ビザ・インク(Visa Inc.) 有価証券報告書
提出書類 | 有価証券報告書 |
---|---|
提出日 | |
提出者 | ビザ・インク(Visa Inc.) |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第 24 条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2020 年3月 30 日
【事業年度】 自 2018 年 10 月1日 至 2019 年9月 30 日
【会社名】 ビザ・インク
( Visa Inc. )
【代表者の役職氏名】 ダグラス・スチュワート
ヴァイス・プレジデント兼秘書役補佐
( Douglas Stewart, Vice President and Assistant Secretary )
【本店の所在の場所】 アメリカ合衆国 94128-8999 カリフォルニア州
サンフランシスコ、私書箱 8999
( P.O.Box 8999, San Francisco, CA 94128-8999 U.S.A. )
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 吉井 一浩
【代理人の住所又は所在地】 東京都千代田区大手町一丁目1番1号 大手町パークビルディング
アンダーソン・毛利・友常法律事務所
【電話番号】 03-6775-1000
【事務連絡者氏名】 弁護士 上石 涼太
弁護士 樋口 政隆
【連絡場所】 東京都千代田区大手町一丁目1番1号 大手町パークビルディング
アンダーソン・毛利・友常法律事務所
【電話番号】 03-6775-1367
03-6775-1544
【縦覧に供する場所】 該当なし。
1/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(注1)文脈上他の意味に解すべき場合を除き、本有価証券報告書(以下「本書」という。)において、「ビザ」、「会
社」または「当社」とは、ビザ・インクまたはその子会社を指す。
(注2)本書において、「ドル」、「米ドル」、「 US$ 」または「 $ 」は米国の通貨をいい、「ユーロ」はユーロ圏の通貨
をいい、「円」または「 \ 」は日本の通貨をいう。
(注3)便宜上、本書において円で表示されている金額は、 2020 年3月2日現在の株式会社三菱 UFJ 銀行が提示した対顧
客電信直物売買相場仲値である1米ドル= 107.66 円の為替レートで換算された金額である。
(注4)本書中の表において記載されている計数は四捨五入されているため、合計が計数の総和と一致しない可能性があ
る。
(注5)本書には、 1995 年米国私募証券訴訟改革法で定義する「将来の見通しに関する記述」が記載されており、これ
は、とりわけ、当社の将来の業務、見通し、進展、戦略および当社の事業成長、特定の国々において予定される
当社商品の展開、産業の発展、当社の取得に期待された利益、訴訟事件、調査および訴訟手続に関する予想、株
式買戻しのタイミングおよび金額、流動性の源泉および資金源の十分性、当社のリスク管理プログラムの有効性
ならびに直近の会計基準書が当社の連結財務諸表に与える影響に係る予想に関連している。将来の見通しに関す
る記述は、概して、「考える」、「見積る」、「予想する」、「意図する」、「かもしれない」、「予定す
る」、「可能性がある」、「すべきである」、「するつもりである」、「継続する」および他の類似の表現によ
り識別される。歴史的事実に関する記述を除くすべての記述は、将来の見通しに関する記述になり得るが、あく
まで記述日現在の話をしており、将来のパフォーマンスを保証するものではなく、また多くが当社には制御不能
かつ予測困難な特定のリスク、不確実性およびその他の要因にさらされている。当社は、実際の業績を、「第一
部-第2-3事業の内容」、「第一部-第3-2事業等のリスク」および「第一部-第3-3-(3)-財政状
態および経営成績に関する経営陣の考察および分析」における将来の見通しに関する記述のいずれかに記載され
るまたは示唆される業績から大きく乖離させ得るリスクおよび不確実性について記述している。さらに、当社は
法に基づき義務付けられる場合を除き、新しい情報、将来発生する事由またはその他の結果として、将来の見通
しに関する記述を更新または修正する予定はない。
2/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
第一部【企業情報】
第1【本国における法制等の概要】
1【会社制度等の概要】
(1)【提出会社の属する国・州等における会社制度】
ビザ・インクは、アメリカ合衆国デラウェア州法に基づき設立された。アメリカ合衆国では、民間企業の
設立を対象とする連邦法が銀行等の特殊な例外を除き存在しないため、事業法人はいずれかの州またはコロ
ンビア特別区の法に準拠して設立されている。
デラウェア州法に基づく会社は、会社の株式の所有者である株主とは別個の独立の法人格を有する。デラ
ウェア州法に基づく会社は、その定款の規定するところに従い、一種もしくは数種の株式を発行することが
でき、かかる株式は、一種または数種の普通株式または優先株式(以下に定義される。)およびあらゆるク
ラス株式内の一種もしくは数種のシリーズによって構成される。また、株式の全部または一部について額面
株式または無額面株式とすることができ、全部または一部について議決権株式または無議決権株式とするこ
ともできる。そして、優先株式は、一定率による配当および清算時の残余財産の分配において普通株式に優
先するものとすることができる。通常、デラウェア州法に基づく会社が、資本金を払い込まれた後は、株主
は、自己の行為または行動を理由とするものを除き、同社の負債について責任を負わない。
デラウェア州法に基づく会社は、通常、年次株主総会において株主により選任された取締役会により運営
される。一般的に、会社の事業その他の事項は、取締役会が広範な権限と裁量のもとに管理している。株主
の権限は、通常次の事項を含む。
(a)取締役の選任
(b)定款の変更
(c)合併、結合、解散、整理または資産の全部もしくは実質的に全部の譲渡等、会社の事業に関する重
大な変更の承認
取締役会は、会社の日常業務を遂行する主要な役員を選任する。取締役会は、会社の付属定款の定める時
期に、その定める手続に従って定期的に開催される。
主要な役員の義務は、一般的に当社の 改定再録付属定款(以下「 付属定款 」という。) に規定されてお
り、付属定款は所属する州の州法または定款に反しない形で、取締役会または株主総会によって改正され
る。
(2)【提出会社の定款等に規定する制度】
ビザ・インクの会社制度は、デラウェア州法によって定められるところに加えて、会社の改定再録基本定
款(以下「基本定款」という。)および付属定款にも示されており、一定の事項について現在は以下のとお
り定められている。
(a) 株式に関する情報概要
下記の概要は、当社株式の重要な要項について記載している。この概要は完全なものではなく、デラウェ
ア州法ならびに当社の基本定款および付属定款を参照することを前提としている。
(ⅰ) 授権資本
当社の授権資本の構成は以下のとおりである。
・クラスA普通株式 2,001,622,245,209 株(1株当たり額面 0.0001 米ドル)
・クラスB普通株式 622,245,209 株(1株当たり額面 0.0001 米ドル)
・クラスC普通株式 1,097,165,602 株(1株当たり額面 0.0001 米ドル)
・優先株式 25,000,000 株(1株当たり額面 0.0001 米ドル)(以下「優先株式」という。)。ビザ・
ヨーロッパ・リミテッド( Visa Europe Limited )(以下「ビザ・ヨーロッパ」という。)の取得に
関連して、 2016 年6月 20 日、当該優先株式より以下のシリーズが創設および授権された。
・シリーズA転換条項付参加型優先株式 4,000,000 株(1株当たり額面 0.0001 米ドル)(以下「シ
リーズA優先株式」という。)
・シリーズB転換条項付参加型優先株式 2,480,500 株(1株当たり額面 0.0001 米ドル)(以下「シ
リーズB優先株式」という。)
3/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
・シリーズC転換条項付参加型優先株式 3,157,000 株(1株当たり額面 0.0001 米ドル)(以下「シ
リーズC優先株式」という。)
当社の議決権付株式の議決権の過半数を有する者は、当社の優先株式のすべてのシリーズ(シリーズB
優先株式およびシリーズC優先株式を含む。)、またはクラスA普通株式、クラスB普通株式もしくはク
ラスC普通株式の授権株式数を増加もしくは減少させることができる。ただし、当該優先株式または普通
株式の当該時点における発行済株式数を下回ることはできず、かつ、当該増減にあたっては、いかなる優
先株式または普通株式の保有者による優先株式のシリーズ別または普通株式のクラス別の決議は必要とさ
れない。
(ⅱ) 普通株式の内容
議決権
クラスA普通株式の各株主は、当人が名義上保有するクラスA普通株式1株当たり1票の議決権を有
し、当該議決権の対象は当社の株主が通常議決に参加できるすべての事項に及ぶ。
クラスB普通株式の各株主とクラスC普通株式の各株主は、株主が通常議決に参加できる事項について
かかる株主が株主名簿上保有する(規定どおり。)クラスB普通株式またはクラスC普通株式に係る議決
権を持たない。ただし、他の法律で定められた一定の事項に関する議決権に加え、クラスB普通株式また
はクラスC普通株式が発行済みである限りにおいて、次のとおりとする。
・新設合併、吸収合併、企業結合その他の取引で、同取引においてクラスA普通株式の株式が他の株式
もしくは有価証券、または現金その他の財産を受領できる権利と交換されるか、それらに転換される
か、またはそれらに変更されるものの承認については、クラスB普通株式およびクラスC普通株式の
過半数議決権(次に説明するとおり「転換後基準」とする。)の保有者が単一のクラスとして当社株
式の他のすべてのクラスまたはシリーズとは別に合同で賛成票を投じることを必要とする(当該決議
にはクラスA普通株式の株主は参加しない。)。ただし、クラスB普通株式およびクラスC普通株式
が、同じ交換、または変更の対象となり、かつ1株当たりの株式、有価証券、現金もしくは他の財産
(実際に適用があるものに限る。)の価額が、クラスA普通株式1株の交換、転換または変更時の価
額と等しい場合はこの限りではない。
・当社事業の中核をなす決済事業からの撤退(すなわち、消費者向けデビット/クレジット決済事業の
運営を以後行わないこと。)については、すべてのクラスとシリーズの普通株式の議決権を 80 %以上
保有する保有者が単一のクラスとして当社株式の他のすべてのクラスまたはシリーズとは別に合同で
賛成票を投じることを必要とする。
転換
クラスB普通株式およびクラスC普通株式のクラスA普通株式への転換
発行済クラスB普通株式またはクラスC普通株式の中に、 2007 年 10 月3日の直後に、普通株式のうち地
域別クラス株式の実質株主に該当しないもしくはしなかった者、またはビザ USA ・インク( Visa U.S.A.
Inc. ) (以下「ビザ USA 」という。) 、ビザ・ヨーロッパ、ビザ・カナダ ・コーポレーション ( Visa
Canada Corporation ) (以下「ビザ・カナダ」という。) のメンバーもしくはそれらの関係者(当社はこ
れを「ビザ・メンバー」と称する。)に該当しないもしくはしなかった者に対して移転された株式があっ
た場合、当該株式は、移転の直前に、当該移転時の転換率に基づいてクラスA普通株式に自動的に転換さ
れるものとし当社またはクラスB普通株式もしくはクラスC普通株式の株主の決議を必要としない。ただ
し、譲渡の日に、以下の各号のいずれかに関連しない限り、いかなる場合も、クラスB普通株式またはク
ラスC普通株式はクラスA普通株式に転換されない。(ⅰ)クラスA普通株式が上場される証券取引所に
おける、 1933 年証券法(その後の改正を含む。)に基づくルール 144 (g)に定義される「ブローカー取
引」による当該株式の売却、または(ⅱ)ビザ・メンバーもしくはビザ・メンバーの関係者のいずれにも
該当しない者に対する当該株式の私募発行。また、基本定款に定める当該株式に適用されるすべての譲渡
制限が解除されるまでかかる転換は実施されない。かかる転換後のクラスB普通株式およびクラスC普通
株式は未償還株式ではなくなり、爾後、当社は当該株式を発行することはできない。クラスB普通株式お
よびクラスC普通株式のクラスA普通株式への転換は譲渡に際してのみ行うことができるのであって、ク
ラスB普通株式またはクラスC普通株式の株主はいつでも当該株式のクラスA普通株式への転換を自ら行
いまたは当社に転換を要求する権利を有さないことをここに明記する。
クラスA普通株式のクラスC普通株式への転換
2008 年3月 25 日以後に、ビザ・メンバーまたは同様の者がクラスA普通株式を取得した場合、当該各株
式はクラスC普通株式1株に自動的に転換され、当社またはクラスA普通株式の株主の決議を必要としな
い。しかしながら、上記の自動的な転換は、ビザ・メンバーが取得したクラスA普通株式のうち、当該ビ
ザ・メンバーが投資家本人としてその勘定にて取得したもの(または投資家本人として行為する当該ビ
ザ・メンバーの関係者の勘定にて取得したもの)以外の株式に関しては適用されないものとする。上記を
4/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
制限することなく、上記の自動的な転換は、クラスA普通株式のうち、ビザ・メンバー、類似の者もしく
はそれぞれの関係者が、自らの仲介業務、値付け業務、保管業務、投資運用業務もしくは類似業務に関連
し て取得もしくは保有する株式、またはビザ・メンバー、類似の者もしくはそれぞれの関係者が管理する
投資ファンドが取得した株式には適用されないものとする。上述のように転換されたクラスA普通株式は
すべて未償還株式ではなくなり、爾後、当社は当該株式を発行することはできない。
適用転換比率
適用転換比率は以下のとおりとする。
(Ⅰ) クラスC普通株式については、1株につきクラスA普通株式 1.00 株とし、基本定款に定めると
おり適宜調整を加える。
(Ⅱ) クラスB普通株式については、1株につき、(x) 2008 年3月 25 日から対象訴訟(基本定款に
定義する。)の結審までの間は、 1.00 ×(A-B-D)相当のクラスA普通株式数、(y)対
象訴訟の結審および 2008 年3月 25 日の後は、 1.00 ×(A-B-D+C)相当のクラスA普通株
式数とする。
(A)= 1.6228
(B)= 基本定款に従って随時発行されるクラスA普通株式の株式数(収益は対象訴訟に係
る債務の返済に充当されることが予定されており、取締役会が当該株式を「損失補
填株式」に指定したもので、「損失補填株式」と呼ばれているもの)を分子とし、
245,513,385 (当社ではこれをクラスB数値という。)を分母とする分数。
(C)= 対象訴訟の結審後に対象訴訟に係る和解または判決に伴う支払金に充当するために
設定されたエスクロー口座から当社に支払われる資金(損失分担契約に関連する一
定の租税の分配および払い戻しを除く。)を、 0.01 米ドルまたは対象訴訟の結審日
の3取引日前までの 90 日間(取引日)のクラスA普通株式1株の出来高加重平均価
格のいずれか大きいほうの数値で除した商を分子とし、クラスB数値を分母とする
分数。
(D)= エスクロー契約および基本定款の条項に従い適宜エスクロー口座に預託される
(x)損失補填資金株式相当額(基本定款に定義する。取締役会はこれを「損失補
填資金」として指定し、損失補填資金と呼ばれている。)を分子とし、(y)クラ
スB数値を分母とする分数。
適用転換比率は、すべてのクラスの普通株式の再分類、分割および再分割について 、基本定款に定める
とおり適宜 通常行われる調整の対象となる。
新株引受権
原則として、当社普通株式の株主は、当社株式については、そのクラスまたはシリーズを問わず、新株
引受権を持たない。ただし、当社取締役会が採択した特定のシリーズの株式発行を定める決議、または当
社と当社株主との間の契約に定めがある場合はこの限りではない。現在、当社取締役会の決議をもって、
または当社株主との契約を通じて新株引受権の付与を行う計画はない。
端株
いずれのクラスの普通株式を他のクラスの普通株式に転換する場合、またはいずれの普通株式を償還す
る場合においても、転換先の普通株式について端株の発行は行わない。端株の代わりに、当社は当該端株
に、場合に応じて、当該株式の転換先となるクラスの普通株式の転換日現在の1株当たりの公正市場価
額、または償還される当該クラスの普通株式の償還日現在の1株当たりの公正市場価額(当社の取締役会
が誠実にかつその単独の裁量にて決定したか、同取締役会が設けた手続に従って決定された金額とす
る。)を乗じた金額を現金にて支払うものとする。同じ株主がいずれかのクラスの普通株式を一度に複数
転換または償還した場合、転換時に発行される株式数は当該株主が当該時点で転換または償還した普通株
式の総数に基づいて算出する。基本定款に基づく償還の際のクラスB普通株式およびクラスC普通株式の
公正市場価額の決定については(当該目的に限る。)、クラスB普通株式およびクラスC普通株式はそれ
ぞれ該当する償還の直前の適用転換比率に基づいてクラスA普通株式に転換されたものとみなす。
配当および 分配権
デラウェア州一般会社法(以下「 DGCL 」という。)および基本定款に含まれる制限、ならびに発行済み
のいずれのシリーズの優先株式、または配当の支払に関して普通株式に優先する権利もしくは普通株式と
共に参加できる権利を備えた株式のクラスもしくはシリーズの株主の権利に含まれる制限に服したうえ
5/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
で、クラスA普通株式、クラスB普通株式およびクラスC普通株式の株主は、普通株式に基づき支払われ
る配当もしくは分配につき、比率に応じて(クラスB普通株式またはクラスC普通株式の株主の場合は、
下 記のとおり、転換後の株数に基づき)その分配を受け取ることができる。配当もしくは分配の宣言およ
び支払は、普通株式のどのクラスもしくはシリーズに基づいて行うかを問わず、普通株式の他のすべての
クラスおよびシリーズに基づく同等の配当の宣言および支払が同時に行われない限り行えないものとす
る。
残余財産分配 請求権
当社の自発的または非自発的な清算、解散または整理の場合、当社普通株式の株主は、当社の負債その
他の債務の支払後に株主に対して分配が可能となった純資産につき、比率に応じて(転換後の株数に基づ
き)その分配を受け取ることができる。ただし、発行された優先株式があれば、これに劣後する。当社の
すべてもしくは実質的にすべての財産もしくは資産の自発的な売却、譲渡、または現金、株式、有価証券
もしくは他の対価による交換もしくは移転、または当社と他社(1社か複数社かを問わない。)との統合
または合併のいずれも、自発的もしくは非自発的な清算、解散または整理としてはみなされないものとす
る。ただし、上記の自発的な売却、譲渡または交換もしくは移転が、当社事業の解散もしくは清算に関連
して行われる場合はこの限りではない。
合併、統合等
当社が、新設合併、吸収合併、企業結合その他の取引で、同取引において普通株式が他の株式もしくは
有価証券、または現金その他の財産を受領できる権利と交換されるか、それらに転換されるか、またはそ
れらに変更されるものを行った場合、当該普通株式の当該交換、転換または変更後の株式、有価証券、現
金もしくは他の財産の1株当たりの価額は、他のクラスの普通株式それぞれの交換、転換または変更時の
価額と等しいものとする(転換後の価額をその根拠とする。)。
「転換後」の 意義
上記「配当および分配権」、「残余財産分配請求権」および「合併、統合等」において、「転換後の」
とは、クラスB普通株式の各株主またはクラスC普通株式の各株主が、(x)配当権の場合は、配当もし
くは分配、(y)残余財産分配請求権の場合は、分配可能な資産、または(z)新設合併、吸収合併、企
業結合その他の取引の場合は、株式、有価証券、もしくは現金その他の財産を、一定の比率に応じて受け
取ることができることを意味する。ただし、いずれの場合も、その根拠となるのは、クラスB普通株式も
しくは(事情に応じて)クラスC普通株式(当該株主が実質であるものを指す。)が転換可能な転換先の
クラスA普通株式の株数とし、かつ、当該配当もしくは分配、清算、解散もしくは整理を対象とした投
票、または当該新設合併、吸収合併、企業結合その他の取引の成立を対象とした決議の直前において、ク
ラスB普通株式およびクラスC普通株式の全発行済株式が、当該時点の転換率に応じてクラスA普通株式
に転換されることをその前提とする。
当社クラスC普通株式の移転に適用される転換率は、常に1対1とする(すなわち、クラスC普通株式
1株が、移転時にクラスA普通株式1株に転換されることとなる。)。ただし、株式分割、資本の再構成
および同様の取引があった場合は、その調整を行う。
当社の発行済クラスB普通株式に適用される転換率は、上記「適用転換比率」に記載のとおり、株式分
割、資本の再構成および類似の取引があった場合は、その調整を行う。この転換率は、損失補填株式に指
定されているクラスA普通株式の発行された時点(純収益はエスクロー口座に預託される。)および損失
補填資金がエスクロー口座に預託された時点で自動的に調整される。適用転換比率は対象訴訟の結審時お
よび当該時点でのエスクロー口座の残余の預託金の出金時にも調整される。
対象訴訟がすべて結審した日以降は、エスクロー口座の対象訴訟関連の残余の預託金は当社に出金さ
れ、クラスB普通株式の譲渡の際に適用される転換率はクラスB普通株式の株主に有利になるように自動
的に調整される(すなわち、クラスB普通株式をクラスA普通株式1株に転換するためにはこれより少な
い数しか必要とされない。)。ただし、上述のとおり、当該時点のクラスA普通株式の加重平均取引価格
を考慮に入れた上で、エスクロー口座から当社に出金された総額の範囲内とする。
譲渡制限
対象訴訟は 2011 年3月 25 日に結審せず、いつ結審されるのか正確に見積もることができない。そのため
当社は、クラスB普通株式に係る譲渡制限がいつ終了するのか予測不可能である。当社のクラスC普通株
式の株式は、譲渡制限が解除され、 2011 年2月7日に市場での売却が可能となった。上述の譲渡に関する
制限には以下の例外が適用される。
・当社によるクラスB普通株式の最初の株主への譲渡。
・当社によるいずれの者もしくは組織に対する譲渡、または当該株主による当社への譲渡。
6/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
・クラスB普通株式の、クラスB普通株式を保有する他の株主または当該株主の関係者に対する譲渡。
・クラスB普通株式の任意の株式の、当該株主の関係者に対する譲渡。
・損失分担契約(基本定款に定義する。)の条件に従った普通株式の譲渡。
・ビザ・インターナショナル・サービス・アソシエーション( Visa International Service
Association )(以下「ビザ・インターナショナル」という。)のグループメンバー(ビザ・インター
ナショナルの第2定款細則の定義による。)に該当する者が、当該グループメンバーの株主、構成員
またはその他の持分保有者に対して行うクラスB普通株式の譲渡。ただし、当該譲渡が、適用ある証
券関連法に従って行われており、かつ各譲渡先がグループメンバーの配当もしくは他の分配に対して
持つ資格に応じた一定の比率により、グループメンバーの組織構成文書に従って行われることを条件
とする。
・クラスB普通株式の株主が、当該株主のすべてもしくは実質的にすべての資産を承継する者に対して
行う譲渡。なお、その原因が合併、統合、実質的にすべての資産の売却または他の同様の取引にある
か否かを問わない。
・クラスB普通株式の株主が、ビザブランドを冠した当該株主の商品決済ポートフォリオのすべてもし
くは実質的にすべてを当該株主から取得した者に対して行う譲渡。
・ビザ・インターナショナルのメンバーのうち持分を持たず、プリンシパル・カテゴリーのメンバー資
格を有する者が行う普通株式の譲渡で、その譲渡先が、ビザ・インターナショナルのメンバーでビ
ザ・インターナショナルのメンバー資格を有し、かつ上記の持分を持たないプリンシパル・カテゴ
リーのメンバーのスポンサー支援を受ける者であるもの。
・ビザ・インターナショナルのメンバーのうち持分を持たず、プリンシパル・カテゴリーのメンバー資
格を有する者が行う普通株式の譲渡で、その譲渡先が、発行人としてビザ決済システムに参加し、か
つ当該持分を持たないメンバーのスポンサー支援を受けるか、当該持分を持たないメンバーのスポン
サー支援を受ける准メンバーのスポンサー支援を受けるか、または(当該持分を持たないメンバーが
グループメンバーである場合は)当該持分を持たないメンバーの所属メンバーのスポンサー支援を受
ける者であるもの。
当社取締役会は当社クラスB普通株式の譲渡に関する制限の例外的な取扱いを承認できる。ただし、当
該例外はクラスB普通株式のすべての株主に対して、一定の比率に応じて均等に適用されることをその条
件とし、また、もし当該例外が均等かつ一定の比率に応じた形で適用されない場合は、当該例外は、さら
に当社の独立取締役の少なくとも 75 %の承認も得るものとする。
当社取締役会は、取締役会の過半数の賛成決議をもって、クラスB普通株式の発行済株式の一部につい
て、譲渡制限期間の3年の部分を、当該期間が本来終了すべき日から1年を上限として延長できる。ただ
し、以下をその条件とする。
・当該クラスB普通株式の一部に関する当該延長と同時に、当社取締役会が当該クラスB普通株式の他
の部分に関する譲渡制限期間について、1つ以上の短縮をすでに承認しており、その結果、常に、ク
ラスB普通株式のすべての発行済株式に関する譲渡制限期間の加重平均期間が3年間以内に留まるこ
と。
・当該延長が、当社クラスB普通株式のすべての株主に対して、一定の比率に応じて均等に適用される
こと、また、もし当該延長がクラスB普通株式のすべての株主に対して均等かつ一定の比率に応じた
形で適用されない場合は、当該延長は、さらに当社の独立取締役の少なくとも 75 %の承認も得るこ
と。
(ⅲ) 優先株式の内容
概要
当社は、 25,000,000 株まで優先株式を発行できる権限を与えられている。当社取締役会は、基本定款に
より、これらの株式を1つ以上のシリーズで発行する権限、随時各シリーズに含めることとなる株数を設
定する権限、ならびに当該各シリーズの株式の指定、議決権、優先権および権利ならびにその資格、制限
および制約を決定する権限を与えられており、株主の承認を要さない。優先株式に関する指定証書(以下
「指定証書」という。)に別段の定めがない限り、当社取締役会は、任意のシリーズにつき、その株数の
増減を行うことができる。ただし、当該シリーズの当該時点における発行済株式の株数を下回ることはで
きない。当社取締役会は、普通株式のいずれのクラスもしくはシリーズの権利もしくは特典につき、普通
株式の他のクラスもしくはシリーズとの関係において、これに不利でかつ不相応な影響を及ぼす優先株式
の発行を許諾することはできない。当社取締役会は、クラスB普通株式またはクラスC普通株式への転換
が可能な優先株式の発行を許諾することはできない。
原則として、優先株式の株主はいかなるクラスまたはシリーズの当社新株引受けについても優先権を有
しない。ただし、優先 株式 の指定または当社と当社株主の間の契約に別途の定めのある場合はこの限りで
はない。当社は、現在、株主との契約により新株引受権を付与することは予定していない。
7/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
優先株式の 詳細
シリーズB優先株式およびシリーズC優先株式に関する権利、優先権、特権、制限およびその他の事項
は以下のとおりである。
・ 順位
シリーズB優先株式およびシリーズC優先株式は、残余財産分配後の配当の支払いおよび分配の権利に
ついて、優先劣後もなく、同順位株式と同等である。シリーズB優先株式およびシリーズC優先株式
は、配当の支払いおよび分配の権利については劣後株に優先するが、下記「残余財産分配優先権」およ
び関連する指定証書に別途規定されるクラスA普通株式を除き、普通株式とは優先劣後なく同等である
ものとする。シリーズB優先株式およびシリーズC優先株式は、その条件により残余財産分配後の配当
の支払いおよび分配の権利についてシリーズB優先株式またはシリーズC優先株式(場合による)に明
確に優先する、今後創設される当社の株式の一切のシリーズに劣後し、また、当社のすべての既存およ
び将来の債務およびその他の負債に劣後する。
・ 配当
クラスA普通株式に係る普通現金配当および四半期現金配当が取締役会により決議された場合、取締役
会は同時にシリーズB優先株式およびシリーズC優先株式の各株式についても、それぞれ配当を決議す
るものとし、かかる配当は、(ⅰ)クラスA普通株式の各株式に関して決議および支払が行われる1株
当たりの配当と(ⅱ)クラスA普通株式相当数(当初転換比率 13.952 で、転換により発行可能な潜在的
クラスA普通株式数またはこれに代わって転換により発行可能なシリーズA優先株式の数をいう。)の
積と同額である。
・ 残余財産分配優先権
(a)当社の事業が任意または強制にかかわらず、清算、解散または整理される場合には、当社の負債
およびその他の債務の支払および支払の引当後、株主は、保有されるシリーズB優先株式または
シリーズC優先株式(場合による)の各株式に関し、(ⅰ)第一に、普通株式のいずれかのクラ
スもしくはシリーズまたは劣後株のいずれかのその他のクラスもしくはシリーズの株主に対し、
支払が行われるか資産が分配される前に、シリーズB優先株式またはシリーズC優先株式(場合
による)1株当たり 0.01 米ドル(以下「残余財産分配優先権」という。)に相当する金額ならび
に(ⅱ)第二に、残余財産分配優先権を差し引き、普通株式および同順位株式と同順位で、かつ
普通株式または劣後株にも優先しない条件で、かかる株主が、かかる残余財産分配の直前に、か
かるシリーズB優先株式またはシリーズC優先株式(場合による)およびその他の優先株式の各
株式がクラスA普通株式に転換された場合にかかる残余財産分配の結果として受領できたであろ
う分配と等しい金額を受領する権利が付与される。
(b)残余財産分配において、残余財産分配優先権の支払に充当可能な資産が上記(a ) (ⅰ)に規定さ
れる、シリーズB優先株式またはシリーズC優先株式(場合による)およびシリーズB優先株式
またはシリーズC優先株式(場合による)の残余財産分配権において優先劣後しない当社の株式
のその他のクラスまたはシリーズの株主への優先額全額の支払を許可するに不十分な場合、すべ
ての残余財産は当該時点で発行済みの関連する優先株式および当該時点で発行済みの関連する優
先株式の残余財産分配権において優先劣後しない当社の株式のその他のクラスまたはシリーズの
株主の間で、各々の残余財産分配優先権の合計に応じて、比例按分で分配される。
・ 議決権
(a)適用ある法律により別途義務付けられるかまたは本項に明示的に規定される場合を除き、株主は
一切の議決権を有さず、かかる株主が登録上保有するシリーズB優先株式およびシリーズC優先
株式のそれぞれに関し、当社の株主が投票する権利を有する一切の事項について投票する権利は
一切付与されない。
(b)上記(a)の規定にかかわらず、シリーズB優先株式またはシリーズC優先株式(場合による)
が発行済みかつ未償還である限り、当社の株式のその他のすべてのクラスまたはシリーズとは
別々に単一のクラスとして共同で投票する関連する優先株式の発行済株式の議決権の過半数の株
主による賛成票なくして、当社は、一切の統合、合併、結合またはクラスA普通株式がその他の
株式もしくは有価証券もしくは現金、もしくはその他の財産を受領する権利と交換、またはそれ
らに転換もしくは変更される類似の取引を行わないものとする。ただし、指定証書に規定される
例外を除く。
(c)上記(a)の規定にかかわらず、株主の権利、優先権、特権または議決権に悪影響を及ぼす、指
定証書の規定の一切の変更、修正または撤回(合併、法律の運用またはその他による場合を含
8/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
む。)の承認には、当社の株式のその他のすべてのクラスまたはシリーズとは別々に単一のクラ
スとして共同で投票するシリーズB優先株式またはシリーズC優先株式(場合による)の発行済
株 式の議決権の過半数の株主による賛成票が必要となる。ただし、指定証書に規定される例外を
除く。
(d)本項に従って、株主に議決権が認められる一切の事項について、各株主は1株当たり議決権1個
が与えられる。
・ 譲渡の制限
シリーズB優先株式またはシリーズC優先株式は、以下の場合を除き、譲渡できないものとする。
(a)ビザ・ヨーロッパ取得の対価としてシリーズB優先株式またはシリーズC優先株式を受け取る権
利を有する個人への譲渡、(b)株主からクラスB普通株式またはクラスC普通株式(場合による)を
保有する権利を有する者に対する譲渡、(c)当社から個人への譲渡または株主から当社への譲渡なら
びに(d)株主から(1)直接的もしくは間接的にかかる株主を完全所有する個人、(2)直接的もし
くは間接的にかかる株主に完全所有される個人または(3)直接的もしくは間接的にかかる株主を完全
所有する個人によって直接的もしくは間接的に完全所有される個人に対する譲渡。ただし、指定証書に
規定される例外を除く。
・ 転換調整
シリーズB優先株式およびシリーズC優先株式に関し、転換調整は、(A)潜在的な U.K.&I およびヨー
ロッパカバード・クレームに関連する、シリーズB優先株式またはシリーズC優先株式(場合による)
の形態で保持される補償の金額(米ドル建て)(もしあれば)の減額合計を、(B)発行済みのシリー
ズB優先株式またはシリーズC優先株式(場合による)の株式数で除した商を、(C)クラスA普通株
式の公正市場価格で除した商に一致するものとする。
・ 償還、買戻しまたは再取得された株式;償還
当社によって償還、買戻しまたは再取得されたシリーズB優先株式またはシリーズC優先株式(場合に
よる)は、将来の発行が可能になるよう、承認済み、未発行かつ未設定の状態に戻されるものとする。
当社は、クラスA普通株式相当数をゼロに減少させたうえで、上記「転換調整」に基づく調整の結果で
あるか、関連する指定証書に定められるその他の調整の結果であるかにかかわらず、その選択により、
株主に償還通知を交付して、1株当たり 0.0001 米ドルの償還率でシリーズB優先株式またはシリーズC
優先株式(場合による)のすべて(一部は不可)を償還することができ、その結果、かかる時点の後に
発行済みの関連する優先株式は存在せず、また、かかる株式のすべては、将来の発行が可能になるよ
う、承認済み、未発行かつ未設定の状態に戻されるものとする。
(ⅳ) 株式の 追加 発行に対する制限
当社の基本定款および訴訟管理契約(基本定款に定義する。)は、国際的組織再編合意書(基本定款に
定義する。)により明確に意図されている場合を除き、対象訴訟の結審までの間、当社または当社子会社
のいずれも、(訴訟管理契約に基づく契約上の権利および義務にしたがって行為する。)訴訟委員会の過
半数の委員の事前の書面による同意がない限り、いかなる者にも株式の発行は行えない旨を定めている。
ただし、以下の株式の発行を除く。
・基本定款の日付である 2008 年 12 月 16 日以前に行われる普通株式(または当社子会社の場合は該当する
他の持分)の発行。
・国際的組織再編合意書または当社の組織再編に関連して締結された他の文書に基づき 2008 年 12 月 16 日
より後に行われる普通株式(または当社子会社の場合は該当する他の持分)の発行。この対象株式に
は、損失補填株式および国際的組織再編合意書の条件に基づき発行された普通株式の転換もしくは交
換時に発行された有価証券で、普通株式への転換もしくは普通株式との交換が可能なものが含まれる
(疑義が生じることを避けるため、クラスB普通株式またはクラスC普通株式の転換時に発行される
クラスA普通株式が含まれることをここに明記する。)。
・当社取締役会が承認したオプション・プランまたは他の従業員報奨計画に基づく普通株式(または当
社子会社の場合は該当する他の持分)の発行。オプションまたは転換有価証券が直接的もしくは間接
的に転換された時に発行されるものが含まれる。
・プット・オプションまたはコール・オプション(ビザ・ヨーロッパ・プット・コール・オプション契
約に定義する。)の行使後、オプション行使価格の全額または一部の支払に際して行われる株主代表
者に対する普通株式の発行。
・クラスB普通株式およびクラスC普通株式の株主が保有する普通株式の所有比率の総計を 50 %未満に
減少させるために望ましいと当社取締役会が誠実に判断したクラスA普通株式の募集(新規株式公開
9/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(以下「 IPO 」という。)を含むがこれに限定されない。)につき、これに関連して行われるクラスA
普通株式の発行。
・株式の募集において売却されるクラスA普通株式(当該株式が損失補填株式を構成するものか否かを
問わない。)の発行のうち、その手取金の使途が、当社取締役会の誠実な判断に従って行われる営業
損失その他の特別損失もしくは債務(訴訟もしくは和解に伴う損失を含むがこれに限定されない。)
の資金手当にあるか、または当社取締役会の誠実な判断に従って行われる他の緊急事態への対応にあ
るもの。
・合併もしくは資本の再構成にあたり対価として発行されるか、当社による他社もしくは他社の資産の
取得にあたり対価として発行される普通株式または優先株式(または当社子会社の場合は該当する他
の持分)の発行。
・普通株式または優先株式(または当社子会社の場合は該当する他の持分)の発行のうち、その個々者
の当該株式の累計総数が(当該発行の直後において)それぞれ当社株式のすべてのクラスおよびシ
リーズの発行済株式数の 10 %を超えないもの。ただし、その発行先となる者との関係が、当社取締役
会の誠意ある判断によれば当社にとって重要な戦略上の利益をもたらす可能性がある場合に限る。
・当社取締役会が承認する資金調達取引の一環として行われる普通株式または優先株式(または当社子
会社の場合は該当する他の持分)の発行のうち、当該株式の累計総数が(当該発行の直後において)
当社株式のすべてのクラスおよびシリーズの発行済株式数の3%を超えないもの。ただし、当該有価
証券が当該資金調達取引の重要な構成要素となっていない場合に限る。
・当社の有価証券の保有者全員に対し保有比率に応じて割り当てられる当該有価証券の株式分割または
株式配当に関連して行われる普通株式(または当社子会社の場合は該当する他の持分)の発行。
(ⅴ) 支配権の異動に対する制限
当社の基本定款および付属定款ならびに DGCL の中のいくつかの条項について、その要約を以下に記載す
る。これらの条項は、当社の支配権の異動を遅らせ、繰延べもしくは妨げる効果または取得予定者による
当社株主に対する申込を抑止する効果を持ち得るものである。これは、たとえ当社株主の過半数が当該支
配権の 異動 やその申込により利益を得る可能性がある場合でも起こり得る。以下の要約は完全なものでは
ないため、 米国証券取引委員会(以下「 SEC 」という。) への提出文書および DGCL を参照されたい。
事前通知要件
当社の付属定款は、取締役候補者の任命またはその他の株主総会議題に関連した株主提案に関し、事前
通知手続を設けている。これらの手続は、当該株主提案の通知が、それを諮る総会の前に、当社事務局に
対し書面にて適時に提出されなければならない旨を定めている。この事前通知要件を適時にみたすために
は、一般的に当該通知は、株主総会開催日から起算して 90 日以上 120 日前までに、当社本店において受理
されなければならない。ただし、 100 日前より後に総会日の通知が当社株主に交付されたかまたは事前に
公への開示が行われた場合、株主による適時の通知は総会日の通知が郵送された日または他の方法で公開
された日のうちいずれか早い方の日の 10 日後の営業時間終了時までに受理されなければならない。通知に
は、当社付属定款に規定される一定の情報が記載されなければならない。
臨時株主総会
基本定款および付属定款は、当社取締役会、取締役会議長(もしくは、基本定款の定めに応じて、共同
議長(もしいれば))または最高経営責任者が臨時株主総会の招集を行える旨を定めている。
15 %株式所有制限
当社取締役会の事前の承認がない限り、いかなる者も、次のいずれについても実質的に所有することは
できない。
・当社クラスA普通株式の発行済株式総数または議決権総数の 15 %超。
・クラスA普通株式、およびその時点で発行済みのクラスA以外の普通株式(他の普通株式という。)
のすべての転換を前提として、それらの他の普通株式の合計が、転換ベースでクラスA普通株式の
15 %超を表す他の普通株式。
前述の所有制限にかかわらず、(ⅰ)いかなるビザ・メンバーも、組織再編に際して受領した株式につ
いては、その受領の結果この所有制限の違反を犯したとはみなされず、(ⅱ)ビザ・ヨーロッパのいかな
る譲渡先も、ビザ・ヨーロッパが最初の当該ビザ・ヨーロッパの譲渡先に対して初めてクラスC普通株式
の譲渡を行った直後においては、当該クラスC普通株式の株数を所有した結果この制限の違反を犯したと
はみなされず、(ⅲ)いかなるビザ・メンバーも、普通株式の買戻しその他の当社の行為を理由としてこ
の制限の違反を犯したとはみなされず、(ⅳ)当社クラスA普通株式または他の議決権株式(または当該
10/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
有価証券への転換もしくはそれとの交換が可能な有価証券)につき、それらの株式の募集に参加する引受
人、またはそれらの私募発行にあたり、主要な買手もしくは最初の買手として参加する引受人は、当該株
式 の募集または私募発行の便宜を図るのに必要な範囲で有価証券を実質的に所有することができる。
譲渡が意図的に行われ、かつ当該譲渡が成立した場合に本項の制限違反となる可能性がある場合は、予
定された譲渡先はこの制限を超える株式について一切権利を取得せず、かつ当該超過分の株式につき意図
された譲渡は無効とする。
5%株式所有制限
当社と競合する一般的決済システムの運営者である者、またはその者の子会社は、発行済クラスA普通
株式の合計(他の普通株式がすべてクラスA普通株式に転換されることを前提として。)の5%超を実質
的に所有してはならない。
譲渡が意図的に行われ、かつ当該譲渡が成立した場合に本項の制限違反となる可能性がある場合は、予
定された譲渡先はこの制限を超える株式について一切権利を取得せず、かつ当該超過分の株式につき意図
された譲渡は最初から無効とされる。
定款の改定
特定のクラス別議決権に対する要件に加えて、当社の基本定款は、普通株式の特定の権能、優先権およ
び特別な権利の改定についても、その改定が、単一のクラスとして個別に(他のクラスと一緒でなく。)
決議する、クラスA普通株式、クラスB普通株式およびクラスC普通株式のクラスもしくはシリーズの権
利に不利な影響を及ぼす可能性がある場合は、普通株式の当該クラスの株主が持つ議決権の過半数以上の
承認が必要である旨を定めている。改定についてのこれらの要件により、当社基本定款の買収防止条項の
変更がより困難になっている。当社の基本定款および付属定款は、当社取締役会に対して、株主の関与な
くいつでも付属定款を改定する権限も付与している。ただし、当社株主が採択した当社付属定款の条項を
当社取締役会が改定した場合、当該改定は、株主が当該条項を採択した日から 365 日が経過するまで発効
しない。
優先株式
当社取締役会が優先株式の発行ならびに当該優先株式に関連する議決権、指定、優先権およびその他の
権利の設定を行うため、優先株式の指定および優先株式の発行を行った場合、支配権の異動が遅れまたは
妨げられる可能性がある。
デラウェア州買収等規制条項
当社は、 DGCL 第 203 条の適用対象会社である。特定の例外規定の適用はあるものの、第 203 条は、デラ
ウェア州の公開会社が、その「利害株主」となった者との間で、その者が利害株主となった後3年間、
「企業結合」を行うことを禁じている。ただし、次のいずれかに該当する場合はこの限りではない。
・当該企業結合、または株主が利害株主となった取引につき、当該利害株主がその立場を得る前に当社
取締役会により承認されている場合。
・株主が利害株主になった取引成立の時点で、当該利害株主が、当該取引開始の時点で発行済みであっ
た当社議決権付株式(取締役と従業員を兼任する者が所有する株式、および従業員持株会(加入従業
員が、持株会の条件拘束を受けるその保有株式につき、これを公開買付もしくは株式交換提案に差出
すか否かの判断を内密には行うことができないものに限る。)が所有する株式を除く。)の少なくと
も 85 %を所有していた場合。
・対象者が利害株主となった時点もしくはそれ以降において、企業結合が当社取締役会により承認さ
れ、かつ年次株主総会または臨時株主総会において、当該利害株主が所有しない発行済株式の3分の
2以上の賛成票を得て承認された場合。
「企業結合」には、利害株主の経済的な利益をもたらす合併、資産売却、およびその他の取引が含まれ
る。いくつかの例外はあるものの、原則として「利害株主」とは、当人の関係者および関連会社と合わせ
て、発行済議決権付株式の 15 %以上を当該時点で所有しているか、過去3年以内に所有していたことがあ
る者を指す。
(b)株主総会
株主総会の開催場所
株主総会は、取締役会が指定するデラウェア州内外の場所において開催される。取締役会による指定がな
い場合、株主総会は当社本部において開催される。
11/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
株主総会の通知
株主が、株主総会において措置を講ずることを要求されるか、または認められている場合には、株主に対
し、招集通知が送付される。同招集通知には、株主総会の開催場所および日時、ならびに臨時株主総会の場
合には、招集目的が記載されるものとする。法律により別段の定めがある場合を除いて、書面による招集通
知は、株主総会開催日の 60 日前から 10 日前までの間に、当該株主総会における議決権を有する各株主に対し
て付与されるものとする。
通知は、(ⅰ)郵便による場合には、当社の株主名簿に記載された株主の住所における株主宛に、郵便料
金前払いで合衆国の郵便局に委ねられたとき、(ⅱ)ファクシミリによる場合には、株主が通知の受取場所
として同意済みの番号宛に送信されたとき、(ⅲ)電子メールによる場合には、株主が通知の受取場所とし
て同意済みの電子メールアドレス宛に送信されたとき、(ⅳ)電子ネットワーク(ウェブサイトまたは
チャットルーム等)に登録し、かかる特定の登録について株主に対し別途通知する場合には、(A)当該登
録がなされた時点または(B)当該登録について別途通知が行われた時点のいずれか遅い時点、また(ⅴ)
上記以外の電子的通信手段による場合には、株主により同意された方法により当該株主に対して通知が宛て
られたときに付与されたものとみなされる。電子的通信により株主に対して付与された通知が有効となるた
めには、かかる特定の電子的通信手段により当社が通知することに当該株主が同意しなければならない。株
主は、当社に対し、書面により通知することにより、電子的通信による通知の受領についての同意を撤回で
きる。当社が、2回続けて電子的通信により通知できず、かかる状態が当社の秘書役または秘書役補佐、名
義書換代理人、その他通知を行う責任を負う者の知るところとなった場合には、電子的通信による通知によ
る株主の同意は自動的に撤回したとみなされる。
年次株主総会
年次株主総会は、取締役会により随時定められ、招集通知に記載された日時に開催される。各年次株主総
会において、株主は、取締役の選任および年次株主総会に適切に提案された議題のみを取扱う。年次株主総
会において、適切な提案として取扱われるためには、議題(取締役選任のための候補者の指名およびその他
株主による検討を要する議題を含む。)は、(ⅰ)取締役会によりまたは取締役会の指示により付与される
招集通知(もしくはその補足文書)に明記されるか、(ⅱ)取締役会によりまたは取締役会の指示により株
主総会に提案されるか、または(ⅲ)付属定款第 2.3 条、第 2.5 条および第 2.6 条に従い、株主総会において議
決権を有する当社の登録株主により、株主総会に適切に提案されなければならない。
前項(ⅲ)号に基づいて、株主は、指名またはその他の議題を年次株主総会に適切に提案するためには、
当社の秘書役に対して、適切な時期に、当該指名またはその他の議題を書面で通知しなければならず、かつ
その他当該議題は株主による議決の対象として付属定款第 2.5 条および第 2.6 条に従った適切な事項でなけれ
ばならない。いかなる場合にも、(ⅰ)取締役会が総会の通知において取締役被指名者を記載した事実は、
株主による取締役被指名者の氏名を当社が行った通知で特定された場合を除き、当該株主による取締役被指
名者について通知を行ったといいうるにたるものではなくまた、株主通知に関連する付属定款の要件をみた
すものではなく、(ⅱ)年次株主総会の延会または延期の公示により、株主通知の付与のための期間が新た
に開始されることはない(延長されることはない。)。
「年次株主総会」、「臨時株主総会」、「株主通知要件」という見出しの条項の趣旨から、「公示」と
は、ダウ・ジョーンズ・ニュース・サービス( Dow Jones News Service )、アソシエイテッド・プレス
( Associated Press )またそれらに比類する全国的ニュースサービスにより報じられるプレスリリース、
1934 年米国証券取引所法(その後の改正を含む。)(以下「証券取引所法」という。)第 13 条、第 14 条また
は第 15 条(d)項に基づいて当社が SEC に対して正式に提出する書類、当社のウェブサイトへの掲示または情
報を公衆の閲覧に供することのできる他の手段における開示をいう。
他のいかなる規定にもかかわらず、年次総会に先立ち取締役会選任の指名または他の議題を提示しようと
する株主は、当該株主が当該議題を当社が配布する委任状に含めるよう求めることを意図するか否かにかか
わらず、付属定款第 2.5 条および第 2.6 条の要件を遵守しなければならない。
臨時株主総会
当社のいずれのクラスまたはシリーズの優先株式の株主の権利にも抵触しない限り、当社の取締役会、取
締役会議長もしくは最高経営責任者によるかまたはそれらの指示においてのみ、その目的を問わず、臨時株
主総会を招集することができる。ただし、臨時株主総会において審理される議題は、招集通知に記載された
目的に限られる。
法律により別段の定めがある場合を除いて、臨時株主総会の場所、日時および招集の目的を記載した書面
による臨時株主総会の招集通知が、開催日の 60 日前から 10 日前までの間に、当該総会における議決権を有す
る各株主に対して付与されるものとする。
取締役会の一員となる候補者の指名は、取締役が選任される臨時株主総会において、(ⅰ)取締役会の指
示によるかもしくはその指示がある場合、または(ⅱ)付属定款第 2.5 条に規定する通知手続に従い当社の秘
書役に適切な時期に株主通知を行った当社の株主による取締役候補を、取締役会が招集通知において当該総
12/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
会において取締役を選挙すべき旨を記載した場合に行うことができる。いかなる場合にも、(ⅰ)取締役会
が総会の通知において取締役候補者を記載した事実は、株主による取締役候補者の氏名を当社が行った通知
で 特定された場合を除き、当該株主による取締役候補者について通知を行ったといいうるにたるものではな
くまた、株主通知に関連する付属定款の要件をみたすものではなく、(ⅱ)臨時株主総会の延会または延期
についての公示により、付属定款第 2.5 条および第 2.6 条に規定する株主通知の付与のための期間が新たに開
始されることはない(延長されることはない。)。
本書と異なるいかなる規定にもかかわらず、臨時株主総会に先立ち取締役会選任の指名または他の議題を
提示しようとする株主は、当該株主が当該議題を当社が配布する委任状に含めるよう求めることを意図する
か否かにかかわらず、付属定款第 2.5 条および第 2.6 条の要件を遵守しなければならない。
株主通知の要件
年次株主総会または臨時株主総会における、取締役選任のための指名および当該株主総会前に提案される
議題は、当社の招集通知に基づくか、取締役会の指示によるかもしくはその指示のある場合、または付属定
款において定められた通知付与の時点において登録株主である当社株主によってのみなされ、かかる株主は
当該株主総会における議決権を有し、当社の付属定款に定められた通知手続を遵守するものである。
株主は、当社の秘書役に対して適切な時期に適切な書面により通知した場合に限り、付属定款に基づい
て、株主総会において選任される取締役を指名(複数名の場合を含む。)、または株主総会で審理すべき議
題を提案できる(またはその両方を行うことができる。)。株主による通知が適切な時期になされるために
は、当該株主総会の 120 日前から 90 日前までの間に、当社の主たる事務所に交付されるかまたは郵送され受領
されなければならない。ただし、総会開催日について 100 日前を過ぎてからの通知またはその他の事前公示が
株主になされた場合、株主による通知を適切な時期になされたものとするには、総会開催日の通知が郵送さ
れた日かまたはその他の公示がなされた日のうち早い日の 10 日後の営業終了時までに受領されなければなら
ない。株主から秘書役に対する通知が適切なものとされるためには、当該株主が提案する各事項について、
下記の記載がなされる必要がある。
(ⅰ)提案される議題および/または被指名者の簡単な説明、ならびに当該議題の提案または当該指名の
理由
(ⅱ)当該議題の提案または当該指名を行う株主の当社株主名簿に記載された名称および住所、ならびに
受益株主のために提案がなされる場合には受益株主の名称および住所
(ⅲ)当該登録株主が実質的にかつ名簿上保有している当社株式、および実質株主のために提案がなされ
る場合には当該実質株主が実質的に保有している株式のクラスおよび数
(ⅳ)指名に関して、(A)当該株主、各被指名者および他の者(その名称を記載すること。)の間で交
わされ、指名の条件を示すすべての取決めおよび約束(書面によるか否かを問わない。)の説明、
(B)当該被指名者の氏名、年齢、事業場所および住所、(C)当該被指名者により実質的および
登録上所有されている当社の株式のクラス、シリーズ、および株式数、ならびに(D)勧誘資料に
氏名を掲載されること、および選任された場合には取締役としての任務を行うことについての被指
名者の書面による同意
(ⅴ)当社もしくは当社子会社または当社もしくは当社子会社の資産または有価証券にかかわる TOB 、株式
公開買付、交換買付、合併、統合、企業結合、資本再構成、事業再構築、清算、解散、分配、株式
購入またはその他の特別な取引に関して、過去2年間に株主またはその関係者およびその他の者
(その身元を記載すること。)との間で交わされた交渉、取引または接触の内容
(ⅵ)株主からの委任状もしくは同意を得るための勧誘、株主提案、当社もしくは当社子会社の取締役も
しくは執行役員の選任、解任もしくは任命、または当社もしくは当社子会社の方針、業務もしくは
戦略に関して、過去2年間に株主またはその関係者およびその他の者(その身元を記載するこ
と。)との間で交わされた交渉、取引または接触の内容
(ⅶ)各被指名者または提案される議題について委任状勧誘において記載されるべきであるか、または証
券取引所法に基づく規則第 14 Aに従い各場合において別途必要とされるその他の情報
デリバティブ・ポジションおよびその他の持分に関する情報
1名もしくは複数の者を取締役として指名し、もしくは株主総会において審議すべき議題を提案し、また
はその双方を行う株主および当該指名または提案がその利益のために行われる受益株主は、当社の要求によ
り、秘書役に対し当該株主および受益株主に関して以下の情報を書面にて提供しなければならない。当該株
主または受益株主が直接または間接に所有するオプション、ワラント債、転換可能証券、株式評価益権、ま
たは当社の株式のクラスもしくはシリーズに関連した価格または当社の株式のクラスもしくはシリーズの価
値から全部もしくは一部が導かれた価値での行使、転換特権、資金決済、もしくは仕組みを有する同様の権
利(当該商品または権利が当社の原資本株式のクラスまたはシリーズの決済に服するか否かを問わない。)
あるいはその反対のもの(以下「デリバティブ商品」という。)で、当社の株式の価値の増減から利益を得
るまたは当該利益の分配を受ける直接もしくは間接の機会、代理権、契約、取り決め、合意または当該株主
13/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
もしくは受益株主が当社の有価証券の持分について議決権を行使することができる関係、当社の有価証券の
空売り持分(付属定款においては、契約、取決め、合意、関係その他により、対象有価証券の価値の下落に
よ り利益を得るまたは当該利益の分配を受ける機会を有する場合、直接もしくは間接的に有価証券の空売り
持分を有するものとみなす。)、当該株主もしくは受益株主がジェネラル・パートナーであるまたは直接も
しくは間接にジェネラル・パートナーの持分を所有するジェネラルもしくはリミテッド・パートナーシップ
が、直接もしくは間接に保有する当社株式もしくはデリバティブ商品の比例持分ならびに当該株主もしくは
受益株主が当社の株式もしくはデリバティブ商品の価値の増減に基づいて享有する業績連動型報酬(資産連
動型報酬を除く。)(当該株主もしくは受益株主の家計を同じくする家族が保有する持分を含むがこれに限
定されない。)。
定足数と休会
あらゆる株主総会における議事進行のための定足数は、法令または基本定款による別段の定めがある場合
を除き、発行済みかつ株主総会における議決権を有する株主の議決権の過半数である(代理人による出席も
含む。)。ただし、株主総会において出席者が定足数に満たない場合、総会の議長または出席している株主
は、法律で認められる限りにおいて、他の株主が自らまたは代理で出席することにより定足数をみたすまで
の間、継続会が開催される場合における、その日時および場所について、株主総会における告知以外に通知
を行うことなく、随時休会できる。定足数の株主が自らまたは代理により出席する継続会においては、当初
株主総会において取扱われる予定であったいずれの議題をも取扱うことができる。休会が 30 暦日間を超える
場合、または休会後、継続会のための基準日が新たに設定される場合、継続会の通知は継続会において議決
権を有する各登録株主に対して行われるものとする。上記にかかわらず、クラスまたはシリーズごとの決議
が必要とされる場合には、当該クラスまたは当該シリーズの発行済株式の過半数の保有者による自らまたは
代理による出席が、当該事項にかかわる議決に参加する権利を与えられた定足数を構成するものとする。
投票手続および委任状
株主総会における議決権を有する各株主は、(ⅰ)当該株主により署名され当社の秘書役に対し提出され
る委任状、または(ⅱ)委任状の保有者となる者、または委任状勧誘会社、代理支援業務組織、もしくは
DGCL の第 212 条(c)項の(2)の規定に基づき送達を受けることを委任状の保有者となる者により正当に授
権された上記に類する代行者に対する電子メールの送信またはその他電子的手段による送達またはかかる送
達を授権することにより、他の者(複数の者である場合を含む。)に対して、自らのために投票する権利を
授権できる。委任状の日付から3年経過後は、それ以上の期間が委任状において定められていない限り、代
理者は投票その他の行為を行わないものとする。株主またはその代理人により株主の名称が(手書き、タイ
プ、電子メールまたはその他の電子的通信手段により)委任状に付された場合に、委任状は署名されたもの
とみなされる。取消不能である旨が紙面に記載されている委任状の取消可能性は、 DGCL の第 212 条(c)項の
規定によるものとする。基本定款に別段の定めがない限り、各株主は、付属定款の第 2.11 条において定めら
れたとおり取締役会により設定された基準日において当社株主名簿に当該株主の名において登録されている
議決権付き各株式につき1票を保有する。
(c)役員
当社の役員には、最高経営責任者、財務部長および秘書役を含むものとし、社長、最高執行責任者、最高
財務責任者、および取締役会または最高経営責任者または社長が随時任命する他の役員が含まれる場合もあ
る。基本定款または付属定款により別段に定められていない限り、同一人物が複数の職位を兼務できる。上
記の役員は、随時選任、任命され、各々の後任者が正当に選任され資格を付与されるまで、または死亡、資
格剥奪、辞任もしくは解任までの間、任務に就くものとする。
取締役会は、当社の事業遂行上必要であるかまたは望ましいその他の役員および代行者を随時選任もしく
は任命すること、またはかかる任命の権限を最高経営責任者もしくは社長に付与することができる。付属定
款に定める職務に加え、上記のその他役員および代行者は、任命に関連して取締役会または任命役員により
決定される義務を負い、これらにより決定される期間その任務に就くものとする。
取締役会議長
取締役会は、取締役会議長を選任するものとし、取締役会議長は、取締役会の管理下におかれ、すべての
取締役会の議長を務めるものとする。取締役会議長は、すべての取締役会の議長を務めるものとする。取締
役会議長は、取締役会または付属定款により随時課される上記以外の職務を負い、これを遂行し、随時付与
される権限を行使するものとする。
最高経営責任者
取締役会は、取締役会の監督下に置かれる当社の最高経営責任者を選任する。最高経営責任者は、(ⅰ)
当社の事業および業務全般ならびに取締役会の方針および指示の履行について主たる責任を負い、(ⅱ)取
14/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
締役会議長が不在であるかまたは行為能力を欠いているときに、すべての取締役会の議長を務め、付属定款
第 3.8 条の規定を除き、(ⅲ)当社の通常の業務過程において当社を代表して契約を締結する権限を有し、ま
た (ⅳ)取締役会により随時課される上記以外の義務を履行するものとする。
社長
社長は、(ⅰ)最高経営責任者が不在であるかまたは行為能力を欠いているときに、当社の事業運営全般
ならびに取締役会の方針および指示の履行について主たる責任を負い、(ⅱ)当社の通常の業務過程におい
て当社を代表して契約を締結する権限を有し、また(ⅲ)最高経営責任者または取締役会により随時課され
る上記以外の義務を履行するものとする。
最高執行責任者
最高執行責任者は、取締役会、最高経営責任者または社長により随時課される義務を履行し、取締役会、
最高経営責任者または社長により随時付与される権限を有するものとする。また、取締役会または適法に授
権された取締役会の委員会の権利および権限に服することとして、最高執行責任者は、最高経営責任者の職
位に付随する職務を行い権限を有するものとし、これらには当社の経営陣が展開した戦略を日常的に執行
し、当社の目的および長期目標を設定し、当社を業界において発展させるよう最高経営責任者および経営陣
と協力する責務および権限が含まれるがこれらに限定されない。
秘書役
秘書役または秘書役によって指名された者は、すべての取締役会および株主総会に出席し、当社のかかる
会議および取締役会のすべての議事を記録し、かかる記録が記録の維持を目的として保管される台帳におい
て維持されるよう手配し、必要なときには常設委員会のために上記と同様の義務を履行する。秘書役は、す
べての株主総会および特別取締役会の通知を付与するかまたはかかる通知が付与されるよう手配する。秘書
役は当社の社印を保管し、秘書役または秘書役補佐は、社印の押捺を要する文書に同じ社印を押捺する権限
を有するものとし、社印が押捺されたときには、当該文書は秘書役または秘書役補佐の署名による証明を受
けることができる。取締役会は、当社の社印を押捺し、署名することにより証明する全般的権限を秘書役以
外の役員に付与することができる。秘書役は、その職位に付随するすべての義務、ならびに付属定款におい
て定められているかまたは取締役会もしくは最高経営責任者により随時課されるその他の義務を全般的に履
行する。
秘書役補佐
秘書役補佐(秘書役補佐が複数存在する場合には、取締役会により決定された序列またはかかる決定がな
い場合には選任された順番による。)は、秘書役が不在であるかまたは秘書役が行為能力を欠いているかも
しくは任務を拒否している場合、秘書役の義務を履行し、権限を行使し、取締役会または付属定款により随
時定められるとおり、その他の義務を履行し、その他の権限を保有するものとする。
最高財務責任者
最高財務責任者は、取締役会、最高経営責任者または社長により随時課される義務を履行し、取締役会、
最高経営責任者または社長により随時付与される権限を保有する。さらに、取締役会または正当に授権され
た取締役会の委員会の権能および権限を条件として、最高財務責任者は、その職位に付随する義務を履行
し、その職に付随する権限を保有する。かかる義務および権限には、当社のすべての資金および証券を保管
しそれらについて責任を負い、当社の財務および会計記録を維持し、授権されたとおり保管人に当社の資金
を預託し、授権されたとおり当社の資金を払い出し、当社の資金についての財務書類を適切に作成し、当社
のすべての取引および財務状況にかかわる財務書類を取締役会により要求されたとおり提供する義務および
権限が含まれるが、それらに限定されない。
財務部長
財務部長は、取締役会、最高経営責任者または社長により随時課される義務を履行し、取締役会、最高経
営責任者または社長により随時付与される権限を保有する。さらに、取締役会または正当に授権された取締
役会の委員会の権能および権限を条件として、財務部長は、その職位に付随する義務を履行し、その職に付
随する権限を保有する。かかる義務および権限には、当社のすべての資金および証券を保管しそれらについ
て責任を負い、当社の財務記録を維持し、授権されたとおり保管人に当社の資金を預託し、授権されたとお
り当社の資金を払い出し、当社の資金についての財務書類を適切に作成し、当社のすべての取引および財務
状況にかかわる財務書類を取締役会により要求されたとおり提供する義務および権限が含まれるが、それら
に限定されない。
15/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(d)取締役会
取締役会の構成
「第5- 3-(2)役員の状況 」を参照のこと。
(e)コーポレート・ガバナンス
「第5- 3 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照のこと。
2【外国為替管理制度】
米国においては、米国非居住者による国内会社の株式の取得、当該非居住者への配当および売却代金の送
金および会社清算に際しての資産の分配に対し、いかなる外国為替管理上の制限も存在しない。
3【課税上の取扱い】
(1)当社クラスA普通株式の非米国株主についての米国の課税上の取扱い
本書日付当日における非米国株主(以下に定義される。)による当社クラスA普通株式の取得、所有およ
び処分に関し、当該株主にその適用がある米国連邦所得税法上の重要な検討事項について、その概要を以下
に述べる。本章の内容は一般的な情報の提供に留まり、税務上の助言を行うものではない。したがって、当
社クラスA普通株式の保有を検討している非米国株主はすべて、当社クラスA普通株式の取得、所有および
処分がもたらす米国内の連邦、州、地方自治体および米国外の税務面の効果に関し、自身の税務アドバイ
ザーに相談されたい。本章において、「非米国株主」とは、当社クラスA普通株式の実質的な株主のうち、
米国連邦所得税法上、パートナーシップにも、また以下のいずれにも該当しない者をいう。
・米国の市民または居住者(または以前米国市民であった者もしくは長期の居住者)または、米国連邦所
得税法上、米国の居住者として取り扱われる個人。
・米国内で創設もしくは設立されたか、米国もしくはその任意の州もしくはコロンビア特別区の法律に基
づき創設もしくは設立された法人または、米国連邦所得税法上、法人としての課税対象となるその他の
組織。
・相続財団のうち、その所得が米国連邦所得税法上、総所得に算入されるもの(その源泉が何であるかを
問わない。)。
・信託のうち、(A)次の(ⅰ)および(ⅱ)の要件を同時にみたすもの。(ⅰ)当該信託の事務管理に
ついて米国の裁判所が主たる監督権限を有していること、および(ⅱ)信託の実質的な決定のすべてに
ついて、米国人(1名か複数名かを問わない。)がこれを支配できる権限を有していること、または
(B)その適用を受ける米国財務規則のもとで、米国人としての取扱いを受けることができる有効な選
択肢を持っているもの。
パートナーシップ(または米国連邦所得税法上パートナーシップとしての取扱いを受ける他の組織)が当
社クラスA普通株式を保有する場合、当該パートナーシップのパートナーについての税務上の取扱いは、一
般的には当該パートナーの身分およびパートナーシップの活動内容に左右される。当該パートナーまたは
パートナーシップは、その税務上の効果について税務アドバイザーに相談されたい。
本章における説明は、米国 1986 年内国歳入法(その後の改正を含む。)(以下「歳入法」という。)、お
よび同法の下で制定された米国財務規則(現行規則およびその規則草案ならびに臨時規則をいう。)、なら
びに現在の行政府の決定および裁判所の判断(いずれも、本書の日付の時点で効力を持ち、入手可能なもの
に限る。)をその根拠としており、これらはすべて、変更されるまたは異なる解釈を受ける可能性があるも
のであり、かつその効果も遡って適用されることがあり得る。これらに何か変更があった場合、本書にて説
明された非米国内株主に及ぶ効果に変動が生ずる可能性がある。
本章に記載した、米国連邦所得税法上の非米国株主向け検討事項の対象は、当社クラスA普通株式を資本
資産として保有することを予定している非米国株主に限られる。本章の説明は、特定の非米国株主につい
て、当該非米国株主の個々の事情に応じて適用される可能性がある米国連邦所得税または相続税のすべての
局面について触れるものではない。また米国の州もしくは地方自治体の税法または国外の税法について触れ
るものでもない。また、本章の説明は、非米国株主に適応される可能性がある具体的な事実や状況について
検討を加えるものではなく、次に列挙した特定の非米国株主(および一定の他の株主)に適用がある特別な
税務規則について触れるものでもない。
・保険会社
・不動産投資信託、規制対象となる投資会社またはみなし自益信託
・非課税団体
・金融機関
・有価証券または通貨を取扱うブローカーまたはディーラー
16/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
・パートナーシップまたはその他のパススルー組織
・被支配外国法人、パッシブ運用をする外国投資会社および米国連邦所得税回避のために内部留保を行う
企業
・退職金制度
・当社クラスA普通株式の5%超の所有またはみなし所有を行う者
・裁定取引の一種であるストラドル、ヘッジ、コンバージョン取引、シンセティック証券または他の集合
投資の一環として当社クラスA普通株式を保有する株主
・役務提供の対価として当社クラスA普通株式を受取る人
・米ドル以外の機能通貨を持つ人
・特定の旧米国市民または旧米国居住者
上記に該当する株主は、米国の連邦税、州税、地方税または他の税金について、当該人に及ぶ可能性があ
るその効果の判断にあたり是非ご自身の税務アドバイザーにご相談いただきたい。
さらに、下記に記載があるものを除き、本章の説明は、当社クラスA普通株式の取得、所有および処分が
もたらす米国連邦相続税、贈与税および世代飛ばし移転税または代替ミニマム税上の効果については触れて
いない。
米国内国歳入庁(以下「内国歳入庁」という。)が本書に記載される1つ以上の税法上の効果を問題にし
ないとの保証はなく、また当社は、当社クラスA普通株式の取得、所有および処分が非米国株主に対しても
たらす米国連邦所得税または相続税上の効果に関して、法律顧問の意見や内国歳入庁の判断を得たことはな
く、今後もその予定はない。
当社クラスA普通株式の取得、保有および処分にあたって検討すべき米国連邦、州、地方および国外の所
得税その他の税金の問題に関しては、是非ご自身の税務アドバイザーにご相談いただきたい。
クラスA普通株式に基づく分配
当社クラスA普通株式に基づく分配は、米国連邦所得税法上、当社の当期利益もしくは内部留保利益をそ
の原資とする限り(その判定は米国連邦所得税法の原則に従って行われる。)配当となる。分配が当社の当
期利益または内部留保利益を超える場合(その判定は米国連邦所得税法の原則に従って 行われる。)、その
超過分は、まず当社クラスA普通株式における株主の修正課税標準額の非課税還付分として扱われ、その後
はキャピタルゲインとして扱われる。ただし、下記「当社クラスA普通株式の売却、交換またはその他の課
税対象処分」にその説明がある税務上の取扱いに従う。
一般に(ただし、下記「米国不動産保有会社の資格」および「予備源泉徴収および情報報告」において述
べる例外を参照のこと。)非米国株主の場合、分配として受取った現金その他の財産は、米国連邦所得税法
上、 30 %(または米国との租税条約により低い税率が定められている場合は当該税率)の源泉徴収の適用を
受ける。非米国株主の場合は、適用を受ける米国との租税条約において利用可能な特典につき、ご自身の税
務アドバイザーと相談されたい。
非米国株主が米国内で取引や事業を行う場合、当該取引や事業の実行に事実上関連する配当に対して、ま
た、その適用がある米国との租税条約によっては当該株主が米国内に置く恒久的施設をその根拠とする配当
に対して、原則として通常の税率により米国連邦所得税法が課せられる(純所得額が基準価額となる。)。
この場合、上記源泉徴収の対象とはならない。非米国法人の場合は 30 %の「支店利益税」の適用も受ける可
能性がある。ただし、適用がある米国との租税条約においてより低い税率の適用を受ける資格がある場合は
この限りではない。
摘要がある米国との租税条約の特典を求め、または所得が米国内の取引や事業の実行に事実上関連するこ
