株式会社ジーニー 有価証券報告書 第9期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
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株式会社ジーニー(E33615)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2019年6月28日
【事業年度】 第9期(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
【会社名】 株式会社ジーニー
【英訳名】 Geniee, Inc.
【代表者の役職氏名】 代表取締役社長 工藤 智昭
【本店の所在の場所】 東京都新宿区西新宿六丁目8番1号
【電話番号】 03-5909-8177
【事務連絡者氏名】 管理部長 中島 文樹
【最寄りの連絡場所】 東京都新宿区西新宿六丁目8番1号
【電話番号】 03-5909-8177
【事務連絡者氏名】 管理部長 中島 文樹
【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
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第一部【企業情報】
第1【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
(1)連結経営指標等
回次 第6期 第7期 第8期 第9期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月
(千円) 7,369,233 11,730,899 14,380,939 14,954,778
売上高
経常利益又は経常損失(△) (千円) 106,513 194,590 467,448 △ 330,159
親会社株主に帰属する当期純利益
又は親会社株主に帰属する当期純損 (千円) 52,323 △ 14,754 63,242 △ 544,766
失(△)
(千円) 32,715 △ 22,297 53,145 △ 531,180
包括利益
(千円) 1,264,635 1,613,067 3,205,468 2,714,801
純資産額
(千円) 3,400,505 4,197,150 5,541,055 4,635,735
総資産額
(円) 76.33 76.27 182.95 151.54
1株当たり純資産額
1株当たり当期純利益金額又は
(円) 3.31 △ 0.92 3.84 △ 30.77
1株当たり当期純損失金額(△)
潜在株式調整後1株当たり当期純利
(円) - - 3.64 -
益金額
(%) 37.2 38.4 57.8 58.4
自己資本比率
(%) 4.1 - 2.6 -
自己資本利益率
(倍) - - 495.6 -
株価収益率
(千円) 240,389 331,813 291,964 203,226
営業活動によるキャッシュ・フロー
(千円) △ 472,335 △ 516,483 △ 329,904 △ 995,824
投資活動によるキャッシュ・フロー
(千円) 341,875 362,013 1,392,075 △ 137,945
財務活動によるキャッシュ・フロー
(千円) 1,010,877 1,183,652 2,541,801 1,618,564
現金及び現金同等物の期末残高
125 200 242 258
従業員数
(名)
(ほか、平均臨時雇用人員) ( 15 ) ( 33 ) ( 26 ) ( 37 )
(注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。
2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、 第6期は 潜在株式は存在するものの、当社株式は非
上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。 第7期は 潜在株式は存在するものの、
当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できず、かつ、1株当たり当期純損失金額であるため記載し
ておりません。第8期については、当社株式が2017年12月18日に東京証券取引所マザーズ市場に上場したた
め、新規上場日から第8期末までの平均株価を期中平均株価とみなして算定しております。また、第9期は
潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。
3. 第7期及び第9期の自己資本利益率は親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため記載しておりま
せん。
4.第6期及び第7期の株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。
5.第7期において、親会社株主に帰属する当期純利益が第6期と比較して67,078千円減少しております。これ
は主に、第7期において 減損損失46,664千円及び投資有価証券評価損59,850千円を計上したことによるもの
であります。
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(2)提出会社の経営指標等
回次 第5期 第6期 第7期 第8期 第9期
決算年月 2015年3月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月
(千円) 2,911,391 7,047,250 11,352,648 13,711,141 13,901,436
売上高
経常利益又は経常損失(△) (千円) 186,481 108,471 328,789 548,217 △ 195,733
当期純利益又は当期純損失(△) (千円) 124,152 67,381 161,629 146,068 △ 742,664
(千円) 592,393 592,393 766,769 1,519,561 1,539,114
資本金
発行済株式総数
15,000,000 15,000,000 15,000,000 17,508,200 17,868,200
普通株式
(株)
840,000 840,000 840,000 - -
A種株式
- - 307,000 - -
B種株式
(千円) 1,231,196 1,264,747 1,797,250 3,469,419 2,766,288
