ビクトリア州財務公社 有価証券報告書
| 提出書類 | 有価証券報告書 |
|---|---|
| 提出日 | |
| 提出者 | ビクトリア州財務公社 |
| カテゴリ | 有価証券報告書 |
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ビクトリア州財務公社(E06022)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第１項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2020年12月24日
【会計年度（又は事業年度）】 自 2019年７月１日 至 2020年６月30日
【発行者の名称】 ビクトリア州財務公社
（Treasury Corporation of Victoria）
【代表者の役職氏名】 ウィリアム・ウィットフォード
（William Whitford）
専務理事
（Managing Director）
【事務連絡者氏名】 弁護士 黒田 康之
【住所】 東京都千代田区大手町一丁目１番１号 大手町パークビルディング
アンダーソン・毛利・友常法律事務所
【電話番号】 （03）6775-1000
【縦覧に供する場所】 該当なし
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第１【募集（売出）債券の状況】
募集債券の状況
該当事項なし。
売出債券の状況
該当事項なし。
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第２【外国為替相場の推移】
（１）【最近５年間の会計年度（又は事業年度）別為替相場の推移】
該当事項なし。
（２）【当会計年度（又は事業年度）中最近６月間の月別為替相場の推移】
該当事項なし。
（３）【最近日の為替相場】
該当事項なし。
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第３【発行者の概況】
１【発行者が国である場合】
該当事項なし。
２【発行者が地方公共団体である場合】
該当事項なし。
３【発行者が国際機関又は政府関係機関等である場合】
注(1) 本書中、「ドル」、「豪ドル」又は「Ａ＄」と表示された金額はすべてオーストラリア・ドル、また「米ドル」又は
「ＵＳ＄」と表示された金額はすべてアメリカ合衆国ドルを意味する。 2020 年６月 30 日の東京における直物為替相場に
よる豪ドルの日本円に対する仲値は、１豪ドルにつき73.79359円であり、米ドルの日本円に対する仲値は、１米ドルに
つき107.665円であった。
(2) ビクトリア州財務公社（以下「ＴＣＶ」又は「公社」という。）、ビクトリア州及びオーストラリア連邦の会計年度は
７月１日から翌年６月30日までである。本書中、 2 020 年６月30日に終了した会計年度は「 2019 ／ 20 年度」又は「2020年
度」と表示し、他の会計年度も同様に表示する。 2 020 年12月31日に終了する暦年は「 2020 年」と表示し、他の暦年も同
様に表示する。
ＴＣＶは1992年ビクトリア州財務公社法（以下「ＴＣＶ法」という。）に基づいて設立され、1993年１月１日より運
営を開始した。ＴＣＶはビクトリア金融公社（以下「ＶｉｃＦｉｎ」という。）の法的継承者である。
(3) 本書中の表で計数が四捨五入されている場合、合計は各計数の総和と必ずしも一致しない。
（１）【設立】
(1) 設立年月日、設立の目的及び根拠並びに沿革
ＴＣＶは、ビクトリア州の公共資金借入需要を管理し、またビクトリア州及びその各種公共機関（以下「参加機
関」という。）に対して金融サービス及び助言の提供を行うためビクトリア州政府により1993年１月１日に設立され
た金融機関である。
ＴＣＶは、ＶｉｃＦｉｎの法的継承者であり、そのすべての権利及び義務を引き継いだ。
ＴＣＶ法によると、その主な業務はオーストラリア内外で借入を行い、その手取金をビクトリア州の予算部門やそ
の参加機関に貸付けることである。ＴＣＶはまた、他の金融サービスを提供し、リスク管理のための金融上の取決め
を行う。
ＴＣＶ法の下で、同法施行前にＶｉｃＦｉｎの参加機関であったものは、ＴＣＶによりＴＣＶ法に基づく参加機関
とみなされる。「公共機関」は、書面で申請しＴＣＶに参加機関と認められることで参加機関になることができる。
同法下における公共機関とは、ビクトリア州議会の決議によって設立されたビクトリア州の機関、ビクトリア州議会
の決議によって設立され州総督又は大臣がその理事又はその支配機関の理事を任命する機関、ビクトリア州議会の決
議によって設立され公的資金により一部又は全部が出資されている機関、及び直接であると間接であるとを問わずビ
クトリア州によってすべての議決権付持分が所有されている機関又はビクトリア州が唯一の受益者である信託の受託
機関であって、ＴＣＶ法に基づく規則によって規定される機関をいう。
2020 年９月 30 日現在、ビクトリア州 のほか 116 の参加機関が存在する。ＴＣＶから最大の借入をしているのは、ビク
トリア州及び公共の水道局である。
ＴＣＶは、また、財産を取得し、ＴＣＶが保有する財産を売却し、これを担保に供し又はこれを賃貸し、ビクトリ
ア州又は参加機関の債務や金融資産に関してビクトリア州財務大臣の決定する業務を行い、また金融サービスを提供
し、さらに、ビクトリア州の債務や金融資産についてビクトリア州財務大臣に提案、推薦又は助言を行う権限を有す
る。
ＴＣＶの借入及び債券は、ビクトリア州政府により保証されている。
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(2) 法的地位
ＴＣＶは1987年借入及び投資権限法（改正済）（以下「ＢＩＰ法」という。）の第９条第(1)項に基づきビクトリア
州財務大臣の承認を得て、オーストラリア内外において借入を行うことができる。
ＢＩＰ法に基づきＴＣＶ若しくはＶｉｃＦｉｎの行った借入から生じたか又はかかる借入に関連するＴＣＶの債務
の履行は、上記の一般性を害することなく、執行又は実行のための費用の支払も含め、ＴＣＶ法第32条に基づきビク
トリア州政府によって保証される。
ＴＣＶ法第34条に基づき、同法により規定されたビクトリア州政府の保証又は肩代わりにより発生する債務を履行
するためにビクトリア州財務大臣が必要とする資金は、同法第34条により必要とされる範囲で統合基金から充当され
る。
（２）【資本構成】
（単位：百万ドル）
2020年
顧客貸付金
65,573.2
現金及び現金同等物 570.6
投資 3,448.2
金融派生商品 1,193.5
72.0
その他資産
資産合計 70,857.5
融資：
国内ベンチマーク債 51,712.5
その他国内 9,897.9
642.9
海外
62,253.3
公共部門からの預金 209.3
金融派生商品 1,150.9
7,031.2
その他負債
負債合計 70,644.7
資本 212.8
ビクトリア州の公的行政機関であるＴＣＶは、株式資本を有しない。
（３）【組織】
理事会と運営
ＴＣＶ法は、ＴＣＶには理事会を置き、理事会はＴＣＶの業務運営に責任を負いＴＣＶの権限を行使できると規定し
ている。理事会は、ＴＣＶの総裁と５名以上７名以下の他の理事により構成される。総裁は、ビクトリア州財務大臣の
承認を得て理事会により任命され、その任期は５年を超えない期間で任命証書において定められる。総裁以外の理事
は、州総督（女王の代理であり、ビクトリア州政府の閣僚と共に評議会に出席し、その助言に従うビクトリア州総督）
がビクトリア州財務大臣の推薦に基づき任命し、その任期は３年を超えない期間で任命証書において定められる。総裁
及び他の理事は、再任されることができる。ビクトリア州財務大臣は理事の１名を理事長として、もう１名を副理事長
として任命しなければならない。ＴＣＶの総裁（専務理事）は、理事長又は副理事長には任命され得ない。
任命された理事は破産又は正当に告知された理事会へ無断で３回連続して欠席した場合に解任される。州総督は任命
された理事を解任することができる。理事会は総裁を解任することができる。
2004年公共行政法がＴＣＶの理事に対して、その職務に関し適用されている。これによりＴＣＶの理事は、反応性、
誠実性、公平性、責任、敬意、指導力及び人権を含む公共部門のいくつかの価値観に従うことが義務付けられている。
さらにＴＣＶの理事は、理事会に期待される行動を概説するために、またビクトリア州の公共団体の理事によるこれら
の公共部門の価値観への遵守を推進するために、2016年３月29日付でビクトリア州公共部門委員会長官により発布され
た2016年ビクトリア州公共団体理事行動規範（以下「行動規範」という。）の適用も受ける。
行動規範は理事に対して、正直かつ誠実に行動し、取引においては公開性と透明性を確保し、責任感をもって権力を
行使し、利益相反の状況には身を置かず、高水準の社会的な信頼を確保し、それを維持するよう努力することを義務付
けている。さらに行動規範は理事に対して、誠意を持って行動すること、公共団体の利益を最優先に考え、公正かつ公
平に、情報又は理事としての立場を適切に利用し、財政的に責任ある態度で行動すること、正当な注意、配慮及び能力
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を行使し、確立する法令を遵守し、指導力及び監督と報告の責務を果たすことを義務付けている。行動規範の違反は不
正行為となる可能性がある。
現在のＴＣＶの理事は下記のとおりである。
カサンドラ・ケリー、ＢＥｃ（Ｈｏｎｓ）ＡＭ 2015年８月11日付で任命。任期は 2021 年８月 10 日まで。
（理事長） ケリー女史は、財務、リスク、戦略及び政策に関する助言
において豊富な経験を有している。同女史は2003年にコー
ポレート・アドバイザリー・カンパニーであるポッティン
ジャーを共同設立し、現在も同社のアドバイザーを務めて
いる。ケリー女史は、インフラ、財務、健全性及びデジタ
ル化の問題に関してＧ２０／Ｂ２０に助言を行う役職に続
き、欧州連合の副理事が理事を務める欧州連合のグローバ
ルテックパネルの一員を継続して務めている。
ケリー女史は、ＧＭＡＣコマーシャル・モーゲージ及びド
イツ銀行の複数の重要な役職を務めており、またマッキン
ゼー・アンド・カンパニーの顧問を務めていた。同女史の
経験は幅広く、金融サービス、インフラ、科学技術、デジ
タルメディア及び専門的サービス等、複数の分野に渡る。
ケリー女史は、経験豊富な取締役である。同女史は以前、
ポッティンジャー及びオールプレス・エスプレッソ・イン
ターナショナルの会長並びにフライト・センター・トラベ
ル・グループ及びＵＮＳＷファウンデーションの理事を務
めていた。ケリー女史は、重要な役職を通じたビジネスへ
の多大な貢献に対して、かつ、男女平等の擁護者として、
2019年６月にオーストラリア勲章（一般部門メンバー）を
受章した。
ケリー女史は、以下の役職を務めている。
・アトミリ社 会長
・ハー・ハート・リミテッド 理事長
・ポッティンジャー・カンパニー・ピー・ティー・ワイ・
リミテッド 取締役
・ピンク・ホープ 取締役
・欧州連合グローバルテックパネル 委員
・オーストラリア多発性硬化症研究リーダーシップ・カウ
ンシル 委員
・ブルッキングス研究所ユニバーサル教育センター 諮問
委員会委員
・グーグルが生み出した多様性イニシアティブであるグ
ローバル・カウンシル・オブ・エクスポーネント 理事
長
ヘレン・ソーントン、 2017年７月１日付で任命。任期は 2023 年６月3 0 日まで。
ソーントン女史は、金融サービスを含む幅広い業界を通し
ＢＥｃ、ＡＣＡ、ＧＡＩＣＤ
て30年超の経験を有する公認会計士である。
（副理事長）
ソーントン女史は、ガバナンス、監査及びリスク管理にお
いて豊富な経験を有しており、同女史は、デロイト、ＫＰ
ＭＧ、ＢＨＰ社及びブルースコープ・スチール社におい
て、グローバル・リスク管理業務の責任を負う上級役員の
役割を担っている。
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ソーントン女史は、非業務執行役員として16年超の経験を
有しており、現在は、以下の役職を務めている。
・ヤラ・ヴァレー水道公社（以下「ＹＶＷ」という。）
取締役
・法律実務責任委員会 理事
・ＩＳＰＴ・ピー・ティー・ワイ・リミテッド 取締役
・オースティン・ヘルス 取締役
・ＡＮＳＶＡＲインシュアランス・ピー・ティー・ワイ・
リミテッド 取締役
・環境・土地・水・計画省 リスク・監査委員会独立委員
・保健福祉省 リスク・監査委員会独立委員
・教育訓練省 リスク・監査委員会独立委員
ウィリアム（ビル）・ウィットフォード、 2003年７月28日付で任命。任期は2025年７月27日まで。
ＭＢＡ、ＦＡＩＣＤ、ＧＡＩＳＴ ウィットフォード氏は、理事会及びビクトリア州財務大臣
（専務理事） により定められた戦略方針に従って、公社の統率及び運営
を円滑に行う責任を負っている。同氏は、市場リスクに関
して35年超の経験を有している。かかる経験は、パリ国立
銀行及び南オーストラリア州立銀行における金融市場業務
並びに南オーストラリア政府及びビクトリア州政府におけ
る政府及びインフラのための資金調達を通じて得られたも
のである。
同氏は、アデレード大学大学院経営研究科のＭＢＡを取得
しており、またオーストラリア企業取締役協会に属し、以
前はオーストラリア退職年金受託者協会の一員でもあっ
た。
ウィットフォード氏は、以下の役職を務めている。
・オーストラリア金融市場協会（以下「ＡＦＭＡ」とい
う。） 監査・リスク委員会理事長
・動物公園及び庭園会 監査・リスク・コンプライアンス
委員会理事長
・オーストラリア・ユニティ 投資委員会委員
デイビット・マーティン、 2014年５月13日付で任命。任期は 2023 年５月 12 日まで。
ＢＥｃ（Ｈｏｎｓ）、ＭＢＡ マーティン氏は、ビクトリア州政府金融財務省（以下「Ｄ
ＴＦ」という。）の秘書役である。マーティン氏は、ビク
トリア州政府に経済、政策及びサービス調達に係る助言を
行う部門を率いている。
マーティン氏は以前、オーストラリア連邦の公共部門にて
上級役員として複雑な経済及びその他の政策上の問題の中
で政府に戦略的な助言を行っていた。マーティン氏は、予
算、財務及び組織の指導において豊富な経験を有してお
り、戦略的政策の改革に幅広く関わっている。マーティン
氏は、モナッシュ大学において経済学の優等学位を取得し
ており、2005年に経営学修士課程を修了した。
マーティン氏は、ビクトリア州におけるソーシャルセク
ター、ミクロ経済セクター及び公共セクターの改革並びに
革新への極めて優れた公共サービスに対し、ビクトリア州
の2019年オーストラリア・デー・オナーズにて公共奉仕メ
ダル（ＰＳＭ）を受賞した。マーティン氏は、以下の役職
を務めている。
・ビクトリア州ファンド管理公社 理事
・インフラストラクチャー・ビクトリア 取締役
・オーストラリア国立大学クロフォード公共政策学校租税
及び移転政策研究所 理事
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ジョン・ピアース、ＢＥｃ、ＭＡｐｐＦｉｎ 2015年４月14日付で任命。任期は 2021 年４月 13 日まで。
ピアース氏は、オーストラリア及びアジアの両方において
金融サービス業界での25年超の経験を有している。同氏は
ユニスーパーの最高投資責任者を務めており、2009年７月
に入社している。
ピアース氏は、2000年から2006年の間、オーストラリア最
大の資産管理会社であるコロニアル・ファースト・ステイ
トの最高経営責任者や投資部門のジェネラル・マネー
ジャーを含む複数の上級職を務めている。2006年から2008
年の間、中国で２番目に大きい保険会社である、平安のグ
ローバル・アセット・マネジメントの社長を務めていた。
パメラ・ハウザー、ＢＡ、ＬＬＢ、ＭＡＩＣＤ 2017年２月21日付で任命。任期は2023年２月20日まで。
ハウザー女史は、監査委員会の理事長を務めている。
ハウザー女史は、規制法弁護士の経歴を持ち、金融サービ
ス業界において30年超の経験を有している。同女史は、法
律、リスク及びコンプライアンスの分野において地位を確
立している。
ハウザー女史は以前、マッコーリー・グループ、ナショナ
ルオーストラリア銀行、ＫＰＭＧ、ノリッチ及びオースト
ラリア・ユニティの上級役員を歴任している。ＫＰＭＧの
パートナーとして、同女史は、企業の金融サービス規制グ
ループにおいてリスク・アドバイザリー・サービスの指揮
を執った。同女史は、ＣＲＡ（現在はリオ・ティント）、
フリーヒルズ及びエリソン・ヒューイソン・アンド・ホワ
イトヘッド（現在はミンター・エリソン）の法務を担当し
ており、オーストラリア・コンプライアンス協会の理事も
務めている。
ハウザー女史は、以下の役職を務めている。
・ＳＧヒスコック・アンド・カンパニー・リミテッド
取締役
・ビクトリア・プランテーションズ・コーポレーショ
ン 理事長
スー・オコナー、ＢＡｐｐＳｃ、 2018年４月10日付で任命。任期は2021年４月９日まで。
ＧｒａｄＤｉｐＢＭ、ＦＡＩＣＤ オコナー女史は、オーストラリア証券取引所上位10社、非
上場のグローバル企業及び知名度の高い公営当局の理事
長、取締役及びシニアビジネスリーダーとしての豊富な経
験を有している。同女史は、そのビジネス感覚並びにデジ
タル、変革、サイバーレジリエンス、監査、リスク、公益
事業及び金融サービスに関する深い専門知識を取締役会に
提供している。
同女史は、テルストラ・コーポレーションの上級役員を務
めた13年間を含め、技術部門の経営幹部として25年超の
キャリアを有している。
同女史は、応用科学の学士号及び企業経営学のディプロマ
を取得している。同女史は、オーストラリア企業取締役協
会に属している。
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オコナー女史は、以下の役職を務めている。
・ＹＶＷ 理事長
・マーサー・スーパーアニュエーション（オーストラリ
ア）リミテッド（以下「ＭＳＡＬ」という。） 取締
役
・コーディア・グループ・リミテッド 取締役
・クライメート・ワークス・オーストラリア 取締役
・ブッシュ・ヘリテージ・オーストラリア 次期会長
デボラ・ヘーゼルトン、 2018年８月18日付で任命。任期は2021年８月17日まで。
ＢＡ（Ｈｏｎｓ）、ＭＣｏｍｍ、ＧＡＩＣＤ ヘーゼルトン女史は、（特にオーストラリア及び日本の）
グローバル金融サービスに関して30年間の経験を有してい
る。同女史は、組織文化に関する専門知識のみならず、固
定金利、自己株式、機関銀行、リスク管理及び世界的な金
融市場に関する専門知識も有している。
ヘーゼルトン女史が直近で務めた管理職務は、東京に拠点
を置くみずほフィナンシャルグループの企業文化のグロー
バル化を主導することであった。同女史は、オーストラリ
ア及び日本の両方（具体的には、みずほ銀行及びオースト
ラリア連邦銀行（以下「ＣＢＡ」という。））において、
国内最高経営責任者を務めている。
同女史の過去の取締役経験には、ＡＦＭＡの取締役会、ア
ジア・ソサエティ、ウィメン・イン・バンキング・アン
ド・ファイナンス等がある。
ヘーゼルトン女史は、以下の役職を務めている。
・ＡＭＰリミテッド 取締役（2020年８月から理事長）
・ＡＭＰ銀行 取締役（2020年８月から理事長）
・ＡＭＰキャピタル・ホールディングス 取締役
・ＰＥＲＳＯＬオーストラリア・ピー・ティー・ワイ・
リミテッド（プログラムドの持株会社） 取締役
・豪日交流基金（ＤＦＡＴ） 理事長
・オーストラリア室内管弦楽団（ＡＣＯ）日本諮問委員
会委員
・国際ビジネスアドバイザリー 主幹
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（４）【業務の概況】
(1) 業 務
ＴＣＶの業務は、下記のとおりである。
(a) オーストラリア内外での資金調達
(b) 参加機関又はビクトリア州への資金供給
(c) 金融取決の締結及びその履行
(d) 参加機関又はビクトリア州の資金の自己又は第三者の計算による管理
(e) ビクトリア州及び参加機関のための債務縮減、償還及び消却の管理
(f) ビクトリア州財務大臣及びＴＣＶが決定する1994年財政管理法に基づく信託基金に設定された信託勘定の管理
(g) 参加機関及びビクトリア州に対する金融サービス並びに金融上の助言の提供又はその提供の手配
(h) ＴＣＶ、参加機関若しくはビクトリア州が使用するための不動産又は動産の取得
(i) ＴＣＶの保有する財産の売却又はこれに対する担保権若しくは賃借権の設定
(j) ＴＣＶの資産及び負債の管理
(k) ビクトリア州又は参加機関の負債又は金融資産に関してビクトリア州財務大臣がＴＣＶに対し書面で通知する
業務の遂行及び金融その他のサービスの提供
(l) ビクトリア州の資産及び負債についてのビクトリア州財務大臣への提案、推薦又は助言並びに（ビクトリア州
財務大臣からの要請があれば）金融取決の締結及びその履行
（ⅰ）為替、金利、株価、不動産価格、商品価格又はビクトリア州の資産若しくは負債又は予想される資産若し
くは負債に影響を及ぼすか又は影響を及ぼし得るその他の比率、費用若しくは要素の変動に対する、ビク
トリア州の資産若しくは負債又は予想される資産若しくは負債の価値のヘッジ、保護又は管理
（ⅱ）ビクトリア州の資産又は負債の取得又は処分
(m) ＴＣＶ法その他の法律によりＴＣＶの業務として定められたその他の業務の遂行
(k)による通知が出された場合、ビクトリア州財務大臣は遅滞なくその写しを官報に掲載しなければならない。
(2) 2 020 年６月30日に終了した会計年度の業務の概況
当年度にＴＣＶは51.8百万豪ドルの純利益を計上した。 2 020 年６月30日現在、ＴＣＶの資本は212.8百万豪ドルであ
り、総資産は70.857十億豪ドルであった。
2 019 ／ 20 年度に、総負債（有利子負債－国内及び海外）は46.566十億豪ドルから62.253十億豪ドルに増加した。 公
共部門からの預金は2.0869 十億豪ドルから0.2093十億豪ドルに減少し、投資及び現金保有高は9.0647十億豪ドルから
4.0188十億豪ドルに減少した。
2 020 年６月30日現在、ＴＣＶは2021年から 2034 年までの間に満期を迎える10種類の国内ベンチマーク債を有してい
た。
2 020 年６月30日現在のＴＣＶの国内ベンチマーク債の残高は以下のとおりである。
償還日 クーポン 残 高（単位：百万豪ドル、額面ベース）
2021年10月29日 2.25％ 2,857.7
2022年10月17日 6.00％ 4,282.3
2023年11月20日 1.00％ 2,975.2
2024 年12月17日 5.50％ 5,792.3
2026 年11月17日 5.50％ 7,885.6
2028 年10月20日 3.00％ 6,432.1
2029 年10月22日 2.50％ 5,115.5
2030 年11月20日 1.50％ 3,742.9
2032 年12月20日 4.25％ 3,108.4
2,328.0
2034 年11月20日 2.25％
合計 44,520.0
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ベンチマーク商品に加えて、ＴＣＶは以下の固定利付債の残高を 保有している。
額面価格残高
プログラム 償還日 クーポン （単位：百万豪ドル）
豪ドル建非ベンチマーク固定利付債 2027 年11月19日 1.25％ 500
豪ドル建非ベンチマーク固定利付債 2040 年11月20日 5.00％ 569
豪ドル建非ベンチマーク固定利付債 2041 年11月20日 2.25％ 1,203
豪ドル建非ベンチマーク固定利付債 2047 年11月６日 4.00％ 221
豪ドル建固定利付グリーンボンド 2021 年７月27日 1.75％ 300
額面価格残高（海外）
（単位：百万）
円建固定利付債 2039 年４月20日 2.72％
7,500 円
ユーロ建固定利付債 2050 年２月24日 0.60％ 250 ユーロ
ＴＣＶは以下のその他の借入枠を 保有している。
プログラム 額面価格残高（単位：百万豪ドル）
2025年４月２日満期豪ドル建国内変動利付債 1,910
豪ドル建国内約束手形 2,748
ユーロ・コマーシャル・ペーパー（ＥＣＰ） 0
ユーロ・ミディアム・ターム・ノート（ＥＭＴＮ） 145
ＴＣＶは以下の借入枠を常時確保している。
※豪ドルの債券発行枠
※５十億豪ドルの国内約束手形（コマーシャル・ペーパー）枠
※５十億豪ドルのマルチ・カレンシー・ユーロ・コマーシャル・ペーパー（以下「ＥＣＰ」という。）枠
※３十億米ドルのユーロ・ミディアム・ターム・ノート（以下「ＥＭＴＮ」という。）枠
※日本での発行登録
(3) 2 020 年６月30日現在の海外及び国内格付
格付機関 国内の長期格付 外貨建の長期格付 短期格付
ＡＡＡ ＡＡＡ
スタンダード・アンド・プアーズ社 Ａ－１＋
（ネガティブな見通し） （ネガティブな見通し）
Ａａａ Ａａａ
ムーディーズ・インベスターズ・サービス Ｐ－１
（安定的見通し） （安定的見通し）
(4) ＴＣＶの債務履行実績
現在に至るまで、ＴＣＶは、ＴＣＶが発行した債券又は引き受けたすべての債務についてその元金、額面超過金
（もしあれば）及び利息の全額を完済してきた。これらの債務は、支払期日に約定の通貨で遅滞なく支払われてき
た。
(5) 日本との関係
ＶｉｃＦｉｎは、
1985年２月、1995年２月６日満期6.7％利付無記名式債券総額300億円を発行。
1985年10月、1992年10月４日満期13 5/8％利付無記名式債券総額6,000万豪ドルを発行。
1990年９月、2000年９月27日満期7.0％利付無記名式円／ＥＣＵ二通貨債券総額50億円を発行。
1990年９月、2000年９月27日満期8.1％利付無記名式円／豪ドル二通貨債券総額50億円を発行。
1991年２月、2001年２月15日満期7.1％利付無記名式円／豪ドル二通貨債券総額60億円を発行。
1991年２月、2001年２月22日満期7.1％利付無記名式円／豪ドル二通貨債券総額100億円を発行。
1991年６月、2001年６月21日満期6.2％利付無記名式円／カナダドル二通貨債券総額60億円を発行。
ＴＣＶは、
1993年３月、2003年３月18日満期5.57％利付無記名式円／豪ドル二通貨債券総額200億円を発行。
1994年３月、2004年３月15日満期5.0％ 利付無記名式円／豪ドル二通貨債券総額120億円を発行。
1994年12月、2004年12月９日満期5.85％利付無記名式円／豪ドル二通貨債券総額150億円を発行。
1994年12月、2004年12月21日満期5.10％利付無記名式円／豪ドル二通貨債券総額150億円を発行。
1995年１月、1996年12月11日満期5.00％利付無記名式債券総額１億豪ドルを売出。
1995年６月、1997年６月26日満期5.00％利付無記名式債券総額１億豪ドルを売出。
1995年７月、1998年７月21日満期5.00％利付無記名式債券総額３億豪ドルを売出。
