株式会社ホットリンク 有価証券報告書 第21期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)
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提出者 | 株式会社ホットリンク |
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株式会社ホットリンク(E30091)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2020年3月30日
【事業年度】 第21期(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
【会社名】 株式会社ホットリンク
【英訳名】 Hotto Link Inc.
【代表者の役職氏名】 代表取締役 内山 幸樹
【本店の所在の場所】 東京都千代田区富士見一丁目3番11号
【電話番号】 03-6261-6930
【事務連絡者氏名】 執行役員CFO 大塚 義人
【最寄りの連絡場所】 東京都千代田区富士見一丁目3番11号
【電話番号】 03-6261-6930
【事務連絡者氏名】 執行役員CFO 大塚 義人
【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
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第一部 【企業情報】
第1 【企業の概況】
1 【主要な経営指標等の推移】
(1) 連結経営指標等
国際会計基準
回次
第17期 第18期 第19期 第20期 第21期
決算年月 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月
売上高 (千円) 2,439,340 2,187,441 2,583,084 3,241,172 3,695,806
税引前利益又は
(千円) 60,320 △ 671,617 94,457 305,324 △ 1,707,738
税引前損失(△)
親会社の所有者に帰属
する当期利益又は当期 (千円) 18,907 △ 639,959 141,013 111,122 △ 1,634,914
損失(△)
親会社の所有者に帰属
(千円) 42,865 △ 761,743 145,377 198,638 △ 1,844,582
する当期包括利益
親会社の所有者に帰属
(千円) 1,461,814 1,890,451 2,560,229 4,614,818 2,825,985
する持分
総資産額 (千円) 4,745,866 4,329,877 4,591,781 5,815,247 5,385,202
1株当たり親会社所
(円) 147.86 155.71 198.67 300.25 183.70
有者帰属持分
基本的1株当たり当期
利益又は基本的1株当 (円) 1.93 △ 54.40 11.31 7.78 △ 106.35
たり当期損失(△)
希薄化後1株当たり
(円) ― ― 11.19 7.69 -
当期利益
親会社所有者帰属
(%) 30.8 43.7 55.8 79.4 52.5
持分比率
親会社所有者帰属
(%) 1.3 ― 6.3 3.1 -
持分当期利益率
株価収益率 (倍) 287.25 ― 72.06 53.44 -
営業活動による
(千円) 280,384 308,569 470,401 222,408 △ 379,588
キャッシュ・フロー
投資活動による
(千円) △ 3,129,251 △ 405,744 △ 389,976 △ 104,809 △ 538,085
キャッシュ・フロー
財務活動による
(千円) 710,663 429,188 80,340 790,303 648,236
キャッシュ・フロー
現金及び現金同等物
(千円) 611,611 940,971 1,074,751 1,976,005 1,700,469
の期末残高
67 88 87 100 138
従業員数
(外、平均臨時
(人)
( 26 ) ( 24 ) ( 27 ) ( 29 ) ( 29 )
雇用者数)
(注) 1.第17期より国際会計基準(以下、IFRS)に基づいて連結財務諸表を作成しております。
2.売上高には、消費税等は含まれておりません。
3.第17期、第18期及び第21期の希薄化後1株当たり当期利益については、希薄化効果を有している潜在株式が
存在しないため記載しておりません。
4.第18期及び第21期の親会社所有者帰属持分当期利益率及び株価収益率については、当期純損失が計上されて
いるため記載しておりません。
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日本基準
回次
第17期
決算年月 2015年12月
売上高 (千円) 2,439,340
経常損失(△) (千円) △ 138,701
親会社株主に帰属する
(千円) △ 177,041
当期純損失(△)
包括利益 (千円) △ 152,260
純資産額 (千円) 1,229,800
総資産額 (千円) 4,514,231
1株当たり純資産額 (円) 124.13
1株当たり
(円) △ 18.06
当期純損失金額(△)
潜在株式調整後
1株当たり (円) ―
当期純利益金額
自己資本比率 (%) 27.2
自己資本利益率 (%) ―
