株式会社LTTバイオファーマ 意見表明報告書
提出書類 | 意見表明報告書 |
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提出者 | 株式会社LTTバイオファーマ |
カテゴリ | 意見表明報告書 |
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株式会社LTTバイオファーマ(E00982)
意見表明報告書
【表紙】
【提出書類】 意見表明報告書
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2021年1月27日
【報告者の名称】 株式会社LTTバイオファーマ
【報告者の所在地】 東京都港区海岸一丁目2番20号
【最寄りの連絡場所】 東京都港区海岸一丁目2番20号
【電話番号】 03-5733-7391
【事務連絡者氏名】 代表取締役会長兼社長・CEO 水島 徹
【縦覧に供する場所】 該当事項はありません。
(注1) 本書中の「当社」とは、株式会社LTTバイオファーマをいいます。
(注2) 本書中の「公開買付者」とは、シノ バイオファーマシューティカル リミテッドをいいます。
(注3) 本書中の記載において、計数が四捨五入又は切捨てされている場合、合計として記載される数値は計数の総
和と必ずしも一致しない場合があります。
(注4) 本書中の「法」とは、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注5) 本書中の「令」とは、金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号。その後の改正を含みます。)をいい
ます。
(注6) 本書中の「府令」とは、発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令(平成2年大蔵
省令第38号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注7) 本書中の「本公開買付け」とは、法で定められた手続き及び情報開示基準に従い実施されるものです。
(注8) 本書中の「株券等」とは、株式等に係る権利をいいます。
(注9) 本書中の記載において、日数又は日時の記載がある場合は、特段の記載がない限り、日本国における日数又
は日時を指すものとします。
(注10) 本書中の「営業日」とは、行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号。その後の改正を含みま
す。)第1条第1項各号に掲げる日を除いた日をいいます。
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1【公開買付者の氏名又は名称及び住所又は所在地】
名称 シノ バイオファーマシューティカル リミテッド
(SINO BIOPHARMACEUTICAL LIMITED)
所在地 ケイマン諸島 グランド・ケイマン ジョージ・タウン ハッチンスドライブ クリケットスクウェ
ア センチュリーヤード 私書箱2681
(Century Yard, Cricket Square, Hutchins Drive, P.O. Box. 2681GT, George Town, Grand Cayman,
British West Indies)
2【公開買付者が買付け等を行う株券等の種類】
普通株式
3【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】
(1)本公開買付けに関する意見の内容
当社は、2021年1月26日開催の取締役会において、下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」に記
載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに
応募するか否かについては、当社株主の皆様のご判断に委ねるべきであり中立とする旨の決議をいたしました。
なお、当社の取締役会の意思決定過程の詳細については、下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理
由」の「④ 当社における意思決定の過程及び理由」及び下記「(7)買付け等の価格の公正性を担保するための措
置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」をご参照ください。
(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由
本公開買付けに関する意見の根拠及び理由のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた
説明に基づいております。
① 本公開買付けの概要
公開買付者は、製薬・医療事業を営む企業の株式の取得・保有を主な事業として、ケイマン諸島法に基づき
2000年2月に設立された有限責任会社であり、香港証券取引所にその発行する普通株式が上場されております。
本書提出日現在、公開買付者は当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)を6,500株(所有割合(注
1):4.93%)を所有しているとのことです。
(注1) 「所有割合」とは、当社が2020年12月14日に提出した第19期半期報告書(以下「本半期報告書」とい
います。)に記載された2020年9月30日現在の発行済株式総数(131,868株)に対する割合をいい、
小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の記載について同じとします。
また、公開買付者が子会社を通じ間接的に(注2)議決権割合にて57.6%を所有する子会社である北京泰德制
药 股份有限公司(以下「北京泰德」といいます。)は当社株式を25,320株(所有割合:19.20%)所有し、公開
買付者及び北京泰德(以下、総称して「公開買付者ら」といいます。)は当社株式を合計で31,820株(所有割
合:24.13%)所有しているとのことです。なお、公開買付者は、2021年1月26日、北京泰德との間で、北京泰
德が所有する当社株式25,320株(所有割合:19.20%、以下「不応募対象株式」といいます。)について、本公
開買付けに応募しない旨を書面で合意しているとのことです。
(注2) 公開買付者が100%の議決権を所有する中国生物製薬(北京)有限公司(以下「中国生物(北京)」
といいます。)が北京泰德の議決権の33.6%を所有しているとのことです。また、公開買付者が
100%の議決権を所有するSuper Demand Investments Limitedが55%の議決権を所有し、公開買付者
が45%の議決権を所有する、France Investment (China I) Group Limited(以下「フランスインベ
ストメント」といいます。)が北京泰德の議決権の24%を所有しており、中国生物(北京)及びフラ
ンスインベストメントの合計で、北京泰德の議決権の57.6%を所有しているとのことです。なお、公
開買付者及び北京泰德の資本関係図は以下のとおりとのことです。
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今般、公開買付者は、当社との提携関係を強化するに際してのコミットメントを示すために当社株式を追加取
得することを目的として、本公開買付けを実施することとしたとのことです。
公開買付者は、当社との提携関係を強化するに際してのコミットメントを示すため、本公開買付け後に公開買
付者が当社の筆頭株主となり、かつ、公開買付者らの所有割合の合計が50.00%近くとなる水準まで当社株式を
追加したいと考えた一方、当社が経営の独立性を保ち、日本市場に関する独自のノウハウや経験に基づいて事業
を推進することが、公開買付者を含む株主の利益の最大化につながると考えており、公開買付者らにて過半の所
有割合を所有し、公開買付者が当社を子会社化することは企図していないことから、本公開買付けにより買付け
等を行った後に公開買付者らが所有することになる当社株式の上限を65,100株(所有割合:49.37%)とするた
め、買付予定数の上限を33,280株(所有割合25.24%)に設定しているとのことです。なお、当該上限の決定に
あたっては、買付け後の公開買付者らが所有する当社株式の上限65,100株(所有割合:49.37%)及び当社の代
表取締役である水島徹氏(以下「水島氏」といいます。)が所有する当社株式665株(所有割合:0.50%)を合
計した株式数65,765株にかかる所有割合(49.87%)が過半数に達しない点も考慮しているとのことです。
もっとも、水島氏は当社株式665株(所有割合:0.50%)を所有しており、北京泰德の役員(副董事長)であ
るという点において法第27条の2第1項第7号一に規定される特別関係者に該当しますが、公開買付者らと水島
氏との間には、法第27条の23第5項に規定される共同保有者に該当する議決権の行使に関する合意等が存在しな
いことに加え、水島氏は当社の代表取締役としての地位を有しており、また、当社の創業家の出身でもあること
から、実質的にもこれまで公開買付者らから独立した地位に基づいて議決権行使を行っており、今後も当社の代
表取締役として公開買付者らから独立した地位に基づいて議決権行使を行うことが想定されるとのことです。
本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の上限(33,280
