デンマーク地方金融公庫 有価証券報告書
| 提出書類 | 有価証券報告書 |
|---|---|
| 提出日 | |
| 提出者 | デンマーク地方金融公庫 |
| カテゴリ | 有価証券報告書 |
EDINET提出書類
デンマーク地方金融公庫(E06107)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第１項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 令和元年６月28日
【事業年度】 自 平成30年１月１日 至 平成30年12月31日
【発行者の名称】 デンマーク地方金融公庫 (KommuneKredit)
【代表者の役職氏名】 最高経営責任者兼マネジング・ディレクター
Jens Lundager
マネジング・ディレクター
Henrik Andersen
【事務連絡者氏名】 弁護士 黒 丸 博 善
【住所】 東京都港区六本木六丁目10番１号
六本木ヒルズ森タワー23階
ＴＭＩ総合法律事務所
【電話番号】 東京(03)6438-5511
【縦覧に供する場所】 該当なし
注 (1) 「発行者」または「公庫」とは、デンマーク地方金融公庫を意味する。
(2) 本書中、別段の記載がない限り、「デンマーク・クローネ」または「DKK」と表示される金額はデンマーク王国の通貨
であるデンマーク・クローネを意味する。2019年６月10日現在、東京の主要銀行により公表されたデンマーク・ク
ローネに対する日本円の為替相場の中値は１デンマーク・クローネにつき16.45円であった。
(3) デンマーク地方金融公庫の事業年度およびデンマーク王国の会計年度は暦年である。
(4) 本書中の表で、計数が四捨五入されている場合、合計は計数の総和と必ずしも一致しないことがある。
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第１ 【募集（売出）債券の状況】
上場金融商品
事業年度末の 取引所名又は
売出債券の名称 発行年月 券面総額 償還額
未償還額 登録認可金融商品
取引業協会名
デンマーク地方金融公庫 2012 年７月 2,500 万 0 2,500 万 該当なし
2027 年７月30日満期 トルコ・リラ トルコ・リラ
トルコ・リラ建
ディスカウント債券
デンマーク地方金融公庫 2012 年９月 3,381 万 0 3,381 万 該当なし
2019 年９月19日満期 ブラジルレアル ブラジルレアル
円決済型ブラジルレアル建
ディスカウント債券
デンマーク地方金融公庫 2012 年11月 50,600,000 0 50,600,000 該当なし
ブラジルレアル ブラジルレアル
2019年10月22日満期
円決済型ブラジルレアル建
ディスカウント債券
デンマーク地方金融公庫 2013 年２月 32,460,000 0 32,460,000 該当なし
2020 年２月20日満期 ブラジルレアル ブラジルレアル
円決済型ブラジルレアル建
ディスカウント債券
デンマーク地方金融公庫 2013 年11月 2,100 万 豪ドル 0 2,100 万 豪ドル 該当なし
2020年11月24日満期
豪ドル建債券
デンマーク地方金融公庫 2013 年12月 1,392 万 ニュー 1,392 万ニュー 0 該当なし
ジーランドドル ジーランドドル
2018年12月19日満期
ニュージーランドドル建
債券
デンマーク地方金融公庫 2014 年１月 1,359 万 ニュー 0 1,359 万 ニュー 該当なし
ジーランド ジーランド
2019年１月30日満期
ドル ドル
ニュージーランドドル建
（注1）
債券
デンマーク地方金融公庫 2014 年２月 600 万 豪ドル 0 600 万 豪ドル 該当なし
2021年２月23日満期
豪ドル建債券
デンマーク地方金融公庫 2014 年２月 ▶ 億2,100万円 0 ▶ 億2,100万円 該当なし
（注1）
2019年２月26日満期
為替トリガー早期円償還条
項 満期円償還特約付
円/メキシコペソ デジタル
クーポン・デュアル債券
デンマーク地方金融公庫 2014 年４月 68 億6,700万円 0 68 億6,700万円 該当なし
（注1）
2019年４月24日満期
為替トリガー早期円償還条
項 満期円償還特約付
円/トルコリラ デジタル
クーポン・デュアル債券
デンマーク地方金融公庫 2014 年４月 27,800,000 0 27,800,000 該当なし
ブラジル ブラジル
2019年４月24日満期
レアル レアル
円決済型ブラジルレアル建
（注1）
債券
デンマーク地方金融公庫 2014 年５月 30,000,000 30,000,000 0 該当なし
南アフリカ・ラ 南アフリカ・ラ
2018年11月13日満期
ンド ンド
南アフリカ・ランド建債券
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デンマーク地方金融公庫 2014 年５月 7,000,000 0 7,000,000 該当なし
ブラジル・ ブラジル・
2019年２月13日満期
レアル レアル
ブラジル・レアル建債券
（注1）
（円貨決済型）
デンマーク地方金融公庫 2014 年６月 9,150,000 0 9,150,000 該当なし
2019 年６月20日満期 ニュージーラン ニュージーラ
ドドル ンドドル
ニュージーランドドル
（注1）
建債券
デンマーク地方金融公庫 2014 年６月 152,500,000 0 152,500,000 該当なし
2019 年６月20日満期 メキシコペソ メキシコペソ
（注1）
メキシコペソ建債券
デンマーク地方金融公庫 2014 年９月 114 億 0 114 億 該当なし
2019 年９月24日満期 9,300 万 円 9,300 万 円
為替トリガー早期円償還条
項 満期円償還特約付
円/トルコリラ デジタル
クーポン・デュアル債券
デンマーク地方金融公庫 2014 年11月 26,000,000 0 26,000,000 該当なし
2019 年11月26日満期 メキシコ・ペソ メキシコ・ペソ
メキシコ・ペソ建債券
デンマーク地方金融公庫 2015 年１月 29 億 5,000万円 0 29 億 5,000万円 該当なし
2020 年１月24日満期
期限前償還条項付
ブラジル・レアル／円為替
参照円建債券
デンマーク地方金融公庫 2015 年２月 ▶ 億 6,500万円 0 ▶ 億 6,500万円 該当なし
2020 年２月19日満期
期限前償還条項・円償還条
項付 円/豪ドル デジタル
クーポン デュアル・カレ
ンシー債券
デンマーク地方金融公庫 2015 年２月 34 億 6,000万円 0 34 億 6,000万円 該当なし
2020 年２月19日満期
期限前償還条項付
ブラジル・レアル／円為替
参照円建債券
デンマーク地方金融公庫 2015 年２月 20,000,000 20,000,000 0 該当なし
2018 年２月27日満期トルコ トルコリラ トルコリラ
リラ建債券
デンマーク地方金融公庫 2015 年４月 12 億 4,200万円 0 12 億 4,200万円 該当なし
2020 年４月16日満期
期限前償還条項付
ブラジル・レアル／円為替
参照円建債券
デンマーク地方金融公庫 2015 年５月 9 億 7,900万円 0 9 億 7,900万円 該当なし
2020 年５月18日満期 早期
償還条項付 ブラジルレア
ル円為替レート連動 デジ
タル・クーポン円建債券
デンマーク地方金融公庫 2015 年５月 6,000,000 6,000,000 0 該当なし
2018 年11月13日満期 トルコリラ トルコリラ
トルコリラ建債券
デンマーク地方金融公庫 2015 年５月 30,000,000 0 30,000,000 該当なし
2019 年11月13日満期 南アフリカラン 南アフリカラン
ド ド
南アフリカランド建債券
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デンマーク地方金融公庫 2015 年５月 13,000,000 13,000,000 0 該当なし
2018 年11月13日満期 ブラジルレアル ブラジルレアル
ブラジル・レアル建債券
（円貨決済型）
デンマーク地方金融公庫 2015 年８月 10 億 円 0 10 億 円 該当なし
2020 年８月14日満期
早期償還条項付 ブラジル
レアル円為替レート連動
デジタル・クーポン
円建債券
デンマーク地方金融公庫 2015 年８月 13,000,000 0 13,000,000 該当なし
2022 年８月22日満期 トルコ・リラ トルコ・リラ
トルコ・リラ建債券
デンマーク地方金融公庫 2015 年11月 25,000,000 25,000,000 0 該当なし
2018 年11月19日満期
トルコリラ トルコリラ
トルコリラ建債券
デンマーク地方金融公庫 2015 年11月 12,000,000 0 12,000,000 該当なし
2020年11月25日満期 トルコ・リラ トルコ・リラ
トルコ・リラ建債券
デンマーク地方金融公庫 2017 年10月 528,540,000 0 528,540,000 該当なし
2020年10月満期 トルコリラ トルコリラ
トルコリラ建債券
デンマーク地方金融公庫 2017 年10月 75,840,000 0 75,840,000 該当なし
2020年10月満期 ブラジルレアル ブラジルレアル
ブラジルレアル建債券（円
貨決済型）
デンマーク地方金融公庫 2017 年10月 825,900,000 0 825,900,000 該当なし
2020年10月満期 インドルピー インドルピー
インドルピー建債券（円貨
決済型）
デンマーク地方金融公庫 2017 年11月 85,000,000 0 85,000,000 該当なし
2020年11月30日満期
メキシコ・ペソ メキシコ・ペソ
メキシコ・ペソ建債券
デンマーク地方金融公庫 2018 年１月 68,700,000 0 68,700,000 該当なし
2021年２月３日満期 ブラジル・レア ブラジル・レア
ブラジル・レアル建債券 ル ル
（円貨売買型）
デンマーク地方金融公庫 2018 年４月 121,880,000 0 121,880,000 該当なし
2020年４月満期 トルコリラ トルコリラ
トルコリラ建債券
デンマーク地方金融公庫 2018 年４月 30,300,000 0 30,300,000 該当なし
2021年４月満期 メキシコペソ メキシコペソ
メキシコペソ建債券
デンマーク地方金融公庫 2018 年４月 204,100,000 0 204,100,000 該当なし
2021年４月満期 ブラジルレアル ブラジルレアル
ブラジルレアル建債券（円
貨決済型）
デンマーク地方金融公庫 2018 年４月 652,500,000 0 652,500,000 該当なし
2021年４月満期 インドルピー インドルピー
インドルピー建債券（円貨
決済型）
注(1) 本債券は2019年１月１日以降本書提出日までに全額が満期償還された。
当事業年度において、上記債券の所有者の権利等に重要な悪影響を与える事実は発生しなかった。
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第２ 【外国為替相場の推移】
(1) 【最近５年間の会計年度(又は事業年度)別為替相場の推移】
該当事項なし。
(2) 【当会計年度(又は事業年度)中最近６月間の月別為替相場の推移】
該当事項なし。
(3) 【最近日の為替相場】
該当事項なし。
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第３ 【発行者の概況】
１ 【発行者が国である場合】
該当事項なし
２ 【発行者が地方公共団体である場合】
該当事項なし
３ 【発行者が国際機関又は政府関係機関等である場合】
(1) 【設立】
① 設立の根拠および法的地位
デンマーク地方金融公庫の設立は、1898年３月19日付デンマーク議院法第35号に基づき承認された。同法律
は、2007年１月１日付で2006年５月３日付法律第383号「デンマークの地方自治体および州のための信用機関に
関する法律（lov om kreditforeningen af kommuner og regioner i Danmark）」（「法律第383号」）により
継承された。公庫の目的は、デンマークにおいて、デンマークの自治体および１つまたは複数の自治体により
融資が全額保証を受ける場合に公共的な活動の遂行を担うデンマークの自治体間企業その他のデンマークの企
業に対してのみに向けて融資を行うことである。公庫は自己名義で資金を借り入れ、当該資金を資本投資の目
的において再貸付する。公庫は法人格を有する。
公庫の構成員は、公庫に対し借入金残高を有するか、または公庫の貸付についての保証残高を有する「地方
自治体（kommuner）」および「州（regioner）」で構成されている。地方自治体は、デンマークにおける最小
行政区画単位であり、州は２番目に小さい行政区画単位で、地理的にみて地方自治体と州が国全体を構成して
いる。州は多数の地方自治体の領土によって構成されている。2019年１月１日現在において公庫の構成員は、
デンマークの全ての地方自治体および全ての州からなっていた。従って、公庫の構成員はデンマークの全人口
を代表している。
公庫の構成員は、公庫の借入を含む公庫の全債務に対して法定の直接連帯責任を負う。
法律第383号は、「構成員は、公庫が負う全債務に対して直接かつ連帯して責任を負う。」と規定している。
公庫がそのいずれかの債務を履行できない場合、債権者は連帯責任を直接的に求めることができる。直接的
に責任を負うということは、債権者が構成員に対して直接請求を行うことができることを意味する。連帯して
責任を負うということは、各々の構成員が公庫の負う全額の債務について責任を負うことを意味する。
保証に関するデンマーク法に基づき、保証は法定の責任とされ、それに従って各構成員が主債務者として自
身が責任を負うことを約束する。そのため、公庫が適時に債務を履行しなかった場合、債権者は、各々の構成
員に債務の即時支払いを要求することができる。債権者は訴訟を提起する必要はない。
かかる債務の仕組みは1898年から存在し、公庫の全債権者を保護している。上記の請求が行われたことはな
く、また、公庫はこれまでいかなる貸付についても損失を被ったことはない。
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② デンマークの自治体
デンマークは98の地方自治体および５つの州に分割されており、州はそれぞれいくつかの地方自治体を包含
する。
自治体の主な職務は法律条項によって定められている。最も重要な職務には、社会保障、学校、病院、保健
医療、医療サービス、託児サービス、高齢者向け住宅およびインフラ・プロジェクトの提供が含まれる。水
道、ガス、配電、地域向け熱供給、下水および廃棄物処理の整備計画、および多くの場合にはその供給もまた
通常では自治体が責任を負う。さらに、自治体は、公園、運動場、スポーツ施設および文化センターなどの公
共施設を提供する。自治体はまた失業者に対するサービスも提供する。
いくつかのサービスは、非営利ベースで公共的な活動の遂行を担う自治体間企業その他の企業によって提供
される。かかるサービスの例としては、地域向け熱供給、廃棄物処理および給水に対する資本投資がある。
自治体のサービス提供コストは通常、投資および債務返済を含めて、地方税の当期収入、一定の提供される
サービスの使用料および中央政府からの交付金から賄われなければならない。地方自治体は、課税の権限を有
し、サービス料金および中央政府からの交付金等のその他の歳入も考慮して、年度予算の均衡を図るために十
分な課税を行う義務がある。さらに、歳入の少ない自治体が適正なサービスを提供できるよう均衡化システム
が確立されている。州は中央政府からの交付金を通じて賄われる。
しかし、地域の公共的任務を満たす資本投資は、一定の条件の下で借入（自治体による保証を受けた借入を
含む。）により賄うことができる。上記の借入および保証の付与は、経済内務省による2013年12月17日付行政
命令第1580号および2013年12月17日付行政命令第1581号に定められた厳格な規則に服しており、かかる規則に
は、例えば、最長満期など一定の借入条件や各自治体の各事業年度における借入による資金調達総額の上限の
計算方法についての要件が規定されている。
自治体は中央政府に対し監査済財政書類を提出する。資本的支出および経常的支出の双方の目的のための自
治体の全体的な支出水準は、中央政府と合意されるガイドラインに基づき設定される。
地方自治体および州ならびにデンマークの福祉社会
デンマークは世界で最も分権化した公共部門の１つを有し、公共部門の任務は中央政府、地方自治体および
州の間で分担されている。
地方自治体は、住民に直接関連した任務の大半を担っており、デンマークの福祉社会において提供される公
共サービスの大半に責任を負っている。地方自治体が負う責任には、学校、高齢者介護、子供・若年者向け託
児所、雇用創出政策、周縁化された人々の社会統合、道路、環境、文化および芸術ならびに予防医療サービス
が含まれる。地方自治体はまた、水道および熱供給などの住民への種々の公益事業サービスの供給ならびにこ
れらのサービスの提供の選択にも責任を負う。
州は、地方自治体の人口規模よりも大きな人口基盤を必要とする任務に責任を負っている。州が負う責任に
は、病院、地域開発、州の運輸会社への資本参加、および専門的な社会的機関が含まれる。地方自治体および
州の歳出額は、デンマークの2017年の国内総生産（GDP）の26％に相当し、地方自治体および州は併せて公共支
出総額の半分以上を占めている。
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中央政府と経済動向に関するリスク
所得税は、地方自治体の主要な収入源であり、地方自治体の資金調達総額の大半を占める。地方自治体はま
た、包括補助金および中央政府からの補填ならびに地方自治体が個別に設定した使用料および財産税を通じて
資金を得ている。
原則として、地方自治体は、借入を行うことなしに、現在の収入により自身の資本支出を賄うことになって
いる。しかしながら、地方自治体は、社会内務省により許可された多くの目的のために借入を行うことができ
る。デンマークの地方自治体の負債資本比率は国際的に見て低くなっている。
州の資金調達は、政府補助金ならびに地方自治体からの拠出および負担金で構成されている。
デンマークは、地方自治体との間に非常に大規模な経済均一化システムを有している。均一化は、税基盤お
よびサービス支出に関して行われており、全てのデンマークの地方自治体の間で必要なサービスを提供する能
力の一貫性が確保されることを目的としている。
地方自治体の経済全体は、一般的な景気動向に関わるリスクを負うのは中央政府であるため、景気循環上の
後退局面による影響を受けない。地方自治体は、景気減速により生じた移転支出および税収減少に関する支出
の超過に対して、補償を受けている。
デンマークの行政法の基本原則により地方自治体は破産を宣告できない。さらに、監督機関（すなわち政
府）は地方自治体がその金融上の義務を履行できるよう確保しなければならない事実に照らして、この原則は
最高裁判所の判断において確認されている。
公庫の歴史を通じて、地方自治体または州がその借入について債務不履行を起こしたはない。デンマークの
地方自治体および州は、CRR/CRD IVのリスク・ウェイトが０％であることが示す高い信用力により特徴づけら
れている。このリスク・ウェイトは銀行の資本要件を算出するために用いられており、リスク・ウェイトが
０％であることは、地方自治体および州が、損失が想定されない最も安全なカテゴリーに属することを意味す
る。
監督省庁
社会内務省は自治体に関する最高監督機関である。かかる監督により、自治体が常にその債務を弁済できる
ようになっている。
同省が公庫を監督している。
③ 目 的
公庫の目的は、デンマークにおいて、デンマークの自治体および１つまたは複数の自治体により融資が全額
保証を受ける場合に公共的な活動の遂行を担うデンマークの自治体間企業その他のデンマークの企業に対して
のみに向けて融資を行うことである。公庫は自己名義で資金を借り入れ、当該資金を資本投資の目的において
再貸付する。
公庫の定款では、公庫の目的を以下のように規定している。
(1) 公庫の目的は、
(a)地方自治体、州および自治体の組合に対し、
(b)下記(2)の条件に従ったその他の地方自治体または州の目的のため、
融資を行うことである。
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(2) 上記(1)(b)の融資は、１または複数の地方自治体または州が融資全額に対して保証を与える場合か、ま
たは当該融資が会社等に対して行われ、その定款に全参加者が当該融資につき連帯して責任を負うことが
規定されており、かつ１または複数の地方自治体または州がその組合員または参加者になっている場合に
限り、行われるものとする。
公庫の定款に基づき、社会内務省（旧経済内務省（Ministry for Economic Affairs and the Interior）、
旧内務厚生省、旧内務社会省、旧社会福祉省、旧経済内務省（Ministry of Economic Affairs and the
Interior）または旧社会内務省）により承認された限度内において、公庫は即座に再貸付することがなくても
資金を調達すること（ミスマッチ）が認められている。ミスマッチの限度額は、直近の四半期の帳簿価額によ
る貸付総額の25％として算出される。
④ 特 権
該当なし
⑤ 政府の監督
公庫により行われる貸付は、自治体の借入に関する現行の規則に従うものとする。
監査規則は社会内務大臣により制定され、理事会は毎年公庫の完全な財務書類を公表し、かつ四半期毎に社
会内務大臣に対し要約財務書類を提出する責任を負う。
理事会は社会内務大臣が要求する公庫の業務に関する一切の情報を社会内務大臣に提出する責任を負い、当
該社会内務大臣はいつでも公庫の費用で公庫に関する一切の状況の調査を行わせる権利を有する。
公庫の定款は、同規則に規定する方法によってのみ修正され、かつかかる修正には社会内務大臣の同意を要
する。
公庫の理事会が債権者に対する担保を著しく毀損していると社会内務大臣がみなすとき、および理事会が定
められた期限内にかかる損失の回復に必要な措置を講ずることができないときは、社会内務大臣は公庫の事業
活動を停止し、または事情によりその財産を清算手続に付することができるものとする。
⑥ 日本との関係
（公庫の設立に関して）該当なし
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(2) 【資本構成】
以下の表は、2018年12月31日現在の公庫の資本構成を示す。(1)(2)(3)
デンマーク地方金融公庫 2018年12月31日現在
(単位：百万デンマーク・クローネ)
ナスダック（コペンハーゲン） (2)
41,408
外国債務 (3)
166,810
8,800
デリバティブ金融商品の公正価値
217,018
その他の負債、年金および税を除く負債合計
1,855
その他の負債、年金および税合計
218,873
負債合計
持分
2018年１月１日現在の持分 7,333
税引後当期利益 405
-2
IFRS第９号の施行
7,736
2018 年12月31日現在の持分
226,609
資本合計
注 (1) 上記の表の目的上、長期債務からは、１年以内に満期を迎える長期債務は除外している。
(2) 指数連動債。本表記載の残高は指数変動による調整を含む。
(3) 外国通貨による借入は、2018年12月31日の実勢為替レート、あるいは2018年中の借入に関しては実行日の
為替レートにより、デンマーク・クローネに換算されている。
2018年12月31日以降、公庫の資本構成に重大な変化はなかった。
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流動性リスク－残存期間に基づく満期別内訳（額面価額） (1)
2018年12月31日 2017年12月31日
デンマーク地方金融公庫
(単位：百万デンマーク・クローネ)
貸付およびリース
３か月以内 62,888 64,515
３か月超１年以内 27,714 26,127
１年超５年以内 37,838 36,504
42,479 40,217
５年超
170,919 167,363
合 計
信用機関への債権
３か月以内 2 3
0
３か月超１年以内 0
0 0
１年超５年以内
0 0
５年超
2 3
合 計
発行証券
３か月以内 9,211 22,671
３か月超１年以内 10,390 20,534
１年超５年以内 111,339 86,977
73,385 67,753
５年超
204,325 197,935
合 計
注 (1) 流動性リスクは額面金額に基づいており、利息、キャピタル・ロス、拠出金等を含めない。
調整金利ローンおよびその他の変動金利ローンは、ローンの契約満期日にかかわらず、次回の金利決
定時までの期間と同じ長さに相当する残存期間に含められる。確定契約に基づく貸越枠の未使用額は
考慮されない。コーラブル債およびその裏付けとなるヘッジのためのコーラブル・スワップは、次回
の繰上償還日までの期間と同じ長さに相当する残存期間に含められる。
公庫は、法律第383号に基づき事業体として設立された。株式資本、授権資本または条件付資本ならびに利益
分配証書は有していない。法律第383号第８条に従い、公庫の持分は常に負債合計の少なくとも１％に等しくな
ければならない。2018年12月31日現在、持分は公庫の資産合計の3.4％に相当した。
公庫は、その構成員に対して配当金の支払いを行っていない。
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(3) 【組織】
① 構 成 員
公庫の定款に基づき、公庫から融資を受けているかまたは上記「(1) 設立‐③ 目的」中の(1)(b)項記載の
融資に責任を負う地方自治体または州は全て公庫の構成員となる。構成員は、将来の改訂を含め、定款の規
定を遵守しなければならない。構成員は、公庫が負う全ての債務に直接かつ連帯して責任を負う。構成員
は、公庫に対するその債務を全て弁済し、また当該構成員が定款に定めるとおりその直接かつ連帯の責任を
免除された時にのみその構成員でなくなるものとする。
構成員は、規定された利息に加え、管理費を負担し、また準備金を設定および維持するために毎年適正な
分担金を支払う。
② 理 事 会
