コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー 有価証券報告書
提出書類 | 有価証券報告書 |
---|---|
提出日 | |
提出者 | コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2021 年6月11日
【事業年度】 自 2020年1月1日 至 2020年12月31日
【会社名】 コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー
(COÖPERATIEVE RABOBANK U.A.)
【代表者の役職氏名】 長期資金調達・資本部長(アジア太平洋)
(Head of Long Term Funding and Capital, APAC)
ヘル・ブルス
( Ger Buls )
【本店の所在の場所】 オランダ国 3521 CB ユトレヒト市クローセラーン18
( Croeselaan 18 3521 CB Utrecht, the Netherlands)
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 梅 津 立
【代理人の住所又は所在地】 東京都千代田区大手町一丁目1番1号 大手町パークビルディング
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
【電話番号】 03(6775)1000
【事務連絡者氏名】 弁護士 中 村 慎 二
弁護士 嶋 田 祐 輝
弁護士 白 藤 祐 也
弁護士 梶 谷 裕 紀
弁護士 稲 村 将 吾
弁護士 水 間 洋 文
弁護士 伊 藤 雄 太
【連絡場所】 東京都千代田区大手町一丁目1番1号 大手町パークビルディング
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
【電話番号】 03(6775)1000
【縦覧に供する場所】 該当事項なし
1/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
第一部 【企業情報】
注(1) 本書において、別段の記載がある場合を除き、以下の用語は下記の意味を有する。
「当社」、「当行」および「ラボバンク」
:コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー
注(2) 別段の記載がある場合を除き、本書に記載の「ユーロ」はその時々の欧州経済通貨同盟に参加している欧州連合の加
盟国の単一通貨としてのユーロを指す。本書において便宜上記載されている日本円への換算は、別段の記載がない限
り、1ユーロ=129.30円の換算率(令和3年3月11日現在の株式会社三菱UFJ銀行の対顧客電信直物売相場と買相場の
仲値)によって換算されている。
注(3) コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アーの決算期は毎年12月31日をもって終了する1年間である。本書では、2020
年12月31日に終了した会計年度を「2020年度」といい、他の会計年度についてもこれに準ずる。
注(4) 本書中の表で計数が四捨五入されている場合、合計は計数の総和と必ずしも一致しない。
注(5) 当社のウェブサイトは、www.rabobank.comにおいて閲覧することができる。ただし、本書において言及されている
ウェブサイト、または本書において言及されているウェブサイトを通じてアクセスすることができるその他のウェブ
サイトは、本書の一部を構成するものではない。
第1 【本国における法制等の概要】
1 【会社制度等の概要】
(1) 【提出会社の属する国・州等における会社制度】
法人(会社を含む。)に関する規定はオランダ民法典に統合されている。これらの規定は第2編「法人」に記
載されている。同編の規定は、1976年7月28日に施行され、以降頻繁に改正されている。
当社は、協同組合型の銀行である。オランダ民法典第2編第3章は、協同組合型会社について取り扱ってい
る。協同組合型会社はその加盟社員との間に協同組合関係を形成する会社である。
第2編第9章は、年次計算書類および年次報告書について取り扱っている。協同組合型会社は、年次計算書
類の発行が義務づけられている。
その他協同組合型会社に適用されるものとしては、商業登記法上の開示規則がある。
さらに、オランダにおける会社法の実際的な適用の上で重大な影響を有する、法文化されていない重要な法
源(判例法および法理等)が存在する。
協同組合型会社は「大」および「小」の2種類に分類される。「大」協同組合型会社と「小」協同組合型会
社の主な違いは、「大」協同組合型会社には監督委員会の設置が義務づけられている点である。「大」協同組
合型会社の監督委員会の構成員の選任手続も、「小」協同組合型会社のものとは異なる。当社は「大」協同組
合型会社に該当する。
2/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
(2) 【提出会社の定款等に規定する制度】
ラボバンクの体制
ラボバンク・グループは、コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アーおよびオランダ国内外両方におけるラ
ボバンクの子会社や参加者で構成される。ラボバンクは、オランダだけではなく、世界中の支店や駐在員事務
所を拠点に営業している。これらの支店および事務所は全て、ラボバンクという法人の一部を構成する。ラボ
バンクは、世界中の別法人を通じても営業している。ラボバンクは、かかる法人の株主である。ラボバンクの
本店所在地はオランダのユトレヒトである。ラボバンクの登記上の事務所はオランダのアムステルダムにあ
る。ラボバンクは複数の商号を利用している。
ラボバンクは銀行免許を保有しており、協同組合としての法的形式を有している。ラボバンクの協同組合の
アイデンティティの歴史は、19世紀後半に農家のグループが最初の農業協同組合銀行を築いた頃まで遡る。
2016年1月1日まで、オランダの地方銀行は別個の法的な協同組合の事業体であった。2016年1月1日、ラボ
バンクと106行の地方銀行の全ての間で、共通の手続の下、法的な合併が行われた。ラボバンクが存続会社と
なった。
協同組合であるラボバンクには、通常の株主ではなく、加盟者がいる。オランダにおけるラボバンクの顧客
は、ラボバンクの加盟者になる機会がある。現時点で、ラボバンクには約1.9百万人の加盟者がいる。加盟者
はラボバンクに資本拠出を行っておらず、ラボバンクの資本につき請求権を有さない。加盟者は義務を負わ
ず、ラボバンクの責任についても債務を負担しない。
ガバナンスの主要な特徴
ラボバンクは、分権化した組織であり、地方レベルおよび中央レベルの両方で意思決定権限を有する。ガバ
ナンスは、協同組合および銀行の融合を反映している。オランダ・コーポレート・ガバナンスコードは協同組
合に適用されないが、ラボバンクのコーポレートガバナンスは、同コードと概ね一致している。ラボバンク
は、オランダの銀行行動規範も遵守している。
ラボバンクの加盟者は、とりわけ、地理的要件に基づき、約100の部門に分かれて組織されている。各地方
銀行は部門に繋がっている。各部門内で、加盟者は代表者選考会に加入する。代表者選考会は、地方加盟者理
事会の構成員を選任する。
地方加盟者理事会は30から50名の構成員で構成され、ラボバンクの定款に基づき設置された。地方加盟者理
事会は、サービスの質および地域環境の社会的および持続可能な発展への貢献につき地方銀行の経営チームに
報告し、協力する。地方加盟者理事会には複数の正式な任務および責任がある。地方加盟者理事会の権限の1
つは、会長を含む地方監督委員会を任命、停職および解任することである。
地方監督委員会は3-7名の構成員で構成され、部門の一部である。同委員会は、地方銀行規則に基づき設
置された会社の一機関であり、地方銀行レベルでの監督という役割を含む、様々な任務を実行し、様々な責任
を負う。かかる役割の一環として、経営委員会は地方監督委員会に対し、経営チーム会長の重要な意思決定に
ついて複数の権限を付与した。地方監督委員会は、経営チーム会長による地方戦略の実行を監督する。地方監
督委員会は、地方銀行の経営チーム会長に関し機能的な雇用者の役割も果たす。地方監督委員会は、地方加盟
者理事会に報告義務を負う。
3/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
地方理事会は、ラボバンクのガバナンスにおいて正式な会社の一機関ではない。地方理事会は、一般加盟者
理事会の準備にとって重要である。地方理事会は、監督機関の会長および地方銀行の経営会長が話し合うため
に集まる諮問機関である。
地方監督者の構成員は、ラボバンクの加盟者でなければならない。地方監督委員会の会長は、全員、ラボバ
ンクの一般加盟者理事会における部門の加盟者を代表する。一般加盟者理事会が、ラボバンクのガバナンスに
おける最高意思決定機関である。地方監督委員会の会長は指示や協議を行うことなく一般加盟者理事会に参加
するが、地方の意見も取り入れる。ラボバンクの一般加盟者理事会は、戦略、アイデンティティ、予算および
財務業績に焦点を当て、これらにつき権限を有する。ラボバンクの一般加盟者理事会は、加盟者を代表して、
継続性を保護し、集合的な価値観の管理人を務める。ラボバンクの一般加盟者理事会には、緊急事態委員会、
調整委員会および秘密事項委員会の3つの永続的な委員会が存在する。
ラボバンクの監督委員会の構成員は、一般加盟者理事会によって任命される。監督委員会の構成員の3分の
2はラボバンクの加盟者でなければならない。監督委員会は監督の役割を果たし、ラボバンクの一般加盟者理
事会に報告義務を負う。この点について、監督委員会は法律および規制の遵守、とりわけ、ラボバンクの目標
および戦略の実現を監視する。監督委員会は、経営委員会の重大な意思決定を承認する権限を有する。監督委
員会は、経営委員会につき助言を行う役割をも果たす。監督委員会には、とりわけ、監督委員会の準備作業お
よび助言を行う、リスク委員会や監査委員会など、複数の委員会が存在する。
地方の業務は、約100行の地方銀行によって編成される。かかる地方銀行は別個の法人ではなく、ラボバン
クという法人の一部である。地方への志向および地方の起業家精神をラボバンクの特徴的な性質として維持す
るため、ラボバンクの経営委員会は、地方銀行の経営チーム会長に数多くの権限を与えた。その結果として、
かかる会長は、地方レベルで任務を遂行することができ、割り当てられた地方銀行について責任を負うことが
できる。経営チーム会長は、当該地方銀行に関連する部門につき、追加的な責任を負う。
ラボバンクの経営委員会は、地方銀行および間接的にはラボバンクの関連事業体を含んだ、ラボバンクの経
営の責任を負う。経営委員会は、目標の設定および達成、戦略的方針および関連あるリスク特性、財務業績お
よび企業の社会的責任の要素について最終的な責任を負う。さらには、経営委員会は、ラボバンク・グループ
の関連ある法律および規制の遵守につき責任を負う。経営委員会によって代表されるラボバンクは、階層上は
地方銀行の経営チーム会長の雇用者である。経営委員会のメンバーは経営委員会によって任命され、ラボバン
クの監督委員会および一般加盟者理事会に報告する義務を負う。
取締役会議は、ラボバンクの定款に基づき設置されたが、意思決定機関ではない。取締役会議は、地方銀行
の業務に関する提案および方針のための予備的な、情報提供かつ助言を行う会議である。経営委員会、地方銀
行の経営チーム会長および地方銀行の取締役が本会議に参加する。
4/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2 【外国為替管理制度】
オランダの協同組合が発行する無記名式社債に関して外貨で支払うべき金銭と、オランダでの売却による収益
は、オランダの法的制限なくオランダから公式に持ち出しその他の通貨に転換することができる。ただし、統計
上の目的のため、かかる支払および取引はオランダ中央銀行に報告しなければならない。
3 【課税上の取扱い】
欧州連合貯蓄課税に関する指令
2005 年以来、税務当局に対し、個人貯蓄者に関する情報へのより良いアクセスを提供してきた欧州連合貯蓄
課税に関する指令2003/48/ECは、欧州理事会によって2015年11月10日に廃止された。かかる廃止は、欧州委員
会が、2014年12月に、税務当局間の強制的かつ自動的な情報交換に関する規定を修正する指令2014/107/EUを
採択したことによって決定された。指令2014/107/EUは、受取利息だけではなく、配当やその他の資本収入な
らびにかかる収入項目を生み出す口座の年間残高を対象範囲とする、2014年7月付のOECDによる金融口座の自
動的情報交換のための国際基準を欧州内で実施する。指令2014/107/EUは、2016年1月1日に発効した。
EU は、複数の欧州第三国と、OECDによる金融口座の自動的情報のための国際基準を組み込んだ類似の合意に
ついて交渉してきた。
廃止は、移行措置についても規定する、欧州理事会が導入した指令によって成立した。特にオーストリア
は、指令2014/107/EUの免除を受けており、かかる免除によりオーストリアは指令2014/107/EUの適用を1年後
の2017年1月1日まで延期することができた。しかし、指令2014/107/EUの導入の際、オーストリアは、完全
には免除を受けないと発表した。その代わり、オーストラリアは、2017年9月までは一部の口座についてのみ
情報交換し、その他のケースでは免除を維持する予定であるとした。したがって、欧州連合貯蓄課税に関する
指令の廃止指令には、オーストラリアならびに同国で設立された支払代理人および事業者に、免除期間中は指
令2014/107/EUが適用される口座以外には指令2003/48/ECを継続して適用させるための特約が設けられた。
投資家は、個々の事情についてそれぞれの専門顧問に相談されたい。
(1) オランダにおける課税上の取扱い
以下は、一般的な情報提供を目的としており、当社の発行する社債 (以下、「本社債」という。) の保有者
に関連し得るオランダ税法のすべての側面について、包括的あるいは完全な記述を意図したものではない。し
たがって、本社債を保有する見込みのある者(以下、「本社債権者」という。)は、本社債の購入、所有およ
び処分に係る課税に関し、その税務顧問の助言を求めるべきである。
5/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
以下の要約は、オランダ租税裁判所により適用および解釈され、本書の日付時点で公布され、かつ効力を有
するオランダ税法に基づいたものであり、本書の日付以後に導入されまたは施行されたいかなる修正(遡及効
の有無を問わない。)も考慮していない。
下記の源泉徴収のセクションを除き、本要約は下記の本社債権者に係るオランダにおける課税については言
及していない。
(i) 法人であり、かつアルバ、キュラソー又はシント・マールテンの居住者である本社債権者
(ii) 本社債及び/又は本社債による利益の実質所有者( uiteindelijk gerechtigde )ではないとされる本社
債権者
本「3 課税上の取扱い」において、「オランダ」とは、ヨーロッパにおけるオランダ王国の部分を意味
し、「オランダ税」とは、オランダまたはその区域もしくはその税務当局により、またはそれらを代理して課
税されるあらゆる性質の税金を意味する。
以下の源泉徴収に関する要約は、2021年1月1日時点で、2021年のオランダの源泉徴収税法( Wet
Bronbelasting 2021 )の意味でいう当社と関連( gelieerd )を有している事業体である保有者に係るオランダ
における課税については言及していない。
源泉徴収
当社による本社債に関するすべての支払いは、オランダ税のためのもしくはそれらに基づくいかなる源泉徴
収または控除の対象にもならない。但し、本社債が、1969年のオランダ法人税法( Wet op de
vennootschapsbelasting 1969 )第10条1-dの意味でいう当社のエクイティとして実際には機能しない場合に限
る。
収入およびキャピタルゲインに対する課税
(a) オランダの居住者
本項の特定のオランダ税に関する記述は、以下の本社債権者のみを対象とする。
( ⅰ) オランダの居住者またはみなし居住者である個人(以下「 オランダ個人 」という)。
( ⅱ) 1969年オランダ法人税法(以下、「法人税法」という。)を適用され、法人税法上、オランダの居住
者またはみなし居住者である法人。ただし、以下を除く(以下、「オランダ法人」という。)。
・ オランダ法人税の一部または全部を免除されている年金基金( pensioenfondsen )またはその他
の法人
・ 投資機関( beleggingsinstellingen )
6/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
事業またはその他の活動に従事していない、または従事していないとみなされるオランダ個人
一般的に、オランダ個人で、(ⅰ)起業家( ondernemer ) としてもしくは(起業家および株主以外として)
エクイティに対する共同権利に基づいて利益を得ている事業または(ⅱ)当該個人によるその他の活動
( resultaat uit overige werkzaamheden ) からの利益として課税対象にならない利益を得ている事業に帰属
していない本社債を保有する者は、本社債を貯蓄および投資による収入に関する課税制度( inkomen uit
sparen en beleggen ) であるボックス3に保有している資産として計上しなければならない。次に、本社債に
関する課税所得は、利回りベースが30,846ユーロの上限 (heffingvrij vermogen) を超過した場合に限り、実際
に受領した収益または実際に実現した利益ではなく、暦年の始まりにおける保有者の利回りベース
( rendementsgrondslag ) に対する特定の見なし利益に基づいて決定される。このような利回りベースは、本
社債の保有者が保有する特定の適格資産の公正市場価格から、暦年の始まりにおける特定の適格負債の公正市
場価格を控除した額として決定されている。本社債の公正市場価格は、保有者の利回りベース内の資産として
含まれる。保有者の利回りベースは、異なる見なし利益が適用される3つまでの等級に割り当てられる。1つ
目の等級には、67%の低利回り部分および33%の高利回り部分に分割される、72,797ユーロ以下の金額が含ま
れる。2つ目の等級には、21%の低利回り部分および79%の高利回り部分に分割される72,797ユーロ超、
1,005,572ユーロ以下の金額が含まれる。3つ目の等級には、その全てが高利回りとみなされる、1,005,572
ユーロ超の金額が含まれる。2020年において、低利回り部分の見なし利益は0.06%であり、高利回り部分は
5.33%である。見なし利益の割合は毎年見直される。保有者の利回りベースに対する見なし利益の税率は
(2020年おいて)30%である。
事業またはその他の活動に従事している、または従事しているとみなされるオランダ個人
オランダ個人が起業家としてもしくは(起業家および株主以外として)エクイティに対する共同権利に基づ
いて利益を得ている事業またはその他の活動( resultaat uit overige werkzaamheden ) (通常の、積極的な
ポートフォリオ運用( normaal, actief vermogensbeheer ) の範囲を超える活動を含むがこれに限定されな
い。)に帰属する本社債を保有する場合、当該個人は、当該本社債による、または当該本社債によるとみなさ
れる利益(当該本社債の処分により実現されたキャピタルゲインを含む。)に対して、(2020年において)一
般的に49.50%を上限とする累進税率のオランダ所得税を賦課される。
オランダ法人
オランダ法人は、本社債による、または当該本社債によるとみなされる利益(当該本社債の処分により実現
されたキャピタルゲインを含む。)に対して、(2020年において)一般的に25%を上限とする法定税率のオラ
ンダ法人税を賦課される。
7/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
(b) オランダの非居住者
オランダ個人およびオランダ法人以外の本社債権者は、本社債の保有および処分に係る収入またはキャピタ
ルゲインに対して、いかなるオランダ税も賦課されない。ただし、以下の場合を除く。
・ 当該本社債権者が、全部または一部がオランダ国内の恒久的施設( vaste inrichting ) または常駐代表
( vaste vertegenwoordiger ) を通じて遂行されておりかつ本社債が帰属している事業から、個人の本
社債権者である場合に起業家としてまたは(起業家および株主以外として)エクイティに対する共同権
利に基づいて利益を得ている場合
・ 当該本社債権者が、個人であり、オランダにおいて本社債に関して遂行された、2001年個人所得税法に
よって定義されるところのその他の活動( resultaat uit overige werkzaamheden ) (通常の、積極的
なポートフォリオ運用( normaal, actief vermogensbeheer ) の範囲を超える活動を含むがこれに限定
されない。)による利益を得ている場合
・ 当該本社債権者が、事業経営拠点をオランダに有する事業に対して、有価証券の保有以外の方法により
企業の利益の分配を受ける権利を有しており、本社債が当該事業に帰属している場合
贈与税または相続税
関連する条項上、オランダの居住者またはみなし居住者ではない本社債権者による贈与または当該本社債権
者の死亡に伴う本社債の譲渡またはみなし譲渡に対しては、オランダにおいていかなる贈与税または相続税も
発生しない。ただし、以下を条件とする。
( ⅰ) 当該譲渡が、本社債の贈与時またはその死亡時において、関連する条項上、オランダの居住者または
みなし居住者であった本社債権者による、または当該本社債権者のためになされた相続もしくは遺産
贈与または贈与として解釈されないこと、ならびに
( ⅱ) 当該本社債の贈与時にはオランダの居住者またはみなし居住者ではなかった個人の当該本社債権者に
より本社債が贈与された場合、当該個人の本社債権者が、当該贈与日から180日以内に、オランダの居
住者またはみなし居住者として死亡していないこと。
特定の条件を満たした場合にのみ本社債が贈与される場合は、当該本社債権者が(ⅰ)オランダの居住者ま
たはみなし居住者ではなく、かつ(ⅱ)当該条件が満たされた日から180日以内にオランダの居住者またはみ
なし居住者とならなかったときは、贈与税は発生しない。
オランダの贈与税および相続税の目的上、オランダ国籍を有する個人は、贈与日または死亡日前の直近10年
間のいかなる時点でもオランダに居住していた場合は、オランダの居住者とみなされる。オランダ贈与税の目
的上、国籍にかかわらずいかなる個人も、贈与日前の直近12ヶ月間のいかなる時点でもオランダに居住してい
た場合は、オランダの居住者とみなされる。
8/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
その他の税金
本社債権者は、本社債の発行、取得または譲渡のみを理由とする付加価値税またはその他類似の税金もしく
は公租(印紙税および訴訟費用を含む。)などのその他のいかなるオランダ税の賦課も受けない。
居住
本社債権者は、当社の業績、または当該本社債権者による本社債の(発行もしくは譲渡による)取得、保有
および/または処分のみを理由として税務上オランダの居住者もしくはみなし居住者になることはなく、オラ
ンダ税の賦課を受けることはない。
(2) 日本国における課税上の取扱い
以下は日本において募集または売出しの対象となった当社の社債(以下、本(2)において「本社債」とい
う。)に関する日本国の租税上の取扱いの概略を述べたにすぎず、本社債に投資しようとする投資家は、各投
資家の状況に応じて、本社債に投資することによるリスクや本社債に投資することが適当か否かについて各自
の会計・税務顧問に相談することが望ましい。
本社債に投資した場合の日本国における課税上の取扱いは、現在以下のとおりである。
本社債の利息は、現行法令の定めるところにより、一般に利子として課税される。日本国の居住者および内
国法人が支払いを受ける本社債の利息は、所得税法第11条に定める公共法人等、租税特別措置法第8条第1項
および第2項に定める金融機関および金融商品取引業者等(ならびに場合によって同条第3項に規定する一定
の場合の資本金1億円以上の内国法人)を除いて源泉所得税(日本国の居住者の場合は国税と地方税、内国法
人の場合は国税のみの源泉所得税)が課される。日本国の居住者においては、確定申告書の提出による
20.315%(15%の所得税、復興特別所得税(所得税額の2.1%)および5%の地方税の合計)の税率による申
告分離課税とするか、確定申告の対象に含めない(この場合、当該源泉所得税の徴収により課税関係が終了す
る。)こととするかのいずれかを選択することができる。内国法人においては、当該利息は課税所得に含めら
れ法人税および地方税の課税対象となり、また一定の公共法人等および金融機関等を除き、現行法令上
15.315%(15%の所得税および復興特別所得税(所得税額の2.1%)の合計)の源泉所得税が課される。ただ
し、申告分離課税を選択した居住者および当該内国法人は上記源泉所得税額を、一定の制限のもとで、居住者
の場合は所得税および地方税、内国法人の場合は法人税の額から控除することができる。
本社債の償還額が本社債の取得価額を超える場合の償還差益は、日本国の居住者の場合は、20.315%(15%
の所得税、復興特別所得税(所得税額の2.1%)および5%の地方税の合計)の税率による申告分離課税の対
象となり、申告分離課税の対象となる他の上場株式等(特定公社債を含む。)の譲渡損失と損益通算すること
ができる。内国法人の場合は、当該償還差益は課税所得に含められ法人税および地方税の課税対象となる。
9/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
本社債の償還額が本社債の取得価額を下回る場合の償還差損は、日本国の居住者の場合は、申告分離課税の
対象となる他の上場株式等(特定公社債を含む。)の譲渡益等ならびに利子所得および配当所得と損益通算す
ることができる。損益通算により控除しきれなかった損失は、一定の制限のもとで、3年間の繰越控除が可能
である。内国法人の場合は、当該償還差損は損金の額として法人税および地方税の課税所得の計算に算入され
る。
本社債の譲渡による譲渡益については、日本国の居住者の場合は、国税と地方税の税率による申告分離課税
の対象となり、申告分離課税の対象となる他の上場株式等(特定公社債を含む。)の譲渡損失と損益通算する
ことができる。内国法人の場合は、当該譲渡益は課税所得として法人税および地方税の課税対象となる。
本社債の譲渡による譲渡損については、日本国の居住者の場合は、申告分離課税の対象となる他の上場株式
等(特定公社債を含む。)の譲渡益等ならびに利子所得および配当所得と損益通算することができる。損益通
算により控除しきれなかった損失は、一定の制限のもとで、3年間の繰越控除が可能である。内国法人の場合
は、当該譲渡損は損金の額として法人税および地方税の課税所得の計算に算入される。
4 【法律意見】
当社の 長期資金調達・資本部門のシニア・マネージャーであるプラティック・ケシャブ より、税務事項に関す
るものを除き、次の内容の法律意見書が関東財務局長に提出されている。
(1) 当社はオランダ法に基づいて適式に設立され、有効に存続する協同組合型会社である。
(2) 本書の第一部 第1「本国における法制等の概要」の1「会社制度等の概要」、2「外国為替管理制度」、
および4「法律意見」におけるオランダ法に関する記載はすべての重要な点において真実かつ正確である。
また、上記法律意見書とは別に、当社の税務部により、オランダの税法に関する、次の内容の税務意見書が関
東財務局長に提出されている。
(1) 本書の第一部 第1「本国における法制等の概要」の3「課税上の取扱い」におけるオランダ法に関する記
載はすべての重要な点において真実かつ正確である。
10/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
第2 【企業の概況】
1 【主要な経営指標等の推移】
2020 年 2019 年 2018 年 2017 年 2016 年
( 単位:百万ユーロ)
12 月31日 12 月31日 12 月31日 12 月31日 12 月31日
主要財務データ
普通株等Tier 1比率
16.8 % 16.3 % 16.0 % 15.5 % 13.5 %
1
24.2 % 25.2 % 26.6 % 26.2 % 25.0 %
総自己資本比率(BIS比率)
2
7.0 % 6.3 % 6.4 % 6.0 % 5.5 %
レバレッジ比率
リスク加重資産 205,773 205,797 200,531 198,269 211,226
ホールセールによる資金調達 131,361 151,742 153,223 160,407 188,862
3
65.8 % 63.3 % 65.9 % 71.3 % 70.9 %
収益に対する費用の比率(賦課金を含む)
基礎的な収益に対する費用の比率(賦課金
64.5 % 63.0 % 63.9 % 65.3 % 64.8 %
を含む)
自己資本利益率 2.7 % 5.3 % 7.3 % 6.7 % 4.9 %
収益 10,782 11,756 12,020 12,001 12,805
営業費用 6,542 6,956 7,446 8,054 8,594
金融資産に係る減損費用 1,913 975 190 (190) 310
当期純利益 1,096 2,203 3,004 2,674 2,024
総資産 632,258 590,598 590,437 602,991 662,593
民間セクター向け貸付ポートフォリオ 409,380 417,914 416,025 410,964 424,551
顧客からの預金 361,028 338,536 337,410 340,682 345,687
流動性カバレッジ比率 193 % 132 % 135 % 123 % 130 %
預貸率 1.12 1.22 1.22 1.21 1.22
不良債権 13,882 15,705 18,436 18,315 18,873
主要非財務データ
ネット・プロモーター・スコア(オランダ
56 61 57 53 36
の民間顧客)
ネット・プロモーター・スコア(オランダ
57 63 61 50 41
のプライベート・バンキング顧客)
ネット・プロモーター・スコア(オランダ
51 51 53 43 30
の法人顧客)
オンライン・サービスを積極利用している
65.6 64.0 61.8 - -
オランダの民間顧客(%)
オンライン・サービスを積極利用している
82.2 81.5 80.8 - -
オランダの法人顧客(%)
4
99.8 % 99.7 % 99.9 % 99.9 % 99.7 %
ネット・バンキングの使用率
4
99.8 % 99.6 % 99.9 % 99.9 % 99.7 %
モバイル・バンキングの使用率
4
99.9 % 99.7 % 99.8 % - -
iDEAL の使用率
5
持続可能な融資総額 52,278 46,607 17,377 -
44,583
6
72.6 71.5 70.8 69.5 66.1
レップトラック・パルス・スコア
11/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
加盟者のエンゲージメント・スコア 52 % 49 % 45 % - -
コミュニティー・ファンドおよび寄付 42.5 45.4 48.8 45.5 43.3
従業員エンゲージメント・スキャン 69 64 61 - -
多様性:オランダ国内の従業員の女性比率 49 % 51 % 52 % - -
オランダ国内の長期欠勤率 3.4 % 4.3 % 4.3 % 4.0 % 3.6 %
格付
S&P グローバル・レーティング A+ A+ A+ A+ A+
ムーディーズ・インベスターズ・サービス Aa3 Aa3 Aa3 Aa2 Aa2
フィッチ・レーティングス A+ AA- AA- AA- AA-
DBRS AA AA AA AA AA
サステイナリティクスESGリスク格付
1 1 1 - -
(多角経営型銀行部門)
1 適格資本をリスク加重資産で除したもの。
2 CRR/CRD IVに規定の定義に基づき、Tier 1資本を当行のオン・バランスの総資産およびオフ・バランスの負債で除するこ
とにより算出される。
3 収益に対する費用の比率(賦課金を含む)は、営業費用合計(賦課金を含む)と収益合計の比率として計算される。
4 12ヶ月にわたり算出された平均使用率。
5 当行は様々なカテゴリーの持続可能な融資について、当行のポートフォリオ全体を評価した。利用可能データの不足によ
り、ホールセール・サステナブル・ローンについてはまだ評価を行うことができていない。そのため、当行は当該カテゴ
リーを持続可能な融資に係る当行のポートフォリオから除外することとした。当該立場から、2019年度末の値についても
1,417百万ユーロに相当する当該数値を減じている。
6 敬意、感心、好感度および信頼を数値化し感情的な結びつきを測る、レピュテーション・インスティチュートが測定およ
び決定する評判。
12/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2 【沿革】
ラボバンク・グループは、協同組合の原則を基本に運営されている、国際金融サービス提供者である。ラボバ
ンク・グループは発行会社およびその子会社により構成されている。ラボバンク・グループは40カ国で事業を展
開している。当グループの事業には、国内リテール・バンキング、ホールセール・バンキングおよび国際リテー
ル・バンキング、リース事業ならびに不動産事業が含まれている。当グループは世界中で約9.6百万の顧客に
サービスを提供している。当グループは、オランダにおいてはオランダ市場におけるラボバンク・グループの地
位を維持することに重点を置き、国際的には食品・農業分野に重点を置いている。ラボバンクの協同組合型構造
により、ラボバンク・グループのグループ事業体間には、強い結び付きがある。
ラボバンク・グループの協同組合事業の中核は、地方ラボバンクにより構成されている。顧客はラボバンク・
ウー・アー(ラボバンク)の加盟者になることができる。2020年12月31日現在、287店舗の支店を有する地方ラ
ボバンクは、オランダ国内で緻密な銀行ネットワークを形成している。地方ラボバンクは、オランダ国内におい
て約8.1百万の個人顧客および約0.8百万の法人顧客に対し、総合的な金融サービスを提供している。
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(ラボバンク)は、専門性を有するオランダ国内外の複数の子会社
の持株会社である。現在は、ラボバンクとして知られ、内部では「ホールセール・ルーラル・アンド・リテー
ル」と呼ばれるラボバンク・インターナショナルは、ラボバンク・グループのホールセール銀行および国際リ
テール銀行である。
従来、ラボバンク・グループは、主にオランダ国内市場の農業・園芸セクターへの貸付に従事してきた。1990
年代以降、ラボバンク・グループは、幅広い商業銀行業務およびその他の金融サービスをオランダ国内だけでな
く、国際的にも提供している。継続中のプログラムの一環として、ラボバンク・グループは、従来の貯蓄や住宅
ローンをベースとした事業者からオランダ国内外であらゆる種類の金融商品・サービスを提供する者へと多角化
を図るために、顧客が利用可能な商品・サービスの数量および種類を拡充してきた。当グループは、幅広い層の
個人顧客および法人顧客の双方に、国内リテール・バンキング、ホールセール・バンキングおよび国際リテー
ル・バンキング、リース事業、不動産事業および保険商品販売を主な内容とする総合的な金融サービスを提供し
ている。
日本における活動
当社は2000年5月に金融庁の認可を得て東京支店を設立し、同年8月7日に金融機関との間の国債等の売買業
務を主とした銀行業を開始した。2014年3月より、東京支店は、支店から駐在員事務所に変わり、主に、当行の
長期資金調達機会に関する市場調査を行っていた。当該駐在員事務所は、2019年7月31日に閉鎖された。
13/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
3 【事業の内容】
(1) ラボバンクについて
次へ
14/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
(2) 当行の中核的事業
国内リテール・バンキング
要旨
オランダにおいて、国内リテール・バンキング(DRB)は、住宅ローン市場における融資ならびに貯蓄、支払い、
投資および保険の商品およびサービスの提供について主導的地位にある市場参加者である。また、DRBは、SMEおよ
び食品・農業市場における市場リーダーでもある。2020年度において、収益は低金利環境により抑制され、結果と
して純受取利息は12%減少した。営業費用は3%の減少となった。人件費は、デジタル化およびサービスの集中化
による減少がCDDおよび取引監視のための追加の人材雇用で部分的に相殺されたことにより、前年度より4%減少
した。COVID-19は金融資産に係る減損費用に好影響をもたらし、467百万ユーロ増加した。2020年度中の顧客から
の預金は26.3十億ユーロの大幅な増加となった一方で、民間セクター向け貸付ポートフォリオは変化しないままで
あった。当行の住宅ローン・ポートフォリオは、新たな住宅ローンの申し込み増加により返済金が相殺されたこと
により188.8十億ユーロで引続き安定し、SME貸付ポートフォリオは80.6十億ユーロで安定していた。
15/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
財務業績
業績
2020 年 2019 年
単位:百万ユーロ 増減率
12 月31日 12 月31日
純受取利息 4,615 5,258 -12 %
純受取手数料 1,314 1,340 -2 %
その他収益 30 67 -55 %
収益合計 5,959 6,665 -11 %
人件費 2,633 2,738 -4 %
その他一般管理費 1,014 1,027 -1 %
減価償却費および償却費 82 95 -14 %
営業費用合計 3,729 3,860 -3 %
総利益 2,230 2,805 -20 %
金融資産に係る減損費用 619 152 307 %
賦課金 312 270 16 %
税引前営業利益 1,299 2,383 -45 %
法人税等 328 607 -46 %
当期純利益 971 1,776 -45 %
金融資産に係る減損費用(単位:ベーシスポイント) 23 6
比率
収益に対する費用の比率(賦課金を含む) 67.8 % 62.0 %
基礎的な収益に対する費用の比率(賦課金を含む) 67.3 % 60.5 %
貸借対照表 (単位:十億ユーロ)
外部資産 275.0 275.9 0 %
民間セクター向け貸付ポートフォリオ 271.3 271.2 0 %
顧客からの預金 279.4 253.1 10 %
内部従業員数(単位:常勤換算従業員数) 20,317 19,913 2 %
外部従業員数(単位:常勤換算従業員数) 5,963 6,976 -15 %
総従業員数(単位:常勤換算従業員数) 26,280 26,889 -2 %
16/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
財務業績に関する注記
税引前基礎的営業利益の変動
2020 年 2019 年
単位:百万ユーロ
12 月31日 12 月31日
収益 5,959 6,665
営業費用 3,729 3,860
事業再構築費用 46 57
費用に対する調整
デリバティブ枠組み -18 40
基礎的費用 3,701 3,763
金融資産に係る減損費用 619 152
賦課金 312 270
税引前営業利益 1,299 2,383
合計調整額 28 97
税引前基礎的営業利益 1,327 2,480
基礎的な業績:46%減
DRB の2020年度の基礎的な業績は減少した。税引前基礎的営業利益は、2019年度の2,480百万ユーロに対し1,327
百万ユーロとなった。 かかる税引前基礎的利益を算出するに当たり、当行は事業再構築費用および金利デリバティ
ブ枠組みに関する額につき修正を行った。収益は706百万ユーロ減少し、また、基礎的営業費用は62百万ユーロ減
少した。COVID-19パンデミックにより、金融資産に係る減損費用は増加し619百万ユーロとなり、純利益を抑制し
た。
収益:11%減
収益合計は5,959百万ユーロ(2019年度:6,665百万ユーロ)に減少した。 低金利環境により預金および当座預金
に関してマージンが引続き縮小したことにより、主に純受取利息が圧力を受けた。 純受取利息合計の4,615百万
ユーロ(2019年度:5,258百万ユーロ)は、12%の減少となった。純受取手数料は決済サービスに係る収益の低下
を主な原因として前年度からやや減少し、1,314百万ユーロ(2019年度:1,340百万ユーロ)となった。その他収益
は、主に2019年度のその他収益がラボバンクの住宅ローン・ポートフォリオの株式売却によりプラスの影響を受け
ていたことが要因となり、30百万ユーロ(2019年度:67百万ユーロ)まで減少した。
17/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
営業費用:3%減
営業費用合計は、3,729百万ユーロ(2019年度:3,860百万ユーロ)まで減少した。サービスの集中化およびデジ
タル化により人員の平均規模が2019年度よりも縮小したため、人件費は2,633百万ユーロ(2019年度:2,738百万
ユーロ)まで減少した。ただし、この減少はCDDおよび取引監視のための追加の人員雇用により部分的に相殺され
た。その他一般管理費は、1,014百万ユーロ(2019年度:1,027百万ユーロ)とわずかに減少し、2020年度における
軽減税率の好影響を受けた。さらに、金利デリバティブ枠組みに関連した費用は前年度同時期中と比較して減少し
たほか、事業再構築費用も減少して合計46百万ユーロ(2019年度:57百万ユーロ)となった。自行の使用する不動
産の評価見直しは、費用に対し42百万ユーロの好影響をもたらした。これは、2019年度においては、その他一般管
理費に対し60百万ユーロの悪影響を及ぼしていた。また、その他一般管理費は当行のデータセンターについての追
加の減損により、悪影響を受けた。減価償却費および償却費は、不動産数が減少したこともあり、82百万ユーロ
(2019年度:95百万ユーロ)まで減少した。
金融資産に係る減損費用は増加
COVID-19 パンデミックによりオランダにおける経済状況が悪化したため、2020年度中の金融資産に係る減損費用
は増加した。 金融資産に係る減損費用は、619百万ユーロ(2019年度:152百万ユーロ)となった。これは、長期平
均の18ベーシスポイントを上回る、平均民間セクター向け貸付ポートフォリオの23ベーシスポイント(2019年度:
6ベーシスポイント)に換算される。
貸付ポートフォリオは安定
2020 年度中、地方ラボバンクおよびオプフィオンにおける顧客の追加住宅ローン返済額、すなわち、強制返済に
追加して支払われた金額は、合計約22.6十億ユーロ(2019年度:19.5十億ユーロ)となった。当該追加返済額のう
ち4.1十億ユーロ(2019年度:3.7十億ユーロ)は部分返済に関連するものであり、18.5十億ユーロ(2019年度:
15.8十億ユーロ) の一部は顧客の転居を理由とした 住宅ローンの完済によるものであった。2020年12月31日現在、
当行の住宅ローン貸付ポートフォリオの合計額は188.8十億ユーロ(2019年度:187.7十億ユーロ)となった。当該
数値には、31.0十億ユーロ(2019年度:29.7十億ユーロ)の価値があるオプフィオンの貸付ポートフォリオが含ま
れる。DRBのポートフォリオ(法人向け貸付を含む。)の合計は、271.3十億ユーロ(2019年度:271.2十億ユー
ロ) で引続き安定し 、SMEポートフォリオの合計額は現在、80.6十億ユーロ(2019年度:81.4十億ユーロ)となっ
ている。
セクター別貸付ポートフォリオ
単位:十億ユーロ 2020 年 12月31日 2019 年 12月31日
民間個人顧客に対する貸付額 190.6 189.7
商業・工業・サービス業に対する貸付額 51.0 51.8
食品・農業に対する貸付額 29.6 29.7
民間セクター向け貸付ポートフォリオ合計 271.3 271.2
18/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
住宅ローン貸付 ポートフォリオ
オランダの住宅ローン市場におけるラボバンクのシェアは、2020年度において新規に組まれた住宅ローンの
22.0%(2019年度:20.9%)まで増加した。地方ラボバンクの市場シェアは15.7%(2019年度:15.5%)にまでや
や増加し、オプフィオンの市場シェアは5.0%(2019年度:5.4%)まで減少し、またVistaの市場シェアは1.3%と
なった。COVID-19の流行にもかかわらず、ラボバンクの住宅ローン貸付ポートフォリオの質は高い水準に維持され
た。2020年度上半期における減損の純増額の上昇は、主に経済の展望が悪化したことによるものである。しかしな
がら、2020年度下半期中、マクロ経済シナリオの結果は想定していたほどネガティブな結果とはならず、実際に発
生した債務不履行は支払い猶予および政府の救済措置により想定よりも少なかった。この結果、純増額は年度末に
は大幅に減少した。実際の不良債権は、1年を通して依然として減少傾向にあり、住宅ローン・ポートフォリオの
0.66%を占めた。全国住宅ローン保証スキーム(ナショナール・ヒポテークガランシー(NHG))が支援する融資
は、17.5%(2019年度:18.7%)まで減少した。2020年12月31日現在、住宅ローン・ポートフォリオの加重平均指
数化されたローン・トゥー・バリュー(LTV)は57%(2019年度:60%)となった。
住宅ローン
単位:百万ユーロ 2020 年 12月31日 2019 年 12月31日
住宅ローン貸付ポートフォリオ 188,761 187,671
加重平均LTV 57 % 60 %
不良債権(金額) 1,253 1,609
不良債権(住宅ローン貸付ポートフォリオ合計に占める割合) 0.66 % 0.86 %
90 日超の支払い遅延 0.12 % 0.21 %
NHG ポートフォリオのシェア 17.5 % 18.7 %
金融資産における貸倒引当金 153 198
不良債権に基づくカバー率 7 % 7 %
純増額 -13 16
純増額(ベーシスポイント) -1 1
評価減 27 32
19/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
顧客からの預金:26十億ユーロ増加
オランダの民間貯蓄性預金市場は、 COVID-19 パンデミックを受けた個人消費の減少 により、2020年12月31日現
在、6%成長して390.0十億ユーロ(2019年度:368.2十億ユーロ)となった。当行の市場シェアは33.9%(2019年
度:33.0%)となった。顧客からの預金は10%増加して279.4十億ユーロ(2019年度:253.1十億ユーロ)となっ
た。DRBに預金された個人貯蓄性預金は11.1十億ユーロ増加し、134.8十億ユーロ(2019年度:123.7十億ユーロ)
となった。顧客からのその他の預金は、主に当座預金口座が増加した結果15.2十億ユーロ増加し、144.6十億ユー
ロとなった。
ホールセール・アンド・ルーラル
要旨
ホールセール・アンド・ルーラル(W&R)部門は、 オランダ&アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリ
ア&ニュージーランド、ヨーロッパおよびアジアという、6つの領域で活動している。当行のバンキング・
フォー・フードおよびバンキング・フォー・ザ・ネザーランド戦略は、W&Rポートフォリオの原動力である。以前
はホールセール・ルーラル・アンド・リテール(WRR)として知られていたこの部門は、過去数年間にわたるリ
テール活動における戦略の変更(特にRNA(北アメリカ)、ACC(アイルランド)およびRII(インドネシア)の売
却)を反映するため、現在はW&Rと呼ばれている。2020年度におけるW&Rの業績は、16百万ユーロまで減少した当
期純利益の動向が示すとおり、大幅に減少した。金融資産に係る減損費用は、COVID-19パンデミックにより2 72百
万ユーロと大幅に増加した。収益は、手数料の減少およびポジティブな評価見直しがなされなかったことが原因の
一部となり、低下した。2020年度の業績もまた、売却されたリテール活動(主にRNA)の数字が本事業分野の業績
に今年度の大半の間影響を残していたことから、低下した。
20/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
財務業績
業績
2020 年 2019 年
単位:百万ユーロ 増減率
12 月31日 12 月31日
純受取利息 2,197 2,431 -10 %
純受取手数料 361 458 -21 %
その他収益 164 766 -79 %
収益合計 2,722 3,655 -26 %
人件費 1,243 1,402 -11 %
その他一般管理費 224 481 -53 %
減価償却費および償却費 90 83 8 %
営業費用合計 1,557 1,966 -21 %
総利益 1,165 1,689 -31 %
金融資産に係る減損費用 883 611 45 %
賦課金 149 140 6 %
税引前営業利益 133 938 -86 %
法人税等 117 260 -55 %
当期純利益 16 678 -98 %
金融資産に係る減損費用(単位:ベーシスポイント) 81 55
比率
収益に対する費用の比率(賦課金を含む) 62.7 % 57.6 %
基礎的な収益に対する費用の比率(賦課金を含む) 61.3 % 63.0 %
貸借対照表 (単位:十億ユーロ)
外部資産 135.5 137.1 -1 %
民間セクター向け貸付ポートフォリオ 105.9 112.4 -6 %
内部従業員数(単位:常勤換算従業員数) 8,256 8,269 0 %
外部従業員数(単位:常勤換算従業員数) 1,407 1,628 -14 %
総従業員数(単位:常勤換算従業員数) 9,663 9,897 -2 %
21/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
財務業績に関する注記
税引前基礎的利益の変動
2020 年 2019 年
単位:百万ユーロ
12 月31日 12 月31日
収益 2,722 3,655
公正価値項目 48 0
収益に対する調整
RNA の売却 0 -372
基礎的収益 2,770 3,283
営業費用 1,557 1,966
事業再構築費用 7 7
費用に対する調整
RNA の売却 0 30
基礎的費用 1,550 1,929
金融資産に係る減損費用 883 611
賦課金 149 140
税引前営業利益 133 938
合計調整額 55 -335
税引前基礎的営業利益 188 603
COVID-19 が基礎的な業績に影響を及ぼした
税引前基礎的営業利益は、2019年度の603百万ユーロに対し188百万ユーロとなった。当該計算には、公正価値項
目、RNAの売却に係る帳簿上利益および事業再構築費用に係る修正が含まれている。基礎的収益合計は16%減少
し、基礎的営業費用は20%減少した。主にCOVID-19パンデミックにより生じた、金融資産に係る減損費用の大幅な
増加は、利益にマイナスの影響を及ぼした。
収益:26%減
リテール活動の売却を主な要因として、収益合計は2,722百万ユーロ(2019年度:3,655百万ユーロ)まで減少
し、純受取利息は2,197百万ユーロ(2019年度:2,431百万ユーロ)まで減少した。当該減少は、商業マージンの高
さによって抑制された。純受取利息は、RNAの売却を調整すると4%の上昇であった。また、純受取利息は、ホー
ルセール部門およびルーラル部門の両者において増加した。ホールセール部門では、純受取利息の増加はアセッ
ト・ベース・ファイナンスにおいて特に顕著だった。当行の預金フランチャイズであるラボ・ディレクトにおい
て、純受取利息は減少した。COVID-19に起因して手数料が減少したことにより、純受取手数料は361百万ユーロ
(2019年度:458百万ユーロ)まで減少し、これはキャピタル・マーケッツ事業、コモディティ・ファイナンス事
業およびコーポレート・ファイナンス事業に影響を及ぼした。その他収益は、2019年度における当行のリテール活
動の売却に係る帳簿上利益、当行の法人投資部門においてポジティブな評価見直しがなされなかったことおよび当
行のマーケッツ部門における低収益を主な原因として、164百万ユーロ(2019年度:766百万ユーロ)まで減少し
た。
22/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
営業費用:21%減
営業費用は1,557百万ユーロ(2019年度:1,966百万ユーロ)となった。W&Rにおける従業員数は2%減少した。
かかる従業員数の減少は、インドネシアにおけるリテール活動の売却によってその大半の説明が可能である。従業
員の減少は、ルーラルにおける成長イニシアチブならびにインフラストラクチャーおよびコンプライアンスに係る
構造上の投資に関連した人員の追加によって部分的に相殺された。人件費は前年度と比べ11%減少し、1,243百万
ユーロ(2019年度:1,402百万ユーロ)となった。変動収入の減少のほか、COVID-19パンデミックによる宿泊交通
費の減少が、当該減少に寄与した。その他一般管理費は、224百万ユーロ(2019年度:481百万ユーロ)まで減少し
たが、これは軽減税率によるプラスの影響を受けた。当行のデータセンターに関する追加の減損は、その他一般管
理費にプラスの影響をもたらした。オランダおよびオーストラリアにおける減価償却費の増加により、減価償却費
および償却費は90百万ユーロ(2019年度:83百万ユーロ)までやや増加した。
金融資産に係る減損費用:272百万ユーロ増
金融資産に係る減損費用は、2020年度において883百万ユーロ(2019年度:611百万ユーロ)まで大幅に増加し、
これにはCOVID-19の影響が反映されている。減損の少なさが特徴的であった期間を経て、2018年度上半期から、減
損の増加は続いている。かかる増加はCOVID-19の流行によって加速した。ステージ1およびステージ2の減損につ
いて大幅な増加が見られた一方、ステージ3の減損の増加は、部分的にトレード・アンド・コモディティ・ファイ
ナンス部門に関連したものだった。金融資産に係る減損費用合計は、長期平均の47ベーシスポイントを上回り、平
均民間セクター向け貸付ポートフォリオの81ベーシスポイント(2019年度:55ベーシスポイント)となった。
貸付ポートフォリオ:6%減
2020 年度中、W&Rの民間セクター向け貸付ポートフォリオ合計は、105.9十億ユーロ(2019年度:112.4十億ユー
ロ)まで減少した。当該減少は、主に外国為替による影響に起因している。外国為替による影響に係る修正を考慮
すると、ポートフォリオは約2.1十億ユーロ減少したことになる。食品・農業セクターへの貸付高は64.1十億ユー
ロ(2019年度:71.2十億ユーロ)まで減少し、W&Rの合計貸付ポートフォリオの61%(2019年度:63%)を占め
た。商業・工業・サービス業(TIS)セクター向けの貸付は、41.1十億ユーロ(2019年度:40.4十億ユーロ)とわ
ずかに増加した。
オランダおよび国際ホールセール
ホールセール・ポートフォリオは、合計73.2十億ユーロ(2019年度:76.8十億ユーロ)となった。外国為替によ
る影響を除いた場合、ホールセール・ポートフォリオは約0.4十億ユーロ減少した。2020年度中、オランダの最大
規模の企業への貸付は、22.3十億ユーロ(2019年度:20.3十億ユーロ)まで増加した。オランダ国外の顧客に提供
されたホールセール貸付ポートフォリオの規模は、2020年12月31日時点において51.0十億ユーロ(2019年度:56.5
十億ユーロ)であった。
23/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
国際ルーラル・バンキング
ルーラル顧客に対する貸付は、32.7十億ユーロ(2019年度:35.6十億ユーロ)に達した。外国為替による影響を
除いた場合、ルーラル・ポートフォリオは約0.7十億ユーロ減少した。ルーラル・バンキングの主な市場は、オー
ストラリア、ニュージーランド、米国およびブラジルであり、当行はまた、チリ、ペルーおよびアルゼンチンでも
活動している。貸付ポートフォリオは、オーストラリアで10.9十億ユーロ(2019年度:11.0十億ユーロ)、ニュー
ジーランドで7.0十億ユーロ(2019年度:6.9十億ユーロ)、米国で10.8十億ユーロ(2019年度:13.0十億ユー
ロ)、ブラジルで3.0十億ユーロ(2019年度:3.6十億ユーロ)ならびにチリ、ペルーおよびアルゼンチンは合計で
0.9十億ユーロ(2019年度:1.0十億ユーロ)となった。
ラボ・ディレクトにおける預金:4%減
当行のオンライン貯蓄性預金銀行であるラボ・ディレクトは、ベルギー、ドイツ、オーストラリアおよびニュー
ジーランドで稼働している。顧客がラボ・ディレクトに預ける預金は、国際ルーラル・バンキング事業およびその
他の部門への資金提供に利用されている。ラボ・ディレクトの貯蓄性預金残高は、2020年12月31日現在、25.0十億
ユーロ(2019年度:26.0十億ユーロ)まで減少した。オンライン貯蓄性預金銀行の顧客数は、約685,000人(2019
年度:690,000人)となりわずかに減少した。
次へ
24/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
リース事業
要旨
世界的なアセット・ファイナンス法人として、当行のリース子会社であるDLLは、事業者に対して設備、テクノ
ロジーおよびソフトウェアへのより良いアクセスを提供できるよう、設備製造業者、ディーラーおよび販売業者
だけでなく、エンドユーザー顧客とも直接的に提携している。DLLは、30カ国を超える国において、農業、食
品、医療、クリーン・テクノロジー、建設、輸送、工業、事務設備および技術産業に対して金融ソリューション
を提供している。DLLの純利益における49%の減少は、COVID-19パンデミックによるマイナスの影響の結果とし
ての金融資産に係る減損費用の増加およびのれんの減損に、全面的に起因している。COVID-19の感染拡大を抑止
するために多くの政府によって実施されたロックダウンの影響をはじめとして、困難な市況であったにもかかわ
らず、リース・ポートフォリオは、2019年度と比較して2%の増加(為替変動を除く。)となった。2020年12月
31日時点で、ポートフォリオのうち食品・農業が占める割合は14.7十億ユーロ(2019年度:14.5十億ユーロ)に
達し、DLLのポートフォリオの42%(2019年度:40%)を占めている。
25/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
財務業績
業績
2019年
2020年
単位:百万ユーロ 増減率
12月31日 12月31日
純受取利息 1,100 1,052 5%
純受取手数料 106 124 -15%
その他収益 292 255 15%
収益合計 1,498 1,431 5%
人件費 537 536 0%
その他一般管理費 200 174 15%
減価償却費および償却費 27 28 -4%
営業費用合計 764 738 4%
総利益 734 693 6%
のれんの減損損失 70 0
金融資産に係る減損費用 410 214 92%
賦課金 29 26 12%
税引前営業利益 225 453 -50%
法人税等 61 131 -53%
当期純利益 164 322 -49%
金融資産に係る減損費用(単位:ベーシスポイント) 127 67
比率
収益に対する費用の比率(賦課金を含む) 52.9% 53.4%
基礎的な収益に対する費用の比率(賦課金を含む) 52.3% 53.5%
貸借対照表 2020年 2019年
単位:十億ユーロ 12月31日 12月31日
リース・ポートフォリオ 34.9 36.2 -4%
内部従業員数(単位:常勤換算従業員数) 5,168 4,877 6%
外部従業員数(単位:常勤換算従業員数) 341 426 -20%
合計従業員数(単位:常勤換算従業員数) 5,509 5,303 4%
26/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
財務業績に関する注記
税引前基礎的利益の変動
単位:百万ユーロ 2020年12月31日 2019年12月31日
収益 1,498 1,431
営業費用 764 738
費用に対する調整 事業再構築費用 10 -1
基礎的費用 754 739
のれんの減損損失 70 0
金融資産に係る減損費用 410 214
賦課金 29 26
税引前営業利益 225 453
合計調整額 10 -1
税引前基礎的営業利益 235 452
収益:5%増
2020 年度、リース部門の収益合計は、5%増加し1,498百万ユーロ(2019年度:1,431百万ユーロ)となった。
COVID-19パンデミックに関連して市場リスクが増加したことを反映するためにリース価格が引き上げられたこと
によるマージンの改善を主な要因として、純受取利息は5%増加し1,100百万ユーロ(2019年度:1,052百万ユー
ロ)となった。純受取手数料は、106百万ユーロ(2019年度:124百万ユーロ)まで減少した。これは主に、
COVID-19パンデミックにより生じたシンジケート活動の落ち込みの結果である。その他収益は主にオペレーティ
ング・リースによる収益およびリースが終了した資産の売却から構成され、292百万ユーロ(2019年度:255百万
ユーロ)まで増加した。
営業費用:4%増
リース部門の営業費用合計は、764百万ユーロ(2019年度:738百万ユーロ)となった。COVID-19パンデミック
により生じた顧客ニーズに対応するため、従業員数が増加したにもかかわらず、人件費は537百万ユーロ(2019
年度:536百万ユーロ)で引続き安定していた。2020年度中、リース部門における従業員数は、常勤換算従業員
にして206人増加し5,509人となった。交通費、住宅手当および変動給与の減少により人件費は減少方向の影響を
受けた。リース資産の回収および回復に関連した追加費用の影響で、その他一般管理費は、200百万ユーロ
(2019年度:174百万ユーロ)まで増加した。減価償却費および償却費合計は、27百万ユーロ(2019年度:28百
万ユーロ)で安定していた。
27/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
のれんの減損損失
市況および経済の見通しが悪化したことにより、DLLはその子会社の一つについて70百万ユーロののれんを減
損処理した。当該減損処理後、貸借対照表においてリース子会社に関連するのれんは存在しない。
金融資産に係る減損費用は増加
COVID-19 パンデミックはリース部門における金融資産に係る減損費用を増加させる要因となり、これは410百
万ユーロ(2019年度:214百万ユーロ)まで増加した。またこれは、平均貸付ポートフォリオの127ベーシスポイ
ント(2019年度:67ベーシスポイント)に一致し、DLLの長期平均の49ベーシスポイントを上回っている。
COVID-19パンデミックを抑制するために世界中の政府によって講じられた措置もまた、DLLのベンダーおよび顧
客に対して影響を及ぼした。DLLは、支払い救済策を必要な場合に提供することによって顧客を引続き手助けし
ている。それでもなお、減損は増加した。ステージ1およびステージ2の減損により減損合計は増加し、これは
いくつかのDLLの主要市場におけるマクロ経済の展望に関連したものであった。ステージ1およびステージ2の
減損は、190百万ユーロ(2019年度:43百万ユーロ)に達した。
法人税等:53%減
リース部門の法人税等は、税引前営業利益の減少の結果、131百万ユーロから61百万ユーロまで減少した。
リース・ポートフォリオ:4%減
リース・ポートフォリオは、34.9十億ユーロ(2019年度:36.2十億ユーロ)まで減少した。当該減少は、完全
に外国為替相場の変動によるものである。外国為替による影響を除いた場合、リース・ポートフォリオは2019年
度と比較して2%の増加となった。2020年度中、食品・農業のポートフォリオにおけるシェアは、14.7十億ユー
ロ(2019年度:14.5十億ユーロ)まで増加し、DLLポートフォリオの42%(2019年度:40%)を占めている。
前へ 次へ
28/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
不動産開発
要旨
不動産開発部門は、主にバウフォンツ・プロパティ・ディベロップメント(BPD)の事業活動によって構成され
ており、これはオランダおよびドイツにおいて活動している。COVID-19パンデミックは部門業績に大きな影響を
及ぼさなかった。BPDの商業的業績は、オランダおよびドイツにおける住宅売却数が増加したことにより、2019
年度と比較してわずかに増加した。2018年度以降、バウフォンツ・インベストメント・マネジメント(BIM)に
よる事業活動は段階的に停止されたため、部門業績のごく一部しか構成していない。
29/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
財務業績
業績
2019年
2020年
単位:百万ユーロ 増減率
12月31日
12月31日
純受取利息 -16 -10 60%
純受取手数料 1 8 -88%
その他収益 309 308 0%
収益合計 294 306 -4%
人件費 91 84 8%
その他一般管理費 32 40 -20%
減価償却費および償却費 9 7 29%
営業費用合計 132 131 1%
総利益 162 175 -7%
金融資産に係る減損費用 1 2 -50%
賦課金 1 2 -50%
税引前営業利益 160 171 -6%
法人税等 45 40 13%
当期純利益 115 131 -12%
BPD 120 116 3%
比率
収益に対する費用の比率(賦課金を含む) 45.2% 43.5%
基礎的な収益に対する費用の比率(賦課金を含む) 45.2% 43.1%
貸借対照表
住宅売却数 8,901 6,471 38%
単位:十億ユーロ
民間セクター向け貸付ポートフォリオ 0.1 0.3 -54%
内部従業員数(単位:常勤換算従業員数) 655 605 8%
外部従業員数(単位:常勤換算従業員数) 93 96 -3%
合計従業員数(単位:常勤換算従業員数) 748 701 7%
30/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
財務業績に関する注記
税引前基礎的営業利益の変動
単位:百万ユーロ 2020年12月31日 2019年12月31日
収益 294 306
営業費用 132 131
費用に対する調整 事業再構築費用 0 1
基礎的費用 132 130
金融資産に係る減損費用 1 2
賦課金 1 2
税引前営業利益 160 171
合計調整額 0 1
税引前基礎的利益 160 172
収益:4%減
不動産開発部門の収益合計は、バウフォンツ・インベストメント・マネジメントによる事業活動が段階的に停
止されていることを主な要因として、294百万ユーロ(2019年度:306百万ユーロ)まで減少した。住宅売却数が
増加したことにより、2020年度におけるBDPの収益は2019年度より増加した。
営業費用:1%増
営業費用合計は、132百万ユーロ(2019年度:131百万ユーロ)まで増加した。2020年12月31日時点で、従業員
数が7%増加し常勤換算従業員数にして748人となったことにより、人件費は2019年度中と比較して7百万ユー
ロ増加し、合計91百万ユーロ(2019年度:84百万ユーロ)となった。その他一般管理費は、事業の段階的な停止
により32百万ユーロ(2019年度:40百万ユーロ)まで減少した。減価償却費および償却費はやや増加して9百万
ユーロ(2019年度:7百万ユーロ)となった。
住宅用不動産の取引軒数は増加した
BPD による住宅用不動産の取引軒数は、38%増加し8,901件(2019年度:6,471件)となった。当該合計には、
2020年度におけるBPDウォーニングフォンツに対するBPD取引のうち781件が含まれている。COVID-19の影響は限
定的であった。オランダにおいてBPDは6,375件(2019年度:4,485件)の住宅を売却し、ドイツにおける取引軒
数の合計は2,526件(2019年度:1,986件)となった。
前へ 次へ
31/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
(3) 優れた顧客重視
32/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
優れた顧客重視
COVID-19 パンデミックは、当行の顧客および当行に多大な影響を及ぼした。当行は、これまでに合
計約87,000の顧客(8,000の個人顧客および79,000の法人顧客)に対して臨時の財政支援を提供した。
COVID-19危機は、様々な側面で当行の顧客および全ての従業員に影響を与えており、時には深刻かつ
広範囲に影響を及ぼしている。当行のミッションである「Growing a Better World Together(一体と
なってより良い世界を作る)」を指針として、当行は厳しい時代の中で顧客を支援し、従業員の福利
厚生に引続き注力している。当行がコミュニティに対して提供できる最大の支援は、当行の顧客およ
び従業員が新たな現実に適応できるよう手助けし、それを通じて経済を支えることである。
2020 年度のパンデミックの中で、顧客の期待は急速に変化した。当行は新たな現実に適応することに成功し、
主にデジタルチャネルを通じて顧客へのサービス提供を継続している。加えて当行は、例えばローンの分割払い
や返済を猶予し、リース料の支払いを猶予し、また支払延滞による住宅の競売処分を実施しないといった措置を
通じて、当行の顧客に対して臨時の財政支援を提供した。さらに、オランダ政府およびイギリス政府は、COVID-
19関連の給付金が受取人に正しく給付されたことを検証できるよう受取人の身元を確認するため、当行のシュア
ペイ(Surepay)サービスを利用した。
当行は、当行の研究部門が提供するナレッジおよび洞察力を活用して顧客をサポートした。例えば当行は、顧
客に対する食品・農業ナレッジのデジタルでの提供を倍増させた。当行はまた、このナレッジをリスク管理のた
めにも活用した。当行の食品・農業研究(FAR)ポッドキャストは450,000回ダウンロードされた。また、このナ
レッジは、当行が世界のいくつかの地域で開催した、顧客グループとのバーチャルミーティングや、(バーチャ
ル)顧客助言委員会でも共有された。これらの機会において、顧客はこの危機への対応経験を共有し、互いに学
び合うことができた。86の助言メンバーで構成されるオランダ国内の定期的な会合に加えて、当行は世界中で50
を超える助言委員会および顧客委員会の会合を開催した。
異例の事態にあって、当行のオンラインチャネルを利用する顧客はさらに増加した。民間顧客のうち65.6%、
また、法人顧客のうち82.2%がオンラインで活動している。当行は、オンラインのクレジット・プラットフォー
ムであるデジタル・レンディング・ストリートを速やかに展開することに成功し、これにより、SME顧客からの
申請に対して、この危機を乗り越えられるよう手助けするため、迅速かつ自動的に応答できる仕組みを確立する
ことができた。数週間のうちに、住宅ローンの相談はオンラインで行うことが通例となった。このような顧客の
行動の変化に対応するため、当行はオランダにおける経営モデル(オランダ語では通称「バンキーレン3.5」)
をさらに最適化することを決めた。オランダのリテール領域における最適化の次の段階は、2021年度上半期に実
施される。当行は、顧客ニーズ、顧客動向および顧客価値に合わせて顧客サービスの調整を行う。実務において
当行の従業員は、食糧の転換、気候変動、より持続可能なエネルギー供給と消費への転換、そしてより受容性の
ある社会への転換における変化を推進するため、地域環境の中で複数の専門分野にわたるチームで取り組む。
33/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ジレンマ:誰を支援するか
個人や法人がCOVID-19危機を乗り切れるよう、例えばローンの支払いの延滞を認めることによって、政府と
銀行は協力して支援を行っている。
しかし、このような支援が、COVID-19が発生しなければ財務的健全性を保っていたであろう事業が破綻しな
いようにするために役立っているだけでなく、COVID-19が発生しなければ破綻していたであろう企業を存続さ
せるために使われているのかどうか、どのようにして判断できるだろうか。銀行はこのようないわゆるゾンビ
企業をどれくらいの間、支援し続けることができるだろうか。当行はどのようにして、一方の当事者には支援
を行い、他方の当事者には支援を行わないかを決めるのだろうか。企業経済指標をもとに各企業を個別に判断
するだけで十分なのだろうか。それともより長期的に、セクター全体の財政的な実行可能性を判断した方がい
いのだろうか。しかし、こんなにも多くの人が1つのセクターの中で雇用されているにもかかわらず、銀行と
してそのような人々を見捨ててもよいものだろうか。それとも当行は、業績が悪化しているセクターに変化を
求めるべきだろうか。
今のところ、当行はこのジレンマに対する答えを持ち合わせていない。当行の研究部門では、当行のミッ
ションや利害関係者の利益を見失わずに最適な選択ができるようなシナリオを作成している。
COVID-19 のロックダウンにより、POSターミナルの取引は減少した。同時に、iDEAL取引は33.1%(2019年度:
29.5%)増加した。当行は、iDEALの稼働時間のスコアを99.9%、インターネットとモバイル・バンキングにつ
いては99.8%で維持することができた。このような異例の事態にあって、オランダ国内の民間顧客の顧客満足度
(ネット・プロモーター・スコアまたはNPSと呼ばれる。)は、2019年度の61から56へとわずかに低下した。法
人顧客のNPSは51と引続き安定していた。ホールセール・アンド・ルーラルの顧客の評価は依然として高い状態
だった。当行の評価スコアは、2019年度の71.5から2020年度の72.6まで上昇した。
イノベーション
当行は、オランダで決済のトークン化を促進した最初の銀行である。これは、トークン化のコンセプトを社会
に広める上での大きな一歩である。トークン化は、有形資産および無形資産に新たな可能性をもたらしている。
当行は、ユーザーが新型コロナウイルスの検査やワクチン接種を受けたことを示すことができるアプリを開発
するため、オランダの企業、大学、TNOおよびオランダ・ブロックチェーン連合のコンソーシアムであるuNLock
に参加した。当行はまた、パスポート、運転免許証や所得計算書などの書類を保管できるデジタル金庫であるID
ウォレットを開発した。150百万ユーロの投資ファンドであるラボ・フロンティア・ベンチャーを通じて、当行
は英国のオンライン住宅ローンブローカーであるトラッセルや、アギラスのオンライン会計と簿記市場などに投
資を行った。
34/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
持続可能な食品
主導的立場にある世界的な食品・農業(F&A)銀行として、当行は、一様に人々および地球のための健康的
で、栄養価が高く、かつ持続可能な食品を十分に確保することに貢献できるようコミットしている。当行は、顧
客およびパートナーとともに、土地、水および生物多様性の保全、食品廃棄物の発生、資源の循環(オランダ語
ではクリングロープランドバウと呼ばれる。)、デジタル化、気候への影響の低減に取り組んでいる。ラボ食
品・農業イノベーション・ファンドを通じて、当行は、データ駆動型の授粉を通じて作物収量を増加させる
ビー・ヒーロー(BeeHero)など、持続可能な食糧生産への転換をさらに加速させられる企業に投資を行ってい
る。
オランダの農業セクターは経済および社会に大きく貢献しており、その効率的かつ革新的な実践は世界的にも
有名である。同時に、このセクターは重要な課題に直面している。このため、2020年度において当行は、2030年
度までのオランダにおける将来が保証された農業に関するビジョンを策定および公表した。このビジョンでは、
需要、市場、生物多様性、気候および循環性の変化に関する、将来のための推進力について検討した。当行は、
様々なシナリオに焦点を当て、より全般的な一連の措置ではなく、持続可能性と経済に関連する具体的かつ長期
的な目標に焦点を当てるべきであるという確信を得た。農業者が革新的かつ自然共生的なソリューションを用い
て長期的な目標を達成することができれば、彼らは、将来が保証され、持続可能かつ活動的なセクターとなるよ
う貢献することができる。また、当行は、COVID-19の影響に関する特別報告も行った。
当行のミッションは、大気中の二酸化炭素を削減し取り除くために農業者基盤を強化することで脱炭素化を促
進すること、また、企業や消費者が二酸化炭素排出量を削減し、気候変動に対処できるようにすることである。
2020年度において当行は、土壌を再生し、農業者の収入を増加させ、事業者に対して削減および補償制度を推進
する、カーボン・バンクと呼ばれる炭素クレジット生成プロジェクトの開発を開始した。当行は、より強い影響
をもたらし、経済と自然環境のバランスを取り戻せるようにするためには、エコシステムの構築が必要であると
考えている。当行は、地域に密着したアプローチで、顧客や利害関係者とともに地域全体のソリューションにも
取り組んでいる。例えば、ウェストラントでは、HOT連合(園芸改革)を通じて、将来が保証された園芸セク
ターに向けた革新に取り組んでいる。当行がこの連合に拠出した財源のうち、28.5百万ユーロが2020年度に発行
された。
当行は、ローン申請手続きの一環として、クライアント・フォトにより1百万ユーロ超のエクスポージャーを
有する顧客の持続可能性に係る業績を監視している。持続可能性に係るデータの予備的分析に基づき、当行の持
続可能性スコアと信用リスクの間にプラスの相関関係が見られた。当行のオランダの酪農業者のうち11%が、最
も持続可能性が高いカテゴリー(A)に分類されている。当行は顧客に対し、さらに高い持続可能性を目指した
転換を行うよう、積極的に働きかけている。
オランダにおける最大の農業セクターの一つとして、酪農セクターが挙げられる。これには、他の農業セク
ターと比較してかなりの経済的付加価値を有している。当行のオランダにおける酪農ポートフォリオは11.6十億
ユーロとなり、当行の食品・農業ポートフォリオの国内合計の29%を占めた。酪農における二酸化炭素換算1ト
ン当たりの付加価値の観点では、プラスの影響(生物多様性の回復、炭素隔離や貯水など)を加速させ、マイナ
スの影響をさらに低減しながら、現在のビジネス・モデルに取り入れるためには、まだ取り組まなければならな
い課題が残されている。
35/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
当行の食品・農業の貸付ポートフォリオ合計は、通貨変動により5.6%減少して105.4十億ユーロとなった。当
行の食品・農業チームは今年度、複数の歴史的取引に関与していた。企業が持続可能性を事業の中核に据えるの
を手助けするため、当行は、中国最大の食品加工会社に追跡可能な大豆の開発を支援するための画期的な持続可
能性に係る貸付を供与したほか、最も人気のあるヴィーガン企業の1つに燕麦飲料市場での成長を支援するため
の貸付を供与した。
当行は、国連環境計画、IDH(持続可能な貿易イニシアチブ)およびオランダ起業家開発銀行であるFMOと協働
している、ラボバンクのイニシアチブであるAGRI3ファンドへのコミットメントを拡大させた。AGRI3ファンド
は、新興市場における持続可能な農業や森林保護プロジェクトのための資金を利用できるようにすることを目的
としている。2020年度に設立されて以来、AGRI3ファンドは、事業基盤の確立を進めるとともに、南米(ブラジ
ル)とアジア(中国)における取引にも取り組んだ。ブラジルにおける取引は、森林の再移植、森林保護(2581
ヘクタール)、また、新たな土地を開墾することなく牛の集約化を可能にするための、劣化した牧草地の再生
(1200ヘクタール)について資金が供与された。かかる取引の目標は、ブラジルの厳格な森林法をより一層遵守
しつつ、収益性を高めることである。中国における取引は、重慶地域での持続可能な胡椒栽培に関連するもので
ある。この貸付により、資金へのアクセスおよび良質なインプットを提供することで、最大80,000の農業者が、
収量が低い作物からより収益性が高く持続可能な胡椒栽培に転換し、収入の改善につなげることができる。
持続可能な成長およびエネルギー供給
経済成長の追求にもマイナス面が存在する。天然資源が枯渇し、二酸化炭素排出量が増加し、気候変動が私た
ちの生活にますます影響を及ぼし続けている。収穫物が雹や干ばつによって破壊されるにつれて、気候変動がも
たらす明白な影響が増大している。当行は、地球温暖化を2℃以内に抑えることの重要性を確信している。これ
を達成するためには、今世紀後半のうちに世界の二酸化炭素排出量を実質ゼロにする必要がある。これは、私た
ち全員によるとてつもない努力を要する。当行は、パートナーとともにエネルギーに係る転換に取り組み、当行
の事業運営の持続可能性を今後も高めていく。しかし、顧客の持続可能性に係る目標の達成を手助けすること
が、当行にとって最大の貢献となる。当行がどのようにしてこれを達成するかについては、下記「第2 3
(4)意義ある協同組合」を参照のこと。
エネルギーに係る転換
私たちは、化石燃料の使用を減らし、太陽光、風力や水力といったクリーンで再生可能なエネルギー源に移行
しなければならない。また、エネルギーを節約し、より資源の循環を行い、廃棄物や残差流によるエネルギーを
活用する必要がある。エネルギー・セクターは、より気候中立的な社会への転換において重要な役割を果たすた
め、当行は、地熱エネルギーなどの革新的な技術に投資し、再生可能エネルギーに融資を行っている。
36/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
当行は、エネルジーケ・レギオと共同で、当該顧客の不動産がより持続可能なものとなるよう支援するため、
1,168のSME顧客にソーラーパネルに関するアドバイスを提供した。世界的に見て、当行は、55件のプロジェクト
および2,357百万ユーロのエクスポージャーを有する、再生可能エネルギーに関する融資者の上位10社にランク
インしており、オランダの市場においては主導的地位にある。また当行は、地域のエネルギープロジェクト
(ソーラーパネル、地熱エネルギーや風力タービン)に参加するよう顧客を促している。食品・農業セクターの
重要な融資者として、当行はオランダ国内の地中熱プロジェクト全てのかなり部分において関与している。当行
はまた、エネルギー協同組合の設立にも貢献している。米国においてラボ・アグリファイナンスは、持続可能性
の重要な2つの要素である、カーボン・フットプリントの削減および長期的な経済的利益の提供をもたらすテク
ノロジーに投資する畜産業者を支援している。ラボ・アグリファイナンスは、消化槽や太陽光エネルギーなどの
プロジェクトについて顧客を支援するための融資商品を開発した。より多くの米国の畜産業者にとって消化槽プ
ロジェクトが経済的なものになり得るよう、プログラムの実施を検討する米国州が増加している。
起業家および循環型経済のための持続可能な成長
企業がより持続可能となる手助けをするため、当行は単なる経済的な支援だけでなく、それ以上のものを提供
している。当行は、自らのナレッジおよびネットワークも共有している。より持続可能かつ循環型の経済への転
換を促進するため、当行は事業発展の異なる局面に対して解決策を提供している。また当行は、2020年度には、
オランダ国内の最も革新的で持続可能な企業に持続可能性革新賞(ドゥールザーメ・イノファーツィープライ
ス)授与した。当行は、オランダのSMEが事業の循環性を向上させる方法を学ぶサーキュラー・トラックをシル
コとともに開催した。当行は、オレンジ油などの需要の高い原材料を食品製造用に抽出するピール加工会社をは
じめとした、スタートアップやスケールアップ企業の循環型ビジネス・モデルへの融資(2020年度:200百万
ユーロ)に貢献することにより、サーキュラー・ビジネス・デスクを通じて戦略的な課題を抱える起業家を支援
した。
持続可能な商品およびサービス
当行は、ラボ・インパクト・ローン(2020年度:163百万ユーロのエクスポージャー)などの具体的な金融ソ
リューションを提供することで、事業の持続可能性を向上させやすくしている。また、当行は、2020年度におい
てソーシャル・インパクト・ローンのうち82.7百万ユーロについて配分を行った。インパクト・ローンの開始か
ら5年間で、当行は合計900百万ユーロの融資を行った。当行はまた、ラボ・イノベーション・ローン(2020年
度:17.4百万ユーロのエクスポージャー)を通じて持続可能性のための貸付を行っている。2020年度において、
当行は持続可能な融資に52.3十億ユーロ(2019年度:44.6十億豪ドル)を投資した。サステナビリティ・リン
ク・ローンなどの商品を通じて、当行は顧客がより持続可能性を向上させるよう刺激している。これらのローン
は、当該企業に対する持続可能性KPIとセットになっている。これらのKPIを満たすと、当該顧客は利息について
割引を受けられる。当行はまた、顧客の持続可能性コーディネーターとしても活動している。
37/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
フルーン・バンク25周年
個人投資家は、ラボ・フルーン・バンクを通じて持続可能な事業に投資することができる。これは、オランダ
最大のグリーン・バンクであり、現在、2十億ユーロ近くの持続可能なローンおよび気候変動に係る移行ローン
を有している。グリーン貯蓄性預金口座を保有する個人投資家は減税の対象となる場合があるため、ラボ・フ
ルーン・バンクは資金調達コストの低減による恩恵を受けている。この利益は、持続可能な投資を行っている企
業に対するグリーン・ローンの利息割引という形で還元される。2020年度において、ラボ・フルーン・バンクは
545.5百万ユーロのグリーン・ローンを発行した。
運用中の持続可能な資産およびリース
リースは、リソースが限られた企業が新しい低炭素技術を利用できるようにすることで、気候変動に係る移行
に貢献することができる。また、リースは、資産の購入よりも財務的に魅力的な選択肢となる場合がある。当行
の子会社であるDLLは、クリーン・テクノロジー事業を通じて再生可能エネルギーの利用を促進し、グリーン資
産の利用を可能にしている。ライフ・サイクル・アセット・マネジメント・プログラムを通じて、DLLは、完全
なアセット・ライフ・サイクルのためのエンドツーエンドの金融ソリューションを提供している。従量課金方式
プログラムなどの新しいサービス基準の金融ソリューションは、循環型モデルや使用ベース・モデルの開発の一
助となる。
2020 年度において、合計48.9十億ユーロの運用資産のうち、33.3%(16.3十億ユーロ)が持続可能として分類
され、そのうち11十億ユーロは、ベンチマークと比較して二酸化炭素排出原単位を少なくとも30%削減するとい
う特定の目的を有するマンデート・ファンドに投資された。
当行の顧客の持続可能性に係る業績
当行は、改善に取り組むことができるよう、報告書やデジタルでの検討に基づき、当行および顧客の気候への
影響をマップ化している。顧客の持続可能性に係る業績の加重平均(クライアント・フォト)は2020年度に
1.6%と改善した。
ESG に関連した当行の顧客のアプローチおよび成果について、より明確な洞察を得ることができるよう、当行
はクライアント・フォトを活用している。顧客関係担当マネージャーは、1百万ユーロ超のエクスポージャーを
有する自身の顧客を分類し、「持続可能性リーダー」から「ラボバンクの持続可能性方針を遵守していない」ま
での5段階で評価する。当行は、クライアント・フォトを初期貸付手続きの基準のひとつとして統合した。当行
は、オランダSMEおよび地方顧客に対する独自の格付方法の改善に取り組んでおり、来年度には大口顧客に対す
るクライアント・フォトの手法を見直す。クライアント・フォトの手法は、持続可能性方針枠組みをはじめとし
た様々な要素に基づき作成されている。この枠組みは、当行が、社会および人権問題など、持続可能性リスクを
どのようにして特定、防止、軽減および説明するかについて概説している。
1百万ユーロ超のエクスポージャーを有する顧客の持続可能性に係る業績
2020 年度 2019 年度 2021 年度 目標
地方ラボバンク対象 99 % 98 % 100 %
地方ラボバンクAレベル顧客 12 % 8 % n/a
ホールセール・オフィス対象 90 % 86 % 100 %
ホールセール・オフィスAレベル顧客 30 % 24 % n/a
38/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
持続可能な生活
オランダの住宅ローン市場のリーダーとして、当行は、顧客が自宅をより持続可能なものにできるよう手助け
している。これは例えば、家庭のエネルギー効率を向上させる具体的な提案を顧客に提供するツールであるハウ
ス・スキャンと提携することなどにより実現している。当行はまた、家庭におけるエネルギー消費量の削減を支
持している、エネルギー関連企業、金融サービスプロバイダー、設置業者およびセントラルヒーティングメー
カー向けの(アドバイスや見積もりツールなどの)スマート・ソフトウェア・プラットフォームを開発する持続
可能性コンサルタント会社であるザ・サステナブルズを買収した。当行は(より利息の低い)グリーン住宅ロー
ンおよびグリーン・デポットを提供しており、これにより顧客は、例えばヒートポンプやソーラーパネルのため
に追加資金を借りることができる。
経済的健全性
当行は、全ての人が確実に参加できることを目指している。当行は、現在、そして長期的にも重要な選択が意
識的に行えるよう、人々にナレッジ、ネットワークおよび金融サービスへのアクセスを提供することでこれを実
現している。当行は、例えば、若者にお金の取り扱い方を教えたり、高齢者に安全なデジタルバンキングについ
て手助けしたり、早期段階での債務救済を確実にするため財政問題を特定したりするなど、経済的に困難を抱え
ている顧客の助けとなるサービスを提供したいと考えている。ラボ・バンキング・アプリは、当行の顧客に財務
についての洞察を提供し、彼らが自身の財務について全体像を把握するための手助けとなる。
当行は、全ての人がより経済的に健全かつ持続可能な生活および資本構築に向けて一歩を踏み出すことができ
ると確信しており、自身の資金でより多くを達成する方法についてのワークショップ、民間顧客のための「健全
な財務についての相談」、起業家のためのワークショップである「危機の時代における事業」およびラボ・バン
キング・アプリの貯金箱オプションという、様々な選択肢を提供している。2020年度において、176,455世帯
が、残高が存在する貯金箱をアプリ内で開設することによって資本構築に向けて一歩を踏み出した。目下、合計
1.39百万の貯金箱が開設されている。当行が直面している課題が、単独で対処することが困難である場合、当行
は政府、社会や事業と協働する。一例として、ヘルドフィットとスフルデンラブNLを通じて債務分野の細分化に
取り組むためのパートナーシップが挙げられる。この手法により、当行はより受容性のある社会を共に構築する
ことができる。
ジレンマ
門番として、当行は、金融犯罪を防止することにより、健全な金融セクターに貢献している。金融機関が、
特定のセクターにおいて特定の個人または企業を顧客として受け入れないよう判断した場合、これはマイナス
の副作用を生む可能性がある。このような顧客や企業は、資金調達が行えなくなる可能性がある。その結果と
して、事業を継続するために、身を潜ませるか、より信頼性が低い海外の関係者から資金調達を行う可能性が
ある。概して、取引と顧客の両方について完全かつ詳細な状況を把握するためには、個別の銀行レベルでの洞
察だけでは不十分である。そのため、当行は、金融犯罪に対応するため、他の銀行およびパブリック・セク
ターと連携を行っている。
39/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
社会参加にはお金がかかる。オランダ国内の多くの世帯で財政的見通しは不安定になっている。惜しみない年
金はもはや当たり前ではなく、高等教育には多額の費用がかかり、医療は変化しつつある。柔軟な契約や再訓練
は仕事では新しい基準となっている。オランダ国立家計研究所(Nibud)によると、2020年度春期において、オ
ランダの人々のうち29%が、2ヶ月間の収入の損失を埋め合わせられるだけの貯蓄を十分に有していなかった。
コロナ危機で、この財政的脆弱性はさらに目に見えるものとなった。
透明性の促進
当行は、当行のサービスに関する顧客の意見に耳を傾けることが大切だと考えている。当行は、顧客からの
フィードバックをサービス向上に役立てているほか、当行に対する顧客の信頼ならびに当行のサービスおよび商
品に対する顧客の意見を評価する調査である、オランダ銀行信頼モニターにも参加している。ラボバンクの2020
年度の業績は安定しており、セクター全体と同程度であった。
倫理
利害関係者や社会全体の信頼を回復および維持するためには、金融セクターは倫理上のジレンマに対処しなけ
ればならない。当行の倫理事務所は、組織内からジレンマを受けるか、新たな倫理テーマの提案を行っている。
新たなテーマやジレンマは倫理委員会で提起され、倫理委員会は、一体となってより良い世界を作るという当行
のミッション、当行の行動規範、そしてラボバンクの協同組合としての性質に沿って考慮する。倫理委員会は
2020年度に6回開催され、COVID-19パンデミックおよびCOVID-19以後のシナリオの倫理的側面、当行の持続可能
性に係る目標に関する倫理的ジレンマならびにエネルギーに係る転換における当行の選択について検討した。
腐敗および贈収賄防止
当行は、当行の世界中の事業および当行の全ての商取引において、一貫して高い誠実性および完全性を適用す
ることに取り組んでいる。当行の価値観は、行動規範に記載されているとおり、それぞれが個人としてどのよう
に行動し、事業活動を行うかについての指針となる。当行は、あらゆる形態の腐敗および贈収賄を防止すること
に取り組んでおり、当行の事業または当行と取引のある者においてこれを容認することはない。当行は、腐敗お
よび贈収賄を防止することを目的とする全ての法律を遵守するよう努めている。当行は、年次報告書において、
腐敗および贈収賄の防止に関するKPIの策定はしていないものの、継続的な投資を行っている。当行の方針は、
贈収賄またはその他の腐敗の疑いがある場合は、報告するようスタッフに促している。当行の方針は、贈収賄ま
たはその他の腐敗が発覚した場合、当行は当該顧客、ビジネス・パートナーまたは従業員と関与することを規定
している。最終的な手段として、当該顧客、ビジネス・パートナー、従業員との関係が終了される場合がある。
当行のオフボーディングデータは、腐敗を契約終了の理由として定めていないため、2020年度における腐敗に関
連した契約終了の数を提供することはできない。
40/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
AML 、CTFおよび制裁
金融システムの門番としてのラボバンクの役割は、当行にとって最優先事項である。適用法令の遵守と優れた
顧客サービスの基盤を強化するため、ラボバンクは、KYC(顧客の本人確認)活動を大幅に改善し、KYC遵守のた
めの投資を近年増加させている。当行は、(潜在的な)犯罪活動を特定するため、顧客ファイルおよびデータの
品質を向上させるための世界規模のプログラムを実施している。
2018 年9月、ラボバンクは、オランダ銀行(DNB)から差止命令(「ラスト・オンデル・ドワンソム」)を受
けた。2020年4月1日以降、DNBは、ラボバンクが上記差止命令の要件を満たしているか否かについて調査を実
施した。当行の努力にもかかわらず、DNBは、ラボバンクが差止命令の要件を満たしていないと判断した。その
結果、500,000ユーロの罰金(「ドワンソム」)が没収された。
それでもなお、ラボバンクは、特化した経営資源ならびにプロセスのさらなる自動化および革新の両方で、
2020年度においてKYC活動に引続き多額の投資を行い、フロントオフィス活動および子会社を除き、年間380百万
ユーロを割り当てた。このプログラムには、当行の世界規模のマネー・ロンダリング防止およびテロ資金対策
(AML/CTF)ならびに制裁の枠組みを向上させるためのイニシアチブも含まれる。
このため、ラボバンクは、リテール・オランダ領域において、約800人のKYC従業員を人員として追加し、訓練
を行った。これにより、全世界でKYC活動に特化した人員の合計は、約4000人まで増加した。ラボバンクはま
た、異常な取引の増加を金融情報機関(FIU)に対し報告している。さらに、ラボバンクのKYC活動は向上し、高
リスクの現金集約型セクターに対するものなどの(テーマ別の)調査が深まった。さらに、ラボバンクは顧客の
出口ポリシーおよびプロセスを変更した。
ラボバンクは改善を行っているものの、まだ課題は多く残されている。このため、ラボバンクはKYCプログラ
ムへの取り組みおよび投資を継続していく。このプログラムは、経営委員会の直接的な責任下で実施されてい
る。このプログラムでは、3LoRモデルに従って、各体制に明確な責任および役割を割り当てている。第一体制
は、リスクを負い、リスクをコントロールし、また、リスクおよびリターンの管理を行う。第二体制は、リスク
およびコンプライアンスのガバナンスを提供し、リスクの引き受けに挑み、助言し、また、リスク特性を監視す
る。第三体制は、(定期的な)評価を通じて、独立した保証、助言および見解を提供する。監督委員会は、この
管理をサポートするため、(臨時の)委員会を設置した。DNBもまた、ラボバンクのKYCプログラムを引続き監督
する。
2021 年度において、ラボバンクは引続きKYC活動や先進技術への投資を行い、これにより不可視だったまたは
異常なものとして検出されることのなかった取引パターンを検出することがより容易となる。ラボバンクは、品
質保証の重視を継続し、プロセスの有効性および効率性を向上させる。ラボバンクのリスク選好度および体系的
な誠実性リスク分析(SIRA)の調整だけでなく、顧客の継続的な監視および異常な活動の適時な検出に重点が置
かれる。
また当行は、銀行と公共セクターの様々な当事者との一層緊密な連携を促進する。この共同の取り組みは、当
行の金融および経済犯罪との共通の戦いを強化する上で不可欠である。
前へ 次へ
41/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
(4) 意義ある協同組合
42/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
意義ある協同組合
当行にとって、意義ある協同組合であるということは、顧客主導の協同組合銀行として、食料に係る移
行、気候およびエネルギー、ならびにより一体性のある社会への移行といった、顧客に関係する社会問題
について立場を明確にすることによって、オランダおよび世界各地において差別化をはかることにコミッ
トしていることを意味する。
当行の事業に携わる加盟者および共同体
2020 年度に当行は、ラボ・アプリを使ってラボバンクの加盟者となることができる選択肢を用意した。これに
より加盟者数は1.9百万ユーロから2.1百万ユーロに増加した。加盟者に対して、どのようにして当行の事業に携
わりまたは加盟者としての地位に実体を持たせたいかアンケート調査を行ったところ、52%(2019年度:49%)
の加盟者はラボバンクの事業に関わっているとの実感があると回答した。当行は、地方加盟者理事会の新規構成
員向けの導入モジュール、ならびに当行が事業を展開する共同体に対して加盟者理事会および地方監督委員会の
構成員が貢献するための手助けとなる2つの命題(持続可能な生活および財政の健全性)に関する知識モジュー
ルを作成した。
協同組合約款
地方ラボバンク、その加盟者、加盟者理事会、顧客および各地の利害関係者とともに、当行は協同組合約款を
作成している。これは地域経済および共同体の将来に向けたビジョンを示すものである。協同組合約款作成のた
めのインプットは、各地域における対話の結果およびそれを補足する経済研究から得ている。我々の直面してい
る大きな移行(食料に係る移行、気候およびエネルギー、ならびにより一体性のある社会への移行)を加速させ
るための、オランダにおける当行の協同組合としてのビジョンおよび行動計画は、これらによって下支えされて
いる。加えて、当該約款は地域を強くするイニシアチブを含む地域毎のビジネス・プランに対して直接的なイン
プットを与えるものである。
パートナーシップおよびメンバーシップ
当行はパートナーと連携することにより、より多くのものを得られると考えている。2020年度に当行はワール
ド・ワイド・ファンド・フォー・ネイチャー(WWF)とのパートナーシップを更新した。ラボバンクとWWFは、チ
リのサーモン業界における認証の加速およびチリにてサーモン養殖業を営む顧客のASC認証の推進に向けて歩み
を進めている。当該認証は、持続可能な養殖場がどのような機能を持つかについてのより分かりやすいビジョン
を、チェーン全体に対してもたらすものである。加えて、地方の対象共同体がより一体性のある持続可能な食品
システムの恩恵を受けられるよう支援することを目的として、当行はFAOとのパートナーシップも締結した。持
続可能な開発のための経済人会議(WBCSD)に加盟する30のメンバーとともに、当行は循環性を測るための普遍
的で一貫性のある枠組みであるサーキュラー・トランジション指標(CTI)を共同開発した。CTIはシンプルで、
客観的かつ定量的な枠組みであり、いかなる事業規模および業界のビジネスに対しても、バリュー・チェーンに
おけるポジションや地理的条件に拘わらず適用することができる。
43/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
グローバル・キャノピー、国連開発計画(UNDP)、国連環境計画 金融イニシアチブ(UNEP FI)、およびWWF
とのパートナーシップによって、当行は2021年内に自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)を設けること
を目指している。また当行は、WBCSDによるコーディネートの下、銀行、科学者および関係する専門家を集めた
国際グループ「バンキング・フォー・インパクト・オン・クライメート・イン・アグリカルチャー(B4ICA)」
の設立に向けても取り組んでいる。当該グループは農業における気候の影響の測定に関するデータ不足に対処す
る。
移行
食料に係る移行
増加する世界の人口に対してより持続可能な方法で食料供給を行うことは、当行の重要視している多くの持続
可能性目標を包含する必須の移行である。気候問題に次ぎ、世界が直面する最も差し迫った複雑な課題の一つで
ある。
持続可能な食料供給
肥沃な土壌は、食料生産および気候変動への対策において必要不可欠である。当行は、農家が生物多様性を保
護および回復し、より循環性のある農業モデルの採用に向け前進するための支援を、例えば農家がその土壌の健
全性を示すことのできる一種のエネルギー・ラベルである公開土壌インデックスなどを通じて行う。当該土壌イ
ンデックスは、健全な農家の実現、農地の価値の維持および安価な地下水の揚水に当行が貢献できるよう後押し
するものである。当行の酪農向け生物多様性モニターは、フリースランド・カンピーナおよびWWFとのパート
ナーシップの下で、農業における生物多様性の回復を支援することを目指すものである。当行は他の25の金融機
関とともに立ち上げた「生物多様性のための融資に関する誓約」に基づく活動および投資を通じて、生物多様性
に対し積極的な貢献をするための当行のコミットメントを明確に示した。
COVID-19 によって2020年度に食品チェーンの脆弱性が露見すると、当行は食品に関する新たなソリューション
を開発するために食品チェーン内の様々な当事者を引き合わせるプログラムであるラボ・フード・フォワードの
ショート・チェーン版を特別に企画した。ラボ・フード・フォワードについては、2020年度中、地域毎のイベン
トおよび全国規模のイベントの両方が開催された。例えば、フードバイツ!は自社の持続可能な食品コンセプト
およびビジネスモデルを売り込むためのプラットフォームを世界各地のスタートアップ企業に対して提供した。
気候およびエネルギーに係る移行
より持続可能なエネルギー供給およびエネルギー消費への移行は、気候変動に対処し既に発生しているその悪
影響を抑える上で緊急に必要とされている。パリ協定に規定の要件を充足することができたとしても、気候変動
の防止および気候変動への適応の両方が求められる。防止という観点からは、より持続可能なエネルギー生産へ
の移行およびエネルギー消費の削減が求められ、これらはエネルギー経済のうち各業界が担う部分と個人が担う
部分の両方に当てはまる。当該移行は、より循環性の高い経済を目指し歩みを進めながら、その他の資源をより
持続可能なかたちで活用することにもつながる。
44/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
持続可能な成長およびエネルギー供給
当行は当行の顧客による気候リスクの特定および軽減、ならびにカーボン・フットプリントの削減を手助けす
ることにコミットしている。知識、ネットワークおよび融資へのアクセスを提供することが、当行の主たる貢献
方法である。当行は適切な商品およびサービスを推奨、奨励および提供することによって、気候変動リスクを軽
減しようとしている。例えば、食品・農業ビジネスその他の炭素排出量やエネルギー消費の多い業界等におい
て、当行は高いエネルギー効率によるエネルギー消費の削減およびより循環性の高い経済への適応を手助けする
金融商品を提供している。化石燃料から生成されるエネルギーが依然として多くの経済および家庭において現に
使用され必要とされている中で、当行は全ての利害関係者に対して、温室効果ガスの排出による影響を減らす経
済活動およびエネルギー利用への適応を推奨している。当行はオランダ最大の陸上風力発電所であり共同体が所
有する風力発電所としては欧州最大のウィンドパーク・ゼーウォルデのパートナーを務めた。
当行自身の実績
2020 年度中、当行は当行自身の運営に関連する二酸化炭素排出量を削減した(2020年度:-43.8トン)。また
当行は、とりわけゴールド・スタンダード認証の炭素クレジットの購入を通じて排出量の一部を相殺した。当行
はスコープ1および2の排出量(当行自身の運営に関連する排出量)につき科学的根拠に基づく排出削減目標
(SBT)イニシアチブにコミットした。当行は、総量削減アプローチに基づく1.5℃シナリオに沿った、スコープ
1および2に係る原単位目標を提出した。当行の環境への責任に関するレップトラック・レピュテーション・ス
コアは、2019年度第4四半期の61.5から2020年度第4四半期は69.9まで上昇した。
より一体性のある社会への移行
進むデジタル化が社会にもたらす影響と、低収入、支援の縮小、および経済的連帯の減少とが組み合わさるこ
とによって、社会の一体性が損なわれている。こうした要素が、特に社会の中でも脆弱な層に対して、いっそう
個人主義的な社会、社会ストレスの増加、および財政の健全性の減少をもたらす。
当行はより一体性のある社会を作ること、人々がつながりを持つこと、連帯感を覚えることおよび参加できる
ことに貢献したいと考えている。当行は協同組合精神を表現したい。当該精神は、125年前にラボバンクを設立
した創意あふれる農家の集団に端を発する。彼らは単独では解決できない大きな問題に対処する必要があった。
そこで彼らは力を合わせ、共に問題を解決した。当行は今でもこの設立時の理念に基づき活動している。当行が
社会の一体性の強化にコミットし、皆に参加の機会を与えるということがその実務上の意味である。当行は人々
および企業が将来安泰となるための手助けをしたい。
45/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
当行のビジネスのやり方は協同組合精神によって導かれている。実務上これは顧客が将来への備えをし、か
つ、持続可能となるための手助けをする商品およびサービスを提供することに加えて、当行の知識およびネット
ワークを提供することで顧客を支援すること、ならびに顧客と共に解決策を見つけることを意味する。これは個
人および社会に対して良い影響をもたらす。当行はスポンサリングおよびラボバンク・クラブ・サポート(ラボ
バンクの加盟者によるプロジェクトへの投票を可能にすることで、クラブや協会がクラブのために資金調達をす
ることができるイニシアチブ)を通じて、協会への支援を行っている。30,000以上の協会およびクラブがラボバ
ンク・クラブ・サポートに参加し、50万人近くの加盟者がクラブの投票に参加した。クラブの建物のリノベー
ションといったプロジェクトに対して、ラボバンク・コーペラティブ配当より合計14.9百万ユーロが拠出され
た。
スポーツおよび文化に関する協会および財団は、社会の一体性を高めることができるため、社会の中で重要な
役割を果たしているといえる。そのスカウトやリクルーターは、新たな才能を発掘し、最高レベルのパフォーマ
ンスをすることができるように彼らを育てる。当行はクラブが少なくスポーツの選択肢が限られている地域に30
のクラブを新たに設立するため、オランダ・ホッケー財団とともに取り組んでいる。当該イニシアチブを通じ
て、アムステルダム・ダイナミクス、AHCノールデルリヒト・アムステルダムおよびホッケークラブ・ウノ・ユ
トリヒトの3つのクラブが既に設立されている。
オランダ国内の地方ラボバンクは、当行のミッションである「Growing a Better World Together(一体と
なってより良い世界を作る)」に対する各地域での貢献をより具体化することを目的として、独自の「社会に対
するプラン」を策定した。2020年度中、当行はコーペラティブ配当を通じ社会プロジェクトに対して合計42.5百
万ユーロ(2019年度:45.4百万ユーロ)を充てた。様々なイニシアチブには、子どもたちがオンライン授業にも
付いていけるよう、PCを購入することのできないオランダ国内の家庭に対してラップトップPCを提供すること、
ならびに当行およびそのパートナーたちが消費者に対して地場産の食材を選ぶことを推奨することで地元の食料
生産者を支援する(食品チェーンを短くする)ことを目指すオランダ全国のキャンペーンであるサポート・ヨ
ア・ローカルズも含まれ、これらはいずれもCOVID-19危機が続く中において、また収束後も行っていくものであ
る。当行は協会向けのCOVID-19緊急ファンドも設けており、またドイツにおいては起業家に対して割引券を提供
するRABOダイレクト・ヒルフトも行っている。協同組合週間には、顧客のニーズと世界各地の当行の従業員のス
キルのマッチングを行った。当行は従業員に対して、そのユニークな才能や専門性を活かし、金融サービスにと
どまらないかたちで顧客との関係性を深めてほしいと依頼した。例としては、小学生向けに銀行業についての講
義を行ったり、マーケティング・キャンペーンの実施に際して法人顧客を舞台裏で支えたりといったことが含ま
れる。
46/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
オランダ住宅市場における予算に見合った賃貸住宅への貢献
当行は10年の歳月をかけて中間所得層向けの持続可能かつエネルギー効率の良い賃貸住宅を建設することを目
標に、2019年度に子会社であるBPDとタッグを組んだ。2020年度はBPDウォーニングフォンツの初年度となった。
ポートフォリオには既に完成し稼働している600軒の新築賃貸住宅および現在建設中の400軒の賃貸住宅が含まれ
る。加えて、予定を超える1,700軒の賃貸住宅をBPDオントゥウィケリングB.V.より取得することができた。2021
年度には取得軒数はさらに増加する見込みである。BPDウォーニングフォンツのファンド管理組織も、当該増加
に伴いさらに強化される予定である。BPDウォーニングフォンツはそのポートフォリオを拡大し、2029年度には
予算に見合う持続可能な新築賃貸住宅を15,000軒まで増やす計画である。すなわちラボバンクおよびBPDは、オ
ランダの住宅市場における社会問題の解決に大きく貢献しているといえる。
ラボバンク・ファウンデーション
当行はその純利益の一部をラボバンク・ファウンデーションに投資している。ラボバンク・ファウンデーショ
ンは独立した基金であるため、その財務業績は当行の連結財務業績には含まれない。基金の使命は、人々の自立
に対して投資を行うことである。オランダ国内においては、社会的起業家精神、雇用適性および経済的自立に焦
点を当てるため、ラボバンク・ファウンデーションは地方ラボバンクと連携して活動している。国際的には、小
規模農家およびその協同組合を支援している。小規模農家は十分な食料を持続可能なかたちで生産する上で中心
的な役割を担う。当行はラボ・ファウンデーション、ラボ・パートナーシップおよびその他のパートナーととも
に、より総合的なアプローチに取り組んでいる。アフリカにおける小規模農家のエコシステムの形成を支援する
ことで、25百万以上の小規模農家に力を与え、小規模農家の融資へのアクセスの改善にも関わる一体的な食品・
農業チェーンの整備を当行は目指している。
47/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
持続可能性
持続可能性目標を実現するためには、顧客の業績に係る深い知見が必要である。持続可能性方針枠組みは当行
の全ての利害関係者のために設計されており、ビジネス関係を築き金融商品およびサービスを提供する上での当
行の持続可能性スタンダードの基礎を成している。当行の持続可能性方針は、経済協力開発機構(OECD)多国籍
企業行動指針に沿っており、社会および環境への悪影響を引き起こさず、また当該悪影響を助長しないとの当行
の目標を示すものである。
ジレンマ:持続可能性の促進
当行はパリ協定およびオランダ気候協定の目標追求、ならびにエネルギーの転換と言えば当行と言
われる存在になることにコミットしてきた。これらの意欲的な目標は、協同組合銀行としての価値
観、振る舞い、およびGrowing a Better World Together(一体となってより良い世界を作る)とい
うミッションとの相性も良い。しかし、これらの目標は当行に厳しい選択を迫るものでもある。
気候目標の設定によって計画どおりに規模を拡大し続けることができなくなってしまう農家につい
ては、どのように対応すれば良いであろうか。銀行として、別の視点を生み出すためにどのような手
助けをすることができるであろうか。食品の地産地消を増やすこと(サポート・ユア・ローカルズ)
はその良い一例である。
全ての利害関係者に参画してもらいながら長期的に見て正しい選択をするということは、COVID-19
の前でさえも難しかった。COVID-19危機によって生まれた経済的圧力は、制限を課すような計画は延
期するよう当行を唆すかもしれないが、これを受け入れてしまっては短期的な考えに屈することにな
る。倫理的な判断をするためには、現在活用できる知識をもとにその場で下す判断が、長期的に見て
も最も責任ある判断であるとの自信を持つことが求められる。
そのため、COVID-19危機は、持続可能性の促進のために当行が既に進めていた歩みを加速させる追
加的な理由および機会をもたらすものであるといえる。しかし、これによって物事が簡単に運ぶよう
になるわけではない。実務上は、個別の企業についての厳しい選択を伴うものである。自身の下した
判断について明確な説明をすることができるように、意思決定手続きにおいては慎重に立案すること
および全ての利害関係者の利益を真剣に検討することが必須である。
48/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
利害関係者とのエンゲージメント
利害関係者とのやりとりは、何を当行の主要な報告事項とするか選定する上で重要な役割を果たしており、
2020年度に行われた持続可能性方針枠組みの更新手続きにおいては最も重要視された。当行は数多くの議題につ
いて環境および/または社会福祉団体との取組みを行っている。「ESGに係る実績および数値」との報告書に
は、当該やりとりの議題および結果の一覧(ただし、全てを網羅するものではない。)が掲載されている。食品
に係る移行についての主要目標の達成を促進するため、当行は2020年度に新たな食品・農業ネットワーク戦略を
策定した。そのゴールは、行動指向型の食品システム連合を構築し当行の金融ソリューションを調整すること
で、世間の議題を設定する力を有する公的ネットワークおよび民間ネットワークのうち最も該当性の高いもの
(EUの各機関、世界経済フォーラムおよび世界経済人会議等)にてこ入れをすることである。
顧客エンゲージメント
当行は、より持続可能なビジネス慣習への移行につき顧客をサポートするため、持続可能性に関する問題につ
いて多くの顧客と非公式にエンゲージメントを行うようにしている。(例えば、NGOの報告書、顧客もしくはそ
の他の利害関係者とのやりとり、またはメディア露出を通じて)当行の持続可能性方針枠組みまたは当行のアプ
ローチを遵守していない可能性が見て取れた場合、当行は当該顧客と公式のエンゲージメント手続きを開始す
る。当該エンゲージメントが当該顧客のクライアント・フォトの調整および期限付きプランの策定につながるこ
ともある。持続可能性部門は当該手続きにおいて助言役を担う。当行は顧客エンゲージメントに関する報告を匿
名化した。さらに、当行はバンキング環境イニシアチブ(BEI)とコンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)
のコラボレーションによって生まれたソフト商品協定を採択した。当行は特に大豆、パーム油、PP&T(紙、パ
ルプおよび木材)ならびに牛肉のソフト商品サプライ・チェーンにおける顧客エンゲージメントについての報告
も行っている。
人権
人権は普遍的なものであり、どこの誰であるかにかかわらず、全ての人が享受すべきものであると当行は信じ
ている。人権に関わる側面は、当行自身の従業員の待遇から、顧客が自身の従業員をどのように待遇し、顧客の
属すサプライ・チェーンの奥深くに存在する土地争いや強制労働にどう対応するかまで、当行の全ての活動に存
在する。それ故に、当行は商業上の関係を築く上では人権に関するデュー・デリジェンスを実施し、毎年クライ
アント・フォトおよび持続可能性マトリクスを通じて顧客の社会的影響および環境的影響を計測しているのであ
る。当行が顧客に求めるのは、そのビジネス判断において国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)に定め
るとおり、人権を尊重および推進し、かつサプライヤーに対しても同様に対応するよう働きかけることである。
違反が発覚した場合、当行は顧客とその改善に取り組む。場合によっては、最終手段として、当該顧客との関係
を終了することもある。2020年度中、当行は発覚した人権侵害等について32の顧客とエンゲージメントを行い、
当該手続きを経て5つの関係を終了した。こうした措置や結果を影響のある全ての利害関係者に対して通知する
ことは、残念ながら必ずしもできておらず、コミュニケーションの改善についてはまだやるべきことがあるとい
える。
49/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
当行の持続可能性方針枠組みは、当行の最も顕著な人権リスクを示している。当行は国際的には食品・農業セ
クターにおける代表的な金融業者であるが、当該セクターは土地争い、強制労働および危険な労働環境といった
リスクを伴うものである。当該リスクへの対処法については、セクターとテーマを限定した持続可能性方針にお
いて詳述されている。
ラボバンクと国連責任銀行原則
当行は2019年9月に国連責任銀行原則(UN PRB)に署名した。署名した銀行は、署名後遅くとも18ヶ月以内に
当該原則の実施状況に係る初回報告を行い、その後毎年同報告を行う義務を負う。そのため、当行は初回報告お
よび自己評価テンプレートを2021年3月に公表した。
当該原則および自己評価には6つの分野があり、これらは責任銀行原則の署名者としての責務を全うしている
ことを示すための鍵となる。当該6つのうち5つの分野を、当行がその要件をどの程度充足できたかの結論/報
告とともに、以下に列挙する。
インパクトの分析(原則2)
当行は、社会に対して当行の運営により与える影響、および経済活動へ融資する役割を担っていることで間接
的に与える影響を認識している。当行は当行がいかに自身のバンキング命題を重要視しているかを実証するため
に、UNEP FIのポートフォリオ・インパクト分析ツールを活用した。オランダ国内のビジネス・バンキングなら
びに国際的なホールセールおよびルーラル・バンキングに係るポートフォリオにおいては、「気候」とのインパ
クト分野が至る所に現れることが分かった。オランダ国内のリテール顧客のポートフォリオにおいては、「一体
的かつ健全な経済」とのインパクト分野によって表される顧客の割合が最も多かった。当行はインパクトの分析
に係る要件の大部分を充足済みであると考えているが、より多くのデータを利用できるようになりメソッドもよ
り安定したものとなれば、当然さらなる改善が見込める。当行は今後も継続的にインパクトの分析の深さおよび
完全性を向上させられるよう努力する。
目標設定(原則2)
当行はオランダ気候協定およびパリ協定に賛同しており、フットプリントの削減に向けた目標を設定してい
る。当行は「一体的かつ健全な経済」とのインパクト分野につき目標を設定した。そのため、目標設定に係る要
件は充足したものとみなしている。また当行は主要ポートフォリオにつき排出量削減に係る第一弾の目標および
計画も策定し、持続可能性についてのKPIも設定した。さらに、顧客に係るクライアント・フォトの平均スコア
および持続可能な融資の金額についての成長目標も設定し、これにより当行自身および顧客がより持続可能とな
ることを促す。「2020年度における当行のインパクト」との報告書は、SDGsに係る影響、報告事項および目標を
概説するものである。
50/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
目標の実践およびモニタリング計画、その成果ならびにガバナンス構造(原則3、4および5)
当行は持続可能性および気候に関する戦略、リスクおよび機会を決定および促進し、その成果をモニタリング
することに特化した、ラボSDGバンキング委員会および気候プログラムを設けた。当該決定、促進およびモニタ
リングには、パフォーマンス管理および全レベルにおけるKPIの設定も含まれる。本報告書において、当行は初
めて「財政の健全性および一体性」に係る目標(短期目標を含む。)につき報告する。故に、当行はインパクト
目標の実践につき成果を上げており、これらの原則につき要件を充足している。
責任銀行原則の実践に関する成果(原則6)
2つの主要インパクト分野のうち、一方につき目標を設定および実践し、他方の主要インパクト分野について
もインパクト指標および短期目標を報告し、また適切なガバナンス構造を設けることで、当行は責任銀行原則の
実践につき成果を上げている。当行は好ましい変化をさらに大きなものにするため、複数の国際パートナーシッ
プおよびコラボレーション(TCFD作業部会、UN PRB作業部会、NFRD作業部会)に参加した。当行は実質的な成果
