株式会社ユニリタ 有価証券報告書 第38期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
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株式会社ユニリタ(E05561)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2020年6月12日
【事業年度】 第38期(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
【会社名】 株式会社ユニリタ
【英訳名】 UNIRITA Inc.
【代表者の役職氏名】 代表取締役 社長執行役員 北野 裕行
【本店の所在の場所】 東京都港区港南二丁目15番1号
【電話番号】 03-5463-6381(代表)
【事務連絡者氏名】 経理部 部長 久保田 勝
【最寄りの連絡場所】 東京都港区港南二丁目15番1号
【電話番号】 03-5463-6381(代表)
【事務連絡者氏名】 経理部 部長 久保田 勝
【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
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第一部【企業情報】
第1【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
(1)連結経営指標等
回次 第34期 第35期 第36期 第37期 第38期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
(千円) 7,198,673 6,941,485 7,056,886 9,422,699 10,138,223
売上高
(千円) 1,635,318 1,555,645 1,454,288 1,029,201 1,153,718
経常利益
親会社株主に帰属する当期
(千円) 1,442,048 1,056,843 965,537 624,399 893,435
純利益
(千円) 1,454,781 1,100,879 1,118,312 686,939 986,002
包括利益
(千円) 10,019,748 10,700,368 11,432,041 11,698,656 11,040,464
純資産額
(千円) 12,511,126 13,624,396 15,437,885 15,419,717 14,731,810
総資産額
(円) 1,192.09 1,273.06 1,360.11 1,391.84 1,439.42
1株当たり純資産額
(円) 171.99 125.73 114.87 74.28 108.07
1株当たり当期純利益金額
潜在株式調整後1株当たり
(円) - - - - -
当期純利益金額
(%) 80.1 78.5 74.1 75.9 74.9
自己資本比率
(%) 16.1 10.2 8.7 5.4 7.9
自己資本利益率
(倍) 9.4 14.3 15.5 22.2 14.6
株価収益率
営業活動によるキャッ
(千円) 1,564,704 1,953,497 1,028,447 411,698 1,626,452
シュ・フロー
投資活動によるキャッ
(千円) 17,306 △ 150,984 △ 448,601 △ 1,347,015 △ 134,203
シュ・フロー
財務活動によるキャッ
(千円) △ 525,638 △ 426,980 △ 392,026 △ 436,250 △ 2,110,081
シュ・フロー
現金及び現金同等物の期末
(千円) 7,774,179 9,147,291 9,336,395 7,960,736 7,338,098
残高
(名) 379 370 524 552 563
従業員数
(注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。
2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
3.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を 第37期 の期首
から適用しており、 第36期 に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値を
記載しております。
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(2)提出会社の経営指標等
回次 第34期 第35期 第36期 第37期 第38期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
(千円) 5,977,469 5,723,750 5,502,269 5,547,386 5,922,919
売上高
(千円) 1,527,820 1,454,161 1,282,900 902,770 577,520
経常利益
(千円) 1,477,975 996,805 861,773 406,799 498,964
当期純利益
(千円) 1,330,000 1,330,000 1,330,000 1,330,000 1,330,000
資本金
(株) 8,500,000 8,500,000 8,500,000 8,500,000 8,500,000
発行済株式総数
(千円) 9,829,416 10,451,079 11,078,591 11,132,300 10,083,817
純資産額
(千円) 11,919,698 12,974,756 13,445,257 13,396,420 12,611,362
総資産額
(円) 1,169.44 1,243.40 1,318.06 1,324.46 1,314.69
1株当たり純資産額
52.00 46.00 46.00 54.00 62.00
1株当たり配当額
(円)
(うち1株当たり中間配当額)
( 25.00 ) ( 23.00 ) ( 23.00 ) ( 27.00 ) ( 30.00 )
(円) 176.28 118.59 102.52 48.39 60.35
1株当たり当期純利益金額
潜在株式調整後1株当たり
(円) - - - - -
当期純利益金額
(%) 82.5 80.5 82.4 83.1 80.0
自己資本比率
(%) 17.0 9.8 8.0 3.7 4.7
自己資本利益率
(倍) 9.2 15.2 17.4 34.1 26.2
株価収益率
(%) 29.5 38.8 44.9 111.6 102.7
配当性向
(名) 310 292 258 258 270
従業員数
(%) 115.6 131.2 132.9 127.6 127.2
株主総利回り
(比較指標:TOPIX
(%) ( 89.2 ) ( 102.3 ) ( 118.5 ) ( 112.5 ) ( 101.8 )
(配当込み))
(円) 2,094 1,925 1,920 1,871 2,060
最高株価
(円) 1,350 1,508 1,603 1,380 1,451
最低株価
(注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。
2. 潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
3.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を 第37期の 期首
から適用しており、 第36期 に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値を
