ジェイ エフ イー ホールディングス株式会社 有価証券報告書 第18期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
提出書類 | 有価証券報告書-第18期(平成31年4月1日-令和2年3月31日) |
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提出日 | |
提出者 | ジェイ エフ イー ホールディングス株式会社 |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
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ジェイ エフ イー ホールディングス株式会社(E01264)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2020年6月19日
【事業年度】 第18期(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
【会社名】 ジェイ エフ イー ホールディングス株式会社
【英訳名】 JFE Holdings,Inc.
【代表者の役職氏名】 代表取締役社長 柿 木 厚 司
【本店の所在の場所】 東京都千代田区内幸町二丁目2番3号
【電話番号】 03(3597)4321
【事務連絡者氏名】 専務執行役員 田 中 利 弘
【最寄りの連絡場所】 東京都千代田区内幸町二丁目2番3号
【電話番号】 03(3597)4321
【事務連絡者氏名】 専務執行役員 田 中 利 弘
株式会社東京証券取引所
【縦覧に供する場所】
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
株式会社名古屋証券取引所
(名古屋市中区栄三丁目8番20号)
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第一部 【企業情報】
第1 【企業の概況】
1 【主要な経営指標等の推移】
(1) 連結経営指標等
国際財務報告基準
回次
第18期
移行日 第16期 第17期
(当事業年度)
決算年月 2017年4月1日 2018年3月 2019年3月 2020年3月
売上収益 (百万円) - 3,627,248 3,873,662 3,729,717
事業利益 (百万円) - 218,378 232,070 37,899
税引前利益又は
(百万円) - 152,877 209,313 △ 213,473
税引前損失(△)
親会社の所有者に
帰属する当期利益
(百万円) - 97,635 163,509 △ 197,744
又は親会社の所有者に
帰属する当期損失(△)
親会社の所有者に
(百万円) - 117,483 120,693 △ 263,243
帰属する当期包括利益
親会社の所有者に
(百万円) 1,781,449 1,862,707 1,926,337 1,627,026
帰属する持分
資産合計 (百万円) 4,329,232 4,487,173 4,709,201 4,646,120
1株当たり親会社
(円) 3,089.53 3,230.96 3,345.22 2,825.50
所有者帰属持分
基本的1株当たり
当期利益
(円) - 169.34 283.81 △ 343.39
又は基本的1株当たり
当期損失(△)
希薄化後1株当たり
当期利益又は
(円) - 169.34 283.76 △ 343.39
希薄化後1株当たり
当期損失(△)
親会社所有者帰属
(%) 41.1 41.5 40.9 35.0
持分比率
親会社所有者帰属
(%) - 5.4 8.6 △ 11.1
持分当期利益率
株価収益率 (倍) - 12.7 6.6 -
営業活動による
(百万円) - 328,358 268,251 261,070
キャッシュ・フロー
投資活動による
(百万円) - △ 216,454 △ 313,351 △ 358,378
キャッシュ・フロー
財務活動による
(百万円) - △ 99,828 51,882 103,900
キャッシュ・フロー
現金及び現金同等物
(百万円) 70,209 75,117 82,288 86,704
の期末残高
従業員数 (人) 60,439 61,234 62,083 64,009
(注) 1 第17期より国際財務報告基準(以下、IFRS)に基づいて連結財務諸表を作成しております。
2 売上収益には、消費税等は含まれておりません。
3 △は損失またはキャッシュ・フローの支出を示しております。
4 事業利益は、 税引前利益又は税引前損失(△) から金融損益および金額に重要性のある一過性の項目を除い
た利益であり、当社連結業績の代表的指標であります。
5 第18期の株価収益率については、当期損失であるため記載しておりません。
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日本基準
回次
第14期 第15期 第16期 第17期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月
売上高 (百万円) 3,431,740 3,308,992 3,678,612 3,961,762
営業利益 (百万円) 90,638 96,746 246,669 191,226
経常利益 (百万円) 64,239 84,735 216,339 221,176
親会社株主に帰属する
(百万円) 33,657 67,939 144,638 164,218
当期純利益
包括利益 (百万円) △ 97,161 72,352 149,602 126,637
純資産額 (百万円) 1,857,921 1,921,809 2,009,911 2,079,114
総資産額 (百万円) 4,234,884 4,336,069 4,440,910 4,648,635
1株当たり純資産額 (円) 3,128.36 3,235.88 3,381.63 3,495.20
1株当たり当期純利益 (円) 58.36 117.81 250.86 285.04
潜在株式調整後
(円) - - - 284.99
1株当たり当期純利益
自己資本比率 (%) 42.6 43.0 43.9 43.3
自己資本利益率 (%) 1.8 3.7 7.6 8.3
株価収益率 (倍) 26.0 16.2 8.5 6.6
営業活動による
(百万円) 267,102 185,481 298,811 235,747
キャッシュ・フロー
投資活動による
(百万円) △ 137,321 △ 163,799 △ 194,835 △ 284,580
キャッシュ・フロー
財務活動による
(百万円) △ 144,561 △ 18,159 △ 90,998 56,984
キャッシュ・フロー
現金及び現金同等物
(百万円) 63,873 69,383 75,225 84,728
の期末残高
従業員数 (人) 59,460 60,439 61,234 62,076
(注) 1 第17期の日本基準に基づく連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監
査を受けておりません。
2 売上高には、消費税等は含まれておりません。
3 △は損失またはキャッシュ・フローの支出を示しております。
4 第14期から第16期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載して
おりません。
5 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第17期の期首
から適用しており、第16期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標
等となっております。
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(2) 提出会社の経営指標等
日本基準
回次
第18期
第14期 第15期 第16期 第17期
(当事業年度)
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
営業収益 (百万円) 49,663 23,681 34,572 116,518 61,228
営業利益 (百万円) 36,440 8,585 18,010 104,233 48,548
経常利益 (百万円) 36,440 8,585 18,010 104,233 48,548
当期純利益又は
(百万円) 35,993 8,392 △ 42,180 104,128 25,866
当期純損失(△)
資本金 (百万円) 147,143 147,143 147,143 147,143 147,143
発行済株式総数 (千株) 614,438 614,438 614,438 614,438 614,438
純資産額 (百万円) 1,055,382 1,058,157 981,063 1,028,332 1,014,114
総資産額 (百万円) 2,492,952 2,523,462 2,366,306 2,479,150 2,676,515
1株当たり純資産額 (円) 1,829.43 1,834.60 1,701.21 1,785.25 1,760.60
1株当たり配当額
(円) 30.00 30.00 80.00 95.00 20.00
(うち1株当たり
(円) ( 20.00 ) ( 0.00 ) ( 30.00 ) ( 45.00 ) ( 20.00 )
中間配当額)
1株当たり当期純利益
又は1株当たり当期 (円) 62.38 14.55 △ 73.14 180.69 44.91
純損失(△)
潜在株式調整後
(円) - - - 180.65 44.90
1株当たり当期純利益
自己資本比率 (%) 42.3 41.9 41.5 41.5 37.9
自己資本利益率 (%) 3.4 0.8 △ 4.1 10.4 2.5
株価収益率 (倍) 24.3 131.2 - 10.4 15.7
配当性向 (%) 48.1 206.2 - 52.6 44.5
従業員数 (人) 40 40 40 41 45
58.3 74.2 86.0 79.6 36.1
株主総利回り (%)
(比較指標:配当込み
(%)
( 89.2 ) ( 102.3 ) ( 118.5 ) ( 112.5 ) ( 101.8 )
TOPIX)
最高株価 (円) 3,081.0 2,258.0 2,887.0 2,666.5 1,992.5
最低株価 (円) 1,233.5 1,198.5 1,748.0 1,657.5 699.0
(注) 1 営業収益には、消費税等は含まれておりません。
2 △は損失を示しております。
3 第14期から第16期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載して
おりません。
4 第16期の株価収益率および配当性向については、当期純損失であるため記載しておりません。
5 最高株価および最低株価は、東京証券取引所市場第一部におけるものであります。
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2 【沿革】
[前史]
日本鋼管㈱および川崎製鉄㈱(以下、両社)は、経営統合について合意
2001年4月
2001年12月 両社は、株式移転の方法により共同で完全親会社である当社を設立し、「JFEグループ」として
全面的統合を行うことに関する基本合意書を締結
2002年4月 両社は、ドイツのティッセン・クルップ・スチール社と自動車用鋼板分野で三社包括提携契約締結
2002年5月 両社は経営統合契約書締結
2002年6月 両社の定時株主総会において、両社が共同で株式移転の方法により当社を設立し、その完全子会社
となることについて承認決議
[提出会社設立以降]
2002年9月 両社が共同して株式移転により完全親会社である当社を設立
当社普通株式を東京証券取引所、大阪証券取引所および名古屋証券取引所市場第一部に上場(両社
普通株式は上場廃止)
2003年1月 両社の会社分割契約書締結を承認
2003年4月 両社を会社分割により、JFEスチール㈱、JFEエンジニアリング㈱、JFE都市開発㈱およ
びJFE技研㈱に再編
川崎マイクロエレクトロニクス㈱を当社の完全子会社とする会社分割を実施
2008年3月 日立造船㈱およびJFEエンジニアリング㈱が保有する株式の取得によりユニバーサル造船㈱を
子会社化
2009年4月 JFE技研㈱が持つエンジニアリング関連の研究機能をJFEエンジニアリング㈱へ移転すると
ともに、JFE技研㈱をJFEスチール㈱へ統合
2011年4月 JFEスチール㈱がJFE都市開発㈱を吸収合併して保有不動産活用事業を承継
2012年7月 川崎マイクロエレクトロニクス㈱が発行する全部の株式を㈱メガチップスに譲渡
2012年10月 JFE商事㈱を株式交換により完全子会社化
2013年1月 ユニバーサル造船㈱を存続会社として㈱アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッドとの経営統合
により、ジャパン マリンユナイテッド㈱(現・持分法適用関連会社)を設立
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なお、事業別会社への再編(2003年4月)までの旧日本鋼管㈱および旧川崎製鉄㈱の沿革は以下のとおりでありま
