メキシコ合衆国 有価証券報告書
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メキシコ合衆国(E06002)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第１項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2021年６月30日
【会計年度】 自 2020年１月１日 至 2020年12月31日
【発行者の名称】 メキシコ合衆国
(United Mexican States)
【代表者の役職氏名】 ホセ・デ・ルナ・マルティネス
(José De Luna Martínez)
財務省公債局次官補
(Deputy Undersecretary for Public Credit of the Ministry
of Finance and Public Credit)
【事務連絡者氏名】 弁護士 島崎文彰
【住所】 東京都千代田区神田小川町一丁目７番地
小川町メセナビル４階
島崎法律事務所
【電話番号】 (03) 5843-9631
【縦覧に供する場所】 該当なし
注(1) 本書中、「発行者」または「メキシコ」とあるのは、メキシコ合衆国を指すものとする。
(2) 本書中、「ペソ」とは、メキシコ合衆国の法定通貨を、また「米ドル」もしくは「ドル」とは、アメリカ合衆
国法定通貨を指し、「名目」データとは、インフレ調整を行っていないペソ表示のデータを、「実質」データと
は、インフレ調整後のペソで表示されたデータを指す。別段の記載がない限り、特定の日現在のペソ金額の米ド
ル相当額は、ペソ以外の通貨で表示され、メキシコ国内で支払われる債務の支払についてメキシコ中央銀行が公
表した当該日付現在の為替レートに基づいており、特定の期間についてのペソ金額の米ドル相当額は、当該期間
中にメキシコ中央銀行が日々公表した為替レートの平均値に基づいている。メキシコ中央銀行は、大口取引の市
場状況を反映した代表的な金融機関による建値から得られた平均値を基準に日々公表する為替レートを計算して
いる。メキシコ中央銀行は、メキシコの公式経済統計の計算に際してこのレートを用いている。2021年６月10日
にメキシコ中央銀行が公表した為替レート（２営業日後決済）は、１米ドル＝19.7190ペソであった。「第３－
１－(3) 貿易及び国際収支－⑧ 為替管理および為替レート」を参照のこと。ペソと米ドルとの間の為替相場の
変動により、本書日付以降のいかなる日においても為替相場は上記の相場とは大きく異なる可能性がある。参考
までに、2021年６月10日現在株式会社三菱ＵＦＪ銀行が建値した対顧客電信直物売買為替相場の仲値は、１ペソ
＝5.56円および１米ドル＝109.65円であった。上記の為替レートは参考のためにのみ本書に記載されるものであ
り、本書中のペソ建または米ドル建の金額がいずれかの特定のレートで米ドル、ペソもしくは日本円に交換しえ
た、または交換しうると意味するものではないことに留意されたい。
メキシコの通貨法の下では、契約によるものであるか、メキシコの裁判所の判決によるものであるかを問わず、
メキシコにおいて外国通貨でなされるべき支払は、支払時におけるペソの実勢為替レートによりペソでこれを行
うことができる。
(3) メキシコ連邦政府（以下「政府」という。）の会計年度は、12月31日に終了する。本書において、2020年12月
31日に終了した会計年度は「2020年」とし、その他の年度も同様とする。
(4) 本書中の表で計数が四捨五入されている場合、合計は計数の総和と必ずしも一致しない。
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第１【募集（売出）債券の状況】
募集債券
上場金融商品取
会計年度末
引所名または登
債券の名称 発行年月 券面総額 償還額 現在の
録認可金融商品
未償還額
取引業協会名
第19回メキシコ合衆国
2014年７月 139億円 - 139億円 なし
円貨債券 (2014)
第20回メキシコ合衆国
2014年７月 123億円 - 123億円 なし
円貨債券 (2014)
第22回メキシコ合衆国
2016年６月 509億円 - 509億円 なし
(1)
円貨債券 (2016)
第23回メキシコ合衆国
2016年６月 163億円 - 163億円 なし
円貨債券 (2016)
第24回メキシコ合衆国
2016年６月 219億円 - 219億円 なし
円貨債券 (2016)
第25回メキシコ合衆国
2018年４月 572億円 － 572億円 なし
円貨債券 (2018)
第26回メキシコ合衆国
2018年４月 241億円 － 241億円 なし
円貨債券 (2018)
第27回メキシコ合衆国
2018年４月 387億円 － 387億円 なし
円貨債券 (2018)
第28回メキシコ合衆国
2018年４月 150億円 － 150億円 なし
円貨債券 (2018)
第29回メキシコ合衆国
2019年７月 655億円 － 655億円 なし
円貨債券 (2019)
第30回メキシコ合衆国
2019年７月 412億円 － 412億円 なし
円貨債券 (2019)
第31回メキシコ合衆国
2019年７月 273億円 － 273億円 なし
円貨債券 (2019)
第32回メキシコ合衆国
2019年７月 310億円 － 310億円 なし
円貨債券 (2019)
(1) 本会計年度終了後、当該債券は2021年６月16日の満期に全額償還された。
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売出債券
該当事項なし。
本会計年度中に、各債券の所有者の権利等に重要な影響を与えるような出来事は発生しなかった。
第２【外国為替相場の推移】
該当事項なし。
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第３【発行者の概況】
１【発行者が国である場合】
(1) 【概要】
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① 地域、人口および社会
メキシコは、総面積が1,964,375平方キロメートルで、アメリカ大陸中第５位、世界第13位を占めてい
る。北はアメリカ合衆国（以下「米国」という。）と3,141キロメートルに及ぶ国境を接している。南東
は、グアテマラと641キロメートル、ベリーズと249キロメートルに及ぶ国境を接し、東側の海岸線は、メ
キシコ湾に沿って2,429キロメートル、カリブ海に沿って865キロメートルおよび太平洋に沿って7,828キロ
メートルに及ぶ。
メキシコは、地理的に非常に多様な国である。山岳地帯や広大な海岸平野のほか、谷間、峡谷、高原お
よび窪地などの特徴がある。メキシコで最も顕著な地理的特徴があるのは、東西シエラマドレ山脈、バ
ハ・カリフォルニア半島、メサ・デル・セントロおよびユカタン半島である。メキシコの国土の約12％は
耕作地であり、約55％は放牧に適しており、約34％は森林である。
メキシコはその地理的位置から、ハリケーン、地震、豪雨および洪水といった自然災害、ならびにメキ
シコ湾における石油流出や鉱山事故など環境に影響を及ぼす事故に弱い。「⑧ 環境－自然災害政策」を参
照のこと。
メキシコ国立統計地理情報院（ Instituto Nacional de Estadística y Geografía 、以下「INEGI」とい
う。）による2015年の中間センサス（ Encuesta Intercensal ）によると、メキシコの人口は120百万人で、
アメリカ大陸では人口が３番目に多い。2010年の住宅および人口に関する国勢調査によると、メキシコの
人口の77.8％（推定）は都市部に居住し、22.2％は農村部に居住している。メキシコの三大都市は、メキ
シコシティ、グアダラハラおよびモンテレイで、その人口はそれぞれ20.1百万人、4.4百万人および4.1百
万人である。
2020年３月、INEGIによる最新の国勢調査の検証段階はCOVID-19の発生により中断され、INEGIでは2020
年12月までに国勢調査の結果を公表する予定はない。2020年７月１日、INEGIはインターネットによる調
査、電話およびその他の情報技術を含むリモートによるデータ収集を続けるプロセスを実施した。
INEGIは、2020年の住宅および人口に関する国勢調査の結果を2021年１月25日に公表する予定である。
メキシコは、一般に上位中所得発展途上国に分類されている。以下の表は、世界銀行の国際復興開発銀
行（以下「IBRD」という。）が公表したメキシコおよびその他のアメリカ大陸諸国にかかる最近の抜粋比
較統計を示している。
(1)
抜粋比較統計
メキシコ ブラジル アルゼンチン チリ 米国
(2)
国民１人当たりGDP 9,673.4 9,001.2 11,683.9 15,924.8 62,996.7
平均寿命 75 76 76 80 79
(3)(4)
青年識字率
男性 99 ％ 99 ％ 99 ％ 99 ％ n.a.
女性 99 ％ 99 ％ 100 ％ 99 ％ n.a.
乳児死亡件数（2018
(5)
年） 11 13 9 6 6
n.a.：未詳
(1) 別段の記載がない限り、2018年の数値。
(2) 数値は米ドルで表示。
(3) 15歳から24歳まで。
(4) チリについては2017年現在の数値。
(5) 出生1,000人に対する乳児死亡件数。
出典： 世界銀行の「世界開発指標」
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② 政府の形態
メキシコは、メキシコシティを含む32の州により構成される国家である。1917年５月１日に発効したメ
キシコ政治憲法（ Constitución Política de los Estados Unidos Mexicanos 、 以下「憲法」という。は、
現在のメキシコの政府形態を、政府および州政府からなる連邦共和国として確立させている。
政府
憲法は、政府を行政府、司法府および立法府の３つに分けることにより、権限の分立を定めている。
2019年12月31日現在、行政府および立法府ならびに各州政府には７つの全国政党が代表者を送ってい
た。
(i)行政府
メキシコの大統領は、行政府の長であり、18歳以上のメキシコ国民の一般投票により選出される。憲
法は、大統領の任期を１期６年に制限している。一般投票により、または代理としてもしくは臨時の資
格において暫定的に、大統領職に就いた者は、当該職に再度就くことはできない。
選挙管理委員会（ Instituto Nacional Electoral 、INE）は、2019年12月20日に設定された規制の枠組
みに従って、選挙人名簿に登録された者の少なくとも３％に相当する市民の要求により大統領に対する
リコールの国民投票を招集することができる。リコールの国民投票は、大統領の任期中１回に限り要求
することができ、大統領の任期の３年目以降３カ月以内に行われなければならない。リコールの国民投
票が有効となるためには、有権者名簿に登録された者の少なくとも40％が投票に参加し、その絶対過半
数の承認を得なければならない。
2018年７月１日にメキシコにおいて総選挙が実施された。MORENA党のアンドレス・マヌエル・ロペ
ス・オブラドール候補が大統領選挙に勝利した。ロペス・オブラドール大統領は、制度的改革党のエン
リケ・ペニャ・ニエト大統領に代わって、2018年12月１日に就任した。
行政府は、19の省、連邦法制局（ Consejería Jurídica del Ejecutivo Federal ）および連邦検察庁
（ Fiscalía General de la República ）、ならびにエネルギー部門の２つの規制上の組織からなる。
大統領は各省の長を任命する。大統領による財務省（ Secretaría de Hacienda y Crédito Público ）
の大臣および上級官僚の任命は、下院（ Cámara de Diputados ）の承認を条件とする。2019年７月９日、
カルロス・マヌエル・ウルスア・マシアス氏の辞任を受けて、ロペス・オブラドール大統領は、2018年
12月以降財務省次官を務めていたアルトゥーロ・エレーラ・グティエレス氏を新任の財務大臣に任命し
た。
国家開発計画は、ロペス・オブラドール大統領の任期中における主な目標および目的を定めた５カ年
計画である。2019年７月12日に公表された国家開発計画には、公行政における腐敗の根絶、最も貧困か
つ最も脆弱な層に配慮した国民の経済的福祉の促進、予防重視の戦略による不安、犯罪および暴力の削
減、参加型民主主義の推進、ならびに非干渉、自己決定、開発協力、対話と暴力および戦争の拒否によ
る紛争の平和的解決ならびに人権の尊重に基づく外交政策の確立などが盛り込まれている。総じて、開
発計画は、法の秩序と権力の分離を厳守して、「共和主義」の緊縮政策を優先している。
(ii)司法府
メキシコの連邦司法府（連邦司法府）は、最高裁判所（ Suprema Corte de Justicia de la
Nación ）、巡回裁判所（ Tribunales Colegiados de Circuito ）、地方裁判所（ Juzgados de Distrito ）
および連邦司法委員会（ Consejo de la Judicatura Federal ）で構成されている。最高裁判所は11名の
裁判官からなり、その任期は15年で期差任期制により交替する。最高裁判所の各裁判官は、大統領が指
名した３名の候補者の中から、上院（ Senado de la República ）の３分の２の多数票により任命され
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る。最高裁判所の裁判官は４年ごとに長官を互選し、長官は連続して再選されることはない。連邦司法
委員会は、連邦司法制度人事の管理、監督および規律を担当する。同委員会は７名の委員で構成され、
委 員の一人である最高裁判所長官が委員長を務める。
憲法は、連邦司法府に対して違憲判決を下す権限を含む司法審査の権限を付与している。最高裁判所
は、初めて行った2019年２月14日の違憲に関する一般宣言において、法律で特に定められていない規制
枠組みに違反があった場合にラジオおよびテレビの営業権者および免許所有者の課税所得の１％という
最低の罰金を科す連邦通信放送法（ Ley Federal de Telecomunicaciones y Radiodifusion ）の規定が過
大であるとして無効を言い渡した。
2019年５月20日、最高裁判所は、連邦公務員報酬法（ Ley Federal de Remuneración de los
Servidores Públicos ）の一部規定、ならびに過剰な給与と給付金の支払を行ったことおよび過剰な支払
の受取について報告を怠ったことに対する罰則を定めた連邦刑法の２つの条文を無効とし、議会に対し
て次の通常会期中に無効化された規定を立法化するよう命じた。
(iii)立法府
立法権は、上院および下院からなる議会に付与されている。憲法上、大統領は法案に対して拒否権を
行使することができ、議会は各院の３分の２の多数票をもってかかる拒否権を無効にすることができ
る。
議会の議員は、18歳以上のメキシコ国民の一般投票により直接、または比例代表制を通じて選出され
る。比例代表制の下では、政党は、拘束式名簿上に下院議員または上院議員を務める候補者を推薦す
る。議席は、とりわけ政党が一般投票の少なくとも３％を獲得した場合に限り、当該選挙において当該
政党に投じられた票数の比率に基づいて、候補者名簿に指定された順番に割当てられる。下院は500名の
下院議員で構成され、そのうち300名は全国の選挙区の選挙民による直接投票により選出され、その他
200名は比例代表制により選出される。上院は128名の上院議員で構成され、そのうち96名は直接投票に
より選任され、その他32名は比例代表制により選出される。ひとたび選出されると、上院議員の任期は
６年で、連続してもう１期６年間まで再選が可能である。下院議員の任期は３年で、連続してさらに３
期まで再選が可能である。上院議員全128議席および下院議員全500議席にかかる議員選挙は2018年７月
１日に実施された。次回の下院議員選挙は2021年６月６日に予定されている。次回の上院議員選挙は、
下院議員選挙に合わせて2024年６月２日に予定されている。
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以下の表は、一部上院議員および下院議員の選挙後の所属政党変更を反映した、2020年12月31日現在
のメキシコの上院および下院の議席配分を示している。
(1)
議会の議員数
上院 下院
議席数 比率（％） 議席数 比率（％）
国家再生運動党（MORENA） 60 46.9 252 50.4
国民行動党 25 19.5 77 15.4
制度的改革党 13 10.2 48 9.6
市民運動党 8 6.3 27 5.4
労働党 6 4.7 46 9.2
メキシコ環境主義緑の党 7 5.5 11 2.2
社会遭遇党 4 3.1 24 4.8
民主革命党 3 2.3 12 2.4
1 0.8 3 0.6
無所属
(2)
127 99.2 500 100.0
合計
注：四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 2020 年12月31日現在。
(2) 2020 年12月31日現在、上院には１名の欠員があった。
出典： 上院および下院
州政府
メキシコシティを除くメキシコの各州の行政府は、それぞれ一般投票により選出される州知事を長とす
る。メキシコシティの行政府の長は市長であり、やはり一般投票により選出される。
③ 刑事裁判
メキシコは、有罪が証明されるまで被告人は無実であると推定される告発刑事司法制度を有している。
国家刑事訴訟法（ Código Nacional de Procedimientos Penales ）は、憲法およびメキシコが当事者となっ
ている国際条約に定める原則に従って全国一律の刑事訴訟規則を定めている。同法は、迅速な法律手続き
の促進、被害者とその権利の保護の強化、無罪の推定の実施および適正なプロセスの尊重の強化などを目
標としている。
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④ 国内の治安
概要
特に麻薬の製造、加工および取引、燃料の窃盗ならびにサイバー犯罪といった活動に関係していること
を理由に、ここ数年、政府は組織犯罪対策を強化している。政府は、様々な治安対策を実施すると同時
に、軍隊および警察を強化している。
INEGIによる迫害と治安の認識に関する世論調査2019（ Encuesta Nacional de Victimización y
Percepción sobre Seguridad Pública 2019 ）によると、麻薬取引および組織犯罪といった被害調査対象外
の連邦犯罪を除き、地方犯罪および関連する治安対策によりメキシコの家計に対して2018年にはGDPの
1.5％に相当する286.3十億ペソの費用がかかったことが判明した。この費用は、地方犯罪の被害者１名に
つき6,468ペソに相当する。
国家開発計画の一環として、政府は、犯罪と暴力の根源に焦点を当てたセキュリティ対策へのアプロー
チを優先している。国内の治安上の問題を削減するための対策の中でも、開発計画では、若年層向けの教
育および雇用を促進し、前科者の社会復帰を増加し、薬物依存症を予防、治療し、前科者と被害者の間の
和解および調停にかかる地域的および全国的なプロセスを創出し、マネー・ロンダリングを回避すること
を目的としている。
上記の目標を進めるため、政府は2019年５月27日、平和を確保し、教育、医療、社会福祉、人権保護お
よび麻薬対策等の改革を通じた市民生活の質の向上を目的として、一連の法律を制定した。
具体的には、国家警備隊法（ Ley de la Guardia Nacional ）により国家警備隊（ Guardia Nacional ）が
創設され、国家警備隊の職務および管理が規定され、連邦および地方自治体の公安組織との調整および協
力について定められている。国家武力行使法（ Ley Nacional sobre el Uso de la Fuerza ）は、「武力の
行使」について定義し、公安組織が武力を行使できる時期および方法を規定している。国家拘留記録法
（ Ley Nacional del Registro de Detenciones ）により、拘留者の人権侵害、拷問行為、残酷、非人道的
かつ品位を傷つける取扱い、ならびに強制失踪を防ぐ目的で、国家レベルで拘留に関する情報を統合する
ための国家拘留記録（ Registro Nacional de Detenciones ）が設けられている。国家公安情報システム
（ Sistema Nacional de Informaci ó n en Seguridad P ú blica ）の一部をなす国家拘留記録には、各被拘留
者が刑事または行政手続きのどの段階にあるかに関する情報が含まれ、利害関係者が被拘留者の状況にか
かる記録を検索することが認められている。国家拘留記録の機能、運用および保存に関するガイドライン
（ Lineamientos Para el Funcionamiento, Operación y Conservación del Registro Nacional de
Detenciones ）は、国家拘留規則の統合、運用、保存および機能の規制に役立っている。
また、国家公安制度（ Sistema Nacional de Seguridad Pública ）において、メキシコは、2019年７月、
国家警察および市民司法のモデル（ Modelo Nacional de Policía y Justicia Cívica ）を採用した。国家
警察および市民司法のモデルは、地方自治体および州の警察を強化し、これら警察と国家警備隊および検
察庁の双方との間の効果的なコミュニケーションを促進することを目的としている。このモデルは、専門
の警察隊に競争力のある給与と十分な設備およびインフラを提供する適切かつ持続可能な資金調達システ
ムを必要とする。また、セキュリティ に対する国民の認識を高め、公共安全機関への信頼を高めるため
に、犯罪の発生を防止および削減することを目指している。
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組織犯罪、武器密売およびマネー・ロンダリング
財務省の金融情報機関（ Unidad de Inteligencia Financiera 、FIU）とメキシコシティの市長は、2019
年３月１日、マネー・ロンダリングおよびテロへの資金供与と闘うため情報交換をする協定を締結した。
同協定により、違法な資金源をもつ犯罪を援助するために与えられたあらゆる種類の援助を防止し、摘発
するために、いっそうの連携が可能になっている。
いずれも2019年11月８日付で改正された、連邦反組織犯罪法（ Ley Federal Contra la Delincuencia
Organizada ）、国家安全保障法（ Ley de Seguridad Nacional ）、国家刑事訴訟法、連邦財政法（ Código
Fiscal de la Federación ）および連邦刑法（ Código Penal Federal ）は、一定の条件の下で、(ⅰ)組織犯
罪に相当し、(ⅱ)職権による公判前拘留に値し、(ⅲ)条件付停止の資格を喪失し、(ⅳ)補償契約の対象と
ならない、特定の税法違反の取扱いを対象としている。2019年11月８日の法改正は、脱税およびマネー・
ロンダリングを防止し、訴追し、より厳しく罰することを目的としたものである。
米国とメキシコの両政府は、国境を越えた組織的犯罪との闘いを目的とした、墨米間の治安に関するハ
イレベル・グループ（ Grupo de Alto Nivel de Seguridad México-Estados Unidos 、以下「GANSEG」とい
う。）を引続き維持している。2019年11月21日、メキシコは、GANSEGの武器密売の担当部門に対して違法
な武器密売と闘うための米国との二国間協定の草案を提示した。協定案では、とりわけ、米国とメキシコ
の間の情報交換を制度化し、違法な武器密売の訴追のための二国間の法的枠組みを確立し、サンディエゴ-
ティファナ、エルパソ-シウダード・フアレス、ラレド-ヌエボ・ラレド、マッカレン-シウダード・レイノ
サおよびブラウンズビル-マタモロスの５カ所の戦略的検査サイトを手始めにすべての国境地域のチェック
ポイントでの武器へのアクセスを阻止するための技術を利用する。
2019年12月９日、外務省（ Secretaría de Relaciones Exteriores ）、治安・市民防災省（ Secretaría
de Seguridad y Protección Ciudadana ）、連邦検察庁、および駐メキシコ欧州連合代表部のサポートを受
けた欧州連合諸国の一部の代表は、(ⅰ)武器の違法な流れを抑制し、(ⅱ)情報交換のための協力メカニズ
ムを模索するため、安全保障事項に関する共同プロセスの開始について合意した。
治安・市民防災省と欧州連合法執行機関（欧州刑事警察機構、以下「ユーロポール」という。）は、安
全保障問題に関する協力を拡大強化するための作業協定（ acuerdo de trabajo ）に調印した。この作業協
定により、メキシコと欧州連合（以下「EU」という。）加盟国の警察当局ならびにユーロポールと関係の
ある第三国および組織を結びつける、当事者間の情報交換のための安全なシステムが保証される。
2020年１月16日、外務省および治安・市民防災省により代表されるメキシコと米国は、国境を越えた犯
罪ネットワークによる武器、麻薬および資金源の密売を減らし、麻薬の消費を減らし、麻薬中毒と闘い、
フェンタニールを共通の問題として取扱うための二国間プログラムについて合意した。
人権
メキシコは、(1)人権擁護者およびジャーナリストを保護するための指定インフラおよび予算、(2)暴力
のリスクを特定し軽減するための、民間組織の代表者、国家人権委員会（ Comisión Nacional de los
Derechos Humanos ）および政府の主導による全国的な連携システム、ならびに(3)人権擁護者およびジャー
ナリストに対する暴力事案の調査を実施し、これを解決する、表現の自由に対する犯罪に対応する特別検
察（ Fiscalía Especial para la Atención de Delitos Cometidos Contra la Libertad de Expresión ）を
含む人権の保護を目的とした政策を有している。
強制失踪、自発的失踪および国家人物捜索制度に関する基本法（ Ley General en Materia de
Desaparición Forzada de Personas, Desaparición Cometida por Particulares y del Sistema Nacional
de Búsqueda de Personas ）は、失踪者の捜索の決定、実行およびフォローアップを担当する国家人物捜索
制度（ Sistema Nacional de Búsqueda de Personas ）ならびに被害者の家族、市民社会組織、連邦および
地方検察庁で構成される協議および参加機関として機能する全国調査委員会（ Comisión Nacional de
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Búsqueda ）などの手段を講じることにより、刑事免責と闘い、被害者とその家族の権利を守ることを目的
としている。
サイバー犯罪
2017年５月12日にヨーロッパ、アジアおよび中南米の複数の国に影響を及ぼしたサイバー攻撃を受け
て、メキシコの連邦警察（ Policía Federal ）は連邦機関のコンピュータ機器のセキュリティを高めるため
の技術的提言を備えたガイダンスを発行した。メキシコはまた、ランサムウェア・ソフトウェアにリンク
したサイバー事案を管理するため、国家安全保障委員会（ Comisión Nacional de Seguridad 、以下「CNS」
という。）と諸外国の同等機関との間のコラボレーション・プロトコル契約も有している。
2018年４月および５月、メキシコ中央銀行（ Banco de México ）が開発し、運営する、銀行預金口座間の
資金の電子的移転を可能にする銀行間電子決済システム（ Sistema de Pagos Electr ó nicos
Interbancarios ）の５つの登録参加機関は、サイバーセキュリティ違反を経験した。観測されたすべての
攻撃は、銀行、ブローカー企業および決済システムのその他参加者に向けられたものであった。
こうした事案に対応して、2018年５月15日、メキシコ中央銀行は、技術的インフラ保護を改善し、技術
セキュリティ管理部（ Gerencia de Seguridad de Tecnologías ）にサイバーセキュリティ管理に対する監
督権限を付与する一連の改革を通じて、その取扱うデータの保護を強化した。メキシコ中央銀行は、資金
移転サービスを提供する与信機関およびその他の組織に対して、システムによる変則的な資金移転の発見
を強化し、その運用の整合性の検証を認め、その参加者およびシステム全体に対して可能性のあるダメー
ジを回避するための追加的な管理措置を適用するオプションを与える規定を発行した。これらの規定は、
与信機関による現金引出しの検証を変更する規則も規定していた。
金融部門の６つの当局、連邦検察庁、メキシコの金融部門の様々な同業組合および民間金融機関の代表
者により調印された情報セキュリティに係る調整基準（ Bases de Coordinación en Materia de Seguridad
de la Información ）は、メキシコの金融制度において情報セキュリティが脅かされるような事由が発生し
た場合に金融部門の当局および団体がこれに対応し、他の機関と調整する方法をさらに強化するものであ
る。
2019年８月、米州機構（OAS）は、メキシコの金融制度におけるサイバーセキュリティの状況（ Estado
de la Ciberseguridad en el Sistema Financiero Mexicano ）と題する報告書を公表した。この報告は、
金融制度の異なる部門の組織の調査に基づき、国家銀行証券委員会（ Comisión Nacional Bancaria y de
Valores 、以下「CNBV」という。）のサポートを受けて実施されたものである。この報告書に記載された情
報およびデータは、サイバー攻撃および情報セキュリティの問題に対する金融制度の準備態勢をよりよく
整えるために、CNBVによる監視、協力、コミュニケーションおよび資金源の規制を導くのに役立つであろ
う。
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⑤ 汚職対策
国家汚職対策システム（ Sistema Nacional Anticorrupción ）は、公行政および政府会計における汚職お
よび贈収賄と闘うことを目指した政府の包括的な制度的枠組みである。
INEGIの2019年政府の質と影響に関する世論調査（ Encuesta Nacional de Calidad e Impacto
Gubernamental 2019 ）により、公務員と接触した国民の約15.7％が少なくとも１回は汚職に見舞われたこ
とが判明した。この調査により、調査時点で18歳以上の国民の44.3％が自治体政府に少なくとも何らかの
信頼感を持っており、同じく40.5％が州政府に少なくとも何らかの信頼感を持っており、51.2％が連邦政
府に少なくとも何らかの信頼感を持っていたことも判明した。
汚職のコストに関する2019年のINEGIの報告によると、2019年、汚職行為のコストは、人口100,000人以
上の都市に住む被害を受けた成人一人当たり平均3,822ペソ、総額12.8十億ペソであった。INEGIの報告に
よると、2016年には汚職行為のコストは、被害を受けた事業体１社当たり平均12,243ペソ、総額1.6十億ペ
ソであった。この報告によると、事業体の64.4％は、汚職が主に政府プロセスの迅速化を理由として発生
していると考えていたことが判明した。統計はまた、2019年には公安当局および司法当局とのやり取りを
伴うプロセスおよびサービスにおいて汚職の発生率が最も高かったことも示している。
2016年７月18日から、公行政省（ Secretaría de la Función Pública 、以下「SFP」という。）は、国家
汚職対策システムおよび国家デジタル・プラットフォーム（ Plataforma Digital Nacional ）の実施を通じ
て組織強化の手続きを開始した。とりわけ、資産の申告、公的契約および公務員に対する苦情に関する情
報をもつ６つのシステム（このうち２つは現在運用されている。）を統合することにより、国家デジタ
ル・プラットフォームは、汚職の検出を可能にし、国家汚職対策システムの執行機関の措置を促進する一
次情報源となることを目指している。
国家汚職対策システムに加えて、2019-2024年汚職と懲罰に対抗し、公共管理を改善するための国家プロ
グラム（ Programa Nacional de Combate a la Corrupción y a la Impunidad, y de Mejora de la
Gestión Pública 2019-2024 ）には、５つの優先課題、法令遵守のための具体的な措置ならびに目標および
測定のパラメーターが定められている。2019年８月30日に採択されたこのプログラムは、連邦行政
（ Administración Pública Federal ）のすべての政府機関、部局および組織に対して強制となっている。
政府の汚職対策の取組みをさらに進めることを意図したプログラムおよび法律がほかに複数ある。
公行政省は、公務員の個人的財務状態の一定の詳細を公にすることを義務づけている。
さらに、それぞれ2019年３月14日および2019年８月９日に公表されたメキシコ憲法第22条および第73条
の改正ならびに所有権失効法（ Ley Nacional de Extinción de Dominio ）は、政府による差押え
( extinción de dominio )の範囲を拡大することを意図したものである。政府による差押えは、とりわけ、
汚職行為、公務員による犯罪、組織犯罪、誘拐、強奪、人身売買および炭素資源関連の犯罪等の行為を対
象としていたが、今後はより広範な違反リストに関連する資産も対象となり、またそれらについて適法に
取得されたとの証明がないものも対象となる。
2019年４月26日、公行政省は、Odebrecht S.A.社の子会社であるConstructora Norberto Odebrecht,
S.A.社およびOdebrecht Ingeniería y Construcción Internacional de México, S.A. de C.V.社に対し
て、調達手続きへの参加、または連邦行政の諸機関および組織、連邦検察庁、ならびに連邦の資源を利用
する州の諸機関もしくは組織との間の契約締結を３年間禁じた。かつて、公行政省は2018年に、
Constructora Norberto Odebrecht, S.A.社に対して調達手続きへの参加または連邦行政の諸機関および組
織、連邦検察庁、ならびに連邦の資源を利用する州の諸機関もしくは組織との間の契約締結を禁じた。
汚職情報専門技術委員会（ Comité Técnico Especializado de Información Sobre la Corrupción ）は、
(ⅰ)汚職を理解してこれと闘い、(ⅱ)効果的で具体的かつ検証可能な証拠に基づいて意思決定を行い、
(ⅲ)INEGIが作成した情報の利用と知識を促進し、(ⅳ)公共政策を監視および評価するための指標の生成、
統合および普及を調整する、メキシコの制度的能力に関する正確かつ信頼のおける情報を生み出すことを
目的として、2019年11月14日に設立された。
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2019年11月19日に施行された連邦財政緊縮法（ Ley Federal de Austeridad Republicana ）は、公的資源
の支出を管理し、公務員間の利益相反を削減し、公務員による特権情報の悪用を防止し、公益信託の創設
お よび使用を規制してその誤用を防止するための一連の措置を確立するものである。
メキシコはまた、最終受益者の開示に関する透明性原則（ Principios de Transparencia para la
Divulgación del Beneficiario Final ）を遵守している。メキシコは、最終受益者透明性リーダーシッ
プ・グループ（ Grupo de Liderazgo Sobre Transparencia de Beneficiario Final 、以下「BOLG」とい
う。）を構成する７カ国のひとつである。これらの原則を遵守することにより、BOLGのメンバーは、最終
受益者に関するデータの公表促進を約束しており、このことは、(ⅰ) 企業または一定の法的手段および金
融手段がさらなる汚職に使用されるのを防ぐのに役立ち、(ⅱ)汚職の調査を迅速に行い、(ⅲ)マネー・ロ
ンダリングおよびテロへの資金供与を防止し、これと闘っていくになる。メキシコは、2023年までに最終
受益者の公的記録を有する意向である。
2020年１月29日、国家汚職対策システムの調整委員会は、汚職と闘うための政府戦略を立案し、汚職防
止に関連するすべての公的機関の措置を導く約40の公共政策の優先事項を明確に示す国家汚職防止政策
（ Política Nacional Anticorrupción 、PNA）を承認した。
⑥ 情報へのアクセス、政府調達および透明性
政府は、情報へのアクセスおよび政府の透明性を改善するため、いくつかの法的および政治的措置を制
定した。
国家情報公開庁（ Instituto Nacional de Transparencia, Acceso a la Información y Protección de
Datos Personales 、以下「INAI」という。）は、包括的で参加型の社会を促進するために、憲法に定めら
れた公開情報アクセスおよび個人データ保護の権利を保証し、透明性、説明責任および個人データの適正
な取扱いの文化を強化することを目的としている。連邦情報公開庁内部規則（ Reglamento Interior del
Instituto Federal de Acceso a la Información y Protección de Datos ）は、技術および経営上の自治
権ならびに予算上の自立採算を認められた独立した組織としてのINAIの構成、機能および運営を定めてい
る。
透明性および公開情報へのアクセスに関する連邦法（ Ley Federal de Transparencia y Acceso a la
Información Pública ）は、制裁を課すINAIの権限について規定し、政府機関が保有する情報へのアクセス
権を確保し、メキシコ軍（ Fuerzas Armadas de México ）、国家炭化水素部門産業安全性・環境保護庁
（ Agencia Nacional de Seguridad Industrial y de Protección al Medio Ambiente del Sector
Hidrocarburos ）、国家炭化水素委員会（ Comisi ó n Nacional de Hidrocarburos ）、エネルギー規制委員
会（ Comisión Reguladora de Energía 、以下「CRE」という。）、安定化と開発のためのメキシコ石油基金
（ Fondo Mexicano del Petróleo para la Estabilización y el Desarrollo ）ならびに生産的国有企業お
よび生産的子会社にかかる透明性の義務を規定している。
公行政省は、公務員の資産および利害関係の申告（ declaraciones patrimoniales ）に関する現在および
過去のすべての情報を、指定された政府のウェブサイト上でオープン・データの形で一般に向けて利用可
能にしている。
INAI、メキシコ透明性庁（ Transparencia Mexicana, A.C. ）、世界銀行、オープン・コントラクティン
グ・パートナーシップ（ Alianza Internacional para las Contrataciones Abiertas ）および国際財政透
明性イニシアティブとの共同による政府のオープン・コントラクティング・プラットフォーム
（ Contrataciones Abiertas ）には、一元化された公共行政（ Administración Pública Centralizada ）の
調達手続きのあらゆる段階からのデータが含まれている。汚職を排除し、民間部門のプロバイダーへの信
頼感を深め、機関への信頼感を高めることがその目標である。
オープン調達のための同盟（ Alianza para las Contrataciones Abiertas ）は、大統領の国家デジタル
戦略調整局、財務省、公行政省、INAIおよびメキシコ透明性庁をもって構成される。2018年３月、オープ
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ン調達のための同盟は、透明性および公開情報へのアクセスに関する連邦法に基づく透明性義務を満たす
ため、オープン・コントラクティング・データ標準（ Estándar Global de Datos de Contrataciones
Abiertas ） の翻訳、改訂、拡張版であるメキシコのオープン・コントラクティング・データ標準
（ Estándar de Datos de Contrataciones Abiertas para México ）を提示した。
2018年12月31日付の情報アクセス権の社会化のための国家計画（ Plan Nacional de Socialización del
Derecho de Acceso a la Información ）は、情報をよりアクセスしやすくし、情報アクセス権の範囲およ
び影響を拡大し、この権利の行使者の多様性を高め、具体的な目的を達成するためにこの権利の戦略的行
使を促進することにより、国民による情報アクセス権の行使を奨励することを目的としている。
2019年12月、SFP、INAIおよび市民社会団体の核（ Núcleo de Organizaciones de la Sociedad Civil ）
をもって構成されるメキシコにおける開かれた政府のための同盟（ Alianza para el Gobierno Abierto en
México ）の調整委員会（ Comité Coordinador ）は、2019-2021年第４次アクションプラン（ Cuarto Plan de
Acción 2019-2021 、以下「4PA」という。）を提示した。4PAには、政府の透明性、説明責任および市民参
加を高めるための国民と様々な当局との間の13項目のコミットメントが、コミットメントの遵守を検証す
るためのウェブサイトを含むフォローアップ・ツールとともに盛り込まれている。政府は、これらのコ
ミットメントを2021年８月31日までに果たすことを約束している。
2020年２月21日、外務省は、条約機関が1994年以来メキシコに対して行ってきた約3,500の勧告および行
動項目を体系化したコンピューター・プラットフォームである、人権に関する国際勧告のための監視およ
び対処システム（ Sistema de Seguimiento y Atención de Recomendaciones Internacionales en materia
de Derechos Humanos 、以下「SERIDH」という。）を提示した。SERIDHは、受取った勧告および行動項目を
国連の持続可能な開発のための2030アジェンダと結びつけている。
⑦ 外交、国際機関および国際経済協力
メキシコは、193カ国と外交関係を結んでおり、また国際連合の創設国のひとつである。メキシコは、カ
ナダおよび米国と共に米国・メキシコ・カナダ協定（以下「USMCA」という。）の締結国であり、また欧州
復興開発銀行（以下「EBRD」という。）、米州開発銀行（以下「IADB」という。）、国際金融公社、国際
通貨基金（以下「IMF」という。）、米州機構および世界銀行の加盟国である。メキシコはカリブ開発銀行
の非借入域内加盟国でもある。
メキシコはまた、経済協力を促進するいくつかの国際協定にも参加している。「(3) 貿易及び国際収支
－①貿易－対外貿易協定」を参照のこと。
2019年５月30日に米国大統領がメキシコの対米輸出関税を含む一連の措置を発表したのを受けて、メキ
シコおよび米国の当局者は、2019年６月、両国の国境を越えた密売および密入国を減らすための一連の措
置を実施することで合意した。当事者はまた、難民申請者の件が米国において解決するまで彼らがメキシ
コに留まり、保護、雇用の機会、健康保険および教育を受けられることについても合意した。入国管理官
をサポートするという政府の以前の計画の一環として、国家警備隊がメキシコの南部国境に配備されてい
る。
メキシコおよび米国の代表者は、2019年７月21日および2019年９月10日に会談し、移民に関する2019年
６月の合意の進捗状況を分析した。合意の実施以降 、米国の領土における米国当局による拘束件数は毎月
減少している。メキシコの北と南の国境に追加のチェックポイントが設置された。また、数百人の救出作
戦が、徒歩ならびに鉄道やトラクター、トレーラーおよびバスなどの車両による密入国を手引きしたとさ
れる者に対して行われた。政府はまた、特に中央アメリカからの移民に機会を提供する努力をした。
メキシコ外務大臣および英国の外務・英連邦大臣は、英国およびメキシコにおける持続可能かつ包括的
な経済成長の促進を目的とした協定に2019年８月８日に署名した。この協定は、気候変動および経済的・
社会的不平等に対処することを目的として、先進的な製造業、エネルギー効率および再生可能エネル
ギー、アグリテック、保健、教育、金融サービスおよびグリーン・ファイナンスならびにテクノロジーと
いった分野への投資を促進するものである。
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2020年１月８日、メキシコは、2020年１月から2021年１月までラテンアメリカ・カリブ諸国共同体（以
下「CELAC」という。）の臨時議長国の役割を担った。同日のCELAC首脳会議において、外務大臣は、CELAC
を ラテンアメリカおよびカリブ海の全33カ国の協力と政治的発展の主要な手段とすることを主な目的とす
る14の作業計画を示した。2020年９月24日、CELACの加盟国は、メキシコが2022年１月までのもう１年間
CELACの臨時議長国の役割を担うことにつき、全会一致で合意した。
2020年６月12日、EUは同盟国におけるCOVID-19のパンデミックの短期的および長期的な社会的・経済的
悪影響を緩和することを目的とした20十億ユーロ（520十億ペソ）を超える世界的な支援パッケージである
「チーム・ヨーロッパ」プログラムを立ち上げた。このプログラムは、公衆衛生システムの支援、子供向
けのオンライン教育の促進ならびに暴力のリスクに晒されている女性、移民、人権擁護者、ジャーナリス
トおよび人権侵害の被害者といった弱者グループの保護を含むメキシコの喫緊のニーズへの取組みに８百
万ユーロ（200百万ペソ）を割当てた。またこのプログラムは、技術支援の交換ならびに犯罪の防止および
司法へのアクセスに関する最善の慣行を可能にしている。
2020年６月15日、オーストラリア、カナダ、欧州連合、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、
韓国、メキシコ、ニュージーランド、シンガポール、スロベニア、英国および米国は、人権および民主主
義の価値を尊重した責任ある人工知能の利用を確保することを目的とした連携である、AIに関するグロー
バル・パートナーシップ（以下「GPAI」という。）を立ち上げた。OECDが新しいGPAIの事務局を務める予
定である。
2020年10月13日、メキシコは２年任期で国連の人権理事会（UNHRC）の非常任理事国に再選された。
2020年10月15日、財務省は、アルトゥーロ・エレーラ・グティエレス財務大臣が2021年に世界銀行およ
びIMFの総務会議長を務めることを発表した。
2020年11月５日、メキシコはCAF ラテンアメリカ開発銀行（以下「CAF」という。）の正式加盟国となっ
た。シリーズA株主としてのメキシコの新たな地位により、長期的な財源を利用しやすくなり、また持続可
能な開発のための技術協力およびCAFの理事会における常任理事国の席がもたらされる。
2020年11月27日、外務省と常設仲裁裁判所（ Corte Permanente de Arbitraje ）は、 メキシコの法廷にお
ける仲裁、和解、調停および能力構築といった平和的紛争解決の代替的手段の利用を促進す ることを目的
として、フレームワーク協力協定（ Acuerdo Marco de Cooperación ）を正式に締結した。この協定は、こ
うした紛争解決手段を普及させ、情報交換に寄与し、共同出版物の作成などを通じて、学術部門と民間部
門の間の橋渡し役として機能する役割を果たすことになる。この協定はまた、セミナー、インターンシッ
プ・プログラム、ワークショップおよびその他のイベントの開催ならびに仲裁および紛争解決の分野にお
ける重要な措置の開示を必要とするものである。
2020年12月15日、英国とメキシコは、両国間の貿易が翌年の英国のEU離脱移行期間終了後も中断されな
いことを確保する継続貿易協定を調印した。両国はまた、2021年に新たな貿易協定について交渉すること
を約束した。
2021年１月１日、メキシコは、２年任期で国連安全保障理事会（UNSC）の非常任理事国に、また３年任
期で国連経済社会理事会（ECOSOC）の理事国に就任した。
⑧ 環境
環境政策
メキシコの主な環境面の関心事項には、革新的な経済、財政および公共政策手段によるメキシコの自然
遺産の保全、復元および開発を通じた資源および便益の推進および創造、ならびに環境財・サービスの消
費の促進などがある。憲法は、すべての国民にその発展と福祉のための健全な環境に対する権利を付与し
ている。この権利は、環境保護に取組む法律、規則、命令および条例のしっかりした枠組みを通じて保証
される。かかる枠組みには、メキシコの環境政策の基盤となる生態系均衡および環境保護基本法（ Ley
General del Equilibrio Ecol ó gico y la Protecci ó n al Ambiente ）が不可欠である。生態系均衡および
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環境保護基本法は、とりわけ(1)各人の発展と福祉のために健全な環境で生活する権利を保証すること、
(2)環境政策の原則およびその実行のための仕組みを明確にすること、ならびに(3)生物多様性を保全、保
護 し、自然保護区を管理することを目指している。メキシコの法律では、経済の成長は環境保護を条件と
することも義務づけられている。
環境天然資源省（ Secretaría de Medio Ambiente y Recursos Naturales 、以下「SEMARNAT」という。）
は、政府の環境政策を作成し、助言を行う。SEMARNATにより2018年４月27日に発表された持続可能な森林
開発に関する法律（ Ley de Desarrollo Forestal Sustentable ）は、森林伐採に寄与する農業活動が政府
支援を受けることを妨げている。
SEMARNATはまた、ドイツ国際協力公社（以下「GIZ」という。）および 国際連合教育科学文化機関（以下
「 UNESCO 」という。）をはじめとする 諸外国政府の当局および国際機関と共同で、とりわけ、地方および
国家レベルでの持続可能な利用を促進するための水資源の管理、ならびに貨物車両および乗用車によって
生成される温室効果ガスおよび大気汚染物質の排出量を削減するための政策、プログラムおよび対策の開
発および実施においてメキシコの機関をサポートしている。
2019年９月16日、SEMARNATは、メキシコがオゾン層破壊物質消費の99％削減を達成したことを発表し
た。現在、メキシコにおいては代替フロンのみが消費されている。
SEMARNATのほかにも、政府は環境規制の遵守を監視し、生物多様性を保全し、持続可能な開発政策を促
進し、林業の保全と回復を促進するほか、環境を保護し、生態系を保全、回復し、国内における気候変動
に対する懸念を和らげるための科学的および技術的な知識を生み出し、利用するいくつかの団体を擁して
いる。
廃棄物の発生防止および処理に関する基本法（ Ley General para la Prevención y Gestión Integral
de los Residuos ）は、有害廃棄物および非有害廃棄物の処理を規制するものである。同法は、最近では州
および地方政府にその域内での有効な廃棄物処理の規制に必要な権限を付与するため、2018年１月19日に
改正された。
メキシコは、 国連気候変動枠組条約（ UNFCCC ）の京都議定書およびパリ協定の締約国である。パリ協定
は、 温室効果ガスによる地球温暖化を食い止めるための長期的な目標を設定しようとするものである。
輸送関連の汚染は、メキシコシティの大気汚染の大きな原因となっており、また間接的に大気中のオゾ
ン排出の大きな原因となっている。その結果、輸送関連汚染の抑制が政府の公害防止プログラムの主たる
目的となっている。2019年６月、メキシコシティ政府は、2019-2024年 メキシコシティのための環境および
気候変動プ ログラム（ Programa Ambiental y de Cambio Climático para la Ciudad de México 2019-
2024 ）のために145十億ペソを授権した。このプログラムの目的は、環境条件および一般市民の健康を改善
し、首都における雇用および経済を推進することである。このプログラムは、(1)市内および市郊外におけ
る植生の回復、(2)水域の救済、(3)持続可能な水管理の実施、(4)「ごみゼロ」の実現、(5)統合された持
続可能な移動性に焦点を当てること、(6)大気の質の改善、ならびに(7)太陽光エネルギーへの依存度の高
い都市の創造という７つの主要分野に焦点を当てている。
メキシコシティおよびメキシコのその他いくつかの都市を走行するすべての新車両は、（触媒式排ガス
浄化装置の段階的導入に続いて）米国の性能基準に適合した排出制御装置を備えることを義務づけられて
おり、政府は、新しいエンジンおよびディーゼルを燃料として使用する特定の新車の排気ガスからの様々
な大気汚染物質ガスおよび微粒子の排出について最大許容限度を設定している。メキシコシティでは各平
日に市内の自家用車の５分の１が締め出されることを義務づけ、週末の運転規制を定期的に、また市内の
汚染水準が高いと判断された場合に、拡大されるプログラムであるノーカーデー（ Hoy No Circula ）を引
続き実施している。排出基準を満たした車両が一定の排出基準テストを満たした場合には毎日利用するこ
とができる。また、2019年12月、政府は、燃費を評価し、ノーカーデーにおける車両の通行制限を決定す
る車両検証ホログラムを付与する政 策を発表した。
メキシコシティ政府はまた、市内の大気汚染を抑える取組みの一環として、メキシコシティ内の４カ所
の大気の質を測定する移動分析施設を利用し始めた。また、2019年12月に政府が発表した、メキシコ盆地
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の首都圏（ Zona Metropolitana del Valle de México ）における大気の質を改善するための一連の措置に
は、家庭用製品に含まれるオゾン層破壊物質の量を減らすためのかかる製品中の揮発性有機化合物に関す
る 規制、メーカーによるクリーンな技術および高度な排出制御システム、より優れた火災管理および防火
慣行の導入を奨励するためのオートバイの排出規制、ならびに特定の時間における貨物輸送に関する規制
が盛り込まれている。
主にメキシコシティを含むメキシコ盆地（ Valle de México ）内に所在の工業が原因となっている工業関
連の汚染もメキシコの大気汚染の大きな要因となっている。製造業部門の大部分はメキシコ盆地外の地域