を上げることができていると考えているが、当該原則の完全な実践を確保するためにはまだやるべきことがある
ことも認識している。
格付
世界規模で持続可能性を促進する当行の取組みは、ラボバンクを多角経営型銀行390行中、第1位に再びラン
ク付けしたサステイナリティクスによって認められている。加えて、当行は持続可能性に係るブランド力がオラ
ンダ国内の銀行の中で最も高いとランク付けされた。
TCFD (気候関連財務情報開示タスクフォース)
気候変動は経済および暮らしの長期的な繁栄に影響を及ぼす重要課題である。気候変動は顧客、共同体および
当行自身にとってのリスクとチャンスを生み出す。当行の影響分析によって、当行の顧客もまた気候の影響を憂
慮していることが再確認された。当行は2017年度に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同した。
2020年度には気候変動に係る当行のエンゲージメントについてより詳細に説明する当行初の気候報告書「ラボバ
ンクと気候変動」を公表した。
ガバナンス
ラボバンクにおいては、持続可能性および気候に係る責任は経営委員会が負っている。経営委員会は、2020年
度から2024年度までの期間につき設定された当行全体の持続可能性および気候に係る目標につき管理および監督
するため四半期毎に招集されるラボSDG(持続可能な開発目標)バンキング委員会を2020年度に設置した。ラボ
SDGバンキング委員会の議長は、持続可能性および気候担当の経営委員会構成員であるベリー・マルティンが務
める。当該プログラムの一角を担うのが、気候リスクをリスク管理手法やモデルに落とし込むため取り組んでい
るリスクの専門家集団である気候リスクチームである。
51/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
戦略
低炭素経済への移行は大きなリスクとチャンスを生む。当行の気候変動プログラムは、気候リスクの特定およ
び管理に対して段階的にアプローチする。加えて当行は、(短期、中期および長期的な)気候変動リスクの分析
および管理方法の改善を行う体制を整えている。気候変動によって当行の顧客は2つの移行に晒されることとな
る。すなわち、気候の変化そのものと低炭素経済への移行である。当行は、顧客がこれら2つの移行を乗り切る
ことができるように顧客への融資を行い、顧客を導くことを目指しているため、当行の戦略には気候変動に係る
リスクとチャンスについても織り込まれている。当行への潜在的な影響力が最も大きい気候に係る影響は、顧客
を通じて受ける間接的な影響である。
リスク管理
気候リスクに係る現象は構造的にはまだ当行のリスク枠組みに組み込まれていないが、現在当行はその組み込
みに取り組んでおり、これは当行がその事業を行う上で、リスク軽減に係る舵を取りかつ措置を講じながら戦略
的判断を行うための支えとなる。当行は当該目標の達成に向けた中期的なロードマップを作成した。当該ロード
マップは、気候関連リスクおよび環境リスクに係るECBガイドを考慮したものとなっている。
当行のリスク管理手続きにおける最初のステップはリスクの識別である。気候リスクは戦略的リスクとして識
別された。これは増大しながら急速に変化または進化し、データ不足やその他の不確実性のために分析が困難な
既存のリスクである。気候リスクの広範囲に広がる多面的な性質に照らし、当行は当該リスクを単独のリスク・
カテゴリーとしてではなく、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、戦略的リスク、オペレーショナル・リス
ク、コンプライアンス・リスクおよびレピュテーション・リスクという当行のリスク分類法における既存のリス
ク・カテゴリーの行方を左右するものとして見ている。これらのリスク・カテゴリーそれぞれが気候に係る物理
的リスクおよび移行リスクの影響を受ける可能性がある。
測定基準および目標
気候リスクの測定方法については開発の初期段階にあり、気候に関する標準的な測定基準というものは存在し
ない。データの不足が著しく、当行のポートフォリオ(住宅ローン、食品・農業および商業・工業・サービス業
のSME)については特にデータが足りていない。当行のオランダ国内における住宅用不動産ポートフォリオおよ
びオランダ国内外の食品・農業ポートフォリオは気候の影響を受ける可能性が最も高い分野でありながら、当行
のバランスシート・エクスポージャーの実に71%以上を占めている。
52/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
これらの問題に対処するため、ラボバンクは気候プログラムの一環として、持続可能性に係るデータ分析の専
門チームを編成した。2020年度中、当該チームは利用できる内部および外部データがどの程度あるかの調査、気
候に関するデータが必要量に対してどの程度不足しているかの判断、ならびに顧客レベルのデータを用意し今後
数年のうちにデータの不足を全て解消するためのロードマップの作成に注力した。より長期的な構造的気候リス
ク・データを得られない限り、気候リスクを当行のECLモデルのインプットとして利用することはできない。た
だし、気候リスクが当行のECLに影響を及ぼすようになった場合、トップレベルでの調整によって当該要素は加
味される。
既に進行中のヒート・マッピング作業に利用しているデータをECBの提言に沿って加工することで、当行は前
述の大きなポートフォリオに係る気候リスクを特定するための第一歩を2020年度中に踏み出した。物理的リスク
については、UNEP FI TCFDフェーズII報告書「新たな気候の図説」に記載の提言に沿って公的なデータソースを
調べた。移行リスクについては、脆弱性のプロキシとして排出原単位に注目した。当行は農業の上位セクターに
係るデータについては、大幅なデータ不足こそがその特徴であることをここに指摘する。第一の試みとして、当
行は多くの公的な情報源よりも精度の高い情報を提供する国際貿易分析プロジェクト(GTAP)の独自データを活
用した。2020年度に当行はPCAFメソッドに基づき当行のオランダ国内におけるSMEポートフォリオにつきカーボ
ン・フットプリントの概算見積もりを出した。セクター別の貸付残高における当行のシェアおよび当該セクター
によるものとされる排出量に基づき算出すると、当行の融資によって発生している排出量は19,088百万kgCO
2
(2018年度数値)となる。このTCFD開示には相対的エクスポージャーの内訳を掲載する。
当行の住宅ローン債務の大きさに鑑み、当行はこのTCFD開示において住宅ローン・ポートフォリオに係る詳細
な情報も掲載する。前述のとおり、当行最大のポートフォリオはオランダ国内の住宅用不動産と食品・農業であ
る。データ不足の問題があるため、本開示においては住宅ローン・ポートフォリオについてのみ記載する。近い
将来、信頼できる多くのデータを利用できるようになれば、開示範囲も拡大する。
オランダ国内における住宅ローン
当行はオランダの住宅市場において比較的大きなエクスポージャーを有しているため、当行の開示への取組み
は主に当行の住宅ローン・ポートフォリオに焦点を当てたものとなっている。ラボバンクの住宅ローンの総額は
189十億ユーロ(2019年度:188十億ユーロ)に上り、これはラボバンクの顧客に対する貸出金および預け金の総
額436十億ユーロ(2019年度:441十億ユーロ)の43%(2019年度:43%)ならびにオランダ全体の住宅ローンの
総額(2020年度第3四半期:745十億ユーロ、出典:CBS)の25%に相当する。オランダ中央統計局(CBS)の算
出したエネルギー・ラベルと家主の平均エネルギー消費量によれば、当行のポートフォリオによって現在発生し
ている二酸化炭素排出量は5,943百万キログラム(2016年度数値)となる。
53/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2020 年度中、19%の顧客が新たに住宅ローンを組む際にエネルギー消費を削減する対策を講じ、当行の住宅
ローン・ポートフォリオにおけるエネルギー・ラベル評価は下表に示すとおり改善された。当行はAラベルを
25.05%とする目標を2020年度に達成した(2020年度:26%)。
住宅ローン・ポートフォリオのエネルギー・ラベル
ラボバンクが融資を ラボバンクが融資を
行った住宅に占める 行った住宅に占める
エネルギー・ラベル
1 2
割合(2020年度) 割合(2019年度)
A 26 % 24 %
B 15 % 15 %
C 25 % 25 %
D 13 % 13 %
E 8 % 9 %
F 6 % 7 %
G 6 % 7 %
合計 100 % 100 %
1 2020年度現在、住宅ローン・ポートフォリオのうち約30%についてエネルギー・ラベルが確定している。
2 2019年度現在、住宅ローン・ポートフォリオのうち約21%についてエネルギー・ラベルが確定していた。
当行の目標は、住宅ローン顧客の平均エネルギー・ラベル実績を毎年5%ずつ改善していくことである。当行
は以下の目標を設定した。
・2024年度までに:
・当行の住宅ローン・ポートフォリオの平均エネルギー・ラベルをBとすることを目指す
・125,000軒の住宅につきエネルギー・ラベルを(2019年度のラベルを基準として)2段階以上引き上げ
ることを目指す
・2030年度までに:
・当行の住宅ローン・ポートフォリオの平均エネルギー・ラベルをAとすることを目指す
・400,000軒の住宅につきエネルギー・ラベルを(2019年度のラベルを基準として)2段階以上引き上げ
ることを目指す
54/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
当行は住宅ローン・ポートフォリオの実績をエネルギー・ラベルで測る際の制約および不正確さを認識してい
る。そのため、当行は1平方メートル当たりの二酸化炭素排出量による目標設定に移行できるよう、より正確な
データの収集に力を注いでいる。当行はこの移行を2021年度中に実現することを目指している。
これらの目標達成のため、当行は当行のファイナンシャル・アドバイザーが持続可能性に関する問題につき専
門知識を身につけ、顧客と協議の上、以下のような商品およびサービスを提案することができるように専門研修
を実施した。以下は当該商品およびサービスの一例である。
・家主向けの総合的な持続可能性体験(実現パートナーから見積もりを得られるダイレクト・オプション付き
のホーム・スキャン・ツール)
・グリーン住宅ローン
・ラボ・フーンデポ
・省エネ住宅向けの持続可能性割引
・グリーン・ストーム・ファンディング商品
オランダの住宅と干ばつの潜在的な影響
近年の干ばつがオランダの住宅に対して影響を及ぼしている。気候変動に伴い、これらの干ばつは今後より頻
繁に発生するものと見込まれる。干ばつが頻発すれば、経時的に木造の基礎に問題が生じることが増える。当該
リスクについては保険や政府は補償しないため、当該損害の大部分は当行の顧客自身が負担することになり、こ
れは住宅ローン・ポートフォリオの3%から5%に影響する可能性があり、顧客の福祉にも関わるところ、住宅
ローン・ポートフォリオに対する新たなリスクとなり得る。
55/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
EU タクソノミー
2020 年度に当行は欧州銀行監督機構(EBA)の気候リスクに係る試験的感度測定演習に参加した。当該演習に
おいて、当行は当行のエクスポージャーの一部につきEUタクソノミーに従って試験的に分類を行った。当該演習
期間中、当行は2019年12月付の報告に基づき、EU圏内の全てのコーポレート非SMEエクスポージャー(英国を含
む。ただし、子会社であるDLLおよびBPDは含まない。)につき当行のポートフォリオの範囲を決定した。結果と
して得られたデータセットは、様々なセクターにおけるエクスポージャー66十億ユーロを網羅するものである。
EU タクソノミーは当初から経済活動の分類システムとして活用するために設計されている。当該タクソノミー
は、経済活動がタクソノミーに沿ったものとして分類されるために遵守すべき基準を定めている。技術スクリー
ニング基準(TSC)と呼ばれる当該基準は、6つの側面によって測定するものである。以下がその6つの側面で
ある。
1.気候変動の緩和
2.循環型経済への移行
3.気候変動への適応
4.汚染の防止とコントロール
5.水資源の持続可能な使用と保全
6.生物多様性・海洋資源・エコシステムの保護と回復
TSC は当該側面の組み合わせによって成り立っている。以下がその基準である。
・大きな貢献(SC):6つの側面のうち1つ以上に対して大きな貢献をすること
・重大な損害をもたらさないこと(DNSH):残り5つの側面に対して重大な損害をもたらさないこと
・最低限のセーフガード規定の遵守(国連ビジネスと人権に関する指導原則等)
企業の活動をEUタクソノミーに沿ったもの(沿う可能性のあるもの)として分類するためには、当該企業は当
該経済活動につき要求される基準を遵守していることを証明する必要がある。要件を遵守してはじめて、当該顧
客と通常は当該活動によって生じる収益のみが、タクソノミーに沿っている、すなわち「グリーン」であるとし
て分類される。
顧客は今回の試験的演習に関与していなかったため、当行はTSCに関わる情報の収集に当たり数多くの仮定を
する必要があった。
56/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
本演習において、当行はトップダウン・アプローチを採用した。顧客の収支計算書を精査した結果、関連する
経済活動は潜在的にグリーンと分類された。結果的に生じた手続きは今回初めて実施されたものであったため、
EUタクソノミーを利用する上で乗り越えるべき課題が浮き彫りとなった。
EU タクソノミーは新しい規則である。そのため、顧客によって公表された情報が少なかった点については当行
としても意外ではなかった。この利用できる情報の不足が顧客を分類する上での最大の障壁となっている。結果
に対して大きく影響する恐れのある様々な仮定をする必要があったのは、そのためである。完全に新しい試みの
ため、他の仮定をすれば全く異なる結果が得られる可能性がある。それでも今回の試験的演習は経験値を上げる
上で有意義であったと当行は考えている。
結果から以下のことが見て取れた。
・範囲内のエクスポージャーのうち30%は適格である(すなわちEUタクソノミーの範疇にある経済活動に該当
する)。
・範囲内のエクスポージャーのうち5%はEUタクソノミーの要件についても潜在的に遵守できている。
結論としては、本演習によって当行の感性はより鋭くなったといえる。当行のデータ(内部データおよび顧客
によって公表されたデータ)の現在の状況をある程度把握することができた。
57/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
将来の展望
当行は今後も継続して気候変動プログラムの進捗状況を報告する予定であり、今後の報告においてはより詳細
な排出量データも含めることができる見込みである。2021年度には当行のポートフォリオにおける気候リスクの
ホットスポットを特定するため、気候に係る外部データとポートフォリオ・データとの関連付けを行う予定であ
る。当該ホットスポットは、洪水が建物の基礎へ及ぼす被害の分析といった、いっそう深掘りすべき事項の根拠
となる。またより精緻なヒートマップを作成するため、当行は新たな情報源も活用する予定である。当行は様々
なESGプロバイダーによって提供されている情報を精査しているため、かかる新たな情報源には物理的リスクお
よび移行リスクの両方に係る独自データも含まれる。加えて当行は、食品・農業ポートフォリオについてはトッ
プダウンのセクター・データをボトムアップのライフ・サイクル・アセスメント・データと組み合わせ、オラン
ダ国内の複数の食品・農業セクターについてはカーボン・ダッシュボードを作成することで、顧客レベルの排出
量データ(プロキシ)の作成に向けた最初の一歩を踏み出そうとしている。
業界または取引先業種別の最大エクスポージャー(単位:%)
2020 年度 2019 年度
住宅 31.89 % 34.23 %
食品・農業 21.57 % 22.95 %
中央政府および中央銀行 18.67 % 12.52 %
銀行 1.36 % 1.77 %
サービス 11.10 % 14.83 %
貿易 5.84 % 4.91 %
建設 3.39 % 3.09 %
石油・ガス 1.34 % 1.55 %
輸送 1.78 % 1.36 %
電気 1.33 % 1.10 %
製造 0.37 % 0.46 %
鉱業 0.09 % 0.13 %
工業 1.27 % 1.10 %
合計 100 % 100 %
前へ
58/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
4 【関係会社の状況】
(1) 親会社
該当なし
(2) 子会社
当社の重要な子会社は以下のとおりである(2020年12月31日現在)。2020年12月31日現在、ラボバンク・グ
ループが持分を有する企業は合計376社である。
資本金および
議決権の
名称 本店所在地 準備金 事業内容
所有割合
( 百万ユーロ)
ファクタリング、
DLL ・インターナショナル・ビー・ヴィ アインドーベン 3,705 リースおよび消費者 100 %
金融業務
不動産開発、金融お
BPD ヨーロッパ・ビー・ヴィ ユトレヒト 186 100 %
よび投資運用業務
オプフィオン・エヌ・ヴィ ヘールレン 1,270 住宅ローン貸付業 100 %
ホールセール・ルー
ユトレヒト・アメリカ・ホールディン
ニューヨーク 10 ラル・アンド・リ 100 %
グ・インク
テール
ホールセール・ルー
ラボバンク・オーストラリア・リミテッ
シドニー 28 ラル・アンド・リ 100 %
ド
テール
ホールセール・ルー
ラボバンク・ニュージーランド・リミ
ウェリントン 150 ラル・アンド・リ 100 %
テッド
テール
(3) 関連会社
資本金および
議決権の
名称 本店所在地 準備金 事業内容
所有割合
( 百万ユーロ)
10,559
アフメア・ビー・ヴィ オランダ 保険業務 30 %
(2020年12月31日現在)
(4) その他の関係会社
該当なし
59/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
5 【従業員の状況】
60/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
従業員の強化
従業員の福祉
在宅勤務はニューノーマルとなった。当行の従業員は、日常的な勤務形態の一部としてオンライン会議やオン
ライン・イベントを行うことにすぐに適応した。当行はかかる移行が定着すると見込んでいる。COVID-19危機に
より私たちは、満員電車で通勤したり、渋滞に巻き込まれたりする「オールドノーマル」が実はあまり好ましい
ものではないことに気づかされた。特定の仕事は、在宅勤務のほうがより効率的に行うことができることが判明
した。このため当行は、オフィスでの勤務が認められた後に備えて、ハイブリッド勤務の実験を検討する機能横
断型チームを結成した。
COVID-19 危機の初期には、従業員が在宅勤務をしているときの状況、彼らが何を必要としているのか、また、
組織に何を期待しているのかを把握することが急務となった。これらを特定するため、当行はパルス調査を設定
した。2020年度中、従業員のうち62%から77%が在宅勤務はうまくいっていると回答し、77%から91%がCOVID-
19危機以前と同程度の価値を提供し続けることができていると報告した。当行は、2020年度中にこの調査を20回
実施し、これはパンデミック間の従業員福祉および従業員体験、従業員支援ならびに組織機能に係るデザイン介
入の強固な基礎となった。危機のピーク時、学校が閉鎖されていた時期において、従業員は緊急休暇を取得する
ことができた。危機を通じて、ウェビナー、ワークショップやコーチングを提供し続けることで、当行は従業員
の変化するニーズと福祉を手助けした。仕事の取り決めや慣行をバーチャルワークに合わせて調整したり、電話
でのウォーキングミーティングを推奨したり、バーチャルミーティングの合間に定期的な休憩を取ったりするこ
とについて、チームを支援している。可能な範囲で、同僚と安全に時々会うという選択肢を当行は提供してい
る。当行はまた、自宅での作業環境を改善するために、従業員に対して750ユーロを支給している。
COVID-19 の影響もあり、2020年度の連続した12ヶ月において、オランダにおける病欠率は3.4%(2019年度:
4.3%)まで減少した。これは、労働安全衛生の基準である4.1%を下回っている。労働安全衛生システムでは、
プライバシーを確保しつつ従業員のCOVID-19感染者数を監視することで、可能な限りサポートするとともに、事
業の継続性と安全性を確保している。
61/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ジレンマ:在宅勤務
COVID-19 は、現状の在宅勤務の傾向を促進させた。2020年3月以前、在宅勤務は、邪魔されることなく、通
勤せずに特定のプロジェクトについて取り組むための時々訪れる快適な機会と考えられていた。COVID-19は、
任意だった選択肢を、必須のものに急速に変化させた。
在宅勤務には強みがあるものの、特に狭い住居に住んでいる人および/または子どもの世話をしなければな
らない人にとっては困難な側面も有している。このような人々は、主に若い世代で構成されている。多くの場
合、これらの人々は入社してからまだ長い時間が経っていないこともあり、この変化は、これらの人々が自ら
の立ち位置を見つけることを非常に難しくしている。当行はどのようにして協同組合銀行の仕組みを、
Growing a Better World Together(一体となってより良い世界を作る)という当行のミッションと、当行が
支持する価値観や行動とともに、慣れ親しんでもらうことができるだろうか。多くの従業員が、同僚との直接
的な交流ができていないことを残念に感じている。オンラインのみで人と接触することには限界があり、この
変化による長期的な心理的影響はまだ不明である。
この危機は多くの疑問を提起している。一般的な慣行の例外を設けるには、その人はどの程度悪い状況に
なっている必要があるのだろうか。感染者が増加して政府が一般体制を引き締めた場合、そのような例外は引
続き適用されるのだろうか。当行は、何かしらのロードマップを設計すべきだろうか。それともそれは自らを
束縛することになるだろうか。ラボバンクは、危機を乗り切るために独自の道を選んでも良いのだろうか、そ
れとも他の類似企業に合わせたほうが良いのだろうか。
長期的に考えると、逆のシナリオについても考える必要がある。在宅勤務が通常ではなくなった一方で
COVID-19が依然として脅威である場合、一部の雇用主は、従業員が週に少なくとも2、3回オフィスに出勤す
ることを求め始める可能性がある。公共交通機関で移動しなければならないことや、健康上の理由などによっ
て、従業員の一部がそれを不安に感じる場合はどうするべきだろうか。従業員にはどの程度の柔軟性が与えら
れるべきだろうか。また、彼らにはどのような代替案が提示できるだろうか。もう1つの長期的な問題とし
て、全てのオフィスをどうするかが挙げられる。オフィススペースの余剰は、住宅スペースの不足を解消する
のに役立つ可能性がある。しかし、それを達成するために必要な投資が、あまりに当行の負担となるようだっ
たら?当行はいつ、どちらの決定をすべきだろうか。これらの問題は、実務的であるだけでなく、倫理的な側
面も有している。当行は、現在、そして近い将来、どのような働き方のコミュニティを望んでいるのだろう
か。
62/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
従業員体験
当行の戦略を実現するためには、適材の従業員を引きつけることが極めて重要である。当社の雇用主価値提案
は、労働市場において強固かつ特徴的である。これにより、当行はオランダのインターメディエールの最も人気
の雇用主に関する調査で非常に高い順位を獲得した。当行は、全体で第6位(2019年度:第11位)となり、銀行
と会計士のサブカテゴリー(2019年度:第3位)では第1位となった。当行の基本的な戦略的ターゲット・グ
ループのポジショニングおよび活動により、当行は、当行にとって戦略的に重要な職位の欠員を埋めることに成
功した。
2020 年度において、当行は新しく入社した従業員向けのグローバル・オンボーディング・プログラムを開始し
た。当行は毎月、「一体となって成長する」と題されたバーチャル・オンボーディング・セッションを開催し、
そこで新しく入社した従業員を歓迎し、ラボバンクのルーツ、そして当行の戦略および行動について伝えてい
る。
持続可能な雇用
従業員開発
従業員への投資は当行にとって重要であるため、当行はラボバンク・スキルに基づいた従業員教育に引続き注
力している。スキルの再構築およびスキルアップを行うことで、従業員は自らのスキル・セットの将来を保証
し、自らのキャリアを設計し、ラボバンクの転換および戦略的な事業目標の実現に貢献することができる。
2020 年度において、当行は、刺激を与える(外部からの)講演者がラボバンク・スキルに関連した話を従業員
と共有する、一連の「デア・トゥー・ビー・インスパイヤード」イベントを開催した。これに加えて、当行は、
1,000ユーロの個人年間開発予算とともに従業員の成長のための選択肢を提供している。2020年度中に、多くの
開発機会がデジタルで利用可能となった。2020年度分の個人開発予算合計のうち、9.5百万ユーロ(26%)が
2020年度末までに使用された。2020年度分の予算合計は37.1百万ユーロであり、これは2020年度分の通期予算と
2019年度分予算の未使用分によって構成されている。2020年度分の開発予算の残り(17.7百万ユーロ)は、次年
度まで繰り越すことができる。COVID-19の影響により、かかる数値は過年度と比べて低くなっている。このよう
な事態でも、当行は引続き、開発および学習に取り組むよう従業員に対し働きかけていく。
オランダ国内の従業員数
女性 男性 不明 合計
合計: 13,525 15,041 4,294 32,860
―正規 11,672 11,967 1 23,640
―派遣 842 881 4 1,727
―外部 1,011 2,193 4,289 7,493
―内部 12,514 12,848 5 25,367
―常勤 7,245 12,287 5 19,537
―非常勤 5,269 561 0 5,830
63/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
労働組合(デゥ・ウニー、FNVファイナンスおよびCNVファクメンセン)との当行の団体労働協約交渉による、
新たな団体労働協約は締結されていない。CLA当事者が合意に達しなかったことにより、2021年1月1日現在、
新たなCLAは存在せず、現行のCLA合意(2017年度-2020年度)は、ソーシャル・プランおよび年金を除き、引続
き有効である。当行は、2020年度夏季において、これについて新たな協約を締結しており、2021年1月1日から
2年間適用される。当行は、労働組合との対話を継続していく。
団体労働協約
従業員のうち99%が団体労働協約の対象である
モビリティ・センター「サーメン・ヴェルクト!」は、余剰人員となった従業員を、研修コースの提案、個人
開発予算の最適な利用方法についての助言、(ラボバンク内外にかかわらず)仕事に応募する際のスキルのアッ
プデートおよびネットワーク構築という、いくつかの方法によりサポートしている。2020年度において、解雇さ
れた従業員で、他の仕事にも応募していた者のうち70%が6ヶ月以内に成果を挙げており、自身の事業を立ち上
げたいと考えていた従業員のうち76%が解雇から6ヶ月以内にこの目標を達成したことを示している。モビリ
ティ・センター「サーメン・ヴェルクト!」は、余剰人員となった従業員をサポートするだけでなく、自身の
キャリアを管理したいと考えている従業員のサポートも行っている。「サーメン・ヴェルクト!」は、ウェビ
ナーやワークショップを開始し、促進させ、また、個人的な対話も提供している。これにより、「サーメン・
ヴェルクト!」は、2020年度において362人の従業員にまで達した。
戦略的資源計画
当行は、未来に適合した従業員は未来に適合した組織に貢献すると確信している。このため、2020年度、事業
構想およびHR傾向(仕事の未来)に基づき、全ての領域が戦略的資源計画(SRP)プロセスおよびHR介入をさら
に発展させた。
協同組合文化
関与
当行は、従業員関与および会社組織の健全性についての短期サイクルを測定するため、年4回のエンゲージメ
ント・スキャンを全世界で使用している。四半期ごとに、約26,000人の従業員がフィードバックを行っている
(エンゲージメント・スキャン)。2020年度、当行における従業員関与は2019年度第4四半期の64から2020年度
第4四半期の69まで上昇した。ラボバンクで働くことを楽しんでいると回答した従業員の割合は、81%(2019年
度:85%)までわずかに減少した。
64/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
多様性および受容性
多様性は、業績を改善し、当行内の創造性および革新を向上させるものであると当行は確信している。様々な
文化的背景を持つ従業員は、似た背景を持つ顧客集団の特定のニーズを正確に見極める能力を備えている。当行
は、多様性を推し進め、全員が自分らしくあることができる、受容性のある文化を目指している。当行による年
4回の調査では、従業員のうち82.9%が、当行の組織内で自分らしくいることができると回答した。
多様性および受容性に係る世界的方針が、国内・海外支店および駐在員事務所を含むラボバンク全体だけでな
く、経営委員会および監督委員会にも適用される。当行は、経営委員会のうち44%が女性であり、経営委員会よ
り1つ下のレベルでは33%が女性であることを誇りに思っている。当行の監督委員会(HRおよび報酬委員会)だ
けでなく、地方および中央ユニットの取締役によって構成され、経営委員会メンバーであるベリー・マルティン
が会長を務める多様性委員会も、方針の遵守および目標の進捗状況を監視している。
ジェンダー多様性
女性の割合: 2020 年度 2019 年度 2018 年度 目標値
監督委員会 38 % 38 % 44 % 40 %
経営委員会 44 % 40 % 40 % 40 %
経営委員会より1つ下のレベル 33 % 33 % 31 % 33 %
当行は、多様性に係る実績に対し、タレント・トゥー・ザ・トップ(「タレント・ナール・デゥ・トップ」)
賞を受賞したことを誇りに思っている。
雇用主として、当行は機会均等にコミットしている。2020年度において、当行はCLA対象従業員の賃金平等に
関する広範な調査を実施した。当行は、非常勤契約と常勤契約の違いのみを考慮した未調整賃金格差と、例えば
同じ職種の従業員同士の類似比較が可能な調整済賃金格差を検討した。この調査では、未調整賃金格差は
24.7%、調整済賃金格差は1.6%であった。未調整賃金格差に影響を及ぼした要素には、職能、契約上の労働時
間、勤続期間および従業員年齢が含まれ、主に当行の労働力における男女の分布による影響を受けた。今後は、
賃金格差の根本的な原因を理解するために、賃金平等の監視とさらなる分析を継続し、これにより、今後数年間
で格差について組織的に対処するための行動をとることができるようになる。
ジェンダー、文化および労働市場における不利な点を持つ従業員の多様性の促進に対する継続的な注視だけで
なく、インターンシップ、実習制度および仕事による支援により、当行は、在留資格保持者の融合および自立を
引続き促進した。この結果、2020年度において、合計27人がラボバンクで仕事を始めている。
65/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
リーダーシップ
当行のリーダーは、当行の文化を変えるにあたって極めて重要な役割を担っている。2020年度、当行は、ラボ
バンク・リーダーシップ・モデルに関するマネージャーたちの知見をさらに高めた。当行は、個人リーダーシッ
プ、そして、個人、チーム、1つのラボおよび地域社会から構成されるネットワーク・リーダーシップを重視し
ている。9月、全世界におけるリーダーを対象に、当行は2日間に及ぶデジタルでのリーダーシップ・イベント
を開催した。この目的は、公式および非公式のリーダーが、自身のリーダーシップ・スキルを向上および育成で
きるよう、また、どのようにして「一体となってより良い世界を作る」ことにさらなる貢献ができるかを考える
よう、奮い立たせ、働きかけることであった。
率直に発言することおよび従業員の声
ラボバンクは、従業員が懸念、仕事関連の問題点、好ましくない態度、不正行為および違反について率直に発
言することができる安全な労働環境を提供することを目指している。「ビューロー・スピーク・アップ」および
「ジャスト・アスク」は、これらの対応に関する支援と、下記の手続きの実施について助言を提供している。
ビューロー・スピーク・アップ、ジャスト・アスクおよび内部通報に係る世界的方針は、ラボバンクについて
全世界で適用される。オランダ団体労働協約に従い、労使関係紛争手続(GRA)、労使関係紛争委員会(GCA)お
よびソーシャル・プラン中央不服審査委員会(CBSP)は、オランダ国内の全ての従業員にとって利用可能であ
る。また、内部および外部の信任された人員が、世界中の従業員と対応可能である。
ビューロー・スピーク・アップは、93件(2019年度:61件)の依頼に対応し、そのうち80件は終了し、13件は
2021年度においても継続する予定である。
ジャスト・アスクは176件に対応し、これは、労使関係紛争手続(GRA)(ヘシヒレン・レーヘリング・アルバ
イツフェルハウディンゲン)に基づく報告とHR関連の一般的な問い合わせで構成されており(2019年度:193
件)、そのうち12件は2021年度においても継続する予定である。労使関係紛争委員会(ヘシヒレン・コミッ
シー・アルバイツフェルハウディンゲン)は37件の新規の問題を取り扱い、そのうち33件は過年度から保留中の
問題である。内部の信任された人員は、83件を取り扱った。ソーシャル・プラン中央不服審査委員会は、個別の
ケースにおけるオランダのソーシャル・プランの適用に関する、16件の公式な不服申し立て(2件は2019年度か
らの不服申し立て)について判断を行い(2019年度:30件)、そのうち0件が2021年度においても継続する予定
である。
内部通報に係る世界的方針に基づくトラステッド委員会は、2020年度において合計39件(2019年度:37件)を
取り扱い、20件は調査を委託し、8件は担当責任者へのフォローアップについての勧告を発行した。2020年度に
おいて、34件は終了し、また、5件は2021年度においても継続する予定である。
66/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
報酬
当行の報酬構想
当行の報酬構想は、協同組合としての目標の達成および当行の基本的価値観を支えることを目的として作成さ
れた。当行は、協同組合として、金融サービスを通じて、また、持続可能性および革新を優先することにより、
従業員がオランダの福祉および繁栄に貢献し、全世界の食糧問題の解決を手助けすることを可能にすることを目
指している。当行の報酬方針は、当行の長期的な利益を見据えており、一般的な利益や顧客の利益を考慮してい
る。このため、これは当行の協同組合としてのアイデンティティ、そして関連する戦略およびリスク選好度を支
えている。これにより当該方針は、緻密で、規制を遵守した、社会的に責任があり、持続可能なものとなってい
る。当行は、適度な給与水準を目指している。
魅力的な雇用主であるために、当行は、優秀な人材を引きつけ、雇用し続け、また発展させ、従業員を強化
し、また、多様性および受容性を育むことを重視している。これは、公平な報酬パッケージを提案するだけでな
く、副次的な条件の有益なセット(魅力的な職場環境、良質な年金構造および成長機会への集中など)を提供す
ることによって支えられている。当行の世界的業績管理システムである「グロー!」、世界規模の教育および訓
練プログラムならびにオランダの従業員のための成長予算は、従業員の専門的・個人的な発展に貢献する。
報酬方針
当行の報酬構想は、複数の方針に反映されている。ラボバンク団体労働協約(CLA)はほとんどのラボバンク
従業員およびオプフィオン従業員に適用される。経営委員会およびその他の執行役員には別の報酬方針が適用さ
れている。DLLインターナショナルおよびバウフォンツ・プロパティ・ディベロップメント(BPD)も、それぞれ
独自の報酬方針を採択した。オランダ国外に位置するホールセール・アンド・ルーラル(W&R)、DLLおよびBPD
の報酬方針は、現地の法律および規則ならびに現地の市況に一部基づいている。
報酬構想の原則および指針は、毎年更新される、当行の報酬方針に詳述されている。本方針は、ラボバンクが
国際的な領域を有し、複雑な活動を行う重要な銀行であることを考慮している。これは、当行の長期業績および
堅実な資本ポジションを保護するよう設計された、堅固で有効なリスク管理プロセスを支持している。これは例
えば、リスク軽減措置の適用や、従業員のリスクに対する意識の構築などによって達成される。本方針はまた、
従業員が、ラボバンク、顧客およびその他の利害関係者の長期的な利益に沿う持続可能な業績を目指すことを促
進する。
毎年度、監督委員会は、グループ全体の報告書によって報酬方針の実施についての報告を受けている。この報
告書には、最高所得者の固定給および変動給に加え、全ての重大な残留特別手当、サインオン手当、買収および
付与された退職金についての情報が含まれる。オランダの法律に基づき、労使協議会は、オランダ国内の給与水
準や賃金率について毎年度通知される。
67/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
報酬方針の概要
オランダ国内における職位についての固定給水準は概して、職務評価によって決定されており、結果として各
役職の職位をもたらしている。各職位は、固定報酬の範囲を定める給与スケールと関連付けられている。地方ベ
ンチマークが存在する場合、オランダ国外の役職についての固定給も同様に決定されている。給与スケールは、
当行の報酬構想に対応するため、同等の業務で支払われる市場中央値と同等あたりに設定されている。ラボバン
ク内においては、特定の従業員集団のみが変動給与の対象である。オランダ国内において、かかる集団は主に
ホールセール・バンキングおよびトレジャリーで構成されており、加えて、オランダ国外の従業員、また、当行
の子会社の従業員にも適用される。変動給与はいかなるときも保証されておらず、失敗または不正行為について
報酬は支払われないよう業績管理手続きによって確実にしている。
業績と報酬間の関係は、従業員のラボバンク目標への貢献度、当該従業員の姿勢および自身の自己成長が評価
されている業績管理文書にて定義されている。業績目的は、バランスのとれた経済的および非経済的基準のセッ
トによって構成されている。業績目的のうち、少なくとも半分(50%の加重)以上は非経済的でなくてはならな
い。非経済的基準は、戦略的優先事項に直接関連する、集合的なかつ一連の主要業績評価指標(KPI)によって
決定されている。かかる指標とは、100%のデジタル化による利便性、トップレベルの身近な顧客アドバイス、
成長と革新、トップレベルの業績、最適化されたバランスシート、極めて優れた方法での実行、社会的責任およ
び持続可能な貢献の重視、加盟者および共同体による関与、やる気にあふれる従業員、また、1つのラボバンク
文化である。軽率な態度を助長するまたは顧客を最優先に考えていないインセンチブは、業績目的に含まれてい
ない。
世界は現在、異例の状況にあり、当行の顧客はCOVID-19危機に大きく影響を受けており、これは、ラボバンク
にも影響を及ぼした。対応として当行は、賃上げおよび変動給与の決定について慎重であることで、責任を負っ
ている。2020年度において、全世界のラボバンクにおける変動報酬は150.7百万ユーロ(2019年度:197.1百万
ユーロ)であり、これは報酬のために確保されている合計額の約6%にあたる。さらに、当行の報酬方針はオラ
ンダおよび欧州の規制に沿っており、これには、オランダで働く従業員の変動給与を平均で固定給の20%を上限
とし、オランダ以外で働く従業員については固定給の100%まで最大化することが含まれる。2020年度におい
て、当行は、EEA外の国で最大200%までを変動給与として支払うことができるとする、オランダ法における規定
は利用しなかった。法律によって定められているとおり、変動給与は現金および手形の形式で付与(50%ずつ)
されており、変動支払全体について、事前検査、事後検査およびマルスおよびクローバックを適用できる能力な
ど、複数のリスク軽減措置が執られている。変動給与を受け取る資格を有する従業員については、リスク軽減
ターゲットが各人の目標の一部となっている。
68/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
当行のリスク特性に重大な影響を及ぼした従業員の集団は、特定スタッフに指定されている。特定スタッフの
ポジションの人事異動、また組織再編後に特定スタッフを含めるまたは除くことを目的として、年度中に特定ス
タッフのリストは更新されている。特定の業績管理の要件に加え、特定スタッフの変動給与については、特定の
リスク軽減措置が設定された。これには、基礎的な事業活動に関連したリスクについての十分な検討を可能にす
る、繰延ベースでの変動給与の支払いが含まれている。概して、特定スタッフへの変動給与の支払いは、3年間
にわたって(2021年度については4年間にわたって)行われる。しかしながら、「上級経営者」としての資格を
有する従業員については、繰延方針は5年間まで引き延ばされる。一定額以上の変動給与を受領しているものの
特定スタッフに指定されていない従業員は、事後検査の実施を可能にするため、繰延方針も考慮される。2020年
度において、4人の特定スタッフ(DLLに1人、また、ラボバンクに3人)が、1.0百万ユーロから1.5百万ユー
ロの間の合計報酬(拠出年金を含む。)を受け取った。
国内銀行事業
CLA 従業員
2020 暦年末、ラボバンクCLAの規定に基づき、24,475人(2019年度:25,795人)の従業員が雇用されていた
(オプフィオンを含む。)。ポジションスケール1から11ならびにシニア・スタッフAおよびシニア・スタッフB
の報酬パッケージには、固定収入、従業員給付金予算(EBB)、年金および福利厚生が含まれる。ラボバンクCLA
における給与スケールは、役職を評価するためのヘイグループのシステムに基づいている。2020年度に関して
は、集団での報酬について1%の調整が労働組合と合意された。ポジション内での昇給は、個人の貢献度、姿勢
および自己成長を考慮した、前年と比較した業績管理結果に基づいている。2013年度以降、CLAは変動報酬を含
んでいない。
ラボバンクCLA年金制度は、団体確定拠出制度である。2020年1月1日付で、常勤換算従業員の年金を生じさ
せられる最高収入(法律により規制される。)は、104,115ユーロとなった。実際よりも高い収入の従業員は、
個別予算を受領する。全てのCLA対象従業員は従業員給付金予算(EBB)を固定報酬の割合に応じて受領する。
EBBによって、追加の休暇を購入したり、節税効果のある方法で自転車を購入したり、または当該予算から支払
うことができる選択肢を含む柔軟性および雇用条件の選択肢が提供されている。
2020 暦年末のオランダの当行従業員の報酬の平均額は81,565ユーロであり、報酬の平均額と経営委員会会長の
1
比率は1:14.9となる 。この比率は、経営委員会の報酬方針は変更されないままだった一方で、ラボバンク人
口がより高学歴の従業員に移行したことにより、過去数年度において低くなっており、またこれは、ラボバンク
従業員とってはより高い報酬の平均額をもたらしている。
1 2019年度に使用された報酬の中央値に代わって、2020年度より報酬の平均額が算出される。年金額もまた、2020年度
より含まれている。このため、2019年度と2020年度の報酬水準は比較可能ではない。
69/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
DLL
DLL は、報酬レベルが地方労働市場と一致した、グローバルな方針を有する。全体的な報酬パッケージは、同
等の金融機関で支払われる市場中央値をわずかに上回っている。 これは、ほとんどのポジションで固定給与およ
び変動報酬要素で構成されている。上級経営者は変動給与の資格を有していない。その他の従業員の変動給与額
は、固定給の100%を超えてはならない。DLLは、固定給のほか、従業員には年金制度や健康保険パッケージな
ど、様々な福利厚生の幅広いパッケージを提供している。業績と給与の関連性は、量的および主に質的な目標を
基準としている、DLLの業績管理システムにおいて明示されている。
BPD
ラボバンク内の独立した組織として、BPDは、ラボバンク報酬方針の要件を満たす、独自の適度な報酬方針を
運用している。BPDは、従業員を、CEO、執行役員および団体労働協約の対象となる従業員という3つの集団に分
けている。いずれの集団も、固定および変動給与ならびにラボバンクのものと一致した年金制度で構成される報
酬を含む、独自の雇用パッケージを有している。
BPD CLA は、業績および従業員開発を導くための業績および能力管理制度(PCM)を含む。BPDは、オランダ国
外、つまり、同じく固有の報酬方針およびPCMを有するBPDドイツでもスタッフを雇用する。
従業員数概要
2020 年12月31日 2019 年12月31日
オランダ 海外 合計 合計
国内リテール・バンキング 8,558 - 8,558 10,529
ホールセール・バンキングおよび
896 5,008 5,904 6,201
国際リテール・バンキング
リース 718 4,715 5,433 5,136
不動産 350 330 680 629
サポート・ユニットその他 15,663 168 15,831 13,589
ラボバンク・グループ全体 26,485 10,221 36,706 36,084
長期欠勤率 - - 3.4 % 4.3 %
2020 年度における従業員の平均年齢は43.8歳(2019年度:43.7歳)、2020年度の平均年間給与は53,002ユーロ
(2019年度:51,203ユーロ)であった。平均雇用年数は13.9年(2019年度:14.4年)である。
70/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
第3 【事業の状況】
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
ラボバンクの概要
当行の歴史
当行は、19世紀後半にオランダの農家や園芸家が当初設立した小規模な複数の協同組合銀行から始まってい
る。彼らは将来の農業および園芸業を改善し、信用協同組合を通じて農家を裕福にすることに意欲を燃やしてい
た。1895年以降、この「ライファイゼン・システム」をモデルにした銀行がオランダ各地にいくつも設立され
た。当該組織モデルは、自助、個人的および相互的に責任を負うこと、ならびに全ての利害関係者を巻き込むこ
とをその中心に据えていた。今日、当行は43,272人の従業員(常勤換算従業員)(35,222人の正社員および
8,050人の契約社員)を擁し、38カ国にて事業を展開している。設立時の原則および社会に変化をもたらすこと
への当行のコミットメントは、今までになく強いものとなっている。
当行の活動
当行はオランダ国内における全ての金融サービスの提供および食品・農業顧客に対する世界規模のサービス提
供に焦点を当てている。当行はその戦略と、リテール・バンキング部門、ホールセール・バンキング部門、ルー
ラル・バンキング部門、プライベート・バンキング部門、ベンダー・ファイナンス部門、リース部門および不動
産開発部門の顧客に対して提供する商品およびサービスを通じて、価値を創出している。
当行のビジネスモデル
当行は顧客に対して、支払サービス、貯蓄性預金、保険およびローン、ならびに資金繰りおよびM &A といっ
た戦略的助言サービスを含む、様々な商品およびサービスのパッケージを提供している。当行の収益の大半は純
受取利息から成っている。純受取利息は、言いかえれば当行が顧客から受け取る利息と当行が預金および資金調
達につき支払う利息の差額である。当行は当該収益によって、例えば従業員の給与、諸税およびリスクに係る費
用、イノベーションおよびデジタル化への投資、ならびに投資家に対する配当といった費用をまかなっている。
71/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
利害関係者のための価値の付加
当行は利害関係者のための価値の創出にコミットしている。当行は顧客および加盟者、資金調達パートナー、
従業員ならびにWWF、国連および貿易機関といった社会的パートナーを主要な利害関係者として捉えている。大
きすぎて単独では解決できない社会問題に当行はパートナーたちと連携して取り組んでいる。当行は全ての利害
関係者との恒久的な関係を存続させ、今日のトレンドおよび不確実性を背景とした顧客のニーズに応えることに
よって価値を生み出している。当行はこのプロセスを価値創出モデルにおいて示している。当該モデルは、当行
のミッション、ビジョン、戦略ならびに当行の商品およびサービスとともに、当行がそのビジネスモデルにおい
て用いる主要なインプットを示すものである。最後に、価値創出モデル内のアウトプットおよび影響に係るセク
ションは当行の戦略的礎石を中心に据えて構成されており、国連の持続可能な開発目標(SDGs)のうち関連のあ
るものについて当行が協力できているかどうかを示唆する。
主要な動向および不確実性
毎年当行は、当行の利害関係者および当行自身に影響のある動向および傾向を分析している。例えば消費者動
向、気候、技術、イノベーション、市場参加者、規制、経済および社会に関する傾向がそれにあたる。これらは
全て課題とともにチャンスも提示するものである。
動向および不確実性の概要
・ 経済の動向
当行は見通せる範囲の将来において、COVID-19パンデミックおよびその余波への対処が必要となると見込
んでいる。GDPは縮小しており、動向は業界によって様々である。大きな打撃を受けた業界もあれば、オ
ンラインサービスを拡充する動きが見られる業界もある。減損は増え、経済成長は限定的となっている。
地政学的な混乱は依然として収まっておらず、貿易戦争によって世界経済は変貌しつつある。政府により
様々な支援策が打ち出されているものの、COVID-19は経済に対して著しく強力な打撃を与え得る存在であ
り、金融市場の不安定性の増加、市場へのアクセスの喪失および投資損失をもたらす可能性もある。政府
による支援策の段階的な廃止がどのように作用するかは未だ分からず、高い債務比率がどのように将来に
影響するかは依然として不透明である。長引く低金利環境が当行の収益に圧力を与えているため、当行は
引続き収益に対する費用の比率の改善に取り組む。
72/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
・ 破壊的イノベーション
顧客の選好は、急速かつ大幅に変化しており、COVID-19対策のロックダウンによっていっそう変化が進ん
でいる部分もある。デジタル化の速度は、顧客行動の変化に合わせて加速している。そして融資および貸
付の世界もこの数年で急速に変化している。すなわち多くの個人および組織において、第三者に資金およ
びベンチャー・キャピタルを提供する準備が整っているのである。また既に我々の日常生活に浸透し巨大
な顧客基盤を有する複数の大手テクノロジー企業が支払いサービスを提供し始めた。当行は引続き中核事
業に注力し、世界の移り変わりに対して貢献できるイニシアチブおよびサービスを当行の顧客に対して提
供する。顧客のニーズに応えるために、当行はイノベーションを積極的に監視しており、また戦略的パー
トナーシップに参加している。当行は(デジタル)サービス、人工知能およびロボット化の質およびさら
なる革新に投資している。農業用ドローンから個人情報の活用まで、幅広い技術が当行の事業および当行
の顧客の事業に影響を及ぼしていることは明らかである。これら全てのデータを安全にかつ整理された状
態で保管する必要がある。金融業界に対するサイバー攻撃の脅威と影響は増すばかりである。当行は、ク
ラウド技術を通じてサイバー犯罪のリスクを低減する能力を強化している。
・ 持続可能性および気候変動
パリ協定の意図および目標とは裏腹に、地球温暖化は進行しており、環境および共同体の食糧安全保障は
リスクにさらされている。当行は気候変動が当行の銀行業に直接影響すると見ている。当行は気候変動が
当行のポートフォリオに対してもたらす物理的リスク、および開示における透明性要件が厳しくなる中で
当行の顧客がより持続可能なビジネスモデルへ移行しようとしていることを認識している。気候変動、飢
餓および貧困といった課題に対処すべく当行の活動を調整する際の道標となる枠組みとして、当行は国連
のSDGsを活用している。当行はSDGsの達成に対して意義ある貢献をしたいと考えている。SDGsは全て重要
であるが、それらを支援する上での当行の能力は個々の達成事項によって異なる。当行は当行がその戦略
を通じて影響を与えることのできる4つのSDGsに主に焦点を当てることにした。それはすなわち、SDG
2、8、13、および17である。
・ 規制
規制当局および新たな規制は、銀行のサービス提供方法をこれまで以上に形作っている。金融セクターの
門番としての役割を担っているため、当行は引続き細心の注意を払うことを(規制当局より)求められ
る。当行の注意義務に対する期待は増す一方である。独立した各法域間において重複する規制が一貫性に
欠ける場合、規制の不確実性が増し、規制当局の行動および監督当局の解釈に差異が生じる可能性があ
る。リスクは、地域毎におよび国際的に様々な監督当局(ECB、DNB、AFM、およびオランダ・データ保護
機関)の規制対象となっている。新規および既存の規制は、それらをタイムリーに遵守する当行の能力に
対してプレッシャーをかける。
このような不確実性を当行がいかに管理しているかに関する詳細については、「リスク管理」の項を参照のこ
と。
73/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
利害関係者とのエンゲージメント
当行は全ての利害関係者との戦略的、建設的かつ積極的な対話を維持することにコミットしている。システム
上重要な銀行として、当行は多くの利害関係者と取組みを行っており、全ての利害関係者が当行にとって重要で
ある。当行は顧客、加盟者、従業員、投資家、格付機関、監督機関、規制当局、他の銀行、フィンテック企業お
よびスタートアップとの交流が最も多い。加えて、非政府組織、政府当局、メディアおよび政治家との関わりも
ある。当行は、加盟者理事会、顧客フィードバック・プラットフォーム、顧客および従業員に対するアンケー
ト、業界イニシアチブへの参加、ならびにその他の手段を通じて当該利害関係者と関わっている。当行の経営委
員会の委員は、当行の戦略の進捗状況について協議を行うこと、社会に対する当行の貢献に関してフィードバッ
クをもらうこと、金融業界の一般的動向および特にラボバンクに関わる動向について討論を行うことを目的に、
顧客、従業員、政治家およびその他の利害関係者との面会を行っている。
バリューチェーン
当行のバリューチェーンは、農家へのインプットから消費者による商品の利用まで、チェーン全体を網羅して
いる。当行の役目は、貸付、投資および国内の不動産開発で構成されている。当行はローン支払いや資産管理と
いった多種多様な金融商品を個人および法人顧客に対して提供している。ラボバンクは、顧客に対して不動産、
住宅ローンおよびリース・ソリューションを提供するBRD、オプフィオンおよびDLLも擁している。こうしたバ
リューチェーンを通じて、当行は顧客の望みを実現し、顧客に対して価値を付加することを目指している。
バリューチェーンにおいて資金提供者およびコネクティング・パートナーとしての役割を果たす傍ら、当行は
食料に係る移行に関する公的な議論においても重要な役割を果たしたいと考えている。当行のネットワークを活
用することによって、生産者と消費者(受給者)をつなげることができる。当行はその知識のおかげで、厳選さ
れた世界各地の農業事業バリューチェーンの持続可能性に係る円卓会議に積極的に参加することができる。持続
可能性プロジェクトと当行のコラボレーションを通じて、周りの者が自身のバリューチェーンの持続可能性を向
上させるきっかけを作ることが当行の狙いである。当行は顧客に対する価値の付加と世界の農業事業および食料
の持続可能性対策の推進を両立させることを目指している。
74/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
当行の基盤
当行のミッション、ビジョン、戦略、価値観、および姿勢は、当行の経営方針の基盤を成している。
ミッション
当行のミッションは、Growing a Better World Together(一体となってより良い世界を作る)ことである。
これは当行を象徴するものであり、当行は顧客主導型であること、行動指向型であること、目的を持つこと、勇
敢であること、プロ意識および思いやりを持つこと、ならびに継続的に学習しながら互いのベストを引き出すこ
とを通じて、これを達成することを目指している。
ビジョン
当行は、顧客主導型かつ総合型の協同組合銀行として差別化をはかることにコミットしている。当行は顧客の
抱えている、社会に対して大きな影響力のある問題を第一に考えることで、社会的責任を有する銀行となること
を目指している。当行は、世界への持続的な食料供給ならびに当行が事業を展開している共同体の福祉および繁
栄に大きく貢献したい。
移行
Growing a Better World Together(一体となってより良い世界を作る)との当行のミッションは、我々の住
む世界の大きな移り変わりに対して実質的かつプラスの貢献をするという当行の目標を表現している。食品業界
およびオランダを地盤とする協同組合銀行として、当行は自身の命題を通じ影響を及ぼすことのできる主要な移
行を重要視している。当行は顧客に対して商品およびサービス、ならびに当行のネットワークおよび知識を提供
することによって当該命題を形作ることができる。将来の世代により良い世界を残すためには、以下の移行につ
いて大きくかつ速やかな変革が必要である。
増加する世界の人口に対するより持続可能な食料供給方法
増加する世界の人口に対するより持続可能な食料供給方法を見つけること(食料に係る移行)は、多くの持続
可能性目標を包含する必須の移行である。気候問題に次ぎ、世界が直面する最も差し迫った複雑な課題の一つで
ある。
気候変動ならびにより持続可能なエネルギー供給およびエネルギー消費への移行
より持続可能なエネルギー供給への移行(気候およびエネルギーに係る移行)は、現在進行中の気候変動に対
処し既に発生しているその悪影響を抑える上で緊急に必要とされている。パリ協定に規定の要件を充足すること
ができたとしても、当該移行の達成には、防止と適応という2種類の対策が必要となる。
気候変動の防止には、持続可能なエネルギー生産への移行およびエネルギー消費の削減が求められ、いずれも
業界および個人の両方が取り組むべきものである。当該移行においては、地球のその他の資源のより持続可能な
かたちでの活用およびいっそう循環性の高い経済を目指す動きも要求される。
75/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
より一体性のある社会
デジタル化が社会にもたらす影響と、低収入、支援ネットワークの縮小、および経済的連帯の減少とが組み合
わさることによって、社会の一体性が損なわれている。こうした要素が、特に社会の中で最も脆弱な層に対し
て、いっそう個人主義的な社会、社会ストレスの増加、および財政の健全性の減少をもたらす。多くの持続可能
性目標において重点分野とされるこうした問題の兆候は、当行が卓越したリテール・バンキング事業を展開して
いる国であるオランダでも現れている。
命題
当行のバンキング命題、知識およびネットワークを通じて、当行はこれらの移行にプラスの貢献をしたいと考
えている。当行は複数のテーマに沿って、当該貢献の優先順位を決めた。各テーマについて、当行は銀行の成長
を実現する傍ら、プラスの影響をもたらすことを目指している。
1. 持続可能な食料 は、当行の国際的なバンキング・フォー・フード戦略の根本にあるものである。当行は食
料に係る移行に関する公的な議論において重要な役割を果たすことを目指している。当行のネットワーク
を活用することによって、生産者と消費者をつなげることができる。当行はその知識のおかげで、厳選さ
れた世界各地の農業事業バリューチェーンの持続可能性に係る円卓会議に積極的に参加することができ
る。
2. 持続可能な成長およびエネルギー供給 。当行は企業の持続可能な成長を促進している。意欲的な持続可能
性プロジェクトにおいて、革新的な顧客および社会的パートナーと協力することで、周りの者が自身のバ
リューチェーンの持続可能性を向上させるきっかけを作ることが当行の狙いである。当行は顧客がより循
環性の高い経済へ向かうための手助けをすることを目指している。持続可能なエネルギープロジェクトへ
の融資につき既に担っている重要な役割に上乗せするかたちで、このテーマにおいては、「エネルギー移
行といえば当行」と言われるようになることも目標としている。
3. 持続可能な暮らし 。オランダにおいては、人々の持続可能な暮らしへの移行を促進することを目指してお
り、エネルギー供給およびエネルギー消費の効率を上げることで持続可能な住宅へ移行する動きをさらに
加速させることに特に焦点を当てている。
4. 財政の健全性 。協同組合リテール銀行としての重要な役割をオランダにおいて担う当行は、当行の顧客お
よび当行が事業を展開している共同体の財政の健全性を促進することを目指している。これはより自立し
た人々による一体性のある社会を創り出すために当行ができることである。
5. 予算に見合いかつ持続可能な賃貸 。オランダの住宅市場においては、中間所得層の予算に見合う持続可能
な賃貸住宅が不足している。当行は子会社であるBPDとともに、BPDハウジング・ファンドを通じて当該住
宅を建設し当該ターゲット層に貸し出すことによってこの問題の解決に貢献したいと考えている。
76/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
戦略的支柱
当行は顧客が自主的な判断を下すことができるようになるよう取り組んでいる。当行の戦略は4つの支柱に
沿って成り立っている。すなわち、優れた顧客重視、意義ある協同組合、従業員の強化および堅実な銀行であ
る。これら4つが、当行の全ての行動、優先事項、主要業績評価指数(KPI)、価値観および姿勢の礎石となっ
ている。
77/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
優れた顧客重視
顧客重視は当行の文化に深く根付いている。優れたアドバイスならびに便利かつ革新的な商品およびデジタル
化されたサービスの提供によって、現在および将来の顧客の要望に最も良く応えることができる。当行の幅広い
商品およびサービスが経済活動を生み出し、経済を動かし続け、顧客の将来を保証する(SDG8)。
意義ある協同組合
当行は社会の動きを長期的に何かに役立つようなものへと変えていく。協同組合銀行業を営むということは、
加盟者、従業員、顧客およびその他のパートナーを積極的に巻き込み、ネットワークを作ることで彼らをつなげ
ることを意味する(SDG17)。当行は気候変動(SDG13)や生物多様性のような、当行の顧客および利害関係者に
関係のある社会問題について立場を明確にする。世界に持続可能な食料供給を行うという当行のビジョンに取組
むことによって、当行は飢餓の撲滅に貢献することを目指している(SDG2)。当行はメンバーシップ特典をよ
り意義深いものにすることで、加盟者と連携し、加盟者同士のつながりを強化することにコミットしている。ま
た当行は既存の顧客がオンラインで簡単に加盟者となることができるようにしている。
堅実な銀行
全員が主体となり、常にリスクを意識し、かつプロフェッショナルとして行動することにより、当行は適切な
行為を優れた方法で、または極めて優れた方法で実行することを目指している。当行は当行の商品およびサービ
スがマネー・ロンダリングやテロリスト資金供与のために悪用されることを防ぐにあたり、当行の門番としての
役割の重要性を認識している。財務業績および強固な格付によって存続を担保することを当行は目指している。
そのため、当行は収益に対する費用の比率の改善に尽力している(SDG8)。
従業員の強化
当行は従業員に対して、全ての整った職場環境を提供することを目指している(SDG8)。当行の従業員は、
誇りと意気込みを持ち、技能、活力および適応力とは何かを体現している。従業員は、ラボバンクを代表するこ
とで力を得たように感じ、当行のミッションに刺激を受け、一体となってより良い世界を作りたいと願ってい
る。最も有能な人材が、ラボバンクにおいて働き、成長し、当行に留まりたいと考えるようになってほしいと当
行は考えている。
78/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2 【事業等のリスク】
当行は、下記の要因が、社債における当行の義務の履行能力に影響を及ぼす可能性があると考えている。かか
る要因の大半は、発生するか否か予測することのできない不測の事態である。
加えて、社債に伴う市場リスクを評価する上で重要な要因についても下記に記載する。
当行は、社債への投資に付随する重要なリスクは下記のとおりであると考えているが、他の事由が社債の利息
支払い、元金支払い、またはその他の支払いに影響を及ぼす場合もあり、社債の保有に関するリスクについての
下記の記載が完全であるとは表明しない。
最も重要なリスク要因は、各カテゴリー内で最初に提示されているが、各リスクが提示されている順序は必ず
しも、かかるリスクが実際に発生する可能性、かかるリスクの潜在的な重要性、または、当行の事業、財政状
態、業績および将来の見通しへの潜在的な悪影響の範囲を示すものではない。(該当する場合)下記の各リスク
要因にて記載する詳細のとおり、当行は下記に記載されたリスクのいくつかを同時に直面する可能性があり、ま
た、下記に記載されたリスクの一部は相互に依存している可能性がある。下記のリスク要因はカテゴリーごとに
分類されているものの、一部のリスク要因は複数のカテゴリーに属する可能性があり、潜在的投資家は本項に記
載されている全てのリスク要因を慎重に検討すべきである。
下記の記載は2021年5月12日現在のものである。
79/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
セクションA:当行の財政状態に関連するリスク
ラボバンクは、多額の資金調達・流動性リスクに直面している
ラボバンクの主要な資金調達源は、顧客による預金額(2020年度:361.0十億ユーロ、2019年度:338.5十億
ユーロ)、続いて、ホールセールによる資金調達(2020年度:131.4十億ユーロ、2019年度:151.7十億ユーロ)
である。顧客による預金額は、一般的に変動性が高いため、かかる額についての明確な予測は不可能である。ラ
ボバンクの資金需要は顧客による預金額を上回っていることから、ラボバンクは、貸借対照表の資金調達につい
てホールセールによる資金調達にも依存しており、これには資本市場および金融市場へのアクセスが求められ
る。ホールセールによる資金調達へのアクセスは、ラボバンクの信用力に対する懸念または格付の格下げによる
悪影響を受ける可能性がある。アクセスはまた、ラボバンクが活動している市場セグメントに関する懸念または
一般的な市場の混乱によっても影響を受ける可能性がある。例えば、進行中のコロナウイルス(すなわちCOVID-
19)およびその感染拡大を防止するための措置は、重大な市場の混乱をもたらした。
主に国内リテール・バンキング(「DRB」)、ホールセール・アンド・ルーラル(「W&R」)およびDLLイン
ターナショナルB.V.(「DLL」)における金融資産に係る減損費用の大幅な増加、低金利環境の継続ならびに新
規事業量および経済活動全般の減少の結果、COVID-19の集団発生によって2020年度のラボバンクの純利益は多大
な影響を受けた。上記のような要因はいずれも、資本市場および金融市場における資金調達コストや再度の資金
調達コストの上昇を招く可能性があり、これらの市場へのアクセスに影響を与えたり、これを実質的に制限した
り可能性もある。上記の資金調達源に加え、ラボバンクは欧州中央銀行(「ECB」)の信用枠へのアクセスも有
しているものの、ラボバンクの流動性リスクへの感応度は、当グループの事業、財政状態および業績に著しい悪
影響を及ぼす可能性がある。
資金調達リスクとは、ラボバンクの日々の業務または財政状態のいずれにも影響を与えずに、現在および将来
のキャッシュ・アウトフローおよび担保要件について、想定内外のもののいずれも満たすことのできないリスク
をいう。流動性リスクとは、当行が全ての支払義務を期限内に履行できないリスクおよび資産の増加のために当
行が合理的な価格で資金調達できないリスクをいう。これを防ぐために重要なのは、当グループのための預金基
盤ならびに公的資金および資本市場へのアクセスを維持するために、十分な流動性ポジションを維持し、機関市
場参加者およびリテール顧客の信頼を保持することである。しかしながら、これらが重大な脅威に晒された場
合、これは当グループの事業、財政状態および業績に著しい悪影響を及ぼす可能性がある。
80/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクは、システミックリスクへの重大なエクスポージャーに晒されている
当グループは、他の金融機関の脆弱性または認識された脆弱性による悪影響を受ける可能性があり、これは重
大な組織的な流動性問題、損失またはその他の金融機関およびカウンターパーティーによる債務不履行をもたら
す可能性がある。かかるリスクは、時に「システミックリスク」と呼ばれ、金融機関だけでなく、当グループが
日々やりとりをしている清算機関、手形交換所、銀行、証券会社および証券取引所などの金融仲介機関に悪影響
を及ぼす可能性がある。多くの金融機関の商業上および財政上の健全性は、信用、取引、清算およびその他の関
係性の結果、密接であり、また相互に依存していることから、金融機関に対する懸念または金融機関による債務
不履行は、重大な流動性問題やその他の金融機関による損失または債務不履行につながる可能性がある。カウン
ターパーティーについて認識された信用力の欠如は、市場全体での流動性問題および当グループの損失につなが
る可能性がある。ヨーロッパ諸国および米国のソブリン債および金融機関の信用力に対する懸念が残っている。
複数のヨーロッパ諸国および米国における多額の公的債務または財政赤字は、金融機関の財政状態に対する懸念
と密接に関係している。一般的に、銀行は、流動性、証券金融および担保管理のために、多額の(国家)ソブリ
ン債を保有している。結果として、これらの債券の価値に影響を及ぼす変化は、金融機関に直接的に影響する。
ソブリン債によるデット・ファイナンスの増額は、最終的に、デット・ファイナンスのさらなる増額および格付
の調整につながり、銀行にマイナスの影響を及ぼす可能性が高い。当グループは、ソブリン債、銀行、金融仲介
業者および証券化商品を含む金融機関業界に対するエクスポージャーを有している。当グループの金融業界への
エクスポージャーにより、当グループは、シャドーバンキング事業体(すなわち、決済プラットフォームやクラ
ウドファンディング・プラットフォームなど、規制枠組み外で銀行業務を行う事業体)に対するエクスポー
ジャーも有している。近年、シャドーバンキングに対する当局による規制が強化されている。特に、欧州銀行監
督機構ガイドライン(EBA/GL/2015/20)は、シャドーバンキング事業体に対するエクスポージャーの特定および
監視、シャドーバンキング事業体に対するエクスポージャーに伴うリスクの特定、管理、コントロールおよび軽
減のための内部枠組みの実行および維持、また、かかるエクスポージャーに関する効果的な報告およびガバナン
スの確保を当グループに求めている。当グループが、自らのシャドーバンキングについてのエクスポージャーを
適切に特定および監視できず、十分な枠組みを維持できず、または、効果的な報告およびガバナンスを確保する
ことができなかった場合、上記のシステミックリスクの結果はいずれも当グループの新規資金調達能力および事
業、財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性がある。
81/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクは、自らの信用格付のいずれについても格下げのリスクに晒されている
ラボバンクの資本市場および金融市場へのアクセスは、その信用格付に依存する。当グループの信用格付は、
(a)信用格付機関による当グループ戦略および経営陣の能力についての評価、(b)収益性、資産の品質、資
本、資金調達および流動性の観点を含む財政状態、(c)当グループの法的構造および事業活動に適用される法
律および規制上の枠組み、(d)格付の決定方法の変更、また、(e)当グループの主要市場における競争環境、
政治および経済状況を含む、時間の経過とともに変化しうる複数の要因によって悪影響を受ける可能性がある。
信用格付の格下げもしくは将来の格下げの発表、格付の撤回または当グループの財政状態に関する市場の認識の
悪化は、当グループの金融市場へのアクセスに重大な影響を及ぼし、預金基盤の規模を縮小させ、また、デリバ
ティブ契約およびその他の有担保資金調達契約において追加担保要件もしくはその他の要件の発生またはかかる
契約を修正する必要性を引き起こし、これは、当グループの資金調達コストおよび資本市場へのアクセスに悪影
響を及ぼし、再度の資金調達コストの上昇につながり、また、当グループと取引を行いたいと考えているカウン
ターパーティーの範囲を制限する可能性がある。さらに、これは、これらの各市場へのアクセスを制限し、ラボ
バンクの競争上の地位に悪影響を及ぼす可能性さえある。これは、ラボバンクの将来の見通し、事業、財政状態
および業績に著しい悪影響を及ぼす可能性がある。
ラボバンクは信用リスクに晒されており、これは経済的損失につながる可能性がある
ラボバンクは、金銭、有価証券またはその他の資産に対して債務を負っている第三者から生じる信用リスクに
晒されている。これらの当事者には、顧客、ラボバンク内の事業体がその有価証券を保有している発行体、取引
のカウンターパーティー、スワップおよびクレジットならびにその他のデリバティブ契約のカウンターパー
ティー、清算機関、取引所、手形交換所およびその他の金融仲介機関が含まれる。当グループの借入人およびそ
の他のカウンターパーティーの信用の質は、経済および市場の実勢状態ならびに当該市場の法律・規制上の状況
による影響を受け、かかる状態の悪化または法律・規制上の状況への変更は、借入人およびカウンターパー
ティーの信用の質を低下させ、結果として、当グループの契約上の担保権の行使能力に影響を及ぼす可能性があ
る。これらの当事者は、破産、流動性の不足、経済もしくは不動産価値の低迷、経営破綻またはその他の理由に
より、ラボバンクに対する債務不履行に陥る可能性があり、これはラボバンクの事業、財政状態および業績に悪
影響を及ぼす可能性がある。かかる不履行は全て、ラボバンクの信用供与の適切性を反映する。これらの供与
は、カウンターパーティーが貸付またはその他の金融取引から生じる債務について不履行に陥る可能性に関連し
ている。将来の事象またはその影響が、当グループが信用供与を決定するために使用している仮定、要因または
評価のいずれにも該当しない場合、これらの供与は不十分となる可能性がある。不十分な供与および経済的損失
は、全般的にラボバンクの事業、財政状態および業績に著しい悪影響を及ぼす。
82/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
COVID-19 がどのように当グループの信用リスクを増大させる可能性があるかについては、「全世界での感染症
の集団発生は、ラボバンクの事業、財政状態および業績に著しい悪影響を及ぼす可能性がある」とのリスク項目
も参照のこと。
ラボバンクの事業は主にオランダに集中している
ラボバンクは、その収益のかなりの部分をオランダで得ており(2020年度、税引前営業利益のうち42%がオラ
ンダにおける事業から生じたものだった。)、そのため、特にオランダの経済的、政治的および社会的状況のリ
スクに晒されている。オランダの経済状況は、世界の金融市場および経済の状況による悪影響を受ける可能性が
ある。2016年における2.2%の成長に続き、オランダの国内総生産(「GDP」)は2017年において2.9%、2018年
において2.6%、2019年度において1.6%と成長し、COVID-19およびそれに続く封じ込め措置により、2020年度に
おいてGDPは3.8%の減少となった。オランダの厳しい経済環境のさらなる悪化または長期的な継続は、ラボバン
クの商品およびサービスの需要だけでなく、借入人の信用リスクにも悪影響を及ぼす可能性がある。2020年度に
おけるラボバンクの純利益は、主にDRB、W&Rおよびリースにおける金融資産に係る減損費用の大幅な増加の結
果、COVID-19の集団発生によって多大な影響を受けた。オランダに加え、ラボバンクは37カ国で活動しており、
これにはオーストラリア、ニュージーランド、北アメリカおよびラテンアメリカなどが含まれる。さらに、ラボ
バンクは通常、オランダ国外の移転リスクおよび/または総合債務者リスクに晒されている。移転リスクは、外
国政府が、当該国の債務者から外国の債権者への資金移転を制限する可能性に関するものである。総合債務者リ
スクは、同じ国にいる多数の債務者が同一の理由(戦争、不安定な政治社会情勢、自然災害等。ただし、政府の
政策によりマクロ経済上および財政上の安定が実現しなかった場合も含む。)により債務を返済できなくなる可
能性に関するものである。移転リスクおよび/または総合債務者リスクを増加させる、予測不能かつ突発的な事
象は、ラボバンクの事業、財政状態および業績に著しい悪影響を及ぼす可能性がある。
83/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
世界の金融市場および経済の状況は、当グループの事業、財政状態および業績に著しい悪影響を及ぼす可
能性がある
当グループの収益性は、オランダ国内または世界における一般的経済状況の悪化による影響を受ける可能性が
ある。金融市場は不安定である。金利、為替相場、インフレ、デフレ、投資家心理、信用枠および与信コスト、
世界金融市場の流動性、ならびに株価の水準およびボラティリティ等の要因は、顧客の活動水準および当グルー
プの収益性に著しい影響を及ぼす可能性がある。さらには、ブレグジット(以下に定義される。)のような動き
が経済状況全体に悪影響を及ぼし、当グループの収益性にも影響を及ぼす可能性がある。金利は2020年も低いま
まであった。継続的な低金利は、これまで当グループの純受取利息にマイナスの影響を及ぼしてきており、現在
も引続きマイナスの影響を及ぼしている。景気の低迷または顧客に対する著しい高金利は、より多くの顧客が債
務不履行に陥るリスクを増大させ、当グループの資産の信用の質に悪影響を与える可能性がある。その上、オラ
ンダ経済または世界経済における市場の停滞は、当グループの資産価値を減少させ、当グループのトレーディン
グ・ポートフォリオにおける評価損の負担の増大、資産運用における当グループの手数料収入または運用資産額
の減少につながる可能性がある。さらに、市場の停滞およびオランダ国内の貯蓄市場における競争の激化は、当
グループが実行する顧客取引量の減少につながり、その結果、顧客による預金額ならびに手数料および利息によ
る収入の減少に至る可能性がある。金融市場における混乱の継続または当グループの主要市場の長期的な停滞ま
たはかかる変化を正確に予測して対応する当グループの能力は、当グループの事業、財政状態および業績に著し
い悪影響を与える可能性がある。
ラボバンクは、コーポレート・バンキング、商業融資およびグローバル金融市場に関連する事業などの分野に
おいて国際顧客に対し商品やサービスを提供するなど、顧客のために英国において複数の事業を行っている。
2020年度において、前述の英国における事業に関連するラボバンクの収益は、523百万ユーロだった。2020年1
月31日、英国は欧州連合を脱退した(「ブレグジット」)。2020年12月において、英国と欧州連合は、将来の関
係に関する協定を締結した。この協定は、2021年1月1日から暫定的に適用されており、EU英国貿易協力協定
(「TCA」)として知られる。TCAは全ての関税および割当を撤廃し、WTOの規定を遵守しなければならない可能
性を回避しており、これは、とりわけ、特定の(農業)セクターや製造業にとって非常に重要かつ有益なものと
なっている。TCAは、複雑かつ発展を続けるものと見込まれる、将来の取引関係の始まりを示している。この関
係を管理するため、共同パートナーシップ協議会と呼ばれる、全く新しい制度的インフラの設立が進行中であ
る。このプロセスでは軋轢が生じる可能性があり、これらのいずれも欧州連合または英国における当グループの
業績に影響を及ぼす可能性がある。ブレグジットの結果として英国が合意および施行されていたEU法から離脱す
ることは、規制上の不確実性の増大につながり、当グループに悪影響を及ぼす可能性がある。
COVID-19 が世界の金融市場および経済の状況に対してどのように影響を及ぼし、また影響し続ける可能性があ
るかについては、「全世界での感染症の集団発生は、ラボバンクの事業、財政状態および業績に著しい悪影響を
及ぼしており、またこれは継続する可能性がある」とのリスク項目も参照のこと。
84/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
これらいずれの要因も、当グループの業績および社債価値に著しい悪影響を及ぼす可能性がある。
全世界での感染症の集団発生は、ラボバンクの事業、財政状態および業績に著しい悪影響を及ぼしてお
り、またこれは継続する可能性がある
感染症、パンデミックおよびエピデミックまたは衛生上の緊急事態の集団発生は全て、ラボバンクが活動する
事業および経済環境に影響を及ぼす。これらのリスクの一部は、ラボバンクが事業を展開している特定の地理的
地域だけでなく、世界中でもたびたび見られる。2020年度初めから世界中に広がったコロナウイルス(すなわち
COVID-19)の集団発生は、様々な市場を混乱させ、かかる集団発生による影響を受けた経済の成長について不透
明性をもたらした。ラボバンクは、とりわけ、オランダおよびその他の国の両方におけるラボバンクの顧客また
はその他のカウンターパーティーへの直接的および間接的な影響を通じて、COVID-19の集団発生による影響を受
けており、また、これからさらに受ける可能性がある。主にDRB、W&RおよびDLLにおける金融資産に係る減損費
用の大幅な増加ならびに収益の減少の結果、2020年度におけるCOVID-19の集団発生によって純利益は多大な影響
を受けており、これは、ラボバンクの財政状態に著しい悪影響を及ぼした。より具体的には、公正価値で測定さ
れる金融商品および予想信用損失への影響が予想される。COVID-19パンデミックは、2021年度におけるラボバン
クの業績にも影響を及ぼすことが予想される。まだ数多くの不確実性および進行中の動向が存在するため、
COVID-19の集団発生による正確な影響は不透明である。また、例えば、欧州の一部の国の財政がさらに悪化した
結果としての、将来における流動性状態の引き締めの可能性が、新たな資金調達の不確実性につながらず、変動
性の増大および信用スプレッドの拡大につながるという保証はない。上記の要因のいずれも、ラボバンクの事
業、財政状態および業績に著しい悪影響を及ぼす可能性がある。
ラボバンクは、金利環境の変動だけでなくその他の市場リスクにも晒されている
ラボバンクの業績は潜在的に、金利、為替相場、商品価格、株価および信用スプレッドの水準および変動によ
る悪影響を受ける可能性がある。継続的な低金利は、特にラボバンクの純受取利息にマイナスの影響を与えてお
り、また影響し続けている(2020年度:8,184百万ユーロ、2019年度:8,455百万ユーロ)。これは、貸付と受託
資産に係る金利の設定期間の貸付および借入コストの相違から発生するものである。金利が上昇した場合、ラボ
バンクの預金等の債務については金利を直ちに調整する必要が即時に生じる可能性がある。同時に、より長期に
わたり金利が設定されている住宅ローンなどの当グループの資産の大多数は、固定金利期間終了前には変更され
ない。結果として、金利の上昇はラボバンクの収益に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、ラボバンクの金利
リスク管理が成功するかまたは持続的な低金利、固定金利もしくはマイナス金利に関連するリスクの潜在的なマ
イナスの影響についての保証はない。
85/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
セクションB:当行の事業活動および業界に関連するリスク
ラボバンクの業績は、その大部分が国内の住宅ローン・ポートフォリオに関連している
ラボバンクの住宅ローン・ポートフォリオは、188.8十億ユーロ(2020年12月現在の貸借対照表合計のうち
30%)で構成されている。このため、当該ポートフォリオに影響を及ぼす重大な変更があった場合、これはラボ
バンクにも重大な影響を及ぼす可能性がある。景気の低迷、不動産価格の停滞もしくは下落、オランダにおける
住宅ローンの利息支払についての課税控除の変更もしくは廃止、金利の上昇および/もしくは低下、借入人の財
務状態またはこれらの組み合わせは、新規住宅ローンの契約数の減少および/または既存住宅ローンの貸倒率の
上昇につながる可能性がある。住宅ローンの金利水準の低下は、とりわけ、(i)例えば、貯蓄口座の低金利水
準の結果として、住宅ローンの繰上返済が貯蓄よりも有益であると顧客が判断した場合における、貸付および住
宅ローンのポートフォリオにおける繰上返済の増額、(ii)金利の平準化、(iii)住宅ローン(特に長期住宅
ローン)の低マージン、および(iv)顧客が低金利環境から利益を得ることを可能にするその他の措置を通じ
て、ラボバンクに影響を及ぼす可能性がある。
上記の要因、事象および展開のいずれも、新規および既存の住宅ローンについてラボバンクの金利マージンに
マイナスの影響を及ぼす可能性があり、その結果、既存ポートフォリオおよび/または新規住宅ローンの契約数
の減少をもたらす可能性がある。ローン収益率が高ければ高いほど、特に予想外の費用または支出が発生した場
合、住宅ローンに基づく利息および元金の支払いに必要となる借入人の収益の割合、また、インタレスト・オン
リー住宅ローンについては、元金の返済額の割合が大きくなる。かかるローン収益率ならびに収益の喪失、病
気、離婚およびその他の類似した要因などは、借入人による延滞および破産申し立ての増加につながる可能性が
あり、最終的に借入人の住宅ローン返済能力に悪影響を及ぼし、ラボバンクの損失につながる可能性がある。
2014 年1月1日より、オランダの住宅保有者による住宅ローンの支払利息の控除が可能となる税率(「控除最
大許容額」)は、毎年0.5パーセンテージポイントずつ段階的に引き下げられている。これまで52%の利率(最
高所得税率)で住宅ローンの利息を控除していた納税者については、控除最大許容額は2020年度において46%に
設定されている。2020年1月1日より、控除最大許容額は毎年3パーセンテージポイントずつ引き下げられ、
2023年度には37.05%となる。かかる加速は、最終的には借入人の住宅ローンの利息および元金支払能力に悪影
響を及ぼし、住宅ローンについて借入人の異なった繰上返済動向につながり、結果としてかかるローンの繰上返
済額の増額または減額につながる可能性がある。このような繰上返済額の増額は、ラボバンクの財政状態および
業績に著しい悪影響を及ぼす可能性がある。
オランダの住宅市場に関する政府の方針または規制の変更は、当グループの事業、財政状態および業績に著し
い悪影響を及ぼす可能性がある。
86/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクは、国内外においてかなりの競争圧力に直面しており、これは業績に悪影響を及ぼす可能性が
ある
オランダ国内外におけるラボバンクの事業環境は、高い競争力を有している。ラボバンクは、伝統的な銀行集
団だけでなく、年金基金、保険会社、テクノロジー大手、フィンテック企業、決済専門業者、リテール業者、通
信業者およびクラウドファンディング・イニシアチブなど、何らかの形で伝統的な銀行サービスを提供している
非銀行集団との競争にも直面している。これらの集団の一部は、例えば住宅ローンの分野で、より細分化された
オファーの提供を開始している。特にオランダでは、競争は高められた水準での統合に反映されている。これ
は、競合他社が市場シェアの獲得を目指すにあたって特に価格設定に関する圧力の高まりにつながり、市場シェ
アおよび収益性を維持または向上させるラボバンクの能力を損なう可能性がある。ラボバンクの効果的な競争能
力は、ラボバンクのレピュテーションの維持能力、サービスおよび助言の質、知的資本、商品の革新、遂行能
力、価格設定、販売努力ならびに従業員の才能といった多くの要素に支えられている。ラボバンクがその競争上
の地位を維持できなかった場合、これはラボバンクの将来の見通し、事業、財政状態および業績に著しい悪影響
を及ぼす可能性がある。
ラボバンクの財政状態は、サービスおよび商品の価格を正確に決定する能力に大きく依存している
ラボバンクの財政状態は、価格およびレートを正確に設定する能力に大きく依存している。コストをカバー
し、損失を補填することができるよう十分な利益を生み出すためには、この両方について正確さが必要となる。
しかし、かかる能力は、様々な不確実性に左右される。例えば、ラボバンクによって提供されている商品およ
び/またはサービス(ローンやデリバティブなど)の金利または価格設定は、様々なベンチマーク(欧州銀行間
取引金利(「EURIBOR」)や米ドル建てロンドン銀行間取引金利(「米ドルLIBOR」)など)への参照に基づいて
おり、これらのほとんどは、最新の国内および国際的な規制ガイダンスおよび改革案(2018年1月1日から効力
を生じているベンチマーク規制を含む。)の対象となっている。米ドルLIBOR(またはその他の参照レートもし
くはインデックス)の廃止などの改革は、ベンチマークのパフォーマンスが以前と異なるものになったり、完全
に消滅したり、完全には予想することができないその他の結果をもたらす可能性がある。その結果、商品および
サービスのレートや価格が不十分もしくは不正確なデータまたは不適切な分析、仮定もしくは方法に基づいて決
定されることになる可能性がある。ラボバンクが商品およびサービスについて適正なレートや価格を設定しない
場合、かかる商品から生じる収益は減少する一方で支出は増加し、比例してより多額の経済的損失につながる可
能性がある。代替ベンチマークならびに実施の時期および仕組みに関して、ベンチマーク管理者および中央銀行
による確認はまだなされていない。したがって、現時点では、かかる変更によるラボバンクへの影響の有無また
はその範囲を判断することは不可能である。
次へ
87/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクはサイバー犯罪リスクを含むオペレーショナルリスクに晒されている
ラボバンクの直面するオペレーショナルリスクとは、社内の手続上、人的もしくはシステム上の不備もしくは
ミスまたは社外の事由に起因して損失を被るリスクである(これにはとりわけ、財務報告リスク、サイバーリス
ク、モデルリスク、コンプライアンスリスク、法的リスク、BCM/ITリスク、アウトソーシングリスクおよび不
正リスクが含まれる)。これらは日常業務において発生し、事業の全ての側面に関係するものである。これらに
は全ての非財務リスクが含まれ、ラボバンクのレピュテーションまたは事業、財政状態および業績に著しい悪影
響を及ぼす可能性がある。国際化した現代の銀行業界における出来事を見ると、オペレーショナルリスクが巨額
の損失につながる場合があることがわかる。オペレーショナルリスクの原因となる事由は様々であり、詐欺また
はその他の違法行為、適用法令の不遵守事由の防止、検知および報告に係る原則および手続きならびに管理体制
を敷くことに対する失敗、欠陥商品に対するクレーム、書類の不備、取引プロセス上のミス、システム障害、な
らびに重要な人材を確保し引きつける能力の不足等が挙げられる。ラボバンクは強固なリスクおよび管理枠組み
に忠実に従うよう努めているものの、ラボバンクは詐欺または人的ミスによりそのコミュニケーションおよび情
報システムの遮断、障害または破損が発生しないとは保証できない。またそれらが発生した場合に、適切かつ適
時に処理されるともラボバンクは保証できない。
最後に、サイバー犯罪リスクも当行との関連性が高くかつ進行中の脅威であり、顧客へのサービス提供の中
断、機密情報の紛失または信用やレピュテーションの低下につながる恐れがある。これはグループの依拠してい
る第三者についても当てはまる場合がある。ラボバンクが事業を展開するグローバルな環境においては、変化す
る状況に対して常に調整を行うことが要求される。サイバー犯罪に関連するプロジェクト(規制上の要件を確実
に遵守することを目的としたプロジェクトを含む)が今後も引続き当行内において実施されるが、これらはリス
ク特性の増加をもたらす可能性があり、ラボバンクの事業、レピュテーション、財政状態および業績に著しい悪
影響を及ぼす可能性がある。グループのサイバー・セキュリティに係る原則、手続きおよび管理体制が機能しな
い場合、著しい経済的損失、事業の大きな混乱、顧客へのサービス提供不能、またはデータその他の機密情報の
紛失(機能停止によるものを含む。)につながる恐れがあり、これに付随してレピュテーションの低下も招く可
能性がある。こうした事由はいずれもコストを増加させ、規制当局による調査もしくは制裁を招き、または顧客
を確保し引きつけるグループの能力に影響を及ぼす可能性がある。欧州、米国、英国およびアジアの規制当局
は、サイバー・セキュリティを増加する金融業界に対するシステム上のリスクとして引続き認識しており、金融
機関がサイバー攻撃に対する監視、監督およびレジリエンスを高め、攻撃があった場合には適宜速やかに報告す
る必要性を強調している。
88/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
セクションC:法的リスクおよび規制上のリスク
グループは、グループを相手とする訴訟および仲裁手続をとられるリスクを抱えている。当該手続の結果
は本質的に不確実であり、その財務オペレーションおよび事業オペレーションに悪影響を及ぼす可能性が
ある
ラボバンクは、事業を展開している全ての国において広範囲の法的義務を課されている。その結果、ラボバン
クは様々な形で発生し得る、多様な法的リスクに晒されている。潜在的に重要性をおびる訴訟(訴訟手続、共同
訴訟および和解ならびに上記の進展を含む)、監督当局その他の機関による措置、法律、業界全体を対象とした
施策、ならびに顧客および第三者のためにとられるその他の措置に係る管理の失敗およびこれらによって招かれ
る不利な結果は、ラボバンクのレピュテーションに悪影響を及ぼし、追加の事業コストを生じさせ、その将来の
見通し、事業、財政状態および業績に著しい悪影響を及ぼす可能性がある。その一例が、ラボバンクのオランダ
国内の中小企業(「SME」)顧客向け金利デリバティブの(再)評価とそのための前払金である。
2016 年3月にオランダの財務大臣は独立委員会を選任し、当該委員会は2016年7月5日にオランダのSME向け
金利デリバティブの再評価に係る回復枠組み(「回復枠組み」)を公表した。ラボバンクは当該回復枠組みに参
加することを2016年7月7日に発表した。回復枠組みの最終版は2016年12月19日に独立委員会によって公表され
た。ラボバンクは、オランダの法人顧客との間で締結された金利デリバティブに関するオランダ国内の民事訴訟
に関わっている。これらの大部分は個別の事案に関するものである。これとは別に、金利デリバティブに関する
共同訴訟が高等裁判所にて係属中である(回復枠組みの導入を受け、手続きの停止につき合意がなされたが、適
用対象外となる少数の顧客については個別に評価が行われる)。これらの訴訟は金利デリバティブにつき顧客に
対して誤った説明をしたとの申立てに関連するものである。また一部の訴訟はラボバンクのEURIBORに係る公示
に関する申立てである。ラボバンクはこれら全ての請求につき争う姿勢である。オランダ国内のSME顧客向け金
利デリバティブの(再)評価ならびに成立した和解に基づく前払金および未払金につき、ラボバンクは2020年12
月31日付で12百万ユーロ(2019年度:107百万ユーロ)の引当金を計上した。2020年度末時点において、回復枠
組みに基づくラボバンクの顧客への支払額は758百万ユーロとなった。2019年12月31日までに、回復枠組み上適
格なオランダ国内の全てのSME法人顧客が、その金利デリバティブの再評価に係る受領額につき明確な回答を得
た。当該受領額に顧客が同意した場合、ラボバンクは契約書を作成し、独立したレビュアーが当該再評価をレ
ビューする。全ての再評価およびレビューが2021年度中に完了する見込みである。
潜在的に重要性をおびる訴訟(訴訟手続、共同訴訟および和解ならびに上記の進展を含む)、監督当局その他
の機関による措置、法律、業界全体を対象とした施策、ならびに顧客および第三者のためにとられるその他の措
置によって招かれる不利な結果は、グループのレピュテーションに悪影響を及ぼし、追加の事業コストを生じさ
せ、グループの将来の見通し、事業、財政状態および業績に著しい悪影響を及ぼす可能性がある。
89/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクの財政状態はベンチマーク金利の移行によって生ずる変更の影響を受ける
規制当局は、LIBORを含む特定のベンチマーク金利に替わる、無リスク金利の使用への移行を主導している。
英国では、2021年3月5日、FCAは(i)2021年12月31日の直後に、(FCAの公表にて詳述されているとおり)24
のLIBORの公表を恒久的に停止すること、(ii)2023年6月30日の直後に、オーバーナイト物および12ヶ月物の
米ドルLIBORの公表を恒久的に停止すること、(iii)2021年12月31日の直後に、特定のその他のLIBOR(1ヶ月
物、3ヶ月物および6ヶ月の英ポンドLIBORを含むがこれらに限られない。)は、それらが想定しようとする対
象の基礎市場および経済的実態について代表性を喪失し、かつ、その代表性は回復されないこと、また、(iv)
2023年6月30日の直後に、1ヶ月物、3ヶ月物および6ヶ月物の米ドルLIBORは、それらが想定しようとする対
象の基礎市場および経済的実態について代表性を喪失し、かつ、その代表性は回復されないことを公表した。米
商品先物取引委員会(「CFTC」)および米国のその他の規制当局と同様に、FCAは、市場参加者に代替レートへ
の移行を強く促した。
グループのベンチマーク金利へのエクスポージャーは大きく、主にデリバティブ、商業融資およびレガシー証
券といった特定の商品においては引続きLIBORを参照している。グループは当該エクスポージャーに関連するリ
スクを管理すべく顧客および業界のワーキング・グループと積極的に関わっており、代替無リスク金利を可能な
限り使用する方法を模索しているが、移行に効力を与える法的メカニズムは確認できておらず、代替無リスク金
利のみが使用されるようになり商品に応じてどのような代替無リスク金利を採用するかが市場において固まるま
では、移行の影響力を確定することはできず、またそれに付随する費用について説明することもできないほか、
ベンチマークを利用する義務の一部については変更できない可能性がある。代替無リスク金利への移行ならびに
移行時期および移行方法に係る不確実性は、グループ、その顧客および金融サービス業界全体に対して、以下を
含む数多くのリスクをもたらす。
・ 新規および既存取引に係る書類作成要件の変更可能性に起因する法的リスクであって、グループの事業お
よび見通しに著しい悪影響を及ぼす可能性のあるもの
・ ベンチマーク金利に関連する金融商品の評価の変更に起因する金融リスクであって、グループの業績およ
び財政状態に著しい悪影響を及ぼす可能性のあるもの
・ ITシステム、取引報告インフラストラクチャーおよび運用プロセスの導入が要求される可能性に起因する
オペレーショナルリスクであって、グループの事業および業績に著しい悪影響を及ぼす可能性のあるもの
・ 顧客とのコミュニケーションおよび移行期間中の取組みがもたらす潜在的な影響に起因するコンダクトリ
スクであって、グループの事業および見通しに著しい悪影響を及ぼす可能性のあるもの
したがって、当該変更がラボバンクに影響を与えるか否か、またどの程度影響するかは現時点では確定できな
い。しかし、代替ベンチマーク金利の導入により、前の段落で指摘したいずれかのリスクまたは複数のリスクが
ラボバンクの事業、財政状態および業績に著しい悪影響を及ぼす可能性がある。
90/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクに著しい悪影響を及ぼす可能性のあるベンチマークの見直しに関するその他の例については、「ラ
ボバンクの財政状態は、サービスおよび商品の価格を正確に決定する能力に大きく依存している」とのリスク項
目も参照のこと。
オランダ預金保証スキームへのグループの参加はグループの事業、業績および財政状態に著しい悪影響を
及ぼす可能性がある
2015 年度以降、グループは、決済機能の効果的な適用を確保し、規制(EU)806/2014(「SRM規制」、その後
の改正を含む。)によって単一破綻処理委員会(「SRB」)に付与された決済権限をSRBが確実に行使するために
設置された、破綻処理基金への年間拠出金の支払いを求められてきた。2020年度のオランダ・ナショナル・レゾ
リューション・ファンド(「DNRF」)への拠出金は225百万ユーロに上った。
さらに、SRM(以下に定義される。)(「当行が債権の償還を求める投資家への支払いに充てることのできる
当行の資産が破綻処理制度によって減少し、信用格付の低下および資金調達コストの増加につながる可能性があ
る」とのリスクの項も参照のこと。)および預金保証スキームに係る欧州内のその他新規則は、今後数年間グ
ループに影響を与える可能性がある。これら全ての要因がグループの事業、財政状態および業績に著しい悪影響
を与える可能性がある。
銀行が期限までに債務を弁済できない場合に生じる損失から預金者を保護するための事前の資金供給制度であ
るオランダの預金保証スキーム(「オランダ預金保証スキーム」)の新たな資金調達方法が2015年11月に効力を
生じた。2016年現在、銀行は四半期毎に保険料の支払いを求められている。スキームの目標水準は、オランダ国
内全ての銀行の保証付預金合計の0.8%である。2019年度は137百万ユーロであったオランダ預金保証スキームへ
の拠出金は、2020年度は177百万ユーロとなった。
追加の税金または課徴金が賦課されない保証はなく、賦課された場合は、グループの事業、財政状態および業
績に著しい悪影響を与える可能性がある。
91/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
当行はストレステストその他規制当局の調査の対象であり、その結果は当行のレピュテーションおよび資
金調達コストに対して著しい悪影響を及ぼす可能性があるほか、監督当局による執行措置の引き金となる
可能性がある
グループを含む銀行業界は、好ましくない市場動向に対する銀行の回復力を検証するための定期的なストレス
テストおよび規制当局によるその他の調査を受ける。当該ストレステストは、EBAおよびECBが開始し取りまとめ
を行っている。ストレステストおよび監督当局によるその結果の公表は、銀行業界または金融サービス業界を不
安定にし、個別の銀行または金融サービス業界全体の信用を損なうことにつながる可能性がある。ストレステス
トの結果は、当行のレピュテーションおよび資金調達コストに対して著しい悪影響を及ぼす可能性があるほか、
監督当局による執行措置の引き金となる可能性がある。またストレステストの結果によって、グループはより厳
しい資本要件および流動性要件の充足を強いられる可能性があり、当行の事業、業績、収益性またはレピュテー
ションに著しい悪影響を及ぼす可能性がある。
加えて、ストレステストにより、当該テストがなければ表面化しなかったまたはそれまで当行としてはその重
要性および是正措置の必要性を認識していなかった特定の情報が開示される可能性がある。これによって監督当
局が特定の措置または資本要件および流動性要件を課しまたは講ずることにつながる可能性があり、当行の事
業、業績、収益性またはレピュテーションに著しい悪影響を及ぼす可能性がある。
ラボバンクが財務報告基準および/または方針の変更の対象となり、報告済みの業績および財政状態に悪
影響が及ぶ可能性がある
グループの連結財務書類は欧州連合の採用するIFRSに従って作成されているが、当該IFRSは定期的に改訂また
は拡張される。そのため、グループは国際会計基準審議会(「IASB」)を含む認定機関の公表する新設または改
正後の会計基準を適宜採用することを求められる。グループが採用することを義務付けられる将来の会計基準
は、連結財務書類において用いられている現在の会計処理に変更を加え、当該変更がグループの業績および財政
状態に重大な悪影響を及ぼし、ひいては自己資本比率に対しても重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
92/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
当行が債権の償還を求める投資家への支払いに充てることのできる当行の資産が破綻処理制度によって減
少し、信用格付の低下および資金調達コストの増加につながる可能性がある
金融機関特別措置法(ヴェット・ビゾンデレ・マートレーヘレン・フィナンシエーレ・オンダネーミンゲン、
「介入法」)、信用機関および投資機関の再生および破綻処理に係る欧州全体の枠組みの設置に関する指令
2014/59/EU(「BRRD」)、ならびにSRM規制は、当行に対して適用される介入および破綻処理枠組みを規定す
る。
再生および破綻処理計画ならびに破綻処理の可能性を阻害する要素への対処能力
グループは再生計画を策定した。加えてSRBも、破綻処理国家当局としてのDNBとの協力のもと、毎年グループ
の破綻処理計画を策定し、グループが破綻した場合または破綻する可能性が高い場合にSRBがとる可能性のある
破綻処理措置を定めている。グループの破綻処理計画を策定するにあたり、SRBは破綻処理の可能性を阻害する
重要要素を特定することができる。SRBは必要に応じて、当該阻害要素の排除を要求する場合がある。これによ
りグループの事業再構築が必須となる可能性があり、その結果、高価な取引費用が発生する場合や、グループの
事業運営または資金調達構成の最適性が失われ、もしくはこれらにつき追加の費用が発生する場合がある。
早期介入措置
資本要件または流動性要件に対して、グループが近い将来違反する場合または急速に悪化する財政状態に鑑み
て違反する可能性が高い場合、ECBはグループに対して早期介入措置を講ずる権限を有する。財政状態の急速な
悪化は、例えばグループの流動性ポジションの悪化、レバレッジもしくは不良債権の増加、またはエクスポー
ジャーの集中によって生じる可能性がある。介入措置には、グループの法的構造、経営構造または事業戦略の変
更を要求する権限、ならびに経営委員会に対してラボバンクの一般加盟者理事会の招集を要求し、これに応じな
い場合はECBが直接当該理事会を招集する権限、およびいずれの招集方法の場合もECBが議題を設定し特定の決定
の採択につき検討を要求する権限が含まれる。さらに、これらの早期介入措置では不十分であると判断された場
合は、経営陣の交代が行われ、または臨時管理者が着任する可能性がある。ECBによって決定された措置を実行
するために、既存の経営委員会に代わり当行の経営権限を付与される特任マネージャーが任命される場合もあ
る。これらの措置が実行されれば、投資家の債権に対する払い戻しに充てることのできる当行の資産の減少につ
ながる可能性がある。
93/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
破綻処理(に先立つ)措置
ラボバンクまたはグループが、存続可能性の失われる段階にありながらも(未だ)破綻処理要件を充足しない
場合、SRBは破綻処理国家当局と緊密に連携し破綻処理に先立つ措置を講ずることができる。当該措置には、資
本商品(Tier 2資本としての適格性を有する期限付劣後債等)を対象に元本削減または普通株等Tier 1資本商品
への転換をさせる権限が含まれる。
ラボバンクが破綻処理要件を充足した場合、SRBは破綻処理措置を講ずる場合がある。破綻処理の要件は、
(i)ラボバンクが破綻するまたは破綻する可能性が高いとECBまたはSRBが判断すること、(ii)状況に鑑み、
本破綻処理措置に代わる民間セクターによる措置または監督当局による措置によって合理的な期間内にラボバン
クの破綻を防ぐことができるとの合理的な見通しが立たないこと、および(iii)公益のために破綻処理措置が
必要であることである。
ラボバンクはとりわけ、資本要件または流動性要件に違反した場合、ラボバンクの負債が資産を上回った場
合、ラボバンクが期日までに債務および負債を返済できない場合、または近い将来このような事態に陥ると判断
するに足る客観的要素が存在する場合に、破綻するまたは破綻する可能性が高いと判断される。
SRB の破綻処理ツールには、破綻寸前の銀行の財政状態を強化し適切な事業再構築のもとに継続企業として存
続させることを目的とした、事業またはその一部の売却、ブリッジ金融機関ツール、資産分離ツールならびに債
務(社債等)の元本削減および株式やその他の保有証券への転換を可能にするベイル・イン・ツールが含まれ
る。またSRBは、破綻処理を開始した銀行に対して、資本商品(期限付劣後債を含む。)を対象とした強制的な
元本削減を要求する権限も有する。かかる強制的な元本削減は、期限付劣後債を保有する投資家に損失をもたら
す可能性がある。
破綻処理ツールの適用および破綻処理権限の行使(これらの準備および実行を含む。)に際しては、SRBは問
題となっている金融商品、権利、資産または負債の譲渡につき、通常は制限や承認要件が課されている場合で
あっても、これらに関係なく権限を行使することができる。当該権限が行使されれば、投資家の債権に対する払
い戻しに充てることのできる当行の資産の減少につながる可能性がある。
94/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
欧州銀行規制改革に関するリスク
2016 年11月23日に、欧州委員会は、とりわけCRD IV、CRR、BRRDおよびSRM規制内のいくつかの規定を改正する
ことを発表し、当該改正は2019年4月に採用された欧州銀行規制改革パッケージ(「欧州銀行規制改革」)に盛
り込まれた。当該改正は、特に総損失吸収能力(「TLAC」)の最終基準の導入および当該基準とMREL(以下に定
義される。)との相互関係の明確化を目的としたものである。
介入法、BRRD、SRMおよび欧州銀行規制改革は、当行の信用格付の低下および資金調達コストの増加につなが
る可能性があり、当行の資金調達能力、財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性がある。資本不足に陥った
場合、事業再構築に係る国の救済を受ける資格を得るためには、当行はまず劣後債務(期限付劣後債および/ま
たは非優先シニア債を含む場合もある。)の自己資本への転換を含めた、可能な限りの全ての資本増強策を自ら
の手で講ずる必要がある。
また投資を検討する者は、グループに対して適用される破綻処理枠組みに関連するリスクの記載されている
「自己資本および適格債務の最低必要額の調達に困難が生じた場合、グループの事業、財政状態および業績に著
しい悪影響が及ぶ可能性がある」とのリスク項目も参照のこと。
自己資本および適格債務の最低必要額の調達に困難が生じた場合、グループの事業、財政状態および業績
に著しい悪影響が及ぶ可能性がある
ベイル・インおよびBRRDおよびSRM規制が導入したその他の破綻処理機能の有効性を確保するため、BRRDおよ
びSRM規制は、該当破綻処理機関が規定する、個別の自己資本および適格債務の最低必要額(「MREL」)の要件
を満たすことを(ラボバンクを含む)全ての機関に対して要求している。
95/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
欧州銀行改革によって既存のMREL枠組みは変更され、さらにCRD IV、CRR、BRRDおよびSRM規制に係る変更も提
案されている。2020年5月20日、SRBは、欧州銀行改革における最後のMREL方針を公表した。新しいMREL方針が
適用されるSRBによるMRELの決定は、2020年度の破綻処理計画サイクルにおける当該方針に基づいている。これ
らの決定は、以前のMREL枠組みの下でなされた決定に代わるものである。2021年3月29日、ラボバンクは、2021
年1月29日にSRBにより決定された、更新されたMREL要件を(破綻処理国家当局の立場としての)オランダ中央
銀行より受領した。改訂された枠組みに基づく当該MREL要件は、それぞれグループ連結ベースで、リスク加重資
産(「RWA」)の23.11%(ラボバンクの複合バッファ要件を含む場合にはRWAの27.62%)およびレバレッジ比率
エクスポージャーの7.5%であり、2022年1月1日までに中間要件として、2024年1月1日までに最終要件とし
て達成することが求められている。今後の変更によってもまた、グループは追加的な規制上の自己資本の増加ま
たは流動性バッファの増加を求められる可能性があり、グループの財政状態および業績に悪影響が及ぶ可能性が
ある。結果として、MRELがもたらす義務の最終的な範囲、性質、タイミング、開示および違反の影響または実施
された時点でラボバンクに及ぼす影響について保証することはできない。グループが、MRELの適格債務を増やせ
ない場合、その他の事業における貸付または投資を減らす必要があり、これは、グループの事業、財政状態およ
び業績に著しい悪影響を及ぼす。加えて、上記の要件および上記の要件を満たすグループの能力に関する市場認
識は、社債の市場価格に悪影響を及ぼす可能性がある。
グループの規制上の最低自己資本要件および流動性要件がさらに厳しくなれば、グループの事業、財政状
態および業績に著しい悪影響を及ぼす可能性がある
CRD IV の下、(ラボバンクを含む)機関は、最低でも、グループの合計リスクエクスポージャーの8%に相当
する規制上の自己資本(「リスク加重資産」)を保有しなければならない(そのうちの4.5%が普通株等Tier 1
資本でなければならない)。これらのいわゆる最低要件または「第1の柱」「自己資本」要件に加え、指針
2013/36/EU(「CRD IV指針」)は資本バッファ要件も導入したが、これは最低「自己資本」要件とは別物であ
り、普通株等Tier 1資本で満たされる必要がある。CRD IV指針は、(i)資本保全バッファ、(ii)機関特有のカウ
ンターシクリカル資本バッファ、(iii)グローバルなシステム上重要な機関を対象とするバッファ(「G-SIIバッ
ファ」)、(iv)その他のシステム上重要な機関を対象とするバッファ(「O-SIIバッファ」)および(v)システ
ミックリスク・バッファの5つの資本バッファについて規定する。資本保全バッファ(2.5%)、O-SIIバッファ
(2.0%)およびカウンターシクリカル資本バッファ(2020年12月31日現在0.01%)は全てグループに適用され
(システミックリスク・バッファは、指針(EU)2019/878(「CRD V」)の導入により、DNBによって一時的に停
止された)、その他のバッファの一部または全ても、ECB、DNBまたはその他当該時点の管轄当局の判断に従い、
随時グループに適用される可能性がある。第2の柱に係る要件および/または資本バッファ要件(DNBによるシ
ステミックリスク・バッファの引き上げを含む。)が増加すれば、グループは、CET1比率(以下に定義され
る。)ならびに資本およびMRELの総額の引き上げを求められる可能性があり、グループの事業、財政状態および
業績に著しい悪影響が及ぶ可能性がある。
96/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
上記の「第1の柱」および資本バッファ要件に加え、CRD IVは、最低「自己資本」要件では完全に掌握できな
いリスクに関連して(「追加自己資本要件」)、またはマクロプルーデンス要件に対応するため、管轄当局が機
関に対して追加的な「第2の柱」の資本を維持するよう要求する可能性について検討している。
2019 年12月15日に、ラボバンクは、監督上の検証・評価プロセス(「SREP」)に従い決定された、2020年ECB
資本要件を公表した。ECBの決定は、ラボバンクが、連結および非連結ベースで9.75%の合計SREP資本要件を維
持することを要求している。この要件は、8%の最低自己資本要件および1.75%の第2の柱の要件(「P2R」)
で構成される。合計普通株等Tier 1資本比率の最低要件は6.25%であり、これは第1の柱の最低要件(4.5%)
およびP2R(1.75%)によって構成されている。2020年4月8日付で、ECBは、普通株等Tier 1(CET1)資本の
かたちで保有しなければならないP2Rの割合を、100%のCET1資本から最低56.25%のCET1資本および75%の
Tier 1資本まで引き下げることを認める旨をラボバンクに通知した。これによりP2Rの合計普通株等Tier 1資本
比率は、まで0.77%引き下げられることになる。上記の資本要件は、目論見書の日付現在、ラボバンクに引続き
適用される。
さらに、ラボバンクは、資本保全バッファ(2019年度は2.5%)、2.0%のO-SIIバッファおよびカウンターシ
クリカル資本バッファ(2020年12月31日現在0.01%)で構成され、CET1要件に加えて適用しなければならな
い、複合バッファ要件も遵守することを求められている。DNBが2019年度につき設定した3.0%のシステミックリ
スク・バッファは、CRD Vの導入により一時的に停止された。DNBによって課されるシステミックリスク・バッ
ファの一時的な停止を考慮した場合、これはすなわち2020年度の普通株等Tier 1資本要件が合計10.00%となる
ことを意味する。目論見書の日付現在、2020年度についての普通株等Tier 1(CET1)資本要件はラボバンクに
引続き適用され、グループはこれらの要件を満たしている。
オランダでは、カウンターシクリカル資本バッファは現在DNBによって0%に設定されている。ただし、DNBお
よび(オランダ国外のエクスポージャーについては)現地の規制当局がカウンターシクリカル資本バッファを
0%以外の水準に設定する場合があり、2020年12月31日現在カウンターシクリカル資本バッファは0.01%に設定
されている。さらにDNBは、事態が正常化され次第、カウンターシクリカル資本バッファを段階的に2.0%まで引
き上げることで、システミックリスク・バッファの削減分を補うとしている。
ECB の決定は、ラボバンクが非連結ベースで8.75%のCET1比率を維持することも要求する。この8.75%の資本
要件は、第1の柱の最低要件(4.5%)、P2R(1.75%)および資本保全バッファ(2019年度は2.5%)で構成さ
れる。2020年4月8日付で、ECBは、普通株等Tier 1(CET1)資本のかたちで保有しなければならないP2Rの割
合を、100%のCET1資本から最低56.25%のCET1資本および75%のP2RのTier 1資本比率まで引き下げることを
認める旨をラボバンクに通知した。これによりP2Rの合計普通株等Tier 1資本比率は、0.77%まで引き下げられ
ることになる。
97/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
現在ラボバンクは、グループに適用される複合バッファ要件よりも高い水準の、普通株等Tier 1資本で構成さ
れる内部管理バッファを維持する考えである。資本要件に関する新たな規則につき予測される影響を見込み、グ
ループはその戦略的枠組み2016-2020の一環として、当該戦略を更新し、長期目標としてCET1比率を最低14%と
することを掲げているが、この目標比率が維持される保証はない。この目標は、規制の動向次第では見直される
可能性がある。2020年12月31日付のグループのCET1比率は16.8%、2020年12月31日付のグループのCET1単独比
率は16.0%となった。しかし、ラボバンクがこのような内部管理バッファを維持し続けるとの保証、またこのよ
うなバッファが、複合バッファ要件に対する違反とその結果生じる普通株等Tier 1およびその他Tier 1商品に対
する支払制限を回避するために十分であるという保証はない。
グループは、グループが保有する資本資源がその規制上の最低自己資本要件、追加自己資本要件、または資本
バッファ要件を満たすだけの十分な水準に達しないリスクという、規制を受ける全ての金融事業に内在するリス
クに晒されている。経済状態または金融市場における好ましくない傾向が悪化すれば、自己資本要件はより厳し
くなる可能性がある。グループが「第1の柱」に基づく規制上の最低自己資本比率、「第2の柱」に基づく追加
自己資本要件または資本バッファ要件を維持できなければ、行政処分または制裁措置を受ける可能性があり、こ
れはグループの業績に著しい悪影響を及ぼす可能性がある。利用可能な自己資本の不足は、グループの機会を制
限する可能性がある。
2017 年12月にバーゼル銀行監督委員会(「バーゼル委員会」)はバーゼルⅢの改正(業界内においては「バー
ゼルIV」とも称される。)を最終確定した(「バーゼルⅢ改正」)。
バーゼルⅢ改正のうち、グループへの影響が最も大きいのは信用リスクに係るRWA(REA)につき標準化された
フロアであると予測される。信用リスクに係るRWA(REA)につき新たに標準化された計算方法に関する基準に
は、(i)新たなリスクドライバーの導入、(ii)より大きなリスクウェイトの導入、および(iii)信用格付への機械
的依存の軽減(銀行に十分なデュー・デリジェンスの実施を義務づけること、および外部信用格付の利用を望め
ないまたは望まない法域向けに格付に基づかずかつ十分に詳細なアプローチを開発することによる。)が含まれ
ている。先進的手法に基づく計算と新たに標準化された方法に基づく計算とでは住宅ローンにつき算出される
RWA(REA)に大きな違いが生じることから、標準化されたRWA(REA)フロアの導入は、グループのリスク加重資
産の計算に対して著しい影響を及ぼすと予測され、またラボバンク・グループの法人に対するエクスポージャー
にも影響を及ぼすと見込まれる。
グループに適用されている規制上の自己資本要件、流動性制限または比率が将来的に引き上げられた場合、当
グループが引き上げられた当該資本および流動性比率を維持できなければ、行政処分または制裁措置を受ける可
能性があり、グループの事業、財政状態および業績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
98/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
適格な従業員を確保し引きつける当行の能力は事業の成功に欠かせず、それを怠れば当行の事業、財政状
態および業績に著しい悪影響が及ぶ可能性がある
グループの成功の大部分は、その上級経営陣およびその他の重要な従業員の能力および経験に依存している。