記載しております。
4.最高株価及び最低株価は、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)におけるものであります。
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2【沿革】
当社は、当社、株式会社ビジネスコンサルタント、株式会社リンクレア(旧社名ビーコンシステム株式会社)およ
び株式会社ビーコン インフォメーション テクノロジー(旧社名株式会社ソフトウェア・エージー・オブ・ファー
イースト)で構成される「ビーコングループ」に属しておりました。ビーコングループは、株式会社ビジネスコンサ
ルタントが母体で、同社から独立した株式会社リンクレア、株式会社リンクレアから独立した株式会社ビーコン イ
ンフォメーション テクノロジーで形成されております。
これらの各社は、相互に資本関係がありますが、取引、資金および人事の決定過程を通じて、他のビーコングルー
プ各社からの影響は受けておりません。
当社は、1977年7月以後株式会社ソフトウェア・エージー・オブ・ファーイーストが国内で販売していた「A-
AUTO」(コンピュータ・システムの複雑なジョブのスケジュールを自動化し、ITシステム運用管理の効率化を実現
するツールである日本国産のソフトウェア・プロダクト)を米国市場で販売する目的で、1982年5月、東京都中央区
に株式会社ビジネスコンサルタントの子会社(出資比率50.5%)としてスリービー株式会社の商号で設立されまし
た。
1987年10月、スリービー株式会社の社名を「株式会社ビーエスピー」に変更し、「A-AUTO」を輸出するため事業を
再開し、1993年7月、当社は株式会社ソフトウェア・エージー・オブ・ファーイーストのITシステム運用関連の事
業を継承し、コンピュータ・システム運用管理ソフトウェア・プロダクトの専門会社として本格的な活動を開始いた
しました。
その後、2014年1月に、当社は株式会社ビーコン インフォメーション テクノロジーを連結子会社化し、2015年4
月には当社が株式会社ビーコン インフォメーション テクノロジーを吸収合併し、株式会社ユニリタに商号変更しま
した。
当社およびビーコングループ各社の設立年表は以下のとおりであります。
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年 月 沿 革
1982年5月 東京都中央区において「A-AUTO」を米国市場で販売する目的でスリービー株式会社(現、株式会社ユ
ニリタ)を設立(資本金10百万円)
1987年10月 スリービー株式会社を株式会社ビーエスピーへ商号変更
1988年12月 株式会社ソフトウェア・エージー・オブ・ファーイースト(1996年8月、株式会社ビーコン イン
フォメーション テクノロジーに商号変更し、2015年4月、当社と合併)と海外販売代理店契約締結
1989年9月 シンガポールにおいて、シンガポール$12,500を出資(当社出資比率25.0%)して関連会社 BSP
Singapore Pte.Ltd.を設立(2004年12月解散)
1993年7月 株式会社ソフトウェア・エージー・オブ・ファーイーストのITシステム運用関連の事業を継承し、本
格的な活動を開始
1995年4月 大阪市中央区に大阪事業所開設(2013年5月同区博労町に移転)
1995年8月 アメリカ合衆国ニューヨーク州において、US$100,000を出資(当社出資比率50.0%)して、最新
のマーケット情報の収集、および米国での販売拠点として、関連会社 BSP International Corp.を設
立(2009年3月解散)
1996年10月 名古屋市中村区に名古屋事業所開設(2011年11月同市西区名駅に移転)
1997年4月 札幌市厚別区に札幌事業所開設(2010年4月閉鎖)
1998年1月 本社を東京都港区に移転(2003年11月同区港南に移転)
1999年6月 ISO9001認証取得
2000年10月 帳票管理ソフトウェア「BSP-RM」販売開始
2001年4月 ソリューション事業を本格的に展開するため、東京都港区において5,000万円を出資して、株式会社
ビーエスピーソリューションズを設立
2001年7月 福岡市博多区に福岡事業所を開設
2006年3月 ジャスダック証券取引所(現、東京証券取引所JASDAQ市場(スタンダード))に株式上場
(発行済株式総数4,250,000株)
2006年10月 東京都港区において100万円を出資して、株式会社ビーエスピー・プリズムを設立(2008年10月吸収
合併)
2008年1月 中華人民共和国においてUS$300,000を出資して、連結子会社 備実必(上海)軟件科技有限公司(略
称、BSP上海)を設立
2009年5月 東京都品川区に新たな研究開発拠点としてBSP R&Dセンター開設
2011年3月 国内に次いで2番目の研究開発拠点として「BSP上海西安R&Dセンター」を開設
2011年4月 ITサービスマネジメントの新サービス「LMIS on cloud」販売開始
2012年8月 株式会社ビーコン インフォメーション テクノロジー(2015年4月、吸収合併)との資本・業務提携
関係を強化し、同社を持分法適用関連会社とする
2013年3月 ITシステムのインフラから各種運用管理機能までをサービス化して提供するクラウドサービス
「Be.Cloud(ビークラウド)」を開始
2013年10月 運用業務代行を行う「運用BPOサービス」を開始
2014年1月
株式会社ビーコン インフォメーション テクノロジーを子会社とする
2014年5月
ソフトウェア・エー・ジー株式会社とパートナー契約を締結
2015年1月
普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施し、発行済株式総数が8,500,000株に増加
2015年4月
株式会社ビーコン インフォメーション テクノロジーを吸収合併
株式会社ユニリタに商号変更
2016年5月
移動体向けIoT型ソリューションを提供する株式会社ユニ・トランドを完全子会社として設立
2017年4月
西日本地域向けの当社製品販売・サポート業務を担う株式会社ユニリタプラスを完全子会社として設
立
2018年2月
株式会社無限を子会社とする
2018年11月
株式会社ビジネスアプリケーションを子会社とする
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3【事業の内容】
当社グループは、当社(株式会社ユニリタ)と以下、完全子会社である、株式会社ビーエスピーソリューション
ズ、備実必(上海)軟件科技有限公司(BSP上海)、株式会社アスペックス、株式会社ビーティス、株式会社データ
総研、株式会社ユニ・トランド、株式会社ユニリタプラス、株式会社無限、瀋陽無限軟件開発有限公司、上海克思
茉軟件開発有限公司、 株式会社ビジネスアプリケーション、 株式会社ビーアイティ・サポートの12社及び持分法適
用の関連会社である NEVELL株式会社1社 で構成されています。また、上海克思茉軟件開発有限公司及び株式会社
ビーアイティ・サポートについては事業を休止しています。(2020年3月31日現在)
当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。
なお、次の5部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメン
トの区分と同一であります。
(1)クラウド事業
データ活用、システム運用、労務管理・バックオフィス業務等の領域において、当社グループの製品およびサー
ビスをクラウドサービス(利用料課金型)で提供するものです。