とを理由としてその適用がある源泉徴収の免除を受けるには、分配に先立ち、租税条約の特典については適
切に整えた内国歳入庁書式W - 8 BEN を、事実上関連する所得については内国歳入庁書式W - 8 ECI (または内
国歳入庁が指定するその後継書式)を提出する必要がある。これらの書式は定期的な更新を必要とする。非
米国株主の場合、内国歳入庁に対して適切な還付申請を適時に行うことで、超過源泉分の払戻を受けられ
る。
当社クラスA普通株式の売却、交換またはその他の課税対象処分
一般に(ただし、下記「米国不動産保有会社の資格」および「予備源泉徴収および情報報告」において述
べた例外を参照のこと。)非米国株主の場合、当社クラスA普通株式の売却、交換またはその他の課税対象
処分により得た所得については、米国連邦所得税または源泉徴収税の適用を受けない。ただし以下の場合を
除く。
・当該利益が、米国内の取引や事業の実行に事実上関連している場合(かつ、適用を受ける米国との租税
条約にその旨の定めがあるときは、当該利益が米国内の当該人の恒久的施設に帰すことができる場
17/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
合。)。この場合、対象者に対しては、米国人に対して適用されるのと同じ米国連邦所得税上の累進課
税が適用され、非米国法人の場合は、上記「クラスA普通株式に基づく分配」で既述された支店利益税
が 追加適用されることがある。
・対象者が、売却、交換またはその他の処分の課税対象年度内に、米国内に 183 日以上滞在した個人である
場合で、他のいくつかの条件が同時に満たされる場合。この場合、対象者は、処分から得られた純所得
に対して 30 %の課税を受ける。なお、対象者において、米国内にその源泉がある資本損失があれば、こ
れを相殺することが可能である。ただし適用ある米国の租税条約に基づき当該税の免除を求めることが
できる場合はこの限りではない。
米国不動産保有会社の資格
当社クラスA普通株式の売却、交換またはその他の処分から得た利益、およびこれに関する基準価額を超
えた分配は、対象株主が非米国株主の場合は、たとえ当該株主が米国との間に他に何の関係も持たなくと
も、(ⅰ)当該株主が当社クラスA普通株式を保有する期間、または(ⅱ)当該売却、交換もしくはその他
の処分(基準価額を超えた分配)が行われた日から遡る5年間のうち、より短い期間中の任意の時点で、当
社が「米国不動産保有会社」(米国連邦所得税法上のものを指す。)に該当しているか、該当していた場合
は、一定の状況下において、米国連邦所得税法の適用を受ける可能性がある。ただし、当社クラスA普通株
式が常設の証券市場で定常的に取引されており、かつ対象者が直接的および/または間接的に保有する当社
クラスA普通株式が、発行済当社クラスA普通株式の5%以下の場合はこの限りではない。もし当社が米国
不動産保有会社との判定を受け、上記の例外の適用がない場合は、非米国株主から当社クラスA普通株式を
購入した買手は、譲渡代金のうち、 15 %を源泉徴収する義務を負う可能性が生じ、また一般的に、当該対象
者が処分から得た純利益に対し、米国人に対して適用されるのと同じ米国連邦所得税上の累進課税が適用さ
れることとなる。一般的に、特定の企業が米国不動産保有会社となるのは、その米国不動産持分の適正市場
価額が、その全世界を対象とした不動産資産持分の適正市場価額に、取引および事業に利用される(または
当該利用のために保有される。)その他の資産を加えた額の 50 %以上になる場合に限られる。保証はできな
いものの、当社は自らが米国不動産保有会社に該当する(または過去該当したことがあった。)とは考えて
おらず、かつ将来もこれに該当することがあるとは考えていない。さらに、上記規則の適用のため、当社の
株式が常設の証券市場で定常的に取引されることについては、いかなる保証も与えられるものではない。
米国連邦相続税
当社クラスA普通株式のうち、米国市民もしくは居住者(米国連邦相続税法上、特に設けられた定義に従
う。)のいずれにも該当しない個人が死亡時に所有していたもの、または所有していたとして取扱われるも
のは、米国連邦相続税上、米国をその所在地とする資産とみなし、かつ当該個人の総遺産に組込まれる。し
たがって当該株式は、適用がある相続税またはその他の条約に別途の定めがない限り、米国連邦相続税の適
用を受ける可能性がある。
予備源泉徴収および情報報告
特定の非法人株主に対する支払は、一般的に米国の予備源泉徴収税および情報報告要件の適用を受ける。
情報報告が適用される支払とは、一般的には、非課税対象である受取人(これには法人の他、適切な証明書
を提出する米国人ではない受取人および他の特定の人々が含まれる。)に該当しない普通株式の株主に対し
て米国内でなされる、普通株式の配当の支払もしくは当該普通株式の売却もしくは償還から得られる手取金
の支払、または米国人である支払人もしくは米国人である仲介人が行う支払である。支払人は、当該株主が
その正しい納税者識別番号の提出を怠るか、その他、当該予備源泉徴収要件の遵守またはその免税措置の確
保を怠った場合、配当または手取金の当該支払から、予備源泉徴収税額を源泉徴収する義務を負う。予備源
泉徴収の税率は現在 24 %である。
予備源泉徴収税は、新たに追加される税金ではない。予備源泉徴収税規則に基づき非米国株主に対する支
払から源泉徴収された金額は還付を受けることが可能であり、また、非米国株主が米国連邦所得税法上の納
付債務を負っている場合は、これとの相殺が可能である。ただし、必要な情報が内国歳入庁に対して適時に
提出されていることが条件である。
上記の説明は、当社クラスA普通株式の取得、所有および処分に関する税務上の効果すべての完全な分析
を構成するものではない。特定の事情がもたらす税務上の効果に関しては、税務アドバイザーと相談された
い。
(2)日本国の課税上の取扱い
「第8-2-(4)本邦における配当等に関する課税上の取扱い」を参照のこと。適用ある租税条約、所
得税法、法人税法、相続税法その他日本の現行関連法令の遵守および制限に従い、日本国の個人または日本
国の法人は、日本における納付すべき租税から、上記米国の課税上の取扱いに記載のとおり当該個人または
18/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
法人の所得(および個人に関しては、相続財産)に対して課せられた米国の租税につき、税額控除を受ける
ことができる。
4【法律意見】
ビザ・インクの秘書役補佐であるチェ・スー( Sue Choi )より、次の趣旨の法律意見書が提出されてい
る。
(ⅰ)当社は、アメリカ合衆国デラウェア州法に準拠して適法に設立され、株式会社として有効に存続し
ている。
(ⅱ)本書に記述される米国およびデラウェア州法に関する記載は真実かつ正確である。
(ⅲ)本書に添付される第六改定再録基本定款、基本定款の修正証明書、シリーズA、シリーズBおよび
シリーズC転換条項付参加型優先株式指定証書ならびに改定再録付属定款は真実かつ正確な写しで
ある。
19/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
第2【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
下記の表はビザ・インクの 2019 年度、 2018 年度、 2017 年度、 2016 年度および 2015 年度 の経営指標の抜粋を
示している。下記のデータは「第3-3-(3)-財政状態および経営成績に関する経営陣の考察および分
析」ならびに「第6-1財務書類」に含まれるビザ ・ インク 2019 年度連結財務書類およびその注記と併せて
読まれるものとする。
(単位:上段は百万米ドル、下段は百万円、
1株当たりのデータおよび人員のデータを除く。)
ビザ・インク ビザ・インク ビザ・インク ビザ・インク ビザ・インク
年度
2019 年度 2018 年度 2017 年度 2016 年度 2015 年度
2019 年 2018 年 2017 年 2016 年 2015 年
9月 30 日 9月 30 日 9月 30 日
9月 30 日 9月 30 日
会計期間
に終了した に終了した に終了した
に終了した に終了した
12 ヶ月間 12 ヶ月間 12 ヶ月間
12 ヶ月間 12 ヶ月間
営業活動:
22,977 20,609 18,358 15,082 13,880
純収益
2,473,704 2,218,765 1,976,422 1,623,728 1,494,321
7,976 7,655 6,214 7,199 4,816
営業費用
858,696 824,137 668,999 775,044 518,491
15,001 12,954 12,144 7,883 9,064
営業利益
1,615,008 1,394,628 1,307,423 848,684 975,830
65% 63% 66% 52% 65%
純収益に占める営業利益の
比率
(117) (148) (450) 129 (69)
その他収益(費用)
(12,596) (15,934) (48,447) 13,888 (7,429)
12,080 10,301 6,699 5,991 6,328
当期純利益
1,300,533 1,109,006 721,214 644,991 681,272
5.32 4.43 2.80 2.49 2.58
クラスA普通株式
1株当たり利益・基本
573 477 301 268 278
5.32 4.42 2.80 2.48 2.58
クラスA普通株式
1株当たり利益・希薄後
573 476 301 267 278
財務状況:
7,838 8,162 9,874 5,619 3,518
現金および
現金同等物年度末残高
843,839 878,721 1,063,035 604,942 378,748
20,970 18,216 19,023 14,313 10,021
流動資産合計
2,257,630 1,961,135 2,048,016 1,540,938 1,078,861
2,157 4,082 1,926 3,931 3,384
長期投資有価証券
232,223 439,468 207,353 423,211 364,321
72,574 69,225 67,977 64,035 39,367
資産合計
7,813,317 7,452,764 7,318,404 6,894,008 4,238,251
1,203 1,434 982 981 1,024
未払訴訟債務
129,515 154,384 105,722 105,614 110,244
13,415 11,305 9,994 8,046 5,355
流動負債合計
1,444,259 1,217,096 1,075,954 866,232 576,519
34,684 34,006 32,760 32,912 29,842
資本合計
3,734,079 3,661,086 3,526,942 3,543,306 3,212,790
1.000 0.825 0.660 0.560 0.480
1株当たり配当宣言・支払額
108 89 71 60 52
資金関係:
12,784 12,941 9,317 5,574 6,584
営業活動により生じた
(に使用した)現金(純額)
1,376,325 1,393,228 1,003,068 600,097 708,833
(591) (3,084) 735 (10,916) (1,435)
投資活動により生じた
(に使用した)現金(純額)
(63,627) (332,023) 79,130 (1,175,217) (154,492)
20/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(12,061) (10,790) (5,924) 7,477 (3,603)
財務活動により生じた
(に使用した)現金(純額)
(1,298,487) (1,161,651) (637,778) 804,974 (387,899)
補足情報:
従業員数 19,500 17,000 15,000 14,200 11,300
2【沿革】
2007 年の組織再編以前、ビザは会員制団体の集合体として運営しており、各地域に会員金融機関を有し、
グローバルな枠組みの中でビザ・プログラムを管理していた。 2007 年にビザは、ビザ・ヨーロッパを除くす
べての地域と共に組織再編し、デラウェア州の会社としてビザ・インクが設立された。ビザ・ヨーロッパ
は、欧州の会員金融機関により引続き所有された。
2016 年6月 21 日、当社はビザ・ヨーロッパを取得した。当社は、取得により、規模の拡大、事業の統合に
よる効率性の向上、およびビザ・ヨーロッパの会員所有団体から営利目的企業への転換に関連する利益の増
大を通じた付加価値の創出が可能になると考えている。当社は、ビザのグローバルな能力を欧州の顧客にも
たらし、1つのグローバル企業としてよりシームレスな体験を提供し、またその地域における当社の事業を
拡大する予定である。取得の一環として、当社は、ビザ・ヨーロッパの株式資本 100 %を、 12.2 十億ユーロ
( 13.9 十億米ドル)および 5.3 十億ユーロ( 6.1 十億米ドル)の優先株式、ならびに 2019 年6月 21 日に支払わ
れた追加の 1.0 十億ユーロおよび年率4%の複利によって取得した。
3【事業の内容】
(1)概要
ビザは、電子決済における世界の牽引役である。当社の指針は、 最も革新的で信頼のおける安全な決済
ネットワークで世界を結び、個人、企業および経済を繁栄させることである。当社は、 200 を超える国 々 およ
び地域において、グローバルな消費者、加盟店、金融機関、企業、戦略的パートナーおよび政府機関の間の
商取引を促進している。
1958 年の設立から、ビザは、消費者と企業間の決済を促進する事業に携わってきた。新しい決済方法と共
に、当社は、誰がどこにいても金銭の移動を可能にする会社へと進化している。かかる進化を遂げるため、
当社は、製品およびサービスの新しい提供方法ならびにビザ・ネットワークおよびその他におけるあらゆる
取引を開始するための唯一の接続点となるための新しい方法を探しながら、所有するネットワークであるビ
ザネット( VisaNet )の拡大、強化および投資に継続して焦点を当てている。
これによりビザは、決済高および取引件数において、世界で最も大きな電子決済ネットワークの1つと
なった。当社の基本的なビジネスモデルは以下に基づく。
・ 当社は、金融機関顧客、加盟店、アカウント保有者と、安全で信頼のおける簡便な取引を行っている。
当社は、従来これを「4当事者」モデルと称していた。決済エコシステムが進化するにつれて、当社
は、デジタルバンク、ウォレットおよび金融技術会社(以下「フィンテック」という。)、政府ならび
に非政府組織を幅広く含めるための当該モデルの拡大を続けている。当社は、グローバルな取引処理プ
ラットフォームであるビザネットを通じて、当社の金融機関顧客および加盟店顧客に対し、取引処理
サービス(主に認証、清算および決済)を提供している。 2019 年度中に処理されたビザブランドの決済
取引および現金取引は、 201.9 十億件、すなわち1日当たり平均 553 百万件であった。合計 201.9 十億件の
取引のうち、 138.3 十億件がビザによって処理された。
・ 当社は、 15,500 社の金融機関顧客が個人、企業および政府のアカウント保有者に対してクレジットカー
ド、デビットカード、プリペイドカードおよび現金アクセス・プログラムを含む中核的なビジネス・ソ
リューションを開発および提供するための 幅広いビザブランドの決済商品を提供している。 2019 年度
中、ビザの決済高および現金取扱高は合計 11.6 兆米ドルに増加し、 3.4 十億枚を超えるカードが世界中で
利用可能となり、 61 百万ヶ所を超える加盟店の所在地において利用された。
・ 当社は、オープンなパートナーシップアプローチを用いて 、アプリケーション・プログラミング・イン
ターフェース( APIs )を通じた当社の技術能力の提供等当社のグローバル・ネットワークへのアクセス
を可能にすることによる価値の提供を追求している。さらに、当社は決済エコシステムの革新および拡
大のため、従来の関係者および新興の関係者のいずれともパートナーシップを結んでいる。かかるアプ
ローチは、当社のパートナーが、その事業をより素早く効率的に拡大し成長させるために当社のプラッ
トフォームの資源を活用する助けとなる。
・ 当社は、 核である消費者・企業間( C2B )決済を越えた新しいタイプの取引を可能にすることにより、 デ
ジタル決済への移行を加速させている。 かかる新しいタイプの取引は、個人間( P2P )、企業・消費者間
( B2C )、企業間( B2B )および政府・消費者間( G2C )の決済を含む。
・ 当社は、 顧客に対し、コンサルティングおよび解析、不正管理およびセキュリティ・サービス、加盟店
ソリューション、処理能力ならびにトークン化等のデジタル・サービスを含む 付加価値サービスを提供
している。
21/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
・ 当社は、 顧客およびパートナーの利益のために、特に FIFA 、国際オリンピック委員会、国際パラリン
ピック委員会およびナショナル・フットボール・リーグにおける広告、宣伝およびスポンサー活動を通
じて、 当社のブランドに投資し、その認知度を高めている。 当社は、これらのスポンサーシップ資産
を、 決済技術の革新を披露する目的でも利用している。
(2) 2019 年度の主要な統計
(注1)非 GAAP 財務業績の調整については、「第3-3-(3)-財政状態および経営成績に関する経営陣の考察および
分析」を参照のこと。
収益の詳細
純収益は、サービス収益、データ処理収益、国際取引収益およびその他収益の合計から、顧客インセン
ティブの取決めに基づいて負担した費用を差し引いたものである。当社の報告セグメントは、「ペイメン
ト・サービシズ( Payment Services )」1つである。
22/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(注1)四捨五入されているため、表中の数値のとおりには計算できない可能性がある。
(注2)新たな収益基準の影響については、「第6-1財務書類-注記3収益」を参照のこと。
ビザは、 200 を超える 国 々 および地域 において、グローバルな消費者、加盟店、金融機関、企業、戦略的
パートナーおよび政府機関の間の商取引を円滑にすることにより収益を得ている。ビザは金融機関ではな
い。当社は、ビザの商品のアカウント保有者に対してカードを発行せず、信用供与せず、また利率および手
数料を設定しない。これらは当社の顧客である金融機関の任務である。当社は、ビザの商品においてアカウ
ント保有者により支払われた利息または手数料からの収益を稼得せず、またそれらに関して信用リスクを負
わない。インターチェンジ払戻手数料は、当社のオープン・ループ決済ネットワークに参加している金融機
関間の価値の移動を表している。当社は、決済プロセスを通じて、インターチェンジ払戻手数料の回収およ
び送金を管理するが、通常、インターチェンジ払戻手数料に関連した収益を受け取らない。また、当社は、
加盟店獲得会社による受領について加盟店が直接負担した手数料からの収益を一切受領しない。
(3)当社事業の加速: 2019 年度の重点的取組分野
モバイル技術の拡大および第5世代ネットワークの台頭といった技術開発に牽引され、有線ソリューショ
ンから無線ソリューションへと技術が進化しているため、デジタル決済には多大な成長機会がある。この成
長を確実にするため、当社は主力事業を強化すると同時に、新しい決済フローの開始、アクセスの拡大、受
入実績の構築、および当社のパートナー・顧客ベースの拡大のための機会を獲得できるよう、組織を発展さ
せている。また、当社は、事業の基礎を強化するとともに、顧客に対して価値を付加できるような技術、セ
キュリティ、ブランドおよび有能な人材等の経営能力の構築および獲得も行っている。
23/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
主力事業
数十年間におけるビザの成長は、当社の主力事業ソリューション、クレジット、デビットおよびプリペイ
ド商品、そして当社のグローバルな ATM ネットワークの強みが原動力となっていた。変化の速度が年々増して
いるため、技術の進歩および当社が決済の使い勝手を重視していることにも助けられ、当社は、成長の持続
に向けて多大な機会があると考えている。当社は、まだ現金および小切手で行われている約 17 兆米ドルの消
費者の支出および 15 兆米ドルないし 20 兆米ドルの企業間( B2B )支出をカードおよびビザ・ネットワーク上の
デジタル信用性情報に移行させる取組みを加速している。
1.主力商品
ビジネス・ソリューション: 当社は、中小企業、法人(交通)カード、購入カード、カードとデジタル情
報との組み合わせによる仮想信用性情報、カード不要型クロスボーダー企業間( B2B )決済オプション、お
よび世界中の多くの主要な産業セグメントを対象とした出金専用口座を含むビジネス決済ソリューション
のポートフォリオを提供する。ビジネス・ソリューションは、従業員の交通費から一貫した請求書ベース
の支払にわたる中小企業ならびに商用および政府向けの決済処理に効率性、管理および自動化をもたらす
ために設計されたソリューションである。当社は、決済処理にとどまらず、包括的なデータ管理ソリュー
ション、コンサルティングおよび解析サポートならびに統合機能を提供している。当社は、金融機関、支
払債務業界のパートナーおよびテクノロジー企業が商用決済プラットフォームを構築および拡大する際に
サポートする。
クレジット: クレジットカードおよびデジタル信用性情報は、金融機関で発行されるとともに共同ブラン
ドパートナーおよびフィンテックにおいて利用され、消費者および企業が商品およびサービスに対してク
レジットで支払うことを可能にする。ビザは、アカウント保有者に対する信用枠の供与は行わないが、発
行機関が自身の金融商品を利用可能にするために利用する、技術、認証、不正防止ツールおよびブラン
ド・サポート等のカード特典を提供する。当社はまた、当社の顧客が消費者のニーズに応じた商品および
サービスを提供できるよう支援するため、商品設計、消費者区分および消費者経験に関して顧客と協力し
ている。
デビット: デビットカードおよびデジタル信用性情報は、金融機関で発行され、消費者および中小企業が
自身の銀行口座に保有している資金を利用して商品およびサービスを購入することを可能にする。デビッ
トカードは、アカウント保有者が、対面、オンラインまたはモバイル経由で、現金または小切手を持たず
に、また信用枠を使用せずに取引することを可能にする。ビザは、デビットの提供の最適化において発行
会社を支援するため、強力なブランド、ネットワーク基盤(処理、認知度、商品の機能およびサポート、
リスクツールおよびサービスを含む。)ならびに業界の専門知識を提供する。
プリペイド: プリペイド商品は、個人、企業または政府により資金提供される指定の残高から引き出され
る。プリペイドカードは、様々な利用場面およびニーズ(繰り返しチャージ可能な汎用型、給与支払、政
府および法人の支払、ヘルスケア、ギフトならびに交通を含む。)に対応することができる。プリペイド
カードは、金融包括においても重要な役割を担っており、従来の金融商品の利用を制限されているかまた
は利用できない者に対する決済ソリューションを提供している。
24/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
海外 ATM : ビザ/プラス海外 ATM ( Visa/PLUS Global ATM )ネットワークは、金融機関および独立した ATM 運
営会社の双方に対してカード発行と加盟店の獲得により、アカウント保有者が世界中の 200 を超える 国 々 お
よび地域 において現金を引き出すことを可能にしている。
タッチ決済
消費者がレジ精算の際、非接触型のカードまたは携帯電話で軽く触れることにより支払を行うのが非接触
型決済であり、世界中で採用の拡大が続いている。 2019 年、米国を除き、ビザ・ネットワークで行われる対
面取引において、タッチ決済が 50 %を超えた。わずか2年前は 30 %未満であったが、これだけの増加であ
る。現在、ビザ・ネットワークで処理される国内すべての対面取引のうち、タッチ決済が3分の1以上を占
める国は 50 ヶ国を超え、前年度末における 35 ヶ国から増加した。
米国もこの世界的な採用率に追いつく気配を見せており、 2019 年、米国の金融機関は、全国の顧客に対
し、非接触型カードの発行を開始した。現在、米国において、ビザの非接触型カードの発行残高は 100 百万枚
を超えており、 2020 年末までにはさらに増加して 300 百万枚に達するものと当社は予想している。
非接触型決済は、交通などの新たな決済経験を開拓できる可能性もある。消費者向けにタッチ決済の利便
を導入するにあたり、引続き重要な利用事例となっているのが交通である。 2019 年、ビザは、ベラルーシ、
エディンバラ、フィレンツェ、マンチェスター、マイアミ、ミラノ、ニューヨーク、リオデジャネイロ、シ
ンガポール、サンパウロその他を含む世界中の都市において、人々の移動がより容易になり、官営・民営の
輸送機関が営業費用を削減できるよう、交通における非接触型決済システムの導入を支援した。
eコマース
25 年前、ビザ・ネットワーク上で最初のオンライン購入が行われて以来、eコマースは飛躍的な進化を遂
げた。デジタル商取引の成長率は、実店舗小売の成長率を上回っており、この状況はさらに続くものと当社
は予想している。これは、eコマースをめぐるセキュリティおよび消費者行動を両方とも進化させる機会で
ある。したがって、当社は、クリック決済の導入に伴いセキュリティを強化すると共に摩擦を除去すること
®
により、デジタル精算の変革を促進している。クリック決済は、 EMV セキュア・リモート・コマース( EMV®
Secure Remote Commerce )仕様によって可能となったもので、精算経験を簡易化し、消費者はデジタル・
サービスの購入またはオンライン・ショッピングを行う度に毎回、支払の詳細を入力する必要がなくなる。
これは、どの支払方法を選択するかを問わず、精算における一貫性が増し、手順が簡便化することを意味す
る。 2019 年 10 月、クリック決済は、米国において一部の加盟店限定で展開された。当社は、 2020 年早期に全
面的に商業ベースでビザ・チェックアウトを移行させることを予定している。消費者は、ネットワーク・ロ
ゴの付いた共通の精算ボタンおよび定型の早送りアイコン「 」がある場合、安心してクリック決済を行う
(1)
ことができる。
®
(注1)セキュア・リモート・コマース(以下「 SRC 」という。)決済のアイコンは、 EMV セキュア・リモート・コマー
ス仕様の実行に関連して利用できる。 SRC 決済アイコンに関する EMV 社商標使用許諾契約の締結後に、 SRC 決済ア
イコンの画像ファイルが提供され、 SRC 決済アイコン再生要件に準拠してのみ使用することができる。
利用および受入れの増加
当社が事業を拡大する方法の重要な構成要素は、世界中での当社商品へのアクセスの増大および当社商品
の受入れの増加に注力することである。携帯電話の普及、固定回線インフラに縛られない新しいカード読取
装置、および新しいパートナーシップにより、カード受入率が低いカテゴリーの代表である賃貸、駐車場お
よび自動販売機においてもビザ決済が可能となりつつある。当社は、いくつかの方法によってこの目標を達
成する。
追加的な成長の発掘のための新しい受入カテゴリーの推進
当社は成熟市場および新興市場の両方において、受入実績を拡大し続けており、また、企業および機器
がビザ・ネットワークを経由した資金の送付および受領を行えるよう、利用および受入れの増加に引続き
取り組んでいる。たとえば、ビザは米国の自動販売機カテゴリーにおいて、受入機を増やしており、2百
万機余りを新規受入所在地としたが、まだ自動販売機の 50 %は改良の余地があると推定される。道路上の
駐車スペースも同様の未発掘の機会である。
切れ目のないクロスボーダー取引の保証
商取引は国境を越えて盛んに行われ続けており、当社は消費者および企業の両方のために、資金の流れ
の簡素化および合理化を図っている。クロスボーダーの電子商取引もまた、成長中の機会である。消費者
による外国のウェブサイトからの何らかの購入は、 2020 年までに総取引額が 900 十億米ドルにのぼり、グ
(2)
ローバルなeコマース市場の 22 %を占めるものと予想される。
包摂的な金融アクセスの向上
25/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
世界銀行によると、世界全体で 1.7 十億人の人々は正式な金融サービスへのアクセスがなく、これは、こ
の人々が自らの経済生活の成長を促進するのに役立ちうるサービスを利用できないでいることを意味す
る。 世界銀行の目標である「ユニバーサル金融アクセス 2020 」の一環として、当社は 2015 年、 2020 年まで
に 500 百万人の消費者に手を差し伸べる目標を打ち出した。 2018 年末時点で、当社は世界全体で 396 百万人
の消費者に対し、現地金融機関と提携したビザブランドのアカウントにより、デジタル決済商品への初め
てのアクセスを提供した。
当社のスキャン決済サービスは、当社の最も成功した安価な加盟店向け受入ソリューションの1つとなっ
ており、発展途上経済および遠隔地におけるデジタル決済の成長を後押ししている。国によっては、従来型
の決済技術に関連するインフラストラクチャーがそもそも存在しない場合がある。スキャン決済であれば、
事業者はデジタル支払の受入れのために QR コードを提示するだけで済み、経費、時間ならびに端末の設置お
よび電気通信接続の煩雑さが省ける。スキャン決済は、既にアフリカ、東欧、中東およびアジアの一部で実
用化されており、あらゆる規模および地域の新興市場に拡大される予定である。
インドにおいて、当社は現地の加盟店獲得会社と協力し、利用の拡大および消費者の電子決済需要の強化
に努めている。インドにおける受入地点の合計は拡大し、5百万箇所を上回った(当年度における1百万箇
所を超える QR コード決済受入箇所を含む。)。メキシコにおいて、当社は電子決済の浸透を推進するプログ
ラムを実施しており、当社のパートナーである決済代行業者および加盟店獲得会社を通じて、携帯型端末に
よる販売時点情報管理(モバイル POS )および新しい受入技術の導入を支援している。
当社は、社会的影響力への取組みにおいて、銀行口座を持てない/持たない人々のための技能開発ならび
にネットワークおよび金融サービスの利用を支援するプログラムを通じて、女性の地位向上および金融包括
の拡大も支援している。
2019 年1月、当社は、ワークショップ、研修および個別サポートを通じて女性事業主をその地域社会、資
金調達オプションおよび決済技術に結び付ける「シーズ・ネクスト・エンパワード・バイ・ビザ( She's
Next, Empowered by Visa )」の開始を発表した。現在までにビザはアトランタ、ロサンジェルス、ニュー
ヨーク市、トロントおよびワシントン D.C. を含む北米各地において、女性起業家を集め、ワークショップを
開催した。
(注2) http://www.ipc.be/services/markets-and-regulations/e-commerce-market-insights/e-commerce-articles/
global-ecommercefigures-2017#infographic
オープン・パートナーシップ・モデル
相互に利益のあるパートナーシップは、 60 年を超えて、ビザの事業モデルの基礎となっている。従来、当
社は4当事者モデルに基づいて営業し、発行者、加盟店獲得会社、加盟店およびアカウント保有者の間の取
引の円滑を図ってきた。決済エコシステムが拡大するにつれて、ビザのパートナーシップ・モデルもまた拡
大する。現在では、当社のパートナーシップは技術会社、フィンテック、政府および非政府組織を含むもの
へと拡大している。
フィンテックは、世界中で電子決済の利用手段の拡大、新規受入箇所の設定、新たな決済フローの推進な
らびに新しい決済および決済受領の方法の創出を後押しする重要な援助者であり続けている。ビザはこうし
た会社の成長を支援し、これらの会社による革新的な決済を世界中で、安全性および速度をさらに高めて大
規模に展開する力量を持つ。ビザはフィンテックと、また世界中でフィンテックにサービスを提供するプ
ラットフォームと、直接提携することにより、フィンテックの需要に対応する範囲および機会をますます拡
大している。
当社は、パートナーからの要求をより効率的に満足するよう、ビザのサービスを設計している。「ビザ・
フィンテック・ファスト・トラック( Visa Fintech Fast Track )」は、機敏なスタートアップ企業がより容
易に規模を拡大し、ビザが提供する広範な取引可能先、諸機能およびセキュリティを活用できるように支援
するプログラムであり、現在、世界中の顧客が利用可能である。さらに、フィンテックおよび当社エコシス
テムのすべてのパートナーが新たな決済方法を実施できるよう支援するため、新たに「ビザ・パートナー
( Visa Partner )」ポータルが総合サービスおよび資源( API サービスに関する情報から発行者処理の検討法
までのすべて)を提供する。
ベンチャー
ビザは、決済エコシステムの拡大を強化するいくつかの会社に対し、戦略的な投資を継続して行ってい
る。これらの戦略的投資を通じて、ビザは、補完的で付加価値のあるサービスの推進、新しい利用形態の実
用化、ならびに当社の決済ネットワークの流通および有用性の拡大に努めている。
2.新たな決済フロー
近年、ビザは、消費者から企業への( C2B )決済を超えて拡大し、個人間( P2P )、企業・消費者間
( B2C )、企業間( B2B )および政府・消費者間( G2C )決済等の新たな決済フローにおける成長を獲得するた
26/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
めに投資してきた。現在、パートナーによるビザのネットワークのインフラストラクチャーおよび機能の利
用が増大しているので、ビザは、市場機会の成長に向けて突破口を開くことができる。
ビザ・ダイレクト
ビザ・ダイレクトは、従来の決済が現金、小切手または自動決済処理装置(以下「 ACH 」という。)により
行われてきたところ、当社が決済の新たな形態を捕捉していく上で、最も重要な経路の1つであり続けてい
(3)
る。ビザのリアルタイム プッシュ式決済サービスであるビザ・ダイレクトは、決済のオリジネーターが自
らの加盟店獲得会社を通じ、資金をカードに直接プッシュできるようにすることで、従来型のカード決済フ
ローを逆向きにしており、消費者および企業の需要によりよく対応できる。たとえば、ライドシェア会社
は、シフト終了後の配下のドライバーに対し、給料をビザ商品へ直接移転することにより支払を行うことが
できる。ビザ・ダイレクトは、 170 を超える国々の消費者および中小企業に国内およびクロスボーダーの払出
しを可能にするために役立つ。ビザ・ダイレクトの機能は、資金の移動を最新方式に変え、資金の送付およ
び受領に関する方法の選択肢を増やし、利便性を高める。当社はビザ・ダイレクトのパートナーシップをこ
れまでにいくつか発表しており、このことが取引を推進し、当年度の前年比 100 %を上回る取引の増加に役
立った。
現在、ビザ・ダイレクトは米国の主要な個人間( P2P )プラットフォームのうち7つを駆動させている。昨
年、ビザ・ダイレクト取引により 90 ヶ国から、ビザ・ダイレクトが現時点で利用可能な 170 を超える国々に対
し送金が行われた。
クロスボーダー決済は、ビザ・ダイレクトにおいて引続き焦点であり、重要なパートナーシップが年間を
通じて発表されている。ビザ・ダイレクトにより、ビザは当社のグローバル・ネットワークの到達域および
諸機能を拡大しており、これにより時間、国境またはネットワークの制約がより少ない決済ソリューション
を新しく生み出そうとしている。
(注3)実際の資金の利用性は、被仕向金融機関および地域により異なる。ビザは、迅速な資金の準備が可能な発行者に
対し、それらから受領するアカウント保有者が、取引の承認から 30 分以内に資金を入手できるよう要求してい
る。
アースポート( Earthport )
2019 年7月、ビザは、世界最大の独立 ACH ネットワークの1つを経由して銀行、送金業者および企業向けク
ロスボーダー決済サービスを提供するアースポートを買収した。アースポート以前、ビザの到達できた世界
の銀行口座は約半数であり、ビザ・ダイレクトを利用したアクセスおよびビザの実績のあるデビットカード
またはクレジットカード等への送金ができた。既存のビザのネットワークおよび追加されるアースポートの
ネットワークの組み合わせにより、ビザの顧客は間もなく、上位 50 市場を含む 88 ヶ国における銀行口座の
99 %超に至る世界の銀行口座保有者の大半に対してプッシュ決済が可能になる。当社は、当社の顧客がいず
れは単一の接続で 200 近い国々の消費者および中小企業の銀行口座に到達できるようにすることを視野に入れ
ている。現在は統合が進行中であり、 2019 年の年末までには、当社のビザ・ダイレクトおよびアースポート
の最初の全面的統合による利用開始を発表する予定である。
企業間( B2B )
当社は、企業間( B2B )決済についても当社のネットワークを拡張している。企業は推定で毎年 120 兆米ド
ルを支出しており、当社が事業の成長を持続させる多大な余地がここにある。当社の戦略は、当社の既存の
商業カード・ソリューションに投資し成長を図ること、および非カード決済の分野の革新により新たな決済
フローを獲得すること、という2つの要素からなる。
27/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
当社の既存の商業カード・ソリューションは、 2019 年度において1兆米ドルを超える決済 高を発生させ、
その結果、世界中の企業間( B2B )決済において当社が最大のカード決済ネットワークとなった。当社は、企
業 の他企業に対する決済の方法のデジタル化をさらに進めるため、当社の中小企業、旅行および娯楽、購
入、車両ならびにバーチャルカードにわたるソリューションへの投資を継続している。
2019 年、当社は、ビザネットとは別個に運用され、 直接に仕向銀行から被仕向銀行へと企業間( B2B )クロ
スボーダー取引を促進する 多国間ネットワークである「ビザ B2B コネクト( Visa B2B Connect )」の商業運用
を開始した。このネットワークにより、金融機関は高額の企業向けクロスボーダー決済を世界中で迅速かつ
安全に処理できるようになり、また、企業が世界各地の他企業に対して決済する方法の簡易化および迅速化
に役立つ。ビザ B2B コネクトによる到達範囲は、現在 60 ヶ国を超えており、 2020 年中に 100 ヶ国超に拡大する
ことが目標である。
当社は様々な大規模市場および中規模市場における売掛金および買掛金の広い領域、ならびに小規模企業
においても請求書の支払といった主要分野において、電子決済の採用を拡大するため、戦略的パートナーお
よび顧客と積極的に協力を行っている。
3.付加価値サービス
支払カテゴリーの対象範囲および規模が拡大する中、当社のサービスをその他の決済プロバイダーへ選択
的に提供することに加え、当社の既存ネットワークの能力を拡大することにより、当社の収益源を拡大する
機会が増加している。当社は、有機的な投資および戦略的な買収によってこれに成功している。今日におい
て、当社は、不正防止およびセキュリティ、処理、ロイヤルティ、加盟店ソリューションおよびデジタル・
ソリューション、コンサルティングならびにデータ・ソリューションを含む、複数の強化された能力および
サービスを提供している。
ビザ・コンサルティング・アンド・アナリティクス
ビザ・コンサルティング・アンド・アナリティクスは、ビザの支払コンサルティングに係るアドバイザ
リー部門である。当該グループは、六大陸全域の数百名の決済コンサルタント、データ・サイエンティスト
および経済学者から構成される、顧客対応を行う国際的なチームである。当社の決済に係る深い専門知識、
膨大なデータおよび経済の知識を組み合わせることで、顧客にとってより望ましいビジネス判断および結果
をもたらす実行可能な見解、提案および解決策の特定が可能となる。
不正管理およびセキュリティ・サービス
信用は、ビザの根幹を成すものである。ビザは、進化する重層的な取組みを通じて、自身のネットワーク
を定期的に監視しパートナーと情報を共有することにより、予測不可能とされる事象を予測することを目指
している。当社の複数に枝分かれしたセキュリティ戦略は、より多くの情報に基づいたリスク決定を行うこ
とができるようツール、資源および管理を通じて顧客および消費者を支援することに立脚している。当該
ツールの提供のため、当社は、不正および認証のパフォーマンスを改善する情報および技術へ投資する。ビ
ザ・アドバンスド・オーソライゼーションは、ビザが処理するすべての取引を約1ミリ秒で、1日当たり平
均 379 百万回リスク評価を行う。昨年において、金融機関は、ビザの人工知能を搭載したリスク評価エンジン
により約 25 十億米ドル相当の不正を防止することができた。
当社は、セキュリティとは成長およびイノベーションのために不可欠な推進力であると確信している。
2019 年における複数の展開が、当社の取組みを示すことに寄与している。
28/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
・チップ技術は、継続して偽造不正の防止ならびに実店舗における対面での不正の件数および発生率の減
少に寄与している。たとえば、当社の最新データによると、産業界がチップ技術の導入を開始した 2015
年以降、米国においてチップ技術を使用可能な業者に対する偽造不正が 87 %減少した。
®
・ EMV 3D セキュア(以下「 3DS 」という。)は、ビザ、 EMVCo の一員であるその他決済ブランドおよび産業
参加者が開発した次世代のプロトコルであり、デスクトップ、ラップトップ、携帯またはその他の接続
機器を問わず、アカウントを不正使用から守るために設計され、オンラインでの購入をより簡単かつ安
全なものにしている。 2019 年、ビザは、自身の 3DS プログラムの商標を Visa Secure (旧名称: VISA 認証
サービス)とした。 Visa Secure の視覚的なマークと「あなたのオンライン取引はビザによって守られて
います」と強調する記述言語の組合せにより、消費者はビザの 3DS の提供を受けていることを認識でき
る。
また、ビザは、情報および技術への継続した投資を通じて、広範囲に及ぶ決済エコシステムの増加するサ
イバー脅威からの保護を促進している。今日において、企業は、サイバー犯罪者のより高度な戦略から自身
の事業を守る責任を負っている。ビザは、一連の機能を提供しており、これはビザ・ネットワークに加盟す
ることの根幹的な利点である。当社のセキュリティ機能は、金融機関および加盟店を標的とした不正の脅威
を検知および妨害することにより、決済エコシステムの完全性を守ることに貢献している。当社は、決済お
よびサイバー・インテリジェンス、顧客/パートナーによる違反の調査および法的処置への関与から得た見
識および知識を組み合わせ、金融機関および加盟店による重大なセキュリティ上の課題の解決に貢献する。
ビザ・トークン・サービス
ビザ・トークン・サービス(以下「 VTS 」という。)は、オンライン・コマースおよび携帯商取引の発展促
進のための安全な環境を創出する。当該技術は、口座番号等の消費者のカードに関する機密情報を唯一無二
の識別子、またはトークンに置き換えることにより機能し、カードまたは購入者が物理的にいない場合で
も、あらゆる方法で取引を保護している。 2014 年に開始されたトークン化は、過去5年間を通じて規模を拡
大してきた。 VTS は、 100 超の市場において利用可能である。
2019 年 10 月、ビザは、ラムバス・インク( Rambus Inc. )のトークン事業および発券事業を取得した。ビザ
のカード・ネットワークのトークン化機能とラムバスのローカルおよびアカウントに係るトークン化技術を
組み合わせることで、より幅広い種類のグローバルな商取引において、安心かつより安全な決済を促進す
る。
加盟店および加盟店獲得会社向けソリューション
サイバーソース・コーポレーション( CyberSource Corporation )(以下「サイバーソース」という。)の
商品等は、業界トップの商品および機能を当社の加盟店および加盟店獲得会社パートナーに提供するため
の、ビザによる継続投資の代表例である。サイバーソースのプラットフォームは、加盟店によるオンライン
決済、アプリ内決済、モバイルウェブ決済および対面での決済の受入れを可能にしている。サイバーソース
の中小企業向けソリューションは、北米におけるオーソライズ・ドット・ネット( Authorize.Net )ブランド
により表示される。サイバーソースは、加盟店と決済プロセスを結ぶ従来のゲートウェイの機能とは異なる
デジタル性能のモジュールを提供する。サイバーソースの加盟店獲得会社向けソリューションの一環とし
て、当社は、決済エコシステムのさらなる革新を促進するため、加盟店獲得会社による当社の機能の活用を
可能にした。
サイバーソースのサービスを利用すれば、あらゆる規模の加盟店も、顧客の関与および取引方法の改善、
不正およびセキュリティリスクの軽減、運用コストの削減ができ、またビジネス上の要求の変動にも順応で
きるようになる。サイバーソースのグローバルな拠点により、加盟店は、世界中の 190 を超える 国 々 および地
域 の決済に応じ、加盟店獲得会社および決済業者パートナー、決済の種類ならびにハードウェア部品の幅広
い選択肢を持つ。
今年において、当社は、店頭におけるソフトウェア・ソリューションで、カスタマーエクスペリエンスの
向上および加盟店の運営費用の削減のために開発され、加盟店が新たな機能を円滑かつ迅速に導入できるよ
うサポートを行い、加盟店獲得会社が加盟店のクラウドを通じた端末決済をサポートすることを可能とす
る、ペイワークス( Payworks )の取得を公表した。ペイワークスは、完全に統合されたオムニチャネルの決
済承認ソリューションの構築を目的に、サイバーソースのeコマース決済プラットフォームに実店舗におけ
る決済処理機能を追加する。
また、ビザは、チャージバックを削減するための主要な技術ソリューションの牽引役であるベリファイ
( Verifi )の取得を完了した。ベリファイの技術は、アカウント保有者が問題を通告し次第発行会社を
25,000 超の加盟店のデータへ接続し、迅速な紛争解決を可能にする。当該ツールにより、争議中の取引に係
るすべての利害関係者が費やす費用および時間が削減される。
4.基幹事業
当社事業の根幹は、当社の技術、セキュリティ、ブランドおよび人材である。
29/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
技術
ビザの技術プラットフォームは、ソフトウェア、ハードウェア、データセンターおよび大規模な電気通信
設備から構成されており、それぞれが多層的なセキュリティおよび保護技術に守られた固有の構造および操
作拠点を有している。これらのシステムが一体となり、当社の顧客および消費者がビザブランドに期待する
安全性、利便性および信頼性のあるサービスを提供する。
ソフトウェア
当社のグローバルな技術環境の一環として、当社は、多様な技術を駆使した数百の商用アプリケーショ
ンを構築しかつ安全に運用している。当社のソフトウェアは、認証、クリアリングおよび決済ならびにリ
スク評価を含む当社の取引処理の基幹機能ならびに当社のすべての付加価値サービスの動力である。当該
アプリケーションは、一体として決済エコシステムに対する本質的なサービスを提供する。
ハードウェア
当社は、当社のサービスに合わせて構築された多種多様かつ高度なインフラ・システムに依拠してい
る。ビザのインフラストラクチャーは、多層的な冗長性を有するよう設計、構成されている。当社は、別
個のハードウェア内で機能する当社のソフトウェアにつき複数のインスタンスを有しており、継続的な利
用が可能となるよう設計している。当社のディザスタリカバリ能力は段階的になっており、これにより当
社のリアルタイムの取引決済サービスは継続して利用可能となる。
データセンター
ビザは、6つのデータセンターを運用しており、当該データセンターは当社のグローバルな処理環境に
おいて重要な役割を果たし、またビザの増大する出力、冷却およびスペースの需要に応えるための能力を
備えている。当社のすべてのデータセンターは、ネットワーク接続、出力および冷却において高い冗長性
を有しており、システムの継続的な利用可能性を提供できるよう設計されている。当社は、 LED 照明、可変
の気流自動制御ならびに温風および冷風のエア・コンテインメント技術を含む効率性の改善のための戦略
を用いることで、当社のデータセンターの二酸化炭素排出量の削減を継続している。
電気通信
当社は、 10 百万ルートマイル超を対象とする膨大な電気通信ネットワークを通じて、当社の顧客および
パートナーをビザのデータセンターに接続している。各ネットワーク・ノードは、冗長なリンクを通じて
接続されており、当社の製品およびサービスのための高いセキュリティ、利用可能性およびパフォーマン
スを提供できるよう設計されている。
セキュリティ
広範な決済エコシステムのセキュリティ向上という当社の役割と並行して、ビザは、引続きサイバーセ
キュリティの推進に取り組んでいる。当社の多面的なセキュリティへの取組みには、ビザが決済のための最
善の方法となるソリューションを提供する一方で、当社の顧客および消費者の安全を守るためのセキュリ
ティ・ツールの活用が含まれる。
30/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
当社は、ビザのサイバーセキュリティに対する包括的な取組みに対して多額の投資を行っている。当社
は、データの機密性、完全性および利用可能性に対するリスクからの保護のためにセキュリティ技術を活用
し ており、リスク・エクスポージャーを最小化する基幹的なサイバーセキュリティ機能を強化している。当
社の徹底したセキュリティ対策は、単一管理の失敗のリスクを減らすための多層的な保護が適用されてい
る。かかる取組みには、下記が含まれる。
・多様な暗号化の手段により、機密情報および/または個人情報の重要性を引き下げるための正式なプロ
グラム
・ソフトウェア開発のライフサイクルへのセキュリティの組込み
・不正アクセスからの保護のためのアイデンティティ管理およびアクセス管理の統制
・高度なサイバー脅威の検出および対応能力の強化
たとえば、ビザは、当社ネットワークを監視し、当社を標的とした脅威を確認するために AI およびディー
プラーニングの技術を利用している。当社のプラットフォームは、毎日数十億のセキュリティログを収集
し、ネットワーク全体および当社のインフラ内に知見を提供している。当社は、このデータを当社のデータ
センターおよびネットワーク外において観察された脅威に関する外部情報と組み合わせる。当社は、機械学
習を用いてリスクを内包すると見られる事象に注目し、当社のサイバーセキュリティ・チームによる介入を
行っている。当社は、当該プラットフォームをグローバルに展開しており、複数のタイムゾーンに配置され
たチームが1年 365 日週7日1日 24 時間、検出および対応を行っている。
ブランド
ビザブランドは、世界有数の認知度、信頼性および評価を有するブランドの1つである。「あなたの目指
すところへ」という信念に支えられ、ビザブランドは、受容性、安全性、利便性、迅速性および信頼性で知
られている。顧客および消費者の間でビザの強みは認識されている中、ビザブランドは、常に複数のブラン
ド研究において上位を占めており、これには特にフォーブスによる 2019 年の世界で最も高く評価される企業
第1位、ブランド Z Top 100 による 2019 年の最も価値のあるグローバル・ブランド第5位、フォーブスによる
世界で最も価値あるブランドおよびインターブランドによるベスト・グローバル・ブランドが含まれる。
魅力的なブランド表現、幅広い商品およびサービスならびに革新的なマーケティングの取組みを通じて、
当社は、当社のブランドの強みにより、金融機関、加盟店、顧客およびパートナーへ付加価値を提供するこ
とができる。ビザが 16 ヶ国において実施した消費者行動研究によれば、消費者は、ビザのロゴを目にする
と、 3.5 倍の割合でウェブサイトがより安全であると考える傾向にあるという。
2019 年度において、当社は、 25 年間にわたるナショナル・フットボール・リーグとの関係を刷新し、引続
き FIFA 、国際オリンピック委員会および国際パラリンピック委員会の国際的なスポンサーであった。ビザ
は、これらの資産の主要なスポンサーを務める世界で唯一のブランドであり、世界女子サッカーの最大のス
ポンサーでもある。 2020 年に開催予定の東京オリンピックおよびパラリンピックは、日本のデジタル決済の
将来に関するビジョンを実現させるために当社ブランドおよび技術を活用することを示す機会となる。
人材
ビザの従業員は引続き増加しており、 2018 年度の約 17,000 名から 2019 年度には 19,500 名に増加した。かか
る増加は、部分的には買収に端を発しており、サンフランシスコ・ベイエリアを上回る成長を見せている地
域もある。 2019 年度末において、ビザの世界全体の従業員のうち 59 %が男性、 41 %は女性であった。女性お
よび少数派のマイノリティの代表の増加は、継続して経営陣の焦点である。ビザは多様性のある採用活動に
注力しており、これには、多様な人材のパイプラインを支え、発展させるためのアフロテック
( AfroTech )、アニタ B.org ( AnitaB.org )、カタリスト( Catalyst )、ダイバーシティ・ベスト・プラク
ティス( Diversity Best Practices )、ナショナル・ソサイエティ・オブ・ブラック・エンジニア( the
National Society of Black Engineers 、ソサイエティ・オブ・ヒスパニック・プロフェッショナル・エンジ
ニア( the Society of Hispanic Professional Engineers )、ウォーターマーク-シリコンバレー・コン
フェレンス・フォー・ウェメン( Watermark - Silicon Valley Conference for Women )、ウェメン・イン・
サイバーセキュリティ( Women in CyberSecurity )、ウェメン・イン・ペイメント( Women in Payments )等
その他多数の団体との提携が含まれる。ビザは、性別、人種または民族性に関わらず、同様の仕事をしてい
る従業員に対して同一の賃金を支払っており、また毎年ペイ・エクィティの分析を行っている。
当社は、企業の方向性および戦略、多様性および包括性、個人の成長、連携および信頼等の多種多様な事
柄に対する評価を提供する年次の従業員意識調査を通じて従業員の貢献度を査定している。2年連続で 95 %
という非常に高い回答率であり、全体的に調査結果に改善がみられ、顕著に点数の下がった項目はなかっ
た。
31/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(4)知的財産
当社は、受容性、安全性、利便性、迅速性および信頼性で知られているビザブランドを所有し、管理して
いる。当社のビザが所有する商標のポートフォリオは、我々の事業にとって重要である。一般的に、商標登
録は、それが使用されており、かつ/または保持されている限り無期限に有効である。当社と発行会社およ
び 加盟店獲得会社との契約を通じて、当社は、顧客にこれらの資産へのアクセスを認め、これにより当社の
決済ネットワークへの参加と関連した当社の商標の使用が許可される。また、当社は、決済ソリューショ
ン、取引処理、セキュリティ・システム、その他の事項に関する多数の特許、特許出願およびその他の知的
財産を所有している。当社は、当社の専有技術を保護するため、米国およびその他の法域の特許、商標、著
作権および営業秘密法ならびに秘密保持手続および契約条項に準拠している。
(5)競合
世界の決済業界は引続き動態的な変化の過程にある。消費者向けネットワークおよび決済ソリューション
ならびに金融機関および加盟店の参入をめぐって、既存および新規の競合企業がビザと競合している。技術
およびイノベーションが消費者性向を変化させ、eコマース、モバイル決済、ブロックチェーン・テクノロ
ジーおよびデジタル通貨における成長の機会を推進している。これらの進歩が新規企業の参入を可能にして
おり、その多くは伝統的なネットワーク決済モデルから離れたものとなっている。特定の国では、進化し続
ける規制環境は、当社がどの様に競争するかを変化させ、現地でネットワークを構築し、または新たな決済
処理の競争を可能にしている。
当社は、あらゆる決済方法と競合している。これには、紙媒体の支払(主に現金および小切手)ならびに
あらゆる形式の電子決済が含まれる。当社の電子決済の競合には、主に下記が含まれる。
グローバル・ネットワークまたは多地域間ネットワーク: 当該ネットワークは、通常、世界中の何百万ヶ
所もの加盟店で使用できる、ブランド化された、幅広い汎用カード決済商品を提供する。たとえば、マス
ターカード( Mastercard )、アメリカン・エキスプレス( American Express )、ディスカバー
( Discover )、 JCB およびユニオンペイ( UnionPay )があげられる。これらの競合企業は、日本における
JCB や米国におけるディスカバー等、特定の地理的地域においてより集中していることや、特定の国で主導
的な地位を有している場合がある。たとえば、ユニオンペイは、中国で国内唯一のカード・アクセプタン
ス・マークを得て営業しており、その他のグローバル市場にも拡大している。「第3-2-(1)- 政府
が国際決済システムに対して課す制限により、当社は、中国、インドおよびロシア等の重要な市場を含む
特定の国々のプロバイダーとの間で競争することができなくなる可能性がある。 」を参照のこと。有効な
データに基づくと、ビザは世界中で利用されている最も大きな電子ファンド通信ネットワークの1つであ
る。以下の表は、 2018 暦年において、当社とこれらの競合企業のネットワークとを比較したものである。
(1)
アメリカン・
ビザ マスターカード エキスプレス JCB ダイナースクラブ
取引高(十億米ドル)
8,449 4,338 1,169 283 172
総取引高(十億米ドル) 11,380 5,901 1,184 290 187
総取引数(十億件) 188 103 8 ▶ 3
カード枚数(百万枚) 3,359 2,022 114 127 63
(注1)マスターカード、アメリカン・エキスプレス、 JCB およびディスカバー/ダイナースクラブ( Diners Club )の
データは、ニルソン・レポート 1154 号( 2019 年5月)を出典とする。マスターカードにはマエストロ
( Maestro )およびシーラス( Cirrus )の数値は含まれない。アメリカン・エキスプレス、ダイナースクラブ/
ディスカバーおよび JCB には第三者の発行会社の事業が含まれる。 JCB の数値にはその他の決済関連商品が含ま
れ、一部の数値は見積りである。
ローカル・ネットワークおよび地域ネットワーク: 当該ネットワークは、多くの場合、政府の影響または
指令のサポートを受け、様々な国で運営される。場合により、それらは金融機関により所有されている。
これらのネットワークは、通常デビット決済商品に重点を置き、現地で強く支持され、認識されたブラン
ドを有している場合がある。たとえば、米国のスター( STAR )、 NYCE および Pulse 、カナダのインタラック
( Interac )、オーストラリアの EFTPOS ならびにロシアのミール( Mir )が含まれる。
代替決済プロバイダー: 当該プロバイダーは、多くの場合、eコマースおよびモバイルチャンネルを通じ
た決済を可能にすることに主な重点を置いているが、実店舗にもサービスを拡大しているか、または拡大
する可能性がある。これらの企業は、当事者間の組織内アカウント通信、 ACH の様な電子ファンド通信ネッ
トワーク、ビザの様なグローバル・ネットワークもしくはローカル・ネットワークまたはこれらを組み合
32/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
わせたものを利用した決済を行うことができる。場合により、これらの事業体は、ビザにとってパート
ナーでもあり、競合企業にもなる。
ACH および即時決済(以下「 RTP 」という。)ネットワーク: 当該ネットワークは、多くの場合、地方条例
により規定されている。主に銀行間ネットワークに重点を置いており、その多くは、小口決済における競
争力をより高めるための機能を追加している。当社はまた、クローズド・ループの決済システム、拡大す
る決済ネットワーク、電信送金および電子特典送金とも競合している。
決済業者: 当社は、ビザ取引の処理をめぐって決済業者と競合している。当該決済業者は、現地の規制に
基づき取引を処理するよう要求する指令により利益を得る可能性がある。たとえば、インターチェンジ手
数料規制(以下「 IFR 」という。)に基づく欧州での規制により、当社は、発行会社および加盟店獲得会社
と直接ビザ取引を処理することができるその他のネットワーク、決済業者およびその他の第三者と競合す
る可能性がある。
当社は、認知性、安全性、利便性、迅速性および信頼性 といった当社の 基本的な価値の提案により、当社
が主要な、競争力のある優位性を得ていると考えている。当社の成功の一因として、当社が従事している
個々の市場におけるニーズを把握し、状況に応じたソリューションを提供する各地域の金融機関、加盟店、
フィンテック、政府、非政府機関および企業組織と提携していることが挙げられる。当社は、当社の世界的
ブランド、幅広く多角的なビザブランドの決済商品およびビザネットを通じて安全かつ確実に処理された決
済取引の記録により、ビザが競合企業との競争の中で優位な立場にあると考えている。
(6)季節性
当社の事業には、通常、顕著な季節的特徴はない。 2019 年度または 2018 年度のいずれの四半期も、個別
に、当社のこれらの年度の純収益の 30 %超を占めることはなかった。
(7)運転資金
当社と金融機関顧客との間の資金決済は、日常的に相当な運転資金を要する可能性がある。大部分の米ド
ル建ての決済は同日内に行われ、受取額や支払額として口座残高に残ることはないが、米ドル以外の通貨建
ての決済は当該取引に係る業界の慣習に従って、一般的に1営業日から2営業日、受取りが遅れることとな
る。
(8)政府規制
当社は、決済技術会社として、当社の商品およびサービスが使用されている様々な法域における、複雑か
つ進化し続ける世界的な規制の対象となっている。当社の事業に影響を与える最も重大な政府規制は以下の
とおりである。世界的な規制がどの様に当社の事業に影響を与えるかについての詳細は、「第3-2-
(1)規制上のリスク」を参照のこと。
腐敗防止、マネー・ロンダリング防止、テロ対策および制裁措置: 当社は、ビジネスの獲得もしくは維持
または不当なビジネス上の便宜を得ることを目的として、外国公務員および政治家に対し、不適切な支払
または贈与を一般的に禁止する、連邦海外腐敗行為防止法( FCPA )、英国賄賂防止法およびその他の法律
を含む、腐敗防止に関する法律および規制 を遵守している 。当社はまた、米国銀行秘密法を含む、マ
ネー・ロンダリング防止およびテロ資金対策の法律および規制 を遵守している 。さらに、 米国財務省外国
資産管理局(以下「 OFAC 」という。)により施行される、経済および貿易制裁プログラムを遵守してい
る。したがって、当社は、包括的な OFAC の貿易制裁の対象となる国もしくは領域(現在は、キューバ、イ
ラン、北朝鮮、シリアおよびクリミア半島を指す。)に本社を有するか、もしくは OFAC の特別指定国家お
よび人物リストに含まれる金融機関もしくはその他の事業体が、ビザのカードを発行もしくは取得するこ
とまたは当社のサービスを利用して取引を行うことを許可していない。
政府が課す市場参加および規制: 中国、インド、インドネシア、ロシア、タイおよびベトナムを含む特定
の政府は、自国のプロバイダーに有利な規制、決済業者に現地の所有要件を課す規制、データ・ローカラ
イゼーションを義務付ける規制または自国内で処理を完了するよう命じる規制を課す等、自国の決済シス
テムおよび/または特定の発行会社、決済ネットワークもしくは決済業者を発展させる措置を取ってい
る。
33/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
インターチェンジ・レートおよびインターチェンジ手数料: ますます増加する世界中の法域で、その地域
内のデビット・インターチェンジまたはクレジット・インターチェンジ払戻レートに対する規制が課され
るか、影響が与えられている。たとえば、米国のドッド・フランク・ウォール・ストリート改革および消
費 者法(以下「ドッド・フランク法」という。)は、特定のデビットカード取引に関するインターチェン
ジ払戻レートを制限しており、欧州連合(以下「 EU 」という。)の IFR は、欧州のインターチェンジ・レー
トを制限しており (詳細は以下に記載する。) 、 オーストラリア準備銀行( Reserve Bank of Australia )
およびブラジル中央銀行( Central Bank of Brazil )は、インターチェンジの平均許容限度を規制してい
る。
インターネット取引: 多くの法域において、決済システム参加者に対し、インターネット上の一定の種類
の決済取引(ギャンブルおよびタバコまたは酒類の購入)について、監視、識別、フィルター、制限また
はその他の措置を講じることを求める規制が導入されている。
ネットワーク独占権およびルーティング: 米国では、ドッド・フランク法により、デビット市場セグメン
トおよびプリペイド市場セグメントにおけるネットワーク独占権および優先ルーティングの取決めが制限
されている。その他の法域においても、同一のカードに対する複数の決済ブランドまたは機能の搭載を防
止する規制に関する欧州における IFR の禁止令等、同様の制限が設けられている。
割増金禁止規則: 当社は、従来から加盟店に、他の手段に代わりビザの商品を用いて決済を行う消費者に
対して、より高い価格の設定を禁止する規則を実施してきた。しかしながら、加盟店の割増金の度合い
は、地域別市場やビザの商品の種類によって異なり、継続的に訴訟、規制および法律の影響を受けてい
る。
プライバシーおよびデータ保護: 当社の業務および事業のいくつかの側面は、プライバシー、データ利用
およびデータ保護の規制の対象になっており、それらは当社によるデータの利用および取扱方法、商品お
よびサービスの運営方法、さらには商品またはサービスの提供能力に関しても影響を与える。加えて、監
督機関は、ビザに特定のサイバーセキュリティおよびデータの取扱いに関する施策の導入、新たな個人の
プライバシー権の設置および個人データを取り扱う企業に対するさらなる義務を課すことを要求する可能
性のある、新たな法律または規制の導入を検討している。
決済業界に対する監視・監督: ビザは、事業を行う実質的にすべての法域において、金融セクターの監督
および規制の対象となっている。たとえば、米国では、適用ある連邦銀行法および政策の下、米国連邦金
融機関検査協議会(以下「 FFIEC 」という。)が、米国の金融機関に対する技術サービス・プロバイダーと
して、ビザの監督を行っている。 FFIEC を含む連邦銀行当局とは、連邦準備制度理事会、通貨監査官、連邦
預金保険機構である。また、ビザは、ビザブランドの消費者向けクレジットカード商品およびデビット
カード商品を発行する銀行に対するサービス・プロバイダーとして、全国信用組合管理機構および消費者
金融保護局から個別に調査を受ける可能性がある。欧州、ロシア、ウクライナ、および英国(詳細は以下
に記載する。)を含む、その他の国/地域における中央銀行は、様々な程度の金融安定規制の下、小口決
済システムとして、ビザを承認または指定している。また、ビザはブラジルおよび香港等のその他の法域
においても、銀行および金融セクターの当局の監督の対象となっている。
欧州における規制および 監視・監督: 欧州のビザは、引続き、欧州経済領域(以下「 EEA 」という。)にお
ける事業に関し、複雑かつ進化し続ける規制の対象である。ビザ・ヨーロッパは、英国の公認決済システ
ム( Recognized Payment System )として指定され、イングランド銀行の監督下にあり、英国の金融システ
ムの安定性を維持するよう設計されたガバナンスおよびリスク管理等に関する要件を含む様々な要件の対
象となっている。ビザ・ヨーロッパはまた、決済システムの安全性、操作上の信頼性および事業継続性を
含む、ユーロ圏内の決済システムの円滑な運営に主な焦点を置く欧州中央銀行の監督の対象となってい
る。さらに、ビザ・ヨーロッパは、英国内での競争およびイノベーションの促進ならびにアカウント保有
者のニーズをみたす決済の確保に関する当社の事業慣行、システム、規則および費用を審査する幅広い権
力および権限を有する、英国の決済システム規制機関(以下「 PSR 」という。)により規制されている。ま
た、 PSR は、ビザ・ヨーロッパの英国内における IFR の遵守を監視することに関して責任を負う規制当局で
もある。 IFR は、欧州内のインターチェンジ・レートを規制しており、ビザ・ヨーロッパに対し、 EU 内の決
算、組織および意思決定を行うための活動と決済カード・スキームに関する活動とを区別するよう要求
し、ネットワーク独占権およびルーティングに関する制限を課している。 EU における国家監督当局は、当
局の市場における IFR の監視および実施に対して責任を担っている。
EU には、当社の事業に影響を与えるその他の規制(上記のプライバシーおよびデータ保護、腐敗防止、マ
ネー・ロンダリング防止、テロ対策および制裁措置を含む。)が存在する。第2次決済サービス指令(以下
34/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
「 PSD2 」という。)等の欧州における最近のその他の規制変更は、特に、当社の金融機関顧客が、新興の非
金融機関参加者に対し特定の顧客口座へのアクセス権を付与することを要求している。さらに、 PSD2 には、
ビ ザに操作上の複雑性を課し、また消費者の決済体験にマイナスの影響を与える可能性のある特定の取引に
対しての顧客認証の強い要請がある。
下記「第3-2-(3)-英国の EU 離脱は、当社の事業および業績に損害を生じさせる可能性がある。」
に記載のとおり、 Brexit (以下に定義される。)は、欧州でのさらなる法律および規制の複雑化につながる
可能性がある。
追加規制の進展: 様々な規制当局は、その他の多様な問題を引続き検討している。これには、当社の金融
機関顧客および当社に影響を及ぼすモバイル決済取引、トークン化、非金融機関のアクセス権、送金、個
人情報の盗難、アカウント管理ガイドライン、開示規則、セキュリティおよびマーケティングが含まれ
る。さらに、欧州での PSD2 の採択を受けて、オーストラリア、ブラジル、カナダ、香港およびメキシコな
どの数ヶ国は、第三者の決済業者に対する様々な種類のアクセス権を承認するか検討している。これは、
当社の金融機関顧客が保持する消費者アカウントのデータへのアクセスを含んでおり、当社の事業にも同
様に関わる可能性がある。
(9)入手可能な情報
ビザ・インクは、 2007 年5月にデラウェア州に設立され、当社は、 2008 年3月に当社の IPO を完了した。ビ
ザの再編が行われた 2007 年以前には、ビザは、ビザ・インターナショナルおよび地域の会員制団体(ビザ USA
およびビザ・カナダなど)を通じて、自身の会員金融機関にサービスを提供していた。 2007 年の再編の一環
として、これらの団体は、 2007 年 10 月にビザ・インクの一部となったが、ビザ・ヨーロッパは、例外的に
2016 年6月の当社との合併まで団体として操業を続けた。当社の資本構成に関する情報については、「第6
-1財務書類-注記 14 株主資本」を参照のこと。
当社のウェブサイトは、 ( http://corporate.visa.com ) である。証券取引所法に従い提出された当社の
フォーム 10- Kによる年次報告書、フォーム 10- Qによる四半期報告書、フォーム8 - Kによる最新報告書、株
主総会招集通知およびこれらの訂正報告書は、電子ファイルにより SEC に提出された後、実務上可能な限り速
やかに、( http://www.sec.gov )および当社の投資家関連ウェブサイト( http://investor.visa.com )にお
いて閲覧可能である。さらに、当社は、投資家関連ウェブサイト( http://investor.visa.com )において、
投資家にとって重要とみなされる可能性のある財務情報およびその他の情報を定期的に掲載している。当社
の企業責任および持続性のための取組みに関する情報も、当社ウェブサイト
( http://www.visa.com/responsibility )において閲覧可能である。本書において言及される当社ウェブサ
イトの内容はすべて、本書または SEC に提出したその他の文書において、参照により組み込まれていない。
4【関係会社の状況】
2019 年9月 30 日現在、当社は6社の主要な子会社を有している。当社の主要な子会社は以下のとおりであ
る。
ビザ・インクとの関係
役員・
資本金の額 主要な 議決権の
名 称 住 所
事業関係 財政
取締役
( 千米ドル ) 事業の内容 保有割合
( 流通等 ) 支援
(1)
の兼任数
ビザ・インターナ
ショナル・サービ
ス・アソシエー
LAC お よ び ビザ・インク
ション
デラウェア州 グローバル CEMEA における に対する企業
(2)
100 % 17 人
-
( Visa
(米国) 決済事業 ビザ決済プロ 間融資および
International
グラムの運営 配当
Service
Association )
ビザ・インク
ビザ USA ・インク
米国における
デラウェア州 グローバル に対する企業
(2)
( Visa U.S.A.
