ハンガリー 有価証券報告書
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第１項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2021年６月25日
【会計年度】 自 2020年１月１日 至 2020年12月31日
【発行者の名称】 ハンガリー
(Hungary)
【代表者の役職氏名】 ゾルタン・クラリ
（Zoltán Kurali）
政府公債管理機構最高経営責任者
（Chief Executive Officer of Government Debt Management
Agency Private Company Limited By Shares ）
【事務連絡者氏名】 弁護士 島崎文彰
【住所】 東京都千代田区神田小川町一丁目７番地
小川町メセナビル４階
島崎法律事務所
【電話番号】 (03) 5843-9631
【縦覧に供する場所】 該当なし
1/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
第１【募集(売出)債券の状況】
募集債券
上場金融商品取
会計年度末
引所名または登
債券の名称 発行年月 券面総額 償還額 現在の
録認可金融商品
未償還額
取引業協会名
第６回ハンガリー
2018年
300億円 － 300億円 なし
(1)
３月22日
円貨債券 (2018)
第７回ハンガリー
2020年
227億円 － 227億円 なし
円貨債券 (2020)
９月18日
第８回ハンガリー 2020年
200億円 － 200億円 なし
円貨債券（2020） ９月18日
第１回ハンガリー
2020年
円貨債券（2020） 155億円 － 155億円 なし
９月18日
（グリーンボンド）
第２回ハンガリー
2020年
円貨債券（2020） 45億円 － 45億円 なし
９月18日
（グリーンボンド）
(1) 本会計年度終了後、当該債券は2021年３月22日の満期に全額償還された。
売出債券
該当事項なし。
本会計年度中に、各債券の所有者の権利等に重要な影響を与えるような出来事は発生しなかった。
当該会計年度末以降、日本において債券の募集または売出しは行われていない。
第２【外国為替相場の推移】
(1) 【最近５年間の会計年度別為替相場の推移】
該当事項なし。
(2) 【当会計年度中最近６月間の月別為替相場の推移】
該当事項なし。
(3) 【最近日の為替相場】
該当事項なし。
2/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
第３【発行者の概況】
注(1) 別段の記載がある場合を除き、本書において下記の用語は下記の意味を有するものとする。
「ハンガリー」または「発行者」……ハンガリー
(2) 別段の表示のない限り、「ユーロ」は、欧州共同体設立条約（その後の改正を含む。）に基づき欧州
経済通貨同盟（以下「EMU」という。）の第３段階の開始に伴い導入された単一通貨を指す。「HUF」
および「フォリント」はハンガリー・フォリントを指し、また「USD」および「米ドル」はアメリカ合
衆国ドルを指す。2021年５月31日現在の株式会社三菱ＵＦＪ銀行によるユーロの日本円に対する対顧
客電信売相場は、１ユーロ当たり135.24円であった。2021年５月31日現在のハンガリー国立銀行
（MAGYAR NEMZETI BANK）（以下「ハンガリー国立銀行」または「NBH」という。）により報告された
フォリントの日本円に対する公示仲値は、100円につき260.30フォリントであった。2021年５月31日現
在の株式会社三菱ＵＦＪ銀行による米ドルの日本円に対する対顧客電信売相場は、１米ドル当たり
110.76円であった。
(3) ハンガリーの会計年度は暦年と一致する。
(4) 本書における数値については四捨五入されているものがあり、したがって、異なる表中の同じ項目に
示された数値がわずかに異なる場合があり、また、表中に合計として示された数値は、その上位欄の
数値の算術的合計とも一致しない場合がある。
3/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
１【発行者が国である場合】
(1) 【概要】
ハンガリーの地図
4/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
① 概要
ハンガリーは、中央ヨーロッパに位置し、約93,000平方キロメートルの国土を有する。ハンガリーは、７
カ国（北にスロバキア共和国およびウクライナ、東にルーマニア、南にセルビアおよびクロアチア共和国な
らびに西にスロベニア共和国およびオーストリア共和国）と国境を接する。ドナウ川はハンガリーを縦断
し、ハンガリーと黒海沿いの港を結んでいる。ハンガリーは、歴史的には、社会生活および文化生活ならび
に通商において、東西ヨーロッパの掛け橋となってきた。ハンガリーの首都は、ブダペストである。
② 人口
ハンガリーの人口は、2020年１月１日現在で約9.8百万人であった。人口の約70.5％は都市部に住み、約
1.8百万人がブダペストに住む。ブダペストは、ハンガリーの政治、行政、文化および商業の中心地である。
人口の約84％がマジャール人であるが、アルメニア系、ブルガリア系、クロアチア系、ギリシャ系、ドイツ
系、ポーランド系、ローマ系、ルーマニア系、ルテニア系、セルビア系、スロバキア系、スロベニア系およ
びウクライナ系の少数民族が存在する。
③ 政治体制
変革および新憲法
第二次世界大戦直後、ハンガリーは、ハンガリーの政党による「多党連立与党（grand coalition）」によ
り統治された。しかしながら1948年までには、ソビエト連邦の支援によりすべての非共産系政党が廃止され
た。1990年まで、ハンガリー社会主義労働者党が政府の各方面を独占していた。
1980年代後半に、ハンガリーの政治体制は劇的に変化した。1989年10月23日、ハンガリーは共和制を宣言
し、国家の自由民主国家への地位の変化を示すために、ハンガリーの名称は「ハンガリー人民共和国」から
「ハンガリー共和国」へと変更された。また1989年には、憲法が現在の形へと大幅に改正された。かかる
1989年憲法の下、ハンガリーは複数政党による民主政府を確立し、これにより、中央・東ヨーロッパの旧共
産国家のうち、民主改革を実行する最初の国家の一つとなった。1989年に非共産系の政党が設立され、1990
年には1947年以来初のハンガリーにおける複数政党選挙が行われた。
2011年４月18日、国会はハンガリー基本法（Fundamental Law of Hungary）をハンガリーの新しい憲法と
して採択した（「新憲法」または、文脈上、当該時点で有効な憲法を指している場合は「憲法」とい
う。）。新憲法は2011年４月25日に公布され、2012年１月１日に施行され、これに伴い、国名も「ハンガ
リー共和国」から「ハンガリー」へと変更された。
バランスがとれ、透明で、持続可能な予算管理を目的として、新憲法は、財政について一定の一般規則を
定めている。
新憲法の下で、国会は、政府公債の水準がGDPの50％を超える結果をもたらす、中央政府予算に関する法律
を採択する権限を有しない。さらに、中央政府予算の実施の上で、国会は、政府公債の水準がGDPの50％を超
える結果をもたらす、ハンガリーを代理したローンの引出しまたは財政上の義務の引受は認められていな
い。
新憲法には、政府公債の水準が上述した制限まで減少するまで、一定の例外規則および経過規定が含まれ
ている。
「特殊な法秩序」の発生時に、特殊な法秩序のきっかけとなった事象および状況の影響を軽減するために
必要な範囲で、または、重大かつ持続的な国家経済における景気後退の場合に国家経済の収支を回復するの
に必要な範囲で、国会および政府は、上記の制限から逸脱する権限を持つ。「特殊な法秩序」とは、国家危
機状態、緊急状態、予防防衛状態、予期せぬ攻撃事象または危機状態を意味する。
5/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
政府公債の水準がGDPの50％を下回るまで、国会は、政府公債の対GDP比率の低下をもたらす、中央政府予
算に関する法律を採択する義務を負う。政府公債の水準がGDPの50％を下回るまで、中央政府予算の実施の上
で、国会は、政府公債の対GDP比率を前暦年より上昇させる結果をもたらす、ハンガリーを代理したローンの
引 出しまたは財政上の義務の引受を認められていない。
政府公債がGDPの50％を上回っている限り、憲法裁判所は、新憲法の各規定に従ったその権限の範囲内にお
いて、(ⅰ)中央予算、(ⅱ)中央予算の実施、(ⅲ)国税、(ⅳ)印紙税および出資、(ⅴ)関税ならびに(ⅵ)地方
税に係る中央政府の義務に関する法律について、生存および人間の尊厳、個人情報保護、思想、良心および
宗教の自由に対する権利またはハンガリー市民に係る権利に関する新憲法の規定とのこれらそれぞれの整合
性を審査することができ、憲法裁判所はこれらの権利の侵害のみを理由として当該法律を無効とすることが
できる。新憲法に定めるかかる法準則の制定および公布に関する手続要件が遵守されていない場合、憲法裁
判所は、制約なく、上記の事項を定める法律を無効とすることができる。
政府公債およびGDPの計算方法、ならびに上記の政府公債に対する制限を実施するための規則については、
国会法で定められる。
新憲法は、国会の制定する枢要法が、財政負担、年金制度の基本原則、自主規制組織の設立、憲法裁判所
の責任、組織および運営の詳細規則、予算委員会の運営の詳細規則、ならびに政府公債とGDPの水準の計算方
法を規定すると定めている。
新憲法は予算委員会の運営について憲法上の基礎を定めており、予算委員会に適用される現在の制定法上
の規定を強化している。
2015年６月19日、経済安定化に関する枢要法の改正が施行された。改正によると、予想インフレ率が３％
を上回らない、または、予想実質成長率が３％を上回らない、という２つの条件のうち１つが満たされる場
合、国会は、政府公債の対GDP比率が少なくとも0.1％低下する結果をもたらす予算のみ承認することができ
る。予想インフレ率および予想実質成長率が３％を上回る場合、国会は、（前年と比べて）予想インフレ率
と予想実質成長率の半分の差を超える割合で名目債務が増加する結果をもたらす予算を承認することができ
ない。
2016年６月７日、国会は新憲法の第６回改正を採択した。これにより、重大かつ直接的なテロ攻撃の脅威
または実際のテロ攻撃の際、出席国会議員の３分の２の多数により、ハンガリー政府の主導で、一定の期
間、テロ脅威事態を宣言できる。国会の承認により、ハンガリー政府は特定の法律の適用を停止し、有効な
規制法から逸脱し、他の特別な政策を採用することを可能とする政令を、法に基づき可決することができ
る。
2018年６月20日、新憲法の第７回改正（以下「第７回改正」という。）が採択された。同改正では、外国
人のハンガリーにおける再定住を禁止し、非ハンガリー市民が迫害を受けていない国または迫害の直接的な
危険の状態におかれていない国からハンガリーに到着した非ハンガリー市民は、亡命の対象とならない可能
性があるとされている。また、第７回改正では、別個の行政裁判所制度の組織基盤が設立され、人々が公共
スペースに住むことを禁止するための法的条件が設けられている。さらに、同改正には、 表現の自由の行使
および集会の権利は、他者の私生活および家族の生活ならびにその家庭に害を与えてはならない旨が盛り込
まれている。第７回改正はまた、国とEUの権限および法律の間の相互関係を明確にするため、国家のアイデ
ンティティの主要な構成要素を定義することを目的としている。新憲法の第８回改正により、別個の行政裁
判所制度の設置を定めた規定は削除された。
大統領
ハンガリー大統領が国家元首である。国会により選出され、その任期は５年である。大統領は国会議員か
ら選出することができるが、必ずしもそのように選出する必要はない（ただし、大統領と国会議員を兼務す
6/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
ることはできない。）。大統領は、一度限り再選が可能である。現在の大統領は、2012年５月に選出され、
2017年３月に再選されたヤーノシュ・アーデル氏である。大統領の権限は、制限されている。大統領による
ほ ぼすべての行為は、首相または所管大臣の副署を必要とする。大統領の権限には、以下が含まれる。
・ 国家元首として国家を代表すること。
・ 国会により与えられた事前の承認に基づき、国際条約および協定の拘束力を承認すること。
・ 国会の会議に出席および演説すること。
・ 軍の最高司令官として行動すること。
・ 国会議員選挙および地方議員選挙の日程を設定すること。
・ 国会において特定の議案を発議すること。
・ 国民投票を発議すること。
・ ハンガリー国立銀行の総裁および副総裁等を任命および解任すること。
・ 恩赦を与えること。
2012年５月２日、国会はヤーノシュ・アーデル氏を大統領に選出し、同氏は2012年５月10日にその職に就
いた。2017年３月13日、国会はヤーノシュ・アーデル氏を大統領に再選出した。次の大統領選挙は2022年に
行われる予定である。
7/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
政府
ハンガリー政府は、内閣を組織する首相およびその他の大臣（現在、無任所大臣２名を含む13名）から構
成される。政府はハンガリーの行政機能および国会に対する立法の提案を担当する。首相および政府の計画
は、国会の単純多数決投票により承認される。首相はハンガリー大統領により指名され、国会により選出さ
れて、４年間任務を果たす。辞職、死亡または不信任投票による解任等、何らかの理由により首相がその職
位を失った場合、また、これにより政府が統治権能を失った場合、次の総選挙までの任期で、新しい首相が
国会により選任される。その他の大臣は首相により指名され、大統領により任命および解任される。首相に
より１名の首相代理が指名され、首相が死亡、選挙権喪失または利益相反等の理由によりその職位を失った
場合、かかる首相代理が首相の後任を務める。
2018年５月18日、現在の政府が正式に発足した。現在の政府の枠組みでは、財務大臣が財政について責任
を負う。かかる責任は、以前は国家経済大臣に属していた。
国会
一院制であるハンガリー国会は、国家の最高立法機関である。国会は大統領、首相、憲法裁判所の構成
員、国家会計検査院の院長および副院長、最高裁判所長官ならびに司法長官を選出する。
国会議員は一般投票により選出され、その任期は４年である。選挙は、小選挙区制（特定の選挙区におい
て最多の票を得た候補者が、当該選挙区から選出される。）および比例代表制（一般投票の５％以上を得た
政党が、議席の定数を比例配分する。）の併用により行われる。国会議員選挙は直近では2018年４月に行わ
れた。次は2022年４月に行われる予定である。
司法制度
ハンガリーの司法制度は、クーリア（Curia）（ハンガリーの最高司法機関）、県法廷（county
tribunals）、ブダペスト首都法廷（Metropolitan Tribunal of Budapest）、地区裁判所（district
courts）および労働裁判所（labour courts）からなる。立法により、特定の種類の事件について特別な裁判
所を定めることもできる。ブダペスト、ペーチ、セゲド、デブレツェンおよびジョールの５つの控訴裁判所
が地域の管轄権をもつ。2012年１月１日付で、行政裁判のための特別裁判所が新たに設立された。クーリア
は、それぞれの裁判所における裁判手続に対する指針を設定する。統一性に関する決定は、すべての裁判所
を拘束する。裁判官は独立しており、法にのみ従う。地区裁判所は、第一審管轄権を有する。控訴裁判所で
ある県法廷およびブダペスト首都法廷は、第一審管轄権および控訴管轄権の両方を有する。クーリア長官
は、ハンガリー大統領により指名され、国会により選出される。クーリア副長官は、クーリア長官により指
名され、ハンガリー大統領により任命される。ハンガリー大統領は、職業（非仲裁）裁判官も任命および解
任する。ハンガリー大統領は、法に定められた理由および手続によってのみ、職業裁判官を解任できる。
8/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
憲法裁判所は、通常のハンガリー司法制度とは別途に設けられており、立法およびその他の行為の合憲性
について、ハンガリー憲法に従い判断する。憲法裁判所は、違憲と判断したいかなる法または法的措置をも
無効とすることができる。何人も、憲法裁判所が管轄を有する事件に対して憲法裁判所において訴訟を提起
することができる。新憲法には憲法裁判所の主な責任の変更について規定されている。新憲法は、憲法裁判
所に対して、法律または判断が憲法またはハンガリーの国際協定に反する場合に限り、当該法律の規定もし
くは単一の判断を無効にする権限、または枢要法（Cardinal Act）に基づき他の特定の法的効果を適用する
権限を与えている。新憲法はまた、憲法裁判所の構成員を11名から15名に増員し、その任期も９年から12年
に延長した。憲法裁判所の構成員および長官は国会議員の３分の２以上の多数により選出され、構成員は再
選出できない。2011年６月、国会は新たに４名の憲法裁判所の構成員を選出し、かかる構成員は2011年９月
１日に就任した。
法による市場経済の円滑化および規制は、比較的新しいものである。結果として、ハンガリーの裁判所は
一般的に他の西ヨーロッパ諸国の裁判所よりも、例えば証券法、銀行法および商法のような分野においては
経験不足である。当事者は、当該事項に関する紛争をハンガリー商工会議所に付属する仲裁裁判所に委ねる
ことがしばしばある。
国会理事
2011年７月11日、国会は、新憲法に従って、基本的人権委員に関する法律を採択した。基本的人権委員お
よびその副委員２名は、４名の国会理事が主に対行政との関係で一般市民の権利を擁護する任務を負う、従
前の仕組みに代わるものであった。基本的人権委員およびその副委員は国会議員ではなく、当該委員は国会
議員の３分の２の多数により選任され、任期は６年である。副委員のうちの１名は憲法上の権利および次世
代の利益保護について責任を負い、もう１名の副委員はハンガリーで暮らす少数民族の権利の保護について
責任を負う。基本的人権委員は従前の国会理事より広い責任を負っており、公共団体でない組織（例えば会
社、銀行および社会組織）に対して、かかる組織が多数の自然人の基本的人権を深刻に侵害しているという
申立てに基づき、特別な手続を実施することができる。
2011年７月11日、国会は情報の自決および情報公開に関する法律も採択した。当該法に従い、2012年１月
１日に新しい独立した当局であるデータ保護および情報公開のための国家機関が設立された。当該機関は、
データ保護に関する理事職の後任である。当該機関は、データ保護登録簿の管理ならびに関連する立法の提
案および公職上の機密の分野についての意見の提供を含め、ハンガリー国内でのデータ保護権および情報公
開の執行の監督および促進について責任を負う。
9/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
地方政府
ハンガリーは行政区域に分割されており、それらの区域には首都（ブダペスト）、県、都市、町および村
が含まれる。地方政府は自治権を有しており、その地方の問題を民主的に管理し、限定された一定の地方税
の税率を設定する。ハンガリー憲法は、すべての地方公共団体に対し、同じ基本的権利を付与している。た
だし、地方政府の義務および責任は、国および地方の法により異なることがある。地方政府は代表機関から
なり、その構成員は５年の任期で選出される。地方当局の決定は、憲法または国法に抵触する場合にのみ修
正することができる。
2011年12月19日、ハンガリーの地方政府法が国会により採択された。2012年１月１日施行のこの法律に基
づき、地方政府の法に則った運用を管理するために、政府は首都および県の政府機関を通じて地方政府を監
督する権限を与えられた。この法律は、地方政府の債務管理（例えば、与信契約またはローン契約の締結お
よび地方政府債の発行）に関して一定の制約を加え、各資金調達取引について政府の承認を要件とした。地
方政府による年間の債務負担は地方政府の歳入の50％に制限されている。地方政府の債務管理に関する当該
規制は、2013暦年の地方政府予算の策定時および履行時から適用されている。地方政府選挙が最後に行われ
たのは2019年10月13日であった。
10/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
④ 政治情勢
1990年に行われたポスト共産主義時代の初の複数政党選挙を受けて、ハンガリー民主フォーラム
（Hungarian Democratic Forum）が最も多くの議席数を獲得し、独立小地主党（Independent Smallholders'
Party）およびハンガリーキリスト教民主党（Hungarian Christian Democratic Party）と共に連立政府を形
成した。1994年の選挙では、ハンガリー社会党（Hungarian Socialist Party）（以下「HSP」という。）と
自由民主同盟（Alliance of Free Democrats）（以下「AFD」という。）の連立与党が政権を獲得した。1998
年の選挙後は、フィデス・ハンガリー市民党（Fidesz-Hungarian Civic Party）（現フィデス・ハンガリー
市民連合（Fidesz-Hungarian Civic Union））（以下「Fidesz」という。）率いる連立与党が替わって政権
を獲得した。2002年の選挙ではどの政党も単独過半数の議席を獲得できず、HSPとAFDの連立与党が政権に返
り咲いた。HSPとAFDは、386議席のうち198議席で連立政府を構成することができた。2006年４月の選挙では
どの政党も単独過半数の議席を獲得できなかった。HSPとAFDは、386議席のうち210議席で再び連立政府を構
成することができた。2008年に、少数派連立与党のAFDが連立を離脱することを決定し、少数与党のHSPの政
権が宣誓就任した。2009年、HSPの党員92名は、首相およびその政権と交代することを内容とする、不信任案
を提出した。
2010年以降、Fideszとキリスト教民主国民党（Christian Democrats People's Party）（以下「CDPP」と
いう。）はすべての国会議員選挙において過半数の議席を得てきた。オルバーン・ヴィクトル氏は当時のハ
ンガリー大統領の推薦を受け、国会で首相として選任された。その後、オルバーン・ヴィクトル氏は、2014
年および最近では2018年に、当時の大統領の推薦を受け、首相に再選された。
国会
ハンガリーは、2018年４月に直近の国会議員選挙を実施し、以下の政党の候補者が議席を獲得した。すな
わち、選挙協力を組んだFideszおよびCDPP、ならびに良いハンガリーのための運動（Jobbik - Movement for
a Better Hungary）（以下「Jobbik」という。）、HSP、民主連合（以下「DK」という。）、LMP-新しい政治
の形（以下「LMP」という。）および共に（Együtt）（以下「Együtt」という。）である。ほかに無所属１名
とハンガリーのドイツ人の国家自治（Landesselbsverwaltung der Ungarndeutschen）（以下「LdU」とい
う。）から１名が議席を獲得した。FideszとCDPPは選挙前から連立を組んでおり、共同候補者名簿を提出し
た。次の表は、ハンガリー国家選挙管理委員会（以下「NEO」という。）が公表した2018年の国会議員選挙の
結果を示している。
11/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2018 年国会議員選挙の結果
政党 議席数 議席割合
Fidesz - CDPP 133 66.8％
Jobbik 26 13.1％
HSP 20 10.1％
DK 9 4.5％
LMP 8 4.0％
Együtt 1 0.5％
無所属 1 0.5％
LdU 1 0.5％
199 100.0％
合計
出典： NEO
次回の国会議員選挙は2022年に予定されている。
次の表は最近年の国会の構成を示したものである。
国会の構成
2016 年５月末 2017 年５月末 2018 年５月末 2019 年５月末 2020 年５月末
議席 議席 議席 議席 議席
党派 議席数 割合 議席数 割合 議席数 割合 議席数 割合 議席数 割合
CDPP 17 8.5 ％ 17 8.5 ％ 16 8.1 ％ 17 8.5 ％ 17 8.5 ％
DK 0 0.0 ％ 0 0.0 ％ 9 4.6 ％ 8 4.0 ％ 9 4.5 ％
Fidesz - HCU 114 57.3 ％ 114 57.3 ％ 117 59.4 ％ 116 58.3 ％
116 58.3 ％
HSP 29 14.6 ％ 29 14.6 ％ 15 7.6 ％ 15 7.5 ％ 15 7.5 ％
無所属 10 5.0 ％ 10 5.0 ％ 2 1.0 ％ 9 4.5 ％ 13 6.5 ％
Jobbik 24 12.1 ％ 24 12.1 ％ 25 12.7 ％ 22 11.1 ％ 17 8.5 ％
LMP 5 2.5 ％ 5 2.5 ％ 8 4.1 ％ 6 3.0 ％ 6 3.0 ％
少数民族代表 0 0.0 ％ 0 0.0 ％ 1 0.5 ％ 1 0.5 ％ 1 0.5 ％
対話 0 0.0 ％ 0 0.0 ％ 4 2.0 ％ 5 2.5 ％ 5 2.5 ％
(1)
199 100.0 ％
合計 199 100.0 ％ 199 100.0 ％ 197 100.0 ％ 199 100.0 ％
出典： ハンガリー国会事務局
注(1) 2018年５月28日、かつて対話の一員であったゲルゲイ・カラーチョニ氏が辞任した。2018年５月30日、かつてLMP
の一員であったジョルジ・ジェメシ氏が辞任した。
12/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
その他の最近の政治的進展
2016年10月２日、ハンガリーにおいて、欧州連合（以下「EU」という。）の移民再定住化計画により決定
された強制的割当てに関して、政府主導による国民投票が開催された。有効投票数は、国民投票の成立水準
に達しなかったが、有効投票数の98％はEUの強制的な移民割当てについて「反対」票を投じた。
2017年９月６日、欧州司法裁判所は、２年間でギリシャおよびイタリアから16万人の難民を域内移住させ
るEUの計画に基づく難民の受入れ回避を求めてスロバキアおよびハンガリーが欧州理事会を相手取って提起
した訴訟を棄却した。ハンガリーおよびスロバキアはこの計画を無効とするよう求めていた。
2020年４月２日、EU司法裁判所は、ポーランド、ハンガリーおよびチェコ共和国が難民申請者の移転のた
めの一時的なメカニズムに従うことを拒否することにより、EU法に基づく義務の履行を怠ったと発表した。
EU司法裁判所は、それぞれの領土に速やかに収容可能であった国際的保護申請者の適正な人数を定期的にか
つ少なくとも３カ月ごとに示すことを怠り、よってその後の移転義務の履行を怠ったことにより、これら３
加盟国がEU法に基づく義務の履行を怠ったとする宣言を求めて、欧州委員会がこれら３加盟国に対して提起
した義務履行違反にかかる訴訟を支持した。EU司法裁判所は、ギリシャおよびイタリアから他のEU加盟国へ
の120,000人の国際的保護申請者の強制的な移転を視野に入れて欧州理事会が採択した決議に対して当該３加
盟国による侵害があったと結論づけた。
COVID-19 の発生
Covid-19の発生への対応策として、政府は、ハンガリー基本法（2011年４月25日）第53条の下で政府に
付与された権限に従って、2020年３月11日から、期限を特定することなく（さらに通知があるまで）非常
事態を宣言し、Covid-19パンデミックによって引起される非常事態の悪影響を回避/是正する責任者として
ハンガリーの首相を任命することにより、ハンガリーにおいて特別体制を敷いた。政府は、非常事態宣言
を招いた状況がもはや該当しなくなったときに、宣言を解除することができる。
ハンガリーにおいて国民の安全と健康を保護するための政府の取組みの一環として、政府は、新たな法
律（新型コロナウイルス対策措置法（2020年法律第12号、以下「権限法」という。））を提案し、2020年
３月30日に国会はこれを承認した。権限法は、2020年３月31日付で施行された。
ハンガリー基本法に従って、非常事態期間中、政府は、政府は行政命令を採択することにより、特定の
法律の適用を停止するか、または特定の法律の規定の適用を制限する権限を有し、また災害対策法（2011
年法律第128号）に従い、かつ同法に定める制限に従って、その他の特別措置を講じることができる。権限
法は、「ハンガリー国民のために生命の安全と健康、個人の安全、資産の安全および法的確実性ならびに
国家経済の安定を保証する」ために、政府のかかる権利を拡大した。政府が講じる措置は、必要かつ適切
であって、かつ人と人の間の感染を防止、管理および排除するため、またはその有害な影響を回避し、軽
減することを目的としなければならない。政府は、その講じた措置について国会に、また国会の閉会中は
議長もしくは会派の代表者に通知しなければならない。
13/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
権限法によって、非常事態期間中に政府が採択した行政命令の期間が延長された。ハンガリー憲法によ
ると、行政命令は、政府が国会の権限によりその期間を延長する場合を除き、15日以内に効力を失う。権
限法に基づき、国会は政府に対して行政命令の期間を延長することを承認した。ただし、かかる承認はい
つでも取消すことができる。非常事態期間中に採択された行政命令は、非常事態期間が終了した時点で無
効となる。
ハンガリー憲法は、非常事態期間中にハンガリーの民主的な機能が停止されることは認められないこ
と、ハンガリー憲法が停止または終了されることはないこと、ならびに特別体制が憲法裁判所の運営に影
響を及ぼすことはないことを保証している。ただし、一定の基本的な権利（生命および人間の尊厳に対す
る権利、同一性保持権ならびに公正な裁判を受ける権利を除く。）は停止または制限されることがある。
権限法によって、地方議会の解散の停止、非常事態期間中に予定されている中間選挙、国もしくは地方の
住民投票の回避など、さらにいくつかの制限が導入された。
2020年３月31日、政府は、民事および行政手続きにおける特別規則に係る政令第74/2020号を発出した。
これらの規則は、係属中のまたは2020年３月31日から非常事態が終了するまでの間に新たに提起されるす
べての訴訟に適用される。訴訟は、非常事態にかかわらず継続するもので、裁判所は、ビデオ会議または
その他の技術的手段によって審理を行う。
その後、2020年４月９日、政府は、新型コロナウイルス感染症に伴って導入された移動制限の無期限延
長を発表した。政府はまた、市長に対して、イースター休暇中、それぞれの居住地に関連してさらに特別
な制限的規制を作成し、導入することができる特別な権限を付与することを決定した。
2020年５月４日、政府は、ブダペストおよびペスト郡を除く国内で新たな規則が効力を生じることを発
表した。ブダペストおよびペスト郡では、移動制限が引続き効力を有するとされた。その他の郡では、店
舗、レストランの庭園およびテラス、屋外の温浴施設、屋外の美術館ならびに動物園は制限なく営業が認
められている。その後、2020年５月18日、ブタペストおよびペスト郡に関する規制が他の地方において適
用されている規則に合わせるように改正された。
2020年６月16日、国会は、COVID-19のパンデミックにより宣言された非常事態の解除に関する法律
（2020年法律第57号）を採択した。2020年６月18日、法律第57号に従って、非常事態は解除された。
14/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
地方政府選挙
１万人超の居住者がいる地域およびブダペスト内の各地区においては、地方の代表者は２つの選挙制度
（小選挙区制および比例代表候補者名簿制）から議席を獲得する。各有権者は小選挙区候補者１名のみに投
票できる。各比例代表候補者名簿制においては、得票数の割合に応じて議席を割り当てられる。
2019年10月に結成されたブダペスト市議会の構成員には、市長、23の区長およびブダペスト比例代表候補
者名簿から選出された９名が含まれていた。直近の地方政府選挙は2019年10月に行われた。Momentum、DK、
HSP、Párbeszéd およびLMPにより支持されたゲルゲイ・カラーチョニ氏が、多数の票（全体の50.9％）を獲
得し、ブダペストの市長となった。ブダペストの区長の23議席のうち、Momentum、DK、HSP、Párbeszéd およ
びLMP推薦の候補者が14議席、 Fidesz-CDPPの推薦を受けた候補者が７議席、無所属の候補者が２議席、獲得
した。比例代表候補者名簿から選出された９議席のうち、Fidesz-CDPPは６名、Momentum、DK、HSP、
Párbeszéd およびLMPが３議席を獲得した。
次の表は2019年10月の地方政府選挙後のブダペスト市議会の構成を示している。
区長および市長 比例代表候補者名簿 合計
Fidesz-CDPP 7 6 13
Momentum、DK、HSP、
Párbeszéd およびLMP
15 3 18
無所属 2 0 2
合計 24 9 33
出典：NEO
ハンガリーには23名の指定都市の市長がいる。11名の市長はFidesz-CDPPにより支持され、１名の市長は
Fideszにより支持され、４名の市長はMomentum、DK、HSP、Párbeszéd、LMPおよびJobbikの支持を受け、７名
の市長はその他の組織により支持されていた。
ハンガリーには19の県がある。Fidesz-CDPPは、すべての県議会において、少なくとも単純多数を獲得し
た。19の県議会の代表者の合計数は、合わせて381名である。Fidesz-CDPPにより支持された代表者の合計数
は245名である。
次回の地方政府選挙は2024年秋に行うことが予定されている。
15/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
欧州議会選挙
欧州議会におけるハンガリーの構成員を選出するための選挙が初めて行われたのは2004年６月13日であっ
た。２回目の選挙は2009年６月７日に、３回目は2014年５月25日に、４回目は2019年５月26日に行われた。
次の表は４回目の選挙後の欧州議会におけるハンガリーの構成員の政党所属状況を示している。
欧州議会におけるハンガリーの政党の議席
議席
Fidesz-CDPP 13
DK 4
Momentum 2
HSP-Párbeszéd 1
Jobbik 1
出典： NEO
16/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
⑤ 国際関係
ハンガリーは、国際社会への統合の推進、ならびに地域的平和および経済発展の促進に向けた積極的な外
交政策を実行してきた。ハンガリーは1955年に国際連合（以下「UN」という。）に加盟し、UNESCO、FAO、
UNIDO、WHOおよびWTO（以下に述べる。）等の数多くのUNの専門機関の加盟国である。1996年、ハンガリー
は、正式に経済協力開発機構（以下「OECD」という。）の加盟国となったが、それは先進国との統合および
EUの正式加盟資格の獲得への決定的な一歩であった。1999年、ハンガリーは北大西洋条約機構（以下
「NATO」という。）の正式加盟国となった。ハンガリーは、約165の国々と外交関係を維持しており、UN、
OECD、NATOおよびEUに加え、地球環境保護基金（Global Environment Protection Fund）、世界貿易機関
（WTO）、国際復興開発銀行（以下「IBRD」または「世界銀行」という。）、欧州安全保障協力機構、国際通
貨基金（以下「IMF」という。）、欧州評議会、国際金融公社（以下「IFC」という。）、中欧自由貿易協定
（CEFTA）、国際開発協会（以下「IDA」という。）、国連食糧農業機関（FAO）、世界保健機関（WHO）、欧
州復興開発銀行（以下「EBRD」という。）、国連教育科学文化機関（UNESCO）、国連工業開発機関
（UNIDO）、欧州投資銀行（以下「EIB」という。）、欧州評議会開発銀行（以下「CEB」という。）をはじめ
とする多数の国際機関の加盟国である。ハンガリーはまた、オーストリア、クロアチア、チェコ共和国、イ
タリア、ポーランド、スロバキアおよびスロベニア等から構成される中欧イニシアチブの加盟国でもある。
中欧イニシアチブは主に地域のインフラ整備の課題に取り組んでいる。ハンガリーは1975年の設立当初から
欧州安全保障協力機構（旧全欧安全保障協力会議）の加盟国であり、1990年には欧州評議会への加盟が認め
られた。
国際機関への出資金および国際機関からの借入金
組織 通貨 出資金 通貨 借入金**
2020 年12月31日現在 2020 年12月31日現在
アジアインフラ投資銀行 米ドル 100,000,000.00 米ドル 0
（以下「AIIB」という。）
EBRD* ユーロ 237,110,000.00 ユーロ 0
IFC* 米ドル 11,771,000.00 米ドル 0
EIB* ユーロ 2,087,849,195.00 ユーロ 2,888,977,674.88
フォリント 0 フォリント 1,128,319,768,634.00
CEB* ユーロ 44,788,000.00 ユーロ 72,722,400.00
フォリント 0 フォリント 33,294,356,000.00
IBRD 、世界銀行* 米ドル**** 1,502,629,560.00 米ドル 0
IMF*** 特別引出権 1,940,000,000.00 SDR 0
（SDR）
多数国間投資保証機関 米ドル 10,755,080.00 米ドル 0
（MIGA）*
IDA* 米ドル 172,955,928.00 米ドル 0
国際投資銀行* ユーロ 121,400,000.00 ユーロ 0
* 出典：ハンガリー財務省
** 出典：政府公債管理機構（AKK）
*** 出典：ハンガリー国立銀行
**** 1944年の米ドル
17/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
EU
ハンガリーは2004年５月１日にEUの加盟国となった。2019年の欧州議会選挙後、欧州議会のハンガリー代
表は以下の役職に就任した。リヴィア・ヤロカ（Lívia Járóka）氏（Fidesz-CDPP）およびクララ・ドブレブ
氏（Klára Dobrev）（DK）が欧州議会の副議長となり、トーマス・ドイチュ（Tamás Deutsch）氏（Fidesz-
CDPP）が予算管理委員会の副委員長となり、キンガ・ガール（Kinga Gál）氏（Fidesz-CDPP）が安全保障・
防衛委員会の副委員長となり、イシュトヴァーン・ウーイヘイ（István Ujhelyi）氏（HSP）が運輸・観光委
員会の副委員長となり、アンドレア・ボチコル（Andrea Bocskor）氏（Fidesz-CDPP）が文化・教育委員会の
副委員長となった。
ハンガリーは欧州委員会の委員１名を派遣する権限を有しており、現在ハンガリーが欧州委員会に派遣し
ているのはオリベル・バルヘリ氏である。同氏は、2019年12月１日付で近隣・拡大交渉総局長に就任した。
経済の重要分野の発展と同時に、ハンガリーは、EUへの統合過程を促進するために発展計画および構造改
革を遂行しており、今後も継続する意向である。現在、コンバージェンス・プログラムは政府の中期目標を
定めている（注：「(2)経済－⑧ 今後の経済計画」に記載する最新のコンバージェンス・プログラムの概要
を参照のこと。）。
EUに加盟したことで、ハンガリーはEIBの加盟国にもなった。
ハンガリーはマーストリヒト条約に基づき、欧州経済通貨同盟の加盟国となることを企図している。
2015年11月17日、国会は、国際的保護申請者の受入れ義務割当てに関するEU理事会の決定第2015/1601号の
廃止を目的とした訴訟をEU司法裁判所に提起する権限を政府に与える法律を可決した。
OECD
1996年５月、ハンガリーはOECDの正式加盟国となった。OECDへの加盟は、先進国との統合およびEU正式加
盟に向けた重大なステップと考えられていた。
NATO
1999年３月、ハンガリーはNATOの正式加盟国となった。
欧州経済領域協定
この協定は、現在のEFTA加盟国３カ国、EUおよびEU加盟国27カ国の間で機能している。
18/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
２国間貿易協定
上記で述べた多国間貿易協定に加え、ハンガリーはスロベニア共和国、ルーマニア、トルコ共和国、イス
ラエル国、ブルガリア共和国、リトアニア共和国、ラトビア共和国およびエストニア共和国を含む数カ国と
の間で２国間貿易協定も締結している。ハンガリーは、貿易障壁を低減または撤廃するための貿易協力協定
を特定の中央ヨーロッパ諸国と締結している。
IMF 特別データ公表基準（IMF Special Data Dissemination Standards）
ハンガリーは、IMF特別データ公表基準の採用国である。インターネットのウェブサイト
（https://dsbb.imf.org/sdds/country/HUN/category）上でハンガリーのデータにアクセス可能である。た
だし、当該ウェブサイトに掲載される情報は本書の一部を構成するものではなく、債券投資の決定に関し
て、これに依拠してはならない。
19/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
(2) 【経済】
① 背景
1989年の共産主義崩壊以降、ハンガリー経済は大きく変容した。近隣における他のポスト共産主義諸国
と同様に、最近20年間のハンガリー経済は、改革の実行による段階的な改善を伴う10年間の初期における
経済的混乱をもって特徴づけられる。かかる経済改革および経済動向の重要な部分として、以下が含まれ
る。
・ 大がかりな民営化計画（ハンガリーの大規模国営企業の大部分が既に民営化されている。）。
・COMECON加盟国から西ヨーロッパおよび他の工業国への輸出先のシフト（現在ではハンガリーの輸出の４分
の３はEU市場向けであり、EUにおけるハンガリーの市場占有率は、1990年代半ば以降２倍超となってい
る。）。
・ 総対外債務および純対外債務の対GDP比率は1990年代後半に低下したが、2002年から2009年の間は上昇、
2009年からは再び低下し、2019年の総対外債務および純対外債務の対GDP比率は、それぞれ51.5％および
(1)
7.8％となった。一方、中央政府の債務（GFS方式 に基づく。）の対GDP比率は1996年の72％から2001年
の52％に低下したが、その後上昇し、2020年の暫定値では76.8％に達した。
・ GDP成長率の動向はヨーロッパ全般の傾向に一致している。暦日の影響を調整したデータによれば、GDP
は、2016年、2017年、2018年および2019年には、それぞれ2.1％、4.3％、5.4％および4.6％上昇し、2020
年には5.0％低下した。
・ インフレは、当初は物価統制解除により、1995年の28.3％から2006年４月の2.3％まで低下したが、2012
年12月には、主に増税の結果として5.0％まで上昇した。インフレ率はその後、主にエネルギー価格の下
落の結果として低水準に下落し、2015年１月には前年同月比で最低となる－1.4％に達した。それ以降、
インフレ率は上昇し、2019年12月には主として食品価格の上昇および飲料・タバコの価格上昇の結果、
4.0％となったが、2020年12月には主として燃料価格の値下がりにより2.7％に低下した。
・ 1997年まではインフレ率が名目純賃金の上昇率を上回っていたため、実質純賃金は全般的に低下または停
滞していた。それ以来、最低賃金の引上げおよび公務員のための追加支出によって実質純賃金の増加率が
13.6％に上昇した2002年を除いて、実質純賃金は穏やかに上昇した。実質純賃金は2012年以降毎年大幅に
上昇し、2020年には6.2％上昇した。
・ 失業率は1993年第１四半期の12.5％のピーク以降全般的に低下しており、2001年には5.7％まで低下し
た。しかし、主に世界的な金融危機の影響を受けて2010年には10.8％まで上昇し、その後は低下して2019
年には3.3％に達したが、2020年には主としてパンデミックの結果として4.1％に上昇した。
・ 高水準の外国直接投資を表すものとして、外国直接投資の累計の水準が、2019年には108.9十億ユーロに
達している。
注(1) 別段の記載のある場合を除き、本書に含まれるすべてのデータは、IMFの方式（IMFの1986年政府財政統計マニュ