株)を超える場合には、その超える部分の全部又は一部の買付け等を行わないものとし、法第27条の13第5項及
び府令第32条に規定するあん分比例の方式により、株券等の買付け等に係る受渡しその他の決済を行うとのこと
です。
また、公開買付者は、当社との提携関係を強化するに際してのコミットメント、具体的には公開買付者との提
携が成功し当社の収益が向上した場合の当社株式の株式価値向上による利益の享受及び提携が上手く進まず当社
が損失を計上した場合の当社株式の株式価値低下によるリスクを負担することにより、公開買付者と当社の利害
関係の一層の共通化を図ることにあり、買付予定数の範囲で可能な限り多く当社株式を取得したいと考えている
ことから、本公開買付けにおいて買付予定数の下限は設定していないとのことです。したがって、応募株券等の
総数が買付予定数の上限(33,280株)以下の場合には、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。
② 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程
公開買付者が、本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程は以下の通りです。
公開買付者は、製薬・医療事業を営む企業の株式の取得・保有を主な事業として、商号をシノ バイオテッ
ク リミテッドとしてケイマン諸島法に基づき2000年2月に有限責任会社として設立され、その後、2000年6月
に現在の商号であるシノ バイオファーマシューティカル リミテッドに商号変更したとのことです。また、公
開買付者が発行する普通株式は2000年9月に香港証券取引所ジェム市場に上場され、その後、市場変更により
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2003年12月以降は香港証券取引所メインボード市場に上場されているとのことです。なお、公開買付者とタイを
中心としたアジア地域にて農業、食品、小売、医薬、不動産、金融、教育、マスコミ等多様な事業を展開するコ
ン グロマリットであるチャロン・ポカパングループ(以下「CPグループ」といいます。)との間に資本関係はあ
りませんが、公開買付者の創業者である謝炳氏はCPグループの創業家の親族であり、本書提出日時点において、
謝炳氏及びその親族、並びにその資産管理会社が公開買付者の合計47.49%の議決権を所有し、公開買付者はCP
グループの製薬・医療事業にかかる企業集団の持株会社と位置付けられているとのことです。また、公開買付者
は2020年12月末時点で約100社の子会社を有し(以下、公開買付者及び公開買付者の子会社を総称して「公開買
付者グループ」といいます。)、公開買付者グループは中国国内にて、「CP Pharmaceutical Group(シー
ピー ファーマシューティカル グループ)」というブランド名で、製薬・医療事業を展開しており、グループ
内の各企業の連携によりグループ全体の企業価値を高めることを、ビジネスモデルとしているとのことです。
なお、公開買付者の子会社である北京泰德は、1995年5月に当社の前身である株式会社エルティーティー研究
所(以下「エルティーティー研究所」といいます。)及び中日友好医院(中国北京市に所在する政府系病院)と
の合弁会社として、商号を北京泰徳製薬有限公司として設立され、その後、北京泰德は2010年6月に持分会社か
ら株式会社への組織変更を行ったことに伴い、現在の商号である北京泰德制 药 股份有限公司に商号変更したとの
ことです(当該組織変更以前の資本関係については、北京泰徳に対する議決権割合のみを記載しておりま
す。)。また、本書提出日において当社は、北京泰德の議決権の11.52%を所有し、北京泰德をその他の関係会
社としておりますが、エルティーティー研究所及び当社が所有する北京泰德の議決権割合の推移は、以下のとお
りです。
(ⅰ)1995年5月に北京泰德設立。議決権割合は、エルティーティー研究所が30%、中日友好医院が70%。
(ⅱ)2003年1月にエルティーティー研究所が実施した会社分割により、エルティーティー研究所の医薬品事業
の権利義務の全部を当社が継承したことにより、当社はエルティーティー研究所から北京泰德持分を取得
し、当社が北京泰德の議決権の30%を所有。
(ⅲ)2003年11月に当社が北京泰德持分の一部を公開買付者の完全子会社である中国生物製薬(北京)有限公司
(以下「中国生物(北京)」といいます。)及びフランスインベストメントに譲渡し議決権割合が15.0%
に低下。
(ⅳ)2004年10月に北京泰德が中国生物(北京)及びフランスインベストメントへの第三者割当増資を実施し、
当社の議決権割合が12.0%に低下。
(ⅴ)2010年3月に当社が北京泰德持分の一部を北京泰通 达 信息咨詢有限公司及び北京德成経緯咨詢有限公司に
譲渡し、当社の議決権割合が11.52%に低下。
なお、公開買付者は北京泰德の製薬技術を評価し、2003年11月にその完全子会社である中国生物(北京)が北
京泰德の議決権の29.17%を取得し、間接的に北京泰德の議決権の29.17%を所有することにより関連会社化し、
その後、中国生物(北京)が2004年10月に北京泰德が実施した第三者割当増資を中国生物(北京)が引き受ける
ことにより、間接的に議決権割合が35%となったとのことです(その後、中国生物(北京)は2010年3月に北京
泰德持分の一部を北京泰通 达 信息咨詢有限公司及び北京德成経緯咨詢有限公司に譲渡し、議決権割合が33.6%に
低下しました)。更に、公開買付者は北京泰德の子会社化を目的として、2018年3月に北京泰德株式の24%を所
有するフランスインベストメントを子会社化し、間接的に北京泰德株式(議決権割合24%)を追加取得し、現在
の議決権割合である57.6%に至っているとのことです。
北京泰德は、1995年5月に当社の前身であるエルティーティー研究所と中日友好医院との合弁会社として設立
されて以来、2003年1月にエルティーティー研究所が会社分割により当社に北京泰德持分を承継させるまではエ
ルティーティー研究所の協力を受け、また、当該会社分割により当社が北京泰德持分を取得した後は当社の協力
を受け、リポPGE1(注3)を始め多くの新薬を開発しています。なお、公開買付者の創業者かつ執行董事(日
本の会社法でいう代表取締役)である謝炳氏は2009年4月に締結された本北京泰德資本業務提携(以下に定義し
ます。)の円滑な遂行を目的として2009年6月より当社の社外取締役を務めており、公開買付者らと当社間には
10年以上に渡る人的交流(役員の兼任)があります。
(注3) 「リポPGE1」とは、脂肪微粒子に封入することによりPGE1(血小板の凝集を抑え、血管を拡張させ
血流を増加させる作用をもつ物質です。)の失活を防ぐと共に、疾患部位へターゲッティングする
DDS(医薬品の投与において、効用となる成分を必要な場所(細胞等)に、必要な時間、必要な量だ
け送達する技術です。以下同様です。)製剤で、脂肪微粒子を使ったDDS製剤としては世界初でし
た。
一方、当社は、当社の前身であるエルティーティー研究所を1988年4月にDDS関連技術の研究開発とその事業
化及び医薬品に関する特許の取得・管理を目的として設立し、上述のとおり、1995年5月に中日友好医院との合
弁会社として北京泰德を設立し、大正製薬株式会社の技術支援を得てDDS製剤の製造を中国で開始いたしまし
た。そして、2003年1月にエルティーティー研究所が会社分割を実施し、当社にエルティーティー研究所の医薬
品事業の権利義務の全部を承継させることにより、当社が設立されました。その後、当社の普通株式は、2004年
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11月に株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)マザーズ市場(以下「マザーズ市場」
といいます。)に上場しました。
当社は、医薬品の研究開発・販売を主たる事業としており、「最先端の科学技術を医療に応用し、世界中の
人々の健康と命を守ることへの貢献」という経営理念の下、他のバイオベンチャー企業にはない、以下に挙げる
多くの特徴(財産)を有しております。
(ⅰ)DDSとDR(注4)という効率的な創薬手法において、世界をリードするコア技術
(ⅱ)産学官に広がる人的ネットワーク(特に、アカデミア(大学等、公的研究機関を指します。以下同様で
す。)との繋がり)
(ⅲ)中国有数の製薬企業に成長した北京泰德との強い繋がり
(ⅳ)会社の継続実績に基づく信頼と、創薬ノウハウの蓄積(経験豊かな社員・役員)
(ⅴ)安定的な収益に基づく医薬品開発推進力
(注4) 「DR」とは、ヒトでの安全性・体内動態が充分に証明されている既承認薬の新しい薬理効果を発見
し、その薬を別の疾患治療薬として開発(適応拡大)する技術です。
なお、当社は2007年9月1日付で東京証券取引所の定める「合併等による実質的存続性の喪失に係る猶予期
間」に入り、猶予期間である2011年3月期有価証券報告書を提出した2011年6月28日から起算して8営業日目に
あたる2011年7月7日までの間に、新規上場審査基準に準じた審査申請が必要となりましたが、主幹事証券会社
の選任を行うことができず、当該申請にあたり提出が義務付けられている取引参加者(証券会社)による確認書
を提出できなかったため、当社株式はマザーズ市場において2011年8月9日付けにて上場廃止となりました。
また、北京泰德は、当社との提携関係の強化を目的として、2009年4月に当社と資本業務提携契約(以下、当
