ファースト・アブダビ・バンク・ピー・ジェー・エス・シー(First Abu Dhabi Bank P.J.S.C.) 有価証券報告書
提出書類 | 有価証券報告書 |
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提出日 | |
提出者 | ファースト・アブダビ・バンク・ピー・ジェー・エス・シー(First Abu Dhabi Bank P.J.S.C.) |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
EDINET提出書類
ファースト・アブダビ・バンク・ピー・ジェー・エス・シー(First Abu Dhabi Bank P.J.S.C.)(E25742)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第 24 条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 令和元年6月 28 日
【事業年度】 自 平成 30 年1月1日 至 平成 30 年 12 月 31 日
【会社名】 ファースト・アブダビ・バンク・ピー・ジェー・エス・シー
( First Abu Dhabi Bank P.J.S.C. )
【代表者の役職氏名】 ジェームズ・バーデット
最高財務責任者
【本店の所在の場所】 アラブ首長国連邦、アブダビ、私書箱 6316 、ハリーファ・ビジネス・パー
ク-アル・クルム地区、 FAB ビルディング
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 神 田 英 一
【代理人の住所又は所在地】 東京都千代田区丸の内1丁目1番1号 パレスビル3階
クリフォードチャンス法律事務所外国法共同事業
【電話番号】 03 - 6632 - 6600
【事務連絡者氏名】 弁護士 芦 澤 千 尋
【連絡場所】 東京都千代田区丸の内1丁目1番1号 パレスビル3階
クリフォードチャンス法律事務所外国法共同事業
【電話番号】 03 - 6632 - 6600
【縦覧に供する場所】 該当事項なし
(注)
1.本書において、別段の記載がある場合を除き、下記の用語は下記の意味を有するものとする。
「当行」とは、 ファースト・アブダビ・バンク・ピー・ジェー・エス・シーを
いう。ただし、本書中の記載は、別段の記載がある場合を除
き、連結ベースでなされているため、「当グループ」(以下に
定義される。)を指すことがある。
「当グループ」とは、 ファースト・アブダビ・バンク・ピー・ジェー・エス・シーお
よびその子会社をいう。
「 UAE 」とは、 アラブ首長国連邦をいう。
「政府」または「連邦政府」とは、 文脈上別段に解釈すべき場合を除き、アラブ首長国連邦の政府
をいう。
2.別段の記載がある場合を除き、本書に記載の「ディルハム」はアラブ首長国連邦の法定通貨をいい、
「円」は日本円をいう。 2019 年6月3日現在の株式会社三菱 UFJ 銀行の対顧客外国為替相場の公表仲値
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は、1ディルハム= 29.56 円であった。本書において記載されているディルハムの日本円への換算はかか
る換算率によって便宜上なされているもので、将来の換算率を表するものではない。
3.本書において表中の数字が四捨五入されている場合、合計は計数の総和と必ずしも一致しない。
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第一部【企業情報】
第1【本国における法制等の概要】
1【会社制度等の概要】
(1)【提出会社の属する国・州等における会社制度】
① 概説
本書提出日現在、当行の会社制度に関する法的事項を規制する主たる法律は、商事会社に関する
2015 年 UAE 連邦法第2号( その後の改正を含み、 以下「会社法」という。)である。また、当行は、中
央銀行、金融制度および銀行組織に関する 1980 年 UAE 連邦法第 10 号に基づき商業銀行の免許を取得して
いる 。 1980 年 UAE 連邦法第 10 号は、中央銀行および金融機関および金融組織に関する 2018 年 UAE 連邦法
第 14 号(その後の改正を含み、以下「銀行法」という。)に取って代わる。 当行は、会社法に加え、
銀行法のうち商業銀行に関する規定の適用を受ける。
会社法上、商事会社は、合名会社( Partnership Company )、合資会社( Limited Partnership
Company )、公開株式会社( Public Joint Stock Company )、非公開株式会社( Private Joint Stock
Company )または有限会社( Limited Liability Company )のいずれかの形態をとることができる。さ
らに、 会社法の規定により、銀行業および保険業を行うことができるのは公開株式会社( Public
Joint Stock Company )だけである。 銀行法上、銀行 (外国銀行の支店を除く。) は、公開株式会社で
なければならない。 首長令により 1968 年2月 13 日に設立された当行は、公開株式会社として登録され
ている。 会社法上、 公開株式会社の株式資本は、均等な価値を有する譲渡可能な株式に細分化されて
いなければならない。公開株式会社の発行済株式は、 30,000,000 ディルハム以上でなければならな
い。
以下は、本書提出日現在の、当行を含む公開株式会社に適用される会社法の一定の規定および当行
を含む銀行に 適用される銀行法の一定の 規定を要約したものである。
② 設立
当行は、 1968 年2月 13 日、当時のアブダビ首長国の首長たるシェイク・ザイード・ビン・スルタ
ン・アル・ナヒヤン殿下( Sheikh Zayed Bin Sultan Al Nahyan )の発令する命令を通してアブダビ首
長国において設立された。以下の要約は、会社法における公開株式会社の設立手続を記載したもので
あるが、当該会社法の規定は 1968 年に当行が設立された時点では施行されていなかった。
会社法上、一部の例外を除き、公開株式会社の設立には、5人以上の発起人が存在しなければなら
ない。発起人は、基本定款および定款を作成しなければならないが、かかる作成は会社法ならびに基
本定款および定款の施行にあたりなされた決議に従わなければならない。 UAE 証券・商品委員会(以下
「 SCA 」という。)は、公開株式会社の基本定款および定款の標準様式を公表しており、公開株式会社
は通常、かかる標準様式に準拠しなければならないが、かかる標準様式は、所轄の規制当局の承認に
より具体的に改訂されることがある。なお、基本定款および定款には 、特に、 以下の内容が含まれて
いなければならない。
(ⅰ)会社の商号および本店
(ⅱ)会社の存続期間
(ⅲ)会社設立の目的
(ⅳ)発起人の氏名、住所および居住地、生年月日ならびに国籍
(ⅴ)株式資本の額、株式の数ならびに各株式の 1株あたり 額面金額および払込金額
(ⅵ)現物出資による株式の記載、現物出資をした者の氏名、現物出資についての条件ならびに株式
に付帯する担保権および優先権
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公開株式会社の設立には、各首長国内の監督官庁(以下「監督官庁」という。)の認可を必要とす
る。かかる認可の申請は、監督官庁に対して設立申請書を基本定款および定款、会社が行おうとして
い る事業の経済的実現可能性についての検討資料、当該事業を行うための日程案ならびに監督官庁が
要求する他の書類とともに提出することによって行われる。かかる認可の申請の当該監督官庁による
当初承認後、発起人は、前述の書類を目論見書および所轄当局 による 承認書とともに SCA に提出しなけ
ればならない。 SCA は申請書を審査し、不足がない旨または設立申請を完了するために SCA が必要とみ
なす不備もしくは修正を発起人に対して伝える。発起人が当該不備の是正を怠った場合、当該設立申
請は放棄されたものとみなされることがある。所轄当局が設立書類(ならびに関連情報および承認
書)の要件遵守を認めてから、発起人は、基本定款および定款の認証済みの写しを監督官庁に提出す
ることになる。
発起人は、公開株式会社の株式の 30 %から 70 %を引き受けてから、その残余株式の公募引受の募集
を行わなければならない。公開株式会社の株式の公募引受の募集は、現地日刊新聞2紙(うち1紙は
アラビア語による)に掲載される目論見書に基づき行われなければならない。首長国投資庁
( Emirates Investment Authority )は、公開株式会社の設立時の株式のうち5%を上限として引き受
ける権利を有する。公募引受の募集は、 10 営業 日以上 30 営業 日以内(引受人不在の場合は、 SCA の同意
のもと発起人はかかる期間を最大 10 営業 日間延長することができる。)の期間で行われる。
③ 株主および株主総会
会社法に基づき、 UAE 法人の総発行済株式の 51 %以上については、 UAE 国籍の者( UAE 法人を含む。)
が保有しなければならない。会社は、自社の設立書類において、より高い割合の UAE 国籍の者による保
有要件を規定することができる。 銀行 の場合 は 、 銀行法上、 UAE 国籍の者による保有要件の下限は 60 %
であると規定されている。
SCA による同意後、株主総会が予定される日の 15 日前までに、株主総会の招集通知を全株主宛に現地
日刊新聞2紙(うち1紙はアラビア語による。)に公告により通知し、さらに書留郵便または SCA が決
定する方法により通知しなければならない。なお、招集通知には議題を記載しなければならない。
各株主は株主総会に出席する権利を有し、保有する株式の数と等しい数の議決権を有する。なお、
株主は、委任状を作成することにより、 会社の 取締役以外の者を代理人として選任し、かかる代理人
を株主総会に出席させることができる。 株主代理人は、その資格において、株式資本の5%超を保有
することはできない。
株主総会決議のための投票方法は定款に規定される。取締役の選任、解任または 説明責任 に関する
決議は秘密投票によらなければならない。
株主総会決議は、普通決議(該当する株主総会に出席した株主の単純過半数または定款に定めるそ
れ以上の承認を必要とする。)または特別決議(該当する株主総会に出席した株主の 75 %の承認を必
要とする。)のいずれかとする。
会社法および会社の定款に従って株主総会で可決された決議(普通決議 また は特別決議の別を問わ
ない。)は、全ての株主に対して拘束力を有する。ただし、会社法または会社の基本定款もしくは定
款の規定に反する決議または、会社の利益を考慮せずに、特定の種類株式の株主への賛否もしくは関
係者等に特別な利益を図るための決議は、善意の第三者の権利を損ねることなく無効となる。合計し
て会社の株式の5%以上を保有する株主による請求がある場合、 SCA は、総会で可決された決議につい
て、株主の不利益となる場合、特定の種類株式の株主が有利となる場合または取締役その他に特別な
利益をもたらすための決議である場合、当該決議の執行の停止命令を発令することがある。ただし、
この場合、請求根拠に重大性がなければならない。
株主総会は、最低でも1年に1回、事業年度の終了後4か月以内に、定款に定められた日および場
所において開催されなければならない。かかる年次株主総会における主たる議題は 、特に、 以下のと
おりである。
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(a)会社の直近の事業年度における事業活動および財務状態に関する取締役会作成にかかる報告書
についての審議および承認
(b)会社の貸借対照表および損益計算書についての審議および承認
(c)必要に応じて、取締役および監査人の選任および任命
(d)配当の分配に関する取締役会による提案についての審議
(e)取締役もしくは監査人の責任の免除またはこれらの者に対する訴訟手続開始の決定
取締役会は、適切であるとみなす場合に、随時株主総会を招集することができる。取締役会は、会
社の監査人が招集を要請した場合、株主総会を招集しなければならず、要請から5日以内に取締役会
が招集しなかった場合には、監査人が株主総会を招集することができる。さらに、取締役会は、総計
で会社の資本の 20 %以上にあたる株式を保有する1名以上の株主が株主総会の招集を要請した場合、
取締役会は、株主総会を招集しなければならない。基本定款には、この割合を 20 %よりも低く規定す
ることができる。
SCA は、年次株主総会が上記の4か月の期間から 30 日以内に開催されなかった場合、取締役会のメン
バーの数が取締役会決議の定足数に不足する場合、会社法違反もしくは定款違反または会社の経営に
おける不備が発生したと SCA がみなす場合、または株式資本の 20 %以上を保有する1名以上の株主によ
る請求があった際に取締役会が株主総会を招集することを怠った場合のいずれの場合においても、株
主総会を招集することを会社の会長に要求することができる。会社の会長が SCA による当該要求に従う
ことを怠った場合、 SCA は、当該会社の費用負担において、株主総会の招集通知を行う。
SCA および監督官庁は、代理人をオブザーバーとして株主総会に出席させることができる。かかる代
理人には議決権は与えられない。
株主総会の定足数は、定款により高い割合の規定がない限り、会社の株式資本の 50 %以上を保有 す
る株主が出席(委任状による代理出席を含む。)した場合に、定足数は満たされる。 定足数に満たな
かった場合には当該株主総会は延会され、1回目の総会後5日以上 15 日以内に2回目の株主総会が開
催される。2回目の株主総会においては、出席した株主数にかかわらず定足数は満たされているもの
とする。
株主総会における特別決議は、 総会に出席している株主が保有する株式の 75 %の承認により可決さ
れ、資本の増加または減少、他の会社との合併(これらに限られない。)について要求される。ま
た、 公開株式会社の定款変更についても、特別決議が( SCA ならびに監督官庁およびその他の所轄当局
の同意とともに)求められる。なお、商業銀行が定款変更するためには、 UAE 中央銀行(以下「 UAE 中
央銀行」という。)の事前承認が必要であり、商業銀行の定款変更は、 UAE 中央銀行の管理する銀行登
録簿に記録されることにより効力が生じる。
④ 取締役会および取締役会会長
(ⅰ)取締役の選任
公開株式会社の取締役会の構成、取締役の人数および任期は定款において定められる。なお、
取締役の人数は奇数とし、3人以上 11 人以下でなくてはならず、任期は3年を超えてはならない
(ただし、再 選 は可能)。また、取締役の 2/3 以上は、会社の株式を保有しなければならない。取
締役は、株主総会における秘密投票によって選任され、選任は、累積投票により行われる。取締
役の過半数および取締役会会長は UAE の国籍を持つ者でなければならない。
(ⅱ)取締役会の権限
公開株式会社の経営は、選任された取締役会により遂行される。取締役会は、会社法または定
款により株主総会の権限とされた事項を除き、会社の定款に定められた全ての権限を有する。た
だし、3年を超える借入期間の金銭消費貸借契約の締結、会社の保有する資産についての売却も
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しくは担保設定、会社の債務者に対する債務免除、和解もしくは仲裁の合意については、定款に
おいて認められているかもしくは その 性質上会社の目的の範囲内である場合を除き、取締役会が
行 うことはできない。これらの2つの例外が該当しない場合、株主総会の特別決議が必要とな
る。
(ⅲ)取締役会会長
取締役会は、取締役の中から、無記名投票により会長および会長不在の場合に会長の代理とな
る副会長を選任する。取締役会は、 SCA に会長および副会長を選任した決議を通知する。さらに、
会社が UAE 中央銀行の認可を受けている場合、 UAE 中央銀行の承認も必要となる。
取締役会会長は、裁判上および第三者との関係において会社を代表するが、会社の定款上、会
社のジェネラル・マネージャーが当該権限を有するものと規定している場合はこの限りではな
い。取締役会会長は、その権限の一部を他の取締役に委任することができる。
(ⅳ)競業行為および利益相反行為
公開株式会社の取締役は、 ( A ) 5社 を 超 える UAE で設立された 株式会社の取締役、 ( B ) 2社 を 超
える UAE で設立された 会社の会長もしくは副会長、または ( C ) UAE で設立された他の 会社のマネー
ジング・ディレクター を兼務しては ならない。
取締役は、株主総会による1年ごとの事前承認がない限り、自己または他人の計算で、会社の
事業と競合する事業に参加してはならず、また会社の事業に属する取引を行ってはならない。
取締役は、取締役会における審議と承認の対象となった取引について、自己と会社との間に利
益相反がある場合、取締役会にその旨を申告しなければならない。当該取締役はかかる取引に関
する取締役会決議に参加することはできない。
(ⅴ)報酬
定款には取締役の報酬を定める方法を明記しなければならない。ただし、取締役の報酬は、関
連する事業年度の減価償却費および準備金を控除後の純利益の 10 %を超えてはならない。
(ⅵ)取締役の解任
会社法の条項に従うことを条件として、 株主総会においては、全てまたはいずれかの取締役を
解任することができる。この場合、解任した取締役の代わりに新たな取締役を株主総会で選任し
なければならない。
⑤ 監査人
公開株式会社には、1名以上の監査人を設置しなければならない。監査人は、取締役により指名さ
れ、株主総会で承認される。監査人の任期は1年で、株主総会決議により再任可能であるが、その任
期は連続した3年を超えることはできない。監査人の報酬は、株主総会決議により定められる。
公開株式会社の監査人は、以下の要件 (これらに限られない。)の 全 て を満たさなければならな
い。
(ⅰ) UAE において専門職務を遂行する認可を受けていること、および公開株式会社の監査について5
年以上の経験を有していること
(ⅱ) SCA が当該監査人を承認すること
(ⅲ)監査人は、監査人としての専門職務と会社の株主としての立場を兼任しないこと、および会社
の取締役または技術職、管理職もしくは執行管理職に従事しないこと
(ⅳ)監査人は、当該会社の発起人または取締役の共同事業者または代理人または2親等以内の親族
ではないこと
(ⅴ)会社が UAE 中央銀行の認可を受けている場合、 UAE 中央銀行が当該監査人を承認すること
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監査人は、会社の会計を監査し、会社の貸借対照表および損益計算書を検査し、関係者との公開株
式会社の取引を検証し、会社法および当該会社の定款の規定が適用されていることを確保する。監査
人 は、監査業務についての結果報告書を株主総会に提出し、かつ、 SCA および監督官庁にその写しを提
出しなければならない。
監査人は、全ての会社の帳簿、記録その他の文書を調査することができ、職務の遂行に必要な場合
には釈明を求め、また、会社の資産、権利および負債を確認することができる。
⑥ 株式
(ⅰ)株式の形式
公開株式会社の会社資本は、均一の額面金額に細分化された株式により構成される。
1株あたり額面金額は、1ディルハム以上 100 ディルハム以下でなければならない。株式の額面
金額の 25 %以上については引受時に払い込み、残金については 、監督官庁への登記日から 3年以
内に払い込まなければならない。
株式は、登録式でなければならず、無記名式とすることはできず、譲渡可能でなければなら
ず、分割することができない。
公開株式会社は現在、他の種類株式を発行することができない。ただし、 UAE 議会は、 SCA 委員
長の提案により、会社の他の種類株式を発行する能力を判断する決定を発令することができる。
(ⅱ)資本の維持
公開株式会社は、株主の株式の払込債務を免除してはならず、当該債務と株主が会社に対して
有する債権とを相殺させてはならない。
会社またはその子会社のいずれも、会社が発行する株式、債券またはスクーク (イスラム債)
を株主が保有できるようにするため、株主に財政的な支援を提供することはできない。財政的な
支援には、とりわけ、ローン、贈与 も しくは寄付、担保としての会社の資産、または他人の債務
を担保または保証の提供が含まれる( ただし、これらに限られない。) 。
(ⅲ)株式の譲渡
UAE 内の認可金融市場のいずれかに上場されている会社の株式の所有権は、 SCA および当該株式
が上場されている金融市場の適用ある手続に従い譲渡することができる。
市場に上場されていない株式の所有権は、会社が保有する株式名簿にかかる譲渡を記入するこ
とにより譲渡される。当該記入は、株式に記載されるものとし、当該記入日からのみ当該会社ま
たは第三者に対して有効となる。
⑦ 計算
公開株式会社の事業年度は定款に定められる。ただし、銀行法上、商業銀行の事業年度は、1月1
日から 12 月 31 日までとされる。
公開株式会社の取締役会は、貸借対照表(事業年度末現在)および損益計算書を含む各事業年度の
決算書を作成しなければならない。会社の決算書については、国際会計基準に従い作成し、事業年度
における会社の利益または損失について真実かつ公正な見解を示さなければならない。会社の事業年
度の決算書は、監査人の監査を受け、当該監査人は監査報告書を作成する。当該決算書は、取締役会
により承認され、監査報告書とともに会社の事業年度終了後 4 か月以内に開催される株主総会に提示
される。
公開株式会社の純利益の 10 %(定款でより高い割合を定めた場合にはこれに従う。)は、毎年、法
定準備金として留保される。公開株式会社の定款でより高い割合を定めた場合を除き、法定準備金の
金額が会社の払込済資本の 50 %に達した場合、かかる純利益の留保を株主総会の決議により停止する
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ことができる。法定準備金を株主に対して配当することは認められない。ただし、株式資本の 50 %を
超える 法定準備金 については、会社が株主に対する分配に十分な純利益に達しなかった事業年度にお
い て、公開株式会社の定款に定める割合に従い、株主に対する配当に利用することができる。公開株
式会社の定款は、定款の定める目的における 任意積立金 を設定するために、純利益のうち一定の割合
を配分することを定めることができる。 任意積立金 は、株主総会による決議がある場合を除き、かか
る目的以外に利用することはできない。
公開株式会社の株主は、会社が分配可能利益を有している場合で、かつ、株主総会がかかる利益配
当を承認する決議をした場合、保有する株式の数に応じて配当を受領することができる。
(2)【提出会社の定款等に規定する制度】
当行は、定款において、法律で認められる範囲で、会社の組織に関する事項について規定している。
以下は、 本書提出日 現在の当行の定款の重要な規定を要約したものである。
① 目的
当行の設立の目的は、以下の通りである。
自己の勘定および第三者の勘定において、いかなる制約もしくは制限なしに、現行法および適宜施
行される法律において認められるあらゆる銀行取引および金融取引を行うこと、または、国内におい
ておよび国際的に認められた原則、慣習および規則に従い、商業銀行の通常の業務活動範囲内と考え
られる、上記に関連付随するあらゆる事項を行い、または取り扱うこと。当行は、上記の目的の実現
に必要な一切の行為および取引を何ら限定されることなく実行することができ、特に以下を行うこと
ができる。
(ⅰ) 銀行法の条項に従うことを条件として、当行の目的の達成に関連するもしくは必要なあらゆる
行為および取引を行い、あらゆる種類の契約および合意を締結し、直接 また は間接の別を問わ
ず、当行の目的の実現を支援し、当行の資産、財産もしくは権利の価値を高め、または当行の
利益を増加させるその他の行為、取引、契約および合意を実行しもしくは締結すること。
(ⅱ) 請求払いまたは通知払いの別を問わず、預金として資金を受領し、受け入れること。
(ⅲ) 顧客に貸付金および前渡金の提供を行うために、その全部または一部として用いるため債券ま
たは預金証書を利用すること。
(ⅳ) 現行法または慣習に従って、担保付または無担保の貸付け、借入れその他の様々な銀行業務の
提供を行うこと、および、抵当権、質権、先取特権、その他の担保権を設定しまたは受け入れ
ること。
(ⅴ) あらゆる種類および様式の信用状を開設、変更、期間延長、撤回または確認すること。
(ⅵ) あらゆる種類および様式の保証状を発行、更新、期間延長もしくは撤回し、またあらゆる種類
および様式の担保を提供すること。
(ⅶ) あらゆる種類の小切手を発行し、その対価を受け取ること。現行法に従い、トラベラーズ・
チェックを販売し、クレジットカードを発行すること。
(ⅷ) 公募債または特別債を発行し、株式の引受けを組成すること。
(ⅸ) 自己または他人の名義および勘定で為替および貴金属の取引を行うこと。
(ⅹ) 関連法に従い、ブローカーもしくは代理人を介し、自己または他人の名義および勘定で、国内
外を問わず様々な金融商品を売買すること。
( xi ) あらゆる動産および不動産、財産ならびに現行法(銀行法を含む。)が認める範囲におけるあ
らゆる種類の権利について、所有、売却、賃貸借または担保設定を行うこと。
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( x ⅱ)あらゆる種類の債券、手形、約束手形、小切手、為替手形、船荷証券その他のあらゆる商業・
金融証券について、割引、購入、売却および取扱いを行うこと。
( x ⅲ)貸金庫を賃貸し、あらゆる種類の様々な保管物およびその預託物を受領すること。
( x ⅳ)国内外のあらゆる官庁、準公的機関、裁判所、仲裁委員会、公共機関、会社、個人その他団体
または関係者に対し、当行を代理して当行の名において行為し、当行の目的を実行し実現する
ために必要な一切の行為および事項を行い、実行する弁護士、代理人その他の者を指名および
任命すること。
( xv ) 当行の事業活動の範囲内と考えられ、または、当行の目的の全部または一部を実現するために
必要と考えられる一切の行為および事項を実行、遂行および執行すること。
( x ⅵ)当行の事業および業務の管理に必要な社内規程を適宜策定し、必要に応じこれを改訂するこ
と。
( x ⅶ)当行の事業と類似した業務を行う他の団体、会社、銀行または金融機関が UAE 内外において当
行の目的実現に寄与する場合に、これに出資し、または何らかの形でこれに参加すること。当
行は当該団体、会社、銀行または金融機関を取得もしくは買収し、またはこれと提携すること
ができる。
( x ⅷ) 直接またはブローカーもしくは代理人を介するかを問わず、自らまたは第三者の勘定におい
て、 資金またはポートフォリオを運用すること。また、国で施行される法律、規則および決議
に従い、カストディアン、マーケットメーカーおよび会社登記業務を行うこと。
( x ⅸ)銀行法、現行法および慣習に従うことを条件として、自らの勘定または第三者の勘定の別を問
わず、銀行業務または金融業務を行うこと。
( xx ) UAE 内外において事業を行うこと。
② 株式
当行の株式は全て記名式であり、当行の株式の UAE 国籍の者による保有比率は常時、資本の 60 %以上
とする。
③ 資本の増減
会社法第 194 条ないし第 201 条および銀行法の規定に従い、当行は、 (i) 発行済株式と同額の額面価
額での株式の新規発行(当行は、株式の額面価額に株式プレミアムを上乗せすることを決定し、その
金額を定めることができる。)により、 (ii) 当行準備金の資本組入れにより、または (iii) 転換社
債もしくはスクーク(イスラム債)の転換により増資を行うことができる。 会社法第 202 条ないし第
205 条の規定に従い、減資も可能である。
新規発行株式は、額面価額を下回る価額で発行してはならないが、新規発行株式が額面価額を上回
る価額で発行された場合、法定準備金が資本の半分を超えることになったとしても、その差額は法定
準備金に加えられるものとする。
増資または減資は、当行の取締役会(以下「取締役会」という。)の提案に基づく株主の特別決議
に基づき、監査人による報告を検討した上で、 UAE 中央銀行および SCA の承認を得た場合に限り行われ
る。減資の場合には、決議の中で、減資額および減資の方法を定める。増資の場合には、提案の中
で、増資額、各株式の額面価額および既存株主のうち増資を引受ける権利を有する者を定める。
新規発行株式は、株式の引受申込書を提出した株主に対して、それぞれの株式保有比率に応じて分
配されるが、株主は、自身で依頼した株式数より多くの株式を割当てられることはない。分配後の残
りの株式は、自ら保有する株式数より多くの株式の引受申込みを行った株主に対して分配されるが、
株主は、自身で依頼した株式数より多くの株式を割当てられることはない。さらに残った株式につい
ては、 SCA が定める規制に従って公募を行うものとする。
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株主に対する優先買取権にかかわらず、会社法の規定およびこの点に関して SCA が公布した規制に
従って、または当行の従業員株式オプション制度の設置および運営のために、または当行の債務、社
債 および証書を同制度で転換するために、戦略的パートナーを株主として迎え入れることにより、当
行は特別決議に基づき、株式資本を増やすことができる。
④ 株主の有限責任
株主は、自己の保有する株式の範囲を超えて、当行の行為につき責任を負わないものとする。
⑤ 株式の譲渡
当行は、当行株式の発行、登録、取引、譲渡および担保設定 ならびにその結果生じる権利の手配 に
関し、上場されている金融市場で施行されている法律、規則および決議に従 う 。当行の株式について
の権利放棄、処分または担保設定が 当行の 定款の規定に違反する場合には、当行はかかる権利放棄、
処分または担保設定は行わない。
⑥ 配当
株式に係る配当は、これに関して SCA が公布した規則、決議および通達に従って株主に支払われる。
⑦ 取締役会
(i)取締役の選任および取締役会の構成
当行の経営陣は取締役会に帰属するものとし、取締役会は、会社法第 148 条の規定に基づき、累
積無記名投票により選任される取締役9名で構成される。全ての場合において、会長を含む委員
の過半数は、 UAE 国籍の者とする。
取締役会は、取締役会決議で定める基準に従い選任される社外取締役の議席数を割り当てるこ
とができる。かかる社外取締役は、累積無記名投票によって選任される。
取締役会のメンバーの任期は、3年間とする。この任期の終了時に、取締役会は再構成され
る。任期の終了した取締役については、これを再任することができる。
取締役会は、取締役会における欠員を補うために取締役を指名することができる。ただし、こ
の任命は、当該任命を承認しまたは他の取締役を任命するために開催される、直後の普通決議に
よる株主総会に上程されなければならない。
欠員数が当初の取締役の員数の4分の1に達した場合、欠員を補う者を選任するために、最後
に欠員が生じた日から 30 日以内に株主総会を招集するものとする。
あらゆる場合において、新任の取締役は前任の取締役の任期を引き継ぐ。
取締役会は、取締役の中から会長および副会長を無記名投票により選任するものとする。
会長は、裁判を含めて、あらゆる者に対して当行を代表し、取締役会の決定を執行するものと
する。
会長が不在その他の理由により職務を遂行できないときは、副会長がその職務を代行する。
会長は自らの権限の一部を他の取締役に委譲することができる。
取締役会は、当行の経営のため、取締役の中から1名以上のマネージング・ディレクターを選
任し、その権限および報酬を決定することができる。
取締役会は、取締役の中から監査委員会、指名・報酬委員会を組織するものとし、また、その
他の委員会を組織することもでき、その職務については設置時に決定するものとする。
取締役会会長、副会長、マネージング・ディレクターその他取締役会により授権された取締役
は、各自当行を代表して署名する権限を有する。
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(ⅱ)取締役会の権限
取締役会は、当行の経営を行い、その目的を実現するために必要なあらゆる行為を行う一切の
権限を有するものとし、かかる権限は、会社法、定款または株主総会決議によってのみ制限され
る。
取締役会は、3年を超える期間での金銭消費貸借契約の締結、当行の財産の売却、当行の動産
または不動産への担保設定、当行債務者の債務の全部または一部の免除、調停の実施、和解およ
び仲裁への付託の同意をすることができる。
取締役会は、事務、人事および金融取引に関する規程を定めるものとする。また、取締役会の
職務、議事ならびに権限および責任の分配に関する特別規程も定めるものとする。
(ⅲ)取締役会の審議
取締役会は、会長からの招集または取締役2名の要請により、必要に応じて当行の本店または
国内外の支店において開催される。取締役会は、1暦年に4回以上、開催されるものとする。
取締役会は、取締役の過半数が出席しない限り効力を有しないものとする。取締役は、他の取
締役を指名し自らの代理として議決権を行使させることができる。ただし、取締役は、いかなる
会議においても複数の代理権を有してはならないものとする。出席は、本人自ら現地に赴くか、
または SCA が認める電話等の音声もしくはテレビ会議等の映像による手段によるものとする。
取締役会決議は、出席しまたは代理される取締役の過半数の賛成により採択される。可否同数
の場合、取締役会議長が決定票を投ずる。また、書面決議は認められない。
取締役会の議事録は、特別な記録簿に編綴され保管されるものとし、出席取締役および取締役
会秘書役により署名されるものとする。
決議に反対の取締役は、議事録に自らの意見を記録させることができる。
(ⅳ)取締役の責任
取締役は、その職務の過程においてまた権限の範囲内で関与した当行の行為につき、個人的に
責任を負わないものとする。
取締役会会長およびその他の取締役は、善良なる管理者の注意をもって当行の権利を保全し、
当行の利益のために働き、詐欺、職権濫用、会社法、その他の法律および定款への違反、ならび
に経営上の過誤について、当行、株主および第三者に対して責任を負う。かかる責任は、 当該過
誤が取締役の総意により採択された決議から生じた場合には、取締役全員について生じるものと
する。ただし、対象となる決議が多数決により決せられた場合であって、異議を唱えた取締役が
反対意見を取締役会議事録に記載した場合には、当該取締役はその責任を負わない。また、決定
が行われた取締役会を欠席した取締役は、当該決定を知らないことについて、または知りなが
ら、これに異議を唱えることができないことについて特に証明しない限り、その責任を放棄する
ことはできない。
(ⅴ)取締役の報酬
株主総会は、会社法および定款第 56 条の規定に従って、毎年、取締役会の報酬を決定する。
⑧ 株主総会
(ⅰ)株主総会への出席および議決権
適法に招集された株主総会(以下「株主総会」という。)は全株主を代表するものとし、株主
総会は、アブダビにおいてのみ開催することができる。
株主総会の日の前営業日に当行の株式名簿に登録されている株主は、株主総会に出席する権利
を有し、その保有する株式の数と等しい数の議決権を有する。株主は、株主総会に出席する自ら
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の代理人(ただし、取締役であってはならない。)を別途書面による委任状により指名すること
ができる。いずれの場合においても、代理人は、その資格において、当行の株式資本の5%超を
保 有することはできない。未成年者および制限行為能力者については、その法定後見人を代理人
とする。
株主総会の前営業日に当行の株式名簿に登録されている株主のみが、かかる株主総会における
議決権を有するものとする。
(ⅱ)定足数および可決の要件
株主総会の適法な招集には、当行の株式資本の 50 %以上にあたる株式を保有する株主の出席を
要するものとする。最初の総会においてこの定足数に満たなかった場合には、最初の総会から5
日以上 15 日以内に再度株主総会が招集され、2回目の総会は出席株主の数に関係なく有効とされ
る。株主総会決議は、会社法により株主総会の特別決議による採択が求められない場合には、当
該総会の出席株主の保有する株式の絶対多数の賛成により可決される。
(ⅲ)株主総会決議事項
株主総会は、取締役会からの通知により、1年に1回以上、事業年度の終了後4か月以内に、
通知に記載された時および場所において開催される。
株主総会は、特に、年間の当行の事業活動および財務状況に関する取締役会の報告ならびに監
査人の報告についての審議および承認、貸借対照表および損益計算書についての審議および承
認、利益の分配基準の承認、(必要な場合には)取締役の選任およびその報酬の決定、監査人の
任命およびその報酬の決定、取締役および監査人の責任の免除、または場合により取締役および
監査人に対する損害賠償請求に係る決議を行うために開催されるものとする。
全株主の全員一致の承認を要する事項である株主の責任の増大、当行の基本目的の変更および
アブダビ外への本店の移転を除いて、株主総会は、資本の増減、当行の存続期間の延長または短
縮、当行の他行との合併、当行の解散、当行の行う事業の売却その他の方法による処分等、定款
の規定を変更するための特別決議を可決することができる。ただし、銀行法の規定を斟酌し、変
更の対象となる事項については、招集通知にその詳細を記載する。
⑨ 計算
(ⅰ)事業年度
当行の事業年度は、 毎年 1月1日から 12 月 31 日までとする。
(ⅱ)財務書類
取締役会は、年次株主総会の少なくとも1か月前には、各事業年度に係る貸借対照表および損
益計算書を作成するものとする。取締役会は、事業年度における当行の事業活動、当該年度末に
おける財務状況、純利益の分配方法の提案に関する報告書も作成するものとする。
貸借対照表、損益計算書および取締役会の報告書の写しは株主に送付され、年次株主総会の議
題に添付される。
(ⅲ)配当支払の方法
当行の年間純利益は、費用その他の経費を控除した後、以下のとおり分配される。
(a) 10 %を控除して法定準備金に割り当てる。準備金の額が当行の払込済資本の少なくとも
50 %に達した場合には、かかる控除を停止するものとする。準備金の額が当該水準を下
回った場合には、控除を再開するものとする。
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(b)銀行法の要請に従い、さらに 10 %を控除して特別準備金に割り当てる。かかる控除は、当
該準備金が当行の払込済資本の 50 %以上に達するまで行われる。株主は、当該特別準備金
から配当を受けることはできない。
(c)払込済株式価額の5%が、利益の一部として株主に分配するため控除される。ただし、一
年間の純利益が本部分の分配に足りない場合でも、翌年の利益からこれを分配することは
できない。
(d)上記を控除後、残額の 10 %を上限として、取締役会への報酬の支払に割り当てるものとす
る。
(e)純利益の残額は、利益の追加部分として株主に分配されるか、取締役会の提案に従ってそ
の翌年に繰り越されるか、または取締役会による決議に従い臨時準備金の設定に割り当て
られるものとする。
2【外国為替管理制度】
201 8 年 12 月 31 日現在、当行が 2011 年に発行した社債(以下「本社債」という。)の購入 も しくは取得 ま
た は当行による本社債の利息 およ び償還金の送金について UAE の外国為替管理上の制限は存在しない。
3【課税上の取扱い】
以下の記述は一般的な概略に過ぎず、 本書提出日現在に施行されている税法および慣習に基づくもので
ある。 本社債に投資しようとする投資家は、各投資家の状況に応じて、本社債に投資することによるリス
クや本社債に投資することが適当か否かについて各自の財務・税務顧問に相談すべきである。
アブダビ首長国およびドバイ首長国では、現在、一般法人課税制度を創設する法律( 1965 年アブダビ法
人税令(その後の改正を含む。))が施行されている。しかし、同制度は、 石油 産業・関連サービス産業
に従事する会社および UAE 国内で営業する外国銀行の支店を除き、実施されていない。同法律が、将来、よ
り一般的にまたは他の産業においても実施されることとなるか否かは不明である。現在の法律において
は、 UAE または アブダビ首長国の税制を理由に、負債証券(本社債を含む。)の元利金の支払につき源泉徴
収または控除を要求されることはない。
UAE 憲法は、 UAE 連邦政府の予算を調達するために、連邦ベースで税金を引き上げる権利を UAE 連邦政府に
明確に留保している。当該権利が将来において行使されるか否かは不明である。
UAE は他の一部の国と二重課税防止協定を締結しているが、その数は多くはない。 2013 年5月2日、日本
との間で「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアラブ首長国連邦
との間の条約」に署名し、同条約は、 2014 年 12 月 24 日に施行された。
4【法律意見】
本書の提出に関連して、アブダビ法(以下に定義される。)に関し、 当行の 法律顧問 であるクリフォー
ドチャンス・エルエルピーにより次の趣旨の法律意見書が提出されている。
(1)当行は、アブダビ法に基づき 、公開株式会社として 適法に設立され 、存続し ている。
(2)本書の 「第一部 企業情報-第1 本国における法制等の概要」における 記述は、 当該記述が アブ
ダビ法 に 関する 記載である限り、 全ての重要な点において真実かつ正確である。
本目的において、「アブダビ法」とは、アブダビの法律および(アブダビにおいて適用される範囲にお
ける) UAE の法律(ただし、法律意見書の日付現在において ADGM のウェブサイトに公表され、施行されてい
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る ADGM の法令に基づき ADGM で適用される法律を除く。)をいい、「 ADGM 」とは、アブダビ・グローバル・
マーケットに係る 2013 年第4号アブダビ法に基づき設立されたアブダビ・グローバル・マーケットをい
う。
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第2【企業の概況】
1
1【主要な経営指標等の推移】
2018 年 2017 年 2016 年 2015 年 2014 年
(連結) (連結) ( NBAD ( NBAD ( NBAD
グループ) グループ) グループ)
営業収益(千ディルハム) 19,445,742 16,380,457 10,808,184 10,555,850 10,414,717
当期純利益(千ディルハム) 12,066,389 9,167,255 5,296,042 5,231,817 5,578,869
資本合計(千ディルハム) 101,973,000 102,209,413 46,505,503 43,218,653 37,963,382
資産合計(千ディルハム) 744,125,195 668,968,295 420,713,500 406,563,807 376,098,712
基本1株当たり利益
(ディルハム) 1.06 0.91 0.96 0.97 1.04
希薄化後1株当たり利益
(ディルハム) 1.06 0.91 0.95 0.95 1.02
自己資本比率 15.7% 16.2% 18.09% 16.74% 16.39%
営業活動による正味現金(千
ディルハム) 60,122,427 14,211,797 17,935,811 7,877,804 40,639,154
投資活動(に使用された)/
による正味現金(千ディルハ
ム) (6,516,675) 107,817,699 197,321 3,320,184 (16,380,174)
財務活動に使用された正味現
金(千ディルハム) (12,534,293) (11,003,106) 3,987,201 9,614,018 (6,618,177)
12 月 31 日現在現金および現金
同等物(千ディルハム) 175,677,376 134,605,917 97,059,265 74,938,932 54,126,926
1. 2014 年から 2016 年の比較数値は、ナショナル・バンク・オブ・アブダビ・ピー・ジェー・エス・シー(以下、
「 NBAD 」という。)に関する財務情報である。
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2【沿革】
当行はわが国最初の国立銀行であり、 1968 年2月 13 日に故シェイク・ザイード・ビン・スルタン・ア
ル・ナヒヤン殿下により正式に開設され、会社法に基づき公開株式会社として登録された。
設立から 46 年間、 UAE およびアブダビ首長国の成長や発展とともに、当行もまた成長、発展してきた。今
日では、当行は、中東・北アフリカ(以下「 MENA 」という。)地域における最大の銀行組織の1つであ
る。
当行は、当行の有する中核的能力に基づき、集中的な戦略を武器に、伝統的な国内銀行から国際銀行へ
と発展を遂げてきた。この堅固なビジネスモデルは、当行の収益性を引き上げると同時に、アブダビの力
強い経済発展に大きく貢献している。
当行は、 1972 年に、第1号支店をアル・アインに開設し、 1975 年には、エジプト、カイロのタラート・
アル・ハーブに第1号海外支店を開設した。
また 1988 年1月に、 UAE では初となる株価指数、すなわち国内株式市場で最も活発に取引されている複数
の株式を基準とする「 NBAD 総合指数」を確立した。
2000 年9月には、当行の初のファンドとなる UAE グロース・ファンドにつき初公募を実施した。
当行は、 2000 年 11 月 15 日に、アブダビ証券取引所( ADX )に上場した。
当行は、 2009 年2月にグローバル・フィナンシャル・マーケッツ・フォーラムを初めて開催した。当行
は、 2009 年8月以降グローバル・ファイナンス誌により世界における最も安全な 50 の銀行のうちの1行と
して認められている。当行は、アブダビ・フォーミュラ1グランプリの 2009 年 11 月の初開催からオフィ
シャル・バンキング・パートナーを務めている。
当行は 2010 年末に、年間純利益が1十億米ドルを超える UAE における初の銀行となった。
2013 年7月に、アレックス・サーズビー氏がマイケル・トマリン氏に代わり当行の最高経営責任者(以
下「 CEO 」という。)に就任した。トマリン氏は、 1999 年から当行の CEO を務めていた。
2014 年に、当行の資産合計額は 100 十億米ドルの目標を超えた。
2015 年に当行は、中小企業経営者および取締役の能力向上ならびに UAE および湾岸地域の起業家精神育成
の役割を担うことを目的とした中小企業アカデミーを設立した。 2015 年 11 月に、当行はムンバイ支店を開
設し、さらに RBS (ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)のインドのオフショア・ローン・ポート
フォリオを取得した。
2016 年 12 月7日、当行およびファースト・ガルフ・バンク・ピー・ジェー・エス・シー(以下「 FGB 」と
いう。)の株主はそれぞれ、当行および FGB の合併(以下「 FGB との合併」という。)を承認するためのそ
れぞれの株主総会において、必要とされる株主決議を可決した。
2017 年4月 24 日、 NBAD 株主は、ファースト・アブダビ・バンク・ピー・ジェー・エス・シーに登記上の
名称を変更する旨承認するために必要となる決議を株主総会において可決した。 2017 年4月 25 日、 NBAD
は、アラブ首長国連邦証券・商品委員会から、名称変更を行うために必要な規制上の承認を受けている。
これに従い、ファースト・アブダビ・バンク・ピー・ジェー・エス・シーへの名称変更は 2017 年4月 25 日
に有効となった。
当行は、 2019 年スペシャルオリンピックス世界大会アブダビのオフィシャル・パートナーであり、運営
される地域社会が受ける恩恵ならびにアブダビ政府による寛容性および多様性の拡大へのコミットメント
に沿っている。
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3【事業の内容】
一般
UAE 最大の銀行かつ世界 最大 規模および最も安全な金融機関の1行である当行は、カスタマイズされた
経験を提供するため、顧客それぞれの要望にそった形のソリューションならびに商品サービスを多岐に
わたり提供している。戦略的な提供にあたり、市場を牽引するコーポレート・アンド・インベストメン
ト・バンキングおよびパーソナル・バンキングのフランチャイズを通して世界中の顧客のバンキング・
ニーズに応えている。
当行はアブダビのハリーファ・ビジネス・パークに本店を構え、国際ネットワークは5大陸に及んで
おり、国内外においてビジネスを行おうとしている現地、地域内および海外の会社をサポートするた
め、グローバルな関係性、 専門性 および財務力を提供している。
「強化」( Grow Stronger )に向けた顧客第一主義へのコミットメントに合致して、当行は、最も顧客
に便宜な銀行サービス経験を 生み出す ため、人員および技術への投資を継続的に行い、当行が営業を
行っている国において利害関係者の成長意欲を支援する予定である。
顧客およびクライアントを「強化」に導くため、当行は銀行業を超えて力強い変革を始めた。「強
化」の動きは、さらなる成長を遂げるためのアイディア、ツールおよび専門性を提供しながら、今日お
よび将来的に、利害関係者の目標および成長要求をサポートするという当行の約束の表れである。
当行は、合計 744 十億ディルハム( 203 十億米ドル)の総資産を擁し、ムーディーズ、 S&P および フィッ
チ からそれぞれ Aa3 、 AA- および AA- の格付を付与されており、これは MENA 地域において最高ランクの格付
の取り合わせである。当行は、グローバル・ファイナンス誌により UAE および中東における最も安全な銀
行にランクされている。ザ・バンカー誌による 2018 年度世界の銀行トップ 1000 において、当行は、資本
力中東第1位および世界第 81 位ならびに全世界における総資産第 116 位にランクされている。効率改善お
よび適切かつ堅固なコーポレート・ガナバンス体制につながる分散化された健全なバランスシートを通
じて、当行は前向きな成長へ向かっている。
事業
当行は、現在、財務報告目的において、以下の4つの異なる事業セグメントを通して主要な事業分野
を運営している。
コーポレート・アンド・インベストメント・バンキング(以下「 CIB 」という。)
CIB セグメントは、専門顧客サブ・セグメント(インスティテューショナル・バンキング・グループ、
コーポレート・バンキング・グループおよび金融機関グループを含む。)を通じて、当グループの法人
顧客を対象としている。 CIB セグメントでは、 UAE 国内外において法人および投資銀行顧客向けに多岐に
わたる商品およびサービス(与信枠、グローバル・トランザクション・サービス、法人金融、イスラム
金融およびグローバル市場性商品を含む。)の提供を行っている。
パーソナル・バンキング・グループ(以下「 PBG 」という。)
PBG セグメントは、多岐にわたる流通および販売チャンネルの多様性(モバイル・バンキングおよびイ
ンターネット・バンキング、支店および直接販売代理店を含む。)を通じて、ならびにその銀行子会社
を通じて、リテール、資産家、中小企業(以下「 SME 」という。)、富裕層の顧客およびイスラム消費者
金融セグメントを対象にしている。商品の提供範囲は、当座預金、預金、クレジットカードおよび貸付
金といった日常的な銀行商品から、洗練された投資ソリューションならびにビジネス・バンキング商品
およびサービスにわたる。 PBG セグメントは、対象とする広範な顧客基盤の多様なニーズを踏まえて構築
されており、リテール、資産家、プライベート・バンキングおよび SME 顧客セグメントを扱う専門チーム
を擁している。
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子会社
子会社セグメントは、不動産業、プロパティ・マネジメント、仲介および従来の銀行業にわたって提
供される補完的な商品により支えられる分散化された事業モデルを含む。当事業には、当行グループが
部分的にまたは完全に所有する子会社(すなわち、 FAB プロパティーズ・エル・エル・シー(以下「 FAB
プロパティーズ」という。)、アブダビ・ナショナル・プロパティーズ・ピー・ジェー・エス・シー
(以下「 ADNP 」という。)、ミスマック・プロパティーズ・カンパニー・エル・エル・シー(以下
「 Mismak 」という。)、ファースト・アブダビ・バンク・セキュリティーズ・エル・エル・シー(以下
「 FAB セキュリティーズ」という。)およびファースト・ガルフ・リビアン・バンク)が含まれる。
本店
本店セグメントは、当グループのすべての異なる事業ユニットに対し、人事、情報技術(以下「 IT 」と
いう。)、オペレーション、財務、戦略、投資家向け広報活動、リスク管理、信用管理、コーポレート・
コミュニケーション、法務およびコンプライアンス、内部監査、調達、財務運用、経営統合管理オフィス
および事務サポートを集中管理の上提供している。
当行の報告セグメントの詳細については、下記「第3-1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
-戦略」を参照のこと。
2018 年 12 月 31 日現在、当行は、 UAE に 79 の支店および支払事務所ならびに 568 台の現金自動支払機(以
下「 ATM 」という。)を擁しており、その大多数がアブダビおよびドバイにある。当行は、支店、子会社
駐在員事務所および合弁事業会社1社を通じて、5大陸においてプレゼンスを有している。また、当行
は、多岐にわたる代替販売チャンネル(インターネット・バンキング、電話および SMS バンキング・シス
テムを含む。)および当グループのモバイル・アプリを通じて個人および法人顧客向けにサービスを提
供している。
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4【関係会社の状況】
子会社および重要な出資
2018 年 12 月 31 日現在
設立国 保有議決権 事業内容 資本金 会計処理
子会社:
ファースト・アブダビ・バンク・ キュラソー 100 % 銀行業 133 百万米ドル 100 %連結
ユーエスエー・エヌ・ブイ
(旧 NBAD アメリカズ・エヌ・ブイ )
FAB セキュリティーズ・エル・エ アブダビ( UAE ) 100 % 仲介業 250 百万ディルハム 100 %連結
ル・シー(旧 NBAD セキュリティー
ズ・エル・エル・シー))
アブダビ・ナショナル・リーシン アブダビ( UAE ) 100 % リース 10 百万ディルハム 100 %連結
グ・エル・エル・シー
アブダビ・ナショナル・プロパ アブダビ( UAE ) 100 % プロパティ・ 200 百万ディルハム 100 %連結
ティーズ・ピー・ジェー・エス・
マネジメント
シー( ADNP )
FAB プライベート・バンク(スイ ジュネーブ(スイ 100 % 銀行業 100 百万スイス・フラ 100 %連結
ス)エスエー ス) ン
(旧 NBAD プライベート・バンク
(スイス)エスエー)
ファースト・アブダビ・ファイナ アブダビ( UAE ) 100 % イスラム金融業 500 百万ディルハム 100 %連結
ンス・ ピー・ジェー・エス・シー
(旧アブダビ・ナショナル・イス
ラミック・ファイナンス・ ピー・
ジェー・エス・シー)
1
アブダビ・セキュリティーズ・ブ エジプト 仲介業 10 百万エジプト・ 100 %連結
96 %
ローカレッジ・エジプト
ポンド
(旧アブダビ・ブローカレッジ・
エジプト)
NBAD マレーシア・ブルハド クアラルンプール 100 % 銀行業 50,359 千マレーシ 100 %連結
(マレーシア) ア・リンギット
NBAD エンプロイー・シェア・オプ ドバイ( UAE ) 100 % 株式・有価証券 100 ディルハム 100 %連結
ション・リミテッド
エスエーエス・ 10 ・マゼラン フランス 100 % リース 1,000 ユーロ 100 %連結
ブラジル 100 % 駐在員事務所 100 %連結
ナショナル・バンク・オブ・ 50 千レアル
アブダビ・レプレゼンタソン
イス・エルティーディーエー
NBAD フィナンシャル・マーケッツ ケイマン諸島 100 % 金融機関 100 米ドル 100 %連結
(ケイマン)リミテッド
ナワット・マネジメント・サービ アラブ首長国連邦 100 % 債権回収業 150,000 ディルハム 100 %連結
シーズ - ワン・マン・カンパ
ニー・エル・エル・シー
ミスマック・プロパティーズ・ アラブ首長国連邦 100 % 不動産投資 1,000,000 千ディルハ 100 %連結
コ・エル・エル・シー ム
( Mismak )
ムーラ・プロパティーズ・エル・ アラブ首長国連邦 67% 不動産投資 150 千ディルハム 100% 連結
エル・シー( Mismak 子会社)
ファースト・マーチャント・イン アラブ首長国連邦 100 % 不動産投資 300,000 千 ディルハム 100 %連結
ターナショナル・エル・エル・
シー( FIM )
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FAB エンプロイメント・サービシ アラブ首長国連邦 100% 人材サービス 150 千ディルハム 100% 連結
ズ・エル・エル・シー( FMI 子会
社)
(旧 ファースト・アブダビ・エン
プロイメント・サービシズ・エ
ル・エル・シー )
FAB リソーシング・エル・エル・ アラブ首長国連邦 100% 人材サービス 300 千ディルハム 100% 連結
シー( FMI 子会社)
FAB スクーク・カンパニー・リミ ケイマン諸島 100 % 特別目的ビークル 0 100 %連結
テッド
FGB スクーク・カンパニーⅡリミ ケイマン諸島 100 % 特別目的ビークル 0 100 %連結
テッド
ファースト・ガルフ・リビアン・ リビア 50 % 銀行業 260 百万リビア・ディ 100 %連結
2
ナール
バンク
FGB グローバル・マーケッツ・ケ ケイマン諸島 100 % 金融機関 0 100 %連結
イマン・リミテッド
FAB プロパティーズ・エル・エ アラブ首長国連邦 100 % 不動産管理および 150 千 ディルハム 100 %連結
ル・シー(旧ファースト・ガル
仲介業
フ・プロパティーズ・エル・エ
ル・シー)
アシール・ファイナンス・ピー・ アラブ首長国連邦 100 % イスラム金融業 800,000 千ディルハム 100 %連結
ジェー・エス・シー
ドバイ・ファースト・ピー・ アラブ首長国連邦 100 % クレジットカード 458,357 千 ディルハム 100 %連結
ジェー・エス・シー
金融
ファースト・ガルフ・インフォ アラブ首長国連邦 100 % IT サービス 150 千 ディルハム 100 %連結
メーション・テクノロジー・エ
ル・エル・シー
FAB インベストメント・ケー・エ サウジアラビア 100 % 金融機関 2.5 百万サウジアラビ 100% 連結
ス・エー ア・リヤル
王国
注1:株式資本全体は、当行によって保有されている。
95.995 %は当グループ内部で保有されており、残りの 4.005 %はその他の少数株主(グループ外部)により保有されている。
注2:当行は、ファースト・ガルフ・リビアン・バンクの発行済株式を 50 %保有しているが、当行が取締役会の過半数の議決権を保
有して投資先を支配しているため、当該投資は子会社として分類されている。
関連当事者間取引
一定の関係者(主に当行の主要株主、関連会社、取締役および執行経営陣ならびにこれらが主要な所有
者である会社)は、当グループの通常の営業過程における顧客である。これらの当事者との取引は、同等
の非関連当事者との取引時点において一般的であった条件と実質的に同一の条件(利率および手数料率な
らびに担保要件を含む。)で行われ、かつ、当該同等の取引に係るリスク量を超えるリスク量を伴うこと
はなかった。関連当事者に対する貸出金は、すべて正常債権であり、いかなる貸倒引当金も発生していな
い。
「第6-1 財務書類 - 連結財務書類に対する注記」注記 42 「関連当事者」を参照のこと。
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5【従業員の状況】
2018 年 12 月 31 日現在の当行の常勤相当従業員数は、 5,451 人である。
労働力の自国民化
「労働力の自国民化( Emiratisation )」政策の一環として 1999 年に、 UAE の銀行は、従業員総数に占め
る UAE 国民数を毎年4%以上増やすよう UAE 連邦政府により指示された。この政策は現在、 2015 年 10 月 25 日
付 UAE 政令 2015 年第 3/10/267 号(以下「労働力の自国民化通達」という。)(同政策では、組織内におけ
る自国従業員の雇用および昇進を考慮に入れた採点システムが導入された。)により補完され、かつ、並
行して運用されている。各機関の自国民従業員の最小人数は多くの要因に依拠している。労働力の自国民
化通達では当該政策が適用外となる上限が設けられていない。 UAE の銀行が、自らの組織を通じて UAE 国籍
の国民を雇い昇進させるための目標人数を達成できなかった場合、労働力の自国民化通達に定められる特
定の方式に従い算出される罰金対象となる。
2018 年 12 月 31 日現在、当行の労働力の自国民化に基づく UAE 国民数は、 UAE における従業員の 32.8 %であ
る。
労働力の自国民化通達にのっとり、当行は、 UAE 国籍の者の雇用および研修を義務付けられている。当
行の自国民化戦略は、当行の UAE における自国民化推進の主導者としての立場を支えている。当行の自国
民化戦略は、雇用、従業員の選定および研修プログラムを通じて実施され、当行のあらゆる事業分野の代
表および管理職による支援および確約を受けている。
次の表は、 2018 年 12 月 31 日現在における従業員の勤務地別の分布を示したものである。
国 常勤従業員数 派遣従業員 再派遣従業員
アラブ首長国連邦 4,175 1,989 1,445
エジプト 532 - 53
オマーン 149 - -
英国 82 - 14
スーダン 63 - -
リビア 67 - -
シンガポール 74 - 3
サウジアラビア王国 51 - -
香港 60 - 3
マレーシア 3 - -
スイス 50 - -
クウェート 27 - -
インド 32 - 5
米国 25 - 3
フランス 23 - 1
バーレーン 6 - -
カタール 5 - 1
ブラジル ▶ - -
ラブアン 1 - -
韓国 2 - -
中国 2 - -
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第3【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
本項に含まれている将来に関する記載は、本書提出日現在の当行の考え、見通し、目的、予想および見
積りに基づいている。
( 1 ) 戦略
UAE 最大の総合サービス提供銀行として、当行は、 CIB 、 PBG および子会社の各中核的事業セグメント
に関して個別に戦略を策定している。包括的な戦略目標として、当行は、国内のコンシューマー市場お
よびホールセール市場における支配的な地位を守りつつ強化することを目指し 、国際的な関わりを維持
しながら国際市場において戦略的にスケールアップ/成長する。当行は、特に顧客体験を変革し、効率
性および売上の向上を実現するため、デジタル化に重点を置いている 。
CIB
当行の CIB セグメントは、以下の専門顧客サブ・セグメントに分けられる。すなわち、( ▶ )アブダビ
政府およびアブダビ政府関連機関のほか、年間売上高1十億ディルハム超の大手法人顧客に重点を置
く、インスティテューショナル・バンキング・グループ、( b )年間売上高が 350 百万ディルハムから1
十億ディルハムまでの法人顧客に重点を置いたコーポレート・バンキング・グループ、ならびに (c) 流
動性および資金を主に提供する世界的金融機関に商品およびサービスを提供する金融機関グループ(ノ
ンバンクを含む。)である。
CIB は、顧客サブ・セグメントにおいて、それぞれ特定の顧客からの要請およびサブ・セグメントの
ダイナミクスに従い独自にカスタマイズされた、差別化されたカバレッジ・モデルを提供している。
CIB セグメントにおけるカバレッジ・チームは「顧客に寄り添う( follow the client )」モデルに取り
組んでおり、当グループがプレゼンスを有する国際拠点における顧客からの要請を注視している。
CIB 事業はまた、特化した商品チームにより構成され、これには、当行が顧客に対して中核的な与信
ファシリティ(短期ローンおよび当座貸越、グローバル・キャッシュ・マネジメント・ソリューション
ならびにグローバル貿易金融商品を含む。)を提供するグローバル・トランザクション・バンキング商
品チームが含まれる。 CIB セグメントのグローバル・コーポレート・ファイナンス商品ユニットは、ク
ライアントに対して債券市場業務およびシンジケート・ローン・ソリューション(ディストリビュー
ションを含む。)、プロジェクト・ファイナンスおよびストラクチャード・ファイナンス・ソリュー
ション、コーポレート・ファイナンス・アドバイザリー・サービス( M&A 、エクイティ・キャピタル・
マーケット、プロジェクト・ファイナンスおよび資本再構成(キャピタル・ストラクチャリング)に関
するアドバイザリー業務を含む。)を提供している。 CIB セグメントには、地域をまたがる顧客サブ・
セグメントの顧客に幅広い財務商品(フローおよび仕組み為替商品、金利商品、流動性管理ソリュー
ション、クレジット・デリバティブ、コモディティ取引ならびに投資ソリューションを含む。)を提供
するグローバル・マーケッツ商品ユニットが含まれる。「 FAB イスラミック」は、その他の商品グルー
プと協力して、関連する全ての現地のおよび国際的な規制指針ならびにシャリーア法の原則に従い、
シャリーア法を遵守した全ての商品の提供をカバーする、 CIB のイスラム・バンキング窓口である。
CIB セグメントの重要な戦略上の優先事項は、ドバイにおいて「シェア・オブ・ウォレット( share
of wallet )」の拡大を重点的に行うとともにアブダビおよび国際市場における当グループの支配的な
地位を保つことである。
当行の FGB との合併後の重要な強みは、その大規模なバランスシートであり、経営陣は(特に、 MENA
地域内における競争の激しい債券市場業務およびローン・シンジケーション市場での)特定の商品クラ
スおよび顧客クラスの市場シェアを拡大するために活用することを意図している。最高水準のグローバ
ル・トランザクション・バンキングおよびグローバル・マーケッツの伝統的な、およびシャリーアを遵
守した形式による商品およびサービスの提供を通じて、当グループは、その顧客基盤を拡大し、多様化
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することを意図している。さらに、 CIB セグメントは、債務、貿易金融および政府関連支払いに重点を
置いた、アブダビ政府の優先銀行パートナーであり続け、アブダビ政府および政府関連機関との戦略的
な 関係性を保ち、発展させることを目指している。
地域での優位性および国際的な関わりという当行が表明している戦略を足がかりにして、個別の顧客
単位では、インスティテューショナル・バンキング・グループおよびコーポレート・バンキング・グ
ループは、総合的な商品提供を行うことにより競合他社との差別化を図りながら、産業部門における顧
客への当行の存在感を拡大することを目指している。金融機関グループは、上位の信用格付( AA- )を
活かして主要なグローバル市場における最高レベルの銀行およびノンバンクとの関係性を深めることを
目指す。
PBG
当グループは、積極的な直販部門を展開する一方で、デジタル化したサービス提供モデルという最高
の顧客体験を顧客に提供することにより、 UAE の個人向け銀行事業市場における優位性を維持すること
を目指している。
当行は、プライベート・バンキング、ウェルス・マネジメントおよび「エリート」顧客セグメントを
含む「資産家」セグメントの市場シェアを拡大することを特定の目標としてセグメント固有の顧客に係
る価値の提案を行う、専門の顧客セグメントを中心に PBG 事業の構築を行っている。当該セグメントに
該当する顧客は、主に、専任のリレーションシップ・マネージャーを通じてサービスの提供がなされ、
カスタマイズされた投資および資産商品ならびにサービスが提供される。当行は、資産家顧客に対して
「選ばれるウェルス・アドバイザー」としての地位を確立することを目指している。
当行は、駐在者と比較して UAE 国民の方が家計所得が通常高いことから、駐在者顧客よりも収益性の
高い顧客セグメントの傾向にある UAE 国民の間において、市場でのトップの地位を守ることにも重点を
置いている。
さらに、アブダビにおける当行の高いプレゼンスにもかかわらず、当行は、個人向け銀行事業市場に
おいて自行のドバイでのプレゼンスをさらに強化および向上させるために、自行の規模を活用すること
を目指している。当行は、年間売上高 100 百万ディルハム未満の小企業に特に重点を置く予定である。
他方で、当行は、より高いリターンを得ることを可能にするコスト効率に継続的に重点を置くことを維
持する。さらに、合併後の統合プロセスにおける当行のコスト最適化の一環として、経営陣は、支店
ネットワークの地理的拠点の重複をなくすため、当行の国内支店の拠点の合理化を図る予定である。
2018 年、 UAE における個人および小規模事業に対するクレジットカード金融および個人金融ソリュー
ションの提供に特化するドバイ・ファースト・ピー・ジェー・エス・シー(以下「ドバイ・ファース
ト」という。)が、 PBG の一部となった。
FAB イスラミック
本書提出日現在、当グループのイスラム金融業の提供は、主に、「 FAB イスラミック」ブランドおよ
び ADNIF および Aseel というイスラム金融会社の下に運営される当グループのイスラム金融業の窓口によ
り構成される。 FGB との合併後の統合プロセスの一環として、 Aseel は ADNIF と合併予定である( ADNIF は
「 FAB イスラミック」にリブランドされた。)。
また、 2018 年には、 ADNIF から FAB イスラミック・ファイナンスへのリブランドが完了した。この変更
の目的は、地域で選ばれるイスラム金融業サービス提供者になるという当行のビジョンの一助となり、
顧客がイスラムについての専門知識、商品および技術を享受できるようにすることである。
本内部組織再編成の完了後、当グループは、 CIB の顧客に特に重点を置きながら、「 FAB イスラミッ
ク」ブランドを継続的に運営し、当グループの顧客基盤に対してイスラム金融商品およびサービスを提
供する。
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ファースト・アブダビ・バンク・ピー・ジェー・エス・シー(First Abu Dhabi Bank P.J.S.C.)(E25742)
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当グループは、イスラム金融業のフランチャイズに関する内部組織再編成により、効率化されたイス
ラム金融商品の提供が行われ、費用および収益面でのシナジーが更に高まり、国内のイスラム金融部門
の成長から得られる機会を当グループが活用できるようになると考えている。
子会社
当行の主要な子会社は、 FAB プロパティーズ、 FAB セキュリティーズおよびファースト・ガルフ・リビ
アン・バンクが含まれる。
・ FAB プロパティーズ・ソール・プロプリエイターシップ・エルエルシー
当グループの不動産事業は、主に、当グループの完全所有子会社である FAB プロパティーズ・ソー
ル・プロプリエイターシップ・エルエルシーにより運営されている。 FAB プロパティーズは、旧 FGB 事
業のもと、 2011 年に営業を開始し(ファースト・ガルフ・プロパティーズ・エルエルシー)、 2017 年
に FAB プロパティーズに統合された旧 NBAD のプロマティ・マネジメント子会社であるアブダビ・ナ
ショナル・プロパティーズ・ピー・ジェー・エス・シー( ADNP )も含まれている。 2018 年3月、
ファースト・ガルフ・プロパティーズ・エルエルシーは、その法的名称を FAB プロパティーズ・ソー
ル・プロプリエイターシップ・エルエルシーに変更した。 FAB プロパティーズを通じて、当グループ
はプロパティ・マネジメントおよび与信管理サービスを提供している。 FAB プロパティーズは、 2018
年 12 月 31 日に終了した事業年度について約 1,920 百万ディルハムの総家賃収入をもって、 UAE におい
て、混合型および多岐にわたるプロパティ・ポートフォリオを運用している。 FAB プロパティーズの
プロパティ・マネジメント事業は、機会を捉えて継続的に成長すると当グループが予想している CIB
セグメントおよび個人富裕層の特定の顧客に対し提供される付随的なサービスである。
当グループの不動産投資および不動産開発事業は、主に、当グループの完全所有子会社である
Mismak により運営されている。 Mismak およびファースト・マーチャント・インターナショナル・エ
ル・エル・シー (FMI) は、旧 FGB 子会社であり、当行の完全子会社である。
Mismak は、不動産開発案件に係る顧客の与信申請の審査を行う際に当グループの内部与信部署を
補佐するためのエンジニアリング・アドバイザリー・サービスも提供している。さらに、当グ
ループは、顧客が債務不履行に陥り、当グループの不動産子会社( Mismak および FMI を含む。)が
担保として差し入れられた不動産資産の管理を引き継ぐ状況となった際に、資産管理およびアド
バイザリー・サービスを提供する。
・ FAB セキュリティーズ
FAB セキュリティーズは、当グループの証券仲介業を行う会社であり、 SCA による認可を個別に受
けている。 FAB セキュリティーズは、自社専用の電子取引用プラットフォームに加え、 UAE において営
業中の4つの支店を通じて運営されている、 UAE 最大手仲介業提供会社の1つである。 FAB セキュリ
ティーズは、単一口座を通じて取引が円滑化されている、アブダビ証券取引所( ADX )、ドバイ金融
市場( Dubai Financial Market )、ナスダック・ドバイおよび GCC における特定の市場を通じて、な
らびに 90 超のグローバル市場において取引を行っている。 FAB セキュリティーズは、顧客に対し、
様々な資産クラスから発行市場および流通市場における有価証券(株式および債券( IPO 、新規発