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1995年９月、1997年９月25日満期6.20％利付無記名式円／豪ドル二通貨債券総額150億円を発行。
1995年10月、1998年10月19日満期6.10％利付無記名式円／豪ドル債券総額300億円を発行。
1995年10月、1997年10月30日満期5.00％利付無記名式債券総額１億豪ドルを売出。
1995年11月、1997年11月13日満期6.0％ 利付無記名式円／豪ドル二通貨債券総額500億円を発行。
1996年２月、1998年３月９日満期5.00％利付無記名式債券２億5,000万豪ドルを売出。
2001年12月、2004年12月20日満期4.45％利付無記名式債券８億豪ドルを売出。
2003年９月、2006年９月25日満期4.71％利付無記名式債券2,600万豪ドルを売出。
2004年２月、2007年２月５日満期5.02％利付無記名式債券１億3,600万豪ドルを売出。
2004年11月、2007年11月29日満期4.92％利付無記名式債券１億豪ドルを売出。
2005年４月、2008年４月21日満期5.11％利付無記名式債券9,000万豪ドルを売出。
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（５）【経理の状況】
(1) 会 計
ＴＣＶは、その取引及び財務状態について、適正な会計記録を維持することを義務付けられている。各年度末に、
当該年度に関する財務諸表が1994年財政管理法に基づく様式により作成されなければならず、かかる財務諸表は、ビ
クトリア州の監査局長による監査を受ける。ＴＣＶは、ビクトリア州財務大臣に対し、各会計年度中の事業報告書及
び監査済財務諸表を提出することを義務付けられている。
(2) 開 示
ＴＣＶの財務諸表は、オーストラリア連邦又はビクトリア州の官報には掲載されていないが、ＴＣＶのウェブサイ
ト（www.tcv.vic.gov.au）にて入手することができる。
以下は、 20 20 年６月30日に終了した会計年度（2019年６月30日に終了した年度の比較数値を含む。）の財務諸表で
ある。
包 括 利 益 計 算 書
2020 年６月30日に終了した事業年度
（単位：千ドル）
2020年度 2019年度
注
損益を通じた公正価値（ＦＶＴＰＬ）で
測定される金融資産及び金融負債からの
純収入 ２ 69,040 70,124
償却原価で計上される金融資産による利息 7,306 6,177
9,522 7,870
その他の手数料及び収入
85,868 84,171
借入関連費用 ３ 10,645 7,115
その他の営業費用 ３ 19,361 18,720
償却原価で計上される金融負債に係る利息 3,439 2,590
非金融資産に係る純損失 - 4,859
キャッシュ・フロー・ヘッジに係るヘッジ
597 597
非有効性
34,042 33,881
純利益 51,826 50,290
その他包括利益
その後損益に再分類される可能性のある
項目
(17,271) (9,368)
キャッシュ・フロー・ヘッジに係る純損失
その他包括利益合計 (17,271) (9,368)
包括利益合計 34,555 40,922
本表は、添付の注記と併せて参照されたい。
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貸 借 対 照 表
2020 年６月30日現在
（単位：千ドル）
2020年度 2019年度
注
資 産
現金及び現金同等物 ６ 570,635 2,534,269
その他未収金 ７ 61,142 264,742
投資 ８ 3,448,143 6,530,421
金融派生商品 ９ 1,193,517 488,183
貸付金 10 65,573,217 43,063,478
10,841 2,453
その他資産
資産合計 70,857,495 52,883,546
負 債
預金 11 209,296 2,086,869
その他未払金 12 6,976,503 3,524,220
金融派生商品 ９ 1,150,928 465,221
有利子負債－国内 13 61,610,374 46,333,184
有利子負債－海外 14 642,853 232,947
その他負債 49,935 8,621
4,814 3,957
引当金
負債合計 70,644,703 52,655,019
純資産 212,792 228,527
資 本
払込資本 30,000 30,000
ヘッジ積立金 (26,639) (9, 368 )
209,431 207,895
利益剰余金
資本合計 212,792 228,527
本表は、添付の注記と併せて参照されたい。
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資 本 変 動 表
2020 年６月30日に終了した事業年度
（単位：千ドル）
ヘッジ
積立金 利益剰余金
払込資本 合計
注
2019年６月30日現在
30,000 (9,368) 207,895 228,527
純利益 - - 51,826 51,826
その他包括利益 - (17,271) - (17,271)
- - (50,290) (50,290)
配当金の支払 23
2020 年６月30日現在 30,000 (26,639) 209,431 212,792
2018年６月30日現在 30,000 - 200,947 230,947
オーストラリア会計基準（ＡＡＳＢ）第９
- - 6,416 6,416
号「金融商品」の採用に係る調整
2018 年７月１日現在 30,000 - 207,363 237,363
純利益
- - 50,290 50,290
その他包括利益 - (9,368) - (9,368)
- - ( 49,758 ) ( 49,758 )
配当金の支払 23
2019 年６月30日現在 30,000 (9,368) 207,895 228,527
本表は、添付の注記と併せて参照されたい。
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キャッシュ・フロー計算書
2020 年６月30日に終了した事業年度
（単位：千ドル）
2020年度 2019年度
注
業務活動によるキャッシュ・フロー
貸付に係る受取利息 1,565,977 1,575,332
投資からの受取利息及び現金 122,436 121,274
借入金及び預金に対する支払利息 (1,737,497) (1,825,510)
デリバティブに係る受取利息（純額） 23,197 16,824
受取手数料 9,049 7,852
(27,368) (23,284)
営業費用の支払
営業資産 及び 負債の変更前の
(44,206) (127,512)
業務活動によるキャッシュ・フロー
ビクトリア州（金融財務省（ＤＴＦ））への
貸付の（増加）／減少 (16,800,105) 1,479,718
参加機関への貸付の増加 (858,058) (630,106)
財務大臣により保証された貸付の（増加）／
減少 (589,970) 13,131
投資の減少／（増加） 3,008,389 (1,088,223)
非金融資産の減少 - 4,025
デリバティブの減少 (32,025) (12,757)
借入の増加 15,277,662 5,582,622
ビクトリア州（金融財務省（ＤＴＦ））からの
預金の減少 (1,360,000) (820,000)
(513,605) (4,666,473)
その他事業体からの預金の減少
資産及び負債の変動により生じた
(1,867,712) (138,063)
業務活動によるキャッシュ・フロー
(1,911,918) (265,575)
業務活動からの正味資金流出 24
投資活動によるキャッシュ・フロー
(1,426) -
その他資産の支払
(1,426) -
投資活動からの正味資金流出
金融活動によるキャッシュ・フロー
(50,290) (49,758)
配当金の支払 23
(50,290) (49,758)
金融活動からの正味資金流出
現金及び現金同等物の減少（純額） (1,963,634) (315,333)
期首現金及び現金同等物 2,534,269 2,849,602
570,635 2,534,269
期末現金及び現金同等物 ６
本表は、添付の注記と併せて参照されたい。
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財 務 諸 表 注 記
（財務諸表の一部をなす。）
１．作成基準
ＴＣＶは、ビクトリア州の中央金融当局及び金融市場アドバイザーであり、主に国内金融市場において取引を行ってい
る。ＴＣＶは、単独の開示すべき事業セグメントを有している。ＴＣＶの主要な顧客は、ビクトリア州政府、参加機関及
びその他政府機関である。
ＴＣＶの監査済財務諸表は、 2020 年８月 19 日付取締役会決議に従い公表を許可された。取締役会は、財務諸表の修正及
び再公表を行う権限を有する。
本財務諸表の作成にあたり採用された重要な会計方針は、財務諸表の本注記及びそれ以降の注記にて報告される。別段
の記載がある場合を除き、これらの方針は、表示される事業年度に一貫して適用される。
(a) 会計基準
ビクトリア州政府の事業体であるＴＣＶは、財務諸表の作成を目的とする営利事業体である。
本報告書は、1994年財政管理法に基づく指針指令 5.2 の年次報告 、適用する財務報告指令（ＦＲＤ）、オーストラリア会
計基準（解釈を含む。）（以下「ＡＡＳＢ」という。）及びその他の法令による報告要件に従い作成されている、多用途
の財務諸表である。
財務諸表はまた、国際会計基準委員会が公表する国際財務報告基準に従っている。
財務諸表は、公正価値にて報告されたかかる金融資産及び金融負債並びに特定の引当金を除き、取得原価法に従い作成
されている。
比較情報は、当年度の表示方法の変更に準拠し、必要に応じて修正されている。
表示通貨は、公社の機能通貨であるオーストラリア・ドルである。
特に指定のない限り、すべての数値は1,000ドル単位で四捨五入されている。
(b) 外国為替
外貨建の資産及び負債は、当初取引日の為替レートで換算され、その後会計年度末の為替レートで換算される。外貨建
の資産及び負債の換算による未実現純損益は、包括利益計算書に計上される。
(c) 所得税
ＴＣＶは1936年所得税法上の納税者ではなく、1992年州営企業法に基づくビクトリア州の課税もなされない。そのた
め、所得税費用は包括利益計算書に反映されない。
(d) 重要な概算及び想定
財務諸表の作成にあたり、報告されている数値に影響を及ぼす多くの概算及び想定がなされた。2020年６月30日に終了
した年度の重要な概算及び想定においては、新型コロナウイルス感染症の流行が考慮されている。
市場から取得することができない金融商品の公正価値は、標準的な業界別評価方法を利用して決定され、当該評価方法
は重要な概算及び想定を伴う。評価方法には、取引市場における類似証券の直接価格又は補間価格若しくは推定価格の指
標となる相場価格の使用並びにマーケットメイカー及び有力な仲介業者による相場の使用が挙げられる。
直接の情報源が取引市場にない調整を評価方法に行う必要がある場合は、かかる調整はマーケットメイカー／仲介業者
からの情報及び内部で開発されたモデルにより決定される。主観性及び必要な経営陣の判断の水準は高度なモデル及び観
測不可能な市場データの割合によって変動する。
(e) 新たな及び改正された会計基準の採用
ＴＣＶは、2019年７月１日より、ＡＡＳＢ第16号「リース」（以下「ＡＡＳＢ第16号」という。）及びその他ＡＡＳＢ
のその後の関連する改正を採用した。ＡＡＳＢ第16号は、ＡＡＳＢ第117号「リース」を代替し、リースの条件の特定及び
設定に関して新たな要件を導入した。ＡＡＳＢ第16号は、大半のリースが貸借対照表上で認識されることを要求した。Ａ
ＡＳＢ第16号の採用は、ＴＣＶの財務諸表に重大な影響を及ぼさなかった。
かかる基準は、比較情報の修正再表示を必要としない修正遡及適用アプローチを用いて採用された。代わりに、当初か
かる基準を適用したことによる累積的な影響は、期首残高に反映された。2019年７月１日現在、7.4百万ドルのＴＣＶのテ
ナントリース契約に関する使用権資産、0.6百万ドルの前払いの減少及び8.0百万ドルのリース負債が認識された。ＡＡＳ
Ｂ第16号の採用は、ＴＣＶの利益剰余金に影響を及ぼさなかった。
(f) 公表されたが効力を発していない新たな又は改正された会計基準
現在又は今後の報告期間において公社に対して、また当面の取引に対して、重大な影響を与えることが予想されるよう
な効力発生前の基準はない。
収益及び費用
２．損益を通じた公正価値（ＦＶＴＰＬ）で測定される金融資産及び金融負債による純収入
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公社は、融資及び預金受入業務並びに関連リスクの管理から収益を生み出している。収益は主に、資産に係る受取利息又
は負債に係る支払利息を含む、金融資産及び金融負債の公正価値の変動の実現又は未実現差異である「ＦＶＴＰＬで測定さ
れ る金融資産及び金融負債による純利益」から生み出された。
（単位：千ドル）
2020年度 2019年度
ＦＶＴＰＬで測定される金融資産
現金資産及び投資に関する利息収入 119,692 192,930
1,561,598 1,559,063
貸付に関する利息収入
1,681,290 1,751,993
726,885 1,862,509
実現・未実現の金融資産の市況の変動による利益
ＦＶＴＰＬで測定される金融資産による純収入 2,408,175 3,614,502
ＦＶＴＰＬで測定される金融負債
借入金に対する利息費用 (1,674,787) (1,696,831)
(693,016) (1,850,561)
実現・未実現の金融負債の市況の変動による利益
ＦＶＴＰＬで測定される金融負債による純損失 (2,367,803) (3,547,392)
28,668 3,014
デリバティブに係る純収益
ＦＶＴＰＬで測定される金融資産及び金融負債による純利益 69,040 70,124
３．営業費用
（単位：千ドル）
2020年度 2019年度
借入関連費用
シンジケート手数料 7,914 5,413
格付機関手数料 1,760 927
決済手数料 589 499
382 276
その他手数料及び費用
10,645 7,115
その他の営業費用
従業員の給与その他直接費用
－給与、賃金及び給付金
9,730 9,139
－長期勤続休暇負債の再評価による純損失／（収益） 232 564
－確定拠出退職年金に係る拠出 649 650
－従業員関連税 456 451
情報技術 1,969 1,809
専門家サービス費用
－ＴＣＶの６月30日に終了した年度の財務諸表の監査に関する
(１)
ビクトリア州監査局長への支払
330 330
－金融財務省（ＤＴＦ）健全性監督費用 109 106
－その他専門家サービス費用 992 919
市場情報サービス費用 1,592 1,470
(２)
減価償却費
1,107 278
無形固定資産の償却費用 619 846
設備費
(２)
－オペレーティング・リースレンタル費用
- 676
－その他設備費 308 258
1,268 1,224
その他供給品及びサービス
19,361 18,720
(１)ビクトリア州監査局長への報酬又は支払は他になされておらず、未払いのものもない。
(２)2019年７月１日より、テナント・オペレーティング・リースに基づく債務は、ＡＡＳＢ第16号に基づき使用権資産と
して反映される。使用権の減価償却費は、「減価償却費」の残高に含まれる。
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金融商品
４．金融商品の会計方針の概要
認識済の金融資産及び金融負債（ヘッジ会計ポートフォリオに関するものを除く。）はすべて、計上の際、損益を通じた
公正価値（以下「ＦＶＴＰＬ」という。）に指定されている。その表示は、ＴＣＶが文書化されたリスクマネジメント戦略
に従ってその金融資産及び金融負債の運用成績を時価基準にて管理及び評価しているという前提で決定された。金融資産及
び金融負債のヘッジ関係の指定は、取引ごとに評価されている。
ＦＶＴＰＬで測定される金融資産及び金融負債は、当初公正価値で認識され、その後公正価値で測定される。
ヘッジ会計ポートフォリオに指定される金融資産及び金融負債は、当初公正価値で認識され、その後、実効金利法を用い
て損益に認識された金利による償却原価で測定される。これは、正式にヘッジ対象として指定されているため公正価値以外
の基準で測定されている金融負債及びこれらの負債によって資金調達された顧客貸付金に適用される。かかる資産は、元本
及び利息の支払を意味する契約上のキャッシュ・フローを回収する目的で保有される。
ＴＣＶの金融資産の大部分はＦＶＴＰＬで測定されるため、減損要件の対象とならない。ヘッジ会計ポートフォリオの一
部を形成することから、償却原価で表示されている資産は、財務大臣の借入承認に組み込まれた条件が遵守される限りにお
いて、ビクトリア州によって保証される。ビクトリア州は、スタンダード・アンド・プアーズよりＡＡＡの格付、ムー
ディーズによりＡａａの格付をそれぞれ付与されているため、減損費用は不要と考えられている。
ＴＣＶは、ＤＴＦの要求に応じて、ビクトリア州財務大臣による保証の提供を条件に、ビクトリア州及び参加機関以外の
事業体に貸付金を提供することができる。ＴＣＶはまた、ＤＴＦの要求に応じて、当該保証の提供を条件に、事業体と金利
スワップを締結することができる。当該保証の提供は、関連する貸付金又はスワップを提供する上で不可欠である。ＤＴＦ
がＴＣＶに対し、当該保証の提供に関して受領した利息の一部を請求する場合、関連する商品の公正価値の設定に使用され
るキャッシュ・フローは、ＤＴＦに支払われる利息部分を控除したものであり、ＴＣＶが受領した利息は、当該請求額を控
除したものとして報告されている。
金融資産及び金融負債取引は取引日において計上される。締結されたものの未決済の取引（未決済の借入を含む。）に関
する未収金は、貸借対照表の「その他未収金」に計上される。締結されたものの未決済の取引（未決済の貸出を含む。）に
関する未払金は、貸借対照表の「その他未払金」に計上される。
満期までに、ＴＣＶの債券は、市場で買い戻して消却することができる。同様に、参加機関への貸付も期限前の弁済が可
能である。これらの債券買戻し及び払戻しに関連する損益は、直ちに包括利益計算書に計上される。
会計方針に関する詳細は、注記６から17に規定される。
５．公正価値の決定の概要
金融商品の公正価値は、公社から独立したリスク及び業績測定部により決定される。
公正価値とは、資産の売却により受取る金額又は測定日に市場参加者間の通常の取引において負債を移転する際に支払う
金額のことをいう。取引は、資産若しくは負債の主要な市場又は主要な市場が存在しない場合には最も有利な市場のどちら
かで行われるものとみなされる。すべての金融商品（ヘッジ会計ポートフォリオに関するものを除く。）は、継続的に公正
価値を用いて測定されている。
公正価値は、当初、ビッド・オファー・スプレッドを除いて決定される。資産及び負債が市場リスクを相殺しない場合、
ネットオープン・ポジションには、ビッド・オファー・スプレッドが適用される。
公正価値の決定に関する詳細は、注記６から15に規定される。
６．現金及び現金同等物
現金及び現金同等物には、金融機関への預金及び当初の満期が３ヶ月以内であり、既知の額の現金に容易に換金でき、価
値変動リスクの危険性が低い流動性投資が含まれる。
年度末時点の残高の詳細は、下記のとおりである。
（単位：千ドル）
2020年度 2019年度
当座預金：
現預金 4,234 11,782
先物決済銀行への預金 2,615 2,160
金融機関への預金 313,846 205,454
短期割引債 249,940 1,114,447
- 1,200,426
再買戻契約
現金及び現金同等物合計 570,635 2,534,269
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再買戻契約により購入した市場証券は、ＴＣＶがキャッシュ・フローを受領する契約上の権利を保有せず、また所有のリ
スク又は報酬を保有しないため、金融資産としては計上されない。再買戻契約に従って購入された債券の公正価値は０ドル
であった（2019年度は1,200百万ドル）。
公正価値の設定
短期割引債、再買戻契約及び預金を除く現金及び現金同等物の公正価値は、未払利息とその額面金額の合計を示してい
る。短期割引債は、市場データを用いて決定する補間利回り曲線を利用して、証券の額面価格を差し引いて評価される。預
金及び再買戻契約の公正価値は、そのキャッシュ・フローの割引価値を表している。
７．その他未収金
その他未収金には、締結されたものの未決済の取引に関する未収額、報酬及び顧客からのその他未収金が含まれている。
（単位：千ドル）
2020年度 2019年度
当座預金：
未決済取引－未収金 59,982 264,052
1,160 690
報酬及びその他未収金
その他未収金合計 61,142 264,742
公正価値の設定
未決済取引の公正価値は、未決済取引のキャッシュ・フローの割引価値を表している。
８．投 資
投資には、流動証券及び当初の満期が３ヶ月超の金融機関への預金が含まれる。
年度末時点の残高の詳細は、下記のとおりである。
（単位：千ドル）
2020年度 2019年度
変動利付債
540 7,096
短期割引債 2,279,724 2,653,518
固定利付債 1,167,879 1,841,821
- 2,027,986
金融機関への定期預金
投資合計 3,448,143 6,530,421
12ヶ月以内に満期となるもの
2,315,301 4,875,068
1,132,842 1,655,353
12ヶ月超で満期となるもの
投資合計 3,448,143 6,530,421
公正価値の設定
変動利付債は、標準的な市場慣行を用いて評価される。その情報には、取引利益及び（不動産担保証券については）加重
平均残存期間データが含まれる。
短期割引債は、市場データを用いて決定する補間利回り曲線を利用して、証券の額面価格を差し引いて評価される。
固定利付債の公正価値は、市場相場を利用して決定される。
定期預金の公正価値は、２ヶ月間の銀行手形利回り及び関連する相手方から入手した相場の補間により決定され、かかる
価格決定は、同様の金融機関から同一の基準で入手される相場に照らして検証される。
９．金融派生商品
ＴＣＶは、主にその借入及び資産管理業務に固有の金利及び為替のリスク並びにビクトリア州及び参加機関の活動に固有
のリスクを管理するために、金融派生商品取引を行っている。ＴＣＶはまた、顧客の活動に関するリスクを管理するため、
コモディティ・デリバティブを締結することができる。
金融派生商品は、当初公正価値で計上され、その公正価値の変動は包括利益計算書に計上されている。ただし、かかる金
融派生商品が正式に指定されたヘッジ関係において、ヘッジ対象である場合を除く。その場合、ヘッジが有効である場合に
限り、かかる金融派生商品の公正価値の変動は、積立金に計上され、一切の非有効部分は、包括利益計算書に計上される。
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ＴＣＶの金融派生商品取引の年度末時点の公正価値残高は、下記のとおりである。
（単位：千ドル）
2020年度 2019年度
金融派生商品資産
金利スワップ 424,911 286,051
クロスカレンシースワップ 745,282 176,112
外国為替先渡取引 14,580 23,450
燃料スワップ 7,454 1,854
外国為替オプション 1,136 -
流通為替先物取引 154 8
- 708
大規模発電証書先渡契約
金融派生商品資産合計 1,193,517 488,183
12ヶ月以内に満期となるもの
14,619 20,035
1,178,898 468,148
12ヶ月超で満期となるもの
金融派生商品資産合計 1,193,517 488,183
金融派生商品負債
金利スワップ 357,847 258,440
クロスカレンシースワップ 769,790 180,626
外国為替先渡取引 14,616 23,439
燃料スワップ 7,454 1,854
外国為替オプション 1,136 -
流通為替先物取引 85 154
- 708
大規模発電証書先渡契約
金融派生商品負債合計 1,150,928 465,221
12ヶ月以内に満期となるもの
10,536 24,737
1,140,392 440,484
12ヶ月超で満期となるもの
金融派生商品負債合計 1,150,928 465,221
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公正価値の設定
金利スワップ等の店頭取引の金融派生商品は、キャッシュ・フローに基づいて適当なスワップ曲線を差し引いて評価され
る。ＴＣＶがＤＴＦに対し、保証の提供に関して受領した利息の一部を支払う場合（注４参照）、キャッシュ・フローはＤ
ＴＦに支払われる料金を控除したものとなる。
インデックス・スワップのノミナル・レッグは、関連するスワップ曲線を利用してキャッシュ・フローに基づいて評価さ
れ、消費者物価指数（以下「 ＣＰＩ」という。）レッグはゼロ・クーポン・インフレーション・スワップを使用して評価さ
れる。
クロスカレンシースワップは、クロスカレンシー及び単一通貨基準リスクに適用するよう調整された関連するスワップ曲
線を利用した市場データにより評価される。
デリバティブ・ポジションの公正価値の設定に関して、 信用評価調整（相手方の不履行に関する規定）及び負債評価調整
（ ＴＣＶのリスクに関する規定 ）も行われている。
10．貸付金
ＴＣＶ法第８条第(1)項に基づくＴＣＶの任務は、参加機関又はビクトリア州に資金を供給することである。参加機関は、
ＴＣＶ法の下で公社に認められた、資金供給を目的とする公共機関である。ＴＣＶはまた、ＤＴＦの要求に応じて、ビクト
リア州財務大臣による保証の提供を条件に、その他の事業体に貸付金を提供することができる。
年度末時点の残高の詳細は、下記のとおりである。別段の記載がある場合を除き、金融商品は公正価値で表示されてい
る。
（単位：千ドル）
2020年度 2019年度
3,264,137 857,553
短期貸付金
3,548,192 613,309
変動金利貸付
57,951,622 41,172,957
固定金利貸付
(１)
515,054 106,752
償却原価で計上される固定金利貸付
294,212 312,907
指数リンク貸付
貸付合計 65,573,217 43,063,478
7,884,209 4,311,455
12ヶ月以内に満期となるもの
57,173,954 38,645,271
12ヶ月超で満期となるもの
(１)
515,054 106,752
12ヶ月超で満期となるもの－償却原価で計上される固定金利貸付
貸付合計 65,573,217 43,063,478