該資本業務提携契約に基づく契約関係を「本北京泰德資本業務提携」といいます。)を締結し、本書提出日にお
いても以下を提携の内容とした本北京泰德資本業務提携が継続しております。
・医薬品に関する研究ならびに開発
・医療機器に関する研究ならびに開発
・医薬品、医療機器の販売に関するマーケティング
・その他新規事業等の共同開発
また、本北京泰德資本業務提携の一環として、北京泰德は2009年4月に、当時の大株主より市場外での相対取
引により当社株式25,320株(所有割合:19.20%)を取得しました。
また、公開買付者も2009年4月時点において北京泰德の議決権の35%を所有していたことから、北京泰德を通
した将来的な当社との提携を見据え、その後、2010年2月上旬から同月下旬にかけて、市場内取引により累計で
当社株式6,500株(所有割合:4.93%)を取得したとのことです。
その後も、北京泰德は本北京泰德業務提携に基づき当社との関係性を深め、中国において複数の医薬品の上市
(注5)に成功し業績を伸ばしたことから、北京泰德は利益から配当を行い、当社はその保有する北京泰德株式
の持分比率に応じ、2005年3月期乃至2008年3月期、2010年3月期乃至2019年3月期、及び2021年3月期におい
て北京泰德より配当金を受領しております。なお、新型コロナウィルス感染症の影響で北京泰德の2019年12月期
に係る配当金の決定が遅れたことにより、当社における2020年3月期の配当金の受領はなく、2021年3月期の受
領となっております。
(注5) 「上市」とは、承認された新薬の市場販売が開始されることをいいます。
さらに、当社と北京泰德は2015年1月、当社が北京泰德に対し北京泰德の販売する医薬品の登録、評価、薬品
の購買・輸出、プロジェクトに関する協力を実施する旨の包括的支援契約を締結し、提携関係を深めておりま
す。
上記のとおり、北京泰德と当社は、北京泰德においては、当社及び当社から紹介を受けた日本企業からの技術
導入による新薬の開発及び上市の成功、当社においては、その所有する北京泰德からの配当の受領、すなわち当
社の技術に基づき北京泰德が実現した収益の一部の享受という、シナジー効果を実現してきております。
一方で公開買付者と当社間においては、上記の通り公開買付者が将来的な当社との提携を見据え、2010年2月
上旬から同月下旬にかけて市場内取引で当社株式6,500株を取得し、また、(a)公開買付者による日本市場の調査
に際しての当社からの情報提供や(b)当社による、中国市場への進出を検討する日本企業の紹介などの協力は行
われてきたものの、公開買付者グループ内において日本でのビジネスを積極化するための人材やネットワークが
乏しかったことから、業務提携は活発化しておりませんでした。
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その後、公開買付者グループは中国市場での成功により業績を伸ばし、2018年12月期には当期純利益にて
10,732,845千人民元(2018年12月28日現在の株式会社三菱UFJ銀行の為替レートの仲値である1人民元=
16.16 円で日本円に換算すると173,442,775千円)を計上するに至ったとのことです。しかしながら、2019年8月
頃に公開買付者グループは、中国での医薬品市場の競争激化及び将来における中国での医薬品価格や需要に関し
不透明さも感じ、今後の収益基盤の安定化にあたっては、中国以外での市場拡大が必要になるとの考えに至った
とのことです。また、公開買付者グループの2019年12月期の当期純利益は4,694,374千人民元(2019年12月30日
現在の株式会社三菱UFJ銀行の為替レートの仲値である1人民元=15.67円で日本円に換算すると73,560,840
千円)と前年度の半分以下となったとのことです。
その後、公開買付者は2019年12月末頃より、アジアの先進国であり、かつ高齢化の進む日本市場は、(a)公開
買付者グループの展開する医薬品ビジネスの将来的な拡大が期待できる市場であり、また、(b)公開買付者グ
ループの製薬技術を向上させるノウハウを有する、製薬企業やアカデミアも多数存在すると考えたとのことで
す。また、具体的な施策としては、以下を初期的に検討したとのことです。
(ⅰ)公開買付者グループが有する製薬技術の、日本の製薬企業へのライセンスアウト
(ⅱ)日本の製薬企業からの医薬品の導入及び、公開買付者グループ内企業又はその取引先を通じた中国での販
売
(ⅲ)日本の製薬企業やアカデミアからの製薬技術の導入
しかしながら、公開買付者グループの社内には上記施策を遂行するための人材やネットワークを十分有してい
なかったため、日本におけるパートナーを選定し、協力を得る必要があると考えたとのことです。具体的には、
(ⅰ)に関しては日本の製薬企業とのパイプ、(ⅱ)に関しては日本の製薬会社の有望な医薬品を見極める能力、
(ⅲ)に関しては日本における技術研究の慣習の理解を有している、日本企業の選定が必要となったとのことで
す。
そこで、上記のとおり公開買付者の子会社である北京泰德との協業で実績があり、かつ、従前から役員間の交
流もあったことから、当社をパートナーとして選定することが、円滑な日本ビジネスの拡大に繋がるものと考え
るに至ったとのことです。
一方で、公開買付者が所有する当社株式は6,500株(所有割合:4.93%)、北京泰德が所有する25,320株(所
有割合:19.20%)と合算しても31,820株(所有割合:24.13%)に留まっているため、当社に今後、提携関係を
強化するに際してのコミットメントを示すためには、公開買付者グループの所有割合を高める必要があると考え
たとのことです。一方で、公開買付者は、当社が経営の独立性を保ち、日本市場に関する独自のノウハウや経験
に基づいて事業を推進することが、公開買付者を含む株主の利益の最大化につながると考えていることから、本
公開買付けも当社の支配権の取得や経営上の重要事項の決定への関与(当該関与の例としては、当社の議決権の
3分の1超を取得することによる株主総会の特別決議が必要な事項に対する拒否権の取得が挙げられるとのこと
です)を目的としたものではなく、公開買付者との業務提携が成功し当社の収益が向上した場合の当社株式の株
式価値向上による利益の享受及び提携が上手く進まず当社が損失を計上した場合の当社株式の株式価値低下によ
るリスクを負担し、公開買付者と当社の利害関係の一層の共通化を図ることにより、当社へのコミットメントを
示すことを目的としており、本公開買付けにより取得できた株式数にかかわらず、本公開買付けにより当社株式
を取得することとしているため、買付予定数の下限は設定していないとのことです。
なお、北京泰德は公開買付者グループに属しておりますが、公開買付者の完全子会社でなく(公開買付者が子
会社を通じ間接的に所有する北京泰德の議決権は57.6%)、経営の独立性が保たれているという点において、公
開買付者グループ全体としての施策に基づく出資を伴う協力を北京泰德に依頼することは北京泰德の経営の独立
性の尊重を損ねてしまうと考えた点、及び本公開買付けは北京泰德以外の公開買付者グループの企業と当社間の
提携の強化に際してのコミットメントを示すことを目的としている点から、北京泰德が当社株式を追加取得する
方法は選択肢とならなかったとのことです。
その後、2020年1月より新型コロナウィルス感染症が中国国内にて拡大し、公開買付者グループは、当該感染
症への対応が喫緊の課題となったことから、当社株式の追加取得についての検討を中断いたしましたが、2020年
4月頃に当該感染症の中国での拡大が収束したことから、2020年7月上旬より、検討を再開したとのことです。
上記検討を踏まえ、公開買付者の完全子会社で、公開買付者グループにおいて投資(株式の取得)に関する初
期的な検討を担当する正大製薬投資(北京)有限公司(以下「正大製薬投資」といいます。)が、2020年10月下
旬に当社に対して当社株式の取得に関する初期的な意向表明書(以下「初期意向表明書」といいます。)を提出
しました。なお、公開買付者ではなく正大製薬投資が初期意向表明書を提出した理由は、当時においては上記の
とおり公開買付者グループにおける投資に関する初期的な検討(投資先の初期的なデュー・デリジェンス及び公
開買付者グループとのシナジーの検証)を担当し、また、公開買付者グループとのシナジー効果に不確実性があ
る場合は、公開買付者グループとのシナジー効果の検証のために投資先の株式を取得し、シナジー効果の検証期
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間中の投資先株式の所有の役割を担う正大製薬投資が、当社株式の取得に関する検討を行っていたためとのこと
です。
当社は、正大製薬投資より初期意向表明書を受領したことを受け、2020年12月上旬に本公開買付けを慎重に検
討・協議するにあたり公開買付者ら及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務
所を、公開買付者ら及び当社から独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として株式会社ア
イ・アール ジャパン(以下「アイ・アール ジャパン」といいます。)をそれぞれ選任いたしました。
その後、公開買付者は、下記のとおり公開買付者グループと当社間でのシナジー効果に一定の具体性を見出し
たため、正大製薬投資ではなく公開買付者グループの持株会社である公開買付者をして当社株式を追加取得した
方が、公開買付者グループの各企業の事業や経営状況を直接把握していることから、当社と公開買付者グループ
の各企業との提携の調整が円滑に進められるという点において、経営の独立性が保たれており、公開買付者グ
