オーストラリア・ニュージーランド銀行 有価証券報告書
提出書類 | 有価証券報告書 |
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提出日 | |
提出者 | オーストラリア・ニュージーランド銀行 |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
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オーストラリア・ニュージーランド銀行(E05961)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 令和元年12月20日
【事業年度】 自 平成30年10月1日 至 令和元年9月30日
【会社名】 オーストラリア・ニュージーランド銀行
( Australia and New Zealand Banking Group Limited )
(Australian Business Number 11 005 357 522)
【代表者の役職氏名】 グループ財務責任者 (Group Treasurer)
エイドリアン・ウェント (Adrian Went)
【本店の所在の場所】 オーストラリア、ヴィクトリア州3008、ドックランズ、コリンズ・スト
リート833、9階、ANZセンター・メルボルン
(ANZ Centre Melbourne, Level 9, 833 Collins Street, Docklands,
Victoria 3008, Australia)
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 黒丸 博善
【代理人の住所又は所在地】 東京都港区六本木六丁目10番1号
六本木ヒルズ森タワー23階
TMI総合法律事務所
【電話番号】 03-6438-5511
【事務連絡者氏名】 弁護士 黒丸 博善
【連絡場所】 東京都港区六本木六丁目10番1号
六本木ヒルズ森タワー23階
TMI総合法律事務所
【電話番号】 03-6438-5511
【縦覧に供する場所】 該当なし
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( 注)1. 別段の記載がある場合および下記の注記2に従う場合を除き、本書において「当行」、「親会社」または「ANZBGL」と
はオーストラリア・ニュージーランド銀行を意味し、別段の記載がない限り、または文脈上別に解すべき場合でない
限り、「ANZ」、「ANZグループ」、「当グループ」、「当銀行グループ」または「連結会社」はオーストラリア・
ニュージーランド銀行とその連結子会社を意味する。
2. 疑義を回避するため、当行の個別財務書類(「第6 経理の状況-1 財務書類-(2)個別財務書類」を参照のこ
と。)においては、別段の記載がない限り、または文脈上別に解すべき場合でない限り、「当行」および「ANZ」とは
オーストラリア・ニュージーランド銀行を意味し、「当グループ」はオーストラリア・ニュージーランド銀行とその連
結子会社を意味する。
3 .ANZの事業年度は9月30日に終了する。本書に別段の記載がない限り、または文脈上別に解すべき場合でない限り、
2019年9月30日に終了した事業年度は2019年度と言及され、2018年9月30日に終了した事業年度は2018年度と言及さ
れ、2019年9月30日に終了した半期(半年)は2019年9月終了半期と言及され、その他の事業年度および半期(半年)
についてもこれに対応する記載によって言及される。暦年に関する言及はその通りの意味を持つ。
4. 本書に別段の記載がない限り、または文脈上別に解すべき場合でない限り、本書において「ドル」「豪ドル」、
「オーストラリアドル」または「セント」とはオーストラリア連邦の法定通貨を指す。本書において便宜上記載されて
いる日本円への換算は、1ドル=76.25円の換算率(2019年12月2日現在の株式会社三菱UFJ銀行公表の対顧客電信
売相場)により換算されている。本書に別段の記載がない限り、または文脈上別に解すべき場合でない限り、本書にお
いて「米ドル」とはアメリカ合衆国の法定通貨を指し、「ニュージーランドドル」はニュージーランドの法定通貨を指
し、「ユーロ」とはユーロ圏の公式通貨を指す。
5. 本有価証券報告書の情報の一部は、当行およびANZグループの実際の業績および財務状態を本書に提示される情報から
大幅に異ならせる可能性のあるリスクおよび不確実性に左右される、事象または傾向に関する「将来に関する記載」で
ある。本有価証券報告書に含まれている将来に関する記載はいずれも本書提出日現在においてなされた記載であり、今
後提出されることのある本書の訂正報告書または臨時報告書ならびに発行登録書、訂正発行登録書および発行登録追補
書類の参照書類の補完情報およびそれらの添付書類においてなされた記載により、かかる記載は更新、修正、訂正また
は置き換えられることがある。ANZは、本書日付以後に事象や状況を反映するために、または予期しない事態の発生を
反映するために、これらの将来に関する記載の修正結果を公表する義務を負わない。
6. 本書中の表において、計数が四捨五入されている場合、合計は計数の総和と必ずしも一致しない。
7. 本書に別段の記載がない限り、または文脈上別に解すべき場合でない限り、「本書」とは本有価証券報告書を意味す
る。
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第一部【企業情報】
第1【本国における法制等の概要】
1【会社制度等の概要】
(1)【提出会社の属する国・州等における会社制度】
以下はオーストラリアの2001年会社法および当行の定款の概要を含む。以下の事項をより徹底して理解したいと希望する読
者は、元となるこれらの文書を参照すべきである。
当行はその他のオーストラリアの銀行および会社と同様、2001年会社法(「会社法」)に従い、会社法により規制される。
会社法は制定法であり、オーストラリア証券投資委員会(「ASIC」)が管理している。
オーストラリア連邦の諸法律(「豪州法」)は当行のオーストラリアにおける業務運営の様々な局面に影響を与えている。
会社法に加え、特に当行に関係のある重要な豪州法は、1959年銀行法(「銀行法」)、1998年オーストラリア健全性規制庁
法、2001年オーストラリア証券投資委員会法および1998年金融部門(株式所有)法を含む、現行の銀行諸法から構成される。
当行は上場公開会社であるため、オーストラリア証券取引所(「ASX」)が管理する上場規程による規制も受ける。
当行に適用のある会社法の主要規定の概略は以下の通りである。
上場会社は会社内部の経営および株主の権利を統治する定款を持たなければならない。当行は2007年12月18日に開催された
株主総会において当行の株主により承認され、2010年12月17日および2018年12月19日に開催された株主総会において変更が承
認された定款(「定款」)を採択している。
定款には、会社の業務、運営、権利および権限ならびに株主、取締役、その他の役員の権利および権限に関して、豪州法の
規定と一致する規則のみを含めることができる。定款は、決議に関して議決権を有する会社の株主の最低75%の投票をもって
決議される場合のみ改定することができると会社法により規定されている。
定款は通常、以下の事項に関する規定を含む。
・会社の株式に付随する権利および義務ならびに会社の株式の譲渡。
・株主総会の投票および運営方法。
・取締役の人数、権限、義務および任免ならびに取締役会会議の運営方法。
・会社秘書役の任命および社印の使用。
・会計および監査。
・株主への通知。
・会社の清算に際しての資産の分配。
会社法は、当行に対し、その取引、財務状況および業績を正確に記録かつ説明し、真正かつ公正な財務書類の作成および監
査を可能にする、書面による会計帳簿を保持することを要求している。
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会社法は当行に対し、その事業年度ごとに財務報告書を期限前に作成し、監査を受けることを要求している。財務報告書
は、(ⅰ)財務書類(損益計算書、包括利益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書および持分変動計算書ならびに財
務書類の注記を含む。)ならびに(ⅱ)財務書類および注記についての取締役の宣誓書から構成される。財務報告書はオースト
ラリアの会計基準および会社法に規定されているその他の関連規則を遵守しなければならず、財務書類および注記は当行の財
務状況および業績につき真正かつ公正な見解を表示しなければならない。当行はグループ内の親会社であるので、当該事業年
度を通して随時、当行が支配している会社との連結財務書類の作成も要する。会社法に基づき、当行の監査人は企業もしくは
個人(どちらの場合でも会社法に基づく登録を行っている会社監査人でなければならない。)または(会社法に基づく公認監
査会社である)会社でなければならない。監査人は、毎事業年度の当行の財務報告書の監査を実施し、当行の年次財務報告書
に関して以下の事項について意見を述べる義務を有する。
・年次財務報告書が会社法およびオーストラリアの会計基準に従い作成されているか否か。
・年次財務報告書が当行の財務状況および業績について真正かつ公正な見解を示しているか否か。
・監査人は、監査の実施につき必要なすべての情報、説明および支援を得ているか否か。
・当行は年次財務報告書の作成および監査を可能にするため十分な会計帳簿の記録を保持しているか否か。
・当行は会社法の要求するその他のすべての記録および登録簿を保持しているか否か。
ただし、年次財務報告書に関する監査報告書は、上記の最初の2項目のみを明示的に言及している。
財務報告書中のあらゆる欠陥もしくは不正または上記の最後の3項目に言及される事項に関する不備、不履行もしくは不足
についての詳細は監査報告書に記載されなければならない。
当行の取締役は、会社法で特定された一定の事項に関して、当行の株主宛てに事業年度ごとの取締役会の報告書を作成しな
ければならない。これらの事項にはとりわけ、事業年度中支払われた配当額、事業年度中推奨されたが支払われなかった配当
額、事業年度の業務運営およびその業績結果の検討、事業年度中に行われた当行の主要な業務についての記載ならびにこうし
た業務の性質の重大な変更、事業年度における当行の経営状態の重大な変化、および当行の業務運営、業績または経営状態に
重大な影響を及ぼした、もしくは今後の事業年度において及ぼす可能性のある、当該事業年度以降に生じる当行の事項や状況
が含まれる。
ASX に上場されている企業としての当行の取締役会報告書にはとりわけ、(取締役および特定の上級経営陣を含む。)当行の
主要経営陣の報酬の性質および額の決定またはそれらに関する取締役会の方針の検討、ならびにかかる方針と当行の業績との
関係を含めなければならない。
当行は、ASICには事業年度末から3か月以内に、またASXにはASICへの提出と同時におよびいかなる場合でも事業年度末から
3か月以内に、年次財務報告書の写しを提出しなければならず、当行の株主全員に対して、株主がかかる報告書を受領しない
ことを特別に希望しない限り、年次株主総会から21日前まで、または当該事業年度末から4か月後のいずれか早い方までにか
かる報告書の写しを送付しなければならない。半期報告書はASICには半期終了から75日以内に、またASXにはASICへの提出時ま
でにおよびいかなる場合でも半期終了から2か月以内に提出しなければならない。半期報告書を株主に送付する義務はない
が、半期報告書はASXに提出され、ASXのウェブサイトで公衆の縦覧に付され、当行のウェブサイトにも掲載される。
定款は、当行の取締役会が、特に、当行が配当を維持する能力に関連する定款の一定の規則および会社法の規定に従って、
適切と考えるいかなる配当の支払いも決議し得ることを定めている。会社法は、以下の場合を除くと、会社は配当を支払わな
くてもよいと規定している。
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・配当が宣言される直前に会社の資産がその負債を上回っており、その超過が配当の支払いに十分である。
・配当の支払いが会社の株主全体にとって公平で妥当である。
・配当の支払いによって、会社がその債権者に支払いする能力に重大な損害を与えない。
株主
会社法の規定に従い、株主総会は暦年ごとに少なくとも1回、当行の事業年度の終了から5か月以内に開催されなければなら
ない。この総会は、年次株主総会と称される。年次株主総会の主な機能は通常、取締役の選任、取締役報酬額の決定ならびに
財務書類および報告書の審議である。これに加え、取締役または一定比率の当行の株式を保有する株主は、その他の株主総会
を随時招集することができる。この総会は、単に株主総会と称されている。
当行の株式に付随する議決権は、株主総会におけるその行使方法とともに、定款に定められている。
当行株主総会への出席権および議決権を有する株主は、代理人を立てて株主総会に出席することができる。この場合の代理
人は当行の株主たることを要しない。定款には、当行のあらゆる株主総会の定足数およびその議長の任命等に関する規定が含
まれている。
定款に従い、株主総会の決議は、通常、普通決議により、すなわち株主総会に出席し、かつ決議に関して議決権を有する当
行の株主(代理人による出席を含む。)による投票の過半数による多数決によって、採択される。しかし、特定の事項(例え
ば定款の変更)については、会社法または定款によって、特別の決議方法、すなわち総会に出席し、かつその決議に関して議
決権を有する当行の株主(代理人による出席を含む。)による投票の75%以上の多数による決議承認を経ることが必要とされ
ている。
1998 年金融部門(株式所有)法の定めるところによれば、何人もまたはかかる者とその関係者も、オーストラリア連邦の財
務大臣の承認を得ないで、金融業界の会社(当行を含む。)の全議決権の15%超を保有することまたは実質的な支配権を所有
することは認められていない。財務大臣によるかかる承認は、国益に合致する場合は与えられる。ある者に対する当行株式の
保有、所有または議決権を行使する能力の制限についての詳細は、下記の「2 外国為替管理制度-証券保有者に影響を与え
る制限」を参照のこと。
経営および運営
公開会社である当行は、3名以上の取締役によって運営されることが要求されており、その内少なくとも2名はオーストラ
リアに通常居住する者でなければならない。取締役は自然人でなければならない。定款は当行の取締役の数を5名以上15名以
下と規定している。取締役の当行を運営する権限は、定款で定められている。
定款に従い、当行の取締役は取締役会として行為しなければならず、取締役会は諸決議を取締役会会議で行うほか、定款に
従い、会議を開催することなく書面決議の方法によりこれを行うことができる。個々の取締役、委員会、代理人またはその他
の者は、当行の取締役会の決議で付与された場合には当行を代表して行為する権限を有する。当行の取締役会は、取締役会の
あらゆる権限を1名以上の取締役またはその他の者に委任することができる。
会社は最低1名の秘書役(その内少なくとも1名はオーストラリアに居住する者でなければならない。)および定められた
数の取締役(上記に記載の通り)を任命することを義務付けられているが、会社法はその他の特定の役員の任命を要求してい
ない。秘書役は会社法および定款に基づき、特定の機能と責任を有しており、自然人でなければならない。
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当行の株主は以下の事項を行う権限により最終的決定権を保持している。
(a) 取締役会に諸権限を付与している定款を修正すること。
(b) 株主総会を招集すること。
(c) 会社法および定款に規定されたその他の事項または取締役の解任または不再任決議を可決すること。
定款によって付与された権利および権限を行使するに際しては、当行の取締役は相当な注意と勤勉さをもってこれに当たる
ことが要求され、かつその権限の行使と義務の履行に際しては誠意をもって、常時当行の利益、すなわち一般的な意味ではそ
の株主の利益のために尽くすことが要求されている。
株式の発行
当行の未発行株式はすべて当行の取締役の管理下にあり、当行の定款、会社法および上場規程に従い、取締役会が適切と判
断した条件によりこれら株式を発行することができる。
定款の詳細および抜粋については、下記の「(2)提出会社の定款等に規定する制度」を参照のこと。
(2)【提出会社の定款等に規定する制度】
以下には当行の定款から抜粋した情報が含まれており、かかる定款はオーストラリア、ヴィクトリア州3008、ドックラン
ズ、コリンズ・ストリート833、9階、ANZセンター・メルボルンにおいて平日(土曜日、日曜日および祝祭日を除く。)の通
常営業時間に閲覧可能である。
本(2)に記載の定款の抜粋は、参考の便宜上、適宜言換えがなされており、またかかる抜粋に使用されている定義済の用
語は、定款において与えられた意味を有する。定款に定められた規則を完全に理解するためには、定款の写しを全文で読む必
要がある。
取締役会
取締役の人数(代理取締役は数に入れない。)は、取締役会が決定することができるが、5名以上でなくてはならない。上
限は、15名あるいは取締役会が定めるそれより少ない人数を超えてはならない。
会社法、定款、および上記の人数制限に基づきその時々に確定される取締役の上限人数を条件に、取締役会は随時、取締役
となる者を任命することができる。このように任命された取締役は、次の年次株主総会において自動的に退職することとな
り、かかる株主総会で行われる選挙の有資格者となる。
定款、適用法令、および上記の人数制限に基づきその時々に確定される取締役の上限人数を条件に、当行は普通決議により
取締役を選出することができる。
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(a) 取締役は自身が選出または最後に再選されてから3回目の年次株主総会において、その職位から退任しなければならな
い。(b)取締役は前記(a)の規定により要求される時点より前に年次株主総会において退任し、再選を目指すことを選択するこ
とができる。ただし、年次株主総会の少なくとも45営業日前(または取締役会が決定するその他の期間以前)に、取締役は取
締役会に自身の意向を通知しているものとする。取締役がかかる通知を行う場合、取締役は当該年次株主総会において退任し
なければならない。(c)取締役の選出は各年次株主総会において行われなければならない。定款に基づき年次株主総会において
取締役の選出が予定されていない場合、年次株主総会において取締役が1名退任しなければならない。(d)前記(a)、(b)または
(c)の規定は、マネージング・ディレクター(または2名以上の場合、(もしいれば)定款に基づき任命された1名)およびそ
の代理取締役には適用されない。(e)定款に基づき退任する取締役は再選資格を有する。(f)選出されたが、適用法令に基づき
取締役として行為することが認められない者(会社法および銀行法を含むが、これらに限定されない。)は、90日以内に適用
法令により取締役として行為することが認められようになった場合のみ、取締役の職に就くことができる。90日以内にかかる
者が適用法令により取締役として行為することができなかった場合、選出されなかったとみなされる。
会社法を条件として、上記 (c) の規定に基づき退任する取締役は、前回の選出または任命から最も長く職位に就いている者と
する。在任期間が同一の取締役が2名以上いる場合には、かかる取締役の間で合意により退任者を決定することができる。合
意に達しない場合には、退任者決定の抽選が行われる。
取締役の退職は、その取締役がかかる年次株主総会において再選されない限り、その株主総会の終了時に有効となる。
取締役の任命期間が明示的に特定されているか否かにかかわらず、会社法に従い、当行は普通決議をもって取締役を解任す
ることができる。
取締役の数が上記の人数制限により要求される最少人数を下回ることとなる場合、残っている取締役らは、(a)最少人数を満
たす数までの取締役の任命、(b)株主総会の招集、および(c)緊急事態についてのみ、取締役会として行為することができる。
取締役会会議
取締役はいつでも取締役会会議を招集でき、また、秘書役は取締役からの要請ある場合は必ず取締役会会議を招集しなけれ
ばならない。
取締役会が別段に定めない限り、取締役会会議の定足数は取締役2名とし、この定足数がかかる会議の終始、常に出席して
いなければならない。取締役を兼任している代理取締役、または複数の任命権者の代理取締役となっている者は、定足数に1
回のみ数え入れる。
株主総会の招集
当行は年次株主総会を会社法により要求されている通りに開かなければならない。
株主総会は、取締役会がいつでも招集でき、また会社法もしくは会社法に基づく命令により要求される時に取締役会が招集
しなければならない。
株主総会の通知は、会社法に則り行われなければならない。会社法および上場規程を総会の通知において遵守しなければな
らず、また、会社法が許可するあらゆる方法を用いて通知することができる。
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会社法を条件として、取締役会は、
(a) 株主総会を延期することができ、または、
(b) 株主総会を中止することができ、または、
(c) 株主総会の会場を変更することができる。
その書面による通知を、
(d) オーストラリア国内の日刊新聞1紙において掲載する。または、
(e) オーストラリア証券取引所に通知する。または、
(f) 会社法および上場規程を条件として、取締役会において決定するその他の方法により通知する。
議決権
当行の株主が誰であるのか、ならびに株主総会で投票する権利があるのは誰であるのか、および保有する株式数は何株とす
るのかを決定するにあたり、当行は、
(a) 総会の招集者が、総会の通知が配布される前に会社法に基づいて特定の時点を定めた場合、その時点で有効な株主名簿の
みを参照しなければならない。または、
(b) 定めていない場合には、総会の48時間前もしくはASX決済業務規則が要求するそれ以降の時点において有効な株主名簿の
みを参照しなければならない。
会社法、定款の規定および株式発行の条件を制約とし、
(a) 挙手に際して、
( ⅰ) 株主が議決権行使代理人を2名任命している場合は、いずれの議決権行使代理人も投票できない。および、
( ⅱ) 上記(a)(ⅰ)の規定に従い、本人、あるいは議決権行使代理人、代理人または代表者により出席している各株主
である出席者は、1票を有する。
(b) 本人、あるいは議決権行使代理人、代理人または代表者により出席している議決権を持つ株主は、書面投票に際して、
( ⅰ) 全額払込済み株式1株につき、1票を有する。および、
( ⅱ) 下記(c)の規定を条件として、各一部払込済み株式については、その株式の発行価格全体に対する払込済み額の割
合に等しい比の端数票を有する。
(c) ただし、一部払込済み株式の保有者が持つ端数票の計算において、
( ⅰ) 上場規程に基づき認められていない限り、かつ
( ⅱ) 株式発行の条件が別途定めていない限り、当行は、
( ⅲ) 払込請求に先立って払込まれた金員を勘定に入れてはならない。または、
( ⅳ) 一部払込済み株式に対して、現金または現金相当による当行への支払いを伴わずに貸記されている金員は勘定に入
れてはならない。
株主総会の議長には決定票がない。ある決議の賛成票および反対票が同数である場合、かかる案件は否決されたと裁定す
る。
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株式
会社法および定款を条件として、取締役会は当行に代わり、取締役会が決定する任意の者に対して任意の条件および時期に
おいて、未発行株式の発行、オプション付与、その他の処理を行うことができる。
当行は、 優先株式(償還義務のある優先株式を含む。)を発行することができる。優先株式には、
(a) 定款に提示されている、もしくは従い決定される権利、または
(b) 会社法に従い認められているその他の権利が付されている。
当行が異なる種類の株式を発行する場合、もしくは発行済み株式を異なる種類に振分ける場合、あらゆる種類の株式に付さ
れる権利は、下記の場合に限り、(会社法を条件として)変更または取消すことができる。
(a) 影響を受ける種類の発行済み株式の75%の保有者から書面による同意を得た場合、または
(b) 影響を受ける種類の発行済み株式の保有者による個別会議において特別決議が可決された場合。
株式発行の条件を制約として、ある種類の株式に付された権利は、かかる既存の種類と同じランクの株式を追加して発行す
ることにより、当行の利益および資産への参加に関して変更されたとはみなされない。
優先株式に付されている権利
(a) 取締役会は、定款を条件として、発行に先立ち取締役会が決定するあらゆる権利(外国通貨で表示された権利を含む。)
が付された優先株式を発行することができる。かかる方法で定められた権利は、その時点で発行されている優先株式に付
されている権利と同じである必要はない。
(b) 優先株式は、1シリーズもしくは複数の異なるシリーズで発行することができ、各シリーズは取締役会が定める方法によ
り識別する。
配当請求権
(a) 定款に基づく取締役会の権限を制限することなく、あらゆる優先株式の割当ての前に取締役会は、下記の事項、またはこ
れらの事項を決定する際の方法を定めなければならない。
( ⅰ) かかる株式に対して支払われる (もしあれば)配当金の率または金額
( ⅱ ) かかる株式に対する配当金の支払いの時期または状況
( ⅲ ) 配当金が支払われる期間
( ⅳ ) その他の種類の株式との関係でかかる株式の配当金支払いの優先順位
( ⅴ ) かかる株式に累積配当の権利があるのか、非累積配当の権利があるのか、および
( ⅵ ) 分配できる利益がある場合に、かかる株式はさらにそれに参加する権利があるのか否か
(b) 優先株式の発行の条件にはさらに、以下の規定を盛込むことができる。
( ⅰ) 税金またはその他の国庫賦課金、あるいは課税控除またはインピュテーション税額控除、もしくはそれら双方を考
慮に入れて、もしくは参照して、配当金額を調整する基準(もしあれば)、および、
( ⅱ) 優先株式の保有者に支払われるはずであった(発行の条件においてであるが)配当金の額が、配当金以外の方法で
当行が優先株式の保有者に支払う金額の程度まで、削減されるもしくは消滅される旨。
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配当金支払いの優先順位
取締役会が割当ての前に定める以下の配当金支払いの優先順位に関する規定(すべてまたは一部)が、あらゆる特定の優先
株式について適用される。
(a) 当行はその優先株式の配当金を下記の通り、支払うものとする。
( ⅰ) 普通株式に対するあらゆる配当金の支払いより優先し支払うものとする。
( ⅱ) 利益への関与に関して、同順位の明示がなされているその他すべての優先株式の配当金と同等に支払うものとす
る。および、
( ⅲ) 利益への関与に関して、優先して順位が明示されているすべての優先株式(もしあれば)の配当金より劣後して支
払うものとする。
(b) 償還または清算に際して、優先株式の保有者に累積配当の権利がある場合には、上記(a)で定めている通りのその他の株
式との優先順位にて、当行は、かかる保有者に償還日もしくは(場合に応じ)清算開始までの未払い配当金または配当滞
納金(宣言されたか否かを問わない。)に等しい額を支払わなければならない。
(c) 償還または清算に際して、優先株式の保有者が非累積配当の権利を有している場合、上記(a)で定めている通りのその他
の株式との優先順位にて、当行は、かかる保有者に償還日もしくは(場合に応じ)清算開始までに宣言されたが未払いの
配当金に等しい額を支払わなければならない。
清算時の優先順位
(a) 優先株式の割当てに先立ち、取締役会は、当行清算時の資本の払戻しに関する各優先株式の優先順位および残余資産への
株主の参加の権利(もしあれば)を決定するものとする。
(b) 割当てに先立ち取締役会がかかる決定をした場合、優先株式の保有者は、当行の清算に際してかかる優先株式につき払込
済みまたは払込済みとして貸記された金額と同額の支払い、および配当金ならびに発行の条件に従い保有者に権利が与え
られているその他の金額の支払いに対する権利を以下の通り有する。
( ⅰ) 普通株式に対する支払いより優先して支払われる。
( ⅱ) 清算に際し当該優先株式と同順位の明示がなされているその他すべての優先株式の保有者に対する支払いと同等に
支払うものとする。および、
( ⅲ) 清算に際し、当該優先株式より優先して順位が明示されているすべての優先株式(もしあれば)の保有者に対する
支払いより劣後して支払うものとする。
ただし、当行の剰余金、もしくは当行の利益または資産のその他の分配には参加しないものとする。
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2【外国為替管理制度】
為替管理
現在、当グループの有価証券の保有者に対する配当、利息の支払またはその他の送金を制限する、オーストラリアにおいて
効力を有する一般的な為替管理規制はない。しかしながら、オーストラリアの公共政策を反映して随時オーストラリア国内に
おいて為替管理が実施され、適用あるオーストラリアの規制当局の承認なしに特定の人物または団体との特定取引の締結を禁
止する効果を有する。それらには以下が含まれる。
1. 2011年独自制裁法(連邦)に基づき、かつ2011年独自制裁規則(連邦)に従い、禁止の中で特に以下のもの:
(a) ミャンマー、クリミアおよびセヴァストポリ、ロシア、イラン、シリア、ジンバブエまたは朝鮮民主主義人民共和国
(北朝鮮) への「制裁されているサービス」供与の禁止。財政援助、特定の種類の金融サービスまたは軍事活動もし
くは一定の輸出認可品目(武器または関連物資等)を支援もしくはそれらに関連して供与されるその他サービスを含
む。
(b) 北朝鮮、旧ユーゴスラビア共和国、イラン、リビア、ミャンマー、シリア、ジンバブエもしくはウクライナまたは関
係大臣が当該人物もしくは団体が大量破壊兵器の拡散に関与していると納得する地域向けの、関係大臣により指定さ
れた個人または団体に対し、直接的もしくは間接的に、資産を利用させることまたはそれらの利益のために資産を利
用させることの禁止。
2. 1945年国連憲章第4章に基づき、かつ、2008年国連憲章(資産の取引)規則に従った、オーストラリア連邦の外務
大臣がオーストラリアの官報において随時挙げる人物または団体の金融その他の資産の利用または取引に対する制裁。当該
個人または団体は以下におけるものを含む。
(a) コンゴ民主共和国(国連憲章(制裁-コンゴ民主共和国)2008年規則を参照)
(b) 北朝鮮(国連憲章(制裁-朝鮮民主主義人民共和国)2008年規則、国連憲章(制裁-朝鮮民主主義人民共和国)2017
年文書および国連憲章(制裁-朝鮮民主主義人民共和国)(贅沢品)2017年文書)を参照)
(c) スーダン(国連憲章(制裁-スーダン)2008年規則を参照)
(d) イラン(国連憲章(制裁-イラン)2016年規則および国連憲章(制裁-イラン)(制裁対象輸出品)2016年制裁リス
トを参照)
(e) イラク(国連憲章(制裁-イラク)2008年規則を参照)
(f) アルカイダ(国連憲章(制裁-アルカイダ)2008年規則を参照)
(g) ソマリア(国連憲章(制裁-ソマリア)2008年規則を参照)
(h) レバノン(国連憲章(制裁-レバノン)2008年規則を参照)
(i) マリ(国連憲章(制裁-マリ)2018年規則を参照)
(j) リビア(国連憲章(制裁-リビア)2011年規則を参照)
(k) タリバン(国連憲章(制裁-タリバン)2013年規則を参照)
(l) 中央アフリカ共和国(国連憲章(制裁-中央アフリカ共和国)2014年規則を参照)
(m) イエメン(国連憲章(制裁-イエメン)2014年規則を参照)
(n) 南スーダン(国連憲章(制裁-南スーダン)2015年規則を参照)
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3. 1988年金融取引報告法に基づき、かつ一定の免除に従い、「キャッシュ・ディーラー」(オーストラリア公認預金
受入機関を含む。)は1万豪ドルまたは外貨による相当額以上の「現金取引」をオーストラリア取引報告・分析センターに
報告しなければならない。現金取引は1人の人物から別の人への通貨の物理的な移転を伴う取引である。
証券保有者に影響を与える制限
以下のオーストラリア法は、オーストラリアの非居住者または非市民が当行株式を保有、所有または議決権行使する権利に
対して制限を課している。
1. 1975年外資による資産買収・企業買収法
外資によるオーストラリアの会社株式の取得は、1975年外資による資産買収・企業買収法(「外国買収法」)により規制
を受ける。外国買収法は、一定の金額の基準を条件とし、とりわけ以下のいずれかの状況をもたらす株式の取得または発行
に適用される。
・1名の外国人もしくは外国支配法人が単独で、または関係者と共同で、議決権もしくは潜在的議決権の20%以上を支配
する立場にある、またはオーストラリア事業を行う法人の発行済株式もしくは発行済株式に対する権利の20%以上の法律上
もしくは衡平法上の権利を保有する立場にある。
・2名以上の外国人もしくは外国支配法人がその関係者と共同で、議決権もしくは潜在的議決権の40%以上を支配する立
場にある、またはオーストラリア事業を行う法人の発行済株式もしくは発行済株式に対する権利の40%以上の法律上もしく
は衡平法上の権利を保有する立場にある。
上記のいずれのケースにおいても、また一定のその他状況において、オーストラリアの国益に反する場合、財務大臣はこ
の買収を禁止することができる。
2. 1998年金融部門(株式所有)法
1998 年金融部門(株式所有)法は、1名の者(関係者がいる場合は共同で)、または取決めに基づく2名以上の者が、そ
の者が(関係者と共同で) 20 %を超える会社持分を保有することになる場合、金融部門の会社の株式を取得することを禁止
する。しかし、財務大臣は、オーストラリアの国益であるという条件を満たす場合のみ、 20 %を超える持分をある者が保有
することを承認することができる。当グループの株式について、かかる承認が与えられたことはない。
2018 年財政法改正法(金融部門規制)に従い、金融部門の会社の保有比率の上限は2019年4月1日に15%から20%に変更
された 。
3. 2001年会社法
企業において議決権株式を取得する者は誰でも、会社法第6章に記載の株式取得条項の制限に従う。特定の例外を除き、
会社法第606節は、取引を理由として、ある者もしくはその他の者のある会社における議決権が(i)20%以下から20%超
へ、または(ii)20%超90%未満から、増加する場合、その者が当該会社の議決権株式の権益を取得することを禁止する。
第606節の例外の1つは、ある者が取得前の6か月間を通して当該会社の最低19%の議決権を保有していた場合、その者が
追加で3%の議決権を取得することを認める。
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会社法の目的上、ある者のある会社における議決権は、議決権株式に付属する投票総数であり、かかる議決権株式につき
その者およびその関係者(広く定義される。)が当該会社の全議決権株式に付属する全投票数の比率に応じて「関連持分」
を有している。広く言えば、特定の資格に従い、ある者が証券の保有者である場合、その者は証券の「関連持分」を保有
し、証券に付与された議決権を行使する権利もしくは行使を支配する権利を持つ、または証券を処分する権利、もしくは処
分する権利の行使を支配する権利を持つ。
さらに、会社法に基づき、当行の実質的な持分の保有を始めるもしくは保有をやめる、またはある者が既に実質的持分を
持っておりその持分に少なくとも1%の変動がある場合、かかる者は当行およびASXに特定の規定情報(氏名および住所、な
らびに当行の議決権株式における関連持分の詳細を含む。)を知らせる通知を行う必要がある。かかる通知はおおむね、そ
の者が情報を知った時から2営業日以内に行うものとする。
上記1から3に記載の制限は、ANZの預託銀行により米国において発行される米国預託株式を表章するANZの米国預託証書
(ADR)の所持人にも適用される。
3【課税上の取扱い】
本「3 課税上の取扱い」において、「本サムライ債」とは、ANZが発行し日本国内で募集が行われた本書日付現在未償還で
あるサムライ債を意味し、「本売出債」とは、ANZが発行し日本国内で売出しが行われた本書日付現在未償還である売出社債を
意味し、また「本社債権者(サムライ)」とは本サムライ債の所持人を、「本社債権者(売出し)」とは本売出債の所持人
を、また「利札」は本サムライ債および本売出債に付された利札を意味するものとする。
以下の記述は一般的な性質のものであり、現時点で効力のある規定に基づくものである。自身の税務上の立場について疑問
がある本社債権者(サムライ)および本社債権者(売出し)は、それぞれの専門アドバイザーに相談すべきである。
当行によるまたは当行を代理しての本サムライ債、本売出債および利札に関する元利金の支払いはすべて、オーストラリア
連邦において、またはその課税権限を有する当局により課税、徴収、源泉徴収または賦課される一切の現在または将来の税
金、関税、賦課金または公租を源泉徴収または控除することなく行われる。ただし、かかる源泉徴収または控除がオーストラ
リア連邦法により要求されるまたはFATCA(以下に定義される。)のためにもしくはそれを理由として行われる場合を除く。か
かる場合、慣習上の例外(FATCAのためにもしくはそれを理由として行われる源泉徴収または控除の場合を含む。)を除き、当
行は、かかる源泉徴収または控除が要求されなかった場合受領するはずであった額を 本社債権者(サムライ)および本社債権
者(売出し)が 受領することができるよう、追加額を支払うことに同意している。
「FATCA」とは、以下を意味する。
( ⅰ) 合衆国内国歳入法(または合衆国内国歳入法の修正もしくは継承法)第1471条ないし第1474条およびそれらの現在も
しくは将来の規則もしくは公権解釈、
( ⅱ) 合衆国内国歳入法のかかる条項もしくは米国以外の法の類似規定のいずれかを実施することに関連して、政府間で締
結された合意に従って採用された米国もしくは米国以外の財務または規制上の法制、規則、指針または実務、または
( ⅲ) 米国内国歳入庁、米国政府またはその他の法域の政府機関もしくは税務当局との、上記(ⅰ)または(ⅱ)の実施に従う
合意。
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「合衆国内国歳入法」とは、1986年米国内国歳入法(その後の修正を含む。)を意味する。
本売出債または本サムライ債に関するオーストラリアの課税上の立場の説明については、以下を参照のこと。
(a) 本売出債の場合、随時補足される、 2019年5月21日 付オーストラリア・ニュージーランド銀行60,000,000,000米ドル・
ユーロ・ミディアム・ターム・ノート・プログラムのベース・プロスぺクタス「税制-オーストラリア」。
(b) 本サムライ債の場合、当該本サムライ債の発行時において有効であり、随時補足または訂正される、当行がその時々に提
出した訂正発行登録書または発行登録追補書類の「第一部-第1-1-摘要-I.(12)オーストラリアの租税」(またはそれに
相当もしくは代替する項目)。
4【法律意見】
当行のオーストラリアの法律顧問であるアレンズ法律事務所により、当該法律意見書に記載の一定の前提および限定に基づ
き、上記「第一部-第1-1、2および3」に記載されたオーストラリア連邦の法的事項に関する記載はすべての重要な点に
おいて真実かつ正確である、との法律意見書が提出されている。
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第2【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
連結財務情報
(単位:百万ドル(ただし、発行済株式数、1株当たり情報、比率および従業員数を除く。))
(下段は円換算額(1)(百万円(ただし、発行済株式数、1株当たり情報、
比率および従業員数を除く。)))
(-はマイナスを示す。)
9月30日終了年度
2019 年度 2018 年度 2017 年度 2016 年度 2015 年度
収入(2)(3) 35,523 35,797 33,643 34,350 35,845
(2,708,629) (2,729,521) (2,565,279) (2,619,188) (2,733,181)
税引前利益(2) 8,920 9,895 9,233 7,653 9,881
(680,150) (754,494) (704,016) (583,541) (753,426)
税引後利益(非支配持分を除く)(2) 5,953 6,400 6,406 5,709 7,493
(453,916) (488,000) (488,458) (435,311) (571,341)
発行済株式総数
2,834,584,923 2,873,618,118 2,937,415,327 2,927,476,660 2,902,714,361
(普通株式)
発行済株式総数
0 0 0 0 0
(優先株式)
発行済株式総数
2,834,584,923 2,873,618,118 2,937,415,327 2,927,476,660 2,902,714,361
株主資本(非支配持分を除く) 60,783 59,265 58,959 57,818 57,247
(4 )(9) (4,634,704) (4,518,956) (4,495,624) (4,408,623) (4,365,084)
資産合計(8) 981,137 943,182 897,326 914,869 889,900
(74,811,696) (71,917,628) (68,421,108) (69,758,761) (67,854,875)
非支配持分を除く1株当たりの株主資
本(9) 21.44 20.62 20.07 19.75 19.72
(単位:上段 ドル、下段 円) (1,635) (1,572) (1,530) (1,506) (1,504)
普通株式1株当たり配当額 160 160 160 160 181
(単位:上段 セント、下段 円) (122) (122) (122) (122) (138)
優先株式1株当たり配当額 0 0 0 0 1.88
(単位:上段 ユーロ、下段 円) (0) (0) (0) (0) (230)
普通株式1株当たり利益(基本)
222 246 218 190 257
(単位:上段 セント、下段 円)
(169) (188) (166) (145) (196)
(2)
普通株式1株当たり利益(希薄化後)
213 234 209 183 244
(単位:上段 セント、下段 円)
(162) (178) (159) (140) (186)
(2)
当行株主に帰属する普通株式1株当た
り正味有形資産(単位:上段 ドル、 19.59 18.47 17.66 17.13 16.86
下段 円)(5)(8) (1,494) (1,408) (1,347) (1,306) (1,286)
資産合計に対する非支配持分を除く株
6.20 % 6.28 % 6.57 % 6.32 % 6.43 %
主資本(8)(9)
平均株主資本に対する純利益(損失)
10.0 % 10.9 % 11.0 % 10.0 % 14.5 %
(6)
配当性向(7) 76.2 % 72.1 % 73.4 % 81.9 % 68.6 %
営業活動によるキャッシュフロー -4,550 10,566 24,047 10,841 21,476
(-346,938) (805,658) (1,833,584) (826,626) (1,637,545)
投資活動によるキャッシュフロー -206 166 -12,830 -14,410 -9,776
(-15,708) (12,658) (-978,288) (-1,098,763) (-745,420)
財務活動によるキャッシュフロー -2,761 2,620 -6,742 1,958 2,043
(-210,526) (199,775) (-514,078) (149,298) (155,779)
現金および現金同等物の期末残高 81,621 84,964 68,048 66,220 69,278
(6,223,601) (6,478,505) (5,188,660) (5,049,275) (5,282,448)
期末現在従業員数(フルタイム換算)
39,060 39,924 44,896 46,554 50,152
(FTE)(単位:人)
注:(1) 円換算額は、全報告期間について、1ドル=76.25円および1ユーロ=122.36円の換算率(2019年12月2日現在の株式会社三菱UFJ銀行公表
の対顧客電信売相場)により換算されている。
(2) 2018 年度 中において、富裕層オーストラリア部門の一部ならびにTSOおよびグループ・センター部門は非継続事業に分類された。これに従っ
て、2017年度の比較情報は修正再表示されている。2016年度の2015年度との比較情報は修正再表示されていない。2017年度から2019年度にかけ
ての数値および比率は、継続事業ベースで表示されている。
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(3) 受取利息、その他営業収入、資産運用収入および保険収入純額ならびに関連会社投資の持分利益を含む。支払利息および大手銀行税は考慮しな
い。下記の3つの修正再表示がその他営業収入およびその他営業費用について行われた。
- AASB第15号「顧客との契約から生じる収益」の適用時に、当グループが以前には相殺していた一定の項目は組替えが行われ、営業収入と営
業費用に総額で表示されるようになった。これに従って、比較情報は修正再表示され、その結果、2018年度の収入は1億5,300万ドル( 約
116億6,600万円) 増加した。2017年度、2016年度および2015年度の 数値は修正再表示されなかった。 この会計方針の変更の結果、2017年10
月1日現在の期首残高で、その他資産が3,200万ドル( 約24億4,000万円) 、繰延税金負債が1,000万ドル( 約7億6,300万円) 、利益剰余金
が2,200万ドル( 約16億7,800万円) 調整され、従来AASB第118号の下では認識されなかったが、AASB第15号の下で即時認識の対象となる収
益が認識された。
- 2017年度、 一部の未払手数料の分類が変更された。当該項目は、項目の性質をより正確に反映するため、その他営業収入からその他営業費
用に分類替えされた。比較情報はこれに沿って修正再表示された(2016年度:1,700万ドル(約12億9,600万円))。2015年度の数値は修正
再表示されなかった。
(4) 非支配持分を除く。非支配持分を含む株主資本合計は、次の通りである。2019年度607億9,400万ドル(約4兆6,355億円)、2018年度594億500
万ドル(約4兆5,296億円)、2017年度590億7,500万ドル(約4兆5,045億円)、2016年度579億2,700万ドル(約4兆4,169億円)および2015年
度573億5,300万ドル(約4兆3,732億円)。2017年度、2016年度および2015年度の数値は修正再表示されなかった。
(5) 正味有形資産は、当行株主に帰属する株式資本および準備金から優先株式資本および未償却の無形資産(のれんおよびソフトウェアを含む。)
を差引いた金額に等しい。
(6) 純利益(損失)は、優先株式配当を差し引いた税引後法定利益と定義される(非支配持分を除く)。平均株主資本は、当該年度についての平均
株主資本(非支配持分および優先株式を除く。)と定義される。
(7) 支払済優先株式配当金額調整後の当行株主に帰属する利益に基づき計算された配当性向。配当性向は以下の配当支払いに基づき計算されてい
る。
(単位:百万ドル)
(下段は円換算額(百万円))
2019 年度 2018 年度 2017 年度 2016 年度 2015 年度
2,267 2,317 2,349 2,334 2,379
中間配当
(172,859) (176,671) (179,111) (177,968) (181,399)
2,268 2,295 2,350 2,342 2,758
期末配当
(172,935) (174,994) (179,188) (178,578) (210,298)
4,535 4,612 4,699 4,676 5,137
合計
(345,794) (351,665) (358,299) (356,545) (391,696)
(8) 2018 年9月30日現在のオフ・バランスシートの信用関連コミットメントに起因する信用減損に係る一括評価引当金5億ドルおよび個別評価引当
金2,600万ドルは、当期の表示との比較可能性を高めるために、償却原価で測定される正味貸付金および前渡金からその他引当金に組替えられ
た。2017年度、2016年度および2015年度の比較情報は修正再表示されていない。
(9) 当グループは、2019年9月30日終了年度において、AASB第9号「金融商品」を適用した。当グループは、2018年10月1日より、金融資産の減損
について予想信用損失法を導入し、一定の金融資産の分類および測定も変更した。その結果、当グループは2018年10月1日現在において期首利
益剰余金を通じて貸倒引当金を8億1,300万ドル増加させた。比較情報は修正されていない。
2【沿革】
ANZ の歴史は、1835年において特許状に基づきバンク・オブ・オーストラレーシアがロンドンにおいて設立された時まで遡る
ことができる。バンク・オブ・オーストラレーシアは当初、1835年にオーストラリアのシドニーにおいて、および1838年には
メルボルンにおいて開設された。
1951 年、バンク・オブ・オーストラレーシアは、ユニオン・バンク・オブ・オーストラリア(1837年設立)と合併し、オー
ストラリア・アンド・ニュージーランド・バンク・リミテッド(ANZ銀行)となった。1970年には、現在の組織であるオースト
ラリア・アンド・ニュージーランド・バンキング・グループ・リミテッドを形成するために、ANZ銀行がイングリッシュ・スコ
ティッシュ・アンド・オーストラリアン・バンク・リミテッド(1852年設立)と合併した。ANZは1969年に英国において設立さ
れ、同年にオーストラリア証券取引所に上場された。1977年、設立地がオーストラリアに移転された。
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3【事業の内容】
(1)概要
オーストラリア・ニュージーランド銀行(「ANZBGL」)およびその子会社(合わせて「当グループ」)は、オーストラリア
での営業を1835年に、またニュージーランドでの営業を1840年に開始した、オーストラリアに本店を置く4大銀行グループの
1つである。ANZBGLはオーストラリアで設立された株式公開会社であり、1977年7月14日にヴィクトリア州において登録され
た。ANZBGLの登記上の本店はオーストラリア、ヴィクトリア州3008、ドックランズ、コリンズ・ストリート833、9階に所在
し、電話番号は+61 3 9683 9999である。ANZBGLのオーストラリア企業番号はABN 11 005 357 522である。
当グループは、幅広い銀行業および金融商品およびサービスをリテール、小企業、コーポレートおよび法人顧客に提供す
る。地理的には、オーストラリア、ニュージーランド、アジア太平洋地域の複数の国々、英国、フランス、ドイツおよび米国
にかけて営業を行っている。
2019 年9月30日現在、ANZBGLの総資産は9,811億ドルであり、非支配持分を除く株主資本は608億ドルであった。当グループ
(1)
は、銀行業グループのうち総資産の面で、2019年9月30日現在オーストラリアで第1位 、2019年6月30日現在ニュージーラ
(2)
ンドで第1位 であった。
ANZBGL の普通株式の主たる上場証券取引所はASXである。ANZBGLの普通株式はまた、ニュージーランド証券取引所
(「NZX」)でも値付けされている。2019年9月30日の取引終了時点において、ANZBGLの時価総額はおよそ808億ドルであり、
(3)
これはASXに上場されている会社で第6位以内であった 。
(1) 出典:オーストラリア・コモンウェルス銀行の2019年6月30日終了事業年度に関する業績発表。ナショナル・オースト
ラリア銀行の2019年9月30日終了事業年度に関する業績発表。ウェストパック・バンキング・コーポレーションの2019
年9月30日終了事業年度に関する業績発表。
(2) 出典:2019年6月30日に終了した3か月間に関するニュージーランド準備銀行の銀行財務力ダッシュボード
(https://bankdashboard.rbnz.govt.nz/summary)。
(3) 出典:IRESS
(2)ビジネス・モデル
当グループのビジネス・モデルは主に、顧客預金およびホールセール債券市場を通じて資金を調達し、当該資金を顧客に貸
し出すことからなる。さらに、当グループは、セールス、トレーディングおよびリスク管理業務から収益を得るマーケッツ事
業を営んでいる。当グループはまた、支払および決済ソリューションも提供している。当グループは、概ね非継続事業に分類
される保険、退職年金および資産運用サービスを通じて、富裕層業務から収益を得ている。
当グループの主な貸付業務は、居住用住宅ローン、クレジットカードおよび当座貸越を扱う個人貸付ならびにコーポレート
および法人顧客への貸付である。
当グループの収入は多数の収入源によるものであるが、主なものは以下のとおりである。
・ 純利息収益-当グループが貸付業務で得た利息収益と顧客預金およびホールセール資金調達に関して支払った利息との
差異を示す。
・ 受取手数料(純額)-貸付で得た手数料収入ならびに金融商品およびサービスに関連した貸付以外で得た手数料収入を
示す。従来「資産運用収入および保険収入純額」において報告されていた資産運用収入を含む。
・ 保険収入純額-保険ソリューションの提供で得た収入を示す。
・ 関連会社投資の持分利益-当グループが支配はしていないが重大な影響力を有する事業体に係る当グループの持分利益
を示す。
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・ その他収入-マーケッツ事業におけるセールス、トレーディングおよびリスク管理業務から生じた収益、外国為替収入
純額ならびに経済的損益ならびに収益ヘッジおよび費用ヘッジ損益を含む。
(3)戦略
当グループの戦略は、顧客の財政的安定を改善することに注力しており、そのために、傾聴・学習・適応する適切な人材を
有し、かかる人材に最良の手段と洞察を与え、顧客に真に価値をもたらすと当グループが考える少数の物事に注力するととも
に、最初から適切にそれらに対応している。
目的
当グループの目的は、人々および地域社会が繁栄する世界を作り上げることにある
戦略的要請 戦略 達成目標
より簡素で、より自己資本
当グループの顧客の財政的
を充実させ、よりバランス 以下の顧客の財政的安定を改善する
安定を改善する
のとれた銀行を作り上げる
当グループの株主に対して
当グループの人員および顧
貯金して家を購 事業を開始・買 地域内で資本や 適正な利益をもたらす
客がデジタル時代において
入・所有しよう 収し、成長させ 物品を移動させ ・成長目標
競争できるよう優れた経験
とする顧客 ようとする顧客 ようとする顧客 ・低コスト
を構築する
・自己資本の充実
当グループの努力を、当グ
傾聴し、学習し、適応す 最良の手段と洞察をもっ 強靭で適応力のある有能な
ループが優位に立てる分野
る人材とともに て 従業員
に集中させる
より低いコストによって卓越した顧客経験を支える柔 地域社会に、より安定した
当グループの目標および価
軟で強靭なデジタル・インフラストラクチャーを利用 住宅、環境および財政の状
値主導の変革を推進する
して 態をもたらす
(4)当グループの主要な活動
当グループは、オーストラリア・リテールおよび商業部門、法人部門、ニュージーランド部門、パシフィック部門、ならびに
テクノロジー、サービス&オペレーションズ(TSO)およびグループ・センター部門の5つの継続部門からなる部門構造で事業
を営む。本書で開示される財務情報に影響を与える主要な変更の詳細については、「第3 事業の状況-3 経営者による財
政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析-A.当年度の経営成績の要説」を参照のこと。
当グループの部門に影響を与える多数の事業売却が行われた。それらは 「第3 事業の状況-3 経営者による財政状態、経
営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析-B.当グループの業績-(1)現金利益-重大/重要項目-継続事業」 に詳述され
ている。
下記に報告される部門は、AASB 第8号「事業セグメント」に定義される事業セグメントおよび 事業の最高意思決定者が最高経
営責任者であるために提供を受ける内部報告と一致する。
2019 年9月30日現在、5つの継続部門の主要な活動は以下のとおりである。
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オーストラリア・リテールおよび商業
オーストラリア・リテールおよび商業部門は、以下の事業ユニットで構成される。
・ 「リテール」は、オーストラリアの個人に、支店網、モーゲージ・スペシャリスト、コンタクト・センターおよび
様々なセルフサービス・チャネル(インターネット・バンキング、テレフォン・バンキング、ATM、ウェブサイト、
ANZシェア・インベスティングおよびデジタル・バンキング)、外部のブローカーを通じて商品・サービスを提供する
ことに加えて、従業員であるフィナンシャル・プランナーによるフィナンシャル・プランニング・サービスを提供す
る。
・ 「商業(旧名称:ビジネスおよびプライベート・バンキング)」は、オーストラリア地方部の中・大規模商業顧客お
よび農業関連産業の顧客、小企業および富裕層の個人顧客および同族グループという顧客セグメントに対し、資産
ファイナンスを含む様々な銀行商品および金融サービスを提供する。
法 人
法人部門は、政府、世界中の機関投資家および法人企業に、トランザクション・バンキング、ローンズおよび専門融資、
マーケッツという3つの商品群にわたってサービスを提供する。
・ 「トランザクション・バンキング」は、ドキュメンタリー取引、サプライチェーン・ファイナンス、コモディティ・
ファイナンス、キャッシュ・マネジメント・ソリューション、預金、支払、決済など運転資本および流動性ソリュー
ションを提供する。
・ 「ローンズおよび専門融資」は、ローン商品、ローン・シンジケーション、専門融資のストラクチャリングおよび実
行、プロジェクトおよび輸出向けファイナンス、デット・ストラクチャリングおよびアキジション・ファイナンス、
コーポレート・アドバイザリーを提供 する 。
・ 「マーケッツ」は、フランチャイズ販売、フランチャイズ取引、バランスシートの区分をまたいで当グループの金利
エクスポージャーおよび流動性ポジションを管理する他、 為替 、金利、クレジット、コモディティおよびデット・
キャピタル・マーケットに係るリスク・マネジメント・サービスを提供する。
ニュージーランド
ニュージーランド部門は、「リテール」および「商業」の事業ユニットから構成される。
・ 「リテール」は、あらゆる銀行サービス、ウェルス・マネジメント・サービスを個人、プライベート・バンキングお
よび小規模企業バンキングの顧客に提供する。インターネットとアプリベースのデジタル・ソリューション、支店
網、モーゲージ・スペシャリスト、リレーションシップ・マネジャーおよびコンタクト・センターを通じてサービス
を提供する。
・ 「商業」は、従来のリレーションシップ・バンキング、また非上場の中規模から大規模の企業、農業事業セグメント
および政府に特化した専任のマネジャーを通じて高度な金融ソリューションなどあらゆる銀行サービスを提供する。
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パシフィック
パシフィック部門は、個人、中小企業、法人顧客、パシフィック諸島の政府に商品・サービスを提供する。商品・サービス
は、消費者に提供するリテール商品、従来型のリレーションシップ・バンキング、専任のマネジャーを通じて企業に提供する
高度な金融ソリューションなどである。
TSO およびグループ・センター
TSO およびグループ・センターは、テクノロジー、グループ・オペレーションズ、共有サービス、資産、リスク・マネジメン
ト、財務管理、戦略、マーケティング、人事、コーポレート業務などのオペレーティング部門をサポートする。グループ・セ
ンターには、旧アジアリテールおよび富裕層事業の残留事業、グループ・トレジャリー、シェアホルダー・ファンクション
ズ、アジアにおける少数投資を含む。
(5)最近の進展
定期返済手数料に関するASICの民事訴訟
2019 年7月25日、ANZBGLは以下を公表した。
・ ASICは、2016年2月以前の一定の状況下での定期返済に係る手数料の請求に関して、ANZBGLに対する民事罰の手続を開
始する予定である旨をANZBGLに通知した。
・ ANZBGLは、かかる手数料が適用された130万件について、ASICが罰金を申し立てるものと理解している。
・ ANZBGLはASICからの指摘事項を未だ検討中ではあるが、故意による不正行為であることは断固として否定し、かかる申
立てに対して積極的な防御を行う予定である。
2019 年7月25日、ASICは、追って以下を公表した。
・ ASICは、連邦裁判所においてANZBGLに対する手続を開始した。
・ ASICの主張としては、ANZは、2013年7月26日から2016年2月23日までの間、少なくとも1,340,087回にわたり、同名の
アカウント間の定期返済について違法に取引手数料および滞納手数料を請求した。
・ ASICの主張としては、ANZBGLは、誤解を招く行為や虚偽的な行為を行い、誤った表示や誤解を招く表示をし、不当な行
為を行った。
・ ASICの主張としては、ANZBGLは、金融サービスのライセンス保持者としての法的義務に違反した。
・ ASICは、ASIC法への違反には、最大で1件当たり170万ドルから210万ドルの罰金が科せられると述べている。
「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類」の2019年度連結財務書類の注記33を参照のこと。
子会社投資(レベル1)に係る自己資本の取扱いに関するAPRAの協議
2019 年10月15日、APRAは、健全性基準APS第111号「自己資本比率:自己資本の測定」に対する修正案についての協議のため
に検討文書を公表した。APRAの提案による最も重要な変更は、レベル1の各銀行子会社および保険子会社への設備投資の取扱
いに関して、当該投資における有形の構成要素が400%のリスク加重から以下へと変更される点である。
・ ANZBGLのレベル1のCET1純額の10%相当額を上限として、250%のリスク加重を行う。
・ 当該投資の残余は、CET1の資本控除として扱われる。
ANZBGL は、現在行っている投資への影響を検討中である。
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当グループへの正味の影響は不明であり、多くの要因に依存する。これらの要因には、実施時に影響を受ける子会社の資産
計上、健全性基準の最終版、およびこれらの提案による影響を概ね相殺し得る経営活動の効果を含む。
これらの提案は、影響を受ける子会社へのANZBGLの現在の投資を前提とすれば、相殺する経営活動が何ら行われない場合、
ANZBGLのレベル1のCET1資本比率が最大約25億ドル(約75ベーシス・ポイント)減少することを示唆している。しかし、
ANZBGLは、そのような結果となる見込みは少なく、経営活動を行うことにより自己資本への正味の影響を最小限に抑えること
ができると考えている。2021年1月1日からの実施が提案されているこれらの変更案は、当グループのレベル2のCET1資本比
率には影響を及ぼさない。
IOOF に対するOnePath P&Iの売却
2019 年10月17日に当グループは、OnePathの年金および投資(P&I)事業および提携ディーラー・グループ(ADG)のIOOFへの
売却価格の修正に関する合意を発表し、売却価格を2017年10月に公表した当初の9億7,500万ドルから1億2,500万ドル引き下
げて8億5,000万ドルとした。新価格である8億5,000万ドルには、2018年10月に完了したADGの売却についてすでに当グループ
が受領していた約2,500万ドルが含まれる。条件の修正は市況の変動を反映しており、全体的な保証上限の引下げや、戦略的な
提携契約の一部変更が盛り込まれている。2019年12月9日に当グループは更新した情報の中で、OnePath P&I事業のIOOFへの売
却がAPRAにより承認されたことを認めた。この承認は取引に要求される最終承認としての性質を有し、当グループはこの取引
が暦年の2020年第1四半期に完了すると予想しており、この取引により当グループのCET1資本比率が約20ベーシス・ポイント
増加すると見込んでいる。
S&P グローバルによるオーストラリアの銀行業のカントリー・リスク評価およびANZBGLの追加的Tier1およびTier2資本の信用
格付の引上げ
2019 年10月24日、S&Pグローバルは、ANZBGL、当グループおよびその他のオーストラリアの大手銀行のスタンドアローン評価
(「SACP」)を「a-」から1段階引き上げて「a」としたことを発表した。S&Pグローバルは、このことは「過去2年間におけ
る全国的な住宅価格の秩序ある修正と民間債務の緩やかな成長によってオーストラリアの銀行業界に見られる経済的リスクの
減少」を反映したものであると述べた。
その結果、S&Pグローバルは、当グループのSACPの引上げに伴って、追加的Tier1(「AT1」)資本および当グループ内の事
業体が発行した劣後債(Tier2資本)商品の信用格付を1段階引き上げた。
S&P グローバルはまた、ANZBGLのシニア無担保信用格付がAA-(長期)およびA-1+(短期)であることを確認した。 長期格付
のアウトルックは引き続き安定的である。
変更されたANZBGLの格付は、以下のとおりである。
・ シニア債(長期): AA-から変更なし(安定的)
・ シニア債(短期): A-1+から変更なし
・ バーゼル3劣後債: BBBからBBB+へ引上げ
(1)
・ バーゼル3AT1資本 : BB+からBBB-へ引上げ
(1) これには、ANZバンク・ニュージーランド・リミテッドの5億ニュージーランドドルのキャピタル・ノートを含み、その
信用格付は当グループのSACPに基づいて決定されるため、同様にBB+からBBB-へ引き上げられた。
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RBNZ の自己資本要件のアップデート
(1)
2019 年12月5日にANZBGLは、ニュージーランド準備銀行(「RBNZ」)による最終的な自己資本要件 の公表の影響につい
て、情報を更新した。
当グループへの正味の影響として、CET1資本が2027年7月までに、管理バッファーの約10億豪ドルを含めて30億豪ドル増加
する(当グループの2019年9月30日現在のバランスシートに基づく。)。
この影響からは、より厳格な要件を満たすことを想定して2019年にANZニュージーランドが留保した約15億ニュージーラン
(2)
ド・ドルの利益が除かれている(すなわち、CET1への総影響は、事前の想定 よりも小さい約45億豪ドルであった。)。
以下は、協議文書に関するRBNZの最終的な自己資本要件の主な変更点である。
・ ANZニュージーランドの所要Tier1資本合計(16%)に変更はないが、移行期間が7年に延び、当グループのCET1資本
への影響が抑えられている。
