富士通株式会社 有価証券報告書 第119期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2019年6月24日
【事業年度】 第119期(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
【会社名】 富士通株式会社
【英訳名】 FUJITSU LIMITED
【代表者の役職氏名】 代表取締役社長 時田 隆仁
【本店の所在の場所】 神奈川県川崎市中原区上小田中四丁目1番1号
(上記は登記上の本店所在地であり、本社業務は下記「最寄りの連絡場所」
において行っております。)
【電話番号】 044(777)1111(代表)
【事務連絡者氏名】 法務・コンプライアンス・知的財産本部 コーポレート法務部
シニアディレクター 佐々木 健太郎
【最寄りの連絡場所】 東京都港区東新橋一丁目5番2号(汐留シティセンター)
【電話番号】 03(6252)2220(代表)
【事務連絡者氏名】 法務・コンプライアンス・知的財産本部 コーポレート法務部
シニアディレクター 佐々木 健太郎
【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
株式会社名古屋証券取引所
(名古屋市中区栄三丁目8番20号)
1/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
第一部【企業情報】
第1【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
(1)連結経営指標等
国際会計基準
連結会計年度
2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度
売上収益 (百万円) 4,753,210 4,739,294 4,132,972 4,098,379 3,952,437
(百万円) 178,628 120,612 117,455 182,489 130,227
営業利益
(百万円) 198,864 131,822 124,162 242,488 161,785
継続事業からの税引前利益
(百万円) 145,011 90,421 95,317 177,255 110,718
当期利益
親会社の所有者に帰属する
(百万円) 140,024 86,763 88,489 169,340 104,562
当期利益
(百万円) 250,283 5,530 137,087 229,583 95,511
当期包括利益
親会社の所有者に帰属する
(百万円) 240,329 8,860 129,191 219,838 89,311
当期包括利益
(百万円) 934,397 926,240 1,019,202 1,204,902 1,253,630
資本合計
資産合計 (百万円) 3,271,121 3,226,303 3,191,498 3,121,522 3,104,842
1株当たり親会社所有者帰
(円) 381.88 378.37 429.80 5,283.85 5,585.35
属持分
親会社の所有者に帰属する
(円) 67.68 41.94 42.83 825.32 512.50
基本的1株当たり当期利益
親会社の所有者に帰属する
(円) 67.64 41.93 42.83 825.28 512.33
希薄化後1株当たり当期利
益
親会社の所有者に帰属する
(百万円) 790,089 782,782 881,292 1,087,797 1,132,055
持分合計
(%) 24.2 24.3 27.6 34.8 36.5
親会社所有者帰属持分比率
親会社所有者帰属持分当期
(%) 20.6 11.0 10.6 17.2 9.4
利益率
(倍) 12.10 9.94 15.90 7.93 15.58
株価収益率
営業活動によるキャッ
(百万円) 280,149 253,092 250,331 200,415 99,416
シュ・フロー
投資活動によるキャッ
(百万円) △ 200,516 △ 164,317 △ 145,479 △ 22,578 4,142
シュ・フロー
財務活動によるキャッ
(百万円) △ 17,327 △ 67,741 △ 98,896 △ 112,496 △ 136,622
シュ・フロー
現金及び現金同等物の期末
(百万円) 362,028 380,810 383,969 452,671 416,742
残高
従業員数 (人) 158,846 156,515 155,069 140,365 132,138
〔外、平均臨時雇用人員〕 〔 17,304 〕 〔 17,207 〕 〔 16,684 〕 〔 16,106 〕 〔 13,707 〕
(注)1.2014年度より、国際会計基準(以下、IFRS)に準拠して連結財務諸表を作成しております。
IFRSへの移行日は2013年4月1日であります。
2.売上収益は、消費税等抜きで表示しております。
3.平均臨時雇用人員は、嘱託社員、契約社員、パートタイマー、アルバイト等の従業員を含み、派遣社員は含
めておりません。
4.当社は、2017年11月1日に富士通テン株式会社(以下、富士通テン)の株式の一部を株式会社デンソーに譲
渡しました。これに伴い、富士通テンを非継続事業に分類し、2016年度の売上収益、営業利益及び税引前利
益を組替えて表示しております。
5.当社は、2018年10月1日を効力発生日として、普通株式10株につき1株の割合で株式併合を実施しました。当
該株式併合が2017年度期首に行われたと仮定して、1株当たり親会社所有者帰属持分、親会社の所有者に帰
属する基本的1株当たり当期利益および親会社の所有者に帰属する希薄化後1株当たり当期利益を算定して
おります。
2/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
日本基準
連結会計年度
2014年度
(百万円) 4,755,252
売上高
(百万円) 160,058
経常利益
親会社株主に帰属する当期
(百万円) 100,462
純損益
(百万円) 171,985
包括利益
(百万円) 907,603
純資産額
(百万円) 3,256,494
総資産額
(円) 371.95
1株当たり純資産額
親会社株主に帰属する1株
(円) 48.56
当たり当期純損益金額
親会社株主に帰属する潜在
(円) 48.53
株式調整後1株当たり当期
純利益金額
(%) 23.6
自己資本比率
(%) 14.5
自己資本利益率
(倍) 16.87
株価収益率
営業活動によるキャッ
(百万円) 279,403
シュ・フロー
投資活動によるキャッ
(百万円) △ 199,947
シュ・フロー
財務活動によるキャッ
(百万円) △ 17,150
シュ・フロー
現金及び現金同等物の期末
(百万円) 362,028
残高
(人) 158,846
従業員数
〔外、平均臨時雇用人員〕 〔 17,304 〕
(注)1.売上高は、消費税等抜きで表示しております。
2.平均臨時雇用人員は、嘱託社員、契約社員、パートタイマー、アルバイト等の従業員を含み、派遣社員は
含めておりません。
3.2014年度の日本基準に基づく連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監
査を受けておりません。
4.「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等の改正を踏まえ、当期純損益
を親会社株主に帰属する当期純損益と表示しております。
3/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
(2)提出会社の経営指標等
回次 第115期 第116期 第117期 第118期 第119期
決算年月 2015年3月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月
(百万円) 2,058,834 2,006,830 2,034,508 1,831,513 1,931,892
売上高
(百万円) 39,080 37,487 13,893 △ 5,444 6,102
経常損益
(百万円) 44,907 42,495 44,963 121,083 46,371
当期純損益
(百万円) 324,625 324,625 324,625 324,625 324,625
資本金
(株) 2,070,018,213 2,070,018,213 2,070,018,213 2,070,018,213 207,001,821
発行済株式総数
(百万円) 668,882 680,608 715,477 810,670 795,373
純資産額
(百万円) 2,036,700 2,098,697 2,044,166 1,932,636 1,966,461
総資産額
(円) 323.30 328.98 348.93 3,937.74 3,924.22
1株当たり純資産額
(円) 8.00 8.00 9.00 11.00 87.00
1株当たり配当額
(1株当たり中間配当額) (円) ( 4.00 ) ( 4.00 ) ( 4.00 ) ( 5.00 ) ( 7.00 )
1株当たり当期純損益金
(円) 21.70 20.54 21.76 590.13 227.28
額
潜在株式調整後1株当た
(円) 21.70 20.54 21.76 590.12 227.24
り当期純利益金額
(%) 32.8 32.4 35.0 41.9 40.4
自己資本比率
(%) 7.0 6.3 6.4 15.9 5.8
自己資本利益率
(倍) 37.74 20.30 31.30 11.10 35.14
株価収益率
(%) 36.9 38.9 41.4 18.6 66.0
配当性向
(人) 25,627 24,112 33,095 32,969 31,827
従業員数
(%) 132.5 69.3 113.1 110.7 136.2
株主総利回り
(比較指標:TOPIX(配
(%) ( 130.7 ) ( 116.5 ) ( 133.7 ) ( 154.9 ) ( 147.1 )
当込み))
870.0 868.4 720.8 927.0 8,260
(円)
最高株価
(826.5)
567.1 355.8 343.7 608.6 6,370
(円)
最低株価
(633.0)
(注)1.売上高は、消費税等抜きで表示しております。
2.当社は、2018年10月1日を効力発生日として、普通株式10株につき1株の割合で株式併合を実施しました。
当該株式併合が2017年度期首に行われたと仮定して、1株当たり純資産額、1株当たり当期純損益金額および
潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額を算定しております。
3.2018年度の1株当たり配当額87.00円は、中間配当額7.00円と期末配当額80.00円の合計となっております。
当社は、2018年10月1日を効力発生日として、普通株式10株につき1株の割合で株式併合を実施したため、中間
配当額7.00円は株式併合前の配当額、期末配当額80.00円は株式併合後の配当額となっております 。
4.最高株価および最低株価は、東京証券取引所(市場第一部)におけるものであります。なお、当社は、2018年
10月1日を効力発生日として、普通株式10株につき1株の割合で株式併合を実施したため、2018年度の株価につ
いては、株式併合後の最高株価および最低株価を記載し、( )に株式併合前の最高株価および最低株価を記載
しております。
5.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準28号 平成30年2月16日)等を2018年度期首か
ら適用しており、2017年度に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等
となっております。
4/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
2【沿革】
年月 摘要
1935年 6月 富士電機製造㈱(現 富士電機㈱)より電話交換装置・電話機・装荷線輪の製造及び販売権を承継
し、富士通信機製造株式会社として設立
1938年11月 本店を神奈川県川崎市(中原区)上小田中に移転
1944年11月 ㈱金岩工作所(現 富士通フロンテック㈱)をグループ会社化(1988年2月東京証券取引所に上
場)
1949年 5月 東京証券取引所再開と同時に上場
1951年 5月 電子計算機の製造を開始
1953年 8月 無線通信機器の製造を開始
1954年 4月 電子デバイスの製造を開始
1957年 6月 新光電気工業㈱をグループ会社化(1984年12月東京証券取引所に上場)
1960年12月 大阪証券取引所に上場(現在、東京証券取引所に統合)
1961年10月 名古屋証券取引所に上場
1962年 5月 富士通研究所を設置(1968年11月に㈱富士通研究所として独立)
1967年 6月 富士通株式会社に商号変更
1972年 4月 富士電気化学㈱(現 FDK㈱)をグループ会社化(1969年10月東京証券取引所に上場)
日産コンピュータ㈱(現 ㈱富士通ビー・エス・シー)をグループ会社化(2000年10月に店頭登
1975年 6月
録、2004年12月にジャスダック証券取引所(現 東京証券取引所JASDAQ(スタンダード))に上場、
2018年2月当社の完全子会社化により上場廃止)