株価収益率 (倍) ―
営業活動による
(千円) 280,384
キャッシュ・フロー
投資活動による
(千円) △ 3,129,251
キャッシュ・フロー
財務活動による
(千円) 710,663
キャッシュ・フロー
現金及び現金同等物
(千円) 611,611
の期末残高
67
従業員数
(外、平均臨時
(人)
( 26 )
雇用者数)
(注) 1.売上高には、消費税等は含まれておりません。
2.第17期の日本基準による諸数値につきましては、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を
受けておりません。
3.第17期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期
純損失金額であるため記載しておりません。
4.第17期の自己資本利益率及び株価収益率については、当期純損失が計上されているため記載しておりませ
ん。
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(2) 提出会社の経営指標等
回次 第17期 第18期 第19期 第20期 第21期
決算年月 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月
売上高 (千円) 1,067,822 1,092,721 979,056 1,008,799 956,158
経常利益又は
(千円) 1,237 △ 60,030 40,107 △ 143,809 △ 402,104
経常損失(△)
当期純利益又は
(千円) △ 21,274 △ 71,131 21,079 89,057 △ 2,132,807
当期純損失(△)
資本金 (千円) 573,088 1,245,366 1,442,694 2,358,028 2,359,428
発行済株式総数 (株) 9,886,500 12,420,600 13,166,800 15,650,200 15,664,200
純資産額 (千円) 1,356,085 2,491,889 2,902,252 4,853,354 2,723,140
総資産額 (千円) 3,941,793 4,410,186 4,534,506 5,567,890 3,432,783
1株当たり純資産額 (円) 136.91 204.81 225.21 313.72 174.96
1株当たり配当額 ― ― - - -
(円)
(うち1株当たり
( ―) ( ―) ( -) ( -) ( -)
中間配当額)
1株当たり当期純利益
(円) △ 2.17 △ 6.05 1.69 6.24 △ 138.74
又は当期純損失(△)
潜在株式調整後
1株当たり (円) ― ― 1.67 6.16 -
当期純利益金額
自己資本比率 (%) 34.3 56.4 64.0 86.6 78.4
自己資本利益率 (%) ― ― 0.8 2.3 -
株価収益率 (倍) ― ― 482.07 66.68 -
配当性向 (%) ― ― - - -
従業員数 43 53 52 52 62
(外、平均臨時
(人)
( 11 ) ( 5 ) ( 5 ) ( 6 ) ( 6 )
雇用者数)
株主総利回り (%) 49 43 73 37 32
(比較指標:東証マザー
(%) ( 98 ) ( 104 ) ( 135 ) ( 89 ) ( 99 )
ズ指数)
最高株価 (円) 1,357 755 825 1,286 515
最低株価 (円) 479 410 433 365 274
(注) 1.売上高には、消費税等は含まれておりません。
2.第17期、第18期及び第21期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するも
のの1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。
3.第17期、第18期及び第21期の自己資本利益率及び株価収益率については、当期純損失を計上しているため記
載しておりません。
4.最高株価及び最低株価は、東京証券取引所マザーズ市場におけるものであります。
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2 【沿革】
年月 概要
2000年6月
東京都渋谷区代々木にて株式会社ホットリンク(当社)設立
2004年11月
東京都品川区西五反田に本社を移転
2005年11月
株式会社オプト(現:東証1部上場)と業務資本提携
2006年8月
東京都千代田区大手町に本社を移転
2008年3月
株式会社ガーラバズから電通バズリサーチ事業(ソーシャル・ビッグデータの分析)を譲受
2008年7月
ソーシャル・ビッグデータ分析ツール「クチコミ@係長」正式版をリリース
2009年4月
東京都千代田区神田に本社を移転
2009年7月
「クチコミ@係長」に、TV露出データ、ネットニュース記事データ、口コミデータを統合
2010年12月 「Infinity Ventures Summit 2011 Fall in Kyoto」(注)の新サービスコンテストにおいて、
「株ロボット(金融予測サービス)」が1位受賞
2011年6月
「クチコミ@係長」が、「ASP・SaaS・クラウドアワード2011」先進技術賞を受賞
2012年2月 金融予測サービス事業が、株式会社電通国際情報サービスが主催する「金融イノベーションビジ