グループに勤務する特定の重要な従業員を失うこと、特に競合する他社に奪われることは、グループの事業、財
政状態および業績に著しい悪影響を及ぼす可能性がある。適任な従業員を十分に確保または維持することができ
なければ、ラボバンクの財務計画、成長およびその他の目標の達成が大きく阻害され、その事業、財政状態およ
び業績に著しい悪影響を及ぼす可能性がある。
セクションD:租税リスク
租税リスク
グループは、事業を展開する全ての国において当該国の税法を適用されている。該当租税は主に、法人税、給
与税、付加価値税、銀行税および源泉徴収税に分類される。租税リスクとは、税法および税法の解釈の変更に関
連するリスクである。これには税率の変動に伴うリスクおよび税務当局より義務付けられている手続の不遵守の
リスクも含まれている。租税リスクの管理に失敗すれば、追加の課税につながる可能性がある。また、義務付け
られている納税手続および税法に関するその他の事項を遵守できなければ、金銭的処罰にもつながりかねない。
ある特定の租税リスクが実体化した結果として特定取引に関連する税費用が予想を超えた場合、当該取引の収益
性に影響を与える可能性があり、これはグループの事業、財政状態および業績に著しい悪影響を及ぼすか、規制
上の執行措置につながる可能性またはラボバンクの評判に悪影響を及ぼす可能性がある。
銀行税
2012 年に、オランダ政府は、オランダにおいて銀行業を営むことを許可されている全ての事業体に対して銀行
税を導入した。かかる税は、該当する銀行の前会計年度末時点における貸借対照表の負債の合計に基づいてお
り、保証スキームの対象となる株式および預金、ならびに保険事業に関連する特定の負債は除外する。短期の資
金調達に係る負債に対する課税は、長期の資金調達に係る負債に対する課税の2倍である。2020年度中に、グ
ループは、合計136百万ユーロのオランダ銀行税(2019年度:133百万ユーロ、2018年度:139百万ユーロ)を課
せられた。
さらに、2020年度中にラボバンクが支払いを求められた賦課金は、ベルギーにおいて10百万ユーロ(2019年
度:10百万ユーロ)に上った。グループに対して課される銀行税が今後増加した場合、グループの事業、財政状
態および業績に対して著しい悪影響を及ぼす可能性がある。
99/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績等の概要
下記「(3) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照。
COVID-19 一色の一年に社会、顧客および当行も直面する中で、2020年度は1,096百万ユーロの純利益を
計上
COVID-19 およびそれによって不安定となった経済は、2020年度中、当行の顧客に多大な影響を及ぼした。当行
は強固な資本および流動性ポジションを維持しながらそのような顧客に対して支援を提供した。これは2020年度
におけるCOVID-19の影響を吸収する能力を当行が有していることの証であり、今後もたらされる2021年度の影響
への備えもできていることを示している。当行は2020年度の純利益として1,096百万ユーロを計上した。
COVID-19は今を生きる世代にとって最も重大な健康危機であった上、今も収束していない。当行の顧客、従業
員および社会全体への影響は甚大である。そして現在も続いている。健康への脅威からロックダウンまで、
COVID-19は人々の暮らし、ビジネスおよびグローバル経済を支配し続けている。危機に対しては迅速な対応およ
び適応が求められる。当行は2020年度中このことを自らの行動で示してきており、2021年度もこれを継続する。
当行が最も重要視してきたのは当行の銀行サービスの有用性であり、この極めて異常な時代に事業を継続する
ために一刻も早い支援を必要とする顧客を支えることである。ラボバンクは顧客の需要に応え、必要とする者に
対しては臨時の財政支援を提供した。当行は約8,000の個人顧客および79,000の法人顧客を支援することができ
た。このような事態が当行の財務面に対して直接的な影響を与えたことは確かであるが、当行はこの状況に対処
するだけの十分な力を持っていることを証明したのである。
同時に、過酷なCOVID-19危機においては、使命を負った協同組合銀行の存在意義のまさに本質的な部分が求め
られた。それはすなわち、我々の住む世界の大きな移り変わりに対して実質的な貢献をするということである。
本年度については、何よりもまず当行の顧客の緊急需要に焦点を当てることこそが、意義ある協同組合である当
行にとっての社会貢献であった。しかしそれだけでなく、当行はパンデミックの渦中にあっても当行の戦略の実
施を加速させることができた。この数年の間に築いてきたものを基礎に、当行はラボ・アプリ内の新たなイノ
ベーションによって、顧客および加盟者向けのデジタルサービスを改良したのである。その他にも、世界の食料
供給チェーンをより持続可能なものにすることに尽力する銀行としての役割が拡充され、世界の顧客に対するグ
リーンファイナンスの提供において重要な役割を担ったり、世界各地の農家がより持続可能な食料生産へ移行す
るための支援を行ったりするようになった。
当行がこの一年間に成し遂げてきた数々のことの心臓部には、世界各地にいる当行の従業員(常勤換算従業
員)43,272人の貢献およびリーダーシップがあった。彼らは適応し、在宅勤務をし、その結果生じる問題に今も
対処している。この苦難の一年において当行の従業員が果たした役割および貢献に対しては、例年以上の感謝の
意を表すべきである。
財務業績
COVID-19は当行の財務業績に甚大な影響を与えた。2020年度の純利益がそれを映し出している。1,096百万
ユーロとなった2020年度の当行の純利益は、昨年度と比較し50%減少したことになる。COVID-19の影響は、減損
100/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
費用の水準に特に顕著に現れており、同値は平均貸付ポートフォリオの46ベーシスポイントに相当する1,913百
万ユーロ(2019年度:975百万ユーロ)まで増加した。COVID-19が当行の顧客に対して直ちに与える影響を抑制
し 先延ばしするに当たっては、政府、規制当局および当行自身の組織による時宜にかなった包括的な対応が功を
奏した。2021年度内に法人向け貸付ポートフォリオの信用度が下落することは織り込み済みであり、貸倒引当金
の水準の引き上げに反映されている。当行の住宅ローン貸付ポートフォリオの信用度は強固なままであった。ま
た多くの業界とは異なり、食品・農業セクターについてはこの危機の影響は少ないようである。
経済活動の低迷および減額方向での資産再評価により、収益合計は減少したが、長引く低金利環境もまた当該
減少の一因になっている。当行は費用をさらに削減することができたが、それでも主に受取利息の減少に起因し
収益に対する費用の比率は65.8%に増加した。自己資本利益率(ROE)は2.7%に減少した。
民間セクター向け貸付ポートフォリオは、主に為替の変動により417.9十億ユーロから409.4十億ユーロへわず
かに減少した。為替の影響に一部起因し、食品・農業に係るポートフォリオは105.4十億ユーロ(2019年度:
111.7十億ユーロ)に減少した。また当行は依然としてオランダの住宅ローン市場を牽引しており、新規に組ま
れた住宅ローンの市場シェアは22%を占める。個人およびホールセール顧客からの預金は、COVID-19の影響に
よって生まれたオランダ預金市場の一般的傾向に沿うかたちで、7%の急激な増加となった。
バランスシートを強化する長年の戦略のおかげで、当行の財務バッファは顧客に対して多大な影響を及ぼすよ
うな景気の悪化にも耐えうることが証明された。パンデミックに翻弄された一年を経てもなお、資本基盤は依然
として堅固でありかつ安定している。普通株等Tier 1資本(CET 1)比率は16.8%に増加した。異例の事態に際
し、当行は証書の保有者に対して、現金での支払いではなくラボバンク証書のかたちで例外的な配当を行った。
2020年12月15日付で、欧州中央銀行(ECB)は銀行に対して、少なくとも2021年9月30日までは配当を支払わ
ないかまたは制限するようにとの勧告を出した。ラボバンクは、当該勧告に従うこと、および2021年9月30日以
前にラボバンク証書に係る配当を検討する場合にはその是非をECBと協議することを2020年12月21日に発表し
た。ラボバンクは、各ラボバンク証書につき0.13674ユーロの四半期配当を2021年3月29日、6月29日および9
月29日にそれぞれ行う予定であることを当行の完全な裁量においてここに発表する。ラボバンクは、配当の分配
を制限するECBの勧告が撤回された場合、当行の支払方針に基づく配当に戻す意向である。その場合、ラボバン
クは配当を行うことの是非および行う場合にはその配当額を検討し、当行の完全な裁量において将来の配当につ
き決定する。
次へ
101/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
(2) 生産、受注及び販売の状況
上記 「(1) 業績等の概要」を参照。
次へ
102/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
(3) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
103/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
堅実な銀行
堅実な銀行であることは、当行の戦略の礎石となっている。全員が主体となり、常にリスクを意識する
ことにより、当行は適切な行為を極めて優れた方法で実行するよう努めている。
財務目標
COVID-19 が流行し始める直前に、当行は長期財務目標を確認したが、同時に銀行業界の直面する複数の課題を
反映するため短期目標も設定した。COVID-19の発生以来、金利へのさらなる圧力および経済見通しの悪化が見受
けられるなか、パンデミックの長期的な影響および回復への道筋は未だに定まっていない。こうした事態を受
け、当行は効率性比率および自己資本利益率(ROE)に係る当行の財務目標を1~2年先送りにすることを決定
した。同時に、バーゼルIVの完全適用CET 1比率を14%超とする目標の達成も2024年度に延期する。当行は50%
台半ばの効率性比率および8%超のROEを達成すべく引続き尽力するが、金利環境の正常化が達成の条件とな
る。
2020 年度の業績が示すとおり、ROEおよび効率性比率はCOVID-19パンデミックおよび続く低金利環境の影響を
受けている。一方で、バランスシートの強化という当行の長年の戦略が奏功し当行の財務バッファは、顧客に対
して多大な影響を与える経済状況の悪化にも耐えうるものであることが証明された。パンデミックが1年近く続
いてもなお、資本基盤は依然として堅固かつ盤石であり、当行の顧客への支援の礎となっている。欧州全体を対
象とした内部モデルの再検討(TRIM)および新たな不履行の定義(DoD)によって予想される影響を吸収しても
なお、CET 1比率は引続き当行の目標を十分に上回っている。
財務目標
2020 年 2019 年 2024 年 度
長期目標値
12 月31日 12 月31日 目標値
CET 1比率
16.8 % 16.3 % 14 % 超 14 % 超
自己資本利益率(ROE) 2.7 % 5.3 % 6-7% 8%超
1
65.8 % 63.3 % 60 % 台前半 50 % 台半ば
C /I比率
1 収益に対する費用の比率(賦課金を含む)
104/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
続く低金利環境
COVID-19 による甚大な影響に加え、続く低金利環境もまた当行の業績に悪影響を与えた。当行は既に過去数年
にわたり歴史的な低金利に悩まされてきたが、2020年度にはさらなる金利の低下が見られた。ECBの施策によ
り、欧州銀行間取引金利(EURIBOR)の3ヶ月金利はオランダにおいてマイナス38ベーシスポイントからマイナ
ス54ベーシスポイントまで引き下げられ、オランダ国債の10年金利はマイナス5ベーシスポイントからマイナス
48ベーシスポイントまで下落した。この結果、当行の多数の法人顧客について新規の貸付および更新に係る利下
げが生じ、新規の住宅ローンに係る金利も低下した。他の金融機関と同様に、当行も預金残高のうち250,000
ユーロ超を占める個人向け、当座、貯蓄および投資口座につきマイナス金利を設定する決断をせざるを得なかっ
た。かかる利率の変更は2021年1月1日より有効となった。このような状況によって最終的に当行の純金利マー
ジンは低下し、9ベーシスポイント減の130ベーシスポイントとなった。RNAの売却の影響も受け、当行の2020年
度の純受取利息は3%減少した。
ジレンマ:低金利環境
低金利環境は、ラボバンクを含む全ての銀行に重大かつデリケートなジレンマをもたらす。銀行はECBへの
預金に対してマイナス金利を課され、当行の業績には悪影響が及ぶ。それでも多くの民間顧客に対してマイナ
ス金利を設定することは望ましくないと当行は考えており、この立場を将来にわたって維持できるよう最善の
努力を尽くしている。中央銀行による現在のような極端な金利政策および景気刺激策が続く限り、今後も同様
の課題に直面することが見込まれる。
ラボバンク証書に係る現金以外での配当
欧州中央銀行(ECB)およびオランダ銀行(DNB)は、COVID-19パンデミックが続く間、少なくとも2021年10月
までは配当を支払わないよう銀行に勧告する声明を2020年度中に何度も発表した。当行は当該勧告に従い、ラボ
バンク証書に係る2020年3月、6月および9月の配当を行わなかった。また当行は、(2020年7月28日に公表さ
れた)ECBの延長勧告に従い、ラボバンク証書に係る現金による配当を2020年度いっぱい実施しないことを2020
年8月13日に発表した。ECBによる勧告は、当行がラボバンク証書のかたちで配当を行うことの検討を妨げるも
のではない。ラボバンクは2020年12月にラボバンク証書のかたちで例外的に配当を行うことを2020年11月30日付
で発表した。
105/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
効率性の向上は今も中核的な目標である
当行の組織全体について業務の有効性と効率性をさらに高めるため、当行は過去数年にわたり複数のステップ
を踏んできた。当行は国内の経営につき新たな経営モデルを実施した。当該モデルの実施およびその他のイニシ
アチブによって、当行の従業員数は2015年度以降、常勤換算従業員にして約10,000人削減されている。COVID-19
の発生以来、金利にはさらに圧力がかかり、経済見通しは悪化しているように見受けられる。こうした状況が当
行の収益成長に対して与える影響は、目に見えるかたちで現れている。加えて、デジタル化ならびに顧客の本人
確認(KYC)(マネー・ロンダリング防止(AML))といった規制課題に関連するプロジェクトへの投資が営業費
用の削減を抑制している。2020年度中、賦課金を含む収益に対する費用の比率は2.5パーセンテージポイント増
1
加し65.8%(2019年度:63.3%)となった。複数の例外項目 が収益に対する費用の比率に影響を与えた。
64.5%(2019年度:63.0%)となった、基礎的な収益に対する費用の比率を計算する上では、これらの項目につ
いて調整が行われた。
1
例外項目には次のものが含まれる:公正価値により評価される項目(2020年度および2019年度)、RNAの売却益(2019
年度)、事業再構築費用(2020年度および2019年度)、およびデリバティブ枠組みに係る費用(2020年度および2019年
度)。
近年の複数のイニシアチブを土台として、当行は「ウィー・インプルーヴ・ナウ」(WIN)という新たなプロ
グラムを立ち上げた。当行の中核をさらに強化しつつ、同時にコスト・ベースをさらに削減することが狙いであ
る。WINプログラムは、より効果的かつ効率的な経営モデルおよび当行の顧客向けのより改善されたサービスを
生み出すことによって、組織を簡素化することに注力していく。当行はより強固なコスト文化の構築をさらに推
進し、協同組合銀行としての社会的役割を活かして差別化ができる機会に対して、より厳密に焦点を当ててい
く。したがって、リスクをコントロールしながら収益に対する費用の比率を改善していくことは、今後数年間も
優先事項であり続ける。
バーゼルIV等のまもなく導入される規制を念頭に、当行は将来的にバランスシートの柔軟性を高めるべく、
2016年度以来、インフラストラクチャーおよび手続きの整備を積極的に行ってきた。2020年度内に当行は売却プ
ログラムを完了した。また2016年度から2020年度の間に、当行は非中核資産を処分した。
106/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
安定した資本基盤および流動性ポジション
当行は自己資本比率(BIS比率)について明確な目標値を設定している。2020年度中、当行は強固なポジショ
ンを維持した。当行の普通株等Tier 1資本(CET 1)比率は、2020年12月31日現在、16.8%(2019年度:
16.3%)となっている。 純利益の一部を利益剰余金に繰り入れたことにより、当行のCET 1資本は増加し、この
ことがCET 1比率に対して0.4パーセンテージポイント分の影響を与えた。加えて資本の控除額が少なかったこ
ともCET 1比率を支えた。新たな不履行の定義およびTRIMによるリスク加重資産(RWA)の増加はあったが、と
りわけ住宅ローンに対して最小リスクウェイトを適用するとのDNBの措置が延期されたことおよびSME支援因子が
見直されたことによるRWAの減少によって当該増加は相殺された。当行のCET 1比率の実績値は目標値を十分に
上回っているため、当行はSREP要件を上回る十分なマネジメント・バッファの維持に引続き焦点を当てていく。
当該バッファによって、当行の顧客および経済を支える相当量の資本を確保でき、COVID-19による潜在的な損失
およびバーゼルIVの将来的な影響を吸収する力も増す。法的拘束力を有するMREL要件は2017年度のRWAの28.58%
から変更されておらず、これは総負債および自己資本(TLOF)の9.64%に相当する。法的拘束力を有する当行の
予備的なMREL要件はRWAの27.62%(段階的に導入されているコンバインド・バッファ要件(CBR)を含む。)お
よびレバレッジ比率エクスポージャーの7.5%に設定されており、2022年1月1日までに達成することが求めら
れている。自己資本と非優先シニア債(NPS)との組み合わせによって当該要件を充足するというのが当行の戦
略である。MRELバッファをRWAで割った比率は、主に利益の留保および数多くのNPSの発行によって、2020年度中
29.3%から30.2%へとさらに増加した。
当行のホールセールによる資金調達への依存度は大幅に抑えられている。当行のホールセールによる資金調達
の合計残高は2015年度末以来72十億ユーロ減少し、2020年12月31日時点で131十億ユーロとなった。当行は資金
調達構成をいっそう多様化および最適化するため、今後数年間NPSおよびカバードボンドの発行を継続する。
当行はその発生原因は何であれ潜在的な流動性危機から身を守るため努力している。COVID-19危機の中で当行
自身および当行の顧客を守るためこの努力にいっそう重点を置いたところ、即座に利用可能な流動性バッファが
増加し、規制上の要件をはるかに上回った。その結果、当行の流動性カバレッジ比率(LCR)は193%(2019年
度:132%)まで増加した。TLTRO IIIプログラムへの参加により40十億ユーロを調達したことも当該増加の要因
となっている。中央銀行による臨時措置とあわせ、当該増加は、顧客へのサービス提供を継続し、顧客の長期お
よび短期の流動性需要をカバーすることに対する当行の自信につながっている。当行は154十億ユーロ(2019年
度:112十億ユーロ)まで増加した強固な流動性バッファを有している。当該流動性バッファのうち119十億ユー
ロ(2019年度:77十億ユーロ)は適格流動資産(HQLA)によって構成されている。加えて、当行は担保権が設定
されておらずECB適格である住宅ローン担保証券(RMBS)およびカバードボンドを保有しており、不測の事態に
際しては流動性バッファとして利用できる当該ポートフォリオは13十億ユーロの換金価値を有する。またこれに
は増額を目的として適格住宅ローンを追加することが可能である。34十億ユーロの加重LCRインフローは当該
バッファから除外されている。
107/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
当行の財務業績
ラボバンク
2020 年度の状況は控えめに言っても厳しいものであった。まずCOVID-19パンデミックが、当行の業績に
多大な影響を及ぼした。さらに、低金利環境が当行の純受取利息に悪影響を与え続けており、その影響は
いっそう大きくなっている。当行の収益は2019年度と比べ減少し、現在の経済見通しが金融資産に係る減
損費用の大幅な増加(46ベーシスポイント)につながった。最終的に、純利益は1,096百万ユーロまで減少
した。
1
業績は例外項目 の影響を受け、その結果、税引前基礎的営業利益は1,898百万ユーロ(2019年度:3,294
百万ユーロ)となった。基礎的収益が減少したことにより、基礎的な収益に対する費用の比率(賦課金を
含む)は64.5%(2019年度:63.0%)に増加した。当行の自己資本利益率(ROE)は2.7%(2019年度:
5.3%)となった。
外国為替の影響を除けば、当行の民間セクター向け貸付ポートフォリオは概ね安定していたことにな
る。顧客からの預金は22.5十億ユーロ増加した。COVID-19の影響に関連するオランダ預金市場の一般的傾
向に沿うかたちで、国内リテール・バンキング(DRB)における預金は2020年度中に26.3十億ユーロ増加し
た。
1 経常外項目には、公正価値により評価される項目に係る損益、RNAの売却、事業再構築費用、デリバティブ回復枠組み
に係る費用およびアフメアに対する当行の持分の減損が含まれる。
108/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクの財務業績
業績
2020 年 2019 年
単位:百万ユーロ 増減率
12 月31日 12 月31日
純受取利息 8,184 8,455 -3 %
純受取手数料 1,780 1,858 -4 %
その他利益 818 1,443 -43 %
収益合計 10,782 11,756 -8 %
人件費 4,684 4,821 -3 %
その他一般管理費 1,463 1,715 -15 %
減価償却費および償却費 395 420 -6 %
営業費用合計 6,542 6,956 -6 %
総利益 4,240 4,800 -12 %
のれんおよび関連会社に係る減損損失 283 300 -6 %
金融資産に係る減損費用 1,913 975 96 %
賦課金 548 484 13 %
税引前営業利益 1,496 3,041 -51 %
法人税等 400 838 -52 %
当期純利益 1,096 2,203 -50 %
金融資産に係る減損費用(単位:ベーシスポイント) 46 23
比率
収益に対する費用の比率(賦課金を含む) 65.8 % 63.3 %
基礎的な収益に対する費用の比率(賦課金を含む) 64.5 % 63.0 %
自己資本利益率(ROE) 2.7 % 5.3 %
貸借対照表
単位:十億ユーロ
資産合計 632.3 590.6 7 %
民間セクター向け貸付ポートフォリオ 409.4 417.9 -2 %
顧客からの預金 361.0 338.5 7 %
内部 従業員数(常勤換算従業員) 35,222 34,451 2 %
外部従業員数(常勤換算従業員) 8,050 9,371 -14 %
総従業員数(常勤換算従業員) 43,272 43,822 -1 %
109/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクの財務業績に関する注記
純利益:1,096百万ユーロまで減少
2020 年度の利益減少の主な要因は、収益の減少および金融資産に係る減損費用の大幅な増加であった。純利益
は1,096百万ユーロ(2019年度:2,203百万ユーロ)に半減した。2019年度における当行の国際リテール事業の売
却および長引く低金利環境が、当行の収益の減少をもたらした。パンデミックは金融資産に係る減損費用を大幅
に引き上げ、1,913百万ユーロ(2019年度:975百万ユーロ)まで増加させた。国際リテール事業の売却が費用の
減少に大きく貢献し、費用は6%減となった。税引前基礎的営業利益は、1,396百万ユーロ減少し1,898百万ユー
ロとなった。当行の基礎的な収益に対する費用の比率(賦課金を含む)は64.5%(2019年度:63.0%)に増加し
た。
税引前基礎的営業利益の変動
(単位:百万ユーロ) 2020 年12月31日 2019 年12月31日
収益 10,782 11,756
公正価値により評価される項目 136 162
収益に対する調整
RNA の売却 0 -372
基礎的収益 10,918 11,546
営業費用 6,542 6,956
事業再構築費用 71 93
費用に対する調整 デリバティブ枠組み -18 40
RNA の売却 0 30
基礎的費用 6,489 6,793
基礎的総利益 4,429 4,753
のれんおよび関連会社に係る減
283 300
損損失
のれんおよび関連会社に係る減
アフメアに係る減損 213 300
損損失に対する調整
のれんおよび関連会社に係る基
70 0
礎的減損損失
金融資産に係る減損費用 1,913 975
賦課金 548 484
税引前営業利益 1,496 3,041
合計調整額 402 253
税引前基礎的営業利益 1,898 3,294
当行は純利益のうち822百万ユーロ(2019年度:1,295百万ユーロ)を留保した。法人税等は400百万ユーロ
(2019年度:838百万ユーロ)となり、実効税率は27%(2019年度:28%)であった。
110/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
収益は減少
純受取 利息:3%減
2020 年度の当行の純受取利息は3%減少し、合計8,184百万ユーロ(2019年度:8,455百万ユーロ)となった。
国際リテール事業(主にRNA)の売却および低金利環境の両方が、当行の純受取利息を減少させた。国内リテー
ル・バンキング(DRB)においては取引高の増加が見られるが、主に支払口座および貯蓄性預金のマージンには
大きな圧力がかかっている。ホールセール・アンド・ルーラル(W&R)における純受取利息の減少は、主に2019
年度にリテール事業を売却したことによるものである。当該減少は、商業マージンの増加により一部相殺され
た。純受取利息を平均総資産で除することにより計算される平均純利息マージンは、2019年度の1.39%に対して
2020年度は1.30%に減少した。当該減少の一部は、TLTRO IIIプログラムへの参加により40十億ユーロを調達し
たために当行の総資産が増加したことによるものである。
純受取手数料は悪影響を受けた
当行の純受取手数料は、前年度から4%減少し1,780百万ユーロ(2019年度:1,858百万ユーロ)となった。
DRBにおいては、主に支払サービスの手数料に係る費用の増加ならびに民間個人顧客およびSME顧客による支払取
引件数の減少により純受取手数料は減少した。W&Rにおいては、COVID-19によって市場の活動が低迷し経済が減
速したことにより、純受取手数料は減少した。DLLにおける純受取手数料は、主にCOVID-19パンデミックによる
シンジケーション活動の減少により、15%減少した。
その他利益:43%減
その他利益は818百万ユーロ(2019年度:1,443百万ユーロ)まで減少した。COVID-19パンデミックにより資産
評価額の上昇がなかったため、コーポレート・インベストメント部門における収益は減少した。アフメアに対す
る当行の持分に係る利益は増加したため、当行のその他利益はこの点においてはプラスの影響を受けた。2019年
度の当行のその他利益は、ラボバンク・ナショナル・アソシエーション(RNA)をメキャニクス・バンクに売却
したことで底上げされていた。
営業費用:6%減
人件費:3%減
2020 年度中、ラボバンクの総従業員数(外部採用従業員を含む。)は、常勤換算従業員にして550人減少し
43,272人(2019年度:43,822人)となった。DRBにおける従業員数は、サービスの集約により常勤換算従業員に
して609人減少したが、顧客デュー・デリジェンス(CDD)、取引監視および当行のデジタル・インフラストラク
チャーへの投資のための常勤換算従業員の増員によって当該減少は相殺された。インドネシアにおけるリテール
事業の売却により、W&Rにおける従業員数は常勤換算従業員にして234人減少した。加えて、出張費および宿泊
費の減少ならびに変動的な支払いの減少が人件費のコントロールに寄与した。事業の拡大に対応し、かつCOVID-
19パンデミックにより生じる顧客ニーズに対処する従業員を増員するため、DLLにおける従業員数は増加した。
最終的に、人件費は4,684百万ユーロ(2019年度:4,821百万ユーロ)まで減少した。
111/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
その他一般管理費:15%減
その他一般管理費の合計は、1,463百万ユーロ(2019年度:1,715百万ユーロ)まで減少した。SME向けデリバ
ティブ回復枠組みに係る費用の減少、事業再構築費用の減少、および2020年度における付加価値税の減税が2020
年度のその他一般管理費の減少をもたらした。W&Rにおけるその他一般管理費の減少は、2019年度におけるリ
テール事業の売却によるものでもあった。DLLにおけるその他一般管理費の増加は、主に回収および回復に関す
る費用が増加したことによるものであった。加えて、その他一般管理費は当行のデータセンターにおける減損に
よっても押し上げられた。
減価償却費および償却費:6%減
DRB における当行使用分の不動産の削減の結果、減価償却費および償却費は395百万ユーロ(2019年度:420百
万ユーロ)に減少した。当該減少は、オランダおよびオーストラリアのW&R部門において自社開発ソフトウェア
の減価償却費が増加したことにより抑えられた。
のれんおよび関連会社に係る減損損失
2020 年度中、税引前営業利益はアフメアに対するラボバンクの持分に係る減損(213百万ユーロ)およびDLLに
おけるのれんの減損(70百万ユーロ)によって圧迫された。2020年度中、COVID-19の流行が世界のマクロ経済お
よび市況に深刻な影響をもたらしたことで、アフメアを含む欧州の保険業界に悪影響を与えている低金利環境は
悪化の一途をたどった。その結果、保険会社は資産配分、収益性、支払い能力、およびビジネスモデルの採用と
いった大きな課題を抱えることとなった。かかる動きが、基礎となっているモデルの前提条件の更新を含め、ア
フメアに対する投資の価値を評価する引き金となり、当行のアフメアに対する持分投資の帳簿価額の下方修正に
結びついた。市況および経済見通しの悪化を受け、DLLはその子会社のうち1社ののれんを70百万ユーロ減損し
た。当該減損により、リース子会社に関連するのれんはバランスシート上に存在しなくなった。
金融資産に係る減損費用
金融資産に係る減損費用は、1,913百万ユーロとなった。当該金額は前年同期に対して938百万ユーロの増加に
当たり、その大部分はCOVID-19パンデミックの発生およびその後コロナウイルスの感染拡大を阻止するために政
府によって実施されたロックダウン措置の影響によるものであった。当該増加の大部分は、合計893百万ユーロ
(2019年度:239百万ユーロ)となるステージ1およびステージ2の減損費用に関連するものである。年間で見
た場合の金融資産に係る減損費用は46ベーシスポイント(2019年度:23ベーシスポイント)となったが、これは
長期平均(2010年度から2019年度)の29ベーシスポイントを上回っている。
112/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
政府および規制当局による時宜にかなった包括的な措置が、当行の顧客に対して直ちに現れるはずであった
COVID-19の影響を軽減および延期する助けとなった。本年度下半期に入りマクロ経済見通しが前向きになると、
モデルベース引当金の取崩しの可能性が浮上した。上記の包括的な措置により、ポートフォリオの大部分につい
ては、悲惨な経済状況が債務不履行の増加につながるという事態はほとんど起きなかった。ただし、2021年度に
は(遅れて生ずる)債務不履行が増加するものと当行は見込んでおり、モデルベース引当金の計算結果の減少を
補うための大幅なトップレベル調整を実施することを決定した。
2020 年12月31日時点において、不良債権(NPL)は13.9十億ユーロ(2019年度:15.7十億ユーロ)まで減少し
ていた。NPL比率は2.5%(2019年度:3.0%)となり、NPL引当率は23%(2019年度:20%)となった。NPLの減
少は、主に国内の事業ポートフォリオにおいて生じており、積極的なNPL管理によって得られた結果である。
バランスシートの動向
バランスシート
(単位:十億ユーロ) 2020 年12月31日 2019 年12月31日
現金および現金同等物 108.5 63.1
顧客に対する貸出金および預け金 436.2 440.6
金融資産 20.1 17.3
他行に対する貸出金および預け金 21.4 29.3
デリバティブ 29.6 23.6
その他資産 16.5 16.7
資産合計 632.3 590.6
顧客からの預金 361.0 338.5
発行済債務証券 113.5 130.4
金融機関からの預り金 61.2 25.2
デリバティブ 28.4 24.1
金融負債 6.2 6.7
その他負債 21.3 24.3
負債合計 591.6 549.3
自己資本 40.6 41.3
負債および自己資本合計 632.3 590.6
113/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
基礎的な民間セクター向け貸付ポートフォリオは安定
当行の民間セクター向け貸付は、2020年12月31日現在409.4十億ユーロとなっており、8.5十億ユーロの減少と
なった。為替変動の影響を除いた場合、民間セクター向け貸付ポートフォリオは約1.3十億ユーロ減少したこと
になる。新規貸付の堅調な増加と高水準の繰上返済水準が相殺されたことにより、DRBにおける住宅ローン・
ポートフォリオの規模に変動はなかった。DRBの民間セクター向け貸付ポートフォリオ合計は、271.3十億ユーロ
(2019年度:271.2十億ユーロ)となった。主に外国為替の影響により、2019年12月31日時点の水準に比べ、W&
Rの貸付ポートフォリオは6.5十億ユーロ減少し、DLLのポートフォリオも1.3十億ユーロ減少した。外国為替の影
響につき修正した場合、DLLのポートフォリオはわずかに増加したことになる。全セグメントにつき統合した場
合の商業用不動産貸付エクスポージャーは、2020年12月31日付で19.6十億ユーロ(2019年度:19.8十億ユーロ)
となった。
貸付ポートフォリオ
( 単位:十億ユーロ) 2020 年 12月31日 2019 年 12月31日
顧客に対する貸付および預け金の合計 436.2 440.6
うち:政府系取引先に対する貸付または預け金 2.0 2.1
リバース・レポ取引および証券貸借 17.4 13.6
金利ヘッジ(ヘッジ会計) 7.4 7.0
民間セクター向け貸付ポートフォリオ 409.4 417.9
国内リテール・バンキング 271.3 271.2
ホールセール・アンド・ルーラル 105.9 112.4
リース 31.9 33.2
不動産開発 0.1 0.3
その他 0.2 0.9
114/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2020 年12月31日現在の貸付ポートフォリオの地理的内訳(債務者の所在国に基づく)は、オランダが72%、北
アメリカが9%、ヨーロッパ(オランダ以外)が8%、オーストラリアおよびニュージーランドが6%、ラテン
アメリカが3%、アジアが2%であった。
1
セクター別貸付ポートフォリオ
( 単位:十億ユーロ) 2020 年 12月31日 2019 年 12月31日
民間個人顧客に対する貸付 192.2 47 % 191.2 46 %
商業・工業・サービス業に対する貸付 111.7 27 % 115.0 28 %
うち:オランダ国内の貸付 79.4 78.0
うち:オランダ国外の貸付 32.3 37.0
食品・農業に対する貸付 105.4 26 % 111.7 27 %
うち:オランダ国内の貸付 40.3 42.3
うち:オランダ国外の貸付 65.2 69.3
民間セクター向け貸付ポートフォリオ 409.4 100 % 417.9 100 %
1 当該事業体の設立国に基づく。
115/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
顧客からの預金は22.5十億ユーロ 増加
顧客からの預金の合計 は、361.0十億ユーロ(2019年度:338.5十億ユーロ)に大きく増加した。当行の預貸率
(LtD比率)は1.12(2019年度:1.22)という歴史的低さとなった。COVID-19パンデミックにより消費が落ち込
んだことおよび休日手当が使用されないまま貯金されていることに一部起因し、DRBにおける顧客からの預金は
279.4十億ユーロ(2019年度:253.1十億ユーロ)まで増加した。DRBにおける貯蓄性個人預金は11.1十億ユーロ
増の134.8十億ユーロとなった。その他の部門における顧客からの預金は、主にW&Rおよびトレジャリーにおけ
る預金が減少したことにより81.7十億ユーロ(2019年度:85.5十億ユーロ)まで減少した。
顧客からの預金
( 単位:十億ユーロ) 2020 年 12月31日 2019 年 12月31日
貯蓄性個人預金 155.9 145.8
国内リテール・バンキング 134.8 123.7
その他の部門 21.1 22.1
顧客からのその他の預金 205.1 192.7
国内リテール・バンキング 144.6 129.3
その他の部門 60.6 63.4
顧客からの預金合計 361.0 338.5
自己資本
当行の自己資本は主に資本証券の買戻しにより40.6十億ユーロ(2019年度:41.3十億ユーロ)に減少したが、
当該減少の一部はその他Tier 1商品の発行により相殺された。当行の2020年12月31日現在の自己資本のうち、
69%(2019年度:68%)が利益剰余金および準備金、19%(2019年度:18%)がラボバンク証書、11%(2019年
度:13%)が資本証券、そして1%(2019年度:1%)がその他非支配持分により構成されている。
自己資本の変動
( 単位:百万ユーロ)
2019 年12月末時点の自己資本 41,347
当期中の純利益 1,096
その他包括利益 -663
ラボバンク発行の資本証券に対する支払い -234
資本証券の償還 -1,880
資本証券の発行 1,000
その他 -34
2020 年12月末時点の自己資本 40,632
116/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
自己資本(BIS比率)の動向
資本目標に係る進展
堅固な資本基盤の維持
自己資本比率(BIS比率)
(単位:百万ユーロ) 2020 年12月31日 2019 年12月31日
利益剰余金 29,234 28,910
予定される分配 -2 -3
ラボバンク証書 7,822 7,449
非支配持分のうち適格資本として扱われるもの 0 0
準備金 -1,382 -753
規制上の調整 -1,080 -2,007
経過措置に伴う調整 55 0
普通株等Tier 1資本
34,647 33,596
資本証券 4,441 4,951
適用除外対象証券 41 313
非支配持分 0 0
規制上の調整 -67 -106
経過措置に伴う調整 0 0
その他Tier 1資本
4,415 5,158
Tier 1 資本
39,062 38,754
劣後債務のうち適格資本として扱われるもの 10,816 13,299
非支配持分 0 0
規制上の調整 33 -92
経過措置に伴う調整 -60 0
Tier 2 資本
10,789 13,207
適格資本 49,851 51,961
リスク加重資産 205,773 205,797
普通株等Tier 1資本比率
16.8 % 16.3 %
Tier 1 資本比率
19.0 % 18.8 %
MREL バッファ 30.2 % 29.3 %
総自己資本比率(BIS比率) 24.2 % 25.2 %
自己資本比率 18.0 % 17.7 %
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー単体
16.0 % 16.8 %
(発行体レベル)の普通株等Tier 1資本比率
117/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2020 年12月31日現在、当行のCET 1比率は16.8%(2019年度:16.3%)となった。 これは、当行の14%超とい
う目標を十分に上回っている。CET 1比率の動向は、利益剰余金への純利益の追加およびIFRS第9号に係る引当
金の増加によるIRBの不足分の減少によりプラスの影響を受けた。RWA(リスク加重資産)には大きな変動はな
かった。当行はレバレッジ比率(すなわち、当行のTier 1資本をオン・バランスの総資産およびオフ・バランス
の負債で除した数値)をCRR/CRD IVに規定される定義に基づき算出している。2020年12月31日時点の当行のレ
バレッジ比率は7.0%(2019年度:6.3%)であり、バーゼルⅢのガイドラインにおいて要求される3%の最低レ
バレッジ比率を十分に上回っている。レバレッジ比率は、オン・バランスの総資産から中央銀行エクスポー
ジャーが除外されたことによるプラスの影響を受けた。当該措置は「資本要件規制(CRR)緊急措置」の一部と
して行われた。将来のMREL要件を充足するため、当行は当行の資本戦略に沿ってNPS商品を発行した。当行の総
自己資本比率(BIS比率)は、当行の意向に沿った複数のTier 2商品の買戻しおよび発行済みTier 2商品の適格
分の償却により、24.2%(2019年度:25.2%)まで減少した。総自己資本比率(BIS比率)は、さらに20%まで
減少傾向となる予定である。
リスク加重資産
バーゼルIVを想定し、当行は今後数年間も引続き資本基盤の強化を行っていく。COVID-19危機への対応とし
て、バーゼルIVの施行日は2023年度まで延期された。2020年度中、RWA(リスク加重資産)は205.8十億ユーロ
(2019年度:205.8十億ユーロ)と全体としては安定していた。これは様々な要素が互いに相殺しあったためで
ある。新たな不履行の定義およびTRIMによりRWAは増加した一方で、とりわけ、住宅ローンに対して最小リスク
ウェイトを適用するというオランダ銀行(DNB)の措置が延期されたこと、SME支援因子が見直されたこと、およ
びオペレーショナルリスクに係るRWAが減少したことによってRWA全体の減少も生じたため、当該増加は相殺され
た。
プロフォーマ計算に基づき、当行はバーゼル委員会提言の影響のうち今後も存在する部分によって、リスク加
重資産が完全適用ベースで15%から18%増加すると見込んでいる。バーゼルIVの施行が延期されたことにより、
当行は、その影響に備え、またこれを軽減するための追加の時間を得ることができた。今後も存在するバーゼル
IVの影響に係る当行の予測は、提言に対する当行の現在の解釈(信用リスク、オペレーショナルリスク、市場リ
スク、CVA、および統合された資本フロアを含む。)およびバーゼル提言に関連して現在想定される選択肢に基
づくものである。バーゼルIVの最終的な影響は、以下によって軽減することができる可能性がある。
・ 例えば信用供与枠および未使用信用枠の削減といった商品およびポートフォリオの構成の変更
・ 資産の分配
・ データ・マッピング、収益に係るデータの蓄積方法の改善、担保情報、外部格付等のデータの改善、なら
びに/または
・ 長期資産の再評価
118/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
規制上の自己資本
当行の規制上の自己資本要件は、当行のリスク加重資産の8%である。当行の自己資本要件は、CRRおよびCRD
IVが当行に保有を義務付ける資本の最小額を意味する。当行の規制上(要求される)自己資本は、2020年12月31
日時点で16.5十億ユーロ(2019年度:16.5十億ユーロ)となり、このうち83%は信用および移転リスク、14%が
オペレーショナルリスク、3%が市場リスクに関係している。
事業部門別の規制上の自己資本
(単位:十億ユーロ) 2020 年 12月31日 2019 年 12月31日
国内リテール・バンキング 5.9 6.0
ホールセール・アンド・ルーラル 6.6 6.7
リース 1.6 1.6
不動産開発 0.3 0.3
その他 2.0 1.7
ラボバンク 16.5 16.5
当行のMREL適格資本バッファ
当行は、万が一ベイル・インが発生した場合にシニア債権者および預金者を保護することを目指している。そ
のため、当行はベイル・イン時に当初損失を吸収する資本、劣後債務および非優先シニア債務による多くのバッ
ファを有している。
当行は法的拘束力を有する自己資本および適格債務の最低基準(MREL)に関する単一破綻処理委員会(SRB)
による決定について、DNBより正式な通知を受領した。MREL要件は、欧州連合の銀行が潜在的な破綻に際して損
失を吸収するための十分な自己資本および適格債務を保有することを確保するために設けられた。MREL要件は、
SRBによる当面の決定に基づき、ラボバンクについては連結レベルで設定されている。法的拘束力を有するMREL
要件は2017年度 のRWAの28.58%から変更されておらず、これは総負債および自己資本(TLOF)の9.64%に相当す
る。法的拘束力を有する当行の予備的なMREL要件はRWAの27.62%(段階的に導入されているコンバインド・バッ
ファ要件(CBR)を含む。)およびレバレッジ比率エクスポージャーの7.5%に設定されており、2022年1月1日
までに達成することが求められている。
119/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
当行は、MREL適格資本および債務によるバッファを、適格資本に適用除外対象であるその他Tier 1資本商品の
非適格部分、満期日までの残存期間が1年以上のTier 2資本証券(の償却済み分)および満期日までの残存期間
が1年以上の非優先シニア債を加えたものとして定義している。当該バッファは、利益の内部留保および新たな
証券の発行により、60.3十億ユーロから62.2十億ユーロまで増加し、リスク加重資産の30.2%(2019年度:
29.3%)に相当する。当行は、MRELに係る当行への追加要求にも対応可能である。
MREL 適格資本バッファ
(単位:十億ユーロ) 2020 年 12月31日 2019 年 12月31日
適格資本 49.9 52.0
適用除外対象であるその他Tier 1資本の非適格部分
0 0
満期日までの残存期間が1年以上のTier 2のうち償却済
2.7 1.7
みのもの
満期日までの残存期間が1年以上の非優先シニア債 9.7 6.7
MREL 適格資本および非優先シニア債によるバッファ 62.2 60.3
リスク加重資産 205.8 205.8
MREL 適格資本および非優先シニア債によるバッファ
30.2 % 29.3 %
/リスク加重資産
前へ
120/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
4 【経営上の重要な契約等】
該当なし
121/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
5 【研究開発活動】
該当なし
122/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
第4 【設備の状況】
1 【設備投資等の概要】
該当なし
2 【主要な設備の状況】
該当なし
3 【設備の新設、除却等の計画】
該当なし
123/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
第5 【提出会社の状況】
1 【株式等の状況】
(1) 【株式の総数等】
① 【株式の総数】
該当なし。
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アーには加盟者はいるものの、株主は存在しない。
② 【発行済株式】
該当なし。
(2) 【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当なし。
(3) 【発行済株式総数及び資本金の推移】
発行済株式総数 資本金
年月日
増減数 残高 増減額 残高
-600,180,000 ユーロ
2016 年12月31日現在 -6,001,800 株 ― ―
( 約-77,603,274千円)
2017 年12月31日現在 ― ― ― ―
2018 年12月31日現在 ― ― ― ―
2019 年12月31日現在 ― ― ― ―
2020 年12月31日現在 ― ― ― ―
上記「(1)株式の総数等」を参照。
(4) 【所有者別状況】
該当なし。
(5) 【大株主の状況】
該当なし。上記「(1)株式の総数等」を参照。
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アーには加盟者はいるものの、株主は存在しない。2020年12月31日現
在、コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アーには約2.1百万人の加盟者がいる。
124/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2 【配当政策】
経営委員会の決議のもと、参加権への分配金およびその他Tier1商品の分配金の支払に利益を使用することが
できる。
残りの利益は、ラボバンクが保有する一般準備金に繰り入れる。経営委員会はまた、純利益から参加権の保有
者およびその他Tier1商品の保有者への中間分配金を支払うことも決定できる。ラボバンクが存続する間は、全
額または一部を問わず準備金をメンバーに分配することはできない。経営委員会には、参加権やその他Tier1商
品について準備金から分配金を支払う権利がある。仮にいずれかの時点で、ラボバンクの事業を他の事業体また
は組織に引き継がせるためにラボバンクを解散するという決定がなされたときは、準備金は当該事業体または組
織に移管される。
125/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
3 【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1) 【コーポレート・ガバナンスの概要】
(1) コーポレート・ガバナンス
当行の現在のガバナンス構造は、2016年1月から採用されている。地方ラボバンクの全てとラボバ
ンク・グループ・オーガナイゼーション は、 1つの銀行免許と1つの財務書類をもって、1つの協同
組合銀行 として運営している 。 日々の実務において、当行の加盟者に基づいたガバナンスの個性的な
特徴は、その価値、影響力および柔軟性を証明している。これには、ボトムアップの意思決定プロセ
ス、これに関連したリテール・バンキングへの注力およびその比較的安定した収益の流れ、ならびに
資本構築の主要資源としての留保利益が含まれる。さらに、正式なガバナンス組織における加盟者の
代表者は、ラボバンクの社会的資本である。これらの代表者は地方ラボバンクおよびラボバンク・グ
ループ・オーガナイゼーションと社会との価値あるつながりおよび関係を確かなものにする。上述の
特徴は、金融セクターにおけるラボバンクの特別な立場、 実体経済へのサービス提供 に関する当行の
長年の重点的な取り組み 、 そして 地域コミュニティの持続可能な発展に貢献するという当行の 目標を
保障している。
126/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ガバナンス組織の簡単な説明
ラボバンクのガバナンスは、常に適応性を有してきた。1895年にオランダ初の信用協同組合として設立されて
以来、ラボバンクは、戦略的な判断、社会風潮ならびに銀行業務および規制の展開に応じ、変化することができ
ている。過去のガバナンス体制のように、現在のガバナンス構造は、密に相互に関係しかつ作用している組織の
バランスのとれたシステムの上に成り立っている。
ガバナンスは、協同組合銀行には加盟者による取り組みおよび関与が不可欠であることを明確に示している。
これらの側面は、当行を競合他社から際立たせている。ガバナンスは、協同組合的側面を固める新たなイニシア
チブを継続的にもたらしている。ラボバンクは、加盟者と常に対話を行うことが当行の今後の発展に特に重要で
あると考えている。
ガバナンスの決定的な特徴は、協同組合的な立場が戦略的かつ運営的な銀行業務に完全に統合されていること
である。ボトムアップの意思決定は、加盟者の代表者が最終的に銀行の戦略的枠組みを承認することを必然的に
伴い、その協同組合的な性質を保証している。以下のセクションでは現在のガバナンス組織の主な役割および責
任について詳述するとともに、最近の主要な発展および/または適応に焦点を当てる。
協同組合ガバナンス
協同組合は、顧客が加盟者になることができ、加盟者が協同組合に正当性を付与することができるという事実
によって識別される。現在、当行の顧客の25%以上は、地方ラボバンクの加盟者である。当行は、協同組合刷新
プロジェクトの一部として、今後数年のうちに当該数値を大幅に上昇させることを目指している。ガバナンス組
織における加盟者の代表者は、地方ラボバンクおよび組織全体の方向性に重要な影響を及ぼしている。協同組合
ガバナンスの基本的な特徴として、別の所有構造を有する金融機関に比べ、加盟者は常に、多様な内部ダイナミ
クスおよび異なる(戦略的)方向性をもたらしている。
加盟者は、地方レベルで約85名から成る部門に分けられる。各部門内で、加盟者は、地方加盟者理事会
(LMC)の加盟者を指名、資格停止または免職する、1つまたは複数の代表者選考会に編成される。同理事会
は、30名から50名の加盟者から成る。同理事会の加盟者は、外界の議題を取り入れることにより、地方ラボバン
クが協同組合としての軌道を保つことを助けている。LMCは、協同組合の資金がどのように使用されるかについ
て、重要な発言権を有する。LMCは、地方ラボバンクの経営チームの「耳目」となり、議論の相手となる。ま
た、LMCは、地方ラボバンクの合併もしくは分割を承認する権利、またはその加盟者の計画方針に関して地方ラ
ボバンクの会長にアドバイスを行う権利等、多数の正式な義務および責任を有する。LMCは、地方ラボバンクの
全般的な実績、地方支援および選定された社会的テーマの実行、さらに地方監督委員会(LSB)の構成員による
監督を監視する。LMCがその機能を向上させ、社会的課題に関する知識を蓄えるための様々な内部研修コースが
存在する。
127/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
LSB 構成員は、LMCによって指名され、LMCに対して説明責任を有しており、かつ、ラボバンクの加盟者でなけ
ればならない。LSBの権限は法に由来するものではない。経営委員会は代わりに、地方ラボバンクの内部規則に
基づく特定の地方ガバナンス権限をLSBに委任している。
地方銀行および部門は、14の地域代表者会議に割り当てられ、当該会議において同じ地域の地方銀行および部
門が顔を合わせる。各地域の地方会長およびLSBの委員長がこれらの地域会議に参加する。当該会議は、定款を
基盤にしており、一般加盟者理事会(GMC)の準備のために重要なものである。地域代表者会議はまた、ラボバ
ンクとのそれぞれの関係を強化し、地域社会に刺激を与えるにあたり地方銀行が協力できる方法を協議する責任
を負っている。当該会議では、一般的に地方銀行、ラボバンクおよび協同組合銀行セクターの利益について議論
される。
LSB の委員長は、一般加盟者理事会の加盟者の代表であるため、共同ガバナンスにおける主要なプレイヤーで
ある。地方レベルでは、LSBは幅広い側面を監督している。この観点からすると、地方ラボバンクの業務の一般
的状況ならびに(協同組合的および財務的)業績は、定期的にLSBの議題において取り上げられなければならな
い。第一の側面として、提供するサービスの質が顧客や加盟者の需要をどの程度満たしているかの評価が含まれ
る。LSBはまた、地方会長および銀行の従業員が自らの地方における責任をどの程度果たしているかを判断す
る。これは、顧客の長期的利益への注力、地方コミュニティの持続可能な発展への貢献および銀行と地方コミュ
ニティとのつながりの強化を内包する。財務業績については、個々の地方ラボバンクの内部財務報告が、LSBが
その役割を正確かつ適切に果たすことができるよう、ガバナンス構造に埋め込まれている。さらに、同組織は、
地方ラボバンクによる外部の法規制および内部の定款の遵守の程度を監督する権限を有する。
協同組合的観点では、銀行、その加盟者および社会の公式な仲介者というLSBの役割は、今後その重要性を増
すだろう。この重要性の変化は、様々なネットワークに参加することおよび末端の加盟者との活きた対話を促進
することが不可欠であると深く認識することを求める。地方コミュニティおよび加盟者との強固なつながりは協
同組合銀行の識別特徴を構成し、当行の社会的資本を貴重な資産として具現化する。LSBは、会長に関して正式
な雇用者の役割を果たすことを理由として、その解任について重要な手段を有し銀行における協同組合的リー
ダーシップを保証する。当該権利は、当行取締役の指名、評価および解任を含む。LSBはまた、GMCで合意された
国内リテール銀行業務の包括的な予算および戦略の派生としての地方予算および地方戦略など、地方における多
数の重要な決定を承認する権限も付与されている。最後に、LSBは地方ラボバンクの経営に関してアドバイスを
行う役割を有する。
近年、当行は、LSBの多様性を促進するために、具体的なプログラムを開発および採用した。地方監督者の共
同体が当行の顧客および加盟者ベースを適切に反映することは、重要である。全地方監督者の平均年齢が下がっ
たこと、および女性監督者の加入比率が増加したことから判断すると、当該措置は、すでに成果を挙げているよ
うである。さらに、若年の監督者のための特別研修が存在する。個別のLSBの機能を評価および改善するため
に、複数のツールが利用可能となっている。
128/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
GMC は、ラボバンクのガバナンスにおける最高意思決定機関である。これは、全LSBの委員長で構成される。
LSBの委員長は、GMCに参加するが、地方の観点も考慮に入れる。GMCは、約85名の構成員がおり、年に2回以上
会議を行う。重点を置くのは、協同組合、地方ラボバンクおよびその他全グループ事業体を含むラボバンクの戦
略的枠組みとアイデンティティに関する基本前提である。GMCは、緊急事態委員会、調整委員会および機密事項
取扱委員会という3つの常設委員会を有する。GMCはCOVID-19パンデミックに関連する例外的な状況のため、
2020年度には7回の(バーチャル)会議を行った。
GMC は、その加盟者を代表し、継続性を保護し、共通の価値を管理する者としても活動する。GMCは、ガバナン
スと銀行業務について、一般に合意された戦略原則に基づいた評価を行う。GMCは、経営委員会の法定メンバー
を指名するラボバンクの監督委員会の勧めに従って、同監督委員会の構成員を指名する。監督委員会は、経営委
員会を監督する。監督委員会と経営委員会は、共にGMCに対して説明責任を有する。
このような機能を果たすため、GMCは、複数の公式な職務と責任を担う。GMCは、当行の定款の改訂またはラボ
バンクの法的資格の変更を行う権限を付与されている。GMCは、年次財務書類を採択し、経営委員会による重要
な決定について助言および承認を行う権利を有する。GMCは、例えば、ラボバンクのアイデンティティの基本的
前提および戦略的枠組み、ならびに年間戦略および予算の要点に関する承認権を有している。
国内リテール銀行業務における著しい変化および拡大する金融サービスのデジタル化は、GMCが協同組合の刷
新およびラボバンクのメンバーシップの活性化について内部で議論を開始する引き金となった。その結果、協同
組合の刷新に係る特別委員会は、2019年度から2020年度において数多くの提言をまとめた。第一歩として以下の
ことが着手されるだろう。まず、加盟者が代理される方法を改善することが目的となる。そのためにガバナンス
の評価が行われており、これはLMCおよびLSBに影響をもたらす可能性がある。指摘された留意点のひとつに、こ
れらの組織における多様性をさらに高めることで、加盟者ベースの多様性を反映させることがある。この目指す
べき変革は、両組織への研修および教育プログラムの質的な改善によりサポートされるだろう。さらに、協同組
合の刷新が、メンバーシップの魅力を高め、加盟者の民主的なプロセスへの参加を促すために具体的に実行され
るだろう。同時に、ラボバンクの4つの社会的テーマに対して多大なエネルギーが向けられ、LMC、LSBおよび取
締役が重要な役割を果たすだろう。
2020 年度中、協同組合の刷新に関する委員会と並行し、臨時のガバナンス評価委員会では、地方銀行業務の組
織に対する、銀行業務における異なる抜本的な変化(デジタル化、コンプライアンス要件およびリスク管理な
ど)の影響について議論を行った。これらの詳細は最終的に、バンキング3.5というプロジェクト名のもと、地
方銀行業務において適用されるに至った。重要な変化は、地方レベルでの顧客サービスのためのチームを形成、
および各地域の地方銀行の全会長から成るいわゆる地域管理チームの創設予定に関するものである。同時に、地
方レベルの会長は、LMCおよびLSBと共同で協同組合のテーマを策定し実行するための、より大きく強い責任を与
えられている。
129/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ガバナンスにおいて、地方ラボバンクの取締役および全従業員は、協同組合の精神に即して行為し、かつ、こ
れに合致する金融サービスを提供するという重要な職務を担っている。彼らは、地方ラボバンクの内部規則に定
められるとおり、重要な地方責任を有している。これらの取締役は、地方の方向性を保障し、コミュニティの地
方ラボバンクをしっかりと支えるよう経営委員会から委任されている。会長は、高品質の地方銀行サービスを提
供するためにその権限を行使することができ、さらに協同組合のアイデンティティに関する概念をアイディアか
ら現実へと地方レベルで変換させることができる。この点において、地方スタッフは、地方コミュニティとの密
なつながりを維持するために、ソーシャルおよびバーチャルネットワークに活発に参加する。
銀行業務
戦略、運営および方針に関連する銀行業務は、取締役会議において取り組まれる。この組織は、地方取締役、
経営委員会および地方ラボバンクをサポートする部門の取締役により構成される。取締役会議は、地方ラボバン
クに関する提案および方針について準備、情報提供および助言を行う役割を持った、重要な影響力のある基盤で
ある。同会議は、特に顧客の利益およびニーズの保護に関して、当行の最上層部と地方部門間の仲介役も務めて
いる。
コーポレート・ガバナンスコード
オランダ・コーポレート・ガバナンスコード
オランダ・コーポレート・ガバナンスコード2016は上場会社に適用され、同コードには、一般的に優れたコー
ポレート・ガバナンスとはどのようなものと考えられているかという点に関する原則とベスト・プラクティスの
規定が含まれている。ラボバンクは、協同組合としての構造ゆえに、オランダ・コーポレート・ガバナンスコー
ドを遵守する義務はない。
これにかかわらず、当行は、可能な限り同コードを遵守することを約束している。当行は、協同組合としての
当行の構造に一部起因し、いくつかの点についてのみ同コードから逸脱している。
オランダ銀行行動規範
2009 年度に、オランダ銀行協会は、世間一般の銀行業界への信頼を取り戻すため、オランダの銀行向けの銀行
行動規範を採択した。銀行行動規範は、コーポレート・ガバナンス、リスク管理、監査および報酬の面でオラン
ダの銀行の行動原則を定めることで、利害関係者のために、安定的、サービス志向かつ信頼の置ける銀行を保証
することを目標としている。
2013 年度、オランダ銀行構造委員会(「ウェイフォルス委員会」)は、オランダの銀行をさらに強化するため
の重要な基盤を築いた。
130/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2015 年度、オランダ銀行協会は、銀行行動規範の改訂を含む社会憲章を導入し、銀行員の誓約(関連する行動
規則と規律制度を含む。)を実施した。このような措置を取ることにより、ラボバンクを含むオランダの銀行
は、個別の銀行として、およびコミュニティの中心にある業界として、継続する刷新プロセスにおいて何を支持
し、何に対して責任を負いたいかを示したいと考えている。社会憲章、2015年銀行行動規範および銀行員の誓約
に関連する行動規則は、あわせて「未来志向の銀行業務」と呼ばれるパッケージを形成する。当行は、このパッ
ケージを承認した。
協同組合のためのガバナンスコード(NCR)
ラボバンクはオランダ協同組合議会(NCR)の会員である。2019年度、NCRは、協同組合のためのガバナンス
コードを徹底的に見直し、協同組合の起業家精神、加盟者の関与ならびに共同体精神および相互関係のレベル向
上に貢献することを目指した。
協同組合の起業家精神とは、協同組合が会社として経営される統合体であることを意味する。会社はその構成
員を代表して運営を行い、共通の需要に応える。協同組合もまた、長期的な価値の創造に重点を置く。この原則
は、ラボバンクの協同組合の刷新における重要なテーマである。
加盟者の関与とは、全ての加盟者が重要であり、組織が民主的な加盟者管理および相互連帯の原則に基づくこ
とを意味する。共同体精神および相互関係とは、全ての加盟者が顧客でもあることを意味する。加盟者間のつな
がりは、協同と連帯に基づいている。
2020 年度、当行は、当該ガバナンスコードの原則および規則を当行がどのように遵守しているかについて具体
化し、さらに詳しく検討した。結論として、金融機関としての当行はベスト・プラクティスに関する保証と同時
に制約をも受けるという事実を考慮しながら、全ての原則およびベスト・プラクティスを遵守する。例えば、協
同組合のためのガバナンスコードにある「協同組合は資本を創出しなければならない」という規則は、金融機関
としての当行にとっては重要な法的要件である。
131/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
(2) リスク管理
当行の全体戦略の一部として、当行は、戦略的目標をサポートするリスク方針を有している。バンキング・
フォー・フードおよびバンキング・フォー・ザ・ネザーランドという戦略は、特定のリスクを伴うとともに、国
内外の市場において当行をマクロ経済、政治、規制および社会の発展にさらしている。健全なリスク管理は、当
行が顧客に応え、利害関係者を満足させることを可能にする。
リスクを冒さなければ、収益性のある銀行業務は不可能であるため、当行はリスク選好度声明(RAS)に定め
るとおり一定程度のリスクを受け入れている。当行は日々、(新規の)顧客に関与し、与信を行い、金利契約を
締結し、その他のサービスを提供するのと同時に、情報に基づいたリスク決定を行っている。当行は、重大なリ
スクを管理するためにリスク管理プロセスを設計している。当行は、意識的なリスクの引受けに合わせて、直面
するリスクを強固なリスク管理枠組みで管理することができるように、リスク管理に対して包括的アプローチを
採用している。当行は、リスク管理枠組みの有効性を継続的に評価し、最新の発展および/または要件に適応す
る。当行のリスク管理活動は、当行、顧客および利害関係者の目標の実現に貢献するように設計されている。
発展
COVID-19 の流行に伴う(経済的な)低迷の結果、2020年度にはリスク管理およびリスク管理機能についてさら
なる課題が生み出された。
・COVID-19危機の結果、安定的かつ安全な運用および事業の継続の確保に対して多大な労力が割かれている。
この危機について財務面および非財務面の両方に対処するため、完全危機管理組織が設置され、現在も稼働
している。本危機管理組織はラボバンク内の異なるレベルに存在し、異なるタイプの危機の状況を適切に管
理することを可能にしている。
・事業継続管理に関して、追加の措置が取られた。当行のダメージ・アセスメント・チーム(DAT)が危機管
理を行い、一時的に上昇したリスクを評価し許容するための免除プロセスを実行した。当該免除は、危機の
状況における、適用している方針および手続きの例外に関するものであった。この危機の間数多くの活動が
行われたが、例えば人材管理および設備の重要性が高まったように、これらの活動は通常の事業継続管理プ
ロセスに組み込まれていくだろう。
・当行は、戦略的決定および資本計画のための重要なリスク管理ツールとして、ストレステストおよびシナリ
オ分析を用いている。2020年度中、当行はストレステストを複数回行った。COVID-19の影響の評価に際し、
様々なシナリオの影響を分析するために定期的なCOVID-19ストレステストを行った。さらに当行は、定期的
に銀行全体の内部ストレステストを行った。ストレステストは、ビジネス・モデル分析および資本計画のよ
うな基盤となるケース・プランに並行して行われ、これらのプランを批評するために用いられる。
・セクター分析には、マクロ経済シナリオおよび各セクターに関して予測される影響が用いられた。これらは
セクターにおける戦略において、基礎的基準への影響も含め、後に転換されるものである。
132/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
・COVID-19パンデミック中、中央銀行は銀行が損失を吸収できる体制を維持し、経済への融資を継続できる状
態を確保するための措置を講じた。銀行は、資本および流動性バッファを取崩すことおよび一定の顧客層に
対しては即座に不作為として分類することなく支払猶予を与えることを推奨されている。政府は、直接的に
または政府が保証するプログラムを通じて、顧客に対し有意義な援助を提供した。
・住宅ローン・ポートフォリオは引続き非常に堅固であり、支払い猶予を求める顧客は非常に限定的だった。
当行は法人顧客を支援するため、重要なCOVID措置を講じた。支払い猶予では、21十億ユーロの潜在的エク
スポージャーに関連する顧客を猶予した。これらの措置は急激な財務ストレスを抑止するものではあるが、
顧客の中長期の最善な利益を考慮に入れたものでもある。一方で、これらの措置は未払い額1十億ユーロ未
満でそのほとんどが期限を終了し、支払い困難に陥ったものは現在までにほとんどない。結果として、財務
的困難の流入および当行のオランダ事業活動のNPLは、今までのところ、限られたものであった。顧客の適
応能力、政府による措置および当行自身の努力がこの原動力となったようである。ただし、ロックダウンの
状況により様々なセクターが圧迫を受けており、顧客を財務的困難に陥らせる遅発の影響が予測される。当
行の事業およびFR&Rは、見込まれる財務的困難にある顧客の加入増加を受け入れるため、資金を増やしてい
る。
・食品・農業セクターは当該危機の間、概して立ち直りが早かった(フード・サービスを除く。)。ホール
セールについてはFR&Rへの大幅な加入が見られ、対応して特定の引当金が設けられた。
・2020年度中、当行はさらなる自動化および革新のほか、顧客の本人確認(KYC)活動および資源に大規模な
投資を行った。当該変革プログラムは、当行の世界的マネー・ロンダリング防止/金融テロリズム対抗
(AML/CFT)および制裁枠組みを強化するためのイニシアチブを含む。当行の取り組みに反して、DNBはラボ
バンクが2018年9月に受けた差止命令の要件を遵守していないと判断した。結果として500,000ユーロの罰
金(ドワンソム)が徴収された。
・取引報告に関しては、当行の現在の取引報告枠組みに存在する障害を特定、修正し、IT状況に関する構造的
な解決策を計画し、およびデータ管理の質を高めるために包括的なプログラムを実行している。2020年度に
はこれら全ての分野において重要な進捗があり、2021年度にはさらに進んで行くこととなる。
当行は、継続的な改善に力を尽くしているため、2020年度には当行の全体的なリスク管理枠組みのさらなる評
価および強化を行った。かかる発展の一部として、以下が含まれる。
133/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
3つの責任体制(3LoR)のより一層の強化および明確化が、今後の(組織的な)変化を伴う多くのケースにお
いて進む。3LoRとは、当行が積極的かつ責任ある方法で協力してリスクに対処するための、当行自身を構造化す
る方策である。つまり、他者の役割および責任を尊重し理解するのと同時に、自身の役割および責任も明確に理
解していることを意味する。これは日々の活動の中で、当行が顧客のために正しい行為をすることを可能にす
る。リスクを負う者に明確な責任を課すことで、より効果的かつ効率的なリスク管理が実現される。これにより
適切なリスク引受けが可能となり、資源投入を軽減できる。当行はリスク管理枠組みを改善する努力を絶えず尽
くしているが、損失およびインシデントを常に回避することはできない。しかしながら、当行は、(運営上の)
損失およびインシデントを注意深く監視し、将来の再発リスクを軽減させるために分析している。また、リスク
管理を改善するための当行の継続的な取り組みにより、潜在的リスクが明らかになっていることに留意された
い。すなわち、不明確な規制は、特に制定中であり、または互いに矛盾している場合、複数の解釈の対象となる
可能性がある。さらに、規制ガイダンスの変更リスクや裁判所が新たな法的基準を設定するリスクも存在する。
当行によるリスク管理
リスク・ガバナンス
当行の内部ガバナンスは、ラボバンク全体で透明性のある一貫した責任体制を保証している。正式なリスク・
ガバナンスは、当行の戦略的優先事項の実現をサポートし、規制ガイドラインおよび市場慣行に基づいている。
役割の明確性は、3つの責任体制を通じて保証されている。
第一に、事業(サポート機能を含む。)はリスクを所有し、当該リスクの管理を行いその責任を負う(第一体
制)。グローバル方針は、ビジネス戦略の実行、リスク選好度の遵守およびリスクの監視をサポートする。当行
のリスク管理枠組みは、リスク管理およびコンプライアンス機能(第二体制)によって提供される。いずれの機
能もリスクの引き受けに挑み、リスク特性を監視する。内部監査 (第三体制)は、当行の内部統制、リスク管
理、コンプライアンスおよびガバナンスについて、その質および有効性に関する独立した保証、助言および見解
を提供する。
内部統制機能(リスク管理、コンプライアンスおよび監査)の責任および権限は、それぞれの憲章において明
確に記されている。リスク管理枠組みは、信用リスク、市場リスク、銀行勘定における金利リスク、流動性リス
ク、事業リスクならびにオペレーショナルリスク(コンプライアンスリスク、税務リスクおよび法的リスクを含
む。)等、銀行業務に関する重大リスク種別をカバーする。リスクの分類は、リスク管理の明確な定義を可能に
し、共通の理解を促進する。リスク管理枠組みは、主要なリスク種別に加え、FX取引リスクやモデルリスクと
いったリスクに関するより細かな分類も使用している。リスク選好度は、リスク特性と戦略的優先事項との整合
性を管理するために、重大リスク種別ごとに決定される。
134/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
リスクおよびコンプライアンスの管理能力は、グループレベルおよび事業ユニットレベルの双方で完全に統一
されている。リスク代表者がグループの主要な経営チーム内に存在している。リスク代表者は、強固なリスクお
よび誠実性の文化を育成し、全ての当行の活動および行動が内部および外部の要件を遵守することを保証するた
めに行動する。これにより、リスクのより良い認知、理解の向上および管理、事業との一層の協力、ならびに十
分な情報に基づいた判断がもたらされる。
戦略
Growing a Better World Together (一体となってより良い世界を作る) という当行の任務は、当行の協同組
合としてのルーツを明確に示し、顧客が目標を達成できるようにするための当行の献身を強調している。当行の
戦略は、優先度、目的および目標(資本戦略を含む。)を定めている。当行のリスク戦略は、経営陣が事業戦略
を実行するのをサポートし、以下の目標に重点を置く。
・ 利益と利益拡大を保護すること :当行の事業戦略は、当行の協同組合としての性質、かつ、健全な利益創出
と同時に加盟者、顧客および社会への高水準なサービスを実現することに強い関連性を持つ。当行は、セク
ターに関して、どこで資本および資源が最も効率的または適切に使用できるかに関連した透明性ある選択を
行う。
・ 健全な貸借対照表を維持すること :健全な貸借対照表比率は、持続可能かつ良好な条件で顧客へのサービス
提供を継続することを確保するのに不可欠である。これには、安定した資金調達能力、頑強な流動性バッ
ファおよび十分な支払能力が必要となる。
・ 当行のアイデンティティとレピュテーションを保護すること :当行は、利害関係者の当行に対する根本的な
信頼を保護する。
これらの優先事項は密接に影響し合い、安定したガバナンスおよびリスク文化を維持することに完全に依拠す
る。長期的な顧客価値の提供には、当行の収益性および良好なレピュテーションをサポートする、健全な貸借対
照表および費用効率の高い資金調達が必要となる。同時に、健全な貸借対照表を維持するためには、健全な収益
性と安定したレピュテーションが必要である。
重大リスク
(リスク)戦略を実行するためには、当行が直面するリスクを理解することが不可欠である。当行がリスク特
定に努力した結果、ある時間と状況に固有の細かなリスクが判明した。当行は、必要に応じてこれらのリスクを
記録、評価および緩和し、その後タクソノミーに分類する。タクソノミーには、リスクの種別およびサブタイプ
が階層化して記載および定義され、これにより特定されたリスクの分類が可能となり、リスク種別定義による所
有権の透明性がもたらされる。リスク種別のタクソノミーはまた、リスク選好度の検討および資本分配の対象と
なるリスク種別の重大性を決定するための根拠としても使用される。
135/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
概して、下記の図には、リスクの特定に関する3つの側面が異なる色で示されている。
・ラボバンクの戦略の中核にある仮定と結果を混乱させる恐れのある発展(水色で示される。)。当該発展
は、未だリスクではないものの、将来的に当行の重大リスク種別の1つとなる可能性がある。
・リスクの引き受けに対して市場が提供するプレミアムから利益を得るために、当行が意識的に引き受けるリ
スク。すなわち、当行がリスク選好度を有しているリスク(オレンジ色で示される。)。
・当行が選好していないが、銀行の運営に内在するものであるため限度内で許容されるリスク。当該リスクに
良い影響はなく、悪い影響だけが存在する(青色で示される。)。
136/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
リスク選好度
当行のリスク戦略は、一連の戦略的リスクに関する声明に組み込まれており、これらの声明は、当該戦略およ
び中期計画2021-2025に直接関連するもので、顧客重視、堅実な銀行、意義ある協同組合、活発な従業員という
4つの戦略テーマに沿っている。これらのテーマは、当行の運営にあたってのリスク選好度の大まかな限度を定
めている。リスク選好度声明(RAS)は、戦略的リスクに関する声明の内容を詳述し、当行がその事業目的を達
成するために許容することをいとわないリスクのレベルを重大リスク種別ごとに定義している。RASは、当行の
全体的なリスクエクスポージャーの最大レベルを量的および質的の双方で明示しており、予期されるリスク特性
を特定の活動におけるリスク報酬の特性に照らして評価するためにあらゆる事業で使用される。当行のリスク選
好度は当行の戦略において不可欠な部分であり、日々のリスクの引受けに影響を及ぼす場合、予算計画に組み込
まれる。事業体特有のリスク選好度に関する声明には、事業体レベルでのグループのリスク選好度が詳細に記載
される。
当行のビジネス・モデルおよび戦略的計画に内在する重大なリスク種別は、積極的に特定、評価、緩和および
監視されている。これにかかわらず、予期せぬ展開によって、事業計画全体が妨げられる可能性は常にある。事
業において直面するリスクは、以下の主要な財務指標のいずれかまたは全てに影響を与える。
・普通株等Tier 1資本比率
・投下資本総利回り
・スコア・レップトラック・インディケーター(レピュテーション)
リスク選好度は、原則、方針、指標、制限および制御において、ラボバンク全体で根付いている。違反管理プ
ロセスと適切なガバナンスの組み合わせにより、適切で時宜にかなった対応が保証される。リスク選好度は、重
大な影響を伴う内部または外部の事由に応じて、少なくとも年に一度再検討され、改訂される。さらに、中期計
画2021-2025に関する意思決定が経営委員会レベルで行われ、事業戦略から生じるリスクが意識的に受容され
た。
137/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
リスク選好度声明
リスク種別 リスク選好度声明 当行のリスク選好度声明をサポー
トするKRI例
信用リスク 収益性およびレピュテーションに関する貸倒 ・デフォルト・インフローの平均
関連費用の影響を制限するために、かつ、当 確率
行の顧客に応えるための方法として、収益性 ・金融資産に係る減損費用
のある信用ポートフォリオを制御可能なリス ・集中度の制限
ク特性で維持する。
流動性リスク 流動性リスクは収益および価値創成の源と認 ・流動性カバレッジ比率
識されているため、当行は、ある程度の流動 ・安定調達比率(NSFR)
性リスクを受け入れているが、当行の日常業 ・安定調達貸付
務または財務安定性に重大な影響を及ぼすこ
となく、期待および期待外キャッシュフロー
ならびに担保ニーズをいつでも満たしたいと
考えている。基本的に、当行の内部的な流動
性リスク選好度は、法的制約より保守的であ
る。
市場リスク トレーディング環境において相場の変動への ・イベントリスク
適度なエクスポージャーを維持する。 ・最大損失予想額
金利リスク 当行は、事業戦略およびリテール銀行として ・アーニング・アット・リスク
の役割の変換を受けて、一定レベルの金利リ ・デュレーションの変更
スクを受け入れる。これは、収益に関して重
要な原動力となる可能性があるためである。
しかしながら、金利変更による損失は、当行
の財務安定性を決して脅かしてはならない。
オペレーショナル オペレーショナルリスクは事業活動の実行に ・プロセス実行の失敗数
リスク(コンプラ 付き物であるため、当行は、ある程度のオペ ・ITセキュリティ
イ ア ン ス を 含 レーショナルリスクを引き受け、これを許容 ・顧客デュー・デリジェンス
む。) する。当該リスクは、組織の複雑さおよび規
模により決定される限度内に抑えられる。
事業リスク 事業リスクが主に戦略計画において集約的、 *普通株等Tier 1資本比率
統合的かつ包括的な方法で記されているた
*投下資本総利回り(ROIC)
め、当行は、事業リスクに関する明示的なリ
スク選好度声明を作成していない。ファイナ
ンスおよび管理部門が当該リスクの課題およ
び「管理」に取り組む。その主な理由は、事
業リスクを決定するためのシナリオ分析およ
び感応度分析から成る体系化されたプログラ
ムを通じて、潜在リスクが管理および軽減さ
れるからである。ラボバンクの戦略的リスク
は、シナリオと感応度の選択において考慮さ
れる。
138/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
リスク選好度およびリスク特性パフォーマンス
(許容した)リスクと報酬の間における適切なバランスを求めて、当行は、一般的にリスク選好度の範囲内で
運営を行っているが、信用リスク、事業リスクおよびオペレーショナルリスクのリスク特性は全体的に高い。特
に、信用リスクおよび事業リスクは現在のCOVID-19危機の影響により、圧力を受けている。信用リスクに関する
主要なリスク指標について当行の選好度の範囲外で運営が行われているものがあることに加え、当行は現在、こ
こ数年に比べて高い引当金水準を観測しており、COVID-19危機の(遅発の)影響で一層悪化している経済成長の
減退により、新たなリスクが発生している。当該危機の間、当行の体制はさらなるCOVID-19の影響に耐える十分
な余裕があり、引続き堅調で、十分に資本を得、高い流動性を備えていた。当行は引続き、バッファ不足を解消
し収益力を向上させるために、戦略的選択肢の見直しを行う。オペレーショナルリスク(コンプライアンスおよ
び法務を含む。)の指標については、当行はリスク選好度の範囲内で運営しておらず、構造改善を加速させる必
要がある。当行は、これらのリスクおよびより高いリスク特性に関する潜在的要因を十分に認識している。当行
は、これらのリスクを事前に合意された許容レベルまで下げて積極的に管理し、またはある一定期間により高い
リスク特性を意識的に受け入れている。事例によっては、変更プログラムの実行期間が(より長く)あるため
に、改善に要する期間が他の事例より長いものもある。次項では、リスク種別ごとのRASパフォーマンスの詳細
を説明する。
139/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
信用リスク管理
マクロ経済環境
2020 年度、COVID-19パンデミックの発生およびその第二波ならびに世界各地の当局によるその後の感染拡大防
止策により、マクロ経済の動向は前例のないものとなった。世界経済は深刻な不況に陥り、2020年度の実質GDP
は、世界全体で3.8%、ユーロ圏で7.4%およびオランダで4.2%の減少となった。
第二波に対する厳しい感染拡大防止策はワクチンの導入に伴って2021年度に段階的にのみ解除されることか
ら、オランダの経済の2021年度および2022年度における回復は緩やかになるであろう。失業率は、特に不安定な
雇用契約下にある労働者につき急上昇すると見込まれる。これが国内需要にも重くのしかかる。比較的開放的な
オランダ経済もまた、世界経済の不況にも苦しめられるであろう。また、主に雇用の減少および失業への不安か
ら、2021年度には住宅価格の上昇が落ち着くことも予想される。しかしながら当行は、住宅不足および低金利が
依然として続いているため、住宅価格が落ち込むことは想定していない。
かかる予測は、当行の12月のベースライン・シナリオに基づいている。当該ベースライン・シナリオは、2020
年度末のモデルベースのIFRS9引当金の計算にも用いられている。IFRS9の方法では、これまでの統計の分散に
基づき、当行はプラスのシナリオとマイナスのシナリオの両方を作成した。引当金の計算に当たっては、ベース
ライン・シナリオが70%、プラスとマイナスのシナリオがそれぞれ15%のウエイトを占める。内部のストレステ
ストの結果を基に、当行は各クオーターにおける減損費用およびNPL変動の予測について微調整を行った。
オランダのベースライン・シナリオは以下のとおりである。
オランダのベースライン・シナリオ
前年と比較した場合の増減率(%) 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
国内総生産 1.6 -4.2 2.4 2.4
民間消費 1.5 -6.9 3.1 4.3
企業投資 6.7 -8.2 2.1 5.9
住宅投資 1.6 -1.5 -1.5 0.0
政府 支出 1.5 -0.1 2.9 2.2
商品 および サービスの輸出量 2.6 -4.8 5.0 4.9
商品 および サービスの輸入量 3.1 -5.4 5.1 6.7
インフレーション(%) 2.7 1.2 1.2 1.5
失業率(%) 3.4 3.9 5.2 5.4
140/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
注:第二波の拡大を防止し、また英国型のコロナウイルス変異種に前もって対処するために必要とされる12月中
旬からのロックダウンおよびその延長(2月末まで継続した後、3月には比較的小規模な緩和が予定される。)
に基づき、2020年度、2021年度および2022年度の1月末GDP予測はそれぞれ、-4.1%、+1.4%および +3.4%
に修正された。ロックダウンの拡大措置およびECLの結果を補うため、トップ・レベル調整が認められた。
当局および銀行による救済措置
パンデミックの発生以降、 中央銀行は、銀行が損失を吸収できる体制を維持し、経済への融資を継続できる状
態を確保するために広範囲に及ぶ措置を講じた。銀行は、資本および流動性バッファを取崩すこと、一定の顧客
層に対しては(即座に不作為もしくはIFRS9ステージ2にその分類を変更することなく)支払猶予を与えるこ
と、および/または個別の法人顧客に対して政府保証の有無にかかわらず新規融資を行うことを推奨された。 当
行の法人顧客層および個人顧客層に対する支払い猶予は最大で21十億ユーロの潜在的エクスポージャーに関連し
たが、支払い困難に陥るものは現在までにほとんどなく、2020年度下半期にその期限が終了した。
同時に、2020年度には、銀行は配当の留保により資本を確保するために、ECB勧告に従った。ECBは2021年の最
初の9ヶ月について、当該勧告を延長した。加えて、企業および自営業者への、政府による非常に手厚い支援
パッケージが需要側への打撃の緩衝材となっているおかげで、銀行の負う信用リスクは軽減されている。最後
に、資金調達コストの増加および債券保有による市場での損失の増加には金融政策により効果的に対抗できてい
る。
信用ポートフォリオ
信用リスクは景気悪化に際しての代表的なリスクである。しかしながら、政府および銀行による異例の支援
パッケージにより、見込まれていた当行の信用ポートフォリオの質の低下やパンデミックの影響は、その多くが
2021年度に持ち越された。これは、IFRS9の方法に従って減損費用の上昇がポートフォリオの稼働部分(ステー
ジ1およびステージ2)に集中し、かつ効果的な特別資産管理によりNPLが減少傾向であり続けているオランダ
企業ポートフォリオに特に当てはまる。規模の大きい国内住宅ローン・ポートフォリオ(ポートフォリオ合計の
45%を占める。)は2020年度には影響を受けず、業績は良かった。当行のNPLポートフォリオ合計は、2019年度
末の15.7十億ユーロから2020年度末には13.9十億ユーロに減少した。この純減は、地方銀行ビジネス・ポート
フォリオにおいて、大幅な加入にもかかわらず起きたものである。ホールセール・アンド・ルーラルおよびDLL
では、NPLの純増があった。
2021 年度以降に資産の質が最終的に全体としてどの程度低下するかの見込みおよびそれに伴うNPLの上昇は、
回復速度、救済措置の撤廃ペースおよびCOVID-19ワクチンの効果の程度といった、未だ不透明な要素に大きく依
存する。その一方で当行は、不良債権(NPL)の流入をさらに減少させるため、セクター/国について具体的に
設計された戦略の実行を続け、(今後の)事象(干ばつ、ブレグジット等)またはセクターの問題(酪農業、窒
素等)に関連する顧客の状況を引続き監視し、これに応じて戦略を再検討していく。
141/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
感染拡大防止策による特定の業界への影響
COVID-19 の流行により、当行の多くの顧客その他の取引先が流動性に係る問題を抱えることとなった。業界へ
の影響の深刻さは、ロックダウンの長さ、(移動制限等の)措置の厳しさならびに回復までの道のりを左右する
規制、ビジネス構造に対する潜在的変更および政府によるビジネスへの支援策によって受けられる恩恵次第と
なっている。世界中の(30を超える)全セクターが、その相対的な強さおよび広範なセクターグループ内のサブ
セクターの展望を判断するため、COVID-19の影響に関して詳細に分析された。この分析の成果は、「脆弱な」セ
クターを特定できることにある。脆弱なセクターのエクスポージャーは信用リスクの大幅な増加をもたらすとさ
れ、ステージ2に分類される。脆弱なセクター内では、内在的に弱く当該危機後の見通しが一時的にまたは構造
的にマイナスとなるサブセクターを、「弱い」サブセクターとして区別する。最も脆弱なセクターは食品サービ
スである。その他の脆弱なセクターはブラジル砂糖、自動車、ファッション、レジャー、ホテルの各セクターな
らびに、小麦&オイルシード、レンタル&リースおよびホールセール内のいくつかのサブセクターである。食
品・農業セクターの4.3%および食品・農業以外のセクターの9.8%が脆弱と分類された。これは409十億ユーロ
の民間セクター向け貸付ポートフォリオの4%未満である。
潜在的に生き残ることが難しい顧客への融資を避けるため、当行の引受基準が修正されているセクターがあ
る。
当行は通常のポートフォリオ管理に加え、COVID-19危機において法人向け貸付ポートフォリオを短期サイクル
で積極的に進めるため、当該ポートフォリオのための枠組みを作成した。当該枠組みにより、当行は以下のこと
を行うことができる。
・どの(サブ)セクターを「最も脆弱」として分類すべきか特定すること。「最も脆弱」とは、COVID-19に
よる影響を短期間で大きく受け、基本的な見通しも暗いことを意味する。
・引当金レベルでの感応度分析を含め、信用リスク・パラメータ(デフォルト確率、デフォルト時損失およ
びローン品質分類)につき予想される影響を数値化すること。
・ポートフォリオの信用リスクおよび引受基準の管理につき、追加軽減措置を決定すること。
IFRS 9:COVID-19パンデミックの影響
2020 年度には、減損費用の動向に対比があった。同年度上半期には、COVID-19パンデミックの発生に伴うマク
ロ経済見通しの深刻な悪化は、新たなマクロ経済シナリオの発展に置き換わった。この新たなIFRS9のシナリオ
においては、当該時点における顧客のデフォルト確率(PD)およびデフォルト時損失(LGD)がいずれも増加し
たことが予想信用損失(ECL)の増加につながり、ステージ1および2の減損引当金の大幅な増額を招いた。つ
まりポートフォリオの 稼働部分 である。また、一部の顧客エクスポージャーはデルタPDトリガー(PDの増加)ま
たはローン品質分類の格下げの打撃を受け、ステージ1からステージ2に移動された。当行はシナリオの影響と
は別に、モデルベースの引当金についてもいわゆるトップ・レベル調整を行った。例えば、COVID-19の流行以降
に改めて格付を取得していない顧客および特に打撃の大きい業界の顧客に係る計算においては、PDを追加的に増
やした。
142/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
同年度下半期にはマクロ経済見通しはより明るくなり、算出されたモデルベースの引当金の解除につながっ
た。前述の救済措置のおかげで、多くの債務不履行が起きるという経済状況の転換は(オランダの)ポートフォ
リオの大部分でほぼ発生せず、この「遅発の影響」を補完するためにトップ・レベル調整を導入することが決定
した。
このような対比は、以下の表に示すとおり、ステージ1およびステージ2の減損費用の割合により表される。
当該割合は2020年度上半期には62%だったが2020度下半期には1%となった。2020年度下半期には、減損費用の
ほぼ100%がステージ3に置かれた。2020年度には、ステージ3の大部分(712百万ユーロ)がホールセール・ア
ンド・ルーラルにおけるものであった。これは世界中の異なる事業分野/地域、なかでも、トレード・アンド・
コモディティ・ファイナンス(大規模詐欺事件を含む。)、アクイジション・ファイナンスおよび南アメリカ
(ブラジル、アルゼンチンおよびチリ)といった事業分野/地域における複数の債務不履行によるものである。
2020 年度の発展は減損引当金合計におけるステージ1およびステージ2引当金の割合の増加につながり、2019
年度末の19%から2020年度末には33%となった。
減損費用
( 単位: 2020 年 割合(%) 2020 年 割合 (%) 2020 年 割合 (%) 2019 年 割合 (%)
百万 ユーロ ) 下半期 上半期
ステージ 1 419 22% -5 -1% 424 29% 111 11%
ステージ 2 474 25% 9 2% 465 32% 128 13%
ステージ 3 1,020 53% 467 99% 554 38% 736 75%
ラボバンク 1,913 100% 470 100% 1,442 100% 975 100%
以下の表は、ポートフォリオ(ステージ3)の債務不履行部分がわずかに減少したことを示す。
ステージ構成 ポートフォリオ
2020 年 2020 年 上半期 2019 年
ステージ1 89.5% 87.6% 92.4%
ステージ2 7.5% 9.3% 4.4%
ステージ3 3.0% 3.1% 3.2%
ラボバンク 100% 100% 100%
143/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
NPL 戦略
当行はポートフォリオを管理するためNPL戦略を定めた。NPL戦略は、可能な限り欧州委員会および欧州中央銀
行(ECB)の双方が導入したプルデンシャル・バックストップ規制の影響を抑えながら、顧客に新たな視点を提
供することを目指している。近年のポートフォリオ再構築策およびリスク削減策に加え、当行はNPLポートフォ
リオを積極的に管理することを目的とした多くのイニシアチブを考案してきた。
COVID-19 にかかわらず、2020年度のオランダ国内の商業ビジネス部門においては、主に当行が顧客向けに実施
した効果的な救済措置および国による救済措置により、NPLの流入は抑えられている。しかし、現在の救済措置
の効力が切れれば、2021年度にもCOVID-19のさらなる影響が見られる可能性が高い。
気候変動リスク
気候変動は、(1)移行リスク(規制変更、レピュテーション等)および(2)物理的リスク(嵐や山火事等
の現象および洪水や干ばつ等の頻発的現象)という主に2つの経路から信用ポートフォリオに影響を及ぼす可能
性がある。物理的リスクおよび移行リスクはいずれも、当行の信用ポートフォリオの質、特に、大きなエクス
ポージャーが組み合わさることにより食品・農業および住宅ローン・ポートフォリオに多大な影響を及ぼす可能
性がある。当該2つのセクターは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が気候変動リスクの影響を最
も受けやすい業種として分類する4つの業種(エネルギー、運送業、建材および建設業(不動産を含む。)、な
らびに農業、食品および林産物)の中の2つである。TCFD指定のこれら4つの業界セクターに対する現時点での
当行の全体的なエクスポージャーがグループ全体のデフォルト時エクスポージャー(EAD)の約60%を占めると
いう事実は、気候変動リスクの重大性および緊急性をひたすらに強調している。
2020 年9月の「ラボバンクと気候変動」と題する当行のレポートは、気候変動のリスクとチャンスに関して当
行が現在までに行ってきた取り組みおよび進展を伝えると同時に、当行の将来の目標も提示している。2020年度
には銀行向けの気候および環境に関連する重要な規制が発出され、今後も増えていくだろう。2020年度に開始さ
れた最も重要な2つのガイドラインが、「気候関連および環境リスクに関するECBガイド」および「貸付の組成
と監視に関するEBAガイドライン」である。これらのガイドラインの共通点は、環境、社会およびガバナンス
(ESG)に焦点を当てていることだ。これは、(顧客、そして最終的には貸借対照表に関連するリスクである)
財務的なリスクならびに事業戦略およびプロセスがESGおよび気候変動リスクをどの程度反映する必要があるか
を数値化することを求めている。ECBは、銀行の全ての側面に存在する気候関連および環境リスクに対する、完
全で徹底したアプローチを採ることを銀行に求めると予想される。当行のリスク管理枠組みに当該規制を組み込
み、必要に応じてその要求を超えるためのものにするための第一歩は踏み出された。
144/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
気候変動リスクに対する潜在的エクスポージャーにつき理解を深め、その程度を測定することは重要である。
潜在的エクスポージャー評価の一例は、住宅の地盤の問題を分析した「干ばつによるリスクにさらされるオラン
ダの住宅」という最近のシナリオ分析である。近年、いわゆる気候変動ヒートマップが作成された。これは、当
行のポートフォリオのうち気候変動のリスクが比較的高い地区を特定するための、移行リスクおよび物理的リス
クの質的なホットスポット分析である。この分析はさらなるシナリオ分析への指針を提供するに違いない。
当行は貸付ポートフォリオへの気候変動リスクの影響を評価するのとは別に、どうしたら気候変動を打破でき
るのかについても焦点を当てている。当行は不可避である気候変動の影響により周到に備えるために、二酸化炭
素排出量の削減により気候への影響を減らすほか、世界はどうすべきかといういわゆる気候変動適応に係る様々
な議論に関わっている。農業は気候変動適応において極めて重要な分野であり、当該変化に対する融資もまた重
要であることを踏まえると、当行の利害は明らかである。
気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に即した開示については、意義ある協同組合のセクションも参
照されたい。
ブレグジット
英国は2020年1月31日付でEUを脱退し、2020年末が期限であった移行期間に入った。当該移行期間中、英国と
EUは将来の関係性につき交渉を行った。厳しい時間的制約のもと、まさに最後のタイミングで合意がなされ、
ハードブレグジットは回避することができた。当行は英国経済およびその主要取引国であるオランダ経済にも悪
影響が及ぶと見込んでおり、2021年度には英国に利害を有する当行の顧客は多くの不確実要素と向き合うことと
なる可能性が高い。ブレグジットは当行が使用したマクロ経済シナリオに組み込まれており、見込まれる信用損
失の増加につながっている。
貿易戦争
一般的な貿易戦争、また特に米国・中国間の経済力に係る関係は、当行の顧客の幸福に影響を与えかねない。
2020年度、米国と中国の関係は悪化した。この発展はCOVID-19パンデミックの発生、世界的不況および2020年1
月の第1段階の合意の中国による未履行を原因とするものである。現時点では、今後数年の間、米国新政権が中
国との関係にどのように対応するかは依然としてはっきりしていないが、どのような対応を取るにせよ、難しい
アプローチが続くことが予想される。当行は引続きこの動向ならびにそれによる当行および当行の顧客への影響
の可能性を監視する。
145/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
インタレスト・オンリー住宅ローン
好調な住宅ローン・ポートフォリオのうち、インタレスト・オンリー住宅ローンのリスクは高く、特にロー
ン・トゥー・バリューが高く(>80%)、顧客の退職が近づいている(収益の減少につながる)場合には最も高
くなる。当行は、このようなリスクを認識させ、今後発生するおそれのある問題を防止する可能性を探るため
に、かかる顧客に個別に打診を行う。現在の貯蓄口座に係る低い利率は、ある程度、顧客に住宅ローンの一部を
償却するよう説得するのに役立つ。当行は、インタレスト・オンリー住宅ローンに関連するリスクを考慮して、
ポートフォリオのこの部分(最大55%)および特に超高リスク部分(最大8%)を継続的に分析し、増加するリ
スクを迅速に特定するためにモデルを適用している。
窒素(窒素対策行動計画(PAS))
現在、オランダ政府の議題としてはCOVID-19およびパンデミックによる経済の低迷が最優先事項となっている
が、窒素排出問題も忘れられてはいない。オランダ政府は今後数年内に、最重要セクター(農業、工業、モビリ
ティおよび建設業)における窒素排出を構造的に削減するため、2十億ユーロ以上を投資する予定である。これ
により自然は取り戻されて強靱になり、新たな経済成長も可能になるだろう。農業について具体的に言えば、よ
り持続可能なビジネス・モデルに移行しようとする農家および牧畜をやめようとする農家には助成金が出るだろ
う。政府の最終的な目標は、2030年にいわゆるナチュラ2000区域のうち少なくとも50%において、許容範囲内の
窒素堆積を実現することである。当行はこの発展およびそれにより当行のポートフォリオに与えられ得る影響を
注視していく。2020年12月31日時点で、トップ・レベル調整は必要とされていない。
PFAS
2020 年7月1日から、建設および浚渫業界につき、PFASに汚染された土壌および浚渫廃棄物を扱う業務に対する
規制が緩和されている。新たな措置も環境および健康に配慮したものとなっている。これにより建設および浚渫
業界は、その事業の大部分を再開することができるようになった。これは当行の顧客への圧力を軽減させた。一
方で、欧州委員会においては、EU圏内におけるPFASの不必要な使用をなくすべきとするオランダの提案が議論さ
れている。
オペレーショナルリスク
オペレーショナルリスクに晒されることは、ラボバンクの事業活動において避けられない部分である。オペ
レーショナルリスクとは、プロセス、人々およびシステムの不良または不全および/または外部事象に起因す
る、財務的、規制的およびレピュテーション的リスクである。当行は、当該リスクを当行のリスク選好度ならび
に当行の複雑さおよび規模といった背景に応じて設定された限度内に最小化する。当行は、オペレーショナルリ
スクを積極的に管理および制御するためのリスク管理枠組み(RCF)を実行しており、これはさらに方針、手
続、制限および管理構造によってサポートされている。当行の規模および事業活動の複雑さを踏まえて、当行
は、複数のリスク選好度声明(RAS)基準を有し、許容したリスクレベルについて限度を設けている。
146/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
当行のRCFは全ての事業ユニット(子会社を含む。)および中心的サポート機能に関して強制的である。RCF
は、オペレーショナルリスクが許容されたリスクレベルの範囲内で管理および監視されることを保証する。RCF
はリスク制御活動に対して強制要件を設け、将来を見据えた総合的なアプローチを用いて、オペレーショナルリ
スクを効率的、効果的に管理できるようにする。リスク保有者は、オペレーショナルリスクの管理および指揮の
ために、イン・コントロール会議を3ヶ月ごとに開催する。当行はこの構造を通して現在存在しているオペレー
ショナルリスクを管理すると同時に、新たに発生するリスクを特定し、それに備えている。
2020 年度中、当行はCOVID-19危機ならびにそれによるオランダおよび世界の複数地点でのロックダウンに直面
した。当行は重要なプロセスの継続性を確保するため、主にITインフラ、ITシステムおよびITキャパシティに関
して迅速に対応した。
リスク特性パフォーマンス
当行のオペレーショナルリスク特性は許容されたレベルを上回り続けている一方で、緩和アクションおよび改
善プログラムに関する進歩は続いている。当行のオペレーショナルリスク特性の動因となる主なテーマは、ITリ
スクおよびサイバー犯罪、アウトソーシングリスク、転換リスク、モデルリスク、財務報告リスクならびに、マ
ネー・ロンダリング防止、テロ資金対策、顧客の本人確認、データ機密性および詐欺などのコンプライアンスの
テーマを含む。これらの分野のリスクは重大であり続ける一方で、これらをより一層軽減するための複数の改善
プログラムが実行中である。発生中のCOVID-19危機は現在のところ、オペレーショナルリスク特性の大幅な増加
を引き起こしてはおらず、また重大な損失も現実化していない。
コンプライアンス
当行は、適用法およびその他の規制要件を遵守するよう努めている。また当行は、法の精神に基づいて運営を
行い、顧客の最善の利益のために行為することを希望する。当行はこの目標をサポートするため、堅固なコンプ
ライアンスリスク管理枠組みを実行している。これは、コンプライアンス機能が第二の責任体制の一部として作
用するという役割および責任の明確な定義を含んでいる。適切なコンプライアンステーマに注目し、各責任体制
が密に協働し、および先進的なツールを世界規模で使用することで、当行はより高度なコンプライアンス行動を
達成することができる。
本レポートでは最近の発展に着目するとともに、重要な課題のいくつかにハイライトを当てる。
AML 、CTFおよび制裁
金融システムの門番としてのラボバンクの役割は、当行にとって最優先の事項である。当行は適用法規制の遵
守および良質な顧客サービスのための基礎を前進させ、近年では顧客の本人確認(KYC)活動を大幅に改善して
おり、KYCコンプライアンスへの投資も増加させている。当行は、当行の顧客ファイルおよびデータの品質を向
上させるために世界規模のプログラムを実施し、(潜在的な)犯罪活動を特定するためにそれらを利用する。
147/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
当行は2018年9月にオランダ銀行(DNB)から差止命令(ラスト・オンデル・ドワンソム)を受けた。DNBは、
2020年4月1日から、当行が前述の差止命令の要件を満たしているか検証を開始した。当行の取り組みにもかか
わらず、DNBは当行が当該差止命令の要件を満たしていないと判断した。結果として、500,000ユーロの罰金(ド
ワンソム)が徴収された。
しかしながら当行は、2020年度、専任の人材ならびにプロセスのさらなる自動化および革新という両方の観点
からKYC活動への大規模な投資を続け、1年間で380百万ユーロを割り当てた(フロントオフィス業務および子会
社を除く。)。当該プログラムはまた、当行の世界的マネー・ロンダリング防止/テロ資金対策(AML/CTF)お
よび制裁枠組みを活発化させるイニシアチブも含んでいる。
これに伴って、ラボバンクはリテール・オランダ分野における約800人のKYC従業員の追加人員の教育および訓
練を行い、KYC活動の専任者数の合計は世界で約4000人に増加した。ラボバンクはまた、フィナンシャル・イン
テリジェンス・ユニット(FIU)に対して、異常な取引の数の増加を報告した。さらにラボバンクのKYC活動は質
が高まり、現金が集約される高リスクなセクターなどへの(テーマ別)調査を進めた。加えて、ラボバンクは顧
客のエグジット・ポリシーおよびその手続を修正した。
ラボバンクは改善を行っているが、やるべきことはまだたくさんある。それゆえラボバンクは、KYCプログラ
ムへの取り組みおよび投資を続けていく。本プログラムは、経営委員会の直接責任のもと実行されている。KYC
プログラムは、3LoRモデルに従い各体制に明確な責任と行動を課す。第一体制はリスクを引き受け、所有し、
リスクおよびリターンを管理する。第二体制はリスクおよびコンプライアンスのガバナンスならびにリスク引受
に関する課題および助言を提供し、リスク特性を監視する。第三体制は、(定期的な)評価を通じた独立した保
証、助言および考察を提供する。監督委員会はこの管理をサポートするため、(臨時)委員会を設定する。将来
的にも、DNBはラボバンクのKYCプログラムの監督を続けるだろう。
当行は2021年度も引続きKYC活動や先進技術への投資を行い、これにより、不可視であったり異常と感知され
なかったりした取引パターンを検出することがますます可能になるだろう。ラボバンクは品質保証への焦点を維
持し、プロセスの効率および効果を向上させる。顧客の継続的な監視および異常な活動の適時の感知に加え、ラ
ボバンクのリスク選好度調整および体系的な誠実性リスク分析(SIRA)にも重点が置かれるだろう。
さらに当行は、当行と公共セクターの様々な当事者との間のより緊密な連携を促進する。このような共同での
努力は、金融犯罪や経済犯罪に対する私たちの共闘を強めるために不可欠である。
148/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
取引報告
取引活動へのより良い洞察力を得るという目的のもと、世界中のスーパーバイザーが金融商品の取引に関する
取引報告要件を継続的に強化している。銀行は、ある一定の期間内における幅広い金融商品に係るOTC取引を全
て報告する規制義務を有している。これらの規制義務は金融市場がより透明性の高いものとなるようサポートす
るため、当行は当該要件の遵守を希望している。2019年度には、当行の現在の取引報告枠組みに存在する障害を
特定、修正し、IT状況に関する構造的な解決策を計画し、およびデータ管理の質を高めるために包括的なプログ
ラムを開始した。2020年度にはこれら全ての分野において重要な進捗があり、2021年度にはさらに進んで行くこ
ととなる。
データ機密性
データ機密性規制の遵守は、当行のデジタル化およびデータ戦略において、重要な要素である。当行の顧客、
従業員およびその他の利害関係者の利益を守ることは、常に非常に重要である。2020年度には、当行の海外業務
および子会社が当行のデータ戦略に完全に沿うことを保証するため、グループ・プライバシー・プログラムが公
表された。プライバシー規制は世界中で施行されるようになり、多くの法域で新たなデータ保護機関が設立され
ている。全ての活動地域で当行のプライバシーガバナンスに準拠し、データ保護指針を実行することは、世界的
に一貫し、かつ、コンプライアンスに則る上で今後も重要な優先事項となる。
詐欺
当行の顧客および当行に対する詐欺事件の件数は、2019年秋から増加傾向にある。オランダでは、詐欺事件は
主にフィッシングおよびワッツアップに関連するものである。ホールセール・アンド・ルーラルにおいてトレー
ド・アンド・コモディティ・ファイナンスおよびルーラルの事業分野は様々な詐欺事件の対象となり、そのうち
1件は125百万ユーロの喪失を引き起こした。当行は2021年度、詐欺制御をさらに強化していく。より緊密に連
携して取り組むことで、当行はより多くの教訓を確認し、認知をさらに高め、および研修セッションにより最新
の発展についての情報に基づいた事業を維持できるようになる。
顧客を公平に扱うこと
当行の顧客の多くは、COVID-19危機およびその経済への影響により財務状況に直接的な影響を受けた。当行は
この前例のない発展への対処に助力するため、財務的な困難に直面する顧客に一時的な支払い猶予を認めるなど
の様々な救済措置を与えることを決めた。これらの措置は急激な財務ストレスを抑止するものではあるが、顧客
の中長期の最善な利益を考慮に入れたものでもある。また当行は、顧客への(オンライン)提案を一層改善する
ことなどにより、個人顧客への配慮(ゾーグ・ヴォール・パーティクリーレ・クランテン)という目標を実行し
続けている。さらにオランダSME金利デリバティブの再評価に関する回復枠組みの実行は、SME顧客に適宜補償を
行うことで2020年度にほとんど完了した。2021年度に残りの要素も完了させることを見込んでいる。
149/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
コンプライアンスリスク特性
コンプライアンスリスクのレベルは、全体的に高い。コンプライアンスリスクのレベルを押し上げる主な要因
は、すでに示したとおり、AML/CTFおよび制裁要件に関するリスク、オランダのリテール分野において顧客を公
平に扱うために必要な注力および注意、取引報告およびデータ機密性に関するリスクならびに外的な詐欺事件の
増加を認めていることである。コンプライアンスリスクのレベルが依然として高いことは、当行を潜在的に脆弱
にする。それゆえ、主要な課題に対処する改善プログラムは重要な優先事項である。
市場リスク
市場リスク選好度は、マーケッツおよびトレジャリーのための当行の市場リスク選好度に基づいている。当行
の部門のうち上記部門のみが、そのトレーディング勘定または銀行勘定が市場リスクに晒されている。
市場リスクは、市場価格の変動により当行の収益および/または経済的価値に悪影響が生じる可能性を必然的
に伴う。ある程度の市場リスクに晒されることは銀行業務に付き物であり、利益や価値を生み出す機会を創出す
る。市場リスクの管理および監視において、当行は、トレーディング環境と銀行業務環境を区別する。
トレーディング環境における市場リスク
当行は、顧客リスクの再分配、ヘッジによるダイナミックな管理および流通市場での低活動性をもって、ト
レーディング環境において相場の変動に適度に晒されることを戦略の一部として目指す。当行は、トレーディン
グ環境における市場リスクを、市場リスク枠組み内で日々管理し、監視する。市場リスクのうち、トレーディン
グ環境において最も重要な種類は、金利リスク(ベーシスリスクを含む。)、クレジットスプレッドリスクおよ
び為替リスクである。
当行は、イベントリスクを市場リスク枠組みにおける最も重要な指標とみなしている。イベントリスクは、引
受業務について、特定のストレステストとともに感応度、仮説および過去のストレス・シナリオを用いることに
よる、リスク要因における極端ではあるが妥当な変動に基づく損失見込みを生み出す。内部のVaRモデルも、当
行の市場リスク枠組みの主要部分である。当行は、過去1年間のデータを使用するヒストリカル・シミュレー
ションに基づくVaRモデルを適用することを選択している。
これに加え、当行は、トレーディング勘定において市場リスクを監視するために、一連の広範囲な補足的パラ
メータおよび制御を使用する。これには、金利デルタ、テナー・ベーシス・スワップ・リスク、コモディティ・
キャッシュ・デルタ、抽象的制限およびFXエクスポージャー制限が含まれるが、これらに限定されない。
150/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
リスク特性パフォーマンス
2020 年度のエクスポージャーは、引続き定められたリスク選好度に収まった。危機のピークであった2020年3
月中、利益および損失の多くは異なる部門を超えて相殺し、損失は内部のイベントリスクシナリオによって予想
された理論的な損失の範囲内に収まった。VaRおよび金利デルタは市場の変動およびポジションチェンジに応じ
て変動したが、全て設定された限度内に収まった。
金利リスク
当行の金利リスクに関するリスク選好度は、当行の事業戦略に従っており、その事業戦略において、堅実な銀
行であることは重要なテーマの1つとなっている。堅実な銀行であるという当行の目標を促進するために、当行
は、IRRBB戦略に関して以下の目標を定めている。
収益の創出: イールド・カーブ上で長期リスクプレミアムを回収するために金利リスクを引き受けることに
よって、管理された方法で収益を創出する。中期的に確実性の高い収益を創出することが目標である。
市場ストレス時の当行の保護: 市場ストレス時に予期せぬ金利動向(テールリスク)から当行を保護する。
リテール銀行としての役割の変換を受けて、当行は、当行の利益のための重要な推進力として、適当なレベル
の金利リスクを受け入れる。しかしながら、金利変更による損失は、当行の財務健全性を決して脅かしてはなら
ない。
当行は、(1)資産および負債の再価格設定期間およびディスカウントカーブの不一致、(2)特定の商品に
組み込まれたオプショナリティおよび顧客行動に起因する、銀行業務環境における金利リスクに主に晒されてい
る。また、当行は、銀行業務環境における為替リスクの対象にもなっており、この為替リスクは主に海外業務で
投資した資本に係る為替換算リスクから成る。
リスク特性パフォーマンス
当行は現在、広くニュートラルなポジションを有しており、金利リスクは当行の全体的なリスクポジションを
実質的に増加させていない。2020年度、当行のエクスポージャーは、定められたリスク選好度の限度内に収まっ
ていた。
当行の金利面での主なリスクは、イールド・カーブのフラット化と相まった、低金利水準の持続である。かか
る環境において、NIIの結果を一定の水準で維持することは困難である。NIIの結果への圧力の動因のひとつは、
リテール預金に関するマージンの圧縮である。当行はNIIの結果を当該マージン圧縮から保護するため、2021年
1月1日に、法人および個人の口座に250,000ユーロを超えるマイナスの普通預金金利を導入した。
151/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ECB は2019年度、預金金利をマイナス0.4%からマイナス0.5%に引き下げ、2020年度を通して当該水準を保っ
た。ECBは2020年度、2019年度に既に公表していた措置に加え、パンデミック・エマージェンシー・パーチェ
ス・プログラム(PEPP)を開始することでCOVID-19危機に対応した。当行が2020年度に40十億ユーロをもって参
加したTLTROプログラムの延長は、これらの措置のひとつである。
当行は、ポジショニングの透明性およびリスクの集中化の改善に取り組み、これは金利リスクおよびその他の
要素のより良い管理をもたらした。
流動性リスク
当行は、その変革機能が完成しているため、本質的に資金調達リスクおよび流動性リスクに晒されている。し
たがって、資金調達リスクおよび流動性リスクを適切に管理することが非常に重要である。堅実な銀行であると
いう当行の目標は、資金調達および流動性の管理に関する以下の主要目標につながっている。すなわち、当行は
銀行として常に、許容し難い損失を被ることなく、資産に融資し、契約上かつ財務上の義務を果たすことができ
なければならない。結果として、当行には、十分な信頼および信用があることを保証しなければならない。通常
時およびストレス時いずれの市場状況においても継続的な市場アクセスを有することが目的である。
当行の方針は、安定した資金調達(すなわち、顧客から委託された資金および長期ホールセール資金調達を意
味する。)を用いて顧客資産に融資することである。当行は、外部および内部の要件に準拠するために、当行の
流動性ポジションおよび資金調達ポジションを管理する。当行は、限度内において、可能な限り効率的に当行の
ポジションを管理および指揮し、堅実なリターンを創出する。
当行は、当行の顧客の要求に対して資金調達の有効性および費用を最適化するために、質の高い頑強な流動性
バッファを有している。当行は、リテール対ホールセール資金に関して、ならびに投資家、債権、満期、国およ
び通貨に関して、分散型のグローバル資金調達ベースも有している。
リスク特性パフォーマンス
2020 年度、当行は困難なCOVID-19下の資金調達および流動性市場を乗り切った。委託された資金は大幅に増加
した。当行は十分な流動性ポジション(安定した資金調達がされている貸借対照表、十分かつ高品質な流動性
バッファ、分散型の資金調達特性およびわずかな通貨の構造的ミスマッチ)を有している。資金調達および流動
性に関する現在の見通しは、良好である。
米ドル貸借対照表は当行にとって戦略的に重要である。米ドルに特化したLCRを含む、米ドルの資金調達およ
び流動性ポジションの詳細な監視および報告が実施されている。当行はCOVID-19危機の初期段階中に行われた一
連の適切な行為により、堅固な流動性ポジションを維持することができ、また米ドル資金調達への良好なアクセ
スも保つことができた。分散化および持続可能な米ドル資金調達特性は、2021年度にも重要な着目点であり続け
るだろう。
152/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
事業リスク