100 % 17 人 ビザ決済プロ
-
(米国) 決済事業 間融資および
グラムの運営
Inc. )
配当
35/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
ビザ・イン
ビザ・ワールドワ
ターナショナ アジア太平洋
イド・ピーティー
グローバル
ル・ホール 地域における
イー・リミテッド
シンガポール 8,967,651 5人 該当なし
ディングス・ ビザ決済プロ
決済事業
( Visa Worldwide
リミテッドに グラムの運営
Pte. Limited )
より 100 %保有
ビザ・イン
ターナショナ
ビザ・ヨーロッパ・
ル・ホール
世界中のビザ
リミテッド グローバル
ディングス・
英国 18,784,000 100 % 8人 決済プログラ
( Visa Europe
リミテッドに
決済事業
ムの運営
対する(将来
Limited )
の)企業間配
当
ビザ・インターナ
ビザ・イン
ショナル・ホール
ターナショナ
ビザ・インク
ディングス・インク
グローバル
デラウェア州 ル・サービ
(3)
7人 持株会社 に対する企業
-
( Visa
(米国) 決済事業 ス・アソシ
間融資
International
エーションに
より 100 %保有
Holdings, Inc. )
ビザ・イン
ターナショナ
ル・ホール
ビザ・インターナ
ディングス・
ショナル・ホール
リミテッドか
ディングス・リミ
ビザのグルー
グローバル らビザ・イン
テッド
英国 42,895,342 プ会社により 4人 持株会社
決済事業 ターナショナ
( Visa
100 %保有
ル・ホール
International
ディングス・
Holdings, Inc. )
インクに対す
る企業間融資
の返済
(注1)流動的な経営陣の異動により、これらの数値は概算値で表示される。
(注2)当該関係会社は、非株式会社であり、資本金を有さない。
(注3)かかる資本金の額は、千米ドル未満である。
5【従業員の状況】
2019 年9月 30 日現在、当社の従業員は全世界で約 19,500 人である。うち約 10,260 人は米国、約 9,240 人は米
国外である。当社の従業員との関係は良好と考えている。加えて、同時点において、約 1,050 人の契約社員ま
たは派遣社員、約 500 人のコンサルタントおよび約 1,280 人のベンダー(およびベンダー供給元)と契約関係
にある。
36/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
第3【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
(1)経営方針・経営戦略等
「第2-3-(1)概要」および 「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の
分析」 を参照のこと。
(2)経営環境及び対処すべき課題
「2事業等のリスク」および 「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分
析」 を参照のこと。
2【事業等のリスク】
以下、 2019 年9月 30 日時点で知り得る情報に基づき、当社および当社の事業に影響を及ぼすおそれのある
具体的なリスクについて述べる。 2019 年9月 30 日時点で当社の知らない、または重要でないと考えられる新
たなリスクや不確実な事実も、当社および当社の事業に重大な悪影響を及ぼすおそれがある。
(1)規制上のリスク
当社は、当社の事業および財務業績に悪影響を及ぼす可能性のある複雑かつ進化し続ける世界的な規制の
対象となっている。
当社はグローバルな決済技術会社として、当社の事業を統制する複雑かつ進化し続ける規制の対象となっ
ている。当社の事業に影響を与える最も重要な規制分野の詳細については、 「第2-3-(8)政府規制」
を参照のこと。これらの規制が当社、当社の顧客およびその他の第三者に与える影響により、 当社は、決済
システムの規則を施行する能力が制限され、新たな規則の採用または既存の規則の変更を要求される可能性
があり、当社の既存の契約上の取決めに影響を及ぼし、 当社のコンプライアンス費用が増加し、望ましくな
い方法で競合企業を含む第三者に当社の技術または知的財産を利用可能にすることが要求され、収益機会が
減少する可能性がある。以下に詳述するとおり、 当社は、インターチェンジ払戻レート、優先ルーティン
グ、国内処理要件、通貨変換、POS規則および慣行、プライバシー、データ利用またはデータ保護、ライセン
ス要件ならびに関連する製品技術等に関する様々な規則および規制に直面する可能性がある。その結果、ビ
ザ運営規則および当社の他の契約債務は、国ごとまたは商品提供ごとに異なる可能性がある。 これらおよび
その他の規制を遵守することにより、当社の費用負担が増加し、当社の収益機会が減少する可能性がある。
世界中で大きく異なる規制が存在することとなった場合、当社が事業を行う地域における当社の商品提
供、サービス、手数料およびその他当社の事業の重要な側面を迅速に調整することが困難になる可能性があ
る。当社のコンプライアンス・プログラムおよび方針は、マネー・ロンダリング防止、腐敗防止、競争、プ
ライバシーおよび制裁措置等の当社の幅広い規制ならびに法律の遵守を支援するために策定されているが、
規制の発展に伴い、当社は継続的にコンプライアンス・プログラムの強化を行う。しかしながら、当社は、
当社の慣行がすべての適用ある規制当局の要件を遵守しているとみなされると保証することはできない。当
社が統制を怠った場合またはその他の理由により規制を遵守していないと判明した場合、当社は損害賠償、
民事上および刑事上の罰則、訴訟、調査ならびに訴訟手続の対象となり、また当社の世界的ブランドおよび
評判を傷つける可能性がある。さらに、決済業界に集中した規制の発展および拡大により、当社の顧客が発
行するビザの商品の数、当社の決済高および当社の収益、当社のブランドおよび競争力、当社が提供する商
品およびサービスの質と種類、当社の商品が利用される国ならびに当社の商品を入手しまたは受け入れるこ
とのできる消費者および加盟店の種類が悪影響を受けるまたは減少する可能性があるが、これらはすべて当
社の事業に損害を生じさせる可能性がある。
インターチェンジ払戻手数料、加盟店割引率、運営規則、リスク管理手続およびその他これに関連する慣
行等、世界の決済業界 に対する監督および規制の強化は、当社の事業に 損害を生じさせる 可能性がある。
世界中の規制当局は、決済業界のいくつかの側面を規制するための権限を確立または強化している。詳細
については、「第2-3-(8)政府規制」を参照のこと。 当社は、これまでに米国およびその他多くの 法
域 において、デフォルト・インターチェンジ払戻手数料を設定している。当社は、一般的に決済取引におい
てインターチェンジ払戻手数料に関するいかなる収益も受領しないが(クレジットおよびデビット取引の場
合には、インターチェンジ払戻手数料は加盟店獲得会社から発行会社に対して支払われる。ATM等の特定の取
引については、逆となる。)、インターチェンジ払戻手数料は、当社が他の決済プロバイダーと競合する1
つの要素となっており、したがって、当社が処理する取引高の重要な決定要因である。結果として、かかる
手数料の変更は、 それが任意なものである か強制によるものなのかにかかわらず、当社の決済高および収益
全般に大きな影響を及ぼす可能性がある。
インターチェンジ払戻手数料、運営規則およびこれに関連する慣行の一部は、依然として世界的に政府の
規制強化の対象となっており、多くの法域において、規制機関および中央銀行によって、かかる手数料、規
37/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
則および慣行がすでに審査され、または現在審査されている。たとえば、米国の連邦準備制度により導入さ
れた規制では、大手金融機関が受領する米国のデビット・インターチェンジ払戻レートの上限を1取引当た
り 21セント・プラス・5ベーシス・ポイント(さらに1セントの不正防止対策費調整が加算される可能性が
ある。)に設定している。ドッド・フランク法により、発行会社および当社がデビット・エリアおよびプリ
ペイド・エリアにおいてネットワーク独占権および優先ルーティングを導入する能力も制限され、当社の事
業もまた影響を受けている。EUのIFRにより、EEA内の消費者向けクレジットおよび消費者向けデビットの国
内およびクロスボーダー両方の取引にかかるインターチェンジ手数料について実効上限(それぞれ30ベーシ
ス・ポイントおよび20ベーシス・ポイント)が設定されている。EU加盟国は、その域内でこれらのインター
チェンジ・レベルをさらに引き下げることができる。さらに、欧州委員会は、IFRの影響評価を実施中であ
り、その結果、インターチェンジ手数料により低いおよび/または追加の上限および制限が生じる可能性が
ある。ラテン・アメリカを含む世界の他の地域の国々は、インターチェンジの上限を導入し、または検証し
ている。2017年3月に、アルゼンチンの中央銀行がクレジットおよびデビット取引でのインターチェンジ手
数料を制限する規制を導入した。2018年3月には、ブラジルがデビット取引でのインターチェンジの上限を
導入した。
当社がデフォルト・インターチェンジ払戻レートを最適なレベルに設定することができない場合、当社の
決済システムは発行会社および加盟店獲得会社にとって魅力的でなくなる可能性がある。これにより、当社
の競合他社が有する加盟店および消費者の両者と直結したクローズド・ループの決済システムのような他の
決済システムの優位性が際立つことが考えられる。当社は、一部の発行会社がかかる規制に対し、消費者に
新たな手数料もしくはさらに高額な手数料を賦課する、または一定の利益を削減するという反応を示し、そ
の結果消費者にとっての当社の商品の魅力は低下すると考えている。一部の加盟店獲得会社は、ビザのイン
ターチェンジ払戻レートにかかわらず、加盟店割引率の引上げを選択することができ、これにより加盟店が
当社の商品を受け付けなくなるか、顧客に他の決済システムまたは決済方法を案内するようになる可能性が
ある。また、決済プログラム費用の削減を図るために一部の発行会社および加盟店獲得会社は、当社が賦課
する手数料の削減を含む当社からのインセンティブをすでに取得、また今後も継続的に取得する可能性があ
り、これにより当社の収益は直接的に影響を受ける可能性がある。
インターチェンジ払戻手数料に対する規制に加え、多くの規制当局が当社の決済事業のその他の側面に対
する制限を課している。たとえば、多くの政府(インド政府およびトルコ政府を含むがこれに限定されな
い。)が、加盟店割引率をさらに引き下げる規制を適用しており、当社の取引の経済面に悪影響を及ぼす可
能性がある。ペルーおよびチリ等のラテン・アメリカのいくつかの国々は、決済エコシステムおよび4当事
者モデルの運営方法に影響を与える可能性のある反トラストに基づいた規制措置に依存している。決済シス
テム規制機関による英国における市場の獲得の審査により、当社の事業にさらなる規制圧力がかかる可能性
がある。また、加盟店によるロビー活動の増加に伴い、規制当局がネットワーク手数料についても関心を示
し始める可能性がある。また、当社は、政府による規制または圧力により、他の決済ネットワークによるビ
ザの商品またはサービスの支援を許可することや、当社の商品上に他のネットワークの機能性やブランド・
マークを付加することを義務付けられる可能性がある。決済技術の革新により、当社は新たな商品および
サービスの展開が可能になったが、同時に規制上の影響が及び得る範囲も拡大した。 たとえば、トークン
化、プッシュ式決済およびカードベースでない決済フロー( B2B コネクト( B2B Connect )等)を含む新たな
商品および機能により、かかる商品または機能が提供される国々において許認可要件が増加する可能性があ
る。 さらに、スキームおよびプロセスの分離を定めるEUの規定は、費用を増大させ、当社の商業、革新およ
び商品戦略の実行に影響を及ぼしている。
また、当社はブラジル、ロシア、英国およびEU内を含む一部の市場において、中央銀行による監督の対象
となっている。これにより、新たなガバナンス、レポーティング、ライセンス、サイバーセキュリティ、取
引処理基盤、資本または信用リスク管理の要件がもたらされる可能性がある。 当社は、各地でのリスク管理
またはガバナンスとともに、各地で十分な資本および資金レベルを維持するための要件の増大を含む決済お
よび流動性リスクの軽減を意図した 方針 ならびに 活動が必要となる可能性もある。 また、中央銀行による監
督強化により、非伝統的なフィンテックが発行会社または加盟店獲得会社としての機能を果たすことを含
む、当社の決済システムに対する参与およびアクセスに関する新たなまたは別の基準がもたらされる可能性
がある。さらに、他の法域における規制当局は、同様の規制原則に基づいたアプローチを検討または導入し
ている。
最後に、世界中の規制当局は、決済業界の規制に関する相互の取組みについてさらに注目している。その
結果、1つの法域における進展は、他の法域における規制上の取組みに影響を及ぼす可能性がある。1つの
法域において新たな法令または規制上の結果によってもたらされるリスクは、当該法令または規制が同様に
制定される可能性および当社の他の法域における事業または他の商品提供に関する事業に悪影響を及ぼす可
能性を有する。たとえば、クロスボーダーのインターチェンジ・レートに関して当社が欧州委員会と和解し
た場合、世界の他の地域の規制当局の注意を引く可能性がある。同様に、1つの商品提供について新たな規
制が施行された場合、規制当局が当該規制を他の商品提供に拡大適用する可能性がある。たとえば、クレ
ジット決済がデビット決済と同様の規制を受けることになる可能性がある(その逆の場合もある。)。たと
えば、オーストラリア準備銀行は当初クレジット・インターチェンジを制限したが、のちにデビット・イン
ターチェンジについても同様に制限を設けた。
38/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
政府が国際決済システムに対して課す制限により、 当社 は、中国、インドおよびロシア等の重要な市場を
含む特定の国々のプロバイダーとの間で競争することができなくなる可能性がある。
多くの法域の政府は、市場参入に障壁および優先的な国内規制を設けることにより、その国内の決済カー
ド・ネットワーク、ブランドおよび決済業者を国際競争から保護している。かかる政策および規制は、様々
な度合いで市場の競争条件に影響を与え、国際決済ネットワークの競争力を弱体化させている。将来、規制
当局は、国内のプロバイダーに有利となる規制上の要件を課す、または国内決済をすべて自国内で処理する
ことを命じる可能性があり、 それにより、当社が一部の取引の エンド ・ツー・エンドな処理を管理すること
が禁じられることになる。
ロシアでは、法律制定により当社の国内取引での処理が効率的に妨げられている。全国的な決済カードシ
ステム (NSPK)で管理された 中央銀行は 、 国内で処理を許可された唯一の事業体である 。中国においては、
ユニオンペイ(UnionPay)が依然として国内における決済カード取引の唯一の決済業者であり、また国内唯
一のアクセプタンス・マークによる運営を行っている。当社は、中国において銀行カード清算機構(以下
「BCCI」という。)を運営するため、中国人民銀行(以下「PBOC」という。)に申請書を提出したが、時期
および手続きの段階は依然不透明なままである。かかる承認プロセスは数年を要し、BCCIを運営するための
免許が認可される保証もないが、もし当社が免許を獲得できた場合、当社は国内の決済ネットワークとうま
く競合できるようになる。
インドにおける最近の規制イニシアチブ(政府が可決したデータ・ローカライゼーション義務を含む。)
も、国家主義的な優先事項の拡大を示唆しており、当社のコストに影響し、当社が国内の決済プロバイダー
と効率的に競争する能力に影響を及ぼす可能性がある。さらに、中東の湾岸協力国や東南アジアの多数の
国々等の国家の地域グループが、地域における取引の処理への当社参入を制限する取組みを検討している
か、または検討する可能性がある。アフリカ開発銀行も、その金融包摂の拡大および地域金融安定の強化へ
の取組みにおいて、国内決済システムの支援に関心を示している。制裁措置、貿易摩擦または他の種類の活
動を含む地政学的な事象によりこれらの動向の一部または全部が強まり、当社の事業に悪影響を及ぼす可能
性がある。
当社は、 特定の国々(ロシアおよびタイ等)において、カードによる 取引の エンド ・ツー・エンドな処理
を管理することができないため、当社の商品に関わる取引の効率的な処理を確実にするために、当社の顧客
または第三者決済業者との緊密な提携に依拠している。当社の上記能力は、取引のルーティングまたはオン
ショア市場の処理に関連する規制上の要件および方針により、悪影響を受ける可能性がある。
共通のバッジ規制および居住規制は、ビザが発行およびルーティングのために国のネットワークと張り合
う市場において、新たな課題をもたらす可能性がある。たとえば、中国では、中国国内の取引はユニオンペ
イで処理され、国外での取引は当社またはその他の国際的決済ネットワークで処理されるという二重ブラン
ドカードを特定の銀行が発行している。 PBOC は、中国国内の決済市場に参入するための新しい免許が国際的
企業に発行されるとともに、二重ブランドカードが次第になくなる可能性があると考えている。そのため、
当社は、海外渡航の際に使用できる( BCCI の免許取得後には国内取引にも使用できる)ビザのみのブランド
のカードを発行するため、中国の発行会社と協力している。しかしながら、その努力にもかかわらず、二重
ブランドカードの廃止は当社の決済高を減少させ、中国で当社が創出する収益を減少させる可能性がある。
ミール( Mir )およびユニオンペイは、それぞれロシアおよび中国で急激に成長しており、海外展開の計画
を積極的に進めている。これは、当社の国際ルーティング規則(ビザカードの国際取引をビザネットを介し
て行うことを義務付けている。)に対する規制圧力に繋がる可能性がある。さらに、規制上の障壁は、ロシ
アおよび中国国内の競争からミールおよびユニオンペイをそれぞれ保護しているが、アリペイ( Alipay )お
よびウィーチャットペイ( WeChat Pay )等の代替決済プロバイダーは、eコマース、オフラインおよびクロ
スボーダーの支払に急速に進出しており、中国で当社が免許を獲得したとしても、競合が困難になる可能性
がある。最近、中国政府の強い支持を受け、ネットリンク( Netlink )として知られる新たなデジタル取引
ルーティングのシステムが設立された。 PBOC は、アリペイおよびその他のデジタル決済プロバイダーにネッ
トリンクへの投資を許可した。ネットリンクおよびそのような他のシステムは、その他の国際的決済ネット
ワークと比較して競争上優位である可能性がある。
通常、 国内のプロバイダーまたは処理を保護する国内法によって、当社の費用が増加、決済高が減少し、
これらの国で創出する当社の収益に影響を与え、発行または処理されるビザの商品が減少し、当社はグロー
バルな処理能力の活用および 当社のブランドをサポートするサービスの質の管理 ができなくなり、当社の活
動が制限され、当社の成長ならびに新商品、サービスおよびイノベーションが限定され、当社が国々から撤
退しなければならなくなり、新市場への参入が妨げられ、また新たな競合企業を生む可能性がある。これは
すべて、当社の事業に悪影響を及ぼす可能性がある。
個人データおよび個人情報の取扱いに関する法律および規制は、当社のサービスへの妨げとなる、または
費用、当社に対する法的請求もしくは罰金を増加させる可能性がある。
当社の事業は、多くの法域でのデータ処理および国境を越えたデータ移転に依存する。個人データの収
集、保管、取扱い、使用、開示、提供および安全管理に関する法的な要請は発展を続けており、かかる領域
における規制上の監督は世界中で増加している。プライバシーおよびデータ保護法の重要で不透明な存在
は、国ごとに異なって解釈および適用されており、法的な要請が一貫性を欠き矛盾する可能性がある。たと
39/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
えば、EU一般データ保護規則(以下「GDPR」という。)は、EUデータ保護法の適用範囲を拡大し、企業の所
在地にかかわらず、EU居住者のデータを取り扱う全ての企業を対象としている。かかる法は、個人データの
取 扱いに関する新しい法的な要請を満たすように企業に義務付けている。当社は、GDPRの法的な要請に対応
する広範囲のデータ・プライバシー・プログラムを有しているが、当社のGDPRならびにその他のプライバ
シーおよびデータ保護法(2020年1月に効力が発生する新たなカリフォルニア州消費者プライバシー法およ
び2020年2月に効力が発生するブラジルの一般データ保護法等)を遵守するための進行中の取組みは多額の
費用を伴うため、その他のイニシアチブや計画の資金が流用され、当社が提供できるサービスを制限する可
能性がある。また、インドは、すべての決済システムの運営者に対して、国内の取引データをインドのみに
保管することを義務付けるデータ・ローカライゼーション法を採択した。かかるデータ・ローカライゼー
ション義務は、当社のコストに影響し、当社がその国際ネットワークの効率性および価値を活用する能力に
影響を及ぼし、また当社の戦略に影響を及ぼす可能性がある。さらに、データの安全管理に係る事故および
プライバシー侵害に関連して、当局による規制および調査は増加し続けている。さらなる制限法、規則、規
制の整備または将来の当局による規制もしくは調査は、当社の事業における費用または制限の増加を通じ
て、当社に対して影響を与える可能性があり、法令順守違反は規制上の罰則および重大な法的責任をもたら
す可能性がある。
当社は税務調査もしくは 税務争訟 または税法の改正の対象となる可能性がある。
当社は、法人税およびその他の税金の支払のために 、世界的規模の引当金を計算するうえで重要な判断を
行っている。 当社は、当社の見積税額が合理的であると確信しているが、多くの要素がその正確性を制限す
る可能性がある。当社は現在、IRS、英国の歳入関税庁およびその他の法域における税務当局による調査を受
けているかまたはかかる当局と係争中であり、将来的にはさらなる調査および争訟の対象となる可能性があ
る。関連する税務 当局 は、一部の重要な項目に関する当社の課税措置に異議を唱え、これにより当社の納税
義務 が増加する可能性がある。これらの事項に関して当社の立場を維持することができない場合、当社の
キャッシュ・フローおよび財政状態に悪影響が及ぶ可能性がある。さらに、米国もしくは米国外の法域にお
ける現行法律の一部改正、または経済協力開発機構の事業計画によってもたらされる一部改正で、利益配分
および関連規則の改訂ならびにグローバルな税源浸食計画に関するものは、当社の実効税率に重大な影響を
及ぼす可能性がある。当社の納税額が著しく増加した場合、当社の財務成績に重大な悪影響が及ぶ可能性が
ある。「第6-1財務書類- 注記19法人税等」 を参照のこと。
(2)訴訟リスク
当社は、一定の補償を受けることができるものの、訴訟または調査の結果により悪影響を受ける可能性が
ある。
当社は、とりわけ競争法、反トラスト法、消費者保護法および知的財産法の違反を申し立てる民事訴訟の
係争者、政府および執行機関が主張する多くの訴訟事件、調査および訴訟手続(以下、総称して本項におい
て「法的措置」という。)に 関わって いる。当社が直面する重要な法的措置の状況の詳細は、「第6-1財
務書類-注記 20 法的事項」に記載されている。これらの法的措置は、不確実性が内在し、多額の費用を要
し、当社の業務に悪影響を及ぼす。重大な法的措置(特に、反トラスト法に基づく原告による三倍賠償請求
等に関わる大規模な集団訴訟)において当社の責任が認定された場合または政府の調査に起因する責任を
被った場合、当社は多額の損害賠償金、和解金または罰金の支払を余儀なくされる可能性がある。さらに、
法的措置の結果としての和解の条件、判決または社会的圧力により、当社は、とりわけ設定するデフォル
ト・インターチェンジ払戻レート、ビザ運営規則もしくはこれらの規則の執行方法、当社の手数料もしくは
価格設定または事業方法の変更を余儀なくされることにより、当社の事業に損害が生じる可能性がある。こ
れらの法的措置またはその結果もまた、同様のまたはその他の法域における規制当局、調査当局、政府また
は民事訴訟の係争者に影響を及ぼすおそれがあり、その結果、ビザに対して追加の法的措置がとられる可能
性がある。最後に、当社はいくつかの商業協定に従い、他の事業体に対して提起されている訴訟について、
ビザが被告ではない場合であっても補償する義務を負っている。
「第6-1財務書類-注記5米国およびヨーロッパの遡及的責任計画」および「第6-1財務書類-注記
20 法的事項」で詳述される米国の対象訴訟またはビザ・ヨーロッパ・リミテッド( Visa Europe Limited )域
内の対象訴訟のような特定の法的措置について、当社は、各遡及的責任計画に基づく一定の金銭補償を受け
ることができる。2つの遡及的責任計画は、補償内容および当社が補償を受けるメカニズムが異なってい
る 。 これらの遡及的責任計画のいずれかまたは両方により、かかる和解、判決、損失または賠償責任の影響
から当社を的確に防御できない場合、当社の財政状態またはキャッシュ・フローに重大な悪影響が及ぶ可能
性があり、また当社が破産に陥る可能性もある。
(3)事業に関するリスク
当社は、業界における熾烈な競争に直面している。
世界の決済業界では、競争が過熱化している。技術の進化により、新たな競合企業または決済方法が出現
し、既存の顧客および競合企業は異なる役割を担うと推測される。当社の商品は、現金、小切手、電子資
金、仮想通貨による支払、世界的または多地域的なネットワーク、その他国内およびクローズド・ループの
40/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
決済システムならびに主としてeコマースおよびモバイルチャンネルを介した支払を可能にすることに重点
を置く代替決済プロバイダーと競合している。世界の決済業界がより複雑化するにつれ、当社は、eコマー
ス およびモバイルチャンネルにおけるオンライン活動を介した決済システムを開発した、当社の顧客、フィ
ンテックのような他の新興の決済プロバイダーならびにその他のデジタル決済企業および技術会社との競争
の激化に直面している。
当社の競合企業は、大幅に優れた技術を開発し、より幅広く適応するデリバリー・チャンネルを有し、ま
た大規模な資金を有する可能性がある。これらの企業は、より効率的または革新的で幅広いプログラム、商
品およびサービスを提供する可能性がある。また、これらの企業は、当社より効果的な広告およびマーケ
ティング戦略を実施することにより、ブランド名の認知度の拡大、発行数の増加、および加盟店の増加を達
成する可能性がある。これらの企業はまた、より質の高いセキュリティ・ソリューションの開発または低価
格設定を行う可能性がある。さらに、もし当社が技術の変化および決済サービスの代替方法の増加に対し
て、これらの分野でのサービスを発展させて提供することでうまく適応したとしても、かかるサービスは、
当社が現在ビザネット取引から獲得する利益よりも好条件でない可能性があり、当社の財務業績および業績
見通しに悪影響を及ぼす可能性がある。
当社の特定の競合企業は、異なるビジネスモデルで事業を行い、異なる費用構造を有し、異なる市場セグ
メントに参入している。これらのビジネスモデルは、最終的により大きな成功を収める可能性があり、また
規制上、技術上およびその他の変化に、より 適応 する可能性がある。いくつかの場合、これらの競合企業
は、当社が特定の国および地域において取引を獲得するために競うことを禁止、制限または阻止する政府指
令により支持されている。 アメリカン・エキスプレス、ディスカバー、プライベート・レーベルカード・
ネットワーク、仮想通貨プロバイダーおよびデジタル資産の交換を可能にする技術会社、アリペイおよび
ウィーチャットペイ等の特定の代替決済システム等の当社の競合企業の一部は、加盟店および消費者の両者
と直結し、クローズド・ループの決済システムを運営している。ドッド・フランク法または連邦準備制度の
フェッドナウ( FedNow )などの政府の措置またはイニシアチブは、競合企業がこのようなビジネスモデルか
ら優位性を得る機会を増加させる可能性があり、また新たな競合企業(場合により、政府自体も含む。)を
生み出す可能性がある。同様に、 PSD2 および IFR が施行された欧州における規制により、当社は追加的な参加
者に対して当社のネットワークへのアクセスの解放および参加の許可を要求される可能性があり、またイン
フラストラクチャーの投資および競合企業に対する規制上の負担を減じるよう要求される可能性がある。ま
た、モバイルでの決済、代替支払クレデンシャル、その他帳簿技術または支払形式を含む新たな技術等の要
因の他、取引処理に当社の決済ネットワークを使用したくないと考える事業体間の二者間契約が増加してい
るため、当社の仲介機能は排除されるリスクを負っている。たとえば、加盟店は発行会社との間で取引を直
接処理する可能性があり、また決済業者は、発行会社および加盟店獲得会社との取引を直接処理する可能性
がある。
当社は、競合環境が以下のように引続き移行および進展する可能性があると予想している。
・当社の競合企業、顧客、ネットワーク参加者およびその他は、モバイル決済サービス、eコマース決済
サービス、個人間( P2P )決済サービス、即時かつより高速の決済イニシアチブおよび消費者の当座預金
からの自動決済処理装置( ACH )または直接引き落しサービス等の、取引処理において当社の役割を低減
させるかもしくはその他仲介機能を排除するような代替決済ネットワークもしくは商品、またはかかる
処理をサポートするために当社が提供している付加価値サービスを開発するか、またはこれに関与して
いる。これらの例には、巨大な金融機関により構成される団体であり、独自の高速決済システムを発展
させているクリアリング・ハウス( The Clearing House )、個人間( P2P )、企業と政府間の支払、ビ
ル・ペイおよび預金確認取引を含む様々な決済方法における、より迅速な資金提供または即時決済の別
のプラットフォームを提供する銀行提供の代替ネットワークであるゼル( Zelle )を運営するアーリー・
ウォーニング・サービシズ( Early Warning Services )ならびに新たなステーブルコインの仮想通貨
(リブラコイン( Libra Coin ))およびグローバルなブロックチェーンベースの決済ネットワークの開
設を目指すリブラ・アソシエーション( Libra Association )のイニシアチブを含む。
・同様に、多くの国が、国内ネットワーク、スイッチおよび即時決済システムを開発または促進してい
る。これらの政府が、現地の銀行および加盟店に対し、国内取引においてこれらのシステムを利用し受
け入れることを義務付け、かつ/またはビザのような国際的な決済ネットワークがこれらのシステムに
参加することを禁じている限り、当社は、これらの国々において、事業の仲介機能を排除されるリスク
に直面する可能性がある。さらに、東南アジア等の一部の地域では、いくつかの国々が、東南アジア諸
国連合( ASEAN )の支援を受けて、このような国内システムをクロスボーダーに接続することを検討して
いる。
・当社の取引を処理している当事者は、決済バリューチェーンにおける当社の地位を最小化および除外す
るよう試みる可能性がある。
・顧客、技術ソリューションのプロバイダーまたはその他を含む当社の支払クレデンシャル、トークンお
よび技術にアクセスする当事者は、支払方法を代替するかまたは代替決済方法およびプラットフォーム
の強化を確立または支援することを目的とする当社の支払クレデンシャル、トークンおよび技術を利用
するためにアカウント保有者およびその他顧客を移行する可能性がある。
・決済業界への参加者は、合併、合弁会社の設立、現在の事業の強化を可能とする他の事業体との結合、
または当社のサービスと 競合 する新しい決済サービスの創設を行う可能性がある。
41/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
・国際標準化機構、米国国家規格協会、ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム、欧州カード標準化
団体、 PCI Co および EMVCo 等の組織により定められる、 EMV SRC 、クラウドベースの決済、トークン化ま
た はその他の決済関連技術に関連する新しいまたは改定された業界基準により、ビザまたはその顧客に
対して追加的な費用および支出が生じるかまたは当社の商品およびサービスの機能性および競合性が悪
影響を受ける可能性がある。
競合環境がめまぐるしく進化するため、当社は新たな事業、商品、サービスおよび実務に関連して新たに
発生したリスクについて十分に予見または対応できない可能性がある。当社は、当社の地方における規則お
よび実務を調節すること、当社の決済サービスのいくつかの側面を開発しもしくはカスタマイズすること、
または競合する目的で、ビザの占有技術および占有利益の保護が弱まるような事業上の取決めに合意するこ
とを要求される可能性があり、営業費用の増加および知的財産に関する訴訟リスクの増加に直面する可能性
がある。当社がこれらの動向を踏まえて効果的に対応することができない場合、当社の事業および将来の成
長見込みに損害が生じる可能性がある。
当社の収益および利益は当社の顧客および加盟店に左右され、これらの獲得、保持、維持の費用が増大す
る可能性がある。
当社の金融機関顧客および加盟店は、常に当社へのコミットメントを再評価することができ、または独自
の競合サービスを開発することができる。当社は一定の契約上の保護を有しているが、いくつかの最大顧客
を含む当社の顧客は、一般的にビザ以外の商品を発行する柔軟性を有している。さらに、特定の状況におい
て、当社の金融機関顧客は、比較的短い通知期間で、多額の早期解約手数料を支払うことなく、当社との契
約関係の解除を決定する可能性がある。当社の純収益の大部分は当社の大口顧客に集中しているため、かか
る大口顧客との営業を1つでも喪失した場合、当社の事業、営業成績、財政状態に損害が生じる可能性があ
る。
当社はまた、当社の金融機関顧客への価格設定において厳しい競争圧力に直面している。当社は、競争力
を維持するため、価格調整を行うか、または決済高を増大し、新しい市場に参入し、規制の変更に適応し、
ビザの商品およびサービスの使用先および受入れ先を拡大するためのインセンティブを当社顧客に提供しな
ければならない可能性がある。これらには、前払金の支払、手数料の割引、払戻し、クレジット、業績に基
づいたインセンティブ、マーケティングならびに当社の収益および利益に影響を与えるその他のサポート決
済が含まれる。これに加えて、当社は当社の商品がその他のネットワーク機能が利用可能であり、かつネッ
トワークのルーティングオプションの選択肢を有する状況において、優先ルーティングを獲得するため、一
定の加盟店または加盟店獲得会社にインセンティブを提供している。価格設定、インセンティブの提供、手
数料の割引および払戻しに係る市場の圧力は、当社の成長を緩やかにする場合がある。当社が当社の事業の
その他の分野における費用の抑制および生産性イニシアチブを実施できない場合またはこれらのインセン
ティブ、手数料の割引および払戻しの財政的な影響を相殺または吸収するその他の方法により取引を増加す
ることができない場合、当社の純収益および純利益に損害が生じる可能性がある。
さらに、当社の競合企業と長期的な独占関係または独占に近い関係を有している金融機関もしくは加盟店
を獲得するかまたはこれらと事業を行うことは困難となるかまたは費用が増大する可能性がある。これらの
金融機関または加盟店が当社の既存の顧客または加盟店と比べてより大きな成功およびより早い成長を遂げ
る可能性がある。さらに、当社の最大顧客または共同ブランドパートナーの1社以上が、当社の競合企業の
1つと深い提携関係を持つ金融機関顧客または加盟店によって合併または取得された場合、当社の事業が競
合企業に移行し、これにより当社の事業が競争面で不利な立場に追い込まれ、損害が生じる可能性がある。
加盟店および決済業者が受入れに際する費用の削減および業界の慣習への抗議を引続き推進した場合、当
社の事業に悪影響を及ぼす可能性がある。
ビザの商品の受入れを維持および拡大するために、当社は加盟店およびその加盟店と当社顧客との関係に
一部依存する。一定の大規模な小売加盟店は、米国、カナダおよび欧州等の特定の法域におけるグローバル
決済システムに関して影響力を行使し、新たな法律へのロビー活動、規制強化の追求、訴訟の提起および、
場合により、ビザの商品の受入れを拒否することにより、その受入れに関連した費用の削減努力を行ってき
た。かかる努力が成功した 場合 、当社はコンプライアンスおよび訴訟に係る費用の増加に直面する可能性が
あり、発行会社は当社の商品の発行を削減する可能性がある。たとえば、米国では、特定のステークホル
ダーが、決済セキュリティに係る規格および規則がどのように決済カードの受入れに際する費用に影響し得
るのかに関して懸念を示している。米国における EMV 仕様のカードおよび POS 端末への移行に関連する進行中
の訴訟に加えて、米国の加盟店関連グループおよび決算業者は、 EMV の認証プロセスに関して懸念を示してお
り、一部の政策担当者は、決済カード規格の策定における EMVCo および PCI Security Standards Council 等の
企業体の役割に関して懸念を抱いている。さらに、一部の加盟店および決済業者は、販売時点における業界
の慣習およびビザの受入れ要件(加盟店が特定の種類のビザの商品のみの受入れ を可能とすることを含
む。 )を変更し、 PIN 認証された取引のみを義務付けること、他の金融機関により発行されたビザの商品の種
類間での差別化または誘導ならびに決済の形式としてビザの商品を提示している顧客への割増金の賦課を主
張してきた。これらの取組みが実施された場合、 消費者による 当社の商品の利用に悪影響が及び、規制強化
および/または訴訟の原因となり、当社のコンプライアンス費用および訴訟費用が増加し、また 当社の 事業
に 損害を生じさせる 可能性がある。
42/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
当社は、金融機関、加盟店獲得会社、決済業者、加盟店および他の第三者との関係に左右される。
上記のとおり、業界関係者と当社との関係は複雑なものであり、当社は複数の第三者の利害を調和させる
ことが要求される。たとえば、当社は、当社のプログラムおよびサービスをサポートし、その結果市場にお
いて効果的に競争するために、当社の金融機関顧客との関係ならびに それら とアカウント保有者および加盟
店との関係に大きく依存している。当社は、優先ルーティングおよび受入増加の促進に向けたインセンティ
ブを提供するために、加盟店、加盟店獲得会社および決済業者との話し合いに従事している。また、当社は
加盟店との決済カードのブランド提携にも多数取り組んでおり、加盟店は当社からインセンティブを受領す
る。当社は、フィンテックのような新たな参加者が決済業界に参入するたびに、当該参加者らがエコシステ
ムで果たす可能性がある役割(たとえば発行会社、加盟店またはデジタル・ウォレット・プロバイダー等)
を検討するための話し合いに従事している。これらおよびその他の関係は、さらに広まりつつあり、また当
社の事業にとって重要性が高まっているため、当社の成功は、当社がこれらの関係を維持しかつ発展させる
ことができるかにますます左右されるようになる。これに加え、当社は、取引を適切に処理し、 当社 を 代理
して当社の決済ネットワークに関連する様々なサービスを提供し、またその他当社の運営規則を遵守するた
めに、当社顧客および第三者(ベンダーおよび供給元を含む。)に依存している。かかる当事者が適切な
サービスを遂行せず、または提供しない限りにおいて、アカウント保有者その他がビザブランドの決済商品
を利用する際に不快な体験をし、当社の事業および評判が害される可能性がある。
当社が当社のブランドを維持および強化することができない場合、当社のブランドもしくは評判を損なう
可能性のある事象が発生した場合または当社のブランドの仲介機能の排除が行われた場合、当社の 事業 に
損害を生じさせる 可能性がある。
当社のブランドは、世界的に認識されており、当社事業の主要資産である。当社は、当社の顧客およびア
カウント保有者が当社ブランドを受容性、安全性、利便性、迅速性および信頼性と関連付けていると考えて
いる。当社の成功は、主に当社が決済エコシステムにおける当社の商品およびサービスに関するブランドの
価値および評判を維持することができるか、当社が新規および既存の商品、サービスおよびパートナーシッ
プを通してブランドを高めることができるか、ならびに当社が当社の企業評判を守ることができるかに左右
される。当社が技術会社および金融機関と共同で開発した商品の人気は、顧客の混乱または POS におけるブラ
ンドの仲介機能の排除に繋がり、当社のブランドの価値を下げる可能性がある。当社のブランドの評判は、
認証、清算および決済サービスの障害、データ・セキュリティの侵害、ビザ(当社の従業員、代理人、顧
客、パートナーまたは供給元を含む。)によるコンプライアンス違反、当社の業界または当社顧客もしくは
ビザ取扱加盟店の業界の消極的なイメージ、顧客、パートナーまたはスポンサーシップ・パートナーもしく
は共同ブランドパートナー等の他の第三者による行為に対する悪いイメージ、および当社の決済商品を利用
した詐欺行為、リスクの高い行為、問題となる行為または違法行為を含む、多くの要因により悪影響を受け
る可能性がある。当社が当社の評判を維持できない場合、当社ブランドの価値が損なわれ、それにより当社
のアカウント保有者および一般市民との関係を害し、または当社の事業に悪影響を及ぼす可能性がある。
世界中の経済、政治、市場および社会の事象または情勢は、当社の事業に損害を生じさせる可能性があ
る。
当社の収益は、消費者、政府および企業による決済取引の取引高に左右され、その消費傾向は経済情勢の
現状に影響される。また、当社の純収益の半分超は、米国外で獲得している。国際的なクロスボーダー取引
による収益は、当社の収益の大部分を占め、成長戦略の要となっている。したがって、景気後退、インフ
レーション、高い失業率、為替変動、事実上のもしくは予定される大規模な債務不履行または国際貿易の鈍
化等のマクロ経済情勢の悪化は、消費者および企業の信用力を低下させ、消費者、政府および企業の支出を
減少させ、当社の収益に直接的な影響を与える。さらに、病気、感染症またはその他の地域的もしくは世界
的な健康に関する問題の発生や政治的な不確実性、世界的な敵対行為、武力紛争または社会不安および自然
災害は、当社の業務、顧客および特定地域における事業活動ならびに海外旅行および海外での消費に影響を
与える可能性がある。国家主義、保護貿易主義、および制限的なビザの要件に対する地政学的な傾向もま
た、経済制裁に係る継続活動および不確実性と同様に、これらの地域における当社の事業の拡大を制限する
可能性がある。現在の貿易環境により、中国における当社の BCCI の申請が承認される可能性は低くなってい
る。さらに、海外旅行および海外での消費の減少は、当社が取り扱うクロスボーダー取引高および為替業務
に影響を及ぼし、当社の国際取引収益の減少に繋がる可能性がある。
経済情勢の減退は、当社顧客にも影響を与える可能性があり、かかる顧客の決定によりアカウント保有者
のカード数、アカウント数および与信枠を削減する可能性があり、結果として当社収益に影響を与える。ま
た、マーケティング予算を削減もしくは廃止するコスト削減策を実施し、任意的なまたはより充実した、付
加価値的サービスに対する支出を削減する可能性がある。
金融市場機能の弱体化、クレジット市場の引締め、または当社の現在の信用格付けの引下げに繋がる事象
もしくは状況により当社の将来的な借入コストは増加し、望ましい条件で資本市場および信用市場を利用す
る能力を損なう可能性がある。これにより、当社の流動資産および資本資産に影響が及ぶこととなり、また
当社の資金コストを大幅に増大させる可能性がある。当社顧客が、決済義務の債務不履行に陥った場合、当
43/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
社の流動性に影響を及ぼす可能性がある。かかる事項は、当社の取引高および収益に悪影響を与える可能性
がある。
当社顧客の損失に対する当社の補填義務は、当社を重大な損失のリスクにさらし流動性を減少させる可能
性がある。
当社は、ビザ運営規則に従い、発行会社および加盟店獲得会社が他の発行会社または加盟店獲得会社によ
る決済義務の不履行に より 被る可能性のある決済損失を補填する。特定の場合、取引が当社のシステムに
よって処理されたものではない場合でも、発行会社または加盟店獲得会社に対する補填を行うこともある。
この補填により、当社は支払取引日とその後の決済日との間のタイミングのずれから生ずる決済リスクを負
う。当社の補填に係るエクスポージャーは、原則としてあらゆる時点における未決済のビザ支払取引額およ
び連続した前回の処理取引の調整と関連して減少した取引額に限定されている。2社以上の大口顧客もしく
は何社もの小口顧客が同時期に決済不履行に至った場合またはシステム上の不具合は、当社の財政状況に悪
影響が及ぶ可能性がある。当社が決済不履行を補うだけの十分な流動資金を確保していても、かかる支払分
を回収することができない可能性がある。これにより、当社は重大な損失を被り、当社の事業に損害が生じ
る可能性もある。「第6-1財務書類-注記 11 決済保証の管理」 を参照のこと。
英国の EU 離脱は、当社の事業および業績に損害を生じさせる可能性がある。
2016 年6月、英国の有権者は、英国が EU から離脱することを承認した(一般的に「 Brexit 」という。)。
2017 年3月、英国政府は、 EU 条約の第 50 条に基づき、英国とその他の EU 加盟国による離脱条件の交渉期間を
最大2年間として、 EU からの離脱手続を開始した(その後 2020 年1月 31 日まで延期となった。)。英国の EU
からの離脱条件の不確実性は、英国およびその他欧州における政治的および経済的不確実性を引き起こす可
能性があり、当社の事業および業績に損害が生じる可能性がある。
Brexit により法的な不確実性が高まり、英国および EU において国家間で異なる法律および規制に繋がる可
能性がある。英国で重要な業務を行う当社および当社顧客は、他の EU 加盟国と異なる可能性のある規制枠組
みに対応するための追加費用が発生する可能性があり、結果として英国および他の EU 加盟国における当社の
ビザ運営規則および契約コミットメントに、影響が及ぶ可能性がある。また、 Brexit 後に、 EU 加盟国とは別
に規制局の承認または許可を申請する必要がある可能性がある。かかる要因は、 EU および英国での滞りのな
い業務およびデータ処理を行う能力に影響を及ぼす可能性がある。この問題およびその他の Brexit 関連の問
題により、英国および EU における当社の法人構造および/または業務の変更が必要となる可能性がある。
Brexit によるこれらの影響は、いずれもとりわけ当社の事業および業績に損害を生じさせる可能性がある。
(4)技術およびサイバーセキュリティリスク
決済業界における新しい技術について予測、適応し、追随できなかった場合、当社の事業に損害を生じさ
せ、将来の成長に影響を与える可能性がある。
世界の決済業界はモバイルおよびその他の近接型決済技術、eコマース、トークン化、クリプトカレン
シー、生体認証等の新認証技術、分散型台帳ならびにブロックチェーン技術を含む著しいかつ急速な技術変
化に直面している。その結果、当社は新たなサービスおよび技術が登場し、進化し続けると予想している。
新たな技術の開発やその利用において、当社独自のイニシアチブおよび革新に加え、当社は、潜在的な競合
企業を含め、第三者と密接に協力している。しかしながら、どの技術的発展または技術的革新が広く導入さ
れるのか、またこれらの技術がどのように規制され得るのかを予測することは難しい。さらに、これらの新
しい技術の一部は知的財産に関連した訴訟または請求の対象となり、潜在的に当社の開発努力に影響を与
え、および/または許諾を得なければならないものとなる可能性がある。当社または当社のパートナーが適
時に新しい決済分野の技術に適応および追随できなかった場合、当社の競争力に悪影響を与え、クライアン
トに対する商品およびサービスの価値が下がり、当社の知的財産または許諾権に影響を与え、当社の事業に
損害を生じさせ、かつ将来の成長に影響を与える可能性がある。
サイバー攻撃等による当社のネットワークまたはシステムの障害、故障または侵害により、当社の事業に
損害が生じる可能性がある。
当社ならびに金融機関、加盟店および第三者サービス ・ プロバイダーのサイバーセキュリティおよび処理
システムは、限られた場合において、停電、ハードウェア、ソフトウェアおよびネットワークの故障、コン
ピューター・ウイルス、マルウェアもしくはその他の破壊的なソフトウェア、内部設計、マニュアルもしく
は使用上のエラー、サイバー攻撃、テロ行為、社内における暴力もしくは不正、壊滅的な出来事、自然災害
ならびに悪天候等、数多くの原因によるエラー、中断、遅延または損害に直面しており、また今後も継続的
にこれらに直面する可能性がある。
さらに、世界的な決済業界における当社の知名度および役割によっても、当社はハッカーの標的となるリ
スクがより高まる可能性がある。当社は、その通常業務において悪意あるサイバー攻撃計画の標的となって
いた。当社はまた、当社の金融機関顧客、加盟店または第三者決済業者に対する攻撃およびデータ・セキュ
44/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
リティの侵害による影響を受けており、また今後も継続的にかかる影響を受ける可能性がある。当社はま
た、国民国家が当社の一部の金融機関顧客に対する攻撃を支援した例、またその他にも、複数の加盟店およ
び 発行会社がその顧客(ビザのアカウント保有者を含む。)に影響を及ぼす重大なデータ・セキュリティの
侵害を被った例を認識している。かかる攻撃および侵害は不正行為、ひいてはビザの顧客に対する財務損失
を引き起こし、また今後も継続的にこれらを引き起こす可能性があり、将来における攻撃または侵害が当社
の事業に及ぼす直接的または間接的影響を予測することは難しいと考えている。
とりわけ当社のインターネットアプリケーションに対する巧妙化した永続的なサイバー攻撃、フィッシン
グおよびソーシャルエンジニアリングの手法等、数多くの進化し続けるサイバーセキュリティに対する脅威
は、当社のシステム内または当社の第三者サービス・プロバイダーのシステム内のデータの機密性、利用可
能性および完全性を侵害する可能性がある。不正アクセスを取得する技術やシステムを無効または低下させ
る技術は、頻繁に変化し、より複雑で高度化しつつあり、長期間にわたって発見し難いため、当社はこれら
の行為を予期できないまたは十分にもしくは適時に対応しない可能性がある。機密情報で ある 消費者のデー
タおよびその他の情報を保護するために当社、当社の金融機関顧客および加盟店顧客、その他の加盟店なら
びに決済エコシステムにおける第三者のサービス・プロバイダーが講じているセキュリティ対策および手続
では、すべてのデータ・セキュリティ侵害、サイバー攻撃もしくはシステム 障害 に対応することができない
か、または対応するには不十分である可能性がある。一部の場合において、軽減のための取組みが、契約上
の基準要件を満たしていない第三者、またはハードウェア、ソフトウェアもしくはネットワーク・サービス
がエラー、欠陥、遅延もしくは停電の影響を受ける可能性のある第三者に依拠する可能性がある。当社は、
そのサイバーセキュリティおよび供給元のリスク管理に係るプログラムに多大な資源を投じており、当社の
システムおよびデータを保護するため、また、データ・セキュリティ事件を防止、発見して対応するために
セキュリティ対策を講じてきたが、当社の取組みがこれらの脅威を防止するという保証はない。
これらの事象は当社の業務に重大な障害をもたらし、当社の消費者に影響を及ぼし、当社の評判およびブ
ランドを損ね、訴訟または請求、プライバシー法その他の適用法の違反および規制上の監督、調査、措置、
罰金または処罰に繋がり、当社の事業慣行を損うかまたは変更させ、当社商品の全体的な利用度および受容
性を低下させ、当社の決済高、収益および将来の成長見込みを低下させ、多くの費用および時間が費やさ
れ、修復困難な状況に繋がる可能性がある。これらの事象により当社の事業に損害または障害が生じた場
合、当社はその重要な事業の機能、資産およびデータの全部を、事業継続計画を通じて、首尾良く迅速に回
復することができない可能性がある。さらに、当社は保険に加入しているが、その補償範囲では発生しうる
あらゆる種類の損失または請求を十分に補償することができない可能性がある。
(5)構造的および組織的リスク
当社が取得または戦略的投資により期待された利益を得ることができず、結果的にリスクおよび不確実性
に直面する可能性がある。
当社の全体的な事業戦略の一部として、当社は、取得および戦略的投資を行う。当社は、当社の現在およ
び将来の取得および戦略的投資から期待される利益を達成できない可能性があり、これらには以下を含む大
きなリスクおよび不確実性を伴う可能性がある。
・当社の現行事業の混乱(当社の既存事業からの資源および経営陣の注意の分散を含む。)
・想定より高い資源の投資または営業費用
・取得事業の適切な展開の失敗
・当社の取得企業、または当社が投資しているかもしくは提携している企業のデータ・セキュリティ、サ
イバーセキュリティおよびオペレーショナル・レジリエンスに係る姿勢が十分でない可能性がある。
・取得企業における支配、手続きおよび方針の導入の難航、費用または失敗
・新規従業員、企業風土、業務システムおよび技術の統合についての課題
・取得事業の従業員、顧客またはパートナー留保の失敗
・外国企業の取得の場合において、異なる文化および言語にわたる業務の統合に関連するリスク
・新たな業界、地域または国において事業を行うことに関連した経済、政治および規制リスク。規制リス
クに関する詳細については、 「 第2-3-(8) 政府規制」 および上記「(1)規制上のリスク」を参
照のこと。
・取得後または投資完了後における未確認事案および関連する負債の発覚
・取得事業の欠陥および負債を軽減することの失敗
・新たな有価証券が発行される場合の持分証券の希薄化発行
・負債の背負い込み
・当社の財政状態および/または損益計算書へのマイナスの影響
・投資または取得により期待される利益、相乗効果または価値の非実現
45/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
当社は、主要な経営陣を含む高度な資格を有する多様な従業員を惹きつけ、雇用し維持することができな
い可能性がある。
当社の従業員(特に当社の主要な経営陣)の才能および努力は、当社の成功にとって不可欠である。当社
の経営陣チームは、業界での重要な経験を有しており、余人をもって代え難い。当社は、特に労働市場にお
いて競争力のある雇用条件を提供しない限り、それらを維持することも、他の高度な資格を有する従業員を
惹きつけることもできない可能性がある。進行中の移民および作業認可に関する法および方針の変更は、当
社が事業を展開する法域での従業員の労働または転勤をさらに困難にしており、当社の有能な従業員を惹き
つけるおよび維持する能力を引続き損なわせる可能性がある。当社が高度な資格を有し、多様な才能を有す
る従業員を惹きつけ、雇用、育成し、意欲を起こさせ、維持することができない場合、経営陣に対する適切
な後継者育成プランを策定し実施することができない場合、または誠実性、革新性および協調性を育む企業
風土を維持することができない場合は、当社の運営を妨げ、当社の事業および当社の将来の成功に悪影響を
及ぼす可能性がある。
当社のクラスB普通株式およびクラスC普通株式またはシリーズB優先株式およびシリーズC優先株式が
クラスA普通株式に転換された場合、当社の既存のクラスA普通株式の議決権が希薄化し、その市場価格
にも影響する可能性がある。
当社のクラスA普通株式の市場価格は、様々な要因の結果下落する可能性がある。米国の遡及的責任計画
に基づき、当社の米国における対象訴訟の最終解決時には、当社のクラスB普通株式はすべてクラスA普通
株式に転換可能になる。当社のシリーズB優先株式およびシリーズC優先株式は、既存の訴訟および潜在的
な訴訟の進展に基づき、段階を踏んでクラスA普通株式に転換可能となり、(保留となっている申立てを処
理するために必要な預り金を確保することを条件として) 2028 年までに完全に転換可能となる。当社のクラ
スB普通株式およびクラスC普通株式がクラスA普通株式に転換された場合、またはシリーズB優先株式お
よびシリーズC優先株式がクラスA普通株式に転換された場合、発行済クラスA普通株式数が増加し、これ
により当社の既存のクラスA普通株式の市場価格が悪影響を受け、既存のクラスA普通株式の株主の議決権
が希薄化する可能性がある。
当社のクラスB普通株式および クラス C普通株式の株主ならびにシリーズB優先株式およびシリーズC優
先株式の株主は一定の重要な取引について、クラスA普通株式の株主の利害と異なる利害を有する可能性
がある。
当社のクラスB普通株式およびクラスC普通株式の株主ならびに(一定の特別な状況において)シリーズ
B優先株式およびシリーズC優先株式の株主は、その議決権は限定されているものの、一定の重要な取引に
ついては議決権を行使することができる。当社のクラスB普通株式およびクラスC普通株式については、こ
れらの取引には、統合または合併の提案、当社の主要事業である決済事業からの撤退の決定またはデラウェ
ア州法に定められる他の決議事項が含まれる。当社のシリーズB優先株式およびシリーズC優先株式につい
ては、議決権の行使は、統合または合併の提案のうち、その結果としてシリーズB優先株式およびシリーズ
C優先株式の株主が(ⅰ)該当するシリーズの優先株式の優先権、権利および特権と実質的に同一でない優
先権、権利および特権が付された株式もしくはその他の持分証券を受け取るか、または(ⅱ)当社のクラス
A普通株式の株主が受け取ることになるものと異なる有価証券、現金もしくはその他の資産を受け取ること
になるものに限定されている。クラスA普通株式以外のクラス株式の株主は当社の現行および以前の金融機
関顧客であるため、これらの株主は、クラスA普通株式の株主とは異なる利害を有する可能性がある。結果
として、これらのクラス株式の株主は、クラスA普通株式の株主にとって望ましい事業を承認する動機を有
さず、またその利害はクラスA普通株式の株主の利害に反する可能性がある。
デラウェア州法、当社の基本定款および付属定款で既定された条項ならびに当社の資本構成が合併、買収
もしくは支配の変更を阻む可能性がある。
当社の基本定款および付属定款で規定された条項ならびに当社の資本構成により、当社株主が望み得る合
併、買収または支配の変更が遅れるか、または妨げられるおそれがある。たとえば、下記の条項が挙げられ
る(少数の例外は除く。)。
・いかなる者も、当社のクラスA普通株式の15%(または転換ベースにおける全発行済普通株式の15%)
超を実質的に所有してはならない(ただし、前もって取締役会にてその取得が承認された場合を除
く。)。
・競合企業または競合企業の関連会社は、転換ベースにおける当社の全発行済普通株式の5%を超える当
社株式を所有してはならない。
・クラスB普通株式およびクラスC普通株式の株主ならびにシリーズB優先株式およびシリーズC優先株
式の賛成票が、特定種類の統合または合併に要求される。
・当社の株主は株主総会の間にのみ行為することができ、書面により行為することはできない。
・取締役会、取締役会会長またはCEOのみが臨時株主総会を招集することができる。
46/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)業績等の概要
「(3)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照のこと。
(2)生産、受注及び販売の状況
「(1)業績等の概要」を参照のこと。
(3)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
財政状態および経営成績に関する経営陣の考察および分析
経営陣による本考察および分析では、当社および当社の子会社に関する過去の経営成績、財政状態、流動
性、資本資源についての概観を記載し、最近の収益に影響を与えている要因および将来の収益に影響を与え
るであろう要因について概説する。本考察および分析は、当社の連結財務書類および本書「第6-1財務書
類」の注記と併せて読まれるものとする。
(a)概観
当社は、 200 を超える 国 々 および地域 において、迅速、安全かつ信頼できる電子決済を可能とするグローバ
ルな決済技術会社である。当社は、消費者、加盟店、金融機関、事業、戦略的パートナーおよび政府機関の
グローバルなネットワーク間の価値および情報の移転を通じてグローバルな商取引を円滑にしている。当社
の高度な取引処理ネットワークであるビザネットは、決済取引の認証、清算および決済を可能にし、これに
より当社は金融機関および加盟店顧客に対する幅広い商品、プラットフォームおよび付加価値サービスを提
供することができる。
財務業績の概要
当社の報告ベースの米国 GAAP および非 GAAP の当期純利益ならびに 1株当たり利益(希薄化後) は、以下の
とおりである。
(1)
9月 30 日終了年度 増減率
2019 年度と 2018 年度と
2018 年度の 2017 年度の
2019 年度 2018 年度 2017 年度
比較 比較
( 単位:百万米ドル、ただし%および1株当たりのデータを除く。 )
12,080 10,301 6,699 17 % 54 %
当期純利益(報告ベース)
1株当たり利益・希薄化後
5.32 4.42 2.80 20 % 58 %
(報告ベース)
(2)
12,367 10,729 8,335 15 % 29 %
非 GAAP 当期純利益
(2)
5.44 4.61 3.48 18 % 32 %
非 GAAP 1株当たり利益・希薄化後
(注1)四捨五入されているため、表中の数値のとおりには計算できない可能性がある。増減率は、四捨五入前の数値に
基づき計算されている。
(注2) 2019 年度、 2018 年度および 2017 年度の非 GAAP 当期純利益および非 GAAP 1株当たり利益(希薄化後)は、特定の重
要な項目の影響を除外した数値である。当社は、これらの項目は経常外のものであるか、または現金科目への影
響がないかのいずれかの理由により、当社の当期または将来の期間における経営成績を表していないと考えてい
る。非 GAAP を完全に反映した当社の財務業績については、下記「非 GAAP 財務業績」における表を参照のこと。
2019 年度の要旨
当社の事業は、全般的な経済情勢と消費者の支出行動の影響を受ける。当社の 2019 年度中の業績は、不均
一な世界経済情勢の中で継続した世界的な消費者支出の伸びを示している。 当社は 2019 年度において、 23.0
十億米ドルの純収益を計上した。これは前年度から 11 %の増加であり、主に名目上決済高、クロスボーダー
決済高および取引処理件数の継続的な成長を反映している。当社のヘッジ・プログラムによって一部緩和さ
47/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
れた、 2019 年度の為替変動は、当社の純収益の伸びに約 1.5 パーセント・ポイントのマイナス影響を及ぼし
た。
2019 年度の営業費用合計は 8.0 十億米ドルであったが、これに対し 2018 年度は 7.7 十億米ドルであった。前
年度からの増加は、主に当社の事業の成長において引続き投資を行うことにより、人件費およびマーケティ
ング費が増加したためであったが、訴訟引当金の減少により相殺された。
非 GAAP 財務業績
2019 年度、 2018 年度および 2017 年度の当社の財務業績は、特定の重要な項目の影響を反映しているが、当
該項目は経常外のものであるか、または現金科目への影響がないかのいずれかであるため、当期または将来
の期間における当社の継続的な経営成績を示すものではないと当社は考えている。したがって、当社は、以
下の項目を除いた当社の非 GAAP 財務業績が、各期間の当社の業績につき、より明確な見解を示すものと考え
る。
・訴訟引当金
2019 年度および 2018 年度中、当社はそれぞれ 370 百万米ドルおよび 600 百万米ドルの訴訟引当金ならびに
インターチェンジ広域係属訴訟(以下「 MDL 」という。)に関してそれぞれ 83 百万米ドルおよび 137 百万
米ドルの当該訴訟引当金に伴う税制優遇を計上した。適用される連邦税率および州税率を訴訟引当金に
適用して、税務上の影響が決定される。米国の遡及的責任計画に基づき、当社は、米国の対象訴訟に関
連する金銭債務を、当社のクラスB普通株式のクラスA普通株式に対する転換率を引き下げることで補
てんする。「第6-1財務書類-注記5米国およびヨーロッパの遡及的責任計画」および「第6-1財
務書類-注記 20 法的事項」を参照のこと。
・慈善寄付
・ 2018 年度中、当社はビザ財団に対し投資有価証券を寄付し、非現金の一般管理費として 195 百万米ドル
(税引前)を計上し、これらの投資有価証券の寄付に係る実現利益 193 百万米ドルを営業外収益として
計上した。適用税率を適用して算出された関連する税制優遇は正味 51 百万米ドルであり、調整後純利
益は 49 百万米ドルの減少であった。
・ 2017 年度中、当社の法人の組織再編との関連により、非現金の一般管理費 192 百万米ドル(税引前)を
計上した。かかる費用は、ビザ・ヨーロッパの取得の一部として獲得し、自己株式として保有された
ビザ・インクの株式の慈善寄付に関係している。適用税率を適用して算出された関連する税制優遇は
正味 71 百万米ドルであり、純利益の調整は 121 百万米ドルの増加であった。
・繰延税額の再測定
2018 年度中、米国の減税および雇用法(以下「改正税法」という。)の法人所得税率の 引下げ に関連し
て、当社は、 当社の純繰延税金負債を制定日現在で再測定し、経常外、非現金の法人所得税の優遇とし
て 1.1 十億米ドル計上した。 「第6-1財務書類-注記 19 法人税等」を参照のこと。
・国外における利益に係る移行課税
2018 年度中、 当社に非米国子会社の特定の課税対象外の国外における利益を、当社の 2018 年度の課税所
得に含めることを求める 改正税法の要件に関連して、当社は、 約 1.1 十億米ドルの一時的な移行課税見積
りを計上した。 「第6-1財務書類-注記 19 法人税等」を参照のこと。
・繰延税額控除
2017 年度中、当社の法人の組織再編との関連により、当社はビザ・ヨーロッパの取得で本来認識された
繰延税額を控除し、経常外、非現金の法人税引当金 1.5 十億米ドルを計上した。 「第6-1財務書類-注
記 19 法人税等」を参照のこと。
非 GAAP 営業費用、営業利益率、営業外収益(費用)、税引前法人税、法人税引当金、実効法人税率、純利
益および1株当たり利益・希薄化後は、米国 GAAP に従って計算されたものの代替とされるべきではない。下
記の表は、 2019 年度、 2018 年度および 2017 年度における、当社の米国 GAAP に従って計算された報告ベースの
財務指標とそれぞれの非 GAAP の財務指標を示している。
2019 年9月 30 日に終了した年度
1株当たり
営業利益率 実効法人税率
利益・希薄化後
営業外収益
(1)(2) (2) (2)
営業費用 (費用 ) 税引前法人税 法人税引当金 当期純利益
(単位:百万米ドル、ただし%および1株当たりのデータを除く。 )
報告ベース 7,976 65 % (117) 14,884 2,804 18.8 % 12,080 5.32
(370) 2 % - 370 83 287 0.13
訴訟引当金
7,606 67 % (117) 15,254 2,887 12,367 5.44
非 GAAP 18.9 %
48/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
2018 年9月 30 日に終了した年度
1株当たり
営業利益率 実効法人税率
利益・希薄化後
営業外収益
(1)(2) (2) (2)
営業費用 (費用 ) 税引前法人税 法人税引当金 当期純利益
(単位:百万米ドル、ただし%および1株当たりのデータを除く。)
報告ベース 7,655 63 % (148) 12,806 2,505 19.6 % 10,301 4.42
慈善寄付 (195) 1 % (193) 2 51 (49) (0.02)
訴訟引当金 (600) 3 % - 600 137 463 0.20
繰延税額の再測定 - - % - - 1,133 (1,133) (0.49)
国外における利益に
- - % - - (1,147) 1,147 0.49
係る移行課税
6,860 67 % (341) 13,408 2,679 10,729 4.61
非 GAAP 20.0 %
2017 年9月 30 日に終了した年度
1株当たり
営業利益率 実効法人税率 利益・希薄化後
営業外収益
(1)(2) (2) (2)
営業費用 (費用 ) 税引前法人税 法人税引当金 当期純利益
(単位:百万米ドル、ただし%および1株当たりのデータを除く。)
報告ベース 6,214 66 % (450) 11,694 4,995 42.7 % 6,699 2.80
慈善寄付 (192) 1 % - 192 71 121 0.05
- - % - - (1,515) 1,515 0.63
繰延税額控除
6,022 67 % (450) 11,886 3,551 8,335 3.48
非 GAAP 29.9 %
(注1)営業利益率は、営業利益を純収益で割ることにより算出される。
(注2)四捨五入されているため、表中の数値のとおりには計算できない可能性がある。営業利益率、実効法人税率、1
株当たり利益・希薄化後の数値およびそれぞれの合計は、四捨五入前の数値に基づき算出されている。
MDL
2019 年度中、当社は MDL に関連する訴訟に対処するために追加の 370 百万米ドルを計上した。これにより、
2019 年9月 30 日現在で米国の対象訴訟に関連して発生した訴訟額は、 1.2 十億米ドルとなった。当社はまた、
米国の対象訴訟のためのエスクロー口座に、 300 百万米ドルの運転資金を預け入れた。「第6-1財務書類-
注記5米国およびヨーロッパの遡及的責任計画」および「第6-1財務書類-注記 20 法的事項」を参照のこ
と。
転換後株式の減少
2019 年度中、転換後クラスA普通株式合計は、 58 百万株減少し、1株当たり平均価格は 154.62 米ドルで
あった。この 58 百万株のうち、 56 百万株は手元運転資金 8.6 十億米ドルを使用して公開市場において買戻され
た。さらに、 2019 年9月、当社は米国の遡及的責任計画に基づき以前に設定された訴訟エスクロー口座に 300
百万米ドルの運転資金を預け入れた。また、当社は、 VE 域内のカバード・ロス8百万米ドルを、ヨーロッパ
の遡及的責任計画に従って 2019 年度中に回収した。預入および回収は、1株当たり利益に対して、当社のク
ラスA普通株式の買戻しと同様の経済効果を持っている。これは、預入および回収が、クラスB普通株式転
換比率ならびに U.K.&I およびヨーロッパ優先株式転換比率を引き下げ、それ故に転換後クラスA普通株式数
を減少させるからである。「第6-1財務書類-注記5米国およびヨーロッパの遡及的責任計画」および
「第6-1財務書類-注記 14 株主資本」を参照のこと。
普通株式の買戻し
2019 年1月、当社の取締役会は追加の 8.5 十億米ドルの株式買戻計画を承認した。 2019 年9月 30 日現在、当
該株式買戻計画の承認済資金残高は 4.1 十億米ドルであった。 2019 年1月以前に承認されたすべての株式買戻
計画は完了している。「第6-1財務書類-注記 14 株主資本」を参照のこと。
決済高および取引処理件数
決済高は当社のサービス収益の主要な要素となり、取引処理件数は当社のデータ処理収益の主要な要素と
なる。 2018 年 12 月 31 日に終了した3ヶ月間において、当社は、以前から含まれていた資金高に加えて、現在
はビザ・ダイレクトに関するすべての支払高を含むように当社の決済高の定義を改訂した。表示される全過
年度は、これに応じて調整された。かかる決済高の定義改訂による影響の詳細については、 2019 年1月 30 日
付けで提出された当社のフォーム8 - K別紙 99.1 の「営業成績データ」を参照のこと。
49/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
前年度からの米国における名目上の決済高は、低い2桁の成長率を記録し、 2018 年の伸びと一致してい
(1)
た。 2019 年6月 30 日に終了した 12 ヶ月間 における3%の海外における名目上の決済高の伸びは、米ドル高
の 全般的な強化によりマイナスの影響を受けた。為替相場の変動の影響を除外した不変ドルベースでの、
2019 年6月 30 日に終了した 12 ヶ月間および 2018 年6月 30 日に終了した 12 ヶ月間における当社の海外の決済高
の成長率は、それぞれ 10 %および 11 %であった。取引処理件数の増加は、継続的な電子支払への世界的な移
行を反映している。
(2)
下表 は名目上の決済高および現金取扱高を示したものである。
米国 海外 ビザ・インク
2019 年 2018 年 2019 年 2018 年 2019 年 2018 年
6月 30 日に 6月 30 日に 6月 30 日に 6月 30 日に 6月 30 日に 6月 30 日に
終了した 終了した 終了した 終了した 終了した 終了した
(1) (1) (1) (1) (1) (1)
12 ヶ月間 12 ヶ月間 増減率 12 ヶ月間 12 ヶ月間 増減率 12 ヶ月間 12 ヶ月間 増減率
(単位:十億米ドル、ただし%を除く。)
名目上決済高
消費者クレジット 1,540 1,441 7 % 2,487 2,457 1 % 4,027 3,898 3 %
(3)
12 % 5 % 8 %
消費者デビット 1,702 1,521 1,876 1,792 3,577 3,313
(4)
12 % 5 % 9 %
633 564 381 364 1,015 927
商用
名目上決済高合計 3,875 3,527 10 % 4,744 4,612 3 % 8,619 8,139 6 %
573 563 2 % 2,260 2,437 (7) % 2,833 3,000 (6) %
現金取扱高
(5)
9 % (1) % 3 %
4,448 4,089 7,004 7,049 11,452 11,139
名目上取引高合計
米国 海外 ビザ・インク
2018 年 2017 年 2018 年 2017 年 2018 年 2017 年
6月 30 日に 6月 30 日に 6月 30 日に 6月 30 日に 6月 30 日に 6月 30 日に
終了した 終了した 終了した 終了した 終了した 終了した
(1) (1) (1) (1) (1) (1)
12 ヶ月間 12 ヶ月間 増減率 12 ヶ月間 12 ヶ月間 増減率 12 ヶ月間 12 ヶ月間 増減率
(単位:十億米ドル、ただし%を除く。)
名目上決済高
消費者クレジット
1,441 1,309 10 % 2,457 2,186 12 % 3,898 3,495 12 %
(3)
1,521 1,379 10 % 1,792 1,510 19 % 3,313 2,888 15 %
消費者デビット
(4)
564 507 11 % 364 306 19 % 927 812 14 %
商用
名目上決済高合計 3,527 3,194 10 % 4,612 4,002 15 % 8,139 7,196 13 %
563 544 3 % 2,437 2,348 ▶ % 3,000 2,892 ▶ %
現金取扱高
(5)
4,089 3,738 9 % 7,049 6,350 11 % 11,139 10,088 10 %
名目上取引高合計
(2)
下表 は名目上の決済高、不変ドルベースの決済高および現金取扱高の増加率を示したものである。
ビザ・インク
海外
2019 年6月 30 日に終了した 2018 年6月 30 日に終了した
2019 年6月 30 日に終了した
2018 年6月 30 日に終了した
12 ヶ月間 と 12 ヶ月間 と
12 ヶ月間 と 12 ヶ月間 と
2018 年6月 30 日に終了した 2017 年6月 30 日に終了した
2018 年6月 30 日に終了した 2017 年6月 30 日に終了した
(1) (1) (1) (1)
12 ヶ月間の比較 12 ヶ月間の比較 12 ヶ月間の比較 12 ヶ月間の比較
(6) (6) (6) (6)
不変ドルベース 不変ドルベース 不変ドルベース 不変ドルベース
名目 名目 名目 名目
決済高増加率
消費者クレジット 1% 8% 12% 9% 3% 7% 12% 10%
(3)
消費者デビット 5% 11% 19% 13% 8% 12% 15% 12%
(4)
商用 5% 13% 19% 14% 9% 13% 14% 13%
決済高合計増加率 3% 10% 15% 11% 6% 10% 13% 11%
現金取扱高増加率 (7)% -% 4% 2% (6)% -% 4% 2%
取引高合計増加率 (1)% 6% 11% 8% 3% 7% 10% 8%
50/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(注1)各四半期のサービス収益は、前四半期の名目上の決済高を基準として算定される。したがって、 2019 年、 2018 年
および 2017 年の9月 30 日に終了した 12 ヶ月間について報告されたサービス収益は、それぞれ 2019 年、 2018 年およ
び 2017 年の6月 30 日に終了した 12 ヶ月間について当社の金融機関顧客より報告された名目上の決済高が基準に
なっている。
(注2)四捨五入されているため、表中の数値のとおりには計算できない可能性がある。増減率および合計は、四捨五入
前の数値に基づき算出されている。
(注3)前払いの消費者取扱高およびインターリンクの取扱高を含む。
(注4)大企業および中小企業向けクレジットおよびデビットならびに前払いの商業取扱高を含む。
(注5)名目上の取引高合計は、名目上の決済高合計および現金取扱高の合計である。名目上の決済高合計は、商品およ
びサービスのビザ、ビザ・エレクトロン、インターリンクおよびVペイ( V PAY )のブランドと提携している
カードでの購入取引の金銭価値総額である。現金取扱高には、一般に現金アクセス取引、残高アクセス取引、残
高送金およびコンビニエンス・チェックが含まれる。名目上の取引高合計は、当社の金融機関顧客により、ビザ
の検証のうえ提供される。以前に提出された取引高情報が更新されることがある。前期の更新は重大ではなかっ
た。
(注6)不変ドルベースの成長率は、米ドルの外国為替相場の変動の影響を除外したものである。
(1)
下表 は、以下の会計年度中に当社ビザネット・システムが処理した取引件数(ビザのネットワークにお
いて処理されたビザ、ビザ・エレクトロン、インターリンク、Vペイおよびプラスのブランドを冠したカー
ドおよびその他のフォームファクタによる取引を含む。)を示したものである。
2019 年度の 2018 年度の
2018 年度に 2017 年度に
2019 年度 2018 年度 2017 年度 対する増減率 対する増減率
(単位:百万件、ただし%を除く。)
取引処理合計 138,329 124,320 111,215 11% 12%
(注1)四捨五入されているため、表中の数値のとおりには計算できない可能性がある。増減率は、四捨五入前の数値に基
づき算出されている。以前に提出された情報が更新されることがある。過年度の更新は重大ではなかった。
(b)財務情報
純収益
当社の純収益は、主として、ビザ商品で購入された商品およびサービスの決済高ならびに当社のネット
ワークにより処理された取引の件数によって定まる。当社は、ビザ商品の アカウント保有者 が支払う利息や
手数料からは収入を得ておらず、それらに関連する信用リスクを負ってもいない。カードおよびその他の決
済商品の発行ならびに アカウント保有者 が支払う利率と手数料を決定する責任は、当社の顧客である発行会
社が負っている。当社は通常、カードの受入れについて加盟店獲得会社より加盟店に課される手数料(加盟
店手数料を含む。)からは収入を得ていない。加盟店獲得会社は一般的に、加盟店勧誘に責任を負い、その
手数料を決定し、収入としている。
以下は、当社の純収益の構成要素である。
サービス収益
サービス収益は主に、顧客によるビザ決済サービスの利用をサポートするサービスから得られる収益に
よって構成されている。今四半期のサービス収益は、主に前四半期の決済高に今四半期の時価決定算式を適
用して算定される。サービス収益はまた、進行中の引受けおよび決済高増加イニシアチブを支援するための
評価額を含み、それらは関連する取引が行われた同期間において計上されている。
データ処理収益
データ処理収益は、認証、清算、決済、付加価値サービス、ネットワーク・アクセス、ならびに世界中の
当社の顧客との間の取引と情報処理を円滑にするその他のメンテナンスおよびサポート・サービスから得ら
れている。データ処理収益は、関連する取引が行なわれたまたはサービスが行なわれた同期間において計上
されている。
国際取引収益
国際取引収益は、クロスボーダー取引および通貨換算の処理から得られている。クロスボーダー取引は、
発行会社または取引を組成している金融機関と受益者の所在国が異なる場合の取引において発生する。国際
取引収益は、クロスボーダー取引が行われたまたはサービスが行われた同期間において計上されている。
51/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
その他収益
その他収益は、主に、付加価値サービス、ビザブランドまたはテクノロジーの使用によるライセンス料、
アカウント保有者へのサービス、認証、認可ならびにアカウント保有者に対する保護およびコンシェル
ジュ・サービスの拡大のような商品の強化により構成される。その他収益は、関連する取引が行なわれたま
たはサービスが行なわれた同期間において計上されている。
顧客インセンティブ
顧客インセンティブとは、決済高を伸ばし、ビザ商品の受入先を増加させ、加盟店の当社のネットワーク
を通じた取引を選定させ、革新を後押しするための多彩なプログラムについて、金融機関顧客、加盟店およ
び戦略的パートナーとの間で締結される契約において提供されるインセンティブからなる。これらのインセ
ンティブは主に、収益の減少として認識される。
営業費用
人件費
人件費は、給与、従業員給付、インセンティブ報酬費用、株式ベースの報酬、退職費用および受託業者費
用を含む。
マーケティング費用
マーケティング費用には、広告宣伝およびマーケティングのキャンペーン、スポンサー活動ならびにビザ
ブランドの宣伝活動が含まれる。
ネットワークおよびプロセシング費用
ネットワークおよびプロセシング費用は、主にメンテナンス、機器レンタル費およびその他のデータ処理
サービスに関わる手数料を含めたプロセシング・ネットワークの運営に係る費用を意味する。
専門家報酬
専門家報酬は、主にコンサルタント、弁護士その他の専門家によるサービスに対する報酬で構成されてい
る。
減価償却費
減価償却費には、財産および機器の減価償却費ならびに市販または内部開発したソフトウェアの償却額が
含まれている。さらに、主に買収を通じて取得した耐用年数有限の無形資産の償却額が含まれている。
一般管理費
一般管理費は、主に商品強化費、施設費、輸送費、間接税、外国為替損益および当社の事業をサポートす
るために生じるその他一般費用で構成されている。
訴訟引当金
訴訟引当金は訴訟費用を示し、当社の訴訟の特性に関する経営陣の理解、事件の特質、適切な範囲内の弁
護士の助言および損失負担額に関する経営陣の最善の見積りに基づいている。
営業外収益(費用)
営業外 収益(費用) には、主に、支払利息 、投資による収益および損失、当社の主要事業に関連しないデ
リバティブ商品による利益、さらに、非サービス構成要素の期間年金収支が含まれる。
2017 年度に対する 2018 年度の経営成績ならびに流動性および資本資源に関する考察については、 2018 年 11
月 16 日に SEC に提出済の当社の 2018 年度に係るフォーム 10- Kの「第二章-7財政状態および経営成績に関す
る経営陣の考察および分析」を参照のこと。
52/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
( ▲ )経営成績
純収益
下表は、米国内および海外の当社の純収益を示したものである。
(1)
9月 30 日終了年度 増減額 増減率
2019 年度と 2018 年度と 2019 年度と 2018 年度と
2018 年度の 2017 年度の 2018 年度の 2017 年度の
2019 年度 2018 年度 2017 年度 比較 比較 比較 比較
(単位:百万米ドル、ただし%を除く。)
米国 10,279 9,332 8,704 947 628 10 % 7 %
12,698 11,277 9,654 1,421 1,623
海外 13 % 17 %
22,977 20,609 18,358 2,368 2,251
純収益 11 % 12 %
(注1)四捨五入されているため、表中の数値のとおりには計算できない可能性がある。増減率は、四捨五入前の数値
に基づき算出されている。
2019 年度における純収益の増加は、名目上の決済高、名目上のクロスボーダー取引高および取引処理件数
における継続的な成長を反映している。収益の増加は、 2019 年度における顧客インセンティブの増加により
一部相殺された。
当社の 純 収益は、各地域の通貨建ての決済高および関連収益が米ドルに換算されるため、米ドル相場の上
下全般による影響を受ける。当社のヘッジ・プログラムによって 2019 年度の為替レートの変動が一部緩和さ
れたが、純収益の成長率に約 1.5 パーセント・ポイントのマイナス影響を及ぼした。
下表は、純収益の内訳を示したものである。
(1)
9月 30 日終了年度 増減額 増減率
2019 年度と 2018 年度と 2019 年度と 2018 年度と
2018 年度の 2017 年度の 2018 年度の 2017 年度の
2019 年度 2018 年度 2017 年度 比較 比較 比較 比較
(単位:百万米ドル、ただし%を除く。)
サービス収益 9,700 8,918 7,975 782 943 9 % 12 %
データ処理収益 10,333 9,027 7,786 1,306 1,241 14 % 16 %
国際取引収益 7,804 7,211 6,321 593 890 8 % 14 %
その他収益 1,313 944 841 369 103 39 % 12 %
(6,173) (5,491) (4,565) (682) (926)
顧客インセンティブ % 20 %
12
22,977 20,609 18,358 2,368 2,251
純収益 % 12 %
11
(注1)四捨五入されているため、表中の数値のとおりには計算できない可能性がある。増減率は、四捨五入前の数値
に基づき算出されている。
・ サービス収益
サービス収益は、主に名目上の決済高が6%増加したこと、および限定的な価格修正により増加した。
・ データ処理収益
データ処理収益は、主に取引処理件数が 11 %増加したこと、 および限定的な価格修正 により増加した。
・ 国際取引収益
国際取引収益は、主に名目上のクロスボーダー取引が2%増加したこと、および限定的な価格修正によ
り増加した。
・ その他収益
その他収益は、主に新たな収益基準の導入による収益の分類および認識時期の変更ならびに付加価値
サービスの収益拡大により増加した。
・ 顧客インセンティブ
顧客インセンティブは、主に 2019 年度中に開始または改定された長期顧客契約により計上されたインセ
ンティブおよびグローバルな決済高の全体的な伸びにより増加した。また、新たな収益基準の導入によ
り、顧客インセンティブは、分類および認識時期の変更による影響を受けた。当社が将来において計上
する顧客インセンティブの額は、実際の顧客の業績、既存の契約の変更または新規契約の締結による業
績予想の変化に伴い変動する可能性がある。
53/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
営業費用
下表は、営業費用合計の内訳を示したものである。
(1)
9月 30 日終了年度 増減額 増減率
2019 年度と 2018 年度と 2019 年度と 2018 年度と
2018 年度の 2017 年度の 2018 年度の 2017 年度の
2019 年度 2018 年度 2017 年度 比較 比較 比較 比較
(単位:百万米ドル、ただし%を除く。)
人件費 3,444 3,170 2,628 274 542 9 % 21 %
マーケティング 1,105 988 922 117 66 12 % 7 %
ネットワークおよび
プロセシング 721 686 620 35 66 5 % 11 %
専門家報酬 454 446 409 8 37 2 % 9 %
減価償却費 656 613 556 43 57 7 % 10 %
一般管理費 1,196 1,145 1,060 51 85 ▶ % 8 %
400 607 19 (207) 588
訴訟引当金 (34) % NM
(2)
7,976 7,655 6,214 321 1,441
営業費用合計 ▶ % 23 %
(注1)四捨五入されているため、表中の数値のとおりには計算できない可能性がある。増減率は、四捨五入前の数値
に基づき算出されている。
(注2) 2019 年度、 2018 年度および 2017 年度の当社の営業費用には、重要な項目を含むが、これらは MDL 引当金または
慈善寄付に関連しているため、当社の経営成績に影響することはないと考えている。上記「(a)概観」を参
照のこと。
・ 人件費
人件費は、当社の将来への成長投資戦略を支援する人員の継続的な増加により増加した。
・ マーケティング費用
