招商銀行股イ分有限公司 有価証券報告書
提出書類 | 有価証券報告書 |
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提出日 | |
提出者 | 招商銀行股イ分有限公司 |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
EDINET提出書類
招商銀行股イ分有限公司(E05986)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2020年6月8日
【事業年度】 自 2019年1月1日 至 2019年12月31日
【会社名】 招商銀行股份有限公司
(China Merchants Bank Co., Ltd.)
【代表者の役職氏名】 総裁 田 惠宇
( Tian Huiyu, President )
業務執行副総裁 劉 建軍
( Liu Jianjun, Executive Vice President)
【本店の所在の場所】 中華人民共和国 深圳市福田区深南大道7088号
(7088 Shennan Road, Futian District, Shenzhen,
People's Republic of China )
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 島崎文彰
【代理人の住所又は所在地】 東京都千代田区神田小川町一丁目7番地 小川町メセナビ
ル4階
島崎法律事務所
(03) 5843-9631
【電話番号】
【事務連絡者氏名】 弁護士 島崎文彰
【連絡場所】 東京都千代田区神田小川町一丁目7番地 小川町メセナビ
ル4階
島崎法律事務所
(03) 5843-9631
【電話番号】
【縦覧に供する場所】 該当事項なし
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( 注)1.本書に記載の「香港ドル」または「HK$」は香港ドルを、「人民元」は中華人民共和国(以下「中国」という。)の法
定通貨である人民元を、「円」は日本円を指す。本書において便宜上一定の香港ドルまたは人民元金額は(香港ドル
の場合は)2020年5月8日の株式会社三菱UFJ銀行が建値した対顧客電信直物売買相場の仲値である1香港ドル=
13.72円により、(人民元金額の場合は)2020年5月8日の中国外貨取引センター公表の仲値である1人民元=15.02
円により円に換算されている。
2.当行の会計年度は、1月1日に始まり12月31日をもって終了する1年間である。
3.本書中の表において記載されている計数は、単位未満の数値を原則として四捨五入しているため、合計は計数の総和
と必ずしも一致しないことがある。
4.本書において、別段の記載がある場合を除き、下記の語は以下の意味を有するものとする。
「当行」または「招商銀 招商銀行股份有限公司
行」
「当グループ」 招商銀行およびその子会社
「CBIRC」 中国銀行保険監督管理委員会
「CIGNA&CMB生命保険」 招商信諾人寿保険有限公司
「CMBFL」 招銀金融租賃有限公司
「CMBIC」 招銀国際金融控股有限公司
「CMBウェルスマネジメン 招銀理財有限責任公司
ト」
「招商永隆銀行」 招商永隆銀行有限公司
「CMFM」 招商基金管理有限公司
「CSRC」 中国証券監督管理委員会
「IFRS」 国際財務報告基準
「MOF」または「財政部」 中華人民共和国財政部
「MUCFC」 招聯消費金融有限公司
「PBOC」、「中央銀行」ま 中国人民銀行
たは「中国人民銀行」
「中国GAAP」 中国において一般に公正妥当と認められる会計基準
「報告期間」 2019年1月1日から2019年12月31日までの期間
「香港証券取引所」 香港聯合交易所有限公司
「上海証券取引所」 上海証券交易所
5.本書には、当グループの財政状態、経営成績および事業の展開に関する一定の将来の見通しの記述が含まれている。
当行は、将来の見通しの記述を示すため、「予定である」、「可能性がある」、「予想している」、「しようとす
る」、「努めている」、「計画している」、「予測している」、「目指している」 といった用語および類似の表現を
用いている。かかる記述は、現在の計画、見積りおよび予想に基づくものである。当行は、かかる将来の見通しの記
述に反映された予想が合理的なものであると考えているが、かかる予想が実現するかまたは正確であると判明する保
証はない。そのため、かかる予想を当グループの約束であるとみなすべきではない。投資家は、かかる記述に過度に
依拠するべきではなく、投資リスクについて注意を払うべきである。かかる将来の見通しの記述は、将来の事由また
は当グループの将来の財政状態、事業もしくはその他業績に関連するものであり、実際の結果とは 大きく異なる原因
となる可能性のあるいくつかの不確実性に影響されるものであることに留意されたい。
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第一部【企業情報】
第1【本国における法制等の概要】
1【会社制度等の概要】
(1) 【提出会社の属する国・州等における会社制度】
中国会社法、特別規定および必須条款
中国で設立され、かつ香港証券取引所における上場を目指している有限株式会社は、主に以下の3つの中国法令の適
用を受ける。
・1993年12月29日の全国人民代表大会の常任委員会において制定され、1994年7月1日に施行され、1999年12月25
日、2004年8月28日、2005年10月27日、2013年12月28日および2018年10月26日に改正された中国の会社法(以下
「中国会社法」という。)
・1998年12月29日の全国人民代表大会の常任委員会において制定され、1999年7月1日に施行され、2004年8月28
日、2005年10月27日、2013年6月29日 、 2014年8月31日 および2019年12月28日 に改正された中国の証券法(以下
「中国証券法」という。)
・1994年8月4日に国務院が採択した株式会社による株式の海外募集および上場に関する特別規定(以下「特別規
定」という。)
・1994年8月27日に中国証券委員会および旧国家経済体制改革委員会によって合同で制定され、海外で上場する有限
株式会社がその定款に組み込まなければならない必須条款(以下「必須条款」という。)
・2019年10月17日に国務院が公布した、海外上場会社の株主総会の招集通知期間等の事項に対する規定の調整適用に
関する国務院の回答(以下「国務院回答」」という。)
以下は、中国会社法、中国証券法、特別規定 、 必須条款 および国務院回答 の規定の概要である。「会社」とは、海外
上場外資株を有する中国会社法に基づき設立された株式会社を意味する。
設立
「株式会社」とは、中国会社法のもとで設立された法人であり、等しい額面金額を有する株式に分割される登録資本
を有する会社である。株式会社の株主の責任は保有株式の範囲に限定され、会社はその所有する資産総額に等しい金額
を限度に債権者に対して責任を負う。会社は、2人以上200人以下の発起人により設立することができ、発起人の半数
以上は、中国国内に居住する者でなければならない。
中国会社法のもとで、会社は、適用ある法律およびその定款に従って他企業に投資することができる。
発起人は、関連する拠出金が全額払い込まれた後30日以内に会社の創立総会を招集し、総会の15日前に株式のすべて
の引受人に対して通知を行うかまたは会日を公告するものとする。創立総会は会社の株式資本の50%超を有する発起人
および引受人の出席によって開催することができる。創立総会では、発起人が提案した定款の採択、取締役の選任およ
び監査役の選任等の事項が決定される。総会の決議には、出席した引受人の有する議決権の過半数の賛成を要する。
創立総会の終了後30日以内に、会社の取締役会は、登記当局に対し会社の設立登記を申請しなければならない。会社
が正式に設立され法人格を有するのは、管轄の工商行政管理局により営業許可証が発行された後である。募集設立の方
法により設立された会社は、国務院の関連する証券規制当局の承認書を管轄の工商行政管理局に提出しなければならな
い。
会社が設立されなかった場合に、会社の発起人は、以下の事項について連帯責任を負う。
(ⅰ) その手続きに関連して発生した全費用および負債の支払
(ⅱ) 引受人に対する申込金および同一期間の銀行預金金利に相当する利息の返還の連帯債務
さらに、発起人は、会社の設立過程における発起人の義務不履行の結果、会社が被った損害について責任を負う。
登録資本金
中国会社法によれば、有限株式会社が発起設立された場合、その登録資本金は、会社登記当局で登録された全発起人
の引受株式資本総額に等しい。
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発起人は、金銭または非金銭資産、工業所有権、非特許技術、土地使用権もしくは法的に譲渡可能で、その評価額に
基づいて金銭で評価しうるその他の財産等の現物を拠出することにより、資本出資を行うことができる。
株式の割当ておよび発行
株式発行は、平等および公正原則に基づいている。同一の種類の株式は等しい権利を有する必要がある。株式の発行
毎に、払込金額を含むそれぞれの株式の割当条件は同一種類の他の株式と同じでなければならない。会社は、株式を額
面金額でまたはそれを上回る金額で発行することができるが、額面金額を下回る金額でこれを発行することはできな
い。
会社は、株式を海外で公募するためにCSRCの承認を取得しなければならない。特別規定に基づき、会社は、CSRCの承
認を得て、海外上場外資株の発行に関する引受契約において、引受株式数の計上後に発行予定の海外上場外資株総数の
15%を上回らない数の同株式を保有することに合意することができる。
記名式または無記名式株式
外国投資家に発行され、海外上場される株式は、記名式で、人民元建てかつ外国通貨で引き受けられなければなら
ず、適格投資家が購入する株式は「海外上場外資株」と称されている。会社が中国において発行する株式は、記名式ま
たは無記名式で登録することができる。ただし、会社が発起人または法人に発行する株式はすべて、記名式でなければ
ならない。
会社は、記名式で発行された株式全部について株主名簿を作成しなければならない。各株主の仔細、各株主が保有す
る株式の数および各株主が当該株式の保有者となった日などの情報は、株主名簿に記載しなければならない。
会社はまた、発行済みの無記名式株式の金額、各無記名式株式の記番号および各無記名式株式の発行日を記載しなけ
ればならない。
登録資本金の増加
会社は、新株式を発行することにより登録資本金を増加させることができる。かかる発行に関する以下の事項は、か
かる会社の株主総会の承認が必要である。
・募集される新株式の数および種類
・募集価格
・募集の開始および終了日
・既存株主に募集される新株式の数および種類
会社が国務院の関連証券規制当局により承認された株式公募を実施する場合、会社は財務諸表が記載された目論見書
を発行し、申込簿を作成しなければならない。会社が新株式の払込手続を完了した場合は、会社は、国家工商行政管理
総局に登録資本金の増加を登記し、公告を行わなければならない。
登録資本金の減少
会社は以下の手続にしたがい、その登録資本金を減少させることができる。
・会社は、その時点の貸借対照表およびその財産目録を作成しなければならない。
・登録資本金の減少は、株主総会において、株主により承認されなければならない。
・会社は、登録資本金の減少を承認する決議の採択後、債権者に対して10日以内に減資を通知し、30日以内に減資の
新聞公告を行わなければならない。
・会社の債権者は、法令により定められた期間内において、会社に対し、債務の弁済または当該債務を補填する担保
の供与を要求することができる。
・会社は、関連する工商管理局で登録資本金の減少を登記しなくてはならない。
株式の買戻し
会社は、(i)会社の登録資本金を減少させるため、(ii)自己株式を有する他の会社との合併するため、(iii)従業員持
株制度または株式報奨制度のために自己株式を従業員に交付するため、(iv)会社の合併もしくは分割承認決議に反対票
を投じ、その後自らが保有する株式の買戻しを会社に要求する株主から、(v)上場会社が発行する転換社債の転換のた
めに株式を利用するため、または(vi)(上場会社の場合にのみ)企業価値および株主の利益を維持するためにのみ、自
己株式を買い戻すことができる。必須条款は、会社が定款にしたがって行為し、かつ関係規制当局の必要な承認を取得
しなければならない旨を規定している。
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会社が上記(i)および(ii)の場合に自己株式の買戻しを行う場合には、株主総会決議を要する。会社が上記(iii)、
(v)または(vi)のいずれかの場合に自己株式の買戻しを行う場合には、会社は、その定款に従って、または株主総会に
よ る授権に従って、取締役会会議に出席した取締役全体の3分の2以上により採択された決議によってかかる買戻しを
行うことができる。
自己株式の買戻しが上記(i)によるものである場合は、買い戻された自己株式についてこれを10日以内に消却するこ
とを要し、またもし買戻しが上記(ii)または(iv)の理由でなされる場合は、6ヵ月以内に自己株式の当該部分を譲渡す
るかもしくは消却しなければならない。自己株式の買戻しが上記(iii)、(v)または(vi)によるものである場合は、買い
戻される自己株式は、その合計が会社の発行済株式総数の10%を上回ることができず、また3年以内に譲渡または消却
されなければならない。
自己株式を買い戻す上場会社は、中国証券法に従って情報公開義務を履行しなければならない。上記(iii)、(v)また
は(vi)のいずれかの場合に自己株式の買戻しを行う上場会社は、中央公開取引によって行わなければならない。
会社は、担保物件として自己株式を受け入れることはできない。
株式の譲渡
会社の株式は、中国会社法、中国証券法および特別規定などの関連法令にしたがって譲渡することができる。
会社の取締役、監査役および上級役員は、これらの者が保有する当該株式とその変動を会社に申告しなければならな
い。任期中、これらの者のいずれかにより各年に譲渡される株式は、これらの者の保有株式総数の25%を超えることが
できない。これらの者により保有される当該株式は、当該株式が証券取引所に上場および取引される日から1年以内に
これを譲渡することができない。これらの者のいずれかがその職でなくなった後半年以内は、かかる者はその保有株式
を譲渡してはならない。
中国会社法は、個人株主の株式保有割合について制限を課していない。
必須条款の要求により、株式の譲渡は株主総会の会日前30日間または配当分配のために設定した基準日前5日間の期
間中は株主名簿に登録できない。
株主
中国会社法および必須条款に基づき、株主は以下の権利を有する。
・株主総会に本人として出席して議決権を行使し、または自らに代わって出席して議決権を行使するために代理人を
選任すること
・その株式保有割合に応じて配当およびその他の形の分配される利益を受け取ること
・定款、株主総会議事録および財務報告書を検査し、提案をし、会社の業務について質問を行うこと
・適用法令にしたがい株式の譲渡を行うこと
・その保有割合に応じて解散時に会社の残余資産を受け取ること
・ 適用ある法律、規則および 会社の定款に定めるその他の株主の権利を行使すること
株主の義務には、(i)会社の定款を遵守する義務、(ii)引き受けた株式に関する払込金の支払義務、(iii)各株主が引
き受けた株式の金額の範囲で会社の負債およびその他債務に責任を有すること、ならびに(iv)関連法令および会社の定
款に指定された株主の義務が含まれる。
株主総会
中国会社法に基づき、株主総会は以下の権限を行使することができる。
・会社の事業方針および投資計画を決定すること
・取締役または監査役(従業員代表監査役を除く。)を選任および解任し、取締役または監査役の報酬を決定するこ
と
・取締役会および監査役会の報告書を審議および承認すること
・年次予算案および決算を審議および承認すること
・利益分配案および損失補填案を審議および承認すること
・登録資本金の増加または減少を承認すること
・社債発行を承認すること
・合併、分割、企業形態の変更、解散または清算を承認すること
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・定款の変更を承認すること
株主総会は、年次株主総会と臨時株主総会からなる。年次株主総会は、毎年1回開催されるものとする。中国会社法
に基づき、取締役会は、以下のいずれかの事由の発生後2ヵ月以内に臨時株主総会を招集する必要がある。
・取締役の数が中国会社法に規定される数を下回るかまたは定款に規定される数の3分の2を下回る場合
・会社の累積損失額が、その総払込資本金の3分の1に達する場合
・会社の株式の合計10%以上を有する株主による請求がある場合
・取締役会が当該会議を必要と判断する場合
・監査役会が当該会議を提案する場合
・定款に規定されるその他の場合
株主総会は、取締役会により招集され、取締役会会長が議長となる。 中国会社法、 特別規定 、 必須条款 および国務院
回答 に基づき、会社は、 年次 株主総会の 20 日前 および臨時株主総会の15日前 までに総会の目的事項および総会の日時場
所を記載した通知を行うことを要する。会社は、国内株主向けに株主総会の公告を行うことができる。会社の株式総数
の3%以上を有する株主は、中国会社法に基づき、株主総会において審議されるべき暫定動議を提出する権利を有す
る。
株主総会に出席する各株主は、その保有する株式1株につき1議決権を有する。株主は、自らの代わりに株主総会に
出席し、議決権を行使する代理人を任命することができる。株主総会で提案された普通動議は、本人または代理人によ
る出席株主の議決権の過半数の賛成によってのみ採択されうるものとする。ただし、特別決議の可決については本人ま
たは代理人による出席株主の議決権の3分の2以上の賛成を要する。特別決議には、以下が含まれる。
・定款の改正
・合併、分割または解散
・登録資本金の増加もしくは減少、会社のいずれかの種類の株式、社債およびその他有価証券の発行
・株主総会が会社としての会社に重大な影響を及ぼす可能性があり、特別決議により承認されるべきだと普通決議に
より決定したその他の事項
特定の種類株式の株主の権利の変更または廃止の場合、必須条款は特別の種類株主総会を開催することを要求してい
る。内資株の保有者およびH株式の保有者は、異なる種類株式の保有者とみなされる。
取締役会
会社は、5名から19名の構成員により構成される取締役会を有するものとする。中国会社法に基づき、取締役の任期
は3年を超えることができない。取締役は、再選された場合、連続して任期を務めることができる。中国会社法に基づ
き、取締役会は以下の権限を行使することができる。
・株主総会を招集し、株主に対して報告を行うこと
・株主総会において株主により決議された事項を実行すること
・事業計画および投資計画を決定すること
・年間予算案および決算を作成すること
・利益分配案および損失補填案を作成すること
・合併、分割、企業形態の変更または解散についての計画を作成すること
・登録資本金の増加もしくは減少案または社債発行案を作成すること
・会社の内部管理組織を決定すること
・会社のマネージャーの選任または解任、マネージャーの推薦に基づく会社の副マネージャーおよび 最高 財務 責任者
の選任または解任ならびにこれらの者の報酬を決定すること
・会社の基本運営システムを決定すること
これらに加え、必須条款は、会社の取締役会が定款の変更案の作成にも責任を有することを定めている。
取締役会会議
中国会社法に基づき、会社の取締役会は、少なくとも毎年2回定例会議を開催しなければならない。定例の取締役会
会議の通知は、当該会議の会日の10日前までになされる。取締役会は、臨時取締役会を招集するための通知期間および
方法を決定することができる。
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中国会社法に基づき、取締役会会議の開催のためには取締役の過半数が出席しなければならない。取締役は、取締役
会会議に自ら参加するか、または自己に代わって参加する別の取締役を任命することができる。すべての取締役会の決
議は、取締役の過半数の賛成により可決されることを要する。取締役会会議で可決された決議はすべて当該会議の議事
録 に記録され、会議に出席した取締役によって署名されることを要する。取締役会の決議が適用ある法令、定款または
株主総会決議に違反し、その結果、会社に重大な損害をもたらす場合、決議の可決に参加した取締役(決議に反対し、
当該議事録にその反対の投票が記録されている者を除く。)は、会社に対して個人として責任を負う。
取締役会会長
取締役会会長は、取締役会の議決により選任され、過半数の取締役から承認されなければならない。会長は、次の権
限を行使することができる。
・株主総会の議長を務め、取締役会会議を招集し、その議長を務めること
・取締役会の決議の実施を調査すること
取締役の資格
中国会社法に基づき、以下に定める者は、取締役を務めることはできない。
・民事行為能力を有しないか、または民事行為能力が制限されている者
・収賄、汚職、財産の横領または社会経済秩序破壊の罪を犯し、刑事処分を受けた者であり、かつ、その刑期満了日
から5年以上が経過していない者
・犯罪により政治的権利を剥奪されていた者で、かつ、かかる剥奪の完了日から5年以上が経過していない者
・破産し清算された会社または企業の取締役、工場長またはマネージャーで、かかる会社または企業の破産または清
算に個人として責任を負い、かつ、かかる会社または企業の清算の完了日より3年以上が経過していない者
・違法業務により営業許可を取り消された企業の法的代表者で、個人として当該取消について責任を負い、かつ、当
該取消日より3年以上が経過していない者
・比較的高額の不履行債務を有する者
監査役会
会社は、3名以上の構成員からなる監査役会を設置しなければならない。監査役会は、以下の権限を行使する。
・会社の財務の状況を調査すること
・取締役および上級役員を監督し、かかる者が法令および定款を遵守してその職務を行っていることを確保すること
・取締役および上級役員に対して、会社の利益に悪影響を与える行為の是正を要求すること
・臨時株主総会に議案を提出すること
・株主総会招集の提案を行うこと
・法令または定款に違反する行為をなす取締役または上級役員に対して訴えを提起すること
・定款に規定されるその他の職務を遂行すること
監査役会の構成員には、会社の従業員および株主から選出された代表者が含まれる。取締役および上級役員は、監査
役を務めることができない。監査役の任期は3年だが、再選された場合、監査役は連続して任期を務めることができ
る。中国会社法および必須条款に基づいて取締役になることのできない欠格事由は、監査役に対しても適用される。
総経理および役員
会社は、取締役会により選任または解任される総経理を有することが求められている。会社の総経理は、取締役会に
対して責任を負い、以下の権限を行使することができる。
・会社の事業を監督および管理し、取締役会決議を実行すること
・会社の年間の事業および投資計画の実行を組織化すること
・会社の内部管理システムの構築案を起草すること
・会社の基本管理システムを策定すること
・会社の内部規則を策定すること
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・副総経理および 最高 財務 責任者 の任命および解任を提案し、他の役員(取締役会により任命または解任されること
を要する者を除く。)を任命または解任すること
・取締役会または定款により付与されるその他の権限を行使すること
中国会社法および必須条款に基づく取締役の欠格事由は、総経理およびその他上級役員に対しても適用される。
会社の定款は、会社、会社の株主、取締役、監査役、総経理およびその他の役員に対して拘束力を有するものであ
る。かかる者は、会社の定款にしたがって、権利の行使、仲裁の申請および法的手続の申立てを行う権限を有する。
取締役、監査役およびその他の上級役員の義務
会社の取締役、監査役、総経理およびその他の上級役員は、中国会社法に基づき、関連法令および定款を遵守し、会
社に対して忠実義務および注意義務を負わなければならない。特別規則および必須条款は、取締役、監査役、総経理お
よび上級役員が会社に対して信認義務を負うことを規定し、かかる者がその義務を忠実に履行し、会社としての利益を
保護し、かつ自身の利益のためにその地位を濫用しないことを要求している。取締役、監査役、総経理および上級役員
はまた、秘密保持義務を負い、適用法令または株主が要求する場合を除き、一定の情報を漏洩することを禁止されてい
る。
会社の取締役、監査役、総経理または上級役員がその職務を履行するに当たり何らかの法令または定款に違反し、そ
の結果会社が損失を蒙った場合、かかる者は会社に対して個人として責任を負う。
財務および会計
会社は、関連法令および国務院の財務規制当局により規定される規則を遵守した財務会計システムを構築しなければ
ならない。
会社はまた、各事業年度の終了時に財務書類を作成しなければならない。会社は、会社の年次株主総会の少なくとも
20日前までに、会社の財務書類を株主の閲覧に供しなければならない。上場会社はまた、会社の財務書類を公告により
公表しなくてはならない。
会社は、適用ある中国法令により、株主に利益を分配する前に会社の税引後利益について以下の引当を行う必要があ
る。
・会社の税引後利益の10%を会社の法定準備金に繰り入れること。ただし、会社の法定準備金の累計額が会社の登録
資本金の50%を上回る場合は当該繰入れは不要である。
・会社の株主総会の承認を条件に、かつ法定準備金への所要金額の繰入れ後に会社の税引後利益から任意の金額を任
意積立金に繰り入れることができる。
会社の法定準備金が過年度からの累積損失を補填するのに十分でない場合、当期の利益は法定準備金に繰り入れる前
に当該損失を補填するために充当されなければならない。
累積損失(もしあれば)の補填ならびに法定および任意一般準備金への繰入れ後の税引後利益の残高は、定款により
別段に規定されていない限り、株主にその持株数に応じて分配されることができる。
会社の準備金は、法定準備金、任意積立金および資本準備金からなる。会社の資本準備金は、株式の額面金額超過金
および国務院の関連金融規制当局により要求されるその他の金額からなる。
会社の準備金は、以下の目的のためにのみ充当することができる。
・損失の補填
・事業拡張
・増資。ただし法定準備金が登録資本金に振り替えられる場合は、当該振替後の法定準備金は会社の登録資本金の
25%を下回ることができない。
会計監査人の任命および解任
特別規定は、会社に対して、会社の年次財務書類の監査およびその他の財務報告書の検討のため、独立した資格のあ
る公認会計士事務所を任用することを要求する。
会社が現任の会計監査人を解任するか、または再任しない場合、会社は、特別規定により会計監査人に対して事前の
通知をなすことを要求され、会計監査人は、株主総会において株主に対し意見を述べることができる。会社の会計監査
人が辞任する場合、会計監査人は会社が何らかの不適当な行為を行ったかどうかを株主に対して述べる義務がある。会
計監査人の任命、解任または不再任は、株主総会において決定され、かかる決定はCSRCに提出しなければならない。
利益配当
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特別規定は、H株式の株主に対して支払われる配当金およびその他の分配は、人民元により宣言および計算され、外
貨により支払われる旨を規定する。必須条款に基づき、これらの株主に対する外貨による配当およびその他の分配の支
払 いは、H株式の株主のために会社により任命された受領代理人を介して行われなければならない。
定款の変更
会社の定款は、株主総会に出席している議決権の3分の2以上の賛成をもってのみ変更することができる。定款の変
更により工商行政管理局における会社の登録情報が変更される場合、会社はかかる変更を登録しなければならない。
合併および分割
すべての合併および分割は、株主総会において会社の株主の承認を受けなければならない。会社はまた、合併または
分割について政府の承認を求めなければならない。中国法に基づき、合併は、取得会社が買収対象会社を吸収した後に
買収対象会社が解散される方法または取得会社および買収対象会社の合併による新設会社の設立後に取得会社および買
収対象会社が解散される方法のいずれかの方法により実施することができる。
株主総会において会社の株主が合併案を承認する場合、会社は合併契約を締結し、会社の貸借対照表および財産目録
を作成しなければならない。会社は、合併承認決議から10日以内に合併について債権者に通知して、30日以内に新聞に
おいて合併の公告をしなければならない。債権者は、一定の期間内に、残債務の弁済または当該債務に係る担保の提供
を会社に対して請求することができる。
分割の場合、会社は同様に、当行の貸借対照表および財産目録を作成し、債権者に通知しなければならない。
解散および清算
中国会社法および必須条款に基づき、会社は、以下のいずれかの事由が生じた場合において解散および清算される。
(i)定款に規定する営業期間が満了したかまたは会社の解散事由として定款で規定する事由が発生した場合
(ii)株主総会が特別決議により解散を承認する場合
(iii)会社の解散または分割をもたらす合併または分割の発生
(iv)会社が法律または行政規則の違反により閉鎖命令を受けた場合
(v)会社が事業または経営上の一定の重大な困難を経験し、これにより、もし会社が引続き存在し、当該困難が他の
方法により解決できないと株主の利益が重大な損失を受けるとの理由による株主からの申請により、人民法院が
会社の解散を宣言した場合
会社が上記(i)、(ii)、(iv)および(v)の事由により解散される場合、株主総会において、会社は、当該事由の発生か
ら15日以内に清算委員会の委員を任命しなければならない。清算委員会が指定された時までに設置されないときは、会
社の債権者は、清算を実施するための清算委員会の委員を任命するために人民法院に申請することができる。
清算委員会は、解散する会社の債権者に対して、その設置から10日以内に会社の解散を通知し、その設置から60日以
内に会社の解散の新聞公告を行わなければならない。債権者は、法律の定める期限内に清算委員会に対してその債権を
届け出なければならない。
清算委員会は、清算期間中以下の権限を行使する。
・会社の資産を精査し、貸借対照表および財産目録を作成すること
・債権者に通知し、または公告を行うこと
・会社の未成事業の清算
・すべての未払税金および清算過程で発生した税金の支払
・会社の金銭債権債務の決済
・会社の債務を弁済した後の残余財産の処理
・民事訴訟において会社を代表すること
解散の場合、会社の資産は、清算関連の全費用、雇用者賃金、雇用者保険・法律上の補償、税残債務および一般債務
の支払に充当される。残余財産は、会社の株主にそのそれぞれの持分に応じて分配される。会社の資産がその負債の弁
済または消滅に十分でない場合、清算委員会は人民法院に破産の申立てを行い、清算手続を人民法院に移行させる。
会社が清算手続にある場合、会社は清算に関連しない事業に従事することができない。
清算手続結了により、清算委員会は、株主総会または人民法院に確認のため清算報告書を提出することを要する。
清算委員会はまた、工商行政管理局に登録の抹消を申請し、当該抹消による解散の公告を行わなければならない。
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清算委員会の委員は、誠実かつ適用ある法律を遵守してその職務を遂行しなければならない。清算委員会の委員は、
その故意または重大な義務の不履行から生じる損失について会社およびその債権者に対して責任を負う。
海外上場
会社は、株式を海外で上場させるには、CSRCの承認を得なければならない。海外上場は、特別規定にしたがって行わ
れなければならない。
株券の喪失
中国会社法に基づき、記名式株券が喪失、盗取または破損した場合、その株主は中国民事訴訟法の関連規定にした
がって、人民法院に対し、かかる株券の無効宣言の申立てを行うことができる。当該宣言がなされた場合、株主は、会
社に対して、代替株券の発行を申請することができる。
(2) 【提出会社の定款等に規定する制度】
以下は、当行の定款の主要な規定を要約したものである。
当行取締役およびその他の役員
当行株式の割当ておよび発行を行う権限
当行定款には、株式の割当ておよび発行を行う権限を当行取締役に付与する条項はない。
当行資本を増加させるには、当行取締役会は、株主総会における特別決議による承認のため増資案を提出しなければ
ならない。
株式投資を行う権限
当行の直近の監査済純資産価値の10%以下相当額の単独の株式投資またはその他社外投資および固定資産またはその
他資産の単独の購入または処分は、当行取締役会により承認されるものとし、それを超える金額を伴う場合は当行の株
主総会により承認されるものとする。資産の投資および処分がかかる金額以内である場合は、当行取締役会は上級役員
に授権することができる。
当行または当行の子会社の資産を処分する権限
当行取締役会は、株主総会に対して説明責任を負う。
処分を予定する固定資産の対価の予想価格と、当該処分案の直前4ヵ月間に処分が完了したすべての当行の固定資産
の対価総額との合計額が、株主総会において検討される直近の貸借対照表に示される当行の固定資産価額の33%を超え
る場合、当行取締役会は株主総会における株主の事前の承認を得ずに当行の固定資産を処分し、または処分に同意して
はならない。
当行による固定資産処分の有効性は、前段落の違反による影響を受けない。
当行定款の目的上、固定資産の処分とは、かかる資産に対する権利の移転を含むが、かかる資産に対する担保権の設
定は含まない。
報酬および職位の喪失に対する補償金
当行は、株主総会における株主の事前の承認を得た上で、各当行取締役または各当行監査役とそれぞれの報酬を規定
する契約を書面により締結する。かかる報酬には、以下が含まれる。
・当行の取締役、監査役または業務執行役員としての業務に対する報酬
・当行の子会社の取締役、監査役または業務執行役員としての業務に対する報酬
・当行および当行の子会社の経営に関するその他業務の提供に対する報酬
・職位の喪失または退職に対する補償金
