AIAグループ・リミテッド 有価証券報告書
提出書類 | 有価証券報告書 |
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提出日 | |
提出者 | AIAグループ・リミテッド |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
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AIAグループ・リミテッド(E24847)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2019 年6月27日
【事業年度】 自 2017年12月1日 至 2018年12月31日
【会社名】 AIA グループ・リミテッド
(AIA Group Limited)
【代表者の役職氏名】 グループ会社秘書役
(Group Company Secretary)
ニコル・ティン・ティン・パオ
(Nicole Ting Ting PAO)
【本店の所在の場所】 香港、コンノート・ロード・セントラル1、AIAセントラル、35/F
(35/F, AIA Central, No. 1 Connaught Road Central, Hong Kong)
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 三 原 秀 哲
【代理人の住所又は所在地】 東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 JPタワー
長島・大野・常松法律事務所
【電話番号】 03-6889-7125
【事務連絡者氏名】 弁護士 三 原 秀 哲
【連絡場所】 東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 JPタワー
長島・大野・常松法律事務所
【電話番号】 03-6889-7125
【縦覧に供する場所】 該当事項なし
注
1. 本書に別段の記載のある場合を除き、本書における「香港ドル」とは、香港の法定通貨を意味し、また、本書に
おける「米ドル」とは、アメリカ合衆国、その領土、米国の一切の州並びにコロンビア特別区の法定通貨を意味
する。読者の便宜のため、香港ドルによる金額は、本書に別段の記載のある場合を除き、1香港ドル=14.28円
(株式会社三菱UFJ銀行が提示した2019年4月15日現在の東京における対顧客直物電信売買相場の仲値)の換
算レートで日本円に換算されている。読者の便宜のため、米ドルによる金額は、本書に別段の記載のある場合を
除き、1米ドル=112.01円(株式会社三菱UFJ銀行が提示した2019年4月15日現在の東京における対顧客直物
電信売買相場の仲値)の換算レートで日本円に換算されている。
2. 本書の財務情報は、2018年12月31日に終了した13ヶ月に係る当グループの監査済連結財務書類に基づいている。
当社は、2010年のIPO以来、専らIPO前の経緯に基づき、11月決算で運営を行ってきた。当グループは、アジア・
パシフィック地域の18の市場においてプレゼンスを有し、その事業体の大多数が、現地の規制目的上、12月決算
を義務付けられている。したがって当社取締役会は、決算日の変更により、効率性を向上し、当グループの事業
体ごとに異なる報告決算日を採用することに伴う複雑性及びリスクを軽減できるとして、当社の決算日を11月30
日から12月31日に変更することを決議した。2018年2月26日付で、当社の決算日は12月31日に変更された。これ
により2018年度の決算日は2018年12月31日となり、2018年度の当グループの監査済財務書類の対象期間は2017年
12月1日から2018年12月31日の13ヶ月となる。
3. 一切の表における合計と当該表に記載された金額の総和との間の一切の不一致は、四捨五入によるものである。
4. 将来予想に関する記述:本書には、当グループの経営陣の考えのみならず、当グループの経営陣による推測及び
当グループの経営陣が現在入手可能な情報に基づいた、当グループに関する一定の将来予想に関する記述が含ま
れている場合がある。こうした将来予想に関する記述は、その性質上、重大なリスク及び不確実性の影響を受け
る。これらの将来予想に関する記述は、下記に関連する記述(下記に限定されない。)を含む。
・当グループの事業の見通し
・業界及び当グループが運営する地域別市場における将来の発展、動向及び条件
・当グループの戦略、計画、目的及び目標
・当グループのコスト管理能力
・価格、出来高、運営状況、利鞘、全体的な市場動向、リスク管理及び為替レートに関連する記述
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本書において、「予想する」、「信じる」、「あり得る(could)」、「見積もる」、「期待する」、「進行す
る」、「意図する」、「可能性がある(may)」、「しなければならない(ought to)」、「計画する」、「予
測する」、「求める」、「すべきである(should)」、「予定である(will)」、「~だろう(would)」など
の用語及び同様の表現が使用される場合、当該用語及び同様の表現は、当グループ又は当グループの経営に関連
するときは、将来予想に関する記述の識別を目的としている。これらの将来予想に関する記述は、2019年3月15
日付現在における将来の事象に関する当グループの見解を反映しているのであって、将来の業績又は発展を保証
するものではない。将来予想に関する記述に依拠することにより既知及び未知のリスク並びに不確実性を伴うこ
とに強く注意されたい。実際の業績及び事象は、下記を含む多くの要因により、将来予想に関する記述における
情報とは大幅に異なることがある。
・当グループの事業運営のあらゆる側面に関する法、規則及び規制の変更
・経済一般、市場及び事業状況(資本市場の展開を含む。)
・利率、外国為替レート、株価又はその他のレート若しくは価格についての変化又はボラティリティ
・当グループの競合他社の行為及び発展並びに当グループの商品及びサービスの需要及び価格に関する保険業界
における競争の影響
・当グループが追求する又は追求しない様々な事業機会
・人口増加及びその他の人口動向の変化(死亡率、疾病率及び長寿率を含む。)
・継続率
・当グループの事業のリスクを識別、測定、監視及び管理する当グループの能力(当グループのリスク・プロ
ファイル及びリスク管理の実務を全般的に管理及び採択する当グループの能力を含む。)
・当グループの商品及びサービスに適切な価格設定をし、将来の給付金及び保険金のための準備金を積み立てる
当グループの能力
・季節変動
・当グループが制御できない要因
香港上場規則の要件に従い、新規情報、将来の事象又はその他の理由の有無に関わらず、当グループは、本書の
将来予想に関する記述を更新又はその他改訂する意図はない。ここに記載されるリスク及びその他のリスクの結
果、不確実性及び推定、見込まれた事象並びに本書に記載された事象は、当グループが予期する形で生じない又
は全く生じない可能性がある。したがって、将来予想に関する情報又は記述に依拠すべきではない。本書の将来
予想に関する全ての記述は、本注4に定められる注意書きを参照することにより有効となる。
5. 本書において、別段の記載が無い限り、事業及び財務に関する情報は2018年12月31日現在で表示されており、そ
の他の一部の企業情報は2019年3月15日現在まで更新されている。
6. 本書において以下の表現は、文脈上別の解釈を必要とする場合を除き、以下に記載する意味を有する。
定義
「2018年度株主総会」 2018 年5月18日金曜日の午前11時(香港時間)に開催された当社の定
時株主総会。
「2019年度株主総会」 2019 年5月17日金曜日の午前11時(香港時間)に開催された当社の定
時株主総会。
「稼働中代理店」 1ヶ月当たりに販売する契約が1件以上の代理店。
「活発な市場」 以下の全ての条件が該当する市場。
・当該市場内における取引物が均質である。
・通常、自発的な買主及び売主をいつでも見つけることができる。
・価格が一般に公開されている。
金融商品は、取引市場価格が、証券取引所、ディーラー、ブロー
カー、業界団体、価格算定サービス又は規制当局から直ちに又は定期
的に利用可能である場合には、活発な市場で取引されているものとみ
なされ、また当該価格は、現実に定期的に行われている独立当事者間
基準による市場取引を表している。
「修正純資産」 修正純資産とは、保険契約準備金及びAIAの生命保険(及び類似の)
事業におけるその他の負債を担保する資産を超過する資産の市場価値
に、その他の活動(損害保険事業等)のIFRSに基づく株式価値(無形
資産の価値を除く。)を加えたものである。AIAグループ・リミテッ
ドの株主に帰属しない一切の金額は修正純資産から除外される。AIA
の修正純資産は、連結準備金要件を反映するための調整後で記載され
ている。市場別の修正純資産は、連結準備金要件を反映するための調
整前で記載されており、現地の法定基準に基づき表示されている。
「AER」 実質為替レート。
「AIA」又は「当社」 香港で設立された有限責任会社であるAIAグループ・リミテッドをい
い、その株式は香港証券取引所のメインボードに上場されている(証
券コード:1299)。
「AIAカンパニー」 当社の子会社である、AIAカンパニー・リミテッド(AIA Company
Limited)。
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「AIAグループ」又は「当グループ」 AIA グループ・リミテッド及びその子会社。
「AIAインターナショナル」 AIA カンパニーの子会社である、AIAインターナショナル・リミテッド
(AIA International Limited)。
「AIAバイタリティ」 個々の参加者の健康上の目標達成に資する知識、ツール及び動機付け
を参加者に提供する、科学的裏付け基づく健康増進プログラム。かか
るプログラムは、AIAと南アフリカに拠点を置く保険専門業者である
ディスカバリー・リミテッド(Discovery Limited)とのパートナー
シップである。
「AIG」 アメリカン・インターナショナル・グループ・インク(American
International Group, Inc. )。
「ALC」 タイ、バンコクに所在のAIAリーダーシップ・センター。
「償却原価」 金融資産又は金融負債が最初に認識された時点におけるその評価額か