に移転しているが、メキシコの製造業の生産高の大部分は依然としてこの地域内の工場から生産されてい
る。政府当局は、いくつかの方法でこうした工業関連の汚染に取組もうとしてきた。例えば、政府はメキ
シコ盆地またはモンテレイやグアダラハラといったその他の主要工業都市における新工場建設を思いとど
まらせる総合政策を講じている。大気中の汚染物質の濃度が一定水準まで上昇した場合に、特定の種類の
工場に対して操業の縮小や一時的な閉鎖を義務づける規制も実施されている。こうした政策主導の下で、
当局は、随時メキシコ盆地内の工場に対して高度の汚染水準を理由に操業の縮小を命じてきた。
農業・農村開発省（ Secretaría de Agricultura y Desarrollo Rural 、以下「農業省」という。）も、
農村における環境イニシアティブを推進している。乾燥地域国家委員会（ Comisión Nacional de las
Zonas Áridas 、以下「乾燥地域委員会」という。）は、メキシコの乾燥した地域および未耕作地域の開発
を行っている。乾燥地域委員会のプログラムは、現在生産性の回復と土壌保全および雨水活用の実践の推
進に力を入れている。こうしたプログラムのひとつは、一次生産に利用される土壌、水および植物の保
全、持続可能な利用および管理の推進に重きを置いた天然資源の持続可能性のためのプログラム
（ Programa de Sustentabilidad de Recursos Naturales ）である。これらの目標は、農村地域に対して
(1)保全プロジェクトへの投資、(2)雨水の取り込み、貯蔵および処理のための手続きの策定および開発、
ならびに(3)植被の利用を奨励することにより、実現される。
エネルギー移行法（ Ley de Transición Energética ）は、よりクリーンなエネルギー源を推進すること
により、気候変動に対応することを目的としている。この法律により、クリーン・エネルギー証明書プロ
グラムが設けられ、それぞれ2021年および2024年までにメキシコの電力供給の少なくとも30％および35％
がクリーン・エネルギー源から生み出されなければならないという目標が設定されている。最新のよりク
リーンな技術および燃料の利用を促進するための移行戦略（ Estrategia de Transición para Promover el
Uso de Tecnologías y Combustibles más Limpios ）によると、2019年にメキシコは電力の26.6％をクリー
ンな資源により発電した。
メキシコは、水銀が環境および人々の健康に影響を及ぼすことから水銀の使用を段階的に減らすことを
目指す水銀に関する水俣条約の遵守において進展を見せた。2018年、メキシコは、代替フロンの消費と生
産を管理し、削減することを目的としたモントリオール議定書のキガリ改正を批准した。また、メキシコ
は、水銀の取引および 汚染をより適切に管理するため、水銀を含有する製品としない製品の識別を容易に
する関税法を導入した。
パリ協定に関してなされた国際公約に関連して、政府は排出権取引システム試験プログラム（ Programa
de Prueba del Sistema de Comercio de Emisiones ）の予備基準を発表した。この試験プログラムは2020
年１月１日から開始されており、３年間継続する予定である。同プログラムは、発電、セメント、鉄・鉄
鋼生産および精錬を含むエネルギー・工業部門の企業を規制している。
2020年２月７日、政府は、よりクリーンな技術および燃料の利用を促進するための移行戦略
（ Estrategia de Transición para Promover el Uso de Tecnologías y Combustibles más Limpios ）を更
新した。この戦略には、期間15年の中期計画部分と期間30年の長期計画部分に基づいて、次の３つの主要
目的が定められている：(ⅰ)メキシコにおいてよりクリーンで持続可能なエネルギー部門を実施するため
の目標とロードマップを設定すること、(ⅱ)電力産業からの汚染物質排出削減を促進すること、および
(ⅲ)経済的実行可能性の条件下で、主要なエネルギー源として化石燃料へのメキシコの依存を減らすこ
と。
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2020年７月１日、USMCAの締結に伴うコミットメントに関連して、政府は、1993年の北米環境協力協定
（ Acuerdo de Cooperación Ambiental de América del Norte ）に代わるメキシコ、米国およびカナダ政府
間 の環境協力協定（ Acuerdo en Materia de Cooperación Ambiental entre los Gobiernos de los
Estados Unidos Mexicanos, de los Estados Unidos de América y de Canadá ）を承認した。この協定
は、2020年７月15日に官報（ Diario Oficial de la Federación ）に掲載された。
2020年９月28日、メキシコは、指導者による自然回復の誓約（ Declaración Voluntaria de Líderes por
la Naturaleza y las Personas ）に署名した。この誓約により、71カ国およびEUは、とりわけ(ⅰ) ポスト
2020生物多様性世界枠組みの発展および完全実施、(ⅱ)地球の限界を超えることなく人々のニーズを満た
す持続可能な生産と消費のパターンおよび持続可能な食糧システムへの移行、(ⅲ) 国内気候変動政策のパ
リ協定への整合、ならびに(ⅳ) 環境犯罪の撲滅を通じて、自然および生物多様性を2030年までに回復軌道
に乗せるための緊急行動を今後10年間に実施することを約束した。誓約国は、2021年９月の次回国連総会
ハイレベル・ウィークにおいてその進捗状況を振返り、コミットメントを再確認することにつき合意し
た。
2020年12月２日、2018年以降メキシコが加盟している持続可能な海洋経済に関するハイレベル・パネル
（海洋パネル）は、「持続可能な海洋経済への移行：保護、生産および繁栄へのビジョン」を発行した。
海洋パネルの加盟14カ国は、 海洋の持続可能な利用と現在および将来の世代の価値創造を促進するための
政策およびメカニズムを記載した持続可能な海洋計画に基づいて、2025年までにそれぞれの法域の海洋地
域の100％を持続可能な方法で管理することを約束した。この新しいアジェンダは、海洋からの食料生産を
最大化し、より多くの再生可能エネルギーを生成し、貧困を軽減し、温室効果ガスの排出を削減するのに
役立つであろう。
2020 年12月９日、政府は、ラテンアメリカおよびカリブ海の環境問題における情報へのアクセス、一般
市民の参加、司法へのアクセスに関する地域協定（ Acuerdo Regional sobre el Acceso a la
Información, la Participación Pública y el Acceso a la Justicia en Asuntos Ambientales en
América Latina y el Caribe ）を承認する政令を 官報に掲載した。2018年３月４日にコスタリカのエスカ
スにおいて採択されたこの協定は、国際的な協力を強化し、健全な環境で生活する現在および将来の世代
の権利を保護し、持続可能な開発に寄与することを追求するものである。この協定の下で、締結国政府は
また、環境問題において人権を促進、擁護する個人、グループおよび組織が 脅威、制限および不安なく活
動できるように、これらの者 を保護することを約束している。10カ国がこの協定を批准しており、11カ国
による批准を経て発効する予定である。
2020年12月13日、メキシコは、自然と人々のための高い野心連合（以下「HAC」という。）に加盟した。
この連合の主な目的は、2030年までに地球の地表および海面の30％の保全を促進することである。すでに
50カ国以上がHACに加盟している。
2020年12月末、2020-2024年国家水計画（ Programa Nacional Hídrico 2020-2024 ）および2020-2024年国
家森林計画（ Programa Nacional Forestal 2020-2024 ）が採択された。国家水計画は、(ⅰ)飲料水および
下水サービスの不十分かつ不公平な利用、(ⅱ)住民および経済部門に影響を及ぼす非効率的な水の利用、
(ⅲ) 極端な水文気象現象による人的および物的損失、ならびに(ⅳ)盆地および帯水層における水の量的・
質的悪化に対処することを目的とし、コンプライアンスおよび実施の成功を評価するための具体的な目標
および測定のパラメーターを有している。国家森林計画は、持続可能な開発を促進しつつ、森林問題にお
ける国際的なコミットメントのメキシコによる達成を助けることを目的としている。両プログラムとも、
連邦行政の すべての政府機関、部局および組織に対して強制となっている。
自然災害政策
自然災害基金（ Fondo de Desastres Naturales 、以下「FONDEN」という。）は、国家市民保護制度
（ Sistema Nacional de Protecci ó n Civil ）および自然災害基金の一般規則の枠組みにおいて自然災害に
より被った影響を軽減するための資金充当を含む、緊急事態、復旧および復興に関連した災害後のリスク
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管理をサポートするために政府が設立した金融手段である。FONDENは、連邦予算ならびに保険および大災
害債券を含む市場ベースのリスク移転手段を用いてその運営資金を調達する。
メキシコは、IBRDのキャピタル・アット・リスク・ノート・プログラムを通じて、メキシコの大災害債
券の発行をサポートすることにより、メキシコに自然災害リスクに対する保険を提供する助けとなる次の
２件の契約をIBRDとの間で締結している：(1)地震および熱帯サイクロンに対する総額360百万米ドルの保
険をメキシコに提供する2017年８月４日付の契約、ならびに(2)地震のリスクに対する総額260百万米ドル
の保険をメキシコに提供する2018年２月７日付の契約。2018年２月７日付の契約は、太平洋同盟諸国４カ
国を対象とした大災害連動型のキャピタル・アット・リスク・ノート・プログラムに基づくIBRDによる５
シリーズの債券発行に関連して締結されたものである。
FONDEN大災害保険（ Seguro Catastrófico del FONDEN ）を通じて、政府は2019年７月から2020年７月ま
で有効な自然災害関連保険証券を有している。この保険証券は、自然災害による損害の復旧のための
FONDENの資金および公的資金に財政的保障を提供し、最大5,000百万ペソの保険を提供するもので、250百
万ペソの最低水準の損害および750百万ペソの累積損害を超える自然災害によって作動する。
2017年９月７日および同年９月19日の地震を受けて、政府は、2018年４月30日現在、6,844.4百万ペソの
緊急支援と22,810.3百万ペソの復興支援を授権した。これら資金の大半は、住宅、教育、考古学的および
歴史的建造物、道路ならびに水道に使われるものと見込まれる。これらの地震後、メキシコは、IBRDか
ら、2017年８月４日付の契約の条項に基づき地震にかかる最大支払額となる150百万米ドルの支払を受け
た。
2017年９月の地震の後、 地震による被害の性質と規模に応じて優先地域が特定された。復興作業の進展
およびそれに費やされる資源は、被災地域ごとに異なる。政府およびメキシコシティ政府は、一般国民が
地震の被災地におけるさまざまな復興作業の進捗状況を監視できるウェブサイトを立ち上げた。
政府は、2019年３月以降、2019年国家復興計画の一般的なガイドライン（ Lineamientos Generales del
Programa Nacional de Reconstruccion para el Ejercicio Fiscal 2019 ）に従っている。地震 の影響を受
けたコミュニティをターゲットとして、このガイドラインは、 住宅および物理的な教育と医療のインフラ
を再構築するため、ならびに文化的、歴史的、考古学的および芸術的資産の保全および保存のための修
復、リハビリ、保守および研修のため、 国家住宅委員会（ Comisión Nacional de Vivienda 、CONAVI ）、 国
家教育施設インフラ機構（ Instituto Nacional de la Infraestructura Física Educativa 、INIFED）、州
および地方自治体政府ならびに民間部門の間の組織横断的な協力を援助する一般的な基準およびメカニズ
ムを設定するものである。
市民保護基本法（ Ley General de Protección Civil ）は、民間部門およびすべてのレベルの公的部門に
わたるリスク管理手続きを対象とし、これを調整する国家市民保護制度を創設し、規制している。
市民保護基本法に従って、各州は、各州の市民保護部署（ Unidades de Protecci ó n Civil ）の研修、 設
備およびシステム化を促進するための 市民保護基金（ Fondo de Protecci ó n Civil ） の創設および管理を担
当し、同基金には各州からの提供資金ならびに利用可能な範囲の連邦補助金が含まれる。
一連の陸、海、空および宇宙の監視機器で構成されるメキシコの早期警戒システム（ Sistemas de
Alerta Temprana ）は、 生命にかかわる可能性のある自然災害やその他の極端な事象や危険について、通信
機器を介して有意義な警 告を適時に人々に伝えることができる。こうした早期警戒システムには、国立地
震学システム（ Servicio Sismológico Nacional ）、メキシコ地震警報システム（ Sistema de Alerta
Sísmica Mexicano ）、ポポカテペトル火山監視システム（ Sistema de Monitoreo del Volcán
Popocatépetl ）、熱帯サイクロン早期警戒システム（ Sistema de Alerta Temprana para Ciclones
Tropicales ）、国立津波警報システム（ Sistema Nacional de Alerta de Tsunamis ）、メキシコ山火事早
期警戒システム（ Sistema de Alerta Temprana de Incendios en México ）および国立気象局（ Servicio
Meteorológico Nacional ）が含まれる。
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2019 年10月30日、国立防災センター（ Centro Nacional de Prevención de Desastres 、 CENAPRED ）は、
政府の「予防」計画の予防および即応体制の要素を構成する地震危険度軽減ガイド（ Guía para la
Reducción del Riesgo Sísmico ）を提示した。このガイドは、メキシコに影響を及ぼす地震の緊急事態に
対 応し、対処する連邦および地方の計画を補足するように設計されたものである。
2020 年３月、世界銀行は、メキシコのFONDEN向けに４本立ての大災害債券（CATボンド）を発行し、４年
間の地震およびハリケーンによって被った損害に対して485百万米ドルの保険カバレッジを提供した。メキ
シコは世界銀行がCATボンドの投資家（CATボンド資金だけの投資家、資産運用会社、年金基金、ヘッジ・
ファンドおよび再保険会社を含む。）に移転した保険カバレッジについて固定額の保険料を支払う。
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(2) 【経済】
2020年のメキシコ経済は、新型コロナウイルス（COVID-19）の悪影響を受けており、それが継続してい
る。このパンデミックに対処するために政府がとった措置に関する追加情報については、「(7)その他－最
近の展開－COVID-19の危機」を参照のこと。
① 概要
世界銀行のデータによると、2018年のGDP（米ドル現行価格による）で測定したメキシコ経済は、世界で
15番目の規模である。メキシコ経済は、2019年の実質GDPが18,524.6十億ペソで、2015年から2019年の間に
実質GDPは1,240.8十億ペソ、年平均1.8％増加した。
2020 年10月５日、政府と企業家調整評議会（ Consejo Coordinador Empresarial ）は、民間資本による一
連の行動およびインフラ・プロジェクトを含む経済再生協定（ Acuerdo para la Reactivación
Económica ）を具体化した。この協定には、通信、運輸、エネルギー、水および環境部門における39件のプ
ロジェクトが含まれ、投資総額は297.34十億ペソにのぼる。この協定には次の行動が含まれる：(ⅰ) 競争
力のある国内サプライヤーを開発し、投資を呼び込み、米国東海岸等への輸出を増やすための 米国・メキ
シコ・カナダ協定（以下「USMCA」という。） の利用、 ( ⅱ) 道路、旅客列車の整備、空港の復旧および建
設ならびに治安の強化を含む観光の促進。
2020 年11月30日、政府と民間部門企業は、インフラ投資を促進し、経済回復を後押しするための第２協
定を発表した。この協定は、エネルギー、通信および運輸、水、下水および環境の部門において、総額
228.6十億ペソに上る29件の新たなプロジェクトを予定している。
2020 年12月31日、2020-2024年生産性と競争力のための特別プログラム（ Programa Especial para
Productividad y Competitividad 2020-2024 ）が官報に掲載された。このプログラムは、 とりわけ、金融
包摂性の向上、インフラ開発、女性および若者の労働参加の拡大、企業競争の促進ならびに法の支配の推
進を通じて、生産性、開発および成長を促進することを目的としている。このプログラムには、コンプラ
イアンスおよび実施の成功を評価するための具体的な目標および測定のパラメーターがあり、連邦行政の
すべての政府機関、部局および組織に対して強制となっている。
② 経済における政府の役割－民営化
過去数十年間にわたって、政府は規制緩和、民営化および民間部門からの投資の増加を通じて経済の生
産性および競争力を向上させるための措置を講じてきた。これらの措置には、(1)政府が鉄道および衛星通
信への民間部門からの参入を認可することを認めるための憲法改正および法律の制定、(2)メキシコ民間部
門の企業による天然ガスの貯蔵、配送および輸送への参入を認める法律の制定、(3)空港、港湾および高速
道路の民営化、(4)民間企業にメキシコ国内での商業空輸サービス事業の30年間有効な営業免許
（ concesiones ）を認める民間航空に関する法律の制定、ならびに(5)政府が石油の採掘ならびに発電およ
び配電への民間からの参入を認可することを認めるための憲法改正および法律の制定が含まれる。
2019年12月31日現在、政府が所有または支配する事業体の数は299社であった。これらの事業体には、
(1)政府が過半を所有する企業（ empresas de participación estatal mayoritaria ）、(2)分権的機関
（ organismos decentralizados ）、(3)公益信託（ fideicomisos públicos ）および(4)生産的国有企業
（ empresas productivas del estado ）（それらの生産的国有子法人（ empresas productivas
subsidiarias ）を含む。）が含まれる。過半数所有の企業には、与信の利用を制限されてきた個人および
企業に貯蓄、技術革新の利用と促進および金融・ジェンダー包摂を奨励する機関である福祉銀行（ Banco
del Bienestar, S.N.C. ）などの銀行開発機関が含まれる。分権的機関は、主として中小規模の預金者向け
に銀行預金を保証し、支払能力の問題を抱える銀行に解決策を与えて、銀行制度の安定性に貢献し、全国
決済システムを保護することを目的とする銀行預金保険機構（ Instituto para la Protección al Ahorro
Bancario 、以下「IPAB」という。）など、一般に技術的、運営上、予算上および経営上の自治権を有する
独立の法人である。公益信託は、地域開発、雇用創出、経済発展、社会福祉および生活の質の向上を目指
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した観光部門への持続可能な投資プロジェクトを特定しようとする観光推進国家基金（ Fondo Nacional de
Fomento al Turismo ）など、明確な目的のサービスにおいて公益または権利を提供するために創設された
公 的機関である。生産的国有企業は政府完全所有の企業である。メキシコの生産的国有企業は、その生産
的国有子法人を通じて炭化水素の探査、生産、工業用転換、流通およびマーケティングに従事するメキシ
コ石油公社（ Petróleos Mexicanos 、以下「ペメックス」という。）ならびにその生産的国有子法人を通じ
て電力部門の効率的な運営ならびに全国送電ネットワーク（ Red Nacional de Transmisión ）および一般
的配電ネットワーク（ Redes Generales de Distribución ）へのオープン・アクセスを促進する連邦電力
公社（ Comisión Federal de Electricidad、 以下「CFE」という。）である。
近年、議会は、メキシコ経済の主要部門への民間および外国人の参入範囲を拡大する一連の法律を採択
してきた。例えば、国家インフラ基金（ Fondo Nacional de Infraestructura 、以下「FONADIN」とい
う。）は、公的部門および民間部門の参加によるインフラ整備プロジェクト開発のための財政基盤として
機能している。経済の石油および石油化学部門ならびに電力部門への外国人および民間部門の参入範囲の
拡大措置についての詳細は、「⑦経済の主要部門－(b)石油および石油化学」および「⑦経済の主要部門－
(h)電力産業」を参照のこと。
連邦経済特区法（ Ley Federal de Zonas Económicas Especiales ）は、2017年９月29日の対応する連邦
規制当局とともに、経済特区（ Zonas Económicas Especiales ）と呼ばれる指定区域の設置および運営を規
制する。経済特区は、事業を促進し、新規投資を誘致し、国内の開発中の地域においてインフラ開発関連
の雇用機会を生み出すための特別奨励策の対象となっている。経済特区の開発プロセスを強化するため、
財務省は、2017年５月17日に世界銀行との間で技術協力契約（ Acuerdo de Cooperaci ó n T é cnica ）を締結
した。この契約に従って、財務省は、連邦経済特区開発庁を通じて、かつFONADINの財政支援を受けて、
4.2百万米ドルを拠出することを約束した。
2019年11月、法律上の要件を遵守できなかったことならびに経済特区の設立以降連邦機関および地方自
治体からの生産的投資がないことを理由に、７つの経済特区（プエルト・チアパス、コアツァコアルコ
ス、ラサロ・カルデナス－ラ・ウニオン、プログレソ、サリナ・クルス、カンペチェおよびタバスコ）は
すべて廃止された。
経済の強化およびメキシコ一般家庭の家計を守るための連邦政府と地方政府間合意（ Acuerdo para el
Fortalecimiento Económico y la Protección de la Economía Familiar ）は、メキシコの一般家庭の家計
を守り、投資を増やし、雇用創出、経済成長および競争力を維持することに重きを置き、メキシコの国内
市場を強化することを目的としている。
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③ 国内総生産
以下の表は、表示期間についてのメキシコの実質国内総生産（GDP）および支出をペソおよび比率で示し
たものである。
実質国内総生産および支出
(1) (1) (1)
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
(2)
（ 単位：十億ペソ）
GDP 17,747.2 18,122.3 18,520.0 18,509.9 16,984.8
加算：財貨およびサービスの
6,096.8 6,484.6 6,901.5 6,851.3 5,839.7
輸入
財貨およびサービスの供給合
計 23,844.0 24,606.8 25,421.6 25,361.2 22,824.6
控除：財貨およびサービスの
6,121.9 6,376.7 6,759.5 6,859.4 6,359.7
輸出
国内支出に供され得る
財貨およびサービス合計 17,722.1 18,230.1 Ps.18,662.0 18,501.8 16,464.9
財貨およびサービス合計の配
分
民間部門消費 11,764.2 12,139.3 12,446.6 12,522.1 11,220.0
2,182.9 2,143.1 2,204.3 2,175.5 2,225.5
公的部門消費
消費合計 13,893.5 14,282.3 14,650.8 14,697.5 13,445.5
総固定投資 3,760.7 3,716.4 3,750.6 3,577.8 2,927.2
146.4 143.0 127.3 78.0 70.1
在庫の増減
17,800.2 18,141.7 18,528.7 18,353.4 16,442.8
国内支出合計
(78.1) 88.4 133.3 148.4 22.1
誤差脱漏
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 2013年12月31日現在の購買力に基づく恒常ペソによる表示。
出典： INEGI
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実質国内総生産および支出
(1) (1) (1)
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
（ 単位：GDPに対する百分比）
GDP 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
加算：財貨およびサービスの輸入 34.4 35.8 37.3 37.0 34.4
財貨およびサービスの供給合計 134.4 135.8 137.3 137.0 134.4
34.5 35.2 36.5 37.1 37.4
控除：財貨およびサービスの輸出
国内支出に供され得る
財貨およびサービス合計 99.9 100.6 100.8 100.0 96.9
財貨およびサービス合計の配分
民間部門消費 66.3 67.0 67.2 67.7 66.1
12.0 11.8 11.9 11.8 13.1
公的部門消費
消費合計 78.3 78.8 79.1 79.4 79.2
総固定投資 21.2 20.5 20.3 19.3 17.2
0.8 0.8 0.7 0.4 0.4
在庫の増減
100.3 100.1 100.0 99.2 96.8
国内支出合計
(0.4) 0.5 0.7 0.8 0.1
誤差脱漏
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
出典： INEGI
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以下の表は、表示期間についてのメキシコの実質国内総生産のペソによる経済部門別構成および対前年
比変動率を示したものである。
部門別実質国内総生産
(1) (1) (1)
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
(2)
（ 単位：十億ペソ）
第一次産業：
農業、林業、漁業、狩猟業
(3)
および畜産業 560.1 579.0 592.1 593.8 605.3
第二次産業：
鉱業 1,034.8 949.0 897.0 857.6 848.0
電力、ガスおよび水道事業 268.7 267.6 287.7 285.9 270.8
建設業 1,288.9 1,284.4 1,290.0 1,223.5 1,012.7
製造業 2,801.9 2,880.0 2,935.1 2,950.5 2,654.5
第三次産業：
卸売・小売業 3,045.2 3,153.0 3,250.1 3,232.6 2,933.4
運輸・倉庫業 1,122.7 1,164.3 1,201.4 1,202.0 956.5
情報業 481.2 527.8 556.1 576.0 561.3
金融および保険業 793.9 840.3 881.9 900.6 870.4
不動産、賃貸および
リース業 1,978.5 2,004.3 2,038.4 2,064.1 2,058.6
専門業、科学および
技術サービス業 343.7 342.3 348.8 348.5 325.9
会社・企業経営 101.9 103.3 109.7 108.5 100.5
管理、支援、廃棄物処理お
よび修復サービス 588.6 635.8 664.7 695.6 693.9
教育サービス 673.5 681.4 684.9 688.4 660.1
ヘルスケアおよび
社会支援サービス 376.4 381.6 393.0 398.6 405.5
芸術、娯楽および
レクリエーション 75.1 76.3 78.0 77.4 35.6
宿泊および飲食サービス 385.0 397.0 405.7 410.3 231.3
その他のサービス
（行政サービスを除く。） 361.6 360.2 362.9 365.7 312.1
700.9 702.4 725.8 711.2 727.2
行政サービス
基本的価値による総付加価値 16,982.6 17,329.8 17,701.3 17,690.7 16,263.4
製品にかかる税金
764.7 792.5 818.8 819.3 721.4
（補助金控除後）
17,747.2 18,122.3 18,520.0 18,509.9 16,984.8
GDP
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 2013年12月31日現在の購買力に基づく恒常ペソで計算したGDPに基づいている。
(3) 上記表および本書のその他における農業生産に関するGDPの数値は、穀物の成長時期に基づいて穀物ごとにその
定義が異なる「農業年」についての数値に基づいている。GDPのその他の項目については暦年についての数値が
用いられている。
出典： INEGI
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部門別実質国内総生産の成長率
(1) (1) (1)
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
(2)
（ 対前年変動率（％））
GDP （2013年の恒常ペソ） 2.6 2.1 2.2 (0.1) (8.2)
第一次産業：
(3)
農業、林業、漁業、狩猟業および畜産業 3.5 3.4 2.3 0.3 1.9
第二次産業：
鉱業 (4.3) (8.3) (5.6) (4.4) (1.1)
電力、ガスおよび水道事業 0.1 (0.4) 7.5 (0.6) (5.3)
建設業 1.6 (0.4) 0.4 (5.2) (17.2)
製造業 1.6 2.8 1.9 0.6 (10.0)
第三次産業：
卸売・小売業 2.8 3.5 3.1 (0.5) (9.3)
運輸・倉庫業 3.0 3.7 3.2 0.0 (20.4)
情報業 17.0 9.7 5.4 3.6 (2.6)
金融および保険業 12.2 5.8 5.0 2.1 (3.4)
不動産、賃貸およびリース業 2.0 1.3 1.7 1.3 (0.3)
専門業、科学および技術サービス業 3.6 (0.4) 1.9 (0.1) (6.5)
会社・企業経営 (1.2) 1.4 6.2 (1.1) (7.4)
管理、支援、廃棄物処理および修復サービス 1.7 8.0 4.5 4.6 (0.2)
教育サービス 1.0 1.2 0.5 0.5 (4.1)
ヘルスケアおよび社会支援サービス 2.8 1.4 3.0 1.4 1.7
芸術、娯楽およびレクリエーション 3.7 1.6 1.1 (0.8) (54.0)
宿泊および飲食サービス 2.6 3.1 2.2 1.1 (43.6)
その他のサービス（行政サービスを除く。） 2.1 (0.4) 1.1 0.8 (14.7)
行政サービス 0.1 0.2 3.3 (2.0) 2.2
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 2013年12月31日現在の購買力に基づく恒常ペソで計算したGDPに基づいている。
(3) 上記表および本書のその他における農業生産に関するGDPの数値は、穀物の成長時期に基づいて穀物ごとにその
定義が異なる「農業年」についての数値に基づいている。GDPのその他の項目については暦年についての数値が
用いられている。
出典： INEGI
2014年に国際経済市場が悪化した後、2015年から2016年初めには、世界経済の展開は弱含みで、成長見
通しを継続的に下方修正することとなったが、これは金融市場において繰り返し生じるボラティリティの
問題、石油価格の下落傾向が持続したこと、ならびに米国の金融政策の正常化の時期およびペースについ
ての不透明性が高かったことによる。経済活動は2017年を通じて強まり、 ユーロ圏、日本、アジア新興
国、ヨーロッパ新興国およびロシアの成長見通しが上方修正され、米国および英国の成長見通しの下方修
正を相殺した。しかし、多 くの諸国では成長は依然として弱く、商品輸出業者は海外収益減少の悪影響を
受けた。2018年には、世界経済は拡大を続けたが、ドイツの新しい燃料排出基準や日本の自然災害などの
特異な要因が大きな経済の活動を圧迫したこと、ならびに金融市場のセンチメントが弱まり、貿易政策の
不確実性が高まったことにより、そのペースは弱まった。2018年には、世界の貿易が2017年の平均を下
回った。世界経済の成長および活動は、2019年にも引続き減速した。特に、2019年第４四半期は、米国と
イランの間の緊張の高まりを含む世界貿易の緊張および地政学の不透明な影響を反映したものであった。
また、COVID-19の最初の発生を含む世界の主要経済の一部に影響を及ぼす要因が貿易、製造業および投資
にマイナスの影響を及ぼした。
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国際的な経済環境が悪化する状況にあって、メキシコの国内経済は2015年から2016年初期にかけて緩や
かに成長した。しかし、主に米国における金融政策の正常化のプロセスと2016年11月の米国大統領選挙に
関する不確実性が続いたことにより、2016年を通じて、メキシコ経済が直面した外部環境は高いボラティ
リ ティをもたらした。その結果行われた国際金融市場におけるポートフォリオの調整は、国内市場に大き
な影響を及ぼし、資産価値の低下につながった。2016年第４四半期には、第３四半期を下回る伸び率では
あったが、生産活動は拡大を続けた。特に、外需および民間消費はいずれも好調を維持した。
2017年、メキシコ経済は、直前３年間に見られた成長から減速した。2017年第４四半期に、メキシコ経
済は主としてサービス部門の実績により大幅に拡大した。輸出は引続き好調に推移し、民間消費は引続き
上向き傾向を示した。これとは対照的に、投資の不振は続いた。総じて、メキシコのGDPは、2017年には
2016年と比較して実質ベースで2.1％の成長であった。この成長は、金融部門および情報関連産業における
成長によるものである。メキシコにおけるインフレに関する情報については、「(4) 通貨・金融制度－①
金融政策、インフレおよび金利」を参照のこと。
2017年の下降傾向に続き、メキシコ経済は、2018年には主として工業活動の低下、石油輸出の減少およ
び投資のマイナス傾向により減速を続けた。特に、投資は建設および機械製造の落込み、世界景気減速な
らびに新政権が実施する政策についての不確実性の高まりの影響を受けた。
暫定値によると、メキシコのGDPは、2019年には実質ベースで0.3％減少した。この減少は、GDPが2015年
から2017年に平均2.6％、2018年に2.2％増加したのに続くものであった。2019年におけるGDPの減少は、 よ
り不安定な世界経済および各四半期のインフレの持続的な低下とともに、メキシコの経済活動が数四半期
にわたって示してきた緩やかな持続的下降基調を反映している。具体的には、世界経済の緩やかな成長、
民間消費の減少ならびにガソリンの流通問題、鉄道の妨害、および自動車の輸出を中心とした製造業の輸
出の鈍化により増幅された国内需要の弱体化により、2019年第１四半期には経済は収縮した。2019年第２
四半期にも同様の傾向を辿った。世界の製造業輸出は改善したが、第２四半期における経済活動の停滞
は、特に建設および輸入機械・機器への総固定投資の実績低下、財およびサービスの消費の不振ならびに
石油輸出の減少によるものであった。2019年第３四半期も、石油および非自動車輸出の縮小、消費および
総固定投資の継続的な不振ならびに世界貿易の減速とともに、第２四半期と比較して製造業輸出の勢いが
失われたため、同様の傾向を示した。最後に、2019年第４四半期の経済実績は、総固定投資の不利な展開
の継続、製造業輸出の減少および民間消費の活力の喪失の結果である。
暫定値によると、メキシコのGDPは、COVID-19のパンデミックならびに特定の州において実施された数カ
月にわたる生産および移動の制限によるマイナスの経済的影響を反映して、2020年には実質ベースで8.2％
減少した。しかしながら2020年第３四半期には、緩やかなペースではあるものの経済活動の再開がみら
れ、これは2020年第４四半期にも継続した。経済活動は2020年末には再び弱まった。2021年以降にかかる
メキシコの経済活動実績の予測は下方修正されており、予測はさらに修正される可能性がある。COVID-19
のパンデミックの経済的影響に加え、投資は現在持続的な低水準にあり、これらも経済の収縮に寄与する
ことが予想される。
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メキシコの経済成長およびGDPに関する予測に対するCOVID-19のパンデミックの影響については、「(7)
その他 －最近の展開－COVID-19の危機」を参照のこと。
メキシコの国民１人当たり国民総所得
（単位：米ドル、現行価格および購買力平価）
2012年 16,420
2013年 16,440
2014年 17,130
2015年 16,860
2016年 17,160
注： メキシコの国民１人当たり国民総所得に関する2017年以降の数値は、世界銀行のウェブサイトから入手できな
い。
出典： 世界銀行のデータ
④ 物価および賃金
インフレ
2015年の消費者物価の上昇は2.1％で、同年のインフレ目標である3.0％－4.0％を下回り、2014年の消費
者物価上昇率を2.0％下回った。年間インフレ率は3.0％のインフレ目標から想定偏差の範囲（+/-1.0％）
を下回る範囲であった。これは主として、(1)2014年に実施された財政の立て直しにより価格への影響が弱
まることが予想された金融政策、(2)電気通信およびエネルギーなどのサービス産業における価格の低下、
(3)直接的または間接的な貢献があったと思われる構造的改革、ならびに(4)総需要側からの圧力の欠如に
よるものである。
2016年の消費者物価の上昇は3.4％で、同年のインフレ目標である3.0％を上回り、2015年の消費者物価
上昇率2.1％を1.3パーセンテージ・ポイント上回った。メキシコ中央銀行によると、インフレ率は、3.0％
の目標値から想定偏差の範囲（+/-1.0％）を上回る範囲であった。これは主として、2016年11月の米国の
大統領選挙後の外部環境によりメキシコ・ペソが下落し、また一部の農産品および北部国境付近における
ガソリンを含むエネルギー商品の価格値上がりに関連したインフレによるものである。
2017年の消費者物価の上昇は6.8％で、同年のインフレ目標である3.0％を上回り、2016年の消費者物価
上昇率3.4％を3.4パーセンテージ・ポイント上回った。メキシコ中央銀行によると、インフレ率は、3.0％
の目標値から想定偏差の範囲（+/-1.0％）を上回った。これは、主として、インフレを2001年以降記録さ
れていなかった水準にまで導いた重大なショックが国内外双方において続いた結果である。特に、2017年
初め以降、インフレは、メキシコ・ペソ安、ならびに、米国新政府がメキシコとの二国間関係についてと
るであろうポジションに関する不確実性、来るべきメキシコの選挙にまつわる不確実性およびメキシコが
生産し輸出するいくつかのエネルギー製品（ガソリンおよびLPガスを含む。）の価格の値上がりによるペ
ソのボラティリティの高まりの影響を受けた。2017年上半期には、メキシコの複数の都市において自動車
運送料金の引上げおよびいくつかの農産品価格の値上げがあったが、これらはいずれもインフレ率の上昇
の一因となった。2017年末の数カ月にはいくつかのエネルギー源（主にLPガス）ならびに特定の果物およ
び野菜の値上がりを含む一連の追加的なショックがあり、インフレ率をさらに引上げた。
2017年８月23日、INEGIは、メキシコの家計の消費パターンをよりよく反映することを目的として、2018
年８月から全国消費者物価指数（NCPI）に変更を加えることを発表した。この変更には、(1)基準年の更
新、(2)財貨およびサービスの品目数の増加、(3)代表的分野数の増加、および(4)各品目のウェイトの調整
が含まれる。新しい尺度により、NCPIにはより大きなボラティリティが生じるものと予想される。
2018年の消費者物価の上昇は4.8％で、同年のインフレ目標である3.0％を上回り、2017年の消費者物価
上昇率6.8％を2.0パーセンテージ・ポイント下回った。メキシコ中央銀行によると、インフレは3.0％の目
標値からの予想偏差（+/-1.0％）の範囲を超えていたが、これは、中長期のインフレ期待の安定に一役
買ったメキシコ中央銀行が実施した金融政策措置、ならびにLPガス、ガソリンおよび電力などのエネル
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ギー価格の年間上昇率が低下したこと、さらには特定の果物および野菜の価格の上昇を含むその他の衝撃
の結果である。
2019年、消費者物価の上昇は2.8％で、これはメキシコ中央銀行による同年のインフレ目標である3.0％
（+/-1.0％）を下回り、2018年の消費者物価上昇率4.8％を2.0パーセンテージ・ポイント、2017年の消費
者物価上昇率6.8％を3.9パーセンテージ・ポイント下回った。こうした傾向は、農産品、畜産品およびエ
ネルギー商品の価格の年間上昇率が低下したことによる非コアインフレの低下が主な原因であった。2019
年第４四半期における非コアインフレの年間平均水準は、全国消費者物価指数（ Índice Nacional de
Precios al Consumidor 、INPC）が報告データとなった1969年以降の四半期最低水準であった。対照的に経
済への中期的価格圧力をよりよく反映する年間コアインフレ率は、同年のインフレ目標より高く推移して
3.6％となり、2018年のコアインフレ率3.7％を0.1パーセンテージ・ポイント下回った。
2020年の消費者物価の上昇は3.2％で、これはメキシコ中央銀行による同年のインフレ目標である3.0％
（+/-1.0％）を上回り、2019年の消費者物価上昇率2.8％を0.3パーセンテージ・ポイント上回り、2018年
の消費者物価上昇率4.8％を1.7パーセンテージ・ポイント下回った。こうした傾向は、COVID-19のパンデ
ミックがメキシコ経済にもたらした経済的ショックを反映したものである。特に、サービス価格の年間上
昇率が低下する一方で商品価格の年間上昇率が上昇したため、コアインフレの再構成からも明らかなよう
に、相対価格に大きな変化があった。COVID-19感染症を抑え込む措置は、 特定の不要不急の活動の封鎖に
より供給ショックを引き起こした。社会的距離の措置によって財貨およびサービスに対する需要が減った
一方で、経済活動の停止はグローバル・サプライ・チェーンにおける混乱をも引き起こした。同時に、
COVID-19のパンデミック対策として家計が必要とする食品および財貨に対する需要が増大した。その結
果、家計所得が減少する一方で、家計消費支出の割当てはサービスから商品へと変わった。 経済への中期
的価格圧力をよりよく反映する 年間コアインフレ率は、2019年の3.6％から0.2パーセンテージ・ポイント
上昇して、2020年には3.8％となった。
政府は、国内の燃料価格が市場力に従って決定されるようにこれらを自由化するため、2017年を通じて
ガソリンおよびディーゼルにかかる価格統制を段階的に撤廃し、2017年11月30日以降国内の燃料価格は市
場によって決定されている。燃料の最高価格が財務省から公表されることはない。燃料の販売価格は、決
議第A/041/2018号および炭化水素法（ Ley de Hidrocarburos ）に従って、各ガソリン・スタンドからエネ
ルギー規制委員会に報告されている。
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以下の表は、表示期間についての物価指数および最低賃金の上昇率の変動を百分比で示したものであ
る。
物価指数の変動率
(1)(2)(3) (1)(4) (5)
全国生産者物価指数 全国消費者価格指数 最低賃金上昇率
2016年 8.5 3.4 4.2
2017年 4.7 6.8 10.4
2018年 6.4 4.8 10.4
(6) (7)
2019年 0.8 2.8 100.0 ：16.2
(6) (7)
2020年 4.1 3.2 4.8 ： 20.0
(6) (7)
2021年１月 5.3 3.5 15.0 ： 13.0
2021年２月 5.9 3.8 -
2021年３月 4.8 4.7 -
2021年４月 3.2 6.1 -
(1) 物価指数の変動は毎月計算されている。年次の数値については、物価指数の変動は毎年12月に計算されてい
る。月次の数値は年換算されている。
(2) 全国生産者価格指数（ Índice Nacional de Precios al Productor 、以下「INPP」という。）の数値は、基本的
な商品およびサービスの価格（石油価格を除く。）の変動を示している。INPPは2019年７月を基準日としてい
る。
(3) 2020年および2021年については暫定値。
(4) 2018年８月以降、全国消費者物価指数は、(1)2018年７月下半期を基準日として更新され、(2)財およびサービ
スの品目数を増加し、(3)対象地域数を増加し、(4)各構成品目のウェイトを調整するよう、変更された。
(5) 2019年１月１日付で、メキシコは２つの最低賃金を設けている。ひとつは北部国境自由貿易地域に含まれる米
国国境沿いに所在する自治体に適用されるもので、メキシコのその他地域には異なる最低賃金率が適用され
る。北部国境自由貿易地域に所在する自治体に適用される最低賃金とメキシコのその他地域に適用される最低
賃金の双方にかかる2019年の変化率は、2019年１月１日より前に有効であった最低賃金との比較である。
(6) 北部国境自由貿易地域に所在する自治体に適用される最低賃金の変化率。
(7) 北部国境自由貿易地域以外の地域に適用される最低賃金の変化率。
出典： INEGI、労働省
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賃金
メキシコの最低賃金は、企業および労働部門ならびに政府の代表者で構成される国家最低賃金委員会
（ Comisión Nacional de los Salarios Mínimos ）によって設定される。2018年11月30日、 ロペス・オブラ
ドール大統領は、労働省（ Secretaría del Trabajo y Previsión Social ）および国家最低賃金委員会とと
もに、最低賃金の決定に関する新しい政策を発表した。2019年１月１日付で実施された新しい政策の下
で、メキシコは、新たに設定された北部国境自由貿易地域に含まれる米国との国境沿いの自治体に適用さ
れるものと、メキシコのその他地域に適用される異なる賃金という、２つの最低賃金を有している。2020
年１月１日、次の最低賃金が効力を生じた。すなわち、北部国境自由貿易地域内の自治体における１日当
たり185.56ペソ（2020年１月１日より前に有効であった１日当たり176.72ペソの最低賃金から5.0％の引上
げ）と、メキシコのその他地域における１日当たり123.22ペソ（従前の最低賃金から20.0％の引上げ）で
ある。
メキシコ法は、メキシコにおいて業務を行う事業者に対して、十分な福利厚生を提供することを義務づ
けており、これには税引前利益の10％の労働者への分配を通じた強制的利益分配が含まれる。その他の給
付には、年金基金および労働者住宅基金制度への強制加入が含まれる。
2020年12月31日現在、最低賃金は、北部国境自由貿易地域において１日当たり185.56ペソ、メキシコの
その他地域において１日当たり123.22ペソで、これらは2020年１月１日から効力を生じている。
⑤ 雇用および労働情勢
雇用
1990年代初頭以降、メキシコの貿易自由化政策が経済の構造的変化を生み、不完全雇用を発生させた。
メキシコには包括的な失業給付制度または十分に発達した社会福祉制度は存在しない。政府は中期的に労
働力になることが見込まれる多数の者のために雇用機会を創出する経済環境作りに専心している。しか
し、政府はメキシコの重大な不完全雇用問題への対策が引続き重要な課題となる可能性が強いことも認識
している。
2019年12月31日現在、メキシコ社会保険庁（ Instituto Mexicano del Seguro Social 、以下「IMSS」と
いう。）の保険に加入している労働者数は、経済の「公式」部門における雇用を示す指標であるが、その
数は2018年末に比べ1.7％増の20.4百万人であった。IMSSは、退職した労働者に対して医療給付および年金
を提供している。
顕在失業率（ Tasa de Desocupación Abierta ）に関する暫定値によると、2020年12月31日現在のメキシ
コの失業率は4.6％であり、2019年12月31日現在より1.2パーセンテージ・ポイント上昇した。2020年12月
31日現在、メキシコにおける15歳以上の経済活動人口は56百万人であった。
2020年１月６日、労働事項に関する2017年２月24日の憲法改正に従って、連邦労働調停登録センター基
本法（ Ley Orgánica del Centro Federal de Conciliación y Registro Laboral ）が公表された。同法
は、労働調停登録センター（ Centro Federal de Conciliación y Registro Laboral ）の組織および責任の
概要を定めることを意図している。かかる責任には、ジェンダーおよび人権の視点を公的部門の経営、昇
進および報酬メカニズムに組込むことが含まれている。
2020年１月21日、家事労働者のディーセント・ワーク条約189号を承認する政令（ Decreto por el que
se aprueba el Convenio 189 sobre el Trabajo Decente para las Trabajadoras y los Trabajadores
Domésticos ）により、家事労働者の労働および生活条件を改善し、法律に基づく男女平等および女性の平
等の権利と保護を推進することを目的として2011年に国際労働機関が採択した一連の基準 が批准された。
2020年11月12日、ロペス・オブラドール大統領は、連邦労働法（ Ley Federal del Trabajo ）、連邦財政
法、社会保障法（ Ley del Seguro Social ）、 国家労働者住宅基金法 （ Ley del Instituto del Fondo
Nacional de la Vivienda para los Trabajadores ）、所得税法（ Ley del Impuesto Sobre la Renta ）お
よび付加価値税法（ Ley del Impuesto al Valor Agregado ）の改正案に署名した。これらの改正は、労働
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者に一層の雇用保護を提供することを意図したものであり、とりわけ、労働者が企業の主な社会的目的ま
たは経済活動の一部をなさない特別な役務を提供しない限り、企業は労働者と下請け契約を結ぶことはで
き ない旨を定めている。
USMCAの下で、メキシコは労働制度の改革を約束した。この改革は現在進行中で、労働紛争の迅速な解決
および組合関連の投票に関するより民主的なプロセス、ならびに組合指令および団体交渉におけるいっそ
うの男女平等、透明性および説明責任を確保するための新しいプロセスを促進することを目的とした専門
裁判所を備えた新しい労働司法制度が含まれることが期待されている。さらに、2020年11月18日、全国レ
ベルでの組合および労働協約の記録保持ならびに労働者の利益および権利の監視について責任を負う組織
である連邦労働調停登録センターが７州において稼働を開始した。2021年には、新たに14の組織がこの労
働司法制度に参加するものと予想される。USMCAに関する追加情報については、「(3)貿易及び国際収支－
①貿易－対外貿易協定－地域」を参照されたい。
2021 年１月３日現在、 最低賃金は、北部国境自由貿易地域において１日当たり213.39ペソ、メキシコの
その他地域において１日当たり141.70ペソで、これらは2021年１月１日から効力を生じている。
2020 年12月16日、 (ⅰ) 雇用主による退職拠出金を引上げ、(ⅱ) 保証付年金に対する権利を実現するた
めに必要な拠出の週数を短縮し、(ⅲ) 保証付年金額を増額し、(ⅳ) 退職基金管理者が請求する手数料を
一定の諸外国において請求される手数料の平均に制限するため、社会保障法および年金制度法（ Ley de
Sistema de Ahorro para el Retiro ）が改正された。
COVID-19 のパンデミックは、メキシコの雇用に悪影響を及ぼすであろう。メキシコの連邦労働法第427条
に基づき、労働が中断した場合、雇用関係は中断し、雇用主は被雇用者に対して最長１カ月の中断日数に
つき最低賃金を支払うことを義務づけられている。
雇用および労働に関連した政府政策を含むCOVID-19のパンデミックに関する追加情報については、「(7)
その他－最近の展開－COVID-19の危機」を参照のこと。
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以下の表は、2020年12月31日現在の年齢別および性別のメキシコにおける失業者数およびその比率を示
したものである。
年齢別および性別の失業者数
(1) (1) (1)
合計 ％ 男性 ％ 女性 ％
合計 740.8 100.0 1,618.7 100.0 930.7 100.0
15－24歳 1,205.1 29.1 462.1 28.5 278.6 29.9
25－44歳 561.3 47.3 721.1 44.5 484.0 52.0
45－64歳 40.8 22.0 400.2 24.7 161.0 17.3
65歳以上 1.6 1.6 35.0 2.2 5.8 0.6
不明 1.6 0.1 0.3 0.0 1.3 0.1
(1) 千人。
出典： INEGI
サービス部門は、メキシコの経済活動人口の最大部分を雇用している。以下の表は、暫定値による2020
年12月31日現在のメキシコの経済活動人口に占める割合を経済部門別に示したものである。
部門別経済活動人口
比率（％）
サービス業
43.2
商業 22.3
製造業 12.6
農業 11.0
建設業 10.2
その他 0.1
不明 0.4
出典： INEGIおよび国家人口審議会