48,578,209 28,747,263
ビクトリア州（金融財務省（ＤＴＦ））への貸付
ビクトリア州（金融財務省（ＤＴＦ））への貸付－償却原価で計上
(１)
515,054 106,752
される固定金利貸付
15,180,137 14,032,377
参加機関への貸付
1,299,817 177,086
財務大臣により保証された貸付
貸付合計 65,573,217 43,063,478
(１)償却原価で取引される固定金利貸付は、ヘッジ会計ポートフォリオの一部である。2020年６月30日現在のかかる貸
付の公正価値は、555.7百万ドルであった（2019年度は164.9百万ドル）。
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公正価値の設定
短期キャッシュローンの公正価値は、未払利息及び額面価格の合計を示している。
変動金利貸付は、ＴＣＶ利回り曲線に由来する割引利回りを含むＡＵＤスワップ曲線に由来する将来キャッシュ・フロー
と共に、標準的な市場データによって評価される。財務大臣により保証された貸付に関して、ＴＣＶがＤＴＦに対し、 保証
の提供に関して受領した利息の一部を支払う場合 （注４参照）、公正価値の設定に使用される キャッシュ・フローはかかる
料金を控除したものとなる。
固定金利貸付（ 償却原価で取引されるものを除く。 ）は、ＴＣＶ利回り曲線に由来する利回りを利用して、標準的な市場
データによって評価される。
指数リンク貸付は、指数リンク債の市場相場に由来する曲線を差し引いて評価される。
11．預 金
預金は、短期預金で構成されている。年度末時点の残高の詳細は、下記のとおりである。
（単位：千ドル）
2020年度 2019年度
現金預金
125,860 1,776,010
83,436 310,859
定期預金
預金合計 209,296 2,086,869
209,296 2,086,869
12ヶ月以内に満期となるもの
預金合計 209,296 2,086,869
ビクトリア州（金融財務省（ＤＴＦ））からの預金 - 1,360,815
参加機関からの預金 118,916 558,793
90,380 167,261
その他公共部門自治体からの預金
預金合計 209,296 2,086,869
預金水準の低下は、ビクトリア州の中央銀行システムの導入を反映している。
公正価値の設定
現金預金は、未払利息を含む勘定残高に反映される。定期預金の公正価値は、市場金利によって構成される利回り曲線に
より設定される。
12．その他未払金
その他未払金は、締結されたものの未決済の取引に関する未払金及びその他金融負債を反映している。
（単位：千ドル）
2020年度 2019年度
未決済取引
－ビクトリア州及び参加機関への未払金 6,384,947 3,406,723
－財務大臣により保証された未払金 585,462 9,587
－市場参加者への未払金 - 93,518
6,094 14,392
その他金融負債
6,976,503 3,524,220
その他未払金合計
12ヶ月以内に満期となるもの 6,540,863 3,514,633
435,640 9,587
12ヶ月超で満期となるもの
6,976,503 3,524,220
その他未払金合計
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公正価値の設定
未決済取引の公正価値は、未決済取引のキャッシュ・フローの割引価値を表している。
13．有利子負債－国内
ＴＣＶの発行額はすべて、ＴＣＶ法第32条に基づくビクトリア州政府の保証を考慮に入れている。
国内ベンチマーク債は、公社の資金調達戦略の土台となる固定利付証券である。ＴＣＶは、貸付業務を支えるために十分
な額を発行することを目指している。ＴＣＶは、流動性の高い国内ベンチマーク商品を補完するため、満期の異なる少額の
固定利付債も発行している。
ＴＣＶ手形は、満期が１年以内の10十億ドルのコマーシャル・ペーパー・プログラムに基づき発行された手形である。
年度末時点の残高の詳細は、下記のとおりである。
（単位：千ドル）
2020年度 2019年度
ベンチマーク・プログラム
国内ベンチマーク債 51,712,492 39,700,410
2,747,205 3,035,329
ＴＣＶ手形
ベンチマーク・プログラム合計 54,459,697 42,735,739
国内借入金－その他
ＴＣＶ固定利付債 4,779,820 3,039,970
ＴＣＶ変動利付債 1,924,331 -
指数リンク債 397,232 458,617
市場参加者への未払金 49,229 98,796
65 62
連邦政府貸付
国内借入金合計－その他 7,150,677 3,597,445
国内借入金合計 61,610,374 46,333,184
12ヶ月以内に満期となるもの 3,221,411 8,948,719
58,388,963 37,384,465
12ヶ月超で満期となるもの
国内借入金合計 61,610,374 46,333,184
公正価値の設定
国内ベンチマーク債の公正価値は、実勢利回りにより設定される。
変動利付債の公正価値は、関連するスワップ曲線から算出される予測キャッシュ・フローをＴＣＶ利回り曲線から差し引
いて設定される。
指数リンク債は、 標準的な市場 データ 及び 市場参加者から提供された利回りを用いて評価される。
その他の証券はＴＣＶ利回り曲線から算出される利率を利用して、投資キャッシュ・フローを差し引いて評価される。
14．有利子負債－海外
５十億豪ドルのマルチ・カレンシーＥＣＰプログラムに基づき、ＴＣＶは適宜ＥＣＰを発行している。2020年６月30日現
在のＥＣＰの残高は、０豪ドル（2019年度は５百万豪ドル）であった。
ＴＣＶはまた、３十億米ドルのＥＭＴＮプログラムに基づき、ＥＭＴＮも発行している。2020年度の負債残高の額面価格
は、145 百万豪 ドル（2019年度も 145 百万豪 ドル）、 7.5 十億円（ 2019年度も 7.5 十億円）及び250百万ユーロ（2019年度はな
し） である。
これらのプログラムに基づき発行された負債は、ＴＣＶ法第32条に基づきビクトリア州の保証が付されている。公社は、
金融派生商品を用いることにより、外貨建発行に伴うすべての為替リスクを完全にヘッジしている。ヘッジ会計は、一定の
長期外貨建債務に適用されている。
年度末時点の残高の詳細は、下記のとおりである。別段の記載がある場合を除き、金融商品は公正価値で表示されてい
る。
（単位：千ドル）
2020年度 2019年度
ＥＣＰ
- 4,997
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135,903
ＥＭＴＮ 128,174
506,950 99,776
ＥＭＴＮ（償却原価）
海外借入金合計 642,853 232,947
12ヶ月以内に満期となるもの - 4,997
642,853 227,950
12ヶ月超で満期となるもの
海外借入金合計 642,853 232,947
公正価値の設定
豪ドル建 ＥＭＴＮ は、ＴＣＶ利回り曲線を利用して、キャッシュ・フローを勘案して評価される。キャッシュ・フロー・
ヘッジ関係のヘッジ対象項目である円建ＥＭＴＮ及びユーロ建ＥＭＴＮは、償却原価で取引される。2020年６月30日現在の
償却原価におけるＥＭＴＮの公正価値は、556.6百万豪ドル（2019年６月30日現在は149.1百万豪ドル）であった。
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15．公正価値階層
公正価値階層は、市場で観測可能な客観的な情報と、観測不可能な主観的な情報を区別することにより、公正価値測定の
相対的な主観性及び試算の信頼性を示すことができるよう設計されている。金融商品の公正価値の決定に用いられる情報の
性質に従って、分類先の階層が決定された。
・階層１の金融商品は、取引市場における同質の資産又は負債の非調整の相場価格を利用して評価される。
・階層２の金融商品は、取引市場における類似証券の価格を使用する評価方法を利用して、重要な調整をすることなく評
価される。かかる情報は、重要な調整をすることなく直接的（価格等）又は間接的（価格派生等）に観察可能である。
・階層３の金融商品は、観測可能な市場データに基づかない情報を利用して評価される。
下記の表は、 年度末時点の 金融商品の公正価値及びかかる金融商品が分類される適切な公正価値階層を要約したものであ
る。ＴＣＶの方針は、移行の原因となる事象又は環境の変化が生じた日における公正価値階層水準への移行及び公正価値階
層水準からの移行を認識するものである。
階層カテゴリー間の移行
当年度中、公正価値階層カテゴリー間で１つの移行があった。2034年に満期となる額面価格1.3十億ドルの国内ベンチマー
ク債の残高は、当該社債の相場価格が観測可能になったことにより、階層２から階層１へと移行された。
（単位：千ドル）
階層１ 階層２ 階層３
（取引市場の （相場価格以外 （観測不可能な
2020年度
相場価格） の重要情報） 市場データ） 合計
資産
現金及び現金同等物 320,695 249,940 - 570,635
その他未収金 - 61,142 - 61,142
投資
－変動利付債 - 540 - 540
－短期割引債 - 2,279,724 - 2,279,724
－固定利付債 1,155,915 11,964 - 1,167,879
金融派生商品 14,734 1,178,783 - 1,193,517
3,264,137 61,794,026 - 65,058,163
貸付金（償却原価で計上される貸付金を除く。）
4,755,481 65,576,119 - 70,331,600
負債
預金 125,860 83,436 - 209,296
その他未払金 - 6,976,503 - 6,976,503
金融派生商品 14,701 1,136,227 - 1,150,928
有利子負債－国内 51,806,737 9,803,637 - 61,610,374
有利子負債－海外
- 135,903 - 135,903
（償却原価で計上される債務を除く。）
51,947,298 18,135,706 - 70,083,004
2019年度
資産
現金及び現金同等物 1,419,822 1,114,447 - 2,534,269
その他未収金 - 264,742 - 264,742
投資
－変動利付債 - 7,096 - 7,096
－短期割引債 - 2,653,518 - 2,653,518
－固定利付債 1,621,576 220,245 - 1,841,821
－金融機関への定期預金 - 2,027,986 - 2,027,986
金融派生商品 24,166 464,017 - 488,183
857,553 42,099,173 - 42,956,726
貸付金（償却原価で計上される貸付金を除く。）
3,923,117 48,851,224 - 52,774,341
負債
預金 1,776,010 310,859 - 2,086,869
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その他未払金 - 3,524,220 - 3,524,220
金融派生商品 24,301 440,920 - 465,221
有利子負債－国内 39,890,304 6,442,880 - 46,333,184
有利子負債－海外
- 133,171 - 133,171
（償却原価で計上される債務を除く。）
41,690,615 10,852,050 - 52,542,665
16．契約上の義務及び金融負債
簿価の金融負債と契約上満期日に支払義務を負う額との差異は、下記のとおりである。
（単位：千ドル）
2020 年度 2020 年度 2020 年度 2019 年度 2019 年度 2019 年度
満期日における 満期日における
(１) (１)
未払元本 未払元本
簿価 差額 簿価 差額
預金
209,296 209,236 60 2,086,869 2,082,753 4,116
有利子負債－国内 61,610,374 54,068,343 7,542,031 46,333,184 40,883,595 5,449,589
有利子負債－海外 642,853 655,575 (12,722) 232,947 249,244 (16,297)
(１)満期日における未払元本とは、契約上ＴＣＶがその債務保持者に対して満期日に支払義務を負う額である（利息を除
く。）。
17．金融資産及び金融負債の相殺
金融資産及び金融負債は、法的強制力のある認識されている金額の相殺権があり、かつ純額で決済されるか資産を認識し
負債を同時に決済する目的の場合にのみ、貸借対照表において報告されている純額によって相殺される。
ＴＣＶが適用している相殺の大多数は、買戻契約及び再買戻契約と同様に金融派生商品及び担保調整に関連している。
下記の表は、強制力のある相殺決済の基本契約又は現金及び金融商品担保と類似する契約による金融商品の相殺決済の経
済的な影響と、貸借対照表上の相殺の影響における情報を表している。
一般的な市場慣行に従って、ＴＣＶは標準的な事業では相殺の基準に満たないが、倒産、不履行又は破綻のような状況の
場合は相当額が相殺されることを承認する契約を締結した。かかる契約の効果は「相殺決済の基本契約の影響」の欄に反映
されている。
「現金及び金融商品担保」の欄は、資産及び負債総額に関する支払又は担保とされている相殺されていない金額も含めた
担保総額を公表している。現金及び金融商品担保の相殺権は、相手方の不履行が条件となる。
「純額」の欄は、すべての相殺権が行使された場合のＴＣＶの貸借対照表上の影響を示している。
（単位：千ドル）
貸借対照表上の相殺の効果 相殺されていない額
貸借対照表上 貸借対照表上
相殺決済の 現金及び
で相殺された に表示された
総 額 金額 純額 基本契約の影響 金融商品担保 純 額
2020 年度
資産
(１)
金融派生商品
1,616,957 (423,440) 1,193,517 (829,372) (4,710) 359,435
1,616,957 (423,440) 1,193,517 (829,372) (4,710) 359,435
負債
(２)
買戻契約
44,518 - 44,518 - (44,518) -
(１)
金融派生商品
1,574,368 (423,440) 1,150,928 (829,372) (312,221) 9,335
1,618,886 (423,440) 1,195,446 (829,372) (356,739) 9,335
2019 年度
資産
(３)
再買戻契約
1,200,426 - 1,200,426 - (1,198,440) 1,986
(１)
金融派生商品
957,170 (468,987) 488,183 (257,839) (35,693) 194,651
2,157,596 (468,987) 1,688,609 (257,839) (1,234,133) 196,637
負債
(１)
金融派生商品
933,500 (468,279) 465,221 (257,839) (201,661) 5,721
933,500 (468,279) 465,221 (257,839) (201,661) 5,721
(１)受取現金担保及び現金担保は、現金及び現金同等物並びに有利子負債－国内にそれぞれ表示されている。
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(２)買戻契約は、有利子負債－国内に計上される。
(３)再買戻契約は、満期日が３ヶ月以内なら、現金及び現金同等物に計上される。
リスク管理
18．リスク管理制度
概 況
ＴＣＶは、ビクトリア州の中心的な資金提供機関及び金融市場アドバイザーである。ＴＣＶは、ビクトリア州財務大臣の
指示の下、ビクトリア州（政府組織を含む。）、機関（参加機関を含む。）及びその他の機関に対して財務サービス、金融
上の助言及び解析サービスを提供している。
かかる活動により、金融商品から生じる主なリスクは以下のとおりである。
・市場リスク
・流動性リスク
・信用リスク
ＴＣＶは外国為替のリスクに晒される可能性があるが、当該エクスポージャーは、250,000豪ドルに限定されている。
かかるリスクの管理は、ＴＣＶのリスク管理制度に従って行われる。かかる制度は、ビクトリア州財務大臣により策定さ
れたＴＣＶに対するビクトリア州政府金融システム安定化基準（金融システム安定化基準）に従っており、オーストラリア
規制勧告機関（以下「ＡＰＲＡ」という。）のオーストラリアの金融機関向け基準が採用された。金融システム安定化基準
の要件の遵守は、財務大臣によって任命された独立監督責任者によって監視されている。
リスク管理制度は、下記の主要要素で構成される。
・ＴＣＶの理事会は、ＴＣＶのリスク選好報告書及び主要なリスク政策を承認するため、ＴＣＶのリスク管理制度の妥当
性を確保する責任を負う。
・専務理事は、リスク管理制度及びリスク管理政策の策定及び維持並びに理事会により承認された水準を満たすリスク管
理の実現に対して責任を負う。
・ＴＣＶの監査委員会は、リスク管理制度の実行及び運用の監督責任の遂行にあたり、ＴＣＶの理事会を支援する。
・財務チームは公社の資産及び負債、並びに従来のリスク政策に従って資金調達リスク及び流動性リスクの日常的管理に
責任を負う。
・リスク及び業績測定チームは、リスクの特定、測定、規制、報告及び実行に係る金融システム安定化基準及び理事会の
指針に合致する適切なリスク政策の開発及び維持に責任を負う。
・内部監査役は、ＴＣＶのリスク規制及びガバナンス制度の有効性の評価について、ＴＣＶの理事会に対して監査委員会
を通して支援するため独立かつ客観的なリスク保証及び助言サービスを行う。
・専務理事、その幹部組織の構成員及びその他の理事を含む資産及び負債委員会、信用リスク委員会及び企業リスク管理
委員会等の執行委員会は、公社の金融資産及び金融負債の慎重かつ効率的な管理の確保に責任を負う。
専務理事及びＴＣＶ理事は、金融システム安定化基準に公社が違反した際、直ちに理事会、監督責任者及び（ＤＴＦを通
じて）財務大臣並びに関連する利害関係者に助言を行わなければならない。
19．市場リスク
市場リスクとは、市場価格、利回り又は金融商品及び金融派生商品のレートへの不利な動きによる損失のリスクである。
ＴＣＶの財務管理モデルは、ＴＣＶの顧客に対し、それぞれのキャッシュ・フロー・ファイナンスのニーズに合わせた貸
付金を提供することに基づいている。その上でＴＣＶは、金利リスクのミスマッチを管理するための資金調達活動を構築す
る。同様に、ＴＣＶは収益を生み出すため、流動性資産ポートフォリオを積極的に運用している。これらのリスクは、リス
ク評価（以下「ＶａＲ」という。）及び偶発損失リスク（以下「ＣＬＲ」という。）の制限内で管理されている。
リスク評価
ＶａＲは、ＴＣＶが所定の保有期間内におけるＴＣＶのリスク状況について、一定の予測可能範囲で被る含み損の計上方
法である。ＴＣＶは、含み損の一因となる価格、利回り及びスプレッドの過去の変動におけるＶａＲの制限に基づいてい
る。
専務理事は、任意の時点ですべてのポートフォリオに関してＴＣＶが引き受けることができるＶａＲの総計を制限するこ
とを理事会に勧める責任を有する。理事会はこれを検討し、財務大臣の承認を求めて提案されるＶａＲの総計を承認する。
ＶａＲの総計の制限内で、専務理事は各ポートフォリオ又はポートフォリオのセットにサブリミットを割り当て、同様に
日々のポートフォリオの管理目的のため財務公社のジェネラル・マネージャーに低い水準の制限を割り当てる裁量を有す
る。ＶａＲの測定及び管理者への報告は毎日行われる。
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ＶａＲの予想は、合理性並びにモデルの継続的な正確性のため、実際の日ごとの財務業務収入の結果についてバックテス
トが行われる。バックテスト対象外のものは、金融システム安定化基準の定めに従い、オーストラリア健全性基準（以下
「ＡＰＳ」という。）116 自己資本比率：市場リスクの分類に基づき監視及び報告される。
事業年度に関する公社のＶａＲ測定結果は以下のとおりである。
（単位：千ドル）
2020年度 2019年度
６月30日
2,109 1,512
年度中の日間平均価値 1,590 1,839
最高 3,801 2,466
最低 1,042 1,363
公社のＶａＲの使用は、年間を通じて理事会が合意した制限内に収まっていた。
ＶａＲは過去のデータに依拠し、最近の過去の市況を想定しているため、含み損の規模を正確に予測できない可能性があ
る。そのため、ＶａＲの使用は、ストレス時のＶａＲ、市場リスクへの負荷試験の様々なシナリオ及び利回り曲線に対する
金利ショックによって補完され、これによりＶａＲ測定の選択された信頼区間から外れる可能性がある潜在的な結果につい
て追加情報が得られる。
偶発損失リスク
ＴＣＶは、妥当な金利シナリオに対するＴＣＶのコア・ポートフォリオのエクスポージャーを数値化するために、金利シ
ナリオモデルを使用する。その結果得られるＣＬＲ報告書及びコア・ポートフォリオに固有の基本リスクの詳細は、市場リ
スクを制限内で監視し、当該リスクの管理を補助するために使用される。
ＣＬＲの総計、部門及びシナリオの制限は、専務理事によって承認される。
20．流動性リスク
流動性リスクは、満期時の金融債務及び／又は要求される容量又は価格を市場が提供できない場合の資金調達の必要性を
満たせないことによる損失のリスクである。ＴＣＶは、ビクトリア州政府全体の流動性計画に従い、監督責任者及びＤＴＦ
の特定の流動性要件の対象である。
ＤＴＦはＴＣＶに以下のことを要求している。
・ビクトリア州とホールセール金融市場との橋渡しとして機能しており、流動性の主要な促進者である。
・顧客の予想される資金需要及び偶発的資金需要を満たすため、適切な価格及び期限にて、資金への即時の利用を許可す
るため、ホールセール市場において適切なポートフォリオを維持する。
・流動性危機行動計画を維持する。
・資金の適切な分散を維持する。
・ビクトリア州政府全体の流動性比率を維持するため、ビクトリア州の過剰流動性資産の許容可能な最低水準を保持する
（下記「短期的な流動性管理」を参照）。
・特定の期限の資金を入手することが困難又は高額になった場合、各資金計画が適切に修正されるよう、市況を継続的に
監視し、ビクトリア州及び参加機関に助言する。
金融システム安定化基準は、ＴＣＶが以下の適切な方針及び手続きを有することを求めている。
・ＡＰＳ210 流動性の原則を反映する。
・ＴＣＶが満期時に支払義務を満たすため、十分な流動性を有することを保証する。
・ＴＣＶが常に流動性管理計画に従い、かつ変化する業務及び規制環境を必要に応じて考慮するため少なくとも年に一度
かかる計画をＴＣＶが見直すことを保証する。
・金融システム安定化基準に詳述されるとおり、ＴＣＶが監督責任者に月次流動性報告書を提供することを保証する。
短期的な流動性管理
ＴＣＶは、12ヶ月以内に支払期限が到来する債務サービスに対する流動性資産（純現金資産、流動性資産及び信用供与
枠）の比率であるビクトリア州政府全体の流動性比率を測定及び報告している。当該比率は、通常の景気において、事業年
度中80％以上に維持することが求められている。予測されるキャッシュ・フローが比率を回復させる見込みがある特定の状
況においては、当該比率が80％を下回っても構わない。
2019年度には、当該比率に使用される流動性資産の価値が、ＴＣＶの貸借対照表に計上される資産に限定された。しかし
ながら、ビクトリア州の中央銀行システムの導入後、ＴＣＶはビクトリア州政府全体の観点から流動性を管理した。これに
より、2020年度には、ビクトリア州に属する流動性資産が当該比率に含まれることとなった。
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2020年６月30日現在の比率（ビクトリア州が所有する流動性資産を除く。）は141％（2019年度は118％）となった。
ＴＣＶは、資金市場が制限されるか営業が終了している場合に一度に異常に現金が流出してしまうことを管理するための
十分な流動性資産を有していることを確かめるために流動性ストレスのキャッシュ・フローも監視する。
長期的な流動性管理
ＴＣＶ内の長期的な流動性の管理は、主に資金源及び満期の分散を中心としている。下記の表は、契約済の割引前返済義
務に基づく公社の負債及び金融派生商品の満期を要約したものである。
（単位：千ドル）
満 期 日
３ヶ月以上 １年以上 ２年以上
通知時 ３ヶ月未満 12ヶ月未満 ２年未満 ５年未満 ５年超 計
2020年度
預金 129,489 61,790 21,664 - - - 212,943
有利子負債－国内 - 2,563,534 2,495,198 5,244,594 19,750,407 36,586,450 66,640,183
- 85 5,853 5,938 51,415 724,599 787,890
有利子負債－海外
129,489 2,625,409 2,522,715 5,250,532 19,801,822 37,311,049 67,641,016
2019年度
預金 1,701,029 428,720 56,514 - - - 2,186,263
有利子負債－国内 - 2,047,026 8,287,831 1,769,242 12,517,142 25,691,622 50,312,863
- 5,085 3,334 3,419 44,028 254,269 310,135
有利子負債－海外
1,701,029 2,480,831 8,347,679 1,772,661 12,561,170 25,945,891 52,809,261
制約された流動性管理
ＴＣＶは、流動性制約期間中の流動性状況を管理するために、流動性行動計画を用いる。流動性制約は、ＴＣＶが業務流
動性要件を管理するため、妥当な金額で資金にアクセスできないことに代表される。
21．信用リスク
信用リスクは、満期時に相手方が金融債務を履行できないためにＴＣＶが金融損失を被る可能性があることを意味する。
ＴＣＶが投資する相手方の類型及びＴＣＶが保有する有価証券の種類は、ＴＣＶの投資を行う権限に記載されている。こ
れらの権限は、ビクトリア州財務大臣の推薦により州総督が承認し、外部格付に基づく。金融派生商品取引を行うＴＣＶの
権限は、ビクトリア州財務大臣の承認を必要とする。かかる承認は、ＴＣＶが取引する個々の相手方を規定するものではな
い。
理事会は、理事会の承認した最大限のエクスポージャーに従って、新しい又は変化した信用制限を承認する権限を専務理
事に委任する。専務理事は、実際の又は予想される相手方の格下げによって信用度基準が減退していないことを保証するた
め、当初理事会の承認した相手方の信用制限を即時に一時停止、低減又は引き下げる権限を有する。
ビクトリア州への貸付並びに（ビクトリア州が保証する）参加機関及び財務大臣により保証された貸付に関し、最大の信
用リスクはビクトリア州にある。
ＴＣＶの信用リスク分析及び監視の主な焦点は、金融資産への資金投資及び市場の相手方との金融派生商品取引を通じて
