オーストラリア・コモンウェルス銀行 有価証券報告書
提出書類 | 有価証券報告書 |
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提出日 | |
提出者 | オーストラリア・コモンウェルス銀行 |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
EDINET提出書類
オーストラリア・コモンウェルス銀行(E05872)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2019年11月28日
【事業年度】 自 2018年7月1日 至 2019年6月30日
【会社名】 オーストラリア・コモンウェルス銀行
(Commonwealth Bank of Australia ABN48 123 123 124)
【代表者の役職氏名】 グループ財務担当業務執行ゼネラル・マネジャー
(Executive General Manager, Group Treasury)
テリー・ウィンダー(Terry Winder)
【本店の所在の場所】 オーストラリア、2000ニューサウス・ウェールズ州、シドニー、サ
セックス・ストリート201、タワー1、1階
(Ground Floor, Tower 1, 201 Sussex Street, Sydney, NSW 2000,
Australia)
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 島 崎 文 彰
【代理人の住所又は所在地】 東京都千代田区神田小川町一丁目7番地 小川町メセナビル4階
島崎法律事務所
【電話番号】 03-5843-9631
【事務連絡者氏名】 弁護士 島 崎 文 彰
【連絡場所】 東京都千代田区神田小川町一丁目7番地 小川町メセナビル4階
島崎法律事務所
【電話番号】 03-5843-9631
【縦覧に供する場所】 該当事項なし
(注1)本書において文脈上他に解釈すべき場合を除き、「当行」および「CBA」はオーストラリア・コモンウェ
ルス銀行を、「グループ」および「当グループ」はオーストラリア・コモンウェルス銀行およびその被支
配会社を、ならびに「本社債」は、これまで日本で募集または売出しが行なわれた発行者のすべての社債
のうち、本書の日付現在未償還であるものを総称して指すものとする。
(注2)本書に記載の「豪ドル」および「ドル」はオーストラリア・ドルを、また「円」は日本円を意味するもの
とする。東京で外国為替業務を行う主要銀行が建値した2019年9月9日現在の対顧客電信直物売買相場の
中値は、1豪ドル=73.15円であった。本書において便宜上記載されているオーストラリア・ドル金額の日
本円への換算は、この換算率によっている。
(注3)当行の会計年度は毎年7月1日に始まり、翌年の6月30日に終了する。
(注4)本書において表中の数値が四捨五入されている場合、合計は各数値の総和と必ずしも一致しない。
(注5)本書に記載の情報でオーストラリア・コモンウェルス銀行およびその被支配会社(コモンウェルス銀行グ
ループまたはグループ)の営業に関するものはすべて、別段の記載のない限り、2019年6月30日現在のも
のである。
(注6) 将来予想に関する記述についての注意書き
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「ハイライト」、「事業等のリスク」、「グループ業績の分析」、「リテール銀行業務」、「事業向けおよびプ
ライベート・バンキング業務」、「機関向け銀行業務および市場業務」、「資産運用」、「ニュージーランド」、
「国際金融サービス」、「コーポレート・センター」および「グループ・オペレーションおよび事業体制」の項目
の もとならびに本書の他の箇所に記載された一定の記述は、1995年米国民事訴訟改革法の意義の範囲内の「将来予
想に関する記述」である。
かかる将来予想に関する記述には、経済予測および仮定ならびに事業および財務の予測を含めて、既知および未
知のリスク、不確実性およびその他の要因が絡んでおり、そのため当グループの実際の結果、実績または達成状況
は、かかる将来予想に関する記述によって明示または暗示される将来の結果、実績または達成状況と大きく異なる
可能性がある。
かかる要因には、当グループが服する現在および将来の広範な規制および政治的審査、オーストラリアおよび
ニュージーランド経済の悪化、全般的な景気および経済状況、世界の金融市場の混乱とそれに伴う影響、当グルー
プが事業を手掛ける業界内での競争、市場シェアを維持または拡大し、費用を管理する当グループの能力、効果の
乏しいリスク管理その他のプロセスおよび戦略など、大手金融機関であることに伴うオペレーショナル・リスク、
サイバー攻撃を含む情報セキュリティ・リスク、中核的な経営幹部、従業員または取締役会のメンバーの喪失を含
む人的資本リスク、気候変動、コンプライアンス・リスク、当グループに対する法的および規制面の措置、当グ
ループの従業員による不適切な行動、当グループのカウンターパーティー・エクスポージャーに関連する損失、流
動性および資金調達リスク、金融および信用市場環境の悪化による国際債券市場へのアクセス不能、当グループが
信用格付けを維持できないこと、当グループに課せられた自己資本および流動性要件の未達、市場リスクに対して
効果的なヘッジができないこと、戦略リスク、当グループが行うまたは企図する買収または事業売却に関連するリ
スク、株主アクティビズム、保険リスク、ならびに当グループが制御しえない多くのさまざまな要因が含まれる。
こうしたリスク、不確実性およびその他の要因があるため、潜在投資家はかかる将来予想に関する記述に過度に依
拠することのないよう注意されたい。
当グループに該当するリスク・ファクターの詳細については、「第3 事業の状況-2 事業等のリスク」を参
照されたい。
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第一部 【企業情報】
第1 【本国における法制等の概要】
1 【会社制度等の概要】
(1)【提出会社の属する国・州等における会社制度】
オーストラリアにおいて会社を含む法人に関連する主たる法律はコモンウェルス2001年会社法(「会社法
(Cth)」)である。
会社の内部管理には、「代替可能な規則」として会社に適用される会社法の規定、「定款」またはそれらの組合
わせが適用される。会社は、定款を登記する必要はないが、登記に際してまたはその後に定款を採択することがで
きる。オーストラリア証券取引所(ASX)に上場しようとする場合は定款を設けなければならない。
株 式
会社の定款如何で、会社の取締役は、株式の割当について完全な裁量権を有することができ、またそれ以外の場
合は、株主総会による会社の承認を得ることなく取締役のみで株式を割当てる権限に制限が付されることがある。
会社は株式の発行条件ならびに株式に付される権利および制限(異なる種類の株式ならびに異なる議決権および配
当請求権を設けることなど)を決定することができる。会社がASXの上場会社の場合、所定の期間内に割り当てる
ことのできる株式数について上場規則の中に制限が設けられている。株式は動産であり、会社の定款に定めるとこ
ろに従い、または(これが適用ある場合は)ASXセトルメント・ピーティーワイ・リミテッド(ASXセトルメント)
の規則に従い譲渡または承継可能であり、(譲渡がASXセトルメントの規制を受ける場合を除き)適切な譲渡証書
が会社に交付されることならびに譲受人の氏名が株主名簿に登録されることを要する。会社の定款が制限を課して
いない限り、株式はその他の点で自由に譲渡可能である。
会社の経営管理
会社法上、すべての会社は株主名簿を備置することを要求される。株主名簿には、就中、株主の氏名および住
所、株主の氏名の登録日、各株主の保有株式数ならびに当該株主の株式についての未払込額(もしあれば)を記載
する。株主名簿は常に、オーストラリア国内で、当該会社の登記上の事務所、主たる営業場所または株主名簿の保
管にかかわる事務が行われる場所に保管されなければならない。オーストラリアの会社はまた、証券・投資委員会
に対し各取締役個人の詳細の通知書を提出し、また財務記録ならびに株主総会および取締役会のすべての議事およ
び決議ならびに会議を開催せずに可決された決議を記載した議事録を備置することを義務づけられる。会社法上、
計算書類について株主に報告するための監査人が任命されることを要し(ただし、小規模の非公開会社の場合はこ
の限りでない。)、年次財務報告書が証券・投資委員会に提出されなければならない(これにより年次財務報告書
は公開書類となる。)。
会社の事業は通常、取締役によりまたは取締役の指揮のもとで管理される。会社法上、公開会社は最低3名以上
の取締役を置くことを要する。ただし、個々の会社の定款は(法定要件を遵守する限りにおいて)最低員数および
最大員数を定めることができる。取締役は、会社法または会社の定款(もしあれば)またはASX上場規則(もし適用
あれば)上、会社が株主総会において行使すべきとされている以外の、会社のすべての権限を行使することができ
る。取締役がオーストラリア国内で取締役会を開催しなければならないとする要件はないが、公開会社の場合は最
低2名の取締役がオーストラリア国内に通常居住していなければならない。
会社法上、株主の国籍または住所に対する制限はない。株主総会は会社法の規定および会社の定款(もしあれ
ば)に従って開催されなければならない。法律により別段の要求がある場合を除き、株主の決定の大半は普通決議
により決せられるが、一定の事項(定款の変更または会社の清算決議など)には、当該決議について投じられた票
の75%以上で可決される特別決議が要求される。
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通常、配当の宣言および支払に関する規定が定款に設けられる。取締役は中間配当または最終配当の金額、支払
時期および支払方法を決定することができる。ただし、定款上、株主が年次株主総会でかかる配当支払を承認する
こ とが要求される場合もある。会社は、以下の要件が満たされる場合を除き、配当を支払ってはならない。すなわ
ち、当該会社の資産が配当宣言がなされる直前の負債を上回っており、超過分が配当を支払うために十分であるこ
と、配当の支払が当該会社の株主全体にとって公正かつ合理的であること、配当の支払が債権者に債務を弁済する
当該会社の能力を著しく損なわないこと。支払はまた、優先権を付された証券の所持人の権利が優先されることが
ある。
(2)【提出会社の定款等に規定する制度】
以下は、当行の定款および会社法に定められた株式に付随する権利に関する一定の規定の要約である。当行の定
款は2019年10月16日付けである。
株式の発行
当行の取締役が株式の発行を管理している。会社法およびASX上場規則に従い、取締役は新たな株式を発行し、
株式にかかる権利またはオプションを取締役が適当と思量する条件で付与することができる(ただし、同法・同規
則により一定の状況下では株主の承認が必要とされることがある。)。
譲 渡
ASX の決済業務規則に従い、普通株式の譲渡は登録が完了するまで効力を発生しない。普通株式は、ASX上場規則
および当該定款に従って譲渡可能であるが、当行の取締役は、特定の場合には、普通株式の譲渡の登録を拒否する
ことができる。
法律または定款に別段の定めがある場合を除き、当行は登録株主を株式の絶対的所有者とみなすことができる。
受託者が保有する普通株式は、取締役の同意があれば、関連する信託に服するものとみなされることができる。
特定の場合を除き、当行は3名を超える者を1株の共同株主として登録する義務を負わない。当行が法律または
ASX規則により株券の発行を義務づけられる場合、当行は1枚を超える株券を発行する義務を負わない。
株主の死亡、破産、株主が心神喪失となるかまたはその者が精神の健康に関する法律に基づき対処されるのを免
れないことを理由に普通株式の所有権を取得するに至った者については、制限が適用される。株主の死亡の場合、
共同株主として登録されている1名もしくは複数名の生存者および単独株主の場合には、その法定代理人が、当該
株式について株主としての権益を享受する資格を当行によって認められる唯一の者となる。
配当金
取締役が配当を支払うべきことを決定した場合、普通株式の株主は配当金を受け取ることができる。当行は、当
行の資産が負債を上回り、配当金の支払いが、普通株式の株主全体にとって公平で合理的であり、かつ支払いが当
行の債権者に対する支払能力を著しく害しない場合でなければ配当金を支払うことができない。また、支払いは、
優先権が付された有価証券の保有者の権利に服することがある。当行の取締役は、配当金の支払方法を決定するこ
とができる。
当行は、オーストラリア、ニュージーランドおよび英国に登録住所を有する株主に、直接口座振込によって金銭
配当を支払う。直接口座振込の指示がない場合は、配当金は無利息口座で保管される。当行はまた、適格株主のた
めに配当再投資制度を設けている。当行の取締役は、配当毎に配当再投資制度を適用するか否かを決定し、その決
定はASXに告知される。
清 算
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当行が清算される場合、普通株式の株主は当行の残余財産の分配を受ける(ただし、優先権が付与された株主が
存在する場合は、当該株主の権利に服する。)。
議決権
会社法および定款に従い、当行の株主総会に本人または議決権行使代理人、代理人もしくは公式代表者が出席
し、議決権を行使することのできる各株主は、
( i)挙手に際しては、(持株数の如何に拘わらず)1票を有し、
( ⅱ)投票に際しては、特定の日に保有または(場合により)代理された全額払込済議決権株式1株につき1票を
有する。一部払込済株式については、各株主は、1票のうち、かかる株式に対する払込済額が当該株式に対
する払込済額および未払額の合計に占める割合部分について権利を有する。
定款は、特定の状況下における議決権の制限を定めている。これには、(ⅰ)共同保有者がいる場合、(ⅱ)複数の
議決権行使代理人、代理人または公式代表者が任命されるか、複数の株主を代表する場合、(ⅲ)または会社法また
はASX上場規則に基づき、株主が決議について議決権を有さない場合が含まれるが、これらに限定されない。
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株主総会
普通株式の株主は、当行の株主総会の通知を受領し、当該総会に出席し、当該定款に従って、本人自ら、または
代表者、代理人もしくは委任状保有者を通じて投票することができる。
新たな株式の発行
当行の取締役が株式の発行を管理している。会社法およびASX上場規則に従い、取締役は適当と思料する条件
で、新たな株式を発行し、株式に対する権利またはオプションを付与することができる。
普通株式の所有制限
オーストラリアの法律(金融セクターおよび外資ならびに買収に関する法律を含む。)は、特定の者による普通
株式の保有、所有または当該株式にかかる議決権の行使について一定の制限を課している。
定款の変更
当行は、定款を変更するために、普通株式の株主の特別決議(決議に票を投ずる権利を有する株主が投じた票の
75%以上で可決。)の承認を求めることができる。
2 【外国為替管理制度】
原則として、現時点では、当行から当行の有価証券を保有する日本国内の非居住者に対して行なわれる配当、利
息またはその他の支払の送金は、オーストラリアの金融制裁制度による規制を受けない。ただし、以下に記載する
オーストラリアのまたは他の制限が適用される可能性がある点を念頭に置かれたい。
2011 年自主制裁法(Cth)および2011年自主制裁規則(Cth)のもとで、オーストラリアは、シリア、イラン、ジ
ンバブエ、ミャンマー、リビア、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、旧ユーゴスラビア、クリミアおよびセバス
トーポリ、ロシアおよびウクライナをターゲットにした自主制裁を実施した。自主制裁の例としては、指定された
個人または組織またはセクターに対するターゲットを絞った金融制裁、指定国に対する、指定国における使用のた
めの、または指定国のための物資の供給に対する制裁、ならびに指定国の憂慮すべき状況(例えば軍事行動)に対
する一定のサービスの供給に対する制裁が含まれる。
2012 年3月7日以降、財およびサービス貿易に対する統制を適用するすべての自主制裁および外務大臣が指定し
た個人および組織(以前、オーストラリア準備銀行が管理していた個人および組織を含む。)に対する金融制裁
は、2011年自主制裁規則のもとで外務・貿易省(「DFAT」)が管理している。指定された個人または組織が所有ま
たは支配している資産を保有している者は当該資産を凍結しなければならない(つまり、かかる保有者は承認を得
ることなくこれらの資産を使用しまたはこれらの資産を取引することを禁じられる。)。また、承認を得ることな
く資産を指定された個人もしくは組織に対しまたはそれらの利益のために直接または間接的に利用に供することは
禁じられている。
さらに、DFATは、国連安全保障理事会により課された制裁の発動に責任を負っている。オーストラリアは、国連
加盟国として、国連安全保障理事会の制裁措置を国内で実施する義務を負っている。
国連安全保障理事会の制裁措置には、武器禁輸、渡航禁止、金融制裁、民間航空機乗り入れ禁止、ならびに一定
の商品の輸入/輸出禁止などが含まれる。制裁措置にはまた、外交の縮小または停止が含まれることもある。安全
保障理事会制裁委員会は、渡航および/または金融制裁の対象となる個人のリストを作成している。
オーストラリアでは、国連の制裁制度およびテロリスト資産凍結制度に基づく金融措置は、1945年国連憲章およ
び同憲章に基づく個別国規則に従い、オーストラリア国民またはオーストラリア国内に所在する者が、下記行為を
行うことを刑事処罰の対象とすることにより実行されている。
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・制裁対象者または団体によって、直接的または間接的に所有または支配される資金、その他の金融資産および
経済資源を使用しまたは扱うこと、または
・制裁対象者または団体に利用可能な資金、金融資産または経済資源を直接的または間接的に供与すること。
以下の国連安全保障理事会の制裁措置の大部分には、ターゲットを絞った積極的な金融制裁が含まれている。
・中央アフリカ共和国
・カウンター・テロリズム
・コンゴ民主共和国
・朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)
・ギニアビサウ共和国
・イラク
・イラン
・ 過激派組織「イスラム国」(IS)および アルカイダ
・レバノン
・リビア
・マリ
・ソマリア
・南スーダン
・スーダン
・タリバン
・イエメン
ターゲットを絞った金融制裁のほか、国連安全保障理事会の制裁には、輸出および物資および役務の提供に対す
る追加的制限または渡航禁止が含まれる場合がある。
国連によるテロリストの資産凍結措置に関しては、外務大臣が、国連安全保障理事会が定めた定義に該当すると
指定した個人および組織に対して措置が適用される。
3 【課税上の取扱い】
オーストラリアの課税
二重課税を排除するための完全な法人税株主帰属方式に基づき、オーストラリアの会社により、現行30%(また
は小会社については27.5%)の率によるオーストラリア法人税にすでに服したその利益から支払われる受取配当に
ついては、支払済みのオーストラリア法人税に係る税額控除を受けることができる。オーストラリア非居住者に対
して支払われる配当については、これが法人税支払済みでない場合は30%(適用がある租税条約により軽減される
ことがある。)の法的税率による源源泉徴収税が課される。
オーストラリアの会社によりオーストラリア非居住者に対して支払われる債務証券の利子は、一般的にオースト
ラリアにおいて10%の源泉徴収税に対象となる。ただし、オーストラリア連邦1936年所得税賦課法第128F条(3)に
規定する公募要件(パブリック・オファー・テストを充足する債務証券の発行に係るものを含めて、一定の利子源
泉徴収税免除が認められている。
オーストラリアにおいては現在、相続、遺産または贈与税は存在しない。
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オーストラリア非居住者による株式等のエクイティ証券または社債等の債務証券の売却により生じる利得は、か
かる利得がオーストラリア内に所在する恒久的施設を通じてオーストラリアにおいて事業を遂行する非居住者によ
り 取得されるときを除き、当該利得がオーストラリアを源泉としない場合にはオーストラリアの課税対象とはなら
ない。オーストラリア非居住者によるエクイティ証券の売却により生じる利得については、その発行主体の潜在価
値が主にオーストラリアの不動産に由来するときは、当該利得はオーストラリアの課税対象となることがある。
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4 【法律意見】
当行の法律顧問であるデビッド・コーヘン氏により、とりわけ下記趣旨の法律意見書が作成されている。
(a) 当行は、オーストラリアの法律のもとで正当に組織され、また存在する法人であり、当行は、現在当行が
遂行している事業を遂行する権利を有している。
(b) 本書「第一部 第1本国における法制等の概要」中のオーストラリア連邦の法律に関する記述は、全ての
重要な点につき真実かつ正確である。
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第2 【企業の概況】
本書に記載の情報でオーストラリア・コモンウェルス銀行およびその被支配会社(コモンウェルス銀行グループ
または当グループ)の営業に関するものはすべて、別段の記載のない限り、2019年6月30日現在である。
1 【主要な経営指標等の推移】
当行は、2005年7月1日付けで、すべての財務記録の記帳について国際財務報告基準に準拠したオーストラリア
会計基準(以下「AIFRS」という。)の適用を開始した。
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連結財務情報
(単位:別段の表示のない限り、百万豪ドル)
AIFRS
6月30日終了年度または6月30日現在
2015 年度(*) 2016 年度(*) 2017 年度 2018 年度 2019 年度
( 修正再表示) ( 修正再表示)
減損および営業費用
控除前純営業利益合
23,668 23,617 24,483 25,130 24,337
(1)
計
(百万円) 1,731,314 1,727,584 1,790,931 1,838,260 1,780,252
税引前純利益 12,602 12,365 13,255 13,022 11,763
(百万円) 921,836 904,500 969,603 952,559 860,463
継続事業からの税引
9,074 8,965 9,471 9,070 8,372
後純利益
(百万円) 663,763 655,790 692,804 663,471 612,412
継続事業からの当行
の株主に帰属する純 9,053 8,945 9,458 9,057 8,360
利益
(百万円) 662,227 654,327 691,853 662,520 611,534
貸付金、割引手形お
よびその他の受取債
639,262 695,398 731,762 743,365 755,141
(2)
権
(百万円) 46,762,015 50,868,364 53,528,390 54,377,150 55,238,564
預金およびその他の
543,231 588,045 626,655 622,234 636,040
一般借入金
(百万円) 39,737,348 43,015,492 45,839,813 45,516,417 46,526,326
発行済み株式総数*
1,627,592,713 1,711,061,742 1,726,013,398 1,756,353,605 1,767,730,879
(株)
資本金:
-普通* 27,898 33,845 34,971 37,270 38,020
(百万円) 2,040,739 2,475,762 2,558,129 2,726,301 2,781,163
(3)
52,805 60,508 63,660 67,860 69,649
株主持分
(百万円) 3,862,686 4,426,160 4,656,729 4,963,959 5,094,824
総資産 873,489 932,945 976,318 975,165 976,502
(百万円) 63,895,720 68,244,927 71,417,662 71,333,320 71,431,121
1株当たり純有形資
産(豪ドル)(非継 25.4 28.9 30.7 32.3 33.7
続事業を含む。)
(円) 1,858 2,114 2,246 2,363 2,465
1株当たり利益(完
全希薄化後)(豪セ 539.1 529.0 558.8 517.7 468.6
ント)
(円) 39,435 38,696 40,876 37,870 34,278
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1株当たり配当(全
額課税済)(豪セン 420 420 429 431 431
ト)
(円) 30,723 30,723 31,381 31,528 31,528
配当性向(法定ベー
75.8 78.4 74.6 81.2 89.0
(4)
ス)(%)
営業活動による
7,183 (4,561) (807) 1,109 18,086
キャッシュ・フロー
(百万円) 525,436 (333,637) (59,032) 81,123 1,322,991
投資活動による
(1,215) (2,032) (677) (1,002) 983
キャッシュ・フロー
(百万円) (88,877) (148,641) (49,523) (73,296) 71,906
財務活動による
(7,875) 1,620 10,472 (934) (25,739)
キャッシュ・フロー
(百万円) (576,056) 118,503 766,027 (68,322) (1,882,808)
現金および現金同等
19,270 14,447 23,117 23,005 17,010
物(期末)
(百万円) 1,409,601 1,056,798 1,691,009 1,682,816 1,244,282
従業員数(非継続事
業を含む。)(期末) 45,948 45,129 45,614 45,753 45,165
(常勤換算)(人)
* 金庫株控除後
(*) 2015年度および2016年度については当期の表示と一致していない。
(注1)純営業利益合計は、銀行業務純営業利益、ファンド運用純利益および保険役務純営業利益から成る。
(注2)貸付金、前渡金、リース・ファイナンスおよび割引手形(減損損失控除後)から成る。
(注3)株主持分は、少数株主持分を含む。
(注4)普通株式に支払われる配当を法定利益(利益は他の持分商品に対する配当控除後)で除したもの。
2 【沿革】
オーストラリア・コモンウェルス銀行は、連邦国会制定法により1911年に設立され、1991年4月17日にオースト
ラリア首都特別地域において公開会社として法人化された。コモンウェルス銀行は、その定款、会社法、オースト
ラリア証券取引所の上場規則(オーストラリアのコーポレートガバナンス体制を構成する。)およびオーストラリ
ア連邦の1959年連邦銀行法の特定の規定に準拠し、これらに従って運営されている。
コモンウェルス銀行は、1991年7月から1996年7月までに3つの段階を経て完全に民営化された。
2000年6月13日、コモンウェルス銀行およびコロニアル・リミテッドは合併を完了した。
2000年8月22日、コモンウェルス銀行はニュージーランドに所在するASBホールディングス・リミテッドの25%
の非支配持分を取得し、その結果、コモンウェルス銀行はASBバンク・リミテッドおよびその子会社に対する100%
の持分を保有するに至った。
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コモンウェルス銀行は、2001年6月4日付で、ニュー・サウス・ウェールズ州立銀行(別称:コロニアル・ス
テート銀行)の法定承継者となり、法令に従い、ニュー・サウス・ウェールズ州立銀行のすべての資産および負債
を承継した。
2008年12月19日、当行は、HBOS plcから、バンク・オブ・ウェスタン・オーストラリア・リミテッド(バンク
ウェスト)の100%を取得した。
日本における活動
当行は、1985年以降、その東京支店を通じて日本において銀行業務を行っている。しかし、当行は、2001年10月
初旬に証券子会社の東京支店を閉鎖して日本における証券業務からは撤退した。
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3 【事業の内容】
当グループの主要業務は下記に示した事業セグメントにおいて遂行されている。これらの事業セグメントは顧客
との関係を管理している販売チャネルごとに設定されている。
当年度、当グループは、グローバル・アセット・マネジメント事業、コロニアル・ファースト・ステート・グ
ローバル・アセット・マネジメント(「CFSGAM」)およびインドネシアにおける生命保険事業であるPTコモンウェ
ルス・ライフ(「PTCL」)の売却を公表した。非継続事業に開示されているかかる事業を除き、当グループの事業
セグメントの業績は継続事業ベースで更新および表示されている。
当年度、当グループは、事業セグメントに対して複数の構造改革も行った。これには、バンクウェストとリテー
ル銀行業務の統合、コモンウェルス・ファイナンシャル・プランニングおよび損害保険事業の資産運用からリテー
ル銀行業務への移転ならびに小規模事業銀行顧客のリテール銀行業務から事業向けおよびプライベート・バンキン
グ業務への移行が含まれている。また、サポート部門とその他の費用の配分について調整が行われている。これら
の変更は、当グループの純利益に影響を及ぼしてはいないが、影響を受けたセグメントの損益計算書および貸借対
照表の表示が変更された。
主な収益源は受取利息および手数料収入(リテール銀行業務、事業向けおよびプライベート・バンキング業務、
機関向け銀行業務および市場業務、ニュージーランドおよび国際金融サービス業務(IFS))ならびに保険料および
ファンド運用収益(資産運用、ニュージーランドおよびIFS)である。
セグメント間で発生する収益および費用は、移転価格取り決めに従わなければならない。グループ内取引はすべ
て、連結時に消去されている。
事業セグメントは、税引後純利益(現金ベース)に基づいて管理される。経営陣は「現金ベース」で業績を評価
しており、これが当行の配当金を決定する際の基準となっている。「現金ベース」は当グループの基本的な経営成
績を示すものであり、変動を生じさせる項目および/または当グループの当期の業績に単発的な影響を及ぼすよう
な項目は除外されている。ヘッジおよびIFRS適用による変動といったこれらの項目は常に前年度比で計算され、正
の調整額と負の調整額は区別されない。
(ⅰ)リテール銀行業務
リテール銀行業務は、住宅ローン、消費者金融およびリテール預金商品を提供しており、またすべてのリテール
銀行顧客に対するサービスを提供している。リテール銀行業務には、戦略的な見直しを受けているオーストラリア
における当グループの損害保険事業およびコモンウェルス・ファイナンシャル・プランニングも含まれている。