1976年 4月 フランクフルト証券取引所に上場 (2009年12月上場廃止)
1981年10月 ロンドン証券取引所に上場 (2014年1月上場廃止)
チューリッヒ、バーゼル、ジュネーブの各証券取引所(現在、各証券取引所はスイス証券取引所に
1983年 9月
統合)に上場 (2009年12月上場廃止)
日商岩井㈱との合弁により㈱エヌ・アイ・エフ(ニフティ㈱に商号変更。現 富士通クラウドテク
1986年 2月
ノロジーズ ㈱)を設立(2006年12月東京証券取引所に上場、2016年7月当社の完全子会社化により
上場廃止)
保守部門の一部を分離独立し、富士通カストマエンジニアリング㈱(現 ㈱富士通エフサス)を設
1989年 3月
立(2004年10月株式交換により完全子会社化)
1990年11月 英国ICL PLC(現 Fujitsu Services Holdings PLC)をグループ会社化
1991年 4月 携帯電話の販売を開始
10月 米国にFujitsu Network Transmission Systems, Inc.(現 Fujitsu Network Communications,
Inc.)を設立
1995年12月
富士通館林システムセンター(現 館林データセンター)開設
1997年11月
富士通明石システムセンター(現 明石データセンター)開設
1999年10月 ドイツSiemens AGとの合弁によりFujitsu Siemens Computers(Holding)B.V.(現 Fujitsu
Technology Solutions (Holding) B.V.)を設立(2009年4月株式取得により完全子会社化)
2001年 9月 ㈱高見澤電機製作所と富士通高見澤コンポーネント㈱が株式移転により富士通コンポーネント㈱を
設立、東京証券取引所に上場 (2018年11月株式併合により上場廃止)
2002年 4月 サーバ事業及びストレージシステム事業を㈱PFUと共同で会社分割し、㈱富士通ITプロダクツを設
立
2005年 3月 プラズマディスプレイモジュール事業を㈱日立製作所に譲渡
4月 液晶デバイス事業をシャープ㈱に譲渡する契約を締結
2008年 3月 LSI事業を会社分割し、富士通マイクロエレクトロニクス㈱(現 富士通セミコンダクター㈱)を
設立
10月 Fujitsu North America Holdings, Inc.を設立
Fujitsu America, Inc.をFujitsu Management Services of America, Inc.へ商号変更
2009年 4月 Fujitsu Computer Systems CorporationがFujitsu Consulting Holdings Inc.と合併し、Fujitsu
America, Inc.へ商号変更
5月 第三者割当増資の引受によりFDK㈱を連結子会社化
7月 ハードディスク記憶媒体事業を昭和電工㈱へ譲渡
10月 ハードディスクドライブ事業を㈱東芝へ譲渡
2015年 4月 個人向けプロバイダ事業を㈱ノジマへ譲渡
カーエレクトロニクス事業を㈱デンソーへ譲渡
2017年11月
携帯端末事業をポラリス・キャピタル・グループ㈱へ譲渡
2018年 3月
個人向けパソコン事業を中国Lenovo Group Limitedへ譲渡
5月
富士通コンポーネント㈱を独立系投資会社ロングリーチグループへ譲渡
2019年 1月
5/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
3【事業の内容】
当社及び子会社418 社(うち連結子会社411社 )は、ICT(Information and Communication Technology)分野にお
いて、各種サービスを提供するとともに、これらを支える最先端、高性能かつ高品質のプロダクト及び電子デバイス
の開発、製造、販売から保守運用までを総合的に提供する、トータルソリューションビジネスを行っております。 主
要ビジネスである「テクノロジーソリューション」については、当社が中心となって、また、「ユビキタスソリュー
ション」、「デバイスソリューション」については、当社の連結子会社である富士通アイソテック㈱や富士通セミコ
ンダクター㈱が中心となって、 グループ各社とともに最先端のテクノロジーを駆使した製品の開発、製造及び販売並
びにサービスの提供を行っております。
各セグメントの主要な製品及びサービスの内 容並びに関連会社(67社)を 含めた当社及び関係会社各社の位置付け
(2019年3月31日現在)は以下のとおりです。
〔テクノロジーソリューション〕
主要製品・サービスの内容: ・システムインテグレーション(システム構築、業務アプリケーション等)
・ コンサルティング
・フロントテクノロジー(ATM、POSシステム等)
・ アウトソーシングサービス
(データセンター、ICT運用管理、アプリケーション運用・管理、
ビジネスプロセスアウトソーシング等)
・クラウドサービス(IaaS、PaaS、SaaS等)
・ネットワークサービス(ビジネスネットワーク等)
・システムサポートサービス
( 情報システム及びネットワークの保守・監視サービス等)
・セキュリティソリューション
・各種サーバ (メインフレーム、UNIXサーバ、基幹IAサーバ、PCサーバ等)
・ ストレージシステム
・ 各種ソフトウェア(OS、ミドルウェア)
・ ネットワーク管理システム
・光伝送システム
・携帯電話基地局
取り扱う主な会社 :当社
(子会社)
富士通フロンテック㈱、㈱富士通ITプロダクツ、富士通テレコムネットワークス㈱、
㈱富士通アドバンストエンジニアリング、㈱富士通九州システムズ、
㈱富士通総研、㈱富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ、
㈱富士通ビー・エス・シー、 ㈱富士通マーケティング、富士通エフ・アイ・ピー㈱、
㈱富士通エフサス、富士通ネットワークソリューションズ㈱、㈱PFU
Fujitsu Network Communications, Inc.、Fujitsu Services Holdings PLC、
Fujitsu America, Inc.、Fujitsu Australia Limited、
Fujitsu Technology Solutions (Holding) B.V.、
FUJITSU ASIA PTE. Ltd. 等
〔ユビキタスソリューション〕
主要製品・サービスの内容: ・パソコン
取り扱う主な会社 :当社
(子会社)
㈱トランストロン、富士通アイソテック㈱、㈱富士通パーソナルズ
Fujitsu Technology Solutions (Holding) B.V. 等
6/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
〔デバイスソリューション〕
主要製品・サービスの内容: ・LSI
・電子部品
(半導体パッケージ、電池等)
取り扱う主な会社 :(子会社)
富士通セミコンダクター㈱、新光電気工業㈱、FDK㈱等
上記の他、㈱富士通研究所が情報システム、通信システム及び電子デバイスに関する研究開発を行っております。
また、関連会社の事業の内容については以下のとおりです。
名称 事業の内容
空調機、情報通信機器及び電子デバイス製品の開発、製造及び販売並び
㈱富士通ゼネラル
にサービスの提供
富士通リース㈱
情報処理機器、通信機器等の賃貸及び販売
㈱ソシオネクスト SoCの設計、開発及び販売並びにサービスの提供
富士通コネクテッドテクノロジーズ㈱
携帯端末の開発、製造及び販売
富士通クライアントコンピューティング㈱
ノートパソコン、デスクトップパソコン等の開発、設計、製造及び販売
富士通コンポーネント㈱ 電子部品及び電子機器の開発、製造及び販売
富士通エレクトロニクス㈱
LSI及び関連ソフトウェアの設計及び開発並びに電子デバイスの販売
7/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
当社及び関係会社の状況を事業系統図で示すとおおむね以下のとおりです(2019年3月31日現在)。
(持分法適用関連会社)
㈱富士通ゼネラル、富士通リース㈱、㈱ソシオネクスト、富士通コネクテッドテクノロジーズ㈱、
富士通クライアントコンピューティング㈱、富士通コンポーネント㈱、富士通エレクトロニクス㈱等
8/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
4【関係会社の状況】
(1)連結子会社
2019年3月31日現在
関係内容
議決権に対
資本金
名称 住所 事業の内容 する所有割
役員の
(百万円)
営業上の取引等
合(%)
兼任等
富士通フロンテック㈱ ATM、店舗システム等の開発、製造及 製品の一部を当社へ納
東京都稲城市 8,457 53.47 あり
び販売並びにサービスの提供 入
※2
石川県かほく 各種サーバ、ストレージシステムの
㈱富士通ITプロダクツ 100 100 あり 当社製品の製造
市 開発及び製造
富士通テレコムネットワー
ネットワーク機器及びネットワーク
栃木県小山市 100 100 あり 当社製品の製造
クス㈱ システム等の製造
㈱富士通アドバンストエン ソフトウェアの設計及び開発並びに
東京都新宿区 100 100 あり 当社製品の開発
ジニアリング 運用及び保守サービスの提供
当社製品の開発、販
コンサルティング、システムの構築
㈱富士通九州システムズ 福岡市博多区 300 100 あり 売、導入サービスの提
及びサービスの提供
供
経営課題に関するコンサルティング 当社ビジネスモデルの
㈱富士通総研 東京都港区 200 100 あり
及び経済研究活動 検討、研究委託
㈱富士通ソーシアルサイエ ソフトウェアの開発及びシステムの
川崎市中原区 450 100 あり 当社製品の開発
ンスラボラトリ 構築
ソフトウェアの開発及び販売並びに
㈱富士通ビー・エス・シー 東京都港区 あり 当社製品の開発
1,970 100
サービスの提供
当社製品の販売及び保
コンサルティング、システムの構築
㈱富士通マーケティング 東京都港区 12,220 並びに情報システム向け機器の販 100 あり 守並びに当社パート
売、設置工事及び保守
ナーの支援
当社顧客に対するアウ
アウトソーシングサービス及びWeb
トソーシングサービス
富士通エフ・アイ・ピー㈱ 東京都港区 18,000 サービスの提供並びにシステムの構 100 あり
等の提供及び当社製品
築
の販売
情報システムの構築並びに保守及び
当社製品の販売及び保
運用サービスの提供並びに情報シス
㈱富士通エフサス 川崎市中原区 あり
9,401 100
テム向け機器及びソフトウェアの販
守
売
ネットワークシステムの企画、コン
富士通ネットワークソ
当社製品の販売及び保
サルティング、設計及び施工管理並
横浜市西区 3,942 100 あり
びに運用及び保守並びにサービスの
リューションズ㈱ 守
提供
当社顧客に対する情報
情報システム及びICT関連機器の開
石川県かほく システムサービスの提
㈱PFU 15,000 発、製造及び販売並びにサービスの 100 あり
市 供並びに当社製品の販
提供
売及び保守
自動車関連エレクトロニクス製品、
製品の一部を当社へ納
㈱トランストロン 横浜市港北区 1,000 及び車載用情報機器の開発、製造及 51.00 あり
入
び販売
デスクトップパソコン及びPCサーバ
富士通アイソテック㈱ 福島県伊達市 100 の製造並びにプリンタの開発、製造 100 あり 当社製品の製造
及び販売
9/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
関係内容
議決権に対
資本金
する所有割
名称 住所 事業の内容
役員の
(百万円)
営業上の取引等
合(%)
兼任等
パソコン、携帯電話等の販売及び
㈱富士通パーソナルズ 東京都港区 940 100 あり 当社製品の販売
サービスの提供
富士通セミコンダクター㈱ 製品の一部を当社へ納
横浜市港北区 60,000 LSIの設計、開発、製造及び販売 100 あり
※1 入
新光電気工業㈱ 半導体パッケージの開発、製造及び (0.01) 製品の一部を当社へ納
長野県長野市 なし
24,223
※2 販売 50.05 入
FDK㈱ 各種電池及び電子部品の開発、製造 製品の一部を当社へ納
東京都港区 31,709 58.89 あり
及び販売 入
※2
情報システム、通信システム及び電
㈱富士通研究所 川崎市中原区 5,000 100 あり 研究開発の受託
子デバイスに関する研究開発
ネットワーク機器・システムの開 当社製品の北米におけ
千米国ドル
Fujitsu Network
米国 発、製造、販売及び工事並びに関連 100 あり る開発、製造、販売、
240,815
Communications, Inc.
するサービスの提供 工事及び保守
コンサルティング並びにシステム構
千スターリン
当社海外顧客に対する
Fujitsu Services
築、保守及び運用に関する各種サー
グ・ポンド
英国 100 あり 情報システムサービス
ビスの提供並びに情報システム向け
Holdings PLC
1,598,001 の提供
機器及びソフトウェアの販売
※1
当社海外顧客に対す
る情報システムサー
コンサルティング並びにシステム構
ビスの提供、Fujitsu
千米国ドル
Fujitsu America, Inc.