ら、元本弁済金額を差し引き、当初の金額と満期時の金額との差額の
実効金利法を用いた償却累積額を加算又は減算し、一切の減損又は回
収不可能性に係る減額を控除したもの。
「年換算新規契約保険料」 年換算新規契約保険料は、再保険される前の年換算初年度保険料の
100%及び一時払保険料の10%を表している。年換算新規契約保険料
は、新規契約高又は新規契約活動のAIA内のあらゆる事業体の内部基
準である。年換算新規契約保険料からは、年金事業、個人保険及び自
動車保険事業からの新規契約は除外される。団体向けの継続可能な契
約については、既存契約について支払われる一切の保険料であって、
前年の保険料を超過するものが含まれる。
「当社定款」 当社の定款。
「ASPP」 2012 年2月23日に当社が採用した、代理店によるAIA株式所有を促進
及び奨励するマッチング・オファーを備えた株式購入制度である代理
店株式購入制度。
「売却可能金融資産」 保険契約及び投資契約負債並びに株主資本を裏付けるために用いら
れ、且つ公正価値ベースで運用されていない、期限前の売却が可能な
金融資産。売却可能として指定された、又は貸付及び債権若しくは損
益を通じて公正価値で測定する金融投資に分類されていない非デリバ
ティブ金融資産。売却可能金融投資は公正価値で測定され、公正価値
の変動はその他の包括利益に計上される。
「(保険)銀行窓販」 銀行又はその他金融機関を通じた保険商品の販売。
「当社取締役会」 当社取締役の取締役会。
「CER」 恒常為替レート。当年度及び前年度に係る全ての数字については、恒
常平均為替レートを用いて恒常為替レートによる成長率を算定してい
る。当年度末日現在及び前年度末日現在の貸借対照表上の項目につい
てはこの限りではなく、これらの数字は恒常為替レートで換算されて
いる。
「連結投資ファンド」 当グループが持分を有する投資ファンドであり、当グループが当該
ファンドの収益に影響を及ぼす関連活動を運営する権限を有するも
の。
「コーポレート・ガバナンス規則」 香港上場規則の別紙14に規定されるコーポレート・ガバナンス規則。
「資本コスト」 資本コストは、評価日現在の必要資本の額面価値から必要資本を裏付
ける株主資産の純税引後投資収益の現在価値及び必要資本を裏付ける
資産からの予想解除額の現在価値を控除して計算される。必要資本
が、有配当型ファンドの余剰資産などの保険契約者資産により賄うこ
とが可能である場合には、有効契約高や新規契約高に資本コストは含
まれない。AIAの資本コストは、連結自己資本要件を反映するための
調整後で記載されている。市場別の資本コストは、連結自己資本要件
を反映するための調整前で記載されており、現地の法定基準に基づき
表示されている。
「取扱規程」 当社の取締役及び最高執行役員取扱規程。
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「繰延獲得費用」 繰延獲得費用は、新規保険契約の獲得又は既存の保険契約の更新に関
して発生する保険会社の費用である。当該費用には、手数料及びその
他変動販売促進費並びに引受査定その他保険契約発行費用などの保険
契約発行の直接的な費用が含まれる。当該費用は、契約期間を通じて
連結損益計算書に規則的に繰延処理及び費用処理される。かかる資産
は、少なくとも年に1度、その回収可能性がテストされる。
「繰延オリジネーション費用」 オリジネーション費用とは、新規投資契約の組成又は既存の投資契約
の更新に関連して負担する費用をいう。投資運用サービスの規定に関
与する契約に関しては、当該費用には、手数料及びそれぞれの新規契
約の発行に直接的に関連するその他の追加費用が含まれる。投資運用
サービスを伴う契約に係るオリジネーション費用は繰延処理され、資
産として連結財政状態計算書に認識され、提供された投資運用サービ
スによりもたらされた収益に従い、連結損益計算書に規則的に費用処
理される。かかる資産は、その回収可能性がテストされる。
「当社取締役」 当社の取締役。
「エンベディッド・バリュー」 将来の統計データについての前提条件の特定の組み合わせに基づく生
命保険事業の経済的価値の保険数理上決定される見積(将来の新規契
約に属する経済的価値を含まない。)。AIAのエンベディッド・バ
リューは、連結準備金・自己資本要件及び未配分のグループ事務費の
税引後価値を反映するための調整後で記載されている。市場別のエン
ベディッド・バリューは、連結準備金・自己資本要件及び未配分のグ
ループ事務費を反映するための調整前で記載されており、現地の法定
基準に基づき表示されている。
「EPS」 1株当たり利益。
「エンベディッド・バリューに基づく当社株 エンベディッド・バリュー持分とは、当社株主に帰属するエンベ
主に帰属する持分」又は ディッド・バリュー、のれん及びその他の無形資産の合計をいう。
「エンベディッド・バリュー持分」
「ESPP」 2011 年7月25日に当社が採用した、従業員によるAIA株式所有を促進
及び奨励するマッチング・オファーを備えた株式購入制度である従業
員株式購入制度(その後の改正を含む。)。
「執行委員会」 当グループの執行委員会。
「損益を通じて公正価値で測定する金融投 ユニットリンク契約及び有配当型ファンドを裏付けるために保有する
資」 金融資産並びにトレーディング目的で保有する金融資産及び金融負
債。連結損益計算書において事業年度中の損益項目として表示されて
いる公正価値の動向に起因する損益を考慮して、公正価値で測定され
た財政状態計算書に記載の金融資産又は金融負債をいう。
「上半期」 1月1日から6月30日までの6ヶ月。
「初年度保険料」 保険料分割払保険契約における初年度に受領する保険料。そのため、
初年度保険料は、販売された新規保険契約の販売額の目安となってい
る。
「処分可能剰余金」 必要資本を超過する修正純資産。AIAの処分可能剰余金は、連結準備
金・自己資本要件を反映するための調整後で記載されている。
「団体保険」 複数の個人参加者に代わって単一の団体又は事業体が締結した主契約
により、当該個人参加者が保障を受ける保険制度。
「グループ事務」 グループ事務には、当グループの企業機能、共有サービス及びグルー
プ内取引の排除からなるグループ・コーポレート・センターのセグメ
ントの活動が含まれる。
「HKFRS」 香港財務報告基準(Hong Kong Financial Reporting Standards)。
「HKIA」 2015 年保険会社(修正)条例に基づき設立された香港保険局
(Insurance Authority)をいい、2017年6月26日より前において
は、保険業監理処(Office of the Commissioner of Insurance)を
いう。
「HKICPA」 香港公認会計士協会(Hong Kong Institute of Certified Public
Accountants)。
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「香港」 中華人民共和国の香港特別行政区。当社の報告セグメントとの関連で
は、香港にはマカオが含まれる。
「香港会社条例」 香港会社条例(香港法第622章)(随時改正されるものを含む。)。
「香港保険条例」又は「HKIO」 保険条例(Insurance Ordinance)(香港法第41章)(随時改正される
ものを含む。)。本条例は、香港の保険業界の厳格な監督のための法
的枠組を規定している。
「香港証券取引所」 香港証券取引所(The Stock Exchange of Hong Kong Limited)。
「IAIS」 保険監督者国際機構(International Association of Insurance
Supervisors )。
「IAS」 国際会計基準(International Accounting Standards)。
「IASB」 国際会計基準審議会(International Accounting Standards
Board)。
「IFA」 独立したファイナンシャル・アドバイザー。
「IFRS」 IASB により採択された基準及び解釈で、国際財務報告基準
(International Financial Reporting Standards)、IAS及び国際財
務報告基準解釈指針委員会(IFRS Interpretations Committee)又は
前解釈指針委員会(former Standing Interpretations Committee)
が作成した解釈により構成される。
「INGマレーシア」 ING マネジメント・ホールディングス(マレーシア)Sdn. Bhd.
「双方向性モバイル・オフィス」又は iMO とは、リード創出、生産販売及び採用活動から育成研修及び顧客
「iMO」 分析にいたるまで、代理店及び代理店リーダーがその日常的な活動を
管理することを可能とするアプリケーション一式を包括的に備えたモ
バイル・オフィス・プラットフォームをいう。
「双方向性販売時点情報管理技術」又は iPoS とは、顧客の財務需要分析から提案作成にいたるペーパーレス販
「iPoS」 売プロセス及び電子的バイオメトリック署名を用いたタブレット機器
上の生命保険契約申込を特徴とする、安全且つ携帯性のある販売時点
情報管理技術をいう。iPOSはiMOの一部である。
「投資実績」 損益計算書において認識される実現投資損益及び未実現投資損益。
「投資収入」 投資収入は、受取利息、受取配当金及び賃料収入から構成されてい
る。
「投資収益」 投資収益は、投資収入に投資実績を加算したものからなる。
「IPO」 新規株式公開。
「負債十分性テスト」 保険負債の帳簿価額を増額する必要があるか否か又は関連ある繰延獲
得費用及び繰延オリジネーション費用若しくは関連ある無形資産の帳
簿価額を減額する必要があるか否かの、将来キャッシュ・フローの評
価に基づく査定。
「香港上場規則」 香港証券取引所の有価証券上場規則(Rules Governing the Listing
of Securities on The Stock Exchange of Hong Kong Limited)。
「LOMA」 LOMA とは、保険及び金融サービス業界における国際的な取引協会であ
る。
「ミリオン・ダラー・ラウンド・テーブル」 売り上げでの著しい業績及び高いサービス水準を評価する生命保険及
又は「MDRT」 び金融サービスの専門家から構成される世界規模の専門的な業界団
体。
「モデル規約」 香港上場規則の別紙10に規定された上場会社の取締役による証券取引
に関するモデル規約。