(ⅱ)事業向けおよびプライベート・バンキング業務
事業向けおよびプライベート・バンキング業務は、リレーションシップ・マネジメントの事業顧客およびアグリ
ビジネス顧客に特化した銀行サービス、個人富裕層に対するプライベート・バンキング、CommSecを通じた信用取
引に伴う貸出およびトレーディング業務、ならびにリテール銀行商品およびリレーションシップ・マネジメント対
象外の小規模事業顧客に対するサービスを提供している。
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( ⅲ) 機関向け銀行業務および市場業務
機関向け銀行業務および市場業務は、業界に関する専門知識および見解に基づき顧客関係を管理するモデルによ
り当グループの主要企業、機関および政府顧客に対してサービスを提供している。顧客向けサービスでは、債券に
よる資金調達、金融および商品価格リスク管理ならびにトランザクション・バンキング業務等を提供している。機
関向け銀行業務および市場業務はロンドン、ニューヨーク、日本、シンガポール、マルタ、香港、ニュージーラン
ド、北京および上海において国際業務を展開している。
(ⅳ) 資産運用
資産運用事業には、プラットフォーム・アドミニストレーションおよび財務アドバイスが含まれている。CFSGAM
(アジアおよびヨーロッパにおける業務を含む。)およびコムインシュア・ライフは非継続事業として表示されてい
る。
(v) ニュージーランド
ニュージーランドには、ニュージーランドにおける銀行業務およびファンド運用業務が含まれている(機関向け
銀行業務および市場業務を除く。)。ニュージーランドの生命保険事業であるソブリンの売却は、2018年7月2日
に完了した。
(ⅵ) IFSおよびコーポレート・センター
以下の事業領域がIFSおよびコーポレート・センターに含まれている。
・ 国際金融サービスには、インドネシアにおけるリテールおよび事業向け銀行業務、ならびに中国およびベト
ナムにおける関連会社投資が含まれている。事業向けおよびプライベート・バンキング業務、機関向け銀行
業務および市場業務、ならびにアジアにおけるCFSGAM事業は含まれない。
・ インドネシアの生命保険事業であるPTCLは、非継続事業として表示されている。
・ TymeDigital SAの売却は、2018年1月1日に完了しており、非継続事業として表示されている。
・ コーポレート・センターには、投資家向け広報、グループ戦略、秘書室および財務等、配分されないグルー
プ支援業務の業績が含まれている。
・ グループ全体で連結時に発生する消去仕訳、本部で計上した引当金ならびにその他の非配分収益および費用
が含まれている。
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4 【関係会社の状況】
親会社
発行者には、親会社はない。
連結子会社および関連会社
後記「第6 経理の状況 1.財務書類-(6)財務書類に対する注記」の注記11.1ならびにその他の注記を参照
されたい。
5 【従業員の状況】
2019年6月30日現在の当グループの従業員数(非継続事業を含む。)は、常勤ベースに換算すると45,165名であ
る。
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第3【事業の状況】
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
事業戦略および将来の動向
(1)
当年度中に、当行は、当行の主要金融機関(「MFI」) として市場シェアを拡大し、顧客との関係を深め、
ビジネス、技術および能力への投資を行った。当行の事業状況は変化している。当行は、経済、規制、競争環境の
継続的な変化に直面しており、今後も続くことが予想される。当行は、当行がこの変化する状況下で成功するため
の適切な基盤を有していると考えている。当行は、当行がオーストラリアにおける最強のリテール営業網および非
常に強力な商業銀行の営業網を有していると考えている。実際に、半数以上のオーストラリア人および他行よりも
(2)
多い企業顧客と関係を築いており、これはオーストラリアで最も広範な支店ネットワーク ならびに企業および
機関顧客向けのリレーションシップ・マネージャーによって支えられている。この強みにより、市場をリードする
技術への投資が可能となった。当行は現在、700万人のアクティブなデジタル顧客を有している。また、当行は強
固なバランス・シートを有しており、当行の資本、流動性および資金調達を強化している。当行の戦略は、強固な
基盤の上に構築されており、事業状況の変化を反映して長期的に事業を強化し、バランスの取れた持続可能な成果
を利害関係者にもたらしている。当行は、コミュニティでの役割および責任を重く受け止め、オーストラリア社会
に対して広く有意義かつ積極的に貢献するよう取り組んでいる。
当行は、当行の顧客および地域社会の財務的健全性を向上させるというシンプルな目的を有している。当行の目
的は、当行の戦略の指針である。当行の戦略は、顧客、地域社会、従業員および株主にバランスの取れた持続可能
な成果をもたらす、よりシンプルかつより優れた銀行になることである。
(1)ロイ・モーガン・リサーチ。主要金融機関(「MFI」)のリテール顧客満足度。
(2)APRAによる調査。
顧客にとってシンプルかつより優れた銀行
当行の戦略は、オーストラリアおよびニュージーランドの中核のリテール向けおよび商業銀行業務に焦点を当て
て、ポートフォリオ、運用モデルおよびプロセスを簡素化することである。リテールおよび事業基盤において、当
行は、当行の顧客との深い信頼関係を構築し、当行の事業向け銀行業務の提案を強化し、より良い運用規律を提供
することを優先事項としている。当行は、よりシンプルでよりデジタル化された基盤から成長することを目指して
おり、顧客に最高のデジタル体験を提供し、従業員が顧客により良いサービスを提供しやすくするために、イノ
ベーション行動計画を加速する予定である。
能力の強化
当行の戦略を実現するために、当行はより良い顧客、効率性およびリスク評価を実現しなければならない。この
ために、当行は以下の4つの重要な能力の強化を優先している。
・ オペレーショナル・リスクおよびコンプライアンス
・ コスト削減
・ データおよび分析
・ 改革
バランスの取れた持続可能な成果
当行は、各利害関係者に貢献することは、好循環を生み出すと考えている。当行は、顧客にサービスを提供する
ことを目的としている。高い付加価値を有するエンゲージメントの高い従業員は、優れた顧客サービスを提供し、
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顧客成果を向上させ、地域社会にプラスに働くこととなる。当行は、これが株主に対して強固で持続可能な利益を
生み出すと考えている。当行は、顧客成果の向上を達成し、地域社会の信頼を獲得し、当行の文化を刷新し、株主
に 貢献することに重点を置く。また、当行は、底堅く、効率的で、公正かつ安全な金融システムを確保するための
一助となる方法で事業を行わなければならない。当行は進捗を測るために、バランスのとれた一連の指標を監視す
る。当行が設定した目標は以下のとおりである。
・ 消費者および法人顧客のネット・プロモーター・スコアがトップとなること。
・ 評判改善に関して同業他社のうち上位4分の1となること。
・ 従業員エンゲージメント・スコアが上位10%となること。
・ 株主総利回りが上位4分の1となること。
当行の事業の簡素化
当グループは、オーストラリアおよびニュージーランドの中核の銀行業務に重点を置くことにより利益を得ると
考えている。これらの事業には市場をリードする力があり、2019年の当グループの利益の約95%を占めている。
当年度は、当グループの簡素化に向けて大幅に前進した。当行は、資産運用部門の改善および合理化に重点を置
いている。公表されている生命保険事業の売却は完了しているか、または規制当局による承認の段階にある。当行
は、新規株式公開を含め、他の資産運用事業に関して様々なオプションを検討した。CFSGAMの三菱UFJ信託銀行株
式会社(MUTB)への売却は、2018年10月に発表され、2019年8月2日に完了した。
2018年10月のCFSGAMの売却の発表に続き、当行は、残りの資産運用事業を分割することを決定したが、2019年3
月に当行は、金融王立委員会の勧告の実行および改善を優先的に行うことに重点を置くため、分割を停止した。そ
れ以降、当行は提携金融アドバイス事業の終了、すなわちCount Financialの売却、CFPL Pathwaysの終了、ファイ
ナンシャル・ウィズダムの支援の終了を発表した。残りの資産運用事業に関しては、損害保険事業、コモンウェル
ス・ファイナンシャル・プランニングの専任アドバイザーおよび住宅ローン・ブローキング事業は現在、リテール
銀行業務部門に属している。コロニアル・ファースト・ステートの退職年金および投資事業は現在、副CEOのデ
ビッド・コーエンの直属であり、改善ならびに将来の事業の信頼性の確保を重視している。当行は、将来の成長オ
プションを構築するため、中核事業のイノベーション行動計画を加速する。当行は、住宅ローン、事業向け銀行業
務、支払いの3つの重要な分野での地位を強化することに主に重点を置いている。
当行は、当行が提供するデジタル体験およびサービスにより市場を引き続きリードすることを目標としている。
当行は、すべての事業において、顧客のモバイルファーストやマルチチャネル体験に向けて加速する。
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2 【事業等のリスク】
以下は、当グループの事業、収益、営業利益、純利益、純資産、流動性、資金調達、評判および資本資源に重大
な影響を及ぼす可能性のある主要なリスク・ファクターを記述したものである。これらのリスク・ファクターは、
当グループが直面するあらゆる潜在的なリスクや不確実性を完全かつ包括的に網羅したものとみなされるべきでは
ない。将来、発生するかもしれない、または当グループが現時点では重要性が低いとみなしている追加的なリスク
が当グループに影響を及ぼす重大なリスクとなる可能性もある。記述または未記述のリスクのいずれかが実際に発
生した場合、当グループの事業、財政状態、流動性、運営、見通しまたは評判に著しい悪影響が及ぶ可能性があ
る。以下のリスク・ファクターは、本書の表紙に記載された(注6)「将来予想に関する記述についての注意書
き」とともに検討されるべきであり、「第6 経理の状況 1.財務書類-(6)財務書類に対する注記」の注記9.1
から9.4には、当グループが信用リスク、市場リスク、流動性リスクおよび資金調達リスクを如何に管理している
かが詳細に説明されている。
当グループは、広範な規制に服し、政治的審査を受ける環境のもとで営業している。これにより、当グループの
運営および財政状態が悪影響を受ける可能性がある。
当グループおよびその事業は、オーストラリアにおいて複数の規制当局による、また当グループが業務を行うか
もしくは資金調達を行うその他の法域(ニュージーランド、英国、米国、中国、日本、シンガポール、香港および
インドネシアを含む。)におけるその他の規制当局による、広範な規制に服している。
国内の主要な規制当局には、オーストラリア健全性規制庁(「APRA」)、オーストラリア証券投資委員会
(「ASIC」)、豪州取引報告分析センター(「AUSTRAC」)、オーストラリア情報委員会、オーストラリア競争・
消費者委員会(「ACCC」)、オーストラリア金融苦情申立機関、オーストラリア準備銀行(「RBA」)およびオー
ストラリア証券取引所(「ASX」)などがある。
APRAは、当行もそのひとつである公認預金受入機関(「ADIs」)の健全性監督を担うオーストラリアの規制当局
である。APRAは、当グループのオーストラリアにおける健全性規制当局として、オーストラリアの1959年銀行法
(「銀行法」)に基づき、限られた状況において債務証券および持分証券に係る支払いを行わないよう銀行(当行
を含む。)に指示することを含む、極めて広範な権限を有している。
オーストラリアの主な規制当局のほかに、さまざまな国際規制当局および機関が、とりわけ自己資本比率、流動
性水準、資金調達、引当金、保険、健全性規制および基準の遵守、会計基準、報酬、データアクセス、株式上場要
件、ならびに関連する金融犯罪、制裁、プライバシー、税制、競争、消費者保護および証券取引に関する法律に対
する当グループの遵守に関して、当グループを監督・規制している。
当グループおよび金融サービス業界全体は、これらの地域および法域の多くで規制強化に直面しており、世界の
一部での規制の変更または新たな規制により、他の地域で変更が生じる可能性がある。
法律、規制、会計基準、規制当局の方針もしくは実務のいかなる変更も、または法律、規制もしくは方針の不遵
守も、当グループの事業、財政状態、流動性、運営、見通しおよび評判ならびに当グループの短期もしくは長期で
の戦略の実行能力に悪影響を及ぼす可能性がある。規制の変更による潜在的な影響は広範囲にわたり、これには当
グループが保有すべき資本の水準の引き上げおよび種類の増加、ならびに当グループの事業の遂行方法およびかか
る事業の性質(当グループが顧客に提供できる商品の種類等)の制限が含まれ得る。
また、かかる規制の変更のペースまたは範囲が、当グループがかかる変更に適応し、然るべきコンプライアンス
手続きを適切に定着させる能力を超える場合、当グループは悪影響を受ける可能性がある。規制の変更のペースと
は、当グループが業務を行う領域における規制が度々不確実かつ複雑であることを指している。
規制改革
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オーストラリアにおいて展開中の重要な規制改革の例には、オープンバンキング(以下に定義する。)、APRAに
よるADIsに対する資本枠組みの見直しの提案ならびに2019年財政法改正(設計・販売義務および商品介入権限)法
が 含まれる。
2017年後半、オーストラリア政府は、銀行業を初めとして、消費者がデータにアクセスし、そのデータを管理で
きるようにするために、経済全体の消費者データ権利に関する法律を制定することを発表した(「オープンバンキ
ング」と呼ばれる。)。オーストラリア政府は、オーストラリアの主要銀行とともにオープンバンキングを段階的
に導入することを決定し、2019年7月からクレジットカード、デビットカード、預金および取引口座についてデー
タを利用可能にし、その後その他の銀行商品(住宅ローンなど)に拡大し、銀行と認定された第三者との間での消
費者データの共有(消費者の指示による)を認めることとした。これらの改革は、金融セクターにおける競争を促
し、顧客成果を高めることを目的としている。消費者データ権利に関する法律は、まだオーストラリアの連邦議会
において採択されていない。オープンバンキングによる競争の激化は、当グループの事業および財政状態に悪影響
を及ぼす可能性がある。
現在APRAとの間で協議が進められている資本改革の完了により、一部の資産クラスに関するリスク・ウェイトの
枠組みに変更がもたらされる可能性がある。これにより、当行のリスク・ウェイト資産(「RWA」)が増加し、そ
の結果(すべての条件が同じだとすると)、当行の普通株式等Tier1(「CET1」)比率が低下することが予想さ
れる。資本枠組みの改訂の一環として、APRAはまた、ADIsが保持すべきCET1資本の額を変更することなく、国際
的な比較可能性を実現するためのアプローチについて業界と協議している。また、2019年7月9日、APRAは、オー
ストラリアのADIsの秩序ある解決を支援するため、損失吸収力(「LAC」)にかかる決定を発表したが、これによ
り当行のような国内のシステム上重要な銀行(「D-SIBs」)の総所要自己資本は3%引き上げられた。APRAは、今
後4年間にLACをさらに1%ないし2%引き上げるために実行可能な代替策を検討する可能性があると述べてい
る。かかる代替策の形態は依然として不確実であり、APRAはこれについて業界およびその他の利害関係者と協議す
る可能性があることを示唆している。詳細については、「 自己資本比率要件を維持できない場合、当グループの財
政状態に悪影響が及ぶ可能 性がある。 」を参照されたい。
2019年財政法改正財政法改正(設計・販売義務および商品介入権限)法は、将来金融商品を発行し、販売する当
グループの能力に影響を及ぼしうる。同法は、金融商品の発行者に対して、その商品のターゲット市場を特定し、
適切な販売経路を選択し、かかる流通経路が継続して適切であるように確保するための仕組みを定期的に見直すこ
とを義務づけている。また、金融商品の販売業者は、商品が特定されたターゲット市場に従って販売されることを
確保するために合理的な管理を行うことを義務づけられる。商品介入権限により、ASICは、 消費者に重大な損害を
与えるリスクがあると認めた場合には、 金融商品および与信商品の販売に介入することができることになる。金融
商品の販売要件から生じる法令遵守費用の増加は、当グループの事業および財政状態に悪影響を及ぼすことがあ
る。
オーストラリア国外においても、当グループが業務を行うかまたは資金調達を行うさまざまな法域の規制当局に
よるその他一連の規制イニシアチブがあり、これらが金融機関に対する規制の大幅な変更につながる可能性があ
る。例として、米国の金融規制の改正案(2010年ドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法(「ドッド・
フランク法」)の一部規定を廃止した2018年5月施行の法律およびかかる法律をさらに弱体化させる更なる提案を
含む。これには、金融機関に一定のリスクの高い自己勘定取引またはヘッジファンドもしくはプライベート・エク
イティ・ファンドへの投資を禁止する、いわゆるボルカー・ルールも含まれる。)、ヨーロッパにおけるデータ保
護の規制強化、およびヨーロッパにおける第2次金融商品市場指令(MiFID II)が挙げられる。ヨーロッパおよび
英国の規制当局も、「Brexit」の結果、大幅な規制変更を提案する可能性があるが、かかる変更の範囲および時期
は未知数である。Brexitの詳細について交渉が行われているが、世界の金融市場では不確実性およびボラティリ
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ティの増大が長期化する可能性がある。詳細については、「 当 グループは、一般的な景気および経済情勢ならびに
世界の金融市場の混乱により悪影響を受ける可能性がある。 」を参照されたい。
当グループは2016年10月に米国の連邦準備制度理事会から金融持株会社としての認可を受けることを選択した。
その結果、当グループは、米国において、かかる選択をする前には対象となっていなかった追加的な規制要件に服
している。
その他の規制および政治動向
現在、オーストラリアの金融サービス業界に対するオーストラリア政府およびオーストラリアの各規制当局の監
視の目が一段と強く向けられている状況にある。将来、法律、規制または政策の改正につながる可能性のある業界
全体に対する監視の例には、銀行、退職年金および金融サービス業界における不正行為を調査するための王立委員
会(「王立委員会」)の設立が含まれる。
王立委員会
王立委員会は、オーストラリア政府の行政府のみが実施させることができる公式の調査機関であり、委託条件に
よって指示を受ける。王立委員会は、2017年12月14日に設立され、金融サービス会社(当グループを含む。)の行
為が不正行為または業界基準および期待を下回る行為に該当するかどうかを調査し、これについて報告することを
指示されている。王立委員会はまた、当該行為の原因、とりわけ企業 文化、ガバナンス、報酬およびリスク管理実
務の役割、規制当局の有効性を検討し、それに応じて政策提言を行うことを課された。2018年を通じて、銀行およ
び金融サービス業界における不正行為について7回にわたってヒアリングが行われ、消費者向けおよび事業向けの
貸付、金融アドバイス、退職年金、保険および政策などさまざまなテーマが扱われた。王立委員会は、2019年2月
1日に最終報告を行った。最終報告には、オーストラリア政府に対する76件の政策提言と、金融機関による不正行
為について規制当局に対して行われた多くの照会によって、ヒアリング中に調査されたケーススタディに関連した
調査結果が含まれていた。かかる報告は、業界全体における強制措置の水準を高めることにつながるとみられる。
最終報告はまた、当グループを含む金融サービス業者による行為で、不正行為 または業界基準を下回る行為に該当
しうるものを特定した。
76件の提言は、当グループの事業分野の多くを対象としており、また規制当局の役割ならびに顧客重視、企業文
化および報酬について取るべきアプローチをも検討している。王立委員会の提言は、規制の大幅な変更をもたらす
ことになる。最終報告における提言が実施されると、多額の遵守費用が発生し、当グループの事業、運営、財務実
績および見通しに悪影響を及ぼす可能性がある。規制当局の役割にかかる提言、とりわけ、金融サービス法違反に
対する「訴訟第一主義」アプローチは、当グループの規制当局との関係性に変化をもたらし、当グループはこの分
野における活動、費用および評判に対する影響の高まりを期待することができる。
当グループの評判に傷がつくと、その事業、財政状態、運営および見通しが損なわれる可能性がある。
当グループの評判は貴重な資産であり、当グループがその事業イニシアチブおよび資金または資本の調達能力に
ついてコミュニティから支援を受ける主な要因である。利害関係者の期待と当グループの実際のまたは認識された
実務との間に相違がある場合、当グループの評判が損なわれることがある。また、他のリスク要因の二次的な結果
として評判の毀損リスクが生じることもある。
本書に記載される多くのリスクを含むさまざまな問題により、評判が損なわれ、当グループの事業、財政状態、
運営および見通しが損なわれる可能性がある。こうした問題には、当グループの行為(例えば、不当な販売および
取引慣行、利益相反の不適切な管理およびその他の倫理的問題)、法律や規制上の要件(資金洗浄、テロ資金供
与、貿易制裁および個人情報保護法等)の違反、技術および情報セキュリティにおける障害、戦略の失敗またはコ
ミュニティの期待に沿わない戦略、ならびに内部の方針および手続きの不遵守などが含まれる。当グループの評判
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は、より広範な金融サービス業界に対するコミュニティの認識、または当グループの競合他社、顧客、供給業者も
しくは当グループが戦略的投資を行っている企業の行動によって悪影響を受ける可能性がある
これらの問題に適切に対処できないかもしくは対処できないと認識されると、法的または規制上の追加的リスク
が発生し、当グループに規制上の強制措置、制裁金および罰則が課せられるか、または当グループの利害関係者
(顧客、投資家およびコミュニティを含む。)の間での当グループの評判および信頼がさらに損なわれる可能性が
ある。
当グループは、オーストラリアまたはニュージーランド経済の悪化の悪影響を受ける可能性がある。
当グループの事業は主にオーストラリアおよびニュージーランドに拠点を置いているため、その業績は両国経済
の状況、顧客および投資家の景気信頼感、ならびに両国の市場環境に依存している。
オーストラリアおよびニュージーランドの経済の将来の動向は、当グループの制御の及ばない両国内外における
多くの要因(国内外の経済事象、政治的事象、自然災害および世界の金融市場に影響を及ぼすその他の事象を含
む。)によって影響を受ける可能性があり、当グループはこれら経済の将来の動向について保証することはできな
い。
関税もしくはその他の保護貿易政策の実施またはオーストラリアの重要な貿易相手国(中国を含む。)の経済成
長に悪影響を及ぼす事由は、オーストラリアの経済活動に悪影響を及ぼす可能性があり、そのため当グループの事
業、財政状態、運営および見通しにも悪影響が及ぶ可能性がある。
オーストラリア経済の強さは、豪ドルの強さの影響を受ける。豪ドルの変動が大きければ、オーストラリア経済
の一部に悪影響が及び、ひいてはが当グループの経営成績にも影響を及ぼす。詳細については、「 市場リスク(為
替レートの不利な変動を含む。)に対して効果的にヘッジできない場合、当グループの経営成績にマイナスの影響
が及ぶ可能性がある。 」を参照されたい。
オーストラリアまたはニュージーランドの経済が深刻な不況に陥れば、当グループの商品に対する顧客の需要が
減少し、当グループに対する借り手の返済能力が低下すること(すなわち信用リスク)により、当グループの業績
に悪影響を及ぼす可能性がある。特に、当グループの収益が住宅ローンに集中していることを考慮すると、オース
トラリアおよびニュージーランドの住宅市場または不動産評価額の大幅なもしくは持続的な低迷(外部要因または
融資基準の引締めを含む。)は、当グループの住宅ローンおよび商業用不動産ローン・ポートフォリオに悪影響を
及ぼし、当グループにとって引受け可能な新規融資の水準を引き下げることとなり、および/または既存融資の貸
倒れの増加につながる可能性がある。こうした要因は、当グループの事業、財政状態、運営および見通しに悪影響
を及ぼす可能性がある。
住宅不動産についても、価値の低下に対する購入者の懸念、規制もしくは税制上の変更または金利上昇に対する
懸念から需要が低下し、そのことが、当グループの住宅ローン商品に対する需要に影響を及ぼしうる。先ごろ、
オーストラリア統計局(「ABS」)は、住宅不動産価格(8州都の加重平均)が、2019年3月31日に終了した四半
期に3.0%、同日に終了した12カ月間に7.4%低下した(これに対して2018年3月31日に終了した12カ月間では
2.0%の成長であった。)と報告した。規制当局が当グループの住宅ローン業務に影響を及ぼす監督措置を課す場
合、またはオーストラリアの住宅価格の上昇が大幅に抑制されるかもしくは不動産の評価額が低下した場合、当グ
ループの住宅ローン商品に対する需要が低下し、担保価値の低下によりローンの債務不履行が増加する可能性があ
り、そのことが当グループの事業、運営および財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループの商業用不動産ローン・ポートフォリオに対する悪影響は、新規貸付組成業務の減少ならびに担保価
値の低下および借換え市場の活動低下による損失の増加から生じる可能性がある。居住用住宅価格が大幅に下落し
た場合には、住宅用不動産開発業者に対する当グループのエクスポージャーからの損失が増加する可能性があり、
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特に建売住宅の購入を事前に契約したかかる開発業者の顧客が、契約を履行できないかまたは履行することを望ま
ない場合や、当グループがこれらの住宅を事前契約価格よりも低い価格で売却しなければならない場合には、その
可 能性が高い。
当グループは、一般的な景気および経済情勢ならびに世界の金融市場の混乱により悪影響を受ける可能性があ
る。
さまざまな金融市場で業務を行う当グループの事業の性質上、当グループは過去に厳しいビジネス環境、経済情
勢および市況により直接的または間接的に悪影響を受けており、将来的に再び市場が悪化した場合に悪影響を受け
る可能性がある。当グループが業務を行う地域の金融システムは、市場のボラティリティ、政治的(地政学的なも
のを含む。)もしくは経済的な不安定性または巨大災害によるシステミック・ショックに見舞われる可能性があ
る。
世界経済へのショックまたは世界経済の悪化は、通貨および金利の変動、ならびに当グループに悪影響を及ぼす
経営上の混乱をもたらす可能性がある。例えば、取引相手が債務不履行に陥ったり、各国が通貨切り下げを実行し
たり、および/または資本規制を導入したり、一もしくは複数の主要経済が破綻したり、および/または世界の金融
市場が機能不全に陥るか、もしくは効率的な運営が停止した場合には、その限りにおいて世界の経済情勢が悪化す
る可能性がある。ソブリン・デフォルトは、当グループの資産価値に悪影響を及ぼすことにより直接的に、または
世界の金融市場を不安定にし、当グループの流動性、財務実績もしくは資金調達能力に悪影響を及ぼすことにより
間接的に、当グループに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループでは、いくつかの経済指標は最近改善してきたものの、世界経済には依然として下振れリスクがある
と考えている。世界的には、当グループは、金融政策は引き続き緩和的であると考えており、中央銀行は 短期的に
金融政策を変えない理由として低インフレ率を挙げている。世界的な金融危機からの持続的な影響と地政学的リス
クが高まる可能性は、特に依然として債務水準が高い状況にあって、消費者行動および企業行動の継続的な脆弱性
と潜在的な調整を示唆している。例えば、2015年12月から2018年12月にかけて金利が上昇した後、米連邦準備制度
理事会は、経済成長の鈍化、貿易緊張および弱いインフレに対抗するため、2019年8月1日に11年振りに金利引き
下げを行った。RBAは、労働市場と経済の余剰能力を削減するため、2019年6月および2019年7月に金利を歴史的
低水準にまで引き下げた。さらなる金利引き下げの可能性を排除することはできない。中央通貨当局の金融政策
は、投融資のための当グループの資金調達コスト、およびこうした投融資について当グループが得る収益に大きく
影響する可能性がある。 これらの要因は当グループの純利息マージンに影響を及ぼし、当グループが保有する債券
やヘッジ商品などの金融商品の価値に影響を及ぼす可能性がある。中央通貨当局の金融政策はまた、当グループの
融資先やその他の取引相手にも影響を及ぼし、借り手やその他の取引相手が当グループに対するローンやその他金
融債務の返済不能に陥るリスクを高めることとなる潜在的可能性がある。また、金融政策は当グループの顧客の消
費行動や貯蓄行動に幅広い影響を及ぼし、ひいては当グループの業績に影響を及ぼすことになる。こうした政策の
変更を予測することは困難である。
2016年6月23日、英国はEU離脱(「Brexit」)について国民投票を行い、2017年3月29日に、リスボン条約第50
条のもとで、英国のEU離脱のための法的手続きを開始する旨の通知を行った。英国のEU離脱の条件および将来にお
ける英国とEUの関係の枠組み(「第50条による脱退協定」)に関する英国とEUとの間の交渉の一環として、EU法の
適用が延長され、2020年末までのEUの単一市場の継続的な利用を定めた移行期間について原則的な合意がなされ
た。英国のEU離脱の条件および将来の関係の構造について引続き政治的な不確実性があるため、世界の金融市場に
おいて不確実性とボラティリティが高まる期間が長期化する可能性がある。EUからの離脱という英国の決定は、国
際的な資本市場で当グループが中長期の資金調達を行う上で悪影響を及ぼす可能性があり、またBrexitのさらなる
展開が金融市場に悪影響を及ぼす可能性がある。第50条による脱退協定が最終的に確定し、英国およびEUによって
批准されるかどうかは依然として不透明である。協定が批准されない場合、 欧州連合条約および欧州連合の機能に
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関する条約は同日から英国に適用されなくなる。英国の秩序なきEU離脱またはいかなる離脱でもその予期せぬ帰結
は、かかる離脱後の状況によっては、国境を越えた欧州の金融サービス活動ならびに当グループの事業に直ちに重
大 な攪乱効果を与える可能性がある。
2017年1月以降、米国政権は、それまでの米国の貿易、税制、財政、規制その他の政策と、ある意味大幅に異な