純資産額
(千円) 2,002,087 3,361,858 4,318,696 5,707,441 4,531,095
総資産額
(円) 74.06 76.34 87.91 198.16 154.79
1株当たり純資産額
- - - - -
1株当たり配当額
(円)
(1株当たり中間配当額) ( - ) ( - ) ( - ) ( - ) ( - )
1株当たり当期純利益金額又は
(円) 8.56 4.26 10.08 8.86 △ 41.95
1株当たり当期純損失金額(△)
潜在株式調整後1株当たり当期純利
(円) - - - 8.41 -
益金額
(%) 61.5 37.6 41.6 60.8 61.0
自己資本比率
(%) 16.4 5.4 10.6 5.5 -
自己資本利益率
(倍) - - - 214.8 -
株価収益率
(%) - - - - -
配当性向
75 88 123 152 163
従業員数
(名)
(ほか、平均臨時雇用人員) ( 9 ) ( 15 ) ( 33 ) ( 26 ) ( 33 )
(%) - - - 71.1 24.6
株主総利回り
(比較指標:東証マザーズ指数) (%) ( - ) ( - ) ( - ) ( 102.0 ) ( 80.8 )
(円) - - - 2,970 1,980
最高株価
(円) - - - 1,372 402
最低株価
(注)1.売上高には消費税等は含まれておりません。
2.当社は、A種株主及びB種株主の株式取得請求権の行使を受けたことにより、2017年9月4日付ですべての
A種株式及びB種株式を自己株式として取得し、対価として当該A種株主にA種株式1株につき普通株式1
株、当該B種株主にB種株式1株につき普通株式1株を交付しております。また、当社が取得したA種株式
及びB種株式については、株主価値の向上を図るため2017年8月17日開催の取締役会決議に基づき、2017年
9月5日付で会社法第178条に基づき消却しました。その結果、発行済株式総数は16,147,000株となってお
ります。
3.第7期以前の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、当社株式
は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、それぞれ記載しておりません。 また、第8期の潜在株
式調整後1株当たり当期純利益金額については、当社株式が2017年12月18日に東京証券取引所マザーズ市場
に上場したため、新規上場日から第8期末までの平均株価を期中平均株価とみなして算定しております。第
9期は潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。
4. 最高・最低株価は、東京証券取引所マザーズ市場におけるものであります。なお、第 7期以前の株価収益
率、株主総利回り、最高・最低株価については、当社株式は非上場であるため記載しておりません。
5.第6期以降の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵
省令第59号)に基づき作成しており、 金融商品取引法第193条の2第1項 の規定に基づき、有限責任監査法
人トーマツの監査を受けております。
なお、第5期の数値については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各
数値を記載しており、 金融商品取引法第193条の2第1項 の規定に基づく有限責任監査法人トーマツの監査
を受けておりません。
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2【沿革】
当社は、“日本発の世界的なテクノロジー企業をつくりたい”という想いのもと、2010年4月に設立された会社で
す。当時、インターネット広告業界において「RTB」(注1)という新しい技術が登場し、ドラスティックな変化と
成長の可能性が感じられた頃でした。こうした中、当社は、RTB技術を活用したインターネットメディアの広告収益
最大化プラットフォーム「SSP」(注2)の開発・提供を始めました。
当社の設立から現在に至るまでの沿革は、以下のとおりであります。
年月 事項
2010年4月 東京都港区西新橋に株式会社ジーニーを設立
2011年2月 Google AdSenseリセラープログラム(注3)に参加し、Google AdSenseの提供を開始
2011年4月 本社を東京都港区新橋に移転
「GenieeSSP」の提供を開始
2012年3月 本社を東京都港区六本木に移転
2012年8月 インターネット広告事業を運営する子会社としてGeniee International Pte., Ltd.(シンガポー
ル)を設立
2013年9月 インターネット広告事業を運営する子会社としてGeniee Vietnam Co., Ltd.(ベトナム)を設立
2014年3月
「GenieeDSP」の提供を開始
2014年10月 ソフトバンク株式会社(現 ソフトバンクグループ株式会社)を割当先とする第三者割当増資を実施
し、資本業務提携を開始
2015年3月 本社を東京都新宿区西新宿へ移転
2015年8月 株式会社ユニコンから、スマートフォンにおけるプッシュ通知サービス「Fello」事業を、吸収分割
により承継
2015年9月 インターネット広告事業を運営する子会社としてPT. Geniee Technology Indonesia(インドネシ
ア)を設立
2015年10月
「GenieePMP」の提供を開始
2016年7月
マーケティングオートメーション「MAJIN」の提供を開始
2016年8月 現地企業との連携強化を目的として、インドネシアにPT. Adstars Media Pariwaraを設立
2017年8月 現地企業との連携強化を目的として、タイ(バンコク)に、 Geniee Adtechnology (Thailand) Co.,
Ltd. を設立
2017年12月 東京証券取引所マザーズに株式を上場
2018年3月 プライバシーマークを取得(登録番号:第22000250(01)号)
2018年6月 ちきゅう株式会社から、CRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システム「ちきゅう」事業を、吸収分割
により承継
2018年9月 東京都新宿区西新宿(住友不動産新宿オークタワー)へ移転
