株式会社ジーニー 有価証券報告書 第10期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
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株式会社ジーニー(E33615)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2020年6月29日
【事業年度】 第10期(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
【会社名】 株式会社ジーニー
【英訳名】 Geniee, Inc.
【代表者の役職氏名】 代表取締役社長 工藤 智昭
【本店の所在の場所】 東京都新宿区西新宿六丁目8番1号
【電話番号】 03-5909-8177
【事務連絡者氏名】 CFO兼管理部長 菊川 淳
【最寄りの連絡場所】 東京都新宿区西新宿六丁目8番1号
【電話番号】 03-5909-8177
【事務連絡者氏名】 CFO兼管理部長 菊川 淳
【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
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第一部【企業情報】
第1【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
(1)連結経営指標等
回次 第6期 第7期 第8期 第9期 第10期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
(千円) 7,369,233 11,730,899 14,380,939 14,954,778 14,348,300
売上高
経常利益又は経常損失(△) (千円) 106,513 194,590 467,448 △ 330,159 △ 141,970
親会社株主に帰属する当期純利益
又は親会社株主に帰属する当期純損 (千円) 52,323 △ 14,754 63,242 △ 544,766 △ 178,868
失(△)
(千円) 32,715 △ 22,297 53,145 △ 531,180 △ 179,020
包括利益
(千円) 1,264,635 1,613,067 3,205,468 2,714,801 2,548,917
純資産額
(千円) 3,400,505 4,197,150 5,541,055 4,635,735 4,269,004
総資産額
(円) 76.33 76.27 182.95 151.54 141.47
1株当たり純資産額
1株当たり当期純利益又は1株
(円) 3.31 △ 0.92 3.84 △ 30.77 △ 9.99
当たり当期純損失(△)
潜在株式調整後1株当たり当期純利
(円) - - 3.64 - -
益
(%) 37.2 38.4 57.8 58.4 59.5
自己資本比率
(%) 4.1 - 2.6 - -
自己資本利益率
(倍) - - 495.6 - -
株価収益率
(千円) 240,389 331,813 291,964 203,226 73,107
営業活動によるキャッシュ・フロー
(千円) △ 472,335 △ 516,483 △ 329,904 △ 995,824 △ 415,369
投資活動によるキャッシュ・フロー
(千円) 341,875 362,013 1,392,075 △ 137,945 △ 76,378
財務活動によるキャッシュ・フロー
(千円) 1,010,877 1,183,652 2,541,801 1,618,564 1,197,540
現金及び現金同等物の期末残高
125 200 242 258 264
従業員数
(名)
(ほか、平均臨時雇用人員) ( 15 ) ( 33 ) ( 26 ) ( 37 ) ( 51 )
(注)1. 売上高には、消費税等は含まれておりません。
2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、 第6期は 潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場
であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。 第7期は 潜在株式は存在するものの、当社
株式は非上場であり、期中平均株価が把握できず、かつ、1株当たり当期純損失であるため記載しておりま
せん。第8期については、当社株式が2017年12月18日に東京証券取引所マザーズ市場に上場したため、新規
上場日から第8期末までの平均株価を期中平均株価とみなして算定しております。また、第9期 以降 は潜在
株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
3. 第7期及び第9期 以降 の自己資本利益率は親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため記載してお
りません。
4.第6期及び第7期の株価収益率は当社株式が非上場であるため、第9期 以降 は親会社株主に帰属する当期純
損失を計上しているため記載しておりません。
5.第7期において、親会社株主に帰属する当期純利益が第6期と比較して67,078千円減少しております。これ
は主に、第7期において 減損損失46,664千円及び投資有価証券評価損59,850千円を計上したことによるもの
であります。
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(2)提出会社の経営指標等
回次 第6期 第7期 第8期 第9期 第10期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
(千円) 7,047,250 11,352,648 13,711,141 13,901,436 12,999,959
売上高
経常利益又は経常損失(△) (千円) 108,471 328,789 548,217 △ 195,733 △ 12,729
当期純利益又は当期純損失(△) (千円) 67,381 161,629 146,068 △ 742,664 △ 218,708
(千円) 592,393 766,769 1,519,561 1,539,114 1,545,331
資本金
発行済株式総数
15,000,000 15,000,000 17,508,200 17,868,200 17,958,200
普通株式
(株)
840,000 840,000 - - -
A種株式
- 307,000 - - -
B種株式
(千円) 1,264,747 1,797,250 3,469,419 2,766,288 2,559,933
純資産額
(千円) 3,361,858 4,318,696 5,707,441 4,531,095 4,142,913
総資産額
(円) 76.34 87.91 198.16 154.79 142.49
1株当たり純資産額
- - - - -
1株当たり配当額
(円)
(1株当たり中間配当額) ( - ) ( - ) ( - ) ( - ) ( - )