る米国の政治課題および経済政策を掲げている。具体的には、現在の米国政権は、米国の貿易相手国(オーストラ
リアの多くの貿易相手国を含む。)に対して、米国と中国の間で取引される財貨全体を含む一連の包括的関税を含
む保護貿易政策を進めており、そのことが、オーストラリアの最大の貿易相手国であり、当グループやその顧客が
事業を行う市場においてコモディティの需要や価格を牽引する立場にある中国経済に悪影響を及ぼす可能性があ
る。中国の経済成長を損なうような事態が何かしら発生した場合、オーストラリアの経済活動に悪影響が及び、そ
の結果、当グループの事業、財政状態、運営および見通しにも悪影響が及ぶ可能性がある。 現在の米国政権は、
オーストラリアに対しても保護貿易政策をとる可能性があり、そのことがオーストラリアの経済活動に悪影響を及
ぼし、その結果当グループの 事業、財政状態、運営および見通しにも悪影響が及ぶ可能性がある。
世界中で起きる紛争またはテロ活動の脅威、その可能性もしくは実際の発生といった地政学的な不安定性も、世
界の金融市場、事業全般および経済情勢ならびに当グループもしくはその顧客が影響を受ける国もしくは地域で事
業もしくは取引を行う能力に悪影響を及ぼすことがあり、そのことが当グループの事業、財政状態、運営および見
通しに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは熾烈な競争の中にあり、そのことが当グループの業績に悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは、そのすべての主要な事業分野において厳しい競争に直面している。競争は、特にオーストラリア
で事業を拡大し続けている外資系の金融サービス業者、ならびに規制の対象外であるか、または当グループよりも
低いもしくは異なる健全性基準および規制基準の対象であり、そのためより効率的に運営を行うことが可能な新た
なノンバンク業者または小規模な供給業者によって激化すると予想される。これらの参入業者は、提案を一括で行
い、新たな技術を駆使することにより、金融サービス業界を混乱させようとしている可能性がある。
また、当グループは、そのバランスシートの大部分を賄うために預金に依存している。当グループは、かかる預
金について銀行およびその他の金融サービス業者と競合している。預金に関する競争の激化によって、当グループ
の資金調達コストが増大する可能性がある。当グループが預金獲得競争に勝つことができない場合は、その限りに
おいて、当グループは、より安定性が低い、またはより費用のかかる他の資金調達形態への依存を高め、あるいは
貸付を減らさざるを得なくなる。このことは、当グループの事業、財政状態、運営、見通しおよび流動性に悪影響
を及ぼす可能性がある。
当グループがさまざまな事業や市場において効果的に競争することができない場合、市場シェアが低下する可能
性があり、競争の激化もまた、競合他社に案件を奪われたり、市場シェアを維持するためにマージンに下押し圧力
がかかることで、当グループの業績に悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは、大手金融機関であることに伴うオペレーショナル・リスクから損失を被る可能性がある。
オペレーショナル・リスクとは、(i)内部のプロセスおよび方法が不適切であるかもしくは破綻していること、
(ⅱ)人為的ミス、(ⅲ)事業判断を下すにあたって用いられるシステムおよびモデルまたは(ⅳ)外生的事象に起因
する経済的利益または損失リスクと定義されている。
当グループが第三者の供給業者および第三者パートナーシップ(特に重要な技術システムやサポート等の重要な
サービスを当グループに提供するパートナーシップ)を利用することによっても、当グループはオペレーショナ
ル・リスク(当グループに影響を及ぼす第三者における重大な事象の可能性を含む。)にさらされる。
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当グループの事業は、当グループが膨大な量の取引(その多くは極めて複雑で、複数の市場で多くの通貨が絡ん
でいる。)を処理し、監視する能力に大きく依存している。当グループの財務、会計、記録保持、データ処理また
はその他のオペレーティング・システム、プロセスおよび設備は、全面的または部分的に当グループの制御し得な
い 事由(取引量の急増、重要なユーティリティーの損傷、環境破壊、自然災害もしくはベンダーのシステムの不備
等)により適切に機能しないか、または機能不全に陥る可能性がある。当グループは、ソフトウェア、のれん、お
よびその他の無形資産を含む資産の減損によって損失を被る可能性がある。
また、データの質の問題、目的にそぐわないモデルまたは不適切なデータ管理により、判断ミスが生じるリスク
もある。これにより、当グループに損失が発生するかまたは規制措置につながる可能性がある。
経営陣は、一般に公正妥当と認められた会計基準を遵守するのみならず、当グループの財政状態や経営成績を記
録し、報告する最も適切な方法を反映することができるよう、当グループの会計方針を選択し、適用する際に判断
の行使を求められる。当グループは、当グループの会計方針を設定し、確実に遵守するようにするための手続きを
定めているが、こうしたプロセスが必ずしも効果的でない可能性がある。会計方針の適用および変更は、当グルー
プの業績に悪影響を及ぼす可能性がある。
また、当グループは、そのリスク管理戦略、枠組みおよびプロセスの有効性、適切性の欠如またはこれらを実行
できないことにより悪影響を受ける可能性がある。予想外のリスクの発生または認識されたリスクによる予期せぬ
影響により、当グループに財務的な損失または風評被害が生じる可能性がある。
当グループは情報セキュリティ・リスク(サイバー攻撃を含む。)により悪影響を受ける可能性がある。
当グループの事業は、情報を安全に処理し、保存し、非公開にし、送信するために、情報技術システム(外部の
サービス提供業者が提供するものを含む。)に大きく依存している。かかる情報技術システムは、情報セキュリ
ティ・リスクに晒されている。当グループの情報セキュリティ・リスクは近年増大している。これは一部には、
(ⅰ)金融取引を行うための技術の普及、(ⅱ)新技術の進化および発展、(ⅲ)当グループのデジタルチャネル
の利用増加、(ⅳ)当グループの制御システムが及ばない顧客によるパーソナル・デバイスの利用増加、ならびに
(ⅵ)サイバー犯罪の手口の巧妙化および広がりによる。
当グループは、保護措置を講じたり、状況に応じてかかる保護措置の修正を試みているものの、当グループのコ
ンピュータ・システム、ソフトウェアおよびネットワークは、不正なアクセス、誤用、サービス拒否攻撃、フィッ
シング攻撃、コンピュータ・ウィルスまたはその他の悪質なプログラムおよびその他の事象に対して脆弱である可
能性がある。こうした脅威によって、当グループ、その従業員、顧客または第三者の機密情報、独自情報およびそ
の他の情報が不正に流出し、収集され、監視され、不正使用され、失われもしくは毀損される可能性があり、ある
いはネットワーク・アクセスまたは事業活動にその他悪影響が及ぶ可能性がある。
情報の安全性を守ることができなければ(サイバー攻撃の影響を含む。)、オペレーションの中止、財務的損
失、顧客または事業機会の喪失、訴訟、規制当局による制裁または介入、風評被害、知的財産の盗難、顧客データ
の喪失または盗難など、当グループにとって深刻な影響が及ぶ可能性があり、また適用ある個人情報保護法の違反
となる可能性がある。
主要な経営幹部、従業員または取締役の喪失を含む人的資本リスクが当グループの事業、運営および財政状態に
悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループの適格かつ有能な経営幹部、従業員および取締役を確保し定着させる能力は、当グループの戦略目標
を実行する上で重要な要素である。最高経営責任者、最高経営責任者を支える経営陣および取締役会は、戦略的方
向性を定め、経営を成功に導き、当グループの成長を実現するために不可欠な技量を備えており、こうした人材を
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辞任、退任、死去または疾病によって失うことは、当グループの事業、運営および財政状態に悪影響を及ぼす可能
性がある。
もし、当グループが、特に戦略的な変更を実施する時期に、主要な経営幹部および取締役を含む重要な役職を果
たす有能な人材を定着させること、または惹きつけることができない場合、当グループの事業、運営および財政状
態に悪影響が及ぶ可能性がある。
当グループは、気候変動によって損失を被る可能性がある。
気候変動は本質的に体系的であり、金融リスクおよび非金融リスクの双方の重要な長期的要因である。気候変動
の潜在的影響および予想される影響に対応できない場合、当グループの長期的な業績が影響を受け、当グループの
貸付(個人向けおよび企業向け)、調達および投資ポートフォリオにおいて当グループに広範な影響を及ぼすこと
が予想される。これには、債務不履行の可能性、債務不履行、資産評価および担保に起因する損失ならびにポート
フォリオの運用に対する影響があるが、これらに限定されない。
当グループは、気候変動の物理的リスク(異常気象および気候パターンの長期的な変化から生じるもの)および
移行リスク(低炭素経済への移行に伴う法律、市場、政策、技術および評判の変化から生じるもの)の評価および
管理が十分でないと、事業活動を混乱させ、不動産を損傷し、その他資産の価値に影響を及ぼし、当グループ顧客
の債務返済能力に影響を及ぼす可能性があることを認識している。
したがって、気候変動には、当グループのフランチャイズ価値に悪影響を及ぼす可能性、戦略的なリスクおよび
金融リスクが存在し、当グループの資本コストに対してリスクをもたらす。
当グループは、コンプライアンス・リスクに晒されており、そのことが当グループの業績および評判に悪影響を
及ぼす可能性がある。
コンプライアンス・リスクとは、当グループが関係法令、規制当局の要件、業界基準および規範を遵守していな
いか、または遵守していないと判断された結果、当グループが被る可能性のある、法的もしくは規制上の制裁、重
大な財務的損失または風評被害のリスクを指す。コンプライアンス・リスクは、当グループがその義務について規
制当局または裁判所と異なる解釈をした場合にも、発生することがある。
かかる要件が増大かつ複雑化し、世界的規模で広範に適用されるようになり、また要件に違反したことに対して
制裁金が課せられる頻度や制裁金の額が高まると、当グループの業績および評判に悪影響を及ぼす可能性がある。
これには、例えば、当グループが事業を行う法域の資金洗浄防止およびテロ資金供与防止に関する法律、贈収賄
防止・汚職防止に関する法律ならびに経済・通商制裁に関する法律といった金融犯罪関連の義務が含まれる。かか
る義務の数および広範な広がりは、世界的にかかる義務の遵守および執行が重視されてきていることと相まって、
当グループ(当グループの評判を含む。)に悪影響が及ぶリスクを示している。
当グループに対する重大な法的責任または規制措置が当グループの事業、財政状態、運営、見通しおよび評判に
悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループはその事業の性質上、主にオーストラリアおよびニュージーランドにおいて訴訟、仲裁および規制手
続きに関わっている。かかる事件には多くの不確実性が伴い、個々の事件の結果を正確に予測することはできな
い。当グループが金銭の支払いを命じられる場合(例えば、損害賠償金、制裁金、罰金または訴訟費用)、資産に
対して命令が下される場合(例えば、負担命令や強制執行令状)、当グループの事業運営または評判に悪影響を及
ぼす措置を取ることを命じられる場合(例えば、修正広告)、またはその他訴訟、仲裁および規制手続きで不利な
判定に服する場合、当グループの事業、財政状態、運営、見通しおよび評判が悪影響を受ける可能性がある。
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2017年9月、AUSTRACによる当グループに対する民事訴訟手続きが開始したのを受けて、ASICはAUSTRACの手続き
に関連して 提起された申立てに関する当グループの開示について調査を開始した。AUSTRACの手続きは、 2006年資
金洗浄防止・テロ資金供与防止法(Cth)(「AML/CTF法」)違反に関するものであった。手続きの判決は、当行が
700 百万豪ドルの罰金と訴訟費用の支払をすることで、2018年6月20日に連邦裁判所において承認された。ASIC
は、当グループの役員および取締役が会社法に基づく義務を遵守していたかどうかなどについても調査を行ってい
る。かかる調査の当グループに対する最終的な影響があるとしても、現時点でこれについて予測することはできな
い。当グループは、この調査に関して負担すべきものと予想される法的費用について引当てを行っている。
当グループは、AUSTRACより当グループに対して民事罰の手続きが開始されたのを受けて、当グループが実施し
た行動計画にかかる最新情報をAUSTRACおよび当グループの他の規制当局に提供しているものの、AUSTRACまたは当
グループの他の規制当局が当グループの行動計画が妥当であると認めるか否か、またはかかる行動計画によって当
グループのコンプライアンス・プログラムが効果的に強化されるかどうかは保証の限りでない。
当グループは、本書日現在、AUSTRACにより提起された申立て(または類似の事件)に関連する他の国内外の規
制当局によるその他の強制措置を認識していないが、当グループが将来かかる強制措置の対象とならない保証はな
い。AUSTRACが開始した手続きの解決、またはその他の政府もしくは規制当局(国内または国外の別を問わな
い。)による他の公式もしくは非公式の手続きまたは調査が、他の規制当局または民間当事者によるさらなる訴訟
または手続きにつながる可能性もある。
2017年10月、当行は、当行の継続開示義務違反ならびにAUSTRACにより提起された民事罰手続きの主題に関連し
た誤解を招く詐欺的な行為を申立ててオーストラリア連邦裁判所に提起された株主集団訴訟手続きの送達を受け
た。株主集団訴訟においては、2015年7月1日から2017年8月3日までに当行の株式に対する持分を取得した当行
の株主が申立ての行為によって損失を被ったと主張されている。
2018年6月29日、AUSTRACの手続きの主題に関連して類似の第二の株主集団訴訟の送達が、2014年6月16日から
2017年8月3日の間に当行の株式に対する持分を取得した当行の一部の株主に代わって当行に対して行われた。
2019年7月10日、2件の集団訴訟手続きは継続し、併合審理されることとなり、1件の統合申立書によって審理が
進められることが裁判所の命令によって確認された。
これら訴訟の当グループに対する最終的な影響があるとしても、現時点でこれについて予測することはできな
い。当グループは、かかる訴訟の防御において負担すべきものと予想される法的費用について引当てを行ってい
る。
2018年10月9日、当行およびコロニアル・ファースト・ステート・インベストメンツ・リミテッド
(「CFSIL」)を相手取ってオーストラリア連邦裁判所において集団訴訟が提起された。この訴訟は、コロニア
ル・ファースト・ステート・ファーストチョイス・スーパーアニュエーション・トラストおよびコモンウェルス・
エッセンシャル・スーパーにおける現金および預金オプション(当行が優先する現金および預金商品)に対する投
資に関係するものである。主な主張は、ファンドにおいてこれらのオプションを保有するメンバーがこれら商品に
ついて受取った金利が、CFSILが市場において入手可能なより金利の高い同等の商品に投資していれば得られたは
ずの金利より低かったというものである。当行は、ファンドの受託者として、また基礎となる運用投資スキームの
責任会社として、CFSILの違反に関与したとされている。オーストラリアの法律では、責任会社は、投資スキーム
の受託者および管理者という2つの役割を担っている。当行およびCFSILは、2018年12月20日にこの申立てに対す
る抗弁を行った。集団訴訟の弁護士は、2019年4月16日に主張の修正申立書を提出して、申立ての追加修正を行っ
た。修正では、別の定期預金に関する追加の主張と、諮問委員会に関する信頼の侵害が加わったが、手数料に関す
る申立てはCFSILに対してのみ行われた。当行とCFSILは、2019年6月7日に、新たな申立てを否認して修正申立書
に対する抗弁を行った。この申立ての当グループに対する最終的な影響があるとしても、現時点でこれについて判
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断することはできない。当グループは、この申立ての防御において負担すべきものと予想される法的費用について
引当てを行っている。
また、AUSTRACの手続きならびにその他の調査、訴訟、請求および手続きの解決は、当グループの顧客、投資家
およびその他の利害関係者の間での当グループの評判が悪影響を受けることで、当グループの事業および業績を毀
損する可能性がある。評判が損なわれたことにより、顧客を失い、あるいは有利な条件で資本市場にアクセスする
当グループの能力が制限される可能性があり、そうしたことが、当グループの事業、財政状態、運営、見通しおよ
び評判に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
2018年度において、金融犯罪コンプライアンス、王立委員会、健全性調査(以下に定義する。)、AUSTRACによ
る民事手続き、株主集団訴訟およびASICによる調査に関して、389百万豪ドルの費用引当金が認識された。2019年
度には、過去のアラインド・アドバイス是正問題および関連するプログラム費用について534百万豪ドル、また
ウェルス・アンド・バンキングの顧客への返金および関連するプログラム費用について384百万豪ドルの費用引当
金が認識された。
さらに、近年、(裁判所に対する訴えであるか否かに拘わらず)規制当局による調査、審査、執行手続きの内容
および範囲が著しく増すとともに、とりわけ、オーストラリアおよび諸外国の金融機関に対して、規制当局が課す
制裁金の金額も増額してきている。これらの調査および審査の内容は多岐に渡る可能性がある。
2017年8月28日、APRAは、当グループのガバナンス、企業文化および説明責任の枠組みにおける欠陥の特定を目
的として、当グループの健全性に関する独立した調査(「健全性調査」)を実施することを公表した。
健全性調査の最終報告書(「最終報告書」)は、2018年5月1日に公表された。最終報告書では、当グループ内
の組織的および企業文化的要因の複雑な相互作用ならびに非金融リスク管理を強化する必要性に関して多数の調査
結果が示された。最終報告書を受けて、当グループは、すべての提言を実行することを受け入れ、提言の実行につ
いてARPAが満足するまで、1十億豪ドル追加すること(リスク加重資産12.5十億豪ドル)によりオペレーショナ
ル・リスクの最低所要自己資本を調整することに同意した。
当行は、強制可能な取決めを締結しており、これに基づき、最終報告書に対応する当行の是正行動計画(「是正
行動計画」)が合意され、APRAにより定期的に監視されることになる。是正行動計画は、当行がどのようにして事
業運営方法を改善し、リスクを管理し、規制当局と協力するかについて説明した詳細な変更プログラムを提示して
いる。また是正行動計画では、包括的な保証の枠組みを明示し、プロモントリー・オーストラレーシア(シド
ニー)社(「プロモントリー社」)を独立したレビュアーに任命し、同社は約束した指標に対する当グループの進
捗状況について3カ月毎にAPRAに報告することが義務づけられている。
プロモントリー社は、是正行動計画の作業プログラムが 順調に進んでおり、期日までに156件すべての指標が達
成される予定で、健全性調査の提言をタイムリーかつ包括的な方法で実施するという当行の取組みが引続き強力で
あると指摘している。プロモントリー社は、APRAに四半期ごとの進捗報告を行っており、当行は、是正行動計画に
対する進捗状況を年に2回公表することを約束している。当グループは、是正行動計画の実施に関連した費用につ
いて引当てを行っている。
2019 年、当グループはまた、業界全体および当行固有の審査の一環として、規制当局からさまざまな通知および
情報請求を受けた。規制上のエクスポージャーに加え、顧客に対するエクスポージャーが生じる可能性もある。こ
れらには、集団訴訟、個別の訴訟または顧客に対する救済や補償措置が含まれる可能性がある。こうした審査にか
かる結果および総費用ならびにエクスポージャーの可能性は依然として不透明である。しかしながら、規制当局に
よる調査や審査の結果、制裁金を課せられることになれば、当グループの事業、財政状態、運営、見通しおよび評
判に悪影響が及ぶ可能性がある。
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当グループは、従業員の不適切な行動によって損失を被る可能性がある。
従業員、請負業者または外部のサービス提供業者が規制または政策や手続きに従って行動しなかったり、不適切
なまたは詐欺的行為を行ったり、過失によって特定の顧客に対して専門家責任を果たさない場合に、当グループは
悪影響を受ける可能性がある。例を挙げると、不適切なまたは不完全な金融アドバイス、商品の欠陥および不適切
性、市場操作、インサイダー取引、プライバシーまたはデータ保護違反、ならびに広告における誤解を招く行為も
しくは 虚偽的行為などがある 。その結果、当グループは損失、制裁金および風評被害を受ける可能性があり、法的
または規制措置の対象となる可能性がある。
当グループは、カウンターパーティ・リスクに関連して損失を被る可能性がある。
当グループは、当グループに対する金融債務を適時に履行する取引相手の能力に依存しているため、融資、ト
レーディング、デリバティブ、保険その他の事業に関連して、カウンターパーティ・リスクを抱えている。例え
ば、顧客は住宅ローン、個人向けローンおよび事業向けローンを返済できなくなる可能性があり、取引相手からの
支払不履行または決済機関、取引所もしくはその他の金融仲介業者によるシステム障害により取引が決済できない
可能性がある。こうしたリスクはまた、住宅ローン保険の保険業者および再保険業者に対する当グループのエクス
ポージャーからも発生する。また、一定の状況のもとで取引相手に対する当グループの権利を強制履行できないリ
スクも存在する。
取引相手は、破産、流動性の欠如、経営破綻またはその他の理由で債務を履行できない可能性がある。かかるリ
スクは、経済情勢の悪化および長期にわたる高水準の失業により増加する可能性がある。信用を供与するか、ある
いは他の取引を行うかを評価するにあたって、当グループは財務書類その他の財務情報を含め、取引相手が正確か
つ誤解を生じさせない情報を提供することに依拠している。当グループが不正確なまたは重大な誤解を招く情報に
依拠した場合、当グループの財務実績はその限度で悪影響を受ける可能性がある。
想定外の信用損失は当グループの事業、財政状態、運営および見通しに重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループの業績は、流動性リスクおよび資金調達リスクにより悪影響を受ける可能性がある。
当グループは、流動性リスクおよび資金調達リスクに晒されており、そのことが当グループの業績に悪影響を及
ぼす可能性がある。流動性リスクとは、返済期限の到来時に金融債務を返済できないリスクである。資金調達リス
クとは、資金調達源に変化が生じまたはその競争が激化すると、総体的な資金調達コストが上昇したり、または資
金調達自体が困難になるほど、当該資金調達源に過度に依存するリスクをいう。
流動性リスクおよび資金調達リスクの詳細については、当グループの流動性および資金調達のリスク管理フレー
ムワークの概要を記載した「第6 経理の状況 1.財務書類-(6)財務書類に対する注記」の注記9.4を参照され
たい。
金融および信用市場の悪化によって、当グループがそのホールセール資金調達の相当額を依存している国際債券
市場にアクセスする能力に深刻な影響が及ぶ可能性がある。
当グループの資金調達の大半は預金を源泉としているが、引き続き資金調達の相当額を調達し、事業を成長させ
るためにオフショアのホールセール資金調達市場に依存している。
グローバル市場におけるボラティリティは、そのコストおよび当グループがホールセール資金調達市場にアクセ
スする能力に悪影響を及ぼす可能性があり、オーストラリア国内の預金に関して競争が激化し、その結果コストも
増加する可能性がある。
当グループがその資金調達コストの増分を顧客に転嫁できなければ、正味利息マージンが縮小することにより、
当グループの財務実績が悪化することになる。当グループが代替資金調達源を探さなければならない場合、かかる
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代替先の利用可能性および利用できる場合の条件はさまざまな要因に依存しており、その中には金融および信用市
場の情勢が含まれる。仮に代替先から資金を調達できるにしても、代替先のコストがより高くなり、あるいは不利
な 条件でしか利用できなくなる可能性があり、そのことが当グループの借入コストや当グループの進行中の業務お
よび資金調達に悪影響を及ぼす可能性がある。当グループが適切かつ適時に資金を調達できない場合、貸付を減少
させたり、資産の売却も検討しなければならない可能性もある。
当グループは適切な流動性および資金調達の水準を維持できない可能性があり、そのことが当グループの事業、
財政状態、運営および見通しに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループの流動性および資金調達方針は、期限の到来時に確実に債務およびその他の義務を履行できるように
策定されている。当グループは積極的にその流動性および資金調達ポジションを監視し、管理しているが、例え
ば、金融市場が長期にわたって閉鎖される場合など、かかるポジションに悪影響を及ぼす可能性のある当グループ
の制御が及ばない要因がある。
当グループは、APRAの流動性カバレッジ比率(「LCR」)要件(2015年1月1日に発効)のほかに、2018年1月
1日から発効した安定調達比率(「NSFR」)要件を遵守しなければならない。当グループが流動性および資金調達
の適切な水準を維持できない場合、当グループの事業、財政状態、運営および見通しに悪影響を及ぼす可能性があ
る。
信用格付けを維持できない場合、当グループの資金調達コスト、流動性、債券市場および資本市場へのアクセス
ならびに競争力に悪影響が及ぶ可能性がある。
当行の信用格付け(オーストラリアのソブリン信用格付けの強い影響を受ける。)は、債券市場や他の資金源か
らの資金調達のコストおよび調達可能性に影響を及ぼす。当グループと取引を行うか、または当グループに投資す
るかの決定にあたり、潜在的な顧客、貸し手および投資家は信用格付けを使用することができる。
当行の信用格付けまたはオーストラリア連邦の信用格付けの格下げは、当グループの資金調達コスト、流動性、
債券市場および資本市場へのアクセス、担保要件ならびに競争力に悪影響を及ぼす可能性がある。
当行は、スタンダード・アンド・プアーズ(オーストラリア)ピーティーワイ・リミテッド(「S&P」)から安
定的の見通しを付してAA-の格付けを付与された。S&Pは、2019年7月9日に当行に対する見通しをネガティブから
安定的に変更したが、2019年7月15日に当行の格付けを据え置いた。
当行は、ムーディーズ・インベスターズ・サービス・ピーティーワイ・リミテッドから、ネガティブの見通しを
付してAa3の格付けを付与された。
当行は、フィッチ・オーストラリア・ピーティーワイ・リミテッド(「フィッチ」)から、ネガティブの見通し
を付してAA-の格付けを付与された。現在のネガティブの見通しは、健全性調査の報告書で強調されたオペレー
ショナル・リスクおよびガバナンスにおける欠陥の修正に関連するリスクに対するフィッチの見解を反映したもの
である。
自己資本比率要件を維持できない場合、当グループの財政状態に悪影響が及ぶ可能性がある。
当グループは、規制当局による定性的かつ定量的な審査や評価の対象となる高い自己資本要件を満たさなければ
ならない。規制上の資本要件は、当グループがその自己資本を利用する方法に影響を及ぼし、かつ当グループが配
当金およびその他Tier1資本の分配金を支払うか、または自社株買いを実行する能力を制限する可能性がある。当
グループの自己資本比率は多くの要因の影響を受けるが、その中には、収益性、資産の伸び、当グループが事業を
行う他の通貨に対する豪ドルの価値の変動、ならびに事業戦略の変更(事業買収、事業処分、投資および資本集約
的な事業の変更を含む。)が含まれる。
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当グループは、自己資本水準を管理し、当行の取締役会が承認した最低水準(現在は規制上の要件を上回るよう
に設定されている。)を上回るようにこれを維持するために、内部自己資本充実度評価プロセス(「ICAAP」)を
実 施している。ICAAPには、自己資本水準にかかる予測とストレス・テストが含まれており、当グループが実行す
る可能性のある自己資本管理の取り組みを選択する際に基準となるものである。
ICAAPの予測またはストレス・テストに効果がないことが判明した場合、当グループは十分な資本を確保でき
ず、バランスシートの伸びおよび/または過度のストレスを管理するために資本調達が必要となる可能性がある。
APRAは、2014年12月に公表された金融制度聞き取り調査(「FSI」)の最終報告書を受けて、複数の措置を講じ
ており、これにはオーストラリアのADIsに「疑いの余地なく強固」な自己資本比率をもって事業を行うことを求め
る報告書の勧告が含まれる。
2017年7月、APRAは「銀行セクターの強靱性の強化-疑いの余地なく強固な自己資本比率の確保」という情報文
書を公表した。これには、「疑いの余地なく強固」な自己資本比率を有するという目標を達成するために、オース
トラリアの主要銀行は、2020年1月1日までにベンチマーク比率として、RWAに対して10.5%以上のCET1比率を
もって事業を行う必要があるとされている。
上記とは別に、2017年12月7日、バーゼル銀行監督委員会は、世界的な金融危機を受けて、自己資本の国際的な
規制枠組みの欠陥に対処することを目的とした新たな措置の裏付けとなる「バーゼルⅢ:金融危機後の規制改革の
最終化」を公表した。これは、主にRWAの過度の変動性に対処すること、したがって銀行全体の資本要件に重点を
置いている。
これを受けて、APRAは2018年2月14日、自己資本の規制枠組みの見直しに関する協議を開始するために「ディス
カッション・ペーパー-公認預金受入機関の自己資本の規制枠組みの見直し」(「本文書」)と題するディスカッ
ション・ペーパーを公表した。本文書は、信用リスク、市場リスクおよびオペレーショナル・リスクに対して先進
的かつ標準的な手法を用いて、APRAがADIsに対するリスクベースの自己資本要件に加えると予想される見直しの主
な内容を概説している。本文書は、とりわけ、ADIの住宅ローン・ポートフォリオの体系的な集中への対応を模索
し、リスクの高い住宅ローン(投資ローンおよびインタレスト・オンリー・ローンを含む。)に焦点をあてること
を提案している。APRAは、本文書の提案による全体的な影響は、ADIsのRWAの純増であると予想していると述べて