本事業においては、主に当社および株式会社アスペックス、株式会社無限にてサービス開発及び顧客への提供を
行っております。
(2)プロダクト事業
自社開発のオープン系パッケージソフトを中心とした製品販売を行っています。データ活用領域では、非定型で
リアルタイムに生成される膨大なデータを連携させ分析・活用するためのソフトウェア製品ならびにサービスを提
供し、システム運用領域では、基幹業務システムの運用を正確・効率的に稼働させるために必要なソフトウェア製
品ならびにサービスを提供しています。
本事業においては、主に当社および株式会社ユニ・トランド、株式会社無限、株式会社ビーティス、株式会社ビ
ジネスアプリケーションにて製品開発及び販売、保守サービスを行っており、株式会社ユニリタプラスでは西日本
地区で、備実必(上海)軟件科技有限公司(BSP上海)では中国での製品販売と保守サービスを行っています。
(3)ソリューション事業
クラウド事業、プロダクト事業の拡大にあたって、両事業の前後の工程を担うものです。お客様のデジタル変革
を支援するためのシステム運用やデータマネジメントのコンサルティング、また当社グループの製品およびサービ
スに付随する導入支援、技術支援を通じて、お客様に付加価値の高いソリューションを提供しています。
本事業においては、主に当社および株式会社ビーエスピーソリューションズ、株式会社データ総研、株式会社ユ
ニリタプラスにてサービス提供を行っております。
(4)メインフレーム事業
金融機関や生損保、大手製造業のお客様を中心とした基幹業務システムの運用管理のためのメインフレーム向け
自社ソフトウェア製品の販売・サポート事業を30余年にわたり行っています。
本事業においては、当社にて製品開発及び販売、保守サービス、技術支援サービスの提供を行っております。
(5)システムインテグレーション事業
情報通信業、流通小売業、製造業等の顧客を中心に、顧客管理、Eコマース、コンテンツマネジメント、IT基盤等
の企業情報システムを構築しています。
本事業においては、株式会社無限にて顧客からの開発の請負やサービス提供を行っております。
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以上に述べた当社グループの事業内容、および関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。
<事業系統図>
(注1)2015年4 月1日に株式会社ビーエスピーと株式会社ビーコン インフォメーション テクノロジーは合併
し、株式会社ユニリタとなりました。
(注2)株式会社ユニ・トランドは2016年5月11日に設立されました。
(注3)株式会社ユニリタプラスは2017年4月3日に設立されました。
(注4)株式会社無限は2018年2月15日に子会社となりました。
(注5)株式会社ビジネスアプリケーションは2018年11月5日に子会社となりました。
なお、関係会社各社の事業内容は、「4 関係会社の状況」に記載のとおりであります。
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4【関係会社の状況】
議決権所有
資本金
(被所有)割合
主要な事業
名称 住所 又は 関係内容
の内容
所有割合 被所有割
出資金
(%) 合(%)
(連結子会社)
コンサルテーションを
ITシステム運用に
通じた当社製品の顧客
㈱ビーエスピー
東京都港区 150百万円 関するソリュー 100.0 -
ソリューションズ 企業への紹介等
ションの提供
役員の兼任あり
(注)1
データベース設計 コンサルテーションを
㈱データ総研 東京都中央区 90百万円 に関連したコンサ 100.0 - 通じた当社製品の顧客
ルティング 企業への販売
SaaS型勤怠管理 資金の貸付
㈱アスペックス 東京都港区 45百万円 100.0 -
サービスの提供 役員の兼任あり
BCP(事業継続計
㈱ビーティス 東京都中央区 25百万円 画)サービスの提 100.0 - 役員の兼任あり
供
移動体向けIoT型ソ 資金の貸付
㈱ユニ・トランド 東京都港区 80百万円 100.0 -
リューション事業 役員の兼任あり
中国における当社製品
備実必(上海)軟件 中華人民共和 の販売・サポート
1,380千 ソフトウェアの開
科技有限公司 国 100.0 - 当社各事業部からの製
米ドル 発・販売
上海市 品開発や保守一部請負
役員の兼任あり
西日本地域における当
西日本地域におけ
大阪府大阪市 社製品の販売・サポー
㈱ユニリタプラス 25百万円 る製品販売及び 100.0 -
中央区 ト
サービスの提供
役員の兼任あり
システムインテグ
資金の貸付
レーション事業及
㈱無限 当社各事業部からの製
東京都新宿区 30百万円 び自社パッケージ 100.0 -
(注)1、4 品開発や保守一部請負
ソフトの企画、開
役員の兼任あり
発、販売
人材サービス業界
㈱ビジネスアプリ の業務管理システ 連結子会社からの製品
100.0
ケーション 東京都練馬区 80百万円 ムの開発、販売、 - 開発や保守一部請負
(100.0)
(注)3 保守、サポート 役員の兼任あり
サービス
その他3社 - - - - - -
(持分法適用関連会
社)
NEVELL ㈱ 北海道札幌市 9百万円 ソフトウェアの開 30.3 - -
白石区 発・販売 (30.3)
(注)3
(注)1.特定子会社であります。
2.有価証券届出書または有価証券報告書を提出している会社はありません。
3. 議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。
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4. 株式会社無限については、 売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%
を超えております。
主要な損益情報等 (1)売上高 2,686百万円
(2)経常利益 179百万円
(3)当期純利益 125百万円
(4)純資産額 271百万円
(5)総資産額 1,124百万円
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
2020年3月31日現在
従業員数(名)
563
(注)1.従業員数は就業人員であります。
2.同一の従業員が複数の事業に従事しているため、従業員数をセグメント別に区分するのは困難であります。
(2)提出会社の状況
2020年3月31日現在
従業員数(名) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(千円)
270 40.6 12.8 7,393
(注)1.従業員数は就業人員であります。
2.同一の従業員が複数の事業に従事しているため、従業員数をセグメント別に区分するのは困難であります。
3.平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。
(3)労働組合の状況
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
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第2【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社は、日本に数少ない独立系の自社開発パッケージソフトウェアメーカーとして、当社の強みである「シス
テム運用」と「データ活用」領域の事業に磨きをかけ事業基盤の強化を図るとともに、マーケットの「デジタル変
革」に対応した新たな領域への積極的な先行投資を通じて、専門性を高めた事業を拡大していく方針です。