行、上場および未上場の有価証券)を含む。)を提供する。証券販売業のほか、 FAB セキュリティー
ズは、顧客にアドバイザリー業務、市場調査、機関投資家顧客および個人顧客向けカバレッジおよび
証券取引執行サービスを提供している。
・ ファースト・ガルフ・リビアン・バンク( FGLB )
ファースト・ガルフ・リビアン・バンクは、リビアのトリポリにある正式な商業銀行である。ア
ブダビに本拠を置く UAE の主要金融機関の1つである当行およびリビアのエコノミック・アンド・ア
レンマー・フォー・ファイナンシャル・インベストメント・ホールディング・リミテッド( AFIHC )
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ファースト・アブダビ・バンク・ピー・ジェー・エス・シー(First Abu Dhabi Bank P.J.S.C.)(E25742)
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が折半して所有している。授権資本は 400 百万米ドル、払込済資本は 200 百万米ドルであり、エクイ
ティ・ベースにおいてリビアの大手銀行の 1 つとなっている。
ファースト・ガルフ・リビアン・バンクの委員会は、計 7 名で構成されており、うち過半数の ▶ 名
が当行のメンバーである。当事者間で締結された契約に基づき、ファースト・ガルフ・リビア
ン・バンクは当行によって完全に管理されており、当行の子会社である。
国際事業
当行の事業は、国外において地域上のおよび国際的な資本市場(特に UAE および GCC 広域等新興市場)
へのアクセスを求める企業および政府のための重要なリンクとしての当行の地位を築くという最終目的
を有しながら、主に CIB セグメントに重点を置いている。
当行のサウジアラビアにおける商業銀行事業は、 2019 年 5 月 1 日にリヤド支店で正式に開始された。当
行は、強化を図るために世界的なリレーションシップ、専門知識および財務力を活用しながら、個人お
よび法人顧客向けにサービスを提供する予定である。
当行は、海外では選択的な PBG セグメントの運営を行っており、エジプトが最も高い割合を占める。
当行の全体的な戦略上の目的は、差別化、機敏性およびイノベーションを通して成長するために、顧
客、従業員、株主および地域のための価値を創造することである。当該価値の創造の戦略上の目的は、
当行が異なる中核的な事業セグメントのために打ち立てた戦略上の優先事項に盛り込まれている。
(2)アラブ首長国連邦の銀行部門および規制
(ⅰ)概要
UAE 中央銀行が公表したデータによれば、 2019 年3月 31 日現在 UAE 国内での営業認可を受けた商業
銀行は合計で 49 行(国内商業銀行 22 行および外国商業銀行 27 行。)ある。結果として UAE は、地域の
標準に照らしても、また、歴史的にも、統合の契機はほとんどなかったものの、銀行過多な市場で
あると見られる可能性があり、また、歴史的にそうである。しかしながら、 2017 年3月 30 日付けで
行われた合併の完了に伴い、国内銀行同士の更なる統合のきっかけとなりうることが予想される。
UAE は世界貿易機関(以下「 WTO 」という。)加盟国であるため、更なる経済の自由化が求められ
る可能性があるが、その結果外国銀行がどの程度まで市場での存在感を一層高めることになるのか
は不明である。しかし、長期的には、競争が激化し、 UAE 国内および地域全域の双方において統合へ
向けた動きが強まっていく可能性が高い。
アブダビ統計局が発表した試算によると、アブダビの金融部門および保険部門が 2016 年に占めた
金額は約 71.4 十億ディルハム(アブダビの名目 GDP の 9.9 %)であった。 UAE 全体では、金融部門は
2016 年の実質 GDP の約 10.1 %を占めると推定された(出典: 経済省年次経済報告書( 2017 年度
版))。
銀行規制当局である UAE 中央銀行( 1980 年設立)は、多年にわたりその地位を拡大しており、 UAE
国内で営業する全ての銀行の規制および監督を行う監督機関である。 UAE 中央銀行は、銀行業務監督
検査部門( Banking Supervision and Examination Department )を介して銀行を監視する。各銀行
のリスク・プロファイルに基づき定期的に銀行の精査を行い、また、銀行が UAE 中央銀行に提出する
報告書を全て精査する。
これまで UAE 中央銀行は、「最後の貸し手」としての役割を担うものではなく、その役割は各首長
国のそれぞれの首長が果たす場合が多かった。しかしながら 2014 年に UAE 中央銀行が導入した暫定限
界貸出ファシリティ(以下「 IMLF 」という。)により、 UAE の非イスラム銀行は、流動性管理に役立
てるため、一定の格付がなされているかまたは UAE 連邦政府が発行した資産を担保として使用し、
UAE 中央銀行の流動性をオーバーナイトで利用することが可能になる。下記「( ⅲ )近年の銀行業務
の動向-流動性」を参照のこと。
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ファースト・アブダビ・バンク・ピー・ジェー・エス・シー(First Abu Dhabi Bank P.J.S.C.)(E25742)
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( ⅱ )金融システムの特徴
従来の合併欠如
UAE では、 2019 年3月 31 日時点において、 UAE 国内での営業認可を受けた商業銀行が 49 行(国内商
業銀行 22 行および外国商業銀行 27 行。ドバイ国際金融センター(以下「 DIFC 」という。)を除
く。)(出典: UAE 中央銀行)存在する。この地域では、これまで合併に向けた動きはほとんど存在
しなかった。銀行部門における銀行の林立状態は、一定程度、 UAE の連邦構造により後押しされてい
る側面もある。なぜなら、それぞれの首長国が自らの国立銀行を保持したいとの意向を有している
からである。また、現地の大手同族会社間の競争および株式の持分の希薄化を嫌う意向も、合併促
進を旧来は阻止してきた。この結果、エミレーツ NBD ピー・ジェー・エス・シーの創設に至った、エ
ミレーツ・バンク・インターナショナル・ピー・ジェー・エス・シーとナショナル・バンク・オ
ブ・ドバイ・ピー・ジェー・エス・シーとの合併( 2007 年 10 月)以降、銀行業界における国内での
合併は極めて限定的なものとなった。しかしながら、評論家は、 2017 年3月 30 日付けで完了した合
併は、 UAE 銀行間のより大規模な統合の動きに拍車をかける とみられる旨述べている。
こうした更なる統合の試みにより、国内の銀行セクターにおける多行林立状態は緩和する一方、
少数の UAE 設立大手銀行が、 IT システム開発等の資本コストを吸収できる大規模なインフラと資源を
有し、かつ比較的広範な営業網を有する外国銀行と、 UAE における大口金融取引を奪い合うという競
争環境に大きく転換する可能性がある。
これ以降、 WTO による自由化の到来は、それ以前と比べ外国銀行(市場への新規参入者および業務
を拡大する既存銀行の双方)との競争を可能とし、いずれは、合併が増加し、汎湾岸レベルの営業
網を有する銀行が生まれるとみられる。
国内中心主義
UAE の国内銀行は主に国内市場に重点を置いているが、これらの銀行の多くは、国外に小規模なが
らも営業所を構えており、クロスボーダー事業に対する関心(銀行部門における更なる合併の場合
に今後も続くと予想される傾向である。)を高めている。
数少ないホールセール融資の機会を数多くの銀行が競い合うという状況から、歴史的に見て、大
部分の銀行は、それまで未開拓の市場であった、リテール・バンキングに目を向けている。しかし
ながら、この業務分野における競争の激化が、徐々に利益率を損ない、貸付基準の緩和を促してい
る。逆境の中、市場はまだ限られた範囲でしか検証が行われていないため、資産の質について将来
どのような問題が生じるか、その予測は難しい。
リテール業務の拡大により、販売経路、特に、 ATM 網、販売店および電話・インターネットによる
バンキング・サービスに対する多額の投資が必要となった。その結果、多くの UAE の銀行にとって、
情報技術に関する費用が支出における顕著な特徴となっている。
外国資本進出の制限
1987 年、 UAE 連邦政府は、外国銀行が UAE 国内に新規に業務を開設することを禁止した。同時に、
既存の外国銀行については支店数を8支店以下とし、リテール業務における潜在性を展開する能力
を制限した。しかし、地域統合に向けた継続的な努力に伴い、 GCC 加盟国の銀行に対する市場アクセ
スを認める合意がなされたことを受けて、 GCC 加盟国の3行、すなわち、ナショナル・バンク・オ
ブ・クウェート、 SAMBA バンクおよびドーハ・バンクは、 UAE 中央銀行から認可を受けた。
2002 年に、ドバイ政府は、 DIFC を設立する法令を公布した。ドバイ首長国所在の DIFC は、自由貿
易地域であり、プライベート・バンキング、アセット・マネジメント、投資銀行業務、再保険業
務、イスラム金融、証券取引およびバックオフィス業務を中心とした金融サービス・センターであ
る。 DIFC は、独自の民法および商法を有し、民事および商事分野について自ら法律を制定する権限
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を付与されている。 DIFC の開設により、外国銀行は存在感の確立およびホールセール・バンキング
市場における競争が可能となり、新たな銀行が市場参入を果たしている。
2013 年、アブダビ政府は、法的な枠組み(英国のコモン・ローに深く基づいている。)をもって
国際的な金融自由圏(フリーゾーン)としてアブダビ・グローバル・マーケット(以下「 ADGM 」と
いう。)を確立する意向について公表し、 DIFC での成功を再現しようと努めた。 ADGM は、 2015 年半
ばに運用が開始され、本書提出日現在、 ADGM が国内の銀行部門における市場勢力図および規制状況
に将来的にどの程度の影響を及ぼすかは不透明である。
石油部門に対するエクスポージャー
経済の大部分が直接間接を問わず石油部門に依存しているため、石油価格の低迷が長く続けば、
UAE の銀行は潜在的に事業崩壊に陥る可能性がある(下記「2 . 事業等のリスク - UAE および中東
に関連するリスク- UAE 経済は、石油収入に大きく依存している 」を参照のこと。)。特に、流動
性の水準および政府によるインフラ投資は石油収入による後押しを受ける傾向にある。しかし、
徐々に、石油以外の民間部門が力をつけ、 UAE 経済は石油価格の変動に左右されなくなってきてい
る。例えば、アブダビ統計局が発表した試算によると、 2016 年のアブダビの名目 GDP に採鉱および工
業セクター(原油および天然ガスを含む。)の占める割合は 27.5 %となったが、 2014 年には 50.6 %
であった。
イスラム金融
シャリーア(イスラム)法は、金融取引において金利を課すことを禁じている。この原則の遵守
を望む顧客のニーズに応えるために、多くの銀行がイスラム世界において、その事業を発展させて
きた。これらの金融機関では、従来型の銀行取引にほぼ対応させながらも、金利の適用がないよう
に開発された様々な商品を提供している。 UAE には、イスラム金融業および商品を提供する多くの金
融機関が存在する。このような金融機関には、ドバイ・イスラミック・バンク・ピー・ジェー・エ
ス・シー、アブダビ・イスラミック・バンク・ピー・ジェー・エス・シー、エミレーツ・イスラ
ミック・バンク・ピー・ジェー・エス・シー、ヌール・バンク、アルヒラル・バンク・ピー・
ジェー・エス・シー、アジュマーン・バンク、シャルジャ・イスラミック・バンク・ピー・
ジェー・エス・シー、ドバイ・イスラミック・インシュアランス・アンド・リインシュアランス・
カンパニー( AMAN )、イスラミック・アラブ・インシュアランス・カンパニー( P.S.C. )
( Salama )、タムウィールおよびアムラック・ファイナンスが含まれる。イスラム銀行の数は、新
規市場参入者およびイスラム銀行に転換する従来型の既存銀行ともに、増加し続けている。これに
加え、従来的な金融機関もシャリーア法に則った商品を提供していることが多い。
法的環境
UAE には、 (a) 連邦法令、 (b) 地方法、および (c) シャリーア(イスラム)法の3種類の法律があ
る。さらに、各首長国の首長が命令を公布することができ、公布されると、当該首長国で完全な法
的効力を有する。補助的な法律として貿易慣行がある。連邦当局の管轄分野において連邦法がない
場合には、首長国または地方政府の首長が自らの規則、規定および慣行を適用する。
銀行の監督
銀行システムに適用される主な法律は、 1980 年銀行法第 10 号(以下「銀行法」という。)であ
り、同法により UAE 中央銀行が設立された。 UAE 中央銀行の主な役割は、銀行、与信、金融および財
政に関する政策を策定および実行し、外貨への自由な交換可能性を備えた、安定した価格と通貨を
確保する責務を負うことである。 UAE 中央銀行は、 UAE 国内における「銀行のための銀行」でもある
が、「最後の貸し手」ではない。銀行が経営難または返済能力の危機に陥った場合の救済資金(流
動性または資本についての長期的な支援)は、これまで、当該銀行の本店所在地である首長国が拠
出してきた。しかし、通貨売りや大手銀行の危機の場合、通貨の事実上の擁護者および最後の貸し
手として最終的に機能するのは、 UAE 連邦政府となる可能性が高い。
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銀行法により、 UAE 中央銀行は以下の権限を有する。
・ 通貨の発行、安定化および評価を行うこと
・ 外貨への自由な交換
・ バランスの取れた経済発展のために与信方針を定めること
・ 民間銀行および金融機関と効果的な金融システムを組織し、推進すること
・ UAE 連邦政府に対して財政および金融問題について助言すること
・ UAE 連邦政府の金および外貨準備を維持すること
・ UAE 連邦政府および UAE で営業するその他の銀行のための銀行として行為すること
・ 国際通貨基金(以下「 IMF 」という。)、世界銀行およびその他の国際的金融機関との間で UAE
連邦政府の金融機関として行為すること
これまで財政赤字の補填に海外投資による収益が用いられていたため、 UAE 中央銀行による UAE 政
府国債の発行は不要であった。しかし、 UAE 中央銀行は、特定の資金調達需要を満たすためではな
く、過剰な流動性を吸収するために、米ドルおよび UAE ディルハム建ての預金証書(以下「 CD 」とい
う。)を UAE の銀行に発行している。現在のところ、これらの CD が流通市場で活発に取引されるとい
うことはないが、 UAE 中央銀行にいつでも額面価額で償還を求めることができる。 UAE 中央銀行は、
2007 年、 UAE ディルハム建ての CD 持分を米ドルで引き出すことのできる、オークションシステムを導
入した。
UAE ディルハムは、 IMF の特別引出権と連動している。しかし、米ドルが介入通貨であることか
ら、実際には、 UAE ディルハムは米ドルに連動(ペッグ)している。このペッグ制は 1980 年代から採
用されており、地域内の政治的緊張のみでなく石油価格の変動に対しても抵抗力があることが証明
されている。ただし、下記「2 . 事業等のリスク - UAE ディルハムまたはその他の地域通貨の対米
ドル為替レートを固定する「ペッグ制」が変更または廃止された場合、当行は、 UAE ディルハムまた
はその他の地域通貨の対米ドル為替変動にさらされるおそれがある。 」を参照のこと。
UAE 中央銀行は、マネーロンダリングの防止に関する金融機関の規制およびマネーロンダリングの
犯罪化に関する 2002 年連邦法第4号の実施についても責任を負う。 UAE 中央銀行は、金融情報部門と
して業務を行う反マネーロンダリング・不審取引対応部門( Anti - Money Laundering and
Suspicious Cases Unit )を設立し、反マネーロンダリング政策および手続の徹底のために詳細な監
督指針を発表している。また、 UAE は、反マネーロンダリング政策の調整に責任を負う、国家反マ
ネーロンダリング委員会を設立した。
さらに、 UAE は、国家テロ対策委員会(以下「 NATC 」という。)の設立を定めた、テロ行為防止に
関する 2004 年連邦法第1号を制定することにより、テロリズムおよびテロ資金供与を取り締まるた
めの法的権限を強化した。 NATC は、 UAE の省庁間連絡役として機能する。
UAE 中央銀行は UAE 国内の全ての銀行、両替店、投資会社その他の金融機関の規制に責任を負う
が、 DIFC 内の銀行・金融サービスについては全てドバイ金融監督庁が規制する一方で、 ADGM におけ
る金融サービス部門における業務活動については ADGM 金融サービス規制機構が規制している。 UAE 中
央銀行は銀行監督機関として日々成長している。しかし、 UAE 中央銀行がその役割を果たすに際し、
個々の首長国に与えられた法的な自治権が障害となり、銀行部門全体に一様に指令を実施するのが
困難となる場合もある。
成熟した資本市場の不在
UAE には成熟した債券市場や株式市場が存在しないため、多くの場合、長期融資は銀行が担ってい
る。もっとも、銀行の負債のほとんどは短期の顧客預金であるため、貸借対照表上、資産と負債と
で満期のミスマッチが生じる傾向がある。2つの証券取引所、すなわち、ドバイ金融市場およびア
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ブダビ証券取引所(以下「 ADX 」という。)(いずれも 2000 年に設立)は近年、急速な発展を続けて
おり、 2014 年以降に UAE が MSCI エマージング・マーケッツ・インデックスに組み入れられたことから
恩 恵を受けてきたが、依然として不安定な状態である。
ナスダック・ドバイ(旧ドバイ国際金融取引所)は、 2005 年9月 26 日に業務を開始した DIFC 所在
の証券取引所である。 2009 年 12 月ドバイ金融市場はナスダック・ドバイを取得する意図を発表し、
2010 年7月に取得が完了した。ドバイ金融市場および ADX は 2014 年6月1日に MSCI エマージング・
マーケッツ・インデックスに格上げされており、これにより国際機関投資家の UAE に対する関心と投
資が増加する可能性がある。
政府介入
大手銀行の大半は、政府が持分の一定割合を所有している。理念として民営化が謳われている
が、その実現には時間がかかっている。政府およびその関係事業体はともに、預金およびプロジェ
クト・ファイナンスの両方において、銀行部門の最大の顧客でもある。
外国人労働力
UAE 経済の特異な特徴は、外国人労働力への依存であり、 2016 年半ばにアブダビ統計局が発表した
調査によると、労働力の約 81 %を外国人が占めている。銀行部門も例外ではなく、大手銀行の大半
が外国人を経営幹部として採用している。これにより、成熟した市場からの専門知識が銀行部門に
もたらされた。しかしながら、 UAE 連邦政府は、 UAE 国内における外国人の多さに懸念を深めてい
る。また、「労働力の自国民化( Emiratisation )」政策の一環として 1999 年に、銀行は従業員総数
に占める UAE 国民の割合を年率4%以上増やすよう指示された。この政策は現在、労働力の自国民化
通達(同政策では、組織内における自国従業員の雇用および昇進を考慮に入れた採点システムが導
入された。)に代替された。各機関の自国民従業員の最低人数は多くの要因に依拠している。 労働
力の 自国民化通達では当該政策が適用外となる上限が設けられていない。 UAE の銀行が、自らの組織
を通じて UAE 国籍の国民を雇い昇進させるための目標人数を達成できなかった場合、労働力の自国民
化通達に定められる特定の方式に従い算出される罰金対象となる。
会計基準
UAE の銀行は全て、 1999 年1月1日以降、 IFRS (旧国際会計基準( IAS ))に従い財務書類を作成
することが義務付けられている。これにより開示基準は大幅に向上したものの、銀行部門全体にお
ける情報開示の質と詳細さについては若干のばらつきがある。
銀行システムの構造
UAE の銀行は、銀行法に定義されるとおり、いくつかの区分に分類される。「国立( National )」
銀行としても知られる国内商業銀行( 2019 年3月 31 日現在 22 行)(出典: UAE 中央銀行)は、 40.0 百
万ディルハム以上の株式資本を有する公開株式会社でなければならず、株式の過半数が UAE 国民によ
り所有されていなければならない。認可を受けた外国商業銀行( 2019 年3月 31 日現在 27 行)(出
典: UAE 中央銀行)は、 UAE における事業の資本金として、少なくとも 40.0 百万ディルハム以上が割
り当てられていることを証明する必要がある。銀行法は、「金融機関」(信用供与、金融取引の実
施、動産投資その他の活動を主な機能とするが、預金による資金の受領を認められていない機関)
および金融仲介機関(金融ブローカーおよび株式ブローカー)についても営業認可を与える。
( ⅲ )近年の銀行業務の動向
収益性
UAE 経済の業績は、石油価格による影響を受ける。なぜなら、石油価格は、財政収入に直接的な影
響を与えるため、これにより国内における政府プロジェクトへの投資水準が決まるからである。
2004 年から 2008 年にかけての UAE における石油価格高や好調な経済状況により、 UAE の銀行は大幅に
規模を拡大した。
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しかし、 2008 年の世界金融危機の状況下において、不動産部門およびエクイティ・ファイナンス
の発展に重点を置いたことで、 UAE の銀行システムの重大なリスクが明らかになった。 2008 年の世界
金 融危機を受けて、 2008 年から 2011 年の間、 UAE の株価は全般的に下落したが、 2012 年から 2017 年の
間に反発し、 ADX の標準指数は 2012 年 12 月 31 日現在の 2,630.9 から 2017 年 12 月 31 日現在には 4,419.9 へ
と上昇した。また、ドバイ金融市場の指数は、 2012 年 12 月 31 日現在の 1,662.5 から 2017 年 12 月 31 日現
在には 3,411.2 へと上昇した(出典:ブルームバーグ)。
2008 年から 2010 年の間、多くの銀行は、国際投資ポートフォリオに時価会計基準を適用したこと
による悪影響も受けた。さらに同期間において、 UAE 経済は、世界的な景気後退によって悪影響を受
けた。特に、貿易、観光、不動産および商業を含むいくつかの主要な経済部門にも影響を及ぼす石
油価格の著しい修正により悪影響を受けた。この景気低迷にくわえ、市場における流動性水準が低
下し融資が抑制されたことから、同期間には多くの UAE の銀行において、それ以前の年と比べ、収益
の減少が見られた。
流動性
UAE 中央銀行は、銀行システムの流動性水準を注意深く監視する。また、銀行に対し、流動性ポジ
ションを管理するための適切なシステムおよび統制、ならびに流動性ストレス期に対処するための
コンティンジェンシー資金調達プランの導入を義務付けている。
UAE の銀行は、ほとんどが、 UAE に基盤を置く個人または民間部門の会社からの要求払顧客預金ま
たは定期顧客預金により資金を調達している。 UAE 中央銀行により提供されたデータによれば、 2018
年 12 月 31 日現在、この2つを合わせた預金は、 UAE の銀行部門における全預金の約 59.51 %であっ
た。 2018 年 12 月 31 日現在、 UAE 連邦政府および公共部門は、 UAE の銀行部門における全預金の約
28.33 %を占めた。同日現在、非居住者その他の供給源は、全預金の約 12.16 %を占めた(出典:
2018 年 12 月付 UAE 中央銀行統計報告書)。
2008 年の世界金融危機を受けて、 UAE 中央銀行は、 UAE 国内で営業する銀行が適切な流動性を得ら
れるようにするために、いくつかの措置を発表した。 2008 年9月、 UAE 中央銀行は、 50.0 十億ディル
ハムの流動性ファシリティを設定し、適格負債証券を担保に供することを条件に、銀行がこのファ
シリティを引き出せるようにした。流動性ファシリティは、既存契約についての資金調達が目的の
場合にのみ利用できる。新規融資は、顧客預金ベースの拡大に基づくものでなければならない。ま
た、 UAE 中央銀行は、銀行が CD を担保に UAE 中央銀行からディルハムまたは米ドルの融資を受けるこ
とのできる CD レポ・ファシリティを設定した。
これらの措置に加え、 UAE 連邦政府は、( 70.0 十億ディルハムの救済策の一環として) UAE の銀行
に 50.0 十億ディルハムの預金を行った。この預金は、自己資本比率を高めるために、銀行の選択に
より、ティア2資本に転換することが可能であった。 UAE 国内の多数の銀行がこの選択権を行使し、
自行に預けられた UAE 連邦政府預金をティア2資本に転換した。
2008 年に、複数の国有機関が強制転換社債を引き受けることで、アブダビの一部の銀行の資本基
盤強化を支援した。また、 2009 年2月には、アブダビ政府(財務省を介して)は、アブダビの最大
手5行( NBAD 、アブダビ・コマーシャル・バンク・ピー・ジェー・エス・シー、 FGB 、ユニオン・ナ
ショナル・バンク・ピー・ジェー・エス・シーおよびアブダビ・イスラミック・バンク・ピー・
ジェー・エス・シー)の発行した劣後ティア1キャピタルノートにつき、合計 16.0 十億ディルハム
分を引き受けた。
2009 年、ドバイ政府財務省は 20.0 十億米ドルの資金調達プログラムを設定し、5年満期の 10.0 十
億米ドル(支払利率:年率4%)となる第1回目のトランシェが、 UAE 中央銀行に対して全額発行さ
れた。 2009 年 11 月、 5.0 十億米ドル分の第2回目のトランシェが NBAD およびアルヒラル・バンク・
ピー・ジェー・エス・シーによる等分引受けにより、その全額分が引受けられた。
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バーゼル Ⅲ 要件に対応して、 UAE 中央銀行は、 2015 年7月1日付で UAE にて施行された流動性通達
を公表した。これには、 UAE の銀行に対する定性的および定量的な流動性要件が含まれる。流動性通
達で定められた定性的要件は、 UAE の銀行の取締役会および経営幹部の責任を詳細に定めており、ま
た 全般的な流動性リスク枠組みを定めている。新規制は流動性リスクが UAE 国内で営業する銀行に
よって良好に管理されており、かつ、バーゼル委員会の勧告および国際的な最善の慣行に沿ってい
ることを確保することを企図している。これには以下の要件が含まれる。
取締役会の責任
・ 該当する UAE の銀行内において流動性リスク管理の最終的な責任を負うこと
・ 流動性リスク管理を理解し、少なくとも1名の取締役が流動性リスク管理に精通していること
・ 該当する UAE の銀行の目的、戦略およびリスク選好に合わせて流動性リスクの許容範囲を明確に
すること
経営幹部の責任
・ 取締役会が定めた流動性リスクの許容範囲に合わせて流動性リスクを管理する戦略、方針および
慣行を策定すること
・ 定期的に UAE の銀行の戦略を見直し、規制の準拠に関して取締役会に報告すること
・ 利用可能な全ての流動性リスク管理手法を利用して慎重に流動性リスクを管理すること
流動性リスク枠組み
流動性通達は UAE の各銀行に対して、以下の要素からなる強固な流動性リスク枠組みを有すること
を義務付けている。
・ 流動性リスクを適時かつ適切に特定、測定、監視および管理する健全な手続およびシステム
・ 制限、警告指標、連絡・上申手続を有する強固な流動性リスク枠組み( UAE 中央銀行の要請に応
じて共有する。)
・ 様々なシナリオ(機関特定のものおよび市場全体のもの)に基づくポートフォリオの定期的な内
部ストレステスト。結果は取締役会および要請に応じて UAE 中央銀行に連絡する。
・ 商品価格に流動性費用、利益およびリスクを組み込むことおよびその承認手続
・ 効果的に多様化した資金調達限を有する将来の資金調達戦略の策定
・ 緊急時における流動性の不足に対応する戦略を明確に定めた正式な資金調達計画の設定( UAE 中
央銀行の要請に応じて共有する。)
・ 様々な流動性ストレス・シナリオに対する保険として、処分制約がなく流動性の高い資産の十分
な量の準備
・ 実際の資金調達費用を反映する資金移動枠組み(銀行の流動性リスクの許容範囲および複雑さに
比例する。)
流動性通達で定められた量的要件は、 UAE の各銀行が短期の流動性ストレス(当該銀行特定の状況
および市場全体の状況)に対応できるように最低限の流動性資産を保有させるものである。特に、
バーゼルⅢの流動性カバレッジ比率(以下「 LCR 」という。)および NSFR が導入されるまでの間適用
する2つの暫定比率が含まれ、以下のとおりである。
比率 適用期間
暫定比率:
流動資産比率 (LAR > = 10%) 2013 年1月1日 - 2015 年6月 30 日
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比率 適用期間
ELAR (ELAR > = 10%) 2015 年7月1日 - LCR の施行
ASRR (ASRR < 100%) 1986 年9月 30 日 - NSFR 施行
バーゼル Ⅲ 比率: 2019 年1月1日以降
LCR(LCR > = 100%)
施行予定
NSFR (NSFR > = 100%)
UAE 中央銀行の旧流動資産比率(以下「 LAR 」という。)は LCR が導入されるまで(以下に説明す
る。)の暫定比率であった。流動性通達が 2015 年7月1日に有効となったことに伴い、 LAR は ELAR に
置き換わった。適格流動資産比率(以下「 ELAR 」という。)に基づき、 UAE の銀行は負債の 10 %以上
に相当する質の高い流動資産( HQLA )( UAE 中央銀行に保有する現金、 UAE 中央銀行の CD および一部
の UAE の地方政府および公共部門の公開されている証券を含む。)を保有することが義務付けられ
る。
流動性通達はまた、 2016 年1月1日より、 UAE の銀行が、銀行の ELAR および LCR の評価ではなく、
流動性の評価およびその報告を UAE 中央銀行に対して申請するオプションが含まれていた。かかるオ
プションを選択する UAE の銀行は、 LCR の遵守に移行しなければならない 2016 年1月1日までに ELAR
のみを遵守しなくてはならなかったが、それ以後においては、 ELAR および LCR の二重の遵守への移行
は、 UAE 中央銀行の承認が条件とされた。
LCR は、当該銀行特定の状況および市場全体の状況の両方をカバーする 30 日間のストレス・シナリ
オを表わす。銀行が 30 日間のストレス下において資金流出した場合に主な流動性リスク要因となる
契約上のデータに適用される。 LCR は、 UAE の銀行が正味資金流出額を HQLA で UAE 中央銀行が定めた最
低 LCR で常にカバーできるようにすることを義務付けている。バーゼル Ⅲ では、最低水準を 100 %と
している。流動性通達では、この目的において詳細な記載がなされている。下記「2 事業等のリ
スク- 当行の営業キャッシュフローは、契約上の支払義務および偶発的な支払義務を履行する上で
常に十分とはいえない可能性がある。 」および「(3) リスク管理」を参照のこと。
UAE 中央銀行による UAE におけるバーゼルⅢ改革の段階的な導入の一環として、 UAE 中央銀行は LCR
を段階的に導入しており、 LCR の遵守の開始時に 60 %の当初ベンチマークを設定し、 2019 年までにこ
れを 100 %に引き上げる。この段階的なアプローチは、銀行システムの秩序だった強化、または UAE
における経済活動の継続的な資金調達を混乱させることなく LCR を導入することを確保するために設
計された。
貸出金の安定リソースに対する比率(以下「 ASRR 」という。)は、 UAE において NSFR が効力を生じ
るまで(以下に説明される。)適用されるものとして設定された暫定比率である。 ASRR は、満期の
ミスマッチおよびクリフ効果を限定するために、契約上の満期および銀行が利用できる資金源の行
動上のプロファイルについて実際の資金の使用および使用の見込みの両方を認識する。
NSFR は銀行が貸借対照表上の資産に対して、安定的な資金調達を十分に確保することを目的とし
た構造的な比率である。該当する UAE の銀行の偶発債務の一部をカバーする安定的な資金調達も義務
付けている。 UAE における NSFR はバーゼル Ⅲ の基準を反映している。 NSFR は、主な資金の使用および
UAE の銀行が使用した異なる種類の資金調達源を特定している。利用可能な安定調達額(以下
「 ASF 」という。)を資金調達源とし、所要安定調達額を資産クラスおよびオフバランスの偶発エク
スポージャーとしている。 ASF は資金調達条件および資金調達源の安定性に応じて異なる。 ASF は市
場全体のストレス下で資金調達を行う資産の流動性に応じて異なる。どちらもバーゼルⅢの基準に
従っている。
暫定限界貸出ファシリティ
2014 年4月 15 日、 UAE 中央銀行は、市場ストレスの発生時には UAE の非イスラム銀行がその流動性
管理のため、一定の格付がなされているかまたは UAE 連邦政府が発行した資産を担保として使用し、
中央銀行の流動性をオーバーナイトで利用することを可能とする IMLF を導入した。
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IMLF は、 UAE 中央銀行から1日のオーバーナイト・ローンを入手するための担保として、一定の資
産を貸し手が使用することを許容するものである。担保として使用することができる適格資産は売
買 可能なものでなければならず、これには債券、スクーク、および UAE 連邦政府または各首長国の政
府機関、ならびに UAE の銀行および法人が発行した証券が含まれる。外国の政府、銀行、法人および
国際機関が発行した証券も担保として使用することはできるが、主要な国際格付機関3社のうち1
社から最低でもA格の格付を得ていなければならない。 IMLF を利用する銀行は最低でも 10 百万ディ
ルハムを借入れなければならず、 UAE の公式レポ・レートに 100 ベーシス・ポイント上乗せした費用
を請求される。
預金者の地位
UAE には正式な預金保護制度が存在しない。これまでのところ、銀行の破綻が認められたことはな
いが、 1980 年代および 1990 年代初頭において、関係政府当局は数行を事業再編した。世界金融危機
を受け、 UAE 連邦政府は、 2008 年 10 月に、全ての UAE の銀行および UAE 国内で主力事業を展開する外国
銀行の預金について、これを保証する意向であると発表した。その後、 2009 年5月には、 UAE 連邦評
議会が連邦預金を保証する法案を承認した。しかし、法案が可決されるまでは、政府による支援の
保証はない。
健全性規制
UAE 中央銀行は、 UAE 国内の銀行に対し監督責任を負う。立入検査および銀行から定期的に提出さ
れる報告書を精査する方法により監督を行う。調査の頻度は、銀行が把握したリスクに左右される
が、全ての銀行を対象に少なくとも 18 か月に1回は調査が行われる。健全性に関する申告は、同申
告に含まれる情報の内容に応じ、1か月、3か月、6か月、または1年に一度行われる。銀行部門
内における信用リスク、市場リスクおよびオペレーショナル・リスクに関するより最新の情報を UAE
中央銀行に提供するために、リスク管理の枠組みの改善が行われた。
自己資本比率
全ての銀行が、自己資本比率の算出に際しバーゼル合意の原則に従わなければならない。バーゼ
ル Ⅱ は 2009 年 11 月 17 日に UAE 中央銀行 2009 年第 27 号通達をもって導入された。 1993 年以降、 UAE 中央
銀行は UAE の全ての銀行に 10 %の最低自己資本比率を課している。 2009 年8月 30 日付の通達を受け
て、 UAE 中央銀行は、自己資本要件を変更すると発表した。その内容は、 UAE の銀行に対して、 2009
年9月 30 日までに 11 %以上の最低自己資本比率および7%以上のティア1自己資本比率を達成する
よう勧告するというものである。さらに、 UAE 中央銀行は、 UAE 国内で営業する銀行に 2010 年6月 30
日までにティア1自己資本比率を8%以上に、最低自己資本比率を 12 %以上に引き上げるよう求め
た。その後 2009 年 11 月 17 日付の通達を通じてバーゼル Ⅱ を導入して、 UAE 中央銀行は、 UAE の主要銀
行は近いうちにバーゼル Ⅱ の基礎的内部格付手法へと移行することが期待されると述べた。同通達
を通じて、 UAE 中央銀行は、 UAE 国内で営業する全ての銀行は、常に自己資本比率を 11 %以上に保
ち、 2010 年6月 30 日までにはこれを 12 %まで増加させることが求められていると繰り返し述べた。
また、 UAE 中央銀行は、同通達を通じて、バーゼル Ⅱ の枠組みの第2および第3の柱に関する同銀行
の予想を明らかにした。当期利益、のれん、その他の無形資産、投資の未実現利益および貸倒引当
金の不足は規制上の自己資本から控除される。
本書提出日現在、 UAE 中央銀行は、 バーゼル Ⅲ改革の緩やかな段階的導入を採用している。 UAE にお
けるバーゼル Ⅲ の段階的な導入の一環として、 2017 年2月規制および付随基準に基づき、当行は、
UAE 中央銀行により 2018 年1月1日から 13 %の最低自己資本比率を維持することを要求されている
( 2019 年1月1日からは 14.5 %の最低自己資本比率に引上げ。)。この UAE 中央銀行が定める最低自
己資本比率の範囲内において、 D-SIB である当行は、 2018 年1月1日から 1.125 %の普通株式等ティア
1資本バッファーを維持することを要求されている( 2019 年1月1日からは 1.50 %に引上げ。)。
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UAE 国内における自己資本比率の算出は、国際決済銀行の指針に従って行われるが、 GCC 内の中央
政府および中央銀行に対する債権もしくは GCC 内の中央政府および中央銀行が保証する債権のリスク
加重は0%になる。 UAE 政府の非営利公共機関の債権のリスク加重は0%になる。銀行法に基づき、
銀 行は、法定準備金が資本の 50 %に達するまで、毎年利益の 10 %を法定準備金に振り替えなければ
ならない。法に定める特別な場合を除き、この準備金から配当を行うことはできない。 UAE の銀行が
支払う配当は全て、 UAE 中央銀行による事前の承認を受けなければならない。
バーゼル委員会は、国際的に活動する銀行の規制資本の枠組みについて数々の抜本的な改革を実
施した。 2010 年 12 月 16 日および 2011 年1月 13 日、バーゼル委員会は、バーゼルⅢの改革を公表し
た。これは、資本水準を強化し、信用機関の最低流動性基準を確立するための新たな資本および流
動性要件の一部として、ティア1およびティア2資本商品の適格条件に関するガイダンスからな
る。バーゼル Ⅲ 改革の実施は 2013 年1月1日に始まった。しかし、要件は一連の移行措置に従って
おり、一定の期間中に段階的に導入される。「実質的な破綻状態において損失吸収力を確保するた
めの最低要件」と題したバーゼル委員会の 2011 年1月 13 日付プレスリリース(以下「 2011 年1月プ
レスリリース」という。)は、以下のとおり追加のバーゼルⅢ要件(以下「破綻状態要件」とい
う。)を含んでいる。
「国際的に活動する銀行により発行されるその他ティア1とティア2資本商品の全ては、トリ
ガー事由が発生した場合に、元本削減か普通株転換が、関係当局の判断により、なされることが義
務付けられる契約条項を発行条件に含んでいなければならない。ただし、以下の条件を全て満たす
場合を除く。
a. 当該銀行の所管国において、次の点を求める法令が施行されていること。
(ⅰ) トリガー事由発生時において、そうしたティア1やティア2資本商品の元本が削減される
こと。
( ⅱ ) そうでなければ、納税者が損失に晒される前に、そのような資本商品が完全に損失を吸収
すること。
b. ピアグループのレビューによって、当該国が( ▶ )の規定を満たしていることが確認されるこ
と。
c. そのような資本商品が、本( ▶ )項の規定の下で損失を被りうることが、規制当局および発行
銀行自身により今後の発行書類で開示されていること。
トリガー事由は次のうち早く発生したものとする:(1)元本削減がなければ銀行が存続不可能
になるとして、元本削減が必要である、と関係当局によって決定された場合。(2)公的セクター
による資本注入もしくは同等の支援がなければ銀行が存続不可能になるとして、当該支援が関係当
局によって決定された場合。」
2011 年1月プレスリリースでは、 2013 年1月1日以降に発行される資本商品は、ティア1および
ティア2資本商品として規制資本に算入されるためには破綻状態要件を満たさなければならないと
定めている。 2013 年1月1日より前に発行された資本商品で、上記の要件は満たさないものは、
2013 年1月1日からフェーズアウトされる。
2017 年2月 23 日、 UAE 中央銀行は、 2017 年2月規制を公表した。 UAE 中央銀行が 2016 年5月に発表
した自己資本規制諮問文書に記載の措置を講じつつ、 UAE において事業を展開する全銀行の自己資本
につき、バーゼル Ⅲ の要件を遵守させることを意図している。 2017 年2月規制は、 UAE 中央銀行が
2018 年1月 17 日に発表した付随基準により裏付けされ、関連するバーゼル Ⅲ の自己資本要件に関す
る UAE 中央銀行の監督上の期待に同化された。下記「2 . 事業等のリスク - 当行は、厳格な規制の
対象となっている企業であり、適用法令の改正、その解釈もしくは執行、またはその不遵守は、当
行の事業に悪影響を及ぼすおそれがある。 」を参照のこと。
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準備預金制度
UAE 中央銀行は、健全性を監督する手段として、また信用拡大を抑制するために、準備預金制度を
用いる。預金準備率は、定期預金については1%、他の全ての顧客残高については 14 %である。
信用管理
銀行は、その規模や業務に応じた与信方針および手続を定めることが UAE 中央銀行により義務付け
られている。また、信用集中、とりわけ個人の借り手、経済部門および外国に対する集中を監視す
るために、適切な信用評価、承認プロセスおよび十分な制御手段を整えなければならない。
UAE 中央銀行のリテールに関する通達は、個人顧客に対して提供されている銀行貸出金およびその
他のサービスに関する規制を導入した。これらの規制は、とりわけ、融資額および収益額の上限
や、個人向け商品についてのローン・トゥ・バリュー比率について定めている。例えば、これらの
規制は、個人顧客に対する融資額は借り手の給料または総収入の 20 倍を超えてはならないと定める
ほか、返済期限も 48 か月を超えてはならないと定めている。これらの規制は、外国人向け住宅ロー
ンの額は、(5百万ディルハム以下のものに関して)初回の住宅購入時には資産価値の 75 %を超え
てはならないこと、(5百万ディルハムを上回るものに関して)初回の住宅購入時には資産価値の
65 %を超えてはならないことおよび2回目以降の購入時には当該資産価値にかかわらず資産価値の
60 %を超えてはならないことを定めた住宅ローン規制( 2013 年 11 月 28 日付官報により公表され 2013
年 12 月 28 日に施行されたものであり、 2012 年 12 月 30 日付の 2012 年第 3871 号 UAE 中央銀行通達に優先す
る。)を受けて変更される可能性がある。 UAE 国籍保有者向け住宅ローンの上限は、5百万ディルハ
ム以下の初回の住宅購入時には 80 %、5百万ディルハムを上回る初回の住宅購入時には 70 %および
2回目以降の購入時には資産価値にかかわらず 65 %と定められている。
大口エクスポージャー
UAE 中央銀行は、大口エクスポージャーの定義を、単一の借り手または関連する借り手グループに
対する融資エクスポージャーまたは資金未調達エクスポージャー(引当金、現金担保および抵当権
付預金を除く。)のうち所定の上限を超えるものとしている。大口エクスポージャー制限(銀行の
資本ベースに占める割合として定義される。)は、以下のとおりである。
・ 単一の借り手または借り手グループに対して-7%
・ 自己資本の5%超を保有する銀行の株主に対して-7%
・ 国外の銀行間エクスポージャー- 30 %( UAE の銀行間エクスポージャーでは、満期が1年を超え
る場合には 25 %の上限が適用される。満期が1年を超えない場合には、規制を免除される。)
・ 銀行の親会社、子会社または関連会社に対して- 20 %(当該エクスポージャーの総計で 60 %)
・ 取締役に対して-5%(当該エクスポージャーの総計で 25 %)
2013 年 11 月 11 日、 UAE 中央銀行は、上記の大口エクスポージャー制限を一部変更した大口エクス
ポージャー通達を公表した。大口エクスポージャー通達は 2013 年 12 月 30 日付官報によって公表さ
れ、 2014 年1月 30 日に施行された。大口エクスポージャー通達は、 UAE の地方政府および地方政府が
保有する非営利事業体に対する全ての貸出について、新しい限度を銀行の自己資本の 100 %とし、同
時に単一の非営利事業体に対する貸出の限度を自己資本の 25 %とする規制を導入した。これらの限
度を超えるエクスポージャーは UAE 中央銀行の承認が条件となる。下表は、大口エクスポージャー通
達により導入された変更の要約(バーゼル Ⅱ に基づいて計算された銀行自己資本の割合として定義
されている)を示している。
個別 新制限合計 個別 旧制限合計
UAE 連邦政府およびその非営利事業体 免除 免除 免除 免除
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UAE の地方政府およびその非営利事業体 UAE の地方政府に 100% 免除 免除
は上限なし、各
非営利事業体に
は 25 %の上限
UAE 連邦政府および UAE の地方政府の営利事業 25% 100% 25% なし
体
営利目的およびその他(非営利目的)の民間 最大 25 % なし 7% なし
部門事業体ならびに個人
銀行の自己資本および関係事業体の5%以上 20% 50% 7% なし
を所有する株主
銀行の子会社および関連会社に対するエクス 10% 25% 20% 60%
ポージャー
取締役会 構成員 5% 25% 5% 25%
貸倒引当金
UAE 中央銀行は、不良債権を回収の見込みに基づき破綻懸念先、実質破綻先、破綻先のいずれかに
区分し、それぞれの該当額(適用ある信用プロテクション差引後)の 25 %、 50 %、 100 %以上の引当
金を計上するよう定めている。個人向け貸出金および消費者向け貸出金のうち、利息または元本の
いずれかの返済が 90 日よりも長い期間滞っているものについては、不稼働資産とし、不良債権とし
て分類しなければならない。さらに、 2010 年 11 月 11 日付で UAE 中央銀行が発出した貸出金の分類の規
制やそれらの引当金について規定した 2010 年第 28 号通達に従い、 UAE 国内の全ての銀行は、未分類の
貸出金に対する一般引当金を用意し、 2014 年までにその一般引当金の額を銀行が有するリスク加重
資産の 1.5 %相当額まで引き上げなければならない。実際に、数行の銀行ではより厳しい方針を実施
して、回収が疑わしくなった貸出金は直ちに不稼働資産として処理している。
UAE 国内の銀行は、一般に、回収のためのあらゆる法的選択肢が尽くされるまで、不良債権の償却
は行わない。このことから、 UAE の銀行の貸借対照表に計上される顧客に対する貸出金の貸倒れおよ
び/または不良債権の水準は、他の経済圏で営業する銀行と比べ、高くなる傾向にある。
UAE の与信事務所の設立
連邦政府企業で UAE の与信報告およびその他の金融情報の提供を専門にしているアル・エティハド
与信事務所(以下「 AECB 」という。)は、 UAE 内閣から事務所の規制および与信報告の責任について
正式に承認を受け、 2014 年に運営を開始した。 AECB は UAE に拠点を置く全ての銀行に対し、データ共
有契約を締結し顧客与信情報を提供できるように働きかけた。多くの銀行が契約を完了させ、運営
を開始するまでに初期データの提供を終えている。本書提出日現在、当行は AECB とデータおよび与
信情報提供契約を締結している。
与信報告データの共有に関する規則と UAE にとって初めての与信事務所の商業上の運営の実施は、
一般的に顧客貸出およびバンキング事業の組成のリスクを減少させることが予期される。
競争
2019 年3月 31 日現在の UAE の銀行 セクター は、イスラム銀行8行および外国商業銀行 27 行の支店ま
たは子会社を含め、 49 の商業銀行で構成されている。営業認可を受けた外国銀行の支店および子会社
は、主に消費者向け銀行業務、貿易金融、外貨オペレーションおよび政府関連取引に焦点を当ててい
る。外国銀行による公共部門ファイナンスへの参加は、この分野における利鞘を著しく押し下げてき
た。 UAE の金融市場は、更なる競争激化と困難に直面しており、多くの評論家は、 NBAD と FGB の合併の
完了が UAE 設立銀行間の更なる統合を促進すると期待している。
UAE 設立銀行は、適用される法人税、所得税および付加価値税の税率が0%という税務上の優遇措
置を受けている一方で、 UAE で 営業 する国際的な銀行には、利益に対して 20 %の法人税が課せられて
いる。 2018 年1月1日から、一定の GCC 国( UAE を含む。)は5%の税率の VAT 制度を実施しており、
その他の GCC 国は 2019 年に VAT を実施することが予定されている。
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(3)リスク管理
下記「第6-1 財務書類 - 連結財務書類に対する注記」注記5および注記6を参照のこと。
2【事業等のリスク】
本項に含まれている将来に関する記載は、本書提出日現在の当行の考え、見通し、目的、予想および見
積りに基づいている。
当行の能力に影響を及ぼし得る要因
厳しいマクロ経済状況および金融市場状況は、当行の事業、経営成績、財政状態および見通しに影響を
及ぼしており、今後も重大な悪影響を及ぼすおそれがある。
当行は、他の金融機関と同様、マクロ経済環境の変化および金融市場全般のパフォーマンスの影響を受
け易い。本書提出日現在、世界の債券・株式市場のパフォーマンスは、マクロ経済状況の継続的な変動に
より変化してきた。これは、 UAE を含む GCC 諸国の経済にも重大な悪影響を及ぼしており、こうした重大な
悪影響は現在も続いている。
2014 年7月から 2016 年1月までの期間において、世界の原油価格は急落した(月間平均 OPEC バスケット
価格は1バレル当たり、 2014 年7月における最高値の 107.89 米ドルから、 2016 年1月には 26.50 米ドルへと
約 75 %下落している。)。
2016 年および 2017 年中における世界の原油価格の部分的な是正にもかかわらず( OPEC のウェブサイトに
よると、平均 OPEC バスケット価格は、 2016 年 12 月 31 日に終了した事業年度において、1バレル当たり約
51.67 米ドルであり、 2017 年 12 月 31 日に終了した事業年度において約 62.06 米ドルであった。)、石油収入
に依存する GCC 諸国の経済は引き続き悪影響を受け、 2016 年および 2017 年には財政赤字の拡大、財政収入の
減少およびその後の公共支出の削減が生じた。政府の財政赤字は、純資産ポジションの弱体化、外部資金
調達ニーズの増加および継続的な政府支出の低下を生じさせた。その結果、オマーン国およびバーレーン
王国をはじめとする GCC 諸国の多くは、信用格付の引き下げまたは「信用格付見直し中」となった。
UAE においては、石油価格が低迷した環境に対応するために、連邦政府が 2015 年から実施している大幅な
財政改革は、 UAE 経済に変革的効果をもたらしており、こうした変革的効果は続くことが予想される。連邦
政府は、政府関連企業への資本投資の縮小、政府出資の削減、電気料金および水道料金の値上、ならびに
燃料助成金の廃止を実施してきた。また、 2018 年1月1日から、連邦政府は UAE において5%の税率の付加
価値税(以下「 VAT 」という。)制度を導入した。
これらの措置は、財政支出全般の合理化および石油などの炭化水素燃料関連収入に対する財政の依存を
減らすことを目的とした、連邦政府の広範囲の戦略の重要な一部となっている。現在も続いている石油価
格のボラティリティ、 2015 年からサウジアラビア主導のイエメン共和国に対する軍事介入につぎ込まれて
きた多額の財政収入、ならびに UAE (とくにアブダビ)の民間部門および公共部門の双方で発生している全
国的な失業問題を総合的に捉えると、 2015 年初頭から UAE 経済が受けてきた影響は大きく、また引き続き大
きくなることが予想される。さらに、アブダビに基盤を置く政府関連の当行の顧客に関し、 2015 年アブダ
ビ評議会通達第 11 号および 2017 年アブダビ評議会通達第1号(合わせて、以下「アブダビ公的債務法」と
いう。)を含む近時の法令は、当該通達の写しを受領した政府所有会社に対し、当該会社またはその子会
社について、借入または負債の発行に関する取引を締結するためアブダビ評議会の承認を得ることを要求
する(また、かかる借入が政府保証を受ける場合、アブダビ公的債務局と協力する追加の要請も課
す。)。実務上、アブダビに基盤を置く政府関連の当行の顧客に対してアブダビ公的債務法の適用が及ぼ
す影響は不確定である。アブダビ公的債務法の条項が厳密に適用され、アブダビに基盤を置く政府関連の
当行の顧客が当行と取引を行うたびにアブダビ評議会の承認が要求される場合、このセクターの顧客に対
する当行の貸付活動が減少する(および/またはその実行が遅延する)可能性がある。
石油価格のボラティリティの影響に対応するために 2015 年以降 UAE 連邦政府が行った措置は、当行の主幹
的業務の1つである UAE リテール市場において大きな負荷を生み出した。 UAE におけるマクロ経済の状態が
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改善せず、リテール・セクターが直面した課題が当行の法人顧客に拡大すると、当行の業務、業績および
財政状態に対する影響は大きくなる。
原油、ガス、採鉱および採石の各セクターに対する当行の直接的エクスポージャーは、大きくはないも
のの( 2018 年 12 月 31 日現在、当行の貸借対照表に計上されている顧客に対する貸出金の約 7.1 %相当)、世
界の石油価格が今後も下落した場合、 UAE 経済全体が更なる悪影響を受けるだけでなく、 UAE 経済のその他
のセクターにおける悪化の結果、当行も間接的に悪影響を受けるおそれがある。
さらに、英国の「 EU 離脱」の是非を問う国民投票および米国の大統領選挙の結果等の政治的事象の影響
は、 EU および米国を通じて、一般に国際金融市場および投資家心理に変化を生み出しており、これは、例
えば、負債および株式市場における定期的な低パフォーマンスと高パフォーマンスを含む。
こうした大きく変化する市場環境は、流動性の低下、信用スプレッドの拡大、ならびにクレジット市場
および資本市場における価格透明性の欠如をもたらしてきた。市況の悪化は、世界および UAE 双方の投資市
場にも影響を及ぼしており、金利および為替レートのボラティリティを高めている。 2015 年 12 月以降、米
国連邦準備制度理事会は、米国翌日物金利を、それぞれ 25 ベーシス・ポイントずつの 7 回の利上げにより合
計で 175 ベーシス・ポイント利上げした。米国連邦準備制度理事会は 2018 年および 2019 年に米国翌日物金利
を引き続き引き上げることが予想される。この金利の継続的な上昇は、流動性が低下した環境に拍車をか
ける可能性が高く、米国翌日物金利の変動のペースが予想通りに進めば、当行がこれらの増加費用を顧客
に転嫁することができない場合、当行の純預貸利鞘および借入費用にも悪影響を及ぼす。
本書提出日現在の実勢市場状況により、当行が直接信用を供与する会社は、収益の低下、金融損失、倒
産、資金調達へのアクセスの入手の困難性および資金調達費用の上昇を経験しており、また経験し続ける
可能性があり、これらの会社の一部は、当行に対する支払金額を含む債務支払義務またはその他の経費を
期限に充足することができなくなっている。
当行の事業、経営成績、財政状態および見通しは、こうした動向により重大な悪影響を受けており、他
の GCC 諸国および新興市場全体における全般的に好ましくない経済状況の継続のみならず、米国および欧州
をはじめとする国際取引市場の市況および/または関連する要因により、更なる重大な悪影響を受ける可
能性がある。
信用リスク
信用リスクとは、金融商品の一方当事者が弁済期限到来時に適時の債務弁済を怠り、相手方当事者が財
務上の損失を被るリスクをいう。多数のカウンターパーティが類似の事業活動に従事する場合、同一の地
理的地域において活動に従事する場合、または契約上の義務を履行する能力が経済もしくは政治等の状況
の変化により類似の影響を受けることとなる類似の経済的特性を有している場合、信用リスクの集中が発
生する。信用リスクの集中は、個人または関連するカウンターパーティの集団に対するエクスポージャー
が拡大した場合にも発生する可能性がある。信用リスクの集中は、特定の産業または地理的地域に影響を
与える動向に対する当行の業績の相対的感応度を示すものである。
GCC に所在の他行と同様、近年の好ましくない経済および政治の動向の結果(本項前述の「 厳しいマクロ
経済状況および金融市場状況は、当行の事業、経営成績、財政状態および見通しに影響を及ぼしており、
今後も重大な悪影響を及ぼすおそれがある。 」を参照のこと。)、消費者マインドの水準、消費支出、流
動性の水準、倒産率ならびに商業用および住宅用の不動産価格等の要因の好ましくない変化は、歴史的に
も当行の信用ポートフォリオに影響を及ぼしてきた。
こうした変化の激しい経済環境ならびにアブダビおよび UAE における経済活動水準に生じ得る影響は、当
行の信用リスク・プロファイルに悪影響を及ぼし続ける可能性がある。当行は定期的に信用エクスポー
ジャーを検証しており、貸付ポートフォリオの一部の金利更改およびストレス下にある貸出金の一部のリ
ストラクチャリングを実施してきたが、顧客の債務不履行は今後も発生する可能性がある。かかる事態の
発生は、当行の事業、経営成績、財政状態および見通しに重大な悪影響を及ぼし続け得るとみられる。現
在当行が直面する信用リスクの一部が、以下に記載される。
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当行が、財政難に陥っている債務者の不良債権につき、それらの水準を効果的に監視および管理ができ
ず、もしくは必要な際に首尾良くリストラクチャリングできなかった場合、または当行の減損引当金が貸
倒 損失の引当に十分でない場合、当行の財政状態および経営成績に悪影響を及ぼすおそれがある。
2018 年 12 月 31 日 現在、当行の減損貸出金は 11.5 十億ディルハムであり、 12.8 十億ディルハムの減損引当
金を計上している。国際財務報告基準( IFRS )に従い、当行は、損益計算書において、算定された減損
(回収に対する最も的確な見積りおよび予想損失額を算出する判断に基づき設定される。)を事前に費用
として計上することを求められている。債権の利息または元本(場合に応じて。)が支払われた場合、損
益計算書にその旨計上し直される。当行の経営陣は、 2018 年 12 月 31 日現在、減損引当金の水準は、同日現
在における当行の潜在的な貸倒損失を十分に引き当てられると考えている。 2018 年 12 月 31 日現在、当行は
減損貸出金の 110 %の引当金カバー率を有していた。
当行は、個々の金融機関に対する貸出限度額および国別与信限度額の遵守を定期的に検証および監視し
ている(上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等- ( 3 ) リスク管理」を参照のこと。)。
さらに、当行の信用グループは、成長、リスク管理および戦略の目的に沿った信用に係る方針および手続
の策定に責任を負っており、当行の経営陣は、当行の貸出金のリストラクチャリングを実施するための現
行システムおよび減損引当金は、各報告日現在で適切であると信じている。
地理別およびセクター別に分析した当行の貸付・投資ポートフォリオおよび預金基盤が集中した場合。
当行は UAE 最大の銀行であり、高いプレゼンスを有することから、地理的な当行の貸付・投資ポートフォ
リオは、 UAE に自然と集中する。その結果、 UAE の経済状況全般が悪化した場合、または当行が地理別、セ
クター別および顧客別にリスクの集中を効果的に管理できなかった場合、当行の事業、経営成績、財政状
態および見通しが重大な悪影響を受けるおそれがある。
2018 年 12 月 31 日現在、当行の貸付ポートフォリオおよび投資有価証券ポートフォリオ(引当金控除後)
は併せて、当行の資産合計の 61.5 %に相当する 458 十億ディルハムであった。当行の 2018 年 12 月 31 日現在の
顧客に対する貸出金総額は 366.8 十億ディルハムであり、そのうち不動産は 25 %、銀行およびその他金融機
関は 15.6 %、個人ローンおよびクレジットカードは 15.2 %を占めていた。
2018 年 12 月 31 日現在、当行の投資有価証券ポートフォリオは、非トレーディング負債証券 90.4 十億ディ
ルハム( 86 %)で構成される。当行の非トレーディング負債証券ポートフォリオは、 MENA 地域の発行会社
(主に政府および公営企業)に対して著しいエクスポージャーを有している。 2018 年 12 月 31 日現在、ポー
トフォリオの 47.6 十億ディルハム( 52.6 %)は、主に MENA 地域の発行会社に対するエクスポージャーで構
成されていた。
さらに、 UAE の人口の大部分は、 UAE における就業および居住のために雇用主が身元保証となる更新可能
な就業許可を要する外国人である。このため、当行の顧客基盤およびリテール・ローン・ポートフォリオ
の大半は、 UAE に滞在する海外からの駐在者で構成されている。当行は、かかる顧客がローンを返済しない
まま UAE を出国する「高飛びリスク」にさらされている。当行は、一部の国において「高飛び」した借り手
に対する国外執行措置を講じつつ、与信エクスポージャーを定期的に検討しながら、借り手の財政状態お
よび信用力を評価する体制を整備している。
実質破綻先に対する貸出金について、新たに減損引当金が著しく増加した場合または過去に計上した減
損引当金の水準を上回る貸倒損失が発生した場合、当行の経営成績および財政状態が悪影響を受けるおそ
れがある。
貸付業務に関連して、当行は、貸倒引当金を定期的に設定し、損益計算書に計上している。当行の減損
引当金の全般的水準は、過去の損失実績、実行した貸付の金額および種類、保有担保、業界水準、延滞貸
付金、経済状況ならびに各種貸付金の回収可能性に関連するその他の要因に関する当行の評価に基づいて
いる。当行は、発生した損失額の最も的確な見積り値に基づき、適切な水準の減損引当金を設定するよう
努めているが、例えば経済的圧力状態または規制環境の変化等の理由により、当行が減損引当金を大幅に
増加せざるを得ない可能性もある。減損引当金が大幅に増加した場合または減損していない貸出金のポー
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トフォリオに固有の損失リスクに係る当行の見積りに著しい変更があった場合、さらに貸倒損失がその減
損引当金を超過して発生した場合、当行の事業、経営成績、財政状態および見通しが悪影響を受けるおそ
れ がある。
本書提出日現在、 IFRS 第9号は IAS 第 39 号に代えて 2018 年1月1日に開始する財務報告期間について導入
され、金融資産の減損の算定について「予想信用損失」モデルが導入され、信用損失を認識する前にクレ
ジット・イベントが発生していることは必要とされなくなった。 2018 年1月1日から、 IFRS 第9号の初期
の影響が当行の連結株主資本変動表に対して評価され、その後、影響は当行の連結損益計算書に計上され
る。
当行の貸出金および預金の相当部分を占める重要な顧客との取引を喪失した場合、当行は、重大な悪影
響を受けるおそれがある。
当行の正味営業収益の相当部分は、アブダビ政府が支配する企業、アブダビ政府と関連する企業、アブ
ダビの支配一族のメンバーおよびその他個人富裕層(かかる個人富裕層の支配企業および関連企業を含
む。)等、一部の重要な顧客から発生している。かかる一以上の顧客の取引の全部または相当部分を喪失
した場合、当行の事業、経営成績、財政状態および見通しが重大な悪影響を受けるおそれがある。
加えて、アブダビ政府が支配する企業またはアブダビ政府と関連する企業の財政状態および継続的な収
益性は、政府の支出および政策に大きく依存している。このため、当行は、アブダビ政府の支出および政
策の変更のほか、かかる変更がアブダビおよび UAE における経済活動の水準に及ぼす影響によるリスクにさ
らされている。当行はこうしたリスクをコントロールすることはできず、かかる変更が当行に与える影響
を予想することは困難なこともある。しかしながら、現在の GDP 成長に依拠すれば、経常収支の剰余が GDP
の 10% に近いことおよび AA の投資適格格付を有することから、 UAE の経済活動の悪化は、近いうちに緩和さ
れる。
しかしながら、 2014 年中頃から続いている大きく変動する経済状況の結果、年度予算および公共支出の
削減と相まって、 GCC 経済においては財政赤字が拡大している(本項前述の「 厳しいマクロ経済状況および
金融市場状況は、当行の事業、経営成績、財政状態および見通しに影響を及ぼしており、今後も重大な悪
影響を及ぼすおそれがある。 」を参照のこと)。
流動性リスク
流動性リスクは、当行が自らの金融債務と関連する支払義務を支払期限到来時に履行できないリスク、
および/または資金の引出しがなされた時に当行が新たな資金を用意できないリスクをいう。流動性リス
クは、当行の事業、経営成績、財政状態および見通しに重大な悪影響を及ぼすおそれがある。当行が直面
するいくつかの流動性リスクが以下に記載される。
当行の営業キャッシュフローは、契約上の支払義務および偶発的な支払義務を履行する上で常に十分と
はいえない可能性がある。
当行の営業キャッシュフローが、短期および中期の契約上の支払義務および偶発的な支払義務を支払期
限到来時に履行する上で十分でない場合、当行は流動性の問題に直面する可能性がある。かかる流動性の
問題は、当行が顧客からの新規預金、新たな資金調達による手取金または将来の収入源を継続して確保し
ていたとしても、当行の利用可能な流動性が、債務返済、ローン・コミットメントの実行、または特定の
日付におけるその他の貸借対照表に計上されたもしくは計上されない支払義務の履行に十分でない場合に
発生することがある。こうした流動性の問題は、顧客預金が予想外に引き出された場合、当行の流動性あ
る証券ポートフォリオの価値が著しく低下した場合、または当行がかかる資金不足を穴埋めするための短
期資金を商業的に受入可能なレートで調達できなかった場合も発生する可能性がある。
当行のグループの資産負債管理委員会は、流動性比率の設定および監視、ならびに当行の流動性管理方
針の定期的な変更および更新を行い、当行が期限到来時に義務を履行できるように努めている(上記
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等-(3 ) リスク管理」を参照のこと。)。さらに当行
は、継続的な資金調達ニーズを特定する目的、および一定の期間にわたり適切な流動性を維持する目的
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で、資産および負債の満期分析を定期的に実施している。当行のグループ・リスク委員会は、通常および
ストレス下での市場状況における当行の流動性に関する定期報告を受けているほか、流動性がストレス・
シ ナリオにおいて一定の期間にわたり確実に利用可能となるための戦略を策定している。 2018 年 12 月 31 日
現在、当行の現金および中央銀行預け金は 182.9 十億ディルハムであった。
本書提出日現在、 UAE 中央銀行は、 2008 年の世界金融危機に対応してバーゼル銀行監督委員会(以下
「バーゼル委員会」という。)により承認された信用機関の資本および流動性基準の順次の段階的な導入
方針(以下「バーゼルⅢ改革 」という。)を受諾している。 UAE におけるバーゼル Ⅲ の段階的導入の一環と
して、 UAE 中央銀行は、 UAE の一定の銀行に対し、それらがバーゼルⅢの流動性カバレッジ比率(以下
「 LCR 」という。)の適用を受け、将来安定調達比率(以下「 NSFR 」という。)の適用を受けることを通知
した。
LCR は、 30 日間にわたる極端なストレス下における顧客資金の持続的な流出に対処する銀行の能力を測定
するためのバーゼル Ⅲ 改革の一部として、バーゼル銀行監督委員会が導入した指標である。 LCR は、金融機
関の質の高い流動資産(以下「 HQLA 」という。)(かかるストレス・シナリオにおいて重要な流動性の源
泉を提供する、低リスクで市場性の高い資産クラスを含む。)を、直後の 30 日間にわたる予想正味現金流
出額で除して計算される。 LCR により、銀行は、 30 日間のストレス期間における予想現金流出額と予想現金
流入額の上限との差額を補填する目的で、流動性バッファーにおいて十分な HQLA を保有することが義務付
けられている。バーゼル Ⅲ 改革に基づき、 LCR の最低値は 100 %でなければならないが(即ち、ある金融機
関が保有する HQLA は、少なくとも正味現金流出額合計と同額でなければならない。)、 UAE 中央銀行は、関
連する UAE の銀行に対し LCR を段階的に導入し、 LCR の遵守の開始時に 60 %の当初ベンチマークを設定し、
2019 年1月1日までにこれを 100 %に引き上げる。 2018 年 12 月 31 日現在、当行は 236.6 十億ディルハムの
HQLA のポートフォリオを有しており、当行の LCR は 118.13 %であった。
このため、 UAE 中央銀行の指示に従い、当行は LCR 遵守報告を通じて流動性ポジションを監視している。
HQLA の十分なバッファーの維持を義務付ける関連要件は、とりわけ LCR に組み込まれている規制上の流出の
前提を充足する上で十分な規模および質の HQLA ポートフォリオの維持にかかる固有の費用により、当行の
中核的な事業であるコンシューマー・バンキングおよびホールセール・バンキングに悪影響を及ぼすおそ
れがある。当行が仮に、追加的費用を削減するために、選択的預金手数料または最低貸付金利を導入する
選択をした場合、当行の主要資金調達源である顧客預金の喪失、新たな正味現金流出の発生および/また
は国内貸付ポートフォリオにおける市場シェアの縮小が発生するおそれがある。
LCR の遵守および十分な HQLA のポートフォリオの維持に関連する固有の費用により、当行は、 LCR を通じ
て流動性を監視していない UAE に本店を置く他の競合金融機関と比較して、競争上不利な立場に置かれる可
能性があり、当行の事業、経営成績、財政状態および見通しに重大な悪影響を及ぼすおそれがある。
当行は、主要な資金調達源として短期要求払預金および定期預金に依存しているが、主に中長期の資産
を保有していることから、資産および負債の満期が一致しない可能性がある。
UAE 所在の他行と同様、当行の負債の多くは短期要求払預金および定期預金であるが、当行の資産は概し
て(貸出金および抵当権等)中長期資産である。資産および負債の満期のミスマッチは、当行が新たな預
金または既存のもしくは将来の貸付ポートフォリオの代替の資金源を得ることができず、またはそれらの
取得費用が市場価格と異なる場合に生じる。
当行は、資金調達源分散化および満期の長期化を目的として、(バイラテラル・ローンまたはシンジ
ケート・ローンおよび国際債券市場を通じて)ホールセール資金調達市場にアクセスしているが、こうし
た借入によっても、資産および負債の満期の不一致を是正することはできていない。
当行の預金者の相当数が要求払預金の引出しを行った場合もしくは満期時に定期預金を預替えをしな
かった場合、または当行が巨額の短期もしくは中期の借入金の一部につき、借換えができなかった場合、
当行は、自らの資金調達ニーズを満たすために、より費用のかかる資金調達源にアクセスしなければなら
ない可能性がある。当行が必要な時に商業上合理的な条件で追加的な資金を調達できる保証、またはそも
そも追加的な資金調達を行うこと自体ができる保証はない。当行が借換えできなかった場合またはかかる
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預金に代わる新たな資金を用意できなかった場合、当行の流動性、事業、経営成績、財政状態および見通
しが重大な悪影響を受けるおそれがある。
当行は、貸借対照表に計上されない巨額の与信関連コミットメントを引き受けていることから、損失を
被るおそれがある。
通常の銀行業務の一環として、当行は、与信、保証、信用状およびその他の金融ファシリティに係る取
消可能および取消不能なコミットメントを引き受けるとともに、かかるコミットメントが全額実行される
前に証券投資するためのコミットメントも提供している。かかるコミットメントはいずれも、実際に実行
されるまで、または取り消されるまで、貸借対照表には計上されない。かかるコミットメント実行は偶発
的であるため、貸借対照表に計上されないものの、その結果、当行は関連する信用リスク、流動性リスク
および市場リスクにさらされることとなる。与信関連コミットメントは、顧客に対する貸出金と同様の信
用承認条件およびコンプライアンス手続に服し、信用コミットメントは、顧客が要求される信用基準を維
持することを条件としている。当行は、かかるコミットメントに関連する義務の全てが発生すると見込ん
でいないが、かかるコミットメントの相当部分につき資金提供義務が発生する可能性はあり、この場合、
当行の財政状態、特に流動性ポジションが重大な悪影響を受けるおそれがある。 2018 年 12 月 31 日現在、当