す。
① 旧日本鋼管㈱
1912年6月 日本鋼管㈱設立
1919年11月 電気製鉄㈱を合併
1936年6月 最初の高炉火入れ(銑鋼一貫体制を確立)
1940年10月 鶴見製鉄造船㈱を合併(鶴見製鉄所、鶴見造船所発足)
福山製鉄所発足(1966年8月 第一高炉火入れ)
1965年2月
1968年4月 川崎、鶴見、水江の三製鉄所を統合(京浜製鉄所発足)
1969年1月 津造船所発足
1971年12月 京浜製鉄所にて扇島建設着工(1976年11月 扇島第一高炉火入れ)
1989年7月 鉄鋼事業部、総合エンジニアリング事業部、総合都市開発事業部の三事業部体制発足
1990年3月 タイ・コーテッド・スチール・シート社およびタイ・コールド・ロールド・スチール・シート社
設立
2001年12月 日立造船㈱と造船事業統合基本協定書締結
2002年9月 日立造船㈱との共同出資会社ユニバーサル造船㈱へ造船事業を営業譲渡
② 旧川崎製鉄㈱
[前史]
1878年4月 川崎正蔵が東京築地に川崎築地造船所を創業
1896年10月 ㈱川崎造船所設立
1917年5月 葺合工場設置
1939年10月 西宮工場設置
1939年12月 川崎重工業㈱に改称
1943年8月 知多工場設置
[設立以降]
1950年8月 川崎重工業㈱の製鉄部門を分離独立し、川崎製鉄㈱設立
1950年10月 東京・大阪・名古屋・福岡の各証券取引所に株式上場
1951年2月 千葉製鉄所開設(戦後わが国初の近代的銑鋼一貫製鉄所)(1953年6月 第一高炉火入れ)
1961年7月 水島製鉄所開設(1967年4月 第一高炉火入れ)
1976年8月 エンジニアリング事業部設置
1977年4月 フィリピンのフィリピン・シンター・コーポレーションで焼結鉱の生産開始
1984年7月 米国カリフォルニア・スチール・インダストリーズ社に経営参加
1995年3月 川鉄コンテイナー㈱[現JFEコンテイナー㈱]、大阪証券取引所市場第二部に株式上場
1995年4月 豊平製鋼㈱[現JFE条鋼㈱]、札幌証券取引所に株式上場(2011年2月、株式交換による当社の
完全子会社化により上場廃止)
2001年3月 川鉄情報システム㈱[現JFEシステムズ㈱]、東京証券取引所市場第二部に株式上場
2001年7月 LSI事業部を会社分割により分社し、川崎マイクロエレクトロニクス㈱設立
2003年3月 本店所在地を神戸市中央区から東京都千代田区に変更
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3 【事業の内容】
当社は、JFEグループ全体の経営戦略の策定、グループ会社の経営とリスク管理、グループIR等の対外説明、
グループ全体の資金調達等の機能を集約した、グループを代表する上場会社として、スリムなグループ本社機能を担
う会社であります。
JFEグループは、「JFEスチール㈱」、「JFEエンジニアリング㈱」、「JFE商事㈱」の3つの事業会社
により、事業分野ごとの特性に応じた最適な業務執行体制の構築を図っております。
なお、セグメント情報については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表
注記 6.セグメント情報」に記載しております。また、主な関係会社については、「4 関係会社の状況」に記載
しております。
当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これ
により、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなりま
す。
(1) 鉄鋼事業
JFEスチール㈱およびその関係会社において、銑鋼一貫メーカーとして各種鉄鋼製品の製造・販売を主力事業
とし、鋼材加工製品、原材料等の製造・販売、ならびに運輸業および設備保全・工事等の周辺事業を行っておりま
す。
[主要製品等]
鉄鋼製品・半製品(熱延薄鋼板、冷延薄鋼板、表面処理鋼板、厚鋼板、形鋼、H形鋼、鋼矢板、レール、継目無鋼
管、鍛接鋼管、電縫鋼管、角型鋼管、電弧溶接鋼管、電磁鋼板、ステンレス鋼板、棒鋼、線材、鉄粉、スラブ)、チ
タン製品、鋼材加工製品、化学製品、素形材製品、各種容器類、鉱業・鉱産品、鉄鋼スラグ製品、機能素材、合金
鉄、各種耐火物、築炉工事、各種運送事業・倉庫業、土木建築工事、設備管理・建設工事、電気工事、電気通信工
事、火力発電、ガス、建設仮設材、不動産、保険代理業、各種サービス業、各種コンピュータシステム、材料分
析・解析、環境調査、技術情報調査、知的財産支援等
(2) エンジニアリング事業
JFEエンジニアリング㈱およびその関係会社において、エネルギー、都市環境、鋼構造、産業機械等に関する
エンジニアリング事業、リサイクル事業および電力小売事業を行っております。
[主要製品等]
ガス・石油・水道パイプライン、LNG・LPG等各種タンク、太陽光・地熱・バイオマス等再生可能エネル
ギー発電設備、都市ごみ焼却炉、水処理システム、使用済みプラスチック等のリサイクルサービス、橋梁・港湾構
造物、物流流通システム・エンジン・シールド掘進機・バラスト水処理システム等の産業機械、製銑・製鋼・ミニ
ミル関連設備、EV(電気自動車)急速充電器、農業生産設備等
(3) 商社事業
JFE商事㈱およびその関係会社において、鉄鋼製品、製鉄原材料、非鉄金属製品、食品等の仕入、加工および
販売を行っております。
[主要取扱製品等]
鉄鋼製品(厚鋼板、縞板、熱延薄鋼板、冷延薄鋼板、電磁鋼板、表面処理鋼板、亜鉛鋼板、ブリキ、鋼管、特殊鋼
管、棒鋼、H形鋼、軽量形鋼、一般形鋼、コラム、線材、ステンレス鋼、特殊鋼、スラブ)、溶材、鉄粉、鋼材加工
製品、製鉄原材料・資機材、非鉄金属製品、化学製品、石油製品、紙製品、船舶、土木建築工事、テールアルメ工
法、缶詰製品、農畜産物、水産物、半導体製品、不動産等
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JFEグループを構成している当社および事業会社ならびに主な関係会社の位置づけは以下のとおりであります。
(注) 1 →印は、製品・サービス等の流れを示しております。
2 *印は持分法適用関連会社等(共同支配事業含む)、その他は連結子会社であります。
3 関係会社の異動については、「4 関係会社の状況」に記載しております。
4 鉄鋼事業の連結子会社3社については、商社事業において持分法を適用しております。商社事業の連結子会
社JFE商事薄板建材㈱については、鉄鋼事業において持分法を適用しております。
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4 【関係会社の状況】
関係内容
議決権の
資本金 主要な事業の
事業
名称 住所 所有割合
役員の
(百万円) 内容
資金 その他
(%)
兼任等
の融資
(連結子会社)
[鉄鋼事業]
経営管理に
関する契約
JFEスチール㈱
東京都千代田区 239,644 鉄鋼製品の製造・販売 100.0 有 有 を締結。
※1、3
同社から建
物を賃借。
JFE条鋼㈱
形鋼、鉄筋棒鋼製品の製 100.0
東京都港区 30,000 ― ― ―
造・販売 (100.0)
※1
100.0
JFEケミカル㈱ 東京都台東区 6,000 化学製品の製造・販売 有 ― ―
(100.0)
鉄鋼二次製品の製造・加 97.4
JFE建材㈱ 東京都港区 5,000 ― 有 ―
工・販売 (97.4)
鉄鋼二次製品の製造・加 100.0
JFE鋼板㈱ 東京都品川区 5,000 ― ― ―
工・販売 (100.0)
ジェコス㈱ 62.0
東京都中央区 4,397 建設仮設材の賃貸・販売 ― ― ―
※2 (62.0)
89.2
JFE物流㈱ 東京都千代田区 4,000 各種運送事業、倉庫業 ― ― ―
(89.2)
JFEコンテイナー㈱ 59.6
東京都千代田区 2,365 各種容器類の製造・販売 ― ― ―
※2 (59.6)
100.0
JFEシビル㈱ 東京都台東区 2,300 土木建築工事の請負 有 ― ―
(100.0)
鉱業・鉱産品の製造・加
100.0
JFEミネラル㈱ 東京都港区 2,000 工・販売、鉄鋼スラグ製 ― ― ―
(100.0)
品・機能素材の製造・販売
不動産業、保険代理業、各 100.0
JFEライフ㈱ 東京都台東区 2,000 ― 有 ―
種サービス業 (100.0)
機械装置の製造・販売、電
100.0
JFEプラントエンジ㈱ 東京都台東区 1,700 気工事、電気通信工事、設 ― 有 ―
(100.0)
備管理・建設工事の請負
JFEシステムズ㈱ 各種コンピュータシステム 67.7
東京都港区 1,390 ― ― ―
※2 の開発・販売 (67.7)
100.0
水島合金鉄㈱ 岡山県倉敷市 1,257 合金鉄の製造・販売 ― ― ―
(100.0)
86.6
JFE継手㈱ 大阪府岸和田市 958 鋼管継手の製造・販売 ― 有 ―
(86.6)
鋼板剪断、溶断加工、鋼材 100.0
JFE鋼材㈱ 東京都中央区 488 ― 有 ―
販売 (100.0)
100.0
JFE溶接鋼管㈱ 東京都中央区 450 電縫鋼管の製造・販売 ― 有 ―
(100.0)
100.0
JFEマテリアル㈱ 富山県射水市 450 合金鉄の製造・販売 ― 有 ―
(100.0)
100.0
JFE精密㈱ 新潟市東区 450 素形材製品の製造・販売 ― 有 ―
(100.0)
材料分析・解析、環境調
100.0
JFEテクノリサーチ㈱ 東京都千代田区 100 査、技術情報調査、知的財 ― ― ―
(100.0)
産支援
100.0
JFE東日本ジーエス㈱ 川崎市川崎区 50 各種サービス業 ― ― ―
(100.0)
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関係内容
議決権の
資本金 主要な事業の
事業
名称 住所 所有割合
役員の
(百万円) 内容
資金 その他
(%)
兼任 等
の融資
JFEスチール・オーストラリ
百万
オーストラリアにおける炭
ア・リソーシズ・プロプライタ オーストラリア
100.0
鉱・鉄鉱石鉱山事業への投 ― ― ―
豪ドル
リー・リミテッド
(100.0)
ブリスベン
資
460
※1
百万
フィリピン・シンター・コーポ
フィリピン
フィリピン 100.0
レーション
焼結鉱の製造・販売 ― ― ―
(100.0)
マニラ
ペソ
※1
1,881
百万
PT. JFEスチール・ガルバナ インドネシア
冷延および溶融亜鉛鍍金製 100.0
― ― ―
米ドル
品の製造・販売 (100.0)
イジング・インドネシア ブカシ
139
百万
タイ
JFEスチール・ガルバナイジ タイ 溶融亜鉛鍍金製品の製造・ 100.0
― ― ―
ング(タイランド)・リミテッド 販売 (100.0)
ラヨン
バーツ
4,362
百万
タイ・コーテッド・スチール・
タイ
タイ 電気亜鉛鍍金製品の製造・ 81.4
シート・カンパニー・リミテッ ― ― ―
販売 (81.4)
バンコック
バーツ
ド
2,206
百万
ブラジル
ブラジル 100.0
ノバエラ・シリコン・S/A 合金鉄の製造・販売 ― ― ―
ベロホリゾンテ (100.0)
レアル
128
その他 128社
[エンジニアリング事業]
経営管理に
関する契約
JFEエンジニアリング㈱
東京都千代田区 10,000 エンジニアリング事業 100.0 有 有
を締結。
64.0
J&T環境㈱ 横浜市鶴見区 650 総合リサイクル事業 ― ― ―
(64.0)
石油精製、石油化学、エネ
ルギー関連プラント等の設 100.0
JFEプロジェクトワン㈱ 千葉市美浜区 450 ― ― ―
計・建設およびメンテナン (100.0)
ス
ガス管埋設工事、ガス設備 57.2
あすか創建㈱ 東京都品川区 356 ― ― ―
工事 (57.2)
100.0
JFEテクノス㈱ 横浜市鶴見区 301 機械・設備のメンテナンス ― ― ―
(100.0)
廃棄物 処理施設、水処理施 100.0
JFE環境サービス㈱ 横浜市鶴見区 97 ― ― ―
設等の運転・維持管理 (100.0)
100.0
アーバンエナジー㈱ 横浜市鶴見区 50 電力小売事業 ― ― ―
(100.0)
廃棄物発電・バイオマス発
千
ドイツ
スタンダードケッセル・バウム 電・廃熱回収発電プラント 100.0
― ― ―
ユーロ
ガルテ・ホールディングGmbH 等の建設およびメンテナン (100.0)
デュイスブルグ
1,300
ス事業
その他 54社
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関係内容
議決権の
資本金 主要な事業の
事業
名称 住所
所有割合
役員の
(百万円) 内容
資金 その他
(%)
兼任等
の融資
[商社事業]
鉄鋼製品、製鉄原材料、非
経営管理に
JFE商事㈱
鉄金属製品、化学製品・石
東京都千代田区 14,539 100.0 有 有 関する契約
油製品、資機材等の国内取
※1、4
を締結。
引および輸出入取引
建材製品、土木・建築用資
材の販売および金属加工 100.0
JFE商事鉄鋼建材㈱ 東京都千代田区 1,500 ― 有 ―
業、土木・建築工事および (100.0)
各種工事
半導体製品等の販売、電子
部品の実装・組立・検査等 100.0
JFE商事エレクトロニクス㈱ 東京都千代田区 1,000 ― 有 ―
の装置等の販売・据付・保 (100.0)
守
