同じ自由党の前財務相ラース・ロッケ・ラスムセン氏
が新しい首相に就任した。2011年９月15日、社会民主党の党首であるヘレ・トーニング・シュミット氏が選挙に勝利し、
デンマークに初の女性首相が誕生した。新政府は、社会民主党、社会人民党および社会自由党の連立により成り立ってい
た。前回の総選挙は2015年６月18日に行われ、自由党、デンマーク国民党および保守党の連合が勝利を収め、首相には自
由党のラース・ロッケ・ラスムセン氏が就任した。直近の総選挙は2019年６月５日に行われ、社会民主党による新政府が
樹立され、メッテ・フレデリクセン氏が新首相に任命された。新政府の支持政党は、社会人民党、社会自由党および赤緑
連合である。
次回の総選挙は2023年６月４日までに行われる予定である。
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ｂ）外交関係
デンマークは世界のほぼすべての国と外交関係にある。北欧の一部を成す西側ヨーロッパ諸国であるデンマークにとっ
て、ヨーロッパおよび北米の情勢は極めて重要な意味をもつ。デンマークは外国貿易を大きく発展させてきており、この
ような世界各国との広範囲にわたる経済関係により、デンマークは常に世界経済の動向に影響を受ける。そのためデン
マークの外交政策は、地理的に近接する国々のみならずすべての国々がデンマークの友邦であり、従って、ヨーロッパに
おけるデンマークの国益が他の諸大陸の国民との相互関係を損なうことがあってはならないという認識に基づいている。
i) 国際機関
1973年１月、デンマークは、ヨーロッパ共同体（すなわち欧州経済共同体（EEC）、ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体および
ヨーロッパ原子力共同体）ならびにこれらに関連する欧州投資銀行に加盟した。その後、デンマークは、かかる共同体
および機関を包括する欧州連合（EU）条約を批准した。しかし、1992年のエジンバラ決議に関連して、デンマーク政府
は他の加盟国に対し、デンマークが1999年１月１日に開始される欧州経済通貨同盟（EMU）の第３段階には参加しない旨
を通知した。2000年９月28日に実施された国民投票で過半数がデンマークのユーロ参加に反対したため、かかる立場が
確認された。デンマークは、北大西洋条約機構、欧州理事会、国際連合および経済協力開発機構（OECD）の創設加盟国
である。またデンマークは世界貿易機関（WTO）の加盟国でもある。
北欧５ヵ国（デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドおよびアイスランド）の中で、デンマークは、
北欧会議（共通事項についての討論の場で、加盟国政府に行動をとるように拘束力のない勧告を行う。）、および北欧
投資銀行（その主要な目的は、北欧の共通の利益となるプロジェクトに資金調達を行い、またプロジェクトが資金調達
を受ける北欧地域外の諸国に援助を行うことにある。）など、多くの調整団体・機関に加盟している。
ii) デンマークが加盟している国際金融機関
2020年12月31日現在、デンマークが加盟している主な国際金融機関は以下のとおりである。
国際通貨基金（IMF）
国際復興開発銀行（IBRD）
国際開発協会（IDA）
欧州投資銀行（EIB）
アジア開発銀行（ADB）
アフリカ開発銀行（AFDB）
米州開発銀行（IADB）
北欧投資銀行（NIB）
北欧開発基金（NDF）
欧州復興開発銀行（EBRD）
多数国間投資保証機関（MIGA）
国際農業開発基金（IFAD）
国際金融公社（IFC）
米州投資公社（IIC）
投資紛争解決国際センター（ICSID）
欧州評議会開発銀行（CEB）
アジアインフラ投資銀行（AIIB）
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さらに、デンマークは、拠出金が交付金の性格を有する複数の開発基金等にも加盟している。これらの開発基金等は
上表に記載されていない。
2. 経済
① 最近の経済動向の概況
ａ）概要
デンマーク経済はCOVID-19により低迷している。2020年においてGDPは2.7％下落し、失業率は0.7％上昇したが、依然と
して低いレベルで推移している。2021年には大幅な成長と雇用の改善が見込まれている。
今後のデンマーク経済の予測に関する情報については、最新の予測が記載されているデンマーク財務省のウェブサイト
（http://www.fm.dk）を参照されたい。
次の表は、デンマーク関連の経済情報の一部を示している。
主な経済指標
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
国内総生産 （市場価格）（注） 2,107.8 2,193.0 2,253.6 2,335.0 2,323.7
（単位：十億クローネ）
（成長率％） 3.5 4.0 2.8 3.6 -0.5
国内総生産（2010年連鎖価格）（注） 1,993.4 2,049.6 2,094.2 2,153.9 2,095.0