理事会は、公庫の業務を全般的に監督および指示する。理事会は、公庫の業務が相当の注意をもって組織
化、管理および執行されるよう配慮する。理事会は公庫の業務運営に関し経営陣に指示を発する。理事会は
９名で構成される。州は２名の理事とその補欠を各１名選出する。地方自治体は６名の理事とその補欠を各
１名選出する。現職の理事会は、州または地方自治体の直近の選挙が行われた翌暦年の６月１日より前に、
公庫から独立し、会計または監査を行う資格を有するもう１名の理事を選出する。
理事会は理事会構成員選挙のための候補者指名についての詳細なガイドラインを制定する。理事会構成員
の選挙は理事長が管理し、理事長は任期が開始される少なくとも１か月前までに投票用紙が公庫の構成員に
送付されるよう手配する。選任可能な各理事会構成員および補欠につき１名の候補者のみが指名されている
場合は、上記の投票手続きに従うことなく無競争選挙とすることができる。ただし、理事長が当該手続きを
認可し、かつ、いずれの公庫の構成員も上記の期限までにかかる投票の実施を要求していないことを条件と
する。理事会は投票権および実施された選挙の有効性に関する全ての問題を確定的に裁定する。
理事会の構成員およびその補欠は４年の任期で選出される。理事会に加入したかかる構成員およびその補
欠は、公庫の構成員である地方自治体または州政府評議会の構成員であるものとする。理事会に選出された
構成員がこの必要事項を充たすことができない場合、その補欠が代わりに理事会に加入する。かかる補欠
が、公庫の構成員である地方自治体または州政府評議会の構成員ではない場合、理事会は補欠選挙を上記の
規則に従い行わせる。任期は６月１日に開始する。（イ）上記のように構成員が構成員でなくなった場合、
（ロ）構成員が理事会から辞任した場合、または（ハ）構成員が死亡した場合、補欠が理事会構成員に代わ
りその残存する任期を果たすものとする。かかる補欠が上述の理由により理事会の務めを果たせない場合、
その残存任期に関し新たな理事会構成員と新たな構成員の補欠が選出されるものとする。しかしながら、か
かる残存任期が１年未満である場合、理事会は補欠選挙を行わないよう決定することができる。理事会によ
り選出された理事が理事会を退任する場合、理事会は、その残存任期の長さにかかわらず、公庫から独立
し、会計または監査を行う資格を有する新たな９人目の理事を選出する。
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理事会は年に４回定例会議を招集する。臨時会議は理事長、１名の経営陣の構成員、少なくとも３名の理
事会構成員または指名された監査役１名の要求により開催される。
理事会は、その構成員の少なくとも半数が出席し、かつ投票を行った場合、定足数に達したものとする。
全ての決議は投票の単純過半数により採択される。投票が同数であった場合、理事長が、または理事長が不
在の場合には副理事長が、決定票を保持する。
３月末より前に開催される理事会の定例会議で、経営陣は前事業年度の公庫の業務についての報告書を提
出し、財務書類に監査役の勧告書を添えて理事会の承認を得るために提出する。理事会はかかる報告書およ
び財務書類を承認した後、かかる報告書および財務書類をデンマークの社会内務省および公庫の構成員に提
出する。理事会における議事には議事録が作成され、理事会の構成員が署名する。
2018年12月31日現在の理事会の構成員は以下のとおりである。
名 前 主たる役職
ラース・クラーロプ（理事長） 市 長
トマス・ルゲ・ピーダスン（副理事長） 市 長
ハンス・トフト 市 長
イーレク・ニルスン 市 長
ミケール・クリトゴー 市 長
イーレク・ラウリトスン 市 長
ライラ・リンデン 州評議会議員
マーティン・ギアトスン 州評議会議員
カイ・Ｖ.ホルム 独立の構成員
2019年１月１日以降において理事会の構成員に変更はなかった。
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③ 経営陣および従業員
公庫の経営陣は２名からなる経営委員会により統括されており、その両者とも理事会により選任され、そ
のうち１名は最高経営責任者を兼ねる。経営陣は日常業務に関し全ての決定を行う権限を付与されている。
経営陣は、公庫の事業を、理事会により与えられた指示に従い適正な方法で管理するものとする。経営陣は
貸付、借入およびスワップなどの金融商品の利用につき、決定を行うものとする。公庫の業務に鑑み、性質
または規模が例外的であると思われる取引は、理事会に付託される。
理事長もしくは副理事長および１名の経営陣の構成員が共同して署名した場合、または２名の経営陣の構
成員が共同して署名した場合、公庫を拘束する。さらに、公庫は、経営陣の構成員１名と共に理事長にその
ために特に授権された役員１名が共同して署名した場合、またはそのように授権された役員２名が共同して
署名した場合、拘束される。経営陣は、個々の役員に、特定の機能を執行するにあたり公庫を拘束する特定
の権限を付与することができる。
公庫の職員は経営陣により任免される。
2018年12月31日現在の経営陣チームの構成員は以下の通りである。
名 前 主たる職務
イェンス・ロンエーヤ 最高経営責任者兼マネジング・ディレクター
ヘンレク・アナスン マネジング・ディレクター
セーアン・スティーン・モーデンスン ディレクター（事業開発・支援部門長）
イェッテ・モルドラップ ディレクター（トレジャリー部門長）
モーデン・ストフテ ディレクター（ファイナンス・リスク管理部門長）
クレスチャン・イェベスン ディレクター（貸付・リース部門長）
ナディーム・ザファル ディレクター（情報技術部門長）
2019年１月１日以降において経営陣チームの構成員に変更はなかった。
公庫には、経営陣の構成員を含め70名の従業員がいる。
④ 監査役
理事会は、監査役を１または２名選任し、かかる監査役は国家資格を有する公認会計士でなければならな
い。さらに１名の監査役が社会内務省により任命され、公庫が四半期毎の要約経営計算書を社会内務省に提
出する義務を含む公庫に適用される関係法令上の規制のなかで運営されていることの確認につき特にその責
任を負う。
2018年度の監査役は、Anders Oldau Gjelstrup氏およびBj ø rn Philip Rosendal氏（国家資格を有する公認
会計士）に代表されるデロイト公認会計士パートナーシップならびに経済内務省に任命されたThorkil Juul
氏である。デロイト公認会計士パートナーシップはデンマーク公認会計士協会（FSR-Danske Revisorer）の
メンバーである。
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(4) 【業務の概況】
① 概 要
貸付が引き続き増加したことにより総資産が増加した一方、公庫は純受取利息、管理費用ならびに価値調
整前および税引前の当期利益の予想を達成した。
収益および自己資本
2018年における純受取利息は、４億デンマーク・クローネと予測されたのに比べて、４億4,100万デンマー
ク・クローネとなった。公庫は適正な資本を維持するために収入を増加させる必要がないため、純受取利息
は2017年と比べて減少した。2018年末において、資産合計に対する持分の比率は3.4％に上昇した。
公庫は、2018年秋に新たな資金移転価格（FTP）モデルを採用し、それにより、公庫にとって費用合計とリ
スクをより適切に反映するため、様々なローン商品間における関連するマージンの調整が行われる。この調
整の他に、資金調達コストと合致させるために実際の貸付金利の調整が定期的に行われている。
予測された通り、管理費用は、2017年の１億2,300万デンマーク・クローネから増加して、１億2,700万デ
ンマーク・クローネとなった。この増加は、公庫の本部で発生した１億2,000万デンマーク・クローネの改修
コストによるものであった。資産に対する費用の比率は0.06％であった。
価格調整前および税引前の当期利益は、１億9,700万デンマーク・クローネ減少して３億1,400万デンマー
ク・クローネとなり、予測に沿ったものとなった。この減少は主に、純利息収益の減少によるものであっ
た。
公庫のリスク選好度が低いことにより、資産および負債の対称性が高くなり、また貸付マージンは比較的
一貫した水準に維持されている。その結果、通常の環境下において、金融商品の価値調整は比較的穏やかな
ものとなる。
2018年において、金融商品の月末価値調整はマイナス１億7,700万デンマーク・クローネから２億2,700万
デンマーク・クローネの間で実施された。この調整額の幅は、主に自己資金調達スプレッドの価格リスクに
よるものであり、また限定的ではあるが市場リスクおよび信用リスクも一因となった。2018年末現在の価値
調整は２億2,700万デンマーク・クローネであった。
当期包括利益は、2017年の４億8,900万デンマーク・クローネに対して４億500万デンマーク・クローネと
なった。当期包括利益は持分（資本）に組入れられる。現在の持分は合計77億3,600万デンマーク・クローネ
である。公庫の持分は全体が利益剰余金からなる。
理事会の目標によれば、公庫はその包括利益により、資産合計に対する持分の比率で少なくとも３％に相
当する適切な資本を確保しなければならない。2012年以降、公庫の資産合計に対する持分の比率は少なくと
も3.0％を保っており、2018年末においては3.4％であった。
2018年末現在のリスク・エクスポージャー総額（REA）は、2017年末現在の175億4,400万デンマーク・ク
ローネから138億4,300万デンマーク・クローネへと減少した。この減少は、トレーディング勘定の減少およ
びデリバティブのエクスポージャーの推移によるものであった。この結果、自己資本比率（リスク・エクス
ポージャー総額に対する自己資本の比率）は2017年末現在の41％から54％となった。
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貸付およびリース
リースを含めた貸付高（純額）の合計は、（額面金額でみた場合に）２％増にあたる35億5,400万デンマー
ク・クローネの増加となった。このように、貸付高（純額）は予測された50億デンマーク・クローネをわず
かに下回った。
貸付高（純額）における良好なトレンドは、貸付およびリースの一貫したより高水準な活動を反映してい
る。貸付は、特に廃棄物および熱供給の分野ならびに公共輸送において増加した。リースは、2018年に10％
増にあたる６億6,900万デンマーク・クローネの増加となり、特に州向けのリースによるものであった。
公庫は2017年と同様に、貸付またはリース債権についていかなる減損費用または損失も計上しなかった。
資金調達および投資
資金調達（信用機関への債務および発行債券）は、51億4,900万デンマーク・クローネ増加して2,089億
3,400万デンマーク・クローネとなった。この増加は、資金調達の額面価額での増加に牽引されたが、米ドル
相場の上昇も一部要因となった。2018年において、ユーロが米ドルを上回り公庫にとって最大の資金調達通
貨となったが、これは米ドル相場の変動が貸借対照表に影響を与え、転じて、資産合計に対する持分の比率
にも影響を与えるボラティリティをより重視したためであった。2018年末において、資金調達においてユー
ロは39％、米ドルは25％およびデンマーク・クローネは20％を占めた。
2018年の投資総額（信用機関への債権および証券ポートフォリオ）は、429億4,600万デンマーク・クロー
ネとなり、2017年と同水準を保った。
公庫の流動性資金は、2018年末において貸付総額の19％に相当する342億2,400万デンマーク・クローネで
あった。
デリバティブの価値は、11億7,400万デンマーク・クローネ（純額）の減少となった。デリバティブの価値
の変動は、対応する貸付、資金調達および投資の公正価値の変動により相殺される。これは、通貨リスクお
よび金利リスクがデリバティブによりヘッジされているためである。為替レートおよび金利の変動があった
場合、貸借対照表上では変動が起こるが、市場エクスポージャーがヘッジされているため利益には重大な影
響はない。
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② 貸付およびリース
概 要
公庫は、法律第383号およびその定款第２条に従い、デンマークの自治体および自治体により融資が全額保
証を受ける場合に公共的な活動の遂行を担う自治体間企業その他の企業に対し融資を提供している。2018年
12月31日現在の貸付ポートフォリオの総額は1,775億デンマーク・クローネにのぼり、そのうち71億デンマー
ク・クローネがリース債権であった。
公庫により顧客に提供される貸付の満期は、資金提供を受ける活動次第で決定され、40年を上限としてい
る。貸付は分割払いによるかもしくは満期において返済される。利息は借主の選択により固定金利もしくは
変動金利に基づいて支払われる。公庫の事業は非営利で、一般管理費用を賄い適正な自己資本を維持するた
めに、資金のコストに加えてマージンのみを請求し、構成員に対する配当金の支払いを行うことは認められ
ていない。
また、公庫は、同一の種類の借主に対して金融リース・サービスを提供している。
リース契約は主に業務用機器（例えば、コンピュータ機器、車両、技術的装置および医療用機器）に資金
提供することを目的としている。
公庫は、デンマークにおける自治体に対する最大の単独貸付機関である。公庫の貸付水準は、毎年大幅に
変化する顧客の資本支出の需要によって決まる。
120年にわたり、公庫はデンマーク全土において地域の福祉社会に貢献してきた。2018年末において、地方
自治体および州に対する貸付およびリースは、公庫の貸付総額の59％を占めており、高齢者向け住宅、気候
変動に対する耐性確保、医療用機器および自治体における在宅ケアサービス向けの車両のような多数の重要
な目的に対して資金提供が行われてきた。
その他の貸付は、地方自治体または州の振興事業を行う企業または機関に供与された。2018年において、
これらの事業には、廃棄物および廃水の管理ならびに飲用水生産などの公共の施設およびサービスを提供す
べき地方自治体の責任に関連したサービスを提供する会社の地域のスポーツセンターの少額プロジェクトや
大規模建設プロジェクトが含まれている。公庫は、プロジェクトの規模または場所に関わらず、平等な条件
で融資を提供する。
2018年において、貸付高（純額）は、2017年の50億デンマーク・クローネに対して36億デンマーク・ク
ローネとなった。また、銀行預金が依然としてマイナス金利のままであるため、ローン・ファシリティの返
済または削減は有益な解決手段となり得る。
補助金付き貸付の条件変更
デンマーク交通・建設・住宅局（Danish Transport, Construction and Housing Authority）の命令に基
づき、公庫は2018年６月において総額36億デンマーク・クローネにのぼる226件の補助金付き表面固定金利貸
付の条件変更をおこなった。これらの貸付は期間10年の調整金利ローンに条件変更された。これに伴い、補
助金付きローンのポートフォリオは、指数連動ローンおよび調整金利ローンのみで構成されている。新たな
補助金付きの高齢者向け住宅ローンは期間10年の調整金利ローンとして提供される。
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環境配慮型債券（グリーンボンド）における進展
2018年において、自治体部門はグリーン・トランジション（環境配慮型社会への移行）を支持するプロ
ジェクトを目的としたグリーンローンに対して引き続き強い関心を寄せた。給水および熱供給部門における
多くのプロジェクトが資金提供を受けたが、資金供与に対する需要は二酸化炭素排出削減達成のために照明
をLEDに切り替えるなどエネルギー効率化プロジェクトにおいても発生した。
公庫は、公庫のグリーンボンドの発行の裏付けとなるグリーンローンを承認する環境配慮委員会（グリー
ン委員会）を有している。2018年中、グリーンボンド委員会は総額56億デンマーク・クローネのローンを承
認した。これらのローンのうち148件により上下水道管理および地域向け熱供給のプロジェクトに対して資金
が供給され、一方、その他のローンが公共輸送およびエネルギー効率化策のプロジェクトに対して承認され
た。
顧客アドバイザリー・サービスにおける進展
2018年の晩夏に行われた組織変更に関連して、貸付およびリースに関する顧客アドバイザリー・サービス
が１つの部門に統合された。この統合は、公庫の貸付およびリース商品にわたり全ての顧客に対してその顧
客向けのふさわしいサービス提供を確保するために行われた。さらに、不動産向け融資およびリースにおけ
る公庫の顧客への助言を専門とする不動産関連チームを立ち上げることが決定されている。
この業務は、2022年戦略に基づき継続的な顧客関係に向けた取り組みの一部を成すものとなる。
以下の表は、2018年12月31日終了年度までの５年間の公庫の活動について示したものである。
税引前
12 月31日時点 新規貸付 貸付残高 持分
当期利益
（単位：百万デンマーク・クローネ）
2014 年度 6,835 152,085 338 6,244
2015 年度 7,273 157,693 127 6,347
2016 年度 8,998 168,589 639 6,844
2017 年度 5,022 173,580 628 7,333
2018 年度 3,554 177,454 541 7,736
③ 資金調達
公庫は主に国際資本市場での債券発行を資金調達源としているが、ナスダック（コペンハーゲン）に上場
される債券も発行している。
債券の発行は、異なる市場、通貨および商品に分散させている。市場および商品を分散することは、安定
した資金調達機会の確保の一助となっている。同時に、公庫は比較してコストが最も安い市場において債券
を発行することが可能である。
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公庫は主に、変動金利債および固定金利債を発行しているが、一定の範囲で仕組債も発行する。仕組債の
リターンは、金利、為替レートまたは株式指標などの諸要素の変動に依存する。
公庫は、大型公募債を発行しているが、個々の投資家の特定の需要に適合した私募債も提供する。発行す
る債券の種類および変動利率か固定利率かの選択は、主に投資家の需要に左右される。
公庫の借換えリスクは、全ての拘束力のある貸出コミットメントが約定前において全額が調達されていな
ければならないことにより非常に限られたものとなっている。
伝統的な債券発行により調達された資金による貸付および調整金利の貸付はマッチングするナスダック
（コペンハーゲン）に上場される債券の発行によって資金が調達される。個別の要求に応じ調整される貸付
は特定の種類の資金調達と関連していない。
公庫のデンマークでの調達資金源の一つとして、デンマークの資本市場で発行され、ナスダック（コペン
ハーゲン）に上場される債券がある。通常、かかる発行の範囲は、公庫の顧客の要求に合う資金を提供する
ために追加のトランシュが発行できるように設定される。さまざまなシリーズの債券は、多様な満期および
金利にわたる。
公庫は長年にわたりデンマーク国外における資金調達を行っており、多数のユーロ・ミディアム・ター
ム・ノート（EMTN）の発行、私募および銀行借入により公庫は国際資本市場における地位を発展させ、強化
してきた。
資金調達の目的で、公庫はEMTNプログラム、オーストラリア債券発行プログラムおよびユーロ・コマー
シャル・ペーパー（ECP）プログラムを設定している。自治体は最終的にデンマーク・クローネまたはユーロ
のみ受取ることが認められている。公庫が直接再貸付できる通貨以外の通貨で資金調達が行われた場合、公
庫は要求される資金を借主に提供するためスワップを利用する。公庫は、スワップの相手方を選ぶ際の厳格
なガイドラインを持っている。
公庫は、即座に再貸付することがなくても資金を調達すること（ミスマッチ）が認められている。ミス
マッチの限度額は、直近の四半期の帳簿価額による貸付総額の25％として算出される。
公庫はエクイティ・リンク債および為替連動債の売出しを日本において行っている。
公庫は市場において強固な地位を築いており、2018年には公庫の債券に対して引き続き強い需要が見られ
た。
公庫は、様々な市場における発行業務の多様化に力を入れており、幅広くかつ多様な投資家基盤を構築し
ている。また、公募により資金調達総額の伸び率を高めるよう取り組んでいる。
2018年末現在の資金調達総額は2,080億デンマーク・クローネにのぼり、そのうち600億デンマーク・ク
ローネが2018年に調達された。
公 募
2018年における資金調達需要は、一部はナスダック（コペンハーゲン）に上場される債券の発行、一部は
海外での発行により賄われた。資金調達は主に大規模な公募債券発行により行われた。
2018年において、米ドル、ユーロおよび英ポンド建による総額400億デンマーク・クローネのベンチマーク
債券が海外発行された。
さらに、５年満期で30億デンマーク・クローネの公庫にとって初となるデンマークにおけるベンチマーク
債券の発行も行った。
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スタンダード・アンド・プアーズによる公庫の信用格付のAAAからAA+への引き下げは、その後間もなくし
て格下げがあった後初となるベンチマーク債券の海外発行が実施されたことから分かるように、公庫の発行
業務には影響を及ぼさなかった。上記は５年満期の発行額が５億ユーロの債券で、２回応募超過となった。
投資家からの力強い需要があり、質の高い投資家への幅広く販売されたことは、公庫が堅実かつ安定的な投
資先とみなされたことを裏付けた。
2018年中のその他の発行は、デンマークにおける調整金利ローンの発行で主に構成されたが、これらは57
億デンマーク・クローネ相当の地方自治体所有の居住型の介護施設および高齢者向け住宅に対する補助金付
き貸付に対応する資金調達を目的としていた。2018年において、これらの発行は、補助金を受けた住宅への
資金供給のために政府が債券を買取りしたことにより再構成された。デンマーク国家が定めた戦略により、
これらの債券の買取りは継続され、そのため近い将来の債券の満期は借換えリスクに影響されない。
市場における短期債については、2018年において満期が12か月未満のコマーシャル・ペーパーの発行が頻
繁に行われ、その合計額は98億デンマーク・クローネにのぼった。
買戻しに関する戦略
2017年および2018年において、公庫は、投資家のために満期より短い期間で既存債券を同時に買戻す可能
性を備えたベンチマーク債券の発行を行った。この買戻しの戦略は、貸借対照表上の満期構成を積極的に管
理する機会を与える。このことは、公庫が資金調達および貸付の満期をより上手く合致させ、一方で満期の
長さに関連する借換えリスクを軽減する助けとなっている。
2018年において米ドルおよび英ポンド建の新規債券発行（５つの異なるISINコードによる。）は、それぞ
れ９億1,500万米ドルおよび１億4,700万英ポンドで買戻された。全ての債券は2018年および2019年において
満期を迎える予定であった。
環境配慮型債券（グリーンボンド）
2018年において、公庫は総額７億5,000万ユーロに上る２回目のグリーンボンドを発行した。
上記の債券は期間10年であり、国際資本市場協会（ICMA）のグリーンボンド原則に従って発行された。持
続可能性のプロファイルに賛同した者がこの発行債券の投資家の大部分を占めた。主に北欧およびその他の
ヨーロッパ諸国の投資家がこれらの債券への申込みを行った。公庫は、2019年においてグリーンローンの
ポートフォリオの増加を見込んでおり、同年において少なくとも１件のグリーンボンドの発行を目標として
いる。
2019 年の資金調達需要および戦略
2019年に予想される資金調達需要は500億デンマーク・クローネと推定されている。
2019年の資金調達戦略はこれまで通り、様々な市場における債券発行の多様化であり、これにより資金調
達源の利用の最適化を図る。ユーロおよび米ドル建による公募発行に力を注ぐ一方、公庫はその他の市場で
も同様に主に公募を行う機会を検討していく。公庫は、デンマーク市場における存在感の強化を目指してい
る。
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④ 流動性資金
公庫は、監督機関により、貸付総額の25％を上限として（貸付総額を上回る）追加的な資金を調達するこ
とが認められている。
2018年末現在、流動性資金は貸付の19％に相当した。
公庫の総流動性資金は、持分および流動性資金で構成されている。総流動性資金の金額、さらには投資
ポートフォリオの規模は2018年を通じて定期的に調整された。
しかしながら、証券ポートフォリオの総額は今年度を通じて概ね一定を保ち、2017年末において423億
6,100万デンマーク・クローネおよび2018年末において429億4,400万デンマーク・クローネとなった。
今年度を通じて、公庫の総流動性資金は、AAA-およびAA-の信用格付を有するヨーロッパ諸国の政府債券お
よび満期が５年以下の抵当証券に投資された。フランス政府債券の購入によって2018年においてAAの格付の
債券の割合が増加した。
⑤ 信用格付
公庫は、ムーディーズ・インベスターズ・サービスよりAaaおよびスタンダード・アンド・プアーズより
AA+の格付を取得している。
この格付を支える根拠は以下による。
・ 強固な資本基盤
・ 信用力の高い借主および質の高い資産
・ 非常に堅固な市場における地位
・ 公庫の全債務に対する構成員の連帯責任
高い信用格付の背景となったその他要因には、デンマークの自治体に対する融資の主要な提供者としての
経済における公庫の重要な役割が重視されている。
⑥ 戦 略
公庫は、貸借対照表および従業員数の両面において過去長年にわたり拡大を遂げ、その組織は先進的な金
融事業提供者として発展してきた。2022年戦略により、公庫は、安定した金融事業および公共部門事業提供
者としての基準および要件を満たした現代的事業への移行を達成することになる。
2022年戦略は、公庫が過度の時間的圧力にさらされることなく目標を設定できるよう、５年がかりの枠組
みとなっている。戦略は、公庫で以降５年間に体現されるべき全事柄を詳述しておらず、むしろ優先順位や
方向性を示すものである。この戦略は、外的要因等の変化に伴い必要に応じて優先順位や方向性を調整する
ため、定期的に見直される。