築、保守及び運用に関する各種サー (100)
米国 あり
North America
ビスの提供並びに情報システム向け
664 100
※3
機器及びソフトウェアの販売
Holdings, Inc.の子
会社
コンサルティング 並びに システム構
千オーストラ
当社海外顧客に対する
Fujitsu Australia
オーストラリ 築、保守及び運用に関する各種サー
リア・ドル
なし 情報システムサービス
100
ア ビスの提供並びに情報システム向け
Limited
の提供
262,799
機器及びソフトウェアの販売
当社製品の欧州におけ
コンサルティング並びにシステの構
Fujitsu Technology
る開発及び製造並びに
千ユーロ
築、保守及び運用に関する各種サー
オランダ あり 当社海外顧客に対する
Solutions (Holding) B.V. 100
272,752 ビスの提供並びに情報システム向け
情報システムサービス
※1、※3
機器及びソフトウェアの販売
の提供
コンサルティング、システム構築、
千シンガポー
当社海外顧客に対する
保守及び運用に関する各種サービス
ルドル
FUJITSU ASIA PTE. LTD
シンガポール 100 あり 情報システムサービス
の提供並びに情報システム向け機器
30,445 の提供
及びソフトウェアの販売
10/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
(2)持分法適用関連会社
2019年3月31日現在
関係内容
議決権に対
資本金
する所有割
名称 住所 事業の内容
役員の
(百万円)
営業上の取引等
合(%)
兼任等
空調機、情報通信機器及び電子デバ
㈱富士通ゼネラル 当社製品の受託製造及
川崎市高津区 イス製品の開発、製造及び販売並び あり
18,089 44.10
※2 び販売
にサービスの提供
東京都千代田 情報処理機器、通信機器等の賃貸及 当社製品の賃貸及び販
富士通リース㈱ 1,000 20.00 あり
区 び販売 売
SoCの設計、開発及び販売並びにサー 製品の一部を当社へ納
㈱ソシオネクスト 横浜市港北区 30,200 40.00 なし
ビスの提供 入
富士通コネクテッドテクノ 製品の一部を当社へ納
川崎市中原区 9,196 携帯端末の開発、製造及び販売 30.00 あり
入
ロジーズ㈱
富士通クライアントコン ノートパソコン、デスクトップパソ 製品の一部を当社へ納
川崎市中原区 400 44.00 あり
ピューティング㈱ コン等の開発、設計、製造及び販売 入
電子部品及び電子機器の開発、製造 製品の一部を当社へ納
富士通コンポーネント㈱ 東京都品川区 500 25.0 0 あり
及び販売 入
当社子会社製品の販
LSI及び関連ソフトウェアの設計及び (30.00)
富士通エレクトロニクス㈱ 横浜市港北区 4,877 なし 売、富士通セミコンダ
開発並びに電子デバイスの販売 30.00
クター㈱の関連会社
(注)1.上記以外の連結子会社数は385社です。
2.上記以外の持分法適用関連会社数は19社です。
3.議決権に対する所有割合の欄の上段の( )内数字は間接所有割合で内数です。
4.※1の会社は特定子会社に該当します。
5.※2の会社は有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社です。
6.※3の会社は債務超過会社で、債務超過の金額は、2019年3月末時点で以下のとおりです。
Fujitsu Technology Solutions (Holding) B.V.(その連結子会社を含む) 87,372百万円
Fujitsu America, Inc.(その連結子会社を含む) 12,560百万円
11/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
2019年3月31日現在
従業員数(人)
セグメントの名称
112,337
テクノロジーソリューション
2,992
ユビキタスソリューション
10,762
デバイスソリューション
6,047
その他、全社共通
132,138
合計
(注)1.従業員数は就業人員(当社グループ(当社及び連結子会社)からグループ外への出向者を除き、グループ外
から当社グループへの出向者を含む。)です。
2.「その他、全社共通」には、当社グループ各社へのサービスを提供する子会社等の従業員数が含まれており
ます。
3.上表のほか、当連結会計年度(以下、当年度)における平均臨時雇用人員は13,707人です。
4.当年度において連結会社の従業員数は前年度末より8,227名減少しておりますが、富士通クライアントコン
ピューティング㈱、富士通コンポーネント㈱、富士通エレクトロニクス㈱の株式の譲渡に伴い、これらの3
社が当社の連結子会社でなくなったことおよびグループ外へのキャリア転身支援に伴う人員の変動などによ
るものです。
(2)提出会社の状況
2019年3月31日現在
従業員数(人) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(円)
31,827 43.2 19.2 7,985,114
従業員数(人)
セグメントの名称
28,213
テクノロジーソリューション
554
ユビキタスソリューション
3,060
その他、全社共通
31,827
合計
(注)1.従業員数は就業人員数(当社から当社外への出向者を除き、当社外から当社への出向者を含む。)です。
2.平均年間給与は、税込額で時間外勤務手当等及び賞与その他の臨時給与を含んでおります。なお、就業人員
数 から、当社外から当社への出向者を除いて算出しております。
3.平均年齢及び平均勤続年数は、就業人員の平均です。
4.「その他、全社共通」には、コーポレート部門等の従業員数が含まれております。
(3)労働組合の状況
当社グループには、全富士通労働組合連合会等が組織されており、同組合員数は約65,000名です。なお、春季
交渉等、同組合との主要な交渉事項については、いずれも解決しており、労使関係は引き続き安定しておりま
す。
12/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
第2【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等
当社グループは、常に変革に挑戦し続け、快適で安心できるネットワーク社会づくりに貢献し、豊かで夢のある未来
を世界中の人々に提供することを企業理念としております。そのためには、健全な利益と成長を実現し、企業価値を持
続的に向上させることが重要と考えております。
情報機器やネットワークの高度化を背景に、社会や経済の至るところでICTの活用が広がり、従来の業界の枠組みを
超えた新たなビジネスが生まれるなど、市場構造の変革が進んでおります。消費者の行動が変化し、またグローバルな
競争が加速する中で、企業において新しいテクノロジーをビジネスの変革や競争優位の確保に活かす動きが高まってい
ます。また、防災、エネルギー、環境、医療など、社会の抱える様々な課題を解決し豊かな社会の実現に貢献すること
が、ICTの新たな役割として期待されています。
このような環境下において、当社グループは、テクノロジーソリューションを中核とした真のサービスカンパニーに
なることを目指しております。
当社グループは、2015年度より「連結営業利益率10%以上」などの経営目標を掲げ、コア事業へのフォーカスを進め
る「形を変える」取り組み、成長を加速する「質を変える」取り組みを進めてまいりました。このうち、「形を変え
る」取り組みについては、2018年度までに一定の成果を上げることができたことから、今後は、「質を変える」取り組
みにより集中してまいります。コア事業であるテクノロジーソリューションでの成長を目指し、3つの施策を進めてま
いります。
1つ目は、当社の主要マーケットである日本国内において、一層のシェア向上を図るため営業改革に取り組んでまい
ります。これまでグループ各社に分散していた1万人を超える国内営業人員について、グループ全体の視点で最適な配
置を検討し、重点分野へパワーシフトしてまいります。
2つ目は、より強い事業体質の確立のための事業強化として、グローバルで統一された商品開発、世界の有力なパー
トナーとのより一層の連携、世界各地の市場特性に合ったスピーディなサービス提供、グローバルに競争力のある人材
の獲得・育成を進めてまいります。
3つ目は、新たなグローバル体制の構築のため、各リージョンにおけるマーケティング機能を強化し、世界中から集
めた情報をグローバルな営業戦略や事業戦略にスピーディに反映していきます。グループ会社についても、機能の重複
やリソースの分散を解消するため、組織の最適化に取り組んでまいります。
これらの「質を変える」取り組みを早期に実現するため、2018年度に経営体制の見直しを実施いたしました。まず、
事業部門を「テクノロジーソリューション部門」として集約し、指揮系統のシンプル化と、従来の部門を越えたシナ
ジーの創出を図ってまいります。これに伴い、「連結営業利益率10%以上」については、今後はテクノロジーソリュー
ションをベースとした目標として達成を目指してまいります。次に、海外ビジネスについては、売上規模を追うのでは
なく、お客様へのさらなる価値提供を目指し、より強固な収益体質を築くことを優先いたします。そのため、EMEIA
リージョンにおいては、製造機能を終息して販売機能に集中するとともに、プロダクトビジネスへの依存度が高い不採
算拠点を整理し、顧客基盤が強い拠点へ経営資源を集中してまいります。
2019年度は、上記3つの施策を推し進め、デジタル時代における成長のための投資を続けて、グローバルでの競争力
を維持するとともに、積極的な変革に取り組んでまいります。
なお、当社グループは、企業価値の維持・向上の観点から、コンプライアンスを含む内部統制体制の構築及び運用を
経営の最重要事項の一つと認識し、FUJITSU Wayの「行動規範」に則り、その徹底を図っております。コンプライアン
スに関する取り組みの一層の強化も対処すべき課題と位置づけ、今後も、継続して取り組んでまいります。
13/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
(2)気候変動・エネルギー問題への対応
気候変動は国・地域を超えて世界に影響を与える問題であり、グローバルに活動する当社にとって重要な課題である
と認識しています。
各国・地域における温室効果ガス排出規制の導入・強化や、世界の平均気温上昇に伴う自然災害の発生頻度・影響度
の増大など気候変動に伴う影響は、事業におけるエネルギーコストや温室効果ガス削減施策に必要なコストの高騰、さ
らに調達・物流網の寸断など、様々なリスクをもたらします。さらなる省エネの強化や低/ゼロ排出エネルギーの利用
の推進と、サプライチェーン管理の強化が必要です。
一方、気候変動への対応は、当社グループのお客様においても課題であることから、気候変動の緩和と適応に貢献す
る製品やサービスの開発と提供は、お客様とともに課題克服のイノベーションを創出する機会につながります。ICTに
より多様なモノやサービスをデジタルにつなげることで、物流や交通、ものづくりなど様々な分野でエコシステムを形
成し、社会システム全体としてのエネルギーの最適利用を実現するとともに、先進テクノロジーをレジリエントな社会
インフラの構築などに活用することが可能です。
こうした背景を踏まえ、当社グループは、グローバルICT企業として、気候変動対策において果たすべき役割や実現
すべき未来の姿を明確にした2050年までの中長期環境ビジョン「FUJITSU Climate and Energy Vision」を策定しまし
た。本ビジョンは、ICTを活用し自らの「脱炭素化」にいち早く取り組むこと、及び、そこで得たノウハウと当社のデ
ジタルテクノロジーをソリューションとしてお客様・社会に提供し、ビジネスを通して気候変動の緩和と適応に貢献す
ることを狙いとしています。
本ビジョンの実現に向け、2018年に、事業で使用する電力を100%再生可能エネルギー(以下、再エネ)とすること
を目指す国際的なイニシアチブ「RE100」に加盟しました。国内外の富士通グループ拠点で消費する電力を2050年まで
に100%再エネ由来とすることを目指すと共に、エネルギーのマネジメントや貯蔵などの研究開発や技術実証に取り組
み、社会全体の再エネの普及拡大にも貢献していきます。
自らの「脱炭素化」について具体的には、2050年までに自らのCO2ゼロエミッションを掲げていますが、そのCO2削減
シナリオは、「2℃目標」(注1)達成のために科学的に根拠のある水準であると認められ、国際的なイニシアチブ
「Science Based Targets initiative(SBTi)」(注2)に承認されています。長期目標の達成に向け策定している短
期目標「第8期富士通グループ環境行動計画」において、2017年度の温室効果ガス排出量削減目標を達成しました。
2017年度の温室効果ガス排出量は、直接排出(Scope1)が198千トン、間接排出(Scope2)が939千トンでした。
こうした気候変動に係るリスクと機会に関する具体的な方針や目標の管理は、代表取締役社長を主宰とする「環境経
営委員会」において実施され、経営会議での最終決定の後に取締役会に報告されます。さらに、取締役会の監督の下、
全社レベルのリスクマネジメント体制において統合的に気候変動関連のリスク分析と対応が行われます。
当社は、2019年4月にTCFD(注3)による気候変動情報開示への提言に賛同を表明し、比較可能性や一貫性に配慮した
開示に努めています。
最新の情報と詳細は、当社ウェブサイトをご参照ください。
(注)1.「産業革命前からの平均気温上昇を2℃未満に抑える」という目標。国連気候変動枠組条約第21回締約国会
議において、2020年以降の温暖化対策の国際的枠組みとして採択され、2016年11月にパリ協定において発効
されました。
2.2015年に国連グローバルコンパクト、WRI(世界資源研究所)などの団体が共同で設立したイニシアチブ。
産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑えるために、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標の
設定を企業に働きかけています。
3.気候関連財務情報開示タスクフォース。気候変動に係る金融市場の不安定化リスクを低減するため、G20の