(2)目標とする経営指標
今般策定した中期経営計画(2018年度~2020年度)では、マーケットの変化に対応した事業構造変革を推進す
るため、事業規模の拡大を目指します。従って、業績面で重視する指標は、売上高とそれに伴う利益額の確保で
す。資本効率指標としてはROE(自己資本利益率)を目標値として設定し、また、株主還元指標としてはDOE(自己
資本配当率)を採用しています。
(3)当社グループの対処すべき課題と対処方針等
いま、デジタル技術の急速な進展は、お客様と企業との関係性をも大きく変えようとしています。例えば、お
客様の価値観が、所有から利用へと変わるとき、これまでの企業が提供してきた製品やサービスの在り方、企業の
価値観も変わらなくてはなりません。
当社では、このような中長期観点からの環境変化を踏まえ、市場やお客様のニーズに応えるべく事業構造の変
革を進めています。当社グループは、お客様と共に真のデジタル変革パートナーを目指すためのコンセプト
「Create Your Business Value」を提唱しています。これには、「デジタル変革による新しいお客様の価値をいち
早く創造する」という意味を込めています。このコンセプトの下、中期経営計画(2018年度~2020年度)において
は戦略的投資を実行しつつ、事業のサービス化に向けた事業構造の変革に取り組んでいます。
<中期経営計画の基本方針と施策>
1.システム運用とデータ活用の専門性を磨き、既存事業基盤の更なる強化
2.市場を活性化するビジネスIT領域のサービス事業の拡大
3.最新のデジタル技術への積極的な投資と新しい事業基盤の構築
<環境変化の捉え方と課題>
前提となる環境変化には、デジタル技術の進展によるお客様層の変化があります。かつてのように、プロダク
ト販売が中心の頃は、企業の情報システム部門がシステムの構築や運用を行っており、当社から見たお客様は情報
システム部門でした。しかし、インターネットの普及によるSaaSの普及は、システム構築や運用の負担を減らし、
各企業の事業対象であるお客様に近い事業部門や企画部門が直接ITサービスを採用する立場へと変えています。こ
のことは、当社にとってもお客様の対象が、情報システム部門から事業部門や企画部門へと拡がること、変化して
いることを意味します。この変化に適応するため、当社では、これまでの製品・機能の提供方法をサービス型へと
転換することにより、市場ニーズの取り込みを図りストック型ビジネスへと事業構造の転換を図ることが必要と考
えます。
<課題への取り組みと重点施策>
現行の中期経営計画の最終年度である今期(2020年度)は、次のような重点施策を進めていきます。
1.既存製品のサービスシフト
・当社グループにおいて、自社開発し販売保守を行っているデータ活用やシステム運用に関わる既存製品群の売上
は、金額的には大きいもののここ数年の伸び率は一桁台です。一方の、クラウドサービス事業の売上伸び率は
二桁台となっています。当社では、ここにマーケットやお客様が求める製品利用の変化を見ます。そして、こ
の変化に対応し、成熟事業を持続するため、これまでの主力販売方法である単品販売型から、お客様の抱える
課題を機能連携で解決するサービス型、サブスクリプションモデル(利用料課金型)への転換を進める計画で
す。
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2.ビジネスSaaS事業の拡大
・クラウドファースト推進のために、自社クラウドサービスのサブスクリプションモデル化の強化やクラウド、
IoT、AIなどのデジタル技術を活用した新たなサービス開発を進めます。当社のクラウドサービスの主力ソ
リューションである、ITサービスマネジメント(LMIS)、リモートワークを支援するWebサービス基盤
(infoScoop×Digital Workforce)、ビジネス・プロセス・マネジメント(BPM)、ユニリタクラウドサービス
などの事業機能を強化し、事業規模をよりスケールさせるためにサブスクリプションモデル、クラウドベース
の運用サービスなどの開発、推進体制を強化します。
3.社会課題解決に向けたデータドリブン型事業の創出
・いま、社会課題を効果的かつ有効に解決するためには、デジタル技術が欠かせません。当社グループでは、持続
可能な社会発展に貢献すべく社会課題解決と向き合い取り組むことが、自らの事業を成長させるものと考えま
す。
当社グループでは、社会課題の領域を「働き方改革(HR)」「地方創生(移動体)」「一次産業活性化(農業)」
に絞り、その領域の課題解決のためにITを活用した事業基盤創りと、その基盤から集約されるデータドリブン型の
サービスプラットフォームの構築、データサイエンティストの育成などを重点的に推進する計画です。
<積極的投資と事業構造変革>
・中期経営計画における投資カテゴリーは、①ベースとなる既存事業である「システム運用」と「データ活用」の
専門性に磨きをかけるための投資、②取り組みを開始している成長事業領域への追加投資と規模拡大のための
投資、③データドリブン型サービスプラットフォーム構築、業界SaaS事業を新規開拓するための投資、に分け
本中計期間において総額30億円の投資枠を設定し事業構造変革を推進します。
・当社グループには、これまでの事業活動で培ってきた強みとして「データマネジメント」「サービスマネジメン
ト」「プロセスマネジメント」という3つのコア・テクノロジーがあります。これをベースにお客様のDXを実
現するためのサービス体系としてまとめ、市場にアプローチする計画です。これは、事業構造をサービス事業
へと変革させることであり、サービスの提供方法のサブスクリプション化を通じて売上構成をストック化へと
シフトさせ環境変化への適応力を高めるためのものです。
・現状の環境変化は、お客様のDXへの取り組みを待ったなしに前倒しさせるものです。投資の方向としては、リ
モートワークによる働き方変革に向けた営業、開発、お客様サービス、バックオフィス業務のデジタル化、現状
業務の見直しによるビジネスプロセス改革やBPOなどがあります。当社グループではお客様が困っている時に共
に考え、解決策を提案し歩んできた実績を活かし、これらの課題に対応するソリューションを提供してまいりま
す。
(4)新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染症の2020年3月期業績への影響については、その感染拡大が当期末間際だったことや
当社の事業特性もあり、ほぼ発生はしておりません。事業特性面としては、提供する製品やサービスが業務の効率
化や生産性向上を支援する法人企業向けのITソリューションのため、消費等の経済環境の悪化要因がタイムラグな
く直接的に取引に影響を与えにくいという側面があるためです。
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2【事業等のリスク】
当社グループの経営成績および財政状態等に影響を及ぼす可能性のある主な事項を記載しています。また、必ず
しもそのようなリスク要因に該当しない事項であっても投資判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる事項につ
いては、積極的な情報開示の観点から記載しています。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生防止および発生した場合の適切な対処に
努めてまいります。
なお、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、これらは当連結会計年度末現在において当社グ
ループが判断したものです。
(1)特定領域向け製品ならびに仕入先との代理店契約について