1株当たり当期純利益又は1株
(円) 4.26 10.08 8.86 △ 41.95 △ 12.21
当たり当期純損失(△)
潜在株式調整後1株当たり当期純利
(円) - - 8.41 - -
益
(%) 37.6 41.6 60.8 61.0 61.8
自己資本比率
(%) 5.4 10.6 5.5 - -
自己資本利益率
(倍) - - 214.8 - -
株価収益率
(%) - - - - -
配当性向
88 123 152 163 180
従業員数
(名)
(ほか、平均臨時雇用人員) ( 15 ) ( 33 ) ( 26 ) ( 33 ) ( 49 )
(%) - - 71.1 24.6 23.1
株主総利回り
(比較指標:東証マザーズ指数) (%) ( - ) ( - ) ( 102.0 ) ( 80.8 ) ( 52.7 )
(円) - - 2,970 1,980 970
最高株価
(円) - - 1,372 402 463
最低株価
(注)1.売上高には消費税等は含まれておりません。
2.当社は、A種株主及びB種株主の株式取得請求権の行使を受けたことにより、2017年9月4日付ですべての
A種株式及びB種株式を自己株式として取得し、対価として当該A種株主にA種株式1株につき普通株式1
株、当該B種株主にB種株式1株につき普通株式1株を交付しております。また、当社が取得したA種株式
及びB種株式については、株主価値の向上を図るため2017年8月17日開催の取締役会決議に基づき、2017年
9月5日付で会社法第178条に基づき消却しました。その結果、発行済株式総数は16,147,000株となってお
ります。
3.第7期以前の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非
上場であり、期中平均株価が把握できないため、それぞれ記載しておりません。 また、第8期の潜在株式調
整後1株当たり当期純利益については、当社株式が2017年12月18日に東京証券取引所マザーズ市場に上場し
たため、新規上場日から第8期末までの平均株価を期中平均株価とみなして算定しております。第9期以降
は潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
4. 第9期 以降 の自己資本利益率は当期純損失を計上しているため記載しておりません。
5. 第 7期以前の株価収益率については、当社株式が非上場であるため、第9期 以降 は当期純損失を計上してい
るため記載しておりません。
6. 最高・最低株価は、東京証券取引所マザーズ市場におけるものであります。
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2【沿革】
当社は、“日本発の世界的なテクノロジー企業をつくりたい”という想いのもと、2010年4月に設立された会社で
す。当時、インターネット広告業界において「RTB」(注1)という新しい技術が登場し、ドラスティックな変化と
成長の可能性が感じられた頃でした。こうした中、当社は、RTB技術を活用したインターネットメディアの広告収益
最大化プラットフォーム「SSP」(注2)の開発・提供を始めました。
当社の設立から現在に至るまでの沿革は、以下のとおりであります。
年月 事項
2010年4月 東京都港区西新橋に株式会社ジーニーを設立
2011年2月 Google AdSenseリセラープログラム(注3)に参加し、Google AdSenseの提供を開始
2011年4月 本社を東京都港区新橋に移転
「GenieeSSP」の提供を開始
2012年3月 本社を東京都港区六本木に移転
2012年8月 インターネット広告事業を運営する子会社としてGeniee International Pte., Ltd.(シンガポー
ル)を設立
2013年9月 インターネット広告事業を運営する子会社としてGeniee Vietnam Co., Ltd.(ベトナム)を設立
2014年3月
「GenieeDSP」の提供を開始
2014年10月 ソフトバンク株式会社(現 ソフトバンクグループ株式会社)を割当先とする第三者割当増資を実施
し、資本業務提携を開始
2015年3月 本社を東京都新宿区西新宿へ移転
2015年8月 株式会社ユニコンから、スマートフォンにおけるプッシュ通知サービス「Fello」事業を、吸収分割
により承継
2015年9月 インターネット広告事業を運営する子会社としてPT. Geniee Technology Indonesia(インドネシ
ア)を設立
2015年10月
「GenieePMP」の提供を開始
2016年7月
マーケティングオートメーション「MAJIN」の提供を開始
2016年8月 現地企業との連携強化を目的として、インドネシアにPT. Adstars Media Pariwaraを設立
2017年8月 現地企業との連携強化を目的として、タイ(バンコク)に、 Geniee Adtechnology (Thailand) Co.,
Ltd. を設立
2017年12月 東京証券取引所マザーズに株式を上場
2018年3月 プライバシーマークを取得(登録番号:第22000250(01)号)
2018年6月 ちきゅう株式会社から、CRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システム「ちきゅう」事業を、吸収分割
により承継
2018年9月 東京都新宿区西新宿(住友不動産新宿オークタワー)へ移転
2018年10月 トレーディングデスクサービス提供業を運営するAdskom India Private Limited(インド)の株式
を取得し子会社化
2018年11月 チャット接客ツール「Chamo」の開発・販売事業を運営する株式会社チャモ(日本)の株式を取得し
子会社化
2019年10月 子会社である株式会社チャモを吸収合併
(注)1.RTBとは、Real-Time Bidding(リアルタイムビッディング)の略称で、インターネット広告の表示機会が発
生するたびに広告枠の競争入札をオークション方式でリアルタイムに行い、最も単価の高い広告が配信され
るよう決定する、インターネット広告の入札の仕組みのことを指します。
2.SSPとは、Supply-Side Platform(サプライサイドプラットフォーム)の略称で、RTB技術を用いて、イン
ターネットメディア(Webサイト、アプリ等)の広告収益の最大化を支援するシステムのことを指します。
3. Web サイトの収益化に関するコンサルティングサービスを提供されている事業者や、Web制作会社など、多数
のサイト運営者と関わりのある企業が、日本国内におけるGoogle AdSense(Google社が提供している広告配
信サービス)の提案・販売活動を行うための支援プログラムです。
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3【事業の内容】
当社グループは、当社、Geniee International Pte., Ltd.(シンガポール)、Geniee Vietnam Co., Ltd.(ベト