各種食料品の国内取引およ 100.0
川商フーズ㈱ 東京都千代田区 1,000 ― ― ―
び輸出入取引 (100.0)
100.0
JFE商事鋼管管材㈱ 東京都千代田区 500 鋼管・管材製品の販売 ― 有 ―
(100.0)
100.0
JFE商事薄板建材㈱ 東京都千代田区 400 鋼板・建材製品の販売 ― 有 ―
(100.0)
100.0
JFE商事電磁鋼板㈱ 大阪市北区 400 電磁鋼板の加工・販売 ― ― ―
(100.0)
JFE商事甲南スチールセン 100.0
神戸市東灘区 250 鋼板の加工・販売 ― ― ―
ター㈱ (100.0)
85.7
JFE商事コイルセンター㈱ 横浜市金沢区 230 鋼板の加工・販売 ― 有 ―
(85.7)
ケー・アンド・アイ特殊管販売 60.0
東京都千代田区 50 特殊管の輸出販売 ― ― ―
㈱ (60.0)
百万
中国
97.9
浙江川電鋼板加工有限公司 鋼板の加工・販売 ― ― ―
人民元
(97.9)
平湖
181
百万
中国
100 .0
東莞川電鋼板製品 加工有限公司 鋼板の加工・販売 ― ― ―
人民元
(100.0)
東莞
90
百万
米国
JFE商事・スチール・アメリ 100 .0
鋼板の加工・販売 ― ― ―
米ドル
カ・インク (100.0)
ロサンゼルス
6
百万
タイ
セントラル・メタルズ(タイラ タイ 100.0
鋼板の加工・販売 ― ― ―
サムットプラ
ンド)・リミテッド (100.0)
バーツ
カーン
240
百万
中国
JFE商事・トレード(ホンコ 鉄鋼製品、化学製品等の輸 100.0
― ― ―
米ドル
ン)・リミテッド 出入取引および国内取引 (100.0)
ホンコン
1
百万
鉄鋼製品、製鉄原材料、資
タイ
JFE商事・トレード(タイラ タイ 100.0
機材等の輸出入取引および ― ― ―
ンド)・リミテッド (100.0)
バンコック
バーツ
国内取引
20
百万 鉄鋼製品、製鉄原材料、非
中国
100.0
JFE商事(上海)貿易有限公司 鉄金属製品、化学製品等の ― ― ―
人民元
(100.0)
上海
輸出入取引および国内取引
3
百万
カナダ 100.0
コージェント・パワー・インク 加ドル 電磁鋼板の加工・販売 ― ― ―
バーリントン (100.0)
0
百万
米国
JFE商事・アメリカ・ホール 米州地域の子会社の経営管 100.0
― ― ―
米ドル
ディングス・インク 理等 (100.0)
ロサンゼルス
0
米国
JFE商事・トレード・アメリ 鉄鋼製品、製鉄原材料等の 100.0
― ― ― ―
カ・LLC 輸出入取引および国内取引 (100.0)
ロサンゼルス
米国
ケリー・パイプ・カンパニー・ 100.0
― 鋼管の販売 ― ― ―
サンタフェスプ
LLC (100.0)
リングス
その他 83社
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関係内容
議決権の
資本金 主要な事業の
事業
名称 住所
所有割合
役員の
(百万円) 内容
資金 その他
(%)
兼任等
の融資
(持分法適用関連会社等)
[鉄鋼事業]
ブラジルにおけるニオブ鉱 25.0
日伯ニオブ㈱ 東京都千代田区 37,272 ― ― ―
山事業への投資 (25.0)
50.0
瀬戸内共同火力㈱ 広島県福山市 5,000 火力発電事業 ― ― ―
(50.0)
品川リフラクトリーズ㈱
各種耐火物の製造・販売、 34.1
東京都千代田区 3,300 ― ― ―
築炉工事の請負 (34.1)
※2
日本鋳造㈱
34.0
川崎市川崎区 2,627 鋳鋼品等の製造・販売 ― ― ―
(34.0)
※2
日本鋳鉄管㈱
29.3
埼玉県久喜市 1,855 鋳鉄管等の製造・販売 有 ― ―
(29.3)
※2
シームレスパイプの製造・ 49.0
エヌケーケーシームレス鋼管㈱ 川崎市川崎区 1,595 有 ― ―
販売 (49.0)
各種コンピュータシステム 49.0
㈱エクサ 横浜市西区 1,250 ― ― ―
の開発・販売 (49.0)
酸素ガス、窒素ガス、アル 40.0
㈱JFEサンソセンター 広島県福山市 90 ― ― ―
ゴンガス等の製造・販売 (40.0)
百万
中国
冷延および溶融亜鉛鍍金製 50.0
広州JFE鋼板有限公司 ― ― ―
人民元
品の製造・販売 (50.0)
広州
3,191
百万
ニューコア・JFEスチール・
メキシコ 溶融亜鉛鍍金製品の製造・ 50.0
― ― ―
米ドル
メキシコ・S.DE R.L.DE C.V.
シラオ 販売 (50.0)
361
百万
中国 50.0
宝鋼特鋼韶関有限公司 人民元 特殊鋼棒鋼の製造・販売 ― ― ―
韶関 (50.0)
1,372
百万
タイ・コールド・ロールド・ス
タイ
タイ 36.0
チール・シート・パブリック・ 冷延鋼板の製造・販売 ― ― ―
(36.0)
バンコック
バーツ
カンパニー・リミテッド
4,816
百万
米国
カリフォルニア・スチール・イ 50.0
鉄鋼製品の製造・販売 ― ― ―
米ドル
ンダストリーズ・インク (50.0)
フォンタナ
40
千万
インド
インド 15.0
JSWスチール・リミテッド 鉄鋼製品の製造・販売 ― ― ―
(15.0)
ムンバイ
ルピー
301
百万
中国
内蒙古オルドスEJMマンガン 24.5
合金鉄の製造・販売 ― ― ―
人民元
合金有限公司 (24.5)
オルドス
232
百万
ドリルパイプおよびドリル
中国
28.3
渤海能克鑽杆有限公司 パイプのアクセサリーの加 ― ― ―
人民元
(28.3)
滄州
工・製造・販売
129
その他 28社
※5
[エンジニアリング事業]
製鉄機械等の設計・製作・ 34.0
スチールプランテック㈱ 横浜市港北区 1,995 ― ― ―
据付 (34.0)
その他 10社
[商社事業]
ステンレス製品の加工・販 47.9
阪和工材㈱ 大阪市淀川区 1,076 ― ― ―
売 (47.9)
20.0
㈱MOBY 千葉県市川市 211 容器用鋼板の加工・販売 ― ― ―
(20.0)
34.6
近江産業㈱ 大阪市大正区 100 鋼板の加工・販売 ― ― ―
(34.6)
30.7
大阪鋼圧㈱ 大阪市大正区 60 鋼板の加工・販売 ― ― ―
(30.7)
その他 18社
※6
[その他の事業]
船舶・艦艇・海洋構造物等
ジャパン マリンユナイテッド
横浜市西区 40, 000 の設計、製造、販売、据 49.4 有 ― ―
㈱
付、修繕、保守、保全
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(注) 1 ※1 特定子会社に該当する会社であります。
2 ※2 有価証券報告書を提出しております。
3 議決権の所有割合の( )内の数値は、間接所有割合であり議決権比率の内数であります。
4 ※3 JFEスチール㈱の売上高は、連結売上収益に占める割合が100分の10を超えております。
主要な損益情報等(日本基準)
売上高 1,880,253百万円
経常損失 △75,356
当期純損失 △243,208
純資産額 778,139
総資産額 2,876,117
5 ※4 JFE商事㈱の売上高は、連結売上収益に占める割合が100分の10を超えております。
主要な損益情報等(日本基準)
売上高 1,274,045百万円
経常利益 18,973
当期純利益 14,059
純資産額 123,853
総資産額 370,481
6 持分法適用関連会社等には共同支配事業を含んでおります。
7 関係会社の異動
・当連結会計年度より、JFE商事・スチール・アメリカ・インク、JFE商事・アメリカ・ホールディン
グス・インクを重要な連結子会社として記載いたしました。
・当連結会計年度より、JFE商事・スチール・マレーシア・SDN.BHD.を重要な連結子会社としての記載か
ら除外いたしました。
・当連結会計年度より、ニューコア・JFEスチール・メキシコ・S.DE R.L.DE C.V.を重要な持分法適用関
連会社として記載いたしました。
・前連結会計年度に記載しておりました日伯鉄鉱石㈱は、2020年3月9日に清算結了いたしました。
・宝鋼特鋼韶関有限公司は、2020年3月26日に広東韶鋼松山股份有限公司が保有する同社持分の一部をJF
Eスチール㈱が取得したことから、JFEスチール㈱の持分法適用関連会社となりました。
・前連結会計年度に記載しておりましたJFE環境㈱は、2019年4月1日に同社を存続会社として東京臨海
リサイクルパワー㈱と合併し、同日、J&T環境㈱に商号変更いたしました。
・三井E&Sプラントエンジニアリング㈱は、2020年3月31日に株式取得により、新たにJFEエンジニア
リング㈱の連結子会社となりました。また、同社は、同日、JFEプロジェクトワン㈱に商号変更いたし
ました。
・コージェント・パワー・インクは、2019年9月20日に株式取得により、新たにJFE商事㈱の連結子会社
となりました。
・前連結会計年度に記載しておりましたJFE商事・トレード・アメリカ・インクは、2020年1月1日にJ
FE商事・トレード・アメリカ・LLCを存続会社として合併いたしました。また、同社は、2020年4月1
日にJFE商事・アメリカ・LLCに商号変更いたしました。
・JFE商事鉄鋼建材㈱とJFE商事薄板建材㈱は、2020年4月1日にJFE商事鉄鋼建材㈱を存続会社と
して合併いたしました。
・JFE商事・トレード(ホンコン)・リミテッドは、2020年4月1日にJFE商事(ホンコン)・リミ
テッドに商号変更いたしました。
・JFE商事・トレード(タイランド)・リミテッドは、2020年5月5日にJFE商事(タイランド)・リ
ミテッドに商号変更いたしました。
8 ※5 鉄鋼事業の持分法適用関連会社等その他28社には、商社事業の連結子会社JFE商事薄板建材㈱が含
まれております。
9 ※6 商社事業の持分法適用関連会社等その他18社には、鉄鋼事業の連結子会社3社が含まれております。
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5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2020年3月31日 現在
セグメントの名称 従業員数(人)
鉄鋼事業 45,844
エンジニアリング事業 10,265
商社事業 7,855
全社(共通) 45
合計 64,009
(注) 1 従業員数は就業人員数であり、臨時従業員を含んでおりません。
2 全社(共通)は、当社の従業員数であります。
(2) 提出会社の状況
2020年3月31日 現在
従業員数(人) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(千円)
45 44.2 20.4 10,969
(注) 1 従業員数は就業人員数であり、他社からの出向者を含み、他社への出向者、臨時従業員を含んでおりませ
ん。
2 他社への出向者数は1名であります。
3 平均勤続年数の算定にあたり、JFEスチール㈱、JFEエンジニアリング㈱およびJFE商事㈱からの出
向者については、それぞれの会社での勤続年数を通算しております。
4 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。
(3) 労働組合の状況
当社には労働組合はありません。
事業会社においては、JFEスチール労働組合連合会、JFEエンジニアリング労働組合、JFE商事労働組合
が組織されております。
なお、その他に労働組合との関係について特記すべき事項はありません。
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第2 【事業の状況】
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
●会社の経営の基本方針
企業理念:JFEグループは、常に世界最高の技術をもって社会に貢献します。
行動規範:挑戦。柔軟。誠実。
●企業構造
JFEグループは鉄鋼、エンジニアリング、商社の3つの事業を中心とした企業グループです。
鉄を中核として、エネルギー技術や資源リサイクル技術など幅広い分野に領域を広げており、世界最高の技術に
裏打ちされた3つの事業が生み出し続けるシナジーを、持続可能な社会の構築に向けてさらに拡大していきます。
●事業内容、顧客基盤、販売網および競争優位性
(鉄鋼事業・商社事業)
鉄鋼事業は、世界有数の生産規模と高い技術開発力を有する銑鋼一貫メーカーのJFEスチール㈱を中核として
おり、お客様や社会の多様なニーズにお応えする鉄鋼製品をグローバルに供給しています。
また商社事業は、JFE商事㈱を中核として、鉄鋼製品を中心に、鉄鋼原料・非鉄金属・化学品・資機材・船舶
から食品・エレクトロニクスまで幅広く取り扱い、サプライチェーン全体の付加価値を向上させるサービスをグ
ローバルに提供しています。
鉄鋼・商社事業の競争優位の源泉は、①お客様のニーズに基づいた最先端の「技術開発力」と、②製造現場で培
われてきた「生産」の実力、および③JFEスチール㈱とJFE商事㈱が一体となって長年築いてきた強固なお客
様との信頼関係に基づく「販売力」の3つを基礎としています。これらをベースに、お客様のニーズに沿った新た
な価値を創造し、最適なソリューションを提供し続けてきました。これらの競争優位性は私たちが長年の努力によ
り積み重ねてきた貴重な財産であり、他社が容易に真似できない持続的成長のドライバーです。
○新たな価値の創造を可能とする技術開発力(鉄鋼事業)