要請で金融安定理事会が設立。2017年6月に、気候変動がもたらすリスク、および機会についての情報企
業・団体等が自主的に把握、開示することを推奨する提言を発表しました。
(3)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、企業価値を向上させることが、結果として買収防衛にもつながるという基本的な考え方のもと、企業価値向
上に注力しているところであり、現時点で特別な防衛策は導入しておりません。
当社に対して買収提案があった場合は、取締役会は、当社の支配権の所在を決定するのは株主であるとの認識のも
と、適切な対応を行います。
14/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
2【事業等のリスク】
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な
ものとしては、以下の内容が挙げられます。当社グループは、これらのリスクを適切に把握し、対応することを経営
における重要な課題と位置づけ、取締役会が決定した「内部統制体制の整備に関する基本方針」に基づき、リスクマ
ネジメント及びコンプライアンスにかかる最高決定機関として、「リスク・コンプライアンス委員会」を設置してい
ます。リスク・コンプライアンス委員会を中心として、これらのリスクを認識・評価した上で、リスクの回避・軽
減・移転・保有を判断、実行し、万一発生した場合には影響の極小化に努めてまいります。
なお、以下の内容は、当社グループの全てのリスクを網羅するものではありません。本項においては、将来に関す
る事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日(2019年6月24日)現在において当社グループが判
断したものです。
(1)経済や金融市場の動向に関するリスク
①主要市場における景気動向
当社グループは、日本国内及び世界各国で、政府等の公共機関や企業等に、ICTを活用したサービス、サーバやス
トレージ等の製品、ネットワーク製品、半導体等を提供しております。これらの事業の売上及び損益は、景気動向及
び各市場における急激な需給バランスの変化に大きく左右されます。特に、当社グループの主要市場である、日本、
欧州、北米、中国を含むアジアにおける景気動向及び急激な需給バランスの変化は、当社グループの事業に大きな影
響を与えます。また、こうした市場の変化に対応するため、当社グループでは継続的に構造改革を行っております
が、急激な変化が発生した場合には、構造改革の規模が想定以上に大きくなることがあり、それに伴う一時的な費用
の発生が増大することがあります。
②為替動向と金利変動及び資本市場の動向
当社グループは、海外での事業拡大を進めております。そのため米ドルやユーロ、ポンドに代表される為替の急激
な変動は、海外ビジネスの売上及び損益に影響し、海外に提供する製品やサービスの価格競争力の低下等を招くおそ
れがあります。また、為替の急激な変動は、海外からの部材等の輸入や製品等の輸出に大きな影響を及ぼす可能性が
あります。さらに、当社グループが海外に保有する資産・負債等についても、為替変動により資産等が目減り、又は
負債等が増大する可能性があります。
当社グループの有利子負債の中には金利変動の影響を受けるものが含まれています。従って、金利上昇によって支
払金利や調達コストが増加することがあります。
また、国内外の株式市場の動向は、当社グループの保有する他社株式の評価額及び年金資産の運用状況に大きく影
響を及ぼします。従って、株式市場が低迷した場合、年金資産の目減りにより会社負担が増大したり、保有株式の評
価減が発生したりするおそれがあります。
(2) お客様に関するリスク
当社グループのビジネスは、日本政府、自治体、各国政府等の公共機関、情報通信事業、金融業、大手製造業等の
お客様との取引割合が高くなっております。これらのお客様の政策・方針や、業界の経営環境、市況変化、業界再編
の動き等は、お客様のICT投資動向の変化につながり、当社グループの売上や損益に大きな影響があります。また、
お客様のICT投資計画やその見直し及びお客様の製品やサービスの売れ行き等は、当社グループの製品やサービスの
需要や価格に大きな影響があります。お客様の製品やサービスの需要の低迷、価格下落、事業縮小、市場シェアの低
下、又はICT投資の抑制は、当社グループの売上及び損益に影響を与えます。また、海外ビジネスにおいては、英国
での政府系のプロジェクトが重要な事業となっています。そのため、英国政府のICT投資計画の見直しや抑制があっ
た場合、当社グループの売上及び損益に影響を与えます。
なお、当社グループは、お客様のかけがえのないパートナーとなり、ICTのライフサイクルにわたるソリューショ
ンを提供し、お客様と長期的な信頼関係を築くことを目指しており、お客様との関係継続が事業の安定にとって重要
です。お客様との信頼関係が継続できない場合若しくは、取引又は契約関係が継続できない場合、当社グループの売
上及び損益に影響を与えます。
(3) 競合・業界に関するリスク
市況の変化や競争激化、技術革新等は製品やサービスの価格下落につながる可能性があります。当社グループは、
技術の進歩や競争激化等によるクラウドサービス等のICTサービスの低価格化を想定し、お客様のニーズや他社状況
を把握して、競争力のある製品・サービスのラインナップを拡充することで販売拡大に努めるとともに、コストダウ
ンに取り組んでおりますが、価格下落が当社グループの想定を上回るリスクや、調達価格の変動等により当社グルー
プが十分なコストダウンや販売拡大を実現できないリスクがあります。そのような場合、当社グループの売上及び損
益に影響があります。
また、ICT業界では、既存の競合他社に加え、異業種を含めた新規参入者との競争も激しくなっています。現在、
当社グループが競争優位性を持っている分野でも、新規参入業者を含めた競合他社との競争に晒されており、将来の
15/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
事業において優位性を確保できないリスクがあります。ICT業界では技術の進歩が大変早く、新製品や新技術は急速
に陳腐化します。競争力の維持のためには、先端技術の開発を続けることが必要です。当社グループは技術やサービ
ス の優位性を確保する努力を最大限行いますが、これらの技術開発競争で他社に優位性を奪われた場合、シェアや利
益率が低下し、当社グループの売上及び損益に影響を及ぼします。
(4) 投資判断、事業再編に関するリスク
ICT業界においては、競争力維持のため、多額の研究開発投資、設備投資及び事業買収・売却、事業再編等が必要
な場合があります。当社グループは、今後も必要な施策を実行してまいりますが、これらの実施の成否は、当社グ
ループの経営成績に重要な影響を及ぼします。当社グループでは、投資や事業再編にあたって、市場動向やお客様の
ニーズ、当社技術の優位性、買収先の業績、当社グループの事業ポートフォリオ等を勘案して決定しておりますが、
当社グループが有望と考えた市場や技術、又は買収先が、実際には想定ほど成長しなかったり、需給悪化や価格下落
が予想以上に早く起きたりする可能性があります。また、当社グループでは、投資効率を検討し、所要変動に応じて
投資を複数段階に分けて行ったり、事前にお客様と提携したりと、リスクを軽減する努力をしておりますが、常に投
資から十分なリターンを得られるとは限りません。
(5) 調達先、提携等に関するリスク
①調達に関わるリスク
当社グループが提供する製品やサービスは、最先端の技術を使用しており、一部の部品、原材料等については、安
定的な調達が困難であったり、供給が滞った場合の代替の調達先を確保できなかったりするリスクがあります。ま
た、大量に調達が必要な部品、原材料等について、必要な量を調達できないリスクがあります。さらにお取引先にお
いて、自然災害、事故、経営状況の悪化等により、当社グループに対する部品、原材料等の安定的な提供が困難にな
るリスクがあります。当社グループは、調達のマルチソース化、お取引先への事業継続マネジメント(BCM:Business
Continuity Management)の働きかけや支援の強化並びに適正な在庫の確保といった取り組みによってサプライ
チェーンの維持の努力をしておりますが、それでも部品、原材料等の確保が十分に行えなかった場合、製品及びサー
ビスの提供が遅れ、お客様への納期遅延や機会損失等が発生する可能性があります。また、調達部品等について、為
替動向や需給逼迫等により調達価格が当初見込みを上回り、製品及びサービスの利益率の悪化や、値上げによる売上
の減少が起きる可能性があります。また、調達部品等については、できる限り品質確保に努めておりますが、購入部
品の不良を完全に防げるとは限りません。購入部品に不良があった場合、納期遅延や、製品不良が発生し、機会損
失、修理回収費用、不良品廃却費用、お客様への賠償責任等が発生する可能性があります。
②提携、アライアンス、技術供与に関するリスク
当社グループは、グローバルなICTビジネス環境における競争力強化のため、業務提携、技術提携、合弁等の形
で、多くの会社と共同で活動を行っており、引き続きこのような活動を前向きに活用する予定です。しかし、経営、
財務あるいはその他の要因により、このような協力関係を成立又は継続できない場合や、これらの協力関係から十分
な成果を得られない場合には、当社グループの事業に影響を及ぼすことがあります。また、当社グループの製品や
サービスは、他社の許諾を受けて使用している多くの特許や技術、ソフトウェア、商標等を前提としております。こ
れらの技術等について、今後も当社グループが許容できる条件で、他社からの供与や使用許諾を受けられるとは限り
ません。
(6) 公的規制、政策、税務に関するリスク
当社グループの事業活動は、グローバルに展開しているため、各国・各地域の数々の公的規制、政策動向、税務法
制、運用等の影響を受けます。具体的には、事業展開する各国において、政府の政策、事業及び投資の許可、輸出入
に関する制限等のさまざまな規制並びに、独占禁止、知的財産権、消費者、環境・リサイクル、労働条件、派遣・下
請、租税等に関する法令の適用を受けております。これらの政策や規制等の強化や変更は、対応コストの増加や仮に
違反が認定された場合の制裁金等の負担により、当社グループの損益に影響を与えます。また、当社グループがソ
リューションを提供する分野には、通信、医療、工事、個人情報の取扱い等、公的規制を受ける領域があります。こ
れらの市場における規制の動向が当社グループの事業へ影響を与える可能性があります。
(7)自然災害や突発的事象発生リスク
①自然災害、感染症、火災等によるリスク
当社グループでは、防災に関する強固な連携体制の構築と事業継続対応能力強化を図るため、全社防災組織を編成
し、様々な訓練を実施しております。また、過去の地震における対応を教訓として、事業所における耐震対策や定期
点検の取り組みについても強化しております。さらに、地震や大規模な水害、火山の噴火等の自然災害、新型インフ
ルエンザ等の感染症の流行、事故による火災・爆発等の発生時にも、重要な事業を継続し、企業としての社会的責任
を遂行するとともに、お客様が必要とする高性能・高品質の製品やサービスを安定的に供給するために、事業継続計
16/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
画(BCP:Business Continuity Plan)を策定し、その継続的な見直し及び改善を実施する事業継続マネジメント
(BCM)を推進しております。
しかしながら、近年、世界的な気候変動により、台風、水害、大雪等の自然災害の発生頻度や影響度は高まってお
ります。また、首都直下、南海トラフ等における巨大地震、感染症のパンデミック、火山噴火等の不測の事態は、十
分に影響度を検討して策定したBCPにおいても、被害想定を超えた規模で発生する可能性があり得ると考えられま
す。当社グループは、防災対策やBCMを今後も継続して推進してまいりますが、このような事態が発生した場合、事
業所の機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへ
の被害等により、お客様へのサービス提供や製品出荷等の停止など、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす
可能性があります。
②紛争・テロ・政情不安等に関するリスク
当社グループが事業活動を展開する国や地域において、紛争やテロ、デモ、ストライキ、政情不安等が発生した場
合、当社の事業に大きな影響を与えるリスクがあります。
(8) 財務に関するリスク
外部の格付け機関が当社グループに対して発行する格付け(CSR・サステナビリティ関連の格付けを含む)は、資
金調達や企業レピュテーションに大きな影響を及ぼすとともに、お客様と取引する際の信用情報として使われること
があります。当社グループでは、流動性の確保、資金繰り・資金調達計画の策定、金融市場動向の分析等、資金調達
に関するリスクへの対応を行っていますが、収益計画の未達や財務状況の悪化等の理由によりこれらの格付けが引き
下げられた場合、当社グループの資金調達に影響を与えるほか、入札等、取引参加において不利になる可能性があり
ます。
また、当社グループでは、与信管理に関する情報の共有及び外部機関の信用不安情報の共有と動向監視、債権保全
に関するアドバイス・指示及び注意喚起の実施等、与信管理に関するリスクへの対応を行っていますが、取引先の経
営悪化や経済情勢の悪化等の信用不安により売掛債権の回収に影響を及ぼす可能性があります。
(9)製品やサービスの欠陥や瑕疵に関するリスク
当社グループでは、FUJITSU Wayにおいて、品質を事業活動の根幹に関わる事項として捉え、快適で安心できる
ネットワーク社会を支えるために、その維持・向上に日々たゆまず取り組んでおります。
システムの受託開発については、品質管理の全社ルールを定め、ソフトウェアのモジュール化、開発の標準化、セ
キュリティ対応の強化等による品質向上に努めておりますが、納入後に瑕疵等が発生する可能性があります。また、
お客様要求の高度化、システムの複雑化が進み、開発難度がますます高まっており、同時に競争の激化による価格低
下圧力が格段に強まっております。これらに対し、お客様との契約のあり方を見直すとともに、営業・SEのビジネス
プロセスの標準化を進め、商談発生時からプロジェクトの進行を通じてリスク管理を行い、納期遅延や不採算プロ