行の偶発債務は、 212.8 十億ディルハムであった。
市場リスク
当行の事業は、金利、株価、物価、外国為替レートおよび信用スプレッド等の市場価格の変動が、当行
の利益または保有金融商品の公正価値に影響を及ぼす市場リスクにさらされている。市場リスクは、当行
の事業、経営成績、財政状態および見通しに悪影響を及ぼすおそれがある。当行が直面している市場リス
クについては、後述する。
金利水準の変動は、当行の純利鞘および借入費用に影響を及ぼし、金利およびスプレッドの変動に対し
て感応度の高い資産の価値が悪影響を受けるおそれがある。
当行の業務は、その他の要因の中でも、金利の変動による影響を受ける。特に、当行の活動は、当行の
金利リスク管理、および市場レートと利息マージンの間の関連性に依拠する。当行の純利息収入は、当行
の利息を生じる資産および負債のレベル、ならびに利息を生じる資産および負債の平均金利、ならびに利
息を生じる資産および負債の平均利息に大きく依拠する。
当行の資金源である市場の流動性の欠如により、当行の限界借入費用が増加する可能性がある。同様
に、インターバンク基準金利の上昇も、適用金利の変動の影響を受け易い特定の資産の価値に影響を及ぼ
す可能性がある。 2018 年 12 月 31 日現在、当行の借入には主に、3か月物 LIBOR および3か月物 EIBOR 等のイ
ンターバンク基準金利に基づく変動金利に、特定の利鞘を加算した利率が設定されている。
金利は、 UAE 中央銀行および米国連邦準備制度理事会等の中央銀行の政策、政治的要因ならびに国内およ
び国際的な経済状態を含む、当行の支配を超える多くの要因の影響を受ける。例えば、 2015 年 12 月以降か
ら 2018 年 12 月までの間、米国連邦準備制度理事会は、9回にわたり 25 ベーシス・ポイントずつ利上げを
行ったことにより、米国翌日物金利を合計で 225 ベーシス・ポイント利上げした。 2019 年には米国連邦準備
制度理事会による利上げは行われておらず、市場では、今後 2019 年においては現状維持がなされ、 2019 年
度末までに利上げが行われる確率は 50% 未満に留まるとするのが妥当であろうと予想されている。
その見込みはないが、仮にインターバンク基準金利が引き上げられた場合、当行の変動金利借入に係る
利払いは増加することとなる。また、当行の既存の定期預金について支払われる金利の上昇、ならびに相
対的に低い利息を生じる当座預金および普通預金を定期預金に転換する顧客の傾向を受けて、当行の利息
費用が大きく増加する可能性がある。当行の資金調達費用の下限は、金融市場の更なる状況悪化または金
融機関自体および金融機関間の信頼の喪失等の各種要因の結果、増加する可能性がある。当行が顧客に対
して資金調達費用を適時に転嫁できなかった場合、または市場もしくは競争等の状況により全く転嫁でき
なかった場合、当行の事業、経営成績、財政状態および見通しが重大な悪影響を受けるおそれがある。
株式および負債証券の価格の変動は、当行の投資ポートフォリオの価値に影響を及ぼす可能性がある。
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当行は、世界的なマクロ経済の大幅変動の結果により重大な悪影響を及ぼす可能性のある投資有価証券
(債券および株式)を保有している。国際的な債券および株式の資本市場における不安定な状態は、当行
の 投資ポートフォリオ、財政状態および経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。各会計報告期間
において、当行は、 (a) 投資有価証券の売却による実現利益または実現損失、 (b) 時価評価ベースの当該期
間の末日現在の投資有価証券に係る公正価値評価された未実現利益または未実現損失、および (c) 投資有価
証券の公正価値が長期にわたり低下した場合の減損を計上する。
かかる利益および損失の額は、期間毎に大幅に変動する可能性がある。変動の規模は部分的には、同様
に大幅に変動する可能性のある有価証券の市場価値のほか、当行の投資方針に左右される。当行は、いか
なる将来の期間における実現または未実現の利益または損失の額も予測することはできず、期間毎の変動
は、将来のパフォーマンスを示すものでもない。当行の投資ポートフォリオに係る利益は、今後も最近の
数期間と同様の水準で純利益に寄与するとは限らず、または全く寄与しない可能性がある。
オペレーショナル・リスク
当行は、オペレーショナル・リスクを、内部手続、人材、システムまたは外部事象の不適正性または欠
陥に起因して発生する損失リスクと定義している。オペレーショナル・リスクおよび損失は、従業員によ
る不正もしくは過誤が発生した場合、適切な取引の書面化もしくは適切な社内承認の取得ができなかった
場合、規制上の要件および業務遂行規則を遵守しなかった場合、社内システム、設備および外部システム
が機能停止した場合、ならびに自然災害が発生した場合に発生する可能性がある。当行は、リスク管理お
よび損失軽減戦略を実施し、莫大な資源を効率的な手続の策定に充ててきたが、オペレーショナル・リス
クを完全に排除することは不可能であり、これにより当行の財政状態および経営成績が重大な悪影響を受
けるおそれがある。当行が直面するいくつかのオペレーショナル・リスクが以下に記載される。
当行のリスク管理方針および内部統制は、全ての状況において効果的ではない可能性があり、依然当行
を特定または予測をしていないリスクにさらす可能性があり、結果として重大な損失が発生するおそれが
ある。
当行は、事業活動の過程で様々なリスクにさらされており、その中でも最も顕著なリスクは、信用リス
ク、市場リスク、流動性リスクおよびオペレーショナル・リスクである。上記「1 経営方針、経営環境
及び対処すべき課題等-(3) リスク管理」を参照のこと。これらのリスクを適切に管理できなかった
場合、当行の事業、経営成績、財政状態および見通しに加えて、市場における一般的評判が重大な悪影響
を受けるおそれがあることに投資家は留意すべきである。
当行のリスク管理の手法は、完全に効果的であるとはいえず、全ての市場環境におけるエクスポー
ジャー、または特定もしくは予測をしていないリスクを含め、あらゆる種類のリスクに対するエクスポー
ジャーを軽減するために一貫して実施されているともいえない。当行のリスク管理の方法の一部は、当行
のこれまでの市場行動に基づいており、これは、近時の世界的金融危機および世界的なマクロ経済のボラ
ティリティにより生じた事由に証明されるとおり、将来のリスクに対するエクスポージャーを常に正確に
予測することはできない可能性があり、従来の測定が示すよりも著しく高い可能性がある。「顧客確認」
等のリスクを管理するためのその他の慣行も、当行が業務を展開する市場、当行の顧客もしくはその他の
事項に関する公的に利用可能な情報、またはその他当行が利用可能な情報の評価に左右される。
GCC においては、債務者の信用履歴および返済履歴に関する公的に利用可能な情報および金融データが欠
如している(これは主に、借り手の信用履歴が限定的であること、貸し手が求める質および量の情報が提
供できないこと(一部の場合、提供することに消極的であること)、ならびに UAE の信用情報機関が未成熟
であることに起因する。)。このように、より発展した他の市場であれば貸し手に利用可能な質および量
の情報が不在していることから、当行は、 UAE 所在の他行と同様、リスク管理の評価を頻繁に行わなければ
ならない。
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GCC では、「顧客確認」等の慣行は他の市場と比較して未成熟であり、これまで継続的かつ全面的に実施
されなかったことから、かかる情報が正確、完全もしくは最新ではない可能性、またはあらゆる場合にお
いて適切に評価されていない可能性がある。
当行のリスク管理および内部統制の方針および手続により、信用リスク、流動性リスク、市場リスクお
よびその他のリスクの全てが適切に管理されている、または当行がこれらのリスクから保護されている保
証はない。加えて、一部のリスクは、当行の経験データが示すよりも高い可能性もある。当行は、全行員
が当行のリスクに関する方針および手続をこれまで遵守してきた、または今後も遵守すると保証すること
もできない。当行のリスク管理またはその他の内部統制に関する方針または手続の重大な欠陥により、当
行は、著しい信用リスク、流動性リスク、市場リスクまたはオペレーショナル・リスクにさらされる可能
性があり、これにより当行の事業、経営成績、財政状態および見通しが重大な悪影響を受けるおそれがあ
る。
当行が重要な経営幹部の重要な構成員を維持できない場合、業績不振な従業員を解雇できない場合、お
よび/または有能な従業員を適時に新規雇用できない場合、当行の事業が悪影響を受けるおそれがある。
当行が事業を維持および成長させるか否かは部分的には、当行が有能で経験豊かな金融サービス専門の
従業員および指導的立場の従業員を採用および維持し、かかる従業員が能力を発揮し貢献できるようにす
ることに懸かっている。 UAE 所在の他行と同様、当行は、 UAE に居住する有能な従業員が不足し、 UAE 国外か
ら従業員を採用しなければならない可能性がある。加えて、従業員を雇用後も、競合他社の継続的な人材
募集活動により、当行は、従業員の維持という課題に直面する可能性もある。
さらに、当行が合併後も成長を続けた場合、引き続き従業員を増員する必要に迫られる可能性もある。
当行の人事に関する決定は、 UAE 連邦政府が推奨する、 UAE において事業を展開している企業は毎年、全従
業員の少なくとも4%に相当する数の UAE 国民を採用しなければならないという政策に基づいている。 UAE
国民の採用を支持する UAE 連邦政府の政策は、その終了時期が定められていない。 2015 年 10 月 25 日付 UAE 政
令 2015 年第 3/10/267 号(以下「労働力の自国民化通達」という。)に規定される UAE 国籍の従業員の最低採
用人数基準を充足または超過できない場合、当行は、労働力の自国民化通達に従い計算された金額の法的
制裁金を科される可能性がある。上記「第2-5 従業員の状況- 労働力の自国民化 」を参照のこと。
当行は、従業員の採用、維持、能力開発および報奨につき、効果的な制度を整備していると信じている
が、当行が必要な人材を採用、訓練および/もしくは維持できない場合、または有能な UAE 国民もしくは
UAE に移住する用意のある他国民が不足した場合、当行の事業、経営成績、財政状態および見通しが重大な
悪影響を受けるおそれがある。
当行の事業は、情報システムおよび技術システムに依存しているが、当該システムはサイバー攻撃を受
けるおそれがある。
GCC をはじめ世界中の他の金融機関と同様、サイバー・セキュリティは、金融機関にとってますます重要
な検討事項となっている。その情報量から、世界の金融機関が保有する機密の金融情報および個人特定可
能な情報は、サイバー攻撃の潜在的対象となっている。他の金融機関と同様、当行は、当行が保有する情
報および顧客データのセキュリティの脅威となるサイバー攻撃から身を守ることの必要性を認識してい
る。技術システムおよび情報システムに対するリスクは急激に変化しており、継続的な監視と投資を要す
る。当行はこうした状況に対応し、サイバー・セキュリティ管理を導入することで、かかる脅威に対抗
し、かつ、かかるリスクを軽減するための適切な措置を継続的に講じている。しかしながら、潜在的サイ
バー攻撃はますます巧妙化しその規模も拡大していることから、将来の攻撃によりセキュリティが著しく
破壊されるおそれがある。積極的にこうした事態を未然に防ぐため、当行は、予防技術および探知技術に
よる各種セキュリティ管理体制を導入し、かかる管理体制を社内および社外で定期的に検証および評価し
ている。しかしながら、サイバー・セキュリティ・リスクを適切に管理することができず、かつ、新たな
脅威に対応するために現行の手続を継続的に検証および更新できなかった場合、当行の評判、事業、経営
成績、財政状態および見通しが悪影響を受けるおそれがある。
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合併に関連する要因
当行は、 NBAD と FGB が運営してきたそれぞれの事業の統合に係る困難に直面する可能性がある。
2017 年3月 30 日に実行された合併により、これまでそれぞれ運営されてきた2つの事業が統合されるこ
ととなった。当行は、2つの組織、それぞれの方針、技術および業務を適時に効率的に統合しつつ、2つ
の組織の企業風土の差異に対応し、 NBAD および FGB それぞれに雇用されてきた重要な従業員を維持するとい
う重大な課題に直面する可能性がある。統合の過程は、予想していたよりも複雑で時間を要することが判
明することもあり得る。その場合、相当の資源および努力を要し、顧客および従業員にとっては、不確実
性が高まる可能性もある。
事業の統合において想定される問題は以下のとおりである。
・管理機能、組織、システムおよび設備の調整および統合の必要性
・ NBAD および FGB の管理職および従業員の統合、従業員の士気の維持ならびに主要な従業員の維持および
鼓舞
・ NBAD および FGB それぞれの過去の投資に伴う契約上、金融上、規制上、環境上その他の債務および負債
の正確な評価(財務上の監視および内部統制の適切な実施ならびに当行の会計方針に沿った財務書類
の適時の作成を含む。)
・市場の力学、人口動静、成長可能性および競争環境に対する適切な判断(新市場への参入および新事
業の取得におけるリスクおよび不確実性の評価および管理を含む。)
・関連する政府当局および規制当局ならびに政府機関および規制機関の必要な認可および承認の維持お
よび取得
業務の統合には財政リスク、管理リスクおよびオペレーショナル・リスクが生じる可能性があり、これ
には当行の事業のいずれかまたは複数の活動の中断または失速ならびに主要な従業員の退行が含まれる。
事業の運営統合に関連して直面する遅延もしくは困難は、当行の事業、経営成績、財政状態または見通し
に悪影響を及ぼす可能性がある。
加えて、当行においては、事業の商標変更に関連して発生し得る費用、金融、会計および法務のアドバ
イザーに対して支払う報酬ならびにその他の関連費用等、 NBAD と FGB との事業統合に関連して発生する多額
の経常外費用が発生すると予想される。統合に成功しなかった場合、当行は、期待していた統合の利益を
享受することができず、かかる統合費用を長期にわたってリカバーできなくなるおそれもある。
当行が NBAD および FGB それぞれのレガシー事業の統合を効果的に管理できなかった場合、当行の成長戦略
および将来の収益性は悪影響を受け、当行は期待していた合併の利益を享受できない可能性がある。加え
て、事業統合に伴う困難により、当行の評判が損なわれ、顧客および重要な従業員を失う可能性もあり、
この結果、当行の事業、経営成績、財政状態または見通しが悪影響を受けるおそれもある。
当行は、期待していた合併による相乗効果を享受できない可能性がある。
当行は、期待していた合併による相乗効果を享受できない可能性がある。合併の成功の一部は、 NBAD と
FGB のそれぞれの事業を統合することにより期待される経費削減、収入の相乗効果および成長機会を実現す
る当行の能力に左右される。当行は、機能の統合、業務および従業員数の合理化、規模拡大および市場統
合による更なる効率化、ならびに有機的成長によりもたらされる相乗効果の利益を期待している。特に、
期待される相乗効果を実現する当行の能力およびそのタイミングは、様々な要因(以下の要因を含むが、
それらに限定されない。)の影響を受ける可能性がある。
・業務を営む地理的地域の拡大、ならびにその結果として NBAD および FGB の本店および地方事務所の統合
が複雑化する可能性。
・経費削減計画を実行することに係る困難。
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・ NBAD と FGB の事業および業務の統合に関連する課題、特に新たな業務を既存の業務と適時に効果的に統
合する能力、および一層拡大した事業を管理する能力。
・ NBAD および FGB が事業を展開している市場における重大な変化等、予測不能な事由の発生。
NBAD と FGB の事業統合により期待される経費削減が、合併前になされたかかる経費削減の試算に予想不能
な誤差が発生したことにより、実現できないリスクがある。さらに、様々な外部要因および内部要因の結
果、かかる経費削減が現在予想している時期、方法または金額で実現できないというリスクもある。
当行は、経費削減に加え、 NBAD と FGB の事業統合に関連するその他の効率化により、発生した実行費用お
よび統合費用が長期にわたって相殺されると信じているが、費用を差し引くと、予想している期間内に利
益が発生しない可能性もある。さらに、かかる費用の一部が当行の予想を上回り、合併による費用差引後
の利益が減少し、当行の事業、経営成績、財政状態または見通しが影響を受けるおそれもある。
規制上のリスク
規制上のリスクは、当行が業務を行う法域において設定された健全性および規制上の管理の遵守を維持
できないことから生じる、損失またはレピュテーション上の損害のリスクである。規制上のリスクは、当
行の業務、業績および財政状態に悪影響を与える可能性がある。当行が現在直面するいくつかの規制上の
リスクが以下に記載される。
当行は、厳格な規制の対象となっている企業であり、適用法令の改正、その解釈もしくは執行、または
その不遵守は、当行の事業に悪影響を及ぼすおそれがある。
当行は、銀行の安全性および健全性の維持、銀行の経済的および社会的な目的等の遵守、ならびに銀行
のリスクに対するエクスポージャーの制限のために設定された数多くの健全性管理および規制上の管理の
対象となっている。上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等-(2) アラブ首長国連邦の
銀行部門および規制」を参照のこと。かかる規制には、 UAE 連邦法令(特に UAE 連邦政府および UAE 中央銀行
の法令)のみならず、当行が事業を展開している他国の法令が含まれる。特に、当行は、以下の規制に服
している(ただし、これらに限定されない。)。
・(当行の顧客からの預金ならびに/または UAE 中央銀行が規定する資本および準備金に対応した)不動
産・建設ファイナンス、主要株主または一顧客に係る一定の信用限度額。
・リテール顧客、銀行、投資および国家へのエクスポージャーに対する信用リスク・エクスポージャー
およびその他のリスク・エクスポージャーの合計に係る集中の制限( 2013 年 12 月 30 日に大口エクス
ポージャーに係る中央銀行通達第 32 / 2013 (以下「大口エクスポージャー通達」という。)におい
て中央銀行により公布され、 2014 年1月 30 日に発効した規制を含むが、これに限定されない。)。
・ 2018 年1月1日より適用される 13.75 %の最低自己資本比率、および 2019 年1月1日より適用される
14.5 %の最低自己資本比率。かかる最低自己資本比率において、 UAE 中央銀行は、 UAE におけるバーゼ
ル Ⅲ の段階的施行の一環として、システム上重要な銀行(国内のシステム上重要な銀行として指定さ
れている当行を含む。)(以下「 D-SIB 」という。)に対する追加的資本要件を設定し、これととも
に、 UAE 中央銀行が定める最低自己資本比率に含まれる、 2018 年1月1日から適用される 1.125 %の普
通株式等ティア1の D-SIB バッファーを設定した( 2019 年1月1日からは 1.50 %に引き上げられ
る。)。加えて、 UAE 中央銀行が義務付ける最低自己資本比率の範囲内で、 UAE の銀行は、 2017 年2月
規制および付随基準(以下に定義される。)に従い、資本保全バッファーにつき、 2018 年1月1日よ
り 1.875 %( 2019 年1月1日より 2.5 %に引き上げられる。)の適用も受ける。 2018 年 12 月 31 日現在、
当行の自己資本比率は合計 15.7 %であり、 UAE 中央銀行の最低要件(追加的 D-SIB バッファーを含
む。)を十分に上回っている。
・ UAE 中央銀行による UAE におけるバーゼル Ⅲ 改革の段階的施行の一環として、 UAE 中央銀行は LCR を段階
的に導入しており、 LCR の遵守の開始時に 60 %の当初ベンチマークを設定し、 2019 年までにこれを
100 %に引き上げる。また、 UAE 中央銀行は 2018 年に NSFR を導入することが予測されている。 NSFR は、
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要求される安定的な資金に対する使用可能な安定的な資金のパーセンテージとして算定され、最低
100 %に維持されるべきである。
・ UAE の銀行がリテール顧客に対して請求することのできる手数料および利率に対する一定の制限、なら
びに(リテール・バンキングに関する 2011 年2月 23 日付 UAE 中央銀行通達(以下「リテール通達」とい
う。)および( 2013 年 11 月 28 日付官報で公布され、 2013 年 12 月 28 日に施行された) 2013 年 10 月 28 日付
通達 2013 年 31 号(以下「モーゲージ規制」という。)に規定された)住宅ローン等のリテール商品に
係るローン・トゥ・インカム比率およびローン・トゥ・バリュー比率の上限。
・顧客に対する貸出金合計および銀行間貸付金が、当行の安定的資源(6か月超の期間を満期とする預
金および借入金ならびに純株主資本で構成される。)に占める割合は、 100 %を超過してはならないと
いう規制。
・労働力の自国民化通達に従った、当行内での UAE 国民の雇用および進出の促進(上記「第2-5 従業
員の状況-労働力の自国民化」を参照のこと。)。
・ 2015 年5月 27 日に UAE 中央銀行により公表され、 2015 年7月1日付で施行された流動性要件に係る中央
銀行通達 2015 年第 33 号(以下「流動性通達」という。)に従った、一定の定性および定量の流動性要
件の遵守。
・毎月 15 日において計算された残高に基づく、当座預金、要求払預金および貯蓄預金の合計額の 14 %相
当額の法定現金準備、ならびに 2000 年 12 月付 UAE 中央銀行通達に従い通達の2か月後に通知された定期
預金の合計額の1%相当額の法定現金準備。
2017 年2月 23 日、 UAE 中央銀行は、官報第 612 号において 2017 年2月1日付で施行された、自己資本比率
に関する規制(以下「 2017 年2月規制)という。)を公表した。 2017 年2月規制は、 UAE で業務を行う全て
の銀行の自己資本がバーゼルⅢ改革を遵守することの確保を目的とし、 UAE 中央銀行が公表した「自己資本
規則」と題する 2016 年5月諮問文書(以下「諮問文書」という。)に記載された措置を講じる。 2017 年2
月規則は、「資本供給に関する基準」と題する通達第 28 / 2018 において 2018 年1月 17 日に UAE 中央銀行によ
り公表され、 2017 年 12 月 31 日に施行されると規定される付随基準(以下「付随基準」という。)により裏
付けされる。付随基準は、関連するバーゼルⅢ自己資本要件およびそれが UAE 中央銀行により UAE の銀行に
適用される方法に関する、 2017 年2月規則の定めに従った UAE 中央銀行の監督上の期待を詳述する。
例えば、 UAE 中央銀行により D-SIB として分類された銀行(当行を含む。)には、 UAE 中央銀行から通知さ
れる追加的資本バッファーを保持する義務が課されることとなる。さらに銀行は、 UAE 中央銀行の監督上の
検証・評価プロセス後、追加的な資本アドオン要件に服する可能性もある。
しかし、付随基準は、 UAE 中央銀行が事後に実施する可能性のある追加のカウンター・シクリカル・バッ
ファーまたはシステム上重要なバッファーの詳細な要件について、追加の明確性を提供していない(ただ
し、付随基準は、 UAE 中央銀行はかかる明確性を 2018 年に UAE の銀行に提供することを予測していると記載
する。)。かかる追加のカウンター・シクリカル・バッファーまたはシステム上重要なバッファーの UAE 中
央銀行による最終的な実施が 2017 年2月規則および付随基準の定めに従わない場合、当行を含む UAE の金融
機関に対する規制上の負担はさらに増加し、その業務に悪影響を及ぼす可能性がある。
追加のカウンター・シクリカル・バッファーまたはシステム上重要なバッファーが、 2017 年2月規則お
よび付随基準に規定される形式により UAE 中央銀行により実施される場合、当行を含め UAE の金融機関は、
貸借対照表に計上する、普通株式等ティア1資本、その他ティア1資本およびティア2資本(以下「規制
上の自己資本」という。)の水準の引上げを要求される。
付随基準はまた、当行を含む UAE の金融機関が発行した既存のティア1およびティア2資本証券(バーゼ
ルⅡ原則に基づく分類に従う。)に対して UAE 中央銀行が適用することを意図している適用除外措置につい
て、更なる明確性を提供する「資本発行基準」を、 UAE 中央銀行が公表する旨を定める。
2018 年 12 月 31 日現在、当行の総自己資本比率は 15.7 %であり、これには、 NBAD および FGB が 2009 年2月に
アブダビ政府財務省に対して発行した 8.0 十億ディルハムのティア1キャピタルノート( NBAD が発行した
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4.0 十億ディルハムのティア1キャピタルノートおよび FGB が発行した 4.0 十億ディルハムのティア1キャピ
タルノートからなる。)が含まれていた。 UAE 中央銀行が「資本発行基準」を公表した際にこれらのティア
1 キャピタルノートが適用除外を受けない場合、これらは当行の規制上の自己資本としての適格を失うこ
ととなり、当行の資本基盤に重要な悪影響を及ぼす。
こうした規則により、当行の貸付ポートフォリオもしくは資本を調達する能力が制限される可能性、ま
たは当行の事業運営費用が増加する可能性がある。法令が更に改正された場合、 UAE 中央銀行の規則もしく
は方針が変更された場合および/またはそれらの解釈もしくは執行の方法が変更された場合、当行の準備
金、収入およびパフォーマンスが悪影響を受けるおそれ、ならびに当行の事業、経営成績、財政状態およ
び見通しが重大な悪影響を受けるおそれがある。さらに、規制上の指針を遵守しなかった場合、当行に
は、法的責任および制裁金が課されるおそれもある。当行は、規制当局と密接に協働しており、 UAE 中央銀
行の規則および方針の遵守を継続的に監視しているが、規制上、会計上またはその他の方針の更なる変更
は予想不能であり、当行の支配を超えている。
大口エクスポージャー通達、リテール通達、モーゲージ規制、流動性通達、諮問文書、 2017 年2月規制
およびその他の UAE 中央銀行の通達ならびに規制については、上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべ
き課題等 - (ⅲ)近年の銀行業務の動向」を参照のこと。
UAE および中東に関連するリスク
UAE 経済は、石油収入に大きく依存している。
UAE 経済、特にアブダビ経済は、石油収入に大きく依存している。アブダビは、積極的に観光業および不
動産業を振興するとともに、数件の大型開発プロジェクトも実施しているものの、炭化水素セクター(鉱
業および採石業)はアブダビ経済にとって最も重要であり、 2014 年にはアブダビの名目 GDP の約 50.6 %を占
めていた。しかし、 2014 年中旬以降の石油価格の低迷を反映して、同セクターが名目 GDP に占める割合は、
2015 年には 35.0 %、(アブダビ統計局(以下「統計局」という。)が発表した試算によると) 2016 年には
27.5 %に低下した。
当行は歴史的に、アブダビ政府および UAE 連邦政府から巨額の財政的支援およびその他の支援を受けてき
た。アブダビ政府の場合、かかる財政的支援およびその他の支援は、主にアブダビ政府の莫大な石油収入
を原資としてきた。
石油輸出国機構( OPEC )のデータによると、 2017 年 12 月 31 日現在、 UAE は、世界の実証済原油埋蔵量の約
6.6 %を有しており(世界で第6の最大石油埋蔵量)(出典: OPEC2018 年年次統計報告書)、連邦競争力統
計庁( FCSA )が作成した概算データによると、炭化水素セクター(鉱業および採石業)は 2016 年の UAE の
GDP の 16.8 %を占め、 IMF の予測によると、石油は 2016 年の UAE の輸出額合計(再輸出額を含む。)の 17.5 %
を占めている(出典: UAE に関する IMF による UAE 第 IV 条諮問( 2017 年7月))。 OPEC のウェブサイトによる
と、 近年の OPEC バスケット価格は大幅に変動している。 2008 年下半期から 2009 年にかけて、世界の石油価
格は、 2008 年7月に最高値を付けたマーバン原油1バレル当たり 137 米ドルから、 2009 年 12 月 31 日に終了し
た事業年度における1バレル当たりの平均価格約 62.7 米ドルにまで、約 70 %下落した。こうした状態は、
2013 年 12 月 31 日に終了した事業年度における1バレル当たりの平均価格が約 105.87 米ドルに回復するまで
続いた。しかし、月間平均 OPEC バスケット価格が1バレル当たり 107.9 米ドルであった 2014 年7月以降、原
油価格は約 75 %急落し、 2016 年1月に月間平均価格は 26.50 米ドルとなった。近時、原油価格はわずかに回
復し、 2018 年7月、月間平均価格は1バレル当たり 73.27 米ドルとなった。 石油価格は今後も当行が制御で
きない多くの要因の変化に応じて変動するものと見込まれる。石油価格に影響を及ぼす可能性がある要因
は以下のとおりであるが、これらに限らない。
・産油地域、特に中東における経済・政治的な展開
・石油製品の世界・地域の需給および将来の需給見込み
・ OPEC 加盟国およびその他の産油国が特定の産油水準および価格について合意し、維持できること
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・二酸化炭素排出量の削減のための国際的な環境規制の影響
・主要な産油国または消費国によるその他の行為
・代替燃料の価格および利用可能性、世界的な経済・政治状況、代替燃料を使用した新技術の価格およ
び利用可能性
・世界の気候および環境の状態
石油等炭化水素製品の国際価格が低い状態が今後も長く続けば、 UAE の経済に著しい悪影響を及ぼす可能
性があり、当行の事業、財政状態および経営成績が悪影響を受け、結果的に当行の債務履行能力にも影響
を及ぼすおそれがある。
当行は、アブダビ、 UAE および中東の政治状況および経済状況に左右される。
当行の現在の業務および利害基盤の大部分は UAE に所在している。当行の経営成績は概して、アブダビ、
UAE および中東におけるまたはそれらに影響を及ぼす金融、経済および政治の動向に左右されており、こう
した事態は今後も続くとみられるが、特に影響を与えるのは、世界の原油価格の一般的水準に影響される
アブダビ、 UAE および中東における経済活動の水準である。戦争もしくは敵対行為等の事象もしくは事態の
発生、またはその発生による影響を予測することは不可能であり、悪影響を及ぼす政治的な事象または事
態が発生した場合、当行が事業を継続できるという保証はない。 UAE または地域経済の特定のセクターが全
般的に低迷している場合または不安定である場合、当行の事業、経営成績、財政状態および見通しが悪影
響を受けるおそれがある。
投資家は、世界の金融市場が相互に関係していることから、当行の事業および業績が、中東の域内およ
び域外の双方における政治および経済等の動向により悪影響を受けるおそれがあることにも留意すべきで
ある。加えて、金利の変更、既存の規制の新たな解釈、広範な税金制度の導入( 2018 年1月1日から UAE で
導入された VAT を超えるもの)、または為替規制等、アブダビ政府または UAE 連邦政府が事業遂行の制限と
なるような財政上または金融上の政策または規制を導入した場合、当行の事業、財政状態、経営成績が重
大な悪影響を受け、結果的に当行の債務履行能力にも影響を及ぼすおそれがある。
UAE は、比較的安定した政治環境であると認識されているものの、中東のその他の地域の一部はそうでは
なく、当該地域における地政学的不安定が UAE に影響を及ぼすリスクもある。中東が不安定である要因とし
ては、政府または軍部の政変、内戦またはテロ等、様々な要因が挙げられる。特に 2011 年初頭以降、エジ
プト、アルジェリア、ヨルダン・ハシェミット王国、リビア、バーレーン王国、サウジアラビア王国、イ
エメン共和国、イラク共和国(クルド地域)、シリア、パレスチナ、トルコ共和国、チュニジアおよびオ
マーン国等の中東および北アフリカ(以下「 MENA 」という。)地域の様々な国においては、政情不安が続
いている。
こうした政情不安は、大衆のデモ行為から、極端な場合は武力衝突((ダーイシュ( Daesh )、 ISIS また
は ISIL として知られる)イスラム国と多国籍軍との武力衝突を含む。)に至るまで様々であり、これによ
り同地域の政治的不透明感が高まっている。さらに、イエメン政府からムハンマド・アリ・アル・フーシ
の武装組織打倒のための支援要請を受けて、 UAE は現在、他のアラブ諸国とともに、 2015 年に開始されたサ
ウジアラビア主導のイエメン侵攻に参加中である。 UAE はまた、イスラム過激派組織、特にイスラム国を掃
討する目的で 2015 年 12 月に結成された別のサウジアラビア主導の連合軍にも参加している。加えて、 2017
年6月には、 UAE 、サウジアラビア王国、バーレーン王国およびエジプト・アラブ共和国等、 MENA 諸国の多
くは、カタールがテロを支援して地域を不安定にしているとして、カタールとの国交を断絶した。かかる
国交断絶には、大使の引上げの他、貿易および渡航の禁止が含まれていた。
当行は、支店1店舗を有するカタールおよび支店2店舗を有するスーダンにおいても事業を展開してい
る。リビアにおいて当行は、ファースト・ガルフ・リビア・バンクに対して、リビア経済社会開発基金と
ともにそれぞれ 50 %ずつ出資している。
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こうした情勢により、被害を受けた国々の経済は著しく混乱し、世界的な石油価格およびガス価格の乱
高下をもたらしている。不確実性による影響は様々であるものの、戦争もしくは敵対行為等の事象もしく
は事態の発生、またはその発生による影響を予測することは不可能であり、悪影響を及ぼす政治的な事象
ま たは事態が発生した場合、 UAE が現在の経済成長率を維持できるという保証もない。 MENA 諸国に影響を及
ぼす不安が継続した場合、 UAE が悪影響を受ける可能性があるものの、これまでのところ、 UAE に対する著
しい影響はない。
上記の事態のいずれも、中東の政治的および経済的な安定に重大な悪影響を及ぼし、特に UAE への訪問を
選択した多数の旅行客および UAE における事業展開に関心のある多数の企業に影響を与える可能性があり、
この結果、当行の事業、経営成績、財政状態および見通しが悪影響を受け、当行の債務履行能力も影響を
受けるおそれがある。
アブダビ政府および UAE 連邦政府はいずれも、今後も当行に出資する義務または当行と取引する義務を
負っておらず、アブダビ政府および UAE 連邦政府の一方または双方は、理由の如何を問わずいつでも当行と
の関係を変更する可能性がある。
本書提出日現在、当行の発行済普通株式の約 37 %については、(アブダビ投資評議会(以下「 ADIC 」と
いう。)およびムバダラ・ディベロプメント・カンパニー・ピー・ジェー・エス・シー(以下「ムバダ
ラ」という。)を通じて)アブダビ政府が保有している。アブダビ政府は、 NBAD および FGB それぞれの設立
ならびにその合併の支援に関与しており、 NBAD および FGB はいずれも、アブダビ政府およびその関連企業と
極めて強固な取引関係を維持している。例えば、 2009 年に、アブダビ政府は、( NBAD および FGB それぞれが
発行したティア1キャピタルノートの取得を通じて) NBAD および FGB のそれぞれに対して総額 4.0 十億ディ
ルハムのティア1資本を提供した。アブダビ政府および UAE 連邦政府によるこれまでの当行およびその前身
となる銀行に対する出資、預金および資金援助にもかかわらず、アブダビ政府および UAE 連邦政府はいずれ
も、当行に出資、預金、取引を行う義務または当行を支援する義務を負っていない。アブダビ政府および
UAE 連邦政府は、直接またはアブダビ政府所有の企業を通じて、理由の如何を問わずいつでも、当行に対す
る持分の処分、当行からの預金の引出し、当行との取引中止または当行に対する支援中止を行うことがで
きる。政府からの支援が減額または中止された場合、当行の事業、経営成績、財政状態および見通しが重
大な悪影響を受けるおそれがある。
UAE の銀行業界において激化している競争環境は、当行の事業および経営成績に悪影響を及ぼすおそれが
ある。
当行は、 UAE において自ら取り扱う商品およびサービスの全てについて競争に直面している。当行は主に
UAE 国内の多くの銀行と競合しており、一部の他の銀行も直接的または間接的に首長国、政府関連組織、首
長国の支配一族により所有されている。 2019 年3月 31 日現在、 UAE 国内での営業認可を受けた商業銀行が 49
行ある(出所: UAE 中央銀行)。銀行フランチャイズの規模ならびに商品および顧客の区分に関して当行の
主な国内競合行は、アブダビ・コマーシャル・バンク・ピージェーエスシー、アブダビ・イスラミック・
バンク・ピージェーエスシー、ドバイ・イスラミック・バンク・ピージェーエスシー、エミレーツ NBD バン
ク・ピージェーエスシー、エイチエスビーシー・バンク・ピーエルシー、マシュレクバンク・ピーエス
シーおよびスタンダード・チャータード・バンクである。 UAE 市場においては、 2019 年3月 31 日に終了した
3に係る当行の第1四半期財務書類および当行の主要国内競合他社の公的に利用可能な財務書類によれ
ば、 2019 年3月 31 日現在、総資産ベースで当行は UAE 最大の銀行である。しかし、当行が今後も現在の市場
シェアを維持できるという保証はない。
UAE の現地商業銀行に加えて、当行は、投資アドバイザリー、投資銀行、コーポレート・アドバイザ
リー、ファイナンスその他サービスにおいて多くの国際的銀行と競合している。大企業および政府顧客の
区分において、当行は国際的な銀行との競争に直面しており、今後も UAE 国内での競争は激化する見込みで
ある。当行は特に有価証券の引受および販売の分野に おいて 、一部の最上層国際銀行と提携することを目
指しているが、その他の分野(特にこれらの銀行がその他の地域において長年にわたり成果を収めてきた
コーポレート・アドバイザリーおよび財務運用の分野において)では競合することになる。
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さらに、 2019 年3月 31 日現在、 UAE 国内において営業認可を受けた商業銀行(ドバイ国際金融センター
(以下「 DIFC 」という。)を除く。)は、 49 行(うち、 22 行は UAE 設立商業銀行、残りの 27 行は外国商業銀
行) であり(出所: UAE 中央銀行)、 FCSA が見積もった同地域の 2016 年末日現在の総人口は約 9.1 百万人で
あることから、 UAE は、地域の標準に照らしても銀行過多な市場と見ることができる。歴史的に統合の契機
はほとんどなかったが、 NBAD と FGB との合併は、 UAE 銀行間のより大規模な統合の動きに拍車をかけるとみ
られる。こうした更なる統合の試みにより、国内の銀行セクターにおける多行林立状態は増す一方、少数
の UAE 設立大手銀行が、 IT システム開発等の資本コストを吸収できる大規模なインフラと資源を有し、かつ
比較的広範な営業網を有する外国銀行と、 UAE における大口金融取引を奪い合うという競争環境に大きく転
換する可能性がある(「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 - (ⅱ)金融システムの特徴 -
従来の合併欠如」を参照のこと。)。
当行が首尾良く競争できなかった場合、当行の事業、経営成績、財政状態および見通しが悪影響を受け
るおそれがある。
当行の信用格付が引き下げられた場合、当行の資金調達能力が制限され、借入費用が増加する可能性が
ある。
当行は、フィッチから AA- (安定的見通し)の長期外国通貨発行体不履行格付、ムーディーズから Aa3
(安定的見通し)の長期銀行預金格付、および S&P から AA- (安定的見通し)の発行体信用格付を有する。
これらの格付は、当行の弁済期限の到来時に債務を弁済する能力を測るものであり、当行の借入費用を決
定する当たり重要な要素となる。
特定の期間にわたり現在の格付を維持できるという保証はなく、将来の事情が許す限り信用格付が引き
下げされないまたは完全に撤回されないという保証もない。当行の信用格付の引き下げまたはその見通し
の下方修正により、以下の事由が発生するおそれがある。
・当行の資金調達能力の制限
・当行の借入費用の増加
・当行の資本調達能力の制限
上記の事由はいずれも、当行の事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼすおそれがある。
格付は、有価証券の購入、売却または保有の奨励ではなく、いつでも格付を付与した格付機関により変
更、停止または撤回される可能性がある。
UAE ディルハムまたはその他の地域通貨の対米ドル為替レートを固定する「ペッグ制」が変更または廃止
された場合、当行は、 UAE ディルハムまたはその他の地域通貨の対米ドル為替変動にさらされるおそれがあ
る。
当行は、 UAE ディルハム建てで会計勘定を維持し、決算を報告している。 UAE ディルハムは、 1980 年 11 月
22 日以降、米ドルに連動(ペッグ)しており、本書提出日現在も、その状態は続いている。加えて、 GCC 諸
国の産油国であるサウジアラビア王国、オマーン国、バーレーン王国およびカタール国の通貨も、本書提
出日現在、米ドルと連動している。 2015 年中の世界的な石油価格のボラティリティに対応するため、伝統
的に自国通貨が米ドルと連動してきた産油国は、ペッグ制廃止の圧力にさらされ、かかる産油国の一部
は、実際に自国通貨を変動相場制に移行した。例えば、カザフスタンが 2015 年8月 20 日にカザフスタン・
テンゲの対米ドル・ペッグ制を廃止したのを皮切りに、 2015 年 12 月 21 日にはアゼルバイジャン・マナトの
対米ドル・ペッグ制も廃止されている。
GCC 域内のみならず、より広範な地域の国々が、現行の対米ドル・ペッグ制の廃止を選択する可能性があ
る。こうしたペッグ制廃止の長期的影響については明かではないものの、変動相場制に移行した通貨が、
ペッグ制廃止直後から対米ドル安になる可能性も高い。地域の金融機関がさらされ得るその他の連動通貨
に対するエクスポージャーの水準を考慮すれば、かかる通貨切り下げは、 UAE およびより広範な GCC の地域
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銀行システムに対するシステミック・リスクとなり、当行を含む同地域の銀行が保有する複数通貨間の
オープン・ポジションに影響を及ぼす可能性もある。
UAE 中央銀行は、 2016 年6月まで、 UAE ディルハムの対米ドル・ペッグ制を維持する意向を表明してきた
が、 UAE ディルハムが将来的にも変動相場制に移行しないと保証することはできず、現行のペッグ制が当行
の経営成績および財政状態に悪影響を及ぼすような形で調整されることはないと保証することもできな
い。加えて、 UAE またはより広範な地域における変動相場制への移行は、予想される通貨の対米ドル安を
伴った場合(上記を参照のこと。)にはとくに、当行の事業、経営成績、財政状態および見通しに悪影響
を及ぼし、当行の債務履行能力にも影響を及ぼすおそれがある。
UAE における税制変更は、当行に悪影響を及ぼす可能性がある。
本書提出日現在、当行は、 UAE における収益に対する法人税の適用を受けない。しかし、 2018 年1月1日
から UAE を含むいくつかの GCC 国は5%の VAT 制度を施行し、その他の GCC 国は 2019 年に VAT を施行すると予測
されていることに、投資家は留意すべきである。
この枠組み合意を施行する UAE の国の法律は、 2017 年8月 23 日に公表され( 2017 年 UAE 連邦大統領令法令
第8号)、 2017 年 11 月 28 日、 UAE 財務省は関連する VAT 施行規則を公表した。
本書提出日現在、当行の業務、営業成績および財政状態に対して VAT 制度が与える影響を正確かつ完全に
予測することは不可能である。しかし、 UAE における VAT の導入の結果、当行の費用が増加し、将来の収益
が悪影響を受ける可能性がある。
VAT および/または UAE において導入される可能性のある将来の法人税制度の施行は、当行の事業、経営
成績および財政状態に重大な悪影響を及ぼし、当行の債務履行能力にも影響を及ぼすおそれがある。
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
本項に含まれている将来に関する記載は、本書提出日現在の当行の考え、見通し、目的、予想および見積
りに基づいている。
業績の報告
2018 年 12 月 31 日に終了した 12 か月間の 当グループ収益 は、 19.4 十億ディルハムであり、時機を捉えた投
資利益と不動産関連収益の増加を含んだ 2017 年における収益とおおむね同じであった。第4四半期の当グ
ループ収益は、第 3 四半期および前年同期に比べ 4.8 十億ディルハム減少した。これは、主に、 2017 年第4
四半期の不動産関連利益に対する投資不動産の公正価値のマイナス調整等による。
正味受取利息 (イスラム金融契約による収益を含む。)は、他に引けを取らない価格設定、パーソナ
ル・バンキング部門におけるリスクの最適化ならびに短期的な過剰流動性を戦術的に利用したことで好調
な取引量および利上げ効果が相殺されたことから、 2017 年の 13.1 十億ディルハムと比較して、 13.0 十億
ディルハムであった。純利息マージン( NIM )は 2.35% となり、前年比で 13 ベーシス・ポイント低下した。
手数料(正味) は、貿易金融、借入資本市場業務および債券市場業務が引き続き好調にであったことを
背景に、リスクの最適化によりパーソナル・バンキング部門における手数料が減少して一部相殺されたも
のの、 2017 年に比べて1 % 増加した。
FX 取引および投資収益 は、顧客売上の増加に加え、短期的な過剰流動性の最適な利用による増益により
11% の増加となり、前年比の投資収益減を相殺した。
合併後の費用シナジーの実現が順調に進んだことにより、 当グループ営業費用 は前年比 9% 減となり、対
収益費用率(統合費用除く。)は 2017 年の 27.7% から改善して 25.9% となった。これまでに達成された費用
シナジーは、約 1.1 十億ディルハムに達し、 2020 年のランレート目標の約 75% であった。
第4四半期において、営業費用は前期比 3% 増となった。 これは、顧客体験の向上を目指し、将来の収益
拡大を牽引する重要な戦略的取組みへの投資により経費削減が相殺されたためである。
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信用の質
当グループは、 2018 年 12 月末日現在、コーポレート部門およびリテール部門のポートフォリオにおいて
健全な資産の質の指標を継続的に示している。 不良債権 (NPLs) は 11.5 十億ディルハムであり、 不良債権比
率 は 3.1% と安定的である。
IFRS 第9号の適用および取得価値配分後の適切な引当金バッファーは、パーソナル・バンキング部門に
おけるリスクの最適化と相まって、 正味減損費用 の前年比 28% 減へとつながり、貸出金に関するリスクコス
トは 2017 年から 21 ベーシス・ポイント減少して 48 ベーシス・ポイントとなった。
( 注 )
減損引当金 は、 2018 年 12 月末日時点で総額 12.7 十億ディルハムであり、引当金カバー率は 2017 年の
120% に対し 110% に留まり、適切な水準にある。
(注) 減損引当金には、貸出金に関する予想信用損失( ECL )、未実行のエクスポージャーに関する ECL および IFRS 第9号に関す
る減損引当金が含まれる。
バランスシートの動向
当グループの資産合計 は、前年比 11% 増の 744 十億ディルハムとなり、初めて 200 十億米ドルを上回った。
貸出金 は、主に、アジア太平洋、 MENA および UAE のコーポレート・アンド・インベストメント・バンキン
グ部門が好調であったことを受けて前年比 7% 増の 353 十億ディルハムであった。一方、パーソナル・バンキ
ング部門にて行われた選択的成長は、リスクの最適化により相殺された。
顧客預金 は 18% 増加して 465 十億ディルハムとなった。これは、主に、政府による巨額の短期の預入れに
よるものである。当座預金および普通預金口座( CASA )残高は、 159 十億ディルハムであり、前年比 6 %増
および預金全体の 34 %を占めた。
当グループの 2018 年 12 月末日現在の流動性ポジションは引き続き堅調であり、 2018 年 12 月末日時点の 流
動性カバレッジ比率( LCR ) は 118.13 %であった。これは、バーゼル Ⅲ に基づき求められる 2018 年における
最低自己資本要件の 90 %を十分に上回るものであった。
2018 年は、ホールセール市場での資金調達において節目の年となり、当グループは、変動する市況を踏
まえつつ、様々な通貨および資金調達市場において、 2.3 十億米ドル超の資金調達を行った。これには、ベ
ンチマークとなる、 2018 年第 1 四半期に行われた RegS に基づくスクーク 650 百万米ドルの発行が含まれてお
り、債券、ローンおよびスクーク中東アワード部門において「ファイナンシャル・インスティテューショ
ン・ディール・オブ・ザ・イヤー( Financial Institutions Deal of the Year )」に表彰された。当グ
ループは、 2018 年には、欧州およびアジアの両地域において、現地通貨建ての公債の発行を成功させるな
どして投資家層の一層の多様化を図った。
当行の市場におけるトップの地位、堅固なリスク・プロファイルおよび AA- (または AA- 相当)という上
位の信用格付は、当グループによる分散化された費用効率の高い流動性および資金調達を可能にする重要
な差別化要因であり続けている。
株主持分資本、資本およびリターン
株主資本 (ティア1キャピタルノートを含む)は、 2018 年 12 月末日現在 102 十億ディルハムであり、国内
のシステム上重要な銀行( D-SIB )としての当行の地位を勘案したバーゼル Ⅲ の 普通株式等 Tier1 (以下
「 CET 1」という。)資本比率は、最低自己資本要件である 10% ( 2018 年)を優に上回る 14.0% であった。予
定配当分配後の CET 1は 12.4% と堅固であり、自己資本比率は 15.7% 、 Tier1 比率は 14.6% であった。
有形自己資本利益率 ( RoTE )は、 2018 年度においては 16.2% となり、 2017 年の 14.6% から大幅に伸びた。
業績
CIB は 2018 年度の当グループ収益の 51% を、 PBG は 38% を、それぞれ占めた。本店は当グループ営業収益の
10% を、子会社は1 % を、それぞれ生み出した。
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国際事業による収益は前年比 7% 増となり、グループ全体の収益に占める割合は 2017 年の 12.4% から 13.3%
に増加した。これは、主に、アジア太平洋地域での収益によるものである。海外向貸付は、アジア太平洋
地 域および MENA 地域が大きく寄与し、前年と比べ堅固な増加となり、流動性ポジションは堅調であった。
CIB
CIB は、 2018 年において堅調に業績を伸ばし、競争激化と市場の高い変動にもかかわらず、バランス
シートおよび収益において 2 桁の増加を達成した。営業費用は、合併後の費用シナジー効果の実現および事
業全体の効率改善を受け、前年度を大幅に下回った。
当事業の全分野において、市場での支配的な地位、上位の格付および圧倒的な専門知識を活用し、強固
な業績基調を示した。
・ グローバル・トランザクション・バンキング( GTB )の収益は、金利上昇、新規顧客マンデートの獲
得およびエスクロー事業機会の転換を背景としたキャッシュ・マネジメント事業により、前年比 22%
増となった。貿易金融事業での好調が続き、未積立残高の増加および受取手数料の増加となった。
また、 2018 年度中、 GTB の e-Channel を利用した取引を行う顧客数も大幅に増加し、取引のスピー
ド、透明性、利便性が向上した。
・ グローバル・コーポレート・ファイナンス( GCF )の収益は、競争によるマージンの縮小により一部
相殺されたものの、借入および債券資本市場における好調な事業活動ならびにパイプラインの実行
により、前年比 7% 増となった。 2018 年、当行は 2 年連続で MENA における貸付市場を牽引し、地方銀行
初となる、リーグテーブルのトップの座に輝いた。当行はまた、 2018 年の MENA ボンド・アンド・ス
クークのリーグテーブルに名を連ねるトップクラスのブックランナーがいる中で、顧客に対し、公
募および私募の両方を通じて 30 十億米ドル超の資金調達を支援した。国際業務においては、アジア
太平洋が 2 桁の収益増を達成し、国内マーケッツ事業を超え、国際的なブックランナーとしての力量
を示した。第4四半期においてサウジアラビアでの投資銀行業務を開始したことも大きなマイルス
トーンとなり、これにより重要な戦略的市場において事業機会の補捉が可能になった。
・ グローバル・マーケッツ( GM )の営業収益は、市況の変動にもかかわらず、資産・負債管理( ALM )
および信用ポートフォリオからのリターンが上昇したことならびに 2017 年と比較して流動性が低下
したことにより、前年比 14% 増となった。顧客取引が増加したことおよびフロー商品の継続的な伸び
が続いたことにより、 GM 事業の販売収益が大幅に増加し、初の 1 十億ディルハム超となった。当行
は、顧客に革新的なソリューションを提供することにより、 2018 年において、 MENA コーポレート事
業におけるトップのグローバル・マーケッツ・パートナーとしての地位をさらに強固なものにし
た。
PBG
PBG は、競争の激しい市場の中、 2018 年において好調な業績を達成した。純利益およびリスク調整後リ
ターンは、リスクの最適化による減損費用の著しい低下ならびに効率性の向上による営業費用の減少を受
け前年に比べて大幅に拡大し、収益減を大幅に相殺した。
第4四半期において、 PBG は、当行の旧プラットフォームを単一のプラットフォームに一元化した。これ
により、当行顧客は一貫したチャンネルおよびプロセスを通じて口座を開設し、管理することが可能と
なった。
2018 年度中、本事業では、当行のサービス提供が増加し、業務遂行能力が向上した。ビジネス・バンキ
ング部門では、新たな顧客管理システムが導入され、顧客の取引行動に関する知見を活かして新規顧客獲
得キャンペーンを展開し、新規貸付へとつながった。プライベート・バンキング部門およびエリート部門
では、新規投資商品の販売、各支店における優先的サービスの提供および新たな顧客管理システムの立上
げを行い、投資および抵当貸付における堅調な業績基調の継続につながった。当行の投資運用会社もグ
ローバル・インベスター・グループから表彰され、 UAE アセット・マネジメント・マネジャー・オブ・ザ・
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イヤー( UAE Asset Manager of the Year )およびスクーク・マネジャー・オブ・ザ・イヤー 2018 ( Sukuk
Manager of the Year 2018 )を受賞した。
2018 年第4四半期には、当行のイスラム金融会社が ADNIF から FAB イスラミック・ファイナンスにリブラ
ンドされ、 47 回目の建国記念日に行われた当行のエミラティ・アル・アウワル( Emirati Al Awwal )商品
のリニューアルおよび自国民に限定した保険の提供開始を通じて、自国民セグメントとの関係の強化が図
られた。
高いブランド力と市場における地位を活かし、当グループは決済事業を進め、完全なデジタル決済ソ
リューションを提供するためにアブダビ政府と覚書を締結した。アブダビ・ペイ( Abu Dhabi Pay )では、
政府が、容易かつ一元化された安全な方法により支払いを受けることが可能であり、アブダビの 2030 年経
済ビジョンを支えるものである。また、 PBG では、顧客による新たな支払ルートを通じての送金を可能にす
ることにより、 Payit の提案強化を継続的に行った。
当行が単一のプラットフォーム上で業務を行うことで、パーソナル・バンキングは、マーケットシェア
の拡大ならびに UAE および主要な戦略的市場の双方における革新的な商品およびサービスの提供を重点的に
行い、デジタル化されたシンプルなプロセスを通じて顧客体験の向上を図る。
子会社
当行は、子会社を通じた不動産運用、イスラム金融、仲介業務およびクレジットカード業務にわたって
提供される補完的な商品に支えられる高度に分散化された事業モデルの恩恵を享受している。
2017 年度の子会社の純利益は 309,317 千ディルハムであったのに対し、 2018 年度の子会社の当期純損益は
8,006 千ディルハムであった。
4【経営上の重要な契約等】
該当なし。
5【研究開発活動】
当行は、銀行業務および関連金融サービスを幅広く提供している。当行は、サービス提供を向上させる
べく商品開発活動に投資を続けており、また、商品およびサービスをサポートし、内部および外部の報告
システムを強化するためのソフトウェアを継続的に開発している。
情報技術
当行の IT 部門は、情報資産および技術の効果的、効率的かつ持続可能な管理を行っており、当行が顧客
にサービスを提供する際に先端 IT システムを活用することに重点を置き、顧客のデータが厳重に保管さ
れ、保護されることを確保している。
合併後、当行は、 NBAD および FGB の IT システムの統合を進めている。統合プロセス完了時には、新たな IT
ビジネス・システムにより、統合後の当行が事業を展開している地理的地域の全てにわたり、当行の顧客
により強化されたサービスを提供できるようになる見込みである。当行の技術システムに対する投資の一
環として、当行は、合併後の当行のビジネス・アプリケーション・システムのための強固な物理的および
技術的な基盤となる、新規の、強化されたデータ・センターも建設中である。更なる詳細については、上
記「1 . 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「 戦略-子会社-ファースト・ガルフ・イン
フォメーション・テクノロジー・エルエルシー 」を参照のこと。
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第4【設備の状況】
1【設備投資等の概要】
2018 年 12 月 31 日現在の当行の動産および不動産の連結財政状態計算書上の価額については、下記「第6
-1 財務書類 - 連結財務書類に対する注記 - 注記 15 」を参照のこと。
2【主要な設備の状況】
2018 年 12 月 31 日現在、当行は UAE に 79 の支店および 568 台の ATM を保有しており、その大多数がアブダビお
よびドバイに所在する。さらに、当行は、5大陸においてプレゼンスを有している。
当行の主要な固定資産には、アブダビに所在する本店の建物ならびにその他の支店の建物および事務所
が含まれる。当該資産は、 2018 年 12 月 31 日現在、 2,447 千ディルハムの正味簿価を有する。
2018 年 12 月 31 日現在、公正価値で計上され、かつ、市場参加者間の秩序ある取引において、測定日時点
で資産を売却する場合に受領する価格または負債を移転時に支払う価格により表示される、当行の投資不
動産の価値は、 7,388 千ディルハムであった。
当行の投資不動産の公正価値は、第三者の評価業者により行われる評価に基づくものである。評価業者
は、認定された専門的関連資格を有しており、評価対象となっている投資不動産の所在地および種類に係
る最近の実績のある評価業者と認められている。公正価値は、勅認調査協会の鑑定評価基準に従った投資
不動産の使用目的によって異なる様々な評価モデルに基づいて決定されている。オペレーティング・リー
スに基づきリースされる投資不動産から当行が得る賃貸料収入は、 2018 年 12 月 31 日に終了した事業年度に
おいて、 19,095 千ディルハムとなった。
3【設備の新設、除却等の計画】
重要なものはない。
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第5【提出会社の状況】
1【株式等の状況】
当行の普通株式はアブダビ証券取引所( ADX )に 2000 年から上場されている。
2018 年 12 月 31 日現在の当行の全額払込済株式は、額面金額1ディルハムの普通株式 10,897,545 千株によ
り構成されていた。一方、 2017 年 12 月 31 日現在の当行の全額払込済株式は、額面金額1ディルハムの普通
株式 10,897,545 千株により構成されていた。当行の株式資本の 25 %までは、非 UAE 国民によって保有される
ことができる。
(1)【株式の総数等】
①【株式の総数】
( 2018 年 12 月 31 日現在)
授権株数(千株) 発行済株式総数(千株) 未発行株式数(千株)
10,897,545 10,897,545 -
自己株式として保有するものを含む。
②【発行済株式】
( 2018 年 12 月 31 日現在)
記名・無記名の別及び 上場金融商品取引所名又は
種類 発行数(千株)
額面・無額面の別 登録金認可金融商品取引業協会名
記名式額面株式
1株当たりの額面金額 普通株式 10,897,545 ADX (アブダビ証券取引所)
1ディルハム
自己株式として保有するものを含む。
(2)【行使価額修正条項新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当なし。
(3)【発行済株式総数及び資本金の推移】
普通株式数 払込済資本金額
資本金増減額 資本金残高
発行済株式総数 発行済株式総数
増減数(千株) 残高(千株)
(千ディルハム) (千ディルハム)
2014 年 12 月 31 日に終了した
430,556 4,736,112 430,556 4,736,112
事業年度
2015 年 12 月 31 日に終了した
473,611 5,209,723 473,611 5,209,723
事業年度
2016 年 12 月 31 日に終了した
44,823 5,254,546 44,823 5,254,546
事業年度
2017 年 12 月 31 日に終了した
5,643,000 10,897,545 5,643,000 10,897,545
事業年度
2018 年 12 月 31 日に終了した
0 10,897,545 0 10,897,545
事業年度
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*
2014 年および 2015 年における資本金の増加はそれぞれ、無償株式 の発行によるものであった。
2013 年における資本金の増加は、シェア・オプション・スキームに基づく従業員向けの株式発行
*
( 39,584 千ディルハム)および無償株式 ( 391,414 千ディルハム)の発行によるものであった。
2017 年の株式資本の増加は、 2017 年4月2日に合併に基づく消滅会社である FGB の株主に対して行われ
た新規株式 5,643,000,000 株の発行(交換比率: FGB 株式1株につき NBAD 株式 1.254 株)によるものであ
る。
*
無償株式は、利益剰余金の資本化により既存株主に発行される株式である。
(4)【所有者別状況】
( 2018 年 12 月 31 日現在)
政府・地方
会社 個人 合計
公共団体
株主数
9 911 3,716 4636
*
3,835,344,574 3,837,571,501 2,700,586,120 10,872,014,481
所有株式数(株)
発行済株式総数に
対する所有株式数
35.28 39.88 24.84 100.00
の割合(%)
注:上記の情報は ADX で入手可能な情報に基づくものである。
*
発行済株式数: 25,530,837 株の自己株式を除く。
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(5)【大株主の状況】
(2018 年 12 月 31 日現在 )
発行済株式総数に対する
所有株式数
氏名又は名称 住所
*
(千株)
所有株式数の割合 (%)
アラブ首長国連邦、アブダ
ビ、
アブダビ
シェイク・ザイード・ビ
3,634,790 33.4 %
投資評議会 ン・スルタン・ストリー
ト、私書箱 61999 、アル・
バール・タワーズ-1
アラブ首長国連邦、アブダ
ビ、
ムバダラ・ディベ
ロプメント・カン
マムーラ・ビルディング-
パニー ・ピー・ 401,507 3.7 %
ムルール(4番)ロードお
ジェー・エス・
よびモハメッド、ビン・ハ
シー
リーファ( 15 番)ストリー
ト付近
* 発行済株式:自己株式を除く。
ムバダラ・ディベロプメント・カンパニー( MDC )は、 2017 年3月 30 日現在において FGB の発行済株式
の 7.1 %を所有する大株主であった。合併後の事業体に対する保有株式は 3.7 %に減少した。これによ
り、同社はアブダビ証券取引所が定める「大株主」の定義(発行済株式資本の5%超を所有する株
主)には該当しない。
2018 年3月 21 日、 UAE 大統領兼アブダビ首長により法律が発布され、同法により、アブダビ投資評議
会( ADIC )は、アブダビ政府の完全保有ソブリン・ウェルス・ファンドであるムバーダラ・インベス
トメント・カンパニー( MIC )の傘下に入る。したがって、 ADIC が MIC の傘下に入った後に、アブダビ
政府は、( MIC の完全子会社である MDC および ADIC を経由して) MIC を通じて当行の発行済株式資本の
約 37.1 %の実質的所有権を有する予定である。 非 GCC 所在株主は 10.7 %、 GCC 株主( UAE 株主を除
く。)は 1.1 %および UAE 株主( ADIC 株主およびムバダラ株主を除く。)は 51.1 %の所有権を有してい
る。5%超の所有権を有する株主は ADIC のみである。
2【配当政策】
当行では、定時株主総会において株式に対する配当は支払われるかどうかが決定される。当行の年間純
利益は、費用その他の経費を控除した後、以下のとおり分配される。
(a) 10 %を控除して法定準備金に割り当てる。準備金の額が当行の払込済資本の 50 %以上に達した場合
には、かかる控除を停止するものとする。準備金の額が、当該水準を下回った場合には、控除を再
開するものとする。
(b)銀行法の定める要件に従い、更に 10 %を控除して特別準備金に割り当てる。かかる控除は、当該準
備金が当行の払込済資本の 50 %以上に達するまで行われる。株主は、当該特別準備金から配当を受
けることはできない。
(c)払込済株式価額の5%が、利益の一部として株主に分配するため控除される。但し、ある年度の純
利益が本部分の分配に足りない場合、翌年の利益から不足分を請求することはできない。
(d)上記を控除後、残額の 10 %を上限として、取締役会への報酬の支払いに割り当てるものとする。
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(e)純利益の残額は、利益の追加部分として株主に分配されるか、取締役会の提案に従ってその翌年に
繰り越されるか、または取締役会による決議に従い臨時準備金の設定に割り当てられるものとす
る。
2019 年2月 25 日、当行の株主は、定時株主総会で、普通株式1株当たり 0.74 ディルハムの現金配当
( 2017 年:普通株式1株当たり 0.70 ディルハム)および0%の無償株式( 2017 年:0%)を承認した。
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3【株価の推移】
(1)【最近5年間の事業年度別最高・最低株価】
2014 年 12 月 31 日に 2015 年 12 月 31 日に 2016 年 12 月 31 日に 2017 年 12 月 31 日に 2018 年 12 月 31 日に
決算年月
終了した事業年度 終了した事業年度 終了した事業年度 終了した事業年度 終了した事業年度
最高( AED ) 15.68 12.73 10.35 11.5 14.84
最低( AED ) 9.14 7.65 6.86 9.75 10.25
注: ADX に上場されている株式である。
ADX が 2019 年6月 13 日に提示した株価である。最高・最低株価は( ADX による)調整済終値のみに基づく
ものであり、取引中の最高・最低株価は考慮していない。
(2)【当該事業年度最近6月間の月別最高・最低株価】
月 2018 年7月 2018 年8月 2018 年9月 2018 年 10 月 2018 年 11 月 2018 年 12 月
最高( AED ) 13.60 14.80 14.74 14.84 14.80 14.12
最低( AED ) 12.10 13.50 14.10 13.80 13.60 13.60
注: ADX に上場されている株式である。
ADX が 2019 年6月 13 日に提示した株価である。最高・最低株価は( ADX による)調整済終値のみに基づく
ものであり、取引中の最高・最低株価は考慮していない。
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4【役員の状況】
取締役
(男性9名、女性0名、女性の割合:0%)
保有株式数
氏名 役職名 生年月日 略歴
(2018 年 12 月
31 日現在 )
H.H. シャイフ・タハ 取締役会報酬および指名委員会 委員長
ヌーン・ビン・ザイー
アラブ首長国連邦国家安全保障省顧問
1968 年
*
ド・アル・ナヒヤン
会長
開示不可
ロイヤル・グループ会長
4月 12 日
( H.H. Sheikh Tahnoon
Bin Zayed Al Nahyan )
取締役会報酬および指名委員会 委員
ETECH 社プロジェクト Mana 責任者
インターナショナル・ペトローリアム・イン
ベストメント・カンパニー( International
H.E. ナセル・アハメ
Petroleum Investment Company ) 取締役
1961 年
ド・アルソワィディ
*
副会長
開示不可
過去 26 年にわたり、アラブ首長国連邦の様々
( H.E. Nasser Ahmed
1月1日
な政府系経済金融事業体(執行評議会、アブ
Alsowaidi )
ダビ投資庁( ADIA )およびアブダビ国営石油
会社( ADNOC )を含む。)での職歴あり。米
国カリフォルニア州立工科大学経済学の学位
を有している。
取締役会経営委員会 委員
16 年超の経験を有する見識あるビジネスの専
H.E. シャイフ・モハ
門家。
メッド・ビン・サ
不動産投資取引を行い、 UAE 全域における
イーフ・ビン・モハ
様々な関連案件の自己管理を行っている。フ
1978 年
メッド・アル・ナヒ
*
取締役 ランス、パリのアメリカン大学において国際
開示不可
ヤン ( H.E. Sheikh
10 月 19 日
経済学および歴史学の学位を有する。
Mohammed Bin Saif
アブダビ・ナショナル・インシュアランス・
Bin Mohammed Al
カンパニーの会長。
Nahyan )
アブダビ・ナショナル・インシュアランス・
カンパニーリスク管理委員会 議長
取締役会経営委会 議長
取締役会報酬および指名委員会 委員
ムバーダラ・インベストメント・カンパニー
( Mubadala Investment Company ) グルー
プ CEO およびマネージング・ディレクター
H.E. ハルドゥーン・
イタリアの国際的な評判および UAE との経済
カリファ・アル・ム
1976 年
関係に寄与したことから、 2007 年、共和国市
*
バラク( H.E.
取締役
開示不可
1月 27 日
民連帯星勲章司令官となった。
Khaldoon Khalifa Al
アブダビ国営石油会社にて自らのキャリアを
Mubarak )
開始し、現在の責任ある地位を引き受ける前
は UAE オフセッツ・グループにて数々の役職
を務めた。ボストンにあるタフツ大学経済学
および財政学の学位を有する。
アブダビ政府執行関係庁 長官
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取締役会監査委員会 委員
ビンスロー・エンジニアリング( Bin Srour
H.E. シャイフ・アハ
Engineering ) 現会長
メド・モハメッド・
それ以前は、 1996 年から 2009 年まで、社会事
1971 年
サルタン・アル・ダ
*
取締役
業および商業建設庁( DSSCB )の事務次官で
開示不可
ヘリー( H.E. Sheikh
5月3日
あった。土木工学科学の学士号を有する。
Ahmed Mohammed
アブダビ・ナショナル・ホテルズ・カンパ
Sultan Al Dhaheri )
ニー( Abu Dhabi National Hotels Company
( ADNH )) 副会長
取締役会リスクおよびコンプライアンス委員
H.E. モハメッド・
会 委員
ターニー・アル・
取締役会監査委員会 委員
1966 年4月
*
ルーマティ
取締役
開示不可
2日
UAE 商工会議所連盟 会頭
( H.E. Mohammed
アル・エティハド信用調査機関( Al Etihad
Thani Al Romaithi )
Credit Bureau ) 取締役
取締役会リスクおよびコンプライアンス委員
会 委員長
アブダビ投資評議会( ADIC )直接投資局 理
事および取締役
H.E. カーリファ・サ
それ以前は、アブダビ投資庁( ADIA )外部資
ルタン・アル・ス
1974 年
*
金調達(アメリカ)局の副局長であった。
ワィディ( H.E.