ループとの提携の円滑性には不確実性のある北京泰德と比較しても当社に対しシナジー効果を示しやすいと考え
たことから、2020年12月中旬に、公開買付者として、公開買付けの方法による当社株式の追加取得を検討してい
る旨の意向表明書(以下「第1次意向表明書」といいます。)を当社に提出しました。なお、第1次意向表明書
においては、本公開買付けに係る対象会社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいま
す。)については29,000円、買付予定数の上限は上記のとおり、当社が経営の独立性を保ち、日本市場に関する
独自のノウハウや経験に基づいて事業を推進することが、公開買付者を含む株主の利益の最大化につながると考
えており、公開買付者らにて過半の所有割合を所有し、香港における会計基準上、当社が公開買付者の子会社に
該当することにより、公開買付者が当社を子会社化することは企図していないことから、買付け等を行った後に
公開買付者らが所有することになる当社株式の上限を所有割合にて50%未満に設定し、買付予定数の下限は設定
しない方針である旨が表明されました。また、第1次意向表明書においては、公開買付者と当社で大要以下の内
容の業務提携内容が検討され、シナジー効果も生まれる可能性がある旨が表明されました。
<公開買付者サイドの提携内容及びシナジー効果>
(ⅰ)当社から(a)日本企業への投資案件、(b)日本の製薬企業からの技術や医薬品の導入案件、(c)公開買付
者技術の日本の製薬企業へのライセンスアウト案件の紹介を受けることによる、日本企業とのビジネス
機会の拡大
(ⅱ)当社を窓口とした日本のアカデミアからの技術導入、及び当社からのDDS、DRに関するノウハウの導入
による、公開買付者グループの科学技術の向上
<当社サイドの提携内容及びシナジー効果>
(ⅰ)中国や東南アジアへの進出を目指す日本企業と公開買付者グループとの連携の仲介や、公開買付者グ
ループが日本企業から医薬品を導入する際の仲介等、新たなビジネス機会の創出
(ⅱ)公開買付者グループの各企業やネットワーク先に当社の製薬技術を紹介することによる、当社における
ライセンスアウトの機会の拡大
(ⅲ)当社が国内外で事業拡大を検討する際に、公開買付者が資金支援を行うことによる事業機会の拡大
そして、当社は、公開買付者より第1次意向表明書を受領したことを受け、2020年12月22日、当社の少数株主
の利益を図り、本公開買付けの公正性を担保すべく、本公開買付けについて諮問することを目的とした特別委員
会(以下「本特別委員会」といいます。本特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、下記「(7)買
付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担
保するための措置」をご参照ください。)を設置しました。
その後、当社は、公開買付者に対して、2020年12月23日に本公開買付価格の再検討を要請し、2020年12月25日
に、第1次意向表明書において表明した業務提携内容に関する具体的な説明の要請を行いました。
また、公開買付者は当社に対して、2021年1月5日、本公開買付価格を31,000円とする提案を行ったところ、
2021年1月8日に当社より本公開買付価格を37,000円とするよう、再検討の要請を受けました。
上記を踏まえ、公開買付者は、2021年1月19日、本公開買付価格を33,000円とする提案を行うとともに、第1
次意向表明書において表明した業務提携及びシナジー効果の具体的内容として、大要以下の内容を提示しまし
た。
<公開買付者サイドの提携内容及びシナジー効果>
(ⅰ)公開買付者グループにて当社のパイプラインを導入し、上市や販売を実現することによる、公開買付者
グループの収益拡大
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(ⅱ)当社から紹介を受けた日本の製薬企業や公開買付者グループの技術で製品力が向上できる業種の企業
(化粧品会社や健康食品会社等)に投資を行い、公開買付者グループの技術や販路(主に中国における
薬局やドラッグストア)を提供することによる、投資先企業の企業価値向上及び投資成果の享受
(ⅲ)当社より、中国での事業拡大を検討する日本の製薬企業の紹介を受け、公開買付者グループ企業の技術
や販路を活用し中国での開発・販売を実現することによる、公開買付者グループの収益拡大
(ⅳ)当社のネットワーク及び人材により日本の製薬企業にアプローチし、公開買付者グループのパイプライ
ン(公開買付者グループの企業が、新薬候補として研究を進めている医薬品)のライセンスアウト及び
上市を実現することによる、公開買付者グループの収益拡大
(ⅴ)DDS及びDRの研究指導者である水島氏、並びに当社の研究者からDDS及びDRの研究指導を受けること、及
び日本のアカデミアから当社の仲介により技術を導入することによる、公開買付者グループの製薬技術
の向上
<当社サイドの提携内容及びシナジー効果>
(ⅰ)中国や東南アジアへの進出を目指す日本企業を公開買付者グループに紹介し、当社は紹介した日本企業
又は公開買付者グループより、ロイヤリティや売上の一部を紹介報酬として受け取るビジネスの拡大
(ⅱ)公開買付者グループが日本企業から医薬品を導入する際の仲介を行い、当社は紹介した日本企業又は公
開買付者グループより、ロイヤリティや売上の一部を紹介報酬として受け取るビジネスの拡大
(ⅲ)公開買付者グループの企業、又は公開買付者グループが連携している中国や東南アジアの企業に、当社
のパイプラインを紹介のうえライセンスアウトを実現することによる、当社の収益拡大
(ⅳ)当社が他企業(製薬企業や当社の技術で製品力が向上できる業種の企業(化粧品会社や健康食品会社
等))への投資や、研究開発体制の強化にあたり資金が必要となった場合に、公開買付者グループが資
金支援を行い、当社単独の資金力では実行できなかった投資案件や研究開発案件の実行が可能となるこ
とによる、当社の収益基盤や技術の向上
その後、公開買付者は2021年1月21日、当社より本公開買付価格の再検討を改めて要請されたため、2021年1
月22日付けで、本公開買付価格を34,000円とする提案を行ったところ、当社との間で合意に至ったことから、公
開買付者は最終的に、2021年1月26日、本公開買付価格を34,000円として、本公開買付けを行うことを決定した
とのことです。
③ 本公開買付け後の経営方針
公開買付者は本公開買付け後、上記「② 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の
過程」に記載の施策を実現することにより、双方の企業価値の向上を図る方針とのことです。なお、資本業務提
携契約を締結する場合の具体的な内容については、本公開買付け後の公開買付者の所有割合を踏まえ、速やかに
当社と協議を行う予定とのことです。
なお、公開買付者らは本書提出日現在、公開買付者の執行董事を兼任する謝炳氏及び鄭翔玲氏、及び北京泰德
の副総裁を兼任する趙焔平氏の計3名を当社に派遣しておりますが、本公開買付け後、当該3名を変更する予定
はないとのことです。なお、2021年6月に開催が予定される当社19期定時株主総会(以下「本定時株主総会」と
いいます。)にて、追加で1名の役員派遣を検討しておりますが、公開買付者らは公開買付者らが派遣する取締
役の数が当社の取締役の半数以上となる役員派遣は意図していないことから、公開買付者らが派遣する取締役の
数が当社の取締役の半数以上とならないよう、当社から選任する取締役は5名とするよう、当社と協議を行うこ
とを検討しているとのことです。
④ 当社における意思決定の過程及び理由
当社は上記「② 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の通り、他
のバイオベンチャー企業にない多くの特徴(財産)を有しております。一方で、当社は収入の多くを北京泰德か
らの受取配当金に依存しており、直近の2020年3月期は、新型コロナウイルスの影響により北京泰德の2019年12
月期に係る配当決議が延期され、当社において受取配当金の計上がなかったことも影響し、当期純損失807,206
千円となったとのことです。当社としては収益の安定化・多角化が経営課題の一つであると認識し、下記3点が
当社の重点施策であると考えておりました。
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<当社の重点施策>
(ⅰ)製薬企業とのライセンス及び新規事業の立ち上げ
当社は生産、販売部門を有しておらず、研究成果である医薬品を上市するためには、生産・販売部門を
持つ製薬企業との連携(ライセンスアウト)が必須です。したがって、当社は多くの製薬企業と共同研究
開発等を行っておりますが、大手製薬企業へのライセンスアウトのハードルは年々高くなっており、北京
泰徳以外の企業との資本業務提携関係を構築する等して、ライセンスアウト先を安定的に確保することが
課題であり、かつ、急務と考えております。一方、当社は収入のほとんどを北京泰徳からの配当金に依存
しており、収益の安定化・多角化が課題であります。
(ⅱ)海外展開
過去の北京泰徳の設立から発展までの経験が当社の海外展開の成功事例となっており、類似する事業展
開の可能性を模索しておりますが、海外展開を当社単独で完遂させるには現地でのネットワークをどのよ
うに得るのかが課題になると考えております。
(ⅲ)他企業への投資
当社は、医薬品開発に関する経験とノウハウを活かして、他の製薬企業や創薬ベンチャー等当社の企業