世界各地のお客様の高度なご要望にお応えすることで、業界をリードする技術力を蓄積してきました。幅広い
分野での高機能・高品質の商品やサービスの開発と提供を通じて新たな価値を創造し、世界中の産業や社会の発
展と人々の生活の進化に貢献しています。また、優れた環境保全・省資源・省エネ技術により、世界で最も低い
レベルの環境負荷で鉄鋼製品を生産することができ、その技術を世界各地の環境対策に役立てるとともに、成長
の機会として活用しています。
○高い競争力を持つ、集約された国内2大製鉄所(鉄鋼事業)
JFEスチール㈱の競争力の第一の源泉は、東西2製鉄所への拠点集約により固定費が抑えられ、高効率生産
が可能であることです。特に世界有数の規模を誇る西日本製鉄所は、年間2,000万トンレベルの鋼材を生産でき、
コストや商品ラインナップ、技術力の観点からも高い競争力を持っています。現場では長年の努力を通じて優れ
た製造・商品技術や知的財産、ノウハウ等が無数に蓄積されており、これらにより培われた製造実力は、同社固
有の競争力の源泉です。
○ニーズへの対応力と安定したお客様基盤(鉄鋼事業・商社事業)
長年のお取引による数多くのお客様との双方向のコミュニケーションにより、お客様との信頼関係を構築し
てきました。お客様との綿密なニーズの摺り合わせや、開発初期段階からの協働等の取り組みを通じて新たな
価値を創造し、お客様の課題解決に貢献してきました。結果として、他社が容易に入り込むことができない堅
固なお客様基盤を構築しております。
○JFEグループのグローバル鋼材SCM(Supply Chain Management)網(商社事業)
JFEスチール㈱と戦略的に連携を取りながら日本、中国、北米、アセアンの4極を主軸にグローバル展開す
る鋼材SCMを構築しています。日本で製造されるJFEスチール材のみならず、JFEスチール㈱の海外製造
拠点やJFEグループのアライアンス先で製造される鋼材も含めたJFEブランドを、世界各地に製造拠点を展
開するお客様へ良質なサービスとともに提供しております。またお客様のニーズに合わせ、スリットなどの切断
加工製品や、環境規制・省エネを背景に拡大している自動車用モーターコアや高効率変圧器用トランスコアなど
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の鋼材加工部品をグローバルに提供できる体制を整えています。
○JFEグループの中核商社としての機能(商社事業)
変化が激しいグローバル市場においてお客様のニーズを先取りし、中核商社としてJFEグループの全体最適
を考えながらトレードビジネスや事業を展開し、お客様への価値貢献を最大化しています。こうした他社にはな
いグループ全体最適を追求する商社事業モデルを通じ、グローバル市場におけるグループ全体の競争優位性を維
持拡大していきます。
(エンジニアリング事業)
エンジニアリング事業は、JFEエンジニアリング㈱を中核として、ガス・石油・水道パイプライン、再生可能
エネルギー発電設備、都市ごみ焼却炉、水処理システム、橋梁・港湾構造物など、人々が生活するうえで不可欠と
なるインフラの構築等をおこなっており、それらのEPC(設計・調達・建設)、O&M(運転・維持管理)に加
え、リサイクル・発電事業などの事業運営を展開しています。
また数多くの国内支店・営業所、海外現地法人・海外支店を有することでグローバルかつきめ細かな販売ネット
ワークを構築しており、長年にわたり、官公庁や、大手電力会社・ガス会社など様々な民間企業のお客様へ高度な
技術・サービスを提供しています。
エンジニアリング事業の競争力の源泉は、時代の変化に対応する先進かつ多種多彩な商品・サービスや、高度な
プロジェクト遂行能力、ものづくりのノウハウを強みにした事業運営に至るまでの幅広い事業展開を基礎としてい
ます。
○高度な基盤技術、多種多彩な商品技術
造船事業がベースの加工・組立技術と鉄鋼事業がベースの素材・燃焼技術を融合・進化させた高度な技術力を
強みとして、エネルギー・環境や橋梁など幅広い分野で事業を展開してきました。
とりわけ、世界的な課題となっている地球温暖化に対しても、次世代エネルギーの創出や、高効率発電プラン
トによるCO 排出量の抑制など、課題解決に向けた技術を数多く保有しており、これらの技術に基づいた新た
2
なビジネスモデルの企画・立案・推進に積極的に取り組んでいます。
○豊富な実績と多様な人材によるプロジェクト遂行能力
エネルギー・環境や橋梁など様々な分野で、設計から引き渡しまで、お客様のニーズに即した高機能・高品質
な施設を数多く建設してきました。また、国内最大級の鋼構造物製作工場をはじめとする生産拠点を有してお
り、高品質・低コストでの製品供給を可能としています。さらに、アジア諸国を中心とした海外拠点にグローバ
ルエンジニアリング体制を構築し、一段と競争力を強化しています。
○ものづくりのノウハウを強みにした事業運営
環境・上下水などのプラントを中心として、長きに亘りオペレーション・メンテナンスのノウハウを培い、公
共サービス分野で数多くの官民連携事業を手掛けています。また、自らが建設したプラントで、リサイクル事業
や再生可能エネルギー発電事業を行い、循環型社会、持続可能な社会の構築に取り組んできました。こうした、
ものづくりや運営ノウハウを強みにした官民連携事業やエネルギーサービス事業などの運営型事業領域をさらに
拡大していきます。
●事業環境および対処すべき課題
<事業環境>
JFEグループを取り巻く事業環境は、米中貿易摩擦の影響により海外市況が悪化し、販売数量が減少、鋼材価
格も下落する一方で、中国の粗鋼生産拡大等に伴う鉄鉱石価格の高止まりや、資材費・物流費などの物価上昇のた
め、利益の確保が難しい状況にあります。さらに、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により各国の
経済活動が抑制されるなか、急速な世界経済の減速と国内経済活動への甚大な影響に直面し、これまでに経験した
ことのない極めて厳しい状況にあります。
また、中長期的にも、国内市場は人口減少などを背景に需要の減少が見込まれることに加え、海外市場において
も新興国における鉄鋼生産能力の拡大、および中国の内需減少に伴う輸出の増加が懸念されるなど、ますます競争
が激化すると想定しております。
こうしたなか、JFEグループは第6次中期経営計画(2018~2020年度)において掲げた施策の実現に向け取り
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組みを進めておりましたが、計画策定時に想定していなかった事業環境の急激な変化のため、特に鉄鋼事業におけ
る目標の達成は困難な状況にあります。足元の厳しい状況に加え、中長期的な鉄鋼需要動向も踏まえ、鉄鋼事業に
お いては競争力のある商品・分野に経営資源を重点的に投入する選択と集中を行うなど、抜本的な対策が必要だと
判断し国内の生産体制の再構築を実施いたします。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、長期化すれば雇用や所得の悪化に伴う需要の落ち込みがJF
Eグループの事業活動にも深刻な影響を及ぼす可能性があり、先行きは予断を許さない状況です。引き続き動向を
注視し、従業員や関係者の感染防止に十分配慮しながら、それぞれの事業特性に応じた迅速かつ的確な対策を実施
してまいります。
JFEグループは、迅速、果断にあらゆる対策を講じ、一丸となってこの難局を乗り切っていく所存です。
■第6次中期経営計画 主要財務・収益目標(3ヵ年平均)
・当社連結
事業利益 2,900億円/年
親会社の所有者に帰属する当期利益 2,000億円/年
Debt/EBITDA倍率 3倍程度
・事業会社連結
セグメント利益
鉄鋼事業 2,200億円/年
エンジニアリング事業 300億円/年
商社事業 350億円/年
(注)1 事業利益:税引前利益から金融損益および金額に重要性のある一過性の項目を除いた利益であり、当社連
結業績の代表的指標です。
2 セグメント利益:事業利益に金融損益を含めた、各セグメントの業績の評価指標です。
〈各事業会社の取り組み〉
JFEスチール㈱においては、「常に新たな価値を創造し、お客様とともに成長するグローバル鉄鋼サプライ
ヤー」を目指してまいります。
第6次中期経営計画においては、単体での粗鋼3,000万トンの安定生産と3ヵ年で1,050億円規模のコスト削減の
実現を目標に、国内製鉄所・製造所の製造基盤整備、製造実力の強靭化に取り組んでまいりました。しかしなが
ら、足元の急激な事業環境の変化および中長期的な国内外の鉄鋼需給バランスを踏まえると、国際市場における競
争力の維持・向上のためには、粗鋼生産能力の削減を含む抜本的な構造改革の実行が避けられないと判断し、国内
生産体制を再構築し、自動車、インフラ建材、エネルギー等のより競争力のある商品・分野に経営資源を重点的に
投入する選択と集中を徹底することといたしました。
具体的には、2023年度を目途に東日本製鉄所京浜地区の製銑設備、製鋼設備および熱延設備を休止するととも
に、東日本製鉄所の薄板生産については一部品種(酸洗・特殊鋼)の生産を除き千葉地区に集約いたします。京浜
地区の製銑設備の休止により国内で稼働する高炉は8基から7基となり、粗鋼生産能力は約400万トン減少いたしま
すが、その一方で、高炉一貫製鉄所の総合的な競争力の向上や各製鉄所・製造所の設備能力最大化を図り、重点分
野の販売・品種戦略の推進とあわせて収益拡大の取り組みを実施してまいります。加えて、こうした構造改革の一
環として、本社部門を含む全社においても、業務効率化や生産性向上による組織・体制のスリム化を着実に進めて
まいります。
さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大による急激な需要の減少に対応するため、西日本製鉄所倉敷地区の第
4高炉については今年4月末に休止し高炉改修工事を前倒しで実施、福山地区の第4高炉についても6月末のバン
キング(送風を停止し、再稼働可能な状態で休止すること)実施に向けて準備を開始いたします。2基の高炉の休
止による減産で急激な需要の減少に対応する一方で、稼働する高炉を高効率で操業することにより安定生産とコス
ト削減を図り、現下の状況が収束するまでの期間を乗り切ります。また、減産による設備休止にあわせて従業員の
一時休業を実施し雇用の確保にも努めてまいります。同時に、固定費を中心としたコスト削減ならびに在庫圧縮の
さらなる徹底や設備投資の厳選等によるキャッシュフロー対策も進めてまいります。
その上で、中長期的には、国内製造拠点の競争力強化と海外事業での収益拡大を重要な施策と位置付け、企業価
値の一層の向上に努めてまいります。
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国内では、基幹製鉄所である西日本製鉄所を中心に競争力強化を図ってまいります。特に需要の伸びが期待され
る電気自動車等のモーターコアに利用される電磁鋼板につきましては、製造ラインを増強し需要を着実に捕捉して
ま いります。
また、重点分野を中心に商品開発やソリューション提供を行い、最先端技術による成長戦略を推進してまいりま
す。例えば、自動車分野においては軽量化やEV化等の技術革新に対応し、ハイテン材を主軸とした技術開発を加
速し進化させてまいります。さらに、AI、IoT等の先端IT(データサイエンスやロボティクス等)を導入
し、こうした技術開発に対応すると同時に、製鉄所の操業や安全管理など様々な分野でも積極的に活用してまいり
ます。
海外では、地域や市場毎の長期的な成長トレンドを注視しつつ、これまでグローバルに生産体制を拡充してきた
分野を中心に、収益拡大の取り組みをグループ一体で推進いたします。潜在的な成長が期待できるアジア諸国にお
いては、同社が蓄積してきた世界トップの技術力を活用し、提携する海外製鉄会社の企業価値を高めることにより
収益拡大を図ってまいります。それら海外事業に関するマネジメントを強化するため「海外事業推進センター」を
設置いたしました。
JFEエンジニアリング㈱においては、「くらしの礎を創り、くらしの礎を担う」を使命に、人々の生活を支え
るエンジニアリング会社を目指してまいります。
くらしの礎を創るEPC事業では、国内で培ってきた技術と近年構築したグローバルエンジニアリング体制を最
大限に活かし、将来的に成長が期待できる海外での需要を確実に捕捉してまいります。また、EPC事業に加え、
O&Mやリサイクル・発電事業などの長期にわたりくらしの礎を「担う」運営型事業を拡大、ビジネスモデルとし
て確立し、市場の環境変化に左右されない安定収益の確保を推進してまいります。加えて、M&Aや他社とのアラ
イアンスの積極的な展開により新たな技術領域やビジネスモデルに挑戦し、獲得した知見をもとに、事業の高度
化、差別化や新たな製品・サービスの提供を目指してまいります。
新型コロナウイルス感染症拡大の状況によっては、プロジェクト遂行や工場の操業へ大きな影響を及ぼす可能性
があるほか、新規のプロジェクトにおいても計画中断や発注延期による受注の減少等も想定されます。プロジェク
ト中断や工期変更等の不測の事態においても、施工体制の柔軟な変更や工事の進捗に合わせた最適な対応を実施す
るなど、影響の最小化に努めてまいります。このような状況においても、電力・ガス・上下水道・橋梁等のインフ