当行は、競争環境の変化や、事業のフランチャイズまたは運営面の経済性を損なう事象の発生による損失リス
クの影響を受けやすい。具体的にこれは、販売数量の減少、(商業)マージンの低下および/または(運用)コ
ストの増加による損失のリスクである。このような重大なリスク種別は、当行が戦略を実行せず、当行を戦略的
に位置づけることができず、または外部要因によって生じた重大かつネガティブな計画逸脱に対する当行の対応
が効果的でないことにより生じる可能性がある。
当行は、事業リスクに関する明確なリスク選好度声明を作成していないが、これは主に当行の戦略計画におい
て集約的、統合的、かつ、包括的な方法で記されているためである。ファイナンスおよび管理部門は、当該リス
クの課題および「管理」について主要な責任を負っている。その主な理由は、事業リスクを分析するためのシナ
リオ分析および感応度分析から成る構造化されたプログラムを通じて、潜在リスクが管理および軽減されるから
である。当行のシナリオおよび感応度の選択は、当行の戦略的リスクを考慮に入れている。さらに、中期計画
(MTP)および予算プロセスは、事業リスク管理の重要な要素である。
戦略的発展/新規発生リスク
当行のリスク管理活動は、戦略の設計および実行に不可欠な要素である。新たな戦略イニシアチブは、刺激的
な機会を開く可能性があるが、期待される報酬は関連リスクに対してバランスが取れていなければならない。銀
行業務環境のデジタル化は、これまで直面したことのないリスクを伴う。当行は、外部の動向を追跡し、(将来
の)リスクが当行の戦略的目標の実現にどのように影響を及ぼす可能性があるかを注意深く監視する。当行は、
様々な種別のリスクを特定するために、定期的に構造上のトップダウンおよびボトムアップのリスク評価を行
い、悪化シナリオの影響を計測するために特定のストレステストを行う。これらのリスクの統括概要、これらに
対する変更、およびこれらに対処するために取られる措置は、経営委員会および監督委員会において定期的に協
議される。
2020 年度の業績および健全性活動の一環として、当行の戦略的リスクは、経済発展、破壊的革新、気候変動お
よび規制という4つの集中分野に分類される。
153/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
154/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
(3) 経営委員会の責任表明
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(ラボバンク)の経営委員会は、同委員会が知る限りにおいて、以
下を表明する。
-財務書類が、ラボバンクおよび連結財務書類に含まれる会社の資産、負債、財政状態および利益に関する真正
かつ公正な見解を示すものであること。
-経営報告書が、報告日におけるラボバンクおよび財務書類にその情報が含まれている関連会社の状況、ならび
にこれらの会計年度中における状況の経過に関する真正かつ公正な見解を示すものであること。
-経営報告書が、内部リスクおよび制御システムの有効性に関する欠陥について十分な見識を示すものであるこ
と。
-財務報告における内部統制に関する情報が、連結財務書類の注55に記載されていること。
-経営報告書が、今後12ヶ月間におけるラボバンクの継続企業の前提に影響を与える可能性のある、ラボバンク
が直面する主要なリスクおよび不確実性、ならびにその他の将来のリスクを説明していること。
経営委員会
会長 ウィバ・ドライヤー
CFO バス・ブラウワース
CRO エルス・デ・フロート
委員 カーステン・コンスト
委員 バート・ルアース
委員 マリエル・リヒテンベルク
委員 ベリー・マルティン
委員 イコ・セィフィンガ
委員 ジャニノ・フォス
155/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
(2) 【役員の状況】
男性の役員の数:11名、女性の役員の数:7名(女性の役員の割合:37%)
① (a) 監督委員会
2021 年6月11日現在の当社監督委員会の構成員は次表のとおりである。
所有株式の
氏名 生年月日 役職 就任日 主要略歴 種類および
数
専門
監督取締役/
ロン (R.) ティアリンク
1961 年1月28日 会長 2013 年9月1日 該当なし
経営コンサル
タント
監督取締役/
マリヤン (M.) トロンペッター
1963 年11月1日 副会長 2015 年9月23日 経営コンサル 該当なし
タント
専門監督
アネット(A.P.)アリス 1958 年10月27日 2018 年12月18日 取締役/首席 該当なし
客員教授
専門監督
ペイトリ (P.H.M.) ホフステー
1961 年4月6日 2016 年12月12日 該当なし
取締役
起業家兼専門
アリアン (A.A.J.M.) カンプ
1963 年6月12日 2014 年12月1日 該当なし
監督取締役
専門監督
ヤン (J.J.) ノイヘダフト
1953 年7月17日 2016 年9月14日 該当なし
取締役
専門監督
マルク (M.R.C.) ペンサール
1964 年10月16日 2020 年4月8日 該当なし
取締役
専門監督
パスカル (P.H.J.M.) フィゼー
1961 年7月11日 2016 年12月14日 取締役/独立 該当なし
アドバイザー
ヘルト・ヤン (G.J.) ヴァン・デ
専門監督
1953 年3月4日 2020 年4月14日 該当なし
取締役
ン・アッカー
156/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
(b) 経営委員会
2021 年6月11日現在の当社経営委員会の構成員は次表のとおりである。
所有株式の
氏名 生年月日 役職 就任日 主要略歴 種類および
数
2014 年
ラボバンク入社
ウィバ (W.) ドライヤー
1965 年8月27日 会長 2014 年10月1日 該当なし
銀行業務経験
7年
2016 年
ラボバンク入社
バス (B.C.) ブラウワース
1972 年 1月5日 2016 年 1月1日 該当なし
銀行業務経験
23 年
1990 年
ラボバンク入社
ベリー(B.J.)マルティン 1965 年 11月16日 2009 年 7月1日 該当なし
銀行業務経験
31 年
2019 年
ラボバンク入社
エルス(E.A.)デ・フロート 1964 年 4月27日 2019 年 2月1日 該当なし
銀行業務経験
13 年
2010 年
ラボバンク入社
カーステン (C.M.) コンスト
1974 年 9月12日 2017 年9月1日 該当なし
銀行業務経験
19 年
2016 年
ラボバンク入社
バート (B.) ルアース
1971 年 9月3日 2017 年9月1日 該当なし
銀行業務経験
24 年
1995 年
マリエル (M.P.J.) リヒテンベル
ラボバンク入社
1967 年 10月5日 2017 年9月1日 該当なし
銀行業務経験
ク
26 年
2015 年
ラボバンク入社
イコ (I.A.) セィフィンガ
1966 年 2月26日 2017 年9月1日 該当なし
銀行業務経験
25 年
2016 年
ラボバンク入社
ジャニノ (B.J.) フォス
1972 年 11月7日 2017 年9月1日 該当なし
銀行業務経験
5年
157/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
② 役員の報酬
監督委員会
監督委員会メンバー報酬額は、当行の報酬構想と一致しており、また、欧州大陸においては業界間のベンチ
マークおよび類似したポジションについての銀行のベンチマークの両方に基づいている。現行の報酬水準は2016
年度に定められ、それ以降、変更はされていない。2020年度における報酬額は下記のとおりであった。
2016 年10月1日現在の報酬体系
単位:ユーロ 報酬
メンバー 90,000
監督委員会、リスク委員会、協同組合問題委員会の会長、追加額 20,000
指名委員会、報酬委員会および人事委員会の会長、追加額 20,000
副会長、追加額 30,000
会長 220,000
個々人への報酬
2020 年度における監督委員会メンバー個々人への報酬額は下記のとおりである。
監督委員会報酬
単位:千ユーロ 報酬額
アネット・アリス 90
レオ・デグレ 63
ペイトリ・ホフステー 110
アリアン・カンプ 110
ヤン・ノイヘダフト 110
ロン・ティアリンク 220
マリヤン・トロンペッター 140
パスカル・フィゼー 90
マルク・ペンサール 66
2020 年度合計 999
2019 年度合計 998
2020 年度において、ヤン・ノイヘダフト、パスカル・フィゼーおよびペイトリ・ホフステーは、さらに4年間
の任期で再任命された。同氏らに対する個人報酬に変更はなかった。2020年4月8日付で、マルク・ペンサール
は監督委員会のメンバーに任命された。レオ・デグレは、任期満了に伴い2020年9月16日付で監督委員会のメン
バーを辞任した。
158/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
個々人の貸出金
2020 年12月31日 時点で監督委員会に在籍するメンバーの未払貸出金および平均金利は下記のとおりであった。
監督委員会のメンバーごとの貸出金
単位:百万ユーロ 貸付残高 平均金利(%)
2020 年12月31日現在
アリアン・カンプ 1.1 1.4
マリヤン・トロンペッター 0.6 2.5
表に含まれていない監督委員会のメンバーは、2020暦年末時点で、貸出金、前払金および保証金を一切受領し
ていない。
経営委員会
経営委員会の報酬方針は、当行の報酬構想と一致して、当行の協同組合としてのミッションを実現するため、
貢献度およびリーダーシップに重点を置いている。報酬方針への変更は、承認のため一般加盟者理事会にかけら
れる。経営委員会のメンバーは4年間の任期で任命される。メンバーらの個々の報酬は、その特定期間について
決定される。経営委員会のメンバーは、変動報酬を受領する資格を有さない。経営委員会の報酬方針は、2017年
度に一般加盟者理事会によって承認され、2020年度において変更はなかった。
経営委員会の報酬方針は、経営委員会会長および経営委員会のメンバーという2つの集団によって構成されて
いる。経営委員会内のポジションはオランダの業界間同業他社および銀行業界の欧州大陸同業他社という2つの
ベンチマークに対して、ベンチマークによって評価される。2017年度ベンチマークに基づき、給与の範囲はその
2つの集団に設定された。経営委員会の報酬体系および給与スケールは下記のとおりである。
経営委員会の給与スケール
単位:ユーロ 最低額 最高額
経営委員会の会長 884,000 1,154,400
経営委員会メンバー 477,000 884,000
経営委員会のメンバーは、給与とは別に、団体確定拠出制度である年金制度など、副次的雇用条件を受けてい
る。2020年1月1日現在、年金を生じさせられる最高収入(法律により規制される。)は、104,115ユーロと
なった。加えて、経営委員会のメンバーは、個別拠出年金を受領する。経営委員会のメンバーのために、通勤お
よび出張のためのモビリティ・ポリシーが整えられている。
159/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
個別報酬
2017 年度における経営委員会の任命に伴い、職位ごとの参考値が定義された。経営委員会メンバーの個々の報
酬は、職位の対外的ベンチマークと併せてメンバーの個人的能力およびリーダーシップ・プロフィールに基づい
ている。経営委員会は、ラボバンクの業績について連帯して責任を負っている。これは、今後数年間において報
酬水準に反映される。
2020 年度における経営委員会のメンバーの個々の報酬は下記のとおりである。報酬は、前雇用者からの繰延変
動報酬の損失(の一部)についての報酬(バイアウト)、住宅ローン金利へのディスカウント、また、財務的な
助言についての報酬など、給与、年金制度、個別拠出年金、その他の支払いに分類されている。
経営委員会報酬
単位:千ユーロ 給与 年金制度 個別拠出年金 その他 合計
ウィバ・ドライヤー 980 28 210 0 1,218
バス・ブラウワース 884 28 187 18 1,117
エルス・デ・フロート 750 28 155 20 953
カーステン・コンスト 800 28 167 2 997
バート・ルアース 650 28 131 0 809
マリエル・リヒテンベルク 750 28 155 7 940
ベリー・マルティン 884 28 187 20 1,119
ヤン・ヴァン・ニーウェンハ
ウゼン(2020年9月1日ま 589 19 19 14 641
で)
イコ・セィフィンガ 750 28 155 0 933
ジャニノ・フォス 650 28 131 0 809
2020 年度合計 7,678 269 1,497 82 9,536
経営委員会のメンバー 7,098 251 1,479 68 8,896
経営委員会の旧メンバー 589 19 19 14 640
2019 年度合計 7,993 272 1,674 13 9,952
ヤン・ヴァン・ニーウェンハウゼンは、2020年9月1日付で経営委員会のメンバーを辞任した。2020年9月現
在、経営委員会は、9名のメンバーで構成されている。
160/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
個々の貸出金
2020 年12月31日時点で経営委員会に在籍するメンバーの貸出金残高および平均金利は下記のとおりであった。
経営委員会貸出金
単位:百万ユーロ 貸付残高 平均金利(%)
2020 年12月31日付
バス・ブラウワース 0.7 1.5
カーステン・コンスト 0.1 5.0
バート・ルアース 0.8 2.2
マリエル・リヒテンベルク 1.0 3.5
ジャニノ・フォス 0.9 2.3
個々の証書
執行委員会の複数のメンバーが個人的にラボバンク証書に投資しており、下表にて記載されている。
経営委員会のメンバーの証書
ラボバンク証書口数
2020 年12月31日付
カーステン・コンスト 840
マリエル・リヒテンベルク 1,018
ベリー・マルティン 10,084
国内銀行事業
執行役員ポジション
経営委員会以下の経営チームのレベルは、「執行役員ポジション」と称される。2020暦年末時点で、従業員
214人(2019年度:214人)が「執行役員ポジション」であり、このうち4%が、オランダの契約に基づき雇用さ
れオランダ国外で働いている駐在員に分類されている。執行役員ポジションの合計報酬は2019年度の合計と一致
していた。
執行役員の固定報酬パッケージは、ヘイ・ポイントに基づく職位によって決定されている。これらの職位は、
執行役員のための5つの給与スケールに関連づけられている。執行役員ポジションのうち、職種および担う業種
(例えば、特定の商業的な役割)により、限られた人数のみ変動報酬を受領する資格を有している。執行役員の
大部分の人は、固定報酬のみ受け取っている。
さらに、当行は、学習・開発の機会や自動車リースなど、副次的雇用条件の魅力的なパッケージを提供してい
る。執行役員は、5年ごとに2ヶ月の長期有給休暇を取得することができる。ラボバンクの年金制度は、団体確
定拠出制度であり、執行役員ポジションに適用される。2020年1月1日付で、年金を生じさせられる最高収入
(法律により規制される。)は、104,115ユーロとなった。執行役員は、そのポジションレベルに応じて個別拠
出年金を受領する。
161/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
③ 役員が受けている特別の利益
2020 年度における経営委員会に対する当社の貸出金、前渡金ないし保証金の額は3.5百万ユーロ(2019年度:
4.2百万ユーロ)であった。2020年度における監督委員会の構成員に対する当社の貸出金、前渡金ないし保証金
の額は1.7百万ユーロ(2019年度:1.8百万ユーロ)であった。
162/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
(3) 【監査の状況】
① 監督委員会の活動状況
監督委員会およびその常設委員会の構成および会合出席率(2020年12月31日現在)
会合 監督 リスク 監査 協同組合問題 報酬・人事 指名
委員会 委員会 委員会 委員会 委員会 委員会
開催回数 23 回 7回 8回 4回 8回 8回
ロン・ ティアリンク 100 % - 100 % 75 % 75 % 75 %
( 会長)
マリヤン ・ トロンペッター 100 % 100 % - 100 % 100 % 100 %
( 会長) ( 会長)
ペイトリ ・ ホフステー 100 % 100 % 100 % 100 % - -
( 会長)
ヤン ・ ノイヘダフト 91 % 100 % 100 % - - -
( 会長)
1
74 % 71 % - - 63 % 63 %
レオ ・ デグレ
パスカル ・ フィゼー 96 % - 100 % - 88 % 88 %
アリアン ・ カンプ 100 % 86 % - 100 % - -
( 会長)
2
100 % 71 % 25 % - 100 % 100 %
アネット・アリス
3
61 % 86 % - - - -
マルク・ペンサール
1 レオ・テグレは2020年9月付で監督委員会の構成員を正式に退任した
2 アネット・アリスはリスク委員会の構成員を退き、代わって2020年11月付で監査委員会の構成員となった
3 マルク・ペンサールは2020年4月付で監督委員会の構成員に指名された
監督委員会
一般的な任務および職務
監督委員会は、経営委員会の追求する方針ならびにラボバンクおよびその関連会社における通常の業務の流
れを監督する。監督者としての役割のほかに、監督委員会は経営委員会のアドバイザーおよび雇用主としても
機能する。また監督委員会の構成員は、加盟者、顧客およびその他の利害関係者と関わることでラボバンクの
「橋渡し役」としての役割も果たしている。
会合
2020 年度中、監督委員会は合計23回招集された。これらの会合には経営委員会も参加した。このほかにも監
督委員会は内部会合を複数回開催した。
163/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
議題
2020 年度の監督委員会は通常の議題の議論から始まったものの、2020年3月以降の会合の議題はやはりコロ
ナ関連の課題一色となり、ストレス・テスト、顧客および従業員に関する問題、銀行の軽減措置、流動性およ
び資本、ラボバンク証書に対する支払い(を行わないこと)に係る助言ならびにITシステム等について取り上
げられた。
年度が進むにつれて、議題は戦略面や例年議論されている議題といった通常の議題に近いものとなっていっ
た。監督委員会にはラボバンクの財務業績、マクロ経済の見通し、リスクおよびコンプライアンス関連の課
題、ならびに規制の動向に関する最新情報が頻繁に報告されていた。また監督委員会は、通知事項や規制当局
による現地偵察の結果およびそのフォローアップについて協議し、さらに監督委員会の下にある各委員会固有
の協議事項の報告も受けた。監督委員会の承認を要する事案については、関連する委員会が監督委員会全体に
対して助言を行った。
2020 年度中、監督委員会は地方銀行の移行(バンキング3.5)、MTP、付加価値の研究、および経営委員会の
法定構成員と法定外構成員の違いに特に注目した。顧客の本人確認(KYC)および顧客デュー・デリジェンス
(CDD)については集中的な議論が行われた。
リスク委員会
一般的な任務および職務
リスク委員会は、リスク・ガバナンス枠組み、リスク管理システムおよびリスク選好に係る当行の動向およ
び実施状況につき、監督委員会がその完全性および質を監督するための判断材料を準備する。これには、とり
わけ当行のリスク分析シナリオの見直しおよび効果的な再検討、ならびに強固なリスク文化におけるリスク認
識の喚起が必然的に含まれる。
会合
2020 年度中、リスク委員会は7回招集され、このうち2回はテーマを絞った内容であった。2020年3月には
2度目のリスク委員会(RC)と監査委員会(AC)の合同会合(RC-ACブリッジ・セッション)を開催した。当該
ブリッジ・セッションにおいては、IRRBBポジション管理戦略および第3の柱に関する報告書について広く協議
した。過年度同様、ICAAP/ILAAP/ストレス・テストに係るECBに対する年次報告ついての徹底的な協議(および
その後の承認)を目的に、リスク委員会と監督委員会総会との合同会合も実施された。COVID-19危機に伴い、
ICAAP/ILAAPへの影響を評価するための事後セッションも行われた。協議にはその議題の専門家が出席した。継
続的な専門研修に関するセッションは、監督委員会の下にある監査委員会の構成員と合同で2回開催された
(研修に関する取組みの概要については以下を参照のこと)。
164/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
議題
COVID-19 危機の間、リスク委員会はCOVID-19危機が当行、顧客および当行のとる軽減措置に対して与える影
響について幅広く報告を受けていた。リスク委員会がCOVID-19に関して行ったアップデートでは、主にエクス
ポージャ、セクターおよび顧客、流動性および資本、事業分野、従業員および福祉、規制の動向、ならびにマ
クロ経済の見通しについての情報が取り上げられた。
さらに、リスク委員会は統合的リスクに係る四半期報告書(例えば市場リスク、金利リスク、事業リスクと
いった財務・非財務リスクの全カテゴリーにつき扱うもの)ならびにリーガルおよびコンプライアンス部門か
らの半期報告書についても協議した。加えてリスク委員会は、とりわけICAAP/ILAAP、リスク選好報告書、回復
計画および報酬方針について、監督委員会に対して助言を行った。
2020 年度中、リスク委員会はテーマを絞った会合を2回開催した。当該会合では、DLLおよびTCFのビジネス
およびリスクに係るアップデート、当行のIRRBB戦略の策定、当行のNPL戦略の現在の状況と動向(当行のNPL
ポートフォリオに対するCOVID-19の影響を含む。)、取引報告の状況および進捗ならびに同報告に係る規制上
の要件、ならびに信用リスク・モデリング(ラボ・モデル情勢/信用リスク分析戦略)の状況および進捗に特
に注目した。
リスク委員会は、当行のオペレーショナル・リスク特性の状態および見通し(バック・トゥ・グリーン活動
を含む。)について頻繁に議論し、(i)デジタル化への移行、(ii)IT、情報セキュリティー、アウトソーシ
ング、事業の継続性、モデル・リスクおよび詐欺に係るリスクの現状と軽減策、(iii)リスク管理枠組み
(RCF)の次なる段階、(iv)気候変動リスク、および(v)商品の承認および見直し手続きに関する徹底調査
にも取組んだ。
リスク委員会には、リスクおよびFR&Rの分野で実施されたOSIの結果およびフォローアップ、CLRのフュー
チャー・フィット・プログラムの概要、ならびにリスク管理機能の自己評価および業務監査に関する最新情報
が定期的に報告されていた。
監査委員会
一般的な任務および職務
監査委員会は、ラボバンクの財務報告、ラボバンクの財務報告に係る内部統制枠組みの効果、外部監査、内
部監査、およびコンプライアンス機能の作動につき、監督委員会がその完全性および質に係るあらゆる事項に
つき判断する上での判断材料を準備する。
監査委員会は、監督委員会の要請を受けまたは自発的に、手続規則に記載の事項につき監督委員会に対して
推奨案を提出する。
会合
2020 年度中、監査委員会は8回招集されたほか、2020年度予算案に係る協議の準備のため「ワーキング・
セッション」が一度開催され、リスク委員会と監査委員会の合同会合も一度開催された。継続的な専門研修に
関するセッションは、監督委員会の下にある監査委員会によって要請され2回開催された(研修に関する取組
みの概要については以下を参照のこと)。
165/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
議題
監査委員会において通常協議される議題は、四半期毎に協議される財務業績報告書、該当する金融市場の動
向に係る最新情報、内部監査に係る四半期報告、およびコンプライアンス機能に係る半期報告についてであ
る。加えて、外部専門家とのやりとりに係る最新情報も監査委員会の議題として毎回取り上げられる。
監督委員会による予算案の承認および中間計画の協議に先立ち、監査委員会はワーキング・セッションにお
いて該当セグメントの担当CFOも交えセグメント計画について協議し、その後低金利環境およびパンデミックが
長期目標に与える影響ならびに次年度に実行すべき重要事項の優先順位も踏まえ、経営委員会とともに予算案
を見直した。
監査委員会が2020年度に特に注目していたのは、財務業績に対するCOVID-19パンデミックの影響、ベンチ
マーク・レートの移行に対処するための当行のプログラム、およびバーゼルIVの影響に係るアップデートであ
る。当行のセグメント毎の業績に係る議論とは別に、同委員会はトレジャリーの業績および設備投資について
協議し、IT費用およびITプロジェクト管理について検討した。
監査委員会は、財務諸表を含む半期報告書および年次報告書ならびに持続可能性報告書を確認済みである。
年次報告書を確認する過程で、監査委員会は貸出金減損、法的賠償請求および引当金、税務上のポジション
ならびにその他の重要な予測および評価について協議した。COVID-19パンデミックの影響ならびに当該パンデ
ミックの影響に対処することを目的とした当行の措置および政府の施策によって生じる不確実性を予測するた
めに、本年度中は、貸出金減損の決定に際してトップレベルで行われる調整に特に注意が払われた。監査委員
会は、アフメアの収益およびDLLノルディクスののれんそれぞれに係る減損の基準についても経営陣と協議し
た。さらに、事業再構築に係る引当金およびデータセンターに係る減損についても話し合われた。
監査委員会は、財務報告に対する内部統制についての経営陣の報告を検証し、貸付に係る引当金およびパー
ソナライズされていない口座に関する統制につき成果が見られることを指摘した。
監査委員会は、非財務業績および持続可能性に関する報告につき銀行業界において見られる成果を歓迎し、
当該報告を改善しようとする試みに賛同する。
監査委員会は、特にCOVID-19パンデミックの影響(減損を含む。)および当行の門番としての役割に関する
事項に注目しながら財務諸表および年次報告書内の開示事項につき検討した。
監査委員会は毎年、内部監査役の監査計画につき協議し、内部監査定款を見直す。さらに監査委員会は実施
済みの自己評価をもとに、内部監査機能の質は概ね高いと評価した。監査委員会は、内部監査に係る四半期報
告書を参照しながら、当行の統制環境の質、監査上判明した事項への対応状況、および内部監査機能の働きに
つき協議した。2020年度中、監査委員会は予定されている監査に追加していくつか監査を実施するよう内部監
査担当部門に対して要請した。
監査委員会は、改訂されたコンプライアンス定款および年間コンプライアンス計画を承認し、コンプライア
ンス機能の自己評価および当該評価に対する内部監査担当部門の評価報告書について協議した。
内部監査役および外部監査役はいずれも監査委員会の全会合に出席しており、監査委員会は各監査役とのプ
ライベート・セッションも年に一度開催している。
166/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
同委員会は、PwCの監査計画を承認し、半期報告書、年次報告書、COREPおよびFINREP報告書ならびに非財務
情報および持続可能性に係る情報のそれぞれに対する監査報告書について広く協議した。
協同組合問題委員会
一般的な任務および職務
協同組合問題委員会(CCA)は、当行の協同組合としての構造、組織およびアイデンティティに係るあらゆる
事項につき監督委員会に対して助言を行い、監督委員会が判断を迫られる際の判断材料を準備する。その中身
は、(i)当行の協同組合としての組織および運営に係る経営委員会作成の報告書を評価すること、(ii)協同
組合に関する問題につき、経営委員会の要請を受けてまたは自発的に経営委員会に対して助言を提示するこ
と、ならびに(iii)顧客、市場またはサービスに関連する議題(さらに各事業部によって策定された持続可能
性ターゲットに付随する、持続可能性に係る目標、ビジョンおよび戦略に関する議題)につき、経営委員会の
要請を受けてまたは自発的に経営委員会に対して助言を行うことである。
会合
2020 年度中、協同組合問題委員会は4回招集された。
議題
本年度の共通のテーマは、協同組合のリニューアルであった。ビジネス面ではCOVID-19の影響が最大のテー
マであった。加えて、食品・農業戦略および2030年度に向けたオランダ国内の食品・農業セクターに対するラ
ボバンクのビジョンについて、同委員会の意見が求められた。国際的な活動、持続可能性、民間顧客の事業戦
略およびデジタル化がもたらす機会について、協同組合のメンバーシップとの関連性も含めて、深く掘り下げ
るかたちで協議がなされた。
報酬・人事委員会
一般的な任務および職務
報酬・人事委員会(R&HR)は、報酬、ならびに組織の発展および改革、戦略的人事計画、パフォーマンス管
理の計画および評価、従業員エンゲージメントおよびその他最新の人事問題といった人事および組織一般に係
る問題につき、監督委員会が判断する上での判断材料を準備する。加えて、報酬・人事委員会は、これらの課
題が当行のリスクおよびリスク管理にもたらす影響についても、当行の利害関係者の長期的な利益および社会
に受け入れられている慣習、さらにはラボバンクの長期的な事業、リスク選好、業績および統制環境をも考慮
しながら検討する。報酬・人事委員会は、リスク委員会との協力のもと、報酬制度により生じるインセンティ
ブの評価を行っており、また支配的業務を担う上級経営者の報酬については直接監督している。
167/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
報酬・人事委員会は、固定および変動報酬に係る情報のほか、ラボバンク内における在籍、退社および入社
する者への諸手当に係る情報も掲載される、グループ全体の報告書に基づき、ラボバンク報酬方針に対する提
言を作成し、またラボバンク内において最も高額な収入を得ている従業員層に係る報酬実務を評価する。さら
に、報酬・人事委員会は報酬方針およびその実施につき規定する一般原則を見直すため、当行の主要な、独立
した内部評価を(最低でも年に一度)準備している。当行は良識的かつ節度のある持続可能な報酬方針を追求
している。
報酬一般および変動報酬に係る情報については、本報告書の報酬の項を参照のこと。
会合
2020 年度中、報酬・人事委員会は8回招集された。
議題
2020 年度中、報酬・人事委員会は、COVID-19が人事にもたらす結果、従業員エンゲージメントの動向、戦略
的人事計画、人材戦略、組織改革(例えば、シンプリファイ@スケールおよび「バンキング3.5」)、才能育
成、教育的取組み、健康および活力、文化、ハラスメントに対する方針、ならびに報酬に係る様々な課題と
いった一般的議題について検討した。同委員会は、グローバル褒賞ポリシー、多様性と一体性、経営委員会の
報酬方針および人材管理といった具体的な人事テーマについても深く掘り下げた。
報酬・人事委員会は、年次グロー!サイクルの後、経営委員会の構成員の評価を行い、当該構成員に対して
なされたフィードバックを正式な文書にまとめた。同委員会は、ラボバンク報酬方針に概説されるガバナンス
に従って、ごく数件の買収および新入社員の賞与の承認、ならびに事業部門の縮小に関連する残留措置につい
て、監督委員会に対して助言を行った。
さらに報酬・人事委員会は、経営委員会の業績目標および特定スタッフ(本用語については本報告書の報酬
の項の説明を参照のこと。)のグループ目標についても協議した。同委員会は監督委員会のために、ラボバン
ク全体の変動報酬に係る合計支出とその潜在的リスク評価に関する準備作業、および特定スタッフに分類され
る従業員の個別の変動報酬に関する準備作業を行った。最後に、人事・報酬委員会は年次報告書内の報酬の項
につき一般加盟者理事会の機密情報委員会と協議した。
指名委員会
一般的な職務および任務
指名委員会は、監督委員会が監督委員会、経営委員会およびそれ以上の上級経営者のポストの構成ならびに
これらへの指名および再指名につき判断する上での判断材料を準備する。
会合
2020 年度中、指名委員会は8回招集された。
168/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
議題
指名委員会はとりわけ、各委員会の引継計画および構成に基づき、監督委員会および経営委員会の人事異動
につき監督委員会に対して助言を行った。具体的には、指名委員会は2020年度中、ヤン・ヴァン・ニーウェン
ハウゼンが経営委員会構成員を辞任したことにも関連し、経営委員会の構成変更につき助言を行った。当該手
続きの一環で、経営委員会の基本的な構成が決められ、個別の役割の構成には調整が加えられた。また、指名
委員会はヤン・ノイヘダフト、ペイトリ・ホフステーおよびパスカル・フィゼーの監督委員会構成員への再指
名、およびレオ・デグレが任期満了により2020年9月付で監督委員会を去ったことにより生じた空きを埋める
ための監督委員会構成員への新規採用につき準備および助言を行った。
同委員会は経営委員会構成員および監督委員会構成員の適性を評価し、規制に基づき報告を行った。指名委
員会は、経営委員会構成員および監督委員会構成員がラボバンク外においてどのような立場で利益を得ている
か、およびどのような贈答品を渡され、どのようなもてなしを受けているかにつき協議した。人材管理の一環
として、また監督委員会および経営委員会の潜在的な候補者を見つけ出し評価する意味においても、指名委員
会は定期的に(性別)多様性の確保を行っている。
加えて、指名委員会は上層部の引き継ぎ計画につき協議し、より事実に基づいた人材評価の必要性について
議論した。監督委員会の構成は変更され、2021年度中に一般加盟者理事会に対して提示される。経営委員会の
法定構成員と法定外構成員の区別についても検討され、その結果当該区別を廃止することとなった。指名委員
会の構成員は、新任幹部との個別の面談を何度も行った。グループ単位での従業員との面談も、新任幹部、有
能な人材、およびラボバンクの7つの多様性ネットワークの代表者という括りで実施された。
監督委員会の構成員の詳細については、上記「(2)役員の状況」を参照。
② 内部監査の状況等
ラボバンクには、オペレーショナル監査、コンプライアンス監査、IT監査、ローン(評価)監査および財務
報告に対する内部統制に係る監査を行う内部監査部門(「オーディット・ラボバンク」)が存在する。
③ 外国監査公認会計士等の選任および監査報酬
( イ) 外国監査公認会計士等の選任
オランダにおける監査法人の強制ローテーション制度に従い、2016年1月1日を期首とする会計年度より、
ラボバンクの独立した会計監査人としての業務はアーンスト・アンド・ヤング・アカウンタンツ・エルエル
ピーからプライスウォーターハウスクーパース・アカウンタンツ・エヌ・ブイに引き継がれた。
( ロ) 外国監査公認会計士等の評価
該当なし。
169/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
( ハ) 外国監査公認会計士等に対する報酬の内容
ラボバンクの独立した会計監査人であるプライスウォーターハウスクーパース・アカウンタンツ・エヌ・ブ
イ(「PwC」)ならびにその提携事務所および/または関連会社がラボバンクおよびその子会社に対して2019
年度および2020年度に提供したサービスに係る費用は、以下のとおりである。
単位:百万ユーロ 2019 年度
PwC ネットワークの
PwC オランダ 合計
その他の事務所
監査業務 8.6 8.3 16.9
監査関連業務 1.7 0.4 2.1
税務助言業務 - 0.3 0.3
その他の非監査業務 - - -
合計 10.3 9.0 19.3
単位:百万ユーロ 2020 年度
PwC ネットワークの
PwC オランダ 合計
その他の事務所
監査業務 8.8 8.5 17.3
監査関連業務 1.5 0.5 2.0
税務助言業務 - 0.3 0.3
その他の非監査業務 - - -
合計 10.3 9.3 19.6
上記の監査報酬は、PwCおよび全世界のPwCネットワークに属するその他の提携事務所(税務サービスおよび
アドバイザリー・グループを含む。)がラボバンクおよびその連結グループ事業体に対して実施した手続きに
関連するものである。当該監査報酬は、財務諸表の監査に関連するものであり、当該監査が当該会計年度中に
実施されたか否かは問わない。
( ニ) その他重要な報酬の内容
該当なし
( ホ) 外国監査公認会計士等の提出会社に対する非監査業務の内容
主にコンプライアンス関連業務、翻訳業務、相談業務等が含まれる。
( ヘ) 監査報酬の決定方針
該当なし
170/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
(4) 【役員の報酬等】
該当なし。
(5) 【株式の保有状況】
該当なし。
171/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
第6 【経理の状況】
ラボバンクの個別財務諸表は、オランダ民法典第2編第9章に記載されている財務報告要件に基づいて作成され
ている。これらの会計原則は、参加持分(およびジョイント・ベンチャー)の測定を除き、欧州連合により採択さ
れた国際財務報告基準(以下「IFRS」という)に準拠し、オランダ民法典第2編第9章に記載されている財務報告
要件に基づき作成されているラボバンク・グループの連結財務諸表の作成時に用いられる会計原則と同じである。
参加持分(およびジョイント・ベンチャー)は純資産価値で測定されている。国際会計基準審議会により公表され
たIFRSと日本において一般に公正妥当と認められる会計原則の主要な相違は、「4 国際財務報告基準(IFRS)と日
本における会計原則及び会計慣行の相違」で説明されている。
以下に記載されている邦文の2020年度のラボバンク・グループの連結財務諸表およびラボバンクの個別財務諸表
は原文の財務書類を翻訳したものであり、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵
省令第59号。以下「財務諸表等規則」という。)第131条第1項の規定に従って作成されている。
オランダ語による原文のコーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(ラボバンク)の2020年12月31日に終了した
年度の個別財務諸表および連結財務諸表は、オランダにおける当行の独立した監査人かつ公認会計士法第1条の3
第7項に規定する外国監査法人等であるプライスウォーターハウスクーパース・アカウンタンツ・エヌ・ブイの監
査を受けており、それらに関する監査報告書が2021年3月4日付で発行されている。
なお、上記2020年度の連結財務諸表および個別財務諸表は金融商品取引法第193条の2第1項第1号および「財
務諸表等の監査証明に関する内閣府令」(昭和32年大蔵省令第12号)第1条の2の規定により、外国監査法人等によ
り監査証明に相当すると認められる証明を受けているため、本邦の公認会計士または監査法人による金融商品取引
法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を受けていない。
2020 年度のラボバンク・グループの連結財務諸表およびラボバンクの個別財務諸表はユーロで表示されている。
以下の財務書類で表示された円貨額は、利用者の便宜のためであり、財務諸表等規則第134条の規定に従って、
2021年3月11日現在の東京外国為替市場における対顧客電信直物売買相場仲値である1ユーロ=129.30円の換算
レートで換算されたものである。
財務書類の円換算表示ならびに「2 主な資産・負債及び収支の内容」、「3 その他」および「4 国際財務
報告基準(IFRS)と日本における会計原則及び会計慣行の相違」はオランダにおいて公表された財務書類には記載さ
れておらず、当該事項における財務書類への参照事項を除き、未監査である。
172/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
1 【財務書類】
連結財政状態計算書
連結財政状態計算書 注記 2020 年12月31日現在 2019 年12月31日現在
百万ユーロ 百万円 百万ユーロ 百万円
資産
現金および現金同等物 6 108,466 14,024,654 63,086 8,157,020
金融機関に対する貸出金および預け金 7 21,383 2,764,822 29,297 3,788,102
売買目的金融資産 8 2,536 327,905 1,870 241,791
公正価値測定に指定した金融資産 9 1 129 1 129
強制的に公正価値で測定される金融資産 10 2,075 268,298 1,905 246,317
デリバティブ 11 29,638 3,832,193 23,584 3,049,411
顧客に対する貸出金および預け金 12 436,182 56,398,333 440,607 56,970,485
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する
13 15,495 2,003,504 13,505 1,746,197
金融資産
関連会社および共同支配企業への投資 14 2,183 282,262 2,308 298,424
のれんおよびその他無形資産 15 740 95,682 829 107,190
有形固定資産 16 4,565 590,255 5,088 657,878
投資不動産 17 450 58,185 371 47,970
当期税金資産 136 17,585 169 21,852
繰延税金資産 27 849 109,776 933 120,637
その他資産 18 7,507 970,655 6,610 854,673
52 6,724 435 56,246
売却目的固定資産 19
資産合計 632,258 81,750,959 590,598 76,364,321
173/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
注記 2020 年12月31日現在 2019 年12月31日現在
百万ユーロ 百万円 百万ユーロ 百万円
負債
金融機関預り金 20 61,162 7,908,247 25,244 3,264,049
顧客預り金 21 361,028 46,680,920 338,536 43,772,705
発行済負債証券 22 113,521 14,678,265 130,403 16,861,108
売買目的金融負債 23 998 129,041 399 51,591
公正価値測定に指定した金融負債 24 5,175 669,128 6,328 818,210
デリバティブ 11 28,402 3,672,379 24,074 3,112,768
その他負債 25 6,647 859,457 6,835 883,766
引当金 26 619 80,037 783 101,242
当期税金負債 158 20,429 228 29,480
繰延税金負債 27 430 55,599 540 69,822
劣後債務 29 13,486 1,743,740 15,790 2,041,647
- - 91 11,766
売却目的負債
負債合計
591,626 76,497,242 549,251 71,018,154
資本
準備金および利益剰余金 31 27,852 3,601,264 28,157 3,640,700
ラボバンクにより発行された資本性金融商品
-ラボバンク証書 32 7,822 1,011,385 7,449 963,156
4,482 579,523 5,264 680,635
-資本証券 33
12,304 1,590,907 12,713 1,643,791
476 61,547 477 61,676
非支配持分 34
資本合計 40,632 5,253,718 41,347 5,346,167
負債および資本の合計 632,258 81,750,959 590,598 76,364,321
174/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
連結損益計算書
2020 年12月31日 2019 年12月31日
連結損益計算書 注記 に終了した年度 に終了した年度
百万ユーロ 百万円 百万ユーロ 百万円
実効金利法を使用して認識する金融資産
36
13,362 1,727,707 15,870 2,051,991
からの受取利息
その他の受取利息 36 414 53,530 259 33,489
5,592 723,046 7,674 992,248
支払利息 36
純受取利息 36
8,184 1,058,191 8,455 1,093,232
受取手数料 37 2,079 268,815 2,179 281,745
299 38,661 321 41,505
支払手数料 37
純受取手数料 37
1,780 230,154 1,858 240,239
その他の営業活動による収益 38 2,294 296,614 2,154 278,512
1,814 234,550 1,684 217,741
その他の営業活動による費用 38
その他の営業活動による純利益 38
480 62,064 470 60,771
関連会社および共同支配企業への投資か
39 188 24,308 192 24,826
らの利益
償却原価で測定する金融資産の認識中止
4 517 73 9,439
から生じた利益/(損失)
損益を通じて公正価値で測定する金融資
40 (200) (25,860) 156 20,171
産および金融負債に係る利益/(損失)
その他の包括利益を通じて公正価値で測
126 16,292 27 3,491
定する金融資産に係る利益/(損失)
220 28,446 525 67,883
その他収益 41
収益合計
10,782 1,394,113 11,756 1,520,051
人件費 42 4,684 605,641 4,821 623,355
その他一般管理費 43 1,463 189,166 1,715 221,750
395 51,074 420 54,306
減価償却費および償却費 44
営業費用
6,542 845,881 6,956 899,411
のれんおよび関連会社 への 投資 に係る 減
14, 15
283 36,592 300 38,790
損
金融資産に係る減損費用 45 1,913 247,351 975 126,068
548 70,856 484 62,581
規制上の賦課金 46
税引前営業利益
1,496 193,433 3,041 393,201
400 51,720 838 108,353
法人税 47
当期純利益
1,096 141,713 2,203 284,848
ラボバンク帰属分 822 106,285 1,295 167,444
ラボバンク証書帰属分 - - 484 62,581
ラボバンクにより発行された資本証券帰
233 30,127 355 45,902
属分
子会社により発行された資本証券帰属分 - - 4 517
信託優先証券IV帰属分 - - 19 2,457
41 5,301 46 5,948
その他非支配持分帰属分 34
当期純利益 1,096 141,713 2,203 284,848
175/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
連結包括利益計算書
連結包括利益計算書 注記 2020 年度 2019 年度
百万ユーロ 百万円 百万ユーロ 百万円
当期純利益
1,096 141,713 2,203 284,848
特定の条件に合致した場合に損益に振り
替えられるその他の包括利益(税引
後):
在外営業活動体に係る為替差損益 31 (691) (89,346) 84 10,861
その他の包括利益を通じて公正価値で測
定する負債性金融商品の公正価値の増 31 44 5,689 (1) (129)
加/(減少)
ヘッジ・コスト 31 (10) (1,293) 16 2,069
キャッシュ・フロー・ヘッジ 31 (21) (2,715) 14 1,810
関連会社および共同支配企業のその他の
31 (23) (2,974) 99 12,801
包括利益への持分
その他 31 26 3,362 5 647
損益に振り替えられることのないその他
の包括利益(税引後):
退職後給付債務の再測定 31 (10) (1,293) (20) (2,586)
その他の包括利益を通じて公正価値で測
定する資本性金融商品の公正価値の増 31 (21) (2,715) 31 4,008
加/(減少)
関連会社および共同支配企業のその他の
31 9 1,164 (5) (647)
包括利益への持分
公正価値測定に指定した金融負債に係る
自己の信用リスクによる公正価値の減 31 34 4,396 (112) (14,482)
少/(増加)
- - (62) (8,017)
その他
その他の包括利益 (663) (85,726) 49 6,336
包括利益合計 433 55,987 2,252 291,184
ラボバンク帰属分 193 24,955 1,340 173,262
ラボバンク証書帰属分 - - 484 62,581
ラボバンクにより発行された資本証券帰
233 30,127 355 45,902
属分
子会社により発行された資本証券帰属分 - - 4 517
信託優先証券IV帰属分 - - 19 2,457
7 905 50 6,465
その他非支配持分帰属分
包括利益合計 433 55,987 2,252 291,184
176/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
連結持分変動計算書
非支配持分
連結持分変動計算書
子会社により発行された
準備金および ラボバンクにより発行され
注記 利益剰余金 た資本性金融商品 資本性金融商品 その他 合計
百万ユーロ 百万円 百万ユーロ 百万円 百万ユーロ 百万円 百万ユーロ 百万円 百万ユーロ 百万円
2020 年1月1日現在残高 28,157 3,640,700 12,713 1,643,791 - - 477 61,676 41,347 5,346,167
当期純利益 1,055 136,412 - - - - 41 5,301 1,096 141,713
(629) (81,330) - - - - (34) (4,396) (663) (85,726)
その他の包括利益 31
包括利益合計
426 55,082 - - - - 7 905 433 55,987
ラボバンクにより発行された
(234) (30,256) - - - - - - (234) (30,256)
資本証券に関する支払額
資本証券の償還 33 (120) (15,516) (1,760) (227,568) - - - - (1,880) (243,084)
資本証券の発行 33 - - 1,000 129,300 - - - - 1,000 129,300
資本証券の発行費用 - - (5) (647) - - - - (5) (647)
ラボバンク証書の形態による
33 (376) (48,617) 376 48,617 - - - - - -
分配金
(1) (129) (20) (2,586) - - (8) (1,034) (29) (3,750)
その他
2020 年12月31日現在残高 27,852 3,601,264 12,304 1,590,907 - - 476 61,547 40,632 5,253,718
2019 年1月1日現在残高
27,264 3,525,235 13,938 1,802,183 553 71,503 481 62,193 42,236 5,461,115
当期純利益 2,157 278,900 - - - - 46 5,948 2,203 284,848
45 5,819 - - - - 4 517 49 6,336
その他の包括利益 31
包括利益合計
2,202 284,719 - - - - 50 6,465 2,252 291,184
ラボバンク証書に関する支払
(484) (62,581) - - - - - - (484) (62,581)
額
信託優先証券IVに関する支払
(19) (2,457) - - - - - - (19) (2,457)
額
ラボバンクにより発行された
(396) (51,203) - - - - - - (396) (51,203)
資本証券に関する支払額
子会社により発行された資本
(5) (647) - - - - - - (5) (647)
証券に関する支払額
資本証券の償還 33 (493) (63,745) (2,502) (323,509) (164) (21,205) - - (3,159) (408,459)
信託優先証券IVの償還 33 - - - - (383) (49,522) - - (383) (49,522)
資本証券の発行 33 - - 1,250 161,625 - - - - 1,250 161,625
資本証券の発行費用 - - (7) (905) - - - - (7) (905)
その他の包括利益を通じて公
正価値で測定する金融資産の 33 71 9,180 - - - - - - 71 9,180
売却
17 2,198 34 4,396 (6) (776) (54) (6,982) (9) (1,164)
その他
2019 年12月31日現在残高 28,157 3,640,700 12,713 1,643,791 - - 477 61,676 41,347 5,346,167
177/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
連結キャッシュ・フロー計算書
2020 年12月31日 2019 年12月31日
連結キャッシュ・フロー計算書 注記 に終了した年度 に終了した年度
百万ユーロ 百万円 百万ユーロ 百万円
営業活動によるキャッシュ・フロー
税引前営業利益 1,496 193,433 3,041 393,201
調整項目:
税引前営業利益に認識されている非現金項目
減価償却費および償却費 44 395 51,074 420 54,306
16, 17
オペレーティング・リース資産および投資不動産の減価償却費 735 95,036 699 90,381
金融資産に係る減損費用 45 1,913 247,351 975 126,068
有形固定資産に係る減損損失(戻入) 16 122 15,775 (22) (2,845)
その他無形資産に係る減損損失(戻入) 15 10 1,293 25 3,233
14, 15
のれんおよび関連会社への投資に係る減損 283 36,592 300 38,790
有形固定資産の売却に係る利益/(損失) 20 2,586 19 2,457
関連会社および共同支配企業への投資からの利益 39 (188) (24,308) (192) (24,826)
子会社の売却からの利益 (19) (2,457) (373) (48,229)
損益を通じて公正価値で測定する金融資産および金融負債に係る利益/(損失) 40 200 25,860 (156) (20,171)
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品の認識中止に係る利益/(損失) 41 (126) (16,292) (27) (3,491)
償却原価で測定する金融資産の認識中止から生じる利益/(損失) (4) (517) (73) (9,439)
引当金 26 114 14,740 163 21,076
自社開発ソフトウェアおよびその他資産の資本費用 (106) (13,706) (88) (11,378)
7, 20, 45
金融機関に対する貸出金、預け金および預り金 43,831 5,667,348 (10,591) (1,369,416)
8, 40
売買目的金融資産 (866) (111,974) 1,162 150,247
デリバティブ 11 (6,054) (782,782) (923) (119,344)
9, 24
公正価値測定に指定した金融資産および金融負債 (1,153) (149,083) (256) (33,101)
強制的に公正価値で測定される金融資産 10 (170) (21,981) 230 29,739
12, 45
顧客に対する貸出金および預け金 2,515 325,190 (4,918) (635,897)
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の取得 13 (13,079) (1,691,115) (5,848) (756,146)
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の売却と償還による収入 13 10,654 1,377,562 10,928 1,412,990
オペレーティング・リース資産の取得 16 (1,071) (138,480) (1,286) (166,280)
オペレーティング・リース資産の売却収入 16 353 45,643 274 35,428
関連会社および金融資産からの受取配当金 14 58 7,499 77 9,956
デリバティブ 11 4,328 559,610 147 19,007
売買目的金融負債 23 599 77,451 (1) (129)
顧客預り金 21 22,492 2,908,216 1,126 145,592
その他負債 25 (188) (24,308) 493 63,745
法人税支払額 (329) (42,540) (289) (37,368)
(4,126) (533,492) 3,321 429,405
その他の変動
営業活動による/(に使用された)キャッシュ・フロー(純額)
62,639 8,099,223 (1,643) (212,440)
投資活動によるキャッシュ・フロー
関連会社への投資の取得 14 (43) (5,560) (90) (11,637)
関連会社への投資の売却収入 14 31 4,008 71 9,180
子会社の売却収入(現金および現金同等物控除後) - - (996) (128,783)
16, 17
有形固定資産および投資不動産の取得 129 16,680 19 2,457
(20) (2,586) (35) (4,526)
有形固定資産および投資不動産の売却収入 16, 17
投資活動による/(に使用された)キャッシュ・フロー(純額)
97 12,542 (1,031) (133,308)
財務活動によるキャッシュ・フロー
22, 35
負債証券の発行による払込金額 29,913 3,867,751 43,318 5,601,017
22, 35
発行済負債証券の償還 (43,432) (5,615,758) (46,825) (6,054,473)
劣後債務の発行による払込金額 35 - - 1 129
劣後債務の償還 35 (1,511) (195,372) (1,000) (129,300)
ラボバンク証書の購入 32 (1,267) (163,823) (989) (127,878)
ラボバンク証書の売却 32 1,264 163,435 993 128,395
資本証券の発行(発行費用を含む) 995 128,654 1,243 160,720
ラボバンク証書、信託優先証券IVおよび資本証券に係る支払額 (234) (30,256) (904) (116,887)
シニア・コンティンジェント・ノートに係る支払額 (77) (9,956) (83) (10,732)
資本証券の償還 33 (1,880) (243,084) (3,159) (408,459)
- - (383) (49,522)
信託優先証券IVの償還
財務活動による/(に使用された)キャッシュ・フロー(純額) (16,229) (2,098,410) (7,788) (1,006,988)
現金および現金同等物残高の増減額(純額)
46,507 6,013,355 (10,462) (1,352,737)
期首の現金および現金同等物残高 63,086 8,157,020 73,335 9,482,216
(1,127) (145,721) 213 27,541
現金および現金同等物残高に係る為替差損益
期末の現金および現金同等物残高 108,466 14,024,654 63,086 8,157,020
利息によるキャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フロー(純額)に含まれている。
受取利息 13,511 1,746,972 15,524 2,007,253
(5,492) (710,116) (6,834) (883,636)
支払利息
次へ
178/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
連結財務諸表注記
1 企業情報
ラボバンクは、協同組合の原則に基づき事業を行う国際的な金融サービス・プロバイダーである。 当行は、オ
ランダにおけるあらゆる金融サービスの提供および食品・農業セクターに属する顧客に対する国際的なサービス
提供に注力している。当行は、リテール・バンキング、ホールセール・バンキング、ルーラル・バンキング、プ
ライベート・バンキング、ベンダー融資、リースおよび不動産事業において、その戦略に従い商品・サービスを
顧客に提供することにより価値を創出している。 ラボバンクは全世界で 約 9.6 百万 の顧客を 有している 。 ラボバ
ンクの 連結 財務諸表にはコーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー とオランダ国内外のその 連結子会社 の財務情
報が組み込まれている。コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アーはアムステルダムに登記上の事業所を有し、
商工会議所 番号第30046259として 登録 されて いる。
2 会計方針
本連結財務諸表の作成に用いられた主要な会計方針は以下のとおりである。
2.1 作成基準
ラボバンクの連結財務諸表は、欧州連合により採択された国際財務報告基準(以下「IFRS」という) およびオ
ランダ民法典第2編第9章の関連条項に 準拠して作成されている。連結財務諸表は本注記に示す会計方針に基づ
いて作成されている。
国際会計基準審議会(以下「IASB」という)により公表され、欧州連合により採択された、
当年度に適用されている新基準および修正基準
金利指標改革フェーズ1(IFRS第9号、IAS第39号およびIFRS第7号の修正)
これらの 修正は、企業が、金利指標改革の影響による金利指標の変更はないという前提のもとヘッジ会計の要
求事項を適用できるように、所定のヘッジ会計の要求事項を修正するものである。 当該修正は、2020年1月1日
付で適用され、金利指標改革が実際に実施される前の期間における不確実性に対処する。ヘッジ関係が金利指標
改革の影響を受けるのは、この改革によって下記のいずれかまたは両方に関する不確実性が発生する場合に限ら
れる。
(a) ヘッジ対象リスクとして指定された金利指標(契約上または契約以外で定められたもの)
(b) ヘッジ対象またはヘッジ手段の金利指標に基づくキャッシュ・フローの時期または金額
179/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクは、当行のヘッジ会計において指定されたLIBOR(主に米ドルおよび英ポンド)に関して、ヘッジ
対象として指定されたリスクならびにヘッジ対象および/またはヘッジ手段の指標に基づくキャッシュ・フロー
の時期のいずれにおいても、(現在のところ)不確実性がないことについて調査した。LIBOR金利は依然として
流動性が高く、別個に特定することが引き続き可能であり、キャッシュ・フローが変化することはない。当行
は、流動性の分岐点が存在するか、および/またはトリガー/停止事象が存在する場合にのみ不確実性が発生す
るという見方を取っている。2020年12月31日以前にそうした事象が存在しなかったことから、2020年度の財務諸
表への影響はなく、当行は、フェーズ1の修正で提供されている救済措置を利用する必要がなかった。付言すれ
ば、当行がIFRS第9号の通貨ベースのソリューションとして用いているキャッシュ・フロー・ヘッジ関係は、固
定額の外貨と固定額のユーロを交換するヘッジ取引である(IBORに関連するものではない)。
したがって、当該修正はラボバンクのキャッシュ・フロー・ヘッジ会計には適用されない。
IFRS 第16号「リース」の修正:COVID-19に関連する賃料減免
2020 年5月、IASBはIFRS第16号「リース」を修正する「COVID-19に関連した賃料減免」を公表した。当該修正
は借手に、実務上の便法として、COVID-19のパンデミックの直接的結果として行われた特定の賃料減免がリース
の条件変更に該当するかどうかの評価を行わず、代わりに、当該賃料減免がリースの条件変更ではないとして会
計処理を行うことを認めるものである。当該修正は貸手に影響を与えない。ラボバンクは借手として、COVID-19
に起因するリースの減免を一切受けていない。したがって、この修正による損益または資本への影響はない。
IFRS のその他の修正
IFRS 第3号、IAS第1号およびIAS第8号ならびに「IFRSにおける概念フレームワークへの参照」に軽微な修正
が加えられた。これらの修正の適用による損益または資本への影響はない。
180/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
国際会計基準審議会(IASB)により公表され、欧州連合により採択されたが、当年度にはま
だ適用されていない新規基準および修正基準
金利指標改革フェーズ2(IFRS第9号、IAS第39号、IFRS第7号、IFRS第4号およびIFRS第16号の修正)
2020 年8月、IASBは、2019年に公表した修正(フェーズ1)を補完する修正を公表した。この修正は、例え
ば、金融資産の利息を計算するために使用されてきた金利指標を代替的な金利指標に置き換える場合に発生す
る、企業の財務諸表に対する金利指標改革の影響に焦点を合わせている。フェーズ2の修正は、契約上のキャッ
シュ・フローやヘッジ関係の変更の影響など、金利指標改革中に財務報告に影響する可能性のある論点に対処す
るものである。フェーズ2において、IASBは、i) 金融資産、金融負債およびリース負債の契約上のキャッ
シュ・フローを決定するための基礎の変更、ii) ヘッジ会計、ならびにiii) 開示に関連する、IFRS第9号「金
融商品」、IAS第39号「金融商品:認識および測定」、IFRS第7号「金融商品:開示」、IFRS第4号「保険契
約」およびIFRS第16号「リース」の要求事項を修正した。これらのフェーズ2の修正は、金利指標改革によって
要求される金融商品およびヘッジ関係の変更にのみ適用される。当該修正は、2021年1月1日以降に開始する年
度に適用され、早期適用が認められる。ラボバンクはこれらの修正を早期適用しなかった。また、この救済措置
は、金利指標の置き換えによる金融資産、金融負債、リース負債の契約上のキャッシュ・フローまたはヘッジ関
係の変更が損益または資本に影響を及ぼすことを回避するよう意図されていることから、これらの修正の適用が
損益または資本に 著しい影響を及ぼすことはない と予想している。
IFRS 第4号「保険契約」の修正
IFRS 第9号の適用延期に関するIFRS第4号の修正がなされた。このIFRS第4号の修正は、主に保険事業を行う
企業に、IFRS第9号の適用日を2023年1月1日まで延期する選択肢を認めるものである。この延期措置を適用す
る企業は、引き続きIAS第39号「金融商品:認識および測定」に基づいて報告することとなる。
IAS 第28号「関連会社および共同支配企業に対する投資」は、持分法の適用に当たり統一的な会計方針を採用
することを企業に要求している。ただし、2023年1月1日より前に開始する事業年度については、企業は、(a)
自社がIFRS第9号を適用しているが、関連会社または共同支配企業はIFRS第9号の一時的免除を適用している、
あるいは(b) 自社がIFRS第9号の一時的免除をしているが、関連会社または共同支配企業はIFRS第9号を適用し
ている場合に、関連会社または共同支配企業が適用する関連会計方針を維持することが認められる(ただし、要
求はされない)。これらの修正は2021年1月1日以降に開始する事業年度に適用される。
181/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクは2018年1月1日付でIFRS第9号を適用している。ラボバンクの関連会社であり、保険事業を行う
アフメアBVは、IFRS第9号の適用日を延期し、引き続きIAS第39号を適用することを選択した。ラボバンクは、
IAS第28号に基づく持分法従いアフメアBVを測定する際に、IFRS第9号の一時的免除規定を採用する。
国際会計基準審議会(IASB)により公表されたが、まだ欧州連合により承認されていない新
基準
IFRS 第17号「保険契約」
2017 年5月、IASBは、2023年1月1日以降に開始する事業年度に適用されるIFRS第17号「保険契約」を公表し
た。IFRS第17号は、同基準の適用対象となる保険契約の認識、測定、表示および開示に関する原則を定めたもの
である。IFRS第17号は、企業がこれらの保険契約を正確に示す適切な情報を確実に提供することを目的としてい
る。この情報は、保険契約が企業の財政状態、業績およびキャッシュ・フローに与える影響を財務諸表の利用者
が評価するための基礎を提供するものである。当該基準はラボバンクの関連会社であるアフメアに影響を及ぼす
ことになる。ラボバンクは現在、この基準が当行の財務諸表に及ぼす影響について評価を行っている。
IFRS の その他の 修正
2023 年1月1日以降に開始する事業年度から適用される軽微な修正がIAS第1号に加えられている。 当該修正
は 負債の流動負債または非流動負債への分類に 関連するものである。また、IFRS第3号、IAS第16号、IAS第37号
および年次改善2018年-2020年も修正された。 これらの新しい要求事項は現在分析中であり、その影響はまだ不
明であるが、ラボバンクは、これらの修正の適用が 損益または 資本に影響を 及ぼす ことはないと予想している。
表示の変更
2020年度財務諸表の作成に当たり、ラボバンクは以下の表示の変更を行った。
・ 決済サービスに関連する 費用が、 監督上の財務報告との整合性を図るため 「その他一般管理費」から 「支払
手数料」へ表示変更された。2019 年12月31日の比較数値159百万ユーロが 表示 変更されている。
・ ラボバンクが積極的に使用する中央銀行の貨幣性金融商品が、当該金融商品の目的および用途をより適切に
反映させるため 「顧客預り金」から「金融機関預り金」へ表示変更された 。中央銀行からの他の預り金はこ
れまでどおり顧客預り金として表示される。連結財政状態計算書および連結キャッシュ・フロー計算書の
2019年12月31日の比較数値4十億ユーロが表示変更された。
182/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
継続企業
経営委員会は、 継続企業の前提を裏付ける予測分析 に基づき、 本財務諸表を作成するに当たって継続企業の前
提を採用することは適切であると判断している。
判断および見積り
連結 財務諸表を作成するに当たり、経営陣は、連結財務諸表日時点の資産および負債の計上金額、偶発資産お
よび偶発債務の計上、ならびに報告期間中の収益および費用の計上金額に影響を与える見積りや仮定について判
断を適用した。下記の会計原則では、評価および仮定に基づく重要な見積りを必要とする。経営陣の見積りは、
利用可能な財務データや情報を基礎とする、現在の状況および活動に関するこの上なく慎重な評価に基づいて行
われているが、実際の結果はこれらの見積りから乖離することがあり得る。
COVID-19 のパ ンデミック(感染拡大)による財務報告への影響
概要
2020 年度には、 COVID-19 の感染拡大がラボバンクの 貸出金 ポートフォリオに影響を与えた。各国政府がコロナ
ウイルス封じ込めのためのロックダウン措置をとった結果、ラボバンクの 主要な 営業地域における経済活動は縮
小した。 貸出金 エクスポージャーが信用の質という観点でマイナスの影響を受けた結果、ステージ2に振り替え
られるエクスポージャーが 増加した。ラボバンクは、ステージ2のエクスポージャーの増加によって、近い将来
に 債務不履行が増え る可能性があり、 ステージ3のエクスポージャーが増加すると予想している。
ECB 、EBA、ESMAの勧告
COVID-19 感染拡大に伴う経済への悪影響への対応を目的とした公的措置に基づく支払猶予(パブリック・モラ
トリアム)または民間主導の支払猶予(プライベート・モラトリアム)の適用は、それ自体で自動的に信用リス
クの著しい増大が生じたと結論付けるべきではないとの欧州銀行監督機構(以下「EBA」という)の見解にラボ
バンクは従っている。ラボバンクはまた、不良債権の特定および分類に関する 欧州中央銀行(以下「 ECB 」とい
う) 、EBAおよび欧州証券市場監督局(以下「ESMA」という)の勧告を適用している。それは、貸手の財政状態
を損なうことなく、貸出金の条件を再交渉できるというものである。つまり、当該貸出金に係るキャッシュ・フ
ローの正味現在価値は条件変更後も変わらない。この場合、債務者が再交渉後の契約に基づき債務を履行する可
能性が高いときは、当該エクスポージャーを債務不履行に分類する必要はないとされている。
183/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクの救済措置
ラボバンクは、ラボバンクが営業活動を行っている様々な国における公的措置に加え、オランダおよび全世界
においてCOVID-19からの経済的な悪影響を受けた顧客を支援するための各種救済措置を設けた。
適格な一般支払猶予
オランダ銀行協会(以下「NVB」という)は同協会のウェブサイト上で、定型化された2種類の(民間主導
の)法人顧客向け一般支払猶予について公表した。
・ エクスポージャーが2.5百万ユーロ未満の法人顧客に対するプライベート・モラトリアム
・ エクスポージャーが2.5百万ユーロ超50百万ユーロ未満の法人顧客に対するプライベート・モラトリアム
ラボバンクはこれら2種類の一般支払猶予を適用し、2020年3月15日より前に引き受けた貸出および信用枠に
係る支払の延期を 認めた 。 COVID-19危機発生前には遅滞なく支払を行っていた、オランダに本店を置くすべての
法人顧客が当該猶予を利用することが できた 。 支払猶予は、顧客ごとに事前の信用評価をすることなく、かつ条
件緩和の区分に 自動的に 変更されることなく 認められた 。 支払猶予の提供は、それ自体ではステージ2への振替
事由となる信用リスクの著しい増大とはみなされない。これらの顧客の ほぼすべてが 、 2020 年度のその後の期間
に、 顧客ごとの評価 を行う対象となった。レビュー・スケジュールの優先度は、とりわけ、顧客が営業活動を
行っているセクターにおけるCOVID-19の影響の深刻度に基づいていた。
ラボバンクは、 上記の NVB の支払猶予のもと法人顧客へ以下の選択肢を提供 した:
・ 債権額が50百万ユーロ以下の元金の返済について最長6ヶ月間の一般支払猶予
・ (ラボバンクが貸手である)リース料のうち、猶予に伴う正味現在価値の変動が、小口取引については100
ユーロ未満、大口債権(1百万ユーロ超)については500ユーロ未満であるものの支払停止
適格な一般支払猶予 は2020年9月30日まで供与された。ラボバンクが営業活動を行っている一部の国では、公
的な支払猶予が政府によって導入された。
184/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
適格な 一般支払猶予として認められない元金および/または利息の延期
ラボバンクはまた、オランダ国内外において、 適格な 一般支払猶予には該当しないが顧客が元金の返済およ
び/または利息の支払を一時的に延期することを許容する救済措置を提供 した 。 これらの措置には、個人に提供
した住宅ローンの支払延期が含まれる。これらの支払延期措置による信用リスク区分への影響を検討する際、重
要な要素が2つある。
・ 支払延期期間の長さ
・ 信用債務の正味現在価値(以下「NPV」という)に影響を与える 、ラボバンクにとって 重大な経済的損害の
発生
これに基づき、ラボバンクは 非適格な 一般支払猶予の延期措置を以下の3種類に分類 した:
・ NPVに重大な影響がなく(小口取引については100ユーロ未満、大口債権については500ユーロ未満)、かつ
期間が3ヶ月以下:この指標は、資金難に陥っていることを示す他の兆候がない限り、信用リスクの著しい
増大または他の信用リスク分類の事由にはならな かった。
・ NPVに重大な影響がなく、かつ期間が3ヶ月超:この指標では、顧客ごとに評価を実施し、適切な信用リス
クの分類を決定 した 。
・ NPVに重大な影響がある(期間を問わない):この指標では、顧客側に資金難に陥っている兆候があるとみ
なされ、条件緩和措置であり、少なくともステージ2に分類する事由であるとみなされ た。
追加的(流動性)資金供給
ラボバンクはまた、COVID-19危機によって追加的流動性が必要となった顧客に対し、資金供給(新規貸出)も
行った。これらの貸出は、政府保証付で供与されたものもあれば、そうでないものもある。オランダ政府保証付
の追加的資金供給の例としては、BKMB-C与信枠が挙げられる。ラボバンクにとっての信用リスク軽減措置として
付された政府保証は、デフォルト確率(以下「PD」という)などの顧客の信用の質の測定に影響を及ぼさない。
政府保証付で引き受けた法人向け貸出金は、アンファンデッド信用プロテクションとみなされ、 セーフガードと
して、 デフォルト時損失率( 以下「 LGD 」という) やその結果算出されるIFRS第9号の 予想信用損失(以下
「ECL」という)といった損失の見積時に考慮されている。政府保証のない追加的資金供給の申請についてはす
べて、顧客ごとに評価を実施した。
185/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
IFRS 第9号の減損引当金:将来予測的な情報
将来予測的な情報
COVID-19 感染拡大 の影響により、 IFRS 第9号に基づくステージ1および2の減損引当金が増加した。 IFRS 第9
号に基づく 各ステージの 全エクスポージャー および減損引当金の概要については、注記 4.3.3 「 信用リスク・エ
クスポージャーおよび信用の質 」および注記4.3.4「 金融資産に係る減損引当金および信用関連の偶発債務 」 を
参照されたい。 ワクチン接種の推進が成功した場合には、2021年中に政府による金融支援策は打ち切られるもの
と予想される。ラボバンクは、当該期間において、債務不履行が増加すると見込んでいる(先延ばしされた債務
不履行)。 この基本シナリオは発生する可能性が最も高く70%、下振れおよび上振れシナリオはいずれも15%と
みなされている。
基本シナリオ:概要
2020 年度の年初時点では、 COVID-19 感染拡大は世界経済の成長に対する単なる下振れリスクに過ぎないと考え
られていたが、瞬く間に全世界の成長見通しを根本的に変える事象と なり、2020年に 世界的な景気後退 を引き起
こした。 後に続く2021年には、景気後退からの (部分的) 反発を反映したより高い成長率を想定している。
ラボバンクの最も重要な市場に関する基本シナリオ
オランダ
オランダには、COVID-19感染拡大が発生する前から在宅勤務やオンライン・ショッピングが普及していたとい
う点でいくつかの優位性がある。そうした備えが、 2020 年度第2四半期および第4四半期において ロックダウン
(都市封鎖)時に経済活動が受けた打撃を吸収する役目を果たした。ドイツ政府同様、オランダ政府は相当程度
の財政出動・金融支援を行う余力があり、これまでのところそうした策を講じてきた。オランダにおけるCOVID-
19危機の影響は、他の 大半の国 よりも軽微にとどま っている。 オランダにおけるマクロ経済のシナリオおよび将
来予測的な情報の詳細については、注記 4.3.6 「モデルに基づく金融資産の減損引当金に関する判断および見積
り」に記載している。
上振れシナリオと下振れシナリオ
ラボバンクは、全英経済研究所世界経済モデル(以下「N i GEM 」という)の統計的シミュレーション法を用い
て上振れシナリオと下振れシナリオを生成した。定式化の手続は2つの手順から成る:
1. NiGEMの確率関数を 適用 して、上振れおよび下振れシナリオが基本シナリオから乖離するであろう最初の四
半期から最後の四半期までのラボ・リサーチ提供の1000のシナリオを実行する。 NiGEM は、モデル方程式か
ら過去の残差(ランダムに選択)を用いて予測期間中のショックを与える(モンテカルロ・シミュレー
ション)。結果として、世界の取引損失に係る過去の分散に基づくマクロ経済的帰結の分布が得られる。
2. 当該分布の上位15%のシナリオと下位15%のシナリオを表す2つのシナリオを調べる。
186/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
トップ・レベル 調整
COVID-19 の感染拡大に起因する特異な状況により、専門家の判断および調整を必要とするモデルの結果となっ
た。 欧州では、各国政府がCOVID-19ウイルス封じ込めのための措置を講じた。2020年末には、COVID-19の英国型
変異種により、オランダ政府はロックダウン措置の拡大を決定した。欧州の各国政府は、ロックダウン措置の影
響を補償するために 手厚い流動性支援を行った。 また オランダでは、飲食業界、花卉、余暇・娯楽、飲食以外の
小売、運輸およびエネルギー産業などの、影響を受けた業界および個人 を援助する支援措置が政府によって講じ
られた。こうした支援により、当行の法人顧客の大半でロックダウン措置による直接的な影響が一定程度先送り
された。その結果、オランダにおける破産件数は極めて少ない。 こうした理由から経営陣は、 欧州の法人向け貸
出金に関して、IFRS第9号のECLモデルの結果は予想信用損失の増加を適切に反映していないと判断した。経営
陣は、政府支援の補正のためにMES(市場性のある持分証券)に関するモデル・インプットを変更した上でIFRS
第9号のECLモデルを使用して、COVID-19に関する594百万ユーロの調整を行った。
経営陣は、特定のセクターにおける法人向け貸出金エクスポージャーに係る信用リスクの著しい増大について
検討している。セクターが受ける影響の深刻度は、ロックダウン期間の長さ、回復への道筋を決定付ける措置
(移動の自由など)や制限の厳格性、法人に生じる可能性のある構造的変化、および事業支援に対する政府の措
置による恩恵に左右される。概括的なセクター区分内のサブセクターの相対的な強度と見通しを判断するため
に、世界のセクターすべて(30超)についてCOVID-19による影響を分析した。実施結果に基づいて脆弱なセク
ターが特定された。脆弱なセクターに対するエクスポージャーは、信用リスクの著しい増大があるとみなされ、
ステージ2(全期間の予想信用損失を認識する)に区分された。食品・農業セクターの4.3%および非食品・農
業セクターの9.8%が脆弱と分類されている。これは、民間セクターの顧客に対する貸出金全体の4%未満であ
る。ステージ2への振替に伴い、経営陣は、COVID-19に関連して87百万ユーロの追加調整を行った。
COVID-19 関連の経営陣の調整以外に、ラボバンクは、2つの重要なトップ・レベル調整を適用した。1つは、
IFRS第9号のモデルのバックテストの結果に関連している(125百万ユーロの繰入)。もう1つは、新法令(Wet
Homologatie Onderhands Akkoord)に起因する担保権行使による予想収入の減少および最近のバックテストに基
づくパラメータの補正に関連している(149百万ユーロの繰入)。
金融資産の減損引当金
ラボバンクは、3つのステージの予想信用損失減損モデルを適用して予想信用損失の測定および認識を行って
おり、これには相当程度の経営陣の判断が伴う。 同モデルに基づく減損引当金の計上と個別に評価する金融資産
の測定に 係る 予想信用損失の算出において、 ラボバンクは見積りと経営者の判断を用いている。 同モデルに基づ
く減損引当金に関する情報は、注記4.3.6「モデルに基づく金融資産の減損引当金に関する判断と見積り」に記
載している。 個別に評価する信用減損金融資産については、割引キャッシュ・フローの計算を行う。多くの場
合、予想将来キャッシュ・フローの見積りと3つのシナリオの加重に判断が求められる。
187/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
TLTRO-III の分類および測定
ラボバンクはECBの3回目の貸出条件付き長期資金供給オペレーション(以下「TLTRO-III」という)に参加し
ている。その条件に基づき、このオペレーションの金利は、2020年6月24日から2021年6月23日までの期間につ
いては、主要リファイナンス・オペレーションの平均金利から金利ボーナスの50ベーシスポイントを差し引いた
金利であり、個々のTLTRO-III取引の残存期間については、主要リファイナンス・オペレーションの平均金利で
ある。この優遇金利は、ラボバンクが所定の貸出ベンチマークを達成した場合に適用される。金利は、個々の
TLTRO-IIIオペレーションの満期到来時または期限前返済時に事後決済される。
ラボバンクは、NPV測定のための見積キャッシュ・フローにマイナス50ベーシスポイントの金利ボーナスを組
み入れ、TLTRO-III金利全体をIFRS第9号第B5.4.5項の対象となる変動金利とみなしている。2020年6月24日か
ら2021年6月23日までの期間については、50ベーシスポイントの追加的な金利ボーナスを組み入れなかった。こ
れは、過去数ヶ月間、ベンチマークである純貸出額が減少傾向にある上、2021年第1四半期における熾烈な競争
や景気減速を踏まえると、その閾値を達成できるかどうかが不確実なためである。追加的な金利ボーナスの資格
を得るには、2021年3月末までに当該閾値を達成する必要がある。TLTRO-IIIの調達資金は、当初公正価値で認
識され、その後、償却原価で測定する金融負債に分類され、「金融機関預り金」として表示される。ラボバンク
が、ベンチマークの貸出状況に到達した場合、支払または収入の見積りが修正される。この修正では、実際およ
び修正後の見積キャッシュ・フローが反映されるようにTLTRO-IIIの帳簿価額が調整される。ラボバンクはその
時点で、当初実効金利による見積将来キャッシュ・フローの現在価値を計算することによって帳簿価額を再計算
する予定であり、価値調整額は損益計算書に認識される。2020年12月31日時点におけるTLTRO-IIIの調達資金の
帳簿価額は40十億ユーロである。2020年度のTLTRO-IIIの受取利息は66百万ユーロである。
金融資産および金融負債の公正価値
金融資産および金融負債の公正価値の決定に関する情報は注記 4.9 「金融資産および金融負債の公正価値」 お
よび注記11「デリバティブ」 に記載されている。
のれん、その他無形資産ならびに関連会社および共同支配企業への投資の減損
その他無形資産ならびに関連会社および共同支配企業への投資は、特定のトリガーが識別された時点で減損テ
ストを実施するのに対し、のれんは少なくとも年1回、減損テストを実施する。回収可能額が帳簿価額を下回る
場合、減損損失が認識される。これらの資産の減損の評価に当たり、回収可能額を決定するには、市場価格、比
較対象企業の価格、現在価値もしくはその他の評価手法、またはそれらの組み合わせに基づく見積りが必要とな
り、経営陣は、主観的な判断および仮定を行うことを求められる。基礎となる状況が変化した場合、これらの見
積りや仮定により、計上額に大幅な差異が生じる可能性があることから、これらの見積りは極めて重要と考えら
れる。のれんの回収可能額を決定するための重要な仮定については注記15に記載されており、関連会社および共
同支配企業への投資に関する仮定については注記14に記載されている。
188/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
課税
法人税ならびに関連する当期税金資産および負債ならびに繰延税金資産および負債の決定に際しては見積りを
使用する。取引の税務上の取扱いは常に明確または確実であるとは限らず、複数の国において過年度の納税申告
が多くの場合確定しないまま、長期に亘り税務当局の承認の対象となる場合がある。本報告書に計上されている
税金資産および負債は、入手可能な最善の情報、および適切な場合外部の助言に基づいて決定されたものであ
る。最終結果と当初なされた見積りの差異は、取扱いが合理的に確実になった期間に当期税金資産および負債な
らびに繰延税金資産および負債として会計処理される。
その他引当金
IAS 第37号の適用において、現在の債務が存在するか否かの決定、ならびに資源流出の可能性、時期および金
額を見積る際には判断が伴う。 引当金 に関する判断についての詳しい情報は注記 26 「引当金」 に記載されてい
る。
2.2 連結財務諸表
2.2.1 子会社
ラボバンクが支配している参加持分はその子会社(ストラクチャード・エンティティを含む)であり、当該子
会社は連結されている。投資家が参加持分への関与から変動的なリターンを受け取る権利、および当該参加持分
の支配を通じてこのリターンに影響を及ぼす能力を有する場合、当該参加持分は支配されている。これらの会社
の資産、負債および損益は100%連結されている。
子会社は、ラボバンクが有効な支配を獲得した日から連結され、この支配を喪失する日に連結が解除される。
ラボバンクと子会社の間の取引、残高および取引の未実現損益は、連結に当たり相殺消去される。
2.2.2 関連会社および共同支配企業への投資
関連会社および共同支配企業への投資は取得原価(のれんを含む)で当初認識され、その後、持分法会計を使
用して会計処理される。取得後の損益に対するラボバンクの持分は、損益計算書に認識され、取得後の準備金変
動に対するラボバンクの持分はその他の包括利益に直接認識される。取得後の累積変動額は投資の帳簿価額に含
まれている。
189/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
関連会社とは、ラボバンクが重大な影響力を行使することができ、通常、議決権の20%から50%を所有する
が、支配権を有していない事業体を指す。共同支配企業とは、当事者が共同の支配権を有すると同時に、契約の
下で純資産に対する共同の権利を有する1つまたは複数の当事者間の契約を指す。ラボバンクとその関連会社お
よび共同支配企業の間の取引に係る未実現利益は、個々の関連会社および共同支配企業に対するラボバンクの持
分に案分比例して消去される。未実現損失も、取引の基礎をなす資産に関して減損損失を認識すべきことが取引
で示される場合を除き、消去される。
2.3 デリバティブおよびヘッジ
デリバティブには、一般的に外国為替契約、通貨先物および金利先物、金利先渡契約、通貨スワップおよび金
利スワップならびに通貨オプションおよび金利オプション(売りまたは買い)が含まれている。デリバティブは
公正価値(取引費用を除く)で認識される。その公正価値を決定する基準となるのは、取引所における取引価額
(ビッド・アスク幅のあるユーロ、米ドルおよび英ポンド建のデリバティブには仲値が用いられる)、トレー
ダーのオファー価額、割引キャッシュ・フロー・モデル、ならびに基礎となる商品の現在の市場価格と契約価額
に基づき、貨幣の時間価値、イールド・カーブおよび基礎となる資産・負債のボラティリティを反映したオプ
ション評価モデルである。デリバティブは、その公正価値がプラスの場合は資産勘定に、マイナスの場合は負債
勘定に計上される。
ヘッジに使用されていないデリバティブ
売買目的で保有されているデリバティブに係る実現および未実現の損益は、「損益を通じて公正価値で測定す
る金融資産および金融負債に係る利益/(損失)」に公正価値で認識される。
ヘッジに使用されているデリバティブ
デリバティブは、金利リスク、信用リスクおよび為替リスクに関わる資産負債管理のために使用される。ラボ
バンクは、非ポートフォリオ・ヘッジ会計にIFRS第9号を適用している。IFRS第9号は 、金利リスクのポート
フォリオ・ヘッジに関する公正価値ヘッジ会計の解決策を提供していない。ラボバンクは、このようなポート
フォリオ・ヘッジ会計について、 IFRS 第9号の会計方針の選択肢を利用し、引き続きIAS第39号に よる欧州連合
の例外規定を適用することを選択した。
会計上の ヘッジ関係の 開始時に、デリバティブは次のいずれか1つとして指定される。(1)財政状態計算書
の資産、資産グループまたは負債の公正価値に対するヘッジ(以下「公正価値ヘッジ」という)、(2)財政状
態計算書上の資産または負債、予定取引あるいは確定契約に割り当てられる将来キャッシュ・フローのヘッジ
(以下「キャッシュ・フロー・ヘッジ」という)、(3)在外営業活動体に対する純投資のヘッジ(以下「純投
資ヘッジ」という)。ヘッジ会計は、以下を含む特定の要件を満たしている場合に、上述の方法で指定されたデ
リバティブに適用される。
190/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
・ ヘッジ手段、ヘッジ対象、ヘッジの目的、ヘッジ戦略およびヘッジ関係の正式な文書化
・ ヘッジの非有効部分の発生原因の評価および分析に関する文書、およびヘッジ比率の決定方法に関する文
書(IFRS第9号)
・ 全報告対象期間中、 ヘッジ対象リスク に割り当てられる、ヘッジ対象の公正価値の変動をカバーする有効
性が80%から125%の範囲(IAS第39号)
・ ヘッジの開始時からの継続的な有効性
・ ヘッジ対象とヘッジ手段の間の経済的な関係(IFRS第9号)
1. 公正価値ヘッジ会計に利用されるデリバティブ
公正価値ヘッジとして指定され、かつヘッジ対象リスクに関して有効であるデリバティブの公正価値の変動
は、ヘッジ対象資産または負債の公正価値における対応する変動と共に、損益計算書の「損益を通じて公正価値
で測定する金融資産および金融負債に係る利益/(損失)」に認識される。
ヘッジが(公正価値ヘッジ・モデルを適用する)ヘッジ会計の基準を満たさなくなった場合、ヘッジの対象と
なっている利付金融商品の公正価値の累積的調整額は、関連する金利のリプライシング期間に亘り損益を通じて
償却される。
2. キャッシュ・フロー・ヘッジ会計に利用されるデリバティブ
キャッシュ・フロー・ヘッジに指定され(かつ適格な)デリバティブの公正価値変動で、ヘッジ対象リスクに
関して有効なものは、その他の包括利益に認識される。デリバティブの公正価値の変動の非有効部分は、損益計
算書に認識される。 その他の包括利益に計上された繰延金額は、ヘッジ対象の予想キャッシュ・フローが損益計
算書に影響を与える期間に、損益計算書の「損益を通じて公正価値で測定する金融資産および 金融負債に係る利
益/(損失)」 に計上される。
3. 純投資ヘッジ会計に利用されるデリバティブ
在外営業活動体への純投資をヘッジするために利用されたヘッジ手段は公正価値で測定され、公正価値の変動
は、有効と判断されたヘッジの部分がその他の包括利益に認識される。為替レートの変動に伴う、ヘッジ対象の
資本性金融商品の変動も、その他の包括利益に認識される。当該資本性金融商品が処分された場合、その他の包
括利益に累積された利益/損失は損益に再分類される。
4. ヘッジ・コスト
ヘッジ会計において外貨建の発行済債券と共に指定された、クロスカレンシー金利スワップのうちのクロスカ
レンシー・ベーシススプレッドは指定から除外されている。クロスカレンシー・ベーシススプレッドのボラティ
リティは、その他の包括利益を通じてヘッジ・コストとして計上され、当該発行済債券が満期を迎えるまで、
ヘッジ対象の将来キャッシュ・フロー見込額が損益に影響を及ぼすのと同じ期間に損益に再分類される。
191/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクが管理するリスク・ポジションの下で、経済的なヘッジとして利用されているデリバティブはある
が、一定のデリバティブ契約は、特定のIFRS規則に基づいてヘッジ会計の適用が適格とならない。経済的なヘッ
ジ目的で保有されるデリバティブの利息は、デリバティブの受取レグおよび支払レグのいずれも支払利息勘定に
表示される。
2.4 売買目的金融資産および金融負債
売買目的金融資産は、価格もしくはトレーディング・マージンの短期的変動から利益を生み出す目的で取得さ
れる金融資産、または短期的な利益参加のパターンによって特徴付けられるポートフォリオの一部を構成する金
融資産である。売買目的金融資産は、市場の買い呼値に基づいて公正価値で認識され、そこから発生するすべて
の実現および未実現損益は、「損益を通じて公正価値で測定する金融資産および負債に係る利益/(損失)」と
して認識される。金融資産から稼得した利息は受取利息として認識される。売買目的金融資産に関する受取配当
金は「損益を通じて公正価値で測定する金融資産および負債に係る利益/(損失)」として認識される。
売買目的金融負債は、主にデリバティブのマイナスの公正価値、および証券の空売りにより発生した現物引渡
義務のマイナスの公正価値である。証券の空売りは、短期的な価格変動による収益を実現するために行われる。
空売りを決済するために必要な証券は証券貸借およびレポ取引契約により入手する。空売りされた証券は報告日
の公正価値で認識される。
2.5 公正価値測定に指定した金融資産および金融負債
金融資産および金融負債は、当初認識時に「公正価値測定に指定した金融資産および金融負債」として分類さ
れることがある。ただし、この会計処理により、異なる会計方針に基づいて当該資産または負債を測定または損
益を認識する際に、従来であれば発生するような矛盾した処理を排除または大幅に減らすことができる場合に限
る。
かかる資産および負債から稼得する利息は受取利息として、かかる資産および負債について支払う利息は支払
利息として認識される。これら金融商品の公正価値を再評価する際のその他の実現および未実現損益は、「損益
を通じて公正価値で測定する金融資産および負債に係る利益/(損失)」に計上される。ただし、公正価値測定
に指定した金融負債に関する自己の信用リスクに起因する公正価値の変動を除く。これらの公正価値の変動(税
引後)は、その他の包括利益の「公正価値測定に指定した金融負債に係る自己の信用リスクによる公正価値の変
動」の勘定科目に表示される。信用リスクの変動に伴うこれらの影響をその他の包括利益に表示することで、損
益における会計上のミスマッチが生成される、または増大することはない。
192/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2.6 初日利得/損失
金融商品に公正価値会計を当初使用した時点の、取引価額と公正価値との間のプラスまたはマイナスの差額
(以下「初日利得/損失」という)は、その評価方法が活発な市場からの観察可能なインプットに基づく場合、
直ちに「損益を通じて公正価値で測定する金融資産および負債に係る利益/(損失)」に計上される。それ以外
のすべての場合、初日利得/損失は全額繰延べられ、「その他負債」または「その他資産」として会計処理され
る。当初認識後、要因の変化(時間効果を含む)から利益/損失が発生した範囲内で、繰延べられた初日利得/
損失を利益/損失として認識する。
2.7 その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
契約上のキャッシュ・フローの回収および売却のために保有される負債性金融商品は、当該資産のキャッ
シュ・フローが元本と 残存元本額に係る 利息の支払のみである場合、その他の包括利益を通じて公正価値で測定
され、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産」として表示される。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産は、 取引費用を含め、公正価値で当初認識される。非
上場資本性金融商品の公正価値は、それぞれの発行体に関する特定の条件を反映するために調整した適切な株価
収益率に基づいて見積られる。
帳簿価額の変動はその他の包括利益を通じて計上 されるが、減損損益、受取利息および為替換算損益は損益に
認識される。当該金融資産の認識が中止された場合、従前はその他の包括利益に認識されていた累積損益は資本
から損益に再分類される。これらの金融資産からの受取利息は実効金利法を使用して純受取利息として認識され
る。減損損失は損益計算書の「金融資産に係る減損費用」として認識される。
ラボバンクが、持分投資に係る公正価値損益をその他の包括利益に表示することを選択した場合、当該投資の
認識中止後に公正価値損益が損益に再分類されることはない。かかる投資からの配当は、その支払を受けるラボ
バンクの権利が確定した時点で、引き続き「その他収益」として損益に認識される。
2.8 レポ契約およびリバース・レポ契約
レポ契約を条件として売却された金融資産は、場合に応じ連結財政状態計算書の「売買目的金融資産」または
「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産」に含まれる。取引相手に対する負債は、場合に応じ
「金融機関預り金」または「顧客預り金」に含まれる。
193/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
リバース・セールおよびリバース・レポ契約に基づき取得した金融資産は、連結財政状態計算書に認識されな
い。金融資産を購入するために支払われた対価は、場合に応じ「金融機関に対する貸出金および預け金」または
「顧客に対する貸出金および預け金」として認識される。売却価額と買戻価額の差額は、実効金利法を使用し
て、契約期間に亘る受取/支払利息として認識される。
2.9 金融資産および金融負債の証券化および認識(の中止)
金融資産および金融負債の認識
損益を通じて公正価値で測定するものとして分類される金融資産および金融負債、ならびに規制上定められた
期間内にまたは市場慣行に従って受け渡すことを要求される、損益を通じて公正価値で測定する金融資産の購入
および売却は、取引日に認識される。償却原価で保有される金融商品は決済日に認識される。
金融資産および金融負債の証券化および認識の中止
ラボバンクは、様々な金融資産を証券化、売却および保有している。これらの資産は時として特別目的事業体
(以下「SPE」という)に売却され、その後、当該SPEが投資家に証券を発行することがある。ラボバンクはこれ
ら資産に対する持分を、劣後金利ストリップ、劣後証券、スプレッド勘定、サービシングの権利、保証、プット
およびコール・オプション、またはその他の取引の形で保有する選択権を持っている。
金融資産(または金融資産の一部分)は以下のいずれかに該当する場合に認識が中止される。
・ 資産から得られるキャッシュ・フローに対する権利が消滅した場合
・ 資産から得られるキャッシュ・フローに対する権利および資産の所有に伴うリスクおよびリターンのほぼ全
部が移転した場合
・ 資産から得られるキャッシュ・フローを移転する契約上の義務を負い、リスクおよびリターンのほぼ全部が
移転した場合
・ リスクおよびリターンのほぼ全部が移転されても保持されてもおらず、資産に対する支配が保持されていな
い場合
金融負債またはその一部は、それが存在しなくなった場合、すなわち契約上の義務が履行されるか、取消され
た場合、またはそれが終了した場合に認識が中止される。ラボバンクがほぼ全部のリスクおよびリターンを保持
または移転しておらず、支配を保持している場合、継続的な関与が認識される。資産は、ラボバンクの関与が継
続している範囲で認識される。
194/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
取引が、認識の中止に関するこれらの要件を満たさない場合は、担保付貸出として認識される。金融資産の移
転が認識の中止の対象でない範囲内で、それらの商品および移転した資産の認識、または移転に起因する負債の
認識により、当該権利および義務が重複して認識される場合、ラボバンクの契約上の権利はデリバティブとして
別途認識されない。
証券化および売却取引に係る損益は、移転した資産の帳簿価額に一部依存している。これらの資産の帳簿価額
は、売却日のこれらの持分の相対的公正価値を使用して、売却された持分と留保された持分に配分される。損益
は移転時に認識される。売却した持分と留保した持分の公正価値の決定は、取引所における市場価格、または信
用損失や割引率、イールド・カーブ、支払頻度またはその他の要因に関する複数の仮定が絡んだ価格決定モデル
に基づいて計算された、将来キャッシュ・フロー見込額の現在価値に基づいてなされる。
2.10 現金および現金同等物
現金同等物は、投資その他を目的とするのではなく、当座の現金支払義務を履行するために中央銀行にて保有
している、極めて流動性の高い短期資産である。これらの資産の満期は開始時から90日未満である。現金同等物
とは、既知の金額の現金に直ちに換金できるもので、価値の変動リスクが重要でないものをいう。
2.11 金融資産および金融負債の相殺
認識された金額を相殺する法的権利があり、かつ、将来キャッシュ・フロー見込額を純額で決済するか、資産
の処分と負債の決済を同時に行うことが意図されている場合、金融資産および金融負債は相殺されて純額が財政
状態計算書に認識される。これは主にデリバティブおよびリバース・レポ契約に関連している。税金の相殺につ
いては注記2.26で説明している。
2.12 外国通貨
外国事業体
ラボバンク内の個々の事業体の財務諸表に記載されている取引および残高は、個々の事業体の基礎的な事業環
境の経済的実態を最もよく反映する通貨(以下「機能通貨」という)で計上されている。
195/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
本連結財務諸表は、親会社の機能通貨であるユーロ建で表示されている。在外営業活動体の損益計算書および
キャッシュ・フロー計算書は、取引日における実勢為替レートでラボバンクの表示通貨に換算される。これは、
報告期間における平均為替レートにほぼ等しいものである。財政状態計算書は、報告期間末の実勢為替レートで
換算される。在外営業活動体に対する純投資および貸出から生じる為替差額、ならびにそれら投資のヘッジに指
定された他の通貨建商品から生じる換算差額は、その他の包括利益において認識される。在外営業活動体が売却
された場合、それらの換算差額は売却損益の一部として損益計算書に振り替えられる。
外国事業体の取得により発生したのれんおよび公正価値の調整は、外国事業体の資産・負債として認識され、
報告期間末の実勢為替レートで換算される。
外国通貨建取引
外国通貨建取引は、取引日の実勢為替レートで機能通貨に換算されている。取引の決済から発生する差額、ま
たは外国通貨建の貨幣性資産および負債の換算から発生する差額は、損益計算書の「為替換算損益」に認識さ
れ、純投資ヘッジとして適格な差額は、その他の包括利益において認識される。損益を通じて公正価値で計上さ
れている非貨幣性項目に係る換算差額は公正価値損益の一部として認識される。その他の包括利益を通じて公正
価値で測定する非貨幣性資産に係る換算差額は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品
の再評価準備金に含まれる。
2.13 利息
受取利息および支払利息は、実効金利法を使用して損益計算書に認識される。実効金利法とは、金融資産また
は金融負債の償却原価の計算、ならびに関連する期間への受取利息または支払利息の配分に使用される方法であ
る。この計算には、実効金利、取引費用およびその他のすべてのプレミアムまたはディスカウントの不可欠の部
分である、契約当事者間で支払われた、または受け取ったすべての手数料を含める。受取利息は、金融資産(信
用減損した金融資産を除く)の総帳簿価額に実効金利を乗じて計算される。これら金融資産について、ラボバン
クは事後の報告期間において、金融資産の償却原価に実効金利を乗じている。実効金利法を使用する金融資産の
受取利息には、「現金および現金同等物」「金融機関に対する貸出金および預け金」「顧客に対する貸出金およ
び預け金」「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産」および「公正価値ヘッジ会計に利用され
るデリバティブ」の受取利息が含まれる。経済的なヘッジ目的で保有されるデリバティブの利息は、 デリバティ
ブの受取レグおよび支払レグのいずれも支払利息勘定に表示される。
196/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2.14 手数料
ラボバンクは、顧客に提供する多種多様なサービスから受取手数料を稼得している。決済サービスおよびアド
バイザリー手数料など、サービス提供の対価として稼得する手数料は一般的にサービスを提供した時点で認識さ
れる。第三者のために取引(例えば、ローン・ポートフォリオ、株式もしくはその他証券の取得、または会社の
売却や購入など)の交渉を行ったことまたは交渉に関与したことの対価として受領した手数料は、原取引が完了
した時点で認識される。支払手数料は主に決済サービスに関連するものであり、サービスを受けた期間に亘り認
識される。
2.15 顧客に対する貸出金および預け金ならびに金融機関に対する貸出金および預け金
契約上のキャッシュ・フローの回収のために保有されている金融資産は、そのキャッシュ・フローが元本と 残
存元本額に係る 利息の支払のみである場合に償却原価で測定され、「金融機関に対する貸出金および預け金」ま
たは「顧客に対する貸出金および預け金」として表示される。ラボバンクは当初認識時に、金融資産の取得に直
接起因する取引費用を加算した公正価値でこれらの金融資産を測定する。
これらの金融資産からの受取利息は実効金利法を使用して純受取利息に計上される。認識の中止から生じた利
益または損失は、損益に直接認識され、「償却原価で測定する金融資産の認識中止から生じた利益/(損失)」
に表示される。 減損損失は損益計算書の「金融資産に係る減損費用」として認識される。
2.16 金融資産の減損引当金
減損引当金は、償却原価で測定する金融資産およびその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の
ほか、リース債権、契約資産、売掛金、一部のローン・コミットメントおよび金融保証に適用される。当初認識
時において、今後12ヶ月以内に発生する可能性のある債務不履行による予想信用損失額に相当する引当金を計上
する(ステージ1)。 当初認識以降、信用リスクが著しく増大した場合(まだ信用減損( credit impaired )に
至っていなくても)、その金融資産の予想存続期間中に発生する可能性のある債務不履行から発生する予想信用
損失と同額の引当金の計上を要求される(ステージ2)。その金融商品が信用減損した場合も、引当金は全期間
の ECL のままである(ステージ3)。そうした金融商品から生じる受取利息は、正味帳簿価額(減損引当金控除
後)に実効金利を適用することによって認識する。金融商品が信用減損するのは、見積将来キャッシュ・フロー
に不利な影響を与える1つまたは複数の事象が発生した場合である。ラボバンクは、いずれの金融商品に対して
も、信用リスクが低い場合の除外規定を利用していない。
197/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
IFRS 第9号の減損に関する要求 事項 の基本的な要素は、a)12ヶ月の予想信用損失と全期間の予想信用損失の
測定方法、およびb)12ヶ月のECL、全期間のECL-非信用減損または全期間のECL-信用減損のいずれを適用すべ
きかの決定に使用される基準(「ステージ判定基準」とも呼ばれる)の2つである。
a )予想信用損失の決定方法
ECL を決定するために、ラボバンクは、対象となるポートフォリオの大部分についてポイント・イン・タイム
の「デフォルト確率(PD)x デフォルト時損失(LGD)x デフォルト時エクスポージャー(EAD)」のモデルを使
用する。予想信用損失を決定するために、3つのマクロ経済的シナリオが当該モデルに組み込まれ、確率加重さ
れている。予期しない外部の展開またはデータ品質の問題に対してECLモデルの結果が十分に対処できない場
合、修正がなされる。
b )ステージ判定基準
対象となる金融商品を、ステージ1、ステージ2およびステージ3のいずれかのカテゴリーに割り当てるため
に、ラボバンクは定性的要因および定量的要因から成る枠組みを有している。金融商品をステージ3に割り当て
る基準は、例えば、90日延滞の状況や、当行が担保を換金しない限り、債務者が信用債務を返済できなくなる可
能性が高い場合など、債務不履行のステータスを割り当てる基準と完全に一致している。金融商品をステージ1
およびステージ2に割り当てるには、ラボバンクは、延滞の状況や特別資産管理の状況および当初認識以降のPD
の悪化 などの基準を使用する。
個別のPDがない ポートフォリオ 、またはPDの更新頻度が低いためにPDの変化に対する評価が不可能である場合
には、共通の信用リスク特性を備える金融商品群に対して一括評価が行われる。
信用リスクの著しい増大(以下「SICR」という)
ラボバンクは各報告日において、金融商品の信用リスクが当初認識以降に著しく増大しているかどうかを評価
する。金融資産の信用リスクが当初認識以降に著しく増大しているという反証可能な推定があるのは、契約上の
支払の期日経過が30日超である場合および/または 当該金融資産が要注意リストに追加された場合 である。反証
可能な推定は、全期間のECLを認識すべきであるという絶対的な指標ではないが、全期間のECLを認識すべき最も
遅い時点であると推定される。
198/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
全期間のECLを認識するかどうかの評価の基礎とするのは、当初認識以降の債務不履行発生の可能性または債
務不履行リスクの著しい増大(金融商品の価格が信用リスクの増大を反映するために改定されているかどうかは
問わない)であり、金融商品が報告日時点で信用減損していることまたは実際の債務不履行の発生の証拠ではな
い。一般に、金融商品が信用減損となるかまたは実際の債務不履行の発生の前にSICRの状態となる。ローン・コ
ミットメントについては、ラボバンクはローン・コミットメントが関連している貸出金について債務不履行が発
生するリスクの変動を考慮する。金融保証契約については、ラボバンクは所定の債務者が当該契約について債務
不履行となるリスクの変動を考慮する。
信用リスク分析における変動の評価は、多元的で全体論的な分析である。ある特定の要因が関連性があるかど
うか(および他の要因と比較してのウェイト)は、商品の種類、金融商品および借手の特性ならびに地域に左右
される。金融商品について当初認識以降に信用リスクが著しく増大したかどうかの判断に使用する方法は、当該
金融商品(または金融商品グループ)の前述の特性および同様の金融商品についての過去の債務不履行のパター
ンを考慮することである。
債務不履行の定義
債務不履行発生のリスクを判定する目的で債務不履行を定義する際に、ラボバンクは、関連する金融商品に関
する内部の信用リスク管理の目的で使用される定義と整合的な債務不履行の定義を適用して、適切な場合には、
定性的な指標を考慮している。しかし、債務不履行は金融資産 に係る契約上の支払が 90 日の期日経過となる時点
以後に発生することはないという反証可能な推定がある。こうした目的で使用される債務不履行の定義は、すべ
ての金融商品に一貫して適用されている。
一括評価および個別評価
要因または指標の中には、個々の金融商品のレベルでは識別可能でないものもある。そのような場合には、当
該要因または指標は、全期間のECLの認識に関する要件が満たされているのかどうかを判定するために、金融商
品の適切なポートフォリオ、ポートフォリオのグループまたはポートフォリオの一部について評価する。信用リ
スクの変動があるのかどうかを集合的に評価するための金融商品の集約は、金融商品のグループまたは個々の金
融商品についての新たな情報が利用可能となるにつれて、時とともに変化する場合がある。
金融商品の性質や特定の金融商品グループについて利用可能な信用リスク情報の性質により、ラボバンクは
個々の金融商品に係るSICRとなっている状況を当該金融商品が期日経過となる前に識別できない場合がある。こ
れに当てはまる可能性があるのが、リテール貸付などの金融商品で、顧客が契約条件に違反するまで、個々の金
融商品について定期的に入手されモニターされている更新された信用リスク情報がほとんどまたは全くないもの
である。個々の金融商品に係る信用リスクの変動を、期日経過となる前に把握できない場合には、個々の金融商
品レベルでの信用情報だけに基づく損失評価引当金は、当初認識以降の信用リスクの変動を正しく表示しない。
199/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクは、全期間のECLを個々の金融商品のベースで測定するための、過大なコストや労力を掛けずに利
用可能な合理的で裏付け可能な情報を有していない場合がある。その場合には、期日経過の情報だけでなく、す
べての関連性のある信用情報(将来予測的なマクロ経済情報を含む)を織り込んだ包括的な信用リスク情報を考
慮して全期間のECLが集合的に認識される。これは、当初認識以降に個々の金融商品のレベルでSICRとなった場
合に全期間のECLを認識した結果と近似するようにするためである。
SICR であると判定し集合的ベースでの損失評価引当金を認識するために、ラボバンクは、SICRを適時に識別す
るための分析を容易にする目的で、金融商品を共通の信用リスク特性に基づいてグルーピングする。しかし、当
初認識以降に信用リスクが著しく増大したと考えられる金融商品を、ラボバンクが共通の信用リスク特性に基づ
いてグルーピングできない場合には、ラボバンクは、信用リスクが著しく増大していると見なされる金融商品の
一部分について全期間のECLを認識する。
共通の信用リスク特性には、金融商品の種類、信用格付け、担保の種類、当初認識の日、満期までの残存期
間、業種、所在地、PDに影響がある場合には、金融商品との比較での担保の価値(例えば、一部法域におけるノ
ンリコース・ローンまたはLTV比率)が含まれるが、これらに限らない。
2.17 条件変更
金融資産の契約条件は、商業上の理由またはフォーベアランス措置のために変更されることがある。商業的な
条件変更は、(金融資産の)従前の契約条件を修正し、当該金融資産の契約上のキャッシュ・フローの時期また
は金額を変更するものである。ラボバンクは 基本的に 、 例えば、固定金利期間、返済の種類または債務者の変更
といった、契約の複数要素に同時に影響するものでない限り、大幅な条件変更とは見なさない。 ラボバンクでは
通常、 フォーベアランス措置は大幅な条件変更ではないとしている 。
大幅な条件 変更 は当該金融資産の認識中止となり、大幅ではない条件変更は区分変更となる。条件変更の場
合、ラボバンクは当該金融資産の修正後のキャッシュ・フローに基づいて総帳簿価額を再計算し、条件変更に伴
う利益/損失を損益に認識する。新しい総帳簿価額は、当初の実効金利で修正後のキャッシュ・フローを割り引
いて再計算される。
200/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2.18 のれんおよびその他無形資産
のれん
のれんは、子会社の対価として支払った取得価格が、当該事業体の純資産および偶発債務に対する持分の取得
日における公正価値を上回る金額である。個々の取得に伴い、それ以外の非支配持分が、公正価値または被取得
事業体の識別可能な資産および負債に対するその割合に応じて認識される。テストを年1回、または兆候から必
要と判断された場合にはさらに頻繁に行い、減損が発生しているかどうかを判定する。
ソフトウェア開発費を含むその他無形資産
認識可能な単一ソフトウェア製品で、ラボバンクが支配を有し、 かつ 1年超の期間に亘って費用を上回る経済
的収益を生むと予想されるものに関して直接発生した費用は、その他無形資産として認識される。直接的費用に
は、ソフトウェア開発チームの人件費、資金調達費用および適切な割合の間接費が含まれる。
当初の仕様と比較した場合のソフトウェアのパフォーマンス改善のための支出は、当初のソフトウェア費用に
加算される。ソフトウェア開発費はその他無形資産として認識され、最長5年間の定額法で償却される。ソフト
ウェアのメンテナンスに関連する費用は、その発生時に費用として認識される。
その他無形資産には、企業結合を通じて識別される資産も含まれ、それらが利用可能であると予想される耐用
年数に亘って償却される。
のれんに係る減損損失
のれんは、減損テストの目的で資金生成単位に配分される。減損テストは、おおむね独立したキャッシュ流入
を生み出す資産の最低水準で実施される。各年度の第4四半期中に、または減損の兆候がある場合にはより頻繁
にのれんの減損テストが行われ、回収可能額を上回る帳簿価額の超過額が引当計上される。回収可能額とは、使
用価値と売却コストを差引いた公正価値のいずれか高い金額をいう。
キャッシュ・フロー生成単位の使用価値は、当該キャッシュ・フロー生成単位の将来キャッシュ・フロー見込
額(税引前)の現在価値として算定される。キャッシュ・フロー・モデルにおいて用いられる重要な仮定は、イ
ンプット・データに基づいて決定され、リスクフリー・レートや当該事業体固有のリスクを反映したプレミアム
など、判断を要する様々な財務的および経済的変数を反映している。のれんに係る減損は、該当がある場合、損
益計算書の「のれんに係る減損損失」に含められる。
201/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
その他無形資産に係る減損損失
各報告日に、その他無形資産について減損の兆候があるかどうか評価が行われる。かかる兆候が存在する場合
は、その他無形資産の帳簿価額が全額回収可能かどうかを判断するため、減損テストが実施される。回収可能額
は個別資産について見積もられる。個別資産の回収可能額を見積もることが不可能な場合は、当該資産が属する
資金生成単位の回収可能額が算定される。帳簿価額が回収可能額を上回る場合、減損損失が認識される。減損損
失および減損の戻し入れは、損益計算書の「その他一般管理費」に含められる。
減損の兆候の有無にかかわらず、利用可能な状態に至っていない無形資産については、帳簿価額と回収可能額
とを比較する減損テストを年1回実施する。
2.19 有形固定資産
自己使用の有形固定資産
自己使用の不動産は主に事務所用建物で構成され、自己使用の設備と同様、減価償却累計額および減損累計額
控除後の取得原価で認識される。資産は、以下の見積耐用年数に亘り残存価額に至るまで定額法により減価償却
される。
不動産
- 土地 減価償却対象外
- 建物 25年~40年
設備
- コンピュータ機器 1年~5年
- その他設備および車両 3年~8年
有形固定資産に減損の兆候があるかどうかについて毎年評価が行われる。資産の帳簿価額がその見積回収可能
額を上回る場合は、帳簿価額が回収可能額まで引き下げられる。減損損失および減損の戻し入れは、損益計算書
の「その他一般管理費」に含められる。有形固定資産の売却に伴う損益はそれらの帳簿価額に基づいて決定さ
れ、営業損益に認識される。
修繕およびメンテナンスの作業は、費用発生時に損益計算書に認識される。土地および建物の耐用年数を引き
延ばすため、またはその経済的価値を当初の経済的価値と比較して増大させるために必要とされる支出は資産化
され、その後、減価償却される。
202/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2.20 投資不動産
投資不動産は主として事務所用建物および住宅であり、ラボバンクまたはその子会社による使用のためではな