上述の規定に従って締結された契約に基づく場合を除き、当行取締役または当行監査役は、上記事項に関して自らに
支払われるべき利益につき、当行に対していかなる訴訟も提起することはできない。
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報酬に関する当行と当行の取締役または監査役との間の契約には、当行が買収された場合、当行の取締役または監査
役が、株主総会における株主の事前の承認を得ることを条件として、職位の喪失または退職に関する補償金その他の支
払金を受領する権利を有する旨が規定される。本項における「当行の買収」は、以下のいずれかの意味を有する。
・何者かによる、当行の全株主に対する株式公開買付け
・何者かによる、当行定款に規定された意味における支配株主となることを目的とした株式公開買付け(下記「少数
株主の権利」を参照されたい。)
該当する取締役または監査役が上記規定に従わない場合、同人がそのように受領した一切の金額は、当該買収申込を
受けて所有する株式を売却した株主に帰属する。かかる金額を当該株主に対して按分比例により分配する上で生じた費
用は、該当する取締役または監査役が負担し、当該取締役または監査役が受領するべき金額からは控除されない。
株主に対する貸付
当行株主が当行から貸付を受ける場合の条件は、他の顧客に対する類似の貸付の条件より有利であってはならない。
当行が主要株主もしくはその支配株主、実質支配者、関連当事者、共同で行為する者または最終受益者などの個々の
主体に付与する与信残高は、当行の純資本の10%を上回ってはならない。当行が個々の主要株主もしくはその支配株
主、実質支配者、関連当事者、共同で行為する者または最終受益者に付与する与信残高の合計は、当行の純資本の15%
を上回ってはならない。
前段落に述べた与信には、貸付(貿易金融を含む。)、手形受入および割引、当座貸越、債券投資、特別目的事業体
投資、信用状の発行、ファクタリング、保証、貸付約定ならびにその信用リスクを商業銀行または商業銀行が発行した
資産運用商品が実質的に負うその他サービスが含まれる。当行は、浸透の原則に従って最終債務者を特定する。
当行取締役、当行監査役およびその他役員に対する貸付
当行は、信用融資を関係者に提供してはならない。当行は、貸付の条件が通常の商業的条件である場合のみ、貸付ま
たは保証を関係者に提供することができ、また、当行が関係者に提供する保証貸付の条件が、他の借入人に対する同種
の貸付の条件より有利ではない条件でない限り、関係者に対して保証貸付を提供してはならない。関係者とは、
・当行の取締役、監査役、業務執行役員もしくは当行の信用事業担当従業員またはかかる各人の直系親族
・上記のいずれかの者が持分を有しているか業務執行役員の地位を有している会社、企業またはその他経済主体
を意味する。
上記規定に違反して当行が提供した貸付は、貸付期間にかかわらず、当該借入人により直ちに返済されるものとす
る。
当行株式の取得に対する資金援助
当行定款の例外に服するものの、当行および当行の子会社は、いかなる時も、いかなる手段によっても、当行株式を
取得しようとしまたは取得を予定している者に対して、いかなる種類の資金援助(以下に定義する。)も行わない。か
かる当行株式の取得者には、株式の取得により直接的もしくは間接的に何らかの債務(以下に定義する。)を負担する
者も含む。当行および当行の子会社は、いかなる時も、いかなる手段によっても、かかる取得者に対して、当該取得者
が負う債務を軽減または免除する目的での資金援助を一切行わない。
以下の行為は、禁止行為とはみなされない。
・資金援助が当行の利益のために誠実に行われ、その主たる目的が当行株式の取得にない場合、または資金援助が当
行の主要計画の付随的な一部となっている場合の当行による資金援助
・配当による当行の資産の分配
・配当としての株式の分配
・当行定款に基づいた、当行の登録資本金の減資、当行株式の買戻しまたは当行の株式資本構成の調整
・事業の範囲内および通常の業務における当行による貸付の提供(ただし、当行の純資産がこれにより減少してはな
らず、または純資産がこれにより減少する場合においては、資金援助は分配可能利益から供与されなければならな
い。)。
・従業員持株制度に拠出するための当行による資金の供与(ただし、当行の純資産がこれにより減少してはならず、
または純資産がこれにより減少する場合においては、資金援助は分配可能利益から供与されなければならな
い。)。
上記規定に関して、
・「資金援助」とは以下の意味を含む(ただし、これらに限定されない。)。
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- 贈与
- 保証(債務者の債務の履行を担保するための保証人による債務負担または資産の提供を含む。)、補償(当行
自身の債務不履行に起因する補償を除く。)または免責もしくは権利放棄
- 貸付の供与または当行が先履行義務を負う契約の締結、かかる貸付もしくは契約の当事者の変更またはかかる
貸付もしくは契約に基づく権利の譲渡
- 当行が支払不能に陥ったときもしくは純資産を有さないとき、または当行の純資産の著しい減少につながるよ
うな、当行によって付与されるその他の形態での資金援助
・「債務負担」には、債務者の財務状態の変更、契約または取決めの締結(それらが執行可能か否か、およびそれら
が債務者単独でもしくはその他の者と共同で負担するものであるか否かを問わない。)またはその他の方法による
債務負担を含む。
当行または当行の子会社との契約における利害関係の開示
当行の取締役、監査役、総裁、業務執行副総裁およびその他の業務執行役員が、締結されたかまたは提案されている
当行の契約、取引または取決め(ただし、当該者自身に関する当行との役務提供契約を除く。)につき、直接または間
接に何らかの重大な利害関係を有する場合、当該者は、かかる契約、取引、取決めまたはそれらの提案がそれ以外の場
合に当行取締役会の承認を要するか否かにかかわらず、当該利害関係の性質および程度を可及的速やかに当行取締役会
に開示しなければならない。
利害関係を有する当行の取締役、監査役、総裁、業務執行副総裁またはその他の業務執行役員が、当該利害関係を当
行定款に従い開示しており、かつかかる契約、取引または取決めが、当該者が定足数に算入されず、かつ議決権を行使
していない当行取締役会において承認を受けた場合を除き、当該者が重大な利害関係を有する契約、取引または取決め
は当行の請求により取り消すことができる。ただし、利害関係を有する取締役、監査役、総裁、業務執行副総裁または
その他の業務執行役員の義務違反に気付かずに行為した善意の当事者に対してはこの限りではない。
本規定の目的上、当行の取締役、監査役、総裁、業務執行副総裁またはその他の業務執行役員は、当該者の関係者の
いずれかが利害関係を有する契約、取引または取決めに利害関係を有するとみなされる。
当該契約、取引または取決めの締結が当行によって最初に検討されるよりも前に、当行の取締役、監査役、総裁、業
務執行副総裁またはその他の業務執行役員が、通知に明示された理由によって契約、取引または取決めについて利害関
係を持つ旨記載した書面による一般的な通知を当行取締役会へ付与し、当行がそれ以降、かかる契約、取引または取決
めを締結する場合、かかる通知は、本項の目的上、その通知においてかかる開示がなされている範囲内において、当該
者の利害関係の十分な開示であるとみなされる。
報酬
当行取締役の報酬については、株主総会において株主による承認を受けなければならない。上記「報酬および職位の
喪失に対する補償金」を参照されたい。
任命、解任および退任
当行の取締役会会長およびその他取締役の任期は3年とする。取締役の任期は、取締役の資格が国務院の金融規制当
局により承認された日から開始するものとする。取締役の任期満了時に新たな取締役が任命されない場合、新たに任命
された取締役が就任するまで、法令、行政規則、部門規則および当行定款の規定に従って前取締役が引き続き職務を果
たすものとする。
取締役は、株主総会において任免される。取締役の指名、選任および任命の一般手続きは以下のとおりである。
・当行定款に規定された取締役の最大員数の範囲内で、当行取締役会の指名委員会または当行の議決権付発行済株式
総数の3%以上を保有する株主が取締役候補者を指名する。
・取締役会の指名委員会は取締役候補者の資格および条件の予備的審査を行い、適格な候補者を審査のために取締役
会に提案する。取締役候補者は、当行取締役会の承認を受領後、書面による提案により、審議のため株主総会に推
薦される。当行定款に従って当行の議決権付株式総数の3%以上を保有する株主による指名は、かかる規定には服
さない。
・各取締役候補者は、株主総会前に、指名を受諾するとの書面による誓約を発行する。
・取締役会は、株主が投票の際に候補者に関する十分な知識を有していることを確保するために、法令および当行定
款に従って、株主総会招集前に取締役候補者の詳細な情報を開示する。
・追加取締役が一時的に指名される場合、取締役会の指名委員会またはかかる指名を行う条件を満たす株主は、候補
者を、検討のために取締役会に、および選任または置換のために株主総会に対して提案することができる。
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・株主およびその関係者は、取締役候補者と監査役候補者を同時に指名してはならない。株主およびその関係者によ
り指名された取締役(または監査役)候補者が取締役(または監査役)として承認された場合、かかる株主は、か
かる取締役(または監査役)の任期が満了し、当該者が置換されるまでは監査役(または取締役)候補者を指名し
て はならない。原則的に、同一の株主およびその関係者が指名する取締役候補者の人数は、国家により別段に規定
されない限り、取締役全体の3分の1を上回ってはならない。
当行の議決権付発行済株式総数の3%以上を保有する株主は、当行定款に規定された手続きに従って株主総会におい
て当行取締役の候補者を指名することができる。当行監査役会は、独立非業務執行取締役の候補者を指名することがで
きる。
当行取締役会は、11名ないし19名の取締役により構成され、そのうち少なくとも3分の1は独立取締役とする。当行
取締役会は、会長を1名および副会長を1名ないし2名置く。会長および副会長は、全当行取締役の過半数により選任
および解任される。
以下の者は、当行の取締役、監査役、総裁、業務執行副総裁またはその他の業務執行役員を務めることができない。
・法的能力のない者または法的能力が制限されている者
・汚職、贈収賄、財産の侵害もしくは横領によりまたは社会的もしくは経済的秩序を乱したことにより処罰を受けた
者であり、かつ、かかる刑期終了日から5年以上が経過していない者、または政治的権利を剥奪されていた者であ
り、かかる剥奪の終了日から5年以上が経過していない者
・支払不能となり清算された会社または企業の元取締役、元工場長または元マネージャーであり、かかる会社または
企業の破産に対して個人的に責任を負い、かつ、かかる会社または企業の破産または清算の完了日から3年以上が
経過していない者
・法律違反により営業許可の取消を受けた会社または企業の法律上の代表者を務め、かつかかる違反に対して個人的
に責任があり、かつかかる営業許可の取消日より3年以上が経過していない者
・相当程度の額の債務を有し、かかる債務について不履行である者
・刑法違反により司法当局の犯罪捜査下にあり、かつ当該捜査が終了していない者
・法律および行政規制により、企業の指導者として行為できない者
・自然人以外の者
・関連管轄当局により有価証券関連法令の規定に違反したとの宣告を受けた者で、かかる宣告が詐欺行為または不誠
実行為の判明を含んでおり、かつかかる宣告から5年以上が経過していない者
当行の取締役、監査役、総裁、業務執行副総裁または業務執行役員が善意の第三者に対して当行に代わってなす行為
の有効性は、その現在の地位、選任における規則違反または資格の欠如により影響を受けることはない。
借入権限
中国の適用法令を遵守するとの条件に基づき、当行は、資金調達および借入れを行う権限を有する。かかる権限は、
社債の発行、当行の事業または資産の一部または全部に関する抵当もしくは担保権設定ならびに中国の法律および行政
規則により認可されるその他の権利を含むがこれらに限定されない。当行定款には、(a)当行による社債の発行を提案
する権限を当行取締役に付与する規定および(b)社債の発行につき特別決議による株主総会での株主の承認を要する旨
を定める規定以外に、取締役会が借入権限を行使する方法についての明確な規定がなく、またかかる権限を変更できる
方法について明確な規定がない。
当行定款の変更
当行は、株主総会における特別決議により、その定款を変更することができる。変更が関連する中国の政府当局の承
認に服する場合には、かかる変更は、承認の取得後に発効する。当行定款の変更が登記されなければならない場合、関
連する法律に従いかかる登記が行われる。
発行済の株式または種類株式の権利の変更
いずれかの種類株式の株主に付与された権利(「種類株主の権利」)は、株主総会における株主の特別決議および当
行定款に従い開催される当該種類株主の種類株主総会における承認を受けない限り変更または廃止することはできな
い。
以下の各号の状況に該当する場合、種類株主の権利は変更または廃止されたとみなされる。
・当該種類株式の増減または当該種類株式が享受するのと同等もしくはそれ以上の議決権、分配権もしくはその他特
別な権利を伴う種類株式の増減。ただし、当行の国内株主名簿に記載された当行の国内普通株式が海外投資家に譲
渡され、国務院証券当局の承認を得て、かかる譲渡株式が海外の証券取引所での上場および取引が可能となる場合
を除く。
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・当該種類株式の全部もしくは一部のその他の種類株式への交換、または別の種類株式の全部もしくは一部の当該種
類株式への交換もしくは交換権の設定。ただし、当行の国内株主名簿に記載された当行の国内普通株式が海外投資
家 に譲渡され、国務院証券当局の承認を得て、かかる譲渡株式が海外の証券取引所での上場および取引が可能とな
る場合を除く。
・当該種類株式に付される未払分配可能利益または累積分配可能利益に対する権利の解除または縮小
・当該種類株式に付される分配可能利益優先権または清算優先権の縮小または解除
・当該種類株式に付される転換権、オプション、議決権、譲渡権、引受権または当行有価証券の取得権の拡大、解除
または縮小
・当該種類株式に付される、特定の通貨により当行から支払金を受領する権利の解除または縮小
・当該種類株式が享受するのと同等またはそれ以上の議決権、分配権その他特別な権利が付される新たな種類の株式
の創出
・当該種類株式の所有権の譲渡に対する制限またはかかる制限の強化
・当該種類もしくは別種類の当行株式を引き受けまたは当該種類もしくは別種類の当行株式に転換する権利の発行
・別の種類の株式に対する権利または特別な権利の拡張
・提案された再編により異なる種類の株主に異なる程度の当行の負債に関する責任を負担させることとなる当行の再
編
・当行定款に含まれる「種類株主決議の特別手続」に関する規定の変更または廃止
利害関係を有する株主(以下に定義する。)は、種類株主総会における議決権を有さない。
種類株主総会決議は、当該種類株主総会において出席する種類株主の議決権総数の3分の2以上の賛成をもって可決
されるものとする。
当該種類の株主名簿に登録されているすべての種類株主に対して、当該種類株主総会における議事ならびに会日およ
び会場を通知した種類株主総会の招集通知が、定款に従って書面により付与される。
種類株主総会の招集通知は、当該種類株主総会における議決権を有する種類株主に対してのみ送付すれば足りる。
種類株主総会は、全株主を対象とする株主総会の方法と可能な限り同じ方法により運営される。当行定款上の株主総
会の運営方法に関する規定は、種類株主総会についても適用される。
国内上場内資株および当行H株式の株主は、異なる種類株式の株主とみなされる。普通株式の株主および優先株式の
株主も、異なる種類株主とみなされる。
以下の各号のいずれかに該当する場合、種類株主総会における承認のための特別手続きは適用されない。
・株主総会において特別決議による株主の承認を受け、当行が、12ヵ月毎の間隔で個別または同時に国内上場内資株
および海外上場株式を発行し、かつ発行される国内上場内資株および海外上場株式が当該時点におけるそれぞれの
発行済株式数の20%以下に相当する場合
・内資株および海外上場株式を設定する際に作成された当行の発行計画が、国務院の証券規制当局による認可を受け
た日から15ヵ月以内に実施される場合
・当行の国内株主名簿に記載された当行国内普通株式が海外投資家に譲渡され、国務院証券当局の承認を得て、かか
る譲渡株式が海外の証券取引所での上場および取引が可能となる場合
当行定款の種類株主の権利に関する規定上、「利害関係を有する株主」とは以下の各号の株主をいう。
・当行の全株主を対象とする株式の買戻しまたは証券取引所における公開取引による株式の買戻しの場合は、当行定
款の意味における支配株主
・相対契約による株式の買戻しの場合は、当該契約に関係する株主
・当行の組織再編の場合は、再編案に基づき同一の種類の株主に課せられた義務よりも軽い義務を負う株主、または
同再編案において同一の種類の他の株主の一般的利害関係とは異なる利害関係を有する株主
決議-過半数を要する
株主総会における決議は、普通決議と特別決議とに区分される。
普通決議の採択には、当該総会に出席している議決権を有する株主(代理人を含む。)により表象される議決権の過
半数の賛成票が投じられなければならない。
特別決議の採択には、当該総会に出席している議決権を有する株主(代理人を含む。)により表象される議決権の3
分の2以上の賛成票が投じられなければならない。
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議決権
当行の普通株式の株主は、株主総会に出席するかまたは出席する代理人を指名する権利および株主総会において議決
権を行使する権利を有する。株主(代理人を含む。)は、株主総会において、保有する議決権付株式の数に応じて議決
権を行使することができ、各議決権付株式には1個の議決権が付される。議決権が復活した優先株式の株主の議決権
は、発行条件において合意された方法で計算される。
株主総会が少数株主(優先株式の株主を除く。)の利益に影響する可能性のある重要事項を審議する場合、少数株主
の票は別途計算され、かかる別途の計算結果は直ちに開示される。
株主総会においては、適用ある法律および上場規則に基づき議決権数により決議が採決されるものとし、当行は採決
結果を公表するものとする。
総会議長の選出または総会の延会について議決権数による採決が要求された場合は、直ちにこれを実施する。その他
の件について議決権数による採決が要求された場合は、議長が指示する時点においてこれを実施し、それ以外の議事の
審議を処理することができる。議決権数による採決の結果は、当該議決権数による採択が要求された事項についての総
会の決議とみなされる。
総会での議決権数による採決においては、2議決権以上有する株主(株主の代理人を含む。)は、すべての票を統一
的に行使する必要はない。
年次株主総会の要件
当行取締役会は、会計年度終了後6ヵ月以内に年次株主総会を招集しなければならない。
会計および監査
当行は、法律、行政規則ならびに管轄当局によって策定された規則に従い、財務会計制度および内部監査制度を確立
する。
当行取締役会には、監査委員会および関連当事者取引管理・消費者権利保護委員会を置き、当該委員会は当行取締役
会に報告を行い、当行取締役会に対して責任を負う。監査委員会および関連当事者取引管理・消費者権利保護委員会は
それぞれ3名以上の委員からなり、当行定款に規定される授権事項の範囲内で行為し、かつかかる責任および権限を有
するものとする。
当行取締役会は、法律、行政規則または関連する地方政府および中央政府の当局が公布するその他の規制文書により
要求される当行が作成した年次財務報告書を、各年の年次株主総会において株主に提出する。
当行の年次財務報告書は、かかる年次株主総会の開催日の20日前に当行において株主の縦覧に供される。各株主は、
財務報告書の写しを入手する権利を有する。
当行の年次財務書類は、中国の会計基準および法令に従って作成されるほか、IFRSまたは海外の当行株式の上場地の
証券取引所の適用ある会計基準に従って作成することができる。二種類の会計基準に従って作成された年次財務書類間
に重大な相違がある場合は、かかる相違についてそれらの年次財務書類の注記に記載する。当行が税引後利益を分配す
る際には、中国の会計基準に従って作成された財務書類に記載された税引後利益からのみ分配することができる。
当行が公表もしくは開示する中間決算または中間財務情報の作成および提示もまた、中国の会計基準および法令に
従って作成されるほか、IFRSまたは海外の当行株式の上場地の証券取引所の適用ある会計基準のいずれかに従って作成
されることができる。
当行は、各会計年度に、年次財務報告書を一度および中間財務報告書を一度公表する。年次財務報告書は、当該会計
年度の終了後4ヵ月以内に公表される。中間財務報告書は当該会計年度の上半期終了後2ヵ月以内に公表される。
株主総会の招集通知および総会における議事
株主総会は、年次株主総会と臨時株主総会とに分類される。株主総会は当行取締役会により招集される。
当行は、以下の状況のいずれかの発生から2ヵ月以内に臨時株主総会を招集する。
・当行取締役の人数が中国会社法に規定された人数または当行定款が要求する人数の3分の2を下回った場合
・当行の未補填損失額が当行の払込資本金総額の3分の1に達した場合
・当行の議決権付株式の10%以上を保有する株主が書面により臨時株主総会の招集を要求した場合
・当行取締役が必要と判断した場合または当行監査役会が要求した場合
・法律、行政規則、部門規則または当行定款に規定されるその他の場合
当行が株主総会を招集するときは、法令およびその他の規制書類に別段の規定がない限り、年次株主総会開催日の少
なくとも20営業日前(通知日および株主総会開催日を除く。)および臨時株主総会開催日の少なくとも15日前または10
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営業日前(いずれか長い方とし、通知日および株主総会開催日を除く。)までに、当該総会の議事ならびに会日および
会場を通知する書面による招集通知を株主名簿に記載された株主全員に対して付与する。総会に出席する意思を有する
株 主は、会日の20日前までに、書面により当行に総会出席の旨を回答する。
当行が株主総会を招集する場合、当行取締役会、当行監査役会または当行の発行済議決権付株式総数の3%以上を保
有する株主は、新たな議案を書面により提出する権利を有するものとし、当行は、株主総会における株主の責務の範囲
内の議案を株主総会の議案に含めるものとする。
当行は、株主総会会日の前までに株主より受領した書面による回答に基づき、当該総会に出席する意思を有する株主
により表象される議決権付株式数を算定し、法令またはその他の規制書類の要件に従って、株主に対して当該総会の議
事、会場および会日につき再度通知を行う。
株主総会の招集通知は、以下の要件を満たしていなければならない。
・書面によること
・株主総会の場所および日時を指定すること
・株主総会の議案を説明すること
・議案について、株主が十分な情報に基づき決定を下せるよう、必要な情報提供および説明を行うこと。上記の一般
性を制限することなく、当行による他社との合併、株式の買戻し、株式資本の再編またはその他の組織再編に関す
る議案が提案された場合、提案された取引の条件の詳細を提案された契約(もしあれば)の写しともに提示しなけ
ればならず、かつ当該提案の理由および効果を適切に説明しなければならない。
・議題に関して当行の取締役、監査役、総裁またはその他の業務執行役員が有する重要な利害関係の性質および範囲
の開示、ならびにかかる利害関係がかかる者の株主としての能力に及ぼす影響が同一の種類の株主の利害関係と異
なる場合は、その影響を記載すること
・総会における決議を提案する特別決議案の全文を記載すること
・総会に出席し議決権を行使することのできる普通株式の株主(議決権が復活した優先株式の株主を含む。)は、自
身に代わり総会に出席し議決権を行使する1名以上の代理人を指名する権利を有し、かつ代理人は株主である必要
がないことを明示すること
・当該総会に関する議決権行使委任状の提出時期および提出先を明示すること
・株主総会の出席資格を有する株主の基準日を記載すること
・総会について連絡先担当者の氏名および電話番号を記載すること
インターネットまたはその他の方法により株主が出席可能な株主総会については、株主総会の招集通知に、インター
ネットまたはその他の方法による投票のための時刻および手順を明記しなければならない。
株主総会の招集通知は、手交または株主名簿に記載されている住所宛の料金支払済郵便により株主(株主総会におい
て議決権を行使する権利を有するか否かを問わない。)に交付される。内資株の所有者については、公告を掲載するこ
とにより株主総会の招集通知を行うことができる。H株式の株主向けには、適用法および上場規則により許可される場
合、株主総会通知および関連書類は当行および香港証券取引所のウェブサイトで公表することができる。優先株主の株
主総会の通知に関連する事項が当行定款、適用法令および上場規則に規定される場合、かかる規定が優先する。
内資株の株主に対する公告は、国務院証券規制当局が指定する1社以上の新聞上でなされるものとする。法令または
その他の規制書類が別段に規定する場合には、かかる規定が優先されるものとする。
かかる公告がなされた場合、内資株の株主は当該株主総会の通知を受領したものとみなす。通知を取得する権利を有
する者に対して偶発的に招集通知が送達されなかったこと、または当該者が通知を受領していないことにより、当該株
主総会決議が無効となることはない。
次の各号の事項は、株主総会において普通決議により決議される。
・当行取締役会および当行監査役会の業務報告
・当行取締役会により作成された利益処分案および損失処理案
・当行取締役会および当行監査役会の構成員の任命および解任、報酬ならびにその支払方法
・当行の年次予算案および最終予算、貸借対照表、損益計算書ならびにその他の財務書類
・当行の年次報告書
上記以外の事項は、適用ある法令に従って、または当行定款の別段の規定によって特別決議により採択される。
次の各号の事項は、株主総会において特別決議により決議される。
・増資または減資ならびにあらゆる種類の株式、新株引受権証書およびその他これらに準ずる有価証券の発行
・当行社債の発行
・当行の分割、合併、企業形態の変更、解散または清算
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・当行定款の改正
・株式報奨制度
・直近の会計期間に係る当行の監査済の総資産の30%超の金額を有する当行の重要な資産の1年以内の購入もしくは
売却または1年以内の保証の提供
・当行の優先株式の発行および発行された優先株式に関する事項の決定または取締役会による決定の授権(関連する
買戻し、転換または配当分配の実施の有無に関する決定を含むがそれらに限定されない(ただし、配当分配の一部
または全部の取消しに関する決定を取締役会に授権してはならない。)。)
・その他、当行定款に規定され、またはその性質上当行に重大な影響を及ぼす可能性があるため特別決議により採択
されるべき事項であるとして株式総会において普通決議により決定される事項
株式譲渡
国務院証券当局の承認を条件として、当行の国内普通株主名簿に記載された当行株式 は 海外投資家に譲渡されること
ができ、かかる譲渡株式は、海外の証券取引所での上場および取引が可能となる 。 海外の証券取引所におけるかかる譲
渡株式の上場または取引は、かかる海外の証券取引所の規制手続きおよび規則にも準拠するものとする。
当行定款に従って、全額払込済の当行H株式すべては自由に譲渡可能である。香港証券取引所に上場している当行H
株式については、当行定款に規定されている要件が満たされない限り、当行取締役会は譲渡証書の受諾を拒否すること
ができ、かつかかる拒否について理由の説明を行う必要はない。
株主名簿のいかなる部分に対する修正または改正も、かかる株主名簿が保持されている場所の法律に従って行われ
る。
株式譲渡による株主名簿に対するいかなる変更も、株主総会の期日前の30日以内、または当行の配当基準日前の5日
以内には行うことができない。当行株式の上場地の法令および証券規制当局の関連規則が株主名簿の変更登録について
別段に規定している場合には、かかる規定が適用されるものとする。
当行の主要株主(以下に規定する。)は、株式の取得日から5年以内には当行株式を譲渡してはならない。CBIRCま
たはその地方支部がリスク管理措置を講じることを承認するかもしくはかかる株式の譲渡を命令した場合、またはかか
る株式が司法強制執行対象となる場合、またはかかる株式が同一の投資者の支配下にある主体間で譲渡される場合、ま
たはその他の特定の状況においては、前段落の規定は適用されない。
当行定款の目的上、「主要株主」とは、当行の議決権付株式の5%以上を直接、間接もしくは共同で保有するかもし
くは支配し、または当行の資本総額または株式総数の5%未満を保有するが当行の経営管理に重大な影響を与える株主
をいう。
前段落の目的上、「重大な影響」とは、当行への取締役、監査役または上級役員の配備、協議またはその他の方法に
よる当行の財務および経営上の意思決定への影響、ならびにCBIRCまたはその地方支部が認定するその他の状況をい
う。
当行自己株式買戻しに関する当行の権能
当行は、当行定款に定める手続に従って得られた必要な承認ならびに関連する政府当局の必要な承認を得た上で、以
下の状況において当行株式の買戻しを行うことができる。
・当行の登録資本金を減少させる場合
・当行の株式を保有する他社と合併する場合
・報酬として従業員に株式を付与する場合
・株主が当行の合併または分割に関する株主総会決議に異議を唱え、当該株主が保有する株式の買戻しを請求する場
合
・適用ある法律または行政規則により認められたその他の状況
当行は、管轄政府当局の承認を受けて以下の方法のいずれかにより株式を買い戻すことができる。
・同種類の株主全員に対するその持分に応じた株式の買戻しの申し出
・証券取引所における公開取引による株式の買戻し
・相対契約による株式の買戻し
・適用ある法令により規定されるかまたは国務院証券規制当局に承認されたその他の方法
当行が相対契約によって自己株式を買い戻す場合、当行定款に従って、事前に株主総会の承認を得る必要があり、買
戻価格は株主総会が承認した最大価格以下でなければならない。当行は、上記と同様に得られた株主の事前承認によ
り、締結済みのかかる契約を解除もしくは変更し、またはかかる契約による権利を放棄することができる。
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当行が買い戻した株式は、適用ある法律または行政規則が規定する期間内に消却または譲渡されなければならない。
当行が清算手続中でない限り、当行は、当行発行済株式の買戻しに関して下記の条項に準拠しなければならない。
・当行が額面金額で自己株式を買い戻す場合、その支払いは当行の分配可能利益またはかかる目的で発行される新株
式の発行手取金からなされる。
・当行が額面金額にプレミアムを付した額で自己株式を買い戻す場合、その額面金額分の支払については当行の分配
可能利益またはかかる目的で発行される新株式の発行手取金からなされる。額面金額を超過する部分についての支
払は、以下のように処理される。(i)買い戻される当行株式が額面金額で発行されていた場合には、かかる支払は
当行の分配可能利益からなされる。あるいは、(ii)買い戻される当行株式が額面金額を超過する価額で発行されて
いた場合には、かかる支払は当行の分配可能利益またはかかる目的で発行される新株式の発行手取金からなされる
が、新株式の発行手取金から支払われる金額は、買い戻された当行株式の発行時に当行が受領した超過金総額を上
回ってはならず、また買戻し時点における当行の資本剰余金勘定(すなわち資本準備金勘定)の金額(新株式の額
面超過金を含む。)を上回ってはならない。
・(i)当行株式の買戻権取得、(ii)当行株式の買戻契約の変更および(iii)株式買戻契約に基づく当行の義務の免除の
対価としての当行による支払いは、当行の分配可能利益から行われる。
・当行の登録資本金が関連規則に従い消却済株式の額面総額分減じられた後、額面金額で株式を買い戻すために分配
可能利益から控除した金額は、当行の資本剰余金勘定(すなわち資本準備金勘定)に振替えられる。
本項における上記規定は普通株式にのみ適用され、当行による優先株式の買戻しについては、法律、行政法規、規
則、当行定款および当行の優先株式の発行計画の関連規定が適用される。
当行の子会社が当行株式を所有する権限
当行定款に、当行の子会社による当行株式の保有を制限する条項はない。
普通株式の配当およびその他の利益分配方法
「技術主導」戦略という原則を一貫して実行し、「デジタル・バンク」への転換を加速させるために、当行は引き続
き、年間予算計画の作成に当たってフィンテックへの投資を増加させる。フィンテック投資の年間予算合計は、(当グ
ループの統計基準で計算された)当行の前年度の監査済営業利益の3.5%を下回ってはならない。うち、取締役会の授権
によって設置された「招商銀行フィンテック・イノベーション・プロジェクト基金」に割り当てられる予算は、原則的
に、(当グループの統計基準で計算された)当行の前年度の監査済営業利益の1%を下回ってはならない。
当行の税引後利益は、以下の順序で割り当てられる。(A)前年度の損失の補填、(B)利益の10%の法定準備金への繰入
れ、(C)一般準備金への割当て、(D)優先株式に対する配当の分配、(E)任意準備金への繰入れおよび(F)普通株式の株主
への配当の分配。
当行は、以下のいずれかの方法で利益を分配する ことができる 。
・現金
・株式
・現金と株式の組合せ
当行は、主に現金で利益を分配する。現行の適用法令、自己資本比率に関する規制当局の要件、ならびに当行の通常
の事業活動、事業の発展ならびに主要な投資および買収に係る資本要件を満たすことを条件として、当行は、原則とし
て、当該年度について中国会計基準に従って監査された普通株式株主帰属税引後純利益の30%以上を現金で普通株式の