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以下の表は、表示期間における活動人口に占める不完全雇用の比割合比率を示したものである。
活動人口に占める不完全雇用の比率
比率（％）
2016年
6.0
2017年 6.4
2018年 6.6
2019年 7.0
2020年 14.2
出典： INEGIおよび国家人口審議会
労働力
特に産業の成長が急速なメキシコの一部の地域では、産業界は熟練労働者と管理職の不足ならびに高い
転職率に悩まされている。政府は社内研修プログラムを義務づけ、その費用の税務上の損金算入を認める
法令を通じて、これらの問題に取組む努力をしてきた。
2019年、政府は、未来を築く若者（ Jóvenes Construyendo el Futuro ）プログラムを立上げた。このプ
ログラムは、勉強したり働いたりしていない18歳から29歳までの若者を実習生として、企業、ワーク
ショップ、機関または事業と結びつけ、これを指導者とするものである。実習生は、月々の経済的支援と
医療保険を受けながら、最大１年間雇用可能性を高めるように訓練を受ける。このプログラムでは、先住
民族に将来のより良い就業機会を提供するため、先住民族からの応募者を優先する。
2019年12月31日現在、メキシコの労働力の約8.0％が組合化されている。メキシコの労働法令では、労働
協約の最低２年ごとの更新（賃金は毎年再交渉の対象）を義務づけ、ストライキに対しては法的制約が加
えられている。2019年に、７件のストライキが連邦の管轄下で規制されている部門に影響を及ぼした。
USMCAの締結および国際労働機関（ILO）の条約第98号の批准による取組みに関連して、政府は、2019年
５月１日、差別および職場におけるハラスメントを終わらせ、労働協約における組合代表者について投票
する労働者の権利を確保し、労働協約の交渉におけるより多くの代表者および透明な手続きを促進し、労
働者に対して効果的な司法保護を提供することを目的として、連邦労働法（ Ley Federal del Trabajo ）を
改正した。2019年11月７日、政府は、ILOの条約第98号を官報に掲載し、2019年11月23日に大統領令が発効
した。
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⑥ 社会保障制度
連邦社会保障諸法
連邦社会保障法および公務員社会保険庁法（ Ley del Instituto de Seguridad y Servicios Sociales
de los Trabajadores del Estado 、以下「ISSSTE法」という。）は、雇用主（政府事業体雇用主も含
む。）に対し、各勤労者の基本給の２％に相当する金額を当該勤労者の退職または終身障害に際して引出
すために開設されている口座に預け入れることを義務づけている。
ISSSTE法に従って、連邦公務員は同法により創設された完全積立方式年金制度に加入することを義務づ
けられている。2007年のISSTE法施行前に働いていた連邦公務員は、ISSSTE年金制度と同法施行前に存在し
ていた賦課方式年金制度から選択することができる。ISSSTE年金制度は、連邦公務員向けの医療および年
金制度ならびに公務員社会保険庁（ Instituto de Seguridad y Servicios Sociales de los Trabajadores
del Estado 、以下「ISSSTE」という。）の財政難に対する政府の対応を支援することを目的としている。
ISSSTE法は、ISSSTEのコストを段階的に削減するように設計されており、それによってISSSTEに国内貯
蓄、特に長期の貯蓄を増加させることにより経済成長および社会福祉に貢献するための追加的な手段が提
供されている。
ISSSTE法はまた、勤労者に退職貯蓄拠出金と年功特典を民間部門と公的部門の医療・年金制度の間で移
転させる権利を与え、民間部門と公的部門の間の移動を奨励している。
家事労働者の労働権 をよりよく保護するため、2019年に 連邦労働法および社会保障法が改正された。こ
れらの改正には、とりわけ、家事労働と考えられる作業の定義の拡大ならびに家事労働者をIMSSに登録
し、相応の報酬を支払い、家事労働者との間で適切な書面による契約を締結する雇用主の義務が含まれ
る。これらの改正は、2021年に施行される予定である。
2021年１月11日、リモートワークの条件を規制するため、連邦労働法が改正された。同法は、リモート
ワークとみなされるものを定義し、雇用主および 被 雇用者の双方の義務、ならびに任意で出勤に戻る権利
を設定するものである。
年金および住宅基金
(i) AFORES
メキシコの退職貯蓄制度は、メキシコ人労働者の経済状態を改善し、経済における長期貯蓄を推進する
ように意図されており、公的部門および民間部門の双方における投資プロジェクトに資金を提供してい
る。各勤労者の独立退職貯蓄口座は退職基金事務管理者（ Administradoras de Fondos para el Retiro 、
以下「AFORES」という。）により運用されている。これらの民間部門の事業体は、個人年金口座および特
定退職貯蓄投資信託（ Sociedades de Inversión Especializadas de Fondos para el Retiro 、
「SIEFORES」）として知られる投資信託の運用を行うために、政府の承認を条件として設立されている。
外国の金融機関によるAFORESへの投資は認められているものの、各AFORES事業体の発行済株式の過半数
は、メキシコ人が所有しなければならない。単独の株主がいかなる種類の株式においても10％超の支配権
を取得することは認められない。
AFORESは、運用資金の最大100％を政府債または発行体の信用格付に応じて民間企業発行の負債性証券
に、また負債性証券の信用格付に基づく特定の制限を付して、最大20％を外国有価証券に投資することが
できる。AFORESは、メキシコの事業体が発行するエクイティ証券に投資することも認められている。
暫定値によると、2019年12月31日現在、65.8百万口の個人退職貯蓄口座がAFORESに開設され、運用され
ていた。2019年12月31日現在のAFORESによる運用資産は3,996.1兆ペソで、2019年11月30日現在、その
53.7％は政府証券に投資され、46.3％は民間部門、銀行、地方政府および外国の有価証券に投資されてい
た。
国家年金制度委員会（ Comisión Nacional del Sistema de Ahorro para el Retiro 、以下「 CONSAR 」と
いう。）は、退職基金に特化した投資会社に適用される投資制度の一般規定を設定した。これらの規定に
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は、各市場の安全性と発展を考慮した投資適格国のリストが含まれている。2019年８月22日、CONSARの統
治委員会は、労働者の年金を引上げ、 ベンチマーク活動を通じて国際基準を参照して、国際的に競争力の
あ る水準まで手数料を徐々に減額することにより、労働者が 退職貯蓄を最大化する手助けをすることにつ
き合意した。
2018年11月16日、メキシコの退職貯蓄制度を強化するため、一部規制の改正および補足が採択された。
改正により、とりわけ(ⅰ)労働者はその貯蓄の投資先となるSIEFOREの選択を認められ、(ⅱ)AFORESがそ
の投資戦略に環境、社会およびガバナンスの指針を組込み、またAFORESがリスク管理方針を実施すること
が推進され、(ⅲ)AFORESの役員のための倫理規定および最善慣行に関する規則が強化され、(ⅳ)労働者の
資金運用に関する関連情報を付して労働者に提供される文書が簡素化される。
(ii)INFONAVIT
1972年に創設された勤労者住宅基金公社（ Instituto del Fondo Nacional de la Vivienda para los
Trabajadores 、以下「INFONAVIT」という。）は、勤労者向けの住宅プログラムを運営し、住宅不足に対
処している。INFONAVITは金融仲介機関としての役割を果たし、住宅の建設または購入に関して勤労者へ
の信用供与を行う。現在、雇用主は各勤労者について基本給の５％に相当する金額を銀行に開設されてい
る住宅サブ口座に拠出することを義務づけられている。退職貯蓄サブ口座と同様に、住宅サブ口座への拠
出金は、雇用主の税務上の当該年度の損金として認められる。これらの資金はさらにメキシコ中央銀行に
おけるINFONAVITの口座に預け入れられることが義務づけられている。勤労者が住宅の購入または建設に
関してINFONAVITからの融資を受けた場合、当該勤労者の住宅サブ口座における残高は住宅の頭金資金と
して使用することができる。未使用残高は、当該勤労者が退職または就業不能となった時点で引出すこと
ができる。
2020年12月31日現在、INFONAVITの資本合計は、2019年12月31日現在と比較して8.9％増の265.8十億ペ
ソであった。また、2020年12月31日現在、INFONAVITの貸付ポートフォリオ合計は、2019年12月31日現在
と比較して0.6％増の1,258.4十億ペソであった。INFONAVITに関する追加情報については、「(5) 財政－
④歳入および歳出－医療および労働、教育、ならびにその他社会福祉に関する歳出－(iii)その他」を参
照のこと。
(iii) 年金基金および住宅基金の合計
2020年12月31日現在のINFONAVITが運用する運用する住宅サブ口座およびAFORESにおける勤労者の個人
口座に累積された資金総額は6,393.7十億ペソであった。この数字には、旧社会保険法に基づいて銀行に
開設された年金サブ口座からの移転額、ならびに新年金制度下での直接拠出額および確定拠出制度を選択
したISSSTE受給者への謝礼ボーナスが含まれる。
2020年に年金基金および住宅基金に預け入れられた総額は6,098.7十億ペソに上り、このうち4,585.3十
億ペソは勤労者の退職貯蓄サブ口座への預金に対応し、1,513.4十億ペソは住宅サブ口座への預金に対応
している。
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⑦ 経済の主要部門
2020年３月から、COVID-19の発生に起因する景気の低迷は、様々な部門およびメキシコ経済の全般的な
実績に影響を及ぼしている。経済的な影響は全部門にわたって感じられる見込みであるが、最終的な影響
の度合いを判断するには時期尚早である。
COVID-19の発生に起因する経済の減速がメキシコ経済のさまざまな部門および全体の実績に及ぼしてい
る影響については、「(7) その他－最近の展開－COVID-19の危機」を参照のこと。
(a) 製造業
メキシコは、(1)製造業の間接費が低いこと、および(2)メキシコがその主要貿易相手国である米国と国
境を接していることを活用するという二つの目的をもって、製造業部門を発展させてきた。メキシコの現
在の政策は、融資の利便性を高めることにより社会経済を育てる一方で、国内市場を強化し、起業家を奨
励し、零細・中小企業を強化することを目指している。
2015年以降、メキシコの鉱工業生産高は大幅に増加してきた。こうした拡大は、主として、第一次金
属、金属加工製品および輸送機器部門における製造の増加ならびに製造品の米国向け輸出の増加によるも
のである。自動車の輸出は上向き傾向を維持したが、その他の製造品の輸出は低成長を続けた。
2019年を通じて、製造業の生産は2018年よりわずかに上向いた。第１四半期には、化学、金属および非
金属鉱産物の製造業生産は減少したが、コンピュータ機器および電子装備品の製造は回復した。同様の傾
向が第２四半期および第３四半期にも継続したが、これは、機械、機器ならびに石炭および石油製品の製
造によるものであった。第４四半期には、発電設備、電化製品、電子機器および家具の製造は産業にプラ
スの貢献をしたものの、製造業の生産実績は投資および貿易部門の業績不振によるところが大きかった。
主な産業部門のなかで、異例の温暖な気候により暖房の需要が減少し、ガスおよび電力の生成減少につな
がった。また、米国のサプライヤーのストライキにより一部の製造会社の活動が中断したため、自動車の
製造および輸出は減少した。
2019年４月10日および同年９月20日、 製造業部門における特定の一般的な原材料および製品の輸出入を
対象とする新しい関税が創設された。
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以下の表は、2013年恒常ペソによる十億ペソ単位での部門別鉱工業生産高ならびに2019年および2020年
における生産高合計に占める各製造業部門の割合を百分比で示したものである。
部門別鉱工業生産高
(1) (1) (1) (1) (1)
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年 2019 年 2020 年
全体に占める
(2) (3)
（ 単位：十億ペソ ） 割合(％)
食料品 639.8 656.2 675.2 690.8 687.3 23.4 25.9
飲料および
タバコ製品 157.5 162.4 169.8 175.2 160.9 5.9 6.1
繊維機械 26.7 26.1 26.7 25.6 17.8 0.9 0.7
繊維製品機械 14.7 13.2 14.2 13.6 11.8 0.5 0.4
衣料品 59.7 60.0 60.9 58.9 38.5 2.0 1.5
革工業製品 23.0 22.8 22.5 22.0 14.5 0.7 0.5
木製品 24.5 25.1 24.6 24.7 21.2 0.8 0.8
紙 51.6 53.3 54.4 54.3 51.5 1.8 1.9
印刷および
関連支援活動 19.3 19.5 20.2 18.4 15.3 0.6 0.6
石油・石炭製品 59.4 48.7 40.5 39.5 35.9 1.3 1.4
化学 249.0 240.0 235.0 229.7 218.7 7.8 8.2
プラスティック
およびゴム製品 81.0 82.6 85.0 82.8 74.8 2.8 2.8
非金属鉱産物製
品 73.3 75.5 75.5 75.1 69.3 2.5 2.6
第一次金属 184.9 183.9 180.2 175.9 160.1 6.0 6.0
金属加工製品 97.6 95.0 93.5 96.1 86.3 3.3 3.2
機械 106.8 116.0 120.1 117.9 98.1 4.0 3.7
コンピュータお
よび電子製品 223.8 233.6 233.0 244.4 229.6 8.3 8.6
電気設備、機器
および部品 86.9 88.2 89.3 88.3 87.5 3.0 3.3
輸送機器 527.3 581.4 612.0 619.1 489.4 21.0 18.4
家具および
関連製品 32.1 30.3 31.7 30.7 25.3 1.0 1.0
63.1 66.2 70.9 67.5 60.6 2.3 2.3
その他
2,801.9 2,880.0 2,935.1 2,950.5 2,654.5 100.0 100.0
合計
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 2013年12月31日現在の購買力に基づく恒常ペソによる。
(3) 比率の変動は、2013年恒常ペソによる差異を示す。
出典： メキシコ中央銀行
2020年、石油・石炭製品の総生産高は、2019年と比較して8.9％減少した。生産高は、その後の感染の波
を抑えるための非緊要産業に対する営業制限、操業削減、輸送ネットワークおよびサプライチェーンの混
乱ならびに強制的なロックダウンなど、COVID-19のパンデミックの悪影響を受けた。
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以下の表は、表示期間について、部門別鉱工業生産高の変動を示したものである。
部門別鉱工業生産高
(1)
（対前年変動率（％））
(2) (2) (2)
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
食料品 3.3 2.6 2.9 2.3 (0.5)
飲料およびタバコ製品 7.5 3.1 4.5 3.3 (8.1)
繊維機械 0.4 (2.3) 2.4 (4.1) (30.5)
繊維製品機械 3.9 (10.2) 7.8 (3.7) (13.9)
衣料品 (1.1) 0.5 1.5 (3.2) (34.6)
革工業製品 (2.8) (0.6) (1.3) (2.3) (34.4)
木製品 (1.3) 2.4 (1.9) 0.5 (14.1)
紙 4.4 3.3 2.1 (0.1) (5.1)
印刷および関連支援活動 2.3 1.2 3.4 (9.0) (16.9)
石油・石炭製品 (13.4) (18.1) (16.7) (2.6) (8.9)
化学 (2.9) (3.6) (2.1) (2.2) (4.8)
プラスティックおよびゴム製品 5.7 1.9 3.0 (2.6) (9.7)
非金属鉱産物製品 0.8 2.9 0.0 (0.2) (7.7)
第一次金属 1.4 (0.6) (2.0) (2.4) (9.0)
金属加工製品 0.1 (2.6) (1.6) 2.8 (10.2)
機械 0.2 8.6 3.5 (1.7) (16.8)
コンピュータおよび電子製品 1.4 4.4 (0.2) 5.1 (6.1)
電気設備、機器および部品 4.2 1.5 1.3 (1.1) (0.9)
輸送機器 1.1 10.3 5.3 1.3 (20.9)
家具および関連製品 (2.9) (5.5) 4.6 (3.2) (17.5)
その他 12.5 4.9 7.1 (4.8) (10.1)
拡大/縮小合計 1.6 2.8 1.9 0.6 (10.0)
(1) 前年度からの変動率。変動率は2013年恒常ペソでの差異を反映している。
(2) 暫定値。
出典： INEGI
2016年に製造業は2015年と比べ実質ベースで1.6％成長した。これは主として、飲料およびタバコ製品部
門が実質ベースで7.6％増加したこと、ならびにコンピュータおよび電子製品部門が実質ベースで6.8％、
繊維製品機械部門が実質ベースで3.0％、それぞれ増加したことによる。しかし、石油・石炭製品ならびに
木製品部門（それぞれ13.1％および4.6％減少）といった他の製造業部門では、実質ベースで後退した。全
体では、2016年には、それぞれ2015年と比較して８部門が後退し、13部門が成長した。
2017年に製造業の生産高は、機械、輸送機器ならびにコンピュータおよび電子製品の生産が増加したこ
とを反映して、上向き傾向を示した。2017年10月-12月期にかかるメキシコ中央銀行の四半期報告書による
と、輸送機器の製造が増加したのは、同部門への投資が増加したことによる。この部門の設備容量は2016
年から2017年の間に約20％増加したものと推定される。これは、2015年末現在の推定設備容量が3.8百万ユ
ニットであったのに対して、約775,000ユニットの増加となる。こうした改善は、下記「(b) 石油および石
油化学」において述べるように、繊維製品ならびに石油・石炭製品の生産の減少によって相殺された。
2018年には、製造業の生産高は上向き傾向を示し、2017年と比較して実質ベースで2018年には1.7％拡大
した。こうした拡大は、主に飲料およびタバコ製品部門の5.6％増加、繊維製品機械部門の6.6％増加なら
びに印刷および関連支援活動の7.4％増加によるものである。それでも、石油・石炭製品部門およびその他
部門など一部の部門では実質ベースで後退した。石油・石炭製品部門は16.9％、その他部門は2.9％、それ
ぞれ減少した。全体では、2018年には、2017年と比較して６部門が後退し、15部門が成長した。
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2019年には、製造業の生産高は上向き傾向を示し、2018年と比較して実質ベースで2019年には0.4％拡大
した。こうした拡大は、主に飲料およびタバコ製品部門の2.5％増加、コンピュータおよび電子製品部門の
6.0％増加ならびに輸出機器部門の2.0％増加によるものである。それでも、石油・石炭製品部門および印
刷 および関連支援活動部門など一部の部門では実質ベースで後退した。石油・石炭製品部門は2.8％、印刷
および関連支援活動部門は10.1％、それぞれ減少した。全体では、2019年には、2018年と比較して15部門
が後退し、６部門が拡大した。
総じて、2020年には、製造業の生産高は2019年より悪化した。製造業の生産実績は、その後の感染の波
を抑えるための非緊要産業に対する営業制限、操業削減、輸送ネットワークおよびサプライチェーンの混
乱ならびに強制的なロックダウンなど、COVID-19のパンデミックの悪影響を受けた。
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(b) 石油および石油化学
(i) 概要
ペメックスおよびその子法人で構成されるメキシコの国有石油・ガス企業は、その歴史の大半におい
て、メキシコの石油およびガス産業における唯一の参加者であった。2019年12月31日現在、ペメックスは
依然として同産業における最大の参加者であった。
2020年１月30日、政府は、21件の港湾プロジェクト（13百万バレルを追加で貯蔵するメキシコ湾におけ
る12件のプロジェクトと８百万バレルの貯蔵容量をもつ太平洋における９件のプロジェクト）を通じて港
湾のターミナルにおける炭化水素の貯蔵容量を倍増させる目標を発表した。21件のプロジェクトのうち15
件はすでに調印済みで授権されている。
( ⅱ) 法的枠組みおよびエネルギー改革
炭化水素法および炭化水素歳入法（ Ley de Ingresos sobre Hidrocarburos ）は、炭化水素の探査、採掘
および精製から配送、貯蔵、販売およびマーケティングに至る活動を規制し、メキシコ人および非メキシ
コ人の投資家が石油およびガスの探査、生産および輸送にかかる入札手続きに参加することを認めてい
る。これらの法律は、政府が石油およびガスの探査・採掘活動をペメックスに加えて民間の石油・ガス会
社に割当てることを認めている。ペメックスは、2013年に承認された憲法によるエネルギー改革を通じて
生産的国有企業に再編された。
2019年12月31日現在、ペメックスは依然として業界最大手であった。
2016年１月１日以降、民間企業はペメックスのフランチャイズであることを要しないガソリンおよび
ディーゼルのサービス・ステーションを所有することができるようになった。民間企業は、現在ではガソ
リンおよびディーゼルを輸入することができる。
2017年12月１日、エネルギー省（ Secretaría de Energía 、SENER）は、メキシコ全土のガソリン・スタ
ンドの約19％がペメックスのフランチャイズではなく別のメキシコまたは外国のブランドとなっており、
１年以内に約30の新しいブランドが追加されることになると発表した。メキシコ全土に燃料ブランドの数
が増えることにより、石油・石油化学産業は今後数年間に貯蔵およびパイプラインならびに鉄道輸送の分
野の新たなインフラに４十億米ドル近くの投資を行うものと予想される。
ペメックスが所有またはフランチャイズ化している小売りガソリン・スタンドの数は、主に公開市場に
おける競争の激化により、2019年には前年と比較して13.5％減少した。2019年には、ペメックスは、ペ
メックスが所有またはフランチャイズ化していないメキシコ国内の2,922の小売りガソリン・スタンドに石
油製品を供給した。
2019年12月現在、すべてのガソリン・スタンドのうち77％が依然としてペメックスのフランチャイズの
形で営業しており、ペメックス・インダストリアル・トランスフォーメーション社（ Pemex
Transformación Industrial ）から供給を受けている。ペメックス以外のブランドで営業しているその他
23％のガソリン・スタンドには２つのビジネス・モデルがあり、(1)ペメックス製品を販売するものと、
(2)ペメックス以外の代理店が輸入した別ブランドの製品を販売しているものがある。輸入ガソリンの
6.2％だけがペメックス以外の代理店により輸入されたものである。
2017年に政府がガソリンおよびディーゼルにかかる価格統制を段階的に撤廃したのを受けて、国内の燃
料価格は現在では完全に自由化され、おおむね市場によって決定されている。しかし、CREは介入権限を留
保している。燃料の販売価格は、2019年連邦歳入法（ Ley de Ingresos de la Federación para el
Ejercicio Fiscal 2019 ）に従って各ガソリン・スタンドからCREに報告されている。
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政府は、ペメックスが直面する財政面および経営面の課題を含め、メキシコの石油・ガス部門の今後の
発展に対処するための措置を評価してきた。2019年２月15日、財務省は、メキシコ石油公社強化プログラ
ム（ Programa de Fortalecimiento de Petróleos Mexicanos ）を発表した。このプログラムには、ペメッ
クスをメキシコの戦略的な資産として位置づけ、企業の構造変化を行うことを目的として、ペメックスの
財政状態を改善するためのいくつかの措置が盛り込まれている。このプログラムは、(ⅰ)25.0十億ペソの
資本注入、(ⅱ)ペメックスの税負担額を年間約15.0十億ペソ軽減（2024年末までで総額90.0十億ペソの軽
減と予想される。）、（ⅲ）ペメックスの年金債務に関連した政府の義務に基づく35.0十億ペソの前払
い、および（ⅳ）政府の措置の結果燃料盗難が減少したことによる約32.0十億ペソの推定利益からなる。
2019年５月13日、大統領は、2019年にペメックスの財政負担を軽減し、財政状態を強化するための大統領
令を発した。税負担の軽減は、ペメックスによる探査および生産への投資の増額のほか、その財政収支の
立て直しを可能にすることを意図したものである。
2019年７月16日、ペメックスの最高経営責任者は、ペメックスの2019-2023年事業計画を発表した。この
計画には、ペメックスに一層の競争力を持たせ、長期的に財政的な実行可能性を確保することを目的とし
たペメックスの近代化プログラムが盛り込まれている。具体的には、この事業計画の期間を通じて、ペ
メックスは、正味債務の現行水準を維持し、石油およびガスの鉱床の開発を加速し、炭化水素を増産し、
燃料および石油化学製品の精製能力を次第に拡大し、サービス契約を通じてペメックスの事業運営への民
間部門の参入を奨励することなどを提案している。
また、政府は、ペメックスによる最大の納税額である利益配分税（ Derecho por la Utilidad
Compartida ）を段階的に２回に分けて11パーセント・ポイント引下げて2021年までに54％に軽減するため
のペメックスに対する税制を調整することにより、これらの措置を支援することに合意した。かかる調整
により、ペメックスには2020年に45.0十億ペソ、2021年には83.0十億ペソの貯蓄が生み出されることが見
込まれ、投資に充当される予定である。政府はまた、ペメックスに対して2021年に38.0十億ペソ、2022年
に37.0十億ペソに上る追加出資を行うことについても同意した。ペメックスは、その2019-2023年事業計画
の下で、2021年までにその財政収支黒字を生み出す見通しであり、それにより政府による追加出資の必要
性は低下するであろう。
2019年９月11日、政府は、ペメックスに対するペソによる5.0十億米ドル相当の出資を発表した。ペメッ
クスは、この資金を負債管理取引による債務の全体的な減額および債務の満期構成の管理に充当した。
2019年９月23日、ペメックスは、2020年１月から2023年９月までの間に満期が到来する残存有価証券の額
面総額5,005百万米ドルの買戻しを行った。ペメックスが発表した負債管理取引には、ペメックスの特定シ
リーズのノートを対象とした交換申込も含まれていた。これらの交換申込に従って、2019年９月27日、ペ
メックスは、額面総額7,331,606,000米ドルの新規有価証券を、また2019年10月11日には額面総額
16,060,000米ドルの新規有価証券を発行した。これらの交換申込は2019年10月９日に失効した。
また、2019年12月、政府は、ペメックスが納付する中で最も重要な税金であるペメックスの利益配分税
を2021年までに２段階にわたって11パーセンテージ・ポイント引下げて54％とするようペメックスの税制
を調整することにより、これらの措置を支援することに合意した。この調整により、ペメックスには2020
年に45.0十億ペソ、2021年には83.0十億ペソが投資に振向けられる貯蓄として生み出される見込みであ
る。政府はまた、ペメックスに対して2021年に38.0十億ペソ、2022年に37.0十億ペソの追加出資を行うこ
とについても合意した。
2019年12月６日、ペメックスは、初期探査によるデータに基づいて、タバスコ州ケスキの油田が当初の
見積りより規模が大きいと予想されることを発表した。ペメックスは、ケスキ油田からの潜在的産油量の
見積りを原油で最大40百万バレルから最大500百万バレルに修正した。ペメックスは、2020年までに11本の
油井を掘削するとの前提で、ケスキ油田は１日当たり原油69千バレル、天然ガス300百万立方フィートの算
出を達成するものと見積っている。
2020年１月30日、政府は、港湾ターミナルの炭化水素貯蔵容量を倍増させるため、21件の建設プロジェ
クトを行うことを発表した。これらプロジェクトのうち12件は貯蔵容量を最大13百万バレルまで増加させ
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るためメキシコ湾において実施され、９件は貯蔵容量を最大８百万バレルまで増加させるため太平洋にお
いて実施される予定である。21件のプロジェクトのうち15件は、すでに承認済みである。
2020年３月、石油輸出国機構（以下「OPEC」という。）は、原油価格が2008年の世界金融危機以来月間
で最大の下落を経験したことを報告した。2020年４月12日、OPECならびにメキシコおよびロシアを含むそ
の他の非OPEC石油輸出国は、世界の原油供給量を削減することにつき合意した。この合意に従って、メキ
シコは2020年５月１日から２カ月間、原油生産量を１日当たり100,000バレル削減することに同意した。し
かし、COVID-19のパンデミックによる当初の経済的ショックの後、原油価格は７月には３カ月連続して値
上がりした。７月のOPECのバスケット価格（以下「ORB」という。）は１バレル当たり平均43.42米ドルと
なり、2020年２月以来の最高値に達した。2020年７月現在、年初からの平均ORBは１バレル当たり39.85米
ドルであった。
OPECは、2020年８月12日に報告を発表し、これにおいてOPECは、輸送燃料および化石燃料に対する長引
くマイナスの影響ならび主要な非OECD数カ国における経済活動水準の低迷を反映して、2020年における世
界の石油需要の成長見通しを、前月の見積りから１日当たり0.1百万バレル引下げて、１日当たり9.1百万
バレルに下方修正した。四半期ベースでは、非OECD諸国における予想を上回る落込みが、ヨーロッパの
OECD諸国における予想を上回る需要と部分的に均衡していた。2020年における石油需要の合計は、現在１
日当たり90.6百万バレルに達するものと予測されている。2021年については、世界の石油需要の伸びは、
COVID-19が収束し、世界経済にさらに大きな混乱が生じないことを前提として、１日当たり7.0百万バレル
増加して、１日当たり97.6百万バレルに達するものと予想される。
特に米大陸のOECD諸国において2020年第２四半期に石油産出量が大幅に減少したにもかかわらず、非
OPEC諸国の2020年における液体生産量の成長予測は７月に上方修正された。非OPEC諸国の2020年第３四半
期における原油生産量は、特に８月現在においてある程度の成長が見込まれている。それでも、米国の生
産量にかかる金融上および流通上の制約にかかわる不透明性、ならびに世界的なCOVID-19感染症の第２波
の可能性が依然として懸念材料となっている。2021年については、メキシコにおける石油生産量は１日当
たり0.03百万バレル減少し、１日当たり平均1.88百万バレルとなるものと予想される。
2020年10月28日、エネルギー省は、国家炭化水素委員会と共同で、2020-2024年炭化水素探査・採掘のた
めの５カ年入札計画（ Plan Quinquenal de Licitaciones para la Exploración y Extracción de
Hidrocarburos 2020-2024 、以下「５カ年計画」という。）を承認した。５カ年計画は、契約入札に向けら
れる合計155,322平方キロメートルの炭化水素の探査・採掘区域を特定しており、すでにペメックスおよび
他の探査・採掘契約に付与された資源を除く原油換算12,645百万バレルと予想される資源を含んでいる。
2020年11月５日、エネルギー省は、第二次2020-2024年統合国家天然ガス輸送・貯蔵システム５カ年拡張
計画（ Plan Quinquenal de Expansión del Sistema de Transporte y Almacenamiento Nacional
Integrado de Gas Natural 2020-2024）を承認した。この第二次５カ年計画は、メキシコの長期天然ガス
需要を満たすために必要とされるインフラのニーズを特定しており、かかるインフラはエネルギー省が必
要と判断する他の戦略的社会的プロジェクトとともに、天然ガスを輸送・貯蔵するために今後展開される
プロジェクトに統合される予定である。
2020年12月26日、エネルギー省は、メキシコにおける燃料および核物質の輸出入にかかわる認可手続き
に関する新しい規則を官報に掲載した。この規則は、 炭化水素に関する脱税、税関詐欺および密輸と闘
い、現在の国際貿易の流れに適応することを目的としたものである。
ペメックスの事業運営は、メキシコの政治憲法第27条および第28条において定義される戦略的分野と考
えられ、COVID-19による国家緊急事態中もペメックスは運営を続けている。ペメックスは、労働力を削減
し、 交替勤務を実施し、労働力の一部をリモートで作業できるようにし、追加の清掃を実施して施設を消
毒した。また、政府はペメックスに対して上限65十億ペソの追加資金を提供するため、ペメックスの税負
担を軽減した。
入札
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エネルギー改革は、メキシコの石油および石油化学部門への入札および参加を開放するための段階的な
プロセスを大まかに定めている。ラウンドゼロは、メキシコにおいて探査・生産活動を引続き行うペメッ
ク スの権利の当初割当てを決定し、 エネルギー省は合わせてメキシコの石油および天然ガスの確認埋蔵量
の見積りの95.9％を含む区域を引続き探査・開発する権利をペメックスに付与するに至った。
その後、ラウンドワンは、 ラウンドゼロにおいてペメックスに割当てられなかった区域を、一定の要件
を条件に、ペメックスおよび他の会社による入札の対象とし、ラウンドツーでは、国家炭化水素委員会が
メキシコの浅海、陸上および深海における探査および開発を実施する権利にかかる応札を受けた。ラウン
ドツーには、４回の入札が含まれており、この間ペメックスは国際的企業とのコンソーシアムにより、入
札対象の合計68鉱区（ブロック）のうち６鉱区を落札した。
2018年３月27日、ラウンドスリーの第１次入札に続き、ペメックスは、 エネルギー省と国家炭化水素委
員会から付与されたメキシコ湾の浅海での炭化水素の探査および生産を目指した11のうち７件の営業免許
契約を落札した。政府は、付与された営業免許の利益の72％ないし78％を受取る予定である。2018年12月
11日、国家炭化水素委員会は、エネルギー省の要請により、ラウンドスリーの残りの２回の入札セッショ
ンの取止めを発表した。これは、以前の入札ラウンドから得られた既存の炭化水素探査・採掘契約に基づ
く結果および進捗状況を評価することを目的とするものであった。
また、2019年６月13日、政府は、既存の石油、天然ガスおよび鉱物利権の第三者割当（ファームアウ
ト）のための入札ラウンドの実績を評価する機会を提供するため、新たなファームアウトの停止を発表し
た。既存のファームアウトは、それぞれの契約の諸条項に従って運営を続ける予定である。政府は、将来
においてファームアウトを 追求するかどうかを判断するにあたってかかる評価の結果を用いるであろう。
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( ⅲ) ペメックス
本「(ⅲ) ペメックス」中の情報は、ペメックスが公表したか、またはそのウェブサイト上に掲載される
公開情報に基づくものである。本「(ⅲ) ペメックス」において、メキシコ石油公社ならびにその子法人４
社（すなわち、生産的国有子法人であるペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社
（Pemex-Exploración y Producción）、ペメックス・インダストリアル・トランスフォーメーション社
（Pemex Transformación Industrial）、ペメックス・ロジスティックス社（Pemex Logística）およびペ
メックス・ファーティライザーズ社（Pemex Fertilizantes））ならびにその子会社（メキシコ石油公社に
より直接的または間接的に支配されている。）を総称して「ペメックス」という。
概要
メキシコ石油公社は、1938年６月７日付でメキシコ議会が制定した法律により設立された。同法律は
1938年７月20日に官報に掲載され、同日施行された。2013年12月20日、エネルギー問題に関するメキシコ
憲法の各種規定を改正および補足する法令（ Decreto por el que se reforman y adicionan diversas
disposiciones de la Constitución Política de los Estados Unidos Mexicanos, en Materia de
Energía ）が官報に掲載された。この法令は、2013年12月21日付で施行され、エネルギー部門に関する立法
実施にかかる一般的な枠組みおよび予定表を定める経過規定が盛り込まれている。
2014年８月11日、メキシコ石油公社法（ Ley de Petróleos Mexicanos ）が官報に掲載された。メキシコ
石油公社法は、一部規定を除き、2014年10月７日に施行された。2014年12月２日、エネルギー省は官報に
告示を掲載し、これに従って生産的国有子法人、関係会社、補償、資産、管理責任、国への配当金、予算
および債務に関するメキシコ石油公社の活動を規律する特別制度が施行された。2015年６月10日、メキシ
コ石油公社およびその生産的国有子法人にかかる一般契約規定（ Disposiciones Generales de
Contratación para Petróleos Mexicanos y sus Empresas Productivas Subsidiarias ）が官報に掲載さ
れ、その翌日に、買収、リース、サービスおよび公共事業に関する事項にかかる特別制度が施行された。
メキシコ石油公社法の施行により、メキシコ石油公社は分権的公法人から生産的国有企業に転換され
た。メキシコ石油公社は、メキシコにおいて原油およびその他の炭化水素の探査および採掘、ならびにこ
れら製品の精製、加工、貯蔵、輸送、販売および取引を行う目的をもって、自己の名をもって財産を保有
し、事業を行う権限を有する法人である。
ペメックスは、 Expansión 誌の2020年７月号によるとメキシコ最大の企業であり、また Petroleum
Intelligence Weekly 誌の2020年11月13日号によると、2019年のデータに基づくと原油生産会社としては世
界第11位であり、石油・ガス会社としては世界第20位であった。
企業構造
2020年12月31日現在、子法人の主な事業ラインは以下のとおりである。
・ペメックス-エクスプロレーション・アンド・プロダクション社（ Pemex-Exploración y Producción ）
の後継として、2015年６月１日に設立されたペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダク
ション社は、原油および天然ガスの探査、採掘、輸送、貯蔵および販売を行うほか、掘削および油井
修復サービスを提供する。
・2015年８月１日に設立されたペメックス・ファーティライザーズ社は、アンモニア、肥料およびその
派生品の生産、流通および販売を行うほか、関連サービスを提供する。
・2015年10月１日に設立されたペメックス・ロジスティックス社は、パイプラインならびに海洋および
陸上の手段を通じて、ペメックスおよび他の会社向けに原油、石油製品および石油化学製品の輸送、
貯蔵および関連サービスを提供するほか、保護および管理サービスを提供している。
・ペメックス・リファイニング社（ Pemex-Refinación ）、ペメックス・ガス・アンド・ベーシック・ペ
トロケミカル社（ Pemex-Gas y Petroquímica Básica ）およびペメックス・ペトロケミカル社（ Pemex-
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Petroquímica ）の後継として2015年11月１日に設立されたペメックス・インダストリアル・トランス
フォーメーション社は、石油製品およびその派生品の精製、天然ガス、液化天然ガス、人工ガスおよ
び 派生品の加工、工業用石油化学プロセスへの参加、電力および地熱エネルギーの生産、供給および
売買、ならびにメタン、エタンおよびプロピレンの商業化、流通および売買を行っている。
これらの子法人は、それぞれ自己の名をもって財産を保有し、事業を行う権限を有する法人であり、メ
キシコ石油公社による中央調整と戦略的指示に従って、技術的および経営上の自治権を有している。
2018年７月27日より前は、ペメックス・コジェネレーション・アンド・サービシズ社（ Pemex
Cogeneración y Servicios ）がもう１社の生産的国有子法人として運営していた。2018年７月13日、メキ
シコ石油公社の理事会は、ペメックス・コジェネレーション・アンド・サービシズ社の清算および消滅宣
言（ Declaratoria de Liquidación y Extinción de Pemex Cogeneración y Servicios ）を発し、これは官
報に掲載され、2018年７月27日に効力を生じた。2018年７月27日現在、ペメックス・コジェネレーショ
ン・アンド・サービシズ社のすべての資産、負債、権利および義務は自動的にペメックス・インダストリ
アル・トランスフォーメーション社により引受けられ、かつ同社に対して譲渡され、同社は、メキシコ法
上、ペメックス・コジェネレーション・アンド・サービシズ社の承継会社となった。これにより、ペメッ
クス・コジェネレーション・アンド・サービシズ社は2018年７月27日付で解散した。
2019年７月１日より前は、ペメックス・ドリリング・アンド・サービシズ社（ Pemex Perforación y
Servicios ）およびペメックス・エチレン社（ Pemex Etileno ）が別の生産的国有子法人として運営してい
た。2019年７月25日、メキシコ石油公社の理事会は、ペメックス・ドリリング・アンド・サービシズ社の
消滅宣言（ Declaratoria de Extinción de Pemex Perforación y Servicios ）およびペメックス・エチレ
ン社の消滅宣言（ Declaratoria de Extinción de Pemex Etileno ）を発し、これらはいずれも2019年７月
30日に官報に掲載され、2019年７月１日に効力を生じた。2019年７月１日現在、ペメックス・ドリリン
グ・アンド・サービシズ社のすべての資産、負債、権利および義務は、ペメックス・エクスプロレーショ
ン・アンド・プロダクション社により引受けられ、かつ同社に対して譲渡され、同社は、メキシコ法上、
ペメックス・ドリリング・アンド・サービシズ社の承継会社となった。2019年７月１日現在、ペメック
ス・エチレン社のすべての資産、負債、権利および義務は、ペメックス・インダストリアル・トランス
フォーメーション社により引受けられ、かつ同社に対して譲渡され、同社は、メキシコ法上、ペメック
ス・エチレン社の承継会社となった。これにより、ペメックス・ドリリング・アンド・サービシズ社およ
びペメックス・エチレン社は2019年７月１日付で解散した。
2021年１月１日より前は、ペメックス・ファーティライザーズ社は、もう１社の生産的国有子法人とし
て営業していた。2021年１月12日、メキシコ石油公社の理事会は、ペメックス・ファーティライザーズ社
の消滅宣言（ Declaratoria de Extinción de Pemex Fertilizantes ）を発し、これは2021年１月27日に官
報に掲載され、2021年１月１日付で効力を生じた。2021年１月１日現在、ペメックス・ファーティライ
ザーズ社のすべての資産、負債、権利および義務はペメックス・インダストリアル・トランスフォーメー
ション社により引受けられ、かつ同社に対して譲渡され、同社は、メキシコ法上、ペメックス・ファー
ティライザーズ社の承継会社となった。これにより、ペメックス・ファーティライザーズ社は2021年１月
１日付で解散した。
ペメックスの最近の財務・経営情報
ペメックスの抜粋財務データ
(1)
12 月31日終了年度
(2)
2020 年
2018 年 2019 年
（百万ペソ）
包括利益（損失）計算書データ
売上高 1,681,119 1,401,971 953,662
営業利益 367,400 102,829 (63,063)
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金融収益 31,557 29,236 16,742
金融費用 (123,870) (132,861) (161,765)
デリバティブ金融商品（費用）収益－純額 (19,116) (23,264) 17,096
為替（損失）利益－純額 23,659 86,930 (128,949)
当期純（損失） (180,420) (282,112) (509,052)
財政状態計算書データ（期末現在）
現金および現金同等物 81,912 60,622 39,990
資産合計 2,075,197 1,984,247 1,928,488
短期債務 191,796 244,924 391,097
長期債務 1,890,490 1,738,250 1,867,630
長期負債合計 3,086,826 3,363,453 3,560,805
資本（欠損）合計 (1,459,405) (1,931,409) (2,404,727)
キャッシュフロー計算書
減価償却費および償却費 153,382 137,187 129,632
(3)
油井、パイプライン、有形固定資産の取得 (94,004) (109,654) (114,977)
(1) メキシコ石油公社、子法人および子会社を含む。
(2) 2020 年、ペメックスは2019年12月31日現在の探査および生産セグメントにおける一定の資金生成単位の使用価
値の決定に使用された一定の費用および経費に誤りがあったことを発見した。その結果、一部の資金生成単位
の使用価値が変更となった。よって、2019年12月31日現在の油井、パイプライン、プラントおよびプラット
フォームの価値は65,799,060ペソ増加し、2019年のペメックスの業績に同額のプラスの影響があった。
(3) 資産計上された金融費用を含む。
出典： 包括利益計算書、財政状態計算書およびキャッシュフロー計算書に関連するものについては、IFRSに準拠し
て作成されたペメックスの連結財務書類。その他の財務データについてはメキシコ石油公社。
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2020年、ペメックスは、COVID-19のパンデミックの経済的影響ならびに石油産出量の削減についてのロ
シアとサウジアラビアの意見不一致により、ペメックスだけでなく石油・ガス業界全体にとってこれまで
で最も困難な年を経験した。これらの要因は、世界の石油およびガス市場に重大な悪影響を及ぼした。メ
キシコ産原油ミックスの平均輸出価格は、2019年の１バレル当たり55.53米ドルから2020年には35.82米ド
ルに値下がりした。原油およびコンデンセートの生産量（パートナーによるものを除く。）は、2020年に
は日量1,686千バレルで、2019年の日量1,684千バレルと比較してわずかに0.1％の増加であった。
2020年には、ペメックスはCOVID-19のパンデミックの影響に対処するため様々な措置をとった。これに
は、(1)ペメックスの設備投資の削減、(2)非戦略的なプロジェクトの削減と、より収益性の高いプロジェ
クトへの注力、および(3)公債を構成しない代替的な資金調達メカニズムの開発が含まれる。また、メキシ
コ政府は、ペメックスの事業を支えるための追加資金をペメックスに提供するため、ペメックスの2020年
の税負担を65.0十億ペソ軽減することを発表した。
また、2020年４月12日、メキシコを含むOPECプラス諸国は、石油価格の安定化を図るため、全体的な原
油減産について合意した。この合意に従って、メキシコは、2020年５月１日から２カ月間のメキシコの、
ひいてはペメックスの、原油生産量を１日当たり100,000バレル削減することに合意した。ペメックスは、
2020年の５月、６月、７月、８月、９月、10月および11月に、原油生産量をそれぞれ１日当たり1,676.6千
バレル、1,654.7千バレル、1,647.3千バレル、1,687.9千バレル、1,697.8千バレル、1,680.2千バレルおよ
び1,688.8千バレルに削減した。2020年12月、ペメックスは原油生産量を１日当たり1,711.5千バレルに増
産した。
2020年12月31日終了年度に、ペメックスの純利益は減少し、2019年の純損失282.1十億ペソから2020年に
は純損失509.1十億ペソとなった。純損失が増加した主な要因は以下のとおりである。
・主として原油および天然ガスの平均価格の値下がりにより、売上高合計が448.3十億ペソ減少。
・ 油井、パイプラインおよび有形固定資産の減損が5.1十億ペソ増加。
・ その他の収益（純額）が2.8十億ペソ減少。
・ 一般管理費が5.7十億ペソ増加。
・ 金融費用（純額）が1.0十億ペソ増加。
・ 為替差損（純額）が215.9十億ペソ増加。
・ 合弁会社、関連会社等における利益分配が2.4十億ペソ減少。
これらの効果は、以下により部分的に相殺された。
・ 主として製品購入が減少したことにより、売上原価が290.3十億ペソ減少。
・ 租税公課が158.2十億ペソ減少。
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2020年、ペメックスの資本（欠損）合計は、2019年12月31日現在のマイナス1,931.4十億ペソから473.3
十億ペソ悪化して、2020年12月31日現在ではマイナス2,404.7十億ペソとなった。この減少は、主としてペ
メックスの純損失が509.1十億ペソであったこと、従業員給付にかかる数理計算上の損失が19.2十億ペソ増
加したことおよび累計外貨換算差益が7.9十億ペソであったことによるものである。
ペメックスの売掛債権は、2020年には5.1％増加して、2019年12月31日現在の180.5十億ペソから2020年
12月31日現在では189.8十億ペソとなった。これは主として、ガソリン輸入が増加したことから年末現在に
おける雑債権（主としてIEPS税）による売掛債権が増加したことによるものである。
2020年12月31日現在、ペメックスは納入業者に対して282.0十億ペソの債務があったが、これに対して
2019年12月31日現在では208.0十億ペソであった。2020年12月31日現在、ペメックスは、2019年12月31日現
在の納入業者および請負業者に対する未払残高を支払済みであり、2021年３月31日現在では、2020年12月
31日現在の納入業者および請負業者に対する未払残高の約51.5％を支払済みであった。
2020年、ペメックスは、引続き営業上重要な問題を経験した。ペメックスの原油およびコンデンセート
生産量は１日当たり1,686千バレルで、これに対して2019年は１日当たり平均1,684千バレルであった。こ
の微増は、主として、新しい油田において油井（Mulach 10号、Tlacame ３号、Hok 44号、Mulach ５号、
Ixachi 10号、Xikin 24号、Manik NW ４号、Cheek １号、 Ixachi ２号、Ixachi 20号、Cibix 12号、
Cahua ２号、Octli ２号、Xikin 32号、Mulach ９号、Tlacame ９号、Tlacame 13号、Cheek 45号、Cahua
３号、Hok ４号、Octli ３号、Mulach ４号、Ixachi 11号、Ixachi 24号、Cibix 14号、Cheek 22号、
Manik NW ３号およびOctli 4号）が追加されたことによる。2019年と比較してわずかに増加したのは、新
しい油田における油井からの生産量を組込もうとするペメックスの戦略的試み、ならびにメキシコとOPEC
プラス間の減産合意、ならびに余剰在庫、ペメックスの原油輸出施設における軽微な事故、天候状態、お
よびCOVID-19のパンデミックの世界の原油需要の減少に対する影響（ペメックスの操業の一部停止および
これによる減産をもたらした）による減産といった営業上の問題にもかかわらずペメックスの油田におけ
る生産を継続するというペメックスの試みによるものである。
また、ペメックスの生産目標は、メキシコを含むOPEC+諸国間の2020年４月12日の合意の影響を受けた。
ぺメックスの2021-2025年事業計画は、2021年の原油およびコンデンセートの生産目標を１日当たり1,944
千バレル、窒素を除く天然ガスの生産目標を１日当たり4,186千百万立方フィートとしていた。
2020年、ペメックスは、2019年と比較して0.2％減の１日当たり590.6千バレルの原油を処理した。これ
は主として、ペメックスが国家精製システム の復旧プログラムに基づく修理を当初予定されていたものよ
り多くしたこと、ならびにペメックスのユニットにおける運用および信頼性によるものである。 その結
果、ペメックスは、2020年にその主たる蒸留設備の36％を使用したが、これは2019年の水準を維持してい
る。2020年、ペメックスの各種の精製マージンは、2019年と比較して１バレル当たり0.04米ドル減（5.0％
減）となる１バレル当たり0.76米ドルとなった。この減少は、主として、ガソリン需要の減少および製油
所における生産レベルの向上による米国の湾岸地域における値下がりおよび精製マージンの不振の結果で
ある。
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原油および乾性ガスの埋蔵量に関する以下の３つの表は、米国1933年証券法のレギュレーションS-Xの規
則4－10(a)に従って決定されたペメックスの確認埋蔵量のペメックスによる見積りを示したものである。
(1)
会計年度の平均価格に基づく2020年12月31日現在の石油およびガス の確認埋蔵量の概要
(2) (3)
原油およびコンデンセート 乾性ガス
（百万バレル） （十億立方フィート）
確認開発埋蔵量および
確認未開発埋蔵量
確認開発埋蔵量 3,603.4 3,922.3
2,437.6 3,061.9
確認未開発埋蔵量
6,041.0 6,984.2
確認埋蔵量合計
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) ペメックスは、現在合成石油または合成ガスを生産しておらず、また合成石油もしくは合成ガスが生産されう
るその他の天然資源を採取していない。
(2) 原油およびコンデンセートの埋蔵量には、油田に所在する天然ガス処理プラントにおいて回収可能な少量の液
化炭化水素埋蔵量が含まれる。
(3) 別の表で報告される天然ガスの生産量は、湿性サワーガスについていうが、本表では乾性ガスの生産量をい
