フィリピン共和国 有価証券報告書
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フィリピン共和国(E34224)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
金融商品取引法第24条第1項
【根拠条文】
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 令和2年6月30日
【会計年度】 自 平成31年1月1日 至 令和元年12月31日
【発行者の名称】 フィリピン共和国
(Republic of the Philippines)
【代表者の役職氏名】 ロザリア・V・デ・レオン
(Rosalia V. De Leon)
フィリピン共和国財務省財務局長
(Treasurer of the Philippines)
【事務連絡者氏名】 弁護士 小馬瀬 篤史
同 乙黒 亮祐
同 李 豪俊
【住所】 東京都千代田区大手町一丁目1番1号 大手町パークビルディング
アンダーソン・毛利・友常法律事務所
【電話番号】 03-6775-1000
【縦覧に供する場所】 該当なし
(注)一定の定義語及び取決め
本書中の統計情報は、本書の日付現在、公的に入手可能な最新の公式データである。本書中の財務データは、共
和国の経済データの継続的な保守に伴い後日訂正される場合があるが、共和国は、その発行した証券の保有者に対
し、かかる訂正されたデータの配信を行わない。本書中の「該当なし」という語句は、該当する統計データ又は財
務データが得られないことを示す。
本書において、(a)「発行者」、「共和国」及び「フィリピン」はフィリピン共和国を指し、(b)「政府」はフィ
リピン共和国政府を指し、(c)「バンコ・セントラル」及び「BSP」はフィリピンの中央銀行であるバンコ・セント
ラル・フィリピネスを指す。
「GOCC」とは、その資本金の51%以上を政府が政府関係機関を通じて直接的又は間接的に所有する法人をいう。
政府の会計年度は、毎年1月1日に開始し、同年の12月31日に終了する。
別段の記載がない限り、本書において、「フィリピン・ペソ」及び「ペソ」はフィリピンの法定通貨を指し、
「ドル」、「米ドル」及び「$」はアメリカ合衆国の法定通貨を指し、「ユーロ」は1999年1月1日に欧州経済通貨
同盟の第3段階の開始時に導入された通貨を指し、「日本円」及び「円」は日本の法定通貨を指す。「SDR」は、国
際通貨基金(以下「IMF」という。)の特別引出権を指す。株式会社三菱UFJ銀行が2020年6月19日現在(日本時
間)で提示した対顧客直物電信売買相場の仲値は、それぞれ1フィリピン・ペソ=2.15円(電信買相場(TTB)は参
考相場)及び1米ドル=106.95円であった。本書におけるフィリピン・ペソ又は米ドルから日本円への換算額は、
読者の便宜のためにのみ記載するものであり、フィリピン・ペソ額又は米ドル額が上記レートで日本円に換算され
ることを示すものと解してはならない。
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本書において、ペソ金額の一部は、読者の便宜のため米ドル金額に換算されている。別段の記載がない限り、か
かる換算には、バンコ・セントラルの財務部(Treasury Department)により当該日に公表されるバンコ・セント
ラ ル参照為替レート速報(Reference Exchange Rate Bulletin)に掲載される為替レートを用いている。但し、当
該ペソ金額が実際に当該米ドル金額に相当すること、又は当該ペソ金額を表示レート若しくはある特定のレートで
米ドルに交換できたはずであること、あるいはともかくもかかる交換が可能なはずであったことを表明するもので
はない。
経済指標は、国内総生産(以下「GDP」という。)及び国民総所得(以下「GNI」という。)を名目市場価格ベー
スと実質市場価格ベースの両者で示す。名目市場価格ベースのGDP及びGNIでは、各年の実際の価格を用いて国内の
生産額が算出されるのに対し、実質市場価格ベースのGDP及びGNI(「実質」GDP及び「実質」GNIともいう。)で
は、基準年の価格を基にして生産額を算出し、インフレーション及びデフレーションによる歪みの影響を排除して
いる。2011年度第1四半期中、GDP及びGNI(2011年度の改定以前は国民総生産と称されていた。)の計算のための
フィリピンの国民経済計算システム(以下「PSNA」という。)に基づく基準が改定され、実質市場価格ベースでの
算出の基準年度が1985年から2000年に変更された。GDP及びGNIに関する基準年度の改定は、PSNA手法のいくつかの
変更の一部であり、かかる変更には、共和国の分類システム並びに経済カテゴリー及びサブカテゴリーの指定の変
更も含まれていた。2020年、フィリピン統計局(以下「PSA」という。)理事会は、2018年PSA理事会決議第11号に
より、フィリピンの国民経済計算システムの改定及び基準時改定に関する一般方針を承認した。この変更の顕著な
特徴としては、新たな産業及び支出対象商品の統計への算入、2008年国民経済計算システムにおいて推奨された国
際基準の採用、最新の分類システムの採用、新たなベンチマーク・データの利用、並びに方法論、パラメータ及び
仮説の改良等が挙げられる。下記「第3 発行者の概況-1 発行者が国である場合-(2)経済-GDP及び主な
財務指標」を参照のこと。本書において別段の記載がない限り、データは2018年度に改定されたPSNA基準に基づい
て表示されている。
別段の記載がない限り、本書中のGDP及びGNIの成長率は、それぞれ2018年度を基準年度として用いた実質GDP及
び実質GNIの期間毎の比較である。
バンコ・セントラルが発表する国際収支統計は、国家統計局(以下「NSO」という。)(現PSA)が集計した商品
貿易の統計に基づいている。但し、総合国際収支への算入の関係上、NSOにより報告された商品貿易の統計は、バ
ンコ・セントラルにより調整されており、一時輸出入額及び返品額は除外されている。この調整は、国際収支の結
果をIMFの国際収支マニュアル第5版(以下「BPM5」という。)に沿ったものにすることを意図したものである。
2013年3月、バンコ・セントラルは、国際収支統計に関するIMFの国際収支マニュアル第6版(以下「BPM6」とい
う。)の枠組みを2011年度以降分から採用し、財産所得及び費用勘定の修正を行った。このBPM5の方式からBPM6の
方式への移行に伴い修正再表示された国際収支統計の主な変更点は、(ⅰ)加工用財貨及びその他の委託された品目
の商品貿易収支からサービス貿易収支への再分類、(ⅱ)財貨の修理の商品貿易収支からサービス貿易収支への再分
類、(ⅲ)仲介貿易商品のサービス貿易収支から商品貿易収支への再分類、(ⅳ)間接的に計測される金融仲介サービ
スの第一次所得収支からサービス貿易収支への再分類、(ⅴ)移民送金による移転収支の資本収支からの除外、(ⅵ)
金融収支の計算方法の「負債-資産」から「資産-負債」への変更並びに(ⅶ)従前のアプローチでは、直接投資は
対外直接投資又は対内直接投資として表示されていたのに対し、投資が資産と負債のいずれに関するものであるか
を基準として直接投資収支のデータを整理するようになったことである。