（単位：十億クローネ）
（成長率％） 3.2 2.8 2.2 2.8 -2.7
失業率（平均 ％） 6.2 6.0 5.3 5.1 5.8
インフレ率 0.3 1.1 0.8 0.8 0.4
（消費者物価指数年間上昇率）
経常収支（注） 163.9 175.6 158.2 206.8 181.2
（単位：十億クローネ）
（GDPに占める割合％） 7.8 8.0 7.0 8.9 7.7
外貨準備高（クローネ換算額） 456 462 459 441 439
（単位：十億クローネ）
資料出所：デンマーク統計局
（注）欧州国民経済計算体系（ESA2010）に従い改訂済。
詳細については、 http://ec.europa.eu/eurostat/web/esa-2010 を参照。
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ｂ）経済政策と実績
経済政策は、対ユーロ為替レートの安定、インフレ率の抑制、財政政策の持続可能性および一般政府債務の削減を確保
するための一般財政の健全な黒字、対外債務の段階的な返済ならびに高い雇用水準を確保する方向に、しっかりと向けら
れている。
このような経済政策を達成する方策としては、十分な緊縮財政、デンマーク・クローネの安定を確保する通貨政策なら
びに労働市場構造および税制の改善などがあげられる。
政府はデンマークのEUへの収斂プログラムに基づく財政の建直しという中長期的な目標に取組んでいる。一般政府予算
は1997年に黒字に転じ、石油採掘および年金基金収益について通常を上回る税収があったことが要因の一部となり、2005
年から2007年における黒字額のGDPに対する比率は約５％となった。2008年には財政黒字のGDPに対する比率は3.6％に低下
した。この低下の一因は、年金収益の課税に関する規則の変更に伴い、民間年金貯蓄に対して一回的な支払いが行われた
ことによる。2009年には一般政府予算は赤字となり、GDPに対する比率は2.8％となったが、これは主にその当時の政府が
提案して実施に移した税負担の軽減措置によるものであった。かかる軽減による歳入減は10年間にわたる経済成長により
賄われた。2020年末には予算の赤字額はGDPの1.1％となり、EU中では一番低い割合であった。
景気変動の過程において一般政府財政が平均して黒字を保つことは、将来の高齢化問題に対処するために必要不可欠で
あると思われる。財政黒字の中期目標は、GDPの1.5％－2.5％の範囲に設定されている。税の凍結は政府の全体的な目標の
一つであるため、歳出を厳格に優先づけることは、一般政府財政の健全な黒字目標を達成するために重要である。
通貨政策は、対ユーロ為替レートの安定およびインフレ率抑制の維持に引続きしっかりと向けられている。デンマー
ク・クローネに対する強い信認により、ユーロ圏の短期金利との短期金利差を比較的小幅にすることができている。2008
年10月に、デンマーク国立銀行は、多額の通貨の流出があったため金利差を拡大することを決定した。金利差は最大1.75
パーセンテージ・ポイントまで拡大したが、デンマーク国立銀行は2008年12月に縮小を開始した。デンマーク国立銀行の
主要金融政策金利と欧州中央銀行（ECB）の主要金融政策金利との現在の金利差は0.25パーセンテージ・ポイントである。
デンマークとドイツの10年物国債の2000年の秋以降の平均イールド・スプレッドは、0.20～0.30パーセンテージ・ポイン
トであったが、金融危機を背景に2008年において約0.5パーセンテージ・ポイントまで拡大した。2009年には同スプレッド
は縮小し、それ以降も縮小した状態が保たれた。デンマークとドイツの債券の金利差は、依然として、大部分のユーロ圏
の加盟国の国債とドイツ国債との金利差と比べて小幅であり、とりわけ、デンマークの健全な経済状況に起因するものと
考えられる。
長期安定化政策のもう一つの重要な要素は構造改革である。デンマークの税制および労働市場政策は、過去15年間で大
幅に改革された。それにより、デンマークは、安定した経済発展の妨げとなる好ましくない構造をかなり廃止した。ま
た、かかる改革により、一般政府財政はより健全な基盤に基づくものとなっている。
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② 最近５年間の経済動向
ａ）国内総生産
次の表は、デンマークのGDPおよび国内支出の、主要部門ごとの推移および割合を示している。
国内総生産および国内支出
（市場価格による）
（単位：十億クローネ）
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
国内支出に供された財貨および役務
国内総生産 2,107.8 2,193.0 2,253.6 2,335.0 2,323.7
財貨および役務の輸入（加算） 985.2 1,050.5 1,136.1 1,190.2 1,112.0
総供給 3,093.1 3,243.4 3,389.7 3,525.2 3,435.7