2018年10月 トレーディングデスクサービス提供業を運営するAdskom India Private Limited(インド)の株式
を取得し子会社化
2018年11月 チャット接客ツール「chamo」の開発・販売事業を運営する株式会社チャモ(日本)の株式を取得し
子会社化
(注)1.RTBとは、Real-Time Bidding(リアルタイムビッディング)の略称で、インターネット広告の表示機会が発
生するたびに広告枠の競争入札をオークション方式でリアルタイムに行い、最も単価の高い広告が配信され
るよう決定する、インターネット広告の入札の仕組みのことを指します。
2.SSPとは、Supply-Side Platform(サプライサイドプラットフォーム)の略称で、RTB技術を用いて、イン
ターネットメディア(Webサイト、アプリ等)の広告収益の最大化を支援するシステムのことを指します。
3. Web サイトの収益化に関するコンサルティングサービスを提供されている事業者や、Web制作会社など、多数
のサイト運営者と関わりのある企業が、日本国内におけるGoogle AdSense(Google社が提供している広告配
信サービス)の提案・販売活動を行うための支援プログラムです。
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3【事業の内容】
当社グループは、当社、Geniee International Pte., Ltd.(シンガポール)、Geniee Vietnam Co., Ltd.(ベト
ナム)、PT. Geniee Technology Indonesia(インドネシア)、PT. Adstars Media Pariwara(インドネシア)、
Geniee Adtechnology (Thailand) Co., Ltd.(タイ)、Adskom India Private Limited(インド)、株式会社チャモ
(日本)の6か国計8社で構成されております。
当社グループは、「テクノロジーで新しい価値を創造し、クライアントの成功を共に創る」というミッション(理
念)を掲げ、当社が独自開発したインターネットメディアの広告収益最大化プラットフォーム「GenieeSSP」を主軸
にアドテクノロジー事業を展開しております。また、「GenieeSSP」が持つ大量の広告配信データと顧客基盤を活か
した、広告主向けの「GenieeDSP」、「GenieeDMP」のほか、マーケティングオートメーション「MAJIN」、CRM(顧客
管理)/SFA(営業管理)システム「ちきゅう」の提供など、アドテクノロジー領域からマーケティングテクノロジー
領域へ事業を拡大しております。さらに、2012年(創業3年目)から海外事業展開に着手し、サービス提供地域の拡
大を図っております。このように、当社グループは、事業領域(事業軸)とサービス提供地域(地域軸)の2軸を拡
大することで、増収を続けてまいりました。
当社の事業セグメントは、アドテクノロジー事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略してお
ります。
<当社グループの特徴>
当社グループは、技術開発力と事業推進力の相乗効果により、売上高成長を実現してきました。
・技術開発力について
当社グループでは、テクノロジーの進化の速さや、国内外のメディア企業・広告主・広告代理店といった顧客企業
の利用ニーズに対応すべく、各プロダクトの企画から開発、運用、提供、サポートまでを全て内製化しております。
これにより、顧客企業様からいただくご要望や技術進化へタイムリーな対応が可能です。また、アドテクノロジー領
域における最先端の技術開発力を強みに、独自開発した広告配信プラットフォームを自社ブランドとして直接顧客へ
提供するだけでなく、国内外の企業様へOEM提供(Original Equipment Manufacturingの略で、他社ブランドのSSPや
DSP等を開発提供すること)しております。
当社グループの広告配信プラットフォーム上では、1秒間に数十万件の入札(広告配信注文)があり、1日のデー
タ処理量は、2019年3月末時点で約15テラバイトに上ります。このように、膨大なデータを超高速で処理するため、
システム基盤をフルハンドメイドしております。また、ビッグデータやAI(人工知能)を活用することで、広告配信
の精度向上や自動化の促進等に取り組んでおります。
さらに、アドテクノロジー関連の大学研究室と、オンライン広告配信やデータ解析等の先端技術について共同研究
しております。また、コンピュータサイエンスの博士/修士課程出身がエンジニアの半数を占め、新技術の研究開発
に取り組んでおります。
・事業推進力について
当社では、プロダクトを開発するエンジニア(作り手)と提供する営業・サポート担当(売り手)が約半数ずつ在
籍し、連携して事業拡大を推進しております。2019年3月末時点の単体の職種別従業員構成は、エンジニア:36%、
事業開発・プロダクト企画:15%、営業:28%、管理:13%、海外・出向:8%となっております。
また、ソフトバンクグループ株式会社をはじめ、国内外の通信キャリアや有力企業と資本業務提携し、OEM提供や
データ連携等を行っております。
<当社グループの事業環境>
インターネットが日常生活に定着し、スマートフォンの普及や様々なモノがインターネットに繋がるIoT化が進む
中、インターネット広告市場は拡大を続けております。
国内のインターネット広告市場の規模は、インフィード広告や動画広告の堅調な拡大に加え、検索連動型広告やア
ドネットワーク、DSP、SSPの利用拡大を背景に、2019年度で約1兆7,176億円(前年度比111.7%)と一層の拡大が見
込まれております (矢野経済研究所「インターネット広告市場の実態と展望 2018」) 。また、海外グループ会社が
関連するアジア地域のインターネット広告市場も、モバイル端末の急速な普及により、現在インターネット広告への
シフトが進みつつあり、引き続き高い成長率が予想されております(「eMarketer」データを元に当社推計)。
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<主要サービスの概要>
当社グループは、「アド・プラットフォーム事業」と「マーケティングオートメーション事業」「海外事業」を展
開しており、具体的な事業内容は次のとおりであります。
(1)アド・プラットフォーム事業
①「GenieeSSP」 (インターネットメディア事業者向けサービス)