別段の記載がない限り、本書中の国際収支統計は、BPM6ベースで表示されている。従って、これらの統計は、共
和国が過去に報告したデータと異なる場合がある。
2013 年5月、国家統計調整委員会(以下「NSCB」という。)は、2010年度以降のGNI及び海外からの純要素所得の
数値を修正した。これらの修正は、新たなデータ、とりわけ報酬の流入(在外フィリピン人労働者(以下「在外労
働者」という。)からの給与の送金を含む。)に関するフィリピン海外雇用庁からの最新データに対応した、共和
国の国民所得勘定のNSCBによる定期的な更新の一環でなされたものである。従って、本書に表示されているGNI及
び海外からの純要素所得の見積値は、2010年度より前の年度に関して過去に報告されたGNI及び海外からの純要素
所得の数値と同じ基準で表示されているものではない。
2013 年7月、バンコ・セントラルは、統計編纂において国際的に最良な慣行への準拠の一環として、標準報告様
式(以下「SRF」という。)フォーマットと称する金融統計の編纂及び報告の新たなシステムを採用した。SRFは、
金融・財務統計をIMFに報告するための国際的な統一された枠組みである。SRFの下では、バンコ・セントラルが報
告する国外及び国内の資産は、従前のように負債を控除した形で表示されるのではなく、負債は別途報告される。
但し、一般政府資産は引き続き、負債を控除した形で表示されている。SRFシステムの採用による総合国際収支の
変動は生じていない。しかしながら、バンコ・セントラルは、SRFの採用に関連して、無担保劣後債務及び未払利
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息の算入に関するIMFからの一定の勧告を適用しているため、過去に報告した額について軽微な変動が生じてい
る。
本書の表中の数値とそれらの合計が一致しない場合は、四捨五入した数値を表示していることによるものであ
る。
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第1【募集(売出)債券の状況】
募集債券
上場金融商品取引
2019 会計年度に 2019 会計年度末の 所名又は登録認可
債券の名称 発行年月日 券面総額
おける償還額 未償還額 金融商品
取引業協会名
第8回フィリピン共和国
2018 年8月15日 107,200,000,000 円 0円 107,200,000,000 円 該当なし
円貨債券(2018)
第9回フィリピン共和国
2018 年8月15日 6,200,000,000 円 0円 6,200,000,000 円 該当なし
円貨債券(2018)
第11回フィリピン共和国
2018 年8月15日 40,800,000,000 円 0円 40,800,000,000 円 該当なし
円貨債券(2018)
第12回フィリピン共和国円
2019 年8月15日 30,400,000,000 円 0円 30,400,000,000 円 該当なし
貨債券(2019)
第13回フィリピン共和国円
2019 年8月15日 21,000,000,000 円 0円 21,000,000,000 円 該当なし
貨債券(2019)
第14回フィリピン共和国円
2019 年8月15日 17,900,000,000 円 0円 17,900,000,000 円 該当なし
貨債券(2019)
第15回フィリピン共和国円
2019 年8月15日 22,700,000,000 円 0円 22,700,000,000 円 該当なし
貨債券(2019)
上記の債券の発行日から2019会計年度末までの期間中に、上記の債券の所有者の権利等に重要な影響を与える事
実は発生しなかった。
売出債券
該当なし
第2【外国為替相場の推移】
該当事項なし
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第3【発行者の概況】
1【発行者が国である場合】
(1)【概要】
歴史、国土及び国民
歴史
フィリピンは、1521年から1898年までスペインにより植民地として統治されていた。1898年6月12日、フィリピ
ン人らは米西戦争中に独立を宣言した。しかし、米国は、米西戦争を終結させた1898年パリ講和条約に基づきフィ
リピンの統治権を主張し、フィリピンがコモンウェルス(自治政府)となる1935年まで、フィリピンを植民地とし
て統治した。1946年7月4日、フィリピンは独立共和国となった。
地理及び一般情報
フィリピン諸島は東南アジアに位置し、7,000を超える島々で構成される。その総陸地面積は、約300,000平方キ
ロメートルである。共和国は、これらの島々を3つの地理的地域に区分している。各地域の総面積は、北部のルソ
ン地域が141,395平方キロメートル、中央部のビサヤ地域が56,606平方キロメートル及び南部のミンダナオ地域が
総面積101,999平方キロメートルである。また、共和国は、17の行政管区に分かれている。
注:西フィリピン海のいくつかの島の領有権に関する紛争については、下記「西フィリピン海をめぐる領海紛争」を参照のこと。
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2016 年度において、保全森林地の面積はフィリピン国土の約52.7%に当たる15.8百万ヘクタールで、国土の約
47.3%は農耕地であった。2020年1月現在、就業人口の22.7%が農業部門の被用者であった。2018年度及び2019年
度における共和国の輸出所得(農業ベースの製品の輸出を含む。)に占める農林水産業の輸出所得総額は、それぞ
れ約12.8%及び14.0%であった。共和国は一定の農作物の主要輸出国であるが、工業製品は共和国の輸出品中で最
も重要な品目であり、2019年度における共和国の輸出額の83.8%を占めていた。電子機器、機械製品、輸送機器、
衣料品及び木工製品は従来、共和国の主要な輸出工業品である。
2015 年度の人口及び住居に関する国勢調査(以下「2015年度国勢調査」という。)
2015 年度国勢調査によると、共和国の人口は101.0百万人であった。これは、2010年度の人口及び住居に関する
国勢調査時から9.4%(8.6百万人)の増加、また2000年度の人口及び住居に関する国勢調査時から32.0%(24.5百
万人)の増加に当たる。共和国の人口は、2010年から2015年にかけて年平均で1.7%増加したが、この率は、2000
年から2010年にかけての年平均増加率である1.9%を下回った。2015年において共和国の17行政管区のうち人口が
最大であったのは、人口14.4百万人の管区IV-A(カラバルソン)で、12.9百万人のマニラ首都圏及び11.2百万人の
管区III(中部ルソン)がこれに続いた。これら3管区の合計人口は、2015年における共和国の人口の約38.5%を占
めた。2010年から2015年にかけての人口増加率が最も高かったのは、ムスリム・ミンダナオ自治地域(以下
「ARMM」という。)で、年平均にして2.9%の増加率であった。2015年において共和国の81州のうち人口が最大で
あったのは、人口3.7百万人のカビテで、3.3百万人のブラカン及び3.0百万人のラグナがこれに続いた。人口が1.0
百万人を超えていたのは、計27州であった。共和国の人口構成は、比較的若年比率が高く、2015年度国勢調査によ