価値向上に資する投資案件の実行を目指しておりますが、将来大きな利益をもたらす可能性の高い案件に
ついては、多額の投資を必要とすることが多いところ、当社単独でそのような投資案件を完遂するには当
社の現在の資金力には課題があり、かかる課題の克服が必要であると考えております。
そのような状況下において、上記「② 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過
程」に記載の通り、2020年10月下旬に公開買付者の完全子会社である正大製薬投資より初期意向表明書を受領し
たことを受けて、当社は上記重点施策とも照らし合わせ当社及び正大製薬投資との提携関係の強化、当該提携関
係の強化を通じた公開買付者グループ全体との提携関係の強化に関する初期的な検討を開始いたしました。
その後、2020年12月上旬に当社は本公開買付けを慎重に検討・協議するにあたり公開買付者ら及び当社から独
立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を、公開買付者ら及び当社から独立したフィナン
シャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてアイ・アール ジャパンをそれぞれ選任いたしました。
さらに、2020年12月中旬に当社が公開買付者より第1次意向表明書を受領したことを受けて、正大製薬投資を
含め傘下に多くの製薬企業を有する公開買付者との提携関係の強化の方がよりシナジー効果を享受できると考
え、公開買付者との提携関係の強化に関する検討を開始いたしました。本公開買付けに関する検討を進めるにあ
たり、当社の少数株主の利益を図り、本公開買付けの公正性を確保するための体制の一環として、2020年12月22
日に取締役会を開催し、本特別委員会を設置し、本公開買付けに関する提案を検討するための体制を整備いたし
ました。なお、本特別委員会の詳細については下記「(7)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利
益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」をご参照ください。
上記体制の下、当社は本公開買付けの目的、本公開買付価格を含む本公開買付けの諸条件について公開買付者
より表明された都度、本特別委員会へ報告し、本公開買付価格等の重要な取引条件については本特別委員会から
の意見・要請等を確認し、また森・濱田松本法律事務所及びアイ・アール ジャパンからの助言に基づき、2020
年12月中旬以降、公開買付者との間で複数回にわたる協議・交渉を重ねてまいりました。具体的には当社は2020
年12月23日に第1次意向表明書における本公開買付価格の再検討を要請し、2020年12月25日に第1次意向表明書
において表明された業務提携内容に関する具体的な説明を要請いたしました。その要請後に公開買付者より2021
年1月5日に本公開買付価格を31,000円とする提案を受けました。その後、当社は上記検討体制の下、2021年1
月8日に本公開買付価格を37,000円とするよう再検討を要請し、2021年1月19日に、上記「② 本公開買付けの
実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の通り業務提携及びシナジー効果の具体的内容
の提示を受けるとともに、本公開買付価格を33,000円とする提案を受けるに至りました。その提案を受け、当社
は2021年1月21日に公開買付者に対して、本公開買付価格を35,000円とするよう改めて再検討を要請したとこ
ろ、2021年1月22日に公開買付者より本公開買付価格を34,000円とする提案を受け、2021年1月25日に公開買付
者との間で合意に至りました。
上記のような検討・協議を踏まえ、当社としては公開買付者による当社及び公開買付者の提携関係強化の際の
コミットメントを示すための当社株式の追加取得、当社及び公開買付者の提携関係の強化により、公開買付者か
ら表明された上記「② 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の業務
提携内容及びシナジー効果の実現が期待されること、加えて下記の通り当社の重点施策遂行の促進につながると
期待されることから、当社の経営課題の一つである収益力の安定化及び多角化、ひいては当社の企業価値向上に
資すると考えるに至りました。
<公開買付者との提携関係の強化による当社の重点施策遂行の促進について>
(ⅰ)製薬企業とのライセンス及び新規事業の立ち上げ
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公開買付者の傘下には北京泰徳以外にも多くの生産・販売部門を持つ製薬企業が存在し、公開買付者と
提携関係を強化することにより、当社にとって安定したライセンスアウト先の確保、特に中国市場におけ
る 北京泰徳の注力領域(疼痛、末梢循環、呼吸器、癌)以外の医薬品に関するライセンスアウト先の確保
が期待されると考えております。また、中国や東南アジア進出を目指す日本企業と公開買付者グループと
の連携の仲介や、公開買付者の傘下の製薬企業が医薬品等を日本企業へライセンスアウトすることの仲
介、或は公開買付者が求める医薬品等の中国における開発権を日本企業からライセンスインすることの仲
介等、当社にとって新たなビジネス機会の創出も期待されると考えております。
(ⅱ)海外展開
公開買付者と連携し、当社の技術やパイプラインを基に、中国や東南アジアで子会社を立ち上げ医薬品
開発を行うこと等が期待されると考えております。
(ⅲ)他企業への投資
公開買付者との提携関係を強化し今後公開買付者と当社にて協議を進めることにより、公開買付者の意
向を踏まえ、当社が投資先の選定や役員派遣等を担い、公開買付者と当社にて共同で投資を実行すること
により、当社としては少ない投資で大きな投資案件に関与することができること、またその投資から新た
なビジネス創出機会の拡大が期待されると考えております。
また、当社は、本公開買付価格については、第三者算定機関であるアイ・アール ジャパンから取得した当社
株式の株式価値算定結果と比較しても不合理ではないと考えているものの、本公開買付けはいわゆるスクイーズ
アウトを企図するものではなく、当社の少数株主が本公開買付けに応募することを希望しない場合には、本公開
買付け後も当社株式を所有し続けることを通じて、公開買付者とのシナジーを享受することが合理的選択肢とし
て存在すること等の事情を考慮し、本公開買付価格の妥当性については当社としての判断を留保し、当社株主の
皆様が本公開買付けに応募するか否かについては、中立の立場を取り、当社株主の皆様のご判断に委ねるべきと
の判断に至りました。
なお、公開買付者より当社株式を追加取得する手法として提案された公開買付けは、当社としては、上記
「② 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の通り、当社株式が上場
廃止となっている状況下においては、株主の皆様に株式売却の機会を一定程度提供することができる手法である
と評価できるものと考えております。
以上より、2021年1月26日の当社取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社株
主の皆様が本公開買付けに応募することについては、当社株主の皆様のご判断に委ねるべきであり中立とする旨
の決議をいたしました。
当該取締役会決議の詳細については、下記「(7)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反
を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」をご参照ください。
(3)算定に関する事項
① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、本公開買付けに関する意見を決定するにあたり、公開買付者ら及び当社から独立した第三者算定機関
としてフィナンシャル・アドバイザーであるアイ・アール ジャパンに対して、当社の株式価値の算定を依頼
し、2021年1月25日付で当社株式価値算定書を取得しております。なお、アイ・アール ジャパンは、公開買付
者ら及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、公開買付者ら及び当社との間で重要な利害関
係を有しておりません。また、当社は、アイ・アール ジャパンから本公開買付けの価格の公正性に関する意見
書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
アイ・アール ジャパンは、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であること、非
上場会社であることを前提として、当社の事業概況及び直近の業績も考慮したうえで、当社株式価値について
は、①当社は非上場会社であることから市場株価法による評価はできず、②当社の前期実績、今期予想、翌期予
想の財務数値がマイナスであることから類似会社比較法による評価は適切ではなく、他方、③当社の将来の収益
力に基づき価値を評価することが適切であるとの考えに基づき、将来の事業状況に基づく本源的価値評価を反映
するDCF法を採用して、当社の株式価値を算定いたしました。
アイ・アール ジャパンが上記手法に基づき算定した当社株式の1株当たりの価値は以下の通りです。
DCF法 29,749円から41,067円
アイ・アール ジャパンはDCF法を採用し、2020年9月末を基準日として、当社がアイ・アール ジャパンに提