取締役
開示不可
4月 11 日
Khalifa Sultan Al
米国シアトル大学経営管理学(財政学)の学
Suwaidi )
位および財政学の理学修士を有する。公認証
券アナリストである。
UAE 銀行連合会 取締役
バラカ・ワン( Barakah One ) 取締役
取締役会監査委員会 委員長
取締役会経営委員会 委員
アブダビ・フィナンシャル・グループ( Abu
Dhabi Financial Group ( ADFG ) ) マネー
ジング・ディレクター兼最高経営責任者
アブダビ・キャピタル・グループ( Abu
H.E. ジャシム・モハ
Dhabi Capital Group )最高経営責任者およ
メッド・アルゼディ
びアブダビを拠点とする石油大学
1984 年
*
キ( H.E. Jassim
取締役
( Petroleum Institute )にて講師も務め
開示不可
5月 26 日
Mohammed Al
る。
Siddiqi )
米国ウィスコンシン大学マディソン校におい
て機械工学の学士号およびコーネル大学にお
いて機械工学の修士号を有する。
シュアー・キャピタル( Shuaa Capital )
会長
エシャラク・プロパティーズ( Eshraq
Properties ) 会長
取締役会経営委員会 委員
取締役会リスクおよびコンプライアンス委員
会 委員
アブダビ開発基金( Abu Dhabi Fund for
Development ) 現総裁
H.E. モハメド・サイ
1968 年
フ・アル・スワイ
11 年間にわたりアブダビ開発基金業務部部長
*
取締役
開示不可
ディ( H.E. Mohammed
も務め、同基金により行われる全プロジェク
10 月1日
Saif Al Suwaidi ) ト・ファイナンスの責任者であった。
米国カリフォルニア・バプティスト大学経営
学学士号を有する。
アグシア( Aghtia ) 取締役
赤新月社( UAE Red Cresent ) 理事
*
本書提出日現在において、いずれの取締役も、当行の株式の5%超を所有していない。
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全取締役の任期は3年間である。
取締役のいずれも、当行における義務と彼らの個人的利益および他の義務との間に実際的または潜在的
な相反はない。
(2) 執行経営陣
(男性 10 名、女性1名 女性の割合 : 約9% )
保有株式数
氏名 役職名 生年月日 略歴
(2017 年 12 月
31 日現在 )
。当行 グループ最高経営責任者。ムバダラ・イ
ンベストメント・カンパニー( Mubadala
Investment Company )およびスカイ・ニュー
ス・アラビア( Sky News Arabia )取締役会役
アブドゥルハミド・
員ならびにリーム・インベストメンツ( Reem
1957 年
エム・サイー ド
グループ最高経営
*
Investments )マネージング・ディレクター。
開示不可
責任者
10 月 14 日
( Abdulhamid
UAE 地域の政府機関および民間機関で数々の重
M.Saeed )
要な役職を歴任。同氏はシティバンクで様々な
重職を歴任し、金融・銀行部門で 35 年超の経験
を有する。
米国アリゾナ大学経営学学士号を修了。
当行のグループ副最高経営責任者兼 グループ
CIB 代表 として、 20 年を超える銀行・金融サー
ビスの経験を有する。それ以前は、 2006 年から
2017 年第1四半期まで、 FGB の最高経営責任者
を務めていた。
FGB 在任中、アブドゥルハミド・サイード氏
(当行最高経営責任者)とともに着実な財務成
績を挙げており、純利益単位で見て、 UAE にお
ける最大の金融機関の1つとなっている。 BB+
格付の小さな銀行から AA- の多角的な大規模銀
行グループへの組織変革を行い、同行の国際ビ
ジネスの拡大を牽引した。
グループ副最高経
アンドレ・サイ フ
1954 年
*
営責任者兼
それ以前は、主要な外資系金融機関の幹部職
開示不可
( André Sayegh )
11 月2日
グループ CIB 代表
(シティバンクのコーポレート・バンキング、
コンシューマー・バンキングおよびプライベー
ト・バンキング部門で執務し、ロンドン、ジュ
ネーブ、ニューヨークおよびアラブ首長国連邦
など様々な国に赴任した。)を歴任した。
英語、フランス語、アラビア語、スペイン語に
堪能。レバノンのベイルート市にあるアメリカ
ン大学の経営学学士(財政学)およびコーポ
レート・ファイナンス・アンド・バンキング経
営学修士号を修了しており、コロンビア大学に
て金融機関進化論を専攻し、プロジェクトを完
了している。
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当行の PBG 代表 であり、顧客中心主義およびデ
ジタル化に向けた消費者向け銀行ビジョンを
リードする責任を負う。
銀行・金融サービス業分野において 20 年以上の
経験を有し、エミレーツ・インテグレーテッ
ド・テレコミュニケーション・カンパニー
( DU )社外取締役を務めており、エミレーツ銀
ハナ・アル・
行・金融サービス研究所( EIBFS )の副所長で
1972 年
ロスタマ ニ
*
あった。現在、 FAB プライベート・バンク・ス
グループ PBG 代表
開示不可
4月 19 日
( Hana Al
イス・エスアーの会長であり、マスターカー
Rostamani )
ド・アドバイザリー( MasterCard Advisory )
のメンバーである。
米国ジョージ・ワシントン大学の情報管理学修
士号を取得しており、ビザ・インターナショナ
ル・アソシエーション( VISA International
Association )および英国銀行協会の銀行カー
ド管理学課程も修了している。
当行の グループ 子会社・戦略・組織再編代表で
ある。当行のシニア・リーダーシップ・チーム
のメンバーであり、当グループの戦略と転換ア
ジェンダの策定ならびに海外投資家およびアナ
リスト・コミュニティとの関係構築ならびに海
外における当行ブランドの評判とグループの外
部コミュニケーションの管理について責任を負
う。
国際機関および地域機関にて銀行業務および金
融業務を 25 年以上にわたり経験してきたベテラ
ンのバンカーである。チュニジアのシティバン
グループ子会社・
カリム・カロワ イ
1964 年
*
クで銀行業務のキャリアを開始し、カント
戦略・組織再編代
開示不可
( Karim Karoui )
1月 16 日
リー・ファイナンシャル・コントローラーを含
表
む様々な幹部職を歴任した。
UAE では、 2001 年に当行 ( 旧 FGB )にて事業計
画・財務管理責任者としてのキャリアを開始し
た。 2008 年に最高財務責任者に就任し、グルー
プ子会社・戦略・組織再編代表に就任する 2017
年まで同職を務めた。
チュニジアにある IHEC 会計学修士号を修了し、
FAB イスラミック、 FAB セキュリティーズ、
ファースト・ガルフ・リビアン・バンクなどの
当行子会社の取締役を務めている。
当行のグループ最高財務責任者であり、グルー
プ・ファイナンス・アンド・トレジャリーの責
任者を務めている。
オーストラリア・ニュージーランド銀行
( ANZ )グループから当行に入行し、インター
ナショナル ・アンド・ インスティテューショ
ナル・バンキング部門最高財務責任者を務め
ジェームズ・
た。それ以前は、 ANZ のアジア太平洋、欧州お
グループ最高 1968 年
*
よびアメリカ担当最高財務責任者であった。
バーデッ ト
開示不可
財務責任者 5月 31 日
ANZ 入行前、 HSBC で様々な大国を担当する最高
( James Burdett )
財務責任者を 17 年間務めた後、マネジメント・
インフォメーション・プランニング・アンド・
アナリシスのグループ代表を務めた。 HSBC 勤務
時には、 HSBC グループ財務担当取締役が委員長
を務める財務管理委員会委員も務めた。
公認会計士の資格を有し、オークランド工科大
学で学んだ。
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当行のグループ・チーフ・リスク・オフィサー
であり、当行のリスクの枠組みおよびコーポ
レート・ガバナンスをグローバルに実施する責
任を負う。
当行入行前には、 HSBC 、 ANZ グリンドレース銀
行( ANZ Grindlays Bank )、スタンダード・
チャータード銀行( Standard Chartered
グループ・チー
アリーフ・シェイク
1966 年
Bank )、 KPMG 、 PwC にて勤務し、インド、香
*
フ・リスク・
開示不可
港、メルボルンおよび UAE においてリスク、監
( Arif Shaikh )
7月5日
オフィサー
査、財務、貿易、コーポレート・バンキングお
よび支店経営などの様々な役職を務めた。
当行の国際ビジネス委員会委員であり、当行の
地理的拠点の決定に責任を負う。
商学および法学の学士号を有し、インド公認会
計士協会の公認会計士であり、インド銀行協会
の会員でもある。
当行のグループ国際バンキング代表兼グルー
プ・チーフ・オペレーティング/インテグレー
ション・オフィサーである。
2016 年7月にグループ・チーフ・インテグレー
ション・オフィサー( FGB の NBAD との合併発表
を受けて設けられた役職で、統合計画を全面的
に管理する責任を負う。)に就任。 2017 年の法
律上の合併後、同氏は国際バンキング・グルー
プ代表にも就任し、 2017 年後半にはチーフ・オ
グループ国際バン
ペレーティング・オフィサーの責任も引き継い
ズルフィカル・
キング代表兼グ
だ。
ループ・チーフ・ 1959 年
アリ・スレイヤマ ン
*
それ以前は、 FGB にてチーフ・オペレーティン
開示不可
オペレーション/ 9月 23 日
( Zulfiqar Ali
グ・オフィサーを務め、 2004 年に当行にビジネ
インテグレーショ
Sulaiman )
ス・サポート・ディレクターとして入行し、
ン・オフィサーへ
FGB のサポート部門の管理を担当していた。
中東、アフリカおよび南アジアにおいて、 35 年
超に及ぶ幅広い銀行業経験を有している。当行
入行前は、シティバンクの幹部職(オマーン支
店支店長、最高財務責任者およびカントリー・
コンプライアンス・アンド・コントロール代表
を含む。)を歴任した。
カラチ大学で商学の学士号を修了(会計および
金融を専攻)。
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当行のグループ・ チーフ・ カスタマー・エクス
ペリエンス・アンド・デジタル・オフィサー。
2017 年に当行に入行する前は、ドバイ・ホール
ディング( Dubai Holding )の最高経営責任者
を務めていた。同氏の指揮の下、ドバイ・ホー
ルディングは創業以来最高益を記録した。在任
中、ドバイ・ホールディングの財務、法務およ
び運営戦略の監督について責任を負った。ま
た、ドバイ・ホールディング・コマーシャル・
オペレーションズ・グループ( Dubai Holding
Commercial Operations Group )の 2.25 十億米
ドルに値する債券(複数の満期が設定されてい
るマルチカレンシー債)発行に成功し、内部資
金による返済に成功した。
グループ・チー
フ・カスタマー・
当行執行委員会委員であるほか、ドバイ金融
ファデル・ A ・ B ・
エクスペリエン
サービス機構、 FAB スイス・プライベート・バ
1964 年
アル・ア リ
*
ス・
ンク・エスアー( FAB (Suisse) Private
開示不可
5月2日
( Fadhel A. B. Al
Bank SA )、アブダビ・キャピタル・グループ
アンド・デジタ
Ali )
ル・ ( Abu Dhabi Capital Group )、アブダビ・
ファイナンシャル・グループ( Abu Dhabi
オフィサー
Financial Group )の取締役を務めている。セ
ルビアのミラ・バンク( MIRA Bank )およびエ
イチ・ホテル・アンド・リゾート・マネジメン
ト( H Hotel & Resort Management )の取締役
会会長を務めている。
2001 年にシティバンクにてキャリアを開始し、
その後 2005 年にドバイ・ホールディング
( Dubai Holding )に入社する前まで UAE 販売部
門代表に就任した。
南カリフォルニア大学産業工学およびシステム
工学の学士号を修了し、ローザンヌの国際経営
開発研究所のハイ・パフォーマンス・ボードに
て学位を取得している。
当行のグループ最高人事責任者である。従業員
のために人事機能が行き渡るようにし、当行の
予定事業に備えるために当グループの従業員と
企業文化の育成を推進する責任を負っている。
プロクター・アンド・ギャンブルおよびマース
ク・グループの人事部・販売マーケティング部
において 25 年間の経験を有する。当行入行前
ピーター・ベイカー
1971 年
グループ最高人事
は、物流・サプライチェーン管理業界の世界
責任者
( Peter Baker )
4月7日
トップ企業であり、 80 カ国以上で事業を展開し
ているダムコ( Damco )の最高人事責任者を務
めた。シンガポール、オランダおよびデンマー
クに赴任し、アジア太平洋、米国および EMEA に
おいて広範な経験を有する。
シドニー工科大学のビジネスの学士号を取得し
ている。
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当行のグループ最高監査責任者である。当行の
システム・プロセス、リスク管理およびガバナ
ンス体制をカバーする当グループの内部統制環
境の質および有効性に関して当行取締役会およ
び上級経営陣に独立的に保証する責任を負って
いる。
銀行業における 30 年超の経験を有しており、ガ
ニュレンンドラ・
グループ最高 1966 年
バナンス、リスク管理、コンプライアンスおよ
*
ペレイラ
開示不可
び内部監査において主要な UAE の銀行および外
監査責任者 6月4日
( Nurendra Perera )
資系銀行の幹部を歴任している。
経営学修士号を有し、レスター大学(英国)で
財政学を専攻した。国際的な認定資格である、
米国内部監査人協会の CIA 、 CFSA および CRMA 資
格、米国 ISACA の CISA および CRISC 資格ならびに
英国勅許銀行協会(英国)の CIB の資格を有し
ている。 INSEAD の卒業生である。
当行チーフ・クレジット・オフィサーであり、
グループ全体の信用リスク(与信承認、信用リ
スクの軽減およびポートフォリオ管理)につい
て責任を負う。
2013 年に当行にチーフ・クレジット・オフィ
サーとして入行し、ホールセール・バンキン
グ・アンド・インターナショナル・チームの代
表代理も務めている。当行入行前は、ジッダ
(サウジアラビア)にある国立商業銀行に4年
間勤務し、国際リスク業務をリードし、シニ
ア・クレジット・オフィサーとしての資格にお
いて、トルキイ・ファイナンス・カティリム・
グループ・チー
バンカシ( Turkiye Finans Katilim Bankasi )
フ・
シュリーシュ・ビデ
1968 年
を NCB ファミリーにと統合させ、 NCB のサウジア
クレジット・オ
ラビア王国( KSA )プロジェクト・ファイナン
( Shireesh Bhide )
2月 29 日
フィ
スのプロポーザルの与信承認を行った。
サー
28 年に及ぶ外資系銀行業務経験があり、コン
シューマー・バンキングおよびコーポレート・
アンド・インベストメント・バンキング部門に
おける数々のリーダー職およびビジネス上の役
割ならびにリスク管理業務にについて豊富な経
験を有する。インドおよびアフリカ全土におい
て。 19 年近くシティバンクに勤務した。
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス大学
(英国)のポストグラジュエート・ディプロマ
(会計および財政学専攻)およびプーナ大学
(インド)の経営学修士号(マーケティング専
攻)を修了している。
*
本書提出日現在、当行のいずれの執行経営陣の構成員も、当行株式の3%超を所有していない。
当行のいずれの執行経営陣の構成員も、当グループにおける義務と個人的な利益および/もしくはその他の
義務との間において実際的または潜在的な利益相反はない。
5【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1)【コーポレート・ガバナンスの状況】
FGB との合併後、当行は、組織全体の意思決定の質を向上させ、質の高い開示を支える透明性の高い
組織構造を通じて利害関係者との強固な関係を築くことを目的としたコーポレート・ガバナンス体制
を構築している。当行は、コーポレート・ガバナンス、ビジネスにおける誠実性およびプロフェッ
ショナリズムにおけるベスト・プラクティスの達成に重点的に注力している。銀行は、戦略的目標に
沿ったコーポレート・ガバナンス体制を承認し、適用可能な規制ガイドライン( UAE 中央銀行(以下
「 UAE 中央銀行」という。)および他の規制当局のものを含む。)を反映している。また、当行のガバ
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ナンス体制には、全ての従業員が日々の行動に自覚を持ち遵守しなければならない、高い倫理観に基
づく行動規範が含まれる。
当行の包括的なコーポレート・ガバナンス規範は、取締役会によって監督され、取締役会は執行経
営陣と協力して当行の戦略的目標を設定し、当グループの業務を指揮する。当行は、生産性の高い戦
略の選択およびリスク管理によって業務を推し進める。当行には、意思決定および上申での独立性の
必要性に応じた厳密な監視下の権限委譲体制があり、これにより、個人および会社単位での説明責任
および全ての適用法令の遵守の明確化が図られている。これにより、当行は、透明性のある重要な情
報開示を通じて利害関係者の利益を満たし、規制上の義務を履行し、積極的に、かつ、透明性をもっ
て、地域社会および当行顧客に関与することが可能となる。
当行のコーポレート・ガバナンス体制の大要
当行は、取締役会および委員会体制によって運営される。 FGB との合併後、当行は、取締役会委員会
への合理的かつ有効な報告体制の確立に向けた継続的な取組みの一環として、経営委員会の構造の全
面的な見直しを行った。これには、事業運営の効率性の最大化を図り、意思決定に対する説明責任を
明確にすることを目的として行われる各委員会の規約の見直しも含まれている。コーポレート・ガバ
ナンス体制では、取締役会および取締役個人、取締役会委員会、執行委員会ならびにこれらを支える
経営委員会ならびに組織による支援および統制機能についての責任と説明責任が明確にされている。
取締役会
当行グループの通常定款および商事会社に関する 2015 年連邦法第 2 号に基づき、当行の取締役会は 9
名のメンバーで構成される。
取締役会の構成は、会長およびグループ最高経営責任者を分離し、非執行取締役を過半数とする、
一般に認められたコーポレート・ガバナンスの慣行を満たしている。
取締役会は、取締役自身およびその一親等のいずれも過去 2 年間に当行の経営幹部職ではなく、また
は当行もしくはその子会社との間で、当行の払込資本の 5 %または 5 百万ディルハム超(もしくはこれ
と同額の外貨相当額)のうちいずれか額の低い方を上回る金融取引を生み出す関係性にない場合に、
独立取締役とされる。
当行の取締役会は、当グループの運営を通じた価値の創造および維持ならびに株主および利害関係
者の利益への配慮を行いながら当グループの業務の指揮を執ることについて、全体的な責任を負う。
取締役会は、直接的に、または委員会を通じて、戦略的な計画策定、リスク選好度の規定、リスクの
特定および管理、資本管理、誠実な企業風土の育成、内部統制、経営幹部の後継者育成計画および評
価、コミュニケーション、公的開示およびコーポレート・ガバナンスの監視について責任を負う。委
員会は、取締役会規定および関連方針において、その役割と責任を文書化している。取締役会規定お
よび多くの関連方針は、 FGB との合併後における当行の発展を反映するために、必要に応じて見直しお
よび修正がなされている。これには、取締役向けの包括的な行動規範が含まれており、当該規範に
は、取締役が組織全体の行動の基準を打ち出す際に果たす役割を反映している。取締役会は、理事会
および取締役会委員会ならびに権限委譲体制を通じて、執行経営陣に権限を委譲している。
取締役会が自らの意思決定のために留保する一定の権限および権能を除き、当グループ最高経営責
任者は、当行の経営、事業運営およびコンプライアンスに関する全責任を委譲されている。監視機能
を果たすため、取締役会は、明確な管理体制を定めており、社内外の双方における統制および報告体
制の構築を支えるほか、経営活動を監視する。当該体制により、委譲および管理体制はまた、 UAE 中央
銀行および UAE 証券・商品委員会(以下「 SCA 」という。)を含む規制当局および第三者ならびに当行
が営業活動を行っている法域における規制当局に従い、かつ、その監督下に服する。
取締役会下位委員会
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取締役会がその目的を果たせるよう、取締役会は、必要に応じて任命された委員会に権限を委譲し
ている。取締役会には、以下の ▶ つの下位委員会が設置されている。
取締役会経営委員会( BMC )
BMC は、取締役会で承認された戦略に従い、当行グループの事業計画の執行を承認および監督し、当
グループの事業の重要な側面を監督ならびに精査する。
取締役会監査委員会( BAC)
BAC は、財務諸表および財務報告の質と完全性(内部および外部監査人による監視を含む。)を確保
し、内部統制、リスク管理およびガバナンス体制の有効性を評価する。
取締役会リスク・コンプライアンス委員会( BRCC )
BRCC は、当行グループの現在のおよび潜在的な将来のリスクならびにコンプライアンスへのエクス
ポージャーに関して、当行グループに監視および助言を行っている。また、将来に向けた直接的なリ
スク戦略の検討および支援(グループ内でのリスク選好およびリスク許容度の決定、リスクおよびコ
ンプライアンスに対する注意喚起を含む。)を行っている。
取締役会報酬・指名委員会( REMCO )
REMCO は、当グループ取締役会の構成および当グループ執行委員会の後継者育成計画を統括してい
る。また、当行の報酬に係る方針の体制見直しも行う。
これらの委員会はいずれも取締役会の一体をなすものであり、そのメンバーは取締役会の取締役で
ある。これらの委員会の権限は、当グループの適正なガバナンスを確保するために、取締役会に対し
詳細な調査および検討を行い、提言を行い、また、利益相反を管理し、規制上の要件を充足し、リー
ダーシップを発揮し、株主の利益を満たし、経営陣による監督が行き届くようにすることである。委
員会規約は、変化する当グループの事業および構造との綿密な整合性を取るため、毎年見直しが行わ
れている。
シャリア監査役会
当行は、シャリアの観点から、当行取締役会が任命するシャリア監査役会( SSB )の監査を受けてい
る。 SSB は、当行のイスラム金融商品、サービス、事業のすべてがシャリア原則を遵守していることを
確認し、継続的にこれらの見直しを行う責任を有する、高名かつ有資格者であるシャリアの学者から
なる。
当行のイスラム金融業務では、 SSB に対し、シャリアに関するあらゆる事項について定期的に指導を
仰いでいる。また、 SSB は、シャリアに関する全事項について、当行のイスラム系の子会社を監査して
いる。かかる子会社は、ファースト・アブダビ・イスラミック・ファイナンス・ピー・ジェー・エ
ス・シーおよびアシール・ファイナンス・ピージェイエスシーである。
当行は、また、シャリアおよびイスラム金融に関する資格を有する人材からなる内部シャリア部門
( ISU )を設置している。
ISU は、関連するすべてのシャリア機能の管理および履行(シャリアに係る精査、助言および組織
化、 SSB のシャリア事務局、シャリアに係る調査および研修、シャリアの監査、シャリアに関するリス
ク管理を含む。)について責任を負う。
経営委員会
当行は、執行経営委員会を含む経営委員会を多く設置している。経営委員会体制は、多岐にわたる
事項(戦略、財務、資金、リスク、事業運営、 IT および従業員に関するものを含む。)に関して幹部
レベルで行われる当行内の意思決定の促進の一助となっている。 2018 年を通じて特筆すべきは統合運
営委員会であり、当行の商品、サービス、 IT プラットフォームおよび文書作成サポートの統合におい
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てリーダーシップを発揮した。前述のとおり、経営委員会は、 2018 年に体制の見直しを行い、関連す
る枠組みは銀行の現状を反映した形で絶えず変化している。当行の全ての経営委員会の構成、指針と
な る原則ならびに詳細な役割および責任は、各委員会の規約に規定されている。
子会社および国際的ガバナンス
ドバイ・ファースト・ピー・ジェー・エス・シー、アシール・ファイナンス・ピー・ジェー・エ
ス・シー、ファースト・アブダビ・イスラミック・ファイナンス・ピー・ジェー・エス・シーおよび
FAB セキュリティーズ・エル・エル・シーは、 UAE における当行の規制対象子会社であり、各社が当行
の包括的なコーポレート・ガバナンス体制の範囲内で業務を行っている。当行子会社は、その事業内
容に応じたコーポレート・ガバナンス体制を運用している。適用法令により求められるところに従
い、各社ともに自社の取締役会および補佐委員会を設置している。
当行子会社の幹部職を支援し、指示し、指揮し、忌憚のない意見を言い合うようにするため、取締
役会は、銀行業、金融業、イスラム教およびリスクについて豊富な経験を有するベテランの専門家か
らなる。法律上および/または規制上の要件により、独立(外部)取締役の必要性が義務づけられて
いる場合を除き、取締役は、主に当行グループの従業員である。ただし、当該取締役は、独立的な観
点を提供できるよう、異なる事業分野から選ばれている。当行子会社の取締役会は、 UAE 商事会社法に
基づき求められるところに従い、 UAE 国民が過半数を占め、当行は、強力な自国民プログラムを通じて
自国民のリーダーシップ・スキルの向上に尽力している。
当行は、 UAE における子会社に加え、完全な取締役会および委員会体制を設置している海外子会社を
複数有する。しかしながら、当行の国外におけるプレゼンスは、ほとんどが現地レベルでの業務およ
びサービスを提供している支店および駐在員事務所を通じてのものであり、当行グループの経営(場
合による。)により支えられている。当行は、ガバナンス体制(経営幹部の組織構造、委員会、意思
決定の場および報告系統を含む。)を定めるリスク管理ガバナンス体制を各国際拠点ごとに策定して
いる。
規制遵守
当行は、 UAE 中央銀行による規制を受けており、それゆえ UAE 中央銀行の規制、通達および通知に従
わなければならない。さらに、当行は、 UAE の全適用法令( UAE 商事会社法ならびに SCA が制定した 2018
年 UAE 連邦銀行法、規則および基準ならびに当行の通常定款を含むが、これらに限定されない。)の遵
守が義務づけられる。当行には専門のコンプライアンス・チームが設置されており、必要に応じて委
員会の枠組みを通じて取締役会への助言を行いながら、新規の法令を精査し、当行への影響を査定す
る。当行はまた、当行が事業展開する地域において国際的または地域的な影響を及ぼす国際規制
(バーゼル Ⅲ および GDPR (一般データ保護規則)など。)の影響も受ける。
また、当行は、営業活動を行っているあらゆる法域において、国際的な規制をすべて遵守しなけれ
ばならない。これは、現地のコンプライアンス部門のスタッフが必要に応じて当グループレベルでの
監視および指導を行うことで達成される。
経営幹部は、当グループの各営業拠点における適用法令を遵守し、これについて取締役会に報告す
る責任を負う。良好なガバナンスにつながるとされていることから、当行が規制当局と協力な関係お
よびパートナーシップを築くことは重要である。これには、 UAE 銀行連盟(以下「 UBF 」という。)を
通じた規制当局の協議への対応が含まれる。
取締役は、リスク選好、コンプライアンスおよびリスクに係る重要な戦略ならびにコンプライアン
スおよびリスク評価に取り組みとともに、これらに係る指導および監督を行う。
行動規範
当行には、上記の取締役会行動規範に加え、当行取締役、従業員および子会社に適用される包括的
な従業員行動規範がある。当該規範は、適切な行動を奨励し、不適切な行動を規定し、当該行動の特
定および報告プロセスならびに結果を明確化している。株主および利害関係者の利益に適う透明性お
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よび開示に係る高い基準を採用する当行の取組みに沿って、当行は、規制を目的として必要となる情
報開示のほか、インベスター・リレーションズを通じ、財務および非財務情報を含む多岐にわたる報
告 書を公表する。当該報告書には、当行初となる環境持続性ガバナンス( ESG )報告書が含まれてお
り、当行のウェブサイトに掲載されている。
当行は、外部の利害関係者と関わり、コミュニケーションを取るために部門を多く設けている。当
該部門には、インベスター・リレーションズおよびコーポレート・コミュニケーション、持続可能
性、規制遵守、コーポレート・ガバナンス部門が含まれる。また、職務上、倫理上および規制上の観
点から、内部の透明性および情報開示に配慮がなされており、これにより、従業員は、当行の成長、
戦略およびリスクを認識し、個人の責任義務を自覚する。それと同時に、顧客および個人情報の秘密
性、秘密情報および企業秘密情報を保護する。こういった配慮は、従業員行動規範および当行の評価
体制に組み込まれている。株主の権利および利益には、 UAE 商事会社法および当行の通常定款における
留保権限が含まれており、取締役会が当行の最善の利益のために行為する義務により支えられてい
る。当行は、多様な利害関係が株主層にあることを認識しており、取締役会は、当グループの目的お
よび戦略の決定に際し、当該利害関係を考慮する。
役員報酬の内容
当行の執行経営陣報酬が目的とするところは、事業の持続的な成長と利害関係者価値の保護であ
る。
当行の報酬体系は、固定報酬と変動報酬(裁量性)の組み合わせを取っている。固定報酬では、外
部の市場ベンチマークとの整合が取られており、上級管理職による適切な報酬の受領および報酬水準
の相対的な安定が確保されている。
変動報酬は、バランスの取れたスコアカード(財務、顧客、プロセス、人材)の各要素に応じた成
果および当行の価値基準にあった成果と連動している。また、達成事項に加え、事業成長が行われた
方法を正確に反映するため、経営上の裁量も適用される。
さらに、長期的な持続可能性を前提とした意思決定が行われるよう、変動報酬の一部繰延べなど、
適切な安全対策を講じている。
当該繰延べは、裁量的な変動報酬の価値に基づいて行われ、意思決定のレベルおよび事業への影響
に見合うものである。
表彰・実績
2018 年の主要な成果は、上述の統合運営委員会の指示のもと、統合計画が成功したことである。当
行は、 UBF を通じ、 UAE コーポレート・ガバナンス規則および基準( UAE Corporate Governance
Regulations and Standards )案に関する UAE 中央銀行との協議の対応も順調に進めており、今後も意
見を提供し、規制当局との建設的な対話を継続する。
(2)【監査報酬の内容等】
①【外国監査公認会計士等に対する報酬の内容】
当連結会計年度
監査証明業務に基づく又は 非監査業務に
監査証明業務に関する報酬 基づく報酬 合計
UAE /本店 5,369,549 975,356 6,344,905
シンガポール 592,478 - 1,200,107
香港 71,278 76,210 147,488
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インド 85,160 7,516 92,676
ヨルダン 107,494 79,467 186,962
エジプト 233,370 84,000 317,370
オマーン 223,045 137,361 360,406
AIB* - - -
ロンドン 183,707 245,642 429,349
スイス * 250,732 624,795 875,527
パリ 212,398 - 212,398
バーレーン 112,568 38,974 151,542
ADNL* 25,175 - 25,175
クウェート 200,007 96,830 296,837
ADNP* 36,173 - 36,173
ADNIF* 75,128 - 75,128
FAB セキュリティーズ *
247,649 - 247,649
マレーシア * - 159,153 159,153
上海 25,807 - 25,807
DIFC* - - -
米国 257,317 - 828,664
合計 8,309,035 2,525,304 12,013,315
* 連結子会社による支出
前連結会計年度
( AED )
監査証明業務に基づく又は 非監査業務に
監査証明業務に関する報酬 基づく報酬 合計
UAE /本店 3,819,586 1,153,094 4,972,680
シンガポール 715,803 149,018 864,821
香港 166,441 48,564 215,005
インド 107,504 151,928 259,432
ヨルダン 106,561 - 106,561
エジプト 191,914 183,824 375,739
オマーン 382,063 43,052 425,115
AIB* - - -
ロンドン 40,154 233,691 273,845
スイス * 604,282 377 604,659
パリ 66,526 - 66,526
バーレーン 90,879 43,978 134,857
ADNL* 40,461 - 40,461
クウェート 464,825 56,626 521,451
ADNP* 16,490 - 16,490
ADNIF* 163,351 - 163,351
FAB セキュリティーズ * - - -
マレーシア * 104,917 19,641 124,558
上海 - - -
DIFC* - - -
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米国 303,390 - 303,390
合計 7,438,627 2,083,794 9,522,420
* 連結子会社による支出
②【その他重要な報酬の内容】
該当なし。
③【外国監査公認会計士等の提出会社に対する非監査業務の内容】
会計に関するリサーチ、実現性に関する検討および翻訳業務。
④【監査報酬の決定方針】
当行の監査報酬の決定方針は、アブダビ説明責任局( Abu Dhabi Accountability Authority )のガ
イドラインに基づいている。 100,000 米ドルを超える非監査業務については、監査委員会の承認を得な
ければならないことになっている。
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第6【経理の状況】
a. 本書記載の当行およびその子会社(以下「当グループ」という。)の邦文の財務書類(以下「邦文の
財務書類」という。)は、国際会計基準審議会により発行されアラブ首長国連邦において採用された
IFRS に準拠して作成された本書記載の 2018 年 12 月 31 日に終了した事業年度の原文の財務書類(以下、
本項において「原文の財務書類」という。)の翻訳である。 当グループの財務書類の日本における開
示については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和 38 年大蔵省令第 59 号。
以下「財務諸表等規則」という。)第 131 条第1項の規定が適用されている。
邦文の財務書類には、財務諸表等規則に基づき、原文の財務書類中のディルハム( AED )表示の金額
のうち主要なものについては、 2019 年6月3日現在の株式会社三菱 UFJ 銀行の対顧客外国為替相場の公
表仲値、1ディルハム= 29.56 円の為替レートに基づき円換算額が併記されている。 金額は千円単位
(四捨五入)で表示されている。 円換算額は単に読者の便宜のためのものであり、ディルハム表示の
金額が上記のレートで円に換算されることを意味するものではない。円換算額は、四捨五入のため合
計欄の数値が総数と一致しない場合がある。
なお、財務諸表等規則に基づき、日本と当グループが採用する IFRS との会計処理の原則および手続
並びに表示方法の主要な相違点については、第6の「4 日本と IFRS との会計原則の相違」に記載さ
れている。
円換算額および第6の「2 主な資産・負債及び収支の内容」から「4 日本と IFRS との会計原則
の 相違 」までの事項は原文の財務書類には記載されておらず、下記 b. の監査証明に相当すると認めら
れる証明の対象になっていない。
b. 原文の財務 書類 は、外国監査法人等(「公認会計士法」(昭和 23 年法律第 103 号)第1条の3第7項に
規定されている外国監査法人等をいう。)であるケーピーエムジー・ロウワ-ガルフ・リミテッド
( UAE における独立監査人)から、金融商品取引法(昭和 23 年法律第 25 号)第 193 条の2第1項第1号
に規定されている監査証明に相当すると認められる証明を受けている。原文の財務書類については、
その監査報告書の写しおよび訳文が本書に記載されている。
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1【財務書類】
連結財政状態計算書
12 月 31 日現在
2018 年 2017 年
注記 千ディルハム 千円 千ディルハム 千円
資産
現金および中央銀行預け金 8 182,908,727 5,406,781,970 138,111,054 4,082,562,756
純損益を通じて公正価値評価される投資 9 14,620,910 432,194,100 19,320,764 571,121,784
銀行および金融機関預け金 10 19,176,092 566,845,280 13,829,490 408,799,724
売戻契約 11 19,033,451 562,628,812 21,346,974 631,016,551
デリバティブ金融商品 39 13,084,192 386,768,716 11,399,432 336,967,210
貸出金 12 353,205,228 10,440,746,540 330,465,888 9,768,571,649
非トレーディング投資 13 90,433,574 2,673,216,447 88,457,710 2,614,809,908
投資不動産 14 7,388,493 218,403,853 6,972,692 206,112,776
有形固定資産 15 3,991,215 117,980,315 3,535,501 104,509,410
無形資産 16 16,699,711 493,643,457 19,901,374 588,284,615
20,583,602 608,451,275 15,672,416 463,276,617
その他資産 17
741,125,195 21,907,660,764 669,013,295 19,776,033,000
資産合計
負債
銀行および金融機関預り金 18 40,266,535 1,190,278,775 30,576,336 903,836,492
買戻契約 19 34,769,685 1,027,791,889 37,674,016 1,113,643,913
コマーシャルペーパー 20 18,144,105 536,339,744 24,124,097 713,108,307
デリバティブ金融商品 39 15,219,464 449,887,356 14,941,331 441,665,744
顧客勘定およびその他預金 21 465,475,874 13,759,466,835 395,843,664 11,701,138,708
期間借入 22 42,268,173 1,249,447,194 42,145,718 1,245,827,424
劣後社債 23 401,979 11,882,499 420 ,381 12,426,462
25,606,380 756,924,593 21,033,339 621,745,501
その他負債 24
642,152,195 18,982,018,884 566,758,882 16,753,392,552
負債合計
資本
株式資本 25 10,897,545 322,131,430 10,897,545 322,131,430
資本剰余金 53,188,043 1,572,238,551 53,026,644 1,567,467,597
自己株式 (25,530) (754,667) (42,433) (1,254,319)
法定準備金および特別準備金 9,483,238 280,324,515 7,081,074 209,316,547
その他準備金 25 (37,477) (1,107,820) 962,736 28,458,476
ティア1キャピタルノート 26 10,754,750 317,910,410 10,754,750 317,910,410
ストックオプション制度 27 266,841 7,887,820 256,265 7,575,193
転換社債-資本構成部分 - - 108,265 3,200,313
17,083,868 504,999,138 18,677,552 552,108,437
利益剰余金
当行の株主に帰属する持分合計 101,611,278 3,003,629,378 101,722,398 3,006,914,085
361,722 10,692,502 487,015 14,396,163
非支配持分
101,973,000 3,014,321,880 102,209,413 3,021,310,248
資本合計
744,125,195 21,996,340,764 668,968,295 19,774,702,800
負債および資本合計
本連結財務書類は、取締役会により 2019 年1月 31 日に承認および公表が認められ、代表して以下の
者が署名した。
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[ 署 名 ] [ 署 名 ] [ 署 名 ]
シェイク・タハヌーン・ビン・ザーイド・ アブドゥルハミド・サイード ジェームズ・バーデッド
アル・ナヒヤーン
会長 グループ最高経営責任者 グループ最高財務責任者
注記1から 48 は、本連結財務書類の不可分の一部である。
連結財務書類の監査に関する独立監査人の監査報告書は、2から 10 ページ(訳注:原文のページ数であ
る。)に記載されている。
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連結損益計算書
12 月 31 日終了年度
2018 年 2017 年
注記 千ディルハム 千円 千ディルハム 千円
21,836,404 645,484,102 16,331,787 482,767,624
受取利息 28
(8,810,445) (260,436,754) (4,935,594) (145,896,159)
支払利息 29
13,025,959 385,047,348 11,396,193 336,871,465
正味受取利息
4,879,988 144,252,445 4,026,061 119,010,363
受取手数料
(1,487,616) (43,973,929) (1,128,206) (33,349,769)
支払手数料
3,392,372 100,278,516 2,897,855 85,660,594
正味受取手数料 30
2,042,480 60,375,709 928,188 27,437,237
純為替差益 31
826,225 24,423,211 686,131 20,282,032
投資 およびデリバティブに係る純利益 32
158,706 4,691,349 472,090 13,954,980
その他営業収益 33
19,445,742 574,816,134 16,380,457 484,206,309
営業収益
(5,328,555) (157,512,086) (4,901,496) (144,888,222)
一般管理費およびその他営業費用 34
14,117,187 417,304,048 11,478,961 339,318,087
正味減損費用控除前利益(税引前)
(1,725,794) (51,014,471) (2,086,717) (61,683,355)
正味減損損失 35
12,391,393 366,289,577 9,392,244 277,634,733
税引前利益
(325,004) (9,607,118) (224,989) (6,650,675)
国外法人税費用 36
12,066,389 356,682,459 9,167,255 270,984,058
当期利益
以下に帰属する利益:
12,010,820 355,039,839 9,132,648 269,961,075
当行の株主
55,569 1,642,620 34,607 1,022,983
非支配持分
12,066,389 356,682,459 9,167,255 270,984,058
1.06 31.33 0.91 26.90
基本1株当たり利益(ディルハム /円 ) 41
希薄化後1株当たり利益(ディルハム /
1.06 31.33 0.91 26.90
円 ) 41
注記 1から 48 は、本連結財務書類の不可分の一部である。
連結財務書類の監査に関する独立監査人の監査報告書は、2から 10 ページ(訳注:原文のページ数であ
る。)に記載されている。
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連結包括利益計算書
12 月 31 日終了年度
2018 年 2017 年
注記 千ディルハム 千円 千ディルハム 千円
12,066,389 356,682,459 9,167,255 270,984,058
当期利益
その他包括利益
連結損益計算書にその後組み替えられる、
または組み替えられる可能性のある項目
(270,017) (7,981,703) 44,878 1,326,594
在外営業活動体に係る外貨換算差額
当期中の公正価値準備金の純変動額 ( 予想
(936,930) (27,695,651) 212,420 6,279,135
信用損失を含む )
連結損益計算書にその後組み替えられない
項目
その他包括利益を通じて公正価値評価され
るものとして指定された資本性金融商品
(102,223) (3,021,712) - -
への投資の公正価値の純変動額
(13,601) (402,046) (7,102) (209,935)
確定給付債務の再測定
(54,750) (1,618,410) (49,000) (1,448,440)
取締役の報酬
(1,377,521) (40,719,521) 201,196 5,947,354
当期その他包括利益
10,688,868 315,962,938 9,368,451 276,931,412
当期包括利益合計
以下に帰属する包括利益:
10,655,460 314,975,398 9,314,218 275,328,284
当行の株主
33,408 987,540 54,233 1,603,127
非支配持分
10,688,868 315,962,938 9,368,451 276,931,412
当期包括利益合計
注記1から 48 は、本連結財務書類の不可分の一部である。
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有価証券報告書
連結キャッシュフロー計算書
12 月 31 日終了年度
2018 年 2017 年
注記 千ディルハム 千円 千ディルハム 千円
営業活動によるキャッシュフロー
税引前利益
12,391,393 366,289,577 9,392,244 277,634,733
調整:
減価償却費 15,16
437,249 12,925,080 470,574 13,910,167
投資不動産の再評価による損失/(利益) 14
95,764 2,830,784 (179,916) (5,318,317)
投資不動産の売却益
(1,551) (45,848) (35,715) (1,055,735)
固定資産の売却益
(111,422) (3,293,634) (2,214) (65,446)
正味減損費用 35
2,029,564 59,993,912 2,384,494 70,485,643
利息の増加
36,452 1,077,521 84,952 2,511,181
外貨換算調整
(670,603) (19,823,025) 425,056 12,564,655
ストックオプション制度
10,576 312,627 20,467 605,005
14,217,422 420,266,994 12,559,942 371,271,886
以下の変動額:
純損益を通じて公正価値評価される投資
7,093,387 209,680,520 (2,343,581) (69,276,254)
中央銀行、銀行および金融機関預け金
(9,379,910) (277,270,140) (2,286,988) (67,603,365)
売戻契約
2,298,167 67,933,817 1,978,416 58,481,977
貸出金
(26,951,609) (796,689,562) 9,340,457 276,103,909
その他資産
(5,009,629) (148,084,633) 29,166 862,147
銀行および金融機関預り金
9,690,199 286,442,282 (21,993,151) (650,117,544)
買戻契約
(2,904,331) (85,852,024) 17,964,674 531,035,763
顧客勘定およびその他預金
69,633,766 2,058,374,123 (2,933,193) (86,705,185)
デリバティブ金融商品
(2,308,854) (68,249,724) 645,189 19,071,787
その他負債
4,086,161 120,786,919 1,580,062 46,706,633
60,464,769 1,787,338,572 14,540,993 429,831,753
国外における法人税等の支払額(回収額控除後) 24
(293,342) (8,671,190) (278,196) (8,223,474)
取締役報酬支払額
(49,000) (1,448,440) (51,000) (1,507,560)
営業活動による正味現金
60,122,427 1,777,218,942 14,211,797 420,100,719
投資活動によるキャッシュフロー
非トレーディング投資の正味購入
(5,381,782) (159,085,476) (12,721,340) (376,042,810)
投資不動産の購入
(270,046) (7,982,560) (553,203) (16,352,681)
投資不動産の処分による売却収入
20,990 620,464 263,644 7,793,317
取得した子会社の現金および現金同等物
- - 121,258,636 3,584,405,280
有形固定資産の購入(処分控除後)
(885,837) (26,185,342) (430,038) (12,711,923)
投資活動(に使用された)/による正味現金
(6,516,675) (192,632,913) 107,817,699 3,187,091,182
財務活動によるキャッシュフロー
ストックオプション制度における 株式発行による収
178,302 5,270,607 34,025 1,005,779
入 27
配当金支払額 25
(7,578,784) (224,028,855) (4,489,524) (132,710,329)
コマーシャルペーパーの純変動額
(176,768,564) 2,130,547 62,978,969
(5,979,992)
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期間借入の実行 22
9,076,645 268,305,626 3,135,955 92,698,830
期間借入の返済 22
(7,735,417) (228,658,927) (11,433,020) (337,960,071)
ティア1キャピタルノートに係る支払額 26
(495,047) (14,633,589) (381,089) (11,264,991)
財務活動 に使用された 正味現金
(12,534,293) (370,513,701) (11,003,106) (325,251,813)
現金および現金同等物の純増加
41,071,459 1,214,072,328 111,026,390 3,281,940,088
1月1日現在現金および現金同等物
134,605,917 3,978,950,907 23,579,527 697,010,818
12 月 31 日現在現金および現金同等物 37
175,677,376 5,193,023,235 134,605,917 3,978,950,907
注記 1から 48 は、本連結財務書類の不可分の一部である。
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連結株主資本変動表
12 月 31 日終了年度
法定準備金 ティア1 ストック
および キャピタル オプション 転換社債 -
当グループの株主
株式資本 資本剰余金 自己株式 特別準備金 その他 準備金 ノート 制度 資本構成部分 利益剰余金 に帰属する資本 非支配持分 合計
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千デ ィルハム
201 7年1月1日現在残高 4,500,000 - - 11,030,110 725,064 4,000,000 - - 16,969,016 37,224,190 432,782 37,656,972
当期利益 - - - - - - - - 9,132,648 9,132,648 34,607 9,167,255
当期 その他 包括利益 - - - - 237,672 - - - (56,102) 181,570 19,626 201,196
企業結合取引 (注記 43) 6,397,545 52,997,018 (46,832) (5,775,566) - 6,754,750 235,798 108,265 - 60,670,978 - 60,670,978
会計方針の変更(注記 44 ) - - - - - - - - (659,283) (659,283) - (659,283)
当期振替 - - - 1,826,530 - - - - (1,826,530) - - 61
当グループの株主との取引 -
ザカート - - - - - - - - (1,108) (1,108) - (1,108)
ストックオプションの行使(注記
27 ) - 29,626 4,399 - - - - - - 34,025 - 34,025
201 7年の配当金 - - - - - - - - (4,500,000) (4,500,000) - (4,500,000)
従業員に付与されたオプション - - - - - - 20,467 - - 20,467 - 20,467
ティア1キャピタルノート に係る支
- - - - - - - - (381,089) (381,089) - (381,089)
払額 (注記2 6)
201 7年12月31日現在残高
10,897,545 53,026,644 (42,433) 7,081,074 962,736 10,754,750 256,265 108,265 18,677,552 101,722,398 487,015 102,209,413
2018 年1月1日現在残高
10,897,545 53,026,644 (42,433) 7,081,074 962,736 10,754,750 256,265 108,265 18,677,552 101,722,398 487,015 102,209,413
2018 年1月1日現在の IFRS 第 9号の
適用による影響(注記4) - - - - (184,078) - - - (2,682,560) (2,866,638) (158,701) (3,025,339)
2018 年1月1日現在の修正再表示残
高 10,897,545 53,026,644 (42,433) 7,081,074 778,658 10,754,750 256,265 108,265 15,994,992 98,855,760 328,314 99,184,074
当期利益 - - - - - - - - 12,010,820 12,010,820 55,569 12,066,389
当期 その他 包括利益 - - - - (1,287,009) - - - (68,351) (1,355,360) (22,161) (1,377,521)
当グループの株主との取引
ザカート - - - - - - - - 7,597 7,597 - 7,597
ストックオプションの行使 (注記
27 ) - 161,399 16,903 - - - - - - 178,302 - 178,302
当期 配当金( 自己株式控除後 ) - - - - - - - - (7,601,370) (7,601,370) - (7,601,370)
従業員に付与されたオプション - - - - - - 10,576 - - 10,576 - 10,576
ティア1キャピタルノート に係る支
払額 (注記2 6) - - - - - - - - (495,047) (495,047) - (495,047)
当期振替 - - - 2,402,164 108,265 - - (108,265) (2,402,164) - - -
IFRS 第9号による準備金の変動 - - - - 362,609 - - - (362,609) - - -
201 8年12月31日現在残高
10,897,545 53,188,043 (25,530) 9,483,238 (37,477) 10,754,750 266,841 - 17,083,868 101,611,278 361,722 101,973,000
注記1から 48 は、本連結財務諸表の不可分の一部である。
連結財務書類の監査に関する独立監査人の監査報告書は、2から 10 ページ(訳注:原文のページ数である。)に記載されている。
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法定準備金 ティア1 ストック 転換社債 -
および その他 キャピタル オプション 資本構成
当グループの株主に
株式資本 資本剰余金 自己株式 特別準備金 準備金 ノート 制度 部分 利益剰余金 帰属する資本 非支配持分 合計
千 円 千円 千円 千円 千円 千円 千円 千円 千円 千円 千円 千円
201 7年1月1日現在残高 133,020,000 - - 326,050,052 21,432,892 118,240,000 - - 501,604,113 1,100,347,056 12,793,036 1,113,140,092
当期利益 - - - - - - - - 269,961,075 269,961,075 1,022,983 270,984,058
当期 その他 包括利益 - - - - 7,025,584 - - - (1,658,375) 5,367,209 580,145 5,947,354
企業結合取引 (注記 43) 189,111,430 1,566,591,852 (1,384,354) (170,725,731) - 199,670,410 6,970,189 3,200,313 - 1,793,434,110 - 1,793,434,110
会計方針の変更(注記 44 ) - - - - - - - - (19,488,405) (19,488,405) - (19,488,405)
当期振替
- - - 53,992,227 - - - - (53,992,227) - - -
当グループの株主との取引
ザカート - - - - - - - - (32,752) (32,752) - (32,752)
ストックオプションの行使(注記 27 ) - 875,745 130,034 - - - - - - 1,005,779 - 1,005,779
201 7年の配当金 - - - - - - - - (133,020,000) (133,020,000) - (133,020,000)
従業員に付与されたオプション - - - - - - 605,005 - - 605,005 - 605,005
ティア1キャピタルノート に係る支払
- - - - - - - - (11,264,991) (11,264,991) - (11,264,991)
額 (注記2 6)
201 7年12月31日現在残高
322,131,430 1,567,467,597 (1,254,319) 209,316,547 28,458,476 317,910,410 7,575,193 3,200,313 552,108,437 3,006,914,085 14,396,163 3,021,310,248
2018 年1月1日現在残高
322,131,430 1,567,467,597 (1,254,319) 209,316,547 28,458,476 317,910,410 7,575,193 3,200,313 552,108,437 3,006,914,085 14,396,163 3,021,310,248
2018 年1月1日現在の IFRS 第 9号の適
用による影響(注記4) - - - - (5,441,346) - - - (79,296,474) (84,737,819) (4,691,202) (89,429,021)
2018 年1月1日現在の修正再表示残高 322,131,430 1,567,467,597 (1,254,319) 209,316,547 23,017,130 317,910,410 7,575,193 3,200,313 472,811,964 2,922,176,266 9,704,962 2,931,881,227
当期利益 - - - - - - - - 355,039,839 355,039,839 1,642,620 356,682,459
当期 その他 包括利益 - - - - (38,043,986) - - - (2,020,456) (40,064,442) (655,079) (40,719,521)
当グループの株主との取引
ザカート - - - - - - - - 224,567 224,567 - 224,567
ストックオプションの行使 (注記 27 ) - 4,770,954 499,653 - - - - - - 5,270,607 - 5,270,607
当期 配当金( 自己株式控除後 ) - - - - - - - - (224,696,497) (224,696,497) - (224,696,497)
従業員に付与されたオプション - - - - - - 312,627 - - 312,627 - 312,627
ティア1キャピタルノート に係る支払
額 (注記2 6) - - - - - - - - (14,633,589) (14,633,589) - (14,633,589)
当期振替 - - - 71,007,968 3,200,313 - - (3,200,313) (71,007,968) - - -
IFRS 第9号による準備金の変動 - - - - 10,718,722 - - - (10,718,722) - - -
201 8年12月31日現在残高
322,131,430 1,572,238,551 (754,667) 280,324,515 (1,107,820) 317,910,410 7,887,820 - 504,999,138 3,003,629,378 10,692,502 3,014,321,880
注記1から 48 は、本連結財務諸表の不可分の一部である。
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連結財務書類に対する注記
1 法人格および主たる業務
2016 年 12 月7日、ナショナル・バンク・オブ・アブダビ・ピー・ジェー・エス・シー(以下
「 NBAD 」という。)およびファースト・ガルフ・バンク・ピー・ジェー・エス・シー(以下
「 FGB 」という。)の株主は、商事会社に関する 2015 年 UAE 連邦法第2号、 283 (1)項の規定(以
下「規定」という。)に基づいて両行の合併を承認した。本合併は 2017 年3月 30 日の営業終了時に
おいて FGB の株式1株につき NBAD の新株 1.254 株の発行により効力が生じ、その後、 FGB 株式はアブ
ダビ証券取引所から上場廃止となった。 2017 年4月 25 日に NBAD の株主は合併後の商号を「ファース
ト・アブダビ・バンク」(以下「当行」という。)とすること、および登記上の事務所の所在地を
アラブ首長国連邦、アブダビ、アルクルム、カーリファ・ビジネスパーク1、 FAB ビルディング私
書箱 6316 に変更する提案を承認した。
2018 年 12 月 31 日現在および同日終了年度に係る連結財務書類は、当行およびその子会社(以下「当
グループ」と総称する。)より構成される。当グループは、主に、企業、リテール、個人および投
資銀行業務、マネジメント・サービス、イスラム銀行業務ならびに不動産取引に従事し、アラブ首
長国連邦、バーレーン、ブラジル、ケイマン諸島、中国、エジプト、フランス、香港、インド、ヨ
ルダン、サウジアラビア王国、クウェート、レバノン、リビア、マレーシア、オマーン、カター
ル、シンガポール、韓国、スーダン、スイス、英国およびアメリカ合衆国に所在する国内外の支
店、子会社および駐在員事務所を通じて事業を行っている。
当グループのイスラム銀行業務は、シャリア監督委員会( Islamic Sharia ’▶ Supervisory Board )
が公表したイスラム法であるシャリアに従い行われる。
当グループはアブダビ証券取引所に上場している(ティッカー: FAB )。
当グループの 2018 年 12 月 31 日現在および同日終了年度の連結財務書類は、当グループの登記上の事
務所において、申込みにより、または http://www.bankfab.com において入手可能である。
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2 作成の基礎
(a) 法令遵守の表明
本連結財務書類は、国際会計基準審議会(以下「 IASB 」という。)が公表した国際財務報告基準お
よび UAE において適用される法律の要件に従い継続企業の前提で作成されている。
2015 年4月1日、商事会社に関する UAE 連邦法第2号( 2015 年 UAE 会社法)が公表され、 2015 年7月
1日より発効となった。当行は財務諸表の日付において適用される 2015 年 UAE 会社法の条項に準拠
している。
本連結財務書類は、 2019 年1月 31 日に、取締役会により公表が承認された。
(b) 企業結合
企業結合は、取得法を用いて会計処理される。取得原価は、取得日の公正価値で測定される移転対
価および被取得企業における非支配持分の金額の総額で測定される。取得関連費用は、発生時に費
用として計上され、一般管理費およびその他営業費用に含まれる(負債証券または持分証券の発行
に関連するものを除く)。
当グループが事業を取得する場合、金融資産および引受けた負債は、取得日現在における契約条
項、経済状況および関連条件に従って適切に分類および指定するための評価が行われる。これに
は、被取得企業による主契約における組込デリバティブの分離が含まれている。
企業結合が段階的に実現する場合、従来保有していた資本持分は取得日の公正価値で再測定され、
それにより発生した損益は、損益に認識される。その後、のれんの算定が検討される。
条件付対価がある場合は、取得日の公正価値で測定される。条件付対価の支払義務が金融商品の条
件を満たす場合は、資本に分類され、その後再測定をせずに決済が資本の部の中で会計処理され
る。そうでない場合の条件付対価は、報告日毎に公正価値で再測定され、条件付対価の公正価値の
事後変動は損益に認識される。
のれんは、移転対価および認識された非支配持分の金額ならびに従来保有していた持分の総額が識
別可能な取得資産および引受負債の純額を超過した部分である当初取得原価で測定される。取得し
た純資産の公正価値が、移転対価の総額を超える場合、あるいは取得した純資産の公正価値の移転
対価の総額を超える超過分に関しては、利益が損益に認識される。
当初認識後、のれんは減損損失累計額控除後の取得原価で測定される。減損テストの目的上、企業
結合において取得されたのれんは、取得日から企業結合による便益が期待される当グループの各資
金生成単位に配分される(被取得企業のその他資産または負債が当該単位に割り当てられるかどう
かは関係ない)。
のれんが、資金生成単位に配分され、その単位内の一部事業が処分される場合、処分事業に関連す
るのれんは処分に係る損益を決定する際に、その事業の帳簿価額に含まれる。これらの状況で処分
されたのれんは、処分事業および留保された資産生成単位分の相対的な価値に基づき測定される。
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(c) 測定の基礎
本連結財務書類は、取得原価主義に基づき作成されている。ただし、以下の場合を除く。
・ 純損益を通じて公正価値評価される投資は、公正価値で測定される。
・ デリバティブ金融商品は、公正価値で測定される。
・ ( 2018 年1月1日より)その他包括利益を通じた公正価値評価に指定されている資本性金融
商品は、公正価値で測定される。
・ ( 2018 年1月1日より)その他包括利益を通じて公正価値評価されるものとして指定された
負債性金融商品は、公正価値で測定される。
・ ( 2017 年 12 月 31 日まで適用)売却可能として分類される非トレーディング投資は、公正価値
で測定される。
・ 適格なヘッジ関係におけるヘッジ対象項目として指定された認識済資産および負債の額は、
ヘッジ対象リスクに起因する公正価値の変動額により調整される。
・ 貸出金の決済により取得した非金融資産は、当該資産の売却費用控除後の公正価値または貸
出金の帳簿価額のうちいずれか低い方で測定される。
(d) 機能通貨および表示通貨
本連結財務書類は、当グループの機能通貨であるアラブ首長国連邦ディルハム(以下「ディルハ
ム」という。)で表示される。すべての数値は、別途指定のない限り千単位で四捨五入されてい
る。当行の各国外子会社および支店の財務書類に含まれる項目は、当該国外子会社および支店が事
業を行っている主要な経済環境における通貨を用いて測定される。
(e) 見積りおよび判断の使用
連結財務書類の作成にあたり、経営陣は、会計方針の適用ならびに資産および負債、収益および費
用の報告額に影響を与える判断、見積りおよび仮定を行うことを要求されている。実際の結果は、
これらの見積りと異なる場合がある。
見積りおよび基礎となる仮定は、継続的に見直される。会計上の見積りの変更は、将来に向かって
認識される。
見積りが不確実である重要な領域および会計方針の適用にあたり行った重要な判断のうち、本連結
財務書類中の認識額に最も重要な影響を及ぼすものに関する情報は、注記6に記載される。
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3 重要な会計方針
(a) 適用された新規および改訂基準ならびに解釈指針
当グループは IFRS 第 9 号および IFRS 第 15 号を 2018 年 1 月 1 日に適用した。また、当グループは、 2017
年 10 月に公表された「負の補償を伴う期限前償還要素」( IFRS 第 9 号の改訂)を早期適用した。
2018 年 1 月 1 日からその他の多くの新基準も発効したが、これらは当グループの連結財務書類に重要
な影響を及ぼさなかった。
IFRS 第 9 号の適用にあたり当グループが採用した移行方法により、本連結財務書類を通じて、比較
情報は IFRS 第 9 号の要件を反映するために修正再表示されていない。
IFRS 第 15 号の適用は、顧客との契約からの受取手数料の時期および金額ならびに当行の認識済資産
および負債に影響を及ぼさなかった。したがって、比較情報における影響は新規の開示規定に限定
される。
これらの基準の初度適用による影響は主に以下に関連するものである。
・ 金融資産において認識された減損損失の増加(注記 ▶ を参照のこと)
・ IFRS 第 9 号に関する追加開示(注記 5(a) を参照のこと)
・ IFRS 第 15 号に関する追加開示
下記の変更を除いて、当グループは、本連結財務書類で表示されるすべての期間に会計方針を一貫
して適用した。
(i) IFRS 第 9 号 - 金融商品
IFRS 第 9 号は、金融資産、金融負債および非金融項目の売買契約の一部に関する認識及び測
定要件を定めている。本基準は IAS 第 39 号「認識および測定」を置き換えている。 IFRS 第 9
号の要件は IAS 第 39 号からの大きな変更を示している。新基準は金融資産に関する会計処理
および金融負債に関する会計処理の一部に抜本的な変更を導入している。
IFRS 第 9 号はヘッジ対象の範囲およびヘッジ会計に適格なリスクを拡大するヘッジ会計モデ
ルを導入しており、またヘッジ会計をより密接にリスク管理と関連付けている。この新規
モデルは、有効性テストにおける定量的な測定の明示をとりやめており、またヘッジの再
指定を認めていない。その結果、 IAS 第 39 号における 80-125 %という範囲は、ヘッジ対象と
ヘッジ手段の経済関係および経済関係における信用リスクの影響に焦点を当てた、目的に
基づくテストに置き換えられている。
IFRS 第 9 号はまた、ヘッジ関係の再調整を導入している。ここでは、ヘッジ関係が IFRS 第 9
号のヘッジ比率に関するヘッジの有効性要件を満たさなくなったが、そのヘッジ関係に指
定されたリスク管理目的が保たれている場合、当グループは、要件を再度満たすために
ヘッジ関係のヘッジ比率を調整しなければならない。
さらに、当グループは併せて改訂された IFRS 第 7 号「金融商品:開示」を適用した。これは
2018 年の開示に適用されるが、比較情報には適用されていない。
IFRS 第 9 号の適用による、当グループの会計方針への主な変更の要約は以下のとおりであ
る。本基準の適用による影響の全容は注記 ▶ において説明している。
金融資産および金融負債の分類
IFRS 第 9 号の金融資産には、償却原価で測定される金融資産、その他包括利益を通じて公正
価値で評価される金融資産、および損益を通じて公正価値で評価される資産という3つの
主要な分類区分が含まれている。 IFRS 第 9 号の分類は一般的に金融資産が管理されている事
業モデルおよび契約上のキャッシュフローに基づいている。本基準では従前の IAS 第 39 号の
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区分である満期保有目的、貸出金および未収金ならびに売却可能を削除している。 IFRS 第 9
号において、主契約が基準の適用範囲内である金融資産である場合、契約に組み込まれた
デ リバティブは区分されない。その代わりに、ハイブリッド商品全体が分類のために評価
される。当グループによる IFRS 第 9 号に基づいた金融資産の分類は注記 3 ( ▲ ) (ii) を参照の
こと。
IFRS 第 9 号は、金融負債の分類について IAS 第 39 号の既存の要件を大部分維持している。た
だし、 IAS 第 39 号において公正価値オプションに指定された負債の公正価値の変動はすべて
損益に認識されるが、 IFRS 第 9 号において公正価値の変動は一般的に以下のように表示され
る。
・ 負債の信用リスク変動に起因する公正価値の変動額は OCI に表示される。
・ 当該公正価値変動の残額は損益に表示される。
当グループによる IFRS 第 9 号に基づいた金融負債の分類は注記 3 ( ▲ ) ( ⅱ ) を参照のこと。
金融資産の減損
IFRS 第 9 号は、 IAS 第 39 号における「発生損失」モデルを「予想信用損失(以下「 ECL 」とい
う。)モデル」に置き換えている。新しい減損損失モデルは、ローン・コミットメントお
よび金融保証契約にも適用されるが、持分投資には適用されない。
IFRS 第 9 号において、信用損失は IAS 第 39 号より早期に認識される。当グループによる IFRS
第 9 号の要件の適用については注記 3 ( ▲ ) ( ⅶ ) を参照のこと。
移行
IFRS 第 9 号の適用による会計方針の変更は、以下で説明されているものを除いて遡及的に適
用されている。
・ 全般的に比較期間は修正再表示されていない。 IFRS 第 9 号の適用による金融資産および
金融負債の帳簿価額の差異は、 2018 年 1 月 1 日現在の利益剰余金および準備金に認識され
ている。したがって、 2017 年について表示されている情報は、 IFRS 第 9 号の要件を反映
していない。また、このため IFRS 第 9 号による 2018 年について表示されている情報と比
較できない。
・ 以下の評価は、初度適用時に存在する事実および情報に基づいて作成されている。
o 金融資産が保有されている事業モデルの決定
o 一部の金融資産および金融負債について FVTPL 評価の指定および以前の指定の解除
o トレーディング以外の目的で保有される一部の資本性金融商品への投資の FVOCI に
よる評価への指定
o FVTPL 評価に指定された金融負債について、金融負債の信用リスク変動による影響
を OCI に表示するか否かの決定は、損益において会計上のミスマッチが発生また
は拡大する。
・ IFRS 第 9 号の初度適用時において負債証券の信用リスクが低い場合、当グループは当該
資産における信用リスクが当初認識以後増大していないと想定する。
IFRS 第 9 号の適用による変更の詳細については注記 ▶ を参照のこと。
( ⅱ ) IFRS 第 15 号‐顧客との契約から生じる収益
IFRS 第 15 号は収益認識の方法、金額および時期を決定するための包括的な枠組を定めてい
る。これは IAS 第 18 号「収益」、 IAS 第 11 号「建設契約」および関連する解釈を置き換えて
いる。
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当グループは、実務的な間便法なしで IAS 第 8 号に準拠して IFRS 第 15 号を 2018 年 1 月 1 日に遡
及的に適用した。当グループの顧客との契約による受取手数料の時期および金額は、 IFRS
第 15 号の適用による影響を受けなかった。 IFRS 第 15 号の影響は、新規の開示規定に限定さ
れた。
(b) 連結の基礎
( ⅰ ) 子会社
IFRS 第 10 号は、特別目的事業体または組成された企業を含むすべての事業体に適用する単
一の支配モデルを策定することによって、連結の基準を規定している。支配の定義は、投
資者が、その投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャーまたは
権利を有し、かつ投資先に対するパワーにより当該変動リターンに影響を及ぼす能力を有
している場合、投資先を支配しているというものである。 IFRS 第 10 号における支配の定義
を満たすには、以下の3つの基準のすべてを満たさなければならない。
(a) 投資者は、投資先に対するパワーを有していること
(b) 投資者は、投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャーまたは
権利を有していること
(c) 投資者は、投資先に対するパワーを通じて投資者のリターンに影響を及ぼす能力を有し
ていること
子会社とは当グループが支配する企業である。上記に記載されている支配の要件を満たし
ている場合、当グループはその投資先を支配している。当グループは、支配の要件のうち
の1つまたは複数に変更がある場合には、支配権を有しているか否かを見直している。支
配権を有するか否かを見直す状況として、防御的な権利が実質的なものとなることで当グ
ループが投資先に対するパワーを得るような状況等が含まれる。子会社の財務書類は、当
該支配が開始した日から当該支配が終了する日まで、連結財務書類に含まれる。
連結財務書類は、当グループおよび以下の子会社の財務書類からなる。
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2018 年に
おける
保有割合
正式名称 設立国 主たる活動 (%)
ファースト・アブダビ・バンク・ユーエスエー・エ キュラソー 銀行業 100 %
ヌ・ブイ
FAB セキュリティーズ・エルエルシー アラブ首長国連邦 仲介業 100 %
アブダビ・ナショナル・リーシング・エルエルシー アラブ首長国連邦 リース 100 %
アブダビ・ナショナル・プロパティーズ・ピーブイ アラブ首長国連邦 プロパティ・ 100 %
ティー・ジェー・エスシー
マネジメント
FAB プライベート・バンク(スイス)エスエー スイス 銀行業 100 %
ファースト・アブダビ・イスラミック・ファイナン アラブ首長国連邦 イスラム金融業 100 %
ス・ピージェーエス・シー
アブダビ・セキュリティーズ・ブローカレッジ・ エジプト 仲介業 96 %
エジプト
ナショナル・バンク・オブ・アブダビ・マレーシ マレーシア 銀行業 100 %
ア・
ブルハド
NBAD エンプロイー・シェア・オプション・ アラブ首長国連邦 株式・有価証券 100 %
リミテッド
エスエーエス・ 10 ・マゼラン フランス リース 100 %
ナショナル・バンク・オブ・アブダビ・ ブラジル 駐在員事務所 100 %
レプレゼンタソンイス・エルティーディーエー
NBAD フィナンシャル・マーケッツ(ケイマン) ケイマン諸島 金融機関 100 %
リミテッド
ナワット・マネジメント・サービシーズ・ワンマ アラブ首長国連邦 債権回収業 100 %
ン・
カンパニー・エルエルシー
ミスマック・プロパティーズ・コ・エルエルシー アラブ首長国連邦 不動産投資 100 %
(ミスマック)
ムーラ・プロパティーズ・コ・エルエルシー アラブ首長国連邦 不動産投資 67 %
(ミスマック子会社)
ファースト・マーチャント・インターナショナル・ アラブ首長国連邦 不動産投資 100 %
エルエルシー( EMI )
FAB エンプロイメント・サービシズ・エルエルシー アラブ首長国連邦 人材サービス 100 %
( EMI 子会社)
FAB リソーシング・サービシズ・エルエルシー アラブ首長国連邦 人材サービス 100 %
( EMI 子会社)
FGB スクーク・カンパニー・リミテッド ケイマン諸島 特別目的ビークル 100 %
FGB スクーク・カンパニー II ・リミテッド ケイマン諸島 特別目的ビークル 100 %
1
リビア 銀行業 50 %
ファースト・ガルフ・リビアン・バンク
FGB グローバル・マーケッツ・ケイマン・リミテッド ケイマン諸島 金融機関 100 %
FAB プロパティーズ・エルエルシー アラブ首長国連邦 不動産管理および仲介 100 %
業
アシール・ファイナンス・ピージェイエスシー アラブ首長国連邦 イスラム金融業 100 %
ドバイ・ファースト・ピージェイエスシー アラブ首長国連邦 クレジットカード金融 100 %
ファースト・ガルフ・インフォメーション・ アラブ首長国連邦 IT サービス 100 %
テクノロジー・エルエルシー
FAB インベストメント・ケーエスエー サウジアラビア王国 金融機関 100 %
(シングル・シェアホルダー・エルエルシー)
1
当行は、ファースト・ガルフ・リビアン・バンクの発行済株式を 50 %保有しているが、当行が取締役会の過半
数の議決権を保有して投資先を支配しているため、当該投資は子会社として分類されている。
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( ⅱ ) 組成された企業
組成された企業は、当グループにより特定のタスクを実行するために設立されている。組
成された企業は、その活動が議決権で左右されないように設計されている。当グループが
本人として行動しているか、または当グループが持分を有する投資先に対してパワーを有
しているかの評価において、当グループは投資先の目的および設計、投資先の関連活動を
指示する実際の能力、投資先との関係の性質、および投資先の変動リターンに対するエク
スポージャーの規模といった要素を考慮する。
当グループは多くの投資ファンドのファンドマネージャーとして活動している。当グルー
プがそういった投資ファンドを支配しているか否かの決定には、通常当該ファンドにおけ
る当グループの経済的持分全体の評価に着目する。当グループは、支配に関する評価を行
う際に、すべての事実および状況を吟味して、ファンドマネージャーである当グループが
代理人として行動しているか本人として行動しているかを判断している。本人であるとみ
なされる場合、当グループは当該ファンドを支配しており、当該ファンドを連結する。代
理人であるとみなされる場合、当グループは当該ファンドを投資として会計処理する。
当グループが代理人として行動している投資ファンドにおける持分は以下のとおりであ
り、これらのファンドは投資の一部分として含まれている。
組成された事業体の種類 内容および目的 当グループが保有する持分
資産を管理する投資ファンド 第三者の投資家を代理する資産 ファンドが発行したユニットへの
管理からの手数料の稼得 投資額 2,050 千ディルハム( 2017
年度: 20,069 千ディルハム)
( ⅲ ) 共同支配の取決めおよび関連会社への投資
関連会社とは、当グループが重要な影響力を有している投資先をいう。重要な影響力と
は、投資先の財務および営業の方針決定に参加するパワーであるが、当該方針に対する支
配または共同支配ではないものをいう。関連会社に対する投資は、持分法に基づき会計処
理される。
共同支配の取決めとは、当グループとその他の当事者との間の取決めのうち、当グループ
ならびに1つまたは複数の当事者が契約上の取決めに基づき共同支配を有するものをい
う。共同支配の取決めは、共同支配事業であることもあれば、共同支配企業であることも
ある。共同支配事業とは、取決めの下で共同支配を有する当事者に、当該取決めに係る資
産の保有割合に応じた権利および負債の義務があり、それらを認識する共同支配の取決め
をいう。共同支配企業とは、取決めの下で共同支配を有する当事者が当該取決めの純資産
に対する権利を有している場合の共同支配の取決めであり、持分法に基づく会計処理が行
われているものをいう。
持分法において、関連会社への投資は、取引費用を含む取得原価で当初認識される。当初
認識後、重要な影響または共同支配が終了する日まで投資先の損益および OCI における当グ
ループの持分が連結財務書類に含められる。関連会社に関するのれんは、投資の帳簿価額
に含まれ、償却も個別の減損テストも行われない。連結損益計算書は、関連会社の経営成
績の当グループの持分を反映する。これらの投資先におけるその他包括利益の変動は、当
グループのその他包括利益の一部として表示される。さらに、関連会社の資本に直接認識
された変動がある場合、その変動の当グループ持分を、適用される場合には連結株主資本
変動表に認識する。
関連会社における損益の当グループ持分の総額は、連結損益計算書上に表示されている。
関連会社の財務書類は、当グループと同じ報告期間で作成されている。必要に応じて、当
グループの会計方針に従った調整が行われる。
持分法適用後、当グループは、関連会社への投資に減損損失を認識する必要があるかどう
かを判断する。各報告日に、当グループは関連会社への投資が減損しているという客観的
証拠があるかどうかを判断する。そのような証拠がある場合、当グループは関連会社の回
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収可能価額と帳簿価額との差異として減損金額を計算し、連結損益計算書に損失を認識す
る。
( ⅳ ) 支配の喪失
当グループが子会社に対する支配を喪失する際には、その子会社の資産および負債、その
子会社に関する非支配持分およびその他の資本項目の認識の中止が行われる。支配の喪失
に伴い発生する利益または損失は、連結損益計算書に計上される。当グループが旧子会社
に対する留保持分を保有する場合には、その持分を支配喪失時の公正価値で測定する。
( ⅴ ) 連結時に相殺消去される取引
各子会社に対する当グループの投資の帳簿価額および各子会社の資本は連結時に相殺消去
される。重要なグループ間残高、ならびにグループ間取引から生じる未実現利益および費
用(外貨建て取引の損益を除く)はすべて、連結時に相殺消去される。未実現損失は、減
損が生じている証拠が存在しない範囲においてのみ、未実現利益と同様に相殺消去され
る。
(c) 金融資産および金融負債
( ⅰ ) 認識および当初測定
当グループは、貸出金、預金、発行済負債証券および劣後債務について、それらを組成し
た日に当初認識した。その他の金融商品(通常の方法による金融資産の購入および売却を
含む)はすべて、当グループがその商品の契約条項の当事者となった日である約定日に認
識される。
通常の方法による金融資産の購入および売却はすべて、決済日、すなわち取引相手方に当
該資産を引き渡すか、または取引相手方から当該資産を受領する日に認識される。通常の
方法による金融資産の購入または売却とは、市場における規制または慣習で一般に設定さ
れている期限までに、資産の引渡しが要求されるものである。
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( ⅱ ) 分類
金融資産- 2018 年1月1日から適用の方針
当初認識時において、金融資産は、償却原価、 FVOCI または FVTPL に分類される。金融資産
は以下の両方の条件を満たし、 FVTPL に指定されない場合は償却原価で測定される。
・ 当該資産は、契約上のキャッシュフローを回収するために資産を保有することが目的
である事業モデル内で保有されている。
・ 金融資産の契約条件により、元本および元本に対する利息の支払のみ( SPPI )からの
キャッシュフローが特定の日に生じる。
負債性金融商品は、以下の両方の条件を満たし、 FVTPL に指定されない場合のみ FVOCI でで
測定される。
・ 当該資産は、契約上のキャッシュフローの回収と金融資産の売却を目的とする事業モ
デル内で保有されている
・ 金融資産の契約条件により、 SPPI からのキャッシュフローが特定の日に生じる
トレーディング目的で保有されていない持分投資の当初認識時において、当グループは、
その後の公正価値変動を OCI に表示する取消不能の選択ができる。この選択は投資ごとに行
われる。
その他のすべての金融資産は、 FVTPL で測定されるものとして分類される。
さらに、当初認識時に、当グループは、償却原価または FVOCI の測定要件を満たす金融資産
を、そうしなければ発生するであろう会計上の不一致を解消または大幅に減少させる場合
に FVTPL として取消不能の指定をすることができる。
事業モデルの評価
当グループは、ポートフォリオ・レベルで、保有されている資産の事業モデルの目的を評
価している。これは、事業の管理方法および経営者への情報提供方法を最もよく反映して
いるためである。検討する情報には以下が含まれる。
・ ポートフォリオに関する方針と目的の記載、およびそれらの方針の実際の運用。特
に、経営陣の戦略が、契約上の利息の稼得、特定の金利プロファイルの維持、金融資産
のデュレーションとそれら資産への資金提供を行っている負債のデュレーションとの一
致、または資産の売却によるキャッシュフローの実現に重点をおいているかどうか
・ ポートフォリオのパフォーマンスがどのように評価され、当グループの経営陣に報告
されるか
・ 事業モデル(およびその事業モデル内で保有されている金融資産)のパフォーマンス
に影響を及ぼすリスク、およびそれらのリスクを管理するための戦略
・ 事業の管理者に対する報酬の方法(例えば、報酬が管理資産の公正価値に基づいてい
るのか、または回収された契約上のキャッシュフローに基づいているのか)
・ 過去の期間における売却の頻度、量および時期、当該売却の理由、および将来の売却
活動に関する予想。ただし、売却活動に関する情報は単独では考慮されないが、金融資
産の管理について当グループが掲げた目的がどのように達成され、キャッシュフローが
どの程度実現されたかに関する全体的な評価の一環として行われる。
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売買目的で保有または公正価値評価ベースで評価、管理される金融資産は、契約上の
キャッシュフローの回収目的でも、契約上のキャッシュフローの回収と金融資産の売却目
的 でも保有されていないため、 FVTPL で測定される。
契約上のキャッシュフローが元本と元本の利息のみ( SPPI )であるかどうかの評価
この評価の目的上、「元本」は、当初認識時の金融資産の公正価値として定義される。
「利子」とは、貨幣の時間的価値および特定の期間中の未払元本残高に関連する信用リス
ク、ならびにその他の基本的な融資リスクおよびコスト(流動性リスクおよび管理コスト
など)の対価、さらには利益マージンと定義される。
契約上のキャッシュフローが SPPI であるかどうかを評価する際に、当グループはその商品
の契約条件を考慮している。これには、要件を満たさなくなるような契約上のキャッシュ
フローの時期または金額を変更するような契約条件が金融資産に含まれているか否かの評
価が含まれる。この評価を行うにあたり、当グループは以下を考慮する。
・ キャッシュフローの金額および時期を変更させるような偶発的事象
・ レバレッジの要素
・ 期限前償還および延長条項
・ 所定の資産からのキャッシュフローに対する当グループの請求を制限する条項(例:
ノンリコースローン)
・ 金銭の時間的価値の対価を変更するような要素(例:定期的な金利の再設定)
当グループは、グループが定期的な金利更改日に金利改定の提案オプションを有する長期
固定ローンのポートフォリオを保有している。これらの再設定権は改定時の市場金利に限
定されている。借手は、改定された金利を受け入れるか、ペナルティを支払うことなく額
面でローンを償還することができる。オプションは元本残高に関連する貨幣の時間的価
値、信用リスク、その他の基本的な貸付リスク、およびコストを考慮して金利を変動させ