ると、20歳未満の人口が全人口の約40%を占め、中位年齢は24.3歳であった。
下表は、2015年度国勢調査に基づく共和国の年齢層別人口を示している。
2015年 度の年齢層別人口
年齢層別人口
年齢層 (人) 全人口に対する割合
1歳未満 2,075,441 2.1%
1-4歳 8,740,557 8.7%
5-9歳 10,838,875 10.8%
10-14歳 10,480,412 10.4%
15-19歳 10,120,312 10.1%
20-24歳 9,396,155 9.3%
25-29歳 8,304,461 8.3%
30-34歳 7,290,536 7.2%
35-39歳 6,704,923 6.7%
40-44歳 5,813,169 5.8%
45-49歳 5,262,005 5.2%
50-54歳 4,415,193 4.4%
55-59歳 3,597,370 3.6%
60-64歳 2,755,608 2.7%
65-69歳 1,912,908 1.9%
70-74歳 1,218,065 1.2%
75-79歳 857,534 0.9%
790,191 0.8%
80歳以上
合計 100,573,715 100.0%
中位年齢
24.3歳
出典:PSA 、2015年度国勢調査
フィリピン国民の過半数は、マレー系民族である。フィリピン文化は、スペイン、中国及び米国の影響も強く受
けている。国語はフィリピノ語であるが、ビジネス、政府及び教育において主に用いられる言語は英語である。そ
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の他、国民によって80を超える方言及び言語が使用されており、中国語及びスペイン語もそれに含まれる。2015年
現在、共和国の識字率はアジアでもトップクラスの98.3%であった。
フィリピンにおいて優勢な宗教は、キリスト教で、中でもローマカトリックが大勢を占める。ミンダナオには、
相当数のムスリム少数派が居住している。
政府
政府機構
共和国は、1935年以来3つの憲法を制定している。共和国は、市民の暴動に端を発した、20年間続いたフェル
ディナンド・マルコス政権の崩壊とコラソン・アキノ(1986年の大統領選挙におけるマルコスの対立候補)の大統
領就任の翌1987年2月、国民投票による承認を得て現行憲法(以下「憲法」という。)を採択した。新しい憲法
は、行政、立法及び司法の3つの府からなる大統領制の政府を復活させた。
各府の特徴は以下のとおりである。
・ 行政-普通選挙により選出された任期6年(再選不可)の大統領が行政権を行使する。大統領の死亡、恒久
的障害、解任又は辞任の場合には、副大統領がその残りの任期の間、大統領の職務を代行する。副大統領が
任務を務めることができない場合は上院議長が、上院議長が任務を務めることができない場合は下院議長
が、新大統領又は副大統領の選出及び資格付与まで大統領の職務を代行する。前任大統領の残りの任期の間
の代行者が選出された場合は、同人は大統領として6年間の任期を務めることができる。ロドリゴ・R・ドゥ
テルテ大統領(以下、「ドゥテルテ大統領」という。)の現在の6年間の任期は、2016年7月1日に開始して
おり、2022年6月30日に終了する。
・ 立法-上院及び下院で構成される議会は、共和国の立法権を行使する。憲法は、24人の議員からなる上院及
び250人以下(各派の代表者を除く。)の議員からなる下院に権限を付与している。議員はいずれも普通選
挙により選出される。上院議員の任期は6年間で、下院議員の任期は3年間である。上院議員及び下院議員は
再選可能であるが、それぞれ2期連続及び3期連続を上限とする。2019年5月、上院議員12人及び全下院議員
の選挙が行われた。この選挙で選出された議員と、改選対象外であった12人の上院議員が共和国第18回議会
を構成している。
・ 司法-最高裁判所、及び法律により設置される下級裁判所が共和国の司法権を行使する。共和国の裁判所
は、最高裁判所及び控訴裁判所等の一般的管轄権を有する裁判所の重層的システムである。その下位には、
地域裁判所、首都圏裁判所、自治体裁判所及び自治体巡回裁判所が置かれているが、これらはすべて第一審
裁判所である。
国政選挙
2016 年5月9日、共和国大統領・副大統領選挙、及び上院議員のうち12人と全下院議員の選挙を含む国政選挙及び
地方選挙がフィリピン全土で行われた。フィリピン民主党-民衆の力(以下「PDP-ラバン党」という。)のドゥ
テルテ大統領及び自由党のマリア・レオノール・ロブレド副大統領がそれぞれ当選し、2016年7月1日に就任した。
その時点で、前大統領ベニグノ・S・アキノ3世の6年間の任期が終了した。
2019 年5月13日、フィリピンにおいて、上院議員12名及び全下院議員のほか、州・市・町レベルの全公職の選挙
が行われた。選挙後は、PDP-ラバン党が議席数83の下院第1党となり、次いでナショナリスタ党、民族主義者国民
連合及び国民統一党がそれぞれ42議席、36議席及び25議席を確保し、残りの議席はその他の政党が分け合った。
2019年7月22日、上院及び下院が共和国第18回議会の第1回通常会を開会した。
最近の政治の展開
2011 年11月18日、アロヨ元大統領が2007年の上院議員選挙に関する選挙妨害の容疑で逮捕された。アロヨは、逮
捕時には希少骨疾患を発症したとして入院していた。2011年11月15日、アロヨは、同氏に出国の権利を付与した最
高裁判所の決定があるとして、海外での治療を理由にフィリピンを出国しようとした。しかしながら、政府の職員
らは、ウォッチリストオーダーに基づき、同氏の出国を阻止した。2011年11月18日、アロヨが2007年の上院選の正
式な開票結果の大がかりな不正操作を命じ、もって同氏支持者の一人による上院議席獲得を助けたとしてフィリピ
ン選挙管理委員会がアロヨを告発したのを受け、下級裁判所により逮捕状が発付された。アロヨは当初、告発の適
法性に異議を申し立てたが、2013年7月23日、最高裁判所は異議申立を却下した。2012年7月16日、アロヨはさら
に、大統領在任中にフィリピン国家慈善宝くじ事務局の基金を不正使用したとして、行政監察院により不正蓄財の
疑いで告発された。2012年7月25日に保釈金を支払って保釈されたアロヨは、告発が係属中であったにもかかわら
ず、2013年5月13日に下院議員として2期目の当選を果たした。2013年10月、アロヨは、国の宝くじ基金を流用した
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容疑で再び逮捕された。2015年10月、国際連合の恣意的拘禁作業部会は、アロヨの継続的な拘禁は、作業部会が認
定した恣意性のカテゴリーに基づき恣意的なものであり、よって国際法に違反すると判断した。2016年7月、最高
裁 判所は、不正蓄財についてアロヨを無罪とし、同氏は病院内での拘束を解かれた。2018年7月、アロヨは、フィ
リピン下院議長に選出された。
2011 年12月12日、下院はコロナ最高裁判所長官を弾劾した。この弾劾は、アロヨ元大統領の医療目的でのフィリ
ピン出国を阻止しようとする政府の試みを妨げた最高裁判所の一連の決定を受けてなされたものである。弾劾請求
は、アロヨに対しフィリピンを出国することを許可した決定を含め、アロヨに有利な決定を不当に行ったことを特
に理由としてコロナを弾劾対象とした。また全公職者に対してその資産、負債及び純資産の申告を義務付けた規則