う。乾性ガスを得るために天然ガス液および不純物が抽出されると、生産量は減少する。よって、天然ガスに
ついては乾性ガスより多い量が報告されている。
出典： ペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社
原油およびコンデンセートの埋蔵量
(1)
（天然ガス液を含む。）
2018 年 2019 年 2020 年
（百万バレル）
確認開発埋蔵量および確認未開発埋蔵量
12 月31日現在 6,427 5,786 5,961
(2)
修正 22 784 651
採掘および発見 140 78 97
生産 (744) (687) (695)
E&P 契約（CEE）へのファームアウト
および譲渡ならびに国家炭化水素委
員会の入札プロセスによる油田の譲
(59) - 27
渡
5,786 5,961 6,041
12 月31日現在
12 月31日現在の確認開発埋蔵量 3,588 3,585 3,603
12 月31日現在の確認未開発埋蔵量 2,198 2,376 2,438
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 原油およびコンデンセートの埋蔵量には、油田に所在する天然ガス処理プラントにおいて回収可能な少量の液
化炭化水素埋蔵量が含まれる。
(2) 修正には、油井掘削からの新しいデータによるプラス・マイナスの変化、実際の油層挙動が予測挙動と異なる
場合になされる修正および炭化水素価格変動の影響が含まれる。
出典： ペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社
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乾性ガスの埋蔵量
2018 年 2019 年 2020 年
（十億立方フィート）
確認開発埋蔵量および確認未開発埋蔵量
１月１日現在 6,593 6,370 6,352
(1)
修正 3 656 1,240
採掘および発見 809 196 176
(2)
生産 (887) (870) (819)
E&P 契約（CEE）へのファームアウト
および譲渡ならびに国家炭化水素委
員会の入札プロセスによる油田の譲
(148) - 35
渡
6,370 6,352 6,984
12 月31日現在
12 月31日現在の確認開発埋蔵量 3,380 3,609 3,922
12 月31日現在の確認未開発埋蔵量 2,990 2,743 3,062
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 修正には、油井掘削からの新しいデータによるプラス・マイナスの変化、実際の油層挙動が予測挙動と異なる
場合になされる修正および炭化水素価格変動の影響が含まれる。
(2) 別の表で報告される天然ガスの生産量は湿性サワーガスについていうが、本表に記載される生産量は乾性ガス
の生産量をいう。乾性ガスを得るために天然ガス液および不純物が抽出されると、生産量は減少する。よっ
て、天然ガスについては乾性ガスより多い量が報告されている。
出典： ペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社
探査および生産
探査および掘削
ペメックスは、将来の確認埋蔵量の置換率を上昇させるために、自社の探査プログラムを通じて新たな
石油貯留層の確認に努めている。1990年から2020年までに、ペメックスは13,795件の探査井および開発井
を完了した。2020年中のペメックスの探査井の平均成功率は、2019年を16.9％下回る35.3％で、開発井の
平均成功率は、2019年を1.3％上回る95.2％であった。2016年から2020年の間に、ペメックスは20の新た
な油田を発見した。ペメックスは、これらの新たな油田のうち３つを2020年に発見し、2020年末時点にお
けるペメックスの生産田は合計313となった。
ペメックスの2020年探査プログラムは、メキシコ湾海域の陸上地域と沖合地域の両方の探査から構成さ
れている。これらの探査活動は、３つの石油生産田および既存の油田における３つの貯留層の発見ならび
に既存の油田において３本の評価井を掘削したことにより、石油換算で130.6百万バレルの確認埋蔵量を
生み出した。また、ペメックスは１つの油田において新たに１つの貯留層を発見した。
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以下の表は、2020年12月31日に終了した５年間におけるペメックスの掘削活動（いずれもメキシコ領内
で行われたものである。）を要約したものである。
12 月31日に終了した年度
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
(1)
開始井 93 70 166 182 157
(1)
探査開始井 23 22 28 32 28
(1)
開発開始井 70 48 138 150 129
(2)
掘削井 149 79 162 221 183
探査井 21 24 19 23 17
(3)
生産性のある探査井 6 10 5 12 6
枯渇した探査井 15 14 14 11 11
成功率（％） 29 42 26 52 35
開発井 128 54 143 198 166
生産性のある開発井 110 50 137 186 158
枯渇した開発井 18 4 6 12 8
(4)
成功率（％） 86 93 96 94 95
生産中の油井（年間平均） 8,749 6,699 7,671 7,400 6,326
海底地域 539 443 519 520 517
南部地域 1,244 931 1,029 1,012 855
北部地域 6,966 5,325 6,123 5,868 4,954
生産中の油井（年度末現在）
(5)
8,073 8,194 6,946 6,945 6,303
原油 4,912 4,956 4,321 4,323 3,949
天然ガス 3,161 3,238 2,625 2,622 2,354
生産中の油田 405 398 356 319 313
海底地域 43 43 43 43 49
南部地域 88 91 83 76 76
北部地域 274 264 230 200 188
掘削リグ 110 83 84 84 84
掘削距離（キロメートル） 330 280 455 646 638
油井１本当たりの平均深さ
（メートル） 3,655 3,639 2,808 2,870 3,486
(6)
発見油田 1 3 4 3 2
原油 1 1 4 - 2
天然ガス - 2 - - -
ガスおよびコンデンセート - - - 3 -
油井１本当たりの原油および
天然ガス平均産出量
（１日当たり石油換算バレ
ル） 348 291 329 327 382
開発済面積合計
(7) (8) (8) (8) (8) (8)
（平方キロメートル） 7,017 6,886 6,923 7,077 7,419
未開発面積合計
(7) (8) (8) (8) (8) (8)
（平方キロメートル） 712 620 607 603 616
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 「開始井」とは、油井の完了時または完了予定時期にかかわらず、所与の年度中に掘削が開始された油井の数
をいう。
(2) 「掘削井」とは、油井の掘削開始時期にかかわらず、所与の年度中に掘削が完了した油井の数をいう。
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(3) 機械の不具合により放棄された油井を除く。
(4) 注入井を除く。
(5) 数値は、合弁会社および関連会社の取得に伴う部分的な利権を含んでいる。
(6) 確認埋蔵量のある油田のみを含む。
(7) 数値は、合弁会社および関連会社の取得に伴う部分的な利権を含んでいる。
(8) 数値はペメックスの現在の割当に関係するもののみを示している。
出典： ペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社
以下の表は、2020年12月31日に終了した５年間についてのペメックスによる原油、天然ガスおよび石油
製品の平均輸出入量ならびに2019年から2020年への変動率を示したものである。
輸出入量
2019 年と
12 月31日に終了した年度
2020年との
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年 比較
（ 単位：別段の記載がない限り１日当たり千バレル） （％）
輸出
原油：
オルメカ 108.0 18.9 - - - -
イスムス 152.7 85.8 30.7 4.1 139.6 3,304.9
マヤ 864.9 1,053.9 1,090.0 985.0 908.7 (7.7)
アルタミラ 23.6 15.3 19.9 20.7 18.4 (11.1)
45.2 - 43.5 93.5 53.2
タラム (43.1)
1,194.3 1,173.9 1,184.0 1,103.3 1,119.9
原油合計 1.5
(1)
天然ガス 2.2 1.7 1.4 1.3 1.0 (23.1)
ガソリン 52.7 45.0 37.7 33.6 12.2 (63.7)
その他の石油製品 132.9 113.1 95.1 82.3 127.1 54.4
(2)
石油化学製品 124.7 60.5 57.8 71.9 40.2 (44.1)
輸入
(1)
天然ガス 1,933.9 1,766.0 1,316.5 965.9 853.1 (11.7)
ガソリン 510.9 583.7 607.0 544.6 396.0 (27.3)
その他の石油製品
(1)
およびLPG 289.6 354.1 378.7 302.5 197.4 (34.7)
(2)
石油化学製品 278.2 332.8 831.8 877.3 386.0 (56.0)
注： 原油輸出は船積みごとの含水率を反映する目的上調整されることがあるため、数値は調整されること がある。
四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) １日当たり百万立方フィートで表示されている。
(2) 千トン。
出典： 2021年１月７日付PMI社営業統計およびペメックス・インダストリアル・トランスフォーメーション社
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原油輸出は、2020年に1.5％増加して2019年の１日当たり1,103.3千バレルから2020年には１日当たり
1,119.9千バレルとなった。これは主として、軽質原油イスムスの輸出ga
増加したことによるものある。ペメックスは、輸出向けに利用可能なオルメカ原油が不足したため、
2019年および2020年にはオルメカ原油の輸出を行わなかった。
ペメックスは、ペメックスによる生産の不足分を満たし、かつ生産田から離れているために米国から天
然ガスを輸入することでより効率的に供給が可能となるメキシコ北部地域における需要を満たすため、天
然ガスの一種である乾性ガスを輸入している。乾性ガスの国内販売量は、2019年の１日当たり1,604.4百万
立方フィートから18.1％減少して、2020年には１日当たり1,313.6百万立方フィートとなったが、これは主
として民間企業が自己の必要量を満たすために直接天然ガスを輸入したこと、ならびにCOVID-19のパンデ
ミックによる2020年の経済活動の低迷（これと闘うためにとられた公衆衛生対策を含む。）によるもので
ある。天然ガスの輸入は、2020年に11.7％減少して、2019年の１日当たり965.9百万立方フィートから2020
年には１日当たり853.1百万立方フィートとなった。天然ガス輸入のこの減少は、主として第三者供給業者
との競争により国内市場における需要が減少したことによる。
PMIトレーディングDAC社は、精製品および石油化学製品を、FOB（本船渡し）、 仕向港着船渡し条件、
運賃込、国境渡し条件および 仕向地持込渡し条件 で売買する。
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以下の表は、2020年12月31日に終了した５年間についてのペメックスによる原油、天然ガスおよび石油
製品の輸出入額ならびに2019年から2020年への変動率を示したものである。
(1)
輸出入額
2019年と
12月31日に終了した年度
2020年と
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
の比較
（単位：百万米ドル） （％）
輸出
オルメカ 1,569.3 358.1 - - - -
イスムス 2,107.6 1,588.7 722.2 85.2 1,910.1 2,141.9
アルタミラ 262.4 219.8 419.5 405.5 216.1 (46.7)
マヤ 11,172.6 17,880.6 24,455.6 20,043.9 12,020.0 (40.0)
470.1 - 943.4 1,826.6 537.4
タラム (70.6)
(2)
15,582.0 20,047.2 26,540.7 22,361.2 14,683.6
原油合計 (34.3)
天然ガス 1.1 1.3 1.0 0.8 0.4 (50.0)
ガソリン 733.2 746.9 813.9 626.6 154.9 (75.3)
その他の石油
製品 1,161.9 1,655.6 1,938.1 1,429.7 1,308.5 (8.5)
20.5 37.8 39.2 39.6 12.7
石油化学製品 (67.9)
天然ガス、
石油製品お
よび石油化
1,916.7 2,441.5 2,792.3 2,096.7 1,476.6
学製品合計 (29.6)
17,498.7 22,488.8 29,333.0 24,457.9 16,160.2
輸出合計 34.0
輸入
天然ガス 2,097.9 774.1 (27.8)
2,484.1 2,043.2 1,072.5
ガソリン 12,005.4 15,418.2 18,957.9 15,354.2 8,110.1 (47.2)
その他の石油
製品およびLPG 5,697.4 8,463.2 11,159.1 7,991.1 3,617.3 (54.7)
85.5 122.5 588.8 657.2 633.0
石油化学製品 (3.7)
19,886.1 26,488.1 32,749.0 25,075.0 13,134.4
輸入合計 (47.6)
正味輸出
(2,387.4) (3,999.3) (3,416.0) (617.1) 3,025.8
（輸入） (590.3)
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) PMIトレーディングDAC社およびPMI-NASA社が第三者との間でメキシコ国外で行った原油、精製品、石油化学製
品および液化石油ガスの取引で、国際市場で再販売したものを含まない。本表に示す数値は、為替レートの計
算方法の違いおよびその他の微調整のため、監査済連結財務書類における「純売上高」の項目に記載される金
額とは異なる。
(2) 原油輸出は、船積みごとの含水率を反映するため、調整される。
出典： 2021年１月７日付PMI社営業統計（船荷証券の情報に基づく。）およびペメックス・インダストリアル・ト
ランスフォーメーション社
2020年、天然ガスの輸入額は、2019年と比較して27.8％減少したが、これは主に、天然ガスの輸入量が
減少したしたことによる。ガソリンの輸入額は同期間に47.2％減少したが、これはガソリンの輸入量が減
少したこと、ならびに民間企業による輸入が大幅に増加したことと、COVID-19のパンデミックにより主に
2020年４月および５月に経済活動が低迷したことによるものである。
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以下の表は、表示期間におけるペメックスによる輸出原油の１バレル当たりの平均価格を示したもので
ある。
原油価格
12 月31日に終了した年度
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
（１バレル当たり米ドル）
オルメカ 39.71 51.79 - - -
イスムス 37.72 50.75 64.54 57.12 37.37
マヤ 35.30 46.48 61.47 55.75 36.14
アルタミラ 30.35 39.45 57.81 53.69 32.05
-
タラム 28.44 59.47 53.50 27.60
加重平均実現価格 35.65 46.79 61.41 55.53 35.82
出典： 2021年１月７日付PMI社営業統計
租税公課
概要
ペメックスに適用される租税公課は、メキシコ政府の歳入の重要な供給源である。ペメックスは、政府
の歳入に対して、2019年には約7.7％、2020年には3.7％、貢献した。2020年、ペメックスは、子会社企業
の一部が支払うその他の租税公課に加えて、数種類の特別な石油およびガス税および公課を政府に納付し
た。2020年のメキシコ石油公社およびその子法人に対して効力を有する税制（以下「税制」という。）は
2015年に施行され、その後その時々に修正されうる。2014年８月に公表された施行令には、2015年１月１
日からメキシコにおいて行われる探査・生産活動を対象とする新しい契約上の取決めに適用される税制な
らびに2016年１月１日からメキシコ石油公社およびその子法人が支払うべき国への配当金が規定されてい
る。
ペメックスに対する税制
炭化水素歳入法は、メキシコ政府により認められたペメックスの割当てに関連して、ペメックスに適用
ある以下の税金等を規定している。
・利益配分税（ Derecho por la Utilidad Compartida ）：2015年１月１日現在、この税金は、関連する
区域において生産された石油およびガスの価値の70.0％から認められた一定の控除額を差引いた額に
相当した。炭化水素歳入法に従って、この税金は毎年引下げられた。2019年１月１日現在、この税金
は65％とされていた。2020年に、ペメックスはこの税に関して、2019年に納付した343,242百万ペソよ
り36.22％少ない218,913百万ペソを納付したが、これは石油およびガスの価格が値下がりしたこと、
ならびに税率が58％に引下げられたことによるものである。また、2020年４月21日に官報に掲載され
た政令の適用により、税額は65,000百万ペソ減少した。その結果、この税金の下でペメックスが2020
年12月31日終了年度について納付すべき最終金額は153,913百万ペソとなった。
・炭化水素採掘税（ Derecho de Extracci ó n de Hidrocarburos ）：この税金は、炭化水素の種類（すな
わち原油、随伴天然ガス、非随伴天然ガスまたはコンデンセート）、生産量およびかかる炭化水素の
市場価格にリンクした率に基づいて決定される。2020年に、ペメックスは、主として石油およびガス
の価格が値下がりしたことにより、この税に基づいて2019年の61,371百万ペソと比較して38.61％減の
37,674百万ペソを支払った。
・炭化水素探査税（ Derecho de Exploraci ó n de Hidrocarburos ）：2021年12月31日終了年度について、
メキシコ政府は、生産されていない区域１平方キロメートルにつき毎月1,396.09ペソの支払を受ける
権利を有する。60カ月経過後は、この税金は生産されていない区域１平方キロメートルにつき追加の
１カ月ごとに3,338.46ペソに引上げられる。これらの金額は全国消費者物価指数（以下「NCPI」とい
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う。）に従って毎年更新される。2020年に、ペメックスはこの税に基づいて1,069百万ペソを納付した
が、これは2019年に納付した1,050百万ペソと比較して1.81％の増加である。
・2020年に、メキシコの企業は一定の控除を行った後の収益に適用される30.0％の税率で法人所得税を
納付した。2015年から、メキシコ石油公社および子法人は、メキシコ所得税法の対象となった。ペ
メックスは、2019年および2020年に同法に基づく法人所得税を納付していない。
2020年税制の下で、ペメックスの製品の一部は以下のIEPS税の対象となっているが、ペメックスは顧
客から徴収し、税務当局にこの税金を支払う。IEPS税はペメックスの売上や経費には含まれていない。
・自動車燃料の販売にかかるIEPS税（ IEPS Sobre la V enta de los Combustibles Automotrices ）：こ
の税金は、自動車燃料、ガソリンおよびディーゼルの国内販売にかかる手数料である。ペメックス・
インダストリアル・トランスフォーメーション社は、メキシコ政府に代わってこの税金を徴収する。
この税金にかかる適用手数料は、マグナ・ガソリン１リットル当たり4.95ペソ、プレミアム・ガソリ
ン１リットル当たり4.18ペソおよびディーゼル１リットル当たり5.44ペソである。手数料の金額は、
燃料の種類によって変わる。この手数料の金額は、財務省が毎年これを設定し、毎週調整する。この
手数料は、メキシコ国内における販売および輸入に適用されている。
・州、地方自治体および属領のためのIEPS税（ IEPS a Beneficio de Entidades Federativas,
Municipios y Demarcaciones Territoriales ）：この税金は自動車燃料、ガソリンおよびディーゼル
の国内販売にかかる手数料である。ペメックス・インダストリアル・トランスフォーメーション社
は、メキシコ政府に代わってこの税金を徴収する。この税金にかかる適用手数料は、オクタン価が91
未満のガソリン１リットル当たり43.69セント、オクタン価が91以上のガソリン１リットル当たり
53.31セントおよびディーゼル１リットル当たり36.26セントである。この手数料はインフレに連動し
て毎年変更される。この手数料によって集められた資金は、財政調整法（ Ley de Coordinación
Fiscal ）の規定に従って、メキシコの州および地方自治体に割当てられる。この手数料は、メキシコ
国内における販売についてのみ適用があり、付加価値税の対象にはならない。
・化石燃料にかかるIEPS税（ IEPS a los Combustibles Fósiles ）：この税金は、化石燃料の国内販売に
かかる手数料である。ペメックス・インダストリアル・トランスフォーメーション社は、メキシコ政
府に代わってこの税金を徴収する。この税金にかかる適用手数料は、プロパン１リットル当たり7.48
セント、ブタン１リットル当たり9.68セント、ガソリンおよび航空機用ガソリン１リットル当たり
13.12セント、ジェット燃料およびその他のケロシン１リットル当たり15.67セント、ディーゼル１
リットル当たり15.92セント、燃料油１リットル当たり16.99セント、石油コークス１トン当たり19.72
ペソ、石炭コークス１トン当たり46.23ペソ、鉱石炭素１トン当たり34.81ペソならびにその他の化石
燃料からの炭素１トン当たり50.32ペソである。これらの手数料はインフレに連動して毎年変更され、
メキシコへの輸入について適用がある。
炭化水素歳入法はまた、潜在的な将来の競争入札手続きに関して政府がペメックスおよび他の会社に対
して認めた探査・生産のための契約に適用される財務上の条件を定めている。具体的には、かかる財務上
の条件とは、（適用ある税法に従って納付すべき税金に加えて）以下の税金、賦課金、鉱区使用料および
政府に対するその他の支払を想定している。
・探査段階の契約手数料（ Cuota Contractual para la Fase Exploratoria ）：ライセンス、生産物分与
契約または利益配分契約の対象となるプロジェクトの探査段階では、政府は生産されていない区域１
平方キロメートルにつき毎月3,338.46ペソの支払を受ける権利を有する。この手数料金額はNCPIに
従って毎年更新される。
・鉱区使用料（ Regalías ）：政府に対する鉱区使用料の支払は、関連する炭化水素の「契約価値」に基
づいて決定される。契約価値は、基礎となる炭化水素の種類（例えば、原油、随伴天然ガス、非随伴
天然ガスまたはコンデンセート）、生産量および市場価格を含む様々な要因に基づいて決定される。
鉱区使用料は、ライセンス、生産物分与契約および利益配分契約に関連して支払われる。
・契約価値の支払（ Pago del Valor Contractual ）：ライセンスには、財務省が契約ごとに決定する、
生産された炭化水素の「契約価値」に対する比率として計算される支払が求められる。
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・営業利益の支払（ Porcentaje a la Utilidad Operativa ）：生産物分与契約および利益配分契約で
は、営業利益の特定比率に相当する支払が求められる。生産物分与契約では、かかる支払は生産され
た 炭化水素の引渡しを通じて現物で行われる。利益配分契約では、かかる支払は金銭で行われる。
・契約金（ Bono a la Firma ）：ライセンスの実施または割当て区域の変更に際しては、財務省が指定す
る金額の契約金が政府に対して支払われる。
・炭化水素探査・採掘活動税（ Impuesto por la actividad de Exploración y Extracción de
Hidrocarburos ）：探査・採掘のための契約ならびに政府により付与された割当てには、関連する鉱区
において実施される探査・採掘活動に対する特定の税金が含まれる。採掘段階が始まるまで、１平方
キロメートル当たり月額1,820.97ペソの税金が探査段階中に納付される。プロジェクトの採掘段階で
は、関連する探査・採掘のための契約または割当てが終了するまで、１平方キロメートル当たり月額
7,283.92ペソの税金が納付される。
炭化水素歳入法の下では、探査・生産のための契約に関連した探査および生産活動は付加価値税の対象
とならない。
変動する原油価格水準はペメックスが支払う一定の税金および賦課金に直接影響を与える。
メキシコ政府に対するその他の支払
メキシコ石油公社法に基づいて、2016年１月１日付で、メキシコ石油公社およびその子法人は、毎年政
府に対して配当金を支払う義務を負うことになっている。毎年７月、メキシコ石油公社およびその子法人
は、前会計年度にかかる財務実績ならびに今後５年間の投資および資金調達計画を開示した報告書を、か
かる投資の収益性の分析および関連する財政状態の予測とともに、財務省に提出しなければならない。財
務省は、メキシコ石油公社およびその子法人各社が支払うべき国への配当金の金額を決定するにあたっ
て、かかる報告書および安定化と開発のためのメキシコ石油基金の技術委員会が発行する意見書に依拠す
る。メキシコ石油公社法は、2016年に支払われる国への配当金の総額を、メキシコ石油公社およびその子
法人の前会計年度の税引後利益合計の少なくとも30.0％に相当する額とすることを定めている。同法はま
た、かかる配当率が2021年に15％、2026年には０％になるまで今後引下げられる予定であると定めてい
る。2018年、2019年および2020年の連邦歳入法に従って、メキシコ石油公社は2018年、2019年および2020
年には国への配当金の支払を求められなかった。また2021年には国への配当金の支払を求められることは
ない。
(c) 観光業
観光業は、メキシコ経済において重要な枠割を担っている。観光推進国家基金などのイニシアティブを
通じて、政府はワトゥルコ、カンクーン、カボサンルーカス、イスタパおよびプエルトバヤルタといった
いくつかのビーチタウンに観光案内所を設置してきた。これら地域の発展を通じて、メキシコは、雇用機
会の創出、外貨の獲得、経済発展への刺激、社会福祉の促進およびメキシコ国民の生活の質の向上のため
の手段として観光部門を活用することを目指している。
2019年７月に外務大臣および観光大臣によって設立された観光外交会議（ Consejo de Diplomacia
Turística ）は、メキシコの観光の競争力を高めるために設置された。観光外交会議は、メキシコを国際的
に宣伝するための企画、設計および戦略の実施を推奨する予定である。また2019年７月には、過半数を政
府が保有する政府系企業であるメキシコ観光促進協議会（ Consejo de Promoción Turística de México,
S.A. de C.V. ）が解散され、観光省（ Secretar ía de Turismo ）がその職務を承継した。これには、メキシ
コの製品、目的地、文化および活動の国内外市場における宣伝活動が含まれる。
2020年４月２日、保健省（ Secretaría de Salud ）職員は、ホテルに対して不要不急の業務を閉鎖するよ
う指示した。
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2020年５月20日、保健省および観光省（ Secretaría de Turismo ）は、2020年６月１日から段階的に経済
活動を再開させるため、ホテルを含む観光産業向けに個人の衛生および社会的距離措置の実施を勧告す
る、観光部門再開のための国家ガイドライン（ Lineamiento Nacional para la Reapertura del Sector
Turístico ） を発行した。
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メキシコの観光部門は、2020年の国際収支において7.4十億米ドルの黒字を計上したが、これは2019年に
計上された14.7十億米ドルより49.3％の減少である。メキシコの観光部門は、感染を抑えるための強制的
なロックダウン、国境封鎖および世界中の主要経済から課された海外旅行の制限など、COVID-19のパンデ
ミックによる悪影響により、以下の表に示すとおり2020年には縮小した。
(1)
観光による収入および支出
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
外国からの旅行者からの収
入
(2)(3)
（十億米ドル） 19.6 21.3 22.5 24.6 11.0
内陸部への観光客からの収
入
(2)
（十億米ドル） 16.9 18.2 19.3 21.0 9.2
内陸部への観光客１人当た
りの平均支出額（米ドル） 819.1 809.4 826.4 885.8 843.8
内陸部への観光客数
（百万人） 20.7 22.5 23.3 23.8 10.8
メキシコから海外への観光
客の支出総額
（十億米ドル） 6.6 7.0 7.6 6.4 2.0
メキシコから海外への旅行
者の支出総額
(3)
（十億米ドル） 10.3 10.8 11.2 9.9 3.6
(1) 平均支出および観光客数を除き、十億単位で表示。
(2) メキシコへの日帰りの観光客および訪問者の双方を含む。
(3) 海外への日帰りの観光客および訪問者の双方を含む。
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(d) 農業
(ⅰ)農業政策
政府は農業部門を国家的優先課題とみなしており、農業の生産性向上および農村地域の生活水準の向上
を目的とした様々な施策をとっている。農業の生産性向上について、的を絞った政府政策には、(1)生産単
位の統合による大規模化、(2)全国的な灌漑システムの拡大、ならびに(3)農家向け融資および農産物に影
響を及ぼすリスクをカバーするための政府出資のヘッジの利用可能性の拡大が含まれている。農村地域の
生活水準の向上に関して、政府は農産物価格がコストを下回ることがないように農産物価格を見直す政策
をとっている。
メキシコが土地の譲渡制限付コミュニティ保有制度であるエヒード（ ejido ）制を変更した1992年以降、
メキシコは土地保有制度の近代化を続けてきた。こうした取組みは、土地の所有者に対して(1)新たな資金
源の利用、(2)一定の要件に従ったより効率的な生産者への土地の譲渡、および(3)投入財のより効率的な
利用を認めることによって、農業投資の拡大を促進してきた。農業部門の生産性向上によって、主要な都
市部以外の多くの農業従事者にとって雇用機会も生み出された。
農業農村開発省は、(1)食糧生産を増大し、(2)農業部門の比較優位を最大限に高め、(3)農村環境での生
産チェーンの活動を経済の他部門の活動と統合し、(4)生産者間の協力を促すことを目的とした開発政策に
責任を負う。
農業農村開発省の指示に基づいて運営する農業流通支援サービス（ Apoyos y Servicios a la
Comercialización Agropecuaria ）は、メキシコの農産物輸出を促進し、メキシコの農業生産者が直面して
いる競争上のデメリットを低下させることを目的としている。農業流通支援サービスは、かつて直接現場
支援プログラム（ Programa de Apoyos Directos al Campo またはPROCAMPO）と呼ばれていた福祉生産プロ
グラム（ Programa Producción para el Bienestar ）の運営・管理も行っている。このプログラムは、地方
の農業生産者に対して外国の競合者が自国政府から受取る補助金の分を埋め合わせる一助とするための政
府資金を提供するものである。2019年11月28日現在、54,600百万ペソが支出されていた。現在までに、こ
のプログラムは、先住民コミュニティの250,000人の生産者を含む、全国約2.2百万人の生産者を支援して
きた。
2019年１月24日に立ち上げられた播種プログラムの運用ガイドライン（ Lineamientos de Operación del
Programa Sembrando Vida ）は、農業生産者によるアグロフォレストリー・システムの立ち上げを奨励して
いる。このシステムは、雇用の創出、食糧の自給自足、所得および生活の質の向上ならびに 浸食の減少と
修復に貢献するものである。これらのガイドラインには、財政支援ならびにプラント、コミュニティ保育
園、バイオファクトリー、技術支援および継続的な研修といった現物支援が含まれる。
(ⅱ)業績
暫定値によると、農業部門（畜産業、漁業、林業および狩猟を含む。）は、2019年がGDPの3.2％であっ
たのに対して、2020年にはメキシコのGDP全体の約3.6％を占めた。2020年の農産物生産高は2019年と比較
して1.9％増加した。
暫定値によると、2020年12月31日現在のメキシコの経済活動人口の約12.7％が農業部門で雇用されてい
た。
メキシコは、カナダとともに、米国の最大農業貿易相手国のひとつである。2020年に輸出された主な農
産品は、野菜、果実および飲料で、農業輸出全体の61.0％超を占めた。
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(e) 運輸および通信
メキシコの運輸および通信インフラの近代化および拡張は国家の優先課題である。2020年に、運輸・倉
庫産業は、実質ベースで20.4％減少した。
2014-2018年国家インフラ整備プログラムに従って、政府は運輸および通信部門向けに1.2兆ペソのイン
フラ整備支出を行うことを授権した。2019年11月、政府は、メキシコの成長と発展に貢献する民間部門の
プロジェクトの実施を促進、加速させる手段である国家インフラ投資協定（ Acuerdo Nacional de
Inversión en Infraestructura ）を発表した。この手段の目標は、 民間投資が法的枠組みに準拠し、公的
機関ならびに連邦政府および地方政府によって支援されていることを保証しつつ、こうした 民間部門によ
る投資の妨げとなる障壁を取り除くことになる。
道路
政府は、メキシコの道路網の大部分を建設、保守しているが、2003年以降、政府は民間企業に有料道路
の建設、運営および保守を認める長期的な営業免許を付与している。
暫定値によると、2018年12月31日現在、メキシコの道路網の全長は407,959キロメートルで、このうち
177,192キロメートルは舗装道路であり、10,614キロメートルは有料高速道路であった。2019年にかかるメ
キシコの道路網に関する公式の情報は得られていない。
2018年12月、ロペス・オブラドール大統領は、2018-2024年全国高速道路インフラ整備プログラム
（ Programa Nacional de Infraestructura Carretera 2018-2024 ）を発表した。このプログラムは、開発
を奨励するため、現在重要な道路および高速道路のインフラが不足しているメキシコの地域に高速道路の
建設および保守を優先課題として割当てている。2019年、政府は4,200キロメートル超に及ぶ高速道路イン
フラの状況を改善するため19十億ペソを割当て、連邦道路網の75％強の状況を改善した。
2019年、政府は引続き道路および高速道路の維持管理ならびに未完成のインフラ・プロジェクトの完了
を優先し、進行中のプロジェクトに対して41十億ペソを投資した。2019年３月現在、この投資額の78％は
すでに公開入札プロセスの対象となっており、落札されている。
ソノラ州のドンノガレス駅の高速道路区間は、全長約1,300キロメートルに及ぶ予定で、2019年９月２日
現在98.6％が完成していた。
以下の表は、表示期間におけるメキシコの道路網の発展を示したものである。
(1)
メキシコの道路網の発展
2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
道路網（全長）
（キロメートル） 390,301 393,473 398,149 407,958 397,312
舗装道路
（キロメートル） 156,797 164,459 174,912 177,192 175,124
高速道路および有料道路
（キロメートル） 9,664 9,818 10,362 10,614 10,794
(1) 2020年についての公式の情報は得られていない。
出典： メキシコ中央銀行
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港湾
2019年にメキシコの港湾を経由した貨物の輸送量は、2018年に比べ4.3％減の303百万トンであった。
道路網とともに、政府は、メキシコの港湾施設の開発、管理および改良における民間部門の役割の強化
を推進してきた。これらと引換えに、民間部門事業者は港湾施設および周辺の運輸インフラを開発し近代
化することが期待されている。こうした免許の付与にもかかわらず、政府は依然としてメキシコの主要港
湾施設の大部分を運営している。
国家開発計画の一環として、政府は、2019年にテワンテペック地峡開発計画（ Plan de Desarrollo del
Istmo de Tehuantepec ）に着手した。テワンテペック地峡開発計画には、2019年６月14日に創設され、６
年間の大統領任期末までに運用を開始するものと期待されているテワンテペック地峡の大洋間回廊
（ Corredor Interoceánico del Istmo de Tehuantepec ）が含まれる。テワンテペック地峡の大洋間回廊
は、さまざまな輸送手段と、貨物および旅客用の線路の復旧、サリナ・クルスとコアツァコアルコスの間
の道路の延伸ならびにサリナ・クルスとコアツァコアルコスの港湾およびサリナ・クルスとミナティトラ
ンの製油所の拡張および近代化に一部充当される８十億ペソの投資により構成される予定である。テワン
テペック地峡開発計画には、国内の企業および消費者に供給するためのガス・パイプラインの計画が含ま
れている。テワンテペック地峡の大洋間回廊に沿って、エネルギー、水、デジタル接続ならびに企業およ
び労働者のニーズに応えるためのその他基本的なインプットの供給の保証とともに民間部門の投資を誘致
するため、経済特区が創設される予定である。
2019年、政府は、クユトラン・ラグーンのマンサニージョ港を拡張する計画を発表した。これには４つ
の新しいターミナルの建設、都市および環境を保護するためのプンタ・デ・アグア川における５つの貯水
ダムの建設ならびに水処理工場の近代化が含まれる予定である。
航空
メキシコシティ、グアダラハラおよびモンテレイといったメキシコの主要都市に所在の空港には国内お
よび国際航空会社が就航しているが、より小規模な都市の空港にも限られた国内航空会社の定期便が運航
している。2019年12月31日現在、メキシコには77の空港があり、このうち64の空港には国内外の航空会社
が就航している。2019年には、メキシコを発着する国際線および国内線の乗客数は2018年と比較して5.2％
増加したが、メキシコを発着する国際線の乗客数は2018年と比較して2.1％の増加であった。
適用あるメキシコ法の下で、外国人はメキシコの空港の49％を上限として保有することができるが、国
家外国投資委員会（ Comisi ó n Nacional de Inversiones Extranjeras ）の承認を得たうえでより高い比率
を取得することができる。空港を運営、保守および開発するためには、通信省（ Secretaría de
Comunicaciones y Transportes ）から免許を受ける必要がある。メキシコシティ国際空港（ Aeropuerto
Internacional de la Ciudad de México ）は政府所有の会社が運営している。
2018年11月および12月、メキシコの新政権は、現在運用中のメキシコシティ国際空港に代わってメキシ
コシティ大都市圏における新空港となる新メキシコシティ国際空港（ Nuevo Aeropuerto Internacional de
la Ciudad de México 、以下「NAICM」という。）に関連する政策の転換を発表した。かかる発表に関連し
て、2018年12月、メキシコシティ・エアポート・トラスト（MEXCAT）は、代替空港のインフラ開発を行う
にあたって政府に柔軟性を持たせることを目的として、国際市場において発行した債券6.0十億米ドルのう
ち1.8十億米ドルを保有者の同意を得て現金で買入れ、債券に係る信託証書およびその他の関連諸契約を修
正した。
2019年３月11日、ロペス・オブラドール大統領は、メヒコ州スンパンゴに所在のサンタルチア空軍基地
（ Base Aerea Militar de Santa Lucia ）に２本の滑走路を追加建設することにより、NAICMの飽和状態に
対応することを発表した。サンタルチア・ フェリペ・アンヘレス空港の 建設工事は、2019年10月17日に開
始し、2021年10月17日に竣工の予定である。
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鉄道
メキシコの鉄道システムは、３本の地域路線、いくつかの短距離路線およびメキシコ盆地の１つのター
ミナル駅に分割されている。
2019年、メキシコの鉄道システムは、2018年と比較して2.2％減の125.2百万トンの貨物を輸送した。鉄
道による輸出輸送は、2018年の24.3百万トンから2019年には8.5％減少して22.3百万トンとなった。一方、
輸入輸送は、2018年の67.2百万トンから1.7％減少して2019年には66.0百万トンとなった。
鉄道輸送規制局（ Agencia Reguladora del Transporte Ferroviario ）は、とりわけ、鉄道の運行、通行
権および鉄道路線使用権、運送業者間の競争ならびに課される可能性のある料金について規制している。
2018年12月31日現在、通信省はメキシコの鉄道システムの一部の所有および運営について合計14件の営業
許可を付与していた。2018年には新たな営業許可の付与はなかった。2019年について公式の情報は得られ
ていない。
政府はまた、鉄道旅客輸送サービスを提供する権利およびメキシコ盆地におけるターミナルの所有権を
民間企業に付与するとともに、太平洋側北部鉄道路線の一部で観光目的の鉄道輸送を行うことをハリスコ
州に割当てた。
2017年11月12日、通信省は、メキシコシティからメキシコ州の州都であるトルーカまでを結ぶことにな
る全長58キロメートルの都市間鉄道（ Tren Interurbano ）の建設を発表した。建設工事は、土地使用権の
補償に関する訴訟により、2018年１月10日から2018年４月24日まで中断した。 2019年12月12日、通信省
は、都市間鉄道の建設を再開した。
2018年５月23日、通信省は、ハリスコ州のグアダラハラの軽量軌道鉄道３号線の建設が最終段階に入っ
たことを発表した。この３号線は、完成するとハリスコ州のグアダラハラ、サポパンおよびトラケパケの
３都市を結ぶことになる。第一段階では、同線は4.5百万人の住民にサービスを提供する予定で、毎年
17,400トンの二酸化炭素の排出を阻むものと期待されている。
2019年12月16日、ユカタン半島の先住民族コミュニティは、マヤ鉄道（ Tren Maya ）の開発プロジェクト
を承認する票決を行った。マヤ鉄道は、大統領の６年間の任期末までに運行を開始する見込みである。マ
ヤ鉄道は、ユカタン州、カンペチェ州、キンタナロー州、タバスコ州およびチアパス州を結ぶ予定で、観
光客、乗客および貨物のための全長1,500キロメートルの新しい鉄道インフラである。マヤ鉄道は、年間３
百万人の旅客の輸送能力を有する見込みである。マヤ鉄道への見積り投資額は120十億ペソから150十億ペ
ソの範囲であり、建設段階では300,000の直接的な雇用創出が見込まれる。
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通信
以下の表は、表示期間におけるメキシコの電話、携帯電話およびインターネットの接続回線数の伸びを
示したものである。
通信
12月31日現在
(1)
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
（居住者100人当たりの数値）
(2)
電話回線数 59.1 58.0 61.0 63.0 65.0
携帯電話回線数 91.0 90.0 96.0 96.0 95.0
インターネット接続居住者 48.4 50.0 54.0 55.0 58.0
(1) 2020年の数値は第２四半期に対応している。
(2) 100軒当たりの数値。
出典： 連邦電気通信委員会（ Instituto Federal de Telecomunicaciones ）
政府は、メキシコ市民がより安価で質の良い通信サービスを利用できるようにし、かつこれらの産業に
おける競争および投資を強化することを目指している。CFEは、2019年８月２日に設立された非営利の子会
社であるCFEテレコミュニケーションズ・アンド・インターネット・フォー・オール（ CFE
Telecomunicaciones e Internet para Todos ）を有している。同社の目的は、メキシコ全土において情報
ならびにブロードバンドおよびインターネットを含む通信技術へのアクセス権を保証するため、電気通信
サービスを提供することである。
2018年３月に始まった官民パートナーシップを通じて、政府はまた、4.5ギガ以上のワイヤレス・ネット
ワークを通じてメキシコにおける電気通信の対象を拡大するための共用ネットワーク 構築事業 （ Red
Compartida ）プロジェクトに着手した。このプロジェクトは、2022年１月24日までに人口の85％に、また
2024年１月24日までに人口の92.2％にサービスを提供することを目標としている。同様に、このプロジェ
クトは、2022年１月24日までに、 先住民の工芸品やその他のユニークなアトラクションを提供する小規模
の農村である 111のマジカルタウン（ Pueblos Mágicos ）を段階的に対象とすることを目的としている。
かかる目的に従って、政府は通信および衛星通信部門（ケーブル・テレビを含む。）における外国人直
接投資を100％まで認めている。政府はまた、メキシコと投資家または運営者の出身国との間の互恵協約に
従って、放送部門への外国人直接投資を49％まで認めている。
連邦通信放送法は、通信および放送のアクセスを全般的に高め、携帯電話事業者の料金（長距離電話料
金を含む。）を廃止または軽減することを目指している。メキシコ合衆国公共放送システム（ Sistema
Público de Rafiodifusión del Estado Mexicano ）は、メキシコの各州における放送サービスへの確実な
アクセスを確保する分権的公企業である。
2016年から、政府は国民向けのブロードバンド通信サービス利用の改善および通信市場におけるいっそ
うの競争促進を目的として、電気通信に関するメキシコ憲法の枠組みに対するいくつかの改正を通じて、
電気通信にかかる公開入札手続きを開放するプロセスを実施してきた。
一連の憲法改正の一環として、2016年１月29日、通信省および連邦電気通信委員会は、全国をカバーす
る卸売電気通信共有公共ネットワークの設置について公開入札手続きを開始した。これらの新たな改正の
解釈において、2017年８月16日、最高裁判所は、議会ではなく、連邦電気通信委員会のみが接続料金を決
定する権限を有していることを根拠として、通信サービス・プロバイダーが無償でそのネットワークを競
合他社に利用させることを義務づける連邦通信放送法の一部は違憲であると宣言した。これを受けて、連
邦通信委員会は、通信サービス・プロバイダーの間で合意が得られない場合に使用される接続料金を設定
した。
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2017年11月10日および2017年12月21日、メキシコ電信公社（ Telecomunicaciones de México 、以下
「TELECOMM」という。）は、TELECOMMが実施する予定の国際的RFPの仕組みについての包括的な助言サービ
スおよび支援の提供にかかる入札を勧誘するため、初めての２件の国際的電子的提案依頼書（RFP）の公募
を 公開した。とりわけ、TELECOMMの国際的RFPは、自ら資金調達を行う官民パートナーシップの下で大容量
光ファイバー全国データ伝送ネットワークの構築および成長を計画、設計および実行する基幹ネットワー
ク（ Red Troncal ）プロジェクトの契約に関連して行われる予定である。
2019年８月、TELECOMMは、基幹ネットワーク・プロジェクトが国家開発計画において設定された基準お
よび目標を満たしていないことを理由に同プロジェクトにかかる国際的RFPを撤回したことを発表した。
メキシコは、アルゼンチン、ボリビア、エクアドル、パラグアイ、ペルーおよびウルグアイとともに統
合地域衛星情報システム（ Sistema Integral Regional de Información Satelital 、SIRIS）を運用してい
る。このプラットフォームにより、メキシコは 関連する衛星データにアクセスして、 (ⅰ)農林業部門にお
ける 関連変数に関する情報を受取り、(ⅱ)森林火災およびその他の重要な気象変数を 監視 し、(ⅲ)地域レ
ベルで特定の疾病が蔓延する素因となる社会環境的な指標および社会的な指標の価値を可視化するため、
疾病の重症度分類マップと情報を受取ることが可能になる。
(f) 建設業
建設部門の生産高は、実質ベースで2019年には5.2％減少したのに対して、2020年には実質ベースで
17.2％の減少であった。建設部門は景気循環トレンドの影響を受けやすく、政府および民間部門の支出の
変動の影響を最も受ける部門の一つである。そのため建設部門は連邦の高速道路網の最近の再構築、近代
化および拡張ならびにその他のインフラ整備や住宅および産業関連建設プロジェクトの恩恵を多く受けて
きた。
(g) 鉱業
以下の表は、表示期間における鉱業部門の実績を示したものである。
鉱業
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
鉱業、石油およびガス部門生産高
（前年比成長率） (4.3) (8.3) (5.5) (4.4) (1.1)
抽出鉱物輸出（石油を除く。）
（前年比成長率） (3.0) 24.2 14.8 (0.7) 19.7
商品輸出全体に占める抽出鉱物輸出
（石油および石油製品を含む。）の
割合 6.2 7.1 8.2 7.0 5.9
出典： メキシコ中央銀行
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2018年に、鉱業部門では引続き年次比較で生産高が減少傾向にあったが、これは主に2018年第４四半期
に石油およびガスの採掘が引続き減少したこと、ならびに鉱業関連サービスが減少したことによるもので
ある。2018年と比較して金属および非金属鉱産物の採掘が停滞し、また石油プラットフォームの生産量が
減少したため、こうした下降傾向は2019年第１四半期まで継続した。第２四半期にも同様の傾向がみられ
たが、これは石油およびガスの採掘の減少傾向と鉱業関連サービスの低迷によるところが大きい。2019年
第３四半期には、金属および非金属鉱産物部門は引続き低調に推移した。しかし、 既存の油井の維持・修
繕および新しい掘削製品への投資の増加により、石油プラットフォームの安定化および鉱業に関連する
サービスの再活性化に起因して、業界では上昇基調がみられた。最後に、鉱業は、鉱業関連サービスの継
続的な減少にもかかわらず、プラットフォームの再活性化と金属および非金属鉱産物の分野の改善に関連
して、2019年第４四半期にはさらなる回復を示した。
メキシコは豊富かつ多種類の鉱物資源を有しており、銀、ビスマス、アンチモン、ホタル石、グラファ
イト、バライト、モリブデン、鉛および亜鉛の世界有数の産出国である。
憲法および適用あるメキシコ法の下で、鉱物鉱業活動の遂行が認められるのは、政府またはこれに代
わって政府の免許を付与されたメキシコの個人もしくは企業のみである。放射性鉱物の採掘を除き、メキ
シコ法に基づいてメキシコの鉱業会社に対する外国人投資（支配持分を含む。）は認められている。外国
人投資および鉱業規則では、外国人投資家が鉱業活動に従事するメキシコ企業の過半数持分を免許期間中
保有することが認められている。これらの外国人投資規則は、(1)探査の拡大、(2)新たな資金源の獲得、
ならびに(3)さらなる国内技術開発を認めることにより、鉱業の発展を促進している。メキシコの鉱業法
（ Ley Minera ）に基づいて、民間企業には最長６年の探査免許と最長50年の採掘免許が付与されている。
(h) 電力産業
国家開発計画の下で、政府は、CFEのインフラを近代化し、特定の税負担を軽減するため、同公社に資金
を提供する意向である。新しいエネルギー政策は、メキシコ国民に対して電力生産に再生可能エネルギー
を組込むことを奨励するものであり、これにより まだアクセスが不足している小さい孤立したコミュニ
ティに居住する約２百万人の電力利用が改善される見込みである。
2020年３月11日に立ち上げられた2020-2034年国家電力システム開発プログラム（ Programa de
Desarrollo del Sistema Eléctrico Nacional 2020-2034 、以下「PRODESEN」という。）は、電力に特化し
た国家エネルギー政策を詳細に定めたプログラムである。15年間にわたって、このプログラムは、消費者
にとって最善の質と価格を提供しつつ、国の経済成長に沿った電力エネルギーの供給を保証することを意
図している。規則は州および民間の電力会社に平等に適用される予定である。このプログラムの下で、メ
キシコは、気候変動および排出削減に関する国際的なコミットメントをいっそう遵守するため、クリーン
で再生可能な電力の増産を目指している。
PRODESENには、発電所の設置と閉鎖のための推奨プログラム（ Programa Indicativo para la
Instalación y Retiro de Centrales Eléctricas 、PIIRCE）、全国送電ネットワークおよび卸売電力市場
の一般配電ネットワークの拡大および近代化プログラム（ Programa de Ampliación y Modernización de
la Red Nacional de Trasmisión y Redes Generales de Distribución del Mercado Eléctrico
Mayorista ）ならびに卸売電力市場に対応しない一般配電ネットワークの拡大および近代化プログラム
（ Programa de Ampliación y Modernización de las Redes Generales de Distribución no
correspondientes al Mercado Eléctrico Mayorista ）が盛り込まれている。