「GenieeSSP」は、Supply-Side Platformと呼ばれる、インターネットメディア等の広告収益を最大化させるプ
ラットフォームです。インターネットサイトやアプリ上の広告枠を閲覧するユーザー毎に、RTB技術によりオーク
ション形式で選択された最適な広告を配信する仕組みです。配信される広告は、ユーザーの属性や行動履歴等のデー
タに基づいて選択された、最適で収益性の高い広告であり、ユーザーがサイトにアクセスしてから選択された広告が
表示されるまで、平均0.1秒以下という速さで行われています。
「GenieeSSP」は、国内外のDSPやアドネットワーク等とシステム連携することで、広告取引(オークション)への
参加者の獲得に努めており、産学連携によって研究開発された、独自の広告配信最適化アルゴリズムによって、より
効果的な広告配信を実現しています。
②「GenieeDSP」 (広告主・アドネットワーク事業者向けサービス)
「GenieeDSP」は、Demand Side Platformと呼ばれる、広告主の利益を最大化するための広告買い付けプラット
フォームです。「GenieeDSP」は、「GenieeSSP」等に接続することで、広告主のニーズに合わせて選択された枠へ配
信することができます。広告枠は、インターネットユーザーの過去の行動履歴や購入履歴、位置情報等のデータに基
づいて選択された、広告主にとって有望な見込み顧客と想定されるユーザー群の枠となります。また、PMP(Private
Market Place)(注1)機能により、広告主が指定した媒体に対してのみ広告配信することもできます。
さらに、広告主のマーケティング戦略の立案から、キャンペーンの設計、多様化・複雑化する広告配信・運用・レ
ポーティングをトータルでサポートするトレーディングデスクサービスも提供しております。
(2)マーケティングオートメーション事業
① マーケティングオートメーションプラットフォーム「MAJIN(マジン)」
「MAJIN」は、企業のマーケティング活動を自動化し、効率的に潜在顧客の集客や購買意欲等の向上、購買・契約
等を行うためのプラットフォームです。「MAJIN」では、「GenieeDMP」と連携することでビッグデータを活用した高
精度なユーザーターゲティングが可能な上、メール配信やアプリプッシュ通知、LINEによるメッセージ配信・自動
メッセージ対応等を通じた効果的なマーケティング活動を簡単に行うことができます。また、アトリビューション機
能により、複数の広告効果を明確に分析・評価できることから、広告出稿の効率化を図ることもできます。
② クラウド型CRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システム「ちきゅう」
「ちきゅう」は、顧客管理のためのCRM(Customer Relationship Management)及び営業活動における商談管理の
ためのSFA(Sales Force Automation)システムで、「顧客管理」「商談管理」「データ分析」等が一体となったク
ラウド型サービスです。直感的に使用できる操作性、一覧性が高くカスタマイズ自由な画面設計に加え、顧客情報・
営業情報をリアルタイムに可視化できる点に特長を持ち、時間・場所・デバイスを選ばず、誰でも状況把握が可能と
なり、生産性の向上や業務の効率化を実現いたします。
また、当社マーケティングオートメーションプラットフォーム「MAJIN」と併用することで、商談化率を向上さ
せ、確度の高い見込顧客のスクリーニング等を実施することができ、マーケティングと営業の効率的な連携により、
営業機会の最大化を実現することが可能になります。
(3)海外事業
海外事業では、インターネットメディア向けの「GenieeSSP」をはじめとしたアド・プラットフォーム事業を中心
に展開しております。2019年3月末時点で、シンガポール、ベトナム、インドネシア、タイ、インドに拠点を置き、
現地の企業様へサービスを提供しております。
(注1 )Private Market Placeの略。 参加できるメディアと広告主が限定された広告取引市場のこと。
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<補足説明:RTBによるインターネット広告配信の仕組み>
当社グループは、Webサイトやスマートフォンアプリ上に、各々の閲覧者に合った広告を瞬時に選択し表示させる技
術(アドテクノロジー)を使って、インターネットメディアや広告主の広告収益や効果を最大化させるシステム(プ
ラットフォーム)を提供しております。
RTB(Real‐Time Bidding)とは、広告の表示ごとにオークション方式で最も高単価な広告を配信する仕組みで、リ
アルタイムにインターネット広告枠を取引できる技術です。
広告主には「できるだけ安い広告費で、ターゲットユーザーを集客したい」というニーズが、インターネットメ
ディア等には「自社の持つ広告枠にできるだけ高い広告を載せて収益を上げたい」というニーズがあります。こうし
た相反するニーズに対して、システム上で広告枠をオークション形式により売買させるのがRTBで、ユーザーの属性や
行動履歴等のデータに基づき、広告1枠ごとに最適化した広告配信を行います。
RTBの技術を活用し、インターネットメディア等に対して、広告収益を最大化させるプラットフォームを提供してい
るのがSSP事業者です。インターネットメディア等はSSPを導入することで、自社の持つ広告枠へ自動的にオークショ
ン形式で広告の入札が行われるようになるため、高単価の広告案件が掲載されやすくなり、広告収益の最大化が期待
できるようになります。
一方、広告主や広告代理店等、広告枠を買う側に対して取引プラットフォームを提供しているのがDSP事業者です。
SSP事業者とDSP事業者は互いに接続し合い、SSP事業者が提供する入札リクエスト(広告の配信対象者や掲載面、配
信場所などの条件)に対して、複数のDSP事業者が応札し、最も高単価で応札したDSP事業者の広告が配信されること
になります。
<用語集>
・アドテクノロジー
インターネット広告の配信や流通のための技術で、広告主やインターネットメディア、インターネットユーザー
各々にメリットをもたらします。
広告主に対しては、より費用対効果の高い広告出稿を実現することで、収益増加や商品・サービスの認知度向上等
に貢献します。インターネットメディアに対しては、自社メディアに合ったより高単価な広告を表示させることで、