に違反して、コロナがその全財産の公開を怠ったことも弾劾の根拠とした。2012年5月29日、上院は、投票により
コロナを有罪とした。2012年8月24日、アキノ前大統領はセレノ最高裁判事を新長官に任命した。セレノ最高裁判
所長官は、同職に就いた初の女性であり、定年の70歳に達するまで18年間在任することが可能であった。2017年11
月23日、下院司法委員会は、セレノ最高裁判所長官が自らの財務状態について虚偽申告を行い、他の判事が発した
立入制限命令を改竄し、法曹協議会の指名手続を操作したこと等を根拠とする同氏の弾劾の申立てについての審理
を開始した。ホセ・カリダ法務次官は、弾劾手続と同時に、セレノ最高裁判所長官の任命を無効とすべく、権限開
示令状請求書を提出した。この請求書は、セレノが長官への任命に応じた際に財務状況開示要件を完全には充足し
ていなかったことを根拠として、同人が違法な形で職務に就いていた旨を主張するものであった。2018年5月、最
高裁判所がセレノ最高裁判所長官の任命取消請求を認容した結果、セレノは解任された。2018年8月、ドゥテルテ
大統領は、テレシタ・デ・カストロ最高裁陪席判事を最高裁判所長官に任命した。デ・カストロ最高裁判所長官
は、2018年10月8日に定年の70歳に達するまで最高裁判所長官を務めた。後任には、ルーカス・P・ベルサミン最高
裁陪席判事が就き、2019年10月18日に退任するまで最高裁判所長官を務めた。2019年10月23日、ドゥテルテ大統領
は、ディオスダド・ペラルタ最高裁陪席判事を最高裁判所長官に任命した。
2014 年6月及び同年7月、3名の上院議員が何十億ペソにも上る議会の資金を不正に使用し流用したとして、不正
蓄財及び不正利得の疑いで告発された。フアン・ポンセ・エンリレ、ラモン・レヴィラ・ジュニア及びホセ・エス
トラーダの3名の上院議員は、違法なキックバックのスキームを通じて資金を蓄積したことが判明した。フアン・
ポンセ・エンリレの罪状認否手続では、無罪の答弁が記録され、その後2015年8月、最高裁判所の決定に基づき、
同人は人道上の理由により保釈金を支払って釈放された。2016年1月、公務員特別裁判所の特別第5部はホセ・エス
トラーダの保釈申立を拒否した。しかしながら、2017年9月15日、同裁判所は、エストラーダがアロヨの不正蓄財
に係る告発を却下した最高裁判所の決定を引用した申立を行った後、同氏に対して保釈金を支払うことを認めた。
2018年12月、レヴィラ氏に対して無罪判決が言い渡された。
2014 年8月12日、フィリピン国軍(以下「AFP」という。)は、左派団体とのつながりがあるとされる2人の学生
活動家の失踪に関連してホビト・パルパラン元将軍を逮捕した。2018年9月17日、地域裁判所は、拉致及び重大な
違法監禁について、パルパランを有罪とした。
2015 年1月25日、フィリピン国家警察(以下「PNP」という。)の特殊部隊(以下「SAF」という。)の44人の隊
員を含む67人のフィリピン人がテロリスト2名の逮捕作戦の実行中にマギンダナオのママサパノにおいて死亡し
た。この作戦は、PNPと、フィリピン南部に拠点を置く反体制グループであるバンサモロ・イスラム自由戦士及び
モロ・イスラム解放戦線(以下「MILF」という。)のメンバーらとの間の戦闘を伴うものであった。PNP長官は事
件の2週間後に辞任した。下記「反政府組織との国内紛争及び和平交渉-モロ・イスラム解放戦線」も参照のこ
と。
2016 年7月1日に就任して以来、ドゥテルテ大統領は、違法薬物取引との戦いを同政権の重点事項としている。
ドゥテルテ大統領は、政権発足の第1週に、共和国における複数の違法薬物シンジケートの首謀者とされる人物3名
を名指しした。うち2名がニュー・ビリビッド刑務所に収監されているが、一定数の公務員を協力者として引き続
き刑務所内からそれぞれのシンジケートを動かしているとされる。2016年8月25日、フィリピン薬物取締庁(以下
「PDEA」という。)及びPNPの捜査に基づき、ドゥテルテ大統領は、ニュー・ビリビッド刑務所を司令部として行
われているとされる違法薬物取引の概要を示す人物相関図を公表し、元司法省次官のフランシスコ・バラーン3
世、PNP管区Iの管区ディレクターのフランクリン・ブカヨ、元司法大臣のレイラ・デ・リマ上院議員、デ・リマ上
院議員の元運転手兼ボディガードのロニー・ダヤン、及び元パンガシナン州知事のアマド・エスピノ・ジュニア下
院議員等の関係を示した。2016年9月27日、ドゥテルテ大統領は、エスピノ下院議員及びその他の一定の者につい
て、不正の嫌疑が晴れたことを発表したが、ニュー・ビリビッド刑務所における薬物取引に関係しているとされる
その他の公人に対する取調べは、上院倫理委員会及び下院司法委員会による調査を含め、いまだ継続中である。
2019 年3月31日現在、PNPは、2016年7月1日のドゥテルテ大統領就任以来、PNPの麻薬取締作戦により5,375人が死
亡し、182,061人が逮捕されたと推計している。いくつかの国際団体及び外国(国際連合人権高等弁務官事務所及
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び米国を含む。)の代表者が、これらの作戦に関連する共和国における超法規的殺害に関する報道を受けて懸念を
表明した。2016年9月24日、当時の共和国外務大臣であったペルフェクト・ヤサイは、国際連合総会での演説にお
い て、ドゥテルテ大統領が法の支配及び適正手続の尊重を約束し、同政権のフィリピンからの違法薬物一掃運動が
フィリピン憲法、国際規範及び人権条約に厳密に従って実行されるであろうことを強調した。2016年10月、政府
は、超法規的殺害の疑いの調査にあたらせるべく、国際連合特別報告者を招聘したが、2016年12月14日、当時のヤ
サイ大臣は、報告者の訪問の条件について合意に至らなかったため派遣は行われない旨発表した。2017年9月、
ジュネーブで行われた国際連合人権理事会の第36回会期中に米国を含む39ヶ国が、報道されている薬物がらみの殺
害を特に踏まえ、フィリピンの状況について共同声明を通じ懸念を表明した。2019年12月、米国連邦議員らは、政
府の違法薬物撲滅作戦の際立った批判者であったフィリピン上院議員デ・リマの収監や、複数の超法規的殺害に関
与したことが判明した当局者らに対して渡航制限及び金融制裁を課す立法を提案した。
ドゥテルテ大統領は、就任のおよそ15ヶ月後の2017年10月10日、違法薬物撲滅作戦からの撤退をPNP、AFPその他
の機関に対して指示する通達を発し、PDEAにこれを担当させた。しかしながら、PNPが10月に作戦から手を引いて
以来、違法薬物取引の増加が見られたことから、2017年12月5日、ドゥテルテ大統領はPNP、AFPその他の機関に対
し、PDEAの違法薬物捜査活動を支援することを指示する新たな通達を発令した。
2017 年8月23日、当時の選挙管理委員会委員長アンドレス・バウチスタに対する弾劾が請求された。当該請求
は、同氏が自己の資産、負債及び純資産の計算書において不実表示を行ったほか、何百万人もの有権者のデータを
流出させた2016年のハッキング事件を防止できなかったことにより国民の信頼を裏切ったとした。バウチスタは、
同年の残りの期間は引き続き在任することを意図して、2017年10月11日に辞表を提出した。しかしながら、2017年