アルに記載される。）（以下「GFS」という。）に従い、比較目的で表示されている。ハンガリーは、EUの加盟要
求に従うために、欧州会計制度2010（以下「ESA」という。）を基礎として一部のデータの提供を開始した。ESA方
式は発生主義で歳入と歳出を監視するのに対し、GFS方式は現金主義で歳入と歳出を監視する。ESAの下では、政府
保証債務の一部は政府公債に再分類され、その結果赤字が増加する。また、一般政府部門の定義が拡大され、一部
の準政府機関が一般政府部門に含まれることになった。
20/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
② 最近５年間の経済の推移
(a) GDPおよび国民所得の推移
GDP
次の表は、名目GDPの構成要素および現行市場価格での支出毎の関連数値、ならびに国民１人当たりGDP
および実質GDP成長率を、表中の各年について示している。
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年**
（単位：十億フォリント）
消費 25,375.0 27,608.9 29,903.9 32,864.6 33,528.4
設備投資 7,058.4 8,698.6 10,740.4 12,890.0 13,054.1
その他 3,734.1 2,926.0 2,706.1 1,769.4 1,161.0
GDP 36,167.5 39,233.4 43,350.4 47,524.0 47,743.5
国民１人当たりGDP
（フォリント） 3,685,283 4,008,333 4,434,563 4,863,707 4,886,979
（米ドル） 13,094 14,615 16,409 16,734 15,870
（ユーロ） 11,832 12,963 13,907 14,949 13,916
年間実質GDP成長率(％)* 2.1 4.3 5.4 4.6 -5.0
出典： ハンガリー中央統計局（CSO）
* 暦日の影響につき未調整のデータ。
** 2020年にかかるGDPデータの暫定値、ハンガリー中央統計局が公表した2020年の年初現在の人口データの暫定値なら
びにハンガリー国立銀行が公表した米ドル/フォリントおよびユーロ/フォリント間の年間平均為替レートによって計
算されたデータ。
21/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
次の表は、ハンガリーのGDPの数量指数を産業部門別に示している。
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
（数量指数、前年度＝100）
農業、林業および漁業 112.6 93.4 104.1 99.9 93.2
鉱業および採石業、製造業、電
気、ガス、蒸気および空調供給
業、水供給業、下水処理ならび
に廃棄物管理および浄化活動 101.8 102.4 103.0 103.3 95.1
うち、製造業 100.3 103.4 103.3 102.2 94.7
建設業 84.9 121.3 115.1 113.2 90.6
サービス
卸売および小売、自動車およ
びバイクの修繕 103.9 100.8 107.4 113.6 108.8
運輸、保管業 105.0 102.3 106.5 103.5 83.7
宿泊および飲食サービス 101.3 111.4 104.7 106.8 67.8
情報通信業 104.9 111.4 110.4 110.2 106.1
金融および保険 101.2 105.6 104.9 112.8 103.4
不動産業 102.2 101.6 104.5 104.1 94.8
専門、科学および技術的活動 107.1 110.6 110.2 108.1 92.8*
管理および支援サービス 104.5 114.8 108.7 101.1 n/a
行政および防衛、義務的社会
保障 101.4 98.5 100.4 99.3 98.7
教育 100.9 99.4 102.9 102.2 98.8
保健および社会事業 103.6 101.1 99.7 101.8 90.5
芸術、娯楽およびレクリエー
ション 103.7 111.9 106.6 112.4 90.6**
その他のサービス 100.0 104.5 107.1 105.8 n/a
世帯活動 108.8 95.3 173.3 69.4 n/a
製品への補助金差引後の税金 n/a n/a n/a n/a n/a
GDP 合計（購入者価格による） 102.1 104.3 105.4 104.6 95.0
出典： ハンガリー中央統計局
* 管理および支援サービスを含む。
** 芸術、娯楽およびレクリエーションならびに世帯活動を含む。
ハンガリーの実質GDP成長率は、2017年、2018年および2019年には比較的高い水準であった。2016年、
2017年、2018年および2019年には、消費がGDPの成長に大きく貢献した。総固定資本形成は、2017年、2018
年および2019年においてGDPの成長に貢献した。純輸出は2016年のGDPの成長に貢献した。2020年には、消
費、総固定資本形成および純輸出がいずれもGDPの縮小に貢献した。
22/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
次の表は、GDPの最終使途の成長率を示している。
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
（数量指数、前年度＝100）
家計最終消費支出 104.8 104.7 104.8 105.2 97.5
政府からの現物による社会移転 101.1 97.6 99.2 102.1 94.5
対家計非営利団体からの現物に
よる社会移転 102.8 114.6 112.9 101.8 100.7
家計実質最終消費 104.1 103.8 104.1 104.6 97.2
政府実質最終消費 100.3 107.5 104.1 105.6 102.8
実質最終消費合計 103.6 104.3 104.1 104.8 98.0
総固定資本形成 89.4 119.7 116.4 112.8 92.7
(1)
在庫品増減 - - - - -
(1)
貴重品の取得（処分控除） - - - - -
総資本形成合計 95.9 110.8 116.2 111.3 94.5
国内消費合計 101.6 105.8 107.1 106.6 97.0
財およびサービスの輸出 103.8 106.5 105.0 105.8 93.2
うち、財の輸出 101.6 106.2 104.1 105.3 98.2
うち、サービスの輸出 112.1 107.6 108.3 107.7 76.0
財およびサービスの輸入 103.4 108.5 107.0 108.2 95.6
うち、財の輸入 103.3 109.2 107.2 107.3 97.8
うち、サービスの輸入 103.7 105.1 105.8 113.1 84.6
GDP 合計 102.1 104.3 105.4 104.6 95.0
出典： ハンガリー中央統計局
注(1) 該当データなし。
23/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2016年から2020年のGDP数量指数
季節および暦日
の影響を調整
暦日の影響を および調和させた
未調整データ 調整したデータ データ
(前年度の対応期間＝100.0)
2016年第１四半期 101.1 101.3 101.3
第２四半期 103.0 102.7 102.6
第３四半期 102.4 102.3 102.3
第４四半期 101.9 102.1 102.1
年 間 102.1 n/a n/a
2017年第１四半期 104.7 104.3 104.3
第２四半期 103.7 104.1 104.1
第３四半期 104.3 104.4 104.5
第４四半期 104.6 105.0 105.0
年 間 104.3 n/a n/a
2018年第１四半期 105.0 105.4 105.4
第２四半期 105.4 105.2 105.3
第３四半期 105.6 105.7 105.7
第４四半期 105.5 105.4 105.3
年 間 105.4 n/a n/a
2019年第１四半期 105.0 105.0 105.2
第２四半期 104.6 104.7 104.8
第３四半期 104.8 104.6 104.5
第４四半期 104.3 104.3 104.0
年 間 104.6 n/a n/a
2020年第１四半期 102.1 101.8 101.8
第２四半期 86.7 86.7 86.6
第３四半期 95.4 95.4 95.2
第４四半期 96.5 96.2 95.9
年 間 95.0 94.9 94.9
出典： ハンガリー中央統計局
24/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
国民所得
以下の表は、ハンガリーのGDPおよび国民総所得（GNI）の成長率を示している。
ハンガリーのGDPおよびGNI
前年度の対応期間＝100、暦日の影響につき未調整のデータ
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年*
GDP 102.1 104.3 105.4 104.6 95.0
国民総所得（GNI） 104.3 102.8 105.7 105.8 n/a
* 暫定値
出典： ハンガリー中央統計局
(b) 産業構造、主要産業の状況および鉱工業生産指数の推移
工業および建設業
2016年には、工業生産は0.9％増加した。国内売上高は1.1％減少し、輸出売上高は0.3％とわずかに増加
した。2017年には、工業生産は4.6％増加した。国内売上高は3.3％増加し、輸出売上高は5.1％と大幅に増
加した。2018年には、工業生産は3.5％増加した。国内売上高は5.9％と大幅に増加し、輸出売上高は1.6％
増加した。2019年には、工業生産は5.6％増加し、国内売上高および輸出売上高は、それぞれ5.0％および
6.6％と大幅に増加した。2020年には、工業生産は6.1％減少し、国内売上高および輸出売上高は、それぞ
れ5.1％および5.5％と大幅に減少した。
2020年には、工業売上高の合計の半分超（64.3％）が輸出された。工業輸出合計の約半分はコンピュー
タ・電子・光学機器製造業と輸送機器製造業の２部門のみから生み出されている。2020年には、前年と比
べて、コンピュータ・電子・光学機器製造業部門の生産高は0.8％成長し、輸送機器製造業部門の生産高は
11.2％と大幅に減少した。
2020年の建設業の生産高は、2019年の生産高と比較して9.1％減少した。2020年には、建物建設は5.7％
減少し、土木建設は13.1％減少した。
25/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
(a)
2016年から2020年の工業の構成
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年 2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年 2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
売上 雇用 数量指数
合計比(％) 合計比(％) 推移(％)
鉱業・採石業 0.2 0.3 0.4 0.5 0.4 0.9 0.9 1.0 1.1 0.8 82.2 123.9 154.3 118.8 74.4
食品・飲料・
タバコ製造業 9.4 9.3 9.1 9.2 10.1 14.7 14.2 13.6 14.0 14.2 101.0 101.1 104.3 105.0 101.0
繊維・衣服・
皮革・関連製
品製造業 1.3 1.4 1.2 1.1 1.0 6.0 5.0 5.1 4.9 4.3 99.8 106.9 96.5 90.1 83.0
木製品・紙製
品製造業およ
び印刷業 2.9 2.8 2.9 3.0 3.0 4.9 5.0 6.1 6.0 5.8 106.4 102.5 107.5 106.0 96.2
コークス・石
油精製品製造
業 3.1 3.7 4.4 3.9 2.9 0.4 0.6 0.5 0.5 0.5 99.3 103.7 104.0 96.3 84.1
化学物質・化
学製品製造業 4.8 4.7 4.9 4.3 4.3 2.7 2.7 2.4 2.3 2.5 98.2 97.8 105.7 95.3 96.9
医薬品・医薬
化学・植物性
医薬品製造業 2.6 2.7 2.4 2.4 2.5 2.5 2.9 3.0 2.3 2.9 97.2 107.4 98.7 103.4 103.4
ゴム・プラス
チック製品お
よびその他非
金属性鉱産物
製造業 6.9 6.9 7.7 7.7 7.5 8.2 8.9 7.8 8.8 8.5 103.0 107.6 115.6 103.3 91.0
卑金属・組立
金属製品製造
業（機械・機
器を除く。） 6.3 7.0 7.4 7.1 6.5 10.5 11.3 11.8 12.1 11.9 104.0 112.1 107.0 99.0 85.3
コンピュー
タ・電子・光
学機器製造業 10.2 10.3 10.3 10.4 11.0 8.5 7.5 7.9 8.8 9.1 109.5 108.7 107.6 106.8 100.8
電気機器製造
業 3.8 3.8 3.9 4.4 5.4 6.3 6.4 6.0 5.8 5.5 106.1 104.7 108.4 120.6 113.1
機械・機器製
造業（他に分
類されないも
の） 5.7 5.7 5.0 5.0 5.0 6.6 6.6 6.6 5.8 6.3 89.6 110.0 91.1 102.9 94.9
輸送機器製造
業 25.9 24.8 23.8 25.1 24.4 15.8 16.3 16.6 17.0 17.1 100.6 101.8 99.8 110.3 88.8
その他製造業
および機械・
機器の修繕・
設置業 2.8 2.8 2.6 2.8 2.8 8.5 8.3 7.8 7.2 7.2 103.1 103.0 98.8 112.7 92.5
製造業 85.8 85.8 85.6 86.3 86.4 95.7 95.7 95.1 95.6 95.7 101.4 104.6 103.5 105.6 94.0
電力・ガス・
蒸気・空調供
給 14.0 13.9 14.0 13.3 13.3 3.4 3.4 3.9 3.3 3.4 100.6 100.2 96.9 102.0 101.4
工業合計（水
道・廃棄物管
理を除く。） 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 101.3 104.4 103.4 105.5 94.2
出典： ハンガリー中央統計局
(a) ５人超の従業員を雇用する企業。
26/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
農 業
農業生産高は、2016年から2020年の間、主に気象条件の変動により変動した。2017年の気象条件は比較
的不良で、同年における農業生産量は前年と比較して減少する結果となった。2016年および2018年の気象
条件は比較的良好で、これらの年における農業生産量は前年と比較して増加する結果となった。2019年の
気象条件は前年と同様で、当該部門の付加価値は前年と比較してわずかに0.1％減少する結果となった。
2020年の気象条件は不良で、当該部門の付加価値は前年と比較してわずかに0.1％減少する結果となった。
小麦の生産量は5.0百万トン、トウモロコシの生産量は8.4百万トンであった。大麦の生産量は合計1.4百万
トンに上った。
2020年12月１日現在、畜牛の数は933千頭で、2019年12月１日以降24千頭増加した。乳牛の数は414千頭
であった。2019年12月の調査と比較して２千頭増加している。
豚の合計頭数は2,850千頭で、2019年12月１日現在と比較して216千頭増加した。繁殖用の雌豚は８千頭
増加し、在庫は164千頭であった。
農産物
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
総生産指数（前年度＝100）
穀物 116.3 94.7 100.9 99.4 99.7*
畜産物 99.6 98.3 106.3 101.4 98.7*
農産物 109.3 95.9 102.7 100.4 97.8*
主要穀物収穫量（単位：百万トン）
小麦 5.6 5.2 5.3 5.4 5.0
トウモロコシ 8.7 6.7 8.0 8.3 8.4
大麦 1.6 1.4 1.1 1.4 1.4
ライ麦 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1
オート麦 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1
家畜（年末現在、単位：百万頭）
畜牛 0.9 0.9 0.9 0.9 0.9
豚 2.9 2.9 2.9 2.6 2.9
羊 1.1 1.1 1.1 1.1 0.9
鶏 32.0 31.8 30.7 30.9 28.9
出典： ハンガリー中央統計局
* ハンガリー中央統計局の二次予測。
27/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
エネルギー
2020年において、ハンガリーのエネルギー総需要の43.4％は、国内のエネルギー資源により供給され
た。総エネルギー消費量の6.5％は（その大部分が国内産の）石炭により生産され、エネルギー消費量の
62.0％が炭化水素から成っており、それは主にロシアより輸入された。
主なエネルギー消費の構成
2020 年
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 暫定値
占有率
(％)
(1)
石炭および石炭製品 8.53 8.34 7.88 6.83 6.51
原油および原油製品 27.08 28.13 30.01 30.35 28.56
天然ガス 31.24 31.82 30.81 31.43 33.47
(2)
可燃性再生可能物および廃棄物 11.64 10.95 10.34 10.15 9.8
(3)
原子力 16.34 15.68 15.32 15.81 16.04
水力 0.09 0.07 0.07 0.07 0.08
風力 0.23 0.24 0.19 0.23 0.21
(4)
その他の非可燃性再生可能物 0.59 0.65 0.78 1.11 1.49
(5)
電力純輸入 4.25 4.12 4.59 4.02 3.84
合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
輸入依存率 55.39 62.21 57.77 69.09 56.57
(1) 練炭およびコークスを含む。
(2) バイオガス、バイオマス、都市廃棄物、産業廃棄物、バイオ燃料。
(3) 内陸生産物とみなされる原子力(原子力電力および原子力熱を含む。)。
(4) 地熱、太陽熱および太陽光発電。
(5) 主なエネルギー消費における純輸入の割合。
注： 排ガス、廃熱により生産される販売電力および熱を含む。
出典： ハンガリー・エネルギー局
ハンガリーは一貫して、エネルギー資源の多様化およびエネルギー供給の途絶による潜在的な弊害を緩
和するための備蓄に努めてきた。ハンガリーは現在、OECDの要求に従い、少なくとも12週間分の石油供給
量を保持している。
1998年末までに、すべてのハンガリーの天然ガス供給会社、６つの配電会社および２社を除くすべての
発電会社が民営化された。運輸通信エネルギー省は、競争力のある電力エネルギー市場を作ることおよび
EU指令に基づくエネルギー分野の完全自由化を目指している。
2014年１月14日、オルバーン・ヴィクトル首相は、ハンガリーが２つの新たな原子力発電所をパクシュ
に建設することを発表した。発表によると、ロシアがこれらの原子力発電所について建設および資金調達
の協力をする。ロシア側のパートナーがハンガリーに対して、建設費の80％に該当する10十億ユーロの
ローンを提供する。プロジェクトが完成し発電所が稼働した後、ハンガリーは21年かけてローンを返済し
ていくことになる。ハンガリー政府とロシア連邦政府間の国際条約は、2014年２月６日にハンガリー国会
により承認された。
2016年３月10日、政府は、パクシュ原子力発電所の容量を維持するために、投資に関する法律の改正法
を提出したが、これは、ECの要求に沿うように情報分類規定を情報の自決権および情報公開に関する現行
の法律に合わせて調整することを目的とするものであった。当該改正は2016年３月30日に採択された。
2017年３月６日、ECは、政府のパクシュⅡ原子力発電所プロジェクトを承認した。
28/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
③ 物価
1990年における規制緩和はハンガリーにおける高インフレ率を招いた。価格維持の全般的かつ段階的廃止
および公共部門における大幅な赤字により、かかるインフレ率は西ヨーロッパのインフレ率と比べ比較的高
く推移したが、主として2001年５月に採用された金融体制の結果、急激に低下した。
次の表は、2016年以降における消費者物価の年間指数の推移(前年末比)を示している。
年間の推移(％)(前年末比)
アルコール
エンジン燃
飲料、 衣類、 耐久
燃料および 料を含むそ
食 品 タバコ 履物 消費財 電力 の他の商品 サービス 合 計
2016年 101.3 102.5 100.5 99.5 100.0 103.5 101.9 101.8
2017年 103.5 106.8 100.5 99.6 101.6 100.8 101.1 102.1
2018年 104.7 105.2 100.7 100.5 101.2 101.5 102.3 102.7
2019年 105.9 108.4 100.4 99.1 100.6 104.2 103.2 104.0
2020年 104.9 108.8 98.5 102.8 100.2 99.5 101.7 102.7
出典： ハンガリー中央統計局
2016年には、主にベース効果の段階的廃止により、物価水準は0.4％上昇した。2017年には、主に食品およ
びエネルギーの価格が上昇し、またアルコール飲料およびタバコの価格が値上がりしたことにより、物価水
準は2.4％上昇した。2018年には、主に食品およびエネルギーの価格が上昇し、またアルコール飲料およびタ
バコの価格が値上がりしたことにより、物価水準は2.8％上昇した。2019年には、主として食品、アルコール
飲料およびタバコの価格が値上がりしたことにより、物価水準は3.4％上昇した。2020年には、主として食
品、アルコール飲料およびタバコの価格が値上がりし、その一部が自動車燃料価格の値下がりによって相殺
されたことにより、物価水準は3.3％上昇した。
2020年末現在、ハンガリーにおけるすべての価格の86.3％について規制が撤廃されている。引続き統制価
格が存在する主な製品およびサービスの種類は、電気、ガス、購入された暖房、各種医薬品、学校、幼稚園
および保育園における給食、国営宝くじ、地方および長距離旅客運送、国営住宅の賃料、各種家庭用公共料
金（上下水道料金、廃棄物回収サービスを含む。）ならびに郵便サービスである。
関連するEU指令に従い、ハンガリーは、次第に市場ベースとなっているエネルギーおよび郵便部門から統
制価格制度を撤廃する意向である。
29/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
④ 賃金および雇用
次の表は、近年における賃金の傾向を示している。
年間平均
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
名目純賃金指数 107.8％ 112.9％ 111.3％ 111.4％ 109.7％
実質純賃金指数 107.4％ 110.3％ 108.3％ 107.7％ 106.2％
出典： ハンガリー中央統計局
2016年、2017年、2018年および2019年には、主に労働市場状況の引締めおよび穏やかなインフレに起因し
て、実質純賃金は大幅に上昇した。2020年には、賃金水準の大幅の上昇およびインフレが減速した結果、ハ
ンガリーおよびEUにおける経済実績が悪化したにもかかわらず、実質純賃金は大幅に上昇した。
次の表は、表中の各年の失業率を示している。
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
(年間平均、％)
失業率 5.0 4.0 3.6 3.3 4.1
出典： ハンガリー中央統計局
主として継続しているパンデミックの結果、失業率が前年より上昇したにもかかわらず、2020年の年間平
均失業率は、EUの平均を大きく下回る4.1％であった。
稼働率の上昇は、政府の重要な政策である。政府は現在失業中の労働者の就職支援を目的として、求職支
援プログラムおよび成人職業訓練プログラムを含む、いくつかの施策を導入した。最後に、政府は初めて就
職活動をする労働者の就職支援を目的とした、「START」プログラムを開始した。STARTプログラムは、とり
わけ一定年齢以下の新卒者およびその他一定の潜在的新規就労者を雇用した雇用主に対して、雇用主拠出金
の割引を提供するものである。
15歳から74歳の国民の経済活動
有職者数 失業者数 稼動人口 非稼動人口 稼働率の 失業率の
(千人) (千人) (千人) (千人) 年平均(％) 年平均(％)
2016年 4,482.2 234.5 4,716.7 2,790.9 62.8 5.0
2017年 4,548.4 191.6 4,739.9 2,720.4 63.5 4.0
2018年 4,606.4 171.8 4,778.2 2,654.0 64.3 3.6
2019年 4,644.6 158.9 4,803.5 2,615.6 64.7 3.3
2020年 4,603.2 197.6 4,800.8 2,607.9 64.8 4.1
出典： ハンガリー中央統計局
30/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2021年１月１日付でEUの調和のとれた人口データ収集の枠組み規制および関連する施行規則が効力を生じ
たため、ハンガリー中央統計局は、2021年１月参照期間から新しい方法による労働力調査データの公表を始
めた。経済活動の特定のカテゴリーは新しい方法によって異なる分類となっている。育児手当を受給してい
る現役労働者に加えて、育児休暇前に働いていて、仕事関連の所得を得て、以前の仕事に復職できることが
保証されている労働者も、新しいEU規則によれば被雇用者とみなされる。また、学生、無報酬の家事労働者
および季節労働者も、この方法の変更により異なるカウントになっている。
⑤ 民 営 化
民営化の取組みの現状
1990年以降、ハンガリーは、以前は国家所有であった1,860社の企業中1,300社近くを、直接売却および
公募の方法で民営化してきた。2007年12月31日まで、ハンガリー民営化・国家持株会社がかかる売却を管
理していた。
民営化計画に関わっている比較的大規模な企業の大多数が、既に部分的にまたは完全に民営化されてい
る。36社については、政府による永続的な支配が見込まれている。長期にわたり国有の維持が義務づけら
れている財産の範囲は次のとおり法律で定義されている。
(1) 国の公益サービス供給者
(2) 国家経済の戦略上重要な財産または企業
(3) 国家防衛その他特別な目的のために職務を遂行し目的を充足する財産または企業
また、2011年、政府はハンガリー石油ガス会社（以下「MOL」という。）の株式の20％超を買い取った。
2020年12月31日現在、ハンガリーのMOLに対する直接的および間接的な所有割合は、MNV Zrt.、Maecenas
Universitatis Corvini財団およびMathias Corvinus Collegium財団が保有する株式を含め、合計25.2％で
あった。
2019年２月18日、イノベーション・テクノロジー省は、政府がブダペストのコルヴィナス大学に融資す
るため財団の設立を計画していると発表した。財団はMaecenas Universitatis Corvini財団と名付けら
れ、以前は国が直接所有していたRichter社（製薬会社）の10％の株式とMOL社の10％の株式（両社ともに
ブダペスト証券取引所に上場されている。）を取得する計画であった。2020年６月５日、この取引は完了
した。
その後2020年６月に、Richter社の10％の株式およびMOL社の10％の株式は、Mathias Corvinus
Collegium財団に譲渡された。
31/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
用いられた民営化手法
ハンガリーは、民営化の大部分を公開入札によって行い、現金ベースの売却を行う点で、中央ヨーロッ
パにおいて特異性を有する。しばしば長期的な戦略的投資家に対して行われるかかる即金売買は、新たな
経営およびノウハウを多くのハンガリー企業にもたらすことに成功してきた。
2003年までは、補償証書も民営化の手段として用いられた。近年、補償証書の重要性は著しく低下して
きている。補償証書とは、資産および個人の自由の喪失を含む、被った損害に対する補償を提供するため
に制定された補償法に従い、個々のハンガリー国民に付与された権利であった。これらの補償証書の持主
には、一定の民営化法人の株式の買取を申し込む権利が与えられていた。2003年、補償証書システムを終
了させるために、政府はフォラーシュ信託投資会社（国有アセット・マネジメント会社）の株式を、補償
証書と引換えに提供することを決定した。2003年６月および７月、株式の提供は完了し、フォラーシュ信
託投資会社の株式は、ブダペスト証券取引所に上場された。
2012年１月１日、河川、運河、自然湖、ハンガリー上空の空域、排出削減ユニット、考古学的発見、政
府または地方自治体により保有されている金融資産（例えば公共交通会社、林業を担う会社、公益のため
の法律に基づき設立された会社などの株式を含む。）、国もしくは地方自治体またはその公的もしくは民
間の組織により保有されている国家データ資産などの特定の資産の保護を規定する国有資産法が施行され
た。国有資産法は、当該資産が公共の利益に資するよう、国有資産を管理する範囲およびルールならびに
国有資産の売却、貸与および利用に関する制約を定めている。
32/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
⑥ 社会保障制度
1989年の共産主義の崩壊前においては、ハンガリーの社会保障は連帯およびリスク共有の原則に基づいて
いた。徴収および再配分を通じた社会給付、保健給付および年金給付は政府により実行されていた。政治体
制および経済システムの変更以降、自己給付（個人の民間貯蓄）が、ハンガリーの社会保障制度において、
より重要な役割を果たしている。現在、ハンガリー国民は、民間投資口座への任意の支払または任意の年金
基金への加入により、将来受け取る社会保障給付の額に影響を及ぼすことができる。政府は、自己給付が不
能な者に対して社会保障給付を提供している。
医療制度
ハンガリーの医療制度は、ハンガリー社会保障カードを保有し、かつ、社会保障制度に強制的拠出を
行っている者が利用できる。３つの水準での医療が利用可能であり、基本的な医療からより広範な医療の
順に利用されることが想定されている。しかし、より効率的であろう場合、治療はより高い水準の医療か
ら開始することもできる。第一水準の医療はかかりつけの医者により提供される基本的な医療サービスで
あり、第二水準の医療は外来患者診療における専門化した診療サービスからなり、第三水準は医療施設
（例えば、病院、クリニックまたはサナトリウム）における入院患者診療により構成される。ただし、障
害者は、救急サービスを利用し、疾病給付を受領し、および/または障害年金の受給資格を持つ。これらの
障害者のための給付に加え、身体障害者は追加的な経済的給付および現物給付（例えば、指定の駐車場の
利用権や旅行に対する経済的補助を含む。）を受けることができる。
2012年１月１日以降、27％の社会保障拠出金は廃止され、雇用主により支払われる27％の社会拠出金が
導入された。2012年１月１日以降、8.5％の医療拠出金および雇用市場拠出金は従業員により支払われてい
る。保健基金の拠出金は、年金基金の拠出金と類似しており、従業員がその所得の７％を拠出する。
2013年８月１日以降、医療拠出金は金利収入にも同様に課されている。拠出金は、銀行預金および証券
（フォリント建で欧州経済領域の加盟国により発行された政府公債証券を除く。）に支払われた金利収入
の６％である。
年金制度
社会保障制度改革の過程で、年金制度は、最近10年間において最も根本的な変容を遂げた。1998年、単
一層の年金制度に代わり、三層の制度が導入された。当該制度においては、賃金から強制控除される年金
拠出金のほか、企業年金基金により自己積立ての可能性が提供されている。さらに、従業員は、任意の年
金基金にも加入することができる。この年金制度の３本柱は、強制的国家年金、強制的企業年金基金およ
び任意の企業年金基金である。
2010年11月、国会は、「３本柱」制度からヨーロッパでの慣行により近い「２本柱」制度への移行を最
終的な目的とする、年金改革法を承認した。「２本柱」制度は、国営の強制的年金および任意の企業年金
から構成されることとなる。2011年１月31日までに、強制的企業年金制度の加入者は、その企業年金を国
営の強制的年金制度へ移行するか、企業年金に留まるか、選択することができた。しかし、強力なインセ
ンティブにより、前者の選択肢が推奨されている。後者の選択肢について、企業年金に留まる加入者は、
国営の年金制度における今後の受給資格を授与されず、よって、既に国営の年金制度の最低支払期間であ
る少なくとも20年の雇用期間を超えた従業員を除いては、年金を企業年金基金のみから受け取ることとな
る。
年金改革の目的は、３本柱制度の問題点に取り組むことである。かかる制度の下で、年金債務は、予算
にますます大きな影響を与えており、強制的企業年金の低い実質純利益は、将来の年金支払を脅かしてい
た。
33/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
「２本柱」制度の下では、従業員の選択に応じて、国家年金基金および企業年金基金に対して支払が行
われる。年金拠出総額は従業員の月給の34％（旧制度の下での33.5％からわずかに上昇した。）に相当
し、 そのうち10％（従来は9.5％）は従業員によって支払われ、24％は雇用主によって支払われる。雇用主
の拠出金は、国家年金基金に払い込まれる。2012年１月１日の時点で、従業員が企業年金基金のみに留ま
ることを選択した場合には、10％の従業員による拠出金は、従業員が選択した企業年金基金に移されるこ
とになる。国家年金制度にのみ加入する従業員については、10％の拠出金全部が国家年金基金に充当され
る。年金改革法の経過規定により、2010年11月１日から2011年12月31日の間、従業員による国家年金制度
および企業年金制度の選択に関わらず、従業員の拠出金は国家年金基金に移された。かかる企業年金基金
への拠出金の暫定的な支払停止は、年度予算の修正を促進すること、ならびに2010年および2011年の年間
赤字目標を維持することを目的としていた。
年金改革は、２つの資金源から公的歳入を生み出すと予測された。第一に、国家年金制度を選択した個
人の積立金は、公的債務の著しい減少に貢献すると期待されている。第二に、将来の年金拠出金から得ら
れる歳入は、長期的に国家年金制度の収支を均衡させると期待されている。
2010年１月１日より、女性男性ともに、退職年齢は62.5歳へ引上げられた。2022年までに、退職年齢は
65歳へと段階的に引上げられる。しかし、遅発的効果のため、一般政府予算に対する年金改革のプラス効
果は少なくとも30年間は現れないであろう。
2011年12月23日、国会はハンガリー経済安定化法を採択した。これによると、企業年金基金の加入者お
よびその雇用主が国家年金基金に34％の年金拠出金を支払い、またかかる者がその年金の75％を国家年金
基金から受領する権限を有する。かかる法律に基づき、企業年金基金の加入者は、その年金をもっぱら国
家年金基金のみから受領するために、2012年３月31日まで自身の企業年金を国家年金制度に移行すること
を選択できた。
以下の表は、企業年金基金の資産総額と加入者数を記載している。
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
資 産*
（単位：十億フォリント） 236 255 247 271 276
加入数（単位：千人） 58 57 56 55 54
* 市場価格に基づいて計算されている。未監査のデータ。
出典： ハンガリー国立銀行
34/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
⑦ 最近の進展
金融および為替政策
2020年１月10日、ハンガリー国立銀行は、中華人民共和国の中央銀行である中国人民銀行とハンガリー
の中央銀行であるハンガリー国立銀行が当初2013年に締結されたその二国間通貨スワップ協定を更新し、
総額を10十億人民元から20十億人民元に引上げたことを発表した。協定の３年間更新および総額の引上げ
は、両国間の経済、金融および貿易関係の強化促進に寄与するものである。
2020年３月16日、ハンガリー国立銀行は、中央銀行が為替スワップの入札を日次ベースで実施する予定
であることを発表した。
また、ハンガリー国立銀行は、ハンガリーの与信機関に対して、進行中の世界的な感染症の流行による
異常事態に鑑みて、返済の一時猶予を企業に適用するよう要求した。ハンガリー国立銀行は、FGSプログラ
ムにより提供された貸付の返済の一時猶予を発表した。このプログラムは、銀行に対して中小企業が利用
できるかかる貸付の再編および返済のリスケジュールを認めるものであった。ハンガリー国立銀行は、中
央銀行が企業向け貸付を担保（ヘアカット30％）として受入れることを発表した。
2020年３月19日、ハンガリー国立銀行の金融安定委員会は７つの措置を発表した。
(1) 商業不動産ローンに対するエクスポージャーを2020年末までシステミック・リスク・バッファー
（SRB）規則の対象から除外した。
(2) 銀行の内部自己資本充実度評価（ICAAP）の監視を2020年９月30日まで停止した。
(3) 第２の柱の資本勧告（P2G）に違反しても監督措置は発生しない。
(4) 2020年にかかる最低ソルベンシー資本要件（MREL）を６カ月延期した。
(5) 現地立入検査を２カ月延期し、最も重要なオフサイトの検査のみを実施することとした。
(6) 内部流動性充実度評価プロセス（ILAAP）の現地立入検査を2020年12月31日まで延期する。
(7) 不動産評価のための進行中の個人向け住宅ローンの手続きおよび公正証書にかかる要件は、一時
停止されたが、事態収束後に取得されるべきである。
また、ハンガリー国立銀行は以下の措置を講じた。
(1) 配当金の支払は９月末まで停止される。
(2) 外貨建資金調達適正 比率（FFAR）の計算において、満期１年超の負債に起因するウェイトは、満
期に基づいて区別される。
(3) 外国為替カバレッジ比率（FECR）を15％から10％に引下げたる。
2020年３月23日、金融理事会は、中央銀行基準金利を0.90％に据え置くことを発表し、2020年第２四半
期の平均過剰流動性額を少なくとも300十億フォリントないし500十億フォリントの範囲に据え置いた。同
理事会は、中央銀行のスワップ商品のストックを設定するにあたってそのことを考慮する予定である。
パンデミックによるマイナスの経済効果を軽減し、必要な水準の流動性を確保するため、ハンガリー国
立銀行は、調整された政策を実施する決定をした。大企業向け貸付に対する担保の対象範囲を拡大するこ
とにより、ハンガリー国立銀行は、銀行部門が潜在的に利用できる流動性を約2,600十億フォリント引上げ
た。大企業向け貸付は、すでに2020年３月23日から担保に入れることが可能になっていた。毎週月曜日に
同じ方法で発表される１カ月物、３カ月物、６カ月物および12カ月物の入札のほか、ハンガリー国立銀行
は、銀行部門の適正水準の流動性を維持し、流動性の推移を円滑にするため、フォリントの流動性を提供
する１週間物為替スワップの入札を2020年３月17日からさらに通知をするまで日次ベースで行うことを発
表した。３月には、中央銀行の為替スワップ商品のストック総額が250十億フォリント強増加して2,200十
億フォリント近くになった。
ハンガリー国立銀行の提案に従って、政府は、企業および家計向け貸付の返済の一時猶予を発表した。
この支払猶予は、債務者が直面する一時的な困難に対処するのに役立つ予防的な債務再編手段である。銀
35/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
行にとっては、実体経済の流動性問題を解決し、これにより顧客の返済能力を保全することも重要であっ
た。後日までの返済の延期は、銀行制度の運営に影響を及ぼした。しかし、ハンガリー国立銀行では、銀
行 部門の運営に必要な流動性を常に供給し、それにより金融の安定性維持を支えることは極めて重要であ
ると考えた。ハンガリー国立銀行は、その権限に基づいて行為しており、必要な措置も講じていく。した
がって、成長のための資金提供スキームにおいても返済の一時猶予が導入された。金融理事会は、銀行の
流動性を高めるためにハンガリー国立銀行の不動産担保証券買入れプログラムを再開させる可能性につい
て評価をし、一方金融安定委員会は不動産担保証券による資金調達に対する規制を一時的に緩和した。
金融理事会はまた、金融政策の有効性を高めるため、さらなる流動性提供策をとった。金融理事会は、
満期が３カ月、６カ月および12カ月ならびに３年および５年の新しい固定利付担保付貸付商品の導入を決
定した。貸付は、流動性に制限を設けることなくハンガリー国立銀行により固定利付で提供される。ま
た、ハンガリー国立銀行は、さらに決定がなされるまで、準備預金要件の対象となる国内の取引相手たる
与信機関を準備預金要件から免除した。この決定は直ちに効力を生じた。2020年３月に始まった準備預金
維持期間からは、準備預金要件規制を満たす必要はなくなっている。
その後2020年４月１日に、ハンガリー国立銀行は、一般に利用可能なオープン・エンド型の投資ファン
ドが、2020年３月23日に導入された満期３カ月、６カ月および12カ月の新たな固定利付担保付貸付商品に
適格となることを発表した。技術的な詳細は後日決定される。
インフレに関する2020年３月のレポートによると、ハンガリー国立銀行は、ハンガリーにおけるインフ
レを2020年については2.6％ないし2.8％、2021年については3.4％ないし3.5％、2022年については3.0％と
予想していた。ハンガリーにおけるGDP成長率は、2020年には2.0％ないし3.0％、2021年には4.0％ないし
4.8％、2022年には3.5％と予想された。
2020年４月１日、ハンガリー国立銀行は、１週間物預金入札を毎週実施することを発表した。オファー
ド・レートは、中央銀行基準金利である0.9％となる。初回の入札は2020年４月２日に実施された。
また、ハンガリー国立銀行は、2020年７月１日から2020年末までのその他のシステム上重要な機関にか
かる資本バッファー比率を０％に設定した。
2020年４月２日、ハンガリー国立銀行は、一般政府に対して250十億フォリントの配当金を支払うことを
発表した。
2020年４月７日、ハンガリー国立銀行は、経済の保護と再スタートを支援する総合的な措置を発表し
た。
金融理事会は、金利回廊を対称的にすることを決定した。金融理事会は、基準金利および翌日物預金金
利をそれぞれ0.90％と-0.05％に据え置き、翌日物および１週間物の担保付貸出金利を1.85％に引上げた。
１週間物預金金利は、発表時における0.90％の基準金利に等しかった。しかし、金融理事会は、金融商品
の金利が金利回廊内で基準金利から上下いずれかに逸脱することを認めることを決定した。ハンガリー国
立銀行は、実際の入札を発表する際に、金融商品にかかる金利を毎週設定する。
金融理事会はまた、政府債市場の安定的な流動性ポジションを回復するために流通市場における政府債
買入れプログラムを開始し、また銀行部門への長期的な資金供給を改善するために不動産担保証券買入れ
プログラムを再開することも決定した。プログラムの詳細は後日発表される。
金融理事会は、ハンガリー国立銀行が2020年第２四半期から基準金利で利息が付される銀行部門の過剰
流動性ターゲット額を設定しないことを発表した。
広範な目的で利用可能な国内中小企業が必要とする手頃な資金へのアクセスを確保するため、金融理事
会は2020年４月20日、割当額を1,000十億フォリント引上げて、成長のための資金供給スキーム・ゴー!