電力の利用拡大は政府の優先事項である。2020年12月31日現在、全人口の約98.7％が電力を利用するこ
とができた。2020年12月31日現在、全人口のうちメキシコの都市部人口の約100％およびメキシコの農村部
人口の97.4％が電力を利用することができた。
政府は、メキシコの電力需要の拡大に対応するために、発電、送電および配電インフラ設備への投資を
続けている。
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メキシコは、CFEを通じて、2020年には2019年より9.8％減（2017年からは12％の減少）となる219,898ギ
ガワット時を発電した。メキシコは、2020年にこの電力のうち2,285ギガワット時の電力を輸出したが、こ
れに対して2019年の輸出量は3,084ギガワット時であった。2020年12月31日現在、CFEの発電設備容量は
59,003 メガワットとなり、2019年より２％増加した。2020年には、国内発電は1,625ギガワット時の電力輸
入によりさらに補われた。
上記の国内エネルギー生産量は、自家消費用自家発電を考慮している。自家消費用自家発電は、民間部
門ベースであり、ここ数年で急速に伸びてきた。2020年にCFEが買上げた自家消費用自家発電は、2019年の
14,991ギガワット時より6.0％増の15,898ギガワット時であった。
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エネルギー資源の多様化もまた政府の重点目標である。以下の表は、2017年から2020年までにおけるメ
キシコの主要なエネルギー源の構成についての一定の情報を示すものである。
電力エネルギー源の構成
（ギガワット時（GWh））
2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
構成比 構成比 構成比 構成比
発電量 (％) 発電量 (％) 発電量 (％) 発電量 (％)
202,038 202,289 203,863 177,370
従来型の電源
結合サイクル 127,355 63 129,414 65 138,927 68 139,587 79
火力 38,499 19 35,144 18 33,633 16 18,511 10
石炭 28,577 14 27,192 14 21,422 11 12,317 7
燃焼タービン 5,833 3 6,674 3 8,277 4 5,282 3
内燃機関 1,775 1 1,865 1 1,604 1 1,673 1
その他 - - - - - - - -
クリーン・
48,023 50,612 39,798 42,528
エネルギー
再生可能 37,451 78 37,412 74 28,917 73 31,664 74
水力 29,843 62 30,299 60 22,038 55 25,305 60
エオリック 1,976 4 2,141 4 1,915 5 1,899 4
地熱 5,621 12 4,962 10 4,954 12 4,450 10
太陽光 11 0 10 0 10 0 9 0
バイオ・
エネルギー - - - - - - - -
- - - - - - - -
分散型電源
10,572 13,200 10,881 10,864
その他 22 26 27 26
250,061 250,901 243,661 219,898
合計
出典： エネルギー省のPRODESEN 2019-2033
電力産業法は、民間部門企業が新しい電力卸売市場において発電および電力の販売にかかる許可を得る
ことを可能にする規制の枠組みを構築するものであり、電力産業法規則（ Reglamento de la Ley de la
Industria Eléctrica ）には、電力部門への参入にかかる入札手続きが詳しく定められている。
政府は、2020年に天然ガスの輸送については営業許可を付与しておらず、天然ガスの販売については３
件の営業許可を付与した。
2014年、連邦電力公社法（ Ley de la Comisión Federal de Electricidad ）により、CFEは分権的公法人
から生産的国有企業に転換された。CFEは現在、その生産的国有子法人を通じて、電力の発電、送電、配電
および販売を行っている。
2019年、CFEは、CFEに発電のための天然ガスを供給することが意図されていた７本の天然ガス・パイプ
ラインの運用開始が遅れたことからCFEが負担した一定の費用に関する仲裁手続きについて和解合意に達し
た。これらの和解合意により、メキシコにおける消費者向け電力料金の引上げを回避しつつ、20年間にわ
たって天然ガスの供給が保証される見込みである。
政府は、引続き電力部門および発電への民間部門の参加を奨励している。2020年12月31日現在、メキシ
コの総発電設備容量に占める化石燃料による発電設備容量の割合は、2019年12月31日現在の73.5％に対し
て74％であったが、クリーン電源からの発電設備容量は、2019年12月31日現在の26.5％に対して26％で
あった。
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(3) 【貿易及び国際収支】
① 貿易
貿易政策
メキシコは増加しつつある貿易収益に基づく経済発展というモデルを利用している。そのために、メキ
シコは、非石油製品輸出を成長させ、その競争力を高めるために、様々な貿易、財政、金融および振興策
を通じて、主に輸出全体の拡大に力を入れている。
数十年にわたって、メキシコの対外貿易政策は貿易障壁の撤廃に力を入れてきており、その結果メキシ
コの非石油輸出は増加し、農産物と比較して製造品の重要性が増してきた。
外国貿易法（ Ley de Comercio Exterior ）により、輸出入関税およびその他の貿易制限を設ける広範に
わたる権限が大統領に付与されている。同法によって、経済省（ Secretaría de Economía ）内で機能し、
貿易関連の紛争処理にあたる権限および外国の輸出補助金の効果を無効とするため、世界貿易機関（以下
「WTO」という。）の規則に基づいて課される輸入関税である「相殺関税」の課税手続きを定める権限を付
与された外国貿易委員会（ Comisión de Comercio Exterior ）も設立された。これらに加えて、外国貿易法
は、不公正な貿易慣行の定義を示すとともにこれを規制しており、それによりメキシコの貿易規制の枠組
みは現行の国際慣行および国際基準に一段と沿った形になっている。
メキシコ最大の貿易相手国は、米国、カナダ、中国およびドイツであり、ヨーロッパ、南米および東ア
ジアのその他諸国も重要な輸出相手国となっている。メキシコは世界中の貿易相手との間で多くの自由貿
易協定を締結している。
米国政権は、貿易、関税、移民問題および税制の分野においてメキシコに影響を及ぼしうる様々な形に
よる措置をとっており、またその可能性も高まっている。メキシコ経済は、米国経済に密接に結びついて
いるため、米国政権が採用しうる同国の貿易政策はメキシコの経済状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
米国の移民政策もメキシコと米国の間の貿易およびその他の関係に影響を及ぼす可能性があり、メキシコ
政府の政策に別の影響を及ぼすことがある。これらの要因は、メキシコのGDPの成長、米ドルとメキシコ・
ペソの間の為替レート、外国直接投資の水準およびメキシコへの証券投資、金利、インフレならびにメキ
シコ経済全般に影響を及ぼしうる。
2021年３月３日、経済省は、IADBとの協力のもと、メキシコの企業がその事業をグローバル市場に拡大
することを可能にする新たなデジタル・プラットフォームであるコメルシアMXを発表した。このプラット
フォームは、零細および中小企業がグローバル市場に参入するための情報を得られるようにすることを目
的としている。
2021年３月16日、国家貿易円滑化委員会（ Comité Nacional de Facilitación del Comercio ）は、2016
年６月に上院が批准したWTO貿易円滑化協定に由来する国際的な約束を果たすため、運営を開始した。同委
員会は、連邦行政の諸機関および組織ならびに対外貿易に関連するプログラムの規制に関与する憲法上の
自治機関の間の調整を促進することを目的としている。
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貿易の実績
メキシコは、2015年に14.7十億米ドルの貿易赤字を計上したのに対して、2016年には13.1十億米ドルの
貿易赤字を計上した。これは、名目ベースで商品輸出合計が1.7％、商品輸入合計が2.1％、減少したこと
による。特に、石油輸出は、主として原油生産の減少により、2015年と比較して18.5％減少した。消費財
の輸入は、主として非石油消費財が6.6％減少したことにより、2015年と比較して2016年には名目ベースで
7.7％減少した。
2016年の輸入合計は、2015年と比較して2.1％減少した。これは、主としてすべての商品輸入が減少した
ことによる。特に、消費財は7.7％減少し、中間財および資本財はそれぞれ0.8％および3.7％の減少であっ
た。
2016年の輸出合計は、2015年と比較して1.7％減少した。これは、主として上記のとおり石油および石油
製品の輸出が減少したこと、ならびに非石油製品の輸出が0.7％減少したことによる。
メキシコは、2016年に13.1十億米ドルの貿易赤字を計上したのに対して、2017年には11.0十億米ドルの
貿易赤字を計上した。この貿易赤字の縮小は、2016年と比較して石油輸出が26％増加した（これは中間財
の輸入の増加により相殺された。）ことによるところが大きいが、この増加は主に2017年第４四半期にメ
キシコ産原油ミックスの平均価格が上昇し、石油プラットフォーム生産がわずかに増加したことによるも
のである。
2017年の輸入合計は、2016年と比較して8.6％増加した。これは、2016年と比較して特に石油生産に利用
されるものをはじめとする中間財の輸入が9.0％増加したほか、石油ベースの消費財の輸入増加により消費
財の輸入が10.4％増加したことによる。
2017年の輸出合計は、2016年と比較して9.5％増加した。これは、主として石油および石油製品の輸出が
26.0％増加したこと、ならびに非石油鉱物製品の輸出が24.2％増加したことによる。
メキシコは、2017年に11.0十億米ドルの貿易赤字を計上したのに対して、2018年には13.6十億米ドルの
貿易赤字を計上した。 こうした貿易赤字の拡大は、非石油貿易黒字の拡大と石油製品貿易収支の赤字拡大
の正味結果である。また、石油輸出は、2018年第４四半期にも減少を続け、比較的低水準で推移した。こ
れは、輸出向けに提供できる原油の減少およびメキシコ産原油ミックスの平均価格の低下によるものであ
る。
2018年の輸入合計は、2017年と比較して10.4％増加した。これは、主として2018年第１四半期に鉱業お
よび発電部門ならびに輸送機器および輸送サービスのサブセクターからの資本輸入が増加したことによ
る。加えて、2018年の資本輸入の増加は、発電部門および電気通信部門が 第３四半期に成長したこと、な
らびに上半期に停滞していたその他の資本輸入が大きく再活性化したことにより牽引された。
2018年の輸出合計は、2017年と比較して10.1％増加した。これは、主として2018年の当初３四半期間に
米国向けの製造品輸出が増加したことおよび2018年上半期には世界のその他地域向けの製造品輸出が増加
したことによる。原油輸出量は安定していたが、メキシコ産原油ミックスの平均価格が値上がりしたこと
から石油輸出も増加した。第４四半期における輸出は、主に世 界の貿易が減速したことから、第３四半期
と同じ水準で推移した。
暫定値によると、 メキシコは、2018年に13.6十億米ドルの貿易赤字を計上したのに対して、2019年には
5.4十億米ドルの貿易黒字を計上した。こうした貿易収支の拡大は、非石油製品の貿易黒字が2018年の9.5
十億米ドルから2019年の27.0十億米ドルへと大きく拡大したことと、石油関連製品の貿易赤字が2018年の
23.2十億米ドルから2019年の21.2十億米ドルへと縮小した結果である。石油関連製品の貿易赤字は、商品
輸出の全体的価値上昇とともに、2019年第４四半期に石油輸出が増加したことなどによるものである。
暫定値によると、2019年の輸入合計は、2018年と比較して1.9％減少した。これは、主として非石油輸入
が年率で0.6％減少し、石油製品の輸入が年率で12.2％減少したことによる。また、2019年を通じて特に電
力および電気通信部門において資本輸入の業績が振るわなかったことも、年間輸入の減少に寄与した。
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暫定値によると、2019年の輸出合計は、2018年と比較して2.2％増加した。これは、主として非石油輸出
が3.6％増加し、石油輸出が15.1％減少したことによる。2019年第１四半期には、石油輸出は増加したが、
米中関係をはじめとする世界的な貿易の緊張および自動車出荷の後退により、その他の輸出は減速した。
し かし、 自動車の出荷が再活性化したため、 2019年第２四半期には 製造業の輸出は回復したが、石油輸出
の縮小により一部相殺された。第３四半期には、石油輸出の継続的な減少と非自動車および製造業の輸出
の低迷により、輸出の勢いが全体的に低下した。製造業および石油輸出の減少は、2019年第４四半期まで
続いた。
暫定値によると、メキシコは、 2019年に5.4十億米ドルの貿易黒字を計上したのに対して、2020年には
34.5十億米ドルの貿易黒字を計上した。こうした貿易収支の拡大は、非石油製品の貿易黒字が2019年の
26.8十億米ドルから2020年の48.5十億米ドルへと拡大したことと、石油関連製品の貿易赤字が2019年の
21.4十億米ドルから2020年の14.0十億米ドルへと縮小した結果である。
暫定値によると、2020年の輸入合計は、2019年と比較して15.8％減少した。これは、主として非石油輸
入が年率で13.8％減少し、石油製品の輸入が年率で33.5％減少したことによる。
暫定値によると、2020年の輸出合計は、2019年と比較して9.3％減少した。これは、主として非石油輸出
が8.0％減少し、石油輸出が32.6％減少したことによる。
主にCOVID-19のパンデミックに起因する、世界経済の減速および特に製造品に関するグローバル・サプ
ライ・チェーンの混乱は、メキシコの対外貿易実績に重大な悪影響を及ぼすであろう。
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以下の表は、表示期間についてのメキシコの商品輸出入（観光を除く。）の価額に関する情報を示した
ものである。
輸出入
(1) (1) (1)
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
（単位：メキシコ産原油ミックスの平均価格を除き、百万米ドル）
商品輸出（f.o.b.）
石油および石油製品 18,825 23,725 30,630 25,842 17,413
原油 15,582 20,047 26,541 22,409 14,613
その他 3,243 3,678 4,089 3,433 2,800
非石油製品 355,123 385,707 420,083 434,862 400,257
農業 14,845 16,000 16,508 17,840 18,683
鉱業 4,368 5,427 6,232 6,189 7,407
(2)
335,911 364,280 397,344 410,834 374,167
製造品
373,948 409,433 450,713 460,704 417,670
商品輸出合計
商品輸入（f.o.b.）
消費財 51,951 57,338 63,118 61,168 45,140
(2)
中間財 295,400 322,039 355,297 352,340 303,317
39,719 41,017 45,887 41,787 34,737
資本財
387,070 420,395 464,302 455,295 383,194
商品輸入合計
(13,122) (10,962) (13,589) 5,409 34,476
貿易収支
メキシコ産原油ミックス
(3)
の平均価格
（米ドル） 35.65 46.79 61.41 55.53 35.82
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 保税産業を含む。
(3) １バレル当たり米ドル表示。
出典： メキシコ中央銀行／ぺメックス
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対外貿易協定
メキシコは、多国間、地域および二国間レベルでの自由貿易および経済協力を進めるいくつかの国際協
定を結んでいる。
多国間
メキシコは、WTOが関税及び貿易に関する一般協定（以下「GATT」という。）を承継した1995年にWTOの
加盟国となった。メキシコはWTOの多国間貿易交渉に積極的に参加している。メキシコは、アジア・太平洋
経済協力機構にも加盟している。
2018年３月８日、経済大臣は、オーストラリア、ブルネイ・ダルサラーム、カナダ、チリ、日本、マ
レーシア、ニュージーランド、ぺルー、シンガポールおよびベトナムの通商担当大臣とともに、メキシコ
を代表して、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定（CPTPP）に署名した。上院は
2018年４月24日にCPTPPを批准し、メキシコは他国に先駆けて最初のCPTPP承認国となった。2018年11月29
日にCPTPPの正文が官報に掲載され、CPTPPは2018年12月30日にメキシコを含む最初の６カ国について効力
を生じ、残りの５カ国が協定を批准した時点でかかる５カ国についても効力を生じる予定である。CPTPPの
交渉は、環太平洋パートナーシップ協定（TPP）交渉の後継として始まった。米国大統領が米国の通商代表
部に対して米国をTPPの締結国から撤退させ、米国を永久にTPP交渉から撤退させるよう命じる大統領令に
署名した後、TPP交渉は2017年に行き詰った。
2019年５月17日、米国は、かつて2018年６月１日に課されたカナダおよびメキシコからの鉄鋼およびア
ルミニウムにかかる輸入関税を撤廃し、 カナダおよびメキシコが米国の商品に課したすべての報復関税を
撤廃することにつき両国と合意したことを発表した。この合意は、米国への鉄鋼およびアルミニウムの輸
入の急増を防ぐための積極的な監視およびメカニズムを定めたものである。特定の鉄鋼およびアルミニウ
ム製品の輸入が急増した場合、米国は、これら商品に対する 関税を再び課すことがある。その場合、カナ
ダおよびメキシコによる報復は、鉄鋼およびアルミニウム製品に限定されるであろう。
地域
地域レベルでは、メキシコは、2018年にNAFTAに代わったUSMCAの加盟国である。2018年11月30日にメキ
シコ、米国およびカナダの大統領/首相によって締結されたUSMCAは、地域のより自由で公正な市場と力強
い経済成長につながる相互に有益な貿易を支援することにより、３カ国間の自由貿易関係の近代化を目的
としている。2019年６月19日、上院はUSMCAを批准した。
2020年１月16日、米国上院はUSMCAを批准した。2020年３月13日、カナダの庶民院および上院は全会一致
でUSMCAを批准し、カナダ総督は女王陛下の同意に署名し、これによってカナダにおける承認手続きは完了
した。
2019年12月10日、メキシコ、米国およびカナダの代表者は、米国・メキシコ・カナダ協定の修正議定書
（ Protocolo Modificatorio del Tratado entre México, Estados Unidos y Canadá 、以下「修正議定書」
という。）を締結した。修正議定書には、労働、環境および紛争解決に関するUSMCAの規定の改正が盛り込
まれている。修正議定書により修正されたUSMCAは、すでにメキシコにより批准されている。
2018年７月24日、大統領は、太平洋同盟および南米南部共同市場（ Mercado Común del Sur 、以下
「MERCOSUR」という。）諸国の首脳と会談した。この会談において、２つの主要なラテンアメリカ地域ブ
ロックは、地域統合の見通しについて協議することが可能になり、両地域グループの首脳は地域自由貿易
協定を結ぶことについて基本合意書に署名した。
2020年７月１日、USMCAが効力を生じ、政府は、USMCAに基づくコミットメントを実施するため、複数の
法律を公表し、改正した。新法は、連邦産業財産保護法（ Ley Federal de Protección a la Propiedad
Industrial ）、品質基盤法（ Ley de Infraestructura de la Calidad ）および輸出入一般関税法（ Ley de
los Impuestos Generales de Importación y de Exportación ）である。改正された法律は、連邦刑法、連
邦著作権法（ Ley Federal del Derecho de Autor ）および税関法（ Ley Aduanera ）である。
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2020年３月20日、 メキシコと米国は、新型コロナウィルスの感染拡大を抑えるため、不要不急の旅行に
対して一時的に国境を封鎖することで合意した。COVID-19パンデミックに関する追加情報については、
「(7)その他－最近の展開－COVID-19の危機」を参照のこと。
二国間
メキシコは、次の諸国/国家連合との間の自由貿易協定およびその他類似の協定の当事国でもある：ボリ
ビア、チリ、コロンビア、コスタリカ、北部三角地帯（エルサルバドル、グアテマラおよびホンジュラ
ス）、EU、欧州自由貿易連合（アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーおよびスイス）、イスラ
エル、日本、ニカラグア、ペルーならびにウルグアイ。
メキシコは、現在、いずれもMERCOSURの設立加盟国であるアルゼンチンおよびブラジルとの間で個別に
自由貿易協定（ acuerdos de complementación económica 、以下「ACE」という。）の交渉を行っている。
2018年には、メキシコは、いずれもMERCOSURの設立加盟国であるパラグアイおよびウルグアイとの間でも
ACEの交渉を行ったが、これらの交渉の状況について2019年に進展はみられなかった。
2017年および2018年、メキシコとEUは、EUメキシコ自由貿易協定（ Tratado de Libre Comercio entre
México y la Unión Europea 、以下「TLCUEM」という。）の近代化について協議を行い、2018年４月、メキ
シコとEUは既存のTLCUEMに代わる新たなEU-メキシコ包括協定について「原則合意」に至った。かかる新た
な包括協定は2020年に効力を生じる予定である。メキシコとEUの間の自由貿易協定の近代化は、メキシコ
の貿易課題において優先課題であった。過去18年間にEUとメキシコの間の貿易は20.8十億米ドルから70.1
十億米ドルへと３倍超になっている。
2019年、メキシコとEUは、近代化されたTLCUEMの法的文書を確定させる内部手続きを継続した。これ
は、メキシコの上院ならびに欧州議会および欧州連合理事会に提出され、承認を受けなければならない。
上院の承認を受けると、協定の最終文言は官報に掲載されなければならない。近代化された協定のうち、
欧州議会のみの承認を必要とする部分は、その他の部分が欧州委員会の承認を受けるまでは暫定的に有効
となることがある。
メキシコは、2017年にスペインおよび中国の政府との間で複数回の二カ国協議に参加した。2017年４月
20日、メキシコとスペインは、航空輸送規制、商業および投資ならびに労働問題を含む様々なテーマを対
象とした６つの新たな法的文書について合意した。2017年５月３日、メキシコと中国は、両国の包括的な
戦略的パートナーシップの枠組みの中で達成された商業、投資および航空の接続利便性の高まりに焦点を
当て、二国間関係を深めていくことで合意した。
2017年７月26日、メキシコと英国は、メキシコの貿易課題および英国のEU離脱に照らして、両国の経済
および協力関係を継続し、強化するための選択肢について協議した。2017年10月19日、メキシコと英国の
代表者間で高官会議が開催された。英国は、エネルギー、都市、金融サービスおよびビジネスへの戦略的
な投資を通じて経済を強化するため、メキシコに約80百万米ドルを投資することを約束した。メキシコと
英国は、自由貿易、二国間投資および自由市場への取組みを続けていくことを約束した。
英国が正式にEUから離脱した2020年１月31日、政府は、メキシコと英国がそれまでTLCUEMの下で有して
いた特恵貿易関係を維持していくこと、および経済省が適切な英国当局者との間で引続き可能な貿易シナ
リオを模索していくことを発表した。
2020年４月28日、EUとメキシコは、TLCUEMにかかる交渉を終えた。欧州委員会の貿易担当委員とメキシ
コの経済大臣は、 公共調達市場の相互開放の正確な範囲と、公共調達プロセスにおける高水準の予測可能
性と透明性を取りまとめた。TLCUEMには、EUとメキシコの間のほぼ全品目にかかる免税貿易、持続可能な
開発に関する進歩的な規則、投資を保護するための措置およびより簡単な通関手続きが含まれる。
2021 年３月10日、上院は、特恵貿易条件を維持し、英国のEU離脱後のメキシコと英国の間でのいっそう
の市場自由化を促進するためのプラットフォームを提供する、英国メキシコ貿易継続協定を批准した。こ
の協定は本質的には一時的なものであり、メキシコと英国が新しくより広範かつ永続的な自由貿易協定に
ついて交渉するための３年間の期間を設定するものである。
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② 地域別貿易分布
以下の表は、表示期間についてのメキシコの対外貿易の分布を示したものである。
(1)
メキシコの商品輸出分布
(2)
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
（単位：％）
輸出（f.o.b.）
米国 82.7 81.5 81.2 82.0 82.2
カナダ 2.9 2.9 3.4 3.3 2.8
EU 4.4 5.0 4.9 4.6 4.6
うち：
スペイン 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3
英国 0.9 0.6 0.5 0.6 0.6
ドイツ 1.1 1.8 1.7 1.6 1.6
オランダ 0.4 0.4 0.5 0.5 0.5
中国 1.4 1.6 1.7 1.6 2.0
日本 0.7 0.8 0.8 0.9 0.9
9.6 10.0 9.9 9.2 9.0
その他
100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
合計
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 保税産業を含む（グロス・ベース）。
(2) 暫定値。
出典： メキシコ中央銀行
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(1)
メキシコの商品輸入分布
(2)
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
（単位：％）
輸入（f.o.b.）
米国 42.8 41.7 40.8 40.1 39.7
カナダ 2.6 2.4 2.4 2.3 2.2
EU 11.5 12.4 12.5 12.2 11.6
うち：
スペイン 1.2 1.3 1.3 1.1 1.1
英国 0.6 0.6 0.6 0.6 0.5
ドイツ 3.9 4.3 4.3 4.3 3.9
オランダ 0.3 0.4 0.4 0.3 0.3
中国 19.5 19.5 20.1 20.1 20.7
日本 5.0 4.7 4.4 4.4 3.9
その他 24.3 25.2 25.7 26.8 27.6
合計
100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 保税産業を含む（グロス・ベース）。
(2) 暫定値。
出典： メキシコ中央銀行
③ 日本との貿易
メキシコと日本は、両国が最初に友好関係を結んでから400年以上にわたって共通の利益および目標を共
有してきた長い歴史がある。それ以降、両国間の強力かつ有益な協力関係が展開されてきた。こうした友
好関係は商業上の強い関係に発展し、メキシコの日本からの輸入は、過去５年間で年平均約17.0十億米ド
ルにのぼり、この間の商品輸入合計の4.5％を占めてきた。
(注)
日本との貿易
輸出 輸入
2016年 0.7％ 5.0％
2017年 0.8％ 4.7％
2018年 0.8％ 4.4％
2019年 0.9％ 4.4％
2020年 0.9％ 3.9％
注： 輸出または輸入総額に占める割合。
出典： メキシコ中央銀行
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④ 保税産業
メキシコの保税産業（ maquiladora ）は原材料や部品を非課税で輸入し、完成品を輸出している企業で成
り立っており、供給業者はメキシコ国内で行った作業に対してのみ付加価値ベースで関税を支払ってい
る。保税工場は、そのほとんどが当初メキシコと米国との国境付近に設立されたが、現在では、国内の他
の地域で事業を営んでいる。他の地域への生産の拡大によって、保税工場および供給業者はより多くのよ
り多様な労働力を利用できるようになっている。この拡大によって、保税工場はメキシコの供給業者が利
用できる原材料をより利用しやすくなった。暫定値によると、2020年に保税産業が付加した価値の31.7％
が、輸送機器の生産に関連するものであった。
以下の表は、各表示期間末における保税工場の数、保税工場における雇用従業員数および保税産業収益
を示したものである。
保税産業
12 月31日現在
(1)
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
（年次の数値および対前年比変化率）
保税工場数 5,018 0.2 ％ 5,089 1.4 ％ 5,115 0.5 ％ 5,144 0.6 ％ 5,161 0.3 ％
保税工場に
よる雇用労
働者数 2,479,127 5.2 ％ 2,581,487 4.1 ％ 2,695,592 4.4 ％ 2,678,633 (0.6) ％ 2,690,635 0.4 ％
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
出典： INEGI
保税産業収益
12 月31日現在
(1)
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
（十億ペソおよび対前年比変化率）
輸出売上 2,596.9 12.3 ％ 2,868.0 10.4 ％ 3,109.1 8.4 ％ 3,324.7 6.9 ％ 273.9 (91.8) ％
1,690.2 1,898.1 2,038.8 1,979.9 160.8
国内売上 10.5 ％ 12.3 ％ 7.4 ％ (2.9) ％ (91.9) ％
4,287.1 4,766.1 5,147.9 5,304.5 434.7
収益合計 11.6 ％ 11.2 ％ 8.0 ％ 3.0 ％ (91.8) ％
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
出典： INEGI
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⑤ 国際収支および外貨準備高
「国際収支」は国が１年間にわたる世界の他の諸国との経済取引のすべてを計上する制度である。以下
の表は、表示期間におけるメキシコの国際収支を示したものである。
国際収支
(1) (1) (1)
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
（単位：百万米ドル）
(2)
経常収支 (24,352) (20,434) (25,340) (4,238) 26,571
受取 434,675 479,331 527,086 544,108 484,300
商品輸出（f.o.b.） 374,305 409,806 451,083 461,040 417,825
非要素所得サービス 24,219 27,591 29,014 31,695 17,108
輸送 1,598 1,904 2,195 2,937 1,923
観光 19,650 21,336 22,526 24,573 11,025
保険および年金 2,503 3,742 3,285 3,120 3,145
金融サービス 154 275 341 430 453
その他 315 334 667 636 562
第一次所得 8,085 10,621 13,023 14,620 8,334
第二次所得 28,066 31,313 33,966 36,753 41,033
支払 459,027 499,766 552,425 548,346 457,729
商品輸入（f.o.b.） 387,375 420,790 464,850 455,826 383,380
非要素所得サービス 33,180 37,350 40,202 39,968 27,279
輸送 13,204 14,835 15,414 14,776 10,728
観光 10,303 10,840 11,230 9,881 3,581
保険および年金 3,913 4,952 4,846 6,239 5,437
金融サービス 1,810 2,005 3,905 3,853 2,183
その他 3,951 4,718 4,808 5,219 5,350
第一次所得 37,485 40,428 46,292 51,472 46,104
第二次所得 987 1,198 1,081 1,081 967
資本収支 35 150 (65) (56) (31)
受取 323 450 237 299 242
支払 288 300 301 355 273
金融収支 (32,583) (33,943) (31,608) (14,874) 21,343
直接投資 (30,875) (30,213) (25,365) (23,112) (22,551)
証券投資 (27,584) (10,038) (8,250) (6,069) 10,743
金融派生商品 (2,247) 3,074 366 1,640 (1,535)
その他投資 28,259 7,999 1,158 10,029 22,969
準備資産 (136) (4,765) 483 2,638 11,990
外貨準備 428 (2,575) 934 6,644 16,029
評価調整 564 2,190 451 4,006 4,039
誤差・脱漏 (8,265) (13,658) (6,204) (10,580) (5,197)
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 経常収支の数値は、新しい国際基準に合わせるために作成された手法に従って算出されている。か
かる基準の下では、商品輸出および商品輸入には保税産業が含まれる。
出典： メキシコ中央銀行
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経常収支
1988年以降毎年、メキシコは経常収支において赤字を計上してきたが、その主な原因は、政府による貿
易政策の自由化によって民間部門による輸入が増加したことであった。2020年のメキシコの経常収支は、
2019年の4.2十億米ドル（GDPの0.4％）の赤字から26.6十億米ドル（GDPの2.4％）の黒字に転じた。経常収
支赤字が縮小したのは、主として(ⅰ)製造品の輸出が輸入に比べてより大きく回復する中での石油以外の
貿易収支黒字の拡大、(ⅱ)石油収支の赤字縮小、および(ⅲ)歴史的な高水準となった国外からの送金によ
る所得の増加によるものである。
資本収支
2016年以降、メキシコの資本収支は赤字と黒字を行き来してきた。資本収支は、2016年および2017年に
は黒字を計上し、2018年および2019年には赤字を計上した。
2020年には、資本収支は、2019年には56.0百万米ドルの赤字であったのに対して、31.0百万米ドルの赤
字を計上した。
金融収支
メキシコの金融収支は投資の流入を計上しており、資本収支と合わせると、統計上の不突合、会計慣
行、および取引の計上価値に影響を及ぼす為替相場の変動を考慮後で、経常収支と均衡している。
2020年には、メキシコの金融収支は、2019年の14.9十億米ドル流出より多い21.3十億米ドルの流入を計
上した。これは、主として直接投資からの正味負債が22.5十億米ドル、金融デリバティブによる1.5十億米
ドル、ポートフォリオ投資に占める諸外国への正味貸付が10.7十億米ドル、およびその他の投資における
諸外国への正味貸付が22.7十億米ドル、ならびに準備資産が12.0十億米ドル増加したことによる。
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外貨準備高および対外資産
以下の表は、各表示期間末におけるメキシコ中央銀行の外貨準備高および対外純資産を示したものであ
る。
外貨準備高および対外純資産
(1)(2) (3)
期末現在の外貨準備高 期末現在の対外純資産
（単位：十億米ドル）
2016年 176.5 178.1
2017年 172.8 175.5
2018年 174.6 176.1
2019年 180.7 184.2
(4)
2020年 195.7 199.1
(1) 金、特別引出権（IMFにより創設された外貨準備資産）および外貨保有が含まれる。
(2) 「外貨準備高」は、(a)外貨準備高の総額から(b)期日が６カ月未満のメキシコ中央銀行の対外債務
を差引いたものに相当する。
(3) 「対外純資産」は、(a)外貨準備高の総額に(b)諸外国の中央銀行との融資協定から発生した期日が
６カ月を超える資産を加え、その合計から(x)IMFへの債務残高および(y)諸外国の中央銀行との融資
協定から発生した期日が６カ月未満の負債を差引いたものと定義される。
(4) 暫定値。
出典： メキシコ中央銀行
過去５年間、メキシコ中央銀行の外貨準備高は全般的に安定的に推移してきた。
2016年12月30日現在、メキシコ中央銀行の外貨準備高は、2015年12月31日現在の外貨準備高と比べて
194.0百万米ドル減少した。メキシコ中央銀行の対外純資産は、2015年12月31日現在の金額より428.0百万
米ドル増加した。メキシコ中央銀行の外貨準備高および対外純資産の減少は、主として為替レートの変動
によるものである。
2017年12月31日現在、メキシコ中央銀行の外貨準備高は、2016年12月30日現在の外貨準備高と比べて3.7
十億米ドル減少した。メキシコ中央銀行の対外純資産も、2016年12月30日現在の金額より2.6十億米ドル減
少した。メキシコ中央銀行の外貨準備高および対外純資産の変動は、主として過年度とは異なり、石油貿
易収支の悪化を反映して、2017年にはペメックスがメキシコ中央銀行に米ドルを売却しなかったという事
実によるものである。
2018年12月31日現在、メキシコ中央銀行の外貨準備高は、2017年12月31日現在の外貨準備高と比べて
1,807百万米ドル増加し、メキシコ中央銀行の対外純資産は、2017年12月31日現在の金額より617百万米ド
ル増加した。メキシコ中央銀行の外貨準備高および対外純資産の変動は、主として為替レートの変動によ
るものである。
2019年12月31日現在、メキシコ中央銀行の外貨準備高は、2018年12月31日現在の外貨準備高と比べて
6,140.4百万米ドル増加し、メキシコ中央銀行の対外純資産は、2018年12月31日現在の金額より8,115.9百
万米ドル増加した。メキシコ中央銀行の外貨準備高および対外純資産の変動は、主として対外資産の評価
額の変動によるものである。
2020年12月31日現在、メキシコ中央銀行の外貨準備高は、2019年12月31日現在の外貨準備高と比べて
14.9百万米ドル増加し、メキシコ中央銀行の対外純資産は、2019年12月31日現在の金額より14.8百万米ド
ル増加した。
⑥ メキシコに対する外国投資
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メキシコは、中国、中東欧諸国など、諸外国との間で外国投資争奪戦を繰り広げている。政府は自国経
済の競争力と生産性の改善により、今後も引続き外国投資を呼び込むことができると考えている。
外国投資政策
メキシコの外国投資法（ Ley de Inversión Extranjera ）により、メキシコに対する外国投資を奨励し、
メキシコ向け外国投資に対して一定の限定的制限を課すことを意図した法的枠組みが制定された。例え
ば、外国投資法では、所定の条件を満たす場合はメキシコ企業の株式資本の100％を外国人投資家が保有す
ることが認められている。外国投資法はまた、政府またはメキシコ人投資家に独占的に留保される特定の
経済活動をも細かく規定している。また、同法は、外国投資委員会の承認を得ることなく、投資総額に占
める外資比率が10％、25％、30％または49％のいずれかを超えてはならない特定の活動を定めている。
また、外国投資法は、外国人投資家に対して、一定の条件が満たされていることを条件に、メキシコ企
業により発行され、メキシコ証券取引所において取引されている持分証券に基づく普通参加証券として知
られる、メキシコ人投資家に限定される証券を購入することを認めている。経済省の承認を得て、メキシ
コの銀行は投資信託を組成することができ、銀行は受託者として外国人投資家に代わってかかる制限付持
分証券を購入する。これらの投資信託は、外国人投資家が取得可能で、かつその保有者に経済的権利のみ
を付与する普通参加証券を発行する。一切の議決権は、受託者によってのみ行使が可能である。
2013年から2018年までの間、以前は経済省の管轄下に置かれていた公益信託であるプロメヒコ
（ProMéxico）は、複数年にわたる投資により87,932百万米ドルを誘致し、316,067件の雇用を創出し、
5,028件の輸出プロジェクトを推進し、288件のプロジェクトによる外国市場における財およびサービスの
生産または提供を実現した。2019年５月、プロメヒコは解散し、信託はその責任を経済省および外務省に
移管された。
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メキシコに対する外国直接投資
2016年から2020年までのメキシコに対する累積外国直接投資（国家外国投資登録簿（ Registro Nacional
de Inversiones Extranjeras ）に登録されていない外国直接投資を除く。）は、総額約29.1十億米ドルで
あった。
2020年のメキシコに対する外国直接投資の部門別内訳は次のとおりである。
2020 年部門別外国投資
部門
割合（％）
農業、畜産業、漁業および林業 0.5
事業支援サービス 51.2
商業 7.7
建設業 1.6
教育サービス 0.0
電気および水道業 1.4
金融サービス業 23.2
保険サービス 0.1
製造業 40.6
マスメディア 4.3
鉱業 4.6
その他サービス 0.2
専門的サービス 1.0
不動産および賃貸サービス業 1.3
娯楽サービス 0.1
宿泊施設業 3.6
輸送業 9.8
出典： 経済省
暫定値によると、2019年と比較して、2020年の外国直接投資（メキシコ国内の土地、建物または工場な
どの不動産への投資を含む。）は14.7％減少し、国外で募集された有価証券を含むメキシコ企業の株式、
社債、商品または金融市場商品の購入といった外国証券投資による流入は24.6％増加した。
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以下の表は、国別に示した国家外国投資登録簿に記載されているメキシコへの外国直接投資、ならびに
2016年１月１日から2020年12月31日までの累積額を示したものである。
(1)
外国直接投資
(2) (2)
2020年における外国直接投資 2016-2020年の累積額
（単位：百分比を除き、百万米ドル）
米国 11,355.8 39.1％ 62,369.0 38.5 ％
カナダ 4,224.3 14.5 ％ 16,557.2 10.2 ％
スペイン 3,998.8 13.8 ％ 19,169.5 11.8 ％
ドイツ 1,024.1 3.5 ％ 12,820.7 7.9 ％
日本 1,218.6 4.2 ％ 9,378.0 5.8 ％
フランス 280.2 1.0 ％ 2,952.2 1.8 ％
英国 939.0 3.2 ％ 3,313.5 2.0 ％
ブラジル 346.7 1.2 ％ 1,542.0 1.0 ％
スイス 534.5 1.8 ％ 2,771.7 1.7 ％
ルクセンブルク 15.5 0.1 ％ 362.4 0.2 ％
5,142.0 17.7 ％ 30,938.8 19.1 ％
その他
20,079.4 100.0 ％ 162,175.0 100.0 ％
合計
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 国家外国投資登録簿に登録されていない外国直接投資を除く。
出典： 国家外国投資委員会
⑦ 多国間金融機関への加盟
メキシコは、現在、カリブ開発銀行、中米経済統合銀行、 EBRD 、地球環境ファシリティ、 IADB 、 IMF 、ア
ンデス開発公社、北米開発銀行、特別開発基金、 OECD 、金融安定委員会、 グローバル・ファイナンシャ
ル・イノベーション・ネットワーク 、 国際農業開発基金、 WTO 、世界税関機構ならびに世界銀行（国際開
発協会および国際金融公社を含む。）といった国際金融機関に加盟している。
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⑧ 為替管理および為替レート
外国為替政策
外国為替委員会（ Comisión de Cambios ）は、財務省およびメキシコ中央銀行の職員で構成されており、
為替政策ならびにメキシコの外貨準備高の蓄積に関する方針に責任を負っている。外国為替委員会は、 (1)
IMF 、国際的な金融協力機関、中央銀行、金融問題について権限を行使する外国法人および通貨規制を目的
とする外国金融機関からの借入を承認し、 (2) メキシコ中央銀行の外国為替オペレーションの基準を設定
し、 (3) 外国為替レートを決定し、 (4) 開発銀行が行う為替リスクを伴う能動的・受動的取引額に限度額を
設定し、 (5) 国際的な準備資産の管理および評価を行うための指針を制定する。外国為替委員会は、為替
レートが市場原理（変動金利制または自由変動相場制）により決定されることを義務づけている。
政府は、純国内信用の拡大について四半期ごとの目標額を直接設定している。「純国内信用」は、マネ
タリー・ベース（流通通貨＋市中銀行のメキシコ中央銀行預け金）変動額からメキシコ中央銀行の「対外
純資産」変動額を差し引いた値と定義されている。また、「対外純資産」とは、メキシコの外貨準備高の
総額に、諸外国の中央銀行との融資協定から発生した期日が６カ月を超える資産を加え、その合計から (1)
IMF への債務残高および (2) 諸外国の中央銀行との融資協定から発生した期日が６カ月未満の負債を差引い
たものと定義される。
外国為替委員会は、入札による米ドルの売却を通じて、メキシコの外貨準備高蓄積率を抑制するため、
複数のメカニズムを採択した。これには、 2017 年に実施された、メキシコ・ペソで決済されるノンデリバ
ラブル・フォワード取引の入札からなる外国為替市場のメカニズムを通じて行われるものが含まれる。外
国為替市場メカニズムは、市場参加者に外国為替リスク・エクスポージャーを軽減するための為替ヘッジ
手段を提供する一方で、現地の為替市場を維持することを目的としている。最大プログラム規模は 20 十億
米ドルである。外国為替委員会は、例外的な状況においてはその裁量により為替市場に再び介入すること
ができる。
2020 年３月 19 日、メキシコ中央銀行と米国連邦準備制度理事会は、世界の資金調達市場における緊張を
緩和するための流動性の安全装置として 60.0 十億米ドルを上限とする一時的な米ドル流動性スワップライ
ン取決めを設定した。メキシコ中央銀行の外国為替委員会は、 2020 年３月 30 日にこの協定を起動し、 2020
年４月１日にメキシコの与信機関の間で初の 84 日満期で最大 5.0 十億米ドルの米ドル信用オークションを実
施した。 2020 年６月 22 日、外国為替委員会は、４月の入札からの満期を更新するためスワップラインによ
る資金を利用すること、および米ドルの追加流動性を提供することを意図された２件の米ドル資金調達オ
ペレーションを発表した。これに従って、メキシコ中央銀行は、 2020 年６月 24 日に 7.0 十億米ドル、 2020 年
６月 29 日に 4.0 十億米ドルを提供した。 2020 年９月 11 日、外国為替委員会は、６月の入札からの満期を更新
するためスワップラインによる資金を利用すること、および米ドルの追加流動性を提供することを意図さ
れたさらに２件の米ドル資金調達オペレーションを発表した。これに従って、メキシコ中央銀行は、 2020
年９月 15 日に 5.0 十億米ドル、 2020 年９月 21 日に 2.5 十億米ドルを提供した。これらのオペレーションはい
ずれも 84 日満期である。
2020 年 12 月７日、外国為替委員会は、ドル建の信用オークションを発表した。このオークションは、世
界の資金調達市場の緊張を緩和するための流動性の安全装置として 2020 年３月 19 日に設定された最大 60 十
億米ドルの一時的な米ドル流動性スワップライン取決めからの資金を利用する予定である。 2020 年 12 月９
日および同 12 月 14 日、メキシコ中央銀行は、 2020 年９月に実施された２件のスワップ・オペレーションの
満期を更新するため、 1.5 十億米ドルの募集を行った。
2021 年３月１日、メキシコ中央銀行の外国為替委員会は、 2020 年 12 月に実施された２件のスワップ・オ
ペレーションの満期を更新するために 2020 年３月 19 日に設定された最大 60 十億米ドルの一時的な米ドル流
動性スワップライン取決めからの資金を利用することを意図した２件の資金調達オペレーションを発表し
た。これに従って、 2021 年３月３日および同３月８日、メキシコ中央銀行は、それぞれ 750 百万米ドルの募
集を行った。これらのオペレーションはいずれも 84 日満期である。
外国為替レート
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メキシコ政府は、変動相場制度を維持している。ただし、メキシコ中央銀行は、変動を最小限に抑制し
秩序ある市場を維持するために、随時外国為替市場に対する介入を行っている。メキシコ政府は、為替
レー トの安定のために、メキシコ国内の銀行とその顧客との間の店頭市場における先渡取引およびオプ
ション取引を含む市場に基礎を置くメカニズムを尊重するほか、シカゴ・マーカンタイル取引所における
ペソの先物取引を認めている。さらに、メキシコ中央銀行は外国金融機関がペソ建口座を開設し、ペソの
貸借を行うことを認めている（ただし、メキシコにおける銀行業務に対する一般的な制約に服することを
条件としている。）。
2016 年 12 月 31 日現在、ペソ／米ドル間為替レートの終値は、 1.00 米ドルにつき 20.6194 ペソであり、 2015
年 12 月 31 日現在のレートと比較して 19.5 ％のペソ安であった。 2016 年にペソが対米ドルで下落したのは、
主として 2016 年 11 月の米国大統領選挙の結果を受けてのメキシコと米国の将来の関係性に関する不確実
性、米国連邦準備制度理事会による金融政策の段階的引締めの決定、 2006 年以来となる 2015 年 12 月のフェ
デラル・ファンド金利の引上げ、ならびに 2016 年６月 23 日の英国の欧州連合からの脱退（ブレグジット）
（その結果新興市場通貨への投資が減少した。）による国際金融市場のボラティリティによるものであ
る。
2016 年 11 月の米国大統領選挙の結果、ペソの価値に圧力がかかったため、ペソは 2017 年１月に下落し
た。 2017 年末までに、ペソは失われた価値の大部分を回復した。
2017 年 12 月 31 日現在、ペソ／米ドル間為替レートの終値は、 1.00 米ドルにつき 19.6629 ペソであり、 2016
年 12 月 31 日現在のレートと比較して 4.6 ％のペソ高であった。 2017 年に米ドルに対してペソ高となったの
は、主としてメキシコ中央銀行による金融政策の結果ならびに NAFTA の再交渉に対する見通しの改善および
全般的な米ドル安によるものである。
2018 年１月から４月までの期間中、米ドルの相対的価値が下落したことと USMCA 交渉の見通しが改善した
ことを受けて、ペソ高となった。 NAICM プロジェクトに関連した不確実性、ペメックスの財政に関する不確
実性、新しい経済政策および将来の信用格付、金融市場のボラティリティの高まりならびに米中間の通商
上の緊張を理由に、ペソは 2018 年末までに下落した。 NAICM に関連した政策変更に関する情報については、
「 (2) 経済－⑦経済の主要部門 － (e) 運輸および通信－航空」を参照のこと。ペメックスに関する追加情
報については、「 (2) 経済－⑦経済の主要部門－ (b) 石油および石油化学－ ( ⅲ ) ペメックス」を参照のこ
と。
2018 年 12 月 31 日現在、ペソ／米ドル間為替レートの終値は、 1.00 米ドルにつき 19.6512 ペソであり、 2017
年 12 月 31 日現在のレートと比較して 0.1 ％のペソ高であった。 2018 年に米ドルに対してペソ高となったの
は、主として米国連邦準備制度理事会の金融正常化政策によるものであり、この政策により米ドル安とな
り、国内の金融市場のボラティリティは弱まった。
2019 年上半期、メキシコ中央銀行の理事会が実施した金融政策措置、国内市場の変動性の低下、米国に
おける中長期金利の低下、米中間の貿易紛争の緩和およびグローバル金融市場の投資家におけるリスク選
好度の高まりにより、ペソの価値は上昇した。 米国のイールドカーブに沿った国債金利の大幅な引下げと
ともに、先進諸国におけるより緩和的な金融政策もまた、ペソ高に貢献した。
しかし、米国との貿易緊張の高まりならびにメキシコおよびペメックスの信用格付の引下げを含む自国
および世界的なリスクから、 2019 年を通じてペソの変動期につながった。６月末から９月初めにかけて、
主として米中間の貿易摩擦の復活と米国の金利の下方修正により、世界的なリスクに対する選好度が低下
したため、ペソ安となった。
2019 年第４四半期には、前３四半期と比較してペソ高となった。第４四半期におけるペソ高に貢献した
要因としては、 10 月に米国がより緩和的な金融政策のスタンスをとり、その後の米ドル安につながったこ
と、米中間での通商協定の「フェーズⅠ」の締結を含め両国間の商業貿易の緊張が弱まったこと、ならび
に米国が USMCA を批准したことなどの結果、投資家の間にリスク選好度が高まったことがあげられる。
2019 年 12 月 31 日現在、ペソ／米ドル間為替レートの終値は、 1.00 米ドルにつき 18.8642 ペソであり、 2018
年 12 月 31 日現在のレートと比較して 4.0 ％のペソ高であった。
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2020 年 12 月 31 日現在、ペソ／米ドル間為替レートの終値は、 1.00 米ドルにつき 19.9087 ペソであり、 2019
年 12 月 31 日現在のレートと比較して 5.5 ％のペソ安であった。 2020 年 12 月 31 日にメキシコ中央銀行が公表し
た ペソ／米ドル間為替レート（２営業日後より有効）は、 1.00 米ドルにつき 19.8570 ペソであった。
2021 年４月５日現在、ペソ／米ドル間為替レートの終値は、 1.00 米ドルにつき 20.2483 ペソであり、 2020