生じるリスクである。ＴＣＶのリスク管理制度に基づき、この信用リスクは下記により管理される。
・投資を行う権限に合致するリスク制限の上限に基づく外部信用格付
・理事会又は（理事会が委任した権限の下で）専務理事が承認する相手方及び投資先の個別のリスク制限に基づく内部リ
スク査定
・制限の設定後に生じた相手方又は投資先の信用度の減退に対処するための、定期的なリスク精査並びに投資先の信用度
及び市場の相手方へのリスクの継続的な監視
格付（スタンダード・アンド・プアーズ社）別信用リスク集計
期日経過又は不良債権のいずれでもない金融商品の信用度は、外部格付を参照して評価されている。下記の表は、公社の
主な金融資産の信用格付の詳細である。別段の記載がある場合を除き、金額は公正価値で表示されている。
（単位：千ドル）
AAA AA＋/AA/AA－ A＋/A/A－ BBB＋/BBB その他 合 計
2020 年度
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現金及び現金同等物 - 335,508 235,127 - - 570,635
その他未収金 1,149 39,638 20,344 - 11 61,142
(１)
投資
769,431 1,712,352 604,870 149,972 211,518 3,448,143
(２)
金融派生商品資産
362,354 76,944 9,822 - - 449,120
(３)
貸付金
65,573,217 - - - - 65,573,217
信用リスクエクスポージャー合計 66,706,151 2,164,442 870,163 149,972 211,529 70,102,257
2019 年度
現金及び現金同等物 - 2,047,263 407,020 79,986 - 2,534,269
その他未収金 676 180,686 35,695 47,672 13 264,742
(１)
投資
937,261 5,518,526 24,959 - 49,675 6,530,421
(２)
金融派生商品資産
205,473 94,222 12,369 - - 312,064
(３)
貸付金
43,063,478 - - - - 43,063,478
信用リスクエクスポージャー合計 44,206,888 7,840,697 480,043 127,658 49,688 52,704,974
(１)「その他」の格付に分類される投資は、ムーディーズによりＡａ３の格付を付与されている。
(２)金融商品資産の信用エクスポージャーを反映している。かかるエクスポージャーは、相殺決済の基本契約及び担保預
金に従って、金融商品ポートフォリオの相殺決済によって軽減されている。 2020 年６月 30 日現在、 ＴＣＶは市場にお
ける相手方へのネットデリバティブエクスポージャーによる信用リスク見合いの担保に関して規定する信用支援付属
書に従い、現金預金4.7百万ドル（ 2019 年度は 48.7 百万ドル） を有していた。
(３)保証人としてのビクトリア州の格付を反映している。ヘッジ会計ポートフォリオの一部であるため、残高には、ＦＶ
ＴＰＬではなく、償却原価で保有される顧客別貸付が含まれる。
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期日経過だが不良債権ではない貸付金の経年分析
2 020 年６月30日現在、期日経過の貸付金はない（ 2 019 年６月30日現在もなし）。
資本及び配当金
22．自己資本比率
金融システム安定化基準は、公社が活動に伴うリスクを緩和するために十分な資本を維持することを義務付けている。Ａ
ＰＳ110 自己資本比率及びＡＰＳ111 自己資本比率：資本の測定に詳述される原則は、修正を加えてＴＣＶに適用される。
公社はリスク加重資産の８％の最低自己資本比率を保有し、自己資本をリスク加重資産の少なくとも10.5％に維持するよ
う目指すことを義務付けられている。
公社の資本合計は、ビクトリア州の払込資本及び利益剰余金で構成される。当該合計にヘッジ積立金は含まれない。
（単位：千ドル）
2 020 年度 2020 年度 2019 年度 2019 年度
実際の額 必要とされる額 実際の額 必要とされる額
資本合計
239,431 48,889 237,895 77,789
(１)
リスク加重資産
611,112 611,112 972,366 972,366
資本比率 39.2％ 8.0％ 24.5％ 8.0％
(１)リスク加重が低く、より信用度の高い資産へと移行したことにより、リスク加重資産は2019年度から2020年度の間に
減少した。
23．配当金
ＴＣＶ法第31条に基づき、ＴＣＶはビクトリア州政府に対し、公社との協議の後にビクトリア州財務大臣が決定する配当
金を前会計年度における剰余金から支払わなければならない。2020年６月30日現在、2020年６月30日に終了した会計年度に
関する配当金はＴＣＶの勘定に計上されていない（2019年度もなし）。前年度の剰余金に関しては、関連する報告日後に公
表され、50.3百万ドルの配当金（2019年度は49.8百万ドル）が支払われた。
その他の情報
24．キャッシュ・フロー計算書の補足注記
（ⅰ）純額で表示された資金
業務活動によるキャッシュ・フローは、キャッシュ・フロー計算書において純額で表示されている。
（ⅱ）業務活動からの資金純額と純利益との調整
（単位：千ドル）
2020年度 2019年度
純利益
51,826 50,290
減価償却 1,107 278
無形固定資産の償却 619 846
その他の未払金及び負債の増加／（減少） 25,622 (16,213)
その他の未収金及び債権の増加 (1,765) (119)
引当金の増加 858 807
未払受取利息の減少 11,795 7,716
未払支払利息の増加／（減少） 33,238 (17,038)
金融資産及び金融負債からの純収入 (168,103) (159,535)
非金融資産からの純損失 - 4,859
ヘッジの非有効部分 597 597
(1,867,712) (138,063)
利益に含まれない業務活動によるキャッシュ・フロー項目
業務活動からのキャッシュ・アウトフロー純額 (1,911,918) (265,575)
25．責任者
下記の理事は、当年度中、財務大臣ティム・パラス氏と共に責任を負う。
カサンドラ・ケリー、理事長
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ウィリアム・ウィットフォード、専務理事
ヘレン・ソーントン、副理事長
デイビット・マーティン
ジョン・ピアース
パメラ・ハウザー
スー・オコナー
デボラ・ヘーゼルトン
ＴＣＶの理事は、財政管理法に基づきビクトリア州財務大臣から、及び1996年ビクトリア管理保険局法に基づきビクトリ
ア管理保険局から補償を受けることができる。
報 酬
今年度において理事に対して支払われた又は支払われる予定の報酬総額は、1,125,542ドル（ 2019 年度は1,083,086ドル）
であった。この額には、すべての従業員給付が含まれており、かかる給付は、提供されたサービスの対価として、公社によ
り又は公社のために支払われた、支払われる予定の又は与えられたあらゆる形態の報酬を指す。専務理事の報酬総額には、
未払賞与が含まれている。大臣に関する金額は、議会サービス省の財務諸表に計上される。
理 事 数
理事の報酬
(３)
2019年度
報酬総額所得帯
2020年度
(１)
670,000ドルから679,999ドルまで
1 -
(１)
630,000 ドルから639,999ドルまで
- 1
140,000 ドルから149,999ドルまで 1 1
60,000 ドルから 69,999 ドルまで 5 4
50,000 ドルから 59,999 ドルまで - 1
(２)
０ドル から9,999ドルまで
1 2
(１)計上される専務理事の報酬総額は、その年に発生したレクリエーション休暇及び長期勤続者休暇を含む。非業務執行
役員にこれらの手当が発生することはない。2019年度から2020年度の間における専務理事の報酬額の増加は、主にレ
クリエーション休暇が発生した年度と当該休暇が取得された年度の違いによるものである。
(２)ＴＣＶ から報酬の支払を受けていない ＤＴＦ の従業員である理事のデイビット・マーティン氏を含む。
(３)2019年度のデータは、デボラ・ヘーゼルトン 氏 の着任及びジョン・ブライト 氏 の退任を反映している。
26．業務執行役員の報酬
下表は、業務執行役員が受領した又は受領する予定の報酬総額及び専務理事を除く業務執行役員数を示している（注25参
照）。報酬は、提供されたサービスの対価として、公社により又は公社のために支払われた、支払われる予定の又は与えら
れたあらゆる形態の従業員給付から構成されている。したがって、報酬額は発生主義ベースで決定され、以下のカテゴリー
で開示されている。
・短期従業員給付には、通常時に定期的に支払われた又は支払われる予定の賃金、給与、未払賞与、年次休暇及び病気休
暇等の金額が含まれる。
・退職後給付とは、雇用が終了した場合に個別に支払われた又は支払われる予定の報酬をいう。
・その他長期給付とは、未払の長期勤続者休暇をいう。
・退職手当には、解雇手当等の退職金が含まれる。
（単位：千ドル）
2020年度 2019年度
業務執行役員の報酬
短期給付
2,197 2,169
退職後給付 121 118
その他長期給付 114 80
- -
退職手当
報酬総額 2,432 2,367
業務執行役員数合計 6 6
(１)
年間従業員相当数合計
5.6 5.6
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(１)年間従業員相当数合計は、報告期間に係る常勤換算執行役員数（常勤の者が勤務すべき時間数を週５日間とするも
の）を示す。
27．関係者
ＴＣＶは、ビクトリア州の中心的な資金提供機関及び金融市場アドバイザーである。ＴＣＶは、ビクトリア州及び参加機
関に対して財務サービスを提供する。ＴＣＶは、ビクトリア州財務大臣の指示の下、参加機関、政府組織及び機関並びにそ
の他の機関に対してもまた、金融上の助言及び解析サービスを提供している。当年度中に発生した政府関連事業体との重要
な取引は、後述のとおりである。
ＴＣＶの関係者には、以下が含まれる。
・すべての主要な経営陣並びにその近親者及び個人的な取引上の利害関係者（被支配事業体、ジョイント・ベンチャー及
び主要な経営陣が重要な影響力を有する事業体）
・すべての大臣及びその近親者
・被支配かつ州全体の連結財務諸表の連結対象となるすべての官公庁及び公共部門団体
主要な経営陣
ＴＣＶの主要な経営陣には、財務大臣ティム・パラス氏、ＴＣＶの理事（注25参照）及び以下の上級経営陣の構成員が含
まれる。
マーク・エンゲマン、副専務理事及び公社秘書役
マイク・ヴァン・デ・グラーフ、リスク及び業績管理部ジェネラル・マネージャー
ジャスティン・ロフティング、財務部ジェネラル・マネージャー
ジュディー・アトリー、人材及び企業文化部ジェネラル・マネージャー
ピーター・ワイアット、最高財務責任者
ウォーレン・マレー、情報技術部ジェネラル・マネージャー
下記の報酬は、財務大臣の給与及び手当を除いたものである。大臣に関する金額は、議会サービス省の財務諸表に計上さ
れる。
（単位：千ドル）
2020年度 2019年度
主要な経営陣の報酬
短期給付
3,228 3,170
退職後給付 181 177
その他長期給付 149 102
- -
退職手当
報酬総額 3,558 3,449
政府関連事業体との重要な取引
2019年12月、ＴＣＶは、ビクトリア州政府の権限において、女王のために及び女王を代理して行為するビクトリア州財務
大臣と、保証・補償証書を締結した。当該保証は、ＴＣＶによって提供される３つの変動利付分割償還型貸付及び４つの金
利スワップに係るアクアシュア・ファイナンス・ピー・ティー・ワイ・リミテッドの債務及び支払に関連してＴＣＶが被る
要求、請求、訴訟、法的措置、損害賠償、負債、損失、経費及び費用につき、無条件かつ取消不能の形でＴＣＶに対して補
償する。取引日において、当該貸付の額面価格は1.2十億ドル、当該スワップの想定元本は1.8十億ドルであった。当該保証
を行う対価として、ＤＴＦは当該貸付及び当該スワップから得られる利息の一部をＴＣＶから受領する。この対価に関し
て、ＴＣＶは、2019／20年度に1.4百万ドルをＤＴＦに支払い、当該貸付及び当該スワップが満期となる2038年までの残存期
間にわたって、さらに152百万ドルを支払う予定である。
2019年９月、ＴＣＶは、ビクトリア州政府の権限において、女王のために及び女王を代理して行為するビクトリア州財務
大臣と、保証・補償証書（以下「証書」という。）を締結した。証書の条項に基づき、財務大臣は、短期貸付金がＳＫＭイ
ンダストリーズ・ピー・ティー・ワイ・リミテッド（任命された管財人兼運用会社）によってＴＣＶに返済されることを無
条件かつ取消不能の形で保証し、当該短期貸付金に関連してＴＣＶが被る要求、請求、訴訟、法的措置、損害賠償、負債、
損失、経費及び費用につき、ＴＣＶに対して補償した。2020年５月、ＴＣＶは、ＴＣＶに対する第三者の債務を完全に履行
する保証に基づき、財務大臣から３百万ドルを受領した。当該保証の提供に関し、ＴＣＶから支払われた対価はなかった。
主要な経営陣及びその他関係者間の取引及び関係性
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下記の関係者を含めたすべての取引は、正常な取引条件のもと、主要な経営陣とは無関係に行われたものである。関係者
からの未収金の減損について必要な引当金はなく、また費用も認識されていない。
関係者と主要な 関係者に提供される
主要な経営陣 関係者 経営陣の関係 サービス
ヘレン・ソーントン、 ヤラ・ヴァレー水道公社（ＹＶ 取締役 貸付、預金及び
Ｗ）
副理事長 デリバティブ商品並びに
助言サービス
オースティン保健所 取締役 貸付商品
デイビット・マーティン、 金融財務省（ＤＴＦ） 秘書役 貸付及び預金商品並びに
理事 助言サービス
ビクトリア州ファンド管理公社 取締役 預金及びレポ商品
スー・オコナー ヤラ・ヴァレー水道公社（ＹＶ 理事長 貸付、預金及び
Ｗ）
理事 デリバティブ商品並びに
助言サービス
マーサー・スーパーアニュエー 取締役 ＭＳＡＬは、ＴＣＶの指定
ション（オーストラリア）リミ 基金であるマーサー・スー
テッド（ＭＳＡＬ） パーアニュエーション・ト
ラストの受託機関である。
28 ．後発事象
上記の事項以外で報告日以降、公社に重要又は重大な事実は発生していない。
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（６）【その他】
上記の注28に記載の事項を除き、2020年６月30日以降の該当事項なし。
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（７）【発行者の属する国等の概況】
ビクトリア州の概況
(1) 概 要
(a) 位置、面積、地形、人口及びその他の概要
ビクトリア州は、オーストラリア連邦の６つの州のうちの１つで、面積は227,500平方キロメートル（87,800平方
マイル）に及び、オーストラリアの総面積の約３％を占めている。ビクトリア州の面積のほとんどはオーストラリ
ア南東部の肥沃な海岸地帯で占められている。地形は北部は平坦で、中央山岳地帯が東西に延びており、沿岸平野
は南部で丘陵にさえぎられている。
2020 年３月末現在、ビクトリア州の推計居住人口は約6.7百万人で、これはオーストラリア全体の人口約 25.7 百万
(１)
人の26.1％であった 。オーストラリアの総面積に占める割合は比較的小さいが、ビクトリア州はニュー・サウ
ス・ウェールズ州に次いで２番目に人口の多い州である。州都であるメルボルンにはビクトリア州総人口の約４分
の３が集中しており、ビクトリア州における商品及びサービスの主要な市場となっている。メルボルンはオースト
ラリアにおける主要な工業、スポーツ及び文化の中心地であると共にオーストラリアにおける金融及び商業の２大
中心地の１つでもある。
ビクトリア州は、多様で成熟した経済を有しており、2019／20年度の国家財政の23.6％を占めている。
ビクトリア州は、憲法に基づく責任の範囲内でその機能につき自治権と管理権を有しているが、オーストラリア
連邦の一部をなし、その経済的成果と将来は、多くの重要な点においてオーストラリア全体と密接に関連してい
る。オーストラリア経済運営全体の主要な責任は、連邦政府にある。連邦政府は、金融政策、国家財政政策、為替
レート及び対外政策に関し責任を負っている。
(１) オーストラリア統計局－連邦、州及び準州における人口（2020年３月）
(b) 政 治
（ⅰ）概 要
オーストラリア連邦は、1901年１月１日、６つの英国植民地であったニュー・サウス・ウェールズ、ビクト
リア、クイーンズランド、南オーストラリア、西オーストラリア及びタスマニアが連邦国家として統一されて
成立した。それらの６植民地に加えて、オーストラリアには、北部特別地域及び首都キャンベラのあるオース
トラリア・キャピタル・テリトリーを含む10の特別地域がある。連邦議会は国防、外交、海外貿易、通商、通
貨及び金融等の国益に関する特定の事項につき立法権をもつ。また連邦議会は、関税及び物品税の排他的課税
権並びに諸州と同等のその他の徴税権限を有する。州議会は、憲法が明文でオーストラリア連邦の権限として
いる事項以外につき全般的な権限を有する。連邦議会と州の双方が権限をもつ分野においては連邦法が優先
し、連邦法に反する限度で州法は無効である。州の権限は、教育、公衆衛生、警察、司法、運輸交通、道路及
び鉄道、工業、農業、林業及び鉱業、公共事業、港湾、電力、ガス及び水道の供給並びに灌漑を含む。
（ⅱ）議会及び政党
ビクトリア州の政治機構は、上院と下院からなるイギリス議会制度を範としている。上院は、再審理の議会
としての権限の行使として、政府の特定及び一般委任統治を承認する。
議会の役割は立法であり、ビクトリア州の税金及び歳出に関する法令の制定は下院により提案されなければ
ならないが、それを除き法案の提出は上下両院のいずれの議員もできる。
かかる内容の法案が下院を通過した場合、他の法案と同様に上院で議論又は審議される。ただし、年度歳出
予算案、税金又は歳出予算に関する特定の条項に従い、上院は法案を否決することができるが、修正すること
はできない（ただし、かかる法案に対して、上院は意見を述べることが可能であり、かかる意見を下院は承認
することもできる。）。
年度歳出予算案とは、特定の年度のみについて政府の通常年度事業の連結基金の年度歳出予算のみを扱う法
案であり、議会の又は議会に関連する予算額の法案を含まない。通常年度事業には以下のものが含まれる。
－公共事業、土地又は建物の建設又は取得
－通常は資本支出を含むことの多い工場又は設備の建設又は取得
－政府から正式に提供されていないサービス事業
年度歳出予算案が下院を通過して１ヶ月以内に、上院が
－同意しない若しくは否決した場合
－下院に戻された場合で、上院が提案する修正案に下院が同意しない場合
当該予算案は国王の裁可を受け、上院が当該予算案を否決したにもかかわらず議会制定予算として成立す
る。
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下院で可決した後２ヶ月以内（及び会期終了の２ヶ月前まで）に上院を通過しなかった年度歳出予算案以外
の法案については、両院参加による意見解決手続に乗せられる。かかる手続によって両院の意見対立が解決に
至 らない場合、かかる法案は「膠着法案」とされる。
上記の状況の解決方法は２通りある。州首相は、州総督に対し両院を解散させ、解散総選挙を行うことを助
言することができ、また州首相は、「膠着法案」を次回の選挙まで持ち越すことができる。
選挙後、かかる法案は下院に再び提案される。下院を通過した場合、上院に提案され、可決された場合は法
律となる。選挙後、かかる法案が下院を通過後、上院で否決された場合には、当該法案について審議するため
の合同協議会が招集される。法案が成立するためには、当該法案は両院の議員の総人数の過半数により可決さ
れなければならない。
ビクトリア州議会は、オーストラリア労働党、自由党、オーストラリア緑の党、オーストラリア（ビクトリ
ア）国民党の４つの主要な政党で構成されている。2018年11月24日に実施された総選挙の結果、ビクトリア州
労働党が政権に復帰した。ビクトリア州労働党代表のダニエル・アンドリュース氏が首相である。ビクトリア
州自由党・国民党連合が野党を形成している。
ビクトリア州議会の党派別議席数の状況は次のとおりである。
下院
オーストラリア労働党 55
自由党 21
オーストラリア（ビクトリア）国民党 6
オーストラリア緑の党 3
3
無所属
88
上院
自由党 10
オーストラリア（ビクトリア）国民党 1
オーストラリア労働党 17
オーストラリア緑の党 1
11
その他
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（ⅲ）行政府
ビクトリア州憲法に基づき、最高行政権は女王にあり、州総督が女王の任命された代理人としてそれを行使
する。州総督は議会を招集かつ開会（解散せずに停会）し、各議会の始めに政府の立法方針の概略を開会式の
演説で述べる。また、州総督は議会を通過した法案に対して女王の名において同意する。
州総督は下院を解散することができるが、最短４年の任期満了前の解散権の行使は、下院が政府の不信任決
議を行った場合に限られる。
また、下院を通過した法案が上院で否決された場合で、議会による意見対立解決手続で満足な解決に至らな
い場合、州首相が州総督に対し議会を解散させ、解散総選挙を行うよう助言することができる。
州総督は慣例によって、内閣の助言に基づいて行動し、内閣の長を首相（Ｐｒｅｍｉｅｒ）という。閣僚
は、州議会の上院又は下院いずれかの議員であり、一般に下院における多数党又は連立多数党の党員である。
そのような閣僚が政府を組織するため、行政権は州首相と他の州大臣により事実上行使される。いかなるとき
も、閣僚は上院議員６名以下、下院議員17名以下でなければならない。
（ⅳ）司 法
オーストラリアの司法権はオーストラリア高等裁判所、他の連邦裁判所並びに州及び特別地域裁判所に帰属
する。ビクトリア州の司法機構は主に行政裁判所、郡裁判所及び上級裁判所からなる。ビクトリア州の判事は
女王の代理としての州総督が内閣の助言に基づいて任命する。上訴はビクトリア上級裁判所からオーストラリ
ア高等裁判所になされる。高等裁判所は最高位に位置する裁判所であり、オーストラリア連邦総督が州政府に
諮問の後任命する高等裁判所長官及び６名の他の判事によって構成される。
(2) 経済状況
（ⅰ） 概 況
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オーストラリア
新型コロナウイルス感染症の流行は、オーストラリア経済に重大な影響を与え、28年間続いたオーストラリ
アの絶え間ない経済成長を終わらせた。国際通貨基金（以下「ＩＭＦ」という。）が予想する世界的な景気回
復と同様に、オーストラリアの経済回復は緩やかであると見込まれている。
経済活動は、2020年６月30日に終了する四半期に（諸外国より少ないものの）大幅に縮小し、その後、かか
る落ち込みは一部回復した。オーストラリアの国内総生産（以下「ＧＤＰ」という。）は、６月30日に終了す
る四半期に7.0％下落したものの、９月30日に終了する四半期に3.3％上昇した。
年間ベースでは、2019／20年度に実質ＧＤＰが年0.3％減少し、1990／91年度以来、初めての減少となった。
かかる減少は、消費支出に起因している。
オーストラリア政府は、2020／21年度に経済が1.50％縮小すると予想している。公的需要を除くＧＤＰの主
要な構成要素がすべて減少すると見込まれている。企業投資及び住宅投資の落ち込みがＧＤＰの減少の最大の
要因であると見込まれる一方で、消費支出は２年連続で減少すると予想されている。
経済活動は、公衆衛生上の制限が緩和され、新型コロナウイルス感染症及び経済の見通しの不透明感が和ら
ぎ、世界経済が改善し、雇用が回復するにつれ、2021年にかけて段階的に改善すると見込まれている。ＧＤＰ
は2021／22年度に4.75％成長すると予測されている。
雇用は、2020年度に前年比4.3％減少した後、2021年６月30日に終了する四半期に前年比2.75％増加すると予
想されている。ただし、失業率の上昇は数年間続くと見込まれている。2020年後半に約8.0％でピークを迎え、
2021年６月30日に終了する四半期までに7.25％まで落ち着くと見込まれている。賃金及び価格の上昇圧力は予
測期間において引き続き抑制されると予想されている。
ビクトリア州
新型コロナウイルス感染症の流行に突入し、ビクトリア州の経済は、堅調に推移し、雇用は大幅に増加し、
州全体で失業率は低く、投資も高水準を維持した。
ビクトリア州の経済は、５年連続でトレンドを上回る経済成長を続け、27年連続で好調な経済成長を続けた
後、2019／20年度に縮小した。実質州内総生産（以下「ＧＳＰ」という。）は2019／20年度に0.5％減少し、
オーストラリア連邦全体の減少率である0.2％をわずかに下回った。
ビクトリア州のＧＳＰは、2020／21年度に4.0％減少すると見込まれているが、国内の公衆衛生上の制約の大
半が緩和され、消費意欲が改善したことを受けて、2021年初頭から回復が見込まれている。
今年半ば頃に新型コロナウイルス感染症の第２波を迎え、ビクトリア州の経済活動は回復途中にある。国内
の公衆衛生上の制約が大幅に緩和された現在、ビクトリア州の経済成長率及び雇用成長率は、特に2021／22年
度において力強い回復が見込まれている。これは、州政府及び連邦政府の強力な財政政策の対応と共に、継続
的な低キャッシュ・レートと2020年11月に公表された量的緩和プログラムによるオーストラリア準備銀行（以
下「ＲＢＡ」という。）の歴史的低金利の維持へのコミットメントに助けられている。中長期的な見通しは、
概して移住者の純流入数が多く、教育水準の高い労働力及び企業優遇の制度的環境があるといったビクトリア
州の健全なファンダメンタルズによって依然として支えられている。
家計消費は、2020年９月30日に終了する四半期及び同年12月31日に終了する四半期における公衆衛生上の制
約及び継続する消費の警戒感の影響で、2020／21年度前半は低迷が続くと見込まれている。制約がさらに緩和
され、労働市場が改善するにつれ、2021年にかけて消費は回復すると予想されている。
住宅投資は、2020／21年度のＧＳＰの成長を阻害すると予想されている。住宅投資は、新型コロナウイルス
感染症に対応して公衆衛生上の制約が導入される前の歴史的な高水準から転じ、2019／20年度には軟化した。
短期的に人口増加率が大幅に低下することも、住宅需要を圧迫する。住宅価格の回復と人口増加に伴い、住宅
投資が2022／23年度からの成長に寄与するものと予想されている。