マーケティング費用は、主に新たな収益基準の導入による特定のマーケティング費用の分類および認識
時期の変更により増加した。この増加は、 2018 年度の 2018 年平昌冬季オリンピックおよび 2018 年 FIFA
ワールドカップ™への支出により一部相殺されたが、これは 2019 年度には発生していない。
・ 事務管理費用
事務管理費用は、主に不利な為替レートの変動、新たな収益基準の導入による特定の事務管理費用の分
類および認識時期の変更、間接税の増加ならびに当社の事業成長を支える商品強化費用の増加およびグ
ローバルな施設拡張により増加した。この増加は、 2018 年度のビザ財団への 195 百万米ドルの慈善寄付に
より一部相殺されたが、これは 2019 年度には発生していない。
・ 訴訟引当金
訴訟引当金は、主に MDL に関連する発生費用が 2018 年度の 600 百万米ドルに対して 2019 年度には 370 百万米
ドルとなったことにより減少した。「第6-1財務書類-注記5米国およびヨーロッパの遡及的責任計
画」および「第6-1財務書類-注記 20 法的事項」を参照のこと。
営業外収益(費用)
下表は、当社の営業外収益(費用)の内訳を示したものである。
(1)
9月 30 日終了年度 増減額 増減率
2019 年度と 2018 年度と 2019 年度と 2018 年度と
2018 年度の 2017 年度の 2018 年度の 2017 年度の
2019 年度 2018 年度 2017 年度 比較 比較 比較 比較
(単位:百万米ドル、ただし%を除く。)
利息費用 (533) (612) (563) 79 (49) (13) % 9 %
416 464 113 (48) 351
投資収益およびその他 (10) % 311 %
営業外収益(費用)
(117) (148) (450) 31 302
合計 (20) % (67) %
(注1)四捨五入されているため、表中の数値のとおりには計算できない可能性がある。増減率は、四捨五入前の数値
に基づき算出されている。
・ 利息費用
54/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
利息費用は、主に 2019 年度における当社の未償還債務の一部の平均借入費用を引き下げるデリバティブ
商品の導入により減少した。 「第6-1財務書類-注記9借入金」および 「第6-1財務書類-注記 12
デ リバティブおよび非デリバティブ金融商品」 を参照のこと。
・ 投資収益およびその他
投資収益およびその他は、主に 2018 年度のビザ財団に対する投資有価証券の寄付による 193 百万米ドルの
利益が 2019 年度 には発生しなかったことにより減少した。これは、 当社の株式投資に係る利益ならびに
当社の現金および投資の金利収入の増加により相殺された。「第6-1財務書類-注記6公正価値の測
定および投資」を参照のこと。
実効法人税率
9月 30 日終了年度 増減率
2019 年度と 2018 年度と
2018 年度の 2017 年度の
2019 年度 2018 年度 2017 年度 比較 比較
実効法人税率 19 % 20 % 43 % (1) % (23) %
2019 年度の実効税率は、主に以下の要因により、 2018 年度のものと異なる。
・改正税法により、連邦法定税率は 2018 年度における混合税率の 24.5 %から 2019 年度は 21 %へ引き下げら
れた。これは、以下のとおり考察される。
・改正税法の一環として、国外源泉無形資産所得(以下「 FDII 」という。)に対する控除およびグローバ
ル軽課税無形資産所得(以下「 GILTI 」という。)に対する課税等、新たな引当金が制定された。
・ 2018 年度に記録された以下の項目の不在。
・改正税法に基づく特定の課税対象外の国外における利益に関する、 1.1 十億米ドルの一時的な移行課
税。
・改正税法により制定された米国の連邦税率の軽減による繰延税額の再測定により生じた 1.1 十億米ド
ルの経常外、非現金の優遇。
・様々な経常外監査の決済による 161 百万米ドルの税制優遇。
2017 年 12 月 22 日に制定された改正税法は、米国の課税制度を源泉地国課税制度に移行させ、連邦法人所得
税の法定税率を 35 %から 21 %に引き下げた。連邦法人所得税の法定税率の 21 %への引下げは、 2018 年1月1
日付けで有効となった。 2018 年度における当社の連邦法人所得税の法定税率は、混合税率の 24.5 %であった
が、かかる税率は 2019 年度に 21 %に引き下げられた。改正税法により、特に FDII および GILTI といった複数の
新たな租税引当金が 2018 年 10 月1日付けで有効となった。
(d)流動性および資本の源泉
当社の流動性管理
当社は定期的に、現在の事業、コミットメント、開発活動および資本支出に対する資金需要を検討してお
り、将来的に、これらの目的のために社債または株式の発行を通じて追加資金を調達することを選択する可
能性がある。当社は資金政策上、当社の企業目標に沿って流動性リスクを管理する指針と権限を経営陣に与
えている。
このような当社の資金政策の目的は、以下のとおりである。
・営業経費を賄い流動性に関する偶発的事態に対応できる十分な流動資金の供給
・支払決済行為の適時遂行
・訴訟和解金の支払の確保
・当社事業に対する計画どおりの資本投資の実行
・配当金の支払および当社取締役の裁量による当社株式の買戻し
・有価証券への余剰現金の投資(これにより、当社は必要な運転資金および流動性需要をみたしたうえ
で、追加の収益を得ることができる。)
当社は、当社の現在のキャッシュ・フロー予算および短期・長期の流動性需要予測に基づき、流動性の予
定資金源は今後 12 ヶ月超の当社の流動性需要見込額をみたすに十分であると考えている。当社は、当社の営
業成績、現在の経済情勢、資本市場の状況およびその他の関連事情を勘案しつつ、当社の流動性の状況およ
び流動性を補完する潜在的な資金源について引続き検討していく。
55/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
キャッシュ・フローのデータ
下表は、下記の年度における当社のキャッシュ・フロー活動を要約したものである。
9月 30 日終了年度
2019 年度 2018 年度 2017 年度
(単位:百万米ドル)
以下の活動により生じた(以下の活動に使用した)現金の合計:
営業活動 12,784 12,941 9,317
投資活動 (591) (3,084) 735
財務活動 (12,061) (10,790) (5, 924)
(277) (101) 236
現金および現金同等物に対する為替相場変動の影響
現金、現金同等物、使途制限現金および使途制限現金同等物の
(145) (1, 034) 4,364
増加(減少)
営業活動
2019 年度における営業活動により生じた現金は、当社の基本的事業の継続的な成長によりプラスの影響を
受けた。 2019 年度については、主に本年度における訴訟エスクロー口座からの支払の増加および改正税法に
関連する移行課税の最初の分割払いにより、前年度から減少したが、当社の基本的事業の継続的な成長によ
り一部相殺されている。
投資活動
2019 年度における投資活動に使用した現金は、投資有価証券の売却および満期による手取金の増加と、購
入の減少とが相まって、前年度から減少したが、取得(取得した現金および使途制限現金控除後)に関して
支払われた購入対価 0.7 十億米ドルおよびその他の投資の購入 0.5 十億米ドルにより一部相殺されている。
財務活動
2019 年度における財務活動に使用した現金は、主にクラスA普通株式の買戻しの増加、配当金の支払の増
加およびビザ・ヨーロッパの取得に関連する繰延購入対価 1.2 十億米ドルの支払により増加した。「第6-1
財務書類-注記 14 株主資本」を参照のこと。
流動性の源泉
当社の流動性の主な源泉は、手持ち現金、当社の営業活動によるキャッシュ・フロー、当社の投資ポート
フォリオならびに様々な株式および借入金の利用等である。営業活動による資金は、当社の資金需要、これ
ら保有資産がもたらす流動性へのアクセスおよびこれら保有資産から生じる利益に応じ、現金および現金同
等物ならびに売却可能短期投資有価証券または売却可能長期投資有価証券の形で維持されている。当社は、
営業活動により生じたキャッシュ・フローが、当社のその他の流動性の源泉へのアクセスと関連して、当社
の継続的な営業上の必要額をみたすのに十分過ぎるほどであると考える。
国外における利益
改正税法に基づき、当社は、 2017 年 12 月 31 日現在における非米国子会社の未処分かつ課税対象外の国外に
おける利益の大半に対する米国の税金を支払うことが要求される。改正税法により認められたとおり、移行
課税は8年間にわたって支払われる。改正税法を受け、当社が非米国子会社の国外における利益を米国に本
国送還する場合には、もはやこれらの利益はさらなる米国連邦法人所得税の対象とはならない。
売却可能債務証券
当社の投資ポートフォリオは、有価証券に現金を投資するよう設計されており、これにより当社の必要な
運転資金および流動性需要をみたすことができる。当社の投資ポートフォリオは、米国財務省または米国政
府支援機関が発行する債務証券からなる。これらの投資の過半である 4.1 十億米ドルは、流動資産として分類
されており、短期の流動性需要をみたすための利用が可能である。残りの非流動投資は、満期が貸借対照表
の日付から1年超と定められている。しかしながら、これらの投資もまた、通常、短期の流動性需要をみた
すために利用可能である。
当社の投資ポートフォリオの流動性に影響する可能性のある要因としては、有価証券の信用格付の変動、
規制の展開に関する不確実性、中央銀行および他の金融当局による措置や、クレジット市場の堅調さおよび
質の継続があるが、これらに限られない。当社は引続き、常に変化する市況および経済情勢に照らしてポー
56/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
トフォリオの見直しを行う。しかし、現在の市況が悪化した場合には、当社の投資ポートフォリオの流動性
はその影響を受け、当社の投資の一部に減損が発生すると当社が判断する場合には、当社の財務業績に悪影
響 が及ぶ可能性がある。当社の方針上、いずれか1つの金融機関またはいずれか一種類の投資に伴う信用エ
クスポージャーは一定限度に制限されている。
コマーシャルペーパー・プログラム
当社は、当社の必要な運転資金の支援およびその他の一般事業目的のため、コマーシャルペーパー・プロ
グラムを設定している。かかるプログラムでは、当社は、未決済のコマーシャルペーパーのうち発行日より
最長 397 日の満期で 3.0 十億米ドルまで発行することができる。当社は、 2019 年9月 30 日現在、プログラムに
おいて未払いの債務はなかった。「第6-1財務書類-注記9借入金」を参照のこと。
信用枠
当社は無担保の 5.0 十億米ドルのリボルビング信用枠(以下「信用枠」という。) ( 有効期限は 2024 年7月
25 日 ) を設けている。 2019 年9月 30 日現在、信用枠に基づく借入はなかった。「第6-1財務書類-注記9
借入金」を参照のこと。
包括発行登録書
2018 年7月、当社は発行登録による登録届出書を SEC に提出した。当社は、登録届出書により承認されたと
おり、債務証券または持分証券の一部を単独もしくは複数の取引において随時売却する可能性がある。この
登録届出書は、 2021 年7月に失効する。
米国の訴訟エスクロー口座
米国の遡及的責任計画の条件に従い、当社は、米国の対象訴訟の和解または判決から生じる金銭債務の支
払が行われる米国の訴訟エスクロー口座を保有している。当社が米国の訴訟エスクロー口座に資金を拠出す
る場合は、 クラスB普通株式からクラスA普通株式への転換比率の調整により、当社株主が保有するクラス
B普通株式の価値が希薄化する。 2019 年9月、当社は MDL に関連する申立てに対処するために 米国の訴訟エス
クロー口座へ 300 百万米ドル預託した。「第6-1財務書類-注記5米国およびヨーロッパの遡及的責任計
画」および「第6-1財務書類-注記 20 法的事項 」を参照のこと。この口座の 2019 年9月 30 日現在の残高は
1.2 十億米ドルで、当社の連結貸借対照表上、使途制限現金同等物として計上されている。これらの資金は米
国の対象訴訟に関連する支払のみに用途を制限されているため、下記「流動資産の使途」に記載のとおり、
当社はその他の営業活動の必要性について、これらの資金に依拠していない。
信用格付
2019 年9月 30 日現在、スタンダード・アンド・プアーズ( Standard and Poor's )およびムーディーズ
( Moody's )による当社の信用格付は次のとおりであった。
スタンダード・
アンド・プアーズ ムーディーズ
債券の種類
格付 見通し 格付 見通し
短期無担保債券 A-1+ 安定的 P-1 安定的
長期無担保債券 AA- 安定的 Aa3 安定的
当社業績の推移、経済環境、電子決済業界の情勢、当社の財務状態および当社事業戦略の変更等を含む
様々な要因が、当社の信用格付に影響を及ぼす。当社の現時点の予想では、当社の信用格付が著しく低下す
る可能性があると合理的に判断される状況に至るおそれはない。万が一、当社の信用格付が低下した場合に
は、とりわけ当社の将来の借入コストや資本市場へのアクセス等に悪影響が及ぶおそれがある。
流動資産の使途
支払決済
当社の金融機関顧客との間の支払決済は、日常的に相当な流動性を必要とするものである。米ドルによる
決済の大半は、当日に行われ、純受取残高または支払残高が発生することはないが、米ドル以外の通貨によ
る決済は、業界の基準に合わせて、通常1営業日から2営業日は未決済のままとなる。一般的に 2019 年度
中、当社は決済に関連する運転資金の調達をする必要はなかった。当社の1日当たりの純決済ポジションの
平均は 574 百万米ドルの純債務であった。当社は、1つまたは複数の当社の金融機関顧客が決済不能となった
57/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
場合に、日常的な決済を賄うために 2019 年9月 30 日現在世界中で約 7.5 十億米ドルの利用可能な流動資産を現
金、現金同等物および売却可能投資有価証券の形態で保有している。
米国の対象訴訟
当社は、当社が米国の対象訴訟と呼ぶ一部の訴訟を含め、様々な問題に関連する法的手続および行政手続
の当事者となっている。上記のとおり、米国の対象訴訟の和解または判決から生じる金銭債務は米国の訴訟
エスクロー口座から支払が行われる。 2018 年9月、ビザおよび他の被告は、 MDL において損害賠償金の支払を
求める集団訴訟原告の代表と主張する原告と修正和解契約を締結した。かかる修正和解契約は、 2012 年和解
契約に優先し、かつこれを修正した。 2019 年 11 月7日、地方裁判所は、修正和解契約を承認するかどうかに
ついて公聴会を開催した。当社は、 2020 年(暦年)上半期において地方裁判所による判断が下されると予想
している。承認された場合、最終的な和解金額は約 5.5 十億米ドルになる見込みである。当社の負担金は約
3.6 十億米ドルに相当し、予め裁判所に預託した資金により充足される見込みである。当該集団和解に対し追
加の資金は必要とされない。修正和解契約に基づき、被告は、和解集団からの離脱を選択した加盟店に帰属
する決済カード売上高の割合に基づいて和解基金に対し支払われた当初の現金の最大で 25 %の分割金を受領
することができる。当社が受領を予想し、 467 百万米ドルと算定されるビザの最大分割金部分は、当社の米国
の訴訟エスクロー口座へ返金される見込みである。これによって、当社の課税所得が増加するため、当社に
よる租税の支払も増加する。
2019 年9月中 、当社は、修正和解契約からの離脱を選択した集団訴訟構成員に関する個別の申立てに対処
するために米国の訴訟エスクロー口座へ300百万米ドルを預託した。2019年9月30日現在、米国の訴訟エスク
ロー口座の利用可能残高は1.2十億米ドルであった。米国の訴訟エスクロー口座の資金も、当社が返金を予想
する467百万米ドルの分割金も、かかる離脱加盟店との和解に利用可能となる。米国の遡及的責任計画の条件
に従い、当社が訴訟エスクロー口座に預託する場合、クラスB普通株式は、クラスA普通株式に対するクラ
スB普通株式の転換比率の低下により希薄化が生じる。米国の遡及的責任計画は、特定の訴訟案件に対する
金融債務からビザおよび当社のクラスA普通株式の株主を防御するために策定された。 「第6-1財務書類
-注記5米国およびヨーロッパの遡及的責任計画」および「第6-1財務書類-注記 20 法的事項 」 を参照の
こと。
その他の訴訟
米国の対象訴訟以外の訴訟の判決および和解による支払および和解金の支払により(ビザ・ヨーロッパ域
内の対象訴訟または捜査および手続きに課されたその他の罰金を含む。)、将来の流動性需要が増加する可
能性がある。
転換済株式の減少
2019 年度中、株式買戻しおよびエスクロー口座のため、転換済みのクラスA普通株式合計は 58 百万株 ( 平
均価格は1株当たり 154.62 米ドル ) 減少した。この 58 百万株のうち 56 百万株は、手持ち現金 8.6 十億米ドルを
使用し、公開市場で買い戻された。さらに当社は、米国の遡及的責任計画に基づき先に開設された米国訴訟
エスクロー口座に、 300 百万米ドルの営業上の現金を預託した。この預託は、クラスB普通株式の転換比率を
低下させ、したがって転換済クラスA普通株式の株数を減少させるため、当社のクラスA普通株式の買戻し
と同じ経済効果を1株当たり利益にもたらす。「第6-1財務書類-注記5米国およびヨーロッパの遡及的
責任計画」および「第6-1財務書類-注記 14 株主資本」を参照のこと。
2019 年1月、当社の取締役会は 8.5 十億米ドルの株式買戻計画を承認した。当該承認に失効日はない。 2019
年9月 30 日現在、 当社の 承認された資金残高は 4.1 十億米ドルであった。 2019 年1月より前に承認された株式
買戻計画はすべて完了している。 「第6-1財務書類-注記 14 株主資本 」を参照のこと。
配当金
2019 年度中、当社は 2.3 十億米ドルの配当金の宣言および支払を行なった。 2019 年 10 月 22 日、当社取締役会
は(クラスB普通株式およびクラスC普通株式ならびにシリーズB優先株式およびシリーズC優先株式をク
ラスA普通株式に転換したと仮定したうえでの決定に基づき)クラスA普通株式1株当たり 0.30 米ドルの四
半期現金配当を宣言した。当社は、この配当については、 2019 年 12 月3日に総額約 673 百万米ドルを支払っ
た。「第6-1財務書類-注記 14 株主資本」を参照のこと。当社は引続き、取締役会の承認を得たうえで、
四半期配当を現金で支払う方針である。すべての優先株式ならびにクラスB普通株式およびクラスC普通株
式については、クラスA普通株式に転換したと仮定して将来の配当金を按分する予定である。
年金およびその他の退職後給付
当社は様々な適格・非適格確定給付型年金およびその他の退職後給付制度(実質的には米国に居住する全
従業員に対して退職手当および医療手当を支給するもの。)の資金を提供している。ビザ・ヨーロッパの取
得の結果、当社は主に英国年金制度からなるビザ・ヨーロッパの確定給付型年金制度に関連する義務を引き
58/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
受けた。当社の米国適格年金制度に対する当社の方針上、各年9月の年間拠出額は従業員退職所得保証法に
基づく最小必要額以上とする。当社の米国非適格年金およびその他の退職後給付制度に対しては、時価基準
に 基づいて積立てをしている。ビザ・ヨーロッパの英国年金制度に関して、当社の資金計画上、英国年金制
度の受託者の同意した適切な資金要件に従って拠出される。英国年金制度の受託者は、加算金に同意する可
能性がある。 2019 年度に当社が当社の米国年金制度およびその他の退職後給付制度に拠出した金額は3百万
米ドルであった。ビザ・ヨーロッパの英国年金制度に関して、当社は当該制度の資金レベルの改善を受託者
が同意した取得日に続いて、 2019 年度において 10 百万米ドルを拠出した。 2020 年度には、現時点の予測およ
び仮定として、当社の米国年金制度およびその他の退職後給付制度ならびにビザ・ヨーロッパの英国確定給
付型年金制度に対して、それぞれ約3百万米ドルおよび約 10 百万米ドルの拠出を見込んでいる。実際の拠出
額は、年金制度の積立て状況、割引率の変動、制度資産の業績および関連する税効果に応じて変動する。
「第6-1財務書類-注記 10 年金およびその他の退職後給付」を参照のこと。
設備投資
2019 年度中の当社の設備投資は、テクノロジー、インフラおよび成長戦略のための投資によって増加し
た。当社のデジタル・ソリューションおよび主要事業イニシアチブを支援するため、当社は引続き技術資産
や決済システムのインフラへの投資を行う予定である。
取得
2019 年度において、当社は手持ち現金 0.7 十億米ドルにより複数の事業を取得したが、これは主に受領した
現金および使途制限現金を控除した取得価格合計を反映している。かかる取得は、当社の顧客および加盟店
パートナーのデジタル・コマースを促進する。 2016 年6月のビザ・ヨーロッパの当社による取得に関連し
て、ビザ・ヨーロッパの取得のクロージングから3年後に年複利4%にあたる 1.0 十億ユーロを追加で支払う
ことが必要となった。 2019 年6月、当社はかかる義務の履行において 1.1 十億ユーロを支払った。「第6-1
財務書類-注記2取得」および「第6-1財務書類-注記8無形資産およびのれん」を参照のこと。
(e)デリバティブ金融商品
2019 年度において、当社は、当社の 2025 年 12 月満期の 3.15 %の発行済シニア債の一部について、金利およ
びクロスカレンシースワップ契約を締結した。当社は、かかる契約締結により、固定および変動金利の併用
を通じて当社の金利変動エクスポージャーに対処し、当社の負債における借入総コストを削減できる。同時
に、これらのスワップ契約により、当社の米ドル建ての固定金利支払の一部はユーロ建ての変動金利支払に
効果的に転換される。 「 第6-1財務書類-注記6公正価値の測定および投資」および「第6-1財務書類
-注記 12 デリバティブおよび非デリバティブ金融商品」を参照のこと。
(f)公正価値の測定-金融商品
当社の金融商品の公正価値は、公正価値を測定する際に、事業体が観測可能なインプットを最大限に利用
し、観測不能なインプットを最小限に利用するよう義務付ける公正価値の階層に基づき評価される。観測可
能なインプットは、独立した情報源から取得し、これは第三者により証明されることができるが、観測不能
なインプットは、第三者が資産または負債の価格を決定する際に利用するものについての想定を反映してい
る。 2019 年9月 30 日現在、反復的に公正価値で測定される当社の金融商品には、約 13.5 十億 米 ドルの資産お
よび 0.2 十億米ドルの負債が含まれていた。これらの商品のうち重要な観測不能なインプットとして評価され
るものはない。「第6-1財務書類-注記6公正価値の測定および投資」を参照のこと。
(g)オフ・バランスシート取引
当社のオフ・バランスシート取引は主として保証および補償で構成されている。当社は、以下に説明し、
かつ以下の契約債務の一覧表に記載されているリースおよびパーチェス・オーダー・コミットメント以外
に、オフ・バランスシート取引を有していない。
補償
その他の顧客が当社の規則に従い決済債務を履行できない結果、当社の金融機関顧客が決済上損失を被る
場合には、当社は、その損失を補償する。かかる補償額は、当該時点において未決済のビザの支払取引金額
に限定されている。当社は、決済リスクを管理するグローバル信用決済リスク方針および手続を維持し、一
部の信用基準がみたされない場合、顧客に対し、担保の差入を要求する可能性がある。「第6-1財務書類
-注記1重要な会計方針の要約」 および「 第6-1財務書類- 注記11 決済保証の管理 」 を参照のこと。
当社は、通常の事業の枠内で金融機関、その他の顧客およびパートナーとの間で契約を締結し、同契約
上、当社が提供するサービスまたは当社の契約履行に関連して顧客が一定種類の損失を被った場合にその損
失を補償することがある。
59/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(h)契約上の義務
当社の契約債務は、当社の将来の流動性に影響を及ぼすものである。下表に記載の契約債務には、 2019 年
9月 30 日現在の予想または約定に基づく将来の重要な債務を構成するオンバランス取引およびオフバランス
取引の双方が含まれている。当社は、これらの債務を履行するための資金について、営業活動から発生する
現金および利用可能な信用枠を通じて調達できると考えている。
期限までの期間別支払額
1年未満 1-3年 3-5年 5年超 合計
(単位:百万米ドル)
(1)
長期債務 537 4,975 3,056 15,332 23,900
(2)
購入債務 1,598 782 406 857 3,643
(3)
リース 143 227 178 250 798
(4)
移行課税 - 164 243 474 881
(5)
673 - -
- 673
配当金
(6)(7)(8)
2,951 6,148 16,913 29,895
3,883
合計
(注1) 表示される金額には元利の支払が含まれる。また、「第6-1財務書類-注記9借入金」を参照のこと。
(注2)商品およびサービスを購入する約定で、重要な条件(固定または最低購入数量、最低価格または変動価格に関
する規定およびおよその取引時期等)を規定するものを表している。年ごとの支出額が契約において特定され
ていない場合の支払義務については、当社はこれらの金額が支出されるタイミングを予測している。
(注3)期間が1年未満から 26 年間に及ぶ不動産、機器およびソフトウェア・ライセンス等のオペレーティング・リー
スを含む。
(注4)表示される金額は、非米国子会社の国外における特定の利益に対する見積移行課税(繰越外国税額控除後)に
関連する。 「第6-1財務書類-注記 19 法人税等」を参照のこと。
(注5) 2019 年 10 月 22 日に配当が宣言され、 2019 年 11 月 15 日現在におけるビザ普通株式の名義上のすべての株主に対
し、 2019 年 12 月3日に支払われる 673 百万米ドルの配当金を含む。
(注6) 2019 年9月 30 日現在、当社が保有する不確実性のある税務ポジションに関連する債務は、 1.7 十億米ドルで
あった。また、 2019 年9月 30 日現在、当社の不確実性のある税務ポジションに関連する未払利息は 165 百万米
ドル、未払追徴金は 26 百万米ドルであった。当社の不確実性のある税務ポジションに関連して現金で支払う必
要のある金額の範囲および現金決済(もしあれば)のタイミングを確定することはできない。したがって、こ
れらの債務関連の金額は、表に含まれていない。
(注7)当社は、年金制度の積立て状況、割引率の変動、制度資産の業績および関連する税効果を勘案したうえで、当
社の年金制度の積立ての必要性に関する評価を行う。当社の年金制度への積立ての見積額は上記の勘案事項に
依拠するものであるため、上表には含まれておらず、結果的に金額の幅が大きくなる可能性がある。「第6-
1財務書類-注記 10 年金およびその他の退職後給付」および上記「(d)流動性および資本の源泉」を参照の
こと。
(注8)金融機関顧客およびその他のビジネスパートナーとの間で締結された長期契約に係る将来の現金支払額は、決
済高および取引高が予測不能という性質から、予見できないため、上表に含まれていない。これらの契約は、
期間は1年から 15 年まで様々で、特定の履行要件に基づくカードの発行および/または切替えのサポート、ボ
リューム/成長目標もしくはマーケティングおよびプログラムサポートについて規定することができる。 2019
年9月 30 日現在、当社は、これらの取決めに関連する連結貸借対照表に記録された顧客インセンティブ負債を
4.1 十億米ドル保有している。
(i)重要な会計上の見積り
当社の連結財務諸表は、米国で一般に公正妥当と認められる会計原則に準拠して作成されており、当社
は、計上額に影響する判断、想定および見積りを要求される。「第6-1財務書類-注記1重要な会計方針
の要約」を参照のこと。当社は、見積りと想定を適切に管理し、会計年度が移っても一貫してそれらを適用
するために、様々な方針および管理手続を設定している。ただし、実際の結果は当社の想定および見積りと
異なる可能性があり、しかも著しく異なる可能性がある。
本質的に不確実かつ予想不可能な事項の影響について見積る必要があることから、経営陣の最も主観的か
つ複雑な判断を要し、そのため、当社は、当社の財務業績報告を完全に理解し評価するために、以下の会計
上の見積りが最も重要と考えている。
60/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
収益認識-顧客インセンティブ
重要な見積り
当社は、金融機関顧客、加盟店およびその他のビジネスパートナーとの間で、決済高の増加による収益の
増加、ビザ商品の受入れ拡大、加盟店による当社のネットワーク上の取引ルート利用の獲得およびイノベー
ションの推進をめざす様々なプログラムのための長期インセンティブ契約を締結している。これらのインセ
ンティブは、純収益の減少として主に計上される。ただし、関連する利益が公正価値にて個別に特定可能で
ある場合、かかるインセンティブは営業費用として計上される。インセンティブは、経営陣による各顧客の
業績の見積りに基づき、体系的かつ合理的に計上される。かかる見積りは、定期的に検討され、業績予想の
変更、当社顧客の実績、既存の契約の変更または新規契約の締結に基づき、適宜調整される。
想定および判断
顧客インセンティブの見積りは、決済高および取引高ならびにカードの発行およびカードの切替えの見通
しに基づいている。実績の見積りには、顧客の報告済み情報、当社のシステムに蓄積される取引情報、過去
の情報、市場・経済環境ならびに当社顧客、加盟店およびビジネスパートナーとの協議結果を用いる。
実績と想定が乖離した場合の影響
実績が当社の見積りと一致しなかった場合、顧客インセンティブは、当初の計上数値と大きく異なる可能
性がある。純収益を後押しする決済高および取引高が増加することで、一般的にインセンティブの支払は増
加する。その結果、インセンティブの支払が見積りを上回った場合、かかる支払が当社の財務状況、業績ま
たはキャッシュ・フローに重大な影響をもたらすことは予想されていない。見積りの修正による累積的な影
響が計上されるのは、かかる修正が必要となる見込みが高まり、修正後の見積額を評価できる状態となった
ときである。 2019 年9月 30 日に終了した年度において、顧客インセンティブの収益の合計に対する割合は
21 %であった。
法的および規制の問題
重要な見積り
当社は現在、様々な法的手続に関与しており、その結果は当社が完全に管理できる範囲を超えており、結
果が不明の期間が長期に及ぶ可能性もある。経営陣は、当社の財務諸表の作成上、損失の発生可能性の評価
およびかかる損失額の見積りを求められる。
想定および判断
当社は、当社が当事者となっている法的手続または行政手続から発生する損失の可能性を評価する。損失
発生の可能性があり、その金額を合理的に見積ることができる場合には、かかる請求に関連する負債を計上
する。損失発生の可能性およびその合理的見積りが可能であるか否かの決定はいずれも重要な判断を要する
ことがある。当社の判断は、訴訟の概要、各案件の詳細、当社の過去の類似の手続き、適切な範囲での社内
外の法律顧問の助言についての経営陣の理解および発生した損失についての経営陣の最善の見積りに基づく
主観的なものである。入手した追加情報に応じて、係属中の請求に関連する潜在的債務を算定し直し、当社
の見積りを修正する可能性がある。
当社は、一定の訴訟に基づく当社の潜在的な債務を低減する損失分担契約を締結している。しかしなが
ら、当社の米国の遡及的責任計画は、米国の対象訴訟案件に関する和解金または判決確定による賠償金につ
いてのみに対応するものである。この計画の仕組みには、米国の訴訟エスクロー口座の利用が含まれる。米
国の対象訴訟案件に関連する見越額は米国の訴訟エスクロー口座の残高を超える場合も下回る場合もある。
当社のヨーロッパの遡及的責任計画は、特定の規制に従って、対象期間に関するビザ・ヨーロッパの管轄区
域の対象訴訟案件(ならびにその結果として生じる負債および損失)のみを対象としており、欧州競争法手
続において生じた罰金もしくは処罰またはその他のいかなる事項をも対象としない。「第6-1財務書類-
注記5 米国およびヨーロッパの遡及的責任計画 」および「第6-1財務書類-注記 20 法的事項」を参照のこ
と。
実績と想定が乖離した場合の影響
当社が事業を展開している複数の法域における法律上および規制上のプロセスには本質的な不確実性が伴
うため、当社の判断は実際の結果と著しく異なる可能性があり、その場合、当社の事業、財務状態および営
業成績に重大な悪影響が及ぶおそれがある。「第6-1財務書類-注記 20 法的事項」を参照のこと。
法人税等
61/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
重要な見積り
実効法人税率の算定上、当社は異なる課税管轄での収益の控除および配分の時期ならびに金額を含む一定
の税務ポジションを判断する。
想定および判断
控除および還付の時期および金額、不確実性のある税務ポジションに係る債務の設定ならびに異なる課税
管轄での所得の配分について、当社の納税申告ポジションは様々である。当社はまた、納税申告書上でとっ
た、または今後とる予定の不確実な税務ポジションをすべて列挙し、判断・測定すると共に、管轄税務当局
による調査時に全面的または部分的にしか認められない可能性がある当該ポジションの金額を負債として計
上することを義務付けられている。
実績と想定が乖離した場合の影響
当社は、当社の見積りおよび判断を合理的なものと考えているが、実際の結果はこれらの見積りとは異な
る可能性がある。これらの判断の一部または全部が税務当局による検討の対象となる。当社が計上した優遇
措置の一部または全部について、1つまたは複数の税務当局が成功裏に異議を申し立て、当社がその優遇措
置を受けることができない場合、当社の財務業績およびキャッシュ・フローに重大な悪影響が及ぶおそれが
ある。
(j)市場リスクの定量的および定性的な情報開示
市場リスクは、市場要素の悪化から生じる潜在的な経済的損失である。当社が金融市場リスクにさらされ
る主な原因は、外国為替レート、金利および株価の変動によるものである。リスク・エクスポージャーはそ
の全体が継続的に監視されている。
外国為替レートのリスク
当社は外国為替レートの変動によるリスクにさらされている。外国為替レートの変動によるリスクは主
に、外国通貨建ての取引から生じる収益の機能通貨換算価値の変動と、外国通貨建ての支払額の機能通貨換
算価値の変動に関するものである。当社は、機能通貨以外の通貨建ての予想キャッシュ・フローと同額の機
能通貨の変動によるエクスポージャーをヘッジする外国通貨先渡契約を結ぶことで、これらのリスクを管理
している。当社の外国為替レートリスク管理プログラムは、外国為替レートの変動による影響を軽減するも
のの、完全に排除するわけではない。
キャッシュ・フロー・ヘッジ会計のために指定されていない契約を含む、当社の外国為替レートリスク管
理プログラムにおける外国通貨先渡契約残高の名目上の総額は 2019 年および 2018 年の9月 30 日現在で、それ
ぞれ 3.1 十億米ドルおよび 3.7 十億米ドルであった。 2019 年9月 30 日現在の残高の名目上の総額は、外国為替
レートリスクを既定および承認された閾値以下に軽減することを目的とした当社の戦略および財務方針と完
全に一致している。しかし、実際の結果は当社の予想とは著しく異なる可能性がある。機能通貨の価値が
10 %上下動したと仮定した場合、その影響は 2019 年9月 30 日現在の当社の外国通貨先渡契約残高にそれぞれ
約 245 百万米ドルの追加的公正価値利益または約 300 百万米ドルの追加的公正価値損失を生み出すと見積られ
る。このように上下動したと仮定した場合の損益は、外国通貨建ての収益および支払による当社のキャッ
シュ・フロー上の対応する損益によりほぼ相殺されている。「第6-1財務書類-注記1重要な会計方針の
要約」および「第6-1財務書類-注記 12 デリバティブおよび非デリバティブ金融商品」を参照のこと。
さらに、ビザ・ヨーロッパの機能通貨がユーロであるため、当社は、換算に関連してさらなる外国為替
レートのリスクにさらされる。ユーロから米ドルへの換算は、貸借対照表勘定については貸借対照表日に有
効な為替レートを使用し、損益計算書勘定については当該期間の平均為替レートを使用して行われる。その
結果として生じる為替換算調整勘定は、連結貸借対照表のその他包括損益累計額の一部として計上される。
2019 年9月 30 日現在の為替レートと比較して、米ドルに対するユーロの価値が 10 %変動したと仮定した場
合、外国為替換算調整勘定は 2.0 十億米ドルとなる。「第6-1財務書類-注記1重要な会計方針の要約」 を
参照のこと。
当社は、日常的な決済業務においても外国為替リスクにさらされている。このリスクは、顧客との決済に
適用するレートの設定時期と通貨ポジションのバランスをとるための市場取引の時期のずれによって生じ
る。この決済業務に伴うリスクは、ビザ決済システムの利用および当社の外国為替取引の相手方との取引を
含む日常業務の進行を通じて抑制されている。
金利リスク
当社の投資ポートフォリオ資産は固定利付および変動利付有価証券の両方の形で保有されている。これら
の資産は、現金同等物、短期または長期の売却可能投資に含まれている。固定利付商品への投資は一定程度
の金利リスクを伴う。固定利付有価証券の公正価値は、金利の上昇に伴い悪影響を被る可能性がある。ま
62/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
た、金利が低下しつつある時期には、有価証券の満期時に手取金が当初より低い利率で再投資され、金利収
入が減少するため、再投資リスクも発生する。これまでのところ、当社は投資を満期まで保有できた。市場
金 利が急変した場合であっても当社の業績やキャッシュ・フローは重大な影響を受けたことはなく、今後も
そのおそれはないものと思われる。
2019 年および 2018 年の9月 30 日現在の当社の固定利付投資有価証券の公正価値残高は、それぞれ 1.8 十億米
ドルおよび 5.1 十億米ドルであった。 2019 年および 2018 年の9月 30 日現在の当社の変動利付債務証券の公正価
値残高は、それぞれ 4.6 十億米ドルおよび 3.5 十億米ドルであった。金利が 100 ベーシス・ポイント上昇したと
仮定した場合、 2019 年9月 30 日現在の当社の投資有価証券の公正価値に、約9百万米ドルの減少が生じると
思われる。
2019 年度において、 当社は、当社の発行済シニア債の一部について、金利およびクロスカレンシースワッ
プ契約を締結した。当社は、かかる契約締結により、固定および変動金利の併用を通じて当社の金利変動エ
クスポージャーに対処し、当社の負債における借入総コストを削減できる。同時に、これらのスワップ契約
により、当社の米ドル建ての固定金利支払の一部はユーロ建ての変動金利支払に効果的に転換される。 金利
スワップを締結することにより、当社は、市場金利の変動に関連するリスクを負う。金利が 100 ベーシス・ポ
イント上昇したと仮定した場合、年間の支払利息に約 30 百万米ドルの増加が生じる。「第6-1財務書類-
注記 12 デリバティブおよび非デリバティブ金融商品」を参照のこと。
年金制度に係るリスク
2019 年および 2018 年の9月 30 日現在、当社の米国の確定給付型年金制度の総資産はそれぞれ 1.1 十億米ドル
であり、予測給付債務はそれぞれ 0.9 十億米ドルおよび 0.8 十億米ドルであった。年金制度資産の価値の著し
い減少および/または給付債務の割引率の著しい低下によって、結果的に年金制度の資金状況が悪化し、年
金費用が増加し、必要資金が増加するおそれがある。年金制度資産の価値が 10 %減少および割引率が1%低
下 したと仮定した場合 、資金状況が総額約 220 百万米ドル減少し、年金費用が約 43 百万米ドル増加するおそれ
がある。
2019 年および 2018 年の9月 30 日現在、当社の米国以外の確定給付型年金制度の総資産はそれぞれ 0.5 十億米
ドルおよび 0.4 十億米ドルであり、予測給付債務はそれぞれ 0.5 十億米ドルであった。年金制度資産の価値の
著しい減少および/または給付債務の割引率の著しい低下によって、結果的に年金制度の資金状況が悪化
し、年金費用が増加し、必要資金が増加するおそれがある。年金制度資産の価値が 10 %減少および割引率が
1%低下 したと仮定した場合 、資金状況が総額約 182 百万米ドル減少し、年金費用が約 15 百万米ドル増加する
おそれがある。
当社は、当社の年金制度への 2020 年度の拠出額を検討し、もしあれば、 2020 年9月に拠出する予定である
ため、今後も引続き年金制度資産の業績および市況を監視していく方針である。
4【経営上の重要な契約等】
該当なし。
5【研究開発活動】
該当なし。
63/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
第4【設備の状況】
1【設備投資等の概要】
2019 年9月 30 日現在、当社は 131 の営業所を世界 76 ヶ国に所有または賃借している。当社の本社は、サンフ
ランシスコ湾岸地域の所有および賃借物件に所在している。
さらに、当社は、米国、シンガポールおよび英国に所在する4つのグローバル・データ処理センターを所
有または賃借している。
これらの施設は現行の事業上のニーズを支援するのに十分かつ適切であると確信している。
2【主要な設備の状況】
「1設備投資等の概要」を参照のこと。
3【設備の新設、除却等の計画】
該当なし。
第5【提出会社の状況】
1【株式等の状況】
(1)【株式の総数等】
①【株式の総数】( 2019 年9月 30 日現在)
(1) (2)
種類 未発行株式数(株)
授権株数(株) 発行済株式総数(株)
(3) (4)
普通株式 2,098,475,753 2,000,645,629,438
2,003,366,656,020
優先株式 5,637,289 19,362,711
(注1) 25,000,000 株の優先株式が授権されている。
(注2)発行済株式総数には、自己株式は含まれていない。
(注3)普通株式の発行済株式総数には、当社の完全子会社が所有するクラスB普通株式 123,525,418 株が含まれる。
(注4)未発行株式数には、当社の 2007 年株式インセンティブ報酬制度(以下「 EIP 」という。)および 2015 年従業員株
式購入制度(以下「 ESPP 」という。)に基づくクラスA普通株式 158,435,270 株が含まれる。
②【発行済株式】( 2019 年9月 30 日現在)
記名・無記名の別及び 上場金融商品取引所名又は
種類 発行数(株) 内容
額面・無額面の別 登録認可金融商品取引業協会名
無記名式
(1)
クラスA普通株式 ニューヨーク証券取引所
1,718,103,152
額面 0.0001 米ドル
無記名式
(2)(3)
クラスB普通株式 該当なし
369,038,802
額面 0.0001 米ドル
無記名式
(3)
クラスC普通株式 該当なし
11,333,799
額面 0.0001 米ドル
無記名式
(4)
シリーズB優先株式 該当なし
2,480,466
額面 0.0001 米ドル
無記名式
(4)
シリーズC優先株式 該当なし
3,156,823
額面 0.0001 米ドル
計 - - -
2,104,113,042
(注1)クラスA普通株式:
議決権:クラスA普通株式の各株主は、議決権を持つこととする。
議決権の数:クラスA普通株式の保有者は、クラスA普通株式1株につき1票の議決権が与えられることとす
る。
(注2)クラスB普通株式:
発行数には、当社の完全子会社が所有するクラス B普通株式 123,525,418 株が含 まれる。
64/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(注3)クラスB普通株式およびクラスC普通株式:
議決権:クラスB普通株式およびクラスC普通株式の各保有者は議決権を持たない。ただし、法により定められ
たその他の投票に加え、クラスB普通株式およびクラスC普通株式が発行され続ける場合は、この限りではな
い。(ⅰ)新設合併、吸収合併、企業結合その他の取引で、同取引においてクラスA普通株式が他の株式もしく
は有価証券、または現金その他の財産を受領できる権利と交換されるか、それらに転換されるか、またはそれら
に変更されるものの承認については、クラスB普通株式およびクラスC普通株式の過半数議決権(「転換後基
準」とする。)の保有者が単一のクラスとして当社株式の他のすべてのクラスまたはシリーズとは別に合同で賛
成票を投じることを必要とする(当該議決にはクラスA普通株式の保有者は参加しない。)。ただし、クラスB
普通株式およびクラスC普通株式が、同じ交換、または変更の対象となり、かつ1株当たりの株式、有価証券、
現金もしくは他の財産(実際に適用があるものに限る。)の価額が、クラスA普通株式1株の交換、転換または
変更時の価額と等しい場合はこの限りではない。(ⅱ)当社事業の中核をなす決済事業からの撤退(すなわち、
消費者向けデビット/クレジット決済事業の運営を以後行わないこと。)については、すべてのクラスとシリー
ズの普通株式の議決権 を 80 %以 上保有する保有者が単一のクラスとして当社株式の他のすべてのクラスまたはシ
リーズとは別に合同で賛成票を投じることを必要とする。
議決権の数:クラスB普通株式またはクラスC普通株式の各保有者が上記( ⅰ )もしくは( ⅱ )または適用法に
従い、投票する権利が与えられる各事由に関し、各保有者には、かかる議決権に関する基準日に、クラスB普通
株式およびクラスC普通株式の発行済全株式がクラスA普通株式に転換されるものと想定し、議決権に関する基
準日に有効な適用転換率に基づき、かかる保有者が所有し、クラスB普通株式またはクラスC普通株式1株が転
換されるはずのクラスA普通株式の総数と等しい数の議決権が与えられる。
(注4)シリーズB優先株式およびシリーズC優先株式:
議決権は、シリーズB優先株式およびシリーズC優先株式の保有者が(ⅰ)当該シリーズの優先株式が有する優
先権、権利および特権とは実質的には異なる優先権、権利および特権を有する株式もしくはその他の持分有価証
券を受領するか、または(ⅱ)当社のクラスA普通株式の株主が受領するものとは異なる有価証券、現金もしく
はその他の財産を受領することとなる予定される統合または合併に制限されている。
(2)【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
中間会計期間 2019 年度会計期間
( 2019 年4月1日から ( 2018 年 10 月1日から
2019 年9月 30 日まで) 2019 年9月 30 日まで)
当該期間に権利行使された当該行使価額修正条項付
315,378 804,307
新株予約権付社債券等の数(個)
当該期間の権利行使に係る交付株式数(株) 315,378 804,307
145.72 130.50
当該期間の権利行使に係る平均行使価額等
(上段は米ドル、下段は円)
15,688 14,050
45,958,406.51 104,960,004.66
当該期間の権利行使に係る資金調達額
(上段は米ドル、下段は円)
4,947,882,045 11,299,994,102
当該期間の末日における権利行使された当該行使価
額修正条項付新株予約権付社債券等の数の累計 315,378 804,307
(個)
当該期間の末日における当該行使価額修正条項付新
315,378 804,307
株予約権付社債券等に係る累計の交付株式数(株)
当該期間の末日における当該行使価額修正条項付新
145.72 130.50
株予約権付社債券等に係る累計の平均行使価額等
15,688 14,050
(上段は米ドル、下段は円)
当該期間の末日における当該行使価額修正条項付新
45,958,406.51 104,960,004.66
株予約権付社債券等に係る累計の資金調達額
4,947,882,045 11,299,994,102
(上段は米ドル、下段は円)
当該期間の末日において残存する当該行使価額修正
16,315,353 16,315,353
条項付新株予約権付社債券等の数(株)
(3)【発行済株式総数及び資本金の推移】 ( 2019 年9月 30 日現在)
クラスA普通株式( IPO および制限株式特典によるもの)
資本金増減額 資本金残高
発行済株式総数増減数 発行済株式総数残高
年月日 (上段は米ドル、 (上段は米ドル、
(株) (株)
下段は円) 下段は円)
65/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
- 49,448.37
2014 年 10 月1日 - 494,483,656
- 5,323,612
145,546.10 194,994.47
(1)
1,455,461,044 1,949,944,700
2015 年9月 30 日
15,669,493 20,993,105
(7,963.92) 187,030.55
2016 年9月 30 日 (79,639,240 ) 1,870,305,460
(857,396) 20,135,709
(5,265.83) 181,764.71
2017 年9月 30 日 (52,658,339 ) 1,817,647,121
(566,919) 19,568,789
(4,921.20) 176,843.51
2018 年9月 30 日 (49,212,002 ) 1,768,435,119
(529,816) 19,038,972
(5,033.20) 171,810.31
2019 年9月 30 日 (50,331,967 ) 1,718,103,152
(541,874) 18,497,098
(注1) 2015 年9月 30 日の株式総数および資本金の額は、 2015 年度第2四半期に実施された1株につき4株の株式分割を
反映している。
クラスB普通株式(転換前は USA 普通株式)
資本金増減額 資本金残高
(1)
発行済株式総数増減数
発行済株式総数残高
年月日 (上段は米ドル、 (上段は米ドル、
(株)
(株)
下段は円) 下段は円)
- 36,903.88
2014 年 10 月1日 - 369,038,802
- 3,973,072
0 36,903.88
2015 年9月 30 日 0 369,038,802
0 3,973,072
0 36,903.88
2016 年9月 30 日 0 369,038,802
0 3,973,072
0 36,903.88
2017 年9月 30 日 0 369,038,802
0 3,973,072
0 36,903.88
2018 年9月 30 日 0 369,038,802
0 3,973,072
0 36,903.88
2019 年9月 30 日 0 369,038,802
0 3,973,072
(注1)発行済株式総数には、当社の完全子会社が所有するクラスB普通株式 123,525,418 株が含まれる。
66/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
クラスC普通株式
資本金増減額 資本金残高
発行済株式総数増減数 発行済株式総数残高
年月日 (上段は米ドル、 (上段は米ドル、
(株) (株)
下段は円) 下段は円)
2,232.99
-
2014 年 10 月1日 - 22,329,854
- 240,404
(268.56) 1,964.43
2015 年9月 30 日 (2,685,546 ) 19,644,308
211,491
(28,913)
(208.15) 1,756.28
(1)
(2,081,466 ) 17,562,842
2016 年9月 30 日
(22,409) 189,081
(484.68) 1,271.61
2017 年9月 30 日 (4,846,783 ) 12,716,059
136,902
(52,181)
(98.86) 1,172.74
2018 年9月 30 日 (988,633 ) 11,727,426
(10,643) 126,257
1,133.38
(39.36)
2019 年9月 30 日 (393,627 ) 11,333,799
122,020
(4,237)
(注1)発行済株式総数には、当社の完全子会社が所有するクラスC普通株式 549,945 株が含まれる。
シリーズB優先株式
資本金増減額 資本金残高
発行済株式総数増減数 発行済株式総数残高
年月日 (上段は米ドル、 (上段は米ドル、
(株) (株)
下段は円) 下段は円)
- 248.05
2016 年6月 21 日 - 2,480,466
- 26,705
0 248.05
2016 年9月 30 日 0 2,480,466
0 26,705
0 248.05
2017 年9月 30 日 0 2,480,466
0 26,705
0 248.05
2018 年9月 30 日 0 2,480,466
0 26,705
0 248.05
2019 年9月 30 日 0 2,480,466
0 26,705
シリーズC優先株式
67/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
資本金増減額 資本金残高
発行済株式総数増減数 発行済株式総数残高
年月日 (上段は米ドル、 (上段は米ドル、
(株) (株)
下段は円) 下段は円)
- 315.68
2016 年6月 21 日 - 3,156,823
- 33,986
0 315.68
2016 年9月 30 日 0 3,156,823
0 33,986
0 315.68
2017 年9月 30 日 0 3,156,823
0 33,986
0 315.68
2018 年9月 30 日 0 3,156,823
0 33,986
0 315.68
2019 年9月 30 日 0 3,156,823
0 33,986
68/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(4)【所有者別状況】( 2019 年9月 30 日現在)
クラスA普通株式
資本全体に占める割合
所有者の 分類 所有者の数 株式数
(%)
個人 - - 1
銀行 - - -
(1)
- - 99
その他
計 - - 100.00
(注1)これらの株式は当社の名義書換代理人の株主名簿上シード・アンド・カンパニー( Cede & Co. )の名称で登録さ
れている。シード・アンド・カンパニーは、株式の売出しおよび譲渡の処理のために、銀行、ブローカー(すべ
ての個人および法人の株式を保有する。)および機関にかわり、その名義で株式を保有する巨大決済会社である
ザ・ディポジタリー・トラスト・カンパニー( The Depositary Trsut Company )の名義上の名称である。発行体
はこれら株主の情報または名称を知ることはできない。
クラスB普通株式
資本全体に占める割合
(1)
所有者の分類 所有者の数
株式数
(1)
(%)
個人 - - -
(2)
- - 100
銀行
その他 - - -
計 - - 100.00
(注1)発行済クラスB株式総数およびクラスB普通株式の所有割合の計算にはビザ USA が保有するクラスB普通株式を
含まない。
(注2)当社の知る限りでは、銀行およびその他の金融機関または財政支援機関を指す。
クラスC普通株式
資本全体に占める割合
(1)
所有者の分類 所有者の数
株式数
(1)
(%)
個人 - - -
銀行 - - 100
その他 - - -
計 - - 100.00
(注1)発行済クラスC株式総数およびクラスC普通株式の所有割合の計算にはビザ・インターナショナルが保有するク
ラスC普通株式を含まない。
シリーズB優先株式
資本全体に占める割合
所有者の分類 所有者の数 株式数
(%)
個人 - - -
銀行 - - 100
その他 - - -
計 - - 100.00
69/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
シリーズC優先株式
資本全体に占める割合
所有者の分類 所有者の数 株式数
(%)
個人 - - -
銀行 - - 100
その他 - - -
計 - - 100.00
70/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(5)【大株主の状況】( 2019 年9月 30 日現在)
合衆国証券法のもとでは、公開会社の株主は、当該公開会社のいずれかのクラスの上場株式の発行済株式
総数の5%以上を実質的に保有するまで、かかる株主が実質的に保有する株式数を開示する義務はない。以
下は、当社の発行済株式総数の5%以上を保有する株主が開示した情報について記載している。
クラスA普通株式
発行済株式総数に
所有株式数
対する所有株式数の
氏名又は名称 住所
(株)
(1)
割合(%)
19355 ペンシルベニア州
(2)
ザ・ヴァンガード・グループ
マルバーン
147,937,455 8.64
( The Vanguard Group )
ヴァンガード・ブルバード 100
10055 ニューヨーク州
(3)
ブラックロック・インク
ニューヨーク
125,231,790 7.30
( BlackRock, Inc. )
イースト 52 ストリート 55
エフエムアール・
02210 マサチューセッツ州
(4)
ボストン
88,341,075 5.16
エルエルシー
サマーストリート 245
( FMR LLC )
計 - 361,510,320 21.10
(注1)所有株式数の割合は、株主の届出により報告されたクラスA普通株式の総数に基づき算出されている。
(注2)所有株式数は、 2020 年2月 12 日付けで SEC に提出されたフォーム SC 13G/A に基づいている。
(注3)所有株式数は、 2020 年2月6日付けで SEC に提出されたフォーム SC 13G/A に基づいている。
(注4)所有株式数は、 2020 年2月7日付けで SEC に提出されたフォーム SC 13G に基づいている。
クラスB普通株式
発行済株式総数に
所有株式数
対する所有株式数の
氏名又は名称 住所
(1)
(株)
(2)
割合(%)
バンク・オブ・アメリカ・
コーポレーション
( Bank of America
10036 ニューヨーク州
Corporation )
ニューヨーク
64,285,884 17.42
(子会社であるブルーリッジ・
ワン・ブライアント・パー ク
インベストメント・エルエル
シー( Blue Ridge Investments,
L.L.C. )により保有)
JP モルガン・チェース・
10017-2070 ニューヨーク州
アンド・カンパニー
ニューヨーク
( JP Morgan Chase & Co. )
パークアベニュー 270
( JP モルガン・チェース・ ( 19801-2920 デラウェア州 40,272,211 10.91
バンク・エヌ・エー ウィルミントン
( JPMorgan Chase Bank, ノースウォルナットストリート
201 15 階)
N.A. ))
ウェルズ・ファーゴ・
94104 カリフォルニア州
アンド・カンパニー
サンフランシスコ
( Wells Fargo & Company )
モンゴメリーストリート 420
(ウェルズ・ファーゴ・
30,108,730 8.16
( 10152-0002 ニューヨーク州
リスク・サービス・インク
ニューヨーク
( Wells Fargo Risk
パークアベニュー 375 )
Services, Inc. ))
71/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
シティグループ・インク
( Citigroup Inc. )
(シティバンク・エヌエー
( Citibank, N.A. ))
10013-2362 ニューヨーク州
(子会社であるシティコープ・
ニューヨーク
29,332,340 7.95
ノースアメリカ・インク
グリニッジストリート 388
( Citicorp North America
Inc )、マルルスⅠ( Malurus
I )、マルルスⅡ( Malurus II )
およびマルルスⅢ( Malurus
III )により保有)
10019-6036 ニューヨーク州
バークレイズ・バンク・
ニューヨーク
ピーエルシー
20,847,478 5.65
アベニュー・オブ・ザ・アメリカス
( Barclays Bank PLC )
1301 8階
計 - 184,846,643 50.09
(注1) 所有株式数は、当社の 名義書換代理人から提供された情報 に基づいている。
(注2)所有株式数の割合は、 2019 年9月 30 日現在の発行済クラスB普通株式の総数に基づき算出されている。
クラスC普通株式
発行済株式総数に
所有株式数
対する所有株式数の
氏名又は名称 住所
(1)
(株)
(2)
割合(%)
三井住友カード株式会社
105-8011 東京都港区海岸
( Sumitomo Mitsui Card
4,173,490 36.82
1-2- 20
Company, Limited )
計 - 4,173,490 36.82
(注1)所有株式数は、当社の名義書換代理人から提供された情報に基づいている。
(注2)所有株式数の割合は、 2019 年9月 30 日現在の発行済クラスC普通株式の総数に基づき算出されている。
シリーズB優先株式
発行済株式総数に
所有株式数
対する所有株式数の
氏名又は名称 住所
(1)
(株)
(2)
割合(%)
EC4N 8AF ロンドン
ワールドペイ( UK )リミテッド
ウォールブルック 25
422,755 17.04
( WorldPay (UK) Limited )
ウォールブルックビル
バークレイズ・
アルダースゲート・
E14 5HP ロンドン
インベストメンツ・リミテッド
416,832 16.80
チャーチル・プレイス1 29 階
( Barclays Aldersgate
Investments Limited )
エルビージー・エクイティ・
EC2V 7HN ロンドン
インベストメンツ・リミテッド
333,544 13.45
グレシャム・ストリート 25
( LBG Equity Investments
Limited )
エイチエスビーシー・バンク・
E14 5HQ ロンドン
ピーエルシー
224,333 9.04
カナダ・スクエア8
( HSBC Bank plc )
72/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
アールビーエス・エー・エー・
ホールディングス・ユーケー・
EH2 2YB エディンバラ
リミテッド
184,077 7.42
セント・アンドリュー・スクエア 36
( RBS AA Holdings (UK)
LIMITED )
ダブリン3
チェース・ペイメンテック・
イーストポイント・ビジネス・
ヨーロッパ・リミテッド
175,311 7.07
パーク
( Chase Paymentech Europe
イーストポイント・プラザ
Limited )
アライド・アイリッシュ・
ダブリン4
バンク・ピーエルシー
ボールズブリッジ
135,035 5.44
( Allied Irish Banks,
バンクセンター
p.l.c. )
計 - 1,891,887 76.27
(注1)所有株式数は、当社の名義書換代理人により提供された情報に基づいている。
(注2)所有株式数の割合は、 2019 年9月 30 日現在の発行済シリーズB優先株式の総数に基づき算出されてい
る。
シリーズC優先株式
発行済株式総数に
所有株式数
対する所有株式数の
氏名又は名称 住所
(1)
(株)
(2)
割合(%)
75201 パリ 13 区
ビー・ピー・シー・イー・
ピエール・マンデス=フランス通り
エス・エー
219,300 6.95
50
( BPCE S.A. )
計 - 219,300 6.95
(注1)所有株式数は、当社の名義書換代理人により提供された情報に基づいている。
(注2)所有株式数の割合は、 2019 年9月 30 日現在の発行済シリーズC優先株式の総数に基づき算出されてい
る。
一部実質株主および経営陣による株式報酬制度および有価証券の保有ならびに関連する株主に関する事項
株式報酬制度に関する情報
下記の表は、当社の株主が承認した EIP および ESPP に関する 2019 年9月 30 日現在の情報を示している。当社
の株式インセンティブ報酬制度はすべて株主が承認している。 EIP および ESPP の内容については、「第6-1
財務書類-注記 16 株式に基づく報酬」を参照のこと。
株式報酬制度に基づき
( ▶ )発行済オプションおよび
発行済オプションの 今後発行されうる
新株予約権等が
加重平均行使価格 クラスA普通株式の株式数
行使された場合に発行可能なク
制度の種類 ラスA普通株式の株式数 (米ドル) (( ▶ )の有価証券を除く。)
株主が承認した株式報酬
(1) (2) (3)
12,330,718 90.18 158,435,270
制度
(注1) 2019 年9月 30 日現在、発行可能な最大株式数は、 EIP による 5,714,658 株の発行済オプション、 5,166,759 株の発
行済リストリクテッド・ストック・ユニットおよび 1,070,690 株の発行済パフォーマンス・シェアならびに ESPP
による 378,611 株の発行済新株予約権付社債券で構成されている。
(注2)加重平均行使価格は、発行済ストック・オプションの行使価格のみに基づいて計算されており、行使価格のない
発行済リストリクテッド・ストック・ユニットおよびパフォーマンス・シェアの権利確定により発行予定の株式
は反映していない。さらに、行使価格は、行使期間における各月の最終購入時点における将来の株価(割引後)
に基づいているため、 ESPP による発行済新株予約権付社債券等の加重平均行使価格を除いている。
(注3) 2019 年9月 30 日現在、 EIP および ESPP のもと、それぞれ 142 百万株および 16 百万株が発行可能のままである。
73/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
2【配当政策】
配当宣言および方針
2019年および2018年の9月30日に終了した年度中、当社はクラスA普通株式1株につき四半期ごとの現金
配当を以下のとおり(クラスB普通株式およびクラスC普通株式ならびに シリーズB優先株式およびシリー
ズC優先株式 については、転換された場合の割合による。)各基準日における普通株式および優先株式の全
登録株主に対して支払った。
1株当たり配当金
2019 年度 (米ドル)
第1四半期 0.250
第2四半期 0.250
第3四半期 0.250
第4四半期 0.250
1株当たり配当金
2018 年度 (米ドル)
第1四半期 0.195
第2四半期 0.210
第3四半期 0.210
第4四半期 0.210
さらに、2019年10月22日、当社の取締役会は、2019年11月15日現在の当社の普通株式および優先株式の全
登録株主に対し、2019年12月3日を支払日とする、クラスA普通株式1株当たり 0.30 米ドルの四半期ごとの
現金配当を支払う(クラスB普通株式およびクラスC普通株式ならびにシリーズB優先株式およびシリーズ
C優先株式については、転換された場合の割合による。)と発表した。
資金が合法に調達可能な限り、当社は将来、当社の発行済普通株式および優先株式に関し、四半期ごとの
現金配当を継続して支払う予定である。ただし、将来の配当の宣言と支払は、当社の財務状況、和解補償
金、経営成績、使用可能現金、現在および今後の現金需要予測を含む様々な要因を考慮して、当社取締役会
がその単独の裁量によって決定するものとする。
74/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
3【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
以下のほか、 「第1-1- ( 2 ) 提出会社の定款等に規定する制度」および「 ( 2 ) 役員の状況」 を参照のこ
と。
(a) コーポレート・ガバナンス
取締役会の構成員は、当社の最高経営責任者、社長、ヴァイス・チェアマン兼最高財務責任者、法律顧
問、最高リスク責任者、技術部門のプレジデントならびにその他の役員および従業員との協議を通じて、ま
た提供された資料の検討および取締役会およびその委員会の定例会議に参加することにより、当社事業の監
督を行う。
取締役会は、適用ある法律、規制および規則の要件、ならびにニューヨーク証券取引所(以下「 NYSE 」と
いう。)の上場基準をみたしているか、それ以上であることを確保するよう、当社のコーポレート・ガバナ
ンス方針および特性を定期的に監視する。当社は、責任あるコーポレート・ガバナンスを発展させ、維持す
るために本項に記載される様々な慣行を設定している。ビザのコーポレート・ガバナンスの詳細や、当社の
コーポレート・ガバナンス・ガイドライン、業務遂行と倫理に関する規定、各取締役会委員会の憲章ならび
に企業責任および持続可能性報告書の閲覧は、当社のウェブサイト上の投資家向け広報ページ
( http://investor.visa.com )中の「コーポレート・ガバナンス」を参照されたい。以下の宛先( 94119 カリ
フォルニア州サンフランシスコ、私書箱 193243 、ビザ・インク会社秘書役宛または
corporatesecretary@visa.com 宛)に連絡することにより、これらの書類の書面による写しを無料で依頼する
ことができる。
取締役会の指導体制の構成
取締役会は、当社の戦略、事業、文化および経営環境に基づき取締役会の指導体制を定期的に審査および
評価することが、当社およびその株主の最善の利益になると確信している。前年において、取締役会は、当
社の現在の競合および規制環境において独立議長の独立した地位を維持することに対する、議長と最高経営
責任者の役割を統合することの相対的利益に関して議論した。独立取締役の見解、株主の意見、同業他社の
慣例および政府の最近の傾向を踏まえ、取締役は全会一致で当社の最高経営責任者であるケリー氏を議長に
選任した。取締役会は、ケリー氏のインクルーシブ・リーダーシップ・スタイルおよび数十年に及ぶ決済事
業における専門性をもって、取締役会の議論を先導し、取締役会および経営陣の間の指導力の重要な結束を
強め、当社の戦略と業務執行の連携を推進するのに比類なく適任であると確信している。
さらに、独立取締役らは、全会一致でジョン・ラングレン氏を主要独立取締役に選任することによって、
独立する取締役会の指導力に対する取締役会の責任を再確認した。ラングレン氏は、最高経営責任者(最高
経営責任者および議長の兼任を含む。)としての貴重な経験を有しているため、取締役会の指導力の統合体
制および様々な支持層と強固な関係を構築することの重要性に精通している。独立した指導力を確保するた
め、取締役会は、主要独立取締役の職務に以下を含む重大な責務を生じさせた。
・招集、議題の設定、定例のエグゼクティブ・セッションおよび独立取締役の会議の議長を務めること
・取締役会の議長が不在または議長の経営的役割もしくは非独立性に起因して適切とみなされる場合に、
取締役会の議長を務めること
・企業および取締役会の指針および戦略に関して、議長兼最高経営責任者にフィードバックを提供し、取
締役会および最高経営責任者の間の連絡係を務めること
・取締役間ならびに取締役会および経営陣との間のコミュニケーションを円滑にすること
・議長兼最高経営責任者と協働して、議題、スケジュールならびに取締役会および取締役からのインプッ
トに基づく戦略計画会議の資料に対して助言すること
・指名/企業統治委員会の委員長と連携して、最高経営責任者による後継者育成計画、各委員会の委員長
および委員の選任ならびに取締役会の評価プロセスへの独立取締役の関与を率先して行うこと
・報酬委員会の委員長と連携して、最高経営責任者の実績および報酬に対する独立取締役の評価を率先し
て行うこと
・必要に応じて、主要な株主とコミュニケーションを取ること
・独立取締役、取締役会またはいずれかの委員会から適宜要請される責務を果たすこと
取締役会は、引続き定期的に取締役会の指導体制を見直し、取締役会および当社のその時々におけるニー
ズに適切に対処する。
当社の主要独立取締役に加え、独立取締役は取締役会の4つの常任委員会の委員長を務める。これらは、
ロイド・A・カーニーが委員長を務める監査・リスク委員会、スザンヌ・ノラ・ジョンソンが委員長を務め
る報酬委員会、ロバート・W・マシュラットが委員長を務める財務委員会およびジョン・A・C・スウェイ
ンソン氏が委員長を務める指名/企業統治委員会である。さらに、独立委員会委員長としての立場で、カー
75/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
ニー氏、マシュラット氏、スウェインソン氏およびノラ・ジョンソン氏はそれぞれ、取締役会による経営の
監視および取締役会と経営陣との間のコミュニケーションの促進に寄与する責任を負っている。
取締役会および委員会による評価
当社取締役会は、取締役会および委員会による健全で建設的な評価手続が取締役会の有効性にとって必須
の要素であることを認識している。そのため、当社取締役会および当社の各委員会は、独立した第三者に
よって促進される年次の評価(各取締役による取締役会およびその所属する委員会の業績に関する質的評価
を含む。)を行う。取締役会はさらに、個別の取締役の業績を評価することを企図した相互評価を年1回
行っている。指名/企業統治委員会は、主要独立取締役と連携して評価手続を監督する。
取締役の後継者育成計画および取締役会の刷新
管理職者および経営陣の後継者育成に加えて、指名/企業統治委員会は、当社の長期戦略を促進、サポー
トするような、技能、経験、在任期間および多様性の組み合わせを確保するため、取締役の後継者育成およ
び取締役会の刷新にかかる計画を、定期的に監督・立案する。その際、指名/企業統治委員会は、全体的な
ニーズ、取締役会の構成および規模ならびに取締役候補の適格性に関して取締役会が採用した基準を考慮す
る。指名/企業統治委員会により取締役となることに適格性を有するとして特定された個人は、その後指名
および選任のために取締役会に対して推薦される。
取締役の独立性
NYSE の上場基準および当社のコーポレート・ガバナンス・ガイドラインは、当社取締役会の過半数および
監査・リスク委員会、報酬委員会、指名/企業統治委員会の各委員は独立していなければならないことを規
定している。当社の基本定款はさらに、当社の取締役会の少なくとも 58 %が「独立している」ことを義務付
けている。 NYSE の上場基準、当社のコーポレート・ガバナンス・ガイドラインおよび当社の基本定款に基づ
き、当社取締役会が、当該取締役が当社または当社の経営陣と直接的または間接的に重大な関係にないと肯
定的に判断しない限り、いずれの取締役も独立しているとは認められない。ビザの取締役会は、取締役の独
立性を毎年見直すこととしており、その独立性の判断の助けとなるよう、複数のガイドラインを採用した。
詳細については、当社のウェブサイト上の投資家向け広報ページ( http://investor.visa.com )中の「コー
ポレート・ガバナンス」に掲載される、当社のコーポレート・ガバナンス・ガイドラインを参照されたい。
2019 年 10 月、法律顧問の支援を受けて、当社取締役会は、取締役の独立性についての 毎年の見直し を行
い、当社の当時在任していた各非従業員取締役(ロイド・A・カーニー、メアリー・B・クランストン、フ
ランシスコ・ザビエル・フェルナンデス-カルバハル、スザンヌ・ノラ・ジョンソン、ジョン・F・ラング
レン、ロバート・W・マシュラット、デニス・M・モリソン、ジョン・A・C・スウェインソンおよびメイ
ナード・G・ウェブ・ジュニア)は、肯定的に「独立している」と判定された。かかる「独立している」の
定義は NYSE の上場基準、当社の独立性に係るガイドラインおよび当社の基本定款に示されている。 2019 年 11
月に取締役会に任命されたことに関連して、当社の取締役会は同基準に基づき審査し、肯定的に「ラグアル
タ氏は独立している」と判定した。
76/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
上記取締役の独立性の判定の際、取締役会は、 NYSE の上場基準および当社の独立性に係るガイドラインに
明記されたものを含み、関連取引、関係および取決めを検討し、これらの関係は、取締役の独立性を損なう
ほど重要な関係ではないと判断された。これに関連して、取締役会は、一部の取締役が、当社が通常の業務
過 程において取引を行う他企業の取締役に従事しており、当社の取締役の独立性に係るガイドラインに基づ
き、これらのいずれの関係もこれらの個人の独立性を損なうほど重要な関係を構築していないと考えた。一
部の当社の取締役が関係する一定の慈善団体への任意による寄附もまた検討され、取締役会はこれら各慈善
団体に対する過年度における寄附金額が、 120,000 米ドル未満であること、また、これらの寄附が各個人の独
立性を害するような重大な関係性を生み出していないことを確認している。
さらに、 監査・リスク委員会および報酬委員会の各構成員は、適用ある NYSE の規則に基づきかかる委員会
の構成員に適用される、付加的なかつ高められた独立性基準をみたしている。
取締役会のエグゼクティブ・セッション
非従業員、当社取締役会の独立構成員およびすべての取締役会委員会は通常、定期的に予定されている取
締役会および委員会の直接会議中に、また必要に応じて開かれる電話会議および臨時会議中に、経営陣の出
席なしに、エグゼクティブ・セッションを開催する。当社の主要独立取締役であるジョン・ラングレン氏
は、取締役会のエグゼクティブ・セッションの議長を務め、それぞれが独立している委員会の議長が、委員
会のエグゼクティブ・セッションの議長を務める。
その他の取締役会および監査委員会への従事の制限
市場の動向に応じて、 2019 年に取締役会は、取締役が務めることのできる外部の取締役会の数を減少させ
た。また取締役会は、最高経営責任者の他に、公開会社の執行役員にも制限を設けた。当社のコーポレー
ト・ガバナンス・ガイドラインは、公開会社の取締役会および監査委員会の委員を務める当社の取締役に対
し、以下の制限を課している。
公開会社の取締役会および委員会
取締役の分類
への従事の制限(ビザを含む。)
すべての取締役 4社の取締役会
公開会社の執行役員である取締役 2社の取締役会
当社の監査・リスク委員会に従事する取締役 3社の監査委員会
指名/企業統治委員会は、例外要請の事実および状況を考慮した後に、場合に応じて、上記の制限に対す
る例外を認めることがある。ガイドラインは、他の公開会社の取締役会および監査委員会への従事依頼を受
諾する前に、取締役が取締役会議長および指名/企業統治委員会に対して当該依頼について通知することを
規定している。これにより、取締役会は、指名/企業統治委員会を通じて、当該取締役が引続き当社取締役
会および監査・リスク委員会の構成員として責務を果たす能力があるかを審査する機会を有する。当該依頼
を審査するにあたり、指名/企業統治委員会は、当該取締役のその他の時間的義務、取締役会および委員会
会議の出席状況、潜在的な利益相反およびその他の法的検討事項、ならびに提案された取締役職または監査
委員会業務による当該取締役の当社取締役会への参加能力に対する影響を含む複数の要素を検討する。
カーニー氏は、特別買収目的会社(以下「 SPAC 」という。)であるチャサーグ・テクノロジー・アクイジ
ション・コーポレーション( ChaSerg Technology Acquisition Corp. )の最高経営責任者を務めている。
SPAC の最高経営責任者としての役務は、一般的な公開会社の執行役員として必要とされる役務と同様ではな
いことを考慮すると、他の公開会社の取締役会での役務を制限する取締役会の方針の解釈上、カーニー氏は
公開会社の執行役員とはみなされない。チャサーグ・テクノロジー・アクイジション・コーポレーション
は、最近他社との最終的な合併契約を公表した。カーニー氏は、合併のクロージング後にこの役職から退任
することを予定しており、かかる退任は株主の承認およびその他特定の条件をみたすことを条件としている
が、 2020 年度第1四半期にクローズすると見込まれている。
経営陣の開発および後継者育成計画
当社取締役会は、その主要な責任の1つは、経営陣の能力開発および維持について監督し、当社の最高経
営責任者およびその他の経営陣の適切な後継者育成計画が実施されていることを確保することであると考え
ている。当社の指名/企業統治委員会は、経営陣の後継者育成および開発計画について協議し、上級経営陣
の潜在的な空席に対処するために、各四半期ごとに、当社のエグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント、人
事部門およびその他の執行役員と会合する。指名/企業統治委員会は、当社の最高経営責任者の後継者育成
計画についても、年1回、取締役会と検討する。
取締役会のリスク監督に係る役割
77/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
当社取締役会は、事業を成功裡に運営し、ビザおよびその株主に対する信任義務を果たすうえで、効果的
なリスク管理の重要性を認識している。最高経営責任者、最高リスク責任者、法律顧問、ヴァイス・チェア
マ ン兼最高財務責任者、技術部門のプレジデントならびに当社のその他上級経営陣のメンバーが日々のリス
ク管理の責任を負う一方で、当社取締役会は、当社内の適切なリスク管理文化を促進し、「経営者の姿勢」
を正し、総合的なリスク特性を監督し、特定のリスク(戦略および競争リスク、財務リスク、ブランドおよ
びレピュテーション・リスク、サイバーセキュリティおよび技術リスク、法的およびコンプライアンス・リ
スク、規制リスクならびにオペレーショナル・リスク等)をどのように対処するかについて監視することに
責任を負う。
さらに、各委員会は、リスク特性およびリスク・エクスポージャーについて検討するために経営陣とのエ
グゼクティブ・セッションを開催する。たとえば、監査・リスク委員会は、当社の最高財務責任者、法律顧
問、最高リスク責任者、最高監査役およびその他の上級経営陣のメンバーと定期的に会合し、当社の主要な
リスク・エクスポージャーおよびその他のプログラムについて検討する。
企業統治、企業責任および役員等の報酬に関する事項に係る株主との連携
当社の取締役会および経営陣は、当社の株主からの意見およびフィードバックを非常に高く評価してお
り、そのために当社は、当社の株主と当社の議長兼最高経営責任者、ヴァイス・チェアマン兼最高財務責任
者および投資家関連チームとの間のビザの財務実績および戦略的成果についての継続的な対話に加えて、企
業統治、企業責任および役員等の報酬に重点を置いた、1年を通しての当社の株主との積極的かつ継続的な
連携を行っている。当社の主要独立取締役および議長兼最高経営責任者は、企業統治、企業責任および役員
等の報酬に関する事項を協議するため、今年一部の投資家と会合した。
78/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
フィードバックは概ね肯定的であり、多くの投資家が、当社の開示内容のうち企業統治、役員等の報酬お
よび企業責任に関する事項の透明性が高まったことを評価した。投資家との協議で取り上げられた議題は以
下のとおりである。
・取締役会の指導力
・取締役会の構成(多様性および技能に関する基準を含む。)
・サイバーセキュリティおよびプライバシーを含む取締役によるリスク監督
・当社の役員等の報酬に関するプログラムおよび理念
・人材管理を含む企業責任および持続可能性
当社が得たフィードバックの概要は、取締役により協議および検討され、これらの分野における透明性を
高めるために、当社の開示内容が強化された。
これらまたはその他の事項について当社に連絡を取ることを希望する株主およびその他の利害関係者は、
会長秘書役宛に電子メール( corporatesecretary@visa.com )または郵送( 94119 カリフォルニア州サンフラ
ンシスコ、私書箱 193243 、ビザ・インク宛)で連絡をすることができる。
取締役会とのコミュニケーション
当社取締役会は、株主またはその他の利害関係者が、取締役会またはその構成員とコミュニケーションを
図ることを可能にする手順を導入した。株主およびその他の利害関係者は、書面により、一部またはすべて
の取締役(議長または非従業員取締役を含む。)宛に電子メール( board@visa.com )または郵送( 94119 カ
リフォルニア州サンフランシスコ、私書箱 193243 、ビザ・インク、当社の会社秘書役宛)によって連絡を取
ることができる。取締役会が承認する手続きにつき、手続き上および実質的な要件をみたすコミュニケー
ションについては、通常、定期的に予定されている取締役会会議の前もしくは会議時といった一定の期間ご
とに、取締役会の特定の構成員、非従業員取締役または取締役会のすべての構成員に適宜交付される。緊急
性のあるコミュニケーションについては、法律顧問に付託され、より迅速に交付されるべきであるかが決定
される。当社取締役会とのコミュニケーションに係る手続き上および実質的な要件に関する追加的な情報
は、当社のウェブサイト( http://investor.visa.com )上の「コーポレート・ガバナンス-取締役会との連
絡」に掲載されている。
会計、内部会計統制および会計監査事項につき、適用ある法令要件もしくは規範の違反、不履行の可能性
またはかかる申立を行った者もしくはかかる申立の調査に関与した者に対する報復的な行動に関するすべて
のコミュニケーションは、電子メール( businessconduct@visa.com )により、機密コンプライアンス・ホッ
トライン(( 888 ) 289-9322 )もしくは当社の機密オンライン・コンプライアンス・ホットライン
( https://visa.alertline.com )を通じて、またはビザ・インク宛の郵送( 94119 カリフォルニア州サンフ
ランシスコ、私書箱 193243 、業務遂行局宛)によって行うことができる。これらすべてのコミュニケーショ
ンは、当社の内部告発方針に従って取り扱われる。かかる写しは、当社の会社秘書役に連絡することにより
入手することができる。
取締役会、委員会および年次株主総会への出席状況
79/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
当社の取締役会およびその委員会は、年間を通じて定期的に会合し、必要に応じて臨時会議を開催し、書
面による承認により適宜行為する。取締役会は、 2019 年度中に 13 回開催された。各取締役は、(ⅰ) 2019 年
度 中に開催され、自らが取締役を務めた取締役会の会議の総数と、(ⅱ)かかる取締役が 2019 年度中に委員
会の構成員を務めたすべての委員会により開催された会議の総数を合計した数の少なくとも 75 %以上に出席
した。各委員会により開催された会議の総数については、以下の「(b)取締役会の委員会」に記載されて
いる。当社は、すべての取締役が年次株主総会に出席しようと務めることをその方針としている。当社のそ
の時点での取締役全 10 名が 2019 年度年次株主総会に出席した。ラグアルタ氏は、 2019 年 11 月に取締役会に加
わったため、 2019 年度年次総会には出席しなかった。
遂行と倫理に関する規定
当社取締役会は、当社のすべての取締役、役員、従業員および臨時雇用者に適用する業務遂行と倫理に関
する規定を採用した。かかる規定は、当社の最高経営責任者、最高財務責任者、経理担当管理者、法律顧問
およびその他の上級財務役員(以下、総称して「上級役員」という。)に適用される特定執行役員および財
務役員のための補足的な倫理綱領を含む。上級役員は、これらの規範によって、職務遂行において誠実かつ
倫理的行動を行い、個人的かつ職務上の関係の現実に存在するかまたは明白な利益相反についての倫理的取
扱いのための指針を提示し、かつ倫理に反する行動を通報する仕組みを備えることを要求される。当社の上
級役員は自らの規範遵守について責任を負う。当社は、当社の役員または取締役のための規範の規定の一部
を修正するか、または放棄を認める場合、適用される法に基づき、かつ法によって要求される場合、かかる
修正や放棄を当社のウェブサイト( http://investor.visa.com )に掲載するか、またはフォーム8 - Kによる
最新報告書を SEC に提出することにより、一般に公開する。
政治への関与および開示
公共部門の決定は、当社の事業および業界に加えて当社が運営を行うコミュニティーにも大きな影響を及
ぼす。この理由から、当社は、官僚および政策立案者との定期的かつ建設的な関わり合いを通じて、当社の
従業員の市民参加を奨励することにより、また適用ある法律により認められる場合は候補者および政治団体
への寄附を行うことにより、政治過程に参加している。当社は、責任ある企業の社会的貢献を反映した透明
性のある方法でこれらの活動を行うことに専念しており、当社の株主、従業員およびその他の利害関係者の
利益に最大限に貢献している。当社の政治活動および監視に関する詳細については、
( https://usa.visa.com/about-visa/operating-responsibly.html )に掲載されている。
ビザには、政治参加、ロビー活動および献金方針(以下「政治活動方針」という。)があり、政治活動方
針は、当社の取締役、役員および従業員が、当社の資源を個人的な政治的見解、主張または候補者を宣伝す
るために利用することを禁じ、当社がいかなる個人的な政治献金または費用を直接的または間接的に払い戻
さないことを明記している。取締役、役員および従業員もまた、当社のかわりに、当社のグローバル政府関
与部門の事前承認を得ずに、官僚に対するロビー活動を行わない。このように、当社のロビー活動および政
治活動に関する支出は、当社の取締役または執行役の個人的な政治的選好ではなく、当社およびその株主の
利益を促進することを目指している。
政治活動方針に基づき、指名/企業統治委員会は、対象となる政治運動を支援するために事業者団体に対