ネスカンファレンス FIBC2012」にて、初代大賞を受賞
2012年2月
東京都千代田区四番町に本社を移転
2012年5月 ソーシャルリスク・モニタリングサービスとして「e-mining」を提供している株式会社ガーラバ
ズの株式を全株取得し子会社化
2012年5月
「クチコミ@係長」が、「ASP・SaaS・クラウドアワード2012」分野別グランプリを受賞
2012年10月 2ちゃんねるサイトを運営する東京プラス株式会社及び有限会社未来検索ブラジルと2ちゃんね
るサイトの掲載情報に関し独占商用利用許諾契約の締結を得る(個人向けサービスは含まれない)
2012年10月
株式会社ガーラバズを吸収合併
2012年11月
米国Gnipと、日本におけるTwitterデータの独占販売代理権契約を締結
2013年3月
連結子会社の株式会社ホットリンクコンサルティングを設立
2013年12月
東京証券取引所マザーズに株式を上場
2014年6月 米国Effyis社と、アジア・パシフィック地域における中国ソーシャル・ビッグデータの独占販売
代理権契約を締結
2015年1月
米国Effyis社を子会社化
2015年6月 株式会社トレンドExpress(旧 株式会社ホットリンクコンサルティング)、インバウンド消費に特
化した定期レポート「図解トレンドExpress」を提供開始
2015年11月
株式会社ホットリンクコンサルティングを株式会社トレンドExpressに商号変更
2016年6月
中国天津に連結子会社の流行特急网絡技術(天津)有限公司を設立
2016年6月
中国香港に連結子会社のHotto Link Hong Kong Limited を設立
2016年11月
東京都千代田区富士見に本社を移転
2017年12月 株式会社トレンドExpress、越境ECへのトライアルを可能にするサービス「トレンドEKKYO」を提
供開始
2018年4月
株式会社トレンドExpress、越境ECサービス「越境EC X(クロス)」を提供開始
2018年5月
SNSマーケティングツール「BuzzSpreader」正式版をリリース
2018年7月
SNSマーケティング支援サービスを提供開始
2018年11月
東京大学「ブロックチェーンイノベーション寄付講座」に参画
2018年12月 リスクモニタリング領域を当社の連結子会社である株式会社リリーフサインに承継し、株式会社
リリーフサインの発行済株式総数の63%を有限会社エスフロントに譲渡(株式会社リリーフサイ
ンはマスターピース・グループの連結子会社になる)
あわせて、マスターピース・グループ株式会社と業務提携を開始
2019年3月
ブロックチェーンを活用するスポーツテック企業、SAMURAI Security株式会社へ出資
2019年8月
一般社団法人Famieeのファウンディングスポンサーとして活動支援開始
2019年10月
LGBTに関する取り組みの評価指標「PRIDE指標」の 最高位「ゴールド」を受賞
(注) インターネット、モバイル、ソフトウエアなどIT業界の国内外の経営者・経営幹部を対象としたオフサイ
ト・カンファレンス
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3 【事業の内容】
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社ホットリンク)、子会社5社及び関連会社1社により構
成されております。当社及び当社の連結子会社である株式会社トレンドExpress及びEffyis, Inc.の主な事業内容は、
ソーシャルメディアマーケティング支援事業であります。
当社グループの事業内容及び当社の子会社の当該サービスに係る位置付けは次のとおりであります。
(1) SaaS…………………主要な製品はSNS分析ツールの「クチコミ@係長」シリーズであります。
(2) ソリューション……主要なサービスは、SNSマーケティング支援サービス及び各種SNSデータアクセス権の販
売であります。
(3) クロスバウンド……主要なサービスは、中国市場向けのプロモーション支援サービスであります。
[事業系統図]
以上で述べた事項を事業系統図によって示すと以下のとおりであります。
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4 【関係会社の状況】
資本金又は 議決権の所有
主要な事業
名称 住所 出資金 (又は被所有) 関係内容
の内容
(千円) 割合(%)
(連結子会社)
株式会社
中国市場向け
所有
東京都千代田区 436,752 マーケティン -
トレンドExpress
57.3
グ支援事業
(注)1,2
SNSデータア
Effyis,Inc. 所有
米国 ミシガン州 114,173 クセス権販売 役員の兼任1名
(注)2 100.0
事業
その他3社 - - - - -
(持分法適用関連会社)
インターネッ
株式会社 トを利用する 所有
東京都千代田区 7,920 -
リリーフサイン 情報提供サー 34.0
ビス
(注)1.特定子会社であります。
2.株式会社トレンドExpress及びEffyis,Inc.については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連
結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 株式会社トレンドExpress Effyis,Inc.