戦略には以下３つの重点分野がある。
・ 顧客との関係
・ 堅実性と安定性
・ 専門性の確立
公庫は常に、要望に応じた適切な顧客サービスを提供しなければならない。公庫は、顧客および投資家か
ら柔軟性、信用、透明性およびアクセス性が高いと認識されるよう、個別化されたサービスと顧客関与の最
適な組合せの実現に努めなければならない。
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公庫は、デンマークの自治体と資本市場を確実かつ安定的に結び付ける存在であり続けなければならな
い。公庫が一貫して「堅実性および安定性」を日常のプロセスに取り入れることも重要である。公庫は、た
とえ不利な状況にあっても、過度に慎重になることなく自立性を確保できなければならない。
専門性の確立は、公庫の業務および事業の全領域において、従業員がいかに顧客、ビジネスパートナーお
よび同僚に対する職責を果たすかに関係する。これには、全ての要件および基準に沿った効率的なプロセス
および高品質な業務が要求される。
価 値
公庫は、2022年戦略の基礎となる中核的価値を定め直した。この中核的価値は、公庫の対外関係および公
庫が今後行う選択において、公庫の指針として機能すべきものである。
かかる価値は、公庫の強みおよびカルチャーを反映しつつ、公庫の使命、ビジョンおよび戦略を支援する
ために執行役員および従業員が示すべき行動に焦点を当てている。
優れた技能、課題解決志向、責任感および包摂性の価値は、変化に対して、ならびに顧客および投資家に
考えうる最善の解決策を提供するために必要な対応に向けて、公庫が備えていることを明確に示している。
これらの価値は、以下のように定義されている。
優れた技能
「公庫は、公庫の顧客のための価値を創出するために、専門的な技能および専門家の知見を採用すること
に長けている。公庫は、パートナーおよび顧客から公庫が技能および専門性に優れた協議相手として認識さ
れるよう、進歩に遅れをとることなく引き続き技能を向上させていく。」
課題 解決 志向
「公庫は、効率的にプロセスを進めて目標に到達することに長けている。公庫は、意図した効果をあげな
い場合、方法や解決策を改変することを厭わない。公庫は、総体的なアプローチをとり、また可能なところ
では簡素化に努める。」
責任感
「公庫は、任務をやり遂げ、長期的に思考して顧客のことを考える。公庫は、公庫の行為の正当性を常に
主張できるべきであり、また可能な限り透明性の高い方法で物事を進めるよう努めるべきである。」
包摂性
「公庫は、顧客およびビジネスパートナーの利益となるよう、互いに最善を求め、また同僚から最善を引
き出すことを求めている。公庫は変化を受け容れ、またお互いの知見を組み入れて全体を形成することに長
けている。公庫は、決定が下された場合はその決定を尊重し、いったん道筋が定められればそれに従いそれ
を支持する。」
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公庫は、顧客との関係、堅実性および安定性ならびに専門性に焦点を据え、引き続き2022年戦略の実施を
進めている。2018年８月の公庫内の組織変更により上記戦略は強化され、かかる組織変更において公庫は
リース業務とその他の業務を統合した。これと同時に、公庫は開発プロジェクトの分析能力と管理を強化し
た。
公庫は、新たな顧客関係管理（CRM）システムの第一段階を含む多数の戦略要素を達成しており、責任に関
する指針を定義し、内部統制環境を強化している。
2018年秋、公庫は新規貸付に対する金利の設定についての新たな手法（FTP(資金移転価格)モデル）を導入
した。これは、個々の貸付に対する金利の設定を公庫の貸付に伴う費用およびリスクに応じて設定すること
を目的としている。
⑦ 社会的責任
2018年において、公庫の理事会は、企業の社会的責任（CSR）の指針を採用した。2019年より、公庫は年次
の社会的責任報告書を公表し、社会的責任に関する活動および実績が記載される予定である。
社会的責任の指針
社会的責任は公庫のビジネスモデルにとって欠くことのできない要素となっている。州および地方自治体
の双方の議会における決定に基づき、公庫は可能な限り低いコストで公共投資に資金を提供している。これ
はデンマーク全土において地域の開発および成長を確保することを目的としている。
公庫の貸付の大部分は、気候変動に対する耐性確保、海岸の保全、公共輸送、公共の建物のエネルギー効
率および高齢者向け住宅などの環境改善（グリーン）または社会的課題解決（ソーシャル）を目的としてい
る。さらに、公庫は事業体として、環境、ガバナンスおよび従業員に関する事項における社会的責任を示す
ことに継続的に取り組んでいる。2022年戦略において社会的責任は独立した取り組みとされている。
2018年において、公庫は、とりわけ社会的責任に関する指針の採用により、公庫の社会的責任に向けた努
力を形として示し、当該指針は重点分野および年間目標に採り入れられている。かかる指針は２つの重要な
目的を反映している。１つ目として、公庫は社会的責任に対する自治体の意識のレベルを支えることを目指
す。２つ目として、公庫は責任ある投資に対する投資家間での関心の高まりに対応することを目指す。
報 告
社会的責任に関する指針の一環として、公庫は、社会的責任報告書を毎年公表する予定であり、それには
地域における個別の目標およびESGデータ（環境・社会・ガバナンスのデータ）が含まれる。当該報告書に
は、公庫の社会的責任における活動および実績を記載され、現在の重点分野および目標の最新の状況が提供
される。
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従業員構成
デンマーク大企業における経営陣のジェンダー構成に関する規則および関連する報告は正式には課されて
いないが、公庫はこれらの規則に従うことを決定している。
公庫は、従業員が性別にかかわらず、キャリアを形成する平等な機会を持てるカルチャーを備えることを
重視している。
経営陣レベルにおいては、今年度末現在で60％が男性、40％が女性であった。さらに、公庫は他の従業員
においても多様なジェンダー構成となることを目指している。その他の従業員においては、56％が男性、
44％が女性であった。
公庫の教育基金
公庫は1986年に教育基金を設立した。教育基金の目的は、公的な機関および団体における訓練および教育
の発展を促進することにある。教育基金は、自治体の壁を越えた革新や協力に貢献する特別プロジェクトに
対して助成金を提供している。
2018年に、公庫の教育基金は、４つの異なるプロジェクトに対して総額69万デンマーク・クローネの助成
金を給付した。
⑧ コーポレート・ガバナンス
管理構造
意思決定の権限は理事会および経営委員会に属している。責任の配分は、直近で2018年８月に更新された
方針において定められている。理事会は、公庫の事業および業務の全体かつ戦略的な管理を担い、公庫の事
業の健全な体制を確保しなければならない。理事会は、公庫のリスク選好およびリスク方針ならびに資本お
よび流動性目標を決定する。年に１度、理事会はその責任の履行に関連する事項に関して見解を示す。
経営陣は、公庫に関する法律第383号および公庫の定款、理事会により定められた方針および指針ならびに
理事会および適用ある法令によるその他の指令に従い、公庫の日常の運営に責任を負う。経営委員会は、理
事会により定められた指針の枠組みの中で、必要な全ての決定を行う権限を有する。
理事会
理事会は９名で構成され、そのうち６名は地方自治体、２名は州により選出され、１名が理事会により選
出される。理事会が選出する構成員は、会計または監査を行う資格を有する者でなければならない。理事会
の議席のうち８議席は、地方自治体および州の議会の直近の地方選挙における政党または候補者の得票数に
基づく比例代表方式により、政党と選挙連合の間で配分される。
理事会の構成員は、１期４年を任期として選出される。地方自治体および州の選挙に適用される任期に対
して、理事会に適用される任期は５か月遅れとなる。2018年６月１日から2022年５月31日までの任期につい
ての公庫の理事選挙は、2018年春に行われた。
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理事会は少なくとも年４回の定例会合を開き、その職務は重要な事業分野の全てを含めた年間日程表に従
う。2018年に、理事会は３月、６月、８月および11月に会合を開いた。少なくとも理事の半数が出席して投
票に参加する場合に定足数が満たされる。経営委員会は理事会の会合に参加するが、理事会の一員ではな
く、議決権も有しない。
理事会は継続的にその業務を評価し、最近の自己評価は2017年に行われた。
承認を受けた監査人および監査法人に関するデンマーク法に従い、理事会は、監査委員会の任務を理事会
構成員全体が遂行することを決定した。付託条項および年間業務サイクルは、2018年初頭に発せられた監査
委員会に関するデンマーク商務庁の指針に従い、直近で2018年に更新された。2018年において監査委員会の
会合は３回行われた。
経営委員会
最高経営責任者は、公庫の日常の運営を担う。最高経営責任者は、可能な限りもう１名の経営委員会の構
成員と協力してその職務を遂行しなければならない。
経営委員会は、公庫の業務における全ての重大な変更を理事会に上程し、公庫の業務によってもたらされ
た全ての重要な事象について理事会に報告する。経営委員会は、理事会がその管理義務を果たすことができ
るよう、公庫の進展について理事会に最新の情報を提供するために会計、財務およびリスク関連の情報を理
事会に提供する。
理事会の各会合において、経営委員会は、財務リスク管理に関する理事会の指針の遵守について報告す
る。
リスク管理およびコンプライアン ス
公庫における内部統制環境の構築が決定されており、これは関連がある限りにおいて銀行等のガバナンス
および管理に関する2016年６月30日付行政命令第1026号に従う。オペレーショナル・リスクおよび財務リス
ク管理ならびにコンプライアンスは上記により強化が図られ、独立した機能としての役割を果たすことにな
る。全般的にみて、かかる機能は以下を指す。
・ ガバナンスおよびリスク管理のための枠組みを形成する。
・ ガイドラインおよび教育を通じてリスクと管理への理解を深める。
・ 公庫が適用法令に従っているかについて、リスクベース・アプローチを通じて検討および評価する。
部門長および従業員
貸付・リース、トレジャリー、ファイナンス・リスク管理、情報技術（IT）および事業開発・支援の５名
の部門長、それぞれの部門内に所属するチームの長および個々の従業員に対して意思決定権限を広範囲にわ
たって委譲する取組みがなされている。
継続的に行われている公庫の専門性の確立の一環として、とりわけ、一貫性があり、かつ専門性の高い顧
客サービスを確保し、公庫のリサーチ能力ならびに開発プロジェクトの管理および発展を強化する目的で、
2018年８月15日に公庫は組織変更を実施した。
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2018年における公庫の平均従業員数は70名であった。公庫は、商品開発および業務過程に対する外部の需
要に応えることができるよう、従業員の専門的および個人的な資質の開発に対して高い優先度を与えてい
る。また、業務の安定性を維持するため、知識の共有および職務機能の重複についても高い優先度が与えら
れている。
報 酬
公庫の報酬に関する方針は理事会により決定される。公庫の従業員は労働協約の適用を受けない。
賞与制度が導入されているが、経営委員会構成員は賞与制度の対象とならない。
⑨ リスク管理
公庫は、常にデンマークの自治体と投資家を確実かつ安定的に結び付ける存在でなければならない。
公庫は多くのリスクにさらされているが、いかなる時も公庫の低いリスク選好と合致するように、これら
のリスクは継続的に特定、制御および軽減されている。
公庫の財務リスクの管理については、リスク選好の定義も含めて、理事会が全体的なガイドラインを定め
ている。公庫の監督機関として、社会内務省は、金利リスクおよび流動性資金についてガイドラインを定め
ており、また、理事会が採択したガイドラインを変更するよう理事会に命じる権限を与えられている。
低い水準のリスク選好
公庫は、顧客と投資家を確実かつ安定的に結び付ける存在でなければならず、構成員に対する配当を生み
出す必要はない。したがって公庫のリスク選好は低めに設定されており、公庫の使命を達成するために不可
欠であるとみなされる財務リスクに限定されている。デンマークの自治体は公庫の債務に対して連帯して責
任を負うため、公庫が引き受けるリスクは自治体のリスクともなる。
公庫は、さまざまな通貨建てで資金調達を行っている。公庫はデンマークの自治体に対して、貸付業務を
通じて流動性資金を再貸付しており、デンマーク・クローネ建で行われている。これは、公庫の再貸付を行
う者としての役割において、顧客が望む貸付プロファイルにあわせて公庫がその資金調達を転換させること
を意味する。
公庫の貸付総額のうち約20％という一部のみが、貸付のプロファイルが発行債券のものと合致するその他
の貸付とは異なっている。
低水準の市場リスク
全ての資金調達は、貸付および流動性資金の通貨プロファイルおよび金利プロファイルにデリバティブに
より変換される。
金利および通貨のエクスポージャーは、公庫の市場リスクを低水準に保つために幅広くヘッジされる。市
場リスクが低いことにより、市場価格の変動による損失リスクが抑えられる。
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低水準の信用リスク
公庫は、流動性資金が債券に投資される際に投資の取引相手に関して、また、公庫がデリバティブ契約を
締結している金融取引相手に関して信用リスクにさらされている。投資の取引相手に関する信用リスクは、
取引相手の種類および取引相手の格付の双方の面において、信用の質の高さに対する要件により抑えられて
いる。金融取引相手に関する信用リスクは、同様に信用の質の高さに対する要件より抑えられている。公庫
は、担保契約を締結した金融取引相手とのみ金融商品取引を実施することができる。
貸付およびリースは、デンマークの自治体またはこれらの自治体による全額保証がある場合のみ付与され
る。デンマークの自治体は、社会内務省による厳格な規制および厳重な監督を受ける。120年の歴史の中で、
公庫は一度も融資を償却したことはない。
低水準の流動性リスク
流動性リスクを抑えるために、流動性資金の貸付に関する拘束力のあるコミットメントは、少なくともこ
れに対応する持分があるか、または拘束力のある資金調達コミットメントが最低限それに対応した満期によ
り実行されていない限り締結することができない。これにより、公庫の貸付はコミットメントの期間にわた
り資金調達源が確保される。
流動性資金および持分が公庫の総流動性資金を構成し、これらはまた双務的担保契約に関連する公庫の流
動性リスクをカバーしなければならない。
理事会は、公庫が金融市場でのエクストリーム・ストレス状況をカバーできる総流動性資金を保有しなけ
ればならない旨を決定した。公庫は、流動性が逼迫した場合に活用できる流動性資金についての緊急時対応
プランを有している。
さらに理事会は、CRR/CRD IVの流動性カバレッジ比率（LCR）および安定調達比率を含む流動性の分野にお
ける国際基準に対応したガイドラインを公庫について定めた。
流動性リスクが低いことにより、公庫が金融上の債務をいかなる時でも返済できるよう確保されている。
自己資金調達スプレッドの価格リスク
公庫は、自己資金調達スプレッドに関して価格リスクを有している。公庫の資金調達スプレッドの変動
は、公庫による貸付および発行債券の評価に影響する。価格リスクは主に２つの原因により生じる。１つ目
は、公庫は場合により拘束力ある貸出コミットメントよりも期間の長い資金調達を行うことがあることが原
因となる。とりわけ、これは流動性リスクの軽減のために行われる。他の主要な原因には、公庫が質の高い
適格流動資産（HQLA）から構成される適切な流動性資金を有していることがある。これによるリスクは、資
金調達（公庫の発行債券）の公正価値が公庫の資金調達スプレッドに左右される一方、流動性資金における
債券は左右されないという事実によるものである。この流動性資金は主に高格付けの政府債券およびAAA-の
格付を付与されたデンマーク抵当証券で構成されている。
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公庫の資金調達スプレッドの拡大は公正価値に有利な効果を与える可能性がある。これは、公庫の発行債
券の公正価値は顧客のローンの公正価値より大きく下落するためである。同様に、公庫の資金調達スプレッ
ドの縮小は公正価値に不利な効果を与える。自己資金調達スプレッドに係るリスクを低水準に維持する努力
がなされているが、かかるリスクは公庫のビジネスモデルの一部であり、回避できないものである。
業務リスク（オペレーショナル・リスク）
公庫の活動の大部分は、オペレーショナル・リスクにさらされている。リスクの事象をデータベースに登
録することにより、できる限り多くのリスクを軽減し、同時に公庫が業務手続および業務プロセスを系統的
に改善できるよう重点的な取組みが行われている。
業務手続は文書化されており、責任の配分、職務の分離、プロセス管理および事業慣行が記載されてい
る。人為的なミスのリスクを減らすために、できるだけ多くの手続が自動化されている。全ての重要なプロ
セスは、自動であっても手動であっても同僚間のチェックまたはオブジェクティブ・コントロールのいずれ
かによりサポートされなければならない。
公庫はそのIT基盤に大きく依存しているため、災害回復プラン、ならびにアクセス制御、役割および権限
の割当、システムクラッシュおよびシステムエラー等に関するガイドラインを定めたITセキュリティ方針を
通じて、この分野に特に重点が置かれている。
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有価証券報告書
(5) 【経理の状況】
2007年１月１日より、公庫は、EU委員会が採用している国際財務報告基準（IFRS）にしたがって財務書類を作
成している。
2007年より前までは、公庫の財務書類はデンマーク王国において一般に認められた会計原則および慣例ならび
にデンマーク王国の法律に従い作成されていた。
公庫の事業年度は暦年である。
公庫の監査役は、経済内務省によって任命されたThorkil Juulおよび国家資格を有する公認会計士であるデロ
イト公認会計士パートナーシップが任命されている。
公庫の監査役は一般に認められた監査基準に基づき公庫の年次財務書類を監査している。
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独立監査人の監査報告書
デンマーク地方金融公庫理事会に対して
監査意見
私共は、2018年１月１日から同年12月31日までの事業年度についてのデンマーク地方金融公庫の財務書類の監査
を行った。財務書類は、包括利益計算書、財政状態計算書、持分変動計算書、キャッシュフロー計算書および注記
（会計方針を含む。）で構成されている。財務書類は、EUが採用している国際財務報告基準（IFRS）および上場債
券の発行体向けのデンマークの追加開示要件に準拠して作成されている。
私共の意見によれば、財務書類は、EUが採用している国際財務報告基準（IFRS）および上場債券の発行体向けの
デンマークの追加開示要件に準拠して、2018年12月31日現在の公庫の財務状態ならびに2018年１月１日から同年12
月31日までの事業年度の公庫の経営成績およびキャッシュフローを真実かつ公正に表示している。
私共の監査意見は、監査委員会および理事会に対して提出された帳簿監査コメントと一致している。
監査意見の根拠
私共は、国際監査基準（ISA）およびデンマークで適用される追加要件に準拠して監査を実施した。上記の基準
および要件のもとでの私共の責任は、本監査報告書中の「財務書類監査に対する監査人の責任」の項に詳述されて
いる。私共は、国際会計士倫理基準審議会の職業会計士の倫理規定（IESBA Code）およびデンマークにおいて適用
されているその他の要件に従った公庫に対する独立性を保持しており、これらの要件に従ってその他の倫理的責任
も果たしている。私共は、入手した監査証拠が私共の意見の基礎を提供するのに十分かつ適切であると信じる。
私共の知識および確信が及ぶ限り、私共は規則（EU）第537/2014号の第5(1)条に記載の禁止されている非監査業
務を一切提供していない。
私共は、2017事業年度について、2016年８月26日に公庫の監査人に初めて指名された。このため、私共は、理事
会の決定により、これまでのところ2018事業年度（同年度を含む。）までの合計２年の期間について指名を受けて
いる。
監査上の主要な事項
監査上の主要な事項とは、私共の職業的専門家としての判断において2018事業年度の財務書類の監査において最
も重要であった事項を指す。これらの事項は財務書類全体に対する監査の過程および監査意見の形成において検討
された事項であり、私共はこれらの事項に対して個別に意見を表明するものではない。
公正価値による金融資産および負債の評価
貸付、証券ポートフォリオおよびプラスのデリバティブを含め、公庫の金融資産は公正価値で測定されており、
それらは2018年12月31日現在において資産合計の97％（2017年：97％）に相当した。発行債券およびマイナスのデ
リバティブを含む金融負債は公正価値で測定されており、それらは2018年12月31日現在において負債合計の96％
（2017年：95％）に相当した。
公正価値で測定される金融資産および負債の評価に関する重要性および複雑性のため、これは監査上の主要な事
項となる。評価の主要原則は会計方針に記載されており、経営陣はさらに、公正価値調整等および財務リスク管理
に関する注記において、公正価値の決定および市場リスクの管理について詳述している。
公正価値の見積りは、観測可能および観測不能なデータの双方を含む様々な仮定および判断に基づいており、こ
のことが不確実性を増加させている。そのため、監査との関連で高度な注意を払う必要のある領域は、契約のマス
ターデータの記録、モデルおよび手法の適用ならびに以下のパラメータである。
・ 為替マージン
・ 資金調達カーブ
・ 信用スプレッド
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・ 貸付価格
私共の監査における対象事項への取り組み方
私共の監査には、関連手続の検証、主要な統制のテストおよび公正価値変動の分析が含まれる。
また、私共の監査手続には特に以下も含まれる。
・締結した契約のマスターデータの正確かつ完全な記録のテスト
・適用される公正価値の算出モデルおよび手法の審査、テストおよび検証
・評価に関連して適用される主要なパラメータの関連性および正確性の審査およびテスト
最後に、監査には金融資産、負債およびデリバティブの開示要件に対する遵守のテストが含まれる。
経営陣のレビューについての陳述
経営陣は、経営陣によるレビューに対して責任を負う。
財務書類に関する私共の意見の対象範囲には経営陣のレビューは含まれておらず、私共はそれに関していかなる
保証の結論も表明しない。
財務書類の監査に関する私共の責任は、経営陣のレビューを読み、その過程において、経営陣のレビューが財務
書類または私共が監査の過程で得た知識との間に重要部分における整合性があるかどうか、またはそれ以外に重要
な虚偽記載の兆候があるかどうか考慮することにある。
さらに、経営陣のレビューに上場債券の発行体向けのデンマークの開示要件に従った必要な情報が含まれている
か否かを検討することも、私共の責任である。
私共の手続に基づき、経営陣のレビューは財務書類と整合しており、また上場債券の発行体向けのデンマークの
開示要件に準拠して作成されていると判断した。私共は、経営陣のレビューにおいていかなる虚偽表示も確認する
ことはなかった。
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財務書類に対する経営陣の責任
経営陣は、EUが採用している国際財務報告基準（IFRS）に準拠して真実かつ公正な表示を提供する財務書類の作
成に対して責任を負い、また、不正によるものかまたは誤謬によるものかに拘らず、重大な虚偽表示がない財務書
類の作成を行うのに経営陣が必要と判断した内部統制に責任を負う。
財務書類を作成するにあたり、経営陣は、継続企業として存続する公庫の能力を評価すること、該当する場合に
は継続企業の前提に関する事項を開示すること、および経営陣が公庫を清算もしくは事業停止にする意図があるか
またはそうする以外に現実的な代替案がない場合を除いて、財務書類の作成において会計上の継続企業基準を用い
ることに対して責任を負う。
財務書類監査に対する監査人の責任
私共の目的は、全体としての財務書類に不正または誤謬によるものかに拘らず重要な虚偽表示がないかに関す
る合理的な保証を得て、私共の意見を含む監査報告書を発行することである。合理的な保証は、高い水準の保証で
あるが、国際監査基準（ISA）およびデンマークにおいて適用されるその他の要件に準拠して行った監査が、重要
な虚偽表示がある場合に常にこれを発見することを保証するものではない。虚偽表示は、不正または誤謬から発生
する可能性があり、個別にまたは全体的にみて財務書類に基づき行われる利用者の経済的決定に影響を及ぼすと合
理的に見込まれる場合に、重要性があるとみなされる。
国際監査基準（ISA）およびデンマークにおいて適用されるその他の要件に準拠した監査の過程において、私共
は職業専門家としての判断を行い、監査を通じて職業的懐疑心を保持し、また、以下を行う。
・ 不正によるか誤謬によるかに拘らず、財務書類の重要な虚偽表示リスクを識別および評価し、当該リスク
に対応した監査手続を立案および実施し、私共の意見の基礎を提供する十分かつ適切な監査証拠を入手す
る。不正による重要な虚偽表示を発見できないリスクは、誤謬によるそれよりも高くなるが、これは、不正
には共謀、偽造、故意の除外、虚偽の陳述または内部統制の無効化が伴うことがあるからである。
・ 状況に応じて適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を理解する。ただし、これは公
庫の内部統制の有効性に対する意見を表明するためのものではない。
・ 用いられた会計方針の適切性、ならびに経営陣により行われた会計上の見積りおよび関連する開示の妥当