して行われる献金および政治活動を支援するために歳入法第 527 条に基づき登録される組織に対して行われる
献金を含む政治献金のための会社資金の利用を事前に承認しなければならない。政治活動方針により、当社
は、年会費が 25,000 米ドルを上回る米国事業者団体から、政治献金に利用される会費分を得るために、適切
な努力をすることをさらに要求されている。かかる情報は、当社のウェブサイトに掲載されている年間献金
報告に記載されなければならない。
当社は、選出された官僚および政策立案者に対する当社の見解および関心について伝えることにより、世
界各国の政府との健全かつ透明性のある関係を維持する努力を行っている。業界トップとして、当社は様々
な政策事項についての課題および機会に直面している。これらの課題には、とりわけインターチェンジ手数
料、サイバーセキュリティ、データ・セキュリティ、プライバシー、知的財産、割増金、給与およびプリペ
イドカード、モバイル決済、税金、国際取引および市場アクセスならびに金融包摂に関する規則および方針
が含まれる可能性がある。
指名/企業統治委員会は、当社の政治献金およびロビー活動に係る支出についての見直しを毎年行ってお
り、これにはモデル法案の立案および承認を行う非課税団体のメンバーシップまたはかかる団体への支払に
関する情報が含まれる。当社の政治献金およびロビー活動に係る支出についての詳細は、当社の年間献金報
告ならびに当社の四半期ごとの米国連邦ロビー活動およびこれに係る支出の報告書へのリンクも含めて、当
社のウェブサイトに掲載されている。
2019 年に、政治活動説明責任センターは、企業の政治活動に関わる情報開示と説明責任の年間 CPA- ジック
リン指数において当社の開示についての評価を行い、ビザを「トレンドセッター」( CPA- ジックリン指数で
は最上位の指定)に指定した。
企業責任および持続可能性
80/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
当社は決済における信頼のあるブランドとして、世界を繋ぐこと、すなわち包摂的かつ持続可能な経済成
長への寄与および経済の強化ならびに生活の改善およびより良い世界の創造の支援のために当社の事業を活
用 する非常に大きな機会および責任を有している。当社は、環境、社会およびガバナンス(以下「 ESG 」とい
う。)に関する問題から生じるリスクおよび機会の管理に専念している。
統合的アプローチ
以下に詳述するとおり、ビザは ESG のパフォーマンス、透明性を管理するために統合的アプローチを使用し
ており、かかるアプローチは当社のイニシアチブのガバナンス、連携および報告から構成される。
・ 重要性: 当社は、ビザおよび当社の外部 利害関係者に最も関連する問題を特定するため、 2年ごとに正
式な ESG 重要性評価を行う。当社は、これらの問題に関わる当社の企業責任および持続可能性を体系化
し、測定する。
・ 統治: 個々の ESG に関する問題の分野は、部門レベルにおいて管理され、役員レベルまで監視が 行われ
る 。分野間にまたがる企業責任および持続可能性リーダーシップ・カウンセルは、中心的な調整機関と
して従事する。指名/企業統治委員会の憲章には、取締役会役員レベルでの企業責任および持続可能性
に関する正式な責任および監視が含まれる。
・ 連携: 当社は、従業員、顧客、株主、政策立案者および第三者機関との対話を含め、当社の企業責任お
よび持続可能性の優先度を伝えるため、定期的に利害関係者と連携する。
・ 報告: 当社は、年次のビザ 企業責任および持続可能性報告書ならびに追加の EGS 開示および提出 を含
め、透明性ある運営に尽力する。
ESG 戦略の主要な重点分野および最近の進展
各重要性評価および利害関係者との連携から情報を得た4分野の優先事項における戦略の焦点
当社の進展に関する第三者による認証
当社は、第三者機関による ESG リーダーシップの認証を引続き受けた。
・ ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ノース・アメリカ・インデックス - 2019 年において、3年連続
で DJSI に認定された。
・ FTSE 4グッド・インデックス -引続き当該インデックスに選出された。
・ MSCI -「A」の格付けを維持した。
81/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
・ サステナリティクス -ソフトウェアおよびサービス部門におけるアウトパフォーマー。
・ ジャスト・キャピタル -「米国で最も公正な 100 社」において 38 位、 2019 年の消費者および総合金融の
企業では1位。
・ 2019 年版企業市民ベスト 100 社 - 33 位にランクイン。
・ 世界で最も倫理的な企業 - 2019 年に7年連続で選出された。
・ ベストコンプライアンスおよび倫理プログラム -コーポレート・セクレタリー誌の「ベストコンプライ
アンスおよび倫理プログラム(大企業)」を 2017 年および 2018 年の両方で獲得。
・ フォーブスのグローバル 2000 世界で最も高く評価される企業 2019 -1位にランクイン。
詳細については、当社のウェブサイトならびに 2018 年度企業責任および持続可能性報告書内の、誰がどこ
にいても、繋がっている世界およびより良い未来を築くために当社が行っている活動についての記載を読む
ことを推奨する。当社の 2018 年度企業責任および持続可能性報告書は、 2019 年 12 月5日付で SEC に提出済の最
終版の株主総会招集通知の一部となっておらず、また、参照により組み込まれてもいない。
(b)取締役会の委員会
現在の取締役会の常任委員会は、監査・リスク委員会、報酬委員会、財務委員会および指名/企業統治委
員会である。各常任委員会は、書面による憲章に従い運営され、当該憲章は、当社のウェブサイト上の投資
家向け広報ページ( http://investor.visa.com )中の「コーポレート・ガバナンス-委員会構成」に掲載さ
れている。
監査・リスク委員会
(*)
委員会構成員
ロイド・A・カーニー (委員長)
(*)
メアリー・B・クランストン (委員長)
ラモン・ラグアルタ( 2019 年 11 月 20 日に就任)
(*)
デニス・M・モリソン
(*)
ジョン・A・C・スウェインソン
(*) 監査委員会財務専門家
2019 年度に開催された
7回
会議の回数
82/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
2019 年度の主要な活動 ・当社の財務諸表の真実性、法律上および規制上の要件の遵守、財務報
告に関する内部統制ならびに内部監査機能および当社の独立の登録公
認会計事務所である KPMG の業績の監視
・ KPMG の適格性および独立性についての討議ならびに 2019 年度の再任の
推奨
・ KPMG の報酬の選定および承認ならびにその業務の監督( 2020 年度の監
査範囲および監査計画を含む。)
・当社のフォーム 10- Kによる年次報告書および当社のフォーム 10- Qに
よる四半期報告書に含まれることが義務付けられている開示に関する
経営陣との検討および討議(当社の重要な会計方針および慎重な判断
と評価の対象となる分野を含む。)
・重大な監査事項についての KPMG との討議
・ 2019 年度の KPMG の報酬ならびに当社の事前承認方針に合致するすべて
の監査、監査関連および非監査報酬ならびにサービスの承認
・内部監査により作成された監査結果および調査結果の四半期ごとの検
討
・当社の監査・リスク委員会の憲章および業務遂行と倫理に関する規定
の改訂版の検討ならびにこれらにつき承認するよう取締役会に対して
推奨
・当社の業務遂行と倫理に関する規定の遵守の監督ならびに当社のコン
プライアンスおよび倫理プログラムの実行および効果の検討
・当社の金融リスク、重要なリスクおよびその他のリスク・エクスポー
ジャーならびにかかるエクスポージャーを監視および管理するために
講じられる措置(当社の企業リスクに関する枠組みおよびプログラム
を含む。)の経営陣との検討および討議
・事業継続、プライバシーおよび情報保護ならびにサイバーセキュリ
ティを含む、当社の技術リスクの監視
・ 2019 年度グローバル事業継続計画、リスク選好に関する枠組み、 2019
年度内部監査計画および内部監査憲章の検討および承認
・当社の関係者との取引に関する方針の検討およびその承認
・当社の内部告発方針、ならびに当社に寄せられた苦情(会計、内部会
計統制または監査事項に関するものおよび疑わしい会計または監査事
項に関して従業員により提出される内密かつ匿名の懸念事項を含
む。)の受領、保存および取扱手続の検討および承認
特定の関係および関係者との取引
監査・リスク委員会は、関係者との取引に関する書面による方針声明(以下「方針声明」という。)を採
用した。本方針声明は、関与する総額が 120,000 米ドルを超える、または超えることが見込まれ、関係者が直
接的また間接的に重大な持分を有していた、または有する場合、当社およびいかなる関係者との取引、取決
めまたは関係を統制する。当該方針声明に基づき、監査・リスク委員会は、関係者との取引を検討し、それ
らが当社およびその株主の最善の利益となる、または最善の利益に反しないと判断される場合のみ、それら
を承認または認可することができる。関係者との取引を検討する際、監査・リスク委員会は、適用可能なす
べての該当する事実および状況を考慮することができる。これらには、以下のものが含まれる。(ⅰ)重大
な取引条件、(ⅱ)ビザと関係者との関係性、(ⅲ)その立場または取引の当事者である事業体もしくは取
引において利益を有する事業体との関係性もしくは所有権を含む取引における関係者の利益、(ⅳ)取引の
概算米ドル価額、(ⅴ)同等の商品またはサービスのその他の調達先からの入手可能性および(ⅵ)取引が
当社と関係性のない第三者との間で適用可能である条件と同等であるか否かについての査定。
当社が、当該方針声明に基づいて事前に承認または認可されなかった関係者との取引に気付いた場合、監
査・リスク委員会は、関係者との取引の認可、修正または終了を含む適用可能なすべてのオプションについ
て評価する。当該方針声明は、行動規範または利益相反規定(当社の業務遂行と倫理に関する規定も含まれ
る。)を含む当社のその他の方針を強化し、協調して作用することを目指している。
83/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
当社は、当社の通常の業務過程において、金融機関および職能団体を含む多くのその他の事業体との取
引、取決めおよび関係を有する。当社の取締役、執行役員、5%超の株主およびそれらの近親の家族、本方
針声明における各関係者がこれらの事業体の取締役、役員、パートナー、従業員または株主である可能性が
あ る。当社はこれらの事業体と慣例的な条件に従って取引を行い、多くの場合、当社の取締役および執行役
員はそれらに気付いていない。当社の知る限り、 2019 年度開始以来、いかなる関係者も当社の事業取引また
は関係において重大な利益を有していない。
監査・リスク委員会の報告
独立取締役によって構成されているこの委員会は、取締役会に代わりビザの財務報告プロセスを監視し、
監督する責任を負っている。同委員会の役割は、取締役会によって承認された監査・リスク委員会の憲章内
により詳細に記載されているが、当社のウェブサイト( http://investor.visa.com )内の「コーポレート・
ガバナンス-委員会構成」内で閲覧可能である。ビザの経営陣は、財務に関する適切な内部統制の確立およ
び維持、財務諸表の作成ならびに公的な報告プロセスに対して主要な責任を負っている。ビザの独立の登録
公認会計事務所である KPMG LLP は、当社の監査済み財務諸表のアメリカ合衆国において一般に公正妥当と認
められた会計原則への準拠、および財務報告に係る当社の内部統制に対して見解を表明する責任を負ってい
る。
これに関連して、同委員会は、 2019 年9月 30 日に終了した年度の当社の監査済み連結財務諸表について検
討し、これについて経営陣と討議した。加えて、同委員会は、公開会社会計監査委員会(以下「 PCAOB 」とい
う。)および SEC の適用ある要件により討議されるべき事項について KPMG との討議を行った。
同委員会はまた、独立の登録公認会計事務所と監査委員会との独立性に関する連絡に関連して、 PCAOB の適
用ある要件によって義務付けられている開示文書および公式文書を KPMG より受領し、同委員会は KPMG の独立
性について、同事務所との討議を行った。同委員会はまた、 KPMG の当社に対する非監査業務の提供が監査人
の独立性を妨げるか否かについても検討し、 KPMG は同委員会および当社の経営陣から独立しているという判
断を下した。
上記の同委員会の検討および討議に基づき、同委員会は取締役会に対して、当社の監査済み連結財務諸表
が、 SEC への提出のために、 2019 年9月 30 日に終了した年度に係るフォーム 10- Kによる当社年次報告書に含
まれるように勧告した。
取締役会の監査・リスク委員会
ロイド・A・カーニー(委員長)
メアリー・B・クランストン
デニス・M・モリソン
ジョン・A・C・スウェインソン
報酬委員会
委員会構成員 フランシスコ・ザビエル・フェルナンデス-カルバハル
スザンヌ・ノラ・ジョンソン(委員長)
ロバート・W・マシュラット
デニス・M・モリソン
メイナード・G・ウェブ・ジュニア
2019 年度に開催された
7回
会議の回数
84/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
2019 年度の主要な活動 ・当社の役員等の報酬全般に関する理念の検討
・当社の最高経営責任者と他の NEO の年間業績目標を含めた報酬に関する
企業目標と目的の検討と承認
・当社の最高経営責任者と他の NEO の企業目標および目的に照らしたその
業績の評価ならびにこの評価に基づく、給与、賞与、株式、その他の
手当を含む当社の最高経営責任者と他の NEO の年間報酬の決定、承認お
よび取締役会への報告
・当社取締役の報酬の形式および金額の検討および取締役会の独立構成
員に対する提案
・当社のインセンティブおよび株式ベースの報酬制度に関する管理なら
びに法規制の遵守の監督
・当社の役員等の報酬プログラムの運営につき、それが適切に調整され
ており、その意図された目的を達成しているかを判断するための検討
・年次の報酬リスク評価報告の検討ならびに当社の報酬方針および慣行
に、執行役員および従業員がその任務を遂行するにあたり合理的に当
社に重大な不利な影響を及ぼす可能性のあるリスクを負う場合のイン
センティブが含まれているかの考察
・取締役および NEO のための当社の持ち株制度ガイドラインならびに各個
人のガイドラインの遵守についての検討
・当社の年次報告書に含まれることが義務付けられている報酬の開示に
関する、経営陣との検討および討議
・役員等の報酬に係る勧告決議( Say-on-Pay )を含む、役員等の報酬に
関する事項に係る株主投票への当社の付託の監督
・役員等の報酬に関する事項に係る株主投票の結果の検討およびかかる
投票に対応する株主との適切な取決めについての経営陣との協議
・当社のピアグループの妥当性についての検討
・役員等の労働力の多様性に関する当社の制度および慣行ならびに非差
別的方法による役員等の報酬プログラムの管理についての検討
・規制および報酬の傾向ならびにコンプライアンスについての最新情報
の受領およびその検討
報酬委員会の兼職および内部参加
報酬委員会のメンバー(スザンヌ・ノラ・ジョンソン氏、フランシスコ・ザビエル・フェルナンデス-カ
ルバハル氏、ロバート・W・マシュラット氏( 2019 年1月 25 日以降)、デニス・M・モリソン氏( 2019 年 10
月1日以降)、ジョン・A・C・スウェインソン氏( 2019 年1月 25 日まで)およびメイナード・G・ウェ
ブ・ジュニア氏)のいずれも、当社の役員もしくは従業員ではなく、または当社の役員もしくは従業員で
あったことはない。さらに、前年度中に、当社の取締役会または報酬委員会の一員を務める執行役員を1名
以上擁している他の事業体において、その取締役会または報酬委員会の一員を務めた当社の執行役員はいな
い。
報酬プログラムのリスク評価
報酬委員会は、当社の報酬プログラムの検討および承認を行う際に、潜在的なリスクについて年に1度検
討する。当社は、当社のインセンティブ報酬制度を含めて、潜在的なリスクに対応するための特有の機能を
備えた当社の報酬プログラムを設計し、同時に慎重な経営判断および適切なリスク引受けを通じて長期的な
財務目標と戦略的目標を達成した従業員に対して報酬を与えた。以下の要素は、執行役員向けの当社の報酬
プログラムに組み込まれたものである。
85/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
さらに、報酬委員会は、年に1度、当社の全従業員のために報酬に関連するリスクの評価について検討す
る。この評価に基づき、報酬委員会は、当社の報酬プログラムにより、ビザに重大な悪影響を与える可能性
があるようなリスクは生じないであろうと判断した。この決定を行う際に、報酬委員会は、当社の報酬プロ
グラムについて、報酬委員会の独立報酬コンサルタントであるフレデリック・W・クック・アンド・カンパ
ニー( Frederic W. Cook & Co )(以下「 FW クック」という。)によって提示された業界の「最善慣行」に関
連する主要な設計要素についての見直し、ならびに経営陣と取締役会による当社の内部統制および監督等、
潜在的リスクを軽減させる手段についての見直しを行った。さらに、経営陣は役員レベルを下回るインセン
ティブ・プログラムの一覧表を作成し、これらのインセンティブの設計について内部的見直しおよび FW クッ
クによる見直しの両方を行ったうえで、かかる制度が過度なリスク引受けを促さないと判断した。
報酬委員会の報告
・報酬委員会は、報酬の考察および分析と題するセクションについて経営陣との検討および討議を行っ
た。
・この検討および討議に基づき、報酬委員会は取締役会に対して、報酬の考察および分析のセクションが
2019 年 12 月5日に SEC に提出済の最終版の株主総会招集通知に含まれるように勧告した。
報酬委員会構成員
スザンヌ・ノラ・ジョンソン(委員長)
フランシスコ・ザビエル・フェルナンデス-カルバハル
ロバート・W・マシュラット
デニス・M・モリソン
メイナード・G・ウェブ・ジュニア
財務委員会
委員会構成員 フランシスコ・ザビエル・フェルナンデス-カルバハル
ロバート・W・マシュラット(委員長)
デニス・モリソン( 2019 年 10 月1日まで)
メイナード・G・ウェブ・ジュニア
86/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
2019 年度に開催された
会議の回数 6回
2019 年度の主要な活動 ・複数の潜在的な合併買収および戦略的投資の検討( 2019 年度にそれぞ
れ完了したアースポート、ペイワークスおよびベリフィの取得ならび
に 10 月に完了したラムバスのトークン・サービス事業の取得に係る推
奨または承認を含む。)
・当社の四半期配当およびクラスA普通株式の買戻し計画の 8.5 十億米ド
ルの増加についての検討および推奨
・当社の資本構成および財政状態(目標レバレッジ比率および信用格付
けを含む。)の見直し
・米国の税制改革後の当社の税務戦略の討議
・保険適用範囲および保険プログラムの検討
・当社の財務活動および財務戦略の討議
・ 2020 年度予算の承認に先立つ潜在的な資本投資の検討
指名/企業統治委員会
委員会構成員 メアリー・B・クランストン
ラモン・ラグアルタ
ジョン・F・ラングレン
スザンヌ・ノラ・ジョンソン
ジョン・A・C・スウェインソン(委員長)
2019 年度に開催された
4回
会議の回数
87/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
2019 年度の主要な活動 ・一定の財務に関する事項、資本配分および投資、配当および株式買戻
計画、吸収合併および買収、債務、与信枠、資金調達および資本構成
ならびにその他の税務および資金に関する事項を監督するための財務
委員会の設置の推奨( 2019 年1月1日付けで取締役会により承認され
た。)
・ 2019 年 11 月 20 日から取締役会、監査・リスク委員会および指名/企業
統治委員会の構成員を務める新たな取締役としての、ラモン・ラグア
ルタ氏の特定、選考および推奨
・取締役会に対する取締役会の委員会の委員長の変更に係る推奨(結果
として監査・リスク委員会の委員長が交代した。)
・当社の現在のビジネスニーズおよび長期戦略に確実に合致するため
に、取締役として適格な個人を特定する際に使用する基準の検討
・当社の取締役の適格基準、現在のビジネスニーズおよび長期戦略に照
らした、取締役会の構成の定期的な討議および取締役候補者の検討
・以下を含む当社のガバナンス慣行および方針の検討ならびに更新の推
奨(いずれも取締役会によって承認された。)
・定款(主要取締役の責務に関する記述をコーポレート・ガバナン
ス・ガイドラインに移すよう改定された。)
・コーポレート・ガバナンス・ガイドライン((ⅰ)健全な主要取締
役の義務を含め、(ⅱ)委員会が検討する取締役候補者のプールに
おいて、委員会が女性候補者およびマイノリティー候補者について
考慮するという現在の慣行を開示し、また(ⅲ)当社の取締役が、
当社の取締役会に加えて務めることができる公開会社の取締役会の
数を減じるように改定された。)
・指名/企業統治委員会の憲章(委員会が検討する取締役候補者の
プールにおいて、委員会が女性候補者およびマイノリティー候補者
について考慮するという現在の慣行を開示し、また委員会の候補者
のリソースを取得する権限がサーチ・ファームに限定されるもので
はないことを明記するよう改訂された。)
・取締役の独立性についての取締役会の分類別基準の再確認、ならびに
取締役会およびその委員会の構成員の適格性の検討および独立性の決
定
・各取締役が他の株式公開会社の取締役会または監査委員会の役務に関
するコーポレート・ガバナンス・ガイドラインの要件を遵守している
かどうかの確認
・最高経営責任者の急病または辞任の場合の継承計画を含む、経営陣の
後継者育成および開発計画の見直し
・取締役会、その委員会および取締役の年次評価の監督
・当社の株主との連携プログラムに係るコーポレート・ガバナンス、企
業責任および役員の報酬に関する事項の監督
・ 2019 年企業政治献金計画の検討および承認ならびに、当社の政治献金
およびロビー活動の監督
・企業責任および持続可能な発展の検討ならびに当社の慈善寄附の監督
取締役候補者の指名プロセス
指名/企業統治委員会は、ビザの長期戦略を支えるために必要と考えられる基準に加えて、現在の取締役
会に表れる資格、専門性および性質を含む取締役会の構成を定期的に検討している。候補者の綿密な検討の
後、指名/企業統治委員会は、委員会憲章、当社の基本定款および付属定款、当社のコーポレート・ガバナ
ンス・ガイドラインならびに取締役候補者の資格に関して取締役会が採用した基準に従い、候補者を取締役
会へ推薦する。慎重な検討および考慮を経て、取締役会は、当社の年次株主総会において、選出または再任
のために候補者を指名する。取締役会は、年度の途中に次回の株主総会までの期間において取締役会の一員
を務める取締役を指名することができる。
88/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
株主による候補者の推薦
株主は、当社の付属定款の株主による取締役の指名に記載されている期間に、当社のコーポレート・ガバ
ナンス・ガイドラインに規定されている情報を会長秘書役へ提供することにより、指名/企業統治委員会に
より検討される取締役候補者を推薦することができる。指名/企業統治委員会へ検討対象となる取締役候補
者を提案するプロセスの詳細情報については、当社のコーポレート・ガバナンス・ガイドラインを参照のこ
と。年次株主総会における取締役選出のために候補者を指名することを希望する株主は、 2019 年 12 月5日に
SEC に提出済の最終版の株主総会招集通知の「その他- 2021 年度年次総会における株主による取締役候補者の
指名およびその他の株主提案」に記載される手続に従うものとする。かかるプロセスについての詳細情報に
ついては、当社の付属定款を参照のこと。
取締役会への指名基準および多様性
指名/企業統治委員会は、株主により提案された候補者を検討する際には、現職の取締役を含むその他の
候補者を評価する際と同様の基準を適用する。取締役資格者の特定および選考は、多くの漠然とした要素の
考慮を必要とする、複雑かつ主観的な作業であり、その時々における取締役会の特定の必要性によって著し
い影響を受ける。そのため、米国の法規制、ニューヨーク証券取引所の上場基準および当社の基本定款、付
属定款、コーポレート・ガバナンス・ガイドラインならびに取締役会委員会の憲章の規定をみたす必要があ
ること以外に、被指名者が有すべき特定の最低資格、資質または技術は存在しない。しかしながら、指名/
企業統治委員会および取締役会は、ビザの取締役会のメンバーにとって重要な基準として以下に記載する 10
の資質および資格を定義している。
上記の要素に加え、取締役会は、指名/企業統治委員会を通じ、世界中における当社の重要な支持基盤
(顧客、消費者、従業員、取引先および株主)の多様性を反映した取締役会となるように努める。取締役会
は、多様性について公式の方針を有していないが、取締役会を組成するうえでの当社の目標は、実務経験、
職務能力、性別、人種、民族性および文化的背景の観点から幅広い多様性を持たせることである。かかる目
標を支持するため、指名/企業統治委員会は、指名/企業統治委員会が検討する取締役候補者のプールにお
いて女性候補者およびマイノリティー候補者を考慮する。
(c)非従業員取締役の報酬
当社は、その役職と関与度合いに見合い、同業他社の慣習に従った金額の報酬を、現金および株式を組み
合わせて、非従業員取締役に支払う。取締役の報酬を決定する際に、当社は当社取締役が職務を遂行するた
めに費やす膨大な時間および当社取締役会の構成員に要求される技能レベルを考慮する。当社は、当社の非
89/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
従業員取締役に対し、高水準かつ、取締役の高い能力を引き出し、維持させ、当社の株主の利益と非従業員
取締役の利益を一致させるような形態で報酬を支払う。当社の会長兼最高経営責任者であるケリー氏は、取
締 役としての職務につき追加の報酬を受け取っていない。
独立取締役のみによって構成されている報酬委員会は、主に当社取締役の報酬プログラムを見直し、その
改正につき検討する責任を負っている。報酬委員会は、当社の非従業員取締役に対し、取締役会および委員
会におけるその職務に関連して 2019 年度において支払われた報酬の種類および形態についての年次査定を
行った。報酬委員会は、 FW クックによって行われた独立した分析の結果を検討した。この分析の一貫とし
て、 FW クックは、非従業員取締役の報酬の傾向および報酬に関するピアグループ(報酬委員会が役員等の報
酬を検討する際に使用するピアグループと同一のもの)を構成する企業から得られたデータを精査した。こ
の報酬検討プロセスに基づき、株式付与のタイミングに関する業界の最善慣行についての FW クックの助言の
検討後、報酬委員会は、 2019 年1月 29 日より非従業員取締役の株式報酬の付与日を 11 月 19 日から年次株主総
会の開催日に変更することを承認した。報酬委員会はまた、ピアグループのデータおよび株式付与の金額に
関して非従業員取締役と当社の株主の利益をさらに一致させるため、現金ではなくさらに株式ベースの報酬
に比重を置いた報酬を付与することを希望する FW クックの助言を検討した。かかる助言を検討し、非従業員
取締役の報酬を当社のピアグループの中央値と一致するものに維持したうえで、報酬委員会は、 2018 年 10 月
1日以降に付与された付与分につき、非従業員取締役に対する付与日現在の年間株式付与の総額を 200,000 米
ドルに引き上げることを承認した。さらに、 2019 年4月 16 日のジョン・F・ラングレン氏の主要独立取締役
への指名後、報酬委員会はピアグループのデータおよび主要独立取締役の重要な役割についての助言を含む
FW クックの助言を検討し、 2019 年7月1日から有効となる主要独立取締役に対する 75,000 米ドルの年間報酬
を承認した。
非従業員取締役向けの報酬プログラムのハイライト
下記は当社のプログラムのハイライトである。
・ 取締役会会議の出席報酬の不払い: 取締役会会議の出席についての報酬は支払われない。
・ 株式の重視: 株主の利益とのさらなる合致を図るために、報酬の全体的な組み合わせにおいて、株式を
重視する。
・ 特別な役割の認識: 特別な役割(主要独立取締役および委員会委員長等)は、追加的に業務に充てられ
た時間として公正に認められる。
・ 算式に基づく権利確定が即時になされる年間株式付与: 年間のリストリクテッド・ストック・ユニット
は、独立性を維持するため、価値の変動が生じない算式に基づいて即時の権利確定期間と共に付与され
る。
・ 健全な持ち株制度ガイドライン: 各取締役が年間取締役会役員現金報酬の5倍に相当する当社の普通株
式を所有することを規定している健全な持ち株制度ガイドラインは、株主の利益との一致を後押しして
いる。
・ 制限された手当および関連する税金に係る非グロスアップ: その他の給付(慈善寄附マッチング等)は
制限されている。
現金で支払われた年間報酬
各非従業員取締役は、取締役会におけるその職務につき年間現金報酬を、さらに主要独立取締役、委員会
の委員または委員会の委員長を務めた場合には追加の現金報酬を受領する。下表は、 2019 年度中の現金報酬
額を示したものである。
報酬の種類 報酬額
年間取締役会役員 105,000 米ドル
独立議長 185,000 米ドル
主要独立取締役 75,000 米ドル
監査・リスク委員会委員 20,000 米ドル
報酬委員会委員 10,000 米ドル
財務委員会委員 10,000 米ドル
指名/企業統治委員会委員 10,000 米ドル
監査・リスク委員会委員長 25,000 米ドル
(委員報酬に加えて)
報酬委員会委員長 20,000 米ドル
(委員報酬に加えて)
90/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
報酬の種類 報酬額
財務委員会委員長 20,000 米ドル
(委員報酬に加えて)
指名/企業統治委員会委員長 20,000 米ドル
(委員報酬に加えて)
米国拠点の取締役は、現金報酬支払額の全部または一部の支払を繰り延べることができる。取締役が 支払
の繰り延べを選択しない限り、 現金報酬はすべて、年間を通じて四半期ごとに分割して支払われる。取締役
にはまた、取締役会およびその委員会の会議に出席した際に生じた慣例的な費用が払い戻される。
株式報酬
各非従業員取締役はまた、 EIP (改訂を含む。)に基づく年間株式付与を受けており、当社の非従業員取締
役に対する単年度における付与日現在の株式付与の総額は、 500,000 米ドルに制限されている。 2019 年度にお
いては、当社の年次株主総会の開催日である 2019 年1月 29 日に、付与日における価格が 200,000 米ドルの株式
付与が、各非従業員取締役に対して行われた。年次株主総会の開催日以外の日における取締役会への取締役
の選出および任命の後において、当該取締役はかかる年度の一部における役務に基づき、比例配分された最
初の付与分を受け取った。したがって、 2018 年8月2日に取締役に指名されたデニス・M・モリソン氏は、
2018 年 11 月 19 日に、付与日における価格が 100,000 米ドルの追加的な付与分を受け取った。すべての非従業員
取締役に対する付与は、リストリクテッド・ストック・ユニットの形で行われ、付与の直後に権利が確定す
る。 取締役は、 株式付与の全部または一部の決済の繰り延べを 選択することができる。
持ち株制度ガイドライン
当社の非従業員取締役のための持ち株制度ガイドラインでは、各取締役が年間取締役会役員現金報酬の5
倍に相当する当社の普通株式を所有することが規定されている。これらのガイドラインをみたすために考慮
される持分には、株式による支払が可能である取締役により完全に保有される株式、共同で保有される株式
およびリストリクテッド・ストック・ユニットが含まれる。取締役には、この保有レベルに到達するまで取
締役会の構成員となってから5年間が与えられている。当社の取締役会における勤続年数が少なくとも5年
の各非従業員取締役は現在この持ち株制度ガイドラインをみたしており、またはこれを超過している。当社
はまた、インサイダー取引方針を有しており、これにより、とりわけ取締役が保有する株式について経済的
リスクをヘッジすること、または株式に質権を設定することを禁じている。
慈善寄附マッチング・ギフト制度
当社の非従業員取締役は、取締役会慈善寄附マッチング・ギフト制度に参加することができる。この制度
に基づき、ビザは適格な非営利機関に対して取締役1名当たり1暦年で 15,000 米ドルを上限とするマッチン
グ拠出を行う。また、当社の非従業員取締役は、当社の PAC 慈善寄附マッチング制度に参加することができ
る。かかるプログラムに基づき、非従業員取締役がビザ PAC に寄附を行った場合、ビザはかかる寄附を非従業
員取締役が選定した1つまたは複数の適格な慈善団体に対して、取締役1名当たり1暦年で 5,000 米ドルを上
限とするマッチング拠出を行う。
2019 年度の取締役報酬表
下表は、 2019 年度に務めた当社の各非従業員取締役が受領した報酬総額についての情報を示すものであ
る。ラグアルタ氏は、 2019 年 11 月 20 日付けで取締役に任命された。そのため、同氏は 2019 年度中に取締役報
酬を受け取らなかった。
現金で受け
取った、または その他すべての
支払われた報酬 株式報酬 報酬
合計
(1) (2) (3)
氏名 ( 米ドル ) ( 米ドル ) ( 米ドル ) ( 米ドル )
ロイド・A・カーニー 131,250 199,935 5,000 336,185
メアリー・B・クランストン 148,750 199,935 20,000 368,685
フランシスコ・ザビエル・ 125,000 199,935 15,000 339,935
フェルナンデス-カルバハル
ジョン・F・ラングレン 143,750 199,935 5,000 348,685
ロバート・W・マシュラット 263,750 199,935 5,000 468,685
91/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
現金で受け
取った、または その他すべての
支払われた報酬 株式報酬 報酬
合計
(1) (2) (3)
氏名 ( 米ドル ) ( 米ドル ) ( 米ドル ) ( 米ドル )
(4)
125,000 299,927 5,000 429,927
デニス・M・モリソン
スザンヌ・ノラ・ジョンソン 145,000 199,935 20,000 364,935
ジョン・A・C・スウェインソン 150,000 199,935 10,000 359,935
メイナード・G・ウェブ・ジュニア 125,000 199,935 5,000 329,935
(注1)これらの報酬に係る詳細は、下記「現金で受け取った、または支払われた報酬」に記載されている。
(注2)株式ベースの会計規則( FASB ASC 第 718 号)に従って計算され、各取締役に付与された報酬の付与日における公
正価値の合計額を示すものである。これらの金額の計算において利用された前提は、「第6-1財務書類-注記
16 株式に基づく報酬」に記載されている。
(注3)かかる金額は、取締役会慈善寄附マッチング・ギフト制度に従って、 2019 年度に当社取締役を代理して当社が
行ったマッチング拠出(クランストン氏、フェルナンデス-カルバハル氏およびノラ・ジョンソン氏のそれぞれ
について 15,000 米ドルならびにスウェインソン氏について 5,000 米ドル)を含む。かかる金額にはまた、当社の
PAC 慈善寄附マッチング制度に基づき、 2019 年度中にカーニー氏、クランストン氏、ラングレン氏、マシュラッ
ト氏、モリソン氏、ノラ・ジョンソン氏、スウェインソン氏およびウェブ氏を代理して行われた 5,000 米ドルの
マッチング拠出が含まれている。
(注4)モリソン氏は、取締役を務めた初年度の一部(同氏の取締役に任命された 2018 年8月2日から 2019 年1月 29 日ま
で)における役務について比例配分された追加的株式報酬を受け取った。
現金で受け取った、または支払われた報酬
下表は、上記 2019 年度の取締役報酬表の「現金で受け取った、または支払われた報酬」の列において報告
された金額の追加情報である。
独立議長/
指名/企業
財務委員
主要独立
監査・リスク委
報酬委員会 会の委員 統治委員会
取締役会 取締役 員会の委員長/
の委員長/ 長/委員 の委員長/
報酬 報酬 委員報酬 委員報酬 報酬 委員報酬
氏名 (米ドル ) (米ドル ) (米ドル ) (米ドル ) (米ドル ) (米ドル )
ロイド・A・カーニー 105,000 - 26,250 - - -
メアリー・B・クランストン 105,000 - 38,750 - - 5,000
フランシスコ・ザビエル・フェルナンデス 105,000 - - 10,000 5,000 5,000
-カルバハル
ジョン・F・ラングレン 105,000 18,750 15,000 - - 5,000
ロバート・W・マシュラット 105,000 138,750 - 5,000 15,000 -
デニス・M・モリソン 105,000 - 15,000 - 5,000 -
スザンヌ・ノラ・ジョンソン 105,000 - - 30,000 - 10,000
ジョン・A・C・スウェインソン 105,000 - 10,000 5,000 - 30,000
92/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
独立議長/
指名/企業
財務委員
主要独立
監査・リスク委
報酬委員会 会の委員 統治委員会
取締役会 取締役 員会の委員長/
の委員長/ 長/委員 の委員長/
報酬 報酬 委員報酬 委員報酬 報酬 委員報酬
氏名 (米ドル ) (米ドル ) (米ドル ) (米ドル ) (米ドル ) (米ドル )
メイナード・G・ウェブ・ジュニア 105,000 - - 10,000 5,000 5,000
(注1)一定の取締役につき、委員会の配置転換が年度中に行われた。報酬は当該取締役が委員会に属していた年度の一
部を反映するように比例配分されている。
2020 年度における取締役の報酬
FW クックとの協議の後、前述の報酬検討プロセスに基づき、報酬委員会は非従業員取締役の報酬プログラ
ムについて一定の変更を行った。かかる変更は 2020 年度から有効となる。報酬委員会は、ピアグループの
データおよびかかる変更(具体的には、当社の非従業員取締役に対する 2020 年度に付与される年間株式付与
の金額が 215,000 米ドルに引き上げられたこと、当社の非従業員取締役の年間現金報酬が 110,000 米ドルに引
き上げられたこと、ならびに当社の報酬委員会、財務委員会および指名/企業統治委員会のそれぞれの委員
の追加的現金報酬が 15,000 米ドルに引き上げられたこと。)が当社のピアグループと一致しているという FW
クックの助言を検討した。
統制および手続
開示統制および手続の評価
当社は、開示統制および手続の制度(証券取引所法ルール 13 a- 15 (e)および 15 d- 15 (e)に定義さ
れる。)を維持している。本制度は、証券取引所法により開示が要求されている情報が、 SEC の規則および書
式に定める期間内に記録、処理、要約および報告され、それらの情報が適宜当社の最高経営責任者および最
高財務責任者を含む経営陣に集積および伝達され、必要な開示について適時の判断を下すことができるよう
に設計された制度である。
最高経営責任者および最高財務責任者を含む当社の経営陣の監督のもと、かつその参加を得て、当社は、
当社の開示統制および手続について評価を行った。この評価に基づき、当社の最高経営責任者および最高財
務責任者は、 2019 年9月 30 日現在、当社の開示統制および手続は、合理的な保証レベルで有効であるとの結
論に達した。
いかなる開示統制および手続の制度の有効性にも内在的な制限は存在する。このような制限には、人為ミ
スの可能性、統制および手続の脱法行為または無効ならびに合理的な資源の制約が含まれる。また、当社の
統制制度は、将来発生する可能性のある事由については、合理的と考えられる一定の仮定条件に基づいて統
制の制度を設計したものであるため、今後発生しうるあらゆる状況においては、当初の目的を達成できない
おそれがある。したがって、当社の開示統制および手続は、当社の目的の達成において合理的な保証を提供
するものの、絶対的な保証を提供するものではない。
財務報告に係る内部統制に関する経営陣の報告
当社の経営陣は、当社の財務報告に係る適切な内部統制を定め、維持する責任を負う。経営陣は、 2019 年
9月 30 日現在の当社の財務報告に係る内部統制の有効性を評価した。経営陣の評価によると、経営陣は、米
国のトレッドウェイ委員会組織委員会により発行された「内部統制-統合的枠組み」( 2013 年枠組み)にお
いて定めた基準を用いたうえで、当社の財務報告に係る内部統制が 2019 年9月 30 日現在有効であるとの結論
に達した。
当社の財務報告に係る内部統制は、財務報告の信頼性および一般に公正妥当と認められた会計原則に従っ
て財務諸表が作成されたことに関して合理的な保証を与えるものではあるが、絶対的な保証を与えるもので
はない。財務報告に係るいかなる内部統制の制度の有効性においても内在的な制限は存在する。このような
制限には、人為ミスの可能性、統制および手続の脱法行為または無効ならびに合理的な資源の制約が含まれ
る。その内在的な制限のため、財務報告に係る当社の内部統制は、誤った説明を回避もしくは発見できない
おそれがある。将来の期間における有効性についての評価の見積は、「第3-2事業等のリスク」で説明さ
れているリスクに服する。
2019 年9月 30 日現在における当社の財務報告に係る内部統制の有効性は、独立の登録公認会計事務所であ
る KPMG LLP の監査を受けており、その報告書は「第6-1財務書類」に含まれている。
財務報告に係る内部統制の変更
93/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
財務報告に係る内部統制に関する経営陣の報告書を作成するにあたり、当社は、財務報告に係る内部統制
の設計および運用の有効性について文書化し、検証した。 2019 年度中、当社は、新しい収益基準に従い、既
存の内部統制および手続を強化および改良するとともに、新たな顧客インセンティブの会計制度を実施し
た。 2019 年9月 30 日に終了した年度中に発生した、財務報告に係る当社の内部統制に重大な影響を及ぼした
か、または合理的にみて重大な影響を及ぼす可能性がある、財務報告に係る内部統制における重大な変更は
なかった。
(2)【役員の状況】
(a)役員等の状況(本書の日付現在)
男性の取締役および執行役員の数:13名、女性の取締役および執行役員の数:5名(取締役および執行役
員のうち女性の比率:約28%)
2019 年 12 月1日から
60 日以内に行使可能な
クラスA オプションにより
実質株主の氏名 普通株式数 発行可能な株式数 合計株式数
取締役および主要執行役員
ラジャト・タネジャ 218,003 618,776 836,779
ライアン・マキナニー 133,776 520,598 654,374
(1)
146,514 375,918
アルフレッド・F・ケリー・ジュニア 522,432
ヴァサント・M・プラブ 79,767 263,681 343,448
ケリー・マホン・トゥリエー 53,271 166,254 219,525
スザンヌ・ノラ・ジョンソン 109,313 - 109,313
ジョン・A・C・スウェインソン 70,173 - 70,173
(1)
ロバート・W・マシュラット 58,849 - 58,849
フランシスコ・ザビエル・
フェルナンデス-カルバハル 26,353 - 26,353
(1)
メアリー・B・クランストン 18,428 - 18,428
ロイド・A・カーニー 3,452 - 3,452
ジョン・F・ラングレン 2,885 - 2,885
デニス・M・モリソン 3,223 - 3,223
(1)
メイナード・G・ウェブ・ジュニア 1,481 - 1,481
ラモン・ラグアルタ 206 - 206
グループとしてのすべての取締役およ
び執行役員( 18 名) 1,180,418 2,147,221 3,327,639
(注1)合計株式数は、現在議決権または投資権が存在していない、当社の各取締役により繰り延べられた以
下の株式数を含まない:ロバート・W・マシュラット氏( 2,880 )、メアリー・B・クランストン氏
( 10,581 )、アルフレッド・F・ケリー・ジュニア氏( 5,126 )およびメイナード・G・ウェブ・
ジュニア氏( 9,100 )。
執行役員
下記「取締役」に含まれる アルフレッド・F・ケリー・ジュニア 氏 の経歴を除き、当社の現行の各執行役
員の経歴は以下のとおりである。
リン・ビッガー ( Lynne Biggar )
エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント兼最高マーケティングおよびコミュニケーション責任者
57歳
・2016年2月にビザに入社。
94/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
・ブランド・ポジショニング、スポンサーシップの管理および立ち上げ、メディアおよびチャネル戦略、
データおよびインサイト開発ならびに社内および社外コミュニケーションを含む、ビザのグローバル・
ブランドならびに当該ブランドに関連するマーケティングおよび顧客/消費者エンゲージメントに係る
取 組みを推進するすべての国際的取組みを指揮している。
・2013年11月から2016年1月まで、著名大手メディア企業の1社であるタイム・インク( Time Inc. )の
消費者マーケティングおよび収支部門の元エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデントを務め、タイム・
インクのすべてのチャネル、消費者インサイト、データ・ソリューションおよび顧客サービスに関する
ブランドおよび商品の消費者収益の拡大の責任者を務めた。
・1992年から2013年まで、多国籍金融サービス企業であるアメリカン・エキスプレス・カンパニー
( American Express Company )で多くの上級職を務めた。直近では、2012年1月から2013年11月までイ
ンターナショナル・カード・プロダクツ・アンド・エクスペリエンシズ部門においてエグゼクティブ・
ヴァイス・プレジデント兼ゼネラル・マネージャー、2011年にはUSメンバーシップ・リワーズ・アン
ド・ストラテジック・カード・サービシズ部門のエグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント兼ゼネラ
ル・マネージャーを務めた。
・ヴォヤ・フィナンシャル・インク( Voya Financial, Inc. )の元取締役。
・スタンフォード大学で国際関係の文学士号を、コロンビア大学で経営学修士号を取得している。
ポール・ファバラ(Paul Fabara)
エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント兼最高リスク責任者
54歳
・2019年9月にビザに入社。
・規制機関との主要な連絡役を務めると同時に、ビザの決済システムの整合性および安全性を維持する責
任者である。
・ビザが業界トップのサービスを継続して提供し、ビザの顧客およびその他の決済システムの利害関係者
に対する不正およびセキュリティ攻撃の影響を防止、発見および軽減することを保証する。
・2011年から2019年まで、多国籍金融サービス企業であるアメリカン・エキスプレス・カンパニーで多く
の上級職を務めた。直近では、2018年2月から2019年9月までグローバル・サービシズ・グループ部門
においてプレジデントを務め、同部門において同氏は、顧客サービス、与信および不正関連業務を含む
同社の国際サービス・ソリューションならびに企業全体の戦略イニシアチブの責任者であった。また、
2016年2月から2018年2月までグローバル・リスク・バンキング・コンプライアンス部門の最高リスク
責任者兼プレジデントを務め、同部門において同氏は、強固な機能および統制の取れた統合リスク管理
を促進した。
・多国籍投信銀行および金融サービス企業であるバークレイズ ( Barclays ) において、業務執行取締役 、
2009 年 2 月から 2011 年 1 月まで運用、規制導入および企画部門のグローバルヘッドおよび 2006 年 8 月か
ら 2009 年 2 月までバークレイカード ( Barclaycard ) のグローバル最高執行責任者を含む上級職を務め
た。
・2002年6月から2006年8月まで、ロイヤルティおよびマーケティング・サービスのプロバイダーである
アライアンス・データ・システムズ(Alliance Data Systems)におけるカード・サービシズ部門の元
最高執行責任者であった。
・同氏はプロヴィディアン・フィナンシャル・コーポレーション(Providian Financial Corporation)
でキャリアを開始し、同社でリスク管理、引受業務、マーケティング、販売サービスおよび与信管理を
含め、多くの職務を務めた。
ライアン・マキナニー(Ryan McInerney)
社長
44歳
・2013年5月にビザに入社。
・世界中の200を超える国々および地域におけるビザの金融機関、加盟店獲得会社、加盟店および戦略的
パートナーに価値を提供する責任者である。
・ビザの市場リーダーシップ・チーム、顧客支援サービス、革新および戦略パートナーシップならびに国
際商品ソリューションについて監督している。
・世界的金融サービス企業であるJPモルガン・チェースの消費者向け銀行部門の最高経営責任者を2010年
6月から2013年5月まで務め、75,000名超の従業員を擁し、約14十億米ドルの収益を上げる事業の監督
を行った。23州の20百万名の顧客にサービスを提供する銀行ネットワークの責任者を務めた。
・住宅ローン部門の最高執行責任者およびチェースの消費者向け事業の最高リスク責任者を務め、クレ
ジットカード、住宅ローン、自動車融資、教育融資、消費者向け銀行業務および法人向け銀行業務にお
95/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
ける信用リスク管理全般について監督を行っていた。また、チェースの消費者向け銀行業務の商品およ
びマーケティング部門の部長も務めた。
・マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)の同社のリテール銀行業務および決済業務
における元社長であった。
・ノートルダム大学で金融学の学位を取得している。
ヴァサント ・M ・プラブ(Vasant M. Prabhu)
ヴァイス・チェアマン兼最高財務責任者
59歳
・2015年2月にビザに入社。
・すべての財務活動および投資家向け広報活動に加え、当社の財務戦略、計画および報告の責任者であ
る。
・多国籍メディア複合企業であるNBCユニバーサル(NBCUniversal)の最高財務責任者を2014年5月から
2015年2月まで務め、同社で同氏は、同社の資金計画および運用の監督を行い、NBCユニバーサルの戦
略的事業イニシアチブにおいて重要な役割を担っていた。また、NBCユニバーサルの技術的な運用、施
設、法人向けサービスおよび情報技術機能を含む運用および技術サービス部門の運営も行っていた。
・現在はマリオット・インターナショナル(Marriott International)のグループ会社となっているホテ
ル企業であるスターウッド・ホテルズ・アンド・リゾーツ・ワールドワイド・インク(Starwood
Hotels & Resorts Worldwide, Inc.)の最高財務責任者を2004年から2014年5月まで務めた。
・35十億米ドルのスーパーマーケット量販店であるセイフウェイ・インク(Safeway, Inc.)の元エグゼ
クティブ・ヴァイス・プレジデント兼最高財務責任者兼電子商取引部門プレジデント。
・ザ・マグロウヒル・カンパニーズ(The McGraw-Hill Companies)の情報メディア・グループのプレジ
デントとしてメディア分野における経験を得た。同社で同氏はビジネス・ウィーク、報道テレビ局およ
びビジネス情報サービスからなる1十億米ドルの部門を率いていた。
・ペプシ・コーラ・インターナショナル(Pepsi-Cola International)の財務部門シニア・ヴァイス・プ
レジデント兼最高財務責任者を含め、ペプシコ(PepsiCo)で上級職を務めた。
・経営コンサルティング会社であるブーズ・アレン・アンド・ハミルトン(Booz, Allen & Hamilton)で
キャリアを開始。同社で同氏は、メディアおよび消費財会社部門に従事するパートナーにまで昇進し
た。
・マッテル・インク(Mattel, Inc.)の取締役。
・シカゴ大学で経営学修士号を、インド工科大学で理学士号を取得している。
ウィリアム・M・シーディ(William M. Sheedy)
戦略グループのエグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント
52歳
・1993年にビザに入社。
・当社の戦略の方向性の決定および成長推進の責任者であり、当社の政府や規制当局との関係構築を世界
規模で拡大させ、世界中(特に、ヨーロッパ)の顧客およびパートナーとの重要なイニシアチブおよび
取引を推進し、全従業員の学習活動および世界規模での社会的インパクトに焦点を当てた、ビザのイニ
シアチブを推進している。
・ビザ・ヨーロッパの元最高経営責任者および南北アメリカ大陸の元グループ・プレジデントであり、北
米、中米、南米およびカリブ海地域の50ヶ国近くの国々におけるビザの事業の監督を行っていた。その
ため、発行会社、加盟店、加盟店獲得会社および第三者機関との関係構築についての責任者を務め、ア
メリカ大陸全体のカード発行、加盟店受入れならびにビザブランド製品およびサービスの使用拡大への
努力の陣頭指揮を取っていた。また、ビザの中核となるクレジット事業、デビット事業、前払事業、商
用/中小企業向け事業、ブランド提携事業、サイバーソース事業および加盟店受入事業の責任者でも
あった。
・当社の北米地域のプレジデントを務めた。
・複数の地域のビザのグループ会社を1つのグローバル企業へと統合するビザの企業再編の運営を行う中
で指導力を発揮し、2008年のビザのIPOを成功に導いた。
・ビザの米国における価格および経済戦略の運営を行っていた。
・ウェストバージニア大学で理学士号を、ノートルダム大学で経営学修士号を取得している。
ラジャト・タネジャ(Rajat Taneja)
技術部門のプレジデント
96/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
55歳
・2013年11月にビザに入社。
・当社の技術革新および投資戦略部門、製品工学部門、グローバルIT部門ならびに業務基盤部門の責任者
である。
・テレビゲーム会社であるエレクトロニック・アーツ・インク(Electronic Arts Inc.)のエグゼクティ
ブ・ヴァイス・プレジデント兼最高技術責任者を2011年10月から2013年11月まで務め、同氏は、同社に
おいてプラットフォーム工学部門、データセンター運営部門および企業のグローバル顧客基盤のIT支援
部門の責任者であった。
・マイクロソフト・コーポレーション(Microsoft Corporation)に勤務し、これには、直近の2011年に
おけるコマース部門のコーポレート・ヴァイス・プレジデントとしての勤務および2007年から2011年ま
でのオンライン・サービス部門のゼネラル・マネージャー兼コーポレート・ヴァイス・プレジデントと
しての勤務が含まれる。
・ジャダプール大学で電気工学の工学士号を、ワシントン州立大学で経営学修士号を取得している。
ケリー・マホン・トゥリエー(Kelly Mahon Tullier)
エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント兼法律顧問兼会社秘書役
53歳
・2014年6月にビザに入社。
・ビザのグローバル法務およびコンプライアンス部門を率いている。
・食品、スナックおよび飲料を扱う多国籍企業であるペプシコ・インク(PepsiCo, Inc.)のシニア・
ヴァイス・プレジデント兼次席法律顧問を2011年8月から2014年6月まで務め、世界中の事業支援を行
うグローバル法務チームならびに合併買収、知的財産、規制、訴訟および調達についての法的問題の責
務を担う集権的なチームの運営を行った。また、ドバイを本拠地とするペプシコのアジア太平洋、中東
およびアフリカ部門のシニア・ヴァイス・プレジデント兼法律顧問も務めた。
・フリトレー・インク(Frito-Lay, Inc.)の元ヴァイス・プレジデント兼法律顧問であり、法務、政策
およびコンプライアンスに関する広範囲にわたる問題についての責務を担っていた。
・ベーカー・ボッツ・エルエルピー(Baker Botts LLP)の元アソシエイトであり、テキサス州北部地区
連邦地方裁判所のシドニー・A・フィッツウォーター(Sidney A. Fitzwater)判事の助手も務めてい
た。
・ルイジアナ州立大学で文学士号を、また、コーネル・ロースクールでは、法学博士号を取得し、優等で
あった。
取締役
当社の株主は、2021年の年次株主総会までの1年間の任期で当社の取締役を務める10名の被指名者につい
ての検討を求められ、かかる被指名者を取締役として選出した。
2019年12月5日現在の各取締役に関し、実務経験、資格、経験、主要な特性および技能、現在または過去
5年間に就いた役職、特定の法的手続または行政手続への関与を含む経歴情報は、以下のとおりである。
ロイド・A・カーニー(Lloyd A. Carney)
57歳
公開会社の取締役職:
(現職) ニュアンス・コミュニケーションズ・インク(Nuance Communications Inc.)、バーテックス・
ファーマシューティカルズ(Vertex Pharmaceuticals)、ビザ・インク
(前職) ブロケード・コミュニケーションズ・システムズ・インク(Brocade Communications Systems,
Inc.)、サイプレス・セミコンダクタ・コーポレーション(Cypress Semiconductor
Corporation)、マイクロミューズ・インク(Micromuse, Inc.)(会長)
キャリア・ハイライト:
・2018年9月より、 特別買収目的会社であるチャサーグ・テクノロジー・アクイジション・コーポレー
ション( ChaSerg Technology Acquisition Corp)の最高経営責任者兼取締役。
・2007年3月より、アーリーラウンド企業を投資対象とする投資会社であるカーニー・グローバル・ベン
チャーズ・エルエルシー(Carney Global Ventures, LLC)の最高経営責任者。
・2013年1月から2017年11月まで世界的なネットワーク・ハードウェアおよびソフトウェアの供給元であ
るブロケード・コミュニケーションズ・システムズ・インクの最高経営責任者兼取締役であった。
97/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
・2008年から2012年の間、情報技術およびハードウェア企業であるシーゴ・システムズ(Xsigo
Systems)の最高経営責任者兼取締役であった。
・2003年から2006年の間、インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
(International Business Machines Corporation)(以下「IBM」という。)に買収されたネットワー
ク管理ソフトウェア企業であるマイクロミューズ・インクの最高経営責任者兼取締役会議長であった。
・ウェントワース・インスティチュート・オブ・テクノロジー(Wentworth Institute of Technology)
で電気工学技術の理学士号および名誉博士号を取得し、レスリー・カレッジ(Lesley College)で応用
経営管理学の理学修士号を取得している。
具体的な資格、経験、特性および技能:
・ネットワーク機器プロバイダーであるジュニパー・ネットワークス・インク(Juniper Networks,
Inc.)、かつて電気通信およびデータネットワーク機器のメーカーであったノーテル・ネットワーク
ス・インク(Nortel Networks Inc.)ならびにコンピューター・ネットワーク製品メーカーであるベ
イ・ネットワークス・インク(Bay Networks, Inc.)で高度な指導者的役割を担った。
・ブロケードおよびそれ以前は複数のテクノロジー企業の元最高経営責任者として、同氏は、情報技術、
戦略企画、金融およびリスク管理に関して広範な経験を有している。
・多くの国営企業および民間企業の取締役として、同氏は、コーポレート・ガバナンス、財務報告および
財務管理、リスク管理ならびに事業戦略および事業運営に関する経験を有している。
メアリー・B・クランストン(Mary B. Cranston)
71歳
公開会社の取締役職:
(現職) ケマーズ・カンパニー( Chemours Company )、マイオカーディア・インク( MyoKardia, Inc. )、
ビザ・インク
(前職) エクスポーネント・インク( Exponent, Inc. )、グラフテック・インターナショナル・インク
( GrafTech International, Inc. )、インターナショナル・レクティファイアー・コーポレー
ション( International Rectifier Corporation ) 、ジュニパー・ネットワークス・インク
キャリア・ハイライト:
・国際法律事務所ピルスベリー・ウィンスロップ・ショー・ピットマン・エルエルピー(Pillsbury
Winthrop Shaw Pittman LLP)の元シニア・パートナー。
・1999年1月から2006年4月までピルスベリーの会長兼最高経営責任者を務め、2006年12月まで同事務所
の会長を務め続けた。2012年1月まで同事務所のシニア・パートナーであった。
・スタンフォード大学で政治学の文学士号を、スタンフォード・ロースクールで法学博士号を、カリフォ
ルニア大学ロサンゼルス校で教育心理学の修士号を取得している。
具体的な資格、経験、特性および技能:
・ピルスベリー法律事務所に在職中に、金融サービス業の事業および規制ならびにグローバル企業の経営
についての幅広い知識を得た。
・30年超にわたり、銀行および金融機関を代理し、また同事務所の最高経営責任者として、定期的にその
銀行顧客の上級管理職者と会合し、金融サービス業に関連する懸案事項や問題に対応していた。
・ロンドン、シンガポール、シドニーおよび香港における同事務所の海外事務所の開設を監督し、東京事
務所を拡張した。
・複雑な反トラスト、集団訴訟および証券法案件においても多くの経験があり、2002年のナショナル・
ロー・ジャーナル(National Law Journal)において「アメリカで最も有力な弁護士トップ100」の1
人として認められた。
・その他の米国の株式公開会社の取締役として定期的に企業戦略、財務および業務リスクにつき見直しを
行った。
・自身の法律家としてのキャリア全体を通じて多くのフォーチュン500の企業の法的リスクの特定および
管理を行ってきた。これは、監査・リスク委員会における同氏の貢献に寄与した。
・その経験および経歴により、同氏はビザおよびその顧客が直面する法律上および規制上の問題に対す
る、さらには多様な多国籍企業の運営の課題に対する重要な見識を有している。
フランシスコ・ザビエル・フェルナンデス-カルバハル(Francisco Javier Fernandez-Carbajal)
64歳
公開会社の取締役職:
98/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(現職) ALFA・エスエービー・ド・シーヴイ( ALFA S.A.B. de C.V. )、セメックス・エスエービー・ド・
シーヴイ( CEMEX S.A.B. de C.V. )、フォメント・エコノミコ・メキシカーノ・エスエービー・
ド・シーヴイ( Fomento Economico Mexicano, S.A.B. de C.V. )、ビザ・インク
(前職) エル・プエルト・ド・リバプール・エスエービー・ド・シーヴイ( El Puerto de Liverpool,
S.A.B. de C.V. )、フレスニロ・ピーエルシー( Fresnillo, plc )、グルーポ・アエロポーチュ
アリオ・デル・パシフィコ・エスエービー・ド・シーヴイ( Grupo Aeroportuario del
Pacifico, S.A.B. de C.V. )、グルーポ・ビンボ・エスエービー・ド・シーヴイ( Grupo Bimbo,
S.A.B. de C.V. )、グルーポ・ギガンテ・エスエービー・ド・シーヴイ( Grupo Gigante,
S.A.B. de C.V. )、グルーポ・ラモサ・エスエービー・ド・シーヴイ( Grupo Lamosa, S.A.B.
de C.V. )、IXE・グルーポ・フィナンシエロ・エスエービー・ド・シーヴイ( IXE Grupo
Financiero S.A.B. de C.V. )
キャリア・ハイライト:
・2002年1月より、公共および民間機関の投資取引コンサルタントならびに資産運用顧問。
・2005年6月より、中央行政投資管理サービスを提供する株式非公開会社であるセルヴィシオス・アドミ
ニストラティーヴォス・コントリー・エスエー・ド・シーヴイ(Servicios Administrativos Contry
S.A. de C.V.)の最高経営責任者。
・2000年7月から2002年1月まで、メキシコの最大手銀行の1つであるBBVA・バンコマー(BBVA
Bancomer)を所有し、メキシコに拠点を置く銀行・金融サービス会社であるグルーポ・フィナンシエ
ロ・BBVA・バンコマー・エスエー(Grupo Financiero BBVA Bancomer, S.A.)の企業開発部門の最高経
営責任者を務めていた。同氏は1991年9月にグルーポ・フィナンシエロ・BBVA・バンコマーに入社して
以来、他の上級管理職を歴任しており、1999年10月から2000年7月まで社長を、また1995年10月から
1999年10月までは最高財務責任者を務めていた。
・インスティテュート・テクノロジコ・イ・ド・イスタディオス・スペリオール・デ・モンテレイ
(Instituto Tecnológico y de Estudios Superiores de Monterrey)で機械・電気工学の学位を、
ハーバード・ビジネス・スクールで経営学修士号を取得している。
具体的な資格、経験、特性および技能:
・グルーポ・フィナンシエロ・BBVA・バンコマーでの在職期間を通じて決済システム、金融サービスおよ
びその指導者的立場において豊富な経験を有しており、ここで同氏は企業開発部門の最高経営責任者、
戦略企画部門のエグゼクティブ・デピュティー・プレジデント、システム・オペレーティング部門の副
部長、最高情報責任者、ヴァイス・プレジデント、社長兼最高財務責任者といった、様々な上級管理職
を務めた。
・メキシコでの決済および金融サービス業における経歴およびキャリアにより、グローバルな視点を取締
役会にもたらすことができ、ビザの戦略、運営および管理について関連性のある洞察を提供することが
できる。さらに、同氏はBBVA・バンコマーの資産および負債委員会、信用調査委員会および業務リスク
委員会の議長を務め、ここで大規模かつ複雑な組織のリスク管理についての理解を深めた。
・大手の株式公開会社の最高財務責任者として、またメキシコの大企業数社の取締役および委員会の一員
であることで、同氏は企業金融および会計、財務報告ならびに内部統制、人事および報酬について幅広
い経験を積んできており、これは当社の報酬委員会および財務委員会における同氏の貢献に寄与してい
る。
アルフレッド・F・ケリー・ジュニア(Alfred F. Kelly, Jr.)
61歳
公開会社の取締役職:
(現職) ビザ・インク
(前職) メットライフ・インク( MetLife Inc. )、アフィニオン・グループ・ホールディングス・インク
( Affinion Group Holdings, Inc. )、アフィニオン・グループ・インク( Affinion Group,
Inc. )
キャリア・ハイライト:
・2016年12月からビザ・インクの最高経営責任者および2019年4月から会長。
・2016年3月から2016年10月まで、デジタル技術およびメディア企業であるインターセクション
(Intersection)の最高経営責任者兼社長。
・2015年4月から2016年2月まで、タワーブルック・キャピタル・パートナーズ・エルピー(TowerBrook
Capital Partners L.P.)の経営顧問。
99/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
・2011年4月から2014年8月まで、第48回スーパーボウルの資金調達および主催を目的として設立された
事業体である2014 NY/NJスーパーボウル・ホスト・カンパニー(2014 NY/NJ Super Bowl Host
Company)の会長兼社長兼最高経営責任者を務めた。
・グローバルな金融サービス会社であるアメリカン・エキスプレス・カンパニーにおいて、2007年7月か
ら2010年4月まで社長を務め、2005年6月から2007年7月まで消費者・中小企業・加盟店サービス部門
のグループ・プレジデントを務め、2000年6月から2005年6月まで米国消費者・中小企業サービス部門
のグループ・プレジデントを務めるなど、23年間にわたり上級職を歴任した。
・1985年から1987年まで、ホワイトハウスの情報システム部門長を務めていた。
・1981年から1985年までペプシコ・インクの情報システム・財務計画部門において様々な役職を務めた。
・アイオナ大学でコンピューターおよび情報科学の文学士号ならびに経営学修士号を取得している。
具体的な資格、経験、特性および技能:
・アメリカン・エキスプレスの社長として、同氏は、消費者向けおよび中小企業向けカード、顧客サービ
ス、グローバル・バンキング、プリペイド商品、コンシューマー・トラベルならびにリスクおよび情報
の管理等、同社のグローバルな消費者向け事業につき責任を担っていた。
・同氏は、グローバルな金融サービス・決済カード会社における上級管理職としての在職期間および豊富
な経験を通じて、当社の事業および業界に精通している。
・同氏は、ホワイトハウスの情報システム部門長としての役務およびペプシコでの職務を通じて、情報技
術およびデータ管理(いずれの分野も当社の事業に関係がある。)についても経験を有している。
・同氏は、以前はメットライフの監査委員会の委員ならびにアフィニオン・グループ・ホールディング
ス・インクおよびその完全子会社であるアフィニオン・グループ・インクの監査委員会の委員長を務め
ていた。これらは、企業金融、会計、内部統制および財務報告手続、リスク管理の監督、ならびにその
他監査委員会の職務の分野における同氏の専門知識を深めた。
ラモン・ラグアルタ(Ramon Laguarta)
56歳
公開会社の取締役職:
(現職) ペプシコ・インク、ビザ・インク
(前職) なし
キャリア・ハイライト:
・2018年10月からペプシコ・インクの最高経営責任者および2019年2月から取締役会議長。
・ペプシコにおいてその他の上級職を20年超にわたって務め、2017年から2018年までプレジデント、2015
年から2017年まで欧州・サブサハラアフリカ部門の最高経営責任者、2015年にヨーロッパ部門の最高経
営責任者、2012年から2015年までペプシコ・ヨーロッパ部門の発展市場および新興市場事業担当のプレ
ジデント、2008年から2012年までペプシコ・ヨーロッパ部門の東ヨーロッパ地域担当のプレジデント、
2006 年から 2008 年まで ペプシコ・ヨーロッパ部門のスナックおよび飲料コマーシャル事業担当のヴァイ
ス・プレジデント 、 2003 年から 2006 年までイベリア地域のスナックおよびジュース部門の ゼネラル・マ
ネージャー 、 2001 年から 2003 年までスペイン地域のスナック部門の ゼネラル・マネージャー 、 1999 年か
ら 2001 年までギリシャおよびキプロス部門の ゼネラル・マネージャー ならびに 1996年から1999年まで 事
業開発部門のヴァイス・プレジデントを含む。
・スペインのESADEビジネス・スクールで国際ビジネス学の経営学修士号を取得し、アリゾナ州立大学の
サンダーバード国際経営大学院の国際マネジメント学の修士号を取得している。
具体的な資格、経験、特性および技能:
・同氏がペプシコにおいて20余年にわたる多様な上級業務執行の職務を務めた経験から得られた強力な指
導力および広範な消費者向けパッケージ商品に関する経験から、同氏は、市場および消費者に関する貴
重な洞察を提供することができる。
・欧州における生活ならびに3大陸に及ぶ事業を展開し、先進市場、発展市場および新興市場から成るペ
プシコの欧州・サブサハラアフリカ部門の指揮を含む同氏の多数の国際的な上級管理職は、グローバル
な市場および持続可能性に関する貴重な視点を提供する。同氏は、英語、スペイン語、フランス語、ド
イツ語およびギリシャ語を含む複数の言語を話す。
・大規模なグローバル事業を運営するうえでの重要な戦略的課題および機会についての同氏の豊富な経験
および堅固な理解により、同氏は戦略企画、運営、マーケティング、ブランド開発、ロジスティクスを
監督するうえで適切な立場にある。
ジョン・F・ラングレン(John F. Lundgren)
68歳
100/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
公開会社の取締役職:
(現職) キャロウェイ・ゴルフ・カンパニー( Callaway Golf Company )、ビザ・インク
(前職) スタンレー・ブラック・アンド・デッカー・インク( Stanley Black & Decker, Inc. )、ステー
プルズ・インク( Staples, Inc. )
キャリア・ハイライト:
・2019年4月から当社の主要独立取締役。
・2010年3月から2016年7月に退職するまでスタンレー・ブラック・アンド・デッカー・インクの最高経
営責任者を務めた。2016年12月まで会長も務める。
・2004年3月から2010年3月にブラック・アンド・デッカー(Black & Decker)と合併するまで、プロ向
け、工業用および消費者向けの消費材、工具および警備対策を提供する世界的企業であるザ・スタン
レー・ワークス(The Stanley Works)の会長兼最高経営責任者を務めた。
・2000年1月から2004年2月までジョージア・パシフィック・コーポレーション(Georgia-Pacific
Corporation)の欧州消費財担当プレジデントを務めた。
・ジョージア・パシフィックに買収されるまで、1995年から1997年まではジェームズ・リバー・コーポ
レーション(James River Corporation)で、1997年から2000年まではフォート・ジェームズ・コーポ
レーション(Fort James Corporation)で欧州消費財担当プレジデントを務めた。
・ダートマス大学で文学士号を、スタンフォード大学で経営学修士号を取得している。
具体的な資格、経験、特性および技能:
・スタンレー・ブラック・アンド・デッカーおよびザ・スタンレー・ワークスで12年超にわたって最高経
営責任者および会長を務めたことから、管理職としての指導力およびブランド関連の経験を豊富に有し
ている。
・ジョージア・パシフィック・コーポレーション、フォート・ジェームズ・コーポレーションおよび
ジェームズ・リバー・コーポレーションの欧州消費財担当プレジデントを14年超にわたって務めたこと
から、欧州における消費者市場について知識および経験を有している。
・現在、キャロウェイ・ゴルフ・カンパニーの監査委員会の委員を務めており、これにより、同氏は企業
金融、会計、内部統制および財務報告手続、リスク管理の監督ならびに監査委員会のその他の職務の分
野で経験を積んでいる。
・他の民間企業の取締役として、同氏は、コーポレート・ガバナンス、リスク管理ならびに事業戦略およ
び事業運営に関する経験を有している。
ロバート・W・マシュラット(Robert W. Matschullat)
72歳
公開会社の取締役職:
(現職) ザ・クロロックス・カンパニー( The Clorox Company )、ビザ・インク
(前職) ザ・ウォルトディズニー・カンパニー( The Walt Disney Company )、マッケソン・コーポレー
ション( McKesson Corporation )、モルガン・スタンレー・アンド・カンパニー・インコーポレ
イテッド( Morgan Stanley & Co. Incorporated )、ザ・シーグラム・カンパニー・リミテッド
( The Seagram Company Limited )
キャリア・ハイライト:
・2013年4月から2019年4月まで、当社の独立取締役会議長。
・2012年11月から2015年7月まで、世界的な消費材企業であるザ・クロロックス・カンパニーの独立主要
取締役、2006年3月から2006年10月までは暫定会長兼暫定最高経営責任者、2005年1月から2006年3月
までは取締役会議長、2004年1月から2005年1月までは取締役会の会長を務めていた。
・1995年から2000年まで娯楽産業と飲料事業の世界的企業であるザ・シーグラム・カンパニー・リミテッ
ドの取締役会副会長兼最高財務責任者を務めていた。
・1991年から1995年まで証券投資会社であるモルガン・スタンレー・アンド・カンパニー・インコーポレ
イテッドにおいて国際投資銀行業務の責任者であった。
・2002年から2018年まではザ・ウォルトディズニー・カンパニーの取締役、2002年から2007年まではマッ
ケソン・コーポレーションの取締役および1992年から1995年まではモルガン・スタンレーの取締役を務
めていた。
・スタンフォード大学で社会学の文学士号を、スタンフォード大学の経営大学院で経営学修士号を取得し
ている。
具体的な資格、経験、特性および技能:
101/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
・上級指導者的立場、金融サービスおよびリスク管理において、豊富な経験を有しており、モルガン・ス
タンレーの国際投資銀行業務の責任者および取締役、シーグラムの取締役会副会長兼最高財務責任者な
ら びにクロロックスの会長兼暫定最高経営責任者を務めていた。
・シーグラムに在職中、財務、戦略企画、企業広報、統治、税務、会計および内部監査、合併買収、なら
びにリスク管理の職務すべてにつき責任を担っていた。
・ディズニーおよびクロロックスの監査委員会の委員長ならびにマッケソンの財務委員会の委員長および
監査委員会の委員を務めた。これらの職務は、企業金融、会計、内部統制および財務報告手続、リスク
管理の監督、ならびにその他監査委員会の職務の分野における同氏の専門知識を深めた。
・全世界の42ヶ国超において事業を行うモルガン・スタンレーにおける在職期間ならびに100ヶ国超にお
いて商品が販売されているシーグラムおよびクロロックスにおける在職期間を通じ、複雑な多国籍企業
の運営管理についての経験を有している。
デニス・M・モリソン( Denise M. Morrison )
65歳
公開会社の取締役職:
(現職) メットライフ・インク、クエスト・ダイアグノスティクス(Quest Diagnostics)、ビザ・インク
( 前職 ) キャンベル・スープ・カンパニー( Campbell Soup Company )
キャリア・ハイライト :
・2018年10月にコンサルティング会社であるデニス・モリソン・アンド・アソシエイツ・エルエルシー
(Denise Morrison & Associates, LLC)を設立。
・食品および飲料を扱う会社であるキャンベル・スープ・カンパニーにおいて、2011年8月から2018年5
月まで社長兼最高経営責任者、2010年10月から2018年5月まで取締役、2010年10月から2011年7月まで
エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント兼最高執行責任者、2007年10月から2010年9月までシニア・
ヴァイス・プレジデント、北米のスープ、ソースおよび飲料を担当する部門のプレジデント、2005年6
月から2007年9月までキャンベル・USA(Campbell USA)の社長、および2003年4月から2005年5月ま
でグローバル・セールス部門のプレジデント兼最高顧客責任者を務めた。
・食品および飲料を扱う会社であるクラフト・フーズ・インク(Kraft Foods, Inc.)において、上級職
を歴任した。これには、2001年から2003年までスナック部門のエグゼクティブ・ヴァイス・プレジデン
ト兼ゼネラル・マネージャー、2001年に製菓部門のエグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント兼ゼネラ
ル・マネージャー、2000年にはナビスコ・ダウン・ザ・ストリート(Nabisco Down the Street)部門
のシニア・ヴァイス・プレジデント兼ゼネラル・マネージャー、1998年から2000年までナビスコのセー
ルスおよび統合的ロジスティクス部門のシニア・ヴァイス・プレジデント、1997年から1998年までナビ
スコの食品セールスおよび統合的ロジスティクス部門のヴァイス・プレジデント、1995年から1997年ま
でナビスコのセールスおよび統合的ロジスティックス部門の西部のエリア・ヴァイス・プレジデントを
含む。
・1984年から1995年まで、ネスレ・エス・エー(Nestle SA)においてマーケティングおよびセールスを
担当する様々な上級職を務めた。
・1982年から1984年まで、ペプシコ・インクにおいてビジネス・デベロップメント部門の管理職を務め
た。
・1975年から1982年まで、プロクター・アンド・ギャンブル・カンパニーにおいて様々な管理職および販
売職を務めた。
・ボストン・カレッジ(Boston College)の経営学および心理学の文学士号を取得した。
具体的な資格、経験、特性および技能:
・世界中の120ヶ国超で商品を販売しているキャンベル・スープ・カンパニーにおいて最高経営責任者お
よびその他の上級管理職を15年超にわたって務め、強固なビジネスを築き、象徴的なブランドを成長さ
せたという、卓越した経歴を有している。
・同氏は、その経営幹部としての広範なリーダーシップ経験により、主要な戦略的挑戦に対する深い理解
ならびに金融管理、運営、リスク管理、人材管理および成功計画などを含む、大規模で複雑なビジネス
を経営する機会を得ており、これは当社の監査・リスク委員会および報酬委員会における同氏の貢献に
寄与している。
・同氏の、以前の消費財主要企業における販売、マーケティング、運営およびビジネス開発の経験によ
り、消費財および小売市場についての理解が深まった。
・同氏の、公開会社および非公開会社での取締役会および委員会における経験により、コーポレート・ガ
バナンス体制の効果的な機能についての理解が強まった。
スザンヌ・ノラ・ジョンソン ( Suzanne Nora Johnson )
102/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
62歳
公開会社の取締役職:
(現職) アメリカン・インターナショナル・グループ・インク( American International Group,
Inc. )、インチュイット・インク( Intuit Inc. )、ファイザー・インク( Pfizer Inc. )、ビ
ザ・インク
キャリア・ハイライト:
・2004年11月から2007年1月に退職するまで、銀行持株会社ならびに世界的な投資銀行、証券および投資
顧問会社であるザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(The Goldman Sachs Group, Inc.)
の副会長であった。
・ゴールドマン・サックスにおいて、グローバル・マーケッツ・インスティテュート(Global Markets
Institute)の会長、グローバル・インベストメント・リサーチ部門の責任者および同社のグローバ
ル・ヘルスケア・ビジネスの責任者を含め、様々な上級管理職を歴任し、同社のラテン・アメリカ事業
を設立した。
・南カリフォルニア大学で経済学、哲学/宗教学および政治学の文学士号を、ハーバード・ロースクール
で法学博士号を取得している。
具体的な資格、経験、特性および技能:
・ゴールドマン・サックスにおける21年間の在職期間を通じた、幅広い金融サービスの経験、国際的経験
および上級指導者としての経験。同社の副会長として、さらにそれ以前のグローバル・マーケッツ・イ
ンスティテュートの会長、グローバル・インベストメント・リサーチ部門の責任者およびグローバル・
ヘルスケア・ビジネスの責任者として、同氏は戦略的・財務計画、リスク監視および他国籍事業におけ
る専門知識を深め、これによりビザの戦略および経営に関して適切な助言および見識を提供することが
できる。
・同氏は、財務書類、企業金融、会計および資本市場の完全な理解を含め、投資銀行および投資リサーチ
における同氏の業績を通じて多大な財務経験を有している。
・同氏は米国第4巡回区連邦控訴裁判所の事務員として働き、国内有数の法律事務所において取引法およ
び銀行法を学んでおり、この経歴により同氏はビザに影響を与える法令に対して見識を有している。
・同氏のAIG、インチュイットおよびファイザーの取締役会および委員会における職務経験も同様に、同
氏のコーポレート・ガバナンスに対する強い理解および効果的な株式公開会社の取締役の最善慣行に寄
与している。
ジョン・A・C・スウェインソン(John A. C. Swainson)
65歳
公開会社の取締役職:
(現職) シュナイダー・ナショナル・インク(Schneider National, Inc.)、ビザ・インク
(前職) アシュラント・インク( Assurant Inc. )、ブロードコム・コーポレーション( Broadcom
Corporation )、シーエー・インク( CA, Inc. )、ケイデンス・デザイン・システムズ・インク
( Cadence Design Systems Inc. )
キャリア・ハイライト:
・2017年11月より、 非公開株投資会社であるシリズ・キャピタル・グループ( Siris Capital Group )の
エグゼクティブ・パートナー。
・2012年2月から2016年11月まで、グローバルなコンピューター・メーカーおよびITソリューション・プ
ロバイダーであるデル・インク(Dell Inc.)のソフトウェア・グループの統括責任者。
・2010年6月から2012年2月まで、世界的な民間投資会社であるシルバー・レイク・パートナーズ
(Silver Lake Partners)の上級顧問であった。
・2005年2月から2009年12月まで、情報技術管理ソフトウェア会社であるシーエー・インク(現在のシー
エー・テクノロジーズ(CA Technologies))の最高経営責任者を務め、2004年11月から2009年12月ま
で同社の取締役社長を務めていた。
・2004年7月から2004年11月まで世界的な総合テクノロジー会社であるIBMのソフトウェア・グループの
国際営業部門のヴァイス・プレジデントを務めていた。
・1997年から2004年までIBMのアプリケーション・インテグレーション・ミドルウェア部門のゼネラル・
マネージャーであった。
・ブリティッシュコロンビア大学で工学の応用科学学士号を取得している。
具体的な資格、経験、特性および技能:
103/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
・デル、シーエー・インクおよびIBMにおける在職期間中の情報技術業界ならびに経営管理、国際事業、
戦略、販売およびマーケティングにおける幅広い経験を有している。
・デルのソフトウェア・グループの統括責任者として、デルのハードウェア事業およびサービス業務の一
環として配布されるソフトウェアを含むデルの世界規模のソフトウェア事業を率いる責任を負う。
・シーエー・インクの最高経営責任者兼取締役として、世界中で顧客に対するサービスを行っている多国
籍ソフトウェア事業会社である同社の戦略的方向性および日常業務を監督した。
・IBMにおいて26年間上級管理職を務めたが、これにはソフトウェア世界販売部門のヴァイス・プレジデ
ントも含まれており、かかる部門において同氏は世界中のすべてのIBMのソフトウェア製品の販売を監
督した。
・IBM最大のソフトウェア部門であるアプリケーション・インテグレーション・ミドルウェア部門のゼネ
ラル・マネージャーを務め、この部門において同氏および同氏のチームは非常に性能の良いミドルウェ
ア製品を開発し、市場に出し、発売した。
・IBMのワールドワイド・マネジメント・カウンセル、戦略チームおよび上級経営陣の一員であった。
・デル、シーエー・インクおよびIBMでの同氏の役割による幅広い管理職の経験により、同氏はビザの製
品および成長戦略ならびにその他当社の日常業務および管理の重要な側面に対して貴重な見識を提供す
ることができる。
・ケイデンス・デザイン・システムズ・インク、アシュラント・インクおよびブロードコム・コーポレー
ションの取締役会および委員会における以前の職務は、同氏の新たな技術との出会いを広げ、米国の株
式公開会社のコーポレート・ガバナンスにおける専門知識を同氏に提供した。かかる知識は、当社の指
名/企業統治委員会における同氏の職務に関連するものである。
メイナード・G・ウェブ・ジュニア(Maynard G. Webb, Jr.)