株主に分配する。
内資株の所持人に支払われる当行が宣言した現金による利益分配またはその他支払金は、人民元により宣言および計
算され、人民元により支払われる。当行H株式の所持人に支払われる現金による利益分配またはその他支払金は、人民
元により宣言および計算され、香港ドルにより支払われる。
当行は、当行H株式の受取代理人を任命し、かかる受取代理人は当該株主の代理として、分配可能利益および当行H
株式に関して支払われるその他すべての金員を受領する。当行H株式の保有者の代理として任命された受取代理人は、
香港の「受託者条例」に基づく信託会社として登録された会社とする。
当行の株式の上場地の証券規制当局の関連規則に従って、当行は未請求の配当を失権させる権利を行使することがで
きるが、かかる権利は配当宣言日から6年目以降にのみ行使可能である。
当行は、会計年度の途中で配当を分配することができる。株主総会における別段の決議がない限り、当行取締役会は
中間利益分配計画を承認する権限を有する。
当行が、前会計年度に利益を計上したが当行取締役会が前会計年度末の後に現金による利益分配を提案しなかった場
合、当行取締役会は、利益分配を行わない理由および利益分配に充当されなかった留保利益の使途を定期報告書におい
て詳細に説明するものとし、かかる定期報告書には、独立取締役の独立意見書が添付されるものとする。当行取締役会
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は、当行の株価が当行の株式資本の規模に相応でなくなったと考える場合、利益分配に関する上記の要件を満たすこと
を条件として、株式による利益分配計画を提案することができ、株主総会による承認後に実施するものとする。当行
は、 関連規定に従って、定期報告書に現金による利益分配方針の実施状況およびその他関連情報を開示しなければなら
ない。
優先株式の配当分配方法
当行は、分配可能な税引後利益があれば、優先株式の株主に、発行関連書類における合意に従って計算された配当を
分配する。ただし、当行は優先株式に係る配当の一部または全部の分配を取り消すことができる。
代理人
基準日に株主名簿に記載された当行普通株式および議決権が復活した優先株式の全株主は、関連法令および当行定款
に従って株主総会に出席し、議決権を行使する権利を有する。当該株主は、自らが株主総会に出席することができ、ま
た、その代理として出席して議決権を行使するための代理人を任命することもできる。当行の株主総会に出席しかつ議
決権を行使できる株主は、自らに代わり出席しかつ議決権を行使する代理人として1名以上の者(株主であると否とを
問わない。)を指名する権利を有する。かかる代理人は、
・株主総会において株主として発言する株主と同一の権利を有し、
・株主総会において議決権数により議決権を行使する権利を有する。
議決権行使代理人を任命する議決権代理行使委任状は、委任者または書面により正式に権限を付与された委任者の代
理人の署名を付した書面によるものとする。委任者が法人である場合、議決権代理行使委任状には社印を押捺するかま
たは適法に授権された代理人が署名を行うものとする。議決権行使代理人を任命する議決権代理行使委任状、またかか
る議決権代理行使委任状に委任状に従い委任者に代わる者の署名が付されている場合は、かかる委任状またはその他の
授権書の公証人による認証謄本を、議決権行使代理人が採決を提案する株主総会の開催時刻または議決権の行使の予定
時刻の24時間以上前に、当行の所在地、または当該目的のために株主総会の招集通知に指定されたその他の場所に届け
出るものとする。
委任者が法人である場合、当該法人の法定代表者、または当該法人の取締役会もしくはその他の意思決定機関により
授権された者が、委任者の代表者として当行の株主総会に出席することができる。
当行の株主総会に出席し議決権を行使する議決権行使代理人を任命するために株主が使用する目的で取締役が当該株
主に対し発行する書式は、議決権行使代理人に対し、株主総会で決議される個々の議案に対する当該株主が自身の意思
に基づく賛否または棄権の指示ができるようなものでなければならない。当該書式には、株主からの明示的な指示がな
ければ、議決権行使代理人が適当とみなすところに従い議決権を行使できる旨を記載するものとする。
議決権代理行使委任状の条件に従い付与された議決権は、委任者の死亡もしくは行為能力の欠如にかかわらず、また
は議決権代理行使委任状もしくは議決権代理行使委任状作成時の権限の取消しにかかわらず、または議決権代理行使委
任状が交付された株式の譲渡にかかわらず、有効であるものとする。ただし、当行がかかる議決権代理行使委任状が使
用される株主総会の開会に先立ち、かかる死亡、行為能力の欠如、取消しまたは譲渡について書面による通知を受領し
ていないことを条件とする。
株式払込請求および失権手続
当行定款に、株式払込請求および失権手続に係る条項はない。
株主の権利(株主名簿閲覧の権利を含む。)
当行の普通株式の株主は、以下の権利を享受する。
・所有株式数に応じて分配可能利益その他分配を受領する権利
・株主総会を要求し、招集し、主宰し、株主総会に出席し、または株主総会に出席する代理人を任命する権利
・株主総会において所有株式数に応じて議決権を行使する権利
・当行の事業運営の管理を監督し、それに関して提案または質問を提起する権利
・法令、当行の株式の上場地の規制当局の関連規則および当行定款に従い株式を譲渡、寄付、質入れまたは処分する
権利
・以下の権利を含む、当行定款に従い関連情報を入手する権利
- 費用の支払を条件として、当行定款の写しを取得する権利
- 合理的な費用の支払を条件として、以下の書類を閲覧し複写する権利
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(a)株主名簿の全部
(b)当行の取締役、監査役、総裁またはその他業務執行役員に関する情報
(c)当行の株式資本
(d)前会計年度末以降当行が買い戻した株式の種類毎の額面総額、株式総数、最高支払価格および最低支
払価格、ならびにかかる目的上当行が支払った総額を示す報告書
(e)株主総会議事録、取締役会決議および監査役会決議
(f)当行社債の副本
(g)当行の財務報告書
・当行の解散または清算時にその所有する株式数に応じて当行の残余資産の分配に参加する権利
・株主が当行の合併または分割に関する株主総会決議に異議を唱え、当該株主が保有する株式の買戻しを請求する場
合
・適用ある法令または当行定款により付与されるその他の権利
当行の優先株式の株主は、以下の権利を有する。
・株主総会において特定の事項について種類別投票を行う権利
・利益分配における優先権
・残余財産の分配における優先権
・株主総会の招集の要請、主宰および株主総会への出席または株主総会に出席する代理人を指名する、復活した議決
権を有する優先株式の株主の権利
・法律、行政法規、部門規則および当行定款が付与するその他の権利
法律または当行定款が優先株式の株主による承認を求めている事項を除き、優先株式の株主は、株主総会の招集の要
請、主宰および株主総会への出席または株主総会に出席する代理人を指名する権利ならびに株主総会で議決権を行使す
る権利を有さない。
ただし、当行が合計3会計年度または2会計年度連続で優先株式について配当を支払わない場合、当該年度について
優先株式に係る所定の配当が支払われないという株主総会による承認の翌日から優先株式の株主の議決権は復活し、優
先株式の株主は株主総会に出席して普通株式の保有者と共同で投票することができる。優先株式は1株につき、発行条
件に合意された一定の割合の議決権を有する。当該年に当行が配当を全額支払うまで、優先株式の株主が有する議決権
は復活し続けるものとする。
株主総会および種類株主総会の定足数
当行は、かかる総会の会日の前に受領した、総会に出席する権利および意思を有する株主の書面による回答に基づき
出席予定の株主の議決権付株式数を計算し、法令またはその他の規制書類の要件に従って、株主に対して当該総会の議
事、会場および会日につき再度通知を行う。
少数株主の権利
当行定款は、適用ある法律、行政規則または当行株式の上場地の規制当局の要件により支配株主に対して課される義
務に加え、議決権行使の際に、下記のような当行の他の株主全般または当行の少数株主グループの利益を侵害する決定
をなしてはならないことを規定している。
・当行取締役または当行監査役を、当行の最善の利益の下に誠実に行為しなければならないという義務から免除する
こと
・方法を問わず、当行取締役または当行監査役が、(本人の利益のためまたは他者の利益のために)当行資産(当行
にとって利益となる機会を含むがこれに限定されない。)を剥奪することを承認すること
・当行取締役または当行監査役が、(本人の利益のためまたは他者の利益のために)他の株主の権利を剥奪すること
を承認すること。かかる権利には分配の権利および議決権を含むがこれらに限定されない(ただし、当行定款に
従って株主総会における株主の承認を受けた当行の再編に基づく場合を除く。)。
上記の目的上、「支配株主」とは以下の条件のいずれかを満たす者を意味する。
・単独でまたは他者と共同で、当行取締役の過半数を選任する権利を有する者
・単独でまたは他者と共同で、当行の議決権の30%以上を行使する権能またはかかる行使を支配する権能を有する者
・単独でまたは他者と共同で、当行の議決権付株式の30%以上を所有する者
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・単独でまたは他者と共同で、当行をその他の方法で事実上支配する者
清算手続
当行は、以下のいずれかの事由が発生した場合、解散し、清算される。
・株主総会において解散決議が可決された場合
・当行の合併または分割に伴い解散が必要となった場合
・当行が、支払期限の到来した債務を弁済できず法律上の破産宣告を受けた場合
・当行が、法律または行政規則違反により事業免許の取消し、閉鎖または解散を命じられた場合
・当行が、中国会社法第182条(「会社が業務または経営において深刻な危機に陥り、引き続き存続することで株主
利益に重大な損失をもたらし、かつ他の方法での問題の解決が不可能である場合には、かかる会社の発行済株式に
かかる議決権の10%以上を保有する株主は人民法院にかかる会社の解散を請求することができる。」)に従って裁
判所により解散された場合
当行の清算および解散は、中国会社法および中国の商業銀行法の関連規定に従って行わなければならない。
当行取締役会が、破産以外の理由で当行の清算を決定する場合、当行取締役会は、当該提案を審議するために招集さ
れる株主総会の通知に、当行の状況を精査した結果、当行取締役会は当行が清算の発表から12ヵ月以内にその債務を全
額返済できると判断している旨の記述を記載する。
当行の清算決議が株主総会により採択されたときに、当行取締役会の職務および権限は直ちに停止する。
清算委員会は、株主総会の指示に従い、毎年最低1回株主総会に対し、清算委員会の収支、当行の事業および清算の
進捗状況について報告し、かつ、清算完了時に株主総会に対し最終報告を提出すべく行為しなければならない。
当行および当行株主にとって重要なその他の条項
総則
当行定款は、国務院の銀行規制当局による承認日に効力が生じる(ただし、その時々に、国務院の銀行規制当局の承
認を条件として改正される。)。それ以降、当行定款は当行の組織および活動、ならびに当行と各株主の間の権利およ
び義務、さらに株主間の権利および義務を規制する法的に拘束力を有する公文書となる。
当行は、普通株式および優先株式を発行する。普通株式の1株当たりの額面金額は1人民元であり、優先株式の1株
当たりの額面金額は100人民元である。当行が発行する優先株式の株数は、普通株式の株数合計の50%を上回ってはなら
ない。
当行はその業務上および事業展開上の必要性に鑑み、かつ当行定款の関連規定に従い、増資を承認することができ
る。
当行は、以下の方法により株式資本を増加させることができる。
・不特定の投資家に対する普通株式の募集
・既存株主に対する普通株式の発行
・既存株主に対する普通株式の交付
・特定の投資家に対する普通株式の募集
・資本準備金の株式資本への転換
・優先株式の普通株式への転換
・適用ある法律および行政規則により認められたその他の方法の利用
一切の新株式発行による増資は、当行定款に従い承認された後、適用ある法律および行政規則に規定される手続に
従って行われる。
当行の各株主は、以下の義務を負うものとする。ただし、当行定款または適用ある法令もしくは上場規則によって優
先株式の株主について別段に要求されるものについてはこの限りでない。
・法律、行政規則ならびに規制当局および当行定款の要件を遵守すること
・引受株式数および引受けの方法に応じて払込金額を支払うこと。当行の主要株主は、法令によって別段に規定され
ない限り、委託資金、債務資金および自身の保有ではないその他の資金ではなく、合法的な資金源から得られた資
金によって当行株式を購入すること
・適用ある法令により許可されない限り、株式資本の払戻をしないこと
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・株主の権利の濫用により当行もしくは他の株主の利益を損なわないこと、法人の有限責任の地位の悪用により当行
の債権者に対して詐欺を働かないこと、または当行との不適切な関連当事者取引を行ってはならず、不正な利益を
求めて当行の経営管理に影響力を行使してはならないこと。当行のいずれかの株主がその株主の権利の不適切な利
用 により当行または他の株主の権利に損害を与えた場合には、当該株主は当行または他の株主に対して補償を行う
義務を負う。当行のいずれかの株主が、当行の有限責任の地位または法人としての当行の独立の地位の悪用によ
り、その債務の支払を回避し、それが当行の債権者の利益を著しく損なう場合には、当該株主は当行のかかる債務
に対して連帯責任を負う。
・当行の主要株主は、当行株式の保有を他のいかなる者にも委託してはならず、他のいかなる者からの当行株式の保
有の委託も受諾してはならないこと
・規制当局への承認申請義務または報告義務を果たすこと
・虚偽の陳述を行わず、株主の権利を濫用せず、またはそれ以外により当行の利益を損なわないこと
・適用ある法律および行政規則または当行定款により課されるその他の義務を負うこと
株主は株式引受時に当該株式の引受人が合意した以外に、株式資本にさらに拠出する義務は負わない。
投資者ならびにその関連当事者および共同で行為する者は、単独または共同で、当行の資本総額または株式総数の
5%超を初めて保有するかまたはその持分を累積的に増加させることを意図する場合、事前にCBIRCまたはその地方支部
に申請して承認を得なければならない。投資者ならびにその関連当事者および共同で行為する者は、単独または共同で
当行の資本総額または株式総数の1%超5%以下を保有する場合、その持分の取得日から10営業日以内に、CBIRCまたは
その地方支部に報告しなければならない。
金融商品が当行株式を保有することはできるが、単一の投資者、発行者または管理者およびその実質支配者、関連当
事者ならびに共同で行為する者が支配する金融商品を通じて同一の商業銀行が累積的に保有する当行株式は、当行の株
式総数の5%を上回ってはならない。
当行株主が商業銀行に対する持分を担保に差し入れる場合、他の株主または当行の利益を損なってはならない。
当行監査役会
当行は監査役会を設置するものとする。当行の取締役、総裁およびその他の業務執行役員は当行監査役を兼任しては
ならない。当行監査役会は、5名ないし9名の当行監査役から構成され、当行監査役のうち1名が議長を務める。当行
監査役の任期は3年とし、再選により更新することができる。社外監査役の任期は合計6年以内とする。当行監査役会
の議長の任免は、当行監査役の過半数の同意により決定される。当行監査役会決議は、当行監査役の3分の2以上の賛
成票により決定される。
当行監査役会は、社外監査役、当行の従業員代表およびその他監査役で構成される。株主代表および社外監査役は株
主総会において任免され、当行の従業員代表監査役は、従業員代表会議、従業員会議またはその他の民主的手続きによ
り任免される。
当行監査役会は、株主に対して説明責任を負い、法律に従って以下の権限を行使する。
・当行の財務活動、特に当行の発展戦略、経営に関する意思決定、内部統制およびリスク管理を検討・監督し、当行
の内部監査部の作業を指示する。
・取締役会が採択した穏健な経営理念および価値基準ならびに当行の実情に沿った適切な発展戦略の策定をを監督す
る。
・当行取締役の選出および任命の手続きならびに当行取締役、総裁およびその他業務執行役員の職務の履行における
行為を監督し、当行の取締役、監査役、総裁およびその他上級役員の職務履行状況の全体的な評価を行い、最終的
な評価結果を銀行規制当局および当行の株主総会に報告し、適用ある法律、行政規則または当行定款に違反する当
行取締役、総裁またはその他業務執行役員に対して指定期間中の是正を要求し、かかる者に対して関連負債の請求
を提案する。
・当行全体の報酬管理規則および方針ならびに上級役員の報酬案の客観性および合理性を監督する。
・当行取締役、総裁またはその他業務執行役員に対して、必要に応じて書面または口頭で提案もしくは注意喚起を行
い、面接もしくは照会を行い、または回答を要求し、当行取締役、総裁およびその他業務執行役員に対して、重要
な財務上の決定およびその実施に関する不正行為を是正するよう要求し、必要に応じて監督当局に報告する。
・当行取締役会が作成した定期報告書を検討・精査し、当該報告書の真実性、正確性および完全性に関して書面によ
る意見を提出する。また、当行取締役会が株主総会に提出することを企図する財務報告および営業報告等の財務情
報を検討し、疑義があれば、当該情報の再検討を支援するため公認会計士または開業監査人を当行名義で任命す
る。また、利益分配計画を検討し、そのコンプライアンスおよび合理性に関する意見を提出する。
・臨時株主総会の招集を提案し、当行取締役会が当行定款に規定する株主総会の招集・主宰義務を履行しない場合に
は、当該株主総会を招集し、主宰する。
・株主総会に提案を行う。
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・当行の取締役、総裁またはその他業務執行役員に関して当行を代理して質疑を行い、中国会社法に従って当行の取
締役、総裁または業務執行役員に対して訴訟を提起する。
・当行の重要な決定に関する報告を事前に受け、当行の業務状況、財務状況、重要な契約、重要な事由および事例、
監査上の問題ならびに人事の重要な変更に関する情報を要求する。また、当行の業務の不正の調査を行う。
・必要に応じて、辞職する当行取締役、総裁および業務執行役員に対する監査を行う。
・当行の状況に関して銀行規制当局と定期的に連絡する。
・適用ある法律、行政規則、部門規則または当行定款に規定された権限ならびに株主総会により付与されたその他の
権限を行使する。
監査役は、当行取締役会、取締役会専門委員会および上級業務執行役員の会議に列席することができ、当該会議にお
いて決議すべき事項に対して質疑を行い、または提案を出すことができる。取締役会に列席した監査役は、当該会議の
結果を監査役会に報告する。
各当行監査役は、毎年、当行監査役会会議の3分の2以上に自らが出席するものとする。
当行総裁
総裁は、当行取締役会に対して責任を有し、以下の権限を行使する。
・日常的な管理、業務および財務の責任者となり、職務を当行取締役会に報告する。
・当行取締役会決議、当行の年間計画および投資案の執行を組織する。
・当行の内部組織構造の設立計画を起草する。
・当行の基本的な経営システムを起草する。
・当行の具体的な規制システムを策定する。
・当行の業務執行副総裁および当行本店の最高財務責任者の候補者を指名してその任命または解任を当行取締役会に
提案し、当行の社内部門および支店の責任者等の他の業務執行役員(取締役会による任免が必要な者を除く。)を
任命または解任する。
・従業員の給与、厚生、報奨および懲罰制度を決定し、従業員の任免を決定する。
・業務執行役員ならびに社内部門および支店の責任者に対して、事業活動を行う権限を付与する。
・臨時取締役会会議の招集を提案する。
・支店の設立、解散および合併を決定し、支店長に日常的な業務および管理に従事する権限を付与する。
・取り付け騒ぎ等の重大な事由の発生に際して、緊急措置を講じ、その後、国務院の銀行規制当局を含む管轄政府当
局、当行取締役会および当行監査役会に直ちに報告する。
・当行定款または当行取締役会により付与されたその他の権限を行使する。
当行の総裁は、当行取締役会会議に出席するものとする。ただし、総裁は、自らが取締役を兼任していない限り、か
かる会議において議決権を有さない。
当行の総裁は、その職務を遂行し、権限を行使する際、適用ある法令および当行定款の要件に従って誠実かつ勤勉に
行為しなくてはならない。
当行取締役会
当行取締役会は、株主総会に対して説明責任を負い、当行の経営および管理に最終的な責任を負い、以下の権限を行
使する。
・株主総会を招集する責任を負い、株主総会において自らの業務について株主に報告する。
・株主総会決議を執行する。
・当行の事業計画、投資計画および重要な資産処分計画を決定する。
・当行の発展戦略および資本管理戦略を策定し、人材戦略および情報技術戦略等の付随的戦略に特別に留意し、かか
る戦略の実施を監督する。
・当行の年次予算案および最終年次予算を編成する。
・当行の利益分配案および損失補填案を策定する。
・当行の登録資本の増減、社債またはその他有価証券の発行および上場に関する計画を策定する。
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・当行の重大な買収、当行株式の買戻し、当行の合併、分割、形態の変更または解散もしくは清算の提案を策定す
る。
・当行定款の規定および当行の株主総会の授権の範囲内で、株式投資およびその他社外投資、固定資産およびその他
資産の売買、資産の担保差入れ、社外補償ならびに関連当事者取引に関する事項を決定する。
・当行の内部管理枠組みの確立を決定する。
・当行の総裁および取締役会秘書役を任免し、総裁の勧告に従って当行の業務執行副総裁および最高財務責任者を含
むその他業務執行役員を任免し、その報酬および懲戒処分に関する事項を決定し、当行の上級役員の経営義務の有
効な履行を監督および確保する。
・当行の利益の総裁の報奨基金に充当される割合を決定する。
・当行の基本的な経営システムを確立する。
・当行定款の改正案を策定する。
・当行の取締役および上級役員が遵守しなければならない職業規範および価値基準を策定する。
・当行の情報開示を担当し、当行の会計および財務報告の真実性、正確性、完全性および適時性に最終的な責任を負
う。
・各株主総会において、当行の監査を行う会計事務所の任命、解任または再任を提案する。
・総裁の業務報告を検討し、総裁の実績を精査する。
・当行のコーポレート・ガバナンスを定期的に評価し、改善する。
・当グループの連結財務会計管理に関する当行の戦略全般を策定し、連結財務会計管理の特定の実施計画を検討・策
定し、定期的な検討(内部取引の検討を含む。)および評価機構を構築する。
・当行の資本管理およびレバレッジ比率管理に係る主な責任を負い、リスク選好および自己資本比率の目標を定め、
資本計画の実施を検討・監督し、先進的資本測定方法の採択を検討・承認し、国務院銀行監督当局が要求する資本
管理義務を履行する。
・業務執行経営陣が策定した貸倒引当金の管理制度およびその重要な変更を検討し、承認する。
・当行の重大な損失の説明責任機構を構築し、改善する。
・当行と株主(特に主要株主)との間の利益相反の特定、検証および管理機構を構築する。
・預金者およびその他利害関係を有する当事者の正当な利益を保護する。
・株主総会の授権の範囲内で、当行の優先株式の発行および発行された優先株式に関する事項(関連する買戻し、転
換または配当分配の実施の有無に関する決定を含むがそれらに限定されない(ただし、取締役会は配当分配の一部
または全部の取消しに関する決定については授権されない。)。)を決定する。
・適用ある法令および当行定款に規定されたその他の権限ならびに株主総会により承認された権限を行使する。
当行取締役会の定例会議は、四半期に1回以上開催されなければならず、当行取締役会会長により招集される。各当
行取締役は、毎年、当行取締役会会議の3分の2以上に自ら出席するものとする。すべての当行取締役および当行監査
役に対し、定例会議開催日の14日前までに会議の通知がなされるものとする。緊急事態の場合には、臨時取締役会を開
催することができる。
当行取締役会会議は、当行取締役の過半数が出席する場合に限り開催される。各当行取締役は1議決権を有する。あ
る決議に対する賛成票と反対票が同数である場合、当行取締役会会長が決定票を有するものとする。
党委員会
当行は、中国共産党招商銀行股份有限公司委員会(以下「党委員会」という。)を設置する。当行の総裁が党委員会
書記を務める。当行は、関連規則に従って規律委員会を設置する。
党委員会は、以下の職務を履行するものとする。
・党および国家の政策および指針の当行の実施を確保および監督し、党中央委員会および国務院の重要な戦略決定な
らびに党の上部組織の重要な活動を実行する。
・標準、手続き、評価、推薦および監督に焦点を当てて人員の選任および任命過程を管理する上で主導権および監視
上の役割を強化し、党が幹部を管理する際には、上級役員の合法的な選任における取締役会の機能と、上級役員の
任命、昇進および降格に対する権限の合法的な行使という原則の統合を堅持する。
・当行の改革、発展および安定、経営管理上の重要事項ならびに従業員の利益に関する重要事項を研究および討議
し、意見および提案を表明し、株主総会、取締役会、監査役会および上級役員の法律に従った職務の履行を支援
し、従業員代表大会の活動を支援する。
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・包括的かつ厳格な規律に則った党委員会の運営に主要な責任を負い、当行の思想的および政治的活動、統合戦線活
動、文化・倫理上の進展、企業文化の推進ならびに当行の労働組合および共産主義青年団などの集団の活動を主導
し、 党の業務形態および清廉な運営の構築を主導し、監督責任の効果的な実行に当たって党の規律委員会を支援す
る。
・当行の草の根の党組織および党員団の構築を強化し、党支部の要塞としての役割および党員の先駆者および模範と
しての役割を十分に果たさせ、当行の改革および転換型発展に注力するように全行的に幹部および従業員を団結さ
せ、主導する。
・党委員会の職務の範囲内のその他の重要な事項。
紛争解決
当行H株式の株主と当行の間、当行H株式の株主と当行の取締役、監査役、総裁もしくはその他の上級業務執行役員
の間、または当行H株式の株主と当行の内資株の株主の間において、当行定款に基づき、または中国会社法もしくはそ
の他の関連ある法令もしくは規制規則により付与されもしくは課される権利義務に基づいて、当行の業務に係る紛争ま
たは請求が発生した場合には、当事者はかかる紛争または請求の解決を仲裁機関に委ねるものとする。
申立人は、その仲裁を、中国国際経済貿易仲裁委員会においてその規則に従い実施するか、香港国際仲裁センターに
おいてその証券仲裁規則に従い実施するかを選択することができる。申立人が紛争または請求を仲裁に付した後は、被
申立人は申立人が選択した仲裁機関に従わなければならない。
申立人が香港国際仲裁センターにおける仲裁を選択した場合、紛争もしくは請求に係るいかなる当事者も、香港国際
仲裁センターの証券仲裁規則に従い審理が深圳で行われるべきことを申請することができる。
紛争または権利の請求が仲裁に付される場合、関連する法律および行政規則に別段の定めがない限り、中国法が適用
される。
紛争または請求が仲裁に付された場合、当該請求または紛争の全部が仲裁に付されなければならず、また、同一の事
由により請求原因を有する者または当該紛争もしくは請求の解決のためにその参加が必要となる者であって、当行の従
業員または株主、取締役、監査役、総裁もしくはその他の上級業務執行役員である者は、仲裁に従わなければならな
い。株主の確定および株主名簿に関する紛争は、仲裁により解決される必要はない。
仲裁機関の裁定は、最終的かつ確定的であり、全当事者に対して拘束力を有する。
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2【外国為替管理制度】
中国の法定通貨は人民元であり、外国為替管理の対象となっているため、外国為替に自由に交換することができな
い。PBOCの権限下にある国家外貨管理局は、外国為替管理規則の執行を含む、外国為替に関連する一切の事項を管理す
る機能を付与されている。
1994年、経常勘定項目における人民元の条件付交換が実施され、また、人民元の公式交換レートおよび人民元の市場
交換レートが統一された。1996年1月29日、中国国務院は「中華人民共和国外国為替管理規則」(以下「外国為替管理
規則」という。)を公布し、これは1996年4月1日に施行された。外国為替管理規則は、すべての国際的支払および移
転を経常勘定項目および資本勘定項目に分類する。資本勘定項目とは異なり、経常勘定項目の取引は国家外貨管理局の
承認を得る必要はない。続いて外国為替管理規則が、1997年1月14日に改正され、中国は国際的な経常勘定の支払いお
よび移転を制限してはならないことが明確になった。
1996年6月20日、PBOCは「外国為替決済、売却および支払業務取扱管理規則」(以下「決済規則」という。)を公布
し、これは1996年7月1日に施行された。決済規則は、経常勘定項目に関する外国為替の交換について残存する規制を
廃止した。ただし、資本勘定項目に関する外国為替取引については、継続して既存の制限がなされる。
2006年12月25日、PBOCは、個人外国為替管理行政措置を公布し、これは2007年2月1日に施行された。同措置によ
り、個人の外国為替管理に関する行政手続きが簡素化され、個人による外国為替の決算および購入が年間ベースの金額
に従うこととなった。
1994年1月1日より、人民元についての従来の二重為替相場制は廃止され、需要および供給により決定される統制変
動相場制となった。PBOCは、毎日、人民元対米ドルの為替レートを設定し、かつ公表した。この為替レートは、前日の
銀行間外国為替市場における人民元および米ドルの取引価格を参照して決定された。PBOCはまた、国際外国為替市場の
交換レートを参照して、他の主要通貨に対する人民元の交換レートを公表した。外国為替取引において、指定外国為替
銀行は、特定の範囲内において、PBOCが公表した交換レートに従い、適用交換レートを自由に決定することができた。
2005年、PBOCは、2005年7月21日以降、中国は市場の需給に基づき、かつ通貨バスケットを参照した管理変動相場制
を導入することを発表した。人民元の為替レートはこれにより、米ドルにペッグされたものではなくなった。PBOCは、
各営業日ごとに、人民元に対して、銀行間外国為替市場で取引された外国通貨の終値を発表し、翌営業日の人民元に対
する取引の中心レートを定める。
PBOCが2002年11月16日に公布した「指定外国為替銀行による外国為替決済および売却業務取扱管理暫定措置」に従っ
て、中国の企業(外資系企業を含む。)のすべての経常勘定取引から生じる外国為替による収入(指定外国為替銀行に
おける外国為替口座において保持し、預託することが認められている金額を除く。)は、指定外国為替銀行に対して売
却しなくてはならかった。中国国外の当事者からの借入れまたは債券および株式の発行による外国為替収入(例えば、
当行が株式売却により受領した外国為替収入)は、指定外国為替銀行に対する売却を要求されなかったが、指定外国為
替銀行の外国為替口座に預託されることがあった。
「指定外国為替銀行による外国為替決済および売却業務取扱管理暫定措置」は失効し、それに代わり「銀行による外
国為替決済および売却業務取扱管理措置」が施行された。「銀行による外国為替決済および売却業務取扱管理措置」お
よび2014年12月25日に公布された「銀行による外国為替決済および売却業務取扱管理措置の施行細則」に従って、経常
勘定項目における外国為替収入は、外国為替の売却または決済業務を行う適格金融機関に維持または売却することがで
きる。経常勘定項目における外国為替支出は、有効な書類により、金融機関自身が保有する外国為替をもって、または
国家外貨管理局の外国為替の支払および購入に関する管理規定に従って外国為替の売却もしくは決済業務を行っている
金融機関から購入した外国為替をもって支払うものとする。金融機関は、外国為替の決済または売却業務を行う場合に
は、「自らの事業を知り、顧客を知り、デューデリジェンスを行う」という原則に従うものとする。
直接投資および資本拠出を含む資本勘定項目に関する外国為替の交換は、依然として規制対象となり、国家外貨管理
局の事前の承認を取得しなければならない。
H株式の配当は、人民元建てで確定されるが、香港ドルにより支払われる。
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3【課税上の取扱い】
H株式の保有者の所得に対する課税およびキャピタルゲインに対する課税は中国および当該保有者の居住する法域に
おける法律および実務の適用を受け、課税の対象となる。以下は、現行の法律および実務に基づく一定の関連する税務
上の取扱いを要約したものであるが、変更される可能性があり、法律意見および税務意見となるものではない。以下の
議論はH株式への投資に関連して発生しうるあらゆる税務上の取扱いを網羅したものではない。従って、投資家は、H
株式への投資の税務上の取扱いについて税務顧問と相談する必要がある。以下の議論は本書作成日時点において効力を
有する法律および関連する解釈に基づいており、いずれも変更される可能性がある。
(1) 中国における租税
以下は、グローバル・オファリングに関連してH株式を購入し、これを資本資産として保有する投資家による当該H
株式の保有および処分に関連した中国における一定の税務上の取扱いの概要である。当該概要は、H株式を保有するこ
とによる重大な税務上の取扱いすべてを扱うことを企図するものではなく、また特定の投資家個々の状況を考慮してい
ない。本概要は、本書作成日現在効力を有している中国の税法に基づく。これらはすべて、今後変更される(または解
釈が変更される)可能性があり、かかる変更は遡及的効力を有することがある。
配当に対する課税
個人投資家