性について評価する。
・ 財務書類の作成にあたり、経営陣が会計上の継続企業の前提を用いることが適切かについて、また、入手
した監査証拠に基づき公庫の継続企業として存続する能力に重要な疑義を生じさせるような事象または状況
に関して重要な不確実性が存在するかについて結論を与える。私共は、重要な不確実性が存在すると結論し
た場合は、監査報告書において財務書類における関連する開示について注意を向けること、またはそのよう
な開示が適切でない場合は監査報告書を修正することが求められている。私共の結論は、監査報告書の日付
までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象または状況により公庫は継続企業として存続できな
くなる可能性がある。
・ 注記による開示を含めた財務書類の全体的な表示、構成および内容を評価し、財務書類が基礎となる取引
または事象を真実かつ公正な表示を提供する方法で表示しているかを評価する。
私共は、とりわけ、計画された監査の範囲および時期ならびに監査の過程で識別した内部統制の重要な不備を
含む監査上の重要な発見事項に関して、統治責任者に報告を行う。
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有価証券報告書
また、私共は、統治責任者に対し、独立性に関する倫理的要件を遵守している旨の陳述書を提供し、私共の独
立性に影響を与えると合理的に考えられうるすべての関わり合いその他の事項、および該当する場合は関連する予
防措置（セーフガード）について報告する。
統治責任者に報告した事項により、私共は、当年度の財務書類の監査において最も重要であり、それゆえ監査
上の主要な事項となるものを決定する。私共は、かかる事項を監査報告書において記載する。ただし、法律または
規則がそれらの事項の開示を除外している場合、または大変稀な状況ではあるが、かかる事項を報告することによ
る公共の利益を、公表することによる不利益が上回ると合理的に見込まれるため、私共の報告書において報告すべ
きでないと判断した場合を除く。
2019年３月１日、コペンハーゲンにて
デロイト公認会計士パートナーシップ
事業登録番号 33 96 35 56
Anders Oldau Gjelstrup Bj ø rn Philip Rosendal
国家資格を有する
国家資格を有する
公認会計士
公認会計士
MNE no mne10777
MNE no mne40039
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デンマーク地方金融公庫(E06107)
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経済内務 省より任命された監査人の報告書
デンマーク地方金融公庫理事会に対して
私は、経済内務省より任命された監査人として、経営委員会により作成された2018年１月１日から同年12月31日
までの事業年度のデンマーク地方金融公庫の財務書類のレビューを行なった。さらに、私は経営陣のレビューを読
んだ。
レビューに際して、私は、デンマーク地方金融公庫が準拠するデンマークの法令またはデンマーク地方金融公庫
の定款への不遵守を確認することはなかった。デロイトにより行われた監査手続に関して私はコメントすべきこと
はなかった。
2019年３月１日、コペンハーゲンにて
Thorkil Juul
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2018 年度包括利益計算書
（単位：百万デンマーク・クローネ）
注 記
2018 年 2017 年
受取利息 1.1 1,725 1,826
-1,284 -1,189
支払利息 1.2
純受取利息 441 637
その他の営業利益 11 11
その他の営業費用 -12 -14
-127 -123
管理費用 2.1-2.3
価値調整前当期利益 314 511
227 117
金融商品の価値調整 1.3 、1.4
税引前当期利益 541 628
-119 -138
当期利益課税額 3.1
当期利益 422 490
その他の包括利益
-17 -1
保険数理上の損益
当期包括利益 405 489
計上先は以下の通り：
405 489
持分への組入
405 489
合 計
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2018 年12月31日現在の財政状態計算書
（単位：百万デンマーク・クローネ）
資 産 注 記
2018 年 2017 年
信用機関への債権 1.4
2 3
貸 付 1.4 、1.5 170,312 167,107
リース 1.5 、1.6 7,142 6,473
証券ポートフォリオ 1.4 、1.7 42,944 42,361
デリバティブ 1.4 6,056 6,483
その他の資産 120 105
33 32
当期税金資産 3.2
資産合計 226,609 222,564
（単位：百万デンマーク・クローネ）
負 債 および 持 分
2018 年 2017 年
負 債
信用機関への債務 1.4 716 1,640
発行債券 1.4 、1.8 208,218 202,145
デリバティブ 1.4 8,800 10,379
その他の負債 635 616
年金債務 2.3 80 61
繰延税金負債 3.3 425 390
負債合計
218,873 215,231
持 分 7,736 7,333
負債および持分合計 226,609 222,564
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2018 年度持分変動計算書
（単位：百万デンマーク・クローネ）
注 記
2018 年 2017 年
持 分
１月１日現在の持分
7,333 6,844
IFRS 第９号の実施による減損費用の変動
-2 -
IFRS 第９号の実施による税金負担額の変動 1 -
持分への組入
当期利益
422 490
その他の包括利益
保険数理上の損益
-17 -1
その他の包括利益に対する税額 0 0
その他の包括利益（税引後）
-17 -1
持分への組入合計 405 489
12 月31日現在の持分 7,736 7,333
当期包括利益は公庫の定款に従い持分（資本）に組入れられる。
持分は、2017年度末現在の73億3,300万デンマーク・クローネから2018年度末現在には77億3,600万デンマーク・
クローネに増加した。2018年度末現在、資産合計に対する持分の割合は2017年度末現在よりわずかに上昇して
3.4％となった。持分は組入れられた包括利益全体からなる。
公庫に適用される法的枠組みの下では、持分は負債合計の少なくとも１％（すなわち21億8,900万デンマーク・
クローネ）に等しくなければならない。理事会の目標は、資産に対する持分の割合を公庫の活動を支えるために適
切だと考えられる３％に少なくともすることである。
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2018 年度キャッシュフロー計算書
（単位：百万デンマーク・クローネ）
注 記
2018 年 2017 年
営業利益
78 -8
減価償却費、償却費および減損費用 3 3
営業利益
81 -5
受取金融収益 1,725 1,837
支払金融費用 -1,284 -1,203
納付税額 -109 -7
貸付の増加 -3,876 -4,990
その他の資産 -16 ▶
その他の負債 68 -44
営業活動からのキャッシュフロー
-3,492 -4,403
資産の取得等 -3 -1
有形固定資産の売却 - 2
証券の変動 -583 -8,312
投資活動からのキャッシュフロー
-586 -8,311
発行債券の変動 5,960 -1,371
デリバティブ金融負債 -1,579 -614
デリバティブ金融資産 427 13,075
財務活動からのキャッシュフロー
4,808 11,090
現金・現金同等物残高の変動 811 -1,629
信用機関への預け金 3 1,592
信用機関への短期債務 -1,251 -1,211
１月１日現在の現金・現金同等物残高
-1,248 381
信用機関への預け金 2 3
信用機関への短期債務 1.11.1 -440 -1,251
12 月31日 現在の現金・現金同等物残高
-438 -1,248
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一般注記事項
注記1.0 会計方針
概 要
デンマーク地方金融公庫の2018年についての財務書類は、欧州連合が採用している国際財務報告基準（IFRS)に
従って作成されている。
事業年度は暦年と一致する。機能通貨はデンマーク・クローネで、年次報告書は百万デンマーク・クローネ単位
で表示されている。
年次報告書の作成にあたり、重要性の概念が適用されている。個別で見ても総体的に見ても、年次報告書におい
て重要でないため、一定の項目は合算され、一定の開示は省略されている。
別途記載されていない限り、年次報告書の金額は全て百万デンマーク・クローネ単位で記載されている。記載さ
れている合計額は、四捨五入前の実際の金額に基づき計算されたものである。金額は百万デンマーク・クローネ単
位に四捨五入されているため、個別の金額の合計と記載されている合計額とで多少の差額が生じる場合がある。
以下に記載される変更点を除き、会計方針は、2017年度の年次報告書で適用されている方針から変更されていな
い。
会計方針の変更点
より公正な財務書類の表示を提供するため、公庫は包括利益計算書に「その他の営業利益」および「その他の営
業費用」の項目を組み込んだ。この変更は利益、資産および負債、持分ならびに財政状態に影響を及ぼしていな
い。
「その他の営業利益」は、顧客への助言サービスの関連手数料や有形固定資産の売却益など、公庫の活動との関
係において副次的な性質の項目を含む。これらの項目は従来「受取利息」に分類されていた。
「その他の営業費用」は、個別の発行に直接帰属せず、かつ直接の管理費用にも当たらない格付けの費用負担な
ど、公庫の活動との関係において副次的な性質の項目を含む。これらの項目は従来「支払利息」に分類されてい
た。
年次報告書に記載される比較数値は、上記の変更点を反映して再表示されている。
表示の変更
注記1.1、1.2、1.9.2、1.11.1、2.1および2.2の項目につき、前年度との比較において重要でない再分類が行わ
れた。これによる財務書類の認識または測定に対する影響はない。
IFRS 第９号の実 施
2017年度の年次報告書（財務書類の注記１ 会計方針）で言及されているとおり、IFRS第９号が2018年１月１日
に発効した。公庫は財政状態計算書の大部分において公正価値オプションを採用しており、IFRS第９号はリースの
測定にのみ影響する。
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IFRS第９号の暫定規則に従い、過去の期間の比較数値は再表示されていない。したがって、年次報告書に比較数
値として掲載される金融資産および負債の分類、測定および表示は、2017年度の年次報告書に記載されたものと同
じ会計方針に準拠している。
IFRS第９号およびリースに係る新しい信用リスク決定原則の実施は、分類には影響を与えないが、210万デン
マーク・クローネの減損費用の増加（税効果前）という結果をもたらし、これは2018年１月１日現在で持分の調整
金として認識されている。その後の増減は包括利益計算書の「金融商品の価値調整」で認識される。
IFRS第９号の実施の結果、今後はリースの測定に予想信用損失が含まれることになる。これは、リース契約がす
でに成立している場合、その債権について、12か月以内に発生しうるデフォルト事象から生じる予想信用損失と同
額の減損費用を認識しなければならないことを意味する。減損は信用リスクの動向に応じて３つのステージに認識
される。
ステージ１：
信用リスクに著しい増加がない場合、減損は12か月以内に発生しうるデフォルト事象から生じる予想信用損失と
同額とする。減損はリース契約の成立時に認識され、その後信用リスクの著しい増加がなければ、信用リスクの変
動に対して調整が行われる。
ステージ２：
信用リスクが著しく増加している場合、その契約はステージ２に移り、残存期間にわたる予想信用損失と同額の
減損が認識される。
ステージ３：
デフォルトまたはその他の信用減損が生じている場合、その契約はステージ３に移る。減損はステージ２と同じ
原則を用いて認識されるが、契約のうち減損処理される部分に帰属する受取利息が減損処理後の額に基づいて認識
される点が異なる。
予想損失を計算する際、契約満期までの期間は契約条項で制限される。モデルで計算されるステージ１およびス
テージ２の減損費用は、短期（12か月）または長期（契約満期までの期間）のデフォルト確率（PD）やデフォルト
時損失率（LGD）を変数に用いる。
新基準および改正基準
IFRS第９号の実施を除き、2018事業年度に適用し2018年度の財務報告に影響を与えた新基準および改定基準はな
かった。
2019事業年度に発効し2019年度の財務報告に影響を与えると判断される、新規のまたは改正されたIFRS基準はな
い。
重要な 会計上の見積りおよび判断
財務書類の作成において、経営委員会は多くの会計上の見積りおよび判断を行う。
この見積りおよび判断は、経営委員会が合理的かつ現実的であると判断した仮定に基づく会計方針に従ってなさ
れるが、これらは本質的に不確実で予測不能である。
会計上の見積りおよび判断は、過去の実績および将来の状況の評価が確実に反映されるよう、継続的なプロセス
によりテストおよび評価される。
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財務書類にとってきわめて重要とみなされる会計上の見積りおよび判断は、公正価値の算出が市場で直接観測で
きないインプットに基づく場合になされる。特に、発行債券の評価に関する見積りおよび判断は、財務書類に影響
を与える可能性がある。
注記1.4は、金融商品の公正価値測定に関する会計上の見積りおよび判断を記述している。
2017年と比較して、会計上の見積りに変更点はなかった。
外貨換算
財務書類において使用される表示通貨はデンマーク・クローネである。外国通貨建項目は貸借対照表日現在にお
ける終値により換算される。実現済みおよび未実現の外国為替調整額は包括利益計算書において認識される。
認識および測定
資産は、その将来的な経済利益が公庫に流入する可能性が高い場合に、財政状態計算書で認識される。
負債は、その将来的な経済利益が公庫から流出する可能性が高く、かつ負債の価額が信頼性をもって算出できる
場合に、財政状態計算書で認識される。
公庫の利益は、取得時に損益において認識される。費用は公庫による負担時に認識される。
金融資産および金融負債は、約定日において認識される。公正価値オプションを用いて損益を通じてなされる金
融資産および負債の実現済みおよび未実現の価値の公正価値への調整は、包括利益計算書の金融商品の価値調整の
項目で認識される。金融資産および金融負債のどちらも、期限到来または処分時に認識が中止される。
公正価値は、活発な市場で取引される金融商品の市場相場価格を基準として測定される。活発な市場が存在する
場合、公正価値は直近で観察された市場価格に基づく。
１または複数の金融資産または負債に関する市場が流動性に乏しい場合、公正価値は一般に認められている評価
手法を用いて決定される。
取引の費用および利益は、当初の認識時に測定される。
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相殺
金融商品のプラスとマイナスの公正価値は、財政状態計算書上で個別の項目に計上され、プラスおよびマイナス
の価値の相殺は、公庫がいくつかの金融商品を純額ベースで相殺して決済できる権利および意図を有する場合にの
み行われる。
公正価値オプションを用いた金融商品の価値の決定
公庫は、財政状態計算書の構成要素に関する透明かつ明解な計算を財務書類の読者に提供するため、IFRS第９号
に基づく公正価値オプションの採用を決定した。
公正価値オプションの採用はまた、金融機関への債権、貸付、証券ポートフォリオ、発行債券ならびにリスクお
よびマッチングのヘッジに関するデリバティブの一貫した会計処理を確保することにも資する。これは、貸付、証
券およびデリバティブが包括利益を通じて公正価値で測定されることを意味する。
2018年度に公庫は、証券ポートフォリオの一部を投資勘定に認識する選択をしたが、これらのポートフォリオは
契約期間中に契約上のキャッシュフローを回収するために保有されている。当該ポートフォリオは、証券としての
枠組み内に記録され、トレーディング勘定で取引できない。当該ポートフォリオは、公正価値に基づくリスク管理
体制の一部を形成し、公正価値基準で公庫の内部管理報告に含まれているため、公庫は当該ポートフォリオを、純
損益を通じて公正価値で測定する選択をした。
全体として、96％の項目が公正価値で測定されている。
また、公庫の投資収益の測定が公正価値に基づき、経営委員会および理事会への関連する開示も公正価値に基づ
くため、公正価値オプションが適用された。
市場価格またはその他の観測可能な市場データを用いない限り、金融商品に関する取引の締結に関連してまたは
締結直後に損失または利益を認識することはできない。
貸付、発行債券およびデリバティブの公正価値測定のための観測不能な市場データの決定と手作業に関連する業
務リスクを軽減するため、公庫は、責任の配分、職務の分掌およびプロセス管理を確実にする内部統制および業務
手続を実施している。全ての重要な手動によるプロセスは、オブジェクティブ・コントロールまたは同僚間の
チェックによりサポートされる。
観測不能な市場データの利用に関する感応度の定量化の詳細については、金融商品の公正価値についての注記
1.4に記載されている。
セグメント情報
公庫の年次報告書では、公庫が有する報告可能な事業セグメントは一つだけであるため、事業セグメント情報を
開示していない。
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中核利益および公正価値調整等
注記1.1 受取利息および
注記1.2 支払利息
受取利息および支払利息は包括利益計算書上において発生主義に基づき計上される。受取利息および支払利息
は、金融商品の利息、リースおよび管理手数料で構成されている。公正価値により測定された金融商品に関する
受取利息および支払利息は純受取利息の項目に計上される。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
受取利息 2018 年 2017 年
償却原価による純金融収支
29 36
リース
公正価値による純金融収支
1,102 1,097
個別の要求に応じ調整される貸付
480 506
債券発行により調達された資金による貸付
114 187
証券ポートフォリオ
1,725 1,826
受取利息合計
支払利息
公正価値による純金融収支
449 483
未払債券利息
835 706
その他のローンおよびデリバティブ
1,284 1,189
支払利息合計
注記1.3 金融商品の価値調整
価値調整は、金融商品の実現済みおよび未実現の価値調整額で構成されている。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
金融商品の価値調整 2018 年 2017 年
-3 -37
保有証券ポートフォリオ
-213 229
自己取引に関する証券ポートフォリオ
710 -110
貸付
149 2,126
発行債券
-416 -2,091
デリバティブ
227 117
金融商品の価値調整合計
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公正価値調整等
注記1.4.1 金融商品の公正価値の詳細
IFRS第13号に従い、公正価値により測定される金融商品は、公正価値が決定される方法および基準とするデー
タによって、公正価値についてのレベル１から３の階層に分類されなければならない。
公正価値は、金融資産または金融負債が独立的な取引相手との間で取引されうる価額である。
公正価値は、以下の階層に基づき決定される。
レベル１：
同一の資産または負債についての活発な市場における相場価格。
レベル２：
類似の資産もしくは負債についての活発な市場における相場価格に基づくか、または観測可能なインプットに
より実質的に基礎付けられるその他の評価手法に基づく、観測可能なインプット。
レベル３：
評価が観測可能なインプットによっては実質的に基礎付けられない、観測不能なインプット。
公正価値は一般に認められているモデルに基づき評価される。公庫は、A) 流動性、信用リスクおよび転換権に
より調整された類似の証券の上場市場での価格、ならびにB) 全ての見積キャッシュフローおよび固定キャッシュ
フローをゼロクーポン・イールド・カーブ、金利の期間構造およびオプション・モデルを用いて割り引く割引
キャッシュフローモデルの双方を用いている。
A) 公庫は、発行債券および貸付の一部につき、流動性、信用リスクおよび転換権により調整された類似の証
券の上場市場での価格を用いており、これを公庫内部では債券サーキットという。債券サーキットはモーゲージ
信用残高の原則に基づいていることで特徴づけられ、公庫が発行した債券を構成する条件が債券発行により調達
された資金による顧客への貸付に直接転嫁され、公庫が決定した貸付マージンが加えられる。
これらの証券は全てナスダック（コペンハーゲン）で発行されているが、債券はその取引頻度および取引量が
不十分であるため非流動的と判断されている。したがって、上場市場での価格は使用できず、その代わりに、流
動性、信用リスクおよび転換権により調整された類似の証券の上場市場での価格が用いられる。顧客への貸付
は、発行債券に対応しており、信用リスクは小さいと判断されているため、発行債券の価格は債券発行により調
達された資金による貸付にも用いられている。よって、価格変動は業績に影響を与えない。
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B) 公庫は、公正価値で評価される発行債券および貸付の残りの部分につき、割引キャッシュフロー法を用い
ている。これらも非流動的と判断されており、発行債券の公正価値の算出には、スワップレート、為替ベースの
スワップ・スプレッドおよび為替レート等の観測可能なインプットが含まれている。公庫の実際の資金調達費用
についての見積りは貸付の評価に含まれる。公庫は、見積もられた当座の資金調達費用に応じて実際の貸付価格
を定期的に調整することにより、貸付マージンを相対的に一定に保つよう努めている。実際の資金調達費用の見
積りに関する感応度は、当座の貸付価格の変動により一部相殺されることになる。これによると、価値調整全体
による正味の影響は最大でプラス/マイナス３億5,000万デンマーク・クローネの範囲内と考えられる。
公庫は、金融商品を利用することにより市場リスクを解消するリスク管理戦略を追求している（注記1.9から
1.11を参照）。この結果、レベル２およびレベル３に基づく公正価値を算出するのに用いられる見積りおよび仮
定の変更による包括利益計算書および持分への影響（正味ベースでみた総額による）は、資金調達費用および貸
付価格の変動を含むにとどまる。
公庫のごく一部の発行債券は、公正価値レベル３に分類されている。当該レベルは、発行済仕組債に用いられ
ており、そのインプットは、公正価値レベル２に適用されるインプットに加えて、通貨、株式およびコモディ
ティのボラティリティならびにそれらの相関といった観測不能なインプットから成る。発行済仕組債はデリバ
ティブによりミクロ・ヘッジされており、よって観測不能なインプットの変動は、発行における変動がデリバ
ティブと逆に作用するため、利益に重要な影響を及ぼすことはない。
2018年におけるレベル間での組替えはなかった。
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（単位：百万デンマーク・クローネ）
レベル１ レベル２ レベル３ 合 計
2018 年
資産
2 0 0 2
信用機関への債権
0 170,312 0 170,312
貸付
42,944 0 0 42,944
証券ポートフォリオ
0 5,309 747 6,056
デリバティブ
42,946 175,621 747 219,314
資産合計
負債
440 276 0 716
信用機関への債務
0 199,617 8,601 208,218
発行債券
0 7,583 1,217 8,800
デリバティブ
440 207,476 9,818 217,734
負債合計
2017 年
資産
3 0 0 3
信用機関への債権
0 167,107 0 167,107
貸付
40,107 2,254 0 42,361
証券ポートフォリオ
0 5,578 905 6,483
デリバティブ
40,110 174,939 905 215,954
資産合計
負債
0 1,640 0 1,640
信用機関への債務
0 188,207 13,938 202,145
発行債券
0 9,344 1,035 10,379
デリバティブ
0 199,191 14,973 214,164
負債合計
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注記1.4.2 レベル３の公正価値の詳細
（単位：百万デンマーク・クローネ）
1 月1日現在の 当期利益に 12 月31日現在
新規 処分
残高 おける認識 の残高
2018 年
資産
0 0 0 0 0
信用機関への債権
0 0 0 0 0
貸付
0 0 0 0 0
証券ポートフォリオ
905 0 63 -95 747
デリバティブ
905 0 63 -95 747
資産合計
負債
0 0 0 0 0
信用機関への債務
13,938 520 5,724 -133 8,601
発行債券
1,035 80 231 333 1,217
デリバティブ
14,973 600 5,955 200 9,818
負債合計
2017 年
資産
0 0 0 0 0
信用機関への債権
0 0 0 0 0
貸付
0 0 0 0 0
証券ポートフォリオ
1,258 0 184 -169 905
デリバティブ
1,258 0 184 -169 905
資産合計
負債
0 0 0 0 0
信用機関への債務
19,770 5,573 10,732 673 13,938
発行債券
1,210 253 197 231 1,035
