オレンジ 有価証券報告書
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オレンジ(E05839)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2020年6月30日
【事業年度】 自 2019年1月1日 至 2019年12月31日
【会社名】 オレンジ
(Orange)
【代表者の役職氏名】 最高経営責任者代行 ラモン・フェルナンデス
(Chief Executive Officer Delegate, Ramon Fernandez)
【本店の所在の場所】 フランス共和国 75015 パリ、オリヴィエ・ドゥ・セール78
(78 rue Olivier de Serres, 75015 Paris, France)
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 濃 川 耕 平
【代理人の住所又は所在地】 東京都千代田区大手町一丁目1番2号 大手門タワー
西村あさひ法律事務所
【電話番号】 03-6250-6200
【事務連絡者氏名】 弁護士 上 里 一 海
弁護士 樫 野 平
弁護士 大 西 絢 子
弁護士 村 上 樹 生
【連絡場所】 東京都千代田区大手町一丁目1番2号 大手門タワー
西村あさひ法律事務所
【電話番号】 03-6250-6200
【縦覧に供する場所】 該当事項なし
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注1 本報告書において、別異に記載された場合及び文脈上別異に解釈される場合を除き、下記の用語は下記
の意味を有するものとする。
「オレンジSA」又は「当社」 子会社を含まない親会社のオレンジ
「オレンジ」又は「当グループ」 親会社のオレンジ及びその連結子会社
「EU」 欧州連合
「当社株式」 1株当たり額面4ユーロの当社普通株式
「フランス」又は「フランス政府」 フランス共和国
注2 本報告書に記載の「ユーロ」は欧州連合に属する諸国の単一通貨を、「円」は日本国の通貨をそれぞれ
指すものとする。本報告書において便宜上記載されているユーロから日本円への換算は、1ユーロ=
114.71円(2020年5月7日現在の株式会社三菱UFJ銀行公表による対顧客電信売・買相場の仲値)により、
計算されている。
注3 本報告書中の表で計数が四捨五入されている場合、提示されている合計は表示された計数の総和と必ず
しも一致しない。
注4 本報告書には、第一部、第2「3 事業の内容」「3.1 世界のデジタル・サービス市場」、「3.2 オ
レンジのグループ戦略」及び「3.3 営業活動」、第3「3 経営者による財政状態、経営成績及び
キャッシュ・フローの状況の分析」(特に「1.1 概要」)並びに第3「1 経営方針、経営環境及び対
処すべき課題等」「見通し」における記述をはじめとする、将来予測に関する記述が含まれている。
オレンジは、これらの記述が合理的な前提に基づいているものであると信ずるが、将来予測に関する記
述は、様々なリスクと不確実性によって左右される。また予測される事態が発生するか否か、設定され
た目標が実際に達成されるか否かといったことについては、確約することはできない。
オレンジの実際の業績を設定された目標とは大幅に異なる結果とさせる可能性がある重大要素は、第一
部、第3「2 事業等のリスク」に記載されている。法律上、特にフランス金融市場庁(Autorité des
Marchés Financiers)(AMF)の一般規則第223-1条以下に基づき必要とされる場合を除き、オレンジは、
将来予測に関する記述を更新する義務を負わない。
注5 ウェブサイトへの参照記載は、追加情報が取得できる範囲を示すだけのために含まれている。いかなる
ウェブサイトに記載された情報も、本報告書に組み込まれているものではない。
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第一部【企業情報】
第1【本国における法制等の概要】
1【会社制度等の概要】
(1)【提出会社の属する国・州等における会社制度】
当社は株式会社( société anonyme (S.A.))であり、これは、ストック・コーポレーション又は公開有限責任会社
と同種の法人である。
当社に適用がある法的枠組みは、主としてフランス商法第2編に規定がある。また、当社は1990年7月2日のフラ
ンス法第90-568号(1996年7月26日の法第96-660号及び2003年12月31日の法第2003-1365号により改正)の規定に
服する。後者の改正は、特に、フランス政府による民間投資家への持分の譲渡を認める規定を含んでいた。
以下は、当社を含む株式会社に適用されるフランス商法の主要規定の概略である。
株式会社の公募による設立には定款を作成して、創立総会の承認を受けなければならない。定款は株式会社が
登録されることになる商事裁判所書記官室に提出される必要がある。
定款は株式会社の準拠する根本規則を定めた文書である。定款には特に株式会社の商号、存続期間、登録事務
所の所在地、目的、資本金の額、授権株数及び株式の譲渡性につき制限があればかかる制限を定めることを要
する。
a) 資 本 金
株式会社の最低資本金は37,000ユーロである。株式について異なる種類を設けることができ、また、会社は無
議決権株式と優先株式を発行することができる。
株式の所有は、会社の株主名簿への登録(記名株式の場合)によって又は金融仲介業者の実質株主の個々の口座
への記帳(無記名株式の場合)によって表章される。フランス国外で流通する株式は、ユーロクリア・フランス
が発行する株券により表章される。かかる株券はフランス国外に限り、有効である。
株式を譲渡するためには、株主は場合に応じて会社又は金融仲介業者に対して譲渡指図を行わなければならな
い。定款中に引受権に関する規定を置くか株主間契約によるかいずれかによらない限り、既存株主間の株式の
譲渡に制限を加えることはできない。
株主総会の承認により、会社は、最大10%の自己株式を取得することができる。株主総会は、以下のような株
式買戻制度の条件及び目的を定めなければならない。すなわち、(a)会社の資本を減少させる場合、(b)利益分
配プラン又は株式オプション制度に基づき従業員に対して交付する株式を供給する場合、又は(c)金融サービス
提供者との間で締結された流動性契約を通して株式の流動性を確保する場合である。
フランス商法は次のような株式の会社間の相互保有を禁止している。すなわち、もしある会社が他の会社の株
式を10%以上直接所有している場合、当該他の会社は前者の会社の株式を所有することができない。さらに、
会社がその子会社又はその支配する会社を通じて間接的に自己株式の処分権限を有する場合、それらの株式に
ついて議決権行使は認められない。
株主の責任は所有株式の額面金額を限度とする。
b) 株式資本の増減
会社の株式資本は、金銭若しくは現物出資により、又は留保利益の資本組入れにより、臨時株主総会の決議を
もって増加することができる。臨時株主総会はまた、一定の期間と金額の範囲内で取締役会に対し株式資本を
増加する権限を授権できる。株主はその資本出資を増加させる義務を負うものではない。
株式資本を減少させるためには、株式を消却するか又は額面金額を引き下げることを決議する臨時株主総会を