（以下「FGS Go!」という。）の立ち上げを発表した。FGS fixの下で未実行の500十億フォリントを含め
て、ハンガリー国立銀行は、FGS Go!の下で最大1,500十億フォリントの低コストで安定的な資金源を中小
36/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
企業部門向け貸付に利用可能とする。新しいスキームは、その主要なパラメータと実施方法においては初
期段階のFGSと同一であった。
ハンガリー国立銀行の社債買入れプログラムおよび成長のための債券資金提供スキーム（BGS）の下で利
用可能な総額は、変わらず450十億フォリントとなる。この総額のうち半分はすでに利用されており、その
ためハンガリー国立銀行は、ハンガリーに本社を置く非金融企業が発行した社債を買入れるために200十億
フォリント強を利用することができた。特定の企業グループに対する最大エクスポージャーの額は、20十
億フォリントから50十億フォリントに引上げられた。このスキームの下での買入れに適格な有価証券の期
限は、10年から20年に延長された。
ハンガリー国立銀行は、優遇預金枠を利用してFGS Go!およびBGSの下で生み出された追加資金を無効化
することを決定した。ハンガリー国立銀行は、FGS Go!およびBGSの下で2020年４月７日以降に追加された
貸付および債券の残高に対して基準金利を上回る４％の利息を支払うことを発表した。
2020年４月28日、金融理事会は、中央銀行基準金利および翌日物預金金利を、それぞれ0.90％および-
0.05％に据え置くことを発表し、また翌日物および１週間物の担保付貸出金利を1.85％に据え置いた。
また、金融理事会は、2020年４月７日に発表した資産買入れプログラムの詳細を決定した。ハンガリー
国立銀行による政府債の買入れは流通市場で行われる予定で、ハンガリー国立銀行による入札または流通
市場における個別取引により実施されるであろう。ハンガリー国立銀行は、かかる買入れを市場価格で行
う予定である。ハンガリー国立銀行は、買入れ予定の政府債の満期の範囲については制限を設けない予定
であるが、最低３年満期の政府債に的を絞って買入れを行う予定である。プログラムに参加適格な取引相
手となる機関の範囲には、政府債市場において主な役割を担っている銀行およびノンバンクが含まれた。
不動産担保証券の買入れは、発行市場および流通市場で行われる予定である。このプログラムの下で買入
れられる資産は、当初の満期が少なくとも３年の固定利付フォリント建不動産担保債券である。
両プログラムとも、2020年５月４日にハンガリー国立銀行が開始する予定であった。これらは、コロナ
ウイルスのパンデミックによる経済および金融の成り行きが許す限りの時間枠および金額で継続される予
定であった。入ってくる情報に基づき、ハンガリー国立銀行は、必要に応じてプログラムを微調整する用
意があった。
さらに、ハンガリー国立銀行は、同行の政府債買入れプログラムにはハンガリーの固定利付フォリント
建政府債が対象になることを発表した。ハンガリー国立銀行は、買入れ予定の政府債の満期の範囲につい
ては制限を設けない予定であるが、満期までの期間が最低３年の政府債に的を絞って買入れを行う予定で
ある。特定のシリーズの政府債についてハンガリー国立銀行が支配的な市場参加者になることを避けるた
め、欧州中央銀行（以下「ECB」という。）の慣行に従って、いずれのシリーズについても有価証券の買入
れ予定額は発行残高の33％を超えてはならない。関連するハンガリーおよびEUの規則ならびに主要な中央
銀行の慣行に沿って、ハンガリー国立銀行による政府債の買入れは流通市場において毎週行われる定期的
な入札および入札以外での取引により行われる。ハンガリー国立銀行は、市場活動の観点から主要な参加
者がプログラムに関与することを目指した。したがって、政府債市場において主要な役割を果たしている
銀行のほか、投資ファンドも主要な資産運用会社を通じてプログラムに参加する可能性がある。
また、ハンガリー国立銀行は、2018年に不動産担保証券市場に流動性を提供するのに貢献し、発行市場
における債券発行に有利な市場条件をもたらす一方で、市場利回りを効果的に引下げた不動産担保証券買
入れプログラムを再開する予定であった。不動産担保証券買入れプログラムの新たな第２段階は、2018年
に成功したプログラムとおおむね同じ戦略的パラメータで開始される予定であった。プログラムには、発
行残高の50％を総額とする長期固定利付フォリント建不動産担保証券が含まれる予定であった。ハンガ
リー国立銀行は、発行市場および流通市場において買入れを行う予定であった。
37/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
中央銀行は、ハンガリー国立銀行がコロナウイルスのパンデミックによる経済および金融の成り行きが
それを裏付けている限り、政府債および不動産担保証券のプログラムの下で買入れを実施する予定である
ことを発表した。
金融理事会は、いずれのプログラムについても買入れ総額を設定しなかった。ハンガリー国立銀行は、
資産買入れプログラムの実施状況を継続的に監視しつつ、残高の増加が、政府債については1,000十億フォ
リント、不動産担保証券については300十億フォリントに達した場合には、技術的な修正を行う予定であっ
た。
2020年４月30日、ハンガリー国立銀行は、公募されたオープン・エンド型の投資ファンドを運用する、
ハンガリーに本社を置く資産運用会社上位10社が成長のための債券資金提供スキームおよび政府債買入れ
プログラムに参加する取引相手機関のグループに含まれることになると発表した。また、投資ファンド
は、３年満期および５年満期の貸付を含むあらゆる満期の担保付中央銀行貸付を利用できることになり、
適格担保の範囲は、投資ファンドが発行したフォリント建有価証券およびミューチュアル・ファンド証券
に拡大された。
2020年５月４日、ハンガリー国立銀行は、政府債買入れプログラムを立ち上げ、不動産担保証券買入れ
プログラムを予定どおり再開させた。
2020年５月８日、ハンガリー国立銀行は、 2020 年３月末にコロナウイルスによって引起こされたパンデ
ミック状態後の生態学的に持続可能な経済の回復について、環境の専門家、NGOおよび機関との協議を開始
したことを発表した。受取った提案は、「グリーン」原則を遵守しつつ、経済回復の幅広い機会があるこ
とを示していた。2019年２月、ハンガリー国立銀行は、気候変動およびその他の環境問題に関係するリス
クを軽減するとともに、ハンガリーにおけるグリーン経済のための資金を調達するためのグリーン・プロ
グラムを発表した。このプログラムの下で、ハンガリー国立銀行は、環境の持続可能性に極めて大きな貢
献をする金融仲介システムの参加者を支援した。この発表によると、ハンガリー国立銀行は、17の非政府
組織、環境保護および気象保護に取組む科学者ならびにエネルギー学の専門家から非常に有益な提案を受
けた。例えば、エネルギー工学の観点から見たハンガリーの建築ストックの近代化、再生可能エネルギー
生産の改善、農業のグリーン化、さまざまな産業における短いサプライ・チェーンの開発ならびに水管理
に関するあらゆるアイディアなど、提示された提案は革新的でグリーンな経済の回復における広範な機会
を示すものであった。ハンガリー国立銀行は、今後提案を評価し、非政府組織ならびに政府および市場の
取引相手と協議して、グリーン投資を支援する措置および提案を展開していくことを発表した。ハンガ
リー国立銀行は、長期にわたって、追加的な分野において非政府組織および科学研究の参加者との協力を
続けていく意向である。
2020年６月23日、金融理事会は、中央銀行基準金利を15ベーシスポイント引下げて0.75％とすることを
発表した。金融理事会は、翌日物中央銀行預金金利を-0.05％に、また翌日物および１週間物の担保付貸出
金利を1.85％に据え置いた。この発表によると、ハンガリー国立銀行は、１週間物預金金利を依然として
毎週の入札で設定することとしていた。金融理事会の評価によると、１ 週間物預金金利の基準金利と同様
のシフトが保証された。
2020年７月20日、ハンガリー国立銀行は、居住者向け与信機関のために発表されたグリーン優遇資本要
件プログラムを2024年末まで１年間延長することを発表した。このプログラムは、金利だけでなく、将来
の手数料についても割引を認めるもので、エネルギー効率を目的とした追加的な住宅ローンの導入を奨励
するものであった。より柔軟な条件によってパンデミックの状況に起因する信用需要の一時的な落込みが
打ち消されるであろう。
38/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
このプログラムは、グリーン住宅ローンのリスクが他の類似の建設のリスクより比較的低いために展開
された。したがって、ハンガリー国立銀行は、2020年初めから、プログラムの実行中に提供される新たな
適格グリーン住宅ローンの価格が0.3％以上低い場合、銀行に対してより低い資本要件を規定していた。
プログラムを円滑に進めるための主要な措置は、ハンガリー国立銀行がプログラムの下での低金利に加
えて、ローン関連の手数料について提供される控除を認めることであった。グリーン・ローンを選択する
消費者がエネルギー効率の目標を達成するために有利な条件付のローンを引続き利用できるようにするた
め、与信機関はこれらローンをより低い金利のローンおよび/または手数料で提供し、その結果年利率
（APRC）との比較で少なくとも0.3パーセント・ポイントの割引が得られる。また、ハンガリー国立銀行
は、グリーン・プログラムの下で設定された目標を考慮して、プログラムを延長し、価格設定条件をより
柔軟にすることを決定した。プログラムに参加するためには、与信機関は、補足的なデータ報告を実行し
なければならない。 その説明文および表のデザインは、関係機関との協議とピアレビューを経て、ハンガ
リー国立銀行によって最終決定された。銀行の負担を軽減するため、金融機関に2020年６月30日を期限と
するデータ提供義務の免除が認められるが、その申請をする必要がある。
2020年７月21日、金融理事会は、中央銀行基準金利を15ベーシスポイント引下げて0.60％とすることを
発表した。金融理事会は、翌日物中央銀行預金金利を-0.05％に、また翌日物および１週間物の担保付貸出
金利を1.85％に据え置いた。ハンガリー国立銀行は、１週間物預金金利を引続き毎週の入札で設定する。
また、金融政策の移行を改善するため、金融理事会は、より長期の満期に影響を及ぼす商品、すなわち長
期担保付貸付商品と、政府債の購入との間で再配分することを決定した。したがって、ハンガリー国立銀
行は、満期15年超のセグメントにおける政府債については限られた金額を購入することになる。
2020年７月23日、ハンガリー国立銀行は、ECBとハンガリー国立銀行が、COVID-19ショックにより市場が
機能不全にあるなかでユーロの流動性が必要となる可能性に対処するため、ハンガリーの金融機関にユー
ロの流動性を提供するレポ取引枠の取決めを設定することに合意した。このレポ取引枠の下で、ECBはユー
ロ圏外の中央銀行に十分なユーロ建担保と引換えにユーロの流動性を提供しなければならない。このレポ
取引枠の下で、ハンガリー国立銀行は、ECBから最大４十億ユーロの借入を行うことができる。各借入実行
の満期は最長で３カ月となる。このレポ取決めは、延長の決定がなされない限り、2021年６月までとされ
る。
加えて、過去数カ月間に、ハンガリー国立銀行は、二国間スワップおよびレポ契約からなる国際的な
セーフティネットを創設した。これにより、同行は短期間に外国為替流動性を最大10十億ユーロ増額する
ことが可能になる。セーフティネットの内容は以下のとおりである：
・ECBとの間で締結されたレポ契約。これを通じてハンガリー国立銀行は、ハンガリーの金融機関に最大
４十億ユーロのユーロ流動性を提供することができる。
・中国人民銀行との間で2013年に締結された為替スワップ契約。これにより約2.5十億ユーロの流動性が
確保される。
・国際決済銀行との間で締結されたレポ契約。これにより２十億ユーロの流動性が利用可能になる。
・米国の連邦準備制度が発表したレポ枠。これによりハンガリー国立銀行に１-２十億米ドルの流動性が
提供される。
2020年８月４日、ハンガリー国立銀行は、グリーン・プログラムの実施により、同行が気候変動および
その他の環境問題に関連したリスクを軽減し、ハンガリーにおいて多額のグリーン市場資金を調達するの
に貢献する意向であることを発表した。したがって、銀行部門においてすでに取られた措置に続いて、ハ
ンガリー国立銀行は、資本市場へのグリーン・ファイナンスの導入を開始した。これにはグリーンボンド
発行を推進するためのハンガリー国立銀行の規制措置の分析の公表が含まれていた。
39/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2020年９月８日、ハンガリー国立銀行は、その金融政策手段に外貨の流動性を提供するスワップ・ファ
シリティの追加を発表した。また、金融理事会は、準備要件および担保付貸付枠に影響を及ぼすその他の
技術的修正を行うことを決定した。
過去の四半期末現在、銀行によるバランスシートの調整期間中 、短期金利の変化や銀行間の流動性管理
において重要な役割を果たす為替スワップ市場においては、高いボラティリティと一時的な利回りの低下
が見られた。これらの入札を導入することにより、ハンガリー国立銀行は、この特別な期間に短期金融市
場の利回りが金融理事会によって最適とみなされる水準の短期金利に調整され、そのボラティリティは大
幅に低下するように確保することを目指した。
さらに、金融理事会は、中央銀行の手段に関連したいくつかの追加的な技術的修正について決定した。
銀行間の流動性が大幅に拡大したため、金融理事会は、新型コロナウイルスのパンデミックから生じた影
響に対応して2020年３月24日から中止されていた制裁の再開を決定し、2020年10月１日から与信機関の準
備金が不足した場合に適用されることとした。金融理事会はまた、2020年10月１日から 準備預金口座の預
金準備率を超える部分の金利は、現在の中央銀行の翌日物預金金利または０％のいずれか低い方とすべき
であるとの決定をした。
流動性の提供手段については、ハンガリー国立銀行は、３年および５年満期の長期担保付貸付ファシリ
ティの入札のみを発表していくことを決定した。３カ月、６カ月および12カ月満期を含む満期１年までに
かかる毎週の入札については発表されないこととなった。技術面の簡素化を実現するため、担保付貸付
ファシリティの投資ファンドによる間接的な（すなわち、銀行部門の参加者を通じた）利用は廃止され
る。ただし、関係する投資ファンドは、直接の利用をすることができる。
2020年９月８日、ハンガリー国立銀行は、2020年９月７日に同行の金融安定委員会が、新型コロナウイ
ルスのパンデミックに対応して一時的に引締められていた外国為替カバレッジ比率（FECR）と外貨建資金
調達適正比率（FFAR）にかかる要件を復活させ、また銀行間資金調達比率（IFR）にかかる規制を改正する
決定をしたことを発表した。この決定は、金融の安定性を維持しつつ、専門的な金融サービスを提供する
銀行に資金調達の余地を増やし、そのことが将来における為替スワップ市場のより効率的な運用に貢献す
ることになるであろう。
2020年３月18日、金融安定委員会は、複数の慎重な措置を発表した。ハンガリー国立銀行は、リスクの
進展と新型コロナウイルスのパンデミックが金融部門に及ぼす影響の継続的な監視に基づいて、こうした
一時的な措置を見直す必要があると考えた。予防的措置の対象となるリスクはまだ実現しておらず、パン
デミックの状況は資金調達構造の重大な変化につながっていないため、FECRおよびFFARの要件を以前の形
態に復活させ、引締め措置を撤回することは正当化された。したがって、2020年９月７日、金融安定委員
会は、３月まで有効であったFECRとFFARの要件を復活させ、コロナウイルスのパンデミックに関連してな
された修正を無効にする決定をした。
さらに、同委員会は、銀行間資金調達比率（IFR）の要件を修正する決定をした。したがって、金融機関
とのデリバティブ取引およびかかる取引の再評価から生じるオンバランスシートの負債はIFR要件の決定に
おいて免除される。
2020年９月22日、金融理事会は、中央銀行基準金利を0.60％に据え置くことを発表した。ハンガリー国
立銀行は、９月に外貨の流動性を提供するスワップ・ファシリティを再導入した。ハンガリー国立銀行
は、スワップ商品の資金手当てにはユーロの流動性を提供する国際的なマスター・レポ契約を利用しなけ
ればならない。2020年９月18日に実施された最初の入札では、ハンガリー国立銀行は、銀行が提供した575
百万ユーロの全額を受入れた。８月、ハンガリー国立銀行は、金融政策の移行の有効性と政府債市場の安
定した流動性ポジションを維持するため、毎週の政府債購入額を40十億フォリントに引上げた。また、金
40/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
融理事会は、成長のための債券資金提供スキームの下で利用可能な金額を2020年９月23日から750十億フォ
リントに引上げた。
2020年９月24日、ハンガリー国立銀行は、１週間物預金金利を0.60％から0.75％に変更した。
2020年９月30日、ハンガリー国立銀行は、2020年９月30日と2020年９月29日に実施された為替スワップ
の入札において申込がなかったと発表した。ハンガリー国立銀行は、2020年９月18日および2020年９月25
日に実施された４件の為替スワップの入札に約1.1十億ユーロを割当てた。ハンガリー国立銀行が存在感を
示したことで、前四半期末とは異なって、実際のところスワップ市場には緊張感はみられなかった。
2020年10月６日、金融理事会は、長期利回りに影響を及ぼすハンガリー国立銀行のプログラムの有効性
を高めるため、政府債購入プログラムの一定のパラメータを変更する決定をした。この措置の下で、一定
のシリーズの政府債の購入に利用可能な金額は33％から50％に引上げられた。さらに、この買入れに利用
可能な資産の範囲は、政府債購入と同じ戦略的パラメータを用いて、発行済の政府保証債務証券にまで拡
大された。新しく微調整された措置の導入に加えて、ハンガリー国立銀行は、より満期の長い債券の購入
に焦点をあてて、毎週の購入額に柔軟なアプローチを取入れることを決定した。購入は、 定期的な毎週の
入札と入札外で行う必要がある。金融理事会は、必要な範囲で、持続的な市場プレゼンスを通じて政府債
購入プログラムを利用するであろう。以前の決定に従って、ハンガリー国立銀行は、購入額がプログラム
の開始時に設定された当初金額より1,000十億フォリント増加した場合には、技術的な見直しを行うことと
なっている。
2020 年10月14日、ハンガリー国立銀行は、OTP銀行がエネルギー効率住宅ローン・イニシアチブと呼ばれ
るヨーロッパのプラットフォームに参加したことを発表した。ハンガリー国立銀行では、ハンガリー初の
銀行が優遇貸付を提供することにより、エネルギー効率のよい不動産の購入とエネルギー効率を高めるた
めの不動産投資を奨励することを目的とした国際的な取組みに参加したことは、気候にやさしい重要な決
定であると考えている。
2020 年11月３日、ハンガリー国立銀行は、長期的な持続可能性を促進し、2019年２月に開示された同行
のグリーン・プログラムの原則に準拠するため、同行が 不動産担保証券買入れプログラムをさらに発展さ
せ、将来的にはグリーンボンドに適格な不動産担保証券を買入れることになる旨を 金融理事会が決定した
ことを発表した。ハンガリー国立銀行は、グリーンボンドができる限り早期に発行できるように、プログ
ラムに含めるグリーン適格基準およびグリーン不動産担保証券買入れの詳細について、関係する市場参加
者と協議を行う。ハンガリー国立銀行は、発行市場におけるその不動産担保証券買入れスキームに基づく
証券の購入を中止し、グリーン不動産担保証券のためのプログラムが作成されるまで、不動産担保証券を
再投資する機会を撤回する。ただし、ハンガリー国立銀行は、不動産担保証券市場の流動性を維持するた
め、流通市場での購入は続けていく。
2020 年５月、ハンガリー国立銀行は、銀行部門による長期的かつ安定的な資金調達の利用を増加させる
ため、2018年に導入された不動産担保証券買入れプログラムを再開した。このプログラムは、設定された
目的のサポートに成功し、その結果、国内市場で発行された不動産担保証券の額は大幅に増加した。2020
年５月以降の期間に、プログラムに含まれるための適格基準を満たした不動産担保証券が約250十億フォリ
ント発行されたが、これは2018年に買入れプログラムが終了してから2020年５月に買入れが再開されるま
での期間中に発行された固定利付債券の総額を大きく上回り、それによってフォリントによる長期的かつ
安定的な資金調達が銀行部門にもたらされた。このプログラムは、新型コロナウイルスのパンデミックに
関連して生じた経済および金融のリスクを管理し、金融政策の移行の効果を高めるのに大いに貢献した。
不動産担保証券買入れプログラムに加えて、ハンガリー国立銀行の金融政策手段は、長期資金調達、主
として長期与信枠を提供する他のスキームとともに拡大され、これにより将来を見据えた長期的かつ安定
した資金調達の銀行部門による利用が促進されている。拡大されたハンガリー国立銀行の一連の政策手段
41/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
およびその結果として市場環境の変化により、同行は不動産担保証券買入れプログラムをさらに改善し、
より対象を絞ったものにすることが可能になった。
長期的な持続可能性の考慮事項を統合することが中央銀行の間でますます重要な問題となったように、
ハンガリー国立銀行にとってそのことは重要な優先課題となった。したがって、ハンガリー国立銀行は、
世界の中央銀行に先駆けてこうしたアプローチを採用した。こうした理由から、金融理事会は、ハンガ
リー国立銀行が将来においてその不動産担保証券買入れスキームの一環としてグリーンボンドを買入れる
ことを決定した。買入れに適格なグリーンボンドは環境面の持続可能性に貢献し、またエネルギー効率の
改善を目的とした融資を促進するものでなければならない。グリーン不動産担保証券の市場を支援するこ
とは、ハンガリー国立銀行のグリーン・プログラムに定めた目的の不可欠な部分であり、国内のグリーン
金融市場の発展を促進し、それによって長期的な持続可能性、気候変動と闘う取組み、ならびに意識的な
投資判断の基礎を拡大することに貢献した。
ハンガリー国立銀行は、グリーンボンドがなるべく早期に確実に発行されるように、グリーン不動産担
保証券買入れの実施の詳細について、および特にプログラムへの参加要件であるグリーンボンドとしての
適格基準について、ハンガリー銀行協会およびモーゲージ銀行と協議する。
2020 年11月16日から、ハンガリー国立銀行は、発行市場におけるその不動産担保証券買入れスキームに
基づく証券の購入を中止し、グリーン不動産担保証券のためのプログラムが作成されるまで、不動産担保
証券を再投資する機会を撤回する。ただし、ハンガリー国立銀行は市場においては引続き活発であり、不
動産担保証券市場の流動性を維持するため、移行期間中も流通市場での買入れを継続し、銀行部門による
長期的かつ安定した資金調達の利用を支援するためその長期貸付ファシリティの下での割当に利用可能な
流動性の額を引上げる準備を整える。
2020 年11月17日、金融理事会は、中央銀行基準金利を0.60％に据え置くことを発表した。金融理事会
は、その政府債購入プログラムについて技術的修正を行った。金融理事会の評価によるとこのプログラム
は成功した。金融理事会は、その資産購入プログラムの実施を継続的に監視する一方で、購入ストックが
2,000十億フォリントに達したときに、次回の技術的修正を実施する。 資金供給スキーム・ゴー!の利用は
11月中旬に1,000十億フォリントを超えた。よって、金融理事会は、プログラム総額を1,000十億フォリン
ト引上げることも決定した。
42/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2020年12月１日、ハンガリー国立銀行は、ハンガリーに本拠を有するその他のシステム上重要な機関の
リストを見直した。以下の表は、その他のシステム上重要な機関にかかる資本バッファー比率の予定を示
したものである。
資本バッファー比率
機関
2020 年 2021 年 2022 年 2023 年
予定
OTP 銀行 Nyrt.
0.00 ％ 0.50 ％ 1.00 ％ 2.00 ％
ウニクレディト銀行ハンガリー Zrt.
0.00 ％ 0.25 ％ 0.50 ％ 1.00 ％
商業信用銀行 Zrt.
0.00 ％ 0.25 ％ 0.50 ％ 1.00 ％
エルステ銀行ハンガリー Zrt.
0.00 ％ 0.125 ％ 0.25 ％ 0.50 ％
ライファイゼン銀行 Zrt.
0.00 ％ 0.125 ％ 0.25 ％ 0.50 ％
ハンガリアン貯蓄銀行 Zrt.
0.00 ％ 0.125 ％ 0.25 ％ 0.50 ％
CIB 銀行 Zrt.
0.00 ％ 0.125 ％ 0.25 ％ 0.50 ％
MKB 銀行 Zrt.
0.00 ％ 0.125 ％ 0.25 ％ 0.50 ％
出典： ハンガリー国立銀行
2020年12月８日、ハンガリー国立銀行は、企業および地方自治体によるグリーン資金調達のための優遇
資本要件の導入を発表した。2021年のICAAPの見直しに始まり、ハンガリー国立銀行は、銀行部門のリスク
内容を改善し、詳細な条件に定められた基準を満たす、環境面で持続可能な企業および地方自治体のエク
スポージャーにかかる資本規制の第２の柱に定める資本要件の一部またはすべてを解除することにより、
積極的なインセンティブを通じてグリーン貸付を奨励することを意図している。ハンガリー国立銀行は、
５年間の優遇資本要件を提供する。
優遇資本要件プログラムは、当初は再生可能エネルギー生産（EUタクソノミーによる定義）への融資、
ならびにグリーンボンドの購入（グリーン・ボンドへの投資）を対象とするが、この適格エクスポー
ジャーのリストは2021年に段階的に拡大される。
2020年12月15日、金融理事会は、中央銀行基準金利を0.60％に据え置くことを発表した。
2020年12月21日、ハンガリー国立銀行は、カウンターシクリカル資本バッファーを2021年１月１日以降
も０％に据え置くことを発表した。
2020年12月21日、ハンガリー国立銀行は、ユーロの流動性を提供する為替スワップの入札を実施した。
ハンガリー国立銀行は、2021年１月７日を満期とする1,065百万ユーロ（381.06十億フォリント）の入札額
を全額受入れた。
2020年12月29日、ハンガリー国立銀行は、ユーロの流動性を提供する為替スワップの入札を実施した。
ハンガリー国立銀行は、2021年１月７日を満期とする765百万ユーロ（278.22十億フォリント）の入札額を
全額受入れた。
2020年12月30日、ハンガリー国立銀行は、ユーロの流動性を提供する為替スワップの入札を実施した。
ハンガリー国立銀行は、2021年１月７日を満期とする419百万ユーロ（152.83十億フォリント）の入札額を
全額受入れた。
2020年12月31日、ハンガリー国立銀行は、ユーロの流動性を提供する為替スワップの入札を実施した。
ハンガリー国立銀行は、2021年１月７日を満期とする760百万ユーロ（277.52十億フォリント）の入札額を
全額受入れた。
ハンガリー国立銀行は、2020年に為替スワップ入札の微調整を行った。
43/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
以下の表は、銀行間取引市場における流動性の微調整のために利用された為替スワップの月別データを
示したものである。
受入金額
（単位：十億フォリント）
2020年１月 173.6
2020年２月 136.0
2020年３月 541.3
2020年４月 315.7
2020年５月 246.5
2020年６月 279.6
2020年７月 41.3
2020年８月 214.2
2020年９月 106.1
2020年10月 167.4
2020年11月 239.0
2020年12月 134.9
出典： ハンガリー国立銀行
財政政策
2020年１月21日、ハンガリー政府公債管理機構は、利率の高い米ドル建債券１十億米ドルの買戻しを発
表した。
2020年１月31日、ハンガリーは、発行済米ドル建債券４本から公開入札を通じて額面総額1,000,000,000
米ドルを買戻した。
ISINコード 買戻し前の未償還額面総額 買戻し後の未償還額面総額
US445545AE60 2,583,222,000米ドル 2,083,222,000米ドル
US445545AH91 1,923,938,000米ドル 1,823,938,000米ドル
US445545AJ57 2,000,000,000米ドル 1,748,990,000米ドル
US445545AL04 2,000,000,000米ドル 1,851,010,000米ドル
44/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2020年３月11日、ヴァルガ・ミハーイ財務大臣は、進行中のパンデミックを踏まえて、ハンガリーの
2020年のGDP成長率が+3.7％から-0.3％の範囲と予想されることを発表した。
2020年３月16日、 ヴァルガ・ミハーイ 財務大臣は、進行中のパンデミックを踏まえて、GDPの１％に相当
する8.8十億フォリントの予備予算を医療制度に振り向けることを発表した。
2020年３月18日、オルバーン・ヴィクトル首相は、世界で進行している新型コロナウイルス感染症の影
響と闘うための複数の措置を発表した：
(1) 民間の個人および事業者が2020年３月18日までに行った借入にかかる元利金の支払債務は、2020年
末まで停止された。
(2) 短期の事業ローンは、2020年６月30日まで延長された。
(3) 新規の消費者ローンの年利率は中央銀行のプライムレートに５％上乗せした率を上限とされた。
(4) 観光、ケータリング、エンターテインメント産業、スポーツ、文化的サービスおよび旅客運送業
（すなわちタクシー・サービス）など、すでに深刻な事態に陥っている部門では、雇用主の拠出金
支払債務全体が2020年６月30日までの期間取り止めとなった。それと同時に、被雇用者の拠出金は
大幅に減額され、年金拠出金の支払義務はなくなり、健康保険拠出金は法定の最低限度まで減額さ
れる。
(5) 小規模事業者向けに設計された制度（KATA）の下でその税金を支払うタクシー運転手は、一律税債
務の支払義務を負わなくなる。
(6) 上記の部門では、賃貸契約の解約および賃料の引上げが認められなくなる。
(7) 観光開発拠出金は2020年６月30日までの期間中止となった。
(8) 雇用関連規則の柔軟性を高めることで、雇用主と被雇用者は合意しやすくなる。
2020年３月25日、財務省は、債務者に対する追加的な救済策を提供する政令が施行されたことを発表し
た。この規則の主な目的は、政府が今年だけでなく返済義務が復活する翌年においても顧客が債務の返済
猶予を利用するのを支援することである。
採択された規則に従って、返済猶予期間中、銀行は複利を請求することは認められず、そのことは債務
者の負担を大幅に軽減することになる。2021年１月１日から当該貸付にかかる当初の分割返済金額を引上
げることはできない。期間中の分割返済額が変わることがないような方法で期間が延長された。
適格な貸付の範囲は、さらに雇用主貸付および国家資産管理プログラムにも拡大した。支払の猶予は雇
用主貸付にも適用されたが、このことは2020年12月31日まで被雇用者は雇用主に対して貸付にかかる元金
または利息のいずれについても返済の義務を負わないことを意味する。
資産管理会社が不払いを理由に賃貸契約を解約することを認められなくなるため、国家資産管理プログ
ラムの参加者は、購入価格の分割払いおよび賃料の支払にかかる返済猶予を認められるほかに、住宅保証
を受けた。
2020年３月26日、ヴァルガ・ミハーイ財務大臣は、2020年度予算の再編成が進行中であることを発表し
た。この発表によると、新型コロナウイルスの感染症との闘いの経済的影響によって予算全体が書き換え
られた。事業者の納税義務の延長、執行および入札の一時停止ならびに債務の返済猶予を含む経済的保護
措置は、必要な財政的補償を提供する予算を必要とした。発表によると、予算赤字をGDPの３％未満に抑え
るという目標に変わりはなかった。
2020年３月27日、ヴァルガ・ミハーイ財務大臣は、政府が新型コロナウイルスの感染防止について現在
までに245十億フォリントを支出したと発表した。声明によると、経済的保護措置のおかげでハンガリー経
済には約90十億フォリントが残っており、疫学機器の調達に157十億フォリントが利用可能であった。政府
は、積極的な経済政策によりこれまでに達成した成果を保護するため、毎週新しい措置を講じており、
よって間もなくさらなる経済的保護措置が講じられるであろう。
45/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2020年４月４日、政府は、自国内でのコロナウイルスの感染によって必要となった経済対策を開始し、
省庁から1,345十億フォリントを引揚げてこれを再編することを約束した。かかる資金は、経済の保護と再
ス タートを視野に入れて設定される基金において利用される。政府は、コロナウイルスの感染を抑えるこ
とをその使命とする基金に663十億フォリントを振替え、今年度の政党交付金の50％、多国籍企業から納付
される貿易税、金融部門からの拠出金および地方政府に支払われるべき自動車税の一部はすべて同基金に
支払われなければならない。
政府の見積りによると、政党交付金は1.2十億フォリント、多国籍企業から納付されるべき税金は36十億
フォリント、銀行から納付されるべき税金は55十億フォリントであった。自動車税のうち地方政府から中
央政府予算に振替えられる部分は34十億フォリントとなる。感染拡大防止策のための中央準備金が378十億
フォリントに上るため、政府は合計663十億フォリントが同基金のために利用可能となる。ただし、この割
当てには上限は設定されていない。この対策は2020年４月15日または2020年５月１日に有効となる。
経済の保護および再スタートのために設定された基金においては、1,345十億フォリントが利用可能とな
る。経済の保護と再スタートを視野に入れて設定された基金には、中央機関から徴収した貯蓄、すなわち
合計922十億フォリントに上る省庁からの資金が含まれている。総額423十億フォリントの国家雇用基金の
歳入総額もこの基金に振り向けられる。全体で、1,345十億フォリントが経済の保護および再スタートのた
めの対策実施のために設定された基金において利用可能となる。政府は、初夏に支払われる見込みの
500,000フォリントの臨時ボーナスに加えて、11月に予定されている巡回保健師および医療の専門家に対す
る20％の昇給を保証する。この対策の費用は約70十億フォリントである。
2020年４月６日、オルバーン・ヴィクトル首相は、賃金支援プログラム、 １カ月分の追加年金の 再導
入、国家経済の優先部門の再スタートおよび事業資金向けの2,000十億フォリント強の補助金付与信枠の提
供を発表した。
この発表によると、経済保護アクション・プランが３段階に分けて実施される。第１段階は発表時まで
にすでに開始されており、社会保障拠出金の減額、「KATA」制度における小規模事業者向けの納税補助、
および信用債務返済の一時停止が含まれていた。３段階のアクション・プランは、中央銀行が実施してい
るプログラムを含めて、GDPの18％ないし20％になる予定である。予算赤字は、GDPの1.0％から2.7％に上
昇した。
2020年４月６日に開始している第２段階は、５つのプログラムからなる。
(1) 最初のプログラムは、雇用の保全を目的としていた。労働時間が短縮した場合、政府は具体的な ハ
ンガリー方式の賃金支援として雇用主の賃金コストの一部を賄う用意があった。
(2) 「家族および年金受給者保護」と呼ばれる第２のプログラムでは、政府は４回の分割による１カ月
分の追加年金を再導入する予定であった。その結果、2021年２月には１月分の年金に加えて、年金
受給者は追加の週年金を受給し、2022年、2023年および2024年にも同様の措置がとられる。
(3) 第３のプログラムは、再スタートすべき国家経済の優先部門を特徴としていた。これには、観光、
医療産業、食品産業、農業、建設業、流通、輸送、映画産業および創造産業が対象となる。
(4) 事業者に資金を提供するにあたって、政府は、総額2,000十億フォリントを超える額の利息補助お
よび保証付の与信枠をハンガリーの企業に提供する。
(5) 雇用の創出にあたって、政府は、450十億フォリントのプロジェクト支援をする。
2020年４月７日、ヴァルガ・ミハーイ財務大臣は、三者間合意に従って、雇用主社会貢献税の水準を２
パーセンテージ・ポイント引下げることを発表した。
2020年４月７日、政府は、経済保護アクション・プランを発表した。最も重要な措置は以下のとおりで
あった。
46/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
・ 言語証明書がないために現在二次的資格を要する職業に従事している75,000人に対する外国語試験
の受験義務免除。かかる免除は、2020年８月31日までに高等教育での学習を終了する予定の全学生に
適用された。
・ 労働の停止期間中、国は賃金の70％を３カ月間支払うことに合意した。ただし、政府はかかる期間
中も被雇用者が雇用主の利益のために有益な業務を行うことを推奨する。
・ 研究開発職に従事する者に関しては、３カ月間にわたって40％の賃金支援がなされた。
・ 行政負担および税金は軽減された。
・ 経済主体と政府の間のコミュニケーションを促進するため、ウェブサイト（vali.ifka.hu）に事業
情報のポータルサイトが開設された。
・ 2020年７月１日から、社会貢献税が２パーセンテージ・ポイント引下げられる。
・ 税務申告の提出期限が2020年９月30日まで延長された。
・ 電子商取引および輸送管理システムにおいて、政府はセキュリティ措置の免除を導入する。
・ VAT還付の加速化。一般納税者の場合は75日から30日に期限を短縮し、優良納税者の場合は30日から
20日に期限を短縮する。
・ 形式を簡素化しつつ、特別支払ファシリティ、分割払い、繰延払いおよび減税のオプションが導入
された。
・ 非常事態の宣言期間中に発生した懈怠を理由として、納税者がその資格において不利益を被ること
はない。
・ 病気休暇の文書は電子コピーでも提出することができる。
・ 無給休暇中の労働者の社会保険は終了しない。
・ 技術開発、環境保護およびエネルギー効率化のプロジェクトのために、雇用を維持する企業向けに
数千億フォリントの割当てを伴う提案募集が行われる。
・ 企業の閉鎖に対応して、労働者向けにオンライン研修を実施する。
・ 国は研修費の95％を負担し、求職者は無利子の成人向け教育ローンを受けられる。
・ 大学生は、１回限りであらゆる目的のために500,000フォリントの無利子学生ローンに申込むことが
できる。
・ 新型コロナウイルスの影響を最も受けた部門およびハンガリーで伝統のある産業は追加の資金供給
を期待できる。したがって、建設業、輸送、流通、観光、創造産業、医療産業および食品産業は優遇
貸付および資本プログラムを利用できるほか、開発交付金および減税を利用できることになる。
・ 観光を支援するため、観光税は今年度末まで停止された。SZÉPカード（娯楽給付）に係る社会貢献
税は、2020年６月末まで４％に軽減されており、適用ある限度額も引上げられる。この分野では、改
修および開発プログラムも同様に利用可能となる。
・ 医療産業は支援を受ける。大学および企業の研究機関は、いずれも資金供給を受ける。医療産業イ
ノベーション庁が設立された。
・ 雇用主を保護するため、企業の流動性を高めるための信用保証および資本プログラムが発表され
た。優遇金利で提供される企業の与信枠は総額約2,000十億フォリントで、500十億フォリントの国の
保証が付される。
・ 永続的な病気を抱える子供を養育する両親の高額家族手当の受給適格性と同様、子供の在宅療養費
に係る期限が延長される。
・ 家族手当の今年度の適格性は、学年末でなく、非常事態宣言期間の終了時に調整される。
・ 年金および年金に類似する給付に関する規則および期限も有利に変更される。
47/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2020年４月９日、財務省は、50十億フォリント（139.3百万ユーロ）を超える課税基準の0.19％に相当す
る１回限りの税金を銀行業界に課すことを発表した。この結果予算には55十億フォリント（153.2百万ユー
ロ）の歳入がもたらされる。この税金は、３回に分けて2020年６月10日、2020年９月10日および2020年12
月 10日までに納付されなければならない。この総額は、銀行税からの控除の形で今後５年間にわたって銀
行システムに還付される予定であり、すなわちこれは基本的には１回限りの予納税に等しい。
2020年４月23日、ハンガリーは、総額2.0十億ユーロのユーロ建債券を発行した。２トランシェの取引
は、６年満期1.0十億ユーロおよび12年満期1.0十億ユーロの発行で構成されていた。その後2020年４月28
日に払込が行われた。
2020年４月28日、ヴァルガ・ミハーイ財務大臣は、ベオグラードとブダペスト間の鉄道に関する与信契
約を締結したことを発表した。中国輸出入銀行との間で締結されたこの契約に基づき、ハンガリーは、与
信を用いて投資の85％を調達し、残りの15％を自己資金および当初の支払を通じて賄う。
2020年５月５日、ヴァルガ・ミハーイ財務大臣は、ハンガリーの最新のコンバージェンス・プログラム
によると、GDPは2020年に３％低下し、2020年の一般政府赤字はGDPの3.8％に達するであろうと発表した。
2020年６月２日、ハンガリーは1.5十億ユーロの初のユーロ建グリーンボンドを発行した。この債券は満
期15年で発行された。その後2020年６月５日に払込が行われた。
2020年６月10日、ヴァルガ・ミハーイ財務大臣は、新型コロナウイルスのパンデミックの経済的影響を
緩和する際に、欧州連合に公正かつ比例的に行動するよう求めた。2020年５月27日、欧州委員会は750十億
ユーロの景気刺激基金を提案した。この基金のうち３分の２は資金調達により、また３分の１は融資に
よって構成されている。財務大臣は、EUがパッケージの資金を調達するため市場からの融資を検討してい
たことを付け加えた。資金の分配に際して、欧州委員会は著しく不利な状況にある低所得国に対する制限
を導入した。一方、同大臣によると、EUの2021-2027年の多年度予算案には基本的に変更はなく、ハンガ
リーには結束基金における多額の損失が残された。予算案によると、イタリア、スペイン、ギリシャおよ
びポルトガルが50十億ユーロの結束基金のうち約65％を受取り、ヴィシェグラード・グループ（チェコ共
和国、ハンガリー、ポーランドおよびスロバキア）は12％を受取る。
2020年７月６日、国会は2021年度予算を承認した。承認された予算によると、2021年には、GDP成長率は
4.8％、一般政府赤字はGDPの３％と計画され、政府債務はGDPの70％未満に減少すると計画された。
2020年７月17日、政府は、ハンガリーが2020年７月17日および７月18日に開催されるEUサミットにおい
て欧州連合の新型コロナウイルス救済パッケージに付された条件を拒否することを発表した。
2020年７月22日、オルバーン・ヴィクトル首相は、EUサミットの終盤において、EUの資金提供を法の支
配の問題に結びつけようとする試みがうまく阻止されたことを発表した。資金提供と法の支配の問題は切
り離して扱われるべきだとするハンガリーの立場は、会談において優勢であった。オルバーン・ヴィクト
ル首相によると、法の支配の定義に関する議論は後に再び議題となるであろう。
2020年８月17日、ヴァルガ・ユディット司法大臣は、法の支配はEU加盟国を制裁するための尺度として
使用するには概念的に曖昧すぎると述べた。同大臣によると、2020年７月21日にEUサミットにおいて承認
された結論により、制裁のシステムはこうした定義の難しい概念に基づくべきではないことが明確になっ
た。ハンガリーは、関係国が欧州連合司法裁判所の判決を無視した場合にのみ、第７条の手続きが正当化
されるという立場を常に維持してきた。
2020年８月25日、財務大臣は、ハンガリーの予算が2020年にはGDPの７％ないし９％の不足になるとの予