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「グループ・コーポレート・センターに対す 報告セグメントへの純資本流入/(流出)の表示において、資本流出
る正味資金」 は、グループ・コーポレート・センターのセグメントへの配当金及び
利益分配からなり、また、資本流入は、グループ・コーポレート・セ
ンターのセグメントによる報告セグメントへの資本注入からなる。当
グループについては、純資本流入/(流出)は、資本拠出により株主
から受領した純額から配当金により分配された金額を差し引いたもの
を反映している。
「n/a」 該当事項なし。
「n/m」 重要ではない。
「税引後営業利益」 営業利益は、株式及び不動産に関して期待される長期投資収益等を用
いて決定される。これらの資産クラスの期待される長期投資収益と実
際の投資収益との間の短期的変動は、営業利益からは除外される。期
待される長期投資収益の決定に用いられる投資収益の前提条件は、当
グループがそのエンベディッド・バリューを決定するために使用する
ものと同一の前提条件に基づいている。
「エンベディッド・バリューに係る営業収 エンベディッド・バリューに係る営業収益は、エンベディッド・バ
益」 リュー営業利益(期首エンベディッド・バリューに対する割合として
表示される。)として計算される。
「株主配分持分営業収益率」 株主配分持分営業収益率は、当社株主に帰属する税引後営業利益(期
首及び期末における株主配分持分の単純平均の割合として表示され
る。)として計算される。
「OTC」 店頭取引(over-the-counter)。
「その他の個別ポートフォリオで運用される 資産の分別保管が明示的な法定準備金により裏付けられ、関連地域に
有配当型契約」 おいて報告されており、保険契約者が、保険会社の裁量により、基礎
となる分別保管された投資資産の運用成績に基づく追加の給付を受け
ることが予定される契約。
「有配当型ファンド」 有配当型ファンドとは、個別のポートフォリオであり、保証給付金を
補足するものとして、ファンド内に保有される資産のプールの運用成
績等の要因に基づく追加給付を、その時期については保険会社の裁量
により、保険契約者が受給する契約上の権利を有するものをいう。有
配当型ファンドにおいて保有される資産からの給付の配分は、規則に
より定める最低保険契約者配当メカニズムに従う。
「継続率」 過去12ヶ月において有効契約として継続した月毎の保険契約の割合
(保険料により測定される。)。
「フィラム・ライフ」 AIA カンパニーの子会社であるフィリピン・アメリカン・ライフ・ア
ンド・ジェネラル・インシュアランス(フィラム・ライフ)カンパ
ニー(The Philippine American Life and General Insurance
(PHILAM LIFE) Company)。
「本保険契約者及び株主運用資産」 ユニットリンク契約を裏付けるために保有する投資商品以外の投資商
品及び連結投資ファンドに係る資産。
「pps」 パーセンテージ・ポイント。
「中国」 中華人民共和国。
「保障ギャップ」 主要な稼ぎ手の死亡後における被扶養者の生活水準を維持するために
必要な資源と利用可能な資源との相違。
「プット可能な負債」 プット可能な金融商品とは、有価証券の保有者が当該有価証券を現金
(又は別の金融資産)と引き替えに発行者にプットする権利を有する
金融商品をいう。ミューチュアル・ファンドやオープンエンドの投資
会社等の投資ファンドにおける持分は、一般的にプット可能な有価証
券である。これらは、現金と引き替えに発行者にプットできるため、
AIAにより連結管理されなければならない当該いずれかのファンドに
おける非支配持分は、金融負債として取り扱われる。
「PVNBP利益率」 年金事業を除いた新規契約高をいい、新規契約保険料の現在価値
(PVNBP)の割合で表示される。AIAのPVNBP利益率は、連結準備金・
自己資本要件及び未配分のグループ事務費を反映するための調整後で
記載されている。
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「必要最低自己資本」 HKIO により設定された必要最低ソルベンシー・マージン要件(かかる
要件は、保険会社が香港で保険事業を行うための認可を受けるために
満たさなければならない。)を満たすために保有される純資産。
「継続保険料」 保険料分割払契約において2年度目以降に受領する保険料。
「特約」 通常、追加の保険料を支払うことにより基本保険契約に付すことが可
能な追加のプラン。
「リスク・ベース資本」 リスク・ベース資本とは、望ましくない展開から会社が顧客を保護す
るために会社が維持しなければならない、リスク評価に基づいた資本
金額を表す。
「RMF」 リスク管理体制。
「RSPU」 制限付株式購入ユニット。
「RSSU」 制限付株式購入予約ユニット。
「RSU制度」 2010 年9月28日に当社により採用された制限付株式ユニット制度(そ
の後の改正を含む。)であり、当該制度に基づき、当社は当社又はそ
の一切の子会社の従業員、当社取締役(社外非執行取締役を除く。)
又は役員に対し制限付株式ユニットを付与することができる。
「SACL」 ソヴリン・アシュアランス・カンパニー・リミテッド(Sovereign
Assurance Company Limited )。
「下半期」 7月1日から12月31日までの6ヶ月。
「SFO」 香港証券先物条例(Securities and Futures Ordinance)(香港法第
571章)(随時改正されるものを含む。)。
「株式」 当社については、当社の資本を構成する普通株式をいう。
「株主配分持分」 株主配分持分とは、当社株主に帰属する資本合計から公正価値準備金
を控除したものをいう。
「シンガポール」 シンガポール共和国。報告セグメントとの関連では、シンガポールに
はブルネイが含まれる。
「一時払保険料」 保険契約の全費用を対象とする1回の支払い。
「株式オプション制度」又は「SO制度」 2010 年9月28日に当社により採用された株式オプション制度(その後
の改正を含む。)であり、当該制度に基づき、当社は当社又はその一
切の子会社の従業員、当社取締役(社外非執行取締役を除く。)又は
役員に対し株式オプションを付与することができる。
「支払能力」 保険給付者への給付金及び保険金の支払債務を充足する保険会社の能
力。
「ソルベンシー比率」 関連ある規則に基づき保険会社に適用される必要最低自己資本に対す
る利用可能な総資本の割合。
「ソヴリン社」 AIA ソヴリン・リミテッド(AIA Sovereign Limited)(旧:ASBグ
ループ(ライフ)リミテッド(ASB Group (Life) Limited))及びそ
の子会社(ニュージーランドの認可保険業者であるSACLを含む。)。
「タカフル」 相互扶助とリスク分担の原則に基づくイスラムの教義に則った保険。
「タタAIA」又は「タタAIAライフ」 タタAIAライフ・インシュアランス・カンパニー・リミテッド
「総加重保険料収入」 総加重保険料収入は、継続保険料の100%、初年度保険料の100%及び
出再保険料控除前の一時払保険料の10%から構成される。総加重保険
料収入は、一時払保険料の浮き沈みを平準化するため、AIAのより長
期的な契約高の目安となる。
「ユニットリンク契約に帰属する運用資産」 ユニットリンク契約を裏付けるために保有する金融投資商品。
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「ユニットリンク商品」 ユニットリンク商品とは、保険契約価額が原投資(集団投資スキー
ム、社内投資プール又はその他の財産等)の価値又は原投資の価値若
しくは指標の変動と連動している保険商品をいう。当該商品に伴う投
資リスクは、通常保険契約者が負担する。当該商品は保険補償サービ
ス、投資サービス及び運用サービスを提供し、当該サービスに係る手
数料は投資ファンド資産から差し引かれる。支払われる給付金は、保
険契約者の死亡時若しくは解約時又は保険契約の満期到来時において
有効であるユニットの金額により左右され、また、解約手数料が課さ
れる。
「ユニバーサル生命保険」 顧客が定められた制限に基づきフレキシブルな保険料を支払う保険商
品。当該保険料は、口座残高に蓄積され、保険会社により設定され
た、又はマッチング資産のプールに係る収益を反映した利率による利
息が付く。顧客は死亡給付金を変更することができ、また、契約上、
保険契約者は口座の残高を引き出すことができるが、通常、解約手数
料が課される。
「取得契約価値」 取得した長期保険契約及び投資契約のポートフォリオに関する取得契
約価値は資産として計上され、割引キャッシュ・フロー法を用いて計
算され、当該ポートフォリオにより実現されることが期待される全て
の将来キャッシュ・フローが反映される。取得契約価値は、取得した
ポートフォリオの見積契約期間にわたり規則的に償却される。この償
却率には、取得契約の加算値の特性が反映される。取得契約価値の帳
簿価額は、年に1度減損の見直しが行われ、減損があれば連結損益計
算書に費用計上される。
「有効契約高」 有効契約高とは、現在の有効契約から将来に生じる予想税引後法定利
益の現在価値から、有効契約を維持するための必要資本の保有から生
じる費用(以下「資本コスト」という。)を控除したものである。
AIAの有効契約高は、連結準備金・自己資本要件及び未配分のグルー
プ事務費の税引後価値を反映するための調整後で記載されている。市
場別の有効契約高は、連結準備金・自己資本要件及び未配分のグルー
プ事務費を反映するための調整前で記載されており、現地の法定基準
に基づき表示されている。
「新規契約高」 新規契約高とは、期間中に販売された新規契約から将来生じる予測税
引後法定利益の現在価値(販売時に計算)から当該契約を維持するた
めの規制上の準備金を上回る必要資本の維持費を控除したものをい
う。AIAの新規契約高は、連結準備金・資本金要件及び未配分のグ
ループ事務費の税引後価値を反映するための調整後で記載されてい
る。市場別新規契約高は、連結準備金・資本金要件及び未配分のグ
ループ事務費を反映するための調整前で記載されており、また、現地
の法定基準に基づき表示されている。
「新規契約利益率」 年金事業を除いた新規契約高であり、年換算新規契約保険料の割合と
して表示される。AIAの新規契約利益率は、連結準備金・自己資本要
件及び未配分のグループ事務費の税引後価値を反映するための調整後
で記載されている。市場別の新規契約利益率は、連結準備金・自己資
