欧州評議会開発銀行 有価証券報告書
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欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 令和3年4月20日
【会計年度】 自 令和2年1月1日 至 令和2年12月31日
【発行者の名称】 欧州評議会開発銀行
(Council of Europe Development Bank)
【代表者の役職氏名】 ロルフ・ウェンツェル
(Rolf Wenzel)
総裁
(Governor)
【事務連絡者氏名】 弁護士 柴 田 弘 典
同 甲 立 亮
同 深 田 大 介
同 中 山 希
【住所】 東京都千代田区大手町一丁目1番1号 大手町パークビルディング
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
【電話番号】 03-6775-1120
【縦覧に供する場所】 該当なし
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第1【募集(売出)債券の状況】
該当事項なし
第2【外国為替相場の推移】
該当事項なし
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第3【発行者の概況】
1【発行者が国である場合】
該当事項なし
2【発行者が地方公共団体である場合】
該当事項なし
3【発行者が国際機関又は政府関係機関等である場合】
注(1) 会計年度中、取引は各取引で用いられた通貨で記載されている。欧州評議会開発銀行(以下「当行」又は「CEB」とい
う。)の勘定は2020年12月31日現在の以下の為替レートに基づき、ユーロで作成されている。
*
略称 通貨 通貨対ユーロ 略称 通貨 通貨対ユーロ
ALL アルバニア・レク 123.40 HRK クロアチア・クーナ 7.5519
AUD オーストラリア・ドル 1.5896 HUF ハンガリー・フォリント 363.89
BRL ブラジル・レアル 6.3735 JPY 日本円 126.49
CAD カナダ・ドル 1.5633 NOK ノルウェー・クローネ 10.4703
CHF スイス・フラン 1.0802 NZD ニュージーランド・ドル 1.6984
CNY 中国人民元 8.0225 PLN ポーランド・ズローティー 4.5597
CZK チェコ・コルナ 26.242 SEK スウェーデン・クローナ 10.0343
DKK デンマーク・クローネ 7.4409 TRY トルコ・リラ 9.1131
GBP 英ポンド 0.89903 USD 米ドル 1.2271
HKD 香港ドル 9.5142
* 表中の数字は四捨五入されている。
(2) 当行の会計年度は暦年である。
(3) 本書に記載の表中の数値が四捨五入されている場合、合計は数値の総和とは必ずしも一致しない。
(1)【設立】
a. 設立の根拠、設立年月日及び沿革
当行は、1956年4月16日の欧州評議会閣僚委員会によって設立された。当初、当行の主な目的は第二
次世界大戦直後における欧州諸国へ又は欧州諸国間で移住した難民の再定住化に関する社会プログラム
に融資を行うことであった。当行はその後、その活動の範囲を、自然災害又は生態学的災害の被災者へ
の援助の提供及び欧州の社会的統合の強化に直接貢献するその他の社会的目標の支援へと拡大してき
た。かかるその他の社会的目標には現在、教育及び職業訓練、衛生、公共住宅、中小零細企業(MSMEs)
における雇用、都市及び地方の生活水準の改善、環境保護、歴史的及び文化的な遺産の保存並びに行政
及び司法による公共サービスのインフラストラクチャーの分野が含まれる。
当行の活動期間は限定されていない。
当行はフランス共和国ストラスブルグ市67075に所在し、事業活動の本部はフランス共和国 パリ市
75116 クレベール通り55番に所在する。
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b. 目的
1956 年4月16日の欧州評議会閣僚委員会の決議によって採択された定款(その後の改正を含む。以下
「定款」という。)によれば、当行の主たる目的は、貸付又は債務の保証を行うことにより、欧州にお
ける社会的統合を推進することである(詳細については、定款第2条を参照のこと。)。
当行は、その目的に一致した運用を条件として、定款の授権に基づき資金を借り入れ、拠出金を受け
入れることができる。
c. 加盟
定款により下記の者(以下「加盟国」という。)が当行に加盟することができる。
( ⅰ)欧州評議会の全ての加盟国
( ⅱ)当行の理事会が承認したその他の欧州の国
(ⅲ) 当行の理事会が承認した欧州に重点を置いている国際機関
定款を受諾し、それぞれ額面1,000ユーロで当行より発行される参加証書を引き受けることにより加
盟国となる。
当行の加盟国は、当行の義務に対して責任を負わない。
当行の加盟国は全て、当行の理事会が設定する条件の下に、当該暦年終了の6ヶ月前に通知をなすこ
とによって、当行から脱退することができる。
2020 年12月31日現在、当行の加盟国は42ヶ国である。
現在の加盟国は以下のとおりである。
アルバニア ラトビア
アンドラ リヒテンシュタイン
ベルギー リトアニア
ボスニア・ヘルツェゴビナ ルクセンブルク
ブルガリア マルタ
クロアチア モルドバ共和国
キプロス モンテネグロ
チェコ共和国 オランダ
デンマーク 北マケドニア
エストニア ノルウェー
フィンランド ポーランド
フランス ポルトガル
ジョージア ルーマニア
ドイツ サンマリノ
ギリシャ セルビア
バチカン スロバキア共和国
ハンガリー スロベニア
アイスランド スペイン
アイルランド スウェーデン
イタリア スイス
コソボ トルコ
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d. 法的地位並びに特権及び免責
ⅰ 法的地位
当行は、欧州評議会に付属し、その最高権威の下で運営される。欧州評議会の特権及び免責に関す
る一般協定に係る1959年3月6日付第三議定書(以下「第三議定書」という。)によって、当行は法人
格を有し、特に以下の事項を行う能力を有する。
(a) 契約の締結
(b) 不動産及び動産の取得及び処分
(c) 訴訟の提起
(d) 当行の法定の目的に関わる取引の遂行
当行の運営、行為及び契約は、第三議定書、定款及び定款に基づき制定された諸規則により規律さ
れる。さらに、一定の場合には国家の法令が適用されうる。但し、それは当行が当該法令の適用に明
示的に同意し、かつ、当該法令が第三議定書及び定款に抵触しない範囲に限られる。
第三議定書に基づき、当行は、当行が被告である場合、加盟国又は当行が貸付契約を締結し、若し
くは債務保証をした国の裁判管轄に服する。
ⅱ 特権及び免責
第三議定書に基づき、当行は、特に加盟国内で下記の特権及び免責を享受する。
(a) 法令上の一般的救済方法によって争うことのできない強制執行可能な判決が当行に対して送達さ
れる前における、当行の財産及び資産に対するあらゆる形式の没収、差押え又は強制執行からの
免除。
(b) 行政措置又は立法措置による当行の財産及び資産に対する捜索、徴用、没収、収用又はその他あ
らゆる形式の差押えからの免除。
(c) 当行の財産及び資産に対するあらゆる性質の制限、規制、支配及び支払停止の免除。
(d) 通貨の種類を問わず、通貨を保有し、口座を管理し、通貨を交換する権利、並びに送金先の国及
び送金元の国を問わず、その資金をあらゆる国内外に自由に送金する権利。
(e) 全ての直接税及び一定の間接税からの免除。
e. 本邦との関係
なし。
(2)【資本構成】
定款に基づき、下記の者が当行の加盟国となることができる。
a. 欧州評議会の全ての加盟国
b. 当行の理事会が承認した欧州評議会の加盟国でないその他の欧州の国
c. 当行の理事会が承認した欧州に重点を置いている国際機関
定款を受諾し、当行より発行される参加証書を引受けることにより加盟国となる。参加証書はそれぞ
れ額面1,000ユーロで発行される。当行の各加盟国はそれぞれ保有する参加証書1通につき1票の投票権
を有する。
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20 20 年 12 月 31 日現在引受済資本金
(単位:千ユーロ)
加盟国 引受済資本金 請求未了資本金 請求済資本金 引受済資本金割合
フランス 915,770 814,114 101,656 16.720%
ドイツ 915,770 814,114 101,656 16.720%
イタリア 915,770 814,114 101,656 16.720%
スペイン 597,257 530,958 66,299 10.905%
トルコ 388,299 345,197 43,102 7.089%
オランダ 198,813 176,743 22,070 3.630%
ベルギー 164,321 146,083 18,238 3.000%
ギリシャ 164,321 146,083 18,238 3.000%
ポルトガル 139,172 123,724 15,448 2.541%
スウェーデン 139,172 123,724 15,448 2.541%
ポーランド 128,260 114,023 14,237 2.342%
デンマーク 89,667 79,712 9,955 1.637%
フィンランド 69,786 62,039 7,747 1.274%
ノルウェー 69,786 62,039 7,747 1.274%
ブルガリア 62,459 55,526 6,933 1.140%
ルーマニア 59,914 53,264 6,650 1.094%
スイス 53,824 43,229 10,595 0.983%
アイルランド 48,310 42,948 5,362 0.882%
ハンガリー 44,788 39,816 4,972 0.818%
チェコ共和国 43,037 38,260 4,777 0.786%
ルクセンブルク 34,734 30,878 3,856 0.634%
セルビア 25,841 22,973 2,868 0.472%
クロアチア 21,376 19,003 2,373 0.390%
キプロス 19,882 17,676 2,206 0.363%
スロバキア共和国 18,959 16,854 2,105 0.346%
アルバニア 13,385 11,899 1,486 0.244%
ラトビア 12,808 11,387 1,421 0.234%
エストニア 12,723 11,311 1,412 0.232%
北マケドニア 12,723 11,311 1,412 0.232%
リトアニア 12,588 11,191 1,397 0.230%
スロベニア 12,295 10,930 1,365 0.224%
アイスランド 10,144 9,018 1,126 0.185%
マルタ 10,144 9,018 1,126 0.185%
ジョージア 9,876 8,780 1,096 0.180%
ボスニア・ヘルツェゴビナ 9,689 8,614 1,075 0.177%
モンテネグロ 6,584 5,853 731 0.120%
コソボ 6,559 5,831 728 0.120%
モルドバ共和国 5,488 4,878 610 0.100%
アンドラ 4,925 4,378 547 0.090%
サンマリノ 4,867 4,206 661 0.089%
リヒテンシュタイン 2,921 2,374 547 0.053%
バチカン 137 107 30 0.003%
2020年合計 5,477,144 4,864,180 612,964 100.000%
2019年合計 5,472,219 4,859,802 612,417
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(3)【組織】
当行は、以下の理事会、管理委員会、総裁及び監査委員会といった機関により、組織化、管理及び監
督が行われている。
a. 理事会
理事会は、議長(マリネラ・ペトロヴァ(Marinela PETROVA))及び各加盟国の1名の代表者によっ
て構成される。
理事会は、当行の活動に関する全般的な方向性について設定し、当行の加盟国となるための条件
を決定し、増資の決定を行い、年次報告書、計算書類及び当行の一般貸借対照表の承認を行ってい
る。理事会は、理事会及び管理委員会の議長を選任し、総裁及び監査委員会の委員の任命を行う。
b. 管理委員会
管理委員会は、議長(ミグレ・タスキエネ(Miglé TUSKIEN Ė ))及び各加盟国の1名の代表者に
よって構成される。
管理委員会は、運営方針についての立案及び監督並びに当行の加盟国政府によって提出された投
資事業の承認を含む、理事会に委譲された権限を行使する。また、同委員会は、当行の運営予算に
関する投票を行う。
c. 総裁
総裁は、当行の法定代理人である。総裁は、当行の事業の代表であり、(管理委員会の全般的な
監督の下)当行の職員に対する責任を有する。
総裁は、管理委員会のガイドラインに従い、当行の財務方針を指揮し、全ての取引において当行
を代表する。総裁は、当行に提出された融資依頼についての技術的、財務的側面に関する審査を行
い、管理委員会にこれらの照会を行う。
総裁はロルフ・ウェンツェル(Rolf WENZEL)氏である。同氏は、カルロ・モンティチェッリ
(Carlo MONTICELLI)氏(財務戦略)、ロザ・マリア・サンチェス-ジェブラ・アロンソ(Rosa María
SÁNCHEZ-YEBRA ALONSO)氏(社会開発戦略)及びトマス・ボーチェック(Tomáš BO Č EK)氏(対象グルー
プ諸国)の3名の副総裁によって補佐されている。
d. 監査委員会
監査委員会は、理事会によって任命された3名のメンバーで構成されている。同委員会は、外部
監査人によって年次決算書が審査された後、その正確性について検証を行う。
CEB の理事、管理及び統制組織の事務局員は、欧州評議会開発銀行の部分協定の事務局員から提
供される(組織の事務総長はジェルジ・ベルゴー(György BERGOU))。
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a. 理事会
理事会は、理事会自体によって選出される議長及び各加盟国によって任命される代表者各1名により
構成される。2020年末現在(特段の記載がある場合を除き)の構成員は以下のとおりである。
マリネラ・ペトロヴァ(ブルガリア) 議長
財務省大臣代理、在ソフィア
エミール・ルッファー(Emil RUFFER)(チェコ共和国) 副議長
特命全権大使、欧州評議会チェコ共和国常任代表、在ストラスブルグ
アルバナ・ドートラリ(Albana DAUTLLARI) アルバニア
特命全権大使、欧州評議会アルバニア常任代表、在ストラスブルグ
ジョーン・フォーナー・ロヴィラ(Joan FORNER ROVIRA) アンドラ
特命全権大使、欧州評議会アンドラ常任代表、在ストラスブルグ
ジョン-セドリック・ジャネセンス・デ・ビストーヴェン(Jean-Cedric ベルギー
JANSSENS DE BISTHOVEN)
特命全権大使、欧州評議会ベルギー常任代表、在ストラスブルグ
イヴァン・オーリッチ(Ivan ORLI Ć ) ボスニア・ヘルツェゴビナ
特命全権大使、欧州評議会ボスニア・ヘルツェゴビナ常任代表、在ストラスブ
ルグ
エミル・ヴァレヴ(Emil VALEV) ブルガリア
欧州評議会ブルガリア常任代表代理、在ストラスブルグ
トマ・ガリ(Toma GALLI) クロアチア
特命全権大使、欧州評議会クロアチア常任代表、在ストラスブルグ
スピロス・アッタス(Spyros ATTAS) キプロス
特命全権大使、欧州評議会キプロス常任代表、在ストラスブルグ
エミール・ルッファー チェコ共和国
特命全権大使、欧州評議会チェコ共和国常任代表、在ストラスブルグ
エリック・ラーセン(Erik LAURSEN) デンマーク
特命全権大使、欧州評議会デンマーク常任代表、在ストラスブルグ
ラスムス・ルミ(Rasmus LUMI) エストニア
特命全権大使、欧州評議会エストニア常任代表、在ストラスブルグ
ニナ・ノードストーム(Nina NORDSTRÖM) フィンランド
特命全権大使、欧州評議会フィンランド常任代表、在ストラスブルグ
マリエ・フォンタネル(Marie FONTANEL) フランス
大使、欧州評議会フランス常任代表、在ストラスブルグ
イラクリ・ギヴィアシュヴィリ(Irakli GIVIASHVILI) ジョージア
大使、欧州評議会ジョージア常任代表、在ストラスブルグ
ロルフ・マファエル(Rolf MAFAEL) ドイツ
特命全権大使、欧州評議会ドイツ常任代表、在ストラスブルグ
パナイオティス・ベグリティス(Panayiotis BEGLITIS) ギリシャ
特命全権大使、欧州評議会ギリシャ常任代表、在ストラスブルグ
マルコ・ガンシ(Marco GANCI) バチカン
特使、欧州評議会バチカン常任オブザーバー、在ストラスブルグ
ハリー・アレックス・ラズ(Harry Alex RUSZ) ハンガリー
特命全権大使、欧州評議会ハンガリー常任代表、在ストラスブルグ
ラグンヒルダー・アーンジョツドティー(Ragnhildur ARNLJÓTSDÓTTIR) アイスランド
大使、欧州評議会アイスランド常任代表、在ストラスブルグ
ブレイファン・オーレイリー(Breifne O’REILLY) アイルランド
特命全権大使、欧州評議会アイルランド常任代表、在ストラスブルグ
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ミケーレ・ジャコメッリ(Michele GIACOMELLI) イタリア
大使、欧州評議会イタリア常任代表、在ストラスブルグ
ミモザ・アーメタジ(Mimoza AHMETAJ) コソボ
コソボ総領事、在ストラスブルグ
ジャニス・カークリンス(Jānis KĀRKLI Ņ Š) ラトビア
特命全権大使、欧州評議会ラトビア常任代表、在ストラスブルグ
任命保留中 リヒテンシュタイン
欧州評議会リヒテンシュタイン常任代表、在ストラスブルグ
オウスリン・ヴェンケヴィシエネ(Aušrin ė VENCKEVI Č IEN Ė ) 方 リトアニア
欧州評議会リトアニア常任代表代理、在ストラスブルグ
ステファン・ミュラー(Stephan MÜLLER) ルクセンブルク
特命全権大使、欧州評議会ルクセンブルク常任代表、在ストラスブルグ
ジョセフ・フィレッティ(Joseph FILLETTII) マルタ
欧州評議会マルタ常任代表代理、在ストラスブルグ
コリーナ・ツェルゲル(Corina C Ă LUG Ă RU) モルドバ共和国
大使、欧州評議会モルドバ共和国常任代表、在ストラスブルグ
ゾラン・ジャンコビッチ(Zoran JANKOVI Ć ) モンテネグロ
特命全権大使、欧州評議会モンテネグロ常任代表、在ストラスブルグ
ローランド・ボッカー(Roeland BÖCKER) オランダ
特命全権大使、欧州評議会オランダ常任代表、在ストラスブルグ
ゾラン・バーブトブ(Zoran BARBUTOV) 方 北マケドニア
欧州評議会北マケドニア常任代表代理、在ストラスブルグ
エリザベス・ワラス(Elisabeth WALAAS) ノルウェー
特命全権大使、欧州評議会ノルウェー常任代表、在ストラスブルグ
ジャージー・バウルスキ(Jerzy BAURSKI) ポーランド
特命全権大使、欧州評議会ポーランド常任代表、在ストラスブルグ
マルタ・サライヴァ(Marta SARAIVA) 方 ポルトガル
欧州評議会ポルトガル常任代表代理、在ストラスブルグ
ラヴァン・ルス(Razvan RUSU) ルーマニア
特命全権大使、欧州評議会ルーマニア常任代表、在ストラスブルグ
シルヴィ・ボリーニ(Sylvie BOLLINI) サンマリノ
特命全権大使、欧州評議会サンマリノ共和国常任代表、在ストラスブルグ
アレキサンドラ・ジュロビッチ(Aleksandra DJUROVI Ć ) セルビア
特命全権大使、欧州評議会セルビア常任代表、在ストラスブルグ
マレク・エストック(Marek EŠTOK) スロバキア共和国
特命全権大使、欧州評議会スロバキア共和国常任代表、在ストラスブルグ
アンドレイ・スラプニチャー(Andrej SLAPNI Č AR) スロベニア
特命全権大使、欧州評議会スロベニア常任代表、在ストラスブルグ
マニュエル・モントッビオ(Manuel MONTOBBIO) スペイン
特命全権大使、欧州評議会スペイン常任代表、在ストラスブルグ
マーテン・エンバーグ(Mårten EHNBERG) スウェーデン
特命全権大使、欧州評議会スウェーデン常任代表、在ストラスブルグ
クリスチャン・ミューリ(Christian MEUWLY) スイス
大使、欧州評議会スイス常任代表、在ストラスブルグ
カーン・エセネル(Kaan ESENER) トルコ
特命全権大使、欧州評議会トルコ常任代表、在ストラスブルグ
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理事会の構成
理事会は議長及び各加盟国によって任命される代表者各1名により構成される。各加盟国は、各々代
表者代行1名を任命することができる。欧州評議会の事務総長は、会議に参加し、又は代理人を出席さ
せることができる。
理事会は当行の最高機関である。定款に定められた目的を変更する権利を除いて、理事会は当行に関
するあらゆる権限を有する。
理事会の権限
ⅰ 理事会は以下の事項を行う。
(a) 欧州評議会の加盟国が当行の加盟国になるための条件を決定する。
(b) 欧州評議会の加盟国でない欧州の国及び欧州に重点を置いている国際機関が当行の加盟国になる
ことを承認し、かかる承認の条件を決定し、かかる加盟国の引き受ける参加証書の数を決定す
る。
(c) 定款に添付の表に記載されている加盟国間の資本の配分の調整を行う。
(d) 資本を増減し、払い込まれる引受済資本の割合及び払込期日を定める。
(e) 定款に定められた目的の遵守を確保する。
当行の年次報告書、計算書類及びその他の財務書類を承認する。
機関の活動に関する一般ガイドラインを定める。
(f) 当行の運営を停止若しくは終了させ、又は清算時にその資産を分配する。
(g) 加盟国の資格を停止させる。
(h) 定款を変更する(但し、定められた目的の変更を除く。)。
(i) 定款を解釈し、定款の解釈又は適用に関わる決定に対する異議申立てに対する判断を下す。
(j) 他の国際機関との協力に関する一般協定の締結を承認する。
(k) 理事会の議長及び管理委員会の委員長を選任する。
(l) 総裁を任命し、総裁の提案に基づき、必要に応じて1人以上の副総裁(その内の1人が総裁の不
在時には総裁を代行する。)を任命し、それらを解任し、又は辞任の承認を行う。
(m) 監査委員会の委員を任命する。
(n) 外部監査人を任命し、在任期間を定める。
(o) 手続規定を定める。
(p) 定款で明示的に理事会に付与されたその他の権限を行使する。
ⅱ 理事会は、管理委員会の提案に基づき上記(d)及び(f)に関する決定をなし、上記(c)、(m)及び(n)に
ついては、管理委員会の意見を聴取した後に決定をなす。管理委員会は、財務上の影響を及ぼすそ
の他全ての決定に対して意見を表明する。
ⅲ 上記ⅰに定められた権限以外の全ての権限は管理委員会に委譲される。
定款により管理委員会に委譲された権限は、例外的な場合かつ特定の期間のみ、理事会が再び保有
できる。
ⅳ 理事会は年に1度開催される。理事会は、必要に応じて追加的に開催することができる。
ⅴ 理事会は、必要に応じて、国際機関の代表者、又はその他の利害関係者を招待し、その手続に参加
させることができる。但し、投票権は与えない。
投票及び決議
ⅰ 会議における理事会の決議は、加盟国の代表者の3分の2が出席した場合にのみ有効となる。
決議は投票により行われる。賛成票及び反対票のみが多数決の判定に関し有効となる。
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ⅱ 会議間において、書面により決議することができる。
ⅲ 当行の各加盟国は、保有する参加証書1通につき、1票の投票権を有する。
ⅳ 払込期限が到来した資本金の一部を期限に払込まない加盟国は、かかる未払が継続する限り、その
期限の到来した未払金額に関して投票権を行使できないものとする。
ⅴ 決議は、賛成又は反対の票を投じた加盟国の過半数及び投票数の3分の2以上の多数をもってなさ
れるものとする。
ⅵ 以下の事項は、賛成又は反対の票を投じた加盟国の4分の3以上及び投票数の4分の3以上の多数
をもって決議される。
(a) 上記「理事会の権限」ⅲに規定される決議
(b) 新規加盟国の加盟に起因しない、上記「理事会の権限」ⅰ(c)に従い承認される定款に添付され
ている配分表の調整
ⅶ 上記「理事会の権限」ⅰ(f)及び(h)に記載されている決議は、投票した加盟国の満場一致により採
択される。
b. 管理委員会
管理委員会は、理事会が任命する委員長及び当行の各加盟国の代表者各1名により構成される。2020
年末現在(特段の記載がある場合を除き)の構成員は以下のとおりである。
ミグレ・タスキエネ(リトアニア) 委員長
財務省副大臣、在ビリニュス
エンドレ・トゥルク(Endre TÖRÖK)(ハンガリー) 副委員長
国家経済省国際金融部門部長代理、在ブタペスト
アデラ・シェマリ(Adela XHEMALI) アルバニア
財政経済省大臣代理、在ティラナ
マーク・バレスタ・アリアス(Marc BALLESTÀ ALIAS) アンドラ
財務省国際金融部門事務次官、在アンドラ・ラ・ヴェラ
ロナルド・デ・スワート(Ronald DE SWERT) ベルギー
連邦財務局ベルギー財務省国際及び欧州金融業務部長、在ブリュッセル
リェルカ・マリッチ(Ljerka MARI Ć ) ボスニア・ヘルツェゴビナ
連邦監督機関理事長代理、在サラエボ
ゲルガナ・ベレムシュカ(Gergana BEREMSKA) ブルガリア
財務省国際金融機関及び協力理事局局長、在ソフィア
スティペ・ズパン(Stipe ŽUPAN) クロアチア
財務省大臣補佐官、在ザグレブ
キリアコス・カコウリス(Kyriakos KAKOURIS) キプロス
財務省管理財務局局長、在ニコシア
ペトル・パヴェレク(Petr PAVELEK) チェコ共和国
財務省公共事業予算担当大臣代理、在プラハ
スティーン・リュ・ラーセン(Steen Ryd LARSEN) デンマーク
財務省顧問、在コペンハーゲン
リーナ・ライゴ(Riina LAIGO) エストニア
財務省EU及び国際部門顧問、在タリン
アルト・エノ(Arto ENO) フィンランド
財務省国際金融業務財務顧問、在ヘルシンキ
ステファン・タバリエ(Stéphane TABARIÉ) フランス
経済財務省財務部二国間関係及び欧州金融機関部門部長、在パリ
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ニコロス・ガグア(Nikoloz GAGUA) ジョージア
財務省大臣代理、在トビリシ
クリストフ・ハルツァー(Christof HARZER) ドイツ
財務省多国間開発銀行部門部長(Ⅶ A 2)、在ベルリン
マルガリータ・アントニオウ(Margarita ANTONIOU) ギリシャ
外務省国際組織局長、在アテネ
ジャンヴィエール・カマネス・フォレス(Javier CAMAÑES FORÈS) 神父 バチカン
欧州評議会バチカン常任オブザーバー代理、在ストラスブルグ
エンドレ・トゥルク、管理委員会副委員長 ハンガリー
国家経済省国際金融部門部長代理、在ブタペスト
オーラヴル・シグルズソン(Ólafur SIGURÐSSON) アイスランド
外務省外国貿易経済局局長、在レイキャビック
二アム・マッギュイレ(Niamh McGUIRE) アイルランド
財務省国際金融機関部門部長、在ダブリン
ジェルソミーナ・ヴィゴロッティ(Gelsomina VIGLIOTTI) イタリア
経済財務省財務部門国際金融関係課課長、在ローマ
ラム・ミタ(Lum MITA) コソボ
財務省国際金融協力部門部長、在プリシュティナ
インタ・ヴァサラウゼ(Inta VASARAUDZE) ラトビア
財務省経済分析部門部長、在リガ
任命保留中 リヒテンシュタイン
ダリウス・トラケリス(Darius TRAKELIS) リトアニア
財務省EU及び国際部門部長、在ビリニュス
アルセーヌ・ジャコビー(Arsène JACOBY) ルクセンブルク
財務省多国間事業、開発及びコンプライアンス部門部長、在ルクセンブルク
ジョゼフ・リカリ(Joseph LICARI) マルタ
元欧州評議会マルタ代表、在スウィーキィー
タチアナ・イヴァンシチナ(Tatiana IVANICICHINA) モルドバ共和国
財務省事務次官、在チシナウ
カタリナ・ジヴコビッチ(Katarina ŽIVKOVI Ć )(2021年1月28日から) モンテネグロ
福祉財務省財務局、負債管理、債務分析及び外交関係(フロント・オフィス)部
長、在ポドゴリツァ
ジョアンネス・スミーツ(Johannes SMEETS) オランダ
外務省顧問、在ハーグ
デヤン・ニコロフスキ(Dejan NIKOLOVSKI) 北マケドニア
財務省国際金融関係及び公債管理部門部長、在スコピエ
バンタ・ワイサー(Bente WEISSER) ノルウェー
外務省国際開発金融機関部門上級顧問、在オスロ
トーマス・スカーゼウスキ(Tomasz SKURZEWSKI)(2021年3月11日から) ポーランド
財務省国際協力部門副部長、在ワルシャワ
ジョゼ・アゼヴェド・ペレイラ(José AZEVEDO PEREIRA) ポルトガル
財務省経済政策及び国際事業部部長、在リスボン
ボニ・クク(Boni CUCU) ルーマニア
国家財政省国際金融関係総局局長、在ブカレスト
ニコラ・チェカロリ(Nicola CECCAROLI) サンマリノ
財務省顧問、在サンマリノ
ゾラン・チロヴィッチ(Zoran Ć IROVI Ć ) セルビア
元セルビア共和国証券委員会委員長、在ベオグラード
マルティン・ポロニィ(Martin POLÓNYI) スロバキア共和国
財務省国際関係部部長、在ブラティスラヴァ
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アーシカ・グルメク(Urška GRMEK) スロベニア
財務省大臣室長、在リュブリャナ
レオナルド・ロドリゲス(Leonardo RODRÍGUEZ) スペイン
経済企業省財務及び国際金融事務国際金融機関局長代理、在マドリッド
エヴァ・ヴィベルグ(Ewa WIBERG) スウェーデン
財務省国際部門部長、在ストックホルム
ダニエル・バーチマイヤー(Daniel BIRCHMEIER) スイス
多国間協力部門経済事務局連邦部門部長、在ベルン
サーハット・コクサル(Serhat KÖKSAL) 博士 トルコ
資金財務省対外経済関係局長、在アンカラ
管理委員会の権限及び構成
ⅰ 定款に従い、管理委員会は理事会により委譲された全ての権限を有する。
ⅱ 管理委員会は、理事会により任命された任期3年(任期を3年とする第2期目の再任可能)の委員長
及び各加盟国により任命された代表者各1名により構成される。各加盟国は代表者代行1名を任命
することができる。欧州評議会の事務総長は、会議に参加し、又は代理人を出席させることができ
る。
ⅲ 管理委員会は、委員長により又は5名の委員による要求により、年に最低4回招集される。
ⅳ 管理委員会は、必要に応じて、国際機関の代表者、又はその他の利害関係者を招待し、その手続に
参加させることができる。但し、投票権は与えない。
投票及び決議
ⅰ 会議における管理委員会の決議は、加盟国の代表者の3分の2が出席した場合にのみ有効となる。
ⅱ 当行の各加盟国は、保有する参加証書1通につき、1票の投票権を有する。
決議は多数決により行われる。賛成票及び反対票のみが多数決の判定に関し有効となる。
ⅲ 会議間において、書面により決議することができる。
ⅳ 払込期限の到来した資本金の一部を期限に払込まない加盟国は、かかる未払が継続する限り、その
期限の到来した未払金額に関して投票権を行使できないものとする。
ⅴ しかしながら、管理委員会は、以下の決議事項については、賛成又は反対の票を投じた加盟国の過
半数及び投票数の過半数をもって決議するものとする。
(a) 上記「理事会の権限」ⅰ(c)、(d)、(f)、(m)及び(n)に従い、理事会に対してなされる提案及び
意見
(b) 管理委員会の手続規定の採択又は改正
ⅵ さらに、管理委員会は賛成又は反対の票を投じた加盟国の過半数及び投票数の3分の2以上の多数
をもって、定款第13条litt.c.に規定された許容性に関する意見を得ていない投資事業に関連した決
議を行うものとする。
管理委員会は、随時その委員の一部から成る委員会を設置し、その委員会に対し別途指定した権限
を委譲することができる。
c. 総裁
総裁は、当行の全ての取引において当行を代表する。総裁は、管理委員会の指示と監督の下に、当行
の日常の管理業務を行う。総裁は、管理委員会が明示的に承認しない限り、資金の借入、貸付又は債務
保証をしない。
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総裁は理事会の決議によって5年の任期で1回限り再選されうる。
ロルフ・ウェンツェル が当行の総裁である。同氏は、2016年4月8日に、2016年12月18日から始まる
5年の任期について再選された。
総裁は、2020年12月31日現在3名の副総裁により補佐される。
・ カルロ・モンティチェッリ 副総裁(財務戦略担当)
・ ロザ・マリア・サンチェス-ジェブラ・アロンソ 副総裁(社会開発戦略担当)
・ トマス・ボーチェック 副総裁(対象グループ諸国担当)
総裁は、管理委員会によって承認された職務の内容を考慮に入れて副総裁の責任を決定する。
副総裁は、5年の任期で1回限り再選されうる。
d. 監査委員会
監査委員会は、理事会が任命した3名の委員で構成され、2020年の監査証明を担当する監査委員会の
構成は以下のとおりである。
・ ナータ・ラスマネ(Nata LASMANE)(ラトビア)
財務省EU基金監査機構長監査部門長、在ブタペスト
・ ルドミラ・ポパ(Ludmila POPA)(モルドバ共和国)
財務省国家内部財務管理担当制作部門長代理、在キシナウ
・ ヤセック・ドミニク(Jacek DOMINIK)(ポーランド)
財務省国際協力部門顧問長、在ワルシャワ
監査委員会は、毎年、当行の会計を調査し、運営に関する計算書類及び貸借対照表が適切であること
を確認する。監査委員会報告書には、貸借対照表及び運営に関する計算書類が帳簿と一致しているか否
か、並びに各会計年度末現在の当行の状況を正しくかつ公正に示しているか否かが明記される。
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(4)【業務の概況】
a. CEB の新型コロナウイルス感染症への対応(概略)
CEB は以下を行った。
・国及び地方の公共部門のパートナーを対象とした金融商品である公共部門融資機関(PFF)を適応
し、以下を支援した。
- 緊急時における医療機器及び消耗品の取得
- 復旧及び間隔や医療ユニットの転換
- 追加の医療専門家の動員
- 公的介護及び教育部門の需要
・雇用の維持及び地方自治体の継続的な投資を可能にすることに重点を置き、借入人と協力して、
MSME及び地方自治体の企業を引き続き支援した。
・CEBの貸付を通じて融資を受けられる可能性のあるプロジェクトの総費用の割合について、一時的
な免除を導入し、最初の融資トランシェが貸付総額の50%という通常の上限を超えることもでき
るようにした。
・2件の新型コロナウイルス感染症対応ソーシャル・インクルージョン・ボンド(1十億ユーロの7
年債(2020年4月)及び500百万米ドルの3年債(2020年6月))を発行した。
・欧州のMSMEの運転資本及び設備投資の需要に望ましい対応をするために、既存の融資契約における
530百万ユーロを転用した。
全ては以下のおかげである。
・新型コロナウイルス感染症の世界的流行の初期から加盟国と協力して、緊急及び復興需要をCEBの
融資適格プロジェクトに転換してきた強靭なチーム及び関連支援サービス
・資金需要に対して時期を得た対応を確実にするために、仮想空間での臨時会合をより頻繁に行った
CEBのガバナンス組織の支援
b. CEBの新規加盟国(アンドラ)
アンドラは2020年5月に42ヶ国目の加盟国としてCEBに加盟した。これは、特に新型コロナウイルス
感染症の世界的流行といった大きな課題に対応するために欧州の連帯が必要とされる時期における、
当行の魅力及び社会的使命の適合性を裏付けるものである。
2020 年9月、CEBはアンドラに対して初めての貸付を承認した。これは、新型コロナウイルス感染症
の医療サービス、消耗品及び備品に関連する費用の90%まで融資し、かつ室数が3倍に増加した集中
治療室につき35室を上限として融資する12百万ユーロの貸付である。この融資はアンドラが新型コロ
ナウイルス感染症の世界的流行を抑制し、医療システムの復旧力強化を支援した。
診断検査キット及びその他消耗品に対する融資に加え、CEBの貸付は、スペインから購入した3万回
分のファイザー/バイオンテック製ワクチンの供給でもって、アンドラがワクチン接種プログラムを開
始するのを支援した。このワクチン接種プログラムの第一段階は、ケアホームの居住者、医療専門家
及び最前線で働く人々を守ることを目的としている。
CEB に加盟可能な国とは?