るため、当グループはこれらローンの契約上のキャッシュフローは SPPI であると判断し
た。
金融資産 - 2017 年 12 月 31 日まで適用の方針
当グループは、金融資産を以下の区分のいずれかに分類する:
(a) 純損益を通じた公正価値評価
( ⅰ ) 純損益を通じて公正価値評価するものと指定
当グループは、以下のいずれかに該当する場合、金融資産および負債を純損益を通
じて公正価値評価されるものと指定している。
・ 資産または負債が公正価値基準により内部で管理、評価および報告されている
場合
・ 指定を適用しなければ発生するであろう会計上のミスマッチが、指定により解
消または大幅に軽減する場合
( ⅱ ) 売買目的保有
トレーディング資産とは、当グループが近い将来に売却する目的で取得するか、ま
たは短期間で利鞘を得ることを目的として一括運用されるポートフォリオの一部と
して保有する資産である。
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純損益を通じて公正価値評価される資産は、当初認識後は再分類されない。
(b) 貸出金および受取債権
貸出金および受取債権には、現金および中央銀行預け金、銀行および金融機関預け金、
ファイナンス・リース債権、売戻契約および貸出金が含まれる。これらは、固定または決
定可能な支払がある非デリバティブ金融資産であり、活発な市場における相場価格がな
く、当グループが直ちにまたは近い将来に売却する意図のないものである。
(c) 満期保有
満期保有投資とは、当グループが満期まで保有する積極的な意図および能力を有し、固定
または決定可能な支払および固定満期がある非デリバティブ資産である。
(d) 売却可能
当グループは、売却可能と指定される非デリバティブ金融資産を有している。非デリバ
ティブ金融資産は、貸出金および受取債権、満期保有投資または純損益を通じて公正価値
評価される金融資産に分類されない場合に売却可能と指定される。売却可能として指定さ
れている資産は、無期限の保有が意図されているが、流動性規制に対処するため、または
金融資産の市場金利または価格の変動に対応するために、将来売却することもできる。
(e) 金融負債
当グループは、金融保証およびローン・コミットメントを除く金融負債を償却原価または
純損益を通じた公正価値で測定するものに分類している。
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( ⅲ ) 認識の中止
金融資産
当グループは、金融資産からのキャッシュフローに対する契約上の権利が消滅した場合
(3( iv )も参照のこと)、または金融資産の所有に伴うリスクと経済価値のほとんどす
べてを移転する取引において、契約上のキャッシュフローを受け取る権利を移転する場
合、もしくは当グループが所有に伴うリスクおよび経済価値のほとんどすべてを移転また
は留保せず金融資産の支配を保持しない場合、金融資産の認識を中止する。
金融資産の認識中止時に、資産の帳簿価額(または認識を中止した資産の一部に割当てら
れた帳簿価額)と (i) 受け取った対価(新規で取得した資産から新規で引き受けた負債を控
除したものを含む)および(ⅱ) OCI で認識されていた累積損益の合計の差額は純損益で認
識される。
2018 年 1 月 1 日から、 FVOCI に指定された持分投資有価証券に関して OCI に認識された累積損
益は、当該証券の認識中止時に純損益に認識されない。当グループにより組成または保持
される、認識の中止に適格な譲渡金融資産における当グループの持分は、別個の資産また
は負債として認識される。
当グループは、連結財政状態計算書に認識された資産を譲渡するが、譲渡対象資産または
その一部のリスクおよび経済価値のすべて、またはほとんどすべてを保持する取引を行っ
ている。そのような場合、譲渡資産の認識は中止されない。そのような譲渡の例として、
証券貸付および売却/買戻し取引がある。
資産が第三者に売却され、同時に譲渡資産についてトータル・リターン・スワップが計上
される場合、その取引は売却及び買戻し取引に類似した有担保金融取引として会計処理さ
れる。これは、当グループが当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべ
てを保持しているためである。
当行グループが金融資産の所有に係るリスクおよび経済価値をほとんどすべて保持または
移転しておらず、資産に対する支配を維持している取引では、当行グループは、譲渡資産
が価値変動にさらされる範囲により決定した、継続的関与の範囲内で引き続き資産を認識
する。
特定の取引において、当グループは手数料を対価として譲渡金融資産に対するサービス提
供の義務を負っている。認識の中止要件を満たす場合、譲渡資産の認識は中止される。
サービス手数料がサービスを実行するための十分な額を超える(資産)、または十分な額
を下回る(負債)場合、サービス契約に関する資産または負債が認識される。
金融負債
当グループは、金融負債の契約上の義務が免責もしくは取消または失効した場合、金融負
債の認識を中止する。
( ⅳ ) 金融資産および金融負債の変更
2018 年 1 月 1 日から適用の方針
金融資産
金融資産の条件が変更された場合、当グループは条件変更された資産のキャッシュフロー
が大幅に異なるかどうかを評価する。キャッシュフローが大幅に異なる場合、当初の金融
資産からのキャッシュフローに対する契約上の権利は失効したとみなされる。この場合、
当初の金融資産の認識は中止され、新しい金融資産は公正価値に適格な取引費用を加えた
金額で認識される。当該条件変更の一環として受け取った手数料は、以下のように会計処
理される。
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・ 新規資産の公正価値を決定する際に考慮される手数料および適格な取引費用の払い戻
しを表す手数料は、資産の当初の測定に含まれる。
・ その他の手数料は認識の中止における損益の一部として損益に含まれる。
借手の財政困難によりキャッシュフローが修正される場合、通常、修正の目的は大幅に異
なる条件で新規資産を組成するのではなく、当初の契約条件による回収を最大化すること
である。当グループがキャッシュフローを免除するような方法で金融資産を修正すること
を計画している場合、まず修正が行われる前に資産の一部を償却すべきかどうかを検討す
る。このアプローチは定量的評価の結果に影響を及ぼし、そのような場合は認識の中止要
件が通常満たされないことを意味する。
償却原価または FVOCI で測定された金融資産の修正によって金融資産の認識が中止されない
場合、当グループはまず資産の当初の実効金利を使用して金融資産の総額での帳簿価額を
再計算し、その結果による調整を条件変更による損益として損益に認識する。変動金利の
金融資産について、条件変更により損益計算に使用される当初の実効金利は、条件変更時
の市場条件を反映するように調整される。条件変更の一環として発生した費用または手数
料および受取手数料は、条件変更金融資産の総額での帳簿価額を調整し、条件変更資産の
残りの期間にわたって償却される。
借手の財政困難のためにそのような条件変更が行われた場合、その損益は減損損失ととも
に表示される。他の場合は、実効金利法を用いて計算された受取利息として表示される。
金融負債
当グループは、負債の条件が変更され、変更後にそのキャッシュフローが大幅に異なる場
合、金融負債の認識を中止する。この場合、変更後の条件に基づく新しい金融負債が公正
価値で認識される。認識を中止した金融負債の帳簿価額と支払対価の差額は、損益に認識
される。支払対価には、譲渡された非金融資産(ある場合)、および新たな修正金融負債
を含む負債の引き受けが含まれる。
金融負債の変更が認識中止として会計処理されない場合は、変更されたキャッシュフロー
を当初の実効金利で割り引くことにより、負債の償却原価が再計算され、その結果生じる
損益が損益に認識される。変動金利の金融負債については、条件変更による損益の計算に
使用された当初の実効金利が、変更時の現在の市場条件を反映するように調整される。発
生した費用および手数料は、負債の帳簿価額に対する調整として認識され、その商品の実
効金利を再計算することにより、条件変更された金融負債の残存期間にわたって償却され
る。
2017 年 12 月 31 日まで適用の方針
金融資産
金融資産の条件が変更された場合、当グループは変更された資産のキャッシュフローが大
幅に異なるかどうかを評価した。キャッシュフローが大幅に異なる場合、当初の金融資産
からのキャッシュフローに対する契約上の権利は失効したとみなされる。この場合、当初
の金融資産の認識が中止され(3(ⅲ)を参照)、新しい金融資産が公正価値で認識され
る。
借手の財政困難のために金融資産の条件が修正され、その資産の認識が中止されなかった
場合、その資産の減損は条件変更前の金利を用いて測定される(3(ⅶ)を参照)。
金融負債
当グループは、金融負債の条件が変更され、変更後のキャッシュフローが大幅に異なる場
合は、その認識を中止する。この場合、変更後の条件に基づく新しい金融負債は公正価値
で認識される。消滅した金融負債の帳簿価額と支払対価の差額は、純損益に認識される。
支払対価には、譲渡された非金融資産(ある場合)、および条件変更後の新しい金融負債
を含む負債の引き受けが含まれる。
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金融負債の変更が認識の中止として会計処理されなかった場合、発生した費用および手数
料は、負債の帳簿価額に対する調整として認識され、その商品の実効金利を再計算するこ
と により、条件変更された金融負債の残存期間にわたって償却される。
( ⅴ ) 相殺
金融資産および負債は相殺され、連結財政状態計算書に純額で表示されるが、これは当グ
ループがその金額を相殺する法的権利を有し、かつ純額ベースで決済するか、資産の実現
と同時に負債を決済する意図がある場合に限られる。
収益および費用は、 IFRS で認められた場合、または当グループのトレーディング活動のよ
うな類似した取引グループから生じる損益に限り純額で表示される。
( ⅵ ) 公正価値の測定
公正価値は、測定日時点で、主要な市場における市場参加者間の秩序ある取引において、
資産を売却することで受け取るであろう価格または負債を移転するために支払うであろう
価格である。主要な市場が存在しない場合には当グループが同日にアクセス可能で最も有
利な市場における価格である。負債の公正価値は不履行リスクを反映している。入手可能
な場合、当グループは金融商品の公正価値をその商品について活発な市場における相場価
格を用いて測定する。その資産または負債の価格情報を提供するための十分な頻度および
取引量で取引が継続的に行われる市場は活発であるとみなされる。
活発な市場における相場価格がない場合、当グループは関連する観察可能なインプットを
最大限使用し、観察不能なインプットの利用を最小限に抑えた評価技法を用いる。選択さ
れた評価技法は市場参加者が取引の価格づけをする際に考慮する要素をすべて組み入れて
いる。当初認識における金融商品の公正価値の最善の証拠は通常、取引価格である。すな
わち、支払ったまたは受領した対価の公正価値である。当グループが当初認識時に決定し
た公正価値が取引価格と異なり、公正価値が活発な市場における同一の資産または負債の
相場価格、または観察可能な市場からのデータのみを使用した評価技法に基づいていると
いう証拠がない場合には、金融商品は公正価値で当初測定され、当初認識時の公正価値と
取引価格との差異を繰り延べることで調整される。その後、差異は適切な基準で金融商品
の期間にわたり(ただし、観察可能な市場データで評価が全面的に裏付けられるようにな
るまで、または取引が終了するまで)連結損益計算書に認識される。
資産または負債が買呼値および売呼値で公正価値測定される場合、当グループは資産およ
びロング・ポジションを買呼値で測定し、負債およびショート・ポジションを売呼値で測
定する。
市場リスクまたは信用リスクの正味エクスポージャーを基に当グループが管理しているも
のは、市場リスクおよび信用リスクにさらされる金融資産および金融負債のポートフォリ
オで、特定のリスクエクスポージャーの正味ロング・ポジションの売却で受領するであろ
う価格または正味ショート・ポジションの移転で支払うであろう価格を基に測定される。
これらのポートフォリオ・レベルの調整は、ポートフォリオ内の各商品に相応するリスク
調整に基づいて個別の資産および負債に配分される。
ミューチュアル・ファンド、プライベート・エクイティ・ファンドまたは類似の投資ビー
クルへの投資の公正価値は、ファンドマネージャーにより公表された最新の純資産価値に
基づいている。その他の投資について、公正価値の合理的見積りは、類似した投資に関す
る直近の市場取引の価格を参照し、割引後の期待キャッシュフローに基づいて決定され
る。
要求払預金の公正価値は、支払いが要求される最初の日から割り引かれた支払要求額より
少なくならない。
当グループは公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替を、変更が発生した報告期間の末日
で認識する。
( ⅶ ) 減損
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2018 年1月1日から適用の方針
当行は、 FVTPL で測定されていない以下の金融商品の予想信用損失( ECL )に対する損失引
当金を認識する。
・ 中央銀行預け金
・ 銀行および測定金融機関預け金
・ 売戻契約
・ 負債性金融商品である金融資産
・ 貸出金
・ 発行済のローン・コミットメント
・ 発行済の金融保証契約
持分投資について減損損失は認識されていない。
当グループは、以下の 12 か月 ECL で測定される以下の項目を除き、全期間の ECL と同額で損
失引当金を測定している。
・ 報告日現在において信用リスクが低いと判断された負債性投資有価証券
・ 信用リスクが当初認識以降著しく増大していないその他の金融商品(注記 5 ( ▶ )参
照)。
ECL の測定
信用損失引当金は、当初認識以降の信用悪化の程度に基づいて 3 つのステージによるアプ
ローチを使用して測定される。
・ ステージ 1 - 金融商品の当初認識以降、信用リスクが著しく増大(以下「 SICR 」とい
う。)していない場合は、 12 か月の予想信用損失に相当する金額が計上される。予想信
用損失は、今後 12 か月間に発生するデフォルト確率を使用して計算される。満期までの
残存期間が 12 か月未満の金融商品について、満期までの残存期間に対応するデフォルト
確率が用いられる。
・ ステージ2-当初認識以降、金融資産に SICR が生じているが減損していないとみなさ
れる場合は、ステージ2に含まれる。ここでは、金融商品の予想残存期間にわたるデ
フォルト確率に基づいた予想信用損失の計算が要求される。
・ ステージ3-減損しているとみなされる金融商品は、このステージに含まれる。ス
テージ2同様、信用損失に対する引当金は、全期間の予想信用損失を把握する。
ECL の測定への主なインプットは以下のとおり。
・ デフォルト確率(以下「 PD 」という。)
・ デフォルト時損失率(以下「 LGD 」という。)
・ デフォルト時エクスポージャー(以下「 EAD 」という。)
これらのパラメータは一般に統計モデルや他の実績データから導き出される。これらは将
来の予測情報を反映するために調整される。さらに、当グループはモデルに取り入れてい
ない要因について ECL を調整するための入念なレビュープロセスを有している。
これらの統計パラメータ/インプットの詳細は、以下のとおり。
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・ PD -デフォルト確率は、所定の期間にわたるデフォルトの可能性の見積りである。
・ EAD - デフォルト時のエクスポージャーは、報告日後に予想されるエクスポージャー
の変動を考慮した、将来のデフォルト日におけるエクスポージャーの見積りである。
・ LGD -デフォルト時損失率は、所定の日にデフォルトが発生した場合に生じる損失の見
積りである。これは、支払われるべき契約上のキャッシュフローと、担保の実現による
ものも含めて貸し手が受け取りを予想するものとの差に基づいている。これは通常 EAD
のパーセンテージで示される。
ECL は確率加重された信用損失の見積りである。これらは、以下のように測定される。
・ 報告日現在において信用減損していない金融資産:すべての現金不足額の現在価値
(すなわち、契約により事業体が負うキャッシュフローと当グループが受け取りを予想
するキャッシュフローとの差額)。
・ 報告日現在で信用減損している金融資産:総額での帳簿価額と見積将来キャッシュフ
ローの現在価値との差額。
・ 未実行のローン・コミットメント:契約が実行された場合に当グループが負う契約上
のキャッシュフローと、当グループが受け取りを予想するキャッシュフローとの差額の
現在価値。
・ 金融保証契約:保有者への払い戻しが予想される金額から、当グループが回収を予想
する金額を差し引いたもの。
条件緩和金融資産
金融資産の条件が借手の財政困難のために再交渉または変更されるか、または既存の金融
資産が新しいものと交換される場合、金融資産の認識が中止されるべきかどうかの評価が
行われ、 ECL は以下のように測定される。
・ 予想される条件緩和によって既存資産の認識が中止されない場合、修正後の金融資産か
ら生じる予想キャッシュフローは、既存資産の現金不足の計算する際に含められる。予
想される条件緩和により既存資産の認識が中止される場合、新しい資産の予想公正価値
は、認識中止時における既存金融資産からの最終的なキャッシュフローとされる。
・ この金額は、既存の金融資産の当初の実効金利を使用して、認識の中止予定日から報告
日までの期間を割引くことで既存の金融資産からの現金不足を計算する際に含められ
る。
信用減損金融資産
各報告日において、当グループは、償却原価で計上されている金融資産および FVOCI で計上
されている負債性金融資産、ならびにファイナンス・リース債権に信用減損がある(以下
「ステージ3金融資産」と呼ぶ)かどうかを評価している。金融資産の将来の見積キャッ
シュフローに悪影響を及ぼす 1 つ以上の事象が発生した場合、その金融資産は「信用減損」
している。金融資産の信用減損に関する証拠には、以下の観察可能なデータが含まれる。
・ 借手または発行者の重大な財政困難
・ デフォルトや期日経過などの契約違反
・ 当グループが他では検討しないような条件による貸付金の条件緩和
・ 借手が破産またはその他の金融再編に入る可能性の高まったこと
・ 財政的な困難による、有価証券の活発な市場の消失
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財政状態計算書における ECL 引当金の表示
ECL の損失引当金は、以下のように財政状態計算書に表示される。
・ 償却原価で測定される金融資産:資産の総額での帳簿価額から控除
・ ローンのコミットメントおよび金融保証契約:一般的に引当金
・ FVOCI で測定される負債性金融商品:これらの資産の帳簿価額は公正価値であるため、
連結財政状態計算書に損失引当金は認識されない。ただし、損失引当金が開示され、公
正価値準備金が認識される。
償却
金融資産の全部または一部を回収する合理的な見込みがない場合、貸付金および負債証券
は(一部または全額)償却される。これは通常、借手が償却対象となる金額を返済するた
めの十分なキャッシュフローを生み出す可能性のある資産または収入源を持っていないと
当グループが判断した場合が該当する。この評価は個別の資産レベルで行われる。
以前償却された金額の回収は、損益計算書の正味減損費用に含められる。償却された金融
資産は、債権回収に係る当グループの手続きを遵守するために引き続き回収活動の対象と
なる可能性がある。
UAE 中央銀行(以下「 CBUAE 」という。)による引当規定
2018 年 ▶ 月 30 日付けの CBUAE 通知番号 CBUAE / BSD / 2018/458 、 6.4 節に従って 、特定の引
当金および一般引当金/集合的引当金の累計額が、 IFRS 第 9 号に基づいて計算された減損引
当金を上回っている場合、その差額は利益剰余金からの充当として「減損引当金」に振替
えられる。
この減損引当金は、個別引当金の差異に関連するものと一般引当金/集合的引当金の差異
に関連するものに分割しなければならない。減損引当金は配当金の支払には利用されな
い。
2017 年 12 月 31 日まで適用の方針
純損益を通じて公正価値で計上されていない金融資産については、各報告日および期中に
おいて定期的に、減損の客観的証拠が存在するか否かが評価される。損失事象が資産の当
初認識後に発生し、当該損失事象が資産の将来キャッシュフローに与える影響を信頼性を
もって見積ることができるという客観的証拠が存在する場合、金融資産は減損している。
金融資産が減損している客観的証拠には、借手もしくは発行体の重大な財政難、借手によ
る債務不履行もしくは遅滞、当グループが通常であれば検討しないような条件での当グ
ループによる貸出金のリストラクチャリング、借手もしくは発行体が破産手続に入る兆
候、有価証券に関する活発な市場の消滅、または、資産グループにおける借手もしくは発
行体の支払状況もしくは資産グループにおける支払不履行へつながる経済状況の不利な変
化等、資産グループに関するその他の観察可能なデータが含まれる。さらに、持分証券へ
の投資については、その公正価値が取得原価を著しくまたは長期的に下回った場合に、減
損の客観的証拠となる。
当グループは、貸出金および満期保有目的投資有価証券について個別レベルおよび集合的
レベルの双方で減損の証拠を考慮する。個別に重要な資産はすべて、個別に減損評価され
る。個別に重要である資産のうち、個別に減損していない資産はすべて、発生済みである
ものの未だ特定されていない減損について集合的に評価することが要求される。個別に重
要ではない資産は、類似のリスク特性を有する金融資産にグループ化することで、減損に
ついて集合的に評価される。
集合的に減損を評価する際に、当グループは、 IFRS および UAE 中央銀行ガイドラインを用い
た統計モデルを策定しており、このモデルには、デフォルト率、回収の時期および発生損
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失額の過去の傾向が含まれており、現在の経済および与信状況における実際の損失水準
が、過去のモデルにより示唆される水準を上回るあるいは下回る可能性があるか否かに関
す る経営陣の判断により調整される。デフォルト率、損失率および将来の回収予定時期
は、適切な数値を維持するために、実際の業績を基準として定期的に評価される。
償却原価で計上される金融資産の減損損失は、当該金融資産の帳簿価額と当初の実効金利
で割り引いた見積キャッシュフローの現在価値との差額として測定される。減損損失は連
結損益計算書に認識され、当該金融資産に対する引当金勘定に反映される。減損が認識さ
れた後に発生した事象により減損損失額が減少する場合、減損損失の減少分は連結損益計
算書を通じて戻し入れられる。
売却可能金融資産に係る減損損失は、公正価値準備金に累積された損失を損益に再分類す
ることにより認識される。再分類された金額は、取得原価(元本返済および償却費控除
後)と現在の公正価値の差額から損益に以前認識された減損損失を控除した金額である。
減損した売却可能負債証券の公正価値がその後増加し、その増加が減損損失の認識後に発
生した事象と客観的に関連づけられる場合、減損損失は損益を通じて戻し入れられる。売
却可能に分類された資本性金融商品への投資について、損益に認識された減損損失が損益
を通じて戻し入れられることはない。
市場価格のない資本性金融商品は、公正価値を信頼性をもって測定できないために取得原
価で計上されるが、当該資本性金融商品に係る減損損失は、当該金融資産の帳簿価額と類
似の金融資産の現在の市場収益率で割り引いた見積将来キャッシュフローの現在価値との
差額として測定される。当該減損損失の戻し入れは行わない。
(d) 現金および現金同等物
連結キャッシュフロー計算書の目的上、現金および現金同等物は、現金、中央銀行預け金および3
か月未満で満期が到来する銀行および金融機関預け金からなる。これらは、公正価値の変動リスク
がほとんどなく、当グループにより短期の契約の管理に利用される。
現金および現金同等物は、連結財政状態計算書において償却原価で計上される非デリバティブ金融
資産である。
(e) 銀行および金融機関預け金
銀行および金融機関預け金は、償却原価から減損引当金を控除した後の金額で計上される非デリバ
ティブ金融資産である。
(f) 純損益を通じて公正価値評価される投資
これらは、当グループが主に短期間での売却目的あるいは短期利益またはポジションテイクのため
に一緒に管理されるポートフォリオの一部として保有することを目的として取得する証券である。
これらの資産は、連結財政状態計算書に公正価値で当初認識され、その後も公正価値で測定され
る。公正価値の変動は、すべて損益の一部として認識される。
(g) 売戻契約
購入と同時に将来の特定日に固定価格で売り戻すことを約定する資産の認識は行わない。これらの
契約に基づき取引相手方に支払われた金額は、連結財政状態計算書に売戻契約として計上される。
購入価格と売戻価格との差額は受取利息として取り扱われ、売戻契約の期間にわたって発生し、実
効金利法により連結損益計算書に計上される。
(h) 貸出金
2018 年1月1日から適用の方針
財政状態計算書の「貸出金」には、以下のものが含まれる。
・ 償却原価で測定される貸出金。これらは当初、公正価値に直接取引費用の増額分を加えて測定
され、その後は実効金利法を用いた償却原価で測定される。
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・ ファイナンス・リース債権
貸出金は、固定または確定可能な支払があり、活発な市場における市場価格が無く、当グループが
直ちにもしくは近い将来に売却する意思のない非デリバティブ金融資産である。
当グループが、資産の所有に伴う実質的にすべてのリスクおよび経済価値を借手に移転するリース
契約の貸手である場合、当該契約はファイナンス・リースに分類され、リースの純投資額と同額の
債権が貸出金に認識および表示される。
契約がリースであるかどうかの判断において、当グループは当該契約の内容を確認し、当該契約の
履行が特定の資産の使用に基づいているか否か、また当該契約が資産を使用する権利を移転してい
るか否かについての評価を行う。
貸出金の認識の中止は、借手が債務を返済するか、あるいは貸出金が売却または償却される時に行
われる。
2017 年 12 月 31 日まで適用の方針
貸出金には、当グループが組成した貸出金で、売買目的保有に分類されていないもの、または公正
価値評価に指定されていないものが含まれる。貸出金の認識は、資金が借手に貸付けられた際に行
われる。貸出金の認識の中止は、借手が債務を返済するか、あるいは貸出金が売却または償却され
た際に行われる。貸出金は、公正価値(実行時の取引価格)に直接の取引費用の増額分を加えた金
額で当初測定され、その後は実効金利法を用いて償却原価で測定される。これらは、利息の未計上
分および減損引当金が控除され、ヘッジ対象リスクに関する公正価値ヘッジの有効部分により調整
される。
貸出金には、顧客に提供される当座貸越、クレジットカード、タームローン、ファイナンス・リー
ス債権および商業手形等の直接金融が含まれる。
(i) イスラム金融および投資契約
当グループは、シャリアに準拠したイジャラ、ムラバハ、ムダラバおよびワカラ等の種々のイスラ
ム金融商品を取り扱うイスラム銀行業に従事している。
( ⅰ ) 定義
イジャラ
イジャラはイジャラ・ムンタヒア・ビッタムリークからなる。
イジャラ金融は顧客との合意であって、当グループ(貸手)が、顧客(借手)の求めに応
じて資産をリースまたは建設し、当該資産を割賦払いで特定の期間リースすることを約束
するものである。イジャラは、リース期間終了時に該当資産の所有を借手に移転すること
ができる。当グループは、リース資産の所有に伴う実質的にすべてのリスクおよび経済的
便益を借手に移転する。イジャラによる利益は、リース期間にわたり実効利益率法により
認識される。
ムラバハ
販売契約であり、グループは、購入原価に利益を上乗せした合意済みの価格で顧客に商品
および他の資産を販売する。当グループは、所定の条件に従って商品を購入する顧客の約
束に基づき該当商品を購入する。ムラバハによる収益は、取引開始時に定量化し、残高
は、契約期間にわたり実効利益率法により認識される。
ムダラバ
当グループと顧客との間の契約であり、一方の当事者( Rab Al Mal )が資金を提供し、他
方の当事者( Mudarib )が同資金をプロジェクトまたは特定の事業に投資する。投資によっ
て生じた収益については、契約で事前に合意された収益分配率に従い、当事者間で分配さ
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れる。債務不履行、過失またはムダラバ条項違反により生じた損失については事業家の負
担となり、他の損失については出資者が負担する。収益は、期待される分配額を基に認識
さ れ、事業家による実際の分配額に応じて調整される。一方、損失は、当グループが出資
者の場合、発生時に当グループの連結損益計算書に認識される。
ワカラ
当グループと顧客との間の合意であって、一方の当事者(出資者)は一定の金額をエー
ジェント(代理人)に提供し、代理人は、同金額を、一定の手数料(一時金または投資金
額の一定割合)と引き換えに特定の条件に従って投資する。代理人は、債務不履行、過失
またはワカラ条項違反が生じた場合に投資金額を保証する義務を負う。当グループは、取
引の内容により、代理人または出資者となる場合がある。
ワカラによる見積収益は、取引の期間にわたり実効利益率法で認識され、受領時に実際の
収益に調整される。損失は発生時に計上される。
( ⅱ ) 収益認識
イジャラ
イジャラによる収益は、回収可能性に関して合理的な疑義が生じる時まで、定率ベースで
認識される。
ムラバハ
ムラバハによる収益は、回収可能性に関して合理的な疑義が生じる時まで、定率ベースで
認識される。
ムダラバ
ムダラバ金融に係る収益または損失は、信頼性のある見積りが可能な場合、発生主義で認
識される。それ以外の場合には、収益は事業家による分配時に認識され、損失は事業家に
より損失が明らかになった時点で連結損益計算書に費用計上される。
ワカラ
ワカラによる見積収益は、各期に発生主義で認識され、受領した時点で実際の収益により
調整される。損失は、エージェントが損失発生を申告した日に計上される。
(i) 非トレーディング投資
2018 年1月1日から適用の方針
財政状態計算書の「非トレーディング投資」には、以下のものが含まれる。
・ 償却原価で測定される負債性投資有価証券。 これらは当初、公正価値に直接取引費用の増額
分を加えて測定され、その後実効金利法を用いた償却原価で測定される。
・ FVOCI で測定される負債証券
・ FVOCI に指定された持分投資有価証券
・ 関連会社および共同支配企業への投資
FVOCI で測定される負債証券については、以下の償却原価で測定される金融資産と同じ方法で純損
益に認識されるものを除いて、損益は OCI で認識される。
・ 実効金利法を用いる利息収益
・ ECL および戻入
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・ 外国為替損益
FVOCI で測定された負債証券の認識が中止された場合、以前 OCI で認識された累積損益は資本から損
益に振り替えられる。
当グループは、トレーディング目的保有以外の持分金融商品の一部投資における公正価値変動を
OCI に表示することを選択した。この選択は、当初認識時に商品ごとに行われ、取消不能である。
そのような持分金融商品の損益は、その後損益に振り替えられることはなく、損益に減損が認識さ
れることはない。配当金は、投資原価の回収の一部であることが明らかである場合に限り OCI に認
識され、そうでなければ損益に認識される。 OCI で認識された累積損益は、投資の処分時に利益剰
余金に振り替えられる。
2017 年 12 月 31 日までの方針
非トレーディング投資には、公正価値にその取得に直接起因する取引費用の増額分を加えた金額で
当初認識される FVOCI (持分証券および負債証券の両方)が含まれる。 2017 年 12 月 31 日までの非ト
レーディング投資には、取得に直接起因する取引費用の増額分を公正価値に加えた金額で当初認識
される売却可能資産(負債証券および持分証券)が含まれる。
当初認識後、これらの投資は、公正価値で再測定される。有効なヘッジ関係の一部でない投資の未
実現損益は、当該投資の認識が中止されるまでまたは当該投資が減損していると判断されるまで、
その他包括利益に認識される。その時点でその他包括利益に以前に認識された累積損益は、当期の
連結損益計算書に計上される。有効な公正価値ヘッジ関係の一部である投資について、公正価値の
変動によって生じる未実現損益は、ヘッジされる公正価値の変動額を上限として連結損益計算書に
直接認識される。
FVOCI 負債投資有価証券に係る受取利息は、その資産の予想残存期間にわたり算定された実効金利
を用いて認識される。負債投資有価証券の購入の際に発生するプレミアムおよび(または)ディス
カウントは、実効金利の計算に織り込まれている。資本性金融商品に係る配当金は、配当を受け取
る権利が確定した時点で損益計算書に認識される。
為替差損益を認識することを目的として、売却可能金融資産は、外貨建ての償却原価で計上された
かのように扱われる。したがって、当該金融資産に係る外貨換算差額は、連結損益計算書に認識さ
れる。
公正価値を信頼性をもって測定できない市場価格のない持分投資については、減損引当金を控除
後、取得原価にて計上される。認識の中止の際には、売却損益は当期の連結損益計算書に認識され
る。
非トレーディング投資には、当グループが満期まで保有する積極的な意図および能力を有し、固定
または確定可能な支払および固定満期がある非デリバティブ資産である満期保有資産が含まれる。
これらの資産は、当初認識時は直接起因する取引費用を加算した公正価値で計上され、当初認識後
は減損損失額控除後の実効金利法を用いた償却原価で測定される。
満期保有目的投資について僅少とはいえない額の売却または再分類を行った場合には、すべての満
期保有目的投資を売却可能投資に再分類することになり、当グループは、当期および翌2事業年度
の間、投資有価証券を満期保有目的に分類することができなくなる。ただし、以下のいずれかの状
況下での売却および再分類は、必ずしも、前述の再分類を為すべき根拠とならない。
・ 売却または再分類が満期日に近いため、市場金利の変動が当該金融資産の公正価値に著しい影
響を及ぼさない場合
・ 当グループが当該資産の当初の元本を実質的にすべて回収した後に売却または再分類を行った
場合
・ 当グループの管理が及ばず合理的な予測ができない非経常的で単発的な事象に起因して売却ま
たは再分類を行った場合
(k) 投資不動産
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投資不動産は、取引費用を含む取得原価で当初測定される。当初認識後、投資不動産は貸借対照表
日の市況を反映する公正価値で表示される。投資不動産の公正価値の変動から生じる損益は、発生
し た年度の連結損益計算書上の「その他収益」に含まれる。
投資不動産が処分された場合または投資不動産の使用が永久的に中止され、その処分による経済的
便益が期待されない場合、その認識が中止される。投資不動産の除却または処分に係る損益は、除
却または処分が発生した年度の連結損益計算書に認識される。
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(l) 有形固定資産
( ⅰ ) 認識および測定
有形固定資産はすべて、累積償却額および減損損失額(もしあれば)を控除後の取得原価
で測定されるが、公正価値で測定される土地は除かれる。建設仮勘定は、取得原価で当初
計上され、定期的に減損テストを行い、完成と同時に有形固定資産の適切な区分に振り替
えられ、その後は減価償却される。
取得原価には、資産の取得に直接起因する支出が含まれる。購入したソフトウェアが関係
する設備の機能に不可欠である場合、当該設備の一部として資産計上される。
有形固定資産の処分に係る損益は、処分による収入と有形固定資産の帳簿価額とを比較す
ることにより算定され、連結損益計算書のその他営業収益に純額で認識される。
その後の支出は、その経済的便益が当グループに将来流入する可能性が高い場合に限り資
産計上される。継続的な費用は発生の都度、連結損益計算書に計上される。
( ⅱ ) 減価償却
減価償却は、すべての有形固定資産の見積耐用年数にわたり定額法で、連結損益計算書に
認識される。自己所有の土地および建設仮勘定は減価償却されない。
当期および比較期間における資産の見積耐用年数は以下のとおりである。
建物および住宅 20 ~ 50 年
事務所什器および備品 5~7年
リース建物付属設備 10 年
金庫 10 年
コンピューターシステムおよび設備 3~7年
車両 3年
減価償却方法、耐用年数および残存価値は、毎報告日付で見直される。
( ⅲ ) 建設仮勘定
建設仮勘定とは、生産、提供、または管理目的で建設中の資産であり、認識済みの減損損失
を控除した取得原価で計上される。取得原価には、当グループの会計方針に従って資産計上
される有形固定資産の設計および建設に係るすべての直接費用が含まれる。当該資産の意図
した使用が可能となった場合、建設仮勘定は有形固定資産の適切な勘定へ振り替えられ、当
グループの方針に従って減価償却される。
( ⅳ ) 非金融資産の減損
各報告日に、当グループは、減損の兆候があるか否かを決定するために非金融資産(投資
不動産および繰延税金資産を除く)の帳簿価額の見直しを行う。減損の兆候が存在する場
合には、資産の回収可能価額が見積られる。のれんに対する減損テストは毎年実施され
る。
減損テストについて、資産は、その他資産または CGU のキャッシュ・インフローから概ね独
立したキャッシュ・インフローを継続使用から生み出す最小の資産グループにまとめられ
る。企業結合から生じるのれんは、企業結合による相乗効果からの便益が期待される CGU ま
たは CGU のグループに配分される。
資産または CGU の「回収可能価額」は、使用価値または売却費用控除後の公正価値のいずれ
か高い方の金額である。「使用価値」は、貨幣の時間的価値および資産または CGU に特有の
リスクに関する現在の市場評価を反映した税引前割引率を用いて割り引いた見積将来
キャッシュフローの現在価値に基づいている。
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資産または CGU の帳簿価額が回収可能価額を上回る場合、減損損失が認識される。
当グループの全社資産は、個別のキャッシュ・インフローを生み出さず、複数の CGU に使用
されている。全社資産は、合理的および一貫した基準で CGU に配分され、全社資産が配分さ
れた CGU の減損テストの一部としてテストされる。
減損損失は、損益に認識される。減損損失は、最初に CGU に配分されたのれんの帳簿価額を
減額するように配分され、その後その CGU 内のその他資産の帳簿価額を減額するように比例
配分される。
のれんに関する減損損失の戻し入れは行われない。その他資産については、資産の帳簿価
額が、減損損失が認識されなかった場合(減価償却控除後)の帳簿価額を超えない範囲に
限り減損損失は戻し入れられる。
(m) 無形資産
取得により生じるのれんは、移転対価、被取得企業の非支配持分の金額および従来保有していた被
取得企業の資本持分の取得日の公正価値が取得した識別可能な純資産の公正価値を超える超過分で
ある。移転対価、認識された非支配持分および公正価値で測定される従来保有していた持分の合計
が、取得した子会社の純資産の公正価値より低い場合(バーゲン・パーチェス)、その差額は直接
損益計算書に認識される。
減損テスト上、企業結合で取得したのれんおよびライセンスは、企業結合による相乗効果からの便
益が期待される各 CGU または CGU のグループに配分される。のれんが配分される各単位または単位グ
ループは、のれんが内部管理目的でモニタリングされる企業内の最小の単位を示している。のれん
は、事業セグメント・レベルでモニタリングされる。
のれんおよびライセンスの減損の見直しは、毎年または潜在的な減損の兆候を示す事象あるいは環
境の変化がある場合はより高い頻度で行われる。のれんに含まれる CGU の帳簿価額は、使用価値お
よび処分費用控除後の公正価値のいずれか高い方の金額である回収可能価額と比較される。減損は
直ちに費用として認識され、その後戻し入れは行われない。
当グループののれん以外の無形資産には、企業結合から発生した無形資産が含まれている。企業結
合により取得された無形資産の取得原価は、取得日の公正価値である。個別に取得した無形資産
は、当初認識時に取得原価で測定される。当初認識後、無形資産は、取得原価から減価償却累計額
および減損累計額を控除した金額で計上される。
無形資産の耐用年数は、有限または無限のいずれかで評価される。有限耐用年数の無形資産は、経
済的耐用年数にわたり償却され、無形資産が減損している可能性を示す兆候が存在する場合に減損
を評価する。有限耐用年数の無形資産に対する償却期間および償却方法は、少なくとも各報告期間
末に見直される。見積耐用年数またはその資産の具体的な将来の経済的便益を消費すると見込まれ
るパターンの変更は償却期間または償却方法いずれか適切な方の変更とみなされ、会計上の見積り
の変更として処理される。有限耐用年数の無形資産に係る減価償却費は、連結損益計算書に認識さ
れる。
減価償却の計算に用いられる無形資産の見積耐用年数は、以下のとおりである。
顧客関係 7.5 ~ 15 年
コア預金 2.5 ~ 15 年
ブランド 20 年
(n) 売却前担保
不動産およびその他の担保は、特定の貸出金の決済の結果取得される場合があり、売却目的保有資
産として「その他資産」に計上される。取得した資産は、売却費用控除後の公正価値または交換日
における貸出金の帳簿価額(減損引当金控除後)のうちいずれか低い方の金額で計上される。売却
目的保有資産については、減価償却は計上されない。取得した資産がその後に売却費用控除後の公
正価値へと評価減された場合、かかる評価損は減損損失として計上され、連結損益計算書に計上さ
れる。売却費用控除後の公正価値がその後増加した場合、この増加分は減損損失累計額を上限とし
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て、連結損益計算書に認識される。当グループの担保の処分に関する方針は、当グループが事業を
行っているそれぞれの地域の法令上の要件に従っている。
(o) 銀行および金融機関預り金、顧客勘定およびその他預金ならびにコマーシャルペーパー
銀行および金融機関預り金、顧客預金およびコマーシャルペーパーは、金融負債であり、公正価値
から取引費用を控除した金額で当初認識され、その後は実効金利法を用いて償却原価で測定され
る。
(p) 買戻契約
特定の将来の日に固定価格で買戻すことを条件として売却した資産については、認識は中止されな
い。これらの契約に基づき受領した金額に関する取引相手方に対する負債は、買戻契約として連結
財政状態計算書に計上される。売却価格と買戻価格との差額は、支払利息として取り扱われ、買戻
契約の期間にわたって発生し、実効金利法により連結損益計算書に計上される。
(q) 期間借入および劣後社債
期間借入および劣後社債には、保有者の選択により株式資本に転換することのできる転換社債が含
まれ、発行済株式数が公正価値の変動に伴い変化しない場合には、複合金融商品として会計処理さ
れる。転換社債の資本構成部分は、発行手取金が、転換オプションを有しない類似の債務に適用さ
れる市場金利で割り引かれる将来の元利支払額の現在価値を上回る部分として計算される。
FVTPL に指定された期間借入の信用リスク変動に起因する負債の公正価値変動額は、 OCI に負債信用
準備金として表示されている。金融負債の当初認識時に、当グループは、信用リスクに起因する負
債の公正価値の変動額を OCI に表示することにより、損益における会計上のミスマッチが生じるか
または拡大するか否かを評価する。この評価は、以下を比較するために回帰分析を使用する。
・ 信用リスクの変動に関連する負債の公正価値の予想変動。
・ 関連金融商品の公正価値の予想変動の損益への影響。
負債信用準備金に表示されている金額は、その後は損益に振り替えられることはない。これらの金
融商品の認識が中止されると、負債信用準備金における関連した累積金額は利益剰余金に振り替え
られる。
転換オプションがなく損益を通じて公正価値評価されない期間借入および劣後社債は、公正価値か
ら取引費用を控除した金額で当初認識される金融負債である。その後、実効金利法を用いた償却原
価で測定され、ヘッジ対象リスクの公正価値変動の範囲で調整される。
(r) 自己株式
取得した自己の資本性金融商品(自己株式)は、資本から控除され、加重平均コストで会計処理さ
れる。当行の自己の資本性金融商品の購入、売却、発行または消却に関して連結損益計算書上に損
益は認識されない。再発行される場合、帳簿価額と対価との差異は資本剰余金に認識される。自己
株式が、無償株式の発行の一部として分配される場合、当該株式の費用は利益剰余金に対して認識
される。自己株式に関する議決権は、当グループに対して無効であり、自己株式に対する配当金の
割当はない。
(s) 信託資産
信託または信託業務において保有する資産は、当グループの資産として扱われない。したがって、
これらの資産は本連結財務書類には含まれない。
(t) ストックオプション制度
従業員に付与されたオプションについて付与日に公正価値が見積られ、従業員が無条件にオプショ
ンの権利を得るために必要な期間にわたり人件費として費用認識され、同額が資本の増加として計
上される。費用として認識された金額は、該当する勤務条件を満たすと予想されるストックオプ
ションの数を反映するために調整されており、最終的に費用として認識される金額は、権利確定日
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において該当する勤務条件および市場以外の業績条件を満たしているストックオプションの数に基
づいている。ストックオプションに基づく株式は、潜在的普通株式とみなされる場合には、希薄化
後 1株当たり利益の計算に算入されることもある。
(u) 受取利息および支払利息
2018 年1月1日から適用の方針
実効金利
受取利息および支払利息は、実効金利法を用いて損益に認識される。「実効金利」とは、金融商品
の予想残存期間を通じて、以下の金額まで、将来の現金支払額または受取額を正確に割り引くレー
トである。
・ 金融資産の総額での帳簿価額
・ 金融負債の償却原価
購入または組成された信用減損資産以外の金融商品の実効金利を計算する際に、当グループは、そ
の金融商品のすべての契約条件を考慮して将来キャッシュフローを見積もるが、 ECL は考慮しな
い。
実効金利の計算には、実効金利の不可欠な部分である取引費用、手数料、および支払ったまたは受
領したポイントが含まれる。取引費用には、金融資産もしくは金融負債の取得または発行に直接起
因する費用の増加分が含まれる。
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償却原価および総額での帳簿価額
金融資産または金融負債の「償却原価」は、金融資産または金融負債が当初認識時に測定された金
額から元本返済額を控除し、当初の金額と満期の金額に差額がある場合は、実効金利法を用いた累
積償却額を加減した金額である。また、金融資産については、予想信用損失引当金(または 2017 年
12 月 31 日までは減損引当金)について調整される。
「金融資産の総額での帳簿価額」は、予想信用損失引当金を調整する前の金融資産の償却原価であ
る。
受取利息および支払利息の計算
金融資産または金融負債の実効金利は、金融資産または金融負債の当初認識時に計算される。受取
利息および支払利息の計算において、実効金利は資産の総額での帳簿価額(資産が信用減損してい
ない場合)または負債の償却原価に適用される。実効金利は、市場金利の変動を反映するため変動
金利商品のキャッシュフローに係る見積りの定期的な再実施の結果により修正される。ヘッジ調整
の償却を開始した日に、実効金利は公正価値ヘッジ調整についても修正される。
金融資産がいつ信用減損したかの情報については、注記3( ▲ ) ( ⅶ)を参照のこと。
表示
損益計算書および OCI 計算書に表示される実効金利法を使用して計算された受取利息には、以下が
含まれる。
・ 償却原価で測定される金融資産および金融負債に対する利息
・ FVOCI で測定される負債性金融商品に対する利息
・ 受取利息および支払利息に影響を及ぼすヘッジ対象のキャッシュフローと同期間の、金利の
キャッシュフローにおける変動性をヘッジするキャッシュフロー・ヘッジに指定された適格
ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値変動の有効部分
・ 金利リスクの公正価値ヘッジに指定された適格ヘッジ手段であるデリバティブにおける公正価
値の変動の有効部分
損益計算書および OCI 計算書に表示される支払利息には、以下が含まれる。
・ 償却原価で測定される金融負債に対する利息
・ 受取利息および支払利息に影響を及ぼすヘッジ対象のキャッシュフローと同期間の、金利の
キャッシュフローにおける変動性をヘッジするキャッシュフロー・ヘッジに指定された適格
ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値変動の有効部分
・ 金利リスクの公正価値ヘッジに指定された適格ヘッジ手段であるデリバティブにおける公正価
値の変動の有効部分
FVTPL で評価される金融資産および金融負債の受取利息および支払利息は、 FVTPL で評価される金融
商品からの受取利息または支払利息として表示される。
2017 年 12 月 31 日まで適用の方針
受取利息および支払利息は、実効金利法を用いて連結損益計算書に認識される。実効金利は、金融
商品の予想残存期間(または、適切な場合はそれよりも短い期間)を通じて、見積将来キャッシュ
フローを該当する金融資産または金融負債の正味帳簿価額まで正確に割り引くための金利である。
実効金利を計算する際に、当グループは、金融商品のすべての契約条件を考慮(将来の貸倒損失は
考慮外)してキャッシュフローを見積っている。実効金利の計算結果には、金融商品の実効金利の
不可欠な要素である当グループが支払うまたは受け取るすべての金額(取引費用およびその他のす
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べてのプレミアムまたはディスカウントを含む)が含まれる。取引費用には、金融資産もしくは負
債の取得または発行に直接起因する費用の増加分が含まれる。
連結損益計算書に表示される受取利息および支払利息には、以下が含まれる。
・ 償却原価で計上される金融資産および負債に係る実効金利ベースの利息
・ 売却可能投資有価証券に係る実効金利ベースの利息
・ 売買目的保有有価証券およびデリバティブ金融商品に係る実効金利ベースの利息;受取利息お
よび支払利息に影響を及ぼすヘッジ対象のキャッシュフローと同期間に、金利のキャッシュフ
ローにおける変動性をヘッジするキャッシュフロー・ヘッジに指定された適格ヘッジ手段であ
るデリバティブの公正価値変動の有効部分;および
・ 金利リスクの公正価値ヘッジに指定された適格ヘッジ手段であるデリバティブにおける公正価
値の変動の有効部分
(v) イスラム金融業務による収益
イジャラによる収益は、リース期間にわたり期間按分で認識される。
ムラバハの収益は、元本残高に基づく契約期間にわたり期間按分ベースで認識される。ムダラバの
収益は、期待される分配額を基に認識され、事業家( Mudarib )による実際の分配額に応じて調整
される。一方、当グループが出資者( Rab Al Mal )の場合、損失は、発生時に当グループの連結損
益計算書に認識される。
(w) 預金者の利益持分
預金者の利益持分は、ワカラおよびムダラバ預金の形式で受け入れた銀行または顧客のファンドに
おいて費用として計上された金額で、連結損益計算書に費用として認識される。この金額はワカラ
預金で合意された条件ならびにシャリアの原則に従って算出される。
(x) 受取手数料および支払手数料
当グループは、顧客に提供する様々な役務から手数料を稼得している。手数料の会計処理基準は、
手数料の回収目的、すなわち、連結損益計算書上の収益の認識目的により異なっている。受取手数
料は、以下のとおり計上される。
・ 役務の提供から稼得した収益は、役務の提供時に収益として認識される。
・ 重大な行為の実行により稼得した収益は、当該行為の完了時に収益として認識される。
・ 金融商品の実効金利に不可欠な一部を構成する収益は、実効金利に対する調整として認識され
「受取利息」に計上される。
当グループの連結財務書類において金融商品として認識することになる顧客との契約は、部分的に
IFRS 第 9 号の範囲に含まれ、部分的に IFRS 第 15 号の範囲に含まれる可能性がある。この場合、当グ
ループは最初に IFRS 第 9 号を適用して IFRS 第 9 号の範囲内にある契約部分を分離して測定し、次に残
余部分に IFRS 第 15 号を適用する。
支払手数料は、主に、役務の受領時に支出される取引手数料および役務手数料に関するものであ
る。
(y) ザカート
ザカートとは、シャリアの原則に従うため、株主の代理で当グループがイスラム事業について支払
うものであり、シャリア監督委員会により承認される。当グループの選任したザカート委員会に
は、ザカートの分配を提案する権限が付与されている。
(z) 投資およびデリバティブに係る純利益 / 損失
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投資およびデリバティブに係る純利益は、純損益を通じて公正価値評価される投資およびデリバ
ティブの実現および未実現損益、非トレーディング投資の実現損益ならびに受取配当金で構成され
る。 純損益を通じて公正価値評価される投資に係る純利益には、公正価値評価の指定を受けている
金融資産および金融負債が含まれる。
FVOCI の公正価値の変動により発生する利益および損失は、連結損益計算書に直接認識される ECL 、
実効金利法を用いて計算される利息および貨幣性資産に係る為替差損益を除き、その他包括利益計
算書に認識され、公正価値準備金に計上される。負債性金融商品の場合、売却可能投資が売却また
は実現した場合は、過去に公正価値準備金として資本に認識されていた累積損益が連結損益計算書
に振り替えられる。
非トレーディング投資には、 FVOCI および償却原価商品が含まれる。
当グループはまた、負の金利が適用される国々で発行された資産への投資を保有している。当グ
ループは、取引の経済実体が反映されるように、これらの資産に支払われた利息を開示している
(注記 31 )。
通常は、満期が迫っていない償却原価投資を売却することはない。ただし、満期保有目的投資の売
却または実現が行われた場合には、それによる利益または損失は連結損益計算書に認識される。
受取配当金は、支払を受領する権利が確定した時に認識される。
(aa) 外貨
( ⅰ ) 外貨建て取引
外貨建て取引は、取引日現在の直物為替レートで、当グループの事業体のそれぞれの機能
通貨に換算される。報告日における外貨建ての貨幣性資産および負債は、同日の直物為替
レートで機能通貨に再換算される。貨幣性項目の為替差損益は、期首における機能通貨の
償却原価(実効金利および期中の支払額調整後)と期末の為替レートで換算された外貨建
ての償却原価の差額である。
外貨建ての公正価値で測定される非貨幣性資産および負債は、公正価値が決定された日の
直物為替レートで機能通貨に換算される。外貨建ての取得原価で測定される非貨幣性資産
および負債は、取引日の為替レートで換算される。
取引から生じる外貨換算差額は、通常損益に認識される。ただし、以下の項目の取引から
生じる外貨換算差額は、 OCI に認識される。
- 売却可能持分投資/ FVOIC 持分投資
- 在外営業活動体に対する純投資ヘッジとして指定された金融負債のうちヘッジの有効な
範囲
- 適格キャッシュフロー・ヘッジのうちヘッジの有効な範囲
( ⅱ ) 在外営業活動体
UAE 国外に拠点を置く子会社および支店の業務は、財務面および業務面において本店から独
立しているため、本店事業と一体とはみなされない。在外営業活動体の資産および負債
は、報告日の為替レートでディルハムに換算される。在外営業活動体の収益および費用項
目は、適切な取引日の平均為替レートで換算される。期首の純資産の再換算から生じる外
貨換算差額(当該投資をヘッジする取引に係るものを含む。)は、その他包括利益の外貨
換算調整勘定に直接計上される。
在外営業活動体が処分されて支配を失う場合、在外営業活動体に関連する換算準備金にお
ける累計額は、処分時の損益の一部として損益に再分類される。当グループが在外営業活
動体を含む持分の一部のみを処分するが、支配を継続する場合、累計額の関連する部分は
非支配持分( NCI )に再配分される。
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在外営業活動体からの債権債務の決済が予定されていないまたは予見可能な将来に起こる
見込みのない場合には、その項目から生じる外貨換算差額は、在外営業活動体における純
投 資の一部として OCI に認識され、資本の換算準備金に累積される。
(ab) 国外法人税
法人税費用は、当期税金および繰延税金で構成され、資本または OCI に直接認識される項目を除い
て損益に認識される。
当期税金は、当グループが事業を行っているそれぞれの国の財務規制に従い計上され、連結損益計
算書に認識される。当期税金は、報告日において有効または実質的に有効な税率を用いて算定し
た、当期の課税所得に対する未払法人税の見積額に、過年度の未払法人税に関する調整を加えたも
のである。
繰延税金は、財務報告目的の資産および負債の帳簿価額と、税務目的に用いられる金額との一時差
異について計上される。繰延税金は、のれんの当初認識、企業結合以外かつ会計上および税務上の
損益に影響を与えない取引における資産または負債の当初認識、ならびに、子会社への投資に関す
る差異が予見可能な将来において解消しそうにない場合の一時差異については認識されない。繰延
税金は、報告日において施行されている法律に基づき、資産が実現または負債が決済される期間に
適用されると予想される税率で測定される。
繰延税金資産は、同資産に関して、将来その使用対象となる課税所得が稼得される可能性が高い範
囲に限り認識される。繰延税金資産の帳簿価額は、各報告日に見直され、繰延税金資産の全部また
は一部に関して、その使用対象となる課税所得が十分に稼得される可能性がなくなった場合、その
分だけ減額される。
繰延税金の測定は、当グループが報告日において予想する当該資産および負債の帳簿価額の回収ま
たは決済方法による税効果を反映する。
当期および繰延税金を決定する際、当グループは支払うことになる加算税および利息を含めたタッ
クス・エクスポージャーの影響を考慮する。この評価は、見積りおよび仮定に依拠しており、将来
の事象についての一連の判断を伴うことがある。当グループが既存の税金負債の妥当性に関する判
断を変更させるような新情報が入手可能になる場合があり、その際の税金負債の変更は、その決定
が行われた期間の税金費用に影響を及ぼす。
(ac) デリバティブ金融商品およびヘッジ
デリバティブは、公正価値で当初認識され、その後は公正価値で測定され、取引費用は連結損益計
算書に直接計上される。デリバティブの公正価値は、デリバティブの時価評価または評価手法(主
に割引キャッシュフロー法)の利用による未実現損益相当額である。
公正価値の変動による損益の認識方法は、デリバティブが売買目的で保有されているか、または
ヘッジ手段に指定されているか、もしそうであればヘッジされるリスクの性質により異なる。売買
目的保有のデリバティブについては、公正価値の変動による損益はすべて、連結損益計算書に認識
される。デリバティブがヘッジ指定されている場合、当グループはそれらを、 ( ⅰ ) 認識済みの資
産もしくは負債の公正価値変動に対するエクスポージャーをヘッジする公正価値ヘッジ、 ( ⅱ ) 認
識済みの資産もしくは負債あるいは発生する可能性の高い予定取引に関連した特定のリスクに起因
するキャッシュフローの変動に対するエクスポージャーをヘッジするキャッシュフロー・ヘッジ、
( ⅲ ) キャッシュフロー・ヘッジに類似して会計処理される純投資のヘッジ、のいずれかに分類す
る。ヘッジ会計は、一定の基準を満たしていることを条件に、公正価値またはキャッシュフローの
ヘッジ手段として指定されたデリバティブに適用される。
組込デリバティブ
2018 年1月1日から適用の方針
デリバティブは、別の契約(主契約)に組み込まれる場合がある。以下の場合、当グループは、組
込デリバティブを主契約とは別に会計処理する。
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・ 主契約は IFRS 第 9 号の範囲内にある資産ではない。
・ 主契約自体は FVTPL で計上されない。
・ 組込デリバティブの条件が、分離された契約であった場合はデリバティブの定義を満たす。
・ 組込デリバティブの経済的特徴およびリスクは、主契約の経済的特徴およびリスクと密接に関
連していない。
区分処理される組込デリバティブは、公正価値で測定され、適格なキャッシュフローまたは純投資
ヘッジ関係の一部を構成しない限り、公正価値の変動はすべて損益に認識される。区分処理される
組込デリバティブは主契約とともに財政状態計算書に表示される。
2017 年 12 月 31 日まで適用の方針
デリバティブは、別の契約(主契約)に組み込まれる場合がある。当グループは、主契約自体が純
損益を通じて公正価値評価するものとして計上されておらず、組込デリバティブの条件が別個の契
約を構成する場合にデリバティブの定義を満たし、かつ組込デリバティブの経済的特性およびリス
クが主契約の経済的特性およびリスクと密接に関連しない場合には、主契約とは別個に組込デリバ
ティブの会計処理を行う。区分処理される組込デリバティブは、公正価値で測定され、適格キャッ
シュフローまたは純投資ヘッジ関係の一部を構成しない限り、公正価値の変動はすべて損益に認識
され、連結財政状態計算書上に主契約とは別個に表示される。
ヘッジ会計
当グループの方針として、ヘッジの開始時点で、ヘッジ手段とヘッジ対象の関係ならびにリスク管
理の目的および戦略を文書化している。この方針により、ヘッジ開始時点およびその後継続的に、
ヘッジの有効性の評価についても文書化が要求される。
当グループは、ヘッジ手段がヘッジに指定されている期間において各ヘッジ対象の公正価値もしく
はキャッシュフローの変動を相殺する際に極めて有効であると予想されるかどうかについて、ヘッ
ジ関係の開始時およびその後も継続的に評価を行う。当グループは、予定取引が発生する可能性が
高く、最終的に損益に影響を及ぼす可能性のあるキャッシュフローの変動に対するエクスポー
ジャーを生じさせるかどうかについて、予定取引のキャッシュフロー・ヘッジに関する評価を行
う。
公正価値ヘッジ
公正価値ヘッジでは、ヘッジ手段の公正価値への再測定およびこれに関係するヘッジ対象の公正価
値の変動による損益は、ヘッジ対象リスクに起因するヘッジ対象の公正価値の変動と併せて直ちに
連結損益計算書に認識される。ヘッジ会計はヘッジ手段が失効または売却、終了または行使あるい
はヘッジ会計として適格でなくなった場合に中止される。ただし、法令や規制による結果、両当事
者が、他の条件を変更せずにカウンターパーティを中央決済機関に更改した場合、デリバティブは
失効または終了したとみなされない。実効金利法が使用されているヘッジ対象のそれまでの期間に
対する調整は、それまでのヘッジ対象の実効金利の再計算の一部としてヘッジ対象の残存期間にわ
たって連結損益計算書で償却される。
キャッシュフロー・ヘッジ
デリバティブが、損益に影響を与える認識済み資産または負債に関連した特定のリスクに起因する
キャッシュフローの変動に対するヘッジにおいてヘッジ手段として指定された場合、デリバティブ
の公正価値における変動の有効部分は OCI に認識され、資本のヘッジ準備金に表示される。デリバ
ティブの公正価値における変動の非有効部分は、直ちに損益に認識される。 OCI に認識された金額
は、ヘッジ対象となるキャッシュフローが損益に影響を及ぼす期間に、損益とおよび OCI と同じ項
目において再分類調整として損益に再分類される。ヘッジ手段であるデリバティブが売却、終了ま
たは行使により失効した場合、もしくはキャッシュフロー・ヘッジの基準を満たさなくなった場
合、ヘッジ会計は将来に向かって中止される。ただし、法令や規制による結果、両当事者が、他の
条件を変更せずにカウンターパーティを中央決済機関に更改した場合、デリバティブは失効または
終了したとみなされない。
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純投資ヘッジ
デリバティブ商品または非デリバティブ金融負債が在外営業活動体に対する純投資ヘッジにおける
ヘッジ手段に指定された場合、ヘッジ手段の公正価値変動の有効部分はその他包括利益の外貨換算
準備金に認識される。デリバティブの公正価値変動の非有効部分は連結損益計算書に直ちに認識さ
れる。その他包括利益に認識された金額は在外営業活動体の処分時に損益計算書に組み替えられ
る。
その他デリバティブ
ヘッジ会計に不適格であるかヘッジ手段に指定されていないデリバティブについて、公正価値の変
動による損益はすべて、投資およびデリバティブに係る純利益または純為替差益の構成要素として
直ちに連結損益計算書に認識される。
(ad) 引当金
当グループが過去の事象の結果、信頼性のある見積りが可能な現在の法的債務または推定的債務を
有しており、当該債務を決済するために経済的便益の流出を要する可能性がある場合、引当金が認
識される。貨幣の時間的価値の影響が重要である場合、引当金は、貨幣の時間的価値に対する現在
の市場評価および必要に応じて当該負債に特有のリスクを反映するような税引前利率を用いて見積
将来キャッシュフローを割り引くことにより決定される。
(ae) 従業員退職給付
当グループは、従業員に対して退職給付を支給している。これらの給付に対する権利は、従業員の
勤務期間および最低勤続期間の満了に基づいている。これらの給付の見積費用は、雇用期間にわた
り発生する。
UAE 国民の従業員について、当グループは関連する政府の年金制度に対して従業員の給与の割合で
計算した拠出を行っている。当グループの債務は、期日が到来した際の拠出額に限定される。
確定拠出制度
確定拠出制度とは、退職後従業員給付制度のうち、企業が一定の掛金を別個の事業体あるいは政府
機関に支払い、企業がさらに支払を行う法的債務または推定的債務を有しないものをいう。確定拠
出年金制度への掛金に関する債務は、従業員が役務提供を行った期間の連結損益計算書に、従業員
給付費用として認識される。
適格従業員に対する年金および国民保険の拠出については、当該拠出の行われている国で適用され
る法令に準拠して、当グループが年金および給付ファンドに対して行っている。
確定給付制度
確定給付制度とは、確定拠出制度以外の退職後従業員給付制度である。財政状態計算書に認識され
ている確定給付制度に関する負債は、報告期間の末日現在の確定給付債務の現在価値(未認識過去
勤務費用に関する調整を含む)である。確定給付債務は、年に一度独立の年金数理人により予測単
位積増方式を用いて計算される。確定給付債務の現在価値は、見積将来キャッシュ・アウトフロー
を、給付が支払われる通貨建で、かつ関連する年金債務の期間と残存期間が近似する優良社債の金
利で割り引くことによって算定される。
正味確定給付負債の再測定(数理計算上の差異、制度資産の運用収益(利息を除く)およびアセッ
ト・シーリングの影響(該当する場合、利息を除く)から構成される)は、直ちにその他包括利益
に認識される。確定給付制度に関する正味支払利息およびその他の費用は、連結損益計算書に人件
費として認識される。制度の給付額が変更された場合、または制度が縮小した場合には、それによ
る給付の変更額で過去勤務費用に関するものまたは縮小に伴う損益は、直ちに損益に認識される。
当グループは、確定給付制度の清算が行われる際に、確定給付制度の清算に伴う損益を認識してい
る。
(af) 取締役の報酬
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1984 年商事会社法第8号第 118 条および当行の定款に従い、取締役は、減価償却、準備金および配
当金の分配(株主資本の5%以上)控除後純利益の 10 %を上限とした報酬を得る資格を与えられ
る。
(ag) 信託業務
受託者の資格において保有する資産は、当グループが顧客のカストディアンとして行動する信託で
の保有のみであることから当グループの資産として扱われていない。当グループは、これらの資産
を信託に預託する顧客に対する負債または債務がない。したがって、これらの資産は、本連結財務
書類には含まれていない。
(ah) 1株当たり利益
当グループは、普通株式の基本的および希薄化後1株当たり利益( EPS )のデータを表示してい
る。基本的1株当たり利益は、当グループの普通株主に帰属する損益を期中の普通株式の加重平均
発行済株式数で除することにより計算される。希薄化後1株当たり利益は、普通株主に帰属する損
益および普通株式の加重平均発行済株式数に、転換社債および従業員に付与されたストックオプ
ションからなるすべての潜在的希薄化普通株式の影響に関する調整を行うことにより決定される。
(ai) セグメント別報告
事業セグメントは、収益を稼得し費用が発生する(当グループの他の構成要素との取引に関連した
収益および費用を含む。)事業活動を行う当グループの構成要素である。事業セグメントの経営成
績はすべて、事業における最高意思決定者である当グループの最高経営責任者により定期的にレ
ビューされる。当該レビューは、最高経営責任者がセグメントに配分する資源に関する意思決定を
行い、個別の財務情報が入手可能なセグメントの業績を評価するためになされる。最高経営責任者
に報告されるセグメントの経営成績には、セグメントに直接帰属する項目および合理的に配分可能
な項目が含まれる。
(aj) リース支払額
リース資産の所有に伴うリスクおよび便益が実質的にすべて当グループに移転されるファイナン
ス・リースは、リース開始時にリース資産の公正価値または最低リース支払額の現在価値のいずれ
か低い方で資産計上される。リース支払額は、負債残高に対する金利を一定の率となるように金融
費用およびリース負債の減少に配分される。金利は、収益に対して直接計上される。資産計上され
たリース資産は、資産の見積耐用年数またはリース期間のいずれか短い方の期間にわたり償却され
る。
資産の所有に伴うリスクおよび便益を実質的にすべて貸手が保持するリースは、オペレーティン
グ・リースとして分類される。オペレーティング・リースの支払額は、リース期間または資産の見
積耐用年数のいずれか短い方の期間にわたり定額法で連結損益計算書上に費用として認識される。
(ak) 決済日基準会計
金融資産の購入および売却は、決済日、すなわち当グループが資産の購入および売却を決済した日
に認識する。
(al) 税金
当期の当期税金資産および負債は、税務当局から還付されるまたは支払われる見積金額で測定され
る。その金額を計算するために用いられる税率および税法は、当グループが事業を行い課税所得が
発生する国で報告日において制定または実質的に制定されているものである。課税所得は、連結損
益計算書上に報告されている利益と異なるが、これは課税所得は他の年度で課税または控除される
所得あるいは費用項目が除かれ、さらに将来課税または控除されない項目も除かれているためであ
る。
繰延税金は、報告日の資産および負債の税務基準額と財務報告目的の帳簿価額との一時差異につき
負債法を用いて計上される。繰延税金資産は、すべての将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除
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および繰越欠損金について、これらに充当する課税所得が稼得される可能性が高い範囲に限り認識
される。
(am) 金融保証
金融保証とは、特定の当事者が契約条件に従い支払期日の到来した債務を履行しない場合に、当グ
ループが保有者の被る損失を弁済するために特定の支払を行わねばならない契約である。
本質的にクレジット・デフォルト保証である特定の金融保証契約は、自己勘定取引の目的で保有さ
れることはなく保険契約として扱われ、 IFRS 第4号に基づき会計処理される。
その他金融保証契約は、公正価値(発行に係るプレミアム受領額である。)で当初認識される。プ
レミアム受領額は金融保証期間にわたり償却される。保証債務はその後、当該償却原価または予想
支払額の現在価値(保証に基づく支払が生じる可能性がある場合)のいずれか高い方で計上され
る。これらの金融保証に係るプレミアム受領額は、その他負債に含まれる。
金融保証は、さらされている信用リスクの決定また、該当する場合は引当金が必要か否かを考慮す
るために定期的に見直される。信用リスクは貸出金に係る減損損失を定量化するための基準と類似
した基準を適用して決定される。金融保証に個別引当金が必要な場合、連結貸借対照表のその他負
債に認識された関連する前受手数料は、適切な引当金に組み替えられる。
(an) 今後適用される新基準および解釈指針
多くの新基準および基準の改訂が 2018 年1月1日より後に開始する事業年度から有効となり、早期
適用が認められているが、当グループは、本連結財務書類の作成に際してこれらの基準を早期適用
していない。
A. IFRS 第 16 号 リース
IASB は、 2018 年 1 月にリース会計の新基準を公表した。
a) 新基準は、貸手のリース会計を大きく変更していない。ただし、借手は、貸借対照表上のほと
んどのリースをリース負債として認識し、それに対応する使用権資産を認識する必要がある。
b) 借手は、認識されているすべてのリースについて単一モデルを適用しなければならないが、
「短期」リースおよび「少額」資産のリースを認識しないという選択肢がある。
c) 一般に、認識されたリースの損益認識パターンは、現在のファイナンス・リース会計と類似し
ており、利息と減価償却費は損益計算書で別々に認識される。
早期適用は、新収益基準の IFRS 第 15 号が同日に適用される場合に認められる。
当グループは上記基準の影響を評価した。当該評価に基づき、上記の基準は報告日現在において当
グループの連結財務書類に重要な影響を及ぼさない。
B. その他の基準
以下の改定基準は、当グループの連結財務書類に重要な影響を及ぼすことはないと予想されてい
る。
・ IFRS 基準の年次改善 2015-2017 年サイクル-複数の基準
・ 関連会社および共同支配企業に対する長期持分( IAS 第 28 号の改訂)
・ 制度改定、縮小または清算( IAS 第 19 号の改訂)
・ IFRIC 第 23 号、法人所得税の処理に関する不確実性
・ IFRS 基準における概念フレームワークへの参照の改訂
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・ IFRS 第 17 号保険契約
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▶ 移行の影響
2018 年 1 月 1 日現在の IFRS 第 9 号の採用による利益剰余金、公正価値準備金および非支配持分への影
響は以下のとおりである。
公正価値
利益剰余金 準備金 非支配持分 合計
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
18,677,552 625,210 487,015 19,789,777
IAS 第 39 号による 2017 年 12 月 31 日現在残高
再分類および再測定における影響
投資有価証券(負債)の満期保有目的からその他包括利益を
- 24,138 - 24,138
通じた公正価値評価
投資有価証券(負債)の売却可能から損益を通じた公正価値
評価 602 (602) - -
投資有価証券(持分)の売却可能から損益を通じた公正価値
(47,015) 47,015 - -
評価
投資有価証券(未公開株式)の売却可能から損益を通じた公
正価値評価 303,742 (303,742) - -
予想信用損失の認識における影響
(2,939,889) 49,113 (158,701) (3,049,477)
金融資産および未実行のエクスポージャー(税引後)
15,994,992 441,132 328,314 16,764,438
2018 年 1月 1日における IFRS 第9号の初度適用による開始残高
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以下は、 IAS 第 39 号に従った当初の測定区分および帳簿価額と、 IFRS 第 9 号による 2018 年1月1日現
在の当グループの金融資産および金融負債の新測定区分との調整表である。
IAS 第 39 号の その他の区分 IAS 第 9 号の
IFRS 第 39 号の分類 IFRS 第 9 号の分類 帳簿価額 への再分類 再測定 ECL の影響 帳簿価額
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
金融資産
現金および中央銀行預け金 貸出金および受取債権 償却原価
138,111,054 - - (278,979) 137,832,075
純損益を通じて公正価値評価される投資 FVTPL FVTPL
19,320,764 2,393,533 - - 21,714,297
銀行および金融機関預け金 貸出金および受取債権 償却原価
13,829,490 - - (27,796) 13,801,694
売戻契約 貸出金および受取債権 償却原価
21,346,974 - - (5,895) 21,341,079
デリバティブ金融商品 FVTPL FVTPL
11,399,432 - - - 11,399,432
貸出金 貸出金および受取債権 償却原価
330,465,888 - - (1,889,336) 328,576,552
非トレーディング投資
満期保有 償却原価
7,075,467 (873,590) 24,138 (63,937) 6,137,940
売却可能-負債 FVOCI 負債
78,984,329 580,683 - - 79,589,150
売却可能-持分 FVOCI 持分
2,328,154 (2,100,626) - - 227,528
その他資産 貸出金および受取債権 償却原価
15,542,116 - - (42,075) 15,500,041
金融資産合計
638,403,668 - 24,138 (2,308,018) 636,119,788
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IAS 第 39 号の IAS 第 9 号の
その他の区分へ
IFRS 第 39 号の分類 IFRS 第 9 号の分類 帳簿価額 の再分類 再測定 ECL の影響 帳簿価額
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
金融負債
銀行および金融機関預り金 償却原価 償却原価
30,576,336 - - - 30,576,336
買戻契約 償却原価 償却原価
37,674,016 - - - 37,674,016
コマーシャルペーパー 償却原価 償却原価
24,124,097 - - - 24,124,097
デリバティブ金融商品 FVTPL FVTPL
14,941,331 - - - 14,941,331
顧客勘定およびその他預金 償却原価 償却原価
395,843,664 - - - 395,843,664
期間借入 償却原価/ FVTPL 償却原価/ FVTPL
42,145,718 - - - 42,145,718
劣後社債 償却原価 償却原価
420,381 - - - 420,381
1
償却原価 償却原価
その他負債 21,033,339 - - 741,459 21,774,798
金融負債合計
566,758,882 - - 741,459 567,500,341
1
未実行のエクスポージャーに関する ECL を含む。
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有価証券報告書
5 財務リスク管理
序論および概要
リスク管理フレームワーク
当グループの主要な目標は、容認されたリスク特性の範囲内でリスクを管理し株主に利益を提供す
ることである。通常の事業活動の過程で、当グループはさまざまなリスクにさらされているが、特
に信用リスク、市場リスク、流動性および資金調達リスク、金利リスク、オペレーショナルリスク
にさらされており、またコンプライアンス・リスク、戦略的リスク、風評リスク、情報セキュリ
ティー・リスクならびに事業継続に関するリスク等のその他リスクにさらされている。安定したリ
スク・ガバナンスおよび所有構造がグループレベルでの効果的な監督およびリスク管理の説明責任
を確実なものにしている。リスク管理の姿勢は、トップである取締役会(以下「 BOD 」という。)
により確立され、明確に定義されたリスク管理構造およびフレームワークを通じて実施される。
取締役会の構成
取締役会(以下「 BOD 」という。)は、当グループの全般的な運営、監督および管理する責任があ
る。当グループの日常的な経営は、取締役会の委員会およびグループ最高経営責任者(以下
「 GCEO 」という。)により遂行される。 BOD は、関連法令および規制構造にしたがって合意したフ
レームワークの範囲内で戦略目標、リスク戦略、コーポレート・ガバナンスおよび企業価値の導入
の承認および監督を含む当グループの全般的な責任を負っている。 BOD は現在9人のメンバーによ
り構成されている。各取締役の任期は、3年間であり翌3年について更新される可能性がある。当
グループの取締役の当行に対する責任同様、当行の子会社の取締役会は、それぞれの企業に対して
同様の受託責任を負っている。
コーポレート・ガバナンス・フレームワーク
当グループは、 BOD および上級経営陣が当グループを管理する規定、プロセスおよび方針を整備す
る包括的なコーポレート・ガバナンス・フレームワークを有している。 BOD は、コーポレート・ガ
バナンス基準の導入を推進しており、その規程に従い、当グループのコーポレート・ガバナンス・
フレームワークを監督する責任を負っていた。当グループのコーポレート・ガバナンス基準は、署
名者に彼らの職務遂行において最高水準の専門性およびデューデリジェンスの義務を負わせる。当
グループの最高リスク管理責任者(以下「 GCRO 」という。)は、コーポレート・フレームワーク文
書の管理者である。
リスク管理構造
BOD は当行、当行の子会社、当行の関連会社および駐在員事務所ならびに海外支店を含む海外事務
所に関するリスク管理計画を承認する。 BOD から委任された権限の下で、取締役会リスク・コンプ
ライアンス委員会(以下「 BRCC 」という。)は、別途招集されるリスク管理会議を通じて、ハイレ
ベルな全社リスク管理方針を策定し、委任されたリスク権限を行使し、リスク管理フレームワーク
および統制の遂行を監督する。 GCRO は構造上、当委員会に報告する。
当グループ内の取締役会レベルの委員会
経営委員会(以下「 BMC 」という。)
BMC は、取締役会の3人のメンバーおよび最高経営責任者により構成されている。 BMC は、取締役会
により承認された戦略に従った当グループの事業プランの実行を監督し、当グループの重要事業の
状況を監督およびレビューを行う。本委員会は、四半期毎に(必要である場合はより頻繁に)開催
される。構成、指針および詳細な担当ならびに責任は、 BMC の規程においてカバーされている。
リスクおよびコンプライアンス委員会(以下「 BRCC 」という。)
BRCC は、 FAB グループの現在および潜在的な将来のリスクならびにコンプライアンスのエクスポー
ジャーに関して、当グループ取締役会に監視とアドバイスを行う。本委員会は、リスク嗜好および
許容度の決定を含めた将来のリスク戦略を検討してその指揮を助け、また当グループ内のリスクお
よびコンプライアンスに対する文化の意識向上を促進する。本委員会は、四半期毎に(必要である
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場合はより頻繁に)開催される。構成、指針および詳細な規定ならびに責任は、 BRCC の規程におい
てカバーされている。
監査委員会(以下「 BAC 」という。)
BAC は BOD の3人のメンバーおよび GCEO により構成されている。 BAC は、内部統制システムの有効性
および財務書類ならびに財務報告の品質および完全性の監視を確保する。加えて本委員会は、内部
監査および外部監査プログラムをレビュー、承認、監視し、内部監査人と外部監査人との調整を確
認する。当グループの最高監査責任者(以下「 GCAO 」という。)は、内部統制について本委員会に
報告を行う。本委員会は、四半期毎に(必要である場合はより頻繁に)開催される。構成、指針お
よび詳細な規定ならびに責任は、監査委員会の規程においてカバーされている。
報酬および指名委員会(以下「 REMCO 」という。)
REMCO は、 BOD の3人のメンバーおよび CEO により構成されている。 REMCO は、取締役の任命および解
任、ならびに当グループの執行委員会メンバーの後継者育成計画の推薦および監督を行う。これに
は彼らが株主および FAB グループの利益となるべくその地位において責任を果たすために必要なス
キル、知識、専門能力を評価することが含まれる。本委員会はまた、 FAB の報酬フレームワークを
レビューの上、取締役会に推奨する。また、報酬案を承認および監督し、それが適切であり当グ
ループの文化、価値、業績およびリスク戦略と一致するということを確認する。本委員会は、少な
くとも1年に2回(必要である場合はより頻繁に)開催される。構成、指針および詳細な規定なら
びに責任は、 REMCO の規程においてカバーされている。
当グループ内の経営陣レベルの委員会
経営委員会は、リスク管理フレームワークを適用する責任がある。 10 の経営委員会の主な役割は、
以下のとおりである。
グループの執行委員会(以下「 EXCO 」という。)
EXCO は、最も上級な経営委員会で、取締役会から委任の下で運営されている。 EXCO は、当グループ
の取締役会または取締役会委員会への上申を要するものか、上申が妥当である事項を特定する責任
がある。当グループの EXCO は、当行の戦略が FAB 取締役会に承認された通りに決定され、また履行
されるよう GCEO を支援する。
本委員会の主たる責務には、当行の戦略、年間予算、資本運営、リスク管理、 FAB のより重要な方
針および手続きに関する決定が含まれる。当グループの EXCO は特定の権限を経営委員会および個人
に委譲することがあるが、当グループの EXCO は戦略、年間予算および構造、財務報告および管理、
資本運営、リスクおよび内部統制、契約、コーポレート・ガバナンス問題、役員報酬および人事方
針、一般的なグループの方針、株主総会ならびにその裁量による通信およびその他の裁量事項を取
り扱う権限を保持する。 EXCO は経営管理チームにより構成されており、グループの CEO が議長を務
める。 EXCO の構成、指針および詳細な規定ならびに責任は、 EXCO の規程においてカバーされてい
る。
コーポレート&インベストメント・バンキング・クレジット委員会(以下「 CIBCC 」という。)
CIBCC は、当グループのコーポレート&インベストメント・バンキング事業の信用戦略および方針
ならびに手続きの策定および導入において EXCO を補佐する。 CIBCC の目的は、当グループの信用お
よび貸付戦略ならびに目標を監督することである。これには、当グループのコーポレート&インベ
ストメント・バンキングのクレジット・エクスポージャーの識別およびこれらのエクスポージャー
に影響を及ぼすトレンドへの対応管理が含まれる。 CIBCC はまた、当グループの信用ポートフォリ
オの質およびパフォーマンスのレビューを補佐し、内部信用リスク、信用方針、ポートフォリオに
対する制限の設定を含む当グループのコーポレート&インベストメント・バンキングのクレジット
機能を監督する。 CIBCC の構成、指針および詳細な規定ならびに責任は、 CIBCC の規程においてカ
バーされている。
パーソナル・バンキング・クレジット委員会(以下「 PBCC 」という。)
PBCC は、パーソナル・バンキング・ビジネスの信用戦略の策定および導入において EXCO を補佐す
る。本委員会は、当グループのパーソナル・バンキング・ビジネスに対する事業戦略の全体的な概
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要を確認するために設立された。本委員会は、信用および貸付戦略を監督し、信用戦略の識別およ
び事業管理ならびに事業に影響を及ぼすトレンドへの戦略的対応を行い、ポートフォリオの質およ
び パフォーマンスをレビューする。また、プロダクトのポートフォリオに対する制限の設定を含む
信用リスク管理機能を監督する。 PBCC の構成、指針および詳細な規定ならびに責任は、 PBCC の規程
においてカバーされている。
グループのリスク委員会(以下「 GRC 」という。)
GRC は、当グループ全体のリスク戦略およびエクスポージャーを監視して、効果的な統合リスク管
理を可能にする。 GRC は、当行の戦略および事業計画を考慮して、当グループのリスク選好および
関連する手法、パラメータ、目標、許容度を定義、策定して定期的にモニタリングしている。 GRC
は、関連事項を当グループの EXCO (必要に応じて BRCC )に報告し、当グループのリスク選好および
フレームワークにおいて必要に応じアドバイスおよび通知する。
グループのコンプライアンス委員会(以下「 GCC 」という。)
GCC は、当行の法令上の責任を監督するという目的の遂行において、取締役会のリスクおよびコン
プライアンス委員会(以下「 BRCC 」という。)を補佐し、また当グループ全般にわたり様々な規制
当局により発行された関連法および規制に対する当行の遵守状況を確認する。本委員会はまた、当
グループの倫理基準を含む(ただしこれに限定されない)関連方針および手続きが当グループ全般
にわたり遵守されていることを監督する。
グループの資産負債管理委員会(以下「 GALCO 」という。)
GALCO は、 BOD および経営委員会の当グループ資産および負債管理(以下「 ALM 」という。)の監督
責任を補佐する。 GALCO は、当グループの資産および負債構成に内在するリスクが当グループの厳
格な方針および手続きならびに適切なリスク選好フレームワークによって慎重に管理されているこ
とにつき、 BRCC に直接報告を行う義務を有している。 GALCO の目標は、貸借対照表の管理計画およ
び戦略、ならびに有効な管理フレームワーク内で適切な流動性を確保しつつ、最適な利益の達成を
主要な目的として、金利リスクおよび流動性リスクの定期的な監督を行うことである。 GALCO の構
成、指針および詳細な規定ならびに責任は、 GALCO の規程においてカバーされている。
人事運営委員会(以下「 HRSC 」という。)
HRSC は、長期的価値を提供するための戦略上および経営上の人事イニシアチブの導入責任に関して
EXCO および REMCO を補佐する。本委員会は、人事イニシアチブならびに方針を議論および承認する
フォーラムを設定する体制が作られている。ここでは、従業員の視点による組織上のニーズが考慮
されるよう、必要に応じて変更を承認し、または関連するガバナンス会議体に承認を求める。本委
員会は、 FAB の従業員全体が求める価値基準(以下「 EVP 」という。)に沿った、すべての重要な人
事イニシアチブの正式なスポンサーとなる。 HRSC の構成、指針および詳細な規定ならびに責任は、
HRSC の規程においてカバーされている。
統合運営委員会(以下「 ISC 」という。)
ISC は、 EXCO から委任された権限の下で任命されており、合併後の統合プロセスに関するすべての
事項について方向性を提示する。 ISC は、合併後のすべての統合方針および手続きの主要な承認機
関であり、すべての下位統合委員会はグループ ISC に対して報告を行う。グループ ISC は、 2 週間ご
とに開催され、 GCEO が議長を務める。 ISC の構成、指針および詳細な規定ならびに責任は、 ISC の規
程においてカバーされている。
グループのオペレーショナルリスク委員会(以下「 GORC 」という。)
GORC は、当行のオペレーショナルリスクの管理、事業継続および情報セキュリティの責任を監督す
るという目的の遂行において当グループのリスク委員会を補佐する。 GORC の責任の範囲には、当行
のオペレーショナル・リスク・プロファイルの特定、測定、管理、報告、および情報セキュリティ
方針および手続き、統合された事業継続管理方針および当行の事業復旧戦略の承認が含まれる。
情報セキュリティ委員会(以下「 ISC 」という。)
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ISC は、当行の情報資産が適切に保護されることを確保するため、 FAB のセキュリティ管理の導入の
監督、レビューおよび意思決定において、取締役会のリスクおよびコンプライアンス委員会および
当グループのリスク委員会を補佐する。本委員会はまた、当行の情報セキュリティ・フレームワー
ク が適切かつ有効であることを確保するための独立した客観性のある統括フォーラムの役割を果た
す。
グループのリスク管理およびコンプライアンス機能
当グループは、 GCRO が主導する中央集約型のリスク管理、コンプライアンス・法務機能を有する。
リスク管理機能は、全社的リスク、信用リスク、オペレーショナルおよび不正リスク管理ユニッ
ト、市場・流動性リスク管理ユニット、情報セキュリティおよび事業継続性管理ユニットからな
る。コンプライアンス機能は、規制コンプライアンス、金融犯罪コンプライアンスおよび事業コン
プライアンス・ユニットからなる。法務機能は、専門的なユニットを通じて事業および補助機能を
サポートし、当グループのコーポレート・ガバナンス機能も含む。
全社的リスク管理方針のフレームワーク
FAB の全社的リスク管理方針(以下「 ERMP 」という)のフレームワークは、コアバリューの達成お
よび国内外支店、子会社、関連会社、外国の駐在員事務所を含む FAB 全体に対して全社的リスク管