想を発表した。春には、政府は2020年一般政府予算の赤字をGDPの3.8％ないし4.0％に達するであろうと予
想していた。
2020年９月11日、ハンガリーは総額627億円の円建債を発行した。４トランシェの取引の内訳は、227億
円の３年満期サムライ債、200億円の５年満期サムライ債の発行のほか、３本目および４本目のトランシェ
48/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
としてハンガリーはそれぞれ７年満期の155億円および10年満期の45億円の第１回および第２回のグリー
ン・サムライ債を発行した。その後2020年９月18日に払込が行われた。
2020年９月21日、オルバーン・ヴィクトル首相は、債務返済猶予期間を2021年６月30日まで延長するこ
とを発表した。
その後、2020年10月21日、国会は貸付の返済猶予期間を６カ月延長して2021年６月までとする法案を承
認した。これは、子供がいる家族、年金生活者、失業者、養育者およびパンデミックのために財政的に苦
しんでいる企業を対象とするものであった。
2020年10月26日、政府は、欧州連合理事会が新型コロナウイルスの感染症によって大きな打撃を受けた
諸国における雇用を保護するための緊急時の失業リスク緩和のためのEUの一時的支援策（SURE）プログラ
ムの枠組みの中で、ハンガリーに対する504百万ユーロの与信を承認した。財務大臣は、有利な条件で利用
できる与信は、 2021 年２月１日以降に導入された雇用保護および雇用の健康保護対策の借換えに使用され
る。
2020 年11月９日、 オルバーン・ヴィクトル首相は、加盟国に対する資金の支払が法の支配に結びつけら
れる場合は、EUの予算および復興基金を拒否する用意があると発表した。
2020年11月10日、オルバーン・ヴィクトル首相は、今後30日以内に、2020年11月８日までに登録された
予約の80％を国がホテルに払戻すことを発表した。レストランおよびレジャー施設は、被雇用者のための
その後の30日間の拠出金を免除され、政府は被雇用者の賃金コストの半分を負担する。ただし、雇用主
は、被雇用者の雇用を継続し、賃金を支払うことを約束する場合のみ、こうした手当てを受ける資格を有
する。
2020年11月12日、ハンガリーは総額2.5十億ユーロのユーロ建債券を発行した。２トランシェによるこの
取引の内訳は、1.25十億ユーロの10年満期債の発行および1.25十億ユーロの30年満期債の発行である。そ
の後2020年11月18日に払込が行われた。
2020年11月17日、政府は、ハンガリーとポーランドが欧州連合の次の多年度予算およびパンデミック後
の復興パッケージを拒否したことを発表した。
その後2020年11月18日、政府は、法の支配を維持することを条件としてEUの資金を受取るという新しい
規則はEUの設立条約、ならびに「政治的条件」に資金提供を結びつけないとする７月の協定に違反すると
発表した。
その後2020年11月19日、オルバーン・ヴィクトル首相は、2020年７月のEUサミット期間中に表明した同
国のポジションに沿って、かつEU条約に定める拒否権に従って、EUの予算パッケージを政府が拒否したと
発表した。
2020年12月10日、ヴァルガ・ミハーイ財務大臣は、政府が観光およびホスピタリティ産業向けの継続中
の助成プログラムを延長したことを発表した。この延長は2021年１月末まで続く。2020年11月に開始した
助成プログラムは、パンデミック中に苦しんだ観光部門を助成することを意図していた。このプログラム
は、レストラン、ホテル、芸術、エンターテインメントおよびレクリエーション産業の企業向けに50％の
賃金補助と給与税の免除を行った。このプログラムではまた、140,000の雇用を維持することが想定されて
いる。この助成プログラムは、企業が人員を維持することを条件としていた。ヴァルガ・ミハーイ財務大
臣は、これらの措置が１月以降も継続されるであろうと述べた。
2020年12月11日、政府は、EU予算と復興基金についてEUサミットにおいて協定が結ばれたことを発表し
た。
2020年12月21日、オルバーン・ヴィクトル首相は、貸付の返済の猶予期間を2021年７月１日まで６カ月
延長することを発表した。参加者には自動的オプトインがある。政府は、感染症を理由として一時的に閉
鎖せざるを得なくなった事業者における12月と１月の給与コストの３分の２を補助する。地方事業税は、
49/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2021年１月１日から中小企業および個人事業主について半分とする。政府は、これに伴う居住者25,000未
満の地方自治体の歳入不足を補助することとし、より大きな都市については個別に考慮される。子供が１
人 以上いるかまたは出産予定の家族は、住宅の改修について３％の利率を上限とする６百万フォリントの
優遇ローンに適格となる。改修が完了すると、３百万フォリントの政府交付金により元本は減額される。
50/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
⑧ 今後の経済計画
中期財政プログラムおよび コンバージェンス・プログラム
ハンガリーの経済政策目標は、毎年欧州委員会に提出するコンバージェンス・レポートで設定される。レ
ポートでは、ユーロ圏の加盟権を獲得するために、欧州委員会が設定した基準を達成するためのハンガリー
の政策目標が記載されている。欧州委員会は、経済目標およびその目標達成を含むコンバージェンス・レ
ポートを定期的に評価している。
EU法に基づき、ユーロを採用する前に、ハンガリーは以下のコンバージェンス基準を達成することを要求
されている。
・ 物価安定性 － 持続可能な値動きを維持し、物価安定性の観点から最適な推移をした３加盟国の平均イン
フレ率に対して、1.5％を超えない平均インフレ率を達成すること（調査前の１年間にわたって計測され
る。）。
・ 長期金利 － 価格安定性の観点から最適な推移をした３EU加盟国の平均名目長期金利に対して、２％を超
えない平均名目長期金利を達成すること（調査前の１年間にわたって計測される。）。
・ 政府予算の状況 － 計画または実際の政府赤字の対GDP比率を３％以下にすること。ただし、(ⅰ)当該比
率が実質的かつ継続的に低下しており、基準値に近い水準に達している場合、または、(ⅱ)基準値からの
超過が例外的かつ一時的であり、比率が基準値との接近を維持している場合は、この限りではない。
・ 政府公債 － 政府公債の対GDP比率を60％以下にすること。ただし、当該比率が十分に低下しており、満
足のいくペースで基準値に近づいている場合は、この限りではない。
・ 為替レート － 少なくとも２年間為替相場メカニズム（以下「ERMⅡ」という。）に参加すること、およ
び、少なくとも２年間、当該メカニズムにより提供された通常の変動幅と中央パリティ率の接近が観測で
きること。
ユーロ圏への加盟にあたり要求されるコンバージェンス基準は、年に一度正式に評価され、その後ECOFIN
理事会の勧告に従ってEU加盟国首脳陣による最終決定がなされる。
2021年４月30日、財務省はハンガリーの最新版コンバージェンス・プログラムを公表した。このプログラ
ムによると、政府は財政赤字の対GDP比率（過剰財政赤字手続（EDP）方式に基づく。）が2021年に7.5％、
2022年に5.9％、2023年に3.9％、2024年に3.0％、2025年に2.0％に達すると予想した。一般政府債務の対GDP
比率（ESA方式に基づく。）は、2021年に79.9％、2022年に79.3％、2023年に77.5％、2024年に75.7％、2025
年に73.1％に達すると予想された。政府は、歳入合計の対GDP比率を2021年の43.5％から、2022年には
42.1％、2023年には41.3％、2024年には38.7％、2025年には37.7％に削減することを計画している。また政
府は、歳出合計の対GDP比率を2021年の49.6％から、2022年には47.2％、2023年には44.5％、2024年に
41.7％、2025年には39.7％に削減することを計画した。
2018年12月30日、財務省は、受給資格のある労働者の最低賃金および最低保証賃金を2019年には８％、
2020年にはさらに８％引上げるとする内容の２年間の賃金協定に合意したと発表した。両年とも推奨賃金率
は８％上昇するであろう。2016年11月に締結された６年間の賃金協定に従って、2019年７月から社会貢献税
は19.5％から17.5％へとさらに２パーセンテージ・ポイント引下げられることとされた。
2019年５月31日、財務省は、経済保護行動計画の立ち上げを発表した。この計画は13+1のポイントから
なる。
1) 社会貢献税の２パーセンテージ・ポイント引下げ。
2) 小企業税（KIVA）の１パーセンテージ・ポイント引下げ。
3) 税の統廃合による税制の簡素化。
4) 予定納税の廃止。
5) 広告税の繰延べ。
51/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
6) 観光：宿泊サービスにかかるVATの引下げ。
7) 小規模集落に住宅を建設する者への最大５百万フォリントのVAT還付。
8) 労働者の宿泊施設の設置にかかる企業への資金供与。
9) 開発税割引の拡大。
10) Garantiqa Creditguarantees社の増資。
11) 農業信用保証基金の増資。
12) 農業灌漑システムの開発。
13) 研究開発への資金供与の増額。
+1) 新しい個人向け政府債の導入：ハンガリー政府債プラス。
52/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
(3) 【貿易及び国際収支】
① 国際収支
次の表は、過去５年間におけるハンガリーの国際収支を表したものである。
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
（単位：百万ユーロ）
1. 経常収支純額
（1.A+1.B+1.C） 5,209.3 2,535.9 408.0 -658.3 98.6
1.A. 財およびサービス純額 10,083.8 8,658.6 6,003.2 4,125.0 3,100.4
輸出 100,466.2 109,101.7 114,020.5 120,166.6 108,333.1
輸入 90,382.4 100,443.1 108,017.4 116,041.6 105,232.7
1.A.a. 財の純額 3,958.3 1,712.0 -1,684.3 -3,043.1 -865.6
輸出 78,588.2 85,285.1 88,661.9 93,054.2 88,706.0
輸入 74,629.9 83,573.1 90,346.2 96,097.3 89,571.6
1.A.b. サービス純額 6,125.5 6,946.6 7,687.5 7,168.0 3,966.0
輸出 21,878.0 23,816.6 25,358.6 27,112.3 19,627.1
輸入 15,752.5 16,870.1 17,671.1 19,944.3 15,661.1
1.B. 第一次所得純額 -3,130.9 -5,020.5 -5,048.6 -3,926.8 -2,259.6
1.B.1. 従業員報酬純額 2,822.9 2,627.2 2,421.6 2,572.4 1,764.6
1.B.2. 投資所得純額 -7,056.5 -8,869.1 -8,670.2 -7,641.5 -5,227.5
1.B.2.1. 直接投資所得純額 -5,299.3 -7,343.6 -7,344.8 -6,435.4 -4,465.0
1.B.2.2. 証券投資所得純額 -1,706.1 -1,468.9 -1,314.5 -1,248.8 -772.0
1.B.2.3. その他の投資所得純額 -302.9 -243.9 -203.3 -201.0 -210.5
1.B.2.4. 準備資産純額 251.8 187.3 192.5 243.7 220.0
1.B.3. その他の第一次所得純額 1,102.7 1,221.4 1,200.0 1,142.3 1,203.3
うち、EU内の振替 1,102.7 1,221.4 1,200.0 1,142.3 1,203.3
1.C. 第二次所得純額 -1,743.5 -1,102.1 -546.5 -856.5 -742.2
うち、EU内の振替 -452.4 103.2 588.9 293.1 119.6
2. 資本収支純額 -21.1 1,075.4 3,062.9 2,697.4 2,747.2
うち、EU内の振替 363.1 1,353.3 2,234.7 2,787.3 3,135.2
53/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
（単位：百万ユーロ）
3. 金融収支（純資産） 3,548.7 1,865.6 1,072.8 152.7 256.4
3.1. 直接投資（純資産） -2,562.6 -2,036.8 -2,857.7 -926.0 34.0
3.1. 国外（純資産） -7,372.6 1,096.8 2,523.4 2,496.2 3,661.1
3.1.1. 株式（純資産） -6,276.8 216.4 3,058.8 2,339.1 3,984.4
3.1.1.1. 再投資収益を除く株式
（純資産） -7,336.0 -854.2 2,209.8 1,329.5 3,120.6
3.1.1.2. 再投資収益
（純資産） 1,059.2 1,070.6 849.0 1,009.6 863.8
3.1.2. 債券（純資産） -1,095.8 880.4 -535.4 157.2 -323.3
3.1.2.1. 資産 -840.4 885.8 38.6 240.2 -347.8
3.1.2.2. 負債 255.4 5.4 574.0 83.1 -24.6
3.1. ハンガリー国内
（純負債） -4,809.9 3,133.6 5,381.1 3,422.3 3,627.2
3.1.1. 株式（純負債） -826.2 8,410.1 4,725.5 5,483.9 352.2
3.1.1.1. 再投資収益を除く株式
（純負債） -4,899.4 2,322.4 -909.9 898.2 -1,945.3
3.1.1.2. 再投資収益
（純負債） 4,073.2 6,087.7 5,635.5 4,585.7 2,297.6
3.1.2. 債券（純負債） -3,983.8 -5,276.5 655.6 -2,061.6 3,275.0
3.1.2.1. 資 産 -1,296.1 3,890.0 650.7 -1,160.5 -2,908.2
3.1.2.2. 負 債 -5,279.9 -1,386.5 1,306.2 -3,222.1 366.7
3.2. 証券投資（純資産） 4,822.5 3,761.4 -184.6 1,544.5 -2,394.9
3.2. 資産 999.4 1,916.5 -140.2 258.3 621.2
3.2. 負債 -3,823.1 -1,844.9 44.4 -1,286.3 3,016.1
3.3. 金融デリバティブ
（準備高を除く。）（純資産） 52.9 -1,049.6 -932.7 21.8 -441.3
3.3. 資産 -4,120.9 -4,616.5 -4,432.1 -3,601.2 -6,490.0
3.3. 負債 -4,173.8 -3,566.9 -3,499.4 -3,623.0 -6,048.7
3.4. その他の投資（純資産） 7,335.4 1,162.6 1,450.3 -812.9 -2,872.3
3.4. 資産 6,228.6 1,750.5 2,406.6 136.2 81.3
3.4. 負債 -1,106.7 587.9 956.2 949.2 2,953.6
3.5. 準備資産 -6,099.5 27.9 3,597.5 325.4 5,930.9
54/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
（単位：百万ユーロ）
備忘項目：
純対外資金調達能力
純対外資金調達能力
（経常収支および資本収支） 5,188.2 3,611.3 3,470.9 2,039.1 2,845.8
金融勘定収支 3,548.7 1,865.6 1,072.8 152.7 256.4
誤差（誤差脱漏純額） -1,639.5 -1,745.8 -2,398.1 -1,886.3 -2,589.4
準備資産（ストック） 24,383.9 23,367.9 27,402.5 28,385.2 33,677.3
外貨建総対外債務
(1)
（直接投資、債券を除く。） 57,895.4 54,354.3 51,627.2 51,223.3 55,590.1
うち、一般政府および中央銀行 27,712.9 22,923.7 20,814.1 19,822.1 26,626.5
外貨建対外債務純額
(1)
（直接投資、債券を除く。） 4,635.6 -333.9 -8,077.3 -9,171.2 -8,978.0
うち、一般政府および中央銀行 3,214.6 -571.7 -5,712.6 -7,498.8 -6,457.1
出典： ハンガリー国立銀行
注(1) 「対外債務統計：統計作成者およびユーザーのためのガイド」に定義されている対外債務を指す。エクイティお
よび金融デリバティブ商品を除く。
ハンガリーは、2010年から2016年までの間、経常黒字が拡大してきた。経常黒字は2016年には5.2十億ユー
ロに達した。経常黒字は2017年には2.5十億ユーロ、2018年には0.4十億ユーロに縮小した。経常収支は、
2019年には0.7十億ユーロの赤字に転じ、2020年には0.1十億ユーロの黒字に転じた。財の貿易収支赤字の縮
小に加えて第一次所得収支赤字の縮小が経常収支の黒字転換に大きく貢献したが、サービス貿易収支の黒字
縮小の効果を打ち消した。
55/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
② 外国貿易
次の表は、表示期間におけるハンガリーの商品貿易の内訳を示したものである。
外国貿易
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
（単位：十億フォリント）
輸出 28,960.5 31,133.9 33,409.1 35,470.1 36,655.8
輸入 25,931.2 28,633.4 31,656.7 34,056.8 34,610.1
出典： ハンガリー中央統計局
次の表は、表示期間におけるハンガリーの商品貿易を地域別および項目別に示したものである。
輸出
うち
EU加盟国 非EU加盟国 合計 アジア アメリカ
（単位：十億フォリント）
2016年 23,020.2 5,940.3 28,960.5 1,684.2 1,405.3
2017年 24,778.6 6,355.2 31,133.9 1,812.6 1,402.1
2018年 27,004.6 6,404.5 33,409.1 1,691.3 1,445.4
2019年 28,721.0 6,749.1 35,470.1 1,635.3 1,500.1
2020年 28,353.7 8,302.0 36,655.8 1,914.4 1,551.9
出典： ハンガリー中央統計局
食品、飲料、 燃料、電気 機械および
タバコ 原材料 エネルギー 製造品 輸送機器 合計
（単位：十億フォリント）
2016年 2,045.2 645.6 528.4 9,062.8 16,678.3 28,960.5
2017年 2,239.7 732.4 776.1 9,999.9 17,385.7 31,133.9
2018年 2,266.6 751.8 943.0 10,830.3 18,617.4 33,409.1
2019年 2,451.4 812.5 928.1 10,899.8 20,378.3 35,470.1
2020年 2,748.6 810.2 755.8 11,427.5 20,913.7 36,655.8
出典： ハンガリー中央統計局
56/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
輸入
うち
EU加盟国 非EU加盟国 合計 アジア アメリカ
（単位：十億フォリント）
2016年 20,256.9 5,674.3 25,931.2 3,125.2 715.5
2017年 21,960.1 6,673.3 28,633.4 3,481.7 754.6
2018年 23,942.8 7,713.9 31,656.7 4,214.3 715.2
2019年 25,194.1 8,862.8 34,056.8 5,018.3 861.4
2020年 24,536.2 10,073.9 34,610.1 6,197.7 845.5
出典： ハンガリー中央統計局
食品、飲料、 燃料、電気 機械および
タバコ 原材料 エネルギー 製造品 輸送機器 合計
（単位：十億フォリント）
2016年 1,400.4 539.0 1,652.3 9,428.2 12,911.3 25,931.2
2017年 1,513.2 640.0 2,222.4 10,376.7 13,811.1 28,633.4
2018年 1,635.4 676.6 2,589.9 11,656.3 15,098.4 31,656.7
2019年 1,808.6 718.7 2,734.0 12,285.9 16,509.7 34,056.8
2020年 1,971.7 683.9 1,881.9 13,309.3 16,763.3 34,610.1
出典： ハンガリー中央統計局
近年、ハンガリーと工業国（特にEU諸国）との商品の外国貿易が増加してきた。2020年には、EU諸国が輸
出の77.4％、輸入の70.9％を占めた。
ハンガリーは、貿易障壁を低くする、または撤廃することを目的として、EU、EFTAおよび一部の中央ヨー
ロッパ諸国との間で貿易および相互協力協定を締結した。ハンガリーは、1996年にOECDの正式な加盟国とな
り、2004年５月１日にEUの加盟国となった（上記「(1) 概要 - ⑤ 国際関係 - EU」を参照。）。
57/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
③ 日本との貿易
1986年以来、日本はハンガリーを貿易関係において優遇しており、中央ヨーロッパおよび東ヨーロッパ内
ではハンガリーと最も緊密な貿易関係を有している。ハンガリーは主に農産物を日本に輸出しているが、近
年は製造品の割合が著しく増大している。ハンガリーの日本からの輸入の大部分は、主に製造品および機械
からなる。
近年の日本との貿易*
（現行価格/単位：百万米ドル）
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
輸入 0.2 0.3 0.2 0.1 0.4
輸出 129.7 113.3 63.8 35.7 32.7
食品、飲料、タバコ
収支 129.6 113.0 63.6 35.5 32.3
輸入 28.4 11.0 28.1 30.1 29.2
輸出 11.9 8.9 16.7 22.0 17.8
原材料
収支 -16.5 -2.1 -11.4 -8.1 -11.4
輸入 0.2 0.2 0.3 0.6 0.4
輸出 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0
燃料、電気エネルギー
収支 -0.2 -0.2 -0.3 -0.5 -0.4
輸入 250.4 252.3 265.4 254.3 238.5
輸出 164.3 166.3 196.4 202.7 220.9
製造品
収支 -86.1 -86.0 -69.0 -51.6 -17.6
輸入 1,093.5 1,157.4 1,212.6 1,363.0 1,094.6
輸出 489.0 436.0 433.6 441.3 429.8
機械および輸送機器
収支 -604.5 -721.4 -779.0 -921.6 -664.8
輸入 1,372.6 1,421.1 1,506.6 1,648.1 1,363.1
輸出 794.9 724.5 710.6 701.8 701.2
合計
収支 -577.6 -696.6 -796.1 -946.2 -661.9
出典： ハンガリー中央統計局
* 日本を原産国とする輸入データ。
58/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
④ 対外直接投資
次のデータは、それぞれの期間中のハンガリーにおける対外直接投資を示したものである。
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
（単位：百万ユーロ）
対外直接投資 2,563 2,037 2,858 926 -34
出典： ハンガリー国立銀行
累積対外直接投資の水準は、2020年12月に108.9十億ユーロに達した。2020年のハンガリーにおける対外直
接投資純額は、34百万ユーロのマイナスであった。ハンガリーへの純資本流入はプラスで3,627百万ユーロ、
海外への純資本流出はプラスで3,661百万ユーロであった。
59/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
⑤ 外貨準備高の推移および外国為替相場の動向
外貨準備高の推移
次の表は、表示年の12月31日現在におけるハンガリーの金準備高および外貨準備高の水準を示したもので
ある。
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
（単位：百万ユーロ）
(1)
金 0 107 1,130 1,376 1,563
(2)
その他 24,384 23,261 26,273 27,009 32,115
24,384 23,368 27,403 28,386 33,677
合計
出典： ハンガリー国立銀行
注(1) 当該日のロンドンでの値決めによる金の価格。
(2) SDR、IMFリザーブポジション、通貨準備金およびその他外貨準備高からなる。
2019年６月20日、ハンガリー国立銀行は、金融理事会の決定を受けて、近い将来同行の外貨準備にグリー
ンボンド専用のポートフォリオが創設されることを発表した。
外国為替相場の動向
（１米ドル当たりのフォリント）
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
平均 281.44 274.27 270.25 290.65 307.93
期末 293.69 258.82 280.94 294.74 297.36
（100円当たりのフォリント）
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
平均 259.60 244.45 244.55 266.77 288.46
期末 251.34 229.84 254.54 271.37 288.64
（１ユーロ当たりのフォリント）
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
平均 311.46 309.21 318.87 325.35 351.17
期末 311.02 310.14 321.51 330.52 365.13
出典： ハンガリー国立銀行
⑥ 外国為替管理の概要
下記「(4) 通貨・金融制度 - ② 外国為替およびフォリントの交換性」を参照。
60/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
(4) 【通貨・金融制度】
① ハンガリー国立銀行
ハンガリー国立銀行はハンガリーの中央銀行である。ハンガリー国立銀行およびその意思決定機関の構
成員が責務および義務を果たすにあたっての独立性は、ハンガリー国立銀行に関する2001年法第58号（以
下「ハンガリー国立銀行法」という。）に規定されている。ハンガリー国立銀行の主な目的は、物価安定
を達成し、維持するために金融手段を用い、この目的を損なうことなく、政府の経済政策を支援すること
である。こうした金融手段には次のものが含まれる。
(1) 中央銀行基準金利（ハンガリー国立銀行の主要な政策手段である２週間預金ファシリティおよび３
カ月預金ファシリティの金利）を設定し、翌日物預金および貸付ファシリティの金利を設定するこ
と。
(2) 商業銀行に関する最低準備金要件を設定すること。
(3) 公開市場操作（商業銀行との政府発行有価証券の売買を含む。）を行い、経済における流動性を規
制するために他の類似の取引を行うこと。
(4) 政府との合意の下で為替相場政策を決定および実施すること。
ハンガリー国立銀行は株式会社であり、登記資本金は10十億フォリントである。ハンガリー国立銀行は
ハンガリーにより完全に所有されており、ハンガリー国立銀行法の規制を受けている。ハンガリー国立銀
行の最高機関は総会であり、国家経済大臣（旧財務大臣）が、唯一の株主としてのハンガリーを代表す
る。金融理事会は、ハンガリー国立銀行の金融政策の最高意思決定機関である。金融理事会は、少なくと
も２週間に１回、会議を開催し、ハンガリー国立銀行の一般的な活動（政策金利の設定を含む。）に関し
て最も重要な決定を行う。
2013年10月１日、以前の改正（金融理事会のメンバーおよび副議長の選出規則）を含む現行のハンガ
リー国立銀行法ならびにハンガリー金融監督局とハンガリー国立銀行との合併が効力を生じた。
2015年７月６日の選挙後、ハンガリー国立銀行の監査役会は、最初の会議を開催し、その活動を開始し
た。監査役会は、所有者を代理して、ハンガリー国立銀行の継続的監視の責任を負い、ハンガリー国立銀
行に関する2013年法第139号（以下「新ハンガリー国立銀行法」という。）により定められた一定の制限内
で、内部監査組織を統制している。
金融政策
ハンガリー国立銀行は、ハンガリーの法律が定めるとおり、物価安定を達成し、維持する責任を負う。
2001年６月、金融理事会は、広い変動幅を用いる為替相場制度により補完されたインフレ・ターゲットの
枠組みの中で、その金融政策を実施することを決定した。インフレ・ターゲットは、2006年以降、毎年
３％であった。2015年３月24日、計画されていたハンガリー国立銀行のインフレ・ターゲットの検討後、
金融理事会は、ハンガリー中央統計局が公表した国内消費者物価指数の３％増と定義されたインフレ・
ターゲットを維持しながら、±１パーセンテージ・ポイントの許容域を指定することにより、インフレ・
ターゲット制度の柔軟性を向上させることを決定した。過去の慣行に従い、ハンガリー国立銀行は毎年、
年次報告書において、インフレ・ターゲットの達成度に関する評価を掲載する。
61/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
金利政策
インフレ率を目標範囲内に抑えるためにハンガリー国立銀行が利用する金融政策の主な手段は、２週間
物預金ファシリティであったが、2015年９月以降は３カ月物預金ファシリティである。ハンガリー国立銀
行は、無制限の２週間物預金および３カ月物預金を中央銀行基準金利（すなわち、主な政策金利）で定期
的に受け入れていた。２週間物預金の手段は2016年４月に終了した。2016年10月からハンガリー国立銀行
は３カ月物預金入札に受け入れられた銀行による入札額を制限している。さらに、ハンガリー国立銀行
は、金利幅を中央銀行基準金利周辺に維持することにより、翌日物金利のボラティリティを低減させてい
る。
2015年９月24日、金融理事会は、中央銀行基準金利周辺の金利回廊を下方修正した。その結果、ハンガ
リー国立銀行の取引相手にとっては、翌日物預金ファシリティにかかる金利は中央銀行基準金利より125
ベーシスポイント低くなり、翌日物有担保ローンの金利は75ベーシスポイント高くなった。それ以降、金
融理事会は、複数回にわたって中央銀行基準金利周辺の金利回廊を修正した。以下の表は、中央銀行基準
金利、翌日物預金ファシリティにかかる金利および翌日物有担保ローンにかかる金利の変遷を示したもの
である。
翌日物有担保ローンに
翌日物預金ファシリティ
中央銀行基準金利 かかる金利 にかかる金利
日付
（％）
2015 年９月 25 日 1.35 2.10 0.10
2016 年３月 23 日 1.20 1.45 -0.05
2016 年４月 27 日 1.05 1.30 -0.05
2016 年５月 25 日 0.90 1.15 -0.05
2016 年 10 月 26 日 0.90 1.05 -0.05
2016 年 11 月 23 日 0.90 0.90 -0.05
2017 年９月20日 0.90 0.90 -0.15
2019 年３月27日 0.90 0.90 -0.05
2020 年４月８日 0.90 1.85 -0.05
2020 年６月24日 0.75 1.85 -0.05
2020 年７月22日 0.60 1.85 -0.05
出典： ハンガリー国立銀行
以下の表は、表示日現在におけるハンガリー国立銀行の指標金利を示している。
12月31日現在（単位：％）
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
(1)
ハンガリー国立銀行基準金利 0.90 0.90 0.90 0.90 0.60
(2)
実質金利 (0.9) (1.2) (1.8) (3.0) (2.0)
出典： ハンガリー国立銀行
注(1) ２週間金利
(2) 実質金利は以下の方法で計算されている。（１＋中央銀行基準金利）/（１＋年末における前年比のインフレ率）
－１。金利は10進数で記載されている。
62/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
最低準備金制度
ハンガリー国立銀行は、1987年に、最低準備金制度を導入した必要準備金は、準備金のベースとなる金
額に準備金比率を乗じた額に等しくなる。
2015年12月１日より、ハンガリー国立銀行の準備金比率は、すべての国内銀行について２％に設定され
た。固定準備金比率は、ECBの慣行に沿っていた。その後、2016年12月１日、準備金比率は１％に引下げら
れた。
為替相場政策
2008年２月25日、金融理事会は、政府と合意し、2008年２月26日より、フォリントのユーロに対する変
動幅内の自由連動制を廃止し、変動為替相場制を採用することを決定した。金融理事会によると、ハンガ
リー国立銀行は、変動為替相場制によって、インフレ・ターゲットを達成し、欧州為替相場メカニズムⅡ
（ERMⅡ）への参加の形式的なコンバージェンス基準を満たすためのより良い条件を得ることができる。
マネー・サプライ
ハンガリー国立銀行は、マネー・サプライ目標を金融政策の手段としては用いていない。マネー・サプ
ライは通貨需要に応じて柔軟に調整されるが、通貨需要は金融政策の間接的な影響を受けている。インフ
レ率の低下により、マネー・サプライの増加は穏やかになっている。
以下の表は、表示日現在におけるマネー・サプライの構成に関する情報を示している。
12月31日現在
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
(単位：十億フォリント)
(1)
M1 16,306 19,360 21,971 24,531 30,209
4,083 3,045 3,241 3,079 3,232
満期２年までの預金
(2)
M2 20,389 22,405 25,212 27,610 33,441
レポ、マネー・マーケッ
ト・ファンドおよび２年以
875 523 424 114 67
内の債券
(3)
21,264 22,928 25,637 27,724 33,508
M3
出典： ハンガリー国立銀行
注(1) 金融機関の外で流通している現金および翌日物預金により構成される。
(2) M1および満期２年までの定期預金により構成される。
(3) M2ならびにレポ、マネー・マーケット・ファンドおよび２年以内の債券により構成される。
63/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2008年における世界経済の低迷以降、ハンガリー国立銀行は、国内銀行部門を強化するための金融政策
を促進してきた。ハンガリー国立銀行は、フォリントおよび外貨の流動性を提供するための新たな手段を
導入した。ハンガリー国立銀行はまた、銀行運営のための適格担保の幅を広げ、フォリント建貸付および
外国為替スワップの入札の残存期間を延長し、法定準備金比率を引下げた。国内銀行部門の金融安定性の
継続に寄与するその他の要因には、IMFおよびEUにより提供される金融支援パッケージによる流動性へのア
クセス、ならびに外国銀行からそのハンガリーの銀行子会社に提供される金融コミットメントなどがあ
る。
2014年６月以降、ハンガリー国立銀行の潜在的な手段には、フォリントの流動性へのアクセスを改善す
るために設計された変動利付長期有担保フォリント建ローンが含まれる。
2015年９月より前は、ハンガリー国立銀行はその主要な政策手段として２週間物預金を受け入れた。
2015年９月以降、ハンガリー国立銀行の主たる政策手段の期間は３カ月に延長され、２週間物ファシリ
ティは2016年４月に終了した。2016年10月から、ハンガリー国立銀行は入札に受け入れられた銀行による
入札額を制限している。
2018年９月18日、金融理事会は、３カ月物中央銀行預金残高が2018年12月末までにゼロまで減少するで
あろうと発表した。将来的には、必要準備金が主な政策手段となるであろう。ハンガリー国立銀行は、２
つの政策手段（フォリントに流動性を提供するスワップおよび金利回廊）の最適な組み合わせを作り出す
ことによって、持続可能な方法でインフレ・ターゲットを達成するのに必要な金融情勢を調整する意向で
ある。
成長のための資金提供（Funding for Growth Scheme）
2013年４月４日の会議における金融理事会の決定を受けて、ハンガリー国立銀行総裁は、成長のための
資金提供のローンチを発表した。この発表後、ハンガリー国立銀行は金融およびビジネス部門の代表者と
協議を行い、かかる協議を通じて生じた諸問題を考慮しつつ、スキームの詳細を取りまとめた。かかる詳
細は、2013年４月30日に金融理事会の承認を受けた。成長のための資金提供は、３つの柱からなってお
り、2013年８月30日に完了した。
第１の柱の下で、ハンガリー国立銀行が３カ月（2013年６月１日から2013年８月30日まで）の期間に総
額250十億フォリントを上限として金融政策の取引相手に有担保借換えローンを提供する準備を整えた。借
換えローンには、成長のための資金提供の下で与信機関が中小企業に貸付けるローンによって（一定割合
を差し引いて）担保を付すことができる。金利は、ローンの期間にわたって０％である。ハンガリー国立
銀行の取引相手は、借換えローン・ファシリティを同等の条件で利用することができた。スキームへの参
加は任意であった。第１の柱に参加を希望する与信機関は、最大2.5％の金利マージンを請求することによ
り、ハンガリー国立銀行からの優遇融資を中小企業向けに転貸することを認められていた。金利マージン
には、すべての手数料ならびに潜在的な信用保証の費用を含まなければならない。与信機関に提供される
借換えローンの当初満期は最大10年で、中小企業向けに提供されるローンの期間と同じであった。与信機
関は、借手の必要に応じてかかるローンを自由に調整することができるであろう。中小企業は、投資資金
として、また運転資本への投資、EUの金融支援への拠出および返済ならびに当該ローンの償還のみに優遇
金利ローンを利用することが認められた。償還の場合、優遇ローンは既存のローンを貸付けた銀行だけで
なく、成長のための資金提供に参加しているすべての与信機関において請求が可能であった。
成長のための資金提供の第２の柱の下で、ハンガリー国立銀行は、中小企業の外貨建ローンをフォリン
ト建ローンに転換する借換えローンを提供した。借換えファシリティのパラメーターおよび利用条件は、
第１の柱について述べた上記の条件と同一である。期限前返済のためのローンが外貨建ローンを有してい
る同一の銀行から提供された場合、ハンガリー国立銀行は外貨の買入れによってフォリントの為替レート
64/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
のボラティリティを招くことがないように、その外貨準備から市場金利で銀行に外貨を提供した。与信機
関は、ハンガリー国立銀行から買入れた外貨がその短期対外債務の返済に充当されることを約束しなけれ
ば ならなかった。ハンガリー国立銀行による外貨からの転換の結果、ハンガリーの短期外貨建債務および
外貨準備高は同程度に減少し、ハンガリーの準備高の充分性に変わりはなかった。
成長のための資金提供の第３の柱は、ハンガリーの対外債務総額および２週間物ハンガリー国立銀行債
券の発行残高を削減することを目的としていた。この目的を実現するための２つの主な手段は、ハンガ
リー国立銀行がその外貨準備高を用いて外国為替スワップを行うこと、および公的部門におけるフォリン
ト建資金調達を増額させることである。
2014年９月２日、金融理事会は、成長のための資金提供の第２段階を500十億フォリントから1,000十億
フォリントに増額することを発表した。
2015年12月31日現在、成長のための資金提供の第２段階に参加する与信機関は、累積総額1,402.1十億
フォリントについて契約を締結した。この金額のうち、与信機関は、2015年12月31日現在中小企業向けに
1,330.5十億フォリントを支出した。2016年６月７日、ハンガリー国立銀行は、成長のための資金提供の第
３段階の第１の柱に割当てられた資金を100十億フォリント増額することを発表した。
2015年２月18日、ハンガリー国立銀行は、成長のための資金提供（以下「FGS+」という。）を発表し
た。金融政策手段の一環として、ハンガリー国立銀行は与信機関に対して、FGS+に基づき適格担保をとっ
て流動性を提供する。取引相手が当該借換えを利用してその貸付先を中小企業にまで拡げる一方で、ハン
ガリー国立銀行は中小企業の信用リスクを、一定期間に一定の範囲と金額に限定して、与信機関から引受
ける。FGS+に基づき、ハンガリー国立銀行は与信機関の信用損失の50％を引受けるが、最長５年間、ス
キームに基づく個々の与信機関の貸出残高の2.5％までを年間の上限とする。
2015年４月22日、金融理事会は、成長のための資金提供およびFGS+において割当てられたローンを引出
す期限を2016年12月31日まで延長した。加えて、信用補完保証手数料は最大2.5％のローン利回りに含まれ
ない。
2016年10月13日、ハンガリー国立銀行は、ハンガリー国立銀行が、成長のための資金提供の第３段階の
第２の柱に割当てた60十億フォリントを再割当てすることを発表した。当該発表によると、参加与信機関
は、自国通貨建または外貨建ローンを提供するために、第１または第２の柱に再割当てされた額を引出す
権利を有することとなる。成長のための資金提供の第２段階およびFGS+におけるローンの引出期間は６カ
月間延長されて2017年６月30日までとなり、成長のための資金提供の第３段階におけるローンの引出期間
は2018年６月29日まで延長された。
2017年４月５日、ハンガリー国立銀行は、成長のための資金提供の第３段階の契約期間が2017年３月31
日に終了したことを発表した。2016年初めより、銀行は中小企業に対して割当額である700十億フォリント
の98％に相当する685十億フォリントのローン提供を行った。３段階にわたる成長のための資金提供によ
り、中小企業向けに合計約2,800十億フォリントの銀行貸出が行われた。
2018年９月18日、金融理事会は、FGS fixの導入を発表した。ハンガリー国立銀行は、中央銀行基準金利
で利息を付す優遇預金ファシリティによりこのプログラムに基づいて提供される流動性を中和する。
金融理事会は2019年初めに、総額1,000十億フォリントのFGS fixを開始した。これまでの段階とは対照
的に、ハンガリー国立銀行は、優遇預金ファシリティを用いて、FGS fixに基づく貸付から生じる過剰な流
動性供給を中和する。ハンガリー国立銀行は、0％の金利で借換え資金を与信機関に提供し、与信機関はさ
らにこれを、フォリント建の新規投資に最大2.5％のマージンで中小企業に貸し付ける。ローンは、３年か
ら10年の満期で新規投資向けにのみ提供することができる。
65/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
成長支援プログラム
2016年１月、ハンガリー国立銀行は、成長のための資金提供を段階的に廃止し、貸出を拡大する前向き
なインセンティブを銀行に提供する新たな市場ベース貸出スキーム（以下「MLS」という。）を発表するこ
と によって、国内の銀行が市場ベースの資金供給に回帰することを支援するよう設計された成長支援プロ