供した2021年3月期から2031年3月期までの事業計画(以下「本事業計画」といいます。)、及び一般に公開さ
れた情報等の諸要素を前提として、当社が2021年3月期第3四半期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッ
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シュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの価
値の範囲を29,749円から41,067円までと算定しております。また、アイ・アール ジャパンがDCF法による算定に
用 いた本事業計画は、本事業計画策定時において当社のパイプラインの進捗確度、成功確率等を合理的な範囲で
見積りかつ予測し、また北京泰德からの受取配当金も考慮のうえで算出しております。割引率は当社がバイオベ
ンチャー企業であることを踏まえ、ベンチャーキャピタル等の要求利回り水準等を参考に設定いたしました。ま
た、継続価値の算定にあたってはExitマルチプル法を採用しております。なお、北京泰徳からの受取配当金の価
値に関しては、ベンチャーキャピタル等の要求利回り水準等を参考に割引率を設定し、継続価値の算定では永久
成長率法を採用し、永久成長率を0%としております。また、DCF方式による算定の基礎となる事業計画は、本
公開買付けの実行を前提としたものではなく、本公開買付け実行により実現することが期待されるシナジー効果
については加味しておりません。
アイ・アール ジャパンは、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開さ
れた情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前
提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、当社の資産及び負債(簿外
資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定
又は査定の依頼も行っておりません。アイ・アール ジャパンの算定は、2021年1月25日までの上記情報を反映
したものであります。
② 公開買付者における当社株式価値の算定方法
公開買付者は、当社の営業赤字が継続しており、創薬ベンチャー企業であるという点において将来における収
益の見通しには不確実性があり、株式価値の将来予測も困難であることから、直近における当社の解散価値であ
る純資産額を基準として、本公開買付価格を決定する方針としたとのことです。具体的には、本公開買付価格の
決定にあたり、2020年9月末時点の1株あたり純資産額(33,704.19円。以下「本純資産額」といいます。)を
参照したとのことです。さらに、公開買付者は、当社との協議・交渉の結果、当社の取締役会による本公開買付
けへの賛同の可否及び本公開買付けに対する応募数の見通し等についても総合的に勘案し、最終的に2021年1月
26日に本公開買付価格を34,000円とすることを決定したとのことです。
なお、公開買付者は、上記のとおり、本純資産額を参照しつつ、当社による本公開買付けへの賛同の可否及び
本公開買付けの成立の見通しを総合的に勘案し、かつ当社との協議・交渉を経て本公開買付価格を決定してお
り、第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンは取得していないとのことです。
(4)本公開買付け成立後の株券等の追加取得の予定
公開買付者は、現時点で、本公開買付け後に当社株式を追加で取得することは予定していないとのことです。
(5)上場廃止となる見込み及びその事由
当社株式は金融商品取引所に上場していないため、該当事項はありません。
(6)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
該当事項はありません。
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(7)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を
担保するための措置
当社は、本書提出日現在において、公開買付者の子会社ではありませんが、公開買付者の子会社である北京泰德
が当社株式を25,320株(所有割合:19.20%)所有する当社の筆頭株主かつ主要株主であり、また、公開買付者ら
があわせて当社株式を31,820株(所有割合:24.13%)所有していること、当社の取締役7名のうち、公開買付者
の役員(執行董事)を現在兼務している者が2名(謝炳氏及び鄭翔玲氏)、公開買付者グループから派遣されてい
る者が1名(趙焔平氏)いること等の状況を考慮し、公開買付者及び当社は、当社の少数株主の利益を図り、本公
開買付けの公正性を担保するための措置として、それぞれ以下のような措置を講じております。なお、以下の記載
のうち、公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
① 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
(ⅰ)設置等の経緯
当社は2020年12月中旬に、公開買付者から第1次意向表明書を受領したことを受け、本公開買付けの公正
性を確保するための体制の一環として、2020年12月22日に取締役会を開催し、公開買付者ら及び当社との間
で利害関係を有しておらず、当社の社外取締役であり、当社の事業内容等について知見がある武永美津子
氏、公開買付者ら及び当社との間で利害関係を有しておらず、企業関連法務を取り扱う弁護士として本公開
買付けを検討する専門性・適格性を有すると判断される熊澤誠氏(新幸総合法律事務所)並びに公開買付者
ら及び当社との間で利害関係を有しておらず、企業関連税務を取り扱う税理士として本公開買付けを検討す
る専門性・適格性を有すると判断される平野雄一氏の3名から構成される本特別委員会を設置することを決
議いたしました。
そして、当社は、同日、上記取締役会の決議に基づき、本特別委員会に対して、当社が本公開買付けにつ
いて(ⅰ)賛同の意見表明を行うこと及び(ⅱ)取引条件の妥当性等の観点からの検討等を踏まえて、今後当社
として当社株主に対して応募を推奨する又は中立の立場をとり当社株主の判断に委ねるという判断を行うこ
とが、当社の少数株主の利益を踏まえてもなお、合理的であるといえるかを検討し、当社取締役会に答申を
行うこと(以下「本諮問事項」といいます。)を諮問しました。また、当社は、同日の取締役会において、
当社取締役会における本公開買付けに関する意思決定については、本公開買付けへの賛否を含め、本特別委
員会の判断内容を最大限尊重して行うことを決議するとともに、本特別委員会に対し、取引条件等につい
て、必要に応じ、公開買付者と交渉を行うこと、本諮問事項に関する答申を行うに際し、必要に応じ、自ら
の財務若しくは法務等のアドバイザーを選任すること(この場合の費用は当社が負担するものとされている
とのことです。)、又は当社の財務若しくは法務等のアドバイザーを指名し、若しくは承認(事後承認を含
みます。)すること、並びに当社の役職員から本公開買付けの検討及び判断に必要な情報を受領することの
権限を付与することを決議いたしました。
(ⅱ)検討の経緯
本特別委員会は、以下のとおり、2020年12月23日より2021年1月25日までの間に合計6回開催され、本諮
問事項についての協議及び検討を行っております。
具体的な審議内容として、本特別委員会は、①当社から、当社の沿革、事業の内容、業績、経営課題、事
業計画の内容及び作成経緯、並びに当社株式を本件公開買付けにより追加取得するとともに当社及び公開買
付者の間で資本業務提携を行う取引(以下「本件取引」といいます。)についての意義・目的等について、
説明を受け質疑応答を行い、②当社の第三者算定機関であるアイ・アール ジャパンから、事業計画を基礎
として行った当社の株式価値算定の内容、方法等及び本公開買付価格の交渉状況等について説明を受け質疑
応答を行っております。また、③公開買付者に対し、公開買付者及びそのグループの概要、当社株式の取得
経緯、本件取引の背景、本件取引において想定している提携の内容及び見込まれるシナジー効果を含む本件
取引の意義・目的、本件取引後の経営方針並びに本件取引における諸条件等について書面により質問し、こ
れに対して書面により回答を得た上で、web会議方式での面談を行うこと等を通じて質疑応答を行い、本公
開買付価格について、協議・交渉過程に実質的に関与しております。また、④当社のリーガル・アドバイ
ザーである森・濱田松本法律事務所に対し、本公開買付けの手続に対する当社取締役会の意思決定の方法及
び過程、本特別委員会の運営方法その他の意思決定にあたっての留意点について質疑を行い、法的な視点か
らの回答を受けております。
なお、当社は、2021年1月上旬、本諮問事項のうち、「今後当社として当社株主に対して応募を推奨する
又は中立の立場をとり当社株主の判断に委ねるという判断を行うこと」については、「本公開買付けに応募
するか否かについて中立の立場をとり当社株主の判断に委ねるという判断を行うこと」とすることを伝達い
たしました。
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(ⅲ)判断内容
本特別委員会は、上記の各調査、協議及び検討の内容を踏まえ、本諮問事項について慎重に協議及び検討
を行った結果、2021年1月26日に、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の答申書(以