く、長期的な賃料収入を目的として保有される。投資不動産は長期投資として認識され、減価償却累計額および
減損累計額控除後の取得原価で財政状態計算書に計上される。投資不動産は、見積耐用年数である40年に亘り、
残存価額に至るまで定額法により減価償却される。
2.21 その他資産
在庫仕組商品
ラボバンクは、コモディティ・ファイナンスに関連するいくつかの商品を提供している。これらの商品の一部
はコモディティを担保とする貸出金として、別の一部は組込デリバティブを伴う貸出金として、さらに別の一部
はコモディティとして認識されている。この分類は、主にコモディティのリスクおよびリターンが顧客からラボ
バンクに移転するかどうかに基づいている。
建設用地
建設用地は、配分利息ならびに用地の購入および建設のための造成に係る追加的費用を含む取得原価、または
正味実現可能価額のいずれか低い価額で計上される。特定の目的で区分されていない土地については、その土地
の上に建設することが確実でない限り、利息を財政状態計算書に認識しない。関連する土地の指定用途が将来変
更された結果として発生する可能性のある下落は、土地の原価ではなく、正味実現可能価額の算定に含まれる。
すべての建設用地の正味実現可能価額は、少なくとも年1回、または減損の兆候がある場合はそれより早期に
見直される。建設用地の正味実現可能価額は、直接実現可能価額または間接実現可能価額のいずれか高い方であ
る。直接実現可能価額とは、売却時の見積価額からその売却実現に要する見積費用を差し引いた額をいう。間接
実現可能価額とは、通常の事業の範囲内における見積売却価額から見積完工費用およびその売却実現のために必
然的に発生する見積費用を差し引いた額をいう。間接実現可能価額の計算は、可能な限り多くの用地固有の側面
および企業固有のパラメータや条件を組み入れたシナリオの分析に基づいて行われる。帳簿価額が実現可能価額
を上回った場合、評価減が認識される。
建設用地上の不動産は、ラボバンクが1件以上のオペレーティング・リース契約のもと賃貸目的で保有してい
る場合は、投資不動産として分類 されている 。
203/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
仕掛品
仕掛品は、売却済みおよび未販売の商業用不動産プロジェクトのほか、建設中または計画中の、売却済みまた
は未販売の住宅プロジェクトに関係している。仕掛品は、発生した取得原価に配分利息を加算した額または正味
実現可能価額のいずれか低い方で計上される。関連する履行義務が充足された時点で不動産の建設プロジェクト
からの収益が認識される。プロジェクトに関する予想損失は直ちに仕掛品から控除される。顧客が割賦を支払う
前にラボバンクがプロジェクト(の一部)を顧客に引き渡す場合、ラボバンクは契約資産として表示する。ラボ
バンクがプロジェクト(の一部)を顧客に引き渡す前に顧客が割賦を支払う場合、または、ラボバンクが割賦に
対して無条件の権利を有する場合、ラボバンクは契約負債として表示する。
未販売の仕掛品の帳簿価額は、価額の下落の兆候を調べるために年1回レビューされる。かかる兆候がある場
合、仕掛品の間接実現可能価額が見積られる。ほとんどの場合、この見積りは内部的または外部的査定によって
行われる。間接実現可能価額とは、通常の事業の範囲内における見積売却価額から見積完工費用およびその売却
実現のために必然的に発生する見積費用を差引いた額をいう。帳簿価額が予想間接実現可能価額を上回る場合、
ラボバンクがその差額を負担しなければならない範囲内で、下落に係る価値調整額が認識される。
完成不動産
自社開発の未販売の居住用および商業用不動産は、取得原価または正味実現可能価額のいずれか低い額で計上
される。完成不動産の正味実現可能価額は、少なくとも年1回、または価額の下落の兆候がある場合はそれより
早期にレビューされる。完成不動産の場合、正味実現可能価額は通常、直接実現可能価額に等しい。直接実現可
能価額はほとんどの場合、内部的または外部的査定によって決定される。帳簿価額が予想直接実現可能価額を上
回る場合、ラボバンクの帳簿上にその差額を表示する限りにおいて、下落に係る価値調整額が認識される。
2.22 リース
ラボバンクが借手の場合
ラボバンクが借手の場合、リース対象の原資産を使用する権利に当たる使用権資産と、リース料を支払う義務
に当たる対応する負債を、リース資産 が 使用 可能と なった日に認識する。リース料はそれぞれ、リース負債と支
払利息に配分する。支払利息は、各期間における負債の残存額に係る期間利子率が一定になるように、リース期
間に亘り損益に計上する。使用権資産は、定額法によりリース期間に亘り減価償却する。リース負債はリース料
の現在価値にて測定する。リース料は、リース期間中に原資産を使用する権利の対価として支払われる次の料金
のうち、リース開始日に支払われないものから成る 。
204/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
・ 固定リース料 から受け取ったリース・インセンティブ (該当 が ある場合) を控除した額
・ 変動リース料 の うち、 指数または レート に応じて決まる 金額 。 当初測定 に は開始日 現在の 指数または レー
ト を 用いる
・ 残価保証 に 基づいて 借手が 支払うと見込まれる 予想金額
・ 購入オプションを 借手が 行使することが合理的に確実である 場合の 、 当該 オプション の 行使価格
・ リースの解約に対するペナルティの支払額( リース期間 が 借手によるリース 解約オプションの行使を 反映
して いる 場合)
当該リース料の現在価値は、リースの計算利子率を用いて算定される 。 当該利子率 を 算定 できない 場合に は、
借手が、同様の経済環境において、同様の条件にて、同様の価値の資産を取得するのに必要な資金を借り入れる
ために支払わなければならないであろう 利子率 に相当する、借手の追加借入 利子率 を 使用する。ラボバンクは追
加借入 利子率 を 、内部資金調達コスト(資金移転価格( 以下「 FTP 」 という )レート)に資産固有のプレミアム
を加算 した 利子率である と定めている。基礎としてFTPレートを用いることで、割引率を各期間区分について算
出する。割引率は次の要素で構成される:
・ 基準金利:無リスク金利
・ 信用スプレッド:グループ会社の信用リスクに基づく
・ 国別リスク:グループ会社の 所在地 に基づく
・ 為替リスク:グループ会社の機能通貨に基づく
使用権資産は、リース負債と同じ額に、リース開始日以前に支払ったリース料から、受け取ったリース・イン
センティブと当初直接コストおよび原状回復費用を控除 した 額 を 調整 して測定する。短期リースと少額資産の
リースに関するリース料は、損益計算書に費用として定額法で認識する。短期リースとは、リース期間が12ヶ月
以下のリースをいう。ラボバンクは連結財政状態計算書 において 、 使用権資産を「有形固定資産」に、リース負
債を「その他負債」に含めて表示している。
ラボバンクが貸手の場合
ファイナンス・リース
ファイナンス・リースは、リースに対する純投資に等しい金額で「金融機関に対する貸出金および預け金」ま
たは「顧客に対する貸出金および預け金」の受取債権として認識される。リースに対する純投資は、名目最低支
払リース料および無保証残存価額の現在価値である。リースにおける総投資と純投資の差額は、未稼得金融収益
として認識される。リース収益は、正味投資法によりリース期間に亘る受取利息として認識される。これにより
投資に関する一定の収益率が得られる。
205/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
オペレーティング・リース
オペレーティング・リースでリース提供した資産は財政状態計算書の「有形固定資産」に計上されている。当
該資産は、同様の有形固定資産に適用される予想耐用年数に亘り減価償却される。賃貸料収益(減額および借手
に対する割引の控除後)はリース期間に亘り定額法で「その他の営業活動による純利益」に計上される。
2.23 引当金
過去の事象の結果として債務(法的および推定的)が発生し、当該債務を清算するために資源の流出を要求さ
れる可能性があり、その債務額の合理的な見積りが可能な場合に、当該債務について引当金が計上される。ラボ
バンクが例えば保険契約などにより補填金を受け取る事がほぼ確実な場合に限り、補填金は別途資産として認識
される。引当金は将来キャッシュ・フロー見込額の割引現在価値で計上されている。引当金の追加および戻入れ
は損益計算書の「その他一般管理費」に計上される。
事業再構築
事業再構築引当金は、人員整理計画に伴う支払、および事業再構築計画に直接帰属可能なその他の費用で構成
される。これらの費用は、法律上または実際の支払債務が発生し、人員整理手当に係る具体的な計画が作成さ
れ、関係当事者間で当該事業再構築が実施されることが現実に見込まれる期間に認識される。
法務上の問題
法務上の問題に対する引当金は、法務に関する助言を考慮に入れた上で、報告期間終了時点における入手可能
な最善の見積りに基づいている。紛争の結果および関係する時期は予測不能なため、これらの引当金の現金支出
時期は不確定である。
その他引当金
その他引当金には、有償契約、潜在的な和解および信用関連の偶発債務にかかわる引当金が含まれる。
206/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2.24 従業員給付金
ラボバンクは、事業を展開している各国の現地事情および現地の慣行に基づき、多様な年金制度を実施してい
る。これらの制度は一般的に、保険会社または受託者が管理する基金への拠出金を資金源としており、その金額
は定期的な年金数理計算に基づいて決定されている。確定給付年金制度は合意された年金給付金額を支払う義務
を盛込んだ制度で、これは通常年齢や勤続年数、報酬金額などいくつかの要因を基礎にしている。確定拠出制度
は、独立した事業体(年金基金)に確定拠出金が支払われる制度で、たとえ基金の保有する資産が、制度の会員
である従業員に対する債務を履行するのに不十分であるとしても、雇用主が法的または推定的債務を負うことは
ない。
年金債務
確定給付年金制度の下における債務は、資金投資の公正価値を差引いた、報告期間終了時点における確定給付
年金債務の現在価値である。確定給付債務は、毎年独立したアクチュアリーにより予測単位積立方式
(projected unit credit method)に基づいて計算される。確定給付債務の現在価値は、対応する債務と類似し
た期間を持つ高格付社債の利率に基づく資金の将来キャッシュ・アウトフロー見込額として決定される。年金制
度の大部分は、全勤務期間平均方式である。これらの制度の費用(従業員拠出金および利息控除後の当該期間の
純年金費用)は「人件費」に含まれている。純支払利息/純受取利息は、当該確定給付年金制度の資産または負
債に対して報告期間開始時点における割引率を適用することにより算定される。
諸事象および/または年金数理上の仮定の変更により生じる年金数理差損益は、包括利益計算書において認識
される。
確定拠出制度
確定拠出制度の下で、公的にまたは民間により運営されている年金保険制度に対し、強制的、契約上、または
任意のベースで拠出金の支払が行われている。これらの定期的に行われる拠出金は、それを支払うべき年度に費
用として認識され、「人件費」に計上される。
その他の退職後給付債務
ラボバンクの事業ユニットの一部は、その他の退職後給付を提供している。そのような給付の資格を得るため
には、従業員が定年退職まで勤務を継続することと、最低勤続年数を充足することが通常要求される。これらの
給付の予想費用は、確定給付年金制度の場合と同様のシステムに基づき、勤務期間に亘って発生する。この債務
は、毎年独立したアクチュアリーにより計算される。
207/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
変動報酬
無条件に、かつ現金で支払われる変動報酬は、従業員が役務を提供する年度に認識される。条件付現金報酬
は、従業員から役務提供を受ける年度および権利確定期間の残り3年間(すなわち、4年間)に亘り、定額法で
損益計算書の人件費に計上される。この負債は「その他負債」に認識される。資本性金融商品に基づく支払の会
計処理は、注記2.25に開示されている。
2.25 資本性金融商品に基づく変動報酬
一部の特定の役職員については、提供された役務に係る報酬は、ラボバンク証書に類似した、これと同様の特
徴を持つ資本性金融商品に基づく現物支払の形で決済される。提供される役務の費用は、付与日における資本性
金融商品の公正価値に基づいており、毎年、公正価値に合わせて修正再表示される。従業員の雇用期間における
資本性金融商品の付与に関連する費用は、付与された年度および権利確定期間の残り3年間(すなわち、4年
間)に亘り、損益計算書の人件費に計上される。負債は「その他負債」に認識される。
2.26 税金
当期の未収還付税金および未払税金は、その相殺を法的に執行する権利がある場合、および同時処理または決
済が意図される場合に、相殺される。繰延税金資産および繰延税金負債は、その相殺を法的に執行する権利があ
る場合、およびそれらが同一の課税当局に関連し、および同一の課税対象事業体から発生する場合に、相殺され
る。
資産・負債の課税ベースと財務報告目的のその帳簿価額との間の一時差異に係る繰延税金が、負債法を使用し
て計上される。これらの一時差異は、主に有形固定資産(使用権資産を除く)の減価償却、特定の金融資産およ
び金融負債(デリバティブを含む)の再評価、従業員給付、貸出金減損引当金およびその他の減損、税務上の欠
損金ならびに企業結合において取得した純資産の公正価値の調整から発生する。その他の包括利益を通じて公正
価値で測定する金融資産、およびその他の包括利益に直接計上されるキャッシュ・フロー・ヘッジの再評価にお
いても、繰延税金資産および繰延税金負債が認識される。 繰延べられた各々の損益が実現されると同時に繰延税
金は取り崩され損益計算書に認識される。 繰延税金資産は、将来損失を使用できる十分な課税利益が得られる可
能性が高い場合にのみ認識され、報告日において適用または実質的に適用されている実効税率により測定され
る。ラボバンクは、繰延税金をすべて固定資産と見なしている。
法人税等はラボバンクが事業を行う関係法域における税法に従って計算され、利益が実現した期間に費用とし
て認識される。損失の繰越による税効果は、将来においてその損失を使用できる課税利益が予想される場合に、
資産として認識される。
208/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2.27 金融機関預り金、顧客預り金、および発行済負債証券
これらの負債は、公正価値、すなわち発行価額から直接割り当てられる一時的取引費用を控除した金額で当初
認識され、その後取引費用を含めた償却原価で計上される。
欧州中央銀行から調達したTLTRO資金は、公正価値で当初認識され、その後、償却原価で測定される「金融機
関預り金」に計上される。ラボバンクは、純貸出額のベンチマーク達成を条件として受領する利息の見積額を考
慮に入れている。ラボバンクが支払または収入の見積りを修正した場合、実際および修正後の見積キャッシュ・
フローが反映されるようにTLTRO資金の帳簿価額が調整される。その時点で、当該帳簿価額が、当初実効金利に
よる見積将来キャッシュ・フローの現在価値に基づいて再計算され、価値調整額が損益計算書に認識される。
自身で発行した負債性金融商品が買戻された場合、認識が中止され、その帳簿価額と支払われた代金との差額
が損益計算書に認識される。
2.28 ラボバンク証書
ラボバンク証書の発行の受取金は、ラボバンクが無期限に利用可能であり、すべての負債および資本証券に劣
後する。分配の支払は完全に任意であるため、受取金およびそれに基づいて支払われる配当は資本の部に認識さ
れる。
2.29 資本証券
元本の支払(返済)または配当支払の正式な義務がないことから、資本証券は「資本」として認識され、これ
らの金融商品に関して支払われる配当は直接資本の部に認識される。
2.30 金融保証
金融保証契約では、債務者が関連負債性金融商品の条件に基づいて債務を弁済できない場合、発行者が、発生
した損失について保有者に補償することが要求される。この保証は当初公正価値で認識され、その後は、保証に
基づく債務を割り引いた減損引当金額および累積償却額控除後の当初認識額のいずれか高い方で測定される。
209/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2.31 セグメント情報
事業セグメントとは、収益を稼得し、費用を支出する可能性のある事業活動に従事するラボバンクの構成単位
である。ラボバンクの経営 委員会 は、各セグメントに配分するリソースについて決定し、業績を評価するために
定期的にセグメントの業績をレビューしている。各セグメントについて別個の財務情報が入手可能である。
2.32 企業結合
企業結合は取得法を用いて会計処理されている。取得原価は、当該企業結合の取得について合意された金額
(または同等額)として決定される。のれんは、取得原価と取得された識別可能な資産、負債ならびに偶発資産
および負債の公正価値に対する取得企業の持分との差額を表す。のれんは資産計上され、無形資産として認識さ
れる。また非支配持分が、被取得会社の識別可能な純資産の公正価値または当該純資産に対するその持分として
決定される。直接取得費用は取得時に損益計算書に直接計上される。
2.33 売却目的に分類された処分グループおよび非継続事業
売却目的に分類された資産は、公正価値から見積売却費用を差引いた額が帳簿価額を下回る場合、当該額まで
減額されている。資産(または資産グループ)が売却目的に分類されるのは、その経済的価値が継続的な使用で
はなく主として売却を通じて実現される可能性が極めて高く、当該資産(または資産グループ)が現状のまま完
全に売却可能であり、経営陣が当該資産の売却計画を確約しており、かつその売却が売却目的に分類されてから
1年以内に完了することが見込まれる場合である。売却目的に分類された資産グループが、主要な事業活動また
は主要な地理的地域に相当する場合には、非継続事業に分類され、継続事業から生じる包括利益とは別に認識さ
れている。
2.34 キャッシュ・フロー計算書
現金および現金同等物には、現金資源、マネー・マーケット預け金および中央銀行への預け金が含まれる。
キャッシュ・フロー計算書は間接法を使用して作成され、当該年度に利用可能となった現金および現金同等物の
発生源ならびに、当該年度における現金および現金同等物の使途に関する詳細が記載されている。営業活動によ
るキャッシュ・フロー純額(税引前)は、損益計算書における非現金項目および財政状態計算書項目の現金以外
の変動に関して調整されている。
210/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
連結キャッシュ・フロー計算書においては、営業活動、投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローが
それぞれ分けて表示されている。営業活動によるキャッシュ・フローには、貸出金および預け金、銀行間預金、
顧客預り金ならびに金融投資の取得、売却および返済の純変動が含まれている。投資活動には、子会社、関連会
社投資および有形固定資産の取得および売却が含まれている。財務活動には、ラボバンク証書、資本証券、シニ
ア・コンティンジェント・ノート、劣後債務および負債証券の発行および返済が含まれている。
キャッシュ・フロー計算書に表示されている純変動と財政状態計算書に記載されている現金および現金同等物
の変動との間の差額は、為替差額によるものである。
次へ
211/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
3 支払能力および資本管理
ラボバンクは適切な支払能力の水準を維持することを目指している。そのために複数の支払能力比率を使用し
ている。主な比率は普通株等Tier1比率(以下「CET1」という)、Tier1比率、総資本比率および自己資本比
率である。ラボバンクは、監督当局の最低要件を上回る独自の内部目標を使用している。この際、市場の期待お
よび法規制の動向を考慮に入れている。ラボバンクは方針文書に準拠して支払能力を管理している。支払能力お
よびその目標は、経営委員会のリスク管理委員会および資産負債管理委員会、ならびに監督委員会によって定期
的にレビューされている。
「資本要件規制(以下「CRR」という)」および「資本要件指令IV(以下「CRD IV」という)」は、資本およ
び流動性に関する2010年のバーゼル合意の欧州における導入を共に定めている。ラボバンクは、2014年1月1日
に発効したこれらのルールを適用している。これと並んで、ラボバンクは、主に中小企業(以下「SME」とい
う)支援要素の延長である、いわゆるCRR「緊急措置(quick fix)」に基づく取り決めを導入した。
ラボバンクは、法律に定められた複数の最低支払能力ポジションを遵守しなければならない。支払能力ポジ
ションは比率に基づいて決定される。それらの比率は、適格資本(以下「総資本比率」という)、Tier1資本
(以下「Tier1比率」という)および中核的自己資本(以下「普通株等Tier1比率」という)をリスク調整後資
産の合計額と比較するものである。最低比率はCRD IV/CRRに基づいて決定され、これには、その他Tier1資本
およびTier2資本を伴い第2の柱の要件を部分的に満たすことになるCRR2第104a条の適用ならびにオランダ中
央銀行(以下「DNB」という)によるシステム上のバッファー要件に係る調整が反映されている。
最低資本バッファー
CET 1 AT 1 Tier 1 Tier 2 資本/自己資本合計
第1の柱 4.5% 1.50% 6.0% 2.0% 8.0%
第2の柱 0.98% 0.33% 1.31% 0.44% 1.75%
資本保全バッファー 2.5% - 2.5% - 2.5%
システミック・バッファー 2.0% - 2.0% - 2.0%
カウンターシクリカル・バッファー 0.01% - 0.01% - 0.01%
総所要比率 10.00% 1.83% 11.83% 2.44% 14.26%
212/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
リスク・ウェイト資産は、信用リスク、オペレーショナルリスクおよび市場リスクの各々について、別個の異
なる方法に基づいて決定される。信用リスクの場合、リスク・ウェイト資産は資産の性質に応じて数種類の方法
により決定されている。ほとんどの資産では、リスク・ウェイトは社内格付けおよび当該資産に固有の複数の特
性を参照して決定される。オフ・バランスシートの項目については、最初に社内の変換係数に基づいて貸借対照
表対応額が計算され、次に、結果として得られる対応額に、リスク・ウェイトが割り当てられる。オペレーショ
ナルリスクについては、先進的計測手法モデルを用いてリスク・ウェイト資産の金額を決定している。 市場リス
クについては、対象エクスポージャーの大半に内部モデル手法を適用しており、 標準的手法を適用して いるエク
スポージャーは極めて少ない。2020年12月31日現在、ラボバンクの所要自己資本は16.5十億ユーロ であった
(2019年度は16.5十億ユーロ)。2020年度において、信用リスク、市場リスク、およびオペレーショナルリスク
に関する規制上の所要自己資本は全体的に安定していた。様々な要因が互いに相殺し合った。「債務不履行」お
よび「内部モデルのターゲット審査(TRIM)」の新たな定義により、所要自己資本が増加する一方、とりわけ、
住宅ローンに最低リスク・ウェイトを適用するDNBの措置の延期、SME支援要素の見直し、およびオペレーショナ
ルリスクに係る所要自己資本の引き下げなどの要因による所要自己資本の減少によってそれが相殺された。ラボ
バンクは、2020年6月30日付でIFRS第9号の経過措置を適用することを申請し、それが認められている。この経
過措置に基づき、正常エクスポージャーの規制上の予想信用損失と比較したIFRS第9号に基づく引当金の超過分
は、Tier2資本ではなくCET1資本に戻し入れることができる。CET1比率に対する影響は2.6ベーシスポイント
に限定された。
213/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
以下に記載の比率にはCRRの経過措置規定が反映されている。
自己 資本比率
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
利益剰余金 29,234 28,910
予想配当 (2) (3)
ラボバンク証書 7,822 7,449
適格資本として扱われる一部の非支配持分 - -
準備金 (1,382) (753)
規制上の調整額 (1,080) (2,007)
経過措置ガイダンス-IFRS第9号の経過措置 55 -
普通株等Tier1資本 34,647 33,596
資本証券 4,441 4,951
適用除外された金融商品 41 313
非支配持分 - -
規制上の調整額 (67) (106)
経過措置ガイダンス - -
その他Tier1資本 4,415 5,158
Tier 1資本 39,062 38,754
適格資本として取扱われる一部の劣後債務 10,816 13,299
非支配持分 - -
規制上の調整額 33 (92)
経過措置ガイダンス-IFRS第9号の経過措置 (60) -
Tier 2資本 10,789 13,207
適格資本 49,851 51,961
リスク・ウェイト資産 205,773 205,797
普通株等Tier1比率 16.8% 16.3%
Tier 1 比率 19.0% 18.8%
総資本比率 24.2% 25.2%
1
自己資本比率 18.0% 17.7%
1 自己資本比率は、利益剰余金とラボバンク証書の両項目をリスク・ウェイト資産と比較することによって計算されてい
る。
控除額は主としてのれん、その他の無形固定資産、将来の利益に基づく繰延税金資産、信用リスクの調整に係
る 内部格付手法(以下「IRB」という)適用による引当不足額 ならびに公正価値測定に指定した金融商品に対す
る当行の信用リスクの変動による累積利益に関連する調整で構成されている。
ラボバンクが2015年より前に発行したその他Tier1金融商品はCRRの要件に適合しない。これらの金融商品は
「適用除外」の措置を受けている。すなわち、これらの金融商品は、規制要件に従い自己資本 比率計算 から段階
的に除外される。
214/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
4 金融商品に係るリスク・エクスポージャー
4.1 リスク管理組織
経営委員会は、組織内の様々なレベルでリスク管理の動向および運用を監督する責任を 負う。これには、 従業
員の技能の継続的強化や、当行の戦略的目的およびあらゆるリスク負担活動を十分支えるに足る万全かつ効果的
なリスク管理機能の確保を目的とする、リスク管理の仕組み、方針、手順、定量モデルおよび報告の必要に応じ
た 改善 も 含まれる 。監督委員会は、リスク特性、リスク方針およびリスク管理活動の執行に関して経営委員会を
監督する責任を 負う 。監督委員会に設置されているリスク委員会は、監督委員会のメンバーで構成され、監督に
関する意思決定の準備において監督委員会を補佐している。
リスク選好度
ラボバンクにおいて、組織のリスクの特定および管理は継続的なプロセスである。そのためにラボバンクは統
合的リスク管理戦略を有している。リスク管理サイクルには、リスク選好度の決定、統合的リスク分析の作成な
らびにリスクの測定および監視が含まれる。このプロセス全体に亘り、ラボバンクは、継続性と、収益性の確保
を目指し、堅実なバランスシート比率の維持および自行のアイデンティティや評判の保護を目的としたリスク戦
略に従っている。
4.2 金融商品の運用に関する戦略
ラボバンクの業務は本来的にデリバティブを含む金融商品の運用と関連している。ラボバンクは、提供する
サービスの一環として、顧客から様々な条件の固定金利および変動金利の預金を受け入れて いる 。ラボバンク
は、それらの資金を 質の高い 資産に投資すること、ならびに商業分野およびリテール分野の借手に貸出を行うこ
とにより受取利息を稼得 している 。ラボバンクはまた、期限の到来する債務に充当するための十分な現金資源を
維持しつつ、リスク限度内で銀行勘定残高の金利ポジションを積極的に管理することによって、それらの業務の
マージンを増加させることを目指している。ラボバンクは、オン・バランスシートのローン に加え 、信用状、履
行保証書およびその他の保証文書などオフ・バランスシートの保証の提供による信用リスクに晒されている。
4.3 信用リスク
信用リスクとは、取引相手が契約上の義務を履行できないことにより当行が経済的損失に直面するリスクと定
義される。
215/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
当行における信用リスクの管理は、全社的な中央信用リスク方針によって規定され、詳細については個別の信
用リスクごとの基準および手続書により規定されている。信用リスクの管理と監視に対する主な責任は第1の防
衛線である事業部門が負う。事業部門は、信用リスク・ポートフォリオの潜在的な脆弱性を識別、評価、管理、
監視および報告することが求められる。信用リスク・エクスポージャーが事業ラインのリスク選好度に合致する
水準に限定されるよう、継続的に監視が行われる。
加えて、信用ポートフォリオのリスクは全行レベルおよび事業体レベルで毎月および四半期ごとに測定および
監視されるとともに、不定期にてリスク動向および集中度に特に注意を払ったポートフォリオの報告および分析
が実施される。
4.3.1 信用リスク管理
信用引受
ラボバンクの信用引受方針は、顧客および、供与された貸出金に対する顧客の(継続的な)返済能力に関する
慎重な評価をその特徴とする。したがって、経済環境が良好な状況下であっても、貸出金ポートフォリオの許容
可能なリスク特性を有する。ラボバンクは、顧客と当行の双方に有益な長期的関係を顧客との間に築くことを目
標としている。法人向け貸出金についての引受方針は、まず「顧客の本人確認(以下「KYC」という)」手続を
行うことから始まる。すなわち当行は、経営が倫理的かつ適格であるとラボバンクが判断した法人に対してのみ
貸出金を供与する。またラボバンクは、顧客が営業活動 を 行っている業界の動向を緊密に監視しており、当該業
界における顧客の財務業績を適切に評価することが できる 。企業の持続可能性とは、持続的に資金調達が可能で
あることも意味する。信用プロセスで利用するための持続可能性の指針が設定されている。
一般には、キャッシュ・フロー生成の可能性がある顧客またはプロジェクトに信用が供与されるが、顧客が債
務不履行に陥った場合には、担保が当行のポジションを改善する。担保は、顧客の事業内容とは無関係の資産お
よび/または顧客の事業資産の場合がある。ラボバンクの担保評価および担保管理に関する方針については「信
用リスク低減に関するグローバル基準」に記載されている。評価方法は担保の種類によって異なる。資産担保の
場合、評価の情報源となりうるのは、顧客の貸借対照表(例えば、設備、機器および商品在庫)、額面価額(例
えば、現金および現金同等物)、市場価額(例えば、証券およびコモディティ)、独立評価(商業用不動産)お
よび市場指標(居住用不動産)である。(適格)担保はすべて市場価額以下で評価され、担保価額は定期的に監
視される。適切に信用リスクを担保するために、担保は十分な流動性が必要であり、その価値が長期的に十分安
定していなければならない。ラボバンクの方針の枠組みにおいては、担保は種類別に管理される。
216/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクが認識する担保の主な種類には、 居住用 不動産、 商業用 不動産、 棚卸資産(設備、機器、商品在庫
等)、コモディティ、受取債権および保証がある。国内の住宅ローン・ポートフォリオが相当な規模に上るた
め、信用リスクの低減において 居住用 不動産 には集中リスクが考慮されている。担保の質は当初与信設定前に評
価され、与信変更プロセスで 監視 される (担保の再評価および監視に関するラボバンクの方針については下表参
照)。 再評価の頻度は、顧客の信用度 (正常または不良) および担保の種類によって異なり、CRRで定められた
規程に沿って行われる。 保証人の主な種類は政府、地方政府、(中央)銀行および法人である。金融機関、保険
事業者および輸出信用機関については、一定以上の信用格付が要求される。
不動産エクスポージャー/不動産担保 再評価の最低頻度 監視の最低頻度
不良エクスポージャー 年1回 6ヶ月に1回、エクスポージャーが
1百万ユーロ未満の場合は年1回
正常エクスポージャー
a) 3百万ユーロ超のエクスポージャー/全種類 3年に1回 年1回
の担保
b) エクスポージャーが3百万ユーロ以下の全商 事業単位が決定 年1回
業用不動産
c) エクスポージャーが3百万ユーロ以下の居住 事業単位が決定 3年に1回
用不動産
信用委員会および与信承認
経営委員会は、リスク管理委員会の定めた枠内において、取引委員会およびラボバンクの事業体レベル、部門
レベルまたは中央レベルの与信決定承認責任者に意思決定権を付与している。体系的な判断および均衡の取れた
決定を下すため、信用委員会は与信案に係る重要なリスクをすべてレビューする。ラボバンクには、様々なレベ
ルの信用委員会がある。信用委員会の権限レベルを超えた申請は、提案書を付して「より上位の」信用委員会に
提出し意思決定を仰ぐ。
・ ラボバンク・グループ中央信用委員会 (Central Credit Committee Rabobank Group:CCCRG)-CCCRGは、
下記以外の与信申請のうち「全社的な与信承認ルート」の対象であるものに対して与信判断を行う。
・ 地方ラボバンク与信承認部門 (Credit Approvals Local Banks:CA LB)の権限-この部門は、未分類の
(LQC適格またはOLEM)債務者に対する申請のうち、オランダの地方ラボバンクの権限枠を超えるものに
ついての判断を担当する。
・ ホールセール・アンド・ルーラルの与信承認部門 (Credit Approvals Wholesale & Rural:CA W&R)の権
限-この部門は、未分類の(LQC適格またはOLEM)債務者に対する申請のうち、DLLまたはホールセー
ル・アンド・ルーラル(以下「W&R」という)の拠点や地域の権限枠を超えるものについての判断を担当
する。
217/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
・ 財務再建・再生に関する信用委員会 (Credit Committee Financial Restructuring & Recovery:CC-
FR&R)の権限-この信用委員会は、分類された(LQC標準、損失懸念または損失)債務者に対する申請の
うち、地方の信用委員会およびFR&R部門の権限を超えるものについて与信判断を行う。
・ 国および金融機関委員会 (Country & Financial Institutions Committee:CFIC)-CFICは、クレジット・
フィナンシャル・インスティテューションズまたはカントリー・リスク・リサーチの権限を超える与信申請
に対して与信判断を行う。当該部門は、金融機関および政府や国に対するエクスポージャーについてリスク
管理を担当する。
・ 貸倒 引当金委員会 (Loan Loss Provision Committee:LLPC) -貸倒引当金委員会は、ラボバンクの予想信
用損失 (ELC) 引当金の水準を決定する責任を 負う 。この責任は経営委員会によって委譲されたものである。
貸倒引当金委員会は、貸出残高 (法人および個人/住宅ローン) における 、 モデルに基づき評価されるエク
スポージャー(ステージ1、ステージ2 および ステージ3a)と個別に評価するエクスポージャー(ステージ
3b)の両方に関する引当金計上水準の設定ならびに トップ・ レベル調整( 技術的調整 および ビジネス上の調
整 )の承認を行う。個別に評価するステージ3bのエクスポージャーならびに トップ・ レベル調整について
は、個別の評価と専門家の判断に基づく見積りを用いる。また、当該委員会は 委員会 の決定において内外の
関連情報を 考慮に入れている。この情報には、バックストップ の 成果 に加え 、予算の見通しやシナリオ分
析、ストレス・テストの結果など将来予測的要素も含まれる。当該委員会はそれらの検討結果と、引当金見
積額との 乖離幅の妥当性について 承認 する、および/または 経営委員会への戦略的な提言を行う。
業務指示書(ToR)は、これらの承認機関の義務、責任および範囲、階層関係、構成員、権限レベルならびに
形式を規定している。信用委員会は、現地の規制で多数決が義務付けられていない限り、総意に基づいて判断す
る。総意の形成とは、決議に対して概ね合意が形成されるか、または構成員の誰も基本的に反対していない場合
をいう。総意の形成に至らない場合は、申請は却下されたと見なされる。多数決の場合には、リスク分野の代表
者に拒否権が設定されていなければならない。 拒否権が行使された 場合 は、経営委員会が決定する。
効率化の観点から、信用委員会はその権限の一部を委譲できる。1人の人間が、自身の意見のみに基づいて与
信判断を下すことはできない。 原則2人以上で判断されるか、1人の人間が判断を下すことができるの は 、意思
決定がシステム化されており、専用のシステムで与信可能と判断された場合、またはあらかじめ定められた基準
を充足する(与信が意思決定ツールに準拠している)場合である。 評価および承認の 全面 IT 化は、厳密な条件下
で認められている。
218/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
信用委員会は、ラボバンクの信用リスク分析基準の一貫性の確保、全社的な信用方針の遵守、および格付けモ
デルの一貫した使用を徹底するうえで重要な役割を果たしている。与信方針には、与信枠または取引ごとの限度
額など、各委員会の権限の範囲および付託事項が定められている。特定の取引相手の種類や業種を限定または禁
止する方針も策定されている。規則によりすべての取引相手の与信上限および内部格付けは少なくとも年に1回
(法人顧客)はレビューされている。融資格付が低いカテゴリーに割り当てられた取引相手については、より頻
繁にレビューが行われる。信用委員会も、レビューの頻度を上げるよう要請できる。
4.3.2 貸出
ラボバンクは、居住用住宅ローン貸出において重要な市場シェアを有している。 これら の ローンはリスク特性
が低く、2020年度における貸倒引当金への正味繰入額は1 ベーシスポイント である。 2020 年度において、民間セ
クターに対する貸出のうち食品・農業セクター向け貸出比率は26%、商業・工業・サービス業向け貸出比率は
27%であった。商業・工業・サービス業向け貸出金ならびに食品・農業セクター向け貸出金は、多くの国々の幅
広い産業に分散している。それらの個別のセクターの中で、民間セクターに対する全貸出の10%を超えるものは
ない。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
顧客に対する貸出金および預け金総額 436,182 440,607
内訳:
政府系取引先 2,028 2,096
リバース・レポ取引、証券借入契約および
決済勘定 17,355 13,553
ヘッジ会計の調整 7,419 7,044
民間セクター顧客への貸出 409,380 417,914
民間セクター顧客への貸出の地域別内訳 :
オランダ 293,739 72% 292,637 70%
他の欧州諸国 34,027 8% 33,556 8%
北米 37,387 9% 41,681 10%
中南米 11,852 3% 15,362 4%
アジア 7,456 2% 9,449 2%
オセアニア 24,483 6% 24,663 6%
アフリカ 436 0% 566 0%
民間セクター顧客への貸出合計 409,380 100% 417,914 100%
民間セクター顧客への貸出の事業セクター
別内訳
個人 192,205 47% 191,268 46%
商業・工業・サービス業(以下「TIS」とい
う) 111,748 27% 114,982 28%
食品・農業 105,427 26% 111,664 27%
民間セクター顧客への貸出合計 409,380 100% 417,914 100%
個人への貸出のほぼすべてが、事業セグメント別では国内リテール・バンキングに、地域別ではオランダに組み
入れられている。TISおよび食品・農業への貸出のセクター別および事業セグメント別内訳は以下のとおりであ
る:
219/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
商業・工業・サービス業向け貸出金ポートフォリオの業種別分析
国内リテー
ル・バンキ その他のセ
単位:百万ユーロ ング W&R リース 不動産開発 グメント 合計
2020 年12月31日現在
不動産賃貸 10,280 2,479 128 1 - 12,888
金融および保険(金融機関を除く) 1,632 15,490 461 - 199 17,782
卸売 4,193 4,936 2,368 - - 11,497
不動産関連業 3,987 1,435 156 - - 5,578
製造 4,220 5,148 1,875 - - 11,243
運輸および倉庫 4,008 1,264 1,652 - - 6,924
建設 3,461 1,125 1,569 118 - 6,273
医療および社会福祉 3,323 32 2,770 - - 6,125
専門サービスおよび科学技術サービス 3,569 1,161 2,761 - - 7,491
小売(食品を除く) 3,293 927 1,350 - - 5,570
公益事業 714 3,680 151 - - 4,545
情報通信 217 601 449 - - 1,267
芸術、娯楽およびレジャー 967 264 382 - - 1,613
その他の TIS 7,139 2,542 3,271 - - 12,952
合計 51,003 41,084 19,343 119 199 111,748
国内リテー
ル・バンキ その他のセ
単位:百万ユーロ ング W&R リース 不動産開発 グメント 合計
2019 年12月31日現在
不動産賃貸 10,559 2,521 129 130 - 13,339
金融および保険(金融機関を除く) 1,606 12,345 538 - 238 14,727
卸売 4,490 5,249 3,365 - - 13,104
不動産関連業 3,692 1,459 176 - - 5,327
製造 4,369 6,126 1,975 - - 12,470
運輸および倉庫 4,305 1,580 1,923 - - 7,808
建設 3,456 984 1,644 127 - 6,211
医療および社会福祉 3,321 22 2,895 - - 6,238
専門サービスおよび科学技術サービス 3,612 1,112 2,981 - - 7,705
小売(食品を除く) 3,596 1,120 1,558 - - 6,274
公益事業 550 2,939 169 - - 3,658
情報通信 198 491 445 - - 1,134
芸術、娯楽およびレジャー 993 235 406 - - 1,634
その他のTIS 7,029 4,208 3,441 - 675 15,353
合計 51,776 40,391 21,645 257 913 114,982
220/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
食品・農業向け貸出金ポートフォリオの業種別分析
国内リテー
ル・バンキ その他のセ
単位:百万ユーロ ング W&R リース 不動産開発 グメント 合計
2020 年12月31日現在
乳製品 11,065 9,817 915 - - 21,797
穀物および油糧種子 1,953 14,483 3,160 - - 19,596
食肉等 4,434 11,543 1,833 - - 17,810
果物および野菜 5,206 5,742 501 - - 11,449
農業投入財 1,883 6,046 3,220 - - 11,149
食品小売 1,902 3,584 212 - - 5,698
飲料 37 2,271 155 - - 2,463
花卉 2,001 202 123 - - 2,326
砂糖 6 2,520 39 - - 2,565
雑農作物 108 425 1,090 - - 1,623
その他食品・農業 1,021 7,449 481 - - 8,951
合計 29,616 64,082 11,729 - - 105,427
国内リテー
ル・バンキ その他のセ
単位:百万ユーロ ング W&R リース 不動産開発 グメント 合計
2019 年12月31日現在
乳製品 11,093 11,499 855 - - 23,447
穀物および油糧種子 1,889 16,365 2,922 - - 21,176
食肉等 4,505 11,535 1,597 - - 17,637
果物および野菜 4,879 6,432 473 - - 11,784
農業投入財 1,961 6,951 2,763 - - 11,675
食品小売 1,814 4,112 239 - - 6,165
飲料 35 2,432 116 - - 2,583
花卉 2,166 214 124 - - 2,504
砂糖 - 3,229 54 - - 3,283
雑農作物 110 612 1,120 - - 1,842
その他食品・農業 1,219 7,813 536 - - 9,568
合計 29,671 71,194 10,799 - - 111,664
デリバティブ
ラボバンクはオープン・ポジションについて、金額および期間に厳格なリミットを設定している。ISDA(国際
スワップおよびデリバティブ協会)基準が適用される場合または同等の条件を含む基本契約が取引相手との間で
締結されている場合で、取引相手の法域で相殺が認められている場合は、ネット・オープン・ポジションのモニ
タリングおよび報告が行われる。この信用リスクは、取引先に対する全般的貸出リミットの一部として管理され
る。必要な場合、ラボバンクはこれらの取引に固有の信用リスクを軽減するために担保またはその他の信用補完
を取得している。信用リスク・エクスポージャーは、法的強制力のあるマスター・ネッティング契約を考慮した
場合に、プラスの市場価値が計上されるすべての未決済デリバティブ契約の、現在の公正価値を表している。
221/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
信用関連の偶発債務
ラボバンクが第三者に供与する金融保証およびスタンドバイ信用状は、取引先が当該第三者への債務を履行で
きない場合に信用リスクに晒されることとなる。荷為替信用状および商業信用状ならびに取引先のためにラボバ
ンクが発行した約束文書は、特定の条件を前提に、かつ固定金額を上限としてラボバンク宛の手形を振り出す権
限を第三者に対して認めるものである。これらの取引は、関連貨物の引渡によって担保されているため、このよ
うな商品のリスク・エクスポージャーは、直接的な貸出よりも小さい。信用状の条件に基づき文書を受け入れた
時点から支払の時点まで、ラボバンクは資産および負債を認識する。
ローン・コミットメントは、あらかじめ定められた条件に基づいて信用を提供する確定契約である。ラボバン
クは、貸出金の供与を約束した時点で信用リスクに晒される。コミットメントは、顧客が特定の貸出条件を充足
することを前提として供与されるため、損失が発生した場合の金額は未使用枠の合計額より小さくなる可能性が
高い。一般に長期コミットメントは短期コミットメントよりリスクが高いため、ラボバンクはローン・コミット
メントの残存期間を監視している。
4.3.3 信用リスク・エクスポージャーおよび信用の質
ラボバンク・グループは、融資承認プロセスにおいて ラボバンク・リスク・レーティングを使用する。ラ ボバ
ンク・リスク・レーティングは、貸出に関連して1年間における破綻リスクまたはデフォルト確率(PD) を反映
している。 貸出の質のカテゴリーは、内部のラボバンク・リスク・レーティングに基づいて決定される。ラボバ
ンク・リスク・レーティングは21の履行格付(R0‐R20)および4つの債務不履行格付(D1‐D4)からなってい
る。履行格付は1年以内における債務不履行の確率を評価したものであり、格付は原則として周期的に中立に決
定される。D1‐D4の格付は債務不履行の分類を表している。D1は重要な契約上の支払に関して90日を超える延滞
を表し、D2は、当行が担保の現金化などの措置により請求権を行使しない限り、債務者が債務を全額弁済する確
率が低いことを示している。D3は、不良資産の売却または再編が行われており、その結果、信用関連の経済的損
失が生じる可能性が高いことを指し、D4は破産状態を示している。債務不履行格付は、減損しているエクスポー
ジャー合計に相当する。 下表は、格付 区分別 に開示している減損の対象となる金融資産の信用の質を示したもの
であり、これは信用リスクの 管理目的で主要 な経営幹部に報告している数値と一致する。 以下の金融資産の総帳
簿価額は、かかる資産の最大信用リスク・エクスポージャーに相当する。
222/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
金融機関に対する貸出金および預け金の内部格付に基づく信用リスク特性
単位:百万ユーロ
2020 年12月31日現在 総帳簿価額
非信用減損 信用減損
12 ヶ月のECL適用 全期間のECL適用 全期間のECL適用 合計
R0-R1 (AAA) 176 - - 176
R2-R4 (AA) 75 - - 75
R5-R7 (A) 15,509 - - 15,509
R8-R10 (BBB) 3,669 - - 3,669
R11-R13 (BB) 1,080 1 - 1,081
R14-R16 (B+) 320 3 - 323
R17-R19 (B-) 134 1 - 135
R20 (CCC+) - - - -
債務不履行格付(D) - - - -
格付なし 416 - - 416
合計 21,379 5 - 21,384
2019 年12月31日現在
R0-R1 (AAA) 9 - - 9
R2-R4 (AA) 138 - - 138
R5-R7 (A) 22,316 - - 22,316
R8-R10 (BBB) 4,350 - - 4,350
R11-R13 (BB) 1,352 - - 1,352
R14-R16 (B+) 594 3 - 597
R17-R19 (B-) 141 8 - 149
R20 (CCC+) - - - -
債務不履行格付 (D) - - 14 14
格付なし 374 - - 374
合計 29,274 11 14 29,299
223/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
顧客に対する貸出金および預け金の内部格付に基づく信用リスク特性
単位:百万ユーロ
2020 年12月31日現在 総帳簿価額
非信用減損 信用減損
12 ヶ月のECL適用 全期間のECL適用 全期間のECL適用 合計
R0-R1 (AAA) 1,152 6 - 1,158
R2-R4 (AA) 9,508 20 - 9,528
R5-R7 (A) 73,579 503 - 74,082
R8-R10 (BBB) 131,574 2,419 - 133,993
R11-R13 (BB) 102,356 7,922 - 110,278
R14-R16 (B+) 53,720 13,176 - 66,896
R17-R19 (B-) 10,042 8,260 - 18,302
R20 (CCC+) 616 1,854 - 2,470
債務不履行格付(D) - - 13,507 13,507
格付なし 3,198 51 - 3,249
合計 385,745 34,211 13,507 433,463
2019 年12月31日現在
R0-R1 (AAA) 1,497 5 - 1,502
R2-R4 (AA) 10,289 22 - 10,311
R5-R7 (A) 51,656 214 - 51,870
R8-R10 (BBB) 137,852 584 - 138,436
R11-R13 (BB) 120,705 2,892 - 123,597
R14-R16 (B+) 63,091 7,650 - 70,741
R17-R19 (B-) 12,752 7,189 - 19,941
R20 (CCC+) 1,022 1,844 - 2,866
債務不履行格付 (D) - - 15,090 15,090
格付なし 3,131 17 - 3,148
合計 401,995 20,417 15,090 437,502
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の外部格付に基づく信用リスク特性
単位:百万ユーロ
2020 年12月31日現在 総帳簿価額
非信用減損 信用減損
12 ヶ月のECL適用 全期間のECL適用 全期間のECL適用 合計
AAA ‐ A 14,358 175 - 14,533
BBB ‐ B 396 - - 396
CCC ‐ C - - - -
D - - - -
格付なし 230 - - 230
合計 14,984 175 - 15,159
2019 年12月31日現在
AAA ‐ A 9,963 1,562 - 11,525
BBB ‐ B 1,368 - - 1,368
CCC ‐ C - - - -
D - - - -
格付なし 248 - - 248
合計 11,579 1,562 - 13,141
224/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ローン・コミットメントおよび金融保証の内部格付に基づく信用リスク特性
単位:百万ユーロ
2020 年12月31日現在 信用リスクに対するエクスポージャー
非信用減損 信用減損
12 ヶ月のECL適用 全期間のECL適用 全期間のECL適用 合計
R0-R1 (AAA) 1,509 - - 1,509
R2-R4 (AA) 1,904 - - 1,904
R5-R7 (A) 10,760 27 - 10,787
R8-R10 (BBB) 16,913 260 - 17,173
R11-R13 (BB) 18,779 536 - 19,315
R14-R16 (B+) 5,882 1,431 - 7,313
R17-R19 (B-) 663 854 - 1,517
R20 (CCC+) 29 129 - 158
債務不履行格付(D) - - 664 664
格付なし 12,420 - - 12,420
合計 68,859 3,237 664 72,760
2019 年12月31日現在
R0-R1 (AAA) 1,486 - - 1,486
R2-R4 (AA) 1,991 - - 1,991
R5-R7 (A) 10,853 65 - 10,918
R8-R10 (BBB) 17,022 103 - 17,125
R11-R13 (BB) 15,080 356 - 15,436
R14-R16 (B+) 5,944 590 - 6,534
R17-R19 (B-) 744 510 - 1,254
R20 (CCC+) 44 82 - 126
債務不履行格付 (D) - - 480 480
格付なし 10,301 2 - 10,303
合計 63,465 1,708 480 65,653
225/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
4.3.4 金融資産に係る減損引当金および信用関連の偶発債務
以下の表は、金融資産に係る減損引当金および信用関連の偶発債務の期首残高から期末残高への調整を示した
ものである。
金融機関に対する貸出金および預け金に係る減損引当金
単位:百万ユーロ
全期間のECL適用 全期間のECL適用
12 ヶ月のECL適用 -非信用減損 -信用減損 合計
2020 年1月1日現在の残高 1 1 1 3
当初認識および取得に伴う増加 1 - - 1
認識中止に伴う減少 - - - -
信用リスクの変動に伴う変動 - (1) (1) (2)
当年度の不良債権の償却 - - - -
その他の変動 (1) - - (1)
2020 年12月31日現在 の残高 1 - - 1
2019 年1月1日現在の残高 1 1 20 22
当初認識および取得に伴う増加 1 - - 1
認識中止に伴う減少 - - - -
信用リスクの変動に伴う変動 - - - -
当年度の不良債権の償却 - - (19) (19)
その他の変動 (1) - - (1)
2019 年12月31日現在 の残高 1 1 1 3
顧客に対する貸出金および預け金に係る減損引当金
単位:百万ユーロ
全期間のECL適用 全期間のECL適用
12 ヶ月のECL適用 -非信用減損 -信用減損 合計
2020 年1月1日現在の残高 369 346 3,225 3,940
当初認識および取得に伴う増加 232 11 131 374
(206)
認識中止に伴う減少 (97) (72) (375)
信用リスクの変動に伴う変動 235 561 1,198 1,994
(1,087)
当年度の不良債権の償却 (13) (4) (1,070)
その他の変動 (6) 4 (144) (146)
2020 年12月31日現在 の残高 720 846 3,134 4,700
2019 年1月1日現在の残高 270 239 3,226 3,735
当初認識および取得に伴う増加 87 6 144 237
(266)
認識中止に伴う減少 (60) (69) (395)
信用リスクの変動に伴う変動 78 178 875 1,131
(715)
当年度の不良債権の償却 (8) (8) (699)
その他の変動 2 - (55) (53)
2019 年12月31日現在 の残高 369 346 3,225 3,940
226/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に係る減損引当金
単位:百万ユーロ
全期間のECL適用 全期間のECL適用
12 ヶ月のECL適用 -非信用減損 -信用減損 合計
2020 年1月1日現在の残高 1 1 - 2
当初認識および取得に伴う増加 1 2 - 3
認識中止に伴う減少 - - - -
信用リスクの変動に伴う変動 (1) (1) - (2)
当年度の不良債権の償却 - - - -
その他の変動 - (2) - (2)
2020 年12月31日現在 の残高 1 - - 1
2019 年1月1日現在の残高 2 1 - 3
当初認識および取得に伴う増加 4 - - 4
認識中止に伴う減少 - - - -
信用リスクの変動に伴う変動 (5) - - (5)
当年度の不良債権の償却 - - - -
その他の変動 - - - -
2019 年12月31日現在 の残高 1 1 - 2
ローン・コミットメントおよび金融保証に係る減損引当金
単位:百万ユーロ
全期間のECL適用 全期間のECL適用
12 ヶ月のECL適用 -非信用減損 -信用減損 合計
2020 年1月1日現在の残高 31 18 97 146
当初認識および取得に伴う増加 7 - - 7
認識中止に伴う減少 (50) (21) (94) (165)
信用リスクの変動に伴う変動 50 27 81 158
当年度の不良債権の償却 - - - -
その他の変動 (2) (6) 4 (4)
2020 年12月31日現在 の残高 36 18 88 142
2019 年1月1日現在の残高 28 12 69 109
当初認識および取得に伴う増加 4 - 2 6
認識中止に伴う減少 (34) (10) (34) (78)
信用リスクの変動に伴う変動 33 16 66 115
当年度の不良債権の償却 - - - -
その他の変動 - - (6) (6)
2019 年12月31日現在 の残高 31 18 97 146
227/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
以下の表に、顧客に対する貸出金および預け金の総帳簿価額が当年度中に著しく変動したことによる、減損引
当金合計の変動の概要を示している。
顧客に対する貸出金および預け金の帳簿価額の変動
単位:百万ユーロ 総帳簿価額
非信用減損 信用減損
12 ヶ月のECL適用 全期間のECL適用 全期間のECL適用 合計
2020 年1月1日現在の残高 401,996 20,417 15,090 437,503
金融資産の譲渡 (24,181) 22,983 1,198 -
新たに当初認識または取得した
金融資産 128,983 3,154 2,061 134,198
認識が中止された金融資産 (112,600) (11,645) (3,337) (127,582)
償却 (14) (4) (924) (942)
その他の変動 (8,439) (694) (581) (9,714)
2020 年12月31日現在 の残高 385,745 34,211 13,507 433,463
2019 年1月1日現在の残高 402,729 15,946 15,993 434,668
金融資産の譲渡 (8,847) 7,312 1,536 1
新たに当初認識または取得した
金融資産 122,673 4,710 1,821 129,204
認識が中止された金融資産 (111,335) (7,651) (3,400) (122,386)
償却 (12) (8) (693) (713)
売却目的保有資産への振替 (4,412) (83) (292) (4,787)
その他の変動 1,200 191 125 1,516
2019 年12月31日現在 の残高 401,996 20,417 15,090 437,503
4.3.5 信用リスクの著しい増大(SICR)に該当するかの判断基準
定量的なSICR評価において考慮に入れる主な変数は、全期間 デフォルト 確率(PD)と当初認識日から報告日ま
でのその推移である。所定の閾値を超える相対的変化は、信用リスクの著しい増大の兆候と見なされる。 当初 認
識時の全期間PDと報告日時点の全期間PDの比較は、当該金融資産取得時の格付と報告日時点の格付を用い、両者
を(一時点における)PD曲線に転換して行う。同閾値は、ポートフォリオの 観察された 長期債務不履行率 に対す
る一定比率 (中心傾向)を基に決定している。下表は、貸出金ポートフォリオごとの閾値を示している。これら
の閾値は、全期間PDをステージ1からステージ2へ移行させる のに 必要 な 乗数である。脆弱なセクターを特定す
るために、世界のセクターすべてについてCOVID-19による影響を分析した。脆弱なセクターに対するエクスポー
ジャーは、信用リスクが著しく増大していると見なされ、ステージ2に区分される。ステージ区分およびトッ
プ・レベル調整の詳細については注記2.1を参照されたい。
228/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
貸出金ポートフォリオの種類別のSICR閾値 2020 年 2019 年
住宅ローン:地方銀行 5.11 5.11
住宅ローン:オプフィオン 3.28 3.28
つなぎ融資 7.64 7.64
法人貸付 2.26 2.26
法人貸付:所得を生む不動産 1.68 1.68
法人貸付:ファイナンス・リース 3.34 3.57
リテールSME貸付 2.50 2.50
リテールSME貸付:商業不動産 2.25 2.25
リテールSME貸付:ファイナンス・リース 3.17 3.23
4.3.6 モデルに基づく金融資産の減損引当金に関する判断 および 見積り
ラボバンクは、3段階のステージから成る予想信用損失減損モデルを適用して予想信用損失の測定および認識
を行っており、これには経営陣による重要な判断が伴う。この減損手法では、12ヶ月の予想信用損失に相当する
金額 で測定した 引当金を認識する(ステージ1)。当初認識以降に信用リスクが著しく増大したものの、信用減
損していない金融資産については、全期間の予想信用損失に相当する金額で 測定した 引当金を 認識 する(ステー
ジ2)。信用減損した金融資産を認識する(ステージ3)。 ラボバンク は、モデルに基づく減損引当金における
予想信用損失を 算定 するに当たり、以下の要素に関して見積りおよび経営陣の判断を使用し、さらに専門家の判
断も使用した結果、注記2.1に記載のものについてモデル使用後に調整を行った。
信用リスクの著しい増大
資産をステージ1からステージ2へ振り替えるには判断が求められる。PDの閾値に対するECLの感応度を実証
するために、すべての資産がPD閾値未満であると仮定して12ヶ月のECLを割り当てる分析が実施された。同じ資
産を基礎として、すべての資産がPD閾値を超えると仮定し、全期間のECLを割り当てる分析も実施された。どち
らの分析も、トップ・レベル調整による影響を考慮に入れずに実施され、その結果、ECLはそれぞれ912百万ユー
ロおよび1,976百万ユーロであった。
229/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
将来予測的情報 および マクロ経済シナリオ
各ステージの予想信用損失の見積りおよび信用リスクの著しい増大の評価では、過去の事象や現在の状況に加
えて、将来の事象および経済情勢に関する合理的かつ実証可能な予測(以下「将来予測的情報」という)を使用
する。ラボバンクはECLモデルにおいて、確率加重した3つのマクロ経済シナリオ(基本シナリオ・下振れシナ
リオ・上振れシナリオから成る)を使用して予想信用損失を算出している。重要な変数は国内総生産の成長率、
失業率および金利である。こうした将来のマクロ経済的な予測には判断が必要であり、概ねラボバンク内部の調
査部門による調査に拠っている。ステージ1およびステージ2の引当金計上のためのECLモデルプロセスにおい
て使用した主な将来予測的マクロ経済インプットの感応度ならびに3つの各シナリオに適用した確率加重に関す
る分析が以下に示されている。トップ・レベル調整による影響は考慮されていない。分析対象の国は、報告され
たECLに対して全体に占める金額的観点から最も重要な国である。よってラボバンクは、これらのポートフォリ
オが、金融資産の帳簿価額を調整する結果になる最も重要なリスクがあると考えている。
トップ・レベル調整前の主要なマクロ経済 インプット および関連ECL
加重後ECL 加重後ECL
(単位:百万 (単位:百万
ユーロ) ユーロ)
オランダ 2020 年 2019 年
2021 年 2022 年 2023 年 加重前ECL 確率 12 月31日 12 月31日
上振れ 国民 1 人 当た
りのGDP 3.81% 3.05% 0.56%
失業率 4.26% 2.98% 1.84% 294 15%
実質金利 0.68% 0.02% -0.16%
基本 国民 1 人 当た
りのGDP 2.21% 2.20% 1.39%
失業率 5.18% 5.35% 4.78% 377 70% 383 387
実質金利 0.38% -0.35% -0.20%
下振れ 国民 1 人 当た
りのGDP 0.11% 1.03% 2.60%
失業率 6.02% 7.54% 7.49% 504 15%
実質金利 -0.04% -0.90% -0.20%
230/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
加重後ECL 加重後ECL
(単位:百万 (単位:百万
ユーロ) ユーロ)
米国 2020 年 2019 年
2021 年 2022 年 2023 年 加重前ECL 確率 12 月31日 12 月31日
上振れ 国民 1 人 当た
りのGDP 3.64% 3.46% 1.10%
失業率 7.65% 4.99% 3.86% 130 15%
実質金利 -0.40% -0.42% 0.09%
基本 国民 1 人 当た
りのGDP 2.42% 2.01% 1.27%
失業率 8.00% 5.90% 5.00% 147 70% 149 129
実質金利 -0.70% -1.07% 0.05%
下振れ 国民 1 人 当た
りのGDP 0.80% -0.03% 1.43%
失業率 8.38% 6.92% 6.27% 179 15%
実質金利 -1.09% -1.98% 0.00%
加重後ECL 加重後ECL
(単位:百万 (単位:百万
ユーロ) ユーロ)
ブラジル 2020 年 2019 年
2021 年 2022 年 2023 年 加重前ECL 確率 12 月31日 12 月31日
上振れ 国民 1 人 当た
りのGDP 3.41% 1.64% 0.25%
失業率 12.73% 8.44% 6.64% 60 15%
実質金利 -1.46% 2.19% 1.54%
基本 国民 1 人 当た
りのGDP 2.28% 1.61% 1.38%
失業率 13.29% 9.92% 8.47% 68 70% 68 32
実質金利 -1.82% 1.98% 0.37%
下振れ 国民 1 人 当た
りのGDP 0.77% 1.55% 2.92%
失業率 13.91% 11.55% 10.50% 78 15%
実質金利 -2.30% 1.63% -1.02%
加重後ECL 加重後ECL
(単位:百万 (単位:百万
ユーロ) ユーロ)
オースト 2020 年 2019 年
ラリア 2021 年 2022 年 2023 年 加重前ECL 確率 12 月31日 12 月31日
上振れ 国民 1 人 当た
りのGDP 2.98% 2.42% 1.07%
失業率 5.48% 3.86% 3.16% 14 15%
実質金利 0.47% -0.24% 0.13%
基本 国民 1 人 当た
りのGDP 2.26% 1.62% 1.09%
失業率 6.31% 6.00% 5.80% 16 70% 17 15
実質金利 0.11% -0.99% -0.10%
下振れ 国民 1 人 当た
りのGDP 1.33% 0.61% 1.16%
失業率 7.23% 8.41% 8.77% 21 15%
実質金利 -0.34% -1.93% -0.33 %
231/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
下振れシナリオと上振れシナリオ両方の確率加重を10%、基本シナリオを80%とした場合、ステージ1およびス
テージ2のエクスポージャーに係る加重後ECL合計が4百万ユーロ減少する。下振れシナリオと上振れシナリオ両
方の確率加重を20%、基本シナリオを60%とした場合、ステージ1およびステージ2のエクスポージャーに係る加
重後ECL合計が4百万ユーロ増加する。
ステージ1およびステージ2の顧客に対する貸出金の総帳簿価額
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
オランダ 289,076 285,312
米国 40,246 41,652
ブラジル 7,124 8,860
オーストラリア 15,812 15,686
予想信用損失の測定
予想信用損失の見積りには、 デフォルト確率(PD)、デフォルト時損失(LGD) および デフォルト時エクス
ポージャー(EAD)をECLモデルのインプットとして用いている。これらのECLモデルによって想定外の外部の事
象またはデータの質に関する問題が十分網羅されない 場合 は、判断 および 見積りに 基づき 調整を加える。また上
掲のインプットも次のように見積りが必要である 。
・ PD-デフォルト確率は、ある一定の時間枠において債務不履行が発生する可能性の見積りである。
・ LGD-デフォルト時損失は、ある時点で債務不履行が生じた場合に発生する損失の見積りである。 これ
は、契約上の キャッシュ・フローと、ラボバンクが 受け取る と 予想される キャッシュ・フロー(担保 およ
び その他の信用補完から生じると見込まれるキャッシュ・フローを含む)との 差額 に基づく。
・ EAD-デフォルト時エクスポージャーは、将来債務不履行が生じた日におけるエクスポージャーの見積り
である。見積りに当たっては、期限前償還 による 報告日後におけるエクスポージャーの変動予測を加味す
る。
下表に、 デフォルト 確率(PD)、担保価値および全額期限前償還率の変動 による 基本シナリオ の ECL への影響
を示す。
ECL への影響 2020 年 2019 年
PD 格付の 1 段階悪化(PD) 333 265
PD 格付の 1 段階改善(PD) (241) (197)
担保価値の10%下落(LGD) 105 123
担保価値の10%上昇(LGD) (80) (80)
全額期限前償還率の50%低下(EAD) 32 34
全額期限前償還率の50%上昇(EAD) (28) (30)
232/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
4.3.7 信用リスクの軽減
ラボバンクの信用リスク・エクスポージャーは、必要に応じて担保およびその他の信用補完を取得することに
よって部分的に軽減されている。必要となる担保の金額および性質は、取引相手向け貸出金の信用リスク評価に
よってある程度決まる。ラボバンクは、異なる種類の担保を受け入れ評価する目的で、ガイドラインを導入して
いる。主な担保の種類として以下が挙げられる。
・ 居住用不動産向け住宅ローンに対する担保
・ 主に法人向けローンのための商業用不動産および動産に対する担保、棚卸資産および売掛金に対する担保
・ 主にデリバティブ、証券貸出取引およびリバース・レポ取引のための現金および証券
またラボバンクは、信用リスクを管理するためクレジット・デリバティブ商品を用いると同時に、取引規模の
大きい相手とマスター・ネッティング契約を 締結している 。 取引は、注記2.11に記載する相殺の基準を満たして
いる取引を除き、通常グロスで決済されるため、一般的にマスター・ネッティング契約は財政状態計算書に計上
された資産および負債をネッティングするものではない。信用リスクはマスター・ネッティング契約により限定
されるものの、その範囲は、キャンセルまたはあるイベントが発生した場合において、カウンターパーティーが
関与しているすべての金額が凍結され、ネット決済できるという程度にとどまる。ネッティング契約が適用され
るデリバティブに係る信用リスク・エクスポージャー総額は、新規取引の締結および既存取引の満了ならびに市
場における金利および為替の変動に極めて大きく影響される。
以下の表は、連結貸借対照表において適用された相殺および連結財政状態計算書において適用されていない相
殺を示しており、いずれも信用リスクを限定している。
233/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
金融商品の相殺
財政状態計算書上で相殺
単位:百万ユーロ 相殺前の金額 IAS 第32号に基づく相殺 帳簿価額(純額)
2020 年12月31日現在
金融機関に対する貸出金および預
け金 21,383 - 21,383
デリバティブ 141,714 (112,076) 29,638
顧客に対する貸出金および預け金 442,964 (6,782) 436,182
その他資産 7,755 (248) 7,507
合計 613,816 (119,106) 494,710
金融機関預り金 62,404 (1,242) 61,162
顧客預り金 363,765 (2,737) 361,028
デリバティブ 143,280 (114,878) 28,402
その他負債 6,895 (248) 6,647
合計 576,344 (119,105) 457,239
2019 年12月31日現在
金融機関に対する貸出金および預
け金 29,297 - 29,297
デリバティブ 111,906 (88,322) 23,584
顧客に対する貸出金および預け金 447,727 (7,120) 440,607
その他資産 6,876 (266) 6,610
合計 595,806 (95,708) 500,098
金融機関預り金 26,570 (1,326) 25,244
顧客預り金 341,354 (2,818) 338,536
デリバティブ 115,372 (91,298) 24,074
その他負債 7,101 (266) 6,835
合計 490,397 (95,708) 394,689
234/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
エクスポー
財政状態計算書上で相殺されていないもの ジャー純額
マスター・
証券および
ネッティン その他の
単位:百万ユーロ グ契約 現金担保 不動産担保 担保 金融保証
2020 年12月31日現在
金融機関に対する貸出金および預
け金 - (16,290) - - - 5,093
デリバティブ (14,303) (10,649) - - - 4,686
顧客に対する貸出金および預け金 - (18,097) (238,950) (76,146) (35,992) 66,997
その他資産 - - - - - 7,507
合計 (14,303) (45,036) (238,950) (76,146) (35,992) 84,283
金融機関預り金 - (431) - - - 60,731
顧客預り金 - (694) - - - 360,334
デリバティブ (14,303) (14,818) - - - (719)
その他負債 - - - - - 6,647
合計 (14,303) (15,943) - - - 426,993
2019 年12月31日現在
金融機関に対する貸出金および預
け金 - (23,269) - - - 6,028
デリバティブ (12,283) (8,078) - - - 3,223
顧客に対する貸出金および預け金 - (13,687) (236,848) (70,924) (37,708) 81,440
その他資産 - - - - - 6,610
合計 (12,283) (45,034) (236,848) (70,924) (37,708) 97,301
金融機関預り金 - (1,505) - - - 23,739
顧客預り金 - (20) - - - 338,516
デリバティブ (12,283) (11,130) - - - 661
その他負債 - - - - - 6,835
合計 (12,283) (12,655) - - - 369,751
次 の 表は、信用リスクを低減するために抵当として保有されている担保に関して信用減損した金融資産を示し
たものである。ラボバンクは、個別に評価したエクスポージャーについて、余剰担保のため貸倒引当金を認識し
ていない場合がある。
235/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
信用減損した金融資産に対する担保およびその他の信用補完
信用減損した金融 減損引当金控除の 担保およびその他の
単位:百万ユーロ 資産の総帳簿価額 減損引当金 帳簿価額 信用補完
2020 年12月31日現在
金融機関に対する貸出金お
よび預け金 - - - -
顧客に対する貸出金および
預け金 13,507 3,134 10,373 7,254
その他の包括利益を通じて
公正価値で測定する金融資
産 - - - -
合計 13,507 3,134 10,373 7,254
2019 年12月31日現在
金融機関に対する貸出金お
よび預け金 14 1 13 -
顧客に対する貸出金および
預け金 15,090 3,225 11,865 8,611
その他の包括利益を通じて
公正価値で測定する金融資
産 - - - -
合計 15,104 3,226 11,878 8,611
次の表は、減損に関するIFRS第9号の要求事項の対象ではない金融商品に関してラボバンクが晒されている、
信用リスクに対する最大エクスポージャーを表している。ここでは、いかなる担保、または信用リスク制限策も
考慮に入れていない。表はまた、提供された担保またはその他の種類の信用リスク縮小策による財務上の影響も
示している。資本性金融商品の残高は信用リスクに対する最大エクスポージャーに含まれていないため、時とし
て、表示金額が財政状態計算書の帳簿価額から乖離する場合がある。
減損対象外の金融資産の信用リスクに対する最大エクスポージャー
単位:百万ユーロ
信用リスクに対する
最大エクスポージャー 担保およびその他の信用補完
2020 年12月31日現在
売買目的金融資産 2,356 -
公正価値測定に指定した金融資産 1 -
強制的に公正価値で測定される金融資産 1,208 208
デリバティブ 29,638 10,649
合計 33,203 10,857
2019 年12月31日現在
売買目的金融資産 1,811 -
公正価値測定に指定した金融資産 1 -
強制的に公正価値で測定される金融資産 1,143 46
デリバティブ 23,584 8,078
合計 26,539 8,124
236/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
償却方針
ラボバンクは、実務的な回収方法をすべて実施し尽くし、回収の合理的な見込みがないと結論を下した場合
に、債権を償却する。回収の合理的な見込みがないことを示す指標には、(i)履行を求める活動の中止、および
(ii)回収方法が担保権の行使であり、担保価値で債権の全額回収が合理的に見込めない場合が含まれる。ラボバ
ンクは、履行請求中の債権を償却する場合がある。2020年度において一部または全部の資産を償却した契約金額
残高は476百万ユーロであった。
ラボバンクは、当年度中に担保の所有権を得ることで2020年12月31日現在において推定価値ゼロ(2019年度は
2百万ユーロ)の金融および非金融資産を取得した。これらの資産を合理的に予見可能な将来に売却するのがラ
ボバンクの方針である。売却利益は貸出残高の返済に割り当てられる。
4.3.8 条件変更後の資産
報告日において、条件変更後の資産が債務不履行に陥るリスクが評価され、当初認識時の最初の条件下におけ
るリスクと比較される。ラボバンクは、これらフォーベアランスの条件変更後の資産のその後の履行を監視し、
信用リスクの著しい改善に伴い当該資産をステージ3またはステージ2(全期間のECL)からステージ1(12ヶ
月のECL)に移行すると決定することがある。2020年12月31日現在で保有されている当該資産の総帳簿価額は102
百万ユーロであった(2019年度は37百万ユーロ)。
以下の表は、全期間のECLを測定する金融資産のうち当年度中にキャッシュ・フローが変更されたものに関す
る情報の要約と、各財務実績に対する影響を示したものである。
全期間のECLにて減損引当金を測定する条件変更後の金融資産
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
条件変更前の償却原価 1,043 924
条件変更に伴う正味利益/損失 (3) 5
当初認識時後に条件変更された金融資産 1,040 929
4.3.9 信用リスクに影響を及ぼす可能性のある外的動向
気候変動リスク
気候変動リスクに関わる現象は、まだラボランクのリスクの枠組みに構造的に組み込まれていない。しかし、
ラボバンクは現在、当行のリスクの枠組みへの気候変動リスクの組み込みを進めており、このことは、リスク低
減の方向性の決定や実施と並んで事業の戦略的意思決定の助けとなる。ラボバンクはこの目的を達成するための
中期的なロードマップを作成した。このロードマップは、気候関連リスクや環境リスクに関するECBの指針を考
慮に入れている。リスク管理プロセスの第一段階となるのはリスクの特定である。
237/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
気候変動リスクは、戦略的リスク、すなわち、急速に変化し、または拡大方向へと展開する既存リスクとして
特定されてきた。このリスクは、データが限定的であることや他の不確実性のために評価が困難である。気候変
動リスクは広範囲に亘り多面的な性質を持つことから、ラボバンクは、これを独立したリスク・カテゴリーでは
なく、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、戦略的リスク、オペレーショナルリスク、コンプライアンスリ
スク、レピュテーションリスクという当行のリスク分類における、既存リスク・カテゴリーの増幅要因として捉
えている。これらのリスク分類のそれぞれが、気候変動の物理的リスクおよび移行リスクの影響を受ける可能性
がある。
気候変動リスクの測定は進化の初期段階にあり、標準的な気候変動の指標は存在しない。相当なデータギャッ
プがあり、このことは特にラボバンクのポートフォリオ(居住用不動産、食品・農業および商業・工業・サービ
スのSME)に当てはまる。ラボバンクのオランダの居住用不動産のポートフォリオは、オランダおよびオランダ
国外の食品・農業のポートフォリオと併せて、気候による潜在的影響が最も大きく、貸借対照表のエクスポー
ジャーの71%超を占める。ラボバンクは、これらの課題に対処するために、気候変動プログラムの一環として持
続可能性に関するデータ・分析の専門チームを立ち上げた。2020年度において、同チームは、社内外データの利
用可能性評価、必要となる気候変動データとのギャップの明確化、ならびに顧客レベルのデータを目指し、関連
するすべてのデータギャップを数年内に解消するためのロードマップ作成に集中的に取り組んだ。
構造化された気候変動リスクのデータを利用できない期間が長期化した場合、ECLモデルのインプットとして
気候変動リスクを使用することはできない。しかし、気候変動リスクがラボバンクのECLに影響を及ぼす場合に
は、トップ・レベル調整によってこれを追加することになる。
ブレグジット
2020 年1月31日、英国が欧州連合(EU)を離脱し、2020年末を期限とする移行期間に入った。移行期間中、英
国とEUは将来の相互関係について交渉を行った。多大なる時間的プレッシャーの下、期限間際に合意に達し、
ハード・ブレグジットは回避された。ラボバンクは、英国およびその主要な貿易相手国の1つであるオランダの
経済成長がマイナスの影響を受けると予想しており、英国との間に利害関係を有するラボバンクの顧客は2021年
に多くの不確実性に直面することになる。ブレグジットは、使用したマクロ経済シナリオに組み込まれており、
その結果、予想信用損失が増加した。
貿易摩擦
貿易摩擦全般と、特に米国と中国という経済大国間の関係が、顧客の健全性に悪影響を及ぼす可能性がある。
米中間の関係は2020年に悪化した。そうした展開の背景には、COVID-19の感染拡大、世界的な景気後退、2020年
1月になされた米中第1段階合意に対する中国の実施留保がある。現時点で、米国の新政権が今後数年で対中関
係をどのように進めるのかまだ不明であるが、引き続き厳しい姿勢を取ることが予想される。ラボバンクは引き
続き、今後の展開と当行および顧客に及ぼす潜在的影響を監視していく。
238/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
インタレスト・オンリー住宅ローン
好調な住宅ローン・ポートフォリオのうち、インタレスト・オンリー住宅ローンのリスクは、特にLTVが高く
(80%超)顧客の退職が近づいている(すなわち、収入が減少する)場合において、最も高くなる。ラボバンク
は、このリスクを認識させ、今後発生するおそれのある問題を防止する可能性を探るために、これらの顧客に個
別に打診を行う。現在の貯蓄金利が低いことが、ある程度、顧客に住宅ローンの一部を償却するよう説得する一
助となっている。ラボバンクは、インタレスト・オンリー住宅ローンに関連するリスクを考慮して、ポートフォ
リオのこの部分(最大55%)および特にリスクが極めて高い部分(最大8%)を継続的に分析し、増大するリス
クを迅速に特定するためモデルを適用している。特定された追加的信用リスクは、2020年12月31日時点のトッ
プ・レベル調整で14百万ユーロとされた。
窒素対策(PAS)
現在、COVID-19およびその感染拡大による経済的影響がオランダ政府の政策課題の最優先事項であるものの、
窒素排出問題もなおざりにされているわけではない。オランダ政府は、最重要セクター(農業、工業、輸送、建
設)における窒素排出量を構造的に削減するために、今後数年間に2十億ユーロ超を投資する予定である。これ
により、自然が回復し、強化された新たな経済発展が可能となる。特に農業では、より持続可能なビジネスモデ
ルへの転換を希望する農家や、廃業を考えている農家に補助金が付与される。政府の最終的な目標は、2030年ま
でにいわゆる「ナチュラ2000」地域の50%以上で窒素堆積を許容可能な水準にすることである。ラボバンクは、
その展開および当行ポートフォリオへの潜在的影響を注視している。2020年12月31日時点ではトップ・レベル調
整は不要とされた。
4.4 トレーディング目的以外の為替レート・リスク(以下「FXリスク」という)
FX リスクは、為替レートの変動により当行のキャッシュ・フロー、資産および負債、純利益および/または資
本のボラティリティが生じるリスクである。当行は、トレーディング目的以外のFXリスクを(i)銀行勘定におけ
るFXリスクおよび(ii)FX換算リスクの2種類に区分している。
銀行勘定におけるFXリスク
銀行勘定におけるFXリスクとは、銀行勘定におけるコミットメントおよび債権のキャッシュ・フローの既知お
よび/または確定可能な為替変動がヘッジされないことによるリスクである。その結果、為替レートの変動によ
り、 ラボバンク の 業績および/または財政状態に悪影響が及ぶ可能性がある。
為替換算リスク
為替換算リスクとは、外貨建の営業上の資産および負債を親会社の機能通貨へ換算する際に、為替の変動に
よって悪影響が及ぶリスクである。換算リスクは、ラボバンクの資本のポジション、リスク・ウェイト資産およ
び自己資本比率に関係している。
239/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクは、ラボバンクの 連結 CET 1比率に関わる為替換算リスクを、意図的に為替ポジションを取ること
によって管理している。このような構造的為替ポジションによって、為替レートがラボバンクの連結CET1比率
に与える影響が低減されている。
為替換算リスクついては、為替換算リスクに関するグローバル基準が対応している。当該基準は、 それらのリ
スクを管理するために、 慎重かつ健全な監視および管理システムを実現し徹底するため の 為替換算リスクに対す
るラボバンクの グローバル 方針を 定めている 。 規制上の枠組み(すなわち第1の柱)がリスクに対応していな
い、または適切に対応していないとラボバンクが判断する領域においては、第2の柱のフレームワークを使用す
る。為替換算リスクは、かかるリスクのうちの1つである。
4.5 銀行の業務環境における金利リスク
「銀行の業務環境における金利リスク」とは、銀行勘定の業績および経済価値またはどちらか一方が市場金利
の変動により悪影響を受けるリスクを指す。
ラボバンクの金利リスクは、貸出と資金調達のリプライシングおよび満期のミスマッチ、ならびに顧客向け商
品に含まれるオプションにより発生する。銀行の業務環境における金利リスクは、顧客行動が重要な決定要因と
なる。したがって、顧客行動のモデル化が金利リスクの枠組みの中心的な要素の1つをなす。住宅ローンの返
済、貯蓄性預金および当座預金については、それに関する行動モデルが導入されている。金利変動はまた、顧客
の信用度にも影響を与えることがある。例えば、金利が上昇した場合、借入コストが上昇し、その結果、顧客の
信用度に負の影響が及ぶ可能性がある。しかしながら、こうした影響は金利リスクというよりは信用リスクと見
なされる。
ラボバンクは、銀行の業務環境下で一定量の金利リスクを許容しているが、これは銀行業務に欠かせないもの
である。しかし同時に、当行は金利の変動に伴い業績および経済価値で生じる予期せぬ重要な変動を回避するこ
とを目指している。したがって、監督委員会により監視される経営委員会は、金利リスクに係るリスク選好度お
よびそれに応じた金利リスクのリミットを年次で承認している。
グループのレベルにおいて、ラボバンクの金利リスクは、最高財務責任者が委員長を務めるグループ資産負債
委員会によって管理されている。トレジャリー部門(Treasury)は同委員会の決定事項を実施する責任を負い、
リスク管理部門が金利リスク・ポジションの 監視 の 責任を負う。
金利リスク管理の指標としての資本の経済価値は、資本の会計上の価値とは異なっている。金利リスク管理に
おいて、資本の経済価値は、資産の現在価値から負債の現在価値とオフ・バランスシート項目の現在価値を加え
た額を差引いた額として定義される。ヘッジ会計が使用されているため、また(IFRSの観点では)貸借対照表の
大部分が償却原価で計上されていることから、経済価値の損失が自動的に会計上の損失になるわけではない。
240/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクは、その金利リスク方針の一部として、金利リスクの管理および統制のために下記の指標を用いて
いる。
・ アーニング・アット・リスク(以下「EaR」という):EaRは、様々な金利シナリオの結果、今後12ヶ月間
の予想純受取利息に生じる不利な方向への最大変動額
・ 修正資本デュレーション
・ ベーシスポイント・バリュー(以下「BPV」という)
注記4.5.1および4.5.2にて、「アーニング・アット・リスク」ならびに「修正デュレーションおよびBPV」の
状況が詳述されている。
4.5.1 アーニング・アット・リスク
アーニング・アット・リスクは標準金利感応度分析に基づいて月1回計算される。 この分析は、各種シナリオ
を契機とする今後12ヶ月間の予定受取利息の主な減少を示すものである。具体的には、すべての市場金利が段階
的に2パーセンテージ・ポイント上昇するシナリオ、すべての市場金利が段階的に最大で2パーセンテージ・ポ
イント低下するシナリオ(このシナリオの金利は現実的と見なされた水準を下限とする)、およびイールド・
カーブがスティープ化またはフラット化する2つのシナリオを検討する。
2020 年度におけるラボバンクの純受取利息の感応度は、金利低下シナリオに対するものが最も高かった。2020
年12月31日現在のアーニング・アット・リスクは74百万ユーロとなり、2019年12月31日現在のアーニング・アッ
ト・リスク(35百万ユーロ)を上回った。この増加は主に、貸借対照表の構成の変化によるものである。EaRの
水準は依然としてリスク選好度の範囲内に十分にとどまっている。
アーニング・アット・リスク
2020 年 12月31日現在 2019 年 12月31日現在
アーニング・アット・リスク 74 35
主要通貨別内訳
アーニング・アット・リスク-ユーロ 75 28
アーニング・アット・リスク-米ドル - 3
4.5.2 修正デュレーション
資本の修正デュレーション(以下「MD」という)は、マネー・マーケットおよび資本市場の金利が1パーセン
テージ・ポイント上昇する場合における資本の経済価値の下落率を示す。経営委員会は、この目的において は
6%をMDの上限と定めている。資本のベーシスポイント・バリュー(BPV)およびデルタ特性( 一定 期間のBPV)
に係る追加的な限度が適用される。
241/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2020 年度に修正デュレーションは(2019年12月31日現在の3.0%から2020年12月31日現在の0.1%へ)2.9%低
下し、BPVはマイナス11.9百万ユーロからマイナス0.3百万ユーロへと変化した。これは、金利の戦略的ポジショ
ニングの変化、行動に関する仮定の修正、市場動向など幾つかの要因の影響によるものである。
修正デュレーション(%)およびBPV
( 単位:百万ユーロ) 2020 年 12月31日現在 2019 年 12月31日現在
修正デュレーション(%) 0.1% 3.00%
BPV -0.3 -11.6
主要通貨別内訳
BPV -ユーロ -2.1 -11.8
BPV -米ドル 1.8 0.9
4.6 トレーディング環境における市場リスク
市場リスクは、金利、株価、信用スプレッド、為替およびコモディティの変動の影響によるトレーディング勘
定のポジションにおける損失のリスクから発生する。顧客から取得したリスク・ポジションは、他の顧客に再配
分するか、 ヘッジにより動的に 管理することができる。トレーディング・デスクは、(流動性および価格の提供
により)ラボバンク債券およびラボバンク証書を含む金利デリバティブや債券の流通市場におけるマーケット・
メーカーとしての役割を果たしている。
トレーディング環境における市場リスクは、トレーディング勘定における市場リスクを計測、監視および管理
するために導入されている市場リスクの枠組みの範囲内で毎日監視されている。この枠組みには、トレーディン
グ勘定 、 債券トレーディング勘定および シンジケートローン勘定の全デリバティブが含まれる。この枠組みの重
要な部分は、限度およびトレーディング・コントロールの適切なシステムである。関連するリスク選好度の限度
は、勘定レベルの限度およびトレーディング・コントロールに変換され、市場リスク管理部門によって毎日監視
されている。
顧客へのリスク再配分 やリスクヘッジ、流通市場での控え目な活動 と いうラボバンクの戦略により、市場リス
クに係るリスク選好度は適度な水準にある。トレーディング・ポートフォリオに係る市場リスクへのエクスポー
ジャーは、当行のリスク選好度の範囲内に十分とどまっている。限度が逸脱された場合、実際に大規模な損失が
発生する可能性を低減するための是正措置が定められることになっている。リスク・ポジションは経営陣に報告
され、様々なリスク管理委員会において毎月議論されている。臨時の対応が必要なリスク変動は、通常の報告サ
イクルとは別にその都度周知される。
連結レベルでは、イベントリスクのトレーディング、イベントリスクの引受、VaR、および金利デルタについ
てリスク選好度を定めている。
242/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクは、イベントリスクがトレーディング環境における市場リスクの最も重要な指標であると考えてい
る。イベントリスクは、 極端だが可能性のある市場リスク要因の所定の変動による個別のトレーディング・ポー
トフォリオの損益への影響を測定するの に役立つ 。 それらの変動は、テナー・ベーシス・スワップ ・ スプレッド
や金利、 為替レート 、 信用スプレッド、ボラティリティ、 金利曲線の転換 などリスクドライバーを 捉えた各シナ
リオに反映されている 。 シナリオに応じて、 個別のリスク要素または複数のリスク要素のカテゴリーにストレス
が加えられる。
感応度分析とストレス・テストを実施することで測定したイベントリスクは、2020年12月31日現在は61百万
ユーロと、所定の限度内に十分とどまっていた。イベントリスクは59百万ユーロと104百万ユーロの間で推移
し、平均は79百万ユーロであった。
VaR は、過去1年分の市場変動に基づき、「通常の」市場条件の下における所定の信頼水準および対象期間に
係る最大損失額を示している。日次のリスク管理では信頼水準97.5%および対象期間1日が用いられている。こ
の方法の下で、過去の市場変動および構築しているポジションに基づいてVaRが計算される。以下の表はVaRの構
成を示したものである。2020年度には、VaRは2.7百万ユーロから7.5百万ユーロの間で推移し、平均は4.8百万
ユーロであった。2020年12月31日現在のVaRは4.2百万ユーロであった。
VaR (1日、97.5%)(単位:百万ユーロ)
金利 信用 通貨 株式 商品 分散化 合計
2020 年 12月31日現在 3.5 1.7 0.3 0.0 0.5 (1.7) 4.2
2020 年 ―平均 4.0 1.8 0.3 0.0 0.4 4.8
2020 年 ―最高 6.4 4.0 0.8 0.0 2.4 7.5
2020 年 ―最低 2.9 0.4 0.1 0.0 0.1 2.7
2019 年 12月31日現在 3.4 0.7 0.2 0.0 0.2 (1.4) 3.2
2019 年 ―平均 2.9 1.4 0.2 0.0 0.2 - 3.0
2019 年 ―最高 3.9 3.1 1.9 0.0 1.2 - 4.3
2019 年 ―最低 2.1 0.7 0.0 0.0 0.1 - 2.3
金利デルタは、イールド・カーブが平行的に1ベーシスポイント(すなわち、0.01パーセンテージ・ポイン
ト)上昇した場合にポジションの価額がどれだけ変化するかを表す 値である 。 以下の金利デルタの表は、主要通
貨のイールド・カーブの変化に対する感応度を示したものである。2020年12月31日現在でトレーディング勘定の
金利デルタは マイナス34 千ユーロであった。報告期間中、金利デルタは所定の限度内に十分とどまっていた。
243/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
金利デルタ
単位:百万ユーロ 2020 年 12月31日現在 2019 年 12月31日現在
ユーロ 0.1 (0.2)
米ドル 0.0 0.0
豪ドル 0.0 0.0
その他 (0.1) 0.1
合計 0.0 (0.1)
4.7 流動性リスク
流動性リスクとは、ラボバンクがすべての支払および返済義務を期限内に履行できなくなるリスク、および資
産拡大の資金調達が可能だとしても、妥当な価格で調達できなくなるリスクをいう。こうした事態は、例えば、
顧客またはプロである取引相手が予想以上の資金を突然引き出し、その結果、当行の現金資源によって、市場に
おける資産の売却もしくは担保差し入れによって、または第三者からの資金借入によってそれを補填できない可
能性がある場合に発生する。ラボバンクは、公的資金および資本市場への妨げのないアクセスを確保するという
点で、十分な流動性ポジションならびにプロである市場参加者およびリテール顧客の両方の信頼の維持が不可欠
であると考えている。
流動性リスクの方針では、安定的な資金、すなわち、顧客から預託された資金および長期的なホールセール資
金調達を使用して資産を調達することを重視している。流動性リスクは幾つかの構成要素に基づいて管理されて
いる。
主要な構成要素は、質の高い流動性資産の十分なバッファーを保持することである。中央銀行で保持される預
金残高に加えて、これらの資産は、直ちに流動性を創出するために、中央銀行への担保差し入れ、レポ取引での
使用、市場での直接売却などに用いることができる。流動性バッファーの規模は、ラボバンクがその貸借対照表
を通じて晒されているリスクに合わせて調整されている。さらに、ラボバンクは住宅ローン・ポートフォリオの
一部を内部的に証券化したが、これは中央銀行に担保として差し入れることが可能となり、追加的な流動性バッ
ファーとして機能することを意味する。これは留保された証券化に関わるものであるため、連結貸借対照表には
反映されていない。
流動性リスク管理の次の構成要素は、高い信用格付、高い資本水準および慎重な資金調達方針からなってい
る。ラボバンクは、単一の資金調達源に過度に依存するようになることを避けるため様々な措置を講じている。
そうした措置には、満期、通貨、投資家、地域および市場に関する資金調達源の分散化、高水準の無担保の資金
調達による資産への担保権設定の限定、ならびに積極的かつ一貫した投資家向け広報活動の方針が含まれる。
244/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
その他の構成要素には、 ホールセール・バンキング事業内における最大の現金流出額に厳格な制限を設けるこ
と が含まれる。特に、ラボバンクは今後12ヶ月間に予想される現金流出入額を日次で計測および報告している。
そうした現金流出については、通貨別および地域別の限度額が設定されている。当行は、起こりうる危機的状況
に確実に備えるため、偶発的な資金調達について詳細な計画(偶発的資金調達計画)を作成している。これらの
計画については業務上のテストが定期的に実施されている。
多岐に亘るストレス・シナリオから生じる可能性のある結果について判断を下すためにシナリオ分析を毎月実
施している。分析に際しては、市場特有のシナリオ、ラボバンク特有のシナリオ、およびそれらの組合せも対象
としている。当グループの全体的な流動性ポジションに関する月次報告書が、オランダ中央銀行に提出されてい
る。これらの報告書は、当該監督官庁が策定したガイドラインに基づき作成されている。
以下の表は、割引前負債を、報告日から契約上の返済予定期日までの残存流動期間に応じて区分けしたもので
ある。この表は、元本および将来利払いに関連する契約上の割引前キャッシュ・フローに基づいているため、総
額は、連結財政状態計算書の金額と正確には一致していない。デリバティブは、流動性リスクの管理にとって、
または経営陣への報告にとって不可欠ではないことから、この表には含まれておらず、また、契約上の期日に基
づく分析を実施していない。キャッシュ・フロー・ヘッジに使用されるデリバティブの満期プロファイルは、注
記11.3「ヘッジ手段に指定したデリバティブ」に記載されている。
245/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
契約上の返済期日
3ヶ月
単位:百万ユーロ 要求払い 3ヶ月未満 から1年 1~5年 5年超 満期なし 合計
2020 年12月31日現在
負債
金融機関預り金 2,971 1,004 2,435 44,358 628 9,955 61,351
顧客預り金 309,893 10,186 11,219 7,303 23,748 705 363,054
発行済負債証券 8,194 10,426 23,068 44,777 35,169 - 121,634
その他負債(従業員給付
金およびリース負債を除
く) 1,751 1,640 1,307 324 60 632 5,714
リース負債 1 14 32 220 271 - 538
売買目的金融負債 - 998 - - - - 998
公正価値測定に指定した
金融負債 15 175 1,361 1,577 2,406 - 5,534
劣後債務 23 54 2,482 7,843 7,824 - 18,226
金融負債合計 322,848 24,497 41,904 106,402 70,106 11,292 577,049
金融保証 3,381 - - - - - 3,381
ローン・コミットメント 41,877 - - - - - 41,877
3ヶ月
単位:百万ユーロ 要求払い 3ヶ月未満 から1年 1~5年 5年超 満期なし 合計
2019 年12月31日現在
負債
金融機関預り金 4,491 1,649 3,410 7,130 818 7,986 25,484
顧客預り金 282,651 15,767 7,475 9,360 24,584 1,278 341,115
発行済負債証券 8,595 13,099 23,221 60,413 35,912 - 141,240
その他負債(従業員給付
金およびリース負債を除
く) 2,297 1,384 362 660 265 756 5,724
リース負債 2 19 34 198 319 4 576
売買目的金融負債 - 399 - - - - 399
公正価値測定に指定した
金融負債 114 248 800 2,724 3,271 - 7,157
劣後債務 31 59 1,574 7,474 12,717 - 21,855
金融負債合計 298,181 32,624 36,876 87,959 77,886 10,024 543,550
金融保証 3,726 - - - - - 3,726
ローン・コミットメント 35,089 - - - - - 35,089
246/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
下の表は資産および負債を報告日から契約上の返済期日までの残存期間に応じて区分けしたものである。これ
らの金額は連結財政状態計算書に記載された金額に対応している。
流動および非流動金融商品
3ヶ月 3ヶ月
単位:百万ユーロ 要求払い 未満 から1年 1~5年 5年超 満期なし 合計
2020 年12月31日現在
金融資産
現金および現金同等物 108,138 16 - - - 312 108,466
金融機関に対する貸出
金および預け金 10,599 7,424 1,034 56 94 2,176 21,383
売買目的保有金融資産 4 23 98 574 1,657 180 2,536
公正価値測定に指定し
た金融資産 - - 1 - - - 1
強制的に公正価値で測
定される金融資産 126 29 569 39 487 825 2,075
デリバティブ 1,963 2,200 3,695 3,520 18,260 - 29,638
顧客に対する貸出金お
よび預け金 35,288 15,287 36,179 106,376 234,149 8,903 436,182
その他の包括利益を通
じて公正価値で測定す
る金融資産 389 710 2,027 4,877 7,158 334 15,495
その他資産(従業員給
付金を除く) 631 1,150 862 1,688 129 3,043 7,503
金融資産合計 157,138 26,839 44,465 117,130 261,934 15,773 623,279
金融負債
金融機関預り金 2,969 999 2,410 44,263 565 9,956 61,162
顧客預り金 309,882 10,189 11,132 6,956 22,164 705 361,028
発行済負債証券 8,162 10,328 22,592 40,972 31,467 - 113,521
デリバティブ 2,208 2,271 3,038 4,502 16,370 13 28,402
売買目的金融負債 - 998 - - - - 998
その他負債(従業員給
付金およびリース負債
を除く) 1,774 1,677 1,371 385 83 632 5,922
リース負債 1 13 28 198 264 - 504
公正価値測定に指定し
た金融負債 15 175 1,311 1,559 2,115 - 5,175
劣後債務 - - 1,999 6,201 5,286 - 13,486
金融負債合計 325,011 26,650 43,881 105,036 78,314 11,306 590,198
純残高 (167,873) 189 584 12,094 183,620 4,467 33,081
247/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
3ヶ月 3ヶ月
単位:百万ユーロ 要求払い 未満 から1年 1~5年 5年超 満期なし 合計
2019 年12月31日現在
金融資産
現金および現金同等物 62,553 9 3 - - 521 63,086
金融機関に対する貸出
金および預け金 18,288 7,634 1,126 164 169 1,916 29,297
売買目的保有金融資産 28 160 151 628 844 59 1,870
公正価値測定に指定し
た金融資産 - - 1 - - - 1
強制的に公正価値で測
定される金融資産 45 64 440 89 538 729 1,905
デリバティブ 1,081 1,003 1,488 4,023 15,989 - 23,584
顧客に対する貸出金お
よび預け金 34,852 16,215 37,239 106,628 237,986 7,687 440,607
その他の包括利益を通
じて公正価値で測定す
る金融資産 478 1,021 2,234 7,889 1,519 364 13,505
その他資産(従業員給
付金を除く) 67 1,317 1,507 1,376 170 2,167 6,604
金融資産合計 117,392 27,423 44,189 120,797 257,215 13,443 580,459
金融負債
金融機関預り金 4,489 1,642 3,378 6,977 772 7,986 25,244
顧客預り金 282,565 15,763 7,423 8,934 22,573 1,278 338,536
発行済負債証券 8,530 12,887 23,716 55,065 30,205 - 130,403
デリバティブ 1,293 1,121 1,598 5,426 14,602 34 24,074
売買目的金融負債 - 399 - - - - 399
その他負債(従業員給
付金およびリース負債
を除く) 2,159 1,478 532 845 292 757 6,063
リース負債 2 18 30 174 317 1 542
公正価値測定に指定し
た金融負債 114 233 772 2,477 2,732 - 6,328
劣後債務 - - 1,012 5,293 9,485 - 15,790
金融負債合計 299,152 33,541 38,461 85,191 80,978 10,056 547,379
純残高 (181,760) (6,118) 5,728 35,606 176,237 3,387 33,080
上記の概要は契約上の情報に基づいて作成されており、これらの金融商品の実際の動きを表したものではな
い。しかしながら、日次の流動性リスク管理においては考慮されている。その一例として顧客の貯蓄性預金が挙
げられる。契約では、顧客は貯蓄性預金をいつでも引き出すことができる。経験上は、貯蓄性預金はラボバンク
にとって非常に安定した長期的資金調達手段である。監督当局の流動性規制も、これを1つの要因として考慮し
ている。
2020 年12月31日現在の「流動性カバレッジ比率」(LCR)は193% ( 2019 年度は 132 %)であり、ラボバンクは
オランダ中央銀行(DNB)が定めた100%の最低要件を遵守している。
248/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
金融保証に基づく支払を行うために必要な流動性要件は、通常第三者がそのような契約に基づき資金引出しを
行うことをラボバンクが想定していないため、負債の想定元本を大きく下回っている。契約に基づく信用供与義
務の残高合計は、その多くの部分が資金調達の必要なしに終了または解除されるため、必ずしもラボバンクの将
来におけるキャッシュ・リソースの需要を表すものではない。
4.8 オペレーショナルリスク
オペレーショナルリスクに晒されることは、ラボバンクの事業活動にとって不可避の部分である。 オペレー
ショナルリスク と は、 不十分もしくは機能不全なプロセス、人員、システムおよび/または 外部の事象に起因す
る財務上、規制上および評判上の影響のリスクをいう。ラボバンクは、組織の複雑性および規模に応じて、当行
のリスク選好度に基づき設定された範囲内で当該リスクを最小化している。ラボバンクは、オペレーショナルリ
スクを積極的に管理および制御するためのリスクおよび統制フレームワーク(以下「RCF」という)を有してお
り、方針、手続、制限 および統制 の 仕組みによってこれを補完している。こうした組織の規模や複雑性を踏ま
え、ラボバンクのオペレーショナルリスク損失に対する許容水準は、年間総収益予算の約1.5%以下に設定され
ている。ラボバンクは、その規模および事業活動の複雑性を考慮し、許容可能なリスク水準の限度を設定するた
めに複数のリスク選好度声明(RAS)指標を使用している。
ラボバンクの全事業ユニット(子会社も含む)および中央サポート機能はRCFの遵守を義務付けられている。
RCFは、許容可能なリスク水準の範囲内にオペレーショナルリスクを管理している。RCFは、リスクおよび統制活
動に関する必須の要件を設定し、当行が将来予測的な統合アプローチを用いてオペレーショナルリスクを効率的
かつ効果的に管理することを可能にしている。オペレーショナルリスクの管理や方向性の決定を目的としたリス
クオーナーによる統制会議が四半期ごとに開催される。ラボバンクは、この体制を通じて現時点で存在するオペ
レーショナルリスクを管理するとともに、新たに出現するリスクを特定し、それに備えている。
統一的で一貫したリスク統制活動により、各種オペレーショナルリスクの効果的かつ効率的な管理、および組
織内のリスクと統制の許容可能 な バランスが実現する。RCFは、ラボバンクの日々の事業活動の全般的な効率性
と有効性を高め、ラボバンクがより優れた学習組織となることを支えている。
マネーロンダリング防止、テロリスト資金供与防止および制裁
ラボバンクにとって金融システムの門番としての役割を果たすことが最優先事項である。ラボバンクは、適用
法規の遵守および良好な顧客サービスの基礎を強化するため、近年、KYC(顧客の本人確認)活動を大幅に改善
し、KYC遵守への投資を拡大してきた。また、当行は犯罪行為(の疑い)の 特定 を 目的として顧客ファイルや
データの質を強化するためのグローバル・プログラムを実施している。
249/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2018 年9月、ラボバンクは、オランダ中央銀行(DNB)から差止命令(last onder dwangsom)を受けた。DNB
は2020年4月1日付で、ラボバンクが上記差止命令の要件を満たしているかどうかに関する調査を開始した。当
行の取り組みにもかかわらず、DNBは、ラボバンクが差止命令の要件を満たしていないとする決定を下した。そ
の結果、500,000ユーロの罰金(dwangsom)が徴収された。
しかし、ラボバンクは2020年度に専用のリソースとプロセスのさらなる自動化および刷新の両面でKYC活動へ
の多額の投資を引き続き行い、フロントオフィス業務と子会社を除いて、年間380百万ユーロを割り当てた。こ
のプログラムには、マネーロンダリング防止/テロリスト資金供与防止(AML/CTF)および制裁のグローバル・
フレームワーク改善の取り組みも盛り込まれている。これに伴い、ラボバンクは、オランダ国内リテールの分野
で約800名の追加人員をKYC担当者として投入して研修を行い、世界全体でKYC活動に従事する専門要員の総数を
約4,000名に増強した。また、ラボバンクでは金融情報機関(FIU)への異常取引の報告件数が増加した。さら
に、ラボバンクのKYC活動は改善され、現金決済率の高い高リスクのセクターなどの(テーマを絞った)調査が
強化された。これに加え、顧客の解約に関する規定類を修正した。
ラボバンクは改善を行っているものの、依然としてなすべきことが山積している。したがって、ラボバンクは
KYCプログラムへの注力と投資を継続する。このプログラムは、経営委員会の直接的な責任の下で実行されてい
る。このプログラムでは、3LoRモデルに従って各ラインに明確な責任と業務を割り当てる。第1のラインはリス
クを取り、リスクを所有し、リスクとリターンを管理する。第2のラインは、リスクとコンプライアンスのガバ
ナンスを提供し、リスクテイクに対する審査や助言を行い、リスク特性を監視する。第3のラインは(定期的
な)評価を通じて独立の保証、助言および知見を提供する。監督委員会は同委員会の管理を補佐する(臨時)委
員会を設置した。今後、DNBはラボバンクのKYCプログラムの監督も継続する予定である。2021年度において、ラ
ボバンクはKYC活動および先端技術への投資を継続する予定であり、そうすることによって他の方法では把握で
きなかった、または異常として検知されなかった取引パターンを検知する能力が強化されることになる。ラボバ
ンクは、引き続き品質確保に注力し、プロセスの有効性と効率性を強化していく。重点対象となるのは、当行の
リスク選好度および「 体系的な誠実性リスク分析 ( SIRA)」の調整のほか、顧客の継続的監視および異常取引の
適時な検知である。さらに、銀行と公的部門の様々な関係者との一層密接な協力関係も促進する。こうした共同
の取り組みは、金融犯罪や経済犯罪に対する共闘の強化に必要不可欠である。
4.9 金融資産および金融負債の公正価値
ラボバンクは公正価値の測定に関して、資産の売却または負債の譲渡の取引は、当該資産または負債の主要市
場、あるいは主要市場が存在しない場合には最も有利な市場で実施されると仮定する。
250/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクが保有、発行している多くの金融資産および金融負債については市場価格が存在しない。市場価格
が入手できない金融商品の場合、以下の表に示された公正価値は、報告日時点の市場条件に基づき、現在価値ま
たは他の見積りおよび評価方法の結果を使用して見積られたものである。これらの方法を使用して引出される価
値は、金額ならびに将来キャッシュ・フローのタイミング、割引率および市場で将来起こりうる流動性の逼迫な
どに使用された基礎となる仮定に大きく影響される。使用された方法および仮定は次のとおりである。
現金および現金同等物
現金および現金同等物の公正価値は、その帳簿価額にほぼ等しいと仮定されている。この仮定は、極めて流動
性の高い投資や、その他すべての金融資産および金融負債の短期的な部分にも使用されている。
金融機関に対する貸出金および預け金
金融機関に対する貸出金および預け金には、銀行間預金および回収予定金も含まれている。定期的に価額が見
直され、信用リスクが大幅に変化することのない変動金利預金および翌日物預金の公正価値は、それらの帳簿価
額である。固定金利預金の見積公正価値は、同等の信用リスクと残存期間の負債に対する適切なマネー・マー
ケット金利に基づいて計算したキャッシュ・フローの現在価値をベースにしている。
売買目的で保有されている金融資産およびデリバティブ
売買目的で保有されている金融資産は、活発な市場において入手可能な市場価格に基づく公正価値で計上され
ている。活発な市場における市場価格が入手できない場合、公正価値は割引キャッシュ・フロー・モデルおよび
オプション評価モデルに基づいて見積られる。
デリバティブは、取引所における取引価額(ビッド・アスク幅のあるユーロ、米ドルおよび英ポンド建のデリ
バティブには仲値が用いられる)、トレーダーのオファー価額、割引キャッシュ・フロー・モデル、ならびに基
礎となる商品の現在の市場価格と契約価額に基づき、貨幣の時間価値、イールド・カーブ、および基礎となる資
産・負債のボラティリティを反映したオプション評価モデルに基づいて決定される公正価値で認識されている。
251/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
店頭(以下「OTC」という)デリバティブについては、特定の取引相手に係る不履行リスクに関連する予想信
用損失を反映するために、信用評価調整(以下「CVA」という)が行われている。CVAは取引相手ごとに決定さ
れ、担保、ネッティング契約その他の関連契約の要因、デフォルト確率および回収率を考慮に入れた予想される
将来のエクスポージャーに基づいて算定されている。CVAはクレジット・デフォルト・スワップ(以下「CDS」と
いう)スプレッドを含む入手可能な市場データに基づいて計算される。CDSスプレッドが入手できない場合、関
連する代用指標が用いられる。OTCデリバティブの評価に際して自己の信用力を組み入れるために債務評価調整
(以下「DVA」という)がなされている。DVAの計算はCVAの枠組みと一致しており、ラボバンクのCDSスプレッド
を使用して算定されている。考慮に入れているもう1つの要因は、資金調達評価調整(以下「FVA」という)で
ある。FVAは、証券によってヘッジされた取引と証券によってヘッジされていない取引の間の評価差額に関する
ものである。有担保取引はオーバーナイト・インデックス・スプレッドに基づく割引曲線により評価される。無
担保取引はEuribor/Liborに市場条件を反映したスプレッドを加えたものに基づく割引曲線により評価される。
公正価値測定に指定した金融資産および強制的に公正価値で測定される金融資産
これらの金融資産は、入手可能な場合、活発な市場における市場価格に基づく公正価値で計上されている。そ
のような市場価格がない場合は、市場における同等の資産から、または適切な割引キャッシュ・フロー・モデル
およびオプション評価モデルを含む評価手法を使用して見積られる。
顧客に対する貸出金および預け金
顧客に対する貸出金および預け金の公正価値は、取引相手の信用度を考慮に入れた上で、類似の貸出に対する
現在の市場金利を使用して将来キャッシュ・フロー見込額を割引くことにより見積られる。住宅ローンの公正価