(1) 売上高 782,085千円 1,414,020千円
(2) 営業損益 △241,724千円 △230,791千円
(3) 当期損益 △211,705千円 △178,439千円
(4) 純資産額 432,088千円 149,039千円
(5) 総資産額 889,221千円 899,948千円
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
セグメント情報を記載していないため、事業部門別の従業員数を示すと次のとおりであります。
2019年12月31日現在
事業部門の名称 従業員数(人)
ソーシャルメディアマーケティング支援事業 109 ( 26 )
全社(共通) 29 ( 3 )
合計 138 ( 29 )
(注) 1.従業員数は就業人員であります。
2.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出
向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材派遣会社からの派遣社員を含む。)は( )内に
年間の平均人員を外数で記載しております。
3.前連結会計年度末に比べ従業員が38名増加しております。主な理由は業容の拡大に伴い期中採用が増加した
ことによるものであります。
(2) 提出会社の状況
2019年12月31日現在
従業員数(人) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(千円)
62 ( 6 ) 36.3 歳 2.6 年 6,285
(注) 1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用
者数(パートタイマー、人材派遣会社からの派遣社員を含む。)は( )内に年間の平均人員を外数で記載して
おります。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3) 労働組合の状況
当社グループの労働組合は、結成されておりませんが、労使関係は安定しております。
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第2 【事業の状況】
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、グループの存在意義として「Make the World ᰀ䠀伀吀吀传 知識循環型社会のインフラを担い、世
界中の人々が“HOTTO(ほっと)”できる世界の実現に貢献する」を掲げています。ソーシャルメディアが利用さ
れ、知恵が社会全体で共有され、企業や個々人のために有効活用されるという、高度な知識循環の社会基盤が構築
される中で、長年培ってきたテキストマイニング・機械学習・AI(人工知能)の基礎研究をもとに、真にAIオリエ
ンテッド(AI志向)な企業としてグローバルな情報社会に貢献することを目指し、「データとAIで意思決定をサ
ポートする」ことをグループの事業ミッションとして定めております。
(2) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
ソーシャルメディアが社会に広く普及したことにより、インターネットに接続する環境さえあれば、誰もが双方
向のリアルタイムコミュニケーションを行える世の中となりました。現代は、企業側から人々への一方的な情報発
信である従来のマスメディアだけではなく、ソーシャルメディアに投稿される様々な「生の声」が人々の購買傾向
に大きな影響を与えております。近年、ソーシャルネットワーキングサービス等を利用している企業・個人の割合
はともに上昇しており、総務省「平成 30 年通信利用動向調査の結果」報道資料によると、企業の活用状況は平成
29年28.9%から平成30年36.7%に、個人の利用状況は同54.7%から60.0%へと年々増加しており、企業のマーケティン
グにおいても重要度は増しております。また世界においても、デジタルマーケティングの市場規模は、2019年は約
36.5兆円、内ソーシャルメディアマーケティングは約11.2兆円、2023年には、それぞれ約46.6兆円、約13.7兆円に
拡大すると推定されております(October 2019、Statista調べ)。当社グループの強みは、これらのインターネッ
トやソーシャルメディアに投稿される様々なテキスト情報、画像や動画、位置情報などのソーシャル・ビッグデー
タをリアルタイムに収集し、人々の発言や行動内容を分析するテクノロジーを、2000年に設立しインターネット検
索分析の創成期から事業として積み上げてきたことであります。この自社の分析テクノロジーをベースとし、拡大
していくソーシャルメディアマーケティング市場において、企業や団体の様々な活動に貢献することによって企業
価値を高めて参ります。