ジェクトの発生を抑制しております。併せて損失の引当ても適時に実施しております。また、システム開発の工業化
等、コスト競争力の強化にも努めております。しかしながら、これらによっても、納期遅延や不採算プロジェクトが
発生する可能性があります。
また、製品・サービスの運用・保守業務については、安定稼動のため、お客様と協働での点検や品質、契約、ルー
ル等を改善する活動を継続的に行っておりますが、瑕疵等が発生する可能性があります。
さらに、製品の設計・開発・製造については、品質管理の全社ルールを定め、品質の向上及び外部購入品の品質管
理強化を進めておりますが、当社製品において、欠陥や瑕疵等が発生する可能性があります。
このような製品及びサービスの欠陥、瑕疵等が発生した場合、製品回収や補修、システムリカバリー作業や、お客
様への補償、機会損失等が当社グループの売上及び損益に影響を及ぼします。また、万一欠陥、瑕疵等への対応にお
ける判断誤りや組織的な不正があった場合、企業レピュテーションは傷つき、当社グループの損益への影響を拡大さ
せる可能性があります。
(10)コンプライアンスに関するリスク
当社グループは、FUJITSU Wayにおいて、当社グループの従業員として厳守すべきことを行動規範として定め、ま
た、これを詳細化して個々の従業員が行動する際のガイドライン(GBS: Global Business Standards)をグループで
統一的に運用するなど、社内ルールの浸透と徹底、規範遵守の企業風土の醸成と、そのための社内体制や仕組みの構
築を推進しています。しかしながら、このような施策を講じても、コンプライアンス上のリスクを完全に排除するこ
とはできない可能性があり、国内外の関連法令、規制などに抵触する事態が発生した場合には、当社グループの社会
的な信用が低下し、あるいは、多額の課徴金や損害賠償が請求されるなど、当社グループの事業に影響を及ぼす可能
性があります。
(11)知的財産に関するリスク
17/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してまいりましたが、当社グループ独自の技術と
ノウハウの一部は、特定の地域では法的な制約のために知的財産としての十分な保護が受けられない場合がありま
す。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使って類似製品等を製造、販売するのを効果的に防止できない可
能 性があります。また、他社が類似、若しくはより優れた技術を開発した場合、当社グループの知的財産の価値が低
下する可能性があります。また、当社グループでは他社の知的財産を侵害することのないよう、社内規定の整備や製
品出荷前の他社知的財産調査の徹底等を行っておりますが、当社グループの製品やサービス又は技術について、他社
の知的財産を侵害しているとされ、使用料支払いや設計変更費用等が当社グループの損益に影響を及ぼす可能性があ
ります。また、当社グループは、従来より従業員の発明に対して、職務発明補償・報奨を積極的に行い、今後も法令
等に基づいた職務発明補償・報奨を実施いたしますが、補償・報奨評価に対して発明者から訴訟を提起されるリスク
があります。
(12)セキュリティに関するリスク
①情報セキュリティに関するリスク
お客様、お取引先、又は当社グループの機密情報や個人情報の保護については、社内規定の制定、従業員への教
育、情報インフラの整備、業務委託先も含めた指導等の対策を実施しておりますが、情報漏洩を完全に防げるとは限
りません。万が一、情報漏洩が起きた場合、当社グループの信用は低下し、お客様の情報を漏洩した場合には、法的
責任が発生するおそれがあります。
②サイバーセキュリティに関するリスク
当社グループの重要な事業活動基盤の一つである社内ネットワークにつきましては、安定した運用を行うための万
全の体制を構築し、セキュリティ対策を実施しておりますが、コンピュータウイルスの侵入や不正アクセス等のサイ
バー攻撃による社内ネットワークやシステムの運用停止や情報漏洩等を完全に防げるとは限りません。その結果、当
社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
③物理セキュリティに関するリスク
当社グループは、保有又は賃借している事業所等において、セキュリティゲート、ドア、カメラ等による入退室の
制限と管理により、重要情報の漏洩の防止対策等を図っておりますが、物理的な破壊による業務停止や情報漏洩等を
完全に防げるとは限りません。
(13)人材に関するリスク
当社グループの成長と利益は、人材に大きく依存します。従って、経営者、優秀な技術者等、必要とする人材を採
用及び育成し、並びに流出を防止することは当社グループにとって重要であり、このような人材を採用又は育成する
ことができない場合や、優秀な人材の流出を防止できない場合、当社グループの成長や利益に影響を及ぼす可能性が
あります。
また、従業員との間で労働契約の終了に関する合意が円滑になされない場合、法令に基づく適切な労務管理ができ
ないこと等により従業員に重大な労働災害が発生した場合など、労務問題によって企業レピュテーションの毀損や紛
争につながる可能性があります。
(14)当社グループの施設・システムに関するリスク
当社グループでは、国内外に事業所、工場、データセンターなど様々な施設を保有又は賃借しております。いずれ
の施設についても、各国の建築基準その他の規制を遵守し、また独自に安全基準を設けるなどしておりますが、地
震、大規模な水害、火災、放射能汚染等の災害や、テロ、デモ、ストライキ、施工品質の不足、運用ミスなどが発生
した場合、生産ラインの停止等、施設・システムの運用が停止することにより、当社グループの事業に影響を及ぼす
可能性があります。
(15)環境・気候変動に関するリスク
当社グループでは、FUJITSU Wayにおいて社会に貢献し地球環境を守ることを企業指針の一つに掲げ、環境保全を
経営の最重要事項の一つと位置付けて、環境負荷の低減や環境汚染の発生防止等に努めておりますが、事業活動を通
じて環境汚染等が発生しないとは限りません。また、当社グループ工場跡地において、土壌や地下水の調査及び浄化
活動を行っていますが、今後新たな汚染が判明しないとも限りません。このような環境汚染が発生又は判明した場
合、当社グループの社会的な信用低下や、浄化処理等の対策費用発生等により損益に影響を及ぼします。
また、近年の気候変動により発生頻度・影響度が増大した自然災害は、調達・物流・エネルギー供給網を寸断し、
気温の長期的な変化は空調エネルギー使用量の増加を招くなど、当社グループの事業へ影響を与える可能性がありま
す。さらに、気候変動に対しては温室効果ガスの排出規制等の様々な規制の強化が考えられ、これらの規制等に適合
ができない場合には、企業レピュテーションが低下したり、規制への適合を条件とする入札に参加できなくなったり
する可能性があります。また、これらの規制等に適合するために必要なコストが増加する可能性があります。
18/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要、経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)並びに持分法適用会社の経営成績、財政状態及び
キャッシュ・フローの状況の概要、経営者の視点によるグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内
容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2019年3月31日)現在に
おいて判断したものであります。
文中において、当連結会計年度は当年度、前連結会計年度は前年度と、省略して記載しており ます。
① 当社グループの課題及び取り組み
現在、世界中のあらゆる場面において最新のデジタル技術をビジネスの中核となる業務プロセスに組み込むこと
で、ビジネスの仕組みを大きく変えるデジタル革新が加速しており、AIやIoT(Internet of Things)などの最先端
技術が私たちの世界や生活をより良いものに変えていくと期待されています。
当社はセキュアなICT基盤をベースに、つながるものから生み出される膨大なデータの整理・可視化と、AIによる
お客様の意思決定の高度化を実現することを「つながるサービス」と名付け、お客様の事業強化や新たなイノベー
ション創出といった価値を提供しています。また、「つながるサービス」を通じて、ビジョンを共有し価値を共感で
きる組織とのCo-creationを行い、新たなビジネスモデルの構築を加速させています。
当社は2015年10月に経営方針を策定し、中期的な経営目標として(ⅰ)営業利益率10%以上、(ⅱ)フリー・
キャッシュ・フロー1,500億円以上、(ⅲ)自己資本比率40%以上、(ⅳ)海外売上比率50%以上の達成を掲げ、ビジ
ネスモデル変革に向けた事業構造の抜本的見直しを進めてきました。その主要な柱は、「テクノロジーソリューショ
ン」「ユビキタスソリューション」「デバイスソリューション」の3事業分野にわたる垂直統合型から、「テクノロ
ジーソリューション」を軸としたビジネスへの移行、すなわち「形を変える」変革と、デジタルテクノロジーをベー
スとした「つながるサービス」の拡大を目指す「質を変える」変革の2つです。
この3年間の取り組みを振り返ると、「形を変える」変革については、ユビキタスソリューション、デバイスソ
リューションの主要ビジネスを独立事業化するなど、着実な前進がありました。特に当年度には、パソコン事業を独
立分社化するとともにLSI事業では三重工場および販社機能の譲渡が決定し、テクノロジーソリューション事業にグ
ループのエネルギーを注力できる体制となったことから、「形を変える」変革については一山越えたと考えていま
す。一方で、「質を変える」変革については、想定したスピードで進んでおらず、成長ドライバーとしてのデジタル
ビジネスの本格化など十分な成果を出しているとは言えない状況です。このため、2018年10月に、成長に向けた新た
な施策を打ち出すとともに、経営目標として掲げた数値項目のうち、営業利益率については達成までの時間軸を見直
すこと、海外売上比率については売上規模を追うのではなくお客様へのさらなる価値提供を目指し、より強固な収益
体質を築くことを優先し当面の経営指標から除外することを決定しました。
[「形を変える」変革の進捗(テクノロジーソリューションへの経営資源集中)]
2018年5月に、当社とLenovo Group Limited及び日本政策投資銀行は、グローバル市場に向けたパソコン及び関連
製品の研究開発・設計・製造・販売を行う合弁会社(持株比率はそれぞれ、44%、51%、5%)を設立しました。当社は
引き続き、高品質かつ革新的で信頼性の高い富士通ブランドのPC製品とサポートサービスをグローバルな法人のお客
様に提供し、テクノロジーソリューションと合わせて、お客様のデジタル革新に貢献していきます。
2018年6月に、半導体子会社である富士通セミコンダクター株式会社(以下、FSL)はユナイテッド・マイクロエレ
クトロニクス・コーポレーション(以下、UMC)と、両社合弁運営の300mm半導体製造工場である三重富士通セミコン
ダクター株式会社(以下、MIFS)の全株式をUMCに譲渡することを決定しました。UMCが現在保有するMIFS株式15.9%
に加え、残りの84.1%のMIFS株式をFSLからUMCに譲渡することにより、MIFSは100%子会社として台湾に本拠を置くUMC
に加わります。また2019年1月に、FSLは加賀電子株式会社(以下、加賀電子)に対して、半導体販売子会社である富
士通エレクトロニクス株式会社(以下、FEI)の株式70%を譲渡しました。なお、FSL保有の30%のFEI株式について
は、2021年内を目途に今後段階的に加賀電子に譲渡していく予定です。
2019年1月に、電子部品事業子会社である富士通コンポーネント株式会社(以下、FCL)の資本構成を変更しまし
た。FCLは独立系投資会社ロングリーチグループの関連会社からの増資を受け、さらに当社がFCLの自社株買いに応じ
ることで、資本持分は当社25%、ロングリーチグループ75%となりました。FCLの財務基盤を強化し、独立性を高めつ
つ成長力を強化します。
2019年4月に、富士通エフ・アイ・ピー株式会社(以下、FIP)のデータセンターサービス事業を吸収分割により当
社に統合しました。近年のクラウドサービスの普及とともに、より高度な知見が求められるマルチクラウドやHybrid
IT(注1)などデジタルサービスへのお客様のニーズの高まりに対し、データセンターを共通基盤としてタイムリーに
サービス提供するための体制を強化しています。
(注1) オンプレミスとパブリック・プライベートクラウドといった異なるICT環境をつなぐシステムを指します。
[「質を変える」変革の加速に向けた施策]
19/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
2018年10月に発表した成長に向けた施策は、お客様に対するアプローチを転換し、「パートナー」としての新たな
関係の構築を目指すものです。従来はお客様の要望を受けてからのサービス提供となっていましたが、今後はお客様
の 経営・事業戦略を検討するいわゆる「上流」の段階で、お客様とともに課題を検討する提案型のサービス提供へ転
換いたします。そのための具体的な方策が、「国内ビジネスの営業改革」と「事業の強化」です。
「国内ビジネスの営業改革」に関しては、国内ビジネスのさらなる強化に向けて、営業体制を刷新します。営業部
門の専門性と機動性を従来以上に高めます。当社グループは現在、国内に1万人を超える営業人員を擁しています
が、せっかくの人材がグループ内で分散しています。この状況を見直し、営業人員を重点分野であるデジタルビジネ
スにシフトし、従来型のお客様業種別のアカウント営業に加え、「LoB(注2)」「デジタルテクノロジー」「クロスイ
ンダストリー」に対応した専門営業を拡充します。
(注2) Line of Businessの略。企業の間接機能に対して、事業部などの現場部門を指します。
「事業の強化」に関しては、開発のグローバル化、自前主義からの脱却、市場特性に合ったスピーディなサービス
提供、グローバルな人材の強化という4つの基本方針に沿って施策を展開します。この基本方針に基づく具体的な施
策としては、(ⅰ)サービスインテグレーションビジネスの強化、(ⅱ)グローバルな商品力の強化、(ⅲ)ネット