開催することを要する。
c) 株式転換可能な証券の発行
取締役会は臨時株主総会の授権により、その所持人が転換、交換、償還、ワラントの呈示又はその他の方法で
会社の株式資本の一部を表章する既発行又は新規発行の証券をいつでも又は特定の日に取得することのできる
証券を発行することができる。
d) 経 営
フランス商法は有限責任会社の株主に企業の統治について2種類の選択肢を認めている。
・ 単一の機関(取締役会)による統治。但し、最高経営責任者の地位には、取締役会会長又は取締役でない者
のいずれも就くことができる。
・ 監査役会及び執行役会(又は執行委員会)からなる二層制機構による統治。
オレンジは、取締役会及び最高経営責任者を設置する。
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(a) 取締役会
株式会社の取締役会は、通常3人以上18人以内の取締役からなる。
加えて、公開株式会社の資本のガバナンス及び取引に関連する2014年8月20日付のフランス政府命令No.2014-
948に従い、取締役会は、フランス政府の会社に対する直接又は間接の株式保有の割合に応じて、フランス政府
により任命された取締役も含まなければならない(従業員により選任された取締役は、かかる計算の上では取締
役の総数に含まれない。)。かかる規則に従い、公共部門は、取締役会における3人の代表(政令により任命され
る1人の代表及びフランス政府により提案された株主総会により任命される2人の取締役)を引き続き有する。
取締役はフランス人若しくは外国人又は法人でもよいが、法人の場合はその常任代表者として自然人を指定し
なければならない。
取締役は、最長任期6年で株主総会において選任される。取締役は株主により事前の通知、理由の開示又は補償
なしに解任されうる。
従業員により選任された取締役は他の取締役と同一の権能及び権限を有するものとする。かかる取締役は最長
任期を6年間として選任されるものとし、任務の懈怠が立証された場合において、裁判所の命令によってのみ解
任される。
会社が取締役に金銭を貸し付けることは厳しく禁止されている。また、いかなる会社も取締役のために当座貸
越をしてはならず、また債務を保証してはならない。この規制は役員、会社の常任取締役、またその配偶者及
び相続人並びに仲介人にも適用される。
会社とその取締役の1人との間のいかなる契約も、その締結前に、取締役会により承認されなければならず、か
かる議題について当該取締役は投票できない。フランス法はさらに、かかる契約の締結直後、会社の監査役か
らの特別報告の提出があったときは、かかる契約を定時総会に承認のために提出することを要求している。
取締役会は会社の事業戦略を策定し、かかる戦略の実行を監視する。取締役会は会社を経営する全権限を有
し、かかる権限は会社の目的及び株主総会に法律上認められた権限による制約を受ける。決議は出席取締役の
多数決により承認される。可否同数の場合は定款に別段の定めがない限り会長が決定権を有する。定足数は取
締役の総数の半数である。
取締役会会長は、取締役会を代表し、その手続の取りまとめと進行を行い、その手続を株主総会に報告する。
(b) 最高経営責任者(CEO)
会社の総括経営は、取締役会会長(その場合は、取締役会会長兼最高経営責任者の役職にある。)又は取締役会
が指名し最高経営責任者の役職にある他の者により執行される。取締役会は、総括経営の執行について、これ
ら2つの方法のうちいずれにするかを決定する。
最高経営責任者は第三者との関係で会社を代表し、経営管理について責任を負う。最高経営責任者は、会社の
目的による制限並びに株主総会及び取締役会に法律上認められた権限に服しながら、会社の名前において行為
する広汎な権限を有する。最高経営責任者の提案により取締役会は1人又は複数(5人を上限とする。)の最高経
営責任者代行を任命することができる。
e) 株式に付帯する権利
(a) 株主総会
株主は総会を通じて会社に対する支配権を行使する。総会には定時株主総会及び臨時株主総会の2種類がある。
定時株主総会
定時株主総会は、定款変更以外の一切の決議を行うために招集される会議である。定時株主総会は、少なくと
も年に1回、各事業年度末から6ヶ月以内に(又は延期の場合、裁判所命令により定められた期間内に)、かかる
事業年度の年次連結財務書類を承認するために招集される。第1回招集においては、会議は、議決権を有する株
式の少なくとも5分の1に係る株主が出席している、委任状により代理されている又は郵送により投票している
場合のみ、有効に審議することができる。第2回招集においては、 定足数 の要件はない。決議は、出席株主、委
任状により代理された株主又は郵送により投票した株主が有する票の過半数によりなされる。
臨時株主総会
臨時株主総会のみが、定款の一切の規定を変更する権限を有する。準備金、利益又は資本剰余金からの増資に
適用される法的規定に従って、臨時株主総会の決議は、第1回招集においては、議決権を有する全株式の少なく
とも4分の1(第2回招集においては5分の1)に係る株主が出席している、委任状により代理されている又は郵送に
より投票している場合のみ有効である。第2回招集の場合の 定足数 に達しなかった場合、第2回会議は、招集さ
れた日から2ヶ月以内の日に延期されうる。同様の条件の下で、第2回会議では、出席株主、委任状により代理
された株主又は郵送により投票した株主の3分の2の多数により決議が行われる。
定款により複数の種類株式が定められている場合は、臨時株主総会の承認がなければ複数の種類株式の権利内
容に変更を加えることができない。さらに関係する種類の株式の株主の種類株主総会により当該決議が承認さ
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れなければならない。株主の全員一致の承認がなければ株主総会において既存株主の経済的責任を加重するこ
とはできない。
(b) 議 決 権
一般に株式の議決権の数は、保有する株式の発行済株式に対する割合に比例しなければならない。1株は少なく
とも1個の議決権を有する。但し、実体経済の回復を狙った2014年3月29日法(フロランジュ法)は、少なくとも2
年間同一の保有者により記名の形で登録されている全ての株式について、2016年4月3日から2倍の議決権を付与
する。これは、かかる法律の効力が発生した後に、定款が修正され、この適用から外れた場合を除く。
直接又は間接的に保有する上場会社の株式又は議決権の全株式又は議決権総数に占める割合が5%、10%、
20%、3分の1、50%及び3分の2を上回り又は下回ることとなる株主又は共同して行為する株主グループは、会
社及び Autorité des Marchés Financiers (AMF)にその旨(保有株式総数、保有議決権数及び将来において株式の
割当を受ける権利を有する転換社債等の数)を通知しなければならない。また、10%、15%、20%又は25%超を
保有する場合には、AMF及び会社に対して、今後6ヶ月間の保有意図の申告がなされることを必要とする。かか
る通知を怠った場合、正規な通知が行われた後2年間は、当該水準を超える株式について議決権を行使できな
い。かかる通知義務に違反した場合、会社の会長、株主又はAMFの請求により、商事裁判所は当該株主の全部又
は一部の議決権を最長5年間停止することができ、刑事罰及び罰金を課す場合もある。