ナム)、PT. Geniee Technology Indonesia(インドネシア)、PT. Adstars Media Pariwara(インドネシア)、
Geniee Adtechnology (Thailand) Co., Ltd.(タイ)、Adskom India Private Limited(インド)の6か国計7社で
構成されております。
当社グループは、「テクノロジーで新しい価値を創造し、クライアントの成功を共に創る」というミッションを掲
げ、当社が独自開発したインターネットメディアの広告収益最大化プラットフォーム「GenieeSSP」を主軸にマーケ
ティングテクノロジー事業(注1)を展開しております。また、「GenieeSSP」が持つ大量の広告配信データと顧客
基盤を活かした広告主向けの「GenieeDSP」のほか、CRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システム「ちきゅう」、マー
ケティングオートメーション「MAJIN」の提供など、アドテクノロジー領域からマーケティングテクノロジー領域へ
事業を拡大しております。創業3年目の2012年からは海外事業展開に着手し、サービス提供地域の拡大を図っており
ます。このように、当社グループは、事業領域(事業軸)とサービス提供地域(地域軸)の2軸を拡大することで、
成長を続けてまいりました。
当社の事業セグメントは、マーケティングテクノロジー事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は
省略しております。
<当社グループの特徴>
当社グループは、技術開発力と事業推進力の相乗効果により、売上高拡大を実現してきました。
・技術開発力について
当社グループでは、テクノロジーの進化の速さや、国内外のメディア企業・広告主・広告代理店といった顧客企業
の利用ニーズに対応すべく、各プロダクトの企画から開発、運用、提供、サポートまでを全て内製化しております。
これにより、顧客企業様からいただくご要望や技術進化へタイムリーな対応を可能にしています。また、アドテクノ
ロジー領域における最先端の技術開発力を強みに、独自開発した広告配信プラットフォームを自社ブランドとして直
接顧客へ提供するだけでなく、国内外の企業様へOEM提供(Original Equipment Manufacturingの略で、他社ブラン
ドのSSPやDSP等を開発提供すること)しております。
当社グループの広告配信プラットフォーム上では、1秒間に数十万件の入札(広告配信注文)があり、1日のデー
タ処理量は、2020年3月末時点で約15テラバイトを超えています。このように、膨大なデータを超高速で処理するた
め、システム基盤をフルハンドメイドしております。また、ビッグデータやAI(人工知能)を活用することで、広告
配信の精度向上や自動化の促進等に取り組んでおります。
また、コンピュータサイエンスの博士/修士課程出身がエンジニアの半数を占め、新技術の研究開発に取り組んで
おります。
・事業推進力について
当社では、プロダクトを開発するエンジニア(作り手)と提供する営業・サポート担当(売り手)が約半数ずつ在
籍し、連携して事業拡大を推進しております。2020年3月末時点の単体の職種別従業員構成は、エンジニア:36%、
事業開発・プロダクト企画:10%、営業:34%、管理:13%、海外・出向:7%となっております。
また、ソフトバンクグループ株式会社をはじめ、国内外の通信キャリアや有力企業と資本業務提携し、OEM提供や
データ連携等を行っております。
<当社グループの事業環境>
当社グループの主力事業が属するインターネット広告市場は、日常生活にインターネットが定着し、スマートフォ
ンの普及や様々なモノがインターネットに繋がるIoT化が進む中、拡大を続けております。
国内の市場規模は、インフィード広告や動画広告の堅調な拡大に加え、検索連動型広告やアドネットワーク、
DSP、SSPの利用拡大を背景に、2020年度には2兆円を超え、2023年度には約2.8兆円まで拡大することが見込まれて
おります (矢野経済研究所「インターネット広告市場の実態と展望 2019」) 。また、海外グループ会社が関連する
アジア地域のインターネット広告市場も、モバイル端末の急速な普及により、現在インターネット広告へのシフトが
進みつつあり、引き続き高い成長率が予想されております(「eMarketer」データを元に当社推計)。
また、新規事業のマーケティングソリューション事業(注2)が属する情報通信サービス市場においては、人手不
足や働き方改革等を背景に、デジタルトランスフォーメーション(注3)の流れが進展する中、生産性の向上や業務
の効率化を推進する企業の需要が引き続き拡大しております。
<主要サービスの概要>
当社グループは、「アド・プラットフォーム事業」と「マーケティングソリューション事業」「海外事業」を展開
しており、具体的な事業内容は次のとおりであります。
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(1)アド・プラットフォーム事業
アド・プラットフォーム事業では、WEBサイトやスマートフォンアプリ上に、各々の閲覧者に合った広告を瞬時に
選択し表示させる技術(アドテクノロジー)を使って、インターネットメディアや広告主の広告収益や効果を最大化
させるプラットフォームを提供しております。具体的には、インターネットメディア向けの「GenieeSSP」や広告主/
広告代理店向けの「GenieeDSP」等があり、2019年より、新たに デジタルOOH (注4) 領域の事業化にも取り組んでお
ります。
①「GenieeSSP」 (インターネットメディア事業者向けサービス)
「GenieeSSP」は、Supply-Side Platformと呼ばれる、インターネットメディア等の広告収益を最大化させるプ
ラットフォームです。インターネットサイトやアプリ上の広告枠を閲覧するユーザー毎に、RTB技術によりオーク
ション形式で選択された最適な広告を配信する仕組みです。配信される広告は、ユーザーの属性や行動履歴等のデー
タに基づいて選択された、最適で収益性の高い広告であり、ユーザーがサイトにアクセスしてから選択された広告が
表示されるまで、平均0.1秒以下という速さで行われています。
「GenieeSSP」は、国内外のDSPやアドネットワーク等とシステム連携することで、広告取引(オークション)への
参加者の獲得に努めており、産学連携によって研究開発された、独自の広告配信最適化アルゴリズムによって、より
効果的な広告配信を実現しています。
②「GenieeDSP」 (広告主・アドネットワーク事業者向けサービス)
「GenieeDSP」は、Demand Side Platformと呼ばれる、広告主の利益を最大化するための広告買い付けプラット
フォームです。「GenieeDSP」は、「GenieeSSP」等に接続することで、広告主のニーズに合わせて選択された枠へ配
信することができます。広告枠は、インターネットユーザーの過去の行動履歴や購入履歴、位置情報等のデータに基
づいて選択された、広告主にとって有望な見込み顧客と想定されるユーザー群の枠となります。