財貨および役務の輸出（控除） 1,126.1 1,207.8 1,268.7 1,361.8 1,262.8
1,966.9 2,035.6 2,121.1 2,163.4 2,172.9
民間部門消費 983.8 1,016.6 1,052.8 1,076.3 1,058.6
公的部門消費 524.2 535.3 546.7 556.8 575.7
消費合計 1,508.0 1,551.9 1,599.5 1,633.1 1,634.3
総固定資本形成（注1）
住宅 88.6 101.2 107.2 115.0 124.1
住宅以外の建物 63.2 67.7 71.0 76.8 84.1
その他の構築物・土地改良 47.9 43.7 47.6 52.8 56.8
輸送設備 49.1 59.9 64.1 53.6 44.5
情報通信機器・その他の機械・設備・兵器シ 78.4 77.7 87.2 89.1 88.8
ステム
育成生物資源 -0.2 0.1 0.0 0.2 -0.3
知的財産生産物 116.2 115.1 119.3 125.0 129.5
総固定資本形成 443.2 465.5 496.4 512.5 527.5
貴重品 3.0 3.4 3.3 3.3 2.7
総固定資本形成合計 446.2 468.9 499.7 515.8 530.1
資料出所：デンマーク統計局（国民経済計算）
（注1）欧州国民経済計算体系（ESA2010）に従い改訂済。
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ｂ）産業構造および主要産業
i) 製造業
次の表は、デンマークの主要な製造業によって加工または製造された商品の売上を示している。
産業別売上
（単位：千クローネ）
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
23,367,943 27,253,864 30,457,255 26,681,174 15,100,630
鉱業および採石業
168,395,198 173,184,336 172,553,301 175,972,745 178,280,897
食品、飲料およびタバコ製造
8,182,575 8,846,826 9,500,743 9,776,197 9,096,176
繊維および皮革製品
26,621,959 26,596,796 26,999,304 25,240,988 25,234,690
木・紙製品および印刷
67,695,828 74,673,470 81,678,210 81,125,349 72,074,306
化学薬品および石油精製品等の製造
89,615,677 98,188,681 105,410,185 115,327,944 135,848,058
医薬品
プラスチック、ガラスおよびコンクリー
40,857,238 43,247,606 43,987,673 44,225,696 44,992,369
ト製造
51,295,226 54,979,392 53,478,878 55,837,160 52,929,396
卑金属および金属加工製品
31,624,029 33,341,960 33,646,467 35,562,428 31,960,017
電子部品製造
19,737,782 20,048,348 20,418,709 19,414,201 18,998,917
電気機器
163,765,427 154,705,789 163,341,458 181,435,524 186,221,283
機械製造
11,485,007 11,902,543 11,918,858 12,353,989 10,981,545
輸送設備
61,137,632 61,668,651 61,895,338 64,967,009 66,483,643
家具製造およびその他製造
763,781,521 788,638,262 815,286,379 847,920,404 848,200,927
合計
資料出所：デンマーク統計局
デンマークの製造業は、加工および組立にその特徴がある。何十年にもわたり、大量生産技術に依存した製品より
も、むしろ高い付加価値をもつ高品質の専門的な製品を製造する輸出産業の分野に発展がみられた。
全般的にデンマークの製造業は、製造事業に必要な原料および資本設備の大半を輸入に依存している。
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ii) 農業
デンマーク経済の農業部門がGDP、輸出収入および雇用に占める割合は、ここ何年もの間で大幅に減少している。1960
年には、農業がGDPの17％を占めていた。50年後には農業はGDPの約3.7％を占めた。農業がGDPに占める割合の長期にわ
たる低下は、農業生産の絶対的な減少よりも、むしろ経済の他の部門、特に公共サービスおよびその他のサービス部門
の占める割合の相対的な増加を反映したものである。2019年末において農業はGDPの3.4％を占めた。
次の表は、表示期間中の各年における主要農産物の生産額を示している。