デリバティブ
20,980 5,826 10,929 904 14,973
負債合計
47/101
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注記1.4.3 信用スプレッドの状況
包括利益計算書および財政状態計算書の公正価値調整（デリバティブのCVA/DVAに等しい。）における信用スプ
レッドの財務上の影響を以下に示す。かかる算出は、債務不履行の可能性およびその結果としての損失により調
整された将来におけるプラスおよびマイナスのエクスポージャーに基づくモデルに従い行われている。かかる算
出は、市場を基準とした債務不履行の可能性に基づき行われている。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
2017 年 変動 2018 年
包括利益計算書
-9 -39 -48
金融商品の価値調整
-9 -39 -48
包括利益計算書への影響総額
財政状態計算書
-39 -3 -42
資産
-30 36 6
負債
-9 -39 -48
財政状態計算書への影響総額
注記1.4.4 相殺
公庫は、マスター・ネッティング契約（ISDAマスター契約）にクロス取引の支払いのネッティングについての
合意が含まれる場合に、外国為替取引およびデリバティブを差金ベースで決済している。差金決済の場合は必然
的に財政状態計算書においてデリバティブの会計上の価額には相殺を含めることになる。相殺総額は32億1,000万
デンマーク・クローネであった。
ISDAマスター契約にクロス取引の支払いのネッティングが含まれない場合、財政状態計算書において会計上の
価額は相殺を含まない。相殺されていないデリバティブの純額は、取引相手ごとに算出される資産および負債の
うち少額である方を上限とする。かかる金額は資産および負債の双方に含まれる。
ISDAマスター契約には、デリバティブに関連する片務的または双務的担保契約が含まれる。これらの契約に基
づく受入担保および差入担保は、高格付の債券のみからなる。担保価額は取引相手ごとに算出され、算出された
純受取額を上限とする。担保契約は、通常取引のためではなく専ら倒産の場合に備えて担保の受入れを認める。
担保価値に対して相殺は適用されない。
公庫は、貸付、リースまたは発行債券に関して、ネッティング契約の締結および担保の差入れまたは受入れを
行っていない。このため、これらの金融商品は下記の表には含まれていない。帳簿価額は財政状態計算書から引
用している。
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財政状態計算書において表示されたデリバティブ
（単位：百万デンマーク・クローネ）
財政状態計算書上 財政状態計算書上
相殺された金額 相殺されていない金額
帳簿価額
相殺額 帳簿価額 金融商品 担保 純額
総額
2018 年
9,266 -3,210 6,056 -1,668 -2,481 1,907
資産
12,010 -3,210 8,800 -1,668 -3,929 3,203
負債
-2,744 -2,744 1,448 -1,296
純額 0 0
2017 年
9,832 -3,349 6,483 -1,356 -3,206 1,921
資産
13,728 -3,349 10,379 -1,356 -6,530 2,493
負債
-3,896 -3,896 3,324 -572
純額 0 0
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注記1.4.5 担保の詳細
（単位：百万デンマーク・クローネ）
差入担保 受入担保
市場価値 市場価値
債券の種類 格付
市場価値 ( 担保掛目 市場価値 ( 担保掛目
考慮後) 考慮後)
2018 年
1,048 1,014 0 0
デンマーク政府債券 AAA
0 0 181 174
デンマーク抵当証券 AAA
0 0 59 58
デンマーク抵当証券 AA+
0 0 0 0
米国財務省証券 AAA
0 0 0 0
ドイツ政府債券 AAA
0 0 1,973 1,884
英国政府債券 AA
3,307 3,179 411 387
フランス政府債券 AA
4,355 4,193 2,624 2,503
合 計
0 -264 0 -22
うちネッティングできない担保
4,355 3,929 2,624 2,481
ネッティング可能担保の合計
2017 年
0 0 0 0
デンマーク政府債券 AAA
0 0 566 546
デンマーク抵当証券 AAA
0 0 147 142
デンマーク抵当証券 AA+
0 0 236 229
米国財務省証券 AAA
4,745 4,565 184 176
ドイツ政府債券 AAA
1,501 1,355 2,115 2,013
英国政府債券 AA
717 691 178 169
フランス政府債券 AA
6,963 6,611 3,426 3,275
合 計
0 -81 0 -69
うちネッティングできない担保
6,963 6,530 3,426 3,206
ネッティング可能担保の合計
要件等の詳細については、注記1.10.3に記載されている。
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注記1.5 貸 付
貸付は、純損益を通じて公正価値で測定される。リースは取得原価で測定されているが、完全を期すために下
記の表に表示する。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
貸付件数 2018 年 2017 年
貸 付
15,550 173,579 168,589
1 月1日現在
5,503 38,261 29,835
新規
2,901 34,386 24,844
処分
18,152 177,454 173,580
貸付合計
2,214 31,423 32,544
債券発行により調達された資金による貸付
4,715 138,889 134,563
個別の要求に応じ調整される貸付
11,223 7,142 6,473
リース
18,152 177,454 173,580
貸付合計
31,423 32,544
債券発行により調達された資金による貸付
-1,961 -2,355
公正価値調整
債券発行により調達された資金による貸付
29,462 30,189
（額面価額）
138,889 134,563
個別の要求に応じ調整される貸付
-4,576 -3,861
公正価値調整
134,313 130,702
個別の要求に応じ調整される貸付（額面価額）
7,142 6,473
リース
2 0
公正価値調整
7,144 6,473
リース（額面価額）
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注記1.6 リースに関する未実現収益
リースは公正価値オプションの対象とならない。公庫はファイナンス・リースの賃手である。ファイナンス・
リースについては、財政状態計算書上において、リースにおける計算利子率により割引された将来の最低リース
支払額に相当する金額が受取債権として認識される。その後の認識において、リースは実効利率法に従い償却原
価で評価される。当初の認識における価値と名目価値との差額は、満期までの期間にわたり償却され、受取利息
の項目の下に「リースにおける利息」として認識される。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
2018 年 2017 年
リース期間別による
ファイナンス・リースへの投資純額
1,025 1,080
1 年 未満
3,516 3,135
1 年 から5年
2,603 2,258
5 年 超
7,144 6,473
リースへの投資純額合計
リース期間別による
ファイナンス・リースへの総投資額
1,049 1,104
1 年 未満
3,591 3,201
1 年 から5年
2,733 2,367
5 年 超
7,373 6,673
リースへの総投資額合計
229 200
未実現収益
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注記1.7 証券ポートフォリオ
証券ポートフォリオは、純損益を通じて公正価値で測定される。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
2018 年 2017 年
証券ポートフォリオ
政府／公的機関 14,507 14,830
579 1,089
多国間の取引相手
27,233 25,736
抵当信用機関
626 706
銀行
42,944 42,361
証券ポートフォリオ合計
4,339 5,576
うち担保として使用される証券ポートフォリオ
38,605 36,785
担保権を設定されていない証券ポートフォリオ
注記1.8 発行債券
発行債券は、純損益を通じて公正価値で測定される。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
12 月31日 現在
1 月1日 処分および 12 月31日
新 規 価値調整
の公正価値
現在 価値調整 現在
2018 年
ナスダック（コペンハー
37,892 8,755 7,737 38,910 2,498 41,408
ゲン）上場債券
- 9,815 9,815 0 0 0
ECP
34,012 - 7,146 26,866 2,205 29,071
私募債
5,960 805 296 6,469 -2,155 4,314
売出債
116,445 40,438 28,471 128,412 1,242 129,654
ベンチマーク債
3,626 242 198 3,670 101 3,771
カンガルー債
197,935 60,055 53,663 204,327 3,891 208,218
発行債券合計
2017 年
ナスダック（コペンハー
39,519 2,558 4,185 37,892 2,723 40,615
ゲン）上場債券
3,677 14,807 18,484 0 0 0
ECP
35,243 11,135 12,366 34,012 2,106 36,118
私募債
7,129 3,229 4,398 5,960 -1,724 4,236
売出債
107,969 38,623 30,147 116,445 1,132 117,577
ベンチマーク債
2,788 1,027 189 3,626 -27 3,599
カンガルー債
196,325 71,379 69,769 197,935 4,210 202,145
発行債券合計
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財務リスク管理
概 要
デンマークの資本市場と自治体の間を財務面において結び付けるその機能により、公庫は財務リスクにさらさ
れている。慎重なリスク管理を通じて公庫のリスク・プロファイルが理事会の低いリスク選好に確実に合致する
ようにされている。リスク選好が低いことにより、公庫はその使命を達成するのに不可欠な財務リスクのみを受
け入れる。公庫は複数の委員会を設置しており、市場リスクおよび信用リスクといった関連のリスク・エクス
ポージャーについて検討するために定期的に会合を開いている。
公庫は、財務リスクを下記の種類に分類している。
・ 市場リスクは、市場要素の変動が金融商品の市場価値に影響を与えるリスクを指す。市場リスクは、通貨
リスク、金利リスク、ボラティリティ・リスクおよびその他の価格リスクで構成される。
・ 信用リスクは、信用損失が生じるリスクを指す。信用損失は、取引相手による公庫への債務不履行および
取引相手の全般的な債務を履行する能力に対する市場予想の変化と定義される。
・ 流動性リスクは、公庫がある時点において、その債務および貸出コミットメントをカバーするための十分
な流動資金を保有せずまた調達できないリスクを指す。
注記1.9 市場リスク
公庫は、デリバティブの利用により市場リスクを抑えている。市場リスクが抑えられることにより、市場要素
の変動による損失のリスクが緩和される。
公庫は市場リスクを以下の種類に分類している。
・ 通貨リスクは、為替相場の変動が金融商品の市場価値に影響を与えるリスクを指す。
・ 金利リスクは、金利の変動が金融商品の市場価値に影響を与えるリスクを指す。
・ ボラティリティ・リスクは、金利、通貨、株式指標、商品価格または類似の要素のボラティリティの変化
が金融商品の市場価値に影響を与えるリスクを指す。
・ その他の価格リスクは、金利、通貨およびボラティリティの変化に起因するもの以外の市場要素の変動が
金融商品の市場価値に影響を与えるリスクを指す。これには、例えば商品指標、株価指標等のエクスポー
ジャーおよび公庫の自己資金調達スプレッドのエクスポージャーが挙げられる。
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注記1.9.1 通貨リスク
方針および手続き
公庫の使命を遂行するためにほとんどの場合で通貨リスクを受け入れる必要がないため、公庫の通貨リスクに
対するリスク選好は非常に低く設定されている。
通貨リスクは、外貨建ての資金調達をデリバティブを用いてヘッジするか、または総流動性資金を資金調達通
貨と同じ通貨で投資することにより管理される。このような方法で、公庫はその通貨ポジションを最小化してい
る。ユーロや米ドルなどの主要な資金調達通貨において、公庫は未実現の損益という形で少々の通貨リスクを
負っている。
上記のガイドラインに従い、将来の支払いの現在価値として算出されるユーロのポジション純額は10億デン
マーク・クローネを超過してはならず、他の全ての通貨を合わせたポジション純額は１億デンマーク・クローネ
を超過してはならない。
測 定
通貨ポジションは、債権および負債ならびにデリバティブについて個別に表示され、この場合、ポジション
は、同じディスカウント・カーブに基づく市場価値を用いて算出される。この分類により、どのようにデリバ
ティブが債権および負債から生じる通貨ポジションをヘッジするために利用されているかが示される。
2018年末現在の公庫の通貨ポジションは、ユーロがマイナス１億6,500万デンマーク・クローネおよび米ドルが
マイナス2,400万デンマーク・クローネであり、その他の全ての通貨エクスポージャーはほとんどゼロに近かっ
た。これは、公庫の通貨リスクに対するリスク選好が低いことを反映しており、また上述のように、通貨ポジ
ションは専らユーロや米ドルなどの主要な資金調達通貨における将来的な未実現損益に関するエクスポージャー
で構成されている。
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（単位：百万デンマーク・クローネ）
通貨
通貨リスク（市場価値） 資 産 負 債 デリバティブ
ポジション
2018 年
133 7,346 7,212 -1
オーストラリア・ドル AUD
0 1,216 1,216 0
ブラジル・レアル BRL
484 7,721 7,237 0
スイス・フラン CHF
10,395 80,493 69,933 -165
ユーロ EUR
2,970 2,874 1
英ポンド GBP 97
3,538 3,538 0
日本円 JPY 0
985 985 0
メキシコ・ペソ MXN 0
5,675 5,675 0
ノルウェー・クローネ NOK 0
1,717 3,153 1,437 1
スウェーデン・クローネ SEK
2,392 53,553 51,137 -24
米ドル USD
310 1,834 1,524 0
その他の通貨（注）
15,528 168,484 152,768 -188
合 計
（注） その他の通貨は、カナダ・ドル、香港ドル、インド・ルピー、ニュージーランド・ドル、 トルコ・リ
ラ、南アフリカ・ランドにより構成される
2017 年
138 7,409 7,271 0
オーストラリア・ドル AUD
602 9,529 8,928 1
スイス・フラン CHF
10,886 55,096 44,166 -44
ユーロ EUR
4,680 4,680 0
英ポンド GBP 0
498 498 0
香港ドル HKD 0
4,860 4,860 0
日本円 JPY 0
5,823 5,823 0
ノルウェー・クローネ NOK 0
1,827 3,218 1,391 0
スウェーデン・クローネ SEK
5,604 67,552 61,894 -54
米ドル USD
470 4,650 4,180 0
その他の通貨（注）
19,527 163,315 143,691 -97
合 計
（注） その他の通貨は、ブラジル・レアル、カナダ・ドル、ハンガリー・フォリント、メキシコ・ペソ、ニュージーラ
ンド・ドル、ルーマニア・レイ、トルコ・リラ、南アフリカ・ランドにより構成される。
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注記1.9.2 金利リスク
方針および手続き
公庫の金利リスクに対するリスク選好は限られたものとなっているが、公庫の使命を遂行するためにいくらか
の金利リスクを受け入れる必要があるとみなされている。
公庫は、主として総流動性資金が債券に投資される場合に金利リスクを受け入れる。金利リスクは、変動金利
による貸付と資金調達の金利決定日が異なる場合に、未実現の利益および損失について比較的少ない程度をもっ
て受け入れられる。
金利リスクは、デリバティブを用いて、一定規模の固定金利の貸付、資金調達および投資を個別にヘッジする
ことで管理される。残りの金利リスクもまた、デリバティブを用いてポートフォリオ・レベルでヘッジを行うこ
とにより管理される。
ガイドラインに従い、金利リスクは、持分の4.5％（３億4,800万デンマーク・クローネに相当）を超えてはな
らない。金利リスクは、利回り曲線の１パーセンテージ・ポイントの変動に連動する変動として算出される。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
2018 年 2017 年
金利リスク合計 164 127
7,731 7,333
限度の算定に用いられる持分
348 330
持分の4.5％に相当する金利リスク限度
47 38
限度に対するリスクの比率
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注記1.9.3 ボラティリティ・リスク
方針および手続き
公庫の使命を遂行するためにボラティリティ・リスクを受け入れる必要がないため、公庫のボラティリティ・
リスクに対するリスク選好は非常に低く設定されている。
公庫は、非常に限られた範囲内で金利変動リスクの形でボラティリティ・リスクを負担する可能性がある。金
利変動リスクは、公庫がコーラブル債またはキャップ／フロアーを有する債券に投資した時に発生する。
理事会のガイドラインに従い、金利変動リスクは持分の0.2％（1,600万デンマーク・クローネに相当）を超え
てはならない。金利変動リスクは、１パーセンテージ・ポイントの金利の変動に対して算出される。2018年末現
在において金利変動リスクは存在していなかった。
注記1.9.4 その他の価格リスク
方針および手続き
公庫は、自己資金調達スプレッドの変動に関するリスクにさらされている。貸付マージンを相対的に一定に保
つことにより、公庫の自己資金調達スプレッドの変動は貸付価格に転嫁される。拘束力のある貸出コミットメン
トよりも資金調達の額が大きく満期までの期間が長い場合、資金調達スプレッドの変動の影響の一部については
貸付価格に転嫁されない。自己資金調達スプレッドにかかるリスクは、公庫のビジネスモデルの一部であるた
め、公庫の使命を遂行するために必要であるが、当該リスクを低く保つよう努めている。
公庫の自己資金調達スプレッドに関するリスクは、継続ベースで測定および報告される。
自己資金調達スプレッドの変動リスク以外のその他の価格リスクに対する公庫のリスク選好は非常に低く設定
されている。
公庫の自己資金調達スプレッドの変動リスク以外のその他の価格リスクは、公庫が商品指数などに関連した債
券を発行するときに発生する可能性がある。理事会のガイドラインに従い、その他の価格リスクは、発行日にお
いてヘッジされなければならない。
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注記1.10 信用リスク
方針および手続き
公庫は、流動性資金の債券への投資に関連して、および市場リスクを低減するデリバティブの締結を行う際
に、信用リスクにさらされる。さらに信用リスクは、デンマークの地方自治体部門および州部門に対する貸付お
よびリースに付随して生じる。
貸付およびリースは、デンマークの自治体に対して、またはそれらの自治体から全額保証がある場合のみに行
われる。本項では、かかる貸付およびリースの受け手を顧客と称する。顧客向けのデリバティブは、貸付および
リースと同じ方法でヘッジされる。顧客ではない投資の取引相手およびデリバティブに関する取引相手方は、取
引相手方と称する。
顧客の信用の質の特殊性により、公庫は、顧客向けの貸付、リース契約およびデリバティブに関連する信用リ
スクは極めて限定的であると評価している。しかしながら、IFRS第９号に従い、信用リスクおよびリースは、償
却原価で算定し認識しなければならない。リースに係る信用リスクは、200万デンマーク・クローネと算定され
た。公庫は信用供与審査委員会を有しており、その責務は３億デンマーク・クローネ超のローンその他標準的な
取引とは異なるローンの承認等である。経営委員会は、債務免除要請等の信用事象について常に報告を受ける必
要がある。公庫は、これまでローンを償却したことはない。
顧客向けの貸付、リースおよびデリバティブの信用リスク
（単位：百万デンマーク・クローネ）
帳簿価額 信用リスク
2018 年
105,390 2
デンマークの地方自治体および州
73,442 0
デンマークの地方自治体および州から保証を受けている機関
178,832 2
合計
2017 年
106,163 0
デンマークの地方自治体および州
68,849 0
デンマークの地方自治体および州から保証を受けている機関
175,012 0
合計
信用リスクを低減するために、公庫は双務的担保契約がすでに締結されている取引相手との間でのみ金融商品
について契約することができる。担保の差入れに関するガイドラインに従い、上記の契約は以下の要件を最低限
満たしていなければならない。
・ 日々の担保の交換および閾値についての低水準の設定。
・ 契約に基づく受入担保は高格付で流動性の高い債券でなければならない。
取引相手の信用リスクをさらに低減するために、信用リスクに関するガイドラインには、取引相手の種類およ
び信用格付機関による取引相手の格付の双方に係る信用の質についての厳格な要件が含まれる。この結果、金融
商品は以下の種類の取引相手とのみ締結できる。
・ 中央政府、州および地方自治体ならびにその他の公的機関
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・ 多国間開発銀行および国際機関
・ 銀行、その他の金融機関およびカバード・ボンドの発行体
取引相手は、OECDのカントリーリスク分類において最小のリスク分類を付与された国、またはかかる目的にお
いては監査または分類されていないが、高所得のOECD加盟国として監査される国かもしくはユーロ圏諸国の居住
者でなければならない。
さらに、取引相手は、スタンダード・アンド・プアーズもしくはフィッチ・レーティングスよりAA-以上の格付
またはムーディーズ・インベスターズ・サービシズから同等の格付を取得していなければならない。担保契約が
取引相手とすでに締結済みである場合は、格付はA-までが最低限として認められる。最終的に、これより格付が
低いデンマークのシステム上重要な銀行との契約は許可される。
理事会のガイドラインに従い、上記の要件を満たした取引相手は、信用リスク枠を経営委員会より与えられ
る。
金融商品に関する信用リスク枠の日々の利用は、いわゆる内部格付手法（IRB）適用銀行が、信用機関および投
資会社に対する健全性要件に関するEUの規則に従い信用リスクから生じる非期待損失に備えて資本を確保するた
め用いるのと同様の方法に従って算出されている。信用リスクから生じる期待損失は、継続的に包括利益計算書
において認識される。
公庫は、信用機関および投資会社に対する健全性要件についてのEUの規則における大口エクスポージャー規制
に基づき、信用集中リスク限度を設定している。同規則に従い、単一の顧客または関連ある顧客グループに関す
るエクスポージャー（完全に担保でカバーされているエクスポージャーを控除後）は、自己資本（公庫において
は持分に相当する。）の25％を超えることはできない。経営委員会はまた、予期しない信用損失の全体価値に対
して単一の取引相手または関連ある取引相手グループが寄与しうる価値の大きさを制限することにより、信用集
中リスク限度を設定している。格付、取引相手の種類、商品の種類および地理的エリア別の信用集中リスクは、
注記1.10.2に記載されている。
経営委員会ならびに貸付・リース、トレジャリーおよびファイナンス・リスクの各部門からの参加者が、現状
のリスクを評価するために各委員会で定期的に会合する。
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注記1.10.1 信用リスク格付の測定
測 定
信用リスクは２つの主要な要素に分類できる。一つ目の要素は、信用機関への債権および証券に関する信用リ
スクで、投資に関する信用リスクと総称される。もう一つの要素は、デリバティブおよび関連する担保に関する
信用リスクで、デリバティブに関する信用リスクと総称される。
デリバティブに関する信用リスクは公庫のビジネスモデルに従い担保契約により制限されているため、信用リ
スクにおけるエクスポージャー総額の大部分が総流動性資金を財源とする投資に関連するものとなっている。
信用リスクに関するエクスポージャーの額は、2017年の430億デンマーク・クローネから2018年には440億デン
マーク・クローネとなり、８億デンマーク・クローネ増加した。投資に関する信用リスクは６億デンマーク・ク
ローネ増加し、デリバティブに関する信用リスクは２億デンマーク・クローネ増加した。
投資に係る信用の質は、エクスポージャーの99％が格付がAA-以上の証券への投資であることからみて依然とし
て非常に高い。投資ポートフォリオの大部分は、デンマーク抵当証券、フランス政府債券、ならびにその他の高
格付の機関および多国間開発銀行で構成される。
デリバティブに関するエクスポージャー全体が増加したのは、デリバティブに関する信用リスクにおけるエク