「中国個人所得税法」(1993年10月31日、1999年8月30日、2005年10月27日、 200 7 年6月29日、2007年12月29日、
2011年6月30日および2018年8月31日改正)(以下「個人所得税法」という。)に基づき、中国に居住していない外国人
に対して中国籍の企業が支払う配当は、適用される租税条約により軽減されるかまたは国務院の金融当局によって特別
に軽減もしくは免除されない限り、通常、一律20%の税率で賦課される中国源泉所得税の課税対象となる。さらに、
2006年8月21日付の中国本土と香港特別行政区の所得に対する二重課税および脱税の防止に関する取決めにおいて、香
港の居住者である個人および法人に適用される源泉徴収税は10%の税率で課され、または当該個人もしくは法人が配当
を支払う中国企業の株式の25%以上を保有する場合には5%とさらに軽減された税率で課されることが規定されている。
1993年7月21日に中国国家税務総局(以下「SAT」という。)は、中国の企業により、H株式等の外国人に対して外
国証券取引所において上場されている株式に関連して支払われる配当は、中国の源泉所得税の課税対象にならない旨を
規定する「外国投資企業、外国企業および外国人が受領する譲渡益ならびに株式(持分)配当に対する課税に関する国家
税務総局通達」(以下「課税通達」という。)を発布した。課税通達に基づき、これまでのところ、税務当局は、他の中
国企業のH株式を含む海外株式については配当の支払に対する源泉徴収課税を行っていない。しかしながら、2011年1
月4日にSATは課税通達を撤回し、現時点では、課税通達に規定されたものと同様の免税を規定する有効な法令はな
い。従って、管轄税務当局により追加的に免除されなければ、当行が中国居住者ではない当行H株式の個人保有者に支
払う配当につき20%または10%(場合により)の源泉所得税が課されることになる。
企業
「外国投資企業および外国企業に関する中国所得税法」および「中国企業所得税法に関する暫定規則」を置換する
「中国企業所得税法」(2017年2月24日および2018年12月29日改正)に基づき、中国に施設を有さない非居住者の法人
に対して中国籍の企業により支払われる配当は、通常、一律20%の税率で賦課される中国源泉所得税の課税対象とな
る。 2007年12月6日に国務院により制定され、2008年1月1日付で施行され、2019年4月23日付で改正された「企業
所得税法補足規定」により、かかる非居住者の法人に適用される源泉所得税の税率は10%に引き下げられた。さらに、
2008年2月5日にSATが公布した「新企業所得税法の精神に関する宣伝提綱」には、中国に施設を有さない非居住者の
法人に対して中国籍の企業により支払われる配当には源泉所得税が課されることが明確に規定されている。上記に記載
のとおり、中国企業の株式の25%以上を保有する香港の居住者は、5%の優遇税率で源泉徴収税を課されることができ
る。しかしながら、当行の株主のうち、25%以上を保有する株主はいないため、かかる5%の源泉徴収税率は、当行の株
主には適用されない。したがって、非居住者の法人である当行H株式の株主は、当行の配当の分配時には10%の税率で
源泉所得税を課される。
租税条約
中国内に居住せず、中国との間に二重課税の防止に関する租税条約を締結している国に居住している当行H株式の保
有者は、配当の支払につき課税される源泉所得税の軽減を受ける場合がある。中国は現在、多くの外国と二重課税の防
止に関する租税条約を締結しているが、これには、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、日本、マレーシア、
オランダ、シンガポール、英国および米国が含まれるがこれらに限定されない。
中国と日本との間の租税条約では、中国は当行が日本の居住者であるH株式保有者に対して支払った配当について
は、当該配当の10%を超えない範囲で租税を課すことができる。
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中国のその他の税務上の取扱い
印紙税
「印紙税に関する中国暫定規定」(1988年10月1日施行および2011年1月8日改正)に基づき、印紙税は、中国国内に
おいて作成または受領され、中国において法的拘束力を有し、かつ同国の法律の保護を受ける文書に対してのみ課税さ
れる。従って、中国人以外の投資家による中国国外でのH株式の取得・処分は、中国印紙税の適用を受けない。
遺産税
中国の法律に基づく遺産税の納税義務は、中国人でないH株式保有者については発生しない。
(2) 香港における租税
配当
当行によって支払われる配当については、香港でいかなる税金も支払う必要がない。
キャピタル・ゲイン税
香港には、キャピタル・ゲイン税は存在しない。ただし、香港で取引、専門職または事業を行い、かかる取引、専門
職または事業から香港で所得を得る者による財産の売却の取引利益は、香港の利益税を課せられる。現在、法人の利益
税は課税対象利益の17.5%の税率で課せられる。個人の利益税の最高税率は16%である。
香港証券取引所で行われたH株式の売却益は、香港において発生したとみなされる。従って、香港で証券の売買事業
を行う者が認識した香港証券取引所で行われたH株式の売却益は、利益税に服する。
印紙税
香港の印紙税は、現在、H株式の対価またはH株式の市場価値のいずれか高い方に対する0.1%の従価税率で課税され
ており、H株式の売買は、買い手については購入毎に、売り手については売却毎に、香港の印紙税の納税義務がある
(すなわち、現在、H株式の標準的な売買取引については、合計0.2%の税率で課税される。)。このほか、株式の譲渡
証書毎に、現在5香港ドルの固定税が支払われる。売買当事者の一方が香港外の居住者であり、支払うべき当該従価税
を支払わない場合、未払税は譲渡証書(もしあれば)に対して課され、譲受人が支払うものとする。印紙税が納税期日
までに支払われない場合には、支払うべき印紙税の最大10倍の罰金が課されることがある。
遺産税
2005年歳入(遺産税の廃止)条例により、2006年2月11日以降に死亡した者について遺産税は廃止された。
(3) 日本における課税
適用ある租税条約、所得税法、法人税法、相続税法およびその他の日本の現行の関連法令に従い、またこれらの法令
上の制限を受けるが、日本の個人または日本法人の所得(および、個人に関しては相続財産)が上記の中国および/ま
たは香港税制に関する記述に述べられた中国および/または香港の租税の対象となる場合、かかる中国および/または
香港の租税は、当該個人または法人が日本において支払うこととなる租税の計算上税額控除の対象となる場合がある。
なお、「第8 - 2 日本における実質株主の権利行使方法 - (5)本邦における配当等に関する課税上の取扱い」も参照
されたい。
4【法律意見】
当行の社外法律顧問である君合律師事務所(Jun He LLP)により、以下の趣旨を含む法律意見が提出されている。
(1)当行は、中国法のもとで有限責任の会社として適法に設立され、有効に存続している。
(2)本書「第一部 企業情報」中の中国の法令に関する記述はすべて、あらゆる重要な点において正確である。
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第2【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
(単位:別段の記載がない限り、百万人民元)
12月31日終了年度
2019年 2018年 2017年 2016年 2015年
(2)
正味営業収益 269,788 248,444 221,037 210,270 202,302
(百万円) (4,052,216) (3,731,629) (3,319,976) (3,158,255) (3,038,576)
税引前利益 117,132 106,497 90,680 78,963 75,079
(百万円) (1,759,323) (1,599,585) (1,362,014) (1,186,024) (1,127,687)
当行株主帰属純利益 92,867 80,560 70,150 62,081 57,696
(百万円) (1,394,862) (1,210,011) (1,053,653) (932,457) (866,594)
資本金 25,220 25,220 25,220 25,220 25,220
(百万円) (378,804) (378,804) (378,804) (378,804) (378,804)
株主資本合計 611,301 540,118 480,210 402,350 360,806
(百万円) (9,181,741) (8,112,572) (7,212,754) (6,043,297) (5,419,306)
総資産 7,417,240 6,745,729 6,297,638 5,942,311 5,474,978
(百万円) (111,406,945) (101,320,850) (94,590,523) (89,253,511) (82,234,170)
1株当たり配当(税金を
含む。)
(単位:人民元) 1.20 0.94 0.84 0.74 0.69
(円) (18) (14) (13) (11) (10)
1株当たり利益
(単位:人民元)
-基本的 3.62 3.13 2.78 2.46 2.29
(円) (54) (47) (42) (37) (34)
-希薄化後 3.62 3.13 2.78 2.46 2.29
(円) (54) (47) (42) (37) (34)
営業活動による正味資金
の流入/(流出) 4,432 (35,721) (5,660) (120,615) 400,420
(百万円) (66,569) (-536,529) (-85,013) (-1,811,637) (6,014,308)
投資活動による正味資金
の流入/(流出) (70,571) 19,718 (84,471) 13,720 (371,603)
(百万円) (-1,059,976) (296,164) (-1,268,754) (206,074) (-5,581,477)
財務活動による正味資金
の流入/(流出) 110,450 94,333 22,663 (3,996) 124,885
(百万円) (1,658,959) (1,416,882) (340,398) (-60,020) (1,875,773)
現金および現金同等物-
12月31日現在 589,675 543,683 460,425 532,112 635,843
(百万円) (8,856,919) (8,166,119) (6,915,584) (7,992,322) (9,550,362)
(3)
従業員数(人) 84,683 74,590 72,530 70,461 76,192
当行株主帰属平均総資産
利益率(%) 1.31 1.24 1.15 1.09 1.13
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当行株主帰属平均自己資
本利益率(%) 16.84 16.57 16.54 16.27 17.09
先進的測定手法によるコ
アTier1自己資本比率
(4)
(%) 11.95 11.78 12.06 11.54 10.83
先進的測定手法による
Tier1自己資本比率(%)
(4)
12.69 12.62 13.02 11.54 10.83
先進的測定手法による自
(4)
己資本比率(%) 15.54 15.68 15.48 13.33 12.57
注:
(1) 上記の主要な経営指標は、当グループの統計基準に基づき計算されている。ただし、2018年、2017年、2016年および2015年
12月31日現在の従業員数は、当行の統計基準に基づき計算されている。
(2) 正味営業収益は、正味受取利息、正味受取手数料、その他正味収益ならびに関連会社および合弁事業に対する持分利益の和
である。
(3) 2019 年12月31日現在の従業員数には、当行、招商永隆銀行、CMBFL、CMBIC、CMBウェルスマネジメント、CMFM、CIGNA&CMB生
命保険およびMUCFCの従業員数が含まれている。同一の統計基準に基づき計算した場合、2018年12月31日現在の従業員数は
82,241人であった。うち、CIGNA&CMB生命保険の従業員の統計基準は調整されている。
(4) 報告期間末現在の当グループの加重法による自己資本比率、Tier1自己資本比率およびコアTier1自己資本比率は、それぞれ
13.02%、11.30%および10.64%であった。
2【沿革】
当行は、法人株主が100%所有する中国初の商業銀行として、1987年3月31日に中国の深圳経済特区で設立された。当
行の設立時の登録資本金は100百万人民元であった。1989年に当行は登録資本金を400百万人民元に増加した。1994年お
よび1999年に、当行はさらに私募による株式発行を2度行い、登録資本金を4.2十億人民元に増加した。1994年、当行
は株式会社に組織を変更した。
2002年4月9日、当行は、当行の新規株式公開および上海証券取引所への上場に関連して当行A株式を1.5十億株発
行した。かかる新規株式公開に先立ち当行の法人株主が所有していた4.2十億株は、自由に譲渡できない非流通株式の
形態であった。2006年2月、当行は株式構造の改革を完了し、すべての非流通株式をその改革に関連して取決められた
一定の売買制限に服する当行A株式に転換した。
2008年9月30日、当行は、招商永隆銀行の発行済株式持分の約53.12%の取得を完了した。招商永隆銀行は、1933年に
設立され、最も早い時期から香港に所在している中国の現地銀行の1つである。同行は、「穏健な進展、誠実なサービ
ス」のモットーに常に従ってきており、個々の顧客に応じた心のこもったサービスを顧客に提供している。同行および
その子会社の主要業務は、預金受入、貸付、クレジットカード、荷為替手形、外国為替、先物および有価証券仲介、
ウェルスマネジメント・サービス、保険業、金融リース、不動産信託ならびに受託サービスからなる。
2008年10月8日、当行のニューヨーク支店が正式に営業を開始した。当行ニューヨーク支店は、ホールセール・バン
キングの事業許可を付与されており、米中間の経済・貿易協力を促進するために国際決済および貿易金融に注力する銀
行として位置づけられた。
2009年1月15日、当行は招商永隆銀行の強制取得を完了し、招商永隆銀行は当行の完全所有子会社となった。招商永
隆銀行は、2009年1月16日付で香港証券取引所における株式上場を廃止した。
当行は、CSRCおよび香港証券取引所の承認に基づき、2010年にA株式2,007,240,869株およびH株式449,878,000株を
発行した。かかるA株式は2010年3月19日に、およびかかるH株式は2010年4月9日に、それぞれ上場および取引が開
始された。
当行は、CSRCおよび香港証券取引所の承認に基づき、2013年にA株式2,962,813,544株およびH株式 680,423,172 株を
発行した。かかるA株式は2013年9月11日に、およびかかるH株式は2013年10月2日に、それぞれ上場および取引が開
始された。
当行は、CBIRCおよびCSRCの承認に基づき、2017年10月25日に非累積型永久国外優先株式50,000,000株を発行し、か
かる優先株式は2017年10月26日に香港証券取引所に上場された。また、2017年12月22日には国内優先株式275,000,000
株を私募によって発行し、かかる優先株式の上場および取引は、2018年1月12日に上海証券取引所の総合業務プラット
フォームにおいて開始された。
詳細については、「第5-1-(2)発行済株式総数及び資本金の推移」を参照されたい。
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3【事業の内容】
当行は1987年に設立され、中国の深圳に本店を置く、中国において鮮明な特色およびブランド影響力を持つ全国的な
商業銀行である。当行は、主に中国市場に重点を置いている。当行の販売網は、主に広東・香港・マカオ大湾区、長江
デルタおよび環渤海などの中国の重要な経済の中心地域ならびに他地域のいくつかの大都市および中規模都市を網羅し
ている。当行は、2002年4月に上海証券取引所に、2006年9月に香港証券取引所にそれぞれ上場した。
当行は、様々な法人向けおよび個人向け銀行商品およびサービスを顧客に提供しており、自己勘定での、また顧客を
代理した資金運用業務を維持している。複数の機能を有するデビットカード「オールインワン・カード」、オンライン
総合銀行サービス・プラットフォームである「オールインワン・ネット」、クレジットカード、「サンフラワー・ウェ
ルスマネジメント」サービスおよびプライベートバンキング・サービス、招商銀行アプリおよび掌上生活アプリ・サー
ビス、招商銀行企業アプリ・サービス、トランザクション・バンキング・サービスならびに国際キャッシュ・マネジメ
ントおよび貿易金融などのオフショア・ビジネス・サービス、資産管理、資産保管ならびに投資銀行サービスなどと
いった当行の数多くの革新的な商品およびサービスは、中国の消費者に広く認知されている。
当行は、複数の経路を利用して商品およびサービスを提供している。当行の販売経路は、主に物理的販路とインター
ネット・バンキング販路からなる。2019年12月31日現在、当行は中国本土の130超の都市において、支店141店舗、準支
店1,681店舗、支店レベル専用業務センター(クレジットカード・センター)1店舗、駐在員事務所1店舗およびビ
ジュアル・カウンター16,750台を有していた。また、当行は、香港に1支店を、ニューヨークに1支店および1駐在員
事務所を、ロンドンに1支店を、シンガポールに1支店を、ルクセンブルクに1支店を、台北に1駐在員事務所を、な
らびにシドニーに1支店を有していた。
当行の主要な業務は、リテール金融業務(ウェルスマネジメント、プライベートバンキング、クレジットカード、個
人向け貸付および個人預金を含む。)ならびにホールセール金融業務(法人向け貸付、手形業務、法人顧客預金、トラ
ンザクション・バンキング業務、オフショア銀行業務、投資銀行業務、金融機関向け金融業務、資産管理業務、資産保
管業務および金融市場業務を含む。)からなる。
リテール金融業務
報告期間中に、当行のリテール金融業務の利益は急成長を続け、税引前利益は、前年から13.86%増の65.158 十億人民
元となった。 リテール金融業務による正味営業収益は前年から15.66%増の142.558十億人民元となり、当行の正味営業
収益の56.71%を占めた。リテール金融業務による収益のうち、正味受取利息は前年から18.19%増加して95.184十億人民
元となり、リテール金融業務からの正味営業収益の66.77%を占めた。正味非利息収益は前年から10.90%増の47.374十億
人民元となり、リテール金融業務からの正味営業収益の33.23%を、また、当行の正味非利息収益の56.27%を占めた。報
告期間中の当行のリテール金融業務におけるバンクカードからの受取手数料は19.337十億人民元であり、前年から
17.09%増加した。個人向けウェルスマネジメントからの受取手数料は19.453十億人民元であり、リテール金融業務から
の正味受取手数料の41.96%を占めた。
2019年は、当行のリテールファイナンス3.0のデジタル化にとって極めて重要な年であった。当行は、同業および異
業種の企業との競争に直面しながら「最高の顧客体験を提供する銀行」の創造という目標に注力し、顧客基盤と資産構
造の最適化を堅持しつつ業務管理の形成を目指し、技術のエンパワーメントの確立を強化し、多元的なビジネスモデル
を継続的に模索して、すべての顧客、すべての商品およびすべての販売経路に対応するサービス体系の構築を加速さ
せ、リテールファイナンス3.0のデジタル化をさらに推進して、将来の発展戦略の頂点を掴むことを目指した。
ホールセール金融業務
報告期間中の当行のホールセール金融業務からの税引前利益は、前年から5.30%増加して45.046十億人民元となっ
た。当行のホールセール金融業務の正味営業収益は、前年から0.93%減少して109.822十億人民元となり、これは当行の
正味営業収益の43.69%に相当した。うち、ホールセール金融業務による正味受取利息は前年から4.00%減少して74.226
十億人民元となり、ホールセール金融業務の正味営業収益の67.59%を占めた。また、ホールセール金融業務の正味非利
息収益は前年から6.16%増加して35.596十億人民元となり、ホールセール金融業務の正味営業収益の32.41%および当行
の非利息収益の42.28%を占めた。
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4【関係会社の状況】
親会社
当行には、親会社は存在しない。
連結子会社および関連会社
当行の
名称 住所 登録資本 主たる事業内容 議決権割合
主要な子会社
招銀国際金融 香港 4,129百万香港ドル 財務顧問サービス 100%
(1)
控股有限公司
招銀金融租賃 中国上海市 6,000百万人民元 ファイナンス・ 100%
(2)
リース
有限公司
招商永隆銀行有限 香港 1,161百万香港ドル 銀行業 100%
(3)
公司
招商基金管理 中国深圳市 1,310百万人民元 資産管理 55%
(4)
有限公司
招銀理財有限責任 中国深圳市 5,000百万人民元 資産管理 100%
(5)
公司
チャイナ・マー ルクセンブルク 50百万ユーロ 銀行業 100%
チャンツ・ヨー
(6)
ロッパ S.A.
当グループの
名称 住所 登録資本 主たる事業内容 議決権割合
主要な合弁事業
招商信諾人寿保険 中国深圳市 2,800 百万人民元 生命保険業 50.00%
(7)
有限公司
招聯消費金融有限 中国深圳市 3,868.964百万人民 消費者金融 50.00%
(8)
元
公司
注:
(1) CMBIC (旧江南財務有限公司および旧招銀国際金融有限公司)は、PBOCの銀覆[1998]405号文書により承認された当行の完全
所有子会社である。2014年、当行はCMBICに対して750百万香港ドルの追加資本拠出を行った。CMBICの資本は1,000百万香港
ドルに増加し、当行の持分に変化はなかった。2015年7月28日、当行の取締役会は「招銀国際金融控股有限公司の増資およ
び再編に関する決議」を検討し、可決し、CMBICに400百万米ドル(またはその相当額)を拠出することに合意した。かかる
拠出は、2016年1月20日付で完了した。
(2) CMBFL は、CBIRCの銀監覆[2008]110号により承認された当行の完全所有子会社であり、2008年4月に営業を開始した。2014
年、当行はCMBFLに対して2,000百万人民元の追加資本拠出を行った。CMBFLの資本は6,000百万人民元に増加し、当行の持分
に変化はなかった。
(3) 招商 永隆銀行(旧永隆銀行有限公司)。2008年9月30日、当行は招商永隆銀行に対する持分53.12%を取得し、同行は2009年
1月15日に当行の完全所有子会社になった。香港証券取引所における招商永隆銀行の株式の上場は、2009年1月16日付で廃
止された。
(4) 当行は、2012年に、当行の関連会社であったCMFMに対する21.6%の持分を、INGアセット・マネジメントB.V.から
63,567,567.57 ユーロの対価で取得した。上記の現金対価の決済後、CMFMに対する当行の持分は、2013年に33.4%から55.0%に
増加した。その結果、当行はCMFMに対する支配権を獲得し、CMFMは2013年11月28日付で当行の子会社になった。2017年12
月、当行はCMFMに対して605百万人民元の 追加資本拠出を行い、CMFMの他の株主も 各 持分に応じて 495 百万人民元の資本拠出
を行った。CMFMの資本金は1,310百万人民元に増加し、当行の持分に変更はなかった。
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(5) CMB ウェルスマネジメントは、CBIRCの銀保監覆[2019]981号により承認された当行の完全所有子会社であり、2019年11月1日
付で営業を開始した。
(6) チャイナ・マーチャンツ・ヨーロッパS.A.は、CBIRCの銀監覆[2016]460号により承認された当行の完全所有子会社である。
同社は2019年11月に正式に設立され、現在、ルクセンブルク金融監督委員会(CSSF)に商業銀行免許を申請中である。
(7) 当グループは、CIGNA&CMB 生命保険 に対する50.00%の持分を保有しており、ライフ・インシュアランス・カンパニー・オ
ブ・ノースアメリカ(以下「INA」という。)が同社に対する残り50.00%の持分を保有している。CIGNA&CMB 生命保険 は、当
行が直接保有する唯一の合弁事業である。当行とINAは、かかる合弁事業の利益、リスクおよび損失をそれぞれの持分比率に
基づき分配する。当行のCIGNA&CMB 生命保険 に対する投資は、合弁事業に対する投資として会計処理される。
(8) 当行の子会社である招商永隆銀行と、中国聯通股份有限公司の子会社である中国聯合網絡通信有限公司(以下「CUNC」とい
う。)は、MUCFCを共同で設立した。CBIRCは、2015年3月3日付でMUCFCの営業を承認した。招商永隆銀行およびCUNCは、
MUCFCに対する持分をそれぞれ50.00%保有しており、上記の株式持分比率に基づいてリスクおよび損益を共有する。2017年12
月、当グループは、CUNCに対して600 百万人民元の 追加資本拠出を行い、CUNCの他の株主も 各 持分に応じて資本を注入した。
CUNCの資本金は2,859 百万人民元に増加した。当行の持分が 15%に達し、招商永隆銀行の持分が35%に減少したため、当グルー
プの 持分に変更はなかった 。2018年12月、当グループはCUNCに対して1,000 百万人民元の 追加資本拠出を行い、CUNCの他の株
主も 各 持分に応じて資本を注入した。 当行の持分は24.15 %であり、招商永隆銀行の持分は25.85%であるため、当グループの
持分に変更はない 。
5【従業員の状況】
(注)
2019年12月31日現在、当グループの従業員数は84,683人 (派遣社員を含む。)であった。当行の従業員の職務別
内訳は、ホールセール金融業務に17,876人、リテール金融業務に36,052人、リスク管理に4,280人、運営管理業務に
14,679人、研究開発に3,253人、事務および販売支援に900人ならびに一般管理業務に7,643人である。また、学歴別内
訳は、大学院修了者が18,056人、大学本科卒業者が56,928人、大専卒業者以下が9,699人である。
注:当行、招商永隆銀行、CMBFL、CMBIC、CMBウェルスマネジメント、CMFM、CIGNA&CMB生命保険およびMUCFCの従業員数が含ま
れている。同一の統計基準に基づき計算した場合、2018年12月31日現在の従業員数は82,241人であった。うち、CIGNA&CMB
生命保険の従業員の統計基準は調整されている。
2019年に当グループが支払った給与および賞与は37,267百万人民元であった。給与および賞与には、業績に基づく賞
与が含まれる。
業績に基づく賞与およびその他の従業員福利制度については、「第6-1 財務書類」に掲げる財務書類に対する注
記39を参照されたい。
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第3【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
発展戦略
発展構想:
イノベーションに牽引された発展、主導的なリテール銀行業務および鮮明な特色を備えた「中国最高の商業銀行」を
構築する。
戦略的目標:
「軽量型業務銀行」への転換の方向性を堅持し、「軽量型業務銀行」の構築を加速させ、「質、効率および規模」の
バランスのとれた発展を推進し、デジタルバンクへの転換への取組みにおいて質的なブレークスルーを実現するために
不断の努力をなし、最終的な解決策を発見するためのリスク管理の取組みを常に強化し、最高の顧客体験を提供する銀
行へと積極的に成長を遂げ、国際化された総合的なサービス能力を一層強化する。
戦略的ポジショニング:
「一体両翼」という戦略的ポジショニングを堅持する。リテール部門の「一体」とは、毎月のアクティブユーザー数
(以下「MAU」という。)を「北極星指標」としつつ「顧客および技術」の双方に焦点を当てて、モバイルインター
ネット時代の新たな競争力の確立を目指し、リテールファイナンス3.0のための新たなデジタルモデルを構築すること
を意味する。ホールセール部門の「両翼」とは、専門化を指向し、完全なホールセール業務体系の構築に注力し、デジ
タル化を加速させ、ホールセール金融業務の質の高い発展を達成することを意味する。当行は常に「一体両翼」の統合
を深化させて有機的循環および相互強化を実現できる完全な体系へと進化させ、高度に統合されたバリューチェーンを
形成していく。
発展戦略:
・ 今後、戦略的に主導的な地位を積極的に占めていく。 第一に、当行はフィンテック戦略の発展を加速させる。すな
わち、フィンテックの質的変化を促進し、リテールファイナンス3.0のデジタル化を強化し、産業用インターネットモ
デルのアップグレードを支援する。第二に、最高の顧客体験戦略を実行する。すなわち、顧客体験のクローズドループ
監視システムおよび指標システムを確立し、定期的に評価を行い、顧客体験を継続的に最適化する。第三に、リスク管
理戦略を深化させる。すなわち、リスク許容度を明確に定義し、リスクプロセスを最適化し、フィンテック主導のリス
ク管理ツール体系を構築する。第四に、シナジーを効率的に推進する。すなわち、「ウェルスマネジメント-アセット
マネジメント-投資銀行業務」という協調的な事業拡大システムを構築し、B2B2C顧客連動型業務調整システムを確立
し、銀行内外のデータシェアリング協力体制を構築していく。
・ ビジネスモデルの変革を推進する。 第一に、フィンテックを手段とし、ビッグデータによって牽引され、MAUを指
針とし、将来的な発展の戦略的な高みを目指したリテールファイナンス3.0の新たなビジネスモデルを創出し、オンラ
インユーザーの獲得および業務の新たなモデルを構築し、リテールファイナンス3.0のデジタル変革をさらに推進し、
当行を最高の顧客体験を備えた卓越した銀行へと成長させていく。第二に、ホールセール金融業務の質の高い発展を促
進していく。当行は、一方では、産業用インターネットを基盤とした革新的な金融サービスの発展の方向を緊密に把握
し、業界に根ざした総合的なサービス能力およびリスク管理能力を向上させていかなければならない。その一方で、当
行は、顧客の細分化および分類システムならびに顧客関係管理システムの構築を深め、トランザクション・バンキング
と投資銀行業務という二大業務体系の変革および高度化を効果的に推進していく。第三に、当行は総合的な業務運営の
専門性を向上させ、質の高い総合的な金融サービスを顧客に提供していく。第四に、当行は国際的なサービス能力を強
化し、「国境を越えた金融部門において最高の顧客体験を有する銀行」を目指していく。
・ 強力な戦略的支援体系を構築する。 第一に、当行は、 科学技術の「デュアル・モードIT」(2つの異なるIT作業
モードを表す。モードⅠは明示的な要件を持つ作業に適用され、モードⅡは探索的作業に適用される。)への転換を推
進していく。すなわち、先端技術の導入戦略を堅持し、デジタル化され、情報およびネットワークに基づく発展の趨勢
に適応し、当行のデジタルイノベーション能力を強化していく。第二に、軽量型の人材管理システムを構築し、優れた
サービス戦略、構造の最適化、合理的な階層および優れた能力を備えた人材チームを育成する。第三に、資産・負債管
理および財務管理を強化し、資産・負債管理における専門能力および効率性を継続的に高め、総合的でインテリジェン
トかつ専門的な財務管理システムを構築する。第四に、定量化および標準化され、洗練された内部統制およびコンプラ
イアンス制度の確立を進めていく。第五に、当行は、顧客体験、営業効率、営業コストおよびオペレーショナル・リス
クの関係を効果的に均衡のとれたものとするために、スマートな運営体系を構築していく。第六に、当行の文化および
ブランドをより豊かに発展させ、差別化された優位性および影響力を引き続き高めていく。
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2020 年の見通しおよび対策
2020年の中国国内の経済成長は、国内外の矛盾が重なって引き続き圧力を受けることが予想される。対外的には、米
中貿易協定の第一段階で貿易摩擦のさらなる悪化は回避されたものの、米国は中国に対する関税をわずかに引き下げた
にとどまっており、米国が中国に課している平均関税率は依然として貿易摩擦開始前の5倍近くであるため、中国経済
に対して引き続き大きな悪影響を及ぼす見込みである。国内的には、短期的には新型コロナウイルス感染症の流行が経
済成長を大きく下押しすることが予想される一方で、少子高齢化を背景とした居住者の消費アップグレードの弱まりお
よび不動産投資機運の低下によって、製造業投資の成長率が最低水準で推移し、貿易黒字が縮小する可能性がある。
2020年に中国のGDPは、第1四半期に大きな影響を受けた後で、回復力を有する反発が生じる可能性がある。主な圧
力は、新型コロナウイルス感染症の流行および貿易摩擦から生じている。投資面では、新型コロナウイルス感染症の流
行が不動産投資を大きく圧迫する一方で、一部の地域では不動産規制政策が緩和される可能性がある。新型コロナウイ
ルス感染症の流行の影響と企業収益の伸びの鈍化および設備投資意欲の減衰とが相俟って、製造業の投資の成長率は引
き続き伸び悩む可能性がある。インフラ投資が、成長率がさらに上昇する可能性があるため、「安定成長」の主な牽引
役になる見込みである。消費面では、新型コロナウイルス感染症の流行が第1四半期の消費に与える影響は比較的大き
く、また、住民所得の減少も消費の成長には不利であることが予想される。後者に対しては、政府は近々、より強力な
消費刺激政策を打ち出す可能性がある。貿易面では、貿易摩擦が引き続き輸出入に悪影響を及ぼすことが予想される一
方で、海外での新型コロナウイルス感染症の流行の状況は外需に大きく影響し、世界の貿易活動は抑制されるであろ
う。パンデミック・ショック後、中国の総需要および総供給は回復的に反発すると見込まれるが、年間のGDP成長率は
悪影響を受けるであろう。物価面では、豚肉価格の高騰の影響を受け、年内の消費者物価指数の前年からの成長率は春