下「本答申書」といいます。)を提出しております。
(ア)本件取引が当社の企業価値向上に資するか
以下の点を総合判断すると、本件取引が、当社の企業価値向上に資すると考える当社の判断は合理的で
あると思料する。
・当社は、収入の多くを北京泰德からの受取配当金に依存しているという状況下において、収益の安定
化・多角化が経営課題の一つであると認識しており、当該経営課題の解決のために、当社は、ライセン
スアウト先の安定的確保、海外展開、他の製薬企業や創薬ベンチャー等の投資といった事項が重要な施
策であると考えており、財務数値及び事業構造等を踏まえると、当該認識については、特別委員会とし
ても異論はないこと
・公開買付者は、約100社の子会社を有し、中国国内において製薬・医療事業を展開しており、グループ
内の各企業の連携によりグループ全体の企業価値を高めることをビジネスモデルとしており、中国市場
での成功により業績を伸ばし、2018年12月期には当期純利益にて10,732,845千人民元を計上するに至る
など一定の成功を収めていること及び公開買付者は、タイを中心としたアジア地域にて多様な事業を展
開するコングロマリットであるCPグループの製薬・医療事業にかかる企業集団の持株会社と位置付けら
れていることからすると、公開買付者グループ及びCPグループが保有する多種多様なネットワークが当
社に共有されることが期待されること
・公開買付者が考えている本件取引による当社サイドの提携内容及びシナジー効果については一定の具体
性があり、公開買付者の創業者かつ執行董事である謝炳氏は2009年6月より当社の社外取締役を務めて
おり、公開買付者らと当社間には10年以上に渡る人的交流(役員の兼任)があること等からすれば想定
されている提携が具体的に進む可能性は相応にあると考えられること
・上記を踏まえると、本件取引により当社が必要と考える重点施策遂行の促進につながることが期待さ
れ、これらにより、中長期的に、当社の経営課題の一つである収益力の安定化及び多角化に寄与すると
考えることは合理的であること
・本公開買付け後に当社と北京泰德との資本業務関係を変更することは想定されておらず、その他、本件
取引によるデメリットは見当たらないこと。
(イ)本件取引について、当社の少数株主の利益を図る観点から、取引条件の妥当性が確保されているか
・本特別委員会は、アイ・アール ジャパンが算定した当社の株式価値について検討を行い、同種案件の
株式価値の評価実務からして不合理な点は認められないと判断した。
・当社は、公開買付者の提案に対して、第三者算定機関であるアイ・アール ジャパンによる株価算定の
結果を参考に、公開買付者の影響を排除した公正な手続によって、本公開買付価格の検討を重ね、本特
別委員会がその付与された実質的交渉権限をもとに複数回にわたり検討・交渉を行った結果、本公開買
付価格は34,000円と決定された。本公開買付価格の合意形成プロセスは以下のとおりである。
① 公開買付者は、当社の財務状況に鑑みて、2020年12月15日付けで、当社に対し、本公開買付価格を
29,000円とする提案を行った。
② 12月23日開催の第2回特別委員会において、アイ・アール ジャパンによる当社株式価値の算定結
果であるDCF法による範囲の下限にすら達していないことから、本公開買付価格を29,000円とする
提案について受諾することは困難であり価格引き上げの観点から具体的な金額を提案するよりは再
考を依頼すべきとの委員全員の意見で一致した。そこで、同日、当社はアイ・アール ジャパンを
通じて、公開買付者に対し、提示価格の再検討を要請した。
③ 2021年1月5日、公開買付者は、上記②による本特別委員会の意見を踏まえ、再検討し、本公開買
付価格を31,000円とする提案を行った。同月8日開催の第3回特別委員会において、当該価格は、
DCF法による範囲内の数値であるものの下限に近い数値であることから、当社株式の本質的価値が
十分に評価されたものとはいえないことから、価格引き上げを要請すべきとの委員全員の意見で一
致した。そこで、同日、当社はアイ・アール ジャパンを通じて、公開買付者に対し、DCF法により
算定した範囲の中央値36,574円を超える値である1株当たりの公開買付価格を37,000円とする提案
を行った。
④ 同月19日、公開買付者は、上記③による本特別委員会の意見を踏まえ、再検討し、本公開買付価格
を33,000円とする提案を行った。当該提案書には、公開買付者は、当社の将来における収益の見通
しには不確実性があり、株式価値の将来予測も困難であることから、当社の2020年9月末時点の1
株あたり純資産額(33,704.19円)を基準としていること、当社の第18期有価証券報告書において
も、「継続企業の前提に関する重要事象等が存在している旨」が記載されており、公開買付者とし
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ては、当然ながら当社を継続企業として認識しているものの、公開買付者の少数株主への説明の観
点から、上記純資産額を上方に乖離する価格を提案することは困難である旨付記されていた。
⑤ 同月21日開催の第5回特別委員会において、当初提案価格よりも約14%増額されたものの、DCF法
による算定結果も踏まえ35,000円で再提案するべきとの委員全員の意見で一致した。そこで、同
日、アイ・アール ジャパンは、公開買付者に対し、35,000円で再検討を依頼した。
⑥ 1月22日、公開買付者は、同日の第5回本特別委員会による35,000円の提案を踏まえて再検討の
上、本公開買付価格を34,000円とする提案を行った。
⑦ これを受けて、1月25日に開催された第6回本特別委員会において、アイ・アール ジャパンによ
る株式価値の算定結果、公開買付者との交渉経緯及び本件取引の内容等を総合的に考慮すれば、本
公開買付価格には一定の合理性が認められるとの委員全員の意見で一致し、最終的に、1月25日、
当社は、アイ・アール ジャパンを通じて公開買付者に対し、当該提案を受諾する旨の回答を行
い、当社と公開買付者は、本公開買付価格を34,000円と合意した。
以上のとおり、本公開買付価格である34,000円は、DCF法により算定された価格帯の中央値には届かな
いものの、中央値に近い数値であること並びに、本特別委員会は、第三者算定機関であるアイ・アール
ジャパンによる算定結果をもとに、本公開買付価格を妥当な水準にまで高めるために、本特別委員会が実
質的に関与するかたちで、公開買付者による影響力を排除したと評価できる検討・交渉を複数回にわたり
実施し、当初提示額よりも約17%(小数点以下第二位を四捨五入)引き上げられた価格で決定されたこと
も総合的に考慮すると本公開買付価格には、一定の合理性が認められると判断する。
(ウ)本件取引について、当社の少数株主の利益を図る観点から、手続の公正性が確保されているか
① 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
当社は、本公開買付けの公正性を確保するための体制の一環として、2020年12月22日に取締役会を開催
し、公開買付者ら及び当社との間で利害関係を有しておらず、当社の社外取締役であり、当社の事業内容
等について知見がある武永美津子氏、公開買付者ら及び当社との間で利害関係を有しておらず、企業関連
法務を取り扱う弁護士として本公開買付けを検討する専門性・適格性を有すると判断される熊澤誠氏(新
幸総合法律事務所)並びに公開買付者ら及び当社との間で利害関係を有しておらず、企業関連税務を取り
扱う税理士として本公開買付けを検討する専門性・適格性を有すると判断される平野雄一氏の3名から構
成される本特別委員会を設置することを決議した。
そして、当社は、同日、上記取締役会の決議に基づき、本特別委員会に対して、前記(ⅰ)のとおり、諮
問した。また、当社は、同日の取締役会において、当社取締役会における本公開買付けに関する意思決定
については、本公開買付けへの賛否を含め、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行うことを決議す
るとともに、本特別委員会に対し、取引条件等について、必要に応じ、公開買付者と交渉を行うこと、本
諮問事項に関する答申を行うに際し、必要に応じ、自らの財務若しくは法務等のアドバイザーを選任する
こと、又は当社の財務若しくは法務等のアドバイザーを指名し、若しくは承認すること、並びに当社の役
職員から本公開買付けの検討及び判断に必要な情報を受領することの権限を付与することを決議してい
る。
② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、本公開買付けに関する意見を決定するにあたり、公開買付者ら及び当社から独立した第三者算
定機関としてフィナンシャル・アドバイザーであるアイ・アール ジャパンに対して、当社の株式価値の
算定を依頼し、2021年1月25日付で株式価値算定書を取得した。なお、アイ・アール ジャパンには、買
付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、当社及び公開買付者らとの間で重要な
利害関係を有していない。
③ 当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するために、公開買付者ら及び当社から独
立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を選任し、本公開買付けの手続に対する当
社取締役会の意思決定の方法及び過程、特別委員会の運営方法その他の意思決定にあたっての留意点に関