収益増加に貢献します。インターネットユーザーに対しては、高度なターゲティング技術により、各自の興味・関心
に合った情報の取得に貢献します。
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・アドネットワーク
複数のインターネットメディア等の広告枠を集めて広告配信ネットワークを作り、広告の販売や配信を一元管理す
る仕組みです。広告主や広告代理店等は、そのネットワークに参加し自社のターゲット層に合ったカテゴリのメディ
アへ一度に大量出稿ができ、1つ1つのメディアへ広告出稿するよりも配信や管理の手間が削減できるメリットがあ
ります。
・アドエクスチェンジ
複数のインターネットメディア等やアドネットワークを横断し、広告枠をインプレッション(広告表示)ベースで
売買する市場です。
以上に述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりとなります。
<売上計上の仕組み>
「GenieeSSP」や「GenieeDSP」経由で広告が配信されると、広告表示回数等に応じて広告主から当社グループへ広
告掲載料(=当社グループの売上)が支払われます。広告代理店や他社DSP、アドネットワーク、OEM提供先を介して
広告が配信される場合は、広告主からそれらを経由して広告掲載料をいただいております。
一方、当社グループからインターネットメディア事業者に対しては、広告配信回数等に応じて広告掲載料(=当社
グループの原価)を支払っております。
また、「MAJIN」や「ちきゅう」では、基本的に月額でシステムやサービスの利用料(=当社グループの売上)をい
ただいております。
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4【関係会社の状況】
議決権の所有
資本金
又は被所有
名称 住所 主要な事業の内容 関係内容
(百万円)
割合(%)
(連結子会社)
シンガポール
Geniee International
共和国 千米ドル
アド・プラット 営業取引
100.0
Peck Seah 4,432
Pte., Ltd. フォーム事業 役員の兼務2名
Street
ベトナム社会
Geniee Vietnam
千ベトナムドン アド・プラット 100.0 営業取引
主義共和国
Co., Ltd. 3,671,600 フォーム事業 (100.0) 役員の兼務1名
ハノイ市
インドネシア
PT. Geniee
千インドネシアルピー
アド・プラット 100.0 営業取引
共和国
3,440,750
Technology Indonesia フォーム事業 (99.0) 役員の兼務1名
ジャカルタ市
インドネシア
PT. Adstars Media 千インドネシアルピー
アド・プラット 51.0 営業取引
共和国
2,600,000
フォーム事業 (51.0) 役員の兼務1名
Pariwara
ジャカルタ市
Geniee Adtechnology
千タイバーツ
タイ王国 アド・プラット 49.0 営業取引
3,000
(Thailand) Co., Ltd. バンコク市 フォーム事業 (49.0) 役員の兼務1名
Adskom India Private 千インドルピー
インド共和国 アド・プラット 90.0
営業取引
1,388
ノイダ地区 フォーム事業 (90.0)
Limited
東京都 マーケティングオー 100.0
23
株式会社チャモ 営業取引
新宿区 トメーション事業 (100.0)
(その他の関係会社)
移動通信サービスの
提供、携帯端末の販
被所有
ソフトバンク株式会社 売、固定通信サービ
東京都港区 204,309 31.5 ―
(注)1 スの提供、インター
ネット接続サービス
の提供
ソフトバンク事業、
スプリント事業、ヤ
フー事業、アーム事
ソフトバンクグループ 被所有
業、ソフトバンク・
株式会社 東京都港区 238,772 31.5 ―
ビジョン・ファンド
(注)1 (31.5)
およびデルタ・ファ
ンド事業、ブライト
スター事業
(注)1.有価証券報告書の提出会社であります。
2.議決権の所有又は被所有割合欄の( )内は、間接所有割合で内数となっております。
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5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
2019年3月31日現在
セグメントの名称 従業員数(名)
258 (37)
アドテクノロジー事業
258 ( 37 )
合計
(注)1.従業員数は就業人員であり、正社員及び契約社員の合計であります。なお、従業員数の( )は臨時雇用者
数(パートタイマー、派遣社員及び業務委託を含む)の年間の平均人員を外数で記載しております。
2.当社グループはアドテクノロジー事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりま
す。
3.従業員が当連結会計年度で16名増加しましたのは、主として業務拡大に伴う採用によるものであります。
(2)提出会社の状況
2019年3月31日現在
従業員数(名) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(千円)
163 ( 33 ) 31.1 2.4 6,104
(注)1.従業員数は就業人員であり、正社員及び契約社員の合計であります。なお、従業員数の( )は臨時雇用者
数(パートタイマー、派遣社員及び業務委託を含む)の年間の平均人員を外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社はアドテクノロジー事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
4.従業員が 当事業年度 で11名増加しましたのは、主として業務拡大に伴う採用によるものであります。
(3)労働組合の状況
当社の労働組合は結成されておりませんが、労使関係は安定しております。
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第2【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「テクノロジーで新しい価値を創造し、クライアントの成功を共に創る」というミッション(理
念)のもと日本が誇る優れた技術力を背景に、独自開発したテクノロジーで、ユーザーの情報環境を変革していくこ