節前後が最も高くなる可能性があり、その後は低下すると予想される。生産者物価指数の前年からの成長率は、新型コ
ロナウイルス感染症の流行のため、引き続きゼロ付近で推移する可能性がある。
為替レートについては、人民元はドルインデックス、新型コロナウイルス感染症の流行および貿易摩擦という三重の
圧力に直面しているものの、米中の金利スプレッドの高止まり、世界的な金融政策の「金融緩和」および中国の金融自
由化の進展を背景としてクロスボーダー資金の中国市場への配分が増加し、人民元相場の7:1前後での変動を支えるこ
とになるであろう。
財政政策の面では、地方自治体の債務返済のピーク期間が到来し、また、財政収入の伸びが弱いことから、減税や手
数料の削減の余地が縮小する見込みである。新型コロナウイルス感染症の流行の影響により、地方自治体は、目標赤字
率の一層の引上げおよび特別債の新規発行規模の拡大によって財政政策を強化する可能性がある。歳出面では、乗数効
果のある重点分野での資金調達を確保するため、一般歳出の削減を継続する必要がある。都市・農村地域行政、省エネ
ルギー・環境保全、農林水産物ならびに「三大攻堅戦」に係る債務の利払いなどの分野における歳出は、比較的急速な
増加を続ける可能性がある。パンデミックの影響を受け、公衆衛生部門における財政支出の割合が大幅に増加する見込
みである。特別債による調達資金をプロジェクト資金に充当するなどの新たな政策およびインフラ事業の割合の増加に
よって、インフラ投資に対する財政資金の刺激が大幅に強化される可能性がある。
世界的な協調的「金融緩和」を背景に、金融政策の余地が拡大してきた。パンデミックまたはマージン緩和の影響に
よって、構造的な問題の解決に焦点を当てつつカウンターシクリカルな調整への取組みが強化されている。量的規制の
面では、中央銀行は、合理的に十分な流動性および社会金融の合理的な成長を維持するために、ベンチマーク金利をさ
らに引き下げ、また、目標預金準備率の引下げ、短期貸出ファシリティ(SLF)、中期貸出ファシリティ(MLF)、転貸
および手形の再割引などの対象を絞ったツールを柔軟に活用することが期待されており、抵当補完融資によってインフ
ラ整備を支援する可能性がある。物価規制については、すべての期間に係る政策金利が全面的に引き下げられる可能性
があり、中期貸出ファシリティ金利の引下げによってローンプライムレート(以下「LPR」という。)をさらに下方に
誘導することが予想され、また、基準預金金利の調整によって預金金利を下方に誘導する可能性がある。
健全な金融政策の下では、信用政策によって、実体経済、特に「中小企業および零細企業」や「農業・農村・農家」
ならびにパンデミック地域やパンデミック対策関連産業に対する銀行の支援の拡大が引き続き促進されることが予想さ
れる。同時に、インフラ投資および地方自治体の隠れた債務の解消には、依然として銀行の信用支援が必要である。銀
行融資の規模は、今後も比較的速いペースで拡大する見込みである。金利の統合・改革がさらに推し進められる中で、
既存の貸出金利からLPRベンチマーク金利への切り替えによって、銀行の自己資本利益率が低下し、利ざやがさらに縮
小することが予想される。金融供給サイドの構造改革の深化を背景として、政策によって資金調達構造の最適化が促さ
れ、資本市場のさらに急速な発展が期待され、銀行および資本市場に関連する仲介事業者もより良い発展環境にある。
監督面では、2020年は「三大攻堅戦」の最終年である。中国政府は、システミックリスクのボトムラインを維持するこ
とを前提に高リスク機関に的確に対処する。銀行の不良資産の流動化が迅速化され、自己資本の補充が精力的に実行さ
れる見込みである。一部の中小銀行では、リストラおよびM&Aが行われる可能性がある。
当行は、現在の環境を踏まえて、2020年には預金および貸付が安定成長を維持し、全体の成長率が10%程度となるこ
とを見込んでいる。国内外の複雑で困難な環境の中で、当行は「軽量型業務銀行」という戦略的方向性および「一体両
翼」という戦略的ポジショニングを堅持して、顧客サービスの原点に立ち返ることで戦略的決意を維持していく。当行
は、「開放および統合」を方法論として顧客およびテクノロジーという2つの主要テーマに焦点を当てながら、専門能
力の強化およびデジタルインフラの確立を図って組織の進化および文化の変革を推進し、3.0ビジネスモデルを継続的
に構築していく。
第一に、当行は内部統合を強化する。当行はシステム、データ、組織および業務の境界を取り払って、社内の力を顧
客サービスおよび市場との相互作用に集中させる。リテール金融業務では、様々な商品、オンラインとオフラインの販
売経路、金融と非金融サービスおよび株式の体系を統合し、顧客サービスのエコシステムを開放し、顧客への継続的な
価値の提供能力を形成するためにデジタル手段に依存している。ホールセール金融業務では、戦略的顧客と中小企業、
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投資銀行業務と資産管理業務ならびにトランザクション・バンキング業務の統合が重視される。当行は、「B2B2C」の
エコロジカルなサービスチェーンを構築して「一体」と「両翼」が相互に推進し合う有機的な循環を形成することで、
リ テール業務とホールセール業務の統合を促進していく。また、顧客および市場の動向を把握するためにフロントオ
フィス、ミドルオフィスおよびバックオフィスの統合を強化していく。また、企業およびプライベートバンキング顧客
にサービスを提供するための国境を越えた業務協力体制および国際的サービス体制の構築によって、国内外の統合を推
進していく。
第二に、当行は外部との繋がりおよび開放を強化する。当行は、顧客により多くの金融および非金融の付加価値サー
ビスを提供するためにリテール顧客の生活環境に積極的に組み込まれることで、エンパワーメントを求めて外部に向け
て開放していく。また、法人顧客およびその従業員ならびに一般消費者顧客のエンパワーメントのためのモデル革新を
加速させるために、中核的法人顧客の業務環境に積極的に組み込まれ、産業用インターネット・プロセスに参加して、
顧客および業界に対する意識を中核的顧客のエコシステムにサービスを提供するためのシステムおよびリスク統制能力
に変換していく。
第三に、当行は市場機会を捉え、専門能力の向上を図る。当行は、リテール業務における資産配分サービス能力、市
場拡大能力およびデジタルミドルオフィス能力の強化に取り組むことで、資本市場の機会ならびに資産の保全および付
加価値を求める住民のニーズを捉える。カウンターシクリカルな調整および対外開放の流れに沿って、当行の業務は、
専門能力の構築、機関業務の積極的な発展、国際業務の競争力の強化、プロジェクトファイナンスのシステム化能力の
構築および直接金融のシステム化能力の強化に引き続き注力していく。当行は、総合的なリスク管理能力の強化および
改善を図ることで、一時的および恒久的双方の解決策を模索していく。また、重点分野のリスクに細心の注意を払い、
基本的管理の継続的な強化を通じて、死角をなくし、体制を整備していく。また、業務を深く統合することでリスク管
理能力を強化していく。
第四に、当行は未来指向のフィンテック・インフラを構築する。当行は、より急速なクラウド化のためにクラウドコ
ンピューティング機能の構築を加速し、データアクセスを促進するためにデータミドルオフィスの構築を強化してい
く。また、データガバナンスを強化してデータ活用の利便性および容易性を高め、データ活用ツールプラットフォーム
を構築してデータ活用の敷居を引き下げ、システムの接続および開放を推進して全システムの業務フローおよび情報の
流れを処理し、銀行全体へのワンアクセスを実現する。当行は、柔軟な思考でシステムを分離して、機能モジュールを
マイクロサービス化および製品化し、全種類の一般的機能をシステムのミドルプラットフォームに配置する。
第五に、当行はオープンで統合された組織の進化および文化の変革を推進する。当行は、人材の流れを促進し、組織
の従来的な境界を打ち破り、組織の活力を刺激するためにタスク指向のプロジェクトチームの事業分野の横断的な統合
を推進していく。当行は、「シンプルワークスタイル」を継続的に実施することで、従業員に正しい行動を促してい
く。また、「内在する障壁の除去、現場のエンパワーメントおよび草の根の負担軽減」をさらに推進するとともに経営
をサービスに統合し、幹部の評価および任命基準に「開放性および統合性」を一貫して適用することで、広い考え方と
強い開放感を備えた幹部チームを構築していく。
2【事業等のリスク】
当行は、 「包括性、専門性、独立性および均衡のとれた管理」の原則の下で、リスク調整後の価値創造に焦点を当て
たリスク管理システムの構築を強化した。本店のリスク・コンプライアンス管理委員会は、リスク選好、戦略、方針お
よび取締役会が承認した権限に関する全行的な最重要のリスク管理方針を検討し、決定する責任を負う。
報告期間中、国内外の複雑で変動の激しい経済環境および銀行業務におけるリスクの増大を背景として、当行は引き
続きリスク管理システム全体を改善し、同時にあらゆる種類のリスクに積極的に対応し、防止した。
信用リスク管理
信用リスクとは、銀行の債務者または相手方が契約上の義務を履行しないことから発生するリスクをいう。当行は、
「コンプライアンスおよびリスク管理に基づく品質第一主義」を経営理念とし、「リスク管理の一流銀行の育成」を目
標として、「健全性、合理性、積極性および包括性を維持する」というリスク管理文化を推進し、バランスのとれたリ
ターンとリスクという概念およびリスクを最終的に資本でカバーしうる慎重な事業戦略を堅持し、統一された信用リス
ク選好を実施し、ライフサイクルを通じた信用リスク管理プロセスを最適化し、信用リスク管理ツールを改善し、リス
ク管理能力を全面的に高めて、信用リスクの損失の防止および低減に努めた。
報告期間中に、当行はマクロ経済および金融情勢を注視し、総合的な計画を立案し、重点分野で躍進を遂げ、潜在的
リスクの根絶に向けた様々な措置を講じることで、資産の質を良好な状態に効果的に維持した。第一に、当行は顧客構
成および事業構成を効果的に調整するための事前判断を行った。本支店の戦略的顧客に焦点を当てた事業戦略に沿っ
て、当行はプロジェクトファイナンスおよび直接金融の事業機会を探り、サプライチェーン事業の戦略的顧客へのサー
ビス提供に注力するとともに川上・川下のサプライチェーンにおける中小企業顧客の開拓を一括して進め、戦略的新興
産業、伝統産業の変革および高度化ならびにその他の新たな成長牽引産業への与信を拡大した。また、大規模リスク・
エクスポージャー、インターバンク顧客、P2P、プライベート・エクイティ機関および協力機関などの分野におけるリ
スク調査を引き続き強化し、リスクの事前警告および報告メカニズムを最適化することで、早期警戒、早期エクスポー
ジャーおよび早期処分を実現した。第二に、当行は事業発展を支援するためにサービス統合を積極的に推進した。新た
な成長牽引産業の研究を拡大および深化させ、36の新成長牽引産業すべてを対象とする与信方針を策定し、積極的な信
用供与の実施を模索した。当行は、広東・香港・マカオ大湾区の産業動向の分析および地域信用政策の研究を行い、事
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業運営戦略、顧客選択基準、対象顧客リストおよび保護措置を網羅した大湾区向けの与信方針を策定した。また、専門
的なプロジェクト評価チームを設置し、プロジェクト評価システムおよびリスクプロジェクト評価報告テンプレートを
開 発し、専門的な資金調達ソリューションを提供した。当行は、特定の業界、特定の中核的企業、特定のシナリオ、特
定の商品および特定の協力機関に焦点を当てて、リスク管理プラットフォームを充実させ、閉鎖的な特定シナリオ向け
の格付モデルを開発した。第三に、当行は様々なリスク管理ツールを総合的に検討し、活用した。また、集中管理を推
進し、顧客中心の信用リスク事前管理目標をまず達成して、顧客レベルでの集中リスク管理の出発点とした。当行は、
顧客グループまたは事業分野の資産配分におけるポートフォリオ管理の適用を検討し、統合リスク管理システムを構築
した。かかるシステムにおいては、取締役会のリスク・資本管理委員会が中核的な役割を果たし、業績評価がメカニズ
ムに、インターネットに接続されたITシステムが基盤に、報告関係が仲介となっている。第四に、当行はリスク管理の
効率性を向上させるために、管理プロセスの最適化および管理手法の革新を実行した。基本的な与信プロセスが完全に
最適化され、オンライン化され、ローン前調査、ローン審査およびローン後審査がバージョン2.0にアップグレードさ
れた。その結果、自動化、モジュール化、標準化およびオープン化ならびに関連システムとの相互接続による情報共有
という目標が達成された。第五に、当行は不良資産の処理経路を拡大し、不良資産を効果的に処理した。当行は、現金
回収による不良資産の回収を強化するとともに、不良資産の償却および資産の証券化を継続的に推進した。また、債務
の株式への転換を積極的に追求し、複数の手法を用いてリスク資産の軽減を図り、コンプライアンス規制に基づいて効
率的かつ効果的な不良資産の処理を達成した。第六に、当行はフィンテック・サービスの適用を深化させた。当行は、
オンライン・リスク管理ポータル、非金融企業のスマート格付モデルおよびスマートリスク事前警告モデルを含む一連
のプロジェクトを開発して経営効率を効果的に高めた。
当行の信用リスク管理の詳細については、「第6-1 財務書類」に掲げる財務書類に対する注記60(a)を参照された
い。
大規模なリスク・エクスポージャーの管理
CBIRCが公布した「商業銀行の大規模なリスク・エクスポージャーの管理措置」(銀保監会2018年1号令)によれ
ば、大規模なリスク・エクスポージャーとは、商業銀行の正味Tier 1資本の2.5%を上回る、かかる銀行の単一の顧客ま
たは関連する顧客グループに対する信用リスク・エクスポージャー(銀行勘定およびトレーディング勘定における様々
な信用リスク・エクスポージャーを含む。)をいう。当行は、顧客集中リスクを効果的に統制するために、大規模なリ
スク・エクスポージャーの管理をリスク管理システム全体に組み込み、大規模なリスク・エクスポージャーの変動を測
定し、動的に監視した。報告期間末現在、規制機関によって免除されている顧客を除き、大規模なリスク・エクスポー
ジャーの基準に達していた当行の単一の非金融機関顧客、非金融機関顧客グループ、単一の金融機関顧客および金融機
関顧客グループはすべて、規制上の要件を遵守していた。
カントリー・リスク管理
カントリー・ リスクとは、ある国もしくは地域の借手もしくは債務者が銀行に対する義務を履行できないかもしくは
履行を拒絶する原因となりうるか、またはかかる国もしくは地域における当行の業務上のプレゼンスに対する損失もし
くはその他の損失を招く可能性がある、かかる国または地域における経済的、政治的および社会的な変化および事由の
リスクをいう。カントリー・リスクは、経済情勢の悪化、政治的および社会的混乱、資産の国有化または収用、政府の
対外債務の否認、外国為替管理ならびに国または地域における通貨安から発生する可能性がある。
当行は、カントリー・リスクの管理 をリスク管理システム全体に組み込んでいる。 関連する規制要件に従い、当行は
カントリー・リスク構成の変化を動的に監視した。当行は、主に当行のソブリン格付モデルによる評価結果を用いたカ
ントリー・リスク評価システムを導入し、評価結果を用いてカントリー・リスクの限度を設定し、カントリー・リスク
に対する引当金を計上した。報告期間末現在、カントリー・リスクに晒されている当行の資産はわずかであり、カント
リー・リスクの水準は低い。さらに、当行は規制上の要件に従ってカントリー・リスクについて十分な引当金を設定し
た。その結果、カントリー・リスクが当行の事業に重大な影響を及ぼすことはないと予想される。
市場リスク管理
当行の市場リスクは、トレーディング勘定および銀行勘定から発生する。金利リスクおよび為替リスクが、当行が晒
されている主な市場リスクである。
金利リスク管理
トレーディング勘定
当行は、トレーディング勘定の金利リスクの測定、監視および管理のために、定量的指標、市場リスク価値指標(ト
レーディング勘定業務に関連する様々な通貨および期間の金利リスク要因を対象とするVaR)、金利ストレステスト損
失指標、金利感応性指標および累積損失指標を含む様々なリスク指標を利用している。リスク測定に使用される金利リ
スク要因は、トレーディング勘定の下のすべての業務を網羅しており、約110の金利指標または債券のイールドカーブ
で構成されている。VaRには一般的なVaRおよびストレスVaRが含まれ、双方ともヒストリカル・シミュレーション法を
使用して計算され、信頼水準99%、観測期間250日および保有期間10日が採用されている。金利ストレステストのシナリ
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オには、様々な程度の金利の平行移動、急激な変動および複雑な変動ならびに投資ポートフォリオの特性に基づいて設
計された様々な不利な市場シナリオが含まれる。うち、極端な金利シナリオでは、最大300ベーシス・ポイントの変動
お よび極端に不利な市場情勢が含まれることがある。主要な金利感応性指標は、債券の期間ならびに(金利が1ベーシ
ス・ポイント不利な変動を示した場合の)債券および金利デリバティブの市場価値の増減(PV01)を反映する。日常的
なリスク管理については、年初の取締役会のリスク許容度、業務計画およびリスク予想に従ってトレーディング勘定の
下の金利リスク業務の年間承認額および市場リスク限度額が設定され、市場リスク管理部門がその日常的な監視および
継続報告に責任を負う。
2019年、世界貿易の減速により、先進国の金融政策の対応の余地は限られたものであった。世界経済の内生的成長の
勢いはさらに弱まり、その成長率は2008年の金融危機以来の最低水準に達した。外部環境の不確実性も高まった。米連
邦準備制度理事会は10年ぶりに金利を引き下げ、バランスシートは7年ぶりに拡大した。米ドル債のイールドカーブは
いったん反転して、市場の懸念を招いた。ユーロ圏の下振れリスクは依然として存在し、日本経済のボラティリティは
増大し、英国はEU離脱の不透明感に足を引っ張られた。中国では、経済発展の環境が複雑化した。豚肉価格が急騰し、
実体経済への下方圧力が強まり、中小規模の銀行は部分的なリスクを抱えていた。かかる状況下で、中央銀行は、健全
で柔軟かつ穏健な金融政策を維持し、カウンターシクリカルな調整を強化し、合理的に十分な流動性を維持した。その
結果、10年物国債の利回りは年間を通して3.0%から3.5%の間で推移した。
当行のトレーディング勘定の投資範囲は、人民元建て債券、特に国内利付債に重点が置かれた。2019年には、当行の
トレーディング勘定の様々な金利リスク指標は目標の範囲内にあった。
銀行勘定
当行は、 銀行勘定の金利リスクを毎月測定し、分析するために、 主に リプライシング・ギャップ分析、デュレーショ
ン分析、ベンチマーク相関分析、シナリオ・シミュレーションおよびその他の方法を採用している。リプライシング・
ギャップ分析は、主に資産および負債のリプライシング期間の分布およびミスマッチを監視する。デュレーション分析
は、主な種類の商品の期間および当行全体の資産と負債の期間のギャップの変化を監視する。ベンチマーク相関分析
は、当行の内部モデルを用いて計算されたベンチマーク相関係数に基づいて、異なる価格設定ベンチマーク金利曲線の
間および各曲線上の異なる期間の点の間に存在するベンチマーク・リスクを評価する。シナリオ・シミュレーション
は、金利リスクの分析および測定を行うための当行の主要なアプローチであり、金利ベンチマークの影響、イールド
カーブの平行移動および形の変化、実際に発生したことのある金利の極端な変動、預金および貸付業務における顧客の
組込オプションの行使ならびに将来において最も可能性が高いと専門家が判断した金利の変動を含む複数の通常のシナ
リオおよびストレス・シナリオからなる。翌1年間の正味受取利息(NII)および経済価値(EVE)の指標の変動は、金
利変動シナリオのシミュレーションを通じて計算される。一定のシナリオのNII変動率およびEVE変動率は、当行全体の
金利リスク限度額指標システムに含められている。
報告期間中に、当行は、適度に慎重な金利リスク選好の原則を堅持し、国内外のマクロ経済のファンダメンタルズお
よび金融政策の方向性のわずかな変化を注視し、マクロモデルによる市場金利動向を綿密に分析および予測しつつ、上
記の判断に基づいて積極的な金利リスク管理戦略を機動的に調整した。当行は、中央銀行によるLPR改革計画の正式発
表に先立って、金利の一本化に伴う金利リスクの影響の分析および将来への備えを行い、改革計画の実施後には、積極
的な金利リスク管理措置の方向性および強度を適時に調整するよう迅速に対応した。同時に、LPRに基づくデリバティ
ブの検討を開始し、貸出金利の市場化という状況の中で金利リスクの積極的な管理を強化するための新たなツールおよ
びチャネルを追求した。ストレステストの結果によれば金利リスクの様々な指標はわずかに上昇したものの、設定され
た限界値および警告前の値の範囲内に留まっており、 銀行勘定の金利リスクは概ね管理可能であった。
為替リスク管理
トレーディング勘定
当行は、リスクの測定および監視の管理のために、リスク・エクスポージャー指標、市場リスク価値指標(トレー
ディング勘定取引に関連する様々な通貨の為替リスク要因を対象とするVaR)、ストレステスト下の為替損失指標、為
替感応性指標および累積損失指標を含む様々なリスク指標を利用している。リスク測定については、選定された為替リ
スク要因が、トレーディング勘定の下のあらゆる取引通貨建ての直物価格、先渡価格およびボラティリティに適用され
る。市場価値リスク指標は一般的な市場VaRおよびストレス市場VaRからなり、これらは信頼水準99%、観測期間250日お
よび保有期間10日に基づいてヒストリカル・シミュレーションを使用して計算されている。為替ストレステストのシナ
リオは、 人民元に対する各取引通貨の5%、10%、15%または15%超の不利な変動、為替オプションの変動性の変化などを
網羅している。主な為替レート感応度指標は、デルタ、ガンマ、ベガおよび為替デリバティブのその他の指標である。
日常的な管理については、年初における取締役会のリスク許容度、業務計画およびリスク予想に従って、年間のトレー
ディング勘定の為替リスク関連業務権限および市場リスク限度額が設定され、市場リスク管理部門がその日常的な監視
および継続的な報告に責任を負う。
2019年の人民元為替相場は、市場の需給に応じて上下に変動し、明らかな双方向の変動を示した。スポット市場で
は、国際経済および金融情勢、貿易交渉の進展ならびにその他要因の影響を受け、市場の勢いによって人民元の対米ド
ル為替レートは「7:1」以上に上昇し、また、人民元は通貨バスケットに対して安定した強さを維持した。柔軟性の増
大に伴って、市場の需給における人民元為替相場の「安定剤」としての役割が顕著になった。デリバティブ市場では、
米中間のスプレッドが頻繁に変動し、米ドル-人民元のスワップポイントが大きく変動し、1年物のスワップは最大490
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ベーシス・ポイントに達した。人民元為替オプションのインプライド・ボラティリティは、基本的には合理的な範囲内
で推移した。しかしながら、米中貿易交渉の影響を受けて市場のリスク回避心理が強くなった時期があったことでボラ
ティ リティは高まり、一度は2018年末現在の水準を超えた。
かかる状況を背景として、当行は主に、安定したスプレッド収入を得るために 外国為替 取引業務の顧客代行に依拠
し、自己勘定取引のエクスポージャーを動的に監視するシステムモジュールを活用し、感応性指標およびストップロス
などの指値指標の管理を強化した。2019年、当行のトレーディング勘定の為替リスク指標はすべて目標範囲内にあっ
た。
銀行勘定
当行の銀行勘定の為替リスク測定のためのデータは主にデータベースによるものであり、当行は測定および分析のた
めに主に 外国為替 エクスポージャー分析、シナリオ・シミュレーション分析、ストレステストおよびその他の手法を利
用している。 外国為替エクスポージャー測定では、短辺法、相関法およびアグリゲーション法を利用している。シナリ
オ ・シミュレーションおよび ストレステスト分析は、すべての為替レートの変動に係る為替リスクを管理するための当
行の2つの重要な為替リスク管理ツールであり、標準シナリオ、ヒストリカル・シナリオ、フォワード・ルッキング・
シナリオおよびストレス・シナリオを含む。先見的な為替レートの変動および過去の極端な変動のシナリオに基づき、
各シナリオは当行の損益への影響をシミュレートすることができる。一定のシナリオが損益に与える影響および純資本
に対するその割合は、限界指標として日常的な管理で参照されている。当行は、測定モデルの有効性を検証するため
に、関連するモデルパラメータについてバックテストおよび評価を定期的に実施している。
当行は、銀行勘定の関連する為替リスクを軽減するため、銀行勘定の為替エクスポージャーおよびシナリオ ・シミュ
レーション 結果を定期的に測定および分析し、限度額の枠組みの下で為替リスクを月次ベースで監視および報告し、為
替動向に応じて為替エクスポージャーを調整している。当行の監査部門が当行の為替リスクの全般的な監査に責任を
負っている。
報告期間中、当行は為替レートの変動に細心の注意を払い、国内外のマクロ経済情勢を踏まえて為替レート変動の影
響を積極的に分析し、 経営陣が意思決定を行うための科学的な参照情報として資産・負債の最適化計画 を提案した。
2019年には、人民元為替レートの年間変動は次第に安定した。当行は、国際経済情勢の変化に直面して国内経済情勢お
よび米中貿易摩擦の分析にさらに取り組み、為替リスク・エクスポージャーの体系的な測定を実現し、為替リスク・エ
クスポージャーの規模の厳格な管理を課した。当行は、為替リスクを慎重に管理した。報告期間末現在、当行の為替エ
クスポージャーの銀行勘定の規模は比較的低い水準にあった。当行の為替リスクは概ね安定しており、コア限界指標、
一般的なシナリオおよびストレステストの結果のすべては規制要件を満たしている。
当行の市場リスク管理の詳細については、「第6-1 財務書類」に掲げる財務書類に対する注記60(b)を参照された
い。
オペレーショナル・リスク管理
オペレーショナル・リスクとは、社内手続きの不適切性もしくは欠陥、従業員もしくはITシステムの不備または外部
の事象から生じる損失リスクを指す。オペレーショナル・リスクが多様な側面を有し、多岐にわたることを踏まえて、
当行のオペレーショナル・リスク管理では、コストと収益のマッチングおよびインプットとアウトプットのバランスの
原則に基づき、オペレーショナル・リスク管理体制の構築を積極的に強化し、内部統制制度を構築し、各業務を引き続
き着実に遂行し、一定のコストをもってオペレーショナル・リスクによる損失を削減または防止していく。オペレー
ショナル・リスク管理の過程で、当行は取締役会が定めたリスク限度内で、リスク管理体制のさらなる改善、重点分野
におけるリスク防止および管理の強化、リスクの監視および事前警告の実施、評価の仕組みの改善ならびにオペレー
ショナル・リスク予防文化の醸成などの措置を通じて、オペレーショナル・リスク管理能力および有効性の一層の向上
を図り、オペレーショナル・リスク損失の防止および削減に努める。
報告期間中、制度上のオペレーショナル・リスクおよび重大なオペレーショナル・リスクから生じる損失を防ぐため
に、当行は引き続きオペレーショナル・リスク管理体制を整備した。第一に、当行は重点分野に関連するリスクの管理
を強化し、P2P、プライベートエクイティファンド、非ライセンス事業および決済、商業用不動産の売却前資金の監
督、事業手形割引およびその他の分野に係るリスクの検査を実施し、リスク管理および統制を強化した。第二に、当行
は管理ツールを最適化し、改善した。当行は主要なリスク指標の検証を通じて様々な観点から指標の検討および調整を
行って、オペレーショナル・リスク報告の仕組みをさらに強化するとともに、オペレーショナル・リスクの評価の仕組
みおよび経済的資本配分計画の最適化を図った。第三に、外部委託関連リスクの管理を強化し、外部委託する商品・
サービスの種類を慎重に把握および評価し、承認管理を強化し、外部委託関連リスクの監視範囲を拡大し、全行的に外
部委託プロジェクトの事後評価を実施した。第四に、当行はITリスク管理および事業継続管理を強化し、ITプロセス点
検を実施した。第五に、当行はオペレーショナル・リスク管理体制の実績をさらに改善し、オペレーショナル・リスク
のデータ分析プラットフォームの活用を推進した。第六に、当行は支店のエンパワーメントを強化し、国内外の支店に
おいてオペレーショナル・リスク管理担当者向けに様々な研修を実施して、支店のオペレーショナル・リスク管理能力
の向上を図った。
流動性リスク管理
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流動性リスクとは、当行が資産を成長させ、満期が到来した債務を返済し、その他の支払義務を履行するために必要
な十分な資金を適時に合理的なコストで調達できなくなるリスクである。当行の流動性リスク管理は慎重さ、先見性お
よ び包括性の原則に基づいており、これは、現在の当行の発展段階に適したものである。当行の現行の流動性リスク管
理の方針および体制は、規制要件および当行自身の管理ニーズを基本的に満たしている。
当行は、流動性リスク管理の方針決定、戦略の実施および監督を分離するという原則に基づき、流動性リスク管理の
有効性を確保するために、取締役会、リスク・資本管理委員会、監督役会、上級役員、専門委員会および関連部門の役
割、責任および報告ラインが分離された管理枠組みを整備している。
2019年に、中央銀行は慎重な金融政策および合理的に十分な流動性を維持した。当行は、市場環境および当行の流動
性状況に対応して、流動性管理を強化するために以下のような措置を講じた。第一に、当行は主要顧客層への販売戦略
指針の強化、主要なタイミングの管理の強化などの措置を通じて自己勘定預金の成長を引き続き推進し、様々な手法で
中核預金の着実な成長を促進した。第二に、当行は資産・負債の円滑な運用を実現するために、信用資産のエクスポー
ジャーを動的に管理し、資産構成の最適化を継続的に進めた。第三に、当行はあらゆる側面および経路での積極的な負
債管理を強化し、相手方との連携を強化し、多様な資金調達経路を拡大し、自己資金の調達能力を向上させた。第四
に、当行は徹底的かつ洗練された、先を見越した流動性リスク管理を実施した。定量的モデリングならびに動的測定お
よび動的計算を駆使することで、当行はマクロ経済の研究および判断ならびに当行全体の流動性に関する動的予測を強
化し、自身の流動性状況および市場金利の動向に応じて短期および中長期の債務の積極的な引受けを柔軟に実行し(中
央銀行の中期貸出ファシリティおよび公開市場操作への積極的な参加を含む。)、適切な機会に応じて金融債を発行し
て、流動性リスクの積極的なリスク管理の向上に努めた。第五に、適格な優良債券への投資を適度に増加させ、十分な
流動性準備金を確保し、流動性リスクの軽減能力をさらに強化した。第六に、当行は事業ラインの流動性リスク管理を
強化した。具体的には、手形事業やウェルスマネジメント事業などの独立型事業ラインについては、流動性リスクの限
度額を個別に設定し、資産と負債の期間のマッチング管理を強化した。第七に、流動性危機管理計画および緊急時対応
計画の検証および改善を行い、定期的な流動性リスク緊急訓練を通じて流動性リスク事由への対応力を効果的に高め
た。
当行は、2018年5月にCBIRCが公布した「商業銀行の流動性リスク管理措置」の関連要件を満たしている。報告期間
末現在、当行の流動性カバレッジ比率は171.53%であり、CBIRCの最低要件を71.53パーセンテージ・ポイント上回っ
た。また、安定的資金調達比率は122.62%と、CBIRCの最低要件を22.62パーセンテージ・ポイント上回り、流動性比率
は51.90%とCBIRCの最低要件を26.90パーセンテージ・ポイント上回り、流動性マッチング比率は153.12%とCBIRCの最低
(注)
要件を53.12パーセンテージ・ポイント上回って 、当行が事業の持続可能で健全な発展のための所要額を満たす十
分な資金源を有していることを示している。また、人民元建て預金総額の10.5%および外貨建て預金総額の5%をPBOCに
預け入れる必要があった。全体として、当行の流動性指標は健全な水準を維持していた。預金は順調な成長を維持して
いた。流動性準備金は十分であり、全体的な流動性は安全な水準にあった。
(注)流動性カバレッジ比率、 安定的資金調達比率、流動性比率および流動性マッチング比率 はすべて、外部の規制指標(法人
統計基準)である。
当行の流動性リスク管理の詳細については、「第6-1 財務書類」に掲げる財務書類に対する注記60(c)を参照され
たい。
レピュテーション・リスク管理
レピュテーション・リスクとは、当行の業務、経営およびその他の活動または外部の事件によって、当行が関連する
ステークホルダーから否定的な評価を受ける可能性があるリスクを指す。レピュテーション・リスク管理は、コーポ
レート・ガバナンスおよび当行のリスク管理制度全体の重要な部分であり、当行およびその子会社によって行われるす
べての活動、業務および事業を網羅している。当行は、レピュテーション・リスク管理制度を確立し、関連要件を策定
し、損失および悪影響を最大限に軽減するためにレピュテーション・リスクを効果的に防止し、レピュテーションの問
題への対処を主導した。
報告期間中、当行は既存の世論監視システムを繰り返し更新し、また、支店関連の世論については本店と支店の双方
向早期警戒モデルを拡充して、否定的な世論への対応効率を高めた。当行は、第三者協力機関に関連するリスクを総合
的に調査し、レピュテーション・リスクの事前管理を強化して潜在的なリスクを低減させた。また、本支店で共有する
世論事例データベースを構築し、代表的な世論事例の整理および分析を行い、関連する研修を実施することで、当行全
体のレピュテーション・リスクに対する意識および管理を継続的に向上させた。
コンプライアンス・リスク管理