・ 欧州評議会の加盟国は、事務総長に宣言を提出することにより、当行の加盟国となることがで
きる。欧州評議会の加盟国ではない欧州諸国もまた、特別な条件付で、CEBの加盟国となるか
又は連合協定を締結することができる。
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・欧州に重点を置いている国際機関もまた、当行の加盟国となるか又は連合協定を締結すること
ができる。
詳細については、https://coebank.org/en/about/basic-legal-texts/に掲載のCEBの定款を参照
のこと。
c. 持続可能な開発のための2030年アジェンダの支援
CEB は、その2020年から2022年に係る開発計画で概説されているように、持続可能な開発のための
2030年アジェンダにおける加盟国のコミットメント達成を支援することを目指している。
2020 年度に、CEBはその責務に最も近い10の持続可能な開発目標(SDGs)に照らして、融資が提案され
た案件を審査した。
・SDGsが当行の中核をなす社会的責務に一致している:SDG1(貧困の絶滅)及びSDG10(不平等の縮小)
・分野横断的な課題に関連するSDGs:SDG5(ジェンダー平等)及びSDG13(気候変動対策)
・プロジェクト固有の関連性を持つSDGs:SDG3(健康と福祉)、SDG4(質の高い教育)、SDG6(安全な
水と衛生)、SDG8(働きがいと経済成長)、SDG11(持続可能な都市とコミュニティ)、SDG16(平和、
正義、強力な制度)
2020 年度に承認された計画の大部分は、SDG10(不平等の縮小)、SDG3(健康と福祉)及びSDG11(持続
可能な都市とコミュニティ)に貢献する。選定されたSDGsに対するCEBの融資配分の正確な詳細につい
ては、当行の持続可能性報告書に記載されている。
リトアニアの2030年国家戦略の支援
貸付金:100百万ユーロ
借入人:政府
対象となる受益者:リトアニア全土の地方公共団体及び自治体並びにその住民
CEB の融資は、文化、健康及び教育(スポーツを含む)並びに「リトアニア2030年」国家戦略に沿っ
た公共交通施設及びサービスの復興及び/又は拡大に寄与する。持続可能な開発のための2030年ア
ジェンダ及び持続可能な開発目標の達成に基づき、国家戦略は「スマートな社会、スマートな経済
とスマートなガバナンス」の構築に焦点を当てている。
d. 2020年度に承認された計画
2020 年度において、CEBは加盟国24ヶ国に対して6十億ユーロ超の貸付を承認した。この貸付は、欧
州全体にわたる投資総額約23十億ユーロの下支えとなるであろう。
ⅰ CEBの活動路線
当行の中核をなす社会的責務は現在、以下を促進する活動により定義される。
・包括的な成長
・社会的弱者支援
・持続可能な環境
CEB の融資は、加盟国が直面する社会的課題に対する柔軟な統合ソリューションの実施をますます支
援している。公共部門のインフラストラクチャー及びサービスへの投資は、この結果として、気候変
動緩和及び適応手段並びに/又は社会的弱者を対象とする特定の活動と結びついている。そのため、包
括的な成長に基づき承認された一部の融資とその他2つの活動路線(社会的弱者集団支援及び持続可能
な環境)に関連する融資との間で、ある程度重複する部分が存在する。
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ルーマニアの社会インフラストラクチャーのグリーン化及び社会的弱者集団の支援
貸付金:47百万ユーロ
借入人:ブカレストのセクトール6
対象となる受益者:ブカレストのセクトール6居住者(社会的弱者集団を含む)
CEB の融資は以下に貢献する。
・100棟超の集合住宅並びに13の公立学校及び幼稚園の改修
・8つの放課後施設及び幼稚園を「ほぼゼロ・エネルギー建物」基準にするための建設及び改修
・エネルギー効率の高い246戸の公営住宅の建設
・高齢者、子供のいるシングルマザー、ロマ民族及び失業者や障がい者といった、セクトール6
に居住する社会的弱者集団のためのフードバンク及び社会的食堂の運営
ⅱ 包括的な成長
CEB の投資は、欧州の持続可能かつ包括的な成長に寄与している。本活動路線に基づき融資されたプ
ロジェクトは、公共の社会インフラストラクチャーの開発、雇用の創出及び維持、労働市場へのアク
セスの確保並びに手頃な価格の公営住宅供給ソリューションに焦点を当てている。
(a) 新型コロナウイルス感染症危機への迅速な対応
2020 年度に、CEBは包括的な成長を支援するために4.9十億ユーロを承認した。その大部分(3.1
十億ユーロ)は、18ヶ国の加盟国が新型コロナウイルス感染症の世界的流行に取り組むのを支援す
るために承認された融資である。具体的には、新型コロナウイルス感染症に対応して承認された
貸付は、以下に貢献した。
・必要に応じた医療サービス及び医療用品(診断検査キット及びワクチンを含む)を確保するこ
とで、新型コロナウイルス感染症の感染拡大及び影響を緩和すること
・集中治療室に重点を置いた病院の収容可能人数の向上
・不可欠な公共サービスを継続するための公的機関の支援
・世界的流行の経済的影響を緩和するために、MSMEが必要とする資金調達の確保
スペインの新型コロナウイルス感染症緊急対応の支援
貸付金:200百万ユーロ
借入人:マドリード自治政府(Comunidad Autónoma de Madrid)
対象となる受益者:マドリードの居住者6.7百万人
スペインは新型コロナウイルス感染症危機で加盟国のうち最も打撃を受けた国の1つであり、マ
ドリード自治政府においては、スペインの確認症例のおよそ1/3を占めている。CEBの貸付は迅速に
承認され、2020年4月に調印された。貸付は新型コロナウイルス感染症に関連する以下の医療及び
社会サービスを対象としていた。
・医療従事者の増員
・新型コロナウイルス感染症ホットラインのオペレーター400人の新規雇用
・薬や診断検査キットといった医療及び医薬品の追加
・新型コロナウイルス感染症の患者に必要な、追加の集中治療ベッド、人工呼吸器、フェイスマ
スク、手袋及び手指消毒器等の医療専門家のための備品
・高齢者のケアホーム及び障がい者施設におけるサービスの強化
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クロアチアの臨時医療費の支援及び地方財政の歳入減の補填
貸付金:200百万ユーロ
借入人:政府
対象となる受益者:地方及び国家当局、社会全体
CEB の融資は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行を抑制し、必要不可欠な公共サービスへ
の悪影響を緩和するためのクロアチア政府及び地方自治体の試みを、以下により支援した。
・新型コロナウイルス感染症関連の医薬品、医療品及び防護用備品の購入並びに臨時医療スタッ
フの雇用を支援
・健康保険基金及び地方自治体によって示された歳入減の補填。このため、健康保険基金は医療
提供者にそのサービスの対価を支払うために必要な財源を保ちながら、地方自治体は必要不可
欠な公共サービスを引き続き提供することができた。
モンテネグロの新型コロナウイルス感染症の影響を緩和するためのMSME支援
貸付金:40百万ユーロ
借入人:政府
対象となる受益者:MSME
CEB の貸付は、モンテネグロのMSMEの運転資金需要及び設備投資に融資をすることで、新型コロ
ナウイルス感染症の世界的流行の経済的影響を緩和する支援をした。融資はモンテネグロの投資開
発基金及び約13の商業銀行により、利用可能となった。
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エストニアの回復への道のり
貸付金:200百万ユーロ
借入人:政府
対象となる受益者:地方及び国家当局、事業者、エストニアの社会全体
エストニアに対するCEBの貸付は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の悪影響を以下によ
り緩和することに焦点を当てていた。
・新型コロナウイルス感染症の研究開発向融資。タルトゥ大学バイオ医学・先端医療研究所にお
ける高いバイオ安全レベル研究室の設置を含む。
・地方自治体が必要不可欠な公共サービスを継続するための取り組みの支援
・国有エストニア振興基金及び農村開発基金を通じ、危機の影響を受けたMSMEのための助成金及
び運転資金プログラムの確保
・地方道路の改良及び高速インターネットアクセスの地方への拡大といった地方インフラストラ
クチャーへの重要な投資への支援
(b) CEB 加盟国の包括的な回復を促進するための融資
新型コロナウイルス感染症緊急事態に直接対応して承認された融資に加えて、CEBは社会的結束
を守り、持続可能な雇用及び経済成長を生み出すことができる社会インフラストラクチャーへの
中長期投資を支援し続けた。
・分野をまたいだ都市部及び地方のインフラストラクチャーの改善:2020年度において、都市部
及び地方のインフラストラクチャーへの投資を支援するため、CEBは900百万ユーロを超える貸
付を承認した。これらの貸付は、都市及び地域の公共交通機関、持続可能な移動性ソリュー
ション並びに給水及び汚水収集システムの開発、自然災害及び生態学的災害からの保護並びに
文化遺産保全といった多様な活動をカバーしている。
・MSMEにとって手頃な資金調達ソリューションへのアクセス:CEBは、700百万ユーロ超のMSME向
融資(新型コロナウイルス感染症に特化した支援も含む。)を2020年度に承認した。この融資に
より、受益者は生産資産を購入したり、敷地の建設・拡張を行ったりすることで、新規事業を
始めたり、既存事業を拡大することが可能となる。この融資はまた、エネルギー効率の改善を
含む革新的な技術及びプロセスの最適化を開発又は実施する企業を支援する。
・教育及び職業訓練:CEBは、2020年度においてスポーツ施設を含む教育インフラストラク
チャーの建設及び復旧に対して450百万ユーロ超を承認した。新しいインフラストラクチャー
はエネルギー効率が良くかつ気候変動に強い。
・手頃な価格の公共住宅支援:CEBは、低所得世帯及び/又は一人親世帯、避難民、移民及び難
民、高齢者並びに障がい者等の社会的弱者のための持続可能な手頃な価格の住宅供給支援に融
資している。2020年度、当行はフィンランド、ドイツ及びセビリアにおける手頃な価格の公共
住宅供給ソリューション向融資として、184百万ユーロを承認した。全てのリノベーション工
事には修復工事が含まれるため、エネルギー効率対策が進む。
アイルランドの万人のための持続可能な社会インフラストラクチャー
貸付金:34百万ユーロ
借入人:コルク郡議会
対象となる受益者:コルク郡の60,000人の居住者
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CEB の融資は、持続可能性を確保しつつ成長可能性を最大化することを目的とする同郡の2019年
から2029年の社会的持続可能性投資プログラム(SSIP)を支援する。具体的には、社会経済的な課題
に直面しながらも、より広い農村流域に雇用及びサービスを提供するにあたって重要な役割を果た
し ている9つの都市中心部の52件までの計画に融資する予定である。投資により以下がもたらされ
るであろう。
・道路網並びにスポーツ及びレジャー施設を含む都市部及び地方の生活環境の改善
・歴史的・文化的遺産の保護及び修復
・環境保全及びエネルギー効率化計画の推進
・医療サービスの改善
・自然災害及び生態学的災害からの保護
スロバキア共和国のEUとのパートナーシップ協定に基づく協調融資優先プロジェクト
貸付金:300百万ユーロ
借入人:政府
対象となる受益者:中央及び地方政府機関、自治区、地方自治体等
CEB の融資は、2014年から2020年までのプログラム期間のスロバキア共和国のパートナーシップ
協定における優先プロジェクトを支援する。特に、CEBの貸付は、包括的な成長を促進するために
様々な分野における社会的投資の実施を支援し、エネルギー効率手段、洪水対策インフラストラク
チャー及び汚水処理を含む環境保護を後押しする。
ポーランドのMSMEでの雇用機会
貸付金:150百万ユーロ
借入人:エウロペイスキ・リース基金(Europejski Fundusz Leasingowy)
対象となる受益者:MSME
CEB の貸付は、MSMEの競争力強化に貢献し、雇用の創出又は維持に貢献する。受益者の中で最大
の割合を占めるのは、従業員が50人未満かつ総売上高又は総資産が10百万ユーロ未満の零細及び小
規模企業である。
基金の少なくとも10%は女性起業家及び女性主導の事業に充てられている。
スウェーデンの万人のためのグリーン教育インフラストラクチャーへの投資
貸付金:100百万ユーロ
借入人:ウプサラ市
対象となる受益者:ウプサラの生徒及び教師、その社会全体
CEB の融資は、新しい教育用建物の建設及びウプサラの既存施設の改修(修復を含む)を支援す
る。この投資により4,100の就学前及び初等教育の場が創出されるため、市が、移住者及び難民を
含む人口全体の増加に望ましい対応ができるようになる。さらに、全ての新規及び改修が終了した
インフラストラクチャーはエネルギー効率が高く、気候変動によりよく耐えられるよう設計されて
いる。
ドイツのベルリン居住者のための手頃な価格の公共住宅
貸付金:100百万ユーロ
借入人:ベルリンのゲウォバグ・ヴォヌングスバウ・エージー(Gewobag Wohnungsbau AG)
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対象となる受益者:低所得者及び社会的弱者10,000人
CEB は、約5,400戸の手頃な価格の公営住宅の建設及び近代化(修復を含む)に融資する。この貸付
は、約10,000人の住宅受益者、低所得世帯の多い地域及び特定の社会的弱者集団(ベルリンに居住
する障がい者、高齢者、学生及び移民等)に恩恵をもたらすと期待される。
フィンランドの持続可能な学生寮
貸付金:10.3百万ユーロ
借入人:タンペレ地方学生寮公社(Pirkan Opiskelija‐asunnot(Tampere Region Student
Housing Municipal Company))(POAS)
対象となる受益者:学生250人
CEB の貸付は、タンペレにおける学生寮の在庫を増やし、学生及び30歳未満の労働者が利用でき
る手頃な価格のアパートを提供することによって、タンペレが増大する学生寮の需要に応えるのを
支援する。具体的には、CEBは教育機関に近いタンペレ内の3地域の約250戸に融資する。かかる地
域の1つはイェハリンカーリであり、ここでは、2021年12月に新規入居者を迎えられるよう、56戸
の住宅の準備が整っている予定である。
ⅲ 社会的弱者集団の支援
CEB は、最も社会的弱者である市民を統合し、より多様な社会を育成する支援をする投資を促進して
いる。CEBは、持続可能なインフラストラクチャー・プロジェクト(たとえば、住宅及び教育に焦点を
当てたもの)に加えて、マイクロファイナンス機関を通じた社会的弱者集団の融資へのアクセスを支援
している。
2020 年度に、CEBは、この行動方針に基づき、以下のために291百万ユーロの貸付を承認した。
・ 低所得世帯並びに障がい者、高齢者、学生及び移民といった特定の社会的弱者集団のための手
頃な価格の公営住宅の建設及び修復
・ 親不在家庭又は片親家庭、難民及び国内避難民並びにロマ及びその他の少数民族集団といっ
た、特に社会的に弱い出自の学生のための寮の建設
・ 高齢者及びホームレス、障がい者並びにジェンダー暴力の被害者のための質の高い社会インフ
ラストラクチャー及び社会福祉サービスの確保
この行動方針に基づく貸付は、CEB信託基金からの助成を受けて実施される活動を補完するものであ
る。より詳細な情報は、本書の「協力関係及び支援者」のセクションで示されている。
スペインの万人のための社会インフラストラクチャー及びサービス
貸付金:50百万ユーロ
借入人:ナバラ州(Comunidad Foral de Navarra)
対象となる受益者:高齢者及びホームレス、障がい者並びにジェンダー暴力の被害者を含む
150,000人超の社会的弱者
CEB の融資は、ナバラ地域の以下の取り組みを支援する。
・高齢者及び障がい者に対する適切なインフラストラクチャー(たとえば、ケアハウス、デイセ
ンター)及び関連する社会福祉サービスの確保
・一時的な宿泊施設での保護を含むジェンダー暴力の被害者の支援
・ホームレスのための社会的食堂の運営
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欧州評議会開発銀行(E06017)
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ドイツの万人のための住宅供給
貸付金:42百万ユーロ
借入人:ライプツィヒ住宅建設企業mbH(Leipziger Wohnungs‐ und Baugesellschaft mbH)
対象となる受益者:低所得者世帯(若年世帯、片親世帯、障がい者、高齢者、ホームレス、移民
及び難民を含む)
CEB の融資は、ライプツィヒ市が新たな公営住宅の建設及び既存の住宅団地の改修を通じて、賃
貸住宅の収容力を拡大するのを支援する。さらに、CEBの貸付は、300人超の子どもたちのために、
新しい建物の敷地内に保育所(crèches)の建設を支援する。
貸付は、2019年12月に締結された58百万ユーロの契約に加えられ、これによりCEBのライプツィ
ヒ住宅建設企業mbHに対する融資額は100百万ユーロとなった。
セルビアの万人のための教育へのアクセス
貸付金:32百万ユーロ
借入人:政府
対象となる受益者:ロマ及びその他少数民族を含む社会的弱者及び低所得学生
CEB はベオグラード市及びニシュ市の2つの学生寮の建設に貢献する。新寮は計1,400戸から成る
予定である。セルビア全土、特に発展途上地域及び低所得世帯出身の国費奨学生は、この新しい投
資の恩恵を受ける。さらに、寮の全戸数の10%は、親不在又は片親家庭、難民及び国内避難民又は
ロマ及びその他の少数民族といった、特に社会的に弱い出自の学生に割り当てられる。
ⅳ 環境の持続可能性
CEB は、気候変動の緩和及び気候変動への適応を支援するプロジェクト並びにその他の環境目的に融
資する。また、気候変動に関する懸念事項をCEBの全てのプロジェクト提案へ統合することを、全ての
プロジェクトの気候関連の物理的リスクをスクリーニングし、かつそれらの温室効果ガス排出及び温
室効果ガス排出削減を報告することで、強化しようとしている。
2020 年度において、CEBのポートフォリオは新型コロナウイルス感染症の緊急事態需要に対応したプ
ロジェクトに明確に移行したにもかかわらず、当行は引き続き、そのプロジェクト・ポートフォリオ
を気候変動に関するパリ協定の目標及び原則に着実に沿わせ、グリーン及び気候変動対策向融資の流
れを強化することに尽力した。
当行は、この行動方針に基づき798百万ユーロの貸付を承認した。承認された56件のプロジェクトの
うち、21件は気候変動の緩和に、11件は気候変動への耐性を高めることに貢献し、これらのうちのい
くつかは緩和と適応の両方の要素を有していた。合計で、CEBの2020年度の気候変動緩和向融資は649
百万ユーロであった一方で、気候変動適応手段向融資は149百万ユーロであった。
特に、この行動方針に基づき承認されたプロジェクトには、以下が含まれる。
・ ディープ・レトロフィットを含むエネルギー効率化手段
・ 公共交通の質及び環境の持続可能性の向上
・ 都市及び地域における環境の持続可能性を主流化し、新型コロナウイルス感染症の世界的流行
からのグリーンかつ包括的な回復を支援
リトアニアにおける環境フットプリント及びエネルギー不足の削減
貸付金:67.5百万ユーロ
借入人:政府
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対象となる受益者:集合住宅居住者、特に低所得者
CEB の貸付は以下をもたらす。
・数千の集合住宅のエネルギークラスB又はCへの改修
・現在のエネルギー消費量の70%削減及びその結果としての建物の環境負荷の大幅低減
・暖房費の削減及びその結果として居住者、特に低所得者の生活環境の改善
さらに、CEBの融資はリトアニアが国の新型コロナウイルス感染症からの回復計画を実施するの
を支援しつつ、2021年から2030年のエネルギー及び気候政策目標の達成にも貢献する。
投資は、アパート・ビルディング・リノベーション基金(ABRF)を通じて行われる。この基金は、
欧州連合、国及びその他の財源を合わせた公共投資開発機関(VIPA)が管理している。このCEBの貸
付は、2019年6月に調印された以前の契約を利用し、ABRFが利用できるCEBの融資総額を167.5百万
ユーロ(すなわち、基金の財源総額の40%)まで増やした。
フランスの公共交通のグリーン化
貸付金:150百万ユーロ
借入人:ナント・メトロポール(Nantes Métropole)
対象となる受益者:ナント・メトロポールの居住者又は少なくとも650,000人
CEB の貸付は、全ての利用者並びに高齢者、障がい者及び低所得世帯といった特に社会的又は経
済的な弱者集団のための移動手段として、旧式の既存の車両に取って代わる新しい車両(路面電
車、バス専用車線を走る電気バス、バス及びミニバス)の購入を可能にし、公共交通の魅力を高め
る。これにより、以下がもたらされる。
・複数の低炭素によるソリューション(電気及び水素を含む)に基づく公共交通と、それらによる
温室効果ガス排出の削減
・定時運行でアクセスしやすく、快適かつ安全で、より効率的な公共交通システム
イタリアのミラノにおける新型コロナウイルス感染症からのグリーンかつ包括的な回復の支援
貸付金:50百万ユーロ
借入人:ミラノ市
対象となる受益者:ミラノの1.3百万人の住民、特に若い学生及び公営住宅のエンドユーザーと
いった社会的弱者集団
CEB は、気候変動及び社会経済的ストレスに対する耐性を強化することにより、新型コロナウイ
ルス感染症の世界的流行からのグリーンかつ包括的な回復に向けたミラノの計画に貢献する。具体
的には、貸付は以下の主要な投資を支援する。
・交通システムの強化や、道路の自転車レーンへの転換を含む、積極的かつ環境に配慮した交通
手段の支援
・歩行者エリアの拡大を含む、公共空間の再生及び再適格化
・市の校舎(すなわち、プレ・スクール、幼稚園及び小学校)における安全性及びアクセスのしや
すさの基準の改善
・エネルギー効率化対策を含む公共及び公営住宅建物の修復
承認された事業(国ごと)
( 単位:千ユーロ)
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2016 年から2020年の
2020 年 2019年 累積合計
国 金額 % 金額 % 金額 %
アンドラ 12,000 0.20 12,000 0.06
ベルギー 300,000 7.53 585,000 2.75
ボスニア・ヘルツェゴビナ 26,135 0.66 41,635 0.20
ブルガリア 220,000 1.04
クロアチア 200,000 3.32 200,000 5.02 550,000 2.59
キプロス 40,000 1.00 72,000 0.34
チェコ共和国 300,000 4.98 185,000 4.64 1,135,000 5.34
エストニア 200,000 3.32 25,000 0.63 225,000 1.06
フィンランド 120,300 2.00 50,000 1.26 530,300 2.49
フランス 350,000 5.81 221,200 5.55 1,383,800 6.51
ジョージア 25,000 0.63 46,500 0.22
ドイツ 322,000 5.35 381,200 9.57 1,935,200 9.10
ギリシャ 200,000 3.32 70,000 1.76 270,000 1.27
ハンガリー 375,000 6.22 607,700 2.86
アイスランド 10,000 0.05
アイルランド 33,700 0.56 150,000 3.77 468,700 2.20
イタリア 705,000 11.70 420,000 10.55 2,072,000 9.74
コソボ 37,000 0.61 37,000 0.17
ラトビア 150,000 2.49 177,000 0.83
リトアニア 449,000 7.45 125,000 3.14 624,000 2.93
マルタ 29,000 0.14
モルドバ共和国 70,000 1.16 20,000 0.50 102,000 0.48
モンテネグロ 40,000 0.66 20,000 0.50 100,000 0.47
オランダ 310,000 7.78 1,176,600 5.53
北マケドニア 10,000 0.05
ポーランド 150,000 2.49 340,332 8.54 2,092,807 9.84
ポルトガル 305,000 1.43
ルーマニア 62,000 1.03 150,000 3.77 441,000 2.07
サンマリノ 10,000 0.17 10,000 0.05
セルビア 302,000 5.01 324,000 8.13 876,000 4.12
スロバキア共和国 690,000 11.45 50,000 1.26 975,000 4.59
スロベニア 100,000 0.47
スペイン 797,000 13.23 250,000 6.28 2,584,000 12.15
スウェーデン 100,000 1.66 200,000 5.02 660,000 3.10
トルコ 350,000 5.81 100,000 2.51 800,000 3.76
合計 6,025,000 100.00 3,982,867 100.00 21,264,242 100.00
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支出済融資(国ごと)
( 単位:千ユーロ)
2016 年から2020年の
2020 年 2019 年 累積合計
国
金額 % 金額 % 金額 %
4,000 0.09 13,600 0.48 41,500 0.29
アルバニア
8,400 0.19 8,400 0.06
アンドラ
60,000 1.35 212,500 7.47 375,000 2.60
ベルギー
23,728 0.53 12,423 0.44 66,238 0.46
ボスニア・ヘルツェゴビナ
100,000 2.24 60,000 2.11 370,000 2.57
ブルガリア
151,308 3.40 47,674 1.67 364,480 2.53
クロアチア
22,000 0.49 11,500 0.40 89,000 0.62
キプロス
315,000 7.07 200,000 7.03 940,012 6.52
チェコ共和国
78,000 1.75 125,000 4.39 423,000 2.93
フィンランド
195,215 4.38 26,607 0.93 826,992 5.74
フランス
14,291 0.32 3,402 0.12 20,192 0.14
ジョージア
381,400 8.56 95,340 3.35 973,592 6.75
ドイツ
157,500 3.54 157,500 1.09
ギリシャ
292,915 6.58 43,012 1.51 507,264 3.52
ハンガリー
5,000 0.18 10,000 0.07
アイスランド
50,000 1.12 70,000 2.46 300,000 2.08
アイルランド
330,540 7.42 259,779 9.13 952,319 6.61
イタリア
17,784 0.40 17,784 0.12
コソボ
9,000 0.20 3,600 0.13 12,600 0.09
ラトビア
241,814 5.43 15,986 0.56 327,800 2.27
リトアニア
17,473 0.39 1,877 0.07 35,993 0.25
モルドバ共和国
22,362 0.50 13,091 0.46 59,920 0.42
モンテネグロ
199,942 4.49 147,057 5.17 941,517 6.53
オランダ
10,610 0.24 14,137 0.50 66,561 0.46
北マケドニア
288,556 6.48 346,565 12.17 1,724,514 11.96
ポーランド
54,300 1.22 85,000 2.99 175,300 1.22
ポルトガル
137,582 3.09 42,290 1.49 298,388 2.07
ルーマニア
7,000 0.16 7,000 0.05
サンマリノ共和国
24,550 0.55 139,200 4.89 247,500 1.72
セルビア
485,863 10.91 252,000 8.85 1,107,326 7.68
スロバキア共和国
40,000 0.90 10,000 0.35 105,000 0.73
スロベニア
565,340 12.69 249,953 8.78 1,706,793 11.84
スペイン
48,221 1.08 174,998 6.15 271,498 1.88
スウェーデン
100,000 2.24 165,000 5.80 882,790 6.12
トルコ
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合計 4,454,694 100.00 2,846,591 100.00 14,413,773 100.00
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承認された事業(相手方別)
( 単位:千ユーロ)
国 相手方 プロジェクトの概要 CEB の貸付 プロジェ
額 クトの総
額
アンドラ 政府 新型コロナウイルス感染症危機の影響を緩和するための、追加の医療及び医薬品の購入、医 12,000 13,400
療機器及び集中治療用ベッドの確保だけでなく、新規及び既存の医療スタッフ及び非医療ス
*
タッフに対する給与及び時間外手当。
最終受益者:アンドラの住民及び新型コロナウイルス感染症のパンデミックで直接的な影響
を受けたアンドラの領土にいる人々。
クロアチア 政府 新型コロナウイルス感染症の感染拡大及び影響を緩和するための、医療及び医薬品の購入、 200,000 222,500
派遣及び臨時の医療スタッフの人件費の融資、税外収入の減少を補填するための及び地方当
局に対する貸付に関連する支出。
最終受益者:クロアチアの住民、特に治療を必要とする人々だけでなく、国内全域で患者の
治療にあたっている医療従事者。
チェコ共和国 政府 新型コロナウイルス感染症の感染拡大及び影響を緩和し、住民の健康及び生命を保護するた 300,000 350,000
めの、マスク、人工呼吸器、検査及び医薬品などの医療器具並びに保護具(関連する輸送及
*
び配送費用を含む。)の確保。
最終受益者:チェコ共和国の住民、特に医師、看護師及び新型コロナウイルス感染症のパン
デミックに対する防衛の最前線に立つ人々
エストニア 政府 新型コロナウイルス感染症危機の悪影響を緩和し、事業の存続性を維持し、継続的な投資を 200,000 225,000
促進し、経済における更なる需要を創出することを目的とした、中小零細企業(MSME)の運転
資本及び投資需要、地方当局への財政支援、観光産業及び医療分野における技術及び研究開
発支援だけでなく、農業分野に対する緊急融資などの適格投資。
最終受益者:高齢者など最もウイルス感染リスクの高い人々を含むエストニアの住民だけで
なく、雇用維持が可能な国内全域のMSMEの従業員。
フィンランド クオピオ市 2030 年クオピオ市戦略に沿って、新しい施設の建設 だけでなく、 既存の施設の 修復、リノ 50,000 350,000
ベーション又は増築 のために2018年に承認されたプロジェクトの延長。
最終 受益者:クオピオ市の幅広い住民の中でも、保育所 及び 学校に通う 子供、生徒、教員、
若年世帯、文化イベントに参加し図書館を利用する個人並びにスポーツ施設の利用者
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ヴァンター市 ヴァンター市における新たな施設の建設 だけでなく、 既存の施設の 修復、リノベーション又 60,000 200,000
は増築から 成る社会的インフラストラクチャーのために2014年 及び 2018 年に承認されたプロ
ジェクトの延長。
最終 受益者:高齢者、移民及び難民など特定の弱い立場にある集団を含む、異なる年齢層及
び社会的集団を代表する市の多数の住民、子供、学校の生徒、教師、病院の患者、文化イベ
ントに参加する人々又は図書館を利用する人々並びにスポーツ活動をする人々。
タンペレ地方学生寮公社 今後数年間でタンペレ市における学生寮の戸数を増やすための、タンペレ地域における3つ 10,300 24,700
の新規学生寮の建設。
最終 受益者:258の新たに建設された学生寮 及び 360 人ほどが居住する改修された施設の恩恵
を受ける学生 及び 若手研究者。
フランス セーヌ・サン・ドニ県 施設のアクセシビリティ、グループ活動用の新しい設備並びに最新の科学及びデジタル機器 200,000 702,000
を通じた学習及び労働環境向上のための、旧式かつ時代遅れの教育施設だけでなく、関連設
*
備の建設、改築及びリノベーション。
最終受益者:中等教育機関( collèges )に通う生徒、事務職員及び教員並びに身体が不自由な
人々。
ナント・メトロポール 公共交通機関の定員、本数、快適性、使いやすさ及びアクセシビリティを強化することによ 150,0 00 317,000
*
る、ナントにおけるトラム及びバスのネットワーク拡充を目的とした投資。
最終受益者:およそ650,000人のナント・メトロポールの住民、観光客並びに高齢者、身体
が不自由な人々及び低所得世帯を含む最も弱い立場にある人々。
ドイツ ゲヴォバク・ヴォヌングスバウ・ ベルリン州における手頃な公共住宅の提供を増やすことを目的とした、約5,384の住宅ユ 100,000 1,759,000
アクツィエンゲゼルシャフト・ベ ニットの建設及びリノベーション。
ルリン(Gewobag Wohnungsbau‐ 最終受益者:ベルリン州に居住する、低所得者及び公共住宅の恩恵を受けている人々だけで
なく、移民、学生、障がい者及び高齢者などの弱い立場にある人口集団。
Aktiengesellschaft Berlin)
ライプツィヒ住宅建設企業mbH 424 の新しい賃貸住宅の建設及び追加でおよそ310人の子供の預け先を提供する託児所 42,000 219,000
(crèches)の建設への適格投資のために2019年に承認されたプロジェクトの延長。
最終受益者: 若年世帯、 一人親世帯、障がい者、高齢者、ホームレス、移民及び難民を含む
低所得世帯。
UKEイモビリエン・フェアヴァル ハンブルクに先進的な医療及び研究施設、処理能力が向上した最先端の診断及び治療の技術 180,000 365,000
トゥングGmBH & Co. KG(UKE を提供するための、2棟の新しい病棟の建設及び研究キャンパスの増築。
最終受益者:市及びその周辺の一般住民、高齢者、医学生並びに研究員及び教員。
Immobilien‐Verwaltungs GmBH &
Co. KG)
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ギリシャ 政府 医療及び医薬品並びに特別機器の購入、医療サービスの提供、新型コロナウイルス感染症の 200,000 250,000
患者に対して適切な医療支援を提供し、国内におけるウイルスの流行により引き起こされる
*
公衆衛生上の緊急事態に迅速に対処するための、追加の医療及び補助スタッフの採用。
最終受益者:およそ11百万人の国の住民、特に新型コロナウイルス感染症の患者で診察及び
検査から急性治療まで広範囲にわたるサービスを必要としている人々並びにウイルスに曝さ
れている医療スタッフ。
ハンガリー ハンガリー輸出入銀行(Hungarian 輸出関連の生産及びサービス部門に携わり、中長期の柔軟な資金調達に対するより多くかつ 50,000 100,000
有利な機会の恩恵を受けるMSMEのための固定投資及び運転資本。
Export‐Import Bank Plc)
最終受益者:適格なMSME及びハンガリー全域の求職者。
*
政府 主として教室の定員増加及び学校における体育施設の増加による教育部門への投資。 150,000 318,000
最終受益者:ハンガリー全域の初等及び中等教育を受けている生徒(特定の地方自治体の学
生及び住民は、プログラムに含まれるスイミングプール、体育施設及び屋内ハンドボール場
も利用可能。)。
政府 医療及び医薬品並びに医療機器の購入、国外で足止めされた医療スタッフの送還費用、国民 175,000 350,000
*
保険分野のサービス強化のための費用。
最終受益者:国の住民、特に新型コロナウイルス感染症の患者かつ治療を要する者。
アイルランド コーク州議会 社会、教育及び娯楽のインフラストラクチャー並びに経済環境の向上を目標とする対策から 33,700 122,300
成る、コーク州議会の社会的に持続可能な投資計画における一連の広範な投資。
最終受益者:コーク州の幅広い住民、高齢者、障がい者、一人親及び女性起業家などの最も
弱い立場にある人々。
イタリア ガッリエーラ病院(Ente アクセシビリティ及び医療の点で欧州最高の基準に従って、1888年に遡る歴史を持つ現在の 75,000 154,000
建物を建て替えるための、新ガッリエーラ病院の建設。
Ospedaliero Ospedali Galliera)
最終受益者:当病院の通院区域に居住する、現在及び未来の患者。
イレンSpA(IREN SpA) 導水路及び下水道ネットワークの拡張及び改良を目的とした、ジェノヴァ県及びパルマ県 80,000 290,000
(イタリア北西部)における2019年から2021年までの期間におけるイレンSpAの総合水道サー
ビス計画に概要が示されている投資並びに特定の区域における新たな浄水施設の建設。
最終受益者:人口にして約1.1百万人の、75の自治体の住民。
スポーツ信用銀行(Istituto per 国内全域の小規模かつ多様なスポーツ施設への地方当局による投資のために2018年に承認さ 100,000 670,000
れたプロジェクトの延長。
il Credito Sportivo)
最終受益者:イタリアの広範な住民、特にスポーツ施設が導入される自治体の住民、若年
層、学生だけでなく、アクセスが容易になると見込まれる高齢者及び障がい者。
政府 新型コロナウイルスの感染拡大を鈍化させ、危機を緩和するための運営及び維持費用、設備 300,000 350,000
及び消費財の確保、空間の転換又は派遣及び臨時の医療スタッフの人件費などのイタリア市
*
民保護局が負担する対策及び臨時費用の融資。
最終受益者:直接的にパンデミックの影響を被ったイタリア国籍及び領内に住む外国籍の市
民、特に、高齢者及び持病があるなどの最も弱い立場にある人々。
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ミラノ市 交通システムの強化、公共空間の再生及び再編並びに市立学校、公共住宅及び社会住宅の建 50,000 1,300,000
物の改修などの分野における適格投資。計画された全ての投資は、市が策定中の新型コロナ
ウイルス感染症適応戦略及び強靭化戦略に従って強靭化対策が統一される見込みである。
最終受益者:ミラノ市の住民だけでなく、ミラノ都市圏に居住及び勤務する人々。
ラツィオ州 健康及び社会福祉の向上、移動性への投資並びに環境保護のための、病院及びその他の地域 100,000 600,000
行政用建物の改修及び近代化。
最終受益者:ラツィオ州の住民、特に病気に罹りやすく治療が必要な弱い立場にある人々、
当地域並びに当地域及び国の首都であるローマを訪れる旅行者。
コソボ フィンカ・コソボ(Finca Kosovo) 国内全域の零細企業、農家及び一般家庭に対する奨励金付貸付を通じた生産性のある投資。 2,000 4,000
最終受益者:大多数が銀行からの融資を制限されているか、一切銀行融資を受けることがで
きない女性起業家である低所得者層。およそ2,000の小規模事業者、農家及び家庭がプログ
ラムの恩恵を受けると推定される。
政府 医療用検査機器及び治療機器の購入、医療制度の強化だけでなく、新型コロナウイルス感染 35,000 38,500
*
症のパンデミックと戦う医療職及び薬事職に対する報奨金の提供に関連した臨時費用。
最終受益者:コソボの住民、特に感染者、ウイルスに曝露されている医療スタッフ、高齢
者、慢性疾患のある人々及び医療機関。
ラトビア 政府 新型コロナウイルスを封じ込め、感染拡大を鈍化させ、公的医療分野に対する財政上の制約 150,000 180,000
を緩和し、必要不可欠なサービスの継続を保証することを目的とした、医療機器及び技術機
器の購入、子供及び医療従事者のいる弱い立場にある家庭に対する経済的支援、緊急メディ
*
ア広告の掲載及び遠隔相談。
最終受益者:ラトビアの住民、特に医療スタッフ、治療待機中の人々、自治体による支援を
必要とする弱い立場にある家族及び世帯並びに新型コロナウイルス感染症関連分野の業務に
従事するスタッフだけでなく、緊急事態下でも引き続き通学が可能な生徒。
リトアニア ヴィリニュス市 新たな市及び医療体制の構築だけでなく、既存の施設の修復、リノベーション又は増築を含 35,000 140,000
む市の長期戦略に基づく投資のために2019年に承認されたプロジェクトの延長により、結果
として生活環境、学習環境及び労働環境が改善。
最終受益者:ヴィリニュス市の住民。
カウナス・バス会社(Kauno 市バスの車両刷新による公共交通機関の質及び環境の持続性を向上させるための適格投資に 21,500 52,540
より、利便性、質、効率性、安全性及びアクセシビリティが向上。
Autobusai)
最終受益者:カウナス市の公共交通機関の日常的な利用者(年間約80百万人)、高齢者、障が
い者、子供、学生及び困窮世帯を含む最も弱い立場にある人々。
カウナス市 カウナス市の都市開発計画で定められた戦略的優先順位への取組みを目的とした投資のため 25,000 100,000
に2019年に承認されたプロジェクトの延長。
最終受益者:市及びその周辺地域の住民で、市のサービスを日常的に利用する人々、特に子