上場会社の株主間契約で、株主譲渡について優先的取り決めがあるものはAMFに開示されなければならない。
AMFの規制上、一定の場合においてAMFが認めた免除が得られるときを除き、(i)発行済株式又は議決権の3分の1
を上回る株式を取得しようとする者及び(ii)すでに発行済株式又は議決権の3分の1以上2分の1以下を保有する
者であって、1年以内に会社に対する持分を発行済株式又は議決権の2%以上増加した者は、会社の残りの株式
を取得することを目的として、公開買付を行わなければならない。
(c) 配 当
配当及び利益処分は株主により承認されなければならない。それらは利益を上回ることはできない。さらに、
各年、純利益の最低5%を、法定準備金の残高が資本金の名目額の10%に達するまで、同準備金に組入れること
を要する。定款により第1回の配当を決めることができる。株式会社は中間配当を支払うこともできる
(「(2) 提出会社の定款等に規定する制度」を参照のこと。)。取締役会が、中間配当の支払い、その金額及
び支払日について決定する。
(d) 清 算
会社の清算の場合は、全負債及び清算費用支払い後の残余金は株主の間でそれぞれの持分に応じて分配され
る。
(2)【提出会社の定款等に規定する制度】
当社の登記事項及び登録番号は第2「2 沿革」を参照のこと。
以下の情報は、当社の株式資本に関する重要な情報の要約と、適用あるフランス法及び当社定款の重要な規定
である。
a) 事業目的
フランス国内及び国外における当社の事業の目的は、特にフランス郵便及び電気通信法に準拠しており、以下
の通りである。
・ フランス国内外においてあらゆる電気通信サービスを提供すること。
・ 公共サービスに関連する業務、中でも、必要に応じて、ユニバーサル電気通信サービス及び義務的サービ
スを提供すること。
・ 上記サービスを提供するために必要なあらゆる公共電気通信ネットワークを構築、開発、運営し、またこ
れらネットワークとフランス国内外における他の公共ネットワークとの相互接続を確保すること。
・ その他一切のサービス、設備、端末機器、電気通信ネットワークを提供し、音響映像サービス、特にラジ
オ、テレビ及びマルチメディア放送サービスの配給のための全てのネットワークを構築し、運営するこ
と。
・ 全ての不動産及び事業資産を創設、取得、賃借又は運営すること、上記事業目的に関係のある全ての建造
物、事業資産、工場、作業所を賃借し、設置し、運営すること。
・ 上記事業目的に関連する全てのプロセス及び特許を取得、購入、運営又は譲渡すること。
・ 上記事業目的に関連しうる全ての取引につき、新会社の設立、出資、証券若しくは法人に対する権利の引
受又は購入、利益参加、合併、提携その他の手段を通じて直接的又は間接的に参加すること。
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・ より一般的に、上記事業目的若しくはこれに類似若しくは関連する目的又は当社の事業拡大に資すると考
えられる全ての目的に直接的、間接的あるいは全体的、部分的の如何を問わずに関連する全ての同業者間
取引、商取引及び金融取引、又は動産若しくは不動産関連の取引に参加すること。
b) 経営及び管理機関に関する規定
(a) 取締役会
第5「 3 コーポレート・ガバナンスの状況等」「(2) 役員の状況」を参照のこと。
定款第13条の規定により、取締役会は最少で12人、最多で22人により構成される。
2008年5月27日の株主総会により変更された定款に従い、各新取締役は4年の任期で任命される。
取締役の選任については、「(1) 提出会社の属する国・州等における会社制度」「d) 経営」「(a)取締役
会」を参照のこと。
(b) 取締役会会長
取締役会内規の第1条は、会長の役割及び義務を規定している。
会長は取締役会を代表しており、異常事態を除き、取締役会の名の下に行動及び発言する権限を持っている唯
一の人物である。会長は、取締役会の仕事を整理及び操縦し、良好な統治の原則に沿って法人の効率的な経営
を確保する。会長は経営統括と協力し、取締役会と当社の株主との間の連絡窓口としての機能を果たし、当社
の財務情報の質を監視する。取締役会会長と最高経営責任者の役割が分割されている場合、会長は、経営統括
と密接に協力し、公的機関、当グループの主要な提携先、及びその主要な顧客とのフランス内外における上位
関係において、当社を代表することも可能である。この場合、会長は、最高経営責任者により当グループの事
業に関連する重要な出来事及び状況を定期的に伝えられ、取締役会及びその委員会に提供する必要のある情報
を最高経営責任者に要求することもできる。会長は、取締役会及び監査委員会の仕事の準備をするために、法
定監査人と会うこともできる。会長は、内規において規定された条件に基づき、取締役会の委員会の会合に出
席することができる。
1990年7月2日のフランス法第90-568号の第29-1条及び第29-2条により、取締役会会長は、当社が雇用する公務
員を指名し管理する権限も有する。
当社の定款に従い、取締役会会長は70歳までその地位を占めることができる。
(c) 統括管理
会長兼最高経営責任者は、当社の名において行為する広範な権限を付与されている。会長兼最高経営責任者
は、その権限を、当社の目的の制限の範囲内で、かつ法律及び取締役会内規が明示的に後者に留保する制限に
従って、行使する。会長兼最高経営責任者は、かかる業務について、最高経営責任者代行ら及び経営委員会の
助力を受けている。
取締役会内規の第2条は、当社が以下を行う前に、会長兼最高経営責任者は取締役会の事前の承認を取得しなけ
ればならないと定めている。
・ 連結範囲内の1取引当たり200百万ユーロを超える投資又は投資の引き揚げで、かつ合計連結エクスポー
ジャー額が、当該投資に係る取締役会の事前の承認を超えるもの。
・ 当グループの主な領域(FTTH、 5G 等)における主要な複数年度の技術プログラムに基づく、新規の投資(通信
スペクトルの取得を除く。)で、1年当たりの平均額が、かかる年度中に予算が計上された当グループの投
資の2.5%を超えるもの。
これに加えて、連結収益の10%以上にあたる領域における、当グループによる通信スペクトルの取得は、取締
役会に対する事前の提示の対象とされなければならない(後者が、最大入札価格を定める。)。
投資又は投資の引き揚げは、場合によっては、かかる子会社の統治組織による独立した検査の対象にとどま
る。
さらに、当社の戦略の範囲外に当たり、かつ20百万ユーロを超える取引に係る投資又は投資の引き揚げは、ま
ず最初に取締役会の承認を得なければならない。かかる場合、取締役会は、当該取引に関する重要な新たな展
開の情報を提供されていなければならない。
最高経営責任者はまた、取締役会により決定された上限内で、当社が社債若しくは同等の有価証券を発行し、
又はシンジケート・バンク・ファシリティを手配することを可能とする、取締役会からの年次の承認を取得し
なければならない。
経営委員会は、会長兼最高経営責任者の権限の下で、当グループの運営及びその戦略の実施の調整に責任を負
う。経営委員会は、事業上、労働関係及び技術的目標並びに財務資源の分配に関する目標の達成を監視する。
経営委員会の会議は通常毎週開催される。経営委員会の構成は、第5「 3 コーポレート・ガバナンスの状況