値評価については、契約上のキャッシュ・フローをポートフォリオの期限前返済率で調整している。定期的に価
額が見直され、信用リスクが大きく変動しない変動金利ローンについては、公正価値が帳簿価額に近似する。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
これらの金融資産は、証券取引所の市場価格に基づく公正価値で測定されている。活発な市場における市場価
格が入手できない場合、公正価値は割引キャッシュ・フロー・モデルおよびオプション評価モデルに基づいて見
積られる。
金融機関預り金
金融機関預り金には、銀行間預金、回収予定金および預金も含まれている。定期的に価額が見直され、信用リ
スクが大幅に変化することのない変動金利預金および翌日物預金の公正価値はそれぞれの帳簿価額である。固定
金利預金の見積公正価値は、同等の信用リスクと残存期間の負債に対して適用される有効なマネー・マーケット
金利に基づいて計算した、キャッシュ・フローの現在価値をベースにしている。
252/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
顧客預り金
顧客預り金には当座預金が含まれる。特定の期日が設定されていない貯蓄性預金および当座預金の残高の公正
価値は、報告日に要求払いされる金額、すなわちその日におけるそれぞれの帳簿価額とされている。これらの預
金の公正価値は、類似契約で測定対象と残存期間が一致する現行金利のビッド・レートに基づいて計算された、
キャッシュ・フローの現在価値から見積られる。変動金利預金の帳簿価額は、報告日における公正価値の近似値
となっている。
売買目的金融負債
売買目的金融負債の公正価値は、活発な市場において入手可能な市場価格を基礎としている。活発な市場にお
ける市場価格が入手できない場合は、公正価値は評価モデルに基づいて見積られる。
公正価値測定に指定した金融負債
公正価値オプションは、仮にこれらの金融商品が償却原価で計上されたと仮定した場合に、これらの金融商品
と経済的なヘッジを行うためのデリバティブの間に発生するであろう会計上のミスマッチおよび評価の非対称性
を解消するために使用されている。公正価値測定に指定した金融負債には、ヘッジ手段であるデリバティブと併
せて公正価値に基づいて管理および報告されている仕組債および仕組預金が含まれる。これらの負債の公正価値
は、流通市場において入手可能な市場データに基づく信用調整後イールド・カーブおよび適切なCDSスプレッド
を使用して契約上のキャッシュ・フローを割引くことにより決定される。他のすべての市場リスクのパラメータ
は、それらの負債の市場リスクをヘッジするために使用されるデリバティブと整合するように評価されている。
自己の信用リスクの変動に起因する公正価値の変動は、「その他の包括利益」に計上されている。自己の信用リ
スクの変動に起因する公正価値の変動は、当初認識時の実勢クレジット・カーブに基づいて再計算された公正価
値から報告日時点における仕組債ポートフォリオの現在の公正価値を仕組債ごとに控除し、他のすべての価格設
定の構成要素は変更しないことによって計算されている。この計算は、それらの仕組債の当初認識以後における
ラボバンクの自己の信用リスクの変動に帰することのできる金額を反映するものである。
発行済負債証券および劣後債務
これらの商品の公正価値は、活発な市場における市場価格を使用して計算される。活発な市場における市場価
格が入手できない負債証券については、その残存期間に対応する信用調整後イールド・カーブをベースにして、
割引キャッシュ・フロー・モデルを使用する。
253/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
以下の表は、以下に説明されている評価方法および仮定に基づき償却原価で認識される金融商品の公正価値を
示している。この表は、貸借対照表においてすべての金融商品が公正価値で認識されているわけではないため、
ここに掲示されたものである。公正価値とは、評価日に市場参加者の間で実施される標準的な取引において、資
産を売却して受け取るであろう価格、または負債を移転するために支払うであろう価格のいずれかを表す。
2020 年 2019 年
単位:百万ユーロ 帳簿価額 公正価値 帳簿価額 公正価値
資産
現金および現金同等物 108,466 108,474 63,086 63,104
金融機関に対する貸出金および預け金 21,383 21,388 29,297 29,314
顧客に対する貸出金および預け金 436,182 452,017 440,607 455,358
負債
金融機関預り金 61,162 61,065 25,244 25,277
顧客預り金 361,028 366,903 338,536 343,895
発行済負債証券 113,521 115,351 130,403 132,326
劣後債務 13,486 15,716 15,790 17,625
上記の金額は、いくつかの方法と仮定に基づいて経営陣が行った最善の見積りである。活発な市場における市
場価格が入手可能な場合は、それが公正価値の最善の見積りとされる。
期間の定めがある証券、資本性金融商品、デリバティブ、コモディティ商品などに関して活発な市場における
市場価格が入手できない場合、ラボバンクは、その投資の信用格付と残存期間に対応する市場金利で割引いた、
将来キャッシュ・フローの現在価値に基づいて見積公正価値を決定する。また、モデルに基づく価格を公正価値
の決定に使用することもできる。
ラボバンクは、財政状態計算書上の金融商品の評価のために利用したすべてのモデルを、金融商品の公正価値
を決定するスタッフとは独立した立場にある専門知識を有したスタッフによって検証するという方針に従ってい
る。
市場価値または公正価値の決定にあたっては様々な要因を検討しなければならない。かかる要因には、貨幣の
時間的価値、ボラティリティ、原オプション、および取引相手の信用の質が含まれる。評価プロセスは、定期的
に入手可能な市場価格が体系的に使用されるように設計されている。仮定の修正は、売買目的および売買目的以
外の金融資産・負債の公正価値に影響することもある。
以下の表は、金融資産および金融負債の、公正価値決定に使用された公正価値ヒエラルキーを示したものであ
る。内訳は以下のとおりである。
254/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
・ レベル1:同一の資産・負債にかかわる、活発な市場における市場価格。「活発な市場」とは、当該資産ま
たは負債に関連する取引が、価格情報を恒久的に提供するために十分な頻度と十分な取引量で発生する市場
である。
・ レベル2:レベル1に含まれる市場価格以外のインプットで、資産・負債に関して直接的(すなわち、価格
として)または間接的(すなわち、価格からの派生として)に観察可能なもの。
・ レベル3:観察可能な市場データに基づかない、資産・負債にかかわるインプット。
経常的に公正価値で測定する金融商品の評価について、ラボバンクは、各報告期間末時点で公正価値ヒエラル
キーのレベルを再評価し、公正価値ヒエラルキーの様々なカテゴリー間の振替が発生したかを判断している。
単位:百万ユーロ レベル1 レベル2 レベル3 合計
2020 年12月31日現在
財政状態計算書において償却原価で計上す
る資産
現金および現金同等物 108,474 - - 108,474
金融機関に対する貸出金および預け金 - 21,354 34 21,388
顧客に対する貸出金および預け金 - 128,220 323,797 452,017
財政状態計算書において公正価値で計上す
る資産
売買目的金融資産 1,950 86 500 2,536
公正価値測定に指定した金融資産 - - 1 1
強制的に公正価値で測定される金融資産 - 704 1,371 2,075
デリバティブ 22 29,558 58 29,638
その他の包括利益を通じて公正価値で測定
する金融資産 12,774 2,460 261 15,495
売却目的固定資産 - - 52 52
財政状態計算書において償却原価で計上す
る負債
金融機関預り金 - 60,905 160 61,065
顧客預り金 - 70,708 296,195 366,903
発行済負債証券 10,061 98,282 7,008 115,351
劣後債務 15,693 23 - 15,716
財政状態計算書において公正価値で計上す
る負債
デリバティブ 21 28,353 28 28,402
売買目的金融負債 998 - - 998
公正価値測定に指定した金融負債 - 5,175 - 5,175
255/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
単位:百万ユーロ レベル1 レベル2 レベル3 合計
2019 年12月31日現在
財政状態計算書において償却原価で計上す
る資産
現金および現金同等物 63,084 20 - 63,104
金融機関に対する貸出金および預け金 38 29,000 276 29,314
顧客に対する貸出金および預け金 - 132,662 322,696 455,358
財政状態計算書において公正価値で計上す
る資産
売買目的金融資産 1,649 147 74 1,870
公正価値測定に指定した金融資産 - - 1 1
強制的に公正価値で測定される金融資産 72 620 1,213 1,905
デリバティブ 36 23,434 114 23,584
その他の包括利益を通じて公正価値で測定
する金融資産 11,608 1,671 226 13,505
売却目的固定資産 - - 435 435
財政状態計算書において償却原価で計上す
る負債
金融機関預り金 - 25,141 136 25,277
顧客預り金 - 76,033 267,862 343,895
発行済負債証券 8,029 117,478 6,819 132,326
劣後債務 17,601 24 - 17,625
財政状態計算書において公正価値で計上す
る負債
デリバティブ 28 23,980 66 24,074
売買目的金融負債 399 - - 399
公正価値測定に指定した金融負債 - 6,328 - 6,328
レベル3の金融商品の評価に、より有利な合理的仮定を用いた場合の損益計算書への潜在的な税引前影響額は
118百万ユーロ(2019年度は90百万ユーロ)であり、その他の包括利益への潜在的な税引前影響額は5百万ユー
ロ(2019年度は3百万ユーロ)である。レベル3の金融商品の評価に、より不利な合理的仮定を用いた場合の損
益計算書への潜在的な税引前影響額はマイナス119百万ユーロ(2019年度はマイナス69百万ユーロ)であり、そ
の他の包括利益への潜在的な税引前影響額はマイナス2百万ユーロ(2019年度はマイナス3百万ユーロ)であ
る。
レベル3に分類される公正価値で測定する金融資産は主に、DGS債権、メカニクス・バンクに対する株式持分
およびプライベート・エクイティ持分から成り、2020年12月31日現在の総額は1,319百万ユーロであった。プラ
イベート・エクイティ持分の評価に係る重要な観察不能なインプットはEBITDAに適用されている乗数である。加
重平均乗数は7.8で、乗数のマイナス1(不利)からプラス1(有利)の幅がある。
表は、財政状態計算書に公正価値で計上され、レベル3に分類されている金融商品の変動を示している。資本
に含められるレベル3における公正価値調整額は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の再
評価準備金として会計処理されている。
256/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2020 年度には、レベル1とレベル2の間に重要な振替はなかった。
損益に組入 OCI に組入れ
2020 年 れられる られる レベル 売却目的保 2020 年
1月1日 公正価値 公正価値の 3への(か 有資産への 12 月31日
単位:百万ユーロ 現在の残高 の変動 変動 購入額 売却額 決済額 らの)振替 振替 現在の残高
資産
売買目的金融資産 74 (10) - 462 (26) - - - 500
公正価値測定に指定
した金融資産 1 - - - - - - - 1
強制的に公正価値で
測定される金融資産 1,213 (33) - 270 (79) - - - 1,371
デリバティブ 114 4 - - - (59) (1) - 58
その他の包括利益を
通じて公正価値で測
定する金融資産 226 - - 2 (16) - 49 - 261
負債
デリバティブ 66 21 - - - (59) - - 28
公正価値測定に指定
した金融負債 - - - - - - - - -
損益に組入 OCI に組入れ 売却目的保
2019 年 れられる られる レベル 有資産への 2019 年
1月1日 公正価値 公正価値の 3への(か 振替 12 月31日
単位:百万ユーロ 現在の残高 の変動 変動 購入額 売却額 決済額 らの)振替 現在の残高
資産
売買目的金融資産 63 - - 17 (6) - - - 74
公正価値測定に指定
した金融資産 8 - - 1 (7) (1) - - 1
強制的に公正価値で
測定される金融資産 1,563 94 - 400 (738) (106) - - 1,213
デリバティブ 256 8 - - - (138) (12) - 114
その他の包括利益を
通じて公正価値で測
定する金融資産 464 2 10 10 (31) - - (229) 226
負債
デリバティブ 123 59 - - - (115) (1) - 66
公正価値測定に指定
した金融負債 - - - - - - - - -
257/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
レベル3の資産および負債に関連して損益計算書に認識された損益合計額は、以下の表に示すとおりである。
報告期間末に保 報告期間末にも
有されている商 はや保有されて
単位:百万ユーロ 品 いない商品 合計
2020 年12月31日現在
資産
売買目的金融資産 (11) 1 (10)
公正価値測定に指定した金融資産 - - -
強制的に公正価値で測定される金融資産 (33) - (33)
デリバティブ (6) 10 4
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産 - - -
負債
デリバティブ 11 10 21
公正価値測定に指定した金融負債 - - -
2019 年12月31日現在
資産
売買目的金融資産 - - -
公正価値測定に指定した金融資産 - - -
強制的に公正価値で測定される金融資産 71 23 94
デリバティブ 8 - 8
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産 2 - 2
負債
デリバティブ 36 23 59
公正価値測定に指定した金融負債 - - -
初日利得の認識
当初時点で金融商品に公正価値会計を使用する場合、取引価額と公正価値の間にプラスの差額(いわゆる「初
日利得」)が生じ、かつその評価方法が活発な市場からの観察可能なインプットに基づく場合、当該差額は損益
計算書に計上する。それ以外のすべての場合は、初日利得は全額繰延べられ、当初認識後に要因の変化(時間効
果を含む)から利益が発生した範囲内で、繰延初日利得を利益として認識する。2020年12月31日現在において、
繰延初日利得はない。
258/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
4.10 法的手続および仲裁手続
ラボバンクは、相当の訴訟リスクを引き起こす法律・規制上の環境の中で活動している。ラボバンクはオラン
ダおよび他の諸国において訴訟、仲裁および規制手続に関与している。以下では、ラボバンク・グループに負債
を発生させる可能性のある、最も関連性の深い法律・規制上の訴訟について述べる。法的主張に対する引当金
は、過去の事象の結果として債務が生じ、その債務を決済するために資源の流出が必要になる可能性が高い場合
で、かつ債務額について信頼性のある見積りができる場合に認識される。その主張により資源の流出が発生する
可能性が発生しない可能性よりも高い(すなわち、可能性が50%を超えている)かどうかを判断するに当たっ
て、ラボバンクは複数の要因を考慮に入れる。これらの要因には、主張の種類および根底にある事実関係、各事
案の手続プロセスおよびそれまでの経緯、法的機関および仲裁機関の判決・裁定、ラボバンクの経験および類似
事案に関与した第三者の経験(既知の場合)、それまでの和解協議、類似事案における第三者の和解(既知の場
合)、利用可能な(潜在的な)求償権、ならびに法務アドバイザーおよびその他専門家の助言や意見が含まれる
(がこれらに限らない)。同種の事案はひとつにまとめられており、また事案によっては複数の主張が含まれて
いることもある。特定の事案に関する見積損失額が、当該事案の結果に悪影響を与える可能性がある情報である
とラボバンクが判断した場合、この情報を個別には開示していない。潜在的な見積損失額および引当金は、その
時点で入手可能な情報に基づくものであり、その大部分は判断ならびに複数の異なる仮定、変数および既知・未
知の不確実性を前提としている。かかる不確実性には、ラボバンクが入手可能な情報の不正確性および不完全性
が含まれることがある(特に、事案の初期段階の場合)。また、ラボバンクが、将来の法的もしくはその他の事
例の判決、または監督機関もしくはラボバンクの相手方が取ると見込まれた行動もしくは態度に関して立てた仮
定が、誤っていたと判明することもある。さらに、法的紛争に関連して発生する可能性のある損失の見積りは、
判断や見積りのために一般的に使用される統計的またはその他の定量的分析手段を使用して処理することが往々
にして不可能である。ラボバンクが、将来的な資金流出のリスクについて、発生する可能性が発生しない可能性
よりも高いと判断する事案グループは、時間と共に変化する。当行が潜在的な損失額を見積もることのできる事
案数についても、同じことが言える。実務では、見積りがなされたこれらの事案において、最終結果が、潜在的
な見積損失額を大幅に上回ったり下回ったりすることがあり得る。ラボバンクはまた、損失発生の可能性は高く
ないと思われるものの、極めて低いわけでもなく、かつ引当金を認識していない法務リスクから損失を被ること
もある。(a)資金流出が発生する可能性が高くはない(not probable)ものの、ほとんどないとは言えない場
合、または(b)資金流出が発生する可能性が発生しない可能性よりも高い(more likely than not)ものの、潜
在的な損失額を信頼性をもって見積ることができない場合、偶発債務が表示される。ラボバンクは、罰金が課さ
れる前または賠償責任が決定される前に、訴訟もしくは規制手続または調査で和解することがある。和解の理由
は、たとえラボバンクが自らを防御する十分な論拠があると判断した場合でも、(i)その段階で費用および/も
しくは経営陣の労力を回避したいという判断、(ii)その他のビジネスへの悪影響の回避、ならびに/または
(iii)賠償責任に関連する紛争の継続による規制・評判上の影響を防止することなどである。さらに、ラボバン
クは同じ理由により、法律上要求されないと判断する状況でも、第三者に損失補償を行うことがある。
259/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
金利デリバティブ
ラボバンクは、オランダ法人顧客との間で締結された金利デリバティブに関連してオランダ地方裁判所、上訴
裁判所、最高裁判所における民事訴訟に関与している。これらの訴訟の原告は全般に、虚偽の情報を提供された
と主張している。ラボバンクは、これらの請求に対して実質的かつ説得力のある法律および事実関係に基づく抗
弁を有するという立場を取っている。ラボバンクはこれらの請求に対して引き続き争う意向である。ラボバンク
は、自行のオランダのSME法人顧客の金利デリバティブの(再)評価ならびに決着した和解合意により支払われ
た前払金に関連して、2020年12月31日現在で12百万ユーロ(2019年12月31日は107百万ユーロ)の引当金を認識
した。
イムテック
イムテックグループは2015年8月に破産を宣告された。ラボバンクは、同グループへ資金を供与した銀行の一
つであり、また2013年7月と2014年10月のいずれの株主割当も引き受けている。ラボバンクは2018年1月30日、
目論見書に虚偽表示があったとの主張に基づく集団訴訟と詐欺的偏頗行為(actio pauliana)の疑いに関する集
団訴訟に関する訴訟手続が後日開始される可能性があるとのライアビリティ・レターを株主グループから受領し
た。2018年3月28日付の書状により、VEB(株主全般の利益増進を目的とするオランダの団体)が、イムテック
の投資家が被ったとされる損害について、ラボバンクを含む関係者に責任があると主張した。ラボバンクは2018
年8月10日、イムテックの管財人から、同グループは多数の取引の無効化と様々な損害賠償を求めるとの正式通
知を受領した。当該書状は、訴訟の可能性を視野に時効期間を中断させることを目的としたものである。いかな
る訴訟手続もまだ開始されておらず、上記関係者のいずれによってもそれ以上の法的行為はとられていない。ラ
ボバンクは、現時点で(提起される可能性のある)これらの訴訟の結果を評価できないことから、イムテックの
事案は偶発債務であると認識している。引当金は計上していない。
260/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
Libor /Euribor
ラボバンクは、複数年に亘って、ベンチマーク関連の問題について、規制当局による手続に関与している。ラ
ボバンクはこれらの手続に関与している規制当局および各関係当局に協力しており、また今後も必要に応じて協
力していく予定である。2013年10月29日、ラボバンクは、ラボバンクによる過去のLiborおよびEuriborの呈示プ
ロセスに関する調査に関連して、複数のこれら当局との和解合意に至った。これらの和解合意に基づいて支払う
べき金額は2013年にラボバンクによって全額が支払われ、会計処理された。2019年7月2日、これに関連してラ
ボバンクは、さらに1件、当局との和解合意に達した。本和解合意に基づく支払債務は2019年にラボバンクに
よって全額が支払われ、会計処理された。ラボバンクは、他の複数のパネル行およびディーラー間ブローカーと
共に、米国の連邦裁判所における様々な推定上の集団訴訟および個別の民事訴訟に関連して被告として指名され
ている。これらの訴訟は、米ドル(USD)Libor、英ポンド(GBP)Libor、日本円(JPY)Libor、Tibor(注:ラ
ボバンクはTiborのパネル行を務めたことはない)およびEuriborに関するものである。また、ラボバンクおよ
び/またはその子会社は、金利ベンチマークに関連する民事訴訟でオランダ、アルゼンチン、英国、アイルラン
ドおよびイスラエルの様々な裁判所への出廷をラボバンクに命じる訴状および召喚状を受け取っている(集団訴
訟を含む)。上記の民事訴訟は、本質的に不確実性に晒されているため、その結果を予測することは困難であ
る。ラボバンクはこれらの訴訟に対し実質的かつ説得力のある法律および事実関係に基づく抗弁を有するという
立場を取っている。ラボバンクはこれらの請求に対して引き続き争う方針である。ラボバンクは、資金流出が発
生する可能性が高くはないものの、ほとんどないとは言えないと見積もっており、Libor/Euriborの一連の事案
グループを偶発債務と捉えている。引当金は設定されていない。
その他の事案
ラボバンクが対象になっている、引当金を認識した法的手続は他にもある。これらの事案は各々が比較的小規
模であることから(先に述べたとおり)個別に開示していない。これらの事案を併せた引当金総額は73百万ユー
ロ(2019年12月31日:91百万ユーロ)である。請求に関連する、発生する可能性がほとんどないとは言えない測
定可能な偶発債務の金額は最大で474百万ユーロ(2019年度は288百万ユーロ)である。これらの偶発債務の事案
に関して請求の対象となる金額の2019年度からの変動額は、主に、まだ初期段階にある1件の事案に関連してい
る。
前へ 次へ
261/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
5 セグメント別報告
5.1 事業セグメント
ラボバンクが会計報告に使用している事業セグメントは、経営上の視点から定義されたものである。これは、
各セグメントがラボバンクの戦略的経営の一部としてレビューされ、異なるリスクおよびリターンを伴う事業に
関する意思決定のために使用されることを意味している。
ラボバンクは、国内リテール・バンキング、ホールセール・アンド・ルーラル(W&R)、リース、不動産開
発、およびその他のセグメントという5つの主要事業セグメントを設けている。
・ 国内リテール・バンキングは、主として地方ラボバンク、オプフィオン、ファイナンシャル・ソリューショ
ンズおよびロパルコが行う事業から成っている。
・ ホールセール・アンド・ルーラル(W&R)はオランダの卸売事業を支援し、またオランダ国外では、食品・
農業セクターに重点を置いている。このセグメントは企業向けバンキング事業を行うと共に、マーケッツ、
アクイジション・ファイナンス、グローバル・コーポレート・クライアンツ、エクスポート・アンド・プロ
ジェクト・ファイナンス、トレード・アンド・コモディティ・ファイナンス、ファイナンシャル・インス
ティテューションズ・グループおよびラボ・コーポレート・インベストメンツなどのグローバルな業務を行
う部門も統括している。またこのセグメントには、ラボバンクのブランドのもとでの国際ルーラル事業も含
まれている。
・ リース・セグメントの中では、DLLがリース活動に責任を負い、幅広いリース商品を提供している。DLLは、
アセット・ファイナンス関連の商品の販売により、世界中の製造企業、ベンダーおよび販売企業 を支援して
いる 。
・ 不動産開発は、主にBPDの事業で構成されている。中核事業は住宅開発である。
・ ラボバンク内のその他のセグメントには様々なサブセグメントが含まれるが、いずれも独立セグメントとし
て掲記すべきものはない。このセグメントは主に関連会社(特にアフメア・B.V.)への投資、トレジャリー
および本社の活動の財務実績で構成される。
ラボバンクの総収益の10%超を占める顧客はいない。様々な事業セグメント間の取引は、通常の商取引条件に
基づいて行われる。事業セグメント間には、事業活動によるものを除き、他の重要な包括利益は存在しない。セ
グメントに使用されている財務報告の原則は、「会計方針」の項に記載されたものと同じである。経営陣は、主
に純受取利息に依拠して各セグメントの業績を評価し、セグメントに配分するリソースに関する意思決定を下す
ため、セグメントの受取利息は支払利息控除後の金額で表示されている。
262/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
国内
リテール・ その他の
単位:百万ユーロ バンキング W&R リース 不動産開発 セグメント 連結効果 合計
2020 年12月31日に終了した年度
純受取利息 4,615 2,197 1,100 (16) 290 (2) 8,184
純受取手数料 1,314 361 106 1 (9) 7 1,780
その他収益 30 164 292 309 15 8 818
収益 5,959 2,722 1,498 294 296 13 10,782
人件費 2,633 1,243 537 91 250 (70) 4,684
その他一般管理費 1,014 224 200 32 38 (45) 1,463
減価償却費および償却費 82 90 27 9 60 127 395
営業費用 3,729 1,557 764 132 348 12 6,542
のれんおよび関連会社への投資に
係る減損 - - 70 - 213 - 283
金融資産に係る減損費用 619 883 410 1 - - 1,913
規制上の賦課金 312 149 29 1 57 - 548
税引前営業利益 1,299 133 225 160 (322) 1 1,496
法人税 328 117 61 45 (152) 1 400
純利益 971 16 164 115 (170) - 1,096
収益に対する費用の比率(規制上
1
の賦課金を含む、単位:%)
67.8 62.7 52.9 45.2 n/a n/a 65.8
金融資産に係る減損費用(民間セ
クター向け貸出金ポートフォリオ
の平均に対する比率、単位:ベー
2
シス・ポイント) 23 81 127 n/a n/a n/a 46
外部資産 274,980 135,457 36,073 3,191 182,557 - 632,258
のれん 322 - - - - - 322
民間セクター向け貸出金ポート
フォリオ 271,262 105,889 31,911 119 199 - 409,380
1 営業費用に規制上の賦課金を加算した金額を、収益で除した比率
2 金融資産に係る減損費用を、民間セクター向け貸出金ポートフォリオの12ヶ月間の平均値で除した比率
国内
リテール・ その他の
単位:百万ユーロ バンキング W&R リース 不動産開発 セグメント 連結効果 合計
金融資産に係る減損引当金
2020 年1月1日現在の残高 2,124 1,596 357 14 - - 4,091
当初認識および取得による増加 199 62 124 - - - 385
認識中止による減少 (349) (152) (24) (15) - - (540)
信用リスクの変動による変動 829 975 342 2 - - 2,148
当年度の不良債権の償却 (417) (487) (183) - - - (1,087)
その他調整 7 (145) (14) (1) - - (153)
2020 年12月31日現在の残高 2,393 1,849 602 - - - 4,844
減損引当金:12ヶ月のECL 312 241 205 - - - 758
減損引当金:全期間のECL-非信
用減損 599 136 129 - - - 864
減損引当金:全期間のECL-信用
減損 1,482 1,472 268 - - - 3,222
2020 年12月31日現在の残高 2,393 1,849 602 - - - 4,844
263/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
国内
リテール・
その他の
単位:百万ユーロ バンキング W&R リース 不動産開発 セグメント 連結効果 合計
2019 年12月31日に終了した年度
純受取利息 5,258 2,431 1,052 (10) (273) (3) 8,455
純受取手数料 1,340 458 124 8 (22) (50) 1,858
その他収益 67 766 255 308 (3) 50 1,443
収益 6,665 3,655 1,431 306 (298) (3) 11,756
人件費 2,738 1,402 536 84 208 (147) 4,821
その他一般管理費 1,027 481 174 40 (9) 2 1,715
減価償却費および償却費 95 83 28 7 63 144 420
営業費用 3,860 1,966 738 131 262 (1) 6,956
関連会社への投資に係る減損 - - - - 300 - 300
金融資産に係る減損費用 152 611 214 2 (4) - 975
規制上の賦課金 270 140 26 2 46 - 484
税引前営業利益 2,383 938 453 171 (902) (2) 3,041
法人税 607 260 131 40 (200) - 838
純利益 1,776 678 322 131 (702) (2) 2,203
収益に対する費用の比率(規制上
1
の賦課金を含む、単位:%)
62.0 57.6 53.4 43.5 n/a n/a 63.3
金融資産に係る減損費用(民間セ
クター向け貸出金ポートフォリオ
の平均に対する比率、単位:ベー
2
シス・ポイント) 6 55 67 n/a n/a n/a 23
外部資産 275,885 137,092 37,876 3,201 136,544 - 590,598
のれん 322 - 70 - - - 392
民間セクター向け貸出金ポート
フォリオ 271,165 112,410 33,169 256 914 - 417,914
1 営業費用に規制上の賦課金を加算した金額を、収益で除した比率
2 金融資産に係る減損費用(民間セクター向け貸出金ポートフォリオの平均に対する比率、単位:ベーシス・ポイント)
国内
リテール・
その他の
単位:百万ユーロ バンキング W&R リース 不動産開発 セグメント 連結効果 合計
金融資産に係る減損引当金
2019 年1月1日現在の残高 2,267 1,330 265 7 - - 3,869
当初認識および取得による増加 120 92 36 - - - 248
認識中止による減少 (283) (139) (51) - - - (473)
信用リスクの変動による変動 345 660 254 1 (19) - 1,241
当年度の不良債権の償却 (324) (254) (156) - - - (734)
その他調整 (1) (93) 9 6 19 - (60)
2019 年12月31日現在の残高 2,124 1,596 357 14 - - 4,091
減損引当金: 12 ヶ月の ECL
176 158 68 - - - 402
減損引当金:全期間の ECL -非
信用減損 213 76 77 - - - 366
減損引当金:全期間の ECL -信
用減損 1,735 1,362 212 14 - - 3,323
2019 年12月31日現在の残高 2,124 1,596 357 14 - - 4,091
264/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
5.2 地理的情報(国別の報告)
ラボバンクは7つの主要な地理的地域において事業を営んでいる。ラボバンクの所在地国はオランダである。
以下の情報は、特定の地理的立地/地域内の特定の経済環境内で商品および/またはサービスを提供するラボバ
ンクの区別可能な構成単位別に報告されている。分類は、取引が開始された個々の子会社/支店の立地に基づい
ている。収益は、損益計算書上に表示された収益合計に支払利息、支払手数料、その他の営業活動による費用を
加えたものであると定義されている。
2020 年12月31日現在
単位:百万ユーロ
平均常勤
換算内部 税引前
地理的立地 国 部門名 事業の種類 収益 従業員数 営業利益 法人税
オランダ オランダ ラボバンク、DLL、オ 国内リテール・バンキン 16,079 25,122 625 153
プフィオン、ラボ・ グ、ホールセール・アン
ファストフードグ ド・ルーラル、リース、
ループ、BPD 不動産開発
オランダを除く フランス DLL 、ラボバンク、ラ リース、ホールセール・ 158 167 58 20
ユーロ圏諸国 ボ・ファストフード アンド・ルーラル、不動
グループ、BPD 産開発
ベルギー DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 95 114 22 7
アンド・ルーラル
ドイツ DLL 、ラボバンク、ラ リース、ホールセール・ 998 702 91 29
ボ・ファストフード アンド・ルーラル、不動
グループ、BPD 産開発
イタリア DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 80 159 27 6
アンド・ルーラル
ルクセンブルク ラボ・ファストフー 不動産開発 - - - -
ドグループ
アイルランド DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 398 172 104 (14)
アンド・ルーラル
フィンランド DLL リース 8 14 1 -
オーストリア DLL リース 4 3 1 -
ポルトガル DLL リース 13 20 (1) -
スペイン DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 64 147 (6) (2)
アンド・ルーラル
265/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
平均常勤
換算内部 税引前
地理的立地 国 部門名 事業の種類 収益 従業員数 営業利益 法人税
上記以外の欧州 英国 DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 523 603 (5) (2)
諸国(ユーロ圏 アンド・ルーラル
諸国を除く)
ノルウェー DLL リース 38 46 9 2
スウェーデン DLL リース 56 146 (63) 1
デンマーク DLL リース 35 29 5 1
スイス DLL リース 6 8 - -
ロシア DLL リース 34 75 17 3
ポーランド DLL リース 32 80 8 2
ハンガリー DLL リース 7 32 2 -
トルコ DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 24 54 14 3
アンド・ルーラル
北米 米国 DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 2,991 2,947 314 66
アンド・ルーラル
カナダ DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 252 265 58 15
アンド・ルーラル
中南米 メキシコ DLL リース 31 79 (3) (1)
ブラジル DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 514 783 89 32
アンド・ルーラル
チリ DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 54 141 2 (1)
アンド・ルーラル
アルゼンチン DLL リース 4 16 1 -
ペルー ラボバンク ホールセール・アンド・ 1 3 - -
ルーラル
アジア インド DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 68 547 (11) 12
アンド・ルーラル
シンガポール DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 152 177 (126) (14)
アンド・ルーラル
インドネシア ラボバンク ホールセール・アンド・ 22 225 (20) -
ルーラル
マレーシア ラボバンク ホールセール・アンド・ 3 3 2 (1)
ルーラル
中国 DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 40 96 (31) (7)
アンド・ルーラル
香港 DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 173 189 (5) (1)
アンド・ルーラル
韓国 DLL リース 11 25 2 -
アラブ首長国連邦 DLL リース - 1 - -
オーストラリア オーストラリア DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 1,017 1,240 211 63
アンド・ルーラル
ニュージーランド DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 430 393 104 28
アンド・ルーラル
その他 モーリシャス、 ラボバンク ホールセール・アンド・ 1 19 - -
ケニア ルーラル
連結効果 (5,929) - - -
18,487 34,837 1,496 400
266/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2019 年12月31日現在
単位:百万ユーロ
平均常勤
換算内部 税引前
地理的立地 国 部門名 事業の種類 収益 従業員数 営業利益 法人税
オランダ オランダ ラボバンク、DLL、オ 国内リテール・バンキン 20,354 24,780 1,801 448
プフィオン、ラボ・ グ、ホールセール・アン
ファストフードグ ド・ルーラル、リース、
ループ、BPD 不動産開発
オランダを除く フランス DLL 、ラボバンク、ラ リース、ホールセール・ 102 159 (7) 23
ユーロ圏諸国 ボ・ファストフード アンド・ルーラル、不動
グループ、BPD 産開発
ベルギー DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 112 108 (31) (10)
アンド・ルーラル
ドイツ DLL 、ラボバンク、ラ リース、ホールセール・ 941 658 99 29
ボ・ファストフード アンド・ルーラル、不動
グループ、BPD 産開発
イタリア DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 77 146 28 3
アンド・ルーラル
ルクセンブルク ラボ・ファストフー 不動産開発 - - - -
ドグループ
アイルランド DLL 、 ラボバンク リース、ホールセール・ 620 173 120 12
アンド・ルーラル
フィンランド DLL リース 8 12 2 -
オーストリア DLL リース 3 3 - -
ポルトガル DLL リース 14 18 1 -
スペイン DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 63 145 15 6
アンド・ルーラル
上記以外の欧州 英国 DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 753 632 85 9
諸国(ユーロ圏 アンド・ルーラル
諸国を除く)
ノルウェー DLL リース 42 42 8 2
スウェーデン DLL リース 51 129 4 3
デンマーク DLL リース 36 28 6 -
スイス DLL リース 5 6 1 -
ロシア DLL リース 43 69 20 6
ポーランド DLL リース 36 83 9 2
ハンガリー DLL リース 14 37 - -
ルーマニア DLL リース - 2 - -
トルコ DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 42 55 30 7
アンド・ルーラル
北米 米国 DLL 、ラボバンク 、ラ リース、ホールセール・ 4,244 3,524 434 133
ボ・ファストフード アンド・ルーラル、不動
グループ 産開発
カナダ DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 285 238 63 16
アンド・ルーラル
中南米 メキシコ DLL リース 37 71 4 2
ブラジル DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 603 752 97 30
アンド・ルーラル
チリ DLL 、ラボバンク リース 76 140 (11) 2
アルゼンチン DLL リース 6 17 (1) -
ペルー ラボバンク ホールセール・アンド・ 1 - - -
ルーラル
267/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
平均常勤
換算内部 税引前
地理的立地 国 部門名 事業の種類 収益 従業員数 営業利益 法人税
アジア インド DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 87 547 (10) 3
アンド・ルーラル
シンガポール DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 257 195 6 1
アンド・ルーラル
インドネシア ラボバンク ホールセール・アンド・ 33 539 (85) 7
ルーラル
マレーシア ラボバンク ホールセール・アンド・ - 1 - -
ルーラル
中国 DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 72 106 3 4
アンド・ルーラル
香港 DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 355 189 16 -
アンド・ルーラル
韓国 DLL リース 13 23 3 1
アラブ首長国連邦 DLL リース - 2 (1) -
オーストラリア オーストラリア DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 1,154 1,153 233 70
アンド・ルーラル
ニュージーランド DLL 、ラボバンク リース、ホールセール・ 514 351 99 29
アンド・ルーラル
その他 モーリシャス、 ラボバンク ホールセール・アンド・ 2 18 - -
ケニア ルーラル
連結効果 (9,620) - - -
21,435 35,145 3,041 838
ラボバンクは、2020年度および2019年度において政府補助金を受け取っていない。
5.3 固定資産の地理的情報
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
国内 国外 国内 国外
のれんおよびその他無形資産 656 84 683 146
有形固定資産および投資不動産 1,975 3,040 2,173 3,286
その他資産 5,329 2,178 4,660 1,950
売却目的固定資産 40 12 221 214
合計 8,000 5,314 7,737 5,596
6 現金および現金同等物
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
現 金 536 745
中央銀行に対する預金 107,930 62,341
現金および現金同等物合計 108,466 63,086
オランダについて保有すべき平均最低準備金は、2020年12月において3,295百万ユーロ(2019年12月は3,110百
万ユーロ)である。
268/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
7 金融機関に対する貸出金および預け金
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
当座預金および受取債権 5,207 5,905
リバース・レポ取引および証券借入契約 15,803 22,703
貸出金 316 644
その他 58 48
金融機関に対する貸出金および預け金の帳簿価額総額 21,384 29,300
金融機関に対する貸出金および預け金に係る貸出金減損引当金 (1) (3)
金融機関に対する貸出金および預け金合計 21,383 29,297
8 売買目的金融資産
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
政府債券 1,093 666
その他負債証券 715 1,039
貸出金 548 106
資本性金融商品 180 59
合 計 2,536 1,870
9 公正価値測定に指定した金融資産
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
貸出金 1 1
合 計 1 1
公正価値測定に指定した金融資産の帳簿価額は、信用リスクに対する最大エクスポージャーの最善の評価額を
表す。公正価値測定に指定した金融資産の公正価値の当年度における変動額のうち、信用リスクの変化に起因す
るものはゼロであった。累積変動額もゼロである。公正価値の変動は、将来キャッシュ・フローを割引くことに
より計算される。割引率を設定する際は、ラボバンクは予想損失、流動性マークアップおよびリスク・マージン
を考慮している。ラボバンクは、クレジット・デリバティブを用いた公正価値測定に指定した金融資産のヘッジ
を行っていない。
10 強制的に公正価値で測定される金融資産
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
負債証券 43 37
貸出金 1,165 1,106
資本性金融商品 867 762
合 計 2,075 1,905
269/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
11 デリバティブ
ラボバンクでは、当行の様々な事業から発生するリスクの少なくとも一部を低減する目的でデリバティブを使
用している。例えば、資産と負債間の満期の差異から生じる金利リスクをヘッジするために金利スワップを使用
している。他にも、当行が外貨建の負債性金融商品を発行した後に晒される為替リスクをヘッジするためにクロ
スカレンシー・スワップを使用している。ヘッジ目的以外にも、当行は、法人顧客の取引相手として締結するデ
リバティブ契約もある。
11.1 ラボバンクが使用しているデリバティブの種類
通貨先渡契約および金利先渡契約は、実勢為替レートまたは金利に基づいて純額を受け取りもしくは支払う、
または将来、組織化された金融市場において特定の価格で外国通貨もしくは金融商品を購入もしくは売却すると
いう、契約上の義務である。先渡契約には現金、現金同等物または市場性証券が担保として提供され、先渡契約
の価格変動は主に中央清算機関を通じて毎日決済されるため、信用リスクは低い。ラボバンクの信用リスク・エ
クスポージャーは、取引相手が債務不履行に陥った場合にスワップを代替するために必要となる潜在的コストに
相当する。リスクは、現在の公正価値、契約の想定元本金額の一部および市場の流動性を対象に、継続的に監視
されている。信用リスク管理プロセスの一環として、ラボバンクは取引相手の評価に、自身の貸出業務を評価す
る際と同じ手法を使用している。
金利先渡契約とは個別に合意された金利の先渡契約で、それに基づき将来の日に、想定元本金額に基づいて契
約上合意した金利と市場金利の差額を現金で決済しなければならないものである。
通貨および金利スワップは、一組のキャッシュ・フローを他の組合せと交換するという取引契約である。ス
ワップは、通貨もしくは金利の経済的交換(例えば固定金利を1つまたは複数の変動金利と交換する)、または
組合せでの交換(すなわち、クロスカレンシー金利スワップ)を伴う。特定の通貨スワップを除き、元本金額の
移転は行われない。
通貨および金利のオプションは、売り手(ライターと呼ばれる)が買い手(ホルダーと呼ばれる)に対し、特
定金額の外貨または特定の金融商品を事前に定められた価格で、合意した日までにまたは合意した期間内に購入
(コール・オプションの場合)または売却(プット・オプションの場合)するという、強制力を伴わない権利を
与える契約である。通貨または金利のリスクを引受ける対価として、ライターはホルダーからある金額(プレミ
アムと呼ばれる)の支払を受ける。オプションは取引所、またはラボバンクと取引先との間(OTC)で取引され
る。ラボバンクはオプションのホルダーとして信用リスクにのみさらされ、またその金額の上限は公正価値と同
額である帳簿価額までである。
270/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は、CDSの売り手が買い手に対する一定の金額の支払を引受けると
いう商品である。この金額は、特定の信用事象が発生した(すなわち、リスクが現実化した)場合に参照資産の
保有により生じるであろう損失に等しい。買い手には、参照資産を保有する義務はない。買い手は売り手に対
し、概ねベーシス・ポイントで表示される信用プロテクションに関する手数料を支払う。手数料の水準は参照資
産の信用スプレッドおよび期間に応じて異なる。
11.2 売買目的で保有するデリバティブ
売買目的で発行または保有するデリバティブは、経済的リスクのヘッジのために使用されるもののヘッジ会計
として適格でないもの、また、法人顧客が金利リスクや為替リスクをヘッジするためにラボバンクと契約するデ
リバティブである。法人顧客とのデリバティブに起因するエクスポージャーは通常、所定の取引限度内で単独ま
たは複数のプロ投資家である取引相手と反対ポジションの契約を締結することによりヘッジされる。
11.3 ヘッジ手段に指定したデリバティブ
ラボバンクは、金利リスクや為替リスクを含む経済的リスクをヘッジする目的で様々なデリバティブを保有し
ている。これらは公正価値ヘッジ、キャッシュ・フロー・ヘッジまたは純投資ヘッジにおけるヘッジ手段として
適格なものである。
公正価値ヘッジ
ラボバンクは、金利スワップやクロスカレンシー金利スワップを用いて、金利や為替レートの変動を原因とす
る公正価値の潜在的変動をヘッジしている。それらの変動は通常、ヘッジ対象の変動全般の大半を占める。ヘッ
ジ対象は、住宅ローンやその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債証券、発行済負債証券、定期預金な
ど、自国通貨建と外貨建の両方の固定利付金融資産および負債である。ラボバンクは、統計的な回帰分析モデル
を基に、IAS第39号におけるポートフォリオの公正価値ヘッジに関してヘッジの有効性を将来に向かってと遡及
的の両方において評価し、IFRS第9号におけるポートフォリオ以外の公正価値ヘッジについて非有効部分の発生
原因を分析している。IFRS第9号における公正価値ヘッジの非有効部分について特定した発生原因は、クロスカ
レンシー金利スワップの変動金利部分(証拠金を除く)である。
IFRS 第9号における公正価値ヘッジのヘッジ比率は、実際の経済的ヘッジである(発行済債券の額面金額とク
ロスカレンシー金利スワップの想定元本)。
271/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
公正価値ヘッジにおけるヘッジ手段の残存期間構成と平均金利
残存期間
単位:百万ユーロ
想定元本合計 1年未満 1-5年 5年超
2020 年12月31日
ヘッジ手段 - 金融資産のヘッジ 59,606 5,304 38,276 16,026
平均固定金利 3.22% 1.41% 1.76% 4.01%
ヘッジ手段 - 金融負債のヘッジ 62,299 8,120 15,436 38,743
平均固定金利 2.46% 4.44% 2.06% 2.43%
2019 年12月31日
ヘッジ手段 - 金融資産のヘッジ 46,579 4,204 24,470 17,905
平均固定金利 3.01% 1.17% 2.30% 3.42%
ヘッジ手段 - 金融負債のヘッジ 50,275 748 22,165 27,362
平均固定金利 2.89% 3.82% 1.58% 3.06%
金利リスクの公正価値ヘッジにおいて指定したヘッジ手段
ヘッジの非有効部
デリバティブ金融 デリバティブ金融 分の計算に用いた
単位:百万ユーロ 資産の帳簿価額 負債の帳簿価額 公正価値の変動
2020 年12月31日
顧客に対する貸出金および預け金のヘッジ 39 3,319 1,275
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する
金融資産のヘッジ 7 359 59
顧客預り金のヘッジ 168 1 22
発行済負債証券のヘッジ 3,767 459 (1,011)
2019 年12月31日
顧客に対する貸出金および預け金のヘッジ 274 3,783 1,989
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する
金融資産のヘッジ - 185 21
発行済負債証券のヘッジ 3,551 548 (1,234)
公正価値ヘッジにおけるヘッジの非有効部分は60百万ユーロにのぼり、損益計算書の「損益を通じて公正価値
で測定する金融資産および金融負債に係る利益/(損失)」に計上している。
272/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
金利リスクの公正価値ヘッジにおいて指定したヘッジ対象
ヘッジ損益に
ヘッジ対象の 係る調整を中
帳簿価額に含 止したヘッジ
めたヘッジ対 ヘッジの非有 対象について
象に係る公正 効部分の計算 残っている公
価値ヘッジ調 に用いた公正 正価値ヘッジ
単位:百万ユーロ 帳簿価額 整累計額 価値の変動 調整累計額
2020 年12月31日
顧客に対する貸出金および預け金 45,190 7,419 (1,249) 6,183
その他の包括利益を通じて公正価値で測
定する金融資産 6,450 - (59) 54
顧客預り金 8,700 10 (23) -
発行済負債証券 49,265 3,707 926 2,051
2019 年12月31日
顧客に対する貸出金および預け金 42,151 7,044 (1,965) 6,328
その他の包括利益を通じて公正価値で測
定する金融資産 2,125 - (21) 278
発行済負債証券 57,630 2,924 1,141 2,250
キャッシュ・フロー・ヘッジ
ラボバンクのキャッシュ・フロー・ヘッジは主に、外貨建発行済債券のマージンのヘッジであり、為替レート
の変動に起因するキャッシュ・フローの潜在的変動を防ぐためにクロスカレンシー金利スワップによりヘッジし
ている。ラボバンクは、IFRS第9号におけるキャッシュ・フロー・ヘッジについて非有効部分の発生原因を分析
している。IFRS第9号におけるキャッシュ・フロー・ヘッジは100%有効である。金利リスクは、キャッシュ・
フロー・ヘッジ(外貨とユーロの2つの固定金利レグ)でヘッジしていないため、平均金利を下表に開示してい
ない。
273/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
キャッシュ・フロー・ヘッジにおけるヘッジ手段の残存期間構成と平均価格・レート
残存期間
単位:百万ユーロ
想定元本合計 1年未満 1-5年 5年超
2020 年12月31日
クロスカレンシー・スワップ(米ドル・
ユーロ)
ヘッジ手段の想定元本 26 - 12 14
平均為替レート(米ドル・ユーロ) n/a 1.18 1.41
クロスカレンシー・スワップ(英ポンド・
ユーロ)
ヘッジ手段の想定元本 88 - 39 49
平均為替レート(英ポンド・ユーロ) n/a 0.79 0.85
クロスカレンシー・スワップ(他の通貨)
ヘッジ手段の想定元本 61 19 33 9
2019 年12月31日
クロスカレンシー・スワップ(米ドル・
ユーロ)
ヘッジ手段の想定元本 27 1 - 26
平均為替レート(米ドル・ユーロ) 1.37 n/a 1.27
クロスカレンシー・スワップ(英ポンド・
ユーロ)
ヘッジ手段の想定元本 83 - 35 48
平均為替レート(英ポンド・ユーロ) n/a 0.78 0.85
クロスカレンシー・スワップ(他の通貨)
ヘッジ手段の想定元本 77 14 54 9
274/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
金利および為替リスクのキャッシュ・フロー・ヘッジ、指定したヘッジ手段
ヘッジの非有効部
デリバティブ金融 デリバティブ金融 分の計算に用いた
単位:百万ユーロ 資産の帳簿価額 負債の帳簿価額 公正価値の変動
2020 年12月31日
クロスカレンシー金利スワップ(米ドル・ユー
ロ) - 4 323
クロスカレンシー金利スワップ(英ポンド・ユー
ロ) 6 26 17
クロスカレンシー金利スワップ(その他の通貨) 5 1 (363)
合 計 11 31 (23)
2019 年12月31日
クロスカレンシー金利スワップ(米ドル・ユー
ロ) 7 9 (8)
クロスカレンシー金利スワップ(英ポンド・ユー
ロ) 9 9 25
クロスカレンシー金利スワップ(その他の通貨) 7 1 (14)
合 計 23 19 3
その他の包括利益に認識したヘッジ手段の価値の変動およびキャッシュ・フロー・ヘッジ剰余金から損益への
振替額については、注記31「準備金および利益剰余金」を参照されたい。ヘッジの非有効部分はなく、もしあれ
ば、損益計算書の「損益を通じて公正価値で測定する金融資産および金融負債に係る利益/(損失)」に含めら
れる。
金利および為替リスクのキャッシュ・フロー・ヘッジ、指定したヘッジ対象
ヘッジ会計の適用
を中止したヘッジ
継続ヘッジに関す 関係からの残って
ヘッジの非有効部 るキャッシュ・フ いるキャッシュ・
分の計算に用いた ロー・ヘッジ剰余 フロー・ヘッジ剰
単位:百万ユーロ 公正価値の変動 金 余金
2020 年12月31日
発行済負債証券 23 (16) (30)
2019 年12月31日
発行済負債証券 (3) 10 (36)
純投資ヘッジ
ラボバンクは在外営業活動体の純投資に係る為替換算リスクの一部をヘッジするため、為替予約を使用してい
る。
275/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
純投資ヘッジにおけるヘッジ手段の残存期間構成と平均レート
2020 年12月31日現在の残存期間
単位:百万ユーロ 想定元本合計 1年未満 1-5年 5年超
為替予約
ヘッジ手段の想定元本 3,518 3,518 - -
想定元本合計 2019 年12月31日現在の残存期間
為替予約
ヘッジ手段の想定元本 3,778 3,774 4 -
2020 年度に純投資ヘッジ会計で使用された主要通貨の平均為替レートは、ユーロ/豪ドルが1.63(2019年度は
1.63)、ユーロ/ニュージーランド・ドルが1.74(2019年度は1.73)、ユーロ/ブラジル・レアルが6.45(2019
年度は4.58)であった。
ヘッジの非有効部
金融資産の 金融負債の
分の計算に用いた
単位:百万ユーロ 帳簿価額 帳簿価額 公正価値の変動
2020 年12月31日
為替予約 1 55 278
2019 年12月31日
為替予約 - 49 (73)
その他の包括利益に認識したヘッジ手段の価値の変動および純投資ヘッジ剰余金から損益への分類変更額につ
いては、注記31「準備金および利益剰余金」を参照されたい。ヘッジの非有効部分はなく、もしあれば、損益計
算書の「損益を通じて公正価値で測定する金融資産および金融負債に係る利益/(損失)」に含められる。
ヘッジ会計の適用
を中止したヘッジ
ヘッジの非有効部 関係からの残って
分の計算に用いた 継続ヘッジに関す いる為替換算剰余
単位:百万ユーロ 公正価値の変動 る為替換算剰余金 金
2020 年12月31日
純投資 (278) 420 146
2019 年12月31日
純投資 73 276 140
276/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
11.4 デリバティブの想定元本金額および公正価値
財政状態計算書に表示しているデリバティブの想定元本金額とプラスおよびマイナスの公正価値を下表に示
す。
デリバティブの想定元本金額と公正価値
2020 年 12月31日現在
想定元本金額 公正価値
単位:百万ユーロ 資 産 負 債
売買目的で保有するデリバティブ 4,615,073 25,646 24,233
ヘッジ手段に指定したデリバティブ 122,081 3,992 4,169
デリバティブ合計 4,737,154 29,638 28,402
売買目的で保有するデリバティブ
通貨デリバティブ
通貨スワップ 399,235 6,914 7,031
通貨オプション-購入および売却 4,976 58 88
上場売買可能契約 5,109 6 6
通貨先物 380 7 10
通貨デリバティブ合計 409,700 6,985 7,135
金利デリバティブ
OTC 金利スワップ 3,999,005 15,734 14,227
OTC 金利オプション 65,639 2,483 2,527
上場金利スワップ 129,268 1 1
金利デリバティブ合計 4,193,912 18,218 16,755
クレジット・デリバティブ 1,111 120 10
資本性金融商品/指数デリバティブ 3 1 1
その他デリバティブ 10,347 322 332
売買目的で保有するデリバティブ合計 4,615,073 25,646 24,233
ヘッジ手段に指定したデリバティブ
公正価値ヘッジにおけるヘッジ手段に指定したデリバティブ
金利スワップおよびクロスカレンシー金利スワップ 119,242 3,981 4,083
キャッシュ・フロー・ヘッジにおけるヘッジ手段に指定した
デリバティブ
通貨スワップおよびクロスカレンシー金利スワップ 175 11 31
純投資ヘッジにおけるヘッジ手段に指定したデリバティブ
通貨先物契約 2,664 - 55
ヘッジ手段に指定したデリバティブ合計 122,081 3,992 4,169
277/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2019 年 12月31日現在
想定元本金額 公正価値
単位:百万ユーロ 資 産 負 債
売買目的で保有するデリバティブ 3,918,192 19,737 19,539
ヘッジ手段に指定したデリバティブ 97,042 3,847 4,535
デリバティブ合計 4,015,234 23,584 24,074
売買目的で保有するデリバティブ
通貨デリバティブ
通貨スワップ 416,494 3,187 4,948
通貨オプション-購入および売却 5,579 55 45
上場売買可能契約 7,223 24 16
通貨先物 185 1 2
通貨デリバティブ合計 429,481 3,267 5,011
金利デリバティブ
OTC 金利スワップ 2,973,088 13,789 11,788
OTC 金利オプション 71,963 2,490 2,549
上場金利スワップ 434,346 1 1
金利デリバティブ合計 3,479,397 16,280 14,338
クレジット・デリバティブ 880 4 5
資本性金融商品/指数デリバティブ 3 2 -
その他デリバティブ 8,431 184 185
売買目的で保有するデリバティブ合計 3,918,192 19,737 19,539
ヘッジ手段に指定したデリバティブ
公正価値ヘッジにおけるヘッジ手段に指定したデリバティブ
金利スワップおよびクロスカレンシー金利スワップ 94,217 3,824 4,476
キャッシュ・フロー・ヘッジにおけるヘッジ手段に指定した
デリバティブ
通貨スワップおよびクロスカレンシー金利スワップ 187 23 19
純投資ヘッジにおけるヘッジ手段に指定したデリバティブ
通貨先物契約 2,635 - 40
ヘッジ手段に指定したデリバティブ合計 97,039 3,847 4,535
11.5 金利指標改革
この数年、不正操作の事例および無担保銀行間取引市場における流動性の低下に起因して、主要な銀行間取引
金利の指標であるIBORの信頼性と安定性が問題視されている。2014年、金融安定理事会は金利指標に関する提言
が盛り込まれたレポートを発行し、それが金利指標改革のきっかけになった。IBORは2021年末までに段階的に廃
止されると見込まれるが、米ドルLIBORの一部の期間の公表は2023年6月30日まで延長される可能性がある。
IBORは、流動性がより高くかつ活発な市場金利に連動するリスク・フリー・レート(RFR)に置き換えられる予
定である。
278/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクは、当行の現行の金利指標から改革後の指標への移行を進めるプログラムを策定した。同プログラ
ムは、CFOにより提案され、運営委員会のグループ・トレジャリーにより進められている。同プログラムでは、
各事業の移行計画および実行状況を監督する強固なガバナンス構造が敷かれており、また計画委員会に対して毎
月報告も行われる。計画委員会は、そのメンバーによって提案される方針および計画案を承認する権能を有する
中央機関である。
当年度において、同プログラムはユーロおよび米ドルの割引率を切り替えるための移行ロードマップにおける
最初の2つのマイルストーンを達成した。同プログラムでは現在、新RFR法のもとでの新しい金融商品の設計お
よび運用に向けての準備と、2021年末、または一部のケースにおいては2023年までのIBORによる古い契約の移行
に向けた準備に注力している。金利指標改革(フェーズ1の修正)により直接影響を受けるヘッジ関係の影響に
ついては、注記2.1「作成基準」を参照されたい。
12 顧客に対する貸出金および預け金
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
民間セクターの顧客に対する貸出金:
-当座貸越 11,603 14,335
-住宅ローン 187,385 186,594
-ファイナンス・リース 19,907 20,332
-企業貸出金 181,651 189,733
-その他 13,528 10,850
政府系取引先に対する貸出金:
-ファイナンス・リース 172 194
-その他 1,862 1,912
リバース・レポ取引、証券借入契約、決済勘定 17,355 13,553
顧客に対する貸出金および預け金の帳簿価額総額 433,463 437,503
ヘッジ会計による調整 7,419 7,044
顧客に対する貸出金および預け金に係る減損引当金 (4,700) (3,940)
顧客に対する貸出金および預け金合計 436,182 440,607
279/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ファイナンス・リース
顧客に対する貸出金および預け金にはファイナンス・リースの受取債権も含まれている。内訳は以下のとおり
である。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
ファイナンス・リースによる総投資額からの受取債権
1年以下 6,282 6,969
1年超2年以下 5,101 5,344
2年超3年以下 3,952 3,950
3年超4年以下 2,846 2,661
4年超5年以下 1,564 1,700
5年超 1,378 1,239
ファイナンス・リースによる総投資額 21,123 21,863
ファイナンス・リースによる未稼得繰延金融収益 1,495 1,556
ファイナンス・リースによる投資純額 19,628 20,307
ファイナンス・リース債権に対する減損引当金 451 219
ファイナンス・リースの総帳簿価額 20,079 20,526
純投資による金融収益 788 878
ファイナンス・リースは主に設備や車両のリースならびにファクタリング商品に関わるものである。貸手にお
ける無保証の残存価額は2,072百万ユーロ(2019年度は2,153百万ユーロ)であった。2020年度において収益とし
て認識された条件付支払リース料はない。
13 その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
政府債券 9,974 9,505
その他負債証券 5,006 3,504
貸出金 178 206
資本性金融商品 337 290
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産合計 15,495 13,505
ラボバンクは、外国金融機関への持分投資については、短期での売却目的ではなく戦略的な目的のために保有
しているため、当初認識時にこれらをその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定した。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
外国金融機関への持分投資 107 108
子会社が保有する持分投資 174 113
その他の持分投資 56 69
資本性金融商品合計 337 290
2020 年度においてラボバンクは12百万ユーロの配当金を認識したが、2020年度に認識を中止した持分投資に関
係する額はなかった。当期中に行った資本の中での累計損益の振替は、注記31の「再評価準備金-その他の包括
利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品」の変動表に開示している。
前へ 次へ
280/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
14 関連会社および共同支配企業への投資
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
期首残高 2,308 2,374
為替換算差額 (55) (8)
購入 64 91
売却 (52) (71)
関連会社 および共同支配企業 の利益に対する持分 189 193
支払配当金(および資本返済) (45) (56)
再評価 (14) 94
減損 (213) (300)
その他 1 (9)
関連会社および共同支配企業への投資合計 2,183 2,308
14.1 関連会社への投資
ラボバンクが保有する資本持分の規模の点で主な関連会社はアフメアである。
2020 年12月31日現在 持株 議決権
オランダ
アフメア・B.V. 30% 30%
アフメアは保険商品に関するラボバンクの戦略的パートナーである。アフメア・グループの子会社であるイン
ターポリスはラボバンクと密接な協力関係にある。アフメアの本社はオランダのザイストにある。アフメアの持
分については取引所の市場価格が入手できない。アフメアの持分は持分法に従って会計処理されている。ラボバ
ンクは、アフメアから45百万ユーロの配当を受け取った(2019年度は35百万ユーロ)。
低金利環境は、オランダ(および欧州)の保険会社の株価を左右する一因になっており、それらの保険会社は
すべて、長期的なオプションや保証が引受けられた閉鎖型年金勘定や生命保険勘定を保有している。2020年上半
期のCOVID-19のパンデミック、およびその後2020年下半期に景気刺激策としてECBが講じた措置により、金利水
準が一段と低くなり、より長い期間に亘り推移する可能性があるとのコンセンサスが市場で形成された。その結
果、オランダ/欧州の株価比較では、保険業界の株価推移が一般的な株価指数の推移に 遅れを取り高めの水準
となっている ことが明らかになっている。これらの要素を受けて、2020年12月31日時点のアフメアへの持分投
資の評価額の見直しを行うことにした。同減損テストの結果、アフメアへの投資の帳簿価額を213百万ユーロ下
方修正し、修正額は損益計算書の「のれんおよび関連会社への投資に係る減損」に認識した。アフメアB.V.は事
業セグメントのうち「その他のセグメント」に含まれている。回収可能額は見積使用価値を基にしている。 ラボ
バンクは、アフメアの使用価値を 算定 するため、アフメアがラボバンクのために生み出す 期待 キャッシュ・フ
ロー のレビュー を 実施 し、10.30 % の税引前割引率で割り引いた。
281/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
アフメア
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
現金および中央銀行預け金残高 2,184 963
投資 81,639 78,750
その他資産 9,832 9,767
資産合計 93,655 89,480
保険関連準備金 58,401 57,770
借入金 20,564 18,475
その他負債 4,131 3,050
負債合計 83,096 79,295
収益 23,558 24,653
純利益 642 481
その他の包括利益 (45) 313
包括利益合計 597 794
アフメアに対する持分の帳簿価額調整
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
アフメアの資本合計 10,559 10,192
控除:ハイブリッド資本 1,250 1,250
控除:優先株および未払配当金 350 350
株主資本 8,959 8,592
ラボバンクの持分 30.00% 30.00%
2,687 2,577
減損累計額 (1,232) (1,019)
帳簿価額 1,455 1,558
その他の関連会社からの損益
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
継続事業からの収益 (5) 52
純利益 (5) 52
その他の包括利益 - -
包括利益合計 (5) 52
14.2 共同支配企業への投資
ほぼすべての共同支配企業がBPDの投資である。その帳簿価額の総額は68百万ユーロ(2019年度は19百万ユー
ロ)である。共同支配企業は持分法に従って認識されている。
BPD はしばしば、総合的な住宅地の開発を目的とするパートナーシップを締結 している 。多くの場合、パート
ナーシップに参加する各メンバーが最終的な議決権を有しており、意思決定は全員一致によってのみ下すことが
できる。したがって、それらのパートナーシップの大部分は「共同支配の取決め」の条件を満たしている。
282/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
個々のパートナーシップは、当事者のニーズや要求に応じて独自の法的構造をとる。通常利用される法的形態
(事業構造)は、オランダの「CV-BV」構造(リミテッド・パートナーシップ-非公開有限責任会社)もしくは
「VOF」構造(ジェネラル・パートナーシップ)または同等の構造である。CV-BVの場合、パートナーのリスクは
通常、発行済資本に限定され、パートナーはその事業体の純資産のみに対する権利を有している。ジェネラル・
パートナーシップ(以下「VOF」という)の場合は、各当事者が原則として無限責任を負い、また原則として資
産に対する比例的な権利およびその事業体の負債に関する義務を有する。法的形態に基づいて言えば、CV-BV構
造は「共同支配企業」の条件を満たしているのに対し、VOF構造は「共同支配事業」の条件を満たしている。注
意すべきは、契約条件ならびにその他関連する事実および状況によっては分類が異なる可能性があることであ
る。
各プロジェクトには個別の法的構造が確立しており、 プロジェクトごとに 参加するパートナーが異なる こと、
また、 個別のプロジェクト の 規模が大きくないことから、2020年度および2019年度において、BPDに重要な共同
支配の取決めはない。
共同支配企業からの損益
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
継続事業からの損益 23 22
非継続事業からの税引後損益 - -
純利益 23 22
その他の包括利益 - -
包括利益合計 23 22
共同支配企業に対する偶発債務
BPD は2020年12月31日に不動産プロジェクトに 関する 契約を締結し、第三者(下請業者および建築士を含む)
との間の契約額は4百万ユーロ(2019年度は8百万ユーロ)であった。建設用地に関する契約額は74百万ユーロ
である(2019年度は45百万ユーロ)。
283/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
15 のれんおよびその他無形資産
社内開発 その他の
単位:百万ユーロ のれん ソフトウェア 無形資産 合 計
2020 年12月31日に終了した年度
期首残高 392 323 114 829
為替換算差額 - (2) (1) (3)
取得 - 112 17 129
処分 - (13) (6) (19)
子会社の処分 - - - -
その他 - 25 (22) 3
償却費 - (84) (35) (119)
減損 (70) (10) - (80)
期末残高 322 351 67 740
取得原価 322 1,438 284 2,044
償却累計額および減損累計額 - (1,087) (217) (1,304)
帳簿価額(純額) 322 351 67 740
2019 年12月31日に終了した年度
期首残高 519 357 90 966
為替換算差額 1 1 1 3
取得 - 85 78 163
処分 - (16) (6) (22)
子会社の処分 (128) (1) (1) (130)
その他 1 9 (3) 7
償却費 - (87) (45) (132)
減損 (1) (25) - (26)
期末残高 392 323 114 829
取得原価 427 1,330 363 2,120
償却累計額および減損累計額 (35) (1,007) (249) (1,291)
帳簿価額(純額) 392 323 114 829
のれんは、資金生成単位(のれんを含む)の帳簿価額と資金生成単位の使用価値の最善の見積りを比較するこ
とにより、減損のレビューを行っている。そのため、最初に、年間計画サイクルの一部として作成された年間中
期計画から採られたキャッシュ・フロー予測に基づいて決定された使用価値の最善の見積りが使用される。この
計画には、市場状況、市場の制限、割引率(税引前)、事業の成長などに関する経営陣の最善の見積りが反映さ
れている。その結果、公正価値と帳簿価額との間に重要な差異のないことが示された場合、上場企業の関連する
株価を用いて公正価値はより詳細に査定される。またラボバンクは、取得の当初認識時や同業他社のレビューな
どで適用されるモデルと類似する評価モデルも使用している。評価モデルは、取得時以降の事業活動の展開、経
営陣が作成した直近の収益および費用に関する予想の他、最新の予測、割引率の査定、成長率の最終的な値など
に基づき検証される。同業他社のレビューには、類似した上場企業の株価収益率および株価帳簿価額倍率、また
は類似した市場の取引の査定が含まれる。諸仮定は、全般的に、実績、将来の展開に関する経営陣の最善の見積
り、および入手可能な場合には外部データを基礎としている。
284/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
のれんの減損はDLLの子会社に関するもので、事業セグメント「リース」に認識している。この子会社の将来
の収益性の見通しは、貸出ポートフォリオの減少、利鞘の低い事業へのシフトおよびCOVID-19に起因する予想信
用損失の増加により、純利益が将来的に減少するとの見方から悪化した。これらの要素と、バーゼルIVのアウト
プットフロアの導入による所要自己資本の増加が相まって、のれんの潜在的な減損の兆候がみられた。この潜在
的な減損がすでに生じたか否かの減損テストの結果、70百万ユーロののれんの減損を認識した。これは主に、今
後4年間に亘り将来の純利益が減少し、またリスクプレミアムおよびベータ値が上昇した結果、割引率が5.5%
から7.3%に上昇することによるものである。回収可能額は使用価値に基づいており、割引キャッシュ・フロー
の算定では将来の利益が使用されている。2020年12月31日、この子会社に関係するのれんの残存額はゼロであ
る。この減損は、損益計算書の「のれんおよび関連会社への投資に係る減損」に認識した。
残りののれんは、国内リテール・バンキング・セグメントの資金生成単位の1つに配分している。こののれん
の帳簿価額は322百万ユーロ(2019年度は322百万ユーロ)であり、その資金生成単位は地方ラボバンクの集合体
である。回収可能価額は、使用価値に基づく。使用価値は、財務予測に基づき、近い将来において予想される
キャッシュ・フローを用いて決定される。回収可能価額が帳簿価額を大幅に上回ったため、この資金生成単位に
配分されたのれんは減損していないと結論付けた。当行は、主要な仮定について発生しうる最大の変化は、割引
率の10%上昇または将来キャッシュ・フローの10%の減少とみている。こうした変化が生じても、帳簿価額が回
収可能価額を上回らないことから、減損は生じていないと考えられる。
自社開発ソフトウェアおよびその他の無形資産の減損は、個別では重要性がない。自社開発ソフトウェアの減
損は合計 10 百万ユーロ(2019年度は25百万ユーロ)であった。
16 有形固定資産
有形固定資産
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
土地建物 948 1,205
設備 260 275
オペレーティング・リース資産 2,924 3,114
有形 固定資産 4,132 4,594
使用権資産 433 494
有形固定資産 合計 4,565 5,088
285/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
有形固定資産
オペレーティン
単位:百万ユーロ 土地建物 設備 グ・リース資産 有形固定資産
2020 年 12月31日に終了した年度
期首残高 1,205 275 3,114 4,594
為替換算差額 (4) (3) (162) (169)
購入 35 48 1,071 1,154
処分 (1) (14) (353) (368)
ファイナンス・リースからの振替 - - 67 67
売却目的への振替 (31) - (103) (134)
減損 (122) - - (122)
減損の戻入 - - - -
減価償却 (87) (84) - (171)
オペレーティング・リース資産の減価償却 - - (727) (727)
その他 (47) 38 17 8
12 月31日現在の期末残高 948 260 2,924 4,132
取得原価 2,322 908 4,583 7,813
減価償却累計額および減損累計額 (1,374) (648) (1,659) (3,681)
12 月31日現在の帳簿価額(純額) 948 260 2,924 4,132
オペレーティン
単位:百万ユーロ 土地建物 設備 グ・リース資産 有形固定資産
2019 年 12月31日に終了した年度
取得原価 2,628 1,137 4,091 7,856
減価償却累計額および減損累計額 (1,285) (825) (1,291) (3,401)
1月1日現在の帳簿価額(純額) 1,343 312 2,800 4,455
期首残高 1,343 312 2,800 4,455
為替換算差額 3 2 58 63
購入 43 82 1,286 1,411
処分 (5) (20) (274) (299)
売却目的への振替 (81) (13) (81) (175)
減損 (10) - - (10)
減損の戻入 32 - - 32
減価償却 (98) (91) - (189)
オペレーティング・リース資産の減価償却 - - (693) (693)
その他 (22) 3 18 (1)
12 月31日現在の期末残高 1,205 275 3,114 4,594
取得原価 2,447 943 4,705 8,095
減価償却累計額および減損累計額 (1,242) (668) (1,591) (3,501)
12 月31日現在の帳簿価額(純額) 1,205 275 3,114 4,594
2020 年12月31日現在で認識された減損および減損の戻入は、国内リテール・バンキング・セグメントにおける
自己使用の不動産に関するものである。組織再構築に伴う不動産の空室(使用面積の縮小)によって減損の兆候
が認識され、その結果、総額122百万ユーロ(2019年度は10百万ユーロ)の減損が生じた。2020年度、減損の戻
入は無かった(2019年度は32百万ユーロ)。
286/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
リース
ラボバンクは借手として数件のリース契約を有しているが、その大半は事業所として使用される不動産および
従業員用自動車 に関するものである 。連結財政状態計算書にはリースに関連する以下の金額が含まれている。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
不動産リース 393 443
自動車リース 40 34
その他のリース - 17
使用権 資産 合計 433 494
リース負債合計 504 542
2020 年度の使用権資産の新規取得は19百万ユーロ であった(2019年度は36百万ユーロ) 。連結損益計算書には
リースに関連する以下の金額が含まれている。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
不動産リース 85 79
自動車リース 19 14
その他のリース 1 6
使用権 資産 の減価償却費 105 99
支払利息 18 18
短期リース関連費用 - 13
少額 資産のリース関連費用 - -
リース負債に含まれない変動リース料に関連する費用 9 -
2020 年度におけるリースに係るキャッシュ・フロー合計は64百万ユーロの支出 であった(2019年度は60百万
ユーロ) 。
17 投資不動産
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
取得原価 454 259
減価償却累計額および減損累計額 (83) (66)
1月1日現在の帳簿価額(純額) 371 193
期首残高 371 193
購入 46 55
売却 (5) (7)
その他資産からの振替 49 124
減価償却 (8) (6)
減損 - (1)
減損の戻入 2 -
その他 (5) 13
12 月31日現在の期末残高 450 371
取得原価 521 454
減価償却累計額および減損累計額 (71) (83)
12 月31日現在の帳簿価額(純額) 450 371
287/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
投資不動産の公正価値は、550百万ユーロ(2019年度は442百万ユーロ)であった。投資不動産の外部評価は、
外部の有資格者により、RICS評価基準またはその他同等の基準に準拠して実施された。投資不動産は、公正価値
を算定するために、対象となる不動産にとって最も適切な手法に基づいて評価される。これには、割引キャッ
シュ・フロー評価法および比較対象取引の当初の純イールドに基づく収益還元法が含まれる。
評価 2020 年 2019 年
外部評価 67% 60%
内部評価 33% 40%
投資不動産の大半は独自のものである。多くの場合、それらと同一地域および同一条件の類似不動産を扱う活
発な市場は存在しない。各種不動産投資の評価は、既存の契約や市場情報からできる限り多数のパラメータを導
き出し、それらを基に行っている。ある程度の判断や見積りが不可避となる。このため、IFRS第13号の公正価値
分類に基づき、投資不動産はすべてレベル3に指定されている。不動産投資の公正価値を算定するに当たって使
用するパラメータは、不動産の種類に応じて異なるが、1平方メートル当たりの現行および予想市場賃料、現行
および予想空室率、対象不動産の所在地、対象不動産の市場性、平均割引率、開発予算および信用リスクなどが
含まれる。
18 その他資産
その他資産
単位:百万ユーロ 注記 2020 年 2019 年
受取債権および前払金 1,743 1,743
未収利息 618 950
商品および倉庫証券 2,590 1,189
不動産プロジェクト 1,637 1,810
未収収益 433 408
従業員給付金 28 3 4
その他資産 483 506
その他資産合計 7,507 6,610
不動産プロジェクト
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
建設用地 1,372 1,299
仕掛品 250 498
完工開発物件 15 13
不動産プロジェクト合計 1,637 1,810
2020 年度に、最新の土地運用と、区域計画の対象となっていない用地すべての純実現可能価額が計算され、帳
簿価額と比較された。この結果、4百万ユーロの引当金の追加計上(2019年度は14百万ユーロの引当金の戻入)
が発生した。
288/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
不動産プロジェクトに係る引当金の変動
2020 年 1月1日 追加/ 取崩し/ 2020 年 12月31日
単位:百万ユーロ 現在の残高 戻入 その他の変動 現在の残高
建設用地 374 4 14 392
仕掛品 58 3 (50) 11
完工開発物件 4 - 8 12
合計 436 7 (28) 415
2019 年 1月1日 追加/ 取崩し/ 2019 年 12月31日
単位:百万ユーロ 現在の残高 戻入 その他の変動 現在の残高
建設用地 411 (14) (23) 374
仕掛品 65 (1) (6) 58
完工開発物件 4 - - 4
合計 480 (15) (29) 436
仕掛品
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
準備中および建設中の居住用不動産 1,059 1,232
開発中および建設中の商業用不動産 - 23
割賦のうち事前に請求済のもの-居住用不動産 (809) (736)
割賦のうち事前に請求済のもの-商業用不動産 - (21)
仕掛品合計 250 498
19 売却目的固定資産
売却目的固定資産は52百万ユーロ(2019年度は435百万ユーロ)であり、国内リテール・バンキング・セグメ
ントおよび不動産開発セグメントで保有する様々な種類の不動産40百万ユーロが含まれる。その帳簿価額は、継
続 使用 ではなく売却によって実現される見込みである。
20 金融機関預り金
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
要求払預り金 1,068 1,415
定期預り金 19,073 18,244
レポ契約 439 1,522
中央銀行からの資金供給 40,518 4,000
その他金融機関預り金 64 63
金融機関預り金合計 61,162 25,244
中央銀行からの資金供給は金融機関預り金に分類変更され、その影響は、注記2.1「表示の変更」を参照され
たい。
289/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
21 顧客預り金
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
当座預り金 107,706 89,010
合意済みの満期預り金 56,411 59,627
通知預り金 190,699 180,159
レポ契約 550 32
信託預り金 5,570 9,522
その他顧客預り金 92 186
顧客預り金合計 361,028 338,536
12 十億ユーロの中央銀行からの資金供給以外の預り金(2019年度は13十億ユーロ)は、「合意済みの満期預り
金」に含まれている。中央銀行からの資金供給は、金融機関預り金に分類変更され、その影響は、注記2.1「会
計原則と表示の変更」を参照されたい。
22 発行済負債証券
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
譲渡性預金証書 16,421 19,387
コマーシャル・ペーパー 6,740 7,312
発行済債券 77,156 84,276
その他負債証券 13,204 19,428
発行済負債証券合計 113,521 130,403
23 売買目的金融負債
売買目的金融負債は主に、デリバティブのマイナスの公正価値と、証券の空売りにより発生した現物引渡義務
のマイナスの公正価値である。証券の空売りは、短期的な価格変動による収益を実現するために行われる。空売
りを決済するために必要な証券は証券貸借および証券レポ取引契約により入手する。空売りした証券および債券
の公正価値は、998百万ユーロ(2019年度は399百万ユーロ)である。
24 公正価値測定に指定した金融負債
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
発行済負債証券 4,382 5,592
預金 793 736
公正価値測定に指定した金融負債合計 5,175 6,328
ラボバンクの自己信用リスクの変化に起因する、公正価値測定に指定した金融負債の公正価値の累積的変動
は、税引前で145百万ユーロ(2019年度は191百万ユーロ)である。
290/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
自己信用リスクの変化に起因する公正価値の変動は、他の価格決定要素を不変として、当初認識時における市
場のクレジット・カーブを基に再計算した公正価値から、報告日時点の仕組債ポートフォリオの最新の公正価値
を仕組債ごとに控除して計算している。このように計算することで、それら仕組債の当初認識以降におけるラボ
バンクの自己信用リスクの変化に起因すると説明できる金額が反映される。
当期中の資本内での損益累計額の振替と、認識中止時点で実現したその他の包括利益に表示した額は、注記31
の「再評価準備金-公正価値測定に指定した金融負債に係る自己信用リスクに伴う公正価値変動」の変動表に開
示している。
公正価値測定に指定した発行済仕組債の帳簿価額は、ラボバンクがそれら仕組債の保有者に返済する契約上の
義務がある金額よりも61百万ユーロ(2019年度は138百万ユーロ)少ない。
25 その他負債
単位:百万ユーロ 注記 2020 年 2019 年
未払金 4,452 4,022
未払利息 1,559 2,055
リース負債 504 542
従業員給付金 28 221 230
その他 (89) (14)
その他負債合計 6,647 6,835
26 引当金
単位:百万ユーロ 注記 2020 年 2019 年
事業再構築引当金 292 271
法務上の問題に対する引当金 84 198
ローン・コミットメントおよび金融保証に係る減損引当金 4.3.4 142 146
その他引当金 101 168
引当金合計 619 783
事業再構築 法務上の問題に
単位:百万ユーロ 引当金 対する引当金 その他引当金 合計
2020 年 1月1日現在の期首残高 271 198 168 637
追加 102 50 89 241
期中取崩し (50) (95) (135) (280)
戻入 (31) (69) (21) (121)
2020 年12月31日現在の期末残高 292 84 101 477
2019 年 1月1日現在の期首残高 318 469 230 1,017
IFRS 第16号による会計方針の変更 - - (25) (25)
追加 122 68 88 278
期中取崩し (140) (264) (114) (518)
戻入 (29) (75) (11) (115)
2019 年12月31日現在の期末残高 271 198 168 637
291/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
事業再構築引当金 へ の 追加のうち、60百万ユーロ(2019年度は75百万ユーロ)は地方ラボバンクの組織再編成
プログラムのためのものである。この組織再編成引当金は、解雇手当および組織再編成プログラムに直接起因す
るその他の費用に関連する将来の支払から成っている。これらの費用は、解雇計画が作成され、関係当事者に通
知された時点で計上される。資金のアウトフローは2021年度、2022年度および2023年度に発生すると見込まれて
いる。
SME 向け金利デリバティブの回復フレームワークについて、法務上の問題に対する引当金のうち、18百万ユー
ロが戻入れられた(2019年度は40百万ユーロの追加繰入)。追加情報については、注記4.10「法的手続および仲
裁手続」を参照されたい。
引当金の満期期日
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
1年以下 370 602
1年超5年未満 242 178
5年超 7 3
合計 619 783
前へ 次へ
292/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
27 繰延税金
繰延税金資産および負債は、すべての一時差異に対し、負債法を使用して測定されている。繰越欠損金および
将来減算一時差異に関係して認識した繰延税金資産は、将来において課税所得が発生した場合に使用できる。
2020年12月31日現在、ラボバンクは所定の期間内に十分な課税所得が発生する予想であるとしている。
未使用の税務上の欠損金のうち合計756百万ユーロ(2019年度は566百万ユーロ)について、繰延税金資産を認
識していないが、そのうち82百万ユーロ(2019年度は14百万ユーロ)は期限の無い欠損金に関するもので、674
百万ユーロ(2019年度は552百万ユーロ)は最も先の期限が2032年である米国における市税・州税上の欠損金に
関するものである。これら未使用の税務上の欠損金による税務上の影響額は66百万ユーロ(2019年度は41百万
ユーロ)にのぼる。
その他の
繰延税金 繰延税金 繰延税金 包括利益に
単位:百万ユーロ 資産 負債 費用 対する税金
2020 年12月31日現在
年金およびその他の退職後給付 34 - - (8)
金融資産に係る減損引当金 282 (19) (144) -
引当金 21 - (6) -
ヘッジ会計 191 - (44) -
繰越欠損金 123 (15) 161 -
税額控除 53 (2) 60 -
のれんおよびその他無形資産 - - - -
その他の包括利益を通じて公正価値で測定す
る金融資産の再評価準備金 (65) - - 21
再評価準備金-キャッシュ・フロー・ヘッジ 13 - - (7)
再評価準備金-ヘッジ・コスト (12) - - (1)
再評価準備金-公正価値測定に指定した金融
負債に係る自己信用リスクに伴う公正価値変
動 36 - - 4
有形固定資産(オペレーティング・リースを
含む) 112 406 (269) -
その他の一時差異 61 60 25 -
合計 849 430 (217) 9
293/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
その他の
繰延税金 繰延税金 繰延税金 包括利益に
単位:百万ユーロ 資産 負債 費用 対する税金
2019 年12月31日に終了した年度
年金およびその他の退職後給付 30 - 1 1
金融資産に係る減損引当金 229 - 46 -
引当金 15 (3) 3 -
ヘッジ会計 147 - (42) -
繰越欠損金 219 (150) 38 -
税額控除 106 (63) 50 -
のれんおよびその他無形資産 - - 2 -
その他の包括利益を通じて公正価値で測定す
る金融資産の再評価準備金 (41) 6 (7) 14
再評価準備金-キャッシュ・フロー・ヘッジ 6 - 3 2
再評価準備金-ヘッジ・コスト (13) - 6 (1)
再評価準備金-公正価値測定に指定した金融
負債に係る自己信用リスクに伴う公正価値変
動 40 - - (31)
有形固定資産(オペレーティング・リースを
含む) 75 672 (10) -
その他の一時差異 120 78 32 -
合計 933 540 122 (15)
28 従業員給付金
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
従業員給付金-資産 (3) (4)
従業員給付金-負債 221 230
従業員給付金合計 218 226
年金制度 128 118
その他の従業員給付金 90 108
従業員給付金合計 218 226
28.1 年金制度
ラボバンクはラボバンク年金基金でオランダ年金制度を運用している。この年金制度は、年金受給開始年齢を
68歳とし、目標給付確定率を2%とする集団型確定拠出制度である。ラボバンクは、条件付物価スライド方式の
条件付生涯平均給与方式に基づき、勤務年度中に提供される役務に対する目標年金債務を達成することを目的と
する固定の制度に基づいて、ラボバンク年金基金に年金拠出金を毎年積立てる。ラボバンクは、年次の年金プレ
ミアムを支払うことでそのすべての年金債務を履行しており、したがってラボバンクは、基礎となる加入年数お
よび既に確定した受給権に関連するいかなる金融負債も有していない。
294/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
オランダの年金制度は、IAS第19号における確定拠出制度として適格である。ラボバンクの債務は、支払うべ
きプレミアムの支払から過去に行った支払を差引いた額に限定されている。2020年12月31日現在、少数の小規模
な制度が依然として確定給付年金制度として適格である。これらは、退職時の従業員報酬に関連し、通常は年金
を支払う、ファンドまたはその他の方法によって管理される生涯平均給与方式を用いた確定給付年金制度であ
る。年間拠出額は、各国の法的要件に準じて計算された制度の未払債務に適切に資金を充当するために必要な比
率においてファンドに支払われる。ファンドにおいて維持管理される年金制度関連資産は、受託者によって管理
される分離されたファンドであり、ラボバンクの資産とは独立に保有されている。債務は毎年独立したアクチュ
アリーによりIFRSに規定された方法に基づいて評価されている。直近の年金数理評価は、2020年度末に実施され
ている。主な年金数理上の仮定の加重平均、感応度分析、および将来のプレミアムの支払 を記載した 表は、フ
リースランド・バンクの年金制度に関するものである。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
確定給付債務 569 546
制度資産の公正価値 441 428
純確定給付債務 128 118
制度資産および負債の変動は以下のとおりである。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
確定給付債務
期首残高 545 487
為替換算差額 (8) 1
支払利息 6 10
支払給付 (15) (15)
清算 - (13)
制度変更 (9) -
その他 9 3
実績による調整 (2) 3
人口動態上の仮定の変動から生じる年金数理差損益 - 1
財務上の仮定の変動から生じる年金数理差損益 43 69
12 月31日現在の確定給付債務 569 546
制度資産の公正価値
期首残高 427 369
為替換算差額 (5) 5
受取利息 4 8
雇用主が拠出した金額 10 6
支払給付 (13) (15)
清算 - -
その他 - 2
実績による調整 1 4
制度資産に係る財務上の仮定の変動に起因する再測定 17 49
12 月31日現在の制度資産の公正価値 441 428
295/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
損益において認識した費用は以下の表に示すとおりである。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
負債に係る支払利息 6 10
制度資産に係る受取利息 (4) (8)
縮小、清算および費用に係る損失/(利益) (2) (1)
確定給付制度の費用合計 - 1
主な年金数理上の仮定
確定給付債務の評価に係る主な年金数理上の仮定は、割引率、賃金の上昇、および物価の上昇である。最近の
死亡率も、各制度の評価において使用した。年金数理上の財務的な仮定の加重平均は以下の表に示すとおりであ
る(単位:1年当たり%)。
2020 年 2019 年
割引率 0.4% 0.8%
賃金の上昇 1.3% 1.3%
物価の上昇 1.3% 1.3%
感応度分析
ラボバンクは、以下の表で示されている仮定に関連して、確定給付制度に係るリスクに晒されている。これら
最も重要な仮定の感応度分析は、報告日末現在にて生じる仮定の変動のうち、合理的に発生しうると思われる変
動に基づいて決定された。
単位:百万ユーロ 仮定の変動 増加が確定給付債務に与える影響 減少が確定給付債務に与える影響
2020 年 2019 年 2020 年 2019 年
割引率 0.25% (16) (16) 17 17
賃金の上昇 0.25% 3 7 (3) (7)
物価の上昇 0.25% - - - -
死亡率 1年 17 14 (17) (14)
拠出金見積額
2020 年度の 確定給付 年金制度への見積拠出金額は約9百万ユーロ(2019年度は9百万ユーロ)である。
平均デュレーション
フリースランド・バンクの確定給付制度の平均デュレーションは17年(2019年度は18年)である。
28.2 その他の従業員給付金
その他の従業員給付金は、主として永年勤続報奨に対する債務から構成されている。
296/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
29 劣後債務
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
ラボバンクによる発行 13,486 15,777
その他 - 13
劣後債務合計 13,486 15,790
以下の表に、劣後債の発行に関する詳細を示している。
ラボバンク発行の 劣後債務
想定元本
(単位:百万) 発行通貨 クーポンレート 発行年 償還期限
2029 年 、
500 米ドル 4.00% 2017 年 早期償還日は 2024 年
1,500 米ドル 3.75% 2016 年 2026 年
1,500 米ドル 4.375% 2015 年 2025 年
1,250 米ドル 5.25% 2015 年 2045 年
1,000 英ポンド 4.625% 2014 年 2029 年
2026 年 、
2,000 ユーロ 2.50% 2014 年 早期償還日は 2021 年
50,800 日本円 1.429% 2014 年 2024 年
1,000 ユーロ 3.875% 2013 年 2023 年
1,750 米ドル 4.625% 2013 年 2023 年
1,250 米ドル 5.75% 2013 年 2043 年
1,000 ユーロ 4.125% 2012 年 2022 年
500 英ポンド 5.25% 2012 年 2027 年
1,500 米ドル 3.95% 2012 年 2022 年
10 ユーロ 4.21% 2005 年 2025 年
10 ユーロ 5.32% 2004 年 2024 年
30 偶発債務
信用関係偶発債務
ラボバンクは、取消不能のローン・コミットメントのほか、顧客に対する金融保証やスタンドバイ信用状から
成る偶発債務を供与している。これらの契約に基づき、第三者が履行義務を果たさない場合に、ラボバンクは、
契約に基づく義務を履行するか、または受益者に対して支払を行わなければならない。以下の表は、信用関係偶
発債務の潜在的な最大発生額を示している。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
金融保証 3,381 3,726
ローン・コミットメント 41,877 35,089
その他のコミットメント 20,069 19,353
信用関係偶発債務 65,327 58,168
297/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
訴訟に関する偶発債務
ラボバンクは、ラボバンクの業務から生じた、ラボバンクによって提起された訴訟およびラボバンクに対して
提起された訴訟に関連して、オランダおよび米国を含むその他の国における複数の法的手続および仲裁手続に関
与している。追加情報については、注記4.10「法的手続および仲裁手続」を参照のこと。
オペレーティング・リースに関するリース料債権
ラボバンクは、貸手として様々なオペレーティング・リース契約を結んでいる。解約不能オペレーティング・
リースに基づく将来の最低リース料債権の内訳は、以下のとおりである。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
1年以内 417 692
1年超2年以内 580 547
2年超3年以内 399 351
3年超4年以内 256 212
4年超5年以内 127 158
5年超 113 112
オペレーティング・リースに関するリース料債権合計 1,892 2,072
その他の偶発債務
仕掛品および投資不動産の取得、建設、ならびに開発に関連する契約上のコミットメント額 は559百万ユーロ
(2019年度は484百万ユーロ)である。
31 準備金および利益剰余金
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
外国為替換算準備金 (1,412) (742)
再評価準備金-その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産 321 308
再評価準備金-キャッシュ・フロー・ヘッジ (47) (26)
再評価準備金-ヘッジ・コスト 36 46
再評価準備金-売却目的資産 - (26)
再測定準備金-年金 (171) (170)
再評価準備金-公正価値測定に指定した金融負債に係る自己の信用リスクに起
因する公正価値の変動 (109) (143)
利益剰余金 29,234 28,910
期末現在の準備金および利益剰余金合計 27,852 28,157
298/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
準備金の変動は以下のとおりである。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
外国為替換算準備金
期首残高 (742) (817)
在外営業活動体に係る為替換算差額 (978) 217
ヘッジ手段の変動 278 (73)
関連会社および共同支配企業における変動 (13) (5)
損益への振替 43 (64)
期末残高 (1,412) (742)
再評価準備金-その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品
期首残高 131 23
為替換算差額 (12) -
関連会社および共同支配企業における変動 (10) 104
公正価値変動 149 20
損益への振替 (93) (21)
売却目的資産への振替 - 5
期末残高 165 131
再評価準備金-その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品
期首残高 177 217
為替換算差額 - -
関連会社および共同支配企業における変動 - -
公正価値変動 (15) 39
利益剰余金への振替 (3) 1
売却目的資産への振替 - (71)
その他 (3) (9)
期末残高 156 177
再評価準備金-キャッシュ・フロー・ヘッジ
期首残高 (26) (40)
為替換算差額 (62) 19
公正価値変動 37 (10)
損益への振替 4 5
期末残高 (47) (26)
299/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
再評価準備金-ヘッジ・コスト
期首残高 46 30
為替換算差額 - (2)
公正価値変動 (10) 20
損益への振替 - (2)
期末残高 36 46
再評価準備金-売却目的資産
期首残高 (26) (35)
再評価準備金からの振替 - 66
公正価値変動 - 9
資産の処分 26 (66)
期末残高 - (26)
再測定準備金-年金
期首残高 (170) (145)
関連会社および共同支配企業における変動 9 (5)
確定給付制度の再測定 (10) (20)
期末残高 (171) (170)
再評価準備金-公正価値測定に指定した金融負債に係る自己信用リスクに伴う
公正価値変動
期首残高 (143) (31)
公正価値変動 35 (112)
認識中止による実現 (1) -
期末残高 (109) (143)
利益剰余金
期首残高 28,910 28,062
純利益 1,055 2,157
資本性金融商品に係る支払 (234) (904)
資本証券の償還 (120) (493)
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の売却 - 71
ラボバンク証書による分配 (376) -
その他 (1) 17
期末残高 29,234 28,910
準備金および利益剰余金合計 27,852 28,157
300/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
32 ラボバンク証書
ラボバンク証書は、ラボバンクがスティヒティング・アドミニストラティーカントゥール・ラボバンク証書財
団を通じて発行する参加権を表章し、ラボバンクの普通株等Tier1資本に区分される。ラボバンク証書はユーロ
ネクスト・アムステルダムに上場している。
証書の合計口数は313,005,461口であり、1口当たりの額面価額は25ユーロであった。ラボバンクが発行する
参加権(およびラボバンク証書についてはAK財団を通じて発行する参加権)に関するラボバンクの実際の支払方
針は参加権規則に基づいており、その内容はラボバンクのウェブサイトで確認することが可能である。
2020 年3月、欧州中央銀行(ECB)は銀行に対して、少なくとも2020年10月1日まで配当金の支払を行わない
よう求める勧告を公表した。ECBは2020年7月27日、この勧告を更新して期間を2021年1月1日まで延長した。
ラボバンクの経営委員会はこの勧告に基づき、2020年度は現金による分配金を支払わないことを決定した。現金
による分配金の支払いの代わりに、経営委員会はラボバンク証書1口当たり約1.625ユーロ相当の特別分配を、
ラボバンク証書により行うことを決定した。同特別分配の分配率は、ラボバンク証書の保有者が保有するラボバ
ンク証書19.81口につき1口の新規ラボバンク証書が分配されたことになる。同分配率は、2020年12月1日、2
日、3日においてユーロネクスト・アムステルダムにて取引された全ラボバンク証書の出来高加重平均価格(以
下「VWAP」という)である33.81ユーロを基に算定された。VWAPから1.625ユーロを差し引き、基準価格を32.18
ユーロとした後、基準価格を1.625ユーロで除し、19.81の分配率となった。特定の保有者に分配すべき新規ラボ
バンク証書の数が整数にならない場合は、端数を現金で精算した。2020年12月8日、15,044,096口の新規ラボバ
ンク証書が発行された。発行済ラボバンク証書の額面価額合計は7,825,136,525ユーロに増加した。ラボバンク
証書保有者への新規ラボバンク証書の給付と(該当する場合は)保有者への端数に係る現金の支払は2020年12月
9日に実施された。
2020 年12月15日、欧州中央銀行(ECB)は各銀行に対して、少なくとも2021年9月30日まで配当を行わない
か、または制限するよう求める勧告を公表した。ラボバンクは同勧告に従い、2021年2月11日、ラボバンク証書
1口当たり0.13674ユーロの四半期分配をそれぞれ2021年3月29日、6月29日、9月29日に行う方針を発表し
た。ラボバンクは、ECBが配当金の分配に関する制限の勧告を撤回したときは、ラボバンクの元の支払方針に戻
す予定である。その場合ラボバンクは、将来の分配を完全に自己の裁量で決定することになり、分配を行うこと
が賢明か、賢明な場合はその分配の水準を検討することになる。
301/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2019 年度に支払われた証書1口当たりの現金による分配金は1.625ユーロであった。以下の表に示されている
金額は、ラボバンク証書1口当たり25ユーロの額面価額に基づいている。当期中のラボバンク証書の変動から生
じるキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれている。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
期中の変動:
期首残高 7,449 7,445
ラボバンク証書による分配 376 -
期中のラボバンク証書の変動口数 (3) 4
期末残高 7,822 7,449
33 資本証券
資本証券
資本証券はすべて無期限 の証券であり、 満期日の定めがない。発行ごとの資本証券の自由裁量 の配当 は下記の
とおりである。
33.1 ラボバンクが発行した資本証券
1,250 百万ユーロの発行
クーポンは年6.625%であり、発行日(2016年4月26日)から6ヶ月ごとに後払いされる。第1回配当日は
2016年6月29日であった。当該資本証券は無期限であり、2021年6月29日に初めて償還可能となる。2021年6月
29日時点で、当該資本証券が早期償還されていない場合、配当は5年間設定されるが、ステップアップはなく、
5年物ユーロスワップ金利に6.697%を加えたものとなる。クーポンは、完全に自由裁量によるものである。
1,000 百万ユーロの発行
クーポンは年4.625%であり、発行日(2018年9月11日)から6ヶ月ごとに後払いされる。第1回配当日は
2018年12月29日であった。当該資本証券は無期限であり、2025年12月29日に初めて償還可能となる。2025年12月
29日時点で、当該資本証券が早期償還されていない場合、配当は5年間設定されるが、ステップアップはなく、
5年物ユーロスワップ金利に4.098%を加えたものとなる。クーポンは、完全に自由裁量によるものである。
1,250 百万ユーロの発行
クーポンは年3.25%であり、発行日(2019年9月9日)から6ヶ月ごとに後払いされる。第1回配当日は2019
年12月29日であった。当該資本証券は無期限であり、2026年12月29日に初めて償還可能となる。2026年12月29日
時点で、当該資本証券が早期償還されていない場合、配当は5年間設定されるが、ステップアップはなく、5年
物ユーロスワップ金利に3.702%を加えたものとなる。クーポンは、完全に自由裁量によるものである。
302/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
1,000 百万ユーロの発行
クーポンは年4.375%であり、発行日(2020年7月14日)から6ヶ月ごとに後払いされる。第1回配当日は
2020年12月29日であった。当該資本証券は無期限であり、2027年12月29日に初めて償還可能となる。 2027 年12月
29日時点で、当該資本証券が早期償還されていない場合、配当は5年間設定されるが、ステップアップはなく、
5年物ユーロスワップ金利に4.679%を加えたものとなる。クーポンは、完全に自由裁量によるものである。
250 百万英ポンドの発行
クーポンは年6.91%であり、発行日(2008年6月10日)から6ヶ月ごとに後払いされる。第1回配当日は2008
年12月10日であった。2038年6月10日以降のクーポンは、6ヶ月物英ポンドLiborに年2.825%のマークアップを
加えたものとなり、6ヶ月ごとに支払われる。クーポンは、発行体の自由裁量によって支払われる。ラボバンク
証書の配当を支払わない自由裁量権をラボバンクが行使しない場合、当該商品に係る支払も適用される。公開買
付による償還を経て、2020年12月31日現在の元本額は33百万英ポンドである。
33.2 ラボバンクが発行した資本証券 のうち当年度中に償還された証券
1,500 百万ユーロの発行
ラボバンクは2005年1月22日に1,500百万ユーロの資本証券を発行した。当該資本証券の条件に従い、ラボバ
ンクは、第1回期限前償還日である2020年6月29日にこれを償還した。
250 百万英ポンドの発行
ラボバンクは2008年6月10日に250百万英ポンドの資本証券を発行した。2020年10月7日、ラボバンクは保有
者に対してそれらの資本証券の現金買付けの募集を開始した。同募集は、2020年10月7日付の公開買付要項に含
まれている条件に基づき行われた。ラボバンクは、現金買付の募集に従って、有効に申し出がなされた全資本証
券を引き受け、その元本総額は217百万英ポンドに達した。
34 その他非支配持分
この項目は、ラボバンク子会社に対する非支配持分に関するものである。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
期首残高 477 481
純利益 41 46
為替換算差額 (34) 4
連結/非連結に含まれる事業体 (2) -
配当 (5) (50)
その他 (1) (4)
期末残高 476 477
303/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
非支配持分を最も多く有するラボバンクの子会社は、カーゴブル・ファイナンス・ホールディングおよび
AGCO・ファイナンス・SNCである。いずれの事業体もリース・セグメントに計上される。
カーゴブル・ホールディング・B.V.はオランダのアイントホーフェンを本拠地とし、ラボバンクは51%の資本
および議決権を有している。この事業体に関する非支配持分は72百万ユーロ(2019年度は66百万ユーロ)であ
る。以下の財務データが適用される。
カーゴブル・ホールディング・B.V.