理のフレームワークを確立することにより、すべての株主に対してリスク調整後利益を最大化する
世界的な組織になることを目標にしている。 ERMP のコア目標は、 FAB のコア目的の達成を脅かすリ
スクを有効な統合リスク管理システムを通して識別、測定、モニタリングおよび管理しているとい
う合理的な保証を BOD に提供することである。 ERMP のフレームワークは、 FAB 全体のすべての重要な
リスクをカバーする特定の方針文書からなる。それには、 ERM 方針、リスク選好方針、コーポレー
ト&インベストメント・バンキング信用方針、パーソナル・バンキング信用方針、市場リスク基本
方針および関連する業務方針、流動性リスク方針、金利リスク方針、オペレーショナルリスク方
針、不正リスク方針、コンプライアンス・リスク方針、 AML および制裁方針、 IT および情報セキュ
リティー・リスク方針、 BCM 方針、内部自己資本充実度評価プロセス(以下「 ICAAP 」という。)方
針、新プロダクト承認方針、モデル・ガバナンス方針等が含まれる。当グループは、必要な場合に
はこれらのリスク管理方針に加えて詳細なオペレーショナル方針、手続きおよびプログラムを導入
している。風評リスクおよび戦略リスク等のその他関連リスクは、 ERM 方針においてカバーされて
いる。
FAB は、事業ユニット、管理ユニットおよび内部監査からなる3つの防衛ラインを用いてリスクを
管理している。1番目のリスク防衛ラインである事業ユニットは、取引がグループのリスク選好の
範囲内にあり関連する内部規定やプロセスのすべてに準拠していることを確認することで日常的な
取引におけるリスクの識別と管理を行っている。2番目の防衛ラインである当グループのグルー
プ・クレジット管理部、グループ・リスク管理部および法務・コンプライアンス部は、規定および
プロセスからなるリスクコントロールを確立する一方で、1つ目の防衛ラインに対するモニタリン
グおよび独立した立場から検査を行っている。当グループの最高リスク管理責任者(以下「 GCRO 」
という。)は、当グループのリスク管理部の事業部署からの独立性を確保するために、 BRCC への直
接の報告ラインを有している。3番目の防衛ラインである内部監査は経営陣および取締役会に対し
て1番目および2番目の防衛ラインで採用されたリスク管理実務の有効性に対する保証を提供す
る。当グループの最高監査責任者は、取締役会による監査委員会への直接の報告ラインを有してい
る。
(a) 信用リスク
信用リスクは、顧客や金融資産の取引相手が契約上の義務を履行せず、これにより当グループが財
務上の損失を被るリスクである。信用リスクは主に当グループの貸出金、銀行および金融機関預け
金、売戻契約および非トレーディング債券投資、デリバティブ金融商品ならびに特定のその他資産
から生じる。
信用リスクの管理
FAB グループにおける信用リスクの識別および評価は、3つの防衛レベルからなる包括的な方法で
行われる。1番目の防衛レベルは、事業ユニットにあり、承認された事業戦略および信用リスク選
好にしたがって資産の信用力を健全に維持する責任を負う。2番目の防衛レベルは、顧客・信用供
与枠レベルでリスクを評価するグループの信用ユニットにあり、ポートフォリオ・ベースの信用リ
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スクを評価し、最新の信用リスク方針ならびに信用リスクの格付モデルを維持する当グループのリ
スク管理ユニットとともに顧客、信用供与枠および保証文書の適切な文書化を確認する。3番目の
防 衛レベルである内部監査は、当グループの方針および手続きへの準拠性をチェックするために信
用分析およびリスク機能の定期的なレビューを行う。当該ユニットはまた、定期的に方針文書を見
直す。
信用リスクのモニタリングおよびコントロール・フレームワークの一部として、個別ならびにポー
トフォリオ・レベルの定期的なリスク・モニタリングが、信用度、プロビジョニング・レベル、複
数の範囲にわたるエクスポージャー・リミット、財務上および運用上の業績、アカウント管理、
ファンドの最終用途、信用リスク軽減の妥当性、財務および非財務制限条項の順守、回収能力、格
付システムにおける実績等を含む一部のパラメータに従って行われる。
当グループは、信用供与枠レベルでエクスポージャーの信用リスクを軽減するために、承認された
第三者の保証/保険を含む有形および実現可能保証という安全策による信用リスク軽減フレーム
ワークを設定している。信用リスク軽減(以下「 CRM 」という。)の種類には、ネッティング契
約、担保、保証、信用デリバティブ、スタンドバイ信用状(以下「 SBLC 」という。)およびコン
フォート・レターが含まれる。当グループは、担保付取引の際に用いられた文書、オンおよびオフ
バランスシートのネッティング、保証、信用デリバティブならびに担保文書は、すべての当事者に
対して拘束力があり関連するすべての管轄において法的に強制可能であることを確認する。当グ
ループはまた、すべての文書が適切な機関にレビューされ、法的強制力を立証および保証するため
の適切な法律意見を得ていることを確かめる。また一定の場合には信用リスク軽減のために取引の
手仕舞いをするか、他の取引相手に信用リスクを譲渡する。
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信用の質の分析
以下の表は、償却原価で評価される金融資産、 FVOCI 債券投資( 2018 年)および売却可能債券資産( 2017 年)の信用の質に関する情報を示してい
る。金融資産に関して、特に記載のない限り、表の金額は総額の帳簿価額を表示している。ローン・コミットメントおよび金融保証契約につい
て、表の金額はコミットまたは保証している金額を示している。
減損した信用の購入または当初から
4
ステージ1 ステージ2 ステージ3 減損していた信用 合計
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
2018 年 12 月 31 日現在 エクスポージャー 引当金 エクスポージャー 引当金 エクスポージャー 引当金 エクスポージャー 引当金 エクスポージャー 引当金
中央銀行預け金 176,630,171 26,142
4,838,929 230,651 - - - - 181,469,100 256,793
銀行および金融機関預け金 18,540,275 19,658
685,973 30,498 - - - - 19,226,248 50,156
売戻契約 19,048,807 15,356
- - - - - - 19,048,807 15,356
1
貸出金 336,129,675 1,507,539
17,228,374 4,063,427 8,894,605 4,682,146 4,803,837 1,630,136 367,056,491 11,883,248
非トレーディング投資
償却原価 5,630,295 2,736
- - - - - - 5,630,295 2,736
2
FVOCI 債券 84,319,951 42,586
24,658 1,498 - - - - 84,344,609 44,084
3
その他資産 12,110,664 102,321
425,367 1,568 - - - - 12,536,031 103,889
未実行のエクスポージャー 205,202,317 121,991 5,104,229 153,389 488,030 137,568 - - 210,794,576 412,948
857,612,155 1,838,329
28,307,530 4,481,031 9,382,635 4,819,714 4,803,837 1,630,136 900,106,157 12,769,210
1
エクスポージャーは貸出金総額を表している。
2
FVOCI として分類された金融商品に対する引当金は公正価値準備金と相殺されている。
3
その他の資産に含まれている特定の資産については、 ECL は簡易アプローチに基づいて計算され、ステージ1の一部として報告されている。
4
信用の質に関する内部の見解により、当グループは、 4,572 百万ディルハムを不良貸出金とみなしている。
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減損した信用の購入または当初から
4
ステージ1 ステージ2 ステージ3 減損していた信用 合計
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
2018 年1月1日開始残高 エクスポージャー 引当金 エクスポージャー 引当金 エクスポージャー 引当金 エクスポージャー 引当金 エクスポージャー 引当金
中央銀行預け金 130,830,533 23,757
5,502,359 255,222 - - - - 136,332,892 278,979
銀行および金融機関預け金 13,350,927 6,716
478,563 21,080 - - - - 13,829,490 27,796
売戻契約 21,346,974 5,895
- - - - - - 21,346,974 5,895
1
貸出金 310,729,079 1,849,288
21,602,034 5,734,822 7,023,405 4,643,719 5,734,540 2,383,559 345,089,058 14,611,388
非トレーディング投資
償却原価 6,086,877 5,123
115,000 58,814 - - - - 6,201,877 63,937
2
FVOCI 債券 79,562,572 47,067
26,535 2,046 - - - - 79,589,107 49,113
3
その他資産 10,932,092 49,019
331,545 431 113 48 - - 11,263,750 49,498
未実行のエクスポージャー 188,454,138 206,352 6,599,105 333,156 368,148 201,951 - - 195,421,391 741,459
761,293,192 2,193,217
34,655,141 6,405,571 7,391,666 4,845,718 5,734,540 2,383,559 809,074,539 15,828,065
1
エクスポージャーは貸出金の総額を表している。
2
FVOCI として分類された金融商品に対する引当金は公正価値準備金と相殺されている。
3
その他の資産に含まれている特定の資産については、 ECI は簡易アプローチに基づき計算され、ステージ1の一部として報告されている。
4
信用の質に関する内部の見解により、当グループは、 5,469 百万ディルハムを不良貸出金とみなしている。
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外部格付に基づく投資の分類
非トレーディング投資 純損益を通じて公正価値評価される投資
2018 年 2017 年 2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
AAA 14,156,082 13,736,429 16,562 93,281
AA から A 58,732,451 55,568,380 7,327,891 12,451,229
BBB から B 14,650,910 14,561,101 3,981,306 5,924,467
CCC 以下 20,780 26,535 21 27
未格付 2,876,087 4,565,265 3,295,130 851,760
90,436,310 88,457,710 14,620,910 19,320,764
未格付投資は、主にプライベート・エクイティ・ファンドへの投資および信用リスクの対象外であ
る株式への投資で構成されている。純損益を通じて公正価値評価される投資は、延滞も減損もして
いないものである。
保有担保およびその他の信用補完
当グループは、信用供与枠レベルでエクスポージャーの信用リスクを軽減するために、承認された
第三者の保証/保険を含む有形および実現可能保証という安全策による信用リスク軽減フレーム
ワークを設定している。信用リスクの軽減(以下「 CRM 」という。)の種類には、ネッティング契
約、担保、保証、信用デリバティブ、スタンドバイ信用状(以下「 SBLC 」という。)およびコン
フォート・レターが含まれる。当グループは、担保取引の際に使用され、オンおよびオフバランス
シートのネッティング、保証、信用デリバティブならびに担保を記録したすべての文書は、すべて
の当事者に対して拘束力があり、関連するすべての管轄において法的に強制可能であることを確保
する。当グループはまた、すべての文書が適切な機関にレビューされ、法的強制力を立証および保
証するための適切な法律意見を得ていることを確かめる。また一定の場合には信用リスク軽減のた
めに取引の手仕舞いをするか、他の取引相手に信用リスクを譲渡する。
当グループは、特定の信用エクスポージャーに対して担保およびその他の信用補完を保有してい
る。信用減損した貸出金に対する担保の範囲(ヘアカット適用後)の見積額は以下に示すとおりで
ある。
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
担保価値比率
0-50 % 8,182,041 6,910,733
51-100 % 3,930,396 3,955,521
1,353,911 1,625,901
100 %以上
信用減損貸出金の総額の合計
13,466,348 12,492,155
当グループの方針は、秩序だった方法で適時に担保を処分することである。当グループは通常、自
社の業務に関して現金以外の担保を利用しない。
当グループは、 2017 年および 2018 年において担保のうちの相当額を回収しなかったとしても、権利
の維持は、当グループの信用減損貸出金の条件緩和および清算の一助となっている。
デリバティブ、買戻契約・売戻契約および証券借入
当グループは、マスター・ネッティング契約を締結し、現金および市場性のある有価証券の形式で
担保を取ることにより、デリバティブ、買戻契約・売戻契約、証券借入の信用リスクを軽減してい
る。
デリバティブ取引は、決済機関(以下「 CCP 」という。)を通じて取引所で取引されるか、国際ス
ワップデリバティブ協会(以下「 ISDA 」という。)のマスター契約を締結して取引される。通常、
これらの契約に基づき、特定の状況下において(債務不履行などの信用事象が生じた場合など)、
取引相手との本契約に基づく取引残高は全額清算され、清算価値は取引相手の管轄地域における相
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殺規則に従った決済金額(未払額または支払額)で評価される。当グループは通常、 ISDA 契約と一
緒に信用補完契約を締結し、この契約により当グループおよび取引相手は、取引相手の信用リスク
を 軽減するために担保の受渡しが要求される。また担保は、取引所で取引されるデリバティブに関
して、 CCP との間で日々受渡しされる。
顧客に対する貸出金
法人顧客の一般的な信用状況は、当該顧客に供した貸出金の信用の質に関連して最も適合性のある
指標となる傾向がある。しかしながら、担保は追加的な保証を提供することから、当グループは通
常法人顧客に担保の提供を要請する。当グループは、不動産に対する第一抵当、法人の資産全部に
対する浮動担保およびその他の担保権(リーエン)、保証の形式で担保を受け取ることがある。
法人顧客について当グループは信用状況を重視しているため、当グループは法人顧客の貸出金に対
して保有する担保のすべてについて定期的な担保評価を更新してはいない。貸出金が監視リストに
掲載されてより注意深い監視が行われるようになる時には、担保評価が更新される。信用減損貸出
金に関して、当グループは担保の鑑定書を入手するが、これは担保の鑑定書が経営陣の信用リスク
への対応を判断するための情報となるためである。
ECL から生じる金額
減損を見積もるために用いられるインプット、仮定および技術
会計方針3(c)(ⅶ)を参照。
信用リスクの著しい増大
金融商品の債務不履行リスクが、当初認識以降著しく増大しているかどうかを判断する場合、当グ
ループは、目的適合性があり、過度なコストや労力を掛けずに利用可能で合理的かつ裏付け可能な
情報を考慮する。これには、当グループの過去の実績および専門的な信用評価に基づく定量的およ
び定性的な情報の両方ならびに分析が含まれ、また将来を考慮した情報も含まれる。
この評価の目的は、以下を比較することで、エクスポージャーについて信用リスクが著しく増大し
ているか否かを特定することである。
・ 報告日現在における残存期間のデフォルト確率( PD )
・ エクスポージャーの当初認識時に見積もられたその時点における全期間 PD
リテール・ポートフォリオに関しては、信用リスクの著しい増大について判断するために当該エク
スポージャーの過去の返済行動が評価される。
PD の推移に基づく定量的なテストに加えて、当グループは、モデル化された ECL の算定では捉えら
れない要因から予想される影響を織り込むために、過去の与信判断も適用する。
信用リスクのグレード
当グループは、債務不履行リスクの予兆と判断される様々なデータに基づき、経験に基づく与信判
断を適用して各法人のエクスポージャーを信用リスクのグレードに割当てる。信用リスクのグレー
ドは、債務不履行リスクを示す定性的、定量的な要素を用いて定義される。これらの要素は、エク
スポージャーの内容および借手の種類により異なる。
信用リスクのグレードは、信用リスクの悪化につれて債務不履行の発生が急激に増加するように定
義および調整される。例えば、債務不履行リスクについて、信用リスクのグレード1と2との間の
差は信用リスクのグレード2と3の差よりも小さい。
各エクスポージャーは、借手について入手可能な情報に基づき当初認識時点の信用リスクのグレー
ドが割り当てられる。 エクスポージャー は継続的なモニタリングの対象となっているため、別の信
用リスクのグレードに移ることがある。
信用リスクの著しい増大の有無の判断
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当グループは、各報告日において、信用リスクが当初認識以降著しく増大したかどうかを評価して
いる。信用リスクの増大が著しいかどうかは、金融商品および借手の特徴、ならびに地域に依る。
何 が重大とみなされるかは、貸出の種類により異なるが、特に法人とリテールとの間では異なる。
信用リスクはまた、当グループの信用リスク管理におけるプロセスとリンクする定性的要因に基づ
いて、当初認識後に増大したとみなされることがあるが、これはそうでない場合に、適時の定量的
分析では完全に反映されないものである。監視リストへの記載など、特定の高リスク要件に該当す
るエクスポージャーがこれに当たる。このような定性的要因は専門的な判断および関連する過去の
経験に基づく。
当初認識と比較して信用リスクはもはや著しく増大していないという証拠がある場合、商品に関す
る損失引当金は 12 か月の ECL の測定に戻される。延滞または猶予などの信用リスクの増加に関する
定性的指標は、兆候そのものが存在しなくなった後も継続する債務不履行リスクの増大を示すこと
がある。こうした場合、当グループは、適切な行動が金融資産に対する信用リスクの十分な低下の
証拠となることの証明に要する猶予期間を決定する。貸出金の契約条件が修正された場合、全期間
ECL の認識基準にもはや該当しないという証拠には、修正後の契約条件に基づく最新の支払実績が
含まれる。
デフォルトの定義
当グループは、以下の場合に金融資産がデフォルトしているとみなす。
・ 担保の処分(担保を保有する場合)など当グループによるリコース請求に依らずに、借手が当
グループに対する債務を全額支払う可能性が低い
・ リテールに関しては、信用枠または当グループに対する重要な債務を 90 日超延滞している
・ 顧客が所定の限度額を違反した、または所定の限度額が現在の未払残高よりも小さい場合、当
座借越は延滞しているとみなされる
金融商品がデフォルトとなったかどうかの評価のためのインプットおよびその重要性は、状況の変
化を反映して時間と共に変化する。デフォルトの定義は、規制資本の目的で当グループが適用する
ものとほぼ一致する(5(e)を参照)。
将来予測的な情報の取り込み
当グループは、商品の信用リスクが当初認識以降著しく増大したかどうかの評価および ECL の測定
の両方について、将来を考慮した情報を取り込んでいる。
当グループは、3つの経済シナリオを策定している。基本シナリオは発生確率 40 %を想定した中心
的なシナリオ、また、これより発生可能性の低い2つのシナリオがあり、ひとつは上方シナリオで
もうひとつは下方シナリオでそれぞれ発生確率 30 %が想定されている。考慮される外部情報には、
当グループが事業を行う国々の政府機関および金融当局、 OECD および国際通貨基金などの国際機
関、ならびに民間セクターおよび大学機関から選んだ専門家が発表する経済データおよび予測が含
まれる。
当グループは金融商品の各ポートフォリオに関する信用リスクおよび信用損失の重要要素を特定し
て文書化しており、過去データの分析により、マクロ経済変数と信用リスクおよび信用損失の関係
を見積もっている。
2018 年 12 月 31 日現在で用いられた経済シナリオには、 2019 年から 2023 年 12 月 31 日に終了する年に関
する以下の主要な指標が含まれる。
1,2
地域
マクロ変数 シナリオ 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年 2023 年
湾岸諸国
石油価格 基本 -2.16% -7.01% -2.74% 0.88% 1.23%
上方 20.34% -2.20% -3.88% -1.03% -0.41%
下方 -28.69% -12.55% 4.47% 10.23% 6.98%
UAE 株式指数 基本 22.77% 8.80% 6.80% 6.55% 7.56%
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上方 28.97% 10.47% 15.35% 8.85% 8.48%
下方 6.58% 13.33% 1.52% 1.27% 3.75%
英国
英国株式指数 基本 -8.82% -2.63% 9.10% 5.14% 3.21%
上方 -3.63% 0.67% 5.35% 3.04% 2.87%
下方 -23.43% 2.35% 12.52% 9.01% 4.76%
英国 GDP 基本 1.54% 1.43% 1.67% 1.78% 1.74%
上方 3.10% 2.95% 1.95% 1.63% 1.53%
下方 -1.06% -0.54% 1.77% 2.37% 1.96%
(1)期間中の平均年換算の増減を表している。
(2)その他の地域では、各市場にとって適切な追加のマクロ変数要素が用いられている。
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条件変更された金融資産
貸出金の契約条件は多くの理由で変更されることがあるが、それには市況の変化、顧客の維持、顧
客の現在の信用の悪化またはその可能性とは関係のないその他の要因が含まれる。注記3(c)
( iv )に記載された会計方針に準拠して、契約条件が変更された既存の貸出金は認識を中止され、
再交渉後の貸出金が新規貸出金として公正価値で認識されることがある。
金融資産の契約条件が変更されたが、変更により認識が中止されない場合は、当該資産の信用リス
クが著しく増大したかどうかの判断は、以下を比較することで行われる。
・ 変更後の契約条件に基づく、報告日現在の残存する全期間の PD
・ 当初認識時のデータおよび当初の契約条件に基づき見積もられた残存する全期間 PD
当グループは、財政難にある顧客に対する貸出金を再交渉すること(「猶予活動」と言及される)
により、回収の機会を最大化して債務不履行リスクを最低限に抑える。当グループの猶予の方針に
より、貸出金の猶予は、債務者が現在その債務不履行であるか、または、高い債務不履行リスクが
あり、債務者が当初の契約条件による支払をするための合理的な努力をすべて行った証拠があり、
債務者が変更後の契約条件を満たすことが予想できる場合において、選択的に認められる。
通常、変更後の契約条件には、満期の延長、利払いの時期の変更、貸出金の遵守条項の改訂が含ま
れる。リテールおよび法人向け貸出金の両方が猶予方針の対象となる。当グループのクレジット委
員会は、猶予活動に関する報告書を定期的にレビューしている。
当グループの猶予方針の一環として変更された金融資産に関する PD の見積りには、変更により当グ
ループの元利金の回収可能性が改善または復旧したかどうかについて、また類似の猶予活動に関す
る当グループの過去の経験を反映している。このプロセスの一部として、当グループは、変更後の
契約条件に対する借手の返済実績を評価して、様々な行動指標を考慮する。
一般的に、猶予は信用リスクの著しい増大の定性的な兆候であり、猶予の予想はエクスポージャー
に信用減損があることの証拠となる(注記3(c)(ⅶ)を参照)。顧客は、エクスポージャーに
信用減損/債務不履行はないとみなされるまで、あるいは PD をが低下したために損失引当金がス
テージ1と同等の金額での測定に戻るまでの期間にわたり、良好な返済行動を一貫して証明する必
要がある。
条件が再交渉された貸付金
条件が再交渉された貸付金は、借手の財務状態が悪化し当グループが当該財務状況の悪化がなけれ
ば検討することのない重要な譲歩をしていることによりリストラクチャリングされた貸付金であ
る。貸付金がリストラクチャリングされた場合、リストラクチャリング契約に基づいた履行につい
て十分な記録を得るために最低 12 か月間はこの区分として扱われる。この 12 か月間の期間につい
て、当グループは、再編の合意の締結日より開始すると決定している。報告日において、当グルー
プは以下のエクスポージャーについて貸付条件を再交渉している。
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
条件が再交渉された貸付金
7,322,938 6,308,292
帳簿価額総額
減損金額
2,719,912 1,815,476
減損引当金( ECL /個別引当金)
3,008,807 705,482
ECL の測定
ECL 測定のための主なインプットは以下の通りである。
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・ デフォルト確率(以下「 PD 」という。)
・ デフォルト時損失率(以下「 LGD 」という。)
・ デフォルト時エクスポージャー(以下「 EAD 」という。)
全期間における PD は、満期プロファイルに基づき決定される。満期プロファイルでは、デフォルト
が、貸出金の残存期間全体を通じて、どのようにポートフォリオで進行するかが検討される。満期
プロファイルは過去の客観的データに基づく。
LGD は、デフォルトが発生した場合に可能性のある損失の大きさである。当グループは、現在の担
保、取引先の業界、カントリーリスク、金融資産にとって不可欠な回収費用に基づき、 LGD の期間
構造を見積もる。 LGD の見積りは、石油価格、株式指数、その他のパラメータを織り込んだ異なる
経済シナリオに合わせて再調整される。
EAD は、デフォルト時の予想エクスポージャーを表す。当グループは、取引相手に対する現在のエ
クスポージャーおよび契約の下で認められる償却によって生じる現在の残高の変動可能性から EAD
を導き出す。金融資産の EAD はデフォルト時の帳簿価額総額である。貸出コミットメントに関して
は、 EAD は契約に基づき引き出し可能な将来の金額であり、それは過去の観察および将来の予測に
基づき見積もられる。金融保証に関しては、 EAD は、金融保証が支払われる場合の保証額のエクス
ポージャー金額を表す。いくつかの金融資産に関して、 EAD は統計的手法を用いて様々な時点にお
いて可能性のあるエクスポージャーの範囲をモデル化することにより算定される。
上記の通り、またステージ1の金融資産に関しては最大 12 か月を条件として、当グループが、信用
リスク管理の目的でより長い期間を考慮するとしても、信用リスクにさらされることになる契約の
最長期間(借手の延長オプションを含む)にわたるデフォルト・リスクを考慮して ECL を測定す
る。契約の最長期間は、当グループが早期の返済を要求するか、貸出コミットメントまたは保証を
終了させる権利を有する日まで延長される。
ただし、貸出金と未実行のコミットメントの両方で構成されるクレジットカード信用枠に関して
は、返済請求または未実行のコミットメントを終了できる当グループの契約上の権利により、契約
上の通知期間までは信用損失に対する当グループのエクスポージャーが制限されない場合、当グ
ループは最長契約期間よりも長い期間で ECL を測定する。当グループは直ちにこれを解約できるが
この契約上の権利は通常の日々の管理では強制できず、当グループが信用供与枠レベルで信用リス
クの増加に気付いた場合に限り行使できる。このより長い期間は、当グループが講じることが予想
される ECL を軽減するための信用リスク管理業務を考慮して見積もられる。これらには、限度額の
引き下げ、信用供与枠の解約および/または返済条件を固定する貸出金に残高を変換することが含
まれる。
パラメータのモデル化が集合的に実施される場合、金融商品は、以下を含む、共有リスク特性に基
づきグループ化される。
・ 商品の種類
・ 担保の種類
・ リテールの住宅ローンに関する LTV 比率
・ 当初認識日
・ 満期までの残存期間
・ 業種
・ 借手の地域
グルーピングは、特定グループ内のエクスポージャーが均質であることを確認するための定期レ
ビューの対象となっている。
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損失引当金
以下の表は、損失引当金について金融商品のクラスごとに期首残高から期末残高までの調整を表示
している。 2017 年の比較数値は、 IAS 第 39 号に基づく測定基準を反映した信用損失引当金の金額を
表示している。
減損した信用の
1
ステージ1 ステージ2 ステージ3 購入 2018 年合計 2017 年
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
期首 8,146,848 - 4,581,263 - 12,728,111 4,468,060
買収およびその他調整による
増加 - - - - - 8,919,060
会計方針の変更による影響 - - - - - 325,260
(5,953,631) 6,405,571 265,455 2,383,559 3,099,954 -
IFRS 第9号の適用による影響
2,193,217 6,405,571 4,845,718 2,383,559 15,828,065 13,712,380
振替:
ステージ1からステージ2へ
の振替 (129,413) 129,413 - - - -
ステージ1からステージ3へ
の振替 (152,427) - 152,427 - - -
ステージ2からステージ1へ
の振替 141,307 (141,307) - - - -
ステージ2からステージ3への
振替 - (2,533,498) 2,535,498 - - -
ステージ3からステージ2への
振替 - 177,075 (177,075) - - -
ステージ3からステージ1への
10,423 - (10,423) - - -
振替
(130,110) (2,370,317) 2,500,427 - - -
引当金の変動による影響 (188,697) 657,932 1,708,792 (364,204) 1,813,823 2,362,297
(36,081) (212,155) (4,235,222) (389,220) (4,872,678) (3,346,566)
償却およびその他の調整
1,838,329 4,481,031 4,819,715 1,630,135 12,769,210 12,728,111
1
その他の資産に含まれている特定の資産については、 ECL は簡易アプローチに基づいて計算され、ステージ1の一部として報告されて
いる。
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担保およびその他信用強化を考慮しない信用リスクに対する最大エクスポージャー
以下の表は、デリバティブを含む貸借対照表の構成要素の信用リスクに対する最大エクスポー
ジャーを表示している。最大エクスポージャーは、マスター・ネッティング契約および担保契約の
使用による軽減効果前の総額で表示されている。
最大エクスポージャー総 最大エクスポージャー総
額 額
2018 年 2017 年
注記 千ディルハム 千ディルハム
中央銀行預け金 8 181,469,100 136,332,892
純損益を通じて公正価値評価される投資 9 11,679,960 18,761,276
銀行および金融機関預け金 10 19,226,248 13,829,490
売戻契約 11 19,048,807 21,346,974
貸出金 12 367,056,491 345,089,058
非トレーディング投資 13 90,371,169 86,057,723
20,484,753 15,542,116
その他資産
709,336,528 636,959,529
合計
売買目的保有デリバティブ 39 11,258,237 10,874,605
39 1,825,955 524,827
ヘッジ目的保有デリバティブ
13,084,192 11,399,432
合計
偶発債務 38 165,134,974 152,437,597
38 45,659,602 42,983,794
コミットメント
210,794,576 195,421,391
合計
933,215,296 843,780,352
信用リスクのエクスポージャー合計
金融商品が公正価値で計上されている場合、上記金額は、価値の変動の結果により将来発生する最
大リスクエクスポージャーではなく現在の信用リスクのエクスポージャーを表示している。
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当グループは、産業部門、取引相手および所在地毎に信用リスクの集中度をモニタリングしてい
る。報告日における信用リスクの集中に関する分析は以下に示すとおりである。
産業部門別集中度
貸出金 投資 売戻契約 未実行の貸出コミットメント
2018 年 2017 年 2018 年 2017 年 2018 年 2017 年 2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
農業 313,175 435,808
- - - - - -
エネルギー 35,074,356 24,225,459
14,134,203 13,169,794 - - 7,718,901 7,510,896
製造 23,949,920 20,178,714
271,889 392,044 - - 5,704,950 4,653,908
建設 8,727,362 12,034,840
151,922 72,941 - - 834,848 952,194
不動産 97,328,365 90,530,386
1,484,402 750,167 - - 7,514,438 13,361,067
貿易 22,882,591 22,877,522
88,183 126,687 - - 2,686,769 2,170,578
運輸および通信 25,337,423 26,421,661
4,738,702 5,077,269 - - 3,702,437 5,196,425
銀行 28,472,001 21,099,155
24,343,036 26,090,385 17,467,876 17,970,093 - 667,569
その他金融機関 28,844,388 26,641,128
15,386,871 17,883,900 1,580,931 3,376,881 3,718,900 2,709,145
サービス 22,351,610 24,228,514
140,337 485,699 - - 6,187,837 2,185,704
政府 5,780,419 5,006,234
44,317,675 43,354,376 - - 6,610,027 1,159,921
個人 -ローンおよび
クレジットカー
ド
55,661,533 58,363,714 - - - - 980,495 1,754,283
個人 -リテールの住
宅ローン
11,890,287 12,857,601 - - - - -
その他 443,061 188,322 - 375,212 - - - 662,104
367,056,491 345,089,058
105,057,220 107,778,474 19,048,807 21,346,974 45,659,602 42,983,794
上記の数値は総額ベースで表示されており、引当金または利息の未計上分(該当する場合)に関す
る調整は行われていない。
投資に含まれる持分金融商品は信用リスクが適用されない。
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所在地別集中度
UAE 欧州 アラブ諸国 南北アメリカ アジア その他 合計
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
2018 年 12 月 31 日現在
現金および中央銀行預け金
47,026,895 72,551,134 6,508,746 57,009,376 69,369 - 183,165,520
純損益を通じて
公正価値評価される投資
6,769,352 1,768,902 2,606,908 1,234,093 1,943,808 297,847 14,620,910
銀行および金融機関預け金
1,498,500 8,045,846 3,931,969 4,762,883 430,776 556,274 19,226,248
売戻契約
3,443,738 9,302,435 5,604,980 - 146,704 550,950 19,048,807
デリバティブ金融商品
1,726,108 8,975,904 962,168 115,023 1,302,345 2,644 13,084,192
貸出金
230,883,881 40,954,112 29,518,809 29,948,854 31,483,051 4,267,784 367,056,491
31,920,824 17,602,295 15,668,070 10,700,661 13,689,257 855,203 90,436,310
非トレーディング投資
323,269,298 159,200,628 64,801,650 103,770,890 49,065,310 6,530,702 706,638,478
2017 年 12 月 31 日現在
現金および中央銀行預け金
41,841,692 57,579,526 7,174,336 31,450,850 64,650 - 138,111,054
純損益を通じて
公正価値評価される投資
6,357,372 2,007,556 4,327,245 163,758 6,359,273 105,560 19,320,764
銀行および金融機関預り金
159,496 10,394,394 1,630,653 765,592 805,596 73,759 13,829,490
売戻契約
2,631,845 14,204,929 3,198,329 143,116 801,455 367,300 21,346,974
デリバティブ金融商品
2,099,778 7,527,951 1,060,508 59,158 616,860 35,177 11,399,432
貸出金
225,405,728 41,443,951 26,839,708 26,629,511 21,368,849 3,401,312 345,089,059
32,994,218 16,035,290 15,681,376 11,951,579 11,084,991 710,256 88,457,710
非トレーディング投資
311,490,129 149,193,597 59,912,155 71,163,564 41,101,674 4,693,364 637,554,483
投資に関する所在地別集中度は、有価証券の発行体の所在地に基づき測定されている。その他すべ
てに関する所在地別集中度は、借手の居住状況に基づき測定されている。上記の数値は総額ベース
で表示されており、引当金または利息の未計上分(該当する場合)に関する調整は行われていな
い。未実行のコミットメントの所在地別集中度は、本連結財務書類の注記 38 に記載されている。
取引相手別の投資の分類
非トレーディング投資 純損益を通じて公正価値評価される投資
2018 年 2017 年 2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
政府部門 41,637,190 38,956,577 2,680,485 4,397,799
国際機関 2,504,208 3,180,983 810,394 915,279
公共部門 22,515,092 23,521,158 1,251,552 2,287,703
銀行部門 17,552,792 15,019,621 6,790,244 11,070,764
企業部門 / 民間部門 6,227,028 7,779,371 3,088,235 649,219
90,436,310 88,457,710 14,620,910 19,320,764
控除:償却原価の有価証券
に関する減損引当金(予
(2,736) -
想信用損失)
90,433,574 88,457,710 14,620,910 19,320,764
決済リスク
当グループの業務によっては取引の決済時にリスクが生じる場合がある。決済リスクは、取引相手
が現金、有価証券またはその他資産の引渡義務を約定どおりに履行しないことによる損失のリスク
である。決済遅延は稀であり、モニタリングされている。
デリバティブ関連の信用リスク
デリバティブ金融商品に関する信用リスクは、取引相手が契約に基づく義務を履行しない可能性か
ら生じるリスクで、信用リスクにさらされている金額は当グループにとって有利な状況にある金融
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商品のプラスの市場価格に限定される。また、プラスの市場価格が「リプレースメントコスト」と
称される場合があるが、これはリプレースメントコストが、取引相手に不履行があった場合に市場
実 勢金利による取引に置換するコストの見積りであるためである。当グループのデリバティブ契約
の大半は、他の銀行および金融機関と締結されたものである。
(b) 流動性リスク
流動性リスクは支払義務が到来した際に当グループがその義務を充足できない、または必要以上の
コストをもってのみ義務の履行が可能となるリスクと定義される。
流動性リスクは、資産および負債(デリバティブおよびその他のオフバランスシート契約を含む)
からのキャッシュ・フローが、通貨、数量および期間につきマッチングしないことから生じる。
FAB は、通常通りの業務およびストレス状況下の双方において、すべての負債が支払期限到来時に
不当なコストを要せずに充足可能であることを確認する。
流動性リスクの管理
当グループは、流動性リスク選好を、すべての予見可能な状況においてまた大幅な追加コストを生
ずることなく、充分な現金または現金同等物をもって連続する3か月間の支払義務の履行を可能に
する流動性リスクポジションを当グループが維持できる水準と定義した。このリスク選好は、包括
的なリスク管理フレームワーク(当グループの ALCO が、主要な資金調達および流動性指標の限度、
ストレス・テストならびに緊急資金調達計画を承認することを含む)により裏付けられている。
また、流動性リスク選好は、国内外の規制監督当局による現行のおよび提案中の流動性規制への継
続的な準拠を確実にする水準で定められ、当グループの外部信用格付の目標を支援するように整合
している。
現存の世界的な規制において適切な流動性を測定する重要な手段のひとつとして流動性カバレッジ
比率(以下「 LCR 」という。)がある。 FAB では、バーゼル Ⅲ が求めている流動性カバレッジ比率
( LCR )値を相当期間にわたって内部報告しており、バーゼル Ⅲ の定性的および定量的要件のすべ
てに準拠するためのシステムおよび統制の枠組の整備を確認するための投資を重点的に実施してい
る。さらに、当グループは UAE 中央銀行の適格流動資産比率(以下「 ELAR 」という。)に係る流動
性規制に準拠していることを確認する。
流動性の限度はグループレベルで定義されるが、当グループが定義されたグループ流動性リスク選
好に確実に準拠するよう、各組織にわたり配分される。同様に国際的な限度は、流動性管理に関す
る現地の追加的規制に従ったものとなるように配分される。
すべての流動性に関する方針および手続は、 G-ALCO のレビューと承認の対象である。
流動性リスクに対するエクスポージャー
当グループの保有実績を考慮しない資産および負債の契約上の満期のミスマッチレポートの詳細
は、以下のとおりである。
2018 年 12 月 31 日現在の資産および負債の満期プロファイル
3か月から 1年から 3年から
合計 3か月未満 1年 3年 5年 5年超 不特定満期
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
資産
現金および中央銀行預け金
182,908,727 173,951,213 8,957,514 - - - -
純損益を通じて
公正価値評価される投資
14,620,910 3,099,469 3,615,152 3,750,902 620,869 593,569 2,940,949
銀行および金融機関預け金
19,176,092 19,176,092 - - - - -
売戻契約
19,033,451 7,812,517 9,042,380 342,059 1,836,495 - -
1
デリバティブ金融商品
13,084,192 1,532,117 1,705,972 2,640,094 2,567,203 4,638,806 -
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貸出金
353,205,228 58,996,281 49,905,144 68,651,892 68,877,833 106,774,078 -
非トレーディング投資
90,433,574 4,001,571 5,936,507 25,316,677 14,378,331 40,339,082 461,406
投資不動産
7,388,493 - - - - - 7,388,493
有形固定資産
3,991,215 - - - - - 3,991,215
無形資産
19,699,711 - - - - - 19,699,711
その他資産 20,583,602 15,437,701 5,145,901 - - - -
744,125,195 284,006,961 84,308,570 100,701,624 88,280,731 152,345,535 34,481,774
負債および資本
銀行および金融機関預り金
40,266,535 37,685,831 2,370,601 210,103 - - -
買戻契約
34,769,685 31,628,667 1,304,559 1,836,459 - - -
コマーシャルペーパー
18,144,105 17,254,974 889,131 - - - -
1
デリバティブ金融商品
15,219,464 1,600,273 1,653,419 3,369,951 2,573,849 6,021,972 -
顧客勘定およびその他預金
465,475,874 417,833,642 36,212,483 9,830,082 1,435,463 164,204 -
期間借入
42,268,173 2,945,133 10,352,657 10,245,303 7,479,023 11,246,057 -
劣後社債
401,979 - - - - 401,979 -
その他負債
25,606,380 19,204,785 6,401,595 - - - -
資本 101,973,000 - - - - - 101,973,000
744,125,195 528,153,305 59,184,445 25,491,898 11,488,335 17,834,212 101,973,000
未実行の信用供与
コミットメント
45,659,602 12,887,475 23,726,362 5,524,790 3,122,821 398,154 -
165,134,974 75,782,817 19,340,637 27,536,499 15,504,100 26,970,921 -
取引に伴う偶発債務
1
当グループはデリバティブを随時処分するオプションを有する。
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2017 年 12 月 31 日現在の資産および負債の満期プロファイル:
3か月から 1年から 3年から
合計 3か月未満 1年 3年 5年 5年超 不特定満期
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
資産
現金および中央銀行預け金
138,111,054 129,444,974 8,666,080 - - - -
純損益を通じて
公正価値評価される投資
19,320,764 5,332,119 6,777,244 4,610,671 1,113,740 927,502 559,488
銀行および金融機関預け金
13,829,490 13,827,603 1,887 - - - -
売戻契約
21,346,974 13,396,537 7,950,437 - - - -
1
デリバティブ金融商品
11,399,432 1,821,287 1,456,835 2,248,883 2,428,292 3,444,135 -
貸出金
330,465,888 64,252,351 37,974,179 57,478,522 62,089,240 108,671,596 -
非トレーディング投資
88,457,710 3,148,594 4,379,228 19,239,841 20,814,826 38,475,234 2,399,987
投資不動産
6,927,692 - - - - - 6,927,692
有形固定資産
3,535,501 - - - - - 3,535,501
無形資産
19,901,374 - - - - - 19,901,374
その他資産 15,672,416 11,754,312 3,918,104 - - - -
668,968,295 242,977,777 71,123,994 83,577,917 86,446,098 151,518,467 33,324,042
負債および資本
銀行および金融機関預り金
30,576,336 25,375,102 4,980,891 220,343 - - -
買戻契約
37,674,016 37,055,277 618,739 - - - -
コマーシャルペーパー
24,124,097 19,931,271 4,192,826 - - - -
1
デリバティブ金融商品
14,941,331 2,049,661 1,466,528 2,812,421 2,976,936 5,635,785 -
顧客勘定およびその他預金
395,843,664 340,455,577 50,526,974 3,622,508 1,083,074 155,531 -
期間借入
42,145,718 3,198,475 2,704,263 22,395,771 3,527,616 10,319,593 -
劣後社債
420,381 - - - - 420,381 -
その他負債
21,033,339 15,787,256 5,246,083 - - - -
資本 102,209,413 - - - - - 102,209,413
668,968,295 443,852,619 69,736,304 29,051,043 7,587,626 16,531,290 102,209,413
未実行の信用供与
コミットメント
42,983,794 7,277,456 10,510,468 11,862,109 8,265,799 5,067,992 -
152,437,597 63,054,997 21,827,746 24,919,436 11,349,322 31,286,096 -
取引に伴う偶発債務
1
当グループはデリバティブを随時処分するオプションを有している。
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以下の表は、割引前の契約上の返済義務による当グループの金融負債の満期プロファイルの要約で
ある。
名目上の
キャッシュ・ 3か月から 1年から 3年から
合計 フロー総額 3か月未満 1年 3年 5年 5年超
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
負債
2018 年 12 月 31 日現在
銀行および金融機関預り金
40,266,535 40,424,411 37,797,953 2,409,127 217,331 - -
買戻契約
34,769,685 35,087,490 31,814,905 1,341,723 1,930,862 - -
コマーシャルペーパー
18,144,105 18,197,308 17,296,217 901,091 - - -
顧客勘定およびその他預金
465,475,874 468,909,645 418,809,103 37,142,125 11,065,988 1,674,701 217,728
1
42,268,173 73,942,394 3,275,459 11,018,473 11,104,186 7,939,714 40,604,562
期間借入
劣後社債
401,979 634,444 - 21,109 42,276 42,276 528,783
601,326,351 637,195,692 508,993,637 52,833,648 24,360,643 9,656,691 41,351,073
未実行の信用供与
1
46,659,602 45,659,602 12,887,475 23,726,362 5,524,790 3,122,821 398,154
コミットメント
取引に伴う偶発債務
165,134,974 165,134,974 75,782,817 19,340,637 27,536,499 15,504,100 26,970,921
2017 年 12 月 31 日現在
銀行および金融機関
30,576,336 30,728,564 25,451,000 5,057,221 - 220,343 -
預り金
買戻契約
37,674,016 37,806,050 37,182,253 623,797 - - -
コマーシャルペーパー
24,124,097 24,159,369 19,938,576 4,220,793 - - -
顧客勘定およびその他預金
395,843,664 397,574,720 340,875,246 51,346,184 3,864,764 1,267,010 221,516
1
42,145,718 66,550,028 3,490,415 3,332,987 23,580,996 3,858,147 32,287,483
期間借入
劣後社債
420,381 669,344 - 21,496 43,169 43,228 561,451
530,784,212 557,488,075 426,937,490 64,602,478 27,488,929 5,388,728 33,070,450
未実行の信用供与
2
42,983,794 42,983,794 7,277,456 10,510,438 11,862,109 8,265,799 5,067,992
コミットメント
取引に伴う偶発債務
152,437,597 152,437,597 63,054,997 21,827,746 24,919,436 11,349,322 31,286,096
1
コール条項のある借入金が含まれ、当該借入金はコール・オプションを考慮せずに契約上の最終満期に基づく割引前の契約上のキャッ
シュ・フローで上記に表示されている。
2
契約上の満期プロファイルに基づき算出されている。
(c) 市場リスク
市場リスクは、金利、信用スプレッド、為替レートならびに株価およびコモディティ価格等の市場
要素の変化により金融商品の価値の変動し、当グループの収益または資本が変動するリスクであ
る。
市場リスク管理
当グループは、市場リスクに対するエクスポージャーを、トレーディング、インベストメントおよ
び非トレーディング・ポートフォリオに区分している。トレーディング・ポートフォリオとインベ
ストメント・ポートフォリオは、グローバル・マーケッツ部門で保有され、公正価値基準で管理さ
れる。
投資管理委員会(以下「 IMCO 」という。)は、グローバル・マーケッツのトレーディングと投資活
動の監督および指導責任があり、市場リスク管理方針で定められている原則に従って市場リスクが
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管理されていることを確認する。 IMCO は、市場リスクに関して全般的な権限および管理責任のある
グループ資産負債委員会( G-ALCO )の小委員会である。
市場リスクグループは、市場リスク選好の詳細、コントロール・フレームワーク( IMCO によるレ
ビューおよび G-ALCO と BRCC の承認が必要)を含むリスク管理方法・方針を策定および導入する責任
がある。
市場リスクに対するエクスポージャー - トレーディング・ポートフォリオ
純損益を通じて公正価値評価される投資およびトレーディング・デリバティブからなる当グループ
のトレーディング・ポートフォリオ内における市場リスクエクスポージャーの測定と管理に用いら
れる主な分析ツールは、バリュー・アット・リスク(以下「 VaR 」という。)である。トレーディ
ング・ポートフォリオの VaR は、一定の確率(信頼度)の市場のマイナス変動により、ある特定の
期間(保有期間)にわたりポートフォリオに発生する損失の見積りである。 VaR モデルは、 99 %の
信頼度に基づいたヒストリカル・シミュレーションを用いており、保有期間は1日を前提とする。
直近2年間の市場データならびに異なる市場および価格間で観察された相関を使用して、当該モデ
ルは市場価格の動きについて広範囲で妥当な将来のシナリオを作成する。
当グループは、為替レート、金利、信用スプレッドおよび株式について VaR 限度を用いる。トレー
ディング VaR 限度の全体的な構成は、 IMCO のレビューおよび承認の対象であり、その後 G-ALCO によ
り追認される。 VaR 限度は、トレーディング・デスクに配分される。
VaR は、過去に観察された実績から算定されている。したがって、 VaR は、当グループが極端な市況
下で被り得る最大損失の推定値ではない。このような限界があるため、 VaR はその他のポジション
および感応度の限度の構成(各ポートフォリオにおける潜在的な集中リスクに対応する限度を含
む)で補足される。さらには、グループおよびデスクレベルのトレーディング活動は、経営陣によ
る措置を引き起こす損失の最高限度額であるマネジメント・アクション・トリガー(以下「 MAT 」
という。)の対象となっている。 VaR は下記のとおりである。
2018 年 2018 年 2018 年 2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
VaR - トレーディング勘定
現在 平均 最大 最小 現在
全部 14,660 29,581 53,314 14,659 19,018
金利 11,076 24,658 39,250 10,703 13,312
信用 4,520 4,398 43,353 2,529 4,002
為替
8,062 15,058 34,023 3,376 11,596
持分
4,023 2,658 4,481 1,524 511
分散化の便益
(13,021) (17,191) (67,793) (3,473) (10,403)
VaR モデルにおいて、現在商品リスクは把握されていない。これに対して、リスクグループは、一
連の市場リスク感応度、想定元本の限度およびマネジメント・アクション・トリガーによる定期的
なモニタリングを行っている。
市場リスクに対するエクスポージャー - バンキング・ポートフォリオ
非トレーディング投資、売戻契約、およびヘッジ手段として指定された特定のデリバティブ商品で
構成されたバンキング・ポートフォリオの市場リスクに対するエクスポージャーは、主に投資ポー
トフォリオ、バンキング勘定の金利ギャップおよび当グループの全体的な為替ポジションから発生
する。
当グループの投資リスクに対するエクスポージャーの測定と管理に用いられる主な分析ツールは、
バリュー・アット・リスク(以下「 VaR 」という。)である。 VaR モデルは、トレーディング・ポー
トフォリオで用いられるものと同じである。当グループは VaR 限度を為替レート、金利および信用
スプレッドを含めた全体的な投資リスクを管理する目的で使用する。バンキング VaR 限度の全体的
な構成は IMCO のレビューおよび承認の対象で、その後 G-ALCO により追認される。 VaR 限度は異なる
インベストメント・デスクに配分される。投資リスクの VaR は、下記のとおりである。
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2018 年 2018 年 2018 年 2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
VaR - バンキング勘定
現在 平均 最大 最小 現在
全部 112,130 117,966 342,201 99,970 121,157
金利 20,400 29,027 55,747 18,625 55,306
信用 115,533 120,644 348,588 89,193 128,809
為替
17,078 14,737 32,321 7,446 14,794
持分
4,147 3,144 4,321 2,237 -
分散化の便益
(45,028) (49,586) (98,776) (17,531) (77,752)
金利リスク
金利リスクは、利付金融商品から生じるリスクで、金利の変動により金融商品の価値および関連収
益に不利な影響を及ぼす可能性を反映する。当グループは金利リスクを、主に金利ギャップのモニ
タリングを通じて、また資産および負債の金利更改範囲を一致させることによって管理している。
全体的な金利リスクポジションは、当グループの利付金融商品から生じるポジション全体を管理す
るためにデリバティブ商品を用いて管理されている。金利リスク管理を目的としたデリバティブの
使用については、注記 39 に説明されている。
金利リスクはまた、合理的に生じる可能性のある金利変動の影響を測定することによって評価され
る。当グループは、 50 ベーシスポイント( 2017 年: 50 ベーシスポイント )の金利変動を仮定し、当
期純利益および当該日の資本について以下の影響額を見積っている。
当期純利益 資本
2018 年 2017 年 2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
金利変動額
± 472 ,083 ± 521,819 ± 532 ,858 ± 469,464
当年度において、当グループは金利感応度の計算方法を修正した。上記の金利感応度は、純利益へ
の影響を評価するため、金利更改が1年未満の利付資産 549,740 百万ディルハム( 2017 年: 492,963
百万ディルハム )および利付負債 466,091 百万ディルハム( 2017 年: 402,248 百万ディルハム )に基
づいている。下表に記載された資本への影響は利付資産および負債の感応度に基づく。なお、感応
度は金利変動の影響を軽減するために経営陣が講じる可能性のある措置を加味していない。
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契約上のキャッシュ・フローに係る取り決めに基づく 2018 年 12 月 31 日現在の当グループの金利
ギャップおよび感応度ポジションは、以下のとおりであった。
3か月から
1年から 3年から
合計 3か月未満 1年 3年 5年 5年超 非利付
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
資産
現金および中央銀行預け金
182,908,727 145,024,919 8,957,514 - - - 28,926,294
純損益を通じて公正価値評価さ
14,620,910 7,792,279 2,282,820 1,608,098 383,758 503,270 2,050,685
れる投資
銀行および金融機関預け金
19,176,092 8,597,754 - - - - 10,578,338
売戻契約
19,033,451 7,444,973 9,042,380 342,303 2,203,795 - -
デリバティブ金融商品
13,084,192 13,084,192 - - - - -
貸出金
353,205,228 270,332,727 56,660,483 11,382,438 3,813,934 11,015,646 -
非トレーディング投資
90,433,574 7,437,555 6,091,043 24,439,299 12,380,920 39,278,553 806,204
投資不動産
7,388,493 - - - - - 7,388,493
無形資産
19,699,711 - - - - - 19,699,711
有形固定資産
3,991,215 - - - - - 3,991,215
その他資産
20,583,602 4,476,542 2,514,976 432,497 351,565 1,260,218 11,547,804
744,125,195 464,190,941 85,549,216 38,204,635 19,133,972 52,057,687 84,988,744
負債および資本
銀行および金融機関預り金
40,266,535 29,247,739 2,371,155 210,965 - - 8,436,676
買戻契約
34,769,685 31,628,631 1,304,559 1,836,495 - - -
コマーシャルペーパー
18,144,105 17,254,973 889,132 - - - -
デリバティブ金融商品
15,219,464 15,219,464 - - - - -
顧客勘定およびその他預金
465,475,874 313,310,354 34,859,077 9,396,000 1,115,065 164,204 106,631,174
期間借入
42,268,173 10,102,042 4,178,931 8,479,537 7,108,465 12,399,198 -
その他負債
25,606,380 3,542,205 2,200,267 204,582 129,606 841,612 18,706,108
劣後社債
401,979 - - - - 401,979 -
資本
101,973,000 - - - - ‐ 101,973,000
744,125,195 420,287,408 45,803,121 20,127,579 8,353,136 13,806,993 235,746,958
財政状態計算書上のギャップ
49,903,533 39,746,095 18,077,056 10,780,836 38,250,694 (150,758,214)
財政状態計算書外のギャップ
33,378,072 550,348 (3,974,801) (7,886,524) (22,067,095) -
金利感応度ギャップ合計
77,281,605 40,296,443 14,102,255 2,894,312 16,183,599 (150,758,214)
,
累積金利感応度
77,281,605 117,578,048 131,680,303 134,574,615 150,758,214 -
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契約上のキャッシュ・フローに係る取り決めに基づく 2017 年 12 月 31 日現在の当グループの金利
ギャップおよび感応度ポジションは、以下のとおりであった。
3か月から
1年から 3年から
合計 3か月未満 1年 3年 5年 5年超 非利付
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
資産
現金および中央銀行預け金
138,111,054 120,755,325 8,666,080 - - - 8,689,649
純損益を通じて公正価値評価さ
19,320,764 8,785,020 5,744,846 2,363,842 1,074,972 792,596 559,488
れる投資
銀行および金融機関預け金
13,829,490 10,277,717 110,190 - - - 3,441,583
売戻契約
21,346,974 13,396,536 7,950,438 - - - -
デリバティブ金融商品
11,399,432 - - - - - 11,399,432
貸出金
330,465,888 273,587,719 33,135,204 8,444,686 3,473,496 11,824,783 -
非トレーディング投資
88,457,710 6,104,190 4,450,640 18,941,715 18,633,642 37,832,551 2,494,972
投資不動産
6,927,692 - - - - - 6,927,692
有形固定資産
19,901,374 - - - - - 19,901,374
無形資産
3,535,501 - - - - - 3,535,501
その他資産
15,672,416 - - - - - 15,672,416
668,968,295 432,906,507 60,057,398 29,750,243 23,182,110 50,449,930 72,622,107
負債および資本
銀行および金融機関預り金
30,576,336 22,745,363 4,980,891 220,343 - - 2,629,739
買戻契約
37,674,016 37,055,277 618,739 - - - -
コマーシャルペーパー
24,124,097 19,931,271 4,192,826 - - - -
デリバティブ金融商品
14,941,331 - - - - - 14,941,331
顧客勘定およびその他預金
395,843,664 259,294,389 38,848,293 5,190,391 637,712 155,531 91,717,348
期間借入
42,145,718 14,098,549 482,264 14,033,474 3,211,838 10,319,593 -
その他負債
21,033,339 - - - - ‐ 21,033,339
劣後社債
420,381 - - - - 420,381 -
資本
102,209,413 - - - - ‐ 102,209,413
668,968,295 353,124,849 49,123,013 19,444,208 3,849,550 10,895,505 232,531,170
財政状態計算書上のギャップ
79,781,658 10,934,385 10,306,035 19,332,560 39,554,425 (159,909,063)
財政状態計算書外のギャップ
39,660,765 (11,324,517) 7,497,522 (11,413,602) (24,420,168) -
金利感応度ギャップ合計
119,442,423 (390,132) 17,803,557 7,918,958 15,134,257 (159,909,063)
累積金利感応度
119,442,423 119,052,291 136,855,848 144,774,806 159,909,063 -
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為替 リスク
為替リスクは為替レートの変動により金融商品の価値が変動するリスクで、外貨建て金融商品から
生じる。当グループの機能通貨はディルハムである。取締役会は、通貨毎にポジションに限度額を
設定している。ポジションは慎重にモニタリングされ、ポジションが設定された限度内に維持され
るようにヘッジ戦略が用いられる。 12 月 31 日現在において当グループが有していた外貨建ての重要
な正味エクスポージャーは以下のとおりである。
正味直物 合計 合計
ポジション 先物ポジション 2018 年 2017 年
( ショート )/ ロング ( ショート )/ ロング ( ショート )/ ロング ( ショート )/ ロング
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
通貨
米ドル
(22,637,963) 37,768,882 15,130,919 42,193,708
英ポンド
(13,303,964) 13,402,026 98,062 934,070
ユーロ
74,814,371 (74,234,636) 579,735 2,534,850
クウェート・ディナール
(706,090) (494,899) (1,200,989) (292,450)
サウジ・リアル
(44,050) (567,539) (611,589) (3,691,007)
日本円
7,094,136 (6,581,217) 512,919 155,720
スイス・フラン
(1,553,053) 1,604,447 51,394 65,707
カタール・リアル
143,136 (387,050) (243,914) 156,318
バーレーン・ディナール
1,684,447 (2,468,415) (783,968) (204,029)
エジプト・ポンド
183,525 69,341 252,866 56,477
ヨルダン・ディナール
531,526 (264,929) 266,597 333,363
インド・ルピー
898,123 (179,599) 718,524 2,395,696
マレーシア・リンギット
(856,618) 595,501 (261,117) 64,986
リビア・ディナール
263,663 - 263,663 323,140
その他
(3,375,951) 3,730,004 354,053 355,596
ディルハム、サウジ・リアル、バーレーン・ディナールおよびカタール・リアルの対米ドル換算
レートは固定されているため、当グループのこれらの通貨に対するリスクエクスポージャーはその
範囲に限定される。その他の外貨に対するエクスポージャーは僅少である。
以下の表は、当グループが 2018 年および 2017 年 12 月 31 日現在において、貨幣性資産および負債なら
びにデリバティブ先物ポジション(純額)の重要なエクスポージャーを有している通貨を表示して
いる。当該分析は、合理的な可能性のある AED のその他通貨に対する変動による影響(連結損益計
算書のその他の変数を一定とする)を見積っている。
通貨 ユーロ 英ポンド 日本円 リビア・ディナール
仮定する為替レートの変動 1% 1% 1% 1%
為替レートによる純利益の影響
2018 年(千ディルハム)
± 5,840 ± 956 ± 5 ,129 ± 2,637
2017 年(千ディルハム)
± 25,348 ± 9,341 ± 1,557 ± 3,231
2018 年および 2017 年 12 月 31 日現在、資本における仮定した為替レートの変動による影響は僅少であ
る。
株価リスク
FAB は、他の企業の株式の保有または先物契約、オプションまたはスワップ等の株式デリバティブ
を通して株式投資に係る株価リスクにさらされている。これらの商品の公正価値は、基礎となる資
本性金融商品の市場価格の変動によって変動する。当グループは、株式デルタ、ベガおよびガンマ
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のリミットを設定することによりこのリスクを管理している。当グループはまた、地域分散と産業
集中度の観点から分散投資を行っている。
下表は、株式市場において可能性のある変動による当グループの損益計算書への感応度を見積って
いる。損益計算書の感応度とは、損益計算書を通じて公正価値評価される投資の公正価値において
参照される株式ベンチマークの仮定した変動からの影響である。
仮定した変動レベル 純利益への影響 純利益への影響
2018 年 2017 年
% 千ディルハム 千ディルハム
損益を通じて公正価値評価される投資
参照される株式ベンチマーク
アブダビ証券取引所インデックス
5 % 1,172 -
ドバイ金融市場インデックス
5 % 41,508 23,747
管理ファンドの純資産価値
5 % 91,366 2,786
その他の株式取引所
5 % 13,009 1,079
市場価格なし
- 362
5 %
147,055 27,974
株式インデックスの合理的な変動可能性により、 2018 年および 2017 年 12 月 31 日現在の売却可能とし
て保有している資本性金融商品の公正価値における変動の結果生じる資本への影響は、以下のとお
りである(その他すべての変数を一定とする)。
仮定した変動レベル 純利益への影響 純利益への影響
2018 年 2017 年
% 千ディルハム 千ディルハム
非トレーディング投資
(関連会社および共同支配企業への投資を除く)
参照される株式ベンチマーク
アブダビ証券取引所インデックス
5 % 9,719 11,480
ドバイ金融市場インデックス
5 % 618 4,237
管理ファンドの純資産価値
5 % - 85,763
その他の株式取引所
5 % 8,351 6,801
市場価格なし
1,126 8,230
5 %
19,814 116,511
(d) オペレーショナルリスク
オペレーショナルリスクとは、不適切なまたは機能不全のプロセス、従業員およびシステム、ある
いは外部の事象によって損失が生じるリスクと定義される。
オペレーショナルリスクは当グループのあらゆる業務から生じる。オペレーショナルリスクの管理
およびモニタリングの確認は、主に当グループ内の事業部署が責任を負う。当グループの事業部署
は、健全なリスク管理を確認するための「2番目の防衛ライン」として、内部のリスクリソースお
よび当グループのオペレーショナルリスク管理部門の支援を受ける。
さらに、「3番目の防衛ライン」として当グループの内部監査部門が実施するレビューがある。内
部監査レビューの結果はそれぞれの部署の経営陣と協議され、その要約は取締役会の監査委員会に
提出される。
当グループは、リスクの識別、評価、モニタリング、統制、報告および管理を行い、インシデント
の通知、識別および解決を行う方針および手続からなるオペレーショナルリスク管理フレームワー
クを構築している。オペレーショナルリスク管理フレームワークは、他のリスク分類との相互関係
も規定している。適切な場合には、リスクは保険によって軽減されている。
オペレーショナルリスクの事象は通常、以下のように分類される。
・ 内部の不正:従業員が権限のない活動および不正を犯すリスク
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・ 外部からの不正:外部の当事者による不正およびシステム・セキュリティ違反のリスク
・ 労務慣行および職場の安全:当グループ全体の多様性および差別の労務関係の毀損リスク、
ならびに健康および安全に関するリスク
・ 有形資産に対する損傷:自然災害による当グループへの影響のリスク
・ 顧客、商品および取引慣行:顧客適合性、受託者責任、不適切な取引慣行、欠陥のある商品
およびアドバイザリー活動の評価において過失が認められるリスク
・ 事業活動の中断およびシステム障害:事業の継続性およびシステム障害の復旧に関する立案
および検証が行われていないリスク
・ 執行、引渡およびプロセスの管理:取引処理、顧客の取込みおよび書類作成、業者の管理お
よびモニタリングならびに報告を失敗するリスク
取締役会は、当グループ全体のオペレーショナルリスク管理について監督責任を有している。これ
らの責任は、オペレーショナルリスクの監督責任を有する上級経営陣の評議会であるグループリス
クコンプライアンス委員会に委任され執行されている。
オペレーショナルリスク委員会のオペレーショナルリスクに関する主な責任は、以下のとおりであ
る。
・ 当グループのオペレーショナルリスク管理フレームワークの承認および当該フレームワーク
の実務への適用状況の監督
・ 当グループ全体のオペレーショナルリスクに関する戦略および指令の承認
・ 当グループ全体の有効なガバナンス構造の構築
(e) 自己資本管理
当グループの規制上の所要自己資本には CBUAE の規則が適用されるが、海外の支店および子会社に
ついては、その所在国の規制当局によって直接監督される場合もある。当グループの自己資本管理
プロセスは、全体的な事業戦略と連動しており、自己資本が事業に内在するリスクの水準に対して
適切であり、かつ、各社の資本リスク選好の範囲内に確実に収まるようにしている。当グループ
は、財政予算編成とともに資本計画を実施している。
取締役会および経営幹部は、当グループの長期戦略の方向性を定めている。これは、個別の事業部
門からの予測に基づくボトムアップ・プランを策定するための枠組みを提供している。ボトムアッ
プ・プランは、年次予算編成プロセスの基礎となる事項であり、事業単位レベルおよび国別レベル
で実施される。ボトムアップ・プランは事業部署毎に集約され、最終的にグループ全体に対して集
約される。各部署内の事業単位では、以下の重要なパラメータを検討し、次年度の予測貸借対照表
および損益計算書を策定している。
・短期(1年以内)目標
・リスク選好および戦略
・成長率目標
・収益目標
当グループの自己資本管理方針は、当グループの活動に関連したリスクをカバーするために十分な
自己資本の確保および当グループ全体での自己資本の割り当てを目的としている。当グループ全体
での様々なリスク評価およびそれらのリスクによって起こり得る影響の評価は、毎年 ICAAP プロセ
スと同時に行われる。グループのリスク機能は、 ICAAP プロセスの一環として、日々の業務の中で
当グループがさらされている様々なリスクを特定する。次に、当グループは、それらのリスクを測
定および管理し、リスクの影響を軽減するために設けている既存の方針および手順、枠組みおよび
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方法、危機管理計画ならびに他の手順に沿ってそれらのリスクを評価する。最後に、当グループは
重要なリスクエクスポージャーに対する資本要件を決定する。
当グループの自己資本管理プロセスの主要な目的は以下のとおりである。
・ CBUAE によって設定された最低所要自己資本を満たすための十分な自己資本の維持
・長期的戦略計画に従って、当グループのリスク選好および戦略目的をサポートするための十分な
自己資本の確保
・ ICAAP を通じて決定された所要自己資本の増額を含むストレス・シナリオに耐えるための十分な
自己資本の確保
・当グループの信用格付を裏付けるため
当グループは、定期的にストレス・テストを実施し、そこで標準ケースおよびストレス・シナリオ
について貸借対照表および損益計算書を算定する。リスク要因は、標準およびストレス・シナリオ
に関して設定された仮定による影響を受け、それによる自己資本比率への影響が決定される。当グ
ループは、様々な不利なシナリオに基づく自己資本ニーズおよび自己資本水準を予測するために、
マクロ経済学的ストレス・テストを使用する。このテストは、社内の自己資本計画における重要な
ツールとみなされている。 2018 年のストレス・テストの結果は、不利なシナリオの下でも当グルー
プが十分な自己資本を有していることを示している。
当年度において、 CBUAE はバーゼル Ⅲ 資本の補足基準およびガイダンスを発行した。このガイダン
スに基づき、銀行は自己資本規制比率を計算する際に、利益準備金から予定配当を控除することを
要求される。
その結果、以下で計算されている自己資本比率は予定配当の影響を考慮している。
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2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
ティア1資本
普通株式資本
10,897,545 10,897,545
資本剰余金
53,188,043 53,026,643
利益剰余金
16,678,196 18,677,552
法定準備金および特別準備金
9,192,759 7,081,084
一般準備金およびストックオプション制度
495,106 376,265
公正価値準備金
(598,021) 281,345
非支配持分
361,722 487,015
控除:予定配当
(8,064,183) (7,628,282)
適格ティア1資本 (a)
82,151,167 83,199,167
控除:
外貨換算準備金
(310,931) (63,075)
自己株式
(25,530) (42,434)
繰延税金資産
(72,635) (36,585)
のれんおよび無形資産
(20,606,448) (20,263,462)
その他控除
(197,465) (262,895)
控除合計
(21,213,009) (20,668,451)
控除: CET1 からの移行時控除 (b)
- (16,534,761)
60,938,158 66,664,406
その他ティア1
ティア1キャピタルノート
10,754,750 10,754,750
AT1 からの移行時控除
- (2,066,845)
その他ティア1 ( c )
10,754,750 8,687,905
71,692,908 75,352,311
ティア2資本
適格劣後負債
361,782 420,381
集合的減損費用引当金
5,340,017 5,270,024
AT1 からの移行時控除
- (2,066,845)
5,701,799 3,623,560
資本基盤合計
77,394,707 78,975,871
リスク加重資産:
信用リスク
427,201,365 421,666,579
市場リスク
29,475,312 28,054,810
オペレーショナルリスク
35,696,011 35,619,434
リスク加重資産
492,372,688 485,340,823
移行時の影響を含む比率
CET 1比率
12.4 % 13.7 %
ティア1資本比率
14.6 % 15.5 %
自己資本比率
15.7 % 16.2 %
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当グループならびにその国外支店および子会社は、表示されている全期間について外部から課され
ているすべての自己資本要件を遵守している。
(f) カントリーリスク
カントリーリスクは、当該国の国有および/または民間顧客が予定どおりに債務を返済する意欲ま
たは能力に悪影響を及ぼす外国の経済的、社会的および政治的な事象が起こる可能性である。
当グループは、事業決定プロセスの一環として、カントリーリスクに関する詳細な定性的分析を
行っている。これらの要因には、各国の経済、社会および政治の安定、金融政策、外国為替管理手
法、情報の透明性、金融および市場構造、銀行規制ならびに監視、法律制度および会計基準が含ま
れる。カントリーリスクは当グループにより設定されたカントリーリミットを用いてモニタリング
およびコントロールされる;これらのリミットは、全体的な事業戦略、潜在的リスクに対する自己
資本比率の完全性および準備金、各国のリスク格付、リスクの許容レベルおよび各国のビジネス
チャンスに従っている。
(g) 戦略リスク
戦略リスクは、当グループが事業を行う環境の変化、または不利な戦略決定、決定の不適切な遂
行、または業界、経済またはテクノロジーの変化への反応の欠如から生じ、当グループの現在また
は将来の利益、資本、立場に影響するリスクである。これは、当グループの戦略目標、その戦略目
標を達成するために策定された戦略、その目標を実現するために配置されたリソースおよび遂行の
質に対する適合性の相関である。
当グループは、戦略リスクの数値影響を識別および評価するためにいくつかのファクターを用い
る。ファクターには、戦略計画プロセスにおけるリスク管理方針および実務の統合レベル、戦略目
標の積極性、策定された事業戦略との適合性、戦略的構想に対する利益のボラティリティを管理す
るための資本支援、戦略目標の適用におけるコミュニケーションの効果および一貫性、目的、企業
文化およびグループ全体の行動が含まれる。
戦略リスクは、戦略的事業計画プロセスの一環として、モニタリングおよびコントロールされ、そ
こで当グループは戦略的イニシアチブの計画に対する進捗をレビューし、進捗が計画および外部の
事業環境にしたがっているかを検討する。戦略計画は、戦略計画プロセスの一部である承認の過程
で定期的にレビューおよび更新される。
(h) コンプライアンス・リスク
コンプライアンス・リスクは、法律、規則、規制、実務規定、倫理規範の違反または不履行から生
じる利益、資本、風評、継続事業の存在に対するリスクである。
当グループは、すべての新規および既存の“重要な”商品、活動、プロセスおよびシステムにおけ
る固有のリスクを継続的に識別および評価する。評価には、法律、規則、規制、実務規定または倫
理規範の非適合に係るリスクの評価が含まれる。当グループのリスク管理機能には、このようなリ
スクを管理するための内部統制を構築するグループ全体のコンプライアンス・ユニットがあり、内
部監査および法的機能がサポートしている。
コンプライアンスおよびマネーロンダリング防止リスクを監視するために、当グループはデューデ
リジェンス・プロセス、グループ全体の方針および手続きの見直し、ネーム・クリアランスを管理
する統合コンプライアンスおよび AML システムの実務への適用、取引モニタリング、支払モニタリ
ング活動、コンプライアンス・チェックリストによる評価を導入している。
コンプライアンス・リスクは、重点的な方針および手続き、詳細なチェックリストおよび立ち入り
調査ならびに定期的なトレーニング・セッションにより大幅に軽減される。
(i) 風評リスク
風評リスクは、否定的な世論から生じる利益または資本に対するリスクである。これは、外部的ま
たは内部的な事象に起因する。
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当グループは、捕捉すべきリスクの種類の明確な定義、広まる可能性のある風評リスクの主な発生
源の特定(個々の状況に基づく)、リスクの性質による識別されたリスクの描写およびそのリスク
が 評判にもたらし得る結果により風評リスクを識別および評価する。当グループはまた、リスクの
識別を目的としてその他の関連する情報を参照する。そのような情報は、マスコミ報道、株主への
分析報告書、内部監査およびコンプライアンス報告書、マネジメント例外報告書またはその他の早
期警戒指標から入手される可能性がある。
風評リスクについては、風評リスクを生じさせる外部および内部事象の通常のモニタリングとは別
に、当グループは風評に影響を及ぼす可能性のあるリスクを追跡するプロセスがある。これらのプ
ロセスは、予測される風評に関する事象に前もって対処するために、 BOD および上級経営陣が迅速
に是正処置を講じることを許可している。
風評リスクを管理するために、当グループは風評リスクに関する事象を識別し、その後の進展のモ
ニタリングを容易にするためのアクションプランの作成を伴うメカニズムを導入している。メカニ
ズムは、完全に消去することが難しいまたはコストがかかりすぎるリスクのアクションプランとし
て危機管理計画の策定を要求している。
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6 見積りおよび判断の使用
当グループの会計方針を適用する過程において、 IFRS は、経営陣が適切な会計方針を選択し、選択
した会計方針を継続して適用し、情報が適切で信頼性のあるものとなるよう合理的かつ慎重な判断
および見積りを行うよう求めている。経営陣は、 IFRS のガイダンスおよび IASB の「財務諸表の作成
および表示に関するフレームワーク」に基づき、このような見積りおよび判断を行っている。以下
の事項は、連結財務書類上の認識額に最も重要な影響を及ぼした可能性のある見積りおよび判断で
ある。
見積りの不確実性に関する主要な要因
(a) 継続企業
当グループの経営陣は、継続企業を前提とした当グループの継続企業としての存続能力の評価を行
い、当グループが予見しうる将来において事業を継続できるリソースがあると評価している。さら
に、経営陣は、当グループの継続企業としての存続能力を疑わせる重要な不確実性を認識していな
い。したがって、連結財務書類は、引き続き継続企業の前提として作成されている。
(b) 金融資産の減損費用
2018 年1月1日から適用
減損損失は、会計方針3 ( c )( ⅶ ) に記載されているとおり評価される。
金融資産のあらゆるカテゴリーにわたる IFRS 第9号および IAS 第 39 号の両方に基づく減損損失の測
定は判断が要求され、特に減損損失を評価する際の将来キャッシュ・フローの金額およびタイミン
グならびに担保価値の見積りおよび信用リスクの著しい増大の評価において要求される。こうした
見積りは多くの要因に影響され、これらの要因が変動した場合は異なる引当金水準となることがあ
る。
当行の ECL の計算は、様々なインプットの選択およびその相互依存に関する多くの基礎的仮定を前
提とした複雑なモデルで算定したものである。会計上の判断および見積りとみなされる ECL モデル
の要素には以下が含まれる。
・ 当グループの内部の信用グレードモデル(個々のグレードに PD を割り当てる)
・ 信用リスクの著しい増大の有無(従って、金融資産の引当金が残存期間 ECL で測定されるか否
か)に関する当グループの評価基準および定性的評価
・ 集合的に ECL が評価される金融資産の区分
・ ECL モデルの開発(様々な算定式およびインプットの選択を含む)
・ マクロ経済シナリオと経済的インプット間の関連性の決定(失業率の水準および担保価値、
PD 、 EAD 、 LGD への影響等)
・ ECL モデルに対する経済的インプットを導き出すための、将来を考慮したマクロ経済シナリオ