(経営戦略)
当社グループは、ソーシャル・ビッグデータ市場における事業者の役割を、次の3つに分類して捉えておりま
す。ソーシャル・ビッグデータの収集・加工・流通を担う「収集領域」、ソーシャル・ビッグデータの分析ツール
やレポートを企業へ提供する「分析領域」、ソーシャル・ビッグデータによって企業のマーケティングやブラン
ディング等に活用する「活用領域」です。この3つそれぞれの領域において、複数の事業をポートフォリオとして
持ち、有機的に組み合わせ、中期的にはデータと分析テクノロジーを強みとした「活用領域」のマーケティング市
場で事業を拡大していくことをグループの成長戦略としております。それぞれの分類における当社グループの事業
は、次のとおりであります。
「収集領域」:ソリューション事業内 SNSデータアクセス権販売
「分析領域」:SaaS事業
「活用領域」:ソリューション事業内 日本国内のSNSマーケティング支援、クロスバウンド事業
(3)目標とする経営指標
主な成長性・収益性の指標として、売上高、売上成長率及び営業利益率を重視しております。なお、当社は中長
期的な成長を目指して新サービス開発、M&A等の投資を実行しておりますので、短期的には営業利益率が低下す
ることがあります。
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(4)対処すべき課題
当社グループは、業容の拡大及び経営の安定化を図っていくうえで、以下を会社の対処すべき課題と捉えており
ます。
1) グループ全体
・ガバナンスと経営スピードを両立できるグループ経営管理体制の構築
・IR強化による、市場への十分な事業状況の説明
2) SaaS事業
・世界的に進む個人情報保護規制による必要なソーシャルメディアデータの値上がりと、それに伴う利益率の低
下への対策
・参入企業の増加とグローバル化による競争の激化への対応
・売上に寄与する新規商品の開発
3) ソリューション事業
・日本市場向けSNSマーケティング支援サービスの拡大に対応する人材の採用・育成、および生産性向上のための
社内業務の効率化
・SNSデータアクセス権販売における、個人情報保護規制による市場の需要の変化への対策とビジネスチャンス化
4) クロスバウンド事業
・中国市場向けマーケティング支援事業の急速な事業成長に合った体制の進化と強化
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2 【事業等のリスク】
以下において、当社及び当社の連結子会社で構成される当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があ
ると考えられる主な事項を記載しております。また、投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項につい
ては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出
日現在において当社グループが判断したものであり、潜在的リスクや不確定要因はこれらに限られるものではありま
せん。
① ソーシャルメディアデータの法整備について
今般、ソーシャルメディアが益々浸透し、生活者がインターネット上に発信するデータが日々大量に生成される
ようになりました。このような状況において、ソーシャルメディアデータに関する法整備においては、過去二度に
わたる著作権法の改正により、インターネット上の検索サービスを提供する事業者がその検索サービスに必要な情
報を収集する行為が一定の条件下で認められるようになったほか、柔軟性のある権利制限規定が設けられ、著作物
の利用について従来より一定程度の緩和がされるようになりました。しかしながら、今後の新たな法律の制定や既
存の法律の変更により、自主規制が求められるようになる可能性があります。また、EU一般データ保護規則をはじ
めとする諸外国・地域における法令等の制定や変更により、当社グループのビジネスに影響を与え得る事態が生じ
ることも想定されます。このように当社グループのサービスを提供する上での情報収集やサービスの提供の仕方自
体に何らかの制約を受けた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 情報の取得について
当社グループは、ソーシャルメディアから日々大量に生成されるソーシャルメディアデータを有償又は無償にて
情報取得しております。しかしながら、ソーシャルメディアの運営側の方針転換により、情報提供の方針に変更が
加えられた場合、サービスの品質が低下し、また、情報の取得に対して追加コストが発生し、当社グループの事業
及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ システム障害について