供、教育機関に在籍する学生、文化イベントに参加する市民、スポーツをする人々及び観光
客。
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政府 国内全域の医療機関の近代化、教育機関における様々な工事だけでなく、スポーツ施設の整 100,000 201,000
備及び新しい施設の建設を含む、2019年から2021年の国家投資プログラムの下で実施された
投資。
最終受益者:約2.7百万人のリトアニアの住民、特に子供、生徒、職員、文化イベントに参
加する人々並びに図書館及び博物館を利用する人々、スポーツをする人々だけでなく、治療
を必要とする患者。
政府 新型コロナウイルス感染症がもたらす試練に立ち向かい、その経済的影響に取り組むため 100,000 500,000
に、個人用保護具、試薬、医療用並びにその他の機器及び消耗品、教育サービス継続の恩恵
を受けるためのコンピュータの取得及び貸出を通じた遠隔授業及び移動手段を調達するため
のプロジェクト。
最終受益者:国内の住民、特に被雇用者、医療従事者、治療を必要とする人々、弱い立場に
ある家庭及び世帯、新型コロナウイルス感染症の関連分野に携わる職員並びに社会的に恵ま
れない家庭の生徒。
政府 同額かつ同様の範囲に対する上記プロジェクトの2度目の延長。 100,000
政府 集合住宅の改修工事及びエネルギー費用の削減による生活環境の改善への適格投資のために 67,500 433,000
2019年に承認されたプロジェクトの延長により、結果として環境への影響の軽減に寄与す
る。
最終受益者:低所得世帯を含む集合住宅に住む国内の住民。
モルドバ共和国 政府 医療及び医薬品の購入、罹患者の受入及び治療のための空間/施設の復旧又は転換だけでな 70,000 78,000
く、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる感染拡大及びその影響を緩和し、かか
る危機がMSMEに与える影響の緩和に寄与し雇用を維持するために、適格なMSMEに対して資金
*
を又貸しする融資機関に参画するための財務省による貸付に対する支出。
最終受益者:国内の住民、特に医療スタッフ、高齢者及び治療を必要とする人々だけでな
く、国内全域のMSMEの従業員。
モンテネグロ 政府 新型コロナウイルス感染症のパンデミックが国の経済、特にMSME部門に与える深刻な打撃に 40,000 44,500
よる影響を緩和するための、MSMEの運転資本及び投資要件。
最終受益者:国内全域の適格なMSMEの従業員。
ポーランド ユーロペスキ・ファンド・リーシ 新規の雇用機会を創出し既存の雇用を維持するために、ポーランド全域の建設業、卸売業、 150,000 300,000
ングSA(EFL)ヴロツワフ 小売業、製造業、小売業又は農業を含む幅広い分野においてMSMEが実施する適格投資。
(Europejski Fundusz Leasingowy 最終受益者:国内全域の銀行からの融資を制限されているか、一切受けることができない適
格なMSME及び求職者。
SA (EFL), Wroclaw)
ルーマニア ライファイゼン・リーシング・ 事業活動の継続並びに雇用の創出及び維持のために、自動車、機械設備だけでなく、オフィ 15,000 30,000
ルーマニアIFN SA(Raiffeisen ス及び生産施設の取得を含む生産的な投資を実現するために、ルーマニアのMSMEに対する個
別貸付の提供及びリース契約を継続するために2017年に承認されたプロジェクトの延長。
Leasing
最終受益者:国内全域の適格なMSMEの従業員。
Romania IFN SA)
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ブカレスト市第6区 地方当局が指定した多くの環境的及び社会的な優先事項、具体的には、住居及び校舎のエネ 47,000 168,000
ルギー効率の改善、ほぼゼロエネルギーを装備したビルの建設だけでなく、公共住宅ユニッ
*
ト、フードバンク及び地域食堂の構築への取組みを目的とした地方自治体の投資。
最終受益者:ブカレスト市第6区の住民、特に子供のいる一人親、失業者、低所得者、障が
い者及び高齢者。
サンマリノ 政府 医療サービスを改善し、新型コロナウイルス感染症の大流行を受けた緊急需要に応えるため 10,000 13,303
に、医療及び医薬品並びに消耗品の購入並びにサンマリノ病院(領土内で唯一の病院)、特に
隔離病棟への改造を実施するための医療機器の確保を含む臨時支出。
最終受益者:国の住民及び新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響を直接的に受け
た領土にいるその他全ての人々、高齢者及びウイルス感染者だけでなく、慢性疾患の影響で
定期的に通院している患者を含む、最も弱い立場にある人々。
セルビア エルステ・バンクa.d.ノヴィ・サ さらなる雇用の創出及び保護、発展の推進並びに輸出活動の強化並びに追加の雇用機会創出 30,000 60,000
ド(Erste Bank a.d. Novi Sad) を可能にする、より多く好ましい中長期の柔軟な資金調達機会へのアクセスを通じた、固定
資産の取得及び営業所の建設又は増築だけでなく、運転資本に対してセルビアのMSMEが実施
する投資。
最終受益者:適格なMSME及び国内全域の求職者。
プロクレジット・バンクa.d. 投資のみならず新型コロナウイルス感染症のパンデミックがもたらした異例の流動性不足を 20,000 40,000
(Procredit Bank a.d.) 受けた緊急の運転資本に対する要請のために2018年に承認されたプロジェクトの延長。
最終受益者:適格なMSME及び国内全域の求職者。
政府 美術館、劇場、文化施設並びに多くがベオグラードに所在する類似の施設を含むユーゴスラ 20,000 30,000
ビアの国立劇場及び国立博物館をはじめとする文化施設の改装、改築及び増築への投資。
最終受益者:国の住民、特にベオグラードの住民、文化施設で勤務する1,000人の常勤職員
だけでなく訪問観光客。
政府 ベオグラード市及びニシュ市の合計1,400の個室を備えた2棟の学生寮の建設、設置及び整 32,000 48,414
備。
最終受益者:発展途上地域及び低所得世帯出身を含む、国による奨学金を受けている国内全
域の学生。さらに、両親不在、難民、少数民族及びロマなどの弱い立場にある背景を持つ学
生は、全ての宿泊施設で少なくとも10%の割当の恩恵を受ける。
政府 医療及び医薬品並びに危機のごく初期段階における新型コロナウイルスの影響を緩和するた 200,000 250,000
*
めに必要な機器の確保。
最終受益者:国の住民、特に新型コロナウイルス感染症の患者、高齢者及び持病のある人々
並びに国内全域で患者の治療にあたる医療従事者。
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スロバキア共和 政府 持続可能かつ効率的な天然資源の利用の支援、エネルギー効率に優れた低炭素経済の推進及 300,000 6,000,000
国 び国内全域の公的サービスの持続的な提供を保証する、欧州のストラクチャー及び投資ファ
*
ンドに対する共同融資への投資のために2015年に承認されたプロジェクトの延長。
最終受益者:選ばれた運用プログラムの下で実行されたサブ・プロジェクトに関係する国の
幅広い住民。
政府 医療器具及び保護具の確保、空間、病棟及び病院の復旧又は転換、新型コロナウイルス感染 300,000 350,000
症の感染拡大及び影響並びに国家経済への危機の影響を緩和すること並びに必要不可欠な公
共サービスの継続を保証することを目的として公共サービスを提供するMSME及び企業に対す
*
る支援。
最終受益者:国の住民、特に高齢者及び最もウイルス感染リスクの高い人々、新型コロナウ
イルス感染症のパンデミックに対する防衛の最前線に立つ人々並びにMSMEの従業員及び公共
サービスの提供者。
スロヴェンスカ・スポリテルナ 都市部及び地方のインフラストラクチャーの構築又は復旧、営業所の建設又は増築並びに関 80,000 160,000
a.s.(Slovenská sporite ľň a 連する生産的固定資産の取得だけでなく、エネルギー効率の分野への投資。
最終受益者:生活水準を向上させるために必要な設備を入手する関連した市又は地域の住
a.s. (SLSP))
民、適格なMSMEの従業員並びに国内全域の求職者。
ジリナ自治区 道路及び地域の交通網の質及び信頼性並びにアクセスの向上、医療機器の購入、地域の病院 10,000 89,000
及び医療施設の改築及び改装だけでなく、欧州のストラクチャー及び投資ファンドの共同融
資及びつなぎ融資を目的として2015年に承認されたプロジェクトの延長。
最終受益者:ジリナ自治区の住民およそ690,000人。
スペイン マドリッド自治体 新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響を緩和するための、追加の医療及び医薬品 200,000 250,000
並びに患者に必要な特別機器の購入、新規及び既存の医療スタッフ及び非医療スタッフに対
*
する時間外手当。
最終受益者:マドリッド州全域で新型コロナウイルス感染症の患者、特に高齢者及び健康に
問題を抱えた人々など、最もウイルス感染リスクの高い人々。
マドリッド自治体 社会福祉制度への公共予算からの支出並びに滞在型及び非滞在型養護施設、デイセンター、 200,000 1,340,000
アパート及び食堂の維持及び改善だけでなく、支援制度及び特別支援の提供に関する特別費
*
用を賄うために2018年に承認されたプロジェクトの延長。
最終受益者:高齢者、精神的及び / 又は身体的な障害を持つ人々、ホームレスの人々並びに
ジェンダーに基づく暴力の被害者など、マドリッドに住む社会的に弱い立場にある人々
ナバラ州 社会福祉制度への公共予算からの支出並びに養護施設において良質な商品及びサービスを提 50,000 100,000
*
供することを目的とした、社会福祉活動に対するより具体的な支出。
最終受益者:高齢者並びに滞在型及び非滞在型養護施設にいる障害を抱えた人々及びその家
族。
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スペイン開発金融公庫(Instituto 新型コロナウイルス感染症による経済への危機的な影響を緩和するために、主として個人事 300,000 600,000
業主及びMSMEを対象とした資金調達手段を通じた資金の又貸しをするスペインの金融機関に
de Crédito Oficial)
対するICOの融資活動への参画。
最終受益者:新型コロナウイルス感染症のパンデミックの余波による深刻な流動性不足に直
面している、国内全域の適格なMSMEの従業員。
バルセロナ交通S.A.(Transports 47,000 135,000
254 台の新しい天然ガス式、ハイブリッド式(ディーゼル / 電力)及び電気式バスの購入、燃料
de Barcelone, S.A.) 補給ステーションの建設並びにサービスの質、効率及びアクセシビリティを向上させるため
のその他の関連インフラストラクチャー、ネットワークの安全性並びに二酸化炭素排出量及
*
びエネルギー費用両方の削減。
最終受益者:バルセロナ市及びその周辺地域における、およそ550,000人の公共バスネット
ワークの日常的な利用者、観光客、高齢者、身体が不自由な人々、子供、学生及び困難を抱
えた世帯を含む、最も弱い立場にある人々。
スウェーデン ウプサラ市 新しい教育施設の建設だけでなく、スポーツ施設を含む既存の施設の復旧、リノベーション 100,000 310,000
又は増築を含む、教育部門への投資支出。改築作業は、より多くの生徒を収容するために建
物を増築することだけでなく、エネルギー効率の良い方法を採用することを目標としてい
る。
最終受益者:就学前教育、義務教育及び中等教育に在籍中の子供及び生徒、難民並びに移民
は、通学することが社会的統合を促進するため、投資の恩恵を受ける。
トルコ 政府 医療及び医薬品並びに医療機器の購入、空間、病棟及び病院の復旧又は転換、一時的な野戦 200,000 250,000
病院の建設、新型コロナウイルス感染症の感染拡大及び影響を緩和し、必要不可欠な公衆衛
生サービスの安定供給及び継続性を保証するという目的での普及啓発活動。なお、融資は、
個人の診療所及び病院などの第三者による医療サービスの提供並びに保健省が雇用する医療
*
従事者の給与に充当される。
最終受益者:国の住民、特に新型コロナウイルス感染症の患者及び国内全域で患者の治療に
あたる医療従事者。
政府 都市部に最新式でより安全かつより速い公共交通網を提供し、全体的なアクセシビリティを 150,000 1,367,000
向上させるだけでなく、交通渋滞及びそれに付随する大気汚染を軽減することを目標とす
る、マルマラ海に沿って走る既存の通勤用高速都市間鉄道システムの改修のために2006年に
承認されたプロジェクトの延長。
最終受益者:イスタンブールの住民、特に約100万人の公共交通機関の日常的な利用者。
合計 6,025,000 22,915,000
*公共部門融資機関(PFF)
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e. CEB が実行したこと:2020年度に完了したプロジェクト
2020 年度において、21のプロジェクトが完了した。CEBの融資は合計1.7十億ユーロで、これらのプ
ロジェクトにより396,000を超える雇用がMSMEで創出及び維持されており、12百万人を超える人々に
とっての地方自治体のインフラストラクチャー及びサービスへのアクセス及び利用の改善が確保され
(1)
た 。
注(1) CEBの借入人が提出したプロジェクト完了報告書に基づき統合されたデータ。
f. 社会的統合におけるベストかつ革新的プラクティスに対する褒賞
2020 年度において、当行は、社会的統合に対するCEB賞(CEB Award for Social Cohesion)を開始し
た。これは、革新的かつ効果的な方法で欧州の社会的統合に多大な貢献をしたプロジェクトに対して
25,000ユーロの賞金をかけた公開コンペであった。
このイニシアチブは、社会分野への適切な投資により誰も取り残されないようにしながら社会全体
に経済的・社会的に大きなプラスの影響を与えることができるという信念に基づく、CEBの社会的使
命に基づいている。
2020 年1月に開始された募集に対し、90件近い応募があった。受賞者であるヘドナ(Hedona)d.o.o
(クロアチア)は、社会開発、社会起業、学術及び市民社会の分野から、以下の5名の独立した審査員
によって選出された。
・スネジャナ・サマルジッチ=マルコヴィッチ(Snežana Samardži -Markovi )、欧州評議会民主
主義事務局長
・ギヨーム・カペレ(Guillaume Capelle)、シンガ・アンド・カーム(Singa and Calm)の創設者
・ドミニク・ラミオ(Dominique Lamiot)、CEBの理事会議長(当時)
・エヴァ・メイデル(Eva Maydell)、欧州議会議員/ヨーロピアン・ムーブメント・インターナショ
ナル(European Movement International)社長
・クリスティン・ホワイトヘッド(Christine Whitehead)、ロンドン・スクール・オブ・エコノミ
クスの住宅経済学名誉教授
ヘドナは、クロアチアでチョコレート・菓子製品を製造し、主に障害者を雇用している社会的企業
である。同社は、社会起業家精神を既存の社会問題に革新的な方法で取り組む手段として認識し、貧
困との闘い及び障害者の生活の質の向上に貢献している。
同賞の詳細については、https://award.coebank.org/en/を参照のこと。
g. 社会分野の知識の向上
CEB は、特定のプロジェクトへの助言に加えて、分野の成長、ベストプラクティス及び国際基準を
特定及び促進する。これは、プロジェクトの出資者による社会分野の戦略の見直し並びに現在進行中
及び将来のプロジェクトの質及び持続性の改善に役立ち、その結果当行の融資の社会及び環境への影
響が最大化する。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックから「より良い生活を取り戻す」には、そしてより包括的、
弾力的かつ持続的な未来を構築するには
欧州における包括的で回復力のある持続可能な社会インフラストラクチャーへの投資に関する技術
報告書は、社会的包摂及び統合、経済発展、並びに気候変動対策を含む環境の持続可能性に同時に貢
献することができる、影響力の大きい社会インフラストラクチャーに投資してきたCEBの経験を示し
ている。
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新型コロナウイルス感染症の危機は、社会的不平等の拡大と公共インフラストラクチャーへの慢性
的な投資不足が、欧州の社会や経済の脆弱性を増大させていることを示している。その影響は、気候
変 動及び環境の悪化と相まって、現在及び将来の危機から持続可能で包摂的な方法で「より良い生活
を取り戻す」ための欧州経済の能力を弱め、それにより我々の社会の回復力を低下させている。CEB
の経験は、社会的、経済的及び環境的目的が実際には相互に補強し合うことができ、適切に設計され
実施されれば、社会インフラストラクチャーが強固で回復力のある持続可能な経済回復に向けた包括
的な移行を支援する上で重要な役割を果たすことができることを示している。
欧州地域での事業展開を成功させるための障壁とは
MSME の信用制約、地域機関及び経済パフォーマンスに関する技術報告書は、ピアレビューされた
ジャーナル・オブ・リジョナル・サイエンス 誌において発表された「信用制約、労働生産性及び地域
機関の役割:欧州の製造会社による証明」という実証分析の結果を示している。
信用制約は、欧州において、特に小企業にとっては依然として大きな問題であり、生産性にマイナ
スの影響を及ぼしている。かかる影響は、質の高い自治により緩和される。「良好」な地域機関は、
企業レベルでの生産性を高め、信用へのアクセスを促進するのみならず、より間接的な方法で、信用
制約によるマイナスの生産性リターンを削減する。したがって、様々な地域において企業のパフォー
マンスを向上させ、それによって欧州においてより平等な地域開発を支援するためには、信用へのア
クセスを促進する措置を、機関の質を向上させる介入により補完する必要があることが当該分析によ
り示唆された。
学校の建物を最大限に活用して学習環境を改善するには、そして教育インフラストラクチャー整備にお
ける官民協力の役割とは
スウェーデンのマルメ市における学校設計と学習環境に関するテーマ別レビューは、CEBが資金提
供した選りすぐりの学校が示すように、学校設計と学習環境の関係について詳細に検証している。こ
のレビューは、学校に対する市のビジョンが、学校設計における現在の国際的な傾向をどのように反
映しているかを評価し、選ばれた施設が教育上どのように機能しているか(すなわち、生徒の学習を
最大化するために教師と生徒が建物設計によって提供される機会をどのように利用しているか)を評
価している。これは、教育インフラストラクチャーへの投資に対する新たなアプローチの開発を目的
とした一連の刊行物の一部であり、将来のCEB資金によるプロジェクトで試験的に実施される予定で
ある。
学校のための官民パートナーシップ:フランスのセーヌ・サン・ドニにおける経験に関する技術報
告書は、官民パートナーシップ(PPP)契約の設計、交渉及び実施におけるフランス政府の経験を示し
ている。この事例研究には、欧州における教育インフラストラクチャーの構築及び運営を目的とした
PPPを検討している他の公営組織又は民間組織に対する教訓及び提言が含まれている。
より良い公共住宅プロジェクトを計画するには
エヴァリュエーション・パースペクティヴズ において発表された「住宅プロジェクトの総合的評価
及び持続可能な開発のための2030年アジェンダ:この分野からの教訓」と題された新たな刊行物は、
CEBが資金提供した、社会的弱者層を対象とする様々な住宅投資の評価から得られる教訓に基づいて
おり、住宅プロジェクトに対する総合的、社会的かつ統合的なアプローチを裏付けるものである。
CEB の全ての刊行物は、次のサイトにて入手可能である。
https://coebank.org/en/news‐and‐publications/ceb‐publications/
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h. 協力関係及び支援者
ⅰ 協力関係
CEB は、長年にわたり、その責務を最大限に果たすため、他の国際機関及び支援者と協力関係を構
築してきた。CEBは、常に強化に努めている欧州評議会との自然な関係に加えて、特定の社会プロ
ジェクト及びプログラムについては欧州連合と協力し、他の多国間開発銀行及びいくつかの国連専門
機関とも定期的に協力している。
2020 年において、CEBは、同業者の多国間金融機関及び当行の中核的活動に関わるその他国際組織
との協力関係を引き続き強化した。
(a) 欧州連合(EU)
欧州連合は、CEBにとって引き続き特別なパートナーであり、また主要な支援者である。EUとの
パートナーシップでは、ヨーロッパにおける持続可能で包摂的な成長の促進を目指しており、社会
的に最も弱い者の包摂に貢献し、雇用、教育及び訓練、ジェンダーの平等並びに持続可能な発展を
支援する活動に注力している。EUによる資金提供の恩恵を受けている現在進行中のプロジェクト及
びイニシアチブについての詳細は、「ⅱ 支援者」を参照のこと。
CEB は今後、インベストEUプログラムの実行パートナーとなる予定であるが、同プログラムは
2021年以降、欧州戦略投資基金(「ユンカープラン」)に代わるものである。インベストEUプログラ
ムは、EUへの投資を支援するために現在利用可能なEUの多数の金融商品を一堂に集め、それによ
り、欧州における投資プロジェクトへの資金提供がより簡潔、より効率的かつより柔軟になる。
インベストEUは、EUが提供する総額26十億ユーロの保証スキームを通じて、公共投資及び民間投
資を動員することを目的としている。かかる保証は、CEBを含む金融パートナーの投資プロジェク
トを支援することにより、それらのリスク負担能力を高める。乗数効果により、同プログラムは
2021年から2027年の間に合計400十億ユーロを超える投資を生み出すことが期待されており、「持
続可能なインフラストラクチャー」、「研究・イノベーション・デジタル化」、「中小企業」及び
「社会的投資・技術」の4つの政策の窓に分割される。
2020 年度中、当行は、同プログラムの10%超を占めるソーシャル・ウィンドウに焦点を当て、イ
ンベストEUにおいて主要な実行パートナーとなるため、欧州委員会と積極的かつ継続的に交流し
た。ガバナンス及び保証に関する取決めは2021年に確定する予定である。
(b) 共通の金融サミット:全ての公的開発銀行による共同宣言
2020 年11月、「共通の金融サミット(Finance in Common Summit)」において、CEBは、新型コロ
ナウイルス感染症のパンデミック、気候非常事態及び社会的不平等の拡大への統合的な対応の一環
として、より一層の社会的投資を求めた。
サミットには、景気回復に貢献し、持続可能な金融原則に沿うことを目指している450を超える
公的開発銀行が初めて集った。同サミットの数少ないグランド・パートナーの1つとして、CEB
は、公的開発銀行の可能性を最大限に活用する方法についての洞察を提供するためにハイレベルの
代表を務め、「人間、地球及び繁栄のための社会的投資」と題するイベントを開催した。講演者
は、社会インフラへの慢性的な投資不足が社会の回復力を弱め、社会的統合を損なっていることに
言及した上で、社会的投資が持続可能な回復に向けた取組みの中心となる必要性を強調した。
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CEB は、社会的責務を負う欧州における唯一の開発銀行である。CEBは、共通の金融サミットの共
同宣言に署名することで、他の公的開発銀行と協力し、持続可能な回復のソリューションに向けて
積極的に取り組む意向を示した。
(c) 他の多国間開発銀行との協力
CEB は、他の多国間開発銀行(MDB)と継続的に交流している。30を超えるMDBの作業部会及び同業
者ネットワークに参加することで、当行は、知識を共有し、共同作業に貢献し、他と協力する機会
を特定することができる。
2020 年において、新型コロナウイルス感染症のパンデミックへのMDBの緊急対応及び回復支援の
調整及び把握が行われた。CEBは、11のMDB及び国際通貨基金(IMF)から成るグループに加わり、
SDGsへの資金供給に関する初の共同報告書を発表した。
2020 年12月に発表された共同報告書では、17のSDGs全てを達成するために各国を支援するため
の、MDBによる全体及び個別での取組みを取り上げており、人々に力を与え、地球を守り、全ての
繁栄を促進し、持続可能で質の高いインフラを開発するSDGsの推進にその資金が直接貢献している
事例を紹介している。
また、同報告書は、SDGsのための資金、知識及び能力開発支援を提供するためにMDBの協力関係
が極めて重要であることを強調している。MDBは、包摂に一層焦点を当てつつ、人々及び人的資本
に投資する取組みを継続しなければならない。MDBは、SDGsに関する知識の共有及び共通の報告を
通じて目標のためにその協力関係を深めていく予定である。
(d) フランス欧州社会住宅同盟
2020 年において、社会住宅同盟(Union sociale pour l'habitat)、系列の地域銀行(Banque des
Territoires)を通じて行為するフランス預金供託公庫(Caisse des Dépôts et Consignations)、
CEB及び欧州投資銀行(EIB)は、フランスの社会住宅機関による社会住宅への長期投資のための欧州
における資金調達へのアクセスの促進を目的とするパートナーシップを設立した。具体的には、
CEB及びEIBが地域銀行に提供する融資により、欧州連合の「欧州社会権の柱」及び欧州評議会の欧
州社会憲章(改訂版)に従い、気候変動の緩和、社会的包摂の促進、経済的・社会的弱者への支援を
目的とした対策に優先的に資金を提供する。
このパートナーシップは、欧州復興計画の実施に貢献し、欧州委員会の「欧州グリーン・ディー
ル」に基づき開始された建物のエネルギー効率化改修に合致している。
ⅱ 支援者
CEB は、支援者から調達した資金を社会的弱者及び貧困地域のためのプロジェクトへの支援に活用し
ている。28のCEB加盟国、米国及び英国の2の非加盟国並びに欧州連合は、欧州委員会及び欧州投資銀
行を通じて、CEBの信託基金に拠出している。
2020 年において、CEBは106百万ユーロ超の支援金を動員した。当該支援金の大部分は、トルコ及び西
バルカン半島の移民、難民及び避難民を対象としたプロジェクトのために欧州連合から提供された。そ
のため、欧州連合は依然として当行の最大の支援者であり、これまでに615百万ユーロを拠出してい
る。
EU ・CEB間の協力関係が持つ重要性の高まりを受けて、当該2つの機関は2020年7月に財政枠組協定
契約(FFPA)を締結した。かかる新たな契約は、全てのEC・CEBからの拠出に枠組みを設定し、EU基金の使
用に係る欧州委員会の一般条件並びに国際的な金融機関であるCEBの特定の原則及び手続を調整するもの
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である。その結果、FFPAは、具体的な拠出金に関連する契約上の交渉を簡略化し、相互の信頼を促進す
ることとなる。
(a) 新規:グリーン社会投資基金(GSIF)
2020 年3月、CEBは、加盟国の低炭素化及び環境に配慮した経済への転換を加速させるため、
GSIFを設けた。当該基金は、以下の取組みに活用される。
・社会インフラストラクチャーの脱炭素化及び気候変動への対策の規模の拡大
・環境保護への取組みに係る社会的な金銭的負担をさらに軽減し、社会的弱者にも導入しやすい
ものにすること
基金は、当行の年間利益からの割当てである5百万ユーロの当初拠出金を受領した。また、CEB
加盟国から、当該基金へ助成金を拠出することも可能である。
(b) 地域住宅プログラム(RHP)
新型コロナウイルス感染症により緩やかではあったものの、地域住宅プログラム(RHP)の導入は
2020年においても継続した。同年において、約4,500人の生活困窮者が新しいRHPの家に入居したた
め、RHPが支援する難民及び避難民の総数は23,400人超となり、又はその目標値のほぼ3分の2に
達した。
本プログラムの進捗状況を評価し、2020年において多くの支援者がRHPへの追加の資金提供を
行った。欧州連合は1.8百万ユーロ、ノルウェーは640,000ユーロ、スペインは100,000ユーロ、ま
たチェコ共和国は46,000ユーロを拠出した。かかる新たな拠出により、国際社会によるRHPへの資
金提供総額は291百万ユーロとなった。
地域住宅プログラムは、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、モンテネグロ及びセルビアに
よる共同イニシアチブである。地域住宅プログラムは、西バルカン諸国での1990年代の紛争中に住
む場所を失った社会的に最も弱い人々に対して、耐久性に優れた住宅を提供している。かかるプロ
グラムは、国際社会によって支えられており、CEBによって管理されている。
支援者によるRHPへの寄付
(1)
235百万ユーロ
EU
米国 24百万ユーロ
ドイツ 10百万ユーロ
ノルウェー 7.6百万ユーロ
スイス 6.4百万ユーロ
イタリア 5.0百万ユーロ
デンマーク 1.3百万ユーロ
トルコ 1.0百万ユーロ
ルクセンブルク 500,000ユーロ
スペイン、チェコ共和国、キプロス、ルーマニア、スロバキア共和国及び 567,000ユーロ
ハンガリー
注(1) うち1.2百万ユーロはUNHCRへ拠出された。
新しい始まり
イスメット・バイラモヴィッチ(Ismet Bajramovi )とその扶養家族の高齢の両親は、ボスニア・
ヘルツェゴビナのヤブラニツァ近郊の小さな村、スラティナの新しいRHP住宅に住んでいる。1990年
代の当該地域での紛争により、以前住んでいた家が全壊したため、家族は15年もの間、湿っぽい部分
的に改修された地下室での生活を余儀なくされた。バイラモヴィッチは、新しい住居の他にも、米国
政府からの追加的援助によりカトリック・リリーフ・サービスから温室を贈られた。現在、イスメッ
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トは自ら野菜を栽培しており、また収穫した野菜の一部を地域の商店や近隣の住民に販売すること
で、さらなる収入源を確保した。
(c) 移民及び難民基金(MRF)
MRF は、移民及び難民に関連する課題に対応する加盟国を支援するために、CEBが設立した信託基
金である。2015年の設立以来、22のCEB加盟国がMRFに拠出した。CEB及び欧州投資銀行(EIB)も資金
支援を行っている。現在まで、CEBは、27百万ユーロの助成金を承認した。バルカンルート沿いに
位置するプロジェクトが、これらの助成金の大部分、すなわち22百万ユーロを占めている。
新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、MRFのプロジェクトに多大な影響を及ぼしている。
当局は、感染症の世界的流行によりもたらされた変化に応じて、プロジェクトの活動を調整せざる
を得なくなり、一部の活動を完全に延期又は中止した。これにより、余剰となった基金の一部が他
のプロジェクトへ割り当てられた。たとえば、スペインでプロジェクトの規模が縮小されたことに
伴い、当行は、セルビアにおいて進行中の移民の教育及び職業訓練に係るプロジェクト向けに追加
の助成金340,000ユーロを承認することができた。
2020 年末において、14のプロジェクトが進行中である。2021年末までにほとんどのプロジェクト
が完了する予定であるものの、2020年7月、CEBの管理委員会は、基金の終了日を2021年3月から
2025年12月まで延長する旨を承認した。かかる延長により、CEBは、新たな移民及び難民の危機が
生じた際に、迅速にMRFを動員することができる。
支援者によるMRFへの拠出金
CEB 8.0百万ユーロ
ドイツ 5.0百万ユーロ
EIB 5.0百万ユーロ
フランス 3.0百万ユーロ
イタリア 3.0百万ユーロ
スペイン 1.5百万ユーロ
スウェーデン 540,000ユーロ
ルクセンブルク 500,000ユーロ
ノルウェー 500,000ユーロ
スロバキア共和国 300,000ユーロ
アイルランド、リトアニア、ポーランド、キプロス、アルバニア、ハンガリー、 1.1百万ユーロ
チェコ共和国、マルタ、バチカン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、サンマリノ、
アイスランド、ブルガリア及びリヒテンシュタイン
実践的な統合支援
サヒラは、54歳である。兄弟が宗教上の理由で殺害された後、彼女はイラクのモスルから避難し、
2015年7月にドイツに辿り着いた。以来、ニュルンベルクで暮らしている。アラビア語とアラム語
(母国語)に堪能で、英語は少々、ドイツ語は中級程度なら分かる。
サヒラは、モスルでは教師として働いていた。教職か、せめて子供と関わる仕事に就きたいと思
い、ドイツ語の語学学校へ熱心に通い、B2クラスまでの試験には全て合格したのだが、それ以上は不
合格であった。気持ちがくじけてしまい、語学学校はやめてしまった。また、日常的な行政手続の対
応や一般的なサービス提供会社の手配を困難に感じていた。
2019 年初頭、サヒラは、語学力向上や行政的な問題解決のための支援を受けることができる、MRF
及びニュルンベルク市からの資金提供を受けノリス・アルベイト(地方自治体の雇用機関)が運営する
レミ・カフェの存在を知った。ロックダウン期間を除き、彼女はカフェに足繁く通い、この非正規の
学習環境や彼女が抱える問題にソーシャルワーカーが直接取り組んでくれることに感謝した。
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カフェで出会った教師やソーシャルワーカーのおかげで、サヒラはデイケア職員の仕事を見つける
ことができ、ドイツ語の継続的な学習とニュルンベルクでの生活のために必要な自信を取り戻した。
彼女は「本当に助けられました。」と流暢なドイツ語で話し、10分のインタビューを締めくくった。
(d) EU のトルコにいる難民のためのファシリティ
EU のトルコにいる難民のためのファシリティ(FRiT)は、2015年11月に設立され、トルコ国内の難
民と 庇護地域 のニーズが、包括的かつ協調的な方法で対処されることを確保することを目的とし
た、EU-トルコの共同調整メカニズムを提供している。かかるファシリティは、総額6十億ユーロ
を管理し、2つのトランシェで動員され、人道支援、教育、保健、自治体インフラ及び社会経済支
(1)
援に重点を置いている 。
2020 年、CEB及びトルコの欧州連合代表部は、FRiTにより資金提供される90百万ユーロ相当のヘ
ルスケア・インフラストラクチャー・プロジェクトに共同参画することに合意した。当該プロジェ
クトは万人のためのヘルスケア・インフラストラクチャーの強化(SHIFA)と呼称され、同様にFRiT
による資金を元に50百万ユーロをかけてトルコ-シリアの国境沿いのキリスに病院を建設したCEBの
経験に基づくものである。
SHIFA は、トルコ国内でのヘルスケア・センターの建設及び改修を行い、シリア難民及びその 庇
護地域 を対象とする医療サービスの向上を目指す。当該プロジェクトは、2021年3月から実施さ
れ、期間は4年を予定している。CEBは、欧州連合代表部と緊密に連携した上でEUからの調達資金
を管理し、トルコの保健省はインフラストラクチャーを整備し、資材を調達する。
注(1) FRiTの詳細については、次のサイトを参照のこと。
https://ec.europa.eu/neighbourhood-enlargement/news_corner/migration_en
(e) スペイン社会的統合口座(SCA)
SCA は、2009年にスペインによって設立された信託基金であり、CEBが運営する。かかる基金の目
的は、社会性の高いCEBのプロジェクトへの技術的支援の融資を行うことである。2017年にスペイ
ンは、かかる基金に2.0百万ユーロを補充し、寄付金は合計4.0百万ユーロとなった。
2020 年には、クロアチアの地域住宅プログラムのために100,000ユーロの助成金が承認された。
かかる助成金は、ヴコヴァルの21の家族のための住居の建設、最大25の家族の住宅の改修、改装又
は建設、最大38のアパートの購入という3つの進行中のRHPのプロジェクトの成功のために必要な
技術的支援のための資金となる。
これは、2018年にクロアチアが加盟準備支援に基づくEUからの支援の対象外となって以降、クロ
アチアのRHPに承認された3回目のSCAの助成金である。当該支援は、クロアチアにおけるRHPプロ
ジェクトがEUのベストプラクティスに従って実施されることを確保するために必要不可欠であっ
た。
2020 年末現在、SCAの残高は約1.7百万ユーロであった。
(f) スロバキア包括的成長口座(SIGA)
SIGA は、包括的な成長及び環境の持続可能性を支持するCEBの活動を支援するために、2016年に
スロバキア当局によって開設された。スロバキア共和国は、2019年にかかる基金に2.0百万ユーロ
を補充し、寄付金は合計4.0百万ユーロとなった。
2020 年にSIGA下で承認された助成金は、総額249,700ユーロとなった。2020年に承認された資金
を通じて、SIGAは、特にセルビアのクラリェヴォにおける震災後の住宅再建プロジェクトの実施に
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必要な技術支援を引き続き確保する。かかるプロジェクトでは、2010年11月にセルビア中部を襲っ
たマグニチュード5.4の地震の際に深刻な被害を受けた360世帯を対象に、適切な補償機能を備えた
恒 久住宅を建設する。かかるプロジェクトは2つのフェーズに基づいて構築されており、フェーズ
1が完了間近である。かかるプロジェクトは、西バルカン半島投資フレームワークを通じたEUの助
成金及びスペイン社会的統合口座からCEBが融資した追加的な技術支援からも恩恵を受けている。
2020 年末現在、SIGAの残高は約2.7百万ユーロであった。
(g) 革新プロジェクトのためのイタリア基金(IFIP)
IFIP は2017年にイタリアで設立され、1百万ユーロの寄付を受けた。IFIPは、当行が革新的な社
会プロジェクトを開発するのを支援している。IFIPは、政府開発援助(ODA)の対象である西バルカ
ン諸国並びにジョージア及びモルドバ共和国でのプロジェクトの技術支援に融資している。
2020 年、セルビアの様々な文化施設の修復、再建及び拡張を目的とした30百万ユーロのプログラ
ムに112,500ユーロの助成金が承認された。IFIPの助成金から資金提供を受けた技術支援は、当局
が3つの投資目的、すなわちベオグラード国立劇場の管理区域の劇場舞台への転換、ベオグラード
の旧鉄道駅の再建とニコラ・テスラ博物館への改造、及びベオグラード旧鉄道駅の旧ストークホー
ルド(ラウンドハウス)「ロツィオニカ」の多機能文化センターへの再建の実行可能性について、さ
らに明確にすることに役立つ。
2020 年末現在、IFIPの残高は873,000ユーロであった。
(h) 西バルカン半島投資フレームワーク(WBIF)
WBIF は、欧州委員会、CEB、欧州復興開発銀行、欧州投資銀行及び複数の二国間支援者の共同イ
ニシアチブとして、2009年に設立された共同体である。かかる枠組みは、エネルギー、環境、社
会、輸送機関及びデジタルインフラ部門における戦略投資に融資及び技術的支援を提供している。
また、民間部門の開発イニシアチブを支援している。かかる枠組みに、世界銀行グループ、ドイツ
復興金融公庫及びフランス開発庁が後に加盟した。
2020 年、WBIF運営委員会は、北マケドニアの小中学校の80の体育施設の修復と近代化のための3
百万ユーロの投資助成金を承認した。障がいのある子どもたちを含め、2023年までに52,000人超の
生徒がこの新施設の恩恵を受けると予想されている。かかる投資助成金への資金は、WBIFの二国間
支援者、特にノルウェー、スウェーデン、オーストリア及びドイツから提供されている。
さらに、WBIFは、ベオグラードにおける新しい工科大学のキャンパスの開発のための450,000
ユーロの技術支援の助成金、またボスニア・ヘルツェゴビナの共同住居の閉鎖と約7,200人の国内
避難民のための代替住居の提供に専念したプロジェクトの実施のための600,000ユーロの技術支援
の助成金を承認した。かかる2件の助成金の資金は、EUにより提供されている。
(i) 社会配当金勘定(SDA)
SDA は、1996年にCEB加盟国により設立された。SDAは主に、社会的性質を有する配当を構成する
当行の年間利益からの配分を通じて、加盟国からの拠出金により資金調達されている。かかる勘定
は、特に社会的なプロジェクトを支援するための貸付保証、技術支援、金利補助金及び助成金の拠
出を提供するために使用されている。
2020 年、当行はSDAから1.9百万ユーロの助成金を承認した。最大の助成金は、コソボへの35百万
ユーロの融資に有利となる1百万ユーロの金利補助金である。かかる資金は、新型コロナウイルス
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感染症のパンデミックの影響を受けた人々、特に高齢者、慢性疾患を持つ人々及び医療従事者など
最も弱い立場にある人々に医療を提供するための当局の取り組みを支援するものである。
2020 年末現在、SDAの残高は49.7百万ユーロであった。
アルバニアの震災後復興計画への支援
2019 年11月26日にアルバニアを襲ったマグニチュード6.4の地震及びそれに続く1,000超の余震に
より、51人が死亡し、数千人が負傷した。ドゥラス、レジャ、ラチの町並びに首都ティラナ及びコ