コンプライアンス・リスクとは、法律、規則および基準を遵守しなかった結果、当行が法的制裁、規制上の処罰、重
大な経済的損失およびレピュテーション上の損失を被るリスクを指す。当行の取締役会は営業活動のコンプライアンス
に最終責任を負い、取締役会のリスク・資本管理委員会にコンプライアンス・リスク管理の監督を委任している。本店
のリスク・コンプライアンス管理委員会は、上級経営陣の下で全行的なコンプライアンス・リスクを管理する最高管理
組織である。当行は、コンプライアンス・リスク管理制度を完全かつ効果的なものとし、リスク・コンプライアンス管
理委員会、コンプライアンス監督者、コンプライアンス責任者、本店および支店の法務・コンプライアンス部門ならび
に支店および準支店レベルのコンプライアンス監督者からなる管理組織構造を確立し、コンプライアンス・リスク管理
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の3つの防衛線および二重の報告メカニズムを構築し、継続的にリスク管理の制度および仕組みを完成させ、管理手法
を改善することによってコンプライアンス・リスクの効果的な管理を実現した。
報告期間中に、当行は「強力かつ厳しい規制要件」の継続に直面して、新たな規制要件に積極的に適応し、コンプラ
イアンスの方向性を的確に把握し、規制要件の全面的な実施を確保し、内部統制およびコンプライアンス管理の長期的
な仕組みをさらに改善した。当行は、主に以下の内部統制およびコンプライアンス管理措置を採択した。第一に、
「2019年の当行の内部統制およびコンプライアンス業務に関する指針」を策定・公表し、内部統制およびコンプライア
ンス管理のための全行的な体制を整えた。第二に、CBIRCの要件に従って「混乱の是正およびコンプライアンスの推
進」を実施し、株式、コーポレート・ガバナンス、マクロ政策の実行、与信管理などについて包括的な是正を行って、
内部統制およびコンプライアンス管理の基盤をさらに確固たるものにした。第三に、新商品、新事業および主要プロ
ジェクトに伴うコンプライアンス・リスクの評価、軽減および解決のために新たな規制上の要件を適時に理解し、周知
し、有効に特定した。第四に、当行全体のシステム管理を強化し、管理体制の改善のためにシステムの改善、再調査、
事後評価およびその他の作業を手配して実施すると同時に、業務の効率化のために事務およびシステムの最適化プロ
ジェクトを立ち上げ、また、従業員が断片化された時間を活用してシステムの重要な知識ポイントを習得しやすいよう
にした。第五に、従業員の異常行動の調査、従業員の軽微な違反行為の記録、資産業務担当者および退職申請者に対す
るデューデリジェンスの実施、従業員のコンプライアンスおよび警告事例などに関する研修資料の発行ならびに多層的
なコンプライアンス教育の実施などの様々な手法によって従業員の行動管理を強化し、全行的に従業員のコンプライア
ンスに対する考え方および意識をさらに高めた。第六に、コンプライアンスに関する総合的な検査を継続的に実施し、
内外の検査で発見された様々な問題の原因を徹底的に分析し、是正のフォローアップおよび監督を行い、あらゆるレベ
ルで内部統制およびコンプライアンス管理を継続的に改善した。
マネーロンダリング対策管理
当行は、比較的健全なマネーロンダリング対策内部統制システムを確立している。当行は、マネーロンダリング対策
に関する関連法令の要件および当行自身の実際の状況に基づいて、全面的なマネーロンダリング対策管理制度を策定し
ている。また、比較的充実したマネーロンダリング対策監視システムを構築し、マネーロンダリング対策の組織体制を
確立し、専用のマネーロンダリング対策チームを設置して、当行全体の事業の健全な運営を確保している。
報告期間中、当行はマネーロンダリング対策の義務を履行し、その遵守および実効性を確保するために様々な対策を
講じた。かかる対策には、「金融機関法人に対するマネーロンダリングおよびテロ資金供与対策のリスク管理指針(試
行)」、「銀行および金融機関におけるマネーロンダリングおよびテロ資金供与対策の管理措置」およびその他の規制
文書の要件に従った当行のマネーロンダリング対策のための内部統制体系のさらなる改善が含まれるが、これらに限定
されるものではない。当行は、事業および商品に関連するマネーロンダリング・リスクの評価ならびにマネーロンダリ
ング対策制度の見直しを強化し、マネーロンダリング対策のコンプライアンス要件を業務プロセスおよびシステムに効
果的に組み込んだ。さらに、様々なマネーロンダリング・リスクを防止するために様々なリスク検査および事案の再調
査を実施し、マネーロンダリング対策におけるAIおよびその他のフィンテックの活用を積極的に推進して監視および分
析の効率化および質の向上を図り、それによって分析における効率および質をそれぞれ30%および8%向上させ、マネー
ロンダリング対策のための顧客背景調査プラットフォームを開発および推進し、顧客のデューデリジェンス・プロセス
を改善した。当行は、マネーロンダリング対策監視システム、マネーロンダリング対策のための顧客リスト管理システ
ムおよびリスク格付システムの最適化を継続的に行って、当行全体でマネーロンダリング対策の有効性を高めた。ま
た、「マネーロンダリング対策顧客の特定強化に関する中国人民銀行通達」およびその他の規制要件を実行し、受益者
の特定、疑わしい取引の報告、その後のリスク管理および高リスク顧客の管理を継続的に実施した。
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3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
経営状況全般の分析
2019年に当グループは、様々な業務を積極的かつ健全に行うことで「軽量型業務銀行」という戦略的方向性および
「一体両翼」という戦略的ポジショニングを引き続き堅持した。当行の経営状況は総合的に引き続き改善し、「質、効
率および規模」の動的でバランスの取れた発展が達成された。このことは、主に以下の点に反映されている。
収益は急増し、資本利益率も上昇した。2019年には、当グループの株主帰属純利益は92.867十億人民元であり、前年
から15.28%増加した。これは、2013年以降最高の増加率であった。正味受取利息は前年から7.92%増の173.900十億人民
元となり、正味非利息収益は前年から9.81%増の96.698十億人民元となった。当行普通株主に帰属する平均総資産利益
率(ROAA)および当行普通株主に帰属する平均自己資本利益率(ROAE)は、前年からそれぞれ0.07パーセンテージ・ポ
イントおよび0.27パーセンテージ・ポイント上昇して、それぞれ1.31%および16.84%となった。
資産および負債の規模は着実に拡大した。報告期間末現在、当グループの資産合計は7,417.240十億人民元であり、
前年末から9.95%増加した。顧客貸付金は合計4,490.650十億人民元であり、前年末から14.18%増加した。負債合計は6,
799.533十億人民元であり、前年末から9.63%増加した。顧客預金合計は4,844.422十億人民元であり、前年末から
10.08%増加した。
資産の質は引き続き向上し、不良債権は金額および比率ともに減少し、不良債権引当率は引き続き堅調に推移した。
報告期間末現在、当グループの不良債権合計額は、前年末から1.330十億人民元減の52.275十億人民元であった。不良
債権比率は1.16%であり、前年末から0.20パーセンテージ・ポイント低下した。不良債権引当率は426.78%であり、前年
末から68.60パーセンテージ・ポイント上昇した。貸付金に対する引当率は4.97%であり、前年末から0.09パーセンテー
ジ・ポイント上昇した。
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損益計算書の分析
主要な財務成績
2019年の当グループの税引前利益は、前年から9.99%増の117.132十億人民元であった。実効法人所得税率は20.24%で
あり、前年から3.87パーセンテージ・ポイント低下した。2019年の当グループの主な損益項目の増減を下表に示す。
(単位:百万人民元)
2019年 2018年 増減
正味受取利息 173,090 160,384 12,706
正味受取手数料 71,493 66,480 5,013
その他の正味収益 23,482 20,271 3,211
営業費用 (91,497) (81,110) (10,387)
関連会社および合弁事業に対する持分利益 1,723 1,309 414
予想信用損失 (61,066) (60,829) (237)
その他の資産に対する減損損失 (93) (8) (85)
税引前利益 117,132 106,497 10,635
法人所得税 (23,709) (25,678) 1,969
当期純利益 93,423 80,819 12,604
当行株主帰属純利益 92,867 80,560 12,307
正味営業収益
2019年、当グループの正味営業収益は前年から8.59%増の269.788億人民元であった。正味受取利息が正味営業収益に
占める割合は64.16%であり、正味非利息収益が正味営業収益に占める割合は前年より0.40パーセンテージ・ポイント上
昇して35.84%となった。
当グループの過去3年間の正味営業収益の構成要素の割合を下表に示す。
(単位:%)
2019年 2018年 2017年
正味受取利息 64.16 64.56 65.53
正味受取手数料 26.50 26.76 28.96
その他の正味収益 8.70 8.16 5.05
関連会社および合弁事業に対する持分利益 0.64 0.52 0.46
合計 100.00 100.00 100.00
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受取利息
2019年、当グループは、前年から8.15%の増加となる292.994十億人民元の受取利息を計上した。これは主に利付資産
が増加し、また、資産構成の継続的な最適化およびリスク価格設定の改善によって利付資産の収益率が上昇したためで
あった。顧客貸付金からの受取利息は、引き続き当グループの受取利息の最大の構成要素であった。
顧客貸付金からの受取利息
2019年、当グループの顧客貸付金からの受取利息は、前年から13.04%増加して221.979十億人民元となった。
表示期間における当グループの顧客貸付金の平均残高、受取利息および平均収益率の区分別内訳を下表に示す。
(単位:百万人民元、%を除く。)
2019年 2018年
平均 平均
平均残高 受取利息 収益率(%) 平均残高 受取利息 収益率(%)
法人向け貸付金 1,818,831 78,914 4.34 1,743,614 73,954 4.24
個人向け貸付金 2,220,299 134,763 6.07 1,886,389 113,698 6.03
割引手形 250,635 8,302 3.31 195,120 8,718 4.47
顧客貸付金 4,289,765 221,979 5.17 3,825,123 196,370 5.13
2019年における当行の顧客貸付金の満期構成から見れば、短期貸付の平均残高は1,668.152十億人民元であり、受取
利息は100.094十億人民元であり、平均収益率は6.00%に達した。中長期貸付は、平均残高が2,316.817十億人民元、受
取利息が109.447十億人民元および平均収益率が4.72%であった。短期貸付の平均収益率が中長期貸付の平均収益率を上
回ったのは、短期貸付のうち、クレジットカード貸越および小規模金融ローンの収益率が比較的高かったことによるも
のであった。
投資からの受取利息
2019年の当グループの投資からの受取利息は、前年から1.32%増加して48.902十億人民元となった。投資平均収益率
は、主に市場金利の低下の影響で、前年から11ベーシス・ポイント低下して3.66%となった。
銀行およびその他金融機関に対する預け金および債権からの受取利息
2019年、当グループの銀行およびその他金融機関に対する預け金および債権からの受取利息は、前年から21.62%減少
して14.354十億人民元となった。また、銀行およびその他金融機関に対する預け金および債権の平均収益率は、前年か
ら40ベーシス・ポイント減の2.51%であった。これは主に、資産構成の最適化を継続的に進め、市場金利の低下局面で
は銀行およびその他金融機関に対する債権などの低利回り資産の配分を縮小するという当グループの取組みによるもの
であった。
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支払利息
2019年、当グループの支払利息は119.904十億人民元であり、前年より8.48%増加した。これは主に、有利子負債の規
模が拡大し、顧客預金の費用率が上昇を続けたためであり、その結果、当グループの支払利息が増加した。
顧客預金に対する支払利息
2019年、当グループの顧客預金に対する支払利息は、前年から18.46%増加して73.430十億人民元となった。これは主
に預金獲得競争の激化および規模の拡大に加え、当グループが顧客の満期を迎えた資産運用資金に応じて仕組預金およ
び大口預金証書などの比較的高コストの預金商品の供給を適切に増やした結果、預金の費用率が上昇したことによるも
のであった。
表示期間における当グループの法人および個人顧客の預金の平均残高、支払利息および平均費用率を下表に示す。
(単位:百万人民元、%を除く。)
2019年 2018年
平均費用率 平均費用率
平均残高 支払利息 (%) 平均残高 支払利息 (%)
法人預金
要求払 1,607,847 13,245 0.82 1,559,171 12,641 0.81
定期 1,363,971 38,900 2.85 1,242,061 34,166 2.75
小計 2,971,818 52,145 1.75 2,801,232 46,807 1.67
個人預金
要求払 1,081,045 3,973 0.37 1,029,918 3,409 0.33
定期 584,104 17,312 2.96 438,373 11,771 2.69
小計 1,665,149 21,285 1.28 1,468,291 15,180 1.03
合計 4,636,967 73,430 1.58 4,269,523 61,987 1.45
銀行およびその他金融機関からの預金および短期借入金の支払利息
2019年の当グループの銀行およびその他金融機関からの預金および短期借入金の支払利息は19.079十億人民元であ
り、前年から17.15%減少した。これは主に市場金利の低下によるものであり、それによって銀行間負債の費用が減少し
た。また、当グループは負債構成を引き続き最適化し、自己勘定預金の割合を継続的に増加させ、市場の流動性の状況
に応じて銀行間負債の比率を適切に管理した。
発行債券に対する支払利息
主に銀行間譲渡性預金証書および長期債券が増加したため、2019年の当グループの発行債券に対する支払利息は、前
年から21.34%増加して17.631十億人民元となった。
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正味受取利息
2019年の当グループの正味受取利息は173.090十億人民元で、前年から7.92%増加した。
表示期間における当グループの資産および負債の平均残高、受取/支払利息ならびに平均収益率/費用率を下表に示
す。利付資産および有利子負債の平均残高は、日次残高の平均である。
(単位:百万人民元、%を除く。)
2019年 2018年
平均 平均
平均残高 受取利息 収益率(%) 平均残高 受取利息 収益率(%)
利付資産
顧客貸付金 4,289,765 221,979 5.17 3,825,123 196,370 5.13
投資 1,335,247 48,902 3.66 1,278,915 48,267 3.77
中央銀行預け金 493,722 7,759 1.57 510,760 7,961 1.56
銀行およびその他金融
機関に対する預け金お
よび債権 570,995 14,354 2.51 630,169 18,313 2.91
合計 6,689,729 292,994 4.38 6,244,967 270,911 4.34
平均 平均
平均残高 支払利息 費用率(%) 平均残高 支払利息 費用率(%)
有利子負債
顧客預金 4,636,967 73,430 1.58 4,269,523 61,987 1.45
銀行およびその他金融
機関からの預金および
短期借入金 843,293 19,079 2.26 863,041 23,028 2.67
発行債券 504,241 17,631 3.50 340,151 14,530 4.27
中央銀行からの借入金 300,662 9,207 3.06 348,093 10,982 3.15
リース負債 13,605 557 4.09 N/A N/A N/A
合計 6,298,768 119,904 1.90 5,820,808 110,527 1.90
正味受取利息 / 173,090 / / 160,384 /
正味利息スプレッド / / 2.48 / / 2.44
正味利息収益率 / / 2.59 / / 2.57
注:当グループは、2019年1月1日付でIFRS第16号「リース」(以下「新リース基準」という。)の適用を開始した。新リース
基準に従って、当グループは、リース契約(短期リースおよび少額リース契約を除く。)について、リース期間の開始日に
支払われなかったリース料の現在価値に基づいてリース負債を認識し、その後、実効金利法を使用して各期間のリース負債
の支払利息を計算し、それを支払利息として認識した。前年の対応する期間の比較数値は調整されていない。
2019年には、当グループの利付資産の平均収益率は4.38%であり、前年から4ベーシス・ポイント上昇した。有利子
負債の平均費用率は1.90%であり、前年から横這いであった。正味利息スプレッドおよび正味利息収益率は、前年より
それぞれ4ベーシス・ポイントおよび2ベーシス・ポイント上昇して、それぞれ2.48%および2.59%となった。
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下表は、表示期間における当グループの金額および金利の変動による受取利息および支払利息の増減の内訳を示して
いる。金額の変動は、平均残高(日次残高の平均)の変動に基づいて測定され、金利の変動は、平均金利の変動に基づ
いて測定された。金額と金利の双方の変動による受取利息および支払利息の増減は、金額の変動による受取利息および
支払利息の増減に含められている。
(単位:百万人民元)
2019年対2018年
増加/(減少)要因
純増/(減)
金額 金利
利付 資産
顧客貸付金 24,043 1,566 25,609
投資 2,063 (1,428) 635
中央銀行預け金 (268) 66 (202)
銀行およびその他金融機関に対する預け
金および債権 (1,488) (2,471) (3,959)
受取利息の増減 24,350 (2,267) 22,083
有利子負債
顧客預金 5,819 5,624 11,443
銀行およびその他金融機関からの預金お
よび短期借入金 (447) (3,502) (3,949)
発行債券 5,737 (2,636) 3,101
中央銀行からの借入金 (1,452) (323) (1,775)
リース負債 557 - 557
支払利息の増減 10,214 (837) 9,377
正味受取利息の増減 14,136 (1,430) 12,706
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表示期間における当グループの資産および負債の平均残高、受取/支払利息ならびに年間換算平均収益率/費用率を
下表に示す。利付資産および有利子負債の平均残高は、日次残高の平均である。
(単位:百万人民元、%を除く。)
2019年10月-12月 2019年7月-9月
年間換算 年間換算
平均収益率 平均収益率
平均残高 受取利息 (%) 平均残高 受取利息 (%)
利付資産
顧客貸付金 4,462,793 55,710 4.95 4,404,849 57,191 5.15
投資 1,339,480 12,290 3.64 1,351,054 12,366 3.63
中央銀行預け金 503,820 1,973 1.55 502,025 1,979 1.56
銀行およびその他金融機関
に対する預け金および債権 608,711 3,597 2.34 542,496 3,371 2.47
合計 6,914,804 73,570 4.22 6,800,424 74,907 4.37
年間換算 年間換算
平均費用率 平均費用率
平均残高 支払利息 (%) 平均残高 支払利息 (%)
有利子負債
顧客預金 4,816,302 19,800 1.63 4,733,875 19,517 1.64
銀行およびその他金融機関
からの預金および短期借入
金 844,704 4,681 2.20 861,608 4,719 2.17
発行債券 572,873 4,849 3.36 549,771 4,605 3.32
中央銀行からの借入金 289,380 2,211 3.03 275,671 2,116 3.05
リース負債 15,776 163 4.10 12,873 133 4.10
合計 6,539,035 31,704 1.92 6,433,798 31,090 1.92
正味受取利息 / 41,866 / / 43,817 /
正味利息スプレッド / / 2.30 / / 2.45
正味利息収益率 / / 2.40 / / 2.56
2019年第4四半期に、当グループの正味利息収益率は、2019年第3四半期から16ベーシス・ポイント低い2.40%とな
り、正味利息スプレッドは、2019年第3四半期から15ベーシス・ポイント低い2.30%となった。利付資産の年間換算平
均収益率は、2019年第3四半期から15ベーシス・ポイント低い4.22%であり、有利子負債の年間換算平均費用率は、
2019年第3四半期から変わらず1.92%であった。
正味非利息収益
2019年、当グループは、前年から9.81%増となる96.698十億人民元の正味非利息収益を計上した。その内訳は以下の
とおりである。
正味受取手数料は、前年から7.54%増加して71.493十億人民元となった。うち、バンクカード手数料収益は、主にバ
ンクカードの取引量が増加して収益増につながったことで、前年から16.88%増加して19.551十億人民元になった。決済
および清算手数料収益は、主に電子決済収益が増加したため、前年から11.93%増加して11.492十億人民元になった。代
理手数料収益は、主に保険契約の代理販売、当行子会社向け有価証券仲介およびその他の代理業務による収益が増加し
たため、同一の統計基準で、前年から4.51%増加して13.681十億人民元になった。信用コミットメントおよび貸付業務
からの手数料は、主にファイナンス・リース手数料収益が減少したため、前年から7.30%減少して6.310十億人民元に
なった。保管およびその他信託業務からの手数料は、同一の統計基準で、前年から0.81%増加して23.560十億人民元に
なった。
その他の正味非利息収益は、前年から16.80%増加して25.205十億人民元となった。うち、投資純利益は、前年から
24.02%増の14.048十億人民元であり、これは主に非標準的手形投資および損益を通じて公正価値評価される投資による
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利益の増加によるものであった。公正価値の変動による純利益は384百万人民元であり、前年から64.80%減少した。こ
れは主に、非標準的手形投資および損益を通じて公正価値評価される投資の評価額の減少によるものであった。その他
の 正味収益は、主にオペレーティング・リース収益が増加したため、前年から34.21%増の5.791十億人民元となった。
事業セグメント別では、リテール金融業務からの正味非利息収益は前年から10.93%増の47.951十億人民元となり、当
グループの正味非利息収益の49.59%を占めた。ホールセール金融業務からの正味非利息収益は前年から11.70%増の
36.052十億人民元となり、当グループの正味非利息収益の37.28%を占めた。その他業務からの正味非利息収益は前年か
ら1.08%増の12.695十億人民元となり、当グループの正味非利息収益の13.13%を占めた。
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(単位:百万人民元)
2019年 2018年
受取手数料 79,047 73,046
バンクカード手数料 19,551 16,727
決済および清算手数料 11,492 10,267
代理手数料 13,681 13,091
信用コミットメントおよび貸付業務からの手数料 6,310 6,807
保管および信託業務からの手数料 23,560 23,370
その他 4,453 2,784
差引:支払手数料 (7,554) (6,566)
正味受取手数料 71,493 66,480
その他の非利息収益 25,205 21,580
その他の正味収益 23,482 20,271
公正価値の変動による純利益 384 1,091
投資純利益 14,048 11,327
外国為替純利益 3,259 3,538
その他の正味営業収益 5,791 4,315
関連会社および合弁事業に対する持分利益 1,723 1,309
正味非利息収益合計 96,698 88,060
注:2019年に、当グループは手数料収益の構成項目の統計基準を調整した。子会社による証券仲介および投資サービスの手数料
収益は「その他」から「代理手数料」に調整され、子会社のファンド管理手数料収益は「その他」から「保管および信託業
務からの手数料」に調整され、前年同期の比較数値にも対応する調整がなされた。
営業費用
2019年、当グループの営業費用は、前年より12.81%増加して91.497十億人民元となった。うち、人件費は前年より
11.76%増加し、その他一般管理費は前年より14.37%増加した。費用収益比率は、前年より1.04パーセンテージ・ポイン
ト上昇して32.08%であった。営業費用の増加は主に、当グループがフィンテック革新を支援するための取組みを強化
し、技術に立脚した能力を高め、デジタルインフラおよび研究開発を担う人材への投資を増加させたためであった。当
グループは、ビジネスモデルを変革および改善し、デジタルによる顧客獲得能力および事業ライン全体のデジタル管理
能力を強化するために、関連する事業分野への投資を拡大した。また、店舗のブランドイメージおよびサービス水準を
高めるために、デジタル店舗のハードウェアおよびソフトウェアのアップグレードに対する投資を増加させた。当行の
費用収益比率は、前年から1.30パーセンテージ・ポイント増の32.53%であった。
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表示期間における当グループの営業費用の主要な構成要素を下表に示す。
(単位:百万人民元)
2019年 2018年
人件費 51,439 46,025
減価償却費、償却費および賃貸料 12,059 10,495
税金および付加税 2,348 2,132
その他一般管理費 25,406 22,214
保険請求引当金 245 244
合計 91,497 81,110
予想信用損失
2019年の当グループの予想信用損失は、前年から0.39%増加して61.066十億人民元となった。
表示期間における当グループの予想信用損失の主な内訳を下表に示す。
(単位:百万人民元)
2019年 2018年
顧客貸付金 54,214 59,252
金融投資 6,481 1,176
銀行およびその他金融機関に対する預け金および債権 (208) (368)
財務保証および貸付コミットメントに関連する予想信用損失 545 374
その他資産 34 395
予想信用損失合計 61,066 60,829
予想信用損失の中で最大の構成要素は、顧客貸付金に対する予想信用損失であった。2019年、当グループの顧客貸付
金に対する予想信用損失は54.214十億人民元であり、前年から8.50%減少した。2019年、当グループは、将来を見据え
た観点から、自己勘定の非標準的企業投資に対する引当金を増額した。貸付金に対する減損引当金に関する詳細につい
ては、下記「貸付金の質の分析」を参照されたい。
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貸借対照表の分析
資産
報告期間末現在、当グループの資産合計は7,417.240十億人民元で、前年末から9.95%増加した。これは主に、当グ
ループの顧客貸付金および債券投資の増加によるものであった。
数値を比較可能とするために、本項「資産」においては、金融商品は引き続き、未収利息を除いた同一の統計基準で
分析されている。ただし、「当グループの資産合計の構成要素」の表では、財政部の要求に従って、実効金利法を用い
て計算された未収利息が含まれている。
表示日現在の当グループの資産合計の構成要素を下表に示す。
(単位:百万人民元、%を除く。)
2019年12月31日現在 2018年12月31日現在
金額 割合(%) 金額 割合(%)
顧客貸付金(総額) 4,500,199 60.67 3,941,844 58.43
(1)
貸付金に対する減損引当金 (222,899) (3.00) (191,895) (2.84)
顧客貸付金(純額) 4,277,300 57.67 3,749,949 55.59
投資証券およびその他金融資産 1,839,440 24.80 1,714,490 25.42
現金、貴金属および中央銀行預け金 571,990 7.71 500,020 7.41
(2)
銀行間取引 522,507 7.04 612,957 9.08
のれん 9,954 0.13 9,954 0.15
(3)
その他資産 196,049 2.65 158,359 2.35
資産合計 7,417,240 100.00 6,745,729 100.00
注:
(1) 期末現在の「貸付金に対する減損引当金」には、償却原価で測定される顧客貸付金の元利金に対する減損引当金が含まれて
いる。341百万人民元の減損損失引当金が、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される顧客貸付金の簿価から差し引か
れなかった。詳細については、「第6-1 財務書類」に掲げる財務書類に対する注記22(a)を参照されたい。
(2) 銀行 およびその他金融機関に対する預け金および債権ならびに売戻契約に基づく保有額を含む。
(3) 有形固定資産、使用権資産、無形資産、投資不動産、繰延税金資産およびその他資産を含む。
顧客貸付金
報告期間末現在の当グループの顧客貸付金の総額は4,490.650十億人民元で、前年末から14.18%増加した。顧客貸付
金の総額が資産合計に占める割合は60.54%で、前年末より2.24パーセンテージ・ポイント上昇した。当グループの顧客
貸付金に関する詳細については、下記「貸付金の質の分析」を参照されたい。
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投資証券およびその他金融資産
当グループの投資証券およびその他金融資産は、上場および非上場の人民元建ておよび外貨建ての金融商品により構
成される。
当グループの投資証券およびその他金融資産の項目別内訳を下表に示す。
(単位:百万人民元、%を除く。)
2019年12月31日現在 2018年12月31日現在
金額 割合(%) 金額 割合(%)
デリバティブ金融資産 24,219 1.33 34,220 2.02
損益を通じて公正価値評価される
(1)
投資 398,276 21.89 330,302 19.48
- 債券投資
123,256 6.77 134,651 7.94
- 非標準的信用資産投資
199,817 10.98 174,845 10.31
(2)
- その他
75,203 4.14 20,806 1.23
償却原価で測定される債券投資 907,472 49.88 903,268 53.28
- 債券投資
778,170 42.77 657,926 38.81
- 非標準的信用資産投資
142,733 7.84 252,884 14.92
- その他
564 0.04 538 0.03
- 差引:減損損失引当金
(13,995) (0.77) (8,080) (0.48)
その他の包括利益を通じて公正価値で
測定される債券投資 472,586 25.97 414,691 24.46
その他の包括利益を通じて公正価値で
指定される持分投資 6,077 0.33 4,015 0.24
関連会社および合弁事業に対する投資 10,784 0.60 8,871 0.52
投資 証券およびその他金融資産合計 1,819,414 100.00 1,695,367 100.00
注:
(1)2019 年度の年次報告書から、当グループは、損益を通じて公正価値評価される投資の未収利息を資産の公正価値に組み入れ
て一括開示し、対応する資産の前年度末現在の比較可能な残高を修正再表示する。
(2) 持分投資、ファンド投資、ウェルスマネジメント商品、貴金属契約のロングポジションなどを含む。
デリバティブ金融商品
報告期間末現在、当グループが保有していたデリバティブ金融商品の主な区分および金額を下表に示す。詳細につい
ては、「第6-1 財務書類」に掲げる財務書類に対する注記60(f)を参照されたい。
(単位:百万人民元)
2019年12月31日現在 2018年12月31日現在
公正価値 公正価値
想定元本 資産 負債 想定元本 資産 負債
金利デリバティブ 4,656,569 10,990 (10,724) 4,382,713 16,150 (14,812)
通貨デリバティブ 1,135,734 12,479 (11,756) 1,605,849 17,630 (21,321)
その他デリバティブ 130,219 750 (720) 116,624 440 (437)
合計 5,922,522 24,219 (23,200) 6,105,186 34,220 (36,570)
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上表は、各貸借対照表の日付現在の当グループのデリバティブの想定元本および公正価値を示している。想定元本と