とを目指しております。
(2)経営戦略等
当社グループでは、創業来の主力サービスであるインターネットメディアの広告収益最大化プラットフォーム
「GenieeSSP」が持つ大量の広告配信データと顧客基盤を活かし、広告主向けの「GenieeDSP」、「GenieeDMP」と
いったアドソリューションのほか、マーケティングオートメーションツール「MAJIN」、CRM(顧客管理)/SFA(営業
管理)システム「ちきゅう」の提供を開始するなど、事業領域を拡大しております。さらに、2012年(創業3年目)
から海外事業展開に着手し、サービス提供地域の拡大を図っております。このように、当社グループでは、事業領域
(事業軸)とサービス提供地域(地域軸)の2軸を拡大することで、中長期的な企業価値向上を図ってまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、継続的な事業成長を図るべく、売上高、売上総利益、EBITDAの3指標を重視しております。
(4)対処すべき課題
当社グループは、以下の8点を対処すべき課題と認識しております。
① 技術革新及びインターネット業界の変化への対応
当社グループが事業を展開するインターネット広告業界は、第4次産業革命の中で大きな変化と可能性が想定され
ます。中でも、アドテクノロジーの進化のスピードは速い上、ビッグデータやAI(人工知能)の活用による広告配信
の精度向上や自動化の促進、IoT(Internet of Thingsの略で、様々なモノがインターネットに接続されデータや情
報をやりとりできる仕組みのこと)の進展やVRの利活用による広告バリエーションの増加といったドラスティックな
変化が考えられます。こうした中で、当社グループは、国内外のアドテクノロジー業界の技術革新を牽引し、新たな
市場の変化を捉えたプロダクトの開発・提供をいち早く行っていくことが、今後の事業規模拡大に必要不可欠である
と認識しております。
② 新規事業の創出及びM&A等による事業領域の拡大
当社グループは、創業来の主力サービスであるインターネットメディア向けの広告収益最大化プラットフォーム
「GenieeSSP」を主軸とするアドテクノロジー領域に加え、2016年7月よりマーケティングオートメーション「MAJIN
(マジン)」の提供を開始し、マーケティングテクノロジー領域へ積極的に事業領域を拡大しております。今後につ
きましても、国内外の企業様が抱える様々なマーケティング課題の解決に向け、新規事業の創出や事業シナジーが発
揮できる分野でのM&A等により、積極的に事業領域の拡大に取り組んでまいります。
③ 海外市場におけるシェア拡大及び新市場の開拓
当社グループは、2012年から海外事業展開に着手し、現在、シンガポール・ベトナム・インドネシア・タイ・イン
ドに現地拠点を置き、現地の大手通信キャリアやアドネットワーク等、現地企業様向けに「GenieeSSP」等のサービ
スを提供しております。今後につきましては、インターネットの普及に伴い、引き続きインターネット広告市場の高
い成長率が見込まれるアジア地域を中心に、既存拠点における顧客開拓や、事業規模及び各国市場のシェア拡大、未
展開の市場開拓等に取り組み、グループ全体の事業規模拡大を図ってまいります。
④ グローバル開発体制の強化
当社グループでは、国内外で提供しているプロダクトの企画や開発・運用等を全て内製化しております。このた
め、技術革新や各国のインターネット広告市場の変化を捉えた最先端のプロダクトを開発・提供することが、今後
の事業規模拡大に必要不可欠であると認識しております。今後につきましては、国内はもちろんのこと、ベトナム
をはじめとする主要海外拠点においても各国の顧客ニーズを捉えた開発をスピーディーに行うべく、グローバル開
発体制の強化を図り、アジアを代表するテクノロジー企業となることを目指してまいります。
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⑤ 優秀な人材の確保及びグローバル組織体制の強化
当社グループは、更なる事業拡大と業界革新を実現していく上で、優秀な人材の確保やグローバル組織体制の強化
が必要不可欠であると認識しております。このため、各事業フェーズに合わせ即戦力となる人材確保を目的とした中
途採用と、将来を担う社員の育成と組織の活性化を目的とした新卒採用を積極的に行ってまいります。また、グロー
バルで業界を牽引する人材の育成を重点課題と位置づけ、職種別・階層別研修の実施や、専門資格の取得支援、英語
学習支援等、幅広い成長機会の創出・支援を行ってまいります。さらに、年齢や国籍等に制限なく、高いスキルや潜
在的な能力、情熱を持つ人材を積極的に登用し、適材適所を見極めながら事業状況に合わせた臨機応変な組織改編を
スピーディーに行うことで、グローバルで強い組織体制を作ってまいります。
⑥ ブランディングの強化
当社グループは、アドテクノロジー業界において一定の認知を得ているものの、中長期で更なる事業拡大を図り成
長を加速していく上で、会社及びプロダクトのブランディングを強化していく必要があると考えております。今後
は、国内はもちろんのこと、グローバルでのPR活動や費用対効果を見極めた広告宣伝等も行ってまいります。また、
IR活動についても、ブランディング強化の機会と捉え積極的に取り組んでまいります。
⑦ 内部管理体制の強化
当社グループは、急速な事業環境の変化に適応し、継続的な成長を維持していくために、内部管理体制の強化が重
要であると認識しております。このため、事業規模や成長ステージに合わせバックオフィス機能を拡充していくとと
もに、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。具体的には、事業運営上
のリスク管理や定期的な内部監査の実施によるコンプライアンス体制の強化、社外役員の登用・内部統制システムを
活用した監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実等を行ってまいります。
⑧ システムの安定性の確保
当社グループは、インターネット上で顧客にサービスを提供しており、安定した事業運営を行うにあたり、国内外
での市場シェア拡大や新規プロダクトの提供、新規海外拠点の設立等を念頭に置いた、サーバー設備の増強や負荷分
散システムの導入等が必要不可欠であると認識しております。今後も、中長期的な視点から設備投資を行い、システ