する法的助言を受けている。なお、森・濱田松本法律事務所は、買付者及び当社の関連当事者には該当せ
ず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有していない。
④ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議のない旨の意見
当社は、2021年1月26日開催の当社取締役会において、同日時点における当社の意見として、本公開買
付けが開始された場合、本公開買付けについて賛同の意見を表明すること、及び、株主が本公開買付けに
応募するか否かについては、当社の株主の判断に委ねることを決議する予定である。上記の当社取締役会
決議は、当社の取締役7名のうち、謝炳氏及び鄭翔玲氏並びに趙焔平氏の3名を除く当社の取締役4名
(水島氏、大谷培夫氏、菊池寛氏及び社外取締役である武永美津子氏)全員の一致により決議する予定で
ある。また、当社の唯一の監査役1名(梅原久和氏)により、上記決議に異議がない旨の意見が述べられ
る予定である。なお、当社の取締役のうち、謝炳氏及び鄭翔玲氏は、公開買付者の役員(執行董事)を現
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在兼務しているため、また、趙焔平氏は、公開買付者グループから派遣されているため、利益相反回避の
観点から、公開買付者との間で当社取締役の立場として協議及び交渉をしておらず、また、2020年12月22
日 開催の取締役会及び当該取締役会を含む本公開買付けに係る当社取締役会における議案の審議及び決議
には、一切参加しない予定である。
⑤ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保
公開買付者は、公開買付期間について、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日
に設定している。このように、公開買付者は、公開買付期間を比較的長期に設定していることから、当社
の株主において、本公開買付けに対する応募について適切な判断の時間と機会を提供するとともに、公開
買付者以外の方が対抗的な買付け等を行う機会を確保することにより、本公開買付けの公正性を担保する
ことを企図している。また、公開買付者と当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するよ
うな取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するよう
な内容の合意は一切行っていない。このように、上記公開買付期間の設定と併せ、対抗的な買付けの機会
が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮している。
上記①ないし⑤によれば、本件取引について、当社の少数株主の利益を図る観点から、手続の公正性が
確保されていると思料する。
(エ)答申内容
当社取締役会が、(ⅰ)本公開買付けについて賛同の意見表明を行うこと及び(ⅱ)本公開買付けに応募す
るか否かについて中立の立場をとり当社株主の判断に委ねるという判断を行うことは、当社の少数株主に
とって不利益ではなく、合理的であると考えられる。
② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、本公開買付けに関する意見を決定するにあたり、公開買付者ら及び当社から独立した第三者算定機関
としてフィナンシャル・アドバイザーであるアイ・アール ジャパンに対して、当社の株式価値の算定を依頼
し、2021年1月25日付で株式価値算定書を取得しました。詳細は、上記「(3)算定に関する事項」の「① 当社
における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。
③ 当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するために、公開買付者ら及び当社から独立した
リーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を選任し、本公開買付けの手続に対する当社取締役会の
意思決定の方法及び過程、特別委員会の運営方法その他の意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受け
ております。なお、森・濱田松本法律事務所は、買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関
して重要な利害関係を有しておりません。
④ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議のない旨の意見
当社は、森・濱田松本法律事務所から受けた法的助言を踏まえ、本公開買付けについて、慎重に協議及び検討
を行いました。
その結果、当社は、2021年1月26日開催の当社取締役会において、同日時点における当社の意見として、本公
開買付けが開始された場合、本公開買付けについて賛同の意見を表明すること、及び、株主の皆様が本公開買付
けに応募するか否かについては、当社の株主の皆様のご判断に委ねることを決議いたしました(詳細は、上記
「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「④ 当社における意思決定の過程及び理由」をご参照く
ださい。)。上記の当社取締役会決議は、当社の取締役7名のうち、謝炳氏及び鄭翔玲氏並びに趙焔平氏の3名
を除く当社の取締役4名(水島氏、大谷培夫氏、菊池寛氏及び社外取締役である武永美津子氏)全員の一致によ
り決議しております。また、当社の唯一の監査役1名(梅原久和氏)により、上記決議に異議がない旨の意見が
述べられております。なお、当社の取締役のうち、謝炳氏及び鄭翔玲氏は、公開買付者の役員(執行董事)を現
在兼務しているため、また、趙焔平氏は、公開買付者グループから派遣されているため、利益相反回避の観点か
ら、公開買付者との間で当社取締役の立場として協議及び交渉をしておらず、また、2020年12月22日開催の取締
役会及び当該取締役会を含む本公開買付けに係る当社取締役会における議案の審議及び決議には、一切参加して
おりません。
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⑤ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保
公開買付者は、公開買付期間について、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日に設定
しております。このように、公開買付者は、公開買付期間を比較的長期に設定していることから、当社の株主に
おいて、本公開買付けに対する応募について適切な判断の時間と機会を提供するとともに、公開買付者以外の方
が対抗的な買付け等を行う機会を確保することにより、本公開買付けの公正性を担保することを企図していると
のことです。また、公開買付者と当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条
項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意は一切
行っていないとのことです。このように、上記公開買付期間の設定と併せ、対抗的な買付けの機会が確保される
ことにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。
(8)本公開買付けに関する重要な合意等
公開買付者は、2021年1月26日、当社の筆頭株主かつ主要株主である北京泰德との間で、不応募対象株式につい
て、本公開買付けに応募しない旨を書面で合意しているとのことです。なお、北京泰德との合意に基づく本公開買
付けへの不応募には前提条件は定められておりません。また、当該合意において、水島氏の保有する当社株式の本
公開買付けへの応募若しくは不応募又は当該株式に関する議決権行使等について、北京泰徳と公開買付者との合意
事項は定められておらず、その他水島氏と公開買付者との間においてもかかる合意は存在しません。
4【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】
所有株式数(株) 議決権の数(個)
氏名 役名 職名
代表取締役会長兼社長・CEO - 665 665
水島 徹
- -
大谷 培夫 取締役 製剤開発部長
- -
菊池 寛 取締役 湘南研究所所長
- - -
武永 美津子 取締役
- - -
謝 炳 取締役
- - -
鄭 翔玲 取締役
- - -
趙 焔平 取締役
- - -
梅原 久和 監査役
665 665
計 8名
(注1) 役名、職名、所有株式数及び議決権の数は、本書提出日現在のものです。
(注2) 取締役武永美津子氏、謝炳氏、鄭翔玲氏、趙焔平氏は、社外取締役であります。
(注3) 監査役梅原久和氏は、社外監査役であります。
5【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】
該当事項はありません。
6【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】
該当事項はありません。
7【公開買付者に対する質問】
該当事項はありません。
8【公開買付期間の延長請求】
該当事項はありません。
以 上
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