本要件及び未配分のグループ事務費を反映するための調整前で記載さ
れており、現地の法定基準に基づき表示されている。
「運転資金」 運転資金は、グループ・コーポレート・センターにおいて保有される
負債証券及び持分証券、預金並びに現金及び現金同等物からなる。こ
れらの流動資産は、グループの事業運営の確立を目的とした投資のた
めに利用することができる。
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第一部【企業情報】
第1【本国における法制等の概要】
1【会社制度等の概要】
(1)【提出会社の属する国・州等における会社制度】
以下の情報は、 2018年12月31日 現在有効な香港法の概要である(但し、下記「後発的に発生した事象」を除く。)。
香港会社法
香港において設立又は登記された会社に適用される制定法は主に香港会社条例に規定がある。会社は株式有限責任会社、保
証有限責任会社又は無限責任会社として設立される。最も一般的な会社の形態は株式有限責任会社であり、株主の責任は一般
的にその株式について未払の金額(もしあれば)に限定されている。以下の記述は、別段の断りがない限り、株式有限責任会
社に適用される香港会社条例の概要である。
会社の設立
会社は香港の会社登記所(以下「登記所」という。)に次の書類を提出することによって初めて設立することができる。す
なわち、定款の写し、及び発起人又は(発起人が法人である場合には)発起人の取締役、秘書役若しくは署名権者のいずれか
によって、当該会社の登記に関する香港会社条例の全ての要件が遵守されていることを証する宣言、登記上の事務所の提案さ
れた所在地並びに最初の取締役及びその就任承諾に係る事項等を含む設立申請書、並びに税務局商業登記署への通知である。
当該書類は、紙媒体若しくは電子的媒体により、香港会社登記所の電子サービスのポータルサイトである「e-Registry」を通
じて登記所に提出することができる。
登記所は、形式、内容共に満足できる必要書類を受理した時点で、会社の定款を登記し、設立証明書を会社に発行する。
会社の規約
定款は会社内部の経営管理についての規則であり、典型的には、特に、株式資本、株式の発行及び割当、株式の譲渡、種類
株式の権利の内容、資本の変更、取締役会及び株主総会の招集通知及び手続、株主の議決権、取締役の選任、退任及び解任、
取締役の一般的権限及び義務、配当並びに精算等に関する重要な事項を規定する。
有限責任会社の定款は、会社の商号(会社登記所により免除が付与されていない限り、商号の末尾に「リミテッド」(英語
の商号の場合)又はこれに相当する中国語の語句(中国語の商号の場合)を付さなければならない。)、株主の責任が有限で
ある旨の記載(該当する場合)、及び会社の登記上の事務所が香港内にある旨の記載を含まなければならない。目的条項を含
めるかは、任意である。会社がその目的を記載しないことを選択する場合、会社は、自然人の行為能力並びに権利、権限及び
特権を有するが、その定款に反する方法で当該権限を行使することはできない。会社がその目的を記載する場合、その定款に
より実施若しくは行使が認められない事業の実施若しくはいかなる権限の行使も行わないものとする。
会社の機関
会社は、取締役会及び株主総会における構成員(株主)という2つの構成部分すなわち機関から構成されている。公開会社
は少なくとも2名の取締役を設置しなければならず、非公開会社は1名の取締役のみから設置することができる。取締役は、
集合体として取締役会と称され、日々の経営機能を委任される。株主総会の構成員は、その選任権及び定款の変更を通じて間
接的に取締役会の権限行使を規制することができる。会社の目的(定款に記載のある場合)、定款及び商号の変更、株式資本
構成の変更、任意解散並びに非公開会社による自己株式の取得等の一定の事項は、香港会社条例に基づき株主の承認を要す
る。このようにして、会社の取締役会及び株主(株主総会における議決権行使を通じて行動する。)は、香港会社条例及び取
締役会についてはその会社の定款(適用ある法律に服する。)によって決定されるそれぞれの権限を有する会社の2つの機関
となっている。
取締役の義務
取締役の責任は、会社の定款、判例及び法律を含めた様々な要因から派生したものである。会社の取締役が取締役としての
義務を遵守しない場合には、当該取締役は、民事訴訟若しくは刑事訴訟を提起される可能性があり、また取締役としての資格
を失う可能性がある。
一般的に取締役は、会社との取引を行い又は会社を代表して取引を行うにあたって誠実に行為し、且つ誠実にその権限を行
使し職務を遂行するという、会社に対する忠実義務を負う。
香港会社条例は、合理的な注意、技量及び勤勉さを行使することを取締役に義務付けている。「合理的な注意、技量及び勤
勉さ」とは、(a)取締役が会社に関連して遂行する職務を遂行する者に合理的に期待される一般的な知識、技量及び経験
(客観的基準)並びに(b)その取締役が有する一般的な知識、技量及び経験(主観的基準)を有する合理的に勤勉な者が行
使するであろう注意、技量及び勤勉さをいう。香港会社条例は、会社の経営管理の一定事項に関して会社の取締役に対して
様々な義務(例えば、取引、取決め若しくは契約又は取引案、取決め案若しくは契約案における取締役の重要な利害関係の性
質と範囲の開示義務)を課している。
上記の法定義務に加え、取締役の義務には他に以下の一般原則が存在する(全て網羅されているものではない。)。
(a)全体として見たときに会社の最良の利益となるよう誠実に行為する義務
(b)全体として見たときに株主の利益となる適切な目的のために権限を使用する義務
(c)個人的利益と会社の利益間の利益相反にあたる行為を回避する義務
(d)法律によって要請される場合を除き、取締役が利害関係を有する取引に従事しない義務
(e)適切な授権を伴わないで権限を委任しない義務及び独立して判断する義務
(f)相当な注意、技量及び勤勉さを用いる義務
(g)取締役としての地位を利用して便益を得ない義務
(h)会社の所有物若しくは情報を無権限で使用しない義務
(i)取締役という地位によって第三者から贈与される個人的な利益を受領しない義務
(j)会社の定款及び決議を遵守する義務
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(k)適切に帳簿を保管する義務
利害関係のある取締役
香港会社条例は、 会社の事業に重要な 会社との取引、取決め若しくは契約又は取引案、取決め案若しくは契約案について直
接的又は間接的に利害関係のある取締役に対して、当該取引、取決め若しくは契約又は取引案、取決め案若しくは契約案に係
る当該取締役の利害関係が重要である場合には、当該取締役による開示が実務上可能な最も早くに開催される取締役会におい
て、その利害関係の性質及び範囲を開示することを要求する。かかる義務に違反した取締役は、罰金を科され、また、一定の
場合には、公平原則に基づき、かかる取締役は、利益相反のある取引、取決め又は契約によって得られた利益について会社に
説明するよう要求される可能性がある。さらに、香港証券取引所に株式が上場されている会社については、香港上場規則も、
(会社の関係者である)取締役に対して利害関係を持つ取引全てに関し開示し、また、一定の状況においては議決権行使を棄
権することを要求している(但し、一定の免除が適用される。)。
取締役への貸付禁止
特定の免除される取引を除き、会社は、直接的若しくは間接的に(ⅰ)当該会社若しくはその持株会社の取締役に貸付を行
うことはできず、(ⅱ)当該会社若しくはその持株会社の取締役に対してなされたいかなる者による貸付に関しても保証若し
くは担保提供することはできず、又は(ⅲ)当該会社の取締役のいずれかが他の会社に支配権を有する場合、当該被支配会社
に貸付を行うこと若しくは当該被支配会社に対してなされたいかなる者による貸付に関しても保証若しくは担保提供すること
はできない。準消費賃借及び信用取引に関する追加の禁止事項は、株式会社及び一般的に認識されている株式市場で上場され
ている会社を含む特定の種類の会社に適用される。この禁止事項 に 違反 した場合 には、取締役は、かかる取引若しくは契約に
より得た利益を会社に帰属させ、かかる取引若しくは契約により生じるいかなる損失についても当該会社に対し補償する責任
を負う。
取締役及び執行役員に対する補償及び責任限定
香港会社条例では、会社の取締役を、職務怠慢、義務不履行、義務違反又は背任に係る会社に対する責任から免除しようと
する会社の定款、契約その他いかなる規定も無効である。但し、会社は、その取締役のために、当該責任(詐欺行為を除
く。)に対する保険又は当該責任(詐欺行為を含む。)について取締役に対し提起された訴訟において防御するために取締役
が被った債務を補償するための保険に加入し維持することができる。会社はまた、その取締役に対して、民事訴訟又は刑事訴
訟の防御に要する費用についても、最終的に当該取締役の勝訴となる判決が下された場合(又は当該役員の無罪判決が下され
た場合)はこれを補償することができる。
職務怠慢、義務不履行、義務違反又は背任に係る会社の取締役又は役員に対する訴訟において、当該取締役又は役員は責任
を負う又は有する可能性はあるものの、誠実且つ合理的に行動しており、またその全ての状況(その選任に関するものも含
む。)を鑑みた結果、職務怠慢、義務不履行、義務違反又は背任から公正に免責されるべきであることが係属裁判所にとって
明らかである場合には、裁判所は、適切であるとみなす条件で、当該取締役若しくは役員を、その責任の全て又は一部を免責
することができる。いかなる取締役又は役員も、自身に対する職務怠慢、義務不履行、義務違反又は背任に関する訴訟が提起
される若しくは提起される可能性があると信じる理由がある場合、当該取締役若しくは役員は裁判所に救済を求めて提起する
ことができ、裁判所は、職務怠慢、義務不履行、義務違反又は背任に関する訴訟が当該取締役又は役員に対して提起された裁
判所として、当該取締役又は役員を救済する権利を有する。
株式の割当
香港会社条例では、会社の取締役は、既存株主に対してその持分に応じて、株主総会での株主による事前の承認なしに株式
を割当てることのみができる(かかる提供がその管轄区域の法律に基づき許可されない管轄区域に住所を有する株主のいずれ
かに割当てようとする場合を除く。)。取締役は、会社の定款の定めにかかわらず、株主総会で会社により承認される場合を
除き、この株主割当以外の方法で株式を割当てることはできない。当該承認は、具体的(特定の割当に限定する。)又は一般
的になる可能性があり、且つ無条件又は条件付きとなる可能性がある。取締役に与えられる承認は、その承認に基づき割当て