10月23日、サルバドール・メディアルデア官房長官は、バウチスタの辞任を即時発効する形で受理した。2017年11
月22日、ドゥテルテ大統領は、バウチスタが務めるはずであった2022年2月2日までの任期の残り期間の委員長とし
て、シェリフ・アバス選挙管理委員会委員を任命した。
2018 年7月、国家捜査局(以下「NBI」という。)は、デングワクチン・プログラムへの資金提供に関して、アキ
ノ元大統領、フロレンシオ・アバド大臣及びジャネット・ガリン元保健大臣を不正利得等の容疑により起訴するこ
とを勧告した。60名を超えるワクチン接種者の死亡に関して、ガリンのほか複数の保健省職員に対する起訴が相次
いでなされている。アキノは、現時点において、2015年の反乱制圧作戦の失敗による44名超の警察特殊部隊員の死
亡に係る過失についても起訴されている。
共和国において、政治的暴力は珍しいことではない。2018年7月及び同年9月、タナウアン市長のアントニオ・ハ
リリ、ジェネラル・ティニオ町長のフェルディナンド・ボテ及びロンダ町長のマリアノ・ブランコが殺害された。
2018年2月には、ロンダ副町長のジョナ・ジョン・ウンガブも殺害された。フィリピンでは、2019年9月現在、20名
を超える市長・町長及び副市長・副町長が殺害されているが、そのうちの数名は、違法薬物取引に関与していたと
されている。2019年12月、タギッグ市の特別法廷は、選挙手続に向かう車列が待ち伏せされ、アンパトゥアン一族
の政敵や30名のジャーナリストを含む57人が殺害された事件に関して、数十年間にわたってフィリピン南部のマギ
ンダナオ州を支配したアンパトゥアン一族のうち8人及びその他の被告人20名に対し、複数の殺人の訴因につい
て、各被告人が果たした役割により有罪判決を下した。
支出促進プログラム
2011 年、アキノ前大統領政権は、他のプログラムの中断又は中止及び効率向上策の実施により浮いた金銭、未払
報酬並びに使途未定資金を利用して、影響度及び優先度の高いプログラム及びプロジェクトを支援する仕組みとし
て支出促進プログラムを導入した。これにより、政府が経済成長の促進のため公的支出を増額することが可能と
なった。
2013 年12月、アキノ前大統領は支出促進プログラムを終了した。2014年7月1日、最高裁判所は、支出促進プログ
ラムは違憲であると裁判官全員一致の意見で判決した。資金の充当が議会によって当初から認められたものではな
いプロジェクトに未承認の政府資金を充当することは、憲法第6節第25条第5項及び行政部門と立法部門の権能の分
離の法理に違反するというのがその根拠であった。2014年7月、大統領府は再審申立を行ったが、2015年2月3日、
最高裁判所は判決を維持した。
2015 年9月30日、行政監察院の実地調査室は、2011年度から2012年度にかけての支出促進プログラムの資金の使
途についての調査を完了した。予算管理省のフロレンシオ「ブッチ」アバド大臣及びマリオ・レランパゴス次官
は、未承認使途による公金流用及び行政犯罪の疑いにより予備捜査を受けた。未承認使途による公金流用に係る告
発は、2017年3月7日に却下された。
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2016 年7月8日、アキノ前大統領の任期終了後まもなく、非政府組織の新民族主義者同盟( Bagong Alyansang
Makabayan )等の左派活動家らが、支出促進プログラムに関連してアキノ前大統領及びフロレンシオ・アバド予算
管理大臣による公金私消、権限の不正行使及び不正利得があったとして、行政監察院に対し訴えを提起した。
2017 年3月7日、アキノ前大統領に対する行政犯罪の告発がアキノの大統領任期終了後に行われたことにより、管
轄権が存在しないとして却下された。レランパゴス次官に対する行政犯罪の告発は、法的根拠がないとして却下さ
れた。しかしながら、行政監察官は、立法権の不正行使によりアバドを起訴できると思われる根拠があると認め
た。2017年3月13日、行政監察官に対してアキノに対する告発の再検討を求める内容の再審申立がなされた。2018
年6月14日、行政監察官は、アキノに対する告発を却下した2017年の決定を覆し、立法権の不正行使によりアキノ
を起訴するのに十分な根拠があると認めた。
2017 年11月23日、当時司法大臣であったヴィタリアノ・アギレ2世は、支出促進プログラムの捜査担当特別部会
の設置をNBIに対して承認する2つの省令に署名した。2019年12月31日現在、捜査は進行中である。
行政組織
2019 年12月31日現在、共和国には17の行政管区及び43,760の地方自治体が存在した。地方自治体は、81の州、
146の市、1,488の町(州の下部組織)及び42,045(2020年3月現在では42,046)のバランガイで構成されていた。
高度に都市化された市は州から独立して機能するが、その他の各市は、その位置する州の行政監督下に置かれてい
る。
政府は、その多様なプログラム及びプロジェクトを実施する、行政部門の様々な省及び省同格機関を中心として
組織されている。省及び省同格機関は、次の5つの部門に分けられる。
部門 主な省庁
社会サービス 保健省、教育省、労働雇用省、社会福祉開発省
経済サービス 農業省、農地改革省、エネルギー省、環境天然資源省、観光省、貿易産業省、
公共事業道路省、運輸通信省、科学技術省
防衛 国防省
一般公共サービス 外務省、財務省、予算管理省、内務自治省、司法省、国家経済開発庁、広報業
務担当大臣官房、ムスリム・ミンダナオ自治地域、コルディリェラ行政管区
憲法に基づく諸機関 一般公共サービス(選挙管理委員会、監査委員会、人事委員会、公序安全委員
会、行政監察院)、社会サービス(人権委員会)
政府系企業(GOCC)
政府は、経済の成長及び発展を促すため、必要不可欠な物品及びサービスを公衆に提供し、民間部門と協力する
多数の法人を所有又は支配している。GOCCの事業内容は、当初は基本的な公的サービス及び国家独占事業に限定さ
れており、1930年代には13社であったのが、1984年までに301社に増加した。
GOCC ガバナンス委員会(以下「ガバナンス委員会」という。)の2020年1月7日現在のデータベースによると、
GOCC数は、119社である。これらの企業は、26社の政府系金融機関(以下「GFI」という。その内訳は、銀行機関8
社、ノンバンク12社及び社会保障機関6社である。)と93社のその他の機関(ガバナンス委員会の業界分類に基づ
くと、貯蓄投資企業、不動産土地開発企業、エネルギー企業及びその他で構成される。)からなる。
現在のところ、公的部門の対内債務及び対外債務の相当部分がGFIを含むGOCCの債務で占められている。政府
は、公共政策を支援する形で企業に融資するGFI3社が公的部門の赤字/黒字やその他の財務指標にどれだけ寄与し
ているかを緊密にモニタリングしている。これらGFI3社とその事業内容は以下のとおりである。
政府系金融機関 事業内容
銀行機関:
(1)(2)
フィリピン開発銀行(以下「DBP」という。) とりわけ農村地域における中小規模の農工業企業の中長
期的なニーズに応える銀行サービスの提供
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(1)(3)