ドラ-トゥマーンの村も深刻な被害を受けた。震災後の復興への取り組みは1十億ユーロ近くと見
積られ、欧州委員会は、必要な資金の一部を集めるために2020年2月17日にブリュッセルにて国際
拠出国会議を開催した。
CEB は、その社会配当金勘定からの500,000ユーロの助成金をもってプロジェクトの準備への取り
組みを支援した。かかる助成金は、ブリュッセルで開催された国際拠出国会議当日に署名された。
これにより、アルバニア開発基金は、技術研究のための専門家を追加雇用し、41の学校及び幼稚園
並びにシヤク、ドゥラス、ヴォールの主要インフラストラクチャーの設計を行うことができた。
i. 当行が供与する貸付及び保証の方針及び概略
定款及び第三議定書に従い、管理委員会は、当行が供与する貸付及び保証を規律する一般的な規則及
び原則を含む貸付及び事業融資の方針並びに貸付規則を決議第1562号(2013)に基づき認可した。さら
に、当行が認可する貸付又は保証ごとに、借入人及び当行は貸付契約又は保証契約を締結する。
当行の成文規則に基づき、貸付は、下記の法人に対して供与される。
ⅰ 当行の加盟国
ⅱ 当行の加盟国の保証のある当行の加盟国によって承認された法人
ⅲ 当行の加盟国が承認した法人。但し、管理委員会が、当該貸付が当行の成文規則に従って適切な保
証によりカバーされていると認めた場合に限る。
当行は、原則として、市場金利に沿って通常貸付を行う。当行は、代理手数料を差し引き、当行が市
場で獲得する利益を貸付の受益者に譲渡する。利用可能な資金の取扱いは、効率的かつ厳格に行われて
いる。
貸付及び保証の申請は全て、当行加盟国の政府により欧州評議会及び当行に提出されるものとする。
欧州評議会は、申請書及びその添付書類に記載されている目的事業につき、欧州評議会の政治的及び社
会的な目的に合致しているか否かを確認する。同時に、当行の総裁は事業の専門的及び財政的な見地か
ら報告書を作成する。欧州評議会による調査の結果、目的事業が上述の要件に合致していることが判明
し、総裁が専門的及び財政的な見地から当該事業に満足した場合には、申請書は、欧州評議会の許容す
る旨の意見書及び総裁の報告書とともに、最終的な承認を得るために管理委員会に提出される。当行
は、一般的に事業の総費用の50%までを融資することに同意している。
j. 2020 年における財務活動
ⅰ 財務ポートフォリオ
当行の貸借対照表の資産の部には、以下の1種類の金融ポートフォリオ及び3種類の有価証券ポー
トフォリオを含む4種類の財務ポートフォリオが計上されている。
・財務金融ポートフォリオは、1年満期までの短期私募債で構成される。
このポートフォリオの戦略的目的は、全ての必要な通貨の日々のキャッシュ・フローを管理す
ることである。3ヶ月満期までの短期私募債は、購入時に、最低BBB+の格付を取得していなくて
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はならない。3ヶ月満期から1年満期までの短期私募債は、購入時に最低A-の格付を取得してい
なくてはならない。
2020 年12月31日現在、かかるポートフォリオの短期私募債総額は、1,519百万ユーロであっ
た。
・短期流動性有価証券ポートフォリオは、1年満期までの短期有価証券で構成される。
これらの有価証券は銀行預金の代替をなし、当行の短期流動性ポジションの強化において、財
務金融ポートフォリオを補完する。
3ヶ月満期までの短期国債は、購入時に最低BBBの格付を取得していなくてはならず、3ヶ月
満期から1年満期までの短期有価証券は、最低A-の格付を取得していなくてはならない。
2020 年12月31日現在、かかるポートフォリオにおける短期有価証券総額は、1,900百万ユーロ
である。
・中期流動性有価証券ポートフォリオは、1年満期から15年満期までの投資有価証券で構成され
る。
かかるポートフォリオの戦略的目的は、満足のいく利回りを達成する一方で、当行の流動性ポ
ジションを強化することである。
中期有価証券は、購入時に最低A+の格付を取得していなくてはならない。
2020 年12月31日現在、かかるポートフォリオにおける有価証券総額は、1,975百万ユーロで
あった。
・長期流動性有価証券ポートフォリオは、1年満期から30年満期までの投資有価証券で構成され
る。
かかるポートフォリオの有価証券は、購入時に最低A+の格付を取得していることが要求され
る。
2020 年12月31日現在、かかるポートフォリオにおける有価証券総額は1,703百万ユーロであっ
た。
ⅱ デリバティブ
CEB の管理委員会が採用する金融及びリスク方針に従い、当行は貸付、投資及び資金調達取引から
生じる市場リスクをヘッジすることを目的としてデリバティブを使用する。当行は、エンドユーザー
として、デリバティブをヘッジ目的のみに使用する。
2020 年12月31日現在、当行が所有するヘッジ対象の種類別のデリバティブの内訳は、債券発行が
62%、貸付が33%及び有価証券が5%であった。
これらの金融商品に特有のリスクを避けるため、当行は、厳格なリスク管理方針を実施しており、
その原則の概略は、下記「(5)経理の状況」の注Bに記載されている。
信用リスクを制限するために、当行は、全てのスワップ取引相手方と担保契約を締結している。し
たがって、2020年12月31日現在、CEBのスワップ契約の全てに担保が付与されている。取得した担保
によって保証されない積極的市場価額の金額として計算される残余信用リスクは、最低限に抑えられ
ている。
ⅲ 2020年の資金調達
(a) 債券の発行
管理委員会が設定した年間借入承認に従い、CEBは、国際資本市場において債券を発行する。
2020年において、当行は、2020年の4.5十億ユーロの借入承認全額を十分に活用した。かかる金額
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は、14件の資金調達活動において調達され、これには満期が1年以上の5件の既発債の再発行が含
まれる。これに加えて、CEBは、2021年の借入承認に基づくプレファンディング事業において初め
て 1十億米ドル(0.85十億ユーロ)の債券を発行した。プレファンディングを除くと、2020年の調達
額の合計は、2019年の4.5十億ユーロから変わらなかったが、その構成は3件の既発債の再発行を
含む11件の資金調達活動であった。2020年の資金調達活動は、以下の3つの主要な目標を達成し
た。
- 当行の貸付活動から生じる需要を満たすこと
- 当行の満期債務の返済を可能にすること
- 当行の流動性を管理委員会が定める水準に維持すること
活動資金を調達するのに必要な資金源を確保するために、当行は、継続して、広範な機関投資家
を対象とした主要通貨建の指標銘柄に、特定の通貨での債券の発行又は投資家の特殊な需要に応え
るために設計された特有のストラクチャーを組み合せている。
2020 年に当行が調達した資金(プレファンディングを除く。)の48.9%がユーロ建、36.64%が米
ドル建、7.9%が英ポンド建、3.2%がスウェーデン・クローナ建、1.8%がノルウェー・クローネ
建、そして1.5%が香港ドル建であった。かかる取引により、当行は、投資家基盤を拡大すると同
時に、調達した資金を受けて当行が活動する市場を多角化することができた。
2020 年において、ユーロ建では、5件の銘柄が発行された。10年満期の1十億ユーロ指標銘柄及
び2023年5月満期の100百万ユーロ銘柄が1月にそれぞれ発行及び再発行され、当行の第4回目で
過去最大の額面となる7年満期の1十億ユーロのソーシャル・インクルージョン・ボンドが4月に
発行され、また2028年1月満期及び2030年1月満期のそれぞれ50百万ユーロの2件の銘柄が10月に
再発行された。
米ドル建では、3件の銘柄が発行された。5年満期の1十億米ドル指標銘柄が2月に発行され、
300百万米ドルの2年債が5月に発行され、また当行初となる米ドル建の3年満期の500百万米ドル
のソーシャル・インクルージョン・ボンドが6月に発行された。上述のとおり、プレファンディン
グに関連して1件の追加的な3年満期の1十億米ドル指標銘柄が2021年の借入承認の下、2020年10
月に発行された。
英ポンド建では、1件の銘柄が発行された。7年満期の300百万英ポンド指標銘柄が1月に発行
された。
これにより、2020年において、ユーロ、米ドル及び英ポンド市場は資金調達量の観点から最も重
要な市場のうちの1つであった。
その他の通貨建では、5件の銘柄が発行された。3年満期の1.5十億スウェーデン・クローナ銘
柄が1月に発行され、それぞれ2024年2月満期の500百万ノルウェー・クローネ銘柄及び375百万ノ
ルウェー・クローネ銘柄の2件がそれぞれ1月及び10月に再発行され、3年満期の香港ドル銘柄2
件がそれぞれ200百万香港ドル及び400百万香港ドルで発行された。
スワップを行った後、借入資金は全額ユーロ建となった。
2020 年の借入承認に基づいて実施された起債の満期の平均は、6.3年であった。下表は、資金調
達の詳細を原通貨建で示している。
2020 年に発行された債券
額面価額
払込日 満期日 通貨 期間 主幹事会社
(百万)
スウェドバンク(Swedbank)
2020年1月17日 2023年1月17日 SEK 3年 1,500
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バークレイズ(Barc)/ゴールドマン・
2020年1月21日 2030年1月21日 EUR 10年 1,000 サックス(GS)/野村證券(Nomura)/ソシ
エテ・ジェネラル(SG)
2020年1月28日 2023年5月25日 EUR 3年 100 ドイツ銀行(DB)
2020年1月29日 2024年2月26日 NOK 4年 500 ダンスケ銀行(Danske)
バンク・オブ・アメリカ(BoA)/ナット
2020年1月30日 2027年7月22日 GBP 7年 300
ウェスト(NatWest)
2020年2月27日 2025年2月27日 USD 5年 1,000 BNPパリバ(BNPP)/BoA/DB/TD証券(TD)
クレディ・アグリコル・コーポレー
ト・アンド・インベストメント・バン
2020年4月9日 2027年4月9日 EUR 7年 1,000
ク(CACIB)/シティバンク(Citi)/DZ銀
行(DZ)/香港上海銀行(HSBC)
2020年5月7日 2022年5月6日 USD 2年 300 BoA
2020年6月8日 2023年6月8日 HKD 3年 200 HSBC
CACIB/大和証券(Daiwa)/JPモルガン
2020年6月10日 2023年6月10日 USD 3年 500
(JPM)/NatWest
2020年9月15日 2023年9月15日 HKD 3年 400 HSBC
2020年10月15日 2028年1月24日 EUR 7年 50 BoA
2020年10月16日 2030年1月21日 EUR 9年 50 DB
2020年10月22日 2024年2月26日 NOK 3年 375 Swedbank
(*) 10月に発行された1十億米ドル指標銘柄は、2021年の資金調達活動の一部であるため、本表には表示されていない点に留
意されたい。
当行貸付金の借換を確保し、次期年度におけるキャッシュギャップを回避するために、2020年に
借入プログラムに基づいて実施された起債のうち、2019年が57.1%であったのに比べ、75.2%が5
年近くか又は5年以上の最終満期であった。
多通貨EMTNプログラムは、当行の発行の法的枠組みを金融市場の規制の変更に適応させるため、
2020年12月に更新された。豪ドル及びニュージーランド・ドルMTN(オーストラリアのプログラム)
は、2015年9月に最後に更新された。また、CEBのユーロ・コマーシャル・ペーパープログラム
も、2020年12月に更新された。ICMAのソーシャルボンド原則に沿ったCEBのソーシャル・インク
ルージョン・ボンドの枠組みは、適格セクターのリストに保健セクターを追加するために2020年4
月に更新された。
(b) 債券の傾向
2020 年12月31日現在、支払利息を除いた有価証券に表章される債券の未償還額は、21.9十億ユー
ロとなり、前年度末の20.5十億ユーロから増加した。
2020 年、当行は、長期債の買戻し、期限前償還を一切行わなかった。満期ごとの債券の内訳は、
下記図表のとおりである。
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k. リスク管理
リスク管理の包括的な目標は、当行の業務の弾力性及び長期的な財政の持続性を確保し、さらには
CEBがその社会的使命を遂行できるようにすることである。投資主及び投資家に対する当行の信頼性を
保つには、リスク管理の質も重要である。かかる信頼性のレベルは格付機関によって評価され、CEBの
リスク特性の査定において必要な要素を表している。
ⅰ リスク管理
(a) 目的
リスク管理の主要な目的は、当行の長期的な財政の持続性及び業務の弾力性を確保し、さらには
CEBがその社会的使命を遂行できるようにすることである。当行は国際的にも最良の銀行慣行を実
践し、業務分野全体で健全かつ慎重なリスク文化を促進している。
(b) 原則
CEB は、健全な要件の整合性を保証し、リスク・エクスポージャーを特定、査定、統合、監視、
報告、軽減及び統制するためのリスク政策の実施の監督を確保する包括的なリスク管理の枠組みを
発展させてきた。かかる枠組みは、フロント・オフィス、財務リスク並びに内部及び外部監査の3
つの防衛線によって明らかにされている。
当行のリスク管理の構造は、財務及びリスク政策、財務及びリスク政策ガイドライン並びに財務
及び政策ハンドブックにおいて提示されている。リスク管理の枠組みは、当行の開発計画と合致さ
せるために定期的に見直されている。さらに、リスク管理憲章は、2018年に管理委員会によって承
認され、国際的に最良な銀行慣行及び健全な要求の整合性を保証している。
財務リスク部門(リスク及び統制局)は、リスク管理の四半期報告書を公表して管理委員会及び理
事会へ提出し、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスクといった主要な
リスクに対するCEBのエクスポージャーの変更及び内部で定義される健全な枠組みの遵守につい
て、投資主へ情報を提供している。
同様に、CEBの総裁年次財務報告書は、リスク管理の手順及び実施について明記することによ
り、外部のリスク報告に寄与している。さらに、本年次報告書は、18-K様式に従って米国証券取引
委員会に自主的に提出される。
(c) リスク体制
リスク及び統制局(R&C)は、リスク管理の枠組みの実行について責任を負う。当局は、リスク政
策及び手段の提案、それらの実施の監督並びにリスク報告を行う。当局は、他の運営局及び事業局
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から独立しており、総裁に直接報告を行う。R&C部門は、信用リスク、市場リスク(リスクの観点で
の資産及び負債管理を含む。)並びにオペレーショナルリスク等の特定のリスク分野に取り組んで
い る。
総裁が議長を務める以下の意思決定委員会は、リスク管理の政策の制定及び監視について責任を
負う。
・信用リスク委員会(CRC)は、週に1度開催され、内部の信用リスク評価及び勧告に基づき、貸付
及び資金エクスポージャーに関する信用リスク決定を行う。
・資産及び負債委員会(ALCO)は、1ヶ月に1度(又は必要な場合はさらに頻繁に)開催され、金利、
外国為替及び流動性リスクの将来的な予測に基づき、戦略的な志向及び意向を形成する。
・オペレーショナルリスク及び組織委員会(CORO)は、オペレーショナルリスクに関する課題を半年
に1度検討し、これらのリスクを軽減、監視及び規制するための適切な方法が採られていること
を確認する。
・IT運営委員会は、情報システムの問題を見直し、業務の弾力性及び事業の継続性を確保するため
の措置を講じる。ITプロジェクト委員会は、事業要件の予測及びITに関する共有ビジョンの発展
を可能にする。
(d) 統制機関
内部監査は、CEBの内部統制システムにおける常設の独立した機能である。既存の政策、手続及
びベストプラクティスに従って事業、運営業務及びパフォーマンスが効率的に行われ、管理されて
いることについて独立的かつ客観的な保証を提供する。さらに、当行の運営に関して、将来的な改
善の提案も行う。
最高コンプライアンス責任者事務局(OCCO)は、マネー・ロンダリング及びテロ資金供与、脱税の
リスク並びに誠実性、汚職問題及び詐欺問題への対処を課せられている。OCCOは、CEBの金融及び
ローン事業における誠実性を保護し、風評リスクを防ぎ、企業理念の規範を促進している。
最高情報セキュリティー責任者(CISO)は、情報及び情報技術(IT)リスクの軽減のため、CEB全体
のセキュリティーの枠組みの設計及び手続の開発を行うことにより、当行のセキュリティーポリ
シーを設定する。
監査委員会は、優れた財務管理の方針、当行の収支決算の検査及びその正確性の確認に基づいた
当行の運営を保証することに責任を負う。理事会によって加盟国から交代で選任される任期3年の
代表者3名(退任者はアドバイザーとして引き続き任期1年で留任する。)で構成される。監査委員
会の報告書は、その抜粋が財務書類に添付される他、年次財務書類が承認のため提出される際に、
CEBの監督機関に提出される。
外部監査人は、外部報告に関し、当行の財務書類のIFAC専門監査基準に従った監査並びに内部統
制及びリスク管理のプロセスの審査を行う責任を負う。外部監査人は、意見書を含む多くの報告書
を作成する。監査委員会の意見及び管理委員会の推薦に基づき、入札手続の後に、理事会により任
期4年で任命され、また任期は3年に1度更新することができる。
さらに、当行は、国際格付機関であるムーディーズのスタンダード・アンド・プアーズ、フィッ
チ・レーティングス及びスコープ・レーティングスによる評価を受ける。これらの格付機関は、環
境、社会及びガバナンスの基準を含む信用格付を付与するために、当行の財務状況及び長期的な信
頼性を毎年詳細に分析する。
その優れた格付(ムーディーズのAa1(安定的)、スタンダード・アンド・プアーズのAAA(安定
的)、フィッチ・レーティングスのAA+(安定的)及びスコープ・レーティングスのAAA(未承諾)(安定
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的))により、CEBは優位な立場で資金を調達し、その結果、借入人が社会事業の資金調達のために
行う貸付の費用を著しく減らすことができる。
ⅱ 信用リスク
信用リスクは、当行の借入人又は取引相手方が合意した条件に従ってその義務を履行しないことに
より生じる潜在的な損失と定義される。当行は、借入人及び財務上の取引相手方が契約上の義務につ
いて債務不履行となる可能性があるか、又は当行の投資の価値が損なわれる可能性があるため、融資
活動及び財務活動の両方において信用リスクにさらされている。
また、格付の引下げ、支払義務に係る(クロス)デフォルト又は取引の決済手続に際して、信用リス
クが生じることがある。決済リスク及び未決済リスクもまた、信用リスクに含まれる。同様に、担保
リスクも信用リスクの一部とされる(担保は、本質的には信用リスクを軽減させる手段である。)。概
して、信用リスクとは、融資先又は取引の信用エクスポージャーの値と信用の質の関数である。
財務リスク部門(R&C)は、信用リスクを対処するため、取引相手方の信用リスクの質的及び量的要
因を評価し、融資先の信用の質を考慮してリスク条件及び対策を決定し、信用制限を定める。信用リ
スクの側面は、プロジェクト評価プロセスの最初から考慮される。
ⅲ 市場リスク
市場リスクは、金利又は為替の不利な変動の結果生じる損失のリスクと定義される。CEBは、とり
わけデリバティブを使用して、これらのリスクをヘッジしている。
金利リスク
金利リスクは、金利の不利な変動による当行の株主資本又は利益の経済価値の減少として定義され
る。金利リスクは、金融商品の契約上の満期又は金利改定日の期間差異によって発生する。
当行の戦略は、株主資本の経済価値の変動性を管理しつつ、安定した収益特性を維持することであ
る。この目的のため、CEBは自己資金の投資の目標デュレーションを設定し、半年ごとに見直しを行
う。
バーゼル委員会の勧告に従い、当行は、金利変動が利益及び株主資本の経済価値の両方に与える影
響を測定するための指標及び限度を設定している。CEBはまた、金利ギャップ・レポートを用いて、
ギャップ・リスク及びベーシス・リスクを監視する。最後に、当行は、財務省証券ポートフォリオの
時価評価感応度を監視している。
外国為替リスク
外国為替リスクは、外国為替相場における不利な動きに起因する、「オンバランスシート」及び
「オフバランスシート」のポジションに係る潜在的損失として定義される。
CEB は、いかなる通貨ポジションも保有せず、資産及び負債を体系的にユーロ通貨にヘッジしてい
る。ユーロ以外の通貨に対する利益を保有することで生じる残存リスクは、月次ベースで監督及び
ヘッジされる。オープン通貨ポジションは1通貨につき1百万ユーロ相当に制限されている。
ⅳ 流動性リスク
流動性リスクは、期限が到来した支払義務を適時に履行できないこと又は持続可能な費用による履
行が不可能であることに起因して損失が発生するリスクと定義される。
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流動性リスク管理は、特に不利な市場環境が市場における長期資金調達へのアクセスを制約する場
合に、CEBの財務の弾力性を保護する上で極めて重要な役割を果たす。
CEB は、異なる時間軸で流動性の指標を設定し、市場へのアクセスなしに通常の活動を継続しなけ
ればならないような極端な市場状況の潜在的な期間に耐えるのに十分な流動資産を保有することに
よって、流動性を管理するための賢明なアプローチを維持している。
当行の資金調達戦略は、資産及び負債の満期特性の間の著しいギャップを回避し、債券発行プログ
ラム、資金調達市場及び投資家の基盤を多様化することである。
当行は、不利な市場環境において市場価値及び流動性が維持される流動性の高い有価証券から構成
される流動性準備金を保有することを保証する。
CEB の流動性リスクに対する耐性は、包括的なリスク指標に置き換えられ、適切な制限によって支
えられている。その主要な指標は、厳格なストレス・シナリオに基づき計算される流動性ギャップ及
び流動性比率である。この観点から、CEBは、国際的な規制の枠組みには服さないものの、バーゼル
Ⅲの流動性比率の適合性を追求している。
自給期間は、当行が、市場にアクセスせず、また取引可能な流動資産の売却/回収を行うことな
く、継続事業から生じるストレス付加後の想定支出純キャッシュ・フローを満たすことができる期間
を評価するものである。存続水準は、当行が、市場にはアクセスしないものの、市場で取引可能な流
動資産の売却/回収を含む継続事業から生じるストレス付加後の想定支出純キャッシュ・フローを満
たすことができる期間を評価するものである。流動性ギャップ指標と同様に、短期流動比率(STLR)
は、流動性の源泉と、1ヶ月から1年の正確な期間水準での使途とを比較した比率である。最後に、
CEBは、流動性カバレッジ比率(LCR)及び安定調達比率(NSFR)の要件を監視する。
最後に、デリバティブ取引における相対的証拠金規制への移行に関連して、CEBは、デリバティ
ブ・ポートフォリオの価値の不利な変化に関連する流動性需要を定量化するため、モンテカルロシ
ミュレーションに基づく確率モデルを開発した。
ⅴ オペレーショナルリスク
CEB は、オペレーショナルリスクについて、不適切若しくは破綻した内部プロセス、人員及びシス
テム又は外部的事象の発生に起因して潜在的損失が発生するリスクと定義しており、法的リスクを含
んでいる。さらに、CEBは、その事業に関連する風評リスクを考慮している。
オペレーショナルリスク部門(リスク及び統制局)は、業務分野との共同により、日々のオペレー
ショナルリスク管理を調整する。中央管理枠組みは、所定の方法、リスク軽減手段及び実行計画を通
じて、リスクの評価を提供する。オペレーショナルリスクの事故の収集は、管理枠組みの有効性を確
保し、リスクのマッピング及び評価を完了する。
恒久的な内部統制の枠組みは、各局の統制環境がその設計及び有効性の点で常に適切であることを
保証しており、かかる有効性は年次報告書において評価されている。
さらに、業務分野手続を通じて、オペレーショナルリスク部門は包括的な手続及び管理マップを維
持している。
加えて、事業継続計画(BCP)は、当行の事業活動の混乱に対するヘッジを行う。
オペレーショナルリスク管理政策は、オペレーショナルリスクの特定、評価、管理及び報告に係る
方法を成文化する。これは、CEB全体における有効かつ整合的な管理を確保するための健全な実務に
ついて定めている。
l. ガバナンス及び人事
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ⅰ コンプライアンス
最高コンプライアンス責任者事務局(OCCO)は、コンプライアンス違反のリスクを管理し、当行を財
務損失及び評判損失から守る。OCCOは、マネーロンダリング防止、テロの資金供与の阻止、税金詐欺
及び有害な税慣行の防止並びに高水準の誠実性、倫理、不正及び腐敗防止に対するCEBのコミットメ
ントが当行のプロジェクト・サイクルの全ての段階に組み込まれることを確保する。個人データ保護
及び情報セキュリティーは、CEBにおけるOCCOの責務の大部分を占めており、最高情報セキュリ
ティー責任者(CISO)により管理されている。
2020 年、OCCOは新型コロナウイルス感染症のパンデミックに対応して、新しいデジタル化された労
働環境に迅速に適応し、全てのコンプライアンス機能(プロジェクト及び債券発行のデュー・ディリ
ジェンス、調達の妥当性、商業倫理、苦情処理、調査、コンプライアンス研修並びに情報セキュリ
ティー及び個人データ保護における責務)における事業継続性を途切れなく維持した。
具体的には、OCCOは、事業融資と資金調達活動のための第2の防衛線に立ち続け、その目的と責務
を日々達成した。OCCOは、当行のポートフォリオのコンプライアンス・リスク評価に加えて、各取引
先に対して個別のコンプライアンス・リスク評価を実施し、風評低下リスク及びその他の非財務リス
クとの整合性を確保した。
さらに、OCCOは、CEBのイントラネット・ポータル内にそのマイクロサイトを立ち上げ、主要なコ
ンプライアンス政策文書の改善と改革を継続し、CEBのEUの柱の評価に貢献した。
OCCO は、その情報セキュリティー保護の責務において、情報セキュリティー戦略計画及び個人情報
保護行動計画を策定し、提供した。CEBの同業他社と足並みを揃えて、当事務局はCEBの中核的なシス
テムのデータ保護影響評価を進め、採用準備の整った当行のデータ分類方針の見直しと更新を完了し
た。
2020 年において、OCCOの研修と意識向上活動は、主に仮想環境の中で継続された。新入社員のため
の義務的なコンプライアンス導入セッションがオンラインで行われた一方で、腐敗防止に関する全職
員のためのフランス腐敗行為防止規制当局(AFA)との「タウンホール」ミーティングが2020年1月に
対面で行われた。パスワード管理に関する4つのウェビナーが開催され、効率的で継続的な研修及び
意識向上を確実にするためにeラーニング・プラットフォームが導入された。総裁からのトップから
のメッセージは、OCCOの目標への強い支持並びに汚職及び不正行為へのゼロ容認を再確認した。OCCO
は2020年に、リモートワークによるリスクの増大及び一般的な倫理問題に関する2つのニュースレ
ターを発行した。
OCCO はまた、欧州最高コンプライアンス責任者(ECCO)の2020年の年次総会を初となるバーチャル会
議として主催し、欧州の国際開発金融機関6行から参加者を集い、コンプライアンス文化、新型コロ
ナウイルス感染症のパンデミックがもたらす課題、内部告発並びに環境、社会及びガバナンス(ESG)
のコンプライアンスについて議論した。
ⅱ 内部監査
内部監査局(IA)は、CEBの内部統制システムにおける、常設の独立した上位の機能である。IAは、
総裁及びCEBの統制機関に対し、事業及び運営が効率的に行われ、管理されていることを保証する。
内部監査憲章は、IA機能の目的、地位及び権限について明記している。IAは、IAによる検証が独立
的かつ客観的に行われていることを保証するため、当行のいかなる運営活動にも関与しない。
IA は、CEBの活動が、既存の政策、手続及びベストプラクティスに沿って行われているか検証し、
またそれらの関連リスクを評価する。さらに、改善方法に関する提案も行う。
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監査の任務は、数ヶ年のリスクに基づき定期的に作成される監査計画に基づいた年次活動計画に
従って行われる。
ⅲ 評価
評価局(EVO)は、当行の業務、イニシアチブ及び商品に対する客観的な評価を行い、また当行の活
動の改善を目的とした根拠に基づく知識を広め、その意思決定者に情報を提供することにより、CEB
の説明責任及び知識に貢献している。CEBは、評価機能の公平性及びその業務の客観性を保証するた
めに、その活動計画の策定及び実施におけるEVOの独立性を確保することに真摯に取り組んでいる。
2020 年、EVOは、社会的影響に焦点を当てた信用供与枠の協調融資のために協同組織金融機関への
CEBの貸付金の評価を開始した。かかる評価から得られた教訓及び推奨事項は、社会的及び環境的に
責任のある事業活動を達成することに真摯に取り組んでいる企業を支援するために、将来のCEBの活
動に情報を提供することが期待される。さらに、EVOは、特定の国家開発/助成銀行へのCEBの関与及
び公的部門を支援するための当行の金融商品の有効性を含む、企業の関心事項に関する今後の評価業
務のための土台を準備した。
EVO は、その評価を通じて得られた知識の普及に特に注意を払っている。2020年、CEBのウェブサイ
トにはその最新の3件の評価の要約が掲載された。そのうち1件の要約は、多くのCEB加盟国を襲っ
た移民危機を受けて2015年に設立された当行の移民及び難民基金(MRF)のパフォーマンスの包括的な
評価を提供している。EVOはまた、司法インフラストラクチャーに焦点を当てたCEBの融資事業の評価
の要約並びに移民、帰還者及びロマ族を対象としたCEB事業の評価を含む統合報告書を発表した。
EVO はまた、評価コミュニティ及び開発実務者の間での当行の知名度を高め、社会開発に真摯に取
り組む責任ある国際金融機関としてのCEBの地位を強化することを目指している。これに関連して、
EVOは2020年にCEBの新しい出版シリーズである エヴァリュエーション・パースペクティヴズ を発行し
た。2020年12月に発行された第1号は、「住宅プロジェクトの全体的評価及び持続可能な開発のため
の2030年アジェンダ:現場からの教訓」と題されている。かかる文書は、社会的弱者であるグループ
を対象としたCEBが資金提供した様々な住宅投資の評価から得られた教訓を基にして、住宅プロジェ
クトに対する全体的及び社会的に統合されたアプローチのための事例を提示した。
CEB は、知識共有とコーポレート・コミュニケーションの目的のために評価の洞察と経験をさらに
活用した。評価結果の抜粋は、当行の四半期ニュースレターである CEBインフォ に掲載され、評価の
課題に関するインタビューがCEBのソーシャルメディアで放送され、また当行内で根拠に基づく学習
を促進するために、評価知識に関するイベントが企画された。
ⅳ 持続可能性
社会的側面と環境的側面の両方において、持続可能性はCEBの財務活動及び内部業務の重要な要素
である。実際では、環境問題及び気候問題への取組みに積極的に貢献しながら、当行自身の二酸化炭
素排出量を最小化し、従業員の取組みを高め、CEBが出資を提供している事業により、欧州での
人々、特に最も立場の弱い人々の生活状況が効果的に改善されることを確保している。
当行の全ての局及び関連する部門は、企業責任及びコミュニケーション部長並びにCSR責任者の協
調の下、当行内の企業の社会的責任(CSR)担当者の社内ネットワークに代表され、持続可能性に関連
する幅広いテーマを扱う。
当行の環境、社会及びガバナンス(ESG)の課題に関する全体的なパフォーマンスは、ESG評価機関に
より定期的に評価される。2020年に、ヴィジオ・アイリス(Vigeo Eiris)から当行に連絡があり、当
行は「Advanced」のパフォーマンス・レベルの評価を受けた。これまでにCEBのESGパフォーマンスを
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評価したその他3つのESG評価機関につき、ISS ESGは「Prime」、MSCI ESGは「Leader」、またその
評価方法を変更したサステイナリティクス(Sustainalytics)は「Negligible ESG Risk」と、それぞ
れ の評価を確認した。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、持続可能性とレジリエンスの必要性がさらに高
まっていると同時に、格差が拡大し、社会的一体性が脅かされている。このような背景の下、CEB
は、テレワークや新型コロナウイルス感染症後の回復に向けた準備を通じて自らの事業継続性を確保
しつつ、規模を拡大したタイムリーで的を絞った柔軟な資金調達対応を提供することにより、欧州の
社会開発銀行としての意義を発揮してきた。
そのGRIインデックスを含む2020年のハイライトの詳細は、持続可能性報告書(総裁報告書と並行し
て発行される。)のとおりである。
ⅴ 人事
2020 年、CEBの多様なスタッフは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって公私にわた
り様々な課題が生じたにもかかわらず、回復力があり、機敏で生産的であることを証明した。プロ
ジェクト承認の大幅な増加に加えて、当行の2019年のパフォーマンスに関して当行に起因する部分的
に不満足又は不満足な評価はなく、2020年の成果に関してもその予測はされていない。2020年のパ
フォーマンス評価では、10%が「非常に良い」、22%が「とても良い」、68%が「良い」貢献という
結果となった。病欠が減少し、テレワークや生産性が増加した。
(a) 従業員
CEB は、209名の正職員を雇用しており、そのうち54%が女性、46%が男性である。かかる正職員
のうち、144名は専門職員(44%が女性、56%が男性)、65名が補助職員(75%が女性、25%が男性)
である。CEBの職員の平均年齢は49歳であり、平均の在職期間は11年である。
一部の国際機関は2020年に新型コロナウイルス感染症のため採用を停止したが、CEBは職務の欠
員を避けるためにリモートでの採用を維持し、総裁は17名の職員を任命した(16名の新規採用及び
管理職への女性職員1名の昇進)。さらに、当行は、時間厳守のニーズを満たすために臨時職員を
雇用する特権を有しており、これもまた、欠員やリスクを回避するために効率的であることが証明
されている。
2020 年に雇用された新たな職員は、女性11名、男性5名である。
(b) 人事の多様性
数年間にわたって、当行は、改訂欧州社会憲章に規定された権利及び原則の奨励に努めながら、
ダイバーシティー及びインクルージョンの文化を発展させてきた。したがって、職員は直接的又は
間接的な差別、特に人種、民族、社会的出身、皮膚の色、国籍、障がい、年齢、結婚暦又は家族状
況、ジェンダー又は性的指向及び政治的、哲学又は宗教的意見を理由とした差別を受けず、平等な
待遇を受ける権利を有する。
CEB は現在、任命された職員に関して、3つの主要な多様性の側面、すなわち性別、国籍及び経
歴を追跡している。
ジェンダー:2020年には、女性が任命全体の71%を占め、A等級やA4以上の職種を含め、過去5
年間増加し続けている。
前述のとおり、2020年の外部採用者16名のうち、11名が女性、5名が男性であった。女性の外部
採用者11名のうち、1名が管理職レベル、6名が専門職レベル、4名がサポートレベルで採用され
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た。男性5名のうち、4名は専門職レベル、1名がサポートレベルで採用された。管理職レベルで
募集している2つの職務、すなわち外部採用1名(技術評価及び監視局の局長)及び社内昇進1名
(評 価事務局の事務局長)は女性に提供された。これは、CEBのジェンダーの平等及び多様性戦略に
沿ったものである。
国籍:2020年に行われた17の任命は、ラトビア、リトアニア及びスイス等の比較的目立たない
国々を含む12の異なる国籍を示している。
経歴 : 2020年のほとんどの任命は、その他の国際機関(9名の新たな職員)からの転職であり、公
的部門及び民間セクターの経験者がこれに続いた。
(c) ダイバーシティー及びインクルージョン
ジェンダーの平等及び多様性の原則は、CEBの内部方針及びプロセス、特に選任及び訓練方針の
規則の主流となっている。パフォーマンス管理ガイドラインを通じて、査定官は、女性及び男性の
貢献を公平に評価して報酬を与える環境を推進し、ジェンダーの多様性の手本として活動すること
を奨励されている。
当行は現在、EDGEのジェンダー平等の再認証を最終決定しており、局を横断する代表者を含むそ
のジェンダー多様性グループと協議して、ジェンダーの平等をさらに改善するための行動計画を策
定している。
特に、CEBは、今後数年のうちに退職する上級管理職が属するリーダーシップレベルを優先し
て、全ての管理職レベルにおける女性の割合が増加するよう引き続き努力する。いまだに女性が圧
倒的多数を占める補助職レベルにおけるジェンダーのバランスを改善するためのさらなる努力が行
われる。また、CEBは、あまり代表されていないいくつかの国において、その魅力が比較的少ない
ことに対処する手段を検討する。
ジェンダーに配慮した経営文化を促進する一環として、2019年に開始された指導プログラムが
2020年に成功裏に完了した。外部のファシリテーターの指導の下、11名の女性(B6からA3までの階
級)と8名の指導者(A4からA6までの階級の女性3名、男性5名)がペアで分けられた。第2回目の
指導プログラムが、CEBで1年から3年の経験を有する職員を対象として2021年に開始する予定で
ある。
(d) 職員の福利
今年度、突然リモートワークが多用されたこと及び新型コロナウイルス感染症によって不確実な
環境が生まれたことを考慮して、全ての職員に本社の人間工学に関するワークショップ及び個別の
アドバイス並びにストレス管理のウェビナーが提供された。さらに、定期的な安全衛生サービスの
一環として、ボランティアスタッフの18%を対象とした応急処置訓練も実施した。また、当行のス
ポーツ協会はZoomを通じたクラスを継続し、毎年開催されるCEBデーは局間を横断するチームによ
るオンライン・ゲームに置き換えられた。
CEB は、デジタル及び物理的な交流の適切なバランスを取ることの重要性を認識しており、2021
年には、組織への帰属意識を強化するために、総合的な衛生状態に応じて敷地内外での社交行事を
再開することを検討する。
パンデミック以前には、職員の18%が週1日のテレワークに制限された通常のテレワーク契約を
(1)
結んでおり 、また職員の約半数が年平均4.7日の臨時の在宅勤務をしていた。この状況は、2020
年3月にフランスで初めてロックダウンが実施されたことで劇的に変化し、職員全員が突然週5日
(2)
の在宅勤務となった。EDGEの職員調査 で示されたように、女性の83%、男性の87%が、パンデ
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ミックの間、私生活を犠牲にすることなく仕事を遂行するために必要な柔軟性を直属の管理者が与
えてくれたことに同意又は強く同意した。
CEB は、当行の全体的なパフォーマンスを最適化することを目的として、引き続き柔軟な業務体
制の改善、労働力の多様化、学習機会及び専門的能力の開発機会の提供並びに職員のケアを行う。
注(1) CEBの総裁規則07/2015は、週1日又は月5日の通常のテレワークを、また年間最大20日の臨時のテレ
ワークを認めている。
注(2) 現在当行で進行中のEDGEのジェンダー平等(edge-cert.org)の再認証プロセスは、9月に開始し10月16日
に終了した職員調査から成り、その回答率は61%であった。
m. 本邦との関係
当行は、今日に至るまで20年超にわたり、日本の金融市場において安定した活動を行ってきた。
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(5)【経理の状況】
以下に掲げる財務書類は、KPMGオーディット ( フランスにおける独立監査人) により監査されてい
る。KPMGオーディットは、当該財務書類は、欧州連合により採用されるIFRS基準に従って、2020年12
月31日現在の当行の財務状況並びに同年の財務成績及びキャッシュ・フローを、全ての重要な点にお
いて適正に表示しているとの意見を述べている。
欧州連合によって採用されたIFRS基準に従って作成された財務書類
当行の目的
当行の主たる目的は、難民の移動や他の強制的な人口移動の結果、難民、避難民又は移民が存在する
ことになったこと、及び自然災害や環境災害の被害者が存在することになったことを受けて、欧州諸国
が直面している、又は直面するかもしれない社会問題の解決を支援することである。
当行が寄与している投資事業は、これらの人々をその滞在国において援助すること、又は帰国する条
件が整った時にこれらの人々を祖国へ帰還させること若しくは可能な場合は受入国へ移住させることを
目的とする。これらの事業は、当行の加盟国に承認されなければならない。
当行は、さらに、貧しい地域での雇用創出、低所得層のための住宅提供又は社会的インフラストラク
チャーの創設を可能にするため、当行の加盟国により承認された投資事業の実現に寄与する。
( 定款第2条)
活動分野
欧州評議会開発銀行(CEB又は当行)は、社会的一体性の利益になるよう、社会的志向の投資事業の実
行に寄与している。当行は、管理委員会の決議第1611号(2019)に従い、以下の3つの主要な分野別活動
路線を通じてこれを実行している。
・包括的な成長:全ての人々にとっての豊かな未来を確保するため、経済的機会へのアクセスを保証す