られる株式の最大数及びその承認が効力を失う日付を明らかにするものとする。かかる承認は、次に掲げるいずれかの事由が
発生するまで引き続き有効である。
(a)次回の定時株主総会の終結
(b)法律により次回の定時株主総会の開催が要求される期間の満了
(c)株主総会で株主の普通決議により取消又は変更された時
いずれの承認も、株主総会にて、会社は、取消、更新若しくは追加更新を行うことができる。これらの定めに故意的若しく
は意図的に違反する又は違反を許可若しくは承認する取締役は、略式手続による禁固刑若しくは罰金刑の対象となる。
株式資本の変更
会社は、香港会社条例に定められている方法のうちいずれか1つ又は複数を用いることにより、その資本の変更を行うこと
ができる。かかる方法とは、以下の通りである。
(a)新規株式の割当及び発行によりその株式資本を増加させる。
(b)新規株式の割当及び発行を伴わずにその株式資本を増加させる(増資に係る資金又はその他の資産が会社の株主により
提供される場合)。
(c)その利益を資本化する(新規株式の割当及び発行を伴うか否かを問わない。)。
(d)株式資本特別配当株を割当て発行する(株式資本の増加を伴うか否かを問わない。)。
(e)その株式の全部又は一部をより多数又は少数の株式に転換する。
(f)(ⅰ)消却決議の採択日において何人によっても引受けられていない若しくは引受が合意されていない株式又は(ⅱ)
失権した株式を消却する。
株主総会
香港会社条例に基づき、定時株主総会の招集通知は、21日前までに発するものとする。それ以外の株主総会の招集通知は、
14日前までに発するものとする。定時株主総会に出席する権利を有し議決権のある全ての株主が同意する場合、定時株主総会
を21日前より短縮した通知により招集することができる。その他の株主総会は、当該株主総会に出席し議決権を行使する権利
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を有する議決権総数の95%を保有する株主の過半数が同意する場合、14日前より短縮した通知により招集することができる。
かかる通知には、株主総会の場所、日時及び議事の内容等を明記するものとする。会社による株主への招集通知の偶発的な欠
如 又は株主による株主総会招集通知の不受領により、当該株主総会の手続が無効とされることはない。
公開会社は、会計年度を決定する会計基準期間の末日から6ヶ月以内に定時株主総会を開催しなければならない。また、同
一の会場における実際の会議に替わる選択肢として、株主総会は、電子的技術を用いて複数の場所で開催するか、又は単に全
株主により可決された書面決議をもって済ませることもできる。
議決権
株主の議決権は、会社の定款、及び一定の状況においては香港会社条例により規定される。定款は、議案決議のための定足
数、株主の権利、及び株主総会における又は取締役会による行為又は決議の承認に要する議決権割合等の事項を定める。
株主総会において株主の承認を要する一切の行為は、当該株主総会において賛成の決議がなされなければならない。決議は
次のように分類される。
(a)株主総会において議決権を有し、且つ自ら又は議決権行使代理人により議決権を行使する株主の単純過半数(又は、株
主総会における投票の場合は、株主総会において議決権を有し、且つ自ら又は議決権行使代理人により議決権を行使す
る全株主の議決権総数の単純過半数を有する株主)の賛成をもって採択される決議である、普通決議。
(b)株主総会において議決権を有し、且つ自ら又は議決権行使代理人により議決権を行使する株主の75%以上(又は、株主
総会における投票の場合は、株主総会において議決権を有し、且つ自ら又は議決権行使代理人により議決権を行使する
全株主の議決権総数の75%以上を有する株主)の賛成をもって採択される決議である、特別決議。
非公開会社については、定款に別段の規定がない限り議決権行使は通常挙手により行われる。香港証券取引所に上場されて
いる会社については、香港上場規則により投票が明確に義務付けられている(但し、純粋に手続上の又は執行上の事項に関す
る決議を挙手により行うことを認める旨議長が誠実に決定した場合はこの限りではない。)。
議決権行使が挙手により行われるときは、各株主は、その持株数の多寡にかかわらず、1個の議決権を有する。香港会社条
例及び定款は、投票を要求することができる状況を定める。香港会社条例は、株主総会の議長の選任又は延会以外の問題につ
いて株主総会でかかる投票を要求する権利を排斥する定款規定を無効とする。投票が行われる場合、各株主は保有1株毎に1
個の議決権を有し、議決権行使代理人は議決権行使をすることができる。
一般に、株主の決議は普通決議によって採択されるが、一定の事項については特別決議によってのみ採択される。かかる事
項には、以下に掲げるものが含まれる(但し、これらに限定されない。)。
(a)目的の変更(定款に記載のある場合)
(b)定款の変更
(c)商号の変更
(d)資本の減少
(e)任意解散
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株主訴訟
香港の裁判所では株主代表訴訟が認められており、かかる訴訟を提起することができる。原則として、通常は、会社に対し
て行われた不正行為については会社が原告となって訴えを提起するが、株主代表訴訟では、特に、会社を支配している者が
「少数株主に対する詐欺」を行っているとの根拠に基づいて、株主が(会社を代表して)株主代表訴訟を提起することができ
る。
株主提案権
香港法に基づいて設立された会社の株主は、香港法により、最低株主数又は持株数要件を満たし、且つ通知に関する条項を
遵守することを条件に、定時株主総会において株主による審議及び決議の提案をすることができる。
香港会社条例は、会社の取締役は、株主総会での議決権のある全株主の総議決権の5%以上を有する株主から請求される場
合、定款の定めにかかわらず、直ちに会社の株主総会を招集しなければならないと定めている。当該請求は、(ⅰ)当該株主
総会において取り扱われる議事の概要を明確にしなければならず、(ⅱ)その請求者により認証されなければならず、(ⅲ)
紙媒体又は電子的媒体により会社に送付することができ、また(ⅳ)当該株主総会で提出を予定する決議案の文面を記載する
ことができる。請求を受けた日から21日以内に取締役が株主総会を招集しない場合(かかる株主総会は、招集通知の日付から
28日以内に開催されなければならない。)、請求者(若しくは全請求者の総議決権の過半数を代表する者のいずれか)自身で
株主総会を招集することができる。かかる招集がなされた株主総会のいずれも、取締役が株主総会の招集の請求を受けた日か
ら3ヶ月以内に開催されなければならない。
会社事項の書面による承認
香港法は、株主が、株主総会を開催することなく、株主総会において当該事項について議決権を有する各株主により又はこ
れに代わって署名された全会一致の書面決議により会社に係る事項(会社の株主総会の決議で承認することができるあらゆる
事項)を承認することができ、且つ、かかる決議は正式に採択されたものとみなされる旨を規定する。書面決議が可決された
場合には、会社は15日以内にかかる事実をその各株主及び会計監査人に通知しなければならない。
同様に、当該決議について議決権を有する全株主の議決権総数の5%以上を有する株主から書面決議を回覧するよう請求の
あった場合は、会社は21日以内に書面決議を回覧する。書面決議を提案する株主は、決議の主題に関する1,000語以内の表明文
を、当該決議と併せて回覧するよう会社に請求することができる。提案された書面決議は、会社の定款において当該目的の為
に定められた期間(又は、定めのない場合は、回覧日を初日とする28日間)の末日までに可決されない場合は、失効する。
会社の定款には、書面決議を可決するための代替手続を定めることができる(但し、決議は議決権を有する全株主の賛成を
要する。)。
株主総会における手続
株主総会における手続は、通常、会社の定款に規定され、会社によって異なり得る。
帳簿及び記録の閲覧
香港会社条例では、会社は、その定款若しくは株主総会により会社が課すことができる合理的な制限に従って、その株主に
対しては無料で、またその他の者に対しては若干の手数料を支払うことにより、会社の一定の記録(株主名簿及び株主の氏名
の索引を含む。)を、1日につき営業時間中の少なくとも2時間閲覧できるようにすることを義務付けられている。
年次報告書
会社は、年次報告書を登記所に提出しなければならない。年次報告書は、その提出後公開文書となり、所定の手数料を支払
えば誰でもこれを閲覧できる。
会社は、「報告基準日」後42日以内に年次報告書を提出しなければならない。株式資本を有する非公開会社の場合、報告基
準日とは、その年における会社設立日の応対日をいう。公開会社の場合、報告基準日とは、会社の会計基準期間の末日から
6ヶ月後をいう。
情報は年次ベースで開示されなければならず、当該情報には次のものが含まれる(但し、これらに限定されない。)。
(a)登記上の事務所の所在地
(b)株式資本の概要
(c)株主の明細
(d)取締役及び役員の詳細
(e)全ての抵当・買掛金に関する会社の負債額
非公開会社を除き、年次報告書にはさらに以下のものが含まれなければならない。
(a)財務書類の証明付写し(法律により財務書類に添付が必要とされる全ての文書を含む。)
(b)財務書類に添付される取締役報告書及び会計監査人報告書の各証明付写し
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会計帳簿
会計帳簿は会社の登記上の事務所又は取締役が適切であるとみなすその他の場所において備え置かれ、いつでも取締役が自
由に閲覧できるようにしておかなければならない。これらの会計帳簿は最終的になされた記載又は記録事項に係る会計年度末
から少なくとも7年間保存しなければならない。会社の株主は、登記所に提出された年次財務書類を閲覧することができ、特
定の状況下においては、会社の会計帳簿を閲覧することもできる。また、香港証券取引所は上場会社に対し、当該会社が香港
証券取引所に上場された仕組商品を有する場合には、その年次報告書、中間報告書及び(ある場合は)四半期報告書を会社の
登記上の事務所又は主要な営業所において一般人が閲覧できるようにすることを義務付けている。
財務書類
会社の取締役は、定時株主総会において会計年度における財務書類の写しを、当該財務書類に係る取締役報告書及び会計監
査人報告書と併せて提出しなればならない。かかる財務書類は、定時株主総会の開催日の6ヶ月以内に到来する日を決算期と