フィリピン土地銀行(以下「LBP」という。) 農業及び共和国の農業改革プログラムのあらゆる局面に
対する金融支援
ノンバンク機関:
(4)
貿易投資開発公社
輸出業者及び請負業者に対する外貨建貸付の保証
注:
(1) DBP及びLBPは、ユニバーサル・バンクとしての営業も行っている。DBP及びLBPに関するさらなる記載については、下記「(4)通貨・金
融制度-フィリピンの金融システム-金融システムの構造」を参照のこと。
(2) DBPには、その子会社であるDBPデータ・センター・インクが含まれる。
(3) LBPには、その2つの子会社であるランド・バンク・カントリーサイド・ディベロプメント・ファウンデーション・インク及びLBPリソー
シズ・アンド・ディベロプメント・コーポレーションが含まれる。
(4) 旧フィリピン輸出・外国融資保証公社。
監査済財務書類によると、2018年12月31日現在、上記の緊密なモニタリングの対象であるGFI3社の対内負債及び
対外負債の合計額は2.36兆ペソで、全GOCCの負債合計の51.07%を占めていた。2018年12月31日現在、LBPの負債額
は1.74兆ペソで、全GFIの負債合計の73.77%及び全GOCCの負債合計の37.68%と、それぞれの最大部分を占めてい
た。DBPの負債額は617.87十億ペソで、全GFIの負債合計の26.16%(構成率第2位)を、また全GOCCの負債合計の
13.36%(構成率第3位)を占めていた。
政府はまた、様々な重要事業活動に携わっている14社の主要なGOCCについては、各社が公的部門の赤字/黒字や
その他の財務指標にどれだけ寄与しているかを記録することにより、緊密なモニタリングを行っている。これらの
14法人(以下「主要GOCC14社」という。)とその事業内容は以下のとおりである。
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政府系企業 事業内容
(1)
国家電力公社(以下「NPC」という。) オフグリッド(自家発電)及び離島向けグリッド発電・
送電
(1)
国家送電公社(以下「送電公社」という。) 送電インフラの所有
(1)
電力部門資産負債管理公社(以下「PSALM」という。) 発電及びNPCのレガシー資産の民有化
国家電化公社 電気組合に対する貸付
マニラ首都圏上下水道公社 上下水道(マニラ首都圏及び隣接州)、民間受託業者
(コンセッショネア)の規制
地方水道公社 水道事業者に対する貸付
フィリピン経済区庁 経済区の開発
国家食糧庁 農業
国家灌漑公社 農業
フィリピン国有鉄道 運輸
軽量鉄道公社 運輸
フィリピン港湾公社 運輸
(2)
国家開発公社 金融/投資
(3)
フィリピン国家石油公社 エネルギー探査・開発
国家住宅公社 住宅供給
(2)
住宅保証公社 住宅保険
注:
(1) 2001年電力産業改革法(以下「EPIRA」という。)に従い、政府は電力部門をNPCと2つの新会社、すなわちPSALM及び送電公社に再編成し
た。PSALMは、残存しているNPCの発電資産の民有化を実施している。PSALMの完全子会社である送電公社は、送電システムの民有化を
担っている。一定の財務モニタリング目的のため、これらの3法人は、まとめて1つの主体として扱われる。EPIRA及びNPCの資産の民有化
のより詳細な解説については、下記「(2)経済-最近の経済指標-電力産業の再編」を参照のこと。
(2) 国家開発公社及び住宅保証公社もまたGFIである。
(3) フィリピン国家石油公社には、その子会社であるPNOCエネルギー開発公社、PNOC探査公社及びPNOC船舶運輸公社が含まれる。
監査済財務書類によると、2018年12月31日現在、モニタリングの対象である主要GOCC14社の対内債務及び対外債
務は合計約1.69兆ペソであり、全GOCCの負債合計の36.62%を占めていた。また対GDP比では、2017年度末には
9.04%であったのに対し、2018年度末には9.72%に上昇した。2018年12月31日現在のPSALMの負債額は714.7十億ペ
ソで、モニタリング対象の主要GOCC14社の負債合計の42.19%とその最大部分を占め、また全GOCCの負債合計の
15.45%(構成率第2位)を占めていた。
近年、政府は、その財政健全化への取組み、公正さ、公的サービスの効率的・効果的な提供、持続可能性、透明
性及び説明責任に対するGOCCの適切な貢献を奨励することにより、これらのGOCCのコーポレート・ガバナンス及び
財務成績を向上させるという一般政策を実施している。政府は、その民営化戦略のほか、GOCCを自立させるという
政策目標に沿って、他のGOCCの事業への介入を控える方針を採っている。但し、政府は一定の場合には、法により
許容される範囲で債務保証その他必要とみなす支援を行うことにより、これらの企業の取引を支援している。
2011 年6月6日、アキノ前大統領は、2011年GOCCガバナンス法として知られる共和国法第10149号(以下「GOCC
法」という。)の法案に署名し、同法を成立させた。同法はとりわけ、GOCCの役員及び従業員の給与及び給付の標
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準化及び合理化を規定するものである。GOCC法の主要規定の1つにより、関連政府機関及び民間部門から任命され
る5名の委員で構成されるガバナンス委員会が創設された。ガバナンス委員会の主な機能の1つは、どのGOCCについ
て 再編成、合併、合理化、廃止又は民営化を行うかの検討及び決定である。この検討は進行中であり、いくつかの
GOCCは2014年度及び2015年度中に既に廃止又は民営化された。GOCC法は、ガバナンス委員会を創設したほか、GOCC
の取締役、役員及び従業員の任用・雇用についてより厳格な基準を適用している。例えば、GOCCの全取締役に対し
て、再任される場合はその度に、各々の業務成績を基準とする適格性審査を受けた上で1年間の再任可能な任期を
務めることを要求している。GOCC法は、GOCCが、公衆のために同様の商活動を行っている民間部門の企業と同じ土
俵に立てるようにするため、GOCCの規制対象活動と独自の事業活動との明確な分離を確保している。
2019 年度においては、GOCC57社が2018年度中に得た所得に基づく総額53.42十億ペソの配当が共和国に対して入
金された。2019年度の配当入金額は、2018年度の配当入金総額40.18十億ペソに比べ33%増に相当する。
2020 年1月7日現在、ガバナンス委員会は、GOCCのうち26社を「廃止手続中」、4社を「解散済み/廃止済み」、1
社を「PMO(民営化管理局)による処分済み」、24社を「営業休止状態/遊休状態」、3社を「民営化手続中」に分
類していた。
ドゥテルテ政権の政策
ドゥテルテ大統領は、2016年7月26日に行った初めての施政方針演説で、その6年間の任期における政策課題を発
表した。大統領は、徹底的かつ持続的に犯罪、違法薬物及び汚職と戦うとした就任演説での約束を繰り返し、
PNP、バランガイ議長、市長、知事及びその他の公人らに対し、ともに戦うよう呼びかけた。また、この取組みを
進めるにあたり、違法薬物との戦いに向けた努力の結集や政府各省庁の提携強化を支援すべく、違法薬物に関する
省庁をまたぐ委員会の創設を約束した。さらに、全国で治療・更生施設を増設し、違法薬物使用者の更生を優先す