また、PMP(Private Market Place)(注5)機能により、広告主が指定した媒体に対してのみ広告配信することも
できます。
(2)マーケティングソリューション事業
マーケティングソリューション事業では、企業のマーケティング活動の支援を目的としたBtoB向けSaaSプロダクト
を提供しております。具体的には、CRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システム「ちきゅう」、マーケティンオート
メーション「MAJIN(マジン)」、チャット接客ツール「Chamo(チャモ)」があります。
また 、広告主のマーケティング戦略の立案から、キャンペーンの設計、多様化・複雑化する 広告配信・運用・レ
ポーティングをトータルでサポートする広告運用代行サービスも提供しております。
① クラウド型CRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システム「ちきゅう」
「ちきゅう」は、顧客管理のためのCRM(Customer Relationship Management)及び営業活動における商談管理の
ためのSFA(Sales Force Automation)システムで、「顧客管理」「商談管理」「データ分析」等が一体となったク
ラウド型サービスです。直感的に使用できる操作性、一覧性が高くカスタマイズ自由な画面設計に加え、顧客情報・
営業情報をリアルタイムに可視化できる点に特長を持ち、時間・場所・デバイスを選ばず、誰でも状況把握が可能と
なり、生産性の向上や業務の効率化を実現いたします。
また、当社マーケティングオートメーションプラットフォーム「MAJIN」と併用することで、商談化率を向上さ
せ、確度の高い見込顧客のスクリーニング等を実施することができ、マーケティングと営業の効率的な連携により、
営業機会の最大化を実現することが可能になります。
② マーケティングオートメーションプラットフォーム「MAJIN(マジン)」
「MAJIN」は、企業のマーケティング活動を自動化し、効率的に潜在顧客の集客や購買意欲等の向上、購買・契約
等を行うためのプラットフォームです。「MAJIN」では、「GenieeDMP」と連携することでビッグデータを活用した高
精度なユーザーターゲティングが可能な上、メール配信やアプリプッシュ通知、LINEによるメッセージ配信・自動
メッセージ対応等を通じた効果的なマーケティング活動を簡単に行うことができます。また、アトリビューション機
能により、複数の広告効果を明確に分析・評価できることから、広告出稿の効率化を図ることもできます。
③ チャット接客ツール「Chamo(チャモ)」
「Chamo」は、Webサイトにチャットサポートを簡単に設置できるチャット接客ツールです。問い合わせ対応、シナ
リオによる業務効率化、CVR向上など、有人・無人のいずれも対応できます。自動プッシュ通知や匿名コミュニケー
ションなどの特徴もあり、工数削減と問い合わせ数の増加を同時に実現することができます。
(3)海外事業
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海外事業では、インターネットメディア向けの「GenieeSSP」をはじめとしたアド・プラットフォーム事業を中心
に展開しております。2020年3月末時点で、シンガポール、ベトナム、インドネシア、タイ、インドに拠点を置き、
現 地の企業様へサービスを提供しております。
(注1 )当 連結会計年度 より、事業領域の拡大に伴い実態に即した名称にするため、従来の「アドテクノロジー事
業」から「マーケティングテクノロジー事業」へセグメント名称を変更しております。
(注2)当 連結会計年度よ り、事業実態に即した名称にするため、従来の「マーケティングオートメーション事業」
から「マーケティングソリューション事業」に事業名の呼称を変更しております。
(注3)デジタルトランスフォーメーションとは、デジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへ変
革する概念のこと。
(注4)OOHとは、Out Of Homeの略で、交通広告や屋外広告など自宅以外の場所で接触する広告メディアの総称。
(注5 )Private Market Placeの略。 参加できるメディアと広告主が限定された広告取引市場のこと。
<補足説明:RTBによるインターネット広告配信の仕組み>
当社グループは、Webサイトやスマートフォンアプリ上に、各々の閲覧者に合った広告を瞬時に選択し表示させる技
術(アドテクノロジー)を使って、インターネットメディアや広告主の広告収益や効果を最大化させるシステム(プ
ラットフォーム)を提供しております。
RTB(Real‐Time Bidding)とは、広告の表示ごとにオークション方式で最も高単価な広告を配信する仕組みで、リ
アルタイムにインターネット広告枠を取引できる技術です。
広告主には「できるだけ安い広告費で、ターゲットユーザーを集客したい」というニーズが、インターネットメ
ディア等には「自社の持つ広告枠にできるだけ高い広告を載せて収益を上げたい」というニーズがあります。こうし
た相反するニーズに対して、システム上で広告枠をオークション形式により売買させるのがRTBで、ユーザーの属性や
行動履歴等のデータに基づき、広告1枠ごとに最適化した広告配信を行います。
RTBの技術を活用し、インターネットメディア等に対して、広告収益を最大化させるプラットフォームを提供してい
るのがSSP事業者です。インターネットメディア等はSSPを導入することで、自社の持つ広告枠へ自動的にオークショ
ン形式で広告の入札が行われるようになるため、高単価の広告案件が掲載されやすくなり、広告収益の最大化が期待
できるようになります。
一方、広告主や広告代理店等、広告枠を買う側に対して取引プラットフォームを提供しているのがDSP事業者で
す。 SSP事業者とDSP事業者は互いに接続し合い、SSP事業者が提供する入札リクエスト(広告の配信対象者や掲載
面、配信場所などの条件)に対して、複数のDSP事業者が応札し、最も高単価で応札したDSP事業者の広告が配信され
ることになります。
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<用語集>
・アドテクノロジー
インターネット広告の配信や流通のための技術で、広告主やインターネットメディア、インターネットユーザー
各々にメリットをもたらします。
広告主に対しては、より費用対効果の高い広告出稿を実現することで、収益増加や商品・サービスの認知度向上等
に貢献します。インターネットメディアに対しては、自社メディアに合ったより高単価な広告を表示させることで、
収益増加に貢献します。インターネットユーザーに対しては、高度なターゲティング技術により、各自の興味・関心
に合った情報の取得に貢献します。
・アドネットワーク
複数のインターネットメディア等の広告枠を集めて広告配信ネットワークを作り、広告の販売や配信を一元管理す
る仕組みです。広告主や広告代理店等は、そのネットワークに参加し自社のターゲット層に合ったカテゴリのメディ
アへ一度に大量出稿ができ、1つ1つのメディアへ広告出稿するよりも配信や管理の手間が削減できるメリットがあ