る取組み
・社会的弱者グループへの支援:より多様な社会を育てるため、社会的に最も弱い立場にある市民の統
合を支援
・環境維持:環境維持を促進し、気候変動を緩和し適応する住みやすい社会を支援
プロジェクトは、上記の分野別活動路線の1つ又は複数に該当する可能性がある。これらの分野別活
動路線は、難民、移民、避難民その他社会的弱者グループに対する援助、低所得者層のための住宅の供
給、都市部及び地方の生活水準の改善、自然災害又は環境災害、環境保護、歴史的及び文化的な遺産の
保護及び復旧、保健、教育及び職業訓練、行政及び司法のインフラストラクチャー、並びに自立可能な
雇用の創出及び維持のための中小零細企業(MSME)の支援の活動分野において、CEBの明確な社会的使命
及び当行の全ての活動の基礎となる発展論理の両方を反映したものになっている。
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有価証券報告書
貸借対照表
(単位:千ユーロ)
注記 2020年12月31日 2019年12月31日
資産
現金及び中央銀行における残高 1,060,252 677,861
損益を通じて公正価値で測定する金融商品 C 158,614 313,302
ヘッジ・デリバティブ金融商品 C 992,233 838,246
株主資本を通じて公正価値で測定する金融
G 4,035,447 4,117,841
資産
償却原価での金融資産 G
貸付金 17,919,658 15,807,267
前渡金 1,517,278 2,169,183
負債証券 1,785,361 1,977,538
有形資産及び無形資産 H 59,464 57,824
その他資産 I 430,961 182,729
資産合計 27,959,268 26,141,791
負債及び株主資本
負債
損益を通じて公正価値で測定する金融商品 C 549,039 187,340
ヘッジ・デリバティブ金融商品 C 651,892 531,460
償却原価での金融負債 J
信用機関及び顧客に対する負債額 130,606 153,940
発行済負債証券 22,772,270 21,228,068
その他負債 I 313,367 583,134
社会配当金勘定 K 49,749 48,544
引当金 L 360,168 320,501
負債合計 24,827,091 23,052,987
株主資本
資本金 M
引受済資本金 5,477,144 5,472,219
(4,864,180) (4,859,802)
未払込資本金
払込請求済資本金
612,964 612,417
一般準備金 2,553,081 2,456,101
74,802 104,685
当期純利益
資本金、一般準備金及び当期純利益合計
3,240,847 3,173,203
株主資本に直接認識された損益 (108,670) (84,399)
株主資本合計 3,132,177 3,088,804
負債及び株主資本合計 27,959,268 26,141,791
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有価証券報告書
損益計算書
(単位:千ユーロ)
注記 2020年 2019年
利息及び類似の収入
株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産 (2,999) 40
償却原価での貸付金及び前渡金 32,067 71,827
償却原価での負債証券 56,408 62,432
利息費用及び類似の手数料
償却原価での信用機関及び顧客に対する負債額 2,744 2,233
償却原価での発行済負債証券 63,473 25,215
その他利息費用及び類似の手数料 (4,827) (5,158)
金利差益 N 146,866 156,589
損益を通じて公正価値で測定する金融 商品からの純損益 P (3,106) 665
株主資本を通じて公正価値で測定する 金融 資産からの
純利益 76 47
手数料(収入) 1,348 1,242
手数料(費用) (5,853) (2,010)
銀行業務純益 139,331 156,533
一般営業費用 Q (50,981) (49,027)
有形資産及び無形資産の減価償却費 H (5,746) (4,786)
総営業収入 82,604 102,720
リスク費用 R (7,802) 1,965
純利益 74,802 104,685
包括利益計算書
(単位:千ユーロ)
2020年 2019年
純利益 74,802 104,685
損益計算書に再分類される可能性のある項目 (683) (11,941)
株主資本を通じて公正価値で測定する負債証券の価格変動 (2,295) (1,148)
ヘッジ・デリバティブ金融商品の価格変動 1,612 (10,793)
損益計算書に再分類されない項目 (23,588) (50,105)
年金計画関連の保険数理計算上の差異 (20,249) (42,523)
その他の退職年金関連の保険数理計算上の差異 (3,291) (7,774)
資本性金融商品の価格変動 (49) 192
包括利益のその他の要素合計 (24,271) (62,046)
包括利益 50,531 42,639
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株主 資本勘定変動報告書
(単位:千ユーロ)
資本金及び準備金 株主資本に直接認識された損益
株主資本
を通じて
公正価値 ヘッジ・ 保険
で測定す デリバ 数理
資本性
払込請求済 準備金 る負債 ティブ
計算上の 金融 株主資本
資本金 及び実績 合計 証券 金融商品 差異 商品 合計 合計
2019年1月1日
現在の株主資本 612,417 2,456,100 3,068,517 27,249 18,822 (68,853) 429 (22,353) 3,046,164
2019会計年度の
利益 104,685 104,685 104,685
株主資本に直接
認識された資産
及び負債の価格
変動 (1,148) (10,793) (50,297) 192 (62,046) (62,046)
2019年12月31日
現在の株主資本 612,417 2,560,786 3,173,203 26,101 8,029 (119,150) 621 (84,399) 3,088,804
増資 547 2,296 2,843 2,843
2019会計年度の
利益処分 (10,000) (10,000) (10,000)
2020会計年度の
利益 74,802 74,802 74,802
株主資本に直接
認識された資産
及び負債の価格
変動 (2,295) 1,612 (23,540) (49) (24,271) (24,271)
2020年12月31日
現在の株主資本 612,964 2,627,883 3,240,847 23,806 9,641 (142,690) 572 (108,670) 3,132,177
2020 年度において、アンドラの加盟に伴い、当行の引受済資本金は4,925千ユーロ増加した。このう
ち547千ユーロは請求済資本金に関連するものであった。準備金への拠出額は合計2,296千ユーロであっ
た。
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キャッシュ・フロー計算書
(単位:千ユーロ)
12月31日に終了した年度 2020年 2019年
当期利益 74,802 104,685
+/-有形資産及び無形資産の減価償却費積立 5,746 4,786
+/-減損引当金 7,811 (1,972)
+/-投資活動による純損益 20,878 17,707
+/-未収の受取利息の変動 24,205 16,665
+/-未収の支払利息の変動 (25,057) (64,017)
+/-その他の変動 17,358 12,273
業績に含まれる非通貨項目の合計 50,941 (14,558)
+信用機関及び顧客への営業に関連するキャッシュ・フロー 2,669,329 2,457,279
-信用機関及び顧客への営業に関連するキャッシュ・フロー (4,520,843) (3,177,668)
+金融資産又は金融負債に影響するその他の営業に関連するキャッシュ・
フロー 5,613,943 5,788,488
-金融資産又は金融負債に影響するその他の営業に関連するキャッシュ・
フロー (6,020,064) (5,518,097)
+/-非金融資産又は非金融負債に影響する営業に関連するキャッシュ・
フロー (11,730) 2,266
営業活動の結果による資産及び負債の純キャッシュ・フロー (2,269,365) (447,732)
営業活動による純キャッシュ・フロー合計(a) (2,143,621) (357,606)
+償却原価での負債証券に関連するキャッシュ・フロー 180,000 150,000
+/-有形資産及び無形資産に関連するキャッシュ・フロー (7,160) (7,108)
投資活動による純キャッシュ・フロー合計(b) 172,840 142,892
+/-加盟国からの/へのキャッシュ・フロー 8,451 (2,320)
+償却原価での発行済負債証券によるキャッシュ・フロー 8,585,440 10,597,526
-償却原価での発行済負債証券によるキャッシュ・フロー (6,629,431) (9,263,466)
財務活動による純キャッシュ・フロー合計(c) 1,964,461 1,331,741
現金及び現金同等物における外国為替レート変動の影響(d) (14,784) 7,166
現金及び現金同等物における純増加/(減少)(a)+(b)+(c)+(d) (21,104) 1,124,193
期首における現金及び現金同等物 2,550,085 1,425,892
現金及び中央銀行における残高 677,948 450,181
信用機関の要求に応じた支払可能な前渡金及び定期預金 1,872,137 975,711
期末における現金及び現金同等物 2,528,981 2,550,085
現金及び中央銀行における残高 1,060,360 677,948
信用機関の要求に応じた支払可能な前渡金及び定期預金 1,468,620 1,872,137
現金及び現金同等物の変動 (21,104) 1,124,193
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財務書類に対する注記
注A:当行によって 適用される主要な会計方法の概要
1. 会計基準
1.1. 適用される会計基準
当行の個別の計算書類は、欧州連合によって採用された国際財務報告基準(IFRS)に従って作成されてい
る。
当行は、2020年度において、欧州連合が採択済みであるが実施が任意であった新しい基準、改訂又は解
釈を実施しなかった。
1.2. 金利指標改革(IBOR改革)
・ 改革の経緯
2014年、金融安定理事会及び証券監督者国際機構は、IBOR指標の強化並びに翌日物金利及び実取引に基
づくリスク・フリー・レート(RFR)による置換について提言を行った。
2020年1月15日、欧州連合は、「金利指標改革-フェーズ1(IFRS第9号、IAS第39号及びIFRS第7号の
改訂)」を承認する欧州委員会規則を公表した。本規則により導入される変更は、IBOR改革が財務報告に及
ぼしうる影響への最初の対応であり、指標の置換に先立つ課題に対処するものである。
また、2021年1月13日、欧州連合は、「金利指標改革-フェーズ2(IFRS第9号、IAS第39号、IFRS第7
号、IFRS第4号及びIFRS第16号の改訂)」を承認する欧州委員会規則を公表した。本規則により導入される
変更は、IBORの他の金利指標による置換を含む金利改革後に財務報告に生じうる問題に対処するものであ
る。
・ IBORの置換プロセス
各IBORの置換プロセスは、通貨により異なる段階にあり、進行の速さもまちまちである。ユーロEONIA、
英ポンドLIBOR、日本円LIBOR、スイス・フランLIBOR並びに1週間及び2ヶ月の米ドルLIBORの各指標は
2021年以降に廃止される一方で、EURIBOR、WIBOR、BUBOR及びSTIBORの各指標は、改革後のフォーマットで
2021年以降も公表が予定されている。期間が1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、及び12ヶ月の米ドルLIBORは、2023
年6月までに廃止の予定である。
・ 改革実施プロジェクトの体制及び当行に対する影響
デリバティブに関して、CEBは2021年1月、ISDAのIBORフォールバック・プロトコルに準拠した。このプ
ロトコルは、同プロトコルに準拠したその他全ての取引相手方との既存のISDAマスター契約及びこれらに
基づく残存スワップを、IBORフォールバック・レートを組み込んだものへと多当事者間で修正するもので
ある。一定のトリガー事由が発生した場合(特に、いずれかのIBORの公表が永久に停止された場合)、これ
らのフォールバック・レートが、これらの契約又はスワップにおいて参照される既存の各IBORに代わるも
のとなる。ISDAがIBORフォールバック・プロトコルと併せて公表した修正後の定義により、同じフォール
バック・レートが新規のスワップに適用される。
当行は、貸付事業の一環として、顧客に供与した変動金利の貸付金に係るIBORエクスポージャーを保有
している。CEBは貸付、投資及び資金調達取引に関する市場リスクをヘッジするために、金利スワップ
(IRS)及び通貨金利スワップ(CIRS)を使用する。
当行の事業を考慮すると、当行が金利指標改革を適用するのは2021年中となる見込みである。ワーキン
グ・グループがこの移行によるリスク及び起こりうる影響について評価を行っており、また、先を見越し
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て金融規制機関及び職能団体が提唱する最新動向を監視している。当行は、新しい指標に関する現行規則
及び将来の規則に則り、現行のIBOR指標から新しいリスク・フリー・レートに移行するための行動を既に
起 こしている。
1.3. 表示通貨
財務書類の表示通貨はユーロである。財務書類及び注記において表示される金額は、別段の定めのない
限り、千ユーロ単位である。
2. 外貨取引
財務書類はユーロ建で記載される。
外貨建通貨資産及び負債は、会計年度末日に適用される為替レートでユーロ(CEBの機能通貨)に換算され
る。この取引換算から生じた為替変動は、損益計算書に計上される。
先物通貨取引は、かかる通貨の残存期間に適用される先物為替レートを用いて時価で評価される。ス
ポット為替ポジションは、会計期間末日のスポット為替レートで評価される。為替差額の結果は損益計算
書に計上される。
3. 予測の使用
IFRS の適用において、CEBは、当行の金融商品の価額を決定するために予測を使用しており、主にデリバ
ティブ商品の評価並びに金融資産及び金融約定に関する市場リスクの確定が目的である。これらの要素を
除き、CEBの活動の性質は、判断及び評価の複雑性の観点から、財務書類の作成において重大な予測又は決
定的な仮定を必要としない。しかしながら、経済及び人口統計の想定は、退職給付の社会的約定の評価に
使用される。
4. 金融資産及び金融負債
金融商品とは、現金又はその他の金融資産を受領するか若しくは支払う契約上の権利又は義務をいう。
CEBの銀行業務は一般に、貸付金、負債証券、発行済負債証券及びデリバティブ(スワップ、先物)等の広範
囲の資産及び負債を対象とした金融商品の形態の契約上のものである。
財務書類において、金融資産及び金融負債の分類及び評価方法は、その契約上の特性及びCEBがこれらの
金融商品を運営する方法による。
しかしながら、この区別は、保有目的(市場活動又はヘッジ取引)とは関係なしに貸借対照表において常
に公正価値で測定されるデリバティブ商品には適用されない。
金融商品は、取引日ベースで認識される。
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金融資産及び金融負債の分類及び測定
当初認識時に、金融資産及び金融負債は、貸借対照表において、3つの区分(償却原価、損益を通じて公
正価値で測定する、株主資本を通じて公正価値で測定する)に分類され、かかる区分により会計上の処理及
びこれに続く測定が決定される。この分類は、契約上のキャッシュ・フローの特性及び当行の金融商品の
運営方法(事業モデル)に基づく。
契約上のキャッシュ・フローの特性の分析
契約上のキャッシュ・フローの特性の分析は、その特性が基本融資契約の特性と類似している商品にの
み実効金利法を用いて金融資産からの利益の計上の可能性を制限することを目的としているが、これは関
連キャッシュ・フローの高い予測可能性を意味している。かかる特性を有さないその他の金融商品は全
て、それらが保有される事業モデルとは関係なしに、損益を通じて公正価値で測定する。
元本の返済及び元本残高に係る利息の支払いのみを表す契約上のキャッシュ・フローは、基本融資契約
(SPPIフロー:元本及び利息の支払いのみ)に矛盾しない。
基本融資契約において、利息は主に金銭の時価及び信用リスクの対価から成る。基本的でない金融資産
は全て、それらが保有される事業モデルと関係なしに、損益を通じて公正価値で測定して認識しなければ
ならない。
モデルの分析
事業モデルとは、キャッシュ・フロー及び利益を生むために商品が運営される方法をいう。金融資産の
分類及び評価の方法を決定するために、3つの事業モデルを区別することが必要である。
-金融資産から契約上のキャッシュ・フローを回収することに基づくモデル
-金融資産及びこれらの資産の売却から契約上のキャッシュ・フローを回収することに基づくモデル
-その他の金融資産、特に契約上のキャッシュ・フローの回収が付随する取引資産に特定のモデル
4.1. 償却原価での金融資産
金融資産は、以下の2つの基準、すなわち、事業モデルが契約上のキャッシュ・フローを回収するため
の商品の保有(「回収目的保有」)から成ること、並びにキャッシュ・フローが元本及び元本に係る利息の
支払いのみから成ることが満たされた場合、償却原価で分類される。
事業モデル基準
金融資産は、当該商品の全期間にわたる支払いに関連するキャッシュ・フローを回収するために保有さ
れる。
キャッシュ・フロー基準
キャッシュ・フロー基準は、負債証券の契約上の条件が指定期日に元本及び元本残高に係る利息の支払
いのみであるキャッシュ・フローを生じさせた場合に当てはまる。「償却原価での金融資産」という区分
には、付与された貸付金、契約上の支払いの回収目的保有証券(短期国債、国債及びその他の負債証券)が
含まれる。
認識
当初認識時に、金融資産は公正価値(当該商品に直接起因する取引費用を含む。)で計上される。その
後、これらは償却原価(当該期間中の未収利息並びに元本及び利息の返済純額を含む。)で評価される。こ
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れらの金融資産は、当初予想信用損失(注R)に関する減損計算の対象ともなる。利息は、契約開始時に決定
される実効金利法を用いて計算される。
公正価値ヘッジ取引において、資産の簿価は、IFRS第9号に従ってヘッジされたリスクに起因する損益
に関して調整される。
4.2. 株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産
負債性商品
負債性商品は、以下の2つの条件が満たされた場合、株主資本を通じて公正価値で分類される。
事業モデル基準
金融資産は、その目的が契約上のキャッシュ・フローの回収及び金融資産の売却の両方(「回収及び売却
目的保有」)により達成される事業モデル内で保有される。後者は、付随的ではないが、事業モデルの不可
欠な要素である。
キャッシュ・フロー基準
その原則は、償却原価での金融資産に適用される原則と全く同じである。契約上のキャッシュ・フロー
回収目的又は売却目的で保有され、キャッシュ・フロー基準を遵守する有価証券は、主にこの区分に分類
される。
認識
当初認識時に、金融資産は時価(当該取引に直接起因する取引費用を含む。)で認識される。これらはそ
の後公正価値で測定され、公正価値の変動は株主資本の「株主資本に直接認識された損益」に計上され
る。これらの金融資産は、償却原価での負債性商品に適用されるものと同一条件での予想信用損失の計算
の対象ともなる。処分時に、それまで振替可能株主資本において認識された価値の変動は、損益計算書に
再分類される。もう一方で、利息は、損益計算書において契約開始時に決定された実効金利法に従って認
識される。
公正価値ヘッジ取引において、資産の簿価は、IFRS第9号に従ってヘッジされたリスクに起因する損益
に関して調整される。
資本性金融商品
株式等の資本性金融商品への投資は、取引ごとに選択により、株主資本を通じて公正価値で測定する金
融資産として分類される。株式売却時に、これまで株主資本に計上されていた価値の変動は、損益計算書
において認識されない。配当金のみが、投資に係る利益を表し、資本の払戻しを表さない限り、損益計算
書において認識される。これらの商品は、減損の対象とはならない。
4.3. 損益を通じて公正価値で測定する金融資産
損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、事業モデルの「回収目的保有」若しくは「回収及び売却
目的保有」の基準又はキャッシュ・フローの基準を満たさない取引目的で保有されない負債性商品に関す
るものである。
これらの金融商品は、損益計算書に直接計上される当初取引費用である時価で計上される。末日時点
で、時価の変動は、損益計算書の「損益を通じて公正価値で測定する金融商品からの純損益」に計上され
る。
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4.4. 金融負債
発行済金融商品又はその要素は、適法な契約の経済的実質に従って、負債に分類される。
発行済金融商品は、当行にその保有者への契約上の支払義務がある場合、負債性商品とみなされる。
発行済負債証券
発行済負債証券は、最初に取引費用を含む発行価格で計上され、その後実効金利法を用いて償却原価で
評価される。
IFRS第9号の適用において、公正価値でのヘッジ取引の観点から、発行済債券の簿価はヘッジリスクに
関する損益に応じて調整される。
4.5. 融資約定及び保証約定
損益を通じて公正価値で測定するデリバティブ商品として認識されない融資及び金融保証約定は、なさ
れ、受領した約定に関して注Sに表示される。これらは、予想信用損失について償却される。これらの引当
金は、「引当金」の項目に表示される。
4.6. 償却原価での金融資産及び株主資本を通じて公正価値で測定する負債性商品の減損
信用リスク減損モデルは、予想損失に基づく。このモデルは、償却原価区分又は株主資本を通じて公正
価値で測定する区分に分類される貸付金及び負債性商品、損益を通じて公正価値で計上しない融資約定及
び特定の金融保証約定に適用される。
一般的アプローチ
当行は、3つの「ステージ」を識別しており、それぞれが資産の当初認識以降の取引相手方の信用リス
クの進化に関する特定の状況に対応している。
12ヶ月間の予想信用損失「ステージ1」 :
報告日現在、金融商品の信用リスクが当初認識以降に著しく増加しなかった場合、この商品に関して
12ヶ月間の予想信用損失に相当する額の減損(翌12ヶ月以内の債務不履行リスクに起因する。)が認識され
る。
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減損されない資産の全期間の予想損失「ステージ2」 :
減損は、減損される金融資産がないという当初認識以降に金融商品の信用リスクが著しく増加した場
合、全期間の予想損失(満期時)に等しい。
減損された資産の全期間の予想損失「ステージ3」 :
資産が減損された場合、減損はまた満期時の全期間の予想信用損失に等しい。
この一般モデルは、IFRS第9号の減損の範囲内で全ての金融商品に適用される。
利息収入は、ステージ1及びステージ2の残高の簿価総額により計算される。
ステージ3の範囲内での残高に関して、金利収入は償却原価残高(すなわち減損引当金に関して調整され
た簿価総額)に基づき計算される。
債務不履行の定義
債務不履行の定義は、バーゼルの比率が用いる定義と同じである。したがって、取引相手方は、90日超
の支払遅滞が判明した場合、債務不履行に陥っているとみなされる。
減損金融資産
金融資産は、当該金融資産の将来のキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす1又は複数の事象が生じた場
合、減損され、ステージ3に分類される。
個々のレベルで、減損の客観的表示には、以下の事象に関連する観測可能なデータが含まれる。すなわ
ち、支払期限を90日を超えて超過した契約上の支払いが存在すること、結果として現存するリスクと認め
られることに繋がる取引相手方の重大な財政難を認識又は観測したことである。
信用リスクの著しい増加
信用リスクの著しい増加は、合理的かつ妥当なあらゆる情報を考慮し、末日時点における当該金融商品
の債務不履行リスクと当初認識時点における債務不履行リスクとを比較して、評価される。
悪化という評価は、金融商品の当初認識時点における債務不履行の格付又は発生確率と報告日時点に存
在するこれらとの比較に基づく。
予想損失の測定
予想信用損失は、金融商品の予想期間にわたり損失が生じる発生確率により加重された信用損失の見積
り(すなわち現金不足の現在価値)として定義される。これらは、各エクスポージャーについて個々の基準
で計算される。
実際には、ステージ1及びステージ2のエクスポージャーに関して、予想信用損失は、債務不履行時損
失率(LGD)に債務不履行時エクスポージャー額(EAD)を乗じ、エクスポージャーの実効金利で割り引いた債
務不履行確率(PD)として計算される。これは、翌12ヶ月以内の債務不履行リスク(ステージ1)又は満期ま
での全期間にわたる債務不履行リスク(ステージ2)に起因する。
ステージ3に分類されるエクスポージャーに関して、予想信用損失は、実効金利で割り引いた、当該商
品の全期間にわたるキャッシュ・フロー不足として計算される。キャッシュ・フロー不足は、期限到来時
の契約上のキャッシュ・フローと予想キャッシュ・フローとの差額を表している。
実施された方法は、現行の概念及び枠組み(特にバーゼルの枠組み)に基づく。
債務不履行確率(PD)
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債務不履行確率は、既定期間にわたる債務不履行の発生確率の見積りである。
予想信用損失の測定には、満期時における1年間の債務不履行確率及び全期間の債務不履行確率の両方
の見積りが必要となる。満期時における1年間のPD及び全期間のPDは、サイクル全体の長期間平均に基づ
きPD規制により計算され、現在の状況を示すために調整されたある時点における(PIT)確率である。
十分な量の内部データがないことを考慮し、CEBは、当行の取引相手方のポートフォリオに従って標準化
されたPDデータの外部提供業者を利用する。
債務不履行時損失率(LGD)
債務不履行時損失率は、債務不履行日現在の実効金利で割り引かれた、契約上のキャッシュ・フローと
予想キャッシュ・フローとの差額である。LGDは、EADの比率として表示される。
予想キャッシュ・フローの見積りには、契約上の条件に含まれる場合は保有担保又はその他の信用補完
の売却によるキャッシュ・フローが含まれ、当該担保の取得費用及び売却費用を控除して事業体ごとに個
別に計上されない。
十分な量の内部データがないことを考慮し、CEBは、当行の取引相手方のポートフォリオ、信用補完及び
「低サイクル」効果に従って標準化されたLGDデータの外部提供業者を利用する。
債務不履行時エクスポージャー額(EAD)
商品の債務不履行時エクスポージャー額は、債務不履行時に借入人が所有する予想残高である。この額
は、予想される支払特性に基づき決定され、商品の種類に基づき、契約上の返済予定、予想早期償還及び
信用契約に係る将来の予想引出額を考慮している。
将来的な予測情報
予想信用損失額は、過去の事象、現在の状況及び合理的かつ妥当な経済情勢の予測を考慮した発生確率
-加重シナリオに基づき算定される。
予想信用損失算定時の将来的な予測情報に関連する原則は、「注R リスク費用」に詳細が記載される。
4.7. リスク費用
リスク費用には、償却原価で又は株主資本を通じて公正価値で計上された負債性商品、融資約定及び金
融保証約定に関連する12ヶ月間の予想損失及び全期間の予想損失(ステージ1及びステージ2)に関する減
損引当金及び同戻入金が含まれる。リスク費用には、減損に係る客観的証拠がある金融資産(ステージ3)
に関する減損引当金及び同戻入金、回収不能額の相殺額並びに減損資産からの回収額も含まれる。
4.8. デリバティブ商品
デリバティブ金融商品は、CEBがヘッジ対象の金利リスク及び/又は外国為替取引リスクを管理及びヘッ
ジするために使用される。これらは、ヘッジ・デリバティブ金融商品である。
ヘッジ取引は、個々の商品又は取引(ミクロヘッジ取引)に関連している。
2019年1月1日以降、CEBは、一般ヘッジ会計(又はミクロヘッジ)に関してIFRS第9号のフェーズ3を適
用しており、これはIAS第39号「金融商品:認識及び測定」を置換するものである。
IFRS第9号のフェーズ3の目的は、ヘッジ会計の基礎の一部を変更することにより、企業のリスク管理
活動と財務書類とをうまく連携させることである。
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第一に、IFRS第9号のフェーズ3は、ヘッジ関係のヘッジ費用を分離し、それを資本に別個に計上す
る。IAS第39号に基づき、オプションの時価、フォワードポイント及び通貨ベーススプレッドで表示される
ヘッジ費用は、損益計算書に計上される。
CEBにとってこれらの変動は、ヘッジ対象が以下のヘッジ商品に指定されるヘッジ関係に主な影響を及ぼ
した。
-公正価値ヘッジに指定された固定/変動通貨スワップ
-キャッシュ・フロー・ヘッジに指定された変動/変動通貨スワップ
第二に、IFRS第9号は、ヘッジ関係の有効性を証明する基準を以下のとおり変更した。
-ヘッジ対象の公正価値の変動及びヘッジ商品の公正価値の変動の相関関係を80%から125%の範囲内とす
るIAS第39号の要件は必須ではなくなる。
-IFRS第9号は、ヘッジ関係が有効性の基準を満たすか否かの査定に係る特定の方法を規定しないが、以
下の場合に限り質的及び量的な有効性テストの両方を認める。
・ヘッジ対象及びヘッジ商品の間で経済関係が存在する場合
・信用リスクが経済関係に起因する価値変動に影響を及ぼさない場合
・ヘッジ関係が実証済リスク管理戦略と整合し続ける場合
デリバティブは以下の2つの区分に分類される。
-デリバティブ取引
デリバティブ商品は、ヘッジ商品とみなすことができる場合を除き、当初から取引商品として扱われ
る。デリバティブ商品は、時価がプラスの場合は貸借対照表の資産側の「損益を通じて公正価値で測定す
る金融商品」の項目に計上され、時価がマイナスの場合は貸借対照表の負債側に計上される。損益は、損
益計算書の「損益を通じて公正価値で測定する金融商品からの純損益」の項目に計上される。
-デリバティブ及びヘッジ会計
特定された金融商品(貸付金、負債証券、発行証券)に関する固定金利付の資産及び負債の金利リスクを
特にカバーするために、当行は公正価値でのヘッジを使用する。
金利キャッシュ・フロー・ヘッジは、貸借対照表において認識された金融商品(変動利付貸付金、有価証
券又は負債)に関連する将来のキャッシュ・フローの変動にさらされる商品をヘッジするために使用され
る。このヘッジ関係は、損益計算書に影響を及ぼす可能性のある商品の将来のキャッシュ・フローのマイ
ナスの変動に対してヘッジすることを目的としている。
金融商品がヘッジ・デリバティブとして適格とされるために、当行は当初の利用からヘッジに関する情
報を保持している。かかる情報は指定資産又は負債、ヘッジリスク、使用されたデリバティブ商品の種類
並びにヘッジの過去及び将来の有効性評価に使用される評価方法を明確に記している。
ヘッジは、IFRS第9号に定義されるヘッジの有効性要件を全て満たさなければならない。かかる有効性
は、ヘッジの最初の利用及びその後のヘッジの全期間を通じて確保されていなければならない。
公正価値によるヘッジ関係の場合、デリバティブは貸借対照表において公正価値で再評価される。一方
で、公正価値の変動は損益計算書の「損益を通じて公正価値で測定する金融商品からの純損益」の項目に
計上される。これは、予想リスクに関するヘッジ商品の再評価と対称的である。貸借対照表において、認
識された資産又は負債に対するヘッジ関係の場合、ヘッジ項目の再評価はヘッジ商品の分類に基づいて計
上される。損益計算書に計上された影響は、ヘッジの終局的な非有効性を示している。
キャッシュ・フローによるヘッジ関係の場合、ヘッジ・デリバティブ金融商品の公正価値の変動は、そ
の非有効部分が「損益を通じて公正価値で測定する金融商品からの純損益」として損益計算書に計上され
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る一方で、その有効部分について「株主持分に直接認識された損益」として資本に計上される。金利デリ
バティブの場合、ヘッジ商品に関連する金利収入又は金利費用と対称的に、デリバティブ金融商品の未収
利 息部分は、損益計算書の「利息及び類似の収入又は費用」に計上される。
ヘッジが中断されるか又は有効性テストを充足することができない場合は、ヘッジ・デリバティブは取
引ポートフォリオへ移行され、かかる区分に適用される方針に従って計上される。当初においてヘッジさ
れているとみなされた金利商品の場合、貸借対照表に計上されたかかる商品の再評価額は、その残存期間
の実効金利法で償却される。特に早期償還されたために、貸借対照表にヘッジ項目がもはや計上されない
場合、かかる金額は直ちに損益計算書に移行される。
4.9. 公正価値評価
金融資産及び金融負債の公正価値は、IFRS第13号により要求される市場価値及び追加的な価値の調整に
より構成される。
-時価
「損益を通じて公正価値で測定する金融商品」、「ヘッジ・デリバティブ金融商品」及び「株主資本を
通じて公正価値で測定する金融資産」の区分の金融資産及び金融負債は、その時価で評価及び計上され
る。時価は、対等取引において知識のある自発的な当事者間において交換され得た資産、又は支払われ得
た負債に関する価格に相当する。
時価は、以下のとおり決定される。
-活発な市場における見積価格の使用
-以下のような評価手法の利用
-認識された財務上の仮定に基づく数学的な計算方法
-活発な市場において取引される商品の価格を利用して、又は活発な市場がない場合には統計的推定若
しくはその他の定量法に基づいて決定された価値のパラメーター
一方で、デリバティブ商品(外国為替、金利及び通貨スワップ)は、一般的に承認されたモデル(割引
キャッシュ・フロー手法、ブラック・ショールズ・モデル、補間法)に基づいて観測可能なパラメーターを
用いて評価される。
-評価調整
評価調整により、公正価値の範囲内での取引相手方の信用リスク及び当行の信用リスクを統合すること
ができる。
取引相手方のリスクの評価調整(信用評価調整-CVA)は、取引相手方のうち1社が債務不履行の場合に、
当行が取引から全時価を回収し得ないリスクを反映している。
当行の信用リスクの評価調整(自己信用評価修正-OCA及び債務評価調整-DVA)は、当行の発行済負債証
券及びデリバティブ金融負債の評価額に対するCEBの信用リスクの影響を反映する。
これらの調整は、取引相手方ごとに算出され、債務不履行エクスポージャー、債務不履行確率及び債務
不履行の際の回収率に基づいて算出される。
債務不履行時におけるエクスポージャーは、リスク要因のシミュレーションによるリスクへのエクス
ポージャーを定量化するモデルを用いて見積られる。かかるモデルは、クレジット・サポート・アネック
ス(CSA)担保契約の性質に左右される担保の変動を考慮に入れる。
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CVA及びDVAは、正の評価の場合は貸借対照表の資産側の「純損益を通じて公正価値で測定する金融商
品」の項目に計上され、負の評価の場合は貸借対照表の負債側に計上される。損益は、損益計算書の「純
損益を通じて公正価値で測定する金融商品からの純損益」に認識される。
4.10. 金融資産及び金融負債の償却
金融資産の償却
当行は、当該資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が失効した場合又はCEBが当該資産か
らのキャッシュ・フローを受けるための契約上の権利並びに実質的に当該資産の所有に関するリスク及び
利益の全てを譲渡した場合のいずれも、金融資産の全部又は一部を償却する。これら全ての条件が満たさ
れなかった場合、当行は、貸借対照表において当該資産を維持し、当該資産の譲渡の結果生じた義務に関
して負債を認識する。
金融負債の償却
当行は、当該負債が全部又は一部消滅した場合、金融負債の全部又は一部を償却する。
レポ契約
レポ契約に基づき一時的に売却された有価証券は、引き続きCEBの貸借対照表においてその原ポートフォ
リオに認識される。これに対応する負債は、「償却原価での金融負債」に償却原価で認識される。
リバース・レポ契約に基づき一時取得された有価証券は、当行の貸借対照表において認識されない。こ
れに対応する債権は、「償却原価での金融資産」に償却原価で認識される。
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5. 金利収入及び金利費用
金利収入及び金利費用は、損益計算書において、実効金利法を用いることにより全ての金融商品に認識
される。
実効金利とは、金融商品の予想残存期間を通じて見積られる将来の現金支出又は現金収益を金融資産又
は金融負債の純簿価まで正確に割り引く利率である。この計算には、授受された手数料(利息と類似する場
合)、取引費用並びに全てのプレミアム及び割引が含まれる。
6. 固定資産
当行の貸借対照表に計上される固定資産は、有形活動資産及び無形活動資産、並びに2019年1月1日以
降は、IAS第17号「リース」を置換するIFRS第16号「リース」の範囲内の全てのリースを含む。
IFRS第16号に従い、基準の範囲内の全てのリースは、借手の貸借対照表において認識されなくてはなら
ない。契約期間中のリース資産の使用権を示す金額は、有形資産として認識され(注H)、リース負債に相当
する金額は負債として認識される(注I)。
損益計算書において、使用権は契約の全期間にわたって減価償却され、利息費用はリース負債と認識さ
れる。
固定資産は、直接関連のある費用を加えた購入価格で計上される。
減価償却は、定額法を用いて当行が予測する資産の予想耐用年数に従って計算され、資産の残存価値は
償却基礎価額から差し引かれる。
末日ごとに、固定資産は償却原価(減価償却及び可能性のある減損を差し引いた価格)で評価され、必要
があれば、耐用年数の存続期間及び残存価値に関する会計調整が実施される。
-有形資産
以下は活動施設の「建物」分野の内訳である。全てその耐用年数に従って減価償却される。
(1)
-主要な建物、ファサード及び屋根材 -
-一般設備及び専門設備 10年
-不動産の定着物及び付属物 10年
注(1) 当行の本部がパリの中心に所在していることを考慮し、その残存価値は「主要な建物、ファサード及び屋根材」
に指定されているが、これは減価償却の対象となっていない。
土地は減価償却されない。その他の有形固定資産は、以下の存続期間に従って減価償却される。
-付属物及び家具 10 年
- 車 両 4年
-事務所及びIT備品 3年
-無形資産
無形資産(ITソフトウェア)は、以下の存続期間に従って償却される。
-アプリケーションソフトウェア 5年
-システムソフトウェア 3年
-オフィスソフトウェア 1年
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7. 退職職員給付金
当行の年金計画は、当行及び職員からの拠出によって資金提供された確定給付型年金計画である。給付
金は労働年数及び最終勤務年度の基本報酬の割合に基づいて計算される。
その他の退職給付金計画(医療保険、財務調整及び退職年金)も、同様に確定給付型年金計画である。
これらの計画は、当行側の約定を表し、評価され、引当金が設定されている。IAS第19号に基づき、会計
上及び人口統計上の条件を考慮し、これらの約定に関して保険数理計算上の評価が実施される。保険数理
計算上の損益は、貸借対照表の「引当金」の項目に「包括利益計算書」の取引相手方ごとに計上される。
これらの約定に関する引当金の額は、予測単位積増方式に従い独立した保険数理人によって決定され
る。
8. 社会配当金勘定
社会配当金勘定(SDA)は、CEBの目的に適合しかつ管理委員会が指定する適格諸国において実施されるプ
ロジェクトに助成金を提供するために使用される。SDAの運用原則は、2016年11月17日に承認された管理委
員会の決議第1589号(2016)により改訂されている。改訂により、当行の加盟国は全て保証制度の対象とな
ることとなった。
2019年11月、管理委員会はCEBの貸付金へのSDA保証の提供に用いる方法を改訂した。新たな方法は、バ
リュー・アット・リスク、すなわち一定の期間及び確率における予想最大損失額の概念に基づいている。
これにより、当行はリスクへの慎重なアプローチを維持しつつも、より多額の借入金、すなわち現行の方
法の下で補填される金額の2倍以下を保証することができる。管理委員会は、決議第1612号(2019)におい
てSDAの方針を改訂することによりかかる新たな方法を採用した。
SDAにより提供される助成金は、技術支援、金利補助金、保証及び助成金付与の形態とされることがあ
る。
-金利補助金
金利補助金は、CEBの借入人が負担する利息額を減らすために使用される。金利補助金は、貸付金の各債
券につき、当行が適用する金利と借入人が事実上支払う金利との差を補う。
-保証
CEBが付与する貸付への保証により、当行は、社会的影響は大きいものの、信用リスクが高いプロジェク
トへ資金を提供することが可能になる。その金額、トリガー事由及び回収方法は個別の事案ごとに決定さ
れる。
-技術支援
技術支援は、CEBの借入人によるプロジェクトの準備及び遂行を支援するために利用される。そのため、