の選択およびその可能性の比率
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2017 年 12 月 31 日まで
当グループは、貸出金および非トレーディング投資の減損を継続的に評価しており、減損費用を連
結損益計算書に認識すべきか否かを評価するために四半期毎に包括的な見直しを行っている。とり
わけ、経営陣には、必要な減損費用水準の決定にあたり、将来キャッシュ・フローの金額および時
期の見積りについて多くの判断を行うことが要求される。このキャッシュ・フローの見積りに際
し、経営陣は取引相手方の財政状態およびその他の決済手段ならびに担保の正味実現可能価額につ
いての判断を行う。当該見積りは、判断および不確実性の程度が異なるいくつかの要因に関する仮
定に基づいて行われており、実際の結果は異なる可能性があることから、将来的にこれらの減損費
用が変更される可能性がある。
実際の損失に基づきモデルを定期的にレビューし、必要な場合は調整することが当グループの方針
である。
(c) 集合的減損費用
2017 年 12 月 31 日まで
集合的減損費用は、会計方針3 (c)( ⅶ ) に記載されているとおり評価される。
個別に減損評価される資産に対する特定の減損費用に加え、当グループは、減損が具体的に特定さ
れていない類似の経済的特徴を有する貸出金のポートフォリオに対して集合的減損引当金を維持し
ている。集合的減損費用の必要性の評価に際し、経営陣は、リスクの集中、信用度、ポートフォリ
オの規模および経済的要因を検討する。必要な引当金の見積りにあたり、内在する損失をモデル化
する方法を定義し、必要なインプットパラメーターを決定するために、過去および現在の経済状況
に基づき仮定を行う。
(d) 有形固定資産の減損費用
減損損失は会計方針3 ( l )( ⅲ ) に記載されているとおり評価される。
正味実現可能価額を決定するにあたり、当グループは認定された適切な専門的資格を有しており、
評価対象となっている不動産の所在地および不動産の種類についての最近の実績のある外部の独立
した評価会社が決定した売却価格を使用している。売却価格は市場価格に基づいており、評価日に
おいて、自発的な買手と自発的な売手との間の独立第三者間取引において交換されるであろう不動
産の見積額となっている。
(e) 訴訟による偶発債務
当グループは、その業務の性質により、通常の業務過程において訴訟に関与する可能性がある。訴
訟による偶発債務に関する引当金は、経済的資源流出の可能性およびそれらの流出の見積りの信頼
性に基づき決定される。それらは、多くの不確実性を含んでおり、個々の事項の結果を確実に予測
することはできない。
(f) ストックオプション制度
ストックオプション制度の公正価値は、ブラック・ショールズ・モデルを用いて決定される。モデ
ルへのインプットは、株価、行使価格、株価ボラティリティ、オプション契約期間、配当利回りお
よび無リスク金利からなる。
(g) 金融商品の評価
金融商品の評価技法によっては、経営陣が見積もる特定の観察不能なインプットが必要となる場合
がある。このような評価技法については、注記7で説明されている。
(h) 確定給付制度
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確定給付債務の現在価値は、複数の仮定を用いて年金数理に基づき決定される複数の要素に応じて
算定される。正味給付費用(収益)を算定する際に使用する仮定には、割引率が含まれる。このよ
うな仮定に変化が生じた場合には、確定給付債務の帳簿価額に影響が及ぶことになる。
当グループは、毎年度末に適切な割引率を算定している。これは、将来の債務を決済するために必
要と見込まれる見積将来キャッシュ・フローの現在価値を算定するために用いるべき金利である。
適切な割引率を算定する際に、当グループは、給付が支払われる通貨で表示され、かつ関連する給
付債務の期間と残存期間が近似する優良社債の金利を考慮している。
確定給付債務に関するその他の主要な仮定は、現在の市況に一部基づくものである。このような仮
定に関する追加的な情報は、注記 24 で開示されている。
当グループの会計方針を適用する際の重要な会計上の判断には、以下が含まれる。
(i) 金融資産および負債の分類
当グループの会計方針は、一定の状況において、開始時に異なる会計区分に指定される金融資産お
よび負債の範囲を定めている。分類基準は方針3 (c)( ⅱ ) に記載されている。
(j) 適格ヘッジ
金融商品を適格ヘッジとして指定する場合、当グループは、そのヘッジがヘッジの契約期間にわた
り極めて有効であると判断している。
(k) 金融商品の公正価値ヒエラルキーの決定
当グループの金融商品の公正価値ヒエラルキーの決定については、注記7で説明されている。
(l) 組成された企業
当グループにより運営されるすべてのファンドについて、投資家は、過半数の投票で当グループを
ファンドマネージャーから解任可能で、各ファンドにおける当グループの経済的持分合計は重要で
はない。結果として、当グループは、当該ファンドにおいて投資家のための代理人として活動して
いると結論付けられ、当該ファンドを連結していない。
(m) 事業セグメント
セグメント情報の開示の作成において、経営陣はセグメント別報告のための一定の仮定を設定して
いる。当該仮定は、定期的に経営陣により再評価される。事業セグメントの詳細は、注記 40 に記載
されている。
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7 金融資産および負債
(a) 評価管理フレームワーク
当グループは、公正価値の測定に関して確立した管理フレームワークを有している。当該フレーム
ワークには、グループリスク委員会に報告を行う評価委員会が含まれる。当グループは、このフ
レームワークを支援するフロント・オフィス・マネジメントから独立した管理機能(プロダクト・
コントロール、独立した価格検証、モデル検証およびグループ・マーケット・リスク)も有してい
る。管理機能には具体的に以下が含まれる。
・リスクを負うユニットおよびコントロール・ユニット間の評価プロセスにおける独立性
・評価システム
・観察可能な価格の検証
・新しいモデルおよびモデルに対する変更プロセスのレビューおよび承認
・日々の重要な評価額変動の分析および調査、あるいは
・重要な観察不能インプット、評価調整およびレベル3商品の公正価値測定に対する重要な変更の
レビュー
銀行および金融機関預け金、売戻契約、銀行および金融機関預り金、買戻契約ならびに顧客勘定お
よびその他預金のうち、主に短期で満期が到来し、かつ市場レートで発行されているものについて
は、その公正価値は、帳簿価額に合理的に近似しているとみなされる。
当グループは、貸出金ポートフォリオについて、貸出金の大部分が変動利付であり金利更改が頻繁
に行われるため、その公正価値は帳簿価額と大幅に異なるものではないと見積もっている。減損し
たとみなされる貸出金については、期待キャッシュフロー(予想される担保の実現を含む)は、適
切なレートを用いて、また回収時期を考慮して割り引かれていた。割引後の純額は、その帳簿価額
と大幅に異なるものではない。
(b) 公正価値の算定
公正価値は、測定日時点で、主要な市場における市場参加者間の秩序ある取引において、資産を売
却するために受け取るであろう価格または負債を移転するために支払うであろう価格である。主要
な市場が存在しない場合には当グループが同日にアクセス可能で最も有利な市場における価格であ
る。負債の公正価値は、不履行リスクを反映する。したがって、帳簿価額と見積公正価値との間に
差額が生じる可能性がある。公正価値の定義は、当グループが大規模な事業規模の縮小または、不
利な条件で取引を引き受ける意図または義務のない継続企業であることを前提としている。
当グループは、測定の際に使用されるインプットの重要性を反映した、以下の公正価値ヒエラル
キーを用いて公正価値の測定を行う。
レベル1:同一の商品の活発な市場における相場価格(未調整)
レベル2:観察可能なインプット(直接的には価格または間接的には価格から算出される値)
に基づく評価手法。この区分には、活発な市場での類似商品の相場価格、または、すべての
重要なインプットが市場データから直接的もしくは間接的に観察可能であるその他の評価手
法を用いて評価される商品が含まれる。
レベル3:観察不能なインプットを用いた評価手法。この区分には、評価手法に観察可能な
データに基づいていないインプットが含まれ、観察不能なインプットが当該商品の評価に重
要な影響を与えるすべての商品が含まれる。この区分には、類似の金融商品の相場価格を基
礎として、その金融商品の公正価値を表すために必要な観察不能インプットによる調整後の
価額で評価される金融商品が含まれる。
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(c) 評価手法
金融資産および負債はすべて償却原価で測定される。ただし、活発な市場での公表価格を参照する
ことによるか、取引相手方の提示価格に基づくか、または評価手法の利用により、公正価値で測定
されるデリバティブ、純損益を通じて公正価値評価される投資および売却可能投資を除く。
活発な市場で取引される金融資産および負債の公正価値は、相場価格またはディーラーによる相場
価格に基づく。その他すべての金融商品について、当グループは、割引キャッシュフロー・モデ
ル、観察可能な市場価格が存在する類似商品との比較、ブラック・ショールズ・モデルまたはその
他の評価モデルといった評価手法を用いて公正価値を決定する。それぞれの評価手法は、基礎とな
る市場の指標の動向をモデル化したものである。このような市場の指標には、割引率の見積りに用
いられる金利、信用スプレッド、およびその他のインプット、債券価格、為替レート、株式および
株式インデックス価格、ボラティリティならびに相関関係が含まれる。
評価手法の目的は、独立第三者間取引を行う市場参加者により決定される報告日現在の金融商品の
価格を反映した公正価値を決定することである。
当グループは、金利および通貨スワップのような一般的な金融商品の公正価値の決定に、観察可能
な市場データのみを利用する広く認められた評価モデルを利用する。観察可能価格またはモデルへ
のインプットは、上場負債証券および持分証券、上場デリバティブあるいは金利スワップのような
単純な店頭取引デリバティブの市場においては通常入手可能である。観察可能な市場価格およびモ
デルへのインプットの入手可能であることにより、経営陣の判断および見積りの必要性は低くな
り、公正価値の決定に関連する不確実性も軽減する。観察可能な市場価格およびインプットの入手
可能性は、商品および市場によって様々であり、金融市場における特定の事象および全般的な状況
により変化する傾向にある。
より複雑な商品について、当グループは、一般に認められた評価モデルから開発された第三者の評
価モデルを利用する。これらの評価モデルは、公正価値の算定基礎となる市場インプット・データ
および基礎となる仮定等を含め、最も適切な評価モデルの選択と利用に専門家の判断が必要とな
る。モデルへのインプットおよびパラメータは、標準的な金融商品の市場価格、公表された予測な
らびに類似の金融商品の現在または最近の観察された取引に対して補正される可能性がある。この
補正プロセスは、本質的に主観的であり、可能性のあるインプットおよび公正価値の見積りに幅を
もたらす。このため当該範囲内の最も適切なポイントを選択するために専門家の判断が求められ
る。
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(d) 信用評価および負債評価調整(以下「 CVA 」および「 DVA 」という。)
CVA および DVA はデリバティブ評価に組み込まれ、取引相手の信用リスクおよび自己の信用の質の公
正価値への影響を織り込んでいる。これらの調整は全ての資産クラスにわたる無担保および有担保
デリバティブの両方について計算されている。 CVA および DVA は、取引相手レベルで、それぞれ正お
よび負の期待エクスポージャー、デフォルト確率および回収率の見積りを用いて計算される。取引
相手には、金融機関、会社、国、政府機関、国際機関が含まれる(がそれらに限らない)。期待エ
クスポージャーは通常モンテカルロ・シミュレーション法により原リスク要因をシミュレーション
することで見積もられる。
デフォルト確率および回収率の情報は通常 CDS 市場から入手される。この情報が入手できないか信
頼できないとみなされる場合は、格付、地域および産業セクターに基づくセクター・カーブへ取引
相手をマッピングするという代替的方法が取られる。当年度の CVA および DVA に対する純調整は 48.3
百万ディルハムで一定している。
モデル関連の調整
モデル関連の調整は、モデルへのインプットが過度に単純化されている場合、またはポジションの
公正価値の計算にあたりモデルに限界がある場合のいずれかに適用される。これらの調整は、モデ
ルのレビュー過程において明らかになった既存モデルの弱点または不備の是正に必要である。
(e) 金融商品の公正価値
下表は、当グループの分類による各クラスの金融資産および負債ならびに 2018 年 12 月 31 日現在の帳
簿価額を示している。
純損益を通じた
公正価値評価に指定 純損益を通じた公 FVOCI -損益への FVOCI -損益への
されているもの 正価値評価 リサイクルあり リサイクルなし 償却原価 帳簿価額
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
金融資産
現金および中央銀行預け金 - - - - 182,908,727 182,908,727
純損益を通じて公正価値評価
- 14,620,910 - - - 14,620,910
される投資
銀行および金融機関預け金 - - - - 19,176,092 19,176,092
売戻契約 - - - - 19,033,451 19,033,451
デリバティブ金融商品 1,825,955 11,258,237 - - - 13,084,192
貸出金 - - - - 353,205,228 353,205,228
非トレーディング投資 - - 84,341,873 396,265 5,630,295 90,368,433
- - - - 20,380,864 20,380,864
その他資産
1,825,955 25,879,147 84,341,873 396,265 600,334,657 712,777,897
金融負債
銀行および金融機関預り金 - - - - 40,266,535 40,266,535
買戻契約 - - - - 34,769,685 34,769,685
コマーシャルペーパー - - - - 18,144,105 18,144,105
デリバティブ金融商品 5,297,423 9,922,041 - - - 15,219,464
顧客勘定およびその他預金 - - - - 465,475,874 465,475,874
期間借入 352,522 - - - 41,915,651 42,268,173
1
- 215,601 - - 24,372,956 24,588,557
その他負債
- - - - 401,979 401,979
劣後社債
5,649,945 10,137,642 - - 625,346,785 641,134,372
1
売買目的で保有するその他負債は、公正価値ヒエラルキーのレベル1に属する。
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下表は、当グループの分類による各クラスの金融資産および負債ならびに 2017 年 12 月 31 日現在の帳
簿価額を示している。
純損益を通じた
貸出金および
公正価値評価に指 売買目的
定されているもの 保有 売却可能 満期保有 受取債権 償却原価 帳簿価額
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
金融資産
現金および中央銀行預け金 - - - - 138,111,054 - 138,111,054
純損益を通じて公正価値評価
11,122 19,309,642 - - - - 19,320,764
される投資
銀行および金融機関預け金 - - - - 13,829,490 - 13,829,490
売戻契約 - - - - 21,346,974 - 21,346,974
デリバティブ金融商品 524,827 10,874,605 - - - - 11,399,432
貸出金 - - - - 330,465,888 - 330,465,888
非トレーディング投資 - - 81,312,483 7,075,467 - - 88,387,950
- - - - 15,542,116 - 15,542,116
その他資産
535,949 30,184,247 81,312,483 7,075,467 519,295,522 - 638,403,668
金融負債
銀行および金融機関預り金 - - - - - 30,576,336 30,576,336
買戻契約 - - - - - 37,674,016 37,674,016
コマーシャルペーパー - - - - - 24,124,097 24,124,097
デリバティブ金融商品 4,975,181 9,966,150 - - - - 14,941,331
顧客勘定およびその他預金 - - - - - 395,843,664 395,843,664
期間借入 193,906 - - - - 41,951,812 42,145,718
1
- 1,814,526 - - - 18,145,142 19,959,668
その他負債
- - - - - 420,381 420,381
劣後社債
5,169,087 11,780,676 - - - 548,735,448 565,685,211
1
売買目的で保有するその他負債は、公正価値ヒエラルキーのレベル1に属する。
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公正価値で測定される金融商品-ヒエラルキー
下表は、報告期間末において公正価値で測定された金融商品について、公正価値の測定を分類する
公正価値ヒエラルキーのレベル別に分析している。
レベル1 レベル2 レベル3 合計
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
2018 年 12 月 31 日現在
純損益を通じて公正価値評価される投資 11,188,493 1,608,998 1,823,419 14,620,910
FVOCI -損益へのリサイクルあり 80,714,588 3,630,021 - 84,344,609
FVOCI -損益へのリサイクルなし 373,752 - 22,513 396,265
デリバティブ金融商品(資産) 47,141 13,037,051 - 13,084,192
92,323,974 18,276,070 1,845,932 112,445,976
期間借入
- 352,522 - 352,522
デリバティブ金融商品(負債) 10,775 15,208,689 - 15,219,464
10,755 15,561,211 - 15,571,986
2017 年 12 月 31 日現在
売買目的保有金融資産 17,170,765 2,131,636 7,241 19,309,642
純損益を通じた公正価値評価に指定されてい
11,122 - - 11,122
るもの
売却可能金融資産 76,177,486 3,266,871 1,868,126 81,312,483
デリバティブ金融商品(資産) 6,489 11,392,943 - 11,399,432
93,365,862 16,791,450 1,875,367 112,032,679
期間借入
- 193,906 - 193,906
デリバティブ金融商品(負債) 18,770 14,922,561 - 14,941,331
18,770 15,116,467 - 15,135,237
OCI を通じて公正価値評価される 430 百万ディルハムの3つの証券がレベル1からレベル2へ振り替
えられ、 59.1 百万ディルハムの2つの証券がレベル3からレベル1へ振り替えられたことを除い
て、公正価値ヒエラルキー間の振替が行われた金融資産または負債はなかった。純損益を通じて公
正価値評価される金融商品に関しては、 12 百万ディルハムのひとつの証券がレベル1からレベル2
へ振り替えられ、 274 百万ディルハムの2つの証券がレベル2からレベル1へ振替えられ、また 276
千ディルハムのひとつの証券がレベル2からレベル3へ振り替えられた。
下表は、レベル3に属する公正価値で測定される金融商品の調整を示すものである。
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
1月1日現在残高 1,875,367 1,683,720
増加 113,431 369,324
企業結合の影響 - 13,935
決済およびその他の調整
(142,866) (191,612)
12 月 31 日現在残高
1,845,932 1,875,367
レベル3の金融商品は主にプライベート・エクイティへの投資で構成され、その評価は運用会社が
公表する最終純資産に基づいている。この評価の変動の影響は注記5(c)に含まれる株価リスク
の一環として取り扱われている。
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8 現金および中央銀行預け金
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
手許現金
1,696,420 1,778,162
UAE 中央銀行
現金準備預金
22,496,362 20,732,467
譲渡性預金
17,995,385 14,987,010
その他残高
4,926,819 4,505,644
その他中央銀行預け金残高
136,050,534 96,107,771
181,165,520 138,111,054
控除:予想信用損失
(256,793) -
182,908,727 138,111,054
現金準備預金は、当グループの日常業務に利用することはできない。
9 純 損益を通じて公正価値評価される投資
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
運用ファンドへの投資 3,917 55,719
プライベート・エクイティへの投資 1,823,408
-
持分証券への投資 1,113,625 503,769
負債証券 11,679,960 18,761,276
14,620,910 19,320,764
2017 年において、プライベート・エクイティへの投資は、売却可能に分類される非トレーディング
投資として報告されている。これらは、現在 IFRS 第 9 号に基づいて純損益を通じて公正価値で評価
される投資に再分類されている。
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10 銀行および金融機関預け金
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
普通預金、要求払い預金および通知預金
10,118,939 4,492,834
委託証拠金
5,635,525 7,491,982
定期預金
3,471,784 1,844,674
19,226,248 13,829,490
控除:予想信用損失 (50,156) -
19,176,092 13,829,490
11 売戻契約
当グループは、通常の業務過程において、短期資金調達を目的として第三者が金融資産を当グルー
プに移転する売戻契約を締結している。報告日現在における金融資産の帳簿価額は、 19,033 百万
ディルハム( 2017 年: 21,347 百万ディルハム )であった。
当期において、売戻契約に対して 15,356 千ディルハムの予想信用引当金が認識されている。( 2017
年:0ディルハム )。
2018 年 12 月 31 日現在、デフォルトでなくても当グループが売却または再担保することを認められて
いる、担保として受け入れた金融資産の公正価値は、 19,378 百万ディルハム( 2017 年: 20,985 百万
ディルハム )であった。
2018 年 12 月 31 日現在、担保として受け入れた金融資産で売却または再担保されたものの公正価値
は、 11,903 百万ディルハム( 2017 年: 13,965 百万ディルハム )であった。当グループは、同等の有
価証券を返却する義務がある。
これらの取引は、標準貸付、ならびに有価証券借入および貸付取引の通常の条件に基づき実施され
る。
12 貸出金
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
貸出金総額
367,056,491 345,089,058
控除:利息の未計上分
(1,968,015) (1,895,059)
控除:予想信用損失
(11,883,248) (12,728,111)
貸出金純額
353,205,228 330,465,888
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
取引相手別
政府部門
5,780,419 5,006,234
公共部門
61,790,844 54,586,399
銀行部門
28,472,001 21,099,155
企業 /民間部門
203,461,407 193,175,957
パーソナル /リテール部門
67,551,820 71,221,313
貸出金総額
367,056,491 345,089,058
2018 年 2017 年
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千ディルハム 千ディルハム
商品別
当座貸越
24,222,265 15,357,085
タームローン
277,776,148 267,331,582
貿易関連ローン
27,930,930 22,970,550
パーソナルローン
29,049,808 30,250,597
クレジットカード
7,154,605 8,035,270
車両金融ローン
922,735 1,143,974
貸出金総額
367,056,491 345,089,058
当グループは、持分証券およびファンドへの投資に対して貸出金を提供している。当グループは、
これらが合意された一定の基準値を下回った場合には、これらの金融商品を処分する権限を有して
いる。当該貸出金の帳簿価額は 8,276 百万ディルハム( 2017 年: 9,316 百万ディルハム )であり、当
該貸出金の担保として保有している商品の公正価値は 13,200 百万ディルハム( 2017 年: 19,379 百万
ディルハム )である。当期において、当グループは、担保比率の下落により、軽微な金額の担保を
処分している。
イスラム金融
上記の貸出金には、以下のイスラム金融契約が含まれる。
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
イジャラ
8,172,431 7,051,924
ムラバハ
23,174,504 19,500,917
ムダラバ
59,046 218,177
その他
318,422 168,561
イスラム金融契約合計
31,724,403 26,939,579
控除:予想信用損失
(704,387) (453,034)
控除:未計上利益
(27,811) (32,671)
30,992,205 26,453,874
13 非トレーディング投資
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
売却可能投資
- 81,312,483
その他包括利益を通じて公正価値評価されるもの:
- 損益へのリサイクルあり(債券投資)
84,344,609 -
- 損益へのリサイクルなし(持分投資)
396,265 -
満期保有投資
- 7,075,467
償却原価
5,630,295 -
関連会社および共同支配企業への投資
65,141 69,760
90,436,310 88,457,710
控除:予想信用損失
(2,736) -
90,433,574 88,457,710
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報告日における種類別の非トレーディング投資の分析は、以下に示すとおりである。
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
市場価格あり 市場価格なし 合計 市場価格あり 市場価格なし 合計
持分証券 373,752 87,654 461,406 450,356 234,364 684,720
プライベート・エクイティ・
- - - - 1,703,524 1,703,524
1
ファンドへの投資
負債証券 89,060,242 914,662 89,974,904 84,330,388 1,727,335 86,057,723
- - - 11,743 - 11,743
ファンド
89,433,994 1,002,316 90,436,310 84,792,487 3,665,223 88,457,710
控除:予想信用損失
(2,411) (325) (2,736) - - -
89,431,583 1,001,991 90,433,574 84,792,487 3,665,223 88,457,710
201 8 年 12 月 31 日現在、非トレーディング投資に含まれる買戻契約の対象となる負債商品は、 22,971
百万ディルハム( 2017 年 12 月 31 日: 23,781 百万ディルハム )であった。
1
2017 年において、プライベート・エクイティへの投資は、売却可能な非トレーディング投資とし
て報告されている。これらは、 IFRS 第9号に基づいて損益を通じて公正価値評価される投資に再分
類されている。
非トレーディング投資は、以下の当グループの関連会社への投資を含む。
保有割合
2018 年 2017 年
グリーン・エミレーツ・プロパティーズ・ピージェーエスシー
- 40 %
ミッドマック・プロパティーズ・エルエルシー
16 % 16 %
エミレーツ・デジタル・ウォレット・エルエルシー
23 % 23 %
マーキュリー
30 % 30 %
グリーン・エミレーツ・プロパティーズ・ピージェーエスシー(以下、「 GEP 」という。)は、ア
ブダビ首長国で設立されたプライベート・ジョイント・ストック・カンパニーであり、主にアラブ
首長国連邦および国外の不動産物件の管理ならびに仲介を行っている。
ミッドマック・プロパティーズ・エルエルシー(以下、「 Midmak 」という。)は、アブダビ首長国
で設立された有限責任会社である。 Midmak は、不動産活動に従事している。当グループは Midmak の
発行済株式の 16 %を保有しているが、取締役会の代表として当グループが重要な影響力を行使して
いるため当該投資は関連会社として分類されている。
マーキュリーは、アブダビ首長国で設立された投資および支払サービス事業を行う有限責任会社で
ある。
2017 年に設立されたエミレーツ・デジタル・ウォレット・エルエルシーは、アラブ首長国連邦の 16
の大手国立銀行により共同所有されており、 UAE 中央銀行によりサポートされている。
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14 投資不動産
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
期首現在
6,927,692 6,422,502
増加/有形固定資産からの振替
576,004 553,203
事業結合取引
- 45,106
処分/有形固定資産への振替
(19,439) (273,035)
公正価値調整
(95,764) 179,916
期末現在
7,388,493 6,927,692
連結損益計算書に認識された投資不動産の賃料収入(正味)の金額は、以下のとおりである。
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
投資不動産から生じた賃料収入
52,328 34,642
管理費用
(33,233) (29,035)
投資不動産による賃料収入(正味)
19,095 5,607
投資不動産は、測定日時点の実際の市場の状況下における市場参加者間の秩序ある取引において、
資産を売却することで受け取るであろう価格または負債を移転するために支払うであろう価格を示
す公正価値で計上される。
当グループの投資不動産は、アブダビおよびドバイで土地、建物および開発中の不動産により構成
されている。経営陣は、これらの投資不動産が、それぞれの不動産の内容、特性およびリスクに基
づいてコマーシャルおよびリテールの2つのクラスからなるということを決定した。
2018 年および 2017 年 12 月 31 日現在、不動産の公正価値は、第三者の鑑定士が実施する評価に基づい
ており、すべて公正価値ヒエラルキーのレベル3である。鑑定士は、関連する専門的認定資格を有
し、評価対象となっている投資不動産の所在地および投資不動産の種類についての最近の実績があ
る。公正価値は、投資不動産の使用目的によって様々な評価モデルに基づき決定されている;英国
王立チャータード・サベイヤーズ協会(以下、「 RICS 」という。)の評価基準に準拠している。
2018 年および 2017 年 12 月 31 日現在の使用された評価手法および投資不動産に係る評価の主要なイン
プットの説明は以下のとおり。
評価手法 重要な観察不能なインプット
建物 比較法および残余法 類似取引
取引事例比較法 類似資産の現行の市場価格
土地 比較法および残余法 建設費
開発者収益
資金調達コスト
開発中の不動産 割引キャッシュフロー法 割引率
キャッシュインフロー
キャッシュアウトフロー
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15 有形固定資産
什器、備品、
コンピューター
土地、建物 システム 金庫および
および改修 および設備 車両 建設仮勘定 合計
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
原価
2017 年1月1日現在 1,155,345 625,587 195,258 91,754 2,067,944
企業結合取引(注記 43 ) 1,808,495 418,224 232,444 449,371 2,908,534
増加 40,067 553,037 69,350 285,379 947,833
建設仮勘定からの配分 51,015 107,907 5,624 (164,546) -
1
(100,307) (244,234) (16,804) (161,635) (522,980)
処分、振替および償却
2017 年 12 月 31 日現在
2,954,615 1,460,521 485,872 500,323 5,401,331
増加 395,413 36,336 35,226 870,895 1,337,870
建設仮勘定からの配分 248,985 747,769 1,752 (998,506) -
1
(443,864) (251,798) (129,938) (75,950) (901,550)
処分、振替および償却
2018 年 12 月 31 日現在
3,155,149 1,992,828 392,912 296,762 5,837,651
減価償却累計額および減損損失
2017 年1月1日現在 98,593 308,632 132,464 - 539,689
企業結合取引(注記 43 ) 477,026 405,027 185,174 - 1,067,227
当期費用 73,318 201,850 36,250 - 311,418
1
(2,395) (45,740) (4,369) - (52,504)
処分、振替および償却
2017 年 12 月 31 日現在
646,542 869,769 349,519 - 1,865,830
当期費用 81,447 125,073 29,066 - 235,586
1
(20,239) (185,347) (49,394) - (254,980)
処分、振替および償却
2018 年 12 月 31 日現在
707,750 809,495 329,191 - 1,846,436
帳簿価額
2017 年 12 月 31 日現在 2,308,073 590,752 136,353 500,323 3,535,501
2018 年 12 月 31 日現在
2,447,399 1,183,333 63,721 296,762 3,991,215
1
為替の影響に関する調整が含まれている。
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16 無形資産
のれん 顧客関係 コア預金 ライセンス ブランド 合計
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
原価
2017 年1月1日現在 36,868 170,000 10,000 - 22,000 238,868
企業結合取引 17,280,577 1,643,517 966,038 - - 19,890,132
2017 年 12 月 31 日現在
17,317,445 1,813,517 976,038 - 22,000 20,129,000
企業結合取引(注記 43 ) 52,804 (38,801) (382,703) 368,700 - -
2018 年 12 月 31 日現在
17,370,249 1,774,716 593,335 368,700 22,000 20,129,000
減価償却累計額および減損
損失
2017 年1月1日現在 - 60,509 4,478 - 3,483 68,470
当期費用 - 120,776 37,280 - 1,100 159,156
2017 年 12 月 31 日現在
- 181,285 41,758 - 4,583 227,626
当期費用 - 151,761 48,802 - 1,100 201,663
2018 年 12 月 31 日現在
- 333,046 90,560 - 5,683 429,289
帳簿価額
2017 年 12 月 31 日現在 17,317,445 1,632,232 934,280 - 17,417 19,901,374
2018 年 12 月 31 日現在
17,370,249 1,441,670 502,775 368,700 16,317 19,699,711
17 その他資産
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
未収利息
9,169,190 7,195,037
支払承諾見返
6,899,761 5,463,959
その他債権およびその他未収金
4,534,080 2,976,835
未収税金および繰延税金資産
84,460 36,585
20,687,491 15,672,416
控除:予想信用損失
(103,889) -
20,583,602 15,672,416
当グループは、未収利息および支払承諾見返に係る重要な信用リスクを認識していない。
支払承諾は、当グループが信用状に基づき提示された証書に対して支払義務を負う際に発生する。
当該証書は、承諾後には、当グループの無条件の債務となるため、連結財政状態計算書上金融負債
として認識されている。ただし、あらゆる支払承諾には、その見返りに顧客から補償を受ける契約
上の権利がある。この契約上の権利は、金融資産として認識されている。
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18 銀行および金融機関預り金
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
銀行および金融機関
普通預金、要求払い預金および通知預金
8,158,400 3,445,932
委託証拠金
897,243 1,131,317
定期預金
16,177,477 12,303,765
25,233,120 16,881,014
中央銀行
普通預金および要求払い預金
50,759 77,417
定期預金および譲渡性預金
14,982,656 13,617,905
15,033,415 13,695,322
40,266,535 30,576,336
銀行および金融機関預り金は様々な通貨建てであり、 -0.5 %から 16.85 %( 2017 年: -0.6 %から
5.15 % )の金利が付されている。
19 買戻契約
当グループは、通常の業務過程において、第三者に対し認識済の金融資産を直接譲渡する買戻契約
を締結している。
報告日における担保として差し入れられた金融資産の帳簿価額(公正価値と等しい)は、 23,707 百
万ディルハム( 2017 年: 23,784 百万ディルハム )であり、関連する金融負債は、 34,770 百万ディル
ハム( 2017 年: 37,674 百万ディルハム )であった。担保として差し入れられた金融資産の公正価値
と買戻契約の帳簿価額の正味の差額は、 11,063 百万ディルハムの不足( 2017 年: 13,891 百万ディル
ハムの不足 )である。その不足額は、売戻契約に対する担保として、またはカストディアンから証
券借入契約を通して受け入れた金融資産を再担保することによって補填されている。
20 コマーシャルペーパー
当行はプログラム限度額を合計で 10.5 十億米ドルとする2種類のユーロ建てコマーシャルペー
パー・プログラムを有している。当行はプログラム限度額が5十億米ドルの米ドル建てコマーシャ
ルペーパー・プログラムを有している。
報告日末現在における発行済のコマーシャルペーパーは、 18,144 百万ディルハム( 2017 年: 24,124
百万ディルハム )であり、満期までの期間は 12 か月未満である。
2018 年において当グループは、コマーシャルペーパーに関して元利金の債務不履行もしくはその他
の違反を行っていない。
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21 顧客勘定およびその他預金
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
口座別:
当座預金
148,584,905 137,005,200
貯蓄口座
10,125,980 13,323,504
委託証拠金口座
4,893,445 5,744,664
通知預金および定期預金
271,291,828 205,096,675
434,896,158 361,170,043
譲渡性預金
30,579,716 34,673,621
465,475,874 395,843,664
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
契約相手別:
政府部門
141,900,487 78,639,783
公共部門
73,231,345 74,303,858
企業 /民間部門
149,329,566 135,281,622
パーソナル /リテール部門
70,434,760 72,944,780
434,896,158 361,170,043
譲渡性預金
30,579,716 34,673,621
465,475,874 395,843,664
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
所在地別:
UAE
333,263,298 253,909,510
欧州
35,862,559 45,941,151
アラブ諸国
27,451,582 28,292,139
南北アメリカ
31,768,355 22,494,992
アジア
5,411,063 8,711,746
その他
1,139,301 1,820,505
434,896,158 361,170,043
譲渡性預金
30,579,716 34,673,621
465,475,874 395,843,664
イスラム顧客預金
上記の顧客勘定およびその他預金には、以下のイスラム顧客預金が含まれる。
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
ワカラ預金
1,213,380 781,321
ムダラバ預金
523,985 623,727
1,737,365 1,405,048
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22 期間借入
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
償却原価
転換社債
- 1,830,006
その他の債券
41,915,651 40,121,806
41,915,651 41,951,812
損益を通じた公正価値
352,522 193,906
42,268,173 42,145,718
転換社債には、 500 百万米ドルの社債が含まれていた。この社債は、満期が 2018 年3月であり、半
年毎に後払いされる固定利率が付されていた。転換オプションの当初の価値は 108,265 千ディルハ
ムであり、資本の一部として準備金の転換社債 - 資本構成部分に分類された。満期時にオプション
が行使されなかったため、同額が一般準備金に振り替えられている。
当期中に、当グループは様々な固定および変動利付債券を発行した。当グループはこれらの債券の
通貨および金利エクスポージャーをヘッジしている。当期において発行した債券の名目価値は以下
のとおりである。
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
固定金利
UAE ディルハム
- 96,830
スイスフラン
744,638 565,454
オフショア人民元
36,861 62,015
中国人民元
1,418,208 -
米ドル
5,176,396 -
英国ポンド
117,564 -
香港ドル
187,593 -
変動金利
米ドル
1,384,631 2,227,724
9,065,891 2,952,023
当グループは、期間借入に関する金利および外貨エクスポージャーをヘッジしている。ヘッジ対象
の名目価値は 33.52 十億ディルハム( 2017 年: 27.84 十億ディルハム )であり、ヘッジされているリ
スクは正味の負の公正価値 1,264 百万ディルハム( 2017 年:正味の負の公正価値 302 百万ディルハ
ム )である。当グループは、 2018 年および 2017 年において、期間借入について元利金の債務不履行
もしくはその他の違反を行っていない。
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2018 年 2017 年
3か月から 3か月から
3か月未満 1年 1年から3年 3年から5年 5年超 合計 3か月未満 1年 1年から3年 3年から5年 5年超 合計
通貨 金利 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
UAE ディルハム エクイティ・リン
- - - - - - - 96,830 - - - 96,830
ク
UAE ディルハム 年利3か月物
- 49,991 - - - 49,991 - - 49,936 - - 49,936
EIBOR+2.59 %
豪ドル 年利 3.17 %から
1,039,197 649,250 155,245 - - 1,843,692 861,918 - 1,983,239 84,717 - 2,929,874
5.00 %の固定金利
豪ドル 年利3か月物豪ド
ル BBSW+110bps から - 51,792 - 64,504 - 116,296 - - 57,268 71,812 - 129,080
142bps
スイスフラン 年利 0.16 %から
- - - 1,485,350 549,312 2,034,662 - - - 754,538 556,742 1,311,280
0.625 %の固定金利
オフショア人 年利 ▶%から 4.79 %
69,571 310,856 168,656 36,861 - 585,944 73,324 355,185 572,242 - - 1,000,751
民元 の固定金利
中国人民元 年利 4.50 %から
- - 1,457,598 - - 1,457,598 - - - - - -
4.80 %の固定金利
ユーロ 年利 0.516 %から
- - 105,495 - 547,502 652,997 - - 111,017 - 580,853 691,870
3.00 %の固定金利
ユーロ 年利3か月物
EURIBOR+0.33 %か - - 250,582 - - 250,582 66,128 - 263,084 - - 329,212
ら 0.36 %
英国ポンド 年利 1.66 %の固定
- - 117,265 - - 117,265 - - - - - -
金利
香港ドル 年利 2.37 %から
- 151,052 243,099 707,220 182,810 1,284,181 - - 303,202 238,052 567,182 1,108,436
4.45 %の固定金利
日本円 年利 0.86 %から
2.60 %の
- 333,661 - - 356,906 690,567 - - 325,853 - 347,592 673,445
固定金利
メキシコ・ペ 年利 0.50 %の
- - - - 1,425 1,425 - - - - 1,960 1,960
ソ
固定金利
マレーシア・ 年利 4.90 %の
- - 432,417 - - 432,417 - - 453,894 - - 453,894
リンギット
固定金利
シンガポール 年利 2.10 %の
- - - - - - - 30,249 - - - 30,249
ドル
固定金利
米ドル 年利 5.10 %までの
1,836,365 2,709,970 5,744,730 5,061,974 9,608,102 24,961,141 1,830,007 - 10,284,027 2,134,531 8,265,264 22,513,829
固定金利
米ドル 年利1か月物から
- 6,096,085 1,570,216 123,114 - 7,789,415 367,098 2,221,999 7,992,009 243,966 - 10,825,072
3か月物
LIBOR+3.41 %まで
2,945,133 10,352,657 10,245,303 7,479,023 11,246,057 42,268,173 3,198,475 2,704,263 22,395,771 3,527,616 10,319,593 42,145,718
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当期中に、当グループは様々な固定および変動金利債券を発行した。当期において発行した債券の
名目価値は以下のとおりである。
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
期首現在
42,145,718 18,294,545
31,308,591
取得による増加 -
3,135,955
新規発行 9,076,645
(11,433,0 20 )
償還 (7,735,417)
839,64 7
公正価値、換算およびその他調整 (1,218,773)
42,145,718
42,268,173
期末現在
2 3 劣後社債
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
2012 年 12 月 10 日発行( 4.75 %の固定金利、満期 2027 年 12 月9日) 401,979 420,381
当グループは、当該劣後社債 に関する金利および外貨エクスポージャーをヘッジしている。当グ
ループは、 2018 年 12 月 31 日に終了した年度において、劣後社債に関して元利金の債務不履行もしく
はその他の違反を行っていない。
24 その他負債
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
未払利息 8,329,375 6,108,042
支払承諾 -割引控除後( 注記 17 )
5,668,690 2,506,422
従業員退職給付引当金 472,607 512,346
未払金、その他債務およびその他負債
10,943,162 11,745,645
国外法人税 192,546 160,884
25,606,380 21,033,339
従業員退職給付
確定給付債務
当グループは、適格従業員に対する退職給付引当金を計上している。 2018 年 12 月 31 日現在の確定給
付債務の現在価値を確認するために、数理計算による評価を実施している。当該評価を実施するた
めに、 UAE の登録年金数理人を任命している。確定給付債務の現在価値およびそれに関連する当期
および過去勤務費用は、予測単位積増方式を使用して測定されている。
当該負債を評価するのに用いている主要な仮定(加重平均率)は、以下のとおりである。
2018 年
割引率
年 3.53 %
昇給率
年 1.77 %
当該制度に基づく負債および給付を評価する際には、死亡率、脱退率および定年退職率に関する人
口統計上の仮定を用いた。当該給付の性質(いかなる事由によっても退職時に一括給付を行う)に
より、結合した単一の漸減率を用いている。
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割引率の仮定の +/-50 ベーシスポイントの変動によって、負債にそれぞれ 9,725 千ディルハムおよび
10,231 千ディルハムの影響が及ぶことになる。同様に、昇給率の仮定の +/-50 ベーシスポイントの
変動によって、負債にそれぞれ 10,390 千ディルハムおよび 9,966 千ディルハムの影響が及ぶことに
な る。
従業員確定給付債務の変動額は、以下のとおりであった。
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
1月1日現在残高
512,346 75,934
取得による増加
- 455,300
当期正味費用
66,285 47,920
当期支払額
(111,353) (69,761)
その他調整
5,329 2,953
12 月 31 日現在残高
472,607 512,346
確定拠出制度
当グループは、適格従業員のために、確定拠出制度として取り扱われる拠出金を支払っている。こ
れらの拠出に関する当期費用は、 69,955 千ディルハム( 2017 年: 91,472 千ディルハム )である。報
告日現在における未払年金 10,795 千ディルハム( 2017 年: 16,576 千ディルハム )は、その他負債に
分類されている。
国外法人税
当グループは、報告日において有効または実質的に有効な税率に基づき、経営陣の見積もった合計
支払額に従って国外法人税の引当を行っている。必要に応じて、当グループは、これらの負債の見
積額に関して、税金を支払っている。
当期国外法人税計上額は、調整済み純利益に基づいて計算される。引当金の変動額は、以下のとお
りであった。
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
1月1日現在残高
160,884 42,680
取得による増加
- 171,411
当期費用
325,004 224,989
国外における法人税等の支払額(回収額控除後)
(293,342) (278,196)
12 月 31 日現在
192,546 160,884
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25 資本および準備金
株式資本
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
1株1ディルハムの普通株式
10,897,545 10,897,545
1株1ディルハムの自己株式 25,530 42,433
2018 年2月 25 日に開催された年次総会(以下、「 AGM 」という。)において、当行の株主は、普通
株式1株当たり 0.70 ディルハムの現金配当 7,628 百万ディルハムを承認した。
法定準備金および特別準備金
1980 年連邦法第 10 号および当行の定款に従って、法定および特別準備金がそれぞれ払込済株式資本
の 50 %に達するまで、年間純利益の最低 10 %を法定および特別準備金の両方に振り替えなければな
らない。法定および特別準備金は株主への分配に利用することはできない。
配当
12 月 31 日に終了した年度において、以下の配当が当グループにより支払われた。
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
当期中に支払われた普通株式の配当
7,578,784 4,489,524
その他準備金
その他準備金には以下が含まれる。
IFRS 第9号 IFRS 第9号
公正価値 外貨換算 準備金- 準備金-
準備金 一般準備金 準備金 再評価準備金 個別 集合的 合計
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
2017 年1月1日現在 412,790 120,000 (88,327) 280,601 - - 725,064
212,420 - 25,252 - - - 237,672
当期その他包括利益
625,210 120,000 (63,075) 280,601 - - 962,736
2017 年 12 月 31 日現在
2018 年1月 1日現在 625,210 120,000 (63,075) 280,601 - - 962,736
2018 年1月1日現在に
おける IFRS 第9号の
適用による影響(注
(184,078) - -
- - - (184,078)
記4)
441,132 120,000 (63,075) 280,601 - - 778,658
当期その他包括利益 (1,039,153) - (247,856) - - - (1,287,009)
当期中の振替 - 108,265 - - - - 108,265
IFRS 第9号の準備金の
- - - - 297,621 64,988 362,609
変動
(598,021) 228,265 (310,931) 280,601 297,621 64,988 (37,477)
( ⅰ ) 公正価値準備金
公正価値準備金には、非トレーディング投資の認識が中止されるあるいは非トレーディング投資が
減損するまでの公正価値の正味累積変動額およびキャッシュフロー・ヘッジ準備金が含まれる。
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2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
再評価準備金- FVOCI で測定される金融商品
1月1日現在
677,495 413,171
2018 年1月1日現在の IFRS 第9号の適用による影響
(184,078) -
2018 年1月1日現在の修正再表示残高
493,417 413,171
当期未実現純利益
(1,137,667) 635,883
連結損益計算書に認識された当期実現累積純利益
136,412 (371,559)
ECL の影響
(5,029) -
12 月 31 日現在
(512,867) 677,495
ヘッジ準備金-キャッシュフロー・ヘッジ
1月1日現在
(52,285) (381)
公正価値の変動額
(32,869) (51,904)
12 月 31 日現在
(85,154) (52,285)
12 月 31 日現在合計
(598,021) 625,210
ヘッジ準備金は、ヘッジ取引に関連するキャッシュフロー・ヘッジ商品の公正価値の累積純変動の
有効部分より構成されている。当期中に、キャッシュフロー・ヘッジ準備金から純損益への重要な
振替はなかった。
( ⅱ ) 一般準備金
一般準備金は、取締役会の提案により、株主への分配に利用することができる。
( ⅲ ) 再評価 準備金
280,601 千ディルハム( 2017 年: 280,601 千ディルハム)の再評価準備金は、有形固定資産に含まれ
ている土地に関連している。
( ⅳ ) 外貨 換算準備金
外貨換算準備金は、在外営業活動体への純投資の換算によって生じる為替差額である。当期中に、
外貨換算準備金から純損益への重要な振替はなかった。
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( ⅴ ) IFRS 第9号 準備金
CBUAE 通達に従って、 CBUAE のガイダンスに基づく準備金が、 IFRS 第9号に基づく引当金を上回る場
合、その超過額を IFRS 第9号の準備金に振り替なければならない。詳細は以下のとおりである。
2018 年
千ディルハム
減損引当金 - 個別
CBUAE 通達 28/2010 における個別引当金
6,723,798
控除: IFRS におけるステージ3の引当金
6,426,177
減損準備金に振り替えられる個別 準備金
297,621
減損引当金 - 集合的
CBUAE 通達 28/2010 における集合的引当金
6,408,021
控除: IFRS におけるステージ1およびステージ2の引当金
6,343,033
減損準備金に振り替えられる集合的準備金
64,988
26 ティア1キャピタルノート
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
アブダビ政府債券 ディルハム
8,000,000 8,000,000
(年利6か月物 EIBOR プラス 2.3 %)
750 百万米ドル債券 米ドル
2,754,750 2,754,750
( 2020 年まで 5.25 %の固定金利、その後は年利5年ミッド・ス
ワップ・レートプラス 3.35 %)
10,754,750
10,754,750
ティア1キャピタルノートは、永久、劣後および無担保であり半期毎に後払いされるクーポンが付
されている。当行は自己の裁量によりクーポンの支払いを行わないことを選択できる。本債券保有
者はクーポンを請求する権利を有さず、また、クーポンを支払わないという当行の選択は債務不履
行とみなされない。また、当行が該当するクーポン利払日にクーポン利払いを行うことが禁止され
るような特定の状況もある。
当行がクーポンを支払わないという選択を行うか、またはクーポンを支払ってはならないという事
象が発生する場合、当行は( ▶ )いかなる分配や配当の宣言または支払いも行わず、( b )優先順位
が本債券と同等または下位である当グループのいかなる株式資本またはその他の証券(ただし、強
制償還または資本への転換が条件として規定されている証券は除く)の償還、購入、消却、減債ま
たは別の方法での取得も行わない。いずれの場合も、クーポンが2回連続して全額支払われている
場合には、適用されない。
当年度において、当行は、 495,047 千ディルハム( 2017 年 12 月 31 日: 381,089 千ディルハム )のクー
ポンの支払を選択した。
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27 ストックオプション制度
2008 年に NBAD は、選ばれた従業員向けに株式報酬制度(以下「本制度」という。)を導入した。本
制度の権利確定期間は3年で、権利確定期間後3年以内に権利行使できる。重要な権利確定条件
は、オプション保有者が権利確定期間終了まで当グループに継続雇用されていることである。オプ
ションは、行使の有無にかかわらず、その付与日から6年後に失効する。
当グループは、従業員が権利確定したオプションを行使する際に株式を発行するための子会社を設
立した。これらの株式は、オプション保有者により行使されるまで自己株式として取り扱われる。
合併により、当グループは当該制度を同様の条件で継続している。 NBAD 株式オプション制度で権利
行使する従業員は、新法人の株式が付与される。
合併後から財政状態計算書の日付までの間、 16,903 千個のオプション ( 2017 年 12 月 31 日: 4,399 千
個) がオプション保有者により行使され、株式資本合計が 16,903 千ディルハム ( 2017 年 12 月 31 日:
4,399 千ディルハム) 、資本剰余金が 161,399 千ディルハム ( 2017 年 12 月 31 日: 29,626 千ディルハ
ム) 増加した。
28 受取利息
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
下記からの受取利息
中央銀行
968,840 339,797
銀行および金融機関
1,040,394 452,859
売戻契約
388,117 261,919
純損益を通じて公正価値評価される投資
385,429 352,009
非トレーディング投資
2,310,733 1,738,032
貸出金
16,742,891 13,187,171
21,836,404 16,331,787
29 支払利息
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
下記に対する支払利息
銀行および金融機関
800,414 583,820
買戻契約
706,723 373,651
コマーシャルペーパー
432,428 163,419
顧客勘定およびその他預金
5,307,623 2,648,424
期間借入
1,542,847 1,150,740
劣後社債
20,410 15,540
8,810,445 4,935,594
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30 正味受取手数料
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
受取手数料
貿易金融
1,053,033 855,577
回収サービス
33,569 34,756
受取仲介料
25,535 32,806
資産運用および投資サービス
141,906 82,837
投資、デリバティブおよびリスク・パーティシペーション
7,090 4,516
リテールおよび法人貸付
1,333,257 1,012,525
カードおよび電子サービス
1,885,819 1,595,675
口座関連サービス
60,165 84,023
振込手数料
115,273 96,318
その他
224,341 227,028
受取手数料合計
4,879,988 4,026,061
支払手数料
仲介手数料
42,530 28,224
取扱手数料
32,548 22,740
クレジットカード手数料
1,086,900 815,540
リテールおよび法人貸付
306,290 228,016
その他
19,348 33,686
支払手数料合計
1,487,616 1,128,206
正味受取手数料
3,392,372 2,897,855
31 純為替差益
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
1
1,776,161 640,543
為替および関連デリバティブに係るトレーディングおよび再換算利益
顧客との取引
266,319 287,645
2,042,480 928,188
1
有効なヘッジ戦略によって相殺されているヘッジ手段の影響は、非トレーディング投資の正味売却益( 注記 32 )に反映
されている。
ECB への預け金から生じた 285.44 百万ディルハム ( 2017 年: 213 百万ディルハム ) の負の受取利息を含
む。
32 純投資およびデリバティブ 利 益
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
損益を通じて公正価値評価される投資およびデリバティブに係る実現および未実
891,021 294,021
現利益
非トレーディング投資の正味(売却損) /売却益
(136,412) 371,559
受取配当金
71,616 20,551
826,225 686,131
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33 その他営業収益
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
投資不動産に係る(損失)/収益
(75,574) 331,960
リース関連収益
106,905 95,824
1
127,375 44,306
その他収益
158,706 472,090
有形固定資産の売却益 111.4 百万ディルハム( 2017 年: 2.2 百万ディルハム )を含む。
34 一般管理費およびその他営業費用
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
人件費
3,167,377 2,782,316
その他一般管理費
1,686,352 1,611,022
減価償却費(注記 15 )
235,586 311,418
無形資産の減価償却費(注記 16 )
201,663 159,156
スポンサーシップおよび寄付
37,577 37,584
5,328,555 4,901,496
35 正味減損費用
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
以下に対する減損費用
貸出金
2,107,219 2,362,297
その他金融資産
33,147 843
未実行のエクスポージャー
(326,543) -
回収額
(303,770) (297,777)
減損金融資産の償却
215,741 21,354
1,725,794 2,086,717
36 国外法人税費用
繰延税金に関する調整額に加え、当期費用は、調整済みの当期純利益に基づき、各国地域において
適用される税率で計算される。
連結損益計算書に計上された当期費用は、以下のとおりであった。
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
当期費用
325,004 224,989
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37 現金および現金同等物
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
現金および中央銀行預け金
183,165,520 138,111,054
銀行および金融機関預け金
19,226,248 13,829,490
202,391,768 151,940,544
控除:預金から3か月以後に満期となる中央銀行預け金
(18,726,908) (10,186,771)
控除:預金から3か月以後に満期となる銀行および金融機関預け金
(7,987,484) (7,147,856)
175,677,376 134,605,917
38 契約債務および偶発債務
当グループは、通常の業務過程において、信用状、保証および未実行のローンコミットメント等の
一定のコミットメントの引受けを伴う様々な種類の取引を行っている。
当期中において、通常の業務で生じたものを除いて偶発債務およびコミットメントに関するその他
の重大な変更は生じていない。
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
信用状
59,955,337 48,863,532
保証状
104,894,326 102,810,624
金融保証
285,311 763,441
取引による偶発債務
165,134,974 152,437,597
未実行の信用供与コミットメント
45,659,602 42,983,794
将来の資本的支出コミットメント
991,968 1,051,386
将来のプライベート・エクイティへの投資コミットメント
772,322 985,495
オペレーティング・リース料に関するコミットメント
200,574 169,950
47,624,466 45,190,625
契約債務および偶発債務合計
212,759,440 197,628,222
注記5に記載されているとおり、実行済の信用供与枠と非常によく似ているこれらの未実行の信用
供与枠の信用リスク特性は、延滞も減損もしていない。
信用状および保証状(以下「取引に伴う偶発債務」という。)の発行をもって、当グループは、書
類の作成または顧客による契約条項の不履行を条件として、顧客を代理して支払を行うことを約束
している。
信用供与コミットメントとは、ローンおよびリボルビング・クレジットを供与するための契約上の
コミットメントである。コミットメントには一般に固定満期日またはその他の解約条項が設定され
ており、手数料の支払を要求することができる。コミットメントは実行されずに満了する場合があ
るため、約定額の合計は、必ずしも将来の必要資金を示すものではない。
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オペレーティング・リース料の支払に関するコミットメントは以下に示すとおりである。
2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム
1年未満
62,098 94,707
1年から5年
119,996 61,662
5年超
18,480 13,581
コミットメント合計
200,574 169,950
金融保証契約には、主として米ドル建ての銀行および金融機関とのクレジット・デフォルト契約
73.46 百万ディルハム( 2017 年: 165 百万ディルハム )が含まれる。
金融保証契約は主に銀行および金融機関に関連する。
所在地別集中度
未実行の 取引に伴う偶発債務
貸出コミットメント
2018 年 2017 年 2018 年 2017 年
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
UAE
24,865,542 19,803,169 118,693,398 105,597,814
欧州
7,422,210 9,743,421 19,593,289 22,886,522
アラブ諸国
4,202,963 2,635,163 6,967,012 8,366,824
南北アメリカ
3,035,469 3,703,440 11,956,195 5,843,811
アジア
3,659,085 2,814,846 7,755,276 8,954,804
その他
2,474,333 4,283,755 169,804 787,822
45,659,602 42,983,794 165,134,974 152,437,597
39 デリバティブ金融商品
当グループは、通常の業務過程において、デリバティブ金融商品を伴う様々な種類の取引を行って
いる。デリバティブとは、株式、債券、金利、為替、信用スプレッド、コモディティおよび株価そ
の他の指数等の原資産の価格からその価値が算出される金融商品である。デリバティブの利用者
は、信用リスクまたは市場リスクに対するエクスポージャーを増大または軽減させることもできれ
ば、転換することもできる。デリバティブ金融商品には、先渡、先物、スワップおよびオプション
が含まれる。これらの取引は、主に銀行および金融機関と締結されている。
先渡および先物取引
通貨先渡取引とは、外貨および / または自国通貨を購入するコミットメントである。これには、現
物受渡しを伴わない直物取引(すなわち、純額決済される取引)も含まれる。金利先物契約とは、
将来の日に、約定金利と現在の市場金利の差異を、名目元本の金額に基づき、現金で決済すること
を要求する個別に譲渡可能な金利先物である。為替および金利先物とは、為替または金利の変動に
基づき、純額の受取りまたは支払いを行う契約上の義務、あるいは将来の日に、組織的な金融市場
で成立した特定の価格で、外貨または金融商品の売買を行う契約上の義務である。先物契約に関す
る信用リスクは、現金または市場性のある有価証券で担保されており、先物契約の価値の変動が取
引所で日々決済されているため、無視することができる。
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スワップ
通貨および金利スワップとは、一連のキャッシュフローを別のキャッシュフローと交換するコミッ
トメントである。スワップによって、通貨または金利の経済的交換(例えば、固定金利と変動金利
の交換)あるいはこれらすべての組合せの経済的交換(すなわち、クロスカレンシー金利スワッ
プ)が行われることになる。特定のクロスカレンシー・スワップを除き、元本の交換が行われるこ
とはない。当グループの信用リスクは、取引相手方が債務を履行しなかった場合の潜在的な損失を
表している。このリスクは、現在の公正価値、スワップ契約の想定元本および市場の流動性を参照
することによって継続的にモニタリングされている。負担する信用リスクの水準を管理するため
に、当グループは、貸付に関する活動と同様の手法を用いて取引相手方を評価している。
オプション
オプションとは、一定の期日または一定の期間内に、一定額の金融商品を一定の価格で購入(コー
ル・オプション)または売却(プット・オプション)を行う権利(義務ではない)を売手(発行
者)が買手(保有者)に付与する契約上の取決めである。売手は、リスクを引き受けることの見返
りに、買手からプレミアムを受け取る。オプションは、取引所取引が行われている場合もあれば、
当グループと店頭取引( OTC )の顧客との間で取引される場合もある。
デリバティブは、活発な市場における公表価格を参照することによって、公正価値で測定される。
金融商品について活発な市場がない場合、公正価値は、取引相手価格または割引キャッシュフ
ロー、市場価格、イールドカーブおよびその他の参照市場データといった適切な価格または評価モ
デルを使用してデリバティブの構成要素の価格から算出する。
下表は、デリバティブ金融商品のプラスおよびマイナスの公正価値ならびに満期までの期間別に分
析された想定元本を示すものである。想定元本とは、デリバティブの原資産、参照レートまたは指
数であり、デリバティブの価値の変動額を測定する際の基礎となる。想定元本は、期末現在の取引
残高を示しており、市場リスクおよび信用リスクを示すものではない。
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-------------------------------- 満期までの期間別想定元本 -----------
プラスの マイナスの 3か月から 1年から 3年から
2018 年 12 月 31 日 市場価値 市場価値 想定元本 3か月未満 1年 3年 5年 5年超
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
売買目的保有:
金利デリバティブ
スワップ 8,152,999 7,598,766 1,099,051,876 114,781,773 287,845,196 303,348,196 211,848,433 181,228,278
先渡および先物契約 5,165 3,724 57,016,206 11,031,032 6,199,712 39,785,462 - -
オプションおよびスワプション 83,215 117,837 64,186,503 1,517,329 52,873,360 8,028,574 1,010,075 757,165
為替デリバティブ
先渡契約 1,652,063 1,676,905 377,427,044 231,424,514 116,532,513 26,411,029 3,058,971 17
オプション 327,635 284,415 95,215,819 42,284,251 46,249,596 6,182,935 499,037 -
1,037,160 240,395 8,980,883 3,856,034 2,046,555 386,641 2,691,653 -
その他デリバティブ契約
11,258,237 9,922,042 1,701,878,331 404,894,933 511,746,932 384,142,837 219,108,169 181,985,460
公正価値ヘッジとして保有:
金利デリバティブ
スワップ 1,242,665 4,208,904 106,264,029 1,642,409 7,880,884 22,661,174 20,900,395 53,179,167
583,148 461,592 108,956,518 599,041 12,677,590 22,471,213 20,232,359 52,976,315
スワプション
1,825,813 4,670,496 215,220,547 2,241,450 20,558,474 45,132,387 41,132,754 106,155,482
キャッシュフロー・ヘッジとして保有:
金利デリバティブ
スワップ 123 503,660 4,800,940 - 178,697 4,622,243 - -
為替デリバティブ
19 123,266 20,042,459 20,042,459 - - - -
先渡契約
142 626,926 24,843,399 20,042,459 178,697 4,622,243 - -
合計 13,084,192 15,219,464 1,941,942,277 427,178,842 532,484,103 433,897,467 260,240,923 288,140,942
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-------------------------------- 満期までの期間別想定元本 -----------
プラスの マイナスの 3か月から 1年から 3年から
2017 年 12 月 31 日 市場価値 市場価値 想定元本 3か月未満 1年 3年 5年 5年超
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
売買目的保有:
金利デリバティブ
スワップ 6,742,787 6,262,503 837,892,379 83,721,947 134,243,557 283,292,685 183,526,708 153,107,482
先渡および先物契約 4,213 2,349 39,465,202 12,120,055 23,672,514 3,672,633 - -
オプションおよびスワプション 399,934 281,381 73,110,496 3,267,796 7,085,758 10,556,309 10,893,947 41,306,686
為替デリバティブ
先渡契約 2,863,604 2,730,662 370,178,971 221,271,826 112,078,707 33,509,940 2,562,315 756,183
オプション 563,748 394,103 132,404,746 44,551,147 67,697,369 19,114,805 1,041,425 -
300,319 295,152 7,276,322 3,186,012 1,389,224 492,237 2,208,849 -
その他デリバティブ契約
10,874,605 9,966,150 1,460,328,116 368,118,783 346,167,129 350,638,609 200,233,244 195,170,351
公正価値ヘッジとして保有:
金利デリバティブ
スワップ 500,489 4,284,555 84,701,044 1,328,588 3,732,969 19,483,570 20,063,436 40,092,481
24,267 269,498 7,805,757 - - - - 7,805,757
スワプション
524,756 4,554,053 92,506,801 1,328,588 3,732,969 19,483,570 20,063,436 47,898,238
キャッシュフロー・ヘッジとして保有:
金利デリバティブ
スワップ 2 414,382 5,023,946 - 173,736 3,850,664 999,546 -
69 6,746 2,918,877 2,918,877 - - - -
先渡契約
71 421,128 7,942,823 2,918,877 173,736 3,850,664 999,546 -
11,399,432 14,941,331 1,560,777,740 372,366,248 350,073,834 373,972,843 221,296,226 243,068,589
合計
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デリバティブのプラス / マイナスの公正価値は、それぞれ売買目的およびヘッジ手段の公正な評価
により生じる利益 / 損失を表す。これらの金額は、現在または将来の損失を示すものではないが、
これは同様のプラス / マイナスの金額がヘッジ対象である貸出金、非トレーディング投資、期間借
入および劣後社債の帳簿価額に調整されているためである。
2018 年 12 月 31 日現在、当グループは、特定の取引相手先から、デリバティブ資産の正の公正価値に
対する現金担保 1,136.5 百万ディルハム ( 2017 年: 1,017.2 百万ディルハム ) を受け入れている。これ
に対して、当グループは、デリバティブ負債の負の公正価値に対する現金担保 6,124.4 百万ディル
ハム ( 2017 年: 7,722.1 百万ディルハム ) を差し入れている。
デリバティブ関連の信用リスク:
デリバティブ関連の信用リスクは、当グループにとって有利な商品の正の公正価値に限定されてい
る。これらの取引は、主に銀行および金融機関と締結されている。
売買目的保有デリバティブ
当グループは、外貨、金利および信用リスクに対するエクスポージャーを管理するため、または価
格、金利または指数の有利な変動から利益を得ることを期待するポジションを設定するために、適
格ヘッジに指定されていないデリバティブを利用する。利用される商品には、主に金利および通貨
スワップならびに先渡契約が含まれる。これらのデリバティブの公正価値は、上表に示されてい
る。
公正価値ヘッジとして保有するデリバティブ
当グループは、自らの資産負債管理戦略の一環として、為替レートおよび金利の変動に対する自ら
のエクスポージャーを軽減するために、ヘッジ目的で、相殺するポジションを保有する形でデリバ
ティブ金融商品を利用している。当グループは、貸出金、非トレーディング投資、期間借入および
劣後債等、具体的に特定された利付資産から生じる公正価値の変動をヘッジするために、金利ス
ワップを利用する。当グループは、具体的に特定された通貨リスクをヘッジするために、為替先渡
契約および通貨スワップを利用する。
キャッシュフロー・ヘッジとして保有するデリバティブ
当グループは、金融商品によって生じる外貨リスクをヘッジするために、先渡契約を利用する。当
グループは、有効なヘッジ関係を保持するために、デリバティブの重要な条件を実質的に一致させ
ている。
40 セグメント別情報
事業構造は、当グループの財務パフォーマンスの支援に加え、事業戦略、顧客価値の提案、商品お
よび流通経路の開発あるいは顧客関係を、地域セグメント間にわたり推進する4つの主要な事業セ
グメントで構成されている。
事業セグメント
コーポレート&インベストメント・バンキング(以下、「 CIB 」という。)
専属のクライアントセグメント(コーポレート・バンキング、インスティテューショナル・バンキ
ング、コマーシャル・バンキング、プリビレッジド・クライアント・グループおよび金融機関)を
通じて企業および法人クライアントを扱う。 CIB は、 UAE およびインターナショナル・クライアント
の両方に対してクレジット・ファシリティ、グローバル・トランザクション・サービス、コーポ
レート・ファイナンス、イスラム金融およびグローバル・マーケッツ商品を提供する。
パーソナル・バンキング・グループ(以下、「 PBG 」という。)
この事業はリテール、富裕層、超富裕層顧客、イスラム顧客金融および中小企業(以下「 SME 」と
いう。)顧客セグメントをターゲットとしている。提供される商品の範囲は、当座口座、預金、ク
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レジットカード、ローンといった日常の銀行商品、先端的な投資ソリューションならびに事業向け
銀行商品およびサービスが含まれる。当該事業は、モバイルおよびインターネット・バンキング、
支 店、直接販売代理店ならびにバンキング子会社、すなわちドバイ・ファースト、アシールおよび
ファースト・アブダビ・イスラミック・ファイナンスを通じた販売を含む様々な販売網および販売
経路を提供している。
子会社
事業には不動産、プロパティマネジメント、仲介および従来型の銀行業といった補完的なサポート
を提供する様々なビジネスモデルが含まれている。当該事業は、当グループの一部または完全所有
子会社が対象となっており、 FAB プロパティーズ、 ADNP 、ミスマック、 FAB セキュリティーズおよび
ファースト・ガルフ・リビアン・バンクが含まれる。
本店
当グループは、その事業ユニットのすべてに対し、本店で一元的に管理している人事、情報技術、
オペレーション、財務、戦略、 IR 、リスク管理、与信管理、広報、法務およびコンプライアンス、
内部監査、調達、財務業務、インテグレーション・マネジメントおよび管理に関する支援を提供す
る。
地域セグメント
当グループは、 UAE およびインターナショナルの2つに定義された地域別セグメント内の支店、子
会社および駐在員事務所のネットワークを通じて様々な事業セグメントを管理している。インター
ナショナル事業は、さらに2つのサブセグメントである欧州、南北アメリカ、中東およびアフリカ
(「 EAMEA 」)ならびにアジア太平洋(「 APAC 」)に区分されている。
・欧州、南北アメリカ、中東およびアフリカ(「 EAMEA 」)
EAMEA 地域における FAB のネットワークは、アメリカ合衆国、ブラジル、英国、フランス、スイス、
オマーン、バーレーン、カタール、エジプト、スーダン、クウェート、レバノン、ヨルダンおよび
サウジアラビア王国での拠点を通じて営業されている。
・アジア太平洋(「 APAC 」)
アジアにおける FAB の事業はシンガポール、香港、韓国、中国、マレーシアおよびインドでの拠点
を通じて営業されている。
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事業セグメント 地域セグメント
パーソナル・
コーポレートおよび
バンキング・
インベストメント・ 欧州、南北アメリカ、
バンキング グループ 子会社 本店 合計 UAE 中東およびアフリカ アジア太平洋 合計
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
2018 年 12 月 31 日に終了した年度
5,594,591 5,520,961 (40,251) 1,950,658 13,025,959 11,298,979 1,451,086 275,894 13,025,959
正味受取利息
4,314,443 1,785,142 189,079 131,119 6,419,783 5,551,567 597,591 270,625 6,419,783
受取利息以外の正味収益
9,909,034 7,306,103 148,828 2,081,777 16,850,546 2,048,677 546,519
19,445,742 19,445,742
営業収益
1,741,348 2,768,574 137,375 681,258 5,328,555 4,381,444 731,204 215,907 5,328,555
一般管理費およびその他営業費用
1,222,562 457,486 (13,704) 59,450 1,807,162 (155,810) 74,442
1,725,794 1,725,794
正味減損費用
6,945,124 4,080,043 25,157 1,341,069 10,661,940 1,473,283 256,170
12,391,393 12,391,393
税引前利益
188,097 94,001 33,163 9,743 2,678 295,843 26,483
325,004 325,004
国外法人税等
6,757,027 3,986,042 (8,006) 1,331,326 10,659,262 1,177,440 229,687
12,066,389 12,066,389
当期 純利益
2018 年 12 月 31 日現在
630,066,190 101,659,261 13,179,664 127,546,798 872,451,913 619,662,984 205,297,041 32,858,649 857,818,674
セグメント別資産合計
(128,326,718) (113,693,479)
セグメント間残高
744,125,195 744,125,195
資産合計
618,795,941 92,621,803 9,916,308 49,144,861 528,049,917 198,827,604 28,968,153
770,478,913 755,845,674
セグメント別負債合計
(128,326,718) (113,693,479)
セグメント間残高
642,152,195 642,152,195
負債合計
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事業セグメント 地域セグメント
コーポレートおよび
パーソナル・ アジア
インベストメント・ 欧州、南北アメリカ、
バンキング バンキング 子会社 本店 合計 UAE 中東およびアフリカ 太平洋 合計
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
2017 年 12 月 31 日に終了した年度
4,869,432 4,924,893 (79,930) 1,681,798 11,396,193 10,098,538 1,043,368 254,287 11,396,193
正味受取利息
2,754,497 1,630,590 583,205 15,972 4,984,264 4,353,584 490,054 140,626 4,984,264
受取利息以外の正味収益
7,623,929 6,555,483 503,275 1,697,770 14,452,122 1,533,422 394,913
16,380,457 16,380,457
営業収益
1,542,480 2,435,049 121,018 802,949 4,901,496 4,229,801 522,055 149,640 4,901,496
一般管理費およびその他営業費用
296,627 2,036,599 50,967 (297,476) 1,985,084 90,921 10,712
2,086,717 2,086,717
正味減損損失
5,784,822 2,083,835 331,290 1,192,297 8,237,237 920,446 234,561
9,392,244 9,392,244
税引前利益