当社グループは、お客様の高度なデータ活用を担う製品やサービスならびに運用自動化、帳票など特定領域向け
製品の開発販売を行っていますが、競合大手ハードウェアメーカーの中にはシステム稼動やパフォーマンス管理、
ネットワーク管理、セキュリティ管理等を含めた総合的な製品を提供している企業もあります。それらの主要な
ハードウェアメーカーが、当該マーケットでの囲い込みを狙い、他のソフトウェアを排除したり、当社製品の機能
に似た無償のオープンソースソフトを提供したりした場合、製品売上および製品の使用権の許諾料(ライセンス
料)収益が極端に減少し、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、主な仕入先と「代理店契約」を締結しています。これらの契約は、独占・非独占に係わ
らず、仕入先側の通告により、契約期間の満了により終了することがあります。仕入先毎に、終了条件の有無、事
前通告の要不要、その期間・手段、等に相違があり、当社グループがその対抗策・代替手段を検討する期間にも相
違が出ることが考えられるため、当社グループの業績に一定の影響が及ぶ可能性があります。
(2)IT市場の環境変化
①企業の統廃合、IT技術革新等
当期の連結売上高の約20%を占めるメインフレーム事業に関係する製品は、当社のお客様の基幹業務システムに
多く組み込まれております。そのためにオペレーティングシステム(OS)の変更等に伴う改訂や改良等の保守サー
ビスが重要であるため、期間使用料を含む保守サービス料はプロダクト販売に比べて安定的な収益源になっていま
す。
しかしながら、企業の統廃合、IT技術革新、ダウンサインジング化やオープン化の進展等により従来のメインフ
レームコンピュータが使用されなくなったり、当社グループが適時に適切な製品の改訂版や改良版の提供ができ
ず、保守サービスの解約が急激に増加したりした場合、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性がありま
す。
②システムのオープン化に伴う環境変化への対応
データ活用の分野は、ビッグデータが脚光を浴びつつあるなか、「データの収集、整備、管理、統合、活用」を
ベースとした最先端の技術の実装化への取り組みが重要になっています。また、ITシステム運用では、メインフ
レームコンピュータを中心としたものから、オープン系システムへの移行を経て、クラウドサービスの利用が進ん
でおります。
当社グループは、このような変化に対応した事業構造の変革を行っていますが、IT関連技術は技術革新のスピー
ドが速く、業界標準およびお客様ニーズの変化への対応が遅れた場合、市場での競争力低下を招き、当社グループ
の業績に重要な影響を与える可能性があります。
③クラウド化について
当社グループは、お客様の利便性を追求した新製品、新サービスの開発が当社グループの成長の牽引役になるも
のと考えています。
クラウド時代の本格的到来により、多様化するお客様のニーズに合致する新技術の開発または新サービスの提供
は不可欠であり、経営戦略における重要テーマとして取り組んでいます。
しかしながら、IT関連技術の技術革新のスピードは速く、その技術革新を予測することは極めて難しいため、当
社グループがクラウド化等の先進技術に適合した魅力的な新製品および新サービスをタイムリーに開発できるとは
限りません。当社の予測の見込み違い、競合他社との競争激化、社内体制の不備等によって技術革新や市場動向に
遅れをとった場合、また、当社の既存製品の売上形態がクラウド化の進展により製品の使用権の許諾料売上から月
額の利用料売上に極端にシフトした場合、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
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(3)情報セキュリティについて
当社グループは、業務遂行上、お客様が保有する様々な機密情報を取り扱う機会が多く、慎重な対応と厳格な情
報管理体制の構築、徹底が求められています。このような機密情報に関し、万一、何らかの理由で紛失、破壊、漏
洩等が生じた場合、当社グループの社会的信用の低下や失墜、損害賠償責任の発生等により、当社グループの業績
および事業活動等に影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他
①人材の獲得
当社グループが属する情報サービス業界では、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に伴い、IT技術
者の慢性的な不足が共通の課題となっています。また、近年では、従来のようなシステムエンジニアやプログラマ
といった大きな括りの職務分野から、アプリケーションの分野別、AIやIoT等の新技術を含む技術分野別、業務上
の役割別、技術レパートリ別等、経験や実績など多様な要素により細分化され、限られた分野での優秀な人材の獲
得競争は年々厳しくなっています。
このような状況のなかで、当社製品の企画開発に必要な分野の能力を有する人材の確保、育成、定着化は重要な
課題であり、適時に適切な人材の確保等ができない場合、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があり
ます。
②法令遵守について
当社グループは、事業活動を行う上で、「下請法」、「労働者派遣法」および「労働基準法」等の法的規制を受
けております。また、近年、労働関係の法令については、より一層の法令遵守が求められております。そのため、
当社グループでは、コンプライアンス体制の構築に加え、社内教育を実施し法令遵守の徹底を図るとともに、労務
環境の整備にも努めております。
しかしながら、これらの法律に抵触する事実が発生した場合には、監督官庁からの処分、社会的信用の失墜等に
より、当社グループの事業活動、業績および財政状態に重要な影響が及ぶ可能性があります。
③知的財産権
当社グループの製品の企画開発や販売には、特許権、商標権等の工業所有権や著作権など多くの知的財産権が関
係しています。自社開発の製品をはじめとして、特許権などの対象となる可能性のあるものについては、その取得
を目指して対応しています。また、すでに進出している中国における当社の知的財産権についても、その取得や権
利確保に努めてまいります。
しかしながら、必要な知的財産権の取得ができない場合および当社グループ製品等の類似製品が他社によって開
発、販売された場合、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
④訴訟の可能性
当社グループの事業または製品が、他人の特許等の存在を知らないで使用したことによる知的財産権侵害などを
理由とした訴訟その他の請求(以下「訴訟等」といいます。)の対象とされる可能性があるほか、当社グループの
製品に起因するシステム障害などによってお客様に損害を与え、このために訴訟等を提起される可能性もあり、そ
の訴訟等の内容によっては、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
⑤敵対的買収防衛策について
当社グループには、ITシステム運用分野において、永年にわたり当社製品をご利用くださっているお客様だけで
なく、2015年4月に吸収合併した旧ビーコンITのお客様で、データ活用分野において、当社製品をご利用くださっ
ているお客様が多数いらっしゃいます。これらのお客様の獲得等を目的として、当社株式の買収事案が発生する可
能性があります。有価証券報告書提出日(2020年6月12日)現在、買収者は出現しておりませんが、当社として
は、このような買収事案に適切な判断を下すための指針が必要であると考えています。