は、貸借対照表の日付現在、満期が到来していないかまたは完了していない取引の金額のみを表しており、予想最大損
失額を表すものではない。
2019年、人民元の銀行対顧客為替デリバティブの取引量は市場全体で18%近く減少したものの、8月に中央銀行が
ローンプライムレート(LPR)を改革および改善して人民元金利の市場化をさらに進めたことで、市場金利の変動リス
クに対応するためのデリバティブ取引のカスタマイズされたソリューションに対する顧客の需要が高まった。当グルー
プは、為替商品のデリバティブ取引サービスを顧客に継続的に提供する一方で、金利スワップなどの金融市場における
デリバティブ取引の専門性を最大限に発揮し、顧客への新たなデリバティブ取引サービスの提供を模索し、オンライン
取引サービスを提供した結果、ホールセール金融業務の顧客数および取引量が引き続き増加した。
損益を通じて公正価値評価される投資
報告期間末現在、損益を通じて公正価値評価される投資残高は398.276十億人民元であった。債券投資および非標準
的資産投資がその主な項目であった。債券投資は、投資収益を増加させるために債券市場における取引機会を捉えるべ
く、マクロ経済および通貨政策などのファンダメンタルズの分析を通じて行われた。非標準的資産投資(主に非標準的
手形投資であり、当グループの手形資産構成の一部をなす。)については、当グループは、業務上のニーズと為替相場
の動向を踏まえて、手形市場で発生する投資機会を捉えることで投資収益の獲得を目指している。詳細については、
「第6-1 財務書類」に掲げる財務書類に対する注記23(a)を参照されたい。
償却原価で測定される債券投資
報告期間末現在、当グループの償却原価で測定される債券投資残高は907.472十億人民元であった。うち、債券投資
は、主に中国政府および政策銀行が発行した債券に対して行われた。かかる区分の投資は、銀行勘定の金利リスク管理
および流動性リスク管理の必要性に基づき、利益とリスクを考慮しつつ、当グループの資産および負債の戦略的配分の
ために長期保有されてきた。詳細については、「第6-1 財務書類」に掲げる財務書類に対する注記23(b)を参照され
たい。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される債券投資
報告期間末現在、当グループのその他の包括利益を通じて公正価値で測定される債券投資残高は472.586十億人民元
であった。報告期間中に、市場環境の変化の影響を受けて、人民元建て債券市場の金利は著しく変動し、中程度の格付
および高格付の信用債の金利スプレッドが大幅に縮小し、債務不履行事由が増加した。当グループは市場の変化を注視
し、国債、地方債および中・高格付信用債などの比較的高い価値を有する資産の保有額を増やすとともに、資産構成の
最適化および信用リスクの回避を目的とした専門の信用監査チームを配置することで、人民元建て資産ポートフォリオ
の期間を高水準で慎重に維持し、特定の時期に発生する機会を捉え、既存のポートフォリオ構成を適時に調整した。詳
細については、「第6-1 財務書類」に掲げる財務書類に対する注記23(c)を参照されたい。
その他の包括利益を通じて公正価値で指定される持分投資
報告期間末現在、当グループのその他の包括利益を通じて公正価値で指定される持分投資残高は6.077十億人民元で
あった。かかる投資は主に、当グループが支配権、共同支配権または重大な影響力を有さない投資対象に対して当グ
ループが保有する非トレーディング持分投資からなっていた。詳細については、「第6-1 財務書類」に掲げる財務
書類に対する注記23(d)を参照されたい。
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(1)
当グループの債券投資合計の発行者別内訳
(単位:百万人民元)
2019年12月31日現在 2018年12月31日現在
(2)
公的機関 783,189 641,480
政策銀行 316,241 291,271
商業銀行およびその他金融機関 162,341 175,556
(2)
その他 112,241 98,961
債券投資合計 1,374,012 1,207,268
注:
(1)2019 年の損益を通じて公正価値評価される投資の簿価には実効金利法に基づく受取利息が含まれており、2018年末現在の比
較数値はそれに応じて調整されている。
(2) 「公的機関」は、中国の 財政部 、地方政府および中央銀行などを含む。「その他」は主に企業をいう。
関連会社および合弁事業に対する投資
報告期間末現在、当グループの関連会社および合弁事業に対する投資は10.784十億人民元であり、前年末から21.56%
の増加であった。これは主に、合弁事業、すなわちCIGNA&CMB生命保険およびMUCFCの利益の増加によるものであっ
た。報告期間末現在、当グループの関連会社および合弁事業に対する投資にかかる減損引当金残高はゼロであった。詳
細については、「第6-1 財務書類」に掲げる財務書類に対する注記25および26を参照されたい。
のれん
中国の企業会計原則に従い、2019年末に、当グループは招商永隆銀行、CMFMおよびその他の会社の取得により生じた
のれんについて減損テストを実施し、当期について減損引当は不要であると判断した。報告期間末現在、当グループの
のれんの減損引当金残高は579百万人民元であり、のれんの簿価は9.954十億人民元であった。
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負債
報告期間末現在の当グループの負債合計は6,799.533十億人民元であり、前年末から9.63%増加した。これは主に、報
告期間中に顧客預金および発行債券が堅調に増加したためである。
数値を比較可能とするために、本項「負債」においては、金融商品は引き続き、未払利息を除いた同一の統計基準で
分析された。ただし、「当グループの負債合計の構成要素」の表では、財政部の要求に従って、実効金利法を用いて計
算された未払利息が含まれている。
表示日現在の当グループの負債合計の構成要素を下表に示す。
(単位:百万人民元、%を除く。)
2019年12月31日現在 2018年12月31日現在
金額 割合(%) 金額 割合(%)
顧客預金 4,874,981 71.70 4,427,566 71.39
(1)
銀行間取引 784,735 11.54 752,917 12.14
中央銀行からの借入金 359,175 5.28 405,314 6.54
損益を通じて公正価値評価される金融負債および
デリバティブ金融負債 66,634 0.98 80,714 1.30
発行債券 578,191 8.50 424,926 6.85
(2)
その他 135,817 2.00 110,687 1.78
負債合計 6,799,533 100.00 6,202,124 100.00
注:
(1) 銀行およびその他金融機関からの預金および短期借入金ならびに買戻契約に基づく売却額を含む。
(2) 未払給与、未払法人税、契約負債、リース負債、予想債務、繰延税金負債およびその他負債を含む。
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顧客預金
報告期間末現在、当グループの顧客預金合計は4,844.422十億人民元であり、前年度末から10.08%増加した。顧客預
金は当グループの主な資金源であり、当グループの負債合計の71.25%を占めた。
下表は、表示日現在の当グループの顧客預金の商品別および顧客別の内訳を示したものである。
(単位:百万人民元、%を除く。)
2019年12月31日現在 2018年12月31日現在
金額 割合(%) 金額 割合(%)
法人預金
要求払 1,692,068 34.93 1,645,684 37.39
定期 1,346,033 27.79 1,192,037 27.09
小計 3,038,101 62.72 2,837,721 64.48
個人預金
要求払 1,171,221 24.18 1,059,923 24.09
定期 635,100 13.10 503,030 11.43
小計 1,806,321 37.28 1,562,953 35.52
顧客預金合計 4,844,422 100.00 4,400,674 100.00
報告期間末現在、当グル―プの顧客預金合計の年間日次平均残高に占める要求払預金の年間日次平均残高の割合は
57.99%であり、前年から2.65パーセンテージ・ポイント低下した。うち、法人要求払預金の年間日次平均残高は法人預
金の年間日次平均残高の54.10%を占め、これは前年から1.56パーセンテージ・ポイントの低下に相当した。また、個人
要求払預金の年間日次平均残高の割合は個人預金の年間日次平均残高の64.92%を占め、これは前年から5.22パーセン
テージ・ポイントの低下に相当した。
株主資本
報告期間末現在、当グループの株主資本は617.707十億人民元であり、前年末から13.63%増加した。うち、利益剰余
金は、前年末から17.22%増となる321.610十億人民元であった。投資再評価準備金は、主にその他の包括利益を通じて
公正価値で測定される債券投資、持分投資および手形資産の評価額の増加によって、前年末から3.387十億人民元増加
して8.919十億人民元となった。
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貸付金の質の分析
5区分の債権分類による貸付金の内訳
表示日現在における当グループの5区分の債権分類を下表に示す。
(単位:百万人民元、%を除く。)
2019年12月31日現在 2018年12月31日現在
金額 割合(%) 金額 割合(%)
正常 4,385,785 97.67 3,820,100 97.13
要注意 52,590 1.17 59,329 1.51
破綻懸念 15,747 0.35 13,526 0.34
実質破綻 17,383 0.39 25,041 0.64
破綻 19,145 0.42 15,038 0.38
顧客貸付金合計 4,490,650 100.00 3,933,034 100.00
不良債権合計 52,275 1.16 53,605 1.36
注:5区分の債権分類制度においては、当グループの不良債権は、破綻懸念債権、実質破綻債権および破綻債権に分類される。
報告期間中、当グループの5区分の債権分類制度はさらに最適化された。報告期間末現在、当グループの要注意債権
および不良債権の残高および割合はいずれも減少した。具体的には、要注意債権の残高は52.590十億人民元で、前年末
から6.739十億人民元の減少であり、また、要注意債権の割合は1.17%と、前年末から0.34パーセンテージ・ポイント低
下した。また、不良債権残高は52.275十億人民元と、前年末から1.330十億人民元減少し、不良債権比率は1.16%と、前
年末から0.20パーセンテージ・ポイント低下した。
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貸付金および不良債権の商品別内訳
(単位:百万人民元、%を除く。)
2019 年12月31日現在 2018 年12月31日現在
不良債権 不良債権
貸付金 割合 貸付金 割合
(1) (1)
残高 (%) 不良債権 比率 (%) 残高 (%) 不良債権 比率 (%)
法人向け貸付金 1,901,994 42.35 35,070 1.84 1,773,929 45.10 37,758 2.13
運転資本貸付金 854,121 19.02 24,925 2.92 884,660 22.49 25,698 2.90
固定資産貸付金 559,580 12.46 4,491 0.80 470,521 11.97 5,067 1.08
貿易金融 192,750 4.29 819 0.42 157,093 3.99 2,465 1.57
(2)
その他 295,543 6.58 4,835 1.64 261,655 6.65 4,528 1.73
(3)
割引手形 226,040 5.04 19 0.01 149,766 3.81 - -
個人向け貸付金 2,362,616 52.61 17,186 0.73 2,009,339 51.09 15,847 0.79
小規模金融ロー
ン 405,780 9.04 3,284 0.81 350,534 8.91 4,682 1.34
住宅ローン 1,108,148 24.68 2,749 0.25 928,760 23.62 2,610 0.28
クレジットカー
ド ・ローン 671,099 14.94 9,033 1.35 575,490 14.63 6,392 1.11
(4)
その他 177,589 3.95 2,120 1.19 154,555 3.93 2,163 1.40
顧客貸付金合計 4,490,650 100.00 52,275 1.16 3,933,034 100.00 53,605 1.36
注:
(1) 各区分の不良債権の同区分の貸付金総額に対する百分率を表す。
(2) 主に ファイナンス・ リース、M&Aファイナンスおよび法人向け抵当貸付などのその他法人向け貸付金からなる。
(3) 当行では、会計処理の目的上、延滞となった割引手形を法人向け貸付に振り替える。
(4) 「その他」の区分は、主に一般消費ローン、商業住宅ローン、自動車ローン、住宅リフォーム・ローン、教育ローンおよび
金融資産を担保とするその他個人向け貸付金からなる。
2019年、当グループは個人向け貸付業務を積極的に拡大し、自己居住用住宅ローンおよびクレジットカード・ローン
を着実に提供し、民間企業向けの小規模金融ローンを積極的に支援した。その結果、当行の資産の質は安定し、管理可
能なものであった。報告期間末現在、個人向け貸付金が全体に占める割合は1.52パーセンテージ・ポイント上昇して
52.61%となった。また、個人向け貸付の不良債権は、前年末から1.339十億人民元増加して17.186十億人民元となり、
個人向け貸付の不良債権比率は0.73%と、前年末から0.06パーセンテージ・ポイント低下した。うち、クレジットカー
ド・ローンの不良債権比率は、「共同債務」などの外的要因の影響を受け、前年末から0.24パーセンテージ・ポイント
上昇して1.35%になった。
法人向け貸付については、当グループはプロジェクトファイナンス業務および国内貿易金融業務を着実に展開し、そ
の結果、資産の質が安定し、最適化された。報告期間末現在、当グループの法人向け貸付の割合は、2.75パーセンテー
ジ・ポイント低下して42.35%となったが、固定資産貸付金および貿易金融の割合は増加した。当グループの法人向け貸
付金の不良債権比率は1.84%と、前年末から0.29パーセンテージ・ポイント低下した。うち、固定資産貸付金および貿
易金融の不良債権の金額および比率は、ともに減少した。
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貸付金および不良債権の業種別内訳
(単位:百万人民元、%を除く。)
2019 年12月31日現在 2018 年12月31日現在
不良債権 不良債権
貸付金 割合 貸付金 割合
(1) (1)
残高 (%) 不良債権 比率 (%) 残高 (%) 不良債権 比率 (%)
法人向け貸付金 1,901,994 42.35 35,070 1.84 1,773,929 45.10 37,758 2.13
不動産開発 368,377 8.20 1,636 0.44 316,490 8.05 3,263 1.03
輸送・倉庫・
郵便サービス 337,209 7.51 2,475 0.73 287,027 7.30 1,674 0.58
製造業 261,711 5.83 15,943 6.09 282,543 7.18 18,760 6.64
卸売・小売 162,857 3.63 5,202 3.19 170,489 4.33 6,867 4.03
電力・熱供給・
ガス・水道 150,083 3.34 519 0.35 146,662 3.73 827 0.56
リース・
商業サービス 173,369 3.86 3,612 2.08 126,095 3.21 576 0.46
金融 126,706 2.82 229 0.18 114,137 2.90 3 0.00
建設 97,475 2.17 1,270 1.30 90,110 2.29 1,080 1.20
情報通信、ソフ
トウェア・IT
サービス 55,900 1.24 1,034 1.85 70,012 1.78 710 1.01
水保全、環境
および公益事業 58,263 1.30 270 0.46 55,916 1.42 294 0.53
鉱業 39,189 0.87 2,084 5.32 37,545 0.95 3,019 8.04
(2)
その他 70,855 1.58 796 1.12 76,903 1.96 685 0.89
割引手形 226,040 5.04 19 0.01 149,766 3.81 - -
個人向け貸付金 2,362,616 52.61 17,186 0.73 2,009,339 51.09 15,847 0.79
顧客貸付金合計 4,490,650 100.00 52,275 1.16 3,933,034 100.00 53,605 1.36
注:
(1) 各区分の不良債権の 同区分 の 貸付金総額に対する百分率を表す。
(2) 主に農業、林業、畜 産業、漁業、宿泊および飲食、医療、社会福祉などからなる。
2019年、当グループは国家の重点戦略計画を堅持し、実体経済の発展を一貫して支援するために、信用構造の調整を
継続的に深化させ、インフラなどのいわゆる弱点解消分野の大型建設プロジェクトならびに戦略的新興産業、先進的製
造業および現代サービス業に積極的に資源を投入する一方で、不動産業、地方政府の資金調達プラットフォームおよび
国家のマクロ産業政策に沿って当グループが縮小または撤退した産業などの重点分野での与信戦略を動的に調整し、
「ゾンビ企業」などの高リスク顧客ならびに高い負債比率水準および過剰生産能力を有する顧客への融資の削減および
中止を加速させた。報告期間中、マクロ経済の悪化および一部の大口法人顧客の債務不履行などの要因の影響で、リー
ス・商業サービス業、輸送・倉庫・郵便サービス業、情報通信、ソフトウェア・ITサービス業などの一部の業種におい
て不良債権比率の増加が見られた。
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貸付金および不良債権の地域別内訳
(単位:百万人民元、%を除く。)
2019 年12月31日現在 2018 年12月31日現在
不良債権比 不良債権比
(1) (1)
貸付残高 割合(%) 不良債権 率 (%) 貸付残高 割合(%) 不良債権 率 (%)
(2)
本店 740,664 16.49 11,209 1.51 650,128 16.53 6,567 1.01
長江デルタ 903,754 20.13 8,574 0.95 793,637 20.18 10,334 1.30
環渤海 567,997 12.65 7,092 1.25 503,588 12.80 8,708 1.73
珠江デルタおよび台
湾海峡西側 773,445 17.22 7,093 0.92 667,011 16.96 7,009 1.05
中国東北部 151,587 3.38 5,146 3.39 146,198 3.72 5,583 3.82
中国中部 453,128 10.09 3,739 0.83 384,094 9.77 5,005 1.30
中国西部 446,520 9.94 7,321 1.64 380,675 9.68 7,975 2.09
海外 139,341 3.10 276 0.20 123,337 3.13 456 0.37
子会社 314,214 7.00 1,825 0.58 284,366 7.23 1,968 0.69
顧客貸付金合計 4,490,650 100.00 52,275 1.16 3,933,034 100.00 53,605 1.36
注:
(1) 各区分の不良債権の同区分の貸付金総額に対する百分率を表す。
(2) 本店には、クレジットカード・センター、オフショア・ファイナンス・センターおよび本店営業部が含まれる。
地域ごとに経済特性および顧客基盤が異なるため、当グループは、異なる地域に所在する支店および準支店向けに区
分ごとに差別化したリスク監督管理を実施した。リスク集中地域については、当グループは与信基準を選択的に引き上
げ、与信権を動的に調整して、地域のシステミック・リスクの発生防止を目指した。報告期間末現在、中国中部、珠江
デルタおよび台湾海峡西側ならびに中国西部に対する貸付残高の割合が増加した一方で、その他の地域に対する貸付残
高の割合は減少した。一定の大口法人顧客に不良債権が生じ、クレジットカードの不良債権が増加したため、本店の不
良債権比率が前年末から0.50パーセンテージ・ポイント上昇した一方で、その他の地域に対する不良債権比率は前年末
から低下した。
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貸付金および不良債権の担保別内訳
(単位:百万人民元、%を除く。)
2019 年12月31日現在 2018 年12月31日現在
不良債権比 不良債権比
(1) (1)
貸付残高 割合(%) 不良債権 率 (%) 貸付残高 割合(%) 不良債権 率 (%)
無担保貸付 1,535,977 34.20 13,438 0.87 1,320,545 33.57 9,752 0.74
(2)
保証付貸付 636,709 14.18 16,755 2.63 583,242 14.83 20,338 3.49
抵当付貸付 1,859,500 41.40 15,103 0.81 1,653,517 42.04 20,769 1.26
(2)
質権付貸付 232,424 5.18 6,960 2.99 225,964 5.75 2,746 1.22
割引手形 226,040 5.04 19.00 0.01 149,766 3.81 - -
顧客貸付金合計 4,490,650 100.00 52,275 1.16 3,933,034 100.00 53,605 1.36
注:
(1) 各区分の不良債権の同区分の貸付金総額に対する百分率を表す。
(2) 報告期間中に、当グループは国内信用状、国内スタンドバイ信用状および海外スタンドバイ信用状による保証が付された貸
付について、保証の種類を質権付から保証付へと調整し、年初の数値を同一の統計基準で調整した。
報告期間末現在、抵当付貸付および質権付貸付は年初から11.30%増加した。保証付貸付は年初から9.17%増加し、無
担保貸付は前年末から16.31%増加した。一定の大口法人顧客に不良債権が生じたことで、質権付貸付の不良債権比率は
年初から1.77パーセンテージ・ポイント上昇した。無担保貸付の不良債権比率は、前年末から0.13パーセンテージ・ポ
イント上昇したが、保証付貸付および抵当付貸付の不良債権比率はともに低下した。
単一の借入人上位10社に対する貸付金
(単位:百万人民元、%を除く。)
(先進的測定
手法による )
2019 年12月31日
借入人 現在の 純資本に 貸付金合計に
上位10社 業種 貸付残高 占める割合(%) 占める割合(%)
A 輸送・倉庫・郵便サービス 31,100 4.34 0.69
B 不動産開発 16,650 2.33 0.37
C 不動産開発 12,761 1.78 0.28
D 製造業 10,100 1.41 0.22
E 金融 10,000 1.40 0.22
F 輸送・倉庫・郵便サービス 8,070 1.13 0.18
G 金融 7,969 1.11 0.18
H 輸送・倉庫・郵便サービス 7,962 1.11 0.18
I 不動産開発 7,217 1.01 0.16
J 鉱業 6,972 0.97 0.16
合計 118,801 16.59 2.64
報告期間末現在、当グループの最大の単一借入人の貸付金残高は31.100十億人民元で、当グループの先進的測定手法
による純資本の4.34%を占めた。単一の借入人上位10社に対する貸付金残高は合計118.801十億人民元で、当グループの
先進的測定手法による純資本の16.59%、加重法による純資本の17.64%および貸付金残高合計の2.64%を占めた。
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貸付金の延滞期間別内訳
(単位:百万人民元、%を除く。)
2019年12月31日現在 2018年12月31日現在
貸付残高 割合(%) 貸付残高 割合(%)
3ヵ月未満の延滞 18,899 0.42 19,731 0.50
3ヵ月以上1年未満の延滞 20,288 0.45 16,447 0.42
1年以上3年未満の延滞 16,657 0.37 19,130 0.49
3年以上の延滞 7,519 0.17 6,695 0.17
延滞貸付金合計 63,363 1.41 62,003 1.58
顧客貸付金合計 4,490,650 100.00 3,933,034 100.00
報告期間末現在の当グループの延滞貸付金は63.363十億人民元であり、前年末から1.360十億人民元増加し、貸付金
全体に占める割合は、前年末から0.17パーセンテージ・ポイント低下して1.41%となった。延滞貸付金のうち、抵当付
および質権付貸付の割合は36.17%であり、保証付貸付の割合は26.53%であった。無担保貸付の割合は37.30%であり、そ
の大半はクレジットカードの延滞債権であった。当グループは、延滞貸付金について保守的な分類基準を適用してお
り、90日以上の延滞貸付金に対する不良債権の比率は1.18であった。
再編された貸付金
(単位:百万人民元、%を除く。)
2019年12月31日現在 2018年12月31日現在
貸付残高 割合(%) 貸付残高 割合(%)
(注)
再編された貸付金 25,022 0.56 22,766 0.58
うち、90日超延滞している再編され
た貸付金 19,255 0.43 16,218 0.41
注: 再編後の不良債権を表す。
当グループは、貸付金の再編を厳格かつ慎重に統制した。報告期間末現在、当グループの再編された貸付金が貸付金
全体に占める割合は、前年末から0.02パーセンテージ・ポイント減の0.56%であった。
差押資産および減損引当金
報告期間末現在、当グループの差押資産残高(金融商品を除く。)は942百万人民元であった。減損引当金174百万人
民元を控除後の正味簿価は768百万人民元であった。差押金融商品残高は、1.518十億人民元であった。
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貸付金に対する減損引当金の増減
当グループは金融商品に関する新たな会計基準を適用し、マクロ調整を考慮に入れた上で、予想信用損失モデルなら
びに顧客のデフォルト確率およびデフォルト時損失率などのリスク定量化パラメータを利用して信用リスク損失に対す
る十分な引当金を繰り入れた。
下表は、当グループの貸付金に対する減損引当金の増減を示したものである。
(単位:百万人民元)
2019年 2018年
前年末現在の残高 192,000 150,432
金融商品に関する新たな会計基準に基づく期首現
在の調整 N/A 1,088
期首現在残高 192,000 151,520
当期繰入れ/戻入れ 54,214 59,252
( 注)
減損貸付金割引の振戻し (286) (307)
過年度に償却された貸付金の回収額 9,170 7,453
当期償却/処分 (32,201) (26,197)
為替レート変動 200 279
期末現在残高 223,097 192,000
注: 時間の経過に伴う現在価値の増大によって減損貸付について発生する受取利息を表す。
当グループは、安定的かつ保守的な引当方針を引き続き採用した。報告期間末現在、当グループの貸付金に対する減
損引当金残高は223.097十億人民元で、前年末から31.097十億人民元増加した。不良債権引当率は426.78%で、前年末に
比べて68.60パーセンテージ・ポイント上昇した。貸付金に対する引当率は4.97%であり、前年末から0.09パーセンテー
ジ・ポイント上昇した。
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自己資本比率の分析
報告期間末現在、先進的測定手法による当グループの自己資本比率は15.54%であり、前年末から0.14パーセンテー
ジ・ポイント低下した一方で、先進的測定手法による当グループのTier 1自己資本比率およびコアTier 1自己資本比率
はそれぞれ12.69%および11.95%と、前年末からそれぞれ0.07パーセンテージ・ポイントおよび0.17パーセンテージ・ポ
イント上昇した。
(単位:百万人民元、%を除く。)
当期末現在の
前年末からの
当グループ 2019年12月31日 2018年12月31日 増減 (%)
(1)
先進的測定手法 による自己資本比率
コアTier 1自己資本純額 550,339 482,340 14.10
Tier 1自己資本純額 584,436 516,433 13.17
純資本 715,925 641,881 11.54
リスク加重資産(並行実施期間中のフロア要 3,863,760 3,530,424 9.44
件を不適用)
うち:信用リスク加重資産 3,347,515 3,052,636 9.66
市場リスク加重資産 66,514 65,906 0.92
オペレーショナル・リスク加重資 449,731 411,882 9.19
産
リスク加重資産(並行実施期間中のフロア要 4,606,786 4,092,890 12.56
件を適用)
コアTier 1自己資本比率 11.95% 11.78% 0.17パーセンテージ
・ポイント増
Tier 1自己資本比率 12.69% 12.62% 0.07パーセンテージ
・ポイント増
自己資本比率 15.54% 15.68% 0.14パーセンテージ
・ポイント減
(2)
レバレッジ比率に関する情報
オンおよびオフバランスシート資産の調整済 8,604,521 7,812,054 10.14
残高
レバレッジ比率 6.79% 6.61% 0.18パーセンテージ
・ポイント増
注:
(1) 「先進的測定手法」とは、2012年6月7日に旧CBRCが公布した「商業銀行資本管理規則(試行)」に規定された先進的測定
手法を指す(以下も同様である。)。先進的測定手法の要件に従って、当グループの自己資本比率の計算のための事業体の
範囲には、当行およびその子会社が含まれる。当行の自己資本比率の計算のための事業体の範囲には、当行の国内外の支店
および準支店すべてが含まれる。報告期間末現在、自己資本比率の計算のための当グループの子会社には、招商永隆銀行、
CMBIC 、CMBFL、 CMB ウェルスマネジメント およびCMFMが含まれた。 先進的資本測定手法が実施される並行 実施 期間中に、商業
銀行は、資本フロア調整係数を用いて、最低資本所要額および準備資本所要額、資本控除合計額ならびに資本に含まれうる
余剰貸倒損失引当金の和と乗じてリスク加重資産の金額を調整しなければならない。資本フロア調整係数は、並行実施期間
中の1年目には95%、2年目には90%および3年目以降は80%とされる。2019年は、並行実施期間の開始から5年目である。
(2)2015 年以降は、2015年2月12日に旧CBRCが公布した「商業銀行レバレッジ比率管理規則(改訂)」に基づいてレバレッジ比
率が計算されている。2019年第3四半期末、2019年上半期末および2019年第1四半期末現在の当グループのレバレッジ比率
は、それぞれ 6.62% 、6.43%および6.82%であった。
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報告期間末現在、先進的測定手法による当行の自己資本比率は15.27%であり、前年末から0.25パーセンテージ・ポイ
ント低下した一方で、先進的測定手法による当行のTier 1自己資本比率およびコアTier 1自己資本比率はそれぞれ
12.23%および11.48%と、前年末からそれぞれ0.02パーセンテージ・ポイント減および0.09パーセンテージ・ポイント増
であった。
(単位:百万人民元、%を除く。)
当期末現在の
前年末からの
当行 2019年12月31日 2018年12月31日 増減 (%)
先進的測定手法による自己資本比率
コアTier 1自己資本純額 478,083 420,996 13.56
Tier 1自己資本純額 509,336 452,449 12.57
純資本 635,977 573,466 10.90
リスク加重資産(並行実施期間中のフロア 3,426,517 3,142,192 9.05
要件を不適用)
うち:信用リスク加重資産 2,960,115 2,698,166 9.71
市場リスク加重資産 51,112 60,272 (15.20)
オペレーショナル・リスク加重資 415,290 383,754 8.22
産
リスク加重資産(並行実施期間中のフロア 4,163,903 3,694,893 12.69
要件を適用)
コアTier 1自己資本比率 11.48% 11.39% 0.09パーセンテージ
・ポイント増
Tier 1自己資本比率 12.23% 12.25% 0.02パーセンテージ
・ポイント減
自己資本比率 15.27% 15.52% 0.25パーセンテージ
・ポイント減
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報告期間末現在、加重法による当グループの自己資本比率は13.02%であり、前年末から0.04パーセンテージ・ポイン
ト低下した一方で、加重法による当グループのTier 1自己資本比率およびコアTier 1自己資本比率はそれぞれ11.30%お
よび10.64%と、前年末からそれぞれ0.26パーセンテージ・ポイントおよび0.33パーセンテージ・ポイント上昇した。
(単位:百万人民元、%を除く。)
当期末現在の
前年末からの
当グループ 2019年12月31日 2018年12月31日 増減 (%)
(注)
加重法による自己資本比率
コアTier 1自己資本純額 550,339 482,340 14.10
Tier 1自己資本純額 584,436 516,433 13.17
純資本 673,366 611,025 10.20
リスク加重資産 5,170,500 4,677,967 10.53