ることを約束した。
ドゥテルテ大統領は、医療・保健、教育、適切な食と住、環境保護及び文化の尊重の各分野でフィリピン国民の
福祉を向上させる政策についても述べた。特に強調したのは、安全、開発、意思決定への公平なアクセス及びアイ
デンティティの受容に対する全フィリピン国民の基本的ニーズを充足することにより、テロリズムや無法行為と戦
うことの重要性であった。ドゥテルテ大統領は、高い経済成長率をより良い雇用の創出及び貧困削減につなげる一
助となるように、アキノ前大統領政権のマクロ経済政策、すなわち慎重な財政金融政策を継続したいと表明した。
インフラについては、ドゥテルテ大統領は、全体的な経済成長及び観光業の振興のため、また灌漑技術の改良
や、損失を最小限に抑える近代的な収穫施設及び収穫後施設による農業の近代化の促進のため、道路開発プロジェ
クトを増加させるという目標を掲げた。環境規制の面では、共和国の天然資源を荒廃させる違法伐採、違法採鉱そ
の他の破壊行為との戦いへの援護任務を強化するように軍に指示した。
最後に、ドゥテルテ大統領は、透明性が高く汚職のない政権運営を行うと約束し、とりわけPNPが責任を持って
その業務を遂行し、権限乱用を慎むよう訓令した。これに関連して、大統領は、警察官の不正行為に関する報告を
効率的に捜査し、裁定すること、またフィリピンにおける違法薬物取引とのドゥテルテ政権の戦いでの貴重な協力
者としてPNPを活用することを国家警察委員会に対して指示した。
近年の施政方針演説
2016 年7月26日、ドゥテルテ大統領は、初めての施政方針演説を行い、その6年間の任期における政策課題を発表
した。大統領は、徹底的かつ持続的に犯罪、違法薬物及び汚職と戦うとした就任演説での約束を繰り返し、PNP、
バランガイ議長、市長、知事及びその他の公人らに対し、ともに戦うよう呼びかけた。また、この取組みを進める
にあたり、違法薬物との戦いに向けた努力の結集や政府各省庁の連携強化を支援すべく、違法薬物に関する省庁を
またぐ委員会の創設を約束した。さらに、全国で治療・更生施設を増設し、違法薬物使用者の更生を優先すること
を約束した。
2017 年7月24日、ドゥテルテ大統領は2回目の施政方針演説を行った。大統領は、前回同様、反違法薬物運動での
戦いを継続すると誓い、違法薬物、汚職及び犯罪に対する断固たる措置に加わるよう国民に訴えた。また違法薬物
取引をはじめとする凶悪犯罪に対する死刑を復活させるように議会に求め、AFPの防衛能力を増強し、テロリズ
ム、犯罪その他の脅威に対する抑止力とするため、より多くの資源をAFPに提供することを宣言した。ドゥテルテ
大統領は、環境問題への懸念も表明し、環境保護を優先課題とすると述べた。とりわけ、採鉱業者らが環境を破壊
し、虚偽の所得税申告書を提出し、適正な税金の支払いを逃れているとして批判した。地理的な移動を容易にし、
地点間の接続性を向上させるインフラ改善のため、2017年度においては対GDP比5%であった政府のインフラ支出を
2022年度までに7%に引き上げることで、全国レベルでの公平な発展及び成長を促進することを目標としていると
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述べた。また、包括的税制改革プログラムの支持を上院に呼びかけ、2017年12月19日、関連法案がドゥテルテ大統
領の署名により共和国法第10963号として成立した。
2018 年7月23日、ドゥテルテ大統領は3回目の施政方針演説を行った。演説のテーマは、違法薬物や汚職との戦
い、バンサモロ自治地域、共和国の中国との関係や経済といった幅広いものであった。大統領は、国家として違法
薬物との戦いを継続するという決意を強調し、また汚職及び政府資源の浪費への反対を強く表明した。さらに、バ
ンサモロ自治地域の創設に触れ、共和国憲法の枠内で同地域の自治を保証することを誓約した。大統領は、共和国
が西フィリピン海における自国の利益の擁護に引き続き取り組みながらも、中国との関係を改善したことについて
も述べた。また、税制改革法(Tax Reform for Acceleration and Inclusion law)(以下「TRAIN法」という。)
の成立について議会を称賛し、その実施を支持する旨を表明した。そして最後に、現行憲法又は今後新たに採択さ
れうる憲法により認められる期間を超えて在任する意思はないことを述べた。
2019 年7月22日、ドゥテルテ大統領は4回目の施政方針演説を行った。演説のテーマは、違法薬物や汚職との戦
い、バンサモロ自治地域、環境保護、西フィリピン海や経済といった幅広いものであった。大統領は、国家として
違法薬物との戦いを継続するという決意をあらためて表明した。また汚職反対を強調し、政府機関には市民のニー
ズへのより良い対応を求めた。国家安全保障については、共和国憲法の枠内でのバンサモロ自治地域の自治を保証
する旨を再び誓約した。また、共和国が西フィリピン海における自国の利益の擁護に向けた取組みを継続すること
を公約した。大統領は、経済及び市民生活の向上を目指すいくつかの取組みについても触れた。例えば、マニラ首
都圏外の複数の新興経済拠点における「Build Build Build」プログラム、貧困削減プログラムの資金を得るため
の税制改革、第三の電気通信プロバイダーの市場参入並びにコメ関税化法及びコメ競争力増進基金の完全施行等で
ある 。
包括的税制改革プログラム
2017 年12月19日、ドゥテルテ大統領がTRAIN法案に署名し、共和国法第10963号が成立した。包括的税制改革プロ
グラムのパッケージ1Aとしても知られるTRAIN法は、共和国では20数年ぶりの包括的税制改革プログラムである。
TRAIN 法の主な内容は、(i)個人所得税率の引下げ、(ii)相続税及び贈与税の簡素化、(iii)付加価値税の税基盤
の拡大、(iv)石油製品物品税率の引上げ、(v)自動車税率の引上げ、並びに(vi)砂糖入り飲料税率の引上げの導入
である。特筆すべき点としては、TRAIN法の下では、年間課税所得が250,000ペソ以下の者には個人所得税が課され
ない。年間課税所得が250,000ペソ超である者についても、より低い税率区分に該当するように調整されている。
最高税率35%は、年間所得が8百万ペソ超である者に対してのみ適用される。TRAIN法は、2018年1月に施行され
た。財務省財務局(以下「BTr」という。)によると、2018年度第1四半期における税徴収額は、2017年度第1四半
期に比べ16.4%増加し、増大する政府支出を支える財政余地が拡大することを示している。
2019 年2月14日、ドゥテルテ大統領は、包括的税制改革プログラムのパッケージ1Bの一環として、2019年タック
ス・アムネスティ(租税特赦)法案に署名し、同法を成立させたが、国税一般のアムネスティ条項については拒否
権を行使した。2019年タックス・アムネスティ法は、2017年度以前の課税期間を対象としており、当初は、(1)あ
らゆる税に関する国税一般のアムネスティ、(2)滞納されている相続税に関する相続税のアムネスティ、及び(3)既
に確定し、支払期限が到来し、支払要求が可能となっている租税債務の滞納に係るアムネスティの3つで構成され
ていた。ドゥテルテ大統領は、国税一般のアムネスティ条項については拒否権を行使したが、相続税のアムネス
ティ及び滞納に係るアムネスティを承認した。