農業国内総生産
（単位：十億クローネ）
2015年 2016年 2017年 2018年 2019年(1)
天然ミルク 12.7 12.6 16.1 16.0 15.7
食用卵 0.8 0.8 0.9 0.9 0.9
畜牛 3.0 3.0 3.1 3.3 3.1
豚肉 20.2 22.2 24.2 20.6 25.3
鶏肉 1.7 1.8 1.7 1.8 2.0
馬肉 0.1 0.1 0.2 0.1 0.2
羊肉 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
毛皮用動物 4.0 4.3 3.8 3.6 2.5
猟鳥・猟獣 0.1 0.1 0.1 0.1 0.0
その他の家畜製品 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1
家畜製品、合計 42.7 45.0 50.2 46.6 49.8
穀類製品、合計 26.3 25.2 27.9 26.3 28.2
合計 69.0 70.2 78.1 72.9 78.0
資料出所：デンマーク統計局
（注1）2021年５月11日現在、2020年の数値は入手可能ではない。
デンマーク経済の農業部門は、全加盟国に対し共通であるEUの農業政策によって著しい影響を受ける。EUにおけるほ
ぼすべての農産品の価格は、需給およびEU加盟国によって毎年共同でなされる決定の両者によって決められる。同政策
の目的は、農民および農場労働者のために最低限の生活水準を提供することである。
デンマークの農産品の主要輸出市場はEU諸国、日本および米国である。
iii) エネルギー
デンマーク、ノルウェーおよびイギリスは、北海の大陸棚にかかる各国の権利の範囲を明確にした条約を締結してい
る。北海のデンマーク領海（約21,000平方マイル）は、ノルウェーやイギリスの領海よりもかなり狭い。しかしながら
デンマークは、北海における資源採掘により1991年から石油および天然ガスに関しては自給を達成している。
iv) 海運
デンマークの商船海運は、外貨の重要な収入源である。デンマークの船舶は、デンマークの輸入品と輸出品の大半を
輸送する。しかしながら、海外におけるデンマークの総運賃収入のうちの約95％が外国の港間の輸送により得られてい
ることから、かかる輸送はより重要となっている。
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v) 輸送
デンマークの内陸輸送設備は、ユトランド半島と主要な島々をつなぐ約2,500マイルの鉄道、デンマークの80以上の港
（ほとんどの主要都市および町を含む。）をカバーする沿岸海運航路、および国のほとんどあらゆる地域にバスおよび
トラックのサービスを行き渡らせている密度の高い道路網から構成されている。デンマークは、スカンジナビア航空会
社（SAS）の株式の14.2％を保有しており、スウェーデンも14.8％を保有している。
vi) 漁業
多くの海峡と入江をもつデンマークの長い海岸線、恵まれた漁業水域と大きな消費市場の間に位置するというデン
マークの有利な立地は、デンマークの水産業の発展に寄与してきた。
ｃ）物価および賃金
次の表は、表示期間について、各種物価および賃金指数に反映された物価および賃金の変化を示している。
物価および賃金の動向
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
消費者物価指数（2015年＝100）(注) 100.3 101.4 102.2 103.0 103.4
純小売物価指数（2015年＝100）(注) 100.5 101.7 102.6 103.4 103.4
民間部門賃金指数 131.4 133.7 136.7 139.5 142.0
公的（中央政府）部門賃金指数 131.5 133.8 137.9 141.2 143.0
資料出所：デンマーク統計局
（注）同指数について新たな指数基準期間への移行が行われた。
ｄ）雇用および労働
1994年３月、失業率は12.9％のピークに達した。1994年以降の経済の著しい回復および新たな有給休暇制度の導入によ
り失業率は低下し、2008年には平均1.8％となった。しかしながら、金融危機後に失業率は上昇を始めたが、その後再び低
下し始めた。2020年末の失業率は5.7％で、2019年末の5.1％から上昇した。
実質的にすべての失業者が登録されているので、潜在的な失業はデンマークにおいては存在しない。産業への国家の介
入は最小であり、雇用主は労働者を自由に解雇できる。次の表は、雇用および失業に関する情報を示している。
労働市場
（単位：千人）
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
労働力人口（注） 2,843.0 2,871.0 2,892.0 2,931.0 2,922.0
雇用者数（注） 2,668.0 2,699.0 2,740.0 2,780.0 2,754.0
失業者数（注） 175.0 172.0 152.0 151.0 168.0