年 12 月 31 日現在のレートと比較して 1.7 ％のペソ安であった。 2021 年４月５日にメキシコ中央銀行が公表し
たペソ／米ドル間為替レート（２営業日後より有効）は、 1.00 米ドルにつき 20.2550 ペソであった。
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以下の表は、各表示期間について、メキシコ国内においてペソで支払われる米ドル建債務の支払のため
の、メキシコ中央銀行が公表した日々のペソ / 米ドル為替レートを示したものである。
為替レート
代表的な市場レート
期末現在 平均
（１米ドル当たりペソ）
2016 年 20.6194 18.6908
2017 年 19.6629 18.9197
2018 年 19.6512 19.2421
2019 年 18.8642 19.2573
2020 年 19.9087 21.4936
2021 年：
１月 20.2248 19.9215
２月 20.9390 20.3097
３月 20.4400 20.7555
出典： メキシコ中央銀行
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(4) 【通貨・金融制度】
メキシコの金融制度は、商業銀行、開発銀行、証券売買仲介業者、ならびに保税倉庫、保証会社、債権買
取会社、金融リース会社、外国為替取扱業者、保険会社、多目的金融機関、クラウドファンディング機関お
よび電子決済機関といったノンバンク機関、ならびに限定的ではあるが公益信託で構成されている。
2020年３月11日、金融包摂のための全国評議会（ Consejo Nacional de Inclusión Financiera 、CONAIF）
および金融教育委員会（ Comité de Educación Financiera 、CEF）は、金融包摂のための国家政策（ Política
Nacional de Inclusión Financiera 、PNIF）を提示した。この政策は、社会的流動性、経済成長および国民
の福祉に寄与することを目的として、金融システムへのアクセスの増加および効率的利用、市民の経済的金
融能力の開発ならびにユーザーのエンパワーメントを通じて、メキシコ国民の経済的健全性を強化すること
を目指している。
① 金融政策、インフレおよび金利
金融政策
メキシコ中央銀行はメキシコの中央銀行であり、その機能および管理は憲法第28条に準拠し、さらにメ
キシコ中央銀行法（ Ley del Banco de México ）の規定によって規制されている。メキシコ中央銀行の主た
る目的は、国家経済に自国通貨であるペソを供給することである。この目的を追求するために、ペソの購
買力の安定を目指すことを主な目標としている。
メキシコ中央銀行は、通貨および外国為替管理、金融派生商品の規制を含む金融制度の健全な発展、決
済制度の適切な機能ならびに金融上の公益の保護を目的とした規則を発令する権限を有している。メキシ
コ中央銀行は、とりわけ(1)通貨の発行および流通、外国為替、金融の仲介およびサービスならびに決済制
度を規制すること、(2)準備銀行および信用機関の最後の貸し手として機能すること、(3)政府に対して国
庫サービスを提供し、（メキシコの外貨準備の管理による場合を含め）政府の財務代理人として行為する
こと、(4)経済および特に財政問題について政府に助言すること、ならびに(5)IMFおよびその他の国際的金
融機関に参加することなどの機能も果たしている。
2020年12月31日現在、メキシコ中央銀行の資産は合計4,589.4十億ペソであった。
メキシコ中央銀行は、大統領が任命し、上院が承認した５人制理事会（ Junta de Gobierno ）によって運
営されている。大統領は、理事の中から理事会を主宰する総裁を任命する。現在の総裁は、アレハンド
ロ・ディアス・デ・レオン氏であり、同氏は2021年12月31日まで在任する予定である。
政府の金融政策の主要目的は、低くかつ安定的なインフレ環境を創り出すことである。これらの目的
は、物価動向を政府の金融政策の包括的な目標に一致させる金利およびインフレへの期待に影響を及ぼす
ためにメキシコ中央銀行が執る措置を通じて達成される。低くかつ安定的なインフレ環境を創り出すこと
により、メキシコ中央銀行は、持続的な成長と正規雇用の創出の双方に相応しい状況を奨励している。し
たがって、過去にメキシコ中央銀行は、(1)ペソの価値が下落し、(2)資本が流出し、または(3)インフレ率
が予測よりも高いときには、国内金融を引締めてきた。メキシコ中央銀行は、流動性規制を促進し、メキ
シコ中央銀行による日々の正味貸出量を減少させるため、預金準備率を使用している。また、メキシコ中
央銀行は、純国内貸出額の拡大について四半期毎の上限目標を設定している。
メキシコ中央銀行は、翌日物銀行間貸出金利（ Tasa de Fondeo Bancario ）を主要な金融政策の手段とし
て使用している。この政策の下では、メキシコの翌日物銀行間貸出金利は、中期インフレ予測が目標値で
ある3.0％（+/-1.0％）から外れた場合に変更される。これは、ペソの購買力の安定化を意図したものであ
る。2015年12月から2019年８月まで、メキシコ中央銀行の理事会は翌日物銀行間貸出金利の引上げを定期
的に発表してきた。しかし、2019年８月からは、理事会は一貫して翌日物銀行間貸出金利の引下げを発表
している。「マネー・サプライおよび金融貯蓄－金利」を参照のこと。
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2020年12月31日現在、中央政府の純債権と国内経済の他の部門の債権の合計額に等しいメキシコ中央銀
行の正味国内信用は、2019年12月31日現在には1,710.7十億ペソのマイナスであったのに対して、1,844.6
十億ペソのマイナスであった。
マネー・サプライおよび金融貯蓄
メキシコ中央銀行の通貨総量は、国内金融市場および海外金融市場からの通貨供給量を、いずれも居住
者による預金と非居住者による預金とに分けて計算する。通貨総量はまた、公的部門と民間部門による預
金を区別している。メキシコ中央銀行のＭ１通貨総量は、一般公衆によって保有されている紙幣および硬
貨に、(1)自国通貨および海外通貨建の当座預金、(2)有利子口座におけるペソ建預金でデビットカードの
引当とされているもの、および(3)貯蓄・貸付組合の預金を加えたものからなる。Ｍ２は、Ｍ１に、(1)銀
行預金、(2)政府発行証券、(3)企業およびノンバンク金融仲介機関によって発行された有価証券ならびに
(4)政府および退職者貯蓄制度に関連したINFONAVITによる負債を合計したものからなる。Ｍ３は、Ｍ２
に、メキシコにおいて発行された金融資産で非居住者によって保有されているものを加えたものからな
る。Ｍ４は、Ｍ３に、メキシコの銀行の外国支店および海外拠点における預金を加えたものからなる。
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以下の表は、各表示日現在のメキシコの通貨供給量Ｍ１およびＭ４を示したものである。通貨供給量の
計算方法が2018年１月31日から変更となった。新しい通貨供給量は、2016年にIMFが公表した通貨および財
政統計マニュアルならびに編集ガイドを反映したものである。新しい計算方法に従って表示するため、
2000年12月31日以降の歴史的なデータは修正再表示されている。
通貨供給量
12 月31日現在
(1) (1) (1)
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
（単位：百万名目ペソ）
Ｍ１：
現金通貨 1,261,697 1,372,884 1,494,949 1,548,852 1,905,670
当座預金
自国通貨 1,472,683 1,630,910 1,710,671 1,734,707 1,970,337
外貨 469,185 537,826 505,663 468,212 578,654
有利子自国通貨建預金 647,414 702,744 757,136 925,791
1,163,208
17,332 19,635 23,797 24,473
27,836
貯蓄・貸付組合の預金
3,868,311 4,264,018 4,492,216 4,702,035
5,645,705
Ｍ１合計
10,818,215 11,712,256 12,262,977 13,200,329
14,420,321
Ｍ４
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値
出典： メキシコ中央銀行
2020年のＭ１マネー・サプライは実質ベースで16.4％増加した。Ｍ１マネー・サプライの2020年におけ
る増加は、有利子自国通貨建預金が実質ベースで21.8％増加したこと、外貨建当座預金が19.8％増加した
こと、および現金通貨が実質ベースで19.3％増加したことによるものである。
Ｍ４通貨総量と一般公衆が保有するＭ１マネー・サプライの現金通貨部分との差額として定義される金
融貯蓄は、2020年には着実に増加した（2019年の金融貯蓄より実質ベースでは4.1％増加）。この増加は、
Ｍ４通貨総量が実質ベースで5.9％増加したことによるものである。2019年から2020年の間、メキシコ居住
者による貯蓄の伸び率は、前年が4.4％であったのに比べて、実質ベースで7.2％であった。一方非居住者
による貯蓄は実質ベースで7.5％減少した。非居住者の貯蓄が減少したのは、主に銀行における当座債権の
定期預金が実質ベースで25.0％減少し、またレポ契約の非居住者債権者による保有価額が24.0％減少した
ことによる。
2020年のマネタリー・ベース（流通通貨＋市中銀行のメキシコ中央銀行預け金）は合計2,118.2十億ペソ
で、これは2019年のマネタリー・ベース合計より名目で20.7％の増加となる。この増加は、流通現金通貨
の名目20.8％の増加と、銀行預金項目の減少（2019年の1,623.3百万ペソから2020年には1,208.8百万ペ
ソ）によるものであった。
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金利
2020年における連続的な金融政策決定において、メキシコ中央銀行は翌日物銀行間貸出金利を引下げ
た。翌日物銀行間貸出金利は、2020年２月13日の同年の第１回金融政策会議の前は7.25％であったが、
2020年９月24日の７回目の会議において4.25％に引下げられた。この決定は、COVID-19のパンデミックに
よる進行中の経済的悪影響のほか、インフレ、経済活動および金融機関に対する継続的な将来のリスク、
ならびにCOVID-19による全般的な金融の不透明性を考慮したものである。
メキシコ中央銀行は、2020年11月12日および2020年12月17日の会議において、翌日物銀行間貸出金利を
4.25％に据え置いた。これらの決定は、ペソ安のいっそうの進行、総合消費者物価指数の低下、追加的な
社会的距離措置の可能性および物流の問題によるマイナスの需給ギャップ、ならびにCOVID-19のパンデ
ミックに対応してとられた医療対策に関連したコストの上昇を考慮したものである。したがって、2020年
12月31日現在の貸出金利は、2019年12月31日現在の7.25％に対して、4.25％の水準に達した。
財務省証券の金利
メキシコの金利測定に用いられる指標のひとつは、政府が発行したゼロクーポン債である政府短期証券
（ Certificados de la Tesorería de la Federación 、 Cetes ）に付される金利である。
2016年の28日物政府短期証券の平均金利は、2015年の3.0％に対して、4.2％であった。2016年の91日物
政府短期証券の平均金利は、2015年の3.1％に対して、4.4％であった。
2017年の28日物政府短期証券の平均金利は、2016年の4.2％に対して、6.7％であった。91日物政府短期
証券の平均金利は、2016年の4.4％に対して、6.9％であった。
2018年の28日物政府短期証券の平均金利は、2017年の6.7％に対して、7.6％であった。91日物政府短期
証券の平均金利は、2017年の6.9％に対して、7.8％であった。
2019年の28日物政府短期証券の平均金利は、2018年の7.6％に対して、7.8％であった。91日物政府短期
証券の平均金利は、2018年の7.8％に対して、7.9％であった。
2020年の28日物政府短期証券の平均金利は、2019年の7.8％に対して、5.3％であった。91日物政府短期
証券の平均金利は、2019年の7.9％に対して、5.3％であった。
2020年12月31日現在の28日物政府短期証券の金利は4.2％、91日物政府短期証券の金利は4.3％であっ
た。
2021年３月31日現在の28日物政府短期証券の金利は4.1％、91日物政府短期証券の金利は4.2％であっ
た。
2020 年２月13日、メキシコ中央銀行は2020年の第１回金融政策会議を開催し、 翌日物銀行間貸出金利を
25ベーシス・ポイント引下げ、7.00％とした。かかる決定は、メキシコの将来の長期的成長を強化すると
いう目標をもって、メキシコの金融市場およびエネルギー市場の実績に影響を及ぼしうるCOVID-19等の外
的要因ならびにここ数四半期にわたるメキシコにおける全般的に停滞した経済活動を考慮したものであ
る。
2020年３月20日、メキシコ中央銀行は、2020年３月26日に予定されていたその金融政策の決定を前倒し
し、翌日物銀行間貸出金利を50ベーシス・ポイント引下げ、6.50％とした。メキシコ中央銀行はまた、民
間銀行に義務づける金融規制預金を2.1十億米ドル引下げ、追加的な通常流動性ファシリティにかかる金利
も引下げた。これらの決定は、複雑な世界経済の状況、および世界経済の成長見通しに深刻な影響を及ぼ
し、かつ世界の金融情勢の大幅な悪化をもたらしているCOVID-19の急速な感染拡大を考慮したものであ
る。メキシコ中央銀行は、原油をはじめとする原材料の価格の顕著な値下がりについても指摘した。
2020年９月24日、メキシコ中央銀行は、2020年の第７回金融政策会議を開催し、翌日物銀行間貸出金利
を25ベーシス・ポイント引下げ、4.25％とした。この決定は、COVID-19のパンデミックによる進行中の経
済的悪影響、ペソ安のいっそうの進行、根強いコアインフレ率の上昇、ならびにCOVID-19のパンデミック
に対応してとられた医療対策に関連した物流の問題およびコスト高を考慮したものである。
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2020年11月12日、メキシコ中央銀行は、2020年の第８回金融政策会議を開催し、翌日物銀行間貸出金利
を4.25％に据え置いた。この決定も、COVID-19のパンデミックによる進行中の経済的悪影響、ペソ安の
いっそうの進行、根強いコアインフレ率の上昇、ならびにCOVID-19のパンデミックに対応してとられた医
療 対策に関連した物流の問題およびコスト高のほか、短期・中期的に予想される一般的インフレおよびコ
アインフレのわずかな上昇を考慮したものである。
2020年12月17日、メキシコ中央銀行は、2020年の第９回金融政策会議を開催し、翌日物銀行間貸出金利
を4.25％に据え置いた。この決定は、COVID-19のパンデミックによる進行中の経済的悪影響、最近の総合
消費者物価指数の低下、インフレ予想に関して継続する不確実性、ならびに追加的な社会的距離措置の可
能性による期末までに生じる商品支出およびマイナスの需給ギャップから生じる圧力を含むインフレに影
響を及ぼす短期・中期のリスクを考慮したものである。
2021年２月11日、2021年の第１回金融政策会議を開催し、翌日物銀行間貸出金利を4.25％から25ベーシ
ス・ポイント引下げ、4.00％とした。この決定は、長期的に予想されるコアインフレ率の低下、ペソ安の
いっそうの進行および企業に対するさまざまなストレス要因を考慮したものである。
2021年３月25日および2021年５月13日、メキシコ中央銀行は、2021年の第２回および第３回の金融政策
会議を開催し、翌日物銀行間貸出金利を4.00％に据え置いた。３月25日の決定は、ペソ安のいっそうの進
行、インフレに対する外部圧力および中長期的な金利の上昇を考慮したものである。また、１月および２
月には国内の経済活動が減速し、外需は増加すると予想されるものの、予測期間にわたって十分に緩んだ
状態が予想される。５月13日の決定は、若干のペソ高および短期的な金利の上昇を考慮したものである。
経済活動は2021年第１四半期には減速したものの、2021年には高い成長率が期待される。
COVID-19 パンデミックに関する追加情報については、 「(7)その他－最近の展開－COVID-19の危機」を参
照のこと。
TIIE 金利
メキシコ中央銀行は銀行間均衡金利（ tasa de interés interbancaria de equilibrio 、以下「TIIE」と
いう。）と呼ばれる金利を公表している。TIIEは、28日物と91日物について、国内の金融市場における資
金の需要と供給が均衡に達する金利として算出される。一方、代替的な金利指標である商業銀行の定期預
金の加重平均金利（ costo porcentual promedio 、以下「CPP」という。）は、最新の市場情勢からはいく
ぶん遅行する傾向がある。
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以下の表は、表示期間についての28日物および91日物の政府短期証券、CPP、ならびに28日物および91日
物のTIIEの年平均金利を示したものである。
政府短期証券、CPPおよびTIIEの平均金利
28日物政府短 91日物政府短
期証券 期証券 CPP 28日物TIIE 91日物TIIE
2016年
１月－６月 3.6 3.8 2.4 3.9 4.0
７月－12月 4.7 4.9 2.9 5.0 5.1
2017年
１月－６月 6.4 6.6 4.0 6.7 6.8
７月－12月 7.0 7.1 4.5 7.4 7.4
2018年
１月－６月 7.5 7.6 5.0 7.8 7.9
７月－12月 7.8 8.0 5.4 8.2 8.2
2019年
１月－６月 8.0 8.2 5.7 8.5 8.5
７月－12月 7.7 7.7 6.3 8.1 8.0
2020年
１月－６月 6.3 6.3 5.3 6.7 6.6
７月－12月 4.4 4.4 3.7 4.7 4.7
2021年
１月 4.2 4.2 3.3 4.5 4.4
２月 4.1 4.1 3.3 4.4 4.3
３月 4.1 4.1 3.2 4.3 4.2
出典： メキシコ中央銀行
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② 銀行制度
メキシコの銀行制度は、信用機関法（ Ley de Instituciones de Crédito 、以下「LIC」という。）に
よって規制されており、メキシコ中央銀行、商業銀行、開発銀行および限定的ではあるが政府が創設した
公益信託からなる。LICは、メキシコにおける銀行および与信業務、とりわけ、信用機関の組織、所有およ
び経営、ならびに信用機関が実施できる業務および取引ならびにその資本構成および準備金水準を規制し
ている。LICに従って、銀行および信用サービスは、信用機関のみが提供することができる。LICでは、(1)
商業銀行および(2)開発銀行が信用機関であると規定されている。
メキシコは、2014年に金融改革を実施した。これは、金融機関の枠組み全体を強化し、競争を促進し、
金融部門全体における健全性を確保することを目的としたもので、より勢いがありかつ持続可能な与信の
提供を可能にするものである。この金融改革により、金融安定理事会（以下「FSB」という。）が提唱した
金融機関の実効的な破綻処理の枠組みの主要な特性に対するメキシコの法的枠組みの遵守度合いが高まっ
た。
メキシコの銀行制度を管轄するその他の法律には、金融グループを形成する持株会社および子会社に適
用ある統治基準を強化する金融グループ規制法（ Ley para Regular las Agrupaciones Financieras ）が含
まれる。同法に従って、一定の状況下で複数の金融サービス企業が単一のグループとして営業することが
できる。
金融テクノロジー機関規制法（ Ley para Regular las Instituciones de Tecnología Financiera 、フィ
ンテック法）は、クラウドファンディングのような金融および投資の代替的な利用手段、電子決済資金の
発行および管理ならびに仮想資産または暗号通貨の交換を提供する会社の組織、運営、役割および権限を
規制するものである。フィンテック法は、２つの新しいタイプの金融機関、すなわち、クラウドファン
ディング機関および電子決済機関を認識しているが、これらの設立および運営にはCNBVからの承認を要す
る。
国家金融サービス利用者保護委員会（ Comisión Nacional para la Protección y Defensa de los
Usuarios de Servicios Financieros 、以下「CONDUSEF」という。）は、金融機関の透明性を高め、金融機
関に対する勧告を発行、公表し、消費者との間で用いられる標準的な契約を規制し、消費者のために集団
訴訟を開始する役割を担っている。
メキシコの金融当局は、銀行の業績および過剰な与信供与を定期的に査定し、金融当局間での調整の仕
組みを強化している。
2020年３月25日、CNBVは、COVID-19のパンデミックによる経済的影響を緩和するための措置をとった。
CNBVは、メキシコの金融制度を構成する機関と共同で、消費者ローン、住宅ローンおよび商業ローンに対
する金利の支払の一部または全部を最長４カ月（さらに２カ月延長する可能性あり）繰延べるためのガイ
ドラインを採用した。
2020年３月27日、信用機関法が改正され、15歳以上の者はだれでも銀行口座を開設することができるよ
うになった。同改正前は、未成年者は法廷の後見人に自身の名義で銀行口座を開設してもらう必要があっ
た。これらの口座における預金は、政府の援助基金または雇用による給与に限定されており、オンライ
ン・バンキングを通じてのみ預託することができる。
2020年４月８日、CNBVは、COVID-19のパンデミックの経済的悪影響を緩和するため、信用機関の業務を
円滑に進め、信用フローを維持することを目的としたいくつかの措置を発表した。CNBVはまた、資本構成
にかかる信用機関に適用ある一般規定（ Disposiciones de Carácter General Aplicables a las
Instituciones de Crédito ）の一時的な修正を承認し、国際基準にかかる一定の規則の施行を延期し、発
行者に対してCNBVに対する情報提出の期限延長を承認し、提出期限を一時停止するCNBV委員長の権限を延
長した。
2020年４月30日、CNBVと財務省は、メキシコの金融機関の活動は必要不可欠であり、COVID-19のパンデ
ミック期間中営業を継続すべきであると宣言した。
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2020年６月21日、COVID-19の経済的悪影響をさらに軽減するため、CNBVは口座開設および信用付与につ
いて信用機関に義務づけられる本人確認の基準に関してより柔軟なガイドラインを一時的に認めた。
2020年６月30日、CNBVは、不適切なリスク管理、規制上の限度額を超えた与信、不適切な記録管理およ
び様々な規制規定違反の繰返しを理由として、国内の貸し手であるバンコ・アヨロ・ファムサ（ Banco
Ahorro Famsa 、以下「BAF」という。）の商業銀行ライセンスを取消した。BAFにおける貯蓄預金は、銀行
預金保険機構（ Instituto para la Protección del Ahorro Bancario 、以下「IPAB」という。）により保
護される。IPABは、多角的銀行機関（ instituciones de banca múltiple ）から毎月分割で受取る銀行預金
保護基金（ Fondo de Protección al Ahorro Bancario ）からの財源を預金の返還に充当する予定である。
このライセンス取消しを受けて、BAFの親会社である Grupo FAMSA, S.A.B. de C.V. は、メキシコにおいて
破産を、また米国においてチャプター15の破産を宣言した。
2020年９月23日、CNBVは、銀行およびその他の金融仲介機関が顧客からのローン再編申請に対応するこ
とを奨励し、これを可能にするための４つの新しい措置を実施することを決定した。これらの措置により
銀行およびその他の金融仲介機関は、(ⅰ) 契約合意の時点でより少額の特定の準備金を算出し、(ⅱ)
ローンの再編により解放された特定の準備金を追加準備金として認識し、(ⅲ) 追加準備金を補完的資本の
一部とみなしたとき、より多額の規制資本を認識し、(ⅳ) 信用リスクに対する資本要件を慎重に減額する
ことが可能になる。
2020年11月13日、CNBVは、特にCOVID-19のパンデミックの経済的影響を踏まえて信用機関の顧客に資す
るため、信用再編のために設計された規制枠組みに追加を行ったことを発表した。この追加には、とりわ
け、与信の再編もしくは更新を支援する金融政策パッケージであるCOVID会計ファシリティ（ Facilidades
Contables Covid ）に類似の規則の下で、信用機関が顧客によるその枠組みの更新もしくは再編を可能に
し、信用調査機関に「ソフトマーク」またはマークなしを報告することを可能にすることが含まれてい
た。
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商業銀行
LICに従って、商業銀行は、商業銀行として組織され運営するために政府から認可を受けなければならな
い。認可は、CNBVの理事会の事前承認およびメキシコ中央銀行の賛成意見をもって、CNBVにより付与され
る。かかる認可は、その特殊性により譲渡不能である。
外国の金融業者は、支店ではなく子会社を通じてメキシコにおいて業務を行う。よって、メキシコにお
いて業務を行う銀行はすべて、現地で設立され、現地の規則および監督の対象となる独立した法主体であ
る。破綻処理制度は、外国銀行の子会社を含めメキシコにおいて設立されたすべての商業銀行に適用され
る。
以下の表は、商業銀行制度の業績測定の尺度の抜粋を示したものである。
商業銀行制度
12 月31日現在
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
(1)
（ 単位：十億ペソ）
ローン・ポートフォリオ合計 4,122.1 4,506.8 4,928.4 5,161.4 5,041.3
(2)
商業銀行の延滞ローン 35.1 36.9 40.5 44.1 47.5
(2)
商業銀行の貸倒引当金 46.6 48.0 53.4 55.4 61.1
(1) 2008年12月31日現在の購買力に基づく恒常ペソ。
(2) 政府介入の対象となっている銀行および特殊な状況にある銀行を除く。
出典： CNBV
2020年12月31日現在、CNBVには商業銀行50行が登録されていた。
開発銀行
開発銀行は、政府からの法的および予算上の自治権を有する連邦公共管理庁の機関である。開発銀行
は、メキシコの銀行制度の一部を構成する全国信用機関として設立されている。議会は、各開発銀行の対
象分野を決定する。開発銀行の主な目的は、それぞれの対象分野における個人および法人向けに貯蓄およ
び資金調達へのアクセスを提供すること、ならびに技術支援および訓練を提供することである。開発銀行
は、与信提供の取計らいを付託されており、金融機会の利用を拡大する新しいプログラムおよび金融商品
の開発を奨励されている。
2019年７月19日、国立貯蓄金融サービス銀行基本法（ Ley Orgánica del Banco del Ahorro Nacional y
Servicios Financieros ）の改正が官報に掲載された。これは、国立貯蓄金融サービス銀行基本法の名称を
福祉銀行基本法（ Ley Orgánica del Banco del Bienestar ）に変更し、国立貯蓄金融サービス銀行（ Banco
del Ahorro Nacional y Servicios Financieros, S.N.C. ）の名称を福祉銀行（ Banco del Bienestar,
S.N.C. ）に変更すること等を目的としている。福祉銀行は、政府の社会プログラムからの資金を透明な手
段を使って20百万人超の受益者に交付し、送金に際して最善の為替レートを提供することにより移民の特
定のニーズに対処することを意図している。
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現在、メキシコの開発銀行制度を構成する金融機関は６機関であり、中小企業、公共インフラ、外国貿
易支援、住宅、貯蓄の改善および軍隊向け与信を含む幅広い分野を対象としている。これらの機関は以下
のとおりである。
・メキシコ産業金融公社、S.N.C.（以下「NAFIN」という。）
・メキシコ公共事業銀行、S.N.C.（ Banco Nacional de Obras y Servicios Públicos, S.N.C. 、以下
「BANOBRAS」という。）
・メキシコ外国貿易銀行（ Banco Nacional de Comercio Exterior, S.N.C. 、以下「BANCOMEXT」とい
う。）
・連邦住宅公社（ Sociedad Hipotecaria Federal, S.N.C. 、以下「SHF」という。）
・福祉銀行（ Banco del Bienestar, S.N.C. 、以下「福祉銀行」という。）
・国立陸・空・海軍銀行、S.N.C.（ Banco Nacional del Ejército, Fuerza Aérea y Armada, S.N.C. 、
BANJERCITO）
BANOBRAS、NAFINおよびBANCOMEXTは、貸付残高でみるとメキシコの３大開発銀行である。NAFINの主要な
業務には、(1)中小企業向けの与信供与、(2)証券市場の発展促進、および(3)一定の国際取引における政府
の財務代理人としての業務遂行が含まれる。
BANOBRASの主要な業務には、(1)公営企業ならびに連邦、州および地方政府に対して短期、中期および長
期の資金を提供すること、ならびに(2)低所得者向け住宅融資を行うことが含まれる。
BANCOMEXTの主要業務には、(1)輸出入関連の与信供与、および(2)民間・公的部門の法人向けの外国貿易
促進のための保証提供が含まれる。 BANCOMEXTの国際貿易および国際投資の業務の一部は、以前は経済省の
管轄下に置かれていた公益信託であるプロメヒコ（ ProMéxico ）によって2019年５月まで運営されていた。
プロメヒコに関する情報については、「(3)貿易及び国際収支－⑥メキシコに対する外国投資－外国投資政
策」を参照のこと。
政府は、各開発銀行の株式資本の大部分を保有している。また、NAFIN、BANOBRASおよびBANCOMEXTの設
立準拠法に基づき、政府はこれらの開発銀行が外国の民間企業や政府機関、政府間機関等との間で行う取
引について常に責任を負う。こうした法律上の責任は、各開発銀行と非メキシコ個人の間の取引には及ば
ない。政府の法律上の責任を実行するための具体的な手続きまたは期間はない。また、政府の法律上の責
任は法律および予算上の制約に従う。
以前、貯蓄金融サービス銀行（ Banco del Ahorro Nacional y Servicios Financieros ）と呼ばれていた
福祉銀行は、透明性のある方法を利用して政府の社会プログラムから20百万人を超える受益者に資金を提
供し、送金に最善の為替レートを提供することにより移民の特定ニーズに対処することを目的としてい
る。
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③ 銀行の監督および支援
国家銀行証券委員会
LICに基づき、CNBVは商業銀行および開発銀行の多角的銀行機関としての経営を授権し、それらの監督に
ついて責任を負う。CNBVは、臨検を行い、LICまたはそれに基づく規則に対する銀行の遵守違反について制
裁を課す権限を有している。CNBVはまた、金融持株会社、銀行および証券売買仲介業者を監督し、経営介
入（ intervención ）または清算（ resolución ）を宣言し、持株会社または事業会社のいずれかのレベルで
金融グループを管理する権限を有している。
銀行監督政策
政府は銀行制度を監督する様々なプログラムを創設してきた。こうしたプログラムおよび施策には、と
りわけ、金融持株会社の活動におけるCNBVの監督および介入権限の強化、ならびに米国において一般に認
められた会計原則を初めとする国際的な会計基準との整合性をより高めることを目的としたメキシコの商
業銀行および開発銀行に適用される会計慣行のCNBVによる重要な変更の採択が含まれる。
違法資源取引の回避および特定に関する連邦法（ Ley Federal para la Prevención e Identificación
de Operaciones con Recursos de Procedencia Ilícita ）は、より高い違法資源利用のリスクを示す可能
性のある、非金融部門での個人間の特定取引を組織間の調整を通じて特定するための措置および手続きを
定めている。
バーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢ合意（以下「バーゼルⅢ」という。）は、適正な銀行の
資本と流動性に関する世界的な規制基準を定めるもので、メキシコにおいては2013年１月１日に効力を生
じた。2016年６月22日付の金融機関に適用される一般規定の改訂決議（ Resolución que Modifica las
Disposiciones de Carácter General Aplicables a las Instituciones de Crédito ）は、メキシコにバー
ゼルⅢの要件を完全に遵守させることを主な目的としていた。
バーゼル銀行監督委員会によって承認された未決のバーゼルⅢの金融危機後の規制改革は、2023年１月
１日に効力を生じ、今後５年間にわたって段階的に実施される予定である。メキシコ中央銀行およびCNBV
は、設定された期限内に公表された改革の実施作業を行う予定であるが、最低流動性カバレッジ比率およ
び正味安定資金調達比率など、改革に含まれる一定の基準の実施については、COVID-19パンデミックによ
り延期されている。
CNBVは、資本化指数（ Índice de Capitalización 、以下「ICAP」という。）を定期的に公表している。
多角的銀行機関のICAPは、その 信用リスク加重資産、市場リスクおよびオペレーショナル・リスクに対す
るその純資本の比率であり、想定外の損失が発生した場合の多角的銀行機関の回復力を測定することを意
図している。CNBVが設定した最低ICAPは10.5％である。2020年12月末現在、多角的銀行機関部門のICAPは
17.7％であった。その結果、多角的銀行機関は第一の「早期警戒」カテゴリーに位置付けられた。このカ
テゴリーは、当該機関が最低資本要件を満たしており、想定外の損失が生じたシナリオにおいて十分な資
本を備えていることを示している。この段階では、CNBVによる即時の監督措置は求められない。
2019 年９月19日、CNBVは、金融部門における環境および気候リスク管理に貢献し、持続可能な経済を支
援するためのメインストリーム・ファイナンスを動員するための最善の慣行を共有する66の中央銀行と監
督者のグループである気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク（NGFS）に参加した。
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2020 年３月19日、FSBはメキシコのピアレビュー・レポートを公表したが、これによりメキシコの金融当
局が、取引情報蓄積データの質、公的な透明性および分析に強く重きを置いた、取引報告、中央決済およ
びプラットフォーム上での取引にかかる包括的要件といったイニシアティブを含む、店頭デリバティブの
改革に対するG20のコミットメントの実施において進展をみせたことが判明した。このレポートはまた、コ
ミットメントを支持するためにさらなる措置が取られることがありうると結論づけたが、これには(ⅰ) 非
中央決済デリバティブの証拠金および最終資本要件を含む、残りの店頭デリバティブ改革の適時実施、
( ⅱ)市場参加者の行動の監督および強制の側面にかかるCNBVの権限の拡大、ならびに(ⅲ)メキシコの取引
情報蓄積データの外国の取引情報蓄積機関への完全な報告に対する障壁の撤廃を含む取引情報蓄積データ
の範囲の拡大およびその共有が含まれる。
2020 年６月29日、FSBは、国内外の金融制度が直面するCOVID-19のパンデミックによるリスクに関する見
通しを修正した。FSBは、 メキシコの金融制度が直面する主な金融リスクおよび非金融リスクを検討した
が、これには認識された制度的な信用リスクおよび資金調達リスクの増大が含まれる。FSBはまた、メキシ
コ中央銀行の2020年６月金融安定性報告書において公表されたストレス・テストの結果についての分析も
行い、シミュレートされたマクロ経済の悪いシナリオの下で、銀行制度はその支払能力を総計レベルで維
持するであろうと結論づけた。FSBはまた、規制限度を超えてローンを付与した結果、BAFの資本比率が規
制限度を下回ったとの情報を受けた。上記「②銀行制度」に記載したとおり、CNBVとIPABは国民の貯蓄の
利益を保護するためにこうした状況に対処する計画を立てており、この状況が金融制度の他の部分に重大
な影響を与えるとは予想されていない。 最後に、FSBは、メキシコの金融制度のより持続可能で安定した制
度への移行を促進する、持続可能な金融委員会（ Comité de Finanzas Sostenibles ）の運営規則を分析
し、これを承認した。
2020 年９月29日、メキシコ中央銀行は、2020年４月21日に発表したファシリティの期間を2021年２月28
日まで延長することを決定した。このファシリティは、(ⅰ)金融市場の秩序ある発展の促進、(ⅱ)信用供
与のルートの強化、および(ⅲ)金融制度の健全な発展のための流動性の提供を意図している。メキシコ中
央銀行とCNBVは、最初に2020年４月８日に銀行流動性規制委員会（ Comité de Regulación de Liquidez
Bancaria 、CRLB ）が発表した多角的銀行機関への流動性提供の特例期間を2021年３月１日まで延長するこ
とについても合意した。
銀行預金保険機構（IPAB）
IPABは、メキシコの銀行預金保護制度の管理にあたる政府の分権的機関である。議会は毎年IPABの純負
債を管理・返済するためにIPABに資金配分を行う。IPABの負債は公的部門の債務とはみなされない。緊急
時にIPABは議会承認を得ないで、メキシコの銀行の負債総額の６％を超過しない額を３年ごとに追加調達
することができる。国内市場における負債性証券のメキシコによる入札に加えて、IPABもメキシコ中央銀
行がメキシコにおいて実施する入札を通じて預金保険債（ Bonos de Protección al Ahorro 、以下「BPA」
という。）として知られるペソ建債券を売却する。
IPABはまた、個人または事業体あるいは銀行ごとに査定が行われる預金保険プログラムを管理してい
る。現在、預金保険額の上限は400,000UDI（ Unidades de Inversión 、以下「UDI」という。）である。UDI
とは、通貨市場において取引可能な資金の指数単位であって、インフレに日々連動するペソ建て計算単位
であり、NCPIの変動として測定される。過去10年間に、IPABは大量の商業用ローン資産売却を含むロー
ン・ポートフォリオの売却も行っている。2020年12月31日現在、IPABの収支は、前年より27.1％少ない
40,700百万ペソであった。
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銀行支援政策
政府は、経営難の銀行を支援する様々なプログラムおよび銀行制度を全般的に支援する多くの追加対策
を講じている。これらのプログラムおよび対策には、メキシコ中央銀行が導入した新しい資本準備要件を
含む、メキシコの銀行に対する資本要件の拡大、メキシコの金融機関に対する国内外からの投資許可の拡
大、延滞融資を再編するための数多くの債務者向け支援プログラムの創設、存続可能だが過小資本の銀行
を支援するための自主的なプログラムである暫定資本化プログラム（ Programa de Capitalización
Temporal de la Banca ）の創設、および銀行が米ドルの流動性ニーズを満たすことができるようにするた
めの、銀行預金保護基金（ Fondo Bancario de Protección de Ahorro 、以下「FOBAPROA」という。）を通
じた外貨信用手段の提供などが含まれる。
メキシコの破産手続きは、同じ企業グループ内の組織にかかる破産手続き機関（ procedimientos de
concurso mercantil ）およびIPABの監督下にある信用機関のための清算手続きを合わせたものである。
メキシコの銀行の破綻処理制度には、(1)貸付保証の付与および実行に対する規制（これにより与信者に
法的確実性がもたらされ、それによって与信拡大にプラスの影響があった。）、(2)審理における所要時間
を短縮することを目的とした商業的枠組み、(3)企業が同一企業グループに属する場合に商人が集団訴訟に
参加をすることを認めることによる破産手続きの合理化、ならびに(4)機関と個人の間の金融問題に関わる
訴訟について裁定制度、などがある。
金融安定審議会の検討
2017年３月30日、FSBは国内外の環境の最近の変化の分析を公表し、メキシコの経済政策およびメキシコ
の金融制度におけるリスクを検討した。FSBは、引続き財政規律および金融の安定性を優先課題とすること
を表明し、メキシコの公的債務ポートフォリオを期間、通貨および財源の面で分散化することの利点を指
摘した。FSBはまた、2016年11月の米国大統領選挙後の米国政府との対話を維持することの重要性を強調し
た。
2018年３月15日、FSBは、国内外の経済環境の最近の変化の分析を公表し、メキシコの経済政策およびメ
キシコの金融制度におけるリスクについて検討を行った。インフレ、新興経済諸国におけるより厳しい金
融状況、NAFTAの再交渉および2018年７月のメキシコの選挙の観点から、FSBは、メキシコの経済および金
融システムは国内外の複雑な環境に直面し続ける可能性が高いと予測した。FSBは、メキシコ経済が マクロ
経済基盤および構造改革の強さ、ならびに構造改革、財政再建および物価安定の確保に重点を置いた金融
政策を含む最近の政策措置を受けて、こうした複雑な環境の中で回復力を示し続けてきたことを強調し
た。
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④ 信用の産業部門別内訳
以下の表は、各表示日現在の商業銀行および開発銀行が供与した信用の産業部門別内訳を示したもので
ある。
(1)
信用の産業部門別内訳
12 月31日現在
(2)
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
（単位：十億ペソおよび全体に占める割合（％））
農業、林
業および
漁業 78.7 2 ％ 89.8 2 ％ 100.1 2 ％ 114.7 2 ％ 109.4 2 ％
工業 1,029.3 20 1,105.6 20 1,333.1 22 1,328.8 21 1,308.3 20
サービスお
よびその他
の活動 1,150.0 22 1,330.1 24 1,437.6 24 1,443.2 23 1,543.4 24
住宅信用 685.0 13 745.7 13 804.0 13 878.7 14 1,028.6 16
消費信用 724.7 14 785.0 14 804.0 13 878.6 14 1,028.6 16
統計上の
調整 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0
金融部門 493.7 10 546.6 10 637.8 11 611.6 10 501.8 8
公的部門 858.1 17 841.9 15 859.0 14 890.3 14 875.3 14
その他 27.3 1 28.3 1 7.8 0 25.4 0 0.0 0
87.5 2 98.0 2 99.1 2 87.9 1 70.7 1
対外部門
5,134.2 100 ％ 5,570.9 100 ％ 6,082.7 100 ％ 6,259.1 100 ％ 6,466.1 100 ％
合計
銀行間部
門 4.7 6.6 1.0 1.5 1.8
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 商業銀行および開発銀行の双方を含む。
(2) 暫定値。
出典： メキシコ中央銀行
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⑤ 保険会社、投資信託および補助的信用機関
連邦保険保証委員会（ Comisión Nacional de Seguros y Fianzas 、以下「CNSF」という。）は、保険保
証部門の監督を担当する分権的政府機関である。CNSFは、メキシコ保険・保証機関法（ Ley de
Instituciones de Seguros y de Fianzas ）またはその他の適用規則の遵守を怠った場合に、同部門 の機関
を検査し、制裁を課す権限を有している。
メキシコ以外の金融グループおよび金融仲介業者は、メキシコ子会社を通じて、メキシコで保険業務な
ど様々な活動に従事することが認められている。
メキシコ保険・保証機関法に従って、外国人投資家はメキシコの保険会社の資本を49％まで取得するこ
とを認められている。また、メキシコと貿易協定を締結している国に本籍を置く外国金融機関は、財務省
の承認があれば、メキシコの保険会社の資本の過半数を取得することができる。メキシコの保険会社は、
再保険取引に関してメキシコ国内外に拠点を置く仲介会社のサービスを利用することができ、また劣後債
だけでなく無議決権株式または制限付議決権株式を発行することができる。また、財務省の事前承認があ
れば、外国保険会社はメキシコに駐在事務所を設置することができる。
金融仲介業者は、補助的信用機関および活動一般法（ Ley General de Organizaciones y Actividades
Auxiliares del Crédito ）（改正済）によって統治されている。同法は、(1)財務省による事前承認なし
に、個人または事業体は金融仲介会社の払込資本の10％超を直接的・間接的に保有することはできない
旨、(2)補助的信用機関および外国為替仲介業者は、資本準備金が払込資本と同額になるまで利益の10％を
準備金に積立てなければならない旨、(3)金融リース会社は借り手が債務不履行に陥った場合、リース財の
占有回復を行うための司法救済措置を受ける権利を有する旨、(4)CNBVは、補助的信用機関が誤解を招く文
書を使用することを防止する権限を有する旨、ならびに(5)CNBVは、規制対象および規制対象外の多目的金
融機関（ sociedades financieras de objeto multiple ）の双方を検査および調査する権限を有する旨を規
定している。
海外投資家は補助的信用機関の資本を49％まで取得できる。メキシコと貿易協定を締結している国に本
籍を置く海外金融機関は、財務省が承認すれば、メキシコの補助的信用機関の資本の過半数を取得するこ
とができる。
2018年３月９日、補助的信用機関および活動一般法が改正され、フィンテック法による規制を条件に電
子的決済が認められることとなった。
投資ファンドを規制する法律である投資ファンド法（ Ley de Fondos de Inversión ）は、企業統治なら
びに内部手続きおよび内部統制の改善によって投資ファンドの規制をより効率的に行う措置をとってい
る。同法は、独立の外部監査人と投資ファンドとの相互の影響に適用される規則を制定し、公平性と利益
相反の適切な取扱いの双方の必要性を強調することにより、独立の外部監査人の役割および責任を認識し
ている。
2020年３月31日、CNSFは、保険・保証機関（ Instituciones de Seguros y de Fianzas ）と連携して、
COVID-19のパンデミックによる経済の異常事態に照らして保険・保証・金融機関向けに支払能力および資
本を保全するためのいくつかの措置を推奨した。これらの措置には、(ⅰ)株主への配当支払の差控え、
(ⅱ)2019年度および2020年度について株主に対する現金給付の移転を意味する仕組みまたは行為の制限、
ならびに(ⅲ)株主への見返りとなるような株式の買戻しまたはその他の仕組みの実施の差控えが含まれ
る。
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⑥ 金融テクノロジー
フィンテック法は、クラウドファンディングのような金融および投資の代替的な利用手段、電子決済資
金の発行および管理ならびに仮想資産または暗号通貨の交換を提供する会社の組織、運営、役割および権
限を規制するものである。フィンテック法は、新しいタイプの金融機関、すなわち、クラウドファンディ
ング機関および電子決済機関を設立している。CNBVからの承認を要するこれらの組織は、電子アプリケー
ション、インターネットまたは電子もしくはデジタル通信のその他手段などのインターフェースを通じ
て、資金調達、投資、貯蓄、支払または送金の業務を行っている。
CoDiは、モバイルデバイスによる電子送金を通じてユーザーの支払および集金の取引を容易にするデジ
タル・プラットフォームである。このプラットフォームは、銀行による利用を増やし、金融取引への幅広
い参加を奨励し、より効率的な取引を促進し、現金の利用を減らすため、2019年９月にメキシコ中央銀行
によって開始された。CoDiは、モバイル・アプリケーションの支払要求スキームの下で作動し、取引手数
料なしでリアルタイムでの支払の決済を可能にする。
2019年10月、CNBVは、企業と規制当局の間の相互作用と金融イノベーションおよび国境を超えたベス
ト・プラクティスの共有を促進する金融規制当局および関連組 織の同盟である グローバル・ファイナン
シャル・イノベーション・ネットワーク（GFIN）のメンバーとなった。
⑦ 証券市場
メキシコ証券取引所
メキシコ証券取引所（ Bolsa Mexicana de Valores 、またはBMV）は、メキシコにおける持分証券および
負債性証券の上場および取引に携わる最大の公認証券取引所である。メキシコ証券取引所において上場ま
たは取引されている有価証券には、(1)民間部門企業の株式および債券、(2)銀行が発行した持分証券また
は株式、(3)コマーシャル・ペーパー、(4)銀行引受手形、(5)譲渡性預金証書、(6)国債、ならびに(7)特別
ヘッジ商品が含まれる。メキシコ証券取引所は、公開企業（ sociedad anónima bursátil de capital
variable ）である。
2017年８月29日、財務省は、メキシコの証券市場を発展させるプログラムの一環として、新しい証券取
引所にかかる免許について公表した。新しい証券取引所機構（ Bolsa Institutional de Valores 、または
BIVA）は、2018年７月25日に運営を開始した。証券取引所機構は、公開有限会社（ sociedad anónima de
capital variable ）である。2020年12月現在、証券取引所機構は、12.0％の市場参加率と、109,223.3百万
ペソの上場有価証券を報告した。
証券市場法（ Ley del Mercado de Valores ）は、メキシコにおける有価証券の売買を管轄している。同
法には、有価証券の発行者が特定の種類の投資家のみを対象に公募を行うことを認める制限的募集
（ Oferta Restringida ）制度が規定されている。同法はまた、募集プログラムをすべての発行者が利用で
きる旨が規定され、これにより有価証券の登録手続きおよびエクイティ証券の公募を含む一定の公募が促
進されている。
証券取引所に適用される一般規定（ Disposiciones de Carácter General Aplicables a las Bolsas de
Valores ）には、証券取引所に適用される規制上の枠組みを強化する複数の措置が定められており、これに
は、証券取引所の内部統制の強化、重要な市場情報の開示にかかる規則、および 運用上の困難を抱えた証
券取引所の緊急時対応計画の設定などが含まれる。
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メキシコ証券取引所の業績
メキシコ証券取引所は、最も活発に取引されている35の株式グループに基づく株式市場指数（ Índice de
Precios y Cotizaciones 、以下「IPC」という。）を公表している。以下の表は、メキシコ証券取引所の業
績について別の２つの尺度に沿った指数を示すものである。
メキシコ証券取引所の業績
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
（単位：指数を除き、十億米ドル）
指数（ポイント） 45,642.9 49,354.4 41,640.3 43,541.0 44,066.9
時価総額 351.7 415.8 129.0 101.2 129.0
取引高 138.2 123.2 116.3 96.8 91.7
出典： メキシコ中央銀行/メキシコ証券取引所
2020年に、株式および遺産寄付証書を含む持分証券は、メキシコ証券取引所における取引の95.40％を占
めた。インフラ信託は取引高の4.59％を占め、コマーシャル・ペーパー、手形、債券および通常の参加証
書を含む固定収入証書は取引の0.01％を占めた。
2020年12月31日現在、IPCは、2019年12月31日現在の水準を1.2％上回る44,067ポイントであった。
2021年６月３日現在、IPCは、2020年12月31日現在の水準を12.2％上回る49,458ポイントであった。
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⑧ メキシコ中央銀行の貸借対照表
以下の表は、2020年12月31日現在のメキシコ中央銀行の貸借対照表を要約したものである。
連結貸借対照表
（監査済み）
（2020年12月31日現在）
（単位：百万ペソ）
資産の部 負債および資本の部
3,895,479 2,118,243
外貨準備高 マネタリー・ベース
対外資産 3,962,951 流通紙幣および硬貨 2,117,034
控除されるべき負債 (67,472) 当座勘定銀行預金 1,209
連邦政府に対する与信 0 連邦政府当座勘定預金 435,996
その他の連邦政府預金 2,050
1,778,259
金融規制債務
金融規制預金 1,470,743
政府証券 1,304,990
銀行 165,753
金融規制債券 102,262
その他の銀行預金およびレ
ポ取引による債務 205,254
石油安定化基金預金 130
金融仲介機関に対する与信
およびレポ取引による債権 643,069
IMF 22,594
特別引出権 81,755
96,976
国際的金融機関への参加 14,631 その他の負債
4,536,003
負債合計
資本金 9,658
固定資産、什器および備品 6,718 資本準備金 43,750
0
その他の資産 29,647 当期利益剰余金
当期収支 (47)
53,361
資本合計
4,589,364 4,589,364
資産の部合計 負債および資本の部合計
上記の貸借対照表は、メキシコ中央銀行法およびメキシコ中央銀行の定款に定める諸規則および要件ならびに国内
の財務情報基準に準拠して、適切な中央銀行の慣行に従って作成されている。定款第38条に従って、外貨準備は、メ
キシコ中央銀行法第19条における定義によっている。政府証券は、正味保有かつ金融規制預金控除後で表示されてお
り、レポ取引を介して購入または移転された有価証券を含まず、売り手としてのポジションがある場合には、金融規
制預金の項目に掲げる。IPAB証券は、メキシコ中央銀行が IPAB から取得した金融商品に相当する。レポ取引を通じて