・ 引上げの大部分はAT1資本に関するものであり(当初案の1.5%に対して2.5%)、所要CET1資本金額は引き下げられて
(3)
いる 。
・ AT1資本として認定可能な繰上償還条項付優先株式。これによりANZニュージーランドは、内部向けに発行済みのAT1証
券を外部カウンターパーティー向けに切り替えて資金調達を行えるようになると考えられる。
2019 年9月30日現在のANZのCET1資本比率は11.4%であり、APRAが問題なく強固とする10.5%の水準を35豪億ドル上回ってい
る。
(1) 2018 年12月14日にRBNZは、「第4次資本レビュー協議文書:資本はどの程度十分か?」と題する協議文書を公表した。
(2) ANZBGL は、オーストラリア証券取引所(ASX)の2018年12月14日付の公表事項中の協議文書に対して意見を提出し、2019
年5月17日に同協議文書に回答した。
(3) APRA 健全性基準(APS)第111号(資本十分性:資本の測定)の2019年10月15日付の提案に基づく。
上記に記載の事項を除き、2019年9月30日以降、本書日付現在までにその他重要な動向はなかった。
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(6)監督および規制
主要な銀行グループとして、当グループは、事業を行う各主要市場において規制当局および証券取引所による広範な規制の
対象となっている。本項は、オーストラリア、ニュージーランドおよび米国に焦点を当て、当グループに適用される規制上の
状況の概要を示す。
オーストラリア
APRA の健全性および規制の監督の概要
1998 年7月1日以降、APRAが、銀行(ANZBGLを含む。)、信用組合、ビルディング・ソサイエティ、保険会社および退職年
金基金を含むオーストラリアの公認預金受入機関(「ADI」)の健全性および規制の監督に責任を有している。それ以前は、
オーストラリアの銀行業界はオーストラリア準備銀行(「RBA」)による規制を受けていた。RBAは、引き続き金融政策、金融
システムの安定性および決済システムの規制に対して全体的な責任を持つ。APRAは1998年オーストラリア健全性規制庁法によ
りその権限を付与されている。
APRA はADIに、様々なAPRA健全性基準の範囲内の一定の健全性要件を満たすよう要求する。
APRA は、その監督下にあるADIに、財務状態についての財務上および統計上のデータならびに健全性およびその他事項に関す
る情報を含む広範囲な情報を記載した報告を定期的に提供するよう要求することによりその責任の一部を果たしている。APRA
は、自己資本比率、流動性、利益、信用の質および関連する貸付損失の履歴、リスクの集中、資産および負債の満期構成、オ
ペレーショナル・リスク、市場リスク、銀行勘定における金利リスク(「IRRBB」)、関連会社に対するエクスポージャー、外
部委託、資産運用、ガバナンス、事業継続性の管理、監査およびその他の関連事項、証券化業務、ならびに国際銀行業務に特
別な注意を払っている。APRAはまた、ADIがその財務状態についての情報の提供を怠った場合、一定の調査権限を行使すること
もできる。APRAが、ADIが債務不履行に陥る可能性があるまたは(その他の状況の中でも)支払い停止に陥ったとみなした場
合、APRAは(銀行法上の法定支配人の任命を含め)ADIの事業を管理することができる。APRAはまた、ADIがその債務に関して
支払いを行わないよう指示する権限を有する。加えて、APRAは、1999年金融セクター法(譲渡および条件緩和)の下で、一部
もしくはすべてのADIの資産および負債またはその株式を、APRAが指定する第三者(すべての場合にADIであることは必要とさ
れない。)に強制譲渡させる権限も有する。大まかに言えば、APRAは、大臣が求めた場合、または銀行法、規制もしくは規制
上の措置への違反があり、もしくはADIが債務不履行に陥る可能性が高い旨もしくは支払い停止に陥りそうである旨をAPRAに対
して通知し、一定の他の基準に適合するとAPRAが認める場合(金融セクター全体の利益を考慮すれば譲渡が適切であるとAPRA
が認める場合を含む。)などにそのような譲渡をさせることができる。ADIとの契約の相手方は、ADIへの債務の否定のためも
しくは当該契約に基づく債務の繰上げのため、または当該契約に関する取引の終了のための根拠として、銀行法上の法定支配
人がADIの事業を管理しているという事実または指示もしくは強制譲渡命令のみに依拠することはできない。
その監督の役割を果たすため、APRAは、各ADIから収集した統計データの分析を、選択的な「現場」訪問ならびにADIの上級
経営陣および外部監査人との正式な会合により補完する。APRAはまた、ADIの同意を得て各ADIの外部監査人との協議関係を正
式なものとした。外部監査人は、ADIの会計記録から得られた情報で、ADIのAPRA報告に含まれているものが、すべての重要な
点において、信頼でき、関連するAPRAの健全性および報告基準に従っていることをAPRAに対して追加保証する。外部監査人は
また、APRAが選択した特定のリスク管理分野を対象とした検査を行う。加えて、ADIのリスク管理システムは、エクスポー
ジャーを管理し、リスクを健全な水準に制限するのに十分であり運用効果をもつことを、ADIの最高経営責任者は証言し、その
取締役は確認する。
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自己資本
銀行の自己資本規制の適切な水準を決定する共通の枠組みは、一般に「バーゼル3」として知られる枠組みに基づいてバー
ゼル銀行監督委員会(「BCBS」)により設定される。
バーゼル合意の第1の柱に基づく最低自己資本要件(「自己資本要件」)を計算するために、当グループは、APRAより、信
用リスク加重資産について先進的内部格付手法を使用し、およびオペレーショナル・リスク加重資産相当額について先進的計
測手法を使用する認可を受けている。
2013 年1月1日より、APRAは、オーストラリアにおいてバーゼル3自己資本改正の大部分を採用した。APRAはバーゼル3改
正を最低要件とみなし、そのためバーゼル3規則で提案された譲歩のいくつかを組み込まず、他の分野でより高度な要件も定
めている。その結果、オーストラリアの銀行のバーゼル3で報告される自己資本比率は、国際的な同業他社と直接的には比較
できない。バーゼル3改正は、CET1資本からの資本控除の増額、自己資本比率の引上げ(2016年1月1日から完全に実施され
る規定最低資本バッファーを含む。)、新規のその他Tier1およびTier2証券についての要件の厳格化ならびに新規制に合致
しない既存のその他Tier1およびTier2証券の移行措置を含む。その他の変更には、カウンターパーティー信用リスクのため
の自己資本要件および大手の規制されていない金融機関に対するエクスポージャーに関する資産価値相関の引上げならびに以
下に記載する金融制度審議会(「FSI」)の結果による変更を含む。
自己資本規制の動向に関する詳細については、下記「オーストラリアの規制上の動向」および「(5)最近の進展-RBNZの自己
資本要件のアップデート」を参照のこと。
流動性
ANZBGL の流動性および資金調達リスクは、ANZBGLの取締役会リスク委員会により承認された詳細な方針枠組により管理され
ている。流動性および資金調達ポジションならびにリスクの管理は、グループ資産負債委員会によって監督されている。
ANZBGLの流動性リスク選好は、ANZBGLの取締役会リスク委員会が義務付けた一連の規制上の要件および内部の流動性指標を満
たす能力で定義される。この指標は、異なる持続期間および深刻性水準の様々なシナリオに渡る。この枠組みは、以下に役立
つ。
・ より短期だがより極端な市場の混乱およびストレスに対して保護を提供する。
・ 適切な額の長期資産の調達をより長期の資金調達にすることで、貸借対照表の構造的な強さを維持する。
・ 当グループの資金調達プロファイルに過度の時期の集中が存在しないことを確保する。
この枠組みの主要な要素は、2015年1月1日からオーストラリアで実施されている流動性カバレッジ比率(「LCR」)であ
る。LCRは、APRAを含む銀行業規制当局によって義務付けられる深刻な短期の流動性ストレス・シナリオであり、流動性リスク
の測定、基準およびモニタリングのためのバーゼル3国際的枠組みの一部として導入された。LCR要件への適合の一環として、
ANZBGLはRBAに流動性供給枠(「CLF」)を有している。CLFは、オーストラリアの市場における高品質な流動資産の不足の解決
策として設けられ、RBA適格の流動資産の代替形式を提供する。適格ADIが利用可能なCLFの総額はAPRAによって毎年設定され
る。2019年1月1日から、ANZBGLのCLFは480億ドルである(2018暦年末:469億ドル)。
さらに、当グループは、2016年12月に安定調達比率(「NSFR」)の最終の基準が公表された後、2018年1月1日より、APRA
のNSFR要件を満たしている。2019年9月30日において、当グループのレベル2のNSFRは116%であった。
ANZBGL は、APRA健全性基準APS第210号が要求する流動性および資金調達リスクに関する健全性義務、ならびにANZBGLのオフ
ショア業務に係る海外規制当局の健全性要件を厳守することに努める。
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APRA の規制における自己資本管理および自己資本比率ならびに流動性
当グループの自己資本管理および自己資本比率、流動性ならびにAPRAの規制環境に関する詳細は、「第3 事業の状況-
3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析-B.当グループの業績-(15)流動性リスク-非
継続事業を含む」から同「(18)レバレッジ比率-非継続事業を含む」までを参照のこと。
銀行役員説明責任体制
2018 年財政改正法(銀行役員説明責任および関連施策)により、「銀行役員説明責任体制」(「BEAR」)が創設された。
BEARの下でのANZBGLの義務は、2018年7月1日に開始した。
BEAR は、ADIグループにおける最も上級かつ影響力のある取締役および役員に関する責任および説明責任のフレームワークの
強化を目指している。BEARの下で、
・ ANZBGLは、一定の上級役員または取締役の任命に際して、任命される個人を事前にAPRAに登録し、その者のADIグループ
における役割および責任を示した図を整備してAPRAに提出しなければならず、また、各上級役員または取締役について
個人の役割および責任を詳述した説明責任文書をAPRAに提出しなければならず、
・ ANZBGLならびにその登録された上級役員および取締役が説明義務を果たさない場合には、APRAは裁判所の命令なしにそ
れら個人の上級役員または取締役としての資格を奪う権限を与えられ(ただし、銀行法第6編に従った行政審理の対象
となる。)、
・ ANZBGLは、取締役および上級役員について、報酬の一部繰延べを含むBEARの要件に適合した報酬決定方針を定めなけれ
ばならず、
・ ANZBGLは、BEARの義務を遵守しない場合には、相当な金額の罰金を支払う義務を負う。
危機管理
2018 年金融 セクター 法改正法(危機解決権限および関連施策)(「危機管理法」)は、規制対象事業体(およびその子会
社)の経営難の際に秩序ある破綻処理を促進するAPRAの権限を強化する。当グループに影響を与える可能性がある追加的権限
には、過年度はAPRAの規制対象となっていなかったANZBGLおよびその他の当グループの事業体との関係での監視、管理および
監督権限の強化、当グループ内の規制対象事業体に対する法定管理権限の強化、ならびに規制された資本商品の転換または償
却を法的に認めるための変更(「法定転換および償却条項」)が含まれる。
法定転換および償却条項は、一定の金融セクターの事業体(ADIを含み、ANZBGLもその1つである。)が発行した規制された
資本商品に関して適用され、APRA健全性基準に適合するための転換または償却条項を含む。ある商品に法定転換および償却条
項が適用された場合、当該商品はその条項に従って転換されうる。これは、いかなる(特定の法律の他、現時点では、ある者
がオーストラリアの企業または金融セクターの事業体の持分利益を取得する能力に関する法律以外の)法令、発行者の定款、
発行者が当事者となっている契約、ならびに当該商品に適用のある上場規則、業務規則またはクリアリングおよび決済規則に
かかわらずそうなる。加えて、銀行法には、法定転換および償却条項の運用に関する理由による一定の措置のモラトリアムが
定められている。
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その他のオーストラリアの規制当局
APRA ならびにその健全性および規制の監督に加えて、ANZBGLおよびそのオーストラリアの子会社はいくつかの点において
オーストラリア証券投資委員会(「ASIC」)、オーストラリア競争・消費者委員会(「ACCC」)、オーストラリア取引報告・
分析センター(「AUSTRAC」)および多くの証券取引所を含むその他の監督機関による監督および規制を受けている。
ASIC はオーストラリアにおける会社、市場、金融サービスおよび消費者信用の監督機関である。ASICは、投資、退職年金、
保険、預金受託および与信業務の取り扱いおよびアドバイスを行うオーストラリアの会社、金融市場、金融サービス機関およ
び専門家に対する規制を行っている。ASICは、消費者信用の監督機関として、消費者信用業務に従事する人々および企業(銀
行、信用組合、金融会社ならびにモーゲージ・ブローカーおよび金融ブローカーを含む。)に対してライセンスを付与し、規
制を行っている。ASICは、ライセンス保持者が、オーストラリアの2009年国家消費者信用プロテクション法が定める消費者に
対する責任に関する基準等に適合することを確保する。ASICは、市場の監督機関として、公認の金融市場が公平で秩序および
透明性のある市場を運営する法的義務をいかに効果的に遵守しているかについて調査している。2010年8月1日より、ASIC
は、オーストラリア国内の認可されたエクイティ市場、デリバティブ市場および先物市場における取引を監督する責任も有し
ている。ASICは、金融サービスの監督機関として、金融サービス企業に対し、それらが効果的で誠実かつ公平な運営を行うこ
とを確保するために、ライセンスを付与し、監視を行っている。それらの企業は、概して、退職年金、マネージド・ファン
ド、株式および社債、デリバティブならびに保険を取り扱っている。ANZBGLはASICの規制を受けている市場に商品を提供し、
また参加している。
ACCC は、消費者、企業および社会に便益をもたらすべく、オーストラリアの市場における競争および公正取引を促進する独
立した連邦法定機関である。同機関はまた、国家のインフラ・サービスに対する規制を行っている。その主要な任務は、個人
および 当グループを含む企業が、オーストラリアの競争、公正取引および消費者保護法を遵守することを確実にすることであ
る。
当グループはまた、2006年マネーロンダリング防止およびテロ資金対策法(「AML法」)を含む オーストラリア法 に基づき、
一定のマネーロンダリング防止およびテロ資金対策の法規制を遵守する義務を負っている。AML法は、AUSTRACにより運用され
ている。
オーストラリアの規制上の動向
王立委員会
王立委員会は、オーストラリア政府の行政部によってのみ招集され、権限委任条項によってのみ指示を受ける正式かつ公式
な審議会である。銀行・退職年金・金融サービス業界における不正行為調査のための王立委員会(「王立委員会」)は、金融
サービス事業体(ANZBGLを含む。)の行為が不正行為または社会の水準および期待を下回る行為となっていないかを調査し、
報告するよう指示された。王立委員会はまた、かかる行為の原因、特に文化、ガバナンス、報酬およびリスク管理慣行の果た
す役割、監督機関の実効性、ならびにそれらに応じた方針の勧告を検討する任務を課せられた。
王立委員会の最終報告書は、2019年2月4日に公表された。最終報告書において、王立委員会の委員は、不正行為または社
会の水準および期待に満たない行為にあたる可能性があるANZBGLを含む金融サービス事業体の行為を特定した。
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有価証券報告書
王立委員会の最終報告書には、銀行業、金融助言、退職年金、保険、文化、ガバナンスおよび報酬、監督機関、ならびにそ
の他の主題にわたる76の勧告が含まれる。ある主題に関する勧告が、その他の主題にも影響を与えることもある。
オーストラリア政府は、多数の勧告を受け入れているが(協議を通じた監督方針の変更および法改正を含む。)、その多く
は未だ実施の途上である。本書日付現在、ANZBGLは、以下の勧告が当グループのポジション(「第3 事業の状況-2 事業
等のリスク-(2)主なリスクおよび不確実性-序論」に定義される。)に悪影響を及ぼす可能性があると考えている。
銀行業
・ 住宅ローン仲介の変更。これは、モーゲージ・ブローカーは借り手候補者の最大の利益のために行為する義務に服すべ
きこと、モーゲージ・ブローカーの報酬に変更を加えるべきこと(貸し手ではなく借り手がモーゲージ・ブローカーに
対して住宅ローンに関する活動のための手数料を支払うことを含む。)、および貸し手がモーゲージ・ブローカーに支
払うトレイリング手数料その他の手数料の段階的禁止、ならびにモーゲージ・ブローカーが追加的な専門家規制に服す
べきことを含む。
・ オーストラリア銀行協会(「ABA」)は銀行実務規範(「規範」)を改正し、銀行が遠隔地に住む顧客または英語を使い
こなせない顧客と協働して、それらの顧客が銀行サービスにアクセスし利用するための適切な方法を見つけ出すこと、
ならびに顧客との事前の明示的な合意なしに略式の当座貸越を可能とし、または基本口座について不渡手数料を請求し
ないことを定めるべきこと。
・ 中小企業向け貸付。これは、ABAは規範における「小企業」の定義を、貸付額が500百万ドル未満であり100名未満のフル
タイム換算従業員を雇用するあらゆる企業またはグループに適用されるよう変更すべきこと、および銀行が農業貸付を
取り扱う場合は、経営難のときも含め、一定の措置を講じ、一定のプラクティスを採用すべきことを含む。
・ 業界規範の強制可能性。これは、業界規範の一定の規定への違反は、法律違反を構成すべきことを含む。
・ BEAR。これは、APRAは、顧客に提供するすべての商品の設計、納品および維持のすべての過程、ならびにこれらの商品
に関する顧客の救済について、ADI内での責任を定めるべきことを含む。
金融助言
・ 継続的な金融助言報酬の取決め。これは、法改正により、継続的な金融助言報酬の取決めは顧客によって毎年更新され
なければならない旨、顧客が受けることのできるサービスおよび請求される手数料総額を書面で記録しなければならな
い旨、ならびに直近の年次更新の際に顧客の明示的な書面による授権がなければ、顧客の保有口座から報酬を支払い、
またはその支払を求めてはならない旨を定めるべきことを含む。
・ 法改正により、金融助言業者の独立性の欠如を開示するよう求めるべきこと。
・ 助言の質を改善するために講じられた措置の見直し。
・ 相反する報酬。これは、一定の相反する報酬の支払を可能とする既得権条項は合理的に可能な限り速やかに廃止される
べきことを含む。
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・ 金融助言業者の専門的規律。これは、オーストラリアの金融サービス・ライセンス(「AFSL」)の保有者は、そのライ
センスの条件として金融助言業者に対して身元照会および情報共有のプロトコルを有効にするよう求められるべきこ
と、四半期ごとに個別の金融助言業者に関する「深刻なコンプライアンス上の懸念」をASICに報告し、金融助言業者が
リテール顧客に対して行った金融助言に関して不正行為を行ったことに気付いた場合には一定の措置を講じるべきこ
と、ならびに法改正により金融助言業者に係る新たな懲戒制度を創設すべきことを含む。
退職年金
・ 退職年金の受託者の義務。これは、マイスーパー口座からの助言報酬(資金内助言に係るものを除く。)の控除は禁止
されるべきこと、および受託者はその受託者としての義務から生じる以外のいかなる義務の負担も禁じられるべきこと
を含む。
・ デフォルト年金基金の指名。これは、1名当たりデフォルト退職年金の口座は1つのみ保有すべきことを含む。
・ 退職年金の規制。これは、受託者または取締役の誓約は、民事罰を求める訴訟により強制可能であるべきことを含む。
・ 退職年金および保険の「販売」。これは、退職年金商品および保険商品のリテール顧客に対する呼び売り(または押し
売り)は禁止されるべきことを含む。
保険
・ 追加保険。これは、オーストラリア政府は追加保険商品の販売に係る業界全体の繰延販売モデルを開発すべきことを含
む。
・ 契約締結前の開示および表明。これは、保険会社に対する被保険者の開示義務は、保険会社に対して不実表示を行わな
いよう合理的な注意を尽くす義務に置き換えられるべきことを含む。
・ 生命保険契約の回避。これは、保険会社はいかなる条件においても契約を締結しない場合に限り、非開示または不実表
示を理由として生命保険契約を回避することができるべきこと。
・ 保険契約における不当な契約条件から消費者を保護する法規定。
・ クレームの処理および解決は、金融サービスを規制する法律に従って行われるべきこと。
・ 業界規範の強制可能性。これは、それらの規範の一定の規定への違反は、法律違反を構成すべきことを含む。
・ 外部機関による紛争解決。これは、法改正により、AFSLの保有者にオーストラリア金融苦情申立機関(「AFCA」)と協
力して合理的な措置を講じるよう求めるべきことを含む。
・ グループ生命保険契約。これは、マイスーパー・グループのデフォルト生命保険契約に係る普遍的な主要定義、条項お
よび免責を定めることの実行可能性および期待される価格設定効果の政府による見直し、ならびに退職年金受託者と関
係当事者との間のグループ生命保険契約の独立した認証を求めることを含む健全性基準SPS第250号(退職年金保険)の
改正を含む。
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文化、ガバナンスおよび報酬
・ 報酬。これは、APRAが報酬システムの健全性監督を行う際ならびに報酬に関する健全性基準および指針を改正する際に
一定の措置を講じることを含む。そして、かかる措置は、金融サービス事業体が最低でも年に一度は、そのフロント部
門職員の報酬システムの設計および実施が、当該職員が何を行ったかのみならずいかなる方法でそれを行ったかにも確
実に焦点を当てるものとなるようそれらを見直すべきこと、ならびに銀行は、2017年4月19に公表されたリテール銀行
業報酬レビュー(別名セドウィック・レビュー。ABAが受託した。)による勧告を完全に実施すべきことを含む。
・ 文化およびガバナンス。これは、すべての金融サービス事業体が合理的に可能な限りの頻度で、その文化およびガバナ
ンスを評価し、必要な是正を行うために適切な措置を講じるべきこと、ならびにAPRAが文化およびガバナンスの健全性
監督を行う際、ならびに文化およびガバナンスに関する健全性基準および指針を改正する際に、一定の措置を講じるこ
とを含む。
監督機関
・ ASICの強制慣行。これは、ASICは、裁判所が違反による効果を判断すべきか否かという問題を最初に取り上げるアプ
ローチを採用すべきことを含む。
・ 退職年金行為規制。これは、APRAおよびASICの役割を調整し、APRAは健全性 監督機関 、ASICは行為 監督機関 とすべきこ
とを含む。
・ BEARの共同規制。これは、ASICおよびAPRAが共同でBEARを管理することを含む。
・ 監督機関 への協力。これは、法改正により、ADIが公開された建設的かつ協力的な方法でASICおよびAPRAに対応しなけれ
ばならないことを明確にすべきことを含む。
・ BEARの拡大。これは、BEARの規定を、APRAの規制に服するすべての金融サービス機関、APRAの規制に服する保険会社お
よび登録可能な退職年金事業体のライセンス保持者に及ぼすべきことを含む。
・ ASICとAPRAとの間の調整、情報共有および協力。
・ 監督機関 のガバナンス。これは、BEARにより創設された管理および説明責任の原則は、APRAおよびASICにもそれぞれ適
用されるべきこと、ならびにAPRAおよびASICはそれぞれ能力の見直しを受けるべきことを含む。
・ 監督機関 の監督。これは、APRAおよびASICのための新たな監督機関を創設すべきことを含む。
その他
・ 外部機関による紛争解決。これは、最終補償スキームを実施すべきことを含む。
・ 金融サービスおよび信用のライセンス保持者による違反の自己申告に関するASICエンフォースメント・レビュー・タス
クフォースの勧告を実施すべきこと。
・ 法律の簡素化。これは、金融サービス事業体を規制する制定法における一般に適用可能な行為規範の例外および留保を
可能な限り排除すべきこと、ならびに金融サービス事業体を規制する制定法はいかなる基本的な行動規範が追求されて
いるかを明確に特定すべきことを含む。
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加えて、上記で言及されていない王立委員会のその他の勧告もまた、当グループのポジションに影響する可能性がある。
2019年2月4日、オーストラリア政府は、76の勧告のすべてについて措置を講じるべく取り組んでいる旨を述べた。2019年
3月12日、オーストラリア政府は、新規の貸付において貸し手がモーゲージ・ブローカーに支払うトレイリング手数料は禁止
しないが、それらの業務を3年間で見直すとともに住宅ローンの仲介について「借り手が支払う」報酬ストラクチャーを検討
する旨を発表した。
2019 年8月現在、オーストラリア政府は、王立委員会の勧告8つを含む王立委員会の最終報告書に対する回答で概説した公
約15個を実施したことを報告し、2019年から2022年までのさらなる実施日程を公表した。オーストラリア政府が実施した15個
の公約には、AFCAの強制加入会員のすべてが紛争解決においてAFCAと協力するための合理的な措置を講じることを要求する規
制の導入、消費者および小規模企業からの金融苦情申立てを2008年1月1日まで遡って検討可能とするAFCAの権限拡大ならび
にASICの商品介入権の拡大、ならびに金融サービスのライセンス保持者に課される設計義務および販売義務を含む。APRA、
ASICおよび業界はまた、自らを対象とする多数の勧告を実施し、または実施のプロセスを開始した。
王立委員会の結論により、監督機関は、当グループを含む様々な金融サービス事業体の調査を開始し、または開始する可能
性があり、その結果として行政措置または強制措置が講じられることがありうる。また、勧告および政府の公約により、当グ
ループの監督機関は既存の方針および慣行を改正中であり、規制権限を拡大するための法案が可決されている。
2019年2月20日、ANZは、勧告に対する対応の第一段階を実施するための措置を直ちに講じる旨を発表した。これらの措置
は、以下を含む。
・ 農家に対して農業債務調停への早期アクセスを提供するとともに、強制や外部管理者の選任よりも「解決」を優先する
こと。
・ 干ばつその他の自然災害の被害地域において、農家に延滞利息を請求しないこと。
・ 現地顧客専用の電話サービスおよび簡単なアカウント識別オプションを創設すること。
・ クレジットカードの長期借入を殆ど返済していない顧客に積極的に連絡し、より低コストのオプションへの移行を促す
こと。
・ ペンショナー・アドバンテージの口座から貸越手数料および不渡手数料を徴収しないこと。
・ ANZが個人リテール顧客または小規模企業顧客との訴訟手続に関与する際には、「モデル訴訟当事者」として関与するこ
と。
・ オーストラリア金融苦情申立機関の新たな制約の下で、その「ルック・バック」に参加すること。
王立委員会はまた、APRAまたはASICに対して、検討を求めるために不正行為の可能性がある調査未了の事例を紹介してい
る。これらの事項が当グループに関係する場合、当グループ企業に対して民事訴訟が提起される可能性があり、その結果とし
て当グループに民事罰または刑事罰が科せられる可能性がある。
王立委員会は、コストの増加につながっており、さらなる規制活動に伴うエクスポージャー、またはクラス・アクション、
個別請求、顧客救済もしくは補償行為などの潜在顧客エクスポージャーを含むさらなるエクスポージャーをもたらすこともあ
りうるとともに、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。これらのエクスポージャーの結果および関連する
費用の総額は不明である。
王立委員会はまた、ニュージーランドの金融業界への政治上または規制上の監視の強化をもたらす可能性がある。
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フレームワークおよび実務の自己評価
2018 年5月1日、APRAは、すべての規制を受ける金融機関はガバナンス、文化および説明責任に関するフレームワークおよ
び実務の自己評価を実施することにより恩恵を受ける旨、ならびに当グループのような大手金融機関についてもその取締役会
により見直され承認された評価書を求めていく旨を述べた。APRAがこのように述べたのは、他の主要なADIに関する健全性調査
についての最終報告書で特定された論点に鑑みたものである。この健全性調査は、他の主要なADIグループのガバナンス、文化
および説明責任に関するフレームワークおよび実務を調査するために創設された。2018年11月30日、ANZBGLはAPRAに対して自
己評価書を提出した。2019年8月22日、ANZBGLは、自己評価書の中で提起された問題に対応するためのANZBGLの取組みの状況
を詳述したANZBGL会長の論説を公表した。
金融制度審議会
オーストラリア政府はオーストラリアの金融制度に関する総合的調査を2014年に完了し た 。 これには、規制上の自己資本水
準に影響を与える可能性のある多数の主要な提言が含まれていた。FSIを支えるためのAPRAによる施策は、以下のとおりであ
る。
・ 2017年7月、APRAは、当初は2014年12月にFSIの最終報告書に記載された、オーストラリアの銀行セクターが「問題なく
強固」とみなされるために要求される追加的な自己資本に関する調査をまとめた情報文書を公表した。APRAは、「4つ
の主要なオーストラリアの 国内のシステム上重要な銀行(「D-SIB」) の場合、この追加的な自己資本は、現行の自己資
本比率のフレームワークの下では、ベンチマークとなるCET1資本比率が最低でも10.5%であることと同義であり、ま
た、オーストラリアのD-SIBは、遅くとも2020年1月1日までにこの自己資本ベンチマークを達成しなければならない」
と述べた。
・ 2018年2月、APRAは、検討文書を公表し、以下についてAPRAの協議を開始した。
- 「 問題なく強固」である自己資本比率を生み出すための 自己 資本フレームワークの変更。 検討文書ならびにその後の
2019年6月および9月の発表では、信用リスク、市場リスク、銀行勘定における金利リスクおよびオペレーショナル・
リスクに関するリスクベースの自己資本アプローチについてのAPRAの提案が要約されており、これは2017年12月にBCBS
がこれらの要件を最終化したことを受けたものである。これらの提案の最終形態は2020年後半にならなければ確定しな
いが、当グループは、現行の要件に対するいかなる変更の実施も、一定の資産クラスおよびその他のリスク(市場リス
クおよびオペレーショナル・リスク等)のリスク・ウェイトの枠組みに対するさらなる変更につながると予想してい
る。APRAは、リスク・ウェイトに対する変更がADIにさらなる増資を余儀なくさせるとは予想していないが、このことは
最終的な要件次第でADIにより異なりうると発表した。
- ADIの自己資本フレームワークの透明性、国際的な比較可能性および柔軟性を向上させるための自己資本フレームワー
クの全体的な設計に対する調整。 2018年8月、APRAは検討文書を公表した。この提案の焦点は、ADIの自己資本力水準を
認識しつつ比較を容易にする自己資本比率の表示および金融ストレス時における監督の柔軟性を高める方法にある。以
上についてのAPRAの協議が、2020年までに公表が予定されている最終的な健全性基準に沿うよう現在行われている。
- レバレッジ比率要件。 APRAの「レバレッジ比率」は、Tier1資本をAPRA健全性基準APS第110号が定義する「エクスポー
ジャー指標」(パーセンテージで表示される。)と比較するものであり、現在のリスクベースの自己資本要件に対する
非リスクベースの補完または補強として設計され、銀行業界における過度なレバレッジの積み上がりを禁止している。
2018年11月、APRAは、エクスポージャー指標算定の他の変更に加え、内部格付手法を選択している(「IRB」)ADIに対
する最低レバレッジ比率を3.5%に設定することを提案する健全性基準の草案を公開した。これらの変更は、当グループ
に重大な影響を及ぼさないと予想している。
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上記に関するAPRAの協議は、段階的な取決めはなく、2022年までの実施を目標として現在行われている。
現在APRAとの協議に付されている複数の項目を前提とすれば、FSIによる最終的な結果は、APRA健全性基準へのさらなる変更
または当グループに対するその他の影響があるかを含め、依然として不明である。
2019 年7月、APRAは、損失吸収力に関する決定を公表し、この決定に従いANZBGLを含むオーストラリアのD-SIBに対して2024
年1月までに総資本をリスク加重資産の3%までに増加させることを求めることになる。2019年9月30日現在の当グループの
自己資本ポジションに基づくと、総資本要件における増加分が約120億ドルであり、他の上位の資金調達において相当額の減少
があることを示している。APRAは、オーストラリアのD-SIBが主に追加的Tier2資本によって要件を充足すると予想される旨を
述べている。APRAは、今後の4年間で、リスク加重資産の1%ないし2%を追加的に引き上げるための実現可能な代替方法を
検討する。
レベル3コングロマリット(「レベル3」)枠組み
APRA は、 その 健全性監督の枠組みを、レベル3枠組みを通じてコングロマリット・グループに拡張しており、これは、当グ
ループのようなバンカシュアランス・グループを、最低自己資本要件およびリスク・エクスポージャー水準の追加監視を伴う
単一の経済主体として規制する。
2016 年 8月 、APRAは、FSIの提言ならびに進行中の国際的な施策から生じる最終的な自己資本要件を待つため、コングロマ
リット・グループへの自己資本要件を早くとも2019年まで延期することを確認した。
グループ・ガバナンス、リスク・エクスポージャー、グループ内取引ならびにその他リスク管理およびコンプライアンス要
件に関するレベル3枠組みの自己資本以外の構成要素は、2017年7月1日付で有効となった。これらの要件により当グループ
の自己資本ポジションおよびANZBGLの子会社の資金調達のいずれにも重大な影響は生じていない。ANZBGLがANZバンク・ニュー
ジーランド・リミテッド(「ANZニュージーランド」)およびその子会社(合わせて「ANZニュージーランド・グループ」)を
含む関連会社に支援を提供する能力へのレベル3枠組みによる影響に関する詳細は、下記「ANZBGLが財務支援を提供する能力
の制限」を参照のこと。
関連会社の枠組みの変更
2019 年 8月、APRAは、APS第222号「関連当事者の関与」(「APS第222号」)を修正し、関連ADI(または同等の海外事業体)
に対するオーストラリアのADIの個々のエクスポージャーの上限をレベル1総資本の50%からレベル1のTier1資本の25%へ、
またエクスポージャー合計ではレベル1総資本の150%からレベル1のTier1資本の75%へと引き下げる旨を発表した。エクス
ポージャーは資本控除を除外して測定されるため、APRAの自己資本規制の変更案(APS第111号「自己資本比率:自己資本の測
定」(「APS第111号」)に含まれる。)は、ADIのエクスポージャーの測定に影響を及ぼす。APS第111号の修正が現在提案され
ているとおりに実施されるとすれば、かかる上限の引下げが当グループに重大な影響を及ぼすことは予想されない。この変更
は2021年1月1日から実施されることが提案されている。詳細は、下記「ANZBGLが財務支援を提供する能力の制限」を参照の
こと。
APS 第111号「自己資本比率:自己資本の測定」の修正
2019 年 10月、APRAは、APS第111号に対する修正案についての協議のために検討文書を公表した。APRAの提案による最も重要
な変更は、レベル1のADI(または同等の海外事業体)および保険子会社への資本投資の取扱いに関して、当該投資における有
形の構成要素が400%のリスク加重から以下へと変更される点である。
・ ANZBGLのレベル1のCET1資本純額の10%相当額を上限として、250%のリスク加重を行う。
・ 当該投資の残余は、CET1の資本控除として扱われる。
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ANZBGL は、現在行っている投資への影響を検討中である。 当グループへの正味の影響は不明であり、多くの要因に依存す
る。これらの要因には、実施時に影響を受ける子会社の資本構成、健全性基準の最終版、およびこれらの提案による影響を概
ね相殺し得る経営陣の行為の効果がある。これらの提案は、影響を受ける子会社へのANZBGLの現在の投資を前提とすれば、相
殺する経営陣の行為が何らない場合、ANZBGLのレベル1のCET1資本比率が最大約25億ドル(約75ベーシス・ポイント)減少す
ることを示唆している。しかし、ANZBGLは、そのような結果となる見込みはなく、経営陣の行為により自己資本への正味の影
響を最小限に抑えることができると考えている。2021年1月1日からの実施が提案されているこれらの変更案は、当グループ
のレベル2のCET1資本比率には影響を及ぼさない。
ANZBGL が財務支援を提供する能力の制限
APRA 健全性基準による効果
APRA が課す現在または将来の要件は、ANZBGLの事業、業績、流動性、資本の源泉または財政状態に悪影響を及ぼす可能性が
ある。APS第222号は、関連会社の関与に起因するリスクの監視、管理および統制に関してANZBGLを含むオーストラリアのADIが
遵守すべき最低要件を設定するとともに、グループ内の財務上のエクスポージャーに係る上限を含んでいる。
APS 第222号の下で、ANZBGLが関連会社(ANZニュージーランド・グループを含む。)に財務支援を提供する能力は以下の制限
に服する。
(a) ANZBGL は、関連会社の事業の支援を主要な目的とするいかなる第三者取引も行ってはならず、
(b) ANZBGL は、関連会社に対して、合計または個別の会社レベルのいずれにおいても、特定の時間または金額による限定が
ない無制限のエクスポージャーを持ってはならず(例えば、関連会社のいかなる義務をもカバーする一般的保証を提供
してはならず)、
(c) ANZBGL は、関連会社の債務不履行(財務的な債務であるか否かを問わない。)がANZBGLの債務不履行を引き起こすかま
たは引き起こすとみなされる内容のクロス・デフォルト条項を締結してはならず、
(d) 自己資本から除かれるエクスポージャーを控除後のANZBGLのレベル1総資本基盤のエクスポージャーの水準は、以下を
超えてはならない。
(i) ANZニュージーランド・グループなどの関連ADIもしくは同等の事業体に対し、個々のエクスポージャーベースで
50%、またはすべての関連ADIもしくは同等の事業体に対するエクスポージャー合計で150%
(ii) その他の関連会社に対し、
ⅰ 規制された関連会社の場合、個々のエクスポージャーベースで25%、または
ⅱ その他の(規制されていない)関連会社の場合、個々のエクスポージャーベースで15%、および
ⅲ すべての非ADIまたは同等の関連会社に対するエクスポージャー合計で35%
2019 年8月、APRAは、2021年1月1日から発効するAPS第222号の最新版を公表した。ANZBGLが ANZ ニュージーランド・グルー
プに対して提供できる財務支援の量および質に影響する変更は、以下のとおりである。
・ エクスポージャーの上限を設定するために用いられる レベル1資本基盤は、総資本からTier1資本に変更される。
・ ADIに対する個々のエクスポージャーの上限を レベル1のTier1資本基盤の25%に、エクスポージャー合計の上限をレベ
ル1のTier1資本基盤の75%に引き下げる。
APRA は、個別の事案に応じて、事業体ごとに移行措置や柔軟な対応を講じている。
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さらに、2019年10月、APRAは、APS第111号の修正案について検討文書を公表し、この修正案は、ADI(または同等の海外事業
体)および保険子会社に投資するANZBGLなどのオーストラリアのADIについて、レベル1資本の取扱いを上記「APS第111号『自
己資本比率の測定』の改正」で概説したとおりに変更することを提案している。
この修正案が実施されれば、APS第111号のこれらの修正により、APS第222号に係る報告の目的でのANZBGLのレベル1のTier
1資本基盤および ANZ ニュージーランド・グループに対するエクスポージャーは削減されることになる。その結果、2021年1月
1日におけるANZBGLのANZニュージーランド・グループに対するエクスポージャーは、APS第222号の変更後の上限を遵守したも
のになると予想される。
加えて、APRAは、2021年1月1日までに、ANZBGLの 通常時におけるニュージーランド業務(ANZニュージーランドなどの
ニュージーランドにおいて設立された子会社およびANZBGLのニュージーランド支店を含む。)への非株式等エクスポージャー
を、ANZBGLのレベル1のTier1資本基盤に対する比率で5%以下に収めることができることを確認した。この上限は、資本商
品の保有または金融ストレス時にANZニュージーランド・グループに対して提供される適格担保付きの偶発的な資金調達の支援
を含まない。
ANZ ニュージーランドは、その時々に、AZNBGLのニュージーランド支店に住宅モーゲージを売却し、ニュージーランド業務に
資金を提供する。2019年9月30日時点で、ニュージーランド支店は、約7億3,900万ニュージーランドドルの住宅モーゲージを
保有していた。
APRA はまた、金融ストレス時におけるANZBGLによるANZニュージーランド・グループへの偶発的な資金調達の支援は、APRAが
承認可能な条件に基づいて提供されなければならないことを確認した。現在、カバード・ボンドのみが偶発的な資金調達に係
るAPRAの基準に該当している。APRAはまた、ANZBGLのニュージーランド業務に対するエクスポージャー合計は、 ANZBGL のレベ
ル1のTier1資本基盤の50%を超えてはならないことを要求する。
レベル3枠組みによる効果
加えて、特にグループ・ガバナンスおよびリスク・エクスポージャーに関連するAPRAのレベル3枠組みの一定の要件が、
2017年7月1日に発効した(上記「レベル3コングロマリット(「レベル3」)枠組み」を参照のこと。)。この枠組みはま
た、当グループが子会社(ANZニュージーランドを含む。)に対する財務上および業務上のエクスポージャーを制限しなければ
ならないことを要求する。
子会社に 対する エクスポージャーの許容水準を定めるに当たり、ANZBGLの取締役会は以下を考慮する。
(a) 信用度 が概ね同等である第三者について承認されるであろうエクスポージャー、および
(b) ANZBGL の自己資本ポジションおよび流動性ポジションに対する潜在的な影響、ならびに 子会社 が破綻した場合にも営業
を継続できるANZBGLの能力
これらの要件は、ANZBGLがANZニュージーランドを含む子会社に対して財務上または業務上の支援を提供する能力にさらなる
制限を課すとは予想されていない。
住宅モーゲージ貸付実務
近年において、APRAは、住宅モーゲージ貸付実務を厳しく監視し、また銀行業界全体での住宅モーゲージ貸付基準の強化を
狙いとした数々の手段を採用してきた。一例として、
・ 2014年12月、APRAは、ADIの健全な住宅モーゲージ貸付実務を強化するために採用する可能性のある追加の手順の概要を
示し、より高リスクのモーゲージ貸付、不動産投資家向け貸付の増加率(特に増加率が年間ベンチマークである10%を
大きく上回るか)および新規借入者へのローン返済能力テストを含む一定の関心分野について、特に注意を払うことを
表明した。
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・ 2017年 3月 、APRAは、ADIはとりわけ以下を期待される旨を概説した。
- 新規のインタレスト・オンリー型(一定期間は利息のみ返済)貸付の金額を、新規の住宅モーゲージ貸付の合計額の
30%に制限すること(「インタレスト・オンリー型に係る30%ベンチマーク」)。ADIはこの制限の範囲内で、ローン資
産価値比率(「LVR」)が80%以上のインタレスト・オンリー型貸付の総額について厳格な内部制限を設定し、LVRが
90%を超えるインタレスト・オンリー型貸付案件については確実に厳格な審査を行い、正当化理由を確認することが期
待される。
- 不動産投資家向け貸付の年間増加率が先述の10%のベンチマーク(「投資家向け貸付増加率に係る10%ベンチマー
ク」)未満である状態を容易に維持できるように 管理すること。
上記の期待に応えてポートフォリオ・リスクを管理するために、当グループは数々の手段を講じてきた。これには、貸付基
準の調整、および持ち家居住者と投資家向け貸付との間での 異なる 価格設定の実施が含まれる。これらのカテゴリーの範囲内
で、異なる価格設定は、インタレスト・オンリー型の返済を行う顧客と元利返済を行う顧客との間にも適用される。
2018 年 4月および12月、APRAは、投資家向け貸付増加率に係る10%ベンチマークおよびインタレスト・オンリー型に係る
30%ベンチマークは、今後それぞれ、一定の状況の下ではADIに適用されない旨を概説した。これらのベンチマークは、今後、
当グループには適用されない。
APRA は、 住宅市場の状況をより広く緊密に監視し続けるが、ベンチマークの適用除外にもかかわらず業界全体レベルで投資
家向け貸付の成長率急騰が再来しまたはインタレスト・オンリー型貸付が再加速すれば、システミックな懸念が生まれ、そう
した環境は業界全体に対して措置を講じる必要性をAPRAに検討させることになりうる旨を示唆した。
住宅モーゲージ・ローンの分類の変更
ANZBGL の住宅モーゲージ・ローンの現行の分類は一般に、監督機関および市場に報告している通り、顧客から提供される情
報または顧客が事後的にローンの変更を申請する際に提供される情報に基づき、ローンの組成の過程(すなわち、ローンの申
請、審査および貸付実行)で決定されている。
住宅用モーゲージ・ローンの分類は、以下を理由に変更される可能性がある。
・ 組成段階での誤分類:組成段階で顧客が自己の身上についてANZBGLに誤った情報を通知する範囲で、ローンは誤って分
類されるリスクがあり、かかるローンは再分類される可能性がある。
・ 顧客の状況の変化:与えられた分類の継続的な妥当性は、顧客が自己の状況の変化についてANZBGLに情報を通知する義
務、および顧客から提供される情報を独自に検証するANZBGLの能力に依存する。顧客が自己の状況の変化を通知する範
囲で、またはANZBGLがその検証プロセスに基づきその旨を決定する場合において、ローンは再分類される可能性があ
る。
・ 規制その他の変更:ローンの分類基準およびその解釈は、1または複数の報告上の目的により変更される可能性があ
り、このことは一定のローンの分類に影響を及ぼす可能性がある。
・ ANZBGLのシステムおよびプロセスの変更
ローンの誤分類または再分類は、持ち家居住者向けの不動産担保ローンがより金利の高い投資用不動産ローンに再分類され
るなどの場合において、顧客の支払義務を履行する能力に影響を及ぼす可能性がある。顧客が再分類後のローンの支払義務を
履行する能力を欠けば、かかるローンにつき債務不履行を生じるリスクが増す可能性があり、このことは当グループのポジ
ションに悪影響を及ぼす可能性がある。
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その他
当グループにもたらされるリスクも含む規制上の動向 に関する詳細は、下記「第3 事業の状況-2 事業等のリスク-(2)
主なリスクおよび不確実性-4.市場リスクに関する事象は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を
参照のこと。
オーストラリア刑法典第102.6条および102.7条
オーストラリア刑法典第102.6条および第102.7条(1995年オーストラリア刑法典に含まれる)に基づき、ある者が意図して
テロリスト組織から資金を受け取り、テロリスト組織に資金を提供し、テロリスト組織のためにもしくはテロリスト組織を代
理して資金を調達し、またはテロリスト組織に支援や資源を提供する場合、その者が当該組織がテロリスト組織であると知っ
ているかまたはテロリスト組織であるかについて無頓着であった状況では、それは犯罪となる。テロリスト組織とは、直接も
しくは間接にテロリスト行為の実行に関与、準備、計画、幇助もしくは助長した組織をいい、かかる組織が1995年オーストラ
リア刑法典に基づいた規則においてテロリスト組織と規定されている。
2011 年オーストラリア独自制裁法および2011年オーストラリア独自制裁規則に基づき、特定の国々と関連した一定の具体的
に認定 された 人物、事業体、資産および船舶に対して制裁が与えられ、その名前の人物もしくは事業体が関わる一定の取引
は、外務大臣からの特別な許可を得た場合のみ行うことができる。これらの制裁に違反することは犯罪となる。
ニュージーランド
RBNZ の監督の役割
1989 年 ニュージーランド 準備銀行法(「準備銀行法」)は、ニュージーランド準備銀行(「 RBNZ 」)が以下の目的で、銀行
の登録および登録銀行の健全性監督の権限を行使することを求めている。
・ 健全で 効率的 な金融システムの維持を推進する。
・ 登録銀行の破綻から生じる可能性のある金融システムへの重大な損害を防止する。
銀行登録に係るRBNZの方針は、適切な地位および評判を持つ金融機関のみが登録銀行となることができることを確実にする
ことを目的としている。この要件を条件として、RBNZは、銀行業界内の競争を促進するために、新規登録銀行参入への障壁を
最小限に保つ意向があると述べている。
RBNZ の監督機能は、金融システム全体の安定性および効率性を促進することを目的としており、個々の銀行の破綻防止や 債
権者 の保護を目的としたものではない。RBNZは、市場に本来存在する規律を活用し強化することで、これを達成することを目
指す。
RBNZ は、財務業績およびリスク状況に係る情報を定期的に銀行が開示する要件ならびに取締役が一定の主要な事項を定期的
に証明する要件を非常に重視している。これらの方策は、市場規律を強化し、銀行の健全性管理責任が、RBNZがその責任を行
使するのに最もふさわしいと考える者、すなわち取締役および経営陣にあることを確実にすることを意図している。
RBNZ の監督的役割の主要な要素は以下を含む。
・ すべての銀行が一定の健全性最低要件を遵守することを求め、これは登録条件を通じて適用される。これらは、関連エ
クスポージャーに対する制約、最低自己資本比率要件および流動性リスク管理最低基準を含み、以下にさらに詳細に記
載される。
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・ 各登録銀行の財務状況および登録条件遵守を、主に公表される半期開示書類およびRBNZに対して非公開で提出される月
次報告書に基づいて監視する。この監視は、RBNZが各銀行および銀行業界全体の財務状況に引き続き精通し、必要と
なった場合危機管理の権限を行使する準備状態を維持することを確実にするよう意図されている。
・ 登録銀行の上級経営陣と協議する。
・ 準備銀行法に基づいて利用可能な危機管理の権限を用いて、銀行の経営難または破綻の状況が金融システムの健全性を
脅かしている場合介入する。
・ 銀行が健全に業務を行っているかを査定する。
・ 銀行のマネーロンダリング防止およびテロ資金対策要件の遵守の監視に係る指針を発行する。
・ 銀行の外部委託契約を、外部委託に関連する登録銀行のリスク管理が適切に管理されているかを判断するために監視す
る。
・ 銀行の内部自己資本充分性プロセスおよび流動性方針に係る指針を公表する。
・ コーポレート・ガバナンスに係る指針を公表する。
・ 銀行特有の問題、政策問題ならびにニュージーランドおよび親銀行が所在する国々での金融システムの状況に関連する
一般事項に関して親銀行の監督機関(オーストラリアのAPRA等)との密接な業務 関係を維持する。
ニュージーランドの登録銀行は、半期ごとに、包括的な詳細ならびに、通年に ついて は完全な財務書類、半期については未
監査の中間財務書類を含む開示書類を発行することを求められる。財務書類は、各会計年度末には完全な外部監査の対象とな
り、各半期末には限定された範囲のレビュー対象となる。各銀行取締役は、銀行の開示書類に署名し、一定の証明を行わなけ
ればならない。銀行およびその取締役は、銀行の開示書類が虚偽または誤解を招くとみなされる情報を含んでいた場合、刑事
上および民事上の罰則を課せられる可能性がある。
RBNZ は、ニュージーランドで設立された登録銀行の主要な情報の四半期ごとの「ダッシュボード」をRBNZのウェブサイトで
公表している。ダッシュボードは、公衆および市場参加者がそれらの銀行の財務力およびリスク・プロファイルに関する情報
を理解し、当該情報に基づいて行動する能力の向上を目指している。情報は、銀行がRBNZに非公開で行う報告に基づく。ダッ
シュボードで公表されたANZニュージーランド・グループに関する情報は、本書の参照情報ではなく本書の一部を構成せず、場
合によっては、それらの情報は、ANZニュージーランド・グループの連結財務書類で表示される情報と整合する基準では作成さ
れていない。
ニュージーランドの登録銀行は、ニュージーランドの状況を反映して修正されたバーゼル3自己資本比率要件を遵守するこ
とを求められる。RBNZはまた、ANZニュージーランドを含むニュージーランドで設立された登録銀行の大半に、最低比率を
2.5%上回る保全 バッファー を維持することを求め、そうしなければ販売への制限を受ける。RBNZはまた、0から2.5%までの
間の指針範囲で普通株式のカウンターシクリカルなバッファーを適用する裁量を有しているが、正式な上限はない。バーゼル
3を取り入れたカウンターパーティー信用リスク要件および追加の開示要件も存在する。
ニュージーランドで設立された登録銀行(ANZニュージーランドを含む。)は、RBNZの流動性方針(「BS13」)を遵守するこ
とが求められる。BS13の要件は、登録銀行が最低コア資金調達比率75%を満たすことであり、銀行の資金調達のうち少なくと
も最低限の割合が顧客預金、期限付ホールセール資金調達およびTier1資本によって満たされることを確保している。バーゼ
ル3は、RBNZがBS13の意図と非常に類似していると考える流動性方針を提案している。しかし、RBNZは、新規流動性基準の一
定の側面は、ニュージーランドで採用するのにふさわしくないと考えている。RBNZは、前年度においては、BCBSの新規流動性
要件に照らして、流動性方針をレビューすることを表明していた。
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RBNZ は現在また、全登録銀行に、承認された機関からの信用格付を取得および維持し、かかる格付を開示書類で公表するこ
とも求めている。さらに、RBNZは、その監督機能に関連して、さらなる情報、データおよび見通しを取得し、ならびにかかる
情報、データおよび見通しを監査させる広範な権限を有している。
RBNZ はまた、いくつかの危機管理権限も有している。これらの権限には、銀行登録の取り消し勧告、登録銀行の業務の調
査、登録銀行のRBNZとの協議の要求、登録銀行への命令、登録銀行の取締役の解任、交替もしくは指名、または登録銀行を法
定管理下に置く勧告が含まれる。
登録銀行が法定管理対象になると宣言された場合、いかなる者も特に以下のことを行ってはならない。
・ 銀行に対する反訴による手続きを含む、訴訟またはその他手続きを開始するまたは継続する。
・ 執行命令を出す、債務を差し押さえる、または当該銀行に関して得られた判決および命令を執行するもしくは執行する
ことを求める。
・ 当該銀行を清算する手段を講じる
・ 当該銀行に対して相殺する権利を行使する。
RBNZ の監督権限の一環として、ある者が登録銀行への「重要な影響力」を獲得するまたは増大する結果となる取引を生じさ
せる前に、その者はRBNZの書面による同意を取得する必要がある。「重要な影響力」とは、登録銀行の取締役会の25%以上を
指名する能力またはその議決権株式の10%以上の適格持分(例えば、法的または受益所有権)を意味する。
登録銀行への重要な影響力を取得する同意の申請を評価する際に、RBNZは、登録銀行としての登録申請を評価する際に関連
するのと同一の事項を考慮に入れると述べている。同意を与える際、RBNZは、ふさわしいとみなす条件を課す可能性がある。
ニュージーランドの規制上の動向
RBNZ の自己資本要件のレビュー
2017 年 5月から2019年12月の間、RBNZは、ニュージーランドで設立された登録銀行に適用される自己資本比率の枠組みに関
する総合的なレビューを行った。レビューの目的は、現在の枠組みの運用実態および銀行の自己資本要件の国際的進展を考慮
に入れて、ニュージーランドの銀行について自己資本要件を設定するための最適な枠組みを同定することにあった。レビュー
は、現在の枠組みにおける以下の3つの主要構成要素に焦点を当てた。
・ 適格な資本商品の定義
・ リスクの測定
・ 最低自己資本比率およびバッファー
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RBNZ は、2019年12月5日に資本レビューに関する最終決定を公表した。RBNZの最終決定には以下が含まれる。
・ ニュージーランドの登録銀行に対する総資本要件が、国内のシステム上重要な銀行(「NZ D-SIB」)(ANZニュージーラ
ンドを含む。)についてはリスク加重資産(「RWA」)の18%、その他の銀行については16%に引き上げられる。
・ NZ D-SIBについてはRWAの少なくとも16%、その他すべての銀行については14%のTier1資本を含まなければならな
い。また、16%のうち、2.5%までをAT1資本で、残りの13.5%をCET1資本で構成することができる。AT1資本
は、償還可能非累積永久優先株式で構成されなければならない。
・ RWAの2%を上限としてTier2資本を含むこともできる。Tier2資本は、長期劣後債務で構成されなければならな
い。
・ Tier1の資本要件は、RWAの9%のCET1健全性資本バッファーを含む。これには以下が含まれる。
・ NZ D-SIBについては2%の健全性資本バッファー。
・ 1.5%の「早期設定」カウンターシクリカル資本バッファー。金融危機後においては0%まで一時的に引き下げるこ
とが可能であり、または資産価格高騰を防ぐために一時的に引き上げることができる。
・ 5.5%の保全バッファー。
・ 条件付資本調達手段は、今後適格規制資本として取り扱われない。
・
・ IRBアプローチを認められた銀行(ANZニュージーランドを含む。)のRWAは、標準アプローチにより算出された数値の約
90%に引き上げられる。これは、85%の資本フロアをIRB銀行に適用し、スカラーを1.06から1.2に増加させることで達
成される。
・ IRBアプローチを認められた銀行(ANZニュージーランドを含む。)は、内部モデルとバーゼルの標準測定アプローチ
(「標準アプローチ」)の両方を用いて、RWA(およびその結果得られる自己資本比率)を報告する必要がある。
・ すべての銀行は、標準アプローチを用いてオペレーショナル・リスクを計算することを要求される。
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RBNZ は、銀行監督ハンドブックの改訂案について協議し、2020年上半期にその決定を実施する。新たな体制は2020年7月か
ら段階的に実施され、銀行が新しい規則の完全な遵守を要求されるまでには7年の移行期間が設けられる。
RBNZ の自己資本の見直しにより、標準アプローチにより運用されているニュージーランドの登録銀行の自己資本要件は大幅
に引き上げられ、IRBアプローチを使用しているニュージーランドの登録銀行(ANZニュージーランド等)の自己資本要件はそ
れより大幅に引き上げられる。
自己資本要件の引上げにより、影響を受ける銀行の事業目的が変更され、ニュージーランドの銀行業界全体の競争行為に変
化が生じる可能性がある。例えば、内部格付手法を利用している銀行と標準アプローチを利用している銀行の間、また見直し
の影響を受ける銀行と見直しの影響を受けない支店を通じてニュージーランドで営業を行う海外銀行の間で、競争が激化する
可能性がある。自己資本要件の引上げは、影響を受ける銀行の顧客が利用できる銀行与信の価格および量にも影響を及ぼす可
能性がある。これにより、ニュージーランド経済の動向だけでなく、顧客の事業の見通しや信用力にも影響が及ぶ可能性があ
る。
RBNZ の見直しは、ANZニュージーランド・グループが保有すべき自己資本の水準を著しく増大させる。また、見直しにより、
ANZニュージーランド・グループの資本配分および事業計画を含むANZニュージーランド・グループおよびその事業に対して、
重大な影響が及ぶ可能性もある。加えて、見直しにより、ANZニュージーランド・グループの最上位の親会社であるANZBGLは、
投資済み総資本および事業構造を含むニュージーランドでの規模、性質および事業の見直しおよび再検討を行う必要性が生じ
る可能性がある。
ローン計算機の修復
2017 年 6月、ANZニュージーランドは、ローン計算機に関する問題をニュージーランド通商委員会(「通商委員会」)に自主
的に報告した。この問題は、2015年5月から2016年5月までの間のANZニュージーランドの顧客の様々なローンの一部に影響を
及ぼした。ローン計算機は、顧客が住宅ローン、個人ローンおよび事業ローンの異動を求めたときに顧客の返済額およびロー
ン条件を計算するために使用された。この問題によって、影響を受けたローンについて一部の顧客が利息を過少請求された。
ANZニュージーランドは、2016年5月に計算機を修復した。ANZニュージーランドは、影響を受けた顧客に対して、影響を受け
たローンを誤謬が生じなかったとした場合のポジションに戻すために、約840万ニュージーランドドルを貸し付けている。
RBNZ の健全性信用管理
RBNZ は、 LVRが高い住宅貸付に制限を課している。RBNZは、2019年1月1日発効にて登録銀行に適用される登録要件を改正
し、当該改正後の要件は、ニュージーランドの銀行に対して、新規非不動産投資である住宅モーゲージ貸付のうちLVRが80%超
となるものを銀行の非不動産投資である新規住宅モーゲージ貸付のドル価値の20%以下に抑えることを要求する。ニュージー
ランドの銀行はまた、不動産投資である住宅モーゲージ貸付のうちLVRが70%超となるものを銀行の新規不動産投資住宅モー
ゲージ貸付のドル価値の5%以下に抑えなければならない。
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RBNZ の改正外部委託方針
更新されたRBNZの外部委託の方針(「BS11」)は、ANZニュージーランドなどのニュージーランドの大手銀行に対し、外部委
託した機能を監督および実施する法的および実務的な能力を備えることを要求する。BS11は、2017年10月1日以降に締結され
たあらゆる新規の外部委託契約に適用される。既存の外部委託契約はBS11の完全な遵守について2022年10月1日までの移行期
間を与えられている。
登録条件24
BS11 の要件はANZニュージーランドの登録条件の一部をなす。ANZニュージーランドが外部委託に関する登録条件をみたさな
い場合、RBNZは、罰金を科しまたはANZニュージーランドの外部委託利用に追加的な制限を付すなどの執行措置を講じることが
できる。
ANZ ニュージーランドは、BS11遵守プランの手順(Path to Compliance Plan for BS11)を実行するための公式プログラムを
実施している。
BS11 を遵守するために、ANZニュージーランドは、同方針の狙いを他のグループ企業に頼らず単体ベースで達成できるように
ならなければならない。同方針の狙いは以下のように定義される。
・ 日々の清算、決済およびその他の急を要する責務を継続的に履行する。
・ 信用、流動性および市場リスクのポジションを含む財務状況を監視および管理する。
・ 法定管理者およびRBNZが破綻銀行の管理にあたってとりうる選択肢を確保するために必要なシステムおよび財務データ
を提供する。
・ 流動性(基礎的銀行サービスで定義される預金と与信枠の両方へのアクセス)および入出金のレポートを含む基本的な
銀行サービスを既存顧客に対して提供する。
遵守義務
BS11 はANZニュージーランドに対し、継続的な法令遵守要件を多く課している。特に以下を列挙する。
・ ANZ ニュージーランドは、外部委託契約の一覧表を作成しなければならない。
・ BS11が適用されるすべての契約は、RBNZが契約およびサービスの詳細を閲覧でき、かつ ANZ ニュージーランドが法定管理
下にある場合には業者側からの契約終了を認めない旨の所定の契約条項を含まなければならない。
・ 免除が適用される場合を除き、すべての新規外部委託契約(他のグループ企業とのものを含む。)についてRBNZが異議
のない旨を表明しなければならない。
・ ANZ ニュージーランドは、ANZニュージーランドに法定管理者が選任される場合またはANZBGLとのグループ関係が解消さ
れる場合における、関係者向けの外部委託サービスもしくは機能の運営方法を記載したグループ離脱時のプランを定め
なければ ならない。BS11に完全に適合するグループ離脱時の確定プランは、2022年10月1日までに整備されなければな
らず、1年ごとに検証される。
・ ANZニュージーランドは、5年間の移行期間中は1年ごとに、それ以降は少なくとも3年ごとに、 BS11 遵守プランの進捗
および新規の契約の遵守に係る独立的な外部レビューを受けなければならない。
2019 年金融市場(デリバティブ証拠金およびベンチマーキング)改革改正法(「FMRA法」)
RBNZ およびニュージーランド・ビジネス・イノベーション・雇用省(「MBIE」)により、ニュージーランドの財務省と共同
し、また海外の規制当局とも協働して行われた業界協議の後、2019年8月にFMRA法が制定された。
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ニュージーランドでは店頭(「OTC」)デリバティブについて法定の証拠金要件は存在しないが、いくつかの登録銀行(ANZ
ニュージーランドを含む。)のOTC業務は、外国法域下で実施される証拠金規制により影響を受ける可能性がある。FMRA法は、
一定のニュージーランドの事業体(登録銀行を含む。)の外国のデリバティブ証拠金要件を遵守する能力を阻害するニュー
ジーランド法上の問題(特に、破綻処理または再建制度における債権者の異議の一時禁止、および一定の状況下での債権者の
順位付け)に対応するものである。これらのニュージーランド法上の障害により、ANZニュージーランドが非清算OTCデリバ