ムの安定稼働及びセキュリティ管理体制の維持構築に取り組んでまいります。
⑨ 不適切な広告配信に対する監視体制の強化について
当社グループは、顧客に提供する価値を担保するために、当社が配信する広告に係る品質管理の徹底が重要な課題
であると認識しております。具体的には、不正な広告表示、錯誤を誘発する広告表示及び違法コンテンツを掲載する
インターネットメディアへの広告配信の監視、また、成人向け広告の取り扱いに関する社内方針を定め、該当する広
告取引の減少に努めてまいります。
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2【事業等のリスク】
当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる事項は、以下のとおりです。
また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資判断上、重要であると考えられる事項
については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来にお
いて発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
① インターネット広告市場の動向及び競争環境について
当社グループが主たる事業を展開するインターネット広告業界は、市場規模が過去10年足らずで急速に拡大い
たしました。インターネットに限らず、広告事業は一般的に景気動向の影響を受けや すい傾向が あります。 今
後、景気の悪化、広告予算の減額、または 市場規模が想定したほど拡大しなければ、当社グループの財政状態及
び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、依然として激しい競争環境の中で、当社グループは競合優位性を確立し競争力を高めるべく様々な施策
を講じております。しかしながら、必ずしもこのような施策が奏功し競合優位性の確立につながるとは限らず、
その場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 技術革新への対応について
当社グループのサービスは、インターネット関連技術に基づき事業展開しておりますが、インターネット関連
分野は新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われており、非常に変化の激しい業界と
なっております。また、広告を表示するデバイス面においては、スマートフォンやタブレットなどの端末の普及
が急速に進んでおり、新技術に対応した新しいサービスが相次いで展開されております。
このため、当社グループは、エンジニアの採用・育成や創造的な職場環境の整備、また特にスマートフォンに
関する技術、知見、ノウハウの取得に注力しております。
しかしながら、係る知見やノウハウの獲得が困難な場合、また技術革新に対する当社グループの対応が遅れた
場合には、当社グループの競争力が低下する可能性があります。更に、新技術への対応のために追加的なシステ
ム、人件費などの支出が拡大する可能性があります。このような場合には、当社グループの技術力低下、それに
伴うサービス品質の低下、そして競争力の低下を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可
能性があります。
③ 海外事業のリスクについて
当社グループは、シンガポール、ベトナム、インドネシア、タイ、インドに子会社を有しており、アジア地域
でインターネット広告事業を展開しております。海外事業は、当社グループの将来の成長投資と位置づけてお
り、今後も適宜事業を展開してまいりますが、各国特有の商習慣や政府規制等に対応できない等により事業の推
進が困難になった場合には、投資を回収できず、 当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性が
あります。
④ 自然災害等について
当社グループの事業活動に必要なサーバーについては、自然災害、事故等が発生した場合に備え、外部のデー
タセンターの利用や定期的バックアップ、稼働状況の監視等によりシステムトラブルの事前防止又は回避に努め
ております。万一、当社本社の所在地である東京都において大地震や台風等の自然災害や事故等により、設備の
損壊や電力供給の制限等の事象が発生した場合、当社が提供するサービスの継続に支障をきたす場合がありま
す。また、損害を被った設備等の修復や被害を受けた従業員に対する補償等の費用が発生し、 当社グループの財
政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容に関するリスク
① 季節変動について
当社グループのアド・プラットフォーム事業の売上は、広告主の広告予算により構成されるため、 広告主によ
る月ごとの予算配分に影響を受け、12月及び決算月(主に3月)に集中する傾向にあります。
このため、安定的に月次業績が推移する業種に比べ、売上及び利益の変動が起こりやすいほか、繁忙期に業務
が継続するような労働力を確保しておく必要があるため、変動が大きく下振れ幅が顕著な場合には当社グループ
の財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
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② 特定事業への依存について
当社グループの収益は、当事業年度時点において、創業期から経営資源を集中してきた主力事業である
「GenieeSSP」に依存しております。現在、アドテクノロジー領域からマーケティングテクノロジー領域へ、
「GenieeSSP」の持つ膨大な広告配信関連データや顧客基盤、これまで培ってきた広告運用ノウハウを活かし、
「GenieeDSP」やマーケティングオートメーション「MAJIN」、CRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システム「ち
きゅう」等へ事業領域の拡大を図ることで収益基盤の強化・拡大を図っております。今後につきましては、それ
ら新事業の市場シェア拡大を図るとともに、新機能・新規サービスの開発にも取り組んでまいります。
しかしながら、事業環境の変化等により、当社グループの上記施策が想定通りに進まない場合や、取引先 にお
ける配信ポリシーの変更又はシステム障害等により取引量等が減少した場合には、 当社グループの財政状態及び