グラム（以下「GSP」という。）を開始した。上記プログラムの結果、法人向けおよび対象を絞った中小企
業向けローンの残高は、2016年に250十億フォリントないし400十億フォリントの範囲で増加すると予測さ
れた。MLSに参加する銀行は、ハンガリー国立銀行の新しい手段を利用することによって、特定された貸付
数量を自動的に引受けることになり、これにより、信用市場への参加に積極的な銀行と消極的な銀行とを
区別することが可能となった。
GSPの一環として、ハンガリー国立銀行はFGS+を廃止する段階である第３段階を開始したが、これは２つ
の柱で構成される。国内の中小企業は、この枠組みの範囲内で2016年１月初めから12月末までの期間に銀
行からの借入を行う機会が得られる。2015年11月３日のハンガリー国立銀行の発表によると、両方の柱は
総額300十億フォリントと発表される予定である。ハンガリー国立銀行の集計したデータによると、2016年
１月１日から2016年９月２日の間、FGS+の第３段階に関連した借入額は202.3十億フォリントであった。
第１の柱の下で、ハンガリー国立銀行は、与信機関が最大2.5％の金利で企業に転貸することができるよ
うに、以前の二つの段階と同様に、０％金利で与信機関に対する借換えを提供する。新しい融資限度に
よってできる限り広い範囲のより小規模の参加者が投資プロジェクトを確実に実施することができるよう
に、第２段階と比較して、与信目標の範囲は引下げられ、ローンの最大金額は１十億フォリントに引下げ
られる。
主として外貨での収益を上げている企業が、外国の競争相手と比較してより不利な条件で融資を利用し
ていた一方で、これまでは当該スキームの利用が限定的であったことから、ハンガリー国立銀行は、第２
の柱の下で、長期の外貨貸出における市場の歪みを管理することを目指す。ハンガリー国立銀行は、０％
金利での与信機関に対する資金提供も行い、市場価格による通貨スワップの形で外貨準備高に対してこれ
をユーロに転換する。与信機関は、当該スキームの下で受領する資金を、外貨ナチュラル・ヘッジの形で
最大2.5％の金利で中小企業に転貸することができる。
FGS+の段階的な廃止と同時に、ハンガリー国立銀行は、銀行の低調な貸出活動に係るリスクを抑制する
ために、市場ベースの貸出に転換することを支援する前向きのインセンティブを含む、新しい政策パッ
ケージを発表した。MLSは以下の３つの要素からなる。
(1) 貸出活動を条件とする金利スワップ（以下「LIRS」という。）および優遇預金ファシリティにより
中央銀行の手段を補完すること。
(2) 銀行の自己資本要件を通じてインセンティブを創出すること。
(3) 銀行部門に法人信用報告システムの利用機会を提供すること。
中央銀行の手段を補完する手段は、当該プログラムに参加する与信機関が中小企業向け貸出残高を増加
させることを約束することになるため、利用条件を通じて貸出のインセンティブを提供する。LIRSは、ハ
ンガリー国立銀行が金利リスクの一部を引受けて金利リスクを管理することで貸出を促進する。LIRSの下
で割り当てられる総額は１兆フォリントである。2015年11月３日のハンガリー国立銀行の発表によると、
2016年に銀行は限定された期間にLIRSを利用でき、満期は最長で３年となる。2016年１月１日から2016年
９月７日の間で、割当額は779.6十億フォリントに達した。当該ファシリティの利用条件は、銀行が中小企
業向けの（正常な）ローン残高を、毎年割当額の４分の１、すなわち当該ファシリティの全額が割り当て
られる場合には250十億フォリント増加させることである。優遇預金ファシリティは、銀行が当座勘定に係
る必要準備金の額を超過する流動性の一部を、ハンガリー国立銀行の中央銀行基準金利で預けることがで
きる補完的な手段である。予測される銀行部門の流動性の低下は、優遇預金ファシリティを含む流動性強
66/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
化手段の価値を高める。補完的手段として導入される優遇預金ファシリティの総額は500十億フォリントで
ある。
銀行の自己資本要件を通じたインセンティブはまた、貸出の拡大に寄与することが期待されている。持
続可能な中小企業向け貸出を優先させるビジネスモデルは、銀行の運営にとってより小規模なリスクとな
る可能性がある。
かかる場合には、緩い監督上の資本要件を用いることが検討される。関連する細則は銀行部門との協議
を経て確定される。
銀行が信用リスクをできる限り厳密に解析するための効率的な手段となる可能性がある、法人信用報告
システムの開発は、ハンガリー国立銀行において進行中である。
GSPの準備段階において、ハンガリー銀行協会とハンガリー国立銀行との間で数次にわたる建設的な協議
が行われた。ハンガリー国立銀行は、中央銀行の目的に沿うような銀行の提案を考慮し、その大部分をプ
ログラムの中に組み込んだ。
FGS+の段階的廃止ならびに貸出金利スワップおよび優遇預金ファシリティの導入により、中小企業向け
貸出残高は2016年に約250十億フォリントないし400十億フォリント増加することが予想されていた。ハン
ガリー国立銀行と銀行部門は緊密に連携をとることにより、求められている貸出の再建を共同して達成す
ることができる可能性がある。
2017年５月24日、ハンガリー国立銀行は、金融理事会が市場ベース貸出スキームの第２段階（以下
「MLS2」という。）の開始を決定したと発表した。MLS2では、ハンガリー国立銀行は、銀行が以前から利
用していたリスク管理および流動性管理の手段を引続き利用可能とする。ただし、MLS2では、銀行は、限
られた限度でのみ中央銀行の手段を利用することができる。条件付金利スワップおよび優遇預金ファシリ
ティの限度額は、それぞれ300十億フォリントおよび150十億フォリントとなる。個々の銀行の関与を増加
させるため、MLS2では、貸出を顕著に増加させることを約束した銀行は、優遇預金ファシリティから受け
る恩恵も比例して増加する。
2017年７月６日、ハンガリー国立銀行は、MLS2の一環として金利スワップの入札を実施した。公表され
た金額は300十億フォリント、応札額は227.8十億フォリントであり、ハンガリー国立銀行は応札額全額を
受け入れた。その結果、参加銀行はその中小企業向け貸付業務を従来より57十億フォリント多い227十億
フォリントに増額することに同意した。優遇預金は計画どおり150十億フォリント増額された。
マルク・ゼイ・エル・テー（MARK Zrt.）
2016年２月10日、ハンガリー国立銀行は、EUの決定に従って、マルク・ゼイ・エル・テーが銀行より差
押商業用不動産資産を購入できることを発表した。中央銀行により設立された資産運用会社の運営は、根
拠となるマクロプルーデンスな法的任務に基づいており、銀行貸付の復活および不動産市場の不況からの
回復に貢献するであろう、不良銀行融資の一掃に重大な後押しを与えると期待されている。マルク・ゼ
イ・エル・テーは欧州委員会の評価額をベースとした市場価格で資産を買い取るため、予定されている資
産取得には国家の援助は含まれない。
2017年４月10日、ハンガリー国立銀行は、中央銀行がエイピーエス・インベストメンツ・エスアール
オーに、マルク・ゼイ・エル・テーを売却する意向であると発表した。その後この取引は完了した。
67/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
スワップ
2014年６月以降、ハンガリー国立銀行は、フォリント建金利スワップ・ファシリティを維持しており、
これにより同行の取引相手は新たに購入した、または保有している長期フォリント建資産の金利リスクを
軽減することが可能になっている。ハンガリー国立銀行の潜在的な手段には、資産スワップ・ファシリ
ティが含まれる。このファシリティの下で、ハンガリー国立銀行の取引相手は、長期フォリント建有価証
券と引換えに外貨建有価証券を取得することができ、それによって外国為替流動性を利用しやすくなる。
2015年７月７日、ハンガリー国立銀行は、それまでの３年および５年満期に加えて、10年満期の金利ス
ワップ・ファシリティを導入することを発表した。ハンガリー国立銀行は、銀行と協議のうえ金利スワッ
プ・ファシリティの満期を延長する決定をした。より満期の長い金利スワップは、自己資金調達スキーム
に容易に適合し、政府の債務金融の安定化に寄与することが期待される。2015年７月７日現在、大半の銀
行が利用したスワップの残高は550十億フォリント近くであった。ハンガリー国立銀行の金融政策手段を変
更する発表を受けて、金利スワップに対する需要が再び増加した。銀行はハンガリー国立銀行の金利ス
ワップを利用する見返りに政府発行有価証券の保有を増やすだけでなく、既存の政府発行有価証券の保有
を一定期間維持する約束をした。
2016年５月10日、ハンガリー国立銀行は、2014年春に開始された自己資金調達プログラムの一環として
導入された金利スワップ入札が、2016年７月に終了する予定であると発表した。ハンガリー国立銀行は、
当該手段の運営から撤退して、最後の金利スワップ入札を2016年７月７日に実施した。銀行が政府発行有
価証券を保有する義務は、スワップの満期まで有効に存続する。
2016年10月17日、ハンガリー国立銀行は、銀行間取引市場における流動性の微調整に関して、新たな金
融政策手段を導入した。新たな２つの手段は、中央銀行基準金利を支払う翌日物預金の手段、および競争
入札に割当てられるフォリントの流動性を提供するスワップ手段である。これらの新しい手段は限定的に
利用される。
2017年11月21日、金融理事会は、2018年第１四半期に満期５年および10年の無条件金利スワップ（IRS）
ファシリティを導入することを発表し、その割当額は2018年第１四半期について300十億フォリントに設定
された。IRSファシリティは、2018年１月初めから定期的な入札により取引相手の銀行が利用できるように
なる。
その後、2017年12月21日、ハンガリー国立銀行は、金融政策金利スワップ（以下「MIRS」という。）の
入札の条件通知を公表した。
一般的な金融政策手段として導入されるMIRSに割当てられる金額は、2018年第１四半期については300十
億フォリントで、発表される個々の入札額はハンガリー国立銀行によって決定される。以前のハンガリー
国立銀行のIRSプログラムと同様、ハンガリーおよび国際的なイールド・カーブの相対的なポジションがハ
ンガリー国立銀行にとっての優先事項となるMIRSは、隔週木曜日に実施される入札において売却される予
定である。満期５年および10年とされる商品については、取引相手の銀行は変動価格のハンガリー国立銀
行の入札において2018年１月半ばから応募可能となり、その場合中央銀行は最低固定金利を発表する。中
央銀行の以前のIRSプログラムと比較して戦略的に異なる点は、MIRSへの応募は条件付ではないことであ
り、よってハンガリー国立銀行との取引は満期前にこれを終了することはできない。
最初のMIRS入札は、2018年１月18日に中央銀行によって行われた。
2018年１月24日、ハンガリー国立銀行は、MIRSファシリティの条件を修正したことを発表した。よっ
て、同行は、固定金利のMIRSの入札が２週間ごとに行われることを発表する予定であった。銀行間の割当
ては貸借対照表上の合計残高に基づいて行われる。2017年11月21日の金融理事会の決定に従い、2018年第
１四半期のMIRSの割当額は300十億フォリントとなり、年間では1,200十億フォリントとなる可能性があ
る。ハンガリー国立銀行は、入札に際してMIRSファシリティを均等に銀行に提供している。
68/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2018年９月18日、金融理事会は、2018年末までにMIRSの入札を段階的に廃止することを発表した。金融
理事会は、2018年のMIRSの年間最大金額を1,100十億フォリントに設定した。
69/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
以下の表は、銀行間取引市場における流動性の微調整のために利用された外国為替スワップの月別デー
タを示したものである。
月末現在の残高
（単位：十億フォリント）
2016年９月30日 0
2016年10月31日 400
2016年11月30日 350
2016年12月31日 400
2017年１月31日 250
2017年２月28日 400
2017年３月31日 549
2017年４月30日 549
2017年５月31日 848
2017年６月30日 849
2017年７月31日 898
2017年８月31日 973
2017年９月30日 989
2017年10月31日 1,312
2017年11月30日 1,405
2017年12月31日 1,518
2018年１月31日 1,586
2018年２月28日 1,511
2018年３月31日 1,528
2018年４月30日 1,576
2018年５月31日 1,989
2018年６月30日 1,989
2018年７月31日 1,988
2018年８月31日 1,989
2018年９月30日 1,988
2018年10月31日 1,988
2018年11月30日 1,988
2018年12月31日 1,987
2019年１月31日 1,988
2019年２月28日 1,988
2019年３月31日 1,988
2019年４月30日 1,810
2019年５月31日 1,725
2019年６月30日 1,725
2019年７月31日 1,704
2019年８月31日 2,205
2019年９月30日 2,224
2019年10月31日 2,174
2019年11月30日 2,274
2019年12月31日 2,273
出典： ハンガリー国立銀行
ハンガリー国立銀行が利用する金融政策手段にかかる追加情報については、「(2)経済－⑦ 最近の展
開」を参照のこと。
70/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
金融の安定性を高めるための規制
2009年12月、政府は、いっそう厳しい金融部門および貸出業務の規制を通じて金融の安定性を強化する
取組みとして、規制の変更を行った。政府は、以下の規制改革を実施した。
・金融監督の制度的枠組みの強化にかかる法律が2009年12月に国会の承認を得た。この法律に従って、ハ
ンガリー金融監督局（以下「HFSA」という。）は、国会に直属し、自らの予算および人事（従業員の採
用および解雇を含む。）を管理する自治的機関に昇格した。また、HFSAが監督する市場の継続的な評価
を行う目的で、金融安定委員会（以下「FSC」という。）が設立された。HFSAの局長、ハンガリー国立銀
行総裁および金融、資本および保険市場の規制にかかる所管大臣である国家経済大臣がFSCのメンバーで
ある。政府および政府のいずれかの閣僚に規則の提案をし、政府において「コンプライ・オア・エクス
プレイン」基準（すなわち、政府職員は、15日以内に法案を採択するか、または当該法案に不同意の理
由を公に説明するかのいずれかをしなければならない。）で議員立法を発議する権利をFSCおよびハンガ
リー国立銀行に付与する法律も制定された。新ハンガリー国立銀行法が2013年10月１日付で発効したと
き、ハンガリー国立銀行はHFSAの役割を引継ぎ、ハンガリー国立銀行総裁（委員長として）、ハンガ
リー国立銀行副総裁およびハンガリー国立銀行総裁が指名する理事がFSCのメンバーとなった。国家経済
大臣の代表者および総裁が招聘するその他の外部専門家はFSCの会議に出席する。FSCは２カ月に１回開
催され、必要に応じて追加の会議が開催される。
・与信機関および金融機関法に対する一連の改正も2009年12月に国会により制定された。これらの改正
は、とりわけ、「資質規定」の原則を満たさない銀行の執行役員の解任にかかるより厳しい制度を確立
し、HFSAによる監督コミッショナーの任命にかかる基準をさらに引下げ（自己資本比率を４％未満とす
る）、HFSAだけが金融機関に関する清算手続きを開始する権限を有することを明確化するものである。
・規模の大きい家計のローンの債務不履行は回避されたものの、政府は外貨による家計向けローンに関連
するリスクを軽減するため別個の規則を展開した。これらの規則は、外貨建ローンについてフォリント
建ローンよりも低いローン資産価値比率を設定し、家計のローンの承認にかかる銀行の評価システムの
変更（外貨建ローンにかかる月次割賦額をフォリント建ローンより低くする。）を規定している。これ
らの規則により導入された主な制限は以下のとおりである。
71/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
通貨 比率
全種類の家計のローン
(1)
信用力 に対する最大月次支払額の比率 ユーロ 80 ％
その他の通貨 60 ％
不動産担保ローン
最大ローン資産価値比率 フォリント 75 ％
ユーロ 60 ％
その他の通貨 45 ％
自動車購入金融
最大ローン資産価値比率 フォリント 75 ％
ユーロ 60 ％
その他の通貨 45 ％
自動車金融の最長満期：７年
注(1) 信用力は、ハンガリー・フォリントでの所与の借手の最大月次返済能力であり、各銀行の内規に従って決定
される。
2014年４月29日、ハンガリー国立銀行は、国内の金融仲介システムの安定性を高めるために、銀行に対
する流動性要件にかかる政令を採用した。ハンガリーでは、流動性リスクを軽減するために、2012年７月
１日に外貨建資金調達適正比率（以下「FFAR」という。）が導入された。ハンガリー国立銀行は、FFARの
内容、規制対象の金融機関に求められる水準および範囲を改訂した。改訂の結果、求められるFFARの最低
水準が変更となり、その段階的な引上げが規定された。規制比率は、2014年７月１日に65％から75％に引
上げられ、半年ごとに５パーセンテージ・ポイントずつ引上げられて、2017年１月１日までに100％となっ
た。求められる最低水準の改訂に加えて、規制の影響は外国の与信機関のハンガリー支店に及んでいる。
2015年６月９日、ハンガリー国立銀行は、MFARの導入を発表した。これは、長期有価証券を発行するこ
とを銀行に将来的に要求するものであり、この証券は主として担保付債券の形態で市場に出現する可能性
がある。2015年２月の外貨建不動産担保ローンのフォリントへの転換によって、ハンガリーの金融システ
ムの安定性は著しく改善した。為替リスクは、もはや家計、および間接的に銀行部門の負担ではない。し
かし、かかる転換の副作用として重大な流動性リスクが銀行部門に発生した。フォリントに転換された圧
倒的多数の不動産担保ローンの満期が10年超である一方で、通常は預金形態をとる銀行部門のフォリント
建負債の満期は１年未満であることがその理由である。
満期のミスマッチを減らすため、ハンガリー国立銀行は、2016年10月１日からMFARを適用している。新
しい規制比率は、満期残余期間が１年超の住宅用フォリント建不動産担保ローンの正味残高で除した家計
の不動産担保ローン（例えば、担保付債券、家計の不動産担保ローンに裏付けされたその他の有価証券お
よびモーゲージ銀行による借換え不動産担保ローン）により裏付けされたフォリント建債務として連結レ
ベルで定義される。MFARの要求される最低水準は15％で、すなわち、不動産担保ローンの少なくとも15％
は長期負債によって資金手当てされなければならない。
暫定推計によると、新規則によって、多くの新しいモーゲージ銀行の設立と約300十億フォリントの担保
付債券の発行が奨励されるであろう。これらの担保付債券は主に機関投資家および金融機関によって買入
れられるであろう。
2014年８月27日、ハンガリー国立銀行は、家計の過剰な負債および外貨建ローンの新たな蓄積を防ぐた
め、新しいマクロプルーデンス規則を採用した。2015年１月１日に導入された債務上限規制は、２つの柱
からなっている。収支比率（以下「PTI」という。）は、顧客の通常の法律上の所得に対する比率として当
初最大債務返済負担額を制限するもので、これにより家計債務の蓄積が緩和される。ローン資産価値比率
（以下「LTV」という。）は、担保の価値に対する比率として家計の担保付借入れ（不動産担保ローン）の
上限額を制限するものである。
72/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
銀行は、200,000フォリントを超えるすべての新規借入れ（消費者ローン、不動産担保ローン、自動車
ローン等）についてPTI比率を計算する必要がある。この比率は、借手のすべての既存の借入額にかかる返
済 額を考慮しなければならない。2015年１月１日以降実施されたすべての新規フォリント建ローンにかか
るPTI比率は、50％を超えてはならず、高所得の借手（手取り給与400,000フォリント以上の者）について
は、同比率は60％を超えてはならない。複数の債権者がいる場合は、所得および債務負担は、合算して扱
わなければならない。フォリント建ローンにはより緩い制限が適用されるため、新たな規制はおそらく貸
付の削減にはつながらないであろう。ただし、家計の借入れの増加が過剰であるとマクロプルーデンス規
制当局としてのハンガリー国立銀行が認めた場合には、いつでも制限は強化されうる。潜在的な為替レー
トの下落によるマイナスの影響を相殺するため、ユーロ建ローンおよび他の外貨建ローンに対するPTIの制
限はより厳しく（それぞれ、25％および10％、ならびに高所得顧客の場合は30％および15％）なるであろ
う。
LTV比率については、規則の継続性を確保するため、現在効力を有する規則はハンガリー国立銀行の命令
に置換された。ハンガリー国立銀行は、2014年６月23日に発行した意見において命令草案の内容および国
内の金融システムの安定性強化への貢献が期待されることについて肯定的な評価を与えた欧州中央銀行と
協議をした。ハンガリー国立銀行はまた、市場参加者とも協議をし、いくつかの意見を規則案に盛り込む
ことで、将来における命令の円滑な適用を促進した。
以下の表は、2015年１月１日から施行された債務上限規制において要求されている比率を示したもので
ある。
フォリント ユーロ その他の通貨
PTI 月収 400,000 フォリント未満 50 ％ 25 ％ 10 ％
月収 400,000 フォリント以上 60 ％ 30 ％ 15 ％
(1)
LTV 不動産担保ローン 80 ％ 50 ％ 35 ％
自動車ローン 75 ％ 45 ％ 30 ％
出典： ハンガリー国立銀行
注(1) ファイナンス・リースには、５パーセンテージ・ポイント高いLTVの上限が適用されうる。
2015年７月７日、ハンガリー国立銀行は、外部脆弱性を軽減する目的で新しい規制を導入した。ハンガ
リー国立銀行の金融安定委員会は、外貨建資金調達適正比率（以下「FFAR」という。）の変更および外国
為替カバレッジ比率（以下「FECR」という。）の導入に関する命令を採択した。FFARの厳格化後、スワッ
プ残高を当該比率に含めることができなくなり、FFARの要求水準は100％へ引上げられる。新しいFECR規制
は、貸借対照表上の通貨の不一致を貸借対照表の総額の15％に制限することにより、銀行のスワップ市場
への過度な依存を弱める。新しいハンガリー国立銀行の命令は、2016年１月１日に発効した。
新しい規制は、銀行部門の短期対外資金調達が再び増加するのを防ぐだけでなく、その減額にも寄与す
ることを意図している。新しい規制の効果として、銀行部門の短期対外債務が2016年末までに２十億ユー
ロないし３十億ユーロ減少してバランスシート合計の６％に相当する６十億ユーロないし７十億ユーロに
なる可能性があると予想された。
2015年８月25日、ハンガリー国立銀行は、国内銀行部門のショック耐性の強化を支援するため、流動性
カバレッジ比率要件の実施を早めることを発表した。与信機関は、2016年４月１日から当該要件を遵守す
る必要がある。この要件の発効に伴い、当時有効であった貸借対照表カバレッジ比率および預金カバレッ
ジ比率は2016年１月１日より機能を停止し、段階的に廃止される。
2015年11月18日、ハンガリー国立銀行は、きわめて重要な金融安定性リスクをもたらしている、問題の
あるプロジェクト・ローンが引続き高額であることおよび機関が集中していることから生じるリスクを管
理するため、システミック・リスク・バッファー（以下「SRB」という。）の導入を決定したと発表した。
73/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
SRBの比率は個別機関のシステミック・リスクへの寄与に比例して設定される。この比率は、問題のあるプ
ロジェクト・ローンの国内Pillar 1資本要件に対する割合から導出される。SRBは、国内リスク・ウェイト
資 産の総額の０％から２％の範囲で個別に適用され、与信機関は、それを他の資本バッファーに加えて普
通株式等Tier 1（以下「CET1」という。）資本から連結レベルで積み上げることが求められる。システム
上関連性のある資産を考慮するために、「デ・ミニミス」基準も導入された。すなわち、問題のあるプロ
ジェクトのエクスポージャーが５十億フォリント未満である機関はSRB要件を免除される。
ハンガリー国立銀行は、2016年第４四半期に個別の決定の形で機関のSRBを設定した。機関は、2017年１
月１日から新しい資本バッファー要件の遵守を求められている。このスケジュールは、銀行が対応可能
な、すなわち効率的にその不履行プロジェクト・ローンの整理をするのに十分な時間を与えることを意図
している。ポートフォリオの整理が行われない場合、銀行のショック耐性を改善することによって、追加
の資本要件で国内の金融仲介制度の安定性を強化することがある。与信機関がその問題のあるポートフォ
リオを2017年１月１日までに一掃した限りにおいて、新たな資本要件は当該与信機関を拘束しない。ハン
ガリー国立銀行は、新たな資本要件についてヨーロッパの関係当局および市場参加者との間で協議した。
2015年12月15日、ハンガリー国立銀行は、カウンターシクリカル資本バッファーを導入した。ハンガ
リー国立銀行によれば、現時点でハンガリーの銀行システムには何ら過度な信用の増大が観察されないこ
とから、中央銀行は2016年１月１日よりカウンターシクリカル資本バッファー比率を０％に設定した。ハ
ンガリー国立銀行は、その後０％のカウンターシクリカル資本バッファー比率を変更していない。
2016年10月24日、ハンガリー国立銀行の金融安定委員会は、その他のシステム上重要な機関のための資
本バッファーおよびシステミック・リスク・バッファーをいずれ段階的に導入することを決定した。シス
テム上重要な機関への資本追加は、2017年から４年間にわたって段階的に増加する方法で導入され、問題
のあるプロジェクト・ローンに関連したリスクを緩和するために、システミック・リスク・バッファーの
構築を要求される銀行は、2017年７月１日（当初の予定より６カ月遅れ）から義務を果たさなくてはなら
ない。
2015年12月30日、ハンガリー国立銀行は、システミック・レベルでの銀行の安定性を改善するために、
追加的な資本要件を導入すると発表した。
EU加盟国では、いわゆるその他のシステム上重要な機関（与信機関および投資会社）の範囲を遅くとも
2016年１月１日までに識別しなければならなかった。EUレベルでの識別手続の調和のために、欧州銀行監
督機構はガイドラインを公表し、ハンガリー国立銀行も当該識別プロセスはそれに依拠した。
ハンガリー国立銀行の金融安定委員会は、９つのハンガリーの銀行をその他のシステム上重要な機関と
して識別した。それらのショック耐性を改善し、金融市場における投資家および消費者の信認を強化する
ため、2015年秋、金融安定委員会は追加的な資本バッファー要件を導入することを決定した。連結レベル
で、その他のシステム上重要な機関は、リスク・ウェイト資産の総額の最大2％の追加的な資本バッファー
を保有することが求められる。かかるバッファーは、CET1資本の形態でなければならず、他のバッファー
に上乗せされる。該当する与信機関は、2017年１月１日より新しい資本バッファー要件を満たさなければ
ならない。その他のシステム上重要な機関に対する資本バッファー要件は、ハンガリー国立銀行命令の形
で、2016年第３四半期に、2015年末の監査済みデータに基づいて個別に設定される。その後、ハンガリー
国立銀行は、システム上重要な機関の範囲および個別の資本バッファー比率を毎年見直す。システム上重
要な機関に対する正確な資本バッファー要件については、「(2)経済－⑦ 最近の展開－金融および為替政
策」を参照のこと。
2016年12月21日、ハンガリー国立銀行は、金融安定委員会の決定を受けて、2018年10月１日からMFARの
最低要求水準を15％から20％に引上げると発表した。
74/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2018年３月28日、金融理事会は次のマクロプルーデンスターゲット措置の銀行間資金調達比率（IFR）の
導入を発表した。この措置は2018年７月１日から実施されている。かかる比率は、通貨および残余期間に
応じて加重することにより金融会社からの資金を制限するものである。この比率は金融会社から受領する
す べての資金を対象とするが、かかる要件が通常の銀行業務に重大な影響を及ぼさないことを確保するた
めに例外および便宜が設けられている。2018年３月末現在で入手可能なデータによれば、2018年７月１日
から実施される30％の上限は、大多数の金融機関にとって調整を要しないが、大口資金調達への過剰な依
存を防ぐための障壁となるであろう。
2018年６月18日、ハンガリー国立銀行は、金融安定委員会がPTIに関連する規則を改正する決定を行った
ことを公表した。2018年10月１日より、金利固定期間が５年未満のフォリント建不動産担保ローンの月額
返済額は、借手の通常の月額純所得の25％（高額所得者の場合には30％）を超えてはならない。金利固定
期間が５年超10年以内の不動産担保ローンの場合、かかる比率はそれぞれ35％および40％である。金利リ
スクの低下によって、当初少なくとも10年間またはローンの全期間にわたって金利が固定されたフォリン
ト建利付不動産担保ローンのPTIの上限は、従来のそれぞれ50％および60％に据え置かれた。フォリント以
外の通貨建貸付の場合には、短期の金利固定期間を有する不動産担保ローンにはこれより低い比率が適用
されなければならない。同時に、少なくとも５年の金利固定期間を有する不動産担保ローンの分割払いに
以前使用されていた85％の優遇加重計算は撤廃されることになる。
75/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
以下の表は、2018年10月１日から施行されたPTI規則を示したものである。
金利固定期間
５年以上 10年以上
５年未満 10年未満 または全期間
フォリント建不動産担保ローンのPTIの上限
月額純所得
400,000フォリント未満 25％ 35％ 50％
月額純所得
400,000フォリント以上 30％ 40％ 60％
出典： ハンガリー国立銀行
発表によると、近年の名目賃金および実質賃金の引上げを受けて、PTIに関連する規則によって、2019年
７月１日から、月額返済額をそれまでの400,000フォリントから500,000フォリント以上に引上げることが
可能になっている。
2018年６月29日、ハンガリー国立銀行は、2021年以降に導入が見込まれるEUの将来の資金調達要件によ
り近いものとするために、外貨建資金調達適正比率（FFAR）に関する規制を修正することを発表した。ハ
ンガリー国立銀行の評価によると、修正された規制は個々の機関または銀行部門全体のいずれにも、大幅
な調整の必要性を課すものではない。
2018年７月３日、ハンガリー国立銀行は、問題のあるプロジェクト・ローンのエクスポージャーを継続
的に多く抱えている２つの銀行が前年から維持するよう義務づけられる資本バッファー比率の見直しを
行ったことを発表した。2018年第１四半期の問題となる残高に基づき、ハンガリー国立銀行は、2018年７
月１日から、 CIB 銀行 Zrt.に対しては１％に引下げられた資本バッファーを維持するよう 要求し、一方、
ライファイゼン銀行 Zrt.に対しては、 対象となるエクスポージャーを適切な程度まで解消したことから、
もはや資本バッファーを維持する必要はないとしている。
2019年１月11日、ハンガリー国立銀行は、MFAR規制の改正を発表した。この改正により、MFARの最低要
求水準が25％に引上げられたほか、受入れられた資金の要求される最短満期は３年に延長され、適格な不
動産担保証券の質に関する要件が強化された。改正は2019年２月１日および2019年10月１日の２段階で施
行された。
2019年９月16日、ハンガリー国立銀行の金融安定委員会は、システミック・リスク・バッファー（SRB）
要件の改正を発表した。資本要件の計算において、ハンガリー国立銀行は、不健全な商業不動産プロジェ
クト融資の仕組みに関連したシステミック・リスクが再発する可能性を回避するため、将来においては問
題のあるプロジェクト・ローンだけでなく問題のない外貨建プロジェクト・ローンをも考慮する予定であ
る。2020年１月１日付で効力を生じた改正は、基本的に予防的措置であったため、当初期間中は資本バッ
ファーを維持する必要のある機関はないものと予想された。
2019年12月16日、ハンガリー国立銀行は、中央銀行は2020年１月１日以降いかなる与信機関に対しても
システミック・リスク・バッファー（SRB）の維持を求めないことを発表した。
76/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
担保付債券市場の発展
2010年、ハンガリー国立銀行は国内フォリント建抵当貸付および担保付債券市場の発展を支援するため
の新しい金融政策手段（以下「担保付債券買入れプログラム」という。）を実施した。このプログラムの
下で、ハンガリー国立銀行は、国内フォリント建抵当貸付市場を発展させるために、フォリント建担保付
債券を買い入れ、規制措置をとった。
2010年３月31日、ハンガリー国立銀行は、2010年４月１日付で、同行が担保付債券買入れプログラムの
下で買い入れた担保付債券を、直接即時グロス決済システム（RTGS）または銀行間決済システム（ICS）に
加盟しており、かつマーケット・メーカー契約を締結している国内与信機関への転貸に利用可能にするこ
とを発表した。この制度は、2010年12月31日で終了した。
2012年２月15日、ハンガリー国立銀行は、ハンガリー国立銀行が２年間の担保付与信ファシリティおよ
び新しい普遍的担保付債券買入れプログラムの導入、ならびに適格担保の範囲拡大によって、最近の銀行
の貸出し能力低下を補う準備があることを発表した。
発表によると、ハンガリー国立銀行は、担保として引渡される抵当と引換えに、実勢の政策金利で２年
間の可変金利の借換えを与信機関に提供することを予定していた。当該借換えの提供条件は、法人部門へ
の銀行貸出の拡大を促進するように設定された。この新しい制度は、銀行部門の貸出し能力低下を相殺す
るために採用されている国際的な実務慣行と一致しており、銀行が長期資金に対して期間プレミアムを支
払う必要なく、市場において限られた範囲で利用可能な支払期限で資金調達することを可能とする。長期
貸付ファシリティの提供により、ハンガリー国立銀行は、資産項目と負債項目の間の満期一致を改善する
ことを通じて、銀行のバランスシートの強化に寄与し、これにより、貸出し活動の低下を相殺することを
期待していた。
加えて、ハンガリー国立銀行は、普遍的担保付債券買入れプログラムを導入することによって、家計部
門への貸出し促進を意図していた。発表によると、担保付債券は資産項目と負債項目の間の満期一致の改
善に寄与する重要な要因である。ハンガリー国立銀行の見解によると、担保付債券発行のための普遍的な
仕組みは、より効率的な担保付債券市場の発展を促進する可能性がある。ただし、モデル変更の恩恵は、
銀行が担保付債券発行について十分な可能性および意欲を有する場合にのみ実現することができる。すべ
ての与信機関に担保付債券を発行する権利（政府との契約で策定される。）を付与する規則の改正が国会
を通過した場合、2010年の過去のプログラムの経験から、ハンガリー国立銀行は、発行市場での買入れを
通じて、フォリント建抵当貸付に関連した銀行の資金調達を効果的に改善することが可能である。
上記に加えて、適格担保の範囲を拡大することによって、ハンガリー国立銀行は、銀行の流動性バッ
ファーの増強を通じて、法人部門および家計部門への貸出しを潜在的に妨げる流動性制約を軽減すること
ができる。発表によると、適格担保として受け入れられる担保付債券の残高が増加した結果、担保付債券
発行の権利の範囲を拡大することは、この分野における重要な改善策となるであろう。銀行債および社債
の信用格付けの下限を、当時の「BBB-」ではなく、より低い政府債務の格付けとリンクさせることは、さ
らなる状況の改善をもたらす結果となることが予想された。
2017年11月21日、金融理事会は、満期３年以上の担保付債券の買入れを目的とした対象を絞ったプログ
ラムを開始することを発表した。
その後、2017年12月21日、ハンガリー国立銀行は、担保付債券買入れプログラムの条件通知を公表し
た。
このプログラムの枠組みにおいて、ハンガリー国立銀行は、当初満期が３年以上でその残余期間が１年
となっているハンガリーの発行者により公募発行されたフォリント建固定利付担保付債券の買入れを行
う。市場の透明性を高めるため、ハンガリー国立銀行は、新規発行のうち、同プログラムの対象となる担
保付債券は(1)ブダペスト証券取引所の発行市場においてオークションが行われた場合、(2)発行者が上場
77/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
手続きを行うことを約束する場合、および(3)証券取引所において継続的な建値が確保されている場合に限
定されることを表明した。また、担保付債券の場合は同プログラムへの参加の前提条件として、通常の担
保 の少なくとも90％が消費者に提供される担保（すなわち住宅ローン）で構成されることが前提とされ
た。
ハンガリー国立銀行は、流通市場における証券取引所取引および店頭取引の実施により、中立性および
平等取扱いの原則を適用して、買入れを行っている。発行市場については、ハンガリー国立銀行は、発行
者が同プログラムに対して申込みを行い、所定の要件を満たしている場合で、かつハンガリー国立銀行の
内部オークション制限がこれを認めている場合には、発行された債券のオークション数量の50％に買入れ
の申込みを行うことを約束している。発行者からの要請がない場合には、ハンガリー国立銀行はいずれに
してもオークションの申込みを行う権利を有している。発行者ごとに可能性のある買入れを合わせた上限
は流通量全体の70％で、ハンガリー国立銀行はいずれか一定のシリーズにおける比率が70％を超えること
がないようにしている。
流通市場については、ハンガリー国立銀行は、買入れた担保付債券の金額を定期的に公表し、発行市場
での買入れの場合は所定のオークションの後に買入れ額を開示する。流通市場での買入れは2018 年１月下
旬に開始するが、発行市場では発行者は同年２月15日からハンガリー国立銀行を利用できる。ハンガリー
国立銀行は、新規の担保付債券に値付けする約束をしている銀行を支援するため、担保付債券貸付の機会
を提供している。関連する条件は、2018年２月28日までに設定される。
2018年９月18日、金融理事会は、 担保付債券買入れプログラム を2018年末までに段階的に廃止すること
を発表した。担保付債券買入れプログラムは、２段階で終了する。すなわち、発行市場における買入れは
2018年12月31日まで継続し、流通市場における買入れは2018年９月30日まで継続する。
78/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
成長のための債券資金提供
2019年３月26日、金融理事会は、2019年７月１日から総額300十億フォリントの社債買入れプログラムの
立ち上げを発表した。成長のための債券資金提供スキーム（以下「BGS」という。）の目的は、国内企業部
門への資金提供の多様化を促進することであった。このプログラムのもとで、ハンガリー国立銀行は国内
の非金融会社が発行した当初満期が３年から10年の間で少なくともB+の格付が付された社債を買入れる予
定である。ハンガリー国立銀行は、中央銀行基準金利で利息が付された優遇預金ファシリティを利用して
社債の買入れから生じる過剰流動性を中和する。この新しいプログラムによって、2019年初めに開始され
た成長のための資金提供スキーム Fix（以下「FGS Fix」という。）が補完された。
2019年７月１日、ハンガリー国立銀行は、総額300十億フォリントの社債買入れプログラムを開始した。
このプログラムによって、より健全な貸付の仕組みを構築するため2019年初めに立ち上げたFGS Fixは補完
された。このスキームの下で、参加与信機関は、2019年上半期に総額175十億フォリント近い貸付契約を国
内の中小企業との間で締結した。
2019年12月17日、金融理事会は、他のすべての条件を維持したまま、2020年１月１日から当初の総額を
300十億フォリントから450十億フォリントに引上げる決定をした。
グリーン・プログラム
2019年７月４日、ハンガリー国立銀行は、中央銀行がグリーン・プログラムにより国内の金融仲介シス
テムがそれまでよりさらにいっそう強力に環境の持続可能性をサポートすることを促進する意向であるこ
とを発表した。よって、ハンガリー国立銀行は、いくつかの市場発展策の可能性を検討した。
2019年12月18日、ハンガリー国立銀行は、グリーン金融商品の成長をサポートし、ハンガリーの建物の
エネルギー効率を高めるための与信機関向け優遇資本要件プログラムを発表した。2020年１月１日から
2023年12月31日までに付与されたグリーン住宅ローンについて規制上の優遇措置が利用可能となる。ハン
ガリーにおけるグリーン・カバードボンドの導入の可能性についても、銀行部門との協議が始まる予定で
ある。
79/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
ハンガリー国立銀行の貸借対照表
ハンガリー国立銀行の統計貸借対照表
（単位：十億フォリント（2020年度末現在、季節未調整））
1. 資 産
居住者貸付 4,462.0
(1)
うち: その他MFI 4,451.5
うち: フォリント建 4,415.7
外貨建 35.9
(2)
一般政府 0.0
うち: フォリント建 0.0
外貨建 0.0
その他居住者 10.5
うち: フォリント建 10.5
外貨建 0.0
居住者によって発行された株式以外の有価証券保有高 2,379.3
うち: その他MFI 728.8
一般政府 1,113.6
その他居住者 537.0
居住者によって発行された株式/その他エクイティ保有高 173.5
対外資産 12,987.8
固定資産 35.8
繰越資産 323.7
合 計 20,362.1
2. 負 債
流通通貨残高 7,290.7
居住者預金 7,947.3
うち: その他MFI 5,192.0
うち: フォリント建 5,080.0
外貨建 111.9
中央政府 2,744.8
うち: フォリント建 1,732.7
外貨建 1,012.1
その他居住者 10.6
うち: 翌日物預金 10.1
うち: フォリント建 10.1
外貨建 0.0
約定期限付預金 0.5
うち: フォリント建 0.5
外貨建 0.0
発行済債券(居住者保有) 0.0
うち: フォリント建 0.0
外貨建 0.0
対外負債 3,174.7
資本および準備金 1,142.1
繰越負債 807.2
合 計 20,362.1
出典： ハンガリー国立銀行
注(1) MFIは通貨金融機関を意味する。
(2) ハンガリー国立銀行の統計方法に基づく場合には、中央政府のみを意味する。
80/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
② 外国為替およびフォリントの交換性
1996年以降、ハンガリーの外国為替規制は、IMFの第８条の交換基準およびOECD規則に一致している。
1998年１月以降、ハンガリー居住者は、OECD諸国を本拠とするすべての発行体により発行された株式およ
び満期１年以上の債券を取得することができ、非居住者は、ハンガリー証券市場において外国通貨建の当該
債券を発行することができる。1998年１月以降、ハンガリーの会社および個人もまた、満期１年超の外国通
貨建ローンを受けることができ（但し、一定の報告義務を伴う。）、ハンガリー国立銀行の承認を得て満期
１年未満の外国通貨建ローンを受けることができる。
近年の資本移動に関する規制の自由化（2001年６月半ばから発効）の継続により、政府令88/2001(VI.15.)