いる。APRAは、他の条件がすべて同一であれば、ADIの内在するリスク特性または「疑いの余地なく強固」な自己
資本比率を達成するために必要な自己資本の金額に変更がなくても、ADIが報告した自己資本比率が低下するであ
ろうことを指摘している。APRAはその後、 信用リスクおよびオペレーショナル・リスクを測定するための標準化さ
れたアプローチに関する健全性基準の草案を公表した。また、APRAは、内部格付(IRB)手法に基づいて測定され
た住宅ローンにかかる資本要件を計算するためのより簡単な方法を提案している。
2018年8月、APRAは「ディスカッション・ペーパー-ADIの自己資本の規制枠組みの透明性、比較可能性および
柔軟性の改善」と題する2つ目のディスカッション・ペーパーを公表した。APRAは、資本の金額または配分を変更
することなく比較可能性を高めるために、主な2つの選択肢を提案している。1つ目の選択肢は、現行の手法に類
似しており、APRAが定める現行の規制上の自己資本比率に加えて、APRAが定める国際的に比較可能な自己資本比率
を追加で開示することである。2つ目の選択肢は、現行の手法よりも国際的により調和のとれたAPRAが定める規制
上の自己資本比率の唯一の組み合わせをもたらすものである。後者は、ADIの自己資本比率の算出からAPRAの相対
的に保守的な要素を取り除くこと、およびこれと並行して規制上の最低自己資本比率要件を引き上げることにより
達成される。
これらのディスカッション・ペーパーの結果および自己資本の規制枠組みの全体的な見直しにより、主要銀行に
適用されるベンチマークである10.5%のCET1比率をAPRAが再調整する可能性があるかどうかが決定されるが、
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APRAは、これによってADIsが追加で資金調達せざるを得なくなるか、資本要件のリスク感応度を変化させることは
ないと予想している。
APRAは、自己資本の規制枠組みの見直しに基づき、ADIsが保有しなければならない資本の金額を、2020年1月ま
でにベンチマークであるCET1比率を達成するために保有しなければならないであろう資本の額に収める意向であ
る。
APRAによる健全性基準の改正は、オペレーショナル・リスクについては2021年1月1日、その他すべての改革に
ついては2022年1月1日に効力を生じるが、それに先立って協議に付される予定である。
当行の資本管理方法に沿って、当行は、基本的な資本形成、慎重な資本管理および資産売却の公表を含むさまざ
まな活動を通じて、「疑いの余地なく強固」な自己資本比率を達成することを目標としている。
自己資本の規制枠組みの見直しのほかに、APRAは、以下のとおり、FSIの資本関連のその他の勧告(最低損失吸
収能力および自己資本再建能力に関する枠組みならびにADIsに対する最低レバレッジ比率要件の導入を含む。)を
実施する意向であることを発表した。
・2018年2月、APRAは「ディスカッション・ペーパー-公認預金受入機関のレバレッジ比率要件」と題するディ
スカッション・ペーパーを公表した。協議の結果、2018年11月、APRAは、当行がそのひとつに該当するIRB
ADIsの最低レバレッジ比率要件を3.5%に設定し、2022年1月1日からこれを適用することを発表した。
・2019年7月9日、APRAは、2018年11月の「ディスカッション・ペーパー-秩序ある解決をサポートするための
ADIsの損失吸収能力強化」と題するディスカッション・ペーパーの提出に対する回答を発表した。APRAは、現
行の自己資本の規制枠組みの下でオーストラリアのLAC制度が設けられる予定であることを確認した。当行もそ
のひとつに該当するD-SIBsについては、APRAは、2024年1月1日から総所要自己資本をRWAの3%引き上げるこ
とを義務づける予定である。当行は、これにより上位資金調達所要額が減少するものと予想している。APRAは
さらに、LACの長期目標を4ないし5%に据え置き、業界およびその他の利害関係者と協議のうえ、今後4年間
にLACをさらに1ないし2%引き上げるための実行可能な代替手段を検討する予定であると述べた。
ニュージーランド準備銀行は、ニュージーランドの登録銀行に適用されている 自己資本充実度の枠組みの包括的
な見直しを実施することを約束している。2018年12月に公表された「キャピタル・レビュー・ペーパー4:資本は
どれだけあれば十分?」と題する最新のコンサルテーション・ペーパーには、ニュージーランドのIRB銀行のRWAを
標準的なRWAの約90%に引き上げ、システム上重要であるとみなされる銀行については最低Tier1資本要件をRWAの
16%に引き上げる(現行8.5%)という提案が盛り込まれている。かかる提案についての協議は現在終了してお
り、2019年11月に最終的な方針決定がなされる予定である。
当グループの自己資本比率および流動性要件の詳細については、下記「グループ・オペレーションおよび事業体
制-流動性および資金源」を参照されたい。当グループが上記の自己資本要件、または将来提案される自己資本要
件(実施された場合)を満たすことができない場合、当グループの財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
市場リスク(為替レートの不利な変動を含む。)に対して効果的にヘッジできない場合、当グループの経営成績
にマイナスの影響が及ぶ可能性がある。
当グループは市場リスクに晒されている。これには、金利、為替レート、コモディティ価格および株価、クレ
ジット・スプレッドならびにオプションが取引されている資産・負債のインプライド・ボラティリティ・レベルの
不利な変化により発生する損失の可能性が含まれる。 かかるリスクは、主に世界規模で顧客にサービスを提供する
ことにより取引される市場リスクと、主として当グループの銀行勘定における金利リスクである非取引市場リスク
とに分けられる。
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当グループのホールセール資金の大半ならびに利益および投資の一部は、豪ドル以外の通貨(主に米ドルおよび
ユーロ)建てである。当グループの機能通貨および財務報告通貨は豪ドルであるため、当グループはこれらの事業
活動に係る為替リスクに晒されている。かかる事業活動は適宜ヘッジされているが、ヘッジに関連するリスク(例
え ば、ヘッジ取引相手が当グループに対する義務を履行しないことがある。)もある。これらの具体的なリスクに
ついては、後記「第6 経理の状況 1.財務書類-(6)財務書類に対する注記」の注記9.3を参照されたい。当グ
ループの為替ヘッジ対策またはヘッジ方針が十分または効果的であると保証することはできない。当グループの
ヘッジが為替リスクを軽減するのに効果的ではない場合、当グループのヘッジ対策が適切でない場合、またはヘッ
ジ提供者が当グループとのヘッジ契約に基づく義務を履行しない場合には、当グループの経営成績が悪影響を受け
る可能性がある。
戦略的リスクが当グループの業績に悪影響を及ぼす可能性がある。
戦略的リスクとは、当グループの内外の事業環境の変化により、重大な価値の下落が生じるか、または計画され
た価値の創出を下回るリスクである。戦略的リスクの例には以下が含まれる。
・当グループの戦略目標を 実行するための当グループのリソースの配分とバランスの欠如
・当グループの戦略の非効率的な提供(例えば、運用の複雑さまたは実行のペースがプロセス、人およびシステ
ムが必要に応じて動作するには速すぎる、または変化する環境に対応するには遅すぎることによるもの)
・当グループが主要なバリュー・プール全体における伝統的および非伝統的な金融サービス業者との激化する競
争に対応する能力の欠如
取締役会は、当グループの事業環境、戦略目標および主な戦略イニシアチブの実行について、定期的に監視し協
議しているが、かかる目標およびイニシアチブが成功するとか、またはこれらが当グループに悪影響を及ぼさない
という保証はない。
当グループの業績および財政状態は、事業買収または事業処分によって悪影響を受ける可能性がある。
当グループは、中核的でないと考えられる事業もしくは能力を処分し、事業または商品分野を縮小する可能性が
ある。例えば、当グループは現在、事業の一部について多数の処分および戦略的見直しを行っている。
事業処分(外部の承認を受けて行われるものを含む。)の実施費用およびそのペースによって、当グループは事
業処分、移転または縮小のプロセスにおいて、既存事業も巻き込んで混乱を来すリスクがあり、これによって顧客
が当グループからその事業を引き揚げ、または当グループにその他悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは随時、その他の事業買収を検討し、実行している。当グループが事業買収から期待したシナジー効
果を実現できない可能性があり、また、買収した事業のシステムやプロセスの統合に問題が生じることで、当グ
ループの既存事業に混乱を生じさせる可能性があるというリスクがある。かかるリスクにより、当グループが顧客
や市場シェアを失い、財務的損失が生じる可能性がある。
複数の事業処分および/または買収を同時に実行することで、こうしたリスクが増幅される可能性もある。
当グループは、株主アクティビズムにより悪影響を受ける可能性がある。
最近、当グループは、機関投資家および特別利益団体を含む株主から戦略に対する批判を受けることが多くなっ
ている。オーストラリアで株主アクティビズムを引き起こす分野には、社会的責任投資の実行、ならびに環境およ
び社会問題に対する責任ある経営姿勢をみせない企業への融資または当該企業との取引関係の回避が含まれる。株
主アクティビズムの蔓延は、経営陣による意思決定や当グループのイニシアチブの実行に悪影響が及ぶ可能性があ
り、ひいては当グループの財務実績に悪影響が及ぶ可能性がある。
保険リスクが当グループに悪影響を及ぼす可能性がある。
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当グループが付保している事象が発生する頻度が高まる場合、あるいは想定を上回る重大度で発生する場合、当
グループに悪影響が及ぶ可能性がある。当グループの生命保険事業におけるこうしたリスクは主に、死亡率(死
亡) および罹患率(疾病・傷害)関連の保険金請求額が予想を上回ることから発生する。当グループの損害保険事
業におけるこうしたリスクは、主に、天候関連被害(嵐、洪水または山火事など)およびその他の大災害から発生
する。
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3【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】
以下に記載の情報には将来予想に関する記述が含まれており、それについては本報告書の表紙に記載された
「(注6)将来予想に関する記述についての注意書き」を参照されたい。
当グループの業績の概要
以下に終了した年度 以下に終了した年度
(「法定ベース」) (「現金ベース」)
修正再表示
(1)
(1)
修正再表示 計上額 計上額
2019 年 2019 年
2018 年 2018 年 2017 年 2018 年 2018 年 2017 年
6月30日 6月30日
6月30日 6月30日 6月30日 6月30日 6月30日 6月30日
百万 百万 百万 百万 百万 百万 百万 百万
当グループの業績の概要
豪ドル 豪ドル 豪ドル 豪ドル 豪ドル 豪ドル 豪ドル 豪ドル
純受取利息 18,120 18,342 18,341 17,543 18,120 18,342 18,341 17,543
その他の銀行業務収益 4,994 5,423 5,390 5,684 5,068 5,215 5,182 5,578
銀行業務収益合計 23,114 23,765 23,731 23,227 23,188 23,557 23,523 23,121
ファンド運用業務収益 1,073 1,124 2,099 1,928 1,072 1,119 2,091 1,913
保険業務収益 150 241 302 231 147 238 293 223
営業収益合計 24,337 25,130 26,132 25,386 24,407 24,914 25,907 25,257
投資利益 n/a n/a n/a n/a ▶ 8 17 23
収益合計 24,337 25,130 26,132 25,386 24,411 24,922 25,924 25,280
営業費用 (11,373) (11,029) (11,633) (10,626) (11,269) (10,995) (11,599) (10,622)
貸付金減損費用 (1,201) (1,079) (1,079) (1,095) (1,201) (1,079) (1,079) (1,095)
税引前純利益 11,763 13,022 13,420 13,665 11,941 12,848 13,246 13,563
法人税費用 (3,391) (3,952) (4,026) (3,879) (3,437) (3,920) (3,994) (3,847)
(2)
(12) (13) (19) (20) (12) (13) (19) (20)
非支配持分
継続事業からの税引後純 8,360 9,057 9,375 9,766 8,492 8,915 9,233 9,696
利益
非継続事業からの税引後 211 272 (46) 162 214 497 179 185
(3)
純利益
税引後純利益 8,571 9,329 9,329 9,928 8,706 9,412 9,412 9,881
事業の取得、処分、閉鎖 n/a n/a n/a n/a (61) (183) (183) -
および分割に係る(損
(4)
失)/利益
ヘッジおよびIFRSによる n/a n/a n/a n/a (79) 101 101 73
(4)
変動
(4)
n/a n/a n/a n/a 5 (1) (1) (26)
その他の非現金項目
税引後純利益(「法定 8,571 9,329 9,329 9,928 8,571 9,329 9,329 9,928
ベース」)
内訳:
リテール銀行業務 4,266 4,878 5,251 4,933
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事業向けおよびプライ 2,658 2,845 1,888 1,808
ベート・バンキング業務
機関向け銀行業務および 1,084 1,170 1,121 1,311
市場業務
資産運用 179 570 725 529
ニュージーランド 1,181 1,140 1,158 992
バンクウェスト n/a n/a 678 573
国際金融サービス 174 31 31 93
コーポレート・センター (971) (1,305) (1,523) (311)
税引後純利益(「法定 8,571 9,329 9,329 9,928
ベース」)
(1)比較情報は当期の表示に合わせて修正再表示されており、これには非継続事業に係る表示の修正および事業セグ
メント全体の事業を再編成するための当グループの業務モデルの簡素化による修正が含まれている。
(2)非支配持分には、ASBキャピタル・リミテッドおよびASBキャピタルNo.2リミテッドの優先株保有者に支払われる
優先配当が含まれている。
(3)非継続事業の財務成績は、当行の業績の個々の勘定科目から除外され、単一の税引後純利益(現金ベース)とし
て計上される。非継続事業には、当グループのオーストラリアおよびニュージーランドの生命保険事業(コムイ
ンシュア・ライフおよびソブリン)、BoCommライフ、TymeDigital SA、CFSGAMおよびPTCLが含まれており、非継
続事業からの税引後純利益に対する非支配持分が含まれている。
(4)非現金項目は税引後純利益(「現金ベース」)から除外されている。これは、当行の財務成績を測定するのに経営
陣が選好する方法であるが、非現金項目は一過性であることが多く、当グループの継続的な財務成績を表わすと
は考えにくいためである。当期に関する項目には、事業の売却損(61百万豪ドルの損失)、ヘッジおよびIFRSによ
る変動にかかる未実現損益(79百万豪ドルの利益)、バンクウェストの非現金項目(1百万豪ドルの費用)、自己株
式評価調整(6百万豪ドルの収益)が含まれている。事業セグメント別の税引後純利益(「現金ベース」)の税引後
純利益(「法定ベース」)への調整については、「第6 経理の状況 1.財務書類-(6)財務書類に対する注
記」の注記2.7を参照されたい。
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主要な業績指標
以下に終了した年度
(1)
計上額
修正再表示
2019 年
2018 年 2018 年 2017 年
主要な業績指標
6月30日
6月30日 6月30日 6月30日
継続事業からの当グループの業績
法定ベースの税引後純利益(百万豪ドル) 8,360 9,057 9,375 9,766
純利息マージン(%) 2.10 2.15 2.15 2.10
法定ベースの営業費用対営業収益合計(%) 46.7 43.9 44.5 41.9
常勤換算従業員数(FTE) 42,921 42,462 43,771 43,620
平均FTE 42,794 42,046 n/a n/a
実効法人税率(%)(「法定ベース」)(%) 28.8 30.3 30.0 28.4
(2)
864,174 854,264 854,264 834,741
平均利付資産(百万豪ドル)
(2)
761,115 759,583 759,583 755,612
平均利付負債(百万豪ドル)
管理ファンド(「FUA」)-平均(百万豪ド 163,017 153,810 153,810 141,146
ル)
運用資産(「AUM」)-平均(百万豪ドル) 15,082 12,889 220,764 210,295
非継続事業を含む当グループの業績
法定ベースの税引後純利益(百万豪ドル) 8,571 9,329 9,329 9,928
純利息マージン(%) 2.11 2.15 2.15 2.11
法定ベースの営業費用対営業収益合計(%) 48.7 45.9 45.8 42.4
常勤換算従業員数(FTE) 45,165 45,753 45,753 45,614
平均FTE 45,250 45,263 n/a n/a
実効法人税率(%)(「法定ベース」)(%) 28.2 30.2 30.2 28.4
(2)
864,657 854,343 854,343 834,741
平均利付資産(百万豪ドル)
(2)
762,144 760,450 760,450 755,612
平均利付負債(百万豪ドル)
管理ファンド(「FUA」)-平均(百万豪ド 173,354 164,866 164,866 152,999
ル)
運用資産(「AUM」)-平均(百万豪ドル) 223,184 221,305 221,305 210,929
平均保険料収入(百万豪ドル) 2,365 3,232 3,232 3,434
(1)比較情報は当期の表示に合わせて修正再表示されており、これには非継続事業に係る表示の修正が含まれてい
る。
(2)平均利付資産は、モーゲージ・オフセット残高の平均を除いたものである。平均利付負債は、モーゲージ・オフ
セット残高の平均を除いたものである。
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以下に終了した年度
(1)
計上額
修正再表示
2019 年
2018 年 2018 年 2017 年
主要な業績指標
6月30日
6月30日 6月30日 6月30日
継続事業からの株主還元
1株当たり利益(EPS)(豪セント)
法定ベース-基本ベース 473.7 518.8 536.9 567.9
現金ベース-基本ベース 480.8 510.3 528.6 563.4
株主資本利益率(ROE)(%)
法定ベース 12.3 13.9 14.4 15.9
現金ベース 12.5 13.6 14.1 15.7
株主還元(非継続事業を含む。)
1株当たり利益(EPS)(豪セント)
法定ベース-基本ベース 485.6 534.3 534.3 577.3
現金ベース-基本ベース 493.0 538.8 538.8 574.1
株主資本利益率(ROE)(%)
法定ベース 12.6 14.3 14.3 16.2
現金ベース 12.8 14.4 14.4 16.0
1株当たり配当-最終適格(豪セント) 431 431 431 429
配当負担倍率-法定ベース(倍) 1.1 1.2 1.2 1.3
配当負担倍率-現金ベース(倍) 1.1 1.2 1.2 1.3
配当性向(%)
法定ベース 89.0 81.2 81.2 74.6
現金ベース 87.6 80.4 80.4 75.0
自己資本(非継続事業を含む。)
普通株式等Tier1資本(国際的に比較可 16.2 15.5 15.5 15.6
(2)
能) (%)
普通株式等Tier1資本(APRA)(%) 10.7 10.1 10.1 10.1
リスク加重資産(RWA)(百万豪ドル) 452,762 458,612 458,612 437,063
レバレッジ比率(非継続事業を含む。)
レバレッジ比率(国際的に比較可能) (%) 6.5 6.3 6.3 5.8
(2)
レバレッジ比率(APRA)(%) 5.6 5.5 5.5 5.1
資金調達および流動性指標(非継続事業
を含む。)
(3)
132 133 131 129
流動性カバレッジ比率 (%)
長期債券の加重平均残存期間(年限) 5.1 5.1 n/a n/a
資金調達に対する顧客預金の比率(%) 69 68 n/a n/a
安定調達比率(%) 112 112 112 107
信用の質に関する指標(非継続事業を含
む。)
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貸付金減損費用(年率換算)/平均GLAAs 0.16 0.15 0.15 0.15
(%)
減損資産(グロス)/ GLAAs(%) 0.48 0.42 0.42 0.43
信用リスク加重資産(RWA)(百万豪ド 372,574 369,528 369,528 377,259
ル)
(1)比較情報は当期の表示に合わせて修正再表示されており、これには非継続事業に係る表示の修正が含まれてい
る。
(2)分析は「資本の国際比較研究」という2015年7月13日のAPRAによる研究に沿っている。
(3)当グループは、バーゼルⅢの第3の柱の開示報告要件に合わせて、流動性カバレッジ比率(「LCR」)の報告をス
ポットから四半期平均に変更した。修正再表示後の数値は、2018年6月30日に終了した四半期のLCRの平均を表し
ている。2019年6月30日の当グループのスポットLCRは129%で、2018年6月30日の131%から2%減少した。
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以下に終了した年度
修正再表示 計上額
(1)
2019 年
2018 年 2018 年 2017 年
主要な業績指標
6月30日
6月30日 6月30日 6月30日
リテール銀行業務
法定ベースの税引後純利益(百万豪ドル) 4,266 4,878 5,251 4,933
純利息マージン(%) 2.57 2.74 2.98 2.90
(2)
363,187 352,450 328,851 317,052
平均利付資産(百万豪ドル)
法定ベースの営業費用対銀行業務収益合計(%) 40.0 36.4 30.5 31.0
リスク加重資産(百万豪ドル) 173,716 168,370 146,511 134,937
事業向けおよびプライベート・バンキング業務
法定ベースの税引後純利益(百万豪ドル) 2,658 2,845 1,888 1,808
純利息マージン(%) 3.17 3.16 3.05 2.98
(2)
161,808 161,627 111,136 109,091
平均利付資産(百万豪ドル)
法定ベースの営業費用対銀行業務収益合計(%) 36.6 34.1 36.1 37.3
リスク加重資産(百万豪ドル) 122,030 119,804 96,329 87,654
機関向け銀行業務および市場業務
法定ベースの税引後純利益(百万豪ドル) 1,084 1,170 1,121 1,311
純利息マージン(%) 1.05 1.03 1.04 1.10
(2)
130,438 138,935 139,050 138,613
平均利付資産(百万豪ドル)
法定ベースの営業費用対銀行業務収益合計(%) 42.2 39.9 42.7 37.7
リスク加重資産(百万豪ドル) 85,496 95,875 96,190 102,242
(3)
資産運用
法定ベースの税引後純利益(百万豪ドル) 73 234 725 529
法定ベースの営業費用対営業収益合計(%) 86.1 61.1 66.6 72.3
FUA -平均(百万豪ドル) 148,813 141,726 141,726 129,152
(3)
ニュージーランド
法定ベースの税引後純利益(百万豪ドル) 1,046 1,062 1,158 992
(4)
51,189 48,524 49,884 48,807
リスク加重資産-APRAベース(百万豪ドル)
(5)
2.21 2.24 2.24 2.17
純利息マージン(ASB) (%)
平均利付資産(ASB)(百万ニュージーランド・ド 95,315 89,774 89,774 84,091
(5)
ル)
法定ベースの営業費用対営業収益合計(%)(ASB) (%) 34.9 35.9 34.5 35.5
(5)
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FUA -平均(ASB)(百万ニュージーランド・ドル) 15,146 13,110 13,110 12,665
(5)
AUM -平均(ASB)(百万ニュージーランド・ドル) 16,075 13,986 4,965 4,631
(5)
(1)比較情報は当期の表示に合わせて修正再表示されており、これには非継続事業に係る表示の修正および事業セグ
メント全体の事業を再編成するための当グループの業務モデルの簡素化による修正が含まれている。
(2)モーゲージ・オフセット残高の平均を除く。
(3)継続事業ベースで表示されている。
(4)リスク加重資産はASBのみを表示しており、APRAの規定に従って計算されている。
(5)主要な財務指標はASBのみを表示しており、ニュージーランド・ドルで計算されている。
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下記の日付現在
2019 年 2018 年 2018 年 2019 年 2019 年
6月30日 12 月31日 6月30日 6月対 6月対
2018 年 2018 年
(1)
市場シェア (%) (%) (%) 12 月(%) 6月(%)
住宅ローン 24.4 24.3 24.4 10 bpts -
(2)
26.9 26.6 27.2 30 bpts (30)bpts
クレジッド・カード
(3)
28.6 28.2 28.0 40 bpts 60 bpts
その他家計向け貸出
家計預金 28.1 28.3 28.4 (20)bpts (30)bpts
事業向け貸出-RBA 14.4 15.0 15.8 (60)bpts (140)bpts
事業向け貸出-APRA 16.6 17.0 17.8 (40)bpts (120)bpts
事業向け預金-APRA 19.5 19.7 20.2 (20)bpts (70)bpts
株式取引 3.7 3.7 4.1 - (40)bpts
オーストラリアのリテール向けファンド業 15.3 15.3 15.3 - -
(4)
務-アドミニストレーター・ビュー
ファーストチョイス・プラットフォーム 10.7 10.7 10.7 - -
(4)
オーストラリア生命保険(トータルリスク ) 7.4 7.8 8.0 (40)bpts (60)bpts
(4)(5)
(4)
9.0 9.2 9.5 (20)bpts (50)bpts
オーストラリア生命保険(個別リスク )
(5)
ニュージーランドにおける住宅ローン 21.7 21.6 21.7 10 bpts -
ニュージーランドにおける顧客預金 17.7 17.9 17.8 (20)bpts (10)bpts
ニュージーランドにおける事業向け貸出 15.4 15.3 15.0 10 bpts 40 bpts
ニュージーランドにおけるリテール向け 15.4 15.3 15.0 10 bpts 40 bpts
(6)
AUM
ニュージーランドにおける年間保険料収入 - - 27.3 - 大
(5)
(1)比較情報は、市場の修正を反映して更新されている。
(2)クレジット・カードにおける市場占有率は、APRA月次銀行業統計の「家計向け貸出:クレジット・カード」から
引用されている。
(3)その他家計向け貸出の市場占有率には、個人向けローン、貸借取引融資およびその他の形態の個人向け貸出が含
まれている。
(4)2019年3月31日現在。
(5)非継続事業に関連する指標。
(6)継続事業ベースで表示されている。
信用格付け 長期 短期 見通し
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フィッチ・レーティングス AA- F1+ ネガティブ
ムーディーズ・インベスター・サービシズ Aa3 P-1 安定的
S&P グローバル・レーティングス AA- A-1+ 安定的
有価証券の格付けは、有価証券の購入、売却または保有を推奨するものではなく、格付けした機関によって、随
時停止、格下げまたは撤回される可能性がある。格付けは、他のすべての情報から独立して評価されなければなら
ない。
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財務の概観
6月30日に終了した1年
(1) (2) (2)
2016 年 2015 年
主要な連結損益計算書データ 2019 年 2018 年 2017 年
(「法定ベース」) 百万豪ドル(記載がある場合を除く。)
受取利息
実質受取利息 34,089 33,643 32,705 33,819 34,145
その他 499 501 490 - -
支払利息 (16,468) (15,802) (15,649) (16,961) (18,322)
純受取利息 18,120 18,342 17,546 16,858 15,823
減損費用 (1,201) (1,079) (1,095) (1,256) (988)
利息外収益 6,217 6,788 6,937 6,759 7,845
営業費用 (11,373) (11,029) (10,133) (9,996) (10,078)
税引前純利益 11,763 13,022 13,255 12,365 12,602
法人税費用 (3,391) (3,952) (3,784) (3,400) (3,528)
税引後純利益 8,372 9,070 9,471 8,965 9,074
非支配持分 (12) (13) (13) (20) (21)
継続事業からの当行の株主に帰属する純利益 8,360 9,057 9,458 8,945 9,053
(3)
7,630 7,570 7,408 7,189 6,823
配当決議額
加重平均株式数(基本ベース)(百万株) 1,765 1,746 1,720 1,692 1,627
基本的1株当たり利益(豪セント) 485.6 534.3 577.3 542.0 553.1
完全希薄化後1株当たり利益(豪セント) 468.6 517.7 558.8 529.0 539.1
1株当たり配当(豪セント) 431 431 429 420 420
(4)