プロジェクトの準備、実行又は監視及び報告、調達管理並びに影響評価のために必要な、事前の実現可能
性、実現可能性及び技術の研究、企画及び実施の計画、制度上及び法律上の評価並びにその他の助言サー
ビスのために資金が提供される。
-助成金付与
助成金付与は、緊急事態の枠組みにおいて行われるか又は加盟国に共通する原因への拠出の形で行わ
れ、他の国際機関と協力して遂行される。
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SDAから拠出される助成金は、総裁によって承認される300千ユーロ以下の技術支援の助成金を除き、管
理委員会によって承認される。
SDAは、当行の年間利益の配分時に支払われる社会的性格の配当を通じて、当行の加盟国からの拠出金に
よって主に資金提供されている。
9. 関連当事者
IAS第24号に関して、当行はいかなる機関の子会社でもない。財務書類は関連当事者との関係によって影
響を受けるものではない。
当行の議長及び任命職員に関連する情報については、下記10.の項に記載されている。
10. 議長及び任命職員への報酬
CEBの定款では、当行の組織、運営及び監督は下記の機関に分掌されている。
-理 事 会
-管理委員会
-総 裁
-監査委員会
理事会及び管理委員会は、それぞれ1名の議長及び各加盟国が任命した1名の代表から構成されてい
る。理事会の議長及び管理委員会の議長は理事会によって任期3年で選任され、その任期は1度更新する
ことができる。副議長は各機関の構成員から選任される。議長及び副議長の年間報酬は、在任期間中は管
理委員会によって固定されている。
総裁は理事会で任命され、任期は5年であるが1回は再任されることができる。総裁は、1名以上の副
総裁に補助される。かかる副総裁は、管理委員会からの意見に従って、理事会の委員との協議を経て、総
裁の提案に基づいて理事会によって任命され、任期は5年であるが1回は再任されることができる。その
報酬は、当行の年間予算の承認範囲内で管理委員会によって固定されている。
CEBの議長及び任命職員はストック・オプション又はその他の種類の賞与を受領しない。総裁及び副総裁
は、医療保険及び社会保険並びにCEBの年金計画に加入している。
CEBの在任の議長及び任命職員の報酬総額は以下のとおり要約される。
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(単位:千ユーロ)
2020年 2019年
職員報酬
理事会議長 45 45
管理委員会議長 45 45
(1)
理事会副議長
6 5
管理委員会副議長 6 6
報酬
総裁 ウェンツェル(Wenzel) 386 376
副総裁 モンティチェッリ(Monticelli) 294 286
副総裁 サンチェス-ジェブラ・アロンソ(S ánchez-Yebra Alonso)
294 286
(2)
副総裁 ボーチェック(Bo ek)
294 191
注(1) 月額500ユーロの報酬が支払われる。現理事会副議長は、2019年3月30日に就任した。同職は、2019年第1四半期中
空席となっていた。
(2) 副総裁ボーチェックは、2019年5月1日に就任した。同職は、2019年の最初の4ヶ月間及び2018年の1年間空席と
なっていた。同副総裁の任務は、2021年8月15日に終了する。
11. 課 税
欧州評議会の特権及び免責に関する一般協定に対する第三議定書は、当行の資産、収入及びその他の財産
は、当行の加盟国における全ての直接税から免除されると規定している。
注B:リスク管理
リスク管理の主要な目的は、当行の長期的な財政の持続性及び業務の弾力性を確保し、さらにはCEBがそ
の社会的使命を遂行できるようにすることである。そのため、当行は業務分野全体で健全かつ慎重なリス
ク文化を促進することにより、国際的にも最良の銀行慣行(BBP)の実践を目指している。
本注記は、当行が通常の事業過程において直面する主な金融リスク、すなわち信用リスク、市場リス
ク、流動性リスク及びオペレーショナルリスクに対する当行のエクスポージャーに関する情報を提供して
いる。また、本注記は、かかるリスクの特定、評価、監視、報告、緩和及び統制するための適切なツール
をCEBにもたらす目的、方針、手続、制限及び統制に関する情報も提供している。
当行は、加盟国の規制には服さないものの、銀行規制に係る欧州連合指令及びバーゼル銀行監督委員会
の勧告をリスク管理の枠組みの基準として考慮している。
CEBは、最良の銀行慣行に沿う監視手続を含むリスク及び統制政策を定期的に見直している。
-リスク選好度
当行は、リスク選好度を、当行の開発計画に記載されている戦略的目標の達成のために当行がそのリス
ク許容範囲内において負う意思のあるリスクの総体的なレベル及び種類と定義する。
CEB のマンデートを履行するための鍵となる手段は、有利な利率で資金を融資することであり、そのため
には資本市場において競争力のある利率で資金を調達することが必要となる。この目的のため、特に強固
な信用リスク特性の保持が最も重要となる。
CEB の財務及びリスク特性は、量的及び質的な主要指標並びに健全性に関する枠組み(4.を参照のこと。)
に基づく制限から示されるリスク選好度によって決まる。
当行は、そのリスク管理について堅実な方法を採用しており、これにより当行の長期にわたる財政の持
続可能性の確保に対するリスクが軽減される。当行は、オンバランスシート及びオフバランスシート両方
の取引に起因してCEBの事業から生じる全てのリスクを認識、査定、監視、報告、緩和及び統制するための
包括的なリスク管理枠組みを開発、導入した。
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-リスク体制
リスク及び統制局(R&C)は、リスク管理の枠組みの実行、とりわけ、当行全体における全てのリスクの認
識、監視及び報告について責任を負っている。R&Cは、他の局と協調して、リスクに関する方針及び手法を
提案し、それらの適用を監督し、全体的に一貫したリスク管理が行われるようにし、リスク報告を徹底さ
せる。
R&C は、他の運営局及び事業局から独立し、総裁に対して直接報告を行う。R&C内部の部署は、信用リス
ク、市場リスク(リスク観点からの資産及び負債管理(ALM)を含む。)及びオペレーショナルリスクの分野を
対象としている。
財務総局は、業務上のALM及び当行の流動性ポジションについて責任を負う。
-意思決定委員会
当行は、各分野でリスク管理方針の設定及び監視について責任を負う異なる意思決定委員会を設置して
いる。総裁はこれら全ての委員会の議長を務める。
- 信用リスク委員会 (CRC)は、週に1度開催され、内部信用リスクの分析と勧告に基づき、貸付及び資金
エクスポージャーに関する与信決議を行う。
- 資産及び負債委員会 (ALCO)は、貸借対照表全体を通じた金利、為替及び流動性リスクの将来的な予測
に基づき、戦略的な志向及び意向を形成するために1ヶ月に1度又は必要に応じてより高い頻度で開
催される。
- オペレーショナルリスク及び組織委員会 (CORO)は、CEBのオペレーショナルリスクに関する課題を半年
に1度検討し、これらのリスクを軽減、監視及び規制するための十分な方法が採られていることを確
認する。
- IT運営委員会 は、情報システムの問題を見直し、業務の回復性及び事業の継続性を確保するために適
切な措置を講じる。さらに、IT関連の決定が事業の利害関係及び優先事項と適切に合致することを十
分に確保するために、副総裁が委員長を務めるITプロジェクト委員会により、定期会合を通じて、事
業要件の予測及びITに関する共有ビジョンの発展が行われている。
-統制機関
内部監査(IA)は、CEBの内部統制システムにおける、常設の独立した機能である。IAの目的は、総裁及び
CEBの統制機関に対し、事業及び運営業務が効率的に行われ、管理されていることについて独自のかつ客観
的な保証を提供することである。IAは、CEBの活動が、既存の政策、手続及びベストプラクティスとの適合
性の下行われているかを検査し、またそれらに関連するリスクの評価を行っている。さらに、CEBの運営に
関して、将来的な改善の提案も行う。
最高コンプライアンス責任者事務局(OCCO)は、マネー・ロンダリング及びテロ資金供与並びに脱税のリ
スク並びに誠実性、汚職問題及び詐欺問題への対処を課せられている組織単位である。OCCOの任務は、金
融リスク及びレピュテーションリスクから当行を保護すること、企業倫理規範を促進すること並びにCEBの
コンプライアンスリスクの効率的な管理について自主的に貢献することである。OCCOの主な活動は、運営
及び取引相手方に対する誠実性のデュー・ディリジェンスによるチェックの実施、当行の金融及びローン
事業における誠実性の保護並びに当行の基準及び方針に対する違反により生じるリスクからの職員及び合
議制組織の誠実性及び義務論の保護である。また、OCCOは、調達方法の選択手続が内部規則に沿っている
ことの確認を行う。
コンプライアンス・ユニットの最高情報セキュリティー責任者(CISO)は、CEBの情報資産及び技術が適切
に保護されていることを確保する。CISOは、セキュリティーポリシーの設定、セキュリティーの枠組みの
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設計、並びにCEB全体の情報及び情報技術(IT)リスク軽減のための手続の特定、開発、導入及び維持に関し
て責任を負う。CISOは、事故への対応、適切な基準及び統制の設定、セキュリティー技術の管理、セキュ
リ ティーに対する認識の向上、並びに情報セキュリティーポリシー及び手続が適用されていることの確認
を行う。
監査委員会は、理事会によって加盟国から交代で選任される任期3年の代表者3名(退任者はアドバイ
ザーとして引き続き任期1年で留任する。)で構成されている。同委員会は、当行の収支決算を検査し、そ
の正確性を確認する。監査委員会の報告書は、その抜粋が財務書類に添付される他、毎年財務書類が承認
のため提出される際に、当行の監督機関に提出される。
外部監査人は、監査委員会の意見及び管理委員会の推薦に基づき、入札手続の後に、理事会により任期
(1)
4年で任命され、3年の追加任期は1度更新することができる。外部監査人は、当行の財務書類のIFAC
の専門監査基準に従った監査並びに内部統制及びリスク管理のプロセスの審査を行う責任を負う。外部監
査人は、意見報告書を含む多岐にわたる報告書を起草する。
さらに、当行はフィッチ・レーティングス、ムーディーズ及びスタンダード・アンド・プアーズの3つ
の国際的な格付機関による評価を受ける。これらの格付機関は、当行の財務状況及び長期的な信頼性並び
に環境、社会及びガバナンスの基準を詳細に分析し、年間格付を付与する。
注(1) 国際会計士連盟
-リスク管理に関する内部報告及び外部報告
リスク及び統制局は週に1度、融資活動及び財務活動に関する信用リスクについて、 信用リスク委員会
に対して報告する。
1ヶ月ごとに、財務総局は、金利及び為替相場のエクスポージャー並びに資金調達及び流動性ポジショ
ンについて、 資産及び負債委員会 に報告する。
四半期リスク管理報告書は、R&Cが作成し管理委員会及び理事会に提示される。当該報告書は、信用リス
ク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスクといった主なリスクに対するCEBのエクスポー
ジャー及び内部で定義される健全性の枠組みの進展について株主に情報を提供する。
当行はまた、格付機関に対してその毎年の評価のために広範な情報を提供する。また、米国証券取引委
員会に提出された発行登録書との関係で、18-K様式により作成されたCEBの年次報告書にも、当行のリスク
管理の情報が含まれている。
最後に、CEBの総裁年次財務報告書には、当行において実施されているリスク管理のプロセス及び実務に
ついて公平な見解が示されており、そのリスクのエクスポージャーについての詳細なデータが提供されて
いる。
1. 信用リスク
-評価過程の概要
信用リスクは、銀行借入人又は取引相手方が合意した条件に従ってその義務を履行しないことにより生
じる潜在的な損失と定義される。当行は、借入人及び財務上の取引相手方が契約上の義務について債務不
履行となる可能性があるか、又は当行の投資の価値が損なわれる可能性があるため、融資活動及び財務活
動の両方において信用リスクにさらされている。また、当行の資本又は貸倒損失に係る引当金に対して悪
影響を及ぼす可能性がある格付の引下げにより、信用リスクが生じることがある。決済リスク及び未決済
リスクもまた、信用リスクに含まれる。同様に、担保リスクも信用リスクの一部とされる(担保は、本質的
には信用リスクを軽減させる手段である。)。概して、信用リスクは、融資先又は取引の信用エクスポー
ジャーの値と信用の質の関数である。
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-信用リスクの特定及び評価
信用リスク管理は、当行のバランスシート及びオフバランスシート上の事業における当行の融資及び資
金運用活動から生じる全ての商品及び活動に内在する全ての信用リスクの潜在的な要因を特定する。当行
は、新たな商品及び活動が導入又は実施される前に、これらに係るリスクが適切なリスク管理の手続及び
統制に服することを確認する。信用リスクは、格付の引下げ、支払義務に係る(クロス)デフォルトの形で
発生するか、又は取引の決済手続に際して発生する可能性がある。
信用リスクは、(ⅰ)リスク原則に従って信用取引が遂行されていることの確保のために適切な内部管理
を実施し、また(ⅱ)借入人又は仲介者との関係による影響を受けることなく独立した判断を下すため、融
資又は財務の担当者から独立して、信用リスク部(CRU ) ( リスク及び統制局、財務リスク部門)によって評価
される。信用エクスポージャーは、毎日測定、監視及び統制される。制限の違反(もしあれば)は、上級管
理職に報告される。
内部信用格付は、当行の独立した内部の信用リスク評価の結果を示すものである。内部信用格付は、支
払義務を全額、また適時に履行することに係る借入人の能力及び意思に関する意見である。かかる内部信
用格付は、通常、リスク要因の質的及び量的な評価並びに最終的に不履行の原因となる可能性のある潜在
的なシナリオに基づく。内部信用格付は、財務総局並びに貸付及び社会開発局の全ての取引相手方に対し
て指定される。当行は、当行が負う潜在的なリスクを適切に理解していることを確認しつつ、特定の取
引、商品又は取引相手方に関して外部格付を利用することができる。当行の事業から発生する信用リスク
を監視するために定められた限度は、定期的に検討される。内部格付の方法は、随時検討され、調整され
る。内部格付は、国際格付機関の格付の等級に従って格付され、そのため、各内部格付の等級は、以下の
表に記載される格付の等級に対応する。
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格付一覧表
CEB 長期 CEB 長期
内部格付 内部格付
ムーディーズ S&P/フィッチ ムーディーズ S&P/フィッチ
10 Aaa AAA 5 Ba1 BB+
9.5 Aa1 AA+ 4.5 Ba2 BB
投
9 Aa2 AA 4 Ba3 BB‐
投
資
資 8.5 Aa3 AA‐ 3.5 B1 B+
適
適
格
8 A1 A+ 3 B2 B
格
未
7.5 A2 A 2.5 B3 B‐
満
7 A3 A‐ 2 Caa1 CCC+
6.5 Baa1 BBB+ 1.5 Caa2 CCC
6 Baa2 BBB 1 Caa3 CCC‐
5.5 Baa3 BBB‐ 0.5 Ca CC
0.25 C C
0 D D
-信用リスクの軽減
CEB は、取引残存期間中の信用リスクを監視し軽減するため、信用リスクの軽減(CRM)手法を積極的に活
用している。信用リスクの軽減手法としては、保証、担保又は契約上の保護(契約上のコベナンツ)があ
る。
新規取引に関する信用リスクの軽減手法は、CRUによって提案され、信用リスク委員会の承認に服する。
既存取引に関する信用リスクの軽減手法は、取引相手方に係る年次精査において信用リスク委員会に提示
される。
新規プロジェクトに関する信用リスクは、評価手続において評価され、関連する内部委員会からの承認
を必要とする。全てのプロジェクトは、管理委員会からの承認を得るために同委員会へ提出される。
管理委員会は、当行の財務及びリスク方針を通じて、財務活動の全体的な枠組みを設定する。この枠組
み内で、財務取引は、CRUにより評価され、承認のため信用リスク委員会に提出される。
最後に、大口エクスポージャー及び集中に関する制限も決定され、信用リスク委員会に報告される。
-信用リスク・エクスポージャーの概要
以下の表は、2020年12月31日現在及び2019年12月31日現在における、当行の貸付及び社会開発局(L&D)
(すなわち、貸付及び融資約定)並びに財務総局(すなわち、預金、有価証券及びデリバティブ)の両方に対
する信用リスク・エクスポージャーを示している。
(単位:百万ユーロ)
2020年 2019年
AAA/AA A/BBB BIG 合計 AAA/AA A/BBB BIG 合計
貸付 3,109 11,995 2,323 17,427 2,967 10,381 2,079 15,427
融資約定 1,236 5,409 1,530 8,175 1,796 3,736 546 6,079
預金 891 1,738 2,629 904 1,945 2,849
有価証券 3,625 1,954 5,579 3,979 1,877 5,856
スワップ-アドオン 235 133 367 324 74 398
外国為替 149 149 67 67
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スワップ担保-
正味現在価値を
カバーしない 0.4 8 9 2 1 3
合計 9,245 21,229 3,862 34,335 10,038 18,016 2,627 30,680
・ バーゼル委員会が推奨する格付(2番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
・ 貸付及び 融資約定は、CRM後に報告される。
・ 貸付、預金及び有価証券は、額面価格で、未収利息を除き、報告される。
貸付及び社会開発局の活動
-貸付事業
貸付事業における信用リスクは、主に銀行借入人又は取引の相手方による契約上の義務の不履行又は格
付の引下げから生じる。
-貸付ポートフォリオ
2020年12月31日現在、貸付残高は2019年度末と比較して13.0%増加し(2十億ユーロのプラス)、17.4十
億ユーロとなった。2020年度において、2019年度の場合と同じく、不払いは記録されていない。
以下の表は、貸付ポートフォリオの取引相手方の格付及び属性別のリスク特性である。
(単位:百万ユーロ)
2020年 2019年
AAA/AA A/BBB BIG 合計 AAA/AA A/BBB BIG 合計
ソブリン、国有
金融機関及びIFIs 1,056 5,984 2,067 9,107 671 5,109 1,931 7,710
準ソブリンの団体
及び金融機関 1,938 2,726 74 4,738 1,918 2,160 6 4,085
その他金融機関 22 3,187 59 3,268 298 3,102 22 3,422
非金融機関 92 98 123 313 80 10 120 210
合計 3,109 11,995 2,323 17,427 2,967 10,381 2,079 15,427
・ バーゼル委員会が推奨する格付(2番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
・ 額面価格で、未収利息を除き、CRM後に報告された 貸付
貸付ポートフォリオの大部分について、信用補完(担保及び保証)により、信用リスクの質が高まってい
る。2020年度末現在、当行は、貸付ポートフォリオに関して、6.5十億ユーロの保証及び0.3十億ユーロの
担保を保有していた。
貸付残高のリスクの分析結果に対する信用補完の影響は以下に示される。
(単位:百万ユーロ)
2020年 2019年
補完前 補完後 補完前 補完後
金額 % 金額 % 金額 % 金額 %
AAA/AA 2,615 15% 3,109 18% 2,321 15% 2,967 19%
A/BBB 10,637 61% 11,995 69% 8,766 57% 10,381 67%
BIG 4,174 24% 2,323 13% 4,341 28% 2,079 13%
合計 17,427 100% 17,427 100% 15,427 100% 15,427 100%
・ バーゼル委員会が推奨する格付(2番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
・ 額面価格で、未収利息を除き、報告された 貸付
2020年12月31日現在、 投資適格 に格付されたCRM後の貸付残高は、貸付ポートフォリオ合計の86.7%で
あった(2019年度末は86.5%)。国際格付機関による格付を付与されていない取引相手方に対する貸付残高
は、ポートフォリオ合計に対してCRM前は5.3十億ユーロ、すなわち30.2%、CRM後は1.6十億ユーロ、すな
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わち9.0%であり、内部格付は、CRM前は1.5から9.5、CRM後は2.5から10の範囲に及ぶ。外部格付を付与さ
れていない取引相手方に対する貸付残高は、CRM前は63.4%が(内部格付により)投資適格に格付され、CRM
後 は91.6%が(内部格付により)投資適格に格付された。
以下の表は、残存期間別の貸付残高の内訳を示している。
(単位:百万ユーロ)
満期
2020年 % 2019年 %
1年以下 2,416 14% 2,311 15%
1年超5年以下 7,395 42% 7,257 47%
5年超10年以下 4,804 28% 3,745 24%
10年超20年以下 2,609 15% 1,992 13%
20年超 203 1% 121 1%
合計 17,427 100% 15,427 100%
・ 額面価格で、未収利息を除き、報告された 貸付
以下の表は、格付別及び国別の貸付残高(CRM後)の内訳を示している(ソブリン格付(のみ)ではなく、取引
相手方の格付を反映している。)。
(単位:百万ユーロ)
2020年 2019年
AAA/AA A/BBB BIG 合計 AAA/AA A/BBB BIG 合計
対象国
ポーランド 1,438 1,438 1,618 1,618
トルコ 1,326 1,326 1,404 1,404
スロバキア
1,091 19 1,110 637 637
共和国
ハンガリー 708 708 548 548
ルーマニア 462 21 483 536 536
クロアチア 439 439 335 335
リトアニア 402 22 424 200 200
キプロス 413 413 443 443
チェコ共和国 208 164 19 390 13 264 276
ブルガリア 268 268 207 207
セルビア 189 189 196 196
スロベニア 87 16 103 49 18 67
北マケドニア 102 102 96 96
アルバニア 94 94 101 101
ボスニア・ヘル
ツェゴビナ 74 74 65 65
モンテネグロ 60 60 40 40
モルドバ共和国 37 37 27 27
ラトビア 23 23 16 16
コソボ 18 18
エストニア 4 4 7 7
ジョージア 3 3 1 1
マルタ
小計 212 5,495 1,999 7,706 20 4,852 1,949 6,821
非対象国
フランス 483 1,515 27 2,026 374 1,474 32 1,880
スペイン 1,981 3 1,984 1,859 6 1,865
ドイツ 931 156 1,087 836 67 902
ベルギー 247 768 1,015 413 637 1,050
オランダ 582 291 5 878 719 3 722
イタリア 789 50 839 598 598
フィンランド 303 233 536 292 207 499
アイルランド 396 396 353 353
スウェーデン 334 334 281 281
ポルトガル 278 278 260 260
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ギリシャ 158 158
アイスランド 10 74 84 12 89 100
*
オーストリア
76 76 64 64
アンドラ 8 8
サンマリノ 7 7
デンマーク 7 7 20 20
小計 2,888 6,501 324 9,713 2,935 5,529 130 8,594
超国家 9 9 12 12
合計 3,109 11,995 2,323 17,427 2,967 10,381 2,079 15,427
・ 額面価格で、未収利息を除き、CRM後に報告された 貸付
・ バーゼル委員会が推奨する格付(2番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
* CEBの非加盟国:CEBの加盟国において実施されているが、オーストリアの取引相手方によって保証されている事業
-事業の残存高/融資約定
事業の残存高には、管理委員会が承認し、かつ未融資の全ての事業が含まれる。融資約定は、融資を要
する事業で、そのための枠組融資契約が締結されている。事業の残存高は、2020年12月31日現在9.5十億
ユーロ(2019年12月31日は8.5十億ユーロ)となり、79.0%(2019年12月31日は85.9%)は、 投資適格 に格付さ
れた。
(単位:百万ユーロ)
2020年 2019年
AAA/AA A/BBB BIG 合計 AAA/AA A/BBB BIG 合計
事業の残存高 1,584 5,936 1,994 9,514 2,187 5,133 1,201 8,521
融資約定 1,236 5,409 1,530 8,175 1,796 3,736 546 6,079
・ バーゼル委員会が推奨する格付(2番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
・ 将来のCRMを考慮して報告された融資約定
融資約定は、2020年12月31日現在8.2十億ユーロ(2019年12月31日は6.1十億ユーロ)となった。2020年12
月31日現在、融資約定のうち81.3%が 投資適格 に格付された(2019年12月31日は91.0%)。
以下の表は、CEBの加盟国内の取引相手方ごとの、信用格付別のCRM後の融資約定の内訳である(ソブリン
格付(のみ)ではなく、取引相手方の格付を反映している。)。
(単位:百万ユーロ)
2020年 2019年
AAA/AA A/BBB BIG 合計 AAA/AA A/BBB BIG 合計
対象国
セルビア 642 642 163 163
ポーランド 495 495 570 570
ルーマニア 412 26 438 250 250
リトアニア 316 316 144 144
クロアチア 308 308 259 259
エストニア 200 25 225
スロバキア
共和国 217 217 13 13
チェコ共和国 100 50 150 150 150
ハンガリー 149 149 67 67
モルドバ共和国 117 117 59 59
トルコ 100 100
モンテネグロ 62 62 45 45
北マケドニア 47 47 57 57
スロベニア 35 35 75 75
キプロス 34 34 141 141
ボスニア・ヘル
ツェゴビナ 32 32 45 45
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コソボ 17 17
ラトビア 14 14 23 23
ジョージア 11 11 13 13
アルバニア 3 3 7 7
ブルガリア 100 100
小計 300 2,057 1,057 3,414 1,793 389 2,182
非対象国
イタリア 1,020 50 1,070 675 675
スペイン 661 150 811 524 524
フランス 210 543 58 811 269 193 58 519
ドイツ 320 334 653 814 153 967
スウェーデン 389 389 337 337
ポルトガル 145 100 245 154 100 254
アイルランド 219 219 85 85
ベルギー 170 170 150 75 225
フィンランド 7 130 137 40 55 95
ギリシャ 113 113
オランダ 5 95 100 180 180
オーストリア 33 33 30 30
アンドラ 4 4
サンマリノ 3 3
小計 930 3,352 473 4,756 1,790 1,943 158 3,891
超国家 6 6 7 7
合計 1,236 5,409 1,530 8,175 1,796 3,736 546 6,079
・ バーゼル委員会が推奨する格付(2番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
・ 将来のCRMを考慮して報告された融資約定
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財務総局の活動
-資金運用事業
資金運用事業に係る信用リスクは、主に、預金、有価証券への投資及びヘッジ目的でのデリバティブ取
引の開始により生じる。
以下の表は、融資事業に対するエクスポージャーの取引別の内訳である。
(単位:百万ユーロ)
2020年 2019年
AAA AA A BBB 合計 AAA AA A BBB 合計
預金 291 601 1,736 2 2,629 269 634 1,942 3 2,849
有価証券 882 2,743 1,499 455 5,579 928 3,052 1,277 600 5,856
スワップ-アドオン 235 129 3 367 324 71 4 398
外国為替 31 118 149 67 67
スワップ-
正味現在価値を
カバーしない 0.4 8 9 2 1 3
合計 1,204 3,697 3,372 460 8,733 1,197 4,079 3,290 607 9,174
-預金
財務・金融ポートフォリオは、「ノストロ」勘定、1年以下の銀行預金、デリバティブの担保として受
領した現金及び(リバース)買戻条件付売却(レポ)取引等の短期のものから構成される。レポ取引は、全て
の要求通貨の日々のキャッシュ・フロー管理を目的としている。適格な取引相手方は、3ヶ月以下の投資
については最低限 6.5(BBB+) 、また3ヶ月超1年以下の投資については 最低限 7.0(A-) の内部格付を有して
いなければならない。
以下の表は、預金の種類別及び信用格付別の内訳である。
(単位:百万ユーロ)
2020年 2019年
AAA AA A BBB 合計 AAA AA A BBB 合計
ノストロ 291 521 254 2 1,067 269 162 253 3 687
金融市場 80 1,482 1,562 473 1,689 2,162
合計 291 601 1,736 2 2,629 269 635 1,942 3 2,849
・ バーゼル委員会が推奨する格付(2番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
・ 額面価格で、未収利息を除き、報告された 預金
以下の表は、金融市場商品の満期別及び信用格付別の内訳である。
(単位:百万ユーロ)
2020年 2019年
AAA AA A BBB 合計 AAA AA A BBB 合計
1ヶ月以下 80 827 907 234 1,051 1,285
1ヶ月超3ヶ月以下 555 555 239 339 578
3ヶ月超6ヶ月以下
1年以下 100 100 299 299
合計 80 1,482 1,562 473 1,689 2,162
・ バーゼル委員会が推奨する格付(2番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
・ 額面価格で、未収利息を除き、報告された 預金
-有価証券ポートフォリオ
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当行は、3つの有価証券ポートフォリオとして、短期流動性ポートフォリオ(最長満期1年の短期有価証
券)、中期流動性ポートフォリオ(1年超最長15年の満期)及び長期ポートフォリオ(1年超最長30年の満期)
を管理している。適格な取引相手方は、最長満期3ヶ月のものについては、ソブリンは最低6.0(BBB)及び
金 融機関は最低6.5(BBB+)の内部格付、満期が3ヶ月超2年以下の投資(ソブリン、準ソブリン、機関、超
国家及び金融機関により発行された債券)については最低7.0(A-)の格付並びに2年超の投資については、
最低8.0(A+)の格付を有していなければならない。
以下の表は、有価証券ポートフォリオをポートフォリオ別、満期別及び格付別に示している。
(単位:百万ユーロ)
(単位:百万ユーロ)
2020年 2019年
AAA AA A BBB 合計 AAA AA A BBB 合計
長期ポートフォリオ 615 998 40 50 1,703 長期ポートフォリオ 644 1,149 40 50 1,883
中期ポートフォリオ 267 1,595 113 1,975 中期ポートフォリオ 284 1,635 88 2,007
短期ポートフォリオ 150 1,345 405 1,900 短期ポートフォリオ 267 1,149 550 1,966
合計 882 2,743 1,499 455 5,579 合計 928 3,052 1,277 600 5,856
(単位:百万ユーロ)
(単位:百万ユーロ)
2020年 2019年
AAA AA A BBB 合計 AAA AA A BBB 合計
1年以下 173 305 1,396 455 2,328 1年以下 35 640 1,197 550 2,422
1年超 1年超
50 165 63 278 173 167 40 50 429
2年以下 2年以下
2年超 2年超
231 1,002 40 1,273 195 775 40 1,010
5年以下 5年以下
5年超 428 1,272 1,700 5年超 525 1,469 1,994
合計 882 2,743 1,499 455 5,579 合計 928 3,052 1,277 600 5,856
・ バーゼル委員会が推奨する格付(2番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
・ 額面価格で報告され、未収利息を除く、 有価証券
以下の表は、有価証券ポートフォリオの(取引相手方の)国別及び信用格付別の内訳である。
(単位:百万ユーロ)
2020年 2019年
AAA AA A BBB 合計 AAA AA A BBB 合計
加盟国
フランス 1,528 120 1,649 1,635 391 2,026
イタリア 455 455 600 600
ドイツ 114 329 442 154 295 25 473
オランダ 199 23 222 199 159 4 362
フィンランド 108 108 116 116
スイス 100 100 105 105
ノルウェー 65 65 10 10
ベルギー 48 48 71 310 381
ルクセンブルク 42 42 42 42
スペイン 40 40 188 188
スウェーデン 33 33 8 8
チェコ共和国 46 46
小計 355 2,210 183 455 3,203 395 2,445 918 600 4,357
超国家 527 15 73 615 533 119 652
小計 527 15 73 615 533 119 652
ヨーロッパ
英国 180 180 225 225
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オーストリア 88 88 89 89
小計 88 180 268 89 225 314
その他
日本 984 984 94 94
カナダ 184 40 224 123 40 163
オーストラリア 190 190 221 221
ニュージーランド 52 52 52 52
米国 38 38
韓国 4 4 4 4
小計 430 1,062 1,492 399 134 533
合計 882 2,743 1,499 455 5,579 928 3,052 1,277 600 5,856
・ バーゼル委員会が推奨する格付(2番目に高い格付)又は(国際格付機関に格付を付与されていない場合には)内部格付
・ 額面価格で報告され、未収利息を除く、 有価証券
-デリバティブ
CEBは、その貸付、投資及び資金調達取引に関する市場リスクをヘッジするために、金利スワップ(IRS)
及び通貨金利スワップ(CIRS)を使用する。
デリバティブ取引には、信用リスク委員会による発行体である取引相手方の信用度の事前承認並びに取
引相手方との間でのISDAマスターアグリーメント及びクレジット・サポート・アネックス(CSA)担保契約の
締結が必要とされる。スワップ取引の取引相手方は、新規スワップ取引の開始日において最低6.5(BBB+)の
格付を必要とする。現金又は負債性証券は、適格な担保となる。適格負債証券の担保として受領されるた
めには、当該債券の格付は最低7.0(A-)でなければならない。スワップ取引は全て 正味現在価値 で評価され
ており、取引相手方ごとのポジションの監視が毎日行われているため、毎日から月に3回までのCSAのマー
ジン・コール・オプションに従って、追加担保を要求することができる。CEBは、そのスワップ関連の枠組
みにおいて、関係する全てのデリバティブの取引相手方とCSA担保契約を締結した。
市況に適応するため及び最善の資金調達コストを確保するため、当行は既に9つの取引相手方と完全な
双方的CSAを締結しており、それらはデリバティブ・ポートフォリオの想定元本の92.5%を占める。これ
は、正味現在価値(NPV)がこれら取引相手方に有利である場合、当行は担保を差し入れる必要があり、それ
ゆえに潜在的な資金需要を増加させることを暗示する。
2020年12月31日現在、デリバティブの信用リスク・エクスポージャーには、367百万ユーロ(2019年度は
398百万ユーロ)のスワップ(アドオン)及び8.8百万ユーロ(2019年度は2.7百万ユーロ)の信用補完を受けた
カバーされていないNPVが含まれている。2020年度末、当行は、担保として現金(91.4%)及び国債(8.6%)
の323百万ユーロを受領した。
以下の表は、スワップの想定元本の種類別及び満期別の内訳である。
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(単位:百万ユーロ)
2020 年 2019 年
1年以上 5年以上 1年以上 5年以上
1年未満 10 年以上 合計 1年未満 10 年以上 合計
5年未満 10 年未満 5年未満 10 年未満
合計(a) 3,753 16,311 9,967 4,287 34,318 3,430 15,396 7,646 3,393 29,866
通貨スワップ 1,391 7,888 918 209 10,406 2,032 6,655 537 289 9,513
金利スワップ 2,362 8,423 9,049 4,078 23,912 1,398 8,741 7,109 3,104 20,352
このうち担保付(b) 3,753 16,311 9,967 4,287 34,318 3,430 15,396 7,646 3,393 29,866
(b)/(a) 100 % 100 % 100 % 100 % 100 % 100 % 100 % 100 % 100 % 100 %
-集約-大口エクスポージャー
集約リスクは、特定の国若しくは債務者又は特定の種類の商品若しくは個別の取引に対する配分が、
ポートフォリオに占める割合に対して高すぎることから生じる。大口エクスポージャーとは、単一の取引
相手方又は関連する取引相手方のグループに対する全体的なエクスポージャー(貸付、有価証券、預金及び
デリバティブ)で、健全性株主資本(払込済資本金、準備金及び純利益)の10%を超過しているものである。
2020年12月31日現在の健全性株主資本は、合計3.2十億ユーロである。
CEBは、バーゼル委員会の勧告及び欧州連合指令の基準に沿って、単一の取引相手方又は関連する取引相
手方のグループに対するエクスポージャーが健全性株主資本の25%の上限を超えることがなく、また大口
エクスポージャーの累計が健全性株主資本の800%を超えることがないように努めている。ソブリン・エク
スポージャーは、大口エクスポージャーの計算からは除外され、参照目的でのみ表示される。
2020年12月31日現在、エクスポージャーが健全性株主資本の10%、すなわち324百万ユーロを超える11の
取引相手方又は取引相手方のグループが存在しているため、これらは大口エクスポージャーであるとみな
されている(2019年度は12の取引相手方)。しかしながら、2019年度と同様、いずれの取引相手方又は関連
する取引相手方のグループもCEBの健全性株主資本の25%の上限を超えていない。2020年12月31日現在、こ
れらの取引相手方に対する貸付残高合計は4.9十億ユーロに達しており、CEBの健全性株主資本の152%に相
当するが、上限である800%を大幅に下回っている(2019年度は5.4十億ユーロ、すなわち169%)。
エクスポージャーをリスクで加重した場合、10%の健全性株主資本の上限を超過した取引相手方はな
かった(2019年度は取引相手方なし)。
したがって、名目エクスポージャーの代わりに潜在的なリスクの質を考慮したとしても、大口エクス
ポージャーに該当する取引相手方はない(2019年度末も同様)。また、その場合、もちろん25%の上限を超
える取引相手方もない。これは下表の「リスク加重資産」の欄に表示されている。
(単位:百万ユーロ)
2020 年
株主資本の
エクスポー
エクスポー
リスク加重
取引相手方
貸付(a) 財務活動(b) ジャー合計
ジャー合計
資産
(a)+(b)
%
ソシエテ・ジェネラル(SOCIETE GENERALE)
1 552 45 596 298 18 %
クレディ・アグリコルSA(CREDIT AGRICOLE S.A.)