等」「(2) 役員の状況」「 (iii) 経営委員会(Executive Committee)」に記載されている。
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Stéphane Richard氏は、経営委員会の各委員に、一連の権限及び署名権を委任した。各委員は、各自の責任の
範囲内においてそれらを適用する。
c) 各種類の既存株式に付帯する権利、優先権及び制限
オレンジは、普通株式のみを発行している。各株式は、その株式に係る資本の額に応じて、保有者に企業の収
益及び資産の一部分の権利を付与する。さらに、各株式は、法及び定款の規定に従い、保有者に投票する権利
及び株主総会において代表される権利を付与する。1株の株式の保有は、法律上、定款及び株主総会決議の遵守
を当然に伴う。
定款には、株主に対して2倍又はそれ以上の議決権を定める規定はない。しかし、法律の規定に従い、登録株式
の形で少なくとも2年間同一の保有者により保有された全ての株式について、2倍の議決権が付与される。
株主は、当社の資本への出資の限度内における損失にのみ責任を負う。
配当の支払い
株主総会で承認をうけた配当金支払いの条件は、株主総会、又は当該総会に代わって取締役会が決定する。し
かし、現金配当は、裁判所の延長命令がない限り、事業年度終了後最長9ヶ月以内に支払われなければならな
い。定時株主総会は、法的要件を条件として、各株主に支払配当金の全て又は一部について、現金又は株式で
の配当支払いを選択する権利を付与することができる。
事業年度中又は事業年度末に作成され、かつ法定監査人に監査された貸借対照表が、当社が前事業年度の終了
時以後に必要な減価償却、償却及び引当金の認識後、並びに、繰越損失(もしあれば)及び留保利益を含む法律
又は定款により要求される準備金への割当金の合計額の控除後、利益を得たと示す場合、当該事業年度の財務
書類の承認前に中間配当を支払うことができる。かかる中間配当の金額は、かかる方法で決定された利益の金
額を超えることができない。
支払期日から5年後以内に請求されなかった配当は、失効したものとみなされ、フランス国家に帰属する。
株式の売却及び移転
株式は、適用のある法及び規制の規定に従って、自由に譲渡できる。株式は、株式口座に登録され、口座から
口座への振替指図によって移転される。
d) 株主の権利を修正するために必要な措置
株主の権利は、法により認められているように修正されうる。臨時株主総会のみが、定款の一切の規定を変更
する権限を有する。但し、臨時株主総会は、株式併合から生じた適切に執行された処置の場合を除き、株主の
責任を加重することはできない。
e) 株主総会への参加及び株主総会の招集に関する規則
上記「(1) 提出会社の属する国・州等における会社制度」「e) 株式に付帯する権利」を参照のこと。
株主総会へのアクセス及び参加並びに株主総会における投票権
株主総会は、会議の2営業日前の真夜中(パリ時間)までに、株主(又は株主がフランス居住者でない場合、株主
の口座を有する仲介業者)の名前で口座に株式が登録され、これにより株主総会への出席権が確立された、払込
済の株式に係る全ての株主により構成される。
株式は、当社により維持される口座に株主自身の名前で、又は権限のある仲介業者により維持される無記名株
式口座に、前段落に規定された期限までに登録されていなければならない。
取締役会は、必要と判断した場合、株主に対して株主総会出席票を交付し、会議の際に出席票を提示すること
を要求することができる。
テレビ会議又は法及び規制の条件に従った個人を特定できるその他の通信手段を通して参加する株主は、株主
総会の 定足数 及び過半数の計算において、出席したものとみなされる。取締役会は、法的及び規制上の要件に
従い、特に、個人特定の手段の有効性を確認して、株主総会においてかかる株主の参加及び票をまとめる。
いかなる株主も、法及び規制の要件に従い、会議に出席せず投票し、又は、株主の選択する他の自然人若しく
は法人に代理権を付与することができる。株主は、法及び規制の要件に従い、投票用紙又は委任状を、紙媒体
で又は電磁的な通信手段を通して、株主総会前日の午後3時(パリ時間)までに送付することができる。伝達方法
は、会議通知及び参加通知において、取締役会により規定される。
本節で規定された期限までに、当社によって株主に提供された用紙によって票を送付した株主は、会議に出席
した又は会議において代理されたものとみなされる。
票又は委任状を送付するための用紙並びに出席証明書は、適用のある法及び規制によって規定された条件の下
で、電磁的方式で適切に署名することにより、記載することができる。このために、会議の主催者により開設
されたインターネット・サイトにおいて、直接、証明書の電子署名の記録をすることができる。
フランス居住者でない株主は、法的要件に従って株主総会に参加することができる登録仲介業者により、株主
総会において代表されることができる。
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株主総会の通知
株主総会は、取締役会により、又は、取締役会がこれを行わない場合、法定監査人若しくはこのために権限を
与えられた者により招集される。会議は、本店又は招集通知に記載されたその他の場所において開催される。
法により規定された例外はあるが、通知は、株主総会の少なくとも15日前になされなければならない。株主総
会が必要な 定足数 の不足により審議できない場合、第2回会議及び、適用される場合は、第2回延会が、最初の
通知において使用された方法と同様の方法で、会議の少なくとも10日前までに招集されなければならない。
フランス非居住者の代理
フランスの非居住者である株主は、当該株主の代理人として登録名義人となっている仲介業者を株主総会にお
ける代理人とすることができる。但し、当該仲介業者は以下の要件を満たしていることを条件とする。
・ 共同口座又は複数の専有口座の形態による当該仲介業者の登録を、オレンジの適格口座運営機関に対して
行っていること。
・ 適格口座運営機関において1又は複数の口座を開設する際に、法の定める条件に従い、他人の代理として株
式を保有する仲介業者であることを宣言していること。
・ 議決権行使の対象となるフランス非居住者の身元情報を、オレンジ又は適格口座運営団体の要請により開
示することを表明していること。
上記要件をみたす仲介業者は議決権を行使することができ又は一般委任状を受領している株式につき委任状を
送付することができる。但し、仲介業者が登録されていない場合又は議決権行使若しくは委任状の対象となる
フランス非居住者の身元情報が開示されていない場合は、かかる議決権行使若しくは委任状は有効とされな
い。
フランス非居住者による当社株式の保有
フランス商法上、フランス非居住者又はフランス国外の株主がフランス法人の証券を保有し又は議決権を行使
することに対する制限はない。
フランス通貨金融法に基づき、EUの居住者以外の者がフランス法人の支配権を取得するときは事前の承認は不
要である(但し、防衛及び公衆衛生上等の注意を払うべき一定の経済分野への投資は例外である。)。但し、フ
ランス非居住者は、フランス法人の資本又は議決権の33 1/3%以上(取得した者の意図、取得した者の取締役を
選任する権限、取得した者へのかかる法人の経済的な依存度等の一定の要因を考慮して、支配権を構成する場