ワークビジネスの再構築、(ⅳ)海外ビジネス、特にEMEIAビジネスの再構築です。
[成長に向けたリソースシフト]
営業部門、デリバリー部門に加え、現在、グループ会社含め約1.6万人が在籍する間接/支援部門について、5,000
人規模のリソースシフトを実施しています。Service-Oriented Companyとしての適材適所の観点から、間接部門の中
でもコンサルティングや専門営業に適した業務知識が豊富な人材については、配置転換を実施しています。こうした
職種変更にあわせ、社員のスキル強化やマインドセットの変化を促す研修コースを充実させ、受講機会を提供してい
ます。また、グループ会社の間接/支援部門についても当社に集約し、グループ経営の効率化を図っています。な
お、当施策の一環としてグループ外へのキャリア転進を希望する従業員2,850名に対し一定の支援を実施しました。
[経営体制の見直し]
経営の意思決定と実行のスピードアップを目的に、執行役員を執行役員常務以上とすることで役員数を半減し事業
責任を明確化しました。また、複数の事業部門を「テクノロジーソリューション部門」に一本化することにより、指
揮系統のシンプル化と従来の部門の枠組みを越えたシナジー創出を図っています。さらに、一部の主要子会社の社長
を当社の担当役員が兼務することにより、全体最適の視点でグループフォーメーション改革を加速し、グループガバ
ナンスのさらなる強化を図っています。
当社は今後のデジタル時代において高い成長力と競争力を維持し、激しいグローバル競争を勝ち抜いていくため、
ビジネスモデル変革を完遂します。Service-Oriented Companyとして「つながるサービス」をベースとしたデジタル
革新から生まれる成功がさらなるCo-creationを生み出す循環を作り出すことで、お客様や社会に提供する価値を高
め、持続的な成長を生み出していきます。
20/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
② 経営成績
<要約連結損益計算書> (億円)
前年度 当年度
増減率
前年度比
(自 2017年4月 1日 (自 2018年4月 1日
(%)
至 2018年3月31日) 至 2019年3月31日)
40,983 39,524 △1,459 △3.6
売上収益
売上原価 △29,665 △28,798 866 △2.9
11,317 10,725 △592 △5.2
売上総利益
△10,095 △9,333 762 △7.5
販売費及び一般管理費
602 △89 △692 ―
その他の損益
1,824 1,302 △522 △28.6
営業利益
478 89 △388 △81.3
金融損益
121 226 104 85.9
持分法による投資利益
2,424 1,617 △807 △33.3
継続事業からの税引前利益
△744 △510 233 △31.4
法人所得税費用
92 ― △92 ―
非継続事業からの当期利益
79 61 △17 △22.2
非支配持分に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益 1,693 1,045 △647 △38.3
(ご参考)財務指標 (億円)
前年度 当年度 前年度比
36.8% 36.3% △0.5%
海外売上比率
EMEIA (注1) 7,996 7,899 △97
2,768 2,486 △281
アメリカ
3,321 3,122 △199
アジア
981 846 △135
オセアニア
15,068 14,354 △714
顧客所在地別海外売上収益
27.6% 27.1% △0.5%
売上総利益率
4.5% 3.3% △1.2%
営業利益率
ROE (注2) 17.2% 9.4% △7.8%
(注1)EMEIA:欧州・中近東・インド・アフリカ
(注2)ROE :親会社の所有者に帰属する当期利益÷{(期首の親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)
+期末の親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本))÷2}
(ご参考)期中平均レート
前年度 当年度 前年度比
―
米国ドル/円 1 11 円 111円
ユーロ/円 1 30 円 128円 △2円
英国ポンド/円 147 円 146円 △1円
ユーロ/米国ドル 1.17ドル 1.16ドル △0.01ドル
21/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
(ⅰ)売上収益
当年度の売上収益は3兆9,524億円と、前年度から1,459億円、3.6%の減収となりました。携帯端末事業譲渡及びパ
ソコン事業再編により個人向けパソコンが連結売上の対象外となった減収影響が約1,600億円、半導体販売子会社及
び電子部品事業子会社が連結対象外となった減収影響が約500億円ありました。国内は2.9%の減収となりました。シ
ステムインテグレーションが公共分野と製造、流通分野の牽引により過去最高の売上を更新するなど大きく伸長した
ほか、システムプロダクトも大幅増収となりましたが、LSIやネットワークプロダクトが減収となりました。スマー
トフォン向けLSIの所要が低調に推移したほか、国内向け携帯電話基地局が通信キャリアの投資の端境期である影響
を受け低調に推移しました。海外は4.7%の減収となりました。アメリカやオセアニアにおいてインフラサービスが低
調であったほか、LSIやネットワークプロダクトが減収となりました。また、為替の円高影響も受けました。
当年度の米国ドル、ユーロ及び英国ポンドの平均為替レートはそれぞれ111円、128円、146円と、前年度に比べて
ユーロが2円、英国ポンドが1円の円高となりました。ユーロとの為替レートの変動により約60億円、また英国ポンド
との変動で約30億円の売上収益が前年度比で減少しています。この結果、当年度は為替レートの変動により前年度比
で約90億円の売上収益の減少影響がありました。
海外売上比率は36.3%と、前年度比0.5ポイント低下しました。
(ⅱ)売上原価、販売費及び一般管理費、その他の損益並びに営業利益
当年度の売上原価は2兆8,798億円で、売上総利益は1兆725億円、売上総利益率は前年度から0.5ポイント低下し、
27.1%になりました。
販売費及び一般管理費は9,333億円と、携帯端末事業譲渡及びパソコン事業再編などにより前年度比で762億円減
少しました。販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費については1,349億円と、再編したパソコン及び携帯電話
事業を中心に前年度比で237億円減少しました。研究開発費の売上収益に対する比率は3.4%となりました。
その他の損益は89億円の損失と、前年度比で692億円悪化しました。退職給付制度の変更に伴う一時利益919億円及
び、パソコンや電子部品事業の譲渡益160億円を計上した一方、ビジネスモデル変革費用1,175億円を計上しました。
ビジネスモデル変革費用の主な内訳は、ドイツの製造工場の閉鎖や低採算国からの撤退など経営資源を採算性の高い
国に集中するための費用、間接部門の見直しと効率化などEMEIA再編に関する費用が638億円、成長に向けたリソース
シフトのうち外部転進希望者に対する支援費用が458億円、製造体制見直しとクラウド事業の方向性見直しに関する
費用が78億円です。
この結果、営業利益は1,302億円と、前年度比で522億円の減益となりました。事業譲渡の一時利益を中心とした前
年度の特殊事項の利益がなくなった影響が527億円、当年度に実施した特殊事項のマイナス影響が122億円、ユビキタ
スソリューション、デバイスソリューションで実施した事業再編により連結対象外となった営業利益の減少影響が
214億円ありました。なお、特殊要因及び事業再編影響を除いたベースでは国内サービスの大幅な増益を中心に前年
度比341億円の増益となりました。営業利益率は3.3%と、前年度から1.2ポイント低下しました。
為替レートの変動による営業利益への影響は次のとおりです。国内拠点での円貨に対する米国ドル、ユーロ及び
英国ポンドの影響は前年度比で約20億円と軽微でした。パソコンやサーバなどのプロダクト製品における米国ドル建
部材の調達と、LSIや電子部品における米国ドル建の輸出売上がおおむね均衡していることに加え、為替の変動が年
間を通じて小さかったことによります。当年度の為替レートが1円円高に変動した場合の営業利益への影響額は、米
国ドルが約1.5億円、ユーロが約3.2億円、英国ポンドが約0.1億円となりました。また、一部の欧州拠点では、米国
ドルに対しユーロが変動した場合、米国ドル建の部材調達コストが変動する影響があります。当年度のユーロ/米国
ドルの為替レートは1.16と、前年度に比べて0.01ユーロ安と変動が小さかったため、為替変動による損益影響は限定
的でした。当社グループは引き続き、コストダウンの推進のほか、欧州の製造・物流拠点の効率化など、為替変動に
よる損益影響を極力低減すべく努めます。
(ⅲ)金融損益、持分法による投資利益及び税引前利益
金融収益と金融費用をあわせた金融損益は89億円の利益と、前年度比で388億円の悪化となりました。前年度計上
した富士電機株式会社との株式持ち合い見直しに伴う株式売却益273億円がなくなった影響などによります。一方、
持分法による投資利益は226億円と、前年度比で104億円の増益となりました。
税引前利益は1,617億円と、営業利益ならびに金融損益の減少などにより前年度比で807億円の減益となりまし
た。
(ⅳ)法人所得税費用、当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益
当期利益は1,107億円と、前年度比で665億円の減益となりました。当期利益のうち、親会社の所有者に帰属する
当期利益は1,045億円、非支配持分に帰属する金額は61億円と、前年度比でそれぞれ647億円の減益、17億円の減少
となりました。法人所得税費用は510億円と、前年度比で233億円減少しました。税引前利益の利益額に対する税負
担率は、前年度の30.7%から当年度は31.6%となりました。
22/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
親会社の所有者に帰属する当期利益を親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)で除して算定したROEは9.4%とな
りました。親会社の所有者に帰属する当期利益の減少により、前年度比7.8ポイント低下しました。
当年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は1,045億円となりました。財務体質の改善が進み今後も継続して安
定的なフリー・キャッシュ・フローの創出が見込めることから、当年度の1株あたり年間配当は150円とし、前年度
から年間で40円増額しました。また、2018年5月に100億円の自己株式取得を実施し、2018年11月、2019年3月にもあ
わせて123億円の自己株式取得を実施しました。
(ⅴ)税引後その他の包括利益及び当期包括利益
税引後その他の包括利益は152億円のマイナスとなりました。持ち合い株式の売却影響などがありました。
当期利益と税引後その他の包括利益をあわせた当期包括利益は955億円となりました。当期包括利益のうち、親会
社の所有者に帰属する当期包括利益は893億円、非支配持分に帰属する当期包括利益は62億円となりました。
(ⅵ)セグメント情報
当社グループは、経営組織の形態、製品・サービスの特性及び販売市場の類似性に基づき、複数の事業セグメン
トを集約した上で、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューショ
ン」の3つを報告セグメントとしています。また、報告セグメントに含まれない事業セグメントとして、次世代スー
パーコンピュータ事業、次世代クラウド事業、当社グループ会社向け情報システム開発・ファシリティサービス事業
及び当社グループ従業員向け福利厚生事業等を「その他」の区分に含めて表示しています。
当年度のセグメント別の売上収益(セグメント間の内部売上収益を含む)及び営業利益は以下のとおりです。
(億円)
前年度 当年度
増減率
前年度比
(自 2017年4月 1日 (自 2018年4月 1日
(%)
至 2018年3月31日) 至 2019年3月31日)
テクノロジーソリューション
30,527 31,237 710 2.3
売上収益
1,893 1,879 △14 △0.8
営業利益
(営業利益率) ( 6.2%) (6.0%) (△0.2%)
ユビキタスソリューション
6,639 5,099 △1,539 △23.2
売上収益
113 △204 △317 ―
営業利益
(営業利益率) ( 1.7%) (△4.0%) (△5.7%)
デバイスソリューション
5,600 4,870 △730 △13.0
売上収益
136 45 △91 △66.9
営業利益
(営業利益率) ( 2.4%) (0.9%) (△1.5%)
その他及び消去又は全社
売上収益 △1,782 △1,682 100 ―
△318 △417 △98 ―
営業利益
連結
40,983 39,524 △1,459 △3.6
売上収益
営業利益 1,824 1,302 △522 △28.6
(営業利益率) ( 4.5%) (3.3%) (△1.2%)
23/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
a テクノロジーソリューション
「テクノロジーソリューション」は、プロダクト・ソフトウェア・サービスが一体となった総合的なサービスをお
客様に最適な形で提供しています。ITシステムのコンサルティング、構築などを行うソリューション/SI、アウト
ソーシング(情報システムの一括運用管理)などを中心とするインフラサービス、ICTの基盤となるサーバやスト
レージシステムなどのシステムプロダクトと携帯電話基地局や光伝送システムなどの通信インフラを提供するネット
ワークプロダクトにより構成されています。
売上収益は3兆1,237億円と、前年度比2.3%の増収となりました。国内は5.6%の増収となりました。通信キャリア
による携帯電話基地局投資が低調でネットワークプロダクトが減収となりましたが、システムインテグレーション