ります。
・アドエクスチェンジ
複数のインターネットメディア等やアドネットワークを横断し、広告枠をインプレッション(広告表示)ベースで
売買する市場です。
以上に述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりとなります。
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<売上計上の仕組み>
「GenieeSSP」や「GenieeDSP」経由で広告が配信されると、広告表示回数等に応じて広告主から当社グループへ広
告掲載料(=当社グループの売上)が支払われます。広告代理店や他社DSP、アドネットワーク、OEM提供先を介して
広告が配信される場合は、広告主からそれらを経由して広告掲載料をいただいております。
一方、当社グループからインターネットメディア事業者に対しては、広告配信回数等に応じて広告掲載料(=当社
グループの原価)を支払っております。
また、「ちきゅう」、「MAJIN」、 「Chamo」 では、基本的に月額でシステムやサービスの利用料(=当社グルー
プの売上)をいただいております。
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4【関係会社の状況】
議決権の所有
資本金
又は被所有
名称 住所 主要な事業の内容 関係内容
(百万円)
割合(%)
(連結子会社)
シンガポール
Geniee International
共和国 千米ドル
アド・プラット 営業取引
100.0
Peck Seah 7,012
Pte., Ltd. フォーム事業 役員の兼務2名
Street
ベトナム社会
Geniee Vietnam
千ベトナムドン アド・プラット 100.0 営業取引
主義共和国
Co., Ltd. 3,671,600 フォーム事業 (100.0) 役員の兼務1名
ハノイ市
インドネシア
PT. Geniee
千インドネシアルピー
アド・プラット 100.0 営業取引
共和国
3,440,750
Technology Indonesia フォーム事業 (99.0) 役員の兼務1名
ジャカルタ市
インドネシア
PT. Adstars Media 千インドネシアルピー
アド・プラット 51.0 営業取引
共和国
2,600,000
フォーム事業 (51.0) 役員の兼務1名
Pariwara
ジャカルタ市
Geniee Adtechnology
千タイバーツ
タイ王国 アド・プラット 49.0 営業取引
3,000
(Thailand) Co., Ltd. バンコク市 フォーム事業 (49.0) 役員の兼務1名
Adskom India Private 千インドルピー
インド共和国 アド・プラット 90.0 営業取引
1,388
ノイダ地区 フォーム事業 (90.0) 役員の兼務1名
Limited
(その他の関係会社)
被所有
ソフトバンク株式会社 移動通信サービスの
東京都港区 204,309 31.3 ―
(注)1 提供等
ソフトバンクグループ 被所有
238,772
株式会社 東京都港区 持株会社 31.3 ―
(注)1 (31.3)
(注)1.有価証券報告書の提出会社であります。
2.議決権の所有又は被所有割合欄の( )内は、間接所有割合で内数となっております。
3.前連結会計年度に連結の範囲に含めておりました株式会社チャモは、2019年10月1日付で当社による吸収合
併により消滅したため、当連結会計年度より連結の範囲から除いております。
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5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
2020年3月31日現在
セグメントの名称 従業員数(名)
264 (51)
マーケティングテクノロジー事業
264 ( 51 )
合計
(注)1.従業員数は就業人員であり、正社員及び契約社員の合計であります。なお、従業員数の( )は臨時雇用者
数(パートタイマー、派遣社員及び業務委託を含む)の年間の平均人員を外数で記載しております。
2.当社グループはマーケティングテクノロジー事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略
しております。
(2)提出会社の状況
2020年3月31日現在
従業員数(名) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(千円)
180 ( 49 ) 31.4 2.4 6,227
(注)1.従業員数は就業人員であり、正社員及び契約社員の合計であります。なお、従業員数の( )は臨時雇用者
数(パートタイマー、派遣社員及び業務委託を含む)の年間の平均人員を外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社は マーケティングテクノロジー事業 の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しており
ます。
4.従業員が 当事業年度 で17名増加しましたのは、主として業務拡大に伴う採用によるものであります。
(3)労働組合の状況
当社の労働組合は結成されておりませんが、労使関係は安定しております。
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第2【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
(1)経営方針
当社グループは、「テクノロジーで新しい価値を創造し、クライアントの成功を共に創る」というミッションのも
と日本が誇る優れた技術力を背景に、独自開発したテクノロジーで、ユーザーの情報環境を変革していくことを目指
しております。
(2)経営戦略等
当社グループでは、創業来の主力サービスであるインターネットメディアの広告収益最大化プラットフォーム
「GenieeSSP」が持つ大量の広告配信データと顧客基盤を活かし、広告主向けの「GenieeDSP」、「GenieeDMP」と
いったアド・プラットフォーム事業を展開しています。また、CRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システム「ちきゅ
う」、マーケティングオートメーションツール「MAJIN」、チャット接客ツール「Chamo」などBtoB向けSaaSプロダク
トの提供も開始し、事業領域を拡大しております。さらに、2012年(創業3年目)からは海外事業展開に着手し、
サービス提供地域の拡大も図っております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、収益の源泉となる「売上高」と収益力の基礎指標である「売上総利益」に加えて、 当社グルー
プとしてM&Aを活用した事業基盤の強化や拡大を積極的に目指していく中、各国の会計基準の差異にとらわれること
なく企業比較が可能な EBITDA (営業利益+減価償却費+のれん償却額) の3指標を重視しております。