して作成されなければならない。裁判所が適切であるとみなす場合は(いかなる理由であっても、いずれの会社及び事業年度
に関してであっても)、(a)定時株主総会において財務書類の提出要件を、裁判所が指定するその他の株主総会における当
該財務書類の提出要件と置き換えることができ、(b)上記の6ヶ月という期間を延長することができる。
また、会社が子会社を有する場合には、 持株会社 の取締役は 持株会社 自体の財務書類と共に連結決算書類を提出しなければ
ならない。財務書類は、会計年度末の会社の財政状態の真実且つ公正な概観を示し、また会計年度における会社の財務業績の
真実且つ公正な概観を示すものでなければならない。会社若しくはその子会社の連結財務諸表は、当社の株主に対して、概し
て会社の財政状態及び財務業績の真実且つ公正な概観を示すものではなくてはならない。
取締役報告書
取締役報告書には、とりわけ(a)会計年度における会社及びその子会社の主な事業活動、(b)配当金として支払うべき
であると取締役が推奨する金額(もしあれば)(c)会計年度において発行された株式又は債務証券(もしあれば)に関する
詳細(発行の理由、種類、金額及び対価を含む。)、(d)会計年度中又は取締役報告書の日付現在、会社及びその子会社の
取締役であった各取締役の氏名、(e)会社の事業のレビュー(会社の事業の公正なレビュー、会社が直面する主要なリスク
及び不確実性の説明、会計年度終了後に発生した会社に影響を及ぼす重要な事象の詳細、及び会社の事業において予想される
将来の動向の提示を含む。)、並びに(f)開示しても会社又はその子会社の事業に損害を与えないと取締役が判断する株主
が会社の状況を評価するために重要であるその他のあらゆる事項を記載する必要がある。
会計監査人
会社は、最初の会計監査人の選任後は、各定時株主総会において会計監査人を選任しなければならず、当該会計監査人は次
期定時株主総会の終了時まで在職する。会計監査人を選任する義務は、会社の株主にある。もし株主が株主総会において会計
監査人の選任をしなかった場合は、いずれの株主もかかる選任を裁判所に申し立てることができる。
会社の会計監査人は、自らが検査した決算書類並びに任期中の株主総会に提出される財務書類及び連結決算書類全てに関し
て株主に報告しなければならない。
会計監査人報告書は、会社に提出される損益計算書、貸借対照表及び全ての連結決算書類に添付されなければならない。
会計監査人は会社の会計記録を閲覧する権限(現在又は過去の会社の関係会社である者に情報及び説明を求める権限を含
む。)を有する。かかる請求を受けたにもかかわらず当該情報又は説明の提供を怠った者は法令違反となり、罰金が科され
る。
財務情報の開示
一般に、会社は、定時株主総会に提出されることを要する全ての決算書類及び 持株会社 の場合は連結決算書類の写し(法律
で添付が必要とされる全書類の写しを含む。)を、取締役報告書の写し及び会計監査人報告書の写しと共に、会社のあらゆる
株主、会社のあらゆる債務証券所持人及びかかる受領権限を有するその他全ての者に対して、定時株主総会の開催日の21日前
までに送付しなければならない。
重要管理人登録簿
香港で設立された会社は、(免除の対象となる場合を除き)自社に対し重大な支配権を有する個人及び/又は一定の法人の
登録簿(以下「重要管理人登録簿」という。)を備置しなければならない。重要管理人登録簿は一般には公開されず、(ⅰ)
マネーロンダリング又はテロリスト融資の防止、発見又は調査に関する職務遂行を目的とした特定の既定機関の担当官による
縦覧、(ⅱ)重要管理人登録簿の要件が遵守されていることの確認を目的とした香港会社登記所の担当官による縦覧、及び
(ⅲ)その氏名が重要管理人として重要管理人登録簿に登録された一切の者による縦覧にのみ供される。当該要件は外国会社
又はその香港内の登録支社、及びその株式が香港証券取引所に上場されている会社には適用されない。
重要管理人登録簿の目的上、ある有限株式会社について、複数ある条件のいずれか1つに当該する者は、当該会社に対し重
大な支配権を有する者とされる。かかる条件には、(ⅰ) 会社の発行済株式又は議決権の25%超を直接的又は間接的に有するこ
と、(ⅱ) 会社の取締役会の過半数を任命又は解任する権利を直接的又は間接的に有すること、及び (ⅲ) その他一切の方法に
より会社に対し重大な影響力又は支配権を行使する権利を有する又は実際に行使していること等が含まれる。自然人、特定団
体(単独法人、国家又は領土の統治機関、国家若しくは領土内の現地当局又は現地統治機関、又は2つ以上の国家若しくは領
土が加盟している国際機関を含む。)又は法人であって、会社の株主として当該会社に重大な支配権を有するものが、当該会
社の重要管理人登録簿に登録される。会社は、合理的な段階を用いてその重要管理人を特定しなければならない。ある者が重
要管理人である(又は当該者が重要管理人である他の者の識別情報を知っている)と会社が知るに至った場合、又はその様に
判断するに足る合理的な理由がある場合には、会社は当該者に対し7日以内に通知しなければならない。
また、会社は重要管理人について要求される詳細情報を重要管理人登録簿に登録し、随時更新なければならない。重要管理
人登録簿は、上記重要管理人の基本情報(氏名、住所(個人の場合)、香港身分証明番号(又はパスポートの番号及び発行国
名)、当該重要管理人が登録対象となった日付、並びに会社に対する支配の内容を含むがこれらに限定されない。)を記録す
ることを要する。会社はまた、重要管理人登録簿をその登録事務所又は香港内のその他の場所に備置し、権限を有する者が閲
覧及び複製できる状態にしなければならない。上記要件の不遵守は刑法上の罪に問われ、罰金及び禁固を科せられる可能性が
ある。
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後発的に発生した事象
上記の情報について 2018年12月31日 より後に生じた重要な事象の概要は以下のとおりである。
2019年2月1日、2018年香港会社 (修正) (2号) 条例(以下「修正条例」という。)が施行された。上記の法的要件に対す
る主な修正内容の概要は以下のとおりである。
会計関連の規定に対する変更
香港会社条例に基づく「持株会社(holding company)」及び「親会社(parent undertaking)」の定義が、現行の会計基準
に沿うよう修正された。かかる修正により、持株会社には会社である親会社が含まれるものとされ、またグループ会社につい
ても同様に解釈される。ある会社が(ⅰ)他の会社を支配している場合、又は(ⅱ)当該会社の財務書類に適用ある会計基準
の目的上他の会社の親会社である場合、かかる会社は当該他の会社の親会社であるとされる。更に「支配」とは、当該他の会
社の活動から利益を得られるよう、当該他の会社の財務・運営方針を管理する権限と定義される。会社が(ⅰ)他の会社の議
決権の過半数を有する場合、(ⅱ)他の会社のその他の株主との合意により当該他の会社の議決権の過半数を行使する権限を
有する場合、(ⅲ)他の会社の取締役会又はこれに相当する意思決定機関の過半数を選任又は解任する権利を有する場合、又
は(ⅳ)他の会社の取締役会又はこれに相当する意思決定機関における議決権の過半数を行使する権限を有する場合に、当該
会社は、反証がある場合を除き、当該他の会社の支配を有するものとみなされる。
かかる定義の変更により、香港で設立された会社は、当該会社が親会社となる会社を含む連結財務書類を作成することとな
る。また、取締役報告書の内容も、当該会社が親会社となる会社をその対象とすることとなる。
コンプライアンス要件について明確化されたその他の事項
修正条例はまた、既存の要件をより明確化するための規定を定めている。前述の要件に関連ある主な修正には、以下が含ま
れる。
(a)香港で設立された会社の定款は、電子的形式で作成することができる。
(b)香港で設立された会社が、英語で登録された社名と中国語で登録された社名を両方有する場合、両方の社名を定款に記
載する。
(c)取締役は、香港で設立された会社の事業年度を、7日を超えない期間延長又は短縮する権限を有する。
(d)会社は、取締役により会議を経ず可決された全ての決議を、取締役会会議における全ての手続の議事録とあわせて、当
該決議の可決又は会議の開催から少なくとも10年間保存する。
(e)取締役会会議で記録され、当該会議の議長又は次回の取締役会会議の議長により署名される議事録は、手続の証拠とし
て取締役会会議及び定時株主総会において使用することができる。
(f)香港で設立された会社であって、他の会社の一部所有子会社であるものは、事業年度末までに全ての株主が書面で合意
する場合、連結財務書類を作成する義務を免れる。
(g)種類株式の権利の変更は、当該種類の全ての株主が書面による同意又は決議により合意する場合、有効となる。かかる
変更は、当該同意又は決議の日又はそれらで指定された日に効力を生じ、かかる状況において、いかなる株主も当該変
更の禁止を求める訴えを裁判所に提起してはならない。
(2)【提出会社の定款等に規定する制度】
以下の情報は、 2018年12月31日 現在有効な当社の会社制度の概要である(但し、下記「後発的に発生した事象」を除
く。)。
以下の概要は、2010年10月12日の株主総会決議により承認及び採択され、当社普通株式の香港証券取引所のメインボードへ
の上場が許可される日(当該許可は、2010年10月29日をもってなされた。)をもって有効となる修正及び改訂された当社定款
に基づくものである。当社の定款は、当社株主による2012年5月8日付、2013年5月10日付及び2014年5月9日付の特別決議
により修正されている。
基本情報
当社基本定款を具備する義務が免除されたことに伴い、当社の基本情報(当社の商号、株主の有限責任並びに発起人の会社
設立時における資本及び会社株式の当初保有割合に関する情報を含む。)は、一元化された当社定款に記載されることとなっ
た。
株式の発行
発行済株式に対してその時点において付されている特別な権利、特権又は制限を損なうことなく、株式及び失権株は、当社
が香港会社条例に従い随時定める(かかる定めがなされない場合、当社取締役が定める)条項及び条件により、配当、議決権
行使、株式資本の返還若しくは償還に関するか又はその他に関するかを問わず、これに上記のとおり当社又は当社取締役が定
める権利、特権及び制限を付して、それぞれ発行及び再発行することができる。
株式の払込請求、失権及び先取特権
当社取締役は、株主に対して、その保有する株式にかかる未払込金額につき、当該株式の発行条件に従って払込請求を随時