64歳
公開会社の取締役職:
(現職) セールスフォース・ドットコム・インク( Salesforce.com. Inc. )、ビザ・インク
(前職) エクステンシティ・インク( Extensity, Inc. )、ガートナー・インク( Gartner, Inc. )、ハイ
ペリオン・ソリューションズ・コーポレーション( Hyperion Solutions Corporation )、ライブ
オプス・インク( LiveOps, Inc. )、ニク・コーポレーション( Niku Corporation )、ヤフー・
インク( Yahoo! Inc. )
キャリア・ハイライト:
・アーリーステージ企業を投資対象とする投資会社であるウェブ・インベストメント・ネットワーク
(Webb Investment Network)の創設者であり、職場内のメンタリング・ソリューションの提供会社で
あるエバーワイズ・コーポレーション(Everwise Corporation)の共同創設者。
・2008年から2013年まで、クラウドベースのコールセンターであるライブオプス・インクの取締役会議長
を務め、2006年12月から2011年7月までは同社の最高経営責任者であった。
・2002年6月から2006年8月まで、グローバルな商取引・決済プロバイダーであるイーベイ・インク
(eBay Inc.)の最高執行責任者を務め、1999年8月から2002年6月まで、イーベイ・テクノロジーズ
(eBay Technologies)の社長であった。
・1998年7月から1999年8月まで、コンピューター・メーカーであるゲートウェイ・インク(Gateway,
Inc.)のシニア・ヴァイス・プレジデント兼最高情報責任者を務めていた。
・1995年2月から1998年7月まで、コンピューター・ネットワーク製品のメーカーであるベイ・ネット
ワークス・インクのヴァイス・プレジデント兼最高情報責任者を務めていた。
・フロリダ・アトランティック大学で応用文学士号を取得している。
具体的な資格、経験、特性および技能:
・投資家としての役割とライブオプスおよびイーベイの上級管理職としての役割の両面における、高成長
テクノロジー会社の育成、経営および指揮における豊富な経験を有している。
・ライブオプスの最高経営責任者、イーベイ・インクの最高執行責任者、イーベイ・テクノロジーズの社
長、ならびにゲートウェイおよびベイ・ネットワークスの最高情報責任者を歴任した、その指導者的立
場および運営においての豊富な経験を有している。
・同氏の工学および情報技術に関する経験および専門知識の両方に加えて、同氏の過去および現在におけ
るいくつかの大手公開テクノロジー会社の取締役としての職務が、同氏が取締役会の理解ならびにビザ
の経営、運営、システムおよび戦略に対する監督に寄与することを可能にしている。
104/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(b)役員等の報酬
2019 年度の報酬要約表
以下の表および関連する注釈は、 2019 年度、 2018 年度および 2017 年度の間に提供された役務につき、主要
執行役員(以下「 NEO 」という。)が得た報酬の総額を示すものである。表に記載されている各 NEO の報酬合
計の主な要素は、基本給、年間インセンティブ報酬、ならびにストック・オプション、リストリクテッド・
ストック・ユニットおよびパフォーマンス・シェアの形による長期インセンティブ報酬である。その他の給
付については、「その他すべての報酬」の欄に記載されており、これらの給付の詳細は、「 2019 年度におけ
るその他すべての報酬に関する表 」に記載されている。
年金給付額
その他
および非適格報
非株式インセン
オプション すべての
酬繰延制度収入
ティブ制度
株式報酬 報酬 の変動額 報酬
報酬
給与 ボーナス 合計
(1) (2) (3) (4) (5)
氏名および主たる役職 年度 (米ドル ) (米ドル ) (米ドル ) (米ドル ) (米ドル ) (米ドル ) (米ドル ) (米ドル )
アルフレッド・F・ 2019 1,400,059 - 14,246,423 4,312,489 4,270,000 - 36,800 24,265,771
ケリー・ジュニア
2018 1,300,038 - 8,693,984 3,500,008 5,973,500 - 26,416 19,493,946
会長兼最高経営責任者
2017 1,150,799 - 11,883,298 2,749,995 5,875,000 - 75,362 21,734,454
ヴァサント・M・プラブ 2019 1,000,040 - 6,493,501 1,625,005 2,440,000 1,372 26,800 11,586,718
ヴァイス・チェアマン兼
2018 1,000,038 - 5,848,193 1,999,994 3,704,000 1,215 16,500 12,569,940
最高財務責任者
2017 850,032 - 3,017,648 1,387,503 3,221,500 1,189 16,200 8,494,072
ライアン・マキナニー 2019 900,047 - 7,133,141 1,825,008 2,196,000 3,600 30,621 12,088,417
社長
2018 900,035 - 6,777,537 2,250,003 3,333,600 3,351 21,500 13,286,026
2017 750,029 - 4,363,957 1,437,500 2,842,500 3,259 20,066 9,417,311
ラジャト・タネジャ 2019 900,047 - 6,977,836 1,712,503 2,196,000 1,969 22,215 11,810,570
プレジデント-技術部門
2018 900,035 - 6,803,356 2,125,007 3,306,600 1,769 17,750 13,154,517
2017 750,029 - 4,575,318 1,549,999 2,820,000 1,730 17,450 9,714,526
ケリー・マホン・トゥリエー 2019 675,027 - 3,581,544 950,001 1,111,725 1,717 23,050 6,343,064
エグゼクティブ・
2018 675,026 - 3,075,525 999,997 1,636,767 1,552 33,750 6,422,617
ヴァイス・プレジデント兼
法律顧問兼会社秘書役
2017 600,023 - 1,962,161 769,997 1,353,600 1,516 23,350 4,710,647
(注1) 株式報酬
2019 年度、 2018 年度および 2017 年度に付与されたリストリクテッド・ストック・ユニットならびにパフォーマン
ス・シェアを示している。この金額は、株式ベースの会計規則(財務会計基準審議会(以下「 FASB 」という。)
ASC 第 718 号)に従って計算され、各 NEO に対して付与された報酬の付与日における公正価値の合計額を示すもの
である。これらの金額の計算において利用された前提は、「第6-1財務書類-注記 16 株式に基づく報酬」に記
載されている。下記の表は、当社の NEO の 2019 年度における株式報酬を構成する要素の詳細である。年間のリス
トリクテッド・ストック・ユニットは、付与日の1年後から実質的に等しい3回の年間割賦金が与えられる。
ASC 第 718 号の要求どおり、下記の表に示されているパフォーマンス・シェアの価値(目標および最大レベル)
は、一株当たり利益(以下「 EPS 」という。)目標が設定された 2019 年度の報酬((ⅰ) 2016 年 11 月 19 日付与分
( 2019 年 11 月 30 日に権利が確定)、(ⅱ) 2017 年 11 月 19 日付与分( 2020 年 11 月 30 日に権利が確定する予定)およ
び(ⅲ) 2018 年 11 月 19 日付与分( 2021 年 11 月 30 日に権利が確定する予定)の全株式数の3分の1に基づく。 2017
年 11 月および 2018 年 11 月に付与された報酬の残余分は、その後の年度について設定された EPS 目標と連動し、当
該年度の報酬要約表に記載される。
年次株式報酬の要素 補足情報
リストリクテッド・ス パフォーマンス・ パフォーマンス・
トック/ユニットの
シェア- シェア-
価値 目標額 最大額
(米ドル) (米ドル) (米ドル)
アルフレッド・F・ケリー・ジュニア
4,312,455 9,933,968 19,867,936
ヴァサント・プラブ 1,624,936 4,868,565 9,737,128
105/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
ライアン・マキナニー 1,825,055 5,308,086 10,616,172
ラジャト・タネジャ 1,712,530 5,265,306 10,530,613
ケリー・マホン・トゥリエー 950,058 2,631,486 5,262,972
(注2) オプション報酬
2019 年度、 2018 年度および 2017 年度に付与されたストック・オプション報酬を示している。この金額は、株式
ベースの会計規則( FASB ASC 第 718 号)に従って計算され、各 NEO に対して付与された報酬の付与日における公正
価値の合計額を示すものである。これらの金額の計算において利用された前提は、「第6-1財務書類-注記 16
株式に基づく報酬」に記載されている。ストック・オプションは、通常、付与日の1年後から実質的に等しい3
回の年間割賦金が与えられる。
(注3) 非株式インセンティブ制度報酬
2019 年度の金額は、 ( ⅰ) VIP 調整後の純利益成長率および VIP 調整後の純収益増加につき設定された企業目標額
に対して測定された実績ならびに(ⅱ)各 NEO の個別の目標額に対してその実績に基づき、年間インセンティブ
制度の下で得られ、 2019 年 11 月 15 日に支払われた現金報酬を示している。下記の表は、各 NEO の報酬合計、およ
び報酬のうち各要素に帰属する部分を示すものである。
年間インセンティブ報酬
合計 企業実績 個別実績
( 米ドル ) ( 米ドル ) ( 米ドル )
アルフレッド・F・ケリー・ジュニア
4,270,000 3,416,000 854,000
ヴァサント・M・プラブ
2,440,000 1,708,000 732,000
ライアン・マキナニー
2,196,000 1,537,200 658,800
ラジャト・タネジャ
2,196,000 1,537,200 658,800
ケリー・マホン・トゥリエー
1,111,725 778,208 333,517
(注4) 年金給付額の変動額
2019 年度におけるすべての年金制度に基づく累積年金現価のプラスの変動総額を示している。これらの金額は、
「第6-1財務書類-注記 10 年金およびその他の退職後給付」において使用されたものと同じ予想金利および予
想死亡率を使用して決定された。非適格繰延報酬について、市場価格を上回る収益または優遇的収益は存在しな
い。
(注5) その他すべての報酬
2019 年度の「その他すべての報酬」の詳細は、以下の「 2019 年度におけるその他すべての報酬に関する表」に含
まれている。
2019 年度におけるその他すべての報酬に関する表
下記の表は、「 2019 年度の報酬要約表」の「その他すべての報酬」の欄に記載の金額に関してさらなる情
報を示すものである。
401 kプラン
社用車 社用機 マッチ額 その他
合計
(1) (2) (3) (4)
( 米ドル ) ( 米ドル ) ( 米ドル ) ( 米ドル ) ( 米ドル )
アルフレッド・F・ケリー・ジュニア
- - 16,800 20,000 36,800
ヴァサント・M・プラブ - - 16,800 10,000 26,800
ライアン・マキナニー 7,098 6,723 16,800 - 30,621
ラジャト・タネジャ - - 16,800 5,415 22,215
ケリー・マホン・トゥリエー - - 16,800 6,250 23,050
106/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(注1)当社の社用車および運転手の個人的利用の費用を示している。表中の金額は、社用車が出張以外のために利用さ
れた時間の割合に関連する燃料のビザへの増分費用に基づいて決定され、運転手が出張以外のために利用された
時間の割合に対する運転手の給与および手当の費用も含まれる。
(注2)業務用社用機/チャーター機の個人的利用に伴う費用を示している。
(注3) 2019 暦年の 401 kマッチ上限額は 16,800 米ドルであった。
(注4)当社の慈善寄附マッチング・ギフト制度に基づき一部の NEO が代表して行った寄附金(この制度の下で、かかる
当社の制度のガイドラインを満たしている個人寄附は、当社のマッチング拠出の対象となる。)が含まれる。表
中の慈善寄附の総額は、ケリー氏について 15,000 米ドル、プラブ氏について 10,000 米ドル、マホン・トゥリエー
氏について 5,000 米ドルである。金額には、以下の執行役員に代わって当社がポリティカル・アクション・コ
ミッティー( Political Action Committee )(以下「 PAC 」という。)慈善寄付マッチング制度に基づいて 2019
年度に行ったマッチング拠出も含まれる:ケリー氏 5,000 米ドル、タネジャ氏 5,415 米ドルおよびマホン・トゥリ
エー氏 1,250 米ドル。 2019 年度が2暦年にまたがっているため、ケリー氏に代わって当社が慈善寄付マッチング
制度に基づいて拠出した金額は、 2019 年度については 10,000 米ドルよりも大きかったが、当社の1暦年 10,000 米
ドルの上限には収まっている。 2019 年度が2暦年にまたがっているため、タネジャ氏に代わって当社が PAC 慈善
寄付マッチング制度に基づいて拠出した金額は、 2019 年度については 5,000 米ドルよりも大きかったが、当社の
1暦年 5,000 米ドルの上限には収まっている。
(3)【監査の状況】
(a)外部監査人および内部監査人
KPMG は、 2008 年の当社の新規株式公開以降、当社の独立監査人となっており、 KPMG は当社の 2019 年度財務
諸表の監査を行った。監査・リスク委員会は、独立登録公認会計事務所を交代すべきかどうか定期的に検討
している。これは、独立性および客観性を維持することが独立登録公認会計事務所にとって重要であると監
査・リスク委員会が考えているからである。 KPMG を再任するかどうか決定する際に、監査・リスク委員会
は、以下を含む複数の要因から検討している。
・ KPMG が関与する時間
・ KPMG の独立性および客観性
・当社が関わる業界において、ビザの国際的な業務の複雑性を扱う KPMG の能力および専門知識
・過去および最近の業績( KPMG が監査・リスク委員会と連絡を取る程度および質ならびに KPMG の全体的な
業績に関するマネジメントからのフィードバックを含む。)
・当該事務所に関する最近の PCAOB 検査報告
・絶対的水準および同業者との比較の両方に基づく KPMG の報酬の妥当性
監査・リスク委員会は、 KPMG を当社の独立登録公認会計事務所として引続き維持することが当社および当
社の株主にとって最善の利益になると考えている。
当社の内部監査および外部監査に関する詳細な情報については、上記「( 1) コーポレート・ガバナンス
の概要」を参照のこと。
(b)監査報酬の内容等
① 外国監査公認会計士等に対する報酬の内容
(単位:上段は千米ドル、下段は千円)
2018 年 2019 年
監査証明業務に 非監査証明業務に 監査証明業務に 非監査証明業務に
区分
(2) (2)
基づく報酬 基づく報酬
基づく報酬 基づく報酬
提出会社および
その連結子会社
9,268 2,921 9,540 2,580
(1)
合計
997,793 314,475 1,027,076 277,763
(注1)合計には、親監査、子会社のための地域の法定監査およびその他の手数料につき支払われた金額が含まれてい
る。
(注2)監査証明業務に基づく報酬は、主として以下を示している。
監査報酬:年次財務諸表の監査、財務報告に係る当社の内部統制の監査、 SEC 登録届出書に関するコンフォー
ト・レターおよび同意書の作成、財務諸表の四半期レビューに関連して提供された専門家によるサービスならび
に地域の法定監査に関するサービスに対する報酬の合計を示す。
107/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
② その他重要な報酬の内容
該当なし。
③ 外国監査公認会計士等の提出会社に対する非監査業務の内容
主として以下を示している。
監査関連報酬:保証および関連監査サービスに対する報酬(上記の監査報酬に含まれないもの)の合計を
示す。保証および関連監査サービスには、従業員福利厚生制度の監査、特定情報システムおよび 業務部門
に係る内部統制の審査(保証業務基準書第 18 号および国際保証業務基準第 3402 号)ならびに財務会計およ
び報告基準に係る協議に関するサービスが含まれている。
税務報酬:納税申告書の作成に関連する税務サービス、その他税務コンプライアンスサービスおよび税務
計画サービスに対する報酬の合計を示す。
その他すべての報酬:拡張可能な事業報告言語( XBRL )に係るサービスに対する報酬および会計調査ツー
ルの利用料を示す。
④ 監査報酬の決定方針
監査人の独立性に関する SEC および PCAOB の要求どおり、監査・リスク委員会は独立の登録公認会計事務所
を任命し、報酬を決定し、その業務を監督する職責を負う。憲章および監査・リスク委員会の事前承認方針
(以下「事前承認方針」という。)に従い、監査・リスク委員会は、独立の登録公認会計事務所が当社に提
供するすべての監査および内部統制関連サービスならびに許容されうる非監査サービス(その契約条件を含
む。)を事前承認しなければならない。ただし、証券取引所法第 10 A条 ( i )( 1 )( B ) で規定されている些細
な非監査サービスについては例外があり、それについては監査・リスク委員会は監査完了前に承認する。
2019 年度、 KPMG が当社に提供したすべてのサービスは、適用される SEC 規則および事前承認方針に従い、監
査・リスク委員会による事前の承認を受けており、監査・リスク委員会は、 KPMG が提供した書類につき、税
務サービスならびにその規定が KPMG の独立性に与える潜在的効果について検討および議論した。
独立の登録公認会計事務所の独立性をさらに保証するため、当社は、独立の登録公認会計事務所の業務お
よび独立の登録公認会計事務所における従業員または元従業員の雇用に関する方針および手続を採用した。
(4)【役員の報酬等】
該当なし。「(2)役員の状況」を参照のこと。
(5)【株式の保有状況】
該当なし。
108/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
第6【経理の状況】
ビザ・インク ( 以下、「ビザ」という。 ) は、 1934 年米国証券取引法に基づき、年次報告書フォーム 10- Kを
本国において開示している。 2019 年 11 月 14 日付けの年次報告書フォーム 10- Kに記載の 2019 年9月 30 日現在お
よび 2018 年9月 30 日現在ならびに 2019 年9月 30 日に終了した3年間の各年の英文連結財務諸表がこの項に記
載されている。英文連結財務諸表は、米国証券取引委員会のレギュレーション S-X に準拠して作成したもので
ある。
上記の英文連結財務諸表は、 2019 年度のビザの独立登録会計事務所であるケーピーエムジー エルエル
ピーによる監査を受けており、別紙のとおりケーピーエムジー エルエルピーの独立登録会計事務所の監査
報告書および同意書を受領している。
なお、ケーピーエムジー エルエルピーによる監査を受けたことにより、ビザ・インクの英文連結財務諸
表は「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」 ( 昭和 32 年大蔵省令第 12 号 ) 第1条の2の規定で定めるとこ
ろの、監査証明に相当すると認められる証明を受けたとみなされるため、金融商品取引法第 193 条の2第1項
第1号の規定に基づき、本邦の公認会計士または監査法人による監査証明を受けていない。
「財務諸表等の用語、様式および作成方法に関する規則」 ( 昭和 38 年大蔵省令第 59 号 ) 第 131 条第1項の規定
に基づき、上記英文連結財務諸表の和文翻訳を本書に記載した。
ビザの英文財務諸表は、米ドルで記載されている。以下の主要な計数についての米ドル金額の日本円への
換算は、 2020 年 3月2 日現在の株式会社三菱 UFJ 銀行公表の対顧客電信売買相場の仲値(1米ドル= 107.66
円)の換算レートで計算したものである。
上記の主要な計数の円換算額および本項末尾に記載の「日本と米国における会計原則及び会計慣行の相
違」に関する記載は、当社の英文連結財務諸表に含まれておらず、したがって独立登録会計事務所である
ケーピーエムジー エルエルピーの監査報告書の対象に含まれていない。
109/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
1【財務書類】
ビザ・インク
連結貸借対照表
( 額面金額に関するデータを除き、単位 : 百万 )
2019 年9月 30 日 2018 年9月 30 日
( 百万ドル ) (百万円) ( 百万ドル ) (百万円)
資産
$ 7,838 $ 8,162 \ 878,721
現金および現金同等物 \ 843,839
使途制限現金同等物-訴訟エスクロー
( 注記4および注記5 ) 1,205 129,730 1,491 160,521
投資有価証券 ( 注記6 ) : 4,236 456,048 3,547 381,870
未収決済金 3,048 328,148 1,582 170,318
売掛金 1,542 1 66,012 1,208 130,053
顧客担保資産 ( 注記4および注記 11) 1,648 177,424 1,324 142,542
1年以内回収予定顧客インセンティブ 741 79,776 340 36,604
712 76,654 562 60,505
前払費用およびその他流動資産
流動資産合計 20,970 2,257,630 18,216 1,961,135
投資有価証券 ( 注記6 ) 2,157 232,223 4,082 439,468
顧客インセンティブ 2,084 224,363 538 57,921
不動産、設備およびテクノロジー(純額) ( 注記7 ) 2,695 290,144 2,472 266,136
のれん ( 注記8 ) 15,656 1,685,525 15,194 1,635,786
無形資産(純額) ( 注記8 ) 26,780 2,883,135 27,558 2,966,894
2,232 240,297 1,165 125,424
その他資産
$ 72,574 \ 7,813,317 $ 69,225 \ 7,452,764
資産合計
負債
$ 156 \ 16,795 $ 183 \ 19,702
買掛金
未払決済金 3,990 429,563 2,168 233,407
顧客担保資産見返 ( 注記4および注記 11) 1,648 177,424 1,325 142,650
未払報酬および給付 796 85,697 901 97,002
顧客インセンティブ 3,997 430,317 2,834 305,108
未払費用 1,625 174,948 1,160 124,886
繰延取得対価 - - 1,300 139,958
1,203 129,515 1,434 154,384
未払訴訟債務 ( 注記 20)
流動負債合計 13,415 1,444,259 11,305 1,217,096
長期債務 ( 注記9 ) 16,729 1,801,044 16,630 1,790,386
繰延税金負債 ( 注記 19) 4,807 517,522 4,618 497,174
2,939 316,413 2,666 287,022
その他負債
37,890 4,079,237 35,219 3,791,678
負債合計
契約債務および偶発債務 ( 注記 17)
添付の注記を参照のこと。添付の注記は、これらの連結財務諸表の重要な一部を構成する。
110/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
ビザ・インク
連結貸借対照表 - ( つづき )
( 額面金額に関するデータを除き、単位 百万 )
2019 年9月 30 日 2018 年9月 30 日
( 百万ドル ) (百万円) ( 百万ドル ) (百万円)
資本
優先株式、額面 0.0001 ドル、授権株式数 25 株、
および以下の発行済株式数5株:
- - - -
シリーズ A 転換参加型優先株式0株(注記 14 )
シリーズ B 転換参加型優先株式、 2019 年および 2018
2,285 246,003 2,291 246,649
年9月 30 日現在、発行済株式数2株(注記5および
注記 14 )
シリーズ C 転換参加型優先株式、 2019 年および 2018
3,177 342,036 3,179 342,251
年9月 30 日現在、発行済株式数3株(注記5および
注記 14 )
クラス A 普通株式、額面 0.0001 ドル、授権株式数
2,001,622 株、 2019 年および 2018 年9月 30 日現在、
- - - -
それぞれ発行済株式数 1,718 株および 1,768 株(注記
14 )
クラス B 普通株式、額面 0.0001 ドル、授権株式数 622
株、 2019 年および 2018 年9月 30 日現在、
- - - -
それぞれ発行済株式数 245 株(注記 14 )
クラス C 普通株式、額面 0.0001 ドル、授権株式数 1,097
株、 2019 年および 2018 年9月 30 日現在、それぞれ発 - - - -
行済株式数 11 株および 12 株(注記 14 )
(171 ) (18,410) (7) (754)
カバード・ロスを回収する権利(注記 5 )
16,541 1,780,804 16,678 1,795,553
資本剰余金
13,502 1,453,625 11,318 1,218,496
未処分利益
累積その他包括利益(損失)(純額) :
6 646 (17) (1,830)
投資有価証券
(192) (20,671) (61) (6,567)
確定給付型年金およびその他の退職後給付制度
199 21,424 60 6,460
デリバティブ商品
(663) (71,379) 565 60,828
為替換算調整
(650) (69,979) 547 58,890
累積その他包括 利益( 損失 ) (純額)合計
34,684 3,734,079 34,006 3,661,086
資本合計
$ 72,574 $ 69,225
\7,813,317 \7,452,764
負債および資本合計
添付の注記を参照のこと。添付の注記は、これらの連結財務諸表の重要な一部を構成する。
111/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
ビザ・インク
連結損益計算書
( 一株当たり情報に関するデータを除き、単位 : 百万 )
9月 30 日に終了した事業年度
2019 年 2018 年 2017 年
( 百万ドル ) ( 百万ドル ) ( 百万ドル )
( 百万円 ) (百万円) (百万円)
$ 22,977 $ 20,609 $ 18,358
\2,473,704 \2,218,765 \1,976,422
純収益
営業費用
人件費 3,444 370,781 3,170 341,282 2,628 282,930
マーケティング費 1,105 118,964 988 106,368 922 99,263
ネットワークおよび処理費 721 77,623 686 73,855 620 66,749
専門家報酬 454 48,878 446 48,016 409 44,033
減価償却費 656 70,625 613 65,996 556 59,859
一般管理費 1,196 128,761 1,145 123,271 1,060 114,120
400 43,064 607 65,350 19 2,046
訴訟引当金 (注記 20 )
7,976 858,696 7,655 824,137 6,214 668,999
営業費用合計
15,001 1,615,008 12,954 1,394,628 12,144 1,307,423
営業利益
営業外収益(費用)
(533 ) (57,383) (612) (65,888) (563) (60,613)
支払利息(純額)
416 44,787 464 49,954 113 12,166
投資収益およびその他
(117) (12,596) (148) (15,934) (450) (48,447)
営業外収益 (費用) 合計
14,884 1,602,411 12,806 1,378,694 11,694 1,258,976
税引前利益
2,804 301,879 2,505 269,688 4,995 537,762
法人税等 (注記 19 )
$ 12,080 $ 10,301 $ 6,699 \ 721,214
\1,300,533 \ 1,109,006
当期純利益
添付の注記を参照のこと。添付の注記は、これらの連結財務諸表の重要な一部を構成する。
112/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
ビザ・インク
連結損益計算書 - ( つづき )
( 一株当たり情報に関するデータを除き、単位 : 百万 )
9月 30 日に終了した事業年度
2019 年 2018 年 2017 年
( 百万ドル ) ( 百万ドル ) ( 百万ドル )
(百万円) (百万円) (百万円)
基本的一株当たり利益(注記 15 )
$ 5.32 \ 573 $ 4.43 \ 477 $ 2.80 \ 301
クラス A 普通株式
$ 8.68 \ 934 $ 7.28 \ 784 $ 4.62 \ 497
クラス B 普通株式
$ 21.30 \ 2,293 $ 17.72 \ 1,908 $ 11.21 \ 1,207
クラス C 普通株式
基本的加重平均発行済株式数(注
記 15 )
1,742 1,792 1,845
クラス A 普通株式
245 245 245
クラス B 普通株式
12 12 14
クラス C 普通株式
希薄化後一株当たり利益(注記
15 )
$ 5.32 \ 573 $ 4.42 \ 476 $ 2.80 \ 301
クラス A 普通株式
$ 8.66 \ 932 $ 7.27 \ 783 $ 4.61 \ 496
クラス B 普通株式
$ 21.26 \ 2,289 $ 17.69 \ 1,905 $ 11.19 \ 1,205
クラス C 普通株式
希薄化後加重平均発行済株式数
( 注記 15)
2,272 2,329 2,395
クラス A 普通株式
245 245 245
クラス B 普通株式
12 12 14
クラス C 普通株式
添付の注記を参照のこと。添付の注記は、これらの連結財務諸表の重要な一部を構成する。
113/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
ビザ・インク
連結包括利益計算書
9 月 30 日に終了した事業年度
2019 年 2018 年 2017 年
( 百万ドル ) ( 百万円 ) ( 百万ドル ) (百万円) ( 百万ドル ) (百万円)
当期純利益 $ 12,080 $ 10,301 $ 6,699 \ 721,214
\1,300,533 \1,109,006
その他包括利益(損失)(税引
後):
投資有価証券:
未実現利益(損失)(純額) 20 2,153 94 10,120 60 6,460
税効果額 (5 ) (538) (19) (2,046) (24) (2,584)
組替調整額 1 108 (215) (23,147) 1 108
税効果額 - - 50 5,383 - -
確定給付型年金およびその他の退
職後給付制度:
未実現年金数理利益(損失)お
よび過去勤務(貸方)(費 (174) (18,733) 16 1,723 183 19,702
用)の純額
税効果額 36 3,876 (5) (538) (54) (5,814)
組替調整額 9 969 5 538 32 3,445
税効果額 (2) (215) (1) (108) (12) (1,292)
デリバティブ商品:
未実現利益(損失)(純額) 233 25,085 90 9,689 (22) (2,369)
税効果額 (25) (2,692) (24) (2,584) 15 1,615
組替調整額 (85) (9,151) 32 3,445 33 3,553
税効果額 16 1,723 (2) (215) (12) (1,292)
(1,228) (132,206) (352) (37,896) 1,136 122,302
為替換算調整
(1,204) (129,623) (331) (35,635) 1,336 143,834
その他包括利益(損失)(税引後)
$ 10,876 $ 9,970 $ 8,035 \ 865,048
\1,170,910 \1,073,370
包括利益
添付の注記を参照のこと。添付の注記は、これらの連結財務諸表の重要な一部を構成する。
次へ
114/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
ビザ・インク
連結持分変動計算書
(一株当たり情報に関するデータを除き、単位:百万(ドル))
(1)
普通株式
優先株式
累積その他
包括利益
カバード・
(損失)
シリーズ シリーズ クラス クラス クラス ロスを回収
資本剰余金 未処分利益 (純額) 資本合計
B C A B C 優先株式 自己株式 する権利
2016 年9月 30 日現在の残高
$ (170) $ 17,395 $ 10,462 $ (458)
2 3 1,871 245 17 $ 5,717 $ (34) $ 32,912
当期純利益
6,699 6,699
その他包括利益(損失)
1,336
1,336
(税引後)
包括利益
8,035
ビザ・ヨーロッパ域内で発生し
(209) (209 )
たカバード・ロス(注記5)
転換比率の調整を通じた回収
(191) 191 -
(注記5および注記 14 )
ビザ・インクの株式の慈善拠出 2 170 170
自己株式評価益(税引後) 14 14
公開市場における売却に伴うクラ
17 (▶) -
ス C普通株式の転換
制限株式および業績連動型株式の
2 -
付与
株式に基づく報酬(失効株式控除
(2)
- 235 235
後)(注記 16 )
納税用に現金決済された制限株式
(1) (76 ) (76 )
および業績連動型株式
従業員持株制度に基づく普通株式
▶ 149 149
の発行によって取得した現金
配当宣言および支払済の現金配当
額(四半期ごとの金額はクラス
A普通株式一株当たり 0.165 ド
(1,579) (1,57 9)
ル)(注記 14 )
クラス A普通株式の買戻し(注記
(77) (817) (6,074) (6,891)
14 )
2017 年9月 30 日現在の残高 $ (52) $ 16,900 $ 878
2 3 1,818 245 13 $ 5,526 $ - $ 9,508 $ 32,760
(1) シリーズ B およびシリーズ C 優先株式は、それぞれ U.K.&I 優先株式およびヨーロッパ優先株式とも呼ばれる 。
115/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(2) 制限株式報酬の失効に係るクラス A 普通株式の減少は、1百万株未満である。
添付の注記を参照のこと。添付の注記は、これらの連結財務諸表の重要な一部を構成する。
ビザ・インク
連結持分変動計算書 - ( つづき )
(一株当たり情報に関するデータを除き、単位:百万(ドル))
(1)
優先株式 普通株式
累積その他
包括利益
カバード・ロ
(損失)
シリーズ シリーズ クラス クラス クラス スを回収する
資本剰余金 未処分利益 (純額) 資本合計
B C A B C 優先株式 権利
2017 年9月 30 日現在の残高
$ 5,526 $ (52) $ 16,900 $ 9,508 $ 878 $ 32,760
2 3 1,818 245 13
当期純利益
10,301 10,301
その他包括利益(損失)
(331)
(331)
(税引後)
包括利益
9,970
ビザ・ヨーロッパ域内で発生し
(11) (11)
たカバード・ロス(注記5)
転換比率の調整を通じた回収
(56 ) 56 -
(注記5および注記 14 )
公開市場における売却に伴うクラ
▶ (1) -
ス C普通株式の転換
制限株式および業績連動型株式の
2 -
付与
株式に基づく報酬(失効株式控除
(2)
- 327 327
後)(注記 16 )
納税用に現金決済された制限株式
(1) (94) (94)
および業績連動型株式
従業員持株制度に基づく普通株式
3 164 164
の発行によって取得した現金
配当宣言および支払済の現金配当
額(第1四半期の金額はクラス
A普通株式一株当たり 0.195 ド
ル、その他の四半期の金額はク
ラス A普通株式一株当たり 0.210
(1,918) (1,918)
ドル)(注記 14 )
クラス A普通株式の買戻し(注記
(58 ) (619) (6,573) (7,192)
14 )
2018 年9月 30 日現在の残高 $ 16,678 $ 547
2 3 1,768 245 12 $ 5,470 $ (7) $ 11,318 $ 34,006
116/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(1) シリーズ B およびシリーズ C 優先株式は、それぞれ U.K.&I 優先株式およびヨーロッパ優先株式とも呼ばれる 。
(2) 制限株式報酬の失効に係るクラス A 普通株式の減少は、1百万株未満である。
添付の注記を参照のこと。添付の注記は、これらの連結財務諸表の重要な一部を構成する。
ビザ・インク
連結持分変動計算書 - ( つづき )
(一株当たり情報に関するデータを除き、単位:百万(ドル))
(1)
優先株式 普通株式
累積その他
包括利益
カバード・ロ
(損失)
シリーズ シリーズ クラス クラス クラス スを回収する
資本剰余金 未処分利益 (純額) 資本合計
B C A B C 優先株式 権利
2018 年9月 30 日現在の残高
$ 5,470 $ (7) $ 16,678 $ 11,318 $ 547
2 3 1,768 245 12 $ 34,006
当期純利益
12,080 12,080
その他包括利益(損失)
(1,204)
(1,204)
(税引後)
包括利益
10,876
新たな会計基準の採用(注記1) 385 7 392
ビザ・ヨーロッパ域内で発生し
(172 ) (172)
たカバード・ロス(注記5)
転換比率の調整を通じた回収
(8) 8 -
(注記5および注記 14 )
公開市場における売却に伴うクラ
2 (1) -
ス C普通株式の転換
制限株式および業績連動型株式の
3 -
付与
株式に基づく報酬(失効株式控除
407 407
後)(注記 16 )
納税用に現金決済された制限株式
(1) (111) (111)
および業績連動型株式
従業員持株制度に基づく普通株式
2 162 162
の発行によって取得した現金
配当宣言および支払済の現金配当
額(四半期ごとの金額はクラス A
普通株式一株当たり 0.25 ドル)
(2,269) (2,269)
(注記 14 )
クラス A普通株式の買戻し(注記
(56 ) (595) (8,012) (8,607)
14 )
2019 年9月 30 日現在の残高 $ (171 ) $ 16,541 $ (650)
2 3 1,718 245 11 $ 5,462 $ 13,502 $ 34,684
117/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(1) シリーズ B およびシリーズ C 優先株式は、それぞれ U.K.&I 優先株式およびヨーロッパ優先株式とも呼ばれる 。
添付の注記を参照のこと。添付の注記は、これらの連結財務諸表の重要な一部を構成する。
118/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
ビザ・インク
連結持分変動計算書
(一株当たり情報に関するデータを除き、単位:百万(円))
(1)
普通株式
優先株式
累積その他
包括利益
カバード・
(損失)
シリーズ シリーズ クラス クラス クラス ロスを回収
資本剰余金 未処分利益 (純額) 資本合計
B C A B C 優先株式 自己株式 する権利
2016 年9月 30 日現在の残高
\ 1,126,339 \ 3,543,306
\ (18,302) \ (3,660) \(49,308)
\615,492 \1,872,746
2 3 1,871 245 17
当期純利益
721,214 721,214
その他包括利益(損失)
143,834
143,834
(税引後)
包括利益
865,048
ビザ・ヨーロッパ域内で発生し
(22,5 01) (22,501)
たカバード・ロス(注記5)
転換比率の調整を通じた回収
(20,563) 20,563 -
(注記5および注記 14 )
ビザ・インクの株式の慈善拠出 2
18,302 18,302
自己株式評価益(税引後) 1,507 1,507
公開市場における売却に伴うク
17 (▶) -
ラス C普通株式の転換
制限株式および業績連動型株式
2
-
の付与
株式に基づく報酬(失効株式控
(2)
-
25,300 25,300
除後)(注記 16 )
納税用に現金決済された制限株
(1)
(8,182) (8,182)
式および業績連動型株式
従業員持株制度に基づく普通株
式の発行によって取得した現
▶
16,041 16,041
金
配当宣言および支払済の現金配
当額(四半期ごとの金額はク
ラス A普通株式一株当たり
(169,995) (169,995)
0.165 ドル)(注記 14 )
クラス A普通株式の買戻し(注記
(77)
(87,958) (653,927) (741,885)
14 )
2017 年9月 30 日現在の残高 \ - \ 1,023,631 \ 94,525 \ 3,526,942
2 3 1,818 245 13 \ 594,929 \ (5,598)
\1,819,454
(1) シリーズ B およびシリーズ C 優先株式は、それぞれ U.K.&I 優先株式およびヨーロッパ優先株式とも呼ばれる 。
119/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(2) 制限株式報酬の失効に係るクラス A 普通株式の減少は、1百万株未満である。
添付の注記を参照のこと。添付の注記は、これらの連結財務諸表の重要な一部を構成する。
ビザ・インク
連結持分変動計算書 - ( つづき )
(一株当たり情報に関するデータを除き、単位:百万(円))
(1)
優先株式 普通株式
累積その他
包括利益
カバード・ロ
(損失)
シリーズ シリーズ クラス クラス クラス スを回収する
資本剰余金 未処分利益 (純額) 資本合計
B C A B C 優先株式 権利
\ 594,929 \ 1,819,454 \ 1,023,631 \ 94,525 \ 3,526,942
2017 年9月 30 日現在の残高 \ (5,598)
2 3 1,818 245 13
当期純利益
1,109,006 1,109,006
その他包括利益(損失)
(35,635)
(35,635)
(税引後)
包括利益
1,073,370
ビザ・ヨーロッパ域内で発生し
(1,184) (1,184)
たカバード・ロス(注記5)
転換比率の調整を通じた回収
-
6,029
(6,029)
(注記5および注記 14 )
公開市場における売却に伴うクラ
-
▶ (1)
ス C普通株式の転換
制限株式および業績連動型株式の
-
2
付与
株式に基づく報酬(失効株式控除
(2)
- 35,205 35,205
後)(注記 16 )
納税用に現金決済された制限株式
(1)
(10,120) (10,120)
および業績連動型株式
従業員持株制度に基づく普通株式
3 17,656 17,656
の発行によって取得した現金
配当宣言および支払済の現金配当
額(第1四半期の金額はクラス
A普通株式一株当たり 0.195 ド
ル、その他の四半期の金額はク
ラス A普通株式一株当たり 0.210
(206,492) (206,492)
ドル)(注記 14 )
クラス A普通株式の買戻し(注記
(58 )
(66,642) (707,649) (774,291)
14 )
\ 588,900 \ 1,795,553 \ 1,218,496 \ 58,890 \ 3,661,086
2018 年9月 30 日現在の残高 \ (754)
2 3 1,768 245 12
(1) シリーズ B およびシリーズ C 優先株式は、それぞれ U.K.&I 優先株式およびヨーロッパ優先株式とも呼ばれる 。
120/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(2) 制限株式報酬の失効に係るクラス A 普通株式の減少は、1百万株未満である。
添付の注記を参照のこと。添付の注記は、これらの連結財務諸表の重要な一部を構成する。
ビザ・インク
連結持分変動計算書 - ( つづき )
(一株当たり情報に関するデータを除き、単位:百万(円))
(1)
優先株式 普通株式
累積その他
包括利益
カバード・ロ
(損失)
シリーズ シリーズ クラス クラス クラス スを回収する
資本剰余金 未処分利益 (純額) 資本合計
B C A B C 優先株式 権利
2018 年9月 30 日現在の残高 \ 588,900 \ 1,795,553 \ 1,218,496 \ 58,890 \ 3,661,086
\ (754)
2 3 1,768 245 12
当期純利益
1,300,533 1,300,533
その他包括利益(損失)
(129,623)
(129,623)
(税引後)
包括利益
1,170,910
新たな会計基準の採用(注記1) 41,449 754 42,203
ビザ・ヨーロッパ域内で発生し
(18,518) (18,518)
たカバード・ロス(注記5)
転換比率の調整を通じた回収
-
861
(861)
(注記5および注記 14 )
公開市場における売却に伴うクラ
-
2 (1)
ス C普通株式の転換
制限株式および業績連動型株式の
-
3
付与
株式に基づく報酬(失効株式控除
43,818 43,818
後)(注記 16 )
納税用に現金決済された制限株式
(1)
(11,950) (11,950)
および業績連動型株式
従業員持株制度に基づく普通株式
2 17,441 17,441
の発行によって取得した現金
配当宣言および支払済の現金配当
額(四半期ごとの金額はクラス
A普通株式一株当たり 0.25 ド
(244,281) (244,281)
ル)(注記 14 )
クラス A普通株式の買戻し(注記
(56 )
(64,058) (862,572) (926,630)
14 )
2019 年9月 30 日現在の残高 \ 588,039 \ 1,780,804 \ 1,453,625 \ 3,734,079
2 3 1,718 245 11 \ (18,410) \ (69,979)
121/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(1) シリーズ B およびシリーズ C 優先株式は、それぞれ U.K.&I 優先株式およびヨーロッパ優先株式とも呼ばれる 。
添付の注記を参照のこと。添付の注記は、これらの連結財務諸表の重要な一部を構成する。
次へ
122/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
ビザ・インク
連結キャッシュ・フロー計算書
9月 30 日に終了した事業年度
2019 年 2018 年 2017 年
( 百万ドル ) ( 百万円 ) ( 百万ドル ) ( 百万円 ) ( 百万ドル ) ( 百万円 )
営業活動によるキャッシュ・
フロー
$12,080 \1,300,533 $10,301 \1,109,006 $6,699 \721,214
当期純利益
営業活動により生じた(に使用し
た)現金(純額)への当期純利
益の調整 :
6,173 664,585 5,491 591,161 4,565 491,468
顧客インセンティブ(注記3)
407 43,818 327 35,205 235 25,300
株式に基づく報酬(注記 16 )
不動産、設備およびテクノロ
656 70,625 613 65,996 556 59,859
ジーならびに無形資産の減価
償却費および償却費
214 23,039 (1,277) (137,482) 1,700 183,022
繰延税金
ビザ・ヨーロッパ域内で発生し
(172) (18,518) (11 ) (1,184) (209) (22,501)
たカバード・ロス(注記5)
ビザ・インクの株式の慈善拠出
- - - - 192 20,671
(注記 19 )
(271) (29,176) (64) (6,890) 54 5,814
その他
営業資産および負債の変動 :
(1,533) (165,043) (223) (24,008) 94 10,120
未収決済金
(333) (35,851) (70) (7,536) (54) (5,814)
売掛金
(6,430) (692,254) (4,682) (504,064) (4,628) (498,250)
顧客インセンティブ
(310) (33,375) 59 6,352 (147) (15,826)
その他資産
(24) (2,584) 3 323 (30) (3,230)
買掛金
1,931 207,891 262 28,207 (176) (18,948)
未払決済金
627 67,503 1,760 189,482 465 50,062
未払費用およびその他負債
(231) (24,869) 452 48,662 1 108
未払訴訟債務(注記 20 )
営業活動により生じた(に使用し
12,784 1,376,325 12,941 1,393,228 9,317 1,003,068
た)現金(純額)
123/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
ビザ・インク
連結キャッシュ・フロー計算書 - ( つづき )
9月 30 日に終了した事業年度
201 9 年 201 8 年 201 7 年
( 百万ドル ) (百万円) ( 百万ドル ) (百万円) ( 百万ドル ) (百万円)
投資活動によるキャッシュ・フロー
不動産、設備およびテクノロジーの取
(756) (81,391) (718 ) (77,300) (707) (76,116)
得
不動産、設備およびテクノロジーの売
- - 14 1,507 12 1,292
却収入
投資有価証券 :
(2,653) (285,622) (5,772 ) (621,414) (3,238) (348,603)
取得
3,996 430,209 3,636 391,452 5,012 539,592
満期償還および売却による収入
取得(取得した現金および使途制限現
(699) (75,254) (196 ) (21,101) (302) (32,513)
金控除後)
(501) (53,938) (50 ) (5,383) (46) (4,952)
その他投資の取得 / 出資
12 1,292 2 215 ▶ 431
その他投資からの収入 / 分配金
10 1,077 - - - -
その他の投資活動
投資活動により生じた(に使用した)
(591) (63,627) (3,084) (332,023) 735 79,130
現金(純額)
財務活動によるキャッシュ・フロー
(8,607) (926,630) (7,192 ) (774,291) (6,891) (741,885)
クラス A 普通株式の買戻し(注記 14 )
- - (1,750) (188,405) - -
長期債務の返済
(2,269) (244,281) (1,918 ) (206,492) (1,579) (169,995)
支払配当金(注記 14 )
ビザ・ヨーロッパの取得に係る繰延取
(1,236) (133,068) - - - -
得対価の支払い
- - - - 2,488 267,858
上位債 の発行による収入
- - - - (15) (1,615)
債券発行費用
従業員持株制度に基づく普通株式の発
162 17,441 164 17,656 149 16,041
行によって取得した現金
納税用に現金決済された制限株式およ
(111) (11,950) (94 ) (10,120) (76) (8,182)
び業績連動型株式
財務活動により生じた(に使用した)
(12,061) (1,298,487) (10,790 ) (1,161,651) (5,924) (637,778)
現金(純額)
現金および現金同等物に係る為替レー
(277) (29,822) (101) (10,874) 236 25,408
ト変動の影響
現金、現金同等物、使途制限現金およ
び使途制限現金同等物の増加(減 (145) (15,611) (1,034) (111,320) 4,364 469,828
少)
現金、現金同等物、使途制限現金およ
10,977 1,181,784 12,011 1,293,104 7,647 823,276
び使途制限現金同等物期首残高
現金、現金同等物、使途制限現金およ
$ 10,832 $ 10,977 $ 12,011
\1,166,173 \1,181,784 \1,293,104
び使途制限現金同等物期末残高
124/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
ビザ・インク
連結キャッシュ・フロー計算書 - ( つづき )
9月 30 日に終了した事業年度
201 9 年 201 8 年 201 7 年
( 百万ドル ) (百万円) ( 百万ドル ) (百万円) ( 百万ドル ) (百万円)
補足的開示
法人税等支払額(法人税等還付額控
\ 285,084 \ 246,003 \ 327,071
$ 2,648 $ 2,285 $ 3,038
除後)
\ 57,813 \ 58,675 \ 52,646
$ 537 $ 545 $ 489
負債に係る利息支払額
ビザ・ファウンデーションへの投資有
\ - $ 195 \ 20,994 \ -
$ - $ -
価証券の慈善拠出
不動産、設備およびテクノロジーの取
\ 10,228 $ 77 \ 8,290 \ 5,383
$ 95 $ 50
得に関する債務
添付の注記を参照のこと。添付の注記は、これらの連結財務諸表の重要な一部を構成する。
次へ
125/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
・ 連結財務諸表注記
注記1 重要な会計方針の要約
組織 -ビザ・インク(以下、「ビザ」または「当社」という。)は、 200 を超える国と地域において迅速か
つ安全で信頼性の高い電子決済を可能にする 世界規模の決済技術を有する会社である 。ビザおよびその完全
所有子会社には、 Visa U.S.A. Inc. (以下、「ビザ USA 」という。)、 Visa International Service
Association (以下、「ビザ・インターナショナル」という。)、 Visa Worldwide Pte.Limited, Visa
Europe Limited (以下、「ビザ・ヨーロッパ」という。)、 Visa Canada Corporation (以下、「ビザ・カ
ナダ」という。)、ビザ・テクノロジー・アンド・オペレーションズ・エルエルシーおよびサイバーソー
ス・コーポレーションが含まれ、世界最大の電子決済ネットワークの1つであるビザネットを運営すること
により、世界中の支払取引の承認、精算および決済を促進しており、当社が、金融機関および販売店に対し
て様々な商品、プラットフォームおよび付加価値のあるサービスを提供することを可能にしている。 ビザは
金融機関ではないため、カード発行、与信枠の拡大またはビザ商品のアカウント保有者に課せられる金利お
よび手数料の設定を行っていない。多くの場合、アカウント保有者と加盟店の関係は、ビザの金融機関顧客
により管理されている。
連結および表示の基礎- 当社の連結財務諸表は、ビザおよびビザの連結事業体の財務諸表を含んでおり、
米国において一般に公正妥当と認められる会計原則(以下、「 US GAAP 」という。)に準拠して表示されてい
る。 当社は、当社が主たる受益者である変動持分事業体(以下、「 VIE 」という。)を含む、議決権の過半数
を所有する事業体および被支配会社を連結の範囲に含めている。当社の VIE への投資 は、表示されている当社
の連結財務諸表に対して重要ではなかった。連結に際しては、関係会社間の重要な残高および取引はすべて
消去されている。
当社の事業活動は相互に関連し、各事業活動は互いに依存し、支え合っている。すべての重要な業務上の
意思決定は、ビザを単一のグローバル企業として分析したものに基づいている。したがって、当社は、「支
払サービス」を唯一の報告セグメントとしている。
見積りの使用- US GAAP に準拠した連結財務諸表の作成にあたっては、経営陣が将来の事象に関する見積り
および仮定を行うことが求められている。これらの見積りおよび仮定は、連結財務諸表日現在の資産および
負債の報告金額、偶発資産および債務の開示ならびに報告期間における収益および費用の報告金額に影響を
与える。将来における実際の結果はこれらの見積りと大幅に異なる可能性がある。個別の会計方針に基づく
見積りの使用については、適宜、以下に詳述されている。
現金、現金同等物、使途制限現金および使途制限現金同等物 -現金および現金同等物には、現金および特
定の流動性の高い投資(当初満期日が取得日から 90 日以内のもの)が含まれる。現金同等物は主に取得原価
で計上され、通常、満期までの残存期間が短いため、公正価値に近似している。当社は、使途制限現金およ
び使途制限現金同等物を、通常の営業活動を目的として引き出す、または使用することができない現金およ
び現金同等物と定義している。注記 4 -現金、現金同等物、使途制限現金および使途制限現金同等物を参照
のこと。
使途制限現金同等物-米国訴訟エスクロー -当社はエスクロー口座を維持しており、米国の対象訴訟案件
に関する和解金による金融負債または判決確定による賠償金は、当該エスクロー口座より支払われる。米国
の対象訴訟案件の詳細に関しては、注記5-米国およびヨーロッパの遡及的責任計画、ならびに注記 20 -法
的事項を参照のこと。エスクロー資金は、マネーマーケット投資商品で運用され、連結貸借対照表上、利息
収入(未払法人税等控除後)と共に使途制限預金として分類されている。エスクロー資金から生じる利息収
入は、連結損益計算書の営業外収益に計上されている。
126/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
投資および公正価値 -当社は、特定の資産および負債を公正価値で測定している。公正価値は、測定日現
在において市場参加者間で行われる秩序ある取引において資産を売却する際に受け取る、または負債を移転
する際に支払う価格である。公正価値測定は、3段階の評価階層に基づき報告されている。注記6-公正価
値の測定および投資を参照のこと。階層に基づく当社の金融資産および負債の分類は、以下のとおりであ
る。
レベル1 -評価手法に用いるインプットは、同一の資産または負債に対する、活発な市場における未調整
の相場価格である。当社のレベル1資産には、マネーマーケット・ファンド、市場性のある持分証券および
米国債が含まれる。
レベル2 -評価手法に用いるインプットには以下が含まれる。 (1) 類似する(同一ではない)資産または負
債に対する、活発な市場における相場価格、 (2) 同一または類似する資産に対する、活発でない市場における
相場価格、 (3) 資産または負債について、相場価格以外で観察可能なインプット、または (4) 観察可能な市場
データによって主に算出されるか裏付けられているインプット。当社のレベル2資産および負債には、米国
政府系負債証券およびデリバティブ商品が含まれる。
レベル3 -評価手法に用いられるインプットは観察不能であり、観察可能な市場データによって裏付ける
ことができない。当社のレベル3資産には、市場性のない持分投資および持分法で会計処理される投資が含
まれる。
市場性のある持分証券-連結貸借対照表の投資有価証券に計上されている市場性のある持分証券には、各
種従業員報酬制度および給付制度に関するミューチュアル・ファンドへの投資を含んでいる。これらの投資
のトレーディング活動は当社の従業員の指図で行われる。当該投資は信託されており、当社の業務上および
流動性のニーズのために利用することはできない。受取利息および配当金ならびに公正価値の変動は、営業
外収益に計上され、連結損益計算書上の人件費と相殺されている。当社の 市場性のある持分証券に関する会
計処理は、 ASU 第 2016-01 号が適用されたことにより変更された。 2018 年 10 月1日より、市場性のある持分証
券の公正価値の変動による未実現損益は、営業外収益(費用)に認識されている。
売却可能負債証券-当社の負債証券への投資は、売却可能に分類され、連結貸借対照表の投資有価証券に
計上されており、米国政府系負債証券および米国債を含んでいる。これらの有価証券は、取得時に取得原価
で計上され、その後は公正価値で評価される。当社は、運転資金および流動性のニーズを満たすため、当該
有価証券を売却可能とみなしている。当初満期日が貸借対照表日から 90 日超1年以内の投資または当社が1
年以内の売却を意図している投資は、流動資産に分類されるが、その他のすべての有価証券は非流動資産に
分類される。これらの投資は、通常、短期の流動性ニーズを満たすために利用可能である。未実現利益およ
び損失は、実現されるまで連結貸借対照表上の累積その他包括利益または損失に計上されている。当社は、
個別法を用いて有価証券の売却に係る実現利益または損失を計算している。これらの実現利益または損失は
連結損益計算書の営業外収益に計上される。受取利息は、稼得時に認識され、連結損益計算書の営業外収益
に計上される。
当社は、負債証券の一時的でない減損、すなわち OTTI (以下、「 OTTI 」という。)に関して継続的な評価
を行っている。負債証券の公正価値が償却原価を下回った場合、当社は(1)有価証券を売却する意図があ
る場合、(2)有価証券の公正価値が償却原価を回復する前に売却しなければならない可能性が 50 %超であ
る場合、あるいは(3)有価証券の償却原価全額の回復が見込めない場合に OTTI を認識する。
市場性のない持分証券-当社の市場性のない持分証券は、連結貸借対照表のその他資産に計上され、容易
に決定可能な市場価値のない株式非公開企業に対する投資を含む。これらの投資は、市場価格の不在、流動
性の欠如、および公正価値の測定に用いたインプットが観察不能であり、経営者の判断が求められるためレ
ベル3の資産に分類される。 当社の市場性のない持分証券に関する会計処理は、 ASU 第 2016-01 号が適用され
たことにより変更された。 2018 年 10 月1日より、同一または類似した投資の取引が市場で観察可能である場
合に、市場性のない持分証券の帳簿価額を公正価値に調整することを当社の方針としている。市場性のない
持分証券に係る実現および未実現損益はすべて、営業外収益(費用)に認識される。
127/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
当社は、 20 %から 50 %までの持分比率を有する、あるいは重要な影響力を有する他の事業体への投資につ
いては、持分法で会計処理している。持分法における各事業体損益の当社持分は、連結損益計算書の営業外
収 益に反映されている。また、当社が被投資会社に重要な影響力を有するか否かに関わらず、持分比率が
5%以上のリミテッドパートナーシップおよび有限責任会社などのフロースルー法人についても持分法を適
用している。
当社は、その他の事業体への投資で、当該事業体に対する持分比率が 20 %未満、またはフロースルー法人
に対する持分比率が5%未満で当社が重要な影響力を有していない場合は、代替的な公正価値測定により会
計処理を行っている。これらの投資は非公開企業の持分で構成されており、連結貸借対照表上、その他資産
として計上されている。
当社は持分法および代替的な公正価値測定が適用されている投資の減損の可能性について、定期的にレ
ビューしている。当該レビューには、通常、これら投資に影響を及ぼす事象および状況の変化、当該事業体
のキャッシュ・フローと資本の必要性に関する予測ならびにビジネスモデルの実行可能性に関する分析が含
まれる。
金融商品 -当社は、以下の商品、具体的には現金および現金同等物、使途制限現金同等物-米国訴訟エス
クロー、投資有価証券、未収決済金および未払決済金、売掛金、顧客担保、市場性のない持分投資、および
デリバティブ商品を金融商品とみなしている。注記6-公正価値の測定および投資を参照のこと。
未収決済金および未払決済金 -当社は、世界中の顧客との支払取引の承認、精算および決済のためのシス
テムを運営している。当社の金融機関顧客とのほとんどの米ドル建て決済は、同日内に決済され、未収また
は未払残高は発生しない。決済通貨が米ドル以外の場合、通常、1営業日または2営業日の間未決済となる
ため、顧客金融機関に対する債権および債務が発生する。これらの金額は、連結貸借対照表に未収決済金お
よび未払決済金として表示されている。
顧客担保 -当社の規定に従って処理されるビザの決済サービスによって生じた顧客の決済義務の履行を確
実にするために、当社は特定の顧客から現金および現金以外の資産を預かっている。当該現金担保資産の使
用は制限され、対応する負債により完全に相殺されるが、資産および負債残高の双方が連結貸借対照表に計
上されている。差入有価証券は、当社が所有する当社名義の口座において証券保管機関により保管されてい
る。ただし、当社はこれらの有価証券を再担保に差し入れる権利を有していないものの、その決済義務にお
いて当該顧客が債務不履行に陥った場合にこれらの有価証券を売却することができる。信用状は支払いを保
証する取消不能信用状として、主に顧客である金融機関によって開設される。保証は主に親会社である金融
機関により、その子会社の債務の担保として提供されている。当社は信用状および保証を提供している金融
機関の財政面での実行可能性を定期的に評価している。注記 11 -決済保証の管理を参照のこと。
保証および補償 -当社は、発生の可能性に関係なく、取引開始時に保証および補償に関する債務を認識し
ている。当社は、ビザの運営規定に従って処理されたビザブランドのカードおよび決済商品に関して、当社
の金融機関顧客が他の顧客の決済不履行により被った決済損失を補償する。決済補償に関する負債の見積公
正価値は、連結貸借対照表の未払費用に含まれている。
不動産、設備およびテクノロジー(純額) -不動産、設備およびテクノロジーは、取得原価から当該資産
の見積耐用年数にわたって定額法で算定される減価償却および償却累計額を控除した後の金額で計上され
る。テクノロジーの償却および器具備品の減価償却は、2年から 10 年の見積耐用年数にわたって算定され
る。キャピタル・リースはリース期間にわたって償却され、賃借物件改良費は資産の耐用年数またはリース
期間のいずれか短い方の年数にわたって償却される。建物付属設備は、3年から 40 年で減価償却され、建物
は 40 年にわたって減価償却される。資産の機能向上を目的とした改良費は資産計上され、当該資産の残存耐
128/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
用年数にわたって減価償却される。土地および建設仮勘定は、減価償却されない。完全償却済資産は、使用
が終了するまで、不動産、設備およびテクノロジー(純額)に計上されている。
テクノロジー には、購入ソフトウェアと社内開発ソフトウェア(買収によって取得したテクノロジー資産
を含む)が含まれている。社内開発ソフトウェアは主にビザネット電子決済ネットワークに利用されている
ソフトウェアを表している。初期開発段階で発生した内部および外部費用は、発生時に費用計上される。ア
プリケーションの開発段階で発生し、適格と判断された費用は、資産計上される。これらの費用はプロジェ
クトが実質的に完了した時点およびソフトウェアが利用可能となった時点から当該テクノロジーの見積耐用
年数にわたり定額法で償却される。取得したテクノロジー資産は当初公正価値で計上され、見積耐用年数に
わたり定額法で償却される。
長期性資産の減損に関して当社は、年次で、あるいは資産または資産グループの帳簿価額が回収不能とな
る可能性のあることを示す事象および状況の変化が存在する場合にはより頻繁に、その回収可能性を評価す
る。割引前予想将来キャッシュ・フロー(純額)の合計額が資産または資産グループの帳簿価額を下回って
いる場合は、資産または資産グループの帳簿価額が公正価値を上回る部分について減損損失が認識される。
注記7-不動産、設備およびテクノロジー(純額)を参照のこと。
リース -当社は、土地・建物、ソフトウェアおよび設備の使用に関するオペレーティング・リース契約を
締結している。オペレーティング・リース契約に関連する支払賃貸料(リース・インセンティブを含む場合
もあれば、含まない場合もある)は、主にリース期間にわたり定額法で計上されている。
無形資産(純額) -当社は、識別可能無形資産を取得日の公正価値で計上し、それぞれの資産の耐用年数
を評価している。
耐用年数が有限である無形資産は、主に 買収により取得した顧客関連資産、再取得した権利、再販業者関
連資産および商標権により構成されている。耐用年数が有限である無形資産は、定額法により償却してお
り、その帳簿価額が回収不能となる可能性のあることを示す事象および状況の変化が存在する場合に回収可
能性の評価を行う。これらの無形資産の耐用年数は3年から 15 年である。 201 9 年9月 30 日現在において、減
損の兆候を示す事象または状況の変化は存在していない。 注記8-無形資産およびのれんを参照のこと。
耐用年数が確定できない 無形資産は、商標権、顧客関連資産および再取得した権利で構成されている。耐
用年数が確定できない無形資産については、償却は行わないものの、年次または減損の兆候を示す事象また
は状況の変化が存在する場合にはより頻繁に減損の評価を行っている。当社は、まず、耐用年数が確定でき
ない無形資産に関して、定量的減損テストを実行する必要があるか否かについて判断するために定性的要素
の評価を行っている。当社は、耐用年数が確定できない無形資産の各カテゴリーについて総額ベースで減損
評価を行っており、この評価には、それらの資産または資産グループへのキャッシュ・フローの配分および /
またはそれらの資産または資産グループの 公正価値の見積りを必要とする場合 がある。耐用年数が確定でき
ない無形資産の公正価値が帳簿価額を 下回っている場 合 には減損が存在する。当社は、減損の評価を完了す
るにあたり、割引将来キャッシュ・フロー(純額)、事業計画および現在価値法の利用を含む複数の要因を
考慮している。
当社は耐用年数が確定できない無形資産について、 201 9 年2月1日に年次の減損レビューを完了し、同日
現在で減損は存在しないと結論づけた。 201 9 年9月 30 日現在において、当社の耐用年数が確定できない無形
資産について減損の兆候を示すような事象または状況の変化は存在していない。
のれん -のれんは、企業結合により取得した純資産の取得価格が公正価値を超過する部分を表すものであ
る。のれんは償却されないものの、毎年2月1日または減損の兆候を示す事象または状況の変化が存在する
場合にはより頻繁に、報告単位ごとに減損評価を行っている。
当社は、のれんについて 201 9 年2月1日に減損評価を実施し、同日現在で減損は存在しないと結論づけ
た。 201 9 年9月 30 日現在において、減損の兆候を示すような事象または状況の変化は存在していない。
129/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
未払訴訟債務 -当社は、当社が当事者となっている法的手続きまたは行政手続きにおいて、不利な結果が
生じる可能性について評価しており、債務の発生可能性が高く損失金額を合理的に見積ることが可能である
場合、偶発損失を計上している。これらの判断は、法的手続きまたは行政手続きの状況、当社の抗弁のメ
リットおよび社内外の弁護士との協議に基づいた主観的なものであり、実際の法的手続きおよび行政手続き
の結果は当社の見積りと著しく異なる場合がある。当社は、訴訟費用を発生時に連結損益計算書の専門家報
酬に計上している。注記 2 0 -法的事項を参照のこと。
収益認識 -当社の純収益は、主として以下の区分、具体的にはサービス収益、データ処理収益、国際取引
収益およびその他収益より構成され、顧客インセンティブが控除されている。決済ネットワークサービス・
プロバイダーとしての当社の顧客に対する義務は、契約期間にわたって当社の決済ネットワークを継続して
利用できるようにすることである。対価は、主としてビザの商品の取引金額および種類ならびに決済件数に
基づいて変動する。当社は、決済ネットワークサービスの提供につれて、当社が当該サービスと引き換えに
受領が予測される対価を反映した金額で収益(売上税およびその他の類似する税金控除後)を認識する。決
済ネットワークサービスに関する固定手数料は通常、開示対象のサービス期間にわたって比例した率で認識
される。当社は、決済ネットワークサービスに関する残存履行義務を開示しないという任意の免除規定を選
択している。
サービス収益は、主としてビザの決済サービスの顧客の利用をサポートする上で提供されるサービスによ
り稼得される収益で構成されている。現在の四半期毎のサービス収益は、主に、前四半期の決済額に当四半
期の価格を適用して算定されている。当社はまた、継続的な商品受入および取引高増大イニシアティブのサ
ポートに対する評価から収益を稼得している。これらの収益は、関連取引が発生する期間と同じ期間に認識
される。
データ処理収益とは、認証、精算、決済、付加価値サービス、ネットワーク・アクセスおよび世界中の当
社の顧客間での取引や情報処理を円滑に行うためのその他の保守サポート・サービスに関して稼得される収
益より構成されている。データ処理収益は関連取引が発生する期間、またはサービスが実施される期間と同
じ期間に認識される。
国際取引収益は、国際取引および通貨換算業務の処理により稼得される。国際取引は、カードが発行され
た国または取引を 組成した金融機関の属する 国が受益者の属する国と異なっている場合に発生する。国際取
引収益は、国際取引が発生する期間、またはサービスが実施される期間と同じ期間に認識される。
その他収益は主に、付加価値サービス、ビザブランドまたはテクノロジーの使用に関するライセンス手数
料、アカウント保有者サービス、認証、ライセンス、ならびにアカウント保有者の付帯保障およびコンシェ
ルジュ・サービスのようなカード機能の追加により構成される。その他収益は、関連取引が発生する期間、
またはサービスが実施される期間と同じ期間に認識される。
顧客インセンティブ- 当社は、金融機関顧客およびその他のビジネスパートナーとの間で、決済額の増
加、ビザブランドのカードおよび商品の受入増加、ならびにビザのネットワークを介して取引を送信する加
盟店の獲得による増 収 を目的とした様々なプログラムに関する長期契約を締結している。これらのインセン
ティブは、主に収益からの控除として会計処理される。顧客インセンティブは、顧客が提供する 別個の財ま
たはサービスと引き換えに支払いが行われる場合に営業費用として会計処理される。 当社は、通常、これら
の契約に基づく前払および固定のインセンティブを資産計上し、その金額を契約期間にわたり比例した率で
収益からの控除として償却する。業績目標に基づき顧客が得るインセンティブは、各顧客の将来の業績に関
する経営陣の見積りに基づいて収益からの控除として計上される。これらの計上は定期的にレビューされ、
業績に対する見積りは、業績見通しの変更、実際の顧客の業績、既存契約の改定または新規契約の履行に基
づいて適宜調整されている。
130/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
マーケティング -当社は、広告の制作費用を発生時に費用計上している。メディア広告費用は、広告が掲
載された時点で費用計上される。スポンサー費用は、当社がスポンサーとしての権利によって生じる便益を
享 受している期間にわたって認識される。販売促進項目は、発生時に費用計上されるが、それは関連サービ
スが受領される時点、または関連事象が発生する時点である。
法人税等 -当社の法人税等は、当期法人税と繰延税金という2つの要素より構成されている。当期法人税
は、当期に支払われた、または未払計上される税金である。繰延税金資産および負債は、財務諸表上の帳簿
価額と税務上の資産および負債との一時差異、繰越欠損金および繰延税額控除に起因する将来の税務上の加
減算を反映するように認識される。繰延税金資産および負債はこれらの一時差異が回収または解消される年
度の課税所得に適用される実効税率により算定される。繰延税金資産の実現可能性の評価において、経営陣
は、繰延税金資産の一部あるいは全部が実現できない可能性が 50 %超であるか否かについて検討している。
過去の課税所得、一時差異の減算可能期間における将来課税所得の見積り、および適格とされるタックス・
プランニング戦略に基づき、実現しないとみられる部分について評価性引当金が計上されている。
税法の解釈が確定していない場合、当社は法人税等の不確定要因を認識、測定および開示している。当社
は、不確定のタックス・ポジションに係る支払利息および課徴金を連結損益計算書上の営業外費用に計上し
ている。当社は、連邦連結納税申告および特定の州において合算州税申告を行っている。当社は、当社に
とって有益である場合は、いずれの年度でも外国税額控除を請求することにしている。注記 1 9 -法人税等を
参照のこと。
年金およびその他退職後給付制度 -当社の確定給付型年金およびその他の退職後給付制度は年金数理によ
り評価され、そこでは割引率および制度資産の期待収益率(適格年金制度の場合)を含む、多くの重要な基
礎率が使用されている。この割引率は、キャッシュ・フロー・マッチング分析に基づいており、予想給付支
払額を直物レート(高格付けの社債から得られる利回りカーブを使用する)とマッチングさせることによっ
て算出される。年金制度資産の期待収益率は、現在および将来の資産配分ならびに各制度資産クラスの過去
の収益率および期待収益率を考慮している。年金制度資産の実際収益と期待収益の差異( 10 %の回廊を超え
る資産収益実績を含む)は、正味期間年金費用の計算において、従業員の将来の予想平均勤務期間(米国の
制度においては約7年間、ビザ・ヨーロッパの英国の年金制度においては 1 0 年間)にわたって認識されてい
る。その他の基礎率には、退職年齢、死亡率、離職率および昇給率等の人口統計学上の要素が含まれてい
る。当社は、この基礎率を毎年検証し、必要に応じて修正している。
当社は、給付制度の積立状況を、連結貸借対照表上のその他資産、未払費用およびその他負債として認識
している。当社は、年金給付債務を清算する場合には清算損失を認識しているが、それには一定の基準を満
たした場合に所定の年金給付を受領する権利と引き換えに制度加入者に対して現金を一括支給する場合も含
まれる。注記 1 0 -年金およびその他の退職後給付を参照のこと。
外貨再測定および換算 -海外事業の大半において、当社の機能通貨は米ドルである。ただし、機能通貨が
ユーロであるビザ・ヨーロッパを除く。適用される機能通貨以外の通貨でなされた取引は、取引日の為替
レートで機能通貨に換算されている。貨幣性資産および負債は、期末に貸借対照表日の為替レートで機能通
貨に再測定されている。非貨幣性資産および負債は、取得時の為替レートで再測定されている。外貨換算の
結果として生じた、換算および再測定に関連した利益および損失は、連結損益計算書の一般管理費に計上さ
れており、それらは 201 9 年度、 201 8 年度および 201 7 年度において重要ではなかった。
米ドル以外の通貨が機能通貨である場合、その機能通貨から米ドルへの換算は、貸借対照表勘定について
は貸借対照表日の為替レートで、損益勘定については当該期間の平均為替レートで行われている。結果とし
て生じた為替換算調整額は、連結貸借対照表の累積その他包括利益または損失の構成要素として計上されて
いる。
131/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
デリバティブ金融商品 -当社は、機能通貨以外の通貨建ての予想営業キャッシュ・フローに対する為替
レート変動のエクスポージャーを軽減するため、先物為替予約デリバティブ契約を利用している。キャッ
シュ・ フロー・ヘッジの会計処理が適格であることを示すため、当社は様々なヘッジ取引を行う際の当社の
リスク管理目的および戦略とともに、ヘッジの開始時点におけるヘッジ取引とヘッジ対象の関係すべてを正
式に記録している。さらに当社は、ヘッジ取引で利用されるデリバティブ商品がヘッジ対象のキャッシュ・
フローの変動を相殺することに対して極めて有効であるか、また将来においても引き続き極めて有効である
ことが期待できるかどうかについて正式に評価している。
デリバティブ取引は公正価値に基づく総額ベースにより連結貸借対照表の前払費用およびその他流動資
産、その他非流動資産、未払費用またはその他非流動負債のいずれかに計上されている。キャッシュ・フ
ロー・ヘッジに指定されたデリバティブ商品の公正価値の変動によって生じた利益および損失は、連結貸借
対照表の累積その他包括利益または損失、あるいは連結損益計算書の対応する勘定(ヘッジされている収益
または費用勘定)に計上されている。ヘッジ会計に指定されていないデリバティブ商品の公正価値の変動に
よって生じた利益および損失について、営業活動のヘッジに関しては一般管理費に計上され、非営業活動の
ヘッジに関しては営業外収益(費用)に計上される。
公正価値ヘッジの変動に関する利益および損失は、連結損益計算書の同一の勘定科目において、基礎とな
るヘッジ対象の価値の変動に関連する損失または利益と共に、営業外収益(費用)に認識される。純投資
ヘッジの価値の変動はその他包括利益に計上される。純投資ヘッジの有効性テストから除外される金額は営
業外収益(費用)に認識される。公正価値ヘッジとして指定されたデリバティブに関連したキャッシュ・フ
ローは、ヘッジ対象の分類によって、連結キャッシュ・フロー計算書上、営業活動、投資活動または財務活
動に含まれる可能性がある。純投資ヘッジとして指定された金融商品に関連したキャッシュ・フローは投資
活動に分類される。注記 1 2 -デリバティブおよび非デリバティブ金融商品を参照のこと。
純投資ヘッジとして指定された非デリバティブ金融商品 -当社は、ユーロ建ての繰延現金対価負債(非デ
リバティブ金融商品)を、当社のビザ・ヨーロッパへのユーロ建て純投資の一部に対するヘッジとして指定
した。各報告期間終了時点の為替レート変動に起因する繰延現金対価負債の価値変動の一部は、ユーロ建て
の純投資によって生じる為替換算調整額と相殺され、当社の連結貸借対照表上、累積その他包括利益または
損失の構成要素として報告される。注記 1 2 -デリバティブおよび非デリバティブ金融商品を参照のこと。
株式に基づく報酬 -当社は、公正価値法を用いて株式に基づく報酬費用を認識している。当社は、勤務条
件付の報酬についてのみ、必要不可欠な勤務期間(通常、権利確定期間)にわたり定額法で報酬費用を認識
している。業績連動型株式報酬費用および市況連動型報酬費用は段階法により認識される。これらの金額
は、当初、業績目標に基づいて見積られ、必要に応じて業績期間を通じて経営陣の最善の見積りに基づき調
整される。注記 1 6 -株式に基づく報酬を参照のこと。
一株当たり利益 -当社は、発行済普通株式の各クラスおよびシリーズの異なる権利を反映するため、2種
方式を使用して一株当たり利益を算出している。普通株式同等物に伴う株式の希薄化効果は、金庫株式法を
用いた希薄化後一株当たり利益に反映されている。注記 1 5 -一株当たり利益を参照のこと。
最近公表された会計基準
2014 年5月に、米国財務会計審議会(以下、「 FASB 」という。)は会計基準アップデート(以下、「 ASU 」
という。)第 2014-09 号を公表した。当該 ASU は、企業が顧客に対して財またはサービスを移転したことによ
り企業が権利を得ると見込んでいる対価で収益金額を認識することを義務付けている。 US GAAP の既存の収益
認識ガイダンスはすべてこの新しい収益認識基準に置き換わることとなる。その後、 FASB は新しい収益認識
基準に関する一連の改訂も公表している。新しい収益認識基準により、特定の顧客インセンティブおよび顧
客に支払われるマーケティング関連の支出の認識時点ならびに分類の他、市場開拓の支出およびインセン
132/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
ティブとして顧客に提供されるサービスに関する収益ならびに費用が変更される。当社は 2018 年 10 月1日よ
り、 2018 年 10 月1日現在で完了していない契約に関するすべての修正に適用される遡及的移行に修正を加え
た 方法を用いて当該基準を適用している。 2018 年 10 月1日以降開始する報告期間の業績は、新しい収益基準
に基づいて表示される。財務諸表に表示される過年度の比較対象期間は修正再表示されておらず、引き続き
従前の収益基準に基づいて報告されている。 2019 年9月 30 日現在および同日に終了した事業 年度 に関する添
付の未監査連結財務諸表における新しい収益基準の影響については、注記3‐収益を参照のこと。
以下の表は、 2018 年 10 月1日現在で完了していないすべての契約に対する影響総額を反映するように、
2018 年 10 月1日現在の連結貸借対照表に計上された新しい収益基準の適用に関する累積移行調整を要約した
ものである。
2018年度期末 新しい認識基準に関 2019年度期首
貸借対照表 する累積移行調整 貸借対照表
(百万ドル)
資産
1年以内回収予定顧客インセン
$ 340 $ 199 $ 539
ティブ
538 614 1,152
顧客インセンティブ
負債
2,834 241 3,075
顧客インセンティブ
1,160 6 1,166
未払費用
4,618 108 4,726
繰延税金負債
2,666 58 2,724
その他負債
資本
11,318 400 11,718
未処分利益
2016 年1月に、 FASB は ASU 第 2016-01 号を公表した。当該 ASU は、金融商品の認識、測定、表示および開示の
一部の側面を改訂している。この改訂には、特定の持分投資を公正価値で測定し、公正価値の変動を当期純
利益に計上する規定が含まれる。当社は、 2018 年 10 月1日付で、市場性のある持分証券については遡及的移
行に修正を加えた方法を用いて、また市場性のない持分証券については将来法を用いて当該基準を適用し
た。当社は市場性のない持分証券については、代替的な測定値を使用することを選択している。代替的な測
定値とは、同じ発行体の同一または類似する投資に係る観察可能な取引で変動を調整した取得原価から減損
を控除後の金額と定義される。当該基準の適用による連結財務諸表への重要な影響はなかった。
2016 年2月に、 FASB は ASU 第 2016-02 号を公表した。当該 ASU は、オペレーティング・リースによって生じた
リース資産およびリース負債を貸借対照表で認識することを義務付けている。その後、 FASB は、新しいリー
ス基準に関する一連の改訂も公表している。新しいリース基準では、利用可能な移行方法に対応しており、
貸手の費用および新しいリース基準のその他の側面に関するガイダンスを明確にしている。当社は、当該基
準を 2019 年 10 年1日より適用する予定であり、比較対象期間を修正再表示することなく、遡及的移行に修正
を加えた方法を用いて適用する予定である。当該基準の適用による連結財務諸表への重要な影響はないと予
想される。
2016 年 10 月に、 FASB は ASU 第 2016-16 号を公表した。当該 ASU は、企業に棚卸資産以外の資産のグループ内の
移転に関して、移転が発生した時点で税効果を認識するよう要求するものである。当社は、 2018 年 10 月1日
より当該基準を適用している。当該基準の適用による連結財務諸表への重要な影響はなかった。
2016 年 11 月に、 FASB は ASU 第 2016-18 号を公表した。当該 ASU は、キャッシュ・フロー計算書における期首お
よび期末の現金および現金同等物合計額を調整する際に、現金、現金同等物および一般に使途制限現金また
は使途制限現金同等物と記載される金額の合計を含めるよう要求するものである。当社は 2018 年 10 月1日よ
り当該基準を適用している。当該基準の適用により、連結キャッシュ・フロー計算書における米国訴訟エス
クロー口座に関する取引および顧客担保資産の表示に影響が生じた。過年度のキャッシュ・フロー計算書は
133/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
当該 ASU の影響を反映するよう遡及修正されており、当社の貸借対照表、損益計算書または包括利益計算書の
いずれの期間においても影響はなかった。
2017 年3月に、 FASB は ASU 第 2017-07 号を公表した。当該 ASU は、期間年金費用純額および期間退職後給付費
用純額の勤務費用部分を、他の従業員報酬費用と同一の勘定科目に表示し、その他の構成要素を営業外収益
(費用)に別個に表示するよう要求するものである。また、該当する場合、勤務費用部分のみが資産計上の
対象となる。損益計算書の表示の変更については遡及適用が義務付けられており、資産計上された給付費用
の変動については将来に向かって適用することが義務付けられている。当社は 2018 年 10 月1日より当該基準
を適用しており、当該基準の適用による連結財務諸表への重要な影響はなかった。期間年金費用純額および
期間退職後給付費用純額の勤務費用部分は人件費に表示され、その他の部分は当社の連結損益計算書のその
他営業外費用に表示されている。この影響は重要ではないため、当社は損益計算書の表示の変更に関して、
当該基準を遡及適用していない。
2017 年5月に、 FASB は ASU 第 2017-09 号を公表した。当該 ASU は、株式報酬契約の条件変更の会計処理の範囲
を修正している。具体的には、企業は、報酬の公正価値、権利確定条件および分類が条件変更の直前および
直後に同一である場合には、条件変更の会計処理を適用しないというものである。当社は 2018 年 10 月1日よ
り当該基準を適用している。当該基準の適用による連結財務諸表への重要な影響はなかった。
2017 年8月に、 FASB は ASU 第 2017-12 号を公表した。当該 ASU は、事業体のリスク管理活動の経済的な結果を
より適切に財務諸表に表示するようヘッジ手段の財務報告を改善している。ビザは 2019 年1月1日より当該
基準を早期適用しており、当該基準の適用による連結財務諸表への重要な影響はなかった。
2018 年2月に、 FASB は ASU 第 2018-02 号を公表した。当該 ASU は、一般に税制改革法(以下、「税法」とい
う。)として知られる米国税制改革法の成立による米国連邦法人税率の変更のため、当初その他包括利益に
計上された税効果の調整について、その他包括利益累計額から利益剰余金へ組み替えることを認めるもので
ある。当社は、 2019 年 10 月1日より当該基準を適用する予定である。当該基準の適用による連結財務諸表へ
の重要な影響はないと予想される。
2018 年3月に、 FASB は、職員会計公報第 118 号の SEC の解釈ガイダンスを U.S. GAAP に基づく法人所得税に関
する会計基準編纂書に盛り込むために、 ASU 第 2018-05 号を公表した。当該 ASU は、1年間の測定期間におい
て、税法による特定の法人所得税に関する影響について暫定的な金額を使用することを企業に認めるもので
ある。当社は過年度に、移行税および税法により適用された様々なその他の 税務規定の税務上の影響につい
て暫定的な金額を計上した。 ASU 第 2018-05 号で認められているとおり、当社は、 2018 年 12 月 31 日に終了した
3ヶ月において移行税およびこれらの各種税務規定の税務上の影響による会計上の影響の算定を完了した。
暫定的な金額の調整は重要ではなかった。また、当社は、米国外軽課税無形資産所得(以下、「 GILTI 」とい
う。)に対する税金の会計処理に関する会計方針をこれらの税金の対象となる期間に採用した。
2018 年8月に、 FASB は ASU 第 2018-15 号を公表した。当該 ASU は、サービス契約であるホスティング契約にお
いて発生する導入コストを資産化するための要件を、自社利用のソフトウェアの開発または取得のために発
生する導入コストを資産化するための要件と一致させている。当社は 2018 年 10 月1日より当該基準を早期適
用している。当該基準の適用による連結財務諸表への重要な影響はなかった。
注記2 取得
2019 年度に、当社は、合計購入対価 940 百万ドルで複数の事業を取得した。当該購入対価は、現金 886 百万
ドルおよび繰延現金対価 54 百万ドルで構成されていた。当社は評価を最終決定するために必要な情報を引き
続き収集しており、合計購入対価の配分は、取得した有形資産および無形資産ならびに引受負債の暫定評価
に基づいている。これらの暫定評価は、遅くても 2020 年度第4四半期までに最終決定されるまでの将来の報
告期間において、さらに変動する可能性がある。取得した純資産に対する購入対価の超過分を反映するた
め、 643 百万ドルののれんが計上された。これは、当社が提供する商品の拡大およびその他の相乗効果から期
待される価値を表している。税務上損金算入されると予想されるのれんは、総額 360 百万ドルである。
134/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
以下の表は、 2019 年度に取得した事業に関して、総額で、暫定的な購入価格 の配分を要約したものであ
る。
暫定的な購入価格の配分
(百万ドル)
取得した有形資産純額(引受負債)
$ 25
無形資産
319
のれん
643
(1)
$ 987
合計
(1)
取得した事業体において以前保有していた持分の公正価値 47 百万ドルを含む。
以下の表は、暫定的な購入価格の配分に基づいて、取得した識別可能無形資産を要約したものである。
取得日現在の
公正価値 加重平均耐用年数
(百万ドル) ( 年 )
開発されたテクノロジー
$ 70
▶
顧客関連資産
249
12
$ 319
合計
10
当該取得に関するプロフォーマ情報は、当社の財務成績への影響が重要でないため表示されていない。
2019 年度に発生した取引費用は重要ではないため当社の連結損益計算書に含まれている。
135/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
注記3 収益
新しい収益基準の影響
以下の表は、新しい収益基準による 2019 年9月 3 0 日に終了した事業年度の当社の連結損益計算書ならびに
2019 年9月 3 0 日現在の連結貸借対照表への影響を要約したものである。
2019年 9 月3 0 日に終了した 事業年度
新しい収益 従前の収益基準に
既報告 基準の影響 基づく業績
(百万ドル)
純収益
$ (3 52 )
$ 22 , 977 $ 22 , 62 5
営業費用
マーケティング費
1,105 ( 128 ) 977
専門家報酬
454 ( 19 ) 435
一般管理費
1,196 ( 33 ) 1,163
営業費用合計
7 , 976 ( 180 ) 7 , 796
営業利益
15 , 001 ( 172 ) 14 , 829
税引前利益
14 , 884 ( 172 ) 14 , 712
法人税等
2,804 ( 34 ) 2,770
当期純利益
12 , 080 ( 138 ) 11 , 942
2019年 9 月3 0 日 現在
新しい収益 従前の収益基準に
既報告 基準の影響 基づく業績
(百万ドル)
資産
1年以内回収予定顧客インセン
$ 741 $ ( 306 ) $ 435
ティブ
2 , 084
顧客インセンティブ ( 1,024 ) 1,060
負債
156 28 1 84
買掛金
3, 997 3, 499
顧客インセンティブ (4 98 )
1, 625 1, 571
未払費用 ( 54 )
4, 807 4, 666
繰延税金負債 (1 41 )
2, 93 9 2, 812
その他負債 ( 127 )
資本
1 3 , 502 12, 964
未処分利益 ( 538 )
136/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
収益の分解
当社の収益およびキャッシュ・フローの性質、金額、時期および不確実性ならびにそれらが経済的要因に
よってどのような影響を受けるかについては、当社の収益区分および地域別市場を通じて最も適切に描写さ
れている。以下の表は、 201 9 年、 2 018 年 および 201 7 年9月 3 0 日に終了した事業年度における当社の純収益を
収益区分別および地域別に表したものである。
9 月3 0 日 に終了した事業年度
2019年 201 8 年 201 7 年
(百万ドル)
$ 9 , 700 $ 8 , 918 $ 7 , 975
サービス収益
10 , 333 9 , 027 7 , 786
データ処理収益
7 , 804 7 , 211 6 , 321
国際取引収益
1,313 944 841
その他収益
( 6 , 173 ) ( 5 , 491 ) ( ▶ , 565 )
顧客インセンティブ
$ 22 , 977
$ 20 , 609 $ 18 , 358
純収益
9 月3 0 日 に終了した事業年度
2019年 201 8 年 201 7 年
(百万ドル)
$ 10 , 279 $ 9 , 332 $ 8 , 704
米国
12,698 11,277 9,654
米国以外
$ 22 , 977
$ 20 , 609 $ 18 , 358
純収益
注記4 現金、現金同等物、使途制限現金および使途制限現金同等物
当社は、連結キャッシュ・フロー計算書に表示された期首残高および期末残高に合計されている、連結貸
借対照表に計上された現金、現金同等物、使途制限現金および使途制限現金同等物を以下のとおり調整して
いる。
9 月3 0 日
2019年 201 8 年 201 7 年