ティブ取引を実施できる相手方の数は減少した。FMRA法に基づく改正により、それらのニュージーランドの事業体とデリバ
ティブを行う相手方は、デリバティブの他方当事者のデフォルト時に、証拠金に係る担保権を、不当な遅滞なく他の債権者に
優先して実行できる(ただし、当該実行に先立ち、証拠金が、当該実行をしようとする相手方またはその代理人の占有下また
は支配下にあることを要する。)。より具体的には、この改正は、
・ それらのデリバティブの相手方が、法的管理および任意清算に通常適用される請求の一般的禁止にかかわらず、証拠金
に対して執行することを認め、
・ それらのデリバティブの相手方が証拠金に係る担保権を実行する際に、被担保債権が、1993年会社法および1999年個人
財産担保法に基づく他の潜在的請求権に優先することを確保する。
FMRA 法はまた、2013年金融市場行動法(「FMCA」)を改正し、金融ベンチマークのアドミニストレーターに係る新たなライ
センス制度を創設している。ニュージーランドのバンク・ビル・ベンチマーク・レート(「BKBM」)に係るニュージーランド
の従来の規制制度は、ベンチマーク規則の目的における同等の要件を満たすには不十分であると判断された。これらの修正
は、BKBMがEUの同等の要件を満たし、承認されたベンチマークであり続けることを確保することを目的とする。
2008 年フィナンシャル・アドバイザーズ法の置き換え
ニュージーランドの金融助言制度の改正が進められている。ニュージーランドにおける財務上の助言の提供を規制する中心
的な法令である2008年フィナンシャル・アドバイザーズ法は、2019年金融サービス法制法(「FSLAA」)により置き換えられる
ことになる。FSLAAにより、新しい金融助言制度の規定がFMCAの中に盛り込まれ、2008年金融サービス事業者(登録および紛争
解決)法(「FSP法」)が改正される。制度に対する主要な変更は、以下を含む
・ 金融助言業者はライセンスを受けるよう要求すること。
・ 自然人のみが金融助言を提供できるという要件を撤廃する(ロボ・アドバイスを可能にする)こと。
・ 能力、知識および技能の最低水準を、リテール顧客に金融助言を提供するあらゆる種類の者に拡大すること。
・ 規制された金融助言を提供するすべての者が、倫理的行動、行為および顧客対応の基準を遵守するよう要求すること。
・ 金融助言を提供するいかなる者も顧客の利益を優先し、顧客が助言の性質および範囲を理解することを確保し、所定の
情報を開示しなければならないという要件を追加すること。
・ 規制された金融助言を提供できる者を限定すること。
・ 例えば金融助言業者の類型や提供可能なサービスを簡素化するなど、制度および用語を簡素化すること。
・ ニュージーランド金融助言業者登録簿への登録要件を変更し、悪用を防ぐこと。
金融助言業者は、新制度が発効する時点で仮のライセンスを保持していることが要求され、2年間の移行期間内に完全なラ
イセンスの取得が要求される。新制度は2020年6月29日に発効する予定である。
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準備銀行法の見直し
2017 年 11月、ニュージーランド政府は準備銀行法の見直しを行うことを発表した。見直しの目標は、ニュージーランドの金
融および財政安定化政策の枠組みならびにRBNZのガバナンスおよび説明責任の設定を現代化する点にある。
見直しは2段階で実施されている。
・ 第1段階:見直しの第1段階は2018年に完了し、その結果、2018年ニュージーランド準備銀行(金融政策)改正法が制
定され、2019年4月1日に施行された。この法律は、ニュージーランドの金融政策の枠組みにいくつかの変更を加えて
おり、かかる変更には、金融政策を策定するための金融政策委員会(「MPC」)の設立、および金融政策の決定時に物価
の安定とともに最大限持続可能な雇用の検討を求めるためのRBNZの金融政策目標の修正を含む。
・ 第2段階:主に、金融政策に関する準備銀行法の規定の包括的な見直しが行われ、かかる規定には、RBNZの健全性規制
および監督機能ならびに危機管理の枠組みに法的基盤を提供する規定を含む。また、RBNZの立法目的、より広範なガバ
ナンスの仕組み、資金調達手法などの制度的な問題も検討される。第2段階では、3回にわたり公衆からの意見聴取を
行う。
ニュージーランド政府は、2018年11月1日に最初の協議文書を公表した。これには、RBNZの基本目的、健全性規制の「対象
範囲」、預金保護が認められる場合と認められない場合、RBNZから分離された健全性監督が認められる場合と認められない場
合、ならびにRBNZの機関統治および意思決定の枠組みといった事項が含まれる。2019年6月、ニュージーランド政府は、最初
の協議文書で議論された問題に関する基本的決定を発表した。これには、すべての健全性規制機能についての責任をRBNZに維
持する旨の基本的決定、RBNZの既存の金融政策目標である「健全性」および「効率」を単一の何よりも大切な目標である
「ニュージーランドの金融システムの安定性を保護および強化する」に置き換える旨の基本的決定、RBNZのあらゆる決定(MPC
に留保されるものを除く。)に法的責任を有する新しいガバナンス委員会を設置する旨の基本的決定、ニュージーランド財務
省にRBNZの業務遂行の監視および評価を担当させる旨の基本的決定、銀行およびノンバンク預金受入機関に係る個別の規制制
度を単一の「認可預金受入機関」の枠組みに統合する旨の基本的決定、ならびに預金者の預金を被保険限度額まで保護する正
式な預金者保護制度を導入する旨の基本的決定を含む。
2019 年 6月24日、ニュージーランド政府は、2つの協議文書(2Aおよび2B)に定められた2回目の意見聴取を公表し
た。文書2Aでは、上述のニュージーランド政府の基本的決定に照らして、1回目の意見聴取で扱われた問題の詳細について
のフィードバックが求められた。文書2Bでは、ニュージーランドの金融セクターの監督上のRBNZの役割についてのフィード
バックが求められ、RBNZの健全性の手法および権限、RBNZの健全性規制の監督および執行のアプローチ、マクロ健全性方針に
おけるRBNZの役割、RBNZの貸借対照表の関数の策定方法、危機管理、政策協調、RBNZの資源および資金の調達といった事項が
扱われた。2回目の意見聴取は、2019年8月16日に終了した。
2019 年 12月18日、ニュージーランド政府は、RBNZのガバナンスおよび説明責任の取決めに関する最終決定を公表した。これ
には以下が含まれる。
・ RBNZの機能(MPCにより担われるものを除く。)について責任を負うガバナンス委員会を設置する。
・ 「ニュージーランドの金融機関の安定を保護および促進する」という包括的な財政安定化目標を設定する。
・ 要件の報告および監視をより国営部門の実務と整合させることを通じて、RBNZの説明責任を強化する。
・ ニュージーランド財務省にRBNZの外部監視を担わせる。
・ 金融規制協議会の法律上の任務を新設することにより、規制当局間の調整および協力体制を補強する。
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政府はまた、預金受入機関の規制および預金保険制度の導入に関する原則ベースの追加の決定を公表した。これには以下が
含まれる。
・ 金融機関毎の預金者1人当たりの預金保険上限額を50,000ニュージーランドドルに設定する。
・ ノンバンク預金受入機関および銀行を、単一の健全性規制体制の下に置く。
・ 預金受入機関の取締役の説明責任要件を厳格化する。
・ 監督業務の一環としての臨検実施権限など、RBNZの監督および執行の手段を拡充する。
・ RBNZの危機解決のための枠組みを明確化および増強する。
政府は、準備銀行法に代えて、見直しでの決定事項を実施する2つの別個の法制(すなわち「組織法」と「預金受入機関
法」)を敷くことを検討している。組織法は、RBNZのすべての機能にわたるガバナンスと説明責任の全般的な枠組みを定め
る。同法はまた、金融政策の枠組みを含むRBZNの中央銀行としての機能についても定める。預金受入機関法は、預金受入機関
(ノンバンク預金受入機関および銀行)向けの2つの異なる法制を統合し、また預金保険制度を創設する。
政府は、2020年半ばに組織法の法案をニュージーランド議会に提出する意向である。預金受入機関法および預金保険制度に
係る追加の意見公募手続は、2020年第1四半期中に実施される。政府は最終方針の決定を見据えている。
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モーゲージ債担保の基準のRBNZによるレビュー
RBNZ は、 RBNZが将来においてモーゲージ債(住宅モーゲージ担保証券やカバード・ボンドなど)をRBNZの貸付業務のための
担保として受け入れる態勢を整える際の条件について協議しており、新たな住宅モーゲージ債(「RMO」)の基準を提案してい
る。RBNZは、5年間の移行期間にわたり、国内の住宅モーゲージ担保証券に代えて段階的にRMOを導入していくことを提案して
いる。
2018 年 11月、RBNZは、2019年3月8日に終了する2回目および最終の公衆への意見聴取のために、RMOの基準についての公開
草案を公表した。RBNZは、最終決定を行い次第、RMOの枠組みを定める最終方針を公表する意向である。
金融市場庁およびRBNZによる行為および文化のレビュー
オーストラリアの王立委員会の設置に続き、ニュージーランド金融市場庁(「FMA」)およびRBNZは、ニュージーランドの銀
行 セクター における行為および文化に関するレビューを共同で行った。2018年5月、FMAおよびRBNZは、ニュージーランドの銀
行に対して、オーストラリアの王立委員会が注目する類型の不正行為がニュージーランドにおいて行われていないことを保証
するための特定の情報を提供するよう依頼した。各ニュージーランドの銀行は、その事業における行為および文化に関する問
題を確認し処理するために、各銀行が行ってきた業務のうち完了した業務と現在進めている業務の両方に関する要約を提出す
ることを依頼された。FMAおよびRBNZは、各銀行での面談も実施した。
2018 年 11月、FMAおよびRBNZは業界レビューの結果を公表した。この業界に関する報告書は、行為および文化の問題はニュー
ジーランドの銀行の間で蔓延しているようには見受けられないとしている。業界全体において行員の不手際に関する問題は少
数であり、システムまたは手続の不備に関する問題がより一般的であった。この業界に関する報告書では、FMAおよびRBNZが、
銀行の事業上の行為の問題およびリスクの特定および治癒、ならびに行為のリスクの統制および管理における潜在的不備を懸
念していることを記している。
レビュー対象となったANZニュージーランドを含む各銀行は、FMAおよびRBNZの所見および勧告を詳述した個別の報告書を受
領した。各銀行は、2019年3月31日までに個別の報告への回答ならびにFMAおよびRBNZのフィードバックに取り組むための計画
を提出することを要求された。ANZニュージーランドは、2018年11月に個別の報告を受領し、2019年3月29日に回答を提出し
た。2019年7月5日、FMAおよびRBNZは、ANZニュージーランドに一定のフィードバック・レターを送付した。当該レターにお
いて、FMAおよびRBNZは、ANZニュージーランドの行為および文化計画は当該レターおよび公表された報告書において指摘され
た関連する問題に対処しているようであると述べた。FMAおよびRBNZは、ANZニュージーランドの行為および文化計画のレ
ビュー以降、RBNZはANZニュージーランドに対し準備銀行法第95節に基づき2つの報告書を提出するよう求める意向がある旨を
ANZニュージーランドに通知したとも述べており、また、かかるレビューの結果を盛り込むためにANZニュージーランドは行為
および文化の計画を修正する必要があるかもしれないとも述べた。2019年10月31日、ANZニュージーランドは自らの行為および
文化計画について、FMAおよびRBNZに正式な進捗報告を行った。ANZニュージーランドは、2020年4月末までにさらなる進捗報
告の提出が求められている。
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準備銀行法第95節に基づくレビュー
2019 年 7月5日、RBNZは、準備銀行法第95節に基づき、ANZニュージーランドに対して通知を発し、ANZニュージーランドに
よるRBNZの自己資本比率要件の遵守状況ならびに取締役による証明および保証の枠組みの有効性に関して報告を行う外部レ
ビュアーを採用することを求めた。取締役による証明および保証の枠組みのレビュー範囲には、ORC要件の違反、元最高経営責
任者の経費についての不正な説明、元最高経営責任者の妻への居住用財産の譲渡(2017年)に関する取引、およびANZBGLと共
同で保有するコミットメントの処理に関する登録条件の違反(2018年)という4つの事例検証も含まれていた。
取締役による証明および保証の枠組みのレビューは完了している。このレビューにより、取締役の証明および保証の枠組み
を改善するための多くの提言が示された。ANZニュージーランドは、取締役の証明および保証の枠組みのレビュー結果を受け入
れ、示された提言の実行および提起された問題への対応に取り組んでいる。2019年12月11日、RBNZは準備銀行法第95節に基づ
き、ANZニュージーランドに対して通知を発し、取締役の証明および保証の枠組みに施した改善について外部レビューを受ける
ことを求めた。ANZニュージーランドは引き続きRBNZおよび外部レビュアーと協力して、RBNZの自己資本比率要件に対するANZ
ニュージーランドの遵守状況のレビューを進めていく。
レビューの結果により、ANZニュージーランドには、登録条件の変更や最低自己資本要件の潜在的引上げを含む一連の影響が
及ぶ可能性がある。また、FMAおよびRBNZは、ANZニュージーランドの行為および文化計画のレビューを実施した後、行為およ
び文化計画を修正する必要があるかもしれない旨をANZニュージーランドに通知した。
RBNZ による金融機関の監督方針
2019 年 6月、RBNZは、金融機関(ANZニュージーランドを含む。)への監督を強化する旨を発表した。RBNZは、金融機関が、
より詳しいレビュー、取締役会および経営陣の監視の強化、違反時の制裁措置を含む、より介入的な監督を受けると予想され
る旨を明らかにした、
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2019 年 9月、銀行による規制違反の報告および公表のための新しい枠組みが、RBNZによって発表された。新たな方針の下で
は、銀行は、規制上の要件への重大な違反または違反の可能性があったときには速やかにRBNZに報告し、また、6か月ごとに
すべての軽微な違反も報告することが求められる。実際に重大な違反があれば、RBNZのウェブサイトで公表される。この方針
は、2020年1月1日から発効する予定である。
登録条件の不遵守
ANZ ニュージーランドは、その連結財務書類における登録条件について、以下の不遵守事例を公表した。
登録条件1B-BS2Bの遵守
ANZ ニュージーランド・グループにおけるRBNZの自己資本比率のフレームワーク(内部モデルに基づくアプローチ)
(「BS2B」)の適用および遵守状況について、多くの自己レビューおよび外部レビューが行われた。これらのレビューによ
り、以下の登録条件1Bの不遵守事例が明らかとなった。
2019 年9月30日現在、報告されたRWAは970億7,000万ニュージーランドドルであったが、以下に述べる事項による影響の総
体として2億300万ニュージーランドドルのRWAが過小に表示されていた。このRWAの純増により、ANZニュージーランド・グ
ループの自己資本比率は最大で0.03%減少し、報告されたCET1資本比率は10.8%から10.7%へと変更されるが、報告された
Tier1資本比率および総資本比率に影響を及ぼすまでには至らない。
2019 年9月30日現在、ANZニュージーランド・グループの規制上の自己資本の合計は130億ニュージーランドドルを超え、
これは、要求されるRWAの最低水準(バッファーを含む。)である10.5%よりも40億ニュージーランドドル(44%)高かっ
た。
・ オペレーショナル・リスク資本(「ORC」)モデル:2019年4月、ANZニュージーランドは、自己レビューの過程で、
2014年12月以降、ORC要件の計算について承認されたモデルを利用していなかったことが判明した旨をRBNZに報告し
た。
ORC は、ANZBGLによってANZニュージーランドのために計算されていた。ANZニュージーランドによる検証が行われてい
なかったことに加え、システムおよび統制の失敗により、ANZBGLは、ANZニュージーランドに新たなモデルに移行する
ために必要な規制上の承認を得ているかを確認することなく、RBNZの承認されたモデルの利用を廃止した。2014年12
月以降のORC要件の計算は、従前のRBNZの承認されたORCモデルによって最後に得られた2014年9月の結果に基づいて
行われ、ANZニュージーランド・グループの事業の成長を反映するための調整がなされていた。ANZニュージーランド
は、このことが登録条件1Bを遵守するものでないことを認めている。
この計算の採用および承認されたORCモデルの利用の廃止は、2015年に、ANZBGLが利用するための事業上のリスクをよ
り良く反映する新たなORCモデルが開発された後に行われた。この新たなORCモデルは、2015年9月にAPRAにより承認
され、その後2016年6月にRBNZに対して承認を得るために提出された。2016年、RBNZは自己資本モデルの承認を中止
し、新たなORCモデルは承認されていない。
RBNZ は、ANZニュージーランド・グループのORC要件が RBNZ の自己資本比率のフレームワーク(標準化されたアプロー
チ)(「BS2A」)に従って計算される旨を決定し、このために、2019年5月15日以降ANZニュージーランドの登録条件
は変更された。その結果、2019年3月31日現在、ANZニュージーランド・グループのORC要件は2億7,700万ニュージー
ランドドル増加し、その自己資本比率は、CET1資本について40ベーシス・ポイント、総資本について60ベーシス・ポ
イント減少した。前期の比較情報の修正再表示は要求されていない。
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・ 信用リスク・モデル:ANZニュージーランドは、RBNZから承認されていない格付モデルおよび手続への変更の実施に関
して、登録条件1Bを遵守していない。関連するモデルおよび不遵守の始期は以下に述べるとおりである。2019年9月
30日現在の関連するエクスポージャーに、RBNZが最後に承認した手法を適用すれば、RWAは合計で4,700万ニュージー
ランドドル(0.05%)減少するが、報告された自己資本比率に影響を及ぼすまでには至らない。
・ 商業用不動産の一連のモデル(単一物件投資、複数物件投資、ホテル投資、特別目的資産投資、単一住宅開発、
商業開発、再分割が可能な土地の事前開発)-2011年
・ ノンバンク金融機関の一連のモデル(生命保険、損害保険、保険持株会社、金融会社、金融サービス会社、リア
ル・マネー・ファンド)-2009年
・ プロジェクト・ファイナンスおよびストラクチャード・ファイナンス-2009年
・ 銀行、国家およびソブリン-2008年
BS2B 第1.3B節の下で要求されるANZニュージーランドのモデルの要約は、承認されていないモデル変更を含むため、正
確ではない。ANZニュージーランドは、RBNZとともにこの問題に取り組んでいる。
・ 計算に関するその他の事項:2018年12月31日まで、登録条件1Bは、BS2Bのあらゆる側面での遵守を要求していた。
2019年1月1日を効力発生日として、ANZニュージーランドの登録条件は、BS2Bの特定の条項のみを参照するものに変
更された。RWAの計算において過誤が発覚したことは、ANZニュージーランドが、過誤の発生から2018年12月31日まで
登録条件1Bを遵守していなかったことを意味する。ANZニュージーランドは、かかる過誤が報告された自己資本比率に
重大な影響を及ぼすものとは考えていない。かかる過誤の結果RWAが純増することにより、報告されたCET1資本比率
は10.8%から10.7%に変更されるが、報告されたTier1資本比率および総資本比率に影響を及ぼすまでには至らな
い。
2019 年9月30日
(百万
ニュージーランド
BS2B 過誤の
RWA の過小表示/(過大表示) 参照条項 始期 ドル)
信用リスク-少数の農場向け貸付エクスポージャーについて誤っ
て計算されたデフォルト時損失率(LGD) 14.61A 2017 年 (1)
信用リスク-UDCのリテール融資先に適用された33%ではなく23%
(1)
の誤ったデフォルト時エクスポージャー(EAD)係数
4.64B 2017 年 2
信用リスク-誤って高度(360%)ではなく標準化(100%)によ
(2)
るリスク加重がなされたエクスポージャー
2017 年 30
信用リスク-1億2,000万ニュージーランドドルではなく1億ドル
3
の基準を用いて適用された資産価値相関乗数
4.136A 2013 年 (10)
市場リスク-一部の通貨エクスポージャーについて個別ではなく
(2)
合計で計算された金利リスクの純額
7 2008 年 23
市場リスク-先物金利契約および金利先物のモデリング 7 2008 年 206
RWA の 過小 表示/(過大表示)の純額 250
報告されたリスク加重資産 97,070
リスク加重資産における過誤の総体(%) 0.26 %
(1) 2019 年11月30日のリスク加重資産の計算において是正済み。
(2) 2019 年12月31日の自己資本比率の計算において是正予定。
(3) 必要なシステム変更後に解決予定。
以上に加え、BS2B第7部の下での市場リスク資本の計算に関連して、
・ 2010年10月に発生した計算式の過誤は、2017年3月に最大の影響を及ぼし、市場リスク資本要件が3,700万ニュー
ジーランドドル過小に表示されたが、報告された自己資本比率には影響を及ぼさなかった。これは、2019年9月30
日に訂正済みである。
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・ 市場リスク資本の計算システムは、ローン元本の一部を実際とは異なる期間に割り当てる。月の時期ならびに支
払いのタイミングおよび頻度に応じて、かかる割当ては、実際より前の期間にも後ろの期間にもなされる可能性が
あり、したがって市場リスク資本要件は過大にも過小にも表示される結果となる可能性がある。このことによる影
響は、ローンの例では定式化できるが、ポートフォリオ全体で正確に定量化することはできない。1999年以来存在
するこの問題は、文書化され、重要ではないと評価されてきたが、重要性ゼロ基準の適用により、登録条件1Bの違
反を構成することとなった。
登録条件5 - 関係者エクスポージャー
ANZ ニュージーランドは随時、ANZBGLの顧客の債務に関して第三者に対する保証またはスタンドバイ信用状を提供してい
る。ANZBGLは、その顧客の債務に関してANZニュージーランドの提供する保証またはスタンドバイ信用状に係る支払請求がな
された場合にANZニュージーランドがANZBGLに直接リコースできるよう、ANZニュージーランドに対して保証またはスタンド
バイ信用状に対する念書を差し入れている。ANZニュージーランドは、このサービスについてANZBGLに手数料を請求してい
る。しかし、内部レビューを通じてANZニュージーランドは、2014年1月以降この手数料を、同一のサービスを非関連銀行に
対して提供する場合に請求する手数料よりも低く設定していたこと、およびその結果としてANZニュージーランドが登録条件
5を遵守できていなかったことを確認した。そのエクスポージャー金額は、2018年9月30日現在で6億9,800万ニュージーラ
ンドドル、および2019年9月30日現在で246件の個別取引につき4億5,600万ニュージーランドドルであった。ANZニュージー
ランドは現在、こうした取引のための新たな価格設定方式の策定を進めている。ANZニュージーランドはかかる新方式を、
2019年12月31日より後に締結するすべての新規取引について適用する予定である。
登録条件13 - 流動性比率
レビューにおいて、以下の事項につきBS13が遵守されていないことが確認された。これらの過誤は、流動性比率の報告値
に影響が出るほどのものではなかった。
・ BS13は、オーストラリア・ニュージーランド標準産業統計分類(ANZSIC)の分類コードK62を参照することにより、
「市場型資金調達(Market Funding)」を行う事業体について定義している。サブ分類コードの1つが誤って「非市
場型(Non-Market)」に割り振られており、かかる過誤が2017年以降に存在していた。この過誤は2019年9月30日現
在訂正されており、週単位および月単位のミスマッチならびにコア資金調達において210億ニュージーランドドルの減
少が生じたが、当該比率の報告値に影響はなかった。
・ ANZニュージーランドは、変動金利住宅ローンの次期のキャッシュ・インフローの計算において、インフロー計算のた
めの実勢金利を用いずに、既成マージンを上乗せしたホールセール実勢金利を用いており、かかる計算上の過誤が
2010年以降に存在していた。2019年9月30日現在、その差額により、週単位および月単位の流動性ミスマッチにつき
それぞれ7万ニュージーランドドルおよび280万ニュージーランドドルの過少表示が生じたが、当該比率の報告値に影
響はなかった。
・ 将来キャッシュフローの計算において、流動性比率の計算システムと、一部の社債債務および一部のスワップを計上
するシステムとの間で差額が生じており、かかる差額は2017年以降について把握されている。この差額により、2019
年9月30日現在の月単位のミスマッチにつき90万ニュージーランドドルの過少表示が生じたが、当該比率の報告値に
影響はなかった。
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登録条件24 - 外部委託
RBNZ の改正外部委託方針は、ANZニュージーランドに対し、外部委託の各契約について一定のリスク軽減策を適用すること
を求めている。2019年9月終了年度中、ANZニュージーランドはANZBGLとの間で、必要な指定契約条項を欠く2つの外部委託
契約を交わした。これらの契約は2020年9月30日終了年度中に是正される。
BS11 は、ANZニュージーランドに対し、2019年10月1日までに効力を生じた外務委託契約の情報を総括することを求めてい
る。2019年11月、ANZニュージーランドは、2019年9月30日終了年度の総括に挿入した一部の情報について若干のデータの齟
齬があった旨をRBNZに報告した。
レビュー過程にあるその他の事項
(BS2Bに基づく)市場リスク資本要件や(BS13およびBS13Aに基づく)流動性比率の計算など、レビュー過程にある事項が
いくつかあり、その関連方針の文言または要件の正当な解釈は一通りでない場合があり得る。ANZニュージーランドが採用し
た解釈について一定の不確実性がある場合は、当該事項についてより詳細な指針を適宜RBNZおよびその他の者に求めること
になる。ANZニュージーランドの現在の見解としては、別解釈の採用に伴う同比率の報告値への潜在的影響は大きくない。
ニュージーランドの銀行業界の販売奨励金体系に対するFMAによるレビュー
2018 年 11月、FMAは、ニュージーランドの銀行業界における奨励制度のレビューの結果を公表した。このレビューの目的は、
販売員に対する銀行の奨励制度の構造および関連する利益相反の管理方法についてFMAが理解および評価することであった。
この業界に対するレビューにより、ニュージーランドの銀行業界全体における販売員への奨励金は特に売上げに焦点を当て
たものであり、不適切な販売慣行が発生する高いリスクが存在すると結論付けられ、また、ニュージーランドの銀行業界全体
にわたって奨励制度が大きく変化しつつあるとした。FMAは、その結論の中で、銀行がその顧客のために常に良い結果を確実に
達成することをFMAは期待しており、これには、顧客にとって良い結果を導く形での奨励制度の設計および管理が含まれるとし
た。FMAは、銀行に対して2019年3月までにFMAの期待にいかにして応えるかについて説明するよう求めた。ANZニュージーラン
ドは、2019年3月29日にFMAに対して回答を提出した。
2019 年 6月、FMAおよびRBNZは、ANZニュージーランドを含むすべてのニュージーランドの銀行がフロント部門の従業員およ
び管理職に対する販売奨励金を廃止することを確約したことを発表した。
2019 年 7月5日、FMAおよびRBNZは、ANZニュージーランドの行為および文化計画についてのANZニュージーランドへのフィー
ドバック・レターにおいて、ANZニュージーランドがその行為および文化計画で概説されている奨励金に関する方針を大きく変
更しようとするときはFMAに対して書面により通知する必要があると述べている。
金融機関の行為規制案
ニュージーランド・ビジネス・イノベーション・雇用省は、FMAおよびRBNZの行為および文化に関するレビューの後、ニュー
ジーランドの金融セクターにおける行為および文化が顧客に良い結果をもたらすことを確保するための行為に関するライセン
ス制度案について協議を行った。
2019 年 12月11日、金融市場(金融機関の行為)改正法案(「FMCIA法案」)がニュージーランド議会に提出された。FMCIA法
案は、該当サービスを提供する金融機関(登録銀行、認可保険会社およびノンバンク預金受入機関を含む。)に対して以下を
要求する。
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・ FMCA第6部に基づく認可を取得する。
・ 顧客を公平に取り扱う公平性原則を遵守する(顧客の利益を正当に考慮することを含む。)。
・ 公正性原則を運用可能にするための効果的な公正性プログラムを策定、実施、維持および遵守する。
認可事業体はまた、奨励金に対する規制を遵守することも要求される。これらの規制は、量または価格による販売目標に基
づく奨励金を禁止することが可能である。
FMCIA 法案はまた、認可事業体に、金融機関または金融助言業者ではない仲介業者の行った販売活動およびこれらの仲介業者
による公平性プログラムの確実な遵守についても責任を負わせる。
金融機関および仲介業者は、様々な義務違反に対する民事上の罰金といったFMCAの遵守や実施の手段の対象となる。認可金
融機関は、問責等の許認可に関する措置および行動計画の実施の対象となる。
これらの提案は広範な行為制度の基盤を形成することを意図しており、かかる制度は、時とともに拡大し、規制対象事業体
に義務の拡大をもたらし得る。
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2003 年信用契約および消費者金融法(「CCCFA」)の改正
2018 年 のMBIEによるニュージーランドの消費者信用法の見直しの後、2018年10月にニュージーランド政府は、無責任な貸付
に対する無力な消費者の保護を強化するためにCCCFAの改正を行うことを意図している旨を発表した。
2019 年 12月、信用契約法改正法案(「CCLA法案」)がニュージーランド議会で可決された。CCLA法案が制定された後、CCCFA
に以下を含む複数の重要な変更が加えられる。
・ 消費者信用契約上の債権者の取締役および上級役員の新たな義務として、当該債権者がCCCFAに基づく義務および責任を
遵守することを確保するためのデュー・デリジェンスを実施する義務の導入。この義務の不遵守に対する措置の案に
は、遵守命令、民事上の罰金、法定の損害賠償および補償金の支払等が含まれる。
・ 貸し手の責任原則への違反に対する民事上の罰金および法定の損害賠償を含む強制規定の強化。
・ 貸し手に対する、責任ある貸付原則の遵守ならびに信用手数料およびデフォルト手数料の計算方法に関する照会記録の
保存の要求。
・ 「高コスト消費者信用契約」の概念の導入。この概念には、以下を含む。
・ 年間利息料率が50パーセント以上の消費者信用契約
・ 未払残高に適用される加重平均年間利息料率が契約期間中のいずれかの日において50%以上であるかまたはその可
能性が高い消費者信用契約
・ 支払が遅延しまたは与信限度を超えた場合に、未払残高の同一部分に累積的に適用され得る利息(遅延利息を含
む。)の合計料率が50%以上であるかまたはその可能性が高い消費者信用契約
・ 規則において高コスト消費者信用契約に属すると宣明された契約
・ 高コスト消費者信用契約に基づき回収可能な借入費用の上限を、当該契約に基づく最初の前払金相当額とする。
・ 高コスト消費者信用契約における手数料(利息および与信手数料を含む。)について1日当たり0.8%の上限の導入。
・ 高コスト消費者信用契約および前金予約販売契約に係る当初の開示要件の改正。
・ 電子的開示に関する規定を含む、開示方法に関する規定の改正。
・ 債権回収業者に対する、債権回収行為の開始時における債務者への重要な情報の開示の要求。
CCLA 法案に盛り込まれる一部の改正(電子的開示規則の変更および民事上の罰金の導入を含む。)は、CCLA法案に対する国
王の裁可が得られた時点で発効する。その他の改正(高コスト消費者信用契約に関する規則の導入を含む。)は、2020年6月
1日から施行し、残りの改正は2021年4月1日までに施行する。
アメリカ合衆国(米国)
ANZBGL は、 米国連邦準備制度理事会(「FRB」)から金融持株会社(「FHC」)として取り扱われることを選択した。FHCは、
FRBおよび米国財務省が本質的に財務的である、あるいはそれに付随していると決定した活動、ならびにFRBが財務活動を補完
すると判断した活動に米国内で従事し、あるいは従事する企業を買収することを認められている。
1956 年 銀行持株会社法(「BHC法」)の下で、FHCの活動は、当該FHC(ANZBGLの場合では、当グループのレベルであるいはそ
のグアムおよび米国サモアにおける米国銀行子会社のレベルで)が「良好に経営されている」あるいは「資本が充実してい
る」と言えなくなった場合、または、特定の資本水準を維持することを求める執行措置の対象となった場合、制約の対象とな
る。FRBは、ANZBGLを含む、FHCを管轄する「包括的な」監督者である。
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ANZBGL は、 1978年国際銀行法(「IBA」)を含む米国連邦法令に従う。IBAに基づき、在米の外国銀行のすべての支店および代
理店は、米国銀行持株会社により所有または支配されている国内銀行に課せられているものと同様の報告および審査要件に従
うものとする。連邦政府の認可を受けた支店は、主に米国通貨監督庁(「OCC」)の規制を受けることから、ANZBGLのニュー
ヨーク支店(「ニューヨーク支店」)は、国内銀行に許可されている業務に従事することができるものの、ニューヨーク支店
はリテール預金を受け付けることができず(法人預金および企業預金のみ受け付けることができ)、そのため連邦預金保険公
社(「FDIC」)の監督対象ではない。グアムおよび米国サモアで営業する米国銀行子会社は、リテール預金を受け付けるた
め、FDICの監督対象である。
ニューヨーク支店を含む、外国銀行の米国支店および代理店の大半は、FRBの規制に基づき、預金に対する準備金要件の規制
対象である。ニューヨーク支店は、一般的にその会計と記録を当グループのものとは別に維持する必要があり、OCCが規定する
そのような追加要件に従う必要がある。IBAおよびBHC法は、当グループの米国におけるノンバンク業務に従事する能力にも影
響する。
IBA の下で、非米国銀行の在米支店は、国内銀行と同じ範囲でOCCにより管財人の管理対象となる。監督官は在米支店の事業
と財産を占有することがある。監督官は、法律や規制の違反および安全と健全性の違反に対処する広い範囲の監督および執行
手段を自由に使うことができ、それは在米支店に対して課される場合がある。監督官は、在米支店の経営者を解任し、民事上
の罰金を課することもある。状況によっては、監督官は自ら、あるいはFRBの勧告を受けて、在米支店の免許を剥奪することも
ある。
当グループは、2010年のドッド-フランク・ウォール・ストリート改革および消費者保護法(「ドッド-フランク法」)の一
定の規定に従っている。ドッド-フランク法は、米国および世界の銀行業務の多くの側面を規制する。現時点で、ドッド-フラ
ンク法を実施するための多くの法規制について、米国の規制当局が見直しを行っており、その結果コンプライアンスの枠組み
が修正される可能性がある。以下の要約は、引き続きANZBGLに関係することが予想される主要な規制上の要件について述べた
ものである。
ドッド-フランク法の下で採用されたボルカー・ルールは、とりわけ、銀行およびその関連会社が一定の「自己勘定取引」に
従事することを禁止し(ただし、引受け、値付け関連、リスク緩和ヘッジ業務などの一定の業務は許可する。)、一定の重要
な例外および免除はあるが、プライベート・エクイティ・ファンドおよびヘッジファンドへの資金提供ならびに投資を制限す
る。2019年8月から10月までの間に、ボルカー・ルールの所管機関はボルカー・ルールを改正するための最終的なルール
(「最終ルール」)を承認し、これにより自己勘定取引、カバードファンドへの投資およびコンプライアンス・プログラムに
関する一定の要件が明確化、簡素化および調整された。最終ルールの発効日は2020年1月1日、遵守開始日は2021年1月1日
である。ANZBGLなどの銀行事業体は、発効日まで引き続き現行(2013年)のボルカー・ルールを遵守しなければならない。発
効日から遵守開始日までの間における最終ルールの遵守は、許容はされるが要求されるものではない。
その他のドッド-フランク法の規制は、未決済のスワップについて最低限の証拠金の要件を課し、規制された取引プラット
フォームおよび決済機関において標準店頭(「OTC」)デリバティブを集中約定および集中決済することを要請し、ならびに
OTCデリバティブ・ディーラーおよび主要な市場参加者の監督強化を規定している。ANZBGLは商品先物取引委員会(「CFTC」)
規制下での仮登録スワップ・ディーラーであり、そのため当グループはこれらのCFTC要件ならびに当グループの米国人である
カウンターパーティーとのスワップ取引に適用される一定の追加の事業遂行規則ならびに記録保持規則および報告規則の対象
となる。
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CFTC は、 クロスボーダー・ガイダンスを発行し、これは特に、CFTCがCFTCのものに相当すると決定した規制制度を有する非
米国法域に所在するスワップ・ディーラーによる「代替的コンプライアンス」をCFTCが認める枠組みを確立している。CFTC
は、オーストラリアの法令の一定の側面に関してかかる決定を行っており、ANZBGLは、非米国カウンターパーティーとの米国
外での取引に関連するCFTC規則の一定の側面に関して代替的コンプライアンスに依拠することができる。CFTCは、非米国ス
ワップ・ディーラーと非米国カウンターパーティーとの米国内でアレンジ、交渉および実行される取引に関して、指針を定
め、規則を提案している。CFTCは、さらなる指針を発行し、またはかかる取引を規制する規則を定める可能性がある。
米国の健全性規制機関およびCFTCは、決済されないスワップおよび証券派生スワップの取引に当初および変動証拠金要件を
課す規則を実施した。ANZBGLは、FRBの監督に服し、OCCにより規制されるニューヨーク支店を運営していることから、FRB、農
業金融局、FDIC、連邦住宅金融庁およびOCCが公布した未決済のスワップの証拠金に関する規則を遵守する必要がある。これら
の規則により、対象のカウンターパーティーとの対象の取引に関して当初および変動証拠金を収取および預託することを求め
る要件が課されている。健全性規制機関およびCFTCの規則はまた、ANZBGLのような非米国スワップ・ディーラーが、一定の分
野の取引およびカウンターパーティーに関して、健全性規制機関およびCFTCの証拠金に関する規則の代わりに非米国法域の適
用ある法律を遵守し、またはその他の方法で米国の証拠金に関する規則を遵守しないことを認めている。
ドッド-フランク法はまた、ANZBGLが破綻処理計画をFRBおよびFDICに提出することも要求する。ANZBGLは、直近の米国破綻
処理計画を2018年12月に提出している。ANZBGLはまた、レギュレーションYYのサブパートNに基づく「強化された健全性規
制」の対象にもなっており、これはドッド-フランク法第165節に基づき導入され、財務およびリスク監視要件の遵守の四半期
ごとおよび年1回の証明を求めている。2019年10月、FRBおよびFDICは、外国の銀行組織の米国での事業規模およびリスク・プ
ロファイル次第でそれらに適用される、破綻処理計画の策定について個別適合的な要件を適用する最終規則および強化された
健全性基準の修正を発行した。最終規則の下ではANZBGLは3年に一度の提出義務者になるものと予測され、そのため2020年10
月1日において依然として3年に一度の提出義務者であれば、簡易な破綻処理計画の提出のみを求められることになる。
米国の外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)は、金融機関に、特定の顧客デュー・デリジェンスを実施し、米国市民ま
たは課税上の米国居住者である口座保有者の情報を、直接または現地税務当局を経由して、米国連邦税務当局である内国歳入
庁に提供することを求める。必要な顧客デュー・デリジェンスおよび口座保有者情報の提供が実施されず、適用ある要件を満
たす方法および形式で提供されない場合、当グループおよび/または当グループ内のメンバーの口座に資産を保有する者は一
定の金額に関して30%の源泉徴収税の対象となる可能性がある。かかる源泉徴収税は現在、米国内の源泉からなされた一定の
支払に対してのみ適用される可能性があるが、「外国でのパススルーの支払」という用語を定義する米国の最新の規則が制定
された日の2年後の日より前に行われた米国外の源泉からなされた支払にはかかる源泉徴収税は課されない予定である。現
在、「外国でのパススルーの支払」の定義案または最終の定義は存在せず、そのため一定の支払が外国でのパススルーの支払
として扱われる可能性があるか否かは不明である。
以上の議論は、一定の手取金総額の支払について源泉徴収を行わず、米国外からの支払に対する源泉徴収の発効日を遅らせ
る米国の最近の規制案を反映したものである。米国財務省は、納税者は規制案に依拠できる旨を述べている。以上の議論は、
現在の内容で規制が最終化され、遡及的に適用されることを前提としている。
FATCA に加え、米国は、一定の状況において当グループに一定の情報を米国支払人(源泉代理人、カストディアンなど)に提
供することを求める可能性があり、当グループおよび/またはその顧客は、当グループが当該情報を適用ある規則および規制
を遵守して提供しなかった場合、源泉徴収税の賦課を受ける場合がある。さらに、当グループが求められた情報を提供したと
しても、一定の米国からの支払に対してはなお源泉徴収税の適用がありうる。
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当グループはまた、ANZBGLが営業を行う国が米国との政府間協定の最終化および施行を行わず、その国においてFATCAの遵守
を妨げる現地法上の障害がある場合には、多大な源泉徴収エクスポージャーおよびその他の営業上の影響といったより広範な
コンプライアンス上の問題に直面する可能性がある。
金融機関に影響を及ぼしている米国政府政策の主な焦点の1つは、マネーロンダリングおよびテロリストの資金調達に対抗す
ることである。2001年テロリズムの阻止と回避のために必要な適切な手段を提供することによりアメリカを統合し強化するた
めの法律(「愛国者法」)は、著しいコンプライアンスとデュー・デリジェンスの義務を課し、犯罪を確認し、罰則を規定し、
米国外における管轄権を拡大することによって、米国マネーロンダリング防止法の範囲を大幅に拡大した。米国財務省は、愛
国者法の様々な要件を実施する数々の規制を公表し、それはANZBGLの米国ブローカーディーラー子会社、ニューヨーク支店な
らびにグアムおよび米国サモアで営業するANZBGLの銀行子会社などの外国銀行の子会社および支店を含む米国金融機関に適用
される。
それらの規制は、米国内で事業を行っている金融機関に、マネーロンダリングとテロリストの資金調達を特定、阻止、報告
するとともに顧客の身元を確認する適切な方針、手続き、管理を維持するよう求める。さらに、米国銀行規制機関は、より高
い基準を課し、米国法執行機関は、より積極的な役割を果たしてきており、その結果、当該事項の執行が強化されている。金
融機関が、マネーロンダリングとテロリストの資金調達に対抗する適切な方針と手続きを維持、実施できないと、金融機関に
とって法的および評判上深刻な結果を招くことがあり、さらに民事上、金銭上および刑事上の罰則処分を課される結果となる
こともある。
その他の監督機関
当グループは、普通株式をASXおよびNZXに上場しており、その他の持分証券および債券をこれらの証券取引所およびその他
一定の海外の証券取引所に上場している。これにより、当グループは、オーストラリア、ニュージーランドおよび海外の様々
な上場ならびにコーポレート・ガバナンスの要件を遵守しなければならない。
APRA がANZBGLおよびその支店業務を対象に行う健全性自己資本監督ならびに上記の監督および規制の詳細に加えて、すべて
のANZBGLのオフショア支店および銀行子会社の現地での銀行業務は、それぞれの監督機関による現地国の監督に従う。例えば
RBNZ、OCC、FRB、英国健全性規制機構、シンガポール通貨当局、香港通貨当局、中国銀行保険規制委員会ならびにこれらの諸
国および他の関連諸国のその他の金融監督機関である。これらの監督機関は、とりわけ、それぞれの管轄法域におけるこれら
の業務に対し、最低自己資本金要件を課す可能性がある。
当グループはまた、営業を行うすべての国の現地法における、マネーロンダリング防止およびテロ資金対策に関する一定の
法規制を遵守することを求められる。
(7)競争
オーストラリア
オーストラリアの銀行業界は集中しており、競争が激しい。2019年9月30日現在、オーストラリアの4つの主要な銀行グ
ループ(ANZグループ、オーストラリア・コモンウェルス銀行、ナショナル・オーストラリア銀行およびウェストパック・バン
キング・コーポレーション)がオーストラリアで営業を行う銀行のオーストラリアの貸付資産総額の約74%(1)を保有してい
た。規模の小さい地方銀行の業務運営は、典型的には、特定の州または地域の顧客へのサービス提供に焦点を絞っており、リ
テール銀行業務に重点を置いている。多くの国際銀行もオーストラリアで銀行サービスを提供しており、一般的にこれらの銀
行はリテールまたは法人市場の特定の セクター に重点を置き、かかる セクター において若干のシェアを占めている。
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1980 年 代初頭のオーストラリアの金融制度の規制緩和は、4大銀行グループと選択的な市場で競争する銀行金融機関および
非銀行金融機関の急増につながった。住宅金融組合や信用組合などのノンバンク仲介機関は主に預金受入および住宅ローン貸
付の分野で競争する。大手住宅金融組合のうちいくつかは、1959年銀行法(オーストラリア連邦)(「銀行法」)の下で、銀
行業免許を付与されている。専門的なノンバンクの住宅ローン貸付業者および直接的な(支店以外の)銀行業務もまた近年に
おいてより重要になっている。
競争は歴史的に住宅貸付市場においてより激しい。競争は、当初は担保付住宅ローン・オリジネーターの増加、その後は担
保付住宅ローン・ブローカー業界の成長からもたらされた。近年、広告レートより大幅に割引したレート提供により、大手銀
行が積極的に競争を行っている。2008年の世界金融危機の間に経験した市場の混乱は、ノンバンクのオリジネーターのビジネ
ス・モデルに大いに影響を与えており、これが大手銀行の担保付住宅ローン市場シェアを全体的に上昇させる結果となった。
最近では、担保付住宅ローン市場においてノンバンクのオリジネーターがさらに活発化し、このことは、大手銀行の成長率お
よび規制された市場に比して、大幅に低い市場シェアベースからではあるが、ノンバンクのオリジネーターの成長率および規
制されていない市場に反映されている。
オーストラリアのリテール預金市場もまた、資金調達を支えるための信用の伸び増加および貸付需要増の時期には特に、競
争が激しい。リテール顧客の銀行預金に対するオーストラリア政府保証は、世界金融危機の最中の2008年に導入され、大手
オーストラリア銀行への預金の増加およびその他預金ファンド提供者への預金の減少をもたらした。オーストラリア政府保証
は、オーストラリアの預金受入機関の預金およびホールセール資金調達に係る保証の提供を可能とするためにオーストラリア
政府によって発表された一時的措置に依拠している。さらに、金融サービス・ セクター の変化により、ノンバンクでも、従来
銀行が様々な(物理的およびオンラインの)流通チャネルを通じて提供してきた商品およびサービスを提供することが可能に
なっている。
コーポレートおよび商業銀行業においては、大手銀行、地域銀行およびその他の商業銀行全体で依然として競争が激しい。
事業投資が引き続き低調であることから信用の需要は減少しており、このことは、顧客とのリレーションシップ維持および深
耕のさらなる重視とともに、貸付利鞘への圧力をより高めている。
法人市場において、競争者はその顧客基盤の質、認知された技術の組合せ、体系化されたソリューションおよび価格設定、
顧客の洞察力、評判およびブランドにより評価を獲得する。オーストラリア国内市場においては、大手中堅企業および大企業
の顧客レベルでの競合相手は一般に、オーストラリア大手銀行、少数の世界的な投資銀行ならびに現地市場を超越している少
数のアジア銀行およびニッチ分野に力を入れている巨大多国籍銀行コングロマリットのブティック型事業である。
銀行業界は、顧客のニーズおよび変化する顧客の選好に応えるために、引き続き新しいデジタル商品およびデジタル・サー
ビスのソリューションとともに進化を続けている。革新的なデジタル・ソリューションの需要は、特にリテール銀行業におい
て、銀行業界への既存参入者と新規参入者とのさらなる競争に寄与している。
(1) 出典:APRA2019年9月の月次公認預金受入機関統計(2019年10月31日公表)。
ニュージーランド
当グループが営業を行うニュージーランドの金融サービス・ セクター は非常に集中しており、また非常に競争が激しい。ANZ
の主な競合相手は、ASB銀行、ニュージーランド銀行、ウェストパック・バンキング・コーポレーション/ウェストパック・
ニュージーランドという他の3大銀行である。これらの各銀行は、オーストラリアの大銀行の子会社または支店である。これ
らの銀行は、個人から大企業まであらゆる顧客セグメント全体に関与する。
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競争はまた、その他銀行の特定の事業 セクター にも存在する。キウィ銀行は、リテール・ セクター において活動し、ラボバ
ンク・ニュージーランドは、リテール預金および農業貸付市場において活動する。シティグループ、HSBC、ドイツ銀行などの
国際的な銀行は、法人市場に限定的に参加している。2013年末以降、ニュージーランドではまた、中国工商銀行、中国建設銀
行および中国銀行が、ニュージーランドにおいて登録銀行となった。これらの銀行の重点は住宅貸付および事業貸付に置かれ
ているようであるが、当該セグメントにおけるこれらの銀行の市場シェアは、依然として小さい。
金融サービス・ セクター の競争は激しく、予測するのは難しい。ニュージーランドのリテール預金市場は、現在の低金利環
境下で銀行が市場シェアの維持を目指しているため、引き続き競争的である。ホールセール向けの利率が低くなったことか
ら、リテール預金の利鞘は増加した。おそらくより高い利回りを求めてリテール預金がマネージド・ファンドに切り替えられ
たことから、法人預金の残高は増加した。2019年6月30日現在、住宅ローン市場が登録銀行によるニュージーランドでの貸付
の半分以上を占めており、この市場が競争における主要分野である。住宅ローン市場は新規参入により競争が激化しており、
とりわけ中国の銀行が市場シェアの拡大を目指している。
近年、ニュージーランドではノンバンクのオリジネーターの活動が活発化しているが、総資産における成長率はオーストラ
リアなどの海外市場と比較して低くなっている。このことは、ニュージーランドの銀行が他の海外市場の銀行と比較して地域
社会をより肯定的に捉えているといった要素や、ニュージーランドでは顧客データの開示を義務付ける法律が限られているこ
とによるものであろうと当グループは考えている。2019年6月30日現在、ノンバンク・ セクター は金融制度の資産合計の約
3%を占めていた。
アジア
アジアにおける銀行業は、非常に競争が激しい。多数のグローバル銀行(例:シティバンク、HSBCおよびスタンダード
チャータード)ならびに地域銀行(例:DBSバンク、CIMBおよびメイバンク)が、各市場の地方銀行に加えて本地域で営業して
いる。特に法人部門における、当グループの最も活発な競合相手は、グローバルな投資銀行ならびに中国および日本の大手銀
行である。
当グループは、現在、アジアの多数の国において、主に法人銀行業ならびに地域のトレードおよび資本フローによる顧客へ
の金融ソリューションの提供に焦点を絞って営業を行っている。当グループは、地理的対象、オーストラリアおよびニュー
ジーランドの国内市場における強み、ならびに顧客、産業および商品に係る専門化(マーケッツおよびトランザクション・バ
ンキングを含む)への的を絞った集中により、地域を超えて競合相手との差別化が可能になると確信している。
多数の銀行がこの地域の成長機会を支えるバランスシートの重要な部分に関与したいという意欲を示してきたため、競争は
引き続き活発である。このことは、アジアにおける法人貸付の純預貸利鞘が、オーストラリアおよびニュージーランドにおけ
る類似の貸付における純預貸利鞘よりも一般に低水準であることに寄与している。アジアにおける競争は、他の先進国市場に
比べて相対的に堅調な経済成長への期待により、グローバル銀行および地域銀行の継続的な地域内投資を引き付けて引き続き
激化することが予想される。
当グループは、法人顧客に対して幅広い一連の金融サービスを提供するが、アジアにおけるリテール市場または商業市場で
フルサービスの銀行となることは目指していない。
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4【関係会社の状況】
(1)親会社
該当事項なし。
(2)被支配法人
当グループの主要な被支配法人(2019年9月30日現在)は以下のとおりである。
議決権の
(1)
帳簿価額
名 称 事業の内容 設立地 所有割合
(単位:千ドル)
銀行業 ベトナム 204,731 100 %
(2)
ANZ バンク(ベトナム)リミテッド
ANZ ケーペル・コート・リミテッド 証券化マネージャー オーストラリア 17,700 100 %
ANZ ファンズ Pty Ltd 持株会社 オーストラリア 36,226,460 100 %
銀行業 キリバス 5,400 75 %
(2)
ANZ バンク(キリバス)リミテッド
銀行業 サモア 17,565 100 %
(2)
ANZ バンク(サモア)リミテッド
銀行業 タイ 766,717 100 %
(2)
ANZ バンク(タイ)パブリック・カンパニー・リミテッド
持株会社 ニュージーランド 100 %
(2)
10,253,320
ANZ ホールディングス(ニュージーランド)リミテッド
銀行業 ニュージーランド 100 %
(2)
11,273,672
ANZ バンク・ニュージーランド・リミテッド
資産運用 ニュージーランド # 100 %
ANZ インベストメント・サービシズ(ニュージーランド)
(2)
リミテッド
ファイナンス ニュージーランド 463 100 %
(2)
ANZ ニュージーランド(インターナショナル)リミテッド
持株会社 ニュージーランド 100 %
(2)
115,908
ANZ ウェルス・ニュージーランド・リミテッド
資産運用 ニュージーランド 100 %
ANZ ニュージーランド・インベストメンツ・リミテッド
120,443
(2)
ファイナンス ニュージーランド # 100 %
(2)(5)
ANZ ニュージーランド・ カバード・ボンド・トラスト
ファイナンス ニュージーランド 122,361 100 %
(2)
UDC ファイナンス・リミテッド
持株会社 シンガポール # 100 %
(2)
ANZ インターナショナル・プライベート・リミテッド
マーチャント・ シンガポール 59,583 100 %
(2)
ANZ シンガポール・リミテッド
バンキング業務
持株会社 香港 69,007 100 %
(2)
ANZ インターナショナル(香港)リミテッド
銀行業 香港 100 %
(2)
59,080
ANZ アジア・リミテッド
銀行業 バヌアツ 100 %
(3)
36,101
ANZ バンク(バヌアツ)リミテッド
自家保険 シンガポール 92,699 100 %
(2)
ANZ カバー・インシュアランス・プライベート・リミテッド
ANZ レンダーズ・モーゲージ・インシュアランス Ptyリミテッド 抵当保険 オーストラリア 398,296 100 %
ファイナンス オーストラリア # 100 %
(5)
ANZ レジデンシャル・カバード・ボンド・トラスト
ANZ ウェルス・オーストラリア・リミテッド 持株会社 オーストラリア 538,120 100 %
OnePath カストディアンズPtyリミテッド 受託会社 オーストラリア 169,817 100 %
OnePath ファンズ・マネジメント・リミテッド 資産運用 オーストラリア 12,492 100 %
オーストラリア・アンド・ニュージーランド・バンク 銀行業 中国 1,121,161 100 %
(2)
(チャイナ)カンパニー・リミテッド
銀 行業 パプアニューギニ 40,288 100 %
オーストラリア・アンド・ニュージーランド・バンキング・
ア
(2)
グループ(PNG)リミテッド
銀行業 中国 5,011 100 %
(2)
重慶市梁平 ANZ 農村銀行
持株会社 グアム 24,027 100 %
(4)
シティズンズ・バンコープ
銀行業 グアム 73,340 100 %
(4)
ANZ グアム・インク
銀行業 インドネシア 262,460 99 %
(2)
PT バンクANZインドネシア
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# 500 ドル未満。
注: (1) 帳簿価額=当該被支配法人の直接の親会社であるANZグループ会社が保有する投資の帳簿価額。これは「第6 経理の状況-1 財務書類」の
2019年度財務書類において報告されている被支配法人の純資産の帳簿価額ではない。
(2) 当グループ監査の一環として、または単体財務書類に必要であるため、海外のKPMGによる監査を受けている。
(3) ロー・パートナーズによる監査を受けている。
(4) デロイト・グアムによる監査を受けている。
(5) 当グループは所有していない。当グループが事業のほぼすべてのリスクおよび経済価値を留保する場合、支配が存在する。
重要な被支配法人の変更
2019 年 9月30日に終了した事業年度に、当グループの重要な被支配法人について以下の変更があった。
・ 2018年9月、シェア・インベスティング・リミテッドの事業がCMCマーケッツ・ストックブローキング・リミテッドに売
却された。シェア・インベスティング・リミテッドおよびその直接の親会社であるACN 003 042 082 リミテッドは、現
在重要な法人とはみなされていない。
・ 2018年11月、OnePathライフ(ニュージーランド)リミテッドがシグナ・コーポレーションに売却され、ANZヨーロッ
パ・リミテッド(旧ANZバンク(ヨーロッパ)リミテッド)が清算された。ANZヨーロッパ・リミテッドは、現在重要な
法人とはみなされていない。
・ 2019年3月、ANZ(ラオ)ソール・カンパニー・リミテッド(旧ANZバンク(ラオ)リミテッド)の事業が、新たに設立
された当社のラオス支社に移管された。ANZ(ラオ)ソール・カンパニー・リミテッドは、現在重要な法人とはみなされ
ていない。
・ 2019年4月、ANZバンク(台湾)リミテッドが当社の台湾支社と統合された。
・ 2019年5月、OnePath ジェネラル・インシュアランスPtyリミテッド、OnePathライフ・オーストラリア・ホールディン
グスPtyリミテッドおよびOnePathライフ・リミテッドが、チューリッヒ・フィナンシャル・サービシズ・オーストラリ
ア(チューリッヒ)に売却された。 「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類」の2019年度連結財務書類の
注記29を参照のこと。
・ 2019年8月、ANZロイヤル・バンク(カンボジア)リミテッドの持分55%のジェイ・トラストへの売却を完了した。
・ ANZファイナンス・グアム・インクおよびANZコモディティ・トレーディング Pty Ltdは、現在重要な事業を保有してお
らず、またヴォトレイント NO. 1103 Ptyリミテッドの唯一の事業は、当グループによるPT バンク・パン・インドネシ
アへの投資の保有であるため、これらは現在重要な法人とはみなされていない( 「第6 経理の状況-1 財務書類-
(1)連結財務書類」の2019年度連結財務書類の注記26を参照のこと。)。
当グループは、2018年9月30日終了年度中、重要な法人の取得または処分を一切行わなかった。
(3)関連会社
当グループの重要な関連会社 (2019年9月30日現在) は以下のとおりであ る。
(1)
議決権の
主たる事業所 帳簿価額
名称 事業の内容 および設立地 ( 単位:百万ドル) 所有割合
AMMB ホールディングスBerhad 銀行業務および保 マレーシア 1,586 24 %
険
PT バンク・パン・インドネシア 個人および企業向 インドネシア 1,350 39 %
け銀行
注 : (1) 関連会社に対するANZの出資の持分法による帳簿価額。
当グループの関連会社の詳細については、「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類」の2019年度財務書類の注
記26を参照のこと。
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5【従業員の状況】
2019年9月30日現在、ANZはフルタイム換算(FTE)基準で3万9,060名(2018年9月:3万9,924名)の従業員を雇用してい
た。
年度
2019 年 2018 年
部門別 9月終了 9月終了 増減率
オーストラリア・リテールおよび商業 13,903 13,731 1 %
法人(1) 5,468 6,188 -12 %
ニュージーランド 6,121 6,165 -1 %
パシフィック 1,086 1,125 -3 %
TSO およびグループ・センター 11,010 10,651 3 %
継続事業におけるFTE合計 37,588 37,860 -1 %
非継続事業(2) 1,472 2,064 -29 %
FTE 合計 39,060 39,924 -2 %
平均FTE 39,358 42,388 -7 %
年度
2019 年 2018 年
地域別 9月終了 9月終了 増減率
オーストラリア 18,874 18,671 1 %
アジア、太平洋、ヨーロッパおよびアメリカ 12,695 13,742 -8 %
ニュージーランド 7,491 7,511 0 %
FTE 合計 39,060 39,924 -2 %
注:(1) 法人部門のFTEは、2019年9月半期に完了したカンボジア合弁会社ならびにPNGリテール、商業およびSME
事業の売却の結果606名減少した。
(2) 売却完了時またはそれ以降にIOOFに転属するFTEの実数は目下確定を進めている。非継続事業に配分され
たFTEは、配賦法を用いた見積もりに基づいている。
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労使関係
オーストラリア
オーストラリアにおいては、大半の非経営陣の雇用条件は給与を含めて団体企業労働協約(「EBA」)の一部として労働組合
と経営陣との間で交渉することができる。ただし、従業員の過半数の賛成を条件とする。
ANZ労働協約2015-2016年(オーストラリア)は、2015年12月29日に開始した。同協約は89%の大多数の従業員がこれを承認
した従業員投票を受けて、公正労働委員会により承認された。同協約はANZ労働協約2013-2014年(オーストラリア)に代わ
り、ANZのオーストラリアのグループ4、5および6の従業員(すなわち中間管理職および非管理職従業員)のための雇用の最
低雇用条件を定める。同協約はまた、2015年度および2016年度の業績・報酬検討に関する適格な「非市場評価の」オーストラ
リアのグループ5および6の従業員(すなわち非管理職従業員)の賃上げの取決めも定め、これらの従業員に適用される給与
の幅を含む。
2017 年 9月19日、94%の大多数の従業員が、同協約を1年間延長し、2017年度の業績・報酬検討に関する適格な「非市場評
価の」オーストラリアのグループ5およびグループ6の従業員(すなわち非管理職従業員)の賃上げを定め、かかる従業員の
給与の幅を盛り込んだ同協約の修正案を承認した。公正労働委員会は、2017年10月31日にこの修正を承認した。同協約の賃上
げ条項が現在は失効していることを受けて、2018年および2019年において適格な「非市場評価の」オーストラリアのグループ
5および6の従業員(すなわち非管理職従業員)の賃上げは同協約外で管理されたにもかかわらず、本書提出日現在、同協約
は引き続き適用されており、今後も無期限に適用される。
オーストラリアにおいて、経営陣と労働組合との間の重大な紛争はない。
ニュージーランド
ニュージーランドの従業員の過半数は個人の雇用契約によりカバーされている。FIRSTユニオンとANZの団体労働協約は、
ニュージーランドの従業員の約12%をカバーし、2018年8月に更新され、2018年8月1日から2020年7月31日まで有効であ
る。
経営陣はニュージーランドの労働組合との間でいかなる重要な紛争にも関与していない。
アジア太平洋、ヨーロッパおよびアメリカ
アジア太平洋、ヨーロッパまたはアメリカ地域にあるいずれかの国において、経営陣と労働組合との間の重大な紛争はな
い。
年金制度
当グループは世界中で多数の年金、老齢退職年金および退職後医療給付制度を設定している。ANZの老齢退職年金債務の詳細
については、「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類」の2019年度連結財務書類の注記30を参照のこと。
従業員株式
ANZは、ANZ従業員株式購入制度およびANZ株式オプション制度に基づき運営される多数の従業員株式およびオプション制度を
運営する。ANZの従業員株式およびオプション制度の詳細については、「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書
類」の2019年度連結財務書類の注記31を参照のこと。
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第3【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
上記「第2 企業の概況-3 事業の内容」および下記 「2 事業等のリスク」を参照のこと。本項は本書の表紙(注)5.