89.0 81.2 74.6 78.4 75.8
配当性向 (%)
(1)当年度の金額は、2018年7月1日付のAASB第9号「金融商品」およびAASB第15号「顧客との契約から生じる収
益」の適用を反映したものである。AASB第9号およびAASB第15号で認められているとおり、比較情報は修正再表
示されていない。AASB第9号およびAASB第15号の適用に関する詳細については、「第6 経理の状況 1.財務書
類-(6)財務書類に対する注記」の注記1.1を参照されたい。
(2)比較情報は当期の表示に合わせて修正再表示されており、これには非継続事業に係る表示の修正が含まれてい
る。
(3)6月30日に終了したそれぞれの事業年度にかかる宣言済の最終配当。
(4)普通株式に対する配当を、法定ベースの利益(その他の持分商品に対する配当を控除後の利益)で除したもの。
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6月30日に終了した1年
(1) (2) (2)
2016 年 2015 年
2019 年 2018 年 2017 年
連結貸借対照表データ 百万豪ドル
資産
現金および流動性資産 29,387 36,417 45,850 23,372 33,116
他の金融機関に対する債権 8,093 9,222 10,037 11,591 13,063
損益計算書を通じて公正価値で測定する
資産:
トレーディング 32,506 32,254 32,704 34,067 26,424
保険 - 372 13,669 13,547 14,088
その他 1,171 258 1,111 1,480 1,278
デリバティブ資産 25,215 32,133 31,724 46,567 46,154
投資有価証券:
償却原価で測定 7,355 - - - -
その他の包括利益を通じて公正価値で測定 78,912 - - - -
売却可能投資 - 82,240 83,535 80,898 74,684
貸付金、割引手形およびその他の債権 755,141 743,365 731,762 695,398 639,262
顧客向け銀行引受手形 32 379 463 1,431 1,944
有形固定資産 2,383 2,576 3,873 3,940 2,833
関連会社に対する投資 3,001 2,842 2,778 2,776 2,637
無形資産 7,965 9,090 10,095 10,384 9,970
繰延税金資産 1,675 1,439 906 333 498
その他の資産 7,115 6,924 7,811 7,161 7,538
売却目的保有資産 16,551 15,654 - - -
資産合計 976,502 975,165 976,318 932,945 873,489
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負債
預金およびその他の一般借入 636,040 622,234 626,655 588,045 543,231
他の金融機関に対する債務 23,370 20,899 28,432 28,771 36,416
損益計算書を通じて公正価値で測定する 8,520 10,247 10,392 10,292 8,493
負債
デリバティブ負債 22,777 28,472 30,330 39,921 35,213
銀行引受手形 32 379 463 1,431 1,944
当期税金負債 326 952 1,450 1,022 661
繰延税金負債 - - 332 340 351
その他の引当金 2,751 1,860 1,780 1,656 1,726
保険契約債務 - 451 12,018 12,636 12,911
債券等発行高 163,990 172,294 167,571 161,284 154,429
合同運用ファンドユニット - - 2,577 1,606 1,149
支払手形およびその他の負債 10,285 11,625 11,932 9,889 11,336
売却目的保有負債 15,796 14,900 - - -
負債合計 883,887 884,313 893,932 856,893 807,860
(3)
22,966 22,992 18,726 15,544 12,824
借入資本
負債合計および借入資本 906,853 907,305 912,658 872,437 820,684
純資産 69,649 67,860 63,660 60,508 52,805
株主持分合計 69,649 67,860 63,660 60,508 52,805
その他の持分商品 - - - - 939
株主持分合計(その他の持分商品を除く。) 69,649 67,860 63,660 60,508 51,866
(1)当年度の金額は、2018年7月1日付のAASB第9号「金融商品」およびAASB第15号「顧客との契約から生じる収
益」の適用を反映したものである。AASB第9号およびAASB第15号で認められているとおり、比較情報は修正再表
示されていない。AASB第9号およびAASB第15号の適用に関する詳細については、「第6 経理の状況 1.財務書
類-(6)財務書類に対する注記」の注記1.1を参照されたい。
(2)比較情報は当期の表示に合わせて修正再表示されている。
(3)規制資本として適格な利付負債を表す。
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6月30日に終了した1年
(1) (1)
2019 年 2016 年 2015 年
2018 年 2017 年
連結比率および営業データ 百万豪ドル(記載がある場合を除く。)
継続事業からの収益性
(2)
2.10 2.15 2.10 2.13 2.15
純利息マージン (%)
(3)
1.84 1.92 1.91 1.97 2.00
利息スプレッド (%)
(4)
12.3 13.9 15.4 15.8 18.2
平均株主持分利益率 (%)
(4)
0.9 0.9 1.0 1.0 1.1
平均総資産利益率 (%)
収益性(非継続事業を含む。)
(2)
2.11 2.15 2.11 2.14 2.15
純利息マージン (%)
(3)
1.85 1.91 1.91 1.98 2.00
利息スプレッド (%)
(4)
12.6 14.3 16.2 16.3 18.2
平均株主持分利益率 (%)
(4)
0.9 1.0 1.0 1.0 1.1
平均総資産利益率 (%)
継続事業からの生産性
常勤換算従業員一人当たり営業利益合計 568,644 591,876 579,023 552,805 508,578
(5)
24.2 21.8 22.4 24.1 24.9
人件費/営業利益合計 (%)
(5)
46.2 44.1 41.6 41.7 42.8
営業費用合計/営業利益合計 (%)
生産性(非継続事業を含む。)
常勤換算従業員一人当たり営業利益合計 540,391 580,859 568,685 545,237 508,578
(5)
25.5 23.2 24.0 24.4 24.9
人件費/営業利益合計 (%)
(5)
47.8 45.5 41.7 42.4 42.8
営業費用合計/営業利益合計 (%)
適正自己資本比率(期末現在)
バーゼル III
リスク加重資産 452,762 458,612 437,063 394,667 368,721
Tier 1資本 57,355 56,365 52,684 48,553 41,147
Tier 2資本 12,750 12,579 9,392 7,924 5,661
(6)
70,105 68,944 62,076 56,477 46,808
合計自己資本
Tier 1資本/リスク加重資産(%) 12.7 12.3 12.1 12.3 11.2
Tier 2資本/リスク加重資産(%) 2.8 2.7 2.1 2.0 1.5
合計資本/リスク加重資産(%) 15.5 15.0 14.2 14.3 12.7
平均株主持分/平均資産合計(%) 7.0 6.7 6.5 6.3 6.1
(1)比較情報は当期の表示に合わせて修正再表示されており、これには非継続事業に係る表示の修正が含まれてい
る。
(2)純受取利息を期中の平均利付資産で除した値。
(3)運用ファンドの平均受取利率と平均支払利率との差。
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(4)税引後純利益(法定ベース)(他の持分投資にかかる配当控除後)を、平均株主持分および資産合計の平均でそれ
ぞれ除して計算したもの。
(5)営業利益合計とは、純受取利息(貸付金減損費用控除前)に利息外収益を加算したものである。
(6)Tier1資本およびTier2資本からAPRAが課した法定のガイドラインに基づく控除項目を除したもの。詳細は「グ
ループ・オペレーションおよび事業体制」を参照されたい。
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6月30日に終了した1年
2019 年 2018 年 2017 年 2016 年 2015 年
連結比率および営業データ 百万豪ドル(記載がある場合を除く。)
(1)
資産の質データ
(2)
2,567 2,507 2,630 2,460 2,253
未収利息不計上債権
(3)
3,622 3,179 3,187 3,116 2,855
減損資産(グロス)
個別評価債権引当金 895 870 980 944 887
一括評価債権引当金 3,904 2,763 2,747 2,818 2,762
減損資産(純額) 2,435 2,111 2,038 1,989 1,829
(4)
0.4 0.3 0.3 0.3 0.4
減損損失引当金合計/平均信用リスク (%)
(4)
0.1 0 0.1 0.1 0.1
貸付金減損費用/平均信用リスク (%)
(5)
0.3 0.3 0.3 0.3 0.3
減損資産(グロス)/信用リスク (%)
減損資産(純額)/株主資本合計(%) 3.5 3.1 3.2 3.3 3.5
一括評価債権引当金/信用リスク加重資産(%) 1.0 0.7 0.7 0.8 0.9
バーゼルⅢ
(1)減損資産残高および比率はすべて、留保利息控除後である。
(2)未収利息不計上債権は、貸出先の財政状態の著しい悪化を理由に、個別評価債権引当金が増額されたかもしくは
現金ベースで保有されている、または元本もしくは利息の減少が予想される信用リスク・エクスポージャーで構
成されている。
(3)減損資産(グロス)は、未収利息不計上債権、貸出条件緩和債権、その他の所有不動産資産および担保権実行を
通じて取得したその他の資産で構成されている。
(4)平均信用リスクは、信用リスク総額に基づいている。平均値は、当年度の期末残高と前年度の期末残高に基づい
ている。
(5)減損資産の合計が信用リスクに占める割合。
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キャッシュ・フローデータの要約
当行のキャッシュ・フローの詳細については、「第6 経理の状況」の財務書類および財務書類に対する注記に記載
されている。
6月30日に終了した1年
2019 年 2018 年 2017 年 2016 年 2015 年
要約キャッシュ・フロー 百万豪ドル
営業活動(に使用した)/により生じたキャッ 18,086 1,109 (807) (4,561) 7,183
シュ純額
投資活動(に使用した)/により生じたキャッ 983 (1,002) (677) (2,032) (1,215)
シュ純額
財務活動(に使用した)/により生じたキャッ (25,064) (219) 10,154 1,770 (5,826)
(1)
シュ純額
現金および現金同等物の純(減少)/増加額 (5,995) (112) 8,670 (4,823) 142
現金および現金同等物の期首残高 23,005 23,117 14,447 19,270 19,128
現金および現金同等物の期末残高 17,010 23,005 23,117 14,447 19,270
(1)「第6 経理の状況」の財務書類に開示されている「現金および現金同等物に対する為替レートの影響」の残高を
含む。
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グループ業績の分析
(1)
財務成績および事業の概観(継続事業ベース )
このグループ業績分析セクションにおける比較数値は、別段の定めがある場合を除き、2019年度の数値と2018年
度の数値の比較である。
当年度の当行の税引後純利益(法定ベース)(「NPAT」)は前年度から697百万豪ドル、すなわち7.7%減少して
8,360百万豪ドルとなった。当年度の当行のNPAT(法定ベース)(非継続事業を含む。)は、前年度から758百万豪
ドル、すなわち8.1%減少して8,571百万豪ドルとなった。
税引後純利益(現金ベース)(「NPAT(現金ベース)」または「現金ベースの利益」)は前年度から423百万豪
ドル、すなわち4.7%減少して8,492百万豪ドルとなった。この業績は、営業利益の2.0%の減少、営業費用の2.5%の
増加および貸付金減損費用の11.3%の増加によるものであった。
(2)
営業利益は2.0%減少した(住宅ローン・ブローキング事業 の連結による影響を除けば2.2%)となった。これ
は主に、以下によるものであった。
・主に住宅ローン顧客による乗換えおよび競争、ならびに短期ホールセール資金調達コストの増加による純利息
マージン(「NIM」)が2.3%すなわち5ベーシス・ポイント減少したことにより、純受取利息は1.2%減少した
が、主に住宅ローンおよび事業向けローンの増加による平均利付資産の1.2%増加により一部相殺された。
(2)
・その他の銀行業務収益は2.8%減少した(住宅ローン・ブローキング事業 の連結による影響を除けば
3.9%)。これは主に、クレジット・カード収入の減少、 手数料免除の簡素化による取引手数料の減少、顧客に
対する早期アラートの導入 後の当座貸越手数料の減少および不利なデリバティブ評価調整によるものであった
が、2018年度の経済的ヘッジの再構築による影響の計上および事業向けローン手数料収益の増加(キャッシン
グ機能などの手数料ベースの商品への移行を反映)により一部相殺された。
・保険業務収益は、気象事象の増加による保険金支払実績の増加により、38.2%減少した。これは主に、ニュー
サウスウェールズ(NSW)の降雹、クイーンズランド州の洪水ならびにNSW、ビクトリアおよびクイーンズラン
ドでのその他の気象事象によるものであった。
営業費用は、特記項目および前期の非経常項目、リスクおよびコンプライアンス関連の常勤換算従業員数
(「FTE」)の増加、賃金上昇ならびにIT支出の影響により、2.5%増加した。
貸付金減損費用(「LIE」)は11.3%増加した。これは、事業ポートフォリオにおける少数の大口顧客のエクス
ポージャーにかかる個別評価債権引当金の増加および消費者金融ポートフォリオにおける延滞の増加に伴う一括評
価債権引当金の増加ならびに経済状況の悪化によるものであった。
CET1は、APRAの「疑う余地なく強固な」目標である10.5%を上回り、2019年6月30日現在のCET1比率は60ベーシ
ス・ポイント、すなわち10.7%上昇した。これは主に、55ベーシス・ポイントの有機的な資本形成によるもので
あった。
1株当たり利益(「現金ベース」)は、前年度から5.8%減少して1株当たり480.8豪セントとなった。これは主
に、現金利益の減少によるものであった。株主資本利益率(「現金ベース」)は、110ベーシス・ポイント減少し
て14.1%となった。これは、収益の低下(約60ベーシス・ポイント)およびAPRAの「疑いの余地なく強固な」自己
資本目標に対して積み増しをしたこと(約50ベーシス・ポイント)による影響によるものであった。
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当行は1株当たり2.31豪ドルの最終配当を宣言し、これにより当年度の配当合計は1株当たり4.31豪ドルとなっ
た。これは当行の現金利益の87.6%に相当する。
強固で柔軟な財務体質は当行にとって優先事項である。当行は、当行が持続可能かつ保守的であると考える方法
で主なバランスシート・リスクを管理しており、強固な自己資本、資金調達および流動性を確保することを目的に
戦略的意思決定を行った。
当年度において、当行は具体的に以下を実行した。
・資金調達需要の大部分を顧客預金で手当した。2019年6月30日現在、顧客預金は資金調達総額の69%を占めた
(2018年6月30日現在の68%から上昇)。
・加重平均残存年数(「WAM」)6.5年の新規の長期ホールセール資金調達を行い、ポートフォリオ全体のWAMを
5.1年とした(2018年6月30日から横ばい)。
・ホールセール資金調達ポジションを維持した。長期ホールセール資金調達はホールセール資金調達総額の66%
を占めている(2018年6月30日現在の67%から低下)。
・流動資産水準および顧客預金の伸びを管理し、規制上の最低資本を優に上回るLCRおよびNSFRなどの強固な資
金調達および流動性ポジションを維持した。
(1)非継続事業の業績は、当行の業績の個別勘定科目から除外し、単独の税引後純利益(現金ベース)の勘定
科目として計上されている。非継続事業には、当グループのオーストラリアおよびニュージーランドの生
命保険事業(コムインシュア・ライフおよびソブリン)、BoCommライフ、TymeDigital SA、CFSGAMおよび
PTCLが含まれている。本報告書における注釈はすべて継続事業ベースでの財務成績について言及してい
る。
(2)2017年8月25日、当グループは、AHL Holdings Pty Limited(「AHL」)の20%の残余持分(オージー・
ホーム・ローンとして営業している。)を取得し、その持分は100%となった。2018年2月23日、当グルー
プはeChoiceの資産も取得した。これにより、当グループは現在、これらの住宅ローン・ブローキング事業
を管理および統合している。
当行の財務成績は、複数の特記項目および前期の非経常項目により影響を受けた。透明性のある業績の概観を示
すため、営業利益および営業費用はこれらの特記項目前後の双方を表示している。
以下はかかる調整による影響の概要である。
(1) (1)
下記の日に終了した1年 下記の日に終了した6ヶ月
2019 年 2018 年 2019 年 2019 年 2018 年 2019 年
6月30日 6月30日 6月対 6月30日 12 月31日 6月対
百万 百万 2018 年 百万 百万 2018 年
6月(%)
当グループの業績の概要 豪ドル 豪ドル 豪ドル 豪ドル 12 月(%)
営業利益(住宅ローン・ブローキング事 24,132 24,686 (2) 11,869 12,263 (3)
業を除く。)
(2)
275 228 21 130 145 (10)
住宅ローン・ブローキング事業の統合
営業利益合計 24,407 24,914 (2) 11,999 12,408 (3)
投資利益 ▶ 8 (50) 1 3 (67)
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収益合計 24,411 24,922 (2) 12,000 12,411 (3)
営業費用(特記項目および前期の非経常 (9,869) (9,642) 2 (4,995) (4,874) 2
項目を除く。)
(3)
- (855) 大 - - n/a
当期の非経常項目
(4)
145 - n/a - 145 大
2019 年上半期のAUSTRACの保険回収金
(2)
(269) (199) 35 (130) (139) (6)
住宅ローン・ブローキング事業の統合
顧客補償金(提携アドバイスを含む。) (918) (52) 大 (639) (279) 大
(5)
リスク・コンプライアンス・プログラム (358) (247) 45 (216) (142) 52
(6)
営業費用合計 (11,269) (10,995) 2 (5,980) (5,289) 13
貸付金減損費用 (1,201) (1,079) 11 (624) (577) 8
税引前純利益 11,941 12,848 (7) 5,396 6,545 (18)
法人税費用 (3,437) (3,920) (12) (1,574) (1,863) (16)
(7)
(12) (13) (8) (6) (6) -
非支配持分-継続事業
継続事業からの税引後純利益(「現金 8,492 8,915 (5) 3,816 4,676 (18)
ベース」)
非現金項目-継続事業 (132) 142 大 (31) (101) (69)
継続事業からの税引後純利益(「法定 8,360 9,057 (8) 3,785 4,575 (17)
ベース」)
非継続事業からの税引後純利益(「現金 221 503 (56) 125 96 30
ベース」)
非現金項目-非継続事業 (3) (225) (99) 65 (68) 大
(8)
(7) (6) 17 (3) (4) (25)
非支配持分-非継続事業
税引後純利益(「法定ベース」) 8,571 9,329 (8) 3,972 4,599 (14)
(1)比較情報は当期の表示に合わせて修正再表示されており、これには非継続事業に係る表示の修正が含まれてい
る。
(2) 住宅ローン・ブローキング事業の統合による変動は、2017年8月25日に当グループがAHLの20%の残余持分を取得
したことによるAHLの連結、eChoiceの資産の取得およびAHLにおけるAASB第15号の導入による影響によるものであ
る。AASB第15号に関する詳細については、「第6 経理の状況 1.財務書類-(6)財務書類に対する注記」の注
記1.1を参照されたい。
(3) 2018年6月30日に終了した年度には、700百万豪ドルのAUSTRAC民事制裁金および155百万豪ドルの一時的な規制
プロジェクト費用が含まれている。
(4) 2019年6月30日に終了した年度には、145百万豪ドルのAUSTRAC民事制裁金に関連する専門職業人賠償責任保険の
回収による利益が含まれている。
(5) 2019年6月30日に終了した年度には、534百万豪ドルの過去の提携アドバイスに関する補償問題および関連する
プロブラム費用に対する引当金ならびに384百万豪ドルの資産運用および銀行業務顧客への返金および関連プログ
ラム費用が含まれている。
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(6) 行動計画、金融犯罪コンプライアンスチームの業務上のリソース配分の増加およびより優れたリスク評価プログ
ラムが含まれている。
(7) 継続事業の非支配持分には、ASBキャピタル・リミテッドおよびASBキャピタルNo.2リミテッドの優先株主に支
払われる優先配当が含まれている。
(8) 非継続事業の非支配持分には、20%のPTCLの外部株主持分が含まれている。
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純受取利息
(継続事業ベース) 以下に終了した年度
修正再表示 計上額
(1)
2019 年 2019 年 2018 年
2018 年 2018 年 2017 年
6月対
6月30日 6月対
6月30日 6月30日 6月30日
百万 百万 2018 年 百万 百万 2018 年
豪ドル
豪ドル 6月 (%) 豪ドル 豪ドル 6月 (%)
純受取利息(「現金ベース」) 18,120 18,342 (1) 18,341 17,543 5
ヘッジおよびIFRSによる変動 - - - - - -
純受取利息(「法定ベース」 ) 18,120 18,342 (1) 18,341 17,543 5
(2)
平均利付資産
(3)
466,057 451,607 3 451,607 435,448 ▶
住宅ローン
個人向けローン 22,491 23,265 (3) 23,265 23,518 (1)
事業および法人向けローン 220,986 225,037 (2) 225,037 221,188 2
平均貸出利付資産合計 709,534 699,909 1 699,909 680,154 3
(4)
154,640 154,355 - 154,355 154,587 -
貸出以外の利付資産
平均利付資産合計 864,174 854,264 1 854,264 834,741 2
純利息マージン(「法定ベー 2.10 2.15 (5)bpts 2.15 2.10 5 bpts
ス」)(%)
(1)比較情報は当期の表示に合わせて修正再表示されており、これには非継続事業に係る表示の修正が含まれてい
る。
(2)事業セグメント別の税引後純利益(「現金ベース」)の税引後純利益(「法定ベース」)への調整については、
「第6 経理の状況 1.財務書類-(6)財務書類に対する注記」の注記2.7を参照されたい。
(3)モーゲージ・オフセット残高の平均を除く。2019年6月30日に終了した1年のグロスベースの平均住宅ローン残
高(モーゲージ・オフセット残高を除く。)は、511,232百万豪ドル(2018年6月30日に終了した1年:492,431百
万豪ドル)であった。これらの残高は、会計基準のもとではグロスアップすることを要求されているが、顧客の支
払利息および当行の純利息マージンを計算する際にはネッティングしている。
(4)平均利付資産は継続事業ベースで表示されている(売却目的保有資産を除く。)。2019年6月30に終了した年度
の貸出以外の利付資産は売却目的保有資産に再分類されていた(2018年12月31日に終了した年度:79百万豪ド
ル)。
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2019 年6月終了年度と修正再表示された2018年6月終了年度との比較
純受取利息(「法定ベース」)は前年度から222百万豪ドル、すなわち1%減少して18,120百万豪ドルとなった。
この業績は、純利息マージンの2%、すなわち5ベーシス・ポイント減少して2.10%となったことによるものであっ
たが、平均利付資産が1%、すなわち10十億豪ドル増加して864十億豪ドルとなったことにより一部相殺された。
平均利付資産
平均利付資産は前年度から10十億豪ドル、すなわち1%増加して864十億豪ドルとなった。かかる変動の主な要因
は以下の通りである。
・住宅ローンの平均残高が前年度から14十億豪ドル、すなわち3%増加して466十億豪ドルとなった。これは主
に、家主向けローンの継続的な伸びに牽引されたものであった。
・事業および法人向けローンの平均残高は前年度から4十億豪ドル、すなわち2%減少して221十億豪ドルとなっ
た。これは、継続的なポートフォリオの最適化の取り組みによる機関向け貸出残高の8十億豪ドルの減少によ
るものであったが、ニュージーランドの事業向け貸出の2十億豪ドルの増加ならびに様々な業界における事業
向けおよびプライベート・バンキング業務の国内事業向け貸出の2十億豪ドルの増加により一部相殺された。
・貸出以外の利付資産の平均残高は前年度と比べ引き続き概ね横ばいで155十億豪ドルとなった。
貸借対照表の変動の詳細については、下記の「グループの資産および負債」を参照されたい。
純利息マージン
当行の純利息マージンは前年度から5ベーシス・ポイント減少して2.10%となった。かかる増減の主な要因は以
下の通りである。
資産価格設定: 以下により、マージンが3ベーシス・ポイント減少した。
・競争の激化(4ベーシス・ポイントの減少)を受けた住宅ローンおよびマージンの高いローンから低いローン
への顧客のシフト(インタレスト・オンリーから元利金返済型、変動金利から固定金利および投資家向けロー
ンから家主向けローン)による影響(3ベーシス・ポイントの減少)によるものであったが、これは価格設定(4
ベーシス・ポイントの増加)により一部相殺された。
・消費者金融マージンの低下(1ベーシス・ポイントの減少)によるものであったが、低マージンの機関向け貸出
残高の減少によるプラス影響(1ベーシス・ポイント増加)により一部相殺された。
資金調達コスト: 横ばいであった。これは、預金金利更改によるプラス影響(2ベーシス・ポイント増加)を受
けたものであったが、複製ポートフォリオによるプラスの影響の減少(2ベーシス・ポイントの減少)により一部相
殺された。
ポートフォリオ構成: 決済預金の力強い伸びおよびホールセール資金調達の需要の減少による平均預金調達比率
の増加によりマージンは1ベーシス・ポイント増加した。
ベーシス・リスク: ベーシス・リスクは、3ヶ月物銀行間取引金利と3ヶ月オーバーナイト・インデックス・ス
ワップ・レートとの差から発生する。平均スプレッドが増加したことを背景に、マージンは2ベーシス・ポイント
減少した。
自己資本およびその他: 横ばいであった。低金利環境による資本利益率の低下によるマージンの1ベーシス・ポ
イントの減少によるものであったが、AASB第15号の導入による1ベーシス・ポイントの増加により一部相殺され
た。AASB第15号会計基準では、貸付、リースおよび保証契約に関連する一定のアップフロント手数料は、今後はそ
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の他の銀行業務収益においてアップフロント手数料として認識されず、代わりに契約上の取決めの期間にわたって
受取利息として認識される。
資金取引および市場業務: 債券利回りの低下による市場業務の純受取利息の減少およびコモディティ・ファイナ
ンス収益の減少により、マージンは1ベーシス・ポイント減少した。
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その他の銀行業務収益
(継続事業ベース) 以下に終了した年度
修正再表示 計上額
(1)
2019 年 2019 年 2018 年
2018 年 2018 年 2017 年
6月対
6月30日 6月対
6月30日 6月30日 6月30日
百万 百万 2018 年 百万 百万 2018 年
豪ドル
豪ドル 6月 (%) 豪ドル 豪ドル 6月 (%)
手数料収入 2,487 2,568 (3) 2,459 2,561 (4)
貸付手数料 991 1,109 (11) 1,109 1,078 3
トレーディング収益 974 1,025 (5) 1,025 1,149 (11)
その他の収益 336 280 20 357 352 1
その他の銀行業務収益(特記項目を 4,788 4,982 (4) 4,950 5,140 (4)
除く。)(「現金ベース」)
特記項目
ビザ株式の売却 - - - - 397 大
AHL およびeChoiceの取得 - - - 232 41 大
住宅ローン・ブローキング事業の統 280 233 20 n/a n/a n/a
合
その他の銀行業務収益(「現金ベー 5,068 5,215 (3) 5,182 5,578 (7)
ス」)
事業の取得、処分、閉鎖および分割 42 65 (35) 65 - n/a
による利益
ヘッジおよびIFRSによる変動 (116) 143 大 143 106 35
その他の銀行業務収益(「法定ベー 4,994 5,423 (8) 5,390 5,684 (5)
(2)
ス」 )
(1)比較情報は当期の表示に合わせて修正再表示されている。これには非継続事業に係る表示の修正が含まれてい
る。
(2)事業セグメント別の税引後純利益(「現金ベース」)と税引後純利益(「法定ベース」)の調整については、「第
6 経理の状況 1.財務書類-(6)財務書類に対する注記」の注記2.7を参照されたい。
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2019 年6月終了年度と修正再表示された2018年6月終了年度との比較