2020／21年度の企業投資の見通しは弱い。複数の調査によると、新型コロナウイルス感染症の流行が始まっ
て以来、経済見通しや金融面での圧力に対する不透明感が高まるにつれ、企業は設備投資計画を縮小させてい
る。
公的需要は、2020／21年度の経済活動を支える主要な原動力になると予想されている。近年、ビクトリア州
の急増する人口を支える行政サービス及びインフラへの支出が増加し、公的需要は急激に増加した。2020／21
年度には、新型コロナウイルス感染症の流行に対応してビクトリア州及びオーストラリア政府の両方の支出が
さらに増加するのに伴い、公共消費はさらに増加すると見込まれている。ビクトリア州政府の輸送インフラ計
画のパイプライン並びに学校及び公営住宅への投資によって、公共投資は引き続き高水準を維持する。
サービス貿易は、オーストラリアの国境閉鎖によって大きな影響を受けており、輸入（海外旅行）及び輸出
（国際教育及び観光）の両方が大幅に減少している。財とサービスの輸出入は、2020／21年度に減少すると予
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測されている。国境の閉鎖によって、留学生の入学が制限される一方で、インバウンドとアウトバウンドの国
際観光は低水準にとどまる。
ビクトリア州の雇用は、2020／21年度には3.25％減少し、2021／22年度には3.50％まで堅調に回復すると予
測されている。失業率は、2020／21年度には平均7.75％となり、その後数年にわたって低下すると予測されて
いる。
賃金成長の回復ペースは、労働市場の継続的な余剰能力及び継続的な低インフレ率によって、低調のままと
なる見通しである。
見通しに対するリスク
ビクトリア州の経済見通しに対するリスクは、主に新型コロナウイルス感染症の蔓延とそれに関連する政策
対応に関連しており、国内及び世界的な規模に及んでいる。
プラス面では、新型コロナウイルス感染症のワクチン又は治療法が早期かつ広範囲に普及すれば、国境を含
む公衆衛生上の制約が予想以上に早く緩和される可能性がある。また、既に公表されているものを超える国際
的又は国内の経済政策支援措置によって、さらに力強い景気回復がもたらされる可能性もある。
マイナス面では、新型コロナウイルス感染症の再燃又は世界的な貿易摩擦の更なる激化により、世界経済の
成長が予想よりも緩やかであった場合、ビクトリア州に悪影響が及ぶ可能性がある。投資家が経済の見通しや
リスクを再評価することなどによって引き起こされる、金融市場の動揺が再燃すると、信頼感や消費に大きな
悪影響が及ぶ可能性がある。
ビクトリア州の主要経済指標
６月30日に終了した年度 2018年度 2019年度 2020年度
ビクトリア州
名目上のＧＳＰ（百万豪ドル） 440,247 461,248 467,876
(a)
実質ＧＳＰ成長率
3.4 3.1 –0.5
全国
名目上のＧＤＰ（百万豪ドル） 1,848,560 1,952,680 1,985,438
(a)
実質ＧＤＰ成長率
2.9 2.2 –0.2
人口
(b)
6,689.4
ビクトリア州（千人） 6,462.0 6,596.5
(a) (b)
成長率 1.8
2.2 2.1
(b)
25,650.0
全国（千人） 24,982.7 25,364.1
(a) (b)
成長率 1.4
1.5 1.5
(c)
失業率 （％）
ビクトリア州 5.6 4.6 5.4
全国 5.5 5.1 5.6
(c)
ＣＰＩ （％）
メルボルン 2.3 1.7 1.7
全国 1.9 1.6 1.3
１豪ドル当たり米ドルの
為替レート 0.77 0.72 0.67
(a) 年間変動率（％）
(b) 2020年３月31日に終了した四半期末時点
(c) 年間平均
出所：オーストラリア統計局、オーストラリア準備銀行
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（ⅱ）対外貿易
2019 ／20年度の後半の国際貿易は、感染症の流行により阻害された。 2019 ／ 20 年度におけるビクトリア州の
商品輸出量は、１年間でわずか0.8％増加し、28.4十億豪ドル（時価）であった。 2019 ／ 20 年度におけるビクト
リア州の商品の主要な輸出先（金額ベース）は、中国（ 22.5 ％）、アメリカ合衆国（17.2％）、ニュージーラ
ンド（8.1％）、日本（7.4％）及びシンガポール（4.4％）であった。
ビクトリア州は、食品及び繊維製品において国内最大の供給者かつ輸出者である。 2019 ／ 20 年度におけるビ
クトリア州の商品輸出の主要品目は、食品及び家畜（11.1十億豪ドル）、化学製品及び関連製品（5.1十億豪ド
ル）、機械及び輸送用機器（3.2十億豪ドル）並びに原料（2.9十億豪ドル）であった。
下表はビクトリア州の 過去３年間 における商品グループ別輸出名目値を示す。
ビクトリア州からの商品別対外輸出
（単位：百万豪ドル）（時価）
６月30日に終了した年度 2018 年度 2019 年度 2020 年度
食品及び食用家畜 9,818 10,206 11 , 096
飲料及びタバコ 395 446 428
非食用原料（燃料を除く。） 3,924 3,625 2 , 939
鉱物性燃料、潤滑油及び関連製品 1,010 1,031 721
動植物油脂 141 122 147
化学製品及び関連製品 3,170 4 , 315 5 , 117
原材料別工業製品 2,128 2 , 464 2 , 256
機械及び輸送用機器 3,286 3,179 3 , 151
その他工業製品 994 1,076 1 , 089
商品及び商品取引
1,956 1 , 684 1 , 439
（他に未分類のもの）
26,823 28 , 148 28 , 384
総 輸 出
出所：外務貿易省
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ビクトリア州は、2019／20年度において、１年間で3.6％減少し、81.9十億豪ドル（時価）相当の物品を輸入
した。
下表はビクトリア州の 過去３年間 における商品グループ別輸入名目値を示す。
ビクトリア州の商品別海外輸入
（単位：百万豪ドル）（時価）
６月30日に終了した年度 2018 年度 2019 年度 2020 年度
食品及び食用家畜 5,687 6,185 6,582
飲料及びタバコ 1,126 1,293 1,260
非食用原料（燃料を除く。） 1,001 1,051 964
鉱物性燃料、潤滑油及び関連製品 6,866 8,107 6,220
動植物油脂 329 329 369
化学製品及び関連製品 6,970 7,626 8,586
原材料別工業製品 9,188 9,912 9,553
機械及び輸送用機器 31,144 32,026 28,143
その他工業製品 13,836 15,034 14,560
商品及び商品取引
（他に未分類のもの） 2,477 3,445 5,713
総 輸 入 78,624 85,009 81,950
出所：外務貿易省
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（ⅲ）投 資
2019 ／ 20 年度におけるビクトリア州の民間投資は、 （時価で） 1.4 ％減少したが、 2018 ／ 19 年度までの３年間
にわたり、ビクトリア州の民間投資は6.7％増加した。より幅広い経済回復に沿って、2021年度上半期から投資
の緩やかな回復が見込まれている。
ビクトリア州の民間総固定資本形成
（別段の指示があるものを除き十億豪ドル単位、時価）
年間平均成長率
2016／17年度から 年間成長率
６月30日に終了した年度 2018 年度 2019年度 2020年度 2018 ／ 19 年度まで（％） 2019／20年度（％）
新規機械及び機器 18.0 19.4 17.5
6.6 –9.5
全国比（％） 23.3 23.6 21.8
新規非住居建築 22.2 25.0 25.8
15.1 3.5
全国比（％） 20.4 24.0 24.7
住居建築 31.5 33.5 32.6
5.4 –2.7
全国比（％） 28.9 30.3 32.0
合計 89.5 94.2 92.9
6.7 –1.4
全国比（％） 25.1 26.7 27.0
出所：オーストラリア統計局
注：「合計」の行の値は、民間総固定資本形成であり、その他の要素を含むため、構成要素の和とは一致しない。
（ⅳ）労働情勢
オーストラリア統計局によると、 2020 年10月までの３ヶ月間時点でビクトリア州 内の 15才以上の居住者は
5,485,500人である。当該３ヶ月間において、労働参加率は64.0％であり、 労働参加者の92.9 ％が雇用されてい
た。
ビクトリア州の労働人口
（季節調整済）
（別段の指示があるものを除き千人単位）
2019 年度までの
３年間の
2020年度
2020年10月までの
年間成長率 2020 年度
年間平均成長率
2018年度 201 9 年度 2020 年度 （％） 全国比（％）
３ヶ月間現在 （％）
ビクトリア州民人口
(a)
（15才以上）
5,301.9 5,416.1 5,485.5 2.3 1.3 26.3
ビクトリア州労働人口 3,474.7 3,594.2 3,508.2 2.7 –2.4 25.8
ビクトリア州雇用人口 3,315.0 3,422.1 3,259.4 3.0 –4.8 25.7
労働参加率（％）
ビクトリア州 65.5 66.4 64.0 - - -
全国 65.5 66.1 65.2 - - -
失業率（％）
ビクトリア州 4.6 4.8 7.1 - - -
全国 5.1 5.2 6.9 - - -
出所：オーストラリア統計局
(a) 原数値（季節調整を行っていない。）
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産業別雇用
20 20年８月までの１年間におけるビクトリア州の産業別雇用人口（入手可能な最新の情報）は下表のとおりで
ある。当該年度中、ビクトリア州の就労者の約43％は、健康管理・社会扶助、小売業、専門・科学・技術サービ
ス及び建設業産業に従事している。
オーストラリアの雇用におけるビクトリア州の割合は人口の割合と概ね一致している。しかし、オーストラリ
アの雇用におけるビクトリア州の割合は、製造業、芸術・娯楽サービス、金融・保険サービス、卸売業及び専
門・科学・技術サービスを含む複数の産業において人口における州民の割合を上回っている。
2020 年８月までの１年間において、健康管理及び教育・訓練産業が、雇用の増加に最も貢献した。
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ビクトリア州の産業別就業人口
（原数値―過去４四半期の平均）
就業人口 ビクトリア州の全就業人口 全国の産業就業人口
2020 年８月現在 （千人） に占める割合（％） に占める割合（％）
宿泊施設・飲食サービス 184.1 5.5 22.6
農林水産業 90.3 2.7 26.3
製造業 288.7 8.6 32.7
建設業 312.3 9.3 26.6
情報メディア・テレコミュニケーション 55.1 1.6 27.5
その他サービス 113.9 3.4 24.3
レンタル・賃貸借・不動産サービス 54.5 1.6 25.2
小売業 333.4 9.9 27.2
鉱業 8.0 0.2 3.3
芸術・娯楽サービス 63.4 1.9 29.2
金融・保険サービス 140.1 4.2 29.4
運輸・郵便・倉庫業 176.6 5.3 28.2
公益事業 42.7 1.3 28.0
健康管理・社会扶助サービス 477.1 14.2 27.0
卸売業 113.3 3.4 29.1
管理・サポートサービス 111.7 3.3 26.6
教育・訓練 292.0 8.7 27.0
行政・防衛 175.0 5.2 20.8
319.1 9.5 28.1
専門・科学・技術サービス
全 産 業 3,351.4 100.0 26.4
出所：オーストラリア統計局
（ⅴ）物 価
消費者物価の上昇は、緩やかなインフレへの期待によって鈍化し、世界的なインフレ圧力によって抑制され
ている。 2019 ／ 20 年度において、メルボルンのインフレ率は 1.7 ％であり、一方で、全国平均のインフレ率は
1.3％であった。
ビクトリア州の賃金の上昇は引き続き全国平均を上回っている。 2019 ／ 20 年度のビクトリア州の賃金は2.4％
増加し、全国の上昇率の2.1％を上回った。
下表は、 2017 ／ 1 8 年度から 2019 ／ 20 年度までのビクトリア州及び全国の賃金コスト指数（ＷＰＩ）とＣＰＩ
の推移を要約したものである。このＣＰＩは、首都を含むオーストラリアの各州及び特別地域の主要都市にお
いて計測されたものである。
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物価（年度平均成長率（％））
６月30日に終了した年度 2018 年度 2019 年度 2020 年度
ＣＰＩ
メルボルン 2.3 1.7 1.7
８主要都市 1.9 1.6 1.3
賃金価格指数（公共及び民間）
ビクトリア州 2.3 2.7 2.4
全国 2.1 2.3 2.1
出所：オーストラリア統計局
（ⅵ）産業構造並びに主要産業の現況及び見通し
概 況
ビクトリア州の経済は多様であり、製造業の伝統的な基盤から離れ変化している。金融・保険産業が、ビクト
リア州に最も大きな収入をもたらしているが、健康管理・社会扶助産業が、最も多くの従業員を雇用している。
新型コロナウイルス感染症による経済の悪化は、宿泊施設・飲食サービス及び芸術・娯楽サービスを含む、比
較的生産性の低いサービス部門に最も大きな影響を及ぼしている。金融、健康管理及び専門サービスを含む、よ
り生産性の高い部門は、著しくよりよい業績であった。
ビクトリア州の産業（ 2019 ／ 20 年度）
粗付加価値 ビクトリア州内
(a) (a)(b) (c)
(単位：百万豪ドル） 実質総生産（％） 年間成長率（％）
農林水産業
7,922 1.7 (6.4)
鉱業 5,457 1.2 2.8
製造業 33,130 7.1 (2.2)
電力・ガス・水道・ごみ処理施設 12,204 2.6 (4.9)
建設業 36,826 7.9 (3.1)
卸売業 20,441 4.4 (0.2)
小売業 21,895 4.7 (1.0)
宿泊施設・飲食サービス 8,431 1.8 (12.5)
運輸・郵便・倉庫業 21,548 4.6 (5.6)
情報メディア・テレコミュニケーション 12,713 2.7 0.5
金融・保険サービス 47,903 10.2 1.6
レンタル・賃貸借・不動産サービス 11,556 2.5 (4.1)
専門・科学・技術サービス 38,651 8.3 4.5
管理・サポートサービス 18,208 3.9 (2.5)
行政・防衛 23,173 5.0 5.7
教育・訓練 24,179 5.2 0.8
健康管理・社会扶助サービス 36,646 7.8 4.2
芸術・娯楽サービス 4,896 1.0 (6.1)
その他サービス 7,087 1.5 (7.8)
(a) 名目
(b) 産業グループの合計は100％にならない。ＧＳＰには、個人が所有する住居及び純間接税（間接税－補助金）が含まれる。
(c) 測定法
出所：オーストラリア統計局
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金融サービス
金融・保険サービスは、 2019 ／ 20 年度においてビクトリア州のＧＳＰの最大の割合（10.2％）を占め、 2020 年
８月に平均140,100人分の雇用を直接的に提供した。
メルボルンは、オーストラリアの商業の２大中心地の１つとして銀行、投資顧問、資産アドバイザー、ベン
チャー・キャピタル、証券、金融リサーチ及び格付け、ノンバンク、保険、継続投資及び副次的サービスを含む
広範な金融サービスを提供している。ビクトリア州にはオーストラリアの４大銀行のうちの２行（オーストラリ
ア・ニュージーランド銀行及びナショナル・オーストラリア銀行）の本店及びその他の大手銀行２行（メルボル
ン銀行及びベンディゴ・アンド・アデレード銀行）が置かれている。
専門・科学・技術サービス
専門・科学・技術サービスは、 2019 ／ 20 年度においてＧＳＰの8.3％を占めた。専門・科学・技術サービスの事
業は、情報技術、エンジニアリング、会計サービス、法的サービス及びコンサルティングサービスを含むその他
の経済に、広範なサービスを提供している。
当該部門は、顧客に助言及び指針、知識並びに専門的な技術的及び戦略的な支援を提供して、経済全体にわた
り生産性や革新を増進させている。当該部門によって、その他の事業が外部業者へ作業の一部を委託することで
費用を削減し経営効率を改善することができる。
建設業
建設業は、2019／20年度においてビクトリア州経済（ＧＳＰ）の7.9％を占め、2020年８月に312,300人が雇用
された。
住宅建設は、人口変動（人口の増加を含む。）、金利及び進行中の工事計画の複合要因に影響される。2020年
度においては、感染症の流行により、人口の増加に影響を与え、建設業の活動を圧迫している。住宅建設竣工額
は 2018 ／ 19 年度から2.0％減少し、 2019 ／ 20 年度には 25.6 十億豪ドルとなった。
住宅以外の建設は非住居建築（オフィス、倉庫、小売店及び産業用等）並びに技術建築（道路、橋、パイプラ
イン及び発電設備等）を含む。非住居建築竣工額は、 2018 ／ 19 年度から7.7％増加し、 2019 ／ 20 年度には14.8十億
豪ドルとなり、一方で、技術建築は合計18.7十億豪ドルであった。
製造業
ビクトリア州は、オーストラリアの製造業の中心である。 2019 ／ 20 年度において、製造業部門はビクトリア州
のＧＳＰの 7.1 ％を占め、国家の製造業の粗付加価値の約29.2％を占めた。
ビクトリア州の製造業産業には 2020 年８月までの１年間に 288,700 人が雇用されており、オーストラリア全国の
製造業における総雇用数のうち 32.7 ％を占めている。
農 業
2019 ／ 20 年度のビクトリア州の農業部門は州内のＧＳＰの約 1.7 ％を占め、オーストラリアの農業部門の粗付加
価値の21.0％にあたる。ビクトリア州の土地面積は他州と比べ狭いが、作物及び放牧に適した可耕地があり、最
も温暖な気候に恵まれている。
ビクトリア州の農業産業は多様である。最も重要な農産物を生産額で見れば、乳製品、肉、羊毛、果物・ナッ
ツ類及び小麦である。オーストラリアの酪農業は、ビクトリア州に集中しており、幅広く多様な範囲の輸出市場
向け商品を生産している。
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(3) 財 政
(a) 財政制度及び租税制度の概要
概 要
財 政
オーストラリア連邦はオーストラリアにおける主要徴税機関であり、 2018 ／ 19 年度に全税収の 81.4 ％を徴収
した。一方で、州政府は全税収の 15.2 ％、地方公共団体は約 3.4 ％をそれぞれ徴収した。
オーストラリア連邦は唯一の所得税徴収機関となっている。憲法に基づき州は所得税を徴収する権利を保持
しているが、今日までどの州もこの権利を行使していない。所得税は連邦税収の主要税収源であり、個人所得
税は 2019 ／ 20 年度において全税収の51.4％を、企業所得税は 19.6 ％を占めている。オーストラリア連邦は物品
税（ 2019 ／ 20 年度租税収入の 10.0 ％）を課する憲法上の独占的権限を有する。1985年９月20日以前に購入又は
取得された資産に関しては一般的なキャピタル・ゲイン課税は無いが、特定の条件におけるかかる所有物の売
却による利益は収入として課税対象となる。1985年９月20日以降に購入又は取得された資産は（いくつかの例
外もあるが）、連邦政府によりキャピタル・ゲイン課税を受ける。連邦富裕税、相続税及び贈与税の制度は設
けられていないが、州は土地税を課し、地方公共団体は不動産の評価額に基づき税率を定める。
オーストラリア連邦はまた、オーストラリアにおける物品サービスの販売のほとんどに物品・サービス税
（以下「ＧＳＴ」という。）を課税している。連邦政府財政関係改革に関する政府内協定（以下「ＩＧＡ」と
いう。）は、1999年６月にオーストラリア連邦及び州／特別地域（以下「州」という。）の間で締結され、か
かる協定に基づき、州はオーストラリア連邦により課されたＧＳＴによる総収入を受け取る。ＧＳＴの収入
は、横断的な財政平等化方針に基づいて、連邦助成金委員会により定められた基準で各州の間で分配される。
2019 ／ 20 年度において州及び特別地域政府が徴収し、納付されたＧＳＴは 60.2 十億豪ドルとなり、これは州の
収入の大部分を占めている。 2019 ／ 20 年度において、ビクトリア州のＧＳＴは総収入の約 22.6 ％を占め、合計
15.4 十億豪ドルとなった。
2005年７月１日をもってすべての州において借方税が廃止されたことを含め、ＩＧＡに規定のとおり、州税
の多くがＧＳＴの導入に伴い段階的に廃止されてきた。ビクトリア州が2007年１月１日をもってレンタル事業
税を廃止した。
一般的歳入基金に加え、オーストラリア連邦は各州に対して教育、健康福祉サービス、住宅、道路、都市部
の公共輸送機関そして開発事業・計画等の特定の目的についても補助を行う。連邦政府の確定予算書による
と、各州及び各特別地域に対する特定目的支出の合計は、 2019 ／ 20 年度においては 63.8 十億豪ドルであった。
ビクトリア州に対する連邦特定目的支出の合計は、 2019 ／ 20 年度において、 15.3 十億豪ドルとなった。
(b) 政府財政
（ⅰ）構造及び政策
ビクトリア州政府予算部門の財務情報については、国際財務報告基準と同等のオーストラリア財務報告基準
（以下「Ａ－ＩＦＲＳ」という。）に従い、発生主義により表示されている。政府予算部門は、一般政府（予
算部門）並びに州営非金融会社及び州営金融会社を含む予算外部門から構成されている。一般政府部門のため
の金融情報は、1994年財政管理法の規定に従って準備される。
一般政府部門は、統合基金及び信託基金（両者併せて公共会計を構成する。）、統合基金からの資金割当に
より運営される政府組織並びに当初税金で運営されるため中央の予算統制を受ける公共会計外公共機関からな
る。予算外部門には、水道（公共非金融会社）及び金融仲介機関（公共金融会社）の供給に携わる主な公営当
局のように商品及びサービスの販売により利益を得る公共機関が含まれる。
州政府の公的資金の受取及び支出に関する会計実務や財務管理は、1975年憲法、1994年会計監査法及び1994
年財政管理法に規定されている。
ビクトリア州監査局長は行政府の支配から独立しているが、議会に対して報告を行い、議会のために職務を
行う。また、州政府及び政府の管理下にあるすべての組織の会計監査を行い、その結果を州議会に報告する義
務を負う。
（ⅱ）公共会計
1994年財政管理法は、統合基金及び信託基金の両基金からなる公共会計の確立を要求している。
すべての歳入及び州議会が歳出承認権限をもつ資金は、ビクトリア州政府の統合基金に属する。州議会のみ
が州税徴収権をもち、統合基金からの歳出決定権をもつ。議会歳出は次の２つのうち、いずれかの形をとる。
－支出への引当（物品・サービス）、各部門の純資産ベースの追加出資及び州に代わった支払に対する発生
主義に基づいた年次歳出金又は
－固定歳出金若しくは特別歳出金
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固定歳出金又は特別歳出金は、裁判官の報酬、州の負債の返済及び州の保証に関する支出（必要があれば）
を含む州政府の特定目的に必要な継続費用に充当される。これらの歳出権限は、通常、憲法又はその他の特別
法に規定されている。
信託基金は、連邦政府からの特定目的支出の受取の記録、資金の受託及び会計目的上の仮勘定の特定目的の
ための別個勘定を含む。
（ⅲ）ＴＣＶ
ＴＣＶはビクトリア州の中央借入機関として1993年に設立された。その主な機能は、オーストラリア内外で
借入を行い、その手取金をビクトリア州又はビクトリア州の様々な公共機関に貸付けることである。ＴＣＶの
設立当初から、ビクトリア州の主要な公共機関はＴＣＶを通じて借入を行うよう要求されてきた。ＴＣＶはま
た他の金融サービスを提供し、金融リスク管理の目的で金融上の取決めを締結している。
（ⅳ）予算及び歳入・歳出
予 算
州政府の年間予算は、州税、ライセンス・フィー及びロイヤルティー、連邦政府からの一般目的又は特定目的
の交付金、ＴＣＶからの短期又は一時借入、州政府サービスの手数料及び賦課金並びに債権回収を含む多数の資
金源より供給される。
各部門には年次歳出金が提供され、現金及び非現金費用並びに資本支出の連結資本から資金を引き出す権限が
議会から付与された。年次歳出金は、次の３つの目的のために提供される。
・支出への引当（物品・サービスの提供）
・純資産ベースへの振替（資本目的）
・ビクトリア州のためになされる支払
各部門はまた、特定目的の歳出金及びオーストラリア連邦の資金調達を介した歳出金（固定歳出金又は特別歳
出金）を受領する。これは、私立学校及び地方公共団体のような他機関に対する交付金として一時的にオースト
ラリア連邦から直接受領する交付金を含む。
予算計画
新型コロナウイルス感染症の流行は、世界大恐慌以来、最大の世界的な景気後退を引き起こし、オーストラリ
ア及びビクトリア州の経済に深刻な影響を及ぼしている。
新型コロナウイルス感染症の流行後、政府は、ヘルス・レスポンスの提供、事業及び家計への支援並びに職の
保護等、ビクトリア州民をサポートしている。2020／21年度の予算は、かかる支援を基盤としており、経済復興
のための新たな投資がなされる。
政府は、堅固な財政制度に引き続き貢献しているが、短期的には、ＲＢＡの総裁が国家内閣に最近提示した助
言と一貫して、雇用、事業及び消費意欲並びに家計への支援のために貸借対照表を利用することを優先してい
る。政府の中期計画には次の４ステップが含まれる。
・ステップ１：雇用の創出、失業率の低下及び経済成長の回復
・ステップ２：営業にかかるキャッシュの黒字回復
・ステップ３：営業の黒字回復
・ステップ４：債務水準の安定化
新型コロナウイルス感染症の前例のない特質を考慮すると、当該計画は適正である。かかる取組みにより、短
期的にはビクトリア州の財政状態にコストが発生することとなるが、長期的にはより早期の、より強力な経済回
復に寄与すると見込まれている。
2020 ／21 年度の予算は、下表記載のとおり、政府の長期的な財務管理目標を反映している。これらは、現在の
経済状況及び政府が安定的で長期的な財務管理を支援する業務に重点を置いていることを反映するために更新さ
れている。
長期的な財務管理目標
優先事項 目標
安定的な財務管理 ビクトリア州の財政は、安定的な財務管理に相反しない水準で、
サービス及びインフラを賄い、景気回復局面において家計及び企業
を支援するため、堅実な方法で管理される。
公共事業の改善 公共事業は徐々に改善する。
インフラの整備 公共インフラは、人口の増加に伴う需要に応じるため、年々着実に
成長する。