(4)対処すべき課題
当社グループが対処すべき主な課題は、以下のとおりです。
① 技術革新及びインターネット業界の変化への対応
当社グループが事業を展開するインターネット業界は、第4次産業革命とも言われるデジタル産業革命が進む中、
大きな変化と可能性が想定されます。主力事業が属するインターネット広告市場では、ビッグデータやAI(人工知
能)の活用による広告配信の精度向上や自動化の促進、IoTの進展やデジタルサイネージの活用による広告バリエー
ションの増加等の変化が考えられます。また、マーケティングソリューション事業が属する情報通信サービス市場で
は、企業のデジタルトランスフォーメーションを支援するサービスの提供が強く求められています。こうした中、当
社グループは、インターネット業界の技術革新を牽引し、新たな市場の変化を捉えたプロダクトをいち早く開発・提
供することが、今後の事業規模拡大に必要不可欠であると考えております
② 新規事業の創出及びM&A等による事業領域の拡大
当社グループは、創業来の主力サービスであるインターネットメディア向けの広告収益最大化プラットフォーム
「GenieeSSP」を主軸とするアドテクノロジー領域に加え、2016年7 月よりマーケティングオートメーション「MAJIN
(マジン)」の提供を開始し、マーケティングテクノロジー領域へ積極的に事業領域を拡大しております。今後につ
きましても、国内外の企業様が抱える様々なマーケティング課題の解決に向け、新規事業の創出や事業シナジーが発
揮できる分野でのM&A等により、積極的に事業領域の拡大に取り組んでまいります。
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③ 海外市場におけるシェア拡大及び新市場の開拓
当社グループは、2012年から海外事業展開に着手し、現在、シンガポール・ベトナム・インドネシア・タイ・イン
ドに現地拠点を置き、現地の大手通信キャリアやアドネットワーク等、現地企業様向けに「GenieeSSP」等のサービ
スを提供しております。今後につきましては、事業構造改革による早期の黒字化を足掛かりに、引き続きインター
ネット広告市場の高い成長率が見込まれるアジア地域を中心に、既存拠点における顧客開拓や、事業規模及び各国市
場のシェア拡大、未展開の市場開拓等に取り組み、グループ全体の事業規模拡大を図ってまいります。
④ 開発体制の強化
当社グループでは、提供しているプロダクトの企画や開発・運用等を全て内製化しております。このため、技術
革新や市場の変化を捉えた最先端のプロダクトを開発・提供することが、今後の事業規模拡大に必要不可欠である
と認識しております。今後につきましては、最先端の技術動向のキャッチアップと技術力の向上を図り、顧客ニー
ズを捉えた開発をスピーディーに行うべく、開発体制の強化に取り組んでまいります。
⑤ 優秀な人材の確保及びグローバル組織体制の強化
当社グループは、更なる事業拡大と業界革新を実現していく上で、優秀な人材の確保やグローバル組織体制の強化
が必要不可欠であると認識しております。このため、各事業フェーズに合わせ即戦力となる人材確保を目的とした中
途採用と、将来を担う社員の育成と組織の活性化を目的とした新卒採用を積極的に行ってまいります。また、グロー
バルで業界を牽引する人材の育成を重点課題と位置づけ、職種別・階層別研修の実施や、専門資格の取得支援、英語
学習支援等、幅広い成長機会の創出・支援を行ってまいります。さらに、年齢や国籍等に制限なく、高いスキルや潜
在的な能力、情熱を持つ人材を積極的に登用し、適材適所を見極めながら事業状況に合わせた臨機応変な組織改編を
スピーディーに行うことで、グローバルで強い組織体制を作ってまいります。
⑥ ブランディングの強化
当社グループは、アドテクノロジー業界において一定の認知を得ているものの、中長期で更なる事業拡大を図り成
長を加速していく上で、会社及びプロダクトのブランディングを強化していく必要があると考 えております。今後
は、国内はもちろんのこと、グローバルでのPR活動を含めて、費用対効果を見極めた広告宣伝活動及び広報活動等を
行ってまいります。
⑦ 内部管理体制の強化
当社グループは、急速な事業環境の変化に適応し、継続的な成長を維持していくために、内部管理体制の強化が重
要であると認識しております。このため、事業規模や成長ステージに合わせバックオフィス機能を拡充していくとと
もに、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。具体的には、事業運営上
のリスク管理や定期的な内部監査の実施によるコンプライアンス体制の強化、社外役員の登用・J-SOXに対応した内
部統制システムを活用した監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実等を行ってまいります。
⑧ システムの安定性の確保
当社グループは、インターネット上で顧客にサービスを提供しており、安定した事業運営を行うにあたり、国内外
での市場シェア拡大や新規プロダクトの提供、海外拠点の効率的運用等を念頭に置いた、サーバー設備の増強や負荷
分散システムの導入等が必要不可欠であると認識しております。今後も、中長期的な視点から設備投資を行い、シス
テムの安定稼働及びセキュリティ管理体制の維持構築に取り組んでまいります。
⑨ 不適切な広告配信に対する監視体制の強化について
当社グループは、顧客に提供する価値を担保するために、当社が配信する広告に係る品質管理の徹底が重要な課題
であると認識しております。具体的には、不正な広告表示、錯誤を誘発する広告表示及び違法コンテンツを掲載する
インターネットメディアへの広告配信の監視、また、成人向け広告の取り扱いに関する社内方針を定め、該当する広
告取引の減少に努めてまいります。
⑩ 新型 コロナウイルス 感染症について
本年1月後半から顕在化した新型コロナウイルス感染症の拡大が人々の生活や経済活動に多大な影響を与えてお
り、当社グループの事業も一定程度の影響を受ける可能性がございます。現時点では先行きの不透明感が強い状況で
はありますが、当社グループといたしましては、状況の変化に対応しつつ、適宜計画の見直しと必要な施策を実施し
てまいります。
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2【事業等のリスク】
当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる事項は、以下のとおりです。
また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資判断上、重要であると考えられる事項
については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来にお
いて発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
① インターネット広告市場の動向及び競争環境について
当社グループが主たる事業を展開するインターネット広告業界は、市場規模が過去10年足らずで急速に拡大い