合は、これより低い割合)を取得するときは、これに関する行政届出をフランス当局に対して行わなければなら
ない。上記は、全ての株主に適用される株式保有の開示及びその他の事項に関する、フランスの様々な法律上
及び規制上の要件(及び当社の定款の定め)に追加されて適用されるものである。
f) 法定監査人
当社の計算書類は法令に従って選任され、職務を遂行する2人の法定監査人により監査される。
法定監査人の拒否、妨害、辞任、死亡の場合に代替する2人の副法定監査人を置いている。
g) 年次計算書類及び連結計算書類
取締役会は当社の活動に関する正しい帳簿書類を作成し、法令及び取引に関する標準的慣行に従い年次計算書
類及び連結計算書類を作成する。
2【外国為替管理制度】
現在のフランス為替管理規制の下では、オレンジがフランス非居住者に対して送金することができる支払額の
制限はない。但し、外国為替管理に関する法律及び規制は、フランス居住者が非居住者に対して行う全ての資
金の支払い又は移転(配当支払い等)が、権限のある仲介機関により取り扱われることを要求している。フラン
スでは、全ての登録銀行及び実質的に全ての金融機関が、公認仲介機関である。
3【課税上の取扱い】
以下は、フランスの非居住者で、かつフランス内で行う営業に関連して当社株式を保有していない者である当
社株式の所持人による当社株式の保有及び処分に関する重要なフランス税法の取扱いの一般的要約である。か
かる要約は本報告書提出日現在効力を有する法律に基づいており、今後の適用あるフランス税法又は二重課税
防止に係る租税条約の変更に服する。
以下の記述は、概要を示すのみのものであり、当社株式の購入又は保有に関する全ての税法上の効果を完全に
分析又は列記したものではない。
当社株式の購入を予定している投資家は、当社株式の保有と処分に関する税法上の取扱いについては、自らの
税務顧問に相談されたい。
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3.1 配当に対する課税
フランスの国内法上、フランスの会社は、通常 28%の源泉徴収税(2020年の適用レート。このレートは2021年に
26.5%、2022年以降は25%に引き下げられる。) を非居住者に対して支払われる配当(会社が配当可能準備金を
有する場合、株式資本剰余金からの分配を含む。)から控除しなければならない。但し、株主が非協力国又は領
域としてリストに記載された管轄に設立され又は居住している場合は、フランスの会社により支払われる配当
に、75%のより高い源泉徴収税率が適用される。さらに、株主の税務上の居住地にかかわらず、非協力国又は
領域に所在する金融機関に開設された銀行口座に配当金が支払われる場合、75%の源泉徴収税が適用される(適
用可能な二重課税防止に係る租税条約のより有利な規定の対象となる。)。
一定の非居住者は、1995年3月3日付の「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日
本国政府とフランス共和国政府との間の条約」及びこれを改正する2007年1月11日付の「所得に対する租税に関
する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約を改正する議定
書」(以下、併せて「日仏租税条約」という。)に基づき、配当に対する軽減税率の適用を受ける。
すなわち、日仏租税条約の規定によって定義された、日本に居住する、法によって認められた受益者は、配当
支払日までに所定の会計手続をとることにより、当社から支払われる配当に適用される源泉徴収税の限度税率
が最大10%に軽減される。
3.2 資本利得税
フランスの国内法上、フランスの居住者ではない株主(非協力国又は領域の居住者を除く。)は、直前5年間のい
ずれかの時点において当社に対する配当受領権の25%以上を単独で又は共同で有していた(間接的な保有を含
む。)場合を除き、一般に当社株式の処分によって生じた資本利得についてフランスの租税を課せられない。
株式保有割合にかかわらず、株主が非協力国又は領域において設立され又は居住する場合、当社株式の譲渡か
ら発生した資本利得は、75%の源泉徴収税率の対象となる。
さらに、日仏租税条約のもとでは、以下が成り立つ。
・ 日仏租税条約の規定により定義された日本国の居住者である株主は、調査中の課税期間の間のいずれかの
時点において、関係者と共同して、25%以上の当社の株式資本を有し、かつ、当該株主がかかる期間の間
に当社の資本の5%以上に相当する数の当社株式を処分した場合、当社株式の譲渡から得られた資本利得に
ついて、フランスの租税を課せられる可能性がある。
・ 同条約の規定により定義された日本国の居住者である株主は、当社株式の譲渡から得られた資本利得につ
いて、譲渡された株式が、フランスにおいて当該株主が有する恒久的施設に属する事業資産の一部を構成
するものである場合、フランスの租税を課せられる可能性がある。
3.3 贈与税及び相続税
贈 与 税
贈与は、基本的に相続の場合と同様の税制に服する(下記参照のこと。)。
相 続 税
フランス非居住者からフランス法人の株式を相続により取得した者に対しては、フランスの相続税( droits de
succession )が課せられる。相続税は、場合によっては贈与の受益者によって支払われる。
フランスは、遺産及び贈与に係る課税についていくつかの条約を結んでおり、かかる条約によれば締約国の居
住者は一定の要件を充足することにより課税の免除又は税額控除を受けることができるが、日本との間にかか
る条約は存在しない。
3.4 不動産資産税
Impôt sur la fortune immobilière として知られるフランスの不動産資産税は、 impôt de solidarité sur la
fortune として知られるフランスの資産税に代わり、その効力は2018年1月1日に発生した。
より有利な租税条約がなければ、フランスの不動産資産税は、フランスの課税上、フランスの居住者でなく、
当社株式資本の10%未満を(直接又は間接に)所有する個人投資家の当社株式には適用されない。
3.5 金融取引税及び株式譲渡に係る登録税
フランス一般税法第235条 ter ZDに従い、一定の有価証券の購入は、0.3%のフランスの金融取引税の対象であ
る。但し、発行者の時価総額が、課税年度の前年の12月1日時点で10億ユーロを超えていることを条件とする。
時価総額が 2019年 12月1日時点で10億ユーロを超えている会社のリストは、 2019年12月18日 に、フランス税務当
局のオフィシャル・ガイドラインにおいて公表されており、オレンジは、 2019年 12月1日時点で時価総額が10億
ユーロを超えていた会社として当該リストに含まれている。したがって、オレンジの株式の購入は、かかる税
金の対象である。
3.6 日本における課税
第8「2 実質株主に対する株式事務」「(8) 本邦における配当等に関する課税上の取扱い」を参照のこと。
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4【法律意見】
オレンジのグループ・ジェネラル・カウンセルであるCédric Testut氏により、下記の趣旨の法律意見書が提出
されている。
(1) 当社は、フランス法に基づき株式会社(société anonyme)として適法に設立され、有効に存続しており、本