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公共資金の有効利用 公共部門の資金は、経済的利益、社会的利益及び環境的利益を最大
化するため、サービス及びインフラに投資される。
強靭な経済 ビクトリア州の雇用の増加、長期的な経済成長及び生産性をもたら
す革新的で多様な経済を支援することにより、経済の強靭性を高め
る。
出所：財務省 2020／21年度予算報告書第２号（計画及び見通し第１章表1.2）
これらの長期的な財務管理目標に向けての進展は、下表中の政策及び目標によって支えられている。これらの
政策及び目標も、現在の経済及び財政の状況をより反映するために更新されている。
2020／21年度予算における財務政策及び目標
財政政策 目標
ＧＳＰに対する純負債の割合 中期的に安定するためのＧＳＰに対する一般政府部門の純負債の割
合
収益に対する支払利息の割合 中期的に安定するための収益に対する一般政府部門の支払利息の割
合
退職年金債務 2035年までの未積立退職年金債務の完全な支払
現金剰余金 経済が新型コロナウイルス感染症の流行から回復した後に一般政府
部門の純負債が持続可能な水準を維持していることに相反しない現
金剰余金
出所：財務省 2020／21年度予算報告書第２号（計画及び見通し第１章表1.3）
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(c) 一般政府部門の業績
2019／20年度予算執行結果
下表は、2019／20年度において、2019／20年度修正見積りが0.6十億ドルの剰余であったのに対して、6.5十億
ドルの赤字となったことを示している。
経常収支計算書の要約
（単位：百万ドル）
2020年度 2020年度 予算との 2019年度
（実績） (修正予算) 差額 ％変化 （実績）
収益
租税収入 23,167 24,382 (1,215) (5) 23,585
利息収入 619 712 (93) (13) 817
配当金、所得税及び利率同等収益 810 825 (15) (2) 1,030
物品・サービスの販売 7,902 8,118 (216) (3) 7,680
交付金収入 32,789 33,889 (1,099) (3) 33,303
2,662 3,025 (364) (12) 3,184
その他の収益
取引収益合計 67,948 70,951 (3,002) (4) 69,600
取引費用
従業員費用 27,214 26,089 1,125 4 25,406
退職年金の利息費用純額 407 407 - - 688
その他退職年金 3,073 2,965 108 4 2,797
減価償却費 3,894 3,717 177 5 3,056
支払利息 2,328 2,556 (228) (9) 2,321
交付金費用 15,331 13,015 2,316 18 13,355
22,241 21,584 656 3 21,006
その他の営業費用
取引費用合計 74,487 70,333 4,155 6 68,629
取引の正味残額（正味経常収支） (6,539) 618 (7,157) n.a. 971
その他の経済的フロー合計（正味残額の内数） (1,360) (339) (1,021) 302 (742)
正味残額 (7,899) 279 (8,178) n.a. 229
(a) 2018／19年度の比較数値は、ＡＡＳＢ第1059号「サービス譲与契約」の採用を反映するために修正されている。
(b) 2018／19年度の比較数値は、司法省及び生活安全の管理項目内の前期の誤りを訂正するために修正されている。
出所：財務省 2019／20年度会計報告書（第２章表2.2）
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収 益
当年度の取引の総収益は67.9十億ドルとなり、修正見積りを3.0十億ドル下回っていた。これは、前年度の実績
を1.7十億ドル（2.4％）下回った。
上表は、ビクトリア州の租税収入が修正見積りに対し1.2十億ドル減少したことを示している。これは主とし
て、787百万ドルの給与税（新型コロナウイルス感染症への経済サバイバル・パッケージ対応の一環として政府が
提供した給与税の還付及び権利放棄の673百万ドルを含む。）、並びに新型コロナウイルス感染症に対する政府の
公衆衛生対応の一環としての当会計年度の過去数ヶ月間におけるクラウン・カジノ、複数のホテル及びクラブの
一時閉鎖に起因する賭博税の減少によるものであった。
2018／19年度に比べて租税収入が418百万ドル減少したことは、修正予算との差額と同様の理由に起因するもの
であり、新型コロナウイルス感染症発生前のビクトリア州の住宅価格の改善に起因する2019／20年度における土
地譲渡税の増加により一部相殺された。不動産譲渡に関連する時間差のため、新型コロナウイルス感染症による
土地譲渡税の徴収への影響の大半は2020／21年度以降発生する。
配当金、所得税及び利率同等収益は810百万ドルとなり、前年度と比較して220百万ドル減少した。かかる減少
は、主に公共金融会社部門から受け取った配当金収益の減額に起因し、水道公社からの配当金の増額により一部
相殺された。
2019／20年度における配当金、所得税及び利率同等収益は、修正見積りを15百万ドル下回った。
物品・サービスの販売による収入は7.9十億ドルとなり、2018／19年度を222百万ドル上回った。これは、主と
してＶｉｃＴｒａｃｋの資産の規模の増大により受け取った資本的資産賦課金の増加によるものであった。
2019／20年度における物品・サービスの販売による収入は、修正予算を216百万ドル下回った。かかる減少は、
主として、新型コロナウイルス感染症対応の間の予定手術の制限のために病院及び患者の料金が低下したこと、
並びに交通量が減少したことで2019／20年度下半期に科された交通違反の罰金が減少したために規制料金が低下
したことによるものであった。
交付金収入は32.8十億ドルとなり、2018／19年度を514百万ドル下回った。かかる減少は、主として、主に新型
コロナウイルス感染症に起因するオーストラリア経済の弱体化による1.4十億ドルのＧＳＴ収入の減少によるもの
であった。かかる減少は、新型コロナウイルス感染症対応の一環としての病院への交付金及びオーストラリア連
邦の非政府系の学校への交付金（非政府系の学校への支払額の一部の2020／21年度から2019／20年度への繰上げ
を含む。）の増加により一部相殺された。
交付金収入は、修正予算見積りを1.1十億ドル下回った。これは主として、オーストラリア連邦からのＧＳＴ収
入の減少を反映している。かかる減少は、新型コロナウイルス感染症の公衆衛生対応の一環としてオーストラリ
ア連邦から受けた追加交付金により一部相殺された。
2019／20年度におけるその他の収益は、2018／19年度の実績を522百万ドル下回った。かかる減少は一部、
2018／19年度のビクトリア州再生可能エネルギー入札制度の基礎となる支援契約の公正価値が当初認識されたこ
とによるものであった。
その他の収益も、2019／20年度の修正予算を364百万ドル下回った。これは一部、新型コロナウイルス感染症に
よる制約のための交通量の減少に起因する罰金収入が減少したことによるものであった。
費 用
2019／20年度の一般政府部門の費用合計額は、前年度と比較して5.9十億ドル（8.5％）増加して、74.5十億ド
ルとなった。費用合計額は、2019／20年度予算改訂に記載された修正見積りを4.2十億ドル上回った。費用合計額
の増加は主として、政府により実施された新型コロナウイルス感染症に対応する支援策の影響を反映している。
これには、雇用及び事業を支援し、最前線の医療現場に対応し、ビクトリア州の教育及び交通部門への影響につ
いて検討し、かつ追加の社会的支援を提供するための施策が含まれる。
2019／20年度における27.2十億ドルの従業員手当は、修正予算を1.1十億ドル（4.3％）上回っており、2018／
19年度を1.8十億ドル（7.1％）上回っていた。前年度と比較して、この増加は、新型コロナウイルス感染症対応
のための医療部門への追加財源、素早い対応及び活動抑制に必要な追加財源並びに生活安全声明の実施に伴う警
察の増員に起因する可能性がある。従業員手当の増加は、教員、警察及び公共医療部門の契約を含む労働協約に
おける給与水準の引き上げも反映している。
その他の退職年金関連の支出は、2019／20年度において3.1十億ドルとなり、修正予算を108百万ドル上回って
おり、2018／19年度を276百万ドル上回っていた。これは主として、雇用者による確定拠出制度への拠出の増加に
よるものであった。
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減価償却費は前年度から838百万ドル増加し、2019／20年度は3.9十億ドルとなった。この増加は主として、
2019年７月１日以降の新しい会計基準であるＡＡＳＢ第16号「リース」の実施及び前年度の再評価に伴う資産の
時価の増加による医療部門の追加の償却によるものである。
2019／20年度のその他の営業費用は22.2十億ドルで、 修正予算を 656 百万ドル上回っており、前 年度を1.2十億
ドル上回っていた。2018／19年度以降の増加には、新型コロナウイルス感染症に対応する医療部門での追加の物
資及びサービスの購入費用及び素早い対応と活動抑制に必要な追加財源が含まれる。
15.3十億ドルの交付金の支出は、修正予算を2.3十億ドル上回っており、2018／19年度を2.0十億ドル上回って
いた。この増加の主因は、政府の新型コロナウイルス感染症対応の一策として、事業支援ファンド、ワーキン
グ・フォー・ビクトリア・ファンド及びエクスペリエンス・エコノミー・パッケージからの支払によるもので
あった。
その他の経済的フロー（正味残額の内数）
正味残額は、当期において確認された評価損益を含むその他の経済的フローが要因となり、取引の正味残額と
は異なるものである。
取引の正味残額は、その財政計画を目的とした、政府の純剰余の基準となっている。
2019／20年度の正味残額に含まれるその他の経済的フローは、1.4十億ドルの純損失となった。これは主とし
て、当該年度中の交通部門の資産の再評価によるものである。この金額はまた、部分的には評価プロセスで使用
される債券利率の変動を反映した長期勤続者休暇の再評価並びに罰金及び規制手数料に係る不良債権の評価を反
映している。
(d) 予算の見通し
2020／21年度の予算は、新型コロナウイルス感染症の流行の間、中期的に州の財政が持続可能であることを保
証しつつ、ビクトリア州を支援する政府の確約を示している。
この予算は、新たな支出イニシアティブに29.2十億ドル、新たな資産イニシアティブに最大19.8十億ドル（推
定投資総額（ＴＥＩ））投資する。
世界的な不況により、2019／20年度予算改訂と比較して、2020／21年度の収益合計は7.8十億ドル減で改訂され
た。この収益の減少と新型コロナウイルス感染症の影響に対応するための費用の増加といった複合的な影響によ
り、2019／20年度の6.5十億ドルの営業損失に対して、2020／21年度の予測営業損失は23.3十億ドルとなった。将
来推計期間において更なる営業損失が予測される。一般政府部門の業務活動によるキャッシュ・フローの赤字
は、2020／21年度は21.8十億ドルになると予測され、将来推計期間においては年平均2.8十億ドルまで減少すると
予測される。
2020／21年度は、収益合計は、2018／19年度の水準を4.2％下回ると予想されている。収益は、2019／20年度の
予算改訂の予測を将来推計期間にわたって引き続き下回ると見込まれるが、経済が回復するにつれて増加し、
2023／24年度には81.4十億ドルに達すると予想されている。
費用合計は、2021／22年度に6.2％削減される前に、2020／21年度には90.0十億ドルになることが予想される。
2020／21年度に予測が最高値となるのは、経済が回復するにつれてかかる費用を逓減するものの、短期から中期
で経済的な成長を支援するという政府目標を反映している。費用の増加は、2022／23年度は0.1％、2023／24年度
は3.4％になると予想されている。
政府のインフラ投資は、予算期間及び将来推計期間において、2014 ／15年度までの10年平均のおよそ４倍とな
る、 年平均19.6十億ドルになると予想されている。
純負債は、2024年６月までに154.8十億ドルになると予想されている。ＧＳＰに対する割合では、純負債は2024
年６月までに28.9％に増加することが予想されている。しかしながら、収益合計に占める利息費用（これは、借
入金に関連する費用の優れた評価手段である。）は、予算期間及び将来推計期間において年平均4.4％で、引き続
き管理できると予想されている。
下表は、予算期間及び将来推計期間における一般政府部門の経常収支計算書を要約したものである。包括経常
収支計算書は、予算報告書第４号第１章「一般政府部門の推計財務諸表」に表示されている。
(a)
一般政府部門経常収支計算書の要約
（単位：百万ドル）
2019／20 2020／21 2021／22 2022／23 2023／24
年度 年度 年度 年度 年度
（実績） （予算） （推計） （推計） （推計）
取引による収益
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租税収入 23,167 20,928 23,700 26,021 27,565
(b)
配当金、利率同等収益及び利息
1,429 1,171 1,113 1,143 1,211
物品・サービスの販売 7,902 8,433 9,043 9,325 9,448
交付金 32,789 33,483 34,591 38,210 40,059
2,662 2,673 2,869 3,048 3,165
その他の収益
取引による収益合計 67,948 66,687 71,315 77,747 81,448
％変化 (2.4) (1.9) 6.9 9.0 4.8
取引による費用
従業員手当 27,214 29,971 30,643 32,081 33,306
(c)
退職年金
3,480 3,634 3,687 3,723 3,811
減価償却費 3,894 4,145 4,365 4,592 4,834
支払利息 2,328 2,813 3,038 3,424 3,895
交付金費用 15,331 22,009 18,816 17,464 17,531
22,241 27,397 23,865 23,188 23,960
その他の営業費用
74,487 89,968 84,413 84,472 87,337
取引による費用合計
％変化
8.5 20.8 (6.2) 0.1 3.4
(6,539) (23,281) (13,098) (6,725) (5,889)
取引の正味残額－総営業残高
(d)
その他の経済的フロー合計（正味残額の内数）
(1,360) (382) (393) (394) (378)
(7,899) (23,663) (13,491) (7,119) (6,266)
正味残額
出所：財務省 2020／21年度予算報告書第２号（計画及び見通し第４章表4.3）
注(a) 本表中の数値は百万ドル未満を四捨五入されており、足し合わせても合計の行の数値にならない可能性がある。
(b) 配当金、所得税及び利率同等収益並びに利息からなる。
(c) 退職年金関連の支払利息及びその他の退職年金関連支出からなる。
(d) 一般的に、非金融資産の処分、不良債権に係る調整並びに金融資産及び金融負債の再評価による損益を含む。
収益の見通し
一般政府部門の収益合計は2019／20年度の業績と比較して1.9％減少し、2020／21年度においては66.7十億ドル
になると見込まれている。かかる減少水準から、将来推計期間において年平均6.9％の成長率で回復すると見込ま
れている。
2019／20年度予算改訂と比較して、租税収入、ＧＳＴ交付金及びその他の主要な収益の流れは、新型コロナウ
イルス感染症の流行の影響により減少傾向にある。2019／20年度予算改訂以降、収益合計は、2020／21年度にお
いて7.8十億ドル、2021／22年度において6.9十億ドル、2022／23年度において4.8十億ドル減少した。
税 制
ビクトリア州の租税収入は2019／20年度の業績と比較して9.7％減少し、2020／21年度においては20.9十億ドル
になると予想されている。かかる減少水準から、租税収入は将来推計期間において年平均9.6％の成長率で2021／
22年度から回復すると見込まれている。新型コロナウイルス感染症前の2018／19年度の水準から、租税収入は
2023／24年度にかけて年平均3.2％増加すると見込まれている。
2020／21年度の土地譲渡税収益は、取引量の減少及び不動産価格の下落並びに政府の土地譲渡税救済イニシア
ティブの影響を反映し、2021／22年度から回復する前に、2019／20年度の業績から25.9％暴落すると見込まれて
いる。2019／20年度において新型コロナウイルス感染症の流行が不動産市場環境に影響を及ぼし始めたが、税
は、通常、契約締結の数ヶ月後に実施される決済にて徴収されるため、土地譲渡税への影響は遅くなると見込ま
れている。土地譲渡税は、2021／22年度から回復し、将来推計期間において年平均15.4％増加すると見込まれて
いるが、2022／23年度までは2018／19年度の水準には到達しないと見込まれている。
土地税収益は、2019／20年度の業績から1.6％増加し、2020／21年度においては3.5十億ドルになると予想され
ている。新型コロナウイルス感染症の流行の発生による不動産市場の低迷により、2021／22年度以降の土地税収
益の成長率を低下させると予想されている。土地税収益は、将来推計期間において年平均3.0％、2023／24年度ま
での５年間において年平均1.8％増加すると見込まれている。
給与税収益は、労働市場環境の低迷の結果、及び新型コロナウイルス感染症の流行を受けての政府による中小
事業への支援策の影響により、2019／20年度から7.3％減少し、2020／21年度においては5.4十億ドルになると予
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想されている。給与税収益は、将来推計期間において年平均9.8％、2023／24年度までの５年間において年平均
2.5％増加すると見込まれている。
賭博税収益は、2019／20年度から15.8％減少し、2020／21年度においては1.4十億ドルになると予想されてい
る。かかる減少は、新型コロナウイルス感染症の流行を受けての政府による公衆衛生対策の一部であるクラウ
ン・カジノ、ホテル及びクラブの臨時休業に大きく起因する。しかしながら、賭博収入は、宝くじ並びに公営競
技及びスポーツ賭博から得られる収益の上昇により支えられると見込まれている。賭博税収入は、将来推計期間
において年平均16.4％、2023／24年度までの５年間において年平均2.5％増加すると見込まれている。
自動車税は、2019 ／ 20 年度から 2.4％増加し、2020／21年度においては2.7十億ドルになると見込まれている。
自動車税は、 将来推計期間においては平均3.9％増加すると見込まれている。経済状況の低迷による消費者の慎重
な消費態度により、自動車税の成長率は、予算期間及び将来推計期間において、近年に比べ低下すると見込まれ
ている。
保険税は、2019／20年度 から 2.4％増加し、2020／21年度においては1.5十億ドルとなり、将来推計期間におい
て年平均6.3％増加すると見込まれている。大半の種類の保険からの税収入は、新型コロナウイルス感染症の流行
により大きく影響は受けないと見込まれている。
配当金、所得税同等収益及び利息収益
配当金及び所得税同等収益（ＩＴＥ）は、将来推計期間において年平均4.3％増加する前に、2020／21年度にお
いて34.1％減少すると見込まれている。2020／21年度における減少は、主に、新型コロナウイルス感染症の流行
による都市水道会社の収益の減少に起因する。2019／20年度の配当金は2020／21年度と比較しても高く、これは
2018／19年度の都市水道会社の中間配当の 2019 ／20年度への繰延べに起因する。
利息収入は、現金及び預金の保有により得られた。利息収入の合計は、主にインフラ整備の資金を賄うために
金銭がビクトリア州交通基金から引き出されていることから、20 20／21 年度には637百万ドルとなり、 将来推計期
間において 年平均1.7％減少すると予想されている。
物品・サービスの販売
20 20／21年度における物品・サービスの販売による収益は、6.7％増加し、8.4十億ドルとなると予想されてい
る。将来推計期間における成長率は、年平均3.9％になると見込まれる。この増加は、主に資産規模の増加に関連
したＶｉｃＴｒａｃｋの資本的資産賦課金の収入の増加及び 20 21／22年度以降に見込まれる公共交通機関の運賃
収益の回復を反映している。
交付金
交付金収入合計は、2019／20年度の実績から2.1％増加し、 2020 ／ 21 年度において33.5十億ドルとなると予想さ
れている。特定の目的のための交付金は、 2020 ／ 21 年度において増加すると予想されている。しかしながら、Ｇ
ＳＴ収入は、新型コロナウイルス感染症の流行に起因するオーストラリア経済の悪化及び2020年に行われたＧＳ
Ｔ配分方式の変更に起因するビクトリア州のＧＳＴ相対性の低下により減少すると予想される。交付金収入合計
は、主にＧＳＴ収入の回復を原因として、将来推計期間において増加すると予想されている。
ＧＳＴ収入は、2019／20年度の実績から0.7％減少し、 2020 ／ 21 年度においては15.3十億ドルになると見込まれ
ている。かかる減少は、国内のＧＳＴプールの見通しの脆弱性及び連邦助成金委員会（ＣＧＣ）の2020年方式審
査における方式の変更に起因するビクトリア州のＧＳＴ相対性の低下を反映するものである。当該時点におい
て、ＣＧＣは、方式の変更がビクトリア州の相対性に与える最終的な影響として、 2020 ／ 21 年度におけるビクト
リア州のＧＳＴ収入が802百万ドル減少すると予想した。かかる変動は、ＧＳＴの導入以来、方式審査による唯一
かつ最大の他州への再配分である。ビクトリア州の独自予想によれば、方式の変更により、予算期間及び将来推
計期間において、ＧＳＴ収入のうち年間約１十億ドルがビクトリア州から再配分されると予想される。
将来推計期間において、ＧＳＴ収入は、国内のＧＳＴプールの回復により、年平均8.7％増加すると見込まれて
いる。ビクトリア州の相対性評価は、将来推計期間において緩やかに上昇すると予測されている。
特定の目的に対するオーストラリア連邦による交付金は、今後４年間において年平均で18.7十億ドルとなると
見込まれている。オーストラリア連邦は、これらの交付金を、ヘルスケア、教育、障害者福祉及びその他のサー
ビス並びに主要なインフラ投資に対する出資金として提供している。
その他の収益及び収入
その他の収益及び収入は、罰金、ロイヤルティー、寄付及び贈答品、無償で受領した資産並びにその他の収益
を含む。その他の収益及び収入は、 2020 ／ 21 年度において2.7十億ドルとなり、将来推計期間において年平均
5.8％増加すると予想されている。
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予算報告書第４号第４章「州の収益」には、一般政府部門の収益の主要なカテゴリーに関して予想される動き
の詳細が含まれている。
費用の見通し
2020 ／ 21 年度において、政府は、新型コロナウイルス感染症の流行下におけるビクトリア州民への支援及び経
済回復の下支えに必要な投資を継続するため、90.0十億ドルを支出すると予想されている。その後、費用は
2021 ／ 22 年度において6.2％減少し、 2022 ／ 23 年度においては0.1％増加し、 2023 ／ 24 年度においては3.4％増加す
ると予想される。
・従業員手当（退職年金を含む。）は、 2020 ／ 21 年度において9.5％増加し、将来推計期間においては年平均
3.4％増加すると予想される。会計年度及び将来推計期間における増加は、新型コロナウイルス感染症の流行
への政府の対応、主として健康及び教育分野における作業提供の増加並びに労使協定に基づく報酬の増額を
反映している。
・減価償却費は、 2020 ／ 21 年度において6.4％増加し、4.1十億ドルとなり、将来推計期間において年平均5.3％
増加すると見込まれている。かかる増加は、政府によるインフラ投資の増加と概ね一致する。
・利息支払は、政府が新型コロナウイルス感染症の流行への対応に充当するための借入を増加させるため、
2020 ／ 21 年度においては20.8％増加し、2.8十億ドルになり、将来推計期間においては年平均11.5％増加する
と見込まれている。収益合計に対する利息支払の割合は、引き続き管理可能であり、会計年度及び将来推計
期間において年平均4.4％と見込まれている。
・交付金費用は、政府による新型コロナウイルス感染症の流行への支援策の一環として想定される事業への多
額の支払を反映して、 2020 ／ 21 年度において43.6％増加し、22.0十億ドルになると見込まれている。その
後、交付金費用は、経済の回復に伴って政府の景気刺激策としての支出が縮小することにより、 2021 ／ 22 年
度においては14.5％減少し、将来推計期間においては年平均7.3％減少すると見込まれている。
・その他の営業費用は、 2020 ／ 21 年度においては23.2％増加し、その後 2021 ／ 22 年度において12.9％減少する
と予想される。将来推計期間においては、その他の営業費用は年平均4.4％減少すると予想される。
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(4) 公 債
2020 年６月30日現在、ビクトリア州の公共部門の連結負債総額は87.8十億ドルであり（ 2019 年６月30日現在 65.9 十
億ドル）、 2020年６月時点の 62.8 十億ドルの一般政府部門の負債を含む。
(a) 保証債務
州政府の直接債務に加えてビクトリア州は法定機関による借入の保証も行う。これらの州機関は過去においてそ
れ自身の名義で、国内及びある限られた場合に海外から借入を行ってきたが、それ以降、これらの活動はＴＣＶの
担当するところとなった。州機関は現在、政府が発生した一切の債務を保証するという条件の下に、ＴＣＶからの
み資金調達を行うことができる。この保証債務の支払義務は、主債務者が債務を履行しない場合で、かつ、保証債
務の履行が請求された場合にのみ生ずる。
保証債務のその他の形態は、政府金融機関の債務から構成されるものである（下表参照）。下表は、債務総額を
表示するが、多くの場合、債務はその金額を超える資産で担保されている。
公共機関への融資のための州政府の金融機関による債務で、ビクトリア州政府による保証その他の支援のあるも