することができ、かかる払込請求は分割払いにより払い込むことが可能である。各株主は、(14日前までに払込の期日及び場
所を定めた通知を受領した場合)持株について払込請求された金額を指定された期日及び場所で当社に対して支払うものとす
る。
いずれかの株主が支払期日に払込請求又は払込請求の分割払金を全額支払わない場合、当社取締役はその後いつでも、かか
る払込請求の一部でも未払いである期間、払込請求のうちの未払部分を、経過利息及びかかる不払いを理由に発生した費用等
とともに支払うことを要求する通知を当該株主に対して送付することができる。当該通知にはまた、指定された期限までに指
定された場所で支払が行われない場合、当該払込請求がなされた株式は失権する旨を記載するものとする。
当社は、各株式(全額払込済み株式を除く。)について未払の一切の金員(現に支払われるべきであるか否かを問わな
い。)につき当該株式上に第1順位且つ最優先順位の先取特権を有する。株式上の当社の先取特権は、当該株式について支払
われる全ての配当に及ぶ。当社取締役はいつでも、一般的に又は特定の場合について、発生した先取特権を放棄することがで
きる。当社は、その上に当社が先取特権を有する株式を、当社取締役が適切と認める方法で売却することができる。但し、先
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取特権にかかる金額の支払期限が現に到来しており、且つその支払を請求し、不履行の場合は売却する意向である旨を記載し
た当該株式の保有者に対する書面による通知がなされてから14日経過後もなお当該金額が支払われていない場合に限る。
株式資本の変更
当社は、自己株式及び当社のワラント(償還株式を含む。)を任意の価格で買取若しくはその他の手段により取得するため
に、又はいずれかの者により行われ若しくは行われる予定の当社の株式若しくはワラントの買取若しくはその他の手段による
取得を目的として若しくはこれに関連して貸付、保証、担保の提供若しくはその他の手段により直接的に若しくは間接的に金
銭的支援を提供するために、香港会社条例又はその時点のその他の規則により付与又は許容されている全ての権限を行使する
ことができる。当社が自己株式又は当社のワラントを買取又はその他の手段により取得するときは、当社及び当社取締役会の
いずれも、同種の株式若しくはワラントの所持人の間において若しくはかかる所持人及び異なる種類の株式若しくはワラント
の所持人の間において均等に若しくはその他の特定の方法により、又は種類を問わず株式により付与された配当若しくは資本
に関する権利に従って、買取又はその他の手段により取得されるかかる株式又はワラントを選定する義務を負わない。但し、
(a)株式市場外の買取又は公開買付けによらない買取は上限価格に限定されるものとし、また(b)買取が公開買付けによ
る場合は、かかる公開買付けは株主全員を等しく対象とするものとする。また、買取若しくはその他の方法による取得又は金
銭的支援は、香港証券取引所又は香港証券先物委員会が制定するその時々において有効な関連規則又は規制に従う場合のみ実
施することができる。
当社は、特別決議により随時、その資本を法令により認められる方法で減少させることができる。
権利の修正
その時点で発行されている株式又はいずれかの種類株式に付されている特別の権利(当該株式又は当該種類の株式の発行条
件により別途規定されている場合はこの限りでない。)の全部又はそのいずれかは、香港会社条例の規定に従い、(資本が複
数の種類株式から構成される場合には)当該種類株式の所持人の総議決権の75%以上を有する所持人の書面による承諾、又は
株主総会若しくは(資本が複数の種類株式から構成される場合には)当該種類の種類株主総会において採択された特別決議に
よる承認を得て、随時変更又は廃止することができる。株主総会に関する当社定款の規定は全てかかる種類株主総会に準用さ
れるものとするが、その定足数(延会を除く。)は、自ら又は議決権行使代理人により出席し、且つ当該種類株式の保持人の
総議決権の3分の1以上を共同で保有する2名以上の者とする。自ら出席し又は議決権行使代理人が出席する当該種類株式を
保有する者は、投票を行うことを請求することができる。
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株式の譲渡
株式の譲渡は、全て、通常の一般的な様式の譲渡証書又は当社取締役会が認めるその他の様式の書面により実施することが
でき、また自署のみにより実施することができる。譲渡人又は譲受人がSFOにおける認定決済機関(又はその名義人)である場
合は、自署若しくは機械印刷署名によるか、又は当社取締役会が随時認めるその他の作成方法によることができ、また譲渡証
書は譲渡人又はその代理人及び譲受人又はその代理人により作成されるものとする。
全ての譲渡証書は、譲渡株式に関する証書及びこれに関連して当社取締役が要求することのあるその他の証拠と共に、登記
上の当社事務所又は当社取締役会が当該目的のために指定するその他の場所に存置しなければならない。譲渡人は、譲受人の
氏名が当該株式につき株主名簿に記載されるまではなおその所持人にとどまるものとみなす。当社取締役は、香港会社条例に
基づき随時、その完全な自由裁量により、全額払込済株式を除く株式の名義書換を拒否することができる。
さらに、当社取締役は、以下に該当しない場合には、譲渡に係る登録を拒絶することができる。
(a)譲渡証書が1つの種類株式のみに関するものである場合
(b)共有者に対する譲渡の場合は、譲受人の人数が4名を超えることがない場合
(c)当該株式が当社のためのいかなる先取特権にも服していない場合
(d)譲渡証書に適式に印紙が貼付されている場合
(e)偽造により生ずる損害を防ぐため、当社取締役が随時課すことのあるその他の条件が満たされている場合
(f)その時点で香港証券取引所により規定され又は認められる上限額以下の手数料が当該譲渡に関連して当社に支払われた
場合
(g)譲渡に関する株券、及び当社取締役会が合理的に要求する当該譲渡を行う譲渡人の権利を証明するその他の証拠が譲渡
証書に付されている場合
いかなる株式の譲渡も幼児、精神的無能力者又はその他の法的無能力者に対しては行うことができない。当社取締役は、4
名超の共有者に対する一切の株式(全額払込済株式か否かを問わない。)の名義書換を拒むことができる。
株主総会
当社は、毎年、その年のその他の株主総会のほか、定時株主総会として株主総会を開催するものとする。定時株主総会は、
香港会社条例第610条に従い当社取締役が定める時期及び場所において開催されるものとする。当社取締役は、適切と判断する
ときはいつでも、定時株主総会以外の総会の招集手続をとることができ、また、香港会社条例に基づく要請があるときは、そ
の手続をとるものとする。
株主総会の招集通知
香港会社条例第578条及び香港上場規則に従い、定時株主総会は、開催日の21日前までに書面による通知を発して招集される
ものとし、その他の株主総会は開催日の14日前までに書面による通知を発して招集されるものとする。招集通知は、その株主
総会の場所及び日時並びに株主総会で取り扱われる議案の要領を記載するものとする。株主総会が複数の場所で開催される場
合は、招集通知に当該株主総会の主要な開催地とその他の開催地を明記するものとする。定時株主総会の招集通知は定時株主
総会である旨を記載するものとする。各招集通知には、出席し議決権を行使することができる株主は自己に代わり出席し議決
権を行使する議決権行使代理人1名以上を選任することができ、且つかかる議決権行使代理人は株主であることを要しない旨
の記載を合理的に目立つ形で行うものとする。株主総会で決議案の提出を予定している場合は、招集通知に(a)決議案通知
を含め、また(b)当該決議案の目的を示すために合理的に必要とされる情報及び説明(もしあれば)を記載した文面を含め
るか、添付するものとする。
香港上場規則に従い、当社の株主総会は、当社定款に指定された又は香港会社条例により要求された期間より短期の通知に
より招集された場合であっても、以下の者により承認された場合は適式に招集されたものとみなされるものとする。
(a)定時株主総会として招集された株主総会については、これに出席し議決権を行使することができる株主全員
(b)それ以外の株主総会については、これに出席し議決権を行使することができる株主の過半数(但し、その過半数は、全
株主の株主総会における総議決権の95%以上を合計して保有することを要する。)
招集通知を受けることができる者に対する招集通知若しくは株主総会に提出を予定する議決案に係る議決案通知の偶発的な
欠如若しくは(議決権代理行使証書が招集通知とともに送付される場合は)かかる議決権代理行使証書の偶発的な欠如、又は
かかる者による招集通知若しくは株主総会に提出を予定する議決案に係る議決案通知若しくはかかる議決権代理行使証書の不
受領は、当該株主総会における手続を無効とするものではないものとする。
株主総会の定足数
株主総会の議長の選任を除き、いかなる株主総会においても、議事を進める場合の定足数が満たされない場合、いかなる議
事も行われないものとする。全ての目的上、自ら出席し又は議決権行使代理人を出席させ、且つ、議決権を有する株主2名を
もって定足数とする。
株主総会における議決権行使
香港会社条例、当社定款及びその時々に議決権について任意の種類株式に付された特別の権利、特権又は制限に従い、株主
総会に(個人の場合は)本人自ら若しくは議決権行使代理人により又は(法人の場合は)香港会社条例第606条又は第607条の
もとで適式に授権された代表者若しくは議決権行使代理人により出席した株主は全て、挙手の場合は株主総会において1票の
み議決権を有し、投票の場合は、その所持する全額払込済株式1株について1票を有する。当社定款に従い、株主が複数の議
決権行使代理人を任命している場合、その様にして任命された議決権行使代理人のいずれも、挙手により議決権を行使するこ
とはできない。投票の場合には、議決権の行使は本人自ら行っても又は議決権行使代理人を通じて行ってもよく、2票以上を
投ずることのできる株主は、全ての議決権を行使すること又は全ての議決権を統一行使することを要しない。
当社の株主である法人は、その取締役若しくは他の意思決定機関の決議又は委任状により、その適当とみなす者に、当社の
株主総会又は種類株主総会においてかかる法人の代表者として行為させる権限を授権し、そのように授権された者は、その代
表する法人に代わり、かかる法人が当社の個人株主であれば行使し得た権限と同じ権限を行使することができる。SFOにおける