経済活動参加率（15－64歳）（注） 77.5 77.9 78.3 79.1 79.0
就業率（15－64歳）（注） 72.7 73.2 74.1 75.0 74.4
失業率（15－64歳）（注） 6.2 6.0 5.3 5.1 5.7
資料出所：デンマーク統計局（AKU100K、FOLK1A）
（注）計算方法は2018年に追加情報を含めるよう調整され、これまでの表の数値も修正された。
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2020年の労働力人口は、合計290万人で15歳から64歳までの年齢層の人口の75％超に相当した。一般に、労働力人口の４
分の３以上が労働組合に加入しており、またほぼ同じ割合の労働力人口が、失業保険基金の加入者である。
現在、労働市場における団体交渉は20～30年前と比べてそれほど中央集権的でなくなり、賃金協定のかなりの部分が会
社ごとの個別交渉の決定に委ねられている。交渉のうちより中央で行われるものの対象は労働市場年金や労働時間になっ
ており、通常、製造または建設といった主要業種ごとに個別に交渉の解決が行われる。
ｅ）社会保障制度
デンマークで実施されている社会立法および社会福祉事業の包括的システムには、公的健康保険、養老・障害年金、被
雇用者補足年金、労働者災害補償、失業保険、児童福祉プログラム、身体障害者・精神障害者のためのケア、孤児および
被扶養者を持つ独身者に対する手当ならびに必要な者に対する一般的公的援助が含まれている。デンマークのほとんどの
病院ならびに子供および障害者のための各種施設は、州および地方自治体によって運営されている。
3. 貿易及び国際収支
① 概要
デンマーク経済は外国貿易に大きく依存しており、商品およびサービスの輸出および輸入は、それぞれGDPの約50％から
55％を占めている。
次の表は、デンマークの外国貿易に関する情報を示している。この表の中で、また外国貿易に関する他の表の中で、グ
リーンランドおよびフェロー諸島の輸出および輸入は除外されている。
外国貿易
（単位：十億クローネ）
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
財の輸出 698.9 733.4 754.0 804.7 773.5
427.2 474.5 514.7 557.1 489.4
サービスの輸出
財およびサービスの輸出 1,126.1 1,207.8 1,268.6 1,361.8 1,262.8
財の輸入 600.1 650.8 692.7 701.2 674.3
385.1 399.7 443.4 489.0 437.8
サービスの輸入
財およびサービスの輸入 985.2 1,050.1 1,136.9 1,136.1 1,112.0
資料出所：デンマーク統計局（国民経済計算）
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② 最近５年間 の計数
ａ）主要品目別および地域別輸出入状況
デンマークの製品の輸入および輸出の主要品目別の状況は、下表のとおりである。
主要品目別輸入
（単位：十億クローネ）
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
家畜、食糧、飲料およびタバコ 78.7 81.9 84.9 88.7 86.7
原材料、非食糧（燃料を除く） 17.7 19.7 20.9 20.4 19.7
鉱物燃料、潤滑油および関連材料 30.4 35.8 43.2 43.9 29.1
化学薬品および関連材料 70.6 76.1 78.5 79.7 85.6
工業製品 77.9 84.1 86.8 85.6 85.3
機械（輸送設備を除く） 129.3 134.1 136.6 148.7 152.5
輸送設備 50.6 52.5 54.3 56.3 52.3
102.6 106.6 108.0 112.5 111.2
雑工業品
合計（船舶および航空機を除く） 558.1 590.8 612.9 635.5 623.2
合計 568.2 607.3 641.2 648.3 631.5
資料出所：デンマーク統計局（外国貿易）
主要品目別輸出
（単位：十億クローネ）
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
家畜、食糧、飲料およびタバコ 119.2 126.3 122.5 129.1 129.4
原材料、非食糧（燃料を除く） 23.7 26.8 25.9 25.5 22.9
鉱物燃料、潤滑油および関連材料 26.4 31.4 34.2 32.8 18.3
化学薬品および関連材料 132.8 137.6 146.7 175.1 187.8
工業製品 57.2 61.4 63.5 62.2 60.3
機械（輸送設備を除く） 149.8 151.8 151.3 168.9 149.6
輸送設備 18.7 21.0 21.5 22.9 21.6
105.6 108.5 111.6 112.6 107.7
雑工業品