2018 年9月10日、下院は、下院法案第8083号、すなわち機会創出のための税制改革(Tax Reform for Attracting
Better and Higher Quality Opportunities)(以下「TRABAHO」という。)法案を可決した。TRABAHOは、ドゥテ
ルテ政権下の税制改革パッケージ第2弾で、法人所得税率を2029年までに30%から20%に引き下げ、また投資に対
する税制優遇措置を合理化することにより、投資の促進を目指すものであった。しかしながら、上院は第17回議会
の閉会前にTRABAHO法案を可決しなかった。TRABAHO法案は、下院法案第4157号として第18回議会に再提出され、そ
の名称は法人所得税・税制優遇適正化法案(以下「CITIRA」という。)に変更された。CITIRA法案(下院法案第
4157号)は、2019年9月13日に下院で可決されたが、上院では未決となっている。CITIRA法案は、2020年3月9日、
直ちに制定するためドゥテルテ大統領によって認証されている。
包括的税制改革プログラムの下で進行中のその他の改革案には、パッケージ2プラス、パッケージ3及びパッケー
ジ4が含まれる。パッケージ2プラスには、鉱業税及びアルコール・たばこ物品税(sin tax)の改革案が含まれ
る。パッケージ3は、公正、公平かつ効率的な不動産評価システムの発展を促進するために不可欠な改革の導入を
狙いとしている。パッケージ4は、受動的所得・金融仲介税をより簡素、公正かつ効率的なものとし、その地域的
競争力を高めることに注力するものである。
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2020 年1月22日、包括的税制改革プログラムの下でのパッケージ2プラスの一環として、ドゥテルテ大統領は、共
和国法案第11467号に署名し、同法を成立させた。これにより、ユニバーサル・ヘルスケア法を推進すべく、アル
コール飲料、加熱式たばこ製品及び電子たばこに対する物品税がさらに引き上げられることとなった。同法に基づ
き、 2023年1月1日から、がん、腎臓病、結核及び精神疾患等の疾患の処方薬の販売及び輸入に対する12%の付加価
値税は免除される。
フィリピン開発計画
2016 年10月11日、ドゥテルテ大統領は、フィリピンの開発計画の指針として25年間の長期ビジョン「 AmBisyon
Natin 2040」を承認及び採択する2016年行政命令第5号に署名した。2017-2022年度フィリピン開発計画(2017年2
月20日、その最終版が国家経済開発庁(以下「NEDA」という。)により承認された。)は、この長期的な国家ビ
ジョンを基に立案された初めての中期計画である。この計画は、 AmBisyon Natin 2040に記されたビジョンの実現
を目指し、社会のあらゆる層を包摂した成長、信頼性の高い社会及び国際競争力のある経済のためのより強固な基
盤を築くことを目標とする。2017-2022年度フィリピン開発計画は、農業従事者及び貧困発生率の高い地域の住民
の貧困に的を絞り、2015年度には21.6%であった貧困率を2022年度までに14.0%に引き下げることを目標としてい
る。2019年4月現在、2017-2022年度フィリピン開発計画を実施するために必要な投資の総額は、11兆ペソと見積
もられていた。
2017 -2022年度フィリピン開発計画は、現政権の下での国家開発の道筋となるものである。この計画は、0-10項
目の社会経済アジェンダから生じたもので、フィリピン国民が切望する「快適で安全な安定した暮らし」を実現す
ることができるように、社会のあらゆる層を包摂した成長、強靭な信頼性の高い社会、及び国際競争力のある知識
経済のより強固な基盤を築くことを狙いとしている。
同フィリピン開発計画は、政府が2022年度までに達成しようとしている目標 高中所得国となり、7~8%の
GDP成長率を達成し、貧困発生率を14%に引き下げること等 を設定している。これらの目標達成の指針となる
ように、同計画には介入のあり方や戦略も組み込まれている。
大統領は、同計画の実行の一助となるように、2017年5月16日に行政命令第24号に署名し、同フィリピン開発計
画に沿ったロードマップの作成を全閣僚クラスターに対して指示した。
また大統領は、2017年6月1日に行政命令第27号に署名し、すべての政府機関及び部局(地方自治体を含む。)に
対して、その予算プログラム及び部局あるいは法人としてのプログラムを、同フィリピン開発計画において特定さ
れた戦略及び活動と連携させるように指示した。
政策と各プログラムの整合性を確保し、また同フィリピン開発計画の実施にあたり省庁間調整が効率的に行われ
るようにするため、社会経済計画庁長官は2018年3月20日に通達第1号に署名し、改定された閣僚クラスター制度を
同フィリピン開発計画の調整メカニズムに組み込んだ。通達第1号は、同フィリピン開発計画の各章に明記された
同計画の成果の達成については、それを管轄する特定のNEDA理事会委員会、閣僚クラスター及びその他の省庁をま
たぐ委員会に第一義的な責任を負わせるものである。
NEDA は、同フィリピン開発計画に明記された結果及び成果に関する政府の達成度を評価するため、2017年度社会
経済報告書を作成した。同報告書には、2017年度中に行われた主な基礎作業、近い将来に発生することが予想され
る問題並びに2018年度及び2019年度において優先的に実行されるべき推奨戦略が記載されている。
2019 年5月、社会経済計画庁長官は、2019年通達第1号を発出し、2017-2022年度フィリピン開発計画の中間評価
を正式に開始した。改定フィリピン開発計画草案は、省庁をまたぐ会合、地域における協議及び公聴を重ねた末、
最終決定された。同案は、フィリピン開発計画運営委員会が検討の上、NEDA理事会に対してその承認を勧告するこ
とができるように、2020年3月に同委員会に対して提示される予定であった。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下「新型ロナウイルス感染症」という。)の流行に
より、予定されていたフィリピン開発計画運営委員会は延期された。感染症の流行と「新しい日常(new
normal)」を見据えて、フィリピン開発計画の目標及び戦略を引き続き時宜にかなうものとするため、改定フィリ
ピン開発計画は再検討のうえ改良される予定である。必要とされる省庁間及び利害関係者間の協議を考慮に入れる
と、改良版の2017-2022年度フィリピン開発計画の中期改定は、2020年度第3四半期までにまとめられるであろう
と予想される。
格付の上方修正
2014 年12月、ムーディーズ・インベスターズ・サービス・インク(現ムーディーズ・インベスターズ・サービ
ス)(以下「ムーディーズ」という。)は、共和国の信用格付をBaa2に引き上げた。同社は、この格上げ決定の主
要因として、財政管理の改善、好調な経済成長の引き続き明るい見通し、及び新興市場共通のリスクに対する脆弱
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EDINET提出書類
フィリピン共和国(E34224)
有価証券報告書
性が限定的であることに助けられた債務の継続的な圧縮を挙げた。ムーディーズはまた、共和国の外国通貨建発行
登録格付も(