(2001年法第93号に置き換えられた。）に基づき、フォリントは、経常取引の点だけでなく、資本取引の点で
も完全に交換可能である。残りの外国投資に関する主な規制は撤廃されている。非居住者は、ハンガリーの
短期有価証券、フォリント建勘定およびオンショア・デリバティブ市場を制限なく利用することができ、居
住者は、オフショア金融サービスおよび短期外国有価証券を制限されることなく利用することができる。軽
微な規制が残っているが、これはマネー・ロンダリング防止を目的とするものである。フォリントの完全な
交換性はすべてのEUの要求に合致している。
③ ハンガリーの銀行制度
2000年４月、商業銀行、投資活動、年金基金および保険業の監督当局は、単一の機関たるHFSAとして一元
化された。しかしながら、銀行業、保険、年金基金および投資サービスについては個別の法制度が存在す
る。現在、保険、銀行業および年金基金に関する法律は十分に確立されており、すべての適用されるEU指令
および規制に概ね従っている。
1991年以降、ハンガリーの銀行制度は、国際決済銀行（BIS）の原則およびガイドラインに基づく規制およ
び監督の枠組みに従っている。与信機関および金融機関に関する1996年法第112号は、1997年１月１日から
2014年１月１日の間に効力を有しており、ハンガリー銀行制度とEUの統一銀行基準との調和の促進を図るも
のであった。2014年１月１日に、新法である与信機関および金融機関に関する2013年法第237号（以下「与信
機関法」という。）が施行され、「バーゼルⅢ」の関連EU法令を実行する役割を果たしている。
ハンガリーの銀行制度の監督
ハンガリーにおける銀行業の監督は、銀行制度が発展するにつれ改善されてきた。2013年10月１日以
降、ハンガリー国立銀行が銀行制度の監督について責任を負っている。
81/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
ハンガリー国立銀行の役割
2014年７月４日、国会は、欧州の銀行再建・破綻処理指令をハンガリーで実施する法律を採択した。こ
の法律は、金融機関（ハンガリーに所在し、総合的な監督の下にある与信機関および投資会社、金融持株
会社および金融企業等）の再建および破綻処理手続のための制度的枠組みの策定、再建および破綻処理の
監督当局として行為するハンガリー国立銀行の役割ならびに破綻処理基金の設立を扱う。当該法律の対象
となるすべての金融機関は、破綻処理基金に参加し、拠出金（加盟時および年間の拠出金として登記株式
資本の0.05％）を支払う義務を負う。これは、再建および破綻処理に関連する費用および手段の資金調達
に充当される。当該法律のほとんどの規定は、2014年９月16日に施行された。
EU加盟国所在の与信機関（これらは、それぞれ本国の監督当局により規制される。）を除き、ハンガ
リーで営業を行うすべての金融機関は、設立、業務開始、海外における駐在員事務所もしくは子会社の設
置、経営陣の選任、適格保有（10％）に相当する株式の取得または廃業を行う前に、ハンガリー国立銀行
から認可を取得しなければならない。
ハンガリー国立銀行は、ハンガリーで営業を行う与信機関による与信機関法および適用ある銀行規制の
遵守を検証する責任を負う。ハンガリー国立銀行は、与信機関に対し様々な制裁を科すことができる（法
令不遵守の警告、免許取消、清算手続の開始、ならびに与信機関および当該与信機関の経営陣に対する罰
金を含む。）。
銀行業規制
ハンガリー国立銀行の総裁は、新ハンガリー国立銀行法、資本市場に関する2001年法第120号（以下「資
本市場法」という。）および与信機関法の定める範囲において、規制上の命令を発する権限を有する。資
本市場法および与信機関法ならびに投資および商品取引業者ならびにその業務に関する2007年法第138号
は、政府または国家経済大臣が規制上の命令を発する対象事項も定めている。
与信機関法は、ハンガリーの与信機関に対し、８％のソルベンシー比率を維持することを求めている。
財務大臣は、与信機関法の下での権限に基づき、ソルベンシー比率の計算に関する命令を発している。同
命令は、銀行の規制資本およびリスク・ウェイト資産（オンバランスシート項目およびオフバランスシー
ト項目）の比率の計算方法を定めた国際決済銀行基準を採用している。さらに、財務大臣は、与信機関に
対し、資産（ローン、投資およびオフバランスシート項目を含む。）の質とその資産に存在する一定の外
国リスクの双方に基づく引当金の設定を義務づける命令を発している。
ポートフォリオ・リスク引当金は、与信機関の資産を、正常先、要注意先、破綻懸念先、実質破綻先お
よび破綻先に分類することにより計算される。資産は、その運用実績および債務者の財政状態に基づき分
類される。引当金は、資産分類に基づいて、正常先債権については０％、要注意先債権については0％から
10％以下、破綻懸念先債権については10％超30％以下、実質破綻先債権については30％超70％以下、破綻
先債権については70％超100％として設定される。
ハンガリーは、投資会社および商業銀行についての自己資本比率規制に関するガイドラインを投資会社
および与信機関の自己資本比率に関するEU理事会指令93/6/EECに合致させた。2008年初めには、EU指令
2006/48およびEU指令2006/49（バーゼルⅡ）を国内法化したものがファイナライズされ、上記のとおり、
2014年１月には、EU指令2013/36およびEU指令575/2013（バーゼルⅢ）を国内法化したものがファイナライ
ズされた。個々の銀行は自己のガイドラインを定めることを義務づけられ、このガイドラインは毎年見直
される。
2015年９月１日より、個人の債務整理手続に関する新たな法律が効力を有しており、これは、裁判所の
手続の範囲の内外両方の債務整理の機会を提供している。かかる手続の主な目標は、個人の債務を、その
資産および収益を使用することによって、規制された枠組みの中で整理し、支払能力を回復させることで
82/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
ある。両方の種類の手続が、債務者と、家庭債務整理局および任命された家庭管理者を含む債権者の相互
の協力に基づいている。
2015年２月１日、外貨建ローンのフォリント建金融商品への転換に関する法律が施行された。転換ス
キームとして、１スイスフラン/256.47フォリント、１ユーロ/308.97フォリント、１円/2.163フォリント
の転換レートが法律により固定された。公正な銀行に関する法律は、金利、手数料および費用の一方的な
変更について、より厳しい条件を規定している。その後、2015年８月19日、政府とハンガリー銀行協会
は、外貨建の小売向け自動車ローンおよび消費者ローンのフォリント建ローンへの転換に関する協定を締
結した。
ハンガリーの銀行制度の構造
ハンガリー国立銀行の手法によると、ハンガリーの銀行部門は３種類の監督対象与信機関からなる：
・ 銀行グループ：ハンガリーにおいて登記された与信機関で、ハンガリー国立銀行が連結ベースでその
監督にあたる。これには、とりわけ、他のEU加盟国内に登記上の事務所を持つ親銀行の支配下で事業
を行い、ハンガリー国立銀行と親銀行のヨーロッパにおける登記事務所に基づき権限を有する監督当
局の共同で監督を受ける（母国と受入国の権限分配）、ハンガリーにおいて登記された子会社銀行も
含まれる。
・ 単独の与信機関：ハンガリーにおいて登記された与信機関で、ハンガリー国立銀行が連結ベースでは
なく、個別にその監督にあたる。
・ 支店：ハンガリー国立銀行と与信機関の登記事務所に基づき権限を有する当局の共同で監督を受け
る、海外において登記された与信機関のハンガリーにおける支店。
2020年12月31日現在、ハンガリー国立銀行が監督するハンガリーの銀行部門は、12の銀行グループ、13
の単独の与信機関および８の支店で構成されていた。銀行部門の資産合計は、無監査データによると、
2020年12月31日現在60,609十億フォリントであった。銀行グループの資産合計は50,847十億フォリント、
単独の与信機関の資産合計は5,892十億フォリント、外国与信機関の支店の資産合計は3,870十億フォリン
トであった。
与信機関のみが、一般から預金を集め、送金サービスを提供することができる。さらに、銀行は、与信
機関法に掲げるあらゆる金融サービス（貸付実行、保証、外国通貨取引、銀行カード発行および預託業務
提供を含む。）を提供することができる。銀行は、自己勘定または顧客勘定で、国債および社債ならびに
デリバティブの取引を行うこともでき、また投資サービスを提供することもできる。
83/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
以下の表は、表示期間におけるハンガリー銀行制度の動向を示している。
銀行調査（％推移、年次）
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
(1)
(0.6) 4.4 11.5 14.7 16.2
国内与信
(2)
(0.1) 9.5 14.8 11.2 12.1
企業向け与信
(3)
(2.3) 1.1 5.8 15.5 18.2
家計向け与信
7.1 7.8 11.8 8.2 11.7
広義の通貨（M3）
出典： ハンガリー国立銀行
注(1) 非金融企業への貸付、その他の金融企業への貸付、一般政府への貸付、家計への貸付および家計向け非営利団体
への貸付を含む。
(2) 非金融企業への貸付およびその他の金融企業への貸付を含む。
(3) 家計への貸付および家計向け非営利団体への貸付を含む。
特殊与信機関は、提供できる業務範囲に関して、またその業務の提供先である顧客の種類に関して制限
を受ける。特殊与信機関には、２つの住宅貯蓄組合および２つの民間モーゲージ銀行が含まれる。ラン
(1)
ド・クレジット・アンド・モーゲージ・バンク 、ハンガリー開発銀行（MFB）およびハンガリー輸出入銀
(2)
行 という３つの特殊国有機関が存在する。
(1) 国は、ランド・クレジット・アンド・モーゲージ・バンクの少数持分のみを保有している。
(2) 国は、少数持分（25％プラス１株）を直接保有しており、残りはハンガリー開発銀行を通じて間接的に保有し
ている。
上記の与信機関のほか、他のいくつかの金融機関が、ハンガリーの銀行・金融部門の強化において重要
な役割を果たしている。こうした機関には以下のものが含まれる。
・ 国立預金保険基金（与信機関は同基金への参加を義務づけられ、預金者１人につき13百万フォリントを
上限として預金に付保するが、政府またはその他一定の法人の預金は保険の対象としない。）
・ 与信保証公社(中小企業向けローンを保証する。)
・ 国立貯蓄協同組合保護基金（協同組合機関の自主的共同体であり、当該機関相互の利益を促進すること
を目的とする。）
・ ハンガリー輸出信用保険公社（輸出信用および外国為替リスクのための保険を提供する。）
84/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
④ 銀行部門の所有構成
かつて銀行部門の外国勢による株式所有が劇的に増加した後、外国投資家が保有する登記資本金の比率は
2002年になって安定した。2019年12月31日現在、ハンガリーの銀行の資産合計の約40％は、非居住者により
保有されていた。
2014年７月24日、政府は、ハンガリーがMKB銀行をバイエルン州立銀行から購入することにつき合意に達し
たことを発表した。購入価格は55百万ユーロであった。バイエルン州立銀行は、MKB株式の99％をハンガリー
政府に対して売却し、譲渡前に資本を270百万ユーロ増加させることに同意した。
2014年12月４日、政府は、ハンガリーが、ブダペスト銀行をジェネラル・エレクトリックから購入する予
備契約を締結したことを発表した。
2014年12月18日、ハンガリー国立銀行は、国有銀行であるMKBの支配権を得たこと、およびMKBの収益性を
回復させるために、当該与信機関（その子会社を含む。）を再編することを発表した。
2015年２月９日、ハンガリー政府とEBRDは、オーストリアの銀行であるエルステが保有するハンガリーの
銀行、エルステ銀行ハンガリーの持分を15％ずつ購入した。この取引は、2015年６月29日に決済された。
2015年10月２日、ハンガリー国立銀行は、2014年12月に開始された再編手続中の与信機関の所有構成を変
更する手続をまもなく開始することを発表した。ハンガリー国立銀行は、MKB銀行の破綻処理行動プランに記
載された日程に沿って、2015年末までに手続を完了することを目指した。
2016年６月29日、ハンガリー国立銀行は、MKB銀行を37十億フォリントで売却した。
2020年12月15日、ハンガリー国立銀行の承認を得て、ブダペスト銀行、MKB銀行およびタカレクバンク
（Takarékbank）の支配株主は、その持株をマジャール・バンクホールディング（Magyar Bankholding
Zrt.）に譲渡し、これによって同社を設立した。ハンガリーはコルヴィヌス国際投資（Corvinus Nemzetközi
Befektetési Zrt.）を通じてマジャール・バンクホールディングにおける適格持分を保有し、マジャール・
バンクホールディングにおける国の持分は30.35％となっている。
ハンガリーが、現在支配持分を有している銀行（ハンガリー国立銀行を除く。）は、ハンガリー開発銀行
およびハンガリー輸出入銀行のみである。
85/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
⑤ 資本市場
市場経済への移行の過程で、ハンガリーは、経済発展を促進し、ハンガリー企業の資金調達を可能とする
ため、健全な資本市場の発展を非常に重視した。資本市場法は、有価証券（政府発行有価証券を含む。）の
勧誘および取引ならびにハンガリーの資本市場（証券取引所、投資ファンドおよび決済機関を含む。）の制
度的枠組みを規制する。資本市場の国による管理・監督は、ハンガリー国立銀行に委任された。他の国際市
場の一般的な傾向に合わせ、ハンガリーは、投資サービスおよび銀行サービスの関係を規制するにあたっ
て、包括的金融システムに向けて進んできた。適切な権限を有する銀行は、同じ組織的枠組みにおいて投資
サービスおよび金融サービス活動を行うことができ、これにより包括的銀行サービスを提供することができ
る。
2015年６月27日、中国人民銀行およびハンガリー国立銀行は、ハンガリーにおける人民元決済システムの
設立に関する覚書、ならびに中国の銀行間債券市場におけるハンガリー国立銀行の投資を中国人民銀行が管
理するための代理人契約を締結した。中国人民銀行はまた、ハンガリーに対して、投資割当総額50十億元の
人民元適格外国機関投資家の試験的スキームを適用することを決定した。中国人民銀行は、やがて、ハンガ
リーにおける人民元決済銀行を指定する。
その後2015年10月２日、中国人民銀行は、ブダペストにおいて正式に人民元決済センターを開始した。
2017年１月24日、中国銀行とハンガリー国立銀行は、銀行間市場代理業務に関して基本契約を締結した。
さらに、人民元決済口座サービスに関する覚書を締結した。
86/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
証券取引所
ブダペスト証券取引所（1990年開設）は、自治的かつ自主規制的組織であり、自らその機関と役員を選
任し、自らその規程を採用し、自らその運営規則を定め、サービスに対する手数料を定める。
2015年12月９日以降、ハンガリー国立銀行はブダペスト証券取引所の株式の75.75％を支配している。
以下の表は、それぞれの年の末日現在および当該期間におけるブダペスト証券取引所についての主要な
指標を示している。
12月31日終了年度
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
取引件数 （千件）
株式 1,621.4 1,940.4 1,889.9 1,817.3 2,370.6
債券 0.3 0.1 0.4 0.0 0.3
BETa* 24.8 15.7 9.8 12.4 19.7
デリバティブ 84.5 87.7 103.0 89.8 162.4
コモディティ 0.5 0.1 0.0 0.0 0.0
取引額（十億フォリント）
株式 2,403.6 2,778.2 2,892.2 2,651.4 3,488.6
債券 1.5 0.5 60.1 1.9 29.1
BETa* 7.1 6.5 2.7 3.3 5.6
デリバティブ 2,569.9 2,365.1 2,341.0 2,317.6 2,401.0
コモディティ 17.5 2.9 0.0 0.0 0.0
出典： ブダペスト証券取引所
* 外国株式
⑥ 通貨供給および公定歩合
上記「① ハンガリー国立銀行 - 金利政策」および「① ハンガリー国立銀行 - マネー・サプライ」を参
照。
87/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
(5) 【財政】
① 概要
ハンガリーの財政部門は、中央政府予算、社会保障基金（年金基金および保健基金）、特別予算基金およ
び地方政府予算から構成され、これらをあわせて一般政府予算という。
ハンガリーの財政に関するデータの出典は財務省である。本書においては、財務省により集計された暫定
データは、2021年５月時点で入手可能なデータを考慮して示されている。
② 予算に関する情報
以下の表は、政府の歳入および歳出に関する情報を示している。
12 月31日終了年度
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2021 年
最終 最終 最終 最終 暫定値 成立予算 修正予算
（単位：十億フォリント）
GFS 方式
歳入 16,405.1 17,348.1 18,462.6 20,273.6 20,525.1 20,261.9 20,918.5
民営化に伴う収入 4.3 4.0 3.4 3.5 3.5 3.5 3.5
歳入（民営化に伴う
収入を除く。） 16,400.8 17,344.2 18,459.2 20,270.2 20,521.6 20,258.4 20,915.0
歳出 16,945.1 18,662.6 19,664.7 21,477.9 26,182.3 21,951.3 23,404.4
収支（民営化に伴う
収入を除く。） (544.3) (1,318.5) (1,205.6) (1,207.7) (5,660.7) (1,692.8) (2,489.3)
GDP に対する収支（％） (1.5) (3.4) (2.8) (2.5) (11.9) (3.3) (4.8)
一般政府収支 -
総合 (540.0) (1,314.5) (1,202.1) (1,204.2) (5,657.2) (1,689.3) (2,485.8)
ESA 方式
歳入 16,293.2 17,288.4 18,983.1 20,736.9 20,774.8 21,884.9 21,439.5
歳出 16,943.8 18,242.2 19,891.9 21,724.8 24,644.4 23,361.1 25,299.1
収支 (650.6) (953.9) (908.8) (987.9) (3,869.6) (1,476.2) (3,859.6)
GDP に対する収支（％） (1.8) (2.4) (2.1) (2.1) (8.1) (2.9) (7.5)
出典： ハンガリー中央統計局および財務省
88/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
財政政策
2016年12月23日、国家経済省は、国会が、2016年11月24日に政府と賃金交渉相手が締結した６年賃金合
意の実現の促進を目的として策定された、給与税の一括改正を採択したと発表した。
三者間合意に従い、政府は、法人税を従前の19％（売上高が年間500百万フォリント超の場合）および
10％（売上高が年間500百万フォリント以下の場合）から一律９％に引下げることを約束した。2017年に小
企業税（KIVA）の税率は従前の16％から14％に引下げられ、2018年にさらに１パーセンテージ・ポイント
引下げられて13％となった。定率小企業税（KATA）は、従前の６百万フォリントに代わって、年間収益が
12百万フォリントまでの企業に適用される。2016年には160千社ほどの企業がKATAを支払ったが、2017年ま
でにこの数字は30千社ないし40千社も増加した可能性がある。雇用主によって支払われる社会拠出金は、
2017年に27％から22％に引下げられ、2018年にさらに２パーセンテージ・ポイント引下げられて20％とな
る。加えて、2017年までに少なくとも総賃金が11％上昇することを条件として、政府自身が、給与税をさ
らに0.5パーセンテージ・ポイント引下げること約束している。よって、雇用主拠出金の比率は、2018年ま
でに27％から19.5％に引下げられる。2019年より、賃金が少なくとも６％上昇することを条件として、そ
の後４年間毎年、当該拠出金の比率はさらに２パーセンテージ・ポイントずつ引下げられる可能性があ
る。よって、かかる徴収は最終的には、全体で最大15.5パーセンテージ・ポイント引下げられる可能性が
ある。
その後2017年11月15日、政府は、三者間合意に従い、雇用主によって支払われる社会拠出金が19.5％に
引下げられることを公表した。
2017年８月31日、政府は、2018年１月１日から子供が３人以上の家族の住宅ローンの一部を国が引受け
ることを発表した。引受けられる債務は、１家族当たり１百万フォリントとされる。国家経済省（MNE）の
見積りによると、この政策の予算上の効果は、年間10十億フォリントないし20十億フォリントの範囲とな
るであろう。2018年、この政策関連の支出は17十億フォリントと予定されていた。
2017年11月27日、オルバーン・ヴィクトル首相は、ブダペストとベオグラード間の鉄道の改修にかかる
公共調達入札（中国からの資金を含む。）が同日公表されることを発表した。同首相は、このプロジェク
トが中国、EUの加盟国１カ国およびEU加盟候補国１カ国の協力を得て行われる初めての大型開発であると
述べた。同首相は、これによりヨーロッパのターミナルから中央ヨーロッパを通って西ヨーロッパへ続く
海のシルクロードといわれる最速の貨物運送ルートに向けた条件が整うことになると付け加えた。
2018年２月９日、国家経済省は、新規の原子炉ユニット建設（パクシュⅡプロジェクト）のためにロシ
アが提供した与信枠からハンガリーがこれまでに引出した78.2百万ユーロをハンガリーが期限前弁済する
と発表した。
2019年６月７日、財務省は、ブダペスト・ベオグラード間の鉄道路線のハンガリー部分の建設について
中国輸出入銀行に与信の申請を行った。
2019年11月13日、財務省は、政府が新しい経済保護・競争力改善法案を国会に提出したことを発表し
た。政府は５月に最初の経済保護行動計画について決定を行い、国会はすでに計画中の減税に関連した７
つのポイントのうち６つについて決定をしているが、７つ目のポイントは2019年11月13日に提出された法
案に組込まれている。このポイントによると、2020年７月１日から４種類の拠出が単一の社会保障拠出に
まとめられることになる。この法案によると、同じく７月１日付ですべての在職年金受給者は拠出金を免
除されることになり、影響を受ける者の大部分は14％の追加所得を実現することができる。在職年金受給
者のほか、子供の数に応じた家族税の優遇もより有利になるという事実に照らして、子供のいる家庭も追
加減税に期待することができる。法案によると、税務当局は2021年春から企業向けVAT申告書草案を作成す
ることも可能になる。
89/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
最近の予算
2021年５月に入手可能な暫定データによると、2020年度のGFS方式による一般政府赤字（地方政府を含
む。）は、5,660.7十億フォリント（GDPの11.9％）に上り、一方ESA方式では3,869.6十億フォリント（GDP
の8.1％）に上った。
2021年のGFS方式による一般政府赤字（地方政府を含む。）の当初計画値は、1,692.8十億フォリント
(GDPの3.3％）であった。2021年のESA方式による一般政府赤字（地方政府を含む。）の計画値は、1,476.2
十億フォリント（GDPの2.9％）であった。
2021年のGFS方式による一般政府赤字（地方政府を含む。）の修正後計画値は、2,489.3十億フォリント
(GDPの4.8％）である。2021年のESA方式による一般政府赤字（地方政府を含む。）の修正後計画値は、
3,859.6十億フォリント（GDPの7.5％）である。
最近の進展
2021年５月10日、財務省は、GFS方式による2021年当初４カ月間の一般政府収支（地方政府を除く。）が
1,043.6十億フォリントの赤字であったと公表した。
2021年４月20日、政府は2021年にかかる予算法の修正案を提出した。修正案によると、ESA方式による一
般政府赤字（地方政府を含む。）の計画値は、3,859.6十億フォリント（GDPの7.5％）である。
90/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
(a) 中央政府予算
以下の表は、2016年度、2017年度、2018年度および2019年度の予算の最終値、2020年度の予算の暫定
値、ならびに2021年の成立予算および修正予算における中央政府の歳入および歳出に関する情報を示して
いる。
中央政府予算の歳入および歳出
12 月31日終了年度
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2021 年
最終 最終 最終 最終 暫定値 成立予算 修正予算
( 単位：十億フォリント)
歳入
経済単位による支払
法人税（金融機関を含む。） 734.4 680.0 440.1 329.9 470.1 599.1 507.3
鉱業税（DPTT） 27.6 28.8 43.7 45.6 30.7 44.0 44.0
企業自動車税 32.0 33.3 35.3 36.4 37.8 37.5 37.5
賭博税 25.0 27.5 29.3 28.2 35.0 34.6 34.6
環境税 23.2 23.9 25.8 5.6 5.6 5.2 5.2
簡易事業所得税 81.1 63.6 54.1 43.4 1.7 0.0 0.0
小企業税 13.6 22.4 41.7 70.5 83.4 97.4 97.4
少額納税者への項目別課税 69.9 98.2 124.9 158.5 158.2 237.4 237.4
設備システム税 55.0 55.0 54.3 54.5 52.5 53.4 53.4
広告税 12.6 0.0 12.3 6.3 -0.3 0.0 0.0
その他の中央支払 426.6 456.1 507.1 560.7 553.1 584.7 559.6
その他の支払 18.8 18.0 9.5 18.1 14.8 15.0 15.0
金融機関税 73.2 64.2 53.3 56.7 120.5 61.4 61.4
0.0 1.1 0.7 0.1 47.6 54.0 64.8
一定の部門への追加税
1,593.2 1,572.1 1,431.9 1,414.4 1,610.8 1,823.7 1,717.6
合計
消費に対する課税
付加価値税 3,290.3 3,525.3 3,928.7 4,532.4 4,669.0 5,015.0 5,035.5
物品税 1,035.5 1,047.1 1,137.2 1,201.5 1,215.6 1,283.1 1,268.6
金融取引税 199.1 217.3 233.2 243.4 217.8 218.8 218.8
保険税 32.4 35.7 39.7 82.5 98.5 105.9 105.9
電気通信税 53.2 53.6 53.8 53.5 56.7 53.0 53.0
0.0 0.0 19.0 26.9 9.9 29.6 7.6
観光開発拠出金
4,610.4 4,878.9 5,411.7 6,140.1 6,267.5 6,705.4 6,689.4
合計
家計からの納付
個人所得税総歳入 1,717.6 1,920.0 2,177.4 2,424.6 2,527.7 2,683.5 2,717.8
中央予算の個人所得税歳入 1,717.6 1,920.0 2,177.4 2,424.6 2,527.7 2,683.5 2,717.8
個人特別税 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
個人98％臨時税 0.8 1.0 0.4 0.0 0.0 0.0 0.0
家事使用人登録料 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
税金納付 2.3 6.9 8.6 7.8 6.8 7.9 7.9
手数料 157.7 173.6 191.0 215.6 207.2 218.7 194.1
自動車税 43.9 45.8 47.9 50.4 85.3 87.0 87.0
その他歳入
1,922.3 2,147.3 2,425.3 2,698.3 2,827.0 2,997.1 3,006.8
合計
91/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
中央政府予算の歳入および歳出
12 月31日終了年度
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2021 年
最終 最終 最終 最終 暫定値 成立予算 修正予算
( 単位：十億フォリント)
中央予算機関および
支部管理予算配分
機関の歳入 2,500.7 2,389.9 2,228.9 2,002.7 2,200.0 1,451.3 1,452.2
支部管理専門的予算配分の歳入 365.6 433.8 122.0 140.8 447.3 38.7 46.9
支部管理専門的予算配分の
641.1 1,124.2 85.4 107.6 1.2 0.0 0.0
EU支援および中央投下資本
3,507.4
3,947.8 2,436.3 2,251.1 2,648.5 1,490.0 1,499.1
合計
中央予算機関による納付 27.4 42.9 30.4 137.4 34.4 26.4 26.4
中央繰越基金への支払い 199.8 286.6 339.1 0.0 0.0
国家社会基金への拠出 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
地方政府による納付 15.3 36.4 41.7 55.2 67.8 165.5 165.5
特別予算基金および社会保障基
金による納付 24.6 29.8 13.3 91.5 38.9 21.2 21.2
国際取引の歳入 0.0 0.0 0.0 1.6 0.0 0.0 0.0
国庫資産に関する歳入 205.7 265.5 184.6 217.5 292.3 142.8 142.8
その他の歳入 68.3 40.8 19.6 37.2 46.0 18.6 18.6
債権回収に関する歳入 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
EU プログラムからの歳入 1,053.8 1,251.4 1,681.1 1,129.1 2,033.5
EU 金融支援の返済 344.0 100.4 260.9 211.4 1.9 0.0 0.0
関税および輸入税 13.2 12.2 15.7 16.0 15.9 16.2 16.2
0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
年金改革および減債基金
(1)
13,074.2 13,525.1 14,809.9 15,871.3 14,535.9 15,337.0
12,331.8
歳入合計
148.6 104.3 120.5 258.4 244.9 93.5 93.5
利息による歳入
(2)
12,480.4
13,178.4 13,645.6 15,068.2 16,116.2 14,629.4 15,430.5
歳入合計
92/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
中央政府予算の歳入および歳出
12 月31日終了年度
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2021 年
最終 最終 最終 最終 暫定値 成立予算 修正予算
( 単位：十億フォリント)
歳出
326.3 383.1 421.2 663.4 464.3 464.3
経済単位への助成金
333.6
70.2 71.3 80.1 84.8 97.2 97.2
メディアに対する支援
69.9
94.5 90.4 89.1 65.0 137.7 137.7
消費者物価への助成金
97.9
184.7 193.2 191.2 251.5 249.6 369.6
住宅助成金
148.2
福利厚生、社会的助成金
407.1 402.7 399.2 398.4 398.6 398.6
福利厚生
411.5
124.4 122.2 137.4 141.4 156.0 156.0
所得補助給付金
126.1
94.7 92.9 92.5 92.9 92.7 92.7
退職年齢前給付金
113.3
26.8 25.1 25.2 24.5 24.7 24.7
21.3
その他の特別助成金
672.2 653.0 642.8 654.3 657.3 672.0 672.0
合計
中央予算機関および
支部管理予算配分
5,141.5 5,726.8 6,228.0 7,380.9 5,037.1 5,063.6
中央予算機関の歳出
4,600.4
5,116.6 4,691.7 4,896.2 7,070.4 3,047.2 3,190.4
支部管理専門的予算配分
4,132.1
0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
中央投下資本
0.0
0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
0.0
支部残高準備金
8,732.5 10,258.1 10,418.5 11,124.2 14,451.3 8,084.3 8,254.0
合計
政党およびその他の
3.8 9.8 5.6 4.3 5.8 5.8
民生団体への支援
3.8
623.9 591.6 467.6 652.0 1,159.9 1,293.6
社会保障基金への振替
409.7
地方政府への振替
700.5 746.8 778.5 821.1 864.8 908.9
予算からの直接振替
675.4
0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
0.0
利子の付された個人所得税歳入
675.4 700.5 746.8 778.5 821.1 864.8 908.9
合計
85.0 92.5 76.9 248.5 71.0 71.0
特別予算基金への振替
155.0
1,600.9 2,515.4
EUプログラムの歳出
4.0 2.8 6.1 10.8 13.7 13.7
国際取引の歳出
6.3
50.3 32.4 38.7 44.5 33.9 33.9
債務返済に関する歳出
47.1
63.6 60.3 67.2 119.2 136.5 136.5
その他の歳出
59.3
0.0 0.0 0.0 0.0 395.6 435.6
準備金
0.0
3.1 2.8 2.5 2.2 2.0 2.0
現金補償
3.6
17.9 12.5 14.8 14.0 37.9 37.9
政府保証の償還
12.4
260.4 316.5 365.3 449.8 450.4 615.3
EU予算への拠出
295.3
451.0 305.6 517.1 1,304.6 510.4 510.4
国庫資産に関する支出
387.0
1,091.3 1,048.4 1,100.5 1,225.4 1,030.4 1,030.4
1,118.2
利息支払
13,227.4 14,941.5 15,021.2 16,000.8 21,069.7 16,018.2 17,605.0
歳出合計
出典： 財務省
注(1) 利息による歳入を含まない。
(2) 利息による歳入を含む。
93/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
中央政府予算決定過程
財務省は、政府のために中央政府予算を暦年ベースで作成する責任を負っている。政府は、審議および
最終承認を受けるために中央政府予算を国会に提出する。次年度の年間中央政府予算は、かかる年度の開
始前までに承認される。その時までに国会が予算を承認しなかった場合、政府は遅滞なく、暫定中央政府
予算を提出する義務を負っている。国会が中央政府予算を承認しなかった場合も、政府は、その時点で施
行されている法律に従って、中央政府予算に起因する歳入を徴収する権限、および、前暦年の中央政府予
算に従って歳出をする権限を持つ。これは、一般的に適用される予算規則に従った債務返済への充当（上
限なし）を含む。
毎暦年末から８カ月以内に、政府により前年度の最終決算が集計され、最終承認を受けるために国会に
提出される。
中央政府予算の歳入の主な構成要素は、消費に対して課される税（付加価値税を含む。）、法人税およ
び家計に対する課税（主に個人所得税）である。中央政府予算の主な歳出の項目は、債務返済ならびに社
会保障基金、予算機関、地方政府および特別予算基金への振替である。
財務省、ハンガリー国庫管理機構および政府公債管理機構の役割
2018年５月、政府の政策決定の材料となる情報の提供および財政に関する政府の権限範囲内の問題調整
に関して、政府における国家経済省の機能は、財務省に引継がれた。具体的な責任には、毎暦年国会に提
出される中央政府の最終決算および中央政府予算に関する法案の作成が含まれる。
財務省は、中央予算の執行、中央政府の支払能力、中央政府の資金調達および政府による債務保証の登
録（中央政府の貸付および請求権を含む。）を確保しなければならない。こうした責務は、国庫管理機構
（Treasury）を通じて執行され、債務と流動性の管理といった責務は、政府公債管理機構（ÁKK）により遂
行される。
国庫管理機構は、1996年１月１日に中央予算機関として設立された。国庫管理機構の法律上および専門
的見地からの監督は、財務省により行われている。予算執行という責任の範囲内で、国庫管理機構の主な
責務は、予算配分および政府のキャッシュフローの管理ならびに中央政府の日常的な資金調達ニーズの決
定である。予算配分の管理には、年間配分額の登録、その変更の監視および配分額からの支出の承認権が
含まれる。
国庫管理機構のキャッシュマネジメントの任務には、予算機関（財政法に従い、国庫管理機構に勘定を
維持する権限を与えられている。）のための勘定管理が含まれる。国庫管理機構は単一国庫管理機構勘定
を管理する。この勘定は、国庫管理機構がハンガリー国立銀行に維持する現金勘定である。
さらに、国庫管理機構の責務には、政府の投資および政府決定に基づくその他の投資のための資金提
供、拠出金および助成金の地方自治体への振替、ならびに中央政府の貸付金およびその他の請求権の管理
および回収が含まれる。
政府の借入ニーズは政府公債管理機構により手当される。財務大臣は、負債管理機能を一つの組織に集
中させるため政府公債管理機構を設立した。これにより、政府公債管理機構は、中央政府のフォリント建
および外貨建債務の管理、更新および記録を行い、また、2003年７月１日施行の財政法改正に従い、単一
国庫管理機構勘定の流動性を管理する。流動性管理に関係して、2004年から、政府公債管理機構は新たな
流通市場オペレーション（例えば、国内証券市場での買戻取引）を導入した。
国内市場において、政府公債管理機構の責務には、入札および引受の管理、組織的枠組みの開発、なら
びに国債市場の構築が含まれている。他の重要な政府公債管理機構の職務としては、透明性および公明性
の精神の下、国債市場およびハンガリーの借入ニーズに基づく資金調達に関して容易にアクセス可能な最
新の情報を提供することがあげられる。対外債務管理においては、政府公債管理機構は、資金調達に際し
94/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
ハンガリー名義で行為し、中央政府の外貨建債務を管理し、債務返済に関して迅速性と正確性を確保し、
リスク削減のためのヘッジ取引を実行する。
税制
現在のハンガリーの税制は1988年に導入された。ハンガリーの税制の最も重要な要素は、法人所得税、
個人所得税、付加価値税、物品税および地方税である。競争力を改善し、ハンガリーの税制をEU基準に合
わせるため、ハンガリーの税制は、近年、穏やかな変化を経ている。
ハンガリーの税法は、国内納税者と外国納税者を区別している。国内納税者の租税債務がハンガリー国
内および国外の双方から生じた所得にまで及ぶのに対して、外国納税者の租税債務は、関連するハンガ
リーの税法に定めるハンガリー国内源泉所得に限られており、また、適用ある二重課税防止条約の影響も
受ける場合がある。ハンガリーはOECDのほぼすべての国を含む、60カ国以上と二重課税防止条約を結んで
いる。OECD諸国のうち、ハンガリーはニュージーランドとは二重課税防止条約を締結していない。
ハンガリーには、多くの発展途上国と同様に、税金の支払を逃れる、相当程度の「影の」経済が存在し
ている。しかし、かかる「影の」経済は近年縮小してきており、これは、GDP成長率を凌ぐ税収増に示され
ている。大企業および多国籍企業がハンガリー経済においてより大きな役割を果たすのに伴い、さらなる
改善が期待されている。
2015年12月１日、国会は、国家税・関税庁の再編を規制する法律を採択した。国家税・関税庁のある程
度独立した政府部局としての地位は変更され、租税政策を担当する大臣(現在は財務大臣)の権限の下で、
中央部局として活動することとなった。官僚式の煩雑な手続を減らし、手続の実施を加速させるため、組
織上の階層の数が減らされ、地域的階層は排除された。
法人所得税および法人配当税
2010年１月１日、利益に対する法人税率は16％から19％に引上げられたが、納税者は一定の税務上の優
遇を受けた。2010年７月１日、収益が50百万フォリントまでの会社に適用されていた10％の法人税率の利
用可能な範囲が拡大し、収益が500百万フォリントまでの会社に適用されることとなった。配当を受ける国
内法人はハンガリーの配当税からの免税の取扱いを受ける。国外源泉の配当、利息およびロイヤルティを
受ける外国法人は、源泉税の対象とならない。
2017年１月１日から、法人税率は一律９％に軽減されている。
95/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
個人所得税
2011年１月１日、ハンガリーの個人所得税率の構造は、単一段階税率制度の導入により簡素化され、個
人所得税率は一律16％となった。しかし、2,424千フォリントを上回る年間所得に対しては、追加課税基準
（超高額収入者向け）が適用された。2013年１月１日現在、追加課税基準は廃止され、その結果、均衡の
とれた一律16％の個人所得税が完全に導入された。追加課税基準の廃止に合わせて、個人により支払われ
る年金拠出額の上限も解除された。さらに、家族手当が導入された。家庭の子供の数に基づき、従業員に
より支払われる個人所得税は、以下の表に示される額がそれぞれ減額される。
(1)
(単位：フォリント )
子供１人
10,000
(2)
10,000
子供２人
子供３人以上 33,000
出典： 財務省
注(1) 子供1人当たり月額。
(2) 子供２人の税控除は、2016年１月１日からは12,500フォリント、2017年１月１日からは15,000フォリント、2018
年１月１日からは17,500フォリントおよび2019年１月１日からは20,000フォリントである。
2014年１月１日から、家庭の個人所得税控除は、個人所得税だけでなく、従業員が支払う保険負担額お
よび年金負担額に対しても控除として適用される。
2016年１月１日から、一律の個人所得税率は、15％に減額された。
2020年１月１日現在、４人以上の子供を持つ母親の個人所得税はゼロに軽減された。
付加価値税
2012年１月１日、標準付加価値税率は27％に引上げられ、特定の日常的な食品については、18％の軽減
付加価値税率が課された。現在、一部のサービス（例えば、郵便サービスおよび金融サービス）について
は非課税となっている。現在のハンガリーの付加価値税制度は、適用あるすべての関連EU指令と完全に調
和している。
豚の生体および半屠体に対する付加価値税は、2014年１月１日から５％に引下げられた。その後、2015
年１月１日から生体および食肉処理された畜牛、羊および山羊に対する付加価値税が５％に引下げられ、
2016年１月１日からは未加工の豚肉に対する付加価値税が５％に引下げられた。その後、2017年１月１日
から、鶏肉、卵および牛乳に対する付加価値税が５％に引下げられ、さらに、レストランおよびインター
ネット・サービスに対する付加価値税が18％に引下げられた。宿泊サービスに対するVATは、2020年１月１
日から５％に引下げられた。2016年、2017年、2018年および2019年の新築の住宅に対する付加価値税は
５％に引下げられた。新築住宅に対する付加価値税は2021年には５％に据置かれた。
96/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
登録税
登録税は、2004年２月以降、車両登録について課税されている。但し、欧州議会の決定に沿って、この
税金はすべての乗用車に対して大幅に引下げられたが、環境面を考慮して、最も環境に優しい車に最大の