合計（船舶および航空機を除く） 633.9 664.9 676.8 728.9 697.8
合計 637.3 669.2 685.2 733.7 700.4
資料出所：デンマーク統計局（外国貿易）
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次の表は、デンマークの地域別輸出入状況の推移を示したものである。輸出の計数は輸出品の消費国を、輸入の計数は
輸入品の原産国をそれぞれ示している。
地域別輸出入状況
（単位：％）
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
輸入 輸出 輸入 輸出 輸入 輸出 輸入 輸出 輸入 輸出
フィンランド 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2
ノルウェー 4 6 5 6 5 6 4 6 3 6
スウェーデン 12 12 12 12 12 12 12 11 13 10
ドイツ 22 16 21 15 23 15 22 14 23 14
イギリス 4 6 4 8 4 7 4 6 3 5
アメリカ 3 8 3 8 3 8 4 10 3 11
日本 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2
その他 53 48 53 47 51 48 52 49 53 50
合計 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100
資料出所：デンマーク統計局
近年におけるデンマークの外国貿易は、特にドイツ、スウェーデン、イギリスおよび米国などの西欧諸国に集中してい
る。米国および日本と共にスカンジナビア諸国と他の西欧諸国がデンマークの年間における輸入および輸出の約半分を占
める。
デンマークは、伝統的に国際貿易の自由かつ公正な条件を擁護している。1973年１月のデンマークのEU加盟後、EUの共
通関税政策が段階的に実施された。関税および割当制限は、EUの加盟国間の貿易については一般的に禁止されている。加
盟国による非加盟国との財貨の交換については、統一規制が適用される。
1950年に農産物の輸出は、デンマークの総輸出の約68％を占めていた。農産物の輸出の相対的重要性はそれ以来低下し
ている。
総輸出に対する割合としての工業製品の輸出は、1964年の約50％から1970年には約64％へと上昇した。この傾向は1970
年以降ペースを落として続いている。大半の主要品目によって占められる工業輸出の相対的シェアは、ここ10年間ではほ
ぼ一定であるが、家具や化学品のようなそれほど大きくない品目の一部の重要性が増している。
近隣諸国（ドイツ、イギリスおよびスウェーデン）は合わせて、デンマークの輸出入の約30％から40％を占めている。
従って、デンマークの外国貿易および国際収支は、これらの国々に存在する経済条件および経済活動によって強く影響さ
れる。
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ｂ）日本との貿易
デンマークと日本間の財貨の輸出入
（単位：十億クローネ）
2016年 輸出 14.488
輸入 2.812
純輸出 11.676
2017年 輸出 14.143
輸入 2.797
純輸出 11.346
2018年 輸出 13.942
輸入 2.765
純輸出 11.177
2019年 輸出 15.531
輸入 2.842
純輸出 12.689
2020年 輸出 15.162
輸入 2.698
純輸出 12.463
ｃ）国際収支
次の表は、デンマークの国際収支の主要項目を示している。
国際収支
（単位：十億クローネ）
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
経常収支
輸出合計 1,126.1 1,199.4 1,249.7 1,297.0 1,262.8
輸入合計 985.2 1,047.1 1,113.9 1,140.6 1,112.0
総額 140.9 152.3 135.8 156.4 150.8
国際流動性
外貨準備高 456 462 459 441 440
資料出所：デンマーク統計局（国際収支）
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ｄ）金および外貨準備
デンマークの外貨準備高は、外国為替市場の状況を考慮に入れた様々な外貨準備のニーズを反映して、近年変動が見ら
れる。各表示年度末現在でのデンマークの対外通貨ポジション（純）を下表に示す。
外貨準備高
（単位：十億クローネ）
12月31日現在
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
金 17.5 17.2 17.8 21.7 24.5
対外資産 424.9 432.8 426.0 404.1 393.5
欧州中央銀行債権 0.1 0.1 0.1 0.0 0.0
16.7 15.3 17.4 18.6 22.3
IMF債権
外貨準備金（総額） 459.2 465.4 461.3 444.4 439.0