当社グループの事業は、サービスの基盤を大規模なコンピュータサーバー群やインターネット通信網に依存して
おります。そのため、顧客へのサービス提供が妨げられるようなシステム障害の発生やサイバー攻撃によるシステ
ムダウン等を回避すべく、稼働状況の監視及びシステムの冗長化、セキュリティー対策等の未然防止策を実施して
おります。しかしながら、このような対応にもかかわらず大規模なシステム障害が発生した場合には、サービスの
提供に支障をきたし、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 投資に関するリスク
当社グループは、更なる成長領域の拡大のために、新たな事業への進出あるいは他企業等への出資その他投資を
行うことがありますが、この投資が所期する効果を得られない可能性、これら投資先企業の経営の悪化あるいは運
用成績の悪化により投資額の価値が著しく下落し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性がありま
す。
⑤ 知的財産権におけるリスク
・当社グループ保有の知的財産権について
当社グループでは「ホットリンク/HOTTO LINK」「Trend Express」「BUZZ SPREADER」「ULSSAS」等の社名及び
サービス名について商標登録を行っております。今後も知的財産権の保全に積極的に取り組む予定ですが、当社グ
ループの知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決までに多くの時間及び費用がかかるなど、当社グループ
の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
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株式会社ホットリンク(E30091)
有価証券報告書
・当社による第三者の知的財産権侵害について
当社グループによる第三者の知的財産権の侵害については、可能な範囲で調査を行い対応しております。しかし
ながら、当社グループの事業領域における第三者の知的財産権を完全に把握することは困難であり、当社グループ
が認識せずに他社の特許を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合には当社グループに対する損害賠償
請求や、ロイヤリティの支払要求等が行われることにより、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能
性があります。
⑥ 人材確保・維持について
当社グループの成長を支えている最大の資産は人材であり、優秀な人材の採用と維持は当社にとって重要な課題
であると認識しております。当社グループでは、優秀な人材の確保と育成については最大限の努力を払っておりま
すが、優秀な人材を確保・育成できない場合、また事業変革に伴うニーズにマッチした人材の補充ができない場
合、当社グループの経営成績や成長に大きな影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 内部管理体制について
当社グループは今後の業容拡大を踏まえ、内部管理体制の強化を進めており、具体的には規程・マニュアルの制
定、監査役監査及び内部監査の実施により、法令やルールを順守する体制の充実を図っております。しかしなが
ら、このような対応にもかかわらず法令等に抵触する事態や不正行為等が発生した場合には、当社グループの事業
及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ M&Aに関するリスク
当社グループは、成長戦略のひとつとして、既存事業の関連分野におけるM&Aを国内外において検討・実施してお
り、これにより企業価値の向上と成長の加速を目指しております。
M&Aの実施に当たっては、事前に収益性や投資回収可能性に関する十分な調査及び検討を行っておりますが、買収後
における事業環境の急変や想定外の事態の発生等により、買収事業が当初の目標どおりに推移せず、場合によって
は当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 配当政策について
当社グループは現在、成長過程にあると認識しており、獲得した資金については優先的にシステム等の設備投
資、又は人材の採用、育成に充てるため、過去においては配当を行っておりませんでした。今後につきましては、
株主に対する利益還元を経営上の重要な課題の一つとして認識し、将来的には中間配当又は期末配当による株主へ
の利益還元を予定しております。しかしながら、重要な事業投資を優先する場合やキャッシュ・フローの状況に
よっては、配当を実施しない、あるいは予定していた配当を減ずる可能性もあります。
⑩ 海外展開等に伴うリスクについて