2 537 27 564 282 17 %
バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア・SA(BBVA MADRID)
3 497 497 250 15 %
4 ワロン地方 489 489 98 15 %
バーデン=ヴュルテンベルク州立銀行(LANDESBANK BADEN
5 470 470 235 15 %
WURTTEMBERG)
6 マドリード自治体 459 459 229 14 %
7 オランダ水道整備金融公庫 288 117 405 12 %
8 ブランデンブルグ州 393 393 12 %
ロイズ・バンキング・グループPLC(LLOYDS BANKING GROUP PLC)
9 365 365 183 11 %
オランダ自治体金融公庫(BNG BANK N.V)
10 280 83 363 11 %
11 カイシャバンク(CAIXABANK) 326 326 163 10 %
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合計 3,323 1,603 4,926 1,738
(単位:百万ユーロ)
2019 年
株主資本の
エクスポー
エクスポー
リスク加重
取引相手方
貸付(a) 財務活動(b) ジャー合計
ジャー合計
資産
(a)+(b)
%
1 ソシエテ・ジェネラル 575 34 610 305 19 %
2 BPCE 270 298 568 284 18 %
クレディ・アグリコルSA
3 531 12 543 271 17 %
4 ワロン地方 528 528 106 17 %
5 バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア・SA 500 500 254 16 %
6 ブランデンブルグ州 425 425 13 %
サンタンデール銀行SA(BANCO SANTANDER SA)
7 321 90 411 210 13 %
8 オランダ自治体金融公庫 290 83 373 12 %
9 ロイズ・バンキング・グループPLC 370 370 185 12 %
バンク・ぺカオ・SA(BANK PEKAO SA)
10 360 360 180 11 %
預託貸付公庫(CASSA DEPOSITI E PRESTITI SOCIETA)
11 339 339 170 11 %
コーペラティブ・ラボバンクUA(COOPERATIEVE RABOBANK UA)
12 269 67 336 67 11 %
合計 3,907 1,454 5,361 2,031
・ 額面価格で、未収利息を除き、CRM後(担保を付さない。)に報告された貸付
・ 「財務活動」には、有価証券、金融市場、ノストロ、スワップNPV及びスワップ(アドオン)が含まれる。
(1)
-CEBの公的部門に対するエクスポージャー
下表は、公的部門の取引相手方に対するエクスポージャーの種類別(貸付金、有価証券)の内訳を示した
ものである。
(単位:百万ユーロ)
2020 年 2019 年
貸付金 有価証券 合計 貸付金 有価証券 合計
EU 加盟国
フランス 563 1,496 2,059 470 1,603 2,072
スペイン 1,482 40 1,522 1,406 188 1,594
ドイツ 965 442 1,407 841 448 1,289
イタリア 724 455 1,179 522 600 1,122
スロバキア共和国 1,030 1,030 567 567
ベルギー 995 995 1,002 1,002
オランダ 582 199 781 450 199 650
フィンランド 518 76 594 470 76 545
キプロス 413 413 443 443
リトアニア 402 402 200 200
アイルランド 396 396 353 353
ポルトガル 278 278 260 260
ギリシャ 158 158
*
オーストリア
88 88 89 89
スロベニア 87 87 49 49
ルクセンブルク 42 42 42 42
ラトビア 23 23 16 16
エストニア 4 4 7 7
ユーロ圏小計(a) 8,620 2,838 11,458 7,055 3,244 10,299
その他
ポーランド 860 860 870 870
ハンガリー 686 686 515 515
ルーマニア 483 483 536 536
クロアチア 439 439 335 335
スウェーデン 334 8 342 281 8 288
ブルガリア 268 268 207 207
チェコ共和国 211 211 23 46 69
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デンマーク 7 7 20 20
その他小計(b) 3,289 8 3,297 2,786 54 2,840
EU 加盟国合計(a)+(b) 11,909 2,845 14,755 9,841 3,298 13,139
非EU加盟国
トルコ 1,326 1,326 1,404 1,404
セルビア 189 189 196 196
北マケドニア 102 102 96 96
アルバニア 94 94 101 101
ボスニア・ヘルツェゴビナ 74 74 65 65
モンテネグロ 60 60 40 40
モルドバ共和国 37 37 27 27
コソボ 18 18
アイスランド 10 10 12 12
アンドラ 8 8
サンマリノ 7 7
ジョージア 3 3 1 1
非EU加盟国小計(c) 1,927 1,927 1,942 1,942
その他諸国
日本 984 984 94 94
カナダ 82 82
ニュージーランド 52 52 52 52
韓国 4 4 4 4
その他諸国小計(d) 1,122 1,122 150 150
超国家機関 9 615 624 12 652 664
超国家機関小計(e) 9 615 624 12 652 664
合計(a)+(b)+(c)+(d)+(e) 13,845 4,583 18,428 11,795 4,100 15,895
・ 額面価格で、未収利息を除き、報告された貸付
・ 額面価格で、未収利息を除き、報告された有価証券
* CEBの非加盟国:貸付金に係る保証及び担保の受領
注(1) 公的部門には、国家、地域及び地方政府、政府系金融機関並びに特別金融機関が含まれる。
2. 市場リスク及び流動性リスク
-金利リスク
金利リスクとは、金利の不利な変動による当行のエクイティの経済価値(EVE)又は利益の減少として定義
される。金利リスクは、金融商品の金利改定日又は契約上の満期日の期間差異によって発生する。
金利リスクへの対応における主な目標は、均衡の取れた持続可能な収益特性を保持し、かつ当行の経済
価値の変動を抑制することである。この目標のために、当行は、自己資金の投資の目標デュレーションを
設定し、半年ごとに見直している。
当行の貸借対照表はユーロで管理されており、主に2つの資金源に分けられる。
-エクイティを原資とする調達活動:固定金利でユーロ建の商品(長期ポートフォリオに組み込まれた証
券かローンかを問わない。)への投資により行われる。自己資金の投資の現在の目標デュレーション
は、6年である。
-借入を原資とする調達活動:金利スワップ(IRS)及び通貨スワップ(CIRS)を利用してヘッジした結果変
動金利の金融商品に転換される資産及び負債を用いて行われる。但し、当行は、調達費用を最適化す
るために、資産及び負債を固定金利で保持するよう決定することがある。
当行は、バーゼル委員会の勧告に従い、当行の利益及びEVEの両方に対する金利変動の影響を測定するた
めの指標を定め、限度を設定している。当行が限度を定めているのは、以下のとおり自己資金のデュレー
ション、自己資金を含む経済価値感応度(EVS)及び収益感応度(EaS)についてである。
-自己資金のデュレーションは、正でなければならず、11年を限度としている。2020年度末現在、自己
資金のデュレーションは6.5年であった。
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-EVS指標は、金利変動によるEVEの変動を測定する。したがって、 当該 指標は、自己資金のデュレー
ションにより定められる想定金利リスクと、貸借対照表における実際の金利リスクとの差を表す。EVS
(1)
の 限度は、+/-10ベーシス・ポイント(bps)の平行移動によるショックを想定した場合の自己資金 の
0.5%未満、すなわち現在(+/-)18.0百万ユーロを絶対値として定められている。2020年度末現在、EVS
は-6.6百万ユーロであった。
-EaS指標は、金利変動による将来の1年間の収益の変動を査定する。 当該 指標は、動的な方法で、すな
わち将来の活動を組み入れて策定される。金利変動は、瞬間的な平行移動による金利ショックとして
定義される。EaSは、+/-10bpsの金利変動を想定した場合の自己資金の0.08%を限度としている。2020
年度末現在、EaSは0.4百万ユーロであった。
またCEBは、金利ギャップ、指数ギャップ及び財務省証券ポートフォリオの時価評価感応度といった指標
を監視している。
注(1) 払込済資本金、準備金、純利益、社会配当金勘定及び退職給付引当金
金利ギャップ
下表は、金利ギャップ、すなわち静的アプローチにおける金利リスクのエクスポージャーを示してい
る。資産及び負債の金額は、契約上の満期日又は金利改定日に応じて時期別に分類されている。各時期分
類の資産及び負債の金額の差により、静的な金利リスクのエクスポージャーが測定される。
-エクイティを原資とする調達活動:長期ポートフォリオ(ユーロ建で固定金利の有価証券に投資する)
及び固定金利のローンにより生じる金利リスク。これらの資産の再取得日は、契約上の満期日に対応
している。
-借入を原資とする調達活動:資産及び負債の金利感応度は、ミクロヘッジ戦略を通じて世界的に相殺
される。ほとんどの資産及び負債の利率は短期(1年未満)で改定される。
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(1)
金利リスクの償却の特性
(単位:千ユーロ)
1年超
1ヶ月超 3ヶ月超
2020年12月31日現在 1ヶ月以下 3ヶ月以下 1年以下 5年以下 5年超 無期限 合計
資産
現金及び中央銀行における残高 1,060,252 1,060,252
株主資本を通じて公正価値で測
*
定する金融資産
1,095,658 2,259,488 574,691 105,610 4,035,447
償却原価での金融資産
*
貸付金
3,384,438 10,852,495 1,561,603 379,245 1,317,976 423,901 17,919,658
前渡金 857,000 555,000 100,000 5,278 1,517,278
負債証券 139,776 204,200 617,585 881,358 (57,558) 1,785,361
差入保証金 421,361 421,361
その他の資産 1,219,911 1,219,911
資産小計 6,958,485 13,666,983 2,440,494 996,830 2,199,334 1,697,141 27,959,268
負債
償却原価での金融負債
信用機関及び顧客への負債額 (86,443) (40,353) (1,816) (1,139) (854) (130,606)
*
発行済負債証券
(8,186,396)
(13,035,845) (0) (500,000) (500,000) (550,028) (22,772,270)
預かり保証金 (298,417) (298,417)
引当金 (360,168) (360,168)
その他の負債 (1,265,630) (1,265,630)
負債小計 (8,571,256) (13,076,198) (1,816) (501,139) (500,854) (2,175,826) (24,827,091)
株主資本 (3,132,177) (3,132,177)
当期合計(純額) (1,612,771) 590,785 2,438,678 495,691 1,698,480 (3,610,862)
(1,021,986)
当期累計(純額) (1,612,771) 1,416,692 1,912,382 3,610,862
* ヘッジ後
(単位:千ユーロ)
1年超
1ヶ月超 3ヶ月超
2019年12月31日現在 1ヶ月以下 3ヶ月以下 1年以下 5年以下 5年超 無期限 合計
資産
現金及び中央銀行における残高 677,861 677,861
株主資本を通じて公正価値で測
*
定する金融資産
1,218,391 1,984,482 813,851 101,118 4,117,841
償却原価での金融資産
*
貸付金
2,986,432 9,775,399 1,409,336 262,767 992,066 381,267 15,807,267
前渡金 1,293,967 578,509 299,000 (2,293) 2,169,183
負債証券 212,623 110,000 577,800 1,125,343 (48,228) 1,977,538
差入保証金 176,297 176,297
その他の資産 1,215,804 1,215,804
資産小計 6,565,572 12,338,390 2,632,187 840,567 2,117,409 1,647,666 26,141,791
負債
償却原価での金融負債
信用機関及び顧客への負債額 (53,333) (100,606) (153,940)
*
発行済負債証券
(6,822,571) (12,139,863) (356,430) (1,000,000) (909,203) (21,228,068)
預かり保証金 (571,444) (571,444)
引当金 (320,501) (320,501)
その他の負債 (779,035) (779,035)
負債小計 (7,447,349) (12,139,863) (356,430) (1,000,000) (2,109,345) (23,052,987)
株主資本 (3,088,804) (3,088,804)
当期合計(純額) (881,777) 198,526 2,275,757 840,567 1,117,409 (3,550,483)
当期累計(純額) (881,777) (683,250) 1,592,507 2,433,074 3,550,483
* ヘッジ後
注(1) 合計額は純簿価を表している。
指数ギャップ
指数ギャップは、期間を基準としたリスク、すなわち、同一の参照カーブを有するが期間の異なる金融
商品の金利の相対的な変動に対するエクスポージャーを測定する。2020年度末現在、CEBが有する期間を基
準としたリスクは、主に、Euribor 3Mレート、Euribor 6Mレート及びユーロEoniaレートにそれぞれ連動す
る金融商品によるものである。
金利変動による財務省証券ポートフォリオの感応度
CEB は、金利変動による財務省証券ポートフォリオの時価の変動を監視している。2020年度末現在、以下
のとおりである。
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-長期ポートフォリオ:当該ポートフォリオの時価評価は、+10bpsの金利の平行移動ごとに13.0百万
ユーロ減少する。+200bpsの平行移動では238百万ユーロ減少する。
-短期及び中期の流動性ポートフォリオ:これらのポートフォリオの時価評価は、ヘッジ後の公正価値
での投資か又は残存期間が1年未満の投資により構成されるため、時価は金利変動にそれほど敏感で
はない。
信用スプレッドの変動による財務省証券ポートフォリオの感応度
CEB は、信用スプレッドの変化による短期及び中期の流動性ポートフォリオの時価の変動を監視する。こ
れらのポートフォリオの時価評価は、+10bpsの信用スプレッドの平行移動ごとに9.9百万ユーロ減少し、
+200bpsの移動では185百万ユーロ減少する。これらのポートフォリオは株主資本を通じて公正価値で計上
されるため、かかる変動は、株主資本に影響を与えうる。
-外国為替取引リスク
外国為替取引リスクとは、外国為替相場の不利な変動に起因する、「オンバランスシート」及び「オフ
バランスシート」のポジションに係る潜在的損失である。
CEBは、外国為替ポジションを保有せず、資産及び負債を体系的にユーロにヘッジする戦略をとってい
る。ユーロ以外の通貨に対する利益を保有することで生じる残存リスクは、月次ベースで監視及びヘッジ
される。通貨ごとの未決済のポジション(純額)は、各月末時点で1百万ユーロ相当額を限度としている。
2020年度末現在、かかるポジションは全ての外国通貨で当該限度を下回った。
(単位:千ユーロ)
デリバティブ ポジション(純額) デリバティブ ポジション(純額)
通貨別内訳 資 産 負 債 資 産 負 債
商品 2020 年 商品 2019 年
米ドル 234,021 5,572,556 5,339,370 835 313,661 5,433,267 5,120,375 769
英ポンド 106,358 2,279,596 2,174,055 817 113,667 2,054,799 1,941,997 865
日本円 989,536 (11) (988,916) 631 297,163 2 (296,602) 559
スイスフラン 25,184 210,002 185,398 580 29,523 371,058 342,485 950
その他の通貨 1,316,715 677,626 (638,372) 717 1,400,041 703,756 (695,525) 760
合計 2,671,814 8,739,769 6,071,535 3,580 2,154,055 8,562,882 6,412,730 3,903
上記の表は、ヘッジ考慮後の残存外国為替取引へのエクスポージャーが著しくないことを示している。
-流動性リスク
流動性リスクは、支払債務の期限到来時に確実に全額を支払うことができないことから生じる損失を被
るリスクである。CEBは商業銀行とは異なり顧客預金業務を行っておらず、また中央銀行を通じてリファイ
ナンスを利用することができないため、このリスクは重要である可能性がある。
したがって、当行における流動性リスク管理は、特に、不利な市況により市場における長期資金の利用
が制約される場合に、財務面での柔軟性保護に関して非常に重要な役割を果たす。当行は、異なる期間水
準における流動性指標を設定することにより、また定期的活動を継続しつつ、極端な市場環境において市
場を利用することができない期間が生じた場合でも持ちこたえるための十分な流動資産を保有することに
より、健全性に関する慎重なアプローチを維持している。
当行は、その市場価値及び流動性が厳しい市況において維持される高格付を取得している流動性の高い
有価証券から構成される流動性準備金を保有していることの確認を行う。これらの有価証券の大半は、流
動性カバレッジ比率(LCR)の枠組みに基づく適格流動性資産(HQLA)として適格である。2020年度末現在、ヘ
アカット後のHQLAの額は3.85十億ユーロだった。
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当行の資金調達戦略は、資産及び負債の満期特性の著しいギャップを回避し、債券発行プログラム、資
金調達市場及び投資家基盤を多様化することである。この戦略は、管理委員会が承認した年間借入認可内
で 進められる。
流動性リスク指標及び制限
CEBの流動性リスクに対する耐性は、包括的なリスク指標に置き換えられ、適切な制限によって支えられ
ている。その主要な指標は流動性ギャップ(流動性曲線)及び流動性比率である。これらの指標は、貸付金
返済の中断、新規資金調達市場を利用できないこと、デリバティブ・ポートフォリオの悪評価による付随
的担保要件及び財務省証券ポートフォリオの価値下落を含む、厳格なストレス・シナリオに基づき計算さ
れる。
・ 自給期間(SSP)は、短期流動性リスクを抑制することについての重要な測定基準である。これは、当
行が、市場にアクセスせず、また取引可能な流動資産の売却/回収を行うことなく、継続事業から生
じるストレス付加後の想定支出純キャッシュ・フローを満たすことができる期間を評価するもので
ある。最低自給期間は6ヶ月である。2020年末現在、これは7ヶ月となった。
・ 存続水準(SH)は、当行が、市場にはアクセスしないものの、市場で取引可能な流動資産の売却/回収
を含む継続事業から生じるストレス付加後の想定支出純キャッシュ・フローを満たすことができる
期間を評価するものである。最低存続期間は、18ヶ月から24ヶ月の便宜期間を有する12ヶ月であ
る。2020年末現在、これは20ヶ月となった。
流動性ギャップ指標と同様に、短期流動比率(STLR)は、流動性の源泉と、正確な期間水準すなわち、
1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月及び1年での使途とを比較した比率である。CEBは、流動性カバレッジ比率(LCR)
及び安定調達比率(NSFR)の要件を監視する。
最後に、多くのデリバティブ契約に関する双方向証拠金要件の採用を受け、CEBは、内部モデルを用いて
デリバティブの不利な変動証拠金から生じる流動性リスクを測定する。
金融資産及び金融負債の満期特性
以下の表は、金融資産及び金融負債の満期特性を示している。金融商品の契約上の最終満期までの元利
金のキャッシュ・フロー(割引前)が、示されている。キャッシュ・フローは、金利スワップの純額及びそ
の他のデリバティブの総額に基づき示されている。利息キャッシュ・フローは、クロージング日現在の金
利カーブに基づき予測される。
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(単位:千ユーロ)
流動資産/負債残高 固定資産/負債残高
1年超
1ヶ月超 3ヶ月超
2020年12月31日現在 1ヶ月以下 3ヶ月以下 1年以下 5年以下 5年超 合計
資産
現金及び中央銀行における残高 1,060,335 1,060,335
株主資本を通じて公正価値で測
定する金融資産 465,311 971,527 715,561 1,009,407 853,894 4,015,701
償却原価での金融資産
貸付金 (64,249) 238,524 2,092,298 7,806,655 8,162,983 18,236,211
前渡金 862,669 554,435 99,689 1,516,793
負債証券 988 6,392 258,639 808,187 1,070,734 2,144,940
差入保証金 421,444 421,444
資産小計 2,746,498 1,770,878 3,166,187 9,624,250 10,087,611 27,395,424
負債
償却原価での金融負債
信用機関及び顧客への負債額 944 8,554 15,161 71,970 33,977 130,606
発行済負債証券 8,501 881,901 2,495,801 13,106,073 6,098,769 22,591,045
預かり保証金 298,417 298,417
社会配当金勘定 49,749 49,749
負債小計 357,610 890,456 2,510,962 13,178,042 6,132,746 23,069,817
オフバランスシート取引
融資約定 (949,000) (1,090,000) (1,415,040) (4,048,000) (951,000) (8,453,040)
定期性金融商品
受取り 312,981 1,390,546 1,280,501 8,564,490 1,121,767 12,670,285
支払い (306,116) (1,410,921) (1,142,756) (8,589,473) (1,236,011) (12,685,277)
オフバランスシート取引
(942,135) (1,110,374) (1,277,295)
小計 (4,072,983) (1,065,244) (8,468,031)
合計 1,446,753 (229,951) (622,071) (7,626,775) 2,889,621 (4,142,424)
(単位:千ユーロ)
流動資産/負債残高 固定資産/負債残高
1年超
1ヶ月超 3ヶ月超
2019年12月31日現在 1ヶ月以下 3ヶ月以下 1年以下 5年以下 5年超 合計
資産
現金及び中央銀行における残高 677,861 677,861
株主資本を通じて公正価値で測
定する金融資産 506,330 780,070 984,798 948,070 918,303 4,137,571
償却原価での金融資産
貸付金 (186,414) 202,805 2,089,070 7,753,400 6,514,507 16,373,368
前渡金 1,292,318 578,195 298,279 2,168,792
負債証券 75,620 4,472 168,516 788,783 1,356,157 2,393,549
差入保証金 176,297 176,297
資産小計 2,542,012 1,565,542 3,540,664 9,490,253 8,788,967 25,927,438
負債
償却原価での金融負債
信用機関及び顧客への負債額 963 8,659 15,610 89,116 37,724 152,072
発行済負債証券 965,659 954,600 1,670,996 12,586,108 5,230,221 21,407,584
預かり保証金 571,444 571,444
社会配当金勘定 48,544 48,544
負債小計 1,586,610 963,259 1,686,606 12,675,224 5,267,945 22,179,644
オフバランスシート取引
融資約定 (409,500) (234,980) (1,793,050) (3,361,419) (644,327) (6,443,277)
定期性金融商品
受取り 1,143,154 1,322,464 899,811 7,661,057 871,306 11,897,793
支払い (1,179,709) (1,279,660) (754,882) (7,162,937) (950,752) (11,327,940)
オフバランスシート取引
(446,055) (192,176) (1,648,121)
小計 (2,863,299) (723,773) (5,873,423)
合計 509,347 410,108 205,938 (6,048,271) 2,797,250 (2,125,629)
3. オペレーショナルリスク
CEBは、オペレーショナルリスクの特定、評価、管理及び報告に係る手法を成文化するオペレーショナル
リスク管理方針を実施した。この書類は、オペレーショナルリスクがCEB全体において有効かつ整合的に管
理されることを確保する健全な実務について定めている。
オペレーショナルリスクとは、不適切又は機能不全の内部プロセス、人員及びシステム又は外部的事象
を原因とする潜在的な損失リスクと定義され、これには法的リスクが含まれる。さらに、CEBは、その活動
に関連した風評リスクを考慮する。
バーゼル委員会の勧告及び最良慣行の適用を慎重に選択することにより、当行は引き続き当行のオペ
レーショナルリスクの評価及び適切な緩和策の実施に真摯に取り組んでいる。
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CEBのオペレーショナルリスクの枠組みは、オペレーショナルリスク及び組織委員会(CORO)の半年に1度
の会合において見直し及び承認が行われる。COROは総裁が議長を務め、経営幹部により構成されており、
CEBが運用する受容可能なオペレーショナルリスク水準の設定を行い、局長らがそれぞれの局内においてか
か るリスクを監視及び管理するために必要な対策を講じることを保証する。オペレーショナルリスクの資
本費用は、四半期ごとに算出され、リスク管理報告書において開示される。
オペレーショナルリスク部門は、様々な業務分野と緊密に協力し、当行のオペレーショナルリスクにつ
いて日々の管理を調整する責務を負う。枠組み全体は、集中的かつ電子的に管理される。すなわち諸リス
ク及びかかるリスクの評価は、所定の方法及びリスク軽減手段及び実行計画に従う。また、管理の枠組み
の有効性を保証するため、並びにリスクのマッピング及び評価を完了させるため、オペレーショナルリス
クに係る事故(「危うく事故になりかけた」事例を含む。)の事例集も組み込まれている。
オペレーショナルリスク部門は、恒久的な内部統制の枠組みがその設計及び有効性の点で常に適切であ
ることを保証している。各局は、主要なリスクを対象とした重要な統制に関するテストの実施後の各々の
恒久的な統制環境の効率性について、毎年報告を行っている。当該結果はCOROに報告されている。
オペレーショナルリスク部門は、包括的手続及び管理マップを維持するため、業務部門と共同し、手続
のモデルを制定する責任も負う。専用のイントラネット・サイトは、全てのスタッフに手続へのアクセス
を提供する。
事業活動の混乱に対する防衛のため、CEBは事業継続計画(BCP)を整備した。かかる計画は、危機管理計
画、データセンター、緊急対策室、ユーザーバックアップ拠点及び遠隔通信ソリューションを含む基本的
な技術的枠組み並びに事業分野固有の計画から成る。
CEBは、必要自己資本を算出するために、(バーゼルⅡに基づき提案された)基礎的指標手法を採用した。
当行は過去3年間の平均銀行業務純益に基づいてかかる資本費用を算出する。この費用は、健全性資本に
相当する。
2020年12月31日現在、オペレーショナルリスクの資本費用は2019年12月31日現在の23.4百万ユーロから
減少し、22.4百万ユーロとなった。
4. 健全性に関する枠組み
多国間開発銀行(MDB)として、CEBは、加盟国の規制枠組み、バーゼル委員会の勧告又は欧州連合指令の
対象とはならない。しかしながら、必要な調整を全て行うことによって当行のMDBとしての地位を考慮し、
最良の銀行慣行(BBP)に従うことが当行の方針である。この目的のため、当行は、当行の活動から生じるリ
スクを査定及び監視するために、一連の「健全性比率」を制定した。
かかる比率及び指標は、主に、資本、レバレッジ、流動性、市場における信用リスク、金利リスク及び
外国為替取引リスクの6分野で構成される。
資本
(1)
-自己資本比率(CAR)は、標準化されたアプローチに基づき、当行の健全性資本(EP) が総リスク加重資産
(2)
(RWA) に占める割合を測定する。当行は、信用リスク、市場リスク及びオペレーショナルリスクから生じ
る事業における想定外の損失を吸収するための十分な資本を維持することを目的として、かかる比率を定
義し、また監視している。
CAR は、貸付活動に関連してRWAが増加した結果、2019年末の30.3%から減少して、2020年12月末現在
27.6%となった。
かかる比率に対する実際の下限は10.5%に設定されているが、当行は、第1級の財務ファンダメンタル
ズを保証する20%超の比率の維持を目指している。さらに、当行は、十分なバッファーを目標とし、25%
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超の水準の余裕幅を検討している。最後に、95.3%の資本要件の大部分を占める信用リスクは、その内訳
が貸付ポートフォリオにおける信用リスク(87.9%)及び融資事業における信用リスク(7.4%)であった。
かかる比率は以下のとおり算出される。
健全性資本
自己資本比率=
リスク加重資産
-健全性資本:払込済資本金、準備金及び純利益
-リスク加重資産: S[債務不履行エクスポージャー×リスク加重後の要因]
(3)
-ギアリング・レシオ(GR)は、自己資金 に対するスワップ後及び保証後の貸付残高の比率であり、当行
の貸付事業に対する(リスク上限に代わる)規模上限となる。かかる比率は、その他の多国間開発銀行の貸
付の規模に対する指標を提供することが意図されている。
スワップ後及び保証後の 貸付残高
ギアリング・レシオ=
自己資金
-自己資金:引受済資本金、準備金及び純利益
その上限は自己資金の2.5倍であるため、当行は20.3十億ユーロまで貸付を行うことが可能であった。
2020年末現在、かかる比率は、2019年末現在の1.92に対して2.16であったが、これは、貸付ポートフォリ
オの増加とそれに伴う自己資金が少しだけ増加したことに起因する。
注(1) 健全性資本は、当行の払込済資本金、準備金及び純利益で表される。
注(2) 加重資産は、リスクに応じて加重された銀行の資産又はオフバランスシート・エクスポージャーである。
注(3) CEBの自己資金:引受資本、準備金及び純利益
レバレッジ
-負債比率(IR)は、(スワップ後の)負債残高総額を健全性資本(Ep)と比較する指標である。負債残高総額
には、有価証券、ユーロ・コマーシャル・ペーパー(ECPs)、銀行貸出及び定期預金口座によって裏付けら
れた負債も含まれるが、有担保のものは除かれる。その上限はEpの10倍(32.4十億ユーロ)に設定されてい
る。2020年末現在、資本より負債が高い比率で増加したことにより、かかる比率は6.90(2019年は6.42)で
あった。
-財務活動資産比率(TAR)は、(スワップ後の)金融資産総額を健全性資本と比較する指標である。金融資産
総額は、スワップ後の(長期、中期及び短期の)有価証券ポートフォリオ、すなわち銀行預金、レポ及び
「ノストロ勘定」(有担保のものを除く。)の残高で構成される。その上限はCEBの健全性資本の5倍(16.2
十億ユーロ)に設定されている。かかる比率は、2019年12月31日現在の登録水準(2.68)から若干下降し、
2020年12月31日現在には2.62となった。
流動性
-短期流動性比率は、長期にわたる市場混乱又は不況時において純流動性要求に対処する当行の能力を
(1) (2)
様々な時点において測定するための指標である。現金の源泉 ( 流動資産)及び使途 ( 流動性必要額)の間
で生じ得る「流動性ギャップ」の分析は、将来の様々な期間について行われる。すなわち、1ヶ月、3ヶ
月、6ヶ月、12ヶ月及びそれ以降の各期間について、資産クラス、格付及び満期に応じてそれぞれリスク
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に関する掛目を適用することにより、厳しい市場環境や不利な経済状況における対応力を計る。流動資産
の最低額は、各期間の純流動性必要額の100%に設定されている。
2020年12月31日現在、短期流動性比率は、1ヶ月については414%(2019年は358%)、3ヶ月については
204%(2019年は237%)、6ヶ月については174%(2019年は186%)及び1年については116%(2019年は
139%)であった。
-自給期間は、当行が、新規の資金調達のために市場にアクセスすることなく、又は資産の売却若しくは
回収を行うことなく、ストレス付加後の想定支出純キャッシュ・フローを満たすことができる期間を測定
するための指標である。その下限は6ヶ月超に設定されている。
2020年12月31日現在、かかる指標は、2019年12月31日現在の9ヶ月に対し、7ヶ月であった。
注(1) 現金の源泉:制約の付されていない現金及び短期銀行間預金の引出し、担保が設定されていない良質な流動性有価証
券の返済又は売却並びに貸出金の返済
注(2) 現金の使途:出資金の払戻し、融資約定に係る支払い及びデリバティブの担保として受領した現金(担保金額)の返戻
要求
市場における信用リスク
-最低内部格付は、当行が、発行者、債務者及び取引相手方との取引を締結する購入日における最低格付
(1)
を決定するための指標である。当行の最低内部格付は、短期投資については7.0(A-) 以上、長期投資につ
(2)
いては8.0(A+) 以上である。2020年12月31日現在、2019年12月31日現在の購入日における最低内部格付が
定められた基準値を下回った取引相手方/取引はなく、当行の内部格付は定められた限度内であった。
注(1) 満期までの期間が3ヶ月未満のものの最低内部格付は、ソブリン債については6.0(BBB)、短期債券及び預金について
は6.5(BBB+)となる。
注(2) 満期までの期間が2年以内のものの最低内部格付は、ソブリン、準ソブリン、機関、超国家機関及び金融機関の発行
した債券については7.0(A-)となる。
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金利リスク
(1)
-経済価値感応度は、+/-10ベーシス・ポイントの金利ショックによる、自己資金(市場リスク(MR) ) を含
む当行の経済価値の変動を測定するための指標である。その絶対値は、自己資金(MR)の0.5%未満、すなわ
ち18.0百万ユーロ未満と設定されている。2020年12月31日現在、経済価値感応度の金額は、2019年12月31
日現在の絶対値17.1百万ユーロに対する-0.3百万ユーロと比較して-6.6百万ユーロであり、定められた限
度内であった。
注(1) 自己資金(MR):払込済資本金、準備金、純利益、社会配当金勘定及び退職給付金引当金
外国為替取引リスク
(1)
-正味スポット・オープン・ポジション は、オンバランスシート及びオフバランスシートの両方のポジ
ションを含む、外国通貨建の資産総額から負債総額を控除した額である。その絶対値は、1通貨当り1百
万ユーロ未満と設定されている。2020年12月31日現在、各通貨における正味スポット・オープン・ポジ
ションは2019年12月31日現在の認められた限度を下回っていた。
注(1) 月末時点
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注C:損益を通じて公正価値で測定する金融商品及びヘッジ・デリバティブ金融商品
IFRS第9号によってそのヘッジ関係が承認されていない当行のヘッジデリバティブは、貸借対照表の
「損益を通じて公正価値で測定する金融商品」の項目に計上される。
IFRS第9号に基づいて公正価値ヘッジ又はキャッシュ・フロー・ヘッジとして認識される当行のヘッジ
デリバティブは、貸借対照表の「ヘッジ・デリバティブ金融商品」の項目に計上される。これらのオペ
レーションは、金融資産及び負債(貸付金、株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産、発行済負債証
券)をヘッジする。
金融商品には、金利スワップ、通貨スワップ及び先物為替スワップが含まれる。
IFRS第13号「公正価値測定」の適用に伴い、CEBは、以下の事項に関連する評価方法を調整した。
-デリバティブ金融資産の公正価値の範囲内での取引相手方の信用リスク(信用評価調整-CVA)
-デリバティブ金融負債の評価額の範囲内でのCEB自体の信用リスク(債務評価調整-DVA)
-発行済負債証券の評価額の範囲内でのCEB自体の信用リスク(自己信用評価修正-OCA)
2020年12月31日現在、CEBは、DVAに係る資産として179千ユーロ(2019年12月31日現在は148千ユーロ)、
及びCVAに係る負債として936千ユーロ(2019年12月31日現在は603千ユーロ)のデリバティブ商品に係る公正
価値の調整を計上した。これらの調整は、損益計算書の取引相手方ごとに計上される。
OCAは、公正価値で測定する区分に指定された発行済負債商品に対し、CEBの不履行リスクを示すために
作成される修正である。CEBが発行した負債証券が償却原価で測定する区分に全て指定されることにより、
OCAはゼロとなる。
以下の表は、これらの金融商品の公正価値を示す。
(単位:千ユーロ)
ポジティブ ネガティブ
2020年12月31日
時価 時価
損益を通じて公正価値で測定する金融商品
金利デリバティブ金融商品 2,038 (109)
外国為替デリバティブ金融商品 156,397 (547,994)
CEB自体の信用リスクの価額調整(債務評価調整-DVA) 179
取引相手方の信用リスクの価額調整(信用評価調整-CVA) (936)
合計 158,614 (549,039)
ヘッジ・デリバティブ金融商品
金利デリバティブ金融商品 671,307 (607,128)
外国為替デリバティブ金融商品 320,926 (44,764)
合計 992,233 (651,892)
(単位:千ユーロ)
ポジティブ ネガティブ
2019年12月31日
時価 時価
損益を通じて公正価値で測定する金融商品
金利デリバティブ金融商品 1,738 (61)
外国為替デリバティブ金融商品 311,416 (186,676)
CEB自体の信用リスクの価額調整(債務評価調整-DVA) 148
取引相手方の信用リスクの価額調整(信用評価調整-CVA) (603)
合計 313,302 (187,340)
ヘッジ・デリバティブ金融商品
金利デリバティブ金融商品 636,950 (494,854)
外国為替デリバティブ金融商品 201,296 (36,606)
合計 838,246 (531,460)
注D:金融資産及び金融負債
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金融資産及び金融負債は、会計評価基準及び公正価値に従い、以下の表に示されている。
(単位:千ユーロ)
振替可能
非振替可能
損益を通じて
株主資本を
株主資本を
2020年12月31日現在 測定する 償却原価 純簿価 公正価値
通じて測定
通じて測定
公正価値
する公正価値
する公正価値
資産
現金及び中央銀行における残高 1,060,252 1,060,252 1,060,252
損益を通じて公正価値で測定する
158,614 158,614 158,614
金融資産
ヘッジ・デリバティブ金融商品 992,233 992,233 992,233
株主資本を通じて公正価値で測定する
金融資産 4,034,352 1,095 4,035,447 4,035,447
償却原価での金融資産
貸付金及び前渡金 19,436,936 19,436,936 19,436,936
負債証券 1,785,361 1,785,361 2,192,620
金融資産合計 1,150,847 4,034,352 1,095 22,282,549 27,468,843 27,876,102
負債
損益を通じて公正価値で測定する
549,039 549,039 549,039
金融負債
ヘッジ・デリバティブ金融商品 651,892 651,892 651,892
償却原価での金融資産
信用機関及び顧客に対する負債額 130,606 130,606 130,606
発行済負債証券 22,772,270 22,772,270 22,002,971
社会配当金勘定 49,749 49,749 49,749
金融負債合計 1,200,931 22,952,625 24,153,556 23,384,257
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(単位:千ユーロ)
振替可能 非振替可能
損益を通じて
株主資本を 株主資本を
2019年12月31日現在 測定する 償却原価 純簿価 公正価値
通じて測定 通じて測定
公正価値
する公正価値 する公正価値
資産
現金及び中央銀行における残高 677,861 677,861 677,861
損益を通じて公正価値で測定する
313,302 313,302 313,302
金融資産
ヘッジ・デリバティブ金融商品 838,246 838,246 838,246
株主資本を通じて公正価値で測定する
金融資産 4,116,697 1,144 4,117,841 4,117,841
償却原価での金融資産
貸付金及び前渡金 17,976,450 17,976,450 17,976,450
負債証券 1,977,538 1,977,538 2,380,866
金融資産合計 1,151,548 4,116,697 1,144 20,631,850 25,901,239 26,304,567
負債
損益を通じて公正価値で測定する
187,340 187,340 187,340
金融負債
ヘッジ・デリバティブ金融商品 531,460 531,460 531,460
償却原価での金融負債
信用機関及び顧客に対する負債額 153,940 153,940 153,940
発行済負債証券 21,228,068 21,228,068 21,295,703
社会配当金勘定 48,544 48,544 48,544
金融負債合計 718,800 21,430,551 22,149,352 22,216,987
株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産又は償却原価での負債証券の項目に分類された有価証券
のうち、2020年中及び2019年中に担保として提供されたものはなかった。
注E:金融商品の時価測定
IFRS第13号「公正価値測定」の適用に伴い、CEBは、注Cに記載されたとおり、取引相手方のリスク(CVA)
並びに自身の信用リスク(DVA及びOCA)が含まれるように、その金融商品の公正価値測定の枠組みを調整し
た。
当行は、金融資産及び負債を、その公正価値測定の信頼性を反映して3段階のヒエラルキーにより分類
する。
公正価値レベルを決定するために、CEBは、下記の一連の規則に基づいて、外部のデータ提供者が提供す
る公正価値レベルを使用する。2020年には、これらの規則の適用により、一部の資産及び負債の公正価値
レベルが変更された。
レベル1-活発な市場で相場価格を有する流動資産及び負債並びに金融商品
レベル2-その市場価値が観察可能なパラメーターに基づく評価手法を用いて測定される金融商品。レベ
ル2の情報は、活発な市場における類似の資産又は負債の相場価格、活発でない市場における
同一又は類似の資産又は負債の相場価格、又は金融商品について観察可能な相場価格以外の情
報(金利及び観察可能なイールド・カーブ並びに信用スプレッド)を含む。
レベル3-その市場価値が観察不能なパラメーターも含めた評価手法を用いて測定される金融商品。この
レベルは支払の条件がその他の超国家的な金融機関により用いられる条件と同等である貸付金
を含む。優先債権者の地位を考慮して、当行は、この種の債権の売却を行っていない。さら
に、貸付金の大半が変動金利(ヘッジ取引を含む。)によるものであるため、かかる取引の公正
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価値に対する市場金利の変動の影響は僅少である。したがって、当行は、これらの資産の公正
価値は純簿価と一致すると見積っている。
公正価値で測定された金融商品は、以下の表に示されている。
(単位:千ユーロ)
2020年12月31日 レベル1 レベル2 レベル3 合計
資産
現金及び中央銀行における残高 1,060,252 1,060,252
損益を通じて公正価値で測定する金融商品 158,614 158,614
ヘッジ・デリバティブ金融商品 992,233 992,233
株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産 2,132,881 1,902,566 4,035,447
償却原価での金融資産
貸付金及び前渡金 19,436,936 19,436,936
負債証券 2,174,648 17,972 2,192,620
金融資産合計 5,367,781 3,071,385 19,436,936 27,876,102
負債
損益を通じて公正価値で測定する金融商品 549,039 549,039
ヘッジ・デリバティブ金融商品 651,892 651,892
償却原価での金融負債
信用機関及び顧客に対する負債額 90,606 40,000 130,606
発行済負債証券 20,738,471 1,264,500 22,002,971
社会配当金勘定
金融負債合計 20,829,077 2,505,431 23,334,508
(単位:千ユーロ)
2019年12月31日 レベル1 レベル2 レベル3 合計
資産
現金及び中央銀行における残高 677,861 677,861
損益を通じて公正価値で測定する金融商品 313,302 313,302
ヘッジ・デリバティブ金融商品 838,246 838,246
株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産 3,017,208 1,100,633 4,117,841
償却原価での金融資産
貸付金及び前渡金 17,976,450 17,976,450
負債証券 2,380,866 2,380,866
金融資産合計 6,075,935 2,252,181 17,976,450 26,304,566
負債
損益を通じて公正価値で測定する金融商品 187,340 187,340
ヘッジ・デリバティブ金融商品 531,460 531,460
償却原価での金融負債
信用機関及び顧客に対する負債額 100,607 53,333 153,940
発行済負債証券 20,984,827 310,876 21,295,703
社会配当金勘定 48,544 48,544
金融負債合計 21,133,978 1,083,009 22,216,987
注F:金融資産及び金融負債の相殺
2020年12月31日現在、CEBの貸借対照表において相殺の対象となる事業はなかった。当行はIAS第32号の
改訂の基準を満たすような相殺協定を有していない。
以下の表は、金融資産及び金融負債の純額、並びにIFRS第7号の改訂により要求される包括協定に基づ
く取引(スワップ及び貸付における担保契約に基づき受領した現金預金又は有価証券)を考慮に入れた金融
資産及び金融負債の純額を示している。
(単位:千ユーロ)
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金融資産及 担保として
担保として
2020年12月31日 び金融負債 取得した 純額
受領した/取得し
た現金
の純額 有価証券
資産
償却原価での貸付金 17,919,658 (375,768) 17,543,890
デリバティブ金融商品 1,150,847 (298,529) (27,929) 824,389
差入保証金 421,361 (421,607) (246)
その他相殺されない資産 8,467,402 8,467,402
資産合計 27,959,268 (720,136) (403,697) 26,835,435
負債
デリバティブ金融商品 1,200,931 (421,607) 779,324
預かり保証金 298,417 (298,529) (112)
その他相殺されない負債 23,327,743 23,327,743
負債合計 24,827,091 (720,136) 24,106,955
(単位:千ユーロ)
金融資産及 担保として
担保として
2019年12月31日 び金融負債 取得した 純額
受領した/取得し
た現金
の純額 有価証券
資産
償却原価での貸付金 15,807,267 (499,775) 15,307,493
デリバティブ金融商品 1,151,548 (571,649) (59,496) 520,403
差入保証金 176,297 (176,397) (100)
その他相殺されない資産 9,006,679 9,006,679
資産合計 26,141,791 (748,046) (559,271) 24,834,474
負債
デリバティブ金融商品 718,800 (176,397) 542,403
預かり保証金 571,444 (571,649) (205)
その他相殺されない負債 21,762,743 21,762,743
負債合計 23,052,987 (748,046) 22,304,941
注G:株主資本を通じた公正価値及び償却原価での金融資産
株主資本を通じた公正価値での金融資産
2020年12月31日現在、株主資本を通じた公正価値での金融資産は、負債証券4.0十億ユーロ(2019年12月
31日は4.1十億ユーロ)及び資本性金融商品1.1百万ユーロ(2019年12月31日は1.1百万ユーロ)で構成され
る。
(単位:千ユーロ)
2020年12月31日 2019年12月31日
株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産
総簿価 3,905,718 4,006,942
未実現損益 130,202 111,304
(*)
減損 (473)
(405)
合計 4,035,447 4,117,841
(*)うち、ステージ1 (473) (405)
うち、ステージ 2
うち、ステージ3
償却原価での金融資産
(単位:千ユーロ)
2020年12月31日 2019年12月31日
信用機関向貸付金
総簿価 8,620,828 8,842,084
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減損 (6,515) (5,467)
純簿価 8,614,313 8,836,617
顧客向貸付金
総簿価 8,840,235 6,623,776
減損 (11,548) (6,957)
純簿価 8,828,687 6,616,819
デリバティブ商品によってヘッジされた貸付金