コアTier 1自己資本比率 10.64% 10.31% 0.33パーセンテージ
・ポイント増
Tier 1 自己資本比率 11.30% 11.04% 0.26パーセンテージ
・ポイント増
自己資本比率 13.02% 13.06% 0.04パーセンテージ
・ポイント減
注:「加重法」とは、2012年6月7日に旧CBRCが公布した 「商業銀行資本管理規則(試行)」の関連規定に従った、信用 リス
ク については 加重法 、市場リスクについては標準的測定手法、オペレーショナル・リスクについては基礎的指標手法をい
う。 以下も同様である。
報告期間末現在、加重法による当行の自己資本比率は12.53%であり、前年末から0.13パーセンテージ・ポイント低下
した一方で、加重法による当行のTier 1自己資本比率およびコアTier 1自己資本比率はそれぞれ10.75%および10.09%
と、前年末からそれぞれ0.20パーセンテージ・ポイントおよび0.27パーセンテージ・ポイント上昇した。
(単位:百万人民元、%を除く。)
当期末現在の
前年末からの
当行 2019年12月31日 2018年12月31日 増減 (%)
加重法による自己資本比率
コアTier 1自己資本純額 478,083 420,996 13.56
Tier 1自己資本純額 509,336 452,449 12.57
純資本 593,418 542,610 9.36
リスク加重資産 4,737,827 4,286,653 10.53
コアTier 1自己資本比率 10.09% 9.82% 0.27パーセンテージ
・ポイント増
Tier 1 自己資本比率 10.75% 10.55% 0.20パーセンテージ
・ポイント増
自己資本比率 12.53% 12.66% 0.13パーセンテージ
・ポイント減
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信用リスク・エクスポージャー残高
報告期間中に、内部格付手法(以下「IRB手法」という。)に基づく当行の信用リスクは、以下の6種類のリスク・
エクスポージャーに分類された。すなわち、ソブリン、金融機関、企業、個人、株式保有およびその他である。各種リ
スク・エクスポージャーの残高を下表に示す。
(単位:百万人民元)
リスク・エクスポージャーの種類 法人 グループ
IRB手法の対象部分 金融機関 1,447,567 1,447,567
企業 1,943,103 1,943,103
個人 3,028,344 3,028,344
うち:
住宅ローン・エクスポージャー 1,101,367 1,101,367
適格個人向けリボルビング 1,464,643 1,464,643
その他個人向け 462,334 462,334
IRB手法の対象ではない部分 オンバランスシート 2,304,065 2,699,308
オフバランスシート 135,076 148,314
相手方 12,843 21,784
市場リスク資本の測定
当グループは、市場リスク資本の計算のために様々な手法を用いている。具体的には、当行(海外支店を除く。)の
一般的な市場リスク資本の計算には内部モデルに基づく手法を、当行の海外支店および関連会社の一般的な市場リスク
資本ならびに当行およびその関連会社の特定の市場リスク資本の計算には標準的測定手法を用いている。報告期間末現
在、当グループの市場リスク加重資産は66.514十億人民元であり、市場リスク資本所要額は5.321十億人民元であっ
た。うち、内部モデルに基づく手法で計算された一般的な市場リスク資本所要額は2.670十億人民元であり、標準的測
定手法により計算された市場リスク資本所要額は2.651十億人民元であった。
当グループの内部モデルに基づく手法による市場リスク資本は、250日間の市場実績データ、99%の信頼区間および10
日の保有期間に基づく市場リスク価値を用いて計算された。報告期間末現在の当グループの市場リスク価値指標を下表
に示す。
(単位:百万人民元)
報告期間中の 報告期間中の
番号 項目 圧力下にあるリスク価値 一般的リスク価値
1. 平均価値 604 200
2. 最大価値 1,001 278
3. 最小価値 405 133
4. 期末価値 597 161
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セグメント別経営成績
事業セグメント
当グループの主要な事業には、リテール金融業務およびホールセール金融業務が含まれる。表示期間における当グ
ループの各事業セグメントの経営成績の概要を下表に示す。
(単位:百万人民元)
2019年 2018年
事業セグメント別 事業セグメント別
項目 税引前利益 正味営業収益 税引前利益 正味営業収益
リテール金融業務 66,417 144,716 58,263 125,843
ホールセール金融業務 46,431 111,832 39,914 109,295
その他業務 4,284 13,240 8,320 13,306
合計 117,132 269,788 106,497 248,444
報告期間中、当グループのリテール金融業務からの利益の割合は増加した。税引前利益は66.417十億人民元と、前年
から14.00%増加し、また、当グループの税引前利益合計に占める割合は56.70%と、前年から1.99パーセンテージ・ポイ
ント増加した。正味営業収益は前年から15.00%増の144.716十億人民元となり、当グループの正味営業収益に占める割
合は53.64%と、前年から2.99パーセンテージ・ポイント増加した。同時に、リテール金融業務の費用収益比率は、前年
から1.73パーセンテージ・ポイント低下して33.74%になった。
当グループの事業および地域セグメントの詳細については、「第6-1 財務書類」に掲げる財務書類に対する注記
56を参照されたい。
キャッシュ・フローの状況
2019年には、営業活動から4,432百万人民元のキャッシュ・インフローが生じた。2018年には、営業活動から35,721
百万人民元のキャッシュ・アウトフローが生じた。かかる変動は、主に顧客預金ならびに銀行およびその他金融機関に
対する預け金および債権の増加によるものであった。
2019年には、投資活動から70,571百万人民元のキャッシュ・アウトフローが生じた。2018年には、投資活動から
19,718百万人民元のキャッシュ・インフローが生じた。かかる変動は、主に投資の売却手取金の減少によるものであっ
た。
2019年には、財務活動によって110,450百万人民元のキャッシュ・インフローが生じた。2018年には、財務活動から
94,333百万人民元のキャッシュ・インフローが生じた。かかる変動は、主に相対銀行間譲渡性預金証書の発行手取金の
増加によるものであった。
2019年12月31日現在の現金および現金同等物の残高は589,675百万人民元であり、2018年12月31日現在から45,992百
万人民元増加した。
4【経営上の重要な契約等】
当年度中、当行は、当行の事業に重要な影響を及ぼす契約を締結しなかった。
5【研究開発活動】
該当事項なし。
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第4【設備の状況】
1【設備投資等の概要】
「第6-1 財務書類」に掲げる財務書類に対する注記28を参照されたい。
2【主要な設備の状況】
「第2-3 事業の内容」および「第6-1 財務書類」に掲げる財務書類に対する注記28を参照されたい。
3【設備の新設、除却等の計画】
該当事項なし。
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第5【提出会社の状況】
1【株式等の状況】
(1) 【株式の総数等】
①【株式の総数】
(2019年12月31日現在)
(1) (1)
発行済株式総数
授権株数 未発行株式数
(2)
- -
25,544,845,601 株
注:
(1) 中国会社法は、授権株式の制度を定めていない。
(2) A株式20,628,944,429株、H株式4,590,901,172株、国外優先株式50,000,000株および国内優先株式275,000,000株からな
る。
②【発行済株式】
(2019年12月31日現在)
上場金融商品取引所名
記名・無記名の別および
種類 発行数 又は登録認可金融商品 内容
額面・無額面の別
取引業協会名
A株式:上海証券取引所 1株当たり
記名式額面1.00人民元 普通株式 25,219,845,601 株
H株式:香港証券取引所 1個の議決権
国内優先株式 275,000,000 株 上海証券取引所
記名式額面100.00人民元 ( 注)
国外優先株式 50,000,000 株 香港証券取引所
注:優先株式の 株主は通常、当行の株主総会を招集し、当行の株主総会に出席し、または株主総会において議決権を行使する
権利を有さない。ただし、とりわけ所定の期間にわたって優先株式の株主に所定の配当が支払われない場合、ならびに優先
株式に関連する定款の変更、当行の登録資本金の10%超の減少、当行の分割、合併、解散もしくは会社形態の変更、優先株
式の発行ならびに法律、行政規則、部門規則および当行定款に規定されたその他の場合を含む状況においてはこの限りでな
い。
詳細については、「第1-1-(2)提出会社の定款等に規定する制度」および「第6-1 財務書類」に掲げる財務書類に対
する注記46も参照されたい。
(2) 【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当事項なし。
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(3) 【発行済株式総数及び資本金の推移】
A株式
発行済株式総数(株) 資本金(人民元)
年月日 摘要
増減数 残高 増減額 残高
2014年12月31日 20,628,944,429 20,628,944,429
(309,847百万円)
2015年12月31日 20,628,944,429 20,628,944,429
(309,847百万円)
2016年12月31日 20,628,944,429 20,628,944,429
(309,847百万円)
2017年12月31日 20,628,944,429 20,628,944,429
(309,847百万円)
2018年12月31日 20,628,944,429 20,628,944,429
(309,847百万円)
2019年12月31日 20,628,944,429 20,628,944,429
(309,847百万円)
H 株式
発行済株式総数(株) 資本金(人民元)
年月日 摘要
増減数 残高 増減額 残高
2014年12月31日 4,590,901,172 4,590,901,172
(68,955百万円)
2015年12月31日 4,590,901,172 4,590,901,172
(68,955百万円)
2016年12月31日 4,590,901,172 4,590,901,172
(68,955百万円)
2017年12月31日 4,590,901,172 4,590,901,172
(68,955百万円)
2018年12月31日 4,590,901,172 4,590,901,172
(68,955百万円)
2019年12月31日 4,590,901,172 4,590,901,172
(68,955百万円)
優先 株式
発行済株式総数(株) 資本金(人民元)
年月日 摘要
増減数 残高 増減額 残高
2017年10月25日 50,000,000 0 (1)
2017年12月22日 275,000,000 0 (2)
2017年12月31日 325,000,000 0
2018年12月31日 325,000,000 0
2019年12月31日 325,000,000 0
注:
(1) 当行は、1株当たり額面金額100人民元の国外優先株式50,000,000株の非公開発行を行い、かかる株式は2017年10月25日に
発行された。
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(2) 当行は、1株当たり額面金額100人民元の国内優先株式275,000,000株の非公開発行を行い、かかる株式は2017年12月22日に
発行された。
(4) 【所有者別状況】
報告期間末現在、当行の普通株式の株主数は合計263,863人であった。うち、当行A株式の株主は231,096人であり、
当行H株式の株主は32,767人であった。当行A株式の株主および当行H株式の株主のいずれも、取引の一時停止に服す
る者はいない。当行は、それらの株主の所有者別状況に関する情報は保有していない。
報告期間末現在、当行の優先株式の株主(または名義人)の数は合計13人であった。うち、国外優先株式の株主(ま
たは名義人)は1人であり、国内優先株式の株主は12人であった。
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(5) 【大株主の状況】
普通株式
2019年12月31日現在の当行の普通株式の株主上位10位は以下のとおりである。
持分(概算)
氏名 住所 株式数 (%) 株式の種類
HKSCCノミニーズ・リミテッド 香港 4,548,278,354 18.03 H株式
招商局輪船有限公司 中国北京市 3,289,470,337 13.04 A株式
中国遠洋運輸有限公司 中国北京市 1,574,729,111 6.24 A株式
和諧健康保険股份有限公司 中国上海市 1,258,949,171 4.99 A株式
-従来型保険商品
安邦人寿保険股份有限公司 中国北京市 1,258,949,100 4.99 A株式
-保守型投資組合
深圳市晏清投資発展有限公司 中国深圳市 1,258,542,349 4.99 A株式
深圳市招融投資控股有限公司 中国深圳市 1,147,377,415 4.55 A株式
香港中央結算有限公司 香港 1,017,326,161 4.03 A株式
深圳市楚源投資発展有限公司 中国深圳市 944,013,171 3.74 A株式
中国証券金融股份有限公司 中国北京市 754,798,622 2.99 A株式
合計 17,052,433,791 67.62
注:
(1) HKSCC ノミニーズ・ リミテッド が保有する株式は、HKSCCノミニーズ・リミテッドの売買プラットフォーム上で取引される
当行H株式の保有者の口座内の株式の合計数である。香港中央結算有限公司は、株式をノミニー株主の資格において第三者
のために保有するために第三者によって指定された機関であり、投資家が上海・香港 ストック ・コネクトを通じて取得した
当行株式を保有している。
(2)CBIRC の承認に基づき、 安邦人寿保険股份有限公司は、大家人寿保険股份有限公司に社名が変更され、また、その支配株主
は、安邦保険集団股份有限公司から大家保険集団有限責任公司に変更された。株主の口座の名義変更には、中国証券登記結
算有限責任公司上海支店における関連手続きの完了を要する。
(3) 報告期間末現在、上記の株主上位10位のうち、 HKSCC ノミニーズ・リミテッドは香港中央結算有限公司の完全所有子会社で
ある。 招商局輪船有限公司、 深圳市晏清投資発展有限公司、深圳市招融投資控股有限公司および深圳市楚源投資発展有限公
司はすべて、 招商局集団有限公司の子会社である。 和諧健康保険 股份有限公司および大家人寿保険股份有限公司の最終支配
株主は、中国保険保障基金有限責任公司である。当行は、その他の株主間の関係または協調行為については了知していな
い。
(4) 上記のA株式の株主は、証券口座を通じて当行の株式を保有していない。
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優先株式
報告期間末現在の当行の国外優先株式の株主(またはその名義人)上位10位は以下のとおりである。
期末現在
氏名 住所 保有株式数 持分(%)
ザ・バンク・オブ・ニューヨー 英国ロンドン 50,000,000 100
ク・デポジトリー(ノミニーズ)
リミテッド
注:
(1) 優先株式の株主の持分は、当行が維持する優先株式の株主名簿に記載された情報に基づいて計算されている。
(2) 当該優先株式の発行は国外非公開発行であるため、優先株式の株主名簿に記載された情報は、購入者の名義人の情報であ
る。
(3) 当行は、上記の優先株式の株主と普通株式の 上位10位の株主の間の関係または協調行為については了知していない。
(4) 「持分」は、国外優先株式数合計に対する、優先株式の株主が保有する国外優先株式数の割合を表す。
報告期間末現在の当行の国内優先株式の株主上位10位は以下のとおりである。
期末現在
氏名 住所 保有株式数 持分(%)
中国移動通信集団有限公司 中国北京市 106,000,000 38.55
建信信託有限責任公司 中国合肥市 30,000,000 10.91
中銀資産管理有限公司 中国上海市 25,000,000 9.09
中国煙草総公司河南省公司 中国鄭州市 20,000,000 7.27
中国平安財産保険股份有限公司 中国深圳市 20,000,000 7.27
中国光大銀行股份有限公司 中国北京市 19,000,000 6.91
中国煙草総公司四川省公司 中国成都市 15,000,000 5.45
中国煙草総公司安徽省公司 中国合肥市 15,000,000 5.45
中国建設銀行股份有限公司広東省支店 中国広州市 10,000,000 3.64
中国煙草総公司遼寧省公司 中国瀋陽市 5,000,000 1.82
長江養老保険股份有限公司 中国上海市 5,000,000 1.82
華潤深国投信託有限公司 中国深圳市 5,000,000 1.82
注:
(1) 優先株式の株主の持分は、当行が維持する優先株式の株主名簿に記載された情報に基づいて計算されている。
(2) 中国煙草総公司河南省公司、中国煙草総公司四川省公司、中国煙草総公司安徽省公司および中国煙草総公司遼寧省公司は、
いずれも中国煙草総公司の完全所有子会社である。それ以外には、当行は、上記の優先株式の株主間の、または上記の優先
株式の株主と普通株式の 上位10位の株主の間の関係または協調行為については了知していない。
(3) 「持分」は、国内優先株式数合計に対する、優先株式の株主が保有する国内優先株式数の割合を表す。
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2【配当政策】
当行取締役会は、当行の配当支払い(もしあれば)に関する提案を株主総会に提出して承認を求める責任を負う。当
行の経営成績、キャッシュ・フロー、財政状態、自己資本比率、将来の事業の見通し、配当金の支払いに関する法制上
の制約および当行取締役会が該当するとみなすその他要因に基づいて、配当実施の可否と配当金の金額が決定される。
中国会社法および当行の定款に基づき、同種類の株式を保有する当行のすべての株主は、その株式持分に比例して、配
当およびその他分配に対して平等な権利を有する。当行は通常、中国GAAPに基づいて決定された当行の当期純利益であ
る当行の分配可能利益から、以下を控除した上で配当金を支払う。
・累積損失の補填
・法定剰余準備金が当行の登録資本金の50%に達するまで、当行が義務づけられている中国GAAPに基づき決定された
当行の分配可能純利益の、現在は10%に相当する法定剰余準備金への割当て
・積立てを義務づけられている規制一般準備金
・年次株主総会における株主の承認に従った任意剰余準備金への割当て
財政部の規則に従い、当行は原則として、利益分配前に、当行のリスク資産残高の1.5%以上の規制一般準備金を確保
しなければならない。かかる規制一般準備金は当行の準備金の一部を構成する。
現行の法令、自己資本比率に関する規制当局の関連要件、ならびに当行の一般運転資金、事業の発展ならびに大規模
な投資の必要性および合併買収計画に係る要件を満たすことを条件として、当行が年度ごとに分配する現金配当は、原
則として、当該年度について中国の会計基準に従って監査された税引後当期純利益の30%を下回ってはならない。当行
は、中間現金配当を支払うことができる。株主総会における別段の決議がない限り、当行の取締役会は、株主総会にお
いて中間配当分配方針を承認する権限を有する。当行が前会計年度に利益を計上したが取締役会が前会計年度末の後に
現金利益分配を提案しなかった場合、当行は、利益分配を行わない理由および利益剰余金の使途を定期報告書で述べる
ものとし、独立取締役がかかる事項について独立意見を申述するものとする。当行取締役会が、当行の株価が当行の株
式資本の規模に相応でないと考える場合、または取締役会が必要であるとみなす場合には、取締役会は、上記の現金配
当分配方法に従うことを条件として、株式による配当分配計画を提案し、株主総会による審議および承認後にそれを実
施することができる。
特定の年度において分配されなかった分配可能利益は留保され、翌年度以降の分配に利用することができる。ただ
し、通常、当行は分配可能利益のない年度には配当を支払わない。当行の配当の支払いは、株主総会においても承認さ
れなければならない。
2018年について、当行は、1株当たり0.94人民元(税金を含む。)の現金配当を支払った。
2019年については、1株当たり1.20人民元(税金を含む。)の現金配当の宣言を提案した。
「第6-1 財務書類」に掲げる財務書類に対する注記52も参照されたい。
当行のH株式の株主名簿に記載された非居住者の法人株主(HKSCCノミニーズ・リミテッドを含む。)に分配される
配当に係る中国企業所得税の源泉徴収については、「第1-3(1)中国における租税-配当に対する課税」を参照され
たい。
当行は、2016年度年次株主総会、2017年第1回A株式種類株主総会および2017年第1回H株式種類株主総会において
審議され、承認された「国外優先株式の非公開発行計画に関する決議」の関連要件に従って、2019年10月25日に、関連
する分配条件および分配手続きに則って、国外優先株式に係る配当を全額支払った。
当行は、2016年度年次株主総会、2017年第1回A株式種類株主総会および2017年第1回H株式種類株主総会において
審議され、承認された「国内優先株式の非公開発行計画に関する決議」の関連要件に従って、2019年12月18日に、関連
する分配条件および分配手続きに則って、国内優先株式に係る配当を全額支払った。
優先株式に関する配当政策については、「第6-1 財務書類」に掲げる財務書類に対する注記46を参照されたい。
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3【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1) 【コーポレート・ガバナンスの概要】
当行のコーポレート・ガバナンス構造は以下のとおりである。
報告期間中、当行では株主総会が1回(14件の議案が審議され、5件の報告が聴取された。)、取締役会会議が17回
(101件の議案が審議され、11件の報告が聴取または審議された。)、監査役会会議が10回(33件の議案が審議され、
15件の報告書が提出された。)、取締役会専門委員会の会議が35回(123件の議案が審議され、12件の報告書が提出さ
れた。)、監査役会専門委員会の会議が6回(12件の議案が審議された。)および非業務執行取締役会会議が1回(1
件の報告書が提出された。)招集された。また、取締役会が2回、監査役会が4回、それぞれ特別調査を実施した。
徹底した自己検査を実施した結果、 上場企業のコーポレート・ガバナンスを対象とするCSRCの規制文書に定められた
要件について、 当行が報告期間中に認識した コーポレート・ガバナンス慣行の違反はない。
報告期間中に、当行は コーポレート・ガバナンス、情報開示および投資家関係管理に関して資本市場および規制当局
から表彰を受け、主に、「董事会」誌による「金円卓賞」の「 コーポレート・ガバナンス 優秀賞」および「革新的な取
締役会秘書役最優秀賞」、リーグ・オブ・アメリカン・コミュニケーションズ・プロフェッショナルズLLCが選定した
「世界年次報告書金賞」、上海証券取引所による情報開示の年次評価で最高レベルの「A」、米国の「Institutional
Investor」誌が選定したアジアの上場銀行に対する 「最も尊敬に値するアジア企業」、「最優秀CEO」、「最優秀
CFO」、 「最優秀コーポレートガバナンス」、「最優秀投資家関係管理企業」、 「最優秀環境保護および社会的責任企
業」および「最優秀投資家関係管理専門家」 の各賞ならびに xueqiu.comが主催した「2019年に最も影響力のある上場会
社」を含む数々の賞を受賞した。
取締役会
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取締役会は当行の独立した政策決定機関であり、株主総会決議を執行し、当行の主要な指針および政策(発展戦略、
リスク選好、内部統制および内部監査制度ならびに報酬規則を含む。)を策定し、当行の業務計画、投資および資金調
達案を決定し、年度予算、決算および利益処分計画を作成し、上級役員を任命および評価することに責任を負う。当行
は、 取締役会の主導のもとで総裁が全面的に責任を負う制度を採用している。当行の上級管理チームは、その運営にお
いて裁量権を有しており、取締役会による授権の範囲内で日常業務および経営に関する決定を行う。取締役会は、当行
の日常業務および経営における特定の事項には干渉しない。
当行の取締役会は、多岐に亘った管理構造の構築を通じて科学的かつ合理的な意思決定を促進しており、専門委員会
の効果的な運営を推進することで意思決定および業務効率を引き続き改善している。取締役会は重要な問題、方向性お
よび戦略に焦点を当て、バランスのとれた健全で持続可能な発展という企業理念の強化を継続している。取締役会は、
当行の戦略、リスク、資本、報酬、内部統制および関連当事者取引などの効果的な管理を通じて、当行が質、効率およ
び規模の面において動的でバランスの取れた発展を遂げ、それによって当行が経営管理能力を高めるための確固たる基
盤を提供することを確保している。
2020年5月30日現在、当行は17名の取締役を有しており、うち8名は非業務執行取締役、3名は業務執行取締役およ
び6名は独立非業務執行取締役であった。非業務執行取締役は8名全員が国有の大企業出身であり、かかる国有企業に
おいて取締役会会長、総経理、副総経理または最高財務責任者などの主要な地位に就いており、企業経営、財務および
会計分野において豊富な経験を有している。業務執行取締役3名は金融管理に長年にわたって従事しており、専門的な
経験を広く有している。独立非業務執行取締役6名の中には、財務会計における著名な専門家、国際的視野を有する金
融専門家、大学教授および投資銀行家がおり、全員が国内外の銀行業界の発展に関する深い知識を有している。香港出
身の独立非業務執行取締役2名は、国際会計基準および香港の資本市場の要件に精通している。当行には1名の女性の
取締役がおり、他の取締役とともに、各自の分野において当行に専門的意見を提供している。当行の取締役会の構成が
多様であることから、当行は広範な視点および高度に専門的な経験を得られ、また、取締役会が重要な問題を調査およ
び検討するに当たって独立した判断や科学的な決定を効果的に行うことができる高い独立性が維持されている。
当行は取締役の多様性を重視しており、当行の指名委員会が 年1回以上、当行の事業活動状況、資産規模および株式
保有構造に従って取締役会の構造、取締役の人数および構成(技能、知識および経験を含む。)を検討し、当行の戦略
に沿って変更を企図する場合には取締役会に提案を行わなければならないという方針を定めている。
報告期間中、当行の取締役会は合計17回の会議を開催し、取締役会専門委員会は合計35回の会議を開催した。
独立非業務執行取締役による職務の遂行
当行の取締役会は6名の独立非業務執行取締役を有しており、取締役全体の3分の1以上を独立取締役とすることを
求める要件に合致している。独立非業務執行取締役の資格、人数および割合は、CBIRC、CSRC、上海証券取引所および
香港証券取引所の上場規則(以下「香港上場規則」という。)の要件を遵守している。当行の独立非業務執行取締役は
6名とも、その独立性に疑義を生じさせるような香港上場規則に規定された状況には関わっていない。当行は各独立非
業務執行取締役から、香港上場規則に従って作成された独立非業務執行取締役の独立性の年次確認書を受領している。
そのため、当行は、すべての独立非業務執行取締役が香港上場規則に規定された独立性の要件を充たしていると考えて
いる。取締役会の指名委員会、報酬・評価委員会、監査委員会および関連当事者取引管理・消費者権利保護委員会の委
員の過半数は独立非業務執行取締役であり、かかる委員会すべての委員長は独立非業務執行取締役である。報告期間
中、6名の独立非業務執行取締役は、会議、現地訪問、調査研究および会合への本人による出席をもって当行と継続的
に意思疎通を行った。また、取締役会および各専門委員会の会議に出席し、積極的に意見を表明し、提案を行い、少数
株主の利益や要請に対応することで、独立非業務執行取締役としての役割を有効に果たした。
取締役会専門委員会
当行の取締役会の下に、6つの専門委員会(すなわち、戦略委員会、指名委員会、報酬・評価委員会、リスク・資本
管理委員会、監査委員会および関連当事者取引管理・消費者権利保護委員会)が設置されている。
2019年、すべての取締役会専門委員会は、法令を遵守しつつ独立かつ効果的に職務を果たした。2019年に、かかる専
門委員会は合計35回の会議を開催し、135件の重要な問題(戦略の実施および評価、フィンテック、利益処分、年度予
算計画および決算、報酬および評価、資本管理計画、包括的リスク管理および内部統制を含む。)を審議検討し、その
監査意見および助言を議事録の提出および現地会議の開催を通じて取締役会に報告することで、取締役会が科学的な決
定を下すための支援を行う役割を全面的に果たした。
6つの取締役会専門委員会の構成および職務は以下のとおりである。
戦略委員会
戦略委員会は、非業務執行取締役および業務執行取締役からなる。同委員会の委員は、李建紅氏(委員長)、付剛峰
氏および羅勝氏(いずれも非業務執行取締役)および田惠宇氏(業務執行取締役)である。同委員会は、当行の業務お
よび経営目標ならびに中長期発展戦略を策定し、年間経営計画および投資計画の実行を監督し、検討することに主に責
任を負う。
同委員会の主たる権限および職務は以下のとおりである。
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1.当行の業務目標および中長期の発展戦略を策定し、戦略上のリスクを全般的に評価すること
2.重要な投資および資金調達計画を検討し、取締役会に提案すること
3.年間経営計画および投資計画の実施を監督および検討すること
4.取締役会決議の実施を評価および監視すること
5.取締役会で議論および決定される重要事項につき提案を行うこと
6.取締役会が授権するその他一切の職務を実行すること
指名委員会
指名委員会の委員の過半数は独立非業務執行取締役であり、独立非業務執行取締役が委員長を務めていた。同委員会
の委員には、王仕雄氏(委員長)、李孟剛氏および劉俏氏(いずれも独立非業務執行取締役)、李建紅氏(非業務執行
取締役)ならびに田惠宇氏(業務執行取締役)が含まれている。同委員会は、当行の取締役および上級役員候補者の選
任基準および手続きを策定し、取締役および上級役員の任命のための資格の予備検証を行い、取締役会に対して提案を
行うことに主に責任を負う。
同委員会の主たる権限および職務は以下のとおりである。
1.当行の事業活動、資産規模および株主構造に応じて、年1回以上、当行の取締役会の構造、規模および構成(取締
役の専門技能、知識および経験を含む。)を見直し、当行の戦略を実行するために当行の取締役会の変更を提案する
こと
2.取締役および上級役員の選任基準および選任手続きを検討し、当行の取締役会に提案すること
3.取締役および上級役員の有資格候補者を求めて広範な調査を行うこと
4.取締役および上級役員の候補者に関する予備審査を行い、取締役会に対して提案を行うこと
5.取締役会が授権するその他一切の職務を実行すること
報酬・評価委員会
報酬・評価委員会の委員の過半数は独立非業務執行取締役であり、独立非業務執行取締役が委員長を務めていた。同
委員会の委員には、李孟剛氏(委員長)、梁錦松氏および劉俏氏(いずれも独立非業務執行取締役)ならびに洪小源氏
および王大雄氏(いずれも非業務執行取締役)が含まれている。同委員会は、主に当行の報酬管理制度および方針を検
討し、取締役および上級役員の報酬案を策定し、取締役会に対して提案を行い、かかる提案の実行を監督することに責
任を負う。
同委員会の主たる権限および職務は以下のとおりである。
1.取締役および上級役員の評価基準を検討し、当行の現状に基づき評価および提案を行うこと
2.当行の取締役および上級役員の報酬方針および報酬案を検討および審議し、取締役会に提案を行い、かかる提案の
実施を監督すること
3.当行全体の報酬管理制度および方針を検討すること
4.取締役会が授権するその他一切の職務を実行すること
リスク・資本管理委員会
リスク・資本管理委員会の委員は、洪小源氏(委員長)、張健氏、王大雄氏、羅勝氏(いずれも非業務執行取締
役)、王良氏(業務執行取締役)および劉俏氏(独立非業務執行取締役)である。同委員会は、当行の様々な重要なリ
スクに関する上級役員によるリスク管理状況を監督し、当行のリスク方針、リスク許容能力および資本管理状況を定期
的に評価し、当行のリスクおよび資本の管理を改善するための提案を行うことに主に責任を負う。
同委員会の主たる権限および職務は以下のとおりである。
1.信用リスク、市場リスク、オペレーショナル・リスク、流動性リスク、戦略リスク、コンプライアンス・リスク、
風評リスク、カントリー・リスクおよびその他リスクに関する当行の上級経営陣によるリスク統制状況を監督するこ
と
2.当行のリスク方針、経営状況、リスク許容能力および資本の状況を定期的に評価すること
3.取締役会による授権に基づき、先進的資本測定手法に基づき関連職務を行うこと
4.当行のリスクおよび資本の管理を改善するための提案を行うこと
5.取締役会による授権に従って、リスク防止業務を手配および指図すること
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有価証券報告書
6.取締役会が授権するその他一切の職務を実行すること
監査委員会
監査委員会の委員の過半数は独立非業務執行取締役であり、独立非業務執行取締役が委員長を務めていた。同委員会
の委員は、田宏