のは、下表中の金融機関の債務から除外されており、下記の「直接債務、保証及び偶発債務」の表に当該公共機関
の債務として含まれている。ＴＣＶは、この方法でその借入金の大半を貸付けている。
州機関の債務の保証に加えて、ビクトリア州は一定の民間部門企業の債務の保証も行っており、これは主に教育
若しくは地域目的のものか、又は一定の状況下における経済政策支援のためのものである。
下表は、各年６月30日のビクトリア州政府の債務の概況を表している。ただし、政府系公共金融機関に関する保
証及び債務を含んでいないことについて留意されたい。
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直接債務、保証及び偶発債務
（単位：百万ドル）
６月30日現在
2016 年度 2017 年度 2018年度 2019 年度 2020 年度
直接債務
(１）
予算部門借入金
24,120 18,784 23,090 27,754 45,244
自動車リース - - - - -
9,009 9,384 9,774 8,733 13,680
その他リース
直接債務合計 33,129 28,168 32,864 36,487 58,925
(２）
保証及び偶発債務
(３）
予算部門公共機関
病院 228 239 231 2,890 3,363
293 1 0 0 0
その他
予算部門公共機関合計 520 240 231 3,363 3,363
直接債務及び予算部門公共機関の
33,649 28,408 33,095 39,850 62,288
合計
予算部門外公共機関
ビクトリア州開発機構 208 210 479 482 548
都市水道委員会 8,396 9,288 9,763 13,418 14,165
(４)
地方水道委員会
2,242 5,000 2,366 2,322 2,468
(５）
港湾委員会
0 0 0 0 3
ＶｉｃＴｒａｃｋ 662 570 417 209 67
70 823 210 58 144
その他
予算部門外公共機関合計 11,578 15,891 13,236 16,489 17,395
その他の保証債務（民間部門を含
む。）
一般共同協会 9 8 7 5 4
253 222 171 177 1,296
その他
民間部門企業保証債務合計 262 231 178 182 1,300
保証及び偶発債務合計 11,840 16,121 13,414 16,671 18,695
(６）
直接債務、保証及び偶発債務合計
45,490 44,529 46,509 56,521 80,982
出所：ＤＴＦ
(１) 1994年２月１日以降は、財務大臣がＴＣＶから直接財務大臣名義でビクトリア州のために借入を開始した。中央銀行シス
テムの借入も含む。
(２) ファイナンシャル・リース、当座借越及び担保預り金を含み、これらは常に無保証である。
(３) 病院を含むその他の予算支援当局に加え、州の一般政府規制当局及びその他の機関を含む。
(４) 地方水道産業は、中部ハイランズ地区水道公社、東部ギプスランド地区水道公社、中部ギプスランド地区水道公社、ゴル
バン・マレー地方水道公社、ゴルバン・バレー地区水道公社、南ギプスランド地区水道公社、ワノン地区水道公社、西部
地区水道公社、西部沿岸地区水道公社、バーウォン地区水道公社、コリバン地区水道公社、グランピアンズ・ウィメラ・
マリー水道公社、ギプスランド及び南東地区水道公社、下部マレー都市及び地方水道公社並びに北東地区水道公社からな
る。
(５) 港湾産業は、メルボルン港湾公社、ヘイスティングス港開発局（以下「ＰｏＨＤＡ」という。）及びビクトリア地域水路
局（以下「ＶＲＣＡ」という。）からなる。
(６) ビクトリア州の金融公社に関する保証及び債務は除く。
(b) 偶発債務－主要公共機関
前記「保証債務」において述べたように、ビクトリア州は法定機関による借入の保証も行う。これらの州機関は
過去においてそれ自身の名義で、国内及びある限られた場合に海外から借入を行ってきたが、それ以降、これらの
活動はＴＣＶの担当するところとなった。州機関は現在、政府が発生した一切の債務を保証するという条件の下
に、ＴＣＶからのみ資金調達を行うことができる。この保証債務の支払義務は、主債務者が債務を履行しない場合
で、かつ、保証債務の履行が請求された場合にのみ生ずる。
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これらの公共機関が統合基金からの資金に全く又はほとんど依存しない場合は、それらの機関は予算部門外機関
と呼ばれる。これらの法人は法律に基づき設立され、政府が任命する理事会又は委員会によって監督され、その設
立 根拠法の制限内で相当程度の自治を許されている。一般的にそれらは州政府の関係大臣の監督に服し、またその
経営成績は、場合によっては関係大臣の指示により、ビクトリア州監査局長の監査を受けなければならない。監査
済財務諸表を含む年次報告は州議会に提出されなければならない。
これら公共機関の運営は、サービス手数料収入による独立採算制をとっており、ビクトリア州政府の年間予算に
は依存していない。ただし、ビクトリア州政府はこれらの組織の借入計画を統制し、一部の公共機関に対して年間
予算への拠出金を要求し、また特別な目的のために補助及び貸付を行い、かつそれらの機関の債務に直接的又は間
接的な責任を負う。
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電力供給産業
ビクトリア州の電力産業は、発電、送電、配電及び小売供給のそれぞれの部門に分かれており、国内電力市場の
一部を占めている。
概して、ビクトリア州の配電、発電及び送電を行う全資産は民間により保有されている。ビクトリア州は特定の
残余債務を保有している。
残存する政府の電力産業における商業上の利益
ビクトリア州電力委員会（従前の、垂直的に統合された電力供給者）（以下「ＳＥＣＶ」という。）が、1994年
に解体された際、ＳＥＣＶには、国内の電力市場で営業する、残余電力の取引機能が残った。過去のＳＥＣＶの主
な活動は、現在は失効しているポイント・ヘンリー電力供給契約及びポートランド電力供給契約に基づき、ポート
ランド及びポイント・ヘンリーのアルミニウムの精錬所に対して電力を販売する取引を行う機能に限られる。ＳＥ
ＣＶの残余活動は小規模で、多様な性質があり、ランオフ状態にある。
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ビクトリア州電力委員会（ＳＥＣＶ）の経済状況
2020年６月30日現在
（単位：千ドル）
ビクトリア州電力委員会（ＳＥＣＶ）
取引からの総収益
178
( 223 )
取引の総費用
取引からの純利益
(45)
0.0
その他の経済的フロー
継続事業からの純利益
(45)
(１)
税費用
-
資 産 5,582
負 債 24
-
借入金
出所：ＳＥＣＶ2019／ 20 年度年次報告書
(１) ＳＥＣＶは、国税等価額制の適用を受けない。
都市水道事業
メルボルン都市水道部門は、メルボルン水道公社（以下「ＭＷＣ」という。）及び３つのメルボルン水道小売業
者（シティー・ウェスト水道公社（以下「ＣＷＷ」という。）、サウス・イースト水道公社（以下「ＳＥＷ」とい
う。）及びＹＶＷ）からなる。
ＭＷＣは３つの水道小売業者にバルク水及び下水のサービスを提供しており、都市部の下水サービス業に関し責
任を負っている。３つの小売業者は、メルボルン都市のサービス提供エリアにおいて顧客に水道及び下水道のサー
ビスを提供している。ＭＷＣ及び３つの小売業者は、1989年水法に基づいて事業を行う水道公社である。
2019／20年度の都市水道事業の税引前利益は、予算見積りを上回った。ＳＥＷ及びＹＶＷの2019／20年度の税引
前利益は前年の実績を下回り、一方、ＭＷＣ及びＣＷＷの税引前利益は前年の実績を上回った。
水道事業の堅調な実績は、主に堅調な開発事業の持続を反映した開発収益の増加によるものであった。これに
は、開発業者の金銭出資（将来の成長に対応するためにインフラ資産を拡張又は建設する費用を回収するために開
発業者に課される料金）及び開発業者の現物出資財産（開発業者が資産の建設費を支払い、その後かかる資産を水
道公社に引き渡すことで生じるもの）が含まれている。
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2 020 年６月30日に終了した年度の財務活動の概要
メルボルン シティー・ウェスト ヤラ・ヴァレー サウス・イースト
水道公社 水道公社 水道公社 水道公社
（ＭＷＣ） （ＣＷＷ） （ＹＶＷ） （ＳＥＷ）
税引前利益
（百万ドル） 324.9 116.6 148.7 122.7
業務活動によるネット・
キャッシュ・フロー
（百万ドル） 555.3 88.5 122.4 132.4
利益担保（金利税引前
利益）（倍） 1.5 2.7 2.1 2.5
全資産に対する
借入金の割合（％） 50.8 57.5 54.6 42.3
資産利益率（％） 6.0 7.3 5.4 4.5
株主資本利益率（％） 3.5 10.9 6.5 4.4
出所： 2019 ／20 年度年次報告書及び金融財務省
事業体分析
・ＭＷＣの税引前利益325百万ドルは、予想（310.5百万ドル）及び前年の税引前利益（317.3百万ドル）を上回っ
た。予想を上回る利益に寄与した主な要因は、予想よりも堅調な開発活動を反映した開発業者出資の増加、ビ
クトリア州海水淡水化施設の借り換えによる利益並びに借入額及び金利の低下による財務費用の減少であっ
た。
・ＣＷＷの税引前利益116.6百万ドルは、予想（103.9百万ドル）及び前年値（95.7百万ドル）を上回った。この
ような好ましい実績は、開発収益の増加及び需要の低下によるバルク水に係る費用の減少が大きく寄与してい
る。
・ＳＥＷの税引前利益122.6百万ドルは、前年の実績（145.3百万ドル）を下回ったが、それでも予想（110.4百万
ドル）を上回った。予想を上回る利益は、主に贈与資産価値の上昇に起因する開発収益の増加及び財務費用の
減少によるものであった。
・ＹＶＷの税引前利益148.7百万ドルは、予想（126.5百万ドル）を上回ったが、前年の実績（160.1百万ドル）を
下回った。予想を上回る利益は、主に開発収益（開発業者出資及び贈与資産の両方）の増加、水道の売買収益
の増加及び財務費用の減少によるものであった。
港湾公社
政府保有の港湾公社は、以下のとおりである。
・ビクトリア港湾公社（メルボルン）（以下「ＶＰＣＭ」という。）は、メルボルン港の商業事業の長期リース
契約が無事締結されたことにともなって、2016年11月１日に設立された。ＶＰＣＭは、メルボルン港のリース
によって州が保持することとなる事業及び活動に責任を有する。ＶＰＣＭの責務には、ポート・フリップの商
業船舶の管理、水辺での緊急事態及び海洋汚染への対策、港長並びにビクトリア州の主要なクルーズ客船施設
であるステーションピアの運営が含まれる。
・ＰｏＨＤＡは、2012年１月１日に設立された。ＰｏＨＤＡは、ヘイスティングス港の既存の貿易、停泊所及び
関連する港湾陸域の管理に直接の責任を有する。2017年７月１日、ＰｏＨＤＡは、ヘイスティングス港の業務
の直接管理についても責任を負うことになった。
・ＶＲＣＡは、2004年４月１日に設立された。ＶＲＣＡは、ジーロング港及びヘイスティング港の港湾水域にお
ける船舶管理に直接の責任を有しており、ポートランド港の所有者に対して、かかる港の船舶管理及び水路操
作を請け負う。
かかる港湾公社の 2 020 年 ６月30日に終了した事業年度に関する財務諸表が以下に要約されている。
2020 年６月30日に終了した年度の財務活動の概要
（単位：百万ドル）
ビクトリア港湾公社 ヘイスティングス港 ビクトリア
（メルボルン） 開発局 地域水路局
（ＶＰＣＭ） （ＰｏＨＤＡ） （ＶＲＣＡ）
総資産
100.9 140.3 55.2
総負債 42.2 1.5 4.0
資 本 58.7 138.9 51.2
税引後純経常利益／（損失） -16.8 -2.4 1.0
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借入総額 1.2 0.5 0.0
保有現金 28.2 5.0 6.5
未収金 5.3 0.9 1.0
出所：ＰｏＨＤＡ及びＶＲＣＡの 2019 ／20 年度年次報告書並びにＶＰＣＭの 2019 ／20 年度年次報告書案
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ビクトリア州開発機構
ビクトリア州開発機構は、 2017 年４月１日に2003年ビクトリア州開発法に基づき設立された。ビクトリア州開発
機構は、ビクトリア政府に代わって、主要な都市計画、不動産開発及び都市再開発計画の設計及び実施を所管して
いる。
2 020 年６月30日に終了した年度における財務成績の要約
（単位：百万ドル）
ビクトリア州開発機構
総資産
1,012.6
総負債 804.1
資 本 208.4
税引後純利益／（損失） 28.6
借入総額 533.3
保有現金 170.2
未収金 45.9
出所：2 019／20年度年次報告書
ビクトリア州保険管理局
ＶＭＩＡは1996年ビクトリア州保険管理局法に基づいて設立された。ＶＭＩＡはビクトリア州の専属保険者とし
て活動し、医療費補償、特定の産業リスク、企業・製造物責任、専門職業賠償責任、会社役員賠償責任、貨物海
上・船舶、航空、自動車、人的事故及び建設事業責任に対する保険を提供することにより、各部門及び「参加機
関」（その大部分は予算部門関連の機関である。）のためにリスク管理に関して助言を行い、リスク管理を促進さ
せる。
ＶＭＩＡは、そのクライアントである機関に対してプレミアムを請求し、民間市場において多額の再保険を購入
し、また、将来の請求の費用に対応するため金融資産に対する投資を行う。ＶＭＩＡの資産及びＶＭＩＡにより購
入された再保険に関するその他のリスクは、ビクトリア州により負担される。
ＶＭＩＡはその他の定量化しうる請求（主としてアスベストに関するもの）に関する責任をＳＥＣＶから引き継
ぎ、また、保健福祉省 （以下「ＤＨＨＳ」という。）が管理する公共医療機関保険プログラムに関する責任を引き
継いだ。また、ＶＭＩＡはビクトリア州保険局（以下「ＳＩＯ」という。）の法的な承継者であり、ＳＩＯの残余
の資産及び負債に関する責任を承継した。ＤＨＨＳに提供された医療費補償保険に関連して、ＶＭＩＡのためのス
トップ・ロス・プロテクションを規定する損害賠償証書に基づき、最終的な請求の支払がプレミアムが基づく当初
の概算を 20 ％超上回る場合は、 ビクトリア州はＶＭＩＡに償還する。
2010年３月、財務省は、ＶＭＩＡが管轄予定の国内向けの政府運営建物保険計画を発表した。ＶＭＩＡは2010年
５月31日より効力を有する国内向けの建物保険政策の起案に着手し、引き続き起案している。
2020年６月30日現在、ＶＭＩＡの総資産は2.8十億ドルで、総負債は3.1十億ドルであり、純負債ポジションは 300
百万 ドルとなった。
ＡＡＳＢでは、保険の評価に用いられるリスクフリー・レートの基礎となるオーストラリア連邦の債券の利回り
の変動が、大幅なボラティリティを生み出す可能性がある。これに対処し、より強固な資本管理の枠組みを確保す
るため、2018年の州選挙後、政府は州の保険機関の資本管理の枠組みを改訂した。この枠組みの下では、保険機関
の自己資本比率は、未払債務を支えるために利用可能な資産の程度を測定する保険調達比率（以下「ＩＦＲ」とい
う。）に基づいて評価される。
ＩＦＲの目的上、保険機関の負債は、資産に係る長期期待運用収益を割引率として用いて評価され、（50％の充
足確率を持つ中央推定値と比較して）75％の充足確率を示すマージンを含む。ＶＭＩＡの推奨ＩＦＲ範囲は100％か
ら145％である。この枠組みにより、ＶＭＩＡは、請求の急増や期待運用収益を下回るといった「衝撃」を吸収する
のに十分な資本を保有していることが保証される。2020年６月30日現在、ＶＭＩＡのＩＦＲは118％であり、推奨範
囲内に十分収まっている。
ビクトリア州労働災害補償局／ＷｏｒｋＳａｆｅ Ｖｉｃｔｏｒｉａ
1992年12月１日に発足したビクトリア州労働災害補償局（以下「ＶＷＡ」という。）は事故賠償委員会の法律上
の継承者である。ＶＷＡは、傷害労務者の補償と治療・社会復帰のための労災補償制度の運営を規制する。また、
ＶＷＡは、規則、検査並びに労働衛生及び安全要求事項の施行に対する責任を有する。
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雇用者はＶＷＡの保険をかけ、政府がＶＷＡの推薦に基づき承認する平均保険料率、雇用者の給与水準及び雇用
主の属する産業又は当該雇用主（雇用主が大規模な場合）の請求歴を考慮した保険料を支払うことを義務付けられ
ている。特定の財務健全性基準を満たしている一部の大規模な雇用主は、自家保険を行うことが認められている。
請 求の管理業務は、公認の代理人により雇用主に対して提供される。
2020 年６月30日現在、ＶＷＡの総資産は 20.9 十億ドル、総負債は 21.5 十億ドルであり、600百万ドルの純負債ポジ
ションを生じている。2020年６月30日現在、ＶＷＡのＩＦＲは123％であり、100％から140％の推奨範囲内に十分収
まっている。
交通事故委員会
1986年、交通事故犠牲者の補償のために交通事故委員会（以下「ＴＡＣ」という。）が設立された。この制度は
無過失責任制度であり、自動車の所有者からの保険料をその主な資金としており、将来の請求の費用に充てるため
に保有される準備資金から得られた投資収益により補充されている。
2020 年６月30日現在、ＴＡＣの総資産は18.5十億ドル、総負債は22.6十億ドルであり、 4.1十億ドルの純負債残高
（ 2019 年６月30日現在は4.2十億 ドルの純負債）を生じている。これは主として、会計上の評価の基礎となるオース
トラリア連邦の債券の利回りが常に低いためである。これは、ＴＡＣが2020年６月30日時点で、100％から145％の
推奨範囲内に十分収まる137％という好調なＩＦＲを報告していることによって支えられている。
ビクトリア州基金管理委員会
ビクトリア州基金管理委員会（以下「ＶＦＭＣ」という。）は1994年ビクトリア州基金管理法に基づき設立され
た。ＶＦＭＣは、法定当局及びビクトリア州に対して投資サービスを提供している。 2020 年６月30日現在、ＶＦＭ
Ｃは63.9十億ドルの資金を管理している。ＶＦＭＣはかかる資金の３分の１超を内部で管理しており、残りの資金
は外部機関によって管理されている。ＶＦＭＣの主な目的は、顧客のためにリスク調整後収益を最大限に利用する
ことである。内部で管理された資金に係るＶＦＭＣの受取報酬及び管理報酬のみが経常収支計算書に計上されてい
る。外部の ファンド・マネージャー に支払う報酬はＶＦＭＣの顧客に渡り、ＶＦＭＣの損益には影響を及ぼさな
い。管理下のいかなる基金もＶＦＭＣの貸借対照表には計上されない。
これに基づき、 20 19 ／20 年度におけるＶＦＭＣの総収益は、 177 百万ドルであり、税引後純利益は13.5 百万 ドルと
なった。2020年６月30日現在、ＶＦＭＣは総資産106百万ドル、総外部負債53百万ドル、株主資金53百万ドルを計上
した。ＶＦＭＣの主な目的は、費用控除後のリスク調整後の民間部門の顧客への払戻しを軽減することである。利
益は二次的な目的である。
2006年以降、ＶＦＭＣは戦略開発及び投資実行の双方を行っている。このモデルに基づき、ＶＦＭＣの顧客は、
投資目的を設定し、ＶＦＭＣはその目的を果たす投資戦略を開発及び実行する。また、ＶＦＭＣは2006年から内部
での資金管理を開始した。内部で管理される資金の割合は、2006年のゼロから2020年には約38％に増加した。
ＶＦＭＣの投資実績は、2020年６月までの過去５年間において、基準の年率6.5％と同水準であった。
公共輸送の鉄道パートナーシップ契約
トランスポート部門（以下「ＤｏＴ」という。）は、2017年11月30日から2024年11月30日までのビクトリア州内
各地の都市鉄道輸送サービスを運営するための契約の約定をフランチャイジーとの間で締結した。かかる契約が早
期終了するか満期となる場合に生じる主要な偶発債務は、以下のとおりである。
・パートナーシップ資産 － サービスを継続するため、フランチャイズ契約が早期終了するか満期となる場合に
資産は、ＤｏＴ又は承継者に返却される。資産が複数ある場合、ＤｏＴへの返却は、資産が購入されなければ
ならない。
・一時退職年金 － 契約が早期終了するか満期となる場合、ＤｏＴは、ビクトリア州が承継者となるようある程
度、オペレーターが契約条件に従って支払うよう要求される金額とは別に一時退職年金総額を予想するつもり
である。
退職年金（年金）制度より生じる偶発債務
公共部門の退職年金諸制度に関連する州の債務は、主に、1995年より前に、予算部門従業員の給付が行われるま
で雇用者側分担金を払込まれなかった際に発生している。1960年代及び1970年代における予算部門の従業員に対す
る退職年金制度の適用範囲の拡大及び1980年代における給付を拡大する決定は、かかる債務の範囲に影響を与え
た。
1995年11月１日から、予算部門が、発生する退職年金費用をその年間予算から賄う責任を承継した。しかしなが
ら、上記の日付以前のサービスに関する費用は、依然としてビクトリア州の責任とされており、かかる費用はビク
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トリア州の貸借対照表に一般的な政府の負債として計上されている。このため、退職年金債務は、現在のＡＡＳＢ
に従って、未払給付の現在価値と同制度資産価値との差額として計算される。
現在、政府は、2035年までにビクトリア州政府の未積立退職年金債務の完全な支払を達成するための資金制度を
採択している。これは、保険数理報告に基づく連結基金からの年次の支払により達成される。
下表は、ビクトリア州公共部門退職年金制度の退職年金債務を示す。表の数値は、様々な見通しに基づいてお
り、各計画の３年ごとの改訂の一環のため、変更されることがある。ビクトリア州公共部門では最大の退職年金制
度である救急業務退職年金制度（以下「ＥＳＳＳ」という。）の直近の３年ごとの改訂は、 2019 年６月30日に行わ
れた。
退職年金債務額
（単位：百万ドル）
６月30日現在
2014 2015 2016 2017 2018
2019 2020
年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度
主として一般政府予算部門の従業員のための
諸制度
(a)
州退職年金基金（ＳＳＦ）
23,984 23,925 25,786 22,991 23,095 24,869 25,705
(a)
救急業務退職年金制度（ＥＳＳＳ）
605 1,042 2,513 812 941 2,400 4,154
(a)
議会拠出年金基金（ＰＣＳＦ）
209 n/a n/a n/a n/a n/a n/a
(b)
ヘルス・スーパー基金
117 113 100 96 49 100 86
766 866 890 1,002 1,120 1,262 1,280
憲法上保護された制度
合 計 25,681 25,946 29,289 24,901 25,205 28,631 31,225
出所：基金年次検査報告書及び財務省調査結果
注(a) 長期にわたって行われた制度の統合は以下のとおりである。
・州退職年金基金（以下「ＳＳＦ」という。）は、2005年12月１日にＥＳＳＳと合併した。
・議会拠出年金基金（以下「ＰＣＳＦ」という。）は、2014年４月１日にＥＳＳＳに合併された。2015年６月30
日から、旧ＰＣＳＦに関する負債は、ＳＳＦの負債に含まれる。
統合された事業体は、救急業務及びビクトリア州スーパー（ＥＳＳＳｕｐｅｒ）と呼ばれており、かつての制度
はそれぞれ、統合された制度の下部制度である。
(b) 2011年において、ヘルス・スーパー基金はファースト・ステート・スーパー基金（以下「ＦＳＳ」という。）
に統合された。ＦＳＳはアウェア・スーパー基金としてリブランドを進めている。ヘルス・スーパー基金に関
する負債は、かかる下位制度の確定給付型部門にのみ関連している。
(c) 2006年以降、ビクトリア州の退職年金債務は国際財務報告基準と同等のＡ－ＩＦＲＳに基づいて計上されてい
る。Ａ－ＩＦＲＳに基づき、退職年金債務はオーストラリア連邦の長期債券の利回りを割引率として利用し、
測定しなければならない。この債券利回りは通常、以前利用されていた長期収益率よりも低い場合が多く、Ａ-
ＩＦＲＳの採用により退職年金債務額は増加した。
債券利回りは概して長期収益率よりも不安定でもある。これにより既に計上されているビクトリア州の退職年
金債務の不安定性が増大した。債券利回りの変動のみに起因する計上された退職年金債務の増加は、当該債務
の返済に必要な金額に長期にわたって影響を及ぼすことはない点に留意されたい。
(d) Ａ－ＩＦＲＳに基づき、退職年金制度と関連する任意の剰余金を計上することが可能である（制度の資産がそ
の負債を上回る場合等）。上記の表において、剰余金はマイナスの短期債務（括弧により示されている）とし
て表示されている。Ａ－ＩＦＲＳ以前、剰余金は計上されておらず、剰余金の存在する制度に関してはゼロの
価値が報告されていた。
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（８）【オーストラリア連邦の概況】
(1) 政治及び外交関係
政 治
オーストラリア連邦は連邦、州及び地方自治体の３段階の統治機構を有する。連邦憲法は、連邦及び州政府が機
能する上で基本となる文書である。６つの州と２つの特別地域が存在する。連邦憲法は、アメリカ合衆国憲法の影
響を受けているが、州及び連邦の政治体制はイギリスのウェストミンスター体制を起源としている。
オーストラリア連邦における立法権は、女王、上院及び下院で構成される連邦議会に付与されている。オースト
ラリア連邦において女王の権威を代表する者は連邦総督である。
連邦議会は、上院及び下院の２つの別個の議院から構成される。上院議員及び下院議員は共に全有権者の義務投
票によって選出される。上院議員は、６年を任期として６州から12名ずつ選出される。各州から選出される上院議
員は３年ごとにその半数が改選される。さらに、オーストラリア首都特別地域及びオーストラリア北部特別地域か
らそれぞれ２名ずつの上院議員が選出されており、これら上院議員の任期は次回の下院の総選挙までとなってい
る。下院は、３年を超えない期間を任期とする150名の議員により構成される。各州の下院議員の定員はほぼその人
口に比例している。一定の場合には連邦総督は上下両院を同時に解散することができる。
次の表は、過去５回の上院及び下院の選挙結果を示したものである。
オーストラリア連邦選挙結果
2016年
2010年 2013年 2014年 2019年
(１)
８月
９月 ９月 ７月 ５月
上院
オーストラリア労働党 32 31 25 26 26
自由党 28 28 28 25 30
国民党 5 5 5 4 4