たしました。インターネットに限らず、広告事業は一般的に景気動向の影響を受けや すい傾向が あります。 今
後、景気の悪化、広告予算の減額、または 市場規模が想定したほど拡大しなければ、当社グループの財政状態及
び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、依然として激しい競争環境の中で、当社グループは競合優位性を確立し競争力を高めるべく様々な施策
を講じております。しかしながら、必ずしもこのような施策が奏功し競合優位性の確立につながるとは限らず、
その場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 技術革新への対応について
当社グループのサービスは、インターネット関連技術に基づき事業展開しておりますが、インターネット関連
分野は新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われており、非常に変化の激しい業界と
なっております。また、広告を表示するデバイス面においては、スマートフォンやタブレットなどの端末の普及
が急速に進んでおり、新技術に対応した新しいサービスが相次いで展開されております。
このため、当社グループは、エンジニアの採用・育成や創造的な職場環境の整備、また特にスマートフォンに
関する技術、知見、ノウハウの取得に注力しております。
しかしながら、係る知見やノウハウの獲得が困難な場合、また技術革新に対する当社グループの対応が遅れた
場合には、当社グループの競争力が低下する可能性があります。更に、新技術への対応のために追加的なシステ
ム、人件費などの支出が拡大する可能性があります。このような場合には、当社グループの技術力低下、それに
伴うサービス品質の低下、そして競争力の低下を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可
能性があります。
③ 海外事業のリスクについて
当社グループは、シンガポール、ベトナム、インドネシア、タイ、インドに子会社を有しており、アジア地域
でインターネット広告事業を展開しております。海外事業は、当社グループの将来の成長投資と位置づけてお
り、今後も適宜事業を展開してまいりますが、各国特有の商習慣や政府規制等に対応できない等により事業の推
進が困難になった場合には、投資を回収できず、 当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性が
あります。
④ 自然災害等について
当社グループの事業活動に必要なサーバーについては、自然災害、事故等が発生した場合に備え、外部のデー
タセンターの利用や定期的バックアップ、稼働状況の監視等によりシステムトラブルの事前防止又は回避に努め
ております。万一、当社本社の所在地である東京都において大地震や台風等の自然災害や事故等により、設備の
損壊や電力供給の制限等の事象が発生した場合、当社が提供するサービスの継続に支障をきたす場合がありま
す。また、損害を被った設備等の修復や被害を受けた従業員に対する補償等の費用が発生し、 当社グループの財
政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 新型コロナウイルス感染症について
世界保健機構(WHO)は2020年3月11日に新型コロナウイルス感染症についてパンデミック(世界的流行)で
あると宣言し、当社グループとしては 、全従業員を自宅からのリモートワークに切り替え、顧客等社外の打ち合
わせもビデオ会議などリモートでの対応を取り、柔軟に事業を継続できる体制整備に努めております。一方、広
告主の出稿抑制や見込み顧客の投資抑制により、新たな案件の獲得が想定通りに進まない可能性があり、 今後の
経過によっては 当社グループの 財政状態及び経営成績 に影響を及ぼす可能性があります。
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(2)事業内容に関するリスク
① アド・プラットフォーム事業について
ⅰ 季節変動について
当社グループのアド・プラットフォーム事業の売上は、広告主の広告予算により構成されるため、 広告主によ
る月ごとの予算配分に影響を受け、12月及び決算月(主に3月)に集中する傾向にあります。
このため、安定的に月次業績が推移する業種に比べ、売上及び利益の変動が起こりやすいほか、繁忙期に業務
が継続するような労働力を確保しておく必要があるため、変動が大きく下振れ幅が顕著な場合には当社グループ
の財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
ⅱ 不適切な広告配信に対する監視体制の強化について
当社グループのアド・プラットフォーム事業においては、顧客に提供する価値を担保するために、当社が配信
する広告に係る品質管理の徹底が重要な課題であると認識しております。具体的には、不正な広告表示、錯誤を
誘発する広告表示及び違法コンテンツを掲載するインターネットメディアへの広告配信の監視、 また、成人向け
広告の取り扱いに関する社内方針を定め、該当する広告取引の減少に努めております。 しかしながら、万一、予
期せぬ要因により、これらの対応に不備が生じた場合、顧客への損害補填が必要となる等、 当社グループの財政
状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② マーケティングソリューション事業について
マーケティングソリューション事業においては、2016年7月よりマーケティングオートメーション「MAJIN
(マジン)」、2018年6月よりCRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システム「ちきゅう」、2018年11月より
チャット接客ツール「Chamo(チャモ)」の提供を開始し、マーケティングテクノロジー領域へ積極的に事業領
域を拡大しております。
現在、シェア獲得と事業の拡大に注力していますが、顧客企業の獲得やマネタイズ(収益化)方策の進捗等が
計画通りに推移しない場合には、事業の黒字化が遅滞し、当社グループの 財政状態及び経営成績 に影響が及ぶ可
能性があります。
(3)事業の拡大・展開に関するリスク
① 特定事業への依存について
当社グループの収益は、当事業年度時点において、創業期から経営資源を集中してきた主力事業である
「GenieeSSP」に依存しております。現在、「GenieeDSP」やデジタルOOH領域の事業、CRM(顧客管理)/SFA(営
業管理)システム「ちきゅう」、マーケティングオートメーション「MAJIN」、チャット接客ツール「Chamo」な
ど事業領域の拡大を図ることで収益基盤の強化・拡大を図っております。今後につきましては、それら新事業の
市場シェア拡大を図るとともに、新機能・新規サービスの開発にも取り組んでまいります。
しかしながら、事業環境の変化等により、当社グループの上記施策が想定通りに進まない場合や、取引先 にお
ける配信ポリシーの変更又はシステム障害等により取引量等が減少した場合には、 当社グループの財政状態及び
経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② ソフトバンクグループとの取引について