このような考えのもと、当社は、2006年6月22日付で「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛
策)」を導入し、数次の更新を経ております。
当社は、買収防衛策に関する議論の進展など近年のわが国の資本市場と法的・経済的環境を検討した結果、買収
防衛策の重要性に変わるところはないと判断し、2020年6月11日開催の第38期定時株主総会において「当社株式の
大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)」の継続更新を上程し、さらに2年間の継続が承認されました。
かかる買収防衛策により、当社株式の大規模買付行為をしようとする者が、当社の定める買収防衛策の手続きを
遵守しない場合、または当該買収提案者が濫用的な目的を有していると認めた場合には、企業価値検討委員会に対
して諮問を行ったうえで株主に対する新株予約権の無償割当等の対抗措置を講じることとしています。このような
対抗措置の1つとして例えば、新株予約権が行使された場合には、当社の株式価値の希薄化が生じる可能性があり
ます。
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⑥投資有価証券の価格変動
当社は、経営戦略および営業戦略上の必要性のため投資有価証券を保有していますが、発行企業の業績および財
政状態の悪化等によって、時価あるいは実質価額が著しく下落した場合、当社グループの業績に重要な影響を与え
る可能性があります。
⑦M&A、業務・資本提携について
当社グループでは、M&Aおよび業務・資本提携を既存事業の補完・強化のため、また、業務規模の拡大、新規
事業への進出を図る成長戦略のための有効な手段の一つであると位置付けております。
これらの実施に当たっては、対象となる企業の財務・税務・法務・事業内容等に関する詳細なデューデリジェン
スを行い、意思決定のために必要かつ十分な情報を収集し、各種リスクの低減を図っておりますが、実行後に次の
事項等が発生する可能性を完全に払拭することはできません。すなわち、市場および競争環境に著しい変化が生じ
た場合、事前に認識していなかった問題が顕在化した場合、当初期待していた成果が得られない場合等、このよう
な状況においては、のれん・所有株式に対して減損処理を行う必要が生じ、当社グループの経営成績および財政状
態に重要な影響が及ぶ可能性があります。
⑧海外ビジネスについて
当社は、海外戦略としてデータ活用ビジネスならびにシステム運用ビジネスに関係する海外優良企業とのアライ
アンスを進める場合があります。現在、中国に連結子会社がありますが、今後中国において景気の悪化や、競争の
激化、カントリーリスク(注)の顕在化等の状況が生じた場合、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性
があります。
(注)カントリーリスクとは、海外で事業等を行う場合に、その国の政治・経済・社会状況の不安定化や混乱な
どによって、投資回収が困難になる、またはその影響によって製品等の価格が変動し損失を被るリスクを
指します。
⑨震災等の災害
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、被災地のみならずわが国経済全体に大きな打撃を与えました。本災
害から、情報サービス業界においては、電力供給の停止や制限によるデータ管理の重要性が大きな問題としてク
ローズアップされました。災害対策には十分配慮してまいりますが、想定を超える災害等が発生した場合、当社グ
ループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
⑩新型コロナウイルス感染拡大について
世界的規模で発生した新型コロナ・ショックという未曽有の大災害は、社会や経済、生活の在り方まで一変させ
ています。そして、新型コロナ禍への対応は、デジタル変革をも加速させており、今後、新たなデジタルビジネス
の立ち上がりや投資の活発化も考えられます。当社グループでは、強みとするノウハウやソリューションをもと
に、アフター・コロナの市場ニーズに対応しようとしています。しかしながら、世界規模で加速するデジタルトラ
ンスフォーメーション(DX)の環境下では、想定できない変化や対応要因の発生も考えられ、それらに適応できな
い場合、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
なお、以上に述べた事項は当社グループの事業活動その他に係る全てのリスクを網羅したものではなく、記載さ
れた事項以外のリスクも存在しています。
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3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及び
キャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日まで。以下、当期)におけるわが国経済は、米中貿易摩擦
や世界経済の減速、そして下期以降、消費税増税後の消費等へのマイナス影響の長期化懸念がくすぶる中、2月に
入ってからは新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響が増大し、ますます先行き不透明な状況が継続し
ました。
産業界においては、企業のIT投資は引き続き堅調であり、全社的なデジタルビジネス戦略の策定や基幹系シス
テムのクラウド化への移行、デジタル技術を活用した新たな収益源の創出などのデジタルビジネス関連項目は、喫
緊に取り組むべき経営課題として、ますます重要度を増しています。
このような環境下、当社グループでは、お客様とともに真のデジタル変革パートナーを目指すためのコンセプ
ト「Create Your Business Value」を掲げ事業を推進しています。これには、「デジタル変革による新しいお客様
の価値をいち早く創造する」という意味を込めています。
当期の業績は、自社開発のクラウドサービスの伸長やストックビジネスの拡大といった事業構造変革に向けた
施策も一定の成果を上げ、中期経営計画に則った次期のクラウド事業黒字化への道筋もつけることができました。
当期における事業構造の変革に向けた主な事業トピックスは、以下のとおりです。
a.クラウド事業の主力サービスである「LMIS」は、企業のサービスマネジメントプラットフォームとしてお客様
ビジネスのDXニーズに合致し認知度が向上。加えて、デジタル・マーケティングを活用した販売手法により受注
サイクルを短縮化させ、利用社数が増加。また、利用者満足度と継続利用率の向上への取り組みとして、ユーザ
同士のコミュニティサイトを開設。
b.子会社㈱無限が開発、提供する経費業務管理のクラウドサービス「らくらくBOSS」は、消費増税対応時のバッ
クオフィスの業務効率化ニーズに合致。そして、それらお客様層へのアプローチを強化するために行った販売手
法の見直しが奏功し、契約社数が大幅に増加。
c.デジタル技術を活用して働き方改革、生産性や従業員満足度を高める取り組みであるデジタルワークプレイ
ス。中でも代表的な仕組みであるリモートワークを実現するサービスとして、「ポータル」「シングルサインオ
ン」「API連携」の3機能を業界で初めて統合し実装した当社の「infoScoop×Digital Workforce」は、リモー
トワーク推進のための有用性が評価され採用社数が増加。
d.2019年7月に、ユニリタクラウドサービスセンターを開設。当社の強みである既存製品の機能を活かしシステ