ラやごみ処理など社会・生活の安定を担う企業としてライフラインの維持・確保に貢献してまいります。
JFE商事㈱においては、JFEグループの中核商社として提案力・発信力を高め、お客様と共に持続的に成長
する存在感のある企業を目指してまいります。
新型コロナウイルス感染症拡大と海外の各地域におけるロックダウン等の感染拡大抑止施策により、急激な需要
減少による販売数量の減少や商品価格の低下に加え、物流の制約、鋼材加工センターの工場休止や稼働率低下など
の影響も懸念されます。引き続き各地域の感染状況や行政、医療、物資調達、航空運航等の状況を確認し、適切か
つ迅速な対策を講じてまいります。
その上で、中長期的には鋼材販売数量の拡大等によりトレード収益を維持・拡大しながら、鋼材加工等による事
業収益の拡大を図ってまいります。世界的な規模で自動車の電動化が進むなど市場環境の急激な変化が想定される
中、日本、米州、中国、アセアンを主要戦略拠点とする「グローバル4極体制」のマネジメント強化を進め、安定
的な収益基盤の構築を目指してまいります。
国内では、加工・流通拠点の機能強化や、再編等を通じた体質強化を推進し需要を捕捉してまいります。海外で
は、JFEグループのリソースを最大限活用し鋼材販売数量の拡大に努めるとともに、より最終製品に近い2次・
3次加工の機能を強化することに加え、優良なパートナーとの提携による新たなビジネスモデルの構築や活動領域
の拡大を図ってまいります。
また、当社の持分法適用会社であるジャパン マリンユナイテッド㈱は、国際競争力の強化を目的とした今治造船
㈱との資本業務提携、および営業・設計を協力して行う合弁会社設立を進めることとなりました。当社は、両社の
強みを活かした提携効果の最大化および収益改善の取り組みを注視するとともに、必要な施策を実施してまいりま
す。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については状況を注視し適切な対応をとってまいります。
有利子負債(社債、借入金及びリース負債)の残高については、前期に比べ2,905億円増加(新リース会計基準の
適用によるリース負債期首増加額1,057億円を含む)し、1兆8,143億円となりました。その結果、当期末の Deb
t/EBITDA 倍率は6.7倍、D / Eレシオは96.4%となりました。財務健全性の維持については最重要課題の一つ
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と位置付けており、棚卸資産圧縮等によるCCC(Cash Conversion Cycle)の改善に加え、保有株式のさらなる縮
減等の資産圧縮および設備投資・投融資の優先順位見直し等を行うことで、有利子負債の削減に努めてまいりま
す。 なお、当社は複数の金融機関との間でコミットメントラインを設定することにより、資金の流動性を十分に確
保しております。
当社はグループの経営課題を着実に実行していくために、株主利益に適うグループ経営および健全なコーポレー
トガバナンスの要としてその機能を充実していくとともに、さらに効率的な運営を図ってまいります。
JFEグループは、社会との信頼関係の基本である、コンプライアンスの徹底、環境課題への取り組み、安全の
確立について、グループをあげて真摯な努力を継続してまいります。
特にESG課題への対応として、統合報告書等による情報開示を継続し、環境・気候変動問題に関連する長期ビ
ジョン・メッセージの発信、シナリオ分析をはじめとする気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)
の提言に沿った情報開示の拡充に加え、重要業績評価指標(KPI)の目標達成に向けた活動を推進することによ
り、社会的課題の解決に貢献してまいります。
今後も企業としての持続的成長を図り、株主の皆様をはじめすべてのステークホルダーにとっての企業価値最大
化に努めてまいる所存でございます。
(注)上記の記載には、2020年5月12日の決算発表時点の将来に関する前提・見通し・計画に基づく予測や目標が
含まれております。
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2 【事業等のリスク】
本報告書に記載した当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を
及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。ただし、以下は当社グループに関するすべてのリスク
を網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。それらのリスク要因のいずれも投資家の判
断に影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済状況と販売市場環境(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)
[鉄鋼事業・商社事業]
鉄鋼事業・商社事業においては、各製品市場と地域市場において、競合他社との競争に直面しております。国内
鋼材販売は、建築・土木、自動車、産業機械、電気機械等各需要分野に広がっており、販売形態も多岐にわたって
おります。また、これら国内向けに加え、JFEスチール㈱は42%程度(単独・金額ベース)、JFE商事㈱は
42%程度(単独・金額ベース・JFEスチール材含む)を海外に輸出しております。主な輸出先としましては、タ
イ等のアセアン、中国、韓国向けとなっております。従いまして、今後の少子高齢化に伴う国内市場の縮小や、国
内およびアジアを初めとする世界経済の状況等を背景とした国内外の鋼材需給の動向が当社グループの鋼材の販売
量や価格に影響を及ぼす可能性があります。とりわけ海外市場においては、中国の内需減少に伴う輸出の増加や、
新興国における鉄鋼生産能力の拡大という構造的な変化によりますます競争が激化していく可能性があります。ま
た、海外主要国において関税引き上げやアンチダンピング・セーフガード措置等の輸入規制が課せられた場合には
当社グループの輸出取引が制約を受け、業績に影響を及ぼします。一方、当社グループの輸出量が少ない米国、E
U等においても、各種輸入規制が行われた結果、その市場から締め出された鋼材が当社グループの主要輸出エリア
に還流することにより市場が影響を受け、結果として当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、国内外の鋼材需給の変化に対応して生産数量の最適化を図るとともに、長期的な鋼材需給の動
向を見据えて設備の統廃合等による最適な生産体制の構築を図ってまいります。また、基幹製鉄所であるJFEス
チール㈱西日本製鉄所への戦略的な投資を行い、コスト競争力を向上させることで、市場環境が変化しても収益を
確保できる体制を整えてまいります。販売面でも新興国ミルに対して技術優位性の高い商品の販売比率の拡大を進
め、収益基盤の安定化を図ってまいります。更に、海外での垂直分業体制や海外鉄鋼メーカーへの出資による鋼材
の現地製造を進めることで、海外市場環境の変化に柔軟に対応するグローバル供給体制の確立を進めてまいりま
す。
商社事業においては、鉄鋼製品を中心に、製鉄原材料、非鉄金属製品、食品等の仕入、加工および販売を行って
おり、国内外の各製品市場において市場環境の変化に適切に対応できる流通販売網を構築しております。具体的に
は、国内においては流通再編等を通じ販売力の強化を進めるとともに、基盤強化に必要な設備の更新をタイムリー
に進めております。また海外においてはグローバル4極体制における流通加工機能の強化を積極的に推進し、高付
加価値分野におけるJFEスチール材の販売強化を進めております。更に、海外におけるJFEグループ材(アラ
イアンス先含む)や非JFEスチール材も活用しながら顧客におけるプレゼンスの維持・強化を図ってまいりま
す。
[エンジニアリング事業]
エンジニアリング事業においては、エネルギープラント・ごみ焼却炉等の環境施設・橋梁を中心とした設備のE
PC(設計・調達・建設)を行っております。また、DBO(設計・建設・運転)案件における設備の運転保守の
受託や、リサイクル・発電・電力小売等の運営型事業を自ら行っております。上記事業のポートフォリオは、公共
インフラ(ごみ焼却施設、橋梁等)関連が過半をしめているため、国内経済状況および国・自治体の方針・政策の
影響等による国内公共事業の縮小は、応札案件の減少に直結し、その結果、受注高が減少する可能性があります。
また、海外についても同様に対象国の経済状況や政策の変化により、受注高が減少する可能性があります。
また、プロジェクト遂行に当たり、資機材等の価格が上昇した場合、建設コストが上昇することになります。建
設コスト上昇の影響に左右されない競争力を確保するために、技術開発等を進めてまいります。また、長期安定的
な収益源として運営型事業を強化し、収益の安定化を図ってまいります。
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(2)原料・エネルギーの市場環境(鉄鋼事業・商社事業)
[鉄鋼事業]
鋼材の原材料として鉄鉱石、原料炭、合金鉄・非鉄金属・スクラップ等を調達しております。これらの原材料の
世界的な需給構造変化や、主要原産国である豪州・ブラジルにおける自然災害や事故の発生等により購入価格が上
昇し、それを鋼材価格に反映できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、製
鉄プロセスに使用する電気・天然ガス等を購入しておりますが、世界的な需給変化や環境規制強化等に起因して電
気・天然ガス等の購入価格が上昇し、それらを鋼材価格に反映できなかった場合、当社グループの業績に影響を及
ぼす可能性があります。
これに対しては、安価原料の使用技術を開発し、その使用比率の増加を図ることで原料調達におけるコスト削減
とコスト変動の低減を図ってまいります。また、調達ソースの分散化等により、調達不安定化のリスクの低減を
図ってまいります。更に、製鉄所内の発電所等のリフレッシュを計画的に進めることにより、調達エネルギーのコ
スト削減とコスト変動の低減を図ってまいります。
[商社事業]
当社グループ向けに原材料を販売するとともに、当社グループ外への原料販売も行っています。従って、世界的
な需給環境や当社グループの活動水準の変化により、商社事業の販売量に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、原料調達における低廉化や新たな調達ソースの開発等により、原材料サプライチェーンのリス
ク低減を図ってまいります。また、当社グループ以外への販路開拓を進め、販売量の維持安定化を進めます。
(3)製造設備・システムの安定操業状況(鉄鋼事業)
鉄鋼事業においては、高炉、コークス炉、転炉、連続鋳造機、圧延機、焼鈍炉、発電所等の多数の大規模な製造
設備を用いて鉄鋼製品の生産を行っております。これらの設備の中には稼働後数十年を経て更新時期を迎えたもの
もあります。持続的な安定生産を実現する国内製造基盤を確立するため、第5次・第6次中期経営計画において集
中的な設備投資を計画し、老朽設備の更新を順次進めておりますが、これらの設備において設備・システムトラブ
ルが発生した場合、生産量の減少や修繕コストの増加等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がありま
す。
これに対しては、重要設備の更新投資を計画的に進め、製鉄所の製造実力の強靭化を図ってまいります。高炉の
操業安定化に対しては、高炉付帯設備の劣化対応やAI・IoT技術の活用等による100億円規模の基盤整備投資を
2019年度より実施して重点的に対策を行っております。
(4)設備投資効果・事業投資効果の実現状況(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)
当社グループは収益基盤の維持・向上、事業拡大をめざし、多額の設備投資および事業投資を行っております。
[設備投資]
鉄鋼事業では、安定生産基盤の確立に加え、生産性・コスト競争力の更なる進展のために、国内製造拠点への戦
略的な投資を継続しております。東西製鉄所においては、新連続鋳造機の新設、コークス炉・焼結機の更新、電磁
鋼板製造ラインの増強等を行い、これらの設備の最新鋭化・能力増強を図ってまいりますが、これらの稼働が遅れ
た場合や鋼材需要が変化した場合、予定通りのコスト削減効果や拡販効果が発揮されず、当社グループの業績に影
響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、主要工事の進捗確認を定期的に実施することで、計画的な実施を図っております。また、世界
の経済状況や需要動向を常に注視し、変化が生じた場合には、当初の設備投資計画に対して、投資時期や規模等の
適切な見直しを行います。
[事業投資]
当社グループは、国内投資に加え、海外成長機会を捉えるための事業投資も推進しております。海外各国におけ
る政情や経済情勢の変動、合弁相手先企業の状況の変化等の不測の事態により、期待する収益の獲得や投資回収が
困難となる等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、世界の経済状況や需要動向を常に注視し、変化が生じた場合には、当初の事業投資計画に対し