スポージャーが担保によりヘッジされる額の減少による。担保考慮前のデリバティブに関する信用リスクのエク
スポージャーは５億デンマーク・クローネ減少したが、担保掛目考慮後の担保は７億デンマーク・クローネ減少
した。2018年末現在、デリバティブのポートフォリオの市場価値の77％が受入担保によりカバーされていた。
格付は、ムーディーズ・インベスターズ・サービシズ、スタンダード・アンド・プアーズおよび／または
フィッチ・レーティングスの格付による。取引相手が２つの格付機関より格付を取得している場合は、低い方の
格付を適用する。取引相手が３つの信用格付機関から格付を取得している場合には、３つの信用格付のうちの真
ん中に位置する格付を使用する。証券への投資の場合は証券の格付が使用され、保証が付された全ての金融商品
の格付は保証人の格付が使用される。
取引相手側のデリバティブの公正価値を超過して受け入れられた担保は、信用リスクを減少させる担保には含
められない。公庫に対する債務について担保を提供した取引相手については、担保は取引相手の格付に基づき分
類される。そのためこれらの分類は担保の格付を反映していない。信用リスクを減少させる担保の要素は、注記
1.4.5における「ネッティング可能担保」の価値と等しくなる。
取引相手レベルでは公正価値による信用リスクがマイナスになりえないため、これに関する調整が「取引相手
のマイナスの公正価値に対する修正」において行われている。
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（単位：百万デンマーク・クローネ）
投資に関する信用リスク デリバティブに関する信用リスク 合計
取引相手
デリバティブ
のマイナ 担保（担
信用機関
格 付 証券 合計 スの公正 保掛目 合計 純額
への債権
価値に対 考慮後）
プラス マイナス
する修正
2018 年
0 32,799 32,799 0 0 0 0 0 32,799
AAA
0 1,276 1,276 0 0 0 0 0 1,276
AA+
0 8,302 8,302 179 -20 0 0 159 8,461
AA
1 567 568 2,580 -3,978 1,929 -219 312 880
AA-
0 0 0 723 -2,069 1,477 -87 44 44
A+
1 0 1 2,064 -3,503 2,216 -535 242 243
A
0 0 0 143 -1,040 897 0 0 0
A-
0 0 0 2,150 -1,431 922 -1,640 1 1
BBB+
2 42,944 42,946 7,839 -12,041 7,441 -2,481 758 43,704
合計
2017 年
0 35,056 35,056 0 0 0 0 0 35,056
AAA
0 3,396 3,396 0 0 0 0 0 3,396
AA+
0 2,883 2,883 178 -34 0 0 144 3,027
AA
1 1,026 1,027 2,311 -4,506 2,559 -147 217 1,244
AA-
1 0 1 633 -2,643 2,197 -151 36 37
A+
1 0 1 2,715 -3,906 2,312 -968 153 154
A
0 0 0 0 -512 512 0 0 0
A-
0 0 0 2,563 -2,118 1,518 -1,940 23 23
BBB+
3 42,361 42,364 8,400 -13,719 9,098 -3,206 573 42,937
合計
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注記1.10.2 信用の質
公庫は、取引相手が債務を返済しないことにより損失を蒙ったことはない。当年末現在、公庫は延滞債権を抱
えていない。
信用リスク総額のうち74％が最高位の格付を受けている取引相手に関連するもので、25％がAA+からAA-までの
信用格付を受けており、１％未満がそれよりも低い信用格付を受けている。このように、公庫の取引相手の信用
の質は非常に高い。
2018年末現在において、投資は2017年と比べて、デンマークの抵当信用機関により発行された債券がより大き
な比率を占めた。2018年においては、フランス政府債券を購入したことにより、AAの格付を受けた債券の比率が
上昇した。
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注記1.10.3 受入担保
全ての公庫の担保契約はISDAマスター契約に対するアネックス（クレディット・サポート・アネックス（担保
契約））として締結されている。信用リスクを確実に最小化するように、低水準の閾値ならびに日次ベースでの
担保の評価および交換に関する合意がなされている。
担保が差し入れられる際に、金融商品の種類、格付および満期までの期間に応じてその担保に関する担保掛目
（控除比率）が算出される。この担保掛目は、担保が実行された場合に市場価値の変動に対して当事者を保護す
るバッファー（緩衝材）となる。
2018年において、額面総額1,110億デンマーク・クローネの2,670件の担保の移転が行われた。上記が活発に行
われたのは、低水準の閾値および日々の交換が定められていたことによるもので、これにより信用リスクの可能
な限り多くの部分に対して定期的に担保の差入れが行われることが確保される。
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また、信用リスクをさらに低減するために、担保契約には、差入れが行われる担保の質についての厳格な要件
が含まれる。担保契約に基づき、担保は高格付の抵当証券または高格付の国が発行した政府債券でなければなら
ない。注記1.4.5に記載の通り、2018年末現在において、受入担保の91％が英国またはフランスの政府債券であっ
た。残りの９％は最高位もしくは２番目に高い格付を受けたデンマークの抵当債券であった。このように、全て
の受入担保は高い質を有する流動性の高い債券である。また、担保は権限の移転として受け入れられる。
受入担保のわずかな部分は、取引相手のデリバティブの正味価値を超過している。したがって、かかる部分は
信用リスクを減少させる担保には含まれない。
注記1.11 流動性リスク
方針および手続き
公庫の流動性リスクに対するリスク選考は非常に低く設定されているものの、かかるリスクを回避することは
できない。経営委員会は、財務委員会の会合を定期的に開き、流動性リスクについて討議している。
流動性リスクの緩和に向けた一般原則は、資金調達と貸付のコミットメント期間の満期を一致させることに基
づく。流動性に対する制限により、拘束力のある貸出コミットメントは、少なくとも対応する満期を有するこれ
に対応する拘束力のある資金調達コミットメントが実行されない限り締結できない。持分のうち法定要件である
負債の1.0％相当を超える部分は、資金調達目的に利用することができる。
流動性に関するガイドラインに従い、30日間のストレス・シナリオにおいて質が高くかつ非拘束性である流動
資産（HQLA）の保有総額が流動性の累積流出額を超過していなくてはならない。これは、常に100％を上回る流動
性カバレッジ比率（LCR）を維持することにより達成される。さらに、ストレス・シナリオにおいて安定的な中長
期（すなわち１年超）の資金調達は流動性要件を上回っていないければならない。これは、常に100％を上回る安
定調達比率（NSFR）により達成される。LCRおよびNSFRは、CRR/CRD Ⅳによる流動性カバレッジ比率および安定調
達比率に基づく。2018年末現在、LCRは127％であり、NSFRは164％であった。
新たな資金調達への考えうる最善のアクセスを確保するため、上記のガイドラインは源泉、通貨、および満期
（資金調達の満期の多様化の要件を含む。）に関する資金調達の多様化の要件を定めている。
流動性資金における債券の流動性を確保するために、当該債券の大部分がHQLA債券であり、デンマーク国立銀
行または欧州中央銀行のいずれかにおいて適格担保に分類されている必要がある。2018年末現在で全債券の98％
がHQLAに分類されており、93％がデンマーク国立銀行または欧州中央銀行のいずれかにおいて適格担保に分類さ
れていた。
継続事業のためのストレス・シナリオによる営業可能期間についての最低180日の要件が適用される。2018年末
現在、営業可能期間は317日であった。このストレス・シナリオは、資金調達市場の利用の機会がなく、公庫が新
規の貸付を継続しており、投資およびデリバティブのための担保に関して市場が公庫にとって不利な状況となっ
ているとの仮定に基づいている。再交渉の対象となる貸付のうち、拘束力ある流動性コミットメントが貸付の満
期までの期間よりも短いものは、シナリオ上では期限がないものとみなされる。
この営業可能期間は、短期流動性および日次流動性のための追加的なストレス・シナリオにより補完されてお
り、公庫は流動性が逼迫した場合に活用できる流動性資金についての緊急対応プランを有している。
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注記1.11.1 満期の分布
満期の分布は、満期までの期間別に、または拘束力ある流動性コミットメントの期間が満期までの期間より短
い場合には当該拘束力のある流動性コミットメント期間別に、額面価額に基づき算出されている。貸付の確約
（コミットメント）は、個々の満期スプレッドに応じて分布されるように、記載が前年から変更されているが、
これは合計額に影響を与えておらず、単なる表示の変更である。それに応じて、2017年の比較数値は変更されて
いる。
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（単位：百万デンマーク・クローネ）
3 か月超 1 年 超
3 か月以内 5 年 超 合 計
1 年 以内 5 年 以内
2018 年
金融資産
2 0 0 0 2
信用機関への債権
2,012 5,440 35,088 0 42,540
証券ポートフォリオ
62,769 26,808 34,322 39,876 163,775
貸付
119 906 3,516 2,603 7,144
リース
認識された金融資産の合計 64,902 33,154 72,926 42,479 213,461
資金提供の確約（コミット
- - - - -
メント）
64,902 33,154 72,926 42,479 213,461
金融資産合計
金融負債
436 113 163 0 712
信用機関への債務
9,211 10,390 111,339 73,385 204,325
発行債券
520 -440 343 -816 -393
デリバティブ
10,167 10,063 111,845 72,569 204,644
認識された金融負債の合計
貸付の確約（コミットメン
1,044 2,753 5,826 9,623
ト）
11,211 12,816 117,671 72,569 214,267
金融負債合計
2017 年
金融資産
3 0 0 0 3
信用機関への債権
2,808 2,556 36,176 0 41,540
証券ポートフォリオ
64,390 25,172 33,369 37,959 160,890
貸付
125 955 3,135 2,258 6,473
リース
67,326 28,683 72,680 40,217 208,906
認識された金融資産の合計
資金提供の確約（コミット
0 0
メント）
67,326 28,683 72,680 40,217 208,906
金融資産合計
金融負債
1,251 113 275 0 1,639
信用機関への債務
22,671 20,534 86,977 67,753 197,935
発行債券
-228 626 1,321 -548 1,171
デリバティブ
認識された金融負債の合計 23,694 21,273 88,573 67,205 200,745
貸付の確約（コミットメン
1,368 3,370 7,535 12,273
ト）
25,062 24,643 96,108 67,205 213,018
金融負債合計
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注記1.11.2 流動性資金
経済内務省は、前四半期末における貸付総額の25％を限度として事前調達に基づき流動性資金を積み立てるこ
とを公庫に対して認めている。2018年末において、かかる上限は442億デンマーク・クローネであったが、公庫の
流動性資金は342億デンマーク・クローネであった。限度に対する流動性資金の割合は2018年を通じて変動した
が、月末で見た場合の流動性資金の最高割合は23％であった。
流動性資金は、帳簿価額で認識された信用機関への債務、発行債券およびデリバティブから貸付総額および
リース債権を控除して算出される。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
流動性資金 2018 年 2017 年
信用機関への債務、発行債券およびデリバティブ
716 1,640
信用機関への債務
208,218 202,145
発行債券
8,800 10,379
デリバティブ
-6,056 -6,483
デリバティブ
211,678 207,681
信用機関への債務、発行債券およびデリバティブ総額
貸付およびリース
170,312 167,107
貸付
7,142 6,473
リース
177,454 173,580
貸付総額
34,224 34,101
流動性資金
流動性資金は前四半期末の貸付総額の25％を超過してはならない。
34,224 34,101
流動性資金
176,788 172,725
９月30日現在の貸付総額
19 20
流動性資金の割合（％）
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管 理 費 用
注記2.1 管理費用
管理費用は、人件費およびその他の管理費用、年金債務調整ならびに無形資産および有形固定資産の償却／減
価償却および減損で構成される。数理上の調整および変更は、包括利益計算書の「管理費用」ではなく「保険数
理上の損益」に認識されている。
無形資産および有形固定資産は、取得原価から償却／減価償却および減損費用の累計額を控除して測定され
る。
取得原価は、買入価格および資産が利用可能になる日までに取得を直接の原因として発生した費用で構成され
る。無形資産または有形固定資産項目の個々の構成要素が異なる耐用年数を有する場合、これらは独立した項目
として計上され、個別に償却／減価償却される。
ソフトウェアに関する開発コストは、公庫の開発活動のためのコンサルタント料およびその他の費用で構成さ
れる。適用ある会計要件を満たした開発プロジェクトは無形資産として認識される。無形資産および有形固定資
産についての償却／減価償却は、下記の通り、それぞれ資産または構成要素の見積耐用年数にわたり定額法で行
われる。
無形資産（ソフトウェア等） ３年
不動産価値（残存価額は除く。） 75年
業務用設備（IT設備を含む） ３-５年
車両 ３-４年
賃借物件改良 ５年
土地は減価償却されない。
帳簿価額は、毎年、減損の兆候の有無を判断するためにテストされる。ある資産の減損可能性を示す兆候があ
る場合、資産の回収可能額が定められる。回収可能額は、資産の公正価値から売却のための見積費用を控除した
ものおよび使用価値のいずれか高い方となる。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
管理費用 2018 年 2017 年
56 50
給与および報酬等
8 12
年金拠出金等
6 6
その他の人件費
14 19
コンサルタント料
15 10
IT ライセンス
▶ 7
料金・手数料
16 7
不動産管理
3 3
無形資産および有形固定資産の償却／減価償却および減損
5 9
その他の管理費用
127 123
管理費用合計
70 70
期中平均従業員数
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費用の増加は、主にコルトーウェズに所在する公庫の不動産の改修によるものであった。この結果、不動産管
理の項目は700万デンマーク・クローネから1,600万デンマーク・クローネへと増加した。
（単位：千デンマーク・クローネ）
定款に従って選任された監査人への報酬 2018 年 2017 年
財務書類の法定監査 395 395
28 28
その他の保証業務
178 266
その他のサービス
601 689
監査報酬合計
デロイト公認会計士パートナーシップが提供したその他のサービスに対する報酬は、EMTNプログラム等の年次
の更新についての各種書類およびコンフォート・レターで構成される。
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注記2.2 理事会および経営委員会への報酬
理事会構成員への報酬は、固定額ならびに監査委員会構成員の地位に対する報酬で構成されている。
（単位：千デンマーク・クローネ）
2018 年 2017 年
理事会報酬
181 120
ラース・クラーロプ（理事長、副理事長（2018年6月1日まで））
70 -
トマス・ルゲ・ピーダスン（副理事長（2018年6月1日から））
32 72
ソフィーイ・ヘーストロプ・アナスン（2018年6月1日まで）
32 72
アンカー・ボーエ（2018年6月1日まで）
42 -
マーティン・ギアトスン（2018年6月1日から）
74
72
カイ・Ｖ.ホルム
74
72
ミケール・クリトゴー
42
-
イーレク・ラウリトスン（2018年6月1日から）
42
-
ライラ・リンデン（2018年6月1日から）
139
218
イーレク・ニルスン（理事長（2018年6月1日まで））
32
72
アネ・Ｖ.ポーセ（2018年6月1日まで）
74
72
ハンス・トフト
32
72
ヘンレク・スィミノ（2018年6月1日まで）
866 842
理事会報酬合計
（単位：千デンマーク・クローネ）
契約による
年金 合計
報酬
経営委員会報酬
2018 年
2,368 253 2,621
イェンス・ロンエーヤ（最高経営責任者）
ヘンレク・アナスン
1,829 199 2,028
（マネジング・ディレクター（2018年1月1日から））
4,649
経営委員会報酬合計
2017 年
2,324 248 2,572
イェンス・ロンエーヤ（最高経営責任者）
ジョニー・ムンク
1,481 1,481
-
（マネジング・ディレクター（2017年12月31日退職））
4,053
経営委員会報酬合計
経営委員会は公庫の賞与制度の対象になっていない。
2017年のジョニー・ムンクに対する年金は確定給付年金制度に基づくものであるため、注記2.3「年金債務」に
記載されている。
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注記2.3 年金債務
公庫は、従業員の大部分と年金制度について契約を締結している。確定拠出年金制度に関する債務は、それら
が生じた期間において損益計算書上で認識され、支払債務は財政状態計算書のその他の負債の項目において認識
される。
公庫は、確定給付年金制度を数名の元従業員と締結している。確定給付年金制度については、年間の数理計算
は同制度に基づき支払われる将来の給付の現在価値（純額）で行われる。現在価値（純額）は、とりわけ給与、
金利、インフレおよび死亡率などの将来的な変動についての仮定に基づき算出される。現在価値（純額）は、公
庫における雇用を通じて従業員が取得した給付についてのみ算出される。
数理計算上の年金の現在価値（純額）は、財政状態計算書の年金債務の項目において認識される。算出はデン
マーク金融監督庁の死亡率および寿命の改善の基準に基づき行われている。計算基礎率の変更により生じた算出
済の現在価値（純額）の調整はその他の包括利益において認識される。2018年、利息計算率はボラティリティ調
整を行うことなく、欧州保険年金監督機構による無リスク割引率のイールドカーブに合わせて変更された。当該
イールドカーブは、デンマーク金融監督庁が金融機関に対して保険債務の測定に関して使用するよう要請してお
り、また自治体の公務員の予算の合意に使用される。この結果、引当金が約1,700万デンマーク・クローネの大幅
な増加となり、包括利益計算書の「保険数理上の損益」に認識されている。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
年金債務 2018 年 2017 年
1 月1日現在 の残高 61 57
26 6
新規
-7 -2
処分
80 61
年金債務合計
0 16
経営委員会に対する年金
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租 税
注記3.1 当期利益課税額
公庫は、時価評価主義に基づき金融商品に対する税を算出する。法人税の現行税率は22％である。
繰延税金は、資産および負債の帳簿価額と課税基準額の全ての一時的差異に基づき測定される。これに基づ
き、平均税率は22％で算出される。
当期利益課税額は、当期法人税、当期繰延税額の変動額、その他の包括利益に対する予定納税額および過年度
に関する調整で構成される。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
2018 年 2017 年
当期利益課税額 82 118
32 20
当期繰延税額
5 0
その他の包括利益に対する税額
119 138
当期利益課税額合計
当期利益課税額の内訳：
114 138
税引前当期利益に基づいて計算された税額
5 0
その他の包括利益に対する税額
119 138
当期利益課税額合計
22 22
実効税率
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注記3.2 当期税金資産
当期税金資産および税金負債は、当期法人税、過年度の未還付税額または未払税額ならびに当期支払法人税の
合計として財政状態計算書において認識される。
スイスの課税当局は、満期が到来した債券投資の源泉徴収税を公庫に対して還付する義務を負っている。当
初、スイスの課税当局は源泉徴収税の還付を拒否していたが、公庫はこれは不当であると考えており、当該源泉
徴収税は還付されるものと予想している。これに基づき、合計3,300万デンマーク・クローネの未還付税金の評価
減はなされていない。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
2018 年 2017 年
-58 39
1 月1日現在 の残高
-82 -118
当期法人税
0 0
過年度に関する調整
110 21
当期支払法人税
-30 -58
当期税金資産/負債合計
注記3.3 繰延税金負債
繰延税金資産および繰延税金負債は、資産および負債の帳簿価額と税務上の価額との間の全ての一時差異に関
して測定される。繰延税金資産および繰延税金負債は、貸借対照表日現在に有効である法令を考慮して繰延税金
が当期法人税として実現すると予測される時点で適用される課税規則に基づき評価される。税率の変更による繰
延税金の調整は包括利益計算書において認識される。
（単位：百万デンマーク・クローネ）
2018 年 2017 年
393 357
1 月1日現在 の残高
0 16
過年度に関する調整
32 20
当期繰延税額
425 393
繰延税金負債合計
繰延税金負債の内訳：
8 8
有形固定資産および無形資産
435 399
リースに基づく保有資産
-18 -14
年金債務
425 393
繰延税金負債合計
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その他の注記
注記4.1 偶発資産および債務
2014年において、デンマークの税関・税務局は、公庫を監査の対象として選定し、公庫に対して追加の給与税
を支払うよう命じた。公庫は、この決定についてデンマーク国税不服審判所に不服を申立て、本件は同審判所に
おいて係属中である。公庫がほぼ確実に勝訴すると公庫は考えているため、その費用または引当金は財務書類に
おいて認識されていない。
注記4.2 関連当事者
公庫は、公庫を支配する関連当事者を有しない。重要な影響力を持つ公庫の関連当事者とは、公庫の理事会お
よび経営委員会の構成員ならびにその近親者を指す。
理事会および経営委員会
経営陣の報酬については、注記2.2に記載されている。信認義務を負う役職については、英文年次報告書の
「Corporate governance」の項に記載されている。上記以外に、当年中に理事会または経営委員会の構成員との
取引は行われなかった。
注記4.3 貸借対照表日後の事象
公庫の業績に重大な影響を与えた貸借対照表日後に生じた事象はない。
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注記5
IFRS 第９号 減損
公庫は、財政状態計算書の大部分について公正価値オプションを採用しており、結果的にIFRS第９号はリース
の測定にのみ影響する。
公庫は、地方自治体、州および自治体による全額保証を受けた公営企業に対してのみ貸付およびリースを提供
している。デンマークの地方自治体および州は、経済内務省による厳格な監督を受ける。
裁判所命令により、デンマークの自治体は、再編手続きの申立てを行えないと判断されている。経済内務省
は、地方自治体および州が適切な流動性レベルの維持を確保するための管理規則（行政命令）を制定している。
これらの規則の遵守は同省により管理され、強制される。いわゆる「貸越ルール（overdraft rule）」に従い、
流動性は12か月平均として算出され、最低限プラスにならなければならない。
これは、全てのデンマークの地方自治体および州が高い信用力を有し、デフォルト確率（PD）が低いことを意
味する。そのため、全ての自治体のPDレベルが最低のカテゴリーに分類されている。信用力の高さは適用される
PDの値に反映されており、現在値を決定するためにデンマーク王国のクレジット・デフォルト・スワップ（CDS）
価格が代替的に用いられる。
デンマーク王国のCDS価格は観測可能な市場データに基づき決定され、価値の減損の算出にはCDS価格の決定の
際に使用されたものと同じLGD（デフォルト時損失率）の値が用いられる。
公庫の歴史を通じ、地方自治体および州への貸付においていかなる減損損失または損失も発生したことはな
く、そのため、全てのリースはステージ１に分類されている。2018年上半期において、ステージ間におけるいか