引下げが認められた。
物品税
物品税は、鉱油、アルコール製品、ビール、ワイン、シャンペン、中間アルコール製品およびタバコ製
品の、製造、輸入、保管、貯蔵および販売に対して課税される。タバコ製品に課される物品税は、関連す
るEUの法律に従って徐々に引上げられてきた。
金融機関への割増税
2010年７月22日、国会は、2010年の金融機関の収入または2009年12月31日現在の調整済み貸借対照表、
もしくは、運用ファンドおよびその他の運用ポートフォリオ資産の合計純額に関して、金融機関に割増税
を課す法律を採択した。かかる割増税は2011年に課され、銀行、保険会社およびその他金融部門の企業
（例えば、投資会社、証券取引所、商品取引業者、ベンチャーキャピタルファンド管理会社および投資
ファンド管理会社）、ならびにその支店を含む、2010年７月１日までに少なくとも年次財務諸表一式を一
度でも作成したことがある、すべての金融機関（国内および外国の金融機関の両方）に適用された。政府
は、金融機関への割増税を恒久的な税金として定めた。
2017年において、課税基準および税率は、以下に示される機関の種類によって異なっている。
その後、2013年に保険会社に対する割増税は廃止され、統一保険税が導入された。2015年に投資ファン
ド管理会社に対する割増税は廃止され、新しい特別税が導入された。
金融機関の種類 課税基準および税率
銀行 調整済み貸借対照表の総額50十億フォリントまでは
0.15％、50十億フォリントを超えた金額については
(1)
0.21％
金融企業 利息の6.5％および手数料収入の6.5％
投資会社 調整済み収入純額の5.6％
証券取引所 調整済み収入純額の5.6％
商品取引業者 調整済み収入純額の5.6％
ベンチャーキャピタルファンド管理会社 調整済み収入純額の5.6％
注(1) かかる税率は、2015年１月１日から2017年１月１日までは0.24％であった。
97/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2011年12月15日に締結された契約により、与信機関に課される割増税は、固定利率の返済計画から生じ
る一定の損失項目によって減額させることができる。
2015年６月２日、国家経済大臣のミハーイ・ヴァルガ氏は、金融危機が始まった2009年以降に企業への
貸付量を増加させた貸主に対して、政府が銀行税の最高30％の税の支払免除を行うことを発表した。同大
臣は、還付総額は上限10十億フォリントであり、税の支払免除は2016年に適用されることを付け加えた。
税の支払免除額は、企業への貸付の増加額と同額となるが、貸主が支払うべき銀行税の30％を超えること
はできない。要求された払い戻しが10十億フォリントの上限を超える場合、払戻額は、2009年以降にレバ
レッジ解消ではなく貸付の増加を選択した貸主の間で、比例配分される。改正は、2016年度予算案の税金
の一括法案の一部として提出された。その後、2015年６月16日、2016年度予算案に伴う税金の一括法案が
国会により採択された。
統一保険税
2012年７月９日、国会は、保険会社に課される税金の種類を減少させるため、統一保険税に関する法律
を採択した。課税基準は、保険料である。税率は、包括担保車両保険の場合には15％、財産保険および傷
害保険の場合には10％である。税額は、保険会社によって毎月算出、申告および支払が行われる。この法
律は2013年１月１日に施行され、この新しい種類の税金の導入により、保険会社に課される割増税および
火災保護拠出金は廃止された。
小売り、通信およびエネルギー部門への割増税
2010年10月20日、国会は小売業、通信会社およびエネルギー供給会社への割増税を承認する法律を採択
した。小売業については、純売上収入のうち、500百万フォリントから30十億フォリントまでの部分には
0.1％、30十億フォリントから100十億フォリントまでの部分には0.4％、100十億フォリントを超える部分
には2.5％の累進税が課される。通信会社については、年間純売上収入のうち、500百万フォリントから５
十億フォリントまでの部分には4.5％、５十億フォリントを超える部分には6.5％の税金が課される。エネ
ルギー供給会社には、標準法人所得税率に加えて、調整済み純利益の８％の特別割増税が既に課されてい
るが、現在はさらに、年間純売上収入のうち、５十億フォリントまでの部分には0.3％、５十億フォリント
を超える部分には1.05％の税金が課されている。2013年１月１日から、小売業への割増税が廃止された。
98/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
国民の健康を害する特定の製品に関する割増税
2011年９月１日以降、高水準の砂糖または塩を含んでいる特定の製品に対して割増税を導入する新しい
法律が施行された。この割増税は、ハンガリー国内で製品を最初に販売する自然人または法人(例えばハン
ガリーの製造業者または輸入業者)に課される。次の表は、2014年１月１日現在で適用される税率を示して
いる。
製品の種類 税率
ソフトドリンク １リットル当たり7または200フォリント
栄養ドリンク １リットル当たり40または250フォリント
高水準の砂糖を含む包装済製品 １キログラム当たり70または130フォリント
加塩スナック（例：チップス） １キログラム当たり250フォリント
食品香料粉末食品 １キログラム当たり250フォリント
香料入りビールまたはアルコール飲料 １リットル当たり20、100、300、500、700または
900フォリント*
マーマレード １キログラム当たり500フォリント
* 飲料のアルコール含有量による。
出典： 国民健康製品税に関する2011年法第103号
金融取引税
いくつかの改正が国会によって採択された後、金融取引税に関する法律は、2013年１月１日より施行さ
れた。
税率は、移転額の0.2％および現金引出額の0.3％である。この課税は、所定のサービスを提供している
事業体によって支払われる。税額は、取引１件当たり6,000フォリントの上限付きである。納税者がハンガ
リー郵便決済センターまたはハンガリー国庫管理機構である場合は、当該上限は適用されない。但し、例
外として、政府が発行する有価証券の売却に関連した、国庫管理機構における各取引に関して支払われる
税額も、6,000フォリントを上限とする。欧州委員会の勧告に従って、ハンガリー国立銀行の取引は、当該
課税の対象とならない。
特定の国庫管理機構の取引は、当該課税の対象とならない（例えば、社会保障拠出基金に関連した支
払、EU補助金に関連し、かつ国庫管理機構が保有する口座から行われる支払および移転、国庫管理機構に
おいて国家税・関税庁が保有する口座が関係する取引）。特定のグループ内の融資関連および投資サービ
ス提供関連の支払取引も当該課税を免除される。
2013年８月１日、金融取引税が引上げられた。現金引出しの場合、税金は0.3％から0.6％に増加し、上
限は廃止された。その他の取引の場合、税金は0.2％から0.3％に引上げられたが、上限は6,000フォリント
に据え置かれた。
2014年２月１日、ATMからの現金引出しは月２回、合計150,000フォリントまで無料となった。
2015年１月１日、金融取引税は、電子的支払手段の場合、一括払いの税金となった。非接触型支払手段
の場合、税金は1年当たり500フォリントであり、その他の電子的支払手段の場合、税金は１年当たり800
フォリントである。税金は、口座保有者により支払手段が使用される度に、支払サービス提供者により支
払われる。
2016年12月１日、国家経済省は、2015年末から2017年末までの間にローン総額が少なくとも20％増加し
た銀行は、当該銀行に対する金融取引税の減税を受ける権利を有すると発表した。かかる減税は、ローン
総額の増加分の0.6％に設定された。かかる減税の上限額は300百万フォリントであり、当該銀行に課され
る金融取引税の80％を超えることは出来ない。
99/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2019年１月１日、20,000フォリントを下回る自然人の取引に関して、金融取引税は廃止された。
公共設備税
2013年１月１日、市町村区域の地上および地下にあるケーブル（電気、電話、テレビ、インターネッ
ト）およびパイプライン（ガス、水道、導管）等の公共設備は、追加の税金の対象となった。ケーブルま
たはパイプラインを所有している企業がこの租税を支払うが、所有者が国または地方政府である場合に
は、サービス提供者がこれを支払う。この租税の課税基準はケーブルおよびパイプラインの全長であり、
支払われる税額はケーブルまたはパイプラインの１メートル当たり125フォリントである。
2014年１月１日現在、公共設備税率は、以下の３段階のシステムにより通信ケーブルに適用されてい
る。
通信ケーブルの長さ 公共設備税率
200,000メートルまで 標準税額の0％の支払
200,000から350,000メートルまで 標準税額の30％の支払
350,000から500,000メートルまで 標準税額の75％の支払
500,000メートル以上 標準税額の100％の支払
出典： 2012年法第168号
低税率区分企業および小企業税（KIVA）
2013年１月１日より、低税率区分企業および小企業のための選択肢として、新しい種類の税金が職業保
護活動計画の一環として導入された。小企業のためのこれらの新しいオプションの１つは、キャッシュフ
ローをベースとした利益に加え、賃金および給与を含む課税基準に対する16％の課税である。当該課税を
選択する事業体は、賃金および給与に適用される特定の税金を免除される。毎月支払の定率税を選択する
低税率区分企業は、主な中央税（例えば法人税および配当税、個人所得税および社会拠出金）の納付を免
除される。2017年１月１日より、かかる税率は16％から14％に引下げられた。2018年１月１日より、かか
る税率は14％から13％に引下げられた。2020年１月１日より、この税率は13％から12％に引下げられた。
100/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
その他の中央政府歳入
関税は、EU関税法典に従い、EU外からの輸入品に課される。中央政府は、不動産、車両およびその他一
定の製品の取得に対して、また一定の行政手続に対して課税している。
2013年６月26日、国会は「遠隔」ギャンブル業の組織に関する法律の一部を改正する法律を採択した。
この法律は、国の規制および監督体制の枠組みの範囲内で、遠隔ギャンブル（オンライン・ギャンブルお
よび賭けスポーツを含む。）業について規定する。国営ギャンブル事業者は、法律に基づき、遠隔ギャン
ブル業を行う権利を有する一方で、他の事業者は営業許可入札により締結される営業許可契約によって、
遠隔ギャンブル業を組織する権利を持ち、また該当年度の年度予算に関する法律において規定される営業
許可料の支払によって、遠隔ギャンブル業を組織する権利を持つ。2013年度においては、営業許可料は各
種類の遠隔ギャンブルにつき100百万フォリントであった。この法律は、2013年７月19日に施行された。
2013年11月15日、ギャンブル営業許可の強制入札に関する規則が改正された。改正の結果、信用のおけ
るギャンブル事業者からの提案があった場合、当該事業者が法定の２倍の営業許可料の支払を確約するこ
とを条件に、担当の大臣は営業許可の入札なしに営業許可契約を締結できる。
2015年４月14日、国会は、フードチェーンの安全性に関する法律の改正法案を承認した。当該法案によ
れば、フードチェーン検査費用は食糧生産（畜産、植物栽培および販売を含む。）の総純収入の0.1％に上
る。
簡易事業所得税（EVA）
一部の中小企業は、法人所得税および個人所得税を支払う代わりに、会社の総収入に対して課される税
金を支払う権利を有する。総収入30百万フォリントまでの会社が、この税金の支払を選択する権利を有す
る。かかる会社は、付加価値税の対象とならない。
地 方 税
地方税は地方自治体によって異なる。地方政府は地方事業税および様々な不動産税を課すことを認めら
れている。
2014年11月18日、国会は、地方税に関する法律の改正を採択した。これは、2015年１月１日から、法律
により禁止された、または既に法律の対象となっている種類の税金を除き、あらゆる種類の自治体税を地
方税の他に導入する権限を地方自治体に与えるものである。
101/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
(b) 社会保障基金および特別予算基金
社会保障基金は、年金基金および保健基金という２つの基金から構成される。
社会保障制度改革の過程で、年金制度は、最近10年間において最も根本的な変容を遂げた。1998年、単
一層の年金制度に代わり、三層の制度が導入された（「(2) 経済 - ⑥ 社会保障制度」を参照。）。
2010年11月、国会は、「３本柱」制度からヨーロッパでの慣行により近い「２本柱」制度への移行を最
終的な目的とする、年金改革法を承認した。「２本柱」制度は、国営の強制的年金および任意の企業年金
から構成されることとなる（「(2) 経済 - ⑥ 社会保障制度」を参照。）。
保健基金の拠出金は、年金基金の拠出金に類似している。従業員は、自身の所得の７％を支払う。
2013年８月１日、医療拠出金は利息収入にも課されることとなった。拠出金は、銀行預金および有価証
券に対して支払われる利息収入の６％となるが、欧州経済圏の構成国が発行したフォリント建政府債務証
券は対象外である。
社会保障基金および特別予算基金
以下の表は、それぞれの年度における社会保障基金および一定の特別予算基金の歳入および歳出を示し
ている。
(1)
社会保障基金および特別予算基金
12月31日に終了する年度
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2021年
最終 最終 最終 最終 暫定値 成立予算 修正予算
(単位：十億フォリント)
社会保障基金
歳 入 5,133.6 5,325.2 5,702.9 5,815.8 5,900.8 6,718.6 6,707.8
歳 出 5,210.5 5,468.1 5,786.5 6,050.7 6,542.6 6,834.6 6,834.6
剰余(欠損) (76.9) (142.9) (83.7) (234.9) (641.8) (116.0) (126.8)
(1)
特別予算基金
歳 入 615.9 719.6 574.0 658.2 848.4 626.2 626.2
歳 出 617.0 647.1 566.4 618.7 801.7 612.7 612.7
剰余(欠損) (1.1) 72.5 7.6 39.5 46.7 13.5 13.5
出典： 財務省
注(1) 現在、これらの基金は、中央核基金、労働市場基金、研究・技術革新基金、国家文化基金、国土基金およびヴェ
シェレーニ・ミクローシュ洪水内水補償基金から構成されている。
中央政府による社会保障基金への拠出は、2016年に409.7十億フォリント、2017年に623.9十億フォリン
ト、2018年に591.6十億フォリント、2019年に467.6十億フォリントおよび暫定データによると2020年に
652.0十億フォリントであった。当初計画予算によると、中央政府は2021年に1,159.9十億フォリントを社
会保障基金に拠出する予定であった。修正計画予算によると、中央政府は2021年に1,293.6十億フォリント
を社会保障基金に拠出する予定である。
102/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
(c) 地方政府財政
次の表は、すべての地方政府に関してそれぞれの年度における地方政府レベルの歳入および歳出を示し
ている。
12 月31日に終了する年度
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2021 年
最終 最終 最終 最終 暫定値 成立予算 修正予算
( 単位：十億フォリント)
歳入
(1)
地方政府自体の歳入 1,149.0 1,170.7 1,298.7 1,405.1 1,239.1 1,443.2 1,443.2
助成金 675.4 700.5 746.8 778.5 822.9 864.8 908.9
その他の歳入 653.0 1,139.0 924.1 894.5 850.6 695.5 695.4
GFS ベースの歳入合計
（民営化を除く。） 2,477.4 3,010.2 2,976.8 3,078.1 2,912.6 3,003.5 3,047.5
民営化に伴う歳入 1.6 2.9 3.4 3.5 14.0 3.5 3.5
歳入合計（民営化を含む。） 2,479.0 3,013.1 2,980.2 3,081.6 2,926.6 3,007.0 3,051.0
歳出
賃金 843.6 861.0 900.0 959.4 962.2 965.6 974.6
投資 356.9 559.6 696.8 913.3 851.5 904.0 904.0
その他の歳出 993.5 1,073.6 1,133.9 1,285.2 1,221.6 1,335.5 1,370.5
歳出合計 2,194.0 2,494.2 2,730.7 3,157.9 3,035.3 3,205.1 3,249.1
GFS ベースの剰余（欠損）
（民営化を除く。） 283.4 516.0 246.1 (79.8) (122.7) (201.6) (201.6)
剰余（欠損）
（民営化を含む。） 285.0 518.9 249.5 (76.3) (108.7) (198.1) (198.1)
出典： 財務省
注(1) GFSには民営化に伴う歳入は含まれていない。
③ 特別会計の歳入および歳出
該当事項なし。
103/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
④ 政府関係機関の歳入および歳出
歳入合計 歳出合計 税引前利益
(単位：十億フォリント) (単位：十億フォリント) (単位：十億フォリント)
No. 機関/法人
2015 年 2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年 2019 年
1. ハンガリー
287.7 440.3 489.1 510.5 541.1 254.0 426.1 447.8 492.4 528.7 33.7 14.2 11.4 18.1 12.5
国営鉄道
2. ハンガリー
1,396.3 1,173.9 1,463.6 1,908.6 2,050.8 1,357.3 1,107.5 1,448.8 1,858.2 1,960.2 39.0 66.4 14.8 50.4 90.6
電力
3. ハンガリー
52.1 60.6 49.9 70.1 36.7 48.0 59.5 44.1 63.9 33.6 4.1 1.1 5.8 6.2 3.2
輸出入銀行
4. ハンガリー
201.6 199.8 206.9 222.4 237.3 198.0 196.0 206.4 221.9 237.0 3.6 3.9 0.5 0.5 0.2
郵便
5. ハンガリー
100.8 53.9 83.9 48.3 51.0 99.1 53.0 68.1 45.2 50.2 1.7 0.9 15.8 3.1 0.7
開発銀行
2,038.5 1,928.5 2,293.4 2,759.9 2,916.9 1,956.4 1,842.1 2,215.2 2,681.6 2,809.7 82.1 86.4 48.3 78.3 107.1
合計
出典： 当該政府機関の年次報告書(公式ウェブサイトに掲載)
⑤ 減債基金制度の概要
該当事項なし。
104/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
(6) 【公債】
① 概要
伝統的に、ハンガリー国立銀行は、ハンガリーが外貨で借入を行うための主な機関であった。1997年のハ
ンガリー国立銀行法の改正に従い、ハンガリー国立銀行は現在、自己目的のためにのみ外貨建債務を負うこ
とができ、中央予算のためのすべての外貨建借入および債券の発行は、ハンガリーが直接行わなければなら
ない。これについては、2018年５月より、財務省がハンガリーの代理をしている（かかる日より前は、国家
経済省が当該責任を負っていた。）。次に、財務省は、この負債管理権限を政府公債管理機構に委譲してい
る。政府公債管理機構は、2001年までは国庫管理機構の一部であったが、その後独立の法人となった。1999
年１月１日以降、外貨建の債券発行は政府公債管理機構により行われている。
ハンガリー国立銀行は、1999年１月１日より前に負った未返済の外貨建債務について、現在も法律上また
は名義上の債務者である。しかし、これらの債務および関連するスワップに伴う金利および為替リスクの大
部分は、一連の移転契約に従って、有効にハンガリーに移転されている。かかる移転契約により、ハンガ
リーは、債務の支払に足りるだけの資金をハンガリー国立銀行に支払うことに基本的に合意している。かか
るリスクの移転以後、ハンガリーは、かかる負債ポートフォリオの通貨特性をフォリントが連動していた通
貨バスケット（2000年１月以降は100％がユーロ）の通貨特性と一致させるべくいくつかのスワップ契約を締
結した。1997年１月以降、ハンガリー国立銀行は改正されたハンガリー国立銀行法において認められている
範囲内でハンガリー国立銀行とハンガリーとの間で締結された代理契約に基づき、代理人の役割を果たして
きた。ハンガリー国立銀行は、2005年末まで海外ローンの取得および海外での証券発行の目的において、ハ
ンガリーの代理人であった。
こうした経緯により、公債には、ハンガリーの債務およびハンガリー国立銀行の債務が含まれる。また、
公債には、社会保障およびその他の特別予算基金の債務も含まれるが、地方政府の債務は含まれない。対外
公債は、外貨建の公債で、一般的にハンガリーの者以外の当事者に対する債務を指す。対内公債は、フォリ
ント建の公債で、一般的に国内の者に対する債務を指す。総対外債務は、ハンガリー人、ならびにハンガ
リーの公的法人および民間法人が非居住者たる債権者に対して負担するすべての外貨建債務を指す。もとも
とハンガリー国立銀行により行われた対外借入に係るハンガリー国立銀行とハンガリーとの間の借入は、ダ
ブル・カウントを避けるために、公債額の計算において算入されなかった。
105/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
② 公 債
次の表は、それぞれの年度におけるハンガリーの公債（本項では中央政府債務という。）に関する統計を
示している。
(1)
12月31日に終了する年度
(2)
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
(％表示を除き、単位：十億フォリント)
対内公債 18,430.9 20,689.4 22,796.0 24,357.1 29,237.3
名目GDPに対する％ 51.0％ 52.7％ 52.6％ 51.3％ 61.2％
対外公債 6,256.5 5,782.5 5,724.8 5,121.2 7,318.2
名目GDPに対する％ 17.3％ 14.7％ 13.2％ 10.8％ 15.3％
その他の負債 742.7 274.2 167.4 203.7 128.8
公債合計 25,430.0 26,746.2 28,688.2 29,682.0 36,684.3
名目GDPに対する％ 70.3％ 68.2％ 66.2％ 62.5％ 76.8％
名目GDP 36,167.5 39,233.4 43,350.4 47,524.0 47,743.5
出典： 政府公債管理機構
(1) この表は、中央政府の経済的な債務の観点からみたハンガリーの公債を示している。(金融デリバティブは含まれる
が、値洗いされる預託金を除く。)
(2) 2021年５月末時点の暫定値。
中央政府債務の対GDP比率は、2016年には70.3％であった。2017年には比率は68.2％に低下した。2018年お
よび2019年には比率は低下してそれぞれ66.2％および62.5％となった。2020年には比率は76.8％に上昇し
た。
中央政府債務の合計は、2020年12月末現在では36,684.3十億フォリントで、2019年末現在の29,682.0十億
フォリントに比べて名目で23.6％の増加を示している。
2012年１月１日、ハンガリー経済安定化法が発効した。この法律は、政府公債の削減規定および中央政府
公債の上限に関する細則、中央政府債務の管理規定、政府公債管理機構の法的地位、ならびに予算委員会の
組織規定および手続規定に関連する規則を含んでいる。さらに、同日、財政法が発効したが、これは、ハン
ガリーの財政システムを中央政府サブシステムと地方自治体サブシステムの２つに分けるものであった。社
会保障基金および独立した政府基金は中央政府予算の一部となった。
106/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
格付けの沿革
2016年２月19日、日本格付研究所は、ハンガリーの長期外国政府公債に付されている「BBB」格付けの見
通しを「安定的」から「ポジティブ」に変更した。格付けは据え置かれた。
2016年５月20日、フィッチ・レーティングスは、ハンガリー政府公債の格付けを「BB+」から「BBB-」に
変更した。見通しは「安定的」である。
2016年９月16日、スタンダード・アンド・プアーズは、ハンガリー政府公債の格付けを「BB+」から
「BBB-」に変更した。見通しは「安定的」である。
2016年11月４日、ムーディーズは、ハンガリーの格付けを「Ba1」から「Baa3」に変更した。見通しは
「安定的」である。
2017年２月21日、日本格付研究所は、ハンガリーの長期外国政府公債の格付けを「BBB」から「BBB+」に
変更した。見通しは「安定的」である。
2017年５月12日、フィッチ・レーティングスは、ハンガリーの長期外貨建および自国通貨建発行体デ
フォルト格付けを、「BBB-」に据え置いた。見通しはそれぞれ「安定的」のままである。
2017年８月25日、スタンダード・アンド・プアーズは、ハンガリー政府公債の見通しを「安定的」から
「ポジティブ」に変更した。格付けは据え置かれた。
2017年11月10日、フィッチ・レーティングスは、ハンガリー政府公債に付されている「BBB-」格付けの
見通しを「安定的」から「ポジティブ」に変更した。格付けは据え置かれた。
2019年２月15日、スタンダード・アンド・プアーズは、ハンガリー政府公債の格付けを「BBB-」から
「BBB」に変更した。見通しは「安定的」である。
2019年２月22日、フィッチ・レーティングスは、ハンガリー政府公債に付されている格付けを「BBB-」
から「BBB」に変更した。見通しは「安定的」である。
2020年２月14日、スタンダード・アンド・プアーズは、ハンガリー政府公債の見通しを「安定的」から
「ポジティブ」に変更した。格付けは据え置かれた。
2020年２月21日、日本格付研究所は、ハンガリーの長期外国政府公債の格付けを「BBB+」から「A-」に
変更した。見通しは「安定的」である。
2020年４月28日、スタンダード・アンド・プアーズは、ハンガリー政府公債の見通しを「ポジティブ」
から「安定的」に変更した。格付けは据え置かれた。
2020年９月25日、ムーディーズは、ハンガリー政府公債に付されている見通しを「安定的」から「ポジ
ティブ」に変更した。格付けは据え置かれた。
107/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
対外公債
次の表は、2020年12月31日現在の対外公債を種類別、通貨別に示している。
(1)(2)
金額
（単位：百万ユーロ）
種類別（金融デリバティブを含まない。）
銀行借入（銀行間借入およびシンジケートローンを含む。） 426
債券および変動利付債 17,161
3,463
国際金融機関（例えばIMFおよび世界銀行）からの借入
21,050
合計
通貨別（金融デリバティブを含む。） （％）
ユーロ 100
0
その他の通貨
100
合計
通貨別（金融デリバティブを含まない。） スワップ前（％）
ユーロ 64
米ドル 32
人民元 1
3
日本円
100
合計
出典： 政府公債管理機構
(1) 政府部門のフォリント以外の外貨建債務(値洗いされる預託金を含む。)。
(2) 四捨五入のため、個々の数値の合計は表示された合計額でない場合がある。
次へ
108/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
対外公債の 返済 および支払予定
ハンガリーおよびハンガリー国立銀行のいずれも、これまでに発行した債券の元本、プレミアムまたは
利息の支払について債務不履行（デフォルト）となったことはない。
2020年12月31日現在のハンガリーの中長期対外債務の部門別満期内訳 *
合 計
中央銀行および一般政府 その他のMFIおよびその他の部門 公共部門：
中央銀行およ
び一般政府、
ならびにその
一般政府 その他のMFI その他の部門
満 期 中央銀行
他のMFIおよ
民間部門：
びその他の部
非金融機 門に含まれる その他のMFI
マネー・
中央銀行 関、家 中央政府およ およびその他
うち、
以外の預 マーケッ 計、家計 び地方政府が の部門に含ま
フォリン 金受入機 ト・ファ MFI 以外の 向け非営 管理する公共 れる、非公共
ト建債券 関 ンド 金融機関 利団体 団体 団体
(単位：百万ユーロ)
2021 年
第１四半期 1,668 1,373 0 1,373 6 295 50 50 0 245 67 178 1,401 267
2021 年
第２四半期 811 270 0 270 124 541 168 168 0 373 63 311 403 408
2021 年
第３四半期 623 196 0 196 8 427 128 128 0 299 64 235 254 369
2021 年
第４四半期 1,834 740 0 740 125 1,094 635 635 0 459 275 184 870 964
2021 年 4,937 2,580 0 2,580 263 2,357 981 981 0 1,376 468 907 2,927 2,009
2022 年
第１四半期 2,164 128 0 128 1 2,036 1,741 1,741 0 295 52 244 148 2,016
2022 年
第２四半期 2,541 556 0 556 269 1,985 1,430 1,430 0 556 184 372 949 1,592
2022 年
第３四半期 1,684 516 0 516 406 1,168 530 530 0 639 50 589 541 1,143
2022 年
第４四半期 1,813 708 0 708 678 1,105 577 577 0 527 318 209 741 1,072
2022 年 8,202 1,908 0 1,908 1,354 6,294 4,277 4,277 0 2,017 604 1,413 2,379 5,823
2023 年 8,874 4,614 0 4,614 1,160 4,261 2,412 2,412 0 1,849 160 1,689 5,054 3,820
2024 年 6,639 4,004 0 4,004 2,173 2,635 500 500 0 2,136 123 2,013 4,183 2,456
2025 年 5,193 3,194 0 3,194 2,189 1,999 992 992 0 1,007 58 949 3,317 1,876
2026 年 4,351 2,982 0 2,982 1,709 1,369 571 571 0 799 22 776 3,194 1,157
2027 年 4,706 3,357 0 3,357 1,747 1,349 113 113 0 1,236 86 1,150 3,417 1,289
109/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2028 年 1,796 1,198 0 1,198 866 597 126 126 0 471 14 457 1,235 561
2029 年 1,264 647 0 647 360 617 406 406 0 211 17 193 683 581
2030 年 4,635 3,803 0 3,803 2,188 832 290 290 0 541 98 443 4,064 572
2031 年 1,738 1,441 0 1,441 1,420 296 164 164 0 132 8 124 1,467 271
2032 年 1,426 1,151 0 1,151 60 275 40 40 0 234 7 228 1,171 255
以 降 7,986 7,295 1,162 6,133 575 691 100 100 0 591 79 512 7,350 637
合 計 61,747 38,174 1,163 37,011 16,064 23,573 10,974 10,974 0 12,600 1,744 10,855 40,441 21,306
出典： ハンガリー国立銀行
* 直接投資、債券を除く。
次へ
110/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
対内公債
ハンガリーは、財政赤字を主に対内債務により、また一部を国際市場における資金調達により充当する
ことを政策としている。資金調達の形式については、負債ポートフォリオの構成に関する基準によって決
定される。対外（外国通貨）債務の比重は10％から20％以内に維持しなくてはならない。対内債務の平均
満期は、2016年末には3.75年、2017年末には3.61年、2018年末には3.56年、2019年末には4.15年および
2020年末には4.69年であった。
ハンガリー国立銀行に対する政府の債務
次の表は、表中の各年の12月31日現在における政府のハンガリー国立銀行に対する債務（正味外国為替
差損によるものを含む。）を示している。
12月31日現在
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
(単位：十億フォリント)
有価証券 39.2 39.2 39.2 39.2 1,113.6
0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
ローン
39.2 39.2 39.2 39.2 1,113.6
合計
出典： ハンガリー国立銀行
111/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
ハンガリーの債務支払指標（国際収支に基づく。）
次の表は、ハンガリーの総対外債務（年間の国際収支および対外資産負債残高の抜粋）の数値ならびに
ハンガリーの債務支払指標（国際収支ベース）に関連する一定の指標を示している。
2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
(1)
1 ．債務指標
総債務指標
総対外債務（直接投資、債券を除
く。）/GDP 73.0 67.6 59.2 55.0 51.5
うち、一般政府および中央銀行 42.3 37.8 30.7 28.3 26.1
総外貨建対外債務（直接投資、債券を
除く。）/GDP 53.9 49.9 42.8 38.0 35.1
うち、一般政府および中央銀行 27.6 23.9 18.1 15.3 13.6
総対外債務（直接投資、債券を含
む。）/GDP 105.9 95.5 83.2 78.8 71.6
純債務指標
純対外債務（直接投資、債券を除
く。）/GDP 24.2 18.8 13.6 8.8 7.8
うち、一般政府および中央銀行 12.9 15.9 12.1 8.8 7.3
純外貨建対外債務（直接投資、債券を
除く。）/GDP 9.6 4.0 -0.3 -5.9 -6.3
うち、一般政府および中央銀行 0.6 2.8 -0.5 -4.2 -5.1
純対外債務（直接投資、債券を含
む。）/GDP 19.5 23.2 13.2 9.3 6.9
2 ．債務支払指標
外貨建債務支払総額（TDS）（直接投
(2)
資、債券を除く。 ）/GDP 14.0 11.3 10.3 9.6 7.7
外貨建債務支払総額（TDS）（直接投
(2)
資、債券を除く。 ）/XGS 16.0 13.1 12.0 11.5 9.4
総利払額（直接投資、債券を除く。
(3)
）/GDP 1.5 1.3 1.1 0.9 0.8
純利払額（直接投資、債券を除く。
(3)
）/GDP 1.0 0.8 0.7 0.5 0.4
備忘項目:
GDP（百万ユーロ） 112,737 116,122 126,883 135,940 146,039
財およびサービスの輸出（XGS）
（百万ユーロ） 98,762 100,466 109,102 114,021 120,167
純対外融資能力（経常収支および資本
勘定）/GDP 6.9 4.5 2.8 2.6 1.4
国際準備高（RES）（百万ユーロ） 30,322 24,384 23,368 27,403 28,385
出典： ハンガリー国立銀行
(1) 「対外債務統計：統計作成者およびユーザーのためのガイド」に定義されている対外債務を指す。エクイティおよ
び金融デリバティブ商品を除く。
(2) TDS：ミディアム・ターム借入金償却額および総利払額。
(3) フォリント建債券の利息は2008年より除かれている。
112/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
下記の表は、最近５会計年度末現在の中央政府の債務総額を示したものである。外貨建債務は、期末時
点におけるハンガリー国立銀行公表の仲値で計上されている。
中央政府の債務総額
（単位：十億フォリント）
2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年
1. フォリント建債務
18,430.9 20,689.4 22,796.0 24,357.1 29,237.3
1.1. ローン
865.0 1,041.1 1,167.7 1,208.1 1,161.6
1.1.1. 対外ローン
865.0 1,041.1 1,167.7 1,208.1 1,161.6
1.1.2. 対内ローン
0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
1.2. 政府発行有価証券
17,565.8 19,648.3 21,628.3 23,149.0 28,057.7
1.2.1. 公募
17,526.7 19,609.2 21,589.1 23,109.8 28,036.5
1.2.1.1. 債券
11,562.4 11,767.1 12,836.1 13,378.5 18,206.6
1.2.1.2. 割引トレジャリー・ビル
896.4 1,039.2 1,237.3 657.3 658.2
1.2.1.3. リテール向け有価証券
5,067.9 6,802.9 7,515.7 9,074.0 9,171.7
1.2.2. 私募
39.2 39.2 39.2 39.2 39.2
2. 外貨建債務
6,256.5 5,782.5 5,724.8 5,121.2 7,318.2
2.1. ローン
1,101.6 929.1 795.0 825.4 1,291.1
2.1.1. 対外ローン
1,097.6 929.1 795.0 825.4 1,291.1
2.1.2. 対内ローン
4.0 0.0 0.0 0.0 0.0
2.2. 政府発行有価証券 5,154.9 4,853.5 4,929.8 4,295.8 6,027.1
2.2.1. 海外発行
4,618.9 4,145.9 4,246.2 3,713.5 5,481.3
2.2.1.1. 外貨建債券
4,618.9 4,145.9 4,246.2 3,713.5 5,481.3
2.2.2. 国内発行
536.0 707.6 683.6 582.3 545.9
合計 24,687.4 26,472.0 28,520.7 28,520.7 36,555.5
値洗いによる預託金 742.7 274.2 167.4 203.7 128.8
合計 25,430.0 26,746.2 28,688.2 29,682.0 36,684.3
出典： 政府公債管理機構
113/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2020年12月31日現在の対内債券
次の表はすべての未償還有価証券（満期到来後未償還の有価証券は含まれない。）を示している。
（単位：十億フォリント）
名称 発行日 償還日 利息の種類 利率 発行残高*
割引トレジャリー・ビル**
D210106 2020.10.07 2021.01.06 6.8
D210113 2020.10.14 2021.01.13 13.3
D210120 2020.10.21 2021.01.20 15.3
D210127 2020.10.28 2021.01.27 13.6
D210203 2020.11.04 2021.02.03 18.2
D210210 2020.11.11 2021.02.10 17.5
D210217 2020.11.18 2021.02.17 15.2
D210224 2020.02.26 2021.02.24 105.5
D210303 2020.12.02 2021.03.03 15.0
D210310 2020.12.09 2021.03.10 15.5
D210317 2020.12.16 2021.03.17 15.2
D210324 2020.12.23 2021.03.24 15.2
D210331 2020.12.30 2021.03.31 15.0
D210421 2020.04.22 2021.04.21 125.2
D210630 2020.07.01 2021.06.30 72.7
D210825 2020.08.26 2021.08.25 74.7
D211020 2020.10.21 2021.10.20 88.7
D211229 2020.12.30 2021.12.29 14.9
DKJ レポ*** 0.6
114/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
名称 発行日 償還日 利息の種類 利率 発行残高
利付トレジャリー・ビル
K2021/01 2020.01.07 2021.01.07 固定 2.50 ％ 19.0
K2021/02 2020.01.14 2021.01.14 固定 2.50 ％ 22.5
K2021/03 2020.01.21 2021.01.21 固定 2.50 ％ 18.3
K2021/04 2020.01.28 2021.01.28 固定 2.50 ％ 18.5
K2021/05 2020.02.04 2021.02.04 固定 2.50 ％ 17.4
K2021/06 2020.02.11 2021.02.11 固定 2.50 ％ 13.3
K2021/07 2020.02.18 2021.02.18 固定 2.50 ％ 18.0
K2021/08 2020.02.25 2021.02.25 固定 2.50 ％ 16.7
K2021/09 2020.03.03 2021.03.03 固定 2.50 ％ 14.6
K2021/10 2020.03.10 2021.03.10 固定 2.50 ％ 18.3
K2021/11 2020.03.17 2021.03.17 固定 2.50 ％ 18.5
K2021/12 2020.03.24 2021.03.24 固定 2.50 ％ 15.7
K2021/13 2020.03.31 2021.03.31 固定 2.50 ％ 12.7
K2021/14 2020.04.07 2021.04.07 固定 2.50 ％ 14.5
K2021/15 2020.04.15 2021.04.15 固定 2.50 ％ 13.2
K2021/16 2020.04.21 2021.04.21 固定 2.50 ％ 17.0
K2021/17 2020.04.28 2021.04.28 固定 2.50 ％ 17.0
K2021/18 2020.05.05 2021.05.05 固定 2.50 ％ 15.6
K2021/19 2020.05.12 2021.05.12 固定 2.50 ％ 18.1
K2021/20 2020.05.19 2021.05.19 固定 2.50 ％ 18.2
K2021/21 2020.05.26 2021.05.26 固定 2.50 ％ 19.7
K2021/22 2020.06.03 2021.06.03 固定 2.50 ％ 19.3
K2021/23 2020.06.09 2021.06.09 固定 2.50 ％ 17.9
K2021/24 2020.06.16 2021.06.16 固定 2.50 ％ 24.3
K2021/25 2020.06.23 2021.06.23 固定 2.50 ％ 27.8
K2021/26 2020.06.30 2021.06.30 固定 2.50 ％ 25.8
K2021/27 2020.07.07 2021.07.07 固定 2.50 ％ 24.0
K2021/28 2020.07.14 2021.07.14 固定 2.50 ％ 22.9
K2021/29 2020.07.21 2021.07.21 固定 2.50 ％ 24.5
K2021/30 2020.07.28 2021.07.28 固定 2.50 ％ 21.4
115/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
名称 発行日 償還日 利息の種類 利率 発行残高