に記載の「将来に関する記載」に関する説明とあわせて検討されるべきである。
2【事業等のリスク】
(1)リスク
銀行の戦略の成功は、健全なリスク管理に依存している。銀行のすべての活動は、程度の差はあるが、リスクまたは複数の
リスクの組合せの解析、評価、許容および管理が伴っている。
健全なリスク管理は、当グループがその事業環境において機会および課題に備え、対応するにあたって重要な役割を果た
す。
当グループのリスク管理の枠組み
取締役会は、当グループのリスク管理の枠組みを設定し、かつ監督する責任を負う。取締役会は、当グループのリスク管理
方針の遵守を推進し、監視する権限を取締役会リスク委員会(BRC)に対して委任している。同委員会は、その活動について取
締役会に定期的に報告を行う。
当グループのリスク管理の枠組みの主柱となるものには以下が含まれる。
・ 当グループが戦略的目標および事業計画の達成に向かうにあたって受け入れることができるリスクの程度に関する取締役
会の予想を記載しているリスク選好報告書(RSA)。
・ 当グループのリスク管理戦略およびかかる戦略を実現するリスク管理枠組み(RMF)の主な要素の概要を記したリスク管理
報告書(RMS)。RMSには、重要なリスクそれぞれの内容ならびに関連する方針、基準および手続きに準拠した各リスクに対
するRMFにおける対処方法についての概要が含まれる。また、重要なリスクの当グループによる特定、測定、評価、監視、報
告の方法およびその後のそれらのリスクの管理または軽減の方法に関する情報も含む。
当グループは、全員がリスクの責任を負うという文化の定着を促すリスク管理に関する3つの防衛線モデルを採用してい
る。1番目の防衛線としての事業においては、日常的にリスクと制御に当事者意識を持ち、自己のリスクの特定と管理に対し
て責任を負う。2番目の防衛線はリスク機能であり、リスク管理のための業務に対する厳密かつ独立した監視を行い、また、
リスク管理の枠組みの構築および維持を担う。
最後の防衛線は内部監査であり、1番目および2番目双方の防衛線によるリスク管理手法の妥当性および有効性を評価して
独立した保証を与える。
リスクのガバナンスおよび監視は、日々の活動に組み込まれている一方で、当グループ全体にわたって委員会および定期的
なフォーラムにおける重要な取り組みとなっている(下図を参照のこと)。委員会およびフォーラムにおいては、既知の問題
の対処にあたっての管理プランの見直しと進行状況の監視を行い、既知および新規のリスクについての議論と監視を行う。
リスクの状況は絶えず変化しているため、その業務に対するリスクの重要性を検討するために当グループは問題の見直しを
常に行っている。現在、当グループが理解を深める取り組みを行っている2つのリスクは以下のとおりである。
サイバー・セキュリティ・リスク:新しいものではないが、当グループのデータと顧客のデータの保持において情報セキュ
リティ・システムへの依存が増していることから、進化するサイバー攻撃と新たなテクノロジーに対するセーフガードに継続
的に投資し、その適切性を検証する必要性がある。
気候変動リスク:気候変動に関連した金融リスクは、健全性および規制上の監督の強化の影響を受けるため、当グループの
重点分野となっている。
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主要な重要なリスク
当グループが直面する重要なリスク(当グループのリスク管理報告書による。)およびかかるリスクの管理の方法の概要は
以下のとおりである。
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リスクの種類 内容 リスク管理
自己資本充実 ANZ の連結業務およびリスク選好度を支 当グループは、主要方針目標に照らした資本基盤
リスク 援するための、健全性規制当局およびそ の水準および構成の継続的な審査および取締役会
の他の主要な利害関係者(株主、債券投 の承認を通じて、自己資本管理に対して積極的な
資家、預金者および格付会社等)が要求 取組みを進めている。
する自己資本水準を当グループが維持で
きない場合に発生する損失に関するリス
クである。
コンプライア 当グループの事業に適用される法律、規 当グループのオペレーショナル・リスクの枠組み
ンス・リスク 則、業界基準および規約、内部方針およ の一部としてコンプライアンス・リスクを管理す
び内部手続きならびに最良ガバナンス原 る手法の主要な特徴には、以下のものが含まれ
則の不遵守に関するリスクである。 る。
・ 新たに発生するコンプライアンス・リスク
の積極的な評価ならびに活発な報告および
証明プロセスの実施を当グループに可能に
することを目的とした、主要な義務の中央
管理ならびに規制環境および事業環境の変
化の特定の重視
・ 適時にインシデント/違反を特定、管理お
よび報告する当グループの能力を向上させ
る独立の要素としてのインシデント管理の
認識
・ 内部告発者保護方針により、従業員および
請負業者が会計、内部統制、コンプライア
ンス、監査その他の事項に関して秘密裡か
つ匿名の届出が可能
信用リスク 以下の結果生じる財務損失に関するリス 当グループの信用リスクについての枠組みはトッ
クである。 プダウン構造で、信用原則および信用指針により
・ カウンターパーティーが債務履行 定義づけられている。与信の政策、要件および手
を怠る、または 続きは、例えば、取引構造、リスクのグレード
・ カウンターパーティーの信用の質 化、初期承認、継続的な管理および問題債権の管
が低下し、そのことにより財務損 理ならびに専門家の政策課題など、与信のライ
失が生じる。 フ・サイクルにわたってあらゆる面を網羅してい
信用リスクは、気候変動による、または る。
カーボン・プライシングおよび気候変動
適応政策または緩和政策を含む法令の改
正または政府もしくは規制当局が採用す
るその他政策の変更による影響を受ける
可能性がある顧客に当グループが行う貸
付に関連したリスクを含む。
流動性および 以下を含む、期日が到来した支払債務を 当グループの流動性および資金調達リスクの管理
資金調達リス 当グループが履行できないリスクをい における主要な原則には以下が含まれる。
ク う。 ・ 短期から中期の期間のキャッシュフロー債
・ 預金者への返済またはホールセー 務に対応するため、様々なストレス・シナ
ル債券の満期償還 リオ下における流動性の「維持可能期間」
・ 資産を増額する資金調達を行う当 を達成するための当グループの能力を維持
グループの能力が不十分 すること
・ 強固な構造を有する資金調達プロファイル
を維持すること
・ ストレス下にある時に流動性の源泉として
機能する質の高い流動性資産ポートフォリ
オを維持すること。
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市場リスク 以下に起因する当グループの利益に対す 当グループの市場リスクの管理および統制の枠組
るリスクをいう。 みにより、当グループは独立リスク測定法を通じ
・ 金利、外国為替レート、信用スプ てトレーディングおよびバランスシートのポート
レッド、ボラティリティおよび相 フォリオにおける市場リスクの大きさを測定す
関関係の変動、または る。これにより、可能性のある結果の及ぶ範囲、
・ 債券価格、コモディティ価格もし 可能性のある期間および結果の生じる見込みを特
くは株価の変動 定し、その後、これらの活動を支援する適正な額
の資本の割当てを行う。
オペレーショ 不適切または機能不全の内部プロセス、 当グループは、オペレーショナル・リスクを管理
ナル・リスク 人員およびシステム、または外生的事象 するために、3つの防衛線モデルを採っており、
に起因する損失リスクおよび/または法 効果的な双方向コミュニケーションおよびオペ
の不遵守リスクである。法的リスクおよ レーショナル・リスクの有効な管理を支援するた
び評判の損失のリスクまたは不適切もし めに、各防衛線はそれぞれ明確な役割、責任およ
くは機能不全の内部プロセス、人員およ びエスカレーション・パス(上長への報告経路)
びシステムから生ずる損害を含むが、戦 を有する。さらに、当グループのオペレーショナ
略リスクは含まない。 ル・リスクの枠組みが引き続き組織上における必
要性および規制上の要件を満たすことができるよ
うに、当グループは継続的な審査メカニズムを備
えている。
レピュテー 直接または間接に利益、自己資本比率ま 当グループは以下のような積極的かつ行動的な文
ション・リス たは価値に影響を与える、以下に起因す 化を維持することでレピュテーション・リスクを
ク る損失リスクである。 管理している。
・ 顧客、コミュニティー、株主、投 ・ 誠実さを伴う行動の確保
資家、規制当局または格付会社の ・ 顧客、同僚およびさらに広範囲の社会との
いずれかが抱く当グループの意に 強力かつ信頼される関係の構築を可能にす
沿わない認識 る。
・ 当グループの従業員もしくは請負 当グループは、経営における判断がレピュテー
業者(またはその双方)に関連す ション・リスクを考慮した健全な社会および環境
るコンダクト(行動)リスク 上の基準に従い確実に行われるための、確立され
・ 当グループの貸付の決定の社会的 た意思決定の枠組みおよび方針を有している。
および/または環境的な影響
戦略的リスク 当グループの事業戦略および戦略目標 当グループは、取締役会の承認を経て、グループ
が、その他の重要なリスク(例えば信用 経営委員会により管理された年間の戦略計画策定
リスク、市場リスクおよびオペレーショ プロセスを通じて戦略リスクについて検討および
ナル・リスク)の増大をもたらす可能性 管理を行う。当グループの主要な重要なリスクが
のあるリスクである。 増大した場合、上記に記したリスク管理に従い管
理される。
技術リスク IT 資産の機密性、整合性または可用性の 当グループは、オペレーショナル・リスクの管理
侵害の疑いを含むIT資産に影響を与える と整合を図りつつ、技術リスクを管理するため
不適切または機能不全の内部プロセス、 に、3つの防衛線モデルを採っており、効果的な
人員およびシステム、または外生的事象 コミュニケーションおよび技術リスクの有効な管
に起因する損失リスクおよび/または法 理を支援するために、各防衛線はそれぞれ明確な
の不遵守リスク 役割、責任およびエスカレーション・パス(上長
への報告経路)を有する。さらに、技術リスクの
管理においても採用されている当グループのオペ
レーショナル・リスクの枠組みが、引き続き組織
上における必要性および規制上の要件を満たすこ
とができるように、当グループは継続的な審査メ
カニズムを備えている。
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(2)主なリスクおよび不確実性
序論
当グループの活動は、当グループの事業、業務、業績、評判、見通し、流動性、資本の源泉、財務実績および財務状態
(「当グループのポジション」と総称する。)に悪影響を与える可能性のあるリスクに左右される。以下に記載するリスクお
よび不確実性は当グループが直面する可能性のあるすべてのものではない。当グループが認識していないまたは当グループが
現在重要でないとみなしているさらなるリスクおよび不確実性も影響を与える重要な要因になる可能性がある。以下に記載す
る、または記載していないリスクのいずれかが実際に生じた場合、当グループのポジションが重大な悪影響を受け、その結果
当グループの株式および債券の取引価格が下落し、投資家がその投資の全部または一部を失う可能性がある。
当グループの事業の活動および業界に関するリスク
1.地域的または世界的な信用市場および資本市場における混乱を含む政治および一般的な事業・経済情勢の変化は、当グ
ループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループの財務実績は、当グループまたはその顧客もしくはカウンターパーティーが業務、取引または資金調達を行う主
要諸国および地域(オーストラリア、ニュージーランド、アジア太平洋、英国、ヨーロッパおよび米国を含むが、これらに限
られない。)(「関連法域」)における政治・経済情勢および事業活動の水準に主に影響される。
当グループが主要な業務および取引活動を行う市場における経済および事業環境は、とりわけ国内外の経済事象、政治的事
象および自然災害により、また世界の金融市場で発生する趨勢および事象により、影響を受ける。
2007 年の世界金融危機の影響およびその余波は地域および世界の経済活動、信頼および資本市場に引き続き影響を与える。
健全性監督機関はかかる事象の再発のリスクを緩和する目的で規制の強化を引き続き実施しているが、かかる規制が有効であ
るとの確証はない。世界金融危機はまた、当グループまたはその顧客もしくはカウンターパーティーが業務を行う主要な国々
および地域を含む先進国経済の消費者および企業の行動に長く続く影響を与えていると当グループは考えている。近年では、
所得の伸びの鈍化に際して消費者の貯蓄率は低下しており、他方企業は投資に消極的でインフレ率は低いままである。また、
地政学的リスクが増大する可能性も消費者行動および企業行動の脆弱性の要因となる。大半の国において金融当局はゼロ金利
またはそれに近い金利の導入で世界金融危機に対応し、主たる中央銀行は成長を支援し、インフレ率を引き上げるために慣例
にとらわれない手段を取った。近年では、一部の金融当局が現状の市況に伴い同様の措置を採っている。例えば、米国連邦準
備制度、RBAおよびRBNZを含む世界中の中央銀行が2019年に金利を引き下げた。
世界の政治情勢の変化により、政治および経済の不確実性ならびに国際金融市場における変動性(ボラティリティ)が長期
にわたり増大し、継続していく可能性がある。最近の例には、長引くブレクジット(以下に定義する。)交渉、ドナルド・ト
ランプ大統領就任および保護主義的政策、ならびに、とりわけ、オーストラリアの重要な貿易相手国によるものを含め主要国
による関税および課徴金の賦課または賦課されるおそれに関する国際貿易情勢の進展(例えば、中国との米国の交易関係の変
化がオーストラリアにおける経済活動に影響する可能性など)がある。かかる変化は、当グループまたはその顧客もしくはカ
ウンターパーティーが業務を行う市場における消費者および企業の活動を縮小させており、また、さらなる縮小をもたらす可
能性があり、あるいは当グループが遵守すべき新たな規制上の枠組みの導入につながる、および/または規制上の枠組みの相
違を引き起こす可能性がある。
EU からの英国の離脱(一般に「ブレクジット」と呼ばれる。)を見越して、当グループは欧州における事業運営構造の変更
を実施しているが、英国がEUを離脱する最終条件が未だ不明で比較対象になる前例がないものであることから、ブレクジット
による金融、貿易および法律への影響は依然として定かでなく、その影響は予想以上に厳しいものになる可能性がある。この
結果、当グループが行っている欧州における事業運営構造の変更が、ブレクジットの金融、貿易および法律への影響に対処す
るに十分である保証はなく、当グループはブレクジットの最終条件を受けてさらなる変更が必要となるリスクに晒されてい
る。
オーストラリアの政治情勢は近年において次第に変化をみせている。首相の在任期間の短期化のさらなる常習化が見受けら
れ、その他の部門と同様に金融部門の社会的影響に一層の関心が寄せられている。このような環境の中で銀行税が導入され、
銀行業、退職年金および金融サービス業における違反行為を監視するための王立委員会が立ち上げられた。王立委員会に関す
るプロセス自体がこの変化を悪化させているように見受けられ、オーストラリアの金融部門に対する関心が長期に及ぶことを
示唆している。
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政治および経済の不確実性はこれまで市場の流動性および活動水準の低下、市場の不安定化、利用可能な信用の収縮、金利
の低下もしくはマイナス金利、経済成長の減速ならびに企業景況感の低下などを招いており、そのそれぞれが当グループのポ
ジションに悪影響を及ぼす可能性がある。また、かかる状況は、当グループが国際資本市場において中期または長期の資金調
達を行う能力に悪影響を与える可能性がある。
紛争の可能性や実際の紛争を含む世界中で発生している地政学的な不安定化(例えばウクライナ、北朝鮮、香港、シリア、
エジプト、アフガニスタン、イラク、ニカラグアなどで進行している騒動および衝突など。)ならびに現在のテロ活動の高い
脅威もまた、世界の金融市場、全般的な事業および経済環境、ならびにそれらの結果として、影響を受けている国または地域
において当グループが営業または取引を継続する能力に悪影響を与える可能性があり、これはさらに当グループのポジション
に悪影響を与える可能性がある。
当グループの市場において厳しい経済状況が生じた場合、住宅、商業用または地方不動産市場の資産価値が下落し、失業が
増加し、企業および個人所得が悪影響を受ける可能性がある。世界市場(株式、不動産、外国為替およびその他資産市場を含
む。)の悪化は、当グループの顧客ならびに当グループが貸付およびその他の信用供与のエクスポージャーに対して保有する
担保に影響を与え、これは貸付およびその他の信用供与のエクスポージャーを回収する当グループの能力に影響を与える可能
性がある。
当グループが需要の落込みまたは予想を下回る収益に対応してコスト構造、商品、価格設定または営業活動を適合させられ
ない場合、当グループの財務実績はまた悪影響を受ける。同様に、当グループまたはその顧客もしくはカウンターパーティー
が業務を行う国または地域における経済、全般的な事業環境または経営環境の悪化のために、予想を上回るコスト(与信費用
および資金調達費用を含む。)を負担する可能性がある。
上記の政治、事業または経済の状況の悪化のすべてまたはいずれかが、当グループの商品およびサービスに対する需要の減
少、ならびに/または貸付およびその他債権のデフォルトや不良債権の増加の原因となる可能性があり、これが当グループの
ポジションに悪影響を与える可能性がある。
2.当グループが業務を行う市場における競争は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループが業務を行う市場は非常に競争が激しく、一層競争が激化する可能性がある。多くの要因が競争リスクの原因と
なっており、それらには合併、買収、売却、ジョイントベンチャーおよび提携、顧客のニーズ、好みおよび行動の変化、新規
参入、新たな販売およびサービスの手法・技術の発達、競合相手による商品の一層の多様化ならびに銀行およびノンバンクの
競合相手の業務を管理する規則などの規制変更が含まれる。その他の例としては下記が挙げられる。
・ オーストラリアおよびニュージーランド外における事業体を含め、当グループと競合する事業体は、当グループとは異
なるレベルの規制および規制活動の対象となる可能性がある。このことは、規制レベルが異なることがそれらの事業体
のコストベースを低下させ、および/または当グループが他の方法で雇用を模索することになる従業員を惹き付ける能
力を与えるなど、より競争力のある商品およびサービスの提供をかかる事業体に可能にさせることがあり得る。
・ デジタル技術およびビジネスモデルが顧客の行動および競争環境を変化させており、新興の競合会社は、新技術の利用
を増やし、金融サービス部門における既存のビジネスモデルの分断を目指している。
・ 伝 統的な金融サービス部門以外の既存会社が、銀行業免許の取得および/または既存の提供会社との提携などを含め、
従来銀行が提供する商品およびサービスを提供することにより当グループと直接競争することを模索することもあり得
る。
・ 消費者および企業が、当グループがそれに関する金融サービスを提供しないことを選択する可能性がある(仮想通貨な
どの)新しい形態の通貨を利用した取引またはこれらの通貨への投資を行う選択をすることもあり得る。
・ オープン・バンキング(以下に記載する。)により競争が増す可能性がある。(リスク要因15.「規制の変更または法
律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこ
と。)
顧客獲得競争の高まりは、当グループの純預貸利鞘の圧縮、あるいは顧客の勧誘と維持を目的とした広告費および関連費の
増大につながる可能性もある。
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当グループは貸借対照表の大部分の資金調達を賄うための預金について諸銀行およびその他金融サービス会社と競合してい
る。預金獲得のための競争の高まりにより当グループの資金調達コストが増加しうる。当グループが預金獲得に首尾よく競争
できない場合、当グループは他の、より安定していないまたはよりコストが高い形式の資金調達により大きく頼るか、貸付を
削減せざるを得ないかもしれない。これは当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
市況における競争の増加による当グループに対する影響または当グループの事業プラットフォームを競争上不利にする技術
の変動は、特に当グループの主要市場および商品においては、当グループの市場シェア、顧客および利鞘の大幅な減少につな
がる可能性があり、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
3.オーストラリア、 ニュージーランド または当グループが事業を行うその他市場の不動産市場の弱体化は当グループのポジ
ションに悪影響を与える可能性がある。
住居用および商業用不動産への融資は、不動産開発および投資不動産向け融資とともに、当グループの重要な事業である。
当グループの貸付ポートフォリオの主要なサブ・セグメントには以下が含まれる。
・ 住宅ローン(自己所有および投資)
・ 商業用不動産ローン
2009 年以降、世界の主要な中央銀行は、前例のない金融政策による刺激策に乗り出した。その結果生じた利回りを求める資
金はその影響により、依然として当グループの中核的な不動産管轄区域(オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール
および香港)の不動産市場を支える重要な牽引役となっている。しかしながら、 2018 年になるまで完成した賃貸用不動産の価
値および居住用住宅の価格(特にオーストラリア・メトロ東沿岸都市圏およびニュージーランド市場)は安定的に上昇した
が、2018年におけるオーストラリアの住宅価格の下落は世界金融危機以来最大であった。オーストラリア全体で、住宅価格は
2019年4月現在で2013年の初頭からは約30%上昇したものの、2017年後半のピーク時を約7%下回っている(注)。
オーストラリア、ニュージーランドおよび当グループが事業を行うその他の市場における不動産市場の継続的な悪化は様々
な形で当グループに影響を与える可能性がある。これらには以下のものを含む。
・ 資産価格の下落は顧客、カウンターパーティーおよび当グループがローンに対して保有する担保(住宅用不動産および
商業用不動産を含む。)の価値に影響を与える可能性があり、これは顧客またはカウンターパーティーが債務不履行と
なった場合、返済されるべき金額を回収する当グループの能力に影響する可能性がある。
・ 当グループの住宅貸付商品に対する需要の買主の価値低下に関する懸念または金利上昇に対する懸念による減少。これ
により、潜在的な住宅所有者および投資家にとって当グループの貸付商品の魅力が減少する可能性がある。
・ 住宅用家屋の価格の著しい下落はまた、これらの住居の購入を事前に約定した顧客がその契約を履行できないもしくは
履行を望まず、当グループがこれらの住居を損をして転売せざる得ない場合、当グループの住宅開発ポートフォリオに
損失をもたらす可能性がある。
当グループの商業用不動産ローンのポートフォリオは、特に資産価格の下落、賃借権リスクおよび受渡しリスクの影響を受
けやすく、これが貸倒損失の増加、借換えリスクおよび担保価値の悪化を招く可能性がある。商業用不動産の評価額の著しい
減少または関連法域における商業用不動産市場の著しい低迷の結果、新規貸付の機会が減るまたは回収率が低下する可能性が
あり、これが当グループのポジション に重大な悪影響を与える恐れがある。
( 注) 出典:2019年4月版RBA金融安定化レビュー
4.市場リスクに関する事象は、 当グループ のポジションに悪影響を与える可能性がある。
市場リスクは、 金利 、為替レート、信用スプレッドのマイナスの変化、または債券、商品もしくは株式価格の変動から生じ
る損失のリスクである。金融リスク管理の目的で、当グループはトレーディングおよび非トレーディングの市場リスクを区別
する。トレーディング市場リスクは主に当グループの金利、為替レート、商品および有価証券のトレーディング・オペレー
ションから生ずる。非トレーディング市場リスクは専ら銀行業資産の金利リスクである。その他の非トレーディング市場リス
クには、海外営業での資本投資から生ずる取引および構造的為替リスクおよび非トレーディング株式リスクが含まれる。かか
る市場リスクに関する事由の発生により生じる損失は、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
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5.為替レートの変動が、 当グループ のポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループは、いくつかの異なる通貨で事業を行っているため、当グループの事業は、為替レートの変化により影響を受け
る可能性がある。さらに、当グループの年次報告書および中間報告書は豪ドルで作成・提示されるため、当グループが収益を
あげる他の通貨(特にニュージーランドドルおよび米ドル)に対する豪ドルの高騰は、当グループの報告された収益に悪影響
を及ぼす可能性がある。
当グループは通貨の変動の影響を一部軽減するためにヘッジを設定しているが、当グループのヘッジが十分なものまたは効
果的となる 保証 はなく、さらなる価値上昇は当グループの利益に好ましくない影響を与える可能性がある。
6.ベンチマーク・レートの規制、改正および代替は、 当グループ の証券発行ならびにその資本市場活動および投資活動に悪
影響を与える可能性がある。
広範かつ長期に利用されているものを含めて「ベンチマーク」とみなされる金利、株式、外国為替相場およびその他の種類
の指標は、国際的な規制当局による継続的な監視ならびに改正に向けた取組みおよび提案の対象となっている。かかる改正の
一部はすでに発効しており、その他のものはまだ実施されていないか検討中である。これらの改正により、ベンチマークが以
前とは異なる働きをする、または完全に消滅する、または完全に予測することができないその他の影響をもたらす可能性があ
る。
また、提案もしくは実施されているベンチマークの改正のいずれも、またはベンチマークに対する規制当局による監視の全
般的な強化は、ベンチマークの運営またはその他の方法による設定への参加およびベンチマークに関する規制もしくは要件の
遵守におけるコストやリスクを増大させる可能性がある。これらの要因は、市場参加者が一定のベンチマークの運営または関
与を継続する意思を損なわせる影響力を持ち、一定のベンチマークの規則や手法の変更をもたらし、または一定のベンチマー
クを消滅させる可能性がある。これらの状況のいずれも、およびベンチマーク運営を規制、改正もしくは変更する将来の取組
みは、当グループが発行、調達もしくは保有するものを含め、収益率がかかるベンチマークに連動するローン、モーゲージ、
証券、デリバティブその他の金融商品の収益率、価値および市場に悪影響を及ぼす可能性がある。
様々な規制当局、業界団体およびその他市場参加者により、一定のベンチマークに代わる代替レートの利用の開発、導入お
よび促進への取組みが世界的に行われている。これらの新たなレートが市場参加者に受け入れられるもしくは広く使用され
る、またはこれらの新たなレートのいずれもの特性が代替が模索されているベンチマークと類似するもしくは経済的に同等の
価値を生み出す保証はない。特定のベンチマークが廃止され、その代わりとなる代替レートの導入がうまくいかなかった場
合、広範な金融市場の混乱につながり、証券、デリバティブその他の金融商品の価格の変動を生じさせ、資本市場活動を抑制
する可能性があり、これらのすべてが当グループのポジションに悪影響を及ぼすことがあり得る。さらに、特定のベンチマー
クの代替レートへの移行は、かかるベンチマークに連動する金融商品と関連するデリバティブとの間のヘッジ会計関係に影響
する可能性があり、これが当グループのポジションに悪影響を及ぼすこと可能性がある。
2017 年7月27日、LIBORを規制する金融行動監視機構(「FCA」)は、2021年の後は銀行にLIBORの算出のためにレートの呈示
を促さない、または強制しないと発表した。続く2018年7月12日の発表で、FCAは、市場参加者に対して、2021年末前までの
LIBORからの移行の必要性を強調した。これらの発表は、現行ベースでのLIBORの存続は2021年より後には保証できず、また保
証されないこと、ならびにLIBORが2021年までに廃止または修正される相当なリスクが存在することを示唆している。巨額の
ローン、モーゲージ、証券、デリバティブその他の金融商品がLIBORによるベンチマークに連動しており、市場参加者や規制当
局がLIBORに代えたベンチマーク・レートの導入およびLIBORの廃止に向けた有効な移行措置をうまく行えない場合は、金融市
場の混乱、資本市場活動の抑制、訴訟申し立ての発生を引き起こす可能性があり、これらすべてが当グループのポジションお
よび当グループが発行、調達または保有するLIBORに連動する証券その他の商品にマイナスの影響を与える可能性がある。
7.買収および/または売却は、 当グループ のポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは定期的に、当グループの戦略的ポジションおよび財務実績を強化する機会か否かを判断しながら、買収および
売却を含め、様々な企業の機会を検討している。
当グループが従前に発表したが、まだ完了していない売却には、 オーストラリアのOnePathの年金および投資事業が含まれ、
かかる事業の売却は2019年12月9日にAPRAより承認された。
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買収(または売却)した事業の統合(または分離)は複雑で費用がかかり、時には関連する会計およびデータ処理システム
ならびに経営管理の統合(または分離)とともに、関連する従業員、顧客、規制当局、カウンターパーティー、サプライヤー
およびその他の事業の相手方との関係を管理することを含む。統合(または分離)への取り組みの中で、基準、統制、手続お
よび方針の不一致を生じさせる可能性があり、経営陣の注意をそらし、資源が流出する可能性がある。また、カウンターパー
ティーが当グループに対して完了済みまたは未完了の取引に関して請求を行うリスクが存在し、それが当グループのポジショ
ンに悪影響を与えるおそれがある。さらに、いずれの買収(または売却)も、コストもしくはコスト節減、統合のための時間
および全体的な業績に関して期待されたプラスの結果をもたらす保証はない。これらの要因のすべてまたは一部が、当グルー
プが事業を成功裡に行う能力に悪影響を及ぼす可能性があり、また当グループの業務または業績に影響を与える可能性があ
る。さらに、新しく買収(または維持)した事業の従業員、顧客、カウンターパーティー、サプライヤーおよび事業の他の相
手方がかかる買収後(または売却後)も留まるという保証はない。さらに、カウンターパーティーが完了条件を満たすことが
できないため、または関連規制当局もしくはその他の承認の取得などのその他の完了条件が成就しないためなど、当事者間で
当初合意された形かまたは全く違う形であるかにかかわらず、合意された取引が完了しないリスクが存在する。統合または分
離リスクのいずれかが発生した場合、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
8.ソブリン・リスクに関する事象が世界の金融市場を不安定化させ、当グループのポジションに悪影響を与える可能性があ
る。
ソブリン・リスクは政府が債務につき不履行となる、満期を迎えたときに債務の借換えができない、または自国の経済の一
部を国有化するリスクである。ソブリン・リスクは、米国、英国、中国、ヨーロッパ、オーストラリアおよびニュージーラン
ド内のものを含む多くの経済国において存続している。1つの国家が債務不履行となる場合、他の市場および国へ連鎖的な影
響を与える可能性があり、その結果は、予測は困難であるが、世界金融危機およびその後のソブリン債務危機の期間中に経験
した状況に類似もしくはそれより悪い可能性がある。
かかる事象は世界の金融市場を不安定化させ、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループの財政状態に関するリスク
9.信用リスクは、 当グループ のポジションに悪影響を与える可能性がある。
金融機関とし て、当グループは、カウンターパーティーがその契約債務を履行することができない、あるいは履行を拒否す
る結果として起こり得る信用関連の損失を被る場合を含め、取引相手への信用供与に関するリスクに晒されている。信用損失
によって、金融サービス機関が重大な損失を被るか、場合によっては破綻するようなケースが生じる可能性があり、これまで
も生じている。
信用関連損失のリスクは、当グループまたはその顧客もしくはカウンターパーティーが業務を行っている経済圏における金
融情勢状況の悪化、当グループまたはその顧客もしくはカウンターパーティーが業務を行っている市場における長引く高水準
の失業率、他通貨に対する豪ドルおよびニュージーランドドルの下落によるオーストラリアおよびニュージーランド向けの輸
入品の高騰、当グループの顧客またはカウンターパーティーの財務状態の悪化、当グループが担保として保有する資産価値の
低下、当グループが有するカウンターパーティーの証券および債務の時価の悪化を含む様々な要因によっても増加する可能性
がある。
全般的、または特定の産業部門あるいは地理的地域であれ、不利な事業あるいは経済情勢、ならびに自然災害のような事象
の発生によって、顧客またはカウンターパーティーは合意条件に従った債務を履行できない可能性がある。
例えば、当グループの顧 客およびカウンターパーティーは、以下のようなエクスポージャーに晒されている。
・ 米国と中国間の貿易摩擦の継続または拡大などの地政学的リスクの拡大は、世界的な成長の悪化の可能性を増大させる
ため、コモディティ価格の見通しに影響を及ぼす可能性がある。世界経済の成長の一層の悪化もしくは持続またはコモ
ディティ価格の下落により、オーストラリアおよびニュージーランドにおいて生産される乳製品などの輸出品の量や価
格が落ち込み、輸出部門と密接に関連しているこれらの産業にマイナスのフローオン効果(副次的効果)を与える可能
性がある。
・ 特に中国経済の景気後退の長期化に晒されており、天然資源価格の下落により大きくマイナスの影響を受ける可能性が
あるオーストラリアの天然資源部門。
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・ 住宅市場の落ち込み、低い賃金上昇率および家計債務の増加の組み合わせによる影響から生じる支出水準の低下に晒さ
れているオーストラリアにおける裁量的支出に依存している部門。影響を受ける部門には、専門小売業、デパートおよ
び裁量的支出の対象となる小売レジャー旅行業が含まれる可能性がある。
当グループはまた、特定の状況において第三者に対する権利が強制履行できない場合があるリスクに晒されており、これが
信用損失につながる可能性がある。当グループの信用供与のエクスポージャーに重大な信用損失が生じる場合、当グループの
ポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
また、当グ ループが締結した一定のデリバティブ、クリアリングおよび決済契約により、ならびにその他の銀行、金融機
関、会社、政府および政府機関の財務状態が世界金融市場の経済状況の影響を受ける場合、かかる機関が発行した債券の
ディーリングおよび保有により、信用リスクが発生する可能性がある。
さらに、顧客および/またはカウンターパーティーと与信取引を行うかあるいは他の取引を行うかを判断するにあたり、当
グループは、財務諸表およびその他の財務情報を含む、顧客および/またはカウンターパーティーあるいはその代理により提
供された情報に依拠する。また、当グループはそれらの情報の正確性および完全性に関しては顧客および独立顧問による表明
に依拠する可能性がある。当グループの財務実績は、不正確あるいは著しく誤解を招く恐れのある情報に依拠する場合、マイ
ナスの影響を受ける可能性がある。
当グループは貸倒引当金を保有しており、これらの引当金は、当グループの貸付ポートフォリオ内の減損の現在の情報およ
び主観的で複雑な判断に基づき決定される。しかし、評価が行われる情報が不正確であると証明された場合、または当グルー
プが情報を正確に分析できない場合、貸倒れの引当金は不十分である可能性があり、当グループのポジションに 悪影響を与え
かねない。
10 .当グループの資本基盤の管理における課題が要因となり、自己資本比率におけるボラティリティが高まる可能性があり、
当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
当グル ープの資本基盤は、当グループの事業を管理し資金を調達するにあたり不可欠である。当グループの健全性規制機関
は、APRA、RBNZならびに米国、英国およびアジア太平洋地域の様々な規制機関を含むがそれらに限定されない。当グループ
は、主たる規制機関であるAPRA(およびANZニュージーランドの場合はRBNZ)により、適切な規制上の自己資本を維持すること
を義務付けられている。
現在の規制上の要件のもとでは、リスク加重資産および予想貸付損失はカウンターパーティーのリスク度合いの悪化に従い
増加する。これらの規制上の自己資本の要件は、ストレス時の利益減少による自己資本の減少の影響を強める傾向にある。そ
の結果、自己資本比率におけるボラティリティがより高まる可能性があり、当グループが追加資本の調達を求められる可能性
がある。必要とされる追加資本が利用可能であるか、または合理的な条件で調達可能であるかについては確実ではない。
当グループの自己資本比率は、(i) 収益低下(非連結となった子会社(例えば、保険および資産運用事業子会社)ならびに
関連会社への投資からの配当減少を含む。)、(ii) 資産の伸び増加、(iii) リスク加重資産または為替換算調整勘定に影響を
与える、当グループが業務を行う他通貨(特にニュージーランドドルおよび米ドル)に対する豪ドル価値の変化、(iv) 事業戦
略の変化(買収、売却および投資または資本集約的事業の増加を含む。)ならびに(v) 規制要件の変更などの数々の要因に影
響を受ける可能性がある。
APRA およびRBNZはバーゼル3に対応するための健全性基準を実施している。一定の他の監督当局は、銀行、資産運用会社お
よび保険会社の流動性および自己資本比率をとりわけ強化することを目指す規制(バーゼル3を含む。)を実施しているか、
もしくは実施の過程にあるが、これらの規制が意図された効果をすでにもたらしている、または将来もたらすという確証はな
い。これらの規制は、規制変更(他の金融制度審議会(FSI)の勧告に対するAPRAの対応、APRAの「問題なく強固」な自己資本
要件からのさらなる変更、BCBSの要件またはRBNZの自己資本要件の見直しから生ずるものを含む。)から生ずるリスクととも
に、リスク要因15.「規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を
与える可 能性がある。」の項目に記載される。
当グループが規制上の自己資本を維持することができなかった場合、当グループのポジションに重大な悪影響が及ぶ可能性
がある。
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11 .当グループの信用格付は 変更 される可能性があり、資本およびホールセール資金を調達する当グループの能力に悪影響を
与え、新規貸付を抑制する可能性があり、これにより当グループのポジションに悪影響を受ける可能性がある。
当グルー プの信用格付は、資本およびホールセール資金調達の利用およびコストの両方に顕著な影響を与える。また、格付
は、顧客またはカウンターパーティーが当グループの商品およびサービスを評価する際に重要となることがある。信用格付お
よび格付けのアウトルックは信用格付機関によっていつでも撤回、限定、修正または保留されることがある。格付機関が信用
格付および格付のアウトルックを決定するために用いる方法も、法的もしくは規制上の変更、市場の動向またはその他の理由
に対応し、修正される可能性がある。
当グループ の信用格付または格付のアウトルックは、オーストラリア連邦またはニュージーランドの信用格付の変更、本書
に記載された1つ以上のその他のリスク、格付手法の変更またはその他の事象により、影響を受ける可能性がある。このた
め、全般的な経済状況または当グループの財政状態の変化を反映しない当グループの信用格付の格下げが行われる可能性があ
る。
さらに、当グループ(および世界のその他銀行)が発行する個別の証券(一定のTier 1資本およびTier 2資本証券ならびに
カバード・ボンドを含むがそれらに限られない。)の格付は、かかる商品に対する規制要件および格付機関が利用する格付方
法論の変化によってその時々に影響を受ける可能性がある。
当グループの将来の信用格付または格付のアウトルックの引き下げまたは引き下げの可能性により、資本およびホールセー
ル債券市場の利用が制限され、および資金調達コストを増加させる可能性があり、これが新規貸付高を抑制し、カウンター
パーティーが当グループと取引しようとする意思に影響を与え、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
信用格付は、関連格付機 関が当グループの募集する証券への投資を奨励するものではない。
12 .流動性および資金調達リスクに関する事象は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
流動性リスクおよび資金調達リスクは、 当グループが預金者への支払や満期になったホールセール債券の支払を含め、期日
どおりに支払債務を履行することができない、または当グループが資産の増加に対して資金調達能力が不十分であるというリ
スクである。流動性リスクおよび資金調達リスクは、資金収入と資金支出の間のタイミングのミスマッチのため、すべての銀
行業務に内在するものである。流動性の低下は、当グループの借入コストの増加を招き、新規貸付額の制限につながる場合が
あり、それにより当グループのポジションが悪影響を受ける可能性がある。
市場情勢および/または当グループに対する投資家の信頼の悪化によって、満期を迎える債務を借り換え、(タイムリーか
つコスト効率の良い方法で)資金調達を利用する当グループの能力が重大な影響を受ける可能性があり、これが当グループの
ポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループは、資金調達需要を満たすため、また当グループの事業を全般的に維持あるいは成長させるため、国内の市場お
よびオフショア市場内で顧客預金およびホールセール資金調達を含む様々な調達源から資金を調達する。主要市場の情勢は、
国際資本市場における流動性に悪影響を受ける場合がある。例えば、流動性ストレスの時期において、当グループに対する市
場の信頼が損なわれた場合、またはオーストラリア内外の市場からの資金調達が利用できないもしくは抑制された場合に、当
グループの資金調達源および流動性を利用する能力は、抑制される可能性があり、流動性リスクおよび資金調達リスクに晒さ
れることになる。これらの場合、当グループは代替的な資金調達を探すことを余儀なくされる可能性がある。かかる代替的資
金調達手段の利用可能性、および利用可能な条件は、そのときの市場状況および(オーストラリアの信用格付に強い影響を受
ける)当グループのその時点の信用格付等の様々な要因に依存する。たとえ利用可能であっても、これら代替資金調達手段の
コストはこれまでより高いもしくは不利な条件であるかもしれず、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
13 .当グループの一部の資産および負債の評価の変動は、当グループの収益および/または資本に悪影響を及ぼし、結果とし
てその財務状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは、 デリバティブ 商品を含む多様な金融商品、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資産および負債
ならびに一定の資産および負債(2019年9月30日終了年度についての「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類」
中の2019年度の連結財務書類の注記17に記載されるもの)を公正価値で測定することを要する会計基準を採用しており、公正
価値の変動は損益または資本に認識される。
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一般的に、これらの金融商品の公正価値を確立するために、当グループは取引相場価格に依拠し、または、金融商品のマー
ケットが十分に活発でない場合は、公正価値は、市場参加者により決定される公正価値に影響を与えうる要因の影響を 組み込
んだ 現在価値の見積もりもしくはその他の評価手法を基礎にする。これらの商品の公正価値は、当グループの収益および/ま
たは資本に重大な悪影響を与える可能性がある市場価格または評価の変数の変動により影響を受ける。
加えて、当グループは貸付関連でない資産の減損(損益に認識される。)の結果としてその価値の下落に晒される場合があ
る。 当グループ は、少なくとも年1回のれん残高の回収可能性について査定する必要があり、減損の兆候がある土地建物およ
び設備機器、関連会社に対する投資、資産計上したソフトウェアならびにその他の無形資産(保険および投資事業について取
得したポートフォリオおよび繰延取得費用を含む。)を含むその他の貸付関連でない資産を査定する必要がある。
のれん残高の回収可能性を査定するため、当グループは割引キャッシュフローまたは利益倍率計算法のいずれかを使用す
る。当該計算の基礎となる仮定の変更は、将来のキャッシュフローの予想変動とともにこの査定に大きく影響するかもしれ
ず、結果としてのれん残高の一部または全部の償却の可能性がある。
その他の貸付関連でない資産について、資産が今後使用されない場合または当該資産により生み出されるキャッシュフロー
が帳簿価格を 裏付けられない 場合、減損費用が計上される可能性がある。これは、上述の他の潜在的な変化と相俟って、当グ
ループのポジションに影響を及ぼす可能性がある。
14 .会計方針の変更が当グループの財務状態に悪影響を与える可能性がある。
当グループが適用する会計方針は当グループが財務状態および営業成績を記録および報告する方法にとって基礎となる。経
営陣は、かかる会計方針が、適用ある会計基準または解釈に適合するだけでなく、当グループの財務状態および営業成績を記
録および報告するのに最も適切な方法を反映していることを確保するため、これらの会計方針および方法の多くの選択および
適用につき、慎重に判断を下す必要がある。しかし、これらの会計方針が不正確に適用され、その結果、当グループの財務状
態につき不実表示がされる可能性がある。さらに、新規のまたは改正された会計基準または解釈の適用により、当グループの
財務状態が悪影響を受ける可能性がある。当グループの2019年事業年度に初めて発効する新たな会計基準の影響については、
「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類」中の2019年度の連結財務書類の注記1および注記35に概要が記してあ
る。
時には、経営陣は、2つ以上の選択肢から会計方針を選択する必要があり、いずれの選択肢も当グループに適用される関連
する会計基準または解釈に適合しその状況下で合理的であるかもしれないが、選択肢に基づいて報告されたものとは著しく異
なる結果を報告する結果になる可能性がある。
法的および規制上のリスク
15 .規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性があ
る。
当グループの事業および業務は厳しく規制されている。当グループは、事業を行うまたは資金調達を行う関連法域において
業界の自主規制を含めてかなりの数の法律、規則および政策に従っており、これらのそれぞれの法域において複数の異なる当
局の監督対象となっている。
当グループのような金融サービス・グループの規制および監督に対して割り当てられる資金ならびにかかるグループに対す
る法の執行は近年大幅に増加している。この結果、関連法域にわたり、金融サービス・グループに対する規制および監督はま
すます広範囲に及んで複雑になってきている。かかる規制および監督は絶えず進展を続けている。
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当グループを含むオーストラリアの金融サービス業界における不正に対する社会の関心は、かかる業界に適用される法律、
規則、執行およびその他の法的手続きならびに政策の数の著しい増加につながり、これらがそれぞれ当グループのポジション
に悪影響を及ぼす可能性がある。とりわけ、オーストラリアにおける状況は以下のとおりである。
・ 王立委員会 : 王立委員会は、 法の改革、自主規制基準ならびにASICおよびAPRAの業務に関する76の勧告を行った。
オーストラリア政府がどのように勧告を実施するか、および規制機関がどのように従うかによっては、これらはコスト
の増加につながる可能性があるとともに、さらなるエクスポージャーをもたらすこともありうる。これには、さらなる
規制活動に伴うエクスポージャー、またはクラス・アクション、個別請求、顧客救済もしくは補償行為等の潜在的な顧
客に関するエクスポージャーが含まれる。また、かかる勧告は当グループの競争環境の調整をもたらす可能性がある。
これらの潜在的エクスポージャーおよび変化の結果および関連する費用の総額は依然として不明であり、当グループの
ポジションに悪影響を及ぼす可能性がある 。
・ 競争に関する法律、規則および調査 : 金融サービス部門における競争の規制について重点的な取り組みがなされてい
る。 オーストラリア政府の独立の調査および顧問機関である生産性委員会は、オーストラリアの金融システムにおける
競争についての調査を行い、2018年8月にその報告書を公表した。この最終報告書を受けての政策および規制の変更が
当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。2017年5月、連邦財務相はACCCに対して、大手銀行税(以下
に定義される。)による影響を受けるADIが住宅モーゲージ商品に関して課している、または課すことを提示している価
格について調査を行うよう命じた。2018年12月に最終報告書が発表された。報告書の結果によっては、競争に関する政
策の変更または規制上の監視の強化につながる可能性がある。2019年10月、オーストラリア政府はACCCに対して、当グ
ループを含むオーストラリアの主要銀行の住宅ローン価格設定の調査を直ちに開始するよう命じた。2018年10月、ACCC
は、外国通貨両替サービスに対する調査を開始した。ACCCは、外国通貨両替サービスの提供者間における価格競争につ
いて調査し、効果的な競争における障害が存在するかについて検討した。ACCCは2019年9月までに連邦財務相に対して
最終報告書を提出した。2019年7月、ACCCはデジタル・プラットフォーム調査に関する最終報告書を公表した。この報
告書において、プライバシーおよび一定の消費者保護に対する改革が勧告された。オーストラリア政府は現在これらの
勧告について協議を行っている。2019年9月に公表されたACCCからの消費者向けロイヤルティ・スキームに関する報告
書草案において一部重複する改革が提案された。これらの勧告に応じて法律、規制または監督が変更されれば、当グ
ループのポジションが悪影響を受ける可能性がある。
・ 製品に関する法律、規則および調査 : 当グループを含む金融サービス事業者が提供する商品の適合性について重点的
な取り組みがなされている。責任ある消費者向け融資に関する規制政策は大きな進展を見せ、監督は大幅に強化されて
おり、事業慣行の 見直し と変更が引き続き推進されている。責任ある消費者向け融資に関する進展および監督の結果、
さらに法、規制または政策が改正された場合、かかる変更は、当グループの将来における消費者向け融資業務の提供方
法に影響を与ることがあり、これがかかる分野の当グループの業務に悪影響を及ぼし、結果的に当グループのポジショ
ンにも悪影響が及ぶ可能性がある。例えば、現在ASICは責任ある融資に関する法律についての規制ガイダンスを見直し
ている。さらに、オーストラリア政府は、2019年に、オーストラリアにおける金融商品および信用商品の設計および交
付についての規制を強化し、重大な消費者の損害のリスクを認識した場合にはASICに商品に対する介入権を与えること
を目的とした法案を承認し、かかる介入権はASICによりすでに行使されている。不遵守に対しては多額の罰金が科せら
れており、かかる法律の制定は将来における金融商品の発行およびマーケティングを行う当グループの能力に影響する
可能性がある。金融商品の交付の要件に起因する法令遵守コストの増加は、当グループのポジションに悪影響を与える
可能性がある。
・ 企業に対する罰金の引き上げおよび規制当局のための財政的支援の強化 : オーストラリアに おける 法律違反に対する
罰金が引き上げられ、規制当局による違反の訴えための財政的支援が強化されている。オーストラリア消費者法が改正
され、 2018 年9月よりオーストラリア消費者法違反に対する罰金が引き上げられた。この罰金の引き上げは、非良心的
行為、商品またはサービスに関する虚偽表示または不当表示、不当営業行為、消費財、商品関連サービスおよび情報基
準の安全性に関して行われた。2019年3月、オーストラリア政府は、執行、規制および監督を支援するための追加資金
提供として、ASICに対して4億ドル超およびAPRAに対して1億5,000万ドル超が提供される旨を発表した。2019年財政法
改正法(企業および金融部門に対する罰則強化)により、企業および金融部門による様々な義務違反に適用される処罰
が大幅に強化された。当グループに対してかかる罰金が賦課された場合、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可
能性がある。
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・ 上級役員の説明責任に 関する 法律および規則 : 銀行部門の上級役員に適用される罰金と特定の規則が強化されてい
る。 銀行役員説明責任体制(「BEAR」) がADIグループにおける取締役および大部分の上級役員に関する責任および説明
責任の枠組みとして導入された。オーストラリア政府はBEARの延長と王立委員会後の改正を示唆している。BEARの制定
が当グループにもたらす潜在的なリスクには、罰金の支払リスクならびに優秀な取締役および上級役員を誘因および維
持するための当グループの能力に対するリスクが含まれる。
・ その他の政府または規制当局による金融部門に対する介入 : オーストラリア政府および規制当局によるオーストラリ
アの銀行に関する審議および介入が進行している。これらの審議は広範囲に及び、当グループのポジションに悪影響を
及ぼすおそれがある法規制の変更または措置につながる可能性がある。2019年中において連邦議会は、当グループを含
む4つの主要銀行の審議のために公聴会を開催しており、また、今後も開催する予定である。ASICは2019年8月に責任
ある融資に関する公聴会を開催した。オーストラリア政府は、2017年7月から当グループを含む一定の大銀行に対して
負債に対する課税(「大手銀行税」)を実施した。オーストラリア政府が大手銀行税を引き上げる、または銀行に対し
て新たな課税を導入するかもしれないリスクが存在する。オーストラリアの州と特別地域の政府が同様の課税を導入す
ることもあり、これが当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。また、ASICは、ガバナンスおよび法令
遵守を厳密に監視するためにその職員を主要な金融機関の現場に派遣することにより、新しくさらに密度の高い監督手
法を採り入れた。また、銀行の審査は、過去および継続中の2006年マネーロンダリング防止およびテロ資金対策法(連
邦法)の違反の申し立てに関連して他のオーストラリア主要銀行1行に対して2017年にAUSTRACによる民事上の罰則手続
きが開始された後に強化された。
・ 業界自主 規制 : リテールおよび小規模企業バンキングに影響する業界ベスト・プラクティスの指針および基準に対し
て重点的な取り組みが続けられている。業界規範および慣行の指針を含む自主規制商品における変更により、当グルー
プではコンプライアンスの実施および監視のために多額の資金が必要となっている。新たなオーストラリア銀行業行動
規範が2019年7月に発効し、王立委員会の勧告の実施を目的とした一定のリテールおよび小規模事業者の商品ならびに
手順に対するさらなる変更が2020年3月までに導入される。また、影響を受けやすい顧客との業務に関する業界の指針
が考案中である。かかる変更は、当グループが顧客に提供できる商品と交付に係る営業コストに影響する可能性があ
り、これが当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
その他の新たな規制上の進展および課題には下記が含まれる。
・ 健全性規制に関する進展 : 健全性規則における進展は引き続き当グループに重要な形で影響を及ぼしている。 現在
APRAおよびRBNZとの協議に付されている複数の項目を考えれば、当グループへの潜在的な影響は依然として不確実な状
態である。APRAによる健全性基準のさらなる変更が、当グループに対して維持することが要求される規制上の自己資本
の水準の引き上げにつながり、当グループの柔軟性を制限し、多額の費用の発生をもたらし、および/または1つ以上
の事業ラインの利益性に影響を及ぼす可能性があり、このいずれもが当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性
がある。
・ 2019年10月、APRAは、健全性基準APS第111号「自己資本比率:自己資本の測定」(「APS第111号」)に対する修正
案についての協議のために検討文書を公表した。APRAの提案による最も重要な変更は、レベル1のADI(または同等
の海外事業体)および保険子会社への資本投資の取扱いに関して、当該投資における有形の構成要素が400%のリス
ク加重から以下へと変更される点である。
・ ANZBGLのレベル1のCET1資本純額の10%相当額を上限として、250%のリスク加重を行う。
・ 当該投資の残余は、CET1の資本控除として扱われる。
・ ANZBGL は、現在行っている投資への影響を検討中である。 当グループ への正味の影響は不明であり、多くの要因に
依存する。これらの要因には、実施時に影響を受ける子会社の資本構成、健全性基準の最終版、およびこれらの提
案による影響を概ね相殺し得る経営陣の行為の効果がある。これらの提案は、影響を受ける子会社へのANZBGLの現
在の投資を前提とすれば、相殺する経営陣の行為が何らない場合、ANZBGLのレベル1のCET1資本比率が最大約25億
ドル(約75ベーシス・ ポイント )減少することを示唆している。
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・ 2019 年8月、APRAは、APS第222号「関連当事者の関与」を修正し、関連ADI(または同等の海外事業体)に対する
オーストラリアのADIの個々のエクスポージャーの上限をレベル1総資本の50%からレベル1のTier1資本の25%
へ、またエクスポージャー合計ではレベル1総資本の150%からレベル1のTier1資本の75%へと引き下げる旨を発
表した。エクスポージャーは資本控除を除外して測定されるため、APRAの自己資本規制の変更案(APS第111号に含
まれる。)は、ADIのエクスポージャーの測定に影響を及ぼす。この変更は2021年1月1日から実施されることが提
案されている。
・ 2019 年7月、APRAは、損失吸収力に関する決定を公表し、この決定に従いANZBGLを含むオーストラリアのD-SIBに対
して2024年1月までに総資本をリスク加重資産の3%までに増加させることを求めることになる。2019年9月30日
現在の当グループの自己資本ポジションに基づくと、総資本要件における増加分が約120億ドルであり、他の上位の
資金調達において相当額の減少があることを示している。APRAは、D-SIBが主に追加的Tier2資本によって要件を充
足すると予想される旨を述べている。APRAは、今後の4年間で、リスク加重資産の1%ないし2%を追加的に引き
上げるための実現可能な代替方法を検討する。
・ ADIに対するAPRAの自己資本フレームワークの変更は、バーゼル銀行監督委員会(「BCBS」)のバーゼル3自己資本
改正およびFSIの勧告を受けたもので、今後数年にわたって実施される。APRAは、「問題なく強固」である自己資本
比率の実現により銀行システムの強靭性を高める意図に基づき、継続的に協議を行っている。APRAは、オーストラ
リアの4大D-SIBの場合、現行の自己資本比率のフレームワークの下では、かかる自己資本比率とはベンチマークと
なる普通株式等Tier1(「CET1」)資本比率が最低でも10.5%であることと同義であり、かかるベンチマークは2020
年1月1日までに達成しなければならない旨を述べた。さらに、APRAは現在、ADIのリスク・ウェイトの枠組みおよ
びその他の自己資本要件の変更について協議しており、最終的な基準は2020年に公表され、当グループによる実施
は2022年となると予想される。 APRA は、リスク・ウェイトに対する変更がADIにさらなる増資を余儀なくさせるとは
予想していないが、このことは最終的な要件次第でADIにより異なりうると発表した。
・ 2018年12月 5日にANZBGLは、RBNZによる最終的な自己資本要件に関する同日付の公表の影響について、情報を更新
した。当グループへの正味の影響として、CET1資本が2027年7月までに、管理バッファーの約10億豪ドルを含めて
約30億豪ドル増加する(当グループの2019年9月30日現在のバランスシートに基づく。)。この影響からは、より
厳格な要件を満たすことを想定して2019年にANZニュージーランドが留保した約15億ニュージーランド・ドルの利益
が除かれている(すなわち、CET1への総影響は、事前の想定(2)よりも小さい約45億豪ドルであった。)。以下は、
協議文書に関するRBNZの最終的な自己資本要件の主な変更点である。
・ ANZニュージーランドの所要Tier1資本合計(16%)に変更はないが、移行期間が7年に延び、当グループの
CET1資本への影響が抑えられている。
・ 引上げの大部分は 追加的Tier1(「 AT 1」)資本に関するものであり(当初案の1.5%に対して2.5%)、所要
CET1資本金額は引き下げられている。
・ AT1資本として認定可能な繰上償還条項付優先株式。これによりANZニュージーランドは、内部向けに発行済
みのAT1証券を外部カウンターパーティー向けに切り替えて資金調達を行えるようになると考えられる。
・ 株主による介入 : 当グループのような オーストラリア証券取引所( ASX )上場公開企業に適用されるオーストラリアの
「2ストライク」ルールに基づき、会社の報酬報告書の採用に対して2回連続で25%以上の反対票が投じられた場合に
は、会社は信任を問うための株主総会(spill meeting)を開催するかの決定を株主の普通決議にかけなければならず、
かかる株主総会において、直近の報酬報告書を承認したすべての非執行取締役は株主により(普通決議による)再任が