ム運用までBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)として引き受ける一気通貫型のサービスを構築。お客
様の情報システムの管理やリソース不足の解消を支援する本サービスは、お客様のコア事業への集中と省力化
ニーズを捉え受注が増加。既存製品をクラウドサービス化して提供するサブスクリプションモデルにより、ビジ
ネスのストック基盤を強化。
e.自社の働き方改革の取り組みを、「スマイルワーク」と名付け各施策を推進。下期には、「選択労働時間制」
「リモートワーク」「サテライトオフィス」をスタート。先般の緊急事態宣言を受け、リモートワークなどの各
施策が緊急時の事業継続に有効に機能。
そして、当第4四半期には、①IT投資を取り巻く投資動向により、売上ならびに利益が堅調に推移してきたこ
と、②資産の効率化を図るため、当社保有の非上場企業有価証券の売却に伴う売却益を特別利益に計上したこと、
などにより当期純利益予想の上方修正を行いました。
当期の業績は、売上高は101億38百万円(前期比7.6%増)、営業利益は10億73百万円(同16.7%増)、経常利益
は11億53百万円(同12.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8億93百万円(同43.1%増)となりました。
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セグメント別では、全セグメントが増収、4セグメントが増益となりました。利益面では、主に、クラウド事業
の損益改善、プロダクト事業ならびにメインフレーム事業の増収効果が貢献しました。個別セグメントの業績は、
次のとおりです。
クラウド事業
当期の業績は、売上高9億円(前期比25.8%増)、営業損失33百万円(前期は1億53百万円の営業損失)となり
ました。
主力サービスである「LMIS」は、企業のDX化とお客様満足度の向上を支援する統合型サービスマネジメントプ
ラットフォームとして提供したことが奏功し、継続利用者増につながりました。働き方改革の潮流の中、SaaS型勤
怠管理サービス「DigiSheet」は主力マーケットである人材派遣業界を中心に継続利用料が増加しました。また、
デジタルワークプレイスを実現する自社サービス「infoScoop×Digital Workforce」は、そのリモートワーク推進
機能が評価され大手ユーザに採用されました。
これらのサービスでは、お客様はソフトウェアを所有せずにインターネットを通じて利用し、その利用量に応じ
て課金されるものです。そして売上は、ストック収入として積み上がります。なお、当期における事業損益へのマ
イナス影響は、増収効果により計画どおり損益を大幅に改善することができました。
プロダクト事業
当期の業績は、売上高30億50百万円(前期比6.0%増)、営業利益3億5百万円(同4.0%増)となりました。
製品別では、オンプレミスとクラウド上のシステムの組み合わせによるハイブリッド環境での運用自動化のニー
ズを取り込み自動化製品が増加しました。ETL製品では、プリセールス機能の強化、デジタルセールス活用による
販売の効率化、パートナー販売の強化などが奏功しました。帳票製品では、お客様の帳票系基幹システムの更改に
伴う大型案件が奏功しました。なお、これら主力パッケージ製品の販売モデルを単品販売型からサブスクリプショ
ン型へと転換するために、既存製品のクラウドサービス化に積極的に取り組んでいます。
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ソリューション事業
当期の業績は、売上高21億86百万円(前期比8.3%増)、営業利益76百万円(同26.9%減)となりました。
当事業の位置付けは、クラウド、プロダクト両事業を伸長させるための前後の工程となります。
自社製品販売の案件増加、帳票系基幹システム更改案件などに伴い技術支援サービスが伸長しました。また、当
社グループの強みであるシステム運用において、コンサルティングサービスでは、お客様のデジタルビジネス展開
にあたり、そのノウハウとソリューションの有用性が評価されたこと、また、アウトソーシングサービスでは、シ
ステム運用サービスがお客様の業務効率化ニーズを取り込み成果につながりました。
なお、損益面では、一過性の一部システム構築案件の収益悪化、外注費用の増加などが影響しました。
メインフレーム事業
当期の業績は、売上高22億22百万円(前期比7.7%増)、営業利益11億42百万円(同5.9%増)となりました。
メインフレーム市場全体は緩やかな減少傾向にあるものの、キャッシュレス政策の追い風を受け、電子マネーな
どの少額決済は増加しています。これに伴うデータ処理量の増加は、機器のグレードアップニーズや継続製品サ
ポートへのお客様のニーズにつながり、需要面では安定傾向となっています。
当事業の方針は、本市場における優位性を活かした残存者ポジションの確立です。当期においては、メインフ
レームコンピュータの性能向上に合わせた新バージョンの製品の計画的提供、技術者不足への対応に取り組みまし
た。
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システムインテグレーション事業
当期の業績は、売上高17億78百万円(前期比1.8%増)、営業利益50百万円(同15.1%増)となりました。
売上・利益ともに、産業界の好調なシステム投資環境を受け、システム開発の受注が堅調に推移したことにより
増加しました。
なお、本セグメントを構成する㈱無限とユニリタグループ各社との製品、サービス提供にあたっての協業は順調
に進んでいます。
(脚注)
DX(デジタルトランスフォーメーション)
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、
製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革
し、競争上の優位性を確立すること」(経済産業省の定義より)。
シングルサインオン(SSO)
1つのIDとパスワードを入力して、メール、SNS、Google、Amazon、グループウェアなど複数のWebサービスやアプ
リケーションにログインする仕組み。入力や管理の手間を省くことによる生産性向上とセキュリティを強化するこ
とができる。
API(アプリケーション・プログラム・インターフェイス)連携
自社のシステムと他社のシステムとを連携したり、外部サービスから一部機能を呼び出したりすること。
システムやサービスを構築する際、全ての機能を一から開発すると膨大なコストがかかるが、APIを利用すること
で必要な機能を効率よく連携し、システムサービスの開発や拡張を容易に実現できる。
SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)
これまでパッケージ製品として提供されていたソフトウェアを、インターネット経由でサービスとして提供・利用
する形態のこと。
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②キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物(以下、資金)は自己株式の取得等の要因により前期末と比較して6億22百
万円減少(前期は13億75百万円の減少)し、73億38百万円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状
況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は16億26百万円(前期比295.1%増)となりました。主な資金増加要因は、税金