報告書に記載の通り事業を遂行し、財産を所有する完全な権限と能力を有する。
(2) 同氏の知悉する限りにおいて、本報告書に記載されているフランス共和国の法律に関する記述は、全ての
重要な点につき真実かつ正確である。
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第2【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
(1) 最近5連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移
連結損益計算書に関する指標
国際財務報告基準に基づく数値
(単位:百万ユーロ。但し、1株当たりのデータはユーロ単位であ
る。) 2019年 2018年 2017年 2016年 2015年
収益 42,238 41,381 40,859 40,708 40,236
営業利益 5,927 4,829 4,778 3,917 4,742
金融費用(純額) (1,254) (1,362) (1,715) (2,097) (1,583)
継続事業による当期純利益 3,226 2,158 2,011 869 2,510
非継続事業による(1株当たり)当期純利益 - 0 29 2,253 448
(親会社の株主に帰属する)当期純利益 3,006 1,954 1,843 2,813 2,652
親会社の株主に帰属する1株当たり利益
継続事業による当期純利益
基本的(1) 1.03 0.63 0.58 0.10 0.72
希薄化後(1) 1.02 0.62 0.58 0.10 0.72
非継続事業による(1株当たり)当期純利益
基本的(1) - 0.00 0.01 0.85 0.17
希薄化後(1) - 0.00 0.01 0.85 0.17
当期純利益
基本的(1) 1.03 0.63 0.59 0.95 0.89
希薄化後(1) 1.02 0.62 0.59 0.95 0.89
(1) 比較可能ベースの1株当たり利益。
連結財政状態計算書に関する指標
国際財務報告基準に基づく数値
2019年 2018年 2017年 2016年 2015年
(単位:百万ユーロ)
無形資産(1) 42,381 41,247 41,250 41,581 41,398
有形固定資産(純額) 28,423 27,693 26,665 25,912 25,123
資産合計 106,303 96,592 95,349 95,411 91,430
正味金融債務(2) 25,466 25,441 23,843 24,444 26,552
親会社の株主に帰属する資本 31,727 30,669 30,975 31,241 30,907
(1) のれん及びその他の無形資産を含む。
(2) 正味金融債務の構成要素は、連結財務書類に対する注記12.3に記載されている。
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連結キャッシュ・フロー計算書に関する指標
国際財務報告基準に基づく数値
2019年 2018年 2017年 2016年 2015年
(単位:百万ユーロ)
営業活動により生じたキャッシュ純額 10,159 9,506 10,174 8,750 9,527
投資活動に使用したキャッシュ純額 (9,370) (8,552) (7,941) (4,879) (9,406)
有形固定資産及び無形資産の購入 (8,422) (7,642) (7,527) (8,492) (7,771)
財務活動に使用したキャッシュ純額 55 (1,131) (2,738) (1,883) (3,924)
現金及び現金同等物 - 期末残高 6,481 5,634 5,810 6,355 4,469
事業データ
2019年 2018年 2017年 2016年 2015年
固定電話回線数(百万)(1) 37.8 40.2 41.7 42.7 43.5
移動体通信顧客数(百万)(1)(2) 207.2 203.6 202.3 190.6 201.2
ブロードバンド(主にADSL) 20.7 20.1 19.4 18.5 18.1
顧客数(百万)(1)
従業員数(期末全従業員) 146,768 150,711 151,556 155,202 156,191
(1) 2018年1月1日以降の顧客基盤は、完全連結事業体の顧客のみに対応している。以前はこれらの事業体における当グループの持分に応
じて認識されていた関連会社及びジョイント・ベンチャーの顧客(チュニジア、モーリシャス、イラク及び赤道ギニア)は、考慮され
ていない。結果として、2017年及び2016年のデータは調整されている。2015年のデータは調整されていない。
(2) 仮想移動体通信事業者(MVNO)の顧客を除く。2018年1月1日以降の全ての国における移動体通信サービスの顧客基盤の認識は、当グ
ループの定義に一致している(もはや、現地の定義とは一致していない。)。結果として、2017年及び2016年のデータは調整されてい
る。この調整は、モロッコ、コートジボワール、ヨルダン及びカメルーンに影響を与えている。2015年のデータは調整されていな
い。
(2) 最近5事業年度に係る主要な経営指標等の推移(単体のデータ)
項目名 2019年12月31日 2018年12月31日 2017年12月31日 2016年12月31日 2015年12月31日
期末株式資本
株式資本(単位:ユーロ) 10,640,226,396 10,640,226,396 10,640,226,396 10,640,226,396 10,595,541,532
発行済普通株式数(単位:株) 2,660,056,599 2,660,056,599 2,660,056,599 2,660,056,599 2,648,885,383
当期の事業及び業績
(単位:百万ユーロ)
-ルール:収益/(費用)
売上税引前収益 22,790 23,071 23,203 23,390 23,603
法人税引前、従業員利益分配前、並びに減価 5,936 5,713 4,602 5,711 5,836
償却費、償却費及び引当金控除前利益
法人税 (333) (426) 79 (200) (169)
従業員利益分配 (141) (144) (145) (146) (160)
税引後、従業員利益分配後、並びに減価償却 2,859 2,533 2,634 2,328 4,506
費、償却費及び引当金控除後利益
純利益分配 1,328 1,858 1,729 1,596 1,594
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1株当たり利益(単位:ユーロ)
税引後及び従業員利益分配後利益 2.05 1.93 1.71 2.02 2.08
(減価償却費、償却費及び引当金控除前)
税引後、従業員利益分配後、並びに減価償却 1.07 0.95 0.99 0.88 1.70
費、償却費及び引当金控除後利益
1株当たり配当金 0.50 0.70 0.65 0.60 0.60
従業員(単位:従業員数を除き、百万ユーロ)
当期の平均従業員数 66,755 68,871 72,098 76,301 80,741
(フルタイム従業員及びこれに類する者)
当期の人件費合計 4,055 4,155 4,184 4,222 4,277