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
収益 46 57
純利益 12 11
その他の包括利益 - -
包括利益合計 12 11
非支配株主に帰属する利益 6 6
非支配株主への支払配当金 - -
金融資産 525 704
その他資産 97 138
金融負債 452 671
その他負債 24 37
AGCO ・ファイナンス・SNCはフランスのボーベーを本拠地とし、ラボバンクは51.0%の資本および議決権を有
している。この事業体に関する非支配持分は107百万ユーロ(2019年度は97百万ユーロ)である。以下の財務
データが適用される。
AGCO ・ファイナンス・SNC
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
収益 43 37
純利益 19 (10)
その他の包括利益 - -
包括利益合計 19 (10)
非支配株主に帰属する利益 9 (5)
非支配株主への支払配当金 - 4
金融資産 1,942 1,800
その他資産 1 14
金融負債 1,663 1,554
その他負債 62 62
304/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
35 財務活動から生じた負債の変動
単位:百万ユーロ 発行済負債証券 劣後債務 合計
2020 年 12月31日に終了した年度
期首残高 130,403 15,790 146,193
財務キャッシュ・フローによる変動 (13,519) (1,511) (15,030)
為替レートの変動の影響 (4,252) (813) (5,065)
その他の非現金項目の変動 889 20 909
期末残高 113,521 13,486 127,007
2019 年 12月31日に終了した年度
期首残高 130,806 16,498 147,304
財務キャッシュ・フローによる変動 (3,507) (999) (4,506)
為替レートの変動の影響 1,457 270 1,727
その他の非現金項目の変動 1,647 21 1,668
期末残高 130,403 15,790 146,193
36 純受取利息
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
受取利息
現金および現金同等物 110 390
金融機関に対する貸出金および預け金 79 154
顧客に対する貸出金および預け金 12,779 14,907
公正価値ヘッジ会計に利用されるデリバティブ 187 9
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産 207 410
実効金利法を用いて測定する金融資産からの受取利息 13,362 15,870
売買目的金融資産 30 29
強制的に公正価値で測定される金融資産 22 29
マイナス金利の金融負債に係る受取利息 269 112
その他 93 89
その他の受取利息 414 259
受取利息合計 13,776 16,129
支払利息
金融機関預り金 117 182
顧客預り金 1,691 2,598
発行済負債証券 2,034 3,025
売買目的金融負債 7 5
経済的にヘッジする目的で保有されるデリバティブ 598 696
公正価値測定に指定した金融負債 139 164
劣後債務 661 728
マイナス金利の金融資産に係る支払利息 315 249
その他 30 27
支払利息合計 5,592 7,674
純受取利息 8,184 8,455
適格資産に帰属する資産計上された利息は17百万ユーロ(2019年度は17百万ユーロ)であった。資産計上され
るべき支払利息を決定する際に適用された平均利率は1%から4%(2019年度は1%から6%)の範囲であっ
た。信用減損した金融資産に関して発生した受取利息は344百万ユーロ(2019年度は420百万ユーロ)である。
TLTRO-III の中央銀行からの資金供給に係る受取利息は66百万ユーロにのぼった。
305/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
37 純受取手数料
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
受取手数料
支払サービス 725 754
貸出 417 500
その他金融資産の購入および売却ならびに取扱手数料 301 334
保険手数料 345 297
投資運用 1 4
カストディアン報酬および証券サービス - 5
リース関連手数料 55 69
その他の受取手数料 235 216
受取手数料合計 2,079 2,179
支払手数料
支払サービス 201 217
その他金融資産の購入および売却ならびに取扱手数料 45 53
カストディアン報酬および証券サービス 9 8
その他の支払手数料 44 43
支払手数料合計 299 321
純受取手数料 1,780 1,858
支払サービスに関する費用の分類変更による影響は、注記2.1「表示の変更」を参照されたい。
38 その他の営業活動による純利益
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
不動産事業からの収益 1,354 1,238
不動産事業による費用 1,066 969
不動産事業からの純利益 288 269
オペレーティング・リース事業からの収益 914 887
オペレーティング・リース事業による費用 734 700
オペレーティング・リース事業からの純利益 180 187
投資不動産からの収益 26 29
投資不動産による費用 14 15
投資不動産からの純利益 12 14
その他の営業活動による純利益 480 470
投資不動産による費用はすべて、リース不動産に関連するものである。
39 関連会社および共同支配企業への投資からの利益
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
関連会社および共同支配企業への投資からの利益に係るラボバンク持分 190 193
関連会社および共同支配企業への投資の売却に係る損益 - (1)
関連会社および共同支配企業への投資からの利益 190 192
306/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
40 損益を通じて公正価値で測定する金融資産および金融負債に係る利益/
(損失)
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
売買目的金融資産および金融負債ならびに売買目的デリバティブに係る利益/
(損失) (242) (5)
強制的に損益を通じて公正価値で測定される金融資産に係る利益/(損失) 58 141
公正価値測定に指定した金融負債および当該金融負債の金利リスクをヘッジす
るために使用されるデリバティブに係る利益/(損失) (16) 20
損益を通じて公正価値で測定する金融資産および金融負債に係る利益/(損
失)合計 (200) 156
公正価値測定に指定したその他の金融負債および当該金融負債の金利リスクをヘッジするために使用されるデ
リバティブに係る利益/(損失) は主として、損益に直接認識されたマイナス10百万ユーロ(2019年度は5百万
ユーロ)の仕組債ポートフォリオの公正価値変動に関連しており、それは、i)市場金利およびii)初日利得の変
動に起因している。市場金利の変動に伴う仕組債の公正価値変動に係る損益のほとんどは、この金利リスクを
ヘッジするために使用されるデリバティブの公正価値変動により相殺されている。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
金利金融商品に係る利益/(損失) 471 227
資本性金融商品に係る利益/(損失) (42) (5)
外国為替商品に係る利益/(損失) (645) (20)
外国為替に係る利益/(損失) (20) 26
その他 36 (72)
損益を通じて公正価値で測定する金融資産および金融負債に係る利益/(損
失)合計 (200) 156
41 その他収益
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
償却原価で認識されていた金融負債の認識中止により生じた利益/(損失) 3 (1)
グループ企業の売却に係る損益 19 373
その他 198 153
その他収益 220 525
2019 年度における ラボバンク・ナショナル・アソシエーションの売却 に係る利益は、「グループ企業の売却に
係る損益」の項目に含まれている。
307/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
42 人件費
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
賃金および給与 2,656 2,660
社会保険拠出金および保険料 277 331
年金費用-確定拠出制度 403 408
年金費用-確定給付年金制度 - 1
研修および旅費交通費 96 191
その他の退職後給付引当金の繰入/(戻入) 52 18
その他の人件費 1,200 1,212
人件費 4,684 4,821
常勤従業員数に換算したラボバンク内部および外部の従業員数は43,272人(2019年度は43,247人)である。
ラボバンクは 「グループ報酬方針」を 有している 。この方針は定期的に改訂され、「金融企業の報酬方針に関
するオランダ法」に基づく規定が含まれる。オランダの従業員が引き続き変動報酬の受給資格を有している場
合、その金額は固定収入の平均値の20%を超えることができない。オランダ国外では、いかなる変動報酬も固定
収入の100%を超えることができない。特定の役職員(ラボバンク・グループのリスクプロファイルに対して重
要な影響力を及ぼす可能性がある従業員)が変動報酬の受給資格を有する場合、その変動報酬は、対象となる業
務活動に関連するリスクを適切に考慮した期間について付与される。よって、変動報酬のうちの大部分の支払は
繰延べられる。 すなわち、変動支払額のうち40 % は繰延支払となる。変動支払額 合計 が500,000ユーロを超える
場合は、変動支払額合計の60 % が繰延べられる。 変動報酬の即時支払部分は無条件であるのに対し、繰延部分は
条件付である。繰延部分は、条件が満たされた場合は3年後に、または、「経営陣」に付与された場合は5年後
に権利確定する。特に、関連する変動報酬が別の観点から付与された際には、財務評価の著しい低下またはリス
ク管理の著しい変化が、ラボバンクまたは事業単位 の1つ においてあったかどうかをラボバンクは評価する。原
則として、暫定的に割り当てられた繰延報酬に対する権利は当該役職員の雇用が終了した時点で消滅する。変動
報酬の直接支払部分および繰延部分のうち50%は現金で割り当てられる。直接支払部分のうちの現金部分は割り
当て後即時に付与される。繰延部分のうちの現金部分は、権利確定後(3年後または5年後)に初めて従業員に
付与される。変動報酬の直接支払部分および繰延部分のうち50%は金融商品(金融商品部分)、すなわち繰延報
酬証書(以下「DRN」という)の形で付与される。DRNの価額は、NYSEユーロネクスト上場のラボバンク証書(以
下「RC」という)の価格と直接連動している。金融商品部分は業績評価対象年度の終了時の配分時にDRNに転換
される。DRNの口数は、NYSEユーロネクスト取引所における、ラボバンク証書に係る毎年2月の最初の5取引日
の平均終値に基づいて決定される。したがって、これが変動報酬の直接支払部分および繰延部分の金融商品部分
となる。繰延部分に関連するDRNの最終的な 価額 は、権利確定の時点(3年後または5年後)に設定される。上
記金融商品部分の支払には、1年間の留保期間が条件として課される。当該期間の満了時に、従業員は、各DRN
(またはその一部)について、その時点におけるDRNの価額に対応する金額の現金を受け取る。
308/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
変動報酬の支払は、IAS第19号「従業員給付」に従って測定される。変動報酬の即時支払部分が業績評価対象
年度に認識されるのに対し、繰延部分は権利確定前の各年度に認識される。
概ね同一の報酬制度が非特定の役職員にも適用されるが、最初の100,000ユーロには繰延方針が適用されず、
即時支払部分および繰延部分の両方が全額現金で支払われる。よってDRNは付与されない。
2020 年12月31日現在において、資本性金融商品に基づく支払の費用は9百万ユーロ(2019年度は12百万ユー
ロ)であり、27百万ユーロの負債が認識され(2019年度は36百万ユーロ)、そのうち9百万ユーロ(2019年度は
18百万ユーロ)の権利が確定した。現金で支払われた変動報酬の費用は138百万ユーロ(2019年度は160百万ユー
ロ)であった。付与済のDRNの口数は下表に示すとおりである。
単位:千口 2020 年 2019 年
期首残高 1,433 1,484
期中付与 291 378
期中支払 (525) (356)
前年度からの変動 (34) (73)
期末残高 1,165 1,433
DRN の価額はラボバンク証書の価格と直接連動している。変動報酬としてなされる支払の見積りは下表に示す
とおりである。
2020 年 12月31日現在 支払年度
単位:百万ユーロ 2021 年 2022 年 2023 年 2024 年 2025 年 2026 年 2027 年 合計
変動報酬(DRNを除く) 138.2 6.4 4.9 3.6 1.0 0.0 - 154.2
2.4
DRN 16.0 9.3 3.7 1.1 0.9 0.0 33.4
合計 154.2 15.8 8.6 6.0 2.1 0.9 0.0 187.6
2019 年 12月31日現在 支払年度
単位:百万ユーロ 2020 年 2021 年 2022 年 2023 年 2024 年 2025 年 2026 年 合計
変動報酬(DRNを除く) 163.9 7.4 5.8 4.2 0.2 0.1 - 181.6
DRN 16.0 17.6 4.6 3.2 1.7 0.2 0.1 43.4
合計 179.9 25.1 10.4 7.3 1.9 0.3 0.1 225.0
43 その他一般管理費
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
引当金の繰入および戻入 120 163
IT およびソフトウェア費用 365 371
コンサルタント費用 375 388
広報費用 92 150
有形(無形)資産の認識中止および減損に係る損益 124 (4)
その他費用 387 647
その他一般管理費 1,463 1,715
2020 年におけるその他の費用は、付加価値税(VAT)の軽減による影響があった。
309/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
44 減価償却費および償却費
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
有形固定資産の減価償却費 171 189
使用権資産の減価償却費 105 99
無形資産の償却費 119 132
減価償却費および償却費 395 420
45 金融資産に係る減損費用
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
顧客および金融機関に対する貸出金および預け金 2,034 1,035
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産 - (1)
償却後の回収額 (103) (103)
ローン・コミットメントおよび金融保証 (18) 44
金融資産に係る減損費用 1,913 975
46 規制上の賦課金
規制上の賦課金は、銀行税、銀行負担金、単一破綻処理基金に対する拠出金および預金保証制度に対する拠出
金で構成される。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
オランダの銀行税 136 133
オランダ以外 の国の銀行税 10 8
単一破綻処理基金への拠出金 225 206
預金保証基金への拠出金 177 137
規制上の賦課金 548 484
47 法人税
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
法人税
報告期間 693 731
過年度分調整 (73) 78
過年度に認識されていなかった税務上の欠損金の認識 (3) (3)
繰延税金 (217) 32
法人税合計 400 838
310/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
実効税率は26.7%(2019年度は27.6%)であり、オランダ法人税率を適用した結果生じる理論値とは異なる。
この差異は以下のとおりである。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
税引前営業利益 1,496 3,041
適用税率 25% 374 25% 760
税額の増減は以下に起因する:
非課税収益 (0.9%) (14) (2.7%) (82)
外国税率の影響 2.7% 41 0.7% 20
損金不算入費用 6.9% 103 2.0% 62
過年度に認識されていなかった税務上の欠損金の認識 (0.2%) (3) (0.1%) (3)
その他の永久差異 (4.8%) (72) (1.7%) (52)
過年度分調整 (4.9%) (73) 2.6% 78
税率の変更に伴う調整 (1.3%) (19) (0.6%) (19)
繰延税金の取り崩し 2.2% 33 - -
その他特別税目 2.0% 30 2.4% 74
27.6 %
法人税合計 26.7% 400 838
その他の永久差異は主として、2020年度の資本証券に係る支払利息の税務上の影響によるものである。2019年
度の資本証券に係る支払利息の税務上の影響は、同様の金融商品に係る利息の損金算入に関する事案の最高裁判
所の判決を受けて、「過年度分調整」に56百万ユーロ含まれている。
損金不算入費用に報告されている主な項目は、2020年に銀行および保険会社に対して導入されたオランダの過
少資本税制により生じた損金不算入利息28百万ユーロの税効果と、損金不算入の銀行税の税効果である。
48 関連当事者との取引
財務上もしくは経営上の決定に関して、一方の当事者が他方の当事者に対する支配力を行使している場合、ま
たは他方の当事者に対する重大な影響力を有する場合、両者は関連当事者とみなされる。通常の業務において、
ラボバンクは関係当事者との間で、貸出、預金および外貨建取引など、様々な取引を行う。また関連当事者間の
取引には、関連会社、年金基金、共同支配企業、経営委員会および監督委員会との取引も含まれる。これらの取
引は商取引上の条件のもと市場価格に照らして行われている。IAS第24号4項に従い、グループ内取引は連結財
務諸表において開示されない。
ラボバンクの通常の業務運営においては、関連当事者との銀行取引も行われている。これには貸出、預金およ
び外貨建取引が含まれている。これらの取引は商取引上の条件のもと市場価格に照らして行われている。関連当
事者間の取引量、期末現在の未決済残高、および対応する年間の収益および費用は、下表に示されている。経営
委員会メンバーおよび監督委員会メンバーとの取引および残高は注記50に開示されている。年金基金との取引は
注記28に開示されている。
311/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
関連会社への投資 その他の関連当事者
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年 2020 年 2019 年
貸出金
期首残高 79 19 42 44
期中供与額 9 70 6 7
期中償還額 (71) (10) (36) (9)
その他 - - - -
12 月31日現在の総貸出金 17 79 12 42
控除:貸出金減損引当金 - - - -
12 月31日現在の貸出金合計 17 79 12 42
金融機関からの預金および顧客からの預金
期首残高 5,910 6,062 47 38
期中預入額 256 597 72 86
期中払出額 (296) (749) (84) (77)
その他 - - (1) -
12 月31日現在の預り金 5,870 5,910 34 47
信用関連の偶発債務 261 274 - -
収益
純受取利息 7 8 - -
純受取手数料 251 250 1 -
トレーディング収益 - 3 - -
その他 10 14 - -
関連当事者との取引による収益合計 268 275 1 -
費用
支払利息 202 224 - -
純支払手数料 46 - - -
減損 - - - -
関連当事者との取引による費用合計 248 224 - -
49 外部監査人に係る費用
ラボバンクの独立監査法人であるプライスウォーターハウスクーパース・アカウンタンツ・エヌ・ブイ(以下
「PwC」という)ならびにそのメンバーファームおよび/または関連会社によって2020年度にラボバンクおよび
その子会社に提供された役務の費用は、以下に示すとおりである。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
PwC の他のネ PwC の他のネ
ットワーク・ ットワーク・
PwC オランダ ファーム 合 計 PwC オランダ ファーム 合 計
監査費用 8.8 8.5 17.3 8.6 8.3 16.9
監査関連費用 1.5 0.5 2.0 1.7 0.4 2.1
税務アドバイザリー費用 - 0.3 0.3 - 0.3 0.3
その他の非監査業務 - - - - - -
合計 10.3 9.3 19.6 10.3 9.0 19.3
312/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
上記の監査費用は、税務サービス・グループおよびアドバイザリー・グループなど、PwCおよびそのグローバ
ルネットワーク内のその他のメンバーファームによって、ラボバンクおよびその連結グループ事業体に適用され
た手続に関連するものである。当該監査費用は、財務諸表の監査に関わるものであり、かかる監査が当年度中に
行われたかどうかは問わない。
当行の独立監査法人であるプライスウォーターハウスクーパース・アカウンタンツ・エヌ・ブイは、当行およ
びその支配企業に対し、法定監査の対象期間において、法定財務諸表の監査のほか、以下のサービスを提供し
た。
独立監査法人が財務諸表監査のほかに提供したサービスの概要(EU規則537/2015、セクション10、サブセク
ション2.g)
法令上もしくは規制上の要件に基づき必要なその他の監査サービス
・支配企業および関連企業の法定監査
・欧州中央銀行に提出する規制上の財務報告書の監査
・オランダ銀行に提出する TLTRO-III 報告書に関する保証業務
・金融市場庁に提出するコスト・プライス・モデルに関する非監査保証業務
監査関連費用
・サステナビリティ・レポートに関する保証業務
・財務報告に係る内部統制の有効性に関する保証業務
・コスト・アロケーションに関する合意された手続
・支配企業および関連企業に対する特定目的の財務諸表監査
・資金調達取引の一環として、および、オランダ会計基準3850Nに基づき発行されたコンフォート・レター業
務
50 監督委員会および経営委員会に係る報酬
監督委員会メンバーおよび経営委員会メンバーは、本連結財務諸表の注記 56 に記載されている。ラボバンクは
経営委員会および監督委員会のメンバーを重要な経営幹部とみなしている。経営委員会メンバーは注記42に開示
されている特定の役職員に含まれる。経営委員会のメンバーに対する 報酬は以下のとおりである。
313/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
従業員
短期給付金 退職後給付金 合計
個人年金
単位:千ユーロ 給与 その他 年金制度 拠出金
ベリー・マルティン 884 20 28 187 1,119
ヤン・ヴァン・ニーウェンハウゼン
(2020年9月1日退任) 589 14 19 19 641
カーステン・コンスト 800 2 28 167 997
ウィバ・ドライヤー 980 - 28 210 1,218
マリエル・リヒテンベルク 750 7 28 155 940
イコ・セィフィンガ 750 - 28 155 933
バス・ブラウワース 884 18 28 187 1,117
ジャニノ・フォス 650 - 28 131 809
バート・ルアース 650 - 28 131 809
エルス・デ・フロート 750 20 28 155 953
2020 年度合計 7,687 81 271 1,497 9,536
経営委員会現メンバー 7,919 13 270 1,658 9,860
経営委員会旧メンバー 74 - 2 16 92
2019 年度合計 7,993 13 272 1,674 9,952
2020 年度末現在において、経営委員会メンバーに対するDRNの発行済口数は合計で2,761口(負債額80千ユー
ロ)である(2019年度末は2,761口)。経営委員会メンバーの年金制度は集団型確定拠出制度に分類される。経
営委員会メンバーの年金積立の基準となる2020年度の最大収入は104,115ユーロである。この金額を超える収入
は年金給付の対象とならない。そのため、経営委員会メンバーは個人年金拠出を受け取っている。 自動車リース
の取決めに対する権利が存在する。また、経営委員会メンバーの全員を対象とする通勤および出張のための社用
車に関する方針が 整備 されている。
監督委員会の現メンバーおよび旧メンバーに関係する費用総額は1.2百万ユーロ(2019年度は1.2百万ユーロ)
であった。これにはVATおよび雇用主負担金が含まれている。この報酬は、ラボバンクの監督委員会メンバーと
しての職務に加え、各種委員会の職務にも依存している。それらの委員会の構成の詳細は年次報告書に記載され
ている。報酬の内訳は以下のとおりである(VATおよびその他の費用を除く)。
単位:ユーロ 報酬
メンバー 90,000
監査委員会、リスク委員会、協同組合問題委員会の委員長(追加報酬) 20,000
指名委員会、人事委員会の委員長(追加報酬) 20,000
副会長(追加報酬) 30,000
会長 220,000
314/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
下表は個々の監督委員会メンバーの報酬を示している(VATおよびその他の費用を除く)。
単位:千ユーロ 報酬額
レオ・デグレ(2020年9月16日退任) 63
ペイトリ・ホフステー 110
アリアン・カンプ 110
ヤン・ノイヘダフト 110
ロン・ティアリンク 220
パスカル・フィゼー 90
マリヤン・トロンペッター 140
アネット・アリス 90
マーク・ペンサレト 66
2020 年度合計 999
2019 年度合計 998
ラボバンクでは、監督委員会の委員長は、 メンバー評議会総会議長など、 協同組合に関連する複数の職務を
担っている。
単位:百万ユーロ 経営委員会 監督委員会
貸出金、前払金および保証金 2020 年 2019 年 2020 年 2019 年
1月1日現在残高 4.9 5.3 1.8 2.2
期中供与額 - 0.7 - -
期中返済額 (0.3) (1.1) (0.1) (0.3)
辞任に伴う減額 - - - -
就任に伴う増額 - - - -
12 月31日現在残高 4.6 4.9 1.7 1.8
在職していた経営委員会メンバーに係る貸出金、前払金および保証金、ならびに平均金利は以下のとおりであ
る。
単位:百万ユーロ 貸付残高 平均金利(%)
2020 年 12月31日現在
バス・ブラウワース 0.7 1.5
カーステン・コンスト 0.1 5.0
バート・ルアース 0.8 2.2
マリエル・リヒテンベルク 1.0 3.5
ジャニノ・フォス 0.9 2.3
単位:百万ユーロ 貸付残高 平均金利(%)
2019 年 12月31日現在
バス・ブラウワース 0.7 1.5
カーステン・コンスト 0.2 5.0
バート・ルアース 0.8 2.2
マリエル・リヒテンベルク 1.2 3.6
ベリー・マルティン 0.0 5.8
ヤン・ヴァン・ニーウェンハウゼン 1.2 1.9
ジャニノ・フォス 0.9 2.3
315/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
在職していた監督委員会メンバーに係る貸出金、前払金および保証金、ならびに平均金利は以下のとおりであ
る。
単位:百万ユーロ 貸付残高 平均金利(%)
2020 年 12月31日現在
アリアン・カンプ 1.1 1.4
マリヤン・トロンペッター 0.6 2.5
単位:百万ユーロ 貸付残高 平均金利(%)
2019 年 12月31日現在
アネット・アリス - n/a
アリアン・カンプ 1.2 1.6
マリヤン・トロンペッター 0.6 2.5
上表に記載されていない監督委員会メンバーは2020年度末現在において貸出金、前払金および保証金を受けて
いなかった。経営委員会メンバーおよび監督委員会メンバーを相手方とするこれらの取引は、従業員向け条件に
基づいて、および/または監督委員会メンバーについては市場金利に基づいて、本人と直接締結された。金利
は、通貨、合意された固定金利期間および取引が完了した時点または新たな固定金利が適用された時点を含む要
因によって決まる。
経営委員会の数名のメンバーは、自らラボバンク証書に投資している。
経営委員会 ラボバンク証書の口数
2020 年 12月31日現在
カーステン・コンスト 840
マリエル・リヒテンベルク 1,018
ベリー・マルティン 10,084
51 主な子会社
2020 年12月31日現在において、ラボバンクは、コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アーおよびオランダ内外
の連結子会社で構成されている。
2020 年 12月31日現在 持株 議決権
主要子会社
オランダ
DLL ・インターナショナル・B.V. 100% 100%
BPD ・ヨーロッパ・B.V. 100% 100%
オプフィオン・N.V. 100% 100%
北米
ユトレヒト・アメリカ・ホールディング・インク 100% 100%
オーストラリアおよびニュージーランド
ラボバンク・オーストラリア・リミテッド 100% 100%
ラボバンク・ニュージーランド・リミテッド 100% 100%
316/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
上表記載の子会社はすべて連結されている。2020年度において複数の子会社が、COVID-19により配当の支払お
よび自己資本について規制当局による制約を受けた。子会社がラボバンクに配当を支払う可能性は、現地の規制
上の要件、法定準備金および業績を含む様々な要因に左右される。
W&R セグメントの いくつかのストラクチャード・エンティティについては、ラボバンクが過半数の議決権を保
持している場合も連結対象外とされる。それらのストラクチャード・エンティティを連結しないのは、関連する
活動とその変動リターンが契約の第三者によって決められるからである。
ラボバンクは、過半数に満たない議決権しか保持していないものの、ベンダー・リース事業の一部として
「リース」セグメントのいくつかの事業体を支配している。これは、支配権が議決権ではなく経営参加によって
判定されるためである。
52 金融資産の譲渡および担保として提供された金融資産
52.1 リバース・レポ取引および証券借入取引
ラボバンクが締結しているリバース・レポ取引および証券借入契約は、「金融機関に対する貸出金および預け
金」または「顧客に対する貸出金および預け金」に含まれて おり、その 金額は下記のとおりである。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
金融機関に対する貸出金および預け金 15,803 22,703
顧客に対する貸出金および預け金 17,265 13,462
リバース・レポ取引および証券借入取引合計 33,068 36,165
リバース・レポ取引および証券借入契約の条件に従ってラボバンクは担保を受領しており、その条件によれ
ば、ラボバンクは担保を第三者に担保として再設定するまたは売却することができる。この契約条件に基づき受
領した証券の公正価値総額は、2020年12月31日現在において34,387百万ユーロ(2019年度は36,956百万ユーロ)
であった。契約の条件に従い、その証券の一部は、担保として再設定されたか、または売却された。これらの取
引は、標準的なリバース・レポ取引および証券借入契約の通常の条件に基づき実行された。ほぼすべての関連す
るリスクおよび便益が取引相手に帰属することから、当該証券は財政状態計算書において認識していない。担保
として支払われた金額と同等の価額の受取債権が認識されている。
52.2 レポ取引および証券貸出契約
ラボバンクが締結しているレポ取引および証券貸出契約は、「金融機関預り金」および「顧客預り金」に含ま
れて おり、その 金額は下記のとおりである。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
金融機関預り金 439 1,522
顧客預り金 550 32
レポ取引および証券貸出契約合計 989 1,554
317/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンクは2020年12月31日現在、帳簿価額1,125百万ユーロ(公正価値と同額)(2019年度は1,525百万ユー
ロ)の利付証券をレポ取引の担保として提供している。取引相手はこれらの証券を売却するまたは担保として再
設定する権利を保持している。ラボバンクはこれらの取引を、標準的なレポ取引および証券貸出取引契約の通常
の条件に基づき実施した。当行は、証券の価値が変動した場合、証券または現金を担保として提供または受領す
ることがある。信用および市場リスクを含め、ほぼすべての関連するリスクおよび便益がラボバンクに帰属する
ことから、当該証券の認識は中止されていない。担保として受け取った金額と同等の価額の負債が認識されてい
る。
52.3 証券化
ラボバンクの財務活動および流動性管理の一環として、および信用リスクを縮小する目的で、特定の金融資産
からのキャッシュ・フローは第三者に移転される(真正売買取引)。これらの取引の対象となる金融資産のほと
んどは、特別目的事業体に移転した住宅ローンおよび他のローン・ポートフォリオで、その特別目的事業体は連
結している。その資産は、証券化の後も引き続き、主に「顧客に対する貸出金および預け金」の項目の下でラボ
バンクの財政状態計算書において認識される。証券化資産は、注記2.15において言及された会計方針に従って測
定される。
自己資産の証券化に関連して移転された金融資産の帳簿価額は81,004百万ユーロ(2019年度は82,053百万ユー
ロ)で、関連する負債は79,118百万ユーロ(2019年度は80,121百万ユーロ)である。移転された資産の約73%
(2019年度は72%)は流動性の目的のために内部で証券化されている。ラボバンクがスポンサー(ニエー・アム
ステルダム)となっている資産の帳簿価額は、1,941百万ユーロ(2019年度は3,398百万ユーロ)であり、関連す
る負債は1,941百万ユーロ(2019年度は3,398百万ユーロ)であった。ラボバンクは規制上の理由から、ニエー・
アムステルダムが発行するコマーシャル・ペーパーの5%から6%を保持している。
52.4 (偶発)債務の担保として提供した金融資産の帳簿価額
下記の資産を、取引相手に保証を提供する目的で(偶発)債務の担保として提供した(レポ取引、証券貸出お
よび自己資産の証券化に係る担保を除く)。ラボバンクが債務不履行に陥った場合、取引相手は担保を用いて債
務を清算できる。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
現金および現金同等物 85 28
金融機関に対する貸出金および預け金 2,174 2,155
顧客に対する貸出金および預け金 28,503 26,117
売買目的金融資産 692 77
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産 2,983 3,083
担保として提供した資産合計 34,437 31,460
318/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
53 ストラクチャード・エンティティ
53.1 連結ストラクチャード・エンティティ
ストラクチャード・エンティティは、議決権または同等の権利が、誰が事業体に対する支配力を行使している
かを判断するにあたって決定的な要因とならないように組成された事業体である。ラボバンクは、資金調達活動
や流動性管理の一貫としておよび信用リスクの低減を目的として住宅ローンおよびその他のローン・ポートフォ
リオを証券化するために、ストラクチャード・エンティティを使用している。それらの貸出金は実際にストラク
チャード・エンティティに移転される。自己資産の証券化は、オプフィオン およびDLL によって取り扱われてい
る。ラボバンクは融資枠の供与に加え、すべての自己資産の証券化についてスワップの相手方となって取引を
行っている。
ラボバンクは、ニエー・アムステルダム・レシーバブルズ・コーポレーションにおいてスポンサーとなってい
る。ニエー・アムステルダムは様々な通貨建のABCP(資産担保コマーシャル・ペーパー)を発行し、コマーシャ
ル・ペーパー市場を通じてラボバンクの顧客に流動性を提供している。ラボバンクは、助言を提供すると共にこ
のプログラムを管理し、ABCPを販売し、原取引およびこのプログラム自体のために現金の融資枠、信用リスク補
完およびその他の融資枠を提供している。
ラボバンクは、自己資産の証券化ビークルおよびニエー・アムステルダムへの関与に関して変動的な収益に対
するエクスポージャーを有する、または当該収益に対する権利を有することから、それらの事業体を連結してい
る。さらに、ラボバンクは、それらの事業体に対する支配権を有することにより、投資家の収益金額に影響を与
える選択権も有している。
53.2 非連結ストラクチャード・エンティティ
非連結ストラクチャード・エンティティとは、ラボバンクが支配権を有していないすべてのストラクチャー
ド・エンティティを指す。それらの持分は主に、RMBS、ABSおよびCDOならびにプライベート・エクイティ持分な
ど、証券化ビークルの負債証券から成っている。それらの負債証券の金額は、ほとんど常に当該ビークルの総資
産に比較して限定的である。ラボバンクは通常、発行済負債証券または信用枠によりそれら証券化ビークルに資
金を補充している。
319/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
下表は、非連結ストラクチャード・エンティティに対するラボバンクの持分の性質およびリスクを一覧にした
ものである。非連結ストラクチャード・エンティティの規模は一般に、資産および偶発債務の帳簿価額を反映す
る。最大エクスポージャーは、以下の表に開示されている帳簿価額に等しい。
単位:百万ユーロ 2020 年 12月31日現在 2019 年 12月31日現在
ラボバンクが認識した資産 証券化 その他 合計 証券化 その他 合計
売買目的金融資産 7 28 35 - 48 48
公正価値測定に指定した金融資産 - - - - - -
強制的に公正価値で測定される金融資
産 35 439 474 41 337 378
デリバティブ 57 - 57 105 - 105
顧客に対する貸出金および預け金 649 - 649 683 - 683
その他の包括利益を通じて公正価値で
測定する金融資産 4 - 4 5 - 5
関連会社への投資 85 187 272 74 226 300
ラボバンクが認識した金融資産合計 837 654 1,491 908 611 1,519
ラボバンクが認識した負債
デリバティブ 5 - 5 (4) - (4)
顧客預り金 221 - 221 233 - 233
ラボバンクが認識した負債合計 226 - 226 229 - 229
ラボバンクが持分を有していないスポンサー付、非連結ストラクチャード・エンティティからの利益はない
(2019年度もゼロ)。
54 後発事象
後発事象は無い。
320/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
55 財務報告に係る内部統制に対する経営陣からの報告
ラボランクの 経営委員会 は、財務報告に係る内部統制を適正に確立し、維持する責任を負っている。経営陣に
はまた、連結財務諸表の作成とその公正な表示の責任がある。
本年次報告書の対象期間の終了時に、ラボバンクの経営陣は、最高経営責任者(CEO)および最高財務責任者
(CFO)の監督の下、両者も参加して、財務報告に係る内部統制の整備状況および運用状況の有効性の評価を実
施した。 ラボバンクの財務報告に係る内部統制は、 有効に機能した場合、一般に公正妥当と認められた会計原則
に則り、対外開示目的での財務諸表の作成 に係る財務報告の信頼性 に関して合理的な保証を提供することを目的
とした1つのプロセスである。
内部統制システムは、その整備状況がいかに優れていたとしても固有の限界というものがある。その固有の限
界のため、財務報告に係る内部統制では虚偽表示を防止または発見できない可能性もある。同時に、内部統制の
有効性に関するいかなる評価でも、それに基づく将来予測は、状況の変化により内部統制の措置が不十分になる
可能性があるというリスク、または方針や手続の遵守の度合いが低下する可能性があるというリスクに晒されて
いる。
経営陣は、トレッドウェイ委員会組織委員会(以下「COSO」という)が2013年に 設定 した「内部統制の統合的
枠組み」において定義された 基準 に基づき、2020年12月31日現在のラボバンクの財務報告に係る内部統制の有効
性を評価した。
その評価に基づき、 ラボバンクの経営委員会は、COSOが2013年に発表した「内部統制の統合的枠組み」におい
て定義された基準に従い、2020年12月31日現在において、すべての重要な側面において財務報告に係る内部統制
が維持されていると結論付けた。
2020 年12月31日に終了した年度のラボバンクの連結財務諸表を監査したプライスウォーターハウスクーパー
ス・アカウンタンツ・エヌ・ブイもまた、ラボバンクの財務報告に係る内部統制の有効性に関する経営陣の評価
を検証した。プライスウォーターハウスクーパース・アカウンタンツ・エヌ・ブイの 保証 報告書は(原文の)
249 ページ に記載されている。
ウィバ・ドライヤー バス・ブラウワース
ユトレヒト、 2021 年3月 4日
内部統制に関する上の記述は、サーベンス・オクスリー法第404条の規定される報告であると解釈すべきでは
ない。
321/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
56 財務諸表の承認
本財務諸表は、監督委員会 および経営委員会 により2021年3月4日に署名された。本財務諸表は、2021年4月
16日開催予定のメンバー評議会総会において、株主による承認を受けるために提出する予定である。ラボバンク
の財務諸表の承認に関し定款は次のとおり定めている。「財務諸表の承認決議は、メンバー評議会総会における
有効投票の絶対多数の賛成によって成立する。」
経営委員会
ウィバ・ドライヤー、会長
バス・ブラウワース、CFO
エルス・デ・フロート、CRO
カーステン・コンスト、メンバー
バート・ルアース、メンバー
マリエル・リヒテンベルク、メンバー
ベリー・マルティン、メンバー
イコ・セィフィンガ、メンバー
ジャニノ・フォス、メンバー
監督委員会
ロン・ティアリンク、会長
マリヤン・トロンペッター、副会長
アリアン・カンプ
ヤン・ノイヘダフト
ペイトリ・ホフステー
パスカル・フィゼー
アネット・アリス
マーク・ペンサレト
前へ 次へ
322/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
財政状態計算書(利益処分前)
財政状態計算書
2020年 12月31日現在 2019年12月31日現在
(利益処分前) 注記
百万ユーロ 百万円 百万ユーロ 百万円
資産
現金および中央銀行預
1 107,914 13,953,280 62,908 8,134,004
け金残高
短期政府証券 2 576 74,477 792 102,406
金融機関相互間の
15,203 1,965,748 22,074 2,854,168
証券取引
金融機関 に対するその
他の貸出金および預け 13,404 1,733,137 15,679 2,027,295
金
金融機関 に対する貸出
3 28,607 3,698,885 37,753 4,881,463
金および預け金
公共セクターへの
1,728 223,430 1,728 223,430
貸出金
民間セクターへの
382,752 49,489,834 383,336 49,565,345
貸出金
金融機関相互間の
17,520 2,265,336 13,756 1,778,651
証券取引
顧客に対する貸出金お
4 402,000 51,978,600 398,820 51,567,426
よび預け金
利付証券 5 64,242 8,306,491 62,653 8,101,033
株式 6 221 28,575 83 10,732
グループ会社に対する
7 13,986 1,808,390 14,077 1,820,156
持分
その他の持分投資 8 1,511 195,372 1,632 211,018
のれんおよびその他の
9 389 50,298 417 53,918
無形資産
有形固定資産 10 1,424 184,123 1,720 222,396
その他資産 11 5,700 737,010 4,505 582,497
デリバティブ 12 32,565 4,210,655 26,993 3,490,195
前払費用および
655 84,692 914 118,180
未収収益
資産合計 659,790 85,310,847 613,267 79,295,423
323/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2020年12月31日現在 2019年12月31日現在
注記
百万ユーロ 百万円 百万ユーロ 百万円
負債
金融機関相互間の
431 55,728 1,502 194,209
証券取引
金融機関 に対するその
61,328 7,929,710 24,356 3,149,231
他の負債
金融機関 預り金 14 61,759 7,985,439 25,858 3,343,439
貯蓄性預金 153,939 19,904,313 148,851 19,246,434
金融機関相互間の
150 19,395 32 4,138
証券取引
その他顧客預り金 202,799 26,221,911 184,393 23,842,015
顧客預り金 15 356,888 46,145,618 333,276 43,092,587
発行済負債証券 16 95,971 12,409,050 110,848 14,332,646
その他負債 17 61,001 7,887,429 59,554 7,700,332
デリバティブ 12 28,313 3,660,871 24,322 3,144,835
未払費用および
1,486 192,140 1,919 248,127
繰延収益
引当金 18 730 94,389 843 109,000
13,486 1,743,740 15,777 2,039,966
劣後債務 19
619,634 80,118,676 572,397 74,010,932
ラボバンク証書 7,822 1,011,385 7,449 963,156
資本証券 4,482 579,523 5,264 680,635
再評価準備金 376 48,617 359 46,419
法定準備金 (666) (86,114) (106) (13,706)
その他準備金 27,087 3,502,349 25,746 3,328,958
当期純利益 1,055 136,412 2,158 279,029
40,156 5,192,171 40,870 5,284,491
資本 20
資本および負債合計
659,790 85,310,847 613,267 79,295,423
68,186 8,816,450 67,437 8,719,604
偶発債務 28
324/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
損益計算書
2020 年12月31日 2019 年12月31日
損益計算書 注記
に終了した年度 に終了した年度
百万ユーロ 百万円 百万ユーロ 百万円
受取利息 21
12,124 1,567,633 13,811 1,785,762
6,467 836,183 8,215 1,062,200
支払利息 21
純受取利息 21
5,657 731,450 5,596 723,563
受取手数料 22 1,917 247,868 1,930 249,549
285 36,851 285 36,851
支払手数料 22
純受取手数料 22
1,632 211,018 1,645 212,699
持分からの利益 23 961 124,257 890 115,077
外部取引先とのトレーディング・ポート
(354) (45,772) (23) (2,974)
フォリオからの利益/(損失)
グループ会社とのトレーディング・ポー
(162) (20,947) 587 75,899
トフォリオからの利益/(損失)
投資ポートフォリオからの利益/(損
244 31,549 97 12,542
失)
財務取引からの純利益
(272) (35,170) 661 85,467
62 8,017 165 21,335
その他収益
収益合計
8,040 1,039,572 8,957 1,158,140
人件費 24 3,508 453,584 3,682 476,083
その他一般管理費 1,184 153,091 1,166 150,764
329 42,540 350 45,255
減価償却費
営業費用合計
5,021 649,215 5,198 672,101
関連会社への投資に係る減損 213 27,541 300 38,790
金融資産 に係る減損 費用 1,182 152,833 346 44,738
489 63,228 429 55,470
規制上の賦課金 25
税引前営業利益
1,135 146,756 2,684 347,041
80 10,344 526 68,012
法人税 26
当期純利益 1,055 136,412 2,158 279,029
前へ 次へ
325/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
財政状態計算書に関する注記
1 現金および中央銀行預け金残高
この項目は、法定通貨、ラボバンクが事業を営む外国の中央銀行に預けている要求払預金、および最低準備金
政策に基づき義務付けられているデ・ネダーランディッシュ・バンク(オランダ中央銀行)への預金で構成され
ている。
2 短期政府証券
この項目は、発行国の中央銀行が割引償還する、または担保として許容する当初満期が2年までの政府証券に
関するものである。短期政府証券の取得原価と市場価値は実質的に同じである。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
トレーディング・ポートフォリオ認識分 25 157
投資ポートフォリオ認識分 551 635
短期政府証券合計 576 792
3 金融機関 に対する貸出金および預け金
この項目は、利付証券の形態である場合を除く、 金融機関 に対する貸出金および預け金を表す。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
金融機関 に対する貸出金および預け金 20,166 27,806
グループ会社に対する貸出金および預け金 8,441 9,947
金融機関 に対する貸出金および預け金合計 28,607 37,753
内 劣後部分 - -
金融機関 に対する貸出金および預け金 の期間別内訳は以下のとおりである:
要求払い 11,340 18,694
3ヶ月以下 8,157 8,633
3ヶ月超1年以下 4,019 3,183
1年超5年以下 2,282 5,137
5年超 611 191
満期なし 2,198 1,915
金融機関に対する貸出金および預け金合計 28,607 37,753
有価証券の形態で 受け入れた 担保の公正価値は15,965百万ユーロ(2019年度は22,640百万ユーロ)である。
326/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
4 顧客に対する貸出金および預け金
この項目は、 金融機関 からの受取債権と利付証券を除く、事業活動の一環として生じた貸出金および預け金で
構成される。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
顧客に対する貸出金および預け金の内訳:
公共セクターへの貸出金 1,728 1,728
民間セクターへの貸出金 382,752 383,336
金融機関相互間の証券取引 17,520 13,756
顧客に対する貸出金および預け金合計 402,000 398,820
この項目には、以下が含まれる:
内 グループ会社向 74,165 71,591
内 住宅ローン 157,273 157,021
トレーディング・ポートフォリオに認識された貸出金 548 106
投資ポートフォリオに認識された貸出金 178 206
損益を通じて公正価値で測定する投資ポートフォリオに認識された貸出金 1,164 1,088
償却原価で測定する貸出金 400,110 397,420
顧客に対する貸出金および預け金合計 402,000 398,820
貸出金および預け金の期間別内訳は、以下のとおりである:
要求払い 50,244 49,824
3ヶ月以下 18,133 16,992
3ヶ月超1年以下 28,566 28,914
1年超5年以下 83,845 87,977
5年超 210,975 207,370
満期なし 8,347 6,343
償却原価で測定する貸出金 400,110 397,420
貸出金(政府へのローン、リバースレポを除く)は特定の事業セクターへの
集中度に応じて次のように分類できる:
食品・農業 18% 18%
商業・工業・サービス業 28% 29%
個人セクター 54% 53%
合計 100% 100%
有価証券の形態で受け入れた担保の公正価値は18,097百万ユーロ(2019年度は14,133百万ユーロ)である。
327/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
5 利付証券
この項目は、短期政府証券を除く利付証券である。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
以下の発行体によって発行された利付証券:
公的機関 8,087 7,877
その他の発行体 56,155 54,776
利付証券合計 64,242 62,653
利付証券の内訳:
トレーディング・ポートフォリオ 1,818 1,735
投資ポートフォリオ 62,381 60,881
損益を通じて公正価値で測定する投資ポートフォリオ 43 37
64,242 62,653
ポートフォリオには以下も含まれる:
グループ会社発行証券 50,671 50,803
ポートフォリオの上場部分 13,306 11,386
非上場証券 および グループ会社 発行証券 50,936 51,267
利付証券合計 64,242 62,653
6 株式
この項目は、その他短期投資を含む株式およびその他非利付証券により構成される。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
内訳は以下のとおりである:
投資ポートフォリオ 61 72
損益を通じて公正価値で測定する投資ポートフォリオ 8 -
トレーディング・ポートフォリオ 152 11
合計 221 83
ポートフォリオのうち上場株式 143 11
ポートフォリオのうち非上場株式 78 72
合計 221 83
328/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
7 グループ会社に対する持分
この項目には、グループ会社に対して直接保有する持分が含まれる。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
持分投資の内:
金融機関 3,776 3,853
その他 の事業体 10,210 10,224
合計 13,986 14,077
持分投資の増減:
1月1日現在の帳簿価額 14,077 13,555
期中の追加・資本参加 291 56
期中の売却、処分および清算 (16) (3)
利益 783 764
配当/資本償還 (331) (361)
再評価 (808) 119
その他 (10) (53)
12 月31日現在の帳簿価額 13,986 14,077
8 その他の持分投資
この項目には、アフメア・B.V.をはじめとする関連会社に対する参加持分が含まれる。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
持分投資の内訳:
金融機関 - -
その他 の事業体 1,511 1,632
その他の持分投資合計 1,511 1,632
持分投資の増減:
1月1日現在の帳簿価額 1,632 1,722
期中の取得 4 29
期中の処分 - -
利益 /(損失) 170 123
再評価 (37) 94
減損 (213) (300)
配当 (45) (36)
12 月31日現在の帳簿価額 1,511 1,632
329/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
9 無形資産
無形資産は主にソフトウェアから成る。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
1月1日現在の帳簿価額 417 419
期中の取得(グループ会社向け) 1 77
期中の取得 110 150
期中の処分(グループ会社向け) - (69)
期中の処分 (19) (17)
減価償却 (109) (117)
減損損失 (10) (25)
為替換算差額およびその他 (1) (1)
12 月31日現在の帳簿価額 389 417
減価償却累計額および減損損失累計額 1,125 1,067
10 有形固定資産
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
自己使用の土地・建物 898 1,153
設備 212 218
使用権資産 314 349
有形固定資産合計 1,424 1,720
自己使用の
単位:百万ユーロ 土地・建物 設備
2020 年1月1日現在の帳簿価額 1,153 218
期中の取得 32 38
期中の処分 (2) (14)
減価償却 (82) (67)
減損損失 (122) -
その他資産への振替 (31) -
為替換算差額およびその他 (50) 37
2020 年12月31日現在の帳簿価額 898 212
減価償却累計額および減損損失累計額 1,318 559
自己使用の
単位:百万ユーロ 土地・建物 設備
2019 年1月1日現在の帳簿価額 1,212 239
期中の取得 33 56
期中の処分 (2) (13)
減価償却 (92) (70)
減損損失 (10) -
減損損失の戻入 32 -
為替換算差額およびその他 (20) 6
2019 年12月31日現在の帳簿価額 1,153 218
減価償却累計額および減損損失累計額 1,182 569
330/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
11 その他資産
この項目は、当期税金資産および繰延税金資産、ならびに他の項目に分類できない資産に関するものである。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
この項目の内訳は以下のとおりである:
当期税金資産 161 349
繰延税金資産 279 383
従業員給付金 3 4
商品および倉庫証券 2,590 1,189
その他 2,667 2,580
その他資産合計 5,700 4,505
法人税上の連結納税グループ
ラボバンクは複数の国内子会社と共に法人税上の連結納税グループを構成している。当該連結納税グループに
おいて、各参加法人は、当該連結納税グループの法人税の税金負債について連帯責任を負う。
12 デリバティブ
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
資産
この項目の内訳は以下のとおりである:
第三者とのデリバティブ契約 31,531 23,462
グループ会社とのデリバティブ契約 1,034 3,531
デリバティブ合計 32,565 26,993
負債
この項目の内訳は以下のとおりである:
第三者とのデリバティブ契約 28,180 23,951
グループ会社とのデリバティブ契約 133 371
デリバティブ合計 28,313 24,322
331/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
以下の表は、ラボバンクの第三者とのデリバティブ契約の想定元本金額ならびにプラスおよびマイナスの公正
価値を示している。
単位:百万ユーロ 想定元本金額 公正価値
2020 年 12 月 31 日現在 の残高 資産 負債
売買目的で保有するデリバティブ
金利契約 4,190,020 20,653 15,798
OTC 4,063,168 20,653 15,798
上場 126,852 - -
通貨契約 398,964 6,738 7,882
OTC 398,964 6,738 7,882
上場 - - -
クレジットデリバティブ 1,111 120 10
その他の契約 9,574 257 321
OTC 9,574 257 321
上場 - - -
ヘッジ手段 に指定した デリバティブ
公正価値ヘッジ におけるヘッジ手段に 指定 した デリバティブ 121,906 3,753 4,137
金利契約 112,320 1,893 3,629
通貨契約 9,586 1,860 508
キャッシュ・フロー・ヘッジ におけるヘッジ手段に 指定 した
デリバティブ 175 10 32
通貨契約 175 10 32
第三者とのデリバティブ契約合計 4,721,750 31,531 28,180
332/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
単位:百万ユーロ 想定元本金額 公正価値
2019 年 12 月 31 日現在 の残高 資産 負債
売買目的で保有するデリバティブ
金利契約 3,472,469 16,360 14,334
OTC 3,042,781 16,360 14,334
上場 429,688 - -
通貨契約 417,244 3,190 4,903
OTC 417,244 3,190 4,903
上場 - - -
クレジットデリバティブ 880 4 5
その他の契約 7,853 162 173
OTC 7,853 162 173
上場 - - -
ヘッジ手段 に指定した デリバティブ
公正価値ヘッジ におけるヘッジ手段に 指定 した デリバティブ 96,855 3,723 4,517
金利契約 86,002 1,655 4,194
通貨契約 10,853 2,068 323
キャッシュ・フロー・ヘッジ におけるヘッジ手段に 指定 した
デリバティブ 187 23 19
通貨契約 187 23 19
第三者とのデリバティブ契約合計 3,995,488 23,462 23,951
333/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
13 トレーディング・ポートフォリオおよび投資ポートフォリオ
トレーディング・ポートフォリオおよび投資ポートフォリオの内訳
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
トレーディング・ポートフォリオ
短期政府証券 25 157
顧客に対する貸出金および預け金 548 106
利付証券 1,818 1,735
株式 152 11
トレーディング・ポートフォリオ合計 2,543 2,009
投資ポートフォリオ
短期政府証券 551 635
利付証券 62,381 60,881
株式 61 72
顧客に対する貸出金および預け金 178 206
投資ポートフォリオ合計 63,171 61,794
グループ会社の投資ポートフォリオに含まれる額 50,661 50,773
投資ポートフォリオの増減
1月1日現在の残高 61,794 65,310
為替換算差額 (267) 48
期中の取得 9,407 2,626
期中の処分 (7,764) (5,427)
公正価値の変動 187 (241)
その他 (186) (522)
12 月31日現在の残高 63,171 61,794
投資ポートフォリオの期間別内訳は、以下のとおりである:
要求払い 73 187
3ヶ月以下 351 501
3ヶ月超1年以下 911 1,449
1年超5年以下 3,761 7,188
5年超 58,015 52,397
満期なし 60 72
投資ポートフォリオ合計 63,171 61,794
損益を通じて公正価値で測定する投資ポートフォリオ
利付証券 43 37
株式 8 -
顧客に対する貸出金および預け金 1,164 1,088
損益を通じて公正価値で測定する投資ポートフォリオ合計 1,215 1,125
334/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
14 金融機関預り金
この項目は、負債証券と劣後債務以外の、以下の金融機関に対する負債額を表す。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
金融機関預り金 17,880 17,836
グループ会社預り金 3,713 3,999
中央銀行からの資金供給 40,118 4,000
その他の持分投資取引に係る預り金 48 23
金融機関預り金合計 61,759 25,858
要求払い 4,350 7,430
3ヶ月以下 878 1,643
3ヶ月超1年以下 3,715 2,767
1年超5年以下 42,006 5,628
5年超 853 405
満期なし 9,957 7,985
金融機関預り金合計 61,759 25,858
15 顧客預り金
この項目は負債証券以外の顧客預り金で構成されている。顧客預り金には、12十億ユーロ(2019年度は13十億
ユーロ)に上る中央銀行の投資も含まれる。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
その他の顧客預り金 338,995 317,244
グループ会社預り金 12,082 10,047
その他の持分投資取引に係る預り金 5,811 5,985
顧客預り金合計 356,888 333,276
その他の顧客預り金は、自然人、非営利団体・財団のすべての預金勘定および貯蓄勘定、ならびに譲渡不能の
貯蓄債券により構成されている。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
要求払い 311,939 283,628
3ヶ月以下 8,411 13,386
3ヶ月超1年以下 7,323 5,091
1年超5年以下 6,622 7,993
5年超 21,830 21,858
満期なし 763 1,320
顧客預り金合計 356,888 333,276
335/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
16 発行済負債証券
この項目は、譲渡性預金証書などの非劣後債券およびその他の利付証券に関連している。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
売買可能負債証券 67,638 80,275
その他の負債証券 28,333 30,573
発行済負債証券合計 95,971 110,848
要求払い 7,078 8,596
3ヶ月以下 8,220 9,550
3ヶ月超1年以下 19,435 22,685
1年超5年以下 29,740 39,529
5年超 31,498 30,488
発行済負債証券合計 95,971 110,848
17 その他負債
この項目には、証券化した受取債権に関連する負債や当期税金、証券のショート・ポジション、人件費に係る
負債ならびに借入金など、他の項目に分類できない負債が含まれる。2020年度末現在、ラボバンクの住宅ローン
のうち約57十億ユーロが証券化されている。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
この項目の内訳は、以下のとおりである:
証券化した受取債権に関連する負債 57,326 56,653
当期税金負債 20 153
その他の負債 3,655 2,748
その他負債合計 61,001 59,554
18 引当金
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
年金制度引当金およびその他退職後給付引当金 175 186
繰延税金負債に関する引当金 24 2
ローン・コミットメントおよび金融保証に係る減損引当金 138 142
その他引当金 393 513
引当金合計 730 843
従業員給付引当金
従業員給付引当金は、96百万ユーロ(2019年度は90百万ユーロ)の年金制度引当金と79百万ユーロ(2019年度
は96百万ユーロ)のその他の退職後給付引当金からなる。
336/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
その他引当金
事業再構築 法務上の問題に
単位:百万ユーロ 引当金 対する引当金 その他 合計
2020 年1月1日現在の期首残高 261 183 69 513
追加 90 48 75 213
期中取崩し (44) (89) (83) (216)
解除 (29) (69) (19) (117)
2020 年12月31日現在の期末残高 278 73 42 393
2019 年1月1日現在の期首残高 298 408 109 815
追加 120 67 83 270
期中取崩し (128) (218) (108) (454)
解除 (29) (74) (15) (118)
2019 年12月31日現在の期末残高 261 183 69 513
19 劣後債務
これは、劣後借入金に関連する借入金を示している。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
劣後借入金 13,486 15,777
12 月31 日現在の残高 13,486 15,777
以下の表に、劣後債務の発行に関する詳細を示している。
劣後債務
想定元本
(単位:百万) 通貨 クーポンレート 発行年 償還期限
2029 年 、
500 米ドル 4.00% 2017 年 早期償還日は2024年
1,500 米ドル 3.75% 2016 年 2026 年
1,500 米ドル 4.375% 2015 年 2025 年
1,250 米ドル 5.25% 2015 年 2045 年
1,000 英ポンド 4.625% 2014 年 2029 年
2026 年 、
2,000 ユーロ 2.50% 2014 年 早期償還日は2021年
50,800 日本円 1.429% 2014 年 2024 年
1,000 ユーロ 3.875% 2013 年 2023 年
1,750 米ドル 4.625% 2013 年 2023 年
1,250 米ドル 5.75% 2013 年 2043 年
1,000 ユーロ 4.125% 2012 年 2022 年
500 英ポンド 5.25% 2012 年 2027 年
1,500 米ドル 3.95% 2012 年 2022 年
10 ユーロ 4.21% 2005 年 2025 年
10 ユーロ 5.32% 2004 年 2024 年
337/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
20 資本
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
この項目の内訳は以下のとおりである:
ラボバンク証書 7,822 7,449
資本証券 4,482 5,264
再評価準備金 376 359
法定準備金 (666) (106)
その他準備金 27,087 25,746
当期純利益 1,055 2,158
資本合計 40,156 40,870
ラボバンク証書
ラボバンク証書は、ラボバンクがスティヒティング・アドミニストラティーカントゥール・ラボバンク証書財
団を通じて発行する参加権を表章し、ラボバンクの普通株等Tier1資本に区分される。ラボバンク証書はユーロ
ネクスト・アムステルダムに上場している。
証書の合計口数は313,005,461口であり、1口当たりの額面価額は25ユーロであった。ラボバンクが発行する
参加権(およびラボバンク証書についてはAK財団を通じて発行する参加権)に関するラボバンクの実際の支払方
針は参加権規則に基づいており、その内容はラボバンクのウェブサイトで確認することが可能である。
2020 年3月、欧州中央銀行(ECB)は銀行に対して、少なくとも2020年10月1日まで配当金の支払を行わない
よう求める勧告を公表した。ECBは2020年7月27日、この勧告を更新して期間を2021年1月1日まで延長した。
ラボバンクの経営委員会はこの勧告に基づき、2020年度は現金による分配金を支払わないことを決定した。現金
による分配金の支払いの代わりに、経営委員会はラボバンク証書1口当たり約1.625ユーロ相当の特別分配を、
ラボバンク証書により行うことを決定した。同特別分配の分配率は、ラボバンク証書の保有者が保有するラボバ
ンク証書19.81口につき1口の新規ラボバンク証書が分配されたことになる。同分配率は、2020年12月1日、2
日、3日においてユーロネクスト・アムステルダムにて取引された全ラボバンク証書の出来高加重平均価格(以
下「VWAP」という)である33.81ユーロを基に算定された。VWAPから1.625ユーロを差し引き、基準価格を32.18
ユーロとした後、基準価格を1.625ユーロで除し、19.81の分配率となった。特定の保有者に分配すべき新規ラボ
バンク証書の数が整数にならない場合は、端数を現金で精算した。2020年12月8日、15,044,096口の新規ラボバ
ンク証書が発行された。発行済ラボバンク証書の額面価額合計は7,825,136,525ユーロに増加した。ラボバンク
証書保有者への新規ラボバンク証書の給付と(該当する場合は)保有者への端数に係る現金の支払は2020年12月
9日に実施された。
338/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2020 年12月15日、欧州中央銀行(ECB)は各銀行に対して、少なくとも2021年9月30日まで配当を行わない
か、または制限するよう求める勧告を公表した。ラボバンクは同勧告に従い、2021年2月11日、ラボバンク証書
1口当たり0.13674ユーロの四半期分配をそれぞれ2021年3月29日、6月29日、9月29日に行う方針を発表し
た。ラボバンクは、ECBが配当金の分配に関する制限の勧告を撤回したときは、ラボバンクの元の支払方針に戻
す予定である。その場合ラボバンクは、将来の分配を完全に自己の裁量で決定することになり、分配を行うこと
が賢明か、賢明な場合はその分配の水準を検討することになる。
2019 年度に支払われた証書1口当たりの現金による分配金は1.625ユーロであった。以下の表に示されている
金額は、ラボバンク証書1口当たり25ユーロの額面価額に基づいている。当期中のラボバンク証書の変動から生
じるキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれている。
ラボバンク証書
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
期中の変動:
期首残高 7,449 7,445
ラボバンク証書による分配 376 -
期中のラボバンク証書の変動口数 (3) 4
期末残高 7,822 7,449
資本証券
1,250 百万ユーロの発行
クーポンは年 3.25 %であり、発行日(2019年9月9日)から6ヶ月ごとに後払いされる。第1回配当日は2019
年12月29日であった。当該資本証券は無期限であり、2026年12月29日に初めて償還可能となる。2026年12月29日
時点で、当該資本証券が早期償還されていない場合、配当はさらに5年間設定されるが、ステップアップはな
く、5年物ユーロスワップ金利に3.702% を加えたものとなる。クーポンは、完全に自由裁量によるものであ
る。
1,000 百万ユーロの発行
クーポンは年 4.625 %であり、発行日(2018年9月11日)から6ヶ月ごとに後払いされる。第1回配当日は
2018年12月29日であった。当該資本証券は無期限であり、2025年12月29日に初めて償還可能となる。2025年12月
29日時点で、当該資本証券が早期償還されていない場合、配当は5年間設定されるが、ステップアップはなく、
5年物ユーロスワップ金利に4.098% を加えたものとなる。クーポンは、完全に自由裁量によるものである。
339/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
1,250 百万ユーロの発行
クーポンは年6.625%であり、発行日(2016年4月26日)から6ヶ月ごとに後払いされる。第1回配当日は
2016年6月29日であった。当該資本証券は無期限であり、2021年6月29日に初めて償還可能となる。2021年6月
29日時点で、当該資本証券が早期償還されていない場合、配当はさらに5年間設定されるが、ステップアップは
なく、5年物ユーロスワップ金利に6.697%を加えたものとなる。クーポンは、完全に自由裁量によるものであ
る。
250 百万英ポンドの発行
クーポンは年6.91%であり、発行日(2008年6月10日)から6ヶ月ごとに後払いされる。第1回配当日は2008
年12月10日であった。2038年6月10日以降のクーポンは、6ヶ月物英ポンドLiborに年2.825%のマークアップを
加えたものとなり、6ヶ月ごとに支払われる。クーポンは、発行体の自由裁量によって支払われる。ラボバンク
証書の配当を支払わない自由裁量権をラボバンクが行使しない場合、当該商品に係る支払も適用される。
ラボバンクが発行した資本証券のうち年度中に償還された証券
1,500 百万ユーロの発行
ラボバンクは2005年1月22日に1,500百万ユーロの資本証券を発行した。当該資本証券の条件に従い、ラボバ
ンクは、第1回期限前償還日である2020年6月29日にこれを償還した。
ラボバンクが計上する利益の水準が、資本証券の配当に影響する可能性がある。ラボバンク側が支払不能と
なった場合、他の債権者の権利が実質的に決定されない限り、資本証券は、ラボバンクの(現在および将来にお
ける)その他すべての債権者が有する権利より劣後する。
資本証券
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
変動は以下のとおりである:
1月1日現在の残高 5,264 6,657
資本証券の発行 1,000 1,250
資本証券の発行費用 (5) (7)
資本証券の償還 (1,760) (2,666)
その他 (17) 30
12 月31日現在の残高 4,482 5,264
340/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
再評価準備金
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
再評価準備金の内訳は以下のとおりである:
キャッシュ・フロー・ヘッジ (47) (26)
利付証券 163 131
株式および非利付証券 224 208
ヘッジ・コスト 36 46
再評価準備金合計 376 359
変動は以下のとおりである:
1月1日現在の残高 359 199
為替換算差額 (75) 18
再評価 152 173
その他 6 52
損益振替額 (66) (83)
12 月31日現在の残高 376 359
ラボバンクのキャッシュ・フロー・ヘッジは主に、外貨建発行済債券のマージンのヘッジであり、為替レート
の変動に起因するキャッシュ・フローの潜在的変動を防ぐためにクロスカレンシー金利スワップによりヘッジし
ている。ラボバンクは、統計的な回帰分析モデルに基づき、IAS第39号のキャッシュ・フロー・ヘッジについて
ヘッジの有効性を将来に向かってと遡及的の両方で評価し、IFRS第9号のキャッシュ・フロー・ヘッジについて
は非有効部分の発生原因を分析している。IFRS第9号のキャッシュ・フロー・ヘッジは100%有効である。
法定準備金
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
法定準備金の内訳は以下のとおりである:
関連会社への投資に係る利益剰余金 402 315
内部開発ソフトウェア 343 321
為替換算差額 (1,411) (742)
法定準備金合計 (666) (106)
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
変動は次のとおりである:
1月1日現在の残高 (106) (252)
その他準備金から法定準備金への振替 109 71
為替換算差額 (669) 75
12 月31日現在の残高 (666) (106)
その他準備金
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
その他準備金の内訳は以下のとおりである:
年金の再測定 (171) (170)
公正価値測定に指定した金融負債に関する自己の信用リスクに起因する公正価
値の変動 (109) (143)
利益剰余金 27,367 26,059
その他準備金合計 27,087 25,746
341/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
年金の再測定の変動:
1月1日現在の残高 (170) (145)
年金の再測定 (1) (25)
12 月31日現在の残高 (171) (170)
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
公正価値測定に指定した金融負債に関する自己の信用リスクに起因する公正価
値の変動:
1月1日現在の残高 (143) (31)
公正価値の変動 35 (112)
認識中止時の実現 (1) -
12 月31日現在の残高 (109) (143)
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
利益剰余金の変動:
1月1日現在の残高 26,059 24,549
前期利益 2,158 2,943
第三者への分配金 (234) (886)
法定準備金への振替 (109) (71)
再評価準備金への振替 (9) (53)
資本証券の償還 (120) (493)
資産の処分 - 71
ラボバンク証書による分配 (376) -
その他の変動額 (2) (1)
12 月31日現在の残高 27,367 26,059
準備金はメンバー間で分配できない。ラボバンクの連結財務諸表は、ラボバンクおよび他のグループ会社の財
務データが含まれている。
ラボバンクの連結純利益は1,096百万ユーロ(2019年度は2,203百万ユーロ)、個別財務諸表におけるラボバン
クの純利益は1,055百万ユーロ(2019年度は2,158百万ユーロ)であった。差額の41百万ユーロ(2019年度は45百
万ユーロ)は、その他非支配持分による利益に該当する。
以下の表は、コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アーの資本金と連結グループ企業の資本金との間の調整を
示したものである。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
オランダ民法典第2編第9章に基づくラボバンクの資本金 40,156 40,870
非支配持分 476 477
IFRS に基づく資本金(連結財務諸表に表示された金額) 40,632 41,347
342/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
損益計算書に関する注記
21 純受取利息
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
受取利息
現金および現金同等物 104 370
金融機関に対する貸出金および預け金 198 370
顧客に対する貸出金および預け金 9,280 10,840
公正価値ヘッジ会計に利用されるデリバティブ 187 9
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産 398 560
実効金利法を用いて測定する金融資産からの受取利息 10,167 12,149
売買目的金融資産 30 30
経済的にヘッジする目的で保有されるデリバティブ 1,580 1,453
強制的に公正価値で測定される金融資産 20 27
マイナス金利の金融負債からの受取利息 309 135
その他 18 17
その他の受取利息 1,957 1,662
受取利息合計 12,124 13,811
支払利息
金融機関預り金 96 154
顧客預り金 3,246 4,030
発行済負債証券 1,964 2,839
売買目的金融負債 7 5
公正価値測定に指定した金融負債 139 164
劣後債務 656 745
マイナス金利の金融資産からの支払利息 345 268
その他 14 10
支払利息合計 6,467 8,215
純受取利息 5,657 5,596
343/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
22 純受取手数料
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
受取手数料
支払サービス 728 732
貸出 441 502
その他金融資産の購入および売却ならびに取扱手数料 310 312
保険手数料 276 294
その他の受取手数料-グループ会社 1 4
その他の受取手数料 161 86
受取手数料合計 1,917 1,930
支払手数料
支払サービス 200 213
取扱手数料 22 32
カストディアン報酬および証券サービス 9 8
その他金融資産の購入および売却 - -
その他の支払手数料-グループ会社 21 19
その他の支払手数料 33 13
支払手数料合計 285 285
純受取手数料 1,632 1,645
23 持分からの利益
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
株式からの受取配当 - 2
グループ会社の持分からの損益 783 764
その他の持分投資からの損益 170 123
持分の処分からの損益 8 1
持分からの利益合計 961 890
24 人件費
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
賃金および給与 1,984 1,914
社会保険拠出金および保険料 212 233
年金費用 355 352
研修および旅費交通費 78 143
その他の人件費 879 1,040
人件費合計 3,508 3,682
内部および外部の平均従業員数は35,920人(2019年度は35,429人)で、その内、オランダ国外の従業員は
3,363人(2019年度は3,153人)である。常勤換算従業員に換算した場合の内部および外部の平均従業員数は
34,484人(2019年度は33,529人)である。
344/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
25 規制上の賦課金
規制上の賦課金は、銀行税、銀行負担金、単一破綻処理基金に対する拠出金および預金保証制度に対する拠出
金で構成される。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
オランダの銀行税 116 112
オランダ以外の国の銀行税 10 8
単一破綻処理基金への拠出金 188 173
預金保証制度への拠出金 175 136
規制上の賦課金 489 429
26 法人税
法人税の主な内訳は以下のとおりである。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
法人税
報告期間 278 410
過年度分調整 (74) (24)
繰延税金 (124) 140
法人税合計 80 526
実効税率 7.0% 19.6%
適用税率 25.0% 25.0%
2020 年度に生じた実効税率と適用税率との差異は、主にグループ企業からの収益の純額が含まれていることお
よび資本証券の支払利息が控除されていることによる。
実効税率は7.0%(2019年度は19.6%)であり、オランダ法人税率を適用した結果生じる理論値とは異なる。
この差異は以下のとおりである。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
税引前営業利益 1,135 2,684
適用税率 25 % 284 25 % 671
税額の増減は以下に起因する:
非課税収益 (16.4%) (185) (5.2%) (139)
外国税率の影響 1.5% 17 (0.3%) (8)
損金不算入費用 6.5% 74 1.6% 44
過年度に認識されていなかった税務上の欠損金の認識 - - - (1)
その他の永久差異 (5.2%) (59) (1.2%) (33)
過年度分調整 (6.5%) (74) 2.6% 69
税率の変更に伴う調整 (1.8%) (21) (1.5%) (40)
繰延税金の取り崩し 2.1% 24 - -
その他の一時差異でないもの 1.8% 20 (1.4%) (37)
法人税合計 7.0% 80 19.6% 526
345/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
財務諸表に関するその他の注記
27 金融機関相互間の証券取引および当行が自由に利用できない資産
ラボバンクが締結しているリバース・レポ取引および証券借入契約は、「金融機関に対する貸出金および預け
金」または「顧客に対する貸出金および預け金」に含まれている。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
金融機関に対する貸出金および預け金 15,203 22,074
顧客に対する貸出金および預け金 17,520 13,756
合計 32,723 35,830
ラボバンクが締結しているレポ取引および証券貸出契約は、「金融機関預り金」および「顧客預り金」に含ま
れている。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
金融機関預り金 431 1,502
顧客預り金 150 32
合計 581 1,534
以下の表に示す資産(金融機関相互間の証券取引を除く)は、(偶発)債務の担保として取引相手に提供され
た。仮にラボバンクが債務不履行に陥った場合、取引相手は当該担保を用いて債務を決済することができる。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
当行が自由に利用できない資産: 関連する負債の種類:
金融機関に対する貸出金および預け金 デリバティブ 2,174 2,155
顧客に対する貸出金および預け金 顧客預り金、発行済負債証券 24,192 18,809
利付証券 顧客預り金 3,674 3,260
合計 30,040 24,224
28 偶発債務
ラボバンクは、取消不能のローン・コミットメントのほか、顧客に対する金融保証やスタンドバイ信用状から
成る偶発債務を供与している。これらの契約に基づき、第三者が履行義務を果たさない場合に、ラボバンクは、
契約に基づく義務を履行するか、または受益者に対して支払を行わなければならない。以下の表は、偶発債務の
潜在的な最大発生額を示している。
単位:百万ユーロ 2020 年 2019 年
偶発債務の内訳は以下のとおりである:
金融保証 5,927 7,401
ローン・コミットメント 39,116 36,358
その他のコミットメント 23,143 23,678
偶発債務合計 68,186 67,437
内:
グループ会社への偶発債務 12,734 16,116
346/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
債務に係る責任の引受
オランダ民法典第2編第403条に基づき、ラボバンクは以下のグループ会社に係る法律上の取引から発生する
債務の責任を引き受けている。
・ ボーデムグート・B.V.
・ デ・ラーヘ・ランデン・アメリカ・ホールディング・B.V.
・ デ・ラーヘ・ランデン・コーポレート・ファイナンス・B.V.
・ デ・ラーヘ・ランデン・インターナショナル・B.V.
・ デ・ラーヘ・ランデン・ベンダーリース・B.V.
・フィデアール・B.V.
・ ラボ・ダイレクト・ フィナンシーリング ・B.V.
・ ラボ・ファクタリング・B.V.
・ ラボ・フィナンシャル・ソリューションズ・ホールディング・B.V.
・ ラボ・グルーン・バンク・B.V.
・ ラボ・リース・B.V.
・ ラボ・マーチャント・バンク・N.V.
・ラボ・ヴァストゴード・リース・B.V.
・ ラボバンク・インターナショナル・ホールディング・B.V.
ラボバンクは、ラボ・グルーン・バンク・B.V.に係る流動性保証を発行した。
法人税上の連結納税グループ
ラボバンクは複数の国内子会社と共に法人税上の連結納税グループを構成している。当該連結納税グループに
おいて、各参加法人は、当該連結納税グループの法人税の税金負債について連帯責任を負う。
347/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
29 主なグループ会社
2020 年度にグループ会社のいずれも、配当の支払または借入金の返済および前受金の返済に重大な制約を受け
ることはなかった。グループ会社がラボバンクに配当を支払う選択は、現地の規制上の要件、法定準備金および
業績を含む様々な要因に左右される。
2020 年 12月31日現在 持 分 議決権
主なグループ会社
オランダ
DLL ・インターナショナル・B.V. 100% 100%
BPD ・ヨーロッパ・B.V. 100% 100%
オプフィオン・N.V. 100% 100%
北 米
ユトレヒト・アメリカ・ホールディング・インク 100% 100%
オーストラリアおよびニュージーランド
ラボバンク・オーストラリア・リミテッド 100% 100%
ラボバンク・ニュージーランド・リミテッド 100% 100%
30 監督委員会および経営委員会に係る報酬
経営委員会メンバーおよび監督委員会メンバーは、本財務諸表の注記33に記載されている。経営委員会および
監督委員会のメンバーに対する報酬については、連結財務諸表の注記50「監督委員会および経営委員会に係る報
酬」に記載している。
31 ラボバンクの利益処分案
経営委員会の決議に従い、1,055百万ユーロの利益のうち、233百万ユーロが資本証券の保有者に支払われる。
残りの利益は、ラボバンクが保有する一般準備金に繰り入れることをラボバンクは提案している。
32 後発事象
後発事象は無い。
348/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
33 財務諸表の承認
本財務諸表は、監督委員会および経営委員会により2021年3月4日に署名された。本財務諸表は、2021年4月16日
開催予定のメンバー評議会総会において、株主による承認を受けるために提出する予定である。ラボバンクの財務
諸表の承認に関し定款は次のとおり定めている。「財務諸表の承認決議は、メンバー評議会総会における有効投票
の絶対多数の賛成によって成立する。」
経営委員会
ウィバ・ドライヤー、会長
バス・ブラウワース、CFO
エルス・デ・フロート、CRO
カーステン・コンスト、メンバー
バート・ルアース、メンバー
マリエル・リヒテンベルク、メンバー
ベリー・マルティン、メンバー
イコ・セィフィンガ、メンバー
ジャニノ・フォス、メンバー
監督委員会
ロン・ティアリンク、会長
マリヤン・トロンペッター、副会長
アリアン・カンプ
ヤン・ノイヘダフト
ペイトリ・ホフステー
パスカル・フィゼー
アネット・アリス
マーク・ペンサレト
前へ 次へ
349/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
350/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
351/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
352/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
353/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
354/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
355/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
356/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
357/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
358/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
359/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
360/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
361/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
362/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
363/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
364/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
365/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
366/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
367/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
368/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
369/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
370/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
371/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
372/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
373/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
374/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
375/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
376/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
377/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
378/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
379/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
380/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
381/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
382/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
383/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
384/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
385/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
386/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
387/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
388/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
389/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
390/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
391/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
392/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
393/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
394/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
395/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
396/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
397/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
398/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
399/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
400/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
401/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
402/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
403/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
404/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
405/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
406/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
407/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
408/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
409/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
410/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
411/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
412/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
413/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
414/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
415/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
416/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
417/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
418/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
419/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
420/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
421/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
422/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
423/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
424/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
425/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
426/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
427/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
428/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
429/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
430/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
431/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
432/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
433/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
434/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
435/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
436/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
437/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
438/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
439/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
440/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
441/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
442/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
443/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
444/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
445/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
446/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
447/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
448/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
449/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
前へ 次へ
450/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
451/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
452/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
453/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
454/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
455/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
456/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
457/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
458/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
459/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
460/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
461/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
462/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
463/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
464/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
465/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
466/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
467/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
468/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
前へ
469/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
2 【主な資産・負債及び収支の内容】
ラボバンクの2020年度の連結および個別財務書類を参照。
3 【その他】
(1) 後発事象
ラボバンクは、各ラボバンク証書につき0.13674ユーロの四半期配当を、2021年度の第3四半期連結累計期間
にて行う予定である
2021 年2月11日、ラボバンクは、各ラボバンク証書につき0.13674ユーロの四半期配当を2021年3月29日、
2021年6月29日および2021年9月29日にそれぞれ行う予定であることを発表した(また、その後、当該四半期
配当のうち最初の配当を2021年3月29日に支払った。)。かかる意向は、欧州中央銀行(ECB)との協議の結
果であり、引続きラボバンクの執行委員会の完全な裁量に従う。2020年12月15日付で、ECBは銀行に対して、
少なくとも2021年9月30日までは配当を支払わないかまたは制限するようにとの勧告を出した。ラボバンク
は、当該勧告に従うこと、および2021年9月30日以前にラボバンク証書に係る配当を検討する場合にはその是
非をECBと協議することを2020年12月21日に発表した。ラボバンクは、配当の分配を制限するECBの勧告が撤回
された場合、当行の支払方針に記載されている予定配当に戻す意向である。その場合、ラボバンクは配当を行
うことの是非および行う場合にはその配当額を検討し、当行の完全な裁量において将来の配当につき決定す
る。
マネー・ロンダリング防止、テロ資金対策および制裁
金融システムの門番としてのラボバンクの役割は、当行にとって最優先事項である。適用法令の遵守と優れ
た顧客サービスの基盤を強化するため、ラボバンクは、KYC(顧客の本人確認)活動を大幅に改善し、KYC遵守
のための投資を近年増加させている。当行は、(潜在的な)犯罪活動を特定するため、顧客ファイルおよび
データの品質を向上させるための世界規模のプログラムを実施している。2018年9月、ラボバンクは、オラン
ダ銀行(DNB)から差止命令(「ラスト・オンデル・ドワンソム」)を受けた。2020年4月1日以降、DNBは、
ラボバンクが上記差止命令の要件を満たしているか否かについて調査を実施した。当行の努力にもかかわら
ず、DNBは、ラボバンクが差止命令の要件を満たしていないと判断した。その結果、500,000ユーロの罰金
(「ドワンソム」)が没収された。
470/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
(2) 訴訟
法的手続
ラボバンク・グループは、相当の訴訟リスクを引き起こす法律・規制上の環境の中で活動している。その結
果、ラボバンク・グループはオランダおよび米国など他の諸国において訴訟、仲裁および規制手続に関与して
いる。以下では、ラボバンク・グループに負債を発生させる可能性のある、最も関連性の深い法律・規制上の
訴訟について述べる。適用される報告基準に基づいて必要と考えられる場合、最新の情報に基づいて引当金を
計上する。同種の事案がまとめられており、また事案によっては多数の訴訟が含まれていることがある。個々
の事案に関する見積損失額は、(現実的な見積りを行うことができる場合でも)報告されていない。これは、
その種の情報は個々の事案の結果に悪影響を与える可能性があるとラボバンク・グループが判断しているため
である。ラボバンク・グループは、訴訟のうち、資金流出を引き起こす可能性がそうでない可能性よりも高い
(すなわち、可能性が50%を上回る)ものがどれであるかを判断するに当たり、いくつかの要因を考慮に入れ
ている。かかる要因には、訴訟の種類および根底にある事実関係、各事案の手続プロセスおよびそれまでの経
緯、法的機関および仲裁機関の判決・裁定、ラボバンク・グループの経験および類似事案に関与した第三者の
経験(既知の場合)、それまでの和解協議、類似事案における第三者の和解(既知の場合)、利用可能な補
償、ならびに法務アドバイザーおよびその他専門家の助言や意見が含まれる(がこれらに限らない)。
潜在的な見積損失額および既存の引当金は、その時点で入手可能な情報に基づくものであり、その大部分は
判断ならびに多数の異なる仮定、変数および既知・未知の不確実性を前提としている。かかる不確実性には、
ラボバンク・グループが入手可能な情報の不正確性および不完全性が含まれることがある(特に、事案の初期
段階の場合)。また、ラボバンク・グループが、将来の法的もしくはその他の事例の判決、または監督機関も
しくはラボバンク・グループの相手方が取ると見込まれた行動もしくは態度に関して立てた仮定が、誤ってい
たと判明することもある。さらに、法的紛争に関連して発生する可能性のある損失の見積りは、判断や見積り
のために一般的に使用される統計的またはその他の定量的分析手段を使用して処理することが往々にして不可
能である。そのため、それらは、当グループが判断や見積りを行うことが必要となる他の多くの領域に比べ、
不確実度がさらに高くなる。
471/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
ラボバンク・グループが、将来的な資金流出のリスクが50%を上回ると判断する事案グループは、時間と共
に変化する。当行が潜在的な損失額を見積ることのできる事案数についても、同じことが言える。実務では、
見積りがなされたこれらの事案において、最終結果が、潜在的な見積損失額を大幅に上回ったり下回ったりす
ることがあり得る。ラボバンク・グループはまた、損失発生の可能性は高くないと思われるものの、極めて低
いわけでもなく、かつ引当金を認識していない法務リスクから損失を被ることもある。(a)資金流出が発生
する可能性が発生しない可能性よりも低い(less likely than not)ものの、ほとんどないとは言えない場
合、または(b)資金流出が発生する可能性が発生しない可能性よりも高い(more likely than not)ものの、
潜在的な損失額を見積もることができない場合、偶発債務が表示される。
ラボバンク・グループは、罰金が課される前または賠償責任が決定される前に、訴訟もしくは規制手続また
は捜査で和解することがある。和解の理由は、(i) その段階で費用および/もしくは経営陣の労力を回避した
いという判断、(ii)その他のビジネスへの悪影響の回避、ならびに/または(iii)たとえ、ラボバンク・グ
ループが自らを防御する十分な論拠があると判断した場合でも、賠償責任に関連する紛争の継続による規制・
評判上の影響を防止することなどである。さらに、ラボバンク・グループは同じ理由により、法律上要求され
ないと判断する状況でも、第三者に損失補償を行うことがある。
ラボバンクの2020年度連結財務諸表注記「4.10 法的手続および仲裁手続」を参照のこと。
472/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
4【国際財務報告基準(IFRS)と日本における会計原則及び会計慣行の相違】
日本基準
国際財務報告基準(IFRS)
項目 (一般に公正妥当と認められる会計原則)
(2020年12月31日現在のもの)
(2020年12月31日現在のもの)
( 1 ) 表示が求められ 財務諸表で報告されるすべての金額に 前連結会計年度および当連結会計年度の財務諸
ついて、最低1会計期間分の比較情報 表を併記する。
る会計期間
を開示しなければならない。
(IAS1.38, 38A)
( 2 ) 財政状態計算書 下記の財務諸表※1、2の作成を求めて 下記の財務諸表※1の作成を求めている。
いる。 連結貸借対照表
(貸借対照表)と包
連結財政状態計算書 連結損益計算書および包括利益計算書(1
括利益計算書(損益
連結純損益および包括利益計算書 計算書方式)または連結損益計算書と連結包
計算書)等の様式
(1計算書方式)、または連結純損 括利益計算書を別個に作成(2計算書方
(IAS1.10)
益計算書と連結包括利益計算書を別 式)※2
個に作成(2計算書方式)※3 連結株主資本等変動計算書
連結持分変動計算書 連結キャッシュ・フロー計算書
連結キャッシュ・フロー計算書 連結附属明細表
会計方針および注記 ※1 会計方針を遡及適用した場合、財務諸表の
※1 各計算書の名称については他のも 修正再表示を行った場合、および財務諸表の組
のを使用することも可。 替えを行った場合でも、IFRSが求めるような開
※2 過去に遡って会計方針を適用(遡 示されるもっとも古い比較年度の期首貸借対照
及適用)した場合、財務諸表項目の修 表の追加作成は不要。
正再表示を行った場合、および財務諸 ※2 1計算書方式と2計算書方式のいずれでも
表項目の組替を行った場合には、上記 可。
財務諸表に加えて、開示される最も古
い比較年度の期首財政状態計算書の作
成も求められる。
※3 1計算書方式と2計算書方式のい
ずれでも可。
( 3 ) 特別(異常)損 収益または費用のいかなる項目も、異 特別損益に属するものはその内容を示す名称を
常項目として、包括利益計算書もしく 付した科目をもって表示する。
益の表示
は損益計算書(表示されている場合)
(IAS1.87)
または注記のいずれにも表示してはな
らない。
473/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
日本基準
項目 国際財務報告基準(IFRS)
(一般に公正妥当と認められる会計原則)
( 4 ) 連結の範囲 支配の概念による。 (連結財務諸表に関する会計基準(以下「連結
以下の要件を全て満たす場合に支配を 会計基準」第6項,第7項,第13項)
(IFRS10.7)
有するものと判断される。 支配力の概念による。
投資先に対してパワーを有してい 親会社が、他の企業の財務および営業または事
る。 業の方針を決定する機関(意思決定機関)を支
投資先への関与から生じる変動リ 配している場合、当該他の企業に対する支配が
ターンにさらされている、もしくは 存在する。
変動リターンに対する権利を有して
いる。 日本基準には、支配の有無の判断にあたり、潜
投資者のリターンの金額に影響を 在的議決権の影響や、意思決定権の行使が本人
与えるようなパワーを、投資先に対 と代理人のいずれの立場として行われるか等を
して行使することができる。 考慮することを明示的に求める規定は存在しな
い。
(IFRS10, B22, B47)
一方、IFRS第10号の「事実上の支配」に一部類
支配の有無を判断する際には、実態を
似する考え方として、自らの議決権が過半数に
伴う潜在的議決権を考慮する。その際
満たない場合であっても、「緊密な者」と「同
は、投資者が保有する潜在的議決権の
意している者」が所有する議決権を合わせた判
みならず、他の当事者が保有する議決
断を行うこと、取締役会の構成、資金調達の状
権も踏まえて判断する。
況および方針決定を支配する契約の存在等を考
慮することを求める規定が存在する。
(IFRS10, B41, B42)
投資者が投資先の議決権のうち、過半
数に満たない部分しか保有していない
場合であっても、いわゆる「事実上の
支配」が成立する可能性がある。
(IFRS10, 18, B58)
支配の有無の判断にあたり、意思決定
保有者が意思決定権を本人として自身
の利益のために行使するか、代理人と
して他の当事者のために行使するかを
考慮しなければならない。
( 5 ) 連結の範囲 (IFRS10 付録A) (連結会計基準第14項)
以下の子会社は連結の範囲から除かれる。
(例外) IFRS第10号に伴い、すべての子会社を
支配が一時的であると認められる企業
連結しなければならない。日本基準の
利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれ
ような例外はない。ただし、以下の投
のある企業
資企業に関する例外規定が適用された
場合は除く。
(IFRS10, 31-33)
一定の要件を満たす投資企業について
は、子会社を連結せず、当該投資を
IFRS第9号に基づき、純損益を通じて
公正価値で測定する。
自身が投資企業ではない親会社は、そ
の連結財務諸表において投資企業の会
計処理を適用することは認められな
い。すなわち、米国基準のようなroll-
up処理は認められない。
474/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
日本基準
項目 国際財務報告基準(IFRS)
(一般に公正妥当と認められる会計原則)
( 6 )特別目的事業体 投資者が支配を有すると判断されるス (連結会計基準第7-2項)
(SPE)およびスト トラクチャード・エンティティ― (投資事業組合に関する実務上の取扱い)
ラクチャード・エン (SE)についても連結対象に含める。 一定の特別目的会社につき、一定の要件を満た
ティティ―(SE) す場合には、オリジネーターの子会社に該当し
(IFRS10.7) ないものと推定する。
投資事業の場合、基本的には業務執行権限の有
無により判断する。
( 7 ) 共同支配の取決 共同契約のうち、共同支配事業(ジョ 共同支配投資企業は、共同支配企業に対する投
イント・オペレーション)は、自らの 資について、連結財務諸表上、持分法を適用す
め(ジョイント・ア
資産、負債、収益および費用ならびに/ る。
レンジメント)
または当事者に共通して発生したそれ
(IFRS11.20, 24)
らに対する持分相当額を認識する方法
により会計処理される。ジョイント・
ベンチャーは、持分法により会計処理
される。
( 8 ) のれんの当初認 企業結合ごとに、以下のいずれかを選 のれんとは、被取得企業または取得した事業の
択できる。 取得原価が、取得した資産および引き受けた負
識と非支配株主持分
1)非支配持分も含めた被取得企業全体 債に配分された純額を超過する額として算定さ
の測定方法
を公正価値で測定し、のれんは非支配 れる(購入のれんアプローチのみ)。
(IFRS3.19, 32)
持分に帰属する部分も含めて認識する
方法(全部のれんアプローチ)。 (連結会計基準第20項)
全面時価評価法により、子会社の資産および負
2)非支配持分は、被取得企業の識別可 債のすべてを支配獲得日の時価により評価す
能純資産の公正価値に対する比例持分 る。
相当額として測定し、のれんは取得企
業の持分相当額についてのみ認識する ※IFRSで選択できるような、非支配株主持分自
方法(購入のれんアプローチ)。 体を支配獲得日の時価で評価する処理は認めら
れていない。
( 9 ) のれんの取扱い 規則的な償却は行わず、減損の兆候が 20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定
無くても毎期1回、さらに減損の兆候 額法その他合理的な方法により償却する。ただ
(IFRS3.B63(a),
がある場合には追加で、減損テストの し、のれんの金額に重要性が乏しい場合には、
IAS36.88,90)
対象となる。 当該のれんが生じた事業年度の費用として処理
することができる。
のれんに減損の兆候がある場合に減損損失を認
識するかどうか判定する。
研究費は発生した時点で費用として認 研究開発費は、すべて発生時に費用として処理
( 10 ) 自己創設研究
識する。 しなければならない。
開発費
開発費については、技術上の実行可能 ソフトウェア制作費のうち、研究開発に該当す
(IAS38.52-62)
性や使用または売却するという企業の る部分も研究開発費として費用処理する。
意図等、一定の要件がすべて立証可能
な場合のみ、無形資産として認識する
(満たさない場合には発生時に費用処
理しなければならない)。
コンピュータ・ソフトウェアの研究開
発費に関する個別の指針はない。
475/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
日本基準
項目 国際財務報告基準(IFRS)
(一般に公正妥当と認められる会計原則)
( 11 ) 借入費用の資 適格資産とは、意図した使用または売 固定資産を自家建設した場合には、適正な原価
却が可能になるまでに相当の期間を必 計算基準に従って製造原価を計算し、これに基
産計上
要とする資産をいう。 づいて取得原価を計算する。建設に要する借入
(IAS23.5,8)
企業は、適格資産の取得、建設または 資本の利子で稼動前の期間に属するものは、こ
製造に直接帰属する借入費用を当該資 れを取得価額に算入することができる。
産の一部として資産化しなければなら
ない。また、上記に該当しない借入費
用を発生時に費用として認識しなけれ
ばならない。
( 12 ) 有形固定資産 IAS第37号に従い、引当金の認識要件を 資産除去債務計上額を関連する有形固定資産の
満たす解体および除却費用ならびに原 帳簿価額に加える。
解体および除却費用
状回復費用等は、有形固定資産の取得 資産除去債務は、有形固定資産の除去に関して
ならびに原状回復費
原価に含める。IAS第37号の引当金に 法令または契約で要求される法律上の義務およ
用等
は、法的債務および推定的債務が含ま びそれに準ずるものを計上する。
(IAS16.16(C), 18,
れる。
IAS37.10, 14, 19,
資産除去債務の割引率は負債計上時に決定し、
45, 47, IFRIC1.3,
有形固定資産が原価モデルで測定され その後の変更は行わない(ただし、将来CFの見
8)
ており、引当金に係る割引率が事後的 積額が増加した場合は、その時点の割引率に変
に変更された場合は、引当金を再測定 更し、減少した場合は負債計上時の割引率を用
し、変動額を有形固定資産の取得原価 いる)。
に加減する。 時の経過による資産除去債務の調整額は、損益
計算書上、当該資産除去債務に関連する有形固
引当金の割引に関する振戻しは、金融 定資産の減価償却費と同じ区分に含めて計上す
費用として費用計上する。 る。
敷金が資産計上されている場合、簡便的に敷金
日本基準にある敷金に関する例外処理 の回収が見込めないと認められる金額を合理的
は、認められない。 に見積り、当期の負担に属する金額を費用に計
上する方法によることができる。
( 13 ) 有形固定資産 原価モデルまたは再評価モデルのどち 取得原価から減価償却累計額および減損損失累
らかを会計方針として選択し、同一種 計額を控除した金額で測定する(再評価は認め
および無形資産の事
類のすべての有形固定資産および無形 られていない)。
後測定
資産に適用しなければならない。
(IAS16.29-31,
再評価モデルを選択した場合、帳簿価
IAS38.72, 75)
額が報告期間の期末日における公正価
値と大きく相違しないよう、再評価を
定期的に実施しなければならない。
( 14 ) 投資不動産 原価モデルまたは公正価値モデルの選 (注記による開示だけであるため、特に明示さ
択が必要である。資産の存続期間にわ れた基準はなく)原価モデルのみ。
当初認識後の測定
たって選択したアプローチが変更され
(IAS40.30)
る可能性は非常に低い。
( 15 ) 投資不動産公 公正価値モデルを選択する企業は、一 該当する基準はない。
定の場合を除き、すべての投資不動産
正価値モデルでの測
を公正価値で評価しなければならな
定
い。
(IAS40.33, 35,
投資不動産の公正価値の変動は、発生
53A, 53B, 54)
した期の損益として処理される。
建設中の投資不動産に関しても原則と
して同じ考え方であるが、実務を配慮
した特別な取扱いが定められている。
476/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
日本基準
項目 国際財務報告基準(IFRS)
(一般に公正妥当と認められる会計原則)
( 16 ) 減損プロセス 1段階アプローチ 2段階アプローチ
減損の兆候が存在する場合には、資産 減損の兆候が存在する場合には、最初に回収可
-減損の認識判定に
の帳簿価額がその回収可能価額を上回 能性テスト(資産の帳簿価額を、使用および最
用いる数値
る場合に、その差額を減損損失として 終的処分を通じて発生する割引前将来キャッ
(IAS36.59)
認識する。 シュ・フローの総額と比較する)を行う。その
回収可能価額は処分費用控除後の公正 結果、資産の帳簿価額が割引前キャッシュ・フ
価値と使用価値のいずれか高い金額と ローの総額よりも大きいため、回収不能と判断
なる。 された場合、資産の帳簿価額を回収可能価額
(正味売却価額と使用価値のいずれか高い金
額)まで減額するように減損損失を認識する。
( 17 ) 減損損失の戻 のれんに関し、その戻入れは禁止され あらゆる資産について禁止される。
ているが、他の資産については、毎
入れ
年、減損の兆候について検討しなけれ
(IAS36.110, 117,
ばならない。戻入れが必要な場合は、
124)
過年度に減損がなかったとした場合の
(償却または減価償却控除後の)帳簿
価額を上限として、減損損失を戻し入
れる。
477/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
日本基準
項目 国際財務報告基準(IFRS)
(一般に公正妥当と認められる会計原則)
( 18 ) リース 「使用権」資産および対応する金融負 リース取引はオペレーティング・リースおよび
債は財政状態計算書に認識される。 ファイナンス・リースに分類される。ファイナ
借手の会計処理
使用権資産および対応するリース負債 ンス・リースは解約不能かつフルペイアウトの
当初測定
は、リース期間にわたり未だ支払われ 要件を充足するリース取引をいい、以下の判定
(IFRS 16.6,8,23,
ていないリース料の現在価値に相当す 基準が用いられる。
24, 26)
る金額で測定される。 リース期間にわたる解約不能のリース料総
額の現在価値が、見積現金購入価額の概ね
短期リース 90%以上
短期リースはリース期間が12ヶ月以内 解約不能のリース期間が、当該リース物件
のリースと定義されている。借手は、 の経済的耐用年数の概ね75%以上
短期リースについて認識の免除を選択 ファイナンス・リース取引については、通常の
することができる。この場合、リース 売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う。
料はリース期間にわたり定額法、また オペレーティング・リース取引は、通常の賃貸
は借手の便益のパターンをより適切に 借取引に係る方法に準じて会計処理を行う。
表す他の規則的な基礎のいずれかで費
用として認識される。この選択は、使 リース資産およびリース債務の価額は以下のと
用権が関連する原資産のクラスごとに おり。
行わなければならない。 〈貸手の購入価額が明らかな場合〉
所有権移転:貸手の購入価額
原資産が少額であるリース 所有権移転外:貸手の購入価額、または、リー
借手は、原資産が少額であるリースに ス料総額(残価保証額を含む)の割引現在価値
ついて認識の免除を選択することがで のいずれか低い金額
きる。この場合、リース料はリース期 〈貸手の購入金額が不明の場合〉
間にわたり定額法、または借手の便益 リース料総額(所有権移転の場合は割安購入選
のパターンをより適切に表す他の規則 択権の行使価額を含む)の割引現在価値また
的な基礎のいずれかで費用として認識 は、借手の見積現金購入価額のいずれか低い金
される。 額
ただし、以下のいずれかを満たす場合、通常の
賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行う
ことができる。
重要性が乏しい減価償却資産で、購入時に
費用処理する方法が採用され、リース料総額
が当該基準額以下のリース取引
リース期間が1年以内のリース取引
(所有権移転外のみ)事業内容に照らして
重要性の乏しい、契約1件当たりのリース料
総額が300万円以下のリース取引
( 19 ) リース 借手は、使用権資産を減価償却する際 所有権移転外ファイナンス・リースについて
にIAS第16号「有形固定資産」の減価償 は、企業の実態に応じたものを選択適用する。
借手の会計処理
却の要求事項を適用しなければならな 自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と
減価償却方法
い。 同一である必要はない。
(IFRS 16.31)
所有権移転ファイナンス・リースについては、
自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と
同一の方法を適用する。
478/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
日本基準
項目 国際財務報告基準(IFRS)
(一般に公正妥当と認められる会計原則)
( 20 ) リース リース開始日から使用権資産の耐用年 所有権移転外ファイナンス・リースの償却期間
数の終了時までの期間と、リース開始 は、リース期間(再リース期間をリース期間に
借手の会計処理
日からリース期間の終了時までの期間 含めている場合は、再リース期間を含む年数)
償却期間
のいずれか短い期間を償却期間とす である。
(IFRS 16.32)
る。 所有権移転ファイナンス・リースの償却期間
ただし、リース期間の終了時に所有権 は、リース資産の経済的耐用年数である。
が移転する場合または購入オプション
の行使が使用権資産の取得原価に反映
されている場合(つまり、購入オプ
ションの行使が合理的に確実である場
合)には、リース開始日から原資産の
耐用年数の終了時までの期間を償却期
間とする。
( 21 ) リース リースは、原資産の所有に伴うリスク リースは、所有に伴うリスクと経済価値のほと
と経済価値のほとんどすべてを移転す んどすべてが借手に移転する場合には、ファイ
貸手の会計処理
る場合には、ファイナンス・リースに ナンス・リースに分類される。
分類
分類される。それ以外の場合にはオペ ファイナンス・リースの分類には数値基準があ
(IFRS 16.61-65)
レーティング・リースに分類される。 る。上記(18)を参照のこと。
数値基準はない。
( 22 ) リース 開始日において、貸手はファイナン ファイナンス・リースの貸手は、リース開始日
ス・リース債権を正味リース投資未回 にリース債権(リース投資資産)を認識する。
貸手の会計処理
収額に等しい金額で認識しなければな 利息相当額は、次のいずれかの方法を継続的に
ファイナンス・リー
らない。正味リース投資未回収額は、 適用して各期へ配分される。
スの会計処理
リース料と無保証残存価値をリースの (1) リース取引開始日に売上高と売上原価を計
(IFRS 16.67,
計算利子率で割り引いた現在価値であ
上
付録 A)
る。
(2) リース料受取時に売上高と売上原価を計上
(3) 売上高を計上せずに利息相当額を各期へ配
分
各期における利息相当額は、いずれの方法を採
用しても、同額となる。
( 23 ) リース リース料は定額法で、または他の規則 リース料はリース期間にわたり収益として認識
的な基礎の方が原資産の使用による便 される。
貸手の会計処理
益が減少するパターンをより適切に表
オペレーティング・
す場合には当該基礎を適用して、収益
リースの会計処理
として認識される。
(IFRS 16.81)
479/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
日本基準
項目 国際財務報告基準(IFRS)
(一般に公正妥当と認められる会計原則)
( 24 ) 金融商品の当 通常は取引価格が金融商品の当初認識 時価と取引価格が異なる場合、差額は取引の実
日における公正価値の最善の証拠とさ 態に応じて処理するものとされ、具体的な取扱
初測定
れる。 いは明記されていない。(金融商品会計に関す
(初日の利得/損
ただし、金融商品の当初認識時の公正 る実務指針 243)
失)
価値が取引価格と異なると判断される
場合、その当初認識時の公正価値につ
いて、同一の資産または負債の活発な
市場における相場価格の証拠があると
き、または観察可能な市場からのデー
タのみを用いた評価技法に基づいてい
るときには、当初認識時の公正価値と
取引価格との差額は初日の利得または
損失として認識する。
これに対して、上記条件を満たさない
評価技法に基づく当初認識時の公正価
値が取引価格と異なる場合には、当初
認識時の公正価値と取引価格との差額
は初日の利得または損失として認識し
ない。(IFRS9.B5.1.2A、B5.2.2A)
480/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
日本基準
項目 国際財務報告基準(IFRS)
(一般に公正妥当と認められる会計原則)
( 25 ) 金融資産の分 負債性金融商品に対する投資 金融資産は、原則として法的形態をベースに、
負債性金融商品に対する投資は、事業 有価証券、債権、金銭の信託、デリバティブ
類
モデルと契約上のキャッシュ・フロー などに分類して規定が定められている。さら
特性に基づいて以下の3つの測定区分に に、有価証券については、売買目的有価証券、
分類される。 満期保有目的の債券、子会社および関連会社
(1) 償却原価:契約上のキャッシュ・ 株式、その他有価証券に分類される。
フローを回収するために金融資産を保
有することを目的とする事業モデルの
中で金融資産が保有されており、か
つ、対象となる金融資産の所定の日に
生じる契約上のキャッシュ・フローが
元本と利息の支払いのみ(SPPI)から
なる場合
(2) その他の包括利益を通じて公正価
値(FVOCI):契約上のキャッシュ・フ
ローの回収および売却の両方により目
的が達成される事業モデルの中で金融
資産が保有されており、対象となる金
融資産の所定の日に生じる契約上の
キャッシュ・フローがSPPIからなる場
合
(3) 純利益を通じて公正価値
(FVPL):金融資産が上記のいずれに
も該当しない場合
資本性金融商品に対する投資
資本性金融商品に対する投資は純損益
を通じて公正価値で測定される。しか
し、当初認識時に、売買目的で保有さ
れていない資本性金融商品の公正価値
の変動を、その他の包括利益に表示す
るという取消不能な選択をすることが
できる(OCIオプション)。その他の包
括利益に表示された金額を事後的に純
損益に振り替えてはならない。しか
し、企業が利得または損失の累計額を
資本の中で振り替えることはできる。
(IFRS 9.4.1.1, 4.1.2, 4.1.2A,
4.1.3, 4.1.4, 5.7.5, B5.7.1,
B5.7.1A)
481/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
日本基準
項目 国際財務報告基準(IFRS)
(一般に公正妥当と認められる会計原則)
( 26 ) 金融資産の認 企業は、金融資産の管理に関する事業 原則として、有価証券の保有目的区分は当初の
モデルを変更した場合に、かつその場 意図に基づくものであり、正当な理由がなく変
識の分類の変更
合にのみ、影響を受けるすべての金融 更することはできない。
資産を分類変更しなければならない。 満期保有目的の債券からの再分類を行った場合
金融資産を分類変更する場合には、企 には、その後2事業年度内の満期保有目的の債
業は分類変更日から将来に向かって分 券への分類を禁止する規定がある。
類変更を適用しなければならない。 なお、資金運用方針の変更または法令もしくは
(IFRS 9.4.4.1, 5.6.1) 基準などの改正もしくは適用に伴い、有価証券
のトレーディング取引を行わないこととした場
合には、すべての売買目的有価証券をその他有
価証券に振り替えることができる。
逆に、有価証券のトレーディング取引を開始す
ることとした場合、または有価証券の売買を頻
繁に繰り返したことが客観的に認められる場合
には、その他有価証券を売買目的有価証券に振
り替えなければならない。
( 27 ) 金融資産の認 リスク経済価値アプローチに基づき、 財務構成要素アプローチに基づき、金融資産の
金融資産の認識を中止する。 消滅を認識する。
識の中止
金融資産の所有に係るリスクと経済価
(IFRS 9)
値のほとんどすべてを移転したわけで
も、ほとんどすべてを保持しているわ
けでもない場合は、「支配」の有無を
検討する。引き続き支配を保持してい
る場合は、継続的関与アプローチに基
づき認識を継続する。
金融資産 公正価値オプションの概念は存在しない。
( 28 ) 公正価値オプ
IFRS第9号では、測定または認識の不
ション
整合(「会計上のミスマッチ」と呼ば
れることがある。)を除去または大幅
に低減する場合にのみ当初認識時にお
いて金融資産を純損益を通じて公正価
値で測定するものとして取消不能の指
定をすること(公正価値オプション)
が認められる。
非金融資産
非金融資産にデリバティブが組込まれ
ている場合に公正価値オプションを適
用できる(ただし、組込デリバティブ
がキャッシュ・フローの大幅な変更を
もたらさない場合、または、類似の混
合金融商品が最初に検討される際に組
込デリバティブの分離が禁じられるこ
とがほとんど分析なしに明らかな場合
を除く)。
(IFRS 9.4.1.5, 4.3.5)
482/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
日本基準
項目 国際財務報告基準(IFRS)
(一般に公正妥当と認められる会計原則)
損益を通じて公正価値で測定されない 売買目的有価証券は時価で測定され、公正価値
( 29 ) 測定
金融資産の場合、企業は、当初認識時 の変動は損益に認識される。
において、その公正価値の算定には取 満期保有目的の債券は償却原価で測定され、原
得に直接起因する取引費用を加えた金 則として利息法によるものとするが、継続適用
額で当該金融資産を測定しなければな を条件として、簡便法である定額法を採用する
らない。組込デリバティブを伴う金融 ことができる。
資産は、そのキャッシュ・フローが元 その他有価証券は、時価で測定する。時価の変
本と利息の支払いのみで構成されてい 動額(評価差額)は、a)純資産の部に計上さ
るか否かの判断時に全体的に検討され れ、売却、減損あるいは回収時に損益計算書へ
る。デリバティブは、公正価値で当初 計上される、もしくは(継続適用を条件に)b)
認識され、その後も損益を通じて公正 個々の有価証券について、時価が取得原価を上
価値で測定される。 回る場合には純資産の部に計上し、下回る場合
(IFRS 9.5.1.1) には損益計算書に計上する。
債権は償却原価で測定され、原則として利息法
によるものとするが、契約上、元利の支払いが
負債性金融商品
弁済期限に一括して行われる場合または規則的
償却原価(AC)
に行われる場合に、定額法を採用することがで
これらの金融資産は、償却原価で測定
きる。
され、これらの金融資産からの受取利
非上場株式は時価を把握することが極めて困難
息は実効金利法を使用して純受取利息
な有価証券として取り扱われ、取得原価で測定
として認識される。認識の中止から利
される。このような時価を把握することが極め
益または損失が発生した場合、直接損
て困難な株式については、株式の発行会社の財
益に認識される。(IFRS 9.5.4.1,
政状態の悪化により実質価額(保有株式数に、
5.7.2)
一株あたり純資産を乗じて計算される)が著し
その他の包括利益を通じた公正価
く低下したときに、減損損失が認識される。
値(FVOCI)
これらの負債性金融商品は、その他の
包括利益を通じて公正価値で測定され
る。その帳簿価額の変動はOCIを通じて
計上されるが、減損損益、受取利息お
よび為替換算損益は損益に認識され
る。当該金融資産の認識が中止された
場合、それまでOCIに認識されていた累
積損益は資本から損益に再分類され
る。これらの金融資産からの受取利息
は実効金利法を使用して純受取利息と
して認識される。(IFRS 9.5.7.10)
損益を通じた公正価値(FVPL)
当初認識後にFVPLで測定される負債性
金融商品に係る利益または損失は、こ
れが発生した期間における損益を通じ
て公正価値で認識される。(IFRS
9.5.7.1)
483/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
日本基準
項目 国際財務報告基準(IFRS)
(一般に公正妥当と認められる会計原則)
資本性金融商品
企業は、当初認識後にすべての資本性
金融商品を公正価値で測定しなければ
ならない。株式投資に係る公正価値損
益をOCIに表示することを選択した場
合、当該商品の認識を中止した後に事
後的に公正価値損益を損益に再分類す
ることはない。
損益を通じて公正価値で測定する金融
資産の公正価値の変動は、損益計算書
に認識される。
(IFRS 9.5.2.1, 9.5.7.1, B5.2.3,
B5.7.1)
( 30 ) 外貨建金融資 企業は、IAS第21号を、IAS第21号に 外貨建その他有価証券の評価差額に関して、取
従った貨幣性項目であり、かつ、外貨 得原価または償却原価に係る換算差額も評価差
産
で表示されている金融資産および金融 額と同様に処理する。
負債に適用する。IAS第21号は、貨幣性 すなわち、外貨建の売買目的有価証券および満
資産および貨幣性負債についての為替 期保有目的の債券の換算差額は損益計算書で認
の利得および損失を純損益に認識する 識され、外貨建のその他有価証券の換算差額は
ことを求めている。 a) 純資産の部に計上され、売却、減損あるいは
例外は、キャッシュ・フロー・ヘッ
回収時に損益計算書へ計上される、もしくはb)
ジ、純投資のヘッジまたはOCIオプショ
個々の有価証券について、時価が取得原価を上
ンに従って公正価値の変動をその他の
回る場合には純資産の部に計上し、下回る場合
包括利益に表示することを企業が選択
には損益計算書に計上される。
した資本性金融商品の公正価値ヘッジ
上記に加え、外貨建債券については、外国通貨
のいずれかにおいてヘッジ手段として
による時価の変動に係る換算差額を評価差額と
指定されている貨幣性項目である。
し、それ以外の差額については為替差損益とし
(IFRS 9.B5.7.2)
て処理することもできる。
484/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
日本基準
項目 国際財務報告基準(IFRS)
(一般に公正妥当と認められる会計原則)
( 31 ) 減損 減損(損失評価引当金)の対象となる 貸倒引当金の対象となる金融商品は、法的形式
金融商品は次のとおり。 が債権であるもの(売掛金、受取手形、売掛
適用範囲
償却原価で測定する金融資産 金、貸付金、リース債権等)である。時価を把
(IFRS 9.4.1.2) 握することが極めて困難と認められる社債その
他の債券も、債権に準じて貸倒引当金を設定す
FVOCIで測定される金融資産
る。
(IFRS 9.4.1.2A)
当座貸越契約および貸出コミットメントは金融
IAS17(またはIFRS16)「リース」
商品会計基準の対象であるが、会計処理の定め
に従って会計処理されるリース債権
はない。貸手は、未使用のコミットメント残高
IFRS15「顧客との契約から生じる
を注記する。
収益」に従って認識および測定される
債務保証契約は、引当金の要件に該当する場合
契約資産
には引当金を計上し、それ以外の場合は債務保
ローン・コミットメント(IFRS 9.