対外債務 3.0 3.5 2.3 3.1 1.3
純公的外貨準備高 456.2 461.9 459.0 441.3 439.6
資料出所：デンマーク国立銀行
これらの準備に加えて、デンマークは、EU加盟国として、域内の一定の与信枠を利用することができる。
ｅ）外国為替
1980年代初頭以降、デンマーク・クローネの価値をEUの為替相場メカニズム（ERM）（1999年以降はERMⅡ）の範囲内に
維持するとの明確な政策は成功を収めてきた（「4．① a) 通貨・金融制度」参照）。ERMⅡの枠組みにおいて、デンマー
ク・クローネは、対ユーロのデンマーク・クローネ中心レートから±2.25％の幅で変動することができる。
次の表は、デンマーク国立銀行が建値した、デンマーク・クローネに換算した米ドルおよび日本円に換算したデンマー
ク・クローネの毎日の平均中間為替レートおよびデンマーク国立銀行により報告されたデンマーク・クローネの平均値の
貿易加重指数（名目実効為替レート）を示している。
外国為替レート（平均値）
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
１米ドル当りのデンマーク・クローネ 6.73 6.60 6.32 6.67 6.53
100円当りのデンマーク・クローネ 6.21 5.88 5.72 6.12 6.12
名目実効為替レート（1980＝100) 100.8 102.1 103.6 103.0 104.0
資料出所：デンマーク国立銀行
③ 外国為替管理
直接投資の規制を含むすべての為替管理は、1988年10月１日に廃止された。
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4. 通貨・金融制度
① 概要
ａ）通貨・金融制度
デンマークは、ユーロ圏との固定為替相場政策を維持している。すなわち、ユーロに対するデンマーク・クローネ相場
の安定性を維持することが通貨および為替政策の目標となっている。
この固定為替相場政策の公式枠組みは、欧州為替相場メカニズム（ERMⅡ）である。デンマークはERMⅡに参加してお
り、対ユーロのデンマーク・クローネ中心レートは100ユーロ＝746.038デンマーク・クローネである。中心レートの変動
幅は±2.25％である。近年、デンマーク国立銀行はデンマーク・クローネを中心レートに近いレートに維持してきた。
為替市場が安定している場合には、固定為替相場政策のもとでは、デンマーク国立銀行は欧州中央銀行（ECB）の最低入
札金利の変更に合わせて政策金利（公定歩合、当座勘定金利および貸出金利）を調整することとなる。デンマーク・ク
ローネに対して上昇圧力もしくは下方圧力がかかっている場合、または外国為替の流入もしくは流出が持続している場合
には、デンマーク国立銀行は、独自に金利調整を行ってデンマーク・クローネの安定化を図る。
短期的には、デンマーク国立銀行は、為替市場への介入によりデンマーク・クローネ相場を安定させることができる。
デンマーク国立銀行は、銀行および抵当貸付機関からなる金融政策カウンターパーティ経由で金融政策を実施してい
る。金融政策カウンターパーティは、デンマーク国立銀行にオーバーナイト預金をすることができ、また、週１回行われ
るデンマーク国立銀行のオペレーションに参加できる。週１回の市場オペでは、カウンターパーティは、有価証券を担保
として提供することで７日満期の貸付を受けるか、または譲渡性預金証書（ＣＤ）の購入により７日間預金を行うことが
できる。
デンマーク国立銀行の金利は、デンマーク・クローネ建の短期金融市場における短期金利の指標となる。短期金融市場
は、主に銀行間の短期貸付契約および金利契約向け市場である。公定歩合が大幅に調整を受けた場合には、銀行は通常、
顧客に対する金利も調整する。
デンマークの金融政策についての情報は、デンマーク国立銀行のウェブサイト（www.nationalbanken.dk）においても入
手可能である。
ｂ）銀行およびその他の金融機関
デンマークの主要金融機関には、商業銀行、貯蓄銀行、抵当貸付機関、保険会社および年金基金が含まれる。
詳細はデンマーク金融監督庁のウェブサイト（https://www.dfsa.dk）を参照のこと。
ｃ）証券市場
ナスダック（コペンハーゲン）（ナスダックOMXグループの一部となる前の名称はコペンハーゲン証券取引所）は、デン
マークにおける主要な証券取引所で、ほとんどの上場証券が取引されまた取引が報告される場所である。ナスダック（コ
ペンハーゲン）では、有価証券の取引のほか先物およびオプション取引も行われている。ナスダック（コペンハーゲン）
の詳しい情報についてはウェブサイト（www.nasdaqomxnordic.com）を参照されたい。
VPセキュリティーズ A/S（旧デンマーク証券センター（V æ rdipapircentralen, VP））は、総合的な中央有価証券保管・
決済センターである。
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1996年証券取引法に基づき、欧州パスポート（会社の本国の金融監督当局からの免許）を保有するEU加盟国（またはか