135,963 65,523 21,973 1,530 3,864 194,916 26,209
224,989 224,989
国外法人税等
5,648,859 2,018,312 309,317 1,190,767 8,233,373 725,530 208,352
9,167,255 9,167,255
当期 純利益
2017 年 12 月 31 日現在
450,441,539 106,156,609 13,606,508 126,839,637 697,044,293 538,512,342 156,465,447 23,406,626 718,384,415
セグメント別資産合計
(28,075,998) (49,416,120)
セグメント間残高
668,968,295 668,968,295
資産合計
438,610,883 100,270,288 6,170,495 49,783,214 451,819,450 144,661,282 19,694,270
594,834,880 616,175,002
セグメント別負債合計
(28,075,998) (49,416,120)
セグメント間残高
566,758,882 566,758,882
負債合計
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41 1株当たり利益
1株当たり利益は、以下に記載されているとおり、ティア1キャピタルノートに係る支払額控除後
の当期純利益を期中の加重平均発行済普通株式数で除することにより算出される。
2018 年 2017 年
基本1株当たり利益:
当期純利益(千ディルハム)
12,010,820 9,132,648
控除:ティア1キャピタルノートに係る支払額(千ディルハム)
(495,047) (381,089)
ティア1キャピタルノートに係る支払額控除後の純利益(千ディルハム)
11,515,773 8,751,559
加重平均普通株式数:
期首より発行済とみなされる株式数 (千 株 )
10,855,112 5,643,000
逆取得において発行済とみなされる加重平均株式数(千株)
- 3,923,620
ストックオプション制度に基づき行使された 加重平均株式数(千 株 )
8,399 3,473
加重平均普通株式数 (千株 )
10,863,511 9,570,093
基本1株当たり利益(ディルハム)
1.06 0.91
希薄化後1株当たり利益:
ティア1キャピタルノートに係る支払額控除後の純利益(千ディルハム)
11,515,773 8,751,559
加算:転換社債に係る利息(千ディルハム)
18,801 25,683
希薄化後1株当たり利益算出のための当期純利益(千ディルハム)
11,534,574 8,777,242
加重平均普通株式数( 千株 )
10,863,511 9,570,093
発行済潜在的希薄化普通株式による影響(千株)
28,606 97,861
ストックオプション制度における加重平均希薄化株式数 (千株 )
10,468 5,125
希薄化後1株当たり利益に関する加重平均発行済普通株式数(千株)
10,902,585 9,673,079
希薄化後1株当たり利益(ディルハム)
1.06 0.91
42 関連当事者
財務上または経営上の決定に関して、ある当事者が他の当事者を支配する、あるいは他の当事者に
重要な影響力を行使する能力を有している場合に関連当事者とみなされる。関連当事者は、当グ
ループの主要株主、取締役および主要経営陣からなる。主要経営陣は、当グループの戦略立案およ
び意思決定に関与する当グループの執行役員会のメンバー( EXCO )からなる。取引の条件は、当グ
ループの経営陣により承認され、関連当事者取引は、取締役または経営陣が同意した条件により作
成される。
2018 年 2017 年
上級経営陣および
関連企業 主要株主 合計 合計
千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム 千ディルハム
報告日における関連当事者との取引残高は、以下に示すとおりである。
金融資産
2,054,296 11,003,008 13,057,304 12,875,875
金融負債
9,770,117 7,026,995 16,797,112 16,664,072
偶発債務
1,839,901 19,686,726 21,526,627 13,392,898
当年度において行われた関連当事者との取引は、以下に示すとおりである。
受取利息
91,863 398,410 490,273 301,388
支払利息
406,519 137,901 544,420 224,799
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▶ 3 企業結合
2016 年 12 月7日、ファースト・ガルフ・バンク(以下「 FGB 」という。)およびナショナル・バン
ク・オブ・アブダビ(以下、「 NBAD 」という。)の株主は NBAD と FGB の合併を承認した。当該合併
は、 FGB 株式1株あたり NBAD 株式 1.254 株の交換比率による株式交換取引により効力が生じ、逆取得
として会計処理された。
FGB 株式はアブダビ証券取引所から上場廃止され、 NBAD は新株 5,643 百万株を FGB の株主に発行し
た。合併完了後、 FGB の株主は合併後の新銀行の約 52 %、 NBAD の株主は約 48 %を所有した。
合併取引は IFRS 第3号「企業結合」に準拠して会計処理された。 IFRS 第3号は、すべての企業結合
において取得企業の識別および取得法の適用を要求している。当該取引においては、 FGB が「会計
上の取得企業」として識別された。 2017 年4月1日に効力が生じた FGB による NBAD の取得を反映す
るために逆取得の基準が適用された。
本合併は、 UAE の経済成長を促進し、国際的な事業関係を推進するための財務体質の強化、専門性
およびグローバルネットワークを有した新銀行を設立するために実施された。
a. 購入対価
購入対価は、 2017 年3月 30 日のアブダビ証券取引所における FGB 株式の終値である1株当たり
12.90 ディルハムを基準とした計算により 53,572 百万ディルハムと算定された。
対価は以下のように計算された。
FGB の発行済株式(単位:千) 4,500,000
分割:当グループにおける FGB 株主の所有割合 52.01 %
当グループの合計株式数(単位:千) 8,652,881
乗数:当グループにおける NBAD 株主の所有割合
47.99 %
FGB から NBAD の株主に発行された株式数(単位:千) 4,152,881
乗数:取引日における FGB の株価
12.90
合計対価(千ディルハム) 53,572,167
b. 統合関連費用
コンサルタントおよび外部法務費用ならびにデューデリジェンス費用の統合関連費用 295 百万
ディルハム( 2017 年: 473 百万ディルハム )が当グループに生じた。これらの費用は、連結損益
計算書の一般管理費およびその他営業費用に含まれている。
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c. 取得した識別可能資産および引受負債
下表は取得日における取得資産および引受負債の公正価値の要約である。
2017 年3月 31 日
千ディルハム
資産
現金および中央銀行預け金 112,819,619
純損益を通じて公正価値評価される投資 16,077,659
銀行および金融機関預け金 9,356,896
売戻契約 17,876,372
デリバティブ金融商品 9,290,077
貸出金 207,807,269
非トレーディング投資 47,105,716
その他資産 8,917,134
投資不動産 45,106
有形固定資産 1,841,308
無形資産-顧客関係 1,604,716
無形資産-コア預金 583,335
無形資産-ライセンス 368,700
資産合計
433,693,907
負債
銀行および金融機関預り金 40,983,859
買戻契約 6,600,187
コマーシャルペーパー 11,976,634
デリバティブ金融商品 11,727,613
顧客勘定およびその他預金 272,994,885
期間借入 31,308,591
その他負債 14,399,305
389,991,074
劣後社債 365,234
ティア1キャピタルノート 6,754,750
ストックオプション制度 235,798
転換社債-資本構成部分 108,265
負債合計
397,455,121
取得日において普通株式所有者に帰属する NBAD の純資産
36,238,786
e. のれんおよび無形資産
当グループは 2017 年3月 31 日現在の NBAD の金融資産および負債の帳簿価額は、のれんの計算を
目的とした公正価値と同額であると推定した。
千ディルハム
合計対価
53,572,167
NBAD の純資産 (36,238,786)
のれん
17,333,381
当グループは、以下の項目を対象とする総合的な購入価格の配分を取得日から 12 か月以内に完
了した。
- コア預金、ライセンスおよびその他の顧客関係を含む無形資産の評価
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- 有形固定資産の評価
- その他の認識された金融ならびに非金融資産および負債における評価調整
- 貸出金の公正価値に対する当初の調整
のれんは、主に NBAD の当グループへの統合で見込まれるシナジーに起因する。
f. 当グループの業務への影響
当該取得が 2017 年1月1日に生じていた場合の経営陣による 2017 年1月1日から 2017 年 12 月 31
日までの連結営業収益および利益の見積りは、それぞれ 19,533 百万ディルハムおよび 10,915 百
万ディルハムであった。
44 会計方針の変更
FGB と NBAD の合併前、両行は IFRS および CBUAE の規定に準拠した会計帳簿を記録して財務諸表を作成
していた。法令順守のため、各行はそれぞれの会計方針を適用していた。
合併後、 FAB に適用する共通の会計方針を定めるために FAB の経営陣はこれら会計方針の統一に着手
した。以下は、統一された3つの主要会計方針である。
・ 格付基準の統一
NBAD および FGB の顧客リスク格付(「 CRR 」)の基準は、 FAB が準拠することになる単一の CRR 基準を
設定するために統一された。この会計方針を調和する主な目的は、財務諸表利用者に対してより信
頼性の高い整合性のある財務情報を提示することである。改訂格付基準の決定にあたり使用された
新規情報はない。また、当該方針の融合により計算された調整はない。
・公正価値調整
合併銀行について、公正価値調整に関する会計方針(例えばビッド・オファー調整)が統一され
た。会計基準は企業に対して、商品の公正価値を算定するために、価格慣行または実務慣行の使用
を認めている。当グループは、当グループが使用する価格慣行が、保有有価証券の出口価格につい
てより信頼性の高い近似値を確実に提供するよう公正価値調整を統一した。
・ 受取手数料の認識
当グループは、貸出金の手数料および当行が提供するその他の金融商品の手数料についてアップフ
ロントでの認識、または貸付期間にわたる償却手数料について首尾一貫して決定するために合併銀
行の会計方針を統一した。
会計方針の変更は期首剰余金の調整を通じて遡及的に会計処理されている。
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45 信託業務
当グループは、 2018 年 12 月 31 日現在、顧客に対する信託業務のもとで 7,667.91 百万ディルハム
( 2017 年: 7,782.85 百万ディルハム )の管理資産を保有していた。さらに、当グループは、一部の
顧客に対して保護預かりサービスを提供している。
保護預かりまたは信託業務において保有される原資産は、当グループの連結財務書類から除外され
る。
46 特別目的事業体
当グループは、顧客を代理してファンドの運用および投資活動を行うために、特定の目的を有する
特別目的事業体(以下「 SPE 」という。)を設立している。 SPE が運用する株式および投資は当グ
ループが支配するものではなく、また、当グループは手数料収入を除き SPE の業務から便益を得て
いない。さらに、当グループは、いかなる保証も付与しておらず、これらの事業体の負債も引き受
けていない。したがって、 SPE の資産、負債および経営成績については、当グループの連結財務書
類に含まれていない。 SPE は以下のとおりである。
持分
正式名称 業務 設立国 2018 年
ワン・シェア・ピーエルシー 投資会社 アイルランド共和国 100 %
NBAD プライベート・エクイティ1 ファンドの運用 ケイマン諸島 58 %
NBAD (ケイマン)リミテッド ファンドの運用 ケイマン諸島 100 %
47 比較数値
注記 44 で強調されている会計方針の変更による影響に加え、一部の比較数値は、これらの連結財務
書類に適用されている表示と一致させるために必要に応じて組み替えられている。
48 その他の開示
2018 年 12 月 31 日現在、アブラージ・ホールディングスに対する当グループのエクスポージャーは、
81 百万ディルハムである。当該エクスポージャーは、アブラージ・プライベート・エクイティ・
ファンドⅣ、インフラストラクチャー・アンド・グロース・キャピタル・ファンドならびにパー
フェクト・ホールディング・リミテッドへの投資への請求により完全に担保されている。
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2【主な資産・負債及び収支の内容】
上記1の財務書類に対する注記を参照のこと。
3【その他】
(1)後発事象
本書に記載のあるものを除き該当なし。
(2)訴訟
該当なし。
4【日本とIFRSとの会計原則の相違】
UAE で適用されている国際財務報告基準( IFRS )と、日本において一般に公正妥当と認められる会計原則
(日本の会計原則)とは、 2018 年 12 月 31 日現在、以下重要な点で相違している。
(1) 連結財務諸表
IFRS では、パワー、リターンの変動性およびパワーとリターンの関連性の概念に基づき、全ての事業
体に関する連結の要否を判断するための単一のアプローチがある。投資者は事業体への関与により生じ
る変動リターンに対するエクスポージャーまたは権利を有し、かつ事業体に対するパワーにより当該リ
ターンに影響を及ぼす能力を有している場合、当該事業体を支配しているため連結する。
連結財務諸表は、類似の状況における同様の取引およびその他の事象について統一された会計方針を
用いて、連結財務諸表を作成しなければならない。 (IFRS 第 10 号「連結財務諸表」 )
日本の会計原則では、実質支配力基準により連結範囲が決定され、被支配会社の財務諸表は連結され
る。公正価値で譲渡された資産からの利益を享受するために SPE が発行した持分商品の保有者のために
SPE が設立され業務が行なわれている場合には、当該 SPE は子会社とはみなされない。
親会社および子会社が連結財務諸表を作成するために採用する会計原則は、原則として統一されなけ
ればならない。ただし、子会社の財務諸表が IFRS または米国会計基準に準拠して作成されている場合
は、一定の項目の修正を除き、これを連結決算手続上利用できることと規定されている。 ( 企業会計基
準第 22 号「連結財務諸表に関する会計基準」 )
(2) 企業結合
IFRS では、企業結合は取得法で会計処理されている。 企業結合で取得したのれんは償却せず、最低
年1回同時期に減損テストを実施する。( IFRS 第3号および IAS 第 38 号)
日本の会計原則では、企業結合は通常パーチェス法により会計処理される。また、のれんは 20 年以
内の期間にわたり定額法その他の合理的方法により規則的に償却され、減損の兆候が認められた場合
に減損テストの対象となる。(企業会計基準第 21 号「企業結合による会計基準」及び 「固定資産の減
損に係る会計基準」 )
(3) 非金融資産の減損
IFRS では、各事業年度末において報告企業は、資産の減損の兆候について評価している。そのような
兆候が存在する場合、企業は当該資産の回収可能価額さらには減損損失を見積もっている。減損損失
は、一定の場合には戻し入れることができるが、戻入により増加する資産額は、減損処理前の価額を超
えてはならない。なお、のれんに係る減損損失の戻入は行われない。 (IAS 第 36 号「資産の減損」 )
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日本の会計原則では、減損の兆候が認められ、かつ割引前の見積将来キャッシュ・フロー (20 年以内
の合理的な期間に基づく ) が帳簿価額を下回ると見積られる場合において、回収可能価額と帳簿価額の
差額につき減損損失を計上する。減損損失の戻入は認められない。(「固定資産の減損に係る会計基
準」)
(4) 金融資産・負債の分類と測定
IFRS 第9号では、金融資産を「償却原価で測定される金融資産」、「その他包括利益を通じて公正価
値測定( FVOCI )される金融資産」、「損益を通じて公正価値測定( FVTPL )される金融資産」の3つの
主要区分に分類する。
売買目的保有以外の資本性金融商品は、当初認識時に、事後の公正価値の変動をその他包括利益に表
示する取消不能の選択 (FVOCI オプション ) をすることができる。
さらに、当初認識時に償却原価または FVOCI の測定要件を満たす金融資産を FVTPL で測定される金融資
産に取消不能の指定ができるが、これはそうすることにより生じるであろう会計上のミスマッチを解消
または大幅に低減する場合に限られる( FV オプション)。
金融負債の分類は、以下を除き、すべて償却原価で測定される区分に分類される。
・ FVTPL で測定される金融負債(負債であるデリバティブ及び FV オプションに指定された金融負債を
含む)
・金融資産の譲渡が認識の中止要件を満たさない場合に生じる金融負債
・金融保証契約
・所定の要件を満たすローン・コミットメント
・企業結合において取得企業が認識した条件付き対価
FV オプションに指定された金融負債の公正価値変動のうち、自己の信用リスクの変動に起因する部分
は、その他包括利益に計上される。なお、損益へのリサイクリングは禁止される。
日本では、トレーディング目的の金融資産は公正価値で測定され、公正価値の変動は損益計算書に認
識される。
売却可能有価証券(日本基準では「その他有価証券」)は公正価値で測定され、公正価値の変動額は
以下のいずれかの方法で処理される。
1) 公正価値の変動額を純資産に計上し、売却、減損あるいは回収時に損益計算書へ再計上する。
2) 銘柄ごとに、公正価値が原価を上回る場合には純資産に計上し、下回る場合には損益計算書に計
上する。
市場価格のない株式は原価で評価する。
金融負債はヘッジ会計によるものを除き、公正価値での測定は認められていない。
また、 FV オプションや FVOCI オプションのような規定はない。
(5) 金融資産の減損
IFRS では、償却原価または FVOCI 区分に分類される金融資産、リース債権、契約資産、または IFRS 第
9号の減損規定が適用される FVTPL 以外のローン・コミットメント及び金融保証契約について予想信用
損失に対する損失評価引当金が認識される。
減損は、当初認識以降の信用悪化の程度に基づき3つのステージを用いたアプローチにより信用損失
引当金として認識される。
日本では、回収不能と判断された金額に対して一般貸倒引当金、または個別貸倒引当金が計上され
る。一般貸倒引当金は、個別に回収不能と認められた貸付金に対して、過去の貸倒実績等に基づいて計
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上される。個別貸倒引当金は、個別に回収不能と認められた貸付金に適用され、各債務者の支払い能力
調査に基づいて計上される。貸倒引当金は資産の控除項目として計上される。
金融機関については金融検査マニュアルに従った債務者区分に応じて債権を分類し、債務者区分に応
じた方法により貸倒引当金を計上する。
時価のある有価証券 ( 売買目的有価証券を除く ) の市場価格が著しく下落した場合、公正価値の回復
が見込まれる場合を除き、減損損失を計上しなければならない。
(6) 金融資産の認識の中止
IFRS では、金融資産のキャッシュ・フローを受け取る約定権利が消滅した場合、あるいは会社が金融
資産を譲渡し、その譲渡が金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを移転していると
いう認識の中止要件を満たす場合に認識が中止される。
日本では、金融資産は金融資産の契約上の権利を行使したとき、権利を喪失したとき、または権利に
対する支配が他に移転したときに認識が中止される。
(7) 債務保証
IFRS 第 9 号が適用される金融保証契約は、当初公正価値で測定され、当初認識後は、以下のいずれか高
い方で測定される。
-IFRS 第 9 号に基づく損失評価引当額
- 当初認識額から、該当があれば、 IFRS 第 15 号に基づく収益累計額を控除した金額
日本では、債務保証は、金融資産または金融負債の消滅の認識の結果生じるものを除いて時価では計
上されず、銀行等の金融機関を除き財務諸表において引当金として計上、または注記等として開示され
る。
(8) 複合金融商品-転換社債
IFRS では、金融商品の発行体は、金融商品が負債部分と資本部分の両方を含んでいるかどうかを判定
するために、金融商品の契約条件を検討した上で、金融負債または資本性金融商品として別々に分類し
なければならない。
日本では、新株予約権付社債の発行は、発行に伴う払込金額を社債の対価部分と新株予約権の対価部
分とに区分せずに普通社債の発行に準じて処理する方法、または社債の対価部分と新株予約権の対価部
分を区分する方法のいずれかにより会計処理される。新株予約権の対価部分は、純資産の部に計上し、
権利が行使され、新株を発行したときは資本金または資本金および資本準備金に振り替え、権利が行使
されずに権利行使期間が到来した場合には、利益として戻入れる。
(9) ヘッジ会計
IFRS では、一定の条件が満たされた場合は、下記の種類のヘッジ関係に係るヘッジ会計が認められて
いる。
・ 公正価値ヘッジ ( すなわち、特定のリスクに起因し、損益に影響を与える可能性がある、公正
価値の変動に対するエクスポージャーのヘッジ )
- ヘッジ会計上、ヘッジ手段の損益は損益計算書に認識されている。また、ヘッジされたリ
スクに起因するヘッジ対象の損益はヘッジ対象の帳簿価額により調整され、損益計算書に
認識されている。
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・ キャッシュ・フロー・ヘッジ ( すなわち、特定のリスクまたは発生の可能性の高い予定取引に
起因し、損益に影響を与える可能性がある、キャッシュ・フローの変動可能性に対するエクス
ポージャーのヘッジ )
- ヘッジ会計上、ヘッジ手段の損益のうち有効なヘッジと判断される部分はその他包括利益
に認識され、非有効部分は損益計算書に認識されている。
・ 国外事業への純投資のヘッジ
- ヘッジ会計上、ヘッジ手段の損益のうち有効なヘッジと判断される部分はその他包括利益
に認識され、非有効部分は損益計算書に認識されている。 (IAS 第 39 号「金融商品:認識及
び測定」 )
日本の会計原則では、デリバティブ金融商品について、会計基準により定められたヘッジ会計の要件
を満たす場合には、原則として、「繰延ヘッジ会計」 ( ヘッジ手段の損益を財政状態計算書の「純資産
の部」に計上し、ヘッジ対象が損益認識されるのと同一の会計期間に損益計算書に認識する。 ) を適用
する。ヘッジ対象である資産または負債に係る相場変動等を会計基準に基づき損益に反映させることが
できる場合には、「時価ヘッジ会計」 ( ヘッジ手段の損益を発生時に認識するとともに、同一の会計期
間にヘッジ対象の損益も認識する。 ) を適用できる。(企業会計基準第 10 号「金融商品に関する会計基
準」)
(10) 退職後給付
IFRS では、確定給付型制度においては、 数理計算上の技法である予測単位積増方式を用いて、当期お
よび過去の期間の勤務の対価として従業員が稼得した給付について、企業にとって最終的なコストとな
る信頼性のある見積額を求める。当該給付は、確定給付制度債務の現在価値および当期勤務費用を算定
するために、割り引かれる。制度資産があれば、その公正価値を、確定給付制度債務の現在価値から控
除する。 当該制度の資産が負債を超える場合は資産 ( 超過額、ただし退職給付制度からの返還、また
は、将来掛け金の減額の形で利用可能な経済的便益がある場合に限られる。 ) として、不足する場合は
負債 ( 不足額 ) として、それぞれ財政状態計算書に計上されている。当期勤務費用、正味確定給付負債
(資産)に係る正味利息(財務費用)ならびに過去勤務費用および 清算損益 は、損益に認識されてい
る。数理計算上の差異、 制度資産に係る収益(確定給付負債(資産)の純額に係る利息純額に含まれる
金額を除く)、および資産上限額の影響の変動(確定給付負債(資産)の純額に係る利息純額に含まれ
る金額を除く)は、 その他包括利益に表示される。 (IAS 第 19 号「従業員給付」 )
日本の会計原則では、確定給付型退職給付制度について、制度資産控除後の確定給付債務の全額が貸
借対照表に計上される。過去勤務費用および数理計算上の差異の発生額のうちその期に費用処理されな
い部分は、貸借対照表のその他包括利益累計額に計上される。これらはその後の期間にわたって費用処
理され、当期純利益を構成する。(企業会計基準第 26 号「退職給付に関する会計基準」)
(11) ストック・オプション
IFRS 第2号「株式報酬」では、企業は、株式に基づく報酬取引で受け取るかまたは取得した財または
サービスを、当該財を獲得した時またはサービスを受け取った時に認識しなければならない。企業は、
これに対応する資本の増加(財またはサービスを持分決済型の株式に基づく報酬取引で受け取った場
合)、または負債の増加(現金決済型の株式に基づく報酬取引で受け取った場合)を認識しなければな
らない。
持分決済型の株式に基づく報酬取引については、原則として、企業は、受け取った財またはサービス
を、受け取った財またはサービスの公正価値で直接測定しなければならない。受け取った財またはサー
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ビスの公正価値を企業が信頼性をもって見積れない場合には、企業は、受け取った財またはサービス
を、付与した資本性金融商品の公正価値を参照して測定しなければならない。 従業員 との取引は、付与
し た資本性金融商品の公正価値を参照して測定しなければならない。従業員および他の類似サービス提
供者に付与した資本性金融商品は、勤務に関する条件を伴う場合、付与した資本性金融商品の公正価値
を参照して付与日において測定した上で、権利確定期間にわたり認識しなければならない。
現金決済型の株式に基づく報酬取引は、負債の公正価値で測定しなければならない。負債が決済され
るまで、企業は当該負債の公正価値を各報告期間の末日および決済日に再測定し、公正価値の変動を当
期の純損益に認識しなければならない。
日本では、企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」が適用され、従業員に
付与されたストック・オプションは付与日における公正な評価額で測定される。各会計期間における費
用計上額は、ストック・オプションの公正な評価額のうち、対象勤務期間を基礎とする方法その他の合
理的な方法にもとづき当期に発生したと認められる額で認識され、対応する金額は純資産の部に新株予
約権として計上される。権利が行使されずに失効した場合は、新株予約権として計上した額のうち当該
失効部分に対応する部分を失効が確定した期の利益として計上する。
現金決済型の株式に基づく報酬に関する基準はない。
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第7【外国為替相場の推移】
1【最近5年間の事業年度別為替相場の推移】
決算年月 2014 年 12 月 31 日 2015 年 12 月 31 日 2016 年 12 月 31 日 2017 年 12 月 31 日 2018 年 12 月 31 日
に終了した に終了した に終了した
に終了した に終了した
事業年度 事業年度 事業年度
事業年度 事業年度
32.06 31.08
最高(円) 33.07 34.20 32.98
29.36 28.54
最低(円) 27.49 31.64 27.19
30.54 30.08
平均(円) 28.84 32.96 29.61
30.68 29.88
期末(円) 32.58 32.74 31.86
ディルハムの対円相場(ニューヨーク・コンポジット・レート)である。
出典:ブルームバーグ・データ・ベース
2【最近6月間の月別最高・最低為替相場】
月別 2018 年 12 月 2019 年1月 2019 年2月 2019 年3月 2019 年4月 2019 年5月
最高(円) 30.95 29.93 30.33 30.49 30.49 30.33
最低(円) 29.87 29.44 29.84 29.93 30.20 29.58
平均(円) 30.53 29.68 30.08 30.26 30.39 29.94
ディルハムの対円相場(ニューヨーク・コンポジット・レート)である。
出典:ブルームバーグ・データ・ベース
3【最近日の為替相場】
29.39 円( 2019 年6月 20 日)
出典:株式会社三菱 UFJ 銀行の対顧客外国為替相場の公表仲値
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第8【本邦における提出会社の株式事務等の概要】
該当なし。
第9【提出会社の参考情報】
1【提出会社の親会社等の情報】
該当なし。
2【その他の参考情報】
当事業年度の開始日から本書提出日までの期間において提出された書類および提出日は以下のとおりで
ある。
提出書類 提出年月日
1 有価証券報告書(自 平成 29 年1月1日 至 平成 29 年 12 月 31 日) 平成 30 年6月 29 日
2 半期報告書(自 平成 30 年1月1日 至 平成 30 年6月 30 日) 平成 30 年9月 28 日
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第二部【提出会社の保証会社等の情報】
第1【保証会社情報】
該当なし。
第2【保証会社以外の会社の情報】
該当なし。
第3【指標等の情報】
該当なし。
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(訳文)
独立監査人の監査報告書
ファースト・アブダビ・バンク・ピー・ジェー・エス・シー株主各位
連結財務書類監査に関する報告
監査意見
私どもは、ファースト・アブダビ・バンク・ピー・ジェー・エス・シー(以下「銀行」とい
う。)およびその子会社(以下「グループ」という。)の連結財務書類の監査を行った。当該財務
書類は、 2018 年 12 月 31 日現在の連結財政状態計算書、同日に終了した事業年度における連結損益計
算書およびその他包括利益計算書、株主資本変動計算書およびキャッシュフロー計算書ならびに重
要な会計方針およびその他の情報を含む注記より構成されている。
私どもの意見では、添付の連結財務書類は、国際財務報告基準(以下「 IFRS 」という。)に準拠
して 2018 年 12 月 31 日現在のグループの連結財政状態、ならびに同日に終了した事業年度における連
結経営成績および連結キャッシュフローをすべての重要な点において適正に表示している。
意見の基礎
私どもは、国際監査基準(以下「 ISA 」という。)に準拠して監査を行った。本基準のもとでの
私どもの責任は、本報告書の「連結財務書類の監査に対する監査人の責任」のセクションに詳述さ
れている。私どもは、国際会計士倫理基準審議会の職業会計士の倫理規程(以下「 IESBA 規程」と
いう。)およびアラブ首長国連邦 ( 以下「 UAE 」という。 ) における連結財務書類の監査に関連のあ
る職業倫理に関する規定に準拠し、グループから独立している。また、私どもは、当規定および
IESBA 規程に準拠してその他の倫理上の責任を果たした。私どもは、意見表明の基礎となる十分か
つ適切な監査証拠を入手したと判断している。
監査上の主要な検討事項
監査上の主要な検討事項とは、私どもの職業的専門家としての判断において、当事業年度の連結
財務書類の監査で最も重要な事項である。これらの事項は連結財務書類全体に対する監査の観点か
ら、さらに当該監査に基づく意見の形成において対応されるものであり、各事項に個別の意見を表
明しない。
貸出金の減損
移行による影響については連結財務書類の注記4および年度末の開示については連結財務書類の
注記 12 から 35 を参照のこと。
IFRS 第9号「金融商品」(以下「 IFRS 第9号」という。)は 2018 年 1 月 1 日にグループに適用さ
れ、その結果以下のようになった。
・ 減損会計について発生損失モデルから複雑な見積りおよび判断を伴う予想信用損失(以下
「 ECL 」という。)モデルへ変更した
・ IFRS 第 9 号の適用日である 2018 年 1 月 1 日における移行調整を利益剰余金に認識した
・ 予想信用損失の算定には統計的モデルおよび手法を使用した
・ 以前テスト対象となっていなかったプロセス、データおよび統制において重要な変更が
あった
・ IFRS 第 9 号の初度適用による影響および予想信用損失の算定に使用された主な判断ならび
に重要なインプットに関する複雑な開示要件を説明した
貸出金に関する ECL の計算は本質的に判断によるものであることから、監査上の主要な検討事項
とされた。
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監査上の対応
私どもは、 ECL プロセスに使用される主要なシステム、アプリケーションおよび統制を識別する
ためにプロセス全体を通じたウォークスルーを実施した。また、これにより ECL モデルのレ
ビュー、検証および承認、データ収集とその組入れならびに経営陣が使用した根拠となる見積りに
関するガバナンスの枠組みを理解した。
私どもの手続きには以下が含まれていた。
・ モデルのレビュー、検証および承認を含む、モデル化のプロセスに関する主要な統制
・ 主要なインプットの正確性およびモデルに使用された主要な仮定および判断の妥当性に関
する主要な統制のテスト
・ 信用リスクの著しい増大(以下「 SICR 」という。)の基準に関して、基準の承認またモデ
ルへの基準の適用に関連した統制のテストを伴った、主要な統制のテスト
・ 取引相手に割り当てられたリスク格付けが適切に特定され、適時に更新されているかどう
かを評価するための内部信用格付け( SICR の決定における主な要因となるもの)およびモ
ニタリング・プロセスに係る主要な統制のテスト
・ 重要な経済変数の選択および適用に関する主要な統制ならびにシナリオ選択およびその確
率に関する統制のテスト
・ モデルのアウトプットの評価およびモデル評価の調整ならびにオーバーレイ管理に関する
承認ならびにレビューに関する主要な統制のテスト
・ 私どもは、 ECL モデルの様々な部分において用いた手法また、仮定の合理性および妥当性を
レビューするため、私どもの金融リスクモデル(以下「 FRM 」という。)の専門家を関与さ
せた。これには、信用リスクの著しい増大、デフォルトの定義、デフォルト確率、回収
率、マクロ経済変数ならびに発生確率で加重した結果の使用に関する主要な仮定/判断に
対する批判的な検証が含まれる。 FRM の専門家はまた、グループのモデルによる計算の主要
部分の再実施およびモデルによる算定結果の正確性を評価した。
・ 私どもは、 ECL プロセスに使用された主要システムの IT 全般および アプリケーション統制の
テストを支援するために、私どもの情報処理(以下「 IT 」 という。)専門家を関与させ
た。
・ ECL の計 算に影響する主要なインプットおよび仮定について、使用した情報の正確性を確認
するための経済予測およびウェイト付けを含むサンプルテスト
・ グループの SICR 判定における重要部分の再実施および SICR が適切に識別されているかを判
定するための金融商品サンプルの選定
・ モデル評価の調整およびオーバーレイ管理のサンプルを選定し、当該調整の合理性を評価
する。この評価は主要な仮定の批判的な検証、計算方法の検査、およびサンプルベースで
元データまで追跡することにより行われる。
・ ステージ 3 の顧客を含めて選択した顧客サンプルの信用評価の実施。ここでは回収可能性
および ECL 評価のため、ある 時点における信用格付けの妥当性をテストし、借り手の財務成
績の評価、返済の原資および借手の将来キャッシュフローを評価した。これは、主要な仮
定と事業計画に対する推移、関連業界および事業環境に関する私どもの独自の理解、なら
びに可能な場合には、例えばグループが保有する担保価値の適切性を評価するため外部か
ら入手した事業成績および不動産評価との比較による。
・ IFRS 第 9 号の初度適用から生じる移行影響および重要な見積りならびに判断に関するグ
ループの開示の妥当性の評価は、関連会計基準の要件を参照することにより行われた。
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のれんの帳簿価額
重要な会計方針については連結財務書類の注記3、年度末の開示については連結財務書類の注記
16 から 43 を参照のこと。
グループは、 2018 年の第1四半期において、ナショナル・バンク・オブ・アブダビ・ピー・
ジェー・エス・シーの取得日である 2017 年4月1日時点の金融資産および負債の帳簿価額を計算す
るための購入価格の配分処理を最終化した。これによりグループは、貸借対照表にのれんを認識し
た。これは年次の減損評価の対象となる。
のれんは、貸借対照表の帳簿価額が対象事業の割引後の将来キャッシュフローの見積りに基づく
資金生成単位(以下「 GCU 」という。)の使用価値で裏付けられない場合に減損している。
将来キャッシュフローの見積りおよび各 CGU のこれらのキャッシュフローの割引価値の計算に係
る見積りの双方には、重要なリスクとされる経営陣の判断および見積りの適用を伴う。
監査上の対応
私どもの監査手続きには、以下が含まれていた。
・ 各 CGU について、私どもは、キャッシュフロー予測と成長率の見積りを外部から入手した業
界、経済および財務データに照らし、合理性を評価した。
・ 私どもは、割引キャッシュフローの見積りを算定するため使用された割引率の適切性を批
判的に評価するために評価専門家を関与させた。またこれらを外部の情報源および同業の
銀行データに対してベンチマークした。
・ 私どもは、割引後の将来キャッシュフローの見積りについて、割引率および成長率の見積
りの変動に対する感応度分析を実施した。
・ 私どもは、経営陣の正確に見積もる能力について、入手可能な過去の実際のデータによる
結果と比較することで評価を実施した。
・ 私どもは 、 CGU のキャッシュフロー予測が承認された計画と整合しているか否かを批判的に
評価するために経営委員会により承認された予算をレビューした。
財務報告に係る IT システムの統合および統制
私どもは、合併後にグループの IT システムの評価を行った。この評価には、当事業年度における
複数の財務会計報告システム(以下「システム」という。)の統合および合併後の個別システムの
維持によって生じた誤謬リスクの増加による財務報告に係る統制も含まれている。合併後からシス
テム統合の日までの個別システムの維持は、段階的なシステム統合計画に従うもので様々な情報源
からの財務情報の連結プロセスにおける手作業部分を残している。これらのシステムは、大容量か
つ多様な取引のため、複雑なテクノロジーに依存している。これらの取引は日次で処理されてお
り、自動化された会計処理手続きおよび関連する内部統制が適正に整備され、有効に運用されない
リスクが存在する。合併の結果によるシステム変更によって高まった IT 環境の複雑性により、財務
報告に係る IT システムおよび統制は監査上の主要な検討事項とされた。
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監査上の対応
私どもの監査アプローチは、自動化された統制に依存しており、そのため、私どもの手続きは、
IT システムに係るアクセス権および統制をテストするよう策定されている。私どもは、システム生
成された情報の完全性および正確性について依拠可能かどうかを判断するために、統制テストと実
証性テストを組み合わせて実施した。私どもは、グループの IT システム監査において、私どもの IT
監査の専門家を関与させた。
私どもの監査手続きには、以下が含まれていた。
・ 経営陣によるグループの IT システムに関する計画、プロセスおよび統制に関する理解を得
る(詳細な統合計画を含む)
・ グループの IT 組織に係るガバナンスの枠組みのレビュー、ならびにプログラム開発および
変更、プログラムおよびデータへのアクセス、 IT 運用に係る統制のテスト(必要な場合、
補完統制を含む)
・ 財務報告に関連する IT システムの完全性に係る統制の整備状況の評価および運用状況の有
効性テスト
・ 財務報告の作成で使用されたデータの廃止システムから対象システムへの移動プロセスの
レビューおよびテスト
・ 廃止システムから関連する対象システムへのすべての残高の移管が完全かつ正確であるこ
とを確認するために経営陣が実施した調整の詳細のレビューおよびテスト
・ 連結財務書類の作成に用いられる財務報告システムの情報の完全性を検証するための連結
プロセスのテストおよびグループの対象構成単位の監査済情報と連結作業との照合
その他の情報
経営陣は、その他の情報について責任を有している。その他の情報は、私どもが本監査報告書の
日付より前に入手した会長の声明(連結財務書類およびそれに対する監査報告書は含まれない)、
ならびに本監査報告書の日付より後に入手可能となるグループの年次報告書に含まれる情報から成
る。
連結財務書類に関する私どもの意見は、その他の情報を対象としていないため、私どもは、当該
その他の情報に対していかなる形式の保証の結論も表明しない。
連結財務書類の監査に関する私どもの責任は、その他の情報を読み、その過程で、その他の情報
が連結財務書類または私どもが監査上入手した知識と著しく矛盾しているため重要な虚偽記載であ
ると疑われるようなものがないかを検討することである。
本監査報告書の日付より前に私どもが入手したその他の情報について実施した作業に基づき、当
該その他の情報に重要な虚偽の記載があるとの結論に至った場合、私どもは、その事実を報告する
必要がある。私どもはこの点に関し、報告すべきことはない。
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連結財務書類における経営陣および統治責任者の責任
経営陣の責任は、 IFRS に準拠した連結財務書類の作成および適正な表示、該当する 2015 年 UAE 連
邦法第2号の規定に準拠した連結財務書類の作成、ならびに不正か誤謬かを問わず、重要な虚偽表
示のない連結財務書類を作成するために経営陣が必要と判断する内部統制にある。
連結財務書類の作成において、経営陣は、継続企業としてのグループの存続能力の評価、継続企
業に関連する事項の開示(該当する場合)および継続企業を前提とした会計処理を実施する責任が
ある。ただし、経営陣がグループを清算または業務を停止する意思がある場合、あるいはそうする
より他に現実的な代替方法がない場合はこの限りでない。
統治責任者の責任は、グループの財務報告プロセスを監視することにある。
連結財務書類の監査に対する監査人の責任
私どもの目的は、全体として連結財務書類に不正または誤謬による重要な虚偽表示がないかどう
かに関する合理的な保証を得て、意見を含めた監査報告書を発行することにある。合理的な保証
は、高い水準の保証であるが、 ISA に準拠して実施された監査が、存在するすべての重要な虚偽表
示を常に発見することを確約するものではない。虚偽表示は、不正または誤謬から発生する可能性
があり、個別にまたは集計すると、当該連結財務書類の利用者の経済的意思決定に影響を与えると
合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
ISA に準拠した監査の一環として、私どもは、監査を通じて職業的専門家としての判断を行使
し、職業的専門家としての懐疑心を保持する他、以下を行う。
・ 不正または誤謬による連結財務書類の重要な虚偽表示リスクを識別、評価し、当該リスク
に対応した監査手続を立案、実施し、監査意見の基礎を提供する十分かつ適切な監査証拠
を入手する。不正による重要な虚偽の表示を発見できないリスクは、誤謬による当該リス
クよりも高くなる。これは、不正には、共謀、文書を偽造すること、意図的な除外、虚偽
の言明、および内部統制の無効化が伴うためである。
・ 状況に応じて適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を理解する。た
だし、これは、グループの内部統制の有効性に対する意見を表明するためではない。
・ 使用されている会計方針の適切性、経営陣によって行われた会計上の見積りおよび関連す
る開示の妥当性を評価する。
・ 経営陣が継続企業の前提により会計処理を実施したことの適切性について結論を下し、ま
た、入手した監査証拠に基づき、グループの継続企業としての存続能力に重要な疑義を生
じさせるような事象または状況に関して、重要な不確実性が存在するか否かを判断する。
重要な不確実性が存在するとの結論に至った場合、本監査報告書において、連結財務書類
の関連する開示を参照するよう促すか、または当該開示が不十分な場合は、私どもの意見
を修正する必要がある。私どもの結論は、本監査報告書の日付までに入手した監査証拠に
基づいている。ただし、将来の事象または状況により、グループが継続企業として存続し
なくなる可能性がある。
・ 連結財務書類の全体的な表示、構成および内容(開示を含む。)ならびに、連結財務書類
が基礎となる取引や会計事象を適正に表しているかを評価する。
・ 連結財務書類に対する意見を表明するため、グループ内の企業および事業活動の財務情報
に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。私どもは、グループ監査の指示、監督およ
び実施について責任があり、私どもの監査意見に単独で責任を負う。
私どもは、統治責任者と、特に、計画した監査の範囲とその実施時期、および監査上の重要な発
見事項(監査の過程で識別した内部統制の重要な不備を含む。)に関して、協議する。
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また、私どもは、独立性についての職業倫理に関する規定を遵守している旨を統治責任者に書面
で伝達し、独立性に影響を与えると合理的に考えられる全ての関係やその他の事項、また該当する
場合には関連するセーフガードについて統治責任者と協議する。
統治責任者との協議事項から、私どもは、当事業年度の連結財務書類の監査において最も重要性
のある事項、すなわち監査上の主要な検討事項を決定し、それらの事項を監査報告書に記載する。
ただし、法令により当該事項の公開が禁止されている場合、あるいは極めてまれな状況ではある
が、報告書において言及することで公共の利益よりも悪影響が大きいと合理的に予想されるため、
報告書で当該事項について言及すべきではないと私どもが判断した場合は、この限りでない。
その他法令上の要件に関する報告
2015 年 UAE 連邦法第2号の規定に従い、私どもは以下の事項について報告する。
ⅰ)私どもが、監査に必要と考える情報をすべて入手していること
ⅱ)本連結財務書類はすべての重要な点において、 2015 年 UAE 連邦法第2号の規定に準拠して作成
されていること
ⅲ)グループが、適切な財務記録を維持していること
ⅳ)会長のレターに含まれる財務情報が、これらの連結財務書類に関連する範囲に限定して、グ
ループの財務記録と整合していること
ⅴ)連結財務書類注記9および 13 に開示されるとおり、 2018 年 12 月 31 日終了年度において、グルー
プが株式の購入および投資を行ったこと
ⅵ)連結財務書類注記 42 において、重要な関連当事者取引および実行した際の条件が開示されてい
ること
ⅶ)私どもが入手することができた情報に基づき、 2018 年 12 月 31 日終了年度中にグループの事業ま
たは 2018 年 12 月 31 日現在の連結財政状態に重大な影響を及ぼす可能性のある 2015 年 UAE 連邦法
第2号および、グループに関しては定款への違反は認識していないこと
ⅷ)連結財務書類注記 34 において、当事業年度中に行われた社会貢献について開示されていること
2018 年連邦法第 14 号の規定に従い、私どもは監査に必要な情報および説明をすべて入手している
ことを報告する。
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/S/ エミリオ・ペラ
ケーピーエムジー・ロウワー・ガルフ・リミテッド
エミリオ・ペラ
監査人登録番号: 1146
アブダビ、アラブ首長国連邦
2019 年1月 31 日
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Independent Auditors' Report
To the Shareholders of First Abu Dhabi Bank P.J.S.C.
Report on the audit of the consolidated financial statements
Opinion
We have audited the consolidated financial statements of First Abu Dhabi Bank P.J.S.C. (the
“Bank”) and its subsidiaries (the “Group”), which comprise the consolidated statement of financial
position as at 31 December 2018, the consolidated statements of profit or loss, comprehensive
income, changes in equity and cash flows for the year then ended, and notes, comprising
significant accounting policies and other explanatory information.
In our opinion, the accompanying consolidated financial statements present fairly, in all material
respects, the consolidated financial position of the Group as at 31 December 2018, and its
consolidated financial performance and its consolidated cash flows for the year then ended in
accordance with International Financial Reporting Standards ("IFRS").
Basis for opinion
We conducted our audit in accordance with International Standards on Auditing ("ISAs"). Our
responsibilities under those standards are further described in the Auditors' Responsibilities for the
Audit of the Consolidated Financial Statements section of our report. We are independent of the
Group in accordance with International Ethics Standards Board for Accountants Code of Ethics for
Professional Accountants ("IESBA Code") together with the ethical requirements that are relevant
to our audit of the consolidated financial statements in the United Arab Emirates ("UAE"), and we
have fulfilled our other ethical responsibilities in accordance with these requirements and the
IESBA Code. We believe that the audit evidence we have obtained is sufficient and appropriate to
provide a basis for our opinion.
Key audit matters
Key audit matters are those matters that, in our professional judgement, were of most significance
in our audit of the consolidated financial statements of the current period. These matters were
addressed in the context of our audit of the consolidated financial statements as a whole, and in
forming our opinion thereon, and we do not provide a separate opinion on these matters.
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Impairment of loans and advances
Refer to note 4 for transition impact and notes 12 and 35 of the consolidated financial statements
for year-end disclosures.
IFRS 9 “Financial Instruments" ("IFRS 9") was adopted by the Group on 1 January 2018 and has
resulted in:
・ change in accounting for impairment from an incurred loss model to an expected credit loss
model ("ECL") which involves complex estimates and judgements;
□ transition adjustments recognised in retained earnings on 1 January 2018, being the date of
adoption of IFRS 9;
□ use of statistical models and methodologies for determination of expected credit losses;
□ significant change in processes, data and control that have not been subject to testing
previously; and
□ complex disclosure requirements regarding impact of initial application of IFRS 9 and
explanation of key judgements and material inputs used in determination of expected credit
losses.
Given the inherently judgemental nature of computation of ECL for loans and advances, this is
considered a key audit matter.
Our response
We have performed end to end process walkthroughs to identify the key systems, applications and
controls used in the ECL Process and to understand the governance framework around model
review, validation and approval of ECL model, data gathering and its integrity and underlying
estimates and assumptions used by management.
Our procedures included the following:
□ Testing key controls over the modelling process, including model review,
validation and approval;
□ Testing key controls over the accuracy of key inputs and appropriateness of key
assumptions and judgments used in the models;
・ Testing key controls over significant increase in credit risk ("SICR") criteria
involved testing controls relating to authorisation of the criteria and the application
of the criteria in the models;
□ Testing key controls over internal credit grading (which is a key driver in
determining SICR) and monitoring process, to assess if the risk grades allocated to
counterparties were appropriately identified and updated on a timely basis;
□ Testing key controls relating to the selection and implementation of material
economic variables and the controls over the scenario selection and probabilities;
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□ Testing key controls over the assessment of model outputs and authorisation and review of
post model adjustments and management overlays;
・ We involved our Financial Risk Modelling ("FRM") specialists to review the reasonableness
and appropriateness of the methodology and assumptions used in various components of
ECL modelling. This included challenging key assumptions/judgments relating to significant
increase in credit risk, definition of default, probability of default, recovery rates, use of
macro-economic variables and probability weighted outcomes. FRM specialists also re-
performed key elements of the Group's models calculations and evaluated the models
performance results for accuracy;
・ We have involved our Information Technology ("IT") specialists to assist in testing the
relevant General IT and Application Controls over Key Systems used in the ECL process;
□ Sample testing over key inputs and assumptions impacting ECL calculations including
economic forecasts and weightages to confirm the accuracy of information used;
・ Re-performing key aspects of the Group's SICR determinations and selecting samples of
financial instruments to determine whether a SICR was appropriately identified;
□ Selecting a sample of key post model adjustments and management overlays in order to
assess the reasonableness of the adjustments by challenging key assumptions, inspecting the
calculation methodology and tracing to source data on a sample basis;
□ Performing credit assessments for a sample of selected customers, including Stage 3
customers, to test the appropriateness of the credit grades at a given point in time and assess
the financial performance of the borrower, source of repayment and future cash flows of the
borrower to assess recoverability and ECL by comparing key assumptions to progress against
business plans and our own understanding of relevant industries and business environment
and where possible to externally derived evidence such as business performance and real
estate valuations for assessing the appropriateness of collateral values held by the Group; and
・ Assessing the adequacy of the Group's disclosure in relation to transition impact arising from
first time application of IFRS 9 and use of significant estimates and judgments by reference to
the requirements of the relevant accounting standards.
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Carrying value of goodwill
Refer to note 3 for significant accounting policies and notes 16 and 43 of the
consolidated financial statements for year-end disclosures.
During quarter one 2018, the Group finalised a purchase price allocation exercise in order to
calculate the carrying value of the National Bank of Abu Dhabi financial assets and liabilities as at
the date of acquisition being 1 April 2017. This resulted in the Group recognising goodwill within
its balance sheet which is subject to an annual impairment assessment.
Goodwill may be impaired if the carrying value of goodwill in the balance sheet is not supported
by the estimates of value-in-use of cash generating units ("CGUs) based on the estimated
discounted future cash flows of the underlying business.
The estimation of future cash flows and the assumptions involved in calculating the discounted
value of these cash flows by CGUs both involve the application of management judgment and
estimation which is considered to be a significant risk.
Our response
Our procedures included the following:
□ For each of the CGUs we assessed the reasonableness of the cash flow projections
alongside with the growth rate assumption to externally available industry, economic
and financial data;
・ We involved our valuation specialists to critically assess the appropriateness of the discount
rates used in order to determine estimated discounted cash flows and benchmarking these
against external data sources and peer banks' data;
□ We performed sensitivity analysis over the estimated discounted future cash flows on
the sensitivity to the change in discount and growth rate estimates;
・ We performed an assessment over management's ability to accurately forecast compared
to actual results based on historic data available; and
□ We reviewed budgets approved by the Board Management Committee to critically assess
whether projected cash flows for the CGUs are in line with approved plans.
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IT systems integration and controls over financial reporting
Following the merger, we assessed the Group's IT systems, including controls over financial
reporting due to the increased risk of error arising from the integration of some financial accounting
and reporting systems ("systems") in the current financial year and also maintaining separate
systems after the merger up to the date of systems integration, in accordance with the phasing of
the system integration plan, resulting in the existence of manual elements within the process of
consolidation of the financial information from various sources. Those systems are dependent on
complex technology due to the extensive volume and variety of transactions which are processed
daily and there is a risk that automated accounting procedures and related internal controls are not
accurately designed and operating effectively. Due to the complexity involved in the IT
environment, heightened by changes in the systems as a result of the merger, it is considered as a
key audit matter.
Our response
Our audit approach relies on automated controls and therefore our procedures are designed to test
access and control over relevant IT systems. We performed a combination of controls testing and
substantive testing in order to determine whether we could place reliance on the completeness and
accuracy of system generated information. We involved our IT audit specialists in the audit of the
Group's IT systems.
Our procedures included the following:
・ Obtained an understanding of management's plans, processes and controls in relation to
the Group IT systems including detailed integration plans;
・ Reviewed the governance framework over the Group's IT organization and testing the
controls over the program development and changes, access to programs and data and IT
operations, including compensating controls where required;
□ Assessed the design and tested the operating effectiveness of the controls over the integrity
of the IT systems that are relevant to financial reporting;
□ Reviewed and tested the data migration process from decommissioned systems to target
systems used in the preparation of financial reporting;
□ Reviewed and tested the detailed reconciliations performed by management to ensure all
balances transferred from the decommissioned systems to the relevant target systems are
complete and accurate; and
□ Tested the consolidation process and reconciled the audited in scope component
information to the consolidation workings of the Group to verify the completeness of the
information in the financial reporting systems used to prepare the consolidated financial
statements.
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Other information
Management is responsible for the other information. The other information comprises the
Chairman's statement, but does not include the consolidated financial statements and our audit
report thereon, which we obtained prior to the date of this audit report, and the Group's Annual
report which are expected to be made available to us after that date.
Our opinion on the consolidated financial statements does not cover the other information
and we do not express any form of assurance conclusion thereon.
In connection with our audit of the consolidated financial statements, our responsibility is to read
the other information and, in doing so, consider whether the other information is materially
inconsistent with the consolidated financial statements or our knowledge obtained in the audit, or
otherwise appears to be materially misstated.
If, based on the work we have performed on the other information that we have obtained prior to
the date of this auditors' report, we conclude that there is a material misstatement of this other
information, we are required to report that fact. We have nothing to report in this regard.
Responsibilities of management and those charged with governance for the consolidated
financial statements
Management is responsible for the preparation and fair presentation of the consolidated financial
statements in accordance with IFRS and their preparation in compliance with the applicable
provisions of the UAE Federal Law No. (2) of 2015, and for such internal control as management
determines is necessary to enable the preparation of consolidated financial statements that are free
from material misstatement, whether due to fraud or error.
In preparing the consolidated financial statements, management is responsible for assessing the
Group's ability to continue as a going concern, disclosing, as applicable, matters related to going
concern and using the going concern basis of accounting unless management either intends to
liquidate the Group or to cease operations, or has no realistic alternative but to do so.
Those charged with governance are responsible for overseeing the Group's financial reporting
process.
Auditors' responsibilities for the audit of the consolidated financial statements
Our objectives are to obtain reasonable assurance about whether the consolidated financial
statements as a whole are free from material misstatement, whether due to fraud or error, and to
issue an auditors' report that includes our opinion. Reasonable assurance is a high level of
assurance, but is not a guarantee that an audit conducted in accordance with ISAs will always
detect a material misstatement when it exists.
Misstatements can arise from fraud or error and are considered material if, individually or in the
aggregate, they could reasonably be expected to influence the economic decisions of users taken on
the basis of these consolidated financial statements.
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As part of an audit in accordance with ISAs, we exercise professional judgment and maintain
professional skepticism throughout the audit. We also:
□ Identify and assess the risks of material misstatement of the consolidated financial
statements, whether due to fraud or error, design and perform audit procedures responsive
to those risks, and obtain audit evidence that is sufficient and appropriate to provide a basis
for our opinion. The risk of not detecting a material misstatement resulting from fraud is
higher than for one resulting from error, as fraud may involve collusion, forgery,
intentional omissions, misrepresentations, or the override of internal control.
・ Obtain an understanding of internal control relevant to the audit in order to design audit
procedures that are appropriate in the circumstances, but not for the purpose of expressing
an opinion on the effectiveness of the Group's internal control.
□ Evaluate the appropriateness of accounting policies used and the reasonableness of
accounting estimates and related disclosures made by management.
・ Conclude on the appropriateness of management's use of the going concern basis of
accounting and, based on the audit evidence obtained, whether a material uncertainty exists
related to events or conditions that may cast significant doubt on the Group's ability to
continue as a going concern. If we conclude that a material uncertainty exists, we are
required to draw attention in our auditors' report to the related disclosures in the
consolidated financial statements or, if such disclosures are inadequate, to modify our
opinion. Our conclusions are based on the audit evidence obtained up to the date of our
auditors' report. However, future events or conditions may cause the Group to cease to
continue as a going concern.
□ Evaluate the overall presentation, structure and content of the consolidated financial
statements, including the disclosures, and whether the consolidated financial statements
represent the underlying transactions and events in a manner that achieves fair presentation.
□ Obtain sufficient appropriate audit evidence regarding the financial information of the
entities or business activities within the Group to express an opinion on the consolidated
financial statements. We are responsible for the direction, supervision and performance of
the group audit. We remain solely responsible for our audit opinion.
We communicate with those charged with governance regarding, among other matters, the
planned scope and timing of the audit and significant audit findings, including any significant
deficiencies in internal control that we identify during our audit.
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We also provide those charged with governance with a statement that we have complied with
relevant ethical requirements regarding independence, and communicate with them all
relationships and other matters that may reasonably be thought to bear on our independence, and
where applicable, related safeguards.
From the matters communicated with those charged with governance, we determine those matters
that were of most significance in the audit of the consolidated financial statements of the current
period and are therefore the key audit matters. We describe these matters in our auditors' report
unless law or regulation precludes public disclosure about the matter or when, in extremely rare
circumstances, we determine that a matter should not be communicated in our report because the
adverse consequences of doing so would reasonably be expected to outweigh the public interest
benefits of such communication.
Report on other legal and regulatory requirements
Further, as required by the UAE Federal Law No. (2) of 2015, we report that:
ⅰ ) we have obtained all the information we considered necessary for the purposes of our audit;
ⅱ ) the consolidated financial statements have been prepared and comply, in all material
respects, with the applicable provisions of the UAE Federal Law No. (2) of 2015;
ⅲ ) the Group has maintained proper books of account;
ⅳ ) the financial information included in the Chairman's statement, in so far as it relates to
these consolidated financial statements, is consistent with the books of account of the
Group;
ⅴ ) as disclosed in notes 9 and 13 to the consolidated financial statements, the Group has
purchased or invested in shares during the financial year ended 31 December 2018;
ⅵ ) note 42 to the consolidated financial statements discloses material related party transactions
and the terms under which they were conducted;
ⅶ ) based on the information that has been made available to us, nothing has come to our
attention which causes us to believe that the Group has contravened during the financial
year ended 31 December 2018 any of the applicable provisions of the UAE Federal Law
No.(2) of 2015 or in respect of the Group, its Articles of Association, which would
materially affect its activities or its consolidated financial position as at 31 December 2018;
and
ⅷ ) note 34 to the consolidated financial statements discloses the social contributions made
during the year.
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Further, as required by the Decretal Federal Law No.(14) of 2018, we report
that we have obtained all the information and clarifications deemed necessary
for the purposes of our audit.
/s/ Emilio Pera
KPMG Lower Gulf Limited
Emilio Pera
Registration number: 1146
Abu Dhabi, United Arab Emirates
Date: 31/01/2019
( ※ )上記は、独立監査人の監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものです。その原本は本有価証券報告書提
出会社が別途保管しております。
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