なる組替えも生じなかった。
ステージ２への組替えは、金融資産の満期までの予想期間においてPDが100％上昇および12か月間にPDが0.5
パーセンテージ・ポイント上昇した場合に行われる。デフォルトの場合はステージ３に組替えられる。
2018年12月31日現在における減損について以下の表に示す。同12月31日において全てのリース契約がステージ
１に分類されていた。
償却原価で測定した資産の減損
（単位：百万デンマーク・クローネ）
償却価値で
PD レベル 減損 帳簿価額
測定した価値
ステージ１
（12か月の予想損失）
2018 年 1月1日 0.0 ％～0.5％ 6,473 2 6,471
変動額 - 671
2018 年 12月31日 0.0 ％～0.5％ 7,144 2 7,142
PDはデフォルト確率を表す。ステージ１においてPDは、今後12か月以内の公庫に対する顧客の債務のデフォル
トの可能性を表す。
LGD（デフォルト時損失率）は顧客のデフォルト時における損失見込額の割合を表す。
2018年１月１日から12月31日までの変動額は、取引量の増加のみによるものであった。
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注記6
主要な指標
（単位：百万ユーロ／百万デンマーク・クローネ）
2018 年 2018 年 2017 年 2016 年 2015 年 2014 年
デンマーク・ デンマーク・ デンマーク・ デンマーク・ デンマーク・
ユーロ
クローネ クローネ クローネ クローネ クローネ
主要な指標
59 441 637 656 675 450
純受取利息
-17 -127 -123 -106 -96 -95
管理費用
42 314 511 550 578 355
価値調整前当期利益
30 227 117 89 -451 -17
金融商品の価値調整
-16 -119 -138 -141 -23 -84
当期利益課税額
54 405 489 497 103 249
当期包括利益
23,768 117,454 173,580 168,589 157,693 152,085
貸付およびリース
5,752 42,944 42,361 34,049 33,983 32,376
証券ポートフォリオ
30,351 226,609 222,564 223,938 213,199 201,413
資産
27,888 208,218 202,145 202,642 193,382 182,033
発行債券
1,036 7,736 7,333 6,844 6,347 6,244
持分
当期における活動
貸付およびリース
476 3,554 5,022 8,998 7,273 6,835
（額面価額の純増加額)
貸付およびリース
5,125 38,261 29,835 31,113 30,517 28,752
（額面価額の総増加額)
発行債券
8,044 60,055 71,379 85,963 102,462 66,190
（額面価額の総増加額)
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（単位：百万ユーロ／百万デンマーク・クローネ）
2018 年 2018 年 2017 年 2016 年 2015 年 2014 年
デンマーク・ デンマーク・ デンマーク・ デンマーク・ デンマーク・
ユーロ
クローネ クローネ クローネ クローネ クローネ
資本構成
リスク・エクスポー
1,854 13,843 17,544 7,393 7,766 6,829
ジャー総額（REA）
（注）
普通株式等Tier1資本
1,036 7,736 7,333 6,844 6,347 6,244
（CET1）
1,007 7,520 7,121 6,324 6,195 6,153
自己資本
自己資本比率（％）
54 54 41 86 80 90
（注）
資産合計に対する持分の
3.4 3.4 3.3 3.1 3.0 3.1
比率（％）
財務比率（要約）
貸付およびリースにおけ
0 0 0 0 0 0
る損失
資産に対する管理費用の
0.06 0.06 0.06 0.05 0.05 0.05
比率（％）
資産に対する純受取利息
0.19 0.19 0.28 0.29 0.32 0.22
の比率（％）
19 19 20 16 18 17
流動性資金の割合（％)
70 70 70 66 62 62
正規従業員数
主要な指標および財務比率は、デンマーク金融協会（Danish Finance Society）により発行された「勧告および財務比率」に
従い算出されている。
2018 年12月31日現在の為替レート：100ユーロ＝746.62デンマーク・クローネ。
（注）表の形式が変更されているため、各期間の数値は直接比較可能ではない。
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(6) 【その他】
2018年12月31日以降、重大な後発事象は発生していない。
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(7) 【デンマーク王国の概況】
1. 概況
① 位置、面積、地形および人口
デンマークは、北欧諸国の中で最も南に位置し、16,630平方マイルの国土を有している。デンマークは、ノルウェーの方
角に伸びているヨーロッパ大陸の一部であるユトランド半島、そして大陸本土とスカンジナビア半島の間にある約500の島々
（そのうちの100島には人が居住している。）で構成されている。これらの島のうちで最大のものはシェラン島（2,913平方
マイル）で、その東海岸（スウェーデンからわずか８マイルの距離にある。）には首都コペンハーゲンが位置している。デ
ンマーク唯一の陸続きの国境は、ユトランド半島南端のドイツ連邦共和国との国境である。人口56,000人の世界最大の島グ
リーンランド（84万平方マイル）および人口51,400人のフェロー諸島（540平方マイル）は、いずれもある程度の自治を与え
られているが、同様にデンマークの一部を構成している。
2018年12月31日現在のデンマーク本土の人口は580万人（大コペンハーゲン地区に約180万人）で、過去10年間に約0.5％の
平均年率で増加している。
② 政治および外交
ａ）国家組織および政党
デンマークは、1849年以来立憲君主制を保っている。デンマーク憲法（直近では1953年６月５日に改正されている。）
は、行政府、立法府および司法府間の基本的な権力分立を定めている。
行政権は、女王に与えられ、女王はフォルケティング（国会）として知られる一院制の立法府の意思に従って、女王に
より正式に任命される大臣を通じて権力を行使する。大臣は、それぞれの省の行政上の長である。大臣の数は、首相を含
めて現在20名である。大臣は共に内閣を組閣し、いわゆる国策会議において定期的に女王に謁見する。女王は重要な国務
事項が議題とされる国策会議について、それを主宰する。内閣は、国を治めることに関して国会に責任を負う。
国会は、最長４年の任期で選出される179名の国会議員による一院制で構成される。国会議員のうちフェロー諸島および
グリーンランドからそれぞれ２名が選出される。残りの175名の国会議員は比例代表制により選出される。ただし、政党は
投票数の２％以上を獲得しなければならない。
立法権は、国会によって行使され、形式上、すべての法律は女王によって署名される。不信任投票によって国会は首相
の辞任と内閣の総辞職を強いることができ（総選挙が実施される場合はこの限りではない。）、また個々の大臣を罷免す
ることができる。女王は、いつでも正式に総選挙を宣言することができるが、実際は首相の要請によってのみそれを行
う。
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デンマークに居住し、年齢が18歳に達しているすべてのデンマーク国民は、選挙権を与えられている。デンマークには
数多くの政党が存在している。次の表は、最近実施された３回の総選挙の結果を示している。
最近の総選挙の結果
2011年９月15日 2015年６月18日 2019年６月５日
政党
社会民主党 44 47 48
自由党 47 34 43
保守党 8 6 12
社会人民党 16 7 14
デンマーク国民党（右派） 22 37 16
社会自由党 17 8 16
赤緑連合（旧連合左派）（左派） 12 14 13
自由同盟 9 13 ▶
オルタナティブ党 － 9 5
キリスト教人民党 － － －
フェロー諸島およびグリーンランド ▶ ▶ ▶
新右派党 － － ▶
合計 179 179 179
1982年９月から1993年１月まで、デンマークは保守党のポール・シュルター氏を首相とする少数与党連立政権によって
治められていた。デンマークの政権は、法案によって連携する政党を変えて当該法案の国会通過を図るという「法案ごと
の多数派」工作により機能する長い伝統をもっている。1982年９月から1988年５月の期間中、政府は、保守党、自由党、
中道自由党（2008年に廃党）およびキリスト教人民党の各代表により構成される連立政権であった。1988年５月から1990
年12月までの期間に、社会自由党が政権に参加し、一方、中道自由党とキリスト教人民党が連立政権から離脱した。1990
年12月の総選挙後、社会自由党が政権を離れたため、政府は保守党と自由党が政権に残る形となった。1993年１月、社会
民主党のポール・ニルップ・ラスムセン氏を首相とする新政府が誕生した。この政府は、社会自由党、中道自由党、キリ
スト教人民党および社会民主党による連立政権であった。1994年９月にキリスト教人民党が、1996年後半に中道自由党が
それぞれ政権を離脱してからは、1998年３月の総選挙後も社会民主党と社会自由党との連立政権が続いた。2001年11月の
選挙後、自由党および保守党が政権を奪回し、自由党のアナス・フォー・ラスムセン氏を首相とする政権が誕生した。同
政権は、2005年２月および2007年11月に再選された。2009年４月４日にフォー・ラスムセン氏は北大西洋条約機構
（NATO）事務総長に選出され（任期は2009年８月１日より開始）、同じ自由党の前財務相ラース・ロッケ・ラスムセン氏
が新しい首相に就任した。2011年９月15日、社会民主党の党首であるヘレ・トーニング・シュミット氏が選挙に勝利し、
デンマークに初の女性首相が誕生した。新政府は、社会民主党、社会人民党および社会自由党の連立により成り立ってい
た。前回の総選挙は2015年６月18日に行われ、自由党、デンマーク国民党および保守党の連合が勝利を収め、首相には自
由党のラース・ロッケ・ラスムセン氏が就任した。直近の総選挙は2019年６月５日に行われ、社会民主党による新政府が
樹立され、メッテ・フレデリクセン氏が新首相に任命された。新政府の支持政党は、社会人民党、社会自由党および赤緑
連合である。
次回の総選挙は2023年６月４日までに行われる予定である。
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ｂ）外交関係
デンマークは世界のほぼすべての国と外交関係にある。北欧の一部を成す西側ヨーロッパ諸国であるデンマークにとっ
て、ヨーロッパおよび北米の情勢は極めて重要な意味をもつ。デンマークは外国貿易を大きく発展させてきており、この
ような世界各国との広範囲にわたる経済関係により、デンマークは常に世界経済の動向に影響を受ける。そのためデン
マークの外交政策は、地理的に近接する国々のみならずすべての国々がデンマークの友邦であり、従って、ヨーロッパに
おけるデンマークの国益が他の諸大陸の国民との相互関係を損なうことがあってはならないという認識に基づいている。
i) 国際機関
1973年１月、デンマークは、ヨーロッパ共同体（すなわち欧州経済共同体（EEC）、ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体および
ヨーロッパ原子力共同体）ならびにこれらに関連する欧州投資銀行に加盟した。その後、デンマークは、かかる共同体
および機関を包括する欧州連合（EU）条約を批准した。しかし、1992年のエジンバラ決議に関連して、デンマーク政府
は他の加盟国に対し、デンマークが1999年１月１日に開始される欧州経済通貨同盟（EMU）の第３段階には参加しない旨
を通知した。2000年９月28日に実施された国民投票で過半数がデンマークのユーロ参加に反対したため、かかる立場が
確認された。デンマークは、北大西洋条約機構、欧州理事会、国際連合および経済協力開発機構（OECD）の創設加盟国
である。またデンマークは世界貿易機関（WTO）の加盟国でもある。
北欧５ヵ国（デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドおよびアイスランド）の中で、デンマークは、
北欧会議（共通事項についての討論の場で、加盟国政府に行動をとるように拘束力のない勧告を行う。）、および北欧
投資銀行（その主要な目的は、北欧の共通の利益となるプロジェクトに資金調達を行い、またプロジェクトが資金調達
を受ける北欧地域外の諸国に援助を行うことにある。）など、多くの調整団体・機関に加盟している。
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ii) デンマークが加盟している国際金融機関
2018年12月31日現在、デンマークが加盟している主な国際金融機関は以下のとおりである。
国際通貨基金（IMF）
国際復興開発銀行（IBRD）
国際開発協会（IDA）
欧州投資銀行（EIB）
アジア開発銀行（ADB）
アフリカ開発銀行（AFDB）
米州開発銀行（IADB）
北欧投資銀行（NIB）
北欧開発基金（NDF）
欧州復興開発銀行（EBRD）
多数国間投資保証機関（MIGA）
国際農業開発基金（IFAD）
国際金融公社（IFC）
米州投資公社（IIC）
投資紛争解決国際センター（ICSID）
欧州評議会開発銀行（CEB）
アジアインフラ投資銀行（AIIB）
さらに、デンマークは、拠出金が交付金の性格を有する複数の開発基金等にも加盟している。これらの開発基金等は
上表に記載されていない。
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iii) デンマークが加盟している非金融国際機関
デンマークは、様々な地域機構を通じて重要な国際政治、安全保障および経済上の利益を追及する一方、国際連合の
活動に参加することに最重点を置いており、国際連合加盟国であるということは、デンマークの外交政策の中心的かつ
基本的な部分である。デンマークは1945年10月24日に国際連合に加盟し、下記の国際連合専門機関のすべてに関して、
原加盟国である。政府間海事協議機関への加盟は1959年５月15日である。
国連ラテンアメリカ経済委員会（ECLA）
国連工業開発機構（UNIDO）
国連貿易開発会議（UNCTAD）
国連食糧農業機構（FAO）
国連教育・科学・文化機構（UNESCO）
国際労働機構（ILO）
世界保健機構（WHO）
国際農業開発基金（IFAD）
国連開発計画（UNDP）
国連開発援助枠組み（UNDAF）
国連人口基金（UNFPA）
国連児童基金（UNICEF）
国連世界食糧計画（WFP）
国連環境計画（UNEP）
国連難民高等弁務官事務所（UNHCR）
国連パレスチナ難民救済事業機関（UNRWA）
国連合同エイズ計画（UNAIDS）
国連女性機関
国連人権高等弁務官事務所（OHCHR）
国際標準化機構（ISO）
国際気象機関（WMO）
万国郵便連合（UPU）
国際原子力機関（IAEA）
欧州宇宙機関（ESA）
国際エネルギー機関（IEA）
国際電気通信連合（ITU）
国際民間航空機構（ICAO）
北極評議会
環バルト海諸国評議会（CBSS）
アジア欧州会合（ASEM）
国際捕鯨委員会（IWC）
化学兵器禁止機関（OPCW）
包括的核実験禁止条約機関準備委員会（CTBTO）
欧州安全保障協力機構（OSCE）
国際移住機関（IOM）
GAVIワクチンアライアンス
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グローバルファンド
国際刑事裁判所（ICC）
国際司法裁判所（ICT）
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2. 経済
① 最近の経済動向の概況
ａ）概要
デンマーク経済は緩やかに回復している。GDP成長率でみると、そのペースは速くはないが、労働市場において明らかな
進展が見受けられる。今後何年かにおいて需要および生産がさらに成長するための環境は整っている。GDP成長率は2019年
および2020年には1.7％になると予測されている。
今後のデンマーク経済の予測に関する情報については、最新の予測が記載されているデンマーク大蔵省のウェブサイト
（http://www.fm.dk）を参照されたい。
次の表は、デンマーク関連の経済情報の一部を示している。
主な経済指標
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
国内総生産 （市場価格）（注）
（単位：十億クローネ） 1,981.2 2,036.4 2,100.2 2,178.1 2,218.3
（成長率％） 2.7 2.8 3.1 3.7 1.8
国内総生産（2010年連鎖価格）（注）
（単位：十億クローネ） 1,886.5 1,930.7 1,977.0 2,021.8 2,050.5
（成長率％） 1.6 2.3 2.4 2.3 1.4
失業率（平均 ％）
6.8 6.3 6.3 5.9 5.1
インフレ率
（消費者物価指数年間上昇率） 0.6 0.5 0.3 1.1 0.8
経常収支（注）
（単位：十億クローネ） 138.0 138.2 141.5 154.6 118.5
（GDPに占める割合％） 7.0 6.8 6.7 7.1 5.3
外貨準備高（クローネ換算額）
（単位：十億クローネ） 458 438 456 462 459
資料出所：デンマーク統計局
（注）欧州国民経済計算体系（ESA2010）に従い改訂済。
詳細については、 http://ec.europa.eu/eurostat/web/esa-2010 を参照。
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ｂ）経済政策と実績
経済政策は、対ユーロ為替レートの安定、インフレ率の抑制、財政政策の持続可能性および一般政府債務の削減を確保
するための一般財政の健全な黒字、対外債務の段階的な返済ならびに高い雇用水準を確保する方向に、しっかりと向けら
れている。
このような経済政策を達成する方策としては、十分な緊縮財政、デンマーク・クローネの安定を確保する通貨政策なら
びに労働市場構造および税制の改善などがあげられる。
政府はデンマークのEUへの収斂プログラムに基づく財政の建直しという中長期的な目標に取組んでいる。一般政府予算
は1997年に黒字に転じ、石油採掘および年金基金収益について通常を上回る税収があったことが要因の一部となり、2005
年から2007年における黒字額のGDPに対する比率は約５％となった。2008年には財政黒字のGDPに対する比率は3.6％に低下
した。この低下の一因は、年金収益の課税に関する規則の変更に伴い、民間年金貯蓄に対して一回的な支払いが行われた
ことによる。2009年には一般政府予算は赤字となり、GDPに対する比率は2.8％となったが、これは主にその当時の政府が
提案して実施に移した税負担の軽減措置によるものであった。かかる軽減による歳入減は10年間にわたる経済成長により
賄われる。2018年末には予算の黒字額はGDPの5.8％に達した。
景気変動の過程において一般政府財政が平均して黒字を保つことは、将来の高齢化問題に対処するために必要不可欠で
あると思われる。財政黒字の中期目標は、GDPの1.5％－2.5％の範囲に設定されている。税の凍結は政府の全体的な目標の
一つであるため、歳出を厳格に優先づけることは、一般政府財政の健全な黒字目標を達成するために重要である。
通貨政策は、対ユーロ為替レートの安定およびインフレ率抑制の維持に引続きしっかりと向けられている。デンマー
ク・クローネに対する強い信認により、ユーロ圏の短期金利との短期金利差を比較的小幅にすることができている。2008
年10月に、デンマーク国立銀行は、多額の通貨の流出があったため金利差を拡大することを決定した。金利差は最大1.75
パーセンテージ・ポイントまで拡大したが、デンマーク国立銀行は2008年12月に縮小を開始した。デンマーク国立銀行の
主要金融政策金利と欧州中央銀行（ECB）の主要金融政策金利との現在の金利差は0.25パーセンテージ・ポイントである。
デンマークとドイツの10年物国債の2000年の秋以降の平均イールド・スプレッドは、0.20～0.30パーセンテージ・ポイン
トであったが、金融危機を背景に2008年において約0.5パーセンテージ・ポイントまで拡大した。2009年には同スプレッド
は縮小し、それ以降も縮小した状態が保たれた。デンマークとドイツの債券の金利差は、依然として、大部分のユーロ圏
の加盟国の国債とドイツ国債との金利差と比べて小幅であり、とりわけ、デンマークの健全な経済状況に起因するものと
考えられる。
長期安定化政策のもう一つの重要な要素は構造改革である。デンマークの税制および労働市場政策は、過去15年間で大
幅に改革された。それにより、デンマークは、安定した経済発展の妨げとなる好ましくない構造をかなり廃止した。ま
た、かかる改革により、一般政府財政はより健全な基盤に基づくものとなっている。
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② 最近５年間の経済動向
ａ）国内総生産
次の表は、デンマークのGDPおよび国内支出の、主要部門ごとの推移および割合を示している。
国内総生産および国内支出
（市場価格による）
（単位：十億クローネ）
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
国内支出に供された財貨および役務
国内総生産 1,981.2 2,036.4 2,100.2 2,178.1 2,218.3
財貨および役務の輸入（加算） 944.0 990.3 984.1 1,033.4 1,094.4
総供給 2,925.2 3,026.7 3,084.3 3,211.5 3,312.7
財貨および役務の輸出（控除） 1,082.0 1,128.5 1,125.6 1,188.0 1,212.9
1,843.2 1,898.2 1,958.7 2,023.5 2,099.8
民間部門消費 934.3 959.4 984.2 1,017.2 1,049.5
公的部門消費 510.9 518.6 524.2 535.6 546.5
消費合計 1,445.2 1,478.0 1,508.4 1,552.8 1,596.0
総固定資本形成（注1）
住宅 76.5 81.8 89.7 102.8 107.7
住宅以外の建物 52.1 55.4 61.9 63.7 66.9
その他の構築物・土地改良 37.4 46.5 49.3 50.4 56.5
輸送設備 44.7 48.1 47.3 52.8 59.6
情報通信機器・その他の機械・設備・兵器シ
ステム 69.7 71.1 74.9 78.9 82.7
育成生物資源 -0.1 0.0 0.0 0.0 0.0
知的財産生産物 99.5 101.2 115.8 113.6 118.5
総固定資本形成 379.7 404.2 438.8 462.1 491.9
貴重品 3.4 3.1 2.9 2.8 2.7
総固定資本形成合計 383.1 407.3 441.7 464.9 494.6
資料出所：デンマーク統計局（国民経済計算）
（注1）欧州国民経済計算体系（ESA2010）に従い改訂済。
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ｂ）産業構造および主要産業
i) 製造業
次の表は、デンマークの主要な製造業によって加工または製造された商品の売上を示している。
産業別売上
（単位：千クローネ）
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
鉱業および採石業
46,773,881 31,758,472 23,367,943 27,253,864 30,339,191
食品、飲料およびタバコ製造
178,335,706 171,406,564 168,395,198 173,184,336 172,589,866
繊維および皮革製品
8,251,668 7,973,592 8,182,575 8,846,826 9,470,306
木・紙製品および印刷
26,374,123 27,567,437 26,621,959 26,596,796 26,988,958
化学薬品および石油精製品等の製造
81,832,565 74,075,533 67,695,828 74,673,470 81,678,210
医薬品
75,679,016 86,551,816 89,615,677 98,188,681 105,375,272
プラスチック、ガラスおよびコンクリート
製造
38,485,097 38,941,090 40,857,238 43,247,606 44,012,666
卑金属および金属加工製品
49,269,418 50,915,893 51,295,226 54,979,392 53,408,462
電子部品製造
28,122,596 30,682,214 31,624,029 33,341,960 33,646,083
電気機器
17,638,320 20,004,441 19,737,782 20,048,348 20,420,804
機械製造
126,347,588 141,384,836 163,765,427 154,705,789 163,320,253
輸送設備
9,458,897 10,436,389 11,485,007 11,902,543 11,918,731
家具製造およびその他製造
54,272,051 58,979,717 61,137,632 61,668,651 61,873,249
合計
740,800,926 750,677,994 763,781,521 788,638,262 815,042,051
資料出所：デンマーク統計局
デンマークの製造業は、加工および組立にその特徴がある。何十年にもわたり、大量生産技術に依存した製品より
も、むしろ高い付加価値をもつ高品質の専門的な製品を製造する輸出産業の分野に発展がみられた。
全般的にデンマークの製造業は、製造事業に必要な原料および資本設備の大半を輸入に依存している。