(百万ドル)
$ 7, 838 $ 8,1 6 2 $ 9 , 874
現金および現金同等物
使途制限現金および使途制限現金同
等物:
1,205 1,491 1,031
米国訴訟エスクロー
1,648 1,324 1,106
顧客担保資産
1 41 - -
前払費用およびその他流動資産
現金、現金同等物、使途制限現金お
$ 10, 832 $ 10, 977 $ 1 2 , 011
よび使途制限現金同等物
137/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
注記5 米国およびヨーロッパの 遡及的責任計画
米国の 遡及的責任計画
当社は、特定の訴訟案件(以下、「米国の対象訴訟 案件」という。)を対象に、潜在的な債務に備えるた
めの複数の仕組みを構築した。これらの仕組みは米国の遡及的責任計画に含まれており、米国の訴訟エスク
ロー契約、当社のクラス B 普通株式の転換条項、ビザ USA の加盟金融機関の補償債務条項、インターチェンジ
訴訟損失分担契約、損失分担契約および包括契約(改訂版)より構成されている。
米国の対象訴訟案件は、和解済みの案件、そうでない場合は完全または実質的に解決済みの案件、ならび
に以下の訴訟より構成される。
・ インターチェンジ広域係属訴訟。ペイメント・カード・インターチェンジ手数料および加盟店割引に関
する反トラスト法訴訟について、 1:05-md-01720-JG-JO ( E.D.N.Y. )または MDL 1720 (現在 MDL 1720 に
含まれているすべての訴訟、および当社の新規株式公開前の期間に関する損害賠償請求で、広域訴訟司
法委員会により公判前手続の調整もしくは併合のために随時 MDL 1720 に移管された、または移管され
る、あるいは正当な司法権を有する裁判所により随時 MDL 1720 に含まれるその他の訴訟を含む)。
・ 上記の訴訟の再編成または成立に異議を唱える申立て。ただし、これらの申立てが、広域訴訟司法委員
会により公判前手続の調整もしくは併合のために随時 MDL 1720 に移管される、あるいは正当な司法権を
有する裁判所により随時 MDL 1720 に含まれることを条件とする。
・ MDL 1720 における、 2012 年の和解契約に従った集団訴訟の和解規定第 23(b)(3) からの離脱によって 2015
年 10 月 22 日以後に提訴された案件。 MDL 1720 で主張されている内容と実質的に同一の事実または状況に
よって生じたもので、かつ MDL 1720 に移管されないか、または移管されない場合、 MDL 1720 に含まれる
案件。注記 20 -法的事項を参照のこと。
米国の訴訟エスクロー契約 当社は米国の訴訟エスクロー契約に準拠して、エスクロー口座を保有してい
る。米国の対象訴訟案件に関する和解または判決確定による支払は当該エスクロー口座から行われる。エス
クロー口座の金額は、取締役会および当社の訴訟委員会によって決定され、すべての訴訟委員会メンバーは
特定のビザ USA の加盟金融機関の関連会社であるか、または代理である。エスクローの資金はマネーマーケッ
ト投資商品で運用され、連結貸借対照表上、利息収入(法人税を控除後)と共に使途制限現金として分類さ
れている。
138/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
以下の表は、使途制限現金同等物 - 米国の訴訟エスクロー口座の変動を表している。
2019 年 2018 年
(百万ドル)
期首残高
$ 1,491 $ 1,031
訴訟エスクロー口座への預託金
300 600
(1)
集団訴訟原告の和解基金に対する支払い
( 600 )
-
(1)
離脱加盟店に対する支払い およびエスクロー資金から生じ
(140)
る利息収入
14
$ 1,205 $ 1,491
期末残高
(1)
これらの支払いはインターチェンジ広域係属訴訟に関連している。注記 20 -法的事項を参照のこと。
米国の対象訴訟案件に関する費用は米国訴訟エスクロー勘定残高を上回るまたは下回る可能性がある。当
社は、 2019 年度および 2018 年度において米国の対象訴訟案件に関する追加的な費用それぞれ 370 百万ドルおよ
び 600 百万ドルを計上した。注記 20 - 法的事項を参照のこと。
転換条項 計画の条件に基づき、当社が米国の訴訟エスクロー口座に資金を拠出する場合、クラス B 普通株
式のクラス A 普通株式への転換比率が調整されることにより、クラス B 普通株式は希薄化される。このことは
希薄化後クラス A 普通株式の一株当たり利益において、転換後の当社のクラス A 普通株式を買戻すことと同様
の経済効果となるが、これはクラス B 普通株式の転換比率が低くなり、その結果転換後のクラス A 普通株式の
株式数が減少することによるものである。注記 1 ▶ -株主資本を参照のこと。
補償債務条項 米国の訴訟 エスクロー契約および計画におけるその他の契約のもとで利用可能な金額が、
米国の対象訴訟案件を完全に解決するための金額として不十分である場合、当社はその不足分につきビザ USA
の加盟金融機関に対して補償義務(ビザ USA の基本定款、付随定款および会員規約に従って、補償義務とする
ものを含むが、それに限定されるわけではない)を強制するなど商業上合理的な取り組みを行う。
インターチェンジ訴訟損失分担契約 ビザ USA およびビザ・インターナショナルは、インターチェンジ広域
係属訴訟の被告である特定のビザ USA の加盟金融機関との間でインターチェンジ訴訟損失分担契約を締結して
いる。当該訴訟については注記 20 -法的事項に記載されている。当該損失分担契約により、調印者であるビ
ザ USA の加盟金融機関は、確定賠償金額からマスターカード負担金額を除いた金額のうち、メンバーシップ負
担分を支払うこととなる。
損失分担契約 ビザはビザ USA 、ビザ・インターナショナルおよび特定のビザ USA の加盟金融機関との間で
損失分担契約を締結している。この損失分担契約は、ビザ USA 、ビザ・インターナショナルおよび特定の状況
下においてビザが行う補償について規定している。具体的には、以下の金額について補償を行う。 (i) イン
ターチェンジ訴訟損失分担契約の実施後に米国の対象訴訟案件に関してビザ USA またはビザ・インターナショ
ナルが支払った確定賠償金額、ならびにインターチェンジ訴訟損失分担契約調印者への払戻可能額。また
は、 ( ⅱ ) ビザ USA の基本定款に基づき、特定のビザ USA の加盟金融機関の投票により承認された米国の対象訴
訟案件の和解金額。当該損失分担契約の当事者である銀行が被る債務額は、ビザ USA 、ビザ・インターナショ
ナルまたはその他のインターチェンジ訴訟損失分担契約調印者が被る確定賠償金額、あるいは米国の対象訴
訟案件の承認された和解金額に該当銀行の当時のメンバーシップ持分比率(ビザ USA の基本定款に基づいて計
算される)を乗じた金額となる。
2015 年 10 月 22 日にビザは、損失分担契約(改訂)を締結した。当該改訂には、 MDL 1720 における集団訴訟
の和解規定第 23(b)(3) からの離脱によって、改定後に提訴された訴訟(米国の対象案件の範囲内で、 MDL
139/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
1720 で主張されている内容と実質的に同一の事実または状況によって生じたもので、かつ MDL 1720 に移管さ
れないか、または移管されない場合、 MDL 1720 に含まれるもの)が含まれる。同日にビザは、インターチェ
ン ジ訴訟損失分担契約および包括契約(それらの契約の範囲内にある訴訟を含む)(改訂)を締結した。
包括契約 ビザは、マスターカードおよび特定のビザ USA の加盟金融機関との間で、損失分担契約、イン
ターチェンジ訴訟損失分担契約およびインターチェンジ広域係属訴訟に関するその他の契約について、署名
者間の意図を確認し記録した包括契約を締結した。注記 20 -法的事項を参照のこと。包括契約に基づいて、
当該包括契約の対象となるインターチェンジ広域係属訴訟の和解金の負担分は、マスターカード負担分
33.3333 %とビザ負担分 66.6667 %に分割される。さらに、包括契約に基づき、ビザ関連訴訟の判決に係る部
分については、ビザ負担分として取り扱われる。ビザは、包括契約に基づき、マスターカード関連訴訟の判
決に係る部分については、負債を有しておらず、判決がビザ関連訴訟またはマスターカード関連訴訟に係る
ものでない場合、マスターカード負担分 33.3333 %とビザ負担分 66.6667 %に分割されることとなる。包括契
約に係る和解または判決のビザ負担分は、当社の米国の遡及的責任計画の特別条項に従って割り当てられ
る。連結損益計算書の訴訟引当金は、包括契約の実行による影響を受けなかった。
2014 年8月 26 日に、ビザは、包括契約(改訂)を締結した。当該包括契約(改訂)は、インターチェンジ
広域係属訴訟における離脱訴訟の特定の和解(包括契約の和解分担条項)に適用可能である。この取決めに
従って、包括契約の対象となるインターチェンジ広域係属訴訟の和解金の負担分は、マスターカード負担分
33.3333 %とビザ負担分 66.6667 %に分割される。当該包括契約(改訂)はまた、集団和解契約の終了時にお
ける分担についても規定しており、ビザおよびマスターカードは、相互に合意できる取決めを締結した。そ
うすることによって、(ⅰ)和解契約終了の結果として被告に支払われた合計額と(ⅱ)以前に被告に支
払った一時金の合計額うち、ビザは3分の2、マスターカードは3分の1を受領することとなる。
ヨーロッパの遡及的責任計画
英国の損失分担契約 -当社は、ビザ・ヨーロッパおよび英国に所在するビザ・ヨーロッパの加盟金融機関
の一部(以下、「英国 LSA メンバー」という。)と損失分担契約を締結している。これは、各英国 LSA メン
バーの一部の合意(共同ではない)により締結された。合意は、ビザ・ヨーロッパの取得の完了(以下、
「クロージング」という。)前に英国内における多国籍インターチェンジ手数料のレート設定に関する既存
および潜在的な訴訟の一部により、当社、ビザ・ヨーロッパあるいはその関係会社に発生した損失の一部を
補償することを目的としたものである。補償には条件があり英国 LSA の各メンバーが受領する補償一時金には
上限がある。英国の損失分担契約に基づく英国 LSA メンバーの義務は、特に以下のいずれかを条件としてい
る。 (a) 英国の対象請求案件において生じた損失は、 2016 年6月 21 日において 1.0 十億ユーロを超過する損失
を英ポンドで評価する(また、それに従って UK&I 優先株式の転換比率を引き下げる)、または (b) ビザ・ヨー
ロッパ域内で設定された多国籍インターチェンジ手数料のレートに関する申立てにより生じた損失に従って
UK&I 優先株式の転換比率をゼロまで削減する。
訴訟取扱契約 -当社は、ビザ・ヨーロッパと訴訟取扱契約を締結している。訴訟取扱契約は、 VE 域内の対
象訴訟案件、当該訴訟案件によって生じた損失(以下、「 VE 域内のカバード・ロス」という。)の UK&I 優先
株式とヨーロッパ優先株式との間の割当て、ならびに UK&I 優先株式およびヨーロッパ優先株式の転換の前倒
しまたは転換比率の引き下げの取り扱いに関する契約を規定している。当該訴訟取扱契約は、 VE 域内の対象
訴訟案件(ならびに結果として生じた損失および負債)のみに対して適用される。訴訟取扱契約は、 VE 域内
の対象訴訟管理委員会(以下、「 VE 域内訴訟管理委員会」という。)への報告および協議といった一定の義
務を条件として、当社が通常、 VE 域内の対象訴訟案件の進捗を管理することを規定している。特定のビザ・
ヨーロッパ加盟金融機関の代表で構成される VE 域内訴訟管理委員会もまた、 VE 域内の対象訴訟案件に関する
特定の重要な意思決定を承認するための同意権が付与されている。
140/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
当社は、 UK&I およびヨーロッパ優先株式、英国の損失分担契約、ならびに訴訟取扱契約を通じて、 VE 域内
のカバード・ロスに関する一定のプロテクション(以下、「ヨーロッパの遡及的責任計画」という。)を取
り付けている。 当該計画は、対象期間(概ねクロージング前の期間を指す)に関連した VE 域内の対象訴訟案
件 (ならびに結果として生じる負債および損失)をカバーするものである。カード発行者がビザ・ヨーロッ
パ域外に所在しており、加盟店はビザ・ヨーロッパ域内に所在する多国籍インターチェンジ手数料に関する
申立てから生じた負債の場合、当該計画によるビザの保護は、更に負債の 70 %までに制限されている。当該
計画は、ヨーロッパにおけるあらゆる種類の訴訟または競争法の執行手続きにおいて 課される 救済あるいは
罰金から 当社を保護するものではなく、当該計画の条件の対象となっているインターチェンジ訴訟に限定さ
れる。
ヨーロッパの遡及的責任計画は、米国の遡及的責任計画とは異なり、和解や判決確定の資金に用いられる
エスクロー口座を有していない。当社は、 UK&I およびヨーロッパ優先株式に適用する クラス A 普通株式の転換
比率に対する定期的な調整を通じて、 VE 域内のカバード・ロスを回収する権限を与えられている。ヨーロッ
パの遡及的責任計画の優先株式の構成要素を通じて利用可能なプロテクションの合計金額は、以下に基づ
き、随時算定可能な優先株式の転換後の価値に等しい。 (a) 優先株式の発行済株式数、 (b) 優先株式の各クラ
スに適用される現在の転換比率、および (c) ビザのクラス A 普通株式の株価。この金額は、当社の連結貸借対
照表の株主持分に計上された優先株式の価値とは異なる。当該優先株式の帳簿価額は、クロージング時に計
上された歴史的な価値から、適用される転換比率の引き下げを通じて回収された VE 域内のカバード・ロスを
控除した金額を反映している。当該帳簿価額は、基礎となるクラス A 普通株式のクロージング後の株価変動を
反映していない。
ビザ・インクの純利益は、優先株式の転換後の価値が、カバード・ロスを上回る限り、 VE 域内のカバー
ド・ロスによる影響を受けない。 VE 域内のカバード・ロスは、その損失が発生する可能性が高く、合理的な
見積りが可能であるとみなされた場合に計上され、弁護士報酬については発生時に計上される。それと同時
に当社は、株主持分の減少を計上する。これは、優先株式に適用される転換比率に対する調整を通じて、そ
れらの損失を回収するための当社の権利を表すものである。株主持分に対する減少は、「カバード・ロスを
回収する権利」と呼ばれる対照勘定に計上される。
VE 域内のカバード・ロスは、転換比率に対する調整が適用される前に計上される可能性がある。転換比率
に対する調整は、6ヶ月毎に実施されるが、単独で 20 百万ユーロを超えるような個別の損失が発生した場合
は、6ヶ月の制限は適用されない。転換比率に対する調整が行われる場合、対照勘定である「カバード・ロ
スを回収する権利」に計上されていた金額は、株主持分の優先株式の帳簿価額に振り替えられる。
201 9 年9月 30 日に終了した事業年度において、当社は、 UK&I 優先株式およびヨーロッパ優先株式に適用す
る クラス A 普通株式の転換比率に対する調整を通じて、 VE 域内のカバード・ロスを8百万ドル計上した。 UK&I
優先株式およびヨーロッパ優先株式に適用した 転換比率 は、 2018 年9月 30 日現在の それぞれ 1 2 . 955 および
13. 888 から、 2019 年9月 30 日現在においてそれぞれ 12.936 および 13.884 に調整された。
以下の表は、 201 9 年9月 3 0 日に終了した事業年度における優先株式の VE 域内のカバード・ロスおよび資本
の「カバード・ロスを回収する権利」に関連する活動を示したものである。 VE 域内で発生したカバード・ロ
スは加盟店との和解および追加的な訴訟費用を反映している。 注記 20 - 法的事項を参照のこと。
優先株式
カバード・ロスを回
UK&I ヨーロッパ 収する権利
(百万ドル)
$ 2,291 $ 3,179 $ (7)
201 8 年9月30日現在残高
VE域内で発生したカバード・
- - (1 72 )
ロス
( 6 ) (2) 8
転換比率の調整を通じた回収
$ 2,2 85 $ 3,1 77 $ ( 1 7 1 )
201 9 年9月30日現在残高
141/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(1)
以下の表 は、 VE 域内のカバード・ロスを回収するために利用可能な優先株式の転換後の価値と 2019 年お
よび 201 8 年9月 30 日現在の当社の連結貸借対照表の株主持分に計上された優先株式の帳簿価額との比較を示
し たものである。
201 9 年9月 30 日現在 201 8 年9月 30 日現在
優先株式の 優先株式の
転換後の 転換後の
優先株式の 優先株式の
(2) (3)
価値 帳簿価額 価値 帳簿価額
(百万ドル)
UK&I 優先株式
$ 5,519 $ 2,285 $ 4,823 $ 2,291
ヨーロッパ優先株式
7,539 3,177 6,580 3,179
合計
13,058 5,462 11,403 5,470
控除:カバード・ロスを回収
する権利
(171) (171) (7) (7)
カバード・ロスの回収に利用可
$ 12,887 $ 5,291 $ 11,396 $ 5,463
能な金額合計
(1)
上表の数値は四捨五入されているため、再計算が完全には一致しないことがある。転換後の価値および帳簿価
額は、四捨五入前の数値に基づいている。
(2) 優先株式の転換後の価値は、以下の積算である。 (a) 2019 年9月 30 日現在の UK&I 優先株式およびヨーロッパ優
先株式の発行済株式数、それぞれ2百万株および3百万株、 (b) 2019 年9月 30 日現在の発行済 UK&I 優先株式お
よびヨーロッパ優先株式に適用されるクラス A 普通株式転換比率それぞれ 12.936 および 13.884 、ならびに (c)
2019 年9月 30 日現在のビザのクラス A 普通株式の株価の終値 172.01 ドル。一株当たり利益は、四捨五入前の数
値に基づいて計算されている。
(3) 優先株式の転換後の価値は、以下の積算である。 (a) 2018 年9月 30 日現在の UK&I 優先株式およびヨーロッパ優
先株式の発行済株式数、それぞれ2百万株および3百万株、 (b) 2018 年9月 30 日現在の発行済 UK&I 優先株式お
よびヨーロッパ優先株式に適用されるクラス A 普通株式転換比率それぞれ 12.955 および 13.888 、ならびに (c)
2018 年9月 30 日現在のビザのクラス A 普通株式の株価の終値 150.09 ドル。一株当たり利益は、四捨五入前の数
値に基づいて計算されている。
注記6 公正価値の測定および投資
公正価値の測定
当社は、特定の資産および負債を公正価値で測定している。注記1-重要な会計方針の要約を参照のこ
と。
継続的に公正価値で測定される資産および負債
9月 30 日現在の公正価値測定
以下のレベルのインプットを使用
レベル1 レベル2
2019 年 2018 年 2019 年 2018 年
(百万ドル)
資産
現金同等物および使途制限現金:
$ 6,494 $ 6,252
マネーマーケット・ファンド
$ 150 $ 1,048
米国政府系負債証券
投資有価証券:
126 113
市場性のある持分証券
米国政府系負債証券 5,592 5,008
米国債 675 2,508
その他流動および非流動資産:
437 78
デリバティブ商品
142/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
$ 7,295 $ 8,873 $ 6,179 $ 6,134
合計
負債
未払報酬および給付:
$ 113 $ 96
繰延報酬負債
未払費用およびその他負債:
$ 52 $ 22
デリバティブ商品
$ 113 $ 96 $ 52 $ 22
合計
201 9 年度にレベル1資産とレベル2資産の振替はなかった。
レベル1資産および負債 マネーマーケット・ファンド、市場性のある持分証券および米国債は、公正価
値が活発な市場における相場価格に基づいているため、公正価値階層のレベル1に分類される。当社の繰延
報酬負債は、繰延報酬制度の下で保有される市場性のある持分証券に基づき、公正価値で測定される。
レベル2資産および負債 米国政府系負債証券の公正価値は、第三者の価格決定サービス機関から提供さ
れる活発な市場における類似資産(同一資産ではない)の相場価格に基づいている。外部機関から入手した
価格データは社内で妥当性について見直され、独立した価格情報機関によるベンチマーク価格と比較の上、
適宜確認または修正される。デリバティブ商品は市場で観察可能なインプット、あるいは観察可能な市場
データによって主に算出されるか裏付けられているインプットを用いて評価されている。 2019 年度におい
て、公正価値の測定に用いられた評価手法および関連するインプットの大幅な変更はなかった。
米国政府系負債証券および米国債 当社は、米国政府系負債証券および米国債を売却可能として分類して
いる。 売却可能投資有価証券の償却原価、未実現利益および損失ならびに公正価値は以下のとおりである。
2019 年9月 30 日 2018 年9月 30 日
未実現(総額) 未実現(総額)
償却 公正 償却 公正
原価 利益 損失 価値 原価 利益 損失 価値
(百万ドル) (百万ドル)
$ 5,590 $ 4 $ (2) $ 5,016 $ - $ (8)
$5,592 $5,008
米国政府系負債証券
672 3 - 675 2,516 - (8) 2,508
米国債
$ 6,262 $ 7 $ (2) $ 7,532 $ - $ (16)
$6,267 $7,516
合計
控除 : 1年以内に期限が
(4,110) (3,434)
到来するもの
$2,157 $4,082
長期 負債 証券
負債証券は以下のとおり額面上の償還期日ごとに表示されている。これらの投資の一部( 2 . 2 十億ドル )は
満期日が貸借対照表日から1年超であるため、非流動資産に分類されている。ただし、当該投資は、通常、
短期の流動性のニーズを満たすために利用可能である。
公正価値
(百万ドル)
2019 年9月 30 日 :
1年以内
$ 4,110
1年超5年以内
2,157
$ 6,267
合計
非継続的に公正価値で測定される資産
143/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
市場性のない持分証券 当社の市場性のない持分証券は、容易に決定可能な市場価格のない株式非公開企
業に対する投資である。 これらの投資はレベル3に分類されるが、これは市場価格が存在しないため、流動
性が欠如しており、公正価値の測定には観察不能なインプットが用いられることから、経営者の判断が求め
ら れるためである。
以下の表は、 ASU 第 2016-01 号の適用以降の未実現損益を含む、 2019 年9月 30 日現在において保有している
当社の市場性のない持分証券の帳簿価額総額 を要約したものである。
2019 年9月 30 日に
終了した事業年度
(百万ドル)
期首帳簿価額
$ 137
市場性のない持分証券に関連した調整:
(1)
475
正味 増加 額(控除額)
上方調整
110
(2)
(4)
下方調整
$ 718
期末帳簿価額
(1)
正味控除額には、投資が公開企業となったことによる市場性のある持分証券への移行が含まれ
る。
(2) 2019 年度、 2018 年度および 2017 年度において、市場性のない持分証券の重要な減損費用はなかっ
た。
非金融資産および負債 のれん、耐用年数が確定できない無形資産、耐用年数が有限である無形資産なら
びに不動産、設備およびテクノロジーなどの長期性資産は非金融資産とみなされる。当社には非継続的に公
正価値で測定される非金融負債はない。耐用年数が有限である無形資産は、主に顧客関連資産、商標および
再販業者関連資産より構成され、これらはすべて買収によって取得されたものである。注記8-無形資産お
よびのれんを参照のこと。
当社は、のれんおよび耐用年数が確定できない無形資産の減損テストに際して定量的評価を実施すること
が要求された場合、通常、インカム・アプローチを使用して公正価値の見積りを行う。これらの資産を非継
続的に測定する際に使用する仮定は、内部および外部の情報を用いた経営陣の判断に基づいているため、こ
れらの公正価値の決定は公正価値階層のレベル3に分類される。当社は耐用年数が確定できない無形資産お
よびのれんについて、 201 9 年2月1日に年次の減損レビューを完了し、同日現在で減損は存在しないと結論
づけた。 201 9 年9月 30 日現在において、減損の兆候を示す事象または状況の変化は存在していない。注記1
-重要な会計方針の要約を参照のこと。
投資運用益
投資運用益は、当社の連結損益計算書の営業外収益に計上されており、その内訳は以下のとおりである。
9月 30 日に終了した事業年度
2019 年 2018 年 2017 年
(百万ドル)
現金および投資に係る受取利息および受取配当金 $ 247 $ 173 $ 92
(1)
1 -
負債証券に係る実現利益(損失)、純額
持分証券:
未実現利益(損失)、純額 117 2 6
寄付による実現利益(損失)、純額 - 193 -
18 102 8
実現利益(損失)、純額
$ 383 $ 470 $ 105
投資運用益
その他の公正価値に関する開示
144/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
長期債務 負債証券は、当社の連結貸借対照表において償却原価で測定されている。負債証券の公正価値
は、第三者の価格決定サービス機関から提供される活発な市場における類似資産(同一資産ではない)の相
場価格に基づいている。外部機関から入手した価格データは社内で妥当性について見直され、独立した価格
情報機関によるベンチマーク価格と比較の上、適宜確認または修正される。これらの金融商品は、財務諸表
上に公正価値で測定された場合、公正価値階層のレベル2に分類される。 2019 年9月 30 日現在、 長期債務の
帳簿価額および見積公正価値はそれぞれ 16.7 十億ドルおよび 18.4 十億ドルであった 。 2018 年9月 30 日現在、
長期債務の帳簿価額および見積公正価値は共に 16.6 十億ドルであった 。
公正価値で測定されないその他の金融商品
未収および未払決済金、売掛金ならびに顧客担保といった金融商品は、 201 9 年9月 30 日現在の当社の連結
貸借対照表において公正価値で測定されていないが、公正価値の開示が求められる。これらの商品は通常満
期までの残存期間が短いため、 201 9 年9月 30 日現在の当該商品の見積公正価値は帳簿価額に近似している。
これらの金融商品は、財務諸表において公正価値で測定されている場合、公正価値階層のレベル2に分類さ
れることとなる。
注記7 不動産、設備およびテクノロジー(純額)
不動産、設備およびテクノロジー(純額)の内訳は以下のとおりである。
2019 年 2018 年
9月 30 日 9月 30 日
( 百万ドル )
土地 $ 71 $ 69
建物および建物付属設備 965 898
器具備品および賃借物件改良費 1, 913 1, 661
建設仮勘定 180 153
3 , 441 2 , 916
テクノロジー
不動産、設備およびテクノロジー合計 6 , 570 5 , 697
(3, 875 ) (3, 225 )
減価償却費および償却費累計額
$ 2,695 $ 2,472
不動産、設備およびテクノロジー(純額)
テクノロジーは購入ソフトウェアと社内開発ソフトウェアの双方から構成される。社内開発ソフトウェア
は主にビザネット電子決済ネットワークで使用されているソフトウェアである。 201 9 年および 201 8 年9月 30
日現在におけるテクノロジーに対する償却累計額は、それぞれ 2.3 十億ドルおよび 1. 9 十億ドルであった。
145/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
201 9 年9月 30 日現在、テクノロジーの予想将来償却費は以下のとおりである。
9月 30 日に終了する事業年度
2025 年
2020 年 2021 年 2022 年 2023 年 2024 年 以降 合計
( 百万ドル )
予想将来償却費 $ 355 $ 297 $ 226 $ 145 $ 70 $ 24 $ 1,117
201 9 年度、 201 8 年度および 201 7 年度における不動産、設備およびテクノロジーの減価償却費および償却費
は、それぞれ 596 百万ドル、 558 百万ドルおよび 500 百万ドルであった。これらの金額には 201 9 年度、 201 8 年
度および 201 7 年度におけるテクノロジーに対する償却費が含まれており、それぞれ 357 百万ドル、 312 百万ド
ルおよび 285 百万ドルであった。
注記8 無形資産およびのれん
耐用年数が確定できない無形資産および耐用年数が有限である無形資産の内訳は、以下のとおりである。
2019 年9月 30 日 2018 年9月 30 日
償却 償却
総額 累計額 純額 総額 累計額 純額
(百万ドル)
耐用年数が有限である
無形資産
$ (314) $ (274)
$ 701 $ 387 $ 452 $ 178
顧客関連資産
(120) (106)
199 79 199 93
商標権
(86) (82)
95 9 95 13
再販業者関連資産
(13) (11)
17 ▶ 17 6
その他
耐用年数が有限である
1,012 (533) 479 763 (473) 290
無形資産合計
耐用年数が確定できない
無形資産
顧客関連資産および再
22,217 - 22,217 23,184 - 23,184
取得した権利
4,084 - 4,084 4,084 - 4,084
ビザの商標権
耐用年数が確定できない
26,301 - 26,301 27,268 - 27,268
無形資産合計
$ (533) $ (473)
$ 27,313 $ 26,780 $ 28,031 $ 27,558
無形資産合計
201 9 年度、 201 8 年度および 201 7 年度における耐用年数が有限である無形資産に関する償却費は、それぞれ
60 百万ドル、 55 百万ドルおよび 56 百万ドルであった。 201 9 年9月 30 日現在、耐用年数が有限である無形資産
の予想将来償却費は以下のとおりである。
9月 30 日に終了する事業年度
2020 年 2021 年 2022 年 2023 年 2024 年 それ以降 合計
( 百万ドル )
$ 51 $ 49 $ 146
予想将来償却費 $ 79 $ 79 $ 73 $ 477
2019 年および 2018 年9月 30 日に終了した事業年度におけるのれんの変動は以下のとおりである。
2019 年 2018 年
9月 30 日 9月 30 日
( 百万ドル )
のれん - 期首
$ 15,194 $ 15,110
146/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
2019 年 2018 年
9月 30 日 9月 30 日
( 百万ドル )
取得によるのれん(調整額控除後) 643 130
(181) (46)
為替換算
$ 15,656 $ 15,194
のれん - 期末
当事業年度の取得に 関する追加情報については、注記2 -取得 を参照のこと。
201 9 年度、 201 8 年度または 201 7 年度において、当社の耐用年数が有限である無形資産または耐用年数が確
定できない無形資産(のれんを含む)に関する減損はなかった。
注記9 借入金
当社の債務残高は、以下のとおりである。
(1)
2019 年9月 30 日 2018 年9月 30 日 実効金利
(百万ドル)
2020 年 1 2 月 に満期が到来する 2.20 %の上位債 $ 3,000 $ 3,000
2.30%
2022 年9月に満期が到来する 2.15 %の上位債 1,000 1,000 2.30%
2022 年 12 月に満期が到来する 2.80 %の上位債 2,250 2,250 2.89%
2025 年 12 月 に満期が到来する 3.15 %の上位債 4,000 4,000 3.26%
2027 年9月に満期が到来する 2.75 %の上位債 750 750 2.91%
2035 年 12 月 に満期が到来する 4.15 %の上位債 1,500 1,500 4.23%
2045 年 12 月 に満期が到来する 4.30 %の上位債 3,500 3,500 4.37%
2047 年9月に満期が到来する 3.65 %の上位債 750 750 3.73%
$ 1 6,750 $ 1 6,750
上位債合 計
(108) (120)
未償却割引額および債券発行費用
(2)
8 7 -
ヘッジ会計に関する公正価値調整
長期負債合計
$ 1 6, 729 $ 1 6,630
( 1)
開示されている実効金利は、ヘッジ会計に関する調整を反映していない。
(2) 発行済上位債の一部に関して締結された金利スワップ契約の公正価値の変動を表す。注記1-重要な会計方
針の要約および注記 12 -デリバティブおよび非デリバティブ金融商品を参照のこと。
上位債
当社の発行済上位債(以下、総称して「上位債」という。)は同順位の無担保上位債務であり、かつ、当
社の既存および将来の無担保および非劣後債とも同順位である。これらの上位債は、当社のいかなる資産も
担保にしておらず、当社のいずれの子会社の保証も受けていない。 2019 年9月 30 日現在、当社は 関連するす
べての誓約条項を遵守していた。これらの上位債の各シリーズは、特定の償還価格でその全部または一部を
当社の選択によりいつでも償還可能である。
147/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
2019 年9月 30 日現在、当社の債務残高に係る将来の元本支払いは以下のとおりである。
9月 30 日に終了する 事業 年度
2020年 2021年 2022年 2023年 202 ▶ 年 それ 以降 合計
(百万ドル)
$ - $ 3,000 $ 1,000 $ 2 ,250 $ - $ 1 0 , 500
$1 6 , 750
将来の元本支払い
コマーシャル・ペーパー・プログラム
ビザは運転資金を調達するために、またその他の一般事業目的で、コマーシャル・ペーパー・プログラム
を活用している。当該プログラムに基づき、当社は最高 3.0 十億ドルの未決済手形を発行することが認められ
ており、その償還期間は発行日から最長 397 日である。 2019 年および 2018 年9月 30 日現在で当該プログラムに
よって発行された債務の残高はない。
信用枠
2019 年7月 25 日、当社は、 2024 年7月 25 日に終了する 5.0 十億ドルの5年無担保リボルビング信用枠(以
下、「信用枠」という。)の改定および修正信用契約を締結した。この信用枠はもはや財務制限条項による
制限を受けない。この信用枠は、一般的な事業目的のために決済カードの決済プロセスの完全性を確保する
ために維持される。 信用枠における借入金の金利はロンドン銀行間取引金利または代替的な基準金利で請求
されるが、それぞれのケースにおいて当社のシニア無担保長期債券に対する信用格付けに基づいて変動する
マージンが上乗せされる。当社は、適用される当社の信用格付けに基づいて変動するコミットメント手数料
を支払うことに同意している。当社は、 2019 年および 2018 年9月 30 日現在、信用枠に基づく借入残高はな
い。
注記 10 年金およびその他の退職後給付
当社は各種の適格および非適格確定給付型年金制度およびその他の退職後給付制度を採用しており、当該
制度によって米国に居住しているすべての適格従業員に対して退職給付および医療給付を支給している。当
社はまた、米国外の特定の地域で、米国外在住の従業員に対して給付を支給するその他の年金給付制度も採
用している。
以下に示す開示には、米国の年金制度およびビザ・ヨーロッパの制度のみで構成される米国外の年金制度
が含まれている。その他の米国の退職後給付制度およびその他の米国外の年金給付制度に関する開示は、そ
れらの制度が個別および総額のいずれにおいても重要ではないため、含まれていない。当社は、年金および
その他の退職後給付制度について、9月 30 日の測定日を使用している。
確定給付型年金制度 米国の確定給付型年金制度に基づく年金給付は、キャッシュバランス方式に基づいて
稼得されていた。キャッシュバランス方式では適格報酬の6%に相当する額に 30 年物米国債の利息が加算さ
れた金額が計上されていた。 2015 年 10 月に当社の取締役会は、 2015 年 12 月 31 日より後の事業主による保証を
取りやめることを規定した米国の適格確定給付型年金制度の改訂を承認した。制度加入者は、制度凍結時の
残高に対して、引き続き利息を稼得することになる。
米国の年金給付に関する積立方針は、毎年、 ERISA により要求されている最低拠出金額以上を拠出すること
としている。
ビザ・ヨーロッパの制度における退職給付は、制度加入者の最終の年金対象給与に基づいて支給されてい
るが、新規加入は現在中止されている。ただし、現加入者に対する将来給付は継続される。積立方針は、英
148/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
国の年金制度の受託会社と合意した適切な積立要件に従って拠出することである。追加積立額については、
英国の年金制度の受託会社と合意される場合がある。
制度内容の概要
年金給付債務、制度資産、積立状況および当社の連結貸借対照表上で認識されている金額の調整:
米国の制度 米国外の制度
9月 30 日 9月 30 日
201 9 年 201 8 年 201 9 年 201 8 年
(百万ドル)
年金給付債務の変動:
$ 452 $ 433
給付債務-期首 $ 844 $ 913
▶ ▶
勤務費用 - -
13 12
利息費用 32 32
年金数理損失 (利益) 109 24
95 (38)
( 22 ) (9)
給付額 (52) (63)
制度の改訂 - - 1 -
( 29 ) (12)
- -
為替レートの変動
$ 528 $ 452
$ 919 $ 844
給付債務-期末
$ 528 $ 452
$ 919 $ 844
累積給付債務
制度資産の変動:
$ 1,090 $ 1,074 $ 436 $ 433
制度資産の公正価値-期首
制度資産の実際収益 52 78 93 13
事業主拠出金 - 1 10 11
( 22 ) (9)
給付額 (52) (63)
( 27 ) (12)
- -
為替レートの変動
$ 1,090 $ 1,090 $ 490 $ 436
制度資産の公正価値-期末
$ ( 38 ) $ (16)
$ 171 $ 246
積立状況-期末
連結貸借対照表上で認識:
$ 178 $ 252 $ - $ -
非流動資産
流動負債 (1) (1) - (10)
( 38 ) (6)
(6) (5)
非流動負債
$ ( 38 ) $ (16)
$ 171 $ 246
積立状況-期末
149/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
累積その他包括利益(税引前)に認識されている金額:
米国の制度 米国外の制度
9月 30 日 9月 30 日
201 9 年 201 8 年 201 9 年 201 8 年
(百万ドル)
$ 154 $ 47 $ 70 $ 39
正味年金数理損失
制度資産に対する給付債務の超過分:
米国の制度 米国外の制度
9月 30 日 9月 30 日
201 9 年 201 8 年 201 9 年 201 8 年
(百万ドル)
制度資産に対する累積給付債務の超過分
$ (7) $ (6) $ (528) $ (452)
累積給付債務-期末
$ - $ - $ 490 $ 436
制度資産の公正価値-期末
制度資産に対する予測給付債務の超過分
$ (7) $ (6) $ (528) $ (452)
給付債務-期末
$ - $ - $ 490 $ 436
制度資産の公正価値-期末
年金給付の正味期間費用:
米国の制度 米国外の制度
9月 30 日に終了した事業年度
201 9 年 201 8 年 201 7 年 201 9 年 201 8 年 201 7 年
(百万ドル)
$ - $ - $ - $ ▶ $ ▶ $ 6
勤務費用
利息費用 32 32 36 13 12 11
制度資産の期待収益 (71) (70) (70) (18) (20) (16)
年金数理損失の償却額 - - 15 - - 2
7 3 15 - - -
清算損失
$ (32) $ (35) $ (4) $ (1) $ (4) $ 3
正味期間給付費用合計
150/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
その他包括利益に認識されている制度資産および給付債務におけるその他の変動:
米国の制度 米国外の制度
9月 30 日に終了した事業年度
201 9 年 201 8 年 201 7 年 201 9 年 201 8 年 201 7 年
(百万ドル)
$ 114 $ (47) $ (113) $ 27 $ 30 $ (53)
当期年金数理損失(利益)
年金数理(損失)利益の償却額 (7) (3) (30) - - (2)
- - - 1 - -
当期過去勤務費用
その他包括利益に認識された金
$ 107 $ (50) $ (143) $ 28 $ 30 $ (55)
額合計
正味期間給付費用およびその他包
$ 75 $ (85) $ (147) $ 27 $ 26 $ (52)
括利益に認識された金額合計
加重平均された年金数理上の仮定:
米国の制度 米国外の制度
9月 30 日に終了した事業年度
201 9 年 201 8 年 201 7 年 201 9 年 201 8 年 201 7 年
(1)
給付債務の割引率
年金 3.26% 4.23% 3.84% 1.80% 2.90% 2.70%
正味期間給付費用の 割引率
年金 4.23% 3.84% 3.62% 2.90% 2.70% 2.40%
(2)
7.00% 7.00% 7.00% 3.00% 4.25% 4.50%
制度資産の長期期待収益率
(3)
昇給率 :
給付債務 該当なし 該当なし 該当なし 2.50% 3.20% 3.20%
正味期間給付費用 該当なし 該当なし 該当なし 2.50% 3.20% 3.20%
(1) キャッシュ・フロー・マッチング分析に基づいて導き出された単一の加重平均割引率を表しており、予想給付
支払額は、高格付けの社債の利回りカーブから得られる直物レートとマッチングさせている。
(2) 主として目標配分率に基づき、かつ以下のような要素を考慮して妥当性を評価する。(ⅰ)制度資産の実際収
益、(ⅱ)制度資産ポートフォリオ中の様々な資産クラスごとの過去の収益率、 ( ⅲ ) 様々な資産クラスごとの
収益予測、および(ⅳ)現在および将来の資本市場の状況ならびに経済予測。
(3) 2015 年 10 月に米国の適格確定給付型年金制度の改訂( 2015 年 12 月 31 日以降、事業主の給付の計上を中止すると
いうもの)が行われたため、この基礎率は、米国の制度には適用されない。
年金制度資産
年金制度資産は長期的な観点から、年金制度期間にわたり制度加入者に対する給付支払いを確保するため
に十分な資産水準を保つように管理されている。年金制度資産は外部の投資マネージャーにより管理されて
いる。投資マネージャーの成果は四半期ごとに各資産クラスのベンチマークに対して測定される。また、独
立コンサルタントが、投資マネージャーの選定および投資成果の評価に関して経営陣を支援している。
年金制度資産は適切なリスク水準を維持し、給付を支払うための十分な流動性が得られるよう広く分散投
資されている。当社は、通常、投資戦略および配分率が目標配分率の範囲と整合するように必要に応じて年
金制度資産の評価および見直しを行っている。米国の年金制度資産に関する当社の投資戦略は以下のとおり
である。持分証券が 50 %から 80 %、確定利付証券が 25 %から 35 %、その他(主として近い将来予想される給
付の支払いおよび費用を賄うための現金同等物より構成される)は7%を上限としている。 201 9 年9月 30 日
現在、米国の年金制度資産のこれらのカテゴリー別の配分率は、それぞれ 65 %、 33 %および2%であり、こ
れら数値は目標配分率の範囲内となっている。
151/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
米国外の年金制度資産に関する当社の投資戦略は以下のとおりである。持分証券が 15 %、利息およびイン
フレヘッジ資産が 40 %、その他(現金および現金同等物、 社債およびアセット・バック証券 、マルチアセッ
ト・ ファンドならびに不動産で構成される)が 45 %である。 201 9 年9月 30 日現在、米国外の年金制度資産の
これらのカテゴリー別の配分率は、それぞれ 1 ▶ %、 ▶ 8 %および 38 %であり、概ね目標配分率に一致してい
た。
以下の表は、 201 9 年および 201 8 年9月 30 日現在の公正価値で計上された年金制度の投資額について、公正
価値階層のレベル別に説明したものであり、9月末現在で未決済となっていた取引の影響を含んでいる。
米国の制度
9月 30 日現在の公正価値測定
以下のレベルのインプットを使用
レベル1 レベル2 レベル3 合計
2019 年 2018 年 2019 年 2018 年 2019 年 2018 年 2019 年 2018 年
( 百万ドル )
$ 18 $ 65 $ 18 $ 65
現金同等物
$ 580 $ 571
集団投資ファンド 580 571
社債 188 187 188 187
米国政府系負債証券 35 30 35 30
米国債 99 62 99 62
$ 37 $ 34
アセット・バック証券 37 34
133 141 133 141
持分証券
$ 250 $ 268 $ 803 $ 788 $ 37 $ 34
$1,090 $1,090
合計
米国外の制度
9月 30 日現在の公正価値測定
以下のレベルのインプットを使用
レベル1 レベル2 レベル3 合計
2019 年 2018 年 2019 年 2018 年 2019 年 2018 年 2019 年 2018 年
( 百万ドル )
$ 16 $ 6 $ 16 $ 6
現金および現金同等物
$ 44
社債 44 -
$ 51 $ 33
アセット・バック証券 51 33
持分証券 66 68 66 68
(1)
$ 329
313 313 329
マルチアセット証券
$ 82 $ 74 $ 357 $ 329 $ 51 $ 33 $ 490 $ 436
合計
(1)
マルチアセット証券は、様々な資産で構成されるファンドに投資する年金制度資産を表している。
レベル1資産 現金同等物(マネーマーケット・ファンドおよび定期預金)、米国債および持分証券は、
公正価値が活発な市場の相場価格に基づいているため、 公正価値階層の レベル1に分類される。
レベル2資産 集団投資ファンドは、通常、株式、債券またはその他の有価証券のポートフォリオに投資
することを目的とした、年金およびその他の従業員給付制度など、複数の信託の顧客の資産を運用する未登
録の投資事業体である。当該制度が保有する集団投資ファンドは、最終的に公開市場で取引される持分証券
に投資するが、それらの株式自体の単価は直接観察できないため、レベル2に分類される。 社債、マルチア
セット証券、デリバティブおよび米国政府系負債証券の公正価値は、第三者である価格決定サービス機関が
提供する活発な市場における類似した資産の相場価格に基づいている。この価格データは、独立した第三者
の価格情報機関から入手したベンチマーク価格と比較することにより妥当性について社内で見直される。こ
の見直しに基づき、評価は適宜確認または修正される。
152/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
レベル3資産 アセット・バック証券は、様々な資産を裏付けとした債券で、主としてモーゲージ・バッ
ク証券より構成される。アセット・バック証券は、公正価値の測定において観察可能なインプットが不足し
て いるため、レベル3に分類される。
201 9 年度または 201 8 年度中にレベル1およびレベル2資産の間で振替はなかった。 201 9 年度および 201 8 年
度におけるレベル3の制度資産の動きは重要ではなかったため、公正価値で測定されるレベル3の制度資産
の変動については表示されていない。
キャッシュ・フロー
米国の制度 米国外の制度
(百万ドル)
実際の事業主拠出額
$ - $ 10
2019 年
2018 年 1 11
予想事業主拠出額
2020 年 1 10
予想給付支払額
2020 年 127 6
2021 年 92 6
2022 年 86 6
2023 年 82 6
2024 年 74 6
2025-2029 年 293 34
その他の給付
当社は米国に居住している実質的にすべての従業員に適用される確定拠出制度( 401k 年金制度)のスポン
サーとなっている。この 401k 年金制度に基づき、当社の従業員に帰属する拠出費用として、 201 9 年度、 201 8
年度および 201 7 年度にそれぞれ 121 百万ドル、 93 百万ドルおよび 5 8 百万ドルが人件費に計上されている。この
401k 年金制度に対する当社の拠出額は時価基準で積み立てられており、関連する費用は給与が発生した期間
に認識されている。
次へ
153/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
注記 1 1 決済保証の管理
当社は、当社の顧客が他の顧客の決済不履行により被った決済損失をビザの業務規定に従って補償する。
この補償は、取引上の支払日とその後の決済日のタイミングが異なるために生じる当社にとっての決済リス
クを意味する。
当社はこれまで、決済リスク保証により損失額を最小限に抑えている。ただし、当社の将来の債務は保証
に基づき重大となる可能性があり、将来の事象によるため、確定することができない。
当社の決済エクスポージャーは、任意の時点におけるビザの未決済の取引額(日々著しく変化する)に限
定される。 201 9 年9月 30 日に終了した年度の当社の最大決済エクスポージャーは、 9 2 . 0 十億ドルであり、1
日当たりの平均決済エクスポージャーは、 57.1 十憶ドルであった。
決済エクスポージャーを管理するために、当社はグローバルな決済リスク方針および手続きの維持、定期
的な見直しを行い、その方針および手続きに基づき、一定の与信基準が満たされていない場合には顧客に担
保を提供するよう要求することもある。 201 9 年および 201 8 年9月 30 日現在、当社は以下の担保を決済エクス
ポージャーを管理するために保有していた。
20 19 年 20 18 年
9月 30 日 9月 30 日
( 百万ドル )
$ 1,648 $ 1,708
使途制限現金同等物
差入有価証券(市場価値) 259 192
信用状 1,293 1,382
477 860
保証
$ 3,677 $ 4,142
合計
注記 12 デリバティブおよび非デリバティブ金融商品
デリバティブ金融商品
ヘッジに 指定されたデリバティブ金融商品 当社の 2019 年9月 30 日現在のヘッジ・プログラムにおける当
社のデリバティブ契約の想定元本総額は 10.9 十億ドル、 2018 年9月 30 日現在は 2.5 十億ドルであった。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
2019 年および 2018 年9月 30 日現在、当社の資産ポジションであるキャッシュ・フロー・ヘッジはそれぞれ
合計 47 百万ドルおよび 78 百万ドルであり、前払費用およびその他流動資産として連結貸借対照表に計上され
ている。一方、 2019 年および 2018 年9月 30 日現在、当社の負債ポジションであるキャッシュ・フロー・ヘッ
ジはそれぞれ合計 31 百万ドルおよび 20 百万ドルであり、未払費用として連結貸借対照表に計上されている。
これらの金額は、マスター・ネッティング契約の対象となっており、当該契約により当社は同一取引相手と
単一通貨で行う1回の支払いを通じて、複数の未払金および未収金を純額決済する法的権利が与えられる。
ただし、当社は連結貸借対照表においては公正価値を総額ベースで表示している。注記1-重要な会計方針
の要約を参照のこと。
当社は回帰分析を用いて、事前および事後的にヘッジの有効性評価を行っている。為替予約に関する有効
性テストは、デリバティブ商品の直物レートの変動額とヘッジ対象である予定取引の直物レートの変動額の
比較に基づいて行われている。有効性のテストおよび測定に際して、フォワード・ポイントは除外されてい
る。除外されたフォワード・ポイントについては、損益として計上している。 2019 年度、 2018 年度および
2017 年度において、キャッシュ・フロー・ヘッジによる除外されたフォワード・ポイントに関連して減少し
た利益は、それぞれ 12 百万ドル、9百万ドルおよび 18 百万ドルであった。
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブ契約の公正価値変動の有効部分は、連結貸借
対照表の累積その他包括利益または損失の構成要素として計上されている。予定取引が発生し、損益として
154/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
認識された場合、当該ヘッジ取引に関係する累積その他包括利益または損失は営業収益または営業費用に組
み替えられる。当社は、 2020 年度中に 22 百万ドルの利益(税引前)を損益に組み替える予定である。
純投資ヘッジおよび公正価値ヘッジ
2019 年度において、当社は、 2019 年9月 30 日現在における当社のビザ・ヨーロッパへの 18.8 十億ドルの純
投資の一部に対する純投資ヘッジに指定された為替予約を締結した。
2019 年度において、当社はまた、当社の 2025 年 12 月に満期が到来する 3.15 %の発行済上位債の一部につい
て金利スワップおよび通貨スワップ契約を締結した。当社は、金利スワップを公正価値ヘッジとして指定
し、通貨スワップを純投資ヘッジとして指定した。 2018 年9月 30 日現在、残存しているスワップ契約はな
かった。
2019 年9月 30 日現在、当社の資産ポジションである純投資ヘッジは合計 298 百万ドルであり、連結貸借対照
表上で前払費用およびその他流動資産ならびにその他資産に分類されており、負債ポジションである純投資
ヘッジはなかった。 2018 年9月 30 日現在、残存している純投資ヘッジとして指定されたデリバティブ金融商
品はなかった。
2019 年9月 30 日現在、当社の資産ポジションである公正価値ヘッジは合計 89 百万ドルであり、連結貸借対
照表上でその他資産に分類されており、一方、負債ポジションである公正価値ヘッジは合計2百万ドルであ
り、連結貸借対照表上でその他負債に分類された。 2018 年9月 30 日現在、残存している公正価値ヘッジはな
かった。
2019 年度について、当社は、先渡契約およびスワップ契約によるフォワード・ポイントおよび金利差に関
する利益の増加、それぞれ 95 百万ドルを計上した。これらのフォワード・ポイントおよび金利差は、有効性
テストから除外されている。
ヘッジに 指定されていないデリバティブ金融商品
当社は、特定の外貨建貨幣性資産および負債に関連した為替レートの変動をヘッジするために為替デリバ
ティブ契約を使用する。 2019 年および 2018 年9月 30 日現在、これらの貸借対照表ヘッジの想定元本総額はそ
れぞれ 0.8 十億ドルおよび 1.2 十億ドルであった。
信用リスクおよび市場リスク 当社が保有するデリバティブ金融商品は、信用リスクおよび市場リスクの
双方にさらされている。当社は、デリバティブ金融商品の相手方となる金融機関の信用度を監視しており、
相手方の不履行リスクは重要でないと考えている。当社は、マスター・ネッティング契約を締結することに
より、当該リスクを軽減しているが、このようなマスター・ネッティング契約は、各契約相手方に正味負債
ポジションに対して担保の提供を求めている。 2019 年9月 30 日現在、当社は、相手方から 34 百万ドルの担保
を受領し、それを連結貸借対照表の未払費用に計上している。また、当社は 33 百万ドルの担保を差し入れて
おり、連結貸借対照表の前払費用およびその他流動資産に含まれている。ただし、こうした当社の為替変動
リスクの管理に対する取組みは、当社のヘッジ活動が為替変動リスクに対して十分に有効であることを保証
するものではない。 2019 年9月 30 日現在のデリバティブ商品に関連する信用リスクおよび市場リスクは重要
なものではないと考えられる。
純投資ヘッジとして指定された非デリバティブ金融商品
2018 年9月 30 日現在、当社は、非デリバティブ金融商品である 1.1 十億米ドルのユーロ建て繰延現金対価負
債を当社のビザ・ヨーロッパへのユーロ建ての純投資の為替エクスポージャーの一部に対するヘッジとして
指定した。 2019 年6月に当社は繰延対価を支払った。そのため、 2019 年9月 30 日現在においてヘッジ対象の
非デリバティブ金融商品はなかった。
155/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
注記 13 事業全体に関する開示および事業の集中
当社の長期性資産である不動産、設備およびテクノロジー(純額)の地域別による分類は、以下のとおり
である。
2019 年 2018 年
9 月 30 日 9 月 30 日
( 百万ドル )
米国
$ 2,319 $ 2,152
米国以外 376 320
合計
$ 2,695 $ 2,472
地域ごとの収益は、主として発行金融機関の所在地に基づいている。 2019 年度に米国において稼得された
収益は、正味収益の約 45 %であり、 2018 年度は約 45 %、 2017 年度は約 47 %であった。これらの年度におい
て、米国を除き、正味収益の 10 %超を占める国はなかった。
ビザの正味収益の大部分は主要顧客に集中している。当社は、いずれの主要顧客との取引を失った場合に
も、重大な悪影響を受ける可能性がある。 2019 年度、 2018 年度または 2017 年度において当社には、正味収益
の 10 %超を占める顧客はいなかった。
156/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
注記 14 株主資本
ビザ・ヨーロッパの取得 ビザ・ヨーロッパの取得に関連して、当社の優先株式の新シリーズ3件が創設
された。発行により、すべての優先株式は、転換後ベースで当社のクラス A 普通株式に対して宣言される四半
期毎の通常の現金配当の権利を有する。
転換後クラス A 普通株式 ビザ・ヨーロッパの取得において発行された UK&I およびヨーロッパ優先株式は、
特定の条件に基づき当初の転換比率である UK&I およびヨーロッパ優先株式一株につき 13.952 株のクラス A 普通
株式またはクラス A 相当優先株式に転換される。転換比率は、特定の負債を相殺するために随時、引き下げら
れる可能性がある。注記5-米国およびヨーロッパの遡及的責任計画を参照のこと。
2019 年および 2018 年 9月 30 日現在の各シリーズおよびクラスの株式数ならびに転換後ベースのクラス A 普通
株式の株式数は以下のとおりである。
2019年 9 月3 0 日 2018年9月30日
転換後 転換後
クラスA普通 クラスA普通
クラスA普通 クラスA普通
(1) (1)
発行済株式 株式への転換 株式 発行済株式 株式への転換 株式
(転換率を除き、百万株)
2 12.93 6 0 32 2 12.9550 32
UK&I優先株式
3 13.88 ▶ 0 44 3 13.8880 44
ヨーロッパ優先株式
(2)
1,7 18 - 1,7 18 1,768 - 1,768
クラスA普通株式
(3) (3)
245 398 245 400
1.62 2 8 1.6298
クラスB普通株式
▶ 5 47
1 1 4.0000 12 4.0000
クラスC普通株式
2,2 37 2,291
合計
(1) 上表の数値は四捨五入されているため、再計算が完全には一致しないことがある。転換後のクラス A 普通株式数は、
四捨五入前の数値に基づき計算されたものである。
(2) 発行済クラス A 普通株式は、 2019 年および 2018 年9月 30 日以前に決済された買戻しを反映している。
(3) クラス B のクラス A 普通株式への転換率は、四捨五入基準で表示されている。配当の支払いに関する転換計算は、少
数第 10 位に四捨五入した転換率に基づいている。
転換後クラス A 株式の減少 2019 年度において、転換後クラス A 普通株式合計は、 58 百万株減少し、一株当
たり平均価格は 154.62 ドルであった。この 58 百万株のうち、 56 百万株は手許運転資金 8.6 十億ドルを使用して
公開市場において買戻された。 また、 2019 年度に当社は、以前制定された米国の遡及的責任計画に従って、
訴訟エスクロー勘定に営業現金 300 百万ドルを預託した。さらに当社は、ヨーロッパの遡及的責任計画に従っ
て、 2019 年度中に、 VE 域内のカバード・ロス8百万ドルを回収した。 当該預託および回収は一株当たり利益
に関して、当社のクラス A 普通株式を買戻すことと同様の経済効果となるが、これらによりクラス B 普通株式
の転換比率ならびに UK&I およびヨーロッパ優先株式の転換比率が低くなるため、結果として転換後のクラス A
普通株式の株式数が減少することになる。注記5 - 米国およびヨーロッパの遡及的責任計画を参照のこと。
157/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
以下の表は、当社が転換比率の調整を通じて VE 域内のカバード・ロスを回収した後の転換後 UK&I 優先株式
およびヨーロッパ優先株式を示している。
9月30日に終了した事業年度
2 019 年 2 018 年 2017 年
UK&I ヨーロッパ UK&I ヨーロッパ UK&I ヨーロッパ
(株式 および転換比率 に関するデータを除き、単位:百万ドル)
転換後クラス A 普通株式相当
(1) (1) (1) (1) (1)
2
- - - - -
の株式数の減少
(2)
$ 1 50 . 26 $ 1 13 . 05 $ 1 12 . 92
$ 141 . 32 $ 88 . 70 $ 85 . 01
一株当たり実効価格
転換比率の調整を通じた回
$ 6 $ 2 $ 35 $ 21 $ 190 $ 1
収
(1) クラス A 普通株式相当の株式数の減少は1百万株未満であった。
(2) シ リーズ B およびシリーズ C 転換参加型優先株式に関する当社の現在の証明書に基づく価格設定期間にわたり、当社
のクラス A 普通株式の売上高加重平均価格を用いて計算された、当事業年度に行われた各調整に関する一株当たり実
効価格。各事業年度の一株当たり実効価格は事業年度中に実施されたそれぞれの調整金額の加重平均実効価格を用
いて計算されている。
(1)
普通株式の買戻し 以下の表 は、公開市場における株式買戻しを年度別に示している。
9月 30 日に終了した事業年度
2019 年 2018 年 2017 年
( 株式に関するデータを除き、単位:百万ドル )
(2 )
56 58 77
公開市場において買戻された株式数
(3 )
$ 154.01 $ 123.76 $ 89.98
一株当たり平均買戻し価格
$ 8,607 $ 7,192 $ 6,891
費用合計
(1) 公開市場において買戻された株式は 、 2019 年 度、 2018 年度、 2017 年度中に決済された買戻しを反映している。 これ
らの金額は、 2019 年度については 2019 年9月 30 日以前に、 2018 年度 については 201 8 年9月 30 日以前に、 2017 年度 に
ついては 201 7 年9月 30 日以前にそれぞれ取引されたが、まだ決済されていない買戻しを含んでいる。また、これら
は、 201 9 年度については 201 9 年9月 30 日以前に、 2018 年度 については 201 8 年9月 30 日以前に、 2017 年度 については
201 7 年9月 30 日以前に取引されたが、まだ決済されていない買戻しを除外している。
(2) 公開市場において買戻されたすべての株式は、すでに消却されており、授権資本中の未発行株式を構成している。
(3) 一株当たり平均買戻し価格は、四捨五入前の数値に基づき計算されたものである。
2019 年1月、 当社の取締役会は追加的な 8 .5 十億ドルの株式買戻し計画を承認した。この承認には有効期限
はない。 201 9 年9月 30 日現在、当社の 201 9 年1月株式買戻し計画による承認済み資金の残高は 4. 1 十億ドルで
あった。 201 9 年1月より前に承認された株式買戻し計画はすべて完了している。
米国の遡及的責任計画の条件に基づき、当社が訴訟エスクロー勘定に預託した場合、クラス B 普通株式は、
クラス A 普通株式に対するクラス B 普通株式の転換比率の低下による希薄化の対象となる。
以下の表は、 2019 年度および 2018 年度における、訴訟エスクロー勘定への預託後の 転換後クラス B 普通株式
を示したものである。 2017 年度において、転換後クラス B 普通株式に関して計上された同様の調整はなかっ
た。
158/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
9月30日に終了した事業年度
2019 年 2018 年
( 株式に関するデータを除き、
単位:百万ドル )
転換後 クラスA普通株式相当の株式数の減少 2 5
( 1)
$ 1 74 . 73 $ 132.32
一株当たり実効価格
$ 3 00 $ 600
米国の遡及的責任計画 に基づく預託
( 1) 当社の現在の定款に準拠して、当社のクラス A 普通株式の売上高加重平均価格を用いて計算された一株当たり実効価
格。
クラス B 普通株式 クラス B 普通株式は、すべての米国の対象訴訟案件が完全に和解される日まで転換また
は譲渡できない。この譲渡制限には、その他のクラス B 普通株主への譲渡を含む限定的な例外事項がある。当
該制限の終了後、ビザ・メンバー(当社の基本定款に定義されている)またはそれと同等の人物、あるいは
ビザ・メンバーの関連者またはそれと同等の人物以外へ譲渡される場合、クラス B 普通株式はクラス A 普通株
式へ転換可能となる。このような譲渡に際し、各クラス B 普通株式は、譲渡時に適用される転換比率に基づ
き、自動的にクラス A 普通株式の株式数へ転換される。
転換比率の調整は、以下の場合に行われる。(i)訴訟エスクロー口座(またはエスクロー口座に代わる
当社の現金預金)の規模を拡大するためのクラス A 普通株式の追加公募が完了し、その結果転換比率がさらに
低下した場合、または(ⅱ)対象となっている米国の訴訟が最終的に解決し、米国の訴訟エスクロー口座へ
預託された残存資金が当社へ戻し入れられることにより、転換比率が上昇した場合。注記5-米国および
ヨーロッパの遡及的責任計画を参照のこと。
クラス C 普通株式 2019 年9月 30 日現在、すべてのクラス C 普通株式の譲渡制限が解除されている。公開市
場における売却において合計 140 百万株のクラス C 普通株式がクラス A 普通株式に転換された。
優先株式 優先株式は償還可能優先株式または非償還優先株式として発行され、清算または解散した場合
の配当金および当社資産の分配金の支払いに関して、如何なるクラスの普通株式よりも優先される。 2019 年
度および 2018 年度末日現在において、当社は、 UK&I およびヨーロッパ優先株式5百万株を発行してい た。
UK&I およびヨーロッパ優先株式は譲渡制限の対象となっており、 VE 域内の対象訴訟案件の進展に基づいて段
階的に転換可能となる可能性がある。 UK&I 優先株式およびヨーロッパ優先株式は、その時点において保留と
なっている申立てを処理するために必要な預り金を確保することのみを条件として、クロージング後 12 年目
に完全に転換可能となる。 UK&I 優先株式またはヨーロッパ優先株式の保有者は、その転換( 12 年目の応当日
または 12 年目の応当日に保留となっている申立てに関してはそれ以降)に際して、クラス A 普通株式またはク
ラス A 相当優先株式(当社の定款に従ってクラス A 普通株式の保有者として適格でない場合)のいずれかを受
領する。クラス A 相当優先株式に譲渡制限はなく、当社の定款に基づきクラス A 普通株式の保有者として適格
な者へ譲渡する際には、クラス A 相当優先株式一株につき、自動的にクラス A 普通株式 100 株に転換される。注
記5-米国およびヨーロッパの遡及的責任計画を参照のこと。
議決権 UK&I およびヨーロッパ優先株式の保有者は、当社の連結、合併、企業結合または類似する取引を
含む特定の 規定された事項を除き、 いかなる案件についても議決権を有していない。この規定された事項に
おいて、特定の状況における優先株の株主は、(ⅰ)当社の普通株式または、優先株式に該当するシリーズ
の優先権、権利および特権と実質的に異なる優先権、権利および特権が付与されているその他の持分証券を
受け取る、または(ⅱ)当社のクラス A 普通株主が受領するものと異なる有価証券、現金またはその他の資産
を受け取る。優先株式の保有者が議決権行使可能な限定的事項に関して、優先株式の株主による承認には、
それらの優先株式の各シリーズの発行済株式の賛成票(これら各シリーズは単一のクラスとして投票)が必
要となる。いずれの場合においても、 UK&I およびヨーロッパ優先株の株主は、それらの各株式の保有者が保
159/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
有する株式数と同数の議決権を行使する権利が与えられている。クラス A 相当優先株式の保有者は、転換時に
UK&I 優先株式およびヨーロッパ優先株式の保有者の権利と同様の議決権を得る。
クラス A 普通株主は、株主に通常与えられているすべての事項について議決権を有する。クラス B およびク
ラス C 普通株式の株主は、規定された特定の事項を除き、いかなる事項についても議決権を有していない。こ
の規定された特定の事項には、(ⅰ)中核となる決済事業からの撤退の決定(この場合、クラス B およびクラ
ス C 普通株式の株主はクラス A 普通株式の株主と共に単一のクラスとして投票)および(ⅱ)特定の状況にお
ける当社の統合、合併、企業結合または類似した取引(この場合、クラス B およびクラス C 普通株式の株主は
単一のクラスとして投票)が含まれている。いずれの場合においても、クラス B およびクラス C 普通株式の株
主には、クラス B およびクラス C 普通株式の株式数に基準日に適用される転換比率を乗じた数の議決権を行使
する権利が与えられている。当社の普通株式の保有者は、現行の定款における優先株式シリーズのみに関す
る事項の改訂について議決権を有していない。
配当宣言 2019 年度に当社は、 2.3 十億ドルの配当金を宣言し、当事業年度に一株当たり 0.25 ドルの割合で
支払った。 2019 年 10 月 22 日に、当社の取締役会は、クラス A 普通株式一株当たり 0.30 ドル(クラス B およびク
ラス C 普通株式ならびに UK&I およびヨーロッパ優先株式 の場合は転換後ベースで決定される)の四半期現金配
当を宣言し、配当金は 2019 年 11 月 15 日現在の当社の普通株式および優先株式のすべての登録株主に対して
2019 年 12 月3日に支払われる。
注記 15 一 株当たり利益
基本一株当たり利益は、各クラスに割り当て可能な当期純利益を、当期における発行済普通株式および参
加証券の加重平均株式数で除して算出される。当期純利益は、転換後ベースの比例持分に基づいて普通株式
および参加証券の各クラスに配分される。発行済普通株式の各クラスの加重平均株式数は、表示期間におけ
る保有持分の変動を反映している。注記 14 -株主資本を参照のこと。
希薄化後一株当たり利益は、割り当て可能な当期純利益を、当期における発行済普通株式、参加証券、お
よび希薄効果がある場合には、発行済クラス A 普通株式同等物の加重平均株式数で除して算出される。希薄効
果を有するクラス A 普通株式同等物は、 (1) 当期を通じて有効な転換率に基づく UK&I およびヨーロッパ優先株
式ならびに クラス B およびクラス C 普通株式の転換に際して発行可能なクラス A 普通株式、 (2) 想定される従業
員ストック・オプションの行使、従業員株式購入制度に基づく株式の購入、および稼得されていない業績連
動型株式の権利確定に、金庫株方式を適用することによって算出されたクラス A 増加普通株式より構成され
る。
(1)
以下の表は、 2019 年度の一株当たり利益を示している。
基本一株当たり利益 希薄化後一株当たり利益
加重平均 一株当たり 加重平均 一株当たり
利益配分 利益 配分
発行済株式数 利益 発行済株式数 利益
(2) (2)
(A ) (B ) = (A)/(B) ( A ) ( B ) = (A)/(B)
(株式に関するデータを除き、単位:百万ドル)
(3)
$ 9,273 $ 5.32 $ 12,080 $ 5.32
クラス A 普通株式 1,742
2,272
$ 8.68 $ 2,127 $ 8.66
クラス B 普通株式 2,130 245 245
$ 21.30 $ 246 $ 21.26
クラス C 普通株式 247 12 12
(4)
430 $ 429
表示なし 表示なし 表示なし 表示なし
参加証券
$ 12,080
当期純利益
(1)
以下の表は、 2018 年度の一株当たり利益を示している。
160/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
基本一株当たり利益 希薄化後一株当たり利益
加重平均 一株当たり 加重平均 一株当たり
利益配分 利益 配分
発行済株式数 利益 発行済株式数 利益
(2) (2)
(A ) (B ) = (A)/(B) ( A ) ( B ) = (A)/(B)
(株式に関するデータを除き、単位:百万ドル)
(3)
$ 7,937 $ 4.43 $ 10,301 $ 4.42
クラス A 普通株式 1,792
2,329
$ 7.28 $ 1,785 $ 7.27
クラス B 普通株式 1,787 245 245
$ 17.72 $ 217 $ 17.69
クラス C 普通株式 218 12 12
(4)
359 $ 358
表示なし 表示なし 表示なし 表示なし
参加証券
$ 10,301
当期純利益
(1)
以下の表は、 2017 年度の一株当たり利益を示している。
基本一株当たり利益 希薄化後一株当たり利益
加重平均 一株当たり 加重平均 一株当たり
利益配分 利益 配分
発行済株式数 利益 発行済株式数 利益
(2) (2)
(A ) (B ) = (A)/(B) ( A ) ( B ) = (A)/(B)
(株式に関するデータを除き、単位:百万ドル)
(3)
クラス A 普通株式 $ 5,170 1,845 $ 2.80 $ 6,699 $ 2.80
2,395
$ 4.62 $ 1,132 $ 4.61
クラス B 普通株式 1,134 245 245
$ 11.21 $ 162 $ 11.19
クラス C 普通株式 163 14 14
(4)
232 $ 232
表示なし 表示なし 表示なし 表示なし
参加証券
$ 6,699
当期純利益
(1) 上表の数値は四捨五入されているため、再計算が完全には一致しないことがある。一株当たり利益は、四捨五入前
の数値に基づき計算されたものである。
(2) 当期純利益は、転換後の持分割合に応じて配分される。利益配分に用いられた転換後ベースのクラス B 普通株式の加
重平均株式数は 2019 年度、 2018 年度および 2017 年度において、それぞれ 400 百万株、 403 百万株および 405 百万株で
あった。利益配分に用いられた転換後ベースのクラス C 普通株式の加重平均株式数は 2019 年度、 2018 年度および 2017
年度において、それぞれ 46 百万株、 49 百万株および 58 百万株であった。優先株式(参加証券に含まれる)の加重平
均株式数は、転換後 UK&I 優先株式が 2019 年度、 2018 年度および 2017 年度がそれぞれ 32 百万株、 32 百万株および 33 百
万株、転換後ヨーロッパ優先株式が 2019 年度、 2018 年度および 2017 年度において 44 百万株であった。
(3) 希薄化後加重平均発行済株式数は転換後ベースで算出され、金庫株式法により算出される増加普通株式同等物を含
む。当該算出では、希薄効果のある普通株式同等物が、 2019 年度、 2018 年度および 2017 年度においてそれぞれ3百
万株、3百万株および5百万株含まれている。当該算出においては、逆希薄化効果をもたらす、 2019 年度、 2018 年
度および 2017 年度における普通株式同等物それぞれ1百万株、1百万株および2百万株を除いている。
(4) 参加証券は、発行済優先株式ならびに当社の UK&I およびヨーロッパ優先株式、制限株式報酬、制限株式単位および
獲得した業績連動型株式などの権利が確定していない株式を基礎とする支払報酬(配当または配当同等物に対して
失効することのない権利が付随するもの)を含む。参加証券の利益は、転換後株式の加重平均株式数に基づいて配
分される。注記 14 -株主資本を参照のこと。
注記 16 株式に基づく報酬
2007 年株式インセンティブ報酬制度
当社の 2007 年株式インセンティブ報酬制度(以下、「 EIP 」という。)は、取締役会の報酬委員会が非適格
ストック・オプション(以下、「オプション」という。)、制限株式報酬(以下、「 RSA 」という。)、制限
株式単位(以下、「 RSU 」という。)および業績連動型株式を従業員および非従業員取締役に対して付与する
ことを認めるものであり、最大でクラス A 普通株式合計 236 百万株が適用される。報酬に利用可能な株式は、
授権済で未発行の株式、または以前発行されその後当社によって取得された株式のいずれかである。この EIP
161/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
は、当社の取締役会により当該制度が早期終了する場合を除いて、 EIP に基づき利用可能な普通株式のすべて
が分配され、これらの株式に係るすべての制限が消滅するまで有効である。 2022 年1月 31 日まで当該制度に
基 づき報酬を付与することが可能となっている。
株式に基づく報酬費用は見積失効数を控除して、勤務条件のみが付帯されている報酬の場合は定額法、勤
務条件、業績条件および市場条件付き報酬の場合は段階法により計上される。 2019 年度、 2018 年度および
2017 年度において、当社は、 EIP に関連した株式に基づく報酬費用を連結損益計算書の人件費に、それぞれ
388 百万ドル、 312 百万ドルおよび 224 百万ドルを計上した。関連する税務上の便益は、 2019 年度、 2018 年度お
よび 2017 年度において、それぞれ 59 百万ドル、 53 百万ドルおよび 67 百万ドルであった。 2019 年度、 2018 年度
および 2017 年度に資産計上された株式に基づく報酬費用は重要ではなかった。
オプション
EIP のもとで発行されたオプションは、付与日から 10 年で終了する。当該オプションは、付与日から主に3
年間に均等分割して権利が確定される。ただし、特定の条件では全額が早期に権利確定されることになる。
162/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
2019 年度、 2018 年度および 2017 年度における各ストック・オプションの公正価値は、ブラック・ショール
ズ・オプション評価モデルを使用して付与日に見積られたが、そこでは以下の加重平均された仮定が用いら
れた。
9月 30 日に終了した事業年度
2019 年 2018 年 2017 年
(1)
予想期間(年数) 3.98 4.00 4.23
(2)
無リスク期待収益率 2.9% 2.0% 1.6%
(3)
予想ボラティリティ 20.2% 18.3% 20.2%
(4)
予想配当利回り 0.7% 0.7% 0.8%
$ 25.89 $ 18.24 $ 13.90
付与された1オプション当たり公正価値
(1) 2018 年3月まで、この仮定は、当社の過去のオプション行使実績および経営陣が一般的にビザと同等であると確信
する一連の類似企業の過去のオプション行使実績に基づいていた。当社のデータは、ビザの IPO から測定日までの年
数に基づいて、そのオプションの契約期間の割合として加重されている。 2018 年度において 2018 年3月までに付与
されたストック・オプションにおけるビザのデータと類似企業のデータとの相対加重は、それぞれ約 97 %および
3 %、 2017 年度は、それぞれ 87 %および 13 %であった。 2018 年3月以後に付与されたストック・オプションに関する
仮定は、当社の IPO から 10 年超が経過しているため、時間の経過と共にビザの過去の行使実績に基づいている。
(2) 報酬の予想期間にわたるゼロ・クーポンの米国財務省証券の利率に基づく。
(3) 当社のインプライド・ボラティリティと過去のボラティリティに基づく。
(4) 付与日における当社の予想年間配当率に基づく。
以下の表は、 2019 年度における当社のオプションの変動の要約である。
一株当たり 加重平均残存
(1)
加重平均行使 契約期間 本源的価値合計
オプション 価格 (年) (百万ドル)
$ 75.30
2018 年9月 30 日現在残高 5,788,840
$ 134.76
付与 1,109,645
$ 114.04
失効 (108,973)
$ 28.85
満期 (33,574)
(1,041,280)
$ 54.44
行使
5,714,658
$ 90.18 $ 468
2019 年9月 30 日現在残高 6.83
$ 70.66 $ 327
2019 年9月 30 日現在行使可能 3,230,165 5.63
2019 年9月 30 日現在行使可能
(2)
$ 89.69 $ 464
および権利確定予定 5,635,182 6.80
(1) 2019 年度の最終取引日の終値の株価 172.01 ドルからオプション行使価格を控除した価格に、オプション数を乗じて
算出されている。
(2) 将来権利確定すると予想されるオプション数を見積もるために、 2019 年9月 30 日現在の権利未確定のオプション残
高に失効率を適用している。
2019 年度、 2018 年度および 2017 年度に行使されたオプションの本源的価値合計はそれぞれ 107 百万ドル、
249 百万ドルおよび 178 百万ドルであり、実現された税務便益はそれぞれ 23 百万ドル、 55 百万ドルおよび 62 百
万ドルであった。 2019 年9月 30 日現在、権利未確定のオプションに関する未認識のオプション報酬費用合計
は 19 百万ドルであった。当該費用は、約 0.50 年の加重平均期間にわたり認識される予定である。
163/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
制限株式報酬および制限株式単位
EIP のもとで発行された RSA および RSU は、主に付与日から3年間にわたる均等分割により権利確定する。た
だし、特定の状況では早期に全額が確定することになる。
権利確定にあたり、 RSA は、1対1の割合でクラス A 普通株式により決済される。権利確定期間中、 RSA 報酬
の受取人は、クラス A 普通株式の株主と同様の配当の受領、およびクラス A 普通株式の株主と同様の議決権に
参加する権利がある。権利確定にあたり、 RSU は、当社の裁量により1対1の割合でクラス A 普通株式、現
金、またはその組み合わせで決済することができる。現在、当社は RSU を現金で決済する意向はない。権利確
定期間中、 RSU 報酬の受取人は、配当同等物を受け取る権利はあるが、クラス A 普通株式の株主と同様の議決
権に参加する権利はない。当社は、 2016 年度に RSA の付与を中止しているが、 EIP に基づき RSU を引き続き付与
する予定である。 2018 年9月 30 日現在、残存している RSA はなかった。
RSA および RSU の公正価値および見積失効数を考慮前の報酬費用は、付与日のクラス A 普通株式の終値を用い
て算出されている。 2019 年度、 2018 年度および 2017 年度に付与された RSU の付与日における加重平均公正価値
は、それぞれ 137.38 ドル、 111.11 ドルおよび 81.67 ドルであった。 2019 年度、 2018 年度および 2017 年度に権利
確定した RSA および RSU の付与日における公正価値合計は、それぞれ 228 百万ドル、 183 百万ドルおよび 163 百万
ドルであった。
以下の表は、 2019 年度における当社の RSU の変動の要約である。
本源的価値合計
付与日におけ 加重平均
(1)
制限株式 る加重平均 残存契約期間
単位 公正価値 (年) (百万ドル)
$ 96.50
2018 年9月 30 日現在残高 5,204,454
$ 137.38
付与 2,785,534
$ 93.12
権利確定 (2,450,257)
(372,972) $ 115.15
失効
5,166,759
$ 118.79 $ 889
2019 年9月 30 日現在残高 0.85
(1) 2019 年度の最終取引日の株価の終値 172.01 ドルに、オプション数を乗じて算出されている。
2019 年9月 30 日現在、権利未確定の RSU に関連した未認識の報酬費用合計は、 332 百万ドルであった。当該
費用は、約 0.85 年の加重平均期間にわたって認識される予定である。
業績連動型株式
当社の業績連動型株式報酬について、最終的に得られる株式数は、勤務条件に加えて、業績条件および株
式市場条件の両方の達成度に依拠する。業績条件は、当社の一株当たり利益業績目標に基づく。株式市場条
件は、スタンダード・アンド・プアーズ 500 種指数に含まれる他の企業の株主総利回りに対してランク付けさ
れた当社の株主総利回りに基づく。これらの業績連動型報酬の市況を組み入れた公正価値は、モンテカル
ロ・シミュレーションモデルを用いて付与日に見積られる。 2019 年度、 2018 年度および 2017 年度に付与され
た業績連動型株式報酬の付与日における公正価値は、それぞれ一株当たり 153.42 ドル、 120.11 ドルおよび
86.37 ドルであった。 2019 年度、 2018 年度および 2017 年度に付与された業績連動型株式は、当初の付与日から
約3年後に権利が確定される。すべての業績連動型報酬は、特定の条件では全額が早期に権利確定されるこ
とになる。
業績連動型株式の報酬費用は、当初、業績目標に基づいて見積もられる。当該費用は見積失効数を控除し
た額で計上され、業績評価期間を通じて適宜調整される。
以下の表は、 2019 年度における、獲得される可能性のある業績連動型株式の最大数および関連する変動の
要約である。
164/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
本源的価値
付与日におけ
(1)
合計
る加重平均 加重平均残存
株式
公正価値 契約期間(年) (百万ドル)
2018 年9月 30 日現在残高 999,416 $ 102.07
(2)
$ 153.42
540,538
付与
$ 97.71
権利確定および獲得 (419,908)
$ -
未取得
-
(49,356) $ 127.66
失効
$ 129.08 $ 184
1,070,690
2019 年9月 30 日現在残高 0.80
(1) 2019 年度の最終取引日の終値の株価 172.01 ドルに、オプション数を乗じて算出されている。
(2) 獲得される可能性のある業績連動型株式の最大数を表している。
2019 年9月 30 日現在、権利未確定の業績連動型株式に関連する未認識の報酬費用合計は 37 百万ドルであっ
た。当該費用は、約 0.80 年の加重平均期間にわたって認識される予定である。
従業員株式購入制度
ビザ・インク従業員株式購入制度(以下、「 ESPP 」という。)は、適格従業員に対して、一定の制限を条
件として、購入日における株価から 15 %割り引いた価格で当社のクラス A 普通株式を購入することを認めてい
る。 ESPP では、クラス A 普通株式合計 20 百万株が発行に向けて用意されている。 2019 年度、 2018 年度および
2017 年度において、 ESPP による連結財務諸表への重要な影響はなかった。
注記 1 7 契約債務および偶発債務
契約債務 当社は、世界中において、動産・不動産およびソフトウェア ・ライセンス を賃借しており、そ
の期間は様々である。当社の 201 9 年度、 201 8 年度および 201 7 年度のリース費用合計は、それぞれ 2 86 百万ド
ル、 224 百万ドルおよび 1 59 百万ドルであった。 201 9 年9月 30 日現在のリースに関する将来の最低支払額は以
下のとおりである。
9月 30 日に終了する事業年度
2025 年
2020 年 2021 年 2022 年 2023 年 2024 年 合計
以降
(百万ドル)
オペレーティング・リース $ 143 $ 121 $ 106 $ 96 $ 82 $ 250 $ 798
注記 1 8 関連当事者
ビザは、ある事業体が事業年度末現在でビザの議決権付普通株式合計の 10 %超を保有している場合、また
はその事業体の役員または従業員が当社の取締役である場合、当該開示において、その事業体を関連当事者
とみなしている。当社は、 (i) 被投資会社に対する当社の所有持分が 10 %以上か、または(ⅱ)当該投資が持
分法で会計処理されている場合、被投資会社を関連当事者とみなしている。 2019 年および 2018 年9月 30 日現
在、当社の議決権付普通株式合計の 10 %超を保有している事業体はなかった。 2019 年度、 2018 年度および
2017 年度において関連当事者との重要な取引はなかった。
注記 1 9 法人税 等
当社の事業年度別の税引前利益の内訳は以下のとおりである。
9月 30 日に終了した事業年度
2019 年 2018 年 20 17 年
(百万ドル)
165/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
$ 9,536 $ 8,088 $ 8,440
米国
5,348 4,718 3,254
米国外
$ 14,884 $ 12,806 $ 11,694
税引前利益合計
2019 年度、 2018 年度および 2017 年度の米国における税引前利益には、当社の米国事業体の米国外事業から
の利益が、それぞれ 3.0 十億ドル、 2.7 十億ドルおよび 2.9 十億ドル含まれている。
当社の事業年度別の法人税等の内訳は、以下のとおりである。
9月30日に終了した事業年度
2019 年 20 18 年 20 17 年
(百万ドル)
当期税金:
$ 1,504 $ 2,819 $ 2,377
米国連邦税
州税および地方税 243 219 291
843 754 629
外国税
2,590 3,792 3,297
当期法人税合計
繰延税金:
米国連邦税 184 (1,214) 1,607
州税および地方税 28 (96) 66
2 23 25
外国税
214 (1,287) 1,698
繰延税金合計
$ 2,804 $ 2,505 $ 4,995
法人税等合計
2019 年および 2018 年9月 30 日現在の繰延税金資産および負債の大部分を構成する一時差異の税効果は以下
のとおりである。
166/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
9月 30 日
2019年 2018年
(百万ドル)
繰延税金資産
$ 117 $ 135
未払報酬および給付
未払訴訟債務 273 329
顧客インセンティブ 125 213
繰越欠損金 65 34
包括損失 33 17
州税の連邦税軽減額 148 120
その他 6 127
(69) (34)
評価性引当金
698 941
繰延税金資産
繰延税金負債
不動産、設備およびテクノロジー(純額) (314) (286)
無形資産 (4,983) (5,153)
(184) (106)
外国税
(5,481) (5,545)
繰延税金負債
$ (4,783) $ (4,604)
繰延税金負債(純額)
2017 年 12 月 22 日に制定された税法により、米国の税制は地域内所得課税主義へと移行し、法定連邦法人所
得税率が 35 %から 21 %に引き下げられた。法定連邦法人税率の 21 %への引き下げは、 2018 年1月1日から適
用されている。当社の法定連邦法人税率は、 2018 年度においては 24.5 %の混合税率となり、 2019 年度以降、
21 %に引き下げられた。
地域内所得課税主義への移行にあたって、税法により、当社は、特定の米国外の子会社の非課税外国収入
を 2018 年度の課税所得に含めることを求められた。これらの外国収入は一回限りの課税対象となり、現金ま
たは現金同等物で保有される金額については 15.5 %、残りの現金以外の金額については8%の税金が課され
た。これらの 15.5 %および8%の税金(以下、集合的に「移行税」という。)は 1.1 十億ドルと見積もられ、
暫定的な金額として 2018 年度に計上された。また、当社は 2018 年度に、様々なその他の新しい税務規定の税
務上の影響についても暫定的な金額を計上した。 ASU 第 2018-05 号で認められているとおり、当社は、 2019 年
度第1四半期において移行税および各種税務規定による会計上の影響の算定を完了した。暫定的な金額の調
整は重要ではなかった。移行税は、税法で認められているように、8年間にわたって支払われる。
また、税法により、国外源泉の無形資産所得(以下、「 FDII 」という。)の新たな所得控除および米国外
課税無形資産所得( global intangible low-tax income 以下、「 GILTI 」という。)に対する税金が適用さ
れ、当社ではこれらを 2018 年 10 月1日より適用している。 2019 年度において、当社は、 GILTI に対する税金の
会計処理に関する会計方針をこれらの税金の対象となる期間に採用した。
2019 年および 2018 年9月 30 日現在、繰延税金資産(純額)それぞれ 24 百万ドルおよび 14 百万ドルは、連結
貸借対照表のその他資産に反映されている。
繰延税金資産の実現可能性の評価において、経営陣は繰延税金資産のすべてまたは一部が実現できない可
能性が 50 %超であるか否かについて検討している。繰延税金資産の最終的な実現可能性は、将来これらの一
時差異が控除可能となる期間における課税所得の額に左右される。 2019 年度および 2018 年度の評価性引当金
は主に、最近取得した子会社から引き継いだ外国税上の欠損金に関連するものである。
2019 年9月 30 日現在、当社は連邦税上の繰越欠損金 17 百万ドル、州税上の繰越欠損金 19 百万ドルおよび取
得した子会社からの外国税上の繰越欠損金 311 百万ドルを有していた。 2018 年度より前の事業年度に発生した
連邦税および州税上の繰越欠損金は、 2028 年度から 2037 年度に繰越期限が到来する。 2017 年度より後に発生
した連邦税上の繰越欠損金および外国税上の繰越欠損金は、無期限に繰越可能である。当社は、将来におい
てこの連邦税および州税上の繰越欠損金を全額利用できると予想している。
167/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
法人税等は、以下の理由により、税引前利益に米国連邦法定税率を適用することによって算出される税額
とは異なる。
9月 30 日に終了した事業年度
2019 年 2018 年 2017 年
( 金額 ) ( % ) ( 金額 ) ( % ) ( 金額 ) ( % )
(百万ドル)
$ 3,126 21 % $ 3,141 25 % $ 4,093 35 %
米国連邦法人税(法定税率)
州法人税(連邦税計算にあたっての便
2 % 2 % 2 %
益控除後) 223 201 200
外国税効果(連邦税計算にあたっての
便益控除後) (527) (4)% (465) (4)% (641) (5)%
- % 9 % - %
海外収益に係る移行税 - 1,147 -
- % - %
繰延税金負債の再測定 - (1,133) (9)% -
ビザ・ヨーロッパおよび特定のその他
- % - % 13 %
の法人の組織再編 - - 1,515
- %
(18) (386) (3)% (172) (2)%
その他(純額)
$ 2,804 19 % $ 2,505 20 % $ 4,995 43 %
法人税等
2019 年度の実効税率は 19 %、 2018 年度は 20 %であった。 2019 年度の実効税率は、主に以下の理由により、
2018 年度と異なっている。
・ 上記の税法による、 2018 年度における 24.5 %の混合率から 2019 年度における 21 %への連邦税率の引き
下げ。
・ 上記の税法の一部として適用された新たな FDII および GILTI 規定。
・ 2018 年度に計上された以下の項目がなかったこと。
・ 税法による、特定の非課税の外国収入に対する1回限りの移行税 1.1 十億ドル。
・ 税法により適用された米国連邦税率の引き下げに起因する、繰延税金残高の再測定による一時
的な現金を伴わない便益 1.1 十億ドル。
・ 様々な一時的な監査上の解決による還付 161 百万ドル。
2018 年度の実効税率は 20 %、 2017 年度は 43 %であった。 2018 年度の実効税率は、主に以下の理由により、
2017 年度と異なっている。
・ 上記の 2018 年度の連邦税率の引き下げ、移行税および繰延税金の再測定を含めた税法の影響。
・ 2018 年度における様々な一時的な監査上の解決による還付 161 百万ドル。
・ 2017 年度に計上されたビザ・ヨーロッパの組織再編に関連した以下の項目がなかったこと。
・ 主としてビザ・ヨーロッパの取得に当たって当初認識された繰延税金残高が消滅したことに関
連する一時的な現金を伴わない法人税等費用 1.5 十億ドル
・ 以前はビザ・ヨーロッパにより自己株式として計上されていたビザ・インク株式をビザ・ファ
ウンデーションが受け取ったことに関連する1回限りの税務上の便益 71 百万ドル
2019 年および 2018 年9月 30 日現在における当期未収還付税金は、それぞれ 130 百万ドルおよび 82 百万ドルで
あった。 2019 年および 2018 年9月 30 日現在、それぞれ 771 百万ドルおよび 689 百万ドルの未収還付税金は、そ
の他資産に含まれていた。 2019 年および 2018 年9月 30 日現在、未払法人税それぞれ 327 百万ドルおよび 257 百