問われなければならない。2018年度の年次株主総会において、「2ストライク」ルールに基づく「1回目のストライ
ク」を満たす、当グループの報酬報告書の採用に対する充分な反対票があった。2回目のストライクがあって信任を問
うための株主総会が開催された場合、そのガバナンスや事業への集中力などの当グループのポジションに悪影響が及ぶ
可能性がある。
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・ オープン・バンキング法 : オープン・バンキングは、2019年8月に法律として制定されたオーストラリアにおける新
たな消費者データに関する権利の一つである。かかる法律により、消費者(個人および企業の双方)は、一定の指定を
受けた自分に関するデータセットにアクセスし、それを認可された第三者に渡す権利を与えられることになる。ACCC
は、オーストラリアの主要銀行(当グループを含む。)は、2020年2月よりクレジットカードおよびデビットカード、
預金口座ならびに取引口座に関する消費者データを共有化させる必要がある旨提言している。2020年7月には、住宅
ローン口座の顧客データを利用可能にさせることが要求されている。その他一定の商品(例えば、個人および企業の
ローンその他一定の口座)に関する顧客データは2021年2月から利用可能とならなければならない。また、商品に関し
てデータを共有化することも要求されている。当グループは任意で2019年7月に商品データの共有化を開始した。オー
プン・バンキングにより競争が促進される可能性があり、これが当グループのポジションに悪影響を与える可能性があ
る。
・ ニュージーランドにおける進展 : ニュージーランドの規制当局は、ニュージーランドの金融機関に対する大幅な規制上
の変更の提案または導入を盛り込んだ一連の規制についての発表を行った。これらの変更には、とりわけ以下が含まれ
る。 RBNZ による自己資本要件の改正、健全性信用管理、改正外部委託方針およびモーゲージ債担保基準の見直し、金融
市場(金融機関の行為)規制改正法案に基づく金融機関に対する行為規制案、2019年金融サービス法制改正法の成立お
よび2008年フィナンシャル・アドバイザーズ法との置き換え、準備銀行法のニュージーランド政府による見直し、なら
びに2003年信用契約および消費者金融法の改正案。RBNZは、ANZニュージーランドに対して準備銀行法第95条に基づく通
知を行った。当該通知は、RBNZの自己資本比率要件の遵守、取締役による証明および保証の枠組みの有効性、ならびに
要求された改善策の実施に関する報告書を提出するため、外部評価者を採用するよう要求している。上記の変更は、ANZ
ニュージーランド・グループに悪影響を及ぼす可能性があり 、潜在的にその企業構造、事業、戦略、資本、流動性、資
金調達および収益性、コスト構造、顧客のためのコストおよび信用の利用ならびにさらに広い範囲にわたる経済に影響
し、これがさらに当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
・ その他の国外における進展 : オーストラリアおよびニュージーランド以外の関連法域においてその他の一連の規制上
の進展がみられた。これらには、米国金融規制(ドッド・フランク法に対する法改正およびボルカー・ルール(以下で
定義されている。)の将来の改正を含む。)の変更、シンガポール、香港および英国における上級役員の説明責任につ
いての変更、ブレクジットに関連する英国および欧州法の変更、ヨーロッパにおけるさらなるデータ保護規制の導入、
多くの関連法域における非清算OTCデリバティブの当初証拠金要件のさらなる段階の実施、銀行がEURIBORおよびSIBORの
改正に備えることへの要請ならびに無リスクレートへの移行によるLIBORおよびその他の銀行間オファード・レートの廃
止、が含まれる。
関連法域における当グループによる法律、規則または方針の不遵守は、規制上の調査、法律上もしくは規制上の制裁、財務
損失もしくは評判の喪失、訴訟、罰金、刑罰、当グループが事業を行う能力の制限、関連する規制上の免許の取消し、停止も
しくは条件の変更またはその他の強制執行もしくは行政処分もしくは合意(強制執行可能な約束など)につながる可能性があ
り、これが当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
上記の不遵守が発生すれば、当グループは第三者(集団訴訟手続きによるものを含む。)からの訴訟リスクに晒されること
になる。訴訟(集団訴訟手続きを含む。)の結果により、第三者への補償金の支払いおよび/またはさらなる救済行為につな
がる可能性がある。当グループの訴訟および偶発債務に関する情報については、リスク要因16.「訴訟および偶発債務は当グ
ループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。」および「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類」中の
2019年度の連結財務書類の注記33を参照のこと。
16 .訴訟および偶発債務は当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは、その時々において重大な訴訟、規制措置、法的あるいは仲裁手続きおよびその他の偶発債務の対象となる可
能性があり、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは、2019年9月30日現在、本書の 「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類」中の2019年度の連結財
務書類 の注記33に概要が記載される事項に関する偶発債務を有していた。
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注記33は特に以下の説明を含む。
・ 監督当局および顧客に対するエクスポージャー
・ 銀行手数料訴訟ならびに定期返済に関わる救済およびASICの訴訟
・ ベンチマーク/金利に関する訴訟
・ 資本調達に関する訴訟
・ フランチャイズ加盟店の訴訟
・ 王立委員会
・ 担保回収の訴訟
近年において、当グループでは、規制当局とのやり取りを要する事案件数が増加している。また、とりわけオーストラリア
およびグローバルの両方の金融機関に対し、規制当局による調査および見直しの性質および規模、民事および刑事における執
行活動(訴訟であるか否かを問わず)、公式および非公式の照会、規制当局による監視活動ならびに規制当局による罰金額が
大幅に強化されている。当グループは業界全体に対する見直しおよび当グループ固有の見直しの両方の一環として規制当局か
らの各種通知および情報の請求を受け、勧奨に基づき規制当局に対する開示も行った。これらのやり取りの性質は広範囲にわ
たり、例えば現在のところ責任ある貸付慣行、商品の適合性および流通、利息および手数料ならびにそれらを課す資格の付
与、顧客救済、富裕層への助言、保険の販売、価格設定、競争、金融市場における行為および金融取引、資本市場取引、マ
ネーロンダリング防止および対テロ資金に関する義務、報告および開示義務ならびに商品の開示書類などの一連の事項を含
む。規制当局に対するエクスポージャーに加えて、顧客に対するエクスポージャーも存在する可能性がある。これらにはクラ
ス・アクション、個別請求または顧客救済もしくは補償行為が含まれうる。かかる見直しおよび可能性のあるエクスポー
ジャーの結果および関連する費用の総額は不明である。
偶発債務が予想以上に大きい、あるいは追加的訴訟、規制上措置、訴訟もしくは仲裁手続きまたはその他の偶発債務が生じ
るかもしれないというリスクがある。
17 .マネーロンダリング防止、対テロ資金および制裁に関連する法令違反の場合に多大な罰金および制裁を受ければ、 当グ
ループ のポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
マネーロン ダリング防止(AML)、対テロ資金(CTF)および制裁遵守は、近年、重要な規制上の変更および執行の対象と
なっている。当グループが業務を行う環境が複雑さを増すことによって、これらのオペレーショナル・リスクおよびコンプラ
イアンスのリスクが高まってきている。さらに、国内および世界の双方における金融機関によるコンプライアンス違反の結果
ならびに関連する罰金および和解金額の透明性の向上は、これらのリスクが引き続き当グループが注視する分野であることを
意味する。過去および継続中のALM/CTF法の違反の申し立てに関連してオーストラリア主要銀行の1行に対して2017年に
AUSTRACによる民事上の罰則手続きが開始され、より効果的な規制上の措置を講ずるための違反通知制度が拡充されたことを受
けて、オーストラリアにおいて規制を受ける事業体に対する措置のさらなる強化に向けて、規制のスタンスに変化が起きてい
る。同様に、RBNZは、2019年9月以降においてニュージーランドの2009年マネーロンダリング防止および対テロ資金対策法の
違反に対して正式にな強制執行措置を採る意欲を高めていると述べている。
AML /CTFおよび制裁関連の法律の非遵守リスクは、当グループの規模および複雑性ならびにいくつかの必須の報告要件の透
明性の欠如を考慮すると、引き続き高い。仮想通貨の発行業者/交換業者およびウォレット・プロバイダーならびにフィン
テックやその他のディスラプターを通じたますます複雑化する送金の取決めなどの新興技術により、資金の流れを監視する当
グループの能力が制限される可能性がある。監視プログラムの管理におけるヒューマンエラーおよびテクノロジーの中断は、
当グループによるかかる資金の流れの監視についての法定の報告義務の遵守を妨げる可能性があり、過去には妨げられたこと
があった。資金の流れを報告し、マネーロンダリング、贈賄およびテロ資金調達に対抗し、経済制裁を確実に遵守するための
強固なプログラムを実施できないと、当グループおよびその従業員にとって財務上、法的および評判上深刻な結果を招く可能
性がある。かかる結果には、罰金、刑事上および民事上の罰則、民事訴訟、評判への損害および一定の法域で事業を行うこと
の制限を含む可能性がある。これらの結果によっては、個別または集団的に、当グループのポジションに悪影響が及ぶことも
あり得る。当グループの海外業務により、当グループを規制当局による強化された監視下に 置かれ、法令順守コストが増加す
る可能性がある。
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18 .金融政策の変更は当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
中央金融当局 (RBA、RBNZ、米国連邦準備制度理事会、イングランド銀行および当グループが業務を行うアジアの法域の金融
当局を含む。)はそれぞれ関連法域で通貨および信用の需要に影響を与えるため、政策金利の設定またはその他手段を取って
いる。加えて、法域の一部では、通貨政策も、全般的な事業状況ならびに通貨および信用の需要に影響を与えるために使用さ
れる。これらの手段および政策は、当グループの貸付および投資の資金コスト、ならびに当グループがそれらの貸付および投
資からあげるリターンにかなりの影響を与える可能性がある。これらの要因は当グループの純預貸利鞘に影響を与え、当グ
ループが保有する債券およびヘッジ商品などの金融商品の価値に影響を与える可能性がある。中央金融当局の取る手段および
政策はまた、当グループの借入者に影響を与える可能性があり、借入金返済を履行できないリスクを潜在的に増加させる。
RBA 、RBNZおよび当グループが業務を行う法域のその他の当局を含め、多くの中央金融当局は、政策金利の引き下げを積極的
に行っている。低金利またはマイナス金利は、当グループの利鞘を圧迫し、当グループの収益性および見通しに悪影響を及ぼ
す可能性がある。
かかる政策金利および金融政策の変更を予測することは困難であり、当グループ のポジションに悪影響を与える可能性があ
る。
19 .法令順守コストの増加、(依然進行中である)グローバルな税務報告制度により課される重要な義務に関する罰金の拡大
および継続中の規制当局の審査によるリスクは、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループを含めたすべてのグローバルな金融機関(「FIs」)による米国の外国口座税務コンプライアンス法
(「FATCA」)、OECDの共通報告基準(「CRS」)、およびこれらに類する租税回避対策制度を含むグローバルな税の透明性の
ための報告制度への遵守に関して、強制的かつ大幅な変更が行われており、また規制当局の関心も高まっている。現在の規制
当局の関心にはまた、グローバル税務報告制度の回避を封じ、不遵守を取り締まるための、グローバル税務報告制度およびフ
レームワークの細目の執行および実施が含まれる。
グローバル金融機関として、当グループは、取引量が大きくかつグローバルな相関関係のある業務環境において業務を行っ
ている。このような状況下では、多様なグローバル税務報告制度に基づく義務の性質は高度に複雑かつ厳格であり、このこと
は当グループのオペレーショナル・リスクおよびコンプライアンス・リスクを増加させている。これは、規制当局によるグ
ローバル金融機関(当グループを含む。)への現行の監視の強化、ならびにグローバル金融機関によるコンプライアンス違反
および不遵守に関する罰金の一般的な増加傾向と連動する可能性がある。そのため、グローバル税務報告制度の遵守は引き続
き当グループの主要な関心分野となる。
現在進行しているOECDの相互審査およびその他の規制当局による審査活動は、既存の義務のさらなる延長および拡張のほ
か、不遵守の防止のために罰金制度が確実に十分で適切なものとなるよう各採択国に促すCRSの遵守に向けた一層の取組み強化
という結果をもたらしている。
FATCA およびその他米国財務省の規則に基づき、当グループは以下の影響を受ける可能性がある。
・ 継続中の詳細にわたる義務を適切に履行できない場合、一定金額(顧客に支払われる金額を含む。)に対して30%の源
泉徴収税を課せられ、上位支払者に対して一定の情報を提供するよう求められる可能性があり、また、その他の不利な
影響も受ける可能性がある。。
・ 米国と当グループが業務を行う適用ある法域との間のFATCAに関する政府間協定が失効した場合、広範なコンプライアン
スの問題、重大な源泉徴収に関わるエクスポージャー、競争面での不利な状況およびその他の業務上の影響を受ける可
能性がある。
CRS の下で、当グループは、
・ 太平洋地域などの当グループが事業を行っている発展途上国における課題に直面している。これらの国々の現地規制当
局は一般に「パートナー」国家から支援を受けており、かかるパートナー国家が実施を困難にするような基準を導入す
る可能性がある。
・ 所定の顧客情報の収集または報告の不履行について現地の規制当局により多額の罰金が科されており、現地の法律およ
び規制の実施において国ごとに特有の大きな違いに対処しなければならない。
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・ 規制当局の取り組みの重点がCRSの当初の立ち上げからその効果的な実施へ移ったため、他のFIsと共に、ますます厳格
化する規制当局による監視と措置を受けている。規制当局の関心が強まることにより、影響を受けた顧客に重大な不利
益な体験(一方的な口座の凍結および閉鎖を含む。)がもたらされる、当グループのポジションに悪影響が及ぶ、ま
た、他のFIsが同様のことを履行していない場合には、重大な競争上の不利益を受ける可能性がある。
当グループの規模および複雑性は、他のFIsと同様に、FATCA、CRSおよびその他の税務報告制度への不注意による不遵守を犯
すリスクが高いことを意味している。実施されたプロセスを上手く運用できない場合、当グループおよびその従業員に法律、
財務および評判上の影響が生じる可能性がある。かかる影響には、罰金、刑事上および民事上の制裁、民事上の請求、評判の
毀損、競争上の不利益、事業損失、事業遂行上の制約が含まれる。これらの影響は個別的または集合的に、当グループのポジ
ションに悪影響を及ぼす可能性がある。
20 .いずれかの法域における当グループの営業免許の予期せぬ変更は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性があ
る。
当グループは、様々な国、州および特別地域で営業する免許を取得している。政府、当局または規制省庁により、営業免許
の条件に 対し 、当グループがこれまで許可されていた方法での取引を禁止または制限するような予期できない変更がなされた
場合には、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
内部統制、オペレーショナル・リスクおよびレピュテーション・リスク
21 .オペレーショナル・リスク事象は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
オペレーショナル・リスクは、社内手続き、人員およびシステムの不適切もしくは障害、または外的事象から生ずる損失リ
スクおよび/または法の不遵守に関するリスクである。この定義には法的なリスクならびに社内手続き、人員、および/また
はシステムの不適切もしくは障害から生じる評判の喪失または損害リスクを含むが、戦略的なリスクは含まない。
オペレーショナル・リスク事象には以下が含まれる:
・ 内部不正行為(例えば、従業員または請負業者に関連するもの)
・ 社外の詐欺(例えば、不正なローンの申請またはATMスキミング)
・ 雇用慣行、主要スタッフの喪失、不十分な職場の安全および雇用方針の効果的な実施の失敗
・ 顧客、商品および事業慣行への影響(例えば、顧客データの悪用または反競争的行為)
・ 事業の中断(システムの不具合を含む。)
・ 物的資産への損害
・ 遂行、提供および手続き管理(例えば、手続上の過誤またはデータ管理の失敗)
オペレーショナル・リスク事象による損失は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。かかる損失には罰
金、刑罰、資金 もしく は資産の損失もしくは盗難、訴訟費用、顧客補償、株主価値の喪失、評判の喪失、人命損失もしくは負
傷ならびに資産および/または情報の損失を含む。
22 .レピュテーショナル・リスクに関する事象は、業務上の不履行および規制の不遵守とともに、レピュテーショナル・リス
クを引き起こす可能性があり、これが当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
レピュテーショナル・リスクは、外部の事象または業務上の不履行および規制の不遵守を含む当グループの行為の結果とし
て生じる可能性がある。これらの事象が発生すれば、当グループに対する一般(当グループの顧客を含む。)、株主、投資
家、規制当局または格付機関の認識に悪影響を及ぼす可能性がある。当グループの評判に関するリスク事象の影響は、リスク
事象そのものの直接的なコストを上回る可能性があり、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
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当グループの慣行の一つが社会の期待に応えることができなかった場合、当グループは評判から生じる損害を被る可能性が
ある。これらの期待は適用法に従うために必要な基準を超えて求められることもあるため、当グループは法的義務を果たして
いる場合でも評判による損害を被る可能性がある。社会の期待と当グループの慣行との相違は、商品およびサービスの開示の
慣行、価格設定方針ならびにデータの利用を含め、多くの状況で発生しうる。さらに、当グループの評判は、広範な金融サー
ビス業界に対する社会の認識により悪影響を受ける可能性がある。
また、一定の業務上の不履行および規制の不遵守がレピュテーショナル・リスクを生じさせる可能性がある。かかる業務上
の不履行および規制の不遵守には、以下が挙げられる(ただし、これらに限定されない。)。
・ 身元確認義務の充足に関する不履行
・ 商品の開発に関する新たに発生する不履行
・ 継続中の商品モニタリング活動に関する不履行
・ ターゲット市場外で商品販売を行う際の適合性要件に関する不履行
・ 市場操作または反競争的行為
・ 開示義務の不遵守
・ 不適切な危機管理/危機的事象への対応
・ 不適切な顧客苦情処理
・ 不適切な第三者との取決め
・ プライバシーの侵害、および
・ 不測のリスク(例えば、信用、市場、オペレーショナルまたはコンプライアンス)
当グループの評判に対する損害は、当グループの収益性、規模および資金調達費用、規制当局による監視の強化ならびに新
規事業機会の獲得可能性への悪影響など、広範囲に影響を及ぼす可能性がある。当グループの評判が損なわれる場合、当グ
ループが顧客を引き付け維持する能力もまた悪影響を受ける可能性があり、これは当グループのポジションに悪影響を与える
可能性がある。
23 .行為に関連するリスク事象または行動は、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは、行為に関連するリスクを当グループが事業活動を行うにあたり、消費者の利益、金融市場の一体性および地
域社会の期待を当グループ、従業員または代理人が適切に考慮しないことから生じる損失または損害のリスクとして定義して
いる。
行為に関連するリスクは以下から生ずる可能性がある。
・ 顧客に対する不相応または不適切な助言の提供。
・ 商品もしくはサービスに関する不正確な説明もしくは開示、または顧客に対してリスクおよび利益について十分な情報
を提供しないこと。
・ 条件、開示、提案および/または助言に従った商品の特徴および利益の伝達ができないこと。
・ 利益相反を適切に防止または管理することができないこと。
・ 販売および/または販売促進プロセス(販売促進、販売および/または助言提供に従事するスタッフのインセンティブお
よび報酬を含む。)。
・ 当グループの方針および基準から外れた、信用の供与。
・ 当グループの方針および基準から外れた、金融市場における取引活動
世界的に、また、とりわけオーストラリアおよびニュージーランドにおいて、行為に関連するリスクに対する規制当局およ
び地域社会の関心は増してきている。例えば、当グループは現在、様々な顧客救済プログラムを実施しており、そのうちのい
くつかはこれまでの見直しから特定された行為に関する問題に関連しており、これらの見直しは継続されている。行為に関連
するリスク事象は、当グループに対して、規制当局の措置、銀行業免許の制限もしくは条件および/または評判への影響をもた
らすこともあり、それにより当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。救済プログラムが適切に実施されない、
またはさらなる救済業務が必要となる可能性があり、これが訴訟、規制上の措置および/または当グループの費用の増加を招
き、これらのすべてが当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
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行為に関連するリスクに対する規制上の関心の高まりについての詳細は、リスク要因15.「規制の変更または法律、規則も
しくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」およびリスク要因16.「訴訟
および偶発債務は当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。」を参照のこと。
24 .ITシステムの混乱、あるいは新規技術システムの実施の失敗は、当グループの事業を大いに妨害する可能性があり、こ
れは当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グルー プの日々の活動およびそのサービスの提供(デジタル・バンキングを含む。)は情報技術(IT)システムに大き
く依存している。そのため、ITシステムまたは当グループが使用もしくは依存するサービスが混乱または利用不可となった
場合には、当グループが顧客のバンキング業務の要求に応えられない、および/またはコンプライアンス義務および規制当局
の期待に応えられないリスクが存在する。
ITシステムに対する脅威は進展し続けており、サイバー上の脅威および攻撃リスクは高まっている。攻撃に使用される技
術は高度に複雑化され、また、攻撃を続ける者は十分な資金力を持っている可能性があるため、当グループはサイバー上の脅
威に起因する混乱を防止または最小化する効果的な措置を予想または実行できない可能性がある。
当グループは、ITシステムを維持し、通貨や情報のセキュリティ・レジリエンスを確保し、ビジネス能力および当グルー
プの顧客向けデジタル・バンキング・サービスを強化する責任を継続的に負う。当グループがこれらを効果的に実施したり、
かかる責任を効率的に遂行できないこともあり、そのために費用の増加や規制要件遵守の遅延、不安定または安全でないシス
テム、あるいは当グループの顧客に対するサービス能力の減退を招く可能性があり、これが当グループのポジションに悪影響
を及ぼすことがあり得る。
さらに、ANZニュージーランドは多くのITシステムの供給について当グループに依存している。当グループのシステムにお
ける不備が直接ANZニュージ ーランドに影響を及ぼし、これがさらに当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
25 .サイバー攻撃を含む情報 セキュリティ に関連するリスクは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
情報セキ ュリティとは、情報および技術システムを機密性、整合性または可用性の中断から守ることを意味する。銀行とし
て、当グループは、オーストラリア、ニュージーランド、インド、アメリカ合衆国、ヨーロッパ、シンガポールおよび中国を
含め、その顧客およびその内部業務について相当な量の個人情報および機密情報を扱う。かかる情報は、内部および第三者の
ホスト環境の双方において処理および保存されるため、情報を確実に保護するために当グループおよび第三者および関係者に
よりセキュリティ管理が効果的に行われる必要がある。
当グループは多数の国で業務を行い、例えば政治的脅威またはテロリストもしくは犯罪組織による標的型サイバー攻撃が増
大している一部の国においては、当グループのシステムに対するリスクは本質的により高くなる。
当グループは、高度な持続的脅威、分散型サービス妨害、マルウェア(破壊工作ソフト)攻撃およびランサムウェアなどの
サイバー攻撃の脅威が絶え間なく進展し、より洗練され、増加していることを認識している。当グループのサイバーセキュリ
ティの方針、手続きまたは管理において不備があった場合は、多額の財務的損失、重大な事業の混乱、顧客サービス提供能力
の欠如、またはデータその他の機密情報の喪失(機能停止によるものを含む。)を招き、これらに関連した評判から生じる損
害をもたらす可能性がある。これらの要因のいずれも、コストの増加(顧客への通知または補償に関するコストを含む。)に
つながり、規制当局の調査もしくは制裁の発動の対象となる、または当グループが顧客を維持および引き付ける能力に影響を
及ぼす可能性があり、結果として当グループのポジションに悪影響が及ぶことがあり得る。
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環境関連リスク、ソーシャル・リスクおよびガバナンス・リスク
26 .当グループのリスク管理の枠組みによりすべての既存のリスクを適切に管理する、または新たに発生したリスクを十分に
素早く検知することができない場合は、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
リスク管理は、すべての当グループの活動にとって不可欠のものであり、当グループのリスク選好の特定および監視ならび
に当グループのリスク・エクスポージャーおよび特定された管理の有効性に関する報告を含む。しかしながら、当グループの
リスク管理の枠組みは、既存のリスクまたは当グループが予想もしくは識別しなかった新たなリスクを含むすべての事例にお
いて効果的に機能する保証はなく、これらに対する管理が有効でない可能性がある。リスクを効果的に管理することができな
い場合、当グループの評判または規制上の義務の遵守に悪影響が及ぶ可能性がある。
また、当グループのリスク管理の枠組みの有効性は、適正な報酬体系により支えられる健全なリスク管理の文化の確立およ
び維持にも関連している。報酬体系が有効に策定または実施されていない場合、当グループのリスクの文化および当グループ
のリスク管理の枠組みの有効性に悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは、継続的にリスク管理の枠組みの改善に取り組んでいる。当グループは、そのリスク管理方針の遂行および定
期的な見直しを行い、リスク(コンダクト・リスクを含む。)の管理および軽減のため追加資金を組織内で配分する。しかし
ながら、かかる取組みによって当グループにおける将来の不正の発生を防げない可能性もあり、当グループのリスク管理の枠
組みが効果的であるという保証はできない。当グループのリスク管理プロセスまたはリスクガバナンスにおける不備により、
当グループが不測の損失および評判の低下を被る、および規制上の義務を遵守できない可能性があり、このことが当グループ
のポジションに悪影響を与える可能性がある。
27 .直接または間接に気候変動リスクの影響を受けることがある顧客向けの貸付に伴うリスクは当グループのポジションに悪
影響を及ぼす可能性がある。
気候変動に関するリスクは、規制上、政治的および社会的に注目が高まっている。気候変動リスクを予測に基づいて当グ
ループのリスク管理の枠組みに組み込み、気候変動および低炭素経済への移行により生じたリスクと機会の双方の対応に向け
た当グループの業務および事業戦略を採用することは、当グループに重大な影響を与える可能性がある。
当グループにとって最も重大な気候変動リスクは、その企業およびリテールの顧客に対する貸付に起因するもので、顧客が
債務を返済できないもしくは履行を拒否するまたは担保の価値および流動性が影響を受ける結果発生した信用関連の損失を含
めることができる。
顧客の信用関連の問題を通じた当グループのリスクは、直接に気候関連事象により、および間接に法律、規制またはカーボ
ンプライシング(炭素価格付け)および気候リスク適応策または軽減策などのその他の政策の変更により発生することがあ
り、これらは顧客のサプライ・チェーンまたはかかる顧客自身の購買力に影響する可能性がある。これが顧客が債務を返済で
きないまたは履行を拒否することにより生じた信用関連の損失をもたらし、それにより当グループのポジションが悪影響を受
ける可能性がある。
28 .将来の気候関連事象、地質学的事象、植物、動物および人間の疾病ならびにその他外因性事象の影響は、当グループのポ
ジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループおよびその 顧客は、気候関連事象に晒されている。これら事象には、暴風雨、旱魃、火災、サイクロン、ハリ
ケーン、洪水および海面水位上昇が含まれる。当グループおよびその顧客はまた、地質学的事象(火山地震活動または津波を
含む。)、植物、動物および人間の疾病もしくは世界的な流行病などのその他の事象にも晒される可能性がある。
その深刻さによっては、これらの事象はANZの支店もしくはビジネスセンターなどの一部地域のサービスまたは当グループの
サービスの提供を一時的に中断または制限する可能性があり、また当グループの財務状態または顧客に対する信用ファシリ
ティに関連する当グループの担保状況に悪影響を与える可能性もあり、これがさらに当グループのポジションに悪影響を与え
る可能性がある。
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3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
以下は、2018年10月1日から2019年9月30日までの年度に関するANZの「連結財務報告および配当宣言」(「経営成績発
表」)および「第6 経理の状況-1 財務書類」に記載の2019年度財務書類から抜粋した情報に基づいている。注釈および
参照のいくつかは、本報告書の規定の形式との整合性をとるために、省略、修正されている。
A . 当年度の経営成績の要説
(1) 会計基準の適用
当グループは、2019年9月終了年度中にAASB第9号「金融商品」およびAASB第15号「顧客との契約から生じる収益」の2つ
の新しい会計基準を採用した。
・ AASB第9号-当グループは、2018年10月1日より金融資産の減損について予想信用損失法を導入し、一定の金融資産の
分類および測定も変更した。その結果、当グループは期首利益剰余金を通じて貸倒引当金を8億1,300万ドル増加させ
た。比較情報は修正再表示されていない。
・ AASB第15号-この会計基準の適用の主な影響は、以前には相殺されていた一定の項目が営業収入と営業費用に総額で表
示されるようになったことである。2018年度の比較情報は修正再表示され、その結果、営業収入総額は1億5,300万ドル
増加し、また営業費用総額でも同額の増加があった。
上記に係る主な要件および影響についての詳細は、「第6 経理の状況‐1 財務書類-(1)連結財務書類」の2019年度連結財
務書類の注記1および注記35を参照のこと。
(2) IFRSに準拠していない情報
法定利益は、オーストラリア会計基準の認識および測定の要件に従って算定されており、この基準は国際財務報告基準
(IFRS)に準拠している。当グループは、連結財務報告および配当宣言の中で、会計基準とは別の基準で作成された追加の業
績指標を提供している。この情報を提示する際、ASICの規制ガイド230において提供された指針に従う。
現金 利益
IFRS に準拠していない指標である現金利益は、当グループの中核的事業活動に関する業績のANZが推奨する指標を示すもので
あり、過去の期間および同業他社と比較した当グループおよび部門の業績を読者が評価できるようにしている。現金利益を導
くための調整項目は法定利益に含まれ、2019年度のANZ年次財務書類の外部監査人による監査において取り扱われる範囲で監査
対象となる。現金利益は外部監査人による監査の対象ではない。外部監査人は、各表示期間を通じて一貫した基準で現金利益
の調整が決定されている旨を監査委員会に通知している。
・ 法定利益と現金利益の調整
当グループは、法定利益から非中核項目を除外して現金利益を計算している。法定利益と現金利益の調整については、下記
「D.利益の調整」を参照のこと。
・ 現金利益の重大/重要項目
当グループの継続事業による現金利益には、重大/重要項目と総称される多くの項目が含まれる。これらの項目は現金利益
の一部を形成するが、その性質および影響の大きさゆえ、提供される関連比較情報において透明性を確保し比較を容易にする
ため個別的に表示されている。重大/重要項目の詳細については、「B.当グループの業績-(1)現金利益-重大/重要項目-
継続事業」を参照のこと。
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(3) 非継続事業
売却中の富裕層オーストラリア事業の財務実績ならびに関連する当グループにおける再分類および連結の影響は、財務報告
の観点からは非継続事業として扱われている。これらの事業は主要な事業ラインに当たり、売却目的保有資産および負債の一
部である非継続事業の要件をみたしている。
当グループの損益計算書および包括利益計算書は、非継続事業を継続事業から切り分けて「非継続事業による利益/(損
失)」の勘定項目で表示している。
・ IOOFホールディングス・リミテッド(「IOOF」)の売却
2017 年10月17日に当グループは、OnePathの年金および投資事業(「OnePath P&I」)ならびに関連ディーラー・グループ事
業(「ADG」)のIOOFへの売却の合意を発表した。ADG事業の売却は、2018年10月1日に完了した。2019年10月17日に当グルー
プは、OnePath P&IおよびADGのIOOFへの売却価格の修正に関する合意を発表し、売却価格を2017年10月に公表した当初の9億
7,500万ドルから1億2,500万ドル引き下げて8億5,000万ドルとした。新価格である8億5,000万ドルには、ADGの売却について
すでにANZが2018年10月に受領していた約2,500万ドルが含まれる。条件の修正は市況の変動を反映しており、全体的な保証上
限の引下げや、戦略的な提携契約の一部変更が盛り込まれている。 2019 年12月9日に当グループは更新した情報の中で、
OnePath P&I事業のIOOFへの売却がAPRAにより承認されたことを認めた。 この取引は暦年の2020年第1四半期に完了する見込み
である。価格引き下げによる影響は、2019年度 財務成績に反映されている 。
・ チューリッヒ・フィナンシャル・サービシズ・オーストラリア(「チューリッヒ」)の売却
2017 年12月12日、ANZは、生命保険事業をチューリッヒに売却することに合意したと発表し、2018年10月10日に規制上の承認
を得た。この取引は、 2019 年5月31日に完了した。
「非継続事業による損失」には以下が含まれる。
・ 2019年度に認識された2,300万ドルの損失(税引後損失8,100万ドル)。これは、売却に関連する調整および償却、
チューリッヒに売却した保険契約債務の再評価に伴う累積的な現金利益調整額の戻入に起因するが、それまで株式準
備金に繰り延べていた利益の売却完了時におけるリサイクリングにより一部相殺された。2018年9月終了年度に、富
裕層オーストラリアの非継続事業を売却目的保有へ再分類した際、6億3,200万ドルの損失(税引前および税引後)が
認識された。
・ 顧客への返金予定および関連する救済費用に対する引当金を含む顧客救済。これは、不適切な助言または年金および
投資ならびに生命保険事業で提供されなかったサービスに関係する。
年度
2019 年 2018 年
9月 終了 9月 終了
(百万ドル)
顧客救済(税引前) 241 181
顧客救済(税引後) 207 127
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(4) 継続事業
部門別業績
部門別経営成績の表示は、2019年9月終了年度中の多くの手法および組織構造の変更による影響を受けている。前期間にお
ける比較情報は、以下のとおり修正再表示されている。
・ 資本に基づき事業ユニットレベルの損益を配賦する手法は、経済資本ベースから規制資本ベースに変更された。この変更
は、グループレベルでは相違はないが、部門レベルでの純利息収益に影響を及ぼした。
・ アジアリテールおよび富裕層事業の残留事業は、旧アジアリテールおよび太平洋部門からTSOおよびグループ・センターに
編入された。旧アジアリテールおよび太平洋部門の残りの部分は、パシフィック部門に改称された。
・ 以前に富裕層オーストラリア部門の継続事業の一部であったANZのレンダーズ・モーゲージ保険、シェア・インベスティン
グ、損害保険の販売およびフィナンシャル・プランニング事業は、オーストラリア・リテールおよび商業部門(旧称:
オーストラリア部門)の一部となり、継続事業としての富裕層オーストラリアは存在しなくなった。
上記以外は、部門別業績に影響を与える重要な変更はない。
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B . 当グループの業績
(1) 現金利益
当グループの業績のセクションは、別段の記載がない限り、継続事業の現金利益ベースで報告されている。非継続事業に関
する詳細については、「A.当年度の経営成績の要説」を参照のこと。
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル)
当行株主に帰属する継続事業による法定利益 6,296 7,095 -11 %
(1)
法定利益と現金利益の調整
保険契約債務の再評価 77 (14) 大
経済ヘッジ 118 (248) 大
収益および費用ヘッジ (19) ( 9 ) 大
ストラクチャード・クレジット仲介取引 (2) (4) -50 %
上海農村商業銀行の 売却 - (333) -100 %
継続事業による法定利益と現金利益の調整合計 174 (608) 大
継続事業による現金利益 6,470 6,487 0 %
注:(1) 法定利益と現金利益の調整の分析は、下記「D.利益の調整」を参照のこと。
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当グループの業績-現金利益
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル)
純利息収益 14,339 14,514 -1 %
その他営業収入 4,690 4,853 -3 %
営業収入 19,029 19,367 -2 %
営業費用 (9,071) (9,401) -4 %
貸倒引当金繰入および法人税控除前利益 9,958 9,966 0 %
貸倒引当金繰入 (795) (688) 16 %
税引前利益 9,163 9,278 -1 %
法人税 (2,678) (2,775) -3 %
非支配持分 (15) (16) -6 %
継続事業による現金利益 6,470 6,487 0 %
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
部門別現金利益/(損失) ( 百万ドル)
オーストラリア・リテールおよび商業 3,195 3,626 -12 %
法人 1,828 1,480 24 %
ニュージーランド 1,399 1,521 -8 %
パシフィック 59 72 -18 %
TSO およびグループ・センター (11) (212) -95 %
継続事業による現金利益 6,470 6,487 0 %
重大/重要項目-継続事業
継続事業による現金利益に含まれる重大/重要項目について、以下に説明する。
売却事業の影響(継続事業)
当グループは、より簡素で、より資本が充実し、よりバランスがとれ、より機動的な銀行を作り上げるという当グループの
戦略に沿って、以下の事業売却を発表した。これらの売却事業は会計基準の下で非継続事業としての要件をみたさないため、
継続事業の一部となる。これらの売却事業の財務的影響は、売却完了済み事業の事業損益を含め、以下のとおり要約される。
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売却済み事業の
事業売却による
(1)
事業損益
売却益/(損)
年度
2019 年 2018 年 2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 9月終了 9月終了
現金利益の影響
( 百万ドル )
アジアリテールおよび富裕層事業 - 99 - 30
上海農村商業銀行 - 2 - -
UDC ファイナンス - 11 - -
メトロバンク・カード・コーポレーション - 240 - 10
ペイマーク 37 - ▶ 5
カンボジア合弁会社 10 (42) 31 40
OnePath ライフNZリミテッド 204 (3) 14 90
パプアニューギニアのリテール、商業
および中小企業向け事業 1 (19) 9 10
税引前利益 /(損失) 252 288 58 185
法人税 ベネフィット/(費用)および
非支配持分 ( 47 ) (97) (2 6 ) (59)
継続事業による 現金利益 /(損失) 205 191 32 126
・ アジアリテールおよび富裕層事業
2017 年 、当グループは、シンガポール、香港、中国、台湾およびインドネシアにおけるリテールおよび富裕層事業のシン
ガポールのDBSバンクへの売却を完了した。また当グループは、2018年9月終了度中にベトナムにおけるリテール事業の新韓
ベトナム銀行への売却を完了し、9,900万ドルの利益(売却関連費用を控除後)を認識した。
・ 上海農村商業銀行(SRCB)
2017 年 1月3日、当グループは、当グループが保有する上海農村商業銀行(「SRCB」)の20%の株式の売却に合意したこ
とを発表した。この売却は2018年9月終了年度に完了した。
・ UDCファイナンス(「UDC」)
2017 年 1月11日、当グループは、当グループがUDCをHNAグループ(「HNA」)に売却する条件付きの契約を締結したことを
発表した。2017年12月21日、当グループはニュージーランドの海外投資局がHNAによるUDC買収の申請を承認しなかった旨の
連絡を受け、HNAとの契約は2018年1月に解消され、解約された取引プロセスに関連して費用の回収1,800万ドルが認識され
た。2018年9月半期に700万ドルの取引費用が当グループで発生した。2018年9月30日現在、UDCの資産および負債は売却目
的保有に分類されていない。
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・ メトロバンク・カード・コーポレーション(「MCC」)
2017 年 10月18日、当グループは、当グループがフィリピンに本拠を置くメトロバンク・カード・コーポレーション
(「MCC」)における40%持分を、合弁パートナーであるメトロポリタン・バンク・アンド・トラスト・カンパニー(「メト
ロバンク」)に売却する契約を締結した旨を発表した。当グループは、その40%持分を等分した2回に分けて、2018年の1
月と9月に売却した。2018年9月終了年度に、当グループは純売却益2億4,000万ドルと配当金1,000万ドルを認識した。
・ ペイマーク・リミテッド(「ペイマーク」)
2018 年 1月17日、当グループは、ペイマーク・リミテッドの25%の持分をインジェニコ・グループに売却する契約を締結
した。取引は2019年1月11日に完了した。当グループは2019年3月半期に3,700万ドルの売却益(純額)を認識した。
・ ANZロイヤル・バンク(カンボジア)リミテッド(「カンボジア合弁会社」)
2018 年 5月17日、当グループはカンボジア合弁会社における55%持分を、東京証券取引所に上場している日本の多角的金
融持株会社であるJトラスト株式会社に売却する合意に達した旨を発表した。2018年9月終了年度に、当グループは資産お
よび負債の売却目的保有への再分類に係る4,200万ドルの損失を認識した。この取引は2019年8月19日に完了し、売却益
1,000万ドル(為替換算準備金からの繰入3,000万ドルが、売却完了に伴う配当源泉徴収税1,700万ドルおよび2019年9月半期
における資産の減損処理費用300万ドルにより一部相殺された。)を認識した。
・ OnePathライフNZリミテッド(「OPL NZ」)
2018 年 5月30日、当グループはOnePathライフNZリミテッドをシグナ・コーポレーションに売却することで合意したことを
発表した。この取引は2018年11月30日に完了し、当グループは、2019年3月半期に1億9,700万ドルの売却益(純額)(内訳
は販売済みの保険契約債務の再評価に伴う累積的な現金利益の調整の戻入に係る利益1億1,500万ドル、売却益5,600万ドル
および為替換算準備金からの繰入2,600万ドル)、および2019年9月半期に700万ドルの引当金の戻入を認識した。
・ パプアニューギニアのリテール、商業および中小企業向け事業(「パプアニューギニアのリテール、商業およびSME事
業」)
2018 年 6月25日、当グループはパプアニューギニアにおけるリテール、商業およびSME向けのバンキング事業をキナ・バン
クに売却する契約を締結したことを発表した。2018年9月終了年度に、当グループは資産および負債の売却目的保有への再
分類に関連して1,900万ドルの損失を認識した。この取引は2019年9月23日に完了し、当グループは100万ドルの利益(売却
関連費用を控除後)を認識した。
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その他の重大/重要項目-継続事業
・ 顧客救済
顧客救済には、顧客への返金予定額に対する引当金、救済プロジェクト費用、ならびに顧客および規制に関する請求、罰
金および訴訟結果が含まれる。
2019 年9月終了年度において、5億8,500万ドル(2018年9月終了年度:4億1,900万ドル)の顧客救済費用が認識され
た。このうち、2億1,200万ドル(2018年9月終了年度:2億2,800万ドル)は営業収入に影響を及ぼす顧客救済に関連し、
3億7,300万ドル(2018年9月終了年度:1億9,100万ドル)は営業費用に影響を及ぼす顧客救済に関連している。
・ ソフトウェアの加速償却
2018 年 9月終了年度に当グループは、主に法人部門に関連した特定のソフトウェア資産の加速償却を行った。これは、事
業売却に照らして国際事業を見直したことに伴うものである。2018年9月終了年度に、2億5,100万ドルの加速償却費が計上
された。
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・ 王立委員会への対応に係る法務費用
2019 年9月終了年度の王立委員会への対応に関連する外部法務費用は1,500万ドル(2018年9月終了年度:5,500万ドル)
であった。
・ 組織再編費用
当グループは、主に当期に公表した当グループの営業力向上(イネーブルメント)活動の改編に関連して、2019年9月終
了年度に7,700万ドル(2018年9月終了年度:2億2,700万ドル)の組織再編費用を認識した。前期については、主に2018年
9月終了年度のオーストラリア・リテールおよび商業部門およびテクノロジー機能の機動的な業務手法への移行に関連する
ものであった。
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現金利益実績
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
重大/
重要項目
2019 年 重大/ 2018 年
重大/重要 重大/重要 重大/重要
(1)
9月終了 重要項目 項目を除く 9月終了 項目を除く 項目を除く
(単位:百万ドル)
純利息収益 14,339 (91) 14,430 14,514 7 14,507 -1%
その他営業収入 4,690 234 4,456 4,853 380 4,473 0%
営業収入 19,029 143 18,886 19,367 387 18,980 0%
営業費用 (9,071) (509) (8,562) (9,401) (838) (8,563) 0%
貸倒引当金繰入および法人
税控除前利益 9,958 (366) 10,324 9,966 (451) 10,417 -1%
貸倒引当金繰入 (795) (1) (794) (688) (28) (660) 20%
税引前利益/(損失) 9,163 (367) 9,530 9,278 (479) 9,757 -2%
法人税ベネフィット/
(費用)および非支配持分 (2,693) 65 (2,758) (2,791) 98 (2,889) -5%
継続事業による現金利益/
(損失) 6,470 (302) 6,772 6,487 (381) 6,868 -1%
部門別現金利益/(損失)
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
重大/
重要項目
2019 年 重大/ 2018 年
重大/重要 重大/重要 重大/重要
(1)
9月終了 重要項目 項目を除く 9月終了 項目を除く 項目を除く
(単位:百万ドル)
オーストラリア・
-
リテールおよび商業 3,195 (386) 3,581 3,626 (366) 3,992 -10%
法人 1,828 (24) 1,852 1,480 (186) 1,666 11%
ニュージーランド 1,399 (44) 1,443 1,521 56 1,465 -2%
パシフィック 59 (14) 73 72 - 72 1%
TSO およびグループ・
(2)
(11) 166 (177) (212) 115 (327) -46%
センター
継続事業による現金利益/
(損失) 6,470 (302) 6,772 6,487 (381) 6,868 -1%
注:(1) 2019年9月終了年度に含まれている重大/重要項目について、比較情報は適宜修正再表示されている。
(2) TSO およびグループ・センターには、事業売却による売却益/(損)が含まれる。また、売却完了済みのペイマーク、
MCCならびにアジアリテールおよび富裕層事業の事業損益も含まれる。
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継続事業による現金利益において、当グループはいくつかの重大/重要項目を認識した。下表は重大/重要項目を示して
いる。
2019 年9月終了年度
継続事業による現金利益に含まれる重大/重要項目
王立委員会へ
売却事業の
売却事業の
の対応に係る 組織再編
売却益/
(1)
(損) 顧客救済 法務費用 費用 合計
業績
現金利益
純利息収益 - 50 (141) - - (91)
その他営業収入 252 53 (71) - - 234
営業収入 252 103 (212) - - 143
営業費用 - (44) (373) (15) (77) (509)
貸倒引当金繰入および
法人税控除前利益 252 59 (585) (15) (77) (366)
貸倒引当金繰入 - (1) - - - (1)
税引前利益 252 58 (585) (15) (77) (367)
法人税ベネフィット/
(費用)および非支配持分 (47) (26) 110 5 23 65
継続事業による現金利益 205 32 (475) (10) (54) (302)
2018 年9月終了年度
継続事業による現金利益に含まれる重大/重要項目
ソフト 王立
売却事業の
売却事業の
ウェアの 委員会 組織再編
売却益/
(1)
(損) 顧客救済 加速償却 法務費用 費用 合計
業績
(単位:百万ドル)
現金利益
純利息収益 - 112 (105) - - - 7
その他営業収入 298 205 (123) - - - 380
営業収入 298 317 (228) - - - 387
営業費用 (10) (104) (191) (251) (55) (227) (838)
貸倒引当金繰入および
法人税控除前利益 288 213 (419) (251) (55) (227) (451)
貸倒引当金繰入 - (28) - - - - (28)
税引前利益 288 185 (419) (251) (55) (227) (479)
法人税ベネフィット/
(費用)および非支配持分 (97) (59) 124 45 17 68 98
継続事業による現金利益 191 126 (295) (206) (38) (159) (381)
注:(1) 売却事業の業績においては、2019年9月終了年度に含まれている重大/重要項目について、比較情報は適宜修正再表
示されている。
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継続事業による現金利益において、当グループはいくつかの重大/重要項目を認識した。下表は、これらの項目の部門別
実績に対する影響を示している。
2019 年9月終了年度
継続事業による現金利益に含まれる重大/重要項目
王立
売却事業の
売却事業の
委員会 組織再編
売却益/
(2)
(損) 顧客救済 法務費用 費用 合計
業績
(単位:百万ドル)
税引前利益
オーストラリア・
リテールおよび商業 - - (447) - (20) (467)
法人 - 46 (49) - (16) (19)
ニュージーランド - 20 (75) - (8) (63)
パシフィック - - (14) - - (14)
TSO およびグループ・
(3)
252 (8) - (15) (33) 196
センター
税引前利益 252 58 (585) (15) (77) (367)
法人税ベネフィット/
(費用)および非支配持分 (47) (26) 110 5 23 65
継続事業による現金利益 205 32 (475) (10) (54) (302)
(1)
2018 年 9月終了年度
継続事業による現金利益に含まれる重大/重要項目
ソフト 王立
売却事業の
売却事業の
ウェアの 委員会 組織再編
売却益/
(2)
(損) 顧客救済 加速償却 法務費用 費用 合計
業績
(単位:百万ドル)
税引前利益
オーストラリア・
リテールおよび商業 - - (385) (29) - (111) (525)
法人 - 54 (7) (222) - (25) (200)
ニュージーランド - 109 (27) - - (9) 73
パシフィック - - - - - - -
TSO およびグループ・
(3)
288 22 - - (55) (82) 173
センター
税引前利益 288 185 (419) (251) (55) (227) (479)
法人税ベネフィット/
(費用)および非支配持分 (97) (59) 124 45 17 68 98
継続事業による現金利益 191 126 (295) (206) (38) (159) (381)
注:(1) 2019年9月終了年度に含まれている重大/重要項目について、比較情報は適宜修正再表示されている。
(2) 売却完了済み事業の事業損益に関連している。
(3) TSO およびグループ・センターには、事業売却による売却益/(損)が含まれている。売却完了済みのペイマーク、
MCCおよびアジアリテールおよび富裕層事業の事業損益も含まれる。
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(2) 当グループの業績-継続事業
当グループ現金利益 - 2019年9月終了年度対2018年9月終了年度
継続事業による現金利益は、2018年9月終了年度に比べ、1,700万ドル(0%)減少した。為替換算の変動を除く場合、現金
利益は5,400万ドル(-1%)の減少であった。
・ 純利息収益は、1億7,500万ドル(-1%)減少した。これは主に、金利の低下および競争圧力による純預貸利鞘の縮小
11ベーシス・ポイントによるもので、利付資産平均残高の5%の増加により一部相殺された。純預貸利鞘の縮小は、
マーケッツにおける低マージンのバランスシート取引の増加、法人事業の比例的増加、オーストラリアにおける顧客の
元利払いの住宅ローンへの変更、預金マージンの低下および資本に対する収益の低下を反映しているが、住宅ローンの
金利再設定の影響により一部相殺された。利付資産平均残高の増加は、法人部門におけるバンキング・ポートフォリオ
の拡大およびニュージーランド部門における住宅ローンの成長を反映している。重要な増減の詳細については「(3)純利
息収益-継続事業」を参照のこと。
・ その他営業収入は1億6,300万ドル(-3%)減少した。これは主に、事業売却の影響(純額)の1億9,800万ドル、受取
手数料(純額)の1億2,000万ドルの減少ならびに外貨建て収益源に対する経済ヘッジに係る実現損失(当グループの他
通貨における有利な為替換算を相殺する。)およびレンダーズ・モーゲージ保険事業による収益の減少に起因するその
他の収益の1億3,000万ドルの減少によるものであった。これは、マーケッツにおけるその他営業収入の1億5,400万ド
ルの増加、関連会社投資の持分利益の7,900万ドルの増加およびその他営業収入における顧客救済費用の5,200万ドルの
減少により一部相殺された。主な増減の詳細については「(4)その他営業収入-継続事業」を参照のこと。
・ 営業費用は3億3,000万ドル(-4%)減少した。これは主に、前期におけるソフトウェア加速償却費(2億5,100万ド
ル)との対比、組織再編費用の減少(1億5,000万ドル)、OnePathライフ(ニュージーランド)ならびにアジアリテー
ルおよび富裕層事業の売却に伴う費用の減少(6,000万ドル)、王立委員会への対応に係る法務費用の減少(4,000万ド
ル)、ならびにFTEの削減によるものであった。この減少は、営業費用における顧客救済費用の増加(1億8,200万ド
ル)、インフレ、為替換算による影響およびニュージーランドでの規制遵守に係る支出により、一部相殺された。主な
増減の詳細については「(5)営業費用-継続事業」を参照のこと。
・ 貸倒引当金繰入は主に、前期において一時的なエコノミック・オーバーレイの一部戻入および大口顧客の格上げの増加
により利益が得られた結果、一括評価貸倒引当金繰入が増加したことが主因となり、1億700万ドル(+16%)増加し
た。重要な増減の詳細については、「(7)信用リスク-継続事業」を参照のこと。
重大/重要項目を除いた場合、現金利益は9,600万ドル(-1%)減少した。
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(3) 純利息収益-継続事業
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
当グループ ( 百万ドル)
(1)
現金純利息収益
14,339 14,514 -1 %
(2)
利付資産平均残高
813,219 774,883 5 %
(2)
預金およびその他の借入金の平均残高
639,144 617,008 ▶ %
-11 bps
純預貸利鞘(%)-現金 1.76 1.87
当グループ(マーケッツ事業ユニットを除く)
(1)(3)
現金純利息収益
13,848 13,856 0 %
(2)
利付資産平均残高
565,282 544,211 ▶ %
(2)
預金およびその他の借入金の平均残高
460,884 456,442 1 %
(3)
-10 bps
純預貸利鞘(%)-現金 2.45 2.55
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 1 )
主要部門別現金利益純預貸利鞘
( 百万ドル)
オーストラリア・リテールおよび商業
(3)
-10 bps
純預貸利鞘(%)-現金
2.59 2.69
利付資産平均残高 311,944 314,048 -1 %
預金およびその他の借入金の平均残高 203,781 202,884 0 %
法人
(3)
-6 bps
純預貸利鞘 (%)-現金
0.82 0.88
(2)
利付資産平均残高
373,926 341,525 9 %
(2)
預金およびその他の借入金の平均残高
286,372 263,742 9 %
ニュージーランド
(3)
-9 bps
純預貸利鞘 (%)-現金
2.33 2.42
(2)
利付資産平均残高
117,461 109,554 7 %
(2)
預金およびその他の借入金の平均残高
86,608 80,444 8 %
注:(1) 2019年9月終了年度には-9,100万ドル(2018年9月終了年度:700万ドル)の重大/重要項目が含まれている。重大/
重要項目の詳細については、「(1)現金利益-重大/重要項目-継続事業」を参照のこと。また、2019年9月終了年度
の大手銀行税-3億6,300万ドル(2018年9月終了年度:-3億5,500万ドル)が含まれている。
(2) 平均の貸借対照表の金額には、継続事業から売却目的保有に再分類された資産および負債が含まれる。
(3) 2019 年 3月半期に、資本に基づき事業ユニットレベルの損益を配賦する手法が、経済資本ベースから規制資本ベース
に変更された。この変更は、グループレベルでは相違はないが、部門レベルでの純利息収益に影響を及ぼしており、
比較情報は適宜修正再表示されている。
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当グループ純預貸利鞘 - 2019年9月終了年度対2018年9月終了年度
注:(1) マーケッツのバランスシート取引は、裁量的流動資産およびその他のバランスシート取引の影響を含む。
純預貸利鞘(-11ベーシス・ポイント)
・ 資産構成および資金調達構成(-4ベーシス・ポイント):オーストラリア・リテールおよび商業部門における顧客の
利息のみ支払う住宅ローンから元利払いの住宅ローンへの変更およびニュージーランド部門における顧客の変動金利
住宅ローンから固定金利住宅ローンへの変更による資産構成上不利な影響、ならびに法人部門における貸付の割合の