て、投資時期や規模等の適切な見直しを行います。また、事業投資の意思決定の過程では、個社・各地域のリスク
評価を行い、そのリスクに応じたフォローを行うことで、リスクの管理を図っております。
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(5)新製品・新技術の開発状況(鉄鋼事業・エンジニアリング事業)
当社グループは、お客様の高度なご要望にお応えすることで、グローバルで戦うことができる技術力を磨いてま
いりました。当社グループの収益基盤を維持・向上していくためには、今後も社会に貢献する世界最先端の新製
品・新技術の開発・新規事業の探索を行っていく必要があります。これらが計画通り実施できなかった場合や各種
環境変化により計画通りの効果が発揮されなかった場合、新商品の提供機会を逸することによる販売量の減少、十
分な付加価値を付与できないことによる収益性の低下、受注機会の逸失等により、当社グループの業績に影響を及
ぼす可能性があります。
これに対しては、鉄鋼事業では自動車・インフラ建材・エネルギー分野を主軸とし、開発の加速化を図ってまい
ります。また、これまで以上にお客様のご要望を的確にとらえた開発を推進してまいります。例えば、自動車分野
では、お客様との交流を深めてEVI(Early Vendor Involvement)を進化させ、先進ハイテンやその利用技術等
の先端技術の提案を続けることで、鉄の価値創造に努めています。また、エンジニアリング事業ではプラントの自
動運転・遠隔監視等、最先端のAI・IoTを活用した技術開発やエネルギーサービス等の新たな商品・サービス
の提案を積極的に進めております。
更に、当社グループでは、技術開発の進捗状況のフォローを行い、市場環境の変化に応じた開発計画の見直しを
適宜実施しております。
(6)品質保証(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)
当社グループは、鉄鋼製品をはじめとした多種多様な製品・サービスをお客様に提供しています。当社グループ
の製品品質は品質設計・製造部門から独立した品質保証部門により確認し、また、品質保証体制は品質監査部門に
よりチェックを行うことで保証しておりますが、製品やサービス、品質管理体制等に問題が発生した場合には、補
償金の支払いや、社会からの信用失墜により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、グループ会社を含めて品質管理体制を統括する組織を本社内に設置し、品質不具合の撲滅に向
けた体制構築を進めております。お客様へ提供する品質データについては、自動測定・伝送化を一層拡充すること
で、人為的なミスや改ざんの根絶に努めております。また、鋼材の中間素材の識別管理の強化、品質保証体制の社
内診断による強化等により、お客様への異常材の流出の未然防止を図っております。
また、エンジニアリング事業における設備のEPC(設計・調達・建設)では、調達した建設資材および機器を
使用して建設工事を行っており、設備引渡し後も一定期間は瑕疵担保責任を負っております。建設した設備におい
て、瑕疵担保責任のある不具合が生じた場合、請負者の責任において改修工事を実施することになり、追加コスト
が発生する可能性があります。こうしたリスクに対しては、品質保証体制を整備し、調達品および工事の検査に
よってリスクの軽減を図っております。
(7)受注後の変動リスク(エンジニアリング事業)
エンジニアリング事業における設備のEPC(設計・調達・建設)では、プロジェクト遂行にあたり、資機材の
購入、外注業者の起用を行っており、工期が数年間に及ぶプロジェクトもあります。また、運営型事業では、設備
の運転に必要な電気・燃料等を購入しており、運営期間が20年間以上に及ぶ事業もあります。市況・景気変動に伴
う建設資材費および外注労務費の変動は建設コストに、電気・燃料費等の変動は運営コストに影響を与え、当社グ
ループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、受注前の段階(応札段階)においてリスクの洗い出しを実施し、契約条件への織り込み等の対
策を行うことで、受注後の変動リスクの軽減を図っております。更に、受注後においては、プロジェクト経験者に
よる第三者視点でのフォローを実施し、リスクを早期に発見し軽減するよう努めております。
(8)大規模な自然災害、新型インフルエンザ等感染症の急速な感染、戦争、内乱、暴動、テロ活動等(鉄鋼事業・エ
ンジニアリング事業・商社事業)
大規模な地震・台風等の自然災害、新型インフルエンザ等感染症の急速な感染、戦争、内乱、暴動、テロ活動等
は、当社グループの事業活動に支障をきたし、業績等に影響を及ぼす可能性があります。例えば、大型台風により
設備や建屋の損壊や製鉄所の浸水が生じた場合には、生産量の減少等により当社グループの業績等に影響する可能
性があります。また、当社グループの原料の調達先で港湾施設の機能停止により一定期間の生産・出荷停止が生じ
た場合には、生産量の減少等により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
近年激甚化する国内の台風や豪雨に対しては、製鉄所内の排水設備の増強等を実施しております。また、原料の
主要な調達先である海外での大規模気象災害に対しては、代替調達先の確保、調達ソースの分散、設備能力の増強
を図ってまいります。なお、非常事態に対するBCPを策定しており、例えば大規模地震では、津波に対する避難
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場所の設置や、通信規制・停電等の状況下での全社指揮命令機能の維持、データのバックアップ等の対策を実施し
ております。また、新たな感染症のリスクに対しては、全従業員の健康と安全を第一に考え、安心して働けるよ
う、 衛生管理の徹底や時差出勤・在宅勤務等の柔軟な事業運営や、インフラ構築等の環境整備を進めるとともに対
策検討チームを発足させ、迅速な対応をとる体制を構築しております。なお、足もとで発生しております新型コロ
ナウイルス感染症に対しても、このような体制をもって対応しております。また、新型コロナウイルス感染症によ
る影響や対応策については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(9)重大な労働災害(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)
多様な事業を展開する当社グループの中には、高所作業、高温作業、重量物の運搬、ガス関連設備での作業等災
害の発生率が比較的高い作業を行う職場もあります。当社グループは、高齢者や女性を含め、多様な人材が災害を
被ることなく安心して働ける作業環境の整備を進めておりますが、万が一生産設備等の重大事故や重大な労働災害
が発生した場合には、事業活動が制約を受け、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して、各事業会社では重大事故・重大災害の撲滅に努めております。鉄鋼事業では、安全文化醸成の取
り組みに先進的なデュポン社による安全に対する診断を行い、これに基づいた内部監査制度を導入しております。
また、作業員が立入禁止区域に入ると警報を発して自動でラインを停止させるAI活用画像認知システムや、ガス
濃度や重機との近接をリアルタイムでモニタリングして災害を未然に防ぐシステム等の導入を進めております。
(10)環境規制等の影響(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)
当社グループは大量のCO を排出する鉄鋼製造プロセスを有しており、当社グループの気候変動問題への対応
2
は、持続可能な社会の実現に貢献する機会として、極めて重要な経営課題と認識しております。当社グループは日
本鉄鋼連盟の掲げる低炭素社会実行計画の実現に向けた取り組みに積極的に参画しており、CO 排出を大幅に抑
2
制する次世代製鉄プロセスの開発を推進しております。
将来想定されるカーボンプライス等の導入については、主要排出国に共通で導入される場合、コストの増加分は
国内外の鉄鋼製品価格に反映されることから、当社グループのコスト競争力は維持されると考えますが、万一、
カーボンプライスが主要排出国に共通で導入されない場合、他国に比して日本の鋼材価格が上昇することにより当
社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、環境規制が適切な制度として制定される
よう、日本鉄鋼連盟からの意見提出等に適宜対応してまいります。
(11)他素材との競合(鉄鋼事業・商社事業)
当社グループはCO の排出抑制効果の大きいエコプロダクトや環境配慮型技術を販売しております。自動車車
2
体に適用されるハイテンは、アルミニウムや炭素繊維等の他素材と比べコスト優位性を有し、また軽量化にも貢献
するため、他素材への置換は限定的と考えますが、他素材の大幅なコストダウンが実現した場合には鋼材需要が減
少し、当社グループの業績に影響する可能性があります。これに対しては、継続的なコストダウンや性能向上に努
め、他素材への置換を抑止します。
(12)情報セキュリティ(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)
当社グループは、事業を展開する上で、顧客および取引先の機密情報や個人情報、また、当社グループの機密情
報や個人情報を有しております。これらの情報は、外部流出や改ざん等が無いように、グループ全体で徹底した管
理を実行しております。過失や盗難、外部からの攻撃等によりこれらの情報が流出もしくは改ざんされた場合、技
術優位性の喪失、損害賠償の発生、社会的な信用失墜等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があ
ります。
これに対して当社グループでは、情報管理の諸規定を制定することで、サイバー攻撃やシステムの不正利用によ
る情報漏洩やシステム障害を防止する対策を実施しております。また、情報セキュリティを中心にITに関する重
要課題を審議する「グループ情報セキュリティ委員会」を設置し、そこで決定した方針に基づき、情報セキュリ
ティ施策の立案と実施推進を図る社内チームである「JFE-SIRT」にてグループ全体の情報セキュリティ管理レベル
の向上を推進しております。
(13)カントリーリスク(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)
当社グループは、成長する海外での需要を捕捉するため、鉄鋼事業・商社事業における現地の鋼材生産・加工ラ
インへの投資や現地鉄鋼会社との資本提携、エンジニアリング事業における新興国のインフラプロジェクトの受注
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等、積極的な海外事業展開を推進しております。事業実施地域における政治・経済情勢の変化、テロ・その他の動
乱、法改定、大規模自然災害等の不測の事態が発生した場合、生産量の減少、資本提携先とのシナジー効果の減
少、 法令改定に起因した費用の発生、物流費の増大、連結財政状態計算書に計上したのれんの減損、受注プロジェ
クトの製造コストの変動等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、事業投融資の審査の過程で各国のリスクに応じた事業のリスク評価を行うことで慎重な投資判
断を行うとともに、不測の事態が発生した場合の影響を軽減するために、監視体制の強化、現地での調達ソースの
分散化等を図っております。
また商社事業では貿易取引を行っており、対象国の状況により輸出入ができなくなるリスクや、外貨事情等によ
り相手国政府が対外送金を停止した場合の代金回収リスクを負う可能性があります。これに対しては貿易保険等を
活用しております。
(14)為替レートの変動(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)
当社グループの業績は、為替レートの変動の影響を受けます。外貨建て取引による外貨の受け取り(製品輸出額
等)と外貨の支払い(原材料輸入額等)で相殺されない部分がある場合、為替レートの変動は、当社グループの業
績に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、為替予約等を利用したヘッジ取引を適宜実施しておりま
す。
また、円高が進行した場合、自動車等の需要産業の輸出競争力低下による国内鋼材需要が減少すること、および
当社グループの製品の海外市況における競争力が低下することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性
があります。これらに対しては、主に(1)、(5)に記した対応による国内鋼材シェアの確保、および海外での垂
直分業体制や海外鉄鋼メーカーへの出資による鋼材の現地製造を進めることで、海外市場環境の変化に柔軟に対応
するグローバル供給体制の確立を進めてまいります。
(15)固定資産の価値下落(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)