は、大規模プロジェクトに加え中小規模の商談を着実に積み上げた公共分野が大きく伸長したほか、製造や流通分野
が引き続き好調に推移しました。また、国内のインフラサービスやIAサーバ、ソフトウェアも増収となりました。一
方、海外は3.9%の減収となりました。アメリカやオセアニアにおいてインフラサービスが低調であったほか、為替の
円高影響がありました。
営業利益は1,879億円と、前年度比で14億円の減益となりました。ドイツの製造工場の閉鎖や低採算国からの撤退
など経営資源を採算性の高い国に集中するための費用、間接部門の見直しと効率化などEMEIA再編に関するビジネス
モデル変革費用474億円を計上し、前年度から390億円費用が増加しました。この影響を除いたベースでは376億円の
増益です。海外のインフラサービスの減収影響はありましたが、国内のシステムインテグレーションやインフラサー
ビスの増収効果、不採算損失の圧縮効果により前年度から大幅に増益となりました。
b ユビキタスソリューション
「ユビキタスソリューション」は、当社グループが実現を目指す「ヒューマンセントリック・インテリジェントソ
サエティ」(テクノロジーの力で実現される、より安全で、豊かな、持続可能な社会)において、人や組織の行動パ
ターンから生み出される様々な情報や知識を収集・活用するユビキタス端末あるいはセンサーとして、パソコンのほ
か、携帯電話やモビリティIoT/ヒューマンセントリックIoTなどにより構成されています。
売上収益は5,099億円と、前年度比23.2%の減収となりました。国内は28.8%の減収となりました。携帯端末事業譲
渡及びパソコン事業再編により個人向けパソコンが連結売上の対象外となった影響によるものです。海外は5.9%の減
収となりました。欧州でのパソコン事業の減収影響がありました。
営業利益は204億円の損失となりましたが、EMEIA再編に関するビジネスモデル変革費用203億円を除くとほぼブ
レークイーブンの水準です。前年度比では317億円の悪化となりました。ビジネスモデル変革費用を計上した影響が
あったほか、携帯端末事業譲渡及びパソコン事業再編により連結対象外となった営業利益の減少影響がありました。
c デバイスソリューション
「デバイスソリューション」は、最先端テクノロジーとして携帯電話やデジタル家電、自動車、サーバなどに搭載
されるLSIのほか、半導体パッケージ、電池をはじめとする電子部品により構成されています。
売上収益は4,870億円と、前年度比13.0%の減収となりました。国内は18.5%の減収となりました。半導体販売子会
社譲渡及び電子部品事業子会社再編による減収影響があったほか、スマートフォン向けLSIの所要が低調に推移しま
した。海外は8.0%の減収となりました。LSIの所要が減少しました。
営業利益は45億円と、前年度比で91億円の減益となりました。減収影響によります。
d その他及び消去又は全社
「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、次世代スーパーコンピュータ事業、次世
代クラウド事業、当社グループ会社向け情報システム開発・ファシリティサービス事業及び当社グループ従業員向け
福利厚生事業等が含まれています。
また、事業セグメントとして識別されないものは、基礎的試験研究やIT戦略投資などの戦略費用及び親会社におけ
るグループ経営に係る共通費用です。
営業利益は417億円の損失と、前年度比で98億円の悪化となりました。次世代クラウドや次世代スーパーコン
ピュータ、基礎的試験研究費、AIやITなどの戦略投資に、引き続き高水準の投資を継続しています。また、当年度は
富士通企業年金基金の制度改訂による一時利益919億円を計上したほか、国内リソースシフトによるキャリア転進支
援費用458億円を計上しています。
(ⅶ)所在地別の損益情報
当社グループは、成長市場である海外における売上収益の拡大と収益力向上を経営上の重要な課題の1つであると考
えています。所在地別の損益情報は当社グループの事業管理において重要な項目であるとともに、株主、投資家の皆
様に当社グループの損益概況をご理解頂くための有益な情報であると考えています。
(億円)
24/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
前年度 当年度
増減率
前年度比
(自 2017年4月 1日 (自 2018年4月 1日
(%)
至 2018年3月31日) 至 2019年3月31日)
日本
30,057 29,727 △329 △1.1
売上収益
1,825 2,103 278 15.3
営業利益
(営業利益率) ( 6.1%) (7.1%) (1.0%)
EMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ)
8,101 7,929 △172 △2.1
売上収益
90 △439 △529 ―
営業利益
(営業利益率) ( 1.1%) (△5.5%) (△6.6%)
アメリカ
2,807 2,479 △327 △11.7
売上収益
65 △48 △113 ―
営業利益
(営業利益率) ( 2. 3% ) (△2.0%) (△4.3%)
アジア
2,771 2,704 △67 △2.4
売上収益
48 39 △8 △17.8
営業利益
(営業利益率) ( 1.7%) (1.5%) (△0.2%)
オセアニア
1,005 870 △134 △13.4
売上収益
40 28 △12 △30.1
営業利益
(営業利益率) ( 4.1%) (3.3%) (△0.8%)
消去又は全社
△3,759 △4,186 △427 ―
売上収益
△245 △381 △136 ―
営業利益
連結
40,983 39,524 △1,459 △3.6
売上収益
1,824 1,302 △522 △28.6
営業利益
(営業利益率) ( 4.5%) (3.3%) (△1.2%)
a 日本
売上収益は2兆9,727億円と、前年度比で1.1%の減収となりました。システムインテグレーションが公共分野と製
造、流通分野の牽引により過去最高の売上を更新するなど大きく伸長しましたが、携帯端末事業譲渡及びパソコン事
業再編により個人向けパソコンが連結売上の対象外となった減収影響や、半導体販売子会社及び電子部品事業子会社
が連結対象外となった減収影響がありました。営業利益は2,103億円と、前年度比で278億円の改善となりました。シ
ステムインテグレーションやインフラサービスの増収効果、不採算損失の圧縮効果などによります。
b EMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ)
売上収益は7,929億円と、前年度比2.1%の減収となりました。パソコン事業が減収となったほか、ユーロ及び英国
ポンドに対して円高が進行した影響がありました。営業利益は439億円の損失と、前年度比で529億円の悪化となりま
した。当年度はドイツの製造工場の閉鎖や低採算国からの撤退など経営資源を採算性の高い国に集中するための費
用、間接部門の見直しと効率化などビジネスモデル変革費用638億円を計上しました。
c アメリカ
売上収益は2,479億円と、前年度比11.7%の減収となりました。インフラサービスやネットワークビジネスなどが
減収となりました。営業利益は48億円の損失と、前年度比で113億円の悪化となりました。インフラサービスにおけ
る減収影響などによります。
d アジア
25/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
売上収益は2,704億円と、前年度比2.4%の減収となりました。LSIや電子部品などが減収となりました。営業利益
は39億円と、前年度比で8億円の減益となりました。減収影響によります。
e オセアニア
売上収益は 870億円と、前年度比13.4%の減収となりました。インフラサービスなどが減収となりました。営業利
益は28億円と、前年度比で12億円の減益となりました。減収影響によります。
③ 財政状態
<要約連結財政状態計算書> (億円)
前年度末 当年度末
前年度末比
(2018年3月31日) (2019年3月31日)
資産
18,672 19,593 920
流動資産
12,542 11,454 △1,087
非流動資産
31,215 31,048 △166
資産合計
負債
13,226 13,649 422
流動負債
5,939 4,863 △1,076
非流動負債
19,166 18,512 △654
負債合計
資本
10,877 11,320 442
自己資本
1,171 1,215 44
非支配持分
12,049 12,536 487
資本合計
31,215 31,048 △166
負債及び資本合計
4,525 4,166 △358
現金及び現金同等物
4,022 3,162 △860
有利子負債
△502 △1,004 △502
ネット有利子負債
(注)自己資本 :親会社の所有者に帰属する持分合計
有利子負債 :社債、借入金及びリース債務等
ネット有利子負債 :有利子負債-現金及び現金同等物
(ご参考)財務指標
前年度末 当年度末
前年度末比
(2018年3月31日) (2019年3月31日)
34. 8 % 36.5% 1.7%
自己資本比率
D/Eレシオ 0. 37 倍 0.28倍 △0.09倍
ネットD/Eレシオ △0.05 倍 △0.09倍 △0.04倍
(注)自己資本比率 :親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)÷資産合計
D/Eレシオ :有利子負債÷親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)
ネットD/Eレシオ :(有利子負債-現金及び現金同等物)÷親会社の所有者に帰属する持分合計
(自己資本)
(ご参考)確定給付型退職給付制度の状況 (億円)
前年度末 当年度末
前年度末比
(2018年3月31日) (2019年3月31日)
△24,137 △16,118 8,018
a.確定給付制度債務
21,984 15,026 △6,958
b.年金資産
c.積立状況 (a)+(b) △2,152 △1,092 1,060
当年度末の資産合計は3兆1,048億円と、前年度末から166億円減少しました。流動資産は1兆9,593億円と、前年度
末から920億円増加しました。国内サービスの売上増加に伴う売上債権・その他の流動資産が増加した影響がありま
した。現金及び現金同等物は4,166億円と、前年度末から358億円減少しました。社債の償還や借入金の返済を進めた
26/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
ことなどによります。棚卸資産は2,260億円と、前年度末から155億円減少し、資産効率を示す月当たり回転数は1.22
回と、ほぼ前年並みとなりました。非流動資産は1兆1,454億円と、前年度末から1,087億円減少しました。有形固定
資 産が865億円減少しました。300mm半導体製造工場の台湾ユナイテッド・マイクロエレクトロニクス・コーポレー
ションへの譲渡合意に伴い当該工場の有形固定資産を売却目的で保有する資産に振り替えたことなどによります。
負債合計は1兆8,512億円と、前年度末から654億円減少しました。流動負債は1兆3,649億円と、前年度末から422
億円増加しました。その他の債務が633億円増加しました。間接/支援部門の外部キャリア転進支援に係る未払金を計
上した影響がありました。非流動負債は4,863億円と、前年度末から1,076億円減少しました。社債、借入金及びリー
ス債務が前年度末から811億円減少したほか、富士通企業年金基金の制度改訂などにより退職給付に係る負債が767億
円減少しました。流動負債及び非流動負債の社債、借入金及びリース債務をあわせた有利子負債は3,162億円と、社
債を一部償還したほか借入金の返済を進めたことにより前年度末から860億円減少しました。D/Eレシオは0.28倍と、
前年度末より0.09ポイント下降しました。有利子負債から現金及び現金同等物を控除したネット有利子負債残高は
1,004億円のマイナスとネットキャッシュのポジションが拡大しました。前年度末から502億円改善するなど財務体質
の改善を進めることが出来ました。
資本合計は1兆2,536億円と、前年度末から487億円増加しました。利益剰余金は5,768億円と、前年度末から970億
円増加しました。親会社の所有者に帰属する当期利益1,045億円を計上したことなどによります。その他の資本の構
成要素は246億円と前年度末から320億円減少しました。IFRS第9号(金融商品)を適用した影響があったほか、持ち
合い株式の売却を進めた影響がありました。また、自己株式は295億円のマイナスと、自己株式の取得を進めたこと
などにより前年度末から223億円保有額が増加しました。これらの結果、親会社の所有者に帰属する持分合計(自己
資本)は1兆1,320億円となりました。親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は36.5%と、前年度末から1.7ポイ
ント上昇しました。
当社は、経営目標として自己資本比率40%以上を掲げています。今後、ビジネスモデルの変革をさらに進め収益性
を高めることにより、自己資本を充実させ財務の健全性を高めていきます。
連結財政状態計算書に計上されないオフバランスの負債は、IAS第17号(リース)に規定される解約不能オペレー
ティング・リース取引に係る将来の最低リース料総額が1,488億円、IAS第16号(有形固定資産)及びIAS第38号(無
形資産)に規定される資産の取得に関する契約上のコミットメントが378億円です。
従業員の確定給付型退職給付制度の退職給付債務は1兆6,118億円と、前年度末から8,018億円減少し、年金資産は
1兆5,026億円と、前年度末から6,958億円減少しました。この結果、確定給付型退職給付制度の積立状況(退職給付
債務から年金資産を控除した金額)は1,092億円の不足と、前年度末から1,060億円改善しました。国内制度の積立状
況は、2018年6月に実施した富士通企業年金基金の制度改訂などにより、前年度末から853億円改善しました。海外制
度の積立状況は、退職給付債務の減少もあり前年度末から207億円改善しました。
④ キャッシュ・フロー
<要約連結キャッシュ・フロー計算書> (億円)
前年度 当年度
前年度比
(自 2017年4月 1日 (自 2018年4月 1日
至 2018年3月31日) 至 2019年3月31日)