上昇による資産構成の不利な影響。
・ ホールセール資金調達(0ベーシス・ポイント):ベーシスリスクおよびホールセール資金調達スプレッドに大きな
変動はなかった。
・ 預金評価(-1ベーシス・ポイント):金利の低下、ならびにオーストラリア・リテールおよび商業部門ならびに
ニュージーランド部門における競争によるマージンの低下。2019年3月半期中の法人部門における預金マージンの改
善は、2019年9月半期の利下げにより相殺された。
・ 資産の価格設定(+2ベーシス・ポイント):オーストラリア・リテールおよび商業部門における住宅ローンの金利再
設定の影響。これはすべての部門における競争の激化により一部相殺された。
・ トレジャリー(-2ベーシス・ポイント):低金利環境を反映した資本収益の減少。
・ マーケッツのバランスシート取引(-5ベーシス・ポイント):マーケッツにおける低マージンのバランスシート取引
の増加および利回り曲線の平坦化による影響。
・ 重大/重要項目(-1ベーシス・ポイント):顧客救済の増加および事業売却の影響。
利付資産平均残高(+383億ドルすなわち+5%)
・ 正味貸付金および前渡金の平均残高(+209 億ドルすなわち+4%) :主に法人部門の 貸付の増加、 ニュージーランド部
門の住宅ローンの伸長および為替換算の変動による増加。
・ 売買目的有価証券および投資有価証券/売却可能資産の平均残高(+58億ドルすなわち+5%):主にマーケッツにお
ける流動資産の増加および為替換算変動の影響に牽引された増加。これは、売買目的有価証券の減少により一部相殺
された。
・ 現金およびその他の流動資産の平均残高(+116億ドルすなわち+12%):中央銀行預け金の増加および為替換算変動の
影響に牽引された増加。
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預金およびその他の借入金の平均残高(+221億ドルすなわち+4%)
・ 預金およびその他の借入金の平均残高(+221億ドルすなわち+4%):主に法人部門およびニュージーランド部門の伸
び、ならびに為替換算変動の影響に牽引された増加。
(4) その他営業収入-継続事業
(1)
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル)
(2)
手数料収入純額
2,493 2,624 -5 %
マーケッツのその他営業収入 1,286 1,129 14 %
(2)
関連会社投資の持分利益
262 183 43 %
(2)(3)
その他
649 917 -29 %
(4)
継続事業による現金その他営業収入合計
4,690 4,853 -3 %
(1)
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル)
マーケッツの収入
純利息収益 491 658 -25 %
その他営業収入 1,286 1,129 14 %
継続事業によるマーケッツの収入 1,777 1,787 -1 %
(1)
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
部門別その他営業収入 ( 百万ドル)
オーストラリア・リテールおよび商業 1,347 1,510 -11 %
法人 2,192 2,066 6 %
ニュージーランド 580 671 -14 %
パシフィック 104 100 ▶ %
TSO およびグループ・センター 467 506 -8 %
(4)
継続事業による現金その他営業収入合計
4,690 4,853 -3 %
注:(1) AASB第15号の適用時に、当グループが以前には相殺していた一定の項目は組替えが行われ、営業収入と営業費用に総
額で表示されるようになった。これに従って、比較情報は修正再表示され、その結果、営業収益合計は2018年9月終
了年度に1億5,300万ドル増加した。
(2) マーケッツを除く。
(3) 為替差益および保険収入純額を含む。
(4) 2019 年9月終了年度には2億3,400万ドル(2018年9月終了年度:3億8,000万ドル)の重大/重要項目が含まれてい
る。重大/重要項目の詳細については、「(1)現金利益-重大/重要項目-継続事業」の項目を参照のこと。
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その他営業収入-2019年9月終了年度対2018年9月終了年度
その他営業収入(重大/重要項目を除く。)
(1)
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル)
(2)
手数料収入純額
2,537 2,657 -5 %
マーケッツのその他営業収入 1,283 1,129 14 %
(2)
関連会社投資の持分利益
262 183 43 %
(2)(3)
その他
374 504 -26 %
継続事業による現金その他営業収入合計 4,456 4,473 0 %
(1)
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
部門別その他営業収入(重大/重要項目を除く) ( 百万ドル)
オーストラリア・リテールおよび商業 1,397 1,625 -14 %
法人 2,173 2,036 7 %
ニュージーランド 567 552 3 %
パシフィック 104 100 ▶ %
TSO およびグループ・センター 215 160 34 %
継続事業による現金その他営業収入合計 4,456 4,473 0 %
注:(1) AASB第15号の適用時に、当グループが以前には相殺していた一定の項目は組替えが行われ、営業収入と営業費用に総
額で表示されるようになった。これに従って、比較情報は修正再表示され、その結果、営業収入合計は2018年9月終
了年度に1億5,300万ドル増加した。
(2) マーケッツを除く。
(3) 為替差益および保険収入純額を含む。
その他営業収入は、1億6,300万ドル(-3%)減少した。
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受取手数料純額(-1億3,100万ドルすなわち-5%)
・ 主として商業およびリテールにおける手数料の減少または廃止、および取引量の減少によるオーストラリア・リテー
ルおよび商業部門における1億2,500万ドルの減少。
・ 売却事業の経営成績の影響による4,200万ドルの減少。
・ 主として支払いおよび現金管理事業におけるインターチェンジ・フィーおよびスキーム・コストの増加、ならびに
ローン・シンジケーション取引の低迷によるマーケッツを除く法人部門の1,400万ドルの減少。これは、トランザク
ション・バンキング事業の保証料およびコミットメント・フィーの増加、ならびに有利な為替換算変動により一部相
殺された。
・ 主として手数料の増加、資産運用収入の増加および有利な為替換算変動によるニュージーランド部門の3,800万ドルの
増加。
・ 2019年における顧客救済の減少による1,700万ドルの増加。
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マーケッツの収入(-1,000万ドルすなわち-1%)
・ バランスシート取引における1億2,000万ドルの減少。これは主として利回り曲線の低下および平坦化による純利息収
益の減少に起因する。
・ フランチャイズ取引における7,100万ドルの増加。これは主としてオーストラリアおよびニュージーランドにおける金
利の有利な取引環境、ならびに2019年3月半期における信用スプレッドの縮小(9,600万ドル)に起因する。これは主
として豪ドルおよびニュージーランドドルのスワップレートの低下によるデリバティブの不利な評価調整(-2,500万
ドル)により一部相殺された。
・ フランチャイズ販売における3,900万ドルの増加。これは、低金利での顧客囲い込み(ロックイン)のためのオースト
ラリアおよびニュージーランドの顧客の再構築、ならびに北東アジアのフランチャイズ拡大イニシアチブに起因す
る。
関連会社投資の持分利益(+7,900万ドルすなわち+43%)
・ 関連会社からの利益の7,900万ドルの増加。このうち4,400万ドルはP.T.バンク・パン・インドネシア、3,600万ドルは
AmBankに関係する。
その他(-2億6,800万ドルすなわち-29%)
・ 1億5,400万ドルの減少。これは、主としてOnePathライフ(ニュージーランド)に関連した売却事業からの収入1億
1,100万ドルがなくなったことに加えて、MCC、アジアリテールおよび富裕層事業、SRCB、UDC、カンボジア合弁会社、
ならびにパプアニューギニアのリテール、商業およびSME事業についての売却益の認識額が2018年の2億9,500万ドル
に対して4,300万ドル減少したことに起因する。この減少は、2019年に認識したOnePathライフ(ニュージーランド)
(2億400万ドル)、カンボジア合弁会社(1,000万ドル)およびペイマーク(3,700万ドル)の売却により一部相殺さ
れた。
・ 2018年の400万ドルの利益に対し、2019年の豪ドルに対するニュージーランドドル高および米ドル高の結果、5,100万
ドルの外貨建て収益に対する経済ヘッジの実現損失が主因となったTSOおよびグループ・センターでの6,400万ドルの
減少。これらは、当グループの他通貨における為替換算差益により相殺された。
・ オーストラリアのリテールおよび商業部門の6,100万ドルの減少。これは、レンダーズ・モーゲージ保険における収入
の減少に一部起因する。
・ 2019年における顧客救済の減少による2,800万ドルの増加。
重大/重要項目を除いた場合、その他営業収入は1,700万ドル減少した。
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(5) 営業費用-継続事業
(1)
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル)
人件費 4,765 4,758 0 %
土地建物費 795 811 -2 %
テクノロジー費(人件費を除く) 1,534 1,899 -19 %
組織再編費用 77 227 -66 %
その他 1,900 1,706 11 %
(2)
継続事業による現金営業費用合計
9,071 9,401 -4 %
継続事業のFTE 37,588 37,860 -1 %
継続事業の平均FTE 37,480 40,016 -6 %
(1)
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
部門別費用 ( 百万ドル)
オーストラリア・リテールおよび商業 4,074 4,075 0 %
法人 2,667 2,948 -10 %
ニュージーランド 1,286 1,205 7 %
パシフィック 150 128 17 %
TSO およびグループ・センター 894 1,045 -14 %
(2)
継続事業による現金営業費用合計 9,071 9,401 -4 %
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
部門別FTE ( 百万ドル)
オーストラリア・リテールおよび商業 13,903 13,731 1 %
(3)
法人
5,468 6,188 -12 %
ニュージーランド 6,121 6,165 -1 %
パシフィック 1,086 1,125 -3 %
TSO およびグループ・センター 11,010 10,651 3 %
継続事業のFTE合計 37,588 37,860 -1 %
継続事業の平均FTE 37,480 40,016 -6 %
注:(1) AASB 第15号の適用時に、当グループが以前には相殺していた一定の項目は組替えが行われ、営業収入と営業費用に総
額で表示されるようになった。これに従って、比較情報は修正再表示され、その結果、営業費用合計は2018年9月終
了年度に1億5,300万ドル増加した。
(2) 2019 年9月終了年度には5億900万ドル(2018年9月終了年度:8億3,800万ドル)の重大/重要項目が含まれてい
る。重大/重要項目の詳細については、「(1)現金利益-重大/重要項目-継続事業」の項目を参照のこと。
(3) カンボジア合弁会社、ならびにパプアニューギニアのリテール、商業およびSME事業の売却が完了した結果として2019
年9月半期に減少した法人部門のFTEは、606人であった。
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営業費用 - 201 9 年9月終了年度対 201 8 年9月終了年度
(1)
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
費用(重大/重要項目を除く) ( 百万ドル)
人件費 4,693 4,594 2 %
土地建物費 790 807 -2 %
テクノロジー費(人件費を除く) 1,530 1,639 -7 %
組織再編費用 - - 該当なし
その他 1,549 1,523 2 %
継続事業による現金営業費用合計 8,562 8,563 0 %
(1)
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
部門別費用 (重大/重要項目を除く) ( 百万ドル)
オーストラリア・リテールおよび商業 3,743 3,756 0 %
法人 2,575 2,661 -3 %
ニュージーランド 1,254 1,155 9 %
パシフィック 143 128 12 %
TSO およびグループ・センター 847 863 -2 %
継続事業による現金営業費用合計 8,562 8,563 0 %
注:(1) AASB 第15号の適用時に、当グループが以前には相殺していた一定の項目は組替えが行われ、営業収入と営業費用に総
額で表示されるようになった。これに従って、比較情報は修正再表示され、その結果、営業費用合計は2018年9月終
了年度に1億5,300万ドル増加した。
104/743
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営業 費用は、 3億3,000 万ドル(-4 %)減少した。
・ 人件費は700万ドル(0%)増加した。これは、主にニュージーランド部門における規制要件遵守に係る支出の増加、
従業員休暇の発生増加、賃金インフレおよびテクノロジー・サービスのインソーシングの影響に起因する。この増加
は、FTEの減少、OnePathライフ(ニュージーランド)ならびにアジアリテールおよび富裕層事業の売却に伴う人件費
の減少(3,300万ドル)、ならびに顧客救済の減少(5,800万ドル)により相殺された。
・ 土地建物費は、主に当グループの不動産の整理により、1,600万ドル(-2%)減少した。
・ テクノロジー費は、主に前期の加速償却費(2億5,100万ドル)との対比において、およびテクノロジー・サービスの
インソーシングにより、3億6,500万ドル(-19%)減少した。
・ 組織再編費用は、オーストラリア・リテールおよび商業部門ならびにテクノロジー部門の機動的な業務手法への移行
に伴う前期の支出の増加との対比において、1億5,000万ドル(-66%)減少した。
・ その他の費用は1億9,400万ドル(+11%)増加した。これは主に顧客救済の増加(2億4,000万ドル)によるが、
OnePathライフ(ニュージーランド)ならびにアジアリテールおよび富裕層事業の売却に伴う費用の減少(2,600万ド
ル)、王立委員会への対応に係る法務費用の減少(4,000万ドル)により一部相殺された。
重大/重要項目を除いた場合、営業費用は100万ドル減少した。
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(6) ソフトウェアの資産計上-継続事業
2019 年9月30日現在の当グループの無形資産には、ソフトウェアの取得および開発の際に発生した費用13億2,300万ドルが含
まれている。詳細は以下の表に表示されている。
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
(百万ドル)
期首残高 1,421 1,856 -23 %
当期中に資産計上されたソフトウェア 421 393 7 %
(1)
当期償却
(517) (820) -37 %
ソフトウェア減損/償却費 (4) (17) -76 %
為替換算変動額 2 9 -78 %
継続事業の資産計上されたソフトウェア合計 1,323 1,421 -7 %
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
部門別正味帳簿価値 (百万ドル)
オーストラリア・リテールおよび商業 260 344 -24 %
法人 223 277 -19 %
ニュージーランド 7 17 -59 %
TSO およびグループ・センター 833 783 6 %
継続事業合計 1,323 1,421 -7 %
注:(1) 2018 年9月終了年度の数値には、加速償却費2億5,100万ドルが含まれている。
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(7) 信用 リスク-継続事業
当グループは、2018年10月1日よりAASB第9号「金融商品」を適用しており、その結果、金融資産の減損を含む、金融資産
の分類および測定に重要な変更があった。この新基準の下、貸倒引当金は将来情報を盛り込む予想信用損失モデル(「ECL」)
に基づく。それに応じて、2019年9月半期および3月半期ならびに2019年9月終了年度の信用リスク情報の表示が変更されて
いる。比較情報は修正再表示されておらず、従前の基準であるAASB第139号「金融商品:認識および測定」の要件を引き続き反
映している。主要な要件および上記の変更の影響に関する詳細については、「第6 経理の状況 - 1 財務書類 - (1) 連結財務書
類」の2019年度連結財務書類の注記1および注記35を参照のこと。
貸倒引当金繰入/(戻入)
一括評価 個別評価 合計
年度 年度 年度
2019 年 2018 年 2019 年 2018 年 2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率 9月終了 9月終了 増減率 9月終了 9月終了 増減率
部門 ( 百万ドル) ( 百万ドル)
オーストラリア・
7 (14) 大 705 712 -1 % 712 698 2 %
リテールおよび商業
法人 10 (20) 大 (12) (24) -50 % (2) (44) -95 %
ニュージーランド 12 (43) 大 75 49 53 % 87 6 大
パシフィック (12) (2) 大 11 5 大 (1) 3 大
TSO および
- (6) -100 % (1) 31 大 (1) 25 大
グループ・センター
合計 17 (85) 大 778 773 1 % 795 688 16 %
一括評価 個別評価
2019 年9月終了年度
ステージ3 - ステージ3 -
ステージ ステージ ステージ 新規および 回収および
合計
1 2 3 合計 増加 戻入 合計
部門 (百万ドル)
オーストラリア・
(35) (26) 68 7 1,173 (468) 705 712
リテールおよび商業
法人 27 ( 13 ) (4) 10 55 (67) (12) (2)
ニュージーランド 1 10 1 12 131 (56) 75 87
パシフィック (4) (6) (2) (12) 16 (5) 11 (1)
TSO および
- - - - - (1) (1) (1)
グループ・センター
合計 (11) (35) 63 17 1,375 (597) 778 795
2018 年9月終了年度
新規および 回収および
合計
AASB 第139号に基づく個別評価貸倒引当金繰入/(戻入)
増加 戻入
部門
( 百万ドル)
オーストラリア・リテールおよび商業 1,109 (397) 712
法人 143 (167) (24)
ニュージーランド 143 (94) 49
パシフィック 13 (8) 5
TSO およびグループ・センター 36 (5) 31
合計 1,444 (671) 773
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一括評価貸倒引当金繰入
一括評価貸倒引当金繰入額の1億200万ドルの増加は、主にニュージーランド部門での5,500万ドルの増加および法人部門で
の3,000万ドルの増加によるものであった。ニュージーランド部門での増加は、主として2018年の一時的なエコノミック・オー
バーレイの戻入、それに続く2019年の新規の一時的なエコノミック・オーバーレイによるものであった。法人部門での増加
は、前期における大口顧客の格上げの増加によるものであった。
個別評価貸倒引当金繰入
個別評価貸倒引当金繰入額の500万ドル(+1%)の増加は、主にニュージーランド部門および法人部門における回収および
戻入の減少によるものであった。この減少は、オーストラリア・リテールおよび商業部門における回収および戻入の増加、な
らびに前年のアジアリテールおよび富裕層事業の売却との対比による繰入の減少により、一部相殺された。
(1)(2)
予想信用損失引当金
一括評価 個別評価 引当金合計
期末現在 期末現在 期末現在
2019 年 2018 年 2019 年 2018 年 2019 年 2018 年
9月 9月 9月 9月 9月 9月
終了 終了 増減率 終了 終了 増減率 終了 終了 増減率
部門 ( 百万ドル) ( 百万ドル)
オーストラリア・
リテールおよび商業 1,795 1,125 60 % 558 569 -2 % 2,353 1,694 39 %
法人 1,169 1,073 9 % 160 251 -36 % 1,329 1,324 0 %
ニュージーランド 374 279 34 % 72 81 -11 % 446 360 24 %
パシフィック 38 43 -12 % 24 18 33 % 62 61 2 %
-
TSO およびグループ・センター - 3 -100 % - 1 -100 % - ▶ 100 %
(3)
合計
3,376 2,523 34 % 814 920 -12 % 4,190 3,443 22 %
一括評価 個別評価
2019 年9月終了年度 末現在
合計
ステージ1 ステージ2 ステージ3 合計 ステージ3
部門 (百万ドル)
オーストラリア・
370 1,082 343 1,795 558 2,353
リテールおよび商業
法人 872 257 40 1,169 160 1,329
ニュージーランド 152 182 40 374 72 446
パシフィック 18 9 11 38 24 62
(3)
1,412 1,530 434 3,376 814 4,190
合計
注:(1) 正味貸付金および前渡金(償却原価で測定)、投資有価証券-負債証券(償却原価で測定)、オフバランスシートの
コミットメント-未実行与信枠および偶発与信枠の予想信用損失引当金を含む。
(2) 貸借対照表の金額は、継続事業および非継続事業による売却目的保有に再分類された資産および負債を含む。
(3) 2018 年 10月1日のAASB第9号の適用により、当グループの一括評価引当金は8億1,300万ドル増加した。比較情報は修
正再表示されていない。
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長期損失率
経営陣は、長期平均損失率を用いて、個別引当金に係るモデル化された予想損失データを開示することが、会計上の損失を
用いることで生じる報告利益のボラティリティを除去することになるため、より長期的な貸付ポートフォリオの予想損失率の
算定に資すると考えている。経済的利益に使用された予想損失アプローチは内部的な指標であり、2018年10月1日より適用さ
れたAASB第9号「金融商品」の貸倒引当金の原則に基づくものではない。
現在
貸付資産総額に対する長期損失の割合
2019 年 9月 2018 年 9月
オーストラリア・リテールおよび商業部門 0.29 % 0.29 %
ニュージーランド部門 0.18 % 0.19 %
法人部門 0.25 % 0.27 %
グループ 合計 0.26 % 0.27 %
(1)(2)
減損資産総額
現在 増減率
2019 年 9月
対
2019 年 9月 2018 年 9月 2018 年 9月
(百万ドル)
減損貸付金 1,711 1,802 -5 %
(3)
条件緩和債権
267 269 -1 %
不良資産を裏付けとする契約債務および偶発債務 51 68 -25 %
減損資産総額 2,029 2,139 -5 %
個別評価引当金
減損貸付金 (791) (894) -12 %
不良資産を裏付けとする契約債務および偶発債務 (23) (26) -12 %
減損資産純額 1,215 1,219 0 %
部門別減損資産総額
オーストラリア・リテールおよび商業 1,468 1,411 ▶ %
法人 265 442 -40 %
ニュージーランド 245 236 ▶ %
パシフィック 51 50 2 %
TSO およびグループ・センター - - 該当なし
減損資産総額 2,029 2,139 -5 %
エクスポージャーの規模別減損資産総額
1,000 万ドル未満 1,593 1,615 -1 %
1,000 万ドル以上1億ドル以下 247 335 -26 %
1億ドル超 189 189 0 %
減損資産総額 2,029 2,139 -5 %
注:(1) 貸借対照表の金額には、継続事業および非継続事業から売却目的保有に再分類された資産および負債が含まれる。
(2) 2019 年 9月終了年度において、ANZは、オーストラリアでの住宅ローン・ポートフォリオについて、より敏感に市場に
反応できる担保評価手法を導入したため、延滞ではなく減損ローンに分類される住宅ローンの件数が増加した。この
手法の変更による比較情報の修正再表示はなされていない。さらに、基礎となるプロセスおよび関連データの精緻化
により、ローンは延滞および要管理債権から減損資産へと振り替えられた。比較情報は修正再表示され、2019年度末
現在で1億600万ドル、2018年9月終了年度末現在で1億2,600万ドルが振り替えられた。
(3) 条件緩和債権とは、当初の契約条件が顧客の財政的困難に関連する理由により修正されたファシリティである。条件
緩和は、利息、元本その他法律上期限が到来した支払いの削減、または同様のリスクの新規ファシリティに対して一
般的に提供される満期を大幅に超える延長からなる。
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減損資産総額は1億1,000万ドル(-5%)減少したが、これは、返済を受け多くの多額の減損資産を処分した法人部門(-
1億7,700万ドル)によるものであった。この減少は、主に商業ポートフォリオにおける多数の単一貸付先に対する減損貸付
金に牽引されたオーストラリア・リテールおよび商業部門の増加(5,700万ドル)により一部相殺された。当グループの減損
資産に対する個別評価引当金のカバレッジ比率は、2019年9月30日現在は40.1%(2018年9月30日現在は43.0%)であっ
た。
(1)(2)
新規減損資産
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル)
減損貸付金 1,927 1,846 ▶ %
条件緩和債権 42 224 -81 %
不良資産を裏付けとする契約債務および偶発債務 38 38 0 %
新規減損資産合計 2,007 2,108 -5 %
部門別新規減損資産
オーストラリア・リテールおよび商業 1,631 1,604 2 %
法人 78 169 -54 %
ニュージーランド 278 292 -5 %
パシフィック 20 11 82 %
TSO およびグループ・センター - 32 -100 %
新規減損資産合計 2,007 2,108 -5 %
注:(1) 貸借対照表の金額には、継続事業および非継続事業から売却目的保有に再分類された資産および負債が含まれる。
(2) 2019 年 9月終了年度において、ANZは、オーストラリアでの住宅ローン・ポートフォリオについて、より敏感に市場に
反応できる担保評価手法を導入したため、延滞ではなく減損ローンに分類される住宅ローンの件数が増加した。この
手法の変更による比較情報の修正再表示はなされていない。
新規減損資産は主に、ポートフォリオのリバランスによるリスク・プロファイルの改善に良好な与信環境が相まった結果と
しての法人部門に牽引され、 1 億100万ドル(-5%)減少した。また、アジアリテールおよび富裕層事業の売却に伴う貸出高
の減少による新規減損資産の減少もあった。この減少は、オーストラリア・リテールおよび商業部門の増加により一部相殺さ
れた。
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(1)(2)
延滞しているが減損していない正味貸付金および前渡金の期間分析
現在 増減率
2019 年 9月
対
2019 年 9月 2018 年 9月 2018 年 9月
(百万ドル)
1~29日 8,383 8,956 -6 %
30 ~59日 2,255 2,235 1 %
60 ~89日 1,369 1,263 8 %
90 日以上 3,744 2,911 29 %
合計 15,751 15,365 3 %
注:(1) 貸借対照表の金額には、継続事業および非継続事業から売却目的保有に再分類された資産および負債が含まれる。
(2) 2019 年 9月半期において、ANZは、オーストラリアでの住宅ローン・ポートフォリオについて、より敏感に市場に反応
できる担保評価手法を導入したため、延滞ではなく減損ローンに分類される住宅ローンの件数が増加した。この手法
の変更による比較情報の修正再表示はなされていない。さらに、基礎となるプロセスおよび関連データの精緻化によ
り、ローンは延滞および要管理債権から減損資産へと振り替えられた。比較情報は修正再表示され、2019年3月半期
末現在で延滞から7,500万ドルおよび要管理債権から3,100万ドル、2018年9月終了年度末現在で延滞から9,900万ドル
および要管理債権から2,700万ドルが振り替えられた。
延滞しているが減損していない正味貸付金および前渡金は、オーストラリア・リテールおよび商業部門における主に90日以
上の住宅ローンの悪化により、3億8,600万ドル増加した。
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(8) 法人税-継続事業
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル)
現金利益に対する法人税 2,678 2,775 -3 %
実効税率 ( 現金利益 ) 29.2 % 29.9 %
実効税率は、29.9%から29.2%へと低下した。70ベーシス・ポイントの低下は主に、平均税率の低下をもたらしたオフ
ショア利益の増加(-71ベーシス・ポイント)および事業売却損益の純増減(-60ベーシス・ポイント)によるものであっ
た。これらは、顧客救済の影響を含むその他の項目の純増減(+74ベーシス・ポイント)により一部相殺された。
(9) 外国為替換算の影響-継続事業
下表は、外国為替換算変動の影響解消後の当グループの現金利益ならびに正味貸付金および前渡金を示す。比較データは、
以前の期間の比較情報を当期の為替レートで再換算することにより、外国為替変動の換算の影響を取り除くよう調整してい
る。
現金利益- 201 9 年9月終了年度 対 201 8 年9月終了年度
年度 増減率
為替に 為替
為替 為替 為替
調整後
実際 調整前 よる影響 調整後 調整前
2019 年 2019 年
9月終了 9月終了
年度対 年度対
2018 年 2018 年
2019 年 2018 年 2018 年 2018 年 9月終了 9月終了
9月 9月 9月 9月 年度 年度
( 百万ドル)
純利息収益 14,339 14,514 173 14,687 -1 % -2 %
その他営業収入 4,690 4,853 35 4,888 -3 % -4 %
営業収入 19,029 19,367 208 19,575 -2 % -3 %
営業費用 (9,071) (9,401) (164) (9,565) -4 % -5 %
貸倒引当金繰入および
法人税控除前利益 9,958 9,966 44 10,010 0 % -1 %
貸倒引当金繰入 (795) (688) 3 (685) 16 % 16 %
法人税引前利益 9,163 9,278 47 9,325 -1 % -2 %
法人税 (2,678) (2,775) (9) (2,784) -3 % -4 %
非支配持分 (15) (16) (1) (17) -6 % -12 %
継続事業による現金利益 6,470 6,487 37 6,524 0 % -1 %
貸借対照表
(1)
正味貸付金および前渡金
615,258 605,463 5,289 610,752 2 % 1 %
注:(1) 貸借対照表の金額には、継続事業および非継続事業から売却目的保有に再分類された資産および負債が含まれる。
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(10) 収益に関するヘッジ-継続事業
当グループは、適切であると考える場合、(主にニュージーランドドル建て、米ドル建ておよび米ドルに相関がある)大規
模な収益源に対し、経済ヘッジを設定している。ニュージーランドドル建てのエクスポージャーはニュージーランド地域に関
連し、米ドル建てのエクスポージャーはアジア太平洋、ヨーロッパおよびアメリカに関連するものである。これらのヘッジの
詳細は以下のとおりである。
年度
2019 年 2018 年
9月 終了 9月 終了
ニュージーランドドル建て経済ヘッジ (百万ドル)
正味未決済ニュージーランドドル・ポジション
(1)
(想定元本)
3,451 2,076
(2)
収益に計上された金額(税引前法定ベース)
10 13
(3)
収益に計上された金額(税引前現金ベース)
(43) 5
米ドル建て経済ヘッジ
(1)
正味未決済米ドル・ポジション(想定元本)
769 174
(2)
収益に計上された金額(税引前法定ベース)
(39) 2
(3)
収益に計上された金額(税引前現金ベース)
(8) -
注:(1) 当初契約レートによる豪ドル建て価値
(2) 未実現評価変動および満期または終了ヘッジからの実現収益
(3) 終了ヘッジからの実現収益
2019 年 9月30日現在、為替相場の不利な変動に対して将来の利益を一部ヘッジするために以下のヘッジが実行された。
・ およそ1豪ドル=1.06ニュージーランドドルの先物相場で37億ニュージーランドドル。
・ およそ1豪ドル=0.71米ドルの先物相場で5億米ドル。
2019 年 9月終了年度中:
・ 経済ヘッジ19億ニュージーランドドルが満期を迎え、実現損失4,300万ドル(税引前)が現金利益に計上された。
・ 経済ヘッジ2億米ドルが満期を迎え、実現損失800万ドル(税引前)が現金利益に計上された。
・ 経済ヘッジのニュージーランドドルおよび米ドル残高に対する未実現利益2,200万ドル(税引前)が、当年度中に法定損
益計算書に計上された。これらは今後のニュージーランドドルおよび米ドル建て収益に対するヘッジであることから、
この未実現利益は現金利益を算定する際に法定利益への調整として処理されている。
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(11) 1株当たり利益-継続事業
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
継続事業による1株当たり現金利益(セント)
基本的 227.6 223.4 2 %
希薄化後 218.1 213.9 2 %
(1)
現金利益調整後加重平均普通株式数 ( 百万 )
基本的 2,843.1 2,903.3 -2 %
希薄化後 3,089.8 3,163.7 -2 %
継続事業による 現金利益 (百万ドル) 6,470 6,487 0 %
希薄化後1株当たりの現金利益の計算に使用され
た 継続事業による 現金利益 (百万ドル) 6,738 6,766 0 %
注:(1) 現金利益調整後加重平均普通株式数には、以前富裕層オーストラリアの非継続事業が自己株式として保有していたANZ
株式が含まれている。当該株式は非継続事業の売却に向けて2019年4月13日に実施された継承ファンドの移管の完了
後に自己株式ではなくなった。
(12) 配当-継続事業
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
普通株式1株当たりの配当(セント)-継続事業
(1)(2)
中間配当(全額フランキング済)
80 80 0 %
期末配当
(1)(2)
- 全額フランキング 済
- 80 該当なし
(2)(3)
- 一部フランキング 済
80 - 該当なし
合計 160 160 0 %
配当性向に用いられた普通株式配当(百万ドル) 4,535 4,612 -2 %
継続事業による現金利益(百万ドル) 6,470 6,487 0 %
普通株式配当性向(現金ベース) 70.1 % 71.1 %
注:(1) オーストラリアの課税目的において全額フランキング 済(税率30%)。
(2) 2019 年 期末配当における普通株式1株当たり9ニュージーランドセント(2019年中間配当:9ニュージーランドセン
ト、2018年期末配当:10ニュージーランドセント、2018年中間配当:9ニュージーランドセント)のニュージーラン
ドのインピュテーション税額控除が付される。
(3) オーストラリアの課税目的において70%が一部フランキング済(税率30%)。
2019 年度最終配当は、オーストラリアにおける課税の目的において70%が一部フランキング済みとされ、普通株式1株当た
り9ニュージーランドセントのニュージーランドのインピュテーション税額控除も付与された。
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(13) 経済的利益-継続事業
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
(百万ドル)
当行株主に帰属する継続事業による法定利益 6,296 7,095 -11 %
継続事業による法定利益と現金利益の調整 174 ( 608) 大
継続事業による現金利益 6,470 6,487 0 %
経済的信用コスト調整 (619) (803) -23 %
インピュテーション税額控除 1,151 1,129 2 %
継続事業による経済的リターン 7,002 6,813 3 %
資本コスト (5,508) (5,308) ▶ %
継続事業による経済的利益 1,494 1,505 -1 %
経済的利益は、事業ユニットの業績を評価するのに利用されるリスク調整済みの利益指標である。これは内部管理目的のた
めに利用されるもので、外部監査人による監査の対象にはならない。
経済的利益は、現金利益への一連の調整を通じて算出される。経済的信用コスト調整により、会計上の貸倒損失繰入額が、
景気 循環を通じたポートフォリオの年間長期平均損失率に基づいた内部予想損失に置き換えられる。インピュテーション税額
控除の利益が認識され、オーストラリア税の70%で測定される。資本コストは、経済的利益の主要な構成要素である。ANZグ
ループのレベルでは、これは、資本コスト率(2019年9月半期において9.0%および2019年3月半期において10.0%であり、比
較目的上その平均9.5%が2018年9月終了年度に適用される。)を乗じた平均普通株式株主資本(非支配持分を除く。)を使用
して算定される。事業ユニットのレベルでは、資本は、規制資本に基づいて配分されるので、高リスクの事業には高水準の資
本が計上される。配分基準は、2019年3月半期において経済資本から規制資本へと変更され、比較情報は修正再表示されてい
る。この方法は、適切なリスク管理の遂行を支援し、事業リターンがリスクの水準と確実に一致するよう設定されている。対
象としている重要なリスクには、信用リスク、オペレーショナル・リスク、市場リスクおよびその他のリスクが含まれる。
経済的 利益 は、2018年9月終了年度に対して1,100万ドル(-1%)減少した。これは、資本コストの増加に起因したが、有
利な経済的信用コスト調整およびインピュテーション税額控除の増加により一部相殺された。
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(14) 要約貸借対照表-非継続事業を含む
現在 増減率
2019 年 9月
対
2019 年 9月 2018 年 9月 2018 年 9月
(十億ドル)
資産
現金/ANZに対する未収決済残高/支払担保 100.3 98.0 2 %
(1)
売買目的および投資有価証券/売却可能資産
126.9 112.0 13 %
デリバティブ金融商品 120.7 68.4 76 %
正味貸付金および前渡金 615.3 604.5 2 %
売却目的保有資産 1.8 45.2 -96 %
その他 16.1 15.1 7 %
資産合計 981.1 943.2 ▶ %
負債
ANZ による未払決済残高/受取担保 18.8 18.3 3 %
預金およびその他の借入金 637.7 618.2 3 %
デリバティブ金融商品 121.0 69.7 74 %
売却目的保有負債 2.1 47.2 -96 %
発行済社債 129.7 121.2 7 %
その他 11.0 9.2 20 %
負債合計 920.3 883.8 ▶ %
株主資本合計 60.8 59.4 2 %
注:(1) 2018年10月1日のAASB第9号の適用により、金融資産の分類および測定が変更された。AASB第9号に基づき、比較期
間において使用された売却可能金融資産という分類がなくなり、新たに投資有価証券という分類が導入された。詳細
については、「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類」の2019年度連結財務書類の注記1を参照のこと。
比較情報は修正再表示されていない。
・ 売買目的および投資有価証券/売却可能資産は、主としてマーケッツが保有する流動性資産の増加および為替換算変
動の影響により、149億ドル(+13%)増加した。
・ デリバティブ金融資産およびデリバティブ金融負債は、金利の変動の結果デリバティブの取引量が増加し公正価値が
上昇したことで(特に金利スワップ商品において)、それぞれ523億ドル(+76%)および513億ドル(+74%)増加し
た。
・ 正味貸付金および前渡金は、主に法人部門における貸出の伸長(+105億ドル)、ニュージーランド部門における住宅
ローンの増加(+41億ドル)および為替換算変動の影響により、108億ドル(+2%)増加した。この増加は、オースト
ラリア・リテールおよび商業部門における住宅ローンの減少(-94億ドル)により一部相殺された。
・ 売却目的保有の資産および負債は、それぞれ434億ドル(-96%)および451億ドル(-96%)減少した。これは主に、
チューリッヒに対する生命保険事業の売却完了、OPL NZ、カンボジア合弁会社、ならびにパプアニューギニアのリ
テール、商業およびSME事業の売却完了によるものであった。
・ 預金およびその他の借入金は、主に銀行からの預り金および買戻条件付契約の増加(+99億ドル)、オーストラリア・
リテールおよび商業部門(+53億ドル)ならびにニュージーランド部門(+27億ドル)にわたっての顧客預金の増加、
ならびに為替換算変動の影響により、195億ドル(+3%)増加した。これは、譲渡性預金および発行済コマーシャ
ル・ペーパーの減少(-116億ドル)により一部相殺された。
・ 発行済社債は、主にシニア債の発行および為替換算変動の影響により85億ドル(+7%)増加した。
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(15) 流動性リスク-非継続事業を含む
流動性リスクは当グループが預金者への払戻および満期が到来するホールセール債券の償還を含む、期限の到来した支払義
務を満たせないリスク、または当グループが資産の増加に対して資金を調達する能力が不十分であるリスクである。キャッ
シュフローの時期の不一致および関連する流動性リスクは、すべての銀行業務に内在するものであり、当グループはこれを注
意深く監視し、取締役会が設定したリスク選好に従って管理している。
当グループの流動性リスク管理への取組みは、2つの主要な要素を含む。
・ 資金調達源のシナリオのモデリング
ANZ の流動性リスク 選好 は、取締役会が義務付けた一連の規制上の要件および内部の流動性指標を満たす能力と定義され
る。 指標 は、異なる持続期間および深刻性水準の様々なシナリオに渡る。この枠組みの目的は以下のとおりである。
・ より短期で極度の市場の混乱およびストレスに対して保護を提供すること。
・ 適切な額の長期資産がより長期の資金で調達されることを確実にすることで、貸借対照表の構造的な強さを維持する
こと。
・ 当グループの資金調達プロファイルに過度の時期の集中が存在しないことを確保すること。
この枠組みの主要な要素は、APRAを含む銀行規制機関により義務付けられた深刻な短期の流動性ストレス・シナリオであ
る流動性カバレッジ比率(「LCR」)である。LCR要件への適合の一環として、ANZはオーストラリア準備銀行(「RBA」)に
流動性供給枠(「CLF」)を有している。CLFは、オーストラリアにおける利用可能な高品質な流動資産(「HQLA」)の不足
を相殺するために設けられており、偶発的流動性の代替形式を提供する。適格公認預金受入機関(「ADI」)が利用可能な
CLFの総額はAPRAによって毎年設定される。2019年1月1日から、 ANZ のCLFは480億ドル(2018暦年末:469億ドル)である。
・ 流動資産
当グループ は、深刻なストレス下の環境における当グループの流動性ポジションを保護し、かつ規制上の要件を満たすた
め、高品質な、処分に制約のない流動資産のポートフォリオを保有している。高品質な流動資産は、バーゼル3LCRと整合性
のある定義による3つのカテゴリーからなる。
・ 最も高品質な流動資産(「HQLA1」):現金、同日に流動性を提供する中央銀行との買戻条件付契約に適格な、信用の
質が最も高い政府、中央銀行または公的部門証券
・ 高品質な流動資産(「HQLA2」):同日に流動性を提供する中央銀行との買戻条件付契約に適格な、信用の質の高い政
府、中央銀行または公的部門証券、質の高い企業債務証券および質の高いカバード・ボンド
・ 代替流動資産(「ALA」):CLFの担保として適格な資産およびニュージーランド準備銀行(「RBNZ」)により列挙さ
れたその他の適格証券
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当グループは、規制上の要件および取締役会が設定したリスク選好に沿って、継続的に流動資産ポートフォリオの規模お
よび構成を監視および管理している。
年度 平均 増減率
2019 年 9月
2019 年 2018 年 対
9月終了 9月終了 2018 年 9月
(十億ドル)
(1)
ディスカウント後の市場価値
HQLA1 133.0 134.4 -1 %
HQLA2 8.6 5.0 71 %
(2 )
国内住宅モーゲージ担保証券
34.4 38.4 -11 %
(3)
その他ALA
12.6 13.5 -7 %
流動資産合計 188.5 191.2 -1 %
ストレス・シナリオに基づいてモデル化された
キャッシュフロー
キャッシュ・アウトフロー 176.5 179.0 -1 %
キャッシュ・インフロー 42.0 40.8 3 %
正味キャッシュ・アウトフロー 134.5 138.2 -3 %
(4)
流動性カバレッジ比率
140 % 138 % 1 %
注:(1) APRA健全性規制基準(APS第210号「流動性」)による規定に従って計算され、APS第330号の要件に一致している年度
平均基準。
(2) APRA 要件に従い、ニュージーランドドルのLCRが100%以上となるために必要な額を上回る2019年9月のニュージーラ
ンドドル建て流動資産の残高は譲渡不能とみなされ、よってレベル2のLCRに関与しないものとする。
(3) 承認された枠限度までのCLFの担保として適格な資産(国内住宅モーゲージ担保証券を除く。)、およびRBNZの「流動
性方針-別表:流動資産-健全性監督局文書BS13A12」に含まれる流動資産からなる。
(4) すべての通貨のレベル2のLCR。
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(16) 資金調達-非継続事業を含む
ANZ は、投資家種別、満期、調達市場および通貨ごとの過度の集中を避け、分散化した資金調達基盤を目標とする。
当年度中に、236億ドルの期限付ホールセール債券(2019年9月30日現在の残存期間1年超)が発行 された 。
下表は当グループの資金調達合計の内訳を示す。
現在 増減率
2019 年 9月
2019 年 2018 年 対
9月 9月 2018 年 9月
(十億ドル)
顧客預金およびその他負債
オーストラリア・リテールおよび商業 208.0 202.7 3 %
法人 217.3 205.8 6 %
ニュージーランド 83.4 79.8 5 %
パシフィック 3.5 3.5 0 %
(1)
TSO およびグループ・センター
(0.4) (4.5) -91 %
顧客預金 511.8 487.3 5 %
(2)(3)
その他資金調達負債
9.6 8.6 12 %
顧客 負債 (資金調達)合計 521.4 495.9 5 %
ホールセール資金調達
発行済社債 113.1 105.3 7 %
劣後債 16.6 15.9 ▶ %
譲渡性預金 36.6 42.7 -14 %
コマーシャル・ペーパー 11.7 17.0 -31 %
(4)(5)
その他のホールセール借入金
92.3 86.8 6 %
ホールセール資金調達合計 270.3 267.7 1 %
株主資本 60.8 59.4 2 %
資金調達合計 852.5 823.0 ▶ %
注:(1) 定期預金、その他預金、ANZ預金商品への富裕層オーストラリアの非継続事業の投資を消去するために過去の期間にお
いてグループ・センターに認識された調整を含む。
(2) 未払利息、未払債務およびその他債務、引当金および未払法人税等(純額)を含み、富裕層オーストラリアの非継続
事業のその他負債を除く。
(3) 支払承諾債務は正味の資金調達を伴わないため、除く。
(4) 銀行借入金、買戻条件付契約に基づき売却された有価証券、デリバティブの正味残高、特別目的会社およびその他借
入金を含む。
(5) 為替決済口座の現金残高により相殺されたRBAのオープン・レポの取決めを含む。
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正味安定資金調達比率
下表はレベル2の正味安定資金調達比率(「NSFR」)の内訳を示す。
現在 増減率
2019 年 9月
2019 年 2018 年 対
9月 9月 2018 年 9月
(十億ドル)
(1)
所要安定資金調達額
リテールおよび中小企業、コーポレート向け
(2)
貸付(35%未満のリスク加重)
182.2 183.9 -1 %
リテールおよび中小企業、コーポレート向け
(2)
貸付(35%超のリスク加重)
180.7 182.6 -1 %
(3)
その他貸付
27.6 23.2 19 %
流動資産 12.4 9.8 27 %
(4)
その他資産
40.0 36.6 9 %
所要安定資金調達額合計 442.9 436.1 2 %
(1)
利用可能な安定資金調達額
リテールおよび中小企業顧客預金 241.3 231.7 ▶ %
コーポレート、公共セクター企業および
オペレーショナル預金 93.5 91.8 2 %
中央銀行およびその他の金融機関の預金 6.2 5.3 17 %
有期 資金調達 95.6 96.3 -1 %
短期資金調達およびその他の債務 2.0 1.3 54 %
自己資本 76.9 73.3 5 %
利用可能な安定資金調達額合計 515.5 499.7 3 %
正味安定資金調達比率 116 % 115 % 1 %
注:(1) APRA健全性規制基準のAPS第210号「流動性」に従ったNSFRを織り込んだ残高。
(2) APRA 健全性規制基準のAPS第112号「資本十分性:信用リスクに対する標準的手法」に従ったリスク加重。
(3) 金融機関および中央銀行貸付を含む。
(4) オフバランスシート項目、デリバティブ純額およびその他資産を含む。
(17) 資本管理-非継続事業を含む
現在
国際的に比較可能な
(1)
バーゼル3
APRA バーゼル3
2019 年 9月 2018 年 9月 2019 年 9月 2018 年 9月
自己資本比率(レベル2)
普通株式等Tier1 11.4 % 11.4 % 16.4 % 16.8 %
Tier 1 13.2 % 13.4 % 18.8 % 19.2 %
自己資本合計 15.3 % 15.2 % 21.4 % 21.6 %
リスク加重資産(十億ドル) 417.0 390.8 330.4 305.6
注:(1) 国際的に比較可能な方法論は、「国際資本比較研究」(2015年7月13日)と題するAPRAの情報文書と一致している。
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APRA バーゼル3普通株式等Tier1(「CET1」) - 2019年9月終了年度対2018年9月終了年度
注:(1) 規制自己資本管理を目的とする重大/重要項目を除く。「(1)現金利益-重大/重要項目-継続事業」を参照のこと。
(2) 資本控除は、期間中の連結をはずれた法人の留保利益の増減、ソフトウェア資産の計上、予想損失が適格引当金を超
過する不足額、およびその他の無形資産である。
ANZ のCET1比率は、当年度中に8ベーシス・ポイント減少して11.4%となった。CET1比率変動の主要な要因は以下のとお
りである。
・ 正味内部資本生成は165ベーシス・ポイントであった。これは主に、現金利益(重大/重要項目および一時的要因を除
く。)によるが、基礎となるRWAの増加(為替換算の影響、規制上の変更およびその他の一時的要因を除く。)により
一部相殺された。
・ 2018年期末配当金および2019年3月中間配当金(BOPによる株式発行およびDRPによる中立化を除く。)の支払いによ
り、CET1比率は115ベーシス・ポイント低下した。
・ 当年度中に完了した資産売却に伴う資本上の利得は、CET1比率を69ベーシス・ポイント押し上げた。これは、CET1
比率を29ベーシス・ポイント低下させた市場からの株式の買入れ(発表された総額30億ドルは2019年3月半期中に完
了)により一部相殺された。
・ 賦課金(純額)は、CET1比率を60ベーシス・ポイント低下させた。この低下には、カウンターパーティ信用リスク・
エクスポージャーの計測に係る標準的手法(「SA-CCR」)の実施(-18ベーシス・ポイント)、APRAオペレーショナ
ル・リスクのオーバーレイ(-18ベーシス・ポイント)、ニュージーランドのモーゲージおよび農家を対象とする貸付
ポートフォリオに関するリスク加重の最低基準の導入(-18ベーシス・ポイント)、ならびにその他のRWAモデルの変
更(-6ベーシス・ポイント)による影響が含まれる。
・ 顧客救済の影響(継続事業および非継続事業)は、CET1比率を16ベーシス・ポイント低下させた。
・ その他の影響には、AASB第9号への移行(-5ベーシス・ポイント)、非現金収益の変動、外貨換算の正味影響、確定
給付制度の影響および繰延税金資産の変動(-7ベーシス・ポイント)、ならびにその他様々な変動(-10ベーシス・
ポイント)が含まれる。
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リスク加重資産合計
現在 増減率
2019 年 9月
2019 年 2018 年 対
9月 9月 2018 年 9月
(十億ドル)
信用RWA 358.1 337.6 6 %
市場リスクおよび銀行勘定金利リスクを考慮した
リスク加重資産(IRRBB RWA)
12.3 15.6 -21 %
オペレーショナルRWA 46.6 37.6 24 %
RWA 合計 417.0 390.8 7 %
リスク加重資産(「RWA」)合計-2019年9月末対2018年9月末
ANZ のRWA合計は、262億ドル増加した。外貨換算の影響および一過性の信用RWAの変動を除くと、基礎的な信用RWA(部門貸
付金およびリスク軽減)は、主に法人部門における貸付の増加により32億ドル増加したが、 オーストラリア・リテールおよ
び商業 部門における減少により一部相殺された。その他の信用RWAの変動は主に、SA-CCRならびにニュージーランドのモー
ゲージおよび農家を対象とする貸付ポートフォリオに関するリスク加重の最低基準の導入の正味影響であるが、資産売却に
よる信用RWAの減少により一部相殺された。非信用RWAは、主に大手銀行のリスクガバナンス自己評価に関連する、追加的な
オペレーショナル・リスクに対する資本のオーバーレイにより57億ドル増加した。
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(1)
APRA と国際的に比較可能 な普通株式等Tier1(「CET1比率」)- 2019年9月30日現在
注:(1) バーゼル委員会刊行物「バーゼル3:より強靭な銀行および銀行システムのための世界的規制枠組み」(2011年6
月)および「資本測定および資本基準の国際的コンバージェンス」(2006年6月)に記載された規制のANZの解釈。
「国際資本比較研究」(2015年7月13日)と題するAPRAの情報文書で特定された差異も含む。
上表は、APRAのバーゼル3健全性資本基準に基づいたCET1比率を国際的に比較可能なバーゼル3基準に調整するものであ
る。APRAはバーゼル3改正を最低要件とみなしており、そのため、バーゼル3規則で提案された譲歩のいくつかを含んでおら
ず、またその他分野でより高い要件を設定している。その結果、オーストラリアの銀行のバーゼル3により報告される資本比
率は国際的な同業他社とは直接的には比較できない。国際的に比較可能なバーゼル3のCET1比率は、APRAと、バーゼル委員会
のバーゼル3枠組み(2014年3月のオーストラリアでのバーゼル3実施に係るバーゼル委員会の規制上の整合性評価プログラ
ム(「RCAP」)で特定された差異を含む。)およびその主要な海外の法域での適用双方との間の差異を含んでいる。
APRA のバーゼル3と国際的に比較可能なバーゼル3比率との重大な差異には以下が含まれる。
控除
・ 保険および銀行子会社への投資 - APRAは、 CET 1からの全額控除を要求している。国際的に比較可能な基準では、こ
れらの投資は、控除が要求される前に譲許的基準額の適用がある。
・ 繰延税金資産 - 一時差異に関連する繰延税金資産(「DTA」)については、 CET 1からの全額控除が要求される。国
際的に比較可能な基準では、これは、控除が要求される前にまず譲許的基準値の対象となる。
リスク加重資産(「RWA」)
・ モーゲージRWA - APRAは、住宅モーゲージの信用RWA計算に使用される景気後退期デフォルト時損失率(「LGD」)に
20%の下限を課している。 国際的に比較可能なバーゼル3の枠組みで要求される景気後退期LGDの下限は10%である。 さ
らに、2016年7月以降、APRAは、バーゼル枠組みを上回る相関係数 を 要求している 。
・ IRRBB RWA - APRAは、 CET 1 比率計算のRWAベース内に銀行勘定金利リスク(「IRRBB」)を含めることを要求してい
る。これは、国際的に比較可能な基準では要求されない。
・ 特定貸付債権 - APRAは、特定貸付債権エクスポージャーの信用RWAの決定に、監督当局設定のスロッティング・アプ
ローチを使用することを要求している。 国際的に比較可能な基準では、これらのエクスポージャーのRWA計算の際に先進
的内部格付手法の使用を認めている。
・ 無担保コーポレート貸付のLGD - ANZの 無担保コーポレート貸付のLGDを、他の法域の銀行と一致させるために45%に
揃える調整。45%のLGD率は、基礎的内部格付手法(「FIRB」)にも使用される。
・ 未実行 コーポレート 貸付のデフォルト時エクスポージャー (「EAD」) - 未実行 コーポレート 貸付コミットメントの
ANZの掛け目(「CCF」)を、他の法域の銀行と一致させるために( FIRB 手法 で使用される)75%に調整すること。
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(18) レバレッジ比率-非継続事業を含む
2019 年9月30日現在、当グループのAPRAレバレッジ比率は5.6%で、ANZを含む内部格付手法を選択しているADI(「IRB
ADI」)についてAPRAが提案した最低3.5%を上回っていた。下表は、当グループのレバレッジ比率計算の要約である。
現在 増減率
2019 年 9月
2019 年 2018 年 対
9月 9月 2018 年 9月
(百万ドル)
(1)
Tier 1資本(資本控除を除く) 55,221 52,218 6 %
オンバランスシートのエクスポージャー
(デリバティブおよび証券金融取引のエク
スポージャーを除く) 810,644 785,405 3 %
デリバティブのエクスポージャー 34,258 30,676 12 %
証券金融取引のエクスポージャー 36,923 36,066 2 %
その他のオフバランスシートのエクスポー
ジャー 107,400 102,810 ▶ %
エクスポージャー測定額合計 989,225 954,957 ▶ %
APRA レバレッジ比率 5.6 % 5.5 %
国際的に比較可能なレバレッジ比率 6.2 % 6.1 %
注:(1) 前期の数値は、過去に提出した規制当局への報告書と一致させるため、AASB第15号の影響による修正再表示はなされ
ていない。
ANZ のレバレッジ比率は当年度中に11ベーシス・ポイント上昇した。変動の主要な要因は以下のとおりである。
・ 当年度中に支払われた配当控除後の正味内部資本生成(主に重大/重要項目および一時的要因を除く現金利益によ
る。)(+23ベーシス・ポイント)。
・ デリバティブを含むエクスポージャーの増加は、レバレッジ比率を全体的に11ベーシス・ポイント引き下げた。
・ その他の正味影響には、2019年3月半期に完了した市場における株式買戻し、顧客救済の影響、為替換算変動、繰延
税金資産およびその他の項目が含まれるが、資産売却による利益(-1ベーシス・ポイント)により一部相殺された。
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(19) 資本管理-その他の規制上の動向
「第2 企業の概況-3 事業の内容-(6)監督および規制- オーストラリア - オーストラリアの 規制上 の 動向」を参照 のこ
と。
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C. 部門別経営成績
(1) 部門別業績-継続事業
当グループは、「オーストラリア・リテールおよび商業」、「法人」、「ニュージーランド」、「パシフィック」ならびに
「テクノロジー、サービス&オペレーションズ(TSO)およびグループ・センター」の5つの部門からなる部門構造で事業を営
む。部門構成の詳細については、「第2 企業の概況-3.事業の内容-(4)当グループの主要な活動」を参照のこと。
部門別経営成績の表示は、期中の多くの手法および組織構造の変更による影響を受けている。前期間における比較情報は修
正再表示されている。
・ 資本に基づき事業ユニットレベルの損益を配賦する際の手法は、経済資本ベースから規制資本ベースに変更された。この
変更は、グループレベルで相違はないが、部門レベルでの純利息収益に影響を及ぼした。
・ アジアリテールおよび富裕層事業の未売却部分が、旧アジアリテールおよび太平洋部門からTSOおよびグループ・センター
部門に編入された。残ったセグメントは改称されてパシフィック部門となった。
・ 従前の富裕層オーストラリアの継続事業の一部であったANZのレンダーズ・モーゲージ保険、シェア・インベスティング、
損害保険販売事業およびフィナンシャル・プラニング事業は、現在オーストラリア・リテールおよび商業部門(旧称:
オーストラリア部門)の一部を構成しており、また富裕層オーストラリアは継続事業としての存続を中止した。
部門別経営成績はまた、2つの新たな会計基準の採用によっても影響を受けた。
・ AASB第9号-当グループは2018年10月1日より、金融資産の減損に係る予想信用損失の手法を適用し、また一部の金融資