無所属 1 1 － － 1
オーストラリア民主党 － － － － －
オーストラリア緑の党 9 9 10 9 9
パーマー統一党 － － 3 － －
無所属 － － 1 － 1
自由民主党 － － 1 1 －
民主労働党 － 1 1 － －
デリン・ヒンチ公正党 － － － 1 －
ジャッキー・ランビー・ネット
ワーク － － － 1 1
ワン・ネイション党 － － － 4 2
地方自由党 1 1 － 1 1
ファミリー・ファースト党 － － 1 1 －
ニック・ゼノフォン・チーム － － － 3 －
オーストラリア自動車愛好家党 － － 1 － －
センター・アライアンス党 － － － － 2
－ － － － －
未確定
計
76 76 76 76 76
下院
オーストラリア労働党 72 55 55 69 68
自由党 60 58 58 45 44
自由国民党 － 22 22 21 23
国民党 12 9 9 10 10
無所属 4 2 2 2 3
地方自由党 1 1 1 － －
オーストラリア緑の党 1 1 1 1 1
カッター・オーストラリア党 － 1 1 1 1
ニック・ゼノフォン・チーム － － － 1 －
パーマー統一党 － 1 1 － －
－ － － － 1
センター・アライアンス党
計 150 150 150 150 150
出所：オーストラリア連邦議会、オーストラリア連邦＜http://www.aph.gov.au/＞
(１) 補欠選挙の結果を含む。
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オーストラリア連邦における司法権はオーストラリア高等裁判所、その他の連邦裁判所並びに州及び特別地域の
裁判所に付与されている。一定の限定された事項に関して、高等裁判所は固有の裁判管轄権を有している。高等裁
判所はまた、連邦裁判所並びに各州及び特別地域の上級裁判所からの上訴につき管轄権を有する。
外交関係
オーストラリア連邦の外交政策の基本は、自由で民主的な国家として存続し、オーストラリア連邦及び諸外国に
よる平和で繁栄的な環境の形成を支援することにある。
オーストラリア連邦政府は、他国との関係において体制の違いは無視できないが、逆にそれだけがオーストラリ
ア連邦の政策を決定するものではないと考えている。共通の価値観及び体制は協調を容易にするものであるが、そ
れらがなくても共通の利害関係さえあれば協調できないということはない。
(2) 経 済
最近の経済の動向
オーストラリア統計局が作成した国内会計に関する測定法によると、 2019 ／ 20 年度中の実質ＧＤＰの成長率は、
2019 ／ 20 年度の連邦予算における 2.75 ％の予想数値に対し、 -0.2 ％となった。
オーストラリア連邦の経済は過去29年間で初めての不況に入った。次の表は、（別段の指示がない限り）主要な
経済指標の前会計年度からの年間成長率を示したものである。表中の数値は、年度ごとの各指標の平均値を示して
いる。
(a)
選択経済指標
(b)
結果
予想
2019／20年度 2020／21年度 2021／22年度
実質ＧＤＰ
-0.2 -1.5 4.75
家計消費 -2.6 -1.5 7
住宅投資 -8.8 -11 7
(c)
企業投資合計
-1.8 -9.5 6
産業別
鉱業投資 4.8 5.5 1.5
非鉱業投資 -3.7 -14.5 7.5
(c)
民間最終需要
-2.9 -3.5 7
(c)
公的最終需要
5.6 5.75 2.5
(d)
在庫変動
-0.4 0 0.25
国民総支出 -1.2 -1 6
物品・サービスの輸出 -1.6 -9 2
物品・サービスの輸入 -7.1 -9.5 8.5
(d)
純輸出高
1.1 -0.25 -1
名目ＧＤＰ 1.7 -1.75 3.25
物価及び賃金
(e)
ＣＰＩ
-0.3 1.75 1.5
(f)
賃金物価指数
1.8 1.25 1.5
ＧＤＰデフレーター 1.9 -0.25 -1.5
労働市場
(g)
労働参加率(％)
63.4 65.25 65.5
(f)
雇用
-4.3 2.75 1.75
(g)
失業率(％)
7.0 7.25 6.5
国際収支
(h)
貿易額
1.0 -1.5 -10.75
経常収支（ＧＤＰ(％)） 1.8 2 -1.5
(a) 別段の指示があるものを除き、前期比増減率（％）である。
(b) 別段の指示があるものを除き、当初データを利用して算出している。
(c) 公共部門と民間部門の相互間の中古資産の売却を除く。
(d) ＧＤＰの伸びに対する寄与度をパーセントで示している。
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(e) ６月30日に終了する四半期までの年間成長率によるものである。
(f) 季節調整済、６月30日に終了する四半期までの年間成長率によるものである。
(g) ６月30日に終了する四半期に係る値を季節調整した率である。
(h) 予想の詳細は、主要な商品の価格予想に基づいている。鉄鉱石の現物価格は、2021年６月30日に終了する四半期
末までに、本船渡し（以下「ＦＯＢ」という。）価格が１トン当たり55米ドルに下落すると予測されている。
原料炭の現物価格は、ＦＯＢ価格が１トン当たり108米ドルで推移すると予想されている。燃料炭の現物価格
は、ＦＯＢ価格が１トン当たり51米ドルで推移すると予想されている。
注：国内経済に係る予想の詳細は、いくつかの技術的な仮定に基づいている。為替レートは、近年の平均水準（貿
易加重指数が約62、米ドルの為替レートが約72米セント）を維持すると仮定されている。金利は、市場予測に
沿って大幅に変動すると仮定されている。世界の原油価格（マレーシアのタピス原油）は、１バレル当たり約
46米ドルを維持すると仮定されている。
人口成長は、2019／20年度には約1.2％、2020／21年度には0.2％、2021／22年度には0.4％になると予想されて
いる。
出所：オーストラリア統計局、オーストラリア国民経済計算：国民所得・支出・生産、オーストラリア国際収支及
び対外資産負債残高、オーストラリア労働力調査、オーストラリア賃金指数、オーストラリア消費者物価指
数、オーストラリア統計局未公開データ並びに財務省
2020年全体を通じた新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、世界経済は後退した。ＩＭＦは、2020年前
半の急激な落ち込みの後も、経済の見通しはいまだに極めて不確実だと警告している。公社には改善と回復の傾向
があるものの、今後の見通しは感染症の流行に大きく左右される。ＩＭＦは、世界成長は2020年には-4.4％、2021
年には+5.2％になると予測している。
オーストラリアの経済は、感染症の流行に伴うロックダウンにより、家計消費、雇用及び全般的な経済活動に急
激な落ち込みが生じ、過去29年間で初めて不況を経験した。自律的景気後退は一時的だが、感染症が流行する以前
の水準まで回復するには時間がかかると思われる。感染症の拡大に関する不透明感はあるものの、オーストラリア
は多くのＧ10諸国に対して比較的成功を収めている。
家計消費は、 2020 ／21年度には 1.5％減少し、 2021 ／22年度には4.75％増加することが見込まれている。物理的に
消費を阻むロックダウンだけでなく、雇用の落ち込みと経済の見通しが極めて不確実であることによって、消費は
妨げられている。ただし、ローン返済猶予や年金の早期引き出しに伴う、政府からの非常に高水準な移転所得に
よって、家計の可処分所得と家計の貯蓄率の急増へと繋がった。これによって、感染症の流行から抜け出し、景気
回復へと移行するにつれ、消費が活性化すると見込まれている。
住宅投資は、2019／20年度には8.8％減少し、2020／21年度にさらに11％減少した後で、2021／22年度に７％回復
すると見込まれている。アパートの影響で感染症の流行前から軟化傾向にあったものの、不況がかかる部門にさら
に重くのしかかっている。ただし、記録的な低金利とともに、家計の消費意欲と貯蓄額を高め、住宅建設を支援す
る政府の方針が、住宅投資の将来の指標が急激に上向いたことを示しており、かかる予測にはアップサイドリスク
がある。長期にわたる需要と供給の変動は、翌年度にはこれが幾分和らぐ可能性があることを示唆している。
企業投資は、かかる不況の中でも鉱業部門が引き続き堅調であったため持ちこたえた。2019／20年度の実質投資
は、1.8％減少した一方で、2020／21年度に9.5％減少した後で、2021／22年度に６％増加すると予想されている。
企業の景況感を示す指標は上昇しており、翌年度の企業投資の支援を目的とした低金利の融資制度が数多くある。
純輸出高は、2020／21年度においてＧＤＰにわずかにマイナスの影響を与えるものの、中国で鉄鉱石の需要の増
加と輸入の減少が、今年度を通してかかる部門が他の部門より優れていたことを示している。観光業に関する輸出
は感染症の流行によって著しく妨げられたが、他国との往来が再開された時に回復すると見込まれている。
感染症の流行は労働市場に深刻な影響を与え、失業率は2020年９月には6.9％に上昇した。翌年度は徐々に雇用の
立て直しが行われると見込まれ、2022年半ばまでに失業率は6.5％になると予想されているが、景気刺激策が講じら
れた場合に生じるダウンサイドリスクがある。
賃金成長は極端に低く、さらに弱まると予測されているが、政府の所得補償スキームは家計の所得にプラスに働
いている。
インフレ対策は、保育料等の政策変更による感染症の流行の影響を受け、2020年第２四半期にヘッドラインＣＰ
Ｉはマイナスに転じた。これは平常化されると思われるが、2021／22年度を通じてＣＰＩ上昇率は比較的低く推移
する。ＲＢＡは、平均して前年度比２～３％というＣＰＩのターゲット目標を達成するまで金利を引き上げないと
言及しており、それには少なくとも３年かかると見込まれている。
次の表は 2019 ／ 20 年度までのＧＤＰの構成要素を示したものである。
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(１)
産業構成要素別ＧＤＰ：総付加価値額（測定法）
（単位：百万豪ドル）
2017 ／ 18 年度 2018 ／19年度 2019 ／20年度
農林水産業
45,418 40,162 37,500
鉱 業 151,402 160,529 167,859
製造業 106,848 105,233 103,671
電気、ガス及び水道供給業 46,281 46,431 45,561
建設業 141,666 136,746 130,298
卸売業 70,558 71,554 70,561
小売業 77,521 78,253 77,951
宿泊施設、カフェ及びレストラン 42,661 42,933 38,034
運輸及び倉庫業 85,546 85,567 80,298
通信サービス業 44,330 45,397 45,594
金融及び保険業 160,971 164,440 168,135
不動産及び商業サービス業 180,835 186,598 188,847
行政及び国防 95,654 98,072 102,935
教 育 87,295 89,516 91,503
健康及びコミュニティーサービス 127,111 136,692 142,905
文化及び娯楽 15,054 15,823 15,025
個人及びその他のサービス業 32,560 34,144 32,369
管理及びサポートサービス 61,293 64,592 61,405
152,708 156,176 159,867
建物賃貸
基準価格での付加賃貸借価額 1,725,712 1,758,857 1,760,318
租税（補助金控除後）
124,169 124,245 119,512
0 3,705 3,864
統計上誤差
ＧＤＰ 1,849,881 1,886,808 1,883,695
(１) 測定法の参照年度： 2015 ／ 16 年度
出所：オーストラリア統計局（カタログ 5206.0）
注：不動産及び商業サービス業には、専門・科学・技術サービス及びレンタル・賃貸借サービスが統合されてい
る。
農 業
農業は 2019 ／ 20 年度中のＧＤＰ中のおよそ2.0％を占めた。オーストラリア連邦の主要な輸出農産物は羊毛、肉、
砂糖きび及び穀物である。
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鉱物及びエネルギー
オーストラリア連邦は鉱物資源の豊富な国である。オーストラリア連邦は鉄鉱石、石炭、ボーキサイト、銅、
鉛、亜鉛、ニッケル及び砂鉱の主要生産国であると同時に、世界最大の輸出国の１つでもある。
1960年代の半ば以降、天然資源開発はオーストラリア連邦の経済成長において重要な役割を果たしている。ま
た、鉱石及び半加工金属の輸出収入はオーストラリア連邦の輸出収入総額の重要な構成要素の１つとなっている。
近年、天然ガスにおいて著しい増加があった。
製造業
全体的に、過去20年間において、製造業は食品加工、鉄鋼、エンジニアリング、自動車、化学製品、建設資材及
び石油精製品の分野で特に拡大してきた。同期間中に生産形態は変化の一途をたどっており、これは様々な分野の
成長率の格差に反映されている。
オーストラリア連邦における製造業は、大都市に集中している。これは市場に近接していること及び労働力が豊
富であるということ以外に、輸送や通信面での経済性を反映している。
運輸業
オーストラリア連邦では、国土面積が広いこと及び国内の各種資源が広範囲に分散しているために、運輸が経済
活動上重要となっている。憲法上、州間及び国際間の運輸並びに特別地域との間及び特別地域内での運輸について
は連邦議会が規制権限を有している。各州は、憲法及び連邦議会が制定する法律に従って、各州内における運輸活
動を規制できる。
通信業及び放送業
オーストラリア連邦の郵便事業はオーストラリア郵便公社（オーストラリア・ポスト）が担当している。
オーストラリア連邦の電信電話網は、1997年７月に完全自由化された。これまで政府により厳格に統制されてき
た市場は、今や新規のサービス提供者に対して自由化されることとなった。オーストラリア連邦における最初かつ
最大の電信電話会社であるオーストラリア電信電話公社（テルストラ）は、同社の株式を大量に公衆へ売却する旨
の政府の決定に従い、オーストラリア証券取引所に上場した。
オーストラリア放送公社（ＡＢＣ）は、テレビ及びラジオの全国放送を行っており、特別放送会社（ＳＢＳ）に
より民族別及び多文化の放送も提供されている。これらの事業に加えて、オーストラリア連邦には多くの商業ラジ
オ局及び商業テレビ局があり、ケーブルテレビ（ペイテレビ）通信網も業務を行っている。
通貨及び金融制度
通貨制度
オーストラリア連邦の憲法は発券権を連邦に与えている。連邦通貨の発行量に関する法令上の制限は存在せず、
需要に応じて発行量は自由に変動させうる。
オーストラリア連邦の銀行券はオーストラリア準備銀行（準備銀行）によって５ドル、10ドル、20ドル、50ドル
及び100ドルの券種で発行及び印刷され、準備銀行の全支店における発券センターを通じて商業銀行に配布される。
金融制度
金融制度は重複する３つの要素から構成されている。すなわち、金融機関及び監督機関、金融市場及びその参加
者並びに支払制度及びその参加者である。
金融市場
オーストラリア連邦における有力な金融市場には、信用市場、株式市場、短期金融市場、長期債券市場及び外国
為替市場が含まれる。株式市場は、株式、ユニット型投資信託、オプション及び一部の固定利付証券の取引のため
の機構である。
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銀 行
1997年の初め、銀行制度に関する有力な報告書であるウォリス報告書により、オーストラリア連邦の銀行業及び
金融制度の大幅な改革が勧告された。
報告書に記載された多数の勧告の実施によって、規制の状況は大きく変化した。金融政策及び金融システム全体
に関する安定性の維持に関する責任は準備銀行が保持しているものの、銀行、生命その他の保険会社、建築組合、
信用組合、友愛組合及び退職年金基金に対する諮問的な監督責任は、ＡＰＲＡが有する。
オーストラリア連邦の有力な商業銀行４行は、貯蓄銀行すなわちオーストラリア国立銀行（ＮＡＢ）、オースト
ラリア・アンド・ニュージーランド・バンキング・グループ（ＡＮＺ）、ウェストパック・バンキング・コーポ
レーション（ＷＢＣ）及びＣＢＡである。さらに、オーストラリア連邦では、多くの外国銀行が営業を行ってい
る。
その他の金融機関及び資本市場
オーストラリア連邦において、銀行以外の金融機関のうち比較的重要なものは、生命保険・損害保険会社、年金
基金、金融会社、恒久住宅信用協会、信用組合及び金融市場会社である。これらの金融機関は共に広範囲な金融
サービスを提供し、金融制度及び連邦経済の発展に重要な貢献をしてきた。
(3) 貿 易
2019 ／ 20 年度までの３会計年度のオーストラリア連邦の商品別輸出入の構成は、次のとおりである。
商品別輸出（価格）
（単位：百万豪ドル）
2017 ／ 18 年度 2018 ／ 19 年度 2019 ／ 20 年度
食肉及び加工品
12,617 14,807 16,941
穀類及び加工品 7,976 6,300 6,015
羊毛及び羊皮 4,357 4,178 2,734
その他の農産物 22,228 22,601 20,906
金属鉱石及び鉱物 89,765 109,191 131,605
石炭、コークス及び石炭加工品 60,493 69,519 54,594
その他の鉱物燃料 39,491 60,731 58,370
その他の金属（金を除く。） 11,232 14,343 11,820
機械 10,330 11,312 11,549
輸送機器 4,243 5,103 4,795
その他の製造物 20,401 23,447 24,099
その他の非農産物（砂糖を含む。） 10,454 9,960 10,387
22,152 21,863 27,672
その他の商品
商品輸出合計 295,288 353,347 355,435
出所：オーストラリア統計局（カタログ 5689.0）
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商品別輸入（価格）
（単位：百万豪ドル）
2017／18年度 2018／19年度 2019／20年度
飲食料品（主に消費用）
14,808 16,161 17,394
家庭電化製品 6,199 6,179 6,062
非工業輸送機器 24,947 23,490 20,872
繊維製品、衣料品及び履物 17,736 18,279 18,686
玩具、本及びレジャー用品 6,707 6,463 6,395
31,735 33,457 33,615
その他の消費財
消費財合計 102,132 104,030 103,024
機械及び工業機器
23,153 25,030 23,669
自動データ処理機器 10,466 11,469 11,935
電信電話機器 12,523 13,520 14,000
民間航空機 5,321 5,392 3,849
その他の工業輸送機器 12,239 13,676 9,595
10,098 9,330 9,823
その他の資本財
資本財合計 73,798 78,418 72,875
飲食料品（主に産業用）
1,834 2,021 2,258
その他の一次工業供給品 2,458 2,058 2,002
燃料及び潤滑油 33,965 40,222 32,312
輸送機器部品 12,432 13,356 13,090
自動データ処理機器部品 698 652 746
その他の資本財部品 17,420 19,029 19,157
有機及び無機化学製品 3,520 3,468 3,656
紙及び厚紙 2,353 2,505 2,475
紡績糸及び織物 1,499 1,498 1,460
鉄鋼 3,713 3,618 3,188
プラスチック 4,361 4,637 4,592
その他の加工工業供給品 34,664 37,372 38,355
695 550 555
その他の商品
中間商品及びその他の商品合計 120,952 132,435 124,939
その他の商品 7,440 6,965 9,989
商品輸入合計 296,882 314,881 300,842
出所：オーストラリア統計局（カタログ 5689.0）
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2019 ／ 20 年度までの３会計年度のオーストラリア連邦の貿易の地域分布の構成比は、次の表のとおりである。
地域別貿易
（単位：％）
2017／18年度 2018／19年度 2019／20年度
(１)
輸出
アメリカ合衆国 3.71 3.85 3.82
日本 15.27 15.62 15.39
ＡＳＥＡＮ 10.39 10.93 10.69
イギリス 2.00 2.08 2.49
ユーロ圏 3.25 2.96 2.96
ニュージーランド 2.94 2.66 2.62
中国 33.59 35.96 36.66
韓国 6.57 6.73 6.67
22.28 19.21 18.71
その他
商品貿易合計 100 100 100
(２)
輸入
アメリカ合衆国 9.88 10.65 12.17
日本 7.31 7.19 6.39
ＡＳＥＡＮ 15.67 16.60 15.76
イギリス 2.42 2.35 2.32
ユーロ圏 13.22 13.74 13.49
ニュージーランド 2.61 2.56 2.50
中国 22.50 25.41 27.07
韓国 7.16 4.01 3.50
19.24 17.48 16.80
その他
商品貿易合計 100 100 100
(１) 船積港ＦＯＢ価格
(２) 関税評価額
出所：オーストラリア統計局（カタログ 5368.0）
日本との貿易
日本はオーストラリア連邦にとって最も重要な輸出市場のうちの１つである。
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(4) 国際収支
次の表は、 2019 ／ 20 年度までの３会計年度におけるオーストラリア連邦の国際収支を示している。オーストラリア
連邦は最近、経常収支を黒字に転換する純資本輸出国となったが、資本収支は黒字である。
国際収支－経常取引
（単位：百万豪ドル）
2017／18年度 2018／19年度 2019／20年度
経常収支
-51,259 -14,387 35,808
物品・サービス 7,566 49,297 77,413
受取（輸出） 403,326 470,723 476,648
支払（輸入） -395,760 -421,426 -399,235
物品 12,853 53,555 70,535
受取（輸出） 315,257 373,339 382,632
支払（輸入） -302,404 -319,784 -312,097
サービス -5,287 -4,258 6,878
受取（輸出） 88,069 97,384 94,016
支払（輸入） -93,356 -101,642 -87,138
収入 -58,825 -63,684 -41,605
受取 68,099 80,173 78,896
支払 -126,924 -143,856 -120,501
出所：オーストラリア統計局（カタログ 5302.0）
国際収支－資本及び財務収支
（単位：百万豪ドル）
2017／18年度 2018／19年度 2019／20年度
資本及び財務収支
57,499 22,166 -35,723
資本収支 -680 -770 -1,116
資本移転 -849 -811 -751
受取 - - 0
支払 -849 -811 -751
非生産・非金融資産の純取得／処分 169 41 -365
財務収支 58,179 22,936 -34,607
直接投資 61,774 69,946 27,599
海外 -20,616 4,078 -11,905
国内 82,390 65,868 39,503
純投資 13,959 -86,835 -29,691
金融派生取引 -11,282 -9,593 4,755
その他投資 -15,222 45,631 -55,791
準備資産 8,952 3,785 18,523
誤差及び脱漏（純額） -6,241 -7,779 -86
出所：オーストラリア統計局（カタログ 5302.0）
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外貨準備
過去２年間におけるオーストラリア連邦の公的外貨準備は、ＩＭＦの準備ポジションを含めると次のとおりであ
る。
(a)
公的外貨準備
６月30日現在
（単位：百万豪ドル）
2019年 2 020年
ＡＵＤ貿易加重外貨
64,910 47,455
特別引出権 6,170 6,351
ＩＭＦの準備ポジション 1,950 3,090
4,440 4,612
金
資産合計 77,470 61,508
(a) 特別引出権及びＩＭＦの準備ポジションの豪ドルの数値は、特別引出権のＩＭＦバスケット評価に基づくもので
あり、米ドルとして公表され、米ドルに対する豪ドルの代表相場として算出される。金は、当該月の最終営業
日におけるロンドン金市場の午後３時時点の価格決定と同等の豪ドルで評価されている。
出所：オーストラリア準備銀行報告
為替レート
2019 ／ 20 年度中、１豪ドルは 2018 ／ 19 年度の平均0.7153米ドルから6.1％減価して平均0.6714米ドルであった。日
本円に対する１豪ドルは、平均79.48円であった 2018 ／ 19 年度から8.6％減価し、 2019 ／ 20 年度は平均72.60円であっ
た。
貿易加重条件下においては、豪ドルは 2019 ／ 20 年度には約4.4％減価し、事業年度末の貿易加重指数は前年度の
61.39から58.671となった。
(5) 国家財政
連邦政府の会計年度は、毎年６月30日に終了し、同日をもって年度予算から支出を行う権限はすべて終了する。議
会により承認済の歳出を除き、いかなる目的のために支出をすることも違法となる。財務大臣は各予算案の一環とし
て年間歳出決議案を提出する。こうした歳出を支える歳入は、課税及び借入によって増額している。近年では、政府
保有資産の売却による資金調達も行われている。
次の表は、 2018 ／ 19 年度及び 2019 ／ 20 年度の２会計年度の主に課税によって増額した連邦一般政府部門の予算総額
の概要を示すものである。
(a)
一般政府部門予算総額
（単位：十億豪ドル）
2018／19年度 2019／20年度
収益
495.8 469.4
費用 487.3 549.6
純営業残高 8.5 -92.3
純資本投資 6.5 4.0
財政バランス 2.0 -96.3
原現金残高 -4.2 -85.3
大枠現金残高 -12.7 -93.9
(a) すべての見通しは政府の財政統計の基準をベースとしている。ただし、ＧＳＴについて、州及び特別地域に代
わって徴収されたかかる収益は、収益及び費用を差し引いている。
出所： 2 020 ／ 21 年度の連邦予算報告書第１号
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