当社グループは、大規模な鉄鋼製品製造設備等、多くの固定資産を保有しております。当社グループが保有して
いる固定資産について、収益性の低下等に伴い投資額の回収が見込めなくなった場合は、その資産の減損損失の計
上を行うことにより、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、主に上記の(1)~(5)、(10)、(11)に記した対応により資産価値の維持向上に努めてま
いります。
(16)人材確保・育成および職場環境の整備(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)
当社グループでは、国内の生産年齢人口の減少に伴い、労働力や有能な人材を確保するための各種施策の強化、
人材育成による個々の能力向上、省力化による労働生産性向上に取り組んでおりますが、当社グループおよび当社
グループのサプライチェーンを構築する企業において、労働力の確保や人材育成が十分に行われなかった場合、労
務費の上昇や安定的な生産体制が損なわれることにより当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、職場環境の改善や各種制度の充実を図ることにより、多様な人材の確保・育成や定着をこれまで
以上に進めるとともに、IT・ロボット技術の活用による省力化・効率化についても更に推進して労働力不足に対
応してまいります。
また、適切な労務管理が行われなかった場合、人材の流出や当社グループの信用の著しい低下につながり、当社
グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、適正な労働時間管理や人権啓発研修の実施、
ハラスメント相談窓口の開設等を実施することで未然防止を図ってまいります。
(17)知的財産の保護(鉄鋼事業・エンジニアリング事業)
当社グループは、事業活動に必要な個々の技術や商標の使用権利を保護する目的で、日本および海外諸国におい
て多数の知的財産権を保有しております。当社グループにおいて事業を遂行する際には、当社外で保有されている
知的財産権の調査を行い、その侵害を回避する対策をとっておりますが、万一、第三者より当社グループによる知
的財産権の侵害を主張された場合、損害賠償金やロイヤリティの支払い、事業差し止め等により当社グループの業
績に影響を及ぼす可能性があります。また、第三者により当社グループの知的財産権が無効化される場合には、対
象となる事業の競争力の低下等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。更に、第三者により
当社グループの知的財産権が侵害される場合や、社内外の情報保持者により知的財産情報が漏洩する場合には、技
術・ブランド価値の低下や損害金の回収不履行等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、当社グループは海外を含めて当社外の知的財産権の調査・監視体制を強化することで、その侵
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害の未然防止を図っております。また、海外地域を重点的に重要技術の権利化を進めるとともに第三者による模倣
技術・模倣品の監視体制を強化し、当社グループの知的財産権の侵害の抑止を図っております。更に、情報管理に
対 する社内教育の拡充、退職者等の守秘義務の管理強化を図っております。
(18)金融市場の変動および資金調達環境の変化(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)
当社グループの中核である鉄鋼事業は、大規模な設備を有しており、その設備の維持更新に多額の資本を必要と
するため、財務健全性の維持が重要です。近年、減価償却費を上回る設備投資を行ってきたことから、有利子負債
は増加しております。そのため金融市場の不安定化や金利上昇、また格付機関による当社信用格付の引下げがあっ
た場合等には、資金調達の制約を受け資金調達コストが増加する可能性があります。
これらに対しては、財務管理指標として Debt/EBITDA 倍率やD / Eレシオを用いて、当社グループ全体
並びに各事業会社の財務管理を行っております。また一部の借入金等について、金利スワップを利用したヘッジ取
引を実施しております。足元では、有利子負債の増加に対し、棚卸資産圧縮等によるCCC(Cash Conversion
Cycle)の改善、保有株式の縮減等の資産圧縮および設備投資・投融資の優先順位見直し等を行うことで、財務健全
性の維持に取り組んでおります。
(19)保有株式等の価値変動(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)
当社グループが保有している株式等の価値が変動した場合は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可
能性があります。当社グループは、上場株式について、その株式保有の意義が認められる場合を除き、保有しない
ことを原則としており、上場会社株式の売却を進めております。
(20)信用リスク(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)
当社グループが保有する売上債権について、取引先の倒産により貸倒損失が発生した場合、当社グループの業績
等に影響を及ぼす可能性があります。このため、徹底した与信管理を行っており、一部リスクの高い取引について
は信用保険を活用しております。
(21)法令・公的規制(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)
当社グループは、日本国内および事業展開する各国において、環境、労働・安全衛生、通商・貿易・為替、知的
財産、租税、独占禁止法等の経済法規、建設業法等の事業関連法規、その他関連する様々な法令・公的規制の適用
を受けております。これら法令・公的規制が厳格化された場合、(1)・(10)等で述べた影響の他にも、当社グ
ループの事業活動が制約を受けることや対策費用が発生すること等により当社グループの業績等に影響を及ぼす可
能性があります。また、当社グループは、内部統制体制の充実を図りこれら法令・公的規制の遵守に努めておりま
すが、これら規制等を遵守していないと判断された場合、行政処分を課される等により当社グループの業績等に影
響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、法令の制定・改廃の検討段階での意見提出を行う等により、法令の適切な制定・改廃に向けた
活動を継続してまいります。また、法令の制定・改廃が生じた場合には、当該法令に関する主管部署が業務への影
響度を評価し、社内の関係部署に周知する体制を整えております。また、法令テーマ別にコンプライアンス研修を
行い、定期的に従業員への周知を図っております。
(22)退職給付債務(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)
当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出さ
れております。金利の変動、制度資産の公正価値の変動、および退職金制度の変更等があった場合、当社グループ
の業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(23)持分法適用関連会社の業績悪化
当社および連結子会社は、多数の持分法適用関連会社を有しております。持分法適用関連会社の損失は、当社お
よび連結子会社の持分比率に応じて、連結財務諸表に計上されます。また、当社および連結子会社は、持分法適用
関連会社の回収可能価額が取得原価または帳簿価額を下回る場合、当該持分法適用関連会社の株式について減損損
失を計上しなければならない可能性もあります。なお、当社および連結子会社は、一部の持分法適用関連会社の金
銭債務に対して債務保証を行っておりますが、将来、これら債務保証の履行を求められる状況が発生した場合に
は、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 これらに対しては、持分法適用関連会
社の収益向上の取り組みをモニタリングするとともに、必要な諸施策を実施し、リスク低減に努めております。
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なお、現時点では予期できない上記以外の事象の発生により、当社グループの事業活動および業績等が影響を受
ける可能性があります 。
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3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況の概要は、「(2) 経営者の視点による経営成績等の
状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 a.当
連結会計年度の経営成績の分析」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分
析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.資本の財源及び資
金の流動性についての分析」に記載しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループにおける生産実績については鉄鋼事業の粗鋼生産量を、また受注実績についてはエンジニアリン
グ事業の受注実績・受注残高を記載しております。
鉄鋼事業は、特定顧客からの受注については反復循環的に生産しているため、受注実績の記載を省略しており
ます。エンジニアリング事業は、請負工事を中心としているため、生産実績を金額あるいは数量で示すことはし
ておりません。商社事業は、受注生産形態をとらない製品が多いため、生産実績・受注実績を金額あるいは数量
で示すことはしておりません。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績は、以下のとおりであります。
セグメントの名称 粗鋼生産量(千トン) 前期比(%)
+0.7
鉄鋼事業 28,089
(うちJFEスチール㈱) ( 26,725 ) (+ 1.6 )
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は、以下のとおりであります。
セグメントの名称 受注実績(百万円) 前期比(%) 受注残高(百万円) 前期比(%)
エンジニアリング事業 413,089 △14.4 525,919 △14.4
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c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、以下のとおりであります。
セグメントの名称 販売実績(百万円) 前期比(%)
鉄鋼事業 2,681,350 △5.3
エンジニアリング事業 512,295 +5.5
商社事業 1,084,137 △3.7
計 4,277,783
調整額 △548,065 ―
合計 3,729,717 △3.7
(注) 1 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合については、各販売先への当該割合が100分の10未
満のため、記載を省略しております。
2 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
d.その他
原材料価格および販売価格の状況については、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・
検討内容」に記載しているため省略しております。
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(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は以下のとおりであり
ます。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
今後の新型コロナウイルス感染症による業績等への影響や対応策については「1 経営方針、経営環境及び対処す
べき課題等」に記載しております。
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しております。
重要な会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記
3.重要な会計方針」、重要な見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表
連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積りおよび仮定」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当連結会計年度の経営成績の分析
JFEグループは、企業理念である「常に世界最高の技術をもって社会に貢献する」ことを通じて、企業と