従業員給付支払額(社会保障、社会福利厚生 2,294 2,358 2,285 2,285 2,268
制度等)(1)
(1) インセンティブ・ボーナスを含む(オレンジSAにより支払われたインセンティブ・ボーナスを算出するために用いられた給料の総額
は、2019事業年度において、4,055百万ユーロである。)。
2【沿革】
会社の名称
オレンジ
登録地及び登録番号
パリ商業・会社登録( Registre du commerce et des sociétés ) 380 129 866
APE(主な事業)コード: 6110Z
設立年月日及び存続期間
オレンジは1996年12月31日に、フランス会社法に従って、存続期間を99年として設立されたフランスの 株式会
社(société anonyme) である。早期解散又は存続期間の延長がない限り、当社は2095年12月31日にその期間が満
了する。
登記上の住所
フランス共和国、パリ(15区)、オリヴィエ・ドゥ・セール78
電話番号: +33 (0)1 44 44 22 22
事業発展上の主要な出来事
オレンジ(旧フランス テレコム)は、フランスの既存の電気通信事業者である。当グループの起源は、郵便電信
電話省であり、その後、電気通信総局となった。1990年には独立した公益法人の地位を付与され、1991年1月1
日に、フランス テレコムと改名された。1996年12月31日、フランス テレコムは、 société anonyme (株式会社)
になった。1997年10月、フランス テレコムの株式は、パリ及びニューヨークの証券取引所に上場し、これによ
り、フランス政府は、公衆及び当グループの従業員に対して、その株式の25%を売却することが可能となっ
た。その後、公共部門は、その持分を53%まで徐々に減少させた。2003年12月31日付の法律により、当社の民
間セクターへの移転が承認され、2004年から2008年の間に、公共部門はさらに26%の資本を売却し、2014年及
び2015年に、再び4%の資本を売却した。2019年12月31日現在、フランス政府は、直接に又はBpifrance
Participationsと共同して、株式資本の22.95%を保有していた。
1990年代以降、フランス テレコムの活動分野及びその規制環境及び競争環境は、重大な変化を経験した。規制
緩和及び競争の激化を背景に、当グループは、当該期間にわたって様々な戦略的投資を行った。これらは、特
に、移動体通信事業者のオレンジPlc及びそのブランド(1994年に設立された。)の取得、並びにポーランドの既
存事業者であるTelekomunikacja Polskaへの支配的出資を含んでいた。
2005年以降、当グループはスペインの移動体通信事業者であるアメナを、次いで2015年に固定回線事業者の
ジャズテルを買収することにより、スペインに戦略的に事業を拡大した。
過去12年間に当グループは、すでに進出している市場に重点を置き、価値創出につながる買収を選択的に行う
方針を追求してきた。
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この戦略は、当グループが歴史的に拠点を持つアフリカ及び中東の新興市場(特にカメルーン、コートジボワー
ル、ギニア、ヨルダン、マリ及びセネガル)を主な対象として、エジプトのモビニルの買収(2010年)、モロッコ
の メディ・テレコムの買収(2015年)、さらに最近ではアフリカの多数の事業者(リベリア、ブルキナファソ、シ
エラレオネ及びコンゴ民主共和国)の買収(2016年)を通じて遂行された。
また、かかる戦略は、英国における事業活動をEE社のブランドの下で結合させたドイツ テレコムとのジョイン
ト・ベンチャー(2010年)及び2016年のEE社の売却、並びにオレンジ・スイス(2012年)、オレンジ・ドミニカー
ナ(2014年)、オレンジ・アルメニア(2015年)及びテレコム・ケニア(2016年)の売却にもつながっていた。
企業向けサービスの一環として、及び2000年にイクアントを買収して以降、オレンジは、デジタル転換でグ
ローバル・プレイヤーになるという戦略を追求し続けており、2018年のBusiness & Decision社及びBasefarm
社の取得並びに2019年のSecureLink社及びSecureData社の取得など、複数の対象を絞った買収を通じたサービ
ス(とりわけ、サイバー・セキュリティ及びクラウド・サービスの分野)へのシフトを加速させてきた。
事業多角化は、オレンジの戦略の主要な柱の1つである。2016年にグルパマ・バンク(現オレンジ・バンク)を買
収し、この会社は2017年11月に新たなバンキング・サービスを開始したが、この買収はモバイル金融サービ
ス・セクターへ事業を拡大するという目標を示す事例である。
2006年に、オレンジは、当グループが事業を展開した大半の国、何よりフランス及びスペインにおいて、イン
ターネット、テレビ及び携帯電話の各サービスについて当グループの主力ブランドとなった。2013年には、当
社は、オレンジという名称を採用し、かかるオレンジ・ブランドの下、フランスにおいてあらゆる種類の電話
サービスを提供している。かかる方針の下、2013年にはTelekomunikacja Polskaによるオレンジ・ブランドの
採用、2016年にはエジプトのモビニル、ベルギーのモビスター、モロッコのメディ・テレコムによるオレン
ジ・ブランドの採用、また2017年には当グループのアフリカのいくつかの子会社によるオレンジ・ブランドの
採用が続いた。世界の企業向けサービスは主にオレンジ・ビジネス・サービスのブランドで提供されている。
2019年12月に当グループは、模範的な社会的行動及び環境行動によって導かれる、事業者モデルの改革に目を
向けた新たな戦略計画、Engage 2025を発表した。オレンジの戦略計画及び事業モデルに関するさらなる情報
は、「3 事業の内容」「3.2 オレンジのグループ戦略」を参照のこと。
日本における活動
日本には、当社の全額出資子会社であるオレンジ・ジャパン株式会社がある。以下は、2019年12月31日現在の
当該子会社に関する情報である。
設立日 : 1989年5月29日
株式資本 : 3億4,215万円
社長 : Jean-Michel Serre
従業員数 : 5人
日本におけるサービス及び商品 : 通信分野における戦略イニシアチブ及びパートナーシップ
3【事業の内容】
オレンジは、世界の主導的な電気通信事業者の1つであり、2019年12月31日時点において、収益は420億ユー
ロ、全世界の従業員数は147,000人(フランスの87,000人の従業員を含む。)であった。当グループは、2019年12
月31日時点において、266百万人の顧客(207百万移動体通信顧客及び21百万固定回線ブロードバンド顧客を含
む。)にサービスを提供している。当グループは26ヶ国で営業している。オレンジはまた、オレンジ・ビジネ
ス・サービスのブランドの下で、多国籍企業に対するグローバルIT及び電気通信サービスの主導的なプロバイ
ダーである。2019年12月に、当グループは、模範となる社会的及び環境的行動を指針として、事業者モデルの
再構成を目指す、新たな戦略計画であるEngage 2025を提示した。成長分野で加速し、データ及びAIをイノベー
ション・モデルの中核に据える一方、当グループは、出現しつつある専門的領域に順応した、魅力的で責任あ