金融仲介機関および債務者に付与される債権には、商業銀行、開発銀行およびレポ取引が含まれる。資本準備金は、
資産再評価準備金に相当する。
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(5) 【財政】
① 概要
メキシコの年度予算（以下「予算」という。）には、政府、その省庁および予算管理対象機関の歳入お
よび歳出が含まれる。予算は、歳入法（ Ley de Ingresos ）および連邦歳出予算（ Presupuesto de Egresos
de la Federación para el Ejercicio Fiscal 、以下「歳出予算」という。）からなる。
2020年11月６日、109の公益信託を廃止し、その他一定の公益信託を変更してこれら信託による財源の利
用をより効率的かつ透明にするため、様々な法律の改正が官報に掲載された。政府の異なる担当部門は、
改正法に定めるとおり、 信託、委任および類似の公的手段の一部であるすべての連邦の公共財源を 国庫局
（ Tesorería de la Federación ）に提出するための対応する措置をとる予定である。
予算編成
メキシコの予算編成にあたっては、すべての省庁および政府機関が参加し、調整を行うことが求められ
る。財務省は、会計年度毎に、(1)政府ならびに(2)予算に特定の法律上の承認を必要とする一定の政府機
関および生産的国有企業（以下「予算管理対象機関」という。）が翌会計年度に受領する見込みの歳入を
定める歳入法案を作成する。さらに各省庁は、財務省が設定する政策方針およびプログラム指針に基づい
て、各々の事業およびその管轄下にある全予算管理対象機関のための歳出見積りを作成する。その後財務
省は、かかる歳出請求案を審査し、政府および予算管理対象機関両者のために歳出法案を作成する。
歳入法案は議会両院に提出され可決されなければならない。議会両院により可決されると、歳入法案は
歳入法となる。これに基づき、税金およびその他の歳入を徴収するためならびに資金調達取決めを締結す
るために必要な権限が、省庁および予算管理対象機関に与えられる。
一方、歳出法案は、歳入法案とは異なり、憲法上下院の承認のみが求められている。下院により可決さ
れると、歳出法案は歳出予算になる。これに基づき、当該年度に支出する権限が省庁および予算管理対象
機関に与えられる。これらに加えて下院には、省庁および予算管理対象機関が前年度に行った歳出が記載
されている公会計（ Cuenta Pública ）を、連邦上級会計監査院（ Auditoría Superior de la Federación ）
を通じて、毎年審査しなければならない。憲法に基づき、歳出予算に盛り込まれている場合、または後日
議会により可決された法律の下で認められる場合に限り、省庁または予算管理対象機関は支出することが
できる。
公的部門の機関および公社の取扱い
公的部門全体の歳入および歳出に関する予算中の情報は、連結ベースで作成されたもので、政府、省庁
および予算管理対象機関の歳入および歳出だけでなく、その予算について法定の承認を必要としない他の
公的部門の機関および生産的国有企業（以下「運営管理対象機関」という。）の歳入および歳出も算入さ
れている。運営管理対象機関の予算は政府の審査を受ける必要があり、予算管理対象機関と同様に、すべ
ての対外資金調達について財務省の承認を得なければならない。
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財政収支報告の方式
財政収支は、政府の歳入合計から政府支出を差し引いて測定する。メキシコは、(1)公的部門の借入需要
および(2)公的部門収支を計算するにあたり、別個の方式を用いて財政収支を報告している。
メキシコは、金融資産および金融債務の正味取得とは区別される費用から収益を差引くことにより、公
的部門の借入需要を算出している。この方式は、会計年度中の変化を査定するのに用いられ、主要項目
（すなわち、公的部門の金融費用を除く。）において表示される。この公式は、連邦公的部門を対象とし
ているが、メキシコ中央銀行は除外されている。インフレ期間中には、この公式は経済に対するインフレ
の影響を評価するためにインフレ負債の構成要素を用いて修正されうる。
公的部門収支は、金融費用ではない公的部門の連結歳出から連結歳入を差引くことにより算出される。
公的部門の借入需要の方式と同様、この方式も、会計年度中の変化を査定する指標であり、主要項目にお
いて表示される。ただし、この公式は、非金融公的部門のみを対象としている。公的部門の借入需要の方
式と同様、インフレ期間中には、この公式も経済に対するインフレの影響を評価するためにインフレ負債
の構成要素を用いて修正されうる。
以下の表は、上述の主な報告方式に従い、表示年におけるメキシコの公的部門の借入需要およびメキシ
コの公的部門の財政収支の実績をGDPに対する比率で示したものである。以下の表および本項を通じて示さ
れる数値は、表示年の実質GDP数値を用いて計算されたものである。
公的部門の財政収支
（比率）
-2.5％
2016年
-1.1％
2017年
-2.1％
2018年
-1.6％
2019年
-2.9％
2020年
出典： 財務省
公的部門の借入需要
（比率）
-2.8％
2016年
-1.1％
2017年
-2.2％
2018年
-2.3％
2019年
-4.0％
2020年
出典： 財務省
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② 財政政策
政府の経済安定化戦略は、貧困率の低下ならびに雇用および経済成長率の上昇のために、歳出の効率的
な割当および歳入の拡大に重点が置かれている。経済成長および雇用機会をさらに推進するために、政府
はメキシコへの投資に纏わる障壁およびリスクを軽減し、世界市場におけるメキシコ企業の競争力を高
め、消費者のために製品およびサービスのコストを引下げることを財政政策上の主な目標としている。
これらの目標を達成するため、政府は、メキシコの税制運営の簡素化および各種税法の一貫した適用の
促進を含む多面的な計画を進めている。政府は、政府機関間の調整の拡充および公的支出の透明性向上を
通じて公的部門の効率性を高め、それによって社会の発展およびインフラの両面における支出の増加を可
能としている。政府は、引続きメキシコの株式市場および債券市場を発展させ、財政規律、石油資源の有
効利用および透明性が高く効率的な予算編成の利用を通じてマクロ経済の安定性を高めていく計画であ
る。最後に、政府は、公共政策および法の支配を推進する一方で、必要に応じた経済の各種分野の規制の
改善（または規制緩和の追求）および貿易自由化政策の策定に取り組んでいる。
2020年８月５日に官報に掲載された2020-2024年国家開発資金計画（ Programa Nacional de
Financiamiento del Desarrollo 2020-2024 、以下「PRONAFIDE」という。）により、投資および国家開発
を進めるために金融部門内に必要な資源を提供するため、政府の財政政策目標が設定されているが、これ
には資源の持続可能な利用と不平等格差の削減が含まれている。このため、PRONAFIDEは、 マクロ経済の安
定性の強化、効率的な支出、金融サービス の利用促進およびより持続可能、包括的、漸進的かつ透明性の
高い金融システムの開発など、公平な経済成長と福祉を促進するための具体的な目標を概説している。
連邦予算・財政報告責任法（ Ley Federal de Presupuesto y Responsabilidad Hacendaria ）第19条の２
は、メキシコ中央銀行の営業余剰金を(1)70％以上を以前に負担した公債の期限前償還もしくは当該年度の
資金調達所要額の減額に充当し、また(2)残りを予算歳入安定化基金の強化もしくは政府の財政状態を改善
するための資産の取得に充当する政府の義務を定めている。
政府の現在の財政政策は、増税または新税の導入および脱税の抑制ではなく、財政と金融の規律、厳格
な支出に重点を置いている。公的債務管理に関しては、政府は、固定金利の長期国内債務を優先し、堅固
で多様化した負債ポートフォリオを維持する計画である。
2020 年３月６日、独占および保護主義的慣行を禁止する憲法第28条が改正され、税金恩赦も禁止される
こととなった。
③ 予算
2020 年予算
2020年歳入法は、2019年10月18日に下院の承認を受け、2019年10月25日に上院の承認を受け、2019年11
月25日に官報に掲載された。2020年歳出予算は、2019年11月21日に下院の承認を受け、2019年12月11日に
連邦官報に掲載された。
2020年予算は、経済的・社会的影響の大きいプロジェクトへの投資を除き、公的部門の予算収支をGDPの
0.1％未満、経済的・社会的影響の大きいプロジェクトへの投資を含めた場合、公的部門の予算赤字をGDP
の2.1％と定めている。2020年歳入法の見積りは、１日当たりの石油輸出量を1.1百万バレルとする見積り
に基づくものであった。石油収入は、2019年歳入法における見積額と比べて実質ベースで8.4％の減少とな
る987.3十億名目ペソと見積もられた。また承認された非石油収入は、2019年歳入法における見積額と比べ
て3.3％の増加となる4,535.9十億ペソであった。最後に、見積非石油税収入も2019年歳入法における承認
額と比べて実質ベースで2.6％の増加となった。
2020年歳出予算は、2019年歳出予算において承認された金額と比較して実質ベースで1.6％増となる合計
6,096.3十億ペソ（合計523.4十億ペソのペメックスによる物理的投資見積額を除く。）の歳出を定めてい
る。
見積予算歳出および暫定結果の要約情報は以下の表のとおりである。
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予算歳出要約；2019年および2020年歳出予算
実績
2019年 2020年
(1) (2) (2)
2018年 2019年 予算 予算
（十億ペソ）
医療 122.2 122.6 124.3 128.8
教育 310.4 331.6 308.0 326.3
住宅および地域開発 21.3 18.0 18.8 10.9
政府債の返済 467.1 525.6 543.0 538.3
CFEおよびペメックスの債務返済 147.9 140.9 154.8 145.7
ペメックス 122.1 115.8 125.1 113.7
CFE 25.9 25.0 29.6 32.0
注：
(1) 暫定値。
(2) 2019年および2020年予算の数値は、2019年、2020年および2021年にかかる総合経済政策ガイドラインな
らびに2019年、2020年および2021年にかかる経済計画に盛り込まれた経済の前提に基づく予算上の見積り
を示している。これらの数値は、当該年の実績または更新されたメキシコの2020年経済業績予測を反映す
るものではない。
出典： 財務省
2015年から2019年にかけて、名目ペソ建の政府債務の返済に向けられたメキシコの歳出は63.2％増加
し、年平均では13.1％の増加であった。この増加は、主に金利の上昇によるものである。特に、2018年か
ら2019年にかけては、政府債務の返済に向けられたメキシコの歳出は、主として金利が上昇した結果、
8.4％増加して666.5十億ペソとなった。
連邦予算・財政報告責任法は、一定の条件が満たされた場合、財務省を通じて行為する行政府に対し
て、2020年歳出予算により採択された歳出を上回る追加歳出を承認する権限を与えている。こうした歳出
は、予算収支にマイナスの影響がなく、予算赤字を増やすことがない場合に、承認される。
2020年予算は、政府がGDPの2.9％に相当する532.0十億名目ペソの正味対内債務を負担することを認めて
いる。2020年予算はまた、政府が5.3十億米ドルの追加の対外債務を負担することを認めているが、これに
は国際金融機関からの融資が含まれている。
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以下の表は、表示期間の予算実績を示している。また、メキシコの2019年予算および2020年予算におけ
る前提と目標も示している。
予算実績；2019年および2020年予算の前提および目標
実績
2019年 2020年
(1) (2) (2)
2018年 2019年 予算 予算
(3) (1)
実質GDP成長率（％） 2.2％ (0.1)％ 1.5-2.5％ (10.0)-(7.0)％
全国消費者物価指数上昇率（％） 4.8％ 2.8％ 3.4％ 3.5％
メキシコ産原油ミックスの平均輸出
(3)
価格（１バレル当たり米ドル） 61.41 55.53 55.00 35.00
平均為替レート
（ペソ/1.00米ドル） 19.2 19.3 20.0 22.0
28日物政府短期証券
平均利率（％） 7.6％ 7.8％ 8.3％ 5.3％
公的部門収支
（GDPに対する百分比） (2.1)％ (1.6)％ 0.0％ (0.1)％
プライマリー・バランス
(4) (1)
（GDPに対する百分比） 0.6％ 1.1％ 1.0％ 0.8％
経常収支赤字
(1)
（GDPに対する百分比） (2.1)％ (0.4)％ (2.2)％ (0.6)％
(1) 暫定値。
(2) 2019年および2020年予算の数値は、2019年、2020年および2021年にかかる総合経済政策ガイドラインな
らびに2019年、2020年および2021年にかかる経済計画に盛り込まれた経済の前提に基づく予算上の見積
りを示している。これらの数値は、当該年の実績または更新されたメキシコの2020年経済業績予測を反
映するものではない。
(3) 政府は、石油価格が2019年歳入法において前提とされた水準に関して潜在的な変動の影響を受けないよ
うにするため、ヘッジ契約を締結した。したがって、承認された歳出水準は、2019年中にペメックスが
輸出する原油の加重平均価格が2019年予算で前提とされる価格を下回ったとしても影響を受けない。
(4) ISSSTE法の改革に基づいた債券の発行に関する歳出の効果および特定のPIDIREGASの債務を公的部門債
務として認識することを含む。
出典： 財務省
インフレにかかる情報については、「(2)経済－④物価および賃金－インフレ」を参照のこと。
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2021 年予算
2020年９月８日、財務省は、2021年連邦歳入法（ Ley de Ingresos de la Federación para el
Ejercicio Fiscal de 2021 、以下「2021年歳入法」という。）案および2021年連邦歳出予算法
（ Presupuesto de Egresos de la Federación para el Ejercicio Fiscal de 2021 、以下「2021年歳出予
算」という。）案を議会に提出し、その承認を求めた。2021年歳入法は、2020年10月21日に下院の承認を
受け、2020年10月29日に上院の承認を受けた。2020年11月13日、2021年歳出予算は下院の承認を受け、効
力を生じさせるため行政府に送付された。
2021年予算は、経済的・社会的影響の大きいプロジェクトへの投資を除き、公的部門の予算収支をGDPの
0.7％未満、経済的・社会的影響の大きいプロジェクトへの投資を含めた場合、公的部門の予算赤字をGDP
の2.9％と定めている。2021年歳入法は、公的部門の予算歳入を、2020年歳入法について見積もられた公的
部門予算歳入と比較して実質ベースで2.6％減の合計5,538.9十億ペソとしている。2021年歳入法の見積り
は、１日当たりの石油輸出量を0.9百万バレルとする見積りに基づいている。石油収入は、2020年歳入法に
おける見積額と比べて実質ベースで7.9％の減少となる936.7十億名目ペソと見積もられている。また承認
された非石油収入は、2020年歳入法における見積額と比べて1.5％の減少となる4,602.2十億ペソである。
最後に、見積非石油税収入も2020年歳入法における承認額と比べて実質ベースで2.2％の減少となった。
2021年歳出予算は、2020年歳出予算において承認された金額と比較して実質ベースで8.6％減となる合計
6,295.7十億ペソ（合計544.6十億ペソのペメックスによる物理的投資見積額を除く。）の歳出を定めてい
る。
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見積予算歳出および暫定結果の要約情報は以下の表のとおりである。
予算歳出要約；2020年および2021年歳出予算
実績
2020年 2021年
(1) (1) (2) (2)
2019年 2020年 予算 予算
（十億ペソ）
医療 122.6 154.0 128.8 145.4
教育 331.6 345.0 326.3 337.9
住宅および地域開発 18.0 13.9 10.9 16.6
政府債の返済 525.6 565.6 538.3 541.1
CFEおよびペメックスの債務返済 140.9 120.5 145.7 171.6
ペメックス 115.8 97.0 113.7 141.8
CFE 25.0 23.5 32.0 29.8
注：
(1) 暫定値。
(2) 2020年および2021年予算の数値は、総合経済政策ガイドラインならびに2020年および2021年にかかる経
済計画に盛り込まれた経済の前提に基づく予算上の見積りを示している。これらの数値は、当該年の実績
または更新されたメキシコの2020年および2021年の経済業績予測を反映するものではない。
出典： 財務省
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以下の表は、表示期間の予算実績を示している。また、メキシコの2020年予算および2021年予算におけ
る前提と目標も示している。
予算実績；2020年および2021年予算の前提および目標
実績
2020年 2021年
(1) (1) (2) (2)
2019年 2020年 予算 予算
実質GDP成長率（％） (0.1)％ (8.2)％ (10.0)-(7.0)％ 3.6-5.6％
全国消費者物価指数上昇率（％） 2.8％ 3.2％ 3.5％ 3.0％
メキシコ産原油ミックスの平均輸出
(3)
価格（１バレル当たり米ドル） 55.53 35.82 35.00 42.00
平均為替レート
（ペソ/1.00米ドル） 19.3 21.5 22.0 22.1
28日物政府短期証券
平均利率（％） 7.8％ 5.3％ 5.3％ 4.0％
公的部門収支
（GDPに対する百分比） (1.6)％ (2.9)％ (0.1)％ (0.7)％
プライマリー・バランス
(4)
（GDPに対する百分比） 1.1％ 0.1％ 0.8％ 0.0％
経常収支赤字
（GDPに対する百分比） (0.4)％ 2.4％ (0.6)％ (2.0)％
(1) 暫定値。
(2) 2020年および2021年予算の数値は総合経済政策ガイドラインならびに2020年および2021年にかかる経済
計画に盛り込まれた経済の前提に基づく予算上の見積りを示している。これらの数値は、当該年の実績
または更新されたメキシコの2020年および2021年の経済業績予測を反映するものではない。
(3) 政府は、石油価格が2020年および2021年歳入法において前提とされた水準に関して潜在的な変動の影響
を受けないようにするため、ヘッジ契約を締結した。したがって、承認された歳出水準は、年度中にペ
メックスが輸出する原油の加重平均価格が2020年および2021年予算で前提とされる価格を下回ったとし
ても影響を受けない。
(4) ISSSTE法の改革に基づいた債券の発行に関する歳出の効果および特定のPIDIREGASの債務を公的部門債
務として認識することを含む。
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④ 歳入および歳出
概要
以下の表は、2013年恒常ペソによる2016年－2020年の会計年度の歳入および歳出ならびに連結公的部門
の借入所要額を示したものである。また、メキシコの2021年予算の基礎をなす前提および目標も示してい
る。
財政指標要約
2021 年
(1) (2)
2016 年実績 2017 年実績 2018 年実績 2019 年実績 2020 年実績 予算
(1)
ペソ 対GDP比 ペソ 対GDP比 ペソ 対GDP比 ペソ 対GDP比 ペソ 対GDP比 ペソ
(3)
（ 単位：十億恒常ペソ またはGDPに対する百分比）
1. 予算歳入
4,845.5 24.1 4,947.6 22.6 5,115.1 21.7 5,385.0 22.2 5,340.0 21.8% 5,538.9
連邦政府 3,571.3 17.7 3,838.1 17.5 3,871.6 16.5 4,006.1 16.4 4,088.5 16.7 4,080.2
公社および政府機関 1,274.2 6.3 1,109.5 5.1 1,243.5 5.3 1,378.9 5.6 1,251.5 5.1 1,458.7
2. 予算歳出
5,347.8 26.6 5,182.6 23.6 5,589.4 23.8 5,792.6 23.7 5,995.0 24.5 6,257.1
(a) 予算基本支出
（支払利息を除く。） 4,874.7 24.2 4,649.5 21.2 4,974.3 21.1 5,126.1 21.0 5,308.9 21.7 5,533.2
計画による 4,159.3 20.7 3,857.1 17.6 4,064.7 17.3 4,232.6 17.3 4,450.4 18.2 4,579.7
計画外 715.4 3.6 792.4 3.6 909.6 3.9 893.5 3.7 858.5 3.5 953.5
(b) 支払利息（予算部門） 473.0 2.3 533.1 2.4 615.0 2.6 666.5 2.7 686.1 2.8 723.9
3. 予算プライマリー・
バランス（1-2(a)） (29.2) (0.1) 298.1 1.4 140.8 0.6 258.8 1.1 31.0 0.1 5.7
4. 予算外プライマリー・バラ
ンス 4.2 0.0 6.7 0.0 0.6 0.0 9.1 0.0 (1.5) 0.0 0.5
5. 支払利息合計
473.2 2.4 533.3 2.4 615.3 2.6 666.6 2.7 686.2 2.8 724.4
6. 統計上の誤差脱漏 (5.6) (0.0) (9.9) 0.0 (21.1) (0.1) 5.0 0.0 (19.9) (0.1) 0.0
7. 公的部門収支（現金ベー
ス） (503.8) (2.5) (238.5) (1.1) (495.0) (2.1) (393.7) (1.6) (676.5) (2.8) (718.2)
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 2021年予算の数値は、総合経済政策ガイドラインおよび2021年にかかる経済計画に盛り込まれた経済の前提に
基づく予算上の見積りを示している。これらの数値は、2021年の実績または更新されたメキシコの2021年経済
業績予測を反映したものではない。
(3) 名目ペソによる表示。
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歳入
( ｉ)予算歳入
公的部門の予算歳入は、GDPに占める割合は過去５年間で低下してきており、2016年におけるGDPの
24.1％から2020年にはGDPの23.1％となった。
暫定値によると、公的部門の予算歳入は、2019年と比較して名目ベースで2020年には0.8％減少した。
原油収入は36.6％減少し、メキシコ産原油ミックスの平均輸出価格は35.5％値下がりした。非石油税収は
4.3％増加し、石油以外の税外収入は48.4％増加した。ぺメックスからの税外収入が公的部門の予算歳入
全体に占める割合は、2019年と比較して2.1％低下して、7.6％となった。
以下の表は、2016年から2020年にかかる公的部門予算歳入の内訳を十億ペソ単位で示したものである。
公的部門予算歳入
実績
2020 年 2021 年
(1) (2) (2)
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年 予算 予算
(3)
（単位：十億 ペソ ）
予算歳入 4,845.5 4,947.6 5,115.1 5,385.0 5,340.0 5,523.3 5,538.9
連邦政府 3,571.3 3,838.1 3,871.6 4,006.1 4,088.5 4,084.1 4,080.2
税収 2,716.2 2,849.5 3,062.3 3,202.7 3,338.9 3,505.8 3,533.0
所得税 1,420.7 1,565.8 1,664.2 1,686.6 1,760.5 1,852.6 1,908.2
付加価値税 791.7 816.0 922.2 933.3 987.5 1,007.5 978.9
消費税 411.4 367.8 347.4 460.5 460.7 515.7 510.7
輸入関税 50.6 52.3 65.5 64.7 57.9 71.0 61.6
炭化水素の探査
および採掘にか
かる税金 4.0 4.3 5.5 5.8 6.9 6.9 6.9
輸出関税 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 - -
贅沢品および
サービス n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a.
その他 37.9 43.1 57.4 51.6 65.4 52.1 66.7
税外収入 855.1 988.5 809.3 803.4 749.6 578.3 547.2
手数料および料
金 55.6 61.3 64.3 83.0 72.6 51.7 42.3
安定化と開発の
ためのメキシコ
石油基金からの
(4)
振替 307.9 442.9 541.7 431.9 198.2 412.8 343.0
過料および課徴
金 483.8 476.5 193.4 278.1 470.2 103.7 152.5
その他 7.7 7.8 9.8 10.4 8.5 10.1 9.4
公社および政府機
関 1,274.2 1,109.5 1,243.5 1,378.9 1,251.5 1,439.2 1,458.7
ペメックス 481.0 389.8 436.6 523.8 407.6 574.5 593.7
その他 793.2 719.7 806.9 855.1 843.9 864.6 865.1
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 2020年および2021年予算の数値は、総合経済政策ガイドラインならびに2020年および2021年にかかる経
済計画に盛り込まれた経済の前提に基づく予算上の見積りを示している。これらの数値は、当該年の実
績または更新されたメキシコの2020年および2021年の経済業績予測を反映するものではない。
(3) 名目ペソによる表示。
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輸出向けメキシコ産原油ミックスの平均価格が低下するなかで石油収入を確保するための政府政策に
従って、財務省は、2020年１月３日、2020年にかかる石油価格ヘッジ・プログラムを発表した。特定の価
格でのプット・オプションの購入および予算歳入安定化基金（ Fondo de Estabilización de los
Ingresos Presupuestarios 、FEIP）からの追加補償を含むこのプログラムは、石油価格が１バレル当たり
49米ドルを下回った場合の政府への影響を軽減するものである。これらの措置は、メキシコのマクロ経済
の安定性の確保および国際的な経済環境の悪化に対する財政の保護を目的としたものであった。2020年、
政府はこの年次プログラムから2,380百万米ドル受領した。これは、石油の国際価格の下落による石油収
入の落込みを補填するものであった。
(ii) 税制および税収
メキシコの連邦税体系には、主として所得税の形態による直接税ならびに主として付加価値税
（ Impuesto al Valor Agregado 、以下「VAT」という。）および消費税（生産・サービス特別税
（ Impuesto Especial Sobre Producción y Servicios 、以下「IEPS」という。）など）の形態による間接
税の双方がある。メキシコのVATは２つの固定税率で課されており、北部国境自由貿易地域では８％、そ
の他の地域では16％の定率で課税される。VATは、製造・流通チェーンを通じて消費者の購入価格の一部
に転嫁される。
所得税は個人と法人の双方に対して課税される。個人所得税は累進課税であり、年収に対して査定され
る。所得税法に従って、11の税区分に分けられている。個人所得税について４つの高率区分は、(1)年収
が約393,000ペソないし750,000ペソの個人に対する適用税率は30％、(2)年収が750,000ペソを超え、1.0
百万ペソ以内の個人に対する適用税率は32％、(3)年収が1.0百万ペソを超え、3.0百万ペソ以内の個人に
対する適用税率は34％、(4)年収が3.0百万ペソを超える個人に対する適用税率は35％である。所得税法第
９条に従って、2019年の法人所得税率は30％であった。
メキシコでは、特定の限定された支払利息にもまた源泉徴収税が課される。メキシコ企業がメキシコ非
居住者に支払う利息の源泉徴収税は、一般的に30％の税率で課税される。外国金融機関に対する支払利息
にかかる源泉徴収税は4.9％の税率で課税される。ただし、金融機関は、二重課税を回避するためのメキ
シコとの二国間租税条約締結国の居住者であること等を条件とする。金融機関がかかる要件を満たさない
場合には、適用源泉徴収税率は10％となる。ファイナンス・リースにかかる支払の利息部分には15％の源
泉徴収税が課される。
メキシコの各州は、１％から３％の範囲で給与にも課税する。また、雇用主は給与の５％相当額を住宅
基金に、２％相当額を従業員退職基金に拠出しなければならない。不動産の譲渡には不動産価格の２％か
ら５％の範囲の税率で譲渡税が適用される。
二重課税を回避し、納税者により大きな法的確実性をもたらすために多国籍企業の課税を調整するた
め、メキシコの税務当局（ Servicio de Administración Tributaria 、以下「SAT」という。）および米国
の内国歳入庁には、マキラドーラ産業における所得税移転価格にかかる合意された標準的な査定方法があ
る。この標準的な移転価格の査定方法の利用を希望する企業は、これを選択しなければならない。
2017年１月18日付の命令により、海外で６カ月間保有されている資本の本国送金を奨励するための税制
上の優遇措置が付与されている。６カ月間の保有期間中、約58十億ペソがメキシコに送金された。2017年
７月17日、このプログラムを３カ月間延長する命令が官報に掲載された。
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30年近くにわたり、メキシコは、二重課税を回避するため、92を超える諸国との間で二国間租税条約を
交渉してきた。メキシコは、2016年税源浸食と利益移転防止のための租税条約関連措置の実施に係る多国
間協定の署名国である。この協定の締結国は、税源浸食と利益移転（BEPS）プロジェクトの一環として展
開される租税条約措置の速やかな実施を可能にするため、現行の二重課税回避条約を修正することに合意
した。同プロジェクトは、税制の差異を利用した税務計画戦略を防止することを目指す100を超える国と
地域を対象とする枠組みである。2018年11月23日、締結された協定は、分析および承認のため上院に提出
されたが、未決である。
2017年10月14日、太平洋同盟の当事者は、二重課税防止協定に定める租税措置承認の協定（二重課税防
止協定）に調印した。二重課税防止協定の目的は、投資家が地域の資本市場に参加し、より多くの投資の
選択肢を利用することを奨励することである。年金基金は二重課税防止協定により居住者として認められ
ているため、二重課税回避のための現行の二国間協定の対象となる。二重課税防止協定はまた、太平洋同
盟を形成するいずれかの法域におけるかかる年金基金の投資により生じるキャピタル・ゲインに適用ある
所得税に10％の上限を設定している。2018年４月26日、上院はこの協定を承認し、2018年６月22日、官報
に掲載された。
2018年、メキシコはまた、ジャマイカ、サウジアラビア王国およびフィリピン共和国との間の二重課税
の回避および脱税の防止のための条約を公表した。2019年５月、政府はコスタリカとの間で同様の条約を
締結した。
2017年11月30日、ガソリンおよびディーゼルにかかる価格統制が自由化され、市場の力に従って価格を
設定することが認められた。また、財務省は、2017年２月18日以降公表してきた日々の燃料価格の最高値
の公表を停止した。2017年の残りの期間および2018年については、週単位の刺激策を通じて、IEPSによっ
て参照燃料価格および為替レートの変動は引続き抑えられた。これを実現するため、2017年11月29日、
2018年12月28日、2019年３月11日および2019年12月31日に、財務省は公表価格との整合性を図るため、
IEPSを通じて提供される刺激の算出方法の調整を官報において公表した。これらの調整は、IEPSに対する
週ごとの刺激の計算方法を変更させるものではない。
2019年12月31日に大統領令が公表され、これにより、一般的な刺激とガソリン、ディーゼルおよび非化
石燃料を輸入販売する納税者のための北部国境付近での刺激の双方の効力が2020年から2021年まで延長さ
れた。この大統領令により、一般的な刺激と、エネルギー規制委員会によってメキシコと米国の国境付近
に所在のガソリン・スタンドで一般市民に石油を販売することを認められた許可証保有者のための刺激の
双方の効力も2020年から2021年まで延長された。北部国境への刺激策によって、この地域の価格と米国の
近隣都市の石油価格との部分的な調和が可能になっている。
2019年12月９日、税制改革令によりメキシコの税法の一部が改正、補足された。所得税法が改正され、
とりわけ、(1)一定の支払利息の損金算入が制限され、(2)電子取引活動により得られた所得に課税がなさ
れ、(3)メキシコ国内において活動する外国人にかかる課税永住権の定義が拡大され、(4)メキシコ居住者
によるメキシコ非居住者関連当事者への支払が優遇税制の対象となっている場合に、かかる支払の控除が
制限され、(5)外国のフロースルー事業体が課税対象となり、(6)リース用不動産の建設または取得に対す
る税制上の優遇措置が上場 FIBRAS （メキシコの不動産投資信託）のみに適用され、(7)障碍者を雇用する
雇用主に対して所得税の25％追加軽減が認められた。
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付加価値税法も改正され、とりわけ、(1)メキシコ国内に恒久的施設を持たない外国人居住者によりメ
キシコ国内において提供されるすべてのデジタル・サービスに対してVATが課され、(2)非営利団体による
販売、サービスおよびリースに対するVATが免除され、(3)デジタル輸送サービス・プラットフォームを通
じた私的利用車両のプロバイダーにVATが課され、(4)外注サービス事業にかかる適用VATが６％に制限さ
れた。
また、生産・サービス特別税法（ Ley del Impuesto Especial Sobre Producción y Servicios ）も改正
され、とりわけ、タバコ製品および清涼飲料水にかかるIEPS税率が更新された。
最後に、税制改革令により、連邦財政法が改正され、とりわけ、(1)税務当局はビジネス上の根拠のな
い取引の監査中に税務上の特典をもたらす特定の活動を課税対象として再分類することができ、(2)納税
者と税務当局との間のコミュニケーションを改善するための一定の手続きが整備され、(3)税務顧問また
は納税者に報告義務が課され、(4)税務上の特典を得る目的での請求書の販売を回避する取組みの一環と
して一定の限られた状況においてある会社のパートナーまたは株主に共同税負担が課された。
2020年12月８日、税務当局の監査、レビューおよび統制の権限を強化し、納税者の不適切な慣行を削減
するため、連邦財政法が改正された。この改正には、(1)税務当局がその権限を行使する様々な期間の延
長、(2)特定の納税義務を確認するための追加的推測、(3)一定の不遵守の場合における新たな制裁、(4)
納税者とのより深いコミュニケーション、および(5)税務当局に一定の通知を行う納税者の新たな義務な
どが含まれる。
2020年12月30日、８％のVATと北部国境自由貿易地域において負担された所得税の３分の１に相当する
税額控除の双方の有効性を2024年まで延長する大統領令が公表された。同日、別の大統領令によって、
８％のVATと南部国境の一部自治体において負担された所得税の３分の１に相当する税額控除も2024年ま
で延長された。
SATは、2020年の税収が2020年歳入法において予定されていた金額を166.9十億ペソ（4.8％）下回る
3,338.9十億ペソとなったことを報告した。
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以下の表は、2016年および2020年における税収構成を示したものである。
税収の構成
（2016年および2020年）
2016年 2020年
所得税 52％ 53％
付加価値税 29 30
消費税 15 14
輸入関税 2 2
輸出関税 0 0
2 2
その他
100％ 100％
出典： 財務省
地方政府は、宿泊サービスおよび自動車所有に対して（１台目に対する連邦税に加えて）課税すること
を認められている。さらに地方政府は、アルコール飲料を販売する小売業者に現地の営業免許の取得を義
務づけることができる。その他、消費税収の一定の割合が直接州に分配されている。
歳出
暫定値によると、2020年の予算歳出は、2019年と比較してそれぞれ名目ベースで次のように増加した：
(1)公的部門予算上の正味歳出は3.5％の増加、(2)予算上の計画による正味公的部門歳出（ぺメックスに
よる物理的投資を除く。）は5.4％の増加、(3)予算上の計画による支払済み正味歳出は5.1％の増加、(4)
予算上の計画によらない支払済み正味歳出は1.0％の減少、(5)公的部門債務の資金調達コストは2.9％の
増加、ならびに(6)経済および社会開発にかかる公的部門歳出はそれぞれ1.4％の減少および7.2％の増
加。
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以下の表は、2016年－2020年の会計年度にかかる公的部門予算歳出の内訳ならびに2021年予算に盛り込
まれた歳出予定を示したものである。この表には、ペメックス、CFE、IMSSおよびISSSTEといった各種公
的機関の予算歳出も含まれている。
公的部門予算歳出
2021 年
(1) (2)
(1)
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年 予算
（単位：十億恒常 ペソ ）
予算歳出 5,347.8 5,182.6 5,589.4 5,792.6 5,995.0 6,257.1
経常歳出 4,165.8 4,391.1 4,866.1 5,061.5 5,203.2 5,466.9
給与 723.5 745.0 801.1 799.0 865.7 919.3
連邦政府 294.4 302.2 327.2 314.2 343.9 383.7
政府機関 429.1 442.8 473.9 484.8 521.9 535.6
ペメックス 135.3 136.6 148.6 144.2 152.7 159.0
CFE 87.8 90.3 95.9 99.8 105.7 109.6
IMSS 168.3 177.1 186.4 196.9 217.6 217.7
ISSSTE 37.6 38.8 43.0 44.0 45.9 49.4
利息 473.0 533.1 615.0 666.5 686.1 723.9
連邦政府 370.1 409.9 467.1 525.6 565.6 552.3
政府機関 102.9 123.2 147.9 140.9 120.5 171.6
ペメックス 86.9 101.1 122.1 115.8 97.0 141.8
CFE 16.0 22.1 25.9 25.0 23.5 29.8
IMSS 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
ISSSTE 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
経常移転、純額 1,202.0 1,163.2 1,199.5 1,278.0 1,348.4 1,391.0
合計 1,722.7 1,765.7 1,886.9 2,031.0 2,158.1 2,277.7
公的部門 520.7 602.4 687.5 753.0 809.6 886.7
州への歳入分配 693.8 772.4 844.0 879.0 843.5 921.4
取得 240.8 302.0 365.5 364.7 323.4 316.1
連邦政府 23.9 23.7 27.2 25.0 25.7 30.3
政府機関 216.9 278.3 338.3 339.7 297.7 285.8
ペメックス 7.4 6.2 5.8 4.1 4.9 5.6
CFE 142.9 201.4 258.1 257.7 205.2 187.5
IMSS 52.2 55.1 59.7 60.2 66.0 72.7
ISSSTE 14.3 15.5 14.7 17.7 21.6 20.0
その他の経常歳出 832.7 875.4 1,040.9 1,074.3 1,136.0 1,195.2
連邦政府 203.1 199.0 272.8 203.8 184.7 194.6
政府機関 629.6 676.4 768.1 870.5 951.3 1,000.5
ペメックス 56.2 46.5 40.7 36.2 32.2 27.4
CFE 50.7 45.8 70.5 71.2 101.2 68.3
IMSS 330.7 374.4 426.4 484.8 527.4 602.6
ISSSTE 192.0 209.7 230.5 278.2 290.5 302.1
資本的支出 1,182.0 791.6 723.2 731.1 791.8 828.9
連邦政府 844.3 562.6 509.3 485.3 517.8 413.9
政府機関 337.7 229.0 213.9 245.8 274.0 415.0
ペメックス 296.8 193.2 181.3 196.2 231.6 352.6
CFE 35.9 31.9 21.8 44.0 31.9 51.6
IMSS 5.1 5.5 9.7 4.5 7.7 8.7
ISSSTE 0.0 1.3 1.1 2.8 2.0
(1.6)
過年度支払債務 - - 0.0 0.0 0.0
(38.6)
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 2021年予算の数値は、2021年にかかる総合経済政策ガイドラインおよび2021年にかかる経済計画に盛り
込まれた経済の前提に基づく予算上の見積りを示している。これらの数値は、当年の実績または更新さ
れたメキシコの2021年経済業績予測を反映したものではない。予算見積りは、2020年12月現在見積もら
れた2021年についてのGDPデフレーターを用いて恒常ペソに転換されている。
出典： 財務省
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2020年、教育、医療および社会保障といった社会開発プログラムにかかる支出は合計2,856.7十億ペソ
（計画による歳出全体の64.2％）に達し、経済発展にかかる支出は合計1,167.3十億ペソ（計画による歳
出 全体の26.2％）であった。暫定値によると、農業、林業、漁業および狩猟業にかかる支出合計は、2019
年の59.7十億ペソに対して、名目ベースで合計46.2十億ペソであった。住宅および地域開発にかかる支出
は、2019年の247.7十億ペソに対して名目ベースで合計251.6十億ペソであった。
政府は、歳入のボラティリティを小さくすることを目的としたいくつかの安定化基金を創設している。
2020年12月31日現在、予算歳入安定化基金は合計で9.1十億ペソ、連邦法人歳入安定化基金（ Fondo de
Estabilización de los Ingresos de las Entidades Federativas ）は合計で2.6十億ペソであったが、メ
キシコ石油公社のインフラ投資安定化基金（ Fondo de Estabilización para la Inversión en
Infraestructura de Petróleos Mexicanos ）および年金再編支援基金（ Fondo de Apoyo para la
Reestructura de Pensiones ）には残存資金がなかった。
2016年から2020年までの間に、政府債の返済に向けられたメキシコの歳出は、名目ペソ建で45.0％、年
平均9.5％増加してきた。この増加は、主として金利の上昇によるものである。特に、2019年から2020年
にかけては、主として金利が上昇した結果、政府債の返済に向けられたメキシコの歳出は2.9％増加し
て、686.1十億ペソとなった。
医療および労働、教育、ならびにその他社会福祉に関する歳出
政府は、国内の社会サービスおよび福祉プログラムの大部分について運営にあたっている。政府は、主
に経常歳入を財源にして社会サービス・プログラムに直接資金を提供しているほか、別の収入源を有する
社会福祉機関にも資金を割当てている。暫定値によると、2020年の政府の主な社会福祉支出は、医療費、
社会保障費および教育費について利用された。
(i) 医療および労働
政府は、2020年に医療および労働部門に644.8十億名目ペソ（計画による歳出全体の14.5％）を支出し
た。主要な社会保障機関としては、IMSS、ISSSTEおよび生活保護支援国営宝くじ制度（ Lotería Nacional
para la Asistencia Pública ）が挙げられる。これらの事業体が提供するプログラムには、医療・病院関
連サービス、健康・出産保険および予防衛生サービスなどがある。政府は、より多くの国民に医療サービ
スを提供するため、各種公的機関の活動を調整し、全国医療サービス制度を組織している。
2020年５月８日、憲法第４条が改正され、社会保障を利用できない国民のために量的および質的なサー
ビスを保証するため、国民健康保険制度が確立された。
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(ii) 教育
政府は、財源の多くを教育と職業訓練に割いている。2020年、政府は教育費に767.5十億名目ペソ（計
画による歳出全体の17.2％）を支出した。18歳未満の国民、特に極貧層の国民に学習の継続を奨励するた
め、政府は、ベニート・フアレス国民福祉奨学金プログラム（ El Programa Nacional de Becas para el
Bienestar Benito Juárez ）を創設し、これまで大学で学ぶ機会がなかった人口密度の高い地域において
学位を授与する高等教育センターであるベニート・フアレス・ガルシア福祉大学（ Universidades para
el Bienestar Benito Juárez García ）を設立した。
世界銀行が公表したところのユネスコ統計研究所によると、2018年におけるメキシコの15歳以上の国民
の識字率は約95.4％であった。
メキシコの教育制度の構成は「教育連邦主義」の概念に基づいており、教育については連邦政府と州政
府がともに責任を負うというのが前提になっている。
2013年２月27日付で、教育に関する憲法改革が施行された。同改革は、メキシコの公教育制度を改善す
ることを意図するもので、学習時間の延長および学校関連のインフラの改善のための連邦予算を定めてい
る。
2019年５月15日付で効力を生じた教育制度に関するさらなる憲法改正により、連邦、州および地方自治
体レベルを含む政府は、６歳までの初等教育および大学レベルの高等教育を提供し、保証することが定め
られている。またこの 改革 により、 包括的な研修および診断評価システムを利用する教師の権利も確立さ
れた。この改革は、国家教育評価制度（ Instituto Nacional para la Evaluación de la Educación ）を
国家継続的教育改善システム（ Sistema Nacional de Mejora Continua de la Educación ）に代えるもの
で、運営および予算上の自治権を有する分権的公的機関により調整される予定である。
2019年５月の教育改革を受けて、2019年９月30日、教育基本法（ Ley General de Educación ）、 教育の
継続的改善に関するメキシコ合衆国政治憲法第３条の規制法（ Ley Reglamentaria del Artículo 3o de
la Constitución Política de los Estados Unidos Mexicanos, en materia de Mejora Continua de la
Educación ）および教師・教員のキャリアに関する一般制度法（ Ley General del Sistema para la
Carrera de las Maestras y los Maestros ）を含む複数の新法が効力を生じた。これらの法律は、教育の
受け易さ、教育制度の改善ならびに教師の支援および研修などを目的としている。
2020年５月８日、憲法第４条が改正され、貧困家庭出身の学生に対する教育を受ける権利の保証に重点
が置かれた奨学金制度が公教育制度に設けられた。
(iii) その他
政府は、メキシコの低所得者の生活状況を改善し、かつ不動産・住宅ローンの利用提供を行うため、
1972年にINFONAVITを設立した。INFONAVITは、メキシコの全雇用主による拠出金で支えられており、その
額は給与支払額合計の約５％に相当する。2020年、INFONAVITは住宅の購入、建設、補修向けに約475,245
件の融資を提供した。これに対し、2019年には約521,961件の融資を提供した。INFONAVITに関する詳細に
ついては「(2) 経済－⑥ 社会保障制度－年金および住宅基金－(ii) INFONAVIT」を参照のこと。
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⑤ 政府関係機関および公社
以下の表は、金融部門以外の主要な各政府機関および公社について、その主たる業務、政府保有比率、
規模（直近会計年度末現在の総資産に基づく）、公的部門プライマリー・バランスに対する純拠出額また
は支出額および政府の責任となる借入残高を示したものである。
(1)
2020 年12月31日現在の主な政府機関、生産的国有企業および公社
プライマリー・バ
ランスに対する
純拠出額または
政府保有
(2)
支出額
政府機関/公社 主たる業務 比率 総資産
（単位：百万米ドル）
ペメックス 原油および派 100.0 ％ 95,713.4 (4,016.2)
生品の生産、
精製および流
通
CFE 電力の生産お 100.0 ％ 108,511.4 1,180.7
よび販売
(3)
有料高速道路 100.0 ％ 280.2 14.2
連邦道路橋梁
の運営
空港および空港関連サービス 空港サービス 100.0 ％ 757.2 (4.5)
(3)
(1) 公的部門事業体に適用あるメキシコの財務報告基準に従って計算された財務データ。かかる基準は、米
国において一般に認められた会計基準および国際財務報告基準とは重要な点で異なる。したがって、
データは、本書において別途示されたメキシコの財務報告基準に従って計算された財務データとは比較
できないことがある。
(2) 政府移転後、利息支払控除後の剰余金。
(3) 国庫局への振替前の一次剰余金。
出典： 財務省
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(6) 【公債】
① 概要
メキシコのすべての公的債務借入は、連邦公債法（ Ley Federal de Deuda Pública ）またはその他特定
の法律（生産的国有企業の場合）に従って授権されまたは契約される。
連邦公債法に基づき、歳入法に盛込まれる公的借入計画は、毎年議会に提出してその承認を得なければ
ならない。これが承認されると、行政府は財務省を通じて上記議会承認のパラメーターの範囲内で資金調
達プログラムを策定する。
連邦公債法により、大統領は、(1)議会に対して年次決算を提出し歳入法を提案する際に政府および予算
管理対象機関の債務状況を毎年報告すること、ならびに(2)かかる債務状況を四半期ごとに議会に報告する
ことも要求されている。「(5) 財政－① 概要－予算編成」を参照のこと。
連邦公債法は、政府省庁が財務省を通じてのみ債務を負担することができる旨を規定している。なお、
予算管理対象機関および運営管理対象機関は、財務省の承認を取得した後、対外債務を負担することがで
きる。2014年８月のエネルギー改革の二次法令に従って、ペメックスおよびCFEはもはや対外債務を負担す
るために財務省の承認を得る必要はないが、適用ある歳入法において設定された上限を超えて債務を負担
することはできない。エネルギー改革の詳細については、「(2) 経済－⑦経済の主要部門－(b)石油および
石油化学」および「(2) 経済－⑦経済の主要部門－(h)電力産業」を参照のこと。
② 公債の分類
メキシコは、公債の分類にあたって、(1)公的部門の借入需要の残高履歴、(2)公的部門債務および(3)政
府債務という３つの尺度を用いている。
公的部門の借入需要の残高履歴は、最も広い範囲を対象とする尺度であり、公的機関および政府に代
わって行為する民間事業体の双方が公共政策の目的実現のために負担した対内債務および対外債務の純額
を把握するものである。これには、予算上の公的部門負債ならびにPIDIREGASおよび債務者の支援プログラ
ムに関連したIPABおよびFONADINの債務、ならびに公的部門の借入需要の年次推移を反映するものとして、
提供された貸出および減債基金を含む利用可能な金融資産を減額した開発銀行および開発基金の予想損益
が含まれる。
次に広い範囲を対象とする尺度は「公的部門債務」であり、(1)政府、(2)生産的国有企業、(3)予算管理
対象機関および(4)運営管理対象機関が負担した短期および長期の債務をいう。政府が保証する民間部門の
債務は、政府がかかる保証に基づく支払の履行を請求されるまでは、公的部門債務に含まれない。公的部
門債務は、対内債務または対外債務のいずれかに分類することができる。「公的部門対内債務」には、政
府、開発銀行およびその他の公企業が直接負担した債務の対内部分が含まれる。「公的部門対外債務」
は、政府が直接負担した長期債務の対外部分、予算管理対象機関および生産的国有企業が負担した対外長
期債務、運営管理対象機関（国立の開発銀行を含むがこれらに限定されない。）が直接負担したかもしく
は保証した対外長期債務ならびに公的部門の短期対外債務からなる。公的部門対外債務には、とりわけメ
キシコ中央銀行のIMFに対する買戻し債務（2019年12月31日現在残高はない。）は含まれない。「(4) 通
貨・金融制度－③銀行の監督および支援」および下表の注(1)および(2)を参照のこと。
「政府債務」は、メキシコの公債の最も狭い尺度であり、連邦の立法府および司法府、連邦行政府の省
庁および憲法上の自治機関が負担した債務ならびにかつて連邦公行政の一部であったが、後に憲法上の自
治機関に転換された組織が契約した債務からなる。公的部門債務と同様、政府債務は対内債務または対外
債務のいずれかに分類することができる。「対内政府債務」には政府債務の対内部分が含まれ、政府短期
証券および新規発行入札（一次入札）により一般に売却されたその他の有価証券からなる。対内政府債務
には、マネー・サプライ規制（ Regulación Monetaria ）に利用するためにメキシコ中央銀行に割当てられ
る債務は含まれない。また、予算管理対象機関または運営管理対象機関の債務も含まれない。2019年12月
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31日現在、対内政府債務はすべてペソ建かつペソ払いであった。「対外政府債務」には、政府債務の対外