産の分類 および 評価を変更した。その結果、当グループの貸倒引当金繰入は期首利益剰余金を通じて8億1,300万ドル増加
した。比較情報は修正再表示されていない。
・ AASB第15号-適用の主な影響として、以前には相殺していた一定の項目が、現在は営業収入と営業費用に総額で表示され
ている。比較情報は再表示され、営業収入合計が2018年9月終了年度に1億5,300万ドル増加し、また営業費用合計でも同
額の増加があった。
上記を除き、その他の重要な変更はなかった。
部門別経営成績のセクションは、継続事業について現金利益ベースで報告されている。非継続事業に関する詳細は、上記
「A.当年度の経営成績の要説」を参照のこと。
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下記に報告される部門は、事業の最高意思決定者たる最高経営責任者に提供される内部報告のそれと一致する。
部門別現金利益-2019年9月終了年度対2018年9月終了年度
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オーストラ
リア・リ TSO および
テールおよ ニュージー パシフィッ グループ・
び商業 法人 ランド ク センター 当グループ
2019 年9月終了年度
(百万ドル)
純利息収益 8,092 3,080 2,736 128 303 14,339
その他営業収入 1,347 2,192 580 104 467 4,690
営業収入 9,439 5,272 3,316 232 770 19,029
営業費用 (4,074) (2,667) (1,286) (150) (894) (9,071)
貸倒引当金繰入および
5,365 2,605 2,030 82 (124) 9,958
法人税控除前利益
貸倒引当金(繰入)/戻入 (712) 2 (87) 1 1 (795)
税引前利益/(損失) 4,653 2,607 1,943 83 (123) 9,163
法人税および非支配持分 (1,458) (779) (544) (24) 112 (2,693)
継続事業による現金利益/
(損失) 3,195 1,828 1,399 59 (11) 6,470
オーストラ
リア・リ TSO および
テールおよ ニュージー パシフィッ グループ・
び商業 法人 ランド ク センター 当グループ
2018 年9月終了年度
(百万ドル)
純利息収益 8,449 2,993 2,651 131 290 14,514
その他営業収入 1,510 2,066 671 100 506 4,853
営業収入 9,959 5,059 3,322 231 796 19,367
営業費用 (4,075) (2,948) (1,205) (128) (1,045) (9,401)
貸倒引当金繰入および
5,884 2,111 2,117 103 (249) 9,966
法人税控除前利益
貸倒引当金(繰入)/戻入 (698) 44 (6) (3) (25) (688)
税引前利益/(損失) 5,186 2,155 2,111 100 (274) 9,278
法人税および非支配持分 (1,560) (675) (590) (28) 62 (2,791)
継続事業による現金利益/
3,626 1,480 1,521 72 (212) 6,487
(損失)
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2019 年9月終了年度 対2018年9月終了年度
オーストラ
リア・リ TSO および
テールおよ ニュージー パシフィッ グループ・
び商業 法人 ランド ク センター 当グループ
純利息収益 -4% 3% 3% -2% 4% -1%
その他営業収入 -11% 6% -14% 4% -8% -3%
営業収入 -5% 4% 0% 0% -3% -2%
営業費用 0% -10% 7% 17% -14% -4%
貸倒引当金繰入および
-9% 23% -4% -20% -50% 0%
法人税控除前利益
貸倒引当金(繰入)/戻入 2% -95% 大 大 大 16%
税引前利益/(損失) -10% 21% -8% -17% -55% -1%
法人税および非支配持分 -7% 15% -8% -14% 81% -4%
継続事業による現金利益/
-12% 24% -8% -18% -95% 0%
(損失)
(1)
部門別現金利益(重大/重要項目 を除く)-2019年9月終了年度対2018年9月終了年度
当グループの現金利益には、重大/重要項目と総称される多くの項目が含まれる。これらの項目は現金利益の一部を形成す
るが、その性質および影響の大きさゆえ以下の表からは除外されている。
注:(1) 重大/重要項目の詳細については、上記「B.当グループの業績-(1)現金利益-重大/重要項目-継続事業」を参照
のこと。
オースト
ラリア・リ TSO および
テールおよ ニュージー パシフィッ グループ・
び商業 法人 ランド ク センター 当グループ
2019 年9月終了年度
(百万ドル)
純利息収益 8,178 3,025 2,780 135 312 14,430
その他営業収入 1,397 2,173 567 104 215 4,456
営業収入 9,575 5,198 3,347 239 527 18,886
営業費用 (3,743) (2,575) (1,254) (143) (847) (8,562)
貸倒引当金繰入および
5,832 2,623 2,093 96 (320) 10,324
法人税控除前利益
貸倒引当金(繰入)/戻入 (712) 3 (87) 1 1 (794)
税引前利益/(損失) 5,120 2,626 2,006 97 (319) 9,530
法人税および非支配持分 (1,539) (774) (563) (24) 142 (2,758)
継続事業による現金利益/
3,581 1,852 1,443 73 (177) 6,772
(損失)
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オースト
ラリア・リ TSO および
テールおよ ニュージー パシフィッ グループ・
び商業 法人 ランド ク センター 当グループ
2018 年9月終了年度
(百万ドル)
純利息収益 8,540 2,934 2,647 131 255 14,507
その他営業収入 1,625 2,036 552 100 160 4,473
営業収入 10,165 4,970 3,199 231 415 18,980
営業費用 (3,756) (2,661) (1,155) (128) (863) (8,563)
貸倒引当金繰入および
6,409 2,309 2,044 103 (448) 10,417
法人税控除前利益
貸倒引当金(繰入)/戻入 (698) 46 (6) (3) 1 (660)
税引前利益/(損失) 5,711 2,355 2,038 100 (447) 9,757
法人税および非支配持分 (1,719) (689) (573) (28) 120 (2,889)
継続事業による現金利益/
3,992 1,666 1,465 72 (327) 6,868
(損失)
2019 年9月終了年度 対2018年9月終了年度
オースト
ラリア・リ TSO および
テールおよ ニュージー パシフィッ グループ・
び商業 法人 ランド ク センター 当グループ
純利息収益 -4% 3% 5% 3% 22% -1%
その他営業収入 -14% 7% 3% 4% 34% 0%
営業収入 -6% 5% 5% 3% 27% 0%
営業費用 0% -3% 9% 12% -2% 0%
貸倒引当金繰入および
-9% 14% 2% -7% -29% -1%
法人税控除前利益
貸倒引当金(繰入)/戻入 2% -93% 大 大 0% 20%
税引前利益/(損失) -10% 12% -2% -3% -29% -2%
法人税および非支配持分 -10% 12% -2% -14% 18% -5%
継続事業による現金利益/
-10% 11% -2% 1% -46% -1%
(損失)
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(2) オーストラリア・リテールおよび商業部門-継続事業
部門別経営成績は多くの重大/重要項目から影響を受ける。詳細については、「B. 当グループの業績-(1)現金利益-重
大/重要項目-継続事業 」および本章「(1)部門別業績 -継続事業 」を参照のこと。
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル)
純利息収益 8,092 8,449 -4%
その他営業収入 1,347 1,510 -11%
営業収入 9,439 9,959 -5%
営業費用 (4,074) (4,075) 0%
貸倒引当金繰入および
5,365 5,884 -9%
法人税控除前利益
貸倒引当金繰入 (712) (698) 2%
税引前利益 4,653 5,186 -10%
法人税および被支配持分 (1,458) (1,560) -7%
現金利益 3,195 3,626 -12%
貸借対照表
正味貸付金および前渡金 331,871 341,310 -3%
その他外部資産 4,350 4,139 5%
外部資産 336,221 345,449 -3%
顧客預金 208,005 202,732 3%
その他外部負債 9,610 10,302 -7%
外部負債 217,615 213,034 2%
リスク加重資産 162,060 159,282 2%
貸付金および前渡金の総額の平均残高 338,785 341,199 -1%
預金およびその他の借入金平均残高 203,781 202,884 0%
比率
平均資産利益率 0.94% 1.05%
純預貸利鞘 2.59% 2.69%
営業収入に対する営業費用 43.2% 40.9%
資産平均残高に対する営業費用 1.20% 1.18%
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入)額 705 712 -1%
貸付金および前渡金の総額の平均残高に
0.21% 0.21%
(1)
対する個別評価貸倒引当金繰入/(戻入)の割合
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) 7 (14) 大
貸付金および前渡金の総額の平均残高に
0.00% 0.00%
(1)
対する一括評価貸倒引当金繰入/(戻入)の割合
減損資産総額 1,468 1,411 4%
貸付金および前渡金の総額に対する
0.44% 0.41%
減損資産総額の割合
フルタイム換算従業員(FTE)数合計 13,903 13,731 1%
注:(1) 割合計算に用いた貸倒引当金は、貸付金および前渡金の総額ならびにオフ・バランスシートのコミットメント-未実
行債務および偶発債務に関係する。
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・ 貸付高は、銀行与信の成長の減速、資産をめぐる競争、保守的な住宅ローン組成のリスク設定および実行局面での障害
への当年度中の取組みの結果として減少した。
・ 純預貸利鞘は、住宅ローン構成の変更およびディスカウントの拡大、低利預金に対する政策金利(オフィシャル・
キャッシュ・レート)の低下の影響、クレジットカードの料金設定に対する影響、ならびに顧客救済の増加の結果とし
て縮小した。これは、住宅ローンの金利再設定により一部相殺された。
・ その他営業収入は、顧客救済の増加、ならびに手数料の廃止および取引高の縮小による受取手数料の減収の結果として
減少した。
・ 営業費用は、 インフレの高進、コンプライス費用の増加および技術インフラ支出の増加を、労働力および支店の最適化
を含む生産性向上の取組みが相殺する形で、増減はなかった 。
・ 貸倒引当金繰入は主に、オーストラリア経済の見通しの悪化の結果としての一括評価貸倒引当金の積み増しのため増加
し、これは、回収および戻入の増加により一部相殺された。
現金利益-2019年9月終了年度対2018年9月終了年度
年度
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入)
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル)
リテール 381 427 -11%
住宅ローン 81 99 -18%
カードおよび個人ローン 291 311 -6%
(1)
9 17 -47%
預金および支払
商業 324 285 14%
ビジネス・バンキング 130 94 38%
小規模ビジネス・バンキング 194 191 2%
個別貸倒引当金繰入/(戻入) 705 712 -1%
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年度
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入)
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル)
リテール 11 ( 37 ) 大
住宅ローン 84 29 大
カードおよび個人ローン (73) (63) 16%
(1)
- (3) -100%
預金および支払
商業 (4) 23 大
ビジネス・バンキング (11) 35 大
小規模ビジネス・バンキング 2 (12) 大
プライベート・バンキング 5 - 該当なし
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) 7 (14) 大
現在 増減率
正味貸付金および前渡金
2019 年 9月
対
2019 年 9月 2018 年 9月 2018 年 9月
( 百万ドル)
リテール 274,797 283,088 -3%
住宅ローン 264,981 272,007 -3%
カードおよび個人ローン 8,958 10,128 -12%
(1)
69 62 11%
預金および支払
助言 789 891 -11%
商業 57,074 58,222 -2%
ビジネス・バンキング 41,275 41,277 0%
小規模ビジネス・バンキング 13,803 15,002 -8%
プライベート・バンキング 1,996 1,943 3%
正味貸付金および前渡金 331,871 341,310 -3%
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現在 増減率
顧客預金
2019 年 9月
対
2019 年 9月 2018 年 9月 2018 年 9月
( 百万ドル)
リテール 120,880 119,763 1%
(2)
27,078 27,639 -2%
住宅ローン
カードおよび個人ローン 265 263 1%
預金および支払 93,537 91,861 2%
商業 87,125 82,969 5%
ビジネス・バンキング 19,731 19,191 3%
小規模ビジネス・バンキング 41,799 39,976 5%
プライベート・バンキング 25,595 23,802 8%
顧客預金 208,005 202,732 3%
注:(1) 預金および支払事業の正味貸付金および前渡金は、当座貸越の金額を表す。
(2) 住宅ローン事業の顧客預金額は、オフセット口座の残高を表す。
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リテール 商業 合計
2019 年9月終了年度
( 百万ドル)
純利息収益 5,513 2,579 8,092
その他営業収入 885 462 1,347
営業収入 6,398 3,041 9,439
営業費用 (2,874) (1,200) (4,074)
貸倒引当金繰入および法人税控除前利益 3,524 1,841 5,365
貸倒引当金(繰入)/戻入 (392) (320) (712)
税引前利益 3,132 1,521 4,653
法人税および非支配持分 (1,000) (458) (1,458)
現金利益 2,132 1,063 3,195
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) 381 324 705
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) 11 (4) 7
正味貸付金および前渡金 274,797 57,074 331,871
顧客預金 120,880 87,125 208,005
リスク加重資産 109,168 52,892 162,060
2018 年9月終了年度
純利息収益 5,733 2,716 8,449
その他営業収入 1,037 473 1,510
営業収入 6,770 3,189 9,959
営業費用 (2,911) (1,164) (4,075)
貸倒引当金繰入および法人税控除前利益 3,859 2,025 5,884
貸倒引当金(繰入)/戻入 (390) (308) (698)
税引前利益 3,469 1,717 5,186
法人税および非支配持分 (1,042) (518) (1,560)
現金利益 2,427 1,199 3,626
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) 427 285 712
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) (37) 23 (14)
正味貸付金および前渡金 283,088 58,222 341,310
顧客預金 119,763 82,969 202,732
リスク加重資産 105,890 53,392 159,282
2019 年9月終了年度 対2018年9月終了年度
純利息収益 -4% -5% -4%
その他営業収入 -15% -2% -11%
営業収入 -5% -5% -5%
営業費用 -1% 3% 0%
貸倒引当金繰入および法人税控除前利益 -9% -9% -9%
貸倒引当金(繰入)/戻入 1% 4% 2%
税引前利益 -10% -11% -10%
法人税および非支配持分 -4% -12% -7%
現金利益 -12% -11% -12%
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) -11% 14% -1%
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) 大 大 大
正味貸付金および前渡金 -3% -2% -3%
顧客預金 1% 5% 3%
リスク加重資産 3% -1% 2%
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(3) 法人部門-継続事業
部門別業績は多くの重大/重要項目から影響を受ける。詳細については、「B. 当グループの業績-(1)現金利益-重大/重
要項目-継続事業 」および本章「(1)部門別業績 -継続事業 」を参照のこと。
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル) (%)
純利息収益 3,080 2,993 3%
その他営業収入 2,192 2,066 6%
営業収入 5,272 5,059 4%
営業費用 (2,667) (2,948) -10%
貸倒引当金繰入および
2,605 2,111 23%
法人税控除前利益
貸倒引当金繰入/(戻入) 2 44 -95%
税引前利益 2,607 2,155 21%
法人税および非支配持分 (779) (675) 15%
現金利益 1,828 1,480 24%
(1)
貸借対照表
正味貸付金および前渡金 164,526 150,133 10%
その他外部資産 346,094 276,607 25%
外部資産 510,620 426,740 20%
顧客預金 217,259 205,809 6%
その他預金および借入金 73,412 67,374 9%
預金およびその他借入金 290,671 273,183 6%
その他外部負債 157,505 104,861 50%
外部負債 448,176 378,044 19%
リスク加重資産 181,088 163,713 11%
貸付金および前渡金の総額の平均残高 156,676 141,184 11%
預金およびその他借入金平均残高 286,372 263,742 9%
(1)
比率
平均資産利益率 0.38% 0.34%
純預貸利鞘 0.82% 0.88%
純預貸利鞘(マーケッツを除く) 2.05% 2.11%
営業収入に対する営業費用 50.6% 58.3%
資産平均残高に対する営業費用 0.56% 0.69%
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) (12) (24) -50%
貸付金および前渡金の総額の平均残高に対する個
(0.01%) (0.02%)
(2)
別評価貸倒引当金繰入 / (戻入)の割合
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) 10 (20) 大
貸付金および前渡金の総額の平均残高に対する一
0.01% (0.01%)
(2)
括評価貸倒引当金繰入/(戻入)の割合
減損資産総額 265 442 -40%
貸付金および前渡金の総額に対する減損資産総額
0.16% 0.29%
の割合
フルタイム換算従業員(FTE)数合計 5,468 6,188 -12%
注:(1) 貸借対照表の金額は、継続事業から売却目的保有に再分類された資産および負債を含む。
(2) 割合計算に用いた貸倒引当金は、貸付金および前渡金の総額ならびにオフ・バランスシートのコミットメント-未実
行債務および偶発債務に関係する。
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・ 貸付高は、ローンズおよび専門融資、マーケッツおよびトランザクション・バンキングで増加した。顧客預金は、マー
ケッツおよびトランザクション・バンキングで増加した。
・ 純利息利鞘(マーケッツを除く。)は、主に貸付マージンの縮小により減少し、これは預金マージンの向上により一部
相殺された。
・ その他営業収入は、すべての事業でのマーケッツの増収の結果として増加した。
・ 営業費用は、FTEおよび関連費用の削減、ならびに実施中のソフトウェア償却の費用逓減により減少した。これは、イン
フレにより一部相殺された。
・ 貸倒引当金繰入は主に、戻入および回収の減少に伴い進められた個別評価貸倒引当金の積み増し、ならびに多くの顧客
の格付けが改善した前年との対比における一括評価貸倒引当金の増額により増加した。
現金利益-2019年9月終了年度対2018年9月終了年度
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有価証券報告書
(1)
地域別法人
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル)
オーストラリア
純利息収益 1,706 1,664 3%
その他営業収入 1,002 964 4%
営業収入 2,708 2,628 3%
営業費用 (1,207) (1,241) -3%
貸倒引当金繰入および法人税控除前利益 1,501 1,387 8%
貸倒引当金(繰入)/戻入 (10) 48 大
税引前利益 1,491 1,435 4%
法人税および非支配持分 (448) (428) 5%
現金利益 1,043 1,007 4%
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) (12) (46) -74%
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) 22 (2) 大
正味貸付金および前渡金 97,583 85,261 14%
顧客預金 75,973 78,562 -3%
リスク加重資産 93,090 82,993 12%
アジア太平洋、ヨーロッパおよびアメリカ
純利息収益 1,049 1,035 1%
その他営業収入 954 858 11%
営業収入 2,003 1,893 6%
営業費用 (1,257) (1,539) -18%
貸倒引当金繰入および法人税控除前利益 746 354 大
貸倒引当金(繰入)/戻入 19 38 -50%
税引前利益 765 392 95%
法人税および非支配持分 (232) (155) 50%
現金利益 533 237 大
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) 9 (22) 大
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) (28) (16) 75%
正味貸付金および前渡金 60,208 58,289 3%
顧客預金 123,468 111,717 11%
リスク加重資産 74,997 70,456 6%
ニュージーランド
純利息収益 325 294 11%
その他営業収入 236 244 -3%
営業収入 561 538 4%
営業費用 (203) (168) 21%
貸倒引当金繰入および法人税控除前利益 358 370 -3%
貸倒引当金(繰入)/戻入 (7) (42) -83%
税引前利益 351 328 7%
法人税および非支配持分 (99) (92) 8%
現金利益 252 236 7%
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) (9) 44 大
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) 16 (2) 大
正味貸付金および前渡金 6,735 6,583 2%
顧客預金 17,818 15,530 15%
リスク加重資産 13,001 10,264 27%
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有価証券報告書
注:(1) 貸借対照表の金額は、継続事業から売却目的保有に再分類された資産および負債を含む。
年度
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入)
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル)
トランザクション・バンキング (9) 5 大
ローンズおよび専門融資 (6) (28) -79%
マーケッツ - (4) -100%
セントラル・ファンクション 3 3 0%
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) (12) (24) -50%
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) 年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル)
トランザクション・バンキング 16 (12) 大
ローンズおよび専門融資 (10) (9) 11%
マーケッツ 5 1 大
セントラル・ファンクション (1) - 該当なし
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) 10 (20) 大
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(1)
現在 増減率
正味貸付金および前渡金
2019 年 9月
対
2019 年 9月 2018 年 9月 2018 年 9月
( 百万ドル)
トランザクション・バンキング 19,495 17,340 12%
ローンズおよび専門融資 110,554 101,159 9%
マーケッツ 34,473 31,201 10%
セントラル・ファンクション ▶ 433 -99%
正味貸付金および前渡金 164,526 150,133 10%
(1)
現在 増減率
顧客預金
2019 年 9月
対
2019 年 9月 2018 年 9月 2018 年 9月
( 百万ドル)
トランザクション・バンキング 101,766 99,519 2%
ローンズおよび専門融資 1,013 1,289 -21%
マーケッツ 112,471 102,490 10%
セントラル・ファンクション 2,009 2,511 -20%
顧客預金 217,259 205,809 6%
注:(1) 貸借対照表の金額は、継続事業から売却目的保有に再分類された資産および負債を含む。
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トランザク ローンズ セントラル・
ション・バン および ファンクショ
(1)
キング 専門融資 マーケッツ ン 法人合計
2019 年9月終了年度
(百万ドル)
純利息収益 1,055 1,482 491 52 3,080
その他営業収入 724 149 1,286 33 2,192
営業収入 1,779 1,631 1,777 85 5,272
営業費用 (813) (637) (1,095) (122) (2,667)
貸倒引当金繰入および
966 994 682 (37) 2,605
法人税控除前利益 /(損失)
貸倒引当金(繰入)/戻入 (7) 16 (5) (2) 2
税引前利益/(損失) 959 1,010 677 (39) 2,607
法人税および非支配持分 (264) (274) (208) (33) (779)
現金利益/(損失) 695 736 469 (72) 1,828
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) (9) (6) - 3 (12)
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) 16 (10) 5 (1) 10
正味貸付金および前渡金 19,495 110,554 34,473 ▶ 164,526
顧客預金 101,766 1,013 112,471 2,009 217,259
リスク加重資産 26,120 97,361 57,373 234 181,088
2018 年9月終了年度
純利息収益 927 1,354 658 54 2,993
その他営業収入 721 172 1,129 44 2,066
営業収入 1,648 1,526 1,787 98 5,059
営業費用 (825) (638) (1,180) (305) (2,948)
貸倒引当金繰入および
823 888 607 (207) 2,111
法人税控除前利益 /(損失)
貸倒引当金(繰入)/戻入 7 37 3 (3) 44
税引前利益/(損失) 830 925 610 (210) 2,155
法人税および非支配持分 (237) (248) (159) (31) (675)
現金利益 593 677 451 (241) 1,480
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) 5 (28) (4) 3 (24)
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) (12) (9) 1 - (20)
正味貸付金および前渡金 17,340 101,159 31,201 433 150,133
顧客預金 99,519 1,289 102,490 2,511 205,809
リスク加重資産 25,717 87,472 49,658 866 163,713
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2019 年9月終了年度 対2018年9月終了年度
純利息収益 14% 9% -25% -4% 3%
その他営業収入 0% -13% 14% -25% 6%
営業収入 8% 7% -1% -13% 4%
営業費用 -1% 0% -7% -60% -10%
貸倒引当金繰入および
17% 12% 12% -82% 23%
法人税控除前利益 /(損失)
貸倒引当金(繰入)/戻入 大 -57% 大 -33% -95%
税引前利益/(損失) 16% 9% 11% -81% 21%
法人税および非支配持分 11% 10% 31% 6% 15%
現金利益/(損失) 17% 9% 4% -70% 24%
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) 大 -79% -100% 0% -50%
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) 大 11% 大 該当なし 大
正味貸付金および前渡金 12% 9% 10% -99% 10%
顧客預金 2% -21% 10% -20% 6%
リスク加重資産 2% 11% 16% -73% 11%
注:(1) 貸借対照表の金額は、継続事業から売却目的保有に再分類された資産および負債を含む。
(1)
マーケッツ営業収入の分析
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル)
事業活動別マーケッツ営業収入の構成
(2)
932 893 4%
フランチャイズ・セールス
(3)
399 328 22%
フランチャイズ・トレーディング
(4)
446 566 -21%
バランスシート
マーケッツ営業収入 1,777 1,787 -1%
そのうち:
デリバティブ評価調整 38 63 -40%
注:(1) マーケッツ営業収入は、純利息収益およびその他営業収入を含む。
(2) フランチャイズ・セールスは、債券、外国為替、コモディティおよび資本市場などの中核的商品に関する直接的な顧
客フロー事業を表す。
(3) フランチャイズ・トレーディングは主に、当グループの戦略ポジションおよび直接の顧客売上げフローの一環として
保有するポジションの管理を表す。フランチャイズ・トレーディングはまた、デリバティブの公正価値を測定する際
になされる評価調整(信用および資金調達の調整、呼値スプレッドの調整ならびに関連するヘッジなどを含む。)の
影響も含む。
(4) バランスシートは、当グループの貸付および預金勘定ならびに当グループの流動性ポートフォリオ管理に関する金利
リスクのヘッジを表す。
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年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
地域別マーケッツ営業収入の構成
( 百万ドル)
オーストラリア 604 653 -8%
アジア太平洋、ヨーロッパおよびアメリカ 897 864 4%
ニュージーランド 276 270 2%
マーケッツ営業収入 1,777 1,787 -1%
市場リスク
トレーディングに起因する市場リスク
下表は、当銀行グループの主たるトレーディング拠点における現物およびデリバティブのトレーディング・ポジションの双
方をカバーする、信頼水準99%のバリュー・アット・リスク(「VaR」)によるエクスポージャーの合計を示している。
信頼水準99%(保有期間1日)
2019 年 2019 年 2019 年 2018 年 2018 年 2018 年
2019 年 9月終了 9月終了 9月終了 2018 年 9月終了 9月終了 9月終了
9月終了 年度の 年度の 年度の 9月終了 年度の 年度の 年度の
年度末 最高 最低 平均 年度末 最高 最低 平均
(百万ドル) (百万ドル)
信頼水準99%のVaR
外国為替 1.4 9.5 1.2 4.1 3.7 10.3 1.7 4.2
金利 3.6 10.4 3.6 5.8 8.4 16.0 4.9 7.9
クレジット 5.1 5.4 1.2 3.1 2.5 6.5 2.3 4.0
コモディティ 1.6 3.9 1.4 2.2 3.7 4.5 1.4 3.1
株式 - - - - - - - -
分散効果 (5.5) 該当なし 該当なし (7.2) (10.5) 該当なし 該当なし (8.1)
VaR の合計 6.2 13.4 5.1 8.0 7.8 19.9 6.9 11.1
トレーディングに起因しない金利リスク
トレーディングに起因しない金利リスクは、マーケッツが管理し、市場金利の変動が当グループの将来の純利息収益に与え
る潜在的な悪影響に関連する。金利リスクは、 VaR および1%の利率の変動に基づくシナリオ分析を含む様々な手法を用いて報
告される。
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信頼水準99%(保有期間1日)
2019 年 2019 年 2019 年 2018 年 2018 年 2018 年
2019 年 9月終了 9月終了 9月終了 2018 年 9月終了 9月終了 9月終了
9月終了 年度の 年度の 年度の 9月終了 年度の 年度の 年度の
年度末 最高 最低 平均 年度末 最高 最低 平均
(百万ドル) (百万ドル)
信頼水準99%のVaR
オーストラリア 22.7 22.7 16.4 18.9 21.9 32.7 20.3 23.6
ニュージーランド 9.6 9.6 7.1 8.0 6.8 7.1 5.6 6.6
アジア太平洋、ヨーロッ
17.6 17.7 12.9 16.1 15.1 15.1 12.5 13.7
パおよびアメリカ
分散効果 (17.8) 該当なし 該当なし (14.8) (16.1) 該当なし 該当なし (14.4)
VaR の合計 32.1 32.1 25.2 28.2 27.7 36.4 26.0 29.5
1%の利率の変動が向こう12か月の純預貸利鞘収益に与える影響
(1)
2019 年9月終了年度末
2018 年9月終了年度末
期末現在 1.19% 1.21%
最高エクスポージャー 1.19% 1.79%
最低エクスポージャー 0.33% 0.77%
平均エクスポージャー(絶対値) 0.69% 1.11%
注:(1) 前期の数値は、内部収益率(IRR)モデルの向上を反映するため修正再表示されている。
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(4) ニュージーランド部門-継続事業
部門別業績は多くの重大/重要項目から影響を受ける。(豪ドル建の)詳細については、「B. 当グループの業績-(1)現
金利益-重大/重要項目-継続事業 」および本章「(1)部門別業績 -継続事業 」を参照のこと。
以下は、「ニュージーランド部門に関するニュージーランドドル建の表」である。
豪ドル建ての経営成績は、後掲の「ニュージーランド部門に関する豪ドル建の表」に示す。
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ニュージーランド
ドル)
純利息収益 2,892 2,885 0%
(1)
594 601 -1%
その他営業収入
(2)
19 128 -85%
保険事業収入純額
営業収入 3,505 3,614 -3%
営業費用 (1,360) (1,310) 4%
貸倒引当金繰入および
2,145 2,304 -7%
法人税控除前利益
貸倒引当金(繰入)/戻入 (92) (6) 大
税引前利益 2,053 2,298 -11%
法人税および非支配持分 (574) (643) -11%
現金利益 1,479 1,655 -11%
(3)
貸借対照表
正味貸付金および前渡金 125,991 121,551 4%
その他外部資産 3,983 4,515 -12%
外部資産 129,974 126,066 3%
顧客預金 90,004 87,101 3%
その他預金および借入金 2,461 2,486 -1%
預金およびその他借入金 92,465 89,587 3%
その他外部負債 25,377 24,592 3%
外部負債 117,842 114,179 3%
リスク加重資産 70,727 62,463 13%
貸付金および前渡金の総額の平均残高 124,264 119,342 4%
預金およびその他借入金平均残高 91,565 87,541 5%
資産運用収入 222 221 0%
運用資産 34,145 30,665 11%
運用資産平均残高 31,610 29,700 6%
(3)
比率
平均資産利益率 1.16% 1.34%
純預貸利鞘 2.33% 2.42%
営業収入に対する営業費用 38.8% 36.2%
平均資産に対する営業費用 1.07% 1.06%
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) 79 52 52%
貸付金および前渡金の総額の平均残高に
対する個別評価貸倒引当金繰入/(戻
0.06% 0.04%
(4)
入)の割合
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) 13 (46) 大
貸付金および前渡金の総額の平均残高に
対する一括評価貸倒引当金繰入/(戻
0.01% (0.04%)
(4)
入)の割合
減損資産総額 265 258 3%
貸付金および前渡金の総額に対する減損
0.21% 0.21%
資産総額の割合
フルタイム換算従業員(FTE)数合計 6,121 6,165 -1%
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注:(1) 従前「資産運用主収入および保険収入純額」で報告されていた資産運用収入純額を含む。
(2) 2018 年11月30日に売却された被支配会社のOnePathライフ(ニュージーランド)リミテッドに関係する。
(3) 貸借対照表の金額は、継続事業から売却目的保有に再分類された資産および負債を含む。
(4) 割合の基礎となる貸倒引当金繰入額は、貸付金および前渡金の総額ならびにオフ・バランスシートのコミットメント
-未実行債務および偶発債務に関係する。
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・ 貸付および顧客預金の取扱高がすべてのポートフォリオで増加し、また当期中に運用資産が増加した。
・ 純預貸利鞘は、預金マージンの圧縮および住宅ローン構成の変更の結果として減少した 。
・ その他営業収入は主に、OnePathライフ(ニュージーランド)の売却に伴う収益の喪失により、および一回払い方式の
保険における前期の復調との対比において減少した。
・ 営業費用は主に、規制遵守に関する支出が膨らんだため増加したが、これは、OnePatライフ(ニュージーランド)の
売却により一部相殺された。
・ 貸倒引当金 繰入は主に、 戻入および回収の減少に伴い進められた個別評価貸倒引当金の積み増し 、ならびに2018年の
農業向け景気循環調整引当金の戻入に伴う商業での一括評価貸倒引当金の増加により増加した。
現金利益-2019年9月終了年度対2018年9月終了年度
年度
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入)
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ニュージーランド ドル)
リテール 47 50 -6%
住宅ローン 1 2 -50%
その他 46 48 -4%
商業 32 2 大
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) 79 52 52%
年度
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入)
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ニュージーランド ドル)
リテール (2) (2) 0%
住宅ローン 6 2 大
その他 (8) (4) 100%
商業 15 (44) 大
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) 13 (46) 大
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(1)
現在 増減率
正味貸付金および前渡金
2019 年 9月
対
2019 年 9月 2018 年 9月 2018 年 9月
( 百万 ニュージーランド ドル)
リテール 82,527 79,090 4%
住宅ローン 79,475 75,685 5%
その他 3,052 3,405 -10%
商業 43,464 42,461 2%
正味貸付金および前渡金 125,991 121,551 4%
(1)
現在 増減率
顧客預金
2019 年 9月
対
2019 年 9月 2018 年 9月 2018 年 9月
( 百万 ニュージーランド ドル)
リテール 73,866 70,260 5%
商業 16,138 16,841 -4%
顧客預金 90,004 87,101 3%
注: (1) 貸借対照表の金額は、継続事業から売却目的保有に再分類された資産および負債を含む。
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セントラル・ ニュージーラン
リテール 商業 ファンクション ド合計
2019 年9月終了年度
(百万ニュージーランドドル)
純利息収益 1,821 1,057 14 2,892
(1)
578 17 (1) 594
その他営業収入
(2)
19 - - 19
資産運用収入および保険収入純額
営業収入 2,418 1,074 13 3,505
営業費用 (1,078) (274) (8) (1,360)
貸倒引当金繰入および法人税控除前利益 1,340 800 5 2,145
貸倒引当金(繰入)/戻入 (45) (47) - (92)
税引前利益 1,295 753 5 2,053
法人税および非支配持分 (361) (211) (2) (574)
現金利益 934 542 3 1,479
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) 47 32 - 79
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) (2) 15 - 13
正味貸付金および前渡金 82,527 43,464 - 125,991
顧客預金 73,866 16,138 - 90,004
リスク加重資産 36,645 33,153 929 70,727
2018 年9月終了年度
純利息収益 1,872 1,004 9 2,885
(1)
564 20 17 601
その他営業収入
(2)
130 - (2) 128
資産運用収入および保険収入純額
営業収入 2,566 1,024 24 3,614
営業費用 (1,039) (258) (13) (1,310)
貸倒引当金繰入および法人税控除前利益 1,527 766 11 2,304
貸倒引当金(繰入)/戻入 (48) 42 - (6)
税引前利益 1,479 808 11 2,298
法人税および非支配持分 (413) (227) (3) (643)
現金利益 1,066 581 8 1,655
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) 50 2 - 52
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) (2) (44) - (46)
(3)
79,090 42,461 - 121,551
正味貸付金および前渡金
(3)
70,260 16,841 - 87,101
顧客預金
(3)
30,043 31,264 1,156 62,463
リスク加重資産
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2019 年9月終了年度 対2018年9月終了年度
純利息収益 -3% 5% 56% 0%
(1)
2% -15% 大 -1%
その他営業収入
(2)
-85% 該当なし -100% -85%
資産運用収入および保険収入純額
営業収入 -6% 5% -46% -3%
営業費用 4% 6% -38% 4%
貸倒引当金繰入および法人税控除前利益 -12% 4% -55% -7%
貸倒引当金(繰入)/戻入 -6% 大 該当なし 大
税引前利益 -12% -7% -55% -11%
法人税および非支配持分 -13% -7% -33% -11%
現金利益 -12% -7% -63% -11%
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) -6% 大 該当なし 52%
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) 0% 大 該当なし 大
(3)
4% 2% 該当なし 4%
正味貸付金および前渡金
(3)
5% -4% 該当なし 3%
顧客預金
(3)
22% 6% -20% 13%
リスク加重資産
注:(1) 従前「資産運用収入および保険収入純額」で報告されていた資産運用収入純額を含む 。
(2) 2018 年11月30日に売却された被支配会社のOnePathライフ(ニュージーランド)リミテッドに関係する。
(3) 貸借対照表の金額は、継続事業から売却目的保有に再分類された資産および負債を含む。
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以下は、「ニュージーランド部門に関する豪ドル建の表」である。
ニュージーランドドル建の経営成績は、前掲「ニュージーランド部門に関するニュージーランドドル建の表」に示す。
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル)
純利息収益 2,736 2,651 3%
(1)
562 554 1%
その他営業収入
(2)
18 117 -85%
保険事業収入純額
営業収入 3,316 3,322 0%
営業費用 (1,286) (1,205) 7%
貸倒引当金繰入および
2,030 2,117 -4%
法人税控除前利益
貸倒引当金(繰入)/戻入 (87) (6) 大
税引前利益 1,943 2,111 -8%
法人税および非支配持分 (544) (590) -8%
現金利益 1,399 1,521 -8%
構成:
リテール 883 979 -10%
商業 513 534 -4%
セントラル・ファンクション 3 8 -63%
現金利益 1,399 1,521 -8%
(3)
貸借対照表
正味貸付金および前渡金 116,729 111,334 5%
その他外部資産 3,690 4,136 -11%
外部資産 120,419 115,470 4%
顧客預金 83,387 79,780 5%
その他預金および借入金 2,280 2,277 0%
預金およびその他借入金 85,667 82,057 4%
その他外部負債 23,512 22,525 4%
外部負債 109,179 104,582 4%
リスク加重資産 65,527 57,213 15%
貸付金および前渡金の総額の平均残高 117,537 109,667 7%
預金およびその他借入金平均残高 86,608 80,444 8%
資産運用収入純額 210 204 3%
運用資産 31,633 28,087 13%
運用資産平均残高 29,900 27,292 10%
(3)
比率
平均資産利益率 1.16% 1.34%
純預貸利鞘 2.33% 2.42%
営業収入に対する営業費用 38.8% 36.3%
資産平均残高に対する営業費用 1.07% 1.06%
個別評価 貸倒 引当金繰入/(戻入) 75 49 53%
貸付金および前渡金の総額の平均残高に対す
る個別評価 貸倒 引当金繰入/(戻入)の割合
0.06% 0.04%
(4)
一括評価 貸倒 引当金繰入/(戻入) 12 (43) 大
貸付金および前渡金の総額の平均残高に対す
る一括評価 貸倒 引当金繰入/(戻入)の割合
0.01% (0.04%)
(4)
減損資産総額 245 236 4%
貸付金および前渡金の総額に対する減損資産
0.21% 0.21%
総額の割合
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フルタイム換算従業員(FTE)数合計 6,121 6,165 -1%
注:(1) 従前「資産運用収入および保険収入純額」で報告されていた資産運用収入純額を含む。
(2) 2018 年11月30日に売却された被支配会社のOnePathライフ(ニュージーランド)リミテッドに関係する。
(3) 貸借対照表の金額は、継続事業から売却目的保有に再分類された資産および負債を含む。
(4) 割合の基礎となる貸倒引当金繰入額は、貸付金および前渡金の総額ならびにオフ・バランスシートのコミットメント
-未実行債務および偶発債務に関係する。
(5) パシフィック-継続事業
部門別業績は多くの重大/重要項目から影響を受ける。詳細については、「B. 当グループの業績-(1)現金利益-重大/
重要項目-継続事業 」および本章「(1)部門別業績 -継続事業 」を参照のこと。
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル)
純利息収益 128 131 -2%
その他営業収入 104 100 4%
営業収入 232 231 0%
営業費用 (150) (128) 17%
貸倒引当金繰入および
82 103 -20%
法人税控除前利益 /(損失)
貸倒引当金(繰入)/戻入 1 (3) 大
税引前利益/(損失) 83 100 -17%
法人税および非支配持分 (24) (28) -14%
現金利益/(損失) 59 72 -18%
貸借対照表
正味貸付金および前渡金 2,120 2,114 0%
顧客預金 3,546 3,467 2%
リスク加重資産 3,400 3,915 -13%
フルタイム換算従業員(FTE)数合計 1,086 1,125 -3%
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(6) テクノロジー、サービス&オペレーションズおよびグループ・センター-継続事業
部門別業績は多くの重大/重要項目から影響を受ける。詳細については、「B. 当グループの業績-(1)現金利益-重大/
重要項目-継続事業 」および本章「(1)部門別業績 -継続事業 」を参照のこと。
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル)
関連会社投資の持分利益 259 179 45%
(1)
511 617 -17%
営業収入(その他)
営業収入 770 796 -3%
(2)
(894) (1,045) -14%
営業費用
貸倒引当金繰入および
(124) (249) -50%
法人税控除前利益/(損失)
貸倒引当金(繰入)/戻入 1 (25) 大
税引前利益/(損失) (123) (274) -55%
法人税および非支配持分 112 62 81%
現金利益/(損失) (11) (212) -95%
リスク加重資産 4,501 6,238 -28%
(3)
11,010 10,651 3%
フルタイム換算従業員(FTE)数合計
注:(1) 2019年9月終了年度の事業売却による売却益2億5,200万ドル(2018年9月終了年度:2億8,800万ドル)を含む。
(2) 2019 年9月終了年度の王立委員会への対応に係る法務費用および組織再編費用4,800万ドル(2018年9月終了年度:1
億3,700万ドル)を含む。
(3) FTE は、継続事業と非継続事業の間で配分されている。売却完了時またはそれ以降にIOOFに転属するFTEの実数は、目
下確定を進めている。
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D.利益の調整
IFRS に準拠していない情報
当グループは、連結財務報告および配当宣言 の中で、 会計基準とは別の基準で作成された追加の業績指標を提供している。
この情報を提示する際、ASICの規制ガイド230において提供された指針に従う。
(1) 法定利益と現金利益の調整
現金利益は、当グループの中核的事業活動に関する業績のANZが推奨する指標を示しており、過去の期間および同業他社と比
較した当グループおよび部門の業績を読者が評価できるようにしている。当グループは、法定利益から非中核項目を除外して
現金利益を計算している(詳細については、下記「E.定義」を参照のこと。)。現金利益を導くための調整は法定利益
(2019年度のANZ年次財務書類の外部監査人による監査において取り扱われる範囲で監査対象となる。)に含まれている。現金
利益は外部監査人による監査の対象ではない。外部監査人は、各表示期間を通じて一貫した基準で現金利益の調整が決定され
ている旨を監査委員会に通知している。
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了 増減率
( 百万ドル)
当行株主に帰属する継続事業による法定利
6,296 7,095 -11%
益
継続事業に関する法定利益と現金利益の調
整
保険契約債務の再評価 77 (14) 大
経済ヘッジ 118 (248) 大
収益および費用ヘッジ (19) (9) 大
ストラクチャード・クレジット仲介取引 (2) (4) -50%
上海農村商業銀行(SRCB)の売却 - (333) -100%
継続事業による法定利益と現金利益の調整
174 (608) 大
合計
継続事業による現金利益 6,470 6,487 0%
当行株主に帰属する非継続事業による法定
(343) (695) -51%
利益
非継続事業による法定利益と現金利益の調
整
自己株式調整 (11) 7 大
保険契約債務の再評価 45 6 大
非継続事業による法定利益と現金利益の調
34 13 大
整合計
非継続事業による現金利益/(損失) (309) (682) -55%
現金利益 6,161 5,805 6%
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(2) 法定利益と現金利益の調整についての説明-継続事業
・ 保険契約債務の再評価- OnePath ライフ(ニュージーランド)
保険契約債務を計算する際、保険契約の予想将来キャッシュフローは、債務の現在価値を反映するよう割引かれてお
り、各期間の市場割引率の変動の影響は損益計算書に反映される。ANZは、市場金利の変動に起因する変動性を除去するた
め、市場割引率の変動に起因する保険契約の再測定への影響を法定利益への調整に含めている(保険契約の有効期間の最
後にはゼロになる。)。OnePathライフ(ニュージーランド)リミテッドの事業の売却を完了したことにより、2019年9月
終了年度には販売済み保険契約債務の再評価に伴う累積的な現金利益の調整の戻入を含めており、これにより法人税引前
現金利益が1億1,500万ドル(税引後:8,100万ドル)増加した。
・ 経済ヘッジならびに収益および費用ヘッジ
当グループは、会計基準に沿った金利および外国為替リスクを管理するために経済ヘッジを締結しており、これによ
り、公正価値評価による損益は損益計算書内で認識される。ANZは公正価値調整を現金利益から除去する。なぜなら、ヘッ
ジ取引から生ずる損益は、現金利益の一部として経済ヘッジ対象からの損益とマッチさせるべく時の経過とともに戻入れ
られるからである。これには、会計ヘッジ関係に指定されないが、経済ヘッジであるとみなされる承認済みデリバティブ
商品(主にニュージーランドドル建および米ドル建(および米ドル相関)の大きな外貨建の収益および費用の流れのヘッ
ジを含む。)から生ずる損益、ならびに指定された会計ヘッジの非有効部分が含まれる。
経済ヘッジは以下で構成される。
・ 外貨建債券発行の手取金を変動金利の豪ドル建およびニュージーランドドル建債務に転換するために利用されてい
る、資金調達関連スワップ(主にクロスカレンシー金利スワップ)。これらのスワップはヘッジ会計に適格でない
ため、公正価値の変動は損益計算書に記録される。これらの公正価値の主たる変動要因は、通貨ベーシス・スワッ
プのスプレッドならびにその他主要調達通貨に対する豪ドルおよびニュージーランドドルの変動である。
・ ヘッジ会計に適格でない特定の ストラクチャード・ファイナンス およびスペシャライズド・リース取引の経済ヘッ
ジ。これらの公正価値調整の主要な要因は、オーストラリアおよびニュージーランドの金利の期間構成の変動であ
る。
・ 指定された会計ヘッジ関係の非有効部分。
2019 年9月終了年度において、現金利益から調整された経済ヘッジの損失の大半は資金調達関連スワップに関連するも
のであり、主に豪ドル/米ドルおよびニュージーランドドル/米ドルの通貨ペアに関するベーシス・スプレッドの縮小に
より生じたが、これは米ドルに対する豪ドル安およびニュージーランドドル安の両方により一部相殺された。
2019 年9月終了年度の現金利益から調整された収益および費用ヘッジの利益は主に、2019年下半期中のニュージーラン
ドドルに対する豪ドル高によるものであった。
年度
2019 年 2018 年
9月終了 9月終了
( 百万ドル)
経済ヘッジ 164 (349)
収益および費用ヘッジ (26) (12)
税引前現金利益の増加/(減少) 138 (361)
税引後現金利益の増加/(減少) 99 (257)
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・ ストラクチャード・クレジット仲介取引
ANZ は、世界金融危機に先立ち、米国の金融保証会社8社との間で一連のストラクチャード・クレジット仲介取引を締結
した。これは、特定の債務の仕組みに関するプロテクションとしてのクレジット・デフォルト・スワップ(「CDSs」)の
売却および同様のストラクチャーに関するCDSプロテクションの買付けを含んでいた。ANZは、後に米国の金融保証会社6
社との間のポジションは終了させ、また残り2つのポートフォリオについては監視し、ANZが特定の取引または相手方に関
連して認識したリスクに費用効率性があると判断した場合にエクスポージャーを低減できるようにしている。
2019 年9月30日現在の発行済み売り買いCDSsの想定価値は、3億ドル(2018年9月:3億ドル)であった。売りおよび
買いCDSsのいずれも、損益を通じた公正価値で測定される。しかしながら、関連する公正価値の変動は、買いCDSsに係る
信用リスクの影響が、信用スプレッドならびに豪ドル/米ドルおよびニュージーランドドル/米ドル為替レートの市場変
動により決定されるため、完全には相殺されない。CDSsの公正価値(CVAを除く。)は1,900万ドル(2018年9月:2,600万
ドル)であり、買いプロテクションに係るCVAは300万ドル(2018年9月:400万ドル)であった。
売り買いプロテクションによる損益は、早期に終了されたものを除き、その公正価値変動が将来の期間にゼロに戻るこ
とが予定されている従来からの事業に関連しているため、現金利益への調整に含めている。
・ 上海農村商業銀行(「SRCB」)の売却
2017 年1月3日、当グループは上海農村商業銀行(「SRCB」)の持分20%を売却することに合意したことを公表した。
SRCB の影響は法定利益と現金利益の調整として処理されている。売却目的保有への再分類による損失については、売却
完了時に引当金の戻入によって損失の大部分が2017年度中に相殺されることから合理性があると考えられた。この取引は
その後2018年度に完了し、 取引全体の影響は現金利益において認識された。
・ 減損デリバティブの信用リスク(税引後利益なし)
不履行および減損デリバティブのエクスポージャーに係るデリバティブ信用評価調整は、不履行および減損デリバティ
ブの運用方法を反映するため現金貸倒引当金に再分類された。
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(3) 法定利益と現金利益の調整についての説明-非継続事業
・ 自己株式調整
当グループが富裕層オーストラリア部門の非継続事業において保有するANZ株式は、会計目的上自己株式とみなされる。
これらの株式からの配当ならびに実現および未実現損益は、法定報告の目的上収益として認識することが認められていな
いため剰余金に算入される。自己株式が損益計算書を通じて再評価される保険契約債務の原資とするために保有されてい
ることから、現金利益を導く際には、その収益を当グループの利益に含めることとし、当グループの利益に非対称な影響
を生じさせないようにしている。チューリッヒへの生命保険事業の売却を完了したことにより、当グループが富裕層オー
ストラリアの非継続事業において保有するANZ株式(2018年9月:1,550万株)はなくなった。
・ 保険契約債務の再評価-富裕層オーストラリア部門の非継続事業
保険契約債務を計算する際、保険契約の予想将来キャッシュフローは、債務の現在価値を反映するよう割引かれてお