当連結会計年度末現在において、当社グループは、当社議決権を31.3%所有するソフトバンク株式会社を含む
ソフトバンクグループに属しており、ソフトバンクグループは当社グループのその他の関係会社に該当いたしま
す。ソフトバンクグループの中で、当社グループは持分法適用会社として属しておりますが、当社取締役会の承
認事項に関して特別取り扱いを定めた契約等は締結しておらず、当社グループの取締役会の独立性は確保されて
おります。
また、提出日現在の当社の取締役(監査等委員である取締役を除く。)4 名のうち1名は、その豊富な経験に
基づく経営体制の強化等を目的として、ソフトバンク株式会社から招聘しております。また、同社の顧問1名が
当社の監査等委員である取締役として就任しております。 その者の氏名ならびに当社、ソフトバンクグループに
おける主な役職は以下のとおりであります。
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当社における役職 氏名 ソフトバンクグループにおける主な役職
ソフトバンク株式会社 デジタルマーケティング事業統括部
取締役(非常勤) 町田 紘一
事業戦略部長 兼 新規事業推進室長
監査等委員である取締役
仁木 勝雅 ソフトバンク株式会社 顧問
(非常勤)
当連結会計年度における当社グループのソフトバンクグループ(注)との取引総額は、当社グループの売上に
ついては567,433千円(当社グループの売上に占める割合は4%)、費用に係る取引総額は249,832千円(当社グ
ループの売上原価と販売費及び一般管理費に占める割合は1.7%)であります。ただし、ソフトバンクグループ
の事業方針等により取引条件の変更が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性
があります。
(注)「 ソフトバンクグループ」は、ソフトバンクグループ株式会社とその子会社のヤフー株式会社及びソフト
バンク株式会社を意味しております。
③ サービス領域の拡大について
当社グループは、技術やビジネスモデルの移り変わりが速いインターネットを軸とした多岐にわたる事業を
サービス領域としています。新しいサービスを創出し、また時代の流れに即したビジネスモデルを構築する目的
で、新規のサービス領域に参入を行っています。新規サービスを開始するに当たっては、相応の先行投資を必要
とする場合があるほか、そのサービス固有のリスク要因が加わることとなり、本項に記載されていないリスク要
因でも、当社グループのリスク要因となる可能性があります。
新規参入した市場の拡大スピードや成長規模によっては、当初想定していた成果を挙げることができない可能
性があります。また、サービスの停止、撤退等においては、事業用資産の処分や償却を行うことにより損失が生
じる可能性があります。その場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 他企業の買収や投資等に関するリスク
当社グループは成長戦略の一環として、他企業の買収や他企業への投資を行うことがあります。買収を行う際
には、対象企業の事業モデル、財務内容、契約関係、及び労務関係等について詳細な事前調査を行い、事業リス
クを極力回避するように努めておりますが、買収を実施した後において、偶発債務や未認識債務の発生、被買収
企業に対して当社グループの内部統制を適切かつ有効に運用できないことにより不正行為やコンプライアンス上
の問題等が発生する可能性も考えられます。また、買収によって新たにのれんが発生し、その償却費用が増加す
る可能性があります。これらの要因により、期待する成果を達成できない場合、当社グループの財政状態及び経
営成績に影響が及ぶ可能性があります。
⑤ 減損に関するリスク
当社グループは、有形固定資産及び無形固定資産(ソフトウエア、のれん等)及び投資有価証券を保有してお
ります。経営会議及び取締役会にて事業リスクの把握と速やかな対処を行い、極力事業リスクを回避するように
努めておりますが、市場環境の急激な悪化や競争環境の激化などにより、有形固定資産及び無形固定資産を保有
する事業に減損兆候があり、かつ事業収益から得られる割引前将来キャッシュ・フローが帳簿価格を下回る場合
は減損処理を行います。 投資 有価証券 は、投資先企業の財政状況の悪化などにより、投資価値が毀損したと判断
した場合には減損もしくは引当金計上の処理を行います。これら減損処理により、当社グループの財政状態及び
経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
(4)事業運営体制に関するリスク
① 人材の確保及び育成について
当社グループの成長を支えている最大の資産は人材であり、優秀な人材を採用し育成することは当社にとって
重要な課題であると認識しております。したがって、優秀な人材の確保と育成については最大限の努力を払って
おりますが、事業内容の急速な変化、事業規模の急拡大に伴う業務量の増加、及び人材マーケットの需給バラン
スやその他何らかの要因により、必要な人材の確保や育成ができなかった場合、若しくは重要な人材の流出や想
定以上の退職者が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
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② システムリスクについて
当社グループの事業は、そのサービスを、サーバーを中心とするコンピュータシステムからインターネットを
介して顧客に提供しております。これらのサービスにおいては、システムの増強やバックアップ体制の強化など
安定稼動のために常に対策を講じておりますが、機器の不具合、自然災害、想定を超える急激なアクセス増、コ
ンピュータウィルス等によりコンピュータシステムや通信ネットワークに障害が発生したり、不正なアクセスに
よりプログラム等の内容が改ざんされた場合、サービスの停止を余儀なくされる他、状況によっては顧客からの
信用が低下したり損害賠償を請求されたりするなど、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能
性があります。
③ 訴訟リスク、取引上のトラブルについて
当社グループは、リスク管理体制の整備・改善を継続的に図ってまいりますが、国内海外を問わず積極的に事
業拡大を推進していく上で、顧客・取引先・株主・従業員を含む第三者の権利・利益を侵害したとして、損害賠
償などの訴訟を起こされる可能性があります。その結果、当社グループの事業展開に支障が生じたり、企業イ
メージが低下したりする可能性があるほか、金銭的負担の発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能
性があります。
④ 法的規制について
インターネットを規制する国内の法律として「個人情報の保護に関する法律」があります。当社グループは、
SSP、DSP、DMP等のサービスのプラットフォームを通じて、Cookie(クッキー)技術を利用し、当社と提携する
Webサイトを閲覧したユーサ