部分が含まれている。
本「(6) 公債」において、「長期債務」とは、その満期が発行日から１年以上である債務を指し、「短
期債務」とは、その満期が発行日より１年未満である債務を指す。対内債務および対外債務の双方を対象
としている公的部門の借入需要の残高履歴を除き、公的部門債務および政府債務は本項において対内債務
および対外債務のカテゴリーで表示される。
③ 公的 部門の借入需要の残高履歴
以下の表は、表示日現在における公的部門の借入需要の残高履歴の対GDP比を示したものである。
(1)
公的部門の借入需要の残高履歴
12月31日現在
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
（対GDP比）
公的部門の借入需要の残高
履歴 48.7％ 45.7％ 44.9％ 44.5％ 52.3％
(1) 公的部門の借入需要の残高履歴は、公的機関および政府に代わって行為する民間事業体の双方が公共政策
の目的実現のために負担した債務の純額を表すものである。公的部門の借入需要の残高履歴には、予算上
の公的部門負債純額ならびにPIDIREGASおよび債務者の支援プログラムに関連したIPABおよびFONADINの債
務純額、ならびに公的部門の借入需要の年次推移を反映するものとして、提供された貸出および減債基金
を含む利用可能な金融資産を減額した開発銀行および開発基金の予想損益が含まれる。
2020年12月31日現在、公的部門の借入需要の残高履歴はGDPの52.3％で、2019年末現在から7.8パーセン
テージ・ポイント上昇した。
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④ 対内公債
公的部門対内債務
2020年予算では、それぞれ10.0十億ペソおよび9.8十億ペソを上限とする正味対内債務の負担を認められ
ているペメックスおよびCFEといった公的部門の事業体による対内債務の発行が予定されていた。
以下の表は、 各表示日現在における公的部門の対内債務総額および正味対内債務を要約したものであ
る。
公的部門の対内債務総額および正味対内債務
12月31日現在
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
（単位：百分比を除き、十億ペソ）
6,182.3 6,448.5 7,036.3 7,570.6 7,979.4
債務総額
期間別
長期 5,552.5 5,903.2 6,463.9 6,885.3 7,404.3
短期 629.7 545.3 572.3 685.4 575.1
債務者別
連邦政府 5,620.3 5,920.2 6,429.3 6,955.4 7,461.2
生産的国有企業
(ペメックスおよび
CFE) 431.2 381.6 378.1 369.7 287.4
開発銀行 130.7 146.8 228.9 245.5 230.8
172.8 163.8 168.7 382.2 380.6
金融資産
6,009.4 6,284.7 6,867.6 7,188.5 7,598.8
正味債務合計
対内債務総額/GDP 30.7％ 29.4％ 29.9％ 31.0％ 34.5％
(1)
正味対内債務/GDP 29.9％ 28.7％ 29.2％ 29.4％ 32.9％
(1) 「正味対内債務」は、表示日現在政府が直接負担していた対内債務であり、これには、メキシコ中央銀行
の一般勘定残高および退職貯蓄制度基金の資産が含まれる。正味対内債務には、予算管理対象機関および
運営管理対象機関の債務または政府が保証する債務は含まれない。また、「正味対内債務」は、新規発行
入札（一次入札）により一般に売却された政府短期証券およびその他の有価証券からなるが、マネー・サ
プライ規制（ Regulación Monetaria ）に利用するためにメキシコ中央銀行に割当てられる債務は含まれな
い。これは、マネー・サプライ規制に基づくメキシコ中央銀行による債務の売却が政府の対内債務の全体
的な水準を押上げるものではないためである。メキシコ中央銀行が流通市場において売却した割当債務
で、政府に支払のため提示されたものについては、メキシコ中央銀行はこれをメキシコ政府に弁済しなけ
ればならない。ただし、メキシコ中央銀行が割当債務の大量売却を流通市場で実施する場合、その結果政
府の対内債務残高が、その正味対内債務残高を上回る可能性がある。
2020年12月31日現在、公的部門の正味対内債務は合計7,598.8十億ペソで、これは名目ベースで2019年12
月31日現在の公的部門の正味対内債務残高より5.7％の増加であった。公的部門の対内債務総額は合計
7,979.4十億ペソで、これは名目ベースで2019年12月31日現在の公的部門の対内債務総額残高より5.4％の
増加であった。
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対内政府債務
政府は、債務の平均満期を積極的に延ばそうとしている。よって、政府は過去20年間にわたって、より
期間の長い新しい債務商品を発行してきた。それにより、政府は対内政府債務の借換え関連リスクを緩和
することを望んでいる。こうした実務慣行により、長期のベンチマーク・イールドカーブを形成すること
ができた。また、これらの発行により、(1) 固定利付契約、(2) メキシコ企業のペソ建証券、(3) メキシ
コの金融ヘッジ商品および(4) 長期貯蓄により資金手当てされる長期投資プロジェクト、などの分野で長
期的な投資が奨励された。
この債務政策の結果、政府の対内債務の平均満期は、2013年12月31日現在の平均7.9年から2020年12月31
日現在にも7.5年に維持している。
政府はまた、国内金融市場の安定化を図るため、債務の平均満期を管理する上での柔軟性を保ってい
る。
対内政府債務について、政府は現在、(1)28日物、91日物、182日物および364日物の政府短期証券、(2)
３年、10年および30年満期のUDI建証券、(3)３年、５年、10年、20年および30年満期の固定利付ペソ建債
券ならびに(4)５年物変動利付債券の証券の募集を行っている。
2016年10月28日、メキシコの独占禁止法規制当局であるCOFECEは、価格を操作し、需給について制限を
課し、市場を操作し、またはメキシコ政府が発行した債務証券の金融仲介機関において情報交換を行うこ
とについて談合が行われた可能性があるとして調査を開始した。2017年４月、COFECEは、 この市場におけ
る反競争的行為の証拠が明らかにされたと発表した。 かかる調査は現在も継続しており、2019年10月に
COFECEは、 操作的かつ独占的な慣行に責任を負っていた可能性のあるさまざまな経済主体を召喚し、それ
らに対する告発に関連する証拠を提示した 。
2020年予算では、GDP（社会的および経済的影響の大きい投資プロジェクトを除く。）の約0.1％の予算
黒字が予定されていた。また、2020年予算では、政府は532.0十億ペソを上限とする正味対内債務の新規発
行を認められていた。
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以下の表は、各表示日現在における政府の正味対内債務を要約したものである。
(1)
政府の対内債務総額および正味対内債務
12月31日現在
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
（単位：百分比を除き、十億ペソ）
債務総額
政府債券 4,915.3 87.5 ％ 5,326.0 90.0 ％ 5,837.0 90.8 ％ 6,399.6 92.0 ％ 7,008.3 93.9 ％
政府短期証券 634.7 11.3 ％ 701.6 11.9 ％ 734.5 11.4 ％ 802.6 11.5 ％ 979.0 13.1 ％
変動利付債券 397.9 7.1 ％ 471.3 8.0 ％ 548.2 8.5 ％ 642.1 9.2 ％ 804.5 10.8 ％
インフレ連動債券 1,223.5 21.8 ％ 1,397.7 23.6 ％ 1,656.0 25.8 ％ 1,737.8 25.0 ％ 1,802.2 24.2 ％
固定利付債券 2,652.1 47.2 ％ 2,747.9 46.4 ％ 2,890.3 45.0 ％ 3,209.1 46.1 ％ 3,414.4 45.8 ％
UDI債の元本分離債 7.2 0.1 ％ 7.6 0.1 ％ 7.9 0.1 ％ 8.0 0.1 ％ 8.2 0.1 ％
(2)
543.9 9.7 594.1 10.0 ％ 592.4 9.2 ％ 555.8 8.0 ％ 452.9 6.1 ％
その他
5,620.3 100.0 ％ 5,920.2 100.0 ％ 6,429.3 100.0 ％ 6,955.4 100.0 ％ 7,461.2 100.0 ％
債務総額合計
正味債務
(3)
(224.0) (205.9) (225.7) (292.6) (304.3)
金融資産
5,396.3 5,714.3 6,203.6 6,662.8 7,156.9
正味債務合計
対内債務総額の対GDP比 27.9 ％ 27.0 ％ 27.3 ％ 28.5 ％ 32.3 ％
正味対内債務の対GDP比 26.8 ％ 26.1 ％ 26.4 ％ 27.3 ％ 31.0 ％
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 対内債務の数値には、メキシコ中央銀行がマネー・サプライ規制に従って流動性水準を管理するために公開
市場操作によって売却した証券は含まれない。これは、この証券が政府の対内債務の全体的な水準を押上げ
るものではないためである。メキシコ中央銀行が流通市場に売却した割当債務で、政府に支払のため提示さ
れたものについては、メキシコ中央銀行がメキシコ政府に弁済しなければならない。ただし、メキシコ中央
銀行が割当債務の大量売却を流通市場で実施する場合、この規制の結果、対内債務残高の水準が正味対内債
務についての政府の数値に比べて高くなる可能性がある。
(2) 2016年、2017年、2018年、2019年および2020年の12月31日現在の債務額には、それぞれ147.5十億ペソ、
145.1十億ペソ、141.8十億ペソ、134.3十億ペソおよび126.5十億ペソのISSSTE法に基づく社会保障関連の負
債が含まれている。
(3) 連邦国庫の一般会計のメキシコ中央銀行におけるペソ建正味残高を含む。
出典： 財務省
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2020年12月31日現在、政府の正味対内債務は、2019年12月31日現在の政府の正味対内債務と比較して名
目ベースで7.4％の増加であった。この金額には、ISSSTE法に基づく社会保障関連の負債126.5十億ペソが
含まれている。
2020年12月31日現在、政府の対内債務総額は、2019年12月31日現在と比較して名目ベースで7.3％の増加
であった。2020年12月31日現在の政府の対内債務総額のうち、短期債務は551.5十億ペソ（2019年末は
615.8十億ペソ）であり、長期債務は6,909.6十億ペソ（2019年末は6,339.6十億ペソ）であった。
2020年における政府の対内債務の資金調達コストは、2019年の資金調達コストと比較して名目ベースで
7.1％増加した。
⑤ 対外公債
公的部門対外債務
1990年以降、公的部門の新規対外借入の大半は、証券市場で発行された負債証券である。ただし、1995
年のメキシコ金融危機の際、公的債権者および多国間機関の債権者がメキシコに多額の資金を供給した。
過去数年の政府債務方針と輸出実績が相まって、公的部門対外債務の利払いが輸出総額に占める割合は
2016年の2.1％から2020年には2.3％に上昇した。2020年の公的部門対外債務調達費用は、2019年の10.0十
億米ドルに対して名目ベースで3.2％減となる9.7十億米であった。公的部門対外債務にかかる元本および
利息支払債務のGDPに占める割合は、2019年の4.5％に対して、2020年には4.5％であった。
公的部門の正味対外債務の残高は、主として、(ⅰ)正味対外債務が14.3十億米ドル増加したこと、(ⅱ)
対外債務に関連した連邦公的部門の対外資産が1.2十億米ドル増加したこと、ならびに(ⅲ)負債管理取引お
よび債務が契約された他通貨に対する米ドルの変動を反映して4.7十億米ドルのプラスの調整が行われたこ
とによる。暫定値によると、2020年12月31日現在、公的部門対外債務総額の残高は223.6十億米ドルであ
り、2019年12月31日現在の残高204.7十億米ドルから約19.0十億米ドル増加した。このうち、217.6十億米
ドルは長期債務であり、6.1十億米ドルは短期債務であった。正味対外債務も、2020年に17.8十億米ドル増
加した。
2020年について、議会はペメックスに対して1.3十億米ドルを上限として、有価証券の発行およびソブリ
ン債務の交換または借換えによるものも含む正味対外債務を負担することを承認したが、これに対して
2019年にペメックスが負担を承認された正味対外債務の上限は5.4十億米ドルであった。2020年について、
議会はCFEに対して508.0百万米ドルを上限として正味対外債務を負担することを承認したが、これに対し
て2019年にCFEが負担を承認された正味対外債務の上限は497.5百万米ドルであった。
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以下の表は、政府および公的部門の債権者を含むメキシコの公的部門対外債務の債権者の内訳を示した
ものである。
公的部門の債権者（2020年12月31日現在）
債券の所有者 79.3％
多国間および二国間の債権者 15.1
商業銀行および供給業者 5.5
0.1
その他の債権者
100.0％
出典： 財務省
以下の表は、表示日現在におけるメキシコの公的部門対外債務の要約（その種類別内訳、通貨別内訳お
よび公的部門正味対外債務を含む。）を示したものである。
(1)
公的部門対外債務の種類別要約
(2)
12 月31日現在
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
（単位：百万米ドル）
政府の長期直接債務 88,157.0 91,072.2 95,845.6 99,573.7 112,336.0
予算管理対象機関の長期
債務 82,687.8 91,780.0 94,391.2 93,035.7 97,108.9
(3)
7,048.0 7,876.5 7,967.8 8,360.5 8,106.4
その他の長期公債
長期債務合計 177,892.8 190,728.7 198,204.6 200,969.9 217,551.3
3,093.2 3,252.5 4,150.7 3,714.4 6,097.3
短期債務合計
長期債務および短期債務
180,986.0 193,981.2 202,355.3 204,684.3 223,648.6
の合計
(1)
公的部門対外債務の通貨別要約
(2)
12 月31日現在
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
（ 単位：比率を除き、百万米ドル）
米ドル 144,184.8 79.7 ％ 148,693.6 76.7 ％ 152,597.3 75.4 ％ 147,115.4 71.9 ％ 166,745.2 74.6 ％
日本円 6,410.4 3.5 6,809.9 3.5 8,064.0 4.0 9,737.0 4.8 8,174.5 3.7
スイ
ス・フ
ラン 1,331.3 0.7 1,354.2 0.7 1,453.3 0.7 3,100.5 1.5 2,716.6 1.2
英ポン
ド 2,257.2 1.3 3,080.2 1.6 2,901.7 1.4 3,015.0 1.5 3,110.6 1.4
ユーロ 24,409.2 13.5 31,541.9 16.3 34,840.5 17.2 39,249.1 19.2 40,922.1 18.3
2,393.1 1.3 2,501.2 1.3 2,498.5 1.2 2,467.0 1.2 1,979.6 0.9
その他
180,986.0 100.0 ％ 193,981.0 100.0 ％ 202,355.3 100.0 ％ 204,684.0 100.0 ％ 223,648.6 100.0 ％
合計
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(1)
公的部門の正味対外債務
(2)
12 月31日現在
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
（単位：比率を除き、百万米ドル）
正味債務合計 177,692.5 192,344.0 201,307.3 203,708.2 221,522.0
GDP に対する対外債務総額の
比率 18.6 ％ 17.5 ％ 16.9 ％ 15.8 ％ 19.3 ％
GDP に対する正味対外債務の
比率 18.3 ％ 17.4 ％ 16.8 ％ 15.7 ％ 19.1 ％
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 米ドル以外の外貨建の対外債務は、各表示日現在の為替レートで米ドルに換算されている。公的部門対外
債務には、(a)IMFに対するメキシコ中央銀行の買戻し債務（2020年12月31日現在残高はない。）、または
(b)メキシコの公的部門の銀行に対するコモディティ・クレジット・コーポレーションからの貸付は含ま
れない。対外債務は、本表においては「総額」ベースで表示され、券面残高または額面総額による公的部
門の対外債務を含んでいる。一定の情報提供および統計上の目的から、メキシコは時に公的部門対外債務
を、海外において保有する一定の金融資産を控除した債務総額として算出される「純額」ベースで報告す
ることがある。かかる金融資産には、公的部門の事業体が保有しているが未消却のメキシコの公的部門対
外債務が含まれる。
(2) 通貨スワップの影響を反映するため調整済。
(3) 開発銀行の債務および財政が政府財政の連結対象となっているその他の運営管理対象機関の債務を含む。
出典： 財務省
対外政府債務
メキシコの対外公債の目標は、市場のボラティリティと予期せぬ展開に対処しつつ、政府が規定の需要
の資金調達において柔軟であることを目指している。かかる政策はまた、コストを維持し、リスクを安定
的な水準に維持することも目指している。メキシコは、主として自国市場を通じた資金調達を目指してお
り、これを米国、ヨーロッパおよび日本からの対外資金調達で補完することとしている。対外資金調達に
関するメキシコの主たる目的としては、メキシコの対外債務の条件を改善するとともに、最も影響力のあ
る国際市場におけるメキシコの継続的なプレゼンスを特に考慮して、メキシコの投資家基盤を強化し、分
散させることが挙げられる。また、メキシコのベンチマーク債を強化すること、ならびに透明性を確保
し、メキシコへの投資を促進するため、国際的な投資家との恒常的な関係を維持することも目的に含まれ
る。
2020予算では、政府は5.3十億米ドルを上限として追加正味対外債務（国際金融機関からの対外借入およ
び国際市場における対外債務の発行を含む。）を負担することを認められた。
政府の正味対外債務は、2020年に11.7十億米ドル増加した。これは、引当金が21.6十億米ドル増加し、
償却費が12.2十億米ドル増加し、対外債務関連の対外資産が1.7十億米ドル増加したこと、ならびに他通貨
に対する米ドルの変動に関連して3.3十億米ドルのプラスの調整が行われたことによる。
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以下の表は、表示日現在における対外政府債務総額、正味対外政府債務および正味政府債務を含む、メ
キシコの対外政府債務を要約したものである。
政府の対外債務総額
12月31日現在
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
（単位：比率を除き、百万米ドル）
米ドル 67.5 76.6％ 68.0 74.7％ 70.8 73.9％ 65.1 65.4％ 76.8 68.4％
日本円 4.5 5.1 4.7 5.1 5.9 6.1 7.6 7.6 6.5 5.8
スイ
ス・
フラン - - - - - - 1.9 2.0 2.1 1.9
英ポン
ド 1.8 2.1 2.0 2.2 1.9 2.0 2.0 2.0 2.0 1.8
ユーロ 14.3 16.2 16.3 17.9 17.2 18.0 23.0 23.1 24.8 22.1
0.0 0.0 0.02 0.02 0.02 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
その他
88.2 100.0％ 91.1 100.0％ 95.8 100.0％ 99.6 100.0％ 112.3 100.0％
合計
政府正味対外債務
12月31日現在
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
（単位：比率を除き、十億米ドル）
正味債務合計 86.7 90.6 95.7 99.4 111.1
GDPに対する対外債務総額の比率 9.1％ 8.2％ 8.0％ 7.7％ 9.7％
GDPに対する正味対外債務の比率 8.9％ 8.2％ 8.0％ 7.7％ 9.6％
政府正味債務
12 月31日現在
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
対内債務 75.0％ 76.1％ 76.7％ 78.1％ 76.4％
(1)
対外債務 25.0％ 23.9％ 23.3％ 21.9％ 23.6％
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 米ドル以外の外貨建の対外債務は、各表示日現在の為替レートで米ドルに換算されている。公的部門対外債
務には、(a)IMFに対するメキシコ中央銀行の買戻し債務（2020年12月31日現在残高はない。）、または(b)メ
キシコの公的部門の銀行に対するコモディティ・クレジット・コーポレーションからの貸付は含まれない。
対外債務は、本表においては「総額」ベースで表示され、券面残高または額面総額による公的部門の対外債
務を含んでいる。一定の情報提供および統計上の目的から、メキシコは時に公的部門対外債務を、海外にお
いて保有する一定の金融資産を控除した債務総額として算出される「純額」ベースで報告することがある。
かかる金融資産には、公的部門の事業体が保有しているが未消却のメキシコの公的部門対外債務が含まれ
る。
出典： 財務省
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⑥ 負債管理および債務削減取引
メキシコは、経済成長を持続させるために商業銀行や多国間債権者と密接に協力することに積極的に取
組んでいるほか、債務削減をメキシコの主要目標の一つに掲げ、現在も掲げている。メキシコは、債務証
券の追加募集を随時行っており、またその債務残高の構成を管理するために公開買付、公開市場における
買入れおよび期限前償還を含む様々な取引に随時関与している。
過去20年間に、メキシコは、その債務残高総額を減らすため定期的な通常の負債管理取引を行ってき
た。メキシコは、未払い債務合計を削減するために、負債同士の交換を行った。かかる負債同士の交換に
基づいて、メキシコは新しい債務と交換することで既存債務の借換えを行うことができた。
2020年１月16日、メキシコは2030年満期3.250％グローバル・ノート3,069,068,000米ドルおよび2050年
満期4.500％グローバル・ノート0.8十億米ドルを発行した。それと同時に、政府は公開買付を実施し、こ
れに従ってメキシコは2020年１月６日付の買入れ申込に掲げたシリーズの未償還額について、現金での買
入れを申入れ、これに従ってメキシコは下表に掲げるノートを買入れた。公開買付の結果の概要は以下の
とおりである。
公開買付において
旧 債券のシリーズ 買戻された未償還額 公開買付後の未償還額
2022 年満期3.625％ グローバル・ボンド
141,050,000.00 米ドル 1,762,486,000.00 米ドル
2023 年満期4.000％ グローバル・ボンド
144,448,000.00 米ドル 2,973,230,000.00 米ドル
2025 年満期3.600％ グローバル・ボンド
206,716,000.00 米ドル 1,946,974,000.00 米ドル
2026 年満期4.125％ グローバル・ボンド
62,361,000.00 米ドル 2,167,698,000.00 米ドル
2027 年満期4.150％ グローバル・ボンド
425,475,000.00 米ドル 2,724,940,000.00 米ドル
2028 年満期3.750％ グローバル・ボンド
491,323,000.00 米ドル 2,063,873,000.00 米ドル
⑦ 歳入予算に占める債務の割合
12 月31日現在
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
（単位：百万ペソ）
(A) 連邦政府正味債務 7,193,008.9 7,507,461.6 8,087,259.4 8,535,443.8 9,372,426.2
国内（正味） 5,396,301.4 5,714,288.0 6,203,635.4 6,662,798.2 7,156,877.7
国外（正味） 1,796,707.5 1,793,173.6 1,883,624.0 1,872,645.6 2,215,548.5
(B) 公的部門年次歳入合
計 4,845,530.3 4,947,608.3 5,115,111.1 5,384,984.3 5,339,990.5
(A)/(B) （％） 148.45 ％ 151.74 ％ 158.11 ％ 158.50 ％ 175.51 ％
出典： 財務省
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⑧ 格付動向
2016年３月31日、ムーディーズ・インベスターズ・サービス（以下「ムーディーズ」という。）はメキ
シコのソブリン格付を「A3」に据え置いたが、アウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変更し
た。
2016年８月23日、スタンダード・アンド・プアーズ（以下「S&P」という。）は、メキシコのソブリン格
付を「BBB+」に据え置いたが、アウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。
2016年12月９日、フィッチ・レーティングス（以下「フィッチ」という。）は、メキシコのソブリン格
付を「BBB+」に据え置いたが、アウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。同社は、この
格付はメキシコの多角的な経済基盤ならびにマクロ経済上の安定および不均衡の抑制を定着させた秩序あ
る経済政策の実績によるものであると述べた。
2018年３月２日、S&Pは、外貨建債の格付を「BBB+/A-2」に、また自国通貨建債の格付を「A-/A-2」に据
え置き、アウトルックを「安定的」に据え置いた。
2018年３月16日、フィッチは、メキシコの長期ソブリン格付を「BBB+」に、また短期格付を「F2」に据
え置き、アウトルックを「安定的」に据え置いた。
2018年４月11日、ムーディーズは、メキシコのソブリン格付を「A3」に据え置いたが、長期ソブリン格
付のアウトルックを「ネガティブ」から「安定的」に変更した。
2018年11月１日、フィッチは、メキシコのソブリン格付を「BBB+」に据え置いたが、長期ソブリン格付
にかかるアウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。2019年３月１日、S&Pは、メキシコの
外貨建債の格付を「BBB+/A-2」に、また自国通貨建債の格付を「A-/A-2」に据え置いたが、アウトルック
を「安定的」から「ネガティブ」に変更した。
2019年６月５日、ムーディーズはメキシコのソブリン格付を「A3」に据え置いたが、長期ソブリン格付
にかかるアウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。
2019年６月５日、フィッチは、メキシコのソブリン格付を「BBB+」から「BBB」に格下げし、長期ソブリ
ン格付にかかるアウトルックを「ネガティブ」から「安定的」に変更した。
2020年３月26日、S&Pは、メキシコのソブリン格付を「BBB+」から「BBB」に格下げし、自国通貨建債の
格付を「A-」から「BBB+」に格下げし、アウトルックを「ネガティブ」に据え置いた。2020年12月２日、
S&Pは「BBB」の格付と「ネガティブ」のアウトルックを据え置いた。
2020年４月15日、フィッチは、メキシコのソブリン格付を「BBB」から「BBB-」に格下げし、アウトルッ
クを「安定的」に据え置いた。2020年11月11日、フィッチは、「BBB-」の格付と「安定的」のアウトルッ
クを据え置いた。
2020年４月17日、ムーディーズは、メキシコの中期的な経済成長見通しの大幅な低下とペメックスの財
政状況および経営状況の継続的な不振を理由に、メキシコのソブリン格付を「A3」から「Baa1」に格下げ
し、自国通貨建債の格付を「A3」から「Baa1」に格下げし、アウトルックを「ネガティブ」に据え置い
た。
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(1)
公的部門対外債務合計の償還スケジュール
2020 年
12月31日
(2)
現在残高 2021 年 2022 年 2023 年 2024 年 2025 年 2026 年 2027 年 2028 年 2029 年 2030 年 2031 年 2032 年 2033 年 2034 年 それ以降 合計
（ 単位：百万米ドル）
A. 民間の債権者
(3)
184,522 11,755 6,327 12,171 9,394 10,646 11,919 14,302 8,366 8,691 8,524 10,556 2,838 1,197 1,994 65,842 184,522
資本市場（債
券） 172,492 5,297 5,927 10,630 6,773 10,535 11,801 14,176 8,231 8,547 8,370 10,471 2,808 1,167 1,964 65,795 172,492
商業銀行 12,030 6,457 399 1,542 2,621 112 119 127 135 144 154 85 30 30 30 47 12,030
直接 3,933 2,769 306 843 15 - - - - - - - - - - - 3,933
シンジケー
ト 8,098 3,689 94 699 2,605 112 119 127 135 144 154 85 30 30 30 47 8,098
B. 多国間債権者 32,791 2,892 1,184 2,486 2,278 4,832 2,663 3,850 3,332 2,912 2,566 650 1,530 567 409 641 32,791
IADB 16,626 908 696 1,356 1,440 2,663 849 1,317 1,375 1,938 1,907 442 562 369 272 531 16,626
世界銀行 15,865 1,943 448 1,089 798 2,129 1,774 2,494 1,938 974 659 207 967 198 136 110 15,865
C. 対外貿易 6,075 1,045 901 477 537 595 444 793 409 211 157 98 161 92 71 84 6,075
輸出入銀行 3,518 572 533 208 235 234 207 555 185 152 133 98 161 92 71 84 3,518
(4)
商業銀行 2,481 418 348 270 302 361 238 238 225 59 23 - - - - - 2,481
サプライヤー 75 56 20 - - - - - - - - - - - - - 75
(5)
261 261 - - - - - - - - - - - - - - 261
D. その他
223,649 15,951 8,412 15,134 12,209 16,074 15,027 18,945 12,108 11,185 11,247 11,303 4,528 1,856 2,474 66,566 223,649
公的部門合計
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 米ドル以外の外国通貨で表示された対外債務は、各表示日現在の為替レートで米ドルに換算されている。対外公債
には、(a)IMFに対するメキシコ中央銀行の買戻し債務（2020年12月31日現在残高なし。）、または(b)メキシコの民
間部門の銀行に対するコモディティ・クレジット・コーポレーションからの貸付は含まれない。メキシコの対外債
務は、本表においては「総額」ベースで表示され、券面残高または額面総額による公的部門の対外債務を含んでい
る。一定の情報提供および統計上の目的から、メキシコは時に公的部門対外債務を、海外において保有する一定の
金融資産を控除した総債務として算出する「純額」ベースで報告することがある。かかる金融資産には、公的部門
の事業体が保有しているが未消却のメキシコの公的部門対外債務が含まれる。
(2) 暫定値。
(3) 対外貿易および再編された債務を除く。
(4) 対外貿易与信枠、リボルビング・クレジットおよびその他の短期与信を含む。
(5) 特定のPIDIREGAS関連の直接債務の増減を示す。
出典： 財務省
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⑨ 債務不履行の有無
1910年の革命より前に負担した債務について1946年にリスケジュールが行われた後、メキシコはその対
外債務のいずれについても元金または利金の支払に不履行はなかった。
⑩ IMFクレジット・ライン
中南米における1980年代の債務危機以降、IMFはメキシコ経済を守るためにメキシコと連携してきた。
2009年、メキシコは他国に先駆けてIMFの予防的クレジット・ライン・プログラムである、フレキシブル・
クレジット・ライン（以下「FCL」という。）を利用した。FCLにより、強力な政策的枠組みと経済の実績
をもつ国々は潜在的なあるいは現実の国際収支圧力に直面した時にIMFからの支援および借入を求めること
が認められている。メキシコは、2009年以降IMFとの間でFCLの取決めを結んでいる。
2017年以降、FCL財源利用額は、メキシコが直面するリスクのいくつかに関して見通しが改善したことお
よびその他の要因を受け、メキシコの要請に基づき、徐々に減額されてきた。2019年11月22日、IMFは、メ
キシコのFCL適格性の審査を終了し、メキシコが2018年に付与された約74十億ペソおよび2017年に付与され
た約86十億ペソから61十億ペソに減額されたFCL財源利用に引続き適格であることを再確認した。メキシコ
が直面するリスクのいくつかに関して見通しが改善し、メキシコの貿易関係における安定性が改善し、メ
キシコ経済に対する外的ショックに対するバッファーが強力であることから、2018年におけるFCL財源利用
の減額に沿って、この減額された金額がメキシコの要請に従ってIMFにより付与された。将来、メキシコ経
済に影響を及ぼす外的リスクが引続き低下した場合、メキシコは中間レビューを含め、いっそうの減額要
請を続け、かかる財源の利用を徐々に減少させる意向である。
2020年11月18日、IMFは、メキシコが引続きFCLの利用基準を満たしていることを確認した。この基準に
は、(ⅰ)持続可能な公的債務および健全な財政、(ⅱ)管理可能な債務リスク、(ⅲ)低く安定的なインフ
レ、(ⅳ)国際資本市場の安定的な利用、(ⅴ)良好な水準の外貨準備、ならびに(ⅵ)堅固で支払能力のある
金融制度などが含まれる。財務省とメキシコ中央銀行はまた、IMFの理事会が2019年11月にメキシコに付与
されたFCLの期中審査を終えたことを報告した。また、IMFは、COVID-19のパンデミックによるメキシコ経
済への打撃にもかかわらず、柔軟な為替相場制度、信頼できるインフレ・ターゲットの枠組み、連邦予
算・財政責任法および十分に規制された金融部門を含む強力な制度的政策および枠組みによって、経済が
回復力を示したことを確認した。
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⑪ 2020年における対外有価証券募集および負債管理取引
以下は、メキシコによる2020年における対外債務の募集一覧である。
2020年１月17日、メキシコは、2030年満期1.125％グローバル・ノート1.25十億ユーロおよび2039年満期
2.875％グローバル・ノート0.5十億ユーロを発行した。メキシコはこの募集による手取金の一部を2021年
満期2.375％グローバル・ノートの未償還額１十億ユーロ全額の償還に充当した。
2020年４月27日、メキシコは、2025年満期3.900％グローバル・ノート１十億米ドル、2032年満期
4.750％グローバル・ノート2.5十億米ドルおよび2051年満期5.000％グローバル・ノート2.5十億米ドルを
発行した。
2020年９月14日、メキシコは、国連の持続可能な開発目標（SDGs）に関連した初のソブリン債となる
2027年満期1.350％グローバル・ノート750百万ユーロを発行した。
2020年11月24日、メキシコは、2031年満期2.659％グローバル・ノート3,396,062,000米ドルおよび2061
年満期3.771％グローバル・ノート3,208,201,000米ドルを発行した。メキシコは、この募集による手取金
の一部を、2022年満期3.625％グローバル・ノートの未償還額1,761,006,000米ドル全額および2022年満期
1.875％グローバル・ノートの未償還額1,500,000,000ユーロの償還に充当した。それと同時に、メキシコ
は公開買付を実施し、これに従ってメキシコは2020年11月16日付の買入れ申込に掲げたシリーズの未償還
額について、現金での買入れを申入れ、これに従ってメキシコは下表に掲げるノートを買入れた。公開買
付の結果の概要は以下のとおりである。
公開買付において
旧 債券のシリーズ 買戻された未償還額 公開買付後の未償還額
2023 年満期4.000％ グローバル・ボンド
55,026,000.00 米ドル 2,913,174,000.00 米ドル
2025 年満期3.600％ グローバル・ボンド
118,626,000.00 米ドル 1,824,808,000.00 米ドル
2025 年満期3.900％ グローバル・ボンド
57,136,000.00 米ドル 942,864,000.00 米ドル
2026 年満期4.125％ グローバル・ボンド
70,009,000.00 米ドル 2,097,689,000.00 米ドル
2027 年満期4.150％ グローバル・ボンド
223,200,000.00 米ドル 2,501,740,000.00 米ドル
2028 年満期3.750％ グローバル・ボンド
110,805,000.00 米ドル 1,953,068,000.00 米ドル
2030 年満期3.250％ グローバル・ボンド
809,831,000.00 米ドル 2,259,237,000.00 米ドル
2046 年満期4.600％ グローバル・ボンド
275,846,000.00 米ドル 2,540,913,000.00 米ドル
2047 年満期4.350％ グローバル・ボンド
361,085,000.00 米ドル 1,469,746,000.00 米ドル
2048 年満期4.600％ グローバル・ボンド
207,859,000.00 米ドル 2,317,415,000.00 米ドル
2050 年満期4.500％ グローバル・ボンド
382,168,000.00 米ドル 2,521,359,000.00 米ドル
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⑫ 政府公債に関する表および補足情報
A. 政府の直接債務
表Ⅰ 2020年12月31日現在の短期対内債務
（ペソ払い）
償却または
銘柄 利率 満期日 未償還元本額 減債基金条項
（単位：十億ペソ）
政府短期証券（ Cetes ） 各種 各種 979.0 なし
304.3
その他 各種 各種 なし
674.7
短期対内債務合計
表Ⅱ 2020年12月31日現在の長期対内債務
（ペソ払い）
償却または
銘柄 利率 満期日 未償還元本額 減債基金条項
（単位：十億ペソ）
固定利付債券 固定 各種 3,414.4 なし
開発債券（D債券） 各種 各種 804.5 なし
UDI建開発債券（UDI債） 固定 各種 1,802.2 なし
UDI債の元本分離債 固定 各種 8.2 なし
退職貯蓄制度基金（SAR） 固定 各種 152.7 なし
(1)
300.2
その他 固定 各種 なし
6,482.2
長期対内債務合計
(1) ISSSTE法に基づく社会保障関連の負債134.3十億ペソを含む。「(2) 経済－⑥ 社会保障制度」を参照の
こと。
表Ⅲ 2020年12月31日現在の正味対内債務
（ペソ払い）
償却または
銘柄 利率 満期日 未償還元本額 減債基金条項
（単位：十億ペソ）
短期対内債務合計
674.7
6,482.2
長期対内債務合計
7,156.9
正味対内債務合計
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表Ⅳ 2020年12月31日現在の長期対外債務
2020 年12月31日現在の発行済債券
未償還
利率
(1)
銘柄 （％） 発行年月 満期 通貨 当初元本額 元本額 摘要
（単位：千通貨単位）
2026 年満期11.50％
グローバル・ボンド 11.5 1996 年５月 2026 年５月 米ドル 1,750,000 320,445
2031 年満期ノート 8.3 2001 年８月 2031 年８月 米ドル 1,500,000 533,952
2031 年満期ノート 8.3 2001 年12月 2031 年８月 米ドル 1,000,000 355,968
2022 年満期ノート 8.0 2002 年９月 2022 年９月 米ドル 1,750,000 610,843
2031 年満期ノート 8.3 2002 年12月 2031 年８月 米ドル 750,000 266,976
2033 年満期ノート 7.5 2003 年４月 2033 年４月 米ドル 1,000,000 251,862
2024 年満期ノート 6.75 2004 年１月 2024 年２月 英ポンド 500,000 476,526
2033 年満期ノート 7.5 2004 年４月 2033 年４月 米ドル 2,056,822 518,034
2034 年満期ノート 6.75 2004 年９月 2034 年９月 米ドル 1,500,000 635,187
2034 年満期ノート 6.75 2007 年１月 2034 年９月 米ドル 2,266,566 959,796
2034 年満期ノート 6.75 2007 年９月 2034 年９月 米ドル 500,000 211,729
2040 年満期ノート 6.055 2008 年１月 2040 年１月 米ドル 1,500,000 1,083,331
2040 年満期ノート 6.055 2009 年９月 2040 年１月 米ドル 750,000 541,666
2040 年満期ノート 6.055 2010 年４月 2040 年１月 米ドル 1,000,000 722,221
2110 年満期ノート 5.75 2010 年10月 2110 年10月 米ドル 1,000,000 1,000,000
2020 年満期ノート 1.51 2010 年10月 2020 年10月 日本円 150,000,000 0
2040 年満期ノート 6.055 2011 年４月 2040 年１月 米ドル 1,000,000 722,221
2110 年満期ノート 5.75 2011 年８月 2110 年10月 米ドル 1,000,000 1,000,000
2022 年満期ノート 3.625 2012 年１月 2022 年３月 米ドル 2,000,000 0
2044 年満期ノート 4.75 2012 年３月 2044 年３月 米ドル 2,000,000 1,766,426
2110 年満期ノート 5.75 2012 年８月 2110 年10月 米ドル 677,994 677,994
2022 年満期ノート 3.625 2012 年８月 2022 年３月 米ドル 559,254 0
2044 年満期ノート 4.75 2012 年８月 2044 年３月 米ドル 963,324 850,820
2044 年満期ノート 4.75 2013 年１月 2044 年３月 米ドル 1,500,000 1,324,820
2023 年満期ノート 2.75 2013 年４月 2023 年４月 ユーロ 1,600,000 1,600,000
2023 年満期ノート 4.0 2013 年10月 2023 年10月 米ドル 3,900,000 2,913,174
2045 年満期ノート 5.55 2014 年１月 2045 年１月 米ドル 3,000,000 2,781,131
2114 年満期ノート 5.625 2014 年３月 2114 年３月 英ポンド 1,000,000 1,000,000
2021 年満期ノート 2.375 2014 年４月 2021 年４月 ユーロ 1,000,000 0
2029 年満期ノート 3.625 2014 年４月 2029 年４月 ユーロ 1,000,000 1,000,000
2024 年満期ノート 1.44 2014 年７月 2024 年７月 日本円 13,900,000 13,900,000
2034 年満期ノート 2.57 2014 年７月 2034 年７月 日本円 12,300,000 12,300,000
2025 年満期ノート 3.6 2014 年11月 2025 年１月 米ドル 3,000,000 1,824,808
2046 年満期ノート 4.6 2015 年１月 2046 年１月 米ドル 3,000,000 2,540,913
2024 年満期ノート 1.625 2015 年３月 2024 年３月 ユーロ 1,250,000 1,250,000
2045 年満期ノート 3.0 2015 年３月 2045 年３月 ユーロ 1,250,000 1,250,000
2115 年満期ノート 4.0 2015 年４月 2115 年３月 ユーロ 1,500,000 1,500,000
2026 年満期ノート 4.125 2016 年１月 2026 年１月 米ドル 2,250,000
1,568,040
2026 年満期ノート 4.125 2016 年８月 2026 年１月 米ドル 760,000 529,649
2022 年満期ノート 1.875 2016 年２月 2022 年２月 ユーロ 1,500,000 0
2031 年満期ノート 3.375 2016 年２月 2031 年２月 ユーロ 1,000,000 1,700,000
2021 年満期ノート 0.7 2016 年６月 2021 年６月 日本円 50,900,000 50,900,000
2026 年満期ノート 1.09 2016 年６月 2026 年６月 日本円 16,300,000 16,300,000
2036 年満期ノート 2.4 2016 年６月 2036 年６月 日本円 21,900,000 21,900,000
2047 年満期ノート 4.35 2016 年８月 2047 年１月 米ドル 2,000,000 1,469,746
2025 年満期ノート 1.375 2016 年10月 2025 年１月 ユーロ 1,200,000 1,200,000
2027 年満期ノート 4.15 2017 年３月 2027 年３月 米ドル 3,150,415 2,501,740
2048 年満期ノート 4.6 2017 年10月 2048 年２月 米ドル 1,880,000 1,725,254
2028 年満期ノート 3.75 2018 年１月 2028 年１月 米ドル 2,555,196 1,953,068
2048 年満期ノート 4.6 2018 年１月 2048 年２月 米ドル 645,274 592,161
2028 年満期ノート 1.75 2018 年１月 2028 年４月 ユーロ 1,500,000 1,500,000
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2023 年満期ノート 0.6 2018 年４月 2023 年４月 日本円 57,200,000 57,200,000
2025 年満期ノート 0.85 2018 年４月 2025 年４月 日本円 24,100,000 24,100,000
2028 年満期ノート 1.05 2018 年４月 2028 年４月 日本円 38,700,000 38,700,000
2038 年満期ノート 2.0 2018 年４月 2038 年４月 日本円 15,000,000 15,000,000
2029 年満期ノート 4.5 2019 年１月 2029 年４月 米ドル 2,000,000 2,000,000
2026 年満期ノート 1.625 2019 年４月 2026 年４月 ユーロ 1,500,000 1,500,000
2039 年満期ノート 2.875 2019 年４月 2039 年４月 ユーロ 1,000,000 1,000,000
2029 年満期ノート 4.5 2019 年７月 2029 年４月 米ドル 1,455,664 1,455,664
2050 年満期ノート 4.5 2019 年７月 2050 年１月 米ドル 2,103,527 1,826,657
2022 年満期ノート 0.62 2019 年７月 2022 年７月 日本円 65,500,000 65,500,000
2024 年満期ノート 0.83 2019 年７月 2024 年７月 日本円 41,200,000 41,200,000
2026 年満期ノート 1.05 2019 年７月 2026 年７月 日本円 27,300,000 27,300,000
2029 年満期ノート 1.3 2019 年７月 2029 年７月 日本円 31,000,000 31,000,000
2030 年満期ノート 3.25 2020 年１月 2030 年４月 米ドル 3,069,068 2,259,237
2030 年満期ノート 1.125 2020 年１月 2030 年１月 ユーロ 1,250,000 1,250,000
2039 年満期ノート 2.875 2020 年１月 2039 年４月 ユーロ 500,000 500,000
2050 年満期ノート 4.5 2020 年１月 2050 年１月 米ドル 800,000 694,702
2025 年満期ノート 3.9 2020 年４月 2025 年４月 米ドル 1,000,000 942,864
2032 年満期ノート 4.75 2020 年４月 2032 年４月 米ドル 2,500,000 2,500,000
2051 年満期ノート 5.0 2020 年４月 2051 年４月 米ドル 2,500,000 2,500,000
2027 年満期ノート 1.35 2020 年９月 2027 年９月 ユーロ 750,000 750,000
2031 年満期ノート 2.659 2020 年11月 2031 年５月 米ドル 3,396,062 3,396,062
2061 年満期ノート 3.771 2020 年11月 2061 年11月 米ドル 3,208,201 3,208,201
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2020 年12月31日現在の多国間機関からの借入
未償還
発行
(1) (2)
銘柄 利率（％） 年月 満期 通貨 元本額 摘要
（単位：
千米ドル）
世界銀行およ 5.425 ％から
びIADBからの 0.25％の範囲の変 C$ 、SDR、USD、
借入 動 各種 各種 ユーロ 29,254,521 (3)(4)
2020 年12月31日現在の二国間機関からの借入
未償還
利率
(1)
銘柄 （％） 発行年月 満期 通貨 当初元本額 元本額 摘要
（単位：千米ドル）
各種 各種 1995 年12月 各種 米ドル、ユー 1,900,931
ロ 3,244,903.0
長期対外債務合
112,291,417
計 (5)
(1) 通貨の定義は以下のとおりである： C$（カナダ・ドル）、英ポンド（英ポンド）、SDR（特別引出権）、USD
（米ドル）、円（日本円）およびユーロ（ユーロ）。
(2) 外国通貨の平価の変動による再評価を含む。
(3) ローンまたは有価証券を満期までに消却するために算出される、半年、四半期または月々の償却。
(4) これらの借入のうち17,579,000米ドルについては、連邦政府の財務代理機関としての資格において行為する連
邦住宅公社（ Sociedad Hipotecaria Federal ）（17,579,000米ドル）が直接の債務者となっており、連邦政府
は、残り（29,236,942,000米ドル）について直接の債務者となっている。これらの借入のうち連邦政府が直接
の債務者となっていない部分の未償還残高は、本表Ⅳの合計には含まれておらず、表Ⅴに含まれている。
(5) この合計は米ドルで表示されている。上記表中の金額は表示通貨で表示されているため、全項目の合計とは異
なる。
B. 予算管理対象機関の債務およびその他の公的部門の対外債務
表Ⅴ 2020年12月31日現在の予算管理対象機関の対外債務
（外貨払い）
当初満期が１年未満の金額の
借入人 未償還元本額の米ドル相当額 米ドル相当額
（単位：百万米ドル）
CFE 7,537.1 -
93,551.8 3,800.0
ペメックス
100,908.9 3,800.0
予算管理対象機関の対外債務合計
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(1)
表Ⅵ 2020年12月31日現在のその他の公的部門対外債務
（外貨払い）
当初満期が１年未満の
借入人 未償還元本額の米ドル相当額 金額の米ドル相当額
（単位：百万米ドル）
金融部門 10,403.7 1,792.0
NAFIN 3,409.3 1,452.0
BANOBRAS 1,223.7 -
BANCOMEXT 3,587.9 340.0
SHF 1,266.9 -
農村金融（Financiera Rural） 870.9 -
福祉銀行 45.0 -
(1) この表には、国立の開発銀行および一部の商業銀行の債務で、メキシコが保証しているもの、ならびに公債管
理局（ Dirección de Deuda Pública ）に登録されているその他の公的部門債務が含まれるが、その財政が政府
の予算に含まれない事業体の債務は含んでいない。また、民間部門の債務で政府またはその他公的部門の事業
体が保証するものは、政府がかかる保証に基づく支払の請求を受けるまでは公的部門対外債務とはみなさな
い。
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EDINET提出書類
メキシコ合衆国(E06002)
有価証券報告書
(7) 【その他】
最近の事象
COVID-19 の危機
2021年１月28日、経済省は、小規模事業者に当初の返済猶予期間を３カ月として１件当たり25,000ペソ
を上限として60,000件の貸付を行うために1.5十億ペソの割当てを発表した。
2021年２月15日、国家ワクチン接種政策（ Política Nacional de Vacunación ）の第２段階が開始さ
れ、60歳以上の高齢者および医療従事者向けにワクチン接種が行われた。2021年３月29日現在、メキシコ
連邦衛生リスク対策委員会（ Comisión Federal para la Protección contra Riesgos Sanitarios 、
COFEPRIS）は、５つの抗COVID-19ワクチンの緊急利用を承認した。
保健省によると、2021年４月４日現在、 メキシコではCOVID-19の公式推定感染者数は2,443,755名であ
り、そのうち推定224,686名が死に至っている。
２【発行者が地方公共団体である場合】
該当事項なし。
３【発行者が国際機関又は政府関係機関等である場合】
該当事項なし。
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