利付トレジャリー・ビル
K2021/31 2020.08.04 2021.08.04 固定 2.50 ％ 26.2
K2021/32 2020.08.11 2021.08.11 固定 2.50 ％ 21.1
K2021/33 2020.08.18 2021.08.18 固定 2.50 ％ 24.4
K2021/34 2020.08.25 2021.08.25 固定 2.50 ％ 10.5
K2021/35 2020.09.01 2021.09.01 固定 2.50 ％ 33.3
K2021/36 2020.09.08 2021.09.08 固定 2.50 ％ 23.2
K2021/37 2020.09.15 2021.09.15 固定 2.50 ％ 23.3
K2021/38 2020.09.22 2021.09.22 固定 2.50 ％ 21.7
K2021/39 2020.09.29 2021.09.29 固定 2.50 ％ 22.1
K2021/40 2020.10.06 2021.10.06 固定 2.50 ％ 22.5
K2021/41 2020.10.13 2021.10.13 固定 2.50 ％ 22.1
K2021/42 2020.10.20 2021.10.20 固定 2.50 ％ 23.7
K2021/43 2020.10.27 2021.10.27 固定 2.50 ％ 25.7
K2021/44 2020.11.03 2021.11.03 固定 2.50 ％ 28.9
K2021/45 2020.11.10 2021.11.10 固定 2.50 ％ 25.8
K2021/46 2020.11.17 2021.11.17 固定 2.50 ％ 23.9
K2021/47 2020.11.24 2021.11.24 固定 2.50 ％ 24.7
K2021/48 2020.12.01 2021.12.01 固定 2.50 ％ 23.8
K2021/49 2020.12.08 2021.12.08 固定 2.50 ％ 24.3
K2021/50 2020.12.15 2021.12.15 固定 2.50 ％ 27.8
K2021/51 2020.12.22 2021.12.22 固定 2.50 ％ 28.7
K2021/52 2020.12.29 2021.12.29 固定 2.50 ％ 16.0
116/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
名称 発行日 償還日 利息の種類 利率 発行残高
ハンガリー政府債
A210623A15 2015.02.04 2021.06.23 変動 285.2
A211027B16 2016.01.13 2021.10.27 固定 2.50％ 491.5
A210421C18 2018.02.07 2021.04.21 固定 0.50％ 275.0
A210922Z18 2018.09.04 2021.09.22 固定 1.25％ 61.6
A220624A11 2011.01.19 2022.06.24 固定 7.00％ 625.8
A221026B17 2017.01.11 2022.10.26 固定 1.75％ 861.3
A220824C19 2019.03.06 2022.08.24 固定 1.50％ 237.1
A220323Z19 2019.01.23 2022.03.23 固定 1.10％ 44.1
A231124A07 2007.01.10 2023.11.24 固定 6.00％ 1,017.9
A230726B18 2018.01.17 2023.07.26 変動 484.0
A230823C20 2020.04.15 2023.08.23 固定 1.50％ 784.0
A230524Z20 2020.01.15 2023.05.24 固定 1.00％ 47.4
A240626B15 2015.03.18 2024.06.26 固定 3.00％ 920.1
A241024C18 2018.06.27 2024.10.24 固定 2.50％ 1,136.7
A250624B14 2014.01.15 2025.06.24 固定 5.50％ 1,199.7
A251126C19 2019.11.13 2025.11.26 固定 1.00％ 1,344.6
A260424B96 1996.05.24 2026.04.24 変動 39.2
A261222D17 2017.05.24 2026.12.22 固定 2.75％ 1,016.5
A260422E20 2020.09.02 2026.04.22 固定 1.50％ 903.5
A271027A16 2016.01.13 2027.10.27 固定 3.00％ 1,236.8
A270422B20 2020.01.15 2027.04.22 変動 598.1
A281022A11 2011.03.02 2028.10.22 固定 6.75％ 651.3
A290523A20 2020.06.24 2029.05.23 固定 2.00％ 302.9
A300821A19 2019.02.20 2030.08.21 固定 3.00％ 1,083.1
A311022A15 2015.04.22 2031.10.22 固定 3.25％ 1,332.0
A330420A20 2020.10.28 2033.04.20 固定 2.25％ 124.0
A381027A18 2018.02.07 2038.10.27 固定 3.00％ 435.7
A410425A20 2020.01.22 2041.04.25 固定 3.00％ 109.0
MAKレポ**** 597.5
117/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
名称 発行日 償還日 利息の種類 利率 発行残高
リテール向けハンガリー政府債
（ハンガリー政府債プラス、「プレミアム」、「ボーナス」および「２年物証券」）
A210122H19 2019.01.03 2021.01.22 固定 3.25％ 46.2
A210422H19 2019.04.02 2021.04.22 固定 3.25％ 13.2
A211020I16 2016.04.04 2021.10.20 変動 213.8
A210526J17 2017.10.03 2021.05.26 変動 92.2
A210826K18 2018.01.18 2021.08.26 変動 256.3
A220729I17 2017.02.22 2022.07.29 変動 165.4
A221122J17 2017.05.16 2022.11.22 変動 164.5
A220330K19 2019.01.29 2022.03.30 変動 130.7
A220921L19 2019.06.04 2022.09.21 変動 104.7
A220920N16 2016.03.02 2022.09.20 変動 7.2
A220427O17 2017.10.03 2022.04.27 変動 2.2
A220427P18 2018.01.26 2022.04.27 変動 1.9
A230322I17 2017.10.03 2023.03.22 変動 114.7
A230928J18 2018.01.18 2023.09.28 変動 169.0
A230215K19 2019.11.05 2023.02.15 変動 76.2
A230531L20 2020.04.21 2023.05.31 変動 155.6
A240221I18 2018.12.18 2024.02.21 変動 153.7
A240925J19 2019.06.04 2024.09.25 変動 172.4
A240826N14 2014.08.26 2024.08.26 変動 17.4
A240424O17 2017.10.03 2024.04.24 変動 0.4
A240424P18 2018.01.26 2024.04.24 変動 1.5
A250220I19 2019.11.05 2025.02.20 変動 73.7
A250521J20 2020.04.21 2025.05.21 変動 267.1
A260922N16 2016.03.02 2026.09.22 変動 8.2
A280322N17 2017.10.03 2028.03.22 変動 20.7
A280322O18 2018.01.26 2028.03.22 変動 2.0
N2024/01 2019.06.11 2024.06.11 固定 3.5％-6.0％ 500.0
N2024/02 2019.06.17 2024.06.17 固定 3.5％-6.0％ 148.7
N2024/03 2019.06.24 2024.06.24 固定 3.5％-6.0％ 180.4
N2024/04 2019.07.01 2024.07.01 固定 3.5％-6.0％ 123.2
N2024/05 2019.07.08 2024.07.08 固定 3.5％-6.0％ 107.7
N2024/06 2019.07.15 2024.07.15 固定 3.5％-6.0％ 93.8
N2024/07 2019.07.22 2024.07.22 固定 3.5％-6.0％ 81.6
N2024/08 2019.07.29 2024.07.29 固定 3.5％-6.0％ 86.4
118/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
名称 発行日 償還日 利息の種類 利率 発行残高
N2024/09 2019.08.05 2024.08.05 固定 3.5％-6.0％ 74.7
N2024/10 2019.08.12 2024.08.12 固定 3.5％-6.0％ 80.0
N2024/11 2019.08.21 2024.08.21 固定 3.5％-6.0％ 80.8
N2024/12 2019.08.26 2024.08.26 固定 3.5％-6.0％ 47.7
N2024/13 2019.09.02 2024.09.02 固定 3.5％-6.0％ 72.3
N2024/14 2019.09.09 2024.09.09 固定 3.5％-6.0％ 71.5
N2024/15 2019.09.16 2024.09.16 固定 3.5％-6.0％ 70.2
N2024/16 2019.09.23 2024.09.23 固定 3.5％-6.0％ 63.3
N2024/17 2019.09.30 2024.09.30 固定 3.5％-6.0％ 68.3
N2024/18 2019.10.07 2024.10.07 固定 3.5％-6.0％ 65.8
N2024/19 2019.10.14 2024.10.14 固定 3.5％-6.0％ 70.7
N2024/20 2019.10.21 2024.10.21 固定 3.5％-6.0％ 109.6
N2024/21 2019.10.28 2024.10.28 固定 3.5％-6.0％ 96.0
N2024/22 2019.11.04 2024.11.04 固定 3.5％-6.0％ 73.3
N2024/23 2019.11.11 2024.11.11 固定 3.5％-6.0％ 68.5
N2024/24 2019.11.18 2024.11.18 固定 3.5％-6.0％ 77.1
N2024/25 2019.11.25 2024.11.25 固定 3.5％-6.0％ 66.3
N2024/26 2019.12.02 2024.12.02 固定 3.5％-6.0％ 63.9
N2024/27 2019.12.09 2024.12.09 固定 3.5％-6.0％ 58.3
N2024/28 2019.12.16 2024.12.16 固定 3.5％-6.0％ 88.7
N2024/29 2019.12.23 2024.12.23 固定 3.5％-6.0％ 114.9
N2025/01 2020.01.06 2025.01.06 固定 3.5％-6.0％ 60.8
N2025/02 2020.01.13 2025.01.13 固定 3.5％-6.0％ 74.7
N2025/03 2020.01.20 2025.01.20 固定 3.5％-6.0％ 59.9
N2025/04 2020.01.27 2025.01.27 固定 3.5％-6.0％ 65.7
N2025/05 2020.02.03 2025.02.03 固定 3.5％-6.0％ 62.8
N2025/06 2020.02.10 2025.02.10 固定 3.5％-6.0％ 49.9
N2025/07 2020.02.17 2025.02.17 固定 3.5％-6.0％ 65.1
N2025/08 2020.02.24 2025.02.24 固定 3.5％-6.0％ 44.9
N2025/09 2020.03.02 2025.03.02 固定 3.5％-6.0％ 38.2
N2025/10 2020.03.09 2025.03.09 固定 3.5％-6.0％ 41.1
N2025/11 2020.03.16 2025.03.16 固定 3.5％-6.0％ 40.9
N2025/12 2020.03.23 2025.03.23 固定 3.5％-6.0％ 27.3
N2025/13 2020.03.30 2025.03.30 固定 3.5％-6.0％ 24.1
N2025/14 2020.04.06 2025.04.06 固定 3.5％-6.0％ 22.4
N2025/15 2020.04.14 2025.04.14 固定 3.5％-6.0％ 18.0
N2025/16 2020.04.20 2025.04.20 固定 3.5％-6.0％ 18.4
N2025/17 2020.04.27 2025.04.27 固定 3.5％-6.0％ 51.8
119/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
名称 発行日 償還日 利息の種類 利率 発行残高
N2025/18 2020.05.04 2025.05.04 固定 3.5％-6.0％ 36.4
N2025/19 2020.05.11 2025.05.11 固定 3.5％-6.0％ 41.1
N2025/20 2020.05.18 2025.05.18 固定 3.5％-6.0％ 30.7
N2025/21 2020.05.25 2025.05.25 固定 3.5％-6.0％ 36.9
N2025/22 2020.06.02 2025.06.02 固定 3.5％-6.0％ 29.8
N2025/23 2020.06.08 2025.06.08 固定 3.5％-6.0％ 28.6
N2025/24 2020.06.15 2025.06.15 固定 3.5％-6.0％ 36.2
N2025/25 2020.06.22 2025.06.22 固定 3.5％-6.0％ 40.3
N2025/26 2020.06.29 2025.06.29 固定 3.5％-6.0％ 36.2
N2025/27 2020.07.06 2025.07.06 固定 3.5％-6.0％ 38.9
N2025/28 2020.07.13 2025.07.13 固定 3.5％-6.0％ 33.6
N2025/29 2020.07.20 2025.07.20 固定 3.5％-6.0％ 34.1
N2025/30 2020.07.27 2025.07.27 固定 3.5％-6.0％ 35.7
N2025/31 2020.08.03 2025.08.03 固定 3.5％-6.0％ 80.7
N2025/32 2020.08.10 2025.08.10 固定 3.5％-6.0％ 55.8
N2025/33 2020.08.17 2025.08.17 固定 3.5％-6.0％ 40.9
N2025/34 2020.08.24 2025.08.24 固定 3.5％-6.0％ 20.8
N2025/35 2020.08.31 2025.08.31 固定 3.5％-6.0％ 77.6
N2025/36 2020.09.07 2025.09.07 固定 3.5％-6.0％ 48.9
N2025/37 2020.09.14 2025.09.14 固定 3.5％-6.0％ 35.6
N2025/38 2020.09.21 2025.09.21 固定 3.5％-6.0％ 33.6
N2025/39 2020.09.28 2025.09.28 固定 3.5％-6.0％ 31.9
N2025/40 2020.10.05 2025.10.05 固定 3.5％-6.0％ 31.1
N2025/41 2020.10.12 2025.10.12 固定 3.5％-6.0％ 30.8
N2025/42 2020.10.19 2025.10.19 固定 3.5％-6.0％ 29.1
N2025/43 2020.10.26 2025.10.26 固定 3.5％-6.0％ 34.1
N2025/44 2020.11.02 2025.11.02 固定 3.5％-6.0％ 39.2
N2025/45 2020.11.09 2025.11.09 固定 3.5％-6.0％ 32.0
N2025/46 2020.11.16 2025.11.16 固定 3.5％-6.0％ 32.0
N2025/47 2020.11.23 2025.11.23 固定 3.5％-6.0％ 31.6
N2025/48 2020.11.30 2025.11.30 固定 3.5％-6.0％ 31.0
N2025/49 2020.12.07 2025.12.07 固定 3.5％-6.0％ 28.6
N2025/50 2020.12.14 2025.12.14 固定 3.5％-6.0％ 30.5
N2025/51 2020.12.21 2025.12.21 固定 3.5％-6.0％ 33.0
N2025/52 2020.12.28 2025.12.28 固定 3.5％-6.0％ 25.0
ハンガリー
政府債プラス
（現物債） 継続発行 継続発行 固定 3.5％-6.0％ 259
120/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
名 称 発行日 償還日 利息の種類 利率 発行残高
ベビー・ボンド
A321202S13 2013.12.02 2032.12.02 変動 76.1
A330201S14 2014.02.03 2033.02.01 変動 7.8
A340201S15 2015.02.02 2034.02.01 変動 6.2
A350201S16 2016.02.01 2035.02.01 変動 6.0
A360201S17 2017.02.01 2036.02.01 変動 5.2
A370201S18 2018.02.01 2037.02.01 変動 4.6
A380201S19 2019.02.01 2038.02.01 変動 3.2
A390201S20 2020.02.03 2039.02.01 変動 1.2
国庫貯蓄債
国庫貯蓄債 継続発行 継続発行 212.6
国庫貯蓄債Ⅱ 継続発行 継続発行 108.3
出典： 政府公債管 理機構
* レポ取引を含む未償還残高。
** 割引トレジャリー・ビルは、満期が1年未満の債券である。割引トレジャリー・ビルは、（額面価格と比較して）割
引いた価格で売り出され、定義上利息は支払われず、満期日に額面価格の100％が支払われる。
*** DKJ レポは、ハンガリーと民間団体間のレポ取引において、担保に供されている割引トレジャリー・ビルの正味残高
を意味する。
**** MAK レポは、ハンガリーと民間団体間のレポ取引において、担保に供されているハンガリー政府債の正味残高を意味
する。
121/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2020年12月31日現在の対外債務（ハンガリーによって発行された債券）*（スワップ前）
名称 発行日 償還日 利率 未償還額 支払通貨
US445548AE60* 2011.03.29 2021.03.29 6.375％ 1,532,464,000 米ドル
US445545AF36 2011.03.29 2041.03.29 7.625％ 750,000,000 米ドル
US445545AF36** 2011.04.11 2041.03.29 7.625％ 500,000,000 米ドル
US445545AH91* 2013.02.19 2023.02.21 5.375％ 1,823,938,000 米ドル
US445545AJ57* 2013.11.22 2023.11.22 5.750％ 1,748,990,000 米ドル
US445545AL04* 2014.03.25 2024.03.25 5.375％ 1,851,010,000 米ドル
XS1696445516 2017.10.10 2027.10.10 1.750％ 1,000,000,000 ユーロ
JP534800AJ31 2018.03.22 2021.03.22 0.370％ 30,000,000,000 日本円
XS1887498282 2018.10.02 2025.10.22 1.250％ 1,000,000,000 ユーロ
CND10001T5K2 2018.12.19 2021.12.19 4.300％ 2,000,000,000 人民元
XS2161992198 2020.04.28 2026.04.28 1,125 ％ 1,000,000,000 ユーロ
XS2161992511 2020.04.28 2032.04.28 1,625 ％ 1,000,000,000 ユーロ
XS2181689659 2020.06.05 2035.06.05 1.750 ％ 1,500,000,000 ユーロ
JP534800AL94 2020.09.18 2023.09.15 0.520 ％ 22,700,000,000 日本円
JP534800BL93 2020.09.18 2025.09.18 0.740 ％ 20,000,000,000 日本円
JP534800CL92 2020.09.18 2027.09.17 1.030 ％ 15,500,000,000 日本円
JP534800DL91 2020.09.18 2030.09.18 1.290 ％ 4,500,000,000 日本円
XS2259191273 2020.11.17 2030.11.18 0.500 ％ 1,250,000,000 ユーロ
XS2259191430 2020.11.17 2050.11.17 1.500 ％ 1,250,000,000 ユーロ
出典： 政府公債管理機構
* 2020年１月31日現在、ハンガリーは公開入札を実施し、これらの債券から総額１十億米ドルを買戻した。ハンガ
リーはまた、市場の状況に従って流通市場において対外債務の買戻しを継続的に行っている。
** US445545AF36 の発行増額分。
122/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
下記の表は、2020年12月31日現在*の外貨建一般政府債務（ハンガリーによって発行された債券）の2026
年末までの元利金支払の予定を示している。
元本支払
ISIN コード 通貨 2021 年 2022 年 2023 年 2024 年 2025 年 2026 年
US445548AE60 米ドル 1,532,464,000 - - - - -
US445545AF36 米ドル - - - - - -
US445545AF36** 米ドル - - - - - -
US445545AH91 米ドル - - 1,823,938,000 - - -
US445545AJ57 米ドル - - 1,748,990,000 - - -
US445545AL04 米ドル - - 1,851,010,000 - -
XS1696445516 ユーロ - - - - -
JP534800AJ31 日本円 30,000,000,000 - - - - -
XS1887498282 ユーロ - - - - 1,000,000,000 -
CND10001T5K2 人民元 2,000,000,000 - - - - -
XS2161992198 ユーロ - - - - - 1,000,000,000
XS2161992511 ユーロ - - - - - -
XS2181689659 ユーロ - - - - - -
JP534800AL94 日本円 - - 22,700,000,000 - - -
JP534800BL93 日本円 - - - - 20,000,000,000 -
JP534800CL92 日本円 - - - - - -
JP534800DL91 日本円 - - - - - -
XS2259191273 ユーロ - - - - - -
XS2259191430 ユーロ - - - - - -
123/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
利息支払
2021 年 2022 年 2023 年 2024 年 2025 年 2026 年
ISIN コード 通貨
48,847,290 - - - - -
US445548AE60 米ドル
57,187,500 57,187,500 57,187,500 57,187,500 57,187,500 57,187,500
US445545AF36 米ドル
38,125,000 38,125,000 38,125,000 38,125,000 38,125,000 38,125,000
US445545AF36* * 米ドル
98,036,668 98,036,668 49,018,334 - - -
US445545AH91 米ドル
100,566,925 100,566,925 100,566,925 - - -
US445545AJ57 米ドル
99,491,788 99,491,788 99,491,788 49,745,894 - -
US445545AL04 米ドル
17,500,000 17,500,000 17,500,000 17,500,000 17,500,000 17,500,000
XS1696445516 ユーロ
55,500,000 - - - - -
JP534800AJ31 日本円
12,500,000 12,500,000 12,500,000 12,500,000 12,500,000 -
XS1887498282 ユーロ
86,000,000 - - - - -
CND10001T5K2 人民元
ユーロ 11,250,000 11,250,000 11,250,000 11,250,000 11,250,000 11,250,000
XS2161992198
ユーロ 16,250,000 16,250,000 16,250,000 16,250,000 16,250,000 16,250,000
XS2161992511
ユーロ 26,250,000 26,250,000 26,250,000 26,250,000 26,250,000 26,250,000
XS2181689659
日本円 118,040,000 118,040,000 59,020,000 - - -
JP534800AL94
日本円 148,000,000 148,000,000 148,000,000 148,000,000 74,000,000 -
JP534800BL93
日本円 159,650,000 159,650,000 159,650,000 159,650,000 159,650,000 159,650,000
JP534800CL92
日本円 58,050,000 58,050,000 58,050,000 58,050,000 58,050,000 58,050,000
JP534800DL91
ユーロ 6,250,000 6,250,000 6,250,000 6,250,000 6,250,000 6,250,000
XS2259191273
ユーロ 18,750,000 18,750,000 18,750,000 18,750,000 18,750,000 18,750,000
XS2259191430
支払合計
2021 年 2022 年 2023 年 2024 年 2025 年 2026 年
通貨
108,750,000 108,750,000 108,750,000 108,750,000 108,750,000 1,096,250,000
ユーロ
197,4719,171 393,407,881 3,917,317,547 1,996,068,394 95,312,500 95,312,500
米ドル
2,086,000,000 - - - - -
人民元
30,539,240,000 483,740,000 23,124,720,000 365,700,000 20,291,700,000 217,700,000
日本円
出典： 政府公債管理機構
* 2020年１月31日現在、ハンガリーは公開入札を実施し、これらの債券から総額１十億米ドルを買戻した。ハンガ
リーはまた、市場の状況に従って流通市場において対外債務の買戻しを継続的に行っている。
** US445545AF36 の発行増額分。
124/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
下記の表は、2020年12月31日現在のハンガリーによって行われた保証の残額を示している。
ハンガリーが付与した保証
(1)
（2020年12月31日現在）
名 称 元本残高
(単位：百万)
ハンガリー保証外貨建債務
(2)
( ユーロ換算額)
国際金融機関からの借入 ユーロ 0.00
様々な目的による保証 ユーロ 12.79
ユーロ 5,281.13
法令に基づく保証
ユーロ 5,293.92
外貨建保証合計
ハンガリー保証フォリント建債務 (単位：百万)
様々な目的による保証 フォリント 52,731.86
フォリント 3,253,543.25
法令に基づく保証
フォリント 3,306,275.11
フォリント建保証合計
(2)
ユーロ 9,055.06
ユーロ換算額
ユーロ 14,448.98
ハンガリーによる外貨建およびフォリント建保証合計
出典： ハンガリー国庫管理機構
(1) 監査済のデータ
(2) 2020年12月31日現在のハンガリー国立銀行の為替レートに基づき計算されている。2020年12月31日現在、当該為替
レートは１ユーロ当たり365.13フォリントであった。
125/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
③ 国際金融機関との関係
AIIB
ハンガリーは2017年６月に56番目の加盟国としてAIIBに加盟した。ハンガリーはAIIBを通じて、初め
て、専らアジアの発展に尽くす多国間開発銀行の一端を担うこととなった。昨年末現在、AIIBは、委任さ
れた部門において様々な国々のための118件の開発プロジェクト（合計貸付金額は24.05十億米ドル）を承
認した。ハンガリーは、出資の役割だけでなく、一部の機関を通じてアジアのインフラおよび事業発展の
成功に貢献する所存である。
EBRD
1991年以降、EBRDは資本出資および貸付の両形式で、多くの国および国以外のプロジェクトに携わって
きた。1991年から2020年末までの間のEBRDの出資合計（純業務量）は189件のプロジェクトで約3.2十億
ユーロとなり、そのすべてが民間部門のものであった。2016年３月に採用されたハンガリーについての最
新国家戦略によれば、EBRDは、ハンガリーのエネルギー安全保障のさらなる改善、競争力の向上およびイ
ノベーション・ギャップ解消への取組みのために、銀行部門の回復力および貸出能力の強化に重点を置い
ている。金融危機の影響により、EBRDは、ハンガリーの金融部門を継続的に支援することを確認した。ハ
ンガリーにおけるEBRDの関与および活動は、2015年２月にハンガリー政府とEBRDの間で締結された覚書
（Memorandum of Understanding、MoU）においても見ることができる。また、この覚書きは、マクロ経済
の安定性を支える安定的で予想可能な枠組みを促進するために、銀行部門との関係を強化しようとする、
政府の意向を確認するものである。
CEB
ハンガリーは、1998年にCEBに加盟した。CEBの社会的任務に従い、ハンガリーにおけるCEBの活動計画
は、主に環境保護分野、社会的統合の強化ならびに人的資本の開発に重点を置いている。過去５年の間
（2016年から2020年）、CEBは合計約607.7百万ユーロのローンを提供することにより、プロジェクトに融
資を行った。2020年、ハンガリーとCEBは、325百万ユーロの２件のローン・ファシリティを締結した。
EIB
1990年以降、EIBはハンガリーの様々な政府および政府以外のプロジェクトに対して融資を行ってきた。
2016年から2020年までの過去５年の間に、EIBは合計およそ3.59十億ユーロのローンを提供することによ
り、プロジェクトに対して融資を行った。
EIBは、主にインフラ、環境保護、医療および教育プロジェクトへの融資を行っている。
2020年には、元本総額362.5百万ユーロの新たな貸付ファシリティ契約２件がハンガリーとEIBの間で締
結された。
126/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
国際投資銀行（以下「IIB」という。）
IIBの出資国および経営陣が、国際的な最善の慣行に沿った近代的な開発銀行の設立に向けて、IIBの本
格的な近代化の開始を決定した後、2015年にハンガリーはIIBの加盟国の資格を更新した。2018年12月、
IIBの統治委員会は、ハンガリーのブダペストに本部を移転することを決定し、移転は2019年に実施され
た。2016年から2020年までの間、IIBは、ハンガリー企業に対して合計約247百万ユーロの貸付および保証
を付与することにより、プロジェクトに対する資金を供給した。
IMF 、EUおよび世界銀行
2008年、ハンガリーは、IMF、EUおよび世界銀行から、合計で上限25.1十億米ドルの財政支援パッケージ
を受けた。ハンガリーの世界的金融危機の影響への対応を援助するために、IMFは、15.7十億米ドル（12.5
十億ユーロ）の17カ月スタンドバイ・ファシリティを提供することに同意した一方で、EUは、8.1十億米ド
ル（6.5十億ユーロ）を貸し出すことに同意し、また、世界銀行からは1.3十億米ドル（１十億ユーロ）の
引き出しが可能であった。
2010年７月、政府はスタンドバイ・ファシリティの拡大可能性について、IMFとの交渉を一時停止した。
IMFは、経済成長の監視および調査を行うため、ハンガリーとの定期的協議を継続している。直近の協議は
2010年10月に開催され、IMF派遣団は、財政目標を順守するハンガリーの決定は奨励されるものであると結
論づけたが、財政目標を達成するためにハンガリーにより導入および実行された一時的政策については、
一定の懸念を表した。
最終的には、上記の貸付枠から、下記の金額が引き出されている。
・IMF：ハンガリーにより6.373十億SDR、ハンガリー国立銀行により1.265十億SDR
・EU：ハンガリーにより5.5十億ユーロ
2013年７月25日、政府はIMFからの借入残高全額を2013年８月までに繰上返済することを要求した。2013
年８月３日に、ハンガリー国立銀行はIMFからの借入残高全額を返済し、2013年８月12日にハンガリーは
IMFからの借入残高全額を返済した。2016年４月６日、ハンガリーは欧州委員会からの借入残高全額を返済
した。
127/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
(7) 【その他】
金融政策
2021年１月26日、金融理事会は、中央銀行基準金利を0.60％に据え置くことを発表した。金融理事会
は、成長のための債券資金提供スキームに基づく利用可能額を750十億フォリントから1,150十億フォリン
トに増額することを決定し、スキームの条件の一部を変更した。金融理事会は、その措置により、引続き
社債市場における流動性を高めることに貢献していく。ハンガリー国立銀行は、優遇預金手段を用いて、
プログラムに基づいて生じた余剰流動性を引続き完全に無効化していく。
2021年２月４日、ハンガリー国立銀行は、ECBにレポラインを提供するユーロの流動性の延長を発表し
た。2020年12月のECBの決定により、参加パートナーである中央銀行にレポ・ファシリティを提供するユー
ロの流動性の満期は2022年３月に変更された。この手段の下で、ECBとハンガリー国立銀行は、2020年７月
にレポライン契約を締結した。ECBとハンガリー国立銀行は、協力関係を継続し、この契約を延長して当初
2021年６月とされていた満期を2022年３月まで９カ月延長した。この契約に基づき、ハンガリー国立銀行
は最大４十億ユーロの借入を行うことができる。
2021年２月23日、金融理事会は、中央銀行基準金利を0.60％に据え置くことを発表した。金融理事会の
１月の決定に沿って、ハンガリー国立銀行は、担保付貸付枠を通じて毎週提供される新たな流動性を30十
億フォリントから10十億フォリントに減額する一方で、政府債購入プログラムによる毎週の購入額を60十
億フォリントに引上げた。発表によると、ハンガリー国立銀行のバランスシート上の政府債ストックは
2020年５月以降1,300十億フォリント超増加した。
2021年３月３日、ハンガリー国立銀行は初のグリーン・ファイナンス・レポートを公表し、ハンガリー
の金融制度の環境面での持続可能性に関する状況報告を行った。この刊行物は、透明性と市場の認知度を
高め、気候変動およびその他の環境問題の金融的側面をよりよくする機会をすべての利害関係者に提供す
ることを目的とするものであった。
2021年３月９日、ハンガリー国立銀行は、政府債購入プログラムに対する技術的な修正を発表した。こ
の発表によると、金融理事会は、個々のシリーズに制限を設けることなく、その政府債購入プログラムに
基づいて柔軟に購入を行う用意がある。政府債市場の安定性および流動性ポジションによって保証される
のであれば、ハンガリー国立銀行は個々のシリーズの50％を超えて購入することができる。この修正は、
週の購入額に影響を及ぼすことはなく、購入の仕組みのみに影響を及ぼしたため、ハンガリー国立銀行の
金融政策のスタンスに変わりはない。
2021年３月31日、ハンガリー国立銀行は、カウンターシクリカル資本バッファー比率を2021年４月１日
以降０％に据え置くことを発表した。
2021年３月31日、ハンガリー国立銀行は、2020年９月８日の金融理事会の決定に従って、ユーロの流動
性を提供する為替スワップの入札を実施した。ハンガリー国立銀行は、2021年４月１日を満期とする767百
万ユーロ（279十億フォリント）の入札額を全額受入れた。2021年第１四半期末現在、ユーロの流動性を提
供する４件の入札において、中央銀行はフォリントの流動性に対して総額1,982百万ユーロを国内の銀行制
度に提供した。
2021年４月21日、ハンガリー国立銀行は、気候関連および環境面のリスクに関して与信機関に対して新
たな監督当局の勧告を発表した。この勧告の目的は、ハンガリーの銀行の間で意識を高め、気候関連およ
び環境面のリスクならびに関連する新たな規制上の課題への備えを改善することであった。第一段階とし
て、この文書は与信機関に対して自己評価および行動計画を作成し、2021年９月30日までにこれらをハン
ガリー国立銀行に提出することを義務づけた。
2021年４月27日、金融理事会は中央銀行基準金利を0.60％に据え置くことを発表した。金融理事会は、
その政府債購入プログラムの修正を実施した。この発表によると、金融理事会は、政府債購入プログラム
128/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
の総額をまだ設定していない。資産購入プログラムの実施を継続的に監視することに加えて、金融理事会
は、ストックが3,000十億フォリントを超えた時点で次回の修正を行うこととしている。
2021年５月25日、金融理事会は中央銀行基準金利を0.60％に据え置くことを発表した。この発表による
と、ハンガリー国立銀行は、前の四半期と同様、2021年６月末にユーロの流動性を提供する為替スワップ
入札を行うこととしていた。金融理事会の評価によると、インフレ見通しに関連した上方リスクが全般的
に高まってきている。この発表によると、金融理事会は引続き物価の安定性維持に取組んだ。金融理事会
は、 物価の安定性を確保し、インフレ・リスクを軽減するために必要な範囲で積極的に金融状況を引締め
る準備が整っていることを繰り返した。
2021 年６月７日、国立銀行法の改正がハンガリー官報において公表された。この改正により、物価の安
定性を実現し、これを維持するという同行の主要な目的を損なうことなく、同行の活動においてより重要
な役割を果たすため、2021年８月２日付で環境保護と持続可能性の側面に法的な根拠が与えられる。
この改正によると、2022年から、罰金によるハンガリー国立銀行の収益の最大６％が同行の事業運営か
ら生じる二酸化炭素排出量の中和に充当されることとなる。ただし、ハンガリー国立銀行はその二酸化炭
素排出量を３年以内に2019年の数値と比較して30％、2025年までに80％削減することを約束しているた
め、この目的を達成するためのコストは今後次第に減少するであろう。
2021年中、ハンガリー国立銀行は為替スワップ入札の微調整を行った。下表は、銀行間取引市場におけ
る流動性の微調整のために利用された為替スワップの月別データを示したものである。
月末現在の残高
（単位：十億フォリント）
2021年１月 43.2
2021年２月 61.8
2021年３月 46.4
2021年４月 164.3
2021年５月 145.5
出典： ハンガリー国立銀行
財政政策
2021年２月５日、政府は、最大10百万フォリントの10年満期の中小企業向け無利子ローン（３年間の返
済猶予付）の導入を発表した。
オルバーン・ヴィクトル首相は同日、経済再開のための行動計画が３段階で行われることを発表した。
第一段階は2021年１月１日に開始しており、新築住宅の付加価値税率を５％に引下げ、６百万フォリント
の住宅改修ローン（このうち半分は返済不要）、および１カ月分の追加年金の段階的導入によって2021年
４月１日に終了する予定であった。政府はまた、25歳未満の若者に対する個人所得税を免除することも決
定した。第二段階は、高等教育に焦点を置いて、2021年４月１日から2021年７月１日までの期間に実施さ
れる。2021年７月から2021年10月までの第三段階は、グリーン・エネルギー、循環経済の発展および完全
デジタル化に焦点を当てた発展の期間となる。
2021年３月８日、オルバーン・ヴィクトル首相は、美容師、エステティシャンおよびショップ店員など
営業停止となったサービス業の労働者の賃金の半分を政府が支払うことを発表した。関連する部門の雇用
主拠出金は３月に廃止され、都市封鎖の影響を受けた企業は国または地方自治体に対して賃料を支払う必
要がなくなる。小企業向けの事業税は３月に免除される。
2021年４月16日、政府は、バーや飲食店を経営する事業者への賃金補助は、５月を対象とするように延
長されたことを発表した。
129/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
2021年４月20日、ヴァルガ・ミハーイ財務大臣は2021年予算の修正を提出した。修正によると、ハンガ
リーの赤字目標はGDPの7.5％となった。これにより、国の債務は2020年のGDPの80.4％から2021年末までに
GDP の79.9％に削減されることになる。この修正では、2021年における4.3％の経済成長を見込んでいる。
2021年４月29日、国会は、25歳未満のハンガリー人の所得について個人所得税を免除する法律を承認し
た。この法律の下で、25歳未満の国民は総平均賃金を下回る賃金について個人所得税を納付する義務を負
わない。この措置には、年間130ないし150十億フォリントの予算を要する。
2021年４月30日、政府は、パクシュ原子力発電所の改修のための融資契約の新たな修正の下で、ハンガ
リーがプロジェクトのためのロシアからの融資の返済を、当初予定されていた2026年からではなく、2031
年に開始することを発表した。
2021年５月５日、ヴァルガ・ミハーイ財務大臣は、2022年予算案を国会に提出した。提案によると、政
府は、経済成長の目標を5.2％とし、赤字目標をGDPの5.9％、公債をGDPの79.3％としていた。大臣による
と、予算は、雇用主の税負担をさらに軽減し、雇用を創出する投資を支援する一方で、経済の再開、家族
支援、１カ月分の追加年金の再導入および25歳未満の所得者に対する免税を目的とするものであった。
2021年５月27日、国会は、欧州連合の2021-2027年の予算の枠組みおよびパンデミック後の復興策を批准
する法律を承認した。
その後2021年６月９日、国会は政府の2022年度予算の主要数値を、国会予算委員会による修正とともに
成立させた。中央政府歳入の目標は、28,546.5十億フォリントの歳出に対して25,393.8十億フォリント
で、3,152.6十億フォリントの不足が見込まれる。国会はまた減税についても採択した。新しい税法の下
で、雇用主は2021年より0.5パーセンテージ・ポイント低い15.0％の社会保障拠出金を支払うことになる。
個々の起業家が納付する税金は、その収入が 年間最低賃金の10倍を超えない場合、または小売業者の場合
は最低賃金の最大50倍を超えない場合、定額制のオプションでさらに簡素化される。この制度における納
税者は、最低賃金の半分を上限として個人所得税を免除される。
130/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
131/132
EDINET提出書類
ハンガリー(E06108)
有価証券報告書
２【発行者が地方公共団体である場合】
該当事項なし。
３【発行者が国際機関又は政府関係機関等である場合】
該当事項なし。
132/132