経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ ソフトバンクグループとの取引について
当連結会計年度末現在において、当社グループは、当社議決権を31.48%所有するソフトバンク株式会社を含
むソフトバンクグループに属しており、ソフトバンクグループは当社グループのその他の関係会社に該当いたし
ます。ソフトバンクグループは、「ソフトバンク」、「スプリント事業」、「ヤフー事業」、「アーム事業」、
「ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンド事業」および「ブライトスター事業」を行ってお
り、そのなかで当社グループは、「その他」に持分法適用会社として属しておりますが、当社取締役会の承認事
項に関して特別取り扱いを定めた契約等は締結しておらず、当社グループの取締役会の独立性は確保されており
ます。また、当社の取締役(監査等委員である取締役を除く。) 5名のうち1名は、その豊富な経験に基づく経
営体制の強化等を目的として、ソフトバンク株式会社から招聘しております。また、同社の顧問1名が当社の取
締役として就任しております。 その者の氏名ならびに当社、ソフトバンクグループにおける主な役職は以下のと
おりであります。
当社における役職 氏名 ソフトバンクグループにおける主な役職
取締役(非常勤) 仁木 勝雅 ソフトバンク株式会社 顧問
ソフトバンク株式会社 法人事業統括 法人事業戦略本部 デジ
取締役(非常勤) 藤平 大輔
タルマーケティング事業統括部 統括部長
当連結会計年度における当社グループのソフトバンクグループ(注)との取引総額は、1,370,297千円(当社
グループの売上に占める割合は9.2%)、費用に係る取引総額は479,833千円(当社グループの売上原価と販売費
及び一般管理費に占める割合は3.1%)であります。ただし、ソフトバンクグループの事業方針等により取引条
件の変更が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(注)「 ソフトバンクグループ」は、ソフトバンクグループ株式会社とその子会社のヤフー株式会社及びソフト
バンク株式会社を意味しております。
④ 他社との業務提携等について
当社グループでは、事業方針に則り、他社との業務提携・協業及び出資・M&A等を通じた事業拡大ならびに新
領域の開拓に取り組んでおります。提携・協業・出資・M&A等の際は、各対象企業または事業とのシナジー効果
やリスク・リターン、対象企業の財務内容や契約関係等に関する慎重な検討及びデューデリジェンスを経て実施
しております。しかしながら、出資先の経営に対して十分なコントロールやモニタリングができず当初見込んだ
シナジー効果が発揮されない場合、様々な事由から契約が変更または解消された場合、業績変動等によりのれん
の減損損失の計上等が必要となった場合、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明した場合等には、当社グ
ループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
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有価証券報告書
⑤ 不適切な広告配信に対する監視体制の強化について
当社グループは、顧客に提供する価値を担保するために、当社が配信する広告に係る品質管理の徹底が重要な
課題であると認識しております。具体的には、不正な広告表示、錯誤を誘発する広告表示及び違法コンテンツを
掲載するインターネットメディアへの広告配信の監視、 また、成人向け広告の取り扱いに関する社内方針を定
め、該当する広告取引の減少に努めております。 しかしながら、万一、予期せぬ要因により、これらの対応に不
備が生じた場合、顧客への損害補填が必要となる等、 当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能
性があります。
(3)事業運営体制に関するリスク
① 人材の確保及び育成について
当社グループの成長を支えている最大の資産は人材であり、優秀な人材を採用し育成することは当社にとって
重要な課題であると認識しております。したがって、優秀な人材の確保と育成については最大限の努力を払って
おりますが、事業内容の急速な変化、事業規模の急拡大に伴う業務量の増加、及び人材マーケットの需給バラン
スやその他何らかの要因により、必要な人材の確保や育成ができなかった場合、若しくは重要な人材の流出や想
定以上の退職者が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② システムリスクについて
当社グループの事業は、そのサービスを、サーバーを中心とするコンピュータシステムからインターネットを
介して顧客に提供しております。これらのサービスにおいては、システムの増強やバックアップ体制の強化など
安定稼動のために常に対策を講じておりますが、機器の不具合、自然災害、想定を超える急激なアクセス増、コ
ンピュータウィルス等によりコンピュータシステムや通信ネットワークに障害が発生したり、不正なアクセスに
よりプログラム等の内容が改ざんされた場合、サービスの停止を余儀なくされる他、状況によっては顧客からの
信用が低下したり損害賠償を請求されたりするなど、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能
性があります。
③ 訴訟リスク、取引上のトラブルについて
当社グループは、リスク管理体制の整備・改善を継続的に図ってまいりますが、国内海外を問わず積極的に事
業拡大を推進していく上で、顧客・取引先・株主・従業員を含む第三者の権利・利益を侵害したとして、損害賠
償などの訴訟を起こされる可能性があります。その結果、当社グループの事業展開に支障が生じたり、企業イ
メージが低下したりする可能性があるほか、金銭的負担の発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能
性があります。
④ 法的規制について
インターネットを規制する国内の法律として「個人情報の保護に関する法律」があります。当社グループは、
SSP、DSP、DMP等のサービスのプラットフォームを通じて、Cookie(クッキー)技術を利用し、当社と提携する
Webサイトを閲覧したユーサ