等調整前当期純利益の計上13億19百万円(同29.5%増)であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は1億34百万円(前期比90.0%減)となりました。主な資金増加要因は、投資有
価証券の売却による収入3億19百万円であり、主な資金減少要因は、無形固定資産の取得による支出3億97百
万円(前期比211.4%増)であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は21億10百万円(前期比383.7%増)となりました。支出の主な内容は、自己株
式取得による支出12億3百万円、配当金の支払額4億79百万円(同13.9%増)及び短期借入金の返済3億55百
万円であります。
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③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度
(自 2019年4月1日 前年同期比(%)
セグメントの名称
至 2020年3月31日)
クラウド(千円)
- -
プロダクト(千円)
- -
ソリューション(千円)
2,103,697 99.5
メインフレーム(千円)
79,231 77.1
システムインテグレーション(千円)
1,784,054 102.1
合計(千円)
3,966,983 100.1
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度
(自 2019年4月1日 前年同期比(%)
セグメントの名称
至 2020年3月31日)
クラウド(千円)
180,984 144.3
プロダクト(千円)
524,584 98.2
ソリューション(千円)
- -
メインフレーム(千円)
3,057 89.7
システムインテグレーション(千円)
- -
合計(千円)
708,626 100.1
(注)1.金額は、仕入価格によっております。
2.仕入高は主にロイヤリティであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
受注高(千円) 前年同期比(%) 受注残高(千円) 前年同期比(%)
セグメントの名称
クラウド - - - -
プロダクト - - - -
ソリューション 2,204,092 107.6 189,335 110.2
メインフレーム 82,730 96.6 3,999 799.9
システムインテグレーション 1,775,384 98.2 250,154 98.9
合計 4,062,206 103.0 443,489 104.3
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
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d. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度
(自 2019年4月1日 前年同期比(%)
セグメントの名称
至 2020年3月31日)
クラウド(千円)
900,038 125.8
プロダクト(千円)
3,050,532 106.0
ソリューション(千円)
2,186,634 108.3
メインフレーム(千円)
2,222,838 107.7
システムインテグレーション(千円)
1,778,180 101.8
合計(千円)
10,138,223 107.6
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
④新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染症への対応は、これまでのビジネス構造や働き方に対し根本からの見直しを迫るもので
あり、その取り組みは、産業界におけるデジタル変革を加速させるものです。
当社グループでは、このような顧客の事業活動全般にわたるデジタル化ニーズに対し、データマネジメントや
サービスマネジメント、プロセスマネジメントの分野において得意とする製品・サービスを提供する体制で臨みま
す。
しかしながら、企業の収益環境によっては、投資の優先順位の見直しから、一部投資の抑制や先送りも考えられ
ます。顧客の投資動向については、変動要因も多いため、現段階で通期の影響を合理的に予測することは困難では
ありますが、投資抑制が発生した場合、ソリューション事業やシステムインテグレーション事業などの役務提供型
事業へのマイナス影響を2021年3月期第2四半期以降に想定しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま
す。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 損益の状況
当連結会計年度(以下、「当期」)の損益の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政
状態及び経営成績の状況 」に記載のとおりであります。
b. 財政状態の分析
当社グループは、適切な流動性の維持、事業活動のための資金確保および健全なバランスシートの維持を財
務方針としております。
当期末における資産は、前期末と比較して6億87百万円減少し147億31百万円となりました。これは主に、
ソフトウェアが2億34百万円増加した一方で、現金及び預金が6億12百万円、売掛金が1億39百万円減少した
ことによるものであります。
負債は、前期末と比較して29百万円減少し36億91百万円となりました。これは主に、買掛金が70百万円、未
払法人税等が37百万円、前受収益が1億38百万円、賞与引当金が26百万円及びその他の流動負債が1億9百万
円増加した一方で、短期借入金が3億55百万円減少したことによるものであります。
純資産は、前期末と比較して6億58百万円減少し110億40百万円となりました。これは主に、利益剰余金が
4億14百万円、その他有価証券評価差額金が96百万円増加した一方で、自己株式の取得により11億65百万円減
少したことによるものであります。利益剰余金については、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により8
億93百万円増加し、配当金の支払いにより4億79百万円減少しております。
この結果、当期末の自己資本比率は74.9%(前期末は75.9%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッ
シュ・フローの状況 」に記載のとおりであります。
b.契約債務
2020年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
年度別要支払額(千円)
21/99
EDINET提出書類
株式会社ユニリタ(E05561)
有価証券報告書
契約債務 合計 1年以内 1年超3年以内 3年超5年以内 5年超
リース債務 8,413 3,544 4,659 209 -
当社グループの第三者に対する保証は、ユニリタ共済会の金融機関からの借入金に対する債務保証であり、
2020年3月31日現在の債務残高は、102,131千円であります。
c.財務政策
当社グループは、運転資金および設備資金につきましては、自己資金により資金調達することとしておりま
す。
また、金融機関との間で10億円のコミットメントライン契約を締結しておりますが、当連結会計年度末にお
いて当契約に係る借入れは実行されておりません(借入未実行残高10億円)。
d.資本政策
当下期においては、資本効率向上、株主還元、株式流動性向上、などの観点から、次のような資本施策を実
施しました。