2,004 994 △1,009
Ⅰ営業活動によるキャッシュ・フロー
△225 41 267
Ⅱ投資活動によるキャッシュ・フロー
1,778 1,035 △742
Ⅰ+Ⅱフリー・キャッシュ・フロー
△1,124 △1,366 △241
Ⅲ財務活動によるキャッシュ・フロー
4,526 4,167 △359
Ⅳ現金及び現金同等物の期末残高
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは994億円のプラスと、前年度からは1,009億円の収入減となりまし
た。税引前利益が減少したほか、法人所得税の支払額が増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは41億円のプラスと、前年度からは267億円の支出減となりました。サービス
や電子部品関連設備など有形固定資産の取得やソフトウェアを中心とした無形資産の取得で1,206億円を支出してい
ます。一方で、持ち合い株式の売却を進めたことなどにより投資有価証券の売却による収入779億円があったほか、
ビジネスモデル変革に伴う事業譲渡収入、貸付金の回収による収入が437億円ありました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは1,035億円のプラス
と、前年度からは742億円の収入減となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは1,366億円のマイナスとなりました。社債の償還や借入金の返済を進めたほ
か、自己株式の取得による支出がありました。前年度からは241億円の支出増となりました。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は前年度末から359億円減少し、4,167億円となりました。
27/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
当社グループは、資金需要に応じた効率的な資金調達を確保するため、手許流動性を適切な水準に維持することを
財務活動上の重要な指針としています。手許流動性は、現金及び現金同等物と、複数の金融機関との間で締結した
コミットメントライン契約に基づく融資枠のうち未使用枠残高の合計額です。当年度末の手許流動性は5,414億円
で、現金及び現金同等物を4,167億円、コミットメントライン未使用枠を1,247億円保有しています。
当社は、グローバルに資本市場から資金調達するため、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(以下、ムー
ディーズ)、スタンダード&プアーズ(以下、S&P)及び株式会社格付投資情報センター(以下、R&I)から債券格付
けを取得しています。当年度末現在における格付け(長期/短期)は前年度末から変更なく、ムーディーズ:A3(長
期)、S&P:BBB+(長期)、R&I :A(長期)/a-1(短期)です。
当年度の有形固定資産の設備投資額は835億円(前年度比11.2%減)になりました。テクノロジーソリューションで
は、国内外のデータセンターやクラウドサービス設備などを中心に493億円(前年度比6.8%増)を投資しています。
ユビキタスソリューションでは、12億円(前年度比83.6%減)を投資しています。携帯端末事業の譲渡及びパソコン
事業再編により減少しています。デバイスソリューションでは、LSIの製造設備のほか、電子部品のうち半導体パッ
ケージの製造設備などに264億円(前年度比19.7%減)を投資しています。また、上記セグメント以外では65億円の設
備投資を行っています。
なお、当年度後1年間の設備投資計画は、第3「設備の状況」3「設備の新設、除却等の計画」にて記載していま
す。
⑤ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、当社グループの経営管理においては、セグメントご
とに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。なお、当年度におけるセグメントごと
の販売実績は、(1)②(vi)セグメント情報にて記載しております。
⑥ 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、国際会計基準(以下、IFRS)に準拠して作成しております。当社の連結財務諸表に適用し
ている重要な会計方針については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3. 重要な会計方針」をご参照くだ
さい。
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営陣は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用に影響
を与える判断、見積り及び仮定を必要としておりますが、実際の結果と異なる場合があります。また、見積り及びそ
の基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した連結会計
期間及び影響を受ける将来の連結会計期間において認識されます。現在の状況と将来の展望に関する仮定は、当社グ
ループにとって制御不能な市場の変化又は状況により変化する可能性があります。こうした仮定の変更は、それが起
きた時点で反映しております。経営陣は、以下の会計方針の適用における仮定及び見積りが、連結財務諸表に重要な
影響を与えると考えております。
(ⅰ)有形固定資産
有形固定資産の減価償却費は、事業ごとの実態に応じた回収期間を反映した見積耐用年数に基づき、主として定額
法で算定しております。将来、技術革新等による設備の陳腐化や用途変更が発生した場合には、現在の見積耐用年数
を短縮させる必要性が生じ、連結会計期間あたりの償却負担が増加する可能性があります。また、事業環境の急激な
変化に伴う生産設備の遊休化や稼働率低下のほか、事業再編などにより、保有資産から得られる将来キャッシュ・フ
ロー見込額が減少した場合には、減損損失が発生する可能性があります。
(ⅱ)のれん
のれんは、年次で、また、減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを行っております。のれんが配分された
資金生成単位(Cash Generating Unit。以下、CGU)の回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、減損損失を認識
しております。回収可能価額は主に使用価値により算定しております。使用価値は、割引キャッシュ・フロー・モデ
ルにより算定しており、事業計画を基礎とした将来キャッシュ・フローのほか、成長率、各CGUが属するグループ企
業の加重平均資本コストを基礎とした割引率等の仮定を使用しております。これらの仮定は、経営者の最善の見積り
と判断により決定しておりますが、事業環境の変化等により見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性
があります。
(ⅲ)無形資産
ソフトウェアの減価償却について、市場販売目的のソフトウェアについては、見込有効期間における見込販売数量
に基づいて償却しております。自社利用ソフトウェアやその他の無形資産のうち耐用年数を確定できるものは、利用
可能期間に基づく定額法により償却しております。事業環境の変化等により、販売数量が当初販売計画を下回る場合
28/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
や利用可能期間の見直しの結果、耐用年数を短縮させる場合には、連結会計期間あたりの償却負担が増加する可能性
があります。
(ⅳ)繰延税金資産
法人所得税の算定に際しては、当社グループが事業活動を行う各国の税法規定の解釈や税法の改正、将来課税所得
の金額及び時期など、様々な要因について合理的な見積り及び判断が必要になります。繰延税金資産は、未使用の税
務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識して
おります。繰延税金資産は連結会計期間末に見直し、一部又は全部の繰延税金資産の便益を実現させるだけの十分な
課税所得を稼得する可能性が高くない場合は、繰延税金資産の計上額を減額しております。課税所得が生じる時期及
び金額は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があります。また、税制改正により実効税率
が変更された場合には、繰延税金資産の残高が増減する可能性があります。
(ⅴ)確定給付型退職給付制度
当社グループは、確定給付型及びリスク分担型ならびに確定拠出型の退職給付制度を設けております。確定給付型
の退職給付制度の積立状況(確定給付制度債務から制度資産の公正価値を控除した金額)の変動額については、再測
定した時点で、税効果を調整した上でその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素から直ちに利益剰余金に
振り替えております。運用収益の悪化により制度資産の公正価値が減少した場合や、制度債務算出にあたっての種々
の前提条件(割引率、退職率、死亡率等)が変更され制度債務が増加した場合には、積立状況が悪化し、資本が減少
する可能性があります。
(2)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と、当社グループが従前採用していた日本基準により作成し
た場合の連結財務諸表の主要な差異は以下のとおりであります。なお、当該差異の金額については、当社グループは
日本基準に基づく連結財務諸表を作成していないため概算額で記載しております。
[連結貸借対照表]
(退職給付に係る調整累計額)
退職給付に係る負債(資産)の純額(数理計算上の差異)898億円は、日本基準ではその他の包括利益累計額に含
めて表示されますが、IFRSでは利益剰余金に含めて表示しております。
(投資有価証券の減損)
投資有価証券について、日本基準では時価が著しく下落した場合などに減損処理されます。一方、IFRSではIFRS第
9号「金融商品」の適用により公正価値が著しく下落した場合における減損処理は廃止され、当年度の期首におい
て、利益剰余金の減額となった過去の減損処理額をその他の資本の構成要素へ振り替えております。また、投資有価
証券の売却時にその他の包括利益として認識されていた累積利得及び損失を利益剰余金に振り替えているため、期中
における投資有価証券の売却による影響も加味すると、IFRSでは日本基準に比べて、当年度末における利益剰余金が
129億円増加しており、その他の資本の構成要素が129億円減少しております。
[連結損益計算書及び連結包括利益計算書]
(退職給付に係る費用)
退職給付に係る負債(資産)の純額(数理計算上の差異)について、日本基準では原則として一定期間で償却しま
すが、数理計算上の差異として一時の費用としない理由が失われている場合は即時償却いたします。一方、IFRSでは
数理計算上の差異は償却しません。過去勤務費用については、日本基準では一定期間で償却されますが、IFRSでは発
生時に即時認識されます。利息の計算において、日本基準では退職給付債務に割引率を乗じて算定した利息費用と、
年金資産に長期期待運用収益率を乗じて算定した期待運用収益を使用しておりますが、IFRSでは確定給付制度債務の
現在価値から制度資産の公正価値を控除した金額に割引率を乗じて算定した利息純額を使用しております。
これらの影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上原価並びに販売費及び一般管理費、税引前利益がそれぞれ
406億円減少、810億円増加し、税引後その他の包括利益は622億円減少しております。
(のれんの償却)
のれんは、日本基準では一定期間で償却されますが、IFRSでは償却されません。この影響により、IFRSでは日本基
準に比べて、販売費及び一般管理費が48億円減少しております。
(投資有価証券の売却損益)
投資有価証券の売却損益について、日本基準では純損益で認識されますが、IFRSではその他の包括利益で認識され
ます。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、税引前利益が52億円減少しております。
29/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
(関連会社株式の公正価値評価損益)
子会社株式の譲渡により、親会社としての持分比率が低下し、子会社が関連会社に該当することとなった場合、日
本基準では残存する当該会社の株式は、当該会社に対する持分を基礎として評価されますが、IFRSでは支配を喪失し
た日における公正価値で評価され、発生した差額は損益として認識されます。この影響により、IFRSでは日本基準に
比べて、持分法による投資利益が116億円増加しております。
30/161
EDINET提出書類
富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
4【経営上の重要な契約等】
(1) 技術提携契約
相手方 国名 契約製品 契約内容 契約期間
1998年6月5日から
Intel Corporation
米国 半導体装置 特許実施権交換
関係特許の有効期間中
2008年6月5日から
Intel Corporation
米国 半導体装置 特許実施権交換
関係特許の有効期間中
International Business Machines
2015年12月18日から
米国 情報処理組織 特許実施権交換
関係特許の有効期間中
Corporation
1997年9月16日から
Microsoft Corporation
米国 ソフトウェア 特許実施権交換
関係特許の有効期間中
(注)上記の契約は、すべて当社を契約会社としたものです。
(2) 合弁契約及びその他の契約
契約会社名 相手方 国名 契約内容
2017年11月2日、グローバル市場に向けたPC及び
PC関連製品の研究開発、設計、製造及び販売に
Lenovo Group Limited、
富士通株式会社
中国、 関する戦略的な提携について、富士通クライア
Lenovo International
合弁契約
(当社)
オランダ ントコンピューティング株式会社を合弁会社と
Co