その他の銀行業務収益(「法定ベース」)は、前年度から429百万豪ドル、すなわち8%減少して4,994百万豪ド
ルとなった。
手数料収入 は81百万豪ドル、すなわち3%減少して2,487百万豪ドルとなった。これは、ロイヤルティ費用の増加
によるクレジット・カード収益の減少、手数料免除の簡素化による取引手数料の減少、取引量の減少による株式売
買手数料収益の減少および債券資本市場業務手数料収益の減少によるものであった。
貸付手数料 は118百万豪ドル、すなわち11%減少して991百万豪ドルとなった。これは主に、118百万豪ドル、すな
わち11%減少して991百万豪ドルとなった。主な要因は、顧客に対する早期アラートの導入を受けた当座貸越手数料
の減少、ならびに取引量の減少およびAASB第15号の導入による機関向け貸出におけるアップフロント手数料の減少
によるものであるが、これはキャッシング機能などの手数料ベース商品へのシフトを反映して、事業向けローン手
数料収益が増加したことにより一部相殺された。
トレーディング収益 は51百万豪ドル、すなわち5%減少して974百万豪ドルとなった。これは、顧客需要の減少、
資金取引収益の減少および不利なデリバティブ評価調整によるものであったが、保有する高格付けの社債および国
債の信用スプレッドの縮小による市場業務におけるトレーディング実績の改善により一部相殺された。
その他の収益 は56百万豪ドル、すなわち20%増加して336百万豪ドルとなった。これは主に、流動性資産の売却に
係る利益および30年物米国国債の発行に関連して全体の調達コストを削減し、資本を最適化するために前年度に実
施された経済的ヘッジの再構築によるアップフロントの実現損失の計上により、資金取引収益が増加したことによ
るものであったが、マイノリティ投資からの純利益の減少およびストラクチャード・アセット・ファイナンス・
ポートフォリオにおける資産の売却に係る利益が減少したことにより一部相殺された。
取引コスト控除後の事業の処分および取得における利益 は23百万豪ドル、すなわち35%減少して42百万豪ドルと
なった。これは主に、AHLの買収により認識された利益(58百万豪ドル)によるものであったが、その他の事業の
処分による利益により一部相殺された。
ヘッジおよびIFRSによる変動 は259百万豪ドル減少して116百万豪ドルの費用となった。これは主に、当グループ
のニュージーランドにおける収益のヘッジにおける未実現損失によるものであった。
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ファンド運用業務収益
(継続事業ベース) 以下に終了した年度
修正再表示 計上額
(1)
2019 年 2019 年 2018 年
2018 年 2018 年 2017 年
6月対
6月30日 6月対
6月30日 6月30日 6月30日
百万 百万 2018 年 百万 百万 2018 年
豪ドル
豪ドル 6月 (%) 豪ドル 豪ドル 6月 (%)
コロニアル・ファースト・ステート 862 841 2 1,003 933 8
(2)
(CFS)
CFS Global Asset Management - - - 975 887 10
コモンウェルス・ファイナンシャ 96 169 (43) - - -
ル・プランニング
ニュージーランド 130 112 16 105 92 14
IFS およびその他 (16) (3) 大 8 1 大
ファンド運用業務収益(「現金ベー 1,072 1,119 (4) 2,091 1,913 9
ス」)
投資利益 1 5 (80) 8 15 (47)
ファンド運用業務収益(「法定ベー 1,073 1,124 (5) 2,099 1,928 9
(3)
ス」 )
管理ファンド(FUA)-平均(百万豪 163,017 153,810 6 153,810 141,146 9
ドル)
運用資産(AUM)-平均(百万豪ド 15,082 12,889 17 220,764 210,295 5
ル)
(1)比較情報は当期の表示に合わせて修正再表示されており、これには非継続事業に係る表示の修正および事業セグ
メント全体の事業を再編成するための当グループの業務モデルの簡素化による修正が含まれている。
(2)コロニアル・ファースト・ステートには、Financial Wisdom、カウント・フィナンシャル・リミテッドおよびCFP
Pathwaysからなるフィナンシャル・プランニング事業のすべての提携アドバイスによる業績が含まれている。
(3)事業セグメント別の税引後純利益(「現金ベース」)と税引後純利益(「法定ベース」)の調整については、「第
6 経理の状況 1.財務書類-(6)財務書類に対する注記」の注記2.7を参照されたい。
(4)平均運用資産(「AUM」)残高はすべてニュージーランドに関連するものである。また、AUMには、CFSGAMが管理
する4,968百万豪ドルのスポット残高も含まれている(2018年6月30日:6,998百万豪ドル)。これらは、CFSGAM
によって報告されるAUM残高にも含まれている(非継続事業)。
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2019 年6月終了年度と修正再表示された2018年6月終了年度との比較
ファンド運用業務収益(「法定ベース」)は1,073百万豪ドルで、前年度から51百万豪ドル、すなわち5%減少し
た。その主な要因は以下の通りである。
・コモンウェルス・ファイナンシャル・プランニングは73百万豪ドル、すなわち43%減少して96百万豪ドルと
なった。これは、初期アドバイス手数料の減少と2019年2月の継続的なサービス手数料の終了によるもので
あったが、以下により一部相殺された。
・コロニアル・ファースト・ステート(「CFS」)事業は21百万豪ドル、すなわち2%増加して862百万豪ドルと
なった。これには、Financial Wisdom、カウント・フィナンシャル・リミテッドおよびCFP Pathwaysからなる
フィナンシャル・プランニング事業のすべての提携アドバイスの業績が含まれている。増加は、過年度からの
力強い伸びおよび投資市場の拡大を反映して、FistChoiceおよびCFSWrapのプラットフォームの伸びにより、
平均管理ファンド(「FUA」)が増加(5%増加)したことによるものであったが、価格設定の変更によるFUA
マージンの減少により一部相殺された。
・ニュージーランド事業は18百万豪ドル、すなわち16%増加して130百万豪ドルとなった。これは、純流入および
投資市場が好調であったことを反映して平均AUMが増加(17%増加)したことによるものであった。AUMマージ
ンの増加は、主にマージンの高い資金の純流入を反映したポートフォリオ・ミックスの変動、純流入を反映し
た平均FUAの増加(18%増加)および投資市場リターンが好調であったことによるものであったが、低い価格設
定によるFUAマージンの低下により一部相殺された。
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保険業務収益
(継続事業ベース) 以下に終了した年度
修正再表示 計上額
(1)
2019 年 2019 年 2018 年
2018 年 2018 年 2017 年
6月対
6月30日 6月対
6月30日 6月30日 6月30日
百万 百万 2018 年 百万 百万 2018 年
豪ドル
豪ドル 6月 (%) 豪ドル 豪ドル 6月 (%)
保険業務収益(「現金ベース」) 147 238 (38) 293 223 31
投資利益 3 3 - 9 8 13
(2)
150 241 (38) 302 231 31
保険業務収益(「法定ベース」 )
(1)比較情報は当期の表示に合わせて修正再表示されており、これには非継続事業に係る表示の修正が含まれてい
る。
(2)事業セグメント別の税引後純利益(「現金ベース」)と税引後純利益(「法定ベース」)の調整については、「第
6 経理の状況 1.財務書類-(6)財務書類に対する注記」の注記2.7を参照されたい。
2019 年6月終了年度と修正再表示された2018年6月終了年度との比較
保険業務収益(「法定ベース」)は150百万豪ドルで、前年度から91百万豪ドル、すなわち38%減少した。この減
少は、ニューサウスウェールズ(NSW)の降雹およびクイーンズランド州の洪水を含む気象事象の増加による損害
保険事業における保険金請求の増加によるものであった。
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営業費用
(継続事業ベース) 以下に終了した年度
修正再表示 計上額
(1)
2019 年 2019 年 2018 年
2018 年 2018 年 2017 年
6月対
6月30日 6月対
6月30日 6月30日 6月30日
百万 百万 2018 年 百万 百万 2018 年
豪ドル
豪ドル 6月 (%) 豪ドル 豪ドル 6月 (%)
人件費 5,524 5,369 3 5,895 5,865 1
建物占有および設備費用 1,079 1,128 (4) 1,165 1,110 5
情報技術サービス費用 1,904 1,766 8 1,787 1,578 13
その他費用 1,362 1,379 (1) 1,700 1,676 1
営業費用(特記項目および前期の非 9,869 9,642 2 10,547 10,229 3
経常項目を除く。)(「現金ベー
ス」)
特記項目および過年度の非経常項
目:
特定のソフトウェア資産の加速 - - n/a - 393 -
償却
過年度の非経常項目 - 855 大 855 - n/a
AHL およびeChoiceの連結 - - n/a 197 - n/a
2019 年上半期のAUSTRACの保険回 (145) - n/a - - n/a
収金
住宅ローン・ブローキング事業 269 199 35 - - n/a
の統合
顧客補償金(提携アドバイスを 918 52 大 - - n/a
含む。)
リスクおよびコンプライアンス 358 247 45 - - n/a
関連プロジェクト
営業費用(特記項目および前期の非 11,269 10,995 2 11,599 10,622 9
経常項目を含む。)(「現金ベー
ス」)
事業の取得、処分、閉鎖および分割 102 30 大 30 - n/a
による(損失)/利益
バンクウェストの非現金項目 2 ▶ (50) ▶ ▶ -
(2)
11,373 11,029 3 11,633 10,626 9
営業費用(「法定ベース」 )
法定ベースの営業費用対営業収益合 46.7 43.9 280 bpts 44.5 41.9 260 bpts
(2)
計 (%)
常勤換算従業員数(FTE) 42,921 42,462 1 43,771 43,620 -
(1)比較情報は当期の表示に合わせて修正再表示されており、これには非継続事業に係る表示の修正が含まれてい
る。
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(2)事業セグメント別の税引後純利益(「現金ベース」)と税引後純利益(「法定ベース」)の調整については、「第
6 経理の状況 1.財務書類-(6)財務書類に対する注記」の注記2.7を参照されたい。
2019 年6月終了年度と修正再表示された2018年6月終了年度との比較
営業費用(「法定ベース」)は前年度から344百万豪ドル、すなわち3%増加して11,373百万豪ドルとなった。
人件費 は155百万豪ドル、すなわち3%増加して5,524百万豪ドルとなった。これは賃金インフレ、FTEおよび人員
削減の拡大によるものである。2018年6月30日現在の常勤換算従業員数は42,462名から459名、すなわち1%増加し
て42,921名となった。これは、リスクおよびコンプライアンス関連従業員の増加(行動計画、金融犯罪コンプライ
アンスチームの業務上のリソース配分の増加、APRAの健全性調査による勧告事項への対応ならびに追加のリスクお
よびレジリエンス資源を調整するより良い優れたリスク評価プログラムを含むFTEの1,050人の増加。)、補償関連
従業員の増加、プロジェクトの需要の増加によるものだが、生産性の向上により一部相殺された。
建物占有および設備費用 は49百万豪ドル、すなわち4%減少して1,079百万豪ドルとなった。これは主に2019年6
月30日に終了した年度の69店舗の閉鎖、本社ビルの開発費の減少および海外オフィスの閉鎖によるものであった
が、年間賃料の見直しにより一部相殺された。
情報技術サービス費用 は138百万豪ドル、すなわち8%増加して1,904百万豪ドルとなった。これは主に、ITイン
フラ費用の増加、リスクおよびコンプライアンス関連の投資支出の増加およびソフトウェアのライセンス費用の増
加によるものであった。
その他費用 は17百万豪ドル、すなわち1%増加して1,362百万豪ドルとなった。これは主に、裁量的支出の減少お
よびマーケティング費用の減少により一部相殺された。
事業の取得、処分、閉鎖および分割による利益 は72百万豪ドル増加して102百万豪ドルとなった。これは主に、
NewCoの分割費用およびカウント・フィナンシャルの処分に関連する取引費用によるものであった。
特記項目および前期の非経常項目を除く営業費用対営業収益合計比率 は180ベーシス・ポイント増加して39.1%か
ら40.9%となった。これは主に、営業費用の増加によるものであった。
グループの費用対収益率 は280ベーシス・ポイント上昇して43.9%から46.7%となった。これは主に、当期に計上
された顧客補償引当金の増加および当グループ全体のリスクおよびコンプライアンス・プログラムの増加によるも
のであった。
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従業員数
以下に終了した年度
常勤換算従業員(非継続事業を含む。)
2019 年 2018 年 2017 年
6月30日 6月30日 6月30日
オーストラリア 37,137 36,446 35,701
合計 45,165 45,753 45,614
下表は、2019年、2018年および2017年度の当行の営業費用を示している。
以下に終了した年度
(1)
計上額
修正再表示
2019 年
2018 年 2018 年 2017 年
6月30日
6月30日 6月30日 6月30日
百万 百万 百万 百万
豪ドル 豪ドル 豪ドル
豪ドル
人件費
給与および関連経費 5,418 4,963 5,441 5,264
株式報酬 99 69 77 120
退職年金 398 407 421 481
人件費合計 5,915 5,439 5,939 5,865
建物占有および設備費用
オペレーティング・リース料 654 665 660 646
有形固定資産減価償却費 270 271 289 278
その他の建物占有費用 174 198 222 186
建物占有および設備費用合計 1,098 1,134 1,171 1,110
情報技術サービス費用
アプリケーションの保守および開発 721 553 709 586
データ処理 183 200 197 200
デスクトップ 142 153 154 184
通信 217 179 173 184
(2)
598 563 427 762
ソフトウェア資産償却費
ソフトウェア除却 13 71 71 6
IT 機器減価償却費 93 80 68 49
情報技術サービス費用合計 1,967 1,799 1,799 1,971
その他の費用
郵便費および文具費 159 177 177 183
取引処理および市場データ 156 138 181 185
支払報酬および支払手数料:
専門家報酬 490 671 677 386
その他 239 133 135 74
広告宣伝費、マーケティングおよびロイヤリティ 453 496 482 429
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無形資産償却費(ソフトウェアおよび合併関連償却費 11 13 13 11
を除く。)
(3)
656 838 839 124
非貸付損失
その他 125 157 186 284
営業費用合計 2,289 2,623 2,690 1,676
(4)
11,269 10,995 11,599 10,622
営業費用合計-(「現金ベース」)
投資および事業再編
統合費用 102 30 30 -
(5)
2 ▶ ▶ ▶
合併関連償却費
投資および事業再編合計 104 34 34 ▶
営業費用合計-(「法定ベース」) 11,373 11,029 11,633 10,626
(1)比較情報は当期の表示に合わせて修正再表示されており、これには非継続事業に係る表示の修正が含まれてい
る。
(2)2019年6月30日に終了した年度には、161百万豪ドルの前払いのソフトウェア・ライセンスの償却費(2018年6月
30日:136百万豪ドル、2017年6月30日:141百万豪ドル)が含まれている。2017年6月30日に終了した年度に
は、393百万豪ドルの特定のソフトウェア資産の加速償却に係る非経常項目が含まれている。
(3)2019年6月30日に終了した年度には、145百万豪ドルのAUSTRAC民事制裁金に関連する専門職業人賠償責任保険の
回収が含まれている。2018年6月30日に終了した年度には、700百万豪ドルのAUSTRAC民事制裁金が含まれてい
る。
(4)2018年6月30日に終了した年度には、AHL Holdings Pty LtdおよびeChoiceの住宅ローン・ブローキング事業の連
結による費用269百万豪ドル(2018年6月30日:199百万豪ドル)が含まれている。
(5)合併関連償却費は、バンクウェストのコア預金および顧客リストに関連している。
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投資支出(継続事業ベース)
以下に終了した年度
修正再表示 計上額
(1)
2019 年 2019 年 2018 年
2018 年 2018 年 2017 年
6月対
6月30日 6月対
6月30日 6月30日 6月30日
百万 百万 2018 年 百万 百万 2017 年
豪ドル
豪ドル 6月 (%) 豪ドル 豪ドル 6月 (%)
(2)
796 671 19 724 592 22
費用性投資支出
(3)
603 611 (1) 612 591 ▶
資産計上された投資支出
投資支出 1,399 1,282 9 1,336 1,183 13
内訳:
リスクおよびコンプライアンス 899 643 40 510 610 (16)
生産性および成長 384 484 (21) 664 445 49
支店改装およびその他 116 155 (25) 162 128 27
投資支出 1,399 1,282 9 1,336 1,183 13
(1)比較情報は当期の表示に合わせて修正再表示されており、これには非継続事業に係る表示の修正が含まれてい
る。
(2)上記の「営業費用」に含まれている。
(3)主に支店の改装および南イブリーの本社オフィスの開発に関連するソフトウェア以外の資産計上された投資支出
が含まれている。
2019 年6月終了年度と修正再表示された2018年6月終了年度との比較
当行は、顧客にとってよりシンプルかつより優れた銀行になるために継続的に投資を行っており、2019年6月30
日までの1年間には1,399百万豪ドルを投資した。これは前年度から117百万豪ドル、すなわち9%の増加であっ
た。かかる増加は、リスクおよびコンプライアンス関連プロジェクト支出の256百万豪ドルの増加によるもので
あったが、生産性および成長に対する取り組みにおける100百万豪ドルの減少ならびに支店改装およびその他にお
ける39百万豪ドルの減少により一部相殺された。
リスクおよびコンプライアンス関連費用は投資支出の64%を占め、前年度の50%から増加した。これは、当行が
規制および法令遵守の枠組みの強化ならびに規制上の義務を履行するためのシステムの導入に対する取り組みを継
続したためであった。生産性および成長に対する取り組みは投資支出の27%を占め、前年度の38%から減少した。
これは、当行がリスクおよびコンプライアンス関連の取り組みのための資金調達を引き続き優先したためであっ
た。各カテゴリーにおける主要な投資分野の概要は以下のとおりである。
リスクおよびコンプライアンス
金融犯罪コンプライアンス
当行は近年における大きな変化を基にして、以下を含む当行でのオペレーショナル・リスク管理および法令遵守
の改善に向けた包括的プログラムに取り組んでいる。
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・資金洗浄防止およびテロ資金供与対策(AML/CTF)コンプライアンス。これには当行のAML/CTF技術のアップグ
レードおよび強化、プロセスドキュメンテーションの更新、人材のさらなる発掘と研修の強化に対する投資を
含む。
・金融犯罪対応能力の強化、および当行の行動計画を通じて事業全体で重要な役割を果たすための多額の投資。
・当行の業務全般における金融犯罪の監視、管理、報告および統制プロセスの向上。これには当行がAUSTRACや
他の規制当局に対してどのように協力し情報提供を行うか、および金融犯罪のリスクを管理する能力を強化す
るための当行の業務モデルの改善が含まれている。
その他のリスクおよびコンプライアンス
当行は以下に対する投資を行った。
・当行の資産運用事業全体における新たな規制および複数の新たな改革に対処するための新しいプロセスの導入
およびシステムの強化。
・サイバーセキュリティ・リスクの特定、検出およびかかるリスクからの顧客の保護に対する継続的な投資。
・新決済プラットフォームおよびデータセンターの近代化など、当行のITインフラの回復力の向上。
・新たなオーストラリア準備銀行券の処理を可能にするためのATMおよびその他の現金処理装置のアップグレー
ド。
生産性および成長
当行は以下に対する投資を行った。
・デジタル面でのカスタマー・サービス・エクスペリエンスの向上およびデジタルインフラの回復力の向上のた
めの当行のデジタル・チャネルへの継続的な投資および開発。
・商業向け貸出システムへの投資を重視し、ローンの組成および維持のためのエンドツーエンドのプロセスを
アップグレードし、ビジネス・カスタマー・エクスペリエンスを向上させる。
支店改装およびその他
当行は以下に対する投資を行った。
・顧客の選好が変化していることを反映して当行の支店デザインが常に進化していることを受けたリテール支店
の改装。
・既存のリース契約の終了による本社ビルの統合および開発。
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資産計上されたソフトウェア
以下に終了した年度
2019 年 2018 年 2017 年 2019 年 2018 年
6月対 6月対
6月30日 6月30日 6月30日
百万 百万 百万 2018 年 2017 年
豪ドル 豪ドル
豪ドル 6月 (%) 6月 (%)
期首残高 1,819 1,934 2,228 (6) (13)
増加 343 486 491 (29) (1)
償却および除却 (450) (553) (785) (19) (30)
売買目的保有資産への組替 - (48) - 大 n/a
期末残高 1,712 1,819 1,934 (6) (6)
2019年6月終了年度と2018年6月終了年度との比較
資産計上されたソフトウェア残高は107百万豪ドル、すなわち6%減少して1,712百万豪ドルとなった。
追加分 は資産計上された投資が減少したことにより、143百万豪ドル、すなわち29%減少して343百万豪ドルと
なった。これは、資産化率が低いリスクおよびコンプライアンス関連の取り組みに対する投資支出構成の変更およ
び32百万豪ドルの売却目的保有資産に分類されなかった過年度のTymeDigital SAに関連するソフトウェアを資産計
上したことによるものであった。
償却および除却 は103百万豪ドル、すなわち19%減少して450百万豪ドルとなった。これは、当行の南アフリカ事
業を中止する決定を受けた、TymeDigital SAのソフトウェアの55百万豪ドルの評価減の計上および前年度に資産計
上されたソフトウェアの58百万豪ドルの減損の計上によるものであった。かかる費用を除くと、償却期間が短いデ
ジタル資産に関連する投資支出への取り組みの完了により、償却および除却は10百万豪ドル、すなわち2%増加し
た。
売却目的保有資産への再分類 は48百万豪ドル減少した。これは、前年度の生命保険事業において資産計上された
ソフトウェアの再分類を計上したことによるものであった。
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貸付金減損費用
以下に終了した年度
修正再表示 計上額
(1)
2019 年 2019 年
2018 年 2018 年 2017 年 2018 年
6月30日 6月対
6月30日 6月30日 6月30日 6月対
百万 百万 2018 年 百万 百万 2017 年
豪ドル 豪ドル 6月 (%) 豪ドル 豪ドル 6月 (%)
リテール銀行業務 693 652 6 716 702 2
事業向けおよびプライベート・バンキン 362 247 47 129 62 大
グ業務
機関向け銀行業務および市場業務 17 80 (79) 80 64 25
ニュージーランド 102 74 38 74 65 14
バンクウェスト n/a n/a n/a 54 99 (45)
IFS およびコーポレート・センター 27 26 ▶ 26 103 (75)
貸付金減損費用(「法定ベース」) 1,201 1,079 11 1,079 1,095 (1)
(1)比較情報は当期の表示に合わせて修正再表示されており、これには非継続事業に係る表示の修正および事業セグ
メント全体の事業を再編成するための当グループの業務モデルの簡素化による修正が含まれている。
2019 年6月終了年度と修正再表示された2018年6月終了年度との比較
2018年7月1日、当行はAASB第9号を適用し、会計基準において認められているとおり、前年同期の修正再表示
を行わなかった(詳細については、「第6 経理の状況 1.中間財務書類-(6) 財務書類に対する注記」の注
記1.1を参照されたい。)。
貸付金減損費用(「法定ベース」)は前年度から122百万豪ドル、すなわち11%増加して1,201百万豪ドルとなっ
た。貸付金減損費用(年率換算)が平均貸出および受取手形(グロス)(「GLAAs」)に占める割合は1ベーシ
ス・ポイント増加して16ベーシス・ポイントとなった。
この増加は、以下の要因によるものであった。
・事業向けおよびプライベート・バンキング業務は115百万豪ドル、すなわち47%増加して362百万豪ドルとなっ
た。これは、少数の大口顧客のエクスポージャーに対する個別評価債権引当金および一括評価債権引当金の増
加によるものであった。
・リテール銀行業務は41百万豪ドル、すなわち6%増加して693百万豪ドルとなった。これは主に、経済状況の悪
化および延滞率の上昇を反映して個人向けローンの一括評価債権引当金が増加したことによるものであった。
・ニュージーランドは28百万豪ドル、すなわち38%増加して102百万豪ドルとなった。これは主に、農業ポート
フォリオおよび事業ポートフォリオにおける引当金の増加によるものであったが、消費者金融ポートフォリオ
における引当金が減少したことにより一部相殺された。
・IFSおよびその他部門は1百万豪ドル、すなわち4%増加して27百万豪ドルとなった。これは、前年度において
集中管理された引当金の戻入を計上したことによるものであったが、PTBCの商業向け貸出勘定における個別評
価債権引当金の減少により一部相殺された。これは、以下により一部相殺された。
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・機関向け銀行業務および市場業務は63百万豪ドル、すなわち79%減少して17百万豪ドルとなった。これは、
ポートフォリオの最適化による取引量の減少を反映した一括評価債権引当金の減少および大口顧客のエクス
ポージャーに係る個別評価債権引当金の減少によるものであったが、戻入の減少により一部相殺された。
税金費用
以下に終了した年度
(1)
計上額
修正再表示
2019 年 2019 年 2018 年
2018 年 2018 年 2017 年
6月30日 6月対 6月対
6月30日 6月30日 6月30日
百万 百万 2018 年 百万 百万 2017 年
豪ドル 豪ドル 6月 (%) 豪ドル 豪ドル 6月 (%)
法人税
リテール銀行業務 1,847 2,067 (11) 2,223 2,097 6
事業向けおよびプライベート・バンキ 1,144 1,218 (6) 812 778 ▶
ング業務
機関向け銀行業務および市場業務 313 354 (12) 330 413 (20)
資産運用 74 106 (30) 184 142 30
ニュージーランド 404 378 7 378 336 13
バンクウェスト n/a n/a n/a 293 248 18
IFS およびコーポレート・センター (345) (203) 70 (226) (167) 35
法人税費用合計(「現金ベース」) 3,437 3,920 (12) 3,994 3,847 ▶
(2)
(46) 32 大 32 32 -
現金の支出を伴わない税金費用
(2)
3,391 3,952 (14) 4,026 3,879 ▶
法人税費用合計(「法定ベース」 )
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以下に終了した年度
(1)
計上額
修正再表示
2019 年 2019 年 2018 年
2018 年 2018 年 2017 年
6月30日 6月対 6月対
6月30日 6月30日 6月30日
百万 百万 2018 年 百万 百万 2017 年
実効税率
豪ドル 豪ドル 6月 (%) 豪ドル 豪ドル 6月 (%)
リテール銀行業務 30.2 29.8 40 bpts 30.0 29.8 20 bpts
事業向けおよびプライベート・バ 30.1 30.0 10 bpts 30.1 30.1 -
ンキング業務
機関向け銀行業務および市場業務 23.3 23.2 10 bpts 22.7 24.0 (130)bpts
資産運用 39.7 29.3 大 24.6 25.2 (60)bpts
ニュージーランド 26.8 28.1 (130)bpts 28.0 27.9 10 bpts
バンクウェスト n/a n/a n/a 30.1 30.1 -
法人合計-「法定ベース」 28.8 30.3 (150)bpts 30.0 28.4 160 bpts
(1)比較情報は当期の表示に合わせて修正再表示されている。これには、非継続事業に係る表示の修正および事業セ
グメント全体で事業を再編成するための当グループの事業モデルの簡素化による変更が含まれている。
(2)事業セグメント別の税引後純利益(「現金ベース」)と税引後純利益(「法定ベース」)の調整については、「第
6 経理の状況 1.財務書類-(6)財務書類に対する注記」の注記2.7を参照されたい。
2019 年6月終了年度と修正再表示された2018年6月終了年度との比較
当年度の法人税費用(「法定ベース」)は、前年度から561百万豪ドル、すなわち14%減少し、実効税率は28.8%
となった。
実効税率の30.3%から28.8%への150ベーシス・ポイントの減少は、主に税務上損金不算入となる前年度のAUSTRAC
民事制裁金の700百万豪ドルの費用によるものであった。かかる税率は、オーストラリアの法人税率30%を下回って
いるが、これはオフショアの銀行部門が稼得した利益およびオフショア地域に適用される法人税率が低いためであ
る。
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当グループの資産および負債
(1)