万ドルが、未払費用に含まれており、また、未払法人税それぞれ 2.5 十億ドルおよび 2.4 十億ドルが、その他
負債に含まれていた。
アジア太平洋地域における当社の営業拠点はシンガポールにある。当拠点は、税優遇措置の対象であり、
これはシンガポールにおける一定の事業基準および雇用基準を満たすことを条件として 2023 年9月 30 日まで
有効である。この税優遇措置により、 2019 年度、 2018 年度および 2017 年度において、シンガポールの税金
168/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
は、それぞれ 324 百万ドル、 295 百万ドルおよび 252 百万ドル減少し、希薄化後一株当たり利益に係る税優遇措
置による利益は、それぞれ 0.14 ドル、 0.13 ドルおよび 0.11 ドルであった。
当社は会計基準編纂書第 740 号「法人税等」に従って、税務申告書上、報告済みまたは報告予定の不確定な
税務ポジションをすべて一覧にした上で評価、測定することが要求される。また、関係税務当局の税務調査
により否認される、または一部しか認められない場合の税務ポジションに対する金額を負債に計上すること
が要求される。
2019 年、 2018 年および 2017 年9月 30 日現在、当社の未認識の税務上の便益(総額)は、以下に記載してい
る支払利息および課徴金を除き、それぞれ 2.2 十億ドル、 1.7 十億ドルおよび 1.4 十億ドルであった。このうち
認識された場合には将来の実効税率を下げる、未認識の税務上の便益がそれぞれ、 1.4 十億ドル、 1.2 十億ド
ルおよび 1.1 十億ドル含まれている。
事業年度別の期首および期末現在の未認識の税務上の便益の調整は以下のとおりである。
2019 年 20 18 年 20 17 年
(百万ドル)
期首残高 $ 1,658 $ 1,353 $ 1,160
過年度に関連した未認識の税務上の便益の増
216 367 56
加
過年度に関連した未認識の税務上の便益の減
(13) (233) (59)
少
当事業年度に関連した未認識の税務上の便益
384 172 197
の増加
税務当局との和解による減少 (9) - -
時効により消滅したことによる減少 (2) (1) (1)
期末残高
$ 2,234 $ 1,658 $ 1,353
当社は、不確定な税務ポジションに関連した支払利息および課徴金を、連結損益計算書の営業外費用とし
て計上するという方針をとっている。 2019 年度、 2018 年度および 2017 年度に当社は、不確定な税務ポジショ
ンに関連した支払利息それぞれ 66 百万ドル、 15 百万ドルおよび 23 百万ドルを認識した。当社は、不確定な税
務ポジションに関連した課徴金を 2019 年度および 2017 年度にそれぞれ5百万ドルおよび1百万ドルを未払計
上しているが、 2018 年度には未払計上していない。 2019 年および 2018 年9月 30 日現在、当社は不確定な税務
ポジションに関連した未払利息、それぞれ 165 百万ドルおよび 99 百万ドル、ならびに未払課徴金それぞれ 26 百
万ドルおよび 34 百万ドルを連結貸借対照表のその他長期負債に計上した。
当社の 2012 年度から 2015 年度の連邦法人税申告は、現在、内国歳入庁(以下、「 IRS 」という。)の調査中
である。当社は、 2008 年度から 2011 年度について、連邦税の還付申請を提出しており、現在、 IRS の調査中で
もある。この還付申請を除き、 2012 年度より前の事業年度に関する連邦税については時効が成立している。
当社の 2006 年度から 2015 年度のカリフォルニア州における納税申告は、現在調査中である。 2006 年度より前
の事業年度に関するカリフォルニア州税については時効が成立している。
2013 年度において、カナダ歳入庁(以下、「 CRA 」という。)は、当社の 2003 年度から 2009 年度のカナダに
おける納税申告の調査を完了し、いくつかの税務更正を提示した。 CRA はその調査結果に基づき、 2010 年度か
ら 2017 年度のカナダにおける納税申告に関しても、いくつかの税務更正を提示した。当社はこれらの税務更
正に対する異議申し立てを申請したが、 CRA との和解に至らず 2015 年度に控訴手続きが完了した。 2016 年4月
に当社は、 CRA の税務更正を覆すためにカナダの税務裁判所に上訴した。訴訟手続きは、引き続き進行中であ
る。当社は、当社の税務引当金は CRA に対する当社の債務を十分に反映していると引き続き確信している。
インドの税務当局は、 2010 年度から 2015 年度の期間に該当する課税年度について、当社の法人税申告の第
一次調査を終了し、一定の評価を提案した。当社はこれらの提案された評価に対して異議を唱え、上訴裁判
所に上訴した。これらの上訴の最終的な和解のタイミングおよび結果は不明であるが、当社は自社の所得税
引当金がインドにおける所得税義務を適切に反映していると確信している。
169/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
当社はまた、様々な州および外国税務当局による調査の対象となっている。 2002 年度までのすべての重要
な州税および外国税の問題は解決している。連邦税、州税および外国税の税務調査および還付申請の最終的
な 解決の時期および結果は不確定である。そのため、当社の未認識の税務上の便益に関して今後 12 ヶ月間に
起こり得る最終的な影響について合理的に見積ることは不可能である。
次へ
170/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
注記 20 法的事項
当社は、様々な法的手続および行政手続の当事者となっている。いくつかの手続においては、結果が予測
できず、予測不可能な損害が生じうるような複雑な請求・主張がなされている。現時点において損害に関連
しない事項および/または損害の額もしくは範囲を合理的に予見し得ないことから、開示済みのものを除
き、当社はこれらの手続により生じうる損失について引当てを行っておらず、予測損害額の範囲も設定して
いない。当社は、後述する訴訟および行政手続において強固な抗弁を有すると考えているが、将来、会社の
財務状態、業績もしくはキャッシュ・フローに重大な悪影響を及ぼす判決や罰金を受けるか、または和解に
至る可能性もある。当社の1件または複数件の係属中の訴訟事項に関する和解交渉または調停に、当社が自
社を代表して、または他の当事者と集団で関わることもある。
訴訟費用の計上額は予測であり、経営幹部の訴訟の性質の理解、各案件の詳細、弁護士の助言(適切な範
囲に限る。)および貸借対照表の日付現在における損失額についての経営幹部の最良の予測に基づいてい
る。
下記の表は、年度ごとの未払訴訟債務に関する動きをまとめたものである。
2019 年度 2018 年度
(単位:百万ドル)
期首残高 $ 1,434 $ 982
対象外の法的事項に係る引当金 37 7
対象となる法的事項に係る引当金 535 601
法的事項への支払 (803) (156)
期末残高 $ 1,203 $ 1,434
見越額の概要 - 米国の対象訴訟
ビザ・インク、ビザ USA およびビザ・インターナショナルは、当社が「米国の対象訴訟」と称する、米国の
遡及的責任計画の対象となる一定の訴訟手続の当事者である。注記5-米国およびヨーロッパの遡及的責任
計画を参照のこと。損失発生の可能性が高く、かつ合理的な予想が可能であると見なされる場合には、米国
の対象訴訟費用の見越額および訴訟引当金が計上される。かかる決定にあたり、当社は、入手可能な情報
(訴訟委員会により提起された訴訟を含むがこれに限定されない。)を検討する。米国の対象訴訟に関連す
る見越額の合計は、エスクロー口座の残高を上回るかまたは下回る可能性がある。
下記の表は、年度ごとの米国の対象訴訟債務に関する見越額の動きをまとめたものである。
2019 年度 2018 年度
(単位:百万ドル)
期首残高 $ 1,428 $ 978
インターチェンジ広域係属訴訟に係る引当金 370 600
米国の対象訴訟への支払 (600) (150)
期末残高 $ 1,198
$ 1,428
2018 年度第3四半期中、当社は、 2012 年和解契約に代わった修正和解契約に基づき、追加の見越額を計上
して 600 百万ドルを米国の訴訟エスクロー口座に預託し、 2019 年度において、修正和解契約に基づき開設さ
れ、裁判所が承認した決済口座にかかる額を支払った。 2019 年度第4四半期中、当社は、修正和解契約から
離脱した加盟店の「離脱」請求に対処するため、 370 百万ドルの追加の見越額を計上し、 300 百万ドルを米国
の訴訟エスクロー口座に預託した。詳細は、以下「インターチェンジ広域係属訴訟( MDL )-暫定的集団訴
訟」ならびに注記5-米国およびヨーロッパの遡及的責任計画を参照のこと。
見越額の概要 -ビザ・ヨーロッパ域内 の対象訴訟
ビザ・インク、ビザ・インターナショナルおよびビザ・ヨーロッパは、ヨーロッパの遡及的責任計画の対
象となる一定の訴訟手続の当事者である。ヨーロッパの遡及的責任計画は、米国の遡及的責任計画と異な
り、和解または判決に伴う支払に用いるためのエスクロー口座を設定していない。当社は、 U.K.&I 優先株式
およびヨーロッパ優先株式に適用される転換比率の定期的な調整を通じて、ビザ・ヨーロッパ域内の対象損
失を埋め合わせる権利を有する。当該損失が予想され、またその金額を合理的に見積もることができる場
合、ビザ・ヨーロッパ域内の対象損失の見越額および株主持分の減少が計上される。詳細は、以下「ビザ・
ヨーロッパ域内の対象訴訟」ならびに注記5-米国およびヨーロッパの遡及的責任計画を参照のこと。
171/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
下記の表は、年度ごとのビザ・ヨーロッパ域内の対象訴訟債務に関する見越額の動きをまとめたものであ
る。
2019 年度 2018 年度
(単位:百万ドル)
期首残高 $ - $ 1
ビザ・ヨーロッパ域内の対象訴訟の見越額 165 1
ビザ・ヨーロッパ域内の対象訴訟の支払 (160) (2)
期末残高
$ 5 $ -
米国の対象訴訟
インターチェンジ広域係属訴訟( MDL )-暫定的集団訴訟
2005 年5月より、加盟店によりビザ USA 、ビザ・インターナショナルおよび/またはマスターカードに対
して、また一部の事案では一部の米国の金融機関に対して、一連の提訴が米連邦地方裁判所になされた(そ
の大部分が集団訴訟に分類された。)。広域係属訴訟司法委員会は、 MDL1720 における公判前手続の調整のた
め、かかる事案をニューヨーク州東部地区米連邦地方裁判所に移管する命令を発した。その後、原告集団
は、補正訴状および追加訴状を提出した。個人訴訟および集団訴訟の訴状では、連邦反トラスト法および
(ある場合には)特定の州の不正競争法に基づき、とりわけ、ビザおよびマスターカードのインターチェン
ジ払戻手数料、「割増料金禁止」および「全カード使用可能」の規則、抱き合わせ/一括販売取引手数料の
設定ならびにビザの組織再編および IPO に対して、通常異議が申し立てられた。これらの訴状では、損害賠
償、確認判決および差止めによる救済、弁護士費用ならびに IPO の解消を求める命令などが求められた。
ビザ・インク、ビザ USA 、ビザ・インターナショナル、マスターカード・インコーポレーテッド
( Mastercard Incorporated )、マスターカード・インターナショナル・インコーポレーテッド( Mastercard
International Incorporated )、様々な米国の金融機関である被告および集団訴訟原告は、集団訴訟原告の
申立てを解決するための和解契約(以下「 2012 年和解契約」という。)に署名した。 2012 年和解契約に基づ
き、当社は、米国の訴訟エスクロー口座から約 4.0 十億ドルを、また8ヶ月間にわたるインターチェンジの引
下げに起因する約 500 百万ドルを、裁判所が承認した決済口座に預託した。ビザは、その後、約 1.1 十億ドル
の「分割金」を裁判所から受領し、当社の米国の訴訟エスクロー口座に預託した。 2016 年6月 30 日、第2巡
回区控訴連邦裁判所は、下級裁判所による加盟店集団訴訟の認定を無効とし、和解の承認を取り消し、さら
に審理するよう、当該事案を下級裁判所に差し戻した。
差戻しを受けて、地方裁判所は「損害賠償を求める集団」および「差止めによる救済を求める集団」の2
つの暫定的集団について、暫定の弁護士を指名する命令を発した。損害賠償を求める暫定的集団を代表して
行為すると主張する原告は、その後、救済の中でも特に損害賠償および弁護士費用を求めて、集団訴訟の第
3回統合補正訴状を提出した。差止めによる救済を求める暫定的集団を代表して行為すると主張する新たな
原告集団は、特にデフォルト・インターチェンジ・レートの設定、「全カード使用可能」方針を含む加盟店
に関する一定のビザ運営規則ならびに加盟店獲得会社ネットワーク固定手数料を含む様々な取引手数料に対
する差止命令、ならびに弁護士費用を求める、ビザ、マスターカードおよび特定の銀行の被告に対する集団
訴訟の訴状を提出した。
2018 年9月 17 日、ビザ、マスターカードおよび特定の米国の金融機関と、損害賠償を求める暫定的集団を
代表して行為すると主張する原告との間で、裁判所による承認を条件としてすべての損害賠償を求める訴訟
を解決する契約(以下「修正和解契約」という。)が成立した。修正和解契約は、 2012 年和解契約を置き換
え、とりわけ、当該訴訟において損害賠償を求める集団により申し立てられた行為に起因する、参加する集
団訴訟構成員からの責任を免除することを含み、かかる免除は、修正和解契約の確定後5年以内に発生する
申立てを含む。参加する集団訴訟構成員は、差止めによる救済を求める集団の指名された代表者としてまた
は代表者でない集団訴訟構成員として差止めによる救済の申立てを放棄しない。修正和解契約ではまた、全
被告による合計 900 百万ドルの追加の和解金の支払が必要となった。そのうち当社の負担は 600 百万ドルであ
り、当社の遡及的責任計画に基づき開設された当社の訴訟エスクロー口座から支払われた。注記5-米国お
よびヨーロッパの遡及的責任計画を参照のこと。かかる追加の和解金は、 2012 年和解契約に基づき、以前、
被告により決済口座に預託された約 5.3 十億ドルに追加された。集団から離脱した集団訴訟構成員の(支払額
での)割合に基づいて、修正和解契約の最終承認後、 700 百万ドルが被告に返還される。分割金のビザ分は、
約 467 百万ドルと算定され、受領次第、離脱請求に対処するため未払訴訟債務の増加相当額を訴訟エスクロー
口座に預託する。
2019 年1月 24 日、地方裁判所は、修正和解契約を仮に承認し、また 2019 年6月7日、損害賠償を求める集
団の原告は、修正和解契約の最終承認の申立てを行った。和解案を求める集団のうちの特定の加盟店は、和
解に反対しており、かつ/または和解を求める集団からの離脱の申立てを提出した。地方裁判所は、 2019 年
11 月7日、和解承認のための審問を行った。
差止めによる救済を求める暫定的集団を代表して行為すると主張する原告との和解協議は、継続中であ
る。 2019 年1月 16 日、銀行被告は、原告は当事者適格を欠いており、銀行被告に対して申立てを行えなかっ
172/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
たとの理由で、差止めによる救済を求める集団がかかる原告に対して行った請求を却下する申立てを行っ
た。
インターチェンジ広域係属訴訟( MDL )-個々の加盟店の 訴訟
2013 年5月より、数百の加盟店により 50 件を超える訴訟が各地の連邦地方裁判所に提訴または移管され、
主に MDL1720 において提起された主張と同様の主張に基づく損害賠償請求がなされている。これらの事案は、
ビザ・インク、ビザ USA 、ビザ・インターナショナル、マスターカード・インコーポレーテッドおよびマス
ターカード・インターナショナル・インコーポレーテッドを被告としているが、一部の事案では特定の米国
の金融機関も被告に含めている。多くの事案は、ビザがデビットカード関連の市場セグメントを独占し、独
占を試み、かつ/または独占を共謀したとの主張を含む。うち数件の事案は、デフォルト・インターチェン
ジ・レートの設定、「全カード使用可能」方針を含む、加盟店に関する一定のビザ運営規則および加盟店獲
得会社ネットワーク固定手数料を含む、様々な取引手数料に対する差止命令を求めている。また、数件の事
案による申立てでは、ビザ、マスターカードおよび/またはそれらの加盟銀行が、米国におけるチップ・ア
ンド・ピン認証の適用を妨げるか、またはその他デビット市場における競争を回避するために共謀したと主
張されている。一部の加盟店が、とりわけ、差止め請求を追加し、損害賠償請求を増額する補正訴状を提出
している。
個々の加盟店が提起した訴訟の他に、 MDL1720 における被告であるビザ、マスターカードおよび一部の米
国の金融機関は、 ニューヨーク州東部地区米連邦地方裁判所に 、ビザの行為は連邦および州の反トラスト法
に違反しないとの宣言の求めを含む、一部の加盟店に対する申立てを行った。
本項に記載された個々の加盟店の訴訟は、いずれも MDL1720 を担当する裁判官に割り当てられたかまたは
広域係属訴訟司法委員会により MDL1720 へ含めるために移管されたかもしくは移管を検討されている。これら
の個々の加盟店の訴訟は、米国の遡及的責任計画に基づく米国の対象訴訟となる。注記5-米国およびヨー
ロッパの遡及的責任計画を参照のこと。
当社は、これらの暫定的集団訴訟および個々の加盟店の訴訟に対して強固な抗弁を有すると考えている
が、個々の法的請求に関する最終的な結果は、実質的に予想不可能である。当社は、加盟店の請求に関して
判決を受けるか、和解に至るかまたは予想を修正する可能性があり、影響が蓋然性を持ちかつ合理的に予見
しうるようになる期間における当社の財務成績に対し、かかる展開が重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
米国の遡及的責任計画は、これらの事案での損害賠償に対処するために策定されている(注記5-米国およ
びヨーロッパの遡及的責任計画を参照のこと。)が、当社が事業慣行、規則または契約上のコミットメント
を変更する必要が生じる判決または和解によって、当社の財務業績が悪影響を受ける可能性がある。
ビザ・ヨーロッパ域内の対象訴訟
欧州加盟店訴訟
2013 年7月より、 500 を超える本件加盟店(本項において、「本件加盟店」とは、一部同一の請求の対象
となっている子会社/関連会社と併せた加盟店を意味する。)がビザ・ヨーロッパ、ビザ・インクならびに
英国およびドイツにおけるビザのその他子会社を相手方として、主にヨーロッパにおけるインターチェン
ジ・レートに関する、また一部の事案ではビザが課す手数料および特定のビザ規則に関する訴訟手続を開始
した。本件加盟店は、1または複数の以下の種類のクレジットカードおよびデビットカードの取引のイン
ターチェンジ手数料に関連する反競争的とされる行為に対して損害賠償を求めている。すなわち、英国国
内、アイルランド国内、その他ヨーロッパ国内、欧州経済領域間および/またはその他の地域間である。本
書の日付現在、ビザ・ヨーロッパ、ビザ・インクおよびビザ・インターナショナルは、 100 超の本件加盟店か
らの申立てについて和解しているが、 400 を上回る加盟店についてはまだ訴訟が係属中である。また、 30 超の
別の本件加盟店が、同様の訴訟を提起する恐れがあった。本件加盟店による訴訟となる恐れのあるいくつか
の申立てに関する据置協定が締結されているが、そのいくつかの申立ては和解している。問題とされている
インターチェンジ手数料が高額となる可能性がある一方で、訴状はいまだ提出されておらず、全容は明らか
ではない。当社は、さらにいくつかのヨーロッパの事業体が、同様の申立てを行う可能性があると示唆して
いるとの情報を得ており、将来、さらなる申立てが行われると予想している。
2016 年 11 月から 2017 年3月までの間、1つの加盟店のみにより提起された申立てに関する審理が行われ
た。 2017 年 11 月および 2018 年2月に下された判決で、裁判所は、当該加盟店に対してビザの英国国内のイン
ターチェンジは競争を制限していなかったが、もしも制限的であると判断された場合は、適用ある法律によ
り免除されなかったであろうと判断した。 2018 年4月、控訴裁判所は、インターチェンジに関して申し立て
た同時期の別の2件のマスターカードの事案の判決に対する当該加盟店の申立てを受け入れた。 2018 年7月
4日、控訴裁判所は、下級裁判所の判決を覆し、ビザの英国国内のインターチェンジが競争を制限したと判
断し、ビザの英国国内のインターチェンジは適用ある法律による制限の認定が免除されるか否かが間違って
決定されたと判断した。控訴裁判所は、かかる免除の問題および損害の査定を再検討するよう、当該申立て
を下級裁判所に差し戻した。 2018 年 11 月 29 日、ビザは、控訴裁判所の判決の一部について英国最高裁判所に
申立て(ビザの英国のインターチェンジが競争を制限したか否かを含む。)の許可を取得した。最高裁判所
は、 2020 年1月にかかる控訴審についての審問を行う予定である。
173/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
加盟店の全請求は送達されていないため損害賠償の全容は明らかではないが、ビザは強力な反論をしてい
る。しかしながら、発表され、送達され、また/または保全された請求は、数十億ドルの損害賠償を求めて
いる。
その他の訴訟
欧州委員会 DCC 調査
2013 年、欧州委員会(以下「 EC 」という。)は、ビザ・ヨーロッパの通貨変換( DCC )取引に関する価格決
定および規則が EU の競争規則に違反しているとの主張に基づき、ビザ・ヨーロッパに対する調査を開始し
た。本調査の結果は出ていない。
カナダ加盟店訴訟
2010 年 12 月より、数々の集団訴訟が、ビザおよび/またはマスターカードのクレジットカードによる支払
を受け入れた加盟店を代表し、ビザ・カナダ、マスターカードおよび 10 社の金融機関を相手方として、ケベッ
ク州、ブリティッシュ・コロンビア州、オンタリオ州、サスカチュワン州およびアルバータ州で提起され
た。かかる訴訟では、デフォルト・インターチェンジおよび一定のネットワーク規則に関して、ビザとマス
ターカードが別個に共謀し、カナダの価格操作法および様々なコモンローに違反したと申し立てられてい
る。 2015 年および 2016 年に、金融機関のうち4社が原告と和解した。 2017 年6月、ビザ、マスターカードお
よび5つめの金融機関も原告との和解に至った。 2018 年に和解承認のための審問が行われ、5つの州のそれ
ぞれの裁判所が和解を承認した。ウォルマート・カナダおよび/またはホーム・デポ・オブ・カナダ・イン
クは、かかる和解承認の決定に対して、上訴通知を提出した。 2019 年8月 30 日、 2019 年9月9日および 2019
年 10 月 17 日、ブリティッシュ・コロンビア州、ケベック州およびオンタリオ州の控訴裁判所はそれぞれ、
ウォルマート・カナダおよびホーム・デポ・オブ・カナダ・インクが提起した控訴を退けた。かかる控訴は
その他の州において係属中である。
米国 ATM 使用料訴訟
全米 ATM 協議会( National ATM Council )集団訴訟 2011 年 10 月、全米 ATM 協議会と 13 の非銀行系 ATM 運営会
社は、ビザ(ビザ・インク、ビザ・インターナショナル、ビザ USA およびプラス・システム・インク( Plus
System, Inc. ))およびマスターカードに対してコロンビア地区米連邦地方裁判所に集団訴訟を提起した。
かかる訴状は、 ATM 運営会社がビザまたはプラスでの取引につき消費者に対して使用料を請求することを選択
した場合、かかる使用料はその他のネットワーク上の取引において請求される使用料を超過しないというビ
ザの規則(および類似のマスターカードの規則)に対して異議を申し立てるものである。原告は、当該規則
がシャーマン法第1条に違反すると主張し、「現時点では不明の額であるが、3倍額損害賠償、差止めによ
る救済および弁護士費用を要求している。 2019 年9月 20 日、原告は集団認定の申立てを行った。
消費者集団訴訟 2011 年 10 月、同一の ATM 使用料規則につきビザおよびマスターカードに対して異議を申し
立てる消費者集団訴訟が同連邦裁判所に提起された。規則につき異議を申し立て、後に結合された他2件の
消費者集団訴訟もまた、 2011 年 10 月に同連邦裁判所に提起され、ビザ、マスターカードおよび3社の金融機
関が被告として名を挙げられている。原告は、連邦法および州法(シャーマン法第1条および消費者保護法
を含む。)に基づく有効な3倍額賠償、賠償、差止めによる救済および弁護士費用を要求している。 2019 年
9月 20 日、原告は両訴訟において集団認定の申立てを行った。
米国司法省による民事調査請求
2012 年3月 13 日、米国司法省反トラスト局(以下「トラスト局」という。)は、ビザ・インクに対して民
事調査請求( CID )を出し、シャーマン法第1条または第2条(合衆国法律集第 15 巻第1、2条)違反の可能
性に関する書類および情報を求めた。 CID は、ビザの「加盟店獲得会社ネットワーク固定手数料」を含む、
「 PIN 認証ビザデビット」およびビザによるドッド・フランク法への競争力のある対応に焦点を当てている。
ビザは、 CID に関してトラスト局に協力している。
パルス・ネットワーク( Pulse Network )
2014 年 11 月 25 日、パルス・ネットワーク・エルエルシー( Pulse Network LLC )は、ビザ・インクに対す
る訴訟をテキサス州の連邦地方裁判所に提起した。パルスは、ビザがとりわけ、デビットカード・ネット
ワーク・サービス市場を独占しており、独占しようとしたと主張している。パルスは、未確定の3倍額賠
償、弁護士費用および差止めによる救済(加盟店獲得会社ネットワーク固定手数料構造、 PIN 認証ビザデビッ
トに関するビザの行動、ならびにデビット引受けに関する加盟店および加盟店獲得会社とのビザの契約を禁
止することを含む。)を求めている。 2018 年8月 31 日、裁判所は、ビザによるサマリージャッジメントの申
立てを受け入れ、パルスにはその主張についての当事者適格がないと認定した。パルスは、かかる地方裁判
174/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
所のサマリージャッジメントの判決について第5巡回区控訴連邦裁判所に上訴し、 2019 年 10 月9日に口頭弁
論が行われた。
EMV チップのライアビリティ・シフト
ミラムズ・マーケット( Milam's Market )の名称で事業運営をしている B&R スーパーマーケット・インク
( B&R Supermarket, Inc. )およびグローブ・リカーズ・エルエルシー( Grove Liquors LLC )は、 2016 年3
月8日に最初の訴状を提出した後、 2016 年7月 15 日に、ビザ・インク、ビザ USA 、マスターカード、ディスカ
バー、アメリカン・エキスプレス、 EMVCo および特定の金融機関に対する集団訴訟補正訴状を、カリフォルニ
ア州北部地区米連邦地方裁判所に提出した。当該補正訴状では、被告側は、 EMVCo を通じて、不正な、欠陥の
あるまたはその他拒否された決済カード取引の債務責任を、被告側から原告の主張する加盟店らに共謀して
移行したと主張されている。原告の主張する加盟店らとは、 2015 年 10 月から「ライアビリティ・シフト」に
従った米国中の加盟店として定義される。原告は、いわゆる「ライアビリティ・シフト」は、シャーマン法
第1条および第3条ならびに一部の州法に違反していると主張し、3倍額賠償、差止めによる救済および弁
護士費用を求めている。
EMVCo および被告である金融機関は免訴され、その後、当該事案はニューヨーク州東部地区の米国地方裁
判所へ移管されたが、これにより当該事案が MDL1720 の一部でないことが明らかになった。
原告は、以前に他の権利関係に影響することなく却下された集団認定の申立てを、 2018 年7月 16 日に新た
に行った。原告が新たに行った申立ては、 2018 年 10 月 17 日の再審理に影響することなく終了されたが、その
後再審理の申立てが行われ、現在係属中である。
ナッツ・フォー・ キャンディー( Nuts for Candy )
2017 年4月5日、原告のナッツ・フォー・キャンディーは、同社および 2004 年1月1日以降ビザブランド
のカードを受け入れているカリフォルニア州の加盟店の暫定的集団を代理して、ビザ・インク、ビザ・イン
ターナショナルおよびビザ USA に対する訴訟をカリフォルニア州裁判所に提起した。ナッツ・フォー・キャン
ディーは、カリフォルニア州の反トラストおよび不公正な取引に関する法律に基づく損害賠償、費用および
その他の賠償を求めている。 2018 年 10 月 18 日、裁判所は、上記「インターチェンジ広域係属訴訟( MDL )-暫
定的集団訴訟」に記載された修正和解契約の仮承認および最終承認に関する地方裁判所の判決が出るまで、
ナッツ・フォー・キャンディーの訴訟を中止した。
ブラジル経済擁護行政委員会
2018 年 10 月 15 日、ブラジル経済擁護行政委員会(以下「 CADE 」という。)は、ビザ、マスターカード、ア
メリカン・エキスプレスおよび Elo に対して、加盟店獲得会社にペイメント・ファシリテーターから特定の情
報を受領することを要求するネットワーク規則に関連した、競争法違反の可能性に関する情報を求める調査
を開始した。 2019 年 10 月 15 日、 CADE は、調査終了の勧告を出し、当該調査は 2019 年 10 月 30 日付で終了した。
オーストラリア競争・消費者委員会
2019 年7月 12 日、オーストラリア競争・消費者委員会(以下「 ACCC 」という。)は、 ACCC がビザデビット
に関する特定の契約およびインターチェンジ手数料に対する調査を開始したとビザに通知した。ビザは、
ACCC に協力している。
連邦取引委員会による任意立入通知
2019 年 11 月4日、米国連邦取引委員会競争局(以下「競争局」という。)は、ビザの訴訟がデビット決済
ネットワークの選定における加盟店の選択を妨げたか否か(ドッド・フランク・ウォール・ストリート改
革・消費者保護法のダービン修正条項に違反した可能性がある。)という調査のため、ビザが任意に書類お
よび情報を提出するよう要求した。ビザは、競争局に協力している。
次へ
175/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
要約四半期財務データ(未監査)
以下の表は、当社の 2019 年度および 2018 年度の各四半期および事業年度の営業成績の要約を示している。
四半期(未監査) 事業年度
2019 年 2019 年 2019 年
2018 年
2019 年
(1)
6月 30 日 3月 31 日
9月 30 日 12 月 31 日
( 一株当たり利益に関するデータを除き、 百万ドル)
純収益
$ 6,137 $ 5,840 $ 5,494 $ 5 ,506 $ 22 ,977
営業利益
$ 3,735 $ 3,908 $ 3,641 $ 3 ,717 $ 15 ,001
当期純利益
$ 3,101 $ 2,977 $ 2,977 $ 12 ,080
$ 3,025
基本的一株当たり利益
$ 1 .34 $ 1 .37 $ 1.31 $ 1.30 $ 5 .32
クラス A普通株式
$ 2 .19 $ 2.23 $ 2.13 $ 2.12 $ 8 .68
クラス B普通株式
$ 5 .38 $ 5 .48 $ 5.23 $ 5.20 $ 21 .30
クラス C普通株式
希薄化後一株当 たり利益
$ 1 .34 $ 1 .37 $ 1.31 $ 1.30 $ 5 .32
クラス A普通株式
$ 2.19 $ 2.23 $ 2.13 $ 2.12 $ 8.66
クラス B普通株式
$ 5.37 $ 5.48 $ 5.23 $ 5.20 $ 21.26
クラス C普通株式
四半期(未監査) 事業年度
2018 年 2018 年 2018 年 2017 年
2018 年
(1) (1) (1)
3月 31 日
9月 30 日 6月 30 日 12 月 31 日
( 一株当たり利益に関するデータを除き、 百万ドル)
純収益
$ 5,434 $ 5,240 $ 5,073 $ ▶,862 $ 20 ,609
営業利益
$ 3,406 $ 2,885 $ 3,336 $ 3,327 $ 12 ,954
当期純利益
$ 2,329 $ 2,605 $ 10 ,301
$ 2,845 $ 2,522
基本的一株当たり利益
$ 1.24 $ 1.00 $ 1.12 $ 1.07 $ ▶.43
クラス A普通株式
$ 2.01 $ 1.84 $ 1.77 $ 7.28
クラス B普通株式 $ 1.66
$ ▶.94 $ ▶.02 $ ▶.46 $ ▶.30 $ 17 .72
クラス C普通株式
希薄化後一株当 たり利益
$ 1.23 $ 1.00 $ 1.11 $ 1.07 $ ▶.42
クラス A普通株式
$ 2.01 $ 1.84 $ 1.77 $ 7.27
クラス B普通株式 $ 1.65
$ 4.93 $ 4.01 $ 4.46 $ 4.29 $ 17.69
クラス C普通株式
(1) 当社の未監査連結損益計算書には、重要な1回限りの項目の影響がいくつか含まれている。本報告書の Overview within Item 7 -
Management’s Discussion and Analysis of Financial Condition and Results of Operations (訳注:当社の 2018 年度 10-K 原文の項
目名である。)を参照のこと。
次へ
176/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
177/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
178/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
179/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
180/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
181/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
182/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
183/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
184/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
185/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
186/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
187/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
188/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
189/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
190/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
191/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
192/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
193/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
194/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
195/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
196/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
197/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
198/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
199/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
200/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
201/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
202/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
203/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
204/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
205/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
206/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
207/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
208/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
209/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
210/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
211/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
212/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
213/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
214/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
215/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
216/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
217/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
218/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
219/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
220/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
221/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
222/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
223/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
224/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
225/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
226/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
227/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
228/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
229/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
230/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
231/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
232/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
2【主な資産・負債及び収支の内容】
「1財務書類」を参照のこと。
3【その他】
(1)決算日後の状況
2020 年1月 13 日、当社は、 5.3 十億米ドルでプラッド・インク( Plaid, Inc. )を買収する正式契約を
締結した。当社は、約 4.9 十億米ドルの現金ならびに約 0.4 十億米ドルの留保資本および繰延資本の対価
を支払う予定である。かかる買収は、特定の規制当局の承認を含む慣習的な完了条件で、今後3ヶ月か
ら6ヶ月で締結される見込みである。
(2)法的手続き
法的手続きおよび行政手続きについては、「1財務書類-注記 20 法的事項」を参照のこと。
4【日本と米国における会計原則及び会計慣行の相違】
本有価証券報告書に含まれる財務書類は米国において一般に公正妥当と認められる会計原則
(「 USGAAP 」)に準拠して作成されている。したがって、これらは日本において一般に公正妥当と認め
られる会計原則(「 JGAAP 」)に準拠して作成される財務書類とは異なる会計原則および表示形式が適用
されている。ビザにおける特定の USGAAP の適用については、「第一部第6-1財務書類の注記1-重要
な会計方針の要約」でより詳しく説明されているが、主な USGAAP および JGAAP の主な相違は以下のとおり
である。
(1) 有給休暇に関する会計処理
USGAAP は、特定の条件を満たした従業員に与えられる有給休暇を取得する権利について負債を認識
することを要求している。
JGAAP のもとでは、有給休暇についての特段の会計基準は存在しておらず、一般的な実務慣行として
関連する負債は認識されていない。
(2) デリバティブの評価およびヘッジ会計
USGAAP のもとでは、ヘッジ手段はヘッジ関係の性質により会計処理が以下のように異なる。
1. 公正価値ヘッジの場合、デリバティブの公正価値の変動のうち有効部分は、損益計算書を通じ
て、ヘッジ対象の資産、負債、または確定契約の公正価値の変動と相殺される。
2. キャッシュ・フロー・ヘッジの場合、デリバティブの公正価値の変動のうち有効部分は、資本
の部の個別項目であるその他包括利益に税引後の金額で認識され、ヘッジ対象の取引が損益計
算書に計上されるのと同じ期に損益計算書に組み替えられる。
3. 海外事業への純投資に関するヘッジの場合、ヘッジ手段に関する損益のうち有効部分はその他
包括利益に外貨換算調整勘定の一部として計上される。
また、デリバティブの公正価値の変動のうち非有効部分は、直ちに損益に認識される。
JGAAP のもとでは、デリバティブをヘッジ手段として利用するヘッジ取引は以下のように会計処理さ
れる。
233/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
1. 公正価値で評価されるヘッジ手段の公正価値の変動は、原則としてヘッジ対象に関する損益が
認識されるまで資産または負債として繰り延べられる。
2. ヘッジ対象が売却可能有価証券の場合、当該有価証券の公正価値における変動は、損益計算書
を通じてヘッジ手段の公正価値の変動と相殺することができる。
3. 資産または負債に関する利息の支払額または受取額を転換するために用いられる金利スワップ
については、想定元本、金利指数、金利の支払日および計算期間、契約期間などの主要な条件
がヘッジ対象の資産または負債のものとほぼ同一である場合、当該スワップを公正価値で評価
す る代わりに、ヘッジ対象の資産または負債にかかる利息への調整として発生主義で計上する
ことが認められる。
また、ヘッジ関係が高い有効性を有する場合には非有効部分を含めて、ヘッジ手段の公正価値の変
動のすべてを繰延処理することができる。ただし、非有効部分については損益に計上することもでき
る。
(3) 収益認識
USGAAP のもとでは、米国財務会計審議会(以下、「 FASB 」という。)が 2014 年5月に公表した新基
準(会計基準アップデート第 2014-09 号)( ASC トピック 606 )により、企業は顧客に対して財または
サービスを移転したことにより企業が権利を得ると見込んでいる対価で収益金額を認識する。当社は
2018 年 10 月1日より当該基準を適用している。新収益認識基準により、特定の顧客インセンティブお
よび顧客に支払われるマーケティング関連の支出の認識時点ならびに分類の他、市場開拓の支出およ
びインセンティブとして顧客に提供されるサービスに関する収益ならびに費用が変更された。新収益
基準による影響については、連結財務諸表の注記1重要な会計基準‐収益認識を参照のこと。
JGAAP のもとでは、収益は実現主義の原則に従い、商品等の販売または役務の給付によって実現した
ものに限り、収益として認識されるが、 USGAAP のような包括的な規定はない。
セールス・インセンティブについての特段の会計基準は存在しておらず、一般的に販売管理費に分
類されている。
なお、 2018 年3月 30 日に、収益に関する会計処理及び開示について定めることを目的とした企業会
計基準第 29 号「収益認識に関する会計基準」が企業会計審議会から公表された。新基準は、 USGAAP の
ASC606 「顧客との契約から生じる収益」と概ね同様のものとなっている。新基準は、 2021 年4月1日
以後開始する事業年度の期首から適用されるが、早期適用が認められている。
(4) のれんおよびその他の無形資産
USGAAP のもとでは、のれんおよび耐用年数が確定できない無形資産は償却されず、代わりに年次
で、または減損の兆候を示す事象や状況が存在する場合にはより頻繁に減損テストが実施されてい
る。耐用年数が有限である無形資産は、耐用年数にわたって償却される。
JGAAP のもとでは、のれんは、 20 年以内の期間にわたって規則的に償却される。その他の無形資産は耐
用年数または契約期間にわたって償却される。必要な場合、減損の認識も求められている。
(5) 株式に基づく報酬
USGAAP のもとでは、 公正価値法を用いて株式に基づく報酬費用が認識される。当社は役務条件付き
の報酬についてのみ、必要不可欠な役務提供期間(通常、権利確定期間)にわたり定額法で報酬費用
を認識している。業績連動型報酬費用および市場連動型報酬費用は段階法により認識される。これら
の金額は当初、業績目標に基づいて見積られ、必要に応じて業績期間を通じて経営陣の最善の見積り
に基づき調整される。
234/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
JGAAP のもとでは、 各会計期間における費用計上額は、ストック・オプションの公正な評価額のうち
当期に発生したと認められる額を計上することとされている。当期に発生したと認められる額は、こ
れと対価関係にあるサービスの提供期間である対象勤務期間を基礎とする方法、またはその他の合理
的 な方法に基づいて行われる。株価条件が付されている等、権利確定日を合理的に予測することが困
難なためにその予測を行わない場合、対象勤務期間はないものとみなされ、付与日に費用計上され
る。
(6) 変動持分事業体の連結
USGAAP のもとでは、次の (1) または (2) を満たす事業体を変動持分事業体( VIE )と呼ぶ。
(1) リスクにさらされているエクイティが充分ではなく、追加の劣後的な財政支援なしには事業体が
活動を行うための資金を調達できない、または
(2) 持分投資家を1つのグループと見た場合に、次のいずれかを欠いているもの。
(a) 議決権または類似する権利を通じて、事業体の経済的パフォーマンスに最も重要な影響を与
える、事業体の活動を指図するパワー
(b) 事業体の期待損失を被る義務
(c) 事業体の期待残余利益を受ける権利
VIE は、支配財務持分を有する主たる受益者により連結される。次の特徴を有する企業は主たる受益
者とみなされる。
(a)VIE の経済的パフォーマンスに最も重要な影響を与える、 VIE の活動を指図するパワー
(b)VIE にとって潜在的に重要となる可能性のある、 VIE の損失を被る義務、または VIE にとって潜在的
に重要となる可能性のある、 VIE からの便益を受ける権利を有している
日本においては、連結の範囲を決定するために、変動持分事業体の概念は使用されていない。
(7) 公正価値オプション
US GAAP では、持分投資の測定による変動は、公正価値が測定できるか否かにかかわらず、純損益に
認識しなければならない。金融負債について公正価値オプションの適用を選択した企業は、金融商品
固有の信用リスクに関連する公正価値変動をその他包括利益に認識しなければならない。
日本においては、公正価値オプションは認められていない。
(8) 法人税等
USGAAP では、評価において実現する可能性が実現しない可能性よりも高いタックス・ポジション
は、そのテクニカル・メリットに基づいて認識される。認識された金額は、実現する可能性が 50 %超
と判断される最大の額で測定される。認識された金額は、税務申告書で申告する、または申告する予
定の金額とは異なる可能性がある。この差額は、負債または繰延税金資産の減少として計上される。
これらの未認識のタックス・ポジションに係る支払利息および課徴金は、未払計上される。
日本基準では、未認識のタックス・ポジションに関する特段の規定はない。
235/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
236/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
第7【外国為替相場の推移】
当社の財務諸表の表示に用いられた通貨(米ドル)と本邦通貨との間の為替相場が、国内において時事に
関する事項を掲載する2紙以上の日刊新聞に参考期間の事業年度おいて掲載されているので、本記載は省略
する。
第8【本邦における提出会社の株式事務等の概要】
1【本邦における株式取扱事務の概要】
(1)株式の名義書換取扱場所および名義書換代理人
日本においては、クラスA普通株式の名義書換取扱場所および名義書換代理人は存在しない。
クラスA普通株式の取得者(以下「実質株主」という。)は、クラスA普通株式の取得窓口となった金融
商品取引業者(以下「窓口金融商品取引業者」という。)との間に外国証券取引口座約款(以下「約款」と
いう。)を締結する必要があり、当該約款により、株主の名義で外国証券取引口座(以下「取引口座」とい
う。)が開設される。売買取引の実行、売買代金の決済、証券の保管および株式に関するその他の取引に関
する事項はすべてこの取引口座を通じて処理される。かかる場合、取引の実行、売買代金の決済および株式
の取引に関するその他の支払についての各事項はすべて当該契約の各条項に従い処理される。
(2)実質株主に対する特典
なし。
(3)株式の譲渡制限
クラスA普通株式に譲渡制限はない。
(4)その他株式事務に関する事項
① 株券の保管
取引口座を通じて保有されるクラスA普通株式は、窓口金融商品取引業者を代理する米国における
保管機関(以下「現地保管機関」という。)およびその名義人の名義で登録され、現地保管機関によ
り保管される。
② 配当等基準日
当社から配当等を受取る権利を有する実質株主は、当社取締役会が配当支払等のために定めた基準
日現在、クラスA普通株式を実質的に所有する者である。
③ 事業年度の終了
毎年9月 30 日
④ 実質株主に対する公告
日本においてはクラスA普通株式に関する公告を行わない。
⑤ 実質株主に対する株式事務に関する手数料
実質株主は、窓口金融商品取引業者の定めるところにより、約款に規定された手続を行うための手
数料および費用として、取引口座を維持するための管理料を支払う。さらに、実質株主は、約款に規
定されたその他の費用を支払う可能性もある。
2【日本における株主の権利行使方法】
(1)実質株主の議決権の行使に関する手続
議決権の行使は、実質株主が窓口金融商品取引業者を通じて行う指示に基づき、現地保管機関またはその
名義人が行う。ただし、実質株主が指示をしない場合、現地保管機関およびその名義人は実質株主のために
保有されているクラスA普通株式について議決権を行使しない。
237/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(2)配当請求に関する手続
① 現金配当の交付手続
約款に従い、現金配当は、窓口金融商品取引業者が現地保管機関およびその名義人から一括受領
し、取引口座を通じて実質株主に交付する。
② 株式配当等の交付手続
株式分割により割り当てられたクラスA普通株式は、現地保管機関およびその名義人の名義で登録
され、窓口金融商品取引業者はかかるクラスA普通株式を取扱口座を通じて処理する。ただし、実質
株主から別段の要請がない限り、売買数が端数のクラスA普通株式については、窓口金融商品取引業
者を代理する現地保管機関により売却され、その純手取金は、窓口金融商品取引業者が現地保管機関
およびその名義人から一括受領し、取引口座を通じて実質株主に支払う。株式配当により割り当てら
れたクラスA普通株式は、実質株主から別段の要請がない限り、窓口金融商品取引業者を代理する現
地保管機関により米国で売却され、その純手取金は、窓口金融商品取引業者が現地保管機関およびそ
の名義人から一括受領し、取引口座を通じて実質株主に支払う。
(3)株式の譲渡に関する手続
実質株主がその持ち株の売却注文をなす際の実質株主と窓口金融商品取引業者との間の決済は円建ておよ
び窓口金融商品取引業者が取扱い可能な範囲内の外貨による。窓口金融商品取引業者は、国内店頭取引につ
いてのクラスA普通株式の決済を送金によって行い、クラスA普通株式の取引の結果として現地保管機関が
保有するクラスA普通株式数残高に増減が生じた場合には、クラスA普通株式の譲渡手続に従って登録機関
において関係クラスA普通株式の譲渡手続がとられる。
(4)本邦における配当等に関する課税上の取扱い
本邦における課税上の取扱いの概要は以下のとおりである。
① 配当
日本において実質株主に対して支払われる配当金は日本の税法上の配当所得となる。クラスA普通
株式が「上場株式等」(租税特別措置法(昭和 32 年法律第 26 号、その後の改正を含む。)に定義され
る。)である限り、クラスA普通株式について日本の居住者たる個人および日本の法人が日本におけ
る支払の取扱者を通じて交付を受ける配当金については、外国において当該配当の支払の際に徴収さ
れた源泉徴収税がある場合にはこの額を外国における当該配当の支払額から控除した後の金額に対し
て、 2037 年 12 月 31 日までは 20.315 %(所得税は 15.315 %、地方住民税は5%)、 2038 年1月1日以降
は 20 %(所得税は 15 %、地方住民税は5%)の税率によりそれぞれ源泉徴収(地方住民税については
特別徴収)により課税され、法人の場合は 2037 年 12 月 31 日までは 15.315 %(所得税)、 2038 年1月1
日以降は 15 %(所得税)の税率によりそれぞれ源泉徴収により課税される。原則として、日本の居住
者たる個人である実質株主の場合には、クラスA普通株式が「上場株式等」である限り、支払を受け
る当該配当については日本では確定申告をしないことを選択することができるので、その場合には上
記の源泉徴収および特別徴収のみで当該配当に係る日本における課税関係は終了する。ただし、確定
申告をしないことを選択する場合には、外国税額控除の目的上、当該配当の支払の際に徴収された外
国の源泉徴収税額は存在しないものとみなされる。個人が支払を受けるべき上場株式の配当について
は、申告分離課税を選択することが可能である。申告分離課税の場合、 2037 年 12 月 31 日までに支払を
受けるべき上場株式の配当については、 15.315 %の所得税と5%の地方税が、 2038 年1月1日以降に
支払を受けるべき上場株式の配当については、 15 %の所得税と5%の地方税が課せられる。かかる配
当の額は、 上場株式等の譲渡損のほか、一定の公社債の譲渡損等とも損益通算が可能である。 日本の
法人である実質株主の場合には、クラスA普通株式について支払を受けた配当は法人税法上益金とし
て課税されるが、上記に述べた日本における支払の取扱者から交付を受ける際に源泉徴収された税額
については適用ある法令に従って所得税額の控除を受けることができる。
② 売買損益
日本の居住者たる個人または日本の法人によるクラスA普通株式の日本における売買に基づく損益
についての課税は、内国会社の上場株式等の売買損益課税と原則として同様である。
③ 相続税
クラスA普通株式を相続しおよび遺贈を受けた日本の実質株主には、日本の相続税法に基づき相続
税が課せられるが、外国税額控除が認められる場合がある。
238/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
(5)実質株主に対する諸通知
当社が登録株主に対して行う通知および通信は、現地保管機関およびその名義人に対してなされる。現地
保管機関はこれを窓口金融商品取引業者に送付する義務があり、窓口金融商品取引業者はこれをさらに各実
質株主に送付する義務がある。実費は実質株主に請求される。ただし、実質株主がその送付を希望しない場
合および当該通知もしくは通信の性格上重要性が乏しい場合には、送付することなく窓口金融商品取引業者
の店頭に備え付け、実質株主の閲覧に供される。
第9【提出会社の参考情報】
1【提出会社の親会社等の情報】
該当なし。
2【その他の参考情報】
当社は、当年度の開始日( 2018 年 10 月1日)から本書提出日までの間に、次の書類を提出している。
提出書類 提出年月日
1.有価証券届出書 2018 年 11 月 27 日
2.臨時報告書
2018 年 12 月5日
(企業内容等の開示に関する内閣府令第 19 条第1項および第2項第1号)
3.臨時報告書
2018 年 12 月 21 日
(企業内容等の開示に関する内閣府令第 19 条第1項および第2項第1号)
4.有価証券届出書 2018 年 12 月 21 日
5.有価証券報告書 2019 年3月 28 日
6.臨時報告書
2019 年5月9日
(企業内容等の開示に関する内閣府令第 19 条第2項第9号)
7.半期報告書 2019 年6月 27 日
8.臨時報告書
2019 年6月 27 日
(企業内容等の開示に関する内閣府令第 19 条第1項および第2項第1号)
9.有価証券届出書 2019 年6月 27 日
10 .有価証券届出書 2019 年 11 月 22 日
11 .臨時報告書
2019 年 12 月2日
(企業内容等の開示に関する内閣府令第 19 条第1項および第2項第1号)
12 .臨時報告書
2019 年 12 月 20 日
(企業内容等の開示に関する内閣府令第 19 条第1項および第2項第1号)
13 .有価証券届出書 2019 年 12 月 20 日
239/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
第二部【提出会社の保証会社等の情報】
第1【保証会社情報】
該当なし。
第2【保証会社以外の会社の情報】
該当なし。
第3【指数等の情報】
該当なし。
240/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
独立登録会計事務所の同意書
(翻訳)
ビザ・インク
取締役会御中
私たちは、ビザ・インク および子会社 の 2019 年および 2018 年9月 30 日 現在の連結貸借対照表、 2019 年9月 30
日に終了した3年の各年における事業年度の関連の連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計
算書および連結キャッシュ・フロー計算書、ならびにビザ・インクの 2019 年9月 30 日現在の財務報告に係る
内部統制の有効性 についての私たちの 2019 年 11 月 14 日付の監査報告書が関東財務局に提出されるビザ・イン
クの有価証券報告書第8号様式に含まれることならびに、当該有価証券報告書、「第6 経理の状況」で当
会計事務所が参照されること に同意します。
/s/ ケーピーエムジー エルエルピー
カリフォルニア州サンタ・クララ市
2020 年3月 27 日
次へ
241/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
Consent of Independent Registered Public Accounting Firm
The Board of Directors
Visa Inc.:
We consent to the inclusion in this Securities Report on Form 8 of Visa Inc. filed with the Kanto Local
Finance Bureau of our report dated November 14, 2019 with respect to the consolidated balance sheets of Visa
Inc. and subsidiaries as of September 30, 2019 and 2018 , and the related consolidated statements of
operations, comprehensive income, changes in equity, and cash flows for each of the years in the three -year
period ended September 30, 2019 , and the effectiveness of internal control over financial reporting of Visa
Inc. as of September 30, 2019 , and to the reference to our firm under the caption “ Section VI. - Financial
Conditions" in this Securities Report.
/s/ KPMG LLP
Santa Clara , California
March 27, 2020
(※)上記は、独立登録会計事務所の同意書の原本に記載された事項を電子化したものです。
その原本は本有価証券報告書提出会社が別途保管しております。
次へ
242/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
独立登録会計事務所の監査報告書
ビザ・インク
取締役会および株主各位
連結財務諸表および財務報告に係る内部統制についての監査意見
私たちは、添付のビザ・インクおよび子会社(以下、「会社」という。)の 2019 年および 2018 年9月 30 日
現在の連結貸借対照表、 2019 年9月 30 日に終了した3年の各年における連結損益計算書、連結包括利益計算
書、連結持分変動計算書および連結キャッシュ・フロー計算書ならびに関連する注記(以下、総称して「連
結財務諸表」という。)について監査を行った。私たちはまた、トレッドウェイ委員会支援組織委員会が公
表した「内部統制-統合的枠組み」 (2013 年 ) おける基準に基づいて、 2019 年9月 30 日現在における会社の財
務報告に係る内部統制についても監査した。
私たちは、上記の連結財務諸表が、米国において一般に公正妥当と認められる会計原則に準拠して、会社
の 2019 年および 2018 年9月 30 日現在の財政状態ならびに 2019 年9月 30 日に終了した3年の各年における経営
成績およびキャッシュ・フローを、すべての重要な点において適正に表示しているものと認める。私たちは
また、会社が、すべての重要な点において、トレッドウェイ委員会支援組織委員会により発行された「内部
統制-統合的枠組み」 (2013 年 ) における基準に基づいて、 2019 年9月 30 日現在で財務報告に係る有効な内部
統制を維持していたものと認める。
会計方針の変更
連結財務諸表注記1に記載されているとおり、会社は、 2019 年度において、会計基準アップデート第 2014-
09 号「顧客との契約から生じる収益」( Topic 606 )を採用したことにより、顧客との契約から生じる収益に
関する会計処理方法を変更している。
監査意見の基礎
会社の経営陣の責任は、これらの連結財務諸表ならびに添付の財務報告に係る内部統制に関する経営陣の
報告書に含まれる、財務報告に係る有効な内部統制の維持および財務報告に係る内部統制の有効性を評価す
ることにある。私たちの責任は監査に基づいて会社の連結財務諸表および財務報告に係る内部統制について
意見を表明することにある。私たちは、公開会社会計監視審議会(米国) ( 以下、「 PCAOB 」という。 ) に登
録されている会計事務所であり、米国の連邦証券法ならびに証券取引委員会および PCAOB の適用法令に従っ
て、会社から独立していることを義務付けられている。
私たちは、 PCAOB の基準に準拠して監査を実施した。これらの基準は、すべての重要な点において、連結財
務諸表に不正または誤謬による重要な虚偽表示がないかどうか、また財務報告に係る有効な内部統制が維持
されているかどうかについて合理的な保証を得るための監査を私たちが計画し、実施することを要求してい
る。
私たちの連結財務諸表の監査は、不正または誤謬による、連結財務諸表の重要な虚偽表示のリスクについ
ての評価手続きの実施およびそれらのリスクへの対応手続きの実施を含んでいる。そうした手続きは、連結
財務諸表の金額と開示に関する証拠の試査を検討することを含んでいる。また、私たちの監査は、経営陣が
採用した会計原則および経営陣によって行われた重要な見積りの評価、ならびに全体としての連結財務諸表
の表示を検討することを含んでいる。財務報告に係る内部統制の監査は、財務報告に係る内部統制につき理
解を得ること、重大な欠陥が存在するリスクを評価すること、リスクの評価に基づき、内部統制の整備状況
および運用状況を検証し評価することを含んでいる。私たちの監査はまた、私たちが状況により必要と認め
243/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
たその他の手続きを実施することを含んでいる。私たちは、監査の結果として意見表明のための合理的な基
礎を得たと判断している。
財務報告に係る内部統制の定義および制限
会社の財務報告に係る内部統制は、財務報告の信頼性および一般に公正妥当と認められる会計原則に準拠
した外部報告用財務諸表の作成の信頼性に関して合理的な保証を与えるために整備されたプロセスである。
会社の財務報告に係る内部統制には、 ( 1 ) 会社の取引および資産の処分を合理的な範囲で詳細に、正確かつ
公正に反映する記録の維持に関連し、 ( 2 ) 一般に公正妥当と認められる会計原則に準拠した財務諸表を作成
するために必要な取引が記録され、会社の収支が経営陣および取締役の承認に基づいてのみ行われているこ
とについての合理的な保証を提供し、 ( 3 ) 財務諸表に重要な影響を与える可能性のある会社の資産の未承認
の取得、使用または処分を防止し、または適時に発見することについての合理的な保証を提供する方針およ
び手続きを含んでいる。
財務報告に係る内部統制は、その固有の限界により、虚偽表示を防止または発見できない可能性がある。
また、有効性評価を将来の期間にわたって想定することは、状況の変化に伴って統制が不十分になる可能性
があるというリスク、または方針あるいは手続きの遵守の程度が低下する可能性があるというリスクにさら
される。
監査上の重要な事項
以下に記載されている監査上の重要な事項は、当期の連結財務諸表監査によって生じた事項であり、監査
委員会にコミュニケーションが行われた、または行うことが要求され、(1)連結財務諸表の重要な勘定ま
たは開示に関連し、かつ(2)特に困難、主観的、または私たちの複雑な判断を伴う事項である。監査上の
重要な事項のコミュニケーションは、連結財務諸表全体に対する私たちの意見にいかなる影響も及ぼさな
い。また、私たちは、以下に記載する監査上の重要な事項のコミュニケーションによって、監査上の重要な
事項や、監査上の重要な事項に関連する連結財務諸表の勘定または開示に対して個別の意見を表明するもの
ではない。
損害賠償を求める集団和解から脱退する集団訴訟の原告に対する未払訴訟債務の評価
連結財務諸表注記 20 に記載されているとおり、会社は、 インターチェンジ広域係属訴訟(以下、「 MDL 」と
いう。)-個々の加盟店の訴訟 を含む様々な法的事項に関与しており、 2019 年9月 30 日現在、 1,203 百万ドル
の未払訴訟債務を計上している。連結財務諸表の作成にあたり、会社は、各法的事項に関連する損失の可能
性を評価し、もしあれば、そうした損失の金額を算定するよう要求されている。会社が当事者となっている
法的事項の結果は、会社が完全に管理できる範囲を超えており、結果が不明の期間が長期に及ぶ可能性もあ
る。
私たちは、 MDL -個々の加盟店の訴訟 としても知られる、損害賠償を求める集団和解から脱退する集団訴訟
の原告に対する未払訴訟債務の評価を監査上の重要な事項として特定した。この手続きにおいては、結果が
予測できず、予測不可能な損害が生じうるような複雑な請求・主張がなされている。 MDL -個々の加盟店の訴
訟 に関する未払訴訟債務の評価においては、起こり得る結果の検討および評価に関連する仮定および見積り
により、監査人の特に困難な判断が要求される。結果の変更は、当該債務の見積額に重要な影響を及ぼす可
能性がある。
監査上の重要な事項に対処するための私たちの手続きには主に以下が含まれていた。私たちは、 MDL -個々
の加盟店の訴訟 に関する会社の訴訟発生プロセスにおける内部統制を含む、会社の訴訟評価プロセスに対し
て、特定の内部統制をテストした。私たちは、 MDL -個々の加盟店の訴訟 を含む会社の法的事項について協議
244/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
している会社の外部および内部の弁護士から直接受け取った書簡を読むことによって未払金額を評価した。
私たちは、 MDL -個々の加盟店の訴訟 を含む、会社および会社の法的事項について、公表されたニュース記事
等、 関連性のある公的に入手可能な情報を検討した。私たちは、以前 MDL 集団和解から脱退した加盟店に関す
る法的事項の解決において発生した実際の金額と過去に計上された債務を比較することによって、会社の金
銭上のエクスポージャーを見積る能力を評価した。私たちは、会社の金銭上のエクスポージャーの計算にお
いて、脱退した加盟店の完全な加盟店数を含んでいることを確認し、感応度分析を行うことによって、金銭
上のエクスポージャーの見積りに関する会社の分析を評価した。
ASC Topic 606 の採用における特定の戦略的パートナーとのインセンティブの取決めに関する収益認識の評
価
連結財務諸表注記1に記載されているとおり、会社は、金融機関顧客、加盟店および戦略的パートナーと
の間で、様々なプログラムに関して長期契約を締結している。特定の戦略的パートナーに対するインセン
ティブの支払いが営業費用として計上されるべきか、あるいは営業収益の減少として計上されるべきかにつ
いての判断は、 ASC Topic 606 の適用範囲に含まれている顧客ガイダンスに対する未払対価の適用によって決
まる。
私たちは、 ASC Topic 606 の採用に際して、特定の戦略的パートナーとのインセンティブの取決めに関する
収益認識の評価を監査上の重要な事項として識別した。会社のオープン・ループ支払ネットワーク特有の性
質と複雑性のために、顧客ガイダンスに対する支払対価の適用を評価する際により高度な監査人の判断が要
求された。
この監査上の重要な事項に対処するための私たち手続きには主に以下が含まれていた。私たちは、会社の
収益認識プロセスに関して特定の内部統制をテストした。ここには、戦略的パートナーに対するインセン
ティブの支払いに関する会計処理および顧客ガイダンスに対する支払対価の適用に関連した統制が含まれ
た。私たちは、戦略的パートナーの権利と義務、ならびに会社がどのように戦略的パートナーから収益を稼
得し、戦略的パートナーを奨励するかを理解するために、会社のオープン・ループ支払ネットワークに参加
している特定の戦略的パートナーとの取決めのサンプルを評価した。私たちは、特定の戦略的パートナー契
約のサンプルを選定し、独立して、顧客ガイダンスに対する支払対価の適用を評価し、会社の評価結果と私
たちの評価を比較した。
/s/ ケーピーエムジー エルエルピー
私たちは、 2007 年より会社の監査人として監査を実施している。
カリフォルニア州、サンタクララ
20 19 年1 1 月 14 日
次へ
245/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
Report of Independent Registered Public Accounting Firm
The Stockholders and Board of Directors
Visa Inc.:
Opinions on the Consolidated Financial Statements and Internal Control Over Financial Reporting
We have audited the accompanying consolidated balance sheets of Visa Inc. and subsidiaries (the
Company) as of September 30, 2019 and 2018, the related consolidated statements of operations,
comprehensive income, changes in equity, and cash flows for each of the years in the three-year period ended
September 30, 2019 and the related notes (collectively, the consolidated financial statements). We also have
audited the Company's internal control over financial reporting as of September 30, 2019, based on criteria
established in Internal Control - Integrated Framework (2013) issued by the Committee of Sponsoring
Organizations of the Treadway Commission.
In our opinion, the consolidated financial statements referred to above present fairly, in all material
respects, the financial position of the Company as of September 30, 2019 and 2018, and the results of its
operations and its cash flows for each of the years in the three-year period ended September 30, 2019, in
conformity with U.S. generally accepted accounting principles. Also in our opinion, the Company maintained,
in all material respects, effective internal control over financial reporting as of September 30, 2019, based on
criteria established in Internal Control - Integrated Framework (2013) issued by the Committee of
Sponsoring Organizations of the Treadway Commission.
Changes in Accounting Principle
As discussed in Note 1 to the consolidated financial statements, the Company has changed its method of
accounting for revenue from contracts with customers in fiscal year 2019 due to the adoption of Accounting
Standards Update 2014-09 “Revenue from Contracts with Customers (Topic 606)".
Basis for Opinions
The Company's management is responsible for these consolidated financial statements, for maintaining
effective internal control over financial reporting, and for its assessment of the effectiveness of internal
control over financial reporting, included in the accompanying Management's Report on Internal Control
over Financial Reporting. Our responsibility is to express an opinion on the Company's consolidated financial
statements and an opinion on the Company's internal control over financial reporting based on our audits. We
are a public accounting firm registered with the Public Company Accounting Oversight Board (United States)
(PCAOB) and are required to be independent with respectto the Companyin accordance with the U.S.federal
securities lawsand the applicable rules and regulations of the Securities and Exchange Commission and the
PCAOB.
We conducted our audits in accordance with the standards of the PCAOB. Those standards require that we
plan and perform the audits to obtain reasonable assurance about whether the consolidated financial
statements are free of material misstatement, whether due to error or fraud, and whether effective internal
control over financial reporting was maintained in all material respects.
Our audits of the consolidated financial statements included performing procedures to assess the risks of
material misstatement of the consolidated financial statements, whether due to error or fraud, and performing
procedures that respond to those risks. Such procedures included examining, on a test basis, evidence
regarding the amounts and disclosures in the consolidated financial statements. Our audits also included
evaluating the accounting principles used and significant estimates made by management, as well as
evaluating the overall presentation of the consolidated financial statements. Our audit of internal control over
financial reporting included obtaining an understanding of internal control over financial reporting, assessing
the risk that a material weakness exists, and testing and evaluating the design and operating effectiveness of
internal control based on the assessed risk. Our audits also included performing such other procedures as we
considered necessary in the circumstances. We believe that our audits provide a reasonable basis for our
opinions.
246/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
Definition and Limitations of Internal Control Over Financial Reporting
A company's internal control over financial reporting is a process designed to provide reasonable
assurance regarding the reliability of financial reporting and the preparation of financial statements for
external purposes in accordance with generally accepted accounting principles. A company's internal control
over financial reporting includes those policies and procedures that (1) pertain to the maintenance of records
that, in reasonable detail, accurately and fairly reflect the transactions and dispositions of the assets of the
company; (2) provide reasonable assurance that transactions are recorded as necessary to permit preparation
of financial statements in accordance with generally accepted accounting principles, and that receipts and
expenditures of the company are being made only in accordance with authorizations of management and
directors of the company; and (3) provide reasonable assurance regarding prevention or timely detection of
unauthorized acquisition, use, or disposition of the company's assets that could have a material effect on the
financial statements.
Because of its inherent limitations, internal control over financial reporting may not prevent or detect
misstatements. Also, projections of any evaluation of effectiveness to future periods are subject to the risk
that controls may become inadequate because of changes in conditions, or that the degree of compliance with
the policies or procedures may deteriorate.
Critical Audit Matters
The critical audit matters communicated below are matters arising from the current period audit of the
consolidated financial statements that were communicated or required to be communicated to the audit
committee and that: (1) relate to accounts or disclosures that are material to the consolidated financial
statements and (2) involved our especially challenging, subjective, or complex judgments. The
communication of critical audit matters does not alter in any way our opinion on the consolidated financial
statements, taken as a whole, and we are not, by communicating the critical audit matters below, providing
separate opinions on the critical audit matters or on the accounts or disclosures to which they relate
Assessment of the accrued litigation liability for class members opting out of the Damages Class settlement
As discussed in Note 20 to the consolidated financial statements, the Company is involved in various legal
proceedings, including the Interchange Multidistrict Litigation (MDL) - Individual Merchant Actions, and has
recorded an accrued litigation liability of $1,203 million as of September 30, 2019. In preparing its
consolidated financial statements, the Company is required to assess the probability of loss associated with
each legal proceeding and the amount of such loss, if any. The outcome of the legal proceedings to which the
Company is a party is not within the complete control of the Company or may not be known for prolonged
periods of time.
We identified the assessment of the accrued litigation liability for class members opting out of the
Damages Class settlement, also know as the MDL - Individual Merchant Actions, as a critical audit matter.
This proceeding involves complex claims that are subject to substantial uncertainties and unascertainable
damages. The assessment of the accrued litigation liability for the MDL - Individual Merchant Actions
required especially challenging auditor judgment due to the assumptions and estimates associated with the
consideration and evaluation of possible outcomes. Changes to the outcomes could have a significant effect
on the estimated amount of the liability.
The primary procedures we performed to address this critical audit matter included the following. We
tested certain internal controls over the Company's litigation assessment process, including internal controls
over the Company's litigation accrual process for the MDL - Individual Merchant Actions. We assessed the
amounts accrued by reading letters received directly from the Company's external legal counsel and in-house
legal counsel that discussed the Company's legal matters, including the MDL - Individual Merchant Actions.
We considered relevant publicly available information, such as published news articles, about the Company
and its legal matters, including the MDL - Individual Merchant Actions. We evaluated the Company's ability
to estimate its monetary exposure by comparing historically recorded liabilities to actual monetary amounts
incurred upon resolution of legal matters for merchants that opted out of the previous MDL class settlement.
We assessed the Company's analysis of the estimated monetary exposure by checking that it included a
complete population of opt-out merchants and performing sensitivity analysis over the Company's monetary
exposure calculations.
247/248
EDINET提出書類
ビザ・インク(Visa Inc.)(E15692)
有価証券報告書
Evaluation of the revenue recognition for incentive arrangements with certain strategic partners upon
adoption of ASC Topic 606
As discussed in Note 1 to the consolidated financial statements, the Company enters into long-term
contracts with financial institution clients, merchants, and strategic partners for various programs. The
determination of whether incentive payments to certain strategic partners should be recorded as an operating
expense or a reduction to operating revenues is dependent upon the application of the consideration payable to
a customer guidance within ASC Topic 606.
We identified the evaluation of the revenue recognition for incentive arrangements with certain strategic
partners upon adoption of ASC Topic 606 as a critical audit matter. A higher degree of auditor judgment was
required to evaluate the application of the consideration payable to customer guidance due to the unique
nature and complexity of the Company's open-loop payment network.
The primary procedures we performed to address this critical audit matter included the following. We
tested certain internal controls over the Company's revenue recognition process, including controls related to
the accounting for incentive payments to strategic partners and the application of the consideration payable to
a customer guidance. We evaluated a sample of arrangements with certain strategic partners that participate in
the Company's open-loop payment network to understand the rights and obligations of the strategic partners,
and how the Company earns revenue from and incentivizes the strategic partner. We selected a sample of
certain strategic partner contracts and independently assessed the application of the consideration payable to a
customer guidance, and compared our assessment to that of the Company's.
/s/ KPMG LLP
We have served as the Company's auditor since 2007.
Santa Clara, California
November 14, 2019
(※)上記は、独立登録会計事務所の監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものです。
その原本は本有価証券報告書提出会社が別途保管しております。
248/248