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ii) 農業
デンマーク経済の農業部門がGDP、輸出収入および雇用に占める割合は、ここ何年もの間で大幅に減少している。1960
年には、農業がGDPの17％を占めていた。50年後には農業はGDPの約3.7％を占めた。農業がGDPに占める割合の長期にわ
たる低下は、農業生産の絶対的な減少よりも、むしろ経済の他の部門、特に公共サービスおよびその他のサービス部門
の占める割合の相対的な増加を反映したものである。2018年末において農業はGDPの3.3％を占めた。
次の表は、表示期間中の各年における主要農産物の生産額を示している。
農業国内総生産
（単位：十億クローネ）
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
天然ミルク 15.4 12.7 12.6 16.1 16.0
食用卵 0.7 0.8 0.8 0.9 0.9
畜牛 3.0 3.0 3.0 3.1 3.3
豚肉 22.6 20.2 22.2 24.2 20.6
鶏肉 1.8 1.7 1.8 1.7 1.9
馬肉 0.1 0.1 0.1 0.2 0.1
羊肉 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
毛皮用動物 6.8 4.0 4.3 3.8 3.6
猟鳥・猟獣 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1
その他の家畜製品 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1
家畜製品、合計 50.6 42.7 45.0 50.2 46.6
穀類製品、合計 26.5 26.3 25.2 27.7 25.5
合計 77.1 69.0 70.2 77.9 72.1
資料出所：デンマーク統計局
デンマーク経済の農業部門は、全加盟国に対し共通であるEUの農業政策によって著しい影響を受ける。EUにおけるほ
ぼすべての農産品の価格は、需給およびEU加盟国によって毎年共同でなされる決定の両者によって決められる。同政策
の目的は、農民および農場労働者のために最低限の生活水準を提供することである。
デンマークの農産品の主要輸出市場はEU諸国、日本および米国である。
iii) エネルギー
デンマーク、ノルウェーおよびイギリスは、北海の大陸棚にかかる各国の権利の範囲を明確にした条約を締結してい
る。北海のデンマーク領海（約21,000平方マイル）は、ノルウェーやイギリスの領海よりもかなり狭い。しかしながら
デンマークは、北海における資源採掘により1991年から石油および天然ガスに関しては自給を達成している。
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iv) 海運
デンマークの商船海運は、外貨の重要な収入源である。デンマークの船舶は、デンマークの輸入品と輸出品の大半を
輸送する。しかしながら、海外におけるデンマークの総運賃収入のうちの約95％が外国の港間の輸送により得られてい
ることから、かかる輸送はより重要となっている。
v) 輸送
デンマークの内陸輸送設備は、ユトランド半島と主要な島々をつなぐ約2,500マイルの鉄道、デンマークの80以上の港
（ほとんどの主要都市および町を含む。）をカバーする沿岸海運航路、および国のほとんどあらゆる地域にバスおよび
トラックのサービスを行き渡らせている密度の高い道路網から構成されている。デンマークは、スカンジナビア航空会
社（SAS）の株式の14.2％を保有しており、スウェーデンも14.8％を保有している。
vi) 漁業
多くの海峡と入江をもつデンマークの長い海岸線、恵まれた漁業水域と大きな消費市場の間に位置するというデン
マークの有利な立地は、デンマークの水産業の発展に寄与してきた。
ｃ）物価および賃金
次の表は、表示期間について、各種物価および賃金指数に反映された物価および賃金の変化を示している。
物価および賃金の動向
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
消費者物価指数（2015年＝100）(注) 99.6 100.0 100.3 101.4 102.2
純小売物価指数（2015年＝100）(注) 99.4 100.0 100.5 101.7 102.6
民間部門賃金指数 127.1 129.1 131.4 133.7 136.7
公的（中央政府）部門賃金指数 128.9 129.9 131.5 133.8 137.9
資料出所：デンマーク統計局
（注）同指数について新たな指数基準期間への移行が行われた。
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ｄ）雇用および労働
1994年３月、失業率は12.9％のピークに達した。1994年以降の経済の著しい回復および新たな有給休暇制度の導入によ
り失業率は低下し、2008年には平均1.8％となった。しかしながら、金融危機後に失業率は上昇を始めたが、その後再び低
下し始めた。2018年末の失業率は5.1％で、2017年末の5.9％から低下した。
実質的にすべての失業者が登録されているので、潜在的な失業はデンマークにおいては存在しない。産業への国家の介
入は最小であり、雇用主は労働者を自由に解雇できる。次の表は、雇用および失業に関する情報を示している。
労働市場
（単位：千人）
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
労働力人口 2,832.0 2,860.0 2,934.0 2,906.0 2,935.0
雇用者数 2,641.0 2,680.0 2,748.0 2,735.0 2,786.0
失業者数 191.0 180.0 186.0 171.0 149.0
経済活動参加率（15－64歳） 78.1 78.5 80.0 78.8 79.4
就業率（15－64歳） 72.8 73.5 74.9 74.2 75.4
失業率（15－64歳） 6.8 6.3 6.3 5.9 5.1
資料出所：デンマーク統計局
2018年の労働力人口は、合計290万人で15歳から64歳までの年齢層の人口の75％超に相当した。一般に、労働力人口の４
分の３以上が労働組合に加入しており、またほぼ同じ割合の労働力人口が、失業保険基金の加入者である。
現在、労働市場における団体交渉は20～30年前と比べてそれほど中央集権的でなくなり、賃金協定のかなりの部分が会
社ごとの個別交渉の決定に委ねられている。交渉のうちより中央で行われるものの対象は労働市場年金や労働時間になっ
ており、通常、製造または建設といった主要業種ごとに個別に交渉の解決が行われる。
ｅ）社会保障制度
デンマークで実施されている社会立法および社会福祉事業の包括的システムには、公的健康保険、養老・障害年金、被
雇用者補足年金、労働者災害補償、失業保険、児童福祉プログラム、身体障害者・精神障害者のためのケア、孤児および
被扶養者を持つ独身者に対する手当ならびに必要な者に対する一般的公的援助が含まれている。デンマークのほとんどの
病院ならびに子供および障害者のための各種施設は、州および地方自治体によって運営されている。
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3. 貿易及び国際収支
① 概要
デンマーク経済は外国貿易に大きく依存しており、商品およびサービスの輸出および輸入は、それぞれGDPの約45％から
55％を占めている。
次の表は、デンマークの外国貿易に関する情報を示している。この表の中で、また外国貿易に関する他の表の中で、グ
リーンランドおよびフェロー諸島の輸出および輸入は除外されている。
外国貿易
（単位：十億クローネ）
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
財の輸出 669.8 695.2 702.8 746.8 772.3
412.2 433.3 422.8 441.2 440.6
サービスの輸出
財およびサービスの輸出 1,082.0 1,128.5 1,125.6 1,188.0 1,212.9
財の輸入 595.6 614.2 594.7 640.6 677.7
348.4 376.1 389.3 392.9 416.7
サービスの輸入
財およびサービスの輸入 944.0 990.3 984.0 1,033.5 1,094.4
資料出所：デンマーク統計局（国民経済計算）
② 最近５年間 の計数
ａ）主要品目別および地域別輸出入状況
デンマークの製品の輸入および輸出の主要品目別の状況は、下表のとおりである。
主要品目別輸入
（単位：十億クローネ）
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
家畜、食糧、飲料およびタバコ 75.4 78.6 78.5 81.9 85.0
原材料、非食糧（燃料を除く） 18.3 18.7 17.6 19.8 21.1
鉱物燃料、潤滑油および関連材料 49.8 38.4 30.4 35.8 43.2
化学薬品および関連材料 69.5 71.7 70.5 76.0 78.5
工業製品 74.7 76.7 77.8 83.9 86.7
機械（輸送設備を除く） 116.6 126.3 129.3 133.9 136.7
輸送設備 38.9 46.9 50.5 52.5 54.2
94.9 101.7 102.9 106.7 107.7
雑工業品
合計（船舶および航空機を除く） 488.4 520.6 527.0 554.6 569.9
合計 554.9 572.5 567.5 607.5 640.5
資料出所：デンマーク統計局（外国貿易）
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主要品目別輸出
（単位：十億クローネ）
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
家畜、食糧、飲料およびタバコ 114.2 116.0 118.8 126.7 122.6
原材料、非食糧（燃料を除く） 27.0 28.5 23.5 26.6 26.2
鉱物燃料、潤滑油および関連材料 48.3 35.5 26.4 30.9 34.3
化学薬品および関連材料 115.1 128.2 132.7 137.9 146.8
工業製品 55.6 54.9 57.4 60.9 62.2
機械（輸送設備を除く） 142.8 146.2 149.3 151.7 148.6
輸送設備 16.2 18.6 18.6 21.0 21.4
97.5 104.9 105.7 108.5 111.2
雑工業品
合計（船舶および航空機を除く） 568.4 597.2 606.2 633.3 639.1
合計 621.4 637.2 636.0 669.1 681.7
資料出所：デンマーク統計局（外国貿易）
次の表は、デンマークの地域別輸出入状況の推移を示したものである。輸出の計数は輸出品の消費国を、輸入の計数は
輸入品の原産国をそれぞれ示している。
地域別輸出入状況
（単位：％）
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
輸入 輸出 輸入 輸出 輸入 輸出 輸入 輸出 輸入 輸出
フィンランド
1 3 1 3 1 2 1 2 1 2
ノルウェー
5 7 5 7 ▶ 6 5 6 5 6
スウェーデン
12 12 12 12 12 12 12 12 12 12
ドイツ
20 18 20 17 22 16 21 15 23 15
イギリス
5 8 5 6 ▶ 6 ▶ 8 ▶ 7
アメリカ
3 7 3 9 3 8 3 8 3 8
日本
1 2 1 2 1 2 1 2 1 2
その他
53 44 53 45 53 47 53 47 52 47
合計
100 100 100 100 100 100 100 100 100 100
資料出所：デンマーク統計局
近年におけるデンマークの外国貿易は、特にドイツ、スウェーデン、イギリスおよび米国などの西欧諸国に集中してい
る。米国および日本と共にスカンジナビア諸国と他の西欧諸国がデンマークの年間における輸入および輸出の約半分を占
める。
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デンマークは、伝統的に国際貿易の自由かつ公正な条件を擁護している。1973年１月のデンマークのEU加盟後、EUの共
通関税政策が段階的に実施された。関税および割当制限は、EUの加盟国間の貿易については一般的に禁止されている。加
盟国による非加盟国との財貨の交換については、統一規制が適用される。
1950年に農産物の輸出は、デンマークの総輸出の約68％を占めていた。農産物の輸出の相対的重要性はそれ以来低下し
ている。
総輸出に対する割合としての工業製品の輸出は、1964年の約50％から1970年には約64％へと上昇した。この傾向は1970
年以降ペースを落として続いている。大半の主要品目によって占められる工業輸出の相対的シェアは、ここ10年間ではほ
ぼ一定であるが、家具や化学品のようなそれほど大きくない品目の一部の重要性が増している。
近隣諸国（ドイツ、イギリスおよびスウェーデン）は合わせて、デンマークの輸出入の約34％から40％を占めている。
従って、デンマークの外国貿易および国際収支は、これらの国々に存在する経済条件および経済活動によって強く影響さ
れる。
ｂ）日本との貿易
デンマークと日本間の財貨の輸出入
（単位：十億クローネ）
2014年 輸出 11.375
輸入 2.311
純輸出 9.064
2015年 輸出 12.414
輸入 2.672
純輸出 9.742
2016年 輸出 14.488
輸入 2.812
純輸出 11.676
2017年 輸出 14.143
輸入 2.797
純輸出 11.346
2018年 輸出 13.942
輸入 2.765
純輸出 11.177
資料出所：デンマーク統計局
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ｃ）国際収支
次の表は、デンマークの国際収支の主要項目を示している。
国際収支
（単位：十億クローネ）
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
経常収支
輸出合計 1,082.0 1,128.5 1,125.6 1,188.0 1,212.9
輸入合計 944.0 990.3 984.1 1,033.4 1,094.4
総額 138.0 138.2 141.5 154.6 118.5
国際流動性
外貨準備高 458 438 456 462 459
資料出所：デンマーク統計局（国際収支）
ｄ）金および外貨準備
デンマークの外貨準備高は、外国為替市場の状況を考慮に入れた様々な外貨準備のニーズを反映して、近年変動が見ら
れる。各表示年度末現在でのデンマークの対外通貨ポジション（純）を下表に示す。
外貨準備高
（単位：十億クローネ）
12月31日現在
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
金 15.7 15.5 17.5 17.2 17.8
対外資産 425.7 405.5 424.9 432.8 426.0
欧州中央銀行債権 0.4 0.7 0.1 0.1 0.1
19.5 19.6 16.7 15.3 17.4
IMF債権
外貨準備金（総額） 461.3 441.3 459.2 465.4 461.3
対外債務 3.3 3.1 3.0 3.5 2.3
純公的外貨準備高 458.0 438.2 456.2 461.9 459.0
資料出所：デンマーク国立銀行
これらの準備に加えて、デンマークは、EU加盟国として、域内の一定の与信枠を利用することができる。
ｅ）外国為替
1980年代初頭以降、デンマーク・クローネの価値をEUの為替相場メカニズム（ERM）（1999年以降はERMⅡ）の範囲内に
維持するとの明確な政策は成功を収めてきた（「4．① a) 通貨・金融制度」参照）。ERMⅡの枠組みにおいて、デンマー
ク・クローネは、対ユーロのデンマーク・クローネ中心レートから±2.25％の幅で変動することができる。
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次の表は、デンマーク国立銀行が建値した、デンマーク・クローネに換算した米ドルおよび日本円に換算したデンマー
ク・クローネの毎日の平均中間為替レートおよびデンマーク国立銀行により報告されたデンマーク・クローネの平均値の
貿易加重指数（名目実効為替レート）を示している。
外国為替レート（平均値）
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
１米ドル当りのデンマーク・クローネ 5.62 6.73 6.73 6.60 6.32
100円当りのデンマーク・クローネ 5.32 5.56 6.21 5.88 5.72
名目実効為替レート（1980＝100) 103.3 99.2 100.8 102.1 103.6
資料出所：デンマーク国立銀行
③ 外国為替管理
直接投資の規制を含むすべての為替管理は、1988年10月１日に廃止された。
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4. 通貨・金融制度
① 概要
ａ）通貨・金融制度
デンマークは、ユーロ圏との固定為替相場政策を維持している。すなわち、ユーロに対するデンマーク・クローネ相場
の安定性を維持することが通貨および為替政策の目標となっている。
この固定為替相場政策の公式枠組みは、欧州為替相場メカニズム（ERMⅡ）である。デンマークはERMⅡに参加してお
り、対ユーロのデンマーク・クローネ中心レートは100ユーロ＝746.038デンマーク・クローネである。中心レートの変動
幅は±2.25％である。近年、デンマーク国立銀行はデンマーク・クローネを中心レートに近いレートに維持してきた。
為替市場が安定している場合には、固定為替相場政策のもとでは、デンマーク国立銀行は欧州中央銀行（ECB）の最低入
札金利の変更に合わせて政策金利（公定歩合、当座勘定金利および貸出金利）を調整することとなる。デンマーク・ク
ローネに対して上昇圧力もしくは下方圧力がかかっている場合、または外国為替の流入もしくは流出が持続している場合
には、デンマーク国立銀行は、独自に金利調整を行ってデンマーク・クローネの安定化を図る。
短期的には、デンマーク国立銀行は、為替市場への介入によりデンマーク・クローネ相場を安定させることができる。
デンマーク国立銀行は、銀行および抵当貸付機関からなる金融政策カウンターパーティ経由で金融政策を実施してい
る。金融政策カウンターパーティは、デンマーク国立銀行にオーバーナイト預金をすることができ、また、週１回行われ
るデンマーク国立銀行のオペレーションに参加できる。週１回の市場オペでは、カウンターパーティは、有価証券を担保
として提供することで７日満期の貸付を受けるか、または譲渡性預金証書（ＣＤ）の購入により７日間預金を行うことが
できる。デンマーク国立銀行へのオーバーナイト預金には、当座勘定金利で利息が発生する。デンマーク国立銀行の７日
満期貸付には貸出金利（譲渡性預金証書の金利に等しい。）が適用される。
デンマーク国立銀行の金利は、デンマーク・クローネ建の短期金融市場における短期金利の指標となる。短期金融市場
は、主に銀行間の短期貸付契約および金利契約向け市場である。公定歩合が大幅に調整を受けた場合には、銀行は通常、
顧客に対する金利も調整する。
デンマークの金融政策についての情報は、デンマーク国立銀行のウェブサイト（http://www.nationalbanken.dk）にお
いても入手可能である。
ｂ）銀行およびその他の金融機関
2018年12月31日までのデンマークの金融機関の連結貸借対照表における総資産の合計は５兆9,323億デンマーク・クロー
ネにのぼり、2017年の６兆271億デンマーク・クローネより1.6％減少した。
デンマークの主要金融機関には、商業銀行、貯蓄銀行、抵当貸付機関、保険会社および年金基金が含まれる。
詳細はデンマーク金融監督庁のウェブサイト（http://www.dfsa.dk）を参照のこと。
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ｃ）証券市場
ナスダック（コペンハーゲン）（ナスダックOMXグループの一部となる前の名称はコペンハーゲン証券取引所）は、デン
マークにおける主要な証券取引所で、ほとんどの上場証券が取引されまた取引が報告される場所である。ナスダック（コ
ペンハーゲン）では、有価証券の取引のほか先物およびオプション取引も行われている。ナスダック（コペンハーゲン）
の詳しい情報についてはウェブサイト（www.nasdaqnordicomx.com.）を参照されたい。
VPセキュリティーズ A/S（旧デンマーク証券センター（V æ rdipapircentralen, VP））は、総合的な中央有価証券保管・
決済センターである。
1996年証券取引法に基づき、欧州パスポート（会社の本国の金融監督当局からの免許）を保有するEU加盟国（またはか
かる事項についてEUが協定を結んでいる国）のいかなる金融機関または証券会社も、ナスダック（コペンハーゲン）の会
員になりそこで証券取引を行うことができる。支店等の形で進出する必要はない。その他の国からの会社は、金融監督当
局からの免許の取得を条件として、デンマークに設立された支店を通じて参加することができる。
流通有価証券
（単位：十億クローネ）
12月31日現在
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
クローネ建デンマーク政府債券（額面金額） 673.7 620.0 610.2 609.0 586.2
担保付債券（額面金額） 541.0 406.7 342.6 291.7 228.9
その他の債券（額面金額） 174.7 167.8 156.8 160.8 162.6
株式（時価） 2,052.3 2,604.2 2,457.4 2,810.3 2,469.3
資料出所：デンマーク統計局
② 通貨供給量
次の表は、各日付現在におけるデンマークの通貨供給量を示したものである。
通貨供給量
（単位：十億クローネ）
当初満期が 当初満期が
銀行券 当初満期が
３ヵ月未満の ２年未満の Ｍ３の前年度
12月31日 および 要求払い ２年未満の
現在 硬貨 預金 定期預金 通知預金 レポ 発行債券 Ｍ３ 比増加量
2014年 56.6 889.5 119.2 22.2 39.0 213.9 1,340.3 12.6
2015年 59.8 983.8 86.8 27.2 25.4 319.3 1,502.4 12.1
2016年 61.6 1,060.7 69.1 30.4 36.6 185.5 1,444.0 -3.9
2017年 62.2 1,118.6 73.3 31.0 35.7 166.0 1,486.9 3.0
2018年 62.9 1,165.8 64.4 32.5 18.9 99.4 1,443.9 -2.9
資料出所：デンマーク国立銀行
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③ 公定歩合および譲渡性預金金利
次の表は2012年から2018年までのデンマーク国立銀行の公定歩合の推移を示すものである。
実施日 公定歩合（％）
2012年６月１日 0.25
７月６日 0.00
次の表は2012年から2018年までのデンマーク国立銀行の譲渡性預金金利の推移を示すものである。
実施日 譲渡性預金金利（％)
2012年５月25日 0.20
６月１日 0.05
７月６日 -0.20
2013年１月25日 -0.10
2014年４月25日 0.05
９月５日 -0.05
2015年１月20日 -0.20
１月23日 -0.35
１月30日 -0.50
２月６日 -0.75
2016年１月８日 -0.65
2010年から2013年までの期間において、公定歩合は、相手方当座預金の金利に対応していた。譲渡性預金の公定金利は貸
出金利に対応しており、公定歩合よりも高くなっていた。2014年において公定歩合と譲渡性預金金利はほぼ同率であった。
公定歩合は2012年以降は安定を保っていたが、譲渡性預金金利は低下を続け、2014年９月からマイナスとなり、2016年１月
以降変動していない。
デンマークの政策金利についての情報は、デンマーク国立銀行のウェブサイト（http://www.nationalbanken.dk）におい
ても入手可能である。
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④ デンマーク国立銀行
デンマーク国立銀行は、発券銀行であり、デンマークの中央銀行である。デンマーク国立銀行は、1936年４月７日付のデ
ンマーク国立銀行法に基づいて設立され、その営業は同法によって規制されている。デンマーク国立銀行は、最終的には国
会の立法上の規制に従うものの、独立した機関である。
デンマーク国立銀行の中央銀行としての機能には、政府の銀行および政府の財務代理人として行為すること、政府証券お
よびその他の証券について公開市場操作を実施すること、銀行の流動性および銀行の外国為替ポジションを規制すること、
デンマークの公的外貨準備を管理すること、他の金融機関のために決済機関として機能すること、ならびに政府の国内外の
債券発行・販売に際して政府を補佐することが含まれる。
1991年に、王国の債務の管理業務が大蔵省からデンマーク国立銀行に移管された。
2018年12月31日現在のデンマーク国立銀行の貸借対照表は下記の通りである。
デンマーク国立銀行貸借対照表
（2018年12月31日現在）
（単位：百万クローネ）
資産の部 負債・資本の部
金保有額 17,841 流通紙幣 64,695
対外資産 426,028 流通硬貨 6,098
IMF純資産 17,445 対外負債 2,278
欧州中央銀行への債権 88 IMF特別引出権配分額 13,880
貸付金等 1,185 預け金等 12,963
債券・株式等 32,763 金融政策預金 210,849
その他資産 1,691 政府勘定 111,674
その他負債 914
負債合計 423,351
払込資本金および準備金 73,689
資産合計 497,041 負債および資本合計 497,041
資料出所：デンマーク国立銀行
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