証の金額を注記する。
2.1(g), 4.2.1(d))(*)
金融保証契約(IFRS 9.4.2.1
(c))(*)
*純損益を通じて公正価値で測定する
ものは含まない。
(IFRS 9.5.5.1)
なお、FVPLで測定される金融資産およ
びOCIオプションを選択した資本性金融
商品には減損(損失評価引当金)の要
求事項は適用されない。
485/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
日本基準
項目 国際財務報告基準(IFRS)
(一般に公正妥当と認められる会計原則)
( 32 ) 減損 損失評価引当金は、金融商品の「信用 貸倒引当金の算定は、以下の(1)から(3)
リスクが当初認識時以降に著しく増 の区分に応じて測定する。
予想信用損失の測定
大」しているかどうかを判断し、判断 (1) 一般債権
一般的なアプローチ
結果に応じて測定する。
過去の貸倒実績率等合理的な基準により貸倒見
積高を算定する。貸倒損失の過去のデータから
(1) 信用リスクが当初認識時以降に著し
貸倒実績率を算定する期間は、一般には、債権
く増大していない金融商品(「ス の平均回収期間が妥当とされている。
テージ1」):「12ヶ月の予想信用 (2) 貸倒懸念債権
損失」と同額で損失評価引当金を測
以下のいずれかの方法による。
定
債権額から担保の処分見込額および保証に
12 ヶ月の予想信用損失とは、全期間の
よる回収見込額を減額し、その残額について債
予想信用損失のうち、ある金融商品に
務者の財政状態および経営成績を考慮して貸倒
ついて報告日後12ヶ月以内に生じ得る
見積高を算定する方法
「債務不履行」事象から生じる予想信
債権の元本および利息に係るキャッシュ・
用損失を表す部分をいう。
フローを合理的に見積り、当期末まで当初の約
定利子率または実効利子率で割り引いた金額の
(2) 信用リスクが当初認識時以降に著し
総額と債権の帳簿価額との差額を貸倒見積高と
く増大している金融商品(「ステー する方法
ジ2」、「ステージ3」):「全期 (3) 破産更生債権等
間の予想信用損失」と同額で損失評
債権額から担保の処分見込額および保証による
価引当金を測定
回収見込額を減額し、その残額を貸倒見積高と
全期間の予想信用損失とは、当該金融
する方法
商品の存続期間にわたるすべての生じ
(注)IFRS第9号のような当初認識後の信用リ
得る「債務不履行」事象から生じる
スクの増大を考慮した相対的アプローチではな
「予想信用損失」をいう。
く、現時点における信用リスクを考慮した絶対
(IFRS 9.5.5.3, 5.5.5,付録A)
的アプローチによっていると考えられる。ま
た、基本的には常に全期間の予想信用損失を考
慮していると考えられる。
(金融商品に関する会計基準第27項、28項、金
融商品会計実務指針第109項-117項)
( 33 ) 減損 の戻入れ 減損損失の減少は、減損認識後の事象 減損の戻入れは行われない。
と客観的に関連付けられる場合、戻し
(IFRS 9)
入れなければならない。
( 34 ) 貸出コミット 当初認識時において、貸出コミットメ (金融商品実務指針第139項)
ントが、公正価値オプションとして指 貸出コミットメントはオフバランス取引であ
メント
定されている場合、現金または他の金 る。
融商品の引渡しまたは発行による純額 当座貸越契約(これに準ずる契約を含む。) およ
決済が可能である場合、または、市場
び貸出コミットメントについて、貸手である金
金利を下回る金利で貸付金を提供する
融機関等は、その旨および極度額または貸出コ
コミットメントの場合、公正価値で評
ミットメントの額から借手の実行残高を差し引
価される。
いた額を注記する。
上記以外は、IFRS第9号の(当初認識
時の)適用範囲から除外されている。
ただし、この場合でも、当初認識後は
IFRS第9号の減損の要求事項が適用さ
れる。
(IFRS 9.2.1(g), 2.3, 5.1.1)
486/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
日本基準
項目 国際財務報告基準(IFRS)
(一般に公正妥当と認められる会計原則)
( 35 ) 金融負債と資 IAS第32号にて、金融負債と資本の区分 金融負債と資本の区分に関する包括的な規定は
に関する包括的な規定が設けられてお 存在しない。
本の区分
り、金融商品の契約の実質ならびに金
(IAS32.11, 16A-
融負債、資本性金融商品の定義に基づ
16D, 15, 18)
き区分しなければならない。
( 36 ) 自己の信用リ 金融負債は、純損益を通じて公正価値 支払手形、買掛金などの金銭債務は、債務額を
で測定する金融負債(売買目的負債お もって貸借対照表価額とし、社債については社
スク
よび公正価値オプション)および償却 債金額より低いまたは高い価額で発行した場合
(IFRS 9)
原価で測定される金融負債に分類され には償却原価で評価する必要がある。
る。
公正価値オプションを適用した金融負
債について、当該負債の信用リスクの
変動に起因する公正価値の変動はその
他の包括利益に表示しなければならな
い。ただし、この処理が純損益におけ
る会計上のミスマッチを創出または拡
大する場合は、負債の信用リスクの変
動の影響を含む全ての利得または損失
を純損益に表示しなければならない。
(IFRS 9.4.2.1, 4.2.2, 5.7.7,
5.7.8)
( 37 ) 組込デリバ (IFRS 9.4.3.2) 複合金融商品に組込まれた組込デリバティブ
は、次のすべての要件を満たした場合、主契約
ティブの分離要件 主契約がIFRS第9号の範囲内の金融資
から区分して時価評価される。
(金融資産が主契約 産である場合は、組込デリバティブを
組込デリバティブのリスクが現物の金融資
の場合) 分離せず、当該金融商品全体について
産または金融負債に及ぶ可能性がある
(IFRS 9) 分類の判定を行う。
組込デリバティブと同一条件の独立したデ
リバティブが、デリバティブの特徴を満たす
当該複合金融商品について、時価の変動に
よる評価差額が当期の損益に反映されない
上記の要件を満たさない場合でも、管理上組込
デリバティブを区分して管理している場合には
主契約と組込デリバティブを区分して会計処理
することができる。
( 38 ) 組込デリバ (IFRS 9.4.3.3) 非金融商品が主契約となる組込デリバティブに
関する規定は存在しない。
ティブの分離要件 組込デリバティブは、次のすべての要
(非金融商品が主契 件を満たす場合、かつ、その場合にの
約の場合) み、主契約から区分して公正価値評価
(IFRS 9) する。
組込デリバティブの経済的特徴およ
びリスクが、主契約の経済的特徴お
よびリスクに密接に関連していない
組込デリバティブと同一条件の別の
デリバティブが、デリバティブの定
義を満たす
当該混合金融商品について、公正価
値変動が純損益に反映されない
487/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
日本基準
項目 国際財務報告基準(IFRS)
(一般に公正妥当と認められる会計原則)
( 39 ) ヘッジ会計の 公正価値ヘッジ(ヘッジ対象の特定の 原則として、ヘッジ手段に係る損益または評価
リスクに係る公正価値の変動と、ヘッ 差額を、税効果を考慮のうえ、原則、純資産の
手法
ジ手段の公正価値の変動を、ともに損 部において繰り延べる。
(IAS39, IFRS 9)
益として認識・計上する)、キャッ ただし、ヘッジ対象に係る相場変動等を損益に
シュ・フロー・ヘッジ(ヘッジ手段の 反映させる時価ヘッジも認められる。
公正価値変動のうち、有効部分を資本
の部に直接計上する)、および在外営
業活動体に対する純投資のヘッジにつ
いて、ヘッジ会計の会計処理が行われ
ている。
ラボバンクは、ミクロ・キャッシュ・
フロー・ヘッジ会計についてのみIFRS
第9号を適用している。IFRS第9号は
金利リスクのポートフォリオ・ヘッジ
に関するソリューションを提供してい
ないため、経営陣は、マクロ公正価値
ヘッジ会計について、引き続きIAS第39
号に基づくヘッジ会計のソリューショ
ンを適用している。
( 40 ) ヘッジ非有効 (IFRS9.6.5.3, 6.5.11(c)) (金融商品実務指針第172項)
ヘッジ全体が有効と判定され、ヘッジ会計の要
部分の処理 ヘッジの非有効部分は、純損益に認識
件が満たされている場合には、非有効部分につ
(IFRS 9) する必要がある。
いても繰延処理することができる。
OCIオプションを選択した資本性金融商
非有効部分を合理的に区分できる場合には、当
品に対する投資を公正価値ヘッジの
期の損益に計上することができる。
ヘッジ対象に指定する場合(かつ、そ
の場合のみ)、ヘッジの非有効部分は
その他の包括利益に表示され、純損益
に振り替えられることはない。
( 41 ) 金利スワップ 該当する基準はなく、このような処理 (金融商品会計基準第107項)
は認められない。 一定の条件を満たす場合には、金利スワップを
の特例処理
時価評価せず、金利スワップに係る利息を直
接、金融資産・負債に係る利息に加減して処理
することが認められる。
( 42 ) 未払有給休暇 累積型については、将来の有給休暇に 該当する基準はない。
対する権利を増加させる勤務を従業員
(IAS19.13-18)
が提供したときに、有給休暇に係る予
想コストを認識することが求められ
る。
非累積型については、休暇取得時に認
識する。
( 43 ) 確定給付制度 確定給付制度において積立超過がある (退職給付に関する会計基準「以下「退職会計
場合、正味確定給付制度資産として認 基準」第13項)
-資産計上など
識しうる額は、当該積立超過の額また
(IAS19.8, 64)
はアセット・シーリングのいずれか低 年金資産の額が退職給付債務を超える場合に
い金額に制限される。 は、資産として計上する(なお、個別財務諸表
については別個の定めがある(「退職会計基
準」第39(1)項)。
488/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
日本基準
項目 国際財務報告基準(IFRS)
(一般に公正妥当と認められる会計原則)
( 44 ) 確定給付制度 確定給付制度負債(または資産)の純 (退職会計基準第15項、第24項,注7,退職給付
額を財政状態計算書に認識しなければ に関する会計基準の適用指針(以下「退職給付
-数理計算上の差異
ならない(そのため、数理計算上の差 適用指針」第33-40項,第43項)
(IAS19.8, 63)
異の遅延認識は認められない)。その 数理計算上の差異は、原則として各期の発生額
他の包括利益で認識された当該差異の について、平均残存勤務期間以内の一定の年数
純損益への振替は認められない。 で按分した額を毎期費用処理する。また、当期
に発生した未認識数理計算上の差異は税効果を
調整の上、その他の包括利益を通じて純資産の
部に計上する(なお、個別財務諸表については
別個の定めがある(「退職会計基準」第39(1)
項)。
その他の包括利益累計額に計上されている未認
識数理計算上の差異のうち、当期に費用処理さ
れた部分について、その他の包括利益の調整
(組替調整)を行う(なお、個別財務諸表につ
いては組替調整は行わない(「退職会計基準」
第39(2)項)。
数理計算上の差異については、未認識数理計算
上の差異の残高の一定割合を費用処理する方法
によることができる。数理計算上の差異につい
ては、当期の発生額を翌期から費用処理する方
法を用いることができる。
過去勤務費用と数理計算上の差異の費用処理年
数は別個に設定することが可能である。
( 45 ) 確定給付年金 原則:給付算定式方式 (退職会計基準第19項、退職給付適用指針第11
例外:定額方式(後期の年度の勤務が 項,第12項,第13項)
制度-確定給付制度
初期の年度より著しく高い水準の給付 計算方法は、以下の選択適用となる。
債務の期間配分方法
を生じさせる場合) ・期間定額基準
(IAS19.67, 70)
・給付算定式基準(IAS19号と同様)
なお、給付算定式基準に従う給付額が著しく後
加重であるときには、当該後加重である部分の
給付については、当該期間(退職給付に関する
会計基準の適用指針第13項参照)の給付が均等
に生じるとみなして、定額で期間帰属させる。
( 46 ) 確定給付年金 以下の順序で検討する。 (退職会計基準第20項、注6、退職給付適用指針
割引率は、退職後給付債務と同一通貨 第24項)
制度-割引率
で同様の期日を有する優良社債の(報 安全性の高い債券の利回りを基礎として決定す
(IAS19.83)
告期間の末日現在の)市場利回りを参 る(検討にあたり順序はない)。
照して決定する。 割引率の基礎とする安全性の高い債券の利回り
そのような社債について厚みのある市 とは、期末における国債、政府機関債および優
場が存在しない場合には、報告期間の 良社債の利回りをいう。
末日現在における国債の市場利回りを
使用しなければならない。
489/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
日本基準
項目 国際財務報告基準(IFRS)
(一般に公正妥当と認められる会計原則)
( 47 ) 確定給付年金 期待運用収益という概念はない。 (退職会計基準第23項、退職給付適用指針第21
上記で算定された割引率を確定給付制 項、第25項)
制度-期待運用収益
度負債(資産)の純額に乗ずること 期待運用収益は、期首の年金資産の額(期中に
率
で、確定給付制度負債(資産)の純額 年金資産の重要な変動があった場合には、これ
(IAS19.123)
に係る利息純額を算定する。 を反映させる)に合理的に期待される収益率
(長期期待運用収益率)を乗じて計算する。
長期期待運用収益率は、年金資産が退職給付の
支払に充てられるまでの時期、保有している年
金資産のポートフォリオ、過去の運用実績、運
用方針および市場の動向等を考慮して設定す
る。
( 48 ) 確定給付年金 制度が改訂または縮小された時と、会 (退職会計基準第15項、第25項、注9、注10、退
社が関連するリストラ費用や解雇給付 職給付適用指針 第33項、第41項、第42項、第
制度-過去勤務費用
を認識した時のいずれか早い時期に過 43項)
(IAS19.103)
去勤務費用を純損益として認識する。 過去勤務費用は、原則として各期の発生額につ
いて、平均残存勤務期間以内の一定の年数で按
分した額を毎期費用処理する。また、当期に発
生した未認識過去勤務費用は税効果を調整の
上、その他の包括利益を通じて純資産の部に計
上する(なお、個別財務諸表については別個の
定めがある(「退職会計基準」第39(1)項)。
その他の包括利益累計額に計上されている未認
識過去勤務費用のうち、当期に費用処理された
部分について、その他包括利益の調整(組替調
整)を行う(なお、個別財務諸表については組
替調整は行わない(「退職会計基準」第39(2)
項)。
過去勤務費用については、未認識過去勤務費用
の残高の一定割合を費用処理する方法によるこ
とができる。この場合の一定割合は、過去勤務
費用の発生額が平均残存勤務期間以内に概ね費
用処理される割合としなければならない。数理
計算上の差異については、当期の発生額を翌期
から費用処理することができるが、過去勤務費
用については同様の処理を認める規定が存在し
ない。
退職従業員に係る過去勤務費用は、他の過去勤
務費用と区分して発生時に全額を費用処理する
ことができる。
過去勤務費用と数理計算上の差異の費用処理年
数は別個に設定することが可能である。
490/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
日本基準
項目 国際財務報告基準(IFRS)
(一般に公正妥当と認められる会計原則)
( 49 ) 顧客との契約 中心となる原則を「約束した財または 日本においては出荷基準、検収基準等の収益認
サービスの顧客への移転を、当該財ま 識基準があるが、当会計期間末において適用可
から生じる収益
たはサービスと交換で企業が権利を得 能なIFRSのような包括的な規定はない。2018年
(IFRS 15)
ると見込んでいる対価を反映する金額 3月30日に、IFRSにおける収益認識基準と大部
で描写するように収益を認識しなけれ 分において類似している「収益認識に関する会
ばならない」と定めた上で、収益認識 計基準」が企業会計基準委員会より公表されて
を以下の5つのステップに分けている。 おり、2021年4月1日以後開始する事業年度か
ステップ1:顧客との契約を識別する ら適用され、2018年4月1日以後開始する事業
ステップ2:契約における履行義務を識 年度から早期適用も認められている。
別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履
行義務に配分する
ステップ5:履行義務の充足時に(また
は充足するにつれて)収益を認識する
(IFRS15.IN7)
この基準は、金融商品、保険契約また
はリース契約には適用されない。
(IFRS15.2, 5, 7)
491/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
第7 【外国為替相場の推移】
日本円とユーロの為替相場は国内において時事に関する事項を掲載する2紙以上の日刊新聞紙に最近5年間の事
業年度において掲載されているため、本項の記載は省略する。
492/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
第8 【本邦における提出会社の株式事務等の概要】
該当なし
493/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
第9 【提出会社の参考情報】
1 【提出会社の親会社等の情報】
該当なし
2 【その他の参考情報】
これまでに下記の書類を関東財務局長に提出した。
書類名 提出日
発行登録書(売出) 2020 年4月24日
有価証券報告書 2020 年6月10日
半期報告書 2020 年9月9日
494/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
第二部 【提出会社の保証会社等の情報】
第1 【保証会社情報】
該当なし
第2 【保証会社以外の会社の情報】
該当なし
第3 【指数等の情報】
該当なし
495/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
独立監査人の監査報告書(訳文)
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アーのメンバー評議会総会および監督委員会 御中
2020 年度財務諸表に関する報告
監査意見
当監査法人は、以下について認める。
・ コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アーおよびその子会社(以下「グループ」という)の連結財務諸表
は、欧州連合により採用された国際財務報告基準(以下「EU-IFRS」という)およびオランダ民法典第2編第
9章に準拠して、グループの2020年12月31日現在の財政状態ならびに同日をもって終了した年度の経営成績
およびキャッシュ・フローの状況について、真実かつ公正な概観を与えている。
・ コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(以下「会社」、「ラボバンク」または「銀行」という)の個別
財務諸表は、オランダ民法典第2編第9章に準拠して、会社の2020年12月31日現在の財政状態および同日を
もって終了した年度の経営成績について、真実かつ公正な概観を与えている。
監査対象
当監査法人は、添付のアムステルダム市所在のコーペラティブ・ラボバンク・ウー・アーの2020年度財務諸表
の監査を行った。本財務諸表には、グループの連結財務諸表および会社の個別財務諸表が含まれる。
連結財務諸表は以下から構成されている。
・ 2020年12月31日現在の連結財政状態計算書
・ 2020年度における次の計算書:連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、および連結
キャッシュ・フロー計算書
・ 重要な会計方針およびその他の説明的な情報からなる注記
個別財務諸表は以下から構成されている。
・ 2020年12月31日現在の財政状態計算書
・ 同日をもって終了した年度の損益計算書
・ 適用されている会計方針およびその他の説明的な情報からなる注記
本財務諸表の作成において適用されている財務報告の枠組みは、連結財務諸表についてはEU-IFRSおよびオラン
ダ民法典第2編第9章、個別財務諸表についてはオランダ民法典第2編第9章である。
496/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
監査意見の根拠
監査意見を表明するにあたり、当監査法人は十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。当監査法人
の監査の実施および監査意見の表明は、オランダの監査基準を含むオランダの法律に準拠している。当監査法人
の責任ならびに経営委員会および監督委員会の責任は、本報告書の「財務諸表および監査に対する責任」の区分
において説明されている。
独立性
当監査法人は、PwCネットワークの各ファームが提供したサービスの詳細についてレビューし、社会的影響度の
高い事業体の法定監査に関する特定の規定に係る欧州規則、「監査法人監督法(Wet toezicht
accountantsorganisaties)」(Wta)、「専門会計士倫理規則(Verordening inzake de onafhankelijkheid van
accountants bij assuranceopdrachten)」(ViO、独立性に関する規則)、およびオランダにおける関連する他
の独立性規則に従いコーペラティブ・ラボバンク・ウー・アーに対して当監査法人が独立性を保持しているとい
う結論を下した。さらに、当監査法人は、「Verordening gedrags- en beroepsregels accountants」(VGBA、オ
ランダ倫理規定)を遵守している。
監査アプローチ
2020 年度監査の概要と背景
ラボバンクは、協同組合の原則に基づいて事業を行う国際的な銀行である。ラボバンクは、オランダ国内での
ユニバーサル・バンキング業務およびオランダ国内外での食品・農業セクター向け融資に重点を置いて、世界
38ヶ国で事業を行っている。ラボバンクの事業には、国内リテール・バンキング、ホールセール・バンキング、
国際ルーラル・バンキング、リースならびに不動産事業が含まれる。グループは複数の構成単位からなるため、
当監査法人はグループ監査の対象範囲とアプローチについて「グループ監査の対象範囲」の区分に記載のとおり
に検討した。
ラボバンクは、低金利環境の継続、コロナウイルスのパンデミック(以下「COVID-19」という)による財務上
および業務上の影響、デジタル化への継続的な投資を必要とする顧客選好の変動(COVID-19に伴うロックダウン
を一因とする)ならびに法規制遵守に対する社会からの高い期待などに晒される厳しい環境下で営業活動を行っ
ている。ラボバンクの業務、規制および財務報告のプロセスにおいて情報処理の信頼性および継続性が重要であ
ることから、当監査法人は、IT全般統制のデザインおよび運用状況の有効性を監査上の主要な検討事項として識
別した。
さらに財務諸表目的において、新たに出現したコンプライアンスの分野について、経営者が識別していない、
および/または対処していないという業界特有のリスクが存在している。これには、規制当局の調査に関する将
来の結果について引当金の認識や偶発債務の開示の必要性についての検討が含まれる。したがって当監査法人
は、規制当局に対するエクスポージャーを監査上の主要な検討事項として識別した。
497/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
当監査法人は監査計画立案の一環として、重要性の決定および財務諸表における重要な虚偽表示のリスクの評
価を行った。当監査法人は特に、仮定を伴う重要な会計上の見積りや本質的に不確実性を伴う将来の事象に対し
て経営委員会が下した重要な判断について検討した。ラボバンクは財務諸表注記2.1の「判断および見積り」の段
落において、会計方針の適用において判断を伴う分野および見積りの不確実性をもたらす主な要因について説明
している。当監査法人は、本段落で言及している見積りおよび判断のうち、見積りの不確実性および重要性に鑑
み、減損引当金および顧客に対する預け金を監査上の主要な検討事項とした。
さらに、特にデフォルト確率に適用される将来予測上の仮定や、それに伴いグループのポートフォリオ全体に
適用されたマクロ経済シナリオなど、グループが実施した特定の見積りおよび判断は、COVID-19を要因とする経
済的不確実性により、その不確実性が増大している。
監査上の主要な検討事項とはされていない他の重点項目は、収益認識、金融商品(具体的には信用評価調整を
含むレベル2およびレベル3の金融商品)の公正価値、ヘッジ会計、のれんの回収可能性、その他の無形資産、
関連会社および建物(データ・センターを含む)への投資、税金(具体的には繰延税金資産の評価)、訴訟およ
びその他の引当金、ならびに貸出条件付き長期資金供給オペレーション(以下「TLTRO-III」という)の条件付き
金利ボーナスの会計である。これらは監査上の重点項目ではあるが、当年度の財務諸表監査において最重点項目
ではなかった。
当監査法人は、グループおよび構成単位レベルのいずれにおいても、銀行監査に必要な適切なスキルと能力が
全体として備わった監査チームになるようにした。そのため、IT、税務、フォレンジック、金融商品、不動産お
よび従業員給付の評価、マクロ経済予測ならびにヘッジ会計の分野においてチームに専門家を含めた。
COVID-19 による2020年度監査アプローチへの影響
COVID-19 の感染拡大後、監査人は監査を実施する上で課題に直面している。これを受けて当監査法人は、今回
のパンデミックが監査アプローチや監査の実施に与える影響を検討した。経営者への質問や会議は、ビデオ会議
により実施した。またチームは、この情報の網羅性、正確性および信頼性を確保するため、監査証拠の質に引き
続き注意を払い、十分かつ適切なテストを実施することが重要であることを再認識した。当監査法人が特に注意
を払った監査上の重点項目は、以下のとおりである。
・ 「重要性」の区分に記載されている監査上の重要性(重要性の決定根拠を含む)への影響
・ グループ監査への影響。当監査法人は、構成単位の監査人の作業に関する監査手続計画を見直し、年1度の
現地往査に代わり、現地の経営者および構成単位の監査チームとのビデオ会議などを実施した。また、構成
単位の監査人の電子ファイルへの全面アクセス権を入手の上、構成単位の監査チームが実施した作業に関す
る監査調書を抽出してリモート・レビューを実施した。さらに、積極的な対話、明確なコミュニケーション
およびテクノロジーの有効活用により、構成単位の監査チームの業務の指揮および監督を行った。
498/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
・ リモート業務に伴うラボバンクの統制環境への影響。当監査法人は、リモート環境下での業務を含め、
COVID-19のパンデミックによる内部統制の有効的な運用への影響は限定的であると評価した。当監査法人の
手続については、本監査報告書の「監査上の主要な検討事項-IT全般統制のデザインおよび有効性」の区分
に記載されている。ラボバンクの日次の会計処理および業務処理の大半はすでに電子化されており、リモー
ト環境下での遂行が可能であった。したがってリモート業務環境への移行により、ラボバンクの統制環境の
重要な変更または混乱は生じていない。
・ 顧客に対する貸出金および預け金に係る減損引当金、アフメアへの投資の回収可能性評価、のれんおよび建
物の減損評価、ならびに貸出条件付き長期資金供給オペレーション(TLTRO-III)の条件付き金利ボーナスの
会計などの会計処理に与える影響。COVID-19のパンデミックによる前例のない影響が現在の環境下において
不確実性を増大させ、それが継続的に変化する性質を有するため、会計上の見積りの監査の複雑性や難しさ
が増大している。当監査法人の手続には、これらの会計上の事項およびラボバンクが適用した財務報告フ
レームワークに準拠した財務諸表上の関連開示の評価が含まれる。顧客に対する貸出金および預け金に係る
減損引当金に対して実施された手続については、「監査上の主要な検討事項」の区分を参照のこと。
当監査法人のアプローチの概要は以下のとおりである。
重要性
・ グループの重要性の基準値:120百万ユーロ(2019年度:150百万ユーロ)
監査対象範囲
・ 当監査法人は、14の構成単位において監査業務を実施した。
・ 次の所在地における構成単位の監査チームおよび現地のラボバンク経営者との
ビデオ会議-オランダ、米国およびブラジル。
・ 監査がカバーする範囲:総資産の92%、税引前利益の90%および純受取利息の
92%。
監査上の主要な検討事項
・ 顧客に対する貸出金および預け金に係る減損引当金
・ 規制当局に対するエクスポージャー
・ IT全般統制のデザインおよび有効性
重要性
当監査法人の監査対象範囲は重要性の適用に影響されるが、これについては「財務諸表監査に対する当監査法
人の責任」の区分に詳述されている。
監査人の職業的専門家としての判断によって、当監査法人は、財務諸表全体における重要性の基準値など、重
要性に関して特定の定量的な基準値を下表のとおり決定した。これらは定性的な検討と合わせて、個々の財務諸
表項目および開示内容に対する監査手続の内容、実施時期および範囲を決定する際、ならびに識別された虚偽表
示が、個別にも集計しても、全体としての財務諸表ならびに当監査法人の意見に及ぼす影響を評価する際に役
立った。
499/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
グループの重要性の基準値 120 百万ユーロ(2019年度:150百万ユーロ)
重要性の算定根拠 当監査法人は監査人の職業的専門家としての判断によって重要性の基準値を
決定した。判断の根拠として、当監査法人は当年度および前2年分の税引前
利益の加重平均に対し5%を適用した(2019年度:税引前利益の5%)。な
お、加重平均の算定においては、当年度の関連性がより高いことから、当年
度の比重を高めた。これにより、2018年度および2019年度の税引前利益は加
重平均のそれぞれ25%を、また2020年度の税引前利益は50%を占めている。
適用されたベンチマークの根拠 当監査法人は、主たるベンチマークとして税引前利益を使用した。これは、
一般に公正妥当と認められた監査実務であり、当監査法人の分析によれば財
務諸表利用者に共通して着目している情報であるとされている。これに基づ
いて、当監査法人は、税引前利益がラボバンクの業績の重要な指標であり、
この業界において広く使用されていると判断している。さらに、監査人の職
業的専門家としての判断によって、一般的に認められる経験則の範囲内であ
る5%を基準値として採用した。
前年度の重要性は当該年度税引前利益の5%に基づいていたが、当年度にお
ける重要性の算定アプローチは、上記のとおり税引前利益の3年加重平均の
5%に基づくものである。重要性の算定に複数年平均ベンチマークを採用し
た理由は、COVID-19の影響により年々悪化する景気および変動する税引前利
益に対応するためであり、これに加えてラボバンクの事業規模も反映してい
る。当監査法人は当年度の重要性について、監査人の職業的専門家としての
判断により、120百万ユーロと決定した。これは、当年度の税引前利益の約
8%に相当する。
構成単位の重要性 当監査法人は監査対象範囲に含まれる各構成単位に対し、当監査法人の判断
に基づき、グループの重要性の基準値を超えない範囲の重要性を割り当て
た。構成単位に割り当てられた重要性の範囲は、27百万ユーロから65百万
ユーロであった。
当監査法人はまた、定性的な理由により重要であると当監査法人が判断する虚偽表示および/または潜在的な
虚偽表示についても考慮した。定性的な理由により監査重点項目とした分野には、顧客に対する貸出金および預
け金に係る減損引当金、公正価値、関連会社への投資の回収可能性、のれんの減損、規制当局に対するエクス
ポージャーならびに監督委員会および経営委員会の報酬に関する開示の正確性などがある。
当監査法人は、監査中に識別した6百万ユーロ(2019年度:7.5百万ユーロ)を超える虚偽表示のほか、当監
査法人として定性的な理由から報告が必要と考えたそれより少額の虚偽表示についても、監督委員会に報告する
ことを同委員会と合意した。
500/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
グループ監査の対象範囲
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アーは、グループ内企業の親会社である。当該グループの財務情報は
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アーの連結財務諸表に含まれている。
当監査法人は、財務諸表全体に対する意見を表明するのに、財務諸表全体のうち当監査法人にとって十分な範
囲をカバーできるよう、グループの経営組織構造、各事業体の事業活動の性質、会計プロセスおよび統制、なら
びにグループの構成単位が事業を行う市場を考慮して監査対象範囲を決定した。
当監査法人は、グループ全体の監査戦略および監査計画を策定時に、構成単位レベルでグループ監査チームが
行うべき監査手続き、また各構成単位の監査人が実施すべき監査手続きを決定した。
グループ監査の対象範囲の決定では、まず初めにグループにおいて財務上個別に重要な構成単位(すなわち重
要な構成単位)であるオランダ国内リテール・バンキング(オプフィオンおよびその他の関連会社を除く)、オ
ランダのホールセール・アンド・ルーラル(以下「W&R」という)およびデ・ラーヘ・ランデン(以下「DLL」と
いう)に焦点を当てた。次にフェルモーヘンスベヘール・ラボバンク・ネダーランド(Vermogensbeheer
Rabobank Nederland、以下「VRN」という)について、監査上の重要なリスク領域であると評価されたラボバン
クのアクメア B.V.への投資を保有していることから、重要な構成要素として評価した。
これらの構成単位は、全財務情報の監査(フルスコープ監査)の対象とされた。また当監査法人は、連結財務
諸表全体に対する適切な監査カバレッジを確保するため、フルスコープ監査、特定の勘定残高に対する監査およ
び特定手続を実施する対象として、追加構成単位を10単位選定した。
ラボバンクには、業務監査、コンプライアンス監査、IT監査、貸出金(評価)監査、財務報告に係る内部統制
監査を実施する内部監査部門(以下「ラボバンク監査部門」という)がある。当監査法人は、ラボバンク監査部
門による作業の利用の可否についてオランダ監査基準610「内部監査人による作業の利用」に照らして検討し、
利用は適切であるという結論を下した。当監査法人はこの結論に至るまでに、ラボバンク監査部門が適用した体
系的な規律あるアプローチだけでなくその適切性および客観性について評価した。当監査法人はその後、財務諸
表監査においてラボバンク監査部門による作業を利用するための詳細なアプローチとモデルを策定した。当監査
法人は高リスクの分野および/または重要な判断を要する分野もしくは手続について、相当程度かつ独立した立
場で関与した。監査プロセスにおいて当監査法人はラボバンク監査部門と密接に連携し、頻繁に状況確認の会合
を持ち、また、当該部門の作業を査閲および一部「再実施」することにより、当監査法人の当初の評価および依
拠アプローチを裏付けることができた。
501/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
全体として、これらの手続の実施により、当監査法人は財務諸表項目について以下のカバレッジを達成した。
資産合計 92 %
税引前利益 90 %
純受取利息 92 %
残りの構成単位のうち、単独でグループ総資産、税引前利益または純受取利息の1%超を占める企業はなかっ
た。当監査法人はそれらの残りの構成単位について、これらの中に重要な虚偽表示リスクはなかったという当監
査法人の評価を裏付けるための監査手続として主に分析的手続を実施した。
オランダのグループ構成単位には、国内のリテール・バンキング、W&R、DLLおよびVRNといった重要な構成単
位が含まれているが、不動産開発、オプフィオンおよびこれらより小規模のその他の構成単位(グループ構成単
位を含む)もいくつか含まれている。グループ監査チームはこれらの企業に関して、構成単位の監査チームによ
る作業を利用した。米国、オーストラリア/ニュージーランドおよびブラジルにおける構成単位に関しては、監
査業務の実施に関する現地の法規制に詳しい構成単位の監査人を利用した。グループ報告の範囲とされたすべて
の構成単位がPwCメンバー・ファームにより監査されている。
構成単位の監査人が作業を実施した場合には、当該チームの監査業務において、財務諸表全体に対する当監査
法人の意見の基礎として十分かつ適切な監査証拠を入手できたかの結論を下すために必要となるグループ監査
チームの関与度について決定した。
当監査法人は、監査範囲対象である構成単位の監査チーム宛にインストラクションを発行した。このインスト
ラクションには、特にグループ監査チームによるリスク評価、重要性基準および監査作業の範囲などが含まれて
いた。グループ監査チームは構成単位の監査チームに対して、グループの構造、構成単位の監査人に関連する主
な動向、識別されたリスク、適用すべき重要性の基準値およびグループ監査チームのグローバル監査アプローチ
について説明した。グループ監査チームは、作業終了時も含め、年度にわたってグループ報告の範囲とされたす
べての構成単位の監査チームと活発な対話を行った。
構成単位の監査チームとの対話を通じて、連結財務諸表に関連する可能性のある計画、リスク評価、構成単位
の監査人が識別した会計上および監査上の主要な検討事項、構成単位の監査人による報告、監査手続からの検出
事項およびその他の事項について協議した。重要な構成単位については、構成単位の監査人の監査調書を一部レ
ビューした。
502/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
COVID-19 の感染拡大により、当年度はグループ報告の範囲にあるすべての構成単位を実際に往査することがで
きなかったため、オランダ、米国、オーストラリアおよびブラジルの構成単位の監査チームとともに、現地の経
営者と一連のビデオ会議を実施した。ビデオ会議において、現地事業の戦略および業績、ならびに構成単位の監
査人の監査計画と監査手続きの実施、重要な監査リスク領域およびその他の関連する監査トピックについて議論
した。
グループ監査チームは、グループ連結、IT全般統制、中央コストセンター、財務諸表の開示、対象範囲の一部
の特定勘定、また、顧客に対する貸出金および預け金に係る減損引当金、ヘッジ会計、ならびに関連会社への投
資の評価、ラボバンクののれんの持分、オランダの連結納税グループの法人税、規制上の事項および法定の引当
金を含む特定のその他の会計事象など、複数の複雑な項目について、本社で監査手続を実施した。
当監査法人は、構成単位の監査チームが実施した手続を通じて、またグループレベルで追加手続を実施するこ
とにより、グループの財務情報について、財務諸表全体に対する当監査法人の意見の基礎として十分かつ適切な
監査証拠を入手したと判断している。
不正および法規制の遵守違反のリスクに係る重点項目
不正
不正に関する当監査法人の監査の目的は以下のとおりである。
・ 不正による財務諸表の重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。
・ 適切な監査対応の策定および実施を通じて、不正による重要な虚偽表示リスクの評価に関する十分かつ適切
な監査証拠を入手する。
・ 監査において識別された不正または不正の兆候に適切に対応する。
当監査法人が行うすべての監査と同様に、財務諸表における重要な虚偽表示リスクの評価においては、経営者
による内部統制の無効化のリスクについても対応を行った。これには、不正による重要な虚偽表示のリスクを示
している可能性のある、経営委員会の偏向に関する証拠の有無を評価することが含まれる。当監査法人は、不正
リスクを軽減する内部統制のデザインおよび実施状況の評価を実施し、また、適切であると考えられる場合に
は、有効性のテスト、リスクの高い仕訳のデータ分析、ならびにラボバンクの偏向に関する主要な見積りと判断
の評価を実施し、最後に予測不能の要素を監査に取り入れた。監査上の主要な検討事項である「顧客に対する貸
出金および預け金に係る減損引当金」は、経営者が重要な判断を行う会計上の見積りというリスクの高い領域に
対する当監査法人のアプローチの一例である。
当監査法人の手続の一環として、当監査法人は年度を通じてラボバンクの金融経済犯罪(以下「FEC」とい
う)チームと対話を行った。FECチームは特に、内部のインテグリティ、内部告発および不正の報告に関する案
件の調査を行っている。
503/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
当監査法人は、ラボバンクが実施している手続の評価を行った。この評価は、調査担当者の能力および調査ア
プローチの評価を含んでいる。当監査法人は、これら個別案件のうちリスクベースの基準に基づいて複数の案件
を選択し、文書、結論、報告およびFECチームの対応についてレビューした。当監査法人はこの手続に当監査法
人のフォレンジックの専門家を関与させた。
不正の防止および検出に関する主な責任は経営委員会にあり、監督委員会の監視を受ける。
法規制
財務諸表目的において、経営者が新たに出現したコンプライアンスの分野について、識別していない、およ
び/または対処していないという業界特有のリスクが存在している。これには、法的または規制上のプロセスに
関する将来の結果について引当金の認識や偶発債務の開示の必要性についての検討が含まれる。
法規制の遵守違反に関する当監査法人の監査の目的は以下のとおりである。
・ 法規制の遵守違反による財務諸表の重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。
・ 適用される法規制の枠組みを検討する際に、不正または誤謬によるかを問わず、全体としての財務諸表に重
要な虚偽表示がないことの合理的な保証を得る。
オランダの監査基準250に準拠して、当監査法人は、監査アプローチにおいて、以下のような法規制について
の区別を実施した。
・ 財務諸表上の重要な金額および開示の決定に直接的な影響があるもの。このカテゴリーにおいて、当監査法
人は、当該法令および規制上の規定遵守に関する監査証拠を入手した。
・ 財務諸表上の重要な金額および開示の決定に直接的な影響はないが、事業運営面、ラボバンクの事業継続能
力または重要な罰金を回避する上でコンプライアンスが必要不可欠なもの。このカテゴリーにおいて、当監
査法人は、財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある当該法規制の遵守違反を識別するため、特定の監査
手続を実施した。
監査上の主要な検討事項の「規制当局に対するエクスポージャー」に記載されているとおり、当監査法人は、
法規制の遵守違反リスクは主に財務諸表に間接的な影響を及ぼす法規制に関するものであると識別した。
法規制の遵守違反の防止および検出に関する主な責任は経営委員会にあり、監督委員会の監視を受ける。
504/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
監査上の主要な検討事項
監査上の主要な検討事項とは、当監査法人の職業的専門家としての判断において、財務諸表監査で最も重要で
あると決定された事項である。当監査法人は、監査委員会および監督委員会に対し、監査上の主要な検討事項を
協議した。この監査上の主要な検討事項は、監査上識別された、および当監査法人が協議したすべての事項が総
合的に反映されたものではない。この区分では、監査上の主要な検討事項について詳述し、これらの事項につい
て当監査法人が実施した監査手続の要約を含めた。
当監査法人は、財務諸表全体に対する監査の観点から、また当監査法人の監査意見を形成するうえで、監査上
の主要な検討事項に対応した。当監査法人は、これらの項目または財務諸表の特定の要素に対しては個別の意見
を表明しない。当監査法人の実施した手続の結果に関する当監査法人のコメントおよび指摘事項は、この点を踏
まえて読まれるべきである。
監査上の主要な検討事項の項目自体は、前年度より変更はない。以下に記載される監査上の主要な検討事項
は、多くがグループ全体としての性質に関連するものであり、毎年度発生することが予想される。当監査法人
は、既存の監査上の主要な検討事項に対応して実施した監査手続に加えて、COVID-19のパンデミックの影響を考
慮に入れた手続きを行った。詳細については、以下の各監査上の主要な検討事項において記載されている。
監査上の主要な検討事項 当監査法人の監査業務および指摘事項
顧客に対する貸出金および預け金に係る減損引当金 統制のデザインおよび運用状況の有効性
505/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
注記2.16「金融資産に係る減損引当金」および注記 当監査法人は、以下に関するキーコントロールのデザイ
4.3.4「金融資産に係る減損引当金および信用関連の偶 ンを評価し、運用状況の有効性をテストした。
発債務」ならびに注記12「顧客に対する貸出金および預 ・ 不良債権を識別するため貸出の質の分類を評価する
け金」を参照のこと。
内部与信管理プロセス
・ 個別減損引当金に関して、主要なパラメータの適切
IFRS 第9号の要件に準拠し、ラボバンクは3つのステー
な使用に基づく将来キャッシュ・フローの評価およ
ジの予想信用損失減損モデルを用いて顧客に対する貸出
び担保の実在性と評価
金および預け金に係る減損引当金を算出している。ラボ
・ 信用リスクの著しい増加の測定および決定に適用さ
バンクは、ステージ1および2の貸出金減損については
れる技法および統制
モデルに基づき決定しており、またステージ3の貸出金
・ PD、EADおよびLGD減損モデルの策定、検証、補正お
減損についてはモデルに基づきまたは特定の貸出金ごと
よび実施に関するガバナンス
に決定している。
・ 減損モデルのアウトプットに対して経営者が整備し
ている査閲および承認のプロセス、ならびにモデ
モデル化された貸出金減損
ル・アウトプットに適用されたトップ・レベル調整
モデル化された貸出金減損において、ラボバンクは、大
部分の貸出金ポートフォリオに対するある時点のデフォ
これらの統制の大部分が有効にデザインおよび運用され
ルト確率(以下「PD」という)、デフォルト時損失(以
ていた。一部の統制について、経営者は統制活動の是正
下「LGD」という)およびデフォルト時エクスポー
と影響の評価を実施した。統制のテストおよび是正措置
ジャー(以下「EAD」という)のモデルを使用した。こ
の追加テストを踏まえ、当監査法人は、監査の目的にお
れらのモデルでは、3つのグローバル・マクロ経済シナ
いて上記の統制に依拠することが適切であると判断し
リオ(基本、下振れおよび上振れシナリオからなる)が
た。
使用され、予想信用損失の決定において確率加重され
た。COVID-19禍においてモデルを適用した場合、潜在的
モデル・ベースの減損引当金の評価
な経済的結果の振れ幅が増大すること、モデル自体の適
当監査法人は、モデルに基づく減損引当金の経営者の判
合性からの調整が必要であることなど、マクロ経済シナ
断プロセス(COVID-19により生じた経済混乱に関する考
リオの設定においてCOVID-19の経済的影響による見積り
慮を含む)をテストした。また(内部モデルの専門家も
の不確実性が増大しており、経営者による相当に高い判
併せて用いて)以下の手続きを実施した。
断が必要とされた。
・ PDおよびLGDのモデル技法の妥当性を評価した。
・ ラボバンクのモデル検証部門が作成したモデル検証
データの質に問題がある場合、または予期しない外部の
報告書を評価した。
動向に対して減損モデルの結果が十分に対応できてない
・ 当監査法人の内部の経済専門家とともに、複数の将
場合には、調整(いわゆるトップ・レベル調整)が行わ
来マクロ経済シナリオの設計、予測マクロ経済変数
れた。当年度は、その他の調整に加え、以下の事項につ
およびシナリオに割り当てられた確率加重に使用さ
いてCOVID-19に関連するトップ・レベル調整が認識され
れた経営者のインプットおよび仮定について、これ
た。
らの仮定の外部市場データおよび業界データとの整
・ 追加の予想デフォルト・リスクを反映するための594
合性の評価も含め、合理性を評価した。
百万ユーロの調整。政府支援策により、大半の顧客
・ 2020年12月31日現在の主要なモデル・パラメーター
ではロックダウン措置による直接的な財務上の影響
のバックテステスト手続を実施した。
がある程度先送りされたため、経営者の判断に基づ
・ 過去の期限前返済実績に基づき、EADの算定に適用さ
き、ヨーロッパの事業貸出金に関するIFRS第9号モ
れた期限前返済率の合理性を評価した。
デルの結果においては、信用リスクの増加を適切に
反映させていない。
上記に基づき当監査法人は、技法は業界の慣行と整合し
・ COVID-19以降の信用リスク・セクター評価に基づ
ており、インプットは妥当であると評価した。最後に当
き、ラボバンクが脆弱であると評価したセクターに
監査法人は、2020年12月31日現在におけるトップ・レベ
ついて、87百万ユーロの調整を行った。すべてのエ
ル調整に関して、基礎となるモデルおよびデータの限界
クスポージャーは、長期的に厳しい状況および信用
に合わせるためにこれらの調整が必要であったという裏
リスクの大幅な上昇(以下「SICR」という)を反映
付け証拠を入手し、代替および矛盾する情報を評価し
するため、ステージ2に振り替えられている。
て、提供された裏付け証拠が合理的なものであると判断
した。具体的には、COVID-19に関連して認識されたトッ
さらに、その他2つの重要なトップ・レベル調整が認識
プ・レベル調整については、その重要性および主観性を
された。1つはIFRS第9号のモデルのバックテストの結
考慮し、監査において職業的専門家としての懐疑心を発
果によるものであり、もう1つは新法令(Wet
揮した。その際に、セクター別の過去分析、感応度分析
Homologatie Onderhands Akkoord)の影響予測を反映し
および流動性分析など、複数のシナリオや情報を経営者
たものである。
が考慮したかを批判的に検討した。また当監査法人の内
部の経済専門家とともに、脆弱なセクターに関する経営
個別に評価される信用減損した貸出金
者の評価について、外部市場データおよび業界データと
個別に評価が行われる信用減損した貸出金の減損引当金
の整合性の評価も含め、合理性を評価した。当監査法人
は、持続可能な救済、最適化シナリオおよび清算シナリ
は、顧客に対する貸出金および預け金に係る減損引当金
オという3つのシナリオにおいて予想される将来キャッ
506/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
シュ・フローの純現在価値の加重平均(将来予測情報お の決定において、提供された裏付け証拠が合理的なもの
よび基礎となる担保の評価を含む)に基づいている。 であると判断した。監査手続の一環として、当監査法人
は経営者の 偏向 リスクを検討し、計上されている減損
判断および見積りの不確実性
引当金はそのような 偏向 を示唆するものではないとの
貸出金および預け金に係る減損引当金における判断およ
結論を下した。
び見積りの不確実性は、主に以下の事項に関連してい
る。
個別に評価される信用減損した貸出金の評価
・ 資産のステージ1からステージ2への振替に適用さ
個別に信用減損した貸出金の固有の見積リスクに関し
れる信用リスクの著しい増加の決定には判断が必要
て、当監査法人は、適切なサンプルを抽出して借手の最
となる。
近の動向を分析し、2020年12月31日現在の減損引当金残
・ 予想信用損失の見積りに使用されるデフォルト確率
高に対して適用された重要な判断および重要な見積りが
受入可能か否かを検討した。これには、以下の手続が含
(PD)およびデフォルト時損失(LGD)など複雑なモ
まれる。
デルにおいては、判断が必要となる。
・ 各シナリオの予測キャッシュ・フロー(将来予測情
・ 期限前返済による変動予測を考慮に入れているデ
報の使用を含む)の合理性を、顧客の過去の実績お
フォルト時エクスポージャー(EAD)の決定には、判
よび予測キャッシュ・フローの裏付けとなる証拠
断が必要となる。
(担保の価値など)と比較することにより評価す
・ COVID-19の影響を含め、モデル化された貸出金減損
る。
に適用されるマクロ経済シナリオの確率加重の作成
・ 貸出金サンプルについて、外部の担保評価専門家の
には、判断が必要となる。
資格および信頼性を評価し、監査人の利用する評価
・ 予期しない外部の動向またはデータの質に問題があ
専門家が実施した独立的評価結果と比較する。
るモデルの結果のトップ・レベル調整の決定の一環
・ 信用減損した各貸出金に関する個別シナリオの確率
として、またはCOVID-19に伴う追加の予想デフォル
配分に関する経営者による分析が、実際の事実およ
ト・リスクの反映には、判断が必要となる。
び状況を裏付けとしていることについて評価する。
・ 個別に評価される信用減損した貸出金および預け金
については、3つのシナリオに対する割引キャッ
上記に基づき当監査法人は、顧客に対する貸出金および
シュ・フローが算定される(持続可能な救済、最適
預け金に係る減損引当金の算定における技法およびイン
化および清算シナリオ)。この場合、予想将来
プットは市場および業界の慣行と整合していると評価し
キャッシュ・フローの見積りおよび3つのシナリオ
た。
の加重には、判断が必要となる。
また当監査法人は、連結財務諸表の開示が十分である
会計方針の選択肢の数、経営者の判断、貸出金減損モデ
か、またIFRS-EUに準拠しているかを評価した。この点
ルにおいて必要とされるインプットの複雑性および固有
において、開示は適切であるとの結論を下した。
の限界の重要性に鑑み、この分野は誤謬または不正によ
る虚偽表示リスクが高いと判断される。よって、当監査
法人はこれを監査上の主要な検討事項に決定した。
507/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
規制当局に対するエクスポージャー 一般事項
当監査法人は、ラボバンクが遵守すべき重要な法規制、
また当該法規制を遵守するための適切な内部統制システ
ムをラボバンクがどのようにデザインおよび運用してい
るかについて理解した。
財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある当該法規制
の遵守違反を識別するための特定の監査手続
当監査法人は、経営委員会の様々なメンバーが識別し
た、新たに出現した潜在的な規制当局に対するエクス
ポージャーについて理解するため、彼らと対話を行っ
た。当監査法人は、最新の業界動向および規制環境に関
する当監査法人の知識と経験に基づき、規制当局に対す
るエクスポージャーに対する経営者の見解を批判的に検
討した。
注記4.8「オペレーショナルリスク」を参照のこと。
財務諸表における新しい引当金または開示が必要となる
新たに出現したコンプライアンスの識別の網羅性
可能性のある潜在的な規制当局の調査を識別するため
財務諸表目的において、経営者が新たに出現したコンプ
に、当監査法人は、ラボバンクとオランダ金融市場当局
ライアンスの分野について、識別していない、および/
(以下「AFM」という)、DNB、連邦準備制度(以下
または対処していないという業界特有のリスクが存在し
「FED」という)および欧州中央銀行(以下「ECB」とい
ている。これには、規制当局の調査に関する将来の結果
う)などの主要規制当局との関連するやり取り記録を閲
について偶発債務の開示の認識の必要性についての検討
覧した。また、DNBおよびECBの合同監督チームとは当年
が含まれる。
度中にビデオ会議により三者および二者で会合を持っ
た。
当監査法人は、法規制の遵守違反リスクは、主に、マ
ネーロンダリング防止法およびテロ資金供与対策法(以
当監査法人は年間を通じ、当監査法人の監査報告日ま
下「Wwft」という)(マネーロンダリング対策(以下
で、経営委員会および監督委員会の会議の議事録を閲覧
「AML」という)、テロ資金供与対策(以下「CTF」とい
し、すべてのリスク委員会および監査委員会の会議に出
う)および制裁、顧客確認(以下「KYC」という)、市
席した。
場濫用規制、金融商品市場規制II(取引報告を含め、以
下「MiFID II」という)、一般データ保護規制(以下
当監査法人は、監督委員会、監査委員会およびリスク委
「GDPR」という)、自己資本要求規制(以下「CRR」と 員会の各議長と定期的に二者会合を持った。
いう)ならびに自己資本要求指令IV(以下「CRD IV」と
当監査法人は、新規および既存の規制当局の調査に関す
いう)など、財務諸表に間接的な影響を及ぼす法規制に
るリスク・ポジションを理解するため、内部のコンプラ
関するものであると識別した。
イアンス部門に質問し、法規制遵守に関するラボバンク
の内部監査部門の報告書および評価をレビューした。
この点に関してラボバンクは、注記4.8「オペレーショ
ナルリスク」にて開示のとおり、2020年度中にオランダ
実施した質問、ビデオ会議への出席ならびに議事録およ
銀行(以下「DNB」という)により、AMLおよびKYCの規
び報告書の閲覧を通じ、当監査法人は、コンプライアン
制の遵守違反に関して500,000ユーロの罰金が課されて
ス、関連事項ならびにコンプライアンスに係る手続およ
いる。
び技法の改善について、引き続き経営者が注意を払って
いると判断した。
経営者の判断
引当金の認識および測定、ならびに偶発債務の開示に
より具体的には、グループ全体のAMLおよびKYCプロセス
は、規制当局の調査に係る将来の結果に関して、経営者
の改善を目的として策定された特定のプログラムが存在
による相当な判断が必要となる。
することを確認した。これらのプログラムは、米国およ
びオランダのAMLおよびKYCに関する規制当局の調査にも
固有の不確実性および判断を要する性質に鑑み、当監査
関連していた。当監査法人は、当プログラムの一環であ
法人は、この領域は誤謬または不正による虚偽表示リス
るイニシアチブについて、プログラム成果物の閲覧、プ
クが高いため、法規制の遵守違反による偶発債務に関す
ログラム所有者、経営委員会および監査委員会への質
る引当金および開示は監査において特に重要な項目であ
問、ならびに当該事項に関するAFM、DNB、連邦準備制度
ると判断した。よって、当監査法人はこれを監査上の主
およびECBとのやりとり記録の閲覧を通じて理解し、AML
要な検討事項に決定した。
およびKYCに関してラボバンクの内部監査部門が実施し
た監査手続の結果について協議した。
また、2020年度中にDNBにより課された500,000ユーロの
罰金についても特に注意深く検討した。当監査法人は本
508/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
件に関するラボバンクの開示を評価するにあたり、DNB
からのやりとり記録を閲覧し、経営委員会、監督委員会
およびラボバンクの内部コンプライアンス部門のメン
バーと対話を行い、改善に向けたラボバンクの取り組み
が記載されたプログラム成果物を入手した。
最後に当監査法人は、法規制の遵守違反による偶発負債
に関する不確実性とエクスポージャーを要約した全体的
な開示について評価した。
IT 全般統制のデザインおよび有効性 当監査法人の手続には、以下の事項に焦点を当てて、財
務報告に関連するITシステムの継続的な完全性に対する
特定の統制のデザインおよび運用状況の有効性の評価お
よびテストが含まれる。
・ ITガバナンス、ITリスク管理およびサイバーセキュ
ラボバンクの業務および財務報告システムは、自動化さ
リティ管理を含む、IT部門における情報技術に係る
れた会計手続やITに依拠したマニュアル統制を含め、IT
全社的統制。
システムに大きく依拠している。IT全般統制(以下
・ ネットワークへのユーザーアクセス、アプリケー
「ITGC」という)には、以下のようなものがある。
ションへのアクセスおよびアプリケーション内の認
・ ITシステムのガバナンスの枠組み
証、アプリケーションの特権的アクセス権、データ
・プログラムの開発および変更に対する統制
ベースおよびオペレーティング・システムならびに
・プログラム、データおよびIT業務へのアクセス統制
データセンターへの物理的アクセスを含む、プログ
・一般ユーザーおよび特権ユーザーのアカウントに対す
ラムおよびデータのアクセス管理。ラボバンクはア
るガバナンス
クセス権の管理に自動化されたツールを使用してい
るため、当監査法人はこれらのツールの適切な使用
ITGC は、アプリケーションによって作成される情報の継
を評価し、これらのツールの正確な運用のテストを
続的信頼性を判断し、自動化されたアプリケーションが
実施した。
一貫した方法で効果的に運用されることを保証する。有
・ 戦略的IT転換プロジェクトに係るガバナンスおよび
効なITGCは、ラボバンクの業務および当監査法人の監査
2020年度監査に対する影響の評価。
アプローチにおいて自動化された統制に依拠するための
・ 変更管理プロセスおよび自動化された動向の仕組み
条件となっている。そのため、ITGCにおける不備は、ラ
を用いた本番システムでの変更の実行を含む、アプ
ボバンクの内部統制の枠組み全体にわたって広範な影響
リケーションおよびITインフラの変更管理。
を及ぼす可能性がある。
・ バッチのモニタリング、バックアップおよびリカバ
リ、ならびにインシデント管理を含む、コンピュー
ラボバンクは長期的かつ戦略的な複数の規制上の転換プ
タ操作。
ロジェクトを有しており、これには、引き続き高度な報
・ サイバーセキュリティ強化に対するラボバンクのア
告基準を満たし、運用の有効性、効率性およびデータ品
プローチの理解および特定の重要領域における実行
質に関して利害関係者の期待に応えるための重要なITの
状況の評価を含む、サイバーセキュリティ管理。
構成単位も含まれる。システム移行期には、ITGCが意図
・ COVID-19に伴う自宅勤務を支える安全なリモート・
したとおり運用されないリスクが増加する。オンサイト
モデルについて識別されたリスクに関するラボバン
での勤務からリモート業務環境への移行に伴い、ラボバ
ク評価の妥当性判断。
ンクは、リモート業務量の増加を支えるセキュリティ方
針を拡充した。
当監査法人は、財務諸表監査の目的に関連する範囲で
ITGCに焦点を当てた。これらの統制の多くが有効に運用
したがって、当監査法人は、ラボバンクのIT全般統制を
されていた。とりわけ、ごく一部のシステムに対する特
監査上の主要な検討事項として識別した。
権的アクセス権に関連する特定の統制については、経営
者により統制活動が是正された。統制のテストおよび是
正統制措置の追加テストを踏まえ、当監査法人は、監査
の目的においてこれらの統制に依拠できると判断した。
509/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
年次報告書に含まれているその他の情報に関する報告
年次報告書には、財務諸表およびそれに対する当監査法人の監査報告書に加え、以下からなるその他の情報も
含まれている。
・ 年次報告書について
・ 会長による序文
・ 経営者報告書
・ 付属書類
・ コーポレート・ガバナンス
・ オランダ民法典第2編第9章により要求されるその他の情報
以下に記載のとおり実施された手続に基づき、当監査法人はその他の情報について以下の結論を報告する。
・ 財務諸表と整合しており、重要な虚偽表示が含まれていない。
・ オランダ民法典第2編第9章により要求されている情報を含んでいる。
当監査法人はその他の情報を通読した。当監査法人は、財務諸表監査またはその他の方法により得た知識およ
び理解に基づき、その他の情報に重要な虚偽表示が含まれているか否かについての検討を行った。
当監査法人の手続を実施することにより、当監査法人はオランダ民法典第2編第9章およびオランダの監査基
準720の要件に準拠している。この手続の範囲は、財務諸表監査で実施した手続の範囲よりも実質的に狭いもの
であった。
経営委員会は、経営報告書およびオランダ民法典第2編第9章により要求されるその他の情報を含む、その他
の情報を作成する責任を有する。
510/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
その他の法令および規制上の規定に関する報告
当監査法人の任命
2015 年6月18日に開催されたメンバー評議会総会での決議を受けて、当監査法人は、2015年6月18日に監督委
員会によりコーペラティブ・ラボバンク・ウー・アーの監査人に任命された。当年度はコーペラティブ・ラボバ
ンク・ウー・アーの監査人を務める5年度目であり、この任命は、メンバー評議会総会による承認により年に一
度更新される。
提供禁止非監査業務を提供していないこと
当監査法人が知る限りにおいて、当監査法人は社会的影響度の高い事業体の法定監査に関する特定の規定に係
る欧州規則第5条(1)に記載される提供禁止非監査業務を提供していない。
実施業務
当監査法人が、法定監査に関連する期間おいて、監査業務の他にラボバンクおよびその被支配事業体に提供し
た業務は財務諸表注記49「独立外部監査人の費用」に開示されている。
財務諸表および監査に対する責任
財務諸表に対する経営委員会および監督委員会の責任
経営委員会は、以下に対して責任を負う。
・ EU-IFRSおよびオランダ民法典第2編第9章に準拠した財務諸表の作成および適正な表示
・ 不正か誤謬かを問わず、重要な虚偽表示のない財務諸表を作成するために経営委員会が必要と判断する内部
統制
財務諸表の作成の一環として、経営委員会は、継続企業としてのラボバンクの存続能力の評価に責任を負う。
上記の財務報告の枠組みに基づいて、経営委員会は、継続企業の前提による会計処理を用いて財務諸表を作成す
べきである。ただし、経営委員会がラボバンクを清算または業務を停止する意図を有する場合、あるいはそうす
るより他に現実的な代替案がない場合はこの限りではない。経営委員会は、財務諸表において、継続企業として
のラボバンクの存続能力に重大な疑義を生じさせるような事象や状況については開示すべきである。
監督委員会は、ラボバンクの財務報告プロセスを監視する責任を負う。
511/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
財務諸表監査に対する当監査法人の責任
当監査法人の責任は、当監査法人の意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手することができるよ
うに、監査業務を計画し実施することである。私たちの監査の目的は、全体としての財務諸表に、不正または誤
謬による重要な虚偽表示がないかどうかに関する合理的な保証を得て、監査意見を表明することにある。合理的
な保証は、高い水準の保証ではあるが、絶対的な水準の保証ではないため、すべての重要な虚偽表示を発見して
いるとは限らない可能性がある。虚偽表示は、不正または誤謬から発生する可能性がある。個別にまたは集計す
ると、当該財務諸表の利用者の経済的意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判
断される。
重要性は、監査手続の内容、実施時期および範囲、ならびに識別された虚偽表示が当監査法人の意見に与える
影響の評価に影響する。
当監査法人の責任に関する詳しい説明は、この監査報告書の付属書類に記載されている。
アムステルダム市、2021年3月4日
プライスウォーターハウスクーパース・アカウンタンツ・エヌ・ブイ
R.E.H.M. ヴァン アドリヒェム RA
512/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アーの2020年度財務諸表に対する監査報告書の付属書類
監査報告書に含めた内容に加え、当監査法人はこの付属書類においてさらに、財務諸表の監査に対する当監査
法人の責任について詳しく記載するとともに監査の内容について説明する。
財務諸表監査に対する当監査法人の責任
当監査法人は、オランダの監査基準、倫理要件および独立性の要件に従い、監査期間中、職業的専門家として
の判断を行使し、職業的専門家としての懐疑心を保持した。当監査法人の監査は特に以下の事項から構成され
た。
・ 不正または誤謬によるかを問わず、財務諸表の重要な虚偽表示リスクを識別、評価し、当該リスクに対応し
た監査手続を立案、実施し、当監査法人の意見表明の基礎を提供する十分かつ適切な監査証拠を入手するこ
と。不正による重要な虚偽表示を発見できないリスクは、誤謬による当該リスクよりも高くなる。これは、
不正には、共謀、偽造、意図的な除外、虚偽の言明、または内部統制の意図的な無効化が伴うためである。
・ 状況に応じて適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を理解すること。ただし、これ
は、ラボバンクの内部統制の有効性に対する意見を表明するためではない。
・ 使用されている会計方針の適切性、ならびに経営委員会によって行われた会計上の見積りおよび関連する開
示の合理性を評価すること。
・ 経営委員会が継続企業の前提により会計処理を実施したことの適切性について結論を下すこと、および入手
した監査証拠に基づいて、ラボバンクの継続企業としての存続能力に重要な疑義を生じさせるような事象お
よび/または状況に関して、重要な不確実性が存在するか否か結論を下すこと。当監査法人は、重要な不確
実性が存在するという結論に至った場合、監査人の監査報告書において、財務諸表の関連開示を参照するよ
う促すか、または当該開示が不十分である場合は当監査法人の意見を修正する必要がある。当監査法人の結
論は、監査報告書上の日付までに入手した監査証拠に基づいており、財務諸表全体に対する当監査法人の意
見に照らして出されたものである。しかしながら、将来の事象または状況により、ラボバンクが継続企業と
しての存続を中止する可能性もある。
・ 財務諸表の全体的な表示、構成および内容(開示を含む)を評価すること、ならびに財務諸表が、基礎とな
る取引や会計事象を適正に表しているかどうかを評価すること。
当監査法人はラボバンクの財務諸表に対する監査意見に最終責任を負うことから、グループ監査の指示、監督
および実施について責任を有する。この点に関して、当監査法人は、財務諸表全体に対する監査意見を提供する
ための十分な作業が実施されるように、グループ内の構成単位に対する監査手続の内容および範囲を決定した。
決定要因は、グループの地理的構造、グループ内の企業または活動の重要性および/またはリスクプロファイ
ル、会計処理および統制、ならびにグループが事業を行っている業界である。この基準に基づいて、当監査法人
は、財務情報または特定の残高について監査またはレビューが必要であると考えられるグループ内の企業を選定
した。
513/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
当監査法人は、監督委員会に対し、特に、計画した監査の範囲とその実施時期、および監査上の重要な発見事
項(監査の過程で識別した内部統制の重要な不備を含む)に関して、協議する。
この点において、当監査法人は、社会的影響度の高い事業体の法定監査に関する特定の規定に係る欧州規則第
11条に準拠して、監査委員会に追加の報告書を発行した。この追加報告書に含まれる情報は、本監査報告書にお
ける当監査法人の監査意見と整合している。
当監査法人は、監督委員会に対し、当監査法人の独立性についての職業倫理に関する規則を遵守している旨を
書面で伝達し、また独立性に影響を与えると合理的に考えられるすべての関係やその他の事項、また該当する場
合には脅威を取り除くための関連措置または適用されるセーフガードについて協議する。
監督委員会との協議事項から、当監査法人は、当期の財務諸表監査において最も重要性のある事項、すなわち
監査上の主要な検討事項を決定する。当監査法人は、かかる事項を監査報告書に記載するが、法令もしくは規制
により当該事項の公開が禁止される場合、あるいは極めて稀な状況ではあるが、当該事項を伝達しないことが公
益に適う場合はこの限りではない。
次へ
514/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
Independent auditor’s report
To: The General Members’ Council and Supervisory Board of Coöperatieve Rabobank U.A.
Report on the financial statements 2020
Our opinion
In our opinion:
・ the consolidated financial statements of Coöperatieve Rabobank U.A. together with its subsidiaries (‘the Group’) give a true and fair
view of the financial position of the Group as at 31 December 2020 and of its result and cash flows for the year then ended in
accordance with
International Financial Reporting Standards as adopted by the European Union (EU-IFRS) and with Part 9 of Book 2 of the Dutch
Civil Code; and
・ the company financial statements of Coöperatieve Rabobank U.A. (‘the Company’, ‘Rabobank’ or ‘the Bank’) give a true and fair
view of the financial position of the Company as at
31 December 2020 and of its result for the year then ended in accordance with Part 9 of Book 2 of the Dutch Civil Code.
What we have audited
We have audited the accompanying financial statements 2020 of Coöperatieve Rabobank U.A., Amsterdam. The financial statements include
the consolidated financial statements of the Group and the company financial statements.
The consolidated financial statements comprise:
・ the consolidated statement of financial position as at 31 December 2020;
・ the following statements for 2020: the consolidated statement of income, the consolidated statements of comprehensive income, of
changes in equity and of cash flows; and
・ the notes, comprising significant accounting policies and other explanatory information.
The company financial statements comprise:
・ the statement of financial position as at 31 December 2020;
・ the statement of income for the year then ended; and
・ the notes, comprising the accounting policies applied and other explanatory information.
The financial reporting framework applied in the preparation of the financial statements is EU-IFRS and the relevant provisions of Part 9 of
Book 2 of the Dutch Civil Code for the consolidated financial statements and Part 9 of Book 2 of the Dutch Civil Code for the company
financial statements.
The basis for our opinion
In expressing this opinion, we believe that the audit evidence we have obtained is sufficient and appropriate. Our audit has been undertaken,
and our opinion expressed, in accordance with Dutch law, including the Dutch Standards on Auditing. Our responsibilities and those of the
Managing Board and Supervisory Board are explained in the section ‘Responsibilities for the financial statements and audit’ of our report.
Independence
We reviewed the details of services provided by the PwC network of firms and concluded that we are independent of Coöperatieve
Rabobank U.A. in accordance with the European Regulation on specific requirements regarding statutory audit of public interest entities, the
‘Wet toezicht accountantsorganisaties’ (Wta, Audit firms supervision act), the ‘Verordening inzake de onafhankelijkheid van accountants bij
assuranceopdrachten’ (ViO – Code of Ethics for Professional Accountants, a regulation with respect to independence) and other relevant
independence regulations in the Netherlands. Furthermore, we have complied with the ‘Verordening gedrags- en beroepsregels accountants’
(VGBA, Dutch Code of Ethics).
515/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
Our audit approach
Overview and context of the 2020 audit
Rabobank is an international bank operating on the basis of cooperative principles. Rabobank operates globally in 38 countries with a focus
on universal banking in the Netherlands and food and agricultural financing in the Netherlands and abroad. Its operations include domestic
retail banking, wholesale banking, international rural banking, leasing and real estate. As the Group comprises multiple components, we
considered our group audit scope and approach as set out in the section ‘The scope of our group audit’.
Rabobank operates in a challenging environment due to the continuing low interest environment, the financial and operational impact of the
coronavirus pandemic (‘COVID-19’), changes to customer preferences (partly prompted by COVID-19 lockdowns) which require ongoing
investments in digitisation and high expectations from society towards compliance with laws and regulations. The reliability and continuity
of information processing is significant to the Bank’s operational, regulatory and financial reporting processes and we have therefore
identified the design and effectiveness of IT General Controls as a key audit matter.
Furthermore, there is an industry risk that emerging compliance areas have not been identified and or addressed by management for financial
statement purposes. This includes the consideration whether there is a need for the recognition of a contingent liability disclosure on the
future outcome of regulatory investigations. Consequently, we have identified regulatory exposures as a key audit matter.
As part of designing our audit, we determined materiality and assessed the risks of material misstatement in the financial statements. In
particular, we considered where the Managing Board made important judgements, for example, in respect of significant accounting estimates
that involved making assumptions and considering future events that are inherently uncertain. In paragraph ‘Judgements and Estimates’ in
note 2.1 to the financial statements, the Bank describes the areas of judgement in applying accounting policies and the key sources of
estimation uncertainty. Of the estimates and judgements mentioned in this paragraph, we consider the impairment allowances on loans and
advances to customers a key audit matter, given the significant estimation uncertainty in combination with the magnitude.
The economic uncertainty due to COVID-19 has heightened the impact of certain estimations and judgements made by the Group,
specifically towards forward-looking assumptions applied to the probability of default and the associated macroeconomic scenarios that were
applied across the Group’s portfolio.
Other areas of focus, that were not considered to be key audit matters, were revenue recognition, fair value of financial instruments (more
specifically level 2 and level 3 financial instruments including credit valuation adjustments), hedge accounting, recoverability of goodwill,
other intangible assets, investments in associates and buildings (including data centres), taxation (more specifically, valuation of deferred tax
assets), litigation and other provisions, and accounting for the Targeted Longer-Term Refinancing Operations (TLTRO-III) conditional
interest bonus. Though these are areas of focus in our audit, they were not the matters of most significance in the audit of the financial
statements of the current period.
We ensured that the audit teams, both at group and at component levels, collectively contain the appropriate skills and competences which
are needed for the audit of a bank. We therefore included specialists and experts in the areas of IT, taxation, forensics, valuation of financial
instruments, real estate and employee benefits, macroeconomic forecasting and hedge accounting in our team.
Impact of COVID-19 on our 2020 audit approach
Following the COVID-19 outbreak, auditors are facing challenges in performing their audits.
In response to that, we have considered the impact of the pandemic on our audit approach and the execution of our audit. Inquiries and
meetings with management were done via video conferencing. Teams were reminded of the importance of staying alert to the quality of audit
evidence and to perform sufficient and appropriate tests to be satisfied that this information is complete, accurate and authentic. The
following highlights the areas of focus in our audit that we paid specific attention to:
516/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
・ the impact on audit materiality, including the basis on which our materiality is determined, outlined in the section ‘Materiality;
・ the impact on our group audit. We have reassessed our planned audit procedures in relation to the work of component auditors, such
as organising video conference meetings with local management and component teams instead of our annual site visits. Additionally,
where we have gained a full digital access to component files, we performed a remote review of selected working papers of the work
performed by component teams. Furthermore, active dialogues, clear communication and effective use of technology have allowed us
to direct and supervise the performance of our component teams;
・ the impact on the Bank’s control environment due to remote working. We assessed that the impact of the COVID-19 pandemic,
including working in a remote environment, on the effective operation of controls was limited. Our procedures are explained in the
section ‘Key Audit matter: Design and effectiveness of IT General Controls’ of our report. The majority of the Bank’s day-to-day
accounting and operational processes were already performed electronically and had the ability to be performed remotely. Therefore,
the transition to a remote working environment did not cause significant change or disruption on the Bank’s control environment; and
・ accounting implications, such as impairment allowances on loans and advances to customers, recoverability assessment of investment
in Achmea, impairment assessment on goodwill and buildings and accounting for the Targeted Longer-Term Refinancing Operations
(TLTRO-III) conditional interest bonus. The uncertainty within the current environment and the continual changing nature of the
unprecedented impact of the COVID-19 pandemic has added further complexity and challenges when auditing accounting estimates.
Our procedures include assessments of these accounting matters and the relevant disclosures in the financial statements in accordance
with the financial reporting framework applied by the Bank. We refer to the section on key audit matters for procedures performed on
impairment allowances on loans and advances to customers.
The outline of our approach was as follows:
Materiality
・ Overall materiality: €120 million (2019: €150 million).
Audit scope
・ We conducted audit work on 14 components.
・ Video conferencing meetings with the component teams and local Rabobank management
in the following locations – the Netherlands, USA, Australia and Brazil.
・ Audit coverage: 92% of total assets, 90% of profit before tax and 92% of net interest
income.
Key audit matters
・ Impairment allowances on loans and advances to customers.
・ Regulatory exposures.
・ Design and effectiveness of IT General Controls.
517/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
Materiality
The scope of our audit is influenced by the application of materiality, which is further explained in the section ‘Our responsibilities for the
audit of the financial statements’.
Based on our professional judgement, we determined certain quantitative thresholds for materiality, including the overall materiality for the
financial statements as a whole as set out in the table below. These, together with qualitative considerations, helped us to determine the
nature, timing and extent of our audit procedures on the individual financial statement line items and disclosures and to evaluate the effect of
identified misstatements, both individually and in aggregate, on the financial statements as a whole and on our opinion.
Overall group materiality €120 million (2019: €150 million)
Basis for determining materiality We used our professional judgement to determine overall materiality. As a basis for our
judgement, we used a 5% weighted average of profit before tax of the current year and previous
two years, with the current year receiving higher weight in the measurement of materiality, as we
consider the current year to be more relevant (2019: 5% of profit before tax). Therefore, 2018
and 2019 profit before tax each represent 25% of the weighted average, whereas 2020 profit
before tax represents 50%.
Rationale for benchmark applied We used profit before tax as the primary benchmark, a generally accepted auditing practice,
based on our analysis of the common information needs of users of the financial statements. On
this basis, we believe that profit before tax is an important metric for the financial performance
of the Bank and is widely used within the industry. Furthermore, we utilised a 5% threshold,
based on our professional judgement, noting it is within the range of commonly acceptable
thresholds.
For the current year, our approach to determining materiality is based on a 5% three-year average
of profit before tax as outlined above, whereas our materiality in prior year was based on 5% of
current year profit before tax. The adoption of a multi-year average benchmark for materiality
responds to adverse economic trends and volatility in profit before tax from year to year,
attributable to the impact of COVID-19, which also reflect the Bank’s scale of operations. Using
our professional judgement, we determined materiality for this year at €120 million, which
equates to approximately 8% of the current year’s profit before tax.
Component materiality To each component in our audit scope, we allocated, based on our judgement, materiality that is
less than our overall group materiality. The range of materiality allocated across components was
between €27 million and €65 million.
We also take misstatements and/or possible misstatements into account that, in our judgement, are material for qualitative reasons. Examples
of areas that we focussed on due to qualitative reasons are the accuracy of disclosures on impairment allowances on loans and advances to
customers, fair value, recoverability of investments in associates, impairment of goodwill, regulatory exposures and the remuneration of the
Supervisory Board and the Managing Board.
We agreed with the Supervisory Board that we would report to them misstatements identified during our audit above €6 million (2019: €7.5
million), as well as misstatements below that amount that, in our view, warranted reporting for qualitative reasons.
518/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
The scope of our group audit
Coöperatieve Rabobank U.A. is the parent company of a group of entities. The financial information of this Group is included in the
consolidated financial statements of Coöperatieve Rabobank U.A.
We tailored the scope of our audit to ensure that we, in aggregate, provide sufficient coverage of the financial statements for us to be able to
give an opinion on the financial statements as a whole, taking into account the management structure of the Group, the nature of operations of
its components, the accounting processes and controls, and the markets in which the components of the Group operate.
In establishing the overall group audit strategy and plan, we determined the type of work required to be performed at the component level by
the group engagement team and by each component auditor.
In determining the scope of the group audit, we first assessed the components that are individually financially significant to the group (i.e.
significant component), namely Domestic Retail Banking Netherlands (not including Obvion and other associated entities), Wholesale and
Rural in the Netherlands (‘W&R’) and De Lage Landen (‘DLL’). Secondly, we assessed Vermogensbeheer Rabobank Nederland (‘VRN’) as
a significant component as it holds the Bank’s investment in Achmea B.V., an area that we assessed as a significant risk in our audit.
These components were subjected to audits of their complete financial information (full scope audit). To achieve appropriate audit coverage
over the consolidated financial statements, we further selected ten additional components for full scope audit, audit of certain specific
account balances, and specified procedures.
Rabobank has an internal audit department (‘Audit Rabobank’) that performs operational audits, compliance audits, IT audits, loan
(valuation) audits and audits on internal control on financial reporting. We considered, in the context of Dutch standard 610 ‘Using the work
of internal auditors’, whether we could make use of the work of Audit Rabobank and we concluded that this was appropriate. To arrive at this
conclusion, we evaluated the competence and objectivity, as well as the systematic and disciplined approach applied by Audit Rabobank.
Subsequently, we developed a detailed approach and model to make use of the work of Audit Rabobank in our financial statement audit. We
were substantially and independently involved in the higher risk areas and/or in areas or procedures that require significant judgement.
During the audit process, we worked closely with Audit Rabobank, had frequent status meetings and reviewed and reperformed some of their
work which confirmed our initial assessment and reliance approach.
In total, in performing these procedures, we achieved the following coverage on the financial line items:
92%
Total assets
90%
Profit before tax
92%
Net interest income
None of the remaining components represented individually more than 1% of total group assets, profit before tax or net interest income. For
those remaining components, we performed, amongst other procedures, analytical procedures to corroborate our assessment that there were
no significant risks of material misstatements within these components.
Group components in the Netherlands include the significant components Domestic Retail Banking, W&R, DLL and VRN, but also include
Property Development, Obvion and some other smaller components (including group components). The group engagement team utilised the
work of component teams for these entities. For components in the USA, Australia/New Zealand and Brazil, we used component auditors
who are familiar with the local laws and regulations to perform the audit work. All components in scope for group reporting are audited by
PwC member firms.
Where component auditors performed the work, we determined the level of involvement we needed to have in their audit work, to be able to
conclude whether sufficient and appropriate audit evidence had been obtained as a basis for our opinion on the financial statements as a
whole.
519/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
We issued instructions to the component audit teams in our audit scope. These instructions included, amongst others, our risk assessment,
materiality and scope of the work. We explained to the component audit teams the structure of the Group, the main developments that are
relevant for the component auditors, the risks identified, the materiality levels to be applied and our global audit approach. We were in active
dialogue throughout the year with all component audit teams in scope for group reporting, including upon the conclusion of their work.
During these dialogues, we discussed the planning, risk assessment, significant accounting and audit issues identified by the component
auditors, the reports of the component auditors, the findings of their procedures and other matters, which could be of relevance for the
consolidated financial statements. For the significant components, we reviewed selected working papers of the component auditors.
Since the COVID-19 outbreak limited our ability to physically visit all components in scope of group reporting this year, we conducted a
series of video conference meetings with local management along with component audit teams in the Netherlands, USA, Australia and Brazil.
During these meetings, we discussed the strategy and financial performance of the local businesses, as well as the audit plan of the
component auditors and execution thereof, significant audit risks and other relevant audit topics.
The group engagement team performed the audit work on the group consolidation, IT General Controls, central cost centre, financial
statement disclosures, certain specific accounts in scope and a number of complex items, such as impairment allowances on loans and
advances to customers, hedge accounting, and certain other accounting matters, such as the valuation of investments in associates, part of the
Bank’s goodwill, income tax on the Dutch fiscal unity, regulatory matters and the legal provisions at the head office.
Through the procedures performed by component teams, combined with the additional procedures at group level, we have been able to obtain
sufficient and appropriate audit evidence on the Group’s financial information, as a whole, to provide a basis for our opinion on the financial
statements.
Our focus on the risk of fraud and non-compliance with laws and regulations
Fraud
The objectives of our audit with respect to fraud are:
・ to identify and assess the risks of material misstatement of the financial statements due to fraud;
・ to obtain sufficient and appropriate audit evidence regarding the assessed risks of material misstatement due to fraud, through
designing and implementing appropriate audit responses; and
・ to respond appropriately to fraud or suspected fraud identified during the audit.
As in all of our audits, in assessing the risks of material misstatement in the financial statements, we also addressed the risk of management
override of internal controls, including evaluating whether there was evidence of bias by the Managing Board that may represent a risk of
material misstatement due to fraud. We evaluated the design and the implementation and, where considered appropriate, tested the operating
effectiveness of internal controls that mitigate fraud risks, performed data analysis of high-risk journal entries and evaluated key estimates
and judgements for bias by Rabobank, and finally we incorporated elements of unpredictability in our audit. We refer to the key audit matter
‘Impairment allowances on loans and advances to customers’ that is an example of our approach related to an area with higher risk due to
accounting estimates where management makes significant judgements.
As part of our procedures, we had dialogues throughout the year with the Rabobank Financial and Economic Crime (‘FEC’) team. The FEC
team investigates, amongst others, reported internal integrity, whistleblowing and fraud matters.
We assessed the process which the Bank has in place, this assessment included: assessing the skills of the investigators, the investigation
approach and based on risk-based criteria, we selected a number of these individual cases, and reviewed the documentation, conclusions,
reporting and responses from the FEC team. We involved our forensic specialists in these procedures.
520/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
The primary responsibility for the prevention and detection of fraud lies with the Managing Board with the oversight of the Supervisory
Board.
Laws and regulations
There is an industry risk that emerging compliance areas have not been identified and or addressed by management for financial statement
purposes. This includes the consideration whether there is a need for the recognition of a provision or a contingent liability disclosure on the
future outcome of legal or regulatory processes.
The objectives of our audit, in respect to non-compliance with laws and regulations are:
・ to identify and assess the risk of material misstatement of the financial statements due to non-compliance with laws and regulations;
and
・ to obtain reasonable assurance that the financial statements, taken as a whole, are free from material misstatement, whether due to
fraud or error when considering the applicable legal and regulatory framework.
In line with Dutch Standard 250, we made in our audit approach a distinction between those laws and regulations which:
・ have a direct effect on the determination of material amounts and disclosures in the financial statements. For this category, we
obtained audit evidence regarding compliance with the provision of those laws and regulations; and
・ do not have a direct effect on the determination of material amounts and disclosures in the financial statements, but where compliance
may be fundamental to the operating aspects of the business, to the Bank’s ability to continue its business or to avoid material
penalties. For this category, we performed specific audit procedures to identify non-compliance with those laws and regulations that
may have a material effect on the financial statements.
We identified that the risk of non-compliance with laws and regulates relates mainly to the laws and regulations which have an indirect
impact on the financial statements as described in the key audit matter: Regulatory exposures.
The primary responsibility for the prevention and detection of non-compliance with laws and regulations lies with the Managing Board with
the oversight of the Supervisory Board.
Key audit matters
Key audit matters are those matters that, in our professional judgement, were of most significance to the audit of the financial statements. We
have communicated the key audit matters to the Audit Committee and Supervisory Board. The key audit matters are not a comprehensive
reflection of all matters that were identified by our audit and that we discussed. In this section, we described the key audit matters and
included a summary of the audit procedures we performed on those matters.
We addressed the key audit matters in the context of our audit of the financial statements as a whole, and in forming our opinion thereon. We
do not provide separate opinions on these matters or on specific elements of the financial statements. Any comment or observation we make
on the results of our procedures should be read in this context.
As compared to last year, there have been no changes in key audit matters. The key audit matters described below are mostly related to the
nature of the Group and are therefore expected to occur every year. We took the impact of the COVID-19 pandemic into consideration in the
audit procedures we performed on the existing key audit matters. These are described in more detail in the individual key audit matters
below.
521/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
Key audit matter Our audit work and observations
522/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
Impairment allowances on loans and advances to customers Control design and operation effectiveness
Refer to note 2.16 ‘Impairment allowances on financial assets’, We evaluated the design and tested the operating effectiveness of
note 4.3.4 ‘Impairment allowances on financial assets and credit key controls over:
related contingent liabilities’ and note 12 ‘Loans and advances to
・ The internal credit management process to assess the loan
customers’.
quality classification to identify impaired loans;
・ The assessment of the future cash flows and existence and
In accordance with the requirements of IFRS 9, Rabobank
valuation of collateral, based on the appropriate use of key
calculates the impairment allowances on loans and advances to
parameters for the specific impairment allowance;
customers using a three-stage expected credit loss impairment
・ The methodology and controls applied in measuring and
model. Rabobank determines loan impairments in stage 1 and 2
determining significant increase in credit risk;
on a modelled basis whereas the loan impairments in stage 3 are
・ The governance over development, validation, calibration
determined on either a modelled basis or on a specific loan-by-
and implementation of the PD, EAD and LGD impairment
loan basis.
models; and
・ The review and approval process that management has in
Modelled loan impairments
place for the outputs of the impairment models, and the
For the modelled loan impairments, Rabobank utilised point in
top level adjustments that are applied to model outputs.
time probability of default (PD), loss given default (LGD) and
exposures at default (EAD) models for the majority of the loan
The majority of these controls were designed and operated
portfolio. Three global macroeconomic scenarios (consisting of a
effectively. For certain controls, remedial control activities and
baseline, a baseline minus and a baseline plus scenario) were
impact assessments were performed by management. Based on
incorporated into these models and probability weighted in order
the testing of controls and additional testing of remedial actions,
to determine the expected credit losses. The increased degree of
we determined that it was appropriate to place reliance on the
estimation uncertainty due to economic impacts of COVID-19 in
above controls for the purpose of our audit.
developing macroeconomics scenarios, including the associated
weightings given the range of potential economic outcome and
Assessment of model-based impairment allowances
suitability of models used during COVID-19 have led to a high
We have tested management’s process for model-based
degree of management judgement.
impairment allowance, including their consideration of
the economic disruption caused by COVID-19, we
In case of data quality issues, or when unexpected external
(together with our internal model experts) have:
developments were not sufficiently covered by the outcome of
・ Evaluated the reasonableness of PD and LGD model
the impairment models, adjustments were made (so called top
methodology;
level adjustments). This year, in addition to other adjustments,
・ Assessed model validation reports prepared by Rabobank’
top level adjustments are recognised in relation to COVID-19 for
s model validation department;
the following matters:
・ Together with our internal economist office, evaluated the
・ An adjustment of €594 million to reflect the risk of
reasonableness of management’s inputs and assumptions
expected further defaults. Based on management’s
used in the design of multiple future macroeconomic
judgement, the IFRS 9 model outcome related to business
scenarios, the forecasted macroeconomic variables, the
loans in Europe did not appropriately reflect the increase
probability weights assigned to the scenarios including
in credit risk as the government support measures have
evaluation of the consistency of these assumptions with
postponed to a certain extent the direct financial impact of
external market and industry data;
the lockdown measures for most of the clients; and
・ Performed back testing procedures on key model
・ An adjustment of €87 million for sectors which are
parameters per 31 December 2020; and
assessed as vulnerable sectors by Rabobank, based on a
・ Evaluated the reasonableness of prepayment rates applied
post COVID-19 credit risk sector assessment. All
in the EAD calculations based on historical prepayments.
exposures are moved to stage 2 to reflect the long-term
challenging conditions and reflect the significant increase
Based on the above, we assessed the methodology in line with
in credit risk (‘SICR’).
industry practice and the inputs to be reasonable. Finally, we
evaluated the top level adjustments per 31 December 2020 by
In addition, two other important top level adjustments have been
obtaining supporting evidence, evaluating alternative and
recognised, one as a result of IFRS 9 model back test results and
contradictory information that these adjustments were necessary
one for the expected impact of new legislation (Wet Homologatie
to balance underlying model and data limitations. Specifically,
Onderhands Akkoord).
for the top level adjustments recognised in relation to COVID-19,
we have exercised professional scepticism in our audit given the
Individually assessed credit-impaired loans
significance and subjective nature of these top level adjustments.
For credit-impaired loans that are assessed on an individual basis,
In doing so, we challenged management to consider multiple
the impairment allowance is based on the weighted average of the
scenarios and information, such as historical analysis, sensitivity
net present value of expected future cash flows (including
analysis and liquidity analysis per sector. Also, together with our
523/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
forward looking information and the valuation of underlying internal economist office, we evaluated the reasonableness of
collateral) in three different scenarios: a sustainable cure, an management’s assessment of vulnerable sectors, including
optimising scenario and a liquidation scenario. evaluation of the consistency with external market and industry
data.
Judgements and estimation uncertainty We found the provided supporting evidence to be reasonable in
The judgement and estimation uncertainty in the impairment the determination of the impairment allowances on loans and
allowance of loans and advances is primarily linked to the advances to customers. As part of our audit procedures, we
following aspects: considered the risk of management bias and concluded that the
resulting impairment allowances are not indicative of such bias.
・ Judgement is required to determine significant increase in
credit risk which is applied to transfer assets from stage 1
Assessment of individually assessed credit- impaired loans
to stage 2;
Considering the inherent estimation risk of individually credit-
・ Judgment is required in complex models such as the
impaired loans, we selected appropriate samples and analysed the
probability of default (PD) and loss given default (LGD)
latest developments at the borrowers and considered whether the
that are used to estimate expected credit losses;
key judgements and significant estimates applied in the
・ Judgment is required to determine exposures at default
impairment allowance were acceptable for 31 December 2020.
(EAD) which takes into account expected changes due to
This included the following procedures:
prepayments;
・ Evaluate the reasonableness of the forecasted cash flows
・ Judgement is required as part of preparing the probability
(including the use of forward-looking information) for
weighting the macroeconomic scenarios applied in the
each scenario by comparing them to historical
modelled loan impairments, including impacts from
performance of the customer and evidence (such as
COVID-19;
collateral values) to support forecasted cashflows;
・ Judgement is required as part of determination of top level
・ Assessing the external collateral valuator’s credentials and
adjustments to the outcome of models due to unexpected
the valuation with an independent valuation performed by
external developments or data quality or to reflect the risk
our valuation experts, for a sample of loans; and
of expected further defaults due to COVID-19; and
・ Assessing management’s analysis of the probability
・ For credit-impaired loans and advances that are assessed
allocation of each individual scenario for each credit-
on an individual basis, discounted cash flow calculations
impaired loan, corroborate with the actual facts and
are performed for three scenarios (a sustainable cure, an
circumstances.
optimising and a liquidation scenario). In such cases,
judgement is required for the estimation of the expected
Based on the above we assessed the methodology and inputs to be
future cash flows and the weighting of the three scenarios.
in line with market and industry practice in the determination of
the impairment allowances on loans and advances to customers.
Given the significance of the number of accounting policy
choices, judgements taken by management, the complexity and
We also evaluated whether the disclosures in the consolidated
the inherent limitations to the inputs required by the loan
financial statements are adequate and in accordance with IFRS-
impairment models, this area is subject to a higher risk of material
EU. We found the disclosures to be appropriate in this context.
misstatement due to error or fraud. Therefore, we considered this
a key audit matter in our audit.
524/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
General
Regulatory exposures
Refer to note 4.8 ‘Operational Risk’.
We obtained an understanding of the significant laws and
regulations with which the Bank has to comply and how it is
Completeness of identification of emerging compliance
instituting and operating appropriate systems of internal control to
There is an industry risk that emerging compliance areas have not
comply with those laws and regulations.
been identified and/or addressed by management for financial
statement purposes.
Specific audit procedures to identify non-compliance with those
This includes the consideration whether there is a need for the
laws and regulations that may have a material effect on the
recognition of a contingent liability disclosure on the future
financial statements.
outcome of regulatory investigations.
We had dialogues with members of the Managing Board on a
We identified that the risk of non-compliance with laws and
regular basis to understand emerging and potential regulatory
regulations relates mainly to the laws and regulations which have
exposures. We challenged management’s view on these
an indirect impact on the financial statements, such as Anti-
regulatory exposures based upon our knowledge and experience
Money Laundering and Anti-Terrorist Financing Act (Wwft)
of emerging industry trends and the regulatory environment.
(inclusive global regulations on Anti-Money Laundering (AML),
Counter Terrorist Financing (CTF) and sanctions, Know Your
To identify potential regulatory investigations that could lead to
Customer (KYC)), Market Abuse Regulation, Markets in
the need for potential new provisions or disclosures in the
Financial Instruments Directive II (MiFID II – including
financial statements, we read the Bank's relevant correspondence
transaction reporting),the General Data Protection Regulation
with its key regulators being the Autoriteit Financiële Markten (‘
(GDPR), the Capital Requirements Regulations (CRR) and
AFM’), the DNB, the Federal Reserve (‘FED’) and the European
Capital Requirements Directive IV (CRD IV).
Central Bank (‘ECB’). Also, we met, through video conferencing,
on a trilateral and bilateral basis with the joint supervisory team
In this respect, the Bank disclosed in note 4.8 ‘Operational Risk’
of DNB and ECB during the year.
that in 2020 De Nederlandsche Bank (‘DNB’) levied a penalty of
€500,000 in respect of non-compliance with AML and KYC
We read the minutes of the Managing Board and the Supervisory
regulations.
Board meetings and attended all Risk and Audit committee
meetings throughout the year up to the signing date of our auditor
Management judgement
’s report.
The recognition and measurement of provisions and the
disclosure of contingent liabilities requires considerable
We held regular bilateral meetings with the chairs of the
management judgement around the future outcome of regulatory
Supervisory Board, Audit committee and Risk committee.
investigations.
We inquired with the internal compliance department to
Given the inherent uncertainty and the judgemental nature, we
understand the risk position of each new as well as existing
determined the provisions and disclosures on contingent liabilities
regulatory investigations and reviewed reports and assessments of
due to non-compliance with laws and regulations to be of
the Bank’s internal audit department relating to compliance with
particular importance to our audit, since this area is subject to a
laws and regulations.
higher risk of material misstatement due to error or fraud.
Therefore, we determined this to be a key audit matter in our
During the inquiries performed, the attendance in video
audit.
conferencing meetings and reading of the minutes and reports, we
noted that compliance, related matters and improvement of
procedures and tooling around compliance continue to receive
attention of management.
More specifically, we noted that there are specific programs in
place that aim to improve AML and KYC processes throughout
the Group. These programs are also connected to the regulatory
investigations related to AML and KYC in the USA and the
Netherlands.
We obtained an understanding of the initiatives which are part of
these programs through reading of program deliverables, inquiry
of the program owners, the Managing Board, the Audit
Committee, reading of correspondence with AFM, DNB, Federal
Reserve and ECB related to these matters and discussed the
525/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
outcomes of audits performed by the Bank’s internal audit
department with respect to AML and KYC.
Also, we paid specific attention to the penalty of
€500,000 that was levied by DNB in 2020. In evaluating the
disclosures made by the Bank on this matter, we read the
correspondence from DNB, had dialogues with members of the
Managing Board, Supervisory Board and the Bank’s internal
compliance department, and obtained program deliverables that
describe the Bank’s actions to remediate this.
Finally, we assessed the overall disclosures that were made in
highlighting the uncertainties and exposures of contingent
liabilities due to non-compliance with laws and regulations.
Design and effectiveness of IT General Controls Our procedures included evaluating and testing the design and
The Bank’s operations and financial reporting system are heavily operating effectiveness of certain controls over the continued
dependent on IT systems, including automated accounting integrity of the IT systems that are relevant to financial reporting,
procedures and IT dependent manual controls. The Information focusing on:
Technology General Controls (ITGCs) over IT systems include:
・ Entity level controls over information technology in the IT
・ the framework of governance over IT systems; organisation, including IT governance, IT risk
management and cybersecurity management;
・ controls over program development and changes;
・ Management of access to programs and data, including
・ controls over access to programs, data and IT operations;
and user access to the network, access to and authorisations
within applications, privileged access rights to
・ governance over generic and privileged user accounts.
applications, databases and operating systems and
ITGCs help determine the continued reliability of information physical access to data centres. As the Bank uses
generated by applications and ensure automated applications automated tools to manage access rights, we have
operates effectively in a consistent manner. Effective ITGCs are evaluated the appropriate use of these tools and tested the
conditional for reliance on automated controls in the Bank’s correct operation of these tools;
operations, and in our audit approach. Deficiencies in ITGCs
・ Governance over the strategic IT transformation projects
could have a pervasive impact across the Bank’s internal control
and assessment of the impact on our 2020 audit;
framework.
・ Management of changes to applications and IT
infrastructure, including the change management process
The Bank has a number of long-term strategic regulatory and
and the implementation of changes in the production
transformation projects, with important IT-components to
systems using automated deployment mechanisms;
continue to meet the high reporting standards and expectations
・ Computer Operations, including batch monitoring, back-
from stakeholders relating to operating effectiveness, efficiency
up and recovery and incident management;
and data quality. During system transitions, there is an increased
・ Management of cybersecurity, through understanding of
risk that ITGCs are not operating as intended. With the shift from
Rabobank’s approach to enhancing cybersecurity and
working on-site to a remote working environment, the Bank
evaluating the status of the implementation in certain
managed to enhance its security policies supporting a larger
critical areas; and
workforce working remotely.
・ Assessed the Bank’s evaluation on the risks identified on
secured remote model that supports working from home
Therefore, we identified the Bank’s IT General Controls as a key
due to COVID-19.
audit matter.
We focused on the ITGCs to the extent relevant for the
purpose of our audit of the financial statements. Most of these
controls operated effectively. For certain controls, specifically
relating to privileged access rights to a limited number of
systems, remedial control actions were taken by management.
Based on the testing of controls and additional testing of
remedial control actions, we determined that we could place
reliance on these controls for the purpose of our audit.
526/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
Report on the other information included in the annual report
In addition to the financial statements and our auditor’s report thereon, the annual report contains other information that consists of:
・ About this report;
・ Chairman’s foreword;
・ Management report;
・ Corporate Governance;
・ Appendices; and
・ the other information pursuant to Part 9 of Book 2 of the Dutch Civil Code.
Based on the procedures performed as set out below, we conclude that the other information:
・ is consistent with the financial statements and does not contain material misstatements; and
・ contains the information that is required by Part 9 of Book 2 of the Dutch Civil Code.
We have read the other information. Based on our knowledge and understanding obtained in our audit of the financial statements or
otherwise, we have considered whether the other information contains material misstatements.
By performing our procedures, we comply with the requirements of Part 9 Book 2 of the Dutch Civil Code and the Dutch Standard 720. The
scope of such procedures was substantially less than the scope of those performed in our audit of the financial statements.
The Managing Board is responsible for the preparation of the other information, including the management report and the other information
in accordance with Part 9 Book 2 of the Dutch Civil Code.
Report on other legal and regulatory requirements
Our appointment
We were appointed as auditors of Coöperatieve Rabobank U.A. on 18 June 2015 by the Supervisory Board following the passing of a
resolution by the members at the General Members Council held on 18 June 2015. This was our fifth year as auditors of Coöperatieve
Rabobank U.A., with an annual renewal subject to approval by the General Members Council.
No prohibited non-audit services
To the best of our knowledge and belief, we have not provided prohibited non-audit services as referred to in Article 5(1) of the European
Regulation on specific requirements regarding statutory audit of public interest entities.
Services rendered
The services, in addition to the audit, that we have provided to the Bank and its controlled entities, for the period to which our statutory audit
relates, are disclosed in note 49 ‘cost of external independent auditor’ to the financial statements.
Responsibilities for the financial statements and audit
Responsibilities of the Managing Board and the Supervisory Board for the financial statements
The Managing Board is responsible for:
・ the preparation and fair presentation of the financial statements in accordance with EU-IFRS and with Part 9 of Book 2 of the Dutch
Civil Code; and for
・ such internal control as the Managing Board determines is necessary to enable the preparation of the financial statements that are free
from material misstatement, whether due to fraud or error.
527/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
As part of the preparation of the financial statements, the Managing Board is responsible for assessing the Bank’s ability to continue as a
going concern. Based on the financial reporting frameworks mentioned, the Managing Board should prepare the financial statements using
the going concern basis of accounting unless the Managing Board either intends to liquidate the Bank or to cease operations, or has no
realistic alternative but to do so. The Managing Board should disclose events and circumstances that may cast significant doubt on the Bank’
s ability to continue as a going concern in the financial statements.
The Supervisory Board is responsible for overseeing the Bank’s financial reporting process.
Our responsibilities for the audit of the financial statements
Our responsibility is to plan and perform an audit engagement in a manner that allows us to obtain sufficient and appropriate audit evidence
to provide a basis for our opinion. Our objectives are to obtain reasonable assurance about whether the financial statements as a whole are
free from material misstatement, whether due to fraud or error and to issue an auditor’s report that includes our opinion. Reasonable
assurance is a high but not absolute level of assurance, which makes it possible that we may not detect all material misstatements.
Misstatements may arise due to fraud or error. They are considered to be material if, individually or in the aggregate, they could reasonably
be expected to influence the economic decisions of users taken on the basis of the financial statements.
Materiality affects the nature, timing and extent of our audit procedures and the evaluation of the effect of identified misstatements on our
opinion.
A more detailed description of our responsibilities is set out in the appendix to our report.
Amsterdam, 4 March 2021
PricewaterhouseCoopers Accountants N.V.
Original has been signed by R.E.H.M. van Adrichem RA
Appendix to our auditor’s report on the financial statements 2020 of Coöperatieve Rabobank
U.A.
In addition to what is included in our auditor’s report, we have further set out in this appendix our responsibilities for the audit of the
financial statements and explained what an audit involves.
The auditor’s responsibilities for the audit of the financial statements
We have exercised professional judgement and have maintained professional scepticism throughout the audit in accordance with Dutch
Standards on Auditing, ethical requirements and independence requirements. Our audit consisted, among other things, of the following:
・ Identifying and assessing the risks of material misstatement of the financial statements, whether due to fraud or error, designing and
performing audit procedures responsive to those risks, and obtaining audit evidence that is sufficient and appropriate to provide a
basis for our opinion.
The risk of not detecting a material misstatement resulting from fraud is higher than for one resulting from error, as fraud may involve
collusion, forgery, intentional omissions, misrepresentations, or the intentional override of internal control.
・ Obtaining an understanding of internal control relevant to the audit in order to design audit procedures that are appropriate in the
circumstances, but not for the purpose of expressing an opinion on the effectiveness of the Bank’s internal control.
・ Evaluating the appropriateness of accounting policies used and the reasonableness of accounting estimates and related disclosures
made by the Managing Board.
・ Concluding on the appropriateness of the Managing Board’s use of the going-concern basis of accounting, and based on the audit
evidence obtained, concluding whether a material uncertainty exists related to events and/or conditions that may cast significant doubt
on the Bank’s ability to continue as a going concern. If we conclude that a material uncertainty exists, we are required to draw
attention in our auditor’s report to the related disclosures in the financial statements or, if such disclosures are inadequate, to modify
our opinion.
528/529
EDINET提出書類
コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー(E05923)
有価証券報告書
Our conclusions are based on the audit evidence obtained up to the date of our auditor’s report and are made in the context of our
opinion on the financial statements as a whole. However, future events or conditions may cause the Bank to cease to continue as a
going concern.
・ Evaluating the overall presentation, structure and content of the financial statements, including the disclosures, and evaluating
whether the financial statements represent the underlying transactions and events in a manner that achieves fair presentation.
Considering our ultimate responsibility for the opinion on the Bank’s financial statements, we are responsible for the direction, supervision
and performance of the group audit. In this context, we have determined the nature and extent of the audit procedures for components of the
Group to ensure that we performed enough work to be able to give an opinion on the financial statements as a whole. Determining factors
are the geographic structure of the Group, the significance and/or risk profile of group entities or activities, the accounting processes and
controls, and the industry in which the Group operates. On this basis, we selected group entities for which an audit or review of financial
information or specific balances was considered necessary.
We communicate with the Supervisory Board regarding, among other matters, the planned scope and timing of the audit and significant audit
findings, including any significant deficiencies in internal control that we identify during our audit.
In this respect, we also issue an additional report to the audit committee in accordance with Article 11 of the EU Regulation on specific
requirements regarding statutory audit of public-interest entities.
The information included in this additional report is consistent with our audit opinion in this auditor’s report.
We provide the Supervisory Board with a statement that we have complied with relevant ethical requirements regarding independence, and
to communicate with them all relationships and other matters that may reasonably be thought to bear on our independence, and where
applicable, related actions taken to eliminate threats or safeguards applied.
From the matters communicated with the Supervisory Board, we determine those matters that were of most significance in the audit of the
financial statements of the current period and are therefore the key audit matters. We describe these matters in our auditor’s report unless law
or regulation precludes public disclosure about the matter or when, in extremely rare circumstances, not communicating the matter is in the
public interest.
(※)上記は、監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は本書提出会社
が別途保管しております。
529/529