以下に終了した年度
2019 年 2018 年 2017 年 2019 年 2018 年
(1)
6月30日
6月30日 6月対 6月対
6月30日
百万 百万 百万 2018 年 2017 年
豪ドル 豪ドル 豪ドル 6月 (%) 6月 (%)
当グループの資産および負債の合計
利付資産
(2)
522,942 501,665 485,857 ▶ 3
住宅ローン
消費者金融 21,993 23,317 23,577 (6) (1)
事業および法人向けローン 214,953 222,367 226,484 (3) (2)
(3)
759,888 747,349 735,918 2 2
貸付金、割引手形およびその他の受取債権
(4)
148,967 150,306 163,665 (1) (8)
貸出以外の利付資産
利付資産合計 908,855 897,655 899,583 1 -
(3)
51,096 61,856 76,735 (17) (19)
その他の資産
売却目的保有資産 16,551 15,654 - 6 n/a
資産合計 976,502 975,165 976,318 - -
利付負債
(4)
115,764 106,316 98,884 9 8
決済預金
(4)
190,397 190,452 191,245 - -
貯蓄預金
投資預金 211,605 216,852 220,530 (2) (2)
その他の要求払い預金 63,650 58,057 70,313 10 (17)
利付預金合計 581,416 571,677 580,972 2 (2)
社債発行高 164,022 172,673 168,034 (5) 3
その他の利付負債 54,840 54,124 57,531 1 (6)
利付負債合計 800,278 798,474 806,537 - (1)
利付決済預金以外の決済預金 53,884 48,831 44,032 10 11
(4)
36,895 45,100 62,089 (18) (27)
その他の利付負債以外の負債
売却目的保有負債 15,796 14,900 - 6 大
負債合計 906,853 907,305 912,658 - (1)
(1)比較情報は当期の表示に合わせて修正再表示されている。
(2)住宅ローンは、合計45,078百万豪ドルのモーゲージ・オフセット残高(2018年6月30日:41,865百万豪ドル)を
表している。これらの残高は、会計基準のもとではグロスアップすることを要求されているが、顧客の支払利息を
計算する際にはネッティングしている。
(3)貸付金、割引手形およびその他の受取債権には減損損失引当金は含まれておらず、当該引当金はその他の資産に
含まれている。
(4)決済預金および貯蓄預金には、45,078百万豪ドルのモーゲージ・オフセット残高(2018年6月30日:41,865百万
豪ドル)が含まれている。
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2019年6月終了年度と修正再表示された2018年6月終了年度との比較
総資産は977十億豪ドルと前年度から1十億豪ドルの増加となった。これは、住宅ローンの増加を反映したもの
であるが、機関向け貸出、消費者金融およびその他の資産(デリバティブ資産残高を含む。)の減少により一部相
殺された。
総負債は907十億豪ドルと前年度から横ばいであった。これは主に、決済預金およびその他の要求払い預金の増
加を反映したものであるが、社債発行高、その他の利付負債以外の負債および投資預金の減少により一部相殺され
た。
当行は引き続き貸出の増加の大部分を顧客預金で手当している。顧客預金は調達資金の合計の69%を占めた
(2018年6月30日現在: 68%)。
住宅ローン
住宅ローン残高は21十億豪ドル増加して523十億豪ドルとなり、前年度から4%増加した。この増加は、リテール
銀行業務およびニュージーランドにおける事業によるものであったが、事業向けおよびプライベート・バンキング
業務における減少により一部相殺された。ノンバンク貸付機関との継続的な競争にもかかわらず、国内での伸びは
(1)
4%と銀行業界全体 の3%を上回った。
オーストラリアの住宅ローンは467十億豪ドル(2018年6月30日現在:451十億豪ドル)であった。そのうち66%は
家主向け、31%は投資用住宅ローンおよび3%は信用供与枠によるものであった(2018年6月30日現在:65%は家主向
け、32%は投資用住宅ローンおよび3%は信用供与枠)。
消費者金融
消費者金融残高(その中には個人向けローン、クレジッド・カードおよびマージン・レンディングを含む。)は
(1) (1)
1十億豪ドル、すなわち6%減少した。これは銀行業界全体 とほぼ一致していた。銀行業界全体 (当グ
ループを含む。)におけるこの減少は、規制改革、無担保債務に対する消費者の需要の減少および裁量的支出に影
響を及ぼすマクロ経済環境の低迷によるものであった。
事業および法人向けローン
事業および法人向けローンは7十億豪ドル減少して215十億豪ドルとなり、前年度から3%減少した。これは、
ポートフォリオの最適化の取り組みにより機関向け貸出が12%減少したことによるものであったが、様々な業界に
おける事業向けおよびプライベート・バンキング業務の2%の伸びおよびニュージーランドにおける6%の伸び(為
(1)
替の影響を除く。)により一部相殺された。これは、銀行業界全体 の4%を上回ったが、これは事業向け貸出
セグメントを重視した長期的戦略を継続したことによるものであった。
(1)
国内事業向け貸出は4%減少して銀行業界全体 の4%の伸びを下回った。これは、プロジェクトの完了ならび
にリスク調整後リターンおよびリスク選好を引き続き重視したことを受けた、継続的なポートフォリオの最適化な
らびに事業向けおよびプライベート・バンキング業務における 住宅開発向けエクスポージャー の長引く減少を反映
した機関向け融資の減少によるものであった。
貸出以外の利付資産
貸出以外の利付資産(流動資産を含む。)は前年度から1十億豪ドル、すなわち1%減少した。これは、保有す
る適格流動資産を積極的に管理したことによるものであった。
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その他の資産
その他の資産(デリバティブ資産、保険資産および無形資産を含む)は、前年度から11十億豪ドル、すなわち
17%減少した。この減少は、CFSGAMおよびPTCLに帰属する資産を売却目的保有資産へ再分類したことおよび、為替
変動および金利変動によるデリバティブ資産の減少によるものであった。
利付預金合計
利付預金の合計は10十億豪ドル増加して581十億豪ドルとなり、前年度から2%増加した。為替の影響を除いた減
少は1%であった。これは、決済預金の増加およびその他の要求払い預金の増加によるものであったが、投資預金の
減少により一部相殺された。決済預金の増加は主に、機関向け銀行業務および市場業務におけるキャッシュ・マネ
ジメント・プーリング・ファシリティの増加およびモーゲッジ・オフセット勘定の増加を反映したものである。投
資預金の減少は、資金調達需要の低下により、機関向け銀行業務および市場業務に牽引されたものであったが、利
回りの高い定期預金を顧客が好んだことによるリテール銀行事業、ニュージーランドにおける事業および事業向け
およびプライベート・バンキング業務の残高の増加により一部相殺された。
(1)
国内家計預金の伸びは4%と銀行業界全体 の5%を下回った。これは競争の激化を反映したものであった。
社債発行高
社債発行高は9十億豪ドル減少して164十億豪ドルとなり、前年度から5%の減少となった。為替の影響を除く
と、社債発行高は6%減少した。これは、顧客預金による資金調達の増加およびホールセール資金調達の需要の減
少によるものであった。顧客預金は、資金調達合計の69%(2018年6月30日:68%)を占めた。
預金は当行の資金需要の大半を満たしているものの、当行は国内外双方のホールセール債券市場へのアクセスを
維持していた。
2019年6月30日に終了した年度の債券発行プログラムおよび社債発行高についての詳細な情報については、「グ
ループ・オペレーションおよび事業体制-社債発行高」を参照されたい。
その他の利付負債
その他の利付負債(借入資本、損益を通じて公正価値で測定される負債および他の金融機関に対する債務を含
む。)は、前年度から1%増加した。これは主に、為替による影響を受けたものであった。為替の影響を除くと、
PERLS XIの発行により残高は横ばいであったが、PERLS VIの償還により一部相殺された。
利付決済預金以外の決済預金
利付決済預金以外の決済預金は5十億豪ドル増加して54十億豪ドルとなり、前年度から10%の増加となった。こ
の増加は主に、リテール銀行業務および事業向けおよびプライベート・バンキング業務における個人および事業の
決済勘定の伸びによるものであった。
その他の利付負債以外の負債
その他の利付負債以外の負債(デリバティブ負債を含む。)は8十億豪ドル減少して37十億豪ドルとなり、前年
度から18%減少した。この減少は主に、為替および金利変動によるデリバティブ負債の減少およびCFSGAMおよび
PTCLに帰属する負債を売却目的保有負債に再分類したことよるものであった。
(1)銀行業界全体についての出典:RBA/APRA/RBNZ。当行にはバンクウェストが含まれている。
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グループ・オペレーションおよび事業体制
貸付減損引当金および信用の質
減損損失引当金
下記の日付現在
2019 年 2018 年 2017 年 2019 年 2018 年
6月30日 6月30日 6月30日 6月対 6月対
百万 百万 百万 2018 年 2017 年
豪ドル 豪ドル 豪ドル 6月(%) 6月(%)
減損引当金
一括評価債権引当金 3,904 2,763 2,747 41 1
個別評価債権引当金 895 870 980 3 (11)
減損損失引当金合計 4,799 3,633 3,727 32 (3)
控除:オフ・バランスシート・エクスポージャー (84) (28) (34) 大 (18)
貸付金減損引当金合計 4,715 3,605 3,693 31 (2)
2019 年6月終了年度と2018年6月終了年度との比較
2018年7月1日、当グループはAASB第9号を適用し、会計基準において認められているとおり、前年同期の修正
再表示を行わなかった(詳細については、「第6 経理の状況 1.財務書類-(6)財務書類に対する注記」の注記
1.1を参照されたい)。AASB第9号の適用により、2019年6月30日現在の一括評価債権引当金は前年度から1,058百
万豪ドル増加した。AASB第9号の適用による個別評価債権引当金の変動はなかった。
2019年6月30日現在の減損引当金合計は前年度から1,166百万豪ドル、すなわち32%増加して4,799百万豪ドルと
なった。これは主に、AASB第9号の適用によるものであった。
AASB第9号の当初認識による影響(1,058百万豪ドル)を除くと、引当金合計は108百万豪ドルすなわち3%増加し
たが、これは主に以下によるものであった。
・消費者向け一括評価債権引当金は82百万豪ドル、すなわち5%増加して1,610百万豪ドルとなった。これは主
に、経済状況の悪化および延滞率の増加を反映した無担保リテール・ポートフォリオにかかる一括評価債権引
当金の増加によるものであった。
・消費者向け個別評価債権引当金は18百万豪ドル、すなわち7%増加して274百万豪ドルとなった。これは、主に
西オーストラリアおよびクイーンズランド州の住宅ローンの減損によるものであった。
・法人向け個別評価債権引当金は7百万豪ドル、すなわち1%増加して621百万豪ドルとなったこと。これは主
に、事業向けおよびプライベート・バンキング業務およびニュージーランドの業務における少数の大口顧客の
エクスポージャーに対する引当金の増加によるものであったが、機関向け銀行業務および市場業務において大
口顧客のエクスポージャーに対する個別評価債権引当金が減少したことより一部相殺された。
信用の質
以下に終了した年度
2019 年 2018 年 2019 年 2017 年 2018 年
6月30日 6月30日 6月対 6月30日 6月対
百万 百万 2018 年 百万 2017 年
信用の質に関するデータ 豪ドル 豪ドル 6月(%) 豪ドル 6月(%)
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貸出および受取手形(グロス)(GLAAs) 761,013 748,408 2 737,002 2
(百万豪ドル)
リスク加重資産(RWA)-(百万豪ドル) 452,762 458,612 (1) 437,063 5
信用リスク加重資産-(百万豪ドル) 372,574 369,528 1 377,259 (2)
減損資産(グロス)(百万豪ドル) 3,622 3,179 14 3,187 -
減損資産(ネット) (百万豪ドル) 2,435 2,111 15 2,038 ▶
(1)
引当率
一括評価債権引当金/信用リスク加重資 1.05 0.75 30 bpts 0.73 2 bpts
産(%)
引当金合計/信用リスク加重資産(%) 1.29 0.98 31 bpts 0.99 (1)bpt
減損資産引当金合計/減損資産(グロ 32.77 33.60 (83)bpts 36.05 (245)bpts
ス)(%)
減損資産引当金合計/減損資産(グロ 43.71 41.84 187 bpts 42.82 (98)bpts
ス)(法人向け)(%)
減損資産引当金合計/減損資産(グロ 24.85 26.04 (119)bpts 28.45 (241)bpts
ス)(個人向け)(%)
減損損失引当金合計/ GLAAs(%) 0.63 0.49 14 bpts 0.51 (2)bpts
資産の質比率
減損資産(グロス)/ GLAAs(%) 0.48 0.42 6 bpts 0.43 (1)bpt
90 日を超えて延滞しているが減損は発 0.44 0.43 1 bpt 0.36 7 bpts
生していない債権/ GLAAs(%)
貸付金減損費用(「現金ベース」)(年 0.16 0.15 1 bpt 0.15 -
率換算)/平均GLAAs(%)
正味償却額(年率換算)/ GLAAs(%) 0.16 0.16 - 0.16 -
投資適格の格付けを有する法人向けエ 67.40 67.90 (50)bpts 69.20 (130)bpts
(2)
クスポージャー合計 (%)
オーストラリアの住宅ローン・ポート
フォリオ
ポートフォリオ・ダイナミック LVR(%) 52.44 49.88 256 bpts 50.33 (45)bpts
(3)
(4)
78.48 77.80 68 bpts 77.31 49 bpts
顧客前受金 (%)
信用の質
以下に終了した半期
2019 年 2018 年 2019 年
6月30日 12 月31日 6月対
百万 百万 2018 年
信用の質に関するデータ 豪ドル 豪ドル 12 月(%)
貸出および受取手形(グロス)(GLAAs) 761,013 759,410 -
(百万豪ドル)
リスク加重資産(RWA)-(百万豪ドル) 452,762 445,144 2
信用リスク加重資産-(百万豪ドル) 372,574 369,356 1
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減損資産(グロス)(百万豪ドル) 3,622 3,560 2
減損資産(ネット) (百万豪ドル) 2,435 2,373 3
(1)
引当率
一括評価債権引当金/信用リスク加重資 1.05 1.03 2 bpts
産(%)
引当金合計/信用リスク加重資産(%) 1.29 1.28 1 bpt
減損資産引当金合計/減損資産(グロ 32.77 33.34 (57)bpts
ス)(%)
減損資産引当金合計/減損資産(グロ 43.71 40.06 365 bpts
ス)(法人向け)(%)
減損資産引当金合計/減損資産(グロ 24.85 27.03 (218)bpts
ス)(個人向け)(%)
減損損失引当金合計/ GLAAs(%) 0.63 0.62 1 bpt
資産の質比率
減損資産(グロス)/ GLAAs(%) 0.48 0.47 1 bpt
90 日を超えて延滞しているが減損は発 0.44 0.42 2 bpts
生していない債権/ GLAAs(%)
貸付金減損費用(「現金ベース」)(年 0.16 0.15 2 bpts
率換算)/平均GLAAs(%)
正味償却額(年率換算)/ GLAAs(%) 0.16 0.15 1 bpt
投資適格の格付けを有する法人向けエ 67.40 67.90 (50)bpts
(2)
クスポージャー合計 (%)
オーストラリアの住宅ローン・ポート
フォリオ
ポートフォリオ・ダイナミック LVR(%) 52.44 50.85 159 bpts
(3)
(4)
78.48 78.27 21 bpts
顧客前受金 (%)
(1)2018年7月1日、当グループはAASB第9号を適用し、会計基準において認められているとおり、前年同期の修正
再表示を行わなかった。
(2)S&Pに相当するCBAの格付に基づく投資適格。
(3)ローン対資産価値比率(「LVR」)とは、現時点の残高がオーストラリアにおける住宅ローン・ポートフォリオの
現在評価額に占める割合をいう。
(4)毎月の最低返済額を超える金額(相殺ファシリティを含む。)。
引当率および減損資産
2019 年6月終了半期と2018年12月終了半期との比較
減損資産ポートフォリオの引当率は32.77%で、直前半期から57ベーシス・ポイント減少した。これは主に、より
高いレベルの担保を有する住宅ローン減損資産の増加によるものであり、引当率が減少した。
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減損資産(グロス)は3,622百万豪ドルであり、直前半期から62百万豪ドル、すなわち2%増加した。減損資産
(グロス)がGLAAsに占める割合は、直前半期から1ベーシス・ポイント増加して0.48%であった。これは、住宅
ローンの減損が増加したことによるものであったが、主に償却および資産売却による法人関連の減損の減少により
一 部相殺された。
リテール・ポートフォリオの資産の質
2019 年6月終了半期と2018年12月終了半期との比較
消費者向け貸出減損費用(「LIE」)の平均GLAAsに対する比率は18ベーシス・ポイントで、直前半期から3ベー
シス・ポイント増加した。これは、経済状況の悪化および延滞率が季節的に増加したことによるものであった。
90日を超過する住宅ローンの延滞率は0.68%と直前半期から1ベーシス・ポイント増加したが、これは季節性に
よるものであった。クレジット・カードおよび90日を超過する個人向けローンの延滞率は、それぞれ1.02%および
1.56%で、直前半期から8ベーシス・ポイントおよび12ベーシス・ポイント増加した。これは主に、西シドニーお
よびメルボルンにおける増加ならびに12月の休暇に伴う季節的な増加によるものであった。
住宅ローンのダイナミックLVRは、直前半期から159ベーシス・ポイント増加して52.44%となったが、住宅ロー
ン勘定は十分な担保を維持しており、住宅ローン顧客の大部分は引き続き返済予定に先立って返済を行っていると
考えている。
2019年7月5日、APRAは住宅ローンの債務返済能力評価に関するガイダンスの修正を発表した。APRAのガイダン
スは、ADIsが7.25%の最低金利を用いて住宅ローン申請者を評価することを取り止め、これに代わってADIsが内部
フロアレートを決定し、個人向け金利を最低2.50%(以前は2.25%)上回る貸出に対する保全バッファーを引き上げ
ることを求めている。これにより、当行は、2019年7月22日から最低フロアレートを5.75%およびバッファーを
2.50%に設定した。
住宅ローン保険要件やリスクの高い融資に対する上限を初めとした更なるリスク軽減策も引き続き有効であっ
た。
事業ポートフォリオの資産の質
2019 年6月終了半期と2018年12月終了半期との比較
法人向けエクスポージャーのうち不良債権となったものは4.2十億豪ドルと直前半期から1.1十億豪ドル、すなわ
ち35%増加した。これは、少数の法人向けエクスポージャーの格下げならびに消費者の裁量的支出の影響を受けた
部門および農業および建設セクターにおける低迷の新たな兆候によるものであった。
投資適格のエクスポージャーは直前半期から50ベーシス・ポイント減少して、全体ポートフォリオにおけるリス
ク等級分けされている取引相手の67.4%であった。これは、流動性管理の取り組みを反映してソブリンに対するエ
クスポージャーの投資適格から格下げされたことによるものであった。
事業向けにおける貸付金減損費用の貸出および受取手形(グロス)に対する比率は、直前半期から1ベーシス・
ポイント低下して14ベーシス・ポイントとなった。この減少は、大口顧客に対する減損の戻入ならびに機関向け銀
行業務および市場業務におけるポートフォリオの最適化によるものであったが、事業向けおよびプライベート・バ
ンキング業務における一括評価債権引当金の増加により一部相殺された。
業種別エクスポージャーと資産の質
2019 年6月終了半期と2018年12月終了半期との比較
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半期における当行の部門別の信用エクスポージャーの分布は引き続き比較的堅実なものであった。最大の変動
は、消費者セクターに対するエクスポージャーが、57.8%から80ベーシス・ポイント増加して58.6%となったことで
あったが、これは住宅ローンの伸びが事業向けおよび機関向け貸出の伸びを上回ったことによるものであった。次
に 大きい変動は、流動性管理における取り組みを受けて、当行の引受エクスポージャー合計のうち、ソブリンに対
するエクスポージャーが30ベーシス・ポイント減少し、10.0%から9.7%となったことであった。
不良債権および減損資産(「TIA」)における変動は業種によりまちまちであり、TIA合計は直前半期から1,050
百万豪ドル、すなわち16%増加して7,799百万豪ドルとなった。
引受エクスポージャーの合計に対するTIAの比率は、10ベーシス・ポイント増加して0.62%から0.72%となった。
これは主に、以下によるものであった。
・建設セクターにおける少数の大口エクスポージャーの格下げ(202ベーシス・ポイントの増加)。
・小売および卸売セクターにおける一般消費財の消費低迷の新たな兆候(101ベーシス・ポイントの増加)。
・エネルギー・セクターにおける大口顧客のエクスポージャーの格下げ(82ベーシス・ポイントの増加)。
・事業向けサービス・セクターにおける大口顧客のエクスポージャーの格下げ(75ベーシス・ポイントの増
加)。
・その他のセクターにおける裁量的支出の低迷の新たな兆候を反映したホスピタリティ・セクター(69ベーシ
ス・ポイントの増加)。
・不動産セクターにおける大口顧客のエクスポージャーの格下げ(17ベーシス・ポイントの増加)。
・消費者セクターにおける主に住宅ローンおよび個人向けローンの減損の増加(4ベーシス・ポイントの増
加)。以下により一部相殺された。
・鉱業セクターにおける大口エクスポージャーの売却および償却(56ベーシス・ポイントの減少)。
・農業セクターにおける大口エクスポージャーの売却および償却(25ベーシス・ポイントの減少)。低迷の新た
な兆候により一部相殺された。
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自己資本
バーゼル規制の枠組み
背景
APRAは、バーゼル銀行監督委員会(「BCBS」)の(「バーゼルⅢ」)枠組みに基づき、一連の自己資本、流動性
および資金調達にかかわる改革を実施した。改革の目的は、自己資本の質、一貫性および透明性を高め、リスクに
耐えうる枠組みを強化し、システミック・リスクとプロシクリカリティ・リスクを軽減することである。
APRAの健全性基準のもとでは、2013年1月1日付で4.5%の最低CET1比率が要求される。3.5%のその他CET1資本保
全バッファー(国内のシステム上重要な銀行(「DSIB」)に要求される1%の追加的バッファーを含む。)および
(1)
0%のカウンターシクリカル・バッファー(「CCyB」) (2017年1月1日より実施。)により、最低CET1比率は8%以
上となった。
(1)2019年1月、APRAはオーストラリアのエクスポージャーにかかるCCyBを0%に据え置いたことを発表した。
当行は、0%を超えるCCyBが課されるオフショア地域のエクスポージャーを制限している。
疑いの余地なく強固な自己資本比率
2017年7月、APRAはオーストラリアの金融セクターが疑いの余地なく強固な自己資本を確保するために、さらな
る自己資本の積み増しを求める通知文を公表した。
APRAは、オーストラリアの主要銀行が2020年1月1日までに平均的なCET1比率を10.5%以上として事業を行うこ
とを求めている。2019年6月30日現在、当グループのCET1比率は、ベンチマークを10.7%上回っていた。
第三の柱に関する開示
第3の柱のもとで要求される市場開示(健全性基準APS330号「Public Disclosure」)の詳細については、米国
投資家向けウェブサイトで公表されている。
2019 年6月30日 2018 年12月31日 2018 年6月30日
リスク加重自己資本比率 (%) (%) (%)
普通株式等Tier1資本 10.7 10.8 10.1
Tier1 12.7 12.9 12.3
Tier2 2.8 2.9 2.7
自己資本合計 (APRA)
15.5 15.8 15.0
自己資本ポジション
2019 年6月終了半期と2018年12月終了半期との比較
2019年6月30日現在の当行のCET1比率(APRA)は10.7%で、前年度から10ベーシス・ポイント減少した。
2019年6月30日終了半期において、利益から生じた資本(+87ベーシス・ポイント)は、2019年の中間配当(-80
ベーシス・ポイント)およびリスク加重資産(RWA)の増加(-18ベーシス・ポイント)により相殺された。特記項
目の影響を除く資本形成は+8ベーシス・ポイントで、過年度を下回った。これは主に、市場での株式購入を通じ
て需要を満たすことにより中間配当再投資制度(「DRP」)を無効化する決定によるものであった。CET1比率は、
当年度を通じて常に規制上の最低自己資本比率を十分に上回っていた。
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自己資本イニシアチブ
当年度中、以下の重要な自己資本イニシアチブが実行された。
普通株式等Tier1資本
・2018年度最終配当にかかるDRPは、749百万豪ドルの普通株式の配分によって行い、参加率は18.4%であった。
・2019年中間配当にかかるDRPは、すべて市場での株式購入によって行い、中間DRPの参加率は16.7%であった。
その他Tier 1資本
・2018年12月、当行は1.59十億豪ドルのコムバンクPERLS XIキャピタル・ノート(PERLS XI)を発行し、同時に
2十億豪ドルの交換可能・転売可能上場永久証券(PERLS VI)を償還した。
・2019年5月、当グループは、ニュージーランドにおける子会社であるASBキャピタル・リミテッドおよびASB
キャピタルNo.2リミテッド(ASB PPS1およびASB PPS2)が発行したバーゼルⅢ非準拠の永久優先株式を額面
550百万ニュージーランド・ドルで償還した。
リスク加重資産
当グループのリスク加重資産の合計
2019 年6月終了半期と2018年12月終了半期との比較
RWAの合計は直前半期から7.6十億豪ドル、すなわち1.7%増加して452.8十億豪ドルとなった。これは取引市場リ
スクRWA、信用リスクRWAおよびオペレーショナル・リスクRWAの増加によるものであるが、銀行勘定の金利リスク
(IRRBB)のRWAの減少により一部相殺された。
信用リスク加重資産
2019 年6月終了半期と2018年12月終了半期との比較
信用リスクRWAは直前半期から3.2十億豪ドル、すなわち1%増加した。これは以下によるものであった。
・住宅ローンおよび標準化されたその他の資産全体の取扱数量の増加(6.0十億豪ドル)。
・当半期に増加した住宅ローンのリスク・ウェイトを含む、大部分のポートフォリオにおける信用力の質の低
下。これは、一部は新しい住宅ローンモデルにより生み出された保守的な結果によるものであった。このモデ
ルには長期延滞の顧客の行動パターンが組み込まれており、住宅ローン延滞率の最近の安定化は、まだ信用
RWAに反映されていない(2.2十億豪ドル)。
・データおよび手法の変更(1.2十億豪ドル)。
・為替変動(0.4十億豪ドル)。これらは以下により一部相殺された。
・リテール以外のポートフォリオ、消費者クレジット・カードおよび個人向けローンにおける取扱数量の減少
(6.5十億豪ドル)
・一部の消費者リテール・ポートフォリオにおける信用リスクの見積りの更新。これは、中小企業向け貸出ポー
トフォリオの規制上の取り扱いの変更により一部相殺された(0.1十億豪ドル)。
金利リスク加重資産
2019 年6月終了半期と2018年12月終了半期との比較
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IRRBBのRWAは直前半期から4.0十億豪ドル、すなわち29%減少した。これは、モデルの強化ならびに国内金利およ
びオフショア金利の低下による含み益の増加によるものであった。
取引市場リスク加重資産
2019 年6月終了半期と2018年12月終了半期との比較
取引市場リスクRWAは直前半期から5.2十億豪ドル、すなわち99%増加して10.5十億豪ドルとなった。内部モデル
アプローチに基づくストレス・バリュー・アット・リスク(SVaR)の構成要素が増加の主な要因であり、これはリ
スク・ポジショニングおよび低金利環境において、一部の金利商品が過度に保守的にモデル化された結果による影
響の双方によるものであった。
オペレーショナル・リスク加重資産
2019 年6月終了半期と2018年12月終了半期との比較
オペレーショナル・リスクRWAは直前半期から3.2十億豪ドル、すなわち6%増加して59.8十億豪ドルとなった。
これは、規制環境の変化および分散投資の変化を含むモデリングの多様化に関連して当グループのオペレーショナ
ル・リスク特性が変化したことを反映したものであった。
オペレーショナル・リスクRWAには、2018年4月30日付の健全性調査の結果を受けてAPRAにより求められる12.5
十億豪ドルの追加部分が含まれている。
当グループは、オペレーショナル・リスク管理の枠組みおよびガバナンス・プロセスに従ってオペレーショナ
ル・リスクの特性における重大な変化を反映させるためオペレーショナル・リスクRWAを定期的に見直し、更新を
行っている。
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規制改革
APRA
BCBSが公表した「バーゼルⅢ-危機後の改革の最終化」を受けて、2018年2月、APRAは「ディスカッション・
ペーパー-公認預金受入機関の自己資本の規制枠組みの見直し」と題したディスカッション・ペーパー-を公表し
た。
APRAの提案には以下が含まれている。
・投資およびインタレスト・オンリー住宅ローンのエクスポージャーに対する所要自己資本の引き上げおよびリ
スク・ウェイトの景気循環増幅効果を抑制する相関係数の変更
・その他のリテール資産クラス(クレジット・カードを含む)において適用される相関係数の引き上げ
・大企業および金融機関が基礎的内部格付手法の対象となること