る雇用者になることを目指している。
3.1 世界のデジタル・サービス市場
デジタル・サービス市場は、より広大な情報通信技術(ICT)セクターの下位部門である。これは、ITサービス及
びソフトウェア、電気通信サービス、デジタル・コンテンツ・テレビ及びビデオ・サービス、インターネッ
ト・サービスを合わせたものである。一方、デジタル・サービス市場には、自動的に付加価値の一部となる半
(1)
製品のネットワーク機器 及びデバイスは含まれない。デジタル・サービス市場は経済成長の必須の要素であ
り、新たなサービスと新たな用途を普及させることで重要な価値創出源となっている。
グローバル・デジタル・サービス市場は、2019年に5.1%成長したことで、市場総額が35,270億ユーロとなり、
堅調な拡大を続けている。この市場の成長は、インターネット・サービス・セクターの拡大(2019年は13.7%拡
大)、並びにIT(7.3%拡大)及びデジタル・コンテンツの拡大(4.2%拡大)により後押しされた。電気通信サービ
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(2)
スの収益は11,710億ユーロ(0.1%増)と伸び悩んだ 。B2Bグローバル・デジタル・サービス市場の説明につい
ては、「3.3.4 企業向け」を参照のこと。
情報源:IDATE-Digiworld Yearbook 2020年。
(2)
地域別の市場成長率
デジタル・サービス市場で、北米地域は、経済及び産業の発展により後押しされ、世界の収益の35.3%を占
め、30.6%で追い上げるアジア太平洋地域を抑えてトップの座を維持した。その次は欧州でデジタル・サービ
ス市場の24.8%を占め、ラテン・アメリカ(5.0%)及びアフリカ及び中東(4.3%)は合わせて世界市場の10%近
くを占めている。
アフリカでは、デジタル・サービス市場は2019年に8%を若干上回る成長を遂げたと推定されている。世界の人
口に占めるアフリカの割合は、2020年の17%に比べ、2050年には25%になると予想されていることから、オレ
ンジ・グループのプレゼンスが高いアフリカ及び中東地域の潜在力は非常に大きい。この地域における事業者
によるネットワーク展開は現在も進行中であり、デジタル・エコシステムが構築されつつある。それは経済の
あらゆるセクター(医療、販売、農業、政府、モバイル決済等)に情報技術を統合するため、現地の状況に適応
することによって台頭しつつある。この地域の人口の3分の2がスマートフォンを保有しており、それは、2025
年にはサハラ以南のアフリカにおいて、スマートフォンの保有台数がほぼ7億台となり、アフリカが接続性とデ
(3)
ジタル・サービスの高成長地域となることを意味する(情報源:StatsSSA-GSMA2019) 。
2025年までの主要な社会及び環境的傾向
人口統計学的にみると、アフリカでは、今後数年間に多くの若者が成人年齢に達するため、人口が劇的に増加
することが予想される。
異常気象及び気候事象が増加していることから、気候変動の直接の影響はさらに明確になってきた。大量の
データを利用するテクノロジー産業は直接関係している。2025年までには、激増するデータ利用によって世界
の電力の20%近くが消費される可能性がある(情報源:ICT Footprint EU, European Framework Initiative
(4)
for Energy & Environmental Efficiency in the ICT Sector) 。
さらに、2025年までには、全ての産業を転換している主要な技術の発展(AI(人工知能)、データ、クラウド、5G
等)が、全てのビジネス事業に影響を与える。2025年には、現在の学生の65%が、まだ存在していない職に就い
ているだろう(情報源:レゼコー、2018年12月10日、マイクロソフト及びフューチャーラボラトリ社による調査
(5)
に基づく。) 。したがって、企業は技能及び専門知識に関する新たな課題に直面するだろう。
電気通信サービスの主要な変化
世界中のネットワークの発達及び電気通信利用の拡大
アフリカ及び中東では、インターネットのアクセス・ネットワークが主に4G移動体通信ネットワークの展開を
通じて発達している一方で、欧州ではネットワークへの投資は、固定回線光ファイバーの発達、4G移動体通信
ネットワーク・パフォーマンスの改善及び初めての商用5Gサービスの開始に伴う、超高速アクセスに関するも
のである。同時に、事業者はそのネットワークをアップグレードさせて機動性と管理の単純さを高めている
(ネットワーク機能の仮想化び自動化による。)。
新たなネットワークの展開、既存ネットワークの容量の増加及びスマートフォンの普及の複合的影響により、
利用は増加し続けている。インターネット利用の著しい増加は、主に多数のスクリーン(コンピューター、ス
マートフォン、タブレット、コネクテッド・テレビ)を通じてアクセス可能な動画及びインターネット・サービ
スの発達による。さらに、5G技術の発達により、一般大衆(没入型ビデオ、クラウドゲーム)及び企業のための
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オレンジ(E05839)
有価証券報告書
新しい利用の開発が可能となるだろう。特に企業にとって、5Gは真の創造的破壊(生産時間の最適化、機械の遠
隔制御、予知保全等)となるだろう。
消費者及び企業の期待
接続性は必要不可欠なものとなった。インターネットは、日常生活における広範なサービスに使われて、人々
にとって不可欠なものとなり、企業の発展にとっても極めて重要なものとなった。国全体で、カバー率及び持
続的品質に関する顧客の要求はますます厳しくなりつつある。
こうした状況の中、消費者は通信ネットワークの質と信頼性のみならず、個人データの保護及び事業者との信
頼関係を強く期待している。顧客は彼らのデータの利用に関する懸念を強めており、サイバー・セキュリティ
が、個人、企業及び政府の全てにとって主要な課題となりつつある。ガートナー社によると、サイバー・セ
キュリティ市場は、2022年には1,750億米ドルに達すると推定されている(情報源:Gartner -
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Forecast:Information Security and Risk Management、2019年2月) 。
これらの期待に加えて、社会は、透明性の向上、主要な環境問題に対するより多くのコミットメント、より多
くの地域貢献など、企業に対する要求をますます強めている。
(1) 注記:電気通信事業者のネットワーク機器、IT企業のサーバー、テレビ業界関連企業の制作放送機器。
(2) 情報源:IDATE-Digiworld Yearbook 2020年。
(3) https://www.gsma.com/mobilefordevelopment/wp-content/uploads/2019/02/GSMA-The-Mobile-Gender-Gap-Report-2019.pdf
(4) https://ictfootprint.eu/en/webinar/decreasing-ict-energy-consumption-%E2%80%93