の金額調整 476,658 353,831
貸付金合計 17,919,658 15,807,267
前渡金
要求に応じた支払可能な前渡金‐総簿価 6,620 9,013
減損 (2) (3)
純簿価 6,618 9,009
合意された満期又は通知期間のある前渡金‐総
簿価 1,510,814 2,160,290
減損 (154) (116)
純簿価 1,510,660 2,160,174
前渡金合計 1,517,278 2,169,183
負債証券
総簿価 1,785,466 1,977,664
減損 (105) (126)
純簿価 1,785,361 1,977,538
負債証券合計 1,785,361 1,977,538
2020年12月31日現在の貸付金のうち、保証が付されているものは、6.8十億ユーロである(2019年12月31
日現在は7.0十億ユーロ)。これらの保証は、有価証券又は締結済みの約定の形式によって行われている。
償却原価でのステージ別金融資産
(単位:千ユーロ)
2020年12月31日 2019年12月31日
減損
総簿価 減損 純簿価 総簿価 純簿価
信用機関向貸付金 8,620,828 (6,515) 8,614,313 8,842,084 (5,467) 8,836,617
ステージ1 8,620,828 (6,515) 8,614,313 8,842,084 (5,467) 8,836,617
ステージ2
ステージ3
顧客向貸付金 8,840,235 (11,548) 8,828,687 6,623,776 (6,957) 6,616,819
ステージ1 8,840,235 (11,548) 8,828,687 6,623,776 (6,957) 6,616,819
ステージ2
ステージ3
前渡金 1,517,434 (156) 1,517,278 2,169,303 (120) 2,169,183
ステージ1 1,517,434 (156) 1,517,278 2,169,303 (120) 2,169,183
ステージ2
ステージ3
負債証券 1,785,466 (105) 1,785,361 1,977,664 (126) 1,977,538
ステージ1 1,785,466 (105) 1,785,361 1,977,664 (126) 1,977,538
ステージ2
ステージ3
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2020 年度中に当行のポートフォリオに債務不履行は発生しなかった。さらに、当行はIFRS第9号の意味
におけるステージ1からステージ2又はステージ3への移行につながる信用リスクの著しい増加を確認し
ていない。
貸付金残高及び融資約定の国別内訳
以下の表には、借入人の属する国別の貸付金残高及び融資約定の内訳が、社会配当金勘定から助成金を
支払っているか否かにかかわらず表示される。
(単位:千ユーロ)
残高 融資約定
借入人の属する
国別内訳 2020年12月31日 % 2019年12月31日 % 2020年12月31日 2019年12月31日
スペイン 2,032,854 11.67 1,865,321 12.09 810,707 596,047
ポーランド 1,726,137 9.91 1,945,432 12.61 613,247 687,700
トルコ 1,336,014 7.67 1,435,500 9.30 100,000
フランス 1,295,410 7.43 1,201,098 7.79 627,708 401,723
スロバキア共和国 1,139,366 6.54 721,592 4.68 257,174 63,037
(1)
ドイツ 1,004,528 5.76 751,562
850,793 5.51 1,002,808
ベルギー 995,482 5.71 1,001,900 6.49 170,000 230,000
オランダ 877,947 5.04 719,492 4.66 185,083 375,025
(2)
イタリア 753,581 4.32 551,529 3.57 994,681 675,221
チェコ共和国 744,491 4.27 561,343 3.64 235,000 150,000
ハンガリー 686,016 3.94 515,196 3.34 149,386 67,301
ルーマニア 617,831 3.55 587,976 3.81 513,501 277,082
フィンランド 536,457 3.08 498,915 3.23 137,300 95,000
クロアチア 439,060 2.52 335,211 2.17 308,006 259,314
リトアニア 423,787 2.43 199,809 1.30 316,200 144,014
キプロス 413,135 2.37 443,123 2.87 41,049 147,049
アイルランド 396,146 2.27 352,911 2.29 218,700 85,000
スウェーデン 334,399 1.92 280,578 1.82 388,502 336,722
ブルガリア 293,902 1.69 235,515 1.53 100,000
ポルトガル 287,909 1.65 272,376 1.77 244,700 254,000
セルビア 241,879 1.39 244,277 1.58 685,161 165,712
ギリシャ 157,500 0.90 112,500
スロベニア 125,272 0.72 100,144 0.65 35,000 75,000
北マケドニア 107,599 0.62 104,293 0.68 46,653 57,264
アルバニア 94,310 0.54 101,379 0.66 2,980 6,980
ボスニア・ヘルツェ
ゴビナ 88,395 0.51 73,798 0.48 34,612 48,340
アイスランド 83,663 0.48 100,131 0.65
モンテネグロ 59,591 0.34 39,652 0.26 62,330 44,692
モルドバ共和国 48,376 0.28 36,005 0.23 121,775 49,248
ラトビア 22,600 0.13 16,100 0.10 14,400 23,400
ジョージア 19,478 0.11 8,750 0.06 26,308 15,598
コソボ 17,784 0.10 17,216
アンドラ 8,400 0.05 3,600
サンマリノ 7,000 0.04 3,000
デンマーク 6,667 0.04 20,000 0.13
エストニア 3,841 0.02 7,313 0.05 225,000
合計 17,426,805 100.00 15,427,452 100.00 8,453,040 6,433,277
注(1) うち2020年12月31日現在の対象国のための残高4.2百万ユーロ(2019年12月31日現在は5.2百万ユーロ)。
(2) うち2020年12月31日現在の対象国のための残高25.0百万ユーロ(2019年12月31日現在は35.9百万ユーロ)。
SDA 金利補助金又は借入保証を受けている貸付金残高及び融資約定の国別内訳
社会配当金勘定からの金利補助金又は借入保証を受けている貸付金残高及び融資約定の詳細は、下記の
表に借入人の属する国別に記載されるとおりである。
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(単位:千ユーロ)
残高 融資約定
借入人の属する国別内訳 2020年12月31日 2019年12月31日 2020年12月31日 2019年12月31日
トルコ 434,000 459,000
ポーランド 177,426 173,501 6,220 14,288
ボスニア・ヘルツェゴビナ 100,006 68,795 23,612 37,340
ルーマニア 89,917 102,927 7,621 7,621
アルバニア 50,888 60,898
コソボ 37,000 17,216
モルドバ共和国 34,765 26,772 8,461 10,933
クロアチア 31,085 25,100 9,314
北マケドニア 22,226 17,738 5,262
セルビア 7,732 10,576
イタリア 4,200 5,600
ジョージア 4,167 3,082 2,500 2,500
ブルガリア 4,068 4,827
合計 997,480 958,816 65,630 87,258
金利補助金については、注Kに記載されている。
注H:有形資産及び無形資産
(単位:千ユーロ)
(*)
土地及び建物
備品及び設備 その他 無形資産 合計
総簿価
2020年1月1日現在 37,679 15,202 7,863 27,109 87,852
追加額 8 692 1,102 5,955 7,757
その他変動 (859) (957) (248) (2,064)
2020年12月31日現在 37,687 15,035 8,008 32,816 93,545
償却費
2020年1月1日現在 (279) (11,059) (6,793) (11,897) (30,029)
当期費用 (285) (830) (807) (3,824) (5,746)
その他変動 762 931 1,694
2020年12月31日現在 (564) (11,127) (6,669) (15,721) (34,081)
純簿価
2020年12月31日現在 37,123 3,908 1 1,339 17,094 59,464
(単位:千ユーロ)
(*)
土地及び建物
備品及び設備 その他 無形資産 合計
総簿価
2019年1月1日現在 36,448 14,694 9,269 22,820 83,231
追加額 196 662 161 5,055 6,074
その他変動 1,035 (154) (1,567) (766) (1,453)
2019年12月31日現在 37,679 15,202 7,863 27,109 87,852
償却費
2019年1月1日現在 (10,232) (7,559) (9,868) (27,659)
当期費用 (279) (827) (884) (2,795) (4,786)
その他変動 1,650 766 2,416
2019年12月31日現在 (279) (11,059) (6,793) (11,897) (30,029)
純簿価
2019年12月31日現在 37,400 4,143 1 1,070 15,211 57,824
(*) 「土地及び建物」は、パリ市クレベール通り55番所在の当行の本部を示している。IFRS第16号に従い、かかる項目にリー
ス契約も含まれている。2020年12月31日現在の利用権総額は1.0百万ユーロとなり、償却費はマイナス563.1千ユーロと
なった(2019年12月31日現在はそれぞれ1.0百万ユーロ及びマイナス279.0千ユーロ)。
注I:その他の資産及び負債
(単位:千ユーロ)
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2020年12月31日 2019年12月31日
その他の資産
(*)
差入保証金
421,361 176,297
雑借方 4,639 3,316
引受済資本金、払込請求済資本金及び未払資本金並び
に受取準備金 2,132
前払費用 2,065 2,296
雑資産 764 820
合計 430,961 182,729
その他の負債
(*)
預かり保証金
298,417 571,444
(**)(***)
雑貸方
14,095 3,993
雑負債 855 7,697
合計 313,367 583,134
(*) 担保契約に関して、当行は、預託金又は有価証券の形式による保証金を預け入れ、また差し入れている。2020年12月31日
現在、CEBは、
・預託金の形式で421.4百万ユーロ(2019年12月31日現在は176.3百万ユーロ)の保証金を差し入れた。
・預託金の形式で298.4百万ユーロ(2019年12月31日現在は571.4百万ユーロ)、有価証券の形式で403.7百万ユーロ(2019年
12月31日現在は559.3百万ユーロ)の保証金を預け入れた。
(**) 信託業務の費用回収項目について未決定の交渉に関する2.7百万ユーロの引当金が含まれる。
(***)IFRS第16号に基づき、うち支払リース料の総額である1.0百万ユーロのリース負債及びマイナス563.1千ユーロの負債の償
却費である(2019年12月31日現在、リース負債は1.0百万ユーロ及び負債の償却費はマイナス279.0千ユーロ)。
注J:減価償却費で測定する金融負債
(単位:千ユーロ)
2020年12月31日 2019年12月31日
信用機関及び顧客に対する負債額
付利口座 90,606 100,606
借入金及び定期預金 40,000 53,334
合計 130,606 153,940
償却原価での発行済負債証券
債券 21,843,305 20,452,833
支払利息 154,572 174,450
デリバティブ商品によりヘッジされる発行済負債証券
の価額調整 774,393 600,785
合計 22,772,270 21,228,068
顧客の付利口座の進展
支援者との間で調印された多数の二国間及び多国間の寄付金に関する同意の枠組内で、CEBは、その目的
に沿った活動に対し助成金による融資を行うため、寄付金を受け入れている。支援者より受領した寄付金
は、CEBの名義で開設されている口座に預け入れられる。
一般的に、寄付金の大部分はCEBの協力国及び欧州連合の加盟国によって提供される。
当行は、口座の管理者としての役割を果たしている。当行は口座に影響を及ぼす変更の処理及び記録並
びに利用可能残高の管理を行う。かかる活動の枠組内において、CEBは管理報酬を受け取ることができる。
CEBが最初に1又は複数の支援者より寄付金に関する約定を得ることなく受益者へ助成金を提供する約定
を結ぶことはないため、CEBは、上記の口座に関して信用リスクにさらされてはいない。
2020年12月31日現在、当行は25の付利口座(2019年は26)を管理し、残高は合計90.6百万ユーロ(2019年は
100.6百万ユーロ)であった。かかる口座の原資は、支出額が292.9百万ユーロ(2019年は251.5百万ユーロ)
であったのに対し、383.5百万ユーロ(2019年は352.1百万ユーロ)であった。
以下の表は、以下の2つのカテゴリーに分類されたCEBにより管理されている口座の変動及び約定の概要
を示したものである。
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・支援国より資金提供を受けているプログラム/口座
・全て又は主に欧州連合より資金提供を受けているプログラム/口座
(単位:千ユーロ)
(1) (2) (3) (3)
原資 支出額 受取約定 支払約定
2020年12月31日
支援国より資金提供を
受けているプログラム/口座 42,460 (30,227) 12,233 2,647
全て又は主に欧州連合より
資金提供を
受けているプログラム/口座 341,026 (262,653) 78,373 100,852 78,605
合計 383,486 (292,880) 90,606 100,852 81,252
(単位:千ユーロ)
(1) (2) (3) (3)
原資 支出額 受取約定 支払約定
2019年12月31日
支援国より資金提供を
受けているプログラム/口座 36,459 (28,518) 7,941 1,000 3,831
全て又は主に欧州連合より
資金提供を
受けているプログラム/口座 315,605 (222,940) 92,665 42,919 125,824
合計 352,064 (251,458) 100,606 43,919 129,655
注(1) 支援者より受け取った寄付金及び未収利息により構成される。
(2) プロジェクトに対し支出した助成金、手数料及び支援者に返還した資金により構成される。
(3) 受取約定及び支払約定は、継続事業のみに関するものである。
以下の表は、以下の2つのカテゴリーに分類された付利口座の詳細を示したものである。
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(単位:千ユーロ)
口座 2020年 2019年
プログラム/口座 支援者 原資 支出額
開設年 12月31日 12月31日
支援国より資金提供を受けているプログラ
ム/口座
CEB 2020年 5,000 5,000
グリーン社会投資基金
イタリア革新的プロジェクト基金 イタリア 2017年 1,000 (127) 873 959
移住者及び難民基金 アルバニア、ボ 2015年 28,416 (26,391) 2,025 2,956
スニア・ヘル
ツェゴビナ、ブ
ルガリア、キプ
ロス、チェコ共
和国、フラン
ス、ドイツ、バ
チカン、ハンガ
リー、アイスラ
ンド、アイルラ
ンド、イタリ
ア、リヒテン
シュタイン、リ
トアニア、ルク
センブルク、マ
ルタ、ノル
ウェー、ポーラ
ンド、サンマリ
ノ、スロバキア
共和国、スペイ
ン、スウェーデ
ン、EIB、CEB
スロバキア包括的成長口座 スロバキア 2016年 4,000 (1,319) 2,681 2,083
共和国
スペイン社会的統合口座 スペイン 2009年 4,044 (2,390) 1,654 1,943
支援国より資金提供を受けているプログラ 42,460 (30,227) 12,233 7,941
ム/口座小計
全て又は主に欧州連合より資金提供を受けて
いるプログラム/口座
地域住宅プログラム(RHP)に関連する口座
欧州連合、ドイ 2012年 (42,013) 17,186
RHP基金国家口座-BiH 63,000 20,987
ツ、イタリア
スイス 2019年 (21) 829
RHP基金国家口座-BiH及びSRB 850 829
欧州連合 2013年 (9,147) 695
RHP基金国家口座-クロアチア 9,303 156
欧州連合、ドイ 2013年 (2,306) 1,194
RHP基金国家口座-モンテネグロ 3,500 1,194
ツ
欧州連合、ドイ 2013年 (52,385) 22,271
RHP基金国家口座-セルビア 69,000 16,615
ツ
欧州連合、トル 2012年 (36,699) 10,903
RHP基金地域口座 47,257 10,558
コ、米国
デンマーク、欧 2012年 (46,649) 16,542
RHP基金準地域口座 53,846 7,197
州連合、ドイ
ツ、ルクセンブ
ルク、ノル
ウェー、スイス
欧州連合 2013年 (24,660) 460
RHP実施 25,120 460
欧州連合 2017年 (10,670) 2,860
RHP実施2 12,175 1,505
スイス 2019年 500
RHP実施支援基金口座 500 500
ドイツ 2019年 1,000
RHP実施支援基金-ODA口座 1,641 1,641
キプロス 2012年 (1) 49
RHPキプロス共和国特別口座 50 49
チェコ共和国 2013年 (40)
RHPチェコ共和国特別口座 84 44
ハンガリー 2014年 (1) 29
RHPハンガリー特別口座 30 29
スロバキア 2012年 (25) 19
RHPスロバキア共和国特別口座 40 15
共和国
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東ヨーロッパエネルギー効率化・環境パート
ナーシップ(E5PR)
2016年
欧州連合の 1,000 (1,000)
改築-ジョージアのトビリシにおける公立学
校の復旧及びエネルギー効率の向上 その他の支援者
欧州地方エネルギー支援機関(ELENA)
欧州連合 2012年 (726) 274 619
CEB-ELENA 2012 1,000
トルコ難民支援機関(FRIT)
欧州連合 2017年 50,000 (34,009) 15,991 16,839
トルコ難民口座
加盟前支援制度(IPA)/西バルカン半島投資フ
レームワーク(WBIF)
WBIF:セルビアにおける刑務所施設建設 欧州連合の 2015年 1,430 (1,101) 329 449
その他の支援者
WBIF:ボスニア・ヘルツェゴビナの集合住 欧州連合の 2014年 1,200 (1,200) 221
宅に暮らす弱者 その他の支援者
全て又は主に欧州連合より資金提供を受け 341,026 (262,653) 78,373 92,665
ているプログラム/口座小計
付利口座合計 383,486 (292,880) 90,606 100,606
注K:社会配当金勘定
当行は、4種類の助成金の財源としてSDAを使用している。
-当行が付与する貸付金に係る金利補助金
-社会的に影響の大きい事業に対する当行の資金調達を支援する保証
-CEBが資金調達する事業の枠組みにおける技術支援
- 交付 寄付金
SDAを財源とする助成金は、総裁が承認する300千ユーロ以下の技術支援助成金を除いて、当行の管理委
員会により承認される。
助成金は、500千ユーロに制限される交付寄付金を除いて、それぞれ2百万ユーロを上限とすることがで
きる。全ての項目をあわせた国別の年次承認の合計は、利用可能なSDAの資金の10%を超えてはならない。
2020年12月31日現在、これらの下位勘定の内訳は以下のとおりである。
(単位:千ユーロ)
SDAの項目 2020年12月31日 2019年12月31日
承認された貸付金に係る補助金 15,476 17,817
補助可能額 1,640 2,064
貸付金に係る金利補助金 17,116 19,881
承認された貸付金にかかる保証 4,696 13,000
保証可能額 18,576 7,272
貸付保証 23,272 20,272
技術支援の承認 1,543 1,640
技術支援可能額 5,498 4,781
技術支援 7,041 6,421
承認された交付寄付金
寄付可能額 2,320 1,970
交付寄付金 2,320 1,970
合計 49,749 48,544
資金調達
SDAは、以下により資金調達されている。
a) 当行の年間利益の割当時の社会的性格の配当を通じて、CEBの加盟国から受領した寄付金。
b) 管理委員会の承認を受けた当行の加盟国からの任意拠出金。
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c) 欧州評議会の加盟国並びに理事会及び管理委員会による承認を受けた非加盟国又は国際機関からの
任意拠出金。
管理委員会は、当行の2019年会計年度の純利益から5百万ユーロをSDAに割り当てることを決定した。
注L:引当金
(単位:千ユーロ)
2020年12月31日 2019年12月31日
引当金
社会的約定に係る引当金 356,440 318,781
融資約定に係る減損(注S) 3,728 1,720
合計 360,168 320,501
社会的約定に係る引当金の変動
当行は、医療保険制度、財務調整制度及び退職給付制度に係る年金計画並びにその他の退職給付金を運
営する。各退職給付金に関する約定額は、予測単位積増し保険数理評価方式によって個別に決定される。
最新の保険数理評価は、2020年6月30日現在の個別のデータに基づき2020年12月31日現在実施済みであ
る。
退職給付金に係る財務状況は以下に示されている。
(単位:千ユーロ)
その他の
年金計画 合計
退職給付金
2020年1月1日現在の引当金 267,539 51,242 318,781
勤務費用 11,486 3,043 14,529
割引約定に関する利息費用 4,056 771 4,827
直接株主資本と認識される実差額の変動額 20,249 3,327 23,576
支払済給付金 (3,893) (1,380) (5,273)
2020年12月31日現在の引当金 299,437 57,003 356,440
(単位:千ユーロ)
その他の
年金計画 合計
退職給付金
2019年1月1日現在の引当金 213,821 41,121 254,942
勤務費用 10,126 2,637 12,763
割引約定に関する利息費用 4,332 826 5,158
直接株主資本と認識される実差額の変動額 42,523 7,883 50,406
支払済給付金 (3,263) (1,225) (4,488)
2019年12月31日現在の引当金 267,539 51,242 318,781
退職給付金の約定の評価に使用される主要な推定値は、以下のとおりである。
諸情報 2020年 2019年
割引利子率 1.25% 1.50%
インフレ率 1.75% 1.75%
年金再評価率 1.75% 1.75%
給与増加率 3.50% 3.50%
雇用主の医療費負担率 6.28% 6.28%
平均勤続年数 21.70 22.57
感応度テスト
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以下の表は、割引率の変動を-/+0.25%と仮定して計算した、2020年12月31日現在で評価された退職給付
金に関する約定(予測給付債務(PBO))の感応度、勤務費用、利息費用及び2021年の見積給付額に関する情報
を提供するものである。
(単位:千ユーロ)
2020年 2021年 2021年
2021年 2021年
年金計画 12月31日 PBOに対する 12月31日
勤務費用 見積給付額
PBO 利息費用 PBO
割引率-0.25% 315,684 12,853 3,126 (6,103) 325,560
割引率+0.25% 284,333 11,280 4,219 (6,096) 293,735
2020年12月31日現在、割引率が0.25%低下したと仮定した場合、年金約定は5.4%増加する。同日現在、
割引率が0.25%上昇したと仮定した場合、当該約定は5.0%減少する。
(単位:千ユーロ)
2020年 2021年 2021年
2021年 2021年
その他の退職
12月31日 PBOに対する 12月31日
給付金
勤務費用 見積給付額
PBO 利息費用 PBO
割引率-0.25% 60,216 2,539 592 (1,942) 61,405
割引率+0.25% 54,025 2,211 796 (1,942) 55,090
2020年12月31日現在、割引率が0.25%低下したと仮定した場合、退職給付金に関する約定は5.6%増加す
る。同日現在、割引率が0.25%上昇したと仮定した場合、当該約定は5.2%減少する。
注M:資本
資本管理
定款(第3条)に従い、欧州諸国(欧州評議会の加盟国又は非加盟国)及び欧州に重点を置いている国際機
関は、当行の理事会が制定した条件に従って、当行の加盟国となることができる。
当行は、加盟国が引き受けるユーロ建の参加証書を発行する。各証書の額面価格は、いずれも同額の
1,000ユーロである。
加盟手続は、申請国が当行の定款を承認し、理事会との合意により決定された数の参加証書を引き受け
る旨明言した欧州評議会の議長に対する宣言により行われる。当行の加盟国となる国は全て、かかる宣言
において以下の目的を承認するものとする。
-欧州評議会の特権及び免責に関する一般協定のための第三議定書について、できるだけ早い機会に同意
すること。
-かかる同意までの間に、当行の財産、資産及び運営に関する議定書による法的処置を適用すること並び
に当行の機関及び職員に議定書による法的地位を付与すること(定款第3条)。
理事会は、資本の引受け及び払込みに関する引当金に加えて、増資に関する引当金を設定している。加
盟国の脱退の可能性に関する条件については、CEBの定款(第15条)に定めている。当行はこれまでにこの種
の要求を受けたことはない。これに基づき、また2008年2月に改訂されたIAS第32号に従い、本参加証書
は、資本性金融商品に分類されている。
当行の資本及び準備金に対する出資は、CEBに関する欧州評議会の部分協定の予算に対する加盟申請国に
よる寄与比率に基づき算出されるものとする。
当行の引受済資本金は、払込済資本金及び請求払資本金で構成される。払込済資本金は、資本金のう
ち、管理委員会の提案を受けて理事会の決定後に当行に加盟する時点で払い込まれる部分である。開始以
来、当行は引受済資本金の引出しを行っていない。
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当行の業務に関連するリスクに関する自己資本は、様々な比率により構築された健全性に関する枠組み
を通じて評価されている(注Bの4.を参照のこと。)。
加盟国別の資本金の内訳は以下のとおりである。
(単位:千ユーロ)
加盟国 引受済資本金 請求未了資本金 払込請求済資本金 引受済資本金割合
フランス 915,770 814,114 101,656 16.720%
ドイツ 915,770 814,114 101,656 16.720%
イタリア 915,770 814,114 101,656 16.720%
スペイン 597,257 530,958 66,299 10.905%
トルコ 388,299 345,197 43,102 7.089%
オランダ 198,813 176,743 22,070 3.630%
ベルギー 164,321 146,083 18,238 3.000%
ギリシャ 164,321 146,083 18,238 3.000%
ポルトガル 139,172 123,724 15,448 2.541%
スウェーデン 139,172 123,724 15,448 2.541%
ポーランド 128,260 114,023 14,237 2.342%
デンマーク 89,667 79,712 9,955 1.637%
フィンランド 69,786 62,039 7,747 1.274%
ノルウェー 69,786 62,039 7,747 1.274%
ブルガリア 62,459 55,526 6,933 1.140%
ルーマニア 59,914 53,264 6,650 1.094%
スイス 53,824 43,229 10,595 0.983%
アイルランド 48,310 42,948 5,362 0.882%
ハンガリー 44,788 39,816 4,972 0.818%
チェコ共和国 43,037 38,260 4,777 0.786%
ルクセンブルク 34,734 30,878 3,856 0.634%
セルビア 25,841 22,973 2,868 0.472%
クロアチア 21,376 19,003 2,373 0.390%
キプロス 19,882 17,676 2,206 0.363%
スロバキア共和国 18,959 16,854 2,105 0.346%
アルバニア 13,385 11,899 1,486 0.244%
ラトビア 12,808 11,387 1,421 0.234%
エストニア 12,723 11,311 1,412 0.232%
北マケドニア 12,723 11,311 1,412 0.232%
リトアニア 12,588 11,191 1,397 0.230%
スロベニア 12,295 10,930 1,365 0.224%
アイスランド 10,144 9,018 1,126 0.185%
マルタ 10,144 9,018 1,126 0.185%
ジョージア 9,876 8,780 1,096 0.180%
ボスニア・ヘルツェゴビナ 9,689 8,614 1,075 0.177%
モンテネグロ 6,584 5,853 731 0.120%
コソボ 6,559 5,831 728 0.120%
モルドバ共和国 5,488 4,878 610 0.100%
アンドラ 4,925 4,378 547 0.090%
サンマリノ 4,867 4,206 661 0.089%
リヒテンシュタイン 2,921 2,374 547 0.053%
バチカン 137 107 30 0.003%
2020年合計 5,477,144 4,864,180 612,964 100.000%
2019年合計 5,472,219 4,859,802 612,417
2020年の各参加証書の収益は13.66ユーロ(2019年は19.13ユーロ)に達した。
2020 年度において、アンドラの加盟に伴い、当行の引受済資本金は4,925千ユーロ増加した。このうち
547千ユーロは払込請求済資本金に関連するものであった。準備金への拠出額は合計2,296千ユーロであっ
た。払込請求済資本金の払込み及び準備金への拠出は、毎年均等に四回に分割して行われる。711千ユーロ
の最初の支払いは2020年に支払われた。3回の未払いの支払いの総額は以下のとおりである。
(単位:千ユーロ)
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加盟国 払込済資本金 払込済準備金 合計
アンドラ 410 1,722 2,132
合計 410 1,722 2,132
注N:金利差益
収入及び費用は、実効金利法(利息、手数料及び費用)に従って計上される。
金融商品の未収利息を除いて計算された評価の変動額は、「損益を通じて公正価値で測定する金融商品
からの純損益」(注P)に計上される。
公正価値におけるヘッジ・デリバティブにおける金利収入及び費用は、リスクヘッジを提供している項
目に由来する収入及び費用とともに表示される。
(単位:千ユーロ)
2020年 2019年
収入 費用 純損益 収入 費用 純損益
株主資本を通じて公正価値で測定する
金融資産
負債証券取引 22,831 (3,856) 18,975 28,735 (4,231) 24,504
デリバティブ金融商品 7,009 (28,983) (21,974) 8,851 (33,315) (24,464)
小計 29,840 (32,839) (2,999) 37,586 (37,546) 40
償却原価での金融資産
貸付金 134,496 (10) 134,486 150,284 (1) 150,283
前渡金 32,797 (21,100) 11,697 54,099 (13,056) 41,043
負債証券 56,408 56,408 62,432 62,432
デリバティブ金融商品 9,691 (123,807) (114,116) 12,419 (131,918) (119,499)
小計 233,392 (144,917) 88,475 279,234 (144,975) 134,259
償却原価での金融負債
信用機関及び顧客に対する負債額 2,744 2,744 2,372 (139) 2,233
発行済負債証券 (278,420) (278,420) (349,303) (349,303)
デリバティブ金融商品 371,779 (29,886) 341,893 402,802 (28,284) 374,518
小計 374,523 (308,306) 66,217 405,174 (377,726) 27,448
その他の利息費用及び類似費用 (4,827) (4,827) (5,158) (5,158)
金利差益 637,755 (490,889) 146,866 721,994 (565,405) 156,589
注O:セグメント情報
CEBは、社会的使命を有する多国間開発銀行である。CEBは、加盟国における金融プロジェクトに対して
貸付を行っている。かかる事業の資金は、公募及び私募により調達される。
この範囲内で、当行は、単一の事業分野を有する。当行は、その拠出金を最も必要とする地域、特に対
象国を構成する中欧及び東欧諸国に介入する。
プロジェクトファイナンス事業は、欧州においてのみ行われている。しかしながら、その他の金融事
業、特に公募に関しては、CEBは欧州のほか、他の地域においても事業を行っている。したがって、これら
の事業については、下記の表に含まれていない。
借入人の属する国 別 の貸付における利息の内訳は以下のとおりである。
(単位:千ユーロ)
借入人の属する国別内訳 2020年 2019年
トルコ 16,879 18,722
ポーランド 15,017 22,250
ルーマニア 9,428 11,370
ハンガリー 8,913 8,731
クロアチア 4,728 5,270
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リトアニア 4,482 4,646
キプロス 3,671 4,008
スロバキア共和国 3,431 3,476
アルバニア 1,815 2,058
セルビア 1,434 1,582
ボスニア・ヘルツェゴビナ 1,269 1,326
ブルガリア 1,204 747
チェコ共和国 990 1,172
北マケドニア 875 916
モルドバ共和国 674 798
ラトビア 579 654
モンテネグロ 335 362
スロベニア 319 270
エストニア 159 260
ジョージア 122 192
コソボ 1
対象国小計 76,325 88,810
ベルギー 18,884 19,612
スペイン 8,032 9,052
フランス 6,993 7,307
オランダ 6,266 5,079
ドイツ 5,135 7,442
ポルトガル 3,749 4,620
アイルランド 3,301 3,200
スウェーデン 2,070 1,265
イタリア 2,034 1,713
フィンランド 877 797
アイスランド 738 1,308
ギリシャ 35
アンドラ 1
サンマリノ 1
その他の国小計 58,116 61,395
その他の国を通じた対象国 55 78
合計 134,496 150,283
国別貸付残高は、注Gに記載されている。
注P:損益を通じて公正価値で測定する金融商品からの純損益
損益を通じて公正価値で測定する金融商品からの純利益は、「金利差益」(注N)で表示される金利収入及
び費用を除く金融商品に関する損益項目を含む。
(単位:千ユーロ)
2020年 2019年
ヘッジ商品の公正価値の正味残額 30,604 40,563
ヘッジリスクに起因するヘッジ項目の再評価 (32,022) (38,995)
損益を通じて公正価値で測定する金融商品からの残額 (1,094) (1,355)
為替持高の再評価 (293) 182
自身の信用リスクに係る価額調整(債務評価調整-DVA) 31 (93)
相手方のリスクに係る価額調整(信用評価調整-CVA) (332) 364
合計 (3,106) 665
注Q:一般営業費用
(単位:千ユーロ)
2020年 2019年
賃金及び給料 (26,300) (25,167)
社会保障及び年金費用 (13,342) (11,902)
その他の一般営業費用 (11,339) (11,958)
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合計 (50,981) (49,027)
2020年12月31日現在、当行の職員は、4名の指定役員(総裁及び副総裁)及び209名の専門職員から構成さ
れている。2019年12月31日現在では、4名の指定役員(総裁及び副総裁)及び206名の専門職員であった。
注R:リスク費用
CEBが使用する一般的な減損評価モデルは、以下の2つの段階に基づく。
・当初認識後の信用リスクの著しい増加の有無を評価すること。
・当初認識後に信用リスクの著しい増加がない場合は12ヶ月の予想損失に基づき減損引当金を測定し、
当初認識後に信用リスクの著しい増加が生じた場合は全期間の予想損失(すなわち、満期時点の予想
損失)に基づき減損引当金を測定すること。
これらの2つの段階は、将来予測アプローチに基づくものでなければならない。
信用リスクの著しい増加
信用リスクの著しい増加に係る評価は、取引相手方の種類及びその内部格付によって異なる指標及び閾
値に基づき、各取引ごとのレベルで測定される。
信用リスクの著しい増加に係る評価に用いられる指標は、取引相手方の内部格付である。内部格付シス
テムについては、注B(信用リスクセクション)に記載されている。評価は関連する基準、すなわち当初の格
付と比較して何段階格下げされたかに基づいて行われる。しかしながら、取引が2018年1月1日現在の当
行のポートフォリオに既に表示されていた場合、信用リスクの著しい増加に係る評価の基準を評価日現在
の内部格付に基づく絶対評価とする。
いずれの場合も、評価日現在の信用格付が3.5以下の場合、信用の質の低下は重大とみなされ、当該取引
はステージ2に分類される。しかしながら、ソブリンはCEBの優先債権者の地位を前提として、一貫してス
テージ1に分類される。
90日超支払が遅延した場合、かかる資産は債務不履行状態にあるとみなされ、ステージ3に分類され
る。
2020 年度中に当行のポートフォリオに債務不履行は発生しなかった。さらに、当行はIFRS第9号の意味
におけるステージ1からステージ2又はステージ3への移行につながる信用リスクの著しい増加を特定し
ていない。
将来予測アプローチ
当行は、予想信用損失(以下「ECL」という。)の測定の際に、将来予測情報を考慮している。
当行は、可能性のある将来の経済情勢を幅広くカバーするため、3つのマクロ経済シナリオを使用する
ことを選択している。これらのシナリオは現在、ムーディーズ・アナリティックス(Moody's Analytics)に
より策定され、毎月更新されている。
主要なマクロ経済変数は、ユーロ圏におけるGDPの進展及び欧州の株式市場の進展である。予測期間中の
マクロ経済変数のモデル化は、2つの変数及び3つのラグを用いる自己回帰モデルを使用するモンテカル
ロ・シミュレーションに基づく。
IFRS第9号の下で使用されるシナリオは以下のとおりである。
・5年間の予測期間中に最も実現しそうな経済情勢を記述した基礎シナリオ。
・顕在化したリスクを基礎となるシナリオに加重した影響を反映し、結果として好ましくない経済情勢
となった不利なシナリオ。かかるシナリオは、ユーロ圏のGDP成長率のモンテカルロ・シミュレー
ションにおける10%の分位点として定義される。
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・顕在化したリスクを反映し、結果として良好な経済情勢となった好ましいシナリオ。かかるシナリオ
は、ユーロ圏のGDP成長率のモンテカルロ・シミュレーションにおける90%の分位点として定義され
る。
バランスの取れた引当金の推計を行うため、有利なシナリオの発生確率は、不利なシナリオの発生確率
と等しい値としている。
シナリオに設定された加重は以下のとおりである。
・ベースのシナリオについて60%
・不利なシナリオについて20%
・有利なシナリオについて20%
期間中のリスク費用引当金
(単位:千ユーロ)
2020年 2019年
減損引当金の純額-資本 (7,802) 1,965
減損引当金の純額-利息 (9) 7
合計 (7,811) 1,972
期間中のリスク費用の詳細
(単位:千ユーロ)
2020年 2019年
中央銀行における残高 (21) (18)
株主資本を通じて公正価値で測定する金融資産 (68) 35
償却原価での金融資産
貸付金 (5,640) 941
前渡金 (37) (41)
負債証券 21 90
その他資産 (58) 22
融資約定 (2,009) 943
合計 (7,811) 1,972
減損を伴わない残高に係るリスク費用 (7,811) 1,972
うち、ステージ1 (7,811) 1,972
うち、ステージ2
減損した残高に係るリスク費用(ステージ3)
期間中における減損の変動
(単位:千ユーロ)
12ヶ月の予想損 全期間の予想損
貸倒残高に係る
失を伴う残高に 失を伴う残高に
減損 合計
係る減損 係る減損
(ステージ3)
(ステージ1) (ステージ2)
2020年1月1日現在 (14,907) (14,907)
減損引当金の純額
期間中に取得した金融資産 (6,168) (6,168)
期間中に認識中止された金融資産 778 778
ステージ2への移転
ステージ3への移転
ステージ1への移転
ステージの移転を伴わないその他の引当金/戻入額 (2,421) (2,421)
2020年12月31日現在 (22,718) (22,718)
注S:付与された又は受領した融資約定
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(単位:千ユーロ)
2019年
2020年
12月31日
12月31日
付与された融資約定
信用機関向け 788,042 934,595
顧客向け 7,664,998 5,508,682
付与された融資約定の合計 8,453,040 6,443,277
付与された融資約定の減損 3,728 1,720
うち、ステージ1 3,728 1,720
うち、ステージ2
うち、ステージ3
2020年12月31日現在、受領した融資約定は計上されていない。
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以下は、2020年12月31日に終了した年度の財務書類についての独立した監査法人であるアーンスト・アン
ド・ヤングの監査報告書の日本語訳である。
欧州評議会開発銀行
2020 年12月31日に終了した年度
独立監査人による年次財務書類についての監査報告書
理事会、管理委員会及び監査委員会の構成員 各位
意見
我々は、欧州評議会開発銀行(以下「本銀行」という。)の年次財務書類を監査した。これらの年次財務書類
には、2020年12月31日を年度末とする貸借対照表、同日に終了した年度に係る損益計算書、包括利益計算
書、株主 資本勘定変動報告書 、キャッシュ・フロー計算書及び重要な会計方針の要約を含む年次財務書類に
対する注記が含まれている。
我々の意見では、添付の年次財務書類は、全ての重要な点において、EUにより採用される国際財務報告基準
に従って、2020年12月31日現在の本銀行の財務状況、並びに同日に終了した年度に係る本銀行の財務成績及
びキャッシュ・フローを、適正に表示している。
意見の基礎
我々は、国際監査基準(ISAs)に準拠して監査を行った。かかる基準に基づく我々の責任の詳細については、
下記「年次財務書類の監査に関する監査法人の責任」の項に記載されている。我々は、フランスにおいて
我々の行う年次財務書類の監査に適用される倫理的な要求とともに「職業会計士のための国際論理規定(国際
独立性基準を含む。)」(IESBAコード)に従い、本銀行から独立しており、また、かかる要求及びIESBAコード
に従い、その他の我々の倫理的責任を果たしてきた。我々は、我々が取得した監査証拠が、本意見の基礎を
提供することについて十分かつ適正であると確信している。
重要監査事項
新型コロナウイルス感染症のパンデミックに関連する世界的な危機により、当該期間の財務書類は特定の条
件下で作成され、監査されている。実際、かかる危機及び衛生上の緊急事態という状況下で講じられた例外
的な措置は、企業、特にその経営及び資金調達に多くの影響を及ぼし、企業の将来の見通しに対する不確実
性を増大させた。旅行制限やリモートワークなどの措置も、企業の内部組織や監査の実施に影響を与えてい
る。
我々は、この複雑かつ発展的な状況において監査の重要事項を提示する。
重要監査事項とは、我々の専門的判断において、我々が当期の年次財務書類を監査するにあたり重要度が最
も高い事項である。これらの事項については、我々の行った年次財務書類の監査全体の文脈の中で、我々の
意見を形成しつつ対処しており、これらの事項に関する個別の意見は述べていない。
損益を通じて公正価値で測定する金融商品及びヘッジ・デリバティブ金融商品の評価
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特定されたリスク
2020 年12月31日現在、損益を通じて公正価値で測定する金融商品は、158,614千ユーロの資産及び549,039千
ユーロの負債となった。ヘッジ・デリバティブ金融商品は、992,233千ユーロの資産及び651,892千ユーロの
負債となった。
年次財務書類に対する注Aに定義されているとおり、当該区分に基づく金融資産及び金融負債は、その時価で
評価及び計上される。かかる商品の時価は、活発な市場における見積価格の使用、又は以下の評価技術を適
用することによって決定される。
・財務上の仮定に基づく数学的計算方法
・活発な市場において取引される商品価格の利用、又は活発な市場がない場合には統計的推定若しくはその
他の定量法に基づいて決定された価値のパラメーター
かかる金融商品の重要性及び関連する見積りの内在不確実性により、我々は、損益を通じて公正価値で測定
する金融商品及びヘッジ・デリバティブ金融商品の評価を重要監査事項とみなしている。
我々の対応
我々は、金利スワップ及び通貨金利スワップに係る公正価値の決定に関する本銀行のプロセスを理解し、ま
た、公正価値評価の定式化のために本銀行が実行に移した技法について理解した。
我々は、スワップ評価額を取引相手方が作成した外部情報と比較し、金利スワップ(IRS) 及び 通貨金利スワッ
プ(CIRS)のサンプルに対する評価を再度計算した。
経営陣及びガバナンスを担当する者の年次財務書類に関する責任
経営陣は、EUにより採用される国際財務報告基準に従って、年次財務書類を作成し、公正に公表すること、
及び故意によるものか又は過失によるものかを問わず、重要な虚偽記載のない年次財務書類を作成するため
に経営陣が必要と判断する内部統制について責任を負う。
経営陣は、年次財務書類の作成にあたって、本銀行の継続企業として存在し続ける能力を評価し、継続企業
に関連する事項を(適用があれば)開示し、また経営陣が本銀行を清算するか若しくは業務を停止する意図が
ある場合又はそうする以外に現実的な代替手段がない場合を除き、会計上の継続企業の前提を使用する責任
を負う。
ガバナンスを担当する者は、本銀行の財務報告過程を監督する責任を負う。
年次財務書類の監査に関する監査法人の責任
我々の目的は、故意によるものか又は過失によるものかを問わず、年次財務書類全体に重要な虚偽記載がな
いかどうかについて合理的な保証を得ること並びに我々の意見を含む監査報告書を公表することである。合
理的な保証は、高いレベルの保証であるが、ISAに従って行われる監査によって、重要な虚偽記載が存在する
場合にそれを常に発見できるという保証ではない。虚偽記載は、故意又は過失によって生じる場合があり、
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それのみによるか又は全体の中でによるものかを問わず、これらの年次財務書類に基づいて利用者が行う経
済的意思決定に影響を及ぼすと合理的に予想される場合に重要とみなされる。
ISA に従って行われる監査の一環として、我々は専門的判断を行い、監査を通して職業上の懐疑心を持ち続け
る。また我々は、以下のことを行う。
・故意によるものか又は過失によるものかを問わず、年次財務書類の重要な虚偽記載のリスクの特定及び評
価を行い、当該リスクに対応する監査手続の企図及び実施を行い、かつ我々の意見の根拠を提供する十分
かつ適切な監査証拠を取得すること。故意による重要な虚偽記載を発見できないリスクは、過失による重
要な虚偽記載を発見できないリスクよりも高い。これは、故意によるものは、共謀、偽造、故意の脱漏、
不実表示又は内部統制の無効を含むことがあるからである。
・特定状況において適切な監査手続を企図するための、監査に関連する内部統制への理解を得ること。但
し、これは本銀行の内部統制の実効性に関する意見を表明することを意図するものではない。
・経営陣により使用される会計方針の適切性並びに経営陣によってなされる会計予測及びそれに関連する開
示の合理性を評価すること。
・経営陣による会計上の継続企業の前提の使用の適切性、及び取得した監査証拠に基づき、本銀行の継続企
業として存在し続ける能力に重大な疑いを掛ける可能性のある事象又は状況に関連する重要な不確実性が
存在するかどうかについて、結論を出すこと。我々が重要な不確実性が存在すると結論付けた場合には、
我々は、年次財務書類の関連する開示に対し、監査報告書において注意喚起する義務があり、又は当該開
示が不適切である場合には、我々の意見を修正する義務がある。我々の結論は、監査報告書の日付現在ま
でに取得した監査証拠に基づいている。しかしながら、将来における事象又は状況によっては、本銀行が
継続企業として存在しなくなる可能性もある。
・年次財務書類の表示全般、構成及び内容(開示情報を含む。)並びに年次財務書類が公正な表示となる様式
で基となる取引及び事象を表しているかどうかを評価すること。
我々は、とりわけ監査の予定範囲及び時期並びに重要な監査上の検出事項(監査中に我々が特定した内部統制
の重大な不備を含む。)について、ガバナンスを担当する者に通知する。
また我々は、ガバナンスを担当する者に、我々が独立性に関して該当する倫理的要件に準拠した旨の報告書
を提出し、我々の独立性に影響を及ぼすと合理的に考えられる全ての関係性及びその他の事項並びに(適用が
あれば)適用された脅威又はセーフガードを排除するために取られた措置について通知する。
2021 年3月2日、パリ市ラ・デファンスにて
独立監査人
アーンスト・アンド・ヤング監査法人
( 署 名)
Luc Valverde
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EDINET提出書類
欧州評議会開発銀行(E06017)
有価証券報告書
(6)【その他】
2021 年1月1日以後提出日までに、重要な変更は生じていない。
(7)【発行者の属する国等の概況】
該当事項なし
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