かる事項についてEUが協定を結んでいる国）のいかなる金融機関または証券会社も、ナスダック（コペンハーゲン）の会
員になりそこで証券取引を行うことができる。支店等の形で進出する必要はない。その他の国からの会社は、金融監督庁
からの免許の取得を条件として、デンマークに設立された支店を通じて参加することができる。
流通有価証券
（単位：十億クローネ）
12月31日現在
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
クローネ建デンマーク政府債券（額面金額） 610.2 609.0 586.2 588.0 641.4
担保付債券（額面金額） 2,844.9 2,874.7 2,889.9 3,076.7 3,095.1
その他の債券（額面金額） 147.8 143.3 133.5 142.1 134.1
株式（時価） 2,457.4 2,810.3 2,469.3 3,112.9 3,922.4
資料出所：デンマーク統計局
② 通貨供給量
次の表は、各日付現在におけるデンマークの通貨供給量を示したものである。
通貨供給量
（単位：十億クローネ）
当初満期が 当初満期が
Ｍ３の前年
銀行券 当初満期が
３ヵ月未満の ２年未満の 度
12月31日 および 要求払い ２年未満の
現在 硬貨 預金 定期預金 通知預金 レポ 発行債券 Ｍ３ 比増加量
2016年 61.6 1,060.7 69.1 30.4 36.6 185.5 1,444.0 -3.9
2017年 62.2 1,118.6 73.3 31.0 35.7 166.0 1,486.9 3.0
2018年 62.9 1,165.8 64.4 32.5 18.9 99.4 1,443.9 -2.9
2019年 62.4 1,240.1 55.4 31.4 27.8 70.4 1,487.5 3.0
2020年 67.5 1,386.2 31.1 33.6 29.1 107.3 1,654.8 11.2
資料出所：デンマーク国立銀行
③ 公定歩合および譲渡性預金金利
次の表は2012年から2020年までのデンマーク国立銀行の公定歩合の推移を示すものである。
実施日 公定歩合（％）
2012年６月１日 0.25
７月６日 0.00
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次の表は2012年から2020年までのデンマーク国立銀行の譲渡性預金金利の推移を示すものである。
実施日 譲渡性預金金利（％)
2012年５月25日 0.20
６月１日 0.05
７月６日 -0.20
2013年１月25日 -0.10
2014年４月25日 0.05
９月５日 -0.05
2015年１月20日 -0.20
１月23日 -0.35
１月30日 -0.50
２月６日 -0.75
2016年１月８日 -0.65
2019年９月13日 -0.75
2020年３月19日 -0.60
デンマークの政策金利についての情報は、デンマーク国立銀行のウェブサイト（http://www.nationalbanken.dk）におい
ても入手可能である。
④ デンマーク国立銀行
デンマーク国立銀行は、発券銀行であり、デンマークの中央銀行である。デンマーク国立銀行は、1936年４月７日付のデ
ンマーク国立銀行法に基づいて設立され、その営業は同法によって規制されている。デンマーク国立銀行は、最終的には国
会の立法上の規制に従うものの、独立した機関である。
デンマーク国立銀行の中央銀行としての機能には、政府の銀行および政府の財務代理人として行為すること、政府証券お
よびその他の証券について公開市場操作を実施すること、銀行の流動性および銀行の外国為替ポジションを規制すること、
デンマークの公的外貨準備を管理すること、他の金融機関のために決済機関として機能すること、ならびに政府の国内外の
債券発行・販売に際して政府を補佐することが含まれる。
1991年に、王国の債務の管理業務が財務省からデンマーク国立銀行に移管された。
2020年12月31日現在のデンマーク国立銀行の貸借対照表は下記の通りである。
デンマーク国立銀行貸借対照表
（2020年12月31日現在）
（単位：百万クローネ）
資産の部 負債・資本の部
金保有額 24,535 流通紙幣 68,389
対外資産 393,478 流通硬貨 6,134
IMF純資産 22,315 対外負債 1,342
欧州中央銀行への債権 37 IMF特別引出権配分額 13,416
貸付金等 3,900 預け金等 9,267
債券・株式等 33,037 金融政策預金 164,004
その他資産 4,067 政府勘定 136,875
その他負債 540
負債合計 399,967
払込資本金および準備金 81,402
資産合計 481,369 負債および資本合計 481,369
資料出所：デンマーク国立銀行
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