り、各期間の市場割引率の変動の影響は損益計算書に反映される。ANZは、市場金利の変動に起因する変動性を除去するた
め、市場割引率の変動に起因する保険契約の再測定への影響を法定利益への調整に含めている(保険契約の有効期間の最
後にはゼロになる。)。チューリッヒへの生命保険事業の売却を完了したことにより、2019年9月終了年度には販売済み
保険契約債務の再評価に伴う累積的な現金利益の調整の戻入を含めており、これにより法人税引前現金利益が2,200万ドル
(税引後:1,500万ドル)減少した。
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(4) 法定利益の現金利益への調整
法定利益への調整
2019 年9月終了年度
保険契約債務 収益および
法定利益 自己株式調整 の再評価 経済ヘッジ 費用ヘッジ
( 百万ドル)
純利息収益 14,339 - - - -
保険事業からの収入純額 126 - (7) - -
その他 4,320 - 115 164 (26)
その他営業収入 4,446 - 108 164 (26)
営業収入 18,785 - 108 164 (26)
営業費用 (9,071) - - - -
貸倒引当金繰入および
9,714 - 108 164 (26)
法人税控除前利益
貸倒引当金繰入 (794) - - - -
税引前利益 8,920 - 108 164 (26)
法人税費用 (2,609) - (31) (46) 7
非支配持分 (15) - - - -
継続事業に係る税引後利益 6,296 - 77 118 (19)
非継続事業に係る税引後利益/(損
(343) (11) 45 - -
失)
税引後利益 5,953 (11) 122 118 (19)
法定利益への調整
ストラク
チャード・ク 減損デリバ
レジット仲介 ティブの 法定利益への
取引 信用リスク SRCB の売却 調整合計 現金利益
( 百万ドル)
純利息収益 - - - - 14,339
保険事業からの収入純額 - - - (7) 119
その他 (3) 1 - 251 4,571
その他営業収入 (3) 1 - 244 4,690
営業収入 (3) 1 - 244 19,029
営業費用 - - - - (9,071)
貸倒引当金繰入および
(3) 1 - 244 9,958
法人税控除前利益
貸倒引当金繰入 - (1) - (1) (795)
税引前利益 (3) - - 243 9,163
法人税費用 1 - - (69) (2,678)
非支配持分 - - - - (15)
継続事業に係る税引後利益 (2) - - 174 6,470
非継続事業に係る税引後利益/(損
- - - 34 (309)
失)
税引後利益 (2) - - 208 6,161
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法定利益への調整
2018 年9月終了年度
保険契約債務 収益および
法定利益 自己株式調整 の再評価 経済ヘッジ 費用ヘッジ
( 百万ドル)
純利息収益 14,514 - - - -
保険事業からの収入純額 273 - (20) - -
その他 5,197 - - (349) (12)
その他営業収入 5,470 - (20) (349) (12)
営業収入 19,984 - (20) (349) (12)
営業費用 (9,401) - - - -
貸倒引当金繰入および
10,583 - (20) (349) (12)
法人税控除前利益
貸倒引当金繰入 (688) - - - -
税引前利益 9,895 - (20) (349) (12)
法人税費用 (2,784) - 6 101 3
非支配持分 (16) - - - -
継続事業に係る税引後利益 7,095 - (14) (248) (9)
非継続事業に係る税引後利益/(損
(695) 7 6 - -
失)
税引後利益 6,400 7 (8) (248) (9)
法定利益への調整
ストラク
チャード・ク 減損デリバ
レジット仲介 ティブの 法定利益への
取引 信用リスク SRCB の売却 調整合計 現金利益
( 百万ドル)
純利息収益 - - - - 14,514
保険事業からの収入純額 - - - (20) 253
その他 (5) - (231) (597) 4,600
その他営業収入 (5) - (231) (617) 4,853
営業収入 (5) - (231) (617) 19,367
営業費用 - - - - (9,401)
貸倒引当金繰入および
(5) - (231) (617) 9,966
法人税控除前利益
貸倒引当金繰入 - - - - (688)
税引前利益 (5) - (231) (617) 9,278
法人税費用 1 - (102) 9 (2,775)
非支配持分 - - - - (16)
継続事業に係る税引後利益 (4) - (333) (608) 6,487
非継続事業に係る税引後利益/(損
- - - 13 (682)
失)
税引後利益 (4) - (333) (595) 5,805
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E .定義
「AASB」 ― オーストラリア会計基準審議会。「AASB」という用語は、AASBが発行したオーストラリア会計基準を特定す
るときに通常使用される。
「APRA」 ― オーストラリア健全性規制庁
「APS」 ― ADIの健全性基準
「現金および現金同等物」は、硬貨、紙幣、コールマネー、中央銀行預入残高、流動性決済残高(容易に一定の金額の現金
に換金可能であり、価値変動のリスクが僅少なもの)および3か月未満の買戻し契約(リバース・レポ)に基づき購入された
証券からなる。
「現金利益」は、会計基準に従わないで作成された追加の業績指標である。現金利益は当グループの中核的事業活動の業績
のANZが推奨する指標を示しており、過去の期間および同業他社と比較した当グループおよび部門の業績を読者が評価できるよ
うにしている。当グループは、下記のとおり、法定利益から非中核項目を除外して現金利益を計算している。これらの項目
は、プラスとマイナスの調整に違いを付けないよう、各期間を通じて一貫して計算されている。
損益は、それらが重要である、またはいずれかの期間で重要となる可能性があり、かつ以下の3つのカテゴリーのうち1つ
に該当する場合調整される。
1. 税、法律もしくは会計法制変更または当グループの中核的事業活動に関連しないその他非中核項目から生じた利益に
含まれる利益または損失
2. 自己株式、保険契約債務の再評価、経済ヘッジの影響および将来の利益を通じて解消される時間的差異が内在する類
似の会計項目
3. 保険契約者の税グロスアップ等、報告利益に影響を与えない個々の勘定科目間の会計上の再分類
現金利益は、現金主義会計ベースで決定されるキャッシュフローまたは利益の指標ではない。
「ASSB第139号に基づく一括評価引当金」は、ポートフォリオに内在するが個別には特定できない貸倒引当金である。一括評
価引当金は、損失事象が生じた際のみ認識される。将来の事象の結果として予想される損失は、どれだけ可能性が高くとも認
識されない。
「ASSB第9号に基づく予想信用損失のための一括評価引当金」は、予想信用損失(ECL)に対応する。これらは将来予測に関
する記載に盛り込まれるものとし、貸倒引当金を認識するにあたり損失事象の発生を要しない。
「カバード・ボンド」は、倒産隔離された特別目的事業体に移転されたADIの資産プール(カバー・プール)により担保され
た、ADIより外部の投資家向けに発行される債券である。カバー・プールを形成する主な資産はモーゲージ・ローンである。
モーゲージは発行者のバランスシートに計上される。カバード・ボンドの保有者は発行者およびカバー・プール資産という二
重のリコースを有する。カバー・プールに含まれるモーゲージは、それ以外においては担保に供することも処分することもで
きないが、プールの信用の質を維持するために買戻しおよび差替えができる。当グループは、その資金調達活動の一部として
カバード・ボンドを発行している。
「信用リスク」は、ANZの顧客および取引相手が貸付または契約上の条件を守らないまたは完全に履行できないことによる財
務的損失のリスクである。
「信用リスク加重資産(CRWA)」は、APS第112/113号に規定されているとおり、決められた公式に基づいて信用リスクで加
重された資産を表す。
「顧客預金」は、定期預金、その他有利子預金、無利子預金、および借入会社の債務を意味し、証券化預金は含まない。
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「顧客救済」は、顧客に対する返金予定の引当金、関連する救済プロジェクトの費用、ならびに規制上の要求、罰金および
訴訟の結果を含む。
「デリバティブ信用評価調整(CVA)」 ― デリバティブ商品の全期間を通じて、ANZは、モデルを用いて、取引相手の信
用の質の影響を考慮に入れるために公正価値を調整する。この方法論は、金融商品の全期間を通じた予想損失の現在価値を、
デフォルト確率、デフォルト時損失率、予想信用リスク・エクスポージャーおよび資産相関係数の関数として計算する。減損
デリバティブもCVAの対象となる。
「配当性向」は、普通株式配当支払合計額を当行株主に帰属する利益で除したものである。
「総貸付金および前渡金(GLA)」は、貸付金および前渡金、資産計上した仲介/モーゲージ実行手数料から未収収益を控除
したものである。
「減損資産」は、契約上の金額を全額適時に受領できるかについて懸念が存在するかまたは、顧客の財政的困難により譲許
的条項が提供されている金融資産である。金融資産は、報告日までに生じた損失事象の結果として減損が生じたという客観的
な証拠が存在し、また損失事象が個別の資産もしくは資産ポートフォリオの見積将来キャッシュフローに及ぼす影響を信頼性
をもって見積もることが可能な場合、減損する。
「減損貸付金」は、顧客の状態が不良債権化していると明確にされた実行済みの貸付からなる。
「予想信用損失のための個別評価引当金」は、個別的に管理されるすべての減損資産について個別の状況に応じて評価し、
その際には担保(またはその他の信用補強)の実現可能価額、清算時や倒産時の予想受取可能額、法的不確定性、回収に係る
見積費用、流通市場エクスポージャーの市価、ならびに想定される受取金および回収金の額や時期などの要素を考慮する。
「銀行業の金利リスク(IRRBB)」は、ANZの将来の純利息収益に係る市場金利の変動の悪影響の可能性に関係する。このリ
スクは一般的に以下から生ずる。
1. 価格改定(リプライシング)およびイールドカーブ・リスク ― 全般的な金利水準および/またはイールドカーブ
全体にわたる金利の関連性の変動の結果としての収益または市場価値に対するリスク
2. ベーシス・リスク ― 銀行業の資産項目に適用される利鞘のボラティリティから生ずる収益または市場価値に対す
るリスク
3. オプショナリティ・リスク ― 銀行業の資産項目の独立または組込みオプションの存在から生ずる収益または市場
価値に対するリスク
「国際的に比較可能な比率」は、バーゼル委員会の出版物「バーゼル3:より強靭な銀行および銀行システムのための世界
的規制枠組み」(2011年6月)および「資本測定および資本基準の国際的コンバージェンス」(2006年6月)において文書化
された規制のANZによる解釈。「国際資本比較研究」(2015年7月13日)と題するAPRAの情報文書で特定された差異も含む。
「レベル1」とは、APRAの監督との関連で、一定の承認された子会社を連結したオーストラリア・ニュージーランド銀行で
ある。
「レベル2」とは、APRAの監督との関連で、関連会社、保険および資産運用会社、非金融営利法人ならびに一定の証券化
ビークルを連結から除いた当グループである。
「 純預貸利鞘」とは、平均利付資産に対する純利息収益の割合である。
「正味貸付金および前渡金」とは、貸付金および前渡金の総額から貸倒引当金を差し引いたものである。
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「正味安定資金調達比率(NSFR)」とは、APRAが定める所要安定調達額(RSF)に対する利用可能な安定調達額(ASF)の比
率である。利用可能な安定調達額は、1年ベースの確実な想定資金源としてオーストラリアの公認預金受入機関(ADI)の資本
および負債を構成する。所要安定調達額は、ADIの資産の流動特性および残存期間ならびにオフ・バランスシート取引の関数に
より定まる。ADIは少なくともNSFRの100%を維持しなければならない。
「正味有形資産」は、当行株主に帰属する株式資本および準備金から未償却の無形資産(のれんおよびソフトウェアを含
む。)を差引いた金額に等しい。
「規制上の預け金」とは、法律上の要件に従い現地の中央銀行に預ける強制的な準備預金である。
「条件緩和債権」とは、当初の契約条件が顧客の財政的困難に関連する理由により修正されたファシリティから成る。条件
緩和には、利息、元本またはその他法律上期限が到来した支払いの削減、または同様のリスクの新ファシリティに対して一般
的に提供される満期の実質的延長から成る。
「平均資産利益率」とは、当行株主に帰属する利益を平均資産合計で除した料率である。
「平均普通株主資本利益率」とは、当行株主に帰属する利益を平均普通株主資本で除した料率である。
「リスク加重資産(RWA)」とは、各資産に内在するデフォルトの可能性およびデフォルトの場合にありうる損失に従い、リ
スクにより加重される。資産担保リスク以外の場合(すなわち、市場リスクおよびオペレーショナル・リスク)、RWAはこれら
のリスクの資本要件に12.5を乗ずることにより決定される。
「ANZの未収決済残高/ANZの未払決済残高」とは、決済される途上にある金融資産および/または金融負債である。これは
取引期限付き資産および負債、先方勘定ならびに証券決済口座を含む。
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4【経営上の重要な契約等】
2019 年度の開始日から本書提出日までの間において当グループが締結した重要な契約はない。ただし、当グループが実質的
に依存している、業務の通常の過程においてなされる契約を除く。
5【研究開発活動】
当グループは継続して、バンキング、金融および資産運用に関連した商品およびサービスを研究し、開発している。
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第4【設備の状況】
1【設備投資等の概要】
2019 年度中、ANZはオーストラリア、ニュージーランドならびにアジア、パシフィック、ヨーロッパおよびアメリカにおける
事業経営を支援するために、様々な土地建物、家具什器および技術機器を取得し、また様々な賃借物件の改良を行った。2019
年度中、当グループの土地建物および設備機器の追加は4億4,400万ドルであり、また処分は6,300万ドルであった。
さらに、当グループはその他無形資産へ4億2,100万ドルの追加も行い、これには資産計上されたソフトウェアが含まれる。
詳細については、「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類」の2019年度連結財務書類の注記20「のれんおよびそ
の他の無形資産」を参照のこと。
2【主要な設備の状況】
ANZ はその事業目的でオーストラリア、ニュージーランド、アジア、パシフィック、ヨーロッパおよびアメリカの各地に土地
および建物を自由保有および賃借している。これら土地建物は、支店および商業用管理センターを含み、2019年9月30日現在
の帳簿 価格 は7億600万ドルであり、以下で構成されている。
2019 年9月30日現在 2018 年9月30日現在
所有 所有
不動産の数
賃借 賃借
(自由保有) (自由保有)
リテール(支店網) 7 783 12 845
管理およびオペレーション・センター 10 182 7 190
居住用 22 2 28 2
合計
39 967 47 1,037
ポートフォリオの主な建物(自己所有および賃借)は、以下に記載するものを含む。
・オーストラリア、メルボルン、コリンズ・ストリート833
・オーストラリア、メルボルン、コリンズ・ストリート839
・オーストラリア、サウス・メルボルン、ドーカス・ストリート75
・オーストラリア、メルボルン、コリンズ・ストリート55
・オーストラリア、シドニー、ピット・ストリート242
・オーストラリア、シドニー、ケント・ストリート347
・オーストラリア、ブリスベン、イーグル・ストリート111
・オーストラリア、パース、セント・ジョージズ・テラス77
・ニュージーランド、ウェリントン、フェザーストン・ストリート170-171
・ニュージーランド、オークランド、アルバート・ストリート23-29
・インド、バンガロール、ヴァーター・ホブリ、キャンパス5A、RMZエコ・ワールド
・インド、バンガロール、ナガヴァラ、マナヤタ・エンバシー・ビジネス・パーク、ユカリプタス
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・インドネシア、ジャカルタ、Jl.ジェンド・スディーマンKav.33A、ANZタワー
・フィリピン、マニラ、マカティ・シティ、デラ・ローザ・ストリート130、ソラリスワン
・フィリピン、マニラ、ケゾン・シティ、E.ロドリゲスJr.アヴェニュー、MDC100タワー
・香港、セントラル、コンノート・プレイス8、スリー・エクスチェンジ・スクエア
・香港、クオリーベイ、キングロード979、タイクー・プレイス、リンカーン・ハウス
・中国、上海、浦東、華涇路2號3DU大廈
・中国、成都、天府ソフトウェア・パーク、E2大廈5階
・シンガポール、コルヤー・キー10、オーシャン・フィナンシャル・センター
3【設備の新設、除却等の計画】
ANZ は定期的に世界中のリテール部門の不動産を見直し、当グループの今後の営業モデルに沿わないリース物件を除却してい
る。
完了条件の成就を条件として、ANZの富裕層事業の売却により、シドニー、ケント・ストリート347の賃借フロアの残りは、
売却の一環として2020年2月から新しい所有者であるIOOFに移転することになる。
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第5【提出会社の状況】
1【株式等の状況】
(1)【株式の総数等】
①【株式の総数】
(2019年9月30日現在)
授権株数(株) 発行済株式総数(株) 未発行株式数(株)
普通株式 該当なし 2,834,584,923 該当なし
優先株式 該当なし 0 該当なし
合計 該当なし 2,834,584,923 該当なし
②【発行済株式】
(2019年9月30日現在)
記名・無記名の別及び 上場金融商品取引所名又は
種類 発行数(株) 内容
額面・無額面の別 登録認可金融商品取引業協会名
普通株式(当行の定款
オーストラリア証券取引所
記名無額面 普通株式 2,834,584,923 に定める条項に基づき
ニュージーランド証券取引所
発行される普通株式)
記名無額面 優先株式 0 該当なし
計 2,834,584,923
(2)【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当事項なし。
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(3)【発行済株式総数及び資本金の推移】
普通株式
普通株式資本金 普通株式資本金
発行済株式 発行済株式 備考
増減額 残高
年月日 総数増減数 総数残高 (発行済株式総数
( 単位:百万ドル ( 単位:百万ドル
(株) (株) 増減の理由)
(百万円)) (百万円))
24,031
2014 年9月30日 2,756,627,771
(1,832,364)
法人向け株式募集、リ
テール向け株式取得制
度、配当再投資制度、
4,336 ボーナスオプション制
2015 年度 146,086,590
(330,620) 度、ANZ従業員株式購
入制度、ANZ株式オプ
ション制度に基づき株
式が発行された。
28,367
2015 年9月30日 2,902,714,361
(2,162,984)
配当再投資制度、ボー
ナスオプション制度、
398 ANZ従業員株式購入制
2016 年度 24,762,299
(30,348) 度、ANZ株式オプショ
ン制度に基づき株式が
発行された。
28,765
2016 年9月30日 2,927,476,660
(2,193,331)
配当再投資制度および
ボーナスオプション制
度に基づき発行された
323
2017 年度 9,938,667 株式が、市場での自社
(24,629)
株買戻しにより買戻さ
れ消却されたため、一
部相殺された。
29,088
2017 年9月30日 2,937,415,327
(2,217,960)
市場での自社株買戻し
により買戻され消却さ
-1,883 れた株式が、ボーナス
2018 年度 -63,797,209
(-143,579) オプション制度に基づ
き発行された株式によ
り一部相殺された。
27,205
2018 年9月30日 2,873,618,118
(2,074,381)
市場での自社株買戻し
により買戻され消却さ
-715 れた株式が、ボーナス
2019 年度 -39,033,195
(-54,519) オプション制度に基づ
き発行された株式によ
り一部相殺された。
26,490
2019 年9月30日 2,834,584,923
(2,019,863)
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優先株式
優先株式資本金 優先株式資本金
発行済株式 発行済株式 備考
増減額 残高
年月日 総数増減数 総数残高 (発行済株式総数
( 単位:百万ドル ( 単位:百万ドル
(株) (株) 増減の理由)
(百万円)) (百万円))
871
2014 年9月30日 500,000
(66,414)
発行済みの50万個の
ユーロ信託証券はすべ
て、2014年12月15日に
-871
2015 年度 -500,000 額面(1証券につき
(-66,414)
1,000ユーロ)で現金
にてANZにより買戻さ
れ消却された。
0
2015 年9月30日 0
(0)
0
2016 年度 0
(0)
0
2016 年9月30日 0
(0)
0
2017 年度 0
(0)
0
2017 年9月30日 0
(0)
0
2018 年度 0
(0)
0
2018 年9月30日 0
(0)
0
2019 年度 0
(0)
0
2019 年9月30日 0
(0)
(4)【所有者別状況】
普通株式
(2019年9月30日現在)
区分 株主数(人) 所有株式数(株) 所有株式数の割合(%)
法人 130,202 525,288,761 18.53
個人 363,177 666,724,120 23.52
ノミニー 13,462 1,642,572,042 57.95
合計 506,841 2,834,584,923 100.00
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(5)【大株主の状況】
普通株式
(2019年10月3日現在)
発行済株式総数に対する
氏名又は名称 住所 所有株式数(株)
所有株式数の割合(%)
HSBC カストディ・ノミニーズ GPO Box 5302 、
(オーストラリア)リミテッ
726,059,635 25.61
シドニー、ニュー・サウス・
ド
ウェールズ州2001
JP モルガン・ノミニーズ・ ロックト・バッグ20049、
オーストラリア・Pty・リミ メルボルン、ヴィクトリア州
434,784,608 15.34
テッド
3001
シティコープ・ノミニーズ・ GPO Box 764G 、
Pty・リミテッド
214,446,909 7.57
メルボルン、ヴィクトリア州
3001
ナショナル・ノミニーズ・リ GPO Box 1406 、
ミテッド
メルボルン、ヴィクトリア州 97,007,871 3.42
3001
BNP パリバ・ノミニーズ・ PO Box R209 、
Pty・リミテッド(代理人貸
ロイヤル・エクスチェンジ、
58,973,524 2.08
付配当再投資制度口座)
ニュー・サウス・ウェールズ州
1225
BNP パリバ・ノミニーズ・ PO Box R209 、
Pty・リミテッド(配当再投
ロイヤル・エクスチェンジ、
30,698,777 1.08
資制度)
ニュー・サウス・ウェールズ州
1225
2019 年10月3日現在、上記の株主がANZの発行済株式総数の1%以上を保有していた。
2【配当政策】
ANZ の取締役会は、当グループの財務実績と財務状態を基準にして、普通株式の株主への配当の金額と時期を決定する。
ANZ には配当再投資制度(「DRP」)およびボーナスオプション制度(「BOP」)があり、2019年度の期末配当に関して運営さ
れた。2019年度の期末配当について、ANZはDRPに基づく市場での買入れによりおよびBOPに基づく新たな株式発行により、株式
を提供した。DRPおよびBOPに基づいて提供される株式数の決定に用いられる「取得価格」は、2019年11月15日から10取引日の
間にASXおよびチャイエックスの通常の取引過程で売られた全ての全額払込済ANZ普通株式の日次出来高加重平均価格の算術平
均を基準にして、セント単位に四捨五入して算出される。DRPおよびBOPに基づいて提供された株式は、既存の全額払込済ANZ普
通株式と全ての点で同順位に位置する。適格基準がDRPおよびBOPへの参加に適用される。特に、取締役会が別途決定しない限
り、DRPおよびBOPへの参加は、アメリカ合衆国、その準州もしくは属領またはカナダにいる、またはその居住者である(また
はアメリカ合衆国、その準州もしくは属領またはカナダにいる、またはその居住者である法人もしくは個人を代理してもしく
はその勘定でもしくはその利益のために行為する)いかなる法人または個人(ANZBGLの普通株式の法的または受益所有者を含
む)も直接または間接に利用できない。
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2018 年期末配当および2019年中間配当は全額フランキング済で、2019年期末配当は70%フランキング済であった。 配当は、
2019年度中および本書提出日までに全額払込済普通株式について支払われた。
配当金額
種類 1株当たりセント 取締役会決議日 支払日
(1)
( 単位:百万ドル)
2018 年期末配当 80 2,295 2018 年12月11日 2018 年12月18日
2019 年中間配当 80 2,267 2019 年5月31日 2019 年7月1日
2019 年期末配当 80 2,268 2019 年11月27日 2019 年12月18日
注:(1) 金額は、ボーナスオプション制度調整前である。
配当に係るさらなる詳細は、「第3 事業の状況-3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の
分析-B.当グループの業績-(12)配当-継続事業」および「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類」の2019年
度連結財務書類の注記5「配当金」を参照のこと。
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3【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
本「(1)コーポレート・ガバナンスの状況」は、以下「14.その他の補足事項」を除き、ANZの2019年度コーポレート・ガバ
ナンス報告書(以下「本コーポレート・ガバナンス報告書」という。)に基づいており、これを抽出したものである。コーポ
レート・ガバナンス報告書の基準日以降の取締役の状況については、「(2)役員の状況-①取締役」を参照のこと。
1.ガバナンスへのアプローチ
ANZ の取締役会は、取締役会委員会の補佐のもと、ANZのガバナンス枠組みを監督することについて責任を負う。この枠組み
は、効率的かつ責任ある意思決定をもたらすよう構想されており、もってANZの戦略と目標の達成を支援するものである。
本コーポレート・ガバナンス報告書は、以下を含む枠組みの主要部分を概説する。
・ 経験豊富で独立的な取締役会。これを補佐する取締役会委員会の体制は、取締役会の効率的な運営および価値の創出が
継続的に確保されるよう定期的に見直される。
・ 取締役会および経営陣が担当する役割の明確な分掌。
・ 時機に即した偏りのない開示。anz.com(anz.com/corporategovernance)のコーポレート・ガバナンスのページを含
む。
・ リスク管理の枠組み。定期的に見直される。
取締役会の概要
取締役会の構成
・ ANZの取締役会は、7名の非執行独立取締役(独立した会長であるデービッド・ゴンスキー AC (オーストラリア勲章コ
ンパニオン) を含む。)、および1名の執行取締役(最高経営責任者(CEO)であるシェイン・エリオット)により構成
される。
・ 現在、ANZの取締役のうち3名が女性、5名が男性である。
・ 取締役の氏名および経歴の詳細は、ANZの社外における主な関連団体を含め、ANZのウェブサイト(anz.com/directors)
(英文)および「(2)役員の状況-①取締役」にて参照可能である。
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取締役会委員会
・ ANZの定款に基づき、取締役会は、そのあらゆる権限を取締役会委員会に委任することができる。ANZは、監査委員会
(委員長:ポーラ・ドワイヤー)、倫理、環境、社会およびガバナンス(EESG)委員会(委員長:デービッド・ゴンス
キー AC)、リスク委員会(委員長:グレイム・リーベルト)、人事委員会(委員長:イラナ・アトラス)、デジタル事
業および技術委員会(委員長:ジェーン・ハルトン AO PSM (オーストラリア勲章オフィサー、オーストラリア政府公共
サービス・メダル) )、ならびに指名および取締役会運営(NBO)委員会(委員長:デービッド・ゴンスキー AC)の6
つの主要な取締役会委員会を擁する。各委員会は、その役割および責任を定める独自の憲章を持つ。
コーポレート・ガバナンスの枠組み
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2.2019事業年度における取締役会の重点領域
当年度中に取締役会およびその委員会が取り組んだ戦略、ガバナンスおよび監視に係る主な活動には、以下が含まれる。
戦略および目標主導型の事業改革
・ 取締役会の年次戦略会議を開催。会社としての長期的成功および過去の経験からの教訓をテーマとした。
・ ANZの戦略的優先事項に関して、CEOと定期的に協議。これには、その精緻化と実施が含まれた。
・ ANZのオーストラリア事業の改革およびその取組みの進捗に関して、定期的に協議。
・ 取締役会のニュージーランド視察の一環として、ニュージーランド事業全般およびその方向性を網羅した詳細なレポー
トを査収。
・ ANZの企業文化を引き続き重視。これには、ANZの文化の評価およびANZの従業員エンゲージメント調査の結果および主要
テーマの検討が含まれた。
・ ANZの報酬および報奨ならびに説明・結果責任の枠組みの再設計および簡素化の策定および導入を監督。これには、オー
ストラリア健全性規制当局の執行役員報酬に係る提案へのインプットの検討および提供が含まれた。
・ 将来における破壊的テクノロジーならびにANZにおける潜在的な事業上の影響および障害に関して協議。
顧客
・ 取締役会の検討課題として、新たに顧客に特化した項目を設けることを承認。これには、以下に関するものが含まれ
る。
- 顧客の満足、苦情および救済
- 顧客に影響が及ぶ規制の変更
- マーケティングに対するANZの取組みおよび特定のマーケティング施策
・ 顧客の救済および苦情に対するANZの取組みを監視。
・ ANZの顧客サービスに係る先導的な施策の詳細な見直しに参与。これには、当該取組みに参与する現場従業員との会合が
含まれた。
・ 顧客への施策を現場スタッフに周知するためのANZの取組みを検討。
財務
・ ANZの経営および戦略に関する計画を検討および承認。
・ 事業の趨勢に関する事項を定期的に協議。
・ 合併・買収案件について定期的に協議。これには、富裕層事業の売却に係る取引の進捗に関するものが含まれた。
・ 資本管理に係る事項を監督。これには、ニュージーランド準備銀行およびオーストラリア健全性規制当局からの提案、
ならびに現在および将来のANZの資本管理オプションに関するものが含まれる。
・ 財務書類作成に向けたANZのガバナンスの過程を見直し。
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ガバナンスおよび規制
・ ガバナンス、文化および説明責任の実践ならびに救済活動の今後のロードマップに関するANZの自己評価を検討および承
認。
・ 王立委員会の最終報告書に対するANZの対応を監督。
・ 膨大な健全性基準の遵守に関して、ANZの取組みの徹底検証に参与。
・ 全非執行取締役からなるNBO委員会を新設。取締役会の自主的な構成および運営を重点的に扱う。
・ ESGの事項を重点的に扱うため、EESG委員会の権限を強化。
・ 技術関連事項に係る取締役会委員会の報告実務の改善を検討および実施。これには、技術的安定性および平易性、クラ
ウドおよびデータのガバナンス、ならびに情報サイバーセキュリティが含まれる。
メルボルンおよびシドニーで開催された定例取締役会に加え、取締役会はウォガウォガ、パースおよびオークランドでも会
議を開催し、またホバートも歴訪した。各地での訪問先には、顧客や従業員その他の利害関係各所が含まれ、特にエンゲージ
メントの問題をテーマに据えた。
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3.取締役会
3.1 取締役
会長と最高経営責任者(CEO)の役割は別個のものである。デービッド・ゴンスキー ACは、2014年5月から会長を務める。
ゴンスキーは、その前の2002年から2007年まで独立非執行取締役を務めた。シェイン・エリオットは2016年1月1日からCEOを
務める。ASX上場規則により、CEOであるエリオットは3年ごとの再選を株主に求める必要はない。2018年12月、リー・シェン
ヤンは9年の勤続後、取締役を退任した。リー・シェンヤンの退任に伴い、ジェーン・ハルトン AO PSMがデジタル事業および
技術委員会の委員長に任命された(ハルトン氏は2017年から同委員会の委員である。)。グレイム・リーベルトおよびジェー
ン・ハルトン AO PSMは、ASX上場規則に従い2019年度の年次株主総会にて再選に向けて立候補する予定である。
ANZ の各取締役の氏名および任命に関するデータを以下に示す。
取締役 取締役就任 最近の選任日/再任日
デービッド・ゴンスキー AC(取締役会会長、 2014 年 2017 年
EESG委員会およびNBO委員会の委員長)
シェイン・エリオット(CEO) 2016 年 該当なし
イラナ・アトラス(人事委員会委員長) 2014 年 2017 年
ポーラ・ドワイヤー(監査委員会委員長) 2012 年 2018 年
ジェーン・ハルトン AO PSM(デジタル事業お 2016 年 2016 年 -2019年度の年次株主総会で再選に臨む
よび技術委員会委員長)
RT Hon サー・ジョン・キー GNZM AC(ニュー 2018 年 2018 年
ジーランド・メリット勲章ナイト・アン
ド・デイム・グランド・コンパニオン、
オーストラリア勲章コンパニオン)
グレイム・リーベルト(リスク委員会委員 2013 年 2016 年 -2019年度の年次株主総会で再選に臨む
長)
ジョン・マクファーレン 2014 年 2017 年
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3.2 取締役 および経営陣の役割
取締役会は、ANZの監視およびその慎重で健全な経営、ならびに憲章に定める一定の義務について責任を負う。2019年、ANZ
のガバナンス構造の継続的検討の一環として取締役会は以下を行った。
・ NBO委員会を設置。取締役会の継続的な構成および運営全般に関するものを含む、取締役会の適切な機能に関係するあら
ゆる事項について取締役会を補佐することを趣旨とし、これには取締役会の持続的な構成および運営全般に関するもの
が含まれた。
・ EESG委員会の役割について幅広く検討。同委員会の目的は、人とコミュニティが繁栄する世界を作るというANZの目標を
推進する方法の監督において取締役会を補佐することに絞られ、倫理、環境、社会およびガバナンスに関する事項を重
点的に扱っていく。
・ 取締役会および主要な取締役会委員会の憲章の詳細な見直しを実施。取締役会、経営陣および外部の利害関係人に対し
て、APRAの自己評価報告書および事業改革ロードマップで提起される具体的な事項への取締役の関与を明確化すること
を趣旨とする。これは本暦年末までに完了し、更新内容は2019年度の年次株主総会で提出される予定である。
・ この検討の一環として、取締役会の検討課題に新たに顧客のセグメントが設けられ、顧客に係る事項および指標を重点
的に扱っていく。
経営陣レベルでは、ANZの大部分の上級執行役員がグループ経営委員会を構成する。グループ経営委員会の委員はANZのウェ
ブサイト(anz.com/exco)(英文)に掲載される。ANZは、CEOおよびその他の上級経営陣の構成員に委任される事項を明確に
定める権限委任の枠組みを有する。
◎ 取締役会およびその主要委員会のそれぞれの憲章は、ANZのウェブサイト(anz.com/corporategovernance)(英
文)に掲載されている。
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3.3 取締役 の取締役会および委員会の会議出席状況
当年度中の取締役会会議および取締役会委員会会議の開催回数、ならびにそれらの会議への各取締役の出席回数を以下に示
す。
主要取締役会委員会 その他の常設委員会
倫理、
指名
デジタル
環境、
取締役会
事業
および
取締役会 株式
リスク 監査 人事
社会
特別
取締役会 および 取締役会
(1) (1)
委員会 委員会 委員会
および
委員会 委員会
(1)
技術
運営
委員会
ガバナン
委員会
委員会
ス委員会
A B A B A B A B A B A B A B A B A B A B
イラナ・アトラス 12 12 8 8 6 6 5 5 2 2 1 1 1 1 1 1
ポーラ・ドワイヤー 12 12 8 8 8 8 6 6 2 2 1 1 2 2
シェイン・エリオット
(2)
12 11 3 3 2 2 3 3
デービッド・ゴンス
キー AC
12 12 8 8 8 8 6 6 5 5 5 5 2 2 3 3 2 2 ▶ ▶
ジェーン・ハルトン
AO PSM
12 12 6 6 5 5 5 5 2 2 2 2 1 1
サー・ジョン・キー
GNZM AC
12 12 8 8 5 5 ▶ ▶ 2 2 2 2
(3)
リー・シェンヤン
▶ ▶ 3 3 2 2 1 1
グレイム・リーベルト 12 12 8 8 8 8 6 6 2 2 2 2 2 2
ジョン・マクファーレ
ン 12 12 8 8 8 8 5 5 2 2 1 1 1 1
A列は、取締役が委員として出席する権利を有した会議の回数を示す。
B列は、会議に出席した回数を示す。会長は、リスク委員会、監査委員会、人事委員会、倫理、環境、社会およびガバナン
ス委員会、デジタル事業および技術委員会ならびに指名および取締役会運営委員会の職権上の委員である。
上表は委員会会議に関する委員の出席状況を記録している。いずれの取締役もこれらの会議に出席する権利を有し、取締役
は適宜、自らが委員ではない委員会の会議に出席している。
注:(1) 上表に記載の取締役会特別委員会、株式委員会および取締役会委員会の会議は、書面による決議により行われたもの
を含む。
(2) シェイン・エリオットの取締役会会議の欠席は、銀行・退職年金・金融サービス業界における不正行為調査のための
王立委員会への出席に伴うものである。
(3) リー・シェンヤンは2018年12月19日に非執行取締役を退任した。
3.4 最高経営責任者(CEO)および経営陣への権限委任
取締役会は、その憲章が定めるとおり、CEOおよびANZ上級経営陣の一定の構成員を任命する。取締役会はCEOに、およびCEO
を通じて上級経営陣に、承認された戦略およびANZの財務目標を達成するための意思決定の権限および責任をANZの権限委任方
針に従い委任している。本方針は定期的に見直される。
グループ経営委員会は通常、毎月会議を行い、人とコミュニティが繁栄する世界を作るというANZの目標を実施することにつ
いて責任を負う。グループ経営委員会は以下を重視してこれを行っている。
・ すべての主要利害関係人
・ ANZの文化および能力の形成
・ ANZの取組みおよび資源配分の優先順位付け
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ANZ にはまた、正式に設置された多数のマネジメント委員会があり、これらの各委員会は、定められた意思決定権限により、
特定の継続的な課題に対処する。
銀行役員説明責任制度(BEAR)の導入の一環として、ANZの説明責任対象者(ANZのすべての取締役およびグループ経営委員
会(国際担当グループ執行役員を除く。)、ならびにグループ・ジェネラル・マネージャー(内部監査担当))に関して個別
の説明責任確認書が作成および維持される。これらには、BEARに基づく説明責任義務に係る個別の責任および受諾の包括的な
確認が含まれる。
さらにANZは、ANZの取締役会、取締役会委員会および主要なマネジメント委員会の目的を説明するBEARのためのアカウンタ
ビリティ・マップを整備している。当該マップには、説明責任対象者全体の管理およびガバナンス取決めに関するマッピング
も含まれる。
ANZ 取締役会が留保する権限およびANZの権限委任方針が一体となって、ANZおよびその被支配法人のすべての従業員および契
約者に対して適用される包括的な権限委任の枠組みを構成する。
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3.5 取締役会の構成、選任および任命
ANZ は、取締役会の構成を定期的に見直している。NBO委員会は2019年に設置され、その任務の1つは取締役会の構成の検討
に関するあらゆる事項について取締役会を補佐することである。候補者となりうる者を評価し取締役会の規模および構成の見
直しを実施するにあたり、NBO委員会は、取締役会の構成には以下のような項目を勘案した適切な混成比が反映されるべきとす
る指導原則を考慮する。
・ ANZの取締役会スキル・マトリックスで特定される主要分野のスキル/経験
・ 在任期間
・ 多様性
また、NBO委員会は以下の要素も考慮する。
・ 取締役会の構成に関する関連ガイドライン/法的要件
・ 取締役会憲章に明記された取締役会在職要件
・ ANZの戦略目標を含むその他の考慮事項
取締役会には少なくとも女性比30%以上の取締役会構成を維持するという目標があり、また取締役会単独で男女同数の代表
構成にしていくという長期的な展望もある。
候補者となる可能性のある者について検討する際、取締役会は、多様性が非常に大きな広がりを持ち、年齢や文化的アイデ
ンティティ(例えば、民族や母国)などのその他の事項を含む点にも着目する。同委員会はまた、候補者の個人的資質、コ
ミュニケーション能力ならびに効果的な経営手腕、プロフェッショナルとしての名声および倫理的活動への取組みも考慮す
る。
同委員会はまた、必要に応じて、取締役会会長の後継者育成および選出手順の見直しおよび勧告を行う。
ANZ の指名手順に関する情報の詳細は、ANZの「取締役会の構成、選任および任命(Board Composition, Selection and
Appointment)」の資料に記載があり、これはANZのウェブサイト(anz.com/corporategovernance)(英文)で閲覧可能であ
る。2019年に取締役会は、計画的な取締役の交代の適切性を確実に維持し、取締役会の最適な業績の実現を目指すため、取締
役会のスキル・マトリックスの包括的な見直しを実施した。
NBO 委員会は、取締役会の規模および構成について見直しを行い取締役会に勧告し、また取締役に適任と考えられる者を特定
して候補者を取締役会に推薦する職責を委任されている。
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3.6 取締役 会のスキルおよび経験
以下の表は、ANZの取締役会がその構成上確保したい主なスキルと経験、ならびにそれぞれのスキル/経験を備える取締役の
人数を示す。
以下に列挙される多様な専門的スキルと経験を備えた個人を取締役会に擁することに加えて、ANZの取締役会が確保したいの
は、各自が事業の長期的成功を重視しつつチームとして機能し、また、異なる個性と視点を含めることにより、各自が敬意を
持って対経営陣および取締役相互間で具申を行い、忌憚のない議論に参加し、新たなソリューションを得るため仲間と協力す
る体制である。
スキルおよび経験 取締役の人数
戦略および商業の見識
8
(商業的判断を活かして戦略目標の実現を計画および監視するための知識と経験)
銀行および/または金融サービス
7
(ANZ以外の銀行業または金融サービス業界の重要要素における経験)
テクノロジー
(重要技術、データ、技術関連イノベーションまたはデジタル・インフラストラクチャーもしく 3
はアプリケーションを企業において適用および開発するための知識と経験)
大規模な組織におけるリーダー的役割
8
(上場企業または大規模/複雑な組織、または政府組織におけるCEOまたは上級職への就任経験)
職場文化および/または報酬
(職場文化の事項を管理または監督し、および/または報酬実務および上級職員の任命を監視す 8
るための上級職レベルの知識と経験)
コーポレート・ガバナンス、リスク管理/コンプライアンスおよび/または持続可能性
(コーポレート・ガバナンス、リスクマネジメント/コンプライアンスおよび/または持続可能
性の枠組みおよびそれらに関連する実務の設計・適用における経験を含むが、これらに限定され 8
ない。これには、上場企業または大規模/複雑な組織または政府組織の取締役(理事)/執行役
員としての経験が含まれる。)
規制/政府方針
(規制/政府/業界政策に関する事項を策定し、および/または重要な利害関係人のエンゲージ 8
メント/管理に関係する経験)
国際ビジネスの経験 8
財務の見識
(財務および関連リスク管理の十分性を精査する能力を含む、大規模事業の財務書類に対する十 8
分な理解)
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3.7 取締役 の独立性
ANZ の取締役会憲章は、ANZの独立性基準を満たす非執行取締役が取締役会の過半数を占めることを要求する。かかる基準は
取締役会憲章で定められており、NBO委員会がASXガバナンス原則、APRAの健全性基準およびその他の関連する要件に照らして
これを定期的に見直している。
監査委員会憲章が監査委員のための追加的独立性基準を定めており、これも考慮されている。
◎ かかる基準の詳細は、ANZのウェブサイト(anz.com/corporategovernance)(英文)に記載されている。
ANZ の独立性テストは、ある取締役がANZと重要な関係があるか否かを基準とする。要約すれば、以下のことをするにあた
り、取締役の意思に影響を与える現実かつ妥当な可能性があるとANZの非執行取締役の地位にある合理的な人間が予想する場
合、ANZとの重要な関係があるとみなされる。
・ 定期的に取締役会または委員会の議題に上がる傾向にある事項について決定を行う。
・ 経営陣が提供する情報および助言を客観的に評価する。
・ ANZ全体にわたり一般的に適用される方針を設定する。
・ 一般的に取締役としての自身の役割を実行する。
取締役は、ANZと取引関係がある会社その他の組織の取締役にも就任する。こうした関係から独立性の問題が生じないように
取決めが交わされる(第3.8項を参照)。
◎ 「(2)役員の状況-①取締役」およびANZのウェブサイト(anz.com/directors)(英文)に記載の取締役の略歴
は、取締役のANZの社外における主な関連団体について述べている。
3.8 利益相反
独立性の問題を超えて、各取締役は、ANZの業務に関連する重要事項に関する潜在的または現実の利益相反を生じているか否
かを判断する継続的な責任を負う。かかる状況は、外部の団体、利害関係または個人的関係から生じる可能性がある。
ANZ は、取締役の利害開示規約および利益相反処理手続きを備えている。これは、現実のまたは潜在的な利益相反が存在する
場合、取締役は取締役会に対して影響力を行使することができない旨を定める。
この規約は、利益相反を処理するためのANZの取組みに関するより多くの情報を含んでおり、ANZのウェブサイト
(anz.com/corporategovernance)(英文)で閲覧可能である。
3.9 非執行取締役の社外コミットメント
すべての非執行取締役は、いかなる社外での新たな役職の任命についても、引き受ける前に会長に通知する義務がある。会
長は、新たな任命の提案について検討し、個別に問題を考慮する。
この検討を行う際に会長が従う手順および考慮要素は、「非執行取締役の社外コミットメント(Outside Commitments of
Non-Executive Directors)」の資料において定められており、これはANZのウェブサイト(anz.com/corporategovernance)
(英文)にて閲覧可能である。
会長が社外の新たな役職を引き受けようとする場合、在任期間の最も長い非執行取締役が上記の検討および承認手順におい
て会長の代わりを務める。
ANZ は非執行取締役の各社外コミットメントについて問題はないものと思料している。
取締役会は各非執行取締役の独立性を検討し、各非執行取締役が独立的であるとの結論に達した。
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4.業績評価
ANZ は非執行取締役、取締役会会長、取締役会および取締役会委員会の各々についての業績評価を実施している。
評価プロセスの内容について以下で要約しており、更なる詳細についてはANZのウェブサイト
(anz.com/corporategovernance)(英文)に掲載されているANZの「取締役会改選および業績評価規約(Board Renewal and
Performance Evaluation Protocol)」で説明している。
4.1 非執行取締役
非執行取締役の評価のため、会長は、非執行取締役の行動規範の遵守を含めた業績について各非執行取締役と1対1の会合
を持つ。
4.2 取締役 会会長
ANZ の最も在職期間の長い非執行取締役が、取締役会会長の業績評価を行う。これには、各取締役にインプットを求めること
が含まれる。
4.3 取締役 会
定期的に、取締役会の業績は独立の外部の調整役を活用して評価される。ANZは当該外部評価をおよそ3年毎に行う予定であ
る。
4.4 取締役 会委員会
主要な取締役会委員会はそれぞれ、NBO委員会が承認したガイドラインを用いて、当該委員会の業績の評価を目的として年次
自己評価を行う。
4.5 上級執行役員
当グループがリスクおよびイメージ形成、財務および引締め、顧客ならびに人材および文化に関する基準につきどのように
評価しているかを含め、最高経営責任者(CEO)およびその他主要な上級執行役員の業績の取締役会による評価方法について
は、「(2)役員の状況-③役員報酬の内容(報酬報告)」に記載される。
2019 事業年度に関する主要な執行役員の評価は、この手順に従って行われた。
4.6 実施された2019年度の評価手順
本書日現在、会長、非執行取締役、取締役会および取締役会委員会の2019事業年度の評価の確定作業を進めており、2019年
度の年次株主総会の前に完了した。
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5.その他の情報
5.1 適格性チェックおよび銀行役員説明責任制度への適応性
ANZ は、関連する上級職に任命された個人が、健全性に関する責任を適正に果たすために相当する適格性を有することを保証
する手続きを備えている。
その枠組みは、ANZの「APRA規制対象機関のための適格性方針(Fit and Proper Policy for APRA Regulated
Institutions)」に定められている。各取締役、関連する上級執行役員およびANZの外部監査人のAPRAの関与パートナーについ
て新規任命が行われる前に、評価を実施することが当該方針で求められている。取締役会はANZの非執行取締役の評価を実施
し、人事委員会は、CEOおよび主要な上級執行役員を評価し、監査委員会はANZの外部監査人のAPRAの関与パートナーを評価す
る。評価には以下が含まれる。
・ 各人が証明を提供すること
・ 審査担当者が個人の重要な資格の証拠を入手すること
・ 例えば犯罪歴、破産歴および規制上の欠格といった個人の経歴を審査担当者がチェックすること
2019 年 度中、適格性の年次評価は、非執行取締役、最高経営責任者、主要な上級執行役員およびANZの外部監査人のAPRAの関
与パートナーの各人について行われた。
この方針はまた、ANZの説明責任対象者がBEARの要件に従いその職責を担うにふさわしいか否かを取締役会および人事委員会
が評価する方法を定める。
適格性方針の要約および枠組みに関する更なる詳細情報は、ANZのウェブサイト(anz.com/corporategovernance)(英文)
に掲載されている。
5.2 任命書類
新任の非執行取締役は各自、以下を添付した任命書を受領する。
・ 取締役ハンドブック - ハンドブックには、適用される全方針の情報を含む、取締役の役割に関連する幅広い事項につ
いての情報が含まれる。
・ 取締役の証書 - 各取締役は、2005年度年次株主総会において株主が承認した現行の書式による証書に署名する。
この証書は、免責、会社役員賠償責任保険、独立した個別の助言を受ける権利、機密保持に関する要件および情報へのアク
セスなど多数の事項を網羅している。
在職中の各非執行取締役は任期開始時にその任命期間を記載した書面を受領している。
任命期間を明示した正式な文書が上級執行役員に渡される。
5.3 取締役 向け初任研修
ANZ は、すべての新任取締役が参加する初任研修プログラムを整備しており、その中で参加者はANZの価値観および文化、ガ
バナンス枠組み、非執行取締役行動規範、取締役に関する方針、取締役会および委員会の方針、手順および主要問題、財務管
理ならびに事業運営について情報提供を受ける。また取締役は、上級経営陣より各自が責任を負う分野に関する事項につき概
要の説明を受ける。
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5.4 独立的助言を求める取締役の権利
取締役がその責務を履行する一助とするため、各取締役は、(会長の事前承認を受けて)ANZの費用負担において、その責務
に関する独立した専門的助言を求める権利を持つ。
さらに、取締役会および各主要委員会は、ANZの費用負担において、会長の承認を受けて、その業務を支援するために必要と
するあらゆる専門的助言も得ることができる。
5.5 取締役 持株基準の充足
非執行取締役は、任命後5年以内にその基本報酬の最低100%と同額のANZ株式を保有するまで買い進め、以降はその保有を
維持しなければならない。会長の要件はその基本報酬の最低200%である。各非執行取締役は、当該要件を満たしている。
5.6 非執行取締役 および上級執行役員の報酬
非執行取締役、CEOおよびその他の上級執行役員の報酬の仕組みに関する情報は、「(2)役員の状況-③役員報酬の内容(報
酬報告)」に記載されている。
5.7 次の年次株主総会における選任
ANZ の定款および2001年会社法の規定により認められている通り、取締役会は随時ANZの非執行取締役を任命することができ
る。しかし、同人は次の年次株主総会において退任しなければならない。
同人が取締役として継続を望む場合には同年次総会において株主による選任を受けなければならない。
5.8 取締役 の任期および退任
ANZ の定款は、非執行取締役としての役職の継続を望む非執行取締役が、3年毎に株主による再選を求めなければならない旨
を規定している。これは、ASX上場規則に整合している。
さらに、ANZの「取締役会改選および業績評価規約」では、非執行取締役は、株主により最初に選任されてから連続3回の3
年間の任期を満了した時点で退任することを求めている。
ただし、特別な状況において、取締役会は任期延長を非執行取締役に依頼することができる。
5.9 取締役 向け継続教育
ANZ の取締役は、正式な初任研修プログラムに加えて、取締役としての自己の職務および責任に関する幅広い研修および継続
教育に参加する。
また各委員会は、独自の継続的な研修会を適宜開催し、また自己評価の要素項目の選定に努める。一例として、監査委員会
は、会計基準の動向について定期的に説明を受けている。必要に応じて、社内および社外の専門家が研修会の開催に関与す
る。
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6.会社秘書役の役割
取締役会はANZの会社秘書役の任命につき責任を負う。取締役会により、会社秘書役として2名が任命されている。
任命された会社秘書役のうちの一人はグループ・ジェネラル・カウンセルであるケン・アダムスである。アダムス氏はANZに
対してグローバルに法務業務を提供する責任を負う。会長、取締役および上級経営陣と密接に連携し、会社秘書役室について
取締役会に対し責任を負う。
会社秘書役であるサイモン・ポーデージは、会社秘書役室の業務運営に責任を負う。これには、取締役会および取締役会委
員会会議の運営ならびにANZおよびそのオーストラリア子会社に対する取締役会のガバナンスに関する関連要件の管理、ANZの
株式登録機関との関係の監視、ならびに分配の管理ならびに証券取引所および企業規制当局との情報の連絡およびこれらへの
情報の届出などのANZの上場有価証券の管理が含まれる。
同氏は、取締役会の適切な機能に関係するあらゆる事項について、取締役会に対し会長を通じて直接説明する責任を負う。
同氏はANZのコーポレート・ガバナンス原則を発展および維持させるために取締役会の会長と緊密に連携する。
会社秘書役は、取締役会の適切な機能に関連するあらゆる事項について、取締役会に対し会長を通じて直接説明する責任を
負う。
7.取締役会委員会
7.1 委員および出席
各主要な取締役会委員会は、
・ 専ら独立非執行取締役により構成される3名以上の委員を擁し、
・ 独自の憲章を持ち、
・ 必要と思料される特別な調査を開始する権限を有し、また、
・ その委員のうち1名が取締役会により委員長に任命される。
取締役会は取締役会委員会の構成を毎年見直す。会長は、各主要取締役会委員会の職権上の委員となり、EESG委員会および
NBO委員会の委員長となる。CEOは、適宜、取締役会委員会の会議への出席を依頼される。もっとも、同人の出席は当然のもの
ではなく、また自己の報酬が検討または討議される場合には出席しない。非執行取締役は、すべての委員会のあらゆる会議に
出席することができ、また出席することが推奨され、すべての会議資料の提供を受ける。
各取締役会委員会は、その責任の範囲内で、憲章に基づき、その責務を実践するために関連があると思料する経営陣および
従業員に無制限に連絡をとり、かかる情報を無制限に入手することができる。
各取締役会委員会は、必要に応じて会議にANZの役員または従業員に出席を要請することができ、また外部関係者の出席を依
頼することができる。
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7.2 監査委員会
監査委員会は以下を監督し、独立的に検討する責任を負う。
・ ANZの財務報告に係る原則および方針、管理ならびに手続き
・ ANZの内部統制およびリスク管理の枠組みの有効性
・ 監査委員会委員長に直属する内部監査(IA)の業務(IAの詳細については、下記第8.1項を参照のこと)
・ ANZの財務書類およびその独立監査の整合性ならびに関連ある法律上および規制上の要件の遵守
・ 財務報告に関連する範囲において健全性の監視手続きおよびその他の規制上の要件(報告要件を含む。)、ならびに主
要な子会社の監査委員会からの報告
監査委員会はまた、次についても責任を負う。
・ 外部監査人の任命、監督および年次評価(独立性、適格性ならびに資質および資格の検討を含む。)
・ 外部監査人の報酬
・ 外部監査人の交代(適宜)、ならびに
・ グループ・ジェネラル・マネージャー(内部監査担当)の業績および報酬の検討、ならびに取締役会に対する適宜の勧
告の実施
委員会憲章に基づき、
・ 監査委員会の各委員は適切に財務に通じていなければならず、また、
・ 委員会の委員は委員会の責務を有効に実践するための適切な知識、技能および経験(業界における経験を含む。)を委
員会全体として有していなければならない。
取締役会は、ポーラ・ドワイヤー(委員長)が、監査委員会憲章に規定される定義に基づく「財務の専門家」であると判断
した。取締役会はドワイヤーが当該要件に基づく「財務の専門家」に必要な資質を有していると判断したが、このためにドワ
イヤーが監査委員会の他の委員より追加の責任を負うことはないという点を重々留意すべきである。
監査委員会は経営陣を同席させずに外部監査人および内部監査人と会合する。監査委員会委員長は、IA、外部監査人および
経営陣と個別かつ定期的に会合する。副最高財務責任者は執行役員であり、監査委員会の事務および効果的な運営に関して同
委員会委員長を補佐する責任を負う。
CEO および最高財務責任者は、取締役会に対し、当グループの2019年度に関して以下を公表した。
・ 会社法第295条AおよびASXガバナンス原則の勧告4.2に定められる年次財務書類およびその他の事項、ならびに
・ ASXガバナンス原則の勧告4.2により要求される中間財務書類およびその他の事項
CFO は執行役員であり、監査委員会の運営に関して同委員会の委員長を補佐する責任を負う。
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7.3 EESG委員会
EESG 委員会は以下を含む事項の監督、検討、および/または(適宜の)承認について責任を負う。
・ ANZの企業持続可能性の目標案
・ ANZの持続可能性の枠組み、目標および関連実績に関する開示
・ 公正で責任ある持続可能な事業を運営する銀行の能力に関する倫理、環境、社会およびガバナンス上のリスクならびに
機会
・ 倫理、環境、社会およびガバナンスに関する事項についての報告
・ ANZの企業倫理・責任委員会
・ 倫理または環境、社会およびガバナンスに関する重要事項の決議の取締役会への適宜の付託
・ 関連する企業ガバナンス方針および原則の策定および承認
・ 本コーポレート・ガバナンス報告書の審査
・ 顧客の苦情またはその他の行動に関係する事項についての定期的な報告
会社秘書役およびグループ・ジェネラル・マネージャー(総務担当)は執行役員であり、EESG委員会の運営に関して同委員
会委員長を補佐する責任を負う。
7.4 人事委員会
人事委員会は、報酬事項および上級執行役員の交代について取締役会を補佐し、取締役会に勧告する。
人事委員会は取締役会に対して以下を含む事項について検討および承認、または勧告を行う責任を負う。
・ CEOおよびその他の主要な執行役員の報酬、非執行取締役の報酬
・ 主要な変動報酬制度の計画
・ 主要な上級執行役員の業績および報酬の査定
・ 主要な上級執行役員の任命および解任
・ 報酬方針の有効性および同方針の変更
・ 文化およびガバナンス
・ 多様性、包摂性および従業員エンゲージメント(NBO委員会が監視する取締役会の多様性を除く。)
グループ執行役員(人材および文化担当)が、人事委員会の運営に関して、同委員会委員長を補佐する責任を負う。
人事委員会の活動の詳細は、「(2)役員の状況-③役員報酬の内容(報酬報告)」を参照のこと。
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ANZ 取締役会委員会の委員
2019 年10月30日現在
倫理、
環境、 社会 デジタル
指名および
および
事業および 取締役会運
監査 ガバナンス 人事 リスク 技術 営委員会
メンバーシップ
デービッド・