しての持続的な成長を図り、株主の皆様をはじめすべてのステークホルダーにとっての企業価値の向上に努め
てまいりました。
当連結会計年度のわが国経済は、年度前半は緩やかな回復基調で推移したものの、後半は輸出や生産の減少
が徐々に顕著になっていきました。海外経済についても、保護主義的な政策による世界的な貿易摩擦等によ
り、特にアジアやヨーロッパの景気は弱い動きとなりました。また、国内・海外とも足元は新型コロナウイル
ス感染症の影響により、景気は大幅に下押しされ、厳しい状況にあります。
このような状況のもと、JFEグループでは、第6次中期経営計画の主要施策である最先端技術による成長
戦略の推進や、国内における収益基盤整備と製造実力の強化、海外事業の推進と収益拡大および持続的な成長
を支える企業体質の強化等に取り組んでまいりました。しかしながら、米中貿易摩擦による製造業を中心とし
た鉄鋼需要の低迷、中国の粗鋼生産拡大に伴う鉄鉱石価格の高止まり、資材費・物流費等の物価上昇等、これ
まで経験したことのない極めて厳しい経営環境に直面しており、これにより当連結会計年度の事業利益は前連
結会計年度に比べ大幅に悪化しました。またこのような経営環境に加え、中長期の需要動向の構造的変化や、
国内設備の老朽化により今後多額の更新投資が必要とされる状況を踏まえ、JFEスチール㈱東日本製鉄所の
構造改革に伴う減損損失を計上した結果、親会社の所有者に帰属する当期利益につきましても前連結会計年度
に比べ大幅に悪化し、赤字となりました。
当連結会計年度のセグメント別の業績は、以下のとおりです。
鉄鋼事業は、昨年の高炉の操業トラブルからの回復はあったものの、国内外ともに世界経済の減速に伴う需
要減の影響や3月を中心とした新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、当連結会計年度の連結粗鋼生産
量は前連結会計年度に比べ微増の2,809万トンに留まりました。売上収益については、貿易摩擦に伴う販売数量
の減少や海外市況の悪化により、 2兆6,813億円 と 前連結会計年度に比べ1,493億円 (5.3%)の減収 となりまし
た。損益については、鋼材価格の改善や継続的な収益改善に取り組んだものの、鉄鉱石価格や資材費、物流費
等の上昇により、コストが大幅に増加したことに加え、海外市況の悪化や、棚卸資産評価差等の一過性の減益
要因もあり、 セグメント利益は87億円の損失 となり、前連結会計年度に比べ1,700億円の大幅な悪化となりまし
た。
エンジニアリング事業は、国内外の環境・エネルギー・インフラ構築分野での受注済プロジェクトの着実な
遂行、および運営型事業の拡大に努めた結果、 売上収益は5,122億円 となり、 前連結会計年度に比べ264億円
(5.5%)の増収 となりました。損益については、売上収益の増加により、 セグメント利益は231億円 となり、
前連結会計年度に比べ30億円 (15.0%) の増益となりました。
商社事業は、年度中盤より貿易摩擦の影響が米国、中国のみならず世界全体に波及し、各地域の需要が減少
したことにより、 売上収益は1兆841億円 と 前連結会計年度に比べ417億円 (3.7%)の減収 となりました。損益
については、売上収益の減少に加え、年度末にかけた鉄鋼市況下落に伴う国内外グループ会社の収益悪化によ
り、 セグメント利益は270億円 となり、 前連結会計年度に比べ87億円 (24.5%) の減益となりました。
なお、持分法適用会社のジャパン マリンユナイテッド㈱において、天候不順や自然災害等による建造工程の
遅延や資機材費の上昇、事業構造改革に伴う損失が計上されたことから、持分法投資損失179億円が発生しまし
た。
以上の結果、当社単体業績等と合わせ、当連結会計年度における連結での 売上収益は3兆7,297億円 となり、
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前連結会計年度に比べ1,439億円 (3.7%)の減収 となりました。 事業利益は378億円 となり、前連結会計年度に
比べ 1,942億円 (83.7%) の減益となりました。また、JFEスチール㈱東日本製鉄所の構造改革に伴う減損損
失 の計上等により、 税引前損失は2,134億円、 親会社の所有者に帰属する当期損失は1,977億円 となり 前連結会
計年度に比べそれぞれ4,227億円 、 3,612億円 の 悪化となりました。
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、営業活動によるキャッシュ・フローが 2,610億円の収入 で
あったのに対し、投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産、無形資産及び投資不動産の取得による
支出を中心として 3,583億円の支出 であったことから、これらを合計したフリー・キャッシュ・フローは973億
円の支出となりました。
また、財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の借入を中心として 1,039億円の収入 となりまし
た。
この結果、当連結会計年度末の有利子負債残高は前連結会計年度末に比べ2,905億円増加し、1兆8,143億円
となり、現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ45億円増加し、 867億円 となりました。
なお、有利子負債は、社債、借入金及びリース負債であります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりです。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料等の仕入、製造費用、受注建設工事の費用支払およ
び販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資資金需要の主なものは、鉄鋼事業における製造基盤整備を目
的とした設備投資です。
運転資金は、主に金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパーの発行などにより調達しております。投資
資金は、自己資金を基本としておりますが、自己資金を上回る資金需要については、金融機関からの長期借入
金や社債の発行などで調達しております。
当社グループでは、複数の金融機関との間でコミットメントラインを設定することにより、十分な資金の流
動性を確保しております。
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c.目標とする指標の達成状況
JFEグループは、第6次中期経営計画(2018~2020年度)の主要施策である最先端技術による成長戦略の推
進や、国内における収益基盤整備と製造実力の強化、海外事業の推進と収益拡大および持続的な成長を支える
企業体質の強化等に取り組んでおります。
JFEグループは第6次中期経営計画(2018~2020年度)において掲げた施策の実現に向け取り組みを進め
ておりましたが、計画策定時に想定していなかった事業環境の急激な変化のため、特に鉄鋼事業における目標
の達成は困難な状況にあります。足元の厳しい状況に加え、中長期的な鉄鋼需要動向も踏まえ、鉄鋼事業にお
いては競争力のある商品・分野に経営資源を重点的に投入する選択と集中を行うなど、抜本的な対策が必要だ
と判断し国内の生産体制の再構築を実施いたします。
■第6次中期経営計画
目標(3ヵ年平均) 実績( 2019 年度)
事業利益 2,900 億円 / 年 378億円
親会社の所有者に帰属する
当社連結 2,000 億円 / 年 △1,977 億円
当期利益
Debt/EBITDA
3倍程度 6.7倍
倍率
セグメント利益
鉄鋼事業 2,200 億円 / 年 △87億円
事業会社
連結
エンジニアリング事業 300 億円 / 年 231 億円
商社事業 350 億円 / 年 270億円
(注)IFRSの適用に伴い、中期経営計画の財務・収益指標とその数値の読み替えを実施しております。
目標 実績( 2019 年度)
株主還元方針(配当性向) 30 %程度 ―(※1)
(注)※1 1株あたり年間20円の配当を実施しておりますが、当連結会計年度の親会社所有者に帰属する当
期利益が赤字のため「-」で表記しております。
なお、当連結会計年度の分析につきましては、「② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分
析・検討内容 a.当連結会計年度の経営成績の分析」に記載しております。
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4 【経営上の重要な契約等】
(1) 経営上の重要な契約等(技術に関わる契約を除く)
契約会社名 相手方の名称 契約内容 契約締結日/契約期間
2012年8月27日
㈱IHI
造船事業に関する株主間協定書 (2012年11月20日改
日立造船㈱
訂)※1
当社
㈱IHI
造船事業に関する株主間協定書 2020年3月27日※1
今治造船㈱
JFEスチール㈱、日本アイ・
ビー・エム㈱の包括的提携と、㈱エ
2011年4月1日から
日本アイ・ビー・エム㈱ クサの事業運営に関する合弁協定な
2021年3月31日まで
らびにJFEスチール㈱から日本ア
イ・ビー・エム㈱への業務委託契約
岡山県倉敷市における資源循環型廃
2002年3月15日から
倉敷市、中国電力㈱ 他 棄物処理施設整備運営事業(PFI事
2025年3月31日まで
業)
米国における鉄鋼事業会社カリフォ
ヴァーレ(ブラジル) ルニア・スチール・インダストリー 1995年6月27日
ズ・インクに関する合弁協定
伊藤忠丸紅鉄鋼㈱、サハ
タイにおける電気亜鉛鍍金鋼板の製
ビリヤ・スチール・イン
造販売会社タイ・コーテッド・ス 1999年6月11日
ダストリーズ・パブリッ
チール・シート・カンパニー・リミ (2001年7月17日改訂)
ク・リミテッド(タイ)
テッドに関する合弁協定
他
伊藤忠丸紅鉄鋼㈱、サハ タイにおける冷延鋼板の製造販売会
ビリヤ・スチール・イン 社タイ・コールド・ロールド・ス
2001年7月12日
ダストリーズ・パブリッ チール・シート・パブリック・カン
(2013年2月1日改訂)
ク・リミテッド(タイ) パニー・リミテッドに関する合弁協
他 定
伊藤忠丸紅鉄鋼㈱、サハ
ビリヤ・スチール・イン タイでの鉄鋼事業における協力関係
2012年10月31日
ダストリーズ・パブリッ 強化に関する提携合意書
ク・リミテッド(タイ)
中国における冷延鋼板および溶融亜
広州薄板有限公司 2003年10月29日
鉛鍍金鋼板の製造販売会社広州JF
JFEスチール㈱
(中国) (2012年4月11日改訂)
E鋼板有限公司に関する合弁協定
(連結子会社)
東国製鋼㈱への追加出資ならびに厚
東国製鋼㈱(韓国) 鋼板に係る業務協力に関する基本合 2006年9月25日
意
ブラジルの鉄鉱石生産・販売会社C
SNミネラソン社への投資に係わる
伊藤忠商事㈱、㈱神戸製 2019年11月29日(2020年
会社(ジャポン・ブラジル・ミネーリ
鋼所 2月21日改訂)※2
オ・ジ・フェーフォ・パルチシパソ
インス・LTDA.)に関する合弁協定
JFEスチール㈱とJSWスチー
JSWスチール・リミ
ル・リミテッドの戦略的包括提携に 2010年7月27日
テッド(インド)
基づく資本参加に関する契約
日本製鉄㈱、双日㈱、独 ブラジルのニオブ生産・販売会社C
立行政法人 石油天然ガ BMM社への投資に係わる会社(日伯 2011年3月4日
ス・金属鉱物資源機構 ニオブ㈱)に関する合弁協定
伊藤忠丸紅鉄鋼㈱、ゼネ
アラブ首長国連邦における大径溶接
ラル・ホールディング・
鋼管の製造販売事業に関する合弁協 2014年9月1日
コーポレーションPJSC
定
(アラブ首長国連邦)
台湾プラスチックグルー ベトナムにおける一貫製鉄所プロ
プ、中国鋼鉄股份有限公 ジェクトに関する運営等を定める当 2015年9月8日
司(台湾)他 事者間の株主間協定
ベトナムにおける一貫製鉄所プロ
台湾プラスチックグルー
ジェクトへの資本参加および技術支 2015年9月8日
プ
援・供与に関する包括提携契約
ニューコア・コーポレー メキシコにおける溶融亜鉛鍍金鋼板
2016年6月8日
ション(米国)他 の製造販売事業に関する合弁協定
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契約会社名 相手方の名称 契約内容 契約締結日/契約期間
広東韶鋼松山股份有限公 中国における特殊鋼棒鋼事業に関す
2019年11月28日
司(中国) る合弁協定
JFEスチール㈱
トルコにおける鉄鉱石採掘およびペ
(連結子会社)
アタールホールディング レット製造事業に係るアタール・マ
2020年1月23日
A.S.(トルコ) デンティリック社への資本参加に関
する契約
伊藤忠丸紅鉄鋼㈱、阪和
JFEスチール㈱、 興業㈱、メランティス ミャンマーにおける建材向け溶融亜 2017年10月26日
JFE商事㈱ チール・プライベート・ 鉛鍍金鋼板およびカラー鋼板の製 (2019年12月17日改訂※
(連結子会社) リミテッド(シンガポー 造・販売事業に関する合弁協定 3)
ル)他
山東傑富意振興化工有限
JFEケミカル㈱ 公司(中国)、山東