・特定の非リテール・ポートフォリオに対するデフォルト時損失率(「LGD」)およびデフォルト時エクスポー
ジャー(「EAD」)の見積りの義務づけ
・全ての銀行に対し、オペレーショナル・リスクの先進的計測手法のリスクに敏感な単一の標準的手法への置き
換え
・RWA合計額に対する72.5%の資本フロアの導入(移行期間は設けない。)
2018年8月、APRAは「ディスカッション・ペーパー-ADIの自己資本の規制枠組みの透明性、比較可能性および
柔軟性の改善」と題した2件目となるディスカッション・ペーパーを公表した。この提案は、自己資本比率の定量
およびリスク感応度を変化させることなく、資本の枠組みの国際的な比較可能性、透明性ならびに柔軟性を高める
ために自己資本比率を表示することに重点を置いている。
2019年6月、APRAは、信用リスクおよびオペレーショナル・リスク加重資産を測定するために標準的手法に関す
る健全性基準の草案を公表した。また、APRAは、内部格付ベース(IRB)の手法により測定された住宅ローンの自
己資本要件を算定するためのよりシンプルな方法を提案している。
APRAは2021年1月1日にオペレーショナル・リスクの改革を実施し、2022年1月1日からすべてのその他の資本
の枠組みに関する改革を実施する予定である。
2019年7月、APRAは2018年11月の「ディスカッション・ペーパー―秩序ある解決を支援するためのADIsの損失吸
収能力の向上」に対する回答を公表した。APRAは、オーストラリアの損失吸収能力(LAC)制度が既存の資本枠組
みの下で確立されることを確認した。CBA等の国内のシステム上重要な銀行(D-SIBs)については、APRAは2024年
1月1日からRWAの3%の追加総資本要件を求めている。APRAはさらに、LACの4%から5%を長期目標として据え置
き、業界およびその他の利害関係者と協議し、今後4年間で1%から2%追加するために実行可能な代替方法を検討
している。
バーゼル銀行監督委員会(BCBS)
2019年1月、BCBSは「市場リスクに対する最低資本要件」を発表し、標準的手法および内部モデル手法の双方に
基づく市場リスクの特定と測定への変更を最終決定した。APRAは、オーストラリアが市場リスク基準の変更を導入
する時期を示していない。
ニュージーランド準備銀行(「RBNZ」)
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RBNZはニュージーランドにおける登録銀行に適用される自己資本比率の枠組みの包括的見直しに取り組んでい
る。2018年12月、RBNZは国内のシステム上重要な銀行のTier 1自己資本比率要件を16%に引き上げ、IRBによるRWA
算定を標準的手法によるRWAの約90%に引き上げることを提案する協議文書を公表した。RBNZは2019年末に向けその
見 解を確定し、2020年4月より実施する予定である。銀行が当該要件を完全に遵守するまで数年間の移行期間が提
案されている。
その他の改革
2019年7月1日より、当グループはAASB第16号「リース」およびカウンターパーティ信用リスク(SA-CCR)に対
する改訂された標準的手法を導入する。
当行は、AASB第16号「リース」の導入により、当行の見積CET1比率(APRA)が11ベーシス・ポイント減少し、
SA-CCRの導入によりさらに7ベーシス・ポイント減少すると予想している。
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下表は2019年6月30日現在のAPRAが採択したバーゼル Ⅲに基づく適正自己資本比率を過年度の比較数値ととも
に示したものである。
2019 年 2018 年 2018 年
6月30日 12 月31日 6月30日
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
普通株式および自己株式
普通株式 38,020 38,015 37,270
(1)
194 268 265
自己株式
普通株式および自己株式 38,214 38,283 37,535
準備金
準備金 3,092 2,051 1,676
(2)
52 73 (80)
非連結子会社に関連する準備金
準備金合計 3,144 2,124 1,596
利益剰余金および当期利益
利益剰余金および当期利益 28,482 27,959 28,360
(3)
(437) (434) (342)
非連結子会社からの利益剰余金調整
正味利益剰余金 28,045 27,525 28,018
非支配持分
(4)
55 553 554
非支配持分
(5)
- (505) (505)
控除:ASB 永久優先株式
控除:規制自己資本に算入できないその他の非支配持分 (55) (48) (49)
非支配持分 - - -
規制上の調整前普通株式等 Tier 1資本 69,403 67,932 67,149
(1)当グループの生命保険事業が保有している株式(86百万豪ドル)および適格な従業員持ち株制度信託が保有してい
る株式(108百万豪ドル)を示している。
(2)保険会社およびファンド運用会社ならびに当グループの資産の証券化を行うかかる事業体に関連するエクイティ
準備金残高を示している。これらの主体はAPRAにより非連結子会社に分類されており、Level 2が適用される規制
上の連結銀行グループからは除外されている。
(3)子会社にかかる累積利益および利益剰余金調整は、規制上連結対象ではない。
(4)非支配持分は、主に子会社の外部持分により構成されている。
(5)2019年5月、当グループは、ニュージーランドの子会社が発行したASB永久優先株式を償還した。
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2019 年 2018 年 2018 年
6月30日 12 月31日 6月30日
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
普通株式等 Tier 1資本にかかる調整項目
(1)
(7,680) (7,504) (8,021)
のれん
(2)
(2,013) (2,108) (2,124)
その他無形資産(ソフトウェアを含む)
資産計上された費用および繰延費用 (720) (741) (714)
(3)
(324) (308) (407)
確定給付年金制度剰余金
(4)
(360) (378) (412)
一般貸倒引当金
繰延税金資産 (2,581) (2,286) (1,911)
キャッシュ・フロー・ヘッジ準備金 (787) (57) 160
従業員報奨準備金 (161) (103) (145)
(5)
(3,088) (3,113) (2,967)
持分投資
(6)
(2,906) (2,887) (3,474)
非連結子会社に対する持分投資
(7)
- - (212)
予想損失にかかる引当金の不足額
(8)
(52) (74) (116)
未実現の公正価値調整額
その他 (364) (347) (336)
普通株式等 Tier1資本にかかる調整項目 (21,036) (19,906) (20,679)
普通株式等 Tier1資本 48,367 48,026 46,470
その他Tier1資本
(9)
9,045 9,045 9,455
バーゼルⅢ遵守証券
(10)
143 647 640
バーゼルⅢ非遵守証券(暫定的償却額控除後)
(11)
(200) (200) (200)
その他Tier1資本保有額
その他Tier1資本 8,988 9,492 9,895
Tier 1資本 57,355 57,518 56,365
Tier 2資本
(12)
11,368 11,586 11,262
バーゼルⅢ遵守証券
(13)
613 605 1,166
バーゼルⅢ非遵守証券(暫定的償却額控除後)
Tier 2資本保有額 (30) (23) (25)
(14)
799 764 176
健全的な一般貸倒引当金
Tier 2資本 12,750 12,932 12,579
自己資本合計 70,105 70,450 68,944
(1)のれんには254百万豪ドルは含まれておらず、当該金額は非支配子会社に対する持分投資に含まれている。また、
のれんには1,960百万豪ドルの非継続事業からののれんも含まれている。
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(2)繰延税金負債控除後のその他の無形資産(資産計上されたソフトウェア費用を含む)。その他の無形資産には、89
百万豪ドルの非継続事業からのその他の無形資産も含まれている。
(3)すべての繰延税金負債控除後の当グループの確定給付年金基金の余剰金。
(4)当グループが、APRA健全性基準APS220号に要求されるところに従い、個々のファシリティの満期までの全期間に
わたって発生すると予想される信用損失を補填するために十分な引当金と資本を確保するための調整。
(5)当グループの他の会社に対する非支配持分。
(6)非連結子会社とは主にColonialグループに属する保険会社およびファンド運用会社を指している。当グループの
保険会社およびファンド運用会社は、2019年6月30日時点で最低規制資本要件を上回る1,729百万豪ドルの自己資
本を保有していた。
(7)適格信用引当金(税引前)を上回るローン・ポートフォリオに関連するストレスのかかったデフォルト時予想損
失の仮定を用いた規制上の予想損失(税引前)。
(8)公正価値で測定される負債およびその他の健全性評価調整に係る当グループの信用リスクの変動による利益を含
む。
(9)2019年6月30日現在、2018年12月に発行されたPERLS Ⅺ 1,590百万豪ドル、2018年4月に発行されたPERLS Ⅹ
1,365百万豪ドル、2017年3月に発行されたPERLS IX 1,640百万豪ドル、2016年3月に発行されたPERLS Ⅷ 1,450
百万豪ドルおよび2014年10月に発行されたPERLS Ⅶ 3,000百万豪ドルで構成されている。
(10)APRAが定めたバーゼルⅢに規定された以外のその他Tier 1資本商品で、バーゼルⅢの暫定的な移行措置として認
められているもの。
(11)Colonial Mutual Life Assurance Society Limitedが発行したその他Tier1資本商品の保有額。
(12)2019年6月終了年度において、当グループが発行したバーゼルⅢに準拠したTier2資本はない。
(13)預金者および一般債権者に劣後する永久債およびターム債で、当初の満期が5年以上のものを含む。APRAはこれ
らをヘッジされていないものとして含めるよう要求している。ターム債は満期までの最後の5年間に、毎年、当
初金額の20%の率で償却される。これらの債券はバーゼルⅢの移行特別措置の適用を受けることができる。
(14)当グループのエクスポージャーをカバーするための一括評価債権引当金および一般貸倒引当金で、自己資本の計
算上、信用リスクに対する標準的アプローチのもとで計測されるもの。
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2019 年 2018 年 2018 年
6月30日 12 月31日 6月30日
リスク加重資産(「RWA」) 百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
信用リスク
(1)
先進的内部格付手法の対象
法人 64,683 68,915 68,479
中小企業法人 30,478 30,121 32,772
中小企業リテール 6,896 5,400 4,709
住宅モーゲージによる担保付きの中小企業リテール 3,335 3,415 2,458
ソブリン 2,456 2,330 2,509
銀行 9,451 9,741 11,097
住宅モーゲージ 147,956 143,017 139,203
適格リボルビングリテール向け 8,486 8,942 9,592
その他のリテール 13,990 15,729 15,750
RWA 合計-先進的内部格付手法の対象 287,731 287,610 286,569
スロッティング基準に服する特別貸出エクスポージャー 53,796 53,453 55,893
標準的手法の対象
法人 1,590 1,406 1,246
中小企業法人 822 1,034 412
中小企業リテール 4,628 5,010 5,856
ソブリン 233 222 222
銀行 66 53 79
住宅モーゲージ 6,732 6,632 5,627
その他のリテール 1,256 1,493 1,593
その他の資産 8,854 5,674 5,241
RWA 合計-標準的手法の対象 24,181 21,524 20,276
証券化 2,905 3,049 2,890
信用評価調整 2,932 2,729 2,882
中央清算機関 1,029 991 1,018
信用リスク・エクスポージャーにかかるRWA合計 372,574 369,356 369,528
トレーディング勘定の市場リスク 10,485 5,263 8,255
バンキング勘定の金利リスク 9,898 13,872 24,381
オペレーショナル・リスク 59,805 56,653 56,448
リスク加重資産合計 452,762 445,144 458,612
(1)APRAの要件に従い、先進的内部格付手法のリスク加重係数から導き出されたリスク加重資産の金額には1.06の係
数を乗じている。
配当
2019 年6月30日終了年度の最終配当
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宣言済最終配当は1株当たり2.31豪ドルで、これにより2019年6月30日終了年度の配当合計は1株当たり4.31豪
ドルとなり、前年通期の配当と同水準であった。2019年6月30日終了年度の配当性向(「法定ベース」)は89.0%
で あった。当期の配当性向は、特記項目の影響により上昇した。
最終配当は全額課税済みであり、2019年8月15日の営業終了時現在(基準日)の普通株式の株主に対し、2019年
9月26日に支払われる予定である。株式は2019年8月14日に配当落ちとなった。
配当再投資制度(「DRP)」
DRPは引き続き株主に提供され、最終配当について当該制度のもとで配分される株式にはディスカウントは適用
されない。2019年の最終配当に係るDRPは、市場での株式の購入に全額充当されることが見込まれている。
配当政策
当行は以下を目指している。
・安定的かつ持続可能なレベルで現金配当を支払う。
・通期の配当性向の目標を70%ないし80%とする。
・全額課税済みの配当を支払うことでフランキング勘定を最大限活用する。
レバレッジ比率
下記の日付現在
2019 年 2018 年 2019 年
6月30日 6月30日 6月対
2018 年
当グループのレバレッジ比率の概要 6月(%)
Tier 1 資本(百万豪ドル) 57,355 56,365 2
(1)
1,023,181 1,018,555 -
エクスポージャーの合計(百万豪ドル )
レバレッジ比率(APRA)(%) 5.6 5.5 10 bpts
(1)エクスポージャー合計は、バランスシート・エクスポージャー、デリバティブ、証券金融取引(「SFT」)および
オフ・バランス・シート・エクスポージャーの合計からAPS110号「自己資本比率」で要約されたTier1規制資本控
除を除いた金額である。
APRA基準に基づく当行のレバレッジ比率(Tier1資本がエクスポージャー合計に占める比率として定義されてい
る。)は、2019年6月30日現在で5.6%であった。
APRA基準に基づく同比率は、2018年6月30日から10ベーシス・ポイント増加した。これは、基本的な資本形成お
よびその他Tier1資本であるPERLS XIの発行によるTier1資本の2%の増加によるものであったが、PERLS Ⅵおよ
びニュージーランドの子会社が発行したASB永久優先株式の償還により一部相殺された。
2018年11月、APRAは、2022年1月1日からデリバティブおよびオフバランスシート項目に関連するエクスポー
ジャーの定義の変更ならびに内部格付手法(IRB)を採用する銀行の最低レバレッジ比率要件を3.5%とする主張を
含む、健全性基準および報告基準の草案を公表した。
流動性
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(1)
下記の日付現在
下記に終了した四半期平均
2019 年 2018 年 2019 年 2018 年 2017 年 2018 年
6月30日 6月30日 6月対 6月30日 6月30日 6月対
百万 百万 2018 年 百万 百万 2017 年
レベル 2
豪ドル 豪ドル 6月(%) 豪ドル 豪ドル 6月(%)
流動性カバレッジ比率(LCR)流動
性資産
(2)
85,859 89,200 (4) 83,589 93,402 (11)
適格流動資産 (HQLA)
流動性供与枠(CLF) 50,700 53,300 (5) 53,300 48,300 10
LCR 流動性資産合計 136,559 142,500 (4) 136,889 141,702 (3)
正味現金流出額(NCO)
顧客預金 75,664 79,651 (5) 73,470 77,298 (5)
ホールセール資金調達 10,208 10,975 (7) 13,893 17,579 (21)
(3)
17,778 16,303 9 16,767 15,271 10
その他の正味現金流出額
NCO 合計 103,650 106,929 (3) 104,130 110,148 (5)
流動性カバレッジ比率(%) 132 133 (100)bpts 131 129 200 bpts
LCR 余剰 32,909 35,571 (7) 32,759 31,554 ▶
(1)当グループは、バーゼルⅢの第3の柱の開示報告要件に合わせて、LCRの報告をスポットから四半期平均に変更し
た。
2019年6月30日の当グループのスポットLCRは129%で、2018年6月30日の131%から2%減少した。スポットLCRの変
動は、下記と同様の要因によるものであった。
(2)ニュージーランド準備銀行との間でレポ適格な証券を含む。オーストラリア準備銀行が保有する内部組成住宅
ローン担保証券(RMBS)のオープンレポの金額および為替決済口座(「ESA」)の現金残高は、純額で表示されて
いる。
(3)現金流入額を含む。
2019 年6月終了年度と2018年6月終了年度との比較
(1)
当グループは、バランスシートの流動性ニーズおよびAPRAの流動性カバレッジ比率(LCR) を初めとする国
内外の規制要件を満たすために、経営陣が、質が高く広く分散されていると判断する流動資産を保有している。
LCRは、オーストラリアの公認預金取扱機関(ADIs)が、定められたストレス・シナリオのもとで、予測される向
こう30日間の純現金流出(「NCOs」)に耐えうるように、十分な流動資産を保有することを求めている。LCR流動
資産は、現金、中央銀行預け金、オーストラリア政府債の形で保有している適格流動資産(「HQLA」)ならびに流
動性供与枠(「CLF」)に基づくオーストラリア中央銀行(RBA)のレポ適格なその他の債券で構成される。オース
トラリアにおける政府債の数量が限定的であることを考慮して、RBAは参加ADIsに対してCLFを通じた有担保ベース
での偶発的な流動性へのアクセスを提供している。各ADIsに対するCLFの額はAPRAにより毎年設定される。
2019年6月30日終了四半期の当グループの平均LCRは、132%と2018年6月30日終了四半期の平均LCRから1%減少
した。当該LCRは、規制上の最低比率である100%を引き続き大幅に上回った。
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2018年12月31日終了四半期の平均LCRと比較して、LCR流動資産は3十億豪ドル、すなわち2%減少した。これ
は、2019年1月1日から当グループのCLFが3十億豪ドル減少して50.7十億豪ドルとなったことによるものであっ
た。当グループの向こう30日間のモデル化されたNCOsは、満期を迎えるホールセール資金調達が減少したことによ
り、 3十億豪ドル、すなわち2%減少した。
2018年6月30日終了四半期の平均LCRと比較して、LCR流動資産は6十億豪ドル、すなわち4%減少した。これ
は、3十億豪ドルのHQRAの減少および3十億豪ドルの当グループのCLFの減少によるものであった。当グループの
向こう30日間のモデル化されたNCOsは、リテール向け預金の増加を反映したよりLCR効率の良い預金構成により、
3十億豪ドル、すなわち3%減少した。
(1)LCRは、バーゼルⅢ改革の一環である初の数量ベースによる流動性の測定法である。LCRは、オーストラリア
では2016年1月1日付でAPRAによって導入された。LCRは、オーストラリアのADIsが、APRAの定めたストレ
ス・シナリオのもとで、予測される向こう30日間の純現金流出に耐えうるように、十分な流動資産を保有する
ことを求めている。
流動性および資金源
当行の主な流動性獲得手段には以下が含まれる。
・規制上の流動性管理報告システム。詳細な顧客および商品タイプ別の情報を提供するもので、事業における意
思決定、商品開発についての情報を提供し、金融商品の流動性リスク調整後の価値をより明確に捉えることが
できる。
・流動性ニーズを日々予測することを可能にする「マチュリティ・ラダー法」または「流動性ギャップ分析」に
類似した流動性管理モデル。
・合意された健全な流動性政策を実施する追加的な流動性管理モデル。このモデルは一連の「ストレス」流動性
危機シナリオ(連鎖的かつ特異な危機の前提条件を含む。)により調整され、それによって当行は、そのすべ
ての債務を期限到来時に確実に返済できるようにするために利用可能な十分な流動資産の保有につながること
を期待している。
・通常の資金調達市場が利用不可能な場合でも、当行が有担保ベースで資金を借り入れることを可能にする中央
銀行の買戻契約ファシリティ。
・「第6 経理の状況 1.財務書類-(6)財務書類に対する注記」の注記9.4に記載されている強固な「コン
ティンジェント資金調達プラン」。これは、流動性発生事由により必要に応じて発動できるよう定期的にテス
トされている。
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社債発行高
2019 年6月30日 2018 年6月30日 2017 年6月30日
(1)
百万豪ドル 百万豪ドル 百万豪ドル
社債発行高
ミディアム・ターム・ノート 98,342 99,579 96,016
コマーシャル・ペーパー 20,158 26,868 28,800
資産担保証券 12,177 13,089 13,771
カバード・ボンド 33,313 32,758 28,984
社債発行高合計 163,990 172,294 167,571
通貨別の短期社債発行高
米ドル 20,147 27,008 29,856
豪ドル 10 1,009 1,858
英ポンド 3,470 2,949 5,687
その他の通貨 227 335 769
短期社債発行高合計 23,854 31,301 38,170
(2)
通貨別の長期社債発行高
米ドル 48,293 51,472 45,343
ユーロ 36,172 33,057 28,109
豪ドル 37,909 35,066 32,405
英ポンド 3,653 4,701 6,059
ニュージーランド・ドル 3,596 3,954 5,129
日本円 2,115 3,505 3,790
その他の通貨 8,331 9,175 8,158
オフショア・ローン(すべて日本円) 67 63 408
長期社債発行高合計 140,136 140,993 129,401
(3)
社債発行高の満期分析
12 ヶ月未満 50,095 59,980 57,640
12 ヶ月以上 113,895 112,314 109,931
社債発行高合計 163,990 172,294 167,571
(1)社債発行高には、主に為替差損益による2019年の未実現変動8,994百万豪ドルが含まれている。
(2)開示された長期社債は、発行時点で満期までの期間が12ヶ月超の社債に関連している。
(3)原証券の契約上の残存満期に相当する。
当行の社債発行高の詳細については、「第6 経理の状況 1.財務書類-(6)財務書類に対する注記」の注記
4.3を参照されたい。
当行の借入金および現行の債券発行プログラムの残高ならびに発行登録形態(満期構成、通貨および金利体系を
含む。)の分析については、「第6 経理の状況 1.財務書類-(6)財務書類に対する注記」の注記4.3および注
記8.2を参照されたい。
下表は、現在有効な債券発行プログラムおよび発行登録を2019年6月30日現在のプログラムまたは発行登録の規
模とともに表している。以下のプログラムを通じて様々な債券市場および投資家にタイミング良く柔軟にアクセス
することが可能である。
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債券発行プログラムおよび発行登録
プログラム/発行登録 プログラム/発行登録形態
オーストラリア
無制限 国内債発行プログラム
無制限 コロニアル・ホールディング・カンパニー・リミテッド豪ドル建て債券
発行プログラム
ユーロ市場
(1)
7 十億ユーロ
ASB カバード・ボンド・プログラム
(1)
7 十億米ドル
ASB ユーロ・コマーシャル・ペーパー・プログラム
20 十億米ドル CBA ユーロ・コマーシャル・ペーパー・プログラムおよび譲渡性預金証書
プログラム
(2)
70 十億米ドル
ユーロ・ミディアム・ターム・ノート・プログラム
アジア
(3)
500 十億円
売出し
(3)
500 十億円
サムライ債
5 十億米ドル アジア譲渡性預金プログラム
ニュージーランド
(4)
無制限
ASB 国内ミディアム・ターム・ノート・プログラム
(4)
無制限
ASB 記名式債券預託プログラム
米国
(1)
7 十億米ドル
ASB 米国コマーシャル・ペーパー・プログラム
10 十億米ドル ASB 米国ルール144A/レギュレーション Sミディアム・ターム・ノート・
(4)
プログラム
35 十億米ドル CBA 米国コマーシャル・ペーパー・プログラム
50 十億米ドル 米国ルール144A/レギュレーション Sミディアム・ターム・ノート・プロ
グラム
30 十億米ドル CBA カバード・ボンド・プログラム
25 十億米ドル CBA 3(a)(2) ミディアム・ターム・ノート・プログラム
(1)ASBファイナンス・リミテッドは、これらのプログラムに基づく発行体である。発行は、ASBバンク・リミテッド
により無条件かつ取消不能の形で保証されている。
(2)これは、CBAとASBファイナンス・リミテッドの間のジョイントプログラムである。当該プログラムに基づくASB
ファイナンス・リミテッドの発行はASBバンク・リミテッドにより無条件かつ取消不能の形で保証されている。
(3)当該金額は70十億米ドルのユーロ・ミディアム・ターム・ノート・プログラムに基づき反映されている。
(4)ASBバンク・リミテッドはこれらのプログラムに基づく発行体である。
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資金調達
下記の日付現在
2019 年 2018 年 2019 年 2017 年 2018 年
6月30日 6月30日 6月対 6月30日 6月対
百万 百万 2018 年 百万 2017 年
(1)
豪ドル 豪ドル 6月 (%) 豪ドル 6月 (%)
当グループの資金調達
顧客預金 578,786 569,846 2 560,918 2
(2)
85,570 85,360 - 106,815 (20)
短期ホールセール資金調達
長期ホールセール資金調達-残存期間が1年未満 32,434 33,564 (3) 25,330 33
(3)
130,409 137,136 (5) 131,950 ▶
長期ホールセール資金調達-残存期間が1年超
IFRS MTM およびデリバティブFXの時価評価損益 3,424 (165) 大 1,150 大
ホールセール資金調達の合計 251,837 255,895 (2) 265,245 (4)
(4)
5,729 6,193 (7) 6,135 1
短期の担保差入れ額
資金調達の合計 836,352 831,934 1 832,298 -
(1)株主資本は上記の資金調達源から除外されている。
(2)短期のホールセール資金調達には、当初の満期または繰上げ償還日が12ヶ月以内の社債が含まれ、譲渡性預金証
書、銀行手形、EMTNプログラムのもとで発行された社債、ならびにCBAおよびASBの国内、ユーロおよび米国で登
録されたコマーシャル・ペーパー・プログラムのもとで発行された社債が含まれる。短期ホールセール資金調達
にはまた、銀行および中央銀行からの預り金ならびにネットベースのレポ契約も含まれる。
(3)長期ホールセール資金調達には、当初の満期または繰上げ償還日が12ヶ月を超える社債が含まれる。
(4)短期の担保差入額には、正味受入担保およびESAにおける当日内のキャッシュ・フローを調達するために準備銀行
に差し入れられている内部組成 RMBSの金額が含まれる。
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2019 年6月終了年度と2018年6月終了年度との比較
顧客預金
リテール、事業向けおよび機関顧客向け預金は、2019年6月30日現在、資金調達合計の69%を占め、2018年6月
30日の68%から1%の増加となった。当グループは、資金調達需要の大部分をリテール、事業向けおよび機関顧客向
け預金から満たした。
短期ホールセール資金調達
短期のホールセール資金調達には、当初の満期または早期償還日が12ヶ月未満のうちに到来する債務が含まれ、
その内訳は譲渡性預金証書、銀行引受手形ならびに国内、ユーロおよび米国のコマーシャル・ペーパー・プログラ
ムのもとで当行およびASBにより発行された債務である。
短期のホールセール資金調達は、2019年6月30日現在、ホールセール資金調達合計の34%を占め、2018年6月30
日現在の33%から1%の増加となった。これは、当グループが保守的な資金調達構成を引き続き維持したことによる
ものであった。
長期ホールセール資金調達
長期のホールセール資金調達には、当初の満期または早期償還日が12ヶ月を超えて到来する債務が含まれる。
長期ホールセール資金調達(IFRSに基づく時価評価およびデリバティブの為替再評価を含む。)は、2019年6月
30日現在のホールセール資金調達合計の66%を占め、2018年6月30日現在の67%から1%の減少となった。
当年度に当グループは22十億豪ドルの複数の長期ホールセール資金調達を豪ドル、米ドル、ユーロおよび英ポン
ドを含む複数の通貨で行った。起債の大半は無担保シニア債の形態で行われたが、当グループはカバード・ボンド
および証券化プログラムを活用することで、コスト、年限および分散のメリットを享受した。
2019年6月30日までの12ヶ月間に発行された新規の長期ホールセール社債のWAMは6.5年であった。2019年6月30
日現在の既発の長期ホールセール社債のうち、残存満期が12ヶ月を超えるもののWAMは5.1年と横ばいであった。
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安定調達比率
下記の日付現在
2019 年 2018 年 2018 年 2019 年 2019 年
6月30日 12 月31日 6月30日 6月対 6月対
百万 百万 百万 2018 年 2018 年
豪ドル 豪ドル 豪ドル 12 月 (%) 6月 (%)
レベル2
所要安定調達額
(1)
269,072 257,699 251,166 ▶ 7
住宅ローン