認定決済機関(又はその名義人)である株主は、その適当と思料する者を当社の株主総会又は種類株主総会でその議決権行使
代理人又は代表者として行為することを授権することができる。但し、指名された者が2名以上いる場合には、議決権行使代
理証書又は授権証書は、各人に授権された株式の数及び種類を特定するものとする。授権された者は、かかる決済機関(又は
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その名義人)が個人株主であれば行使し得た権限と同じ権限をその代表する認定決済機関(又はその名義人)に代わって行使
することができる。
香港上場規則のもとで、株主がいずれかの特定の決議案に対する議決権行使を棄権することを義務付けられている場合、又
はいずれかの特定の決議案について賛成若しくは反対のいずれかの議決権行使をするよう制限されている場合、これらの要件
又は制限に違反してかかる株主により又はかかる株主に代わって投じられた票は、算入されない。
投票による議決権行使を要求する手続
香港上場規則に従い、株主総会においては、当該株主総会の採決に付された決議は挙手により決するものとする。但し、
(挙手の結果の宣言又はその他一切の投票の要求の撤回以前に)以下のいずれかの者により投票が要求された場合はこの限り
でない。
(a)株主総会の議長
(b)自ら(又は、株主が法人の場合は、その適式に授権された代表者が)又は議決権行使代理人により出席し、且つ当該株
主総会において議決権を有する3名以上の株主
(c)自ら(又は、株主が法人の場合は、その適式に授権された代表者が)又は議決権行使代理人により出席し、且つ当該株
主総会において出席議決権を有する総株主の議決権総数の5%以上を合計で有する1名又は複数名の株主
借入権限
当社取締役は、金銭を借入れ、当社の(現在及び将来の)事業、財産及び資産並びに払込未請求の資本の全て又は一部に抵
当権又は担保権を設定し、債務証券、ディベンチャー・ストック、社債、保証及びその他の有価証券を、それ自身単独で又は
当社若しくは第三者の債務、負債及び義務の担保として発行するための当社の全ての権限を行使することができる。
株券
香港会社条例及び香港上場規則に従い、全ての株券は、当社社印(かかる目的において、香港会社条例第126条の規定により
認められる公印で足りる。)を捺印の上発行することができ、当該株券に係る株式の数及び種類、並びにその識別番号(必要
な場合)、並びにその払込金額を明記するものとするが、その他、当社取締役会が随時定める様式によることができる。
香港会社条例第162条乃至第169条の規定に従い、いずれかの株券が磨滅、汚損、滅失又は喪失した場合、当社取締役が要求
する(香港証券取引所が随時認める上限金額を超えない)手数料(もしあれば)を支払い、且つ、その要求する証拠を提出の
上、また、磨滅又は汚損の場合は、旧株券を提出の上、また、滅失又は喪失の場合は、当社取締役が要求する補償書(もしあ
れば)を作成の上、代替株券を発行することができる。
当社取締役会は、香港会社条例に従い、また株主総会において株主の承諾を得て、当社取締役会が随時定める条件により、
当社のいずれかの種類株式又は有価証券を引き受け、又は一切の有価証券を当社のいずれかの種類株式又は有価証券に転換す
ることができる新株引受権証券(無記名式の新株予約権証券を除く。)を発行し、又は同様の権利を付与することができる。
取締役
当社の事業は、香港会社条例、香港上場規則並びにその他の適用法令、当社定款及び当社の株主総会の決議に基づき、当社
の全ての権限を行使できる当社取締役会により運営される。
当社の普通決議により別段に決定されない限り、当社取締役は、3名以上とし、当社取締役の員数の上限は定めないものと
する。当社取締役は、当社株式を保有することを要求されない。当社の株主ではない当社取締役は、そのことに拘らず、株主
総会に出席し、発言することができる。
取締役の選任及び解任
当社定款第100条に基づき、各定時株主総会において、その時点の当社取締役の3分の1、又は、その人数が3又は3の整数
倍ではない場合は、当社取締役の総数の3分の1に相当する数に最も近似し且つこれを超えない人数の当社取締役(但し、第
104条の規定に服する。)が交替で退任するものとする。各年に退任すべき当社取締役は、当社定款第104条に従い選任された
当社取締役とし、その次に前回の選任からの在任期間が最も長い当社取締役とする。同日に当社取締役に選任又は再任された
者同士の場合、退任すべき当社取締役は、(当該取締役間で別途合意する場合を除き)当該取締役がその前回の選任日におい
て選任された順番に従い定められるものとする(すなわち、最初に選任又は再任された者が、最初に退任することとな
る。)。退任する当社取締役は再任資格を有するものとする。
当社は、当社定款のいかなる規定又は当社取締役と当社間のいかなる契約の規定にかかわらず、普通決議により当社取締役
を解任することができる。但し、当該契約の規定に反する当該契約の解除に対する損害賠償請求権を行使することは妨げられ
ない。
当社定款第104条に基づき、当社取締役は、不定期の欠員を補充するため、又は当社取締役会の増員のため、任意の他の者を
当社取締役に選任する権限(当該権利は随時行使可能である。)を有するものとする。これにより選任される当社取締役の人
数は株主総会において株主により随時定められる上限の員数(もしあれば)以下とし、これにより選任された当社取締役は当
社の次期定時株主総会までに限り在任し、再任資格を有するものとする。
株主総会において退任する当社取締役以外の者は、当社取締役会から再任の推薦を受けない限り、いかなる定時株主総会に
おいても当社取締役として選任される資格を有さないものとする。但し、株主総会に正当に出席し、議決権を行使する権利の
ある株主(当社取締役に選任されることを提案される者を除く。)により署名がなされた、かかる者の当社取締役への選任を
提案する旨の書面による通知(及びかかる者による、選任されることに対する書面による同意の通知)が、当該定時株主総会
の開催日の少なくとも7日前までに当社の登録済事務所に提出されていた場合はこの限りでない。
取締役報酬
当社取締役は、当社の資金の中から、当社取締役としてのその役務に対する報酬として、当社取締役が随時決定する金額
(もしあれば)(但し、その合計金額は、当社定款におけるその他の一切の規定に基づき支払われる金額を除き、年間
1,700,000米ドル又は当社が普通決議により決定するより大きい金額を超えないものとする。)の支払を受ける。当該報酬総額
は、当社取締役が合意する方法により、又は合意が成立しない場合は、均等に、当社取締役の間で分配されるものとする。但
し、後者の場合、その在任期間が報酬の支払われる期間全体に満たない当社取締役は、かかる期間のうちかかる者が在職して
いた期間に応じた金額のみ受領することができる。当該報酬は、日々積み立てられているものとみなす。
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当社取締役はまた、当社取締役としての職務執行の過程で合理的に負担した旅費、宿泊費及びその他の経費(取締役会、委
員会又は株主総会に出席するための往復の旅費、又はその他当社の事業に従事するに際して若しくは当社取締役としての職務
を 遂行するに際して要した旅費を含む。)につき払戻しを受けることができる。当業務執行職に任命され若しくは委員会の委
員を務め若しくは当社の事業に対し特別の配慮を有し又はその他通常の当社取締役の職務範囲を超える役務を履行したと当社
取締役会が判断した当社取締役に対しては、給与、利益に対する歩合又は当社取締役が決定するその他の名目で特別報酬を支
払うことができる。
取締役の利害関係
香港会社条例に従い、直接又は間接を問わず、当社取締役若しくはその関係者又は当社取締役と関係を有する事業体が、何
らかの点で、当社事業との関連で重要な当社との間の取引、取決め若しくは契約又は取引案、取決め案若しくは契約案に利害
関係を有している場合であって、当社取締役の利害関係若しくはその関係者の利害関係又は当社取締役と関係を有する事業体
の利害関係が重要である場合は、かかる当社取締役は、自身の利害関係又は自身の関係者若しくは自身と関係を有する事業体
の利害関係の性質又は範囲について、香港会社条例第536条乃至第538条及び当社定款に従い説明するものとする。かかる当社
取締役による利害関係の説明は、取引、取決め又は契約上の利害関係に関する場合は、実務上実施することが可能な限り速や
かになされることを要し、取引案、取決め案又は契約案上の利害関係に関する場合は、当社が取引、取決め又は契約を締結す
る前になされることを要する。
当社取締役は、自身若しくはその関係者又は自身と関係を有する事業体が、その認識する限りにおいて重要な利害関係を有
する取引、取決め若しくは契約又はその他の提案を承認する取締役会の決議において議決権行使してはならず、また出席者と
して定足数に算入されてはならない。かかる当社取締役が議決権行使しても、その票は当該決議には算入されない。但し、か
かる禁止規定は、下記事項には適用されないものとする。
(a)当社若しくはその子会社の要請で若しくは当社若しくはその子会社のために当社取締役若しくはその関係者が貸し付け
た金銭若しくは負担した若しくは引き受けた債務について、当該取締役若しくはその関係者に対し当社が担保を提供し
若しくは補償を付与する契約又は取決め
(b)保証若しくは補償に基づいて若しくは担保を提供することによって当社若しくはその子会社の債務の全部又は一部につ
いて当社取締役若しくはその関係者が単独若しくは共同で責任を負っている債務について、第三者に対し当社が担保を
提供し若しくは補償を付与する契約又は取決め
(c)当社取締役又はその関係者が募集・売出しの元引受又は下引受の参加者として利害関係を有するか又は有することにな
る引受又は買取による、当社若しくは当社が発起人となるか若しくは当社が利害関係を有するその他会社の株式、債務
証券若しくはその他の有価証券の募集・売出し、又はそれらによる株式、債務証券若しくはその他の有価証券の募集・
売出しに関する提案
(d)当社取締役又はその関係者のいずれかが、単に当社の株式、社債又はその他の有価証券に持分を有していることのみに
より、当社の株式、債務証券又はその他の有価証券の他の所持人と同じ態様で利害関係を有する契約又は取決め
(e)当社又はその子会社の従業員の手当に関する提案又は取決め(当社取締役、その関係者及び当社若しくはその子会社の
従業員に関係する、年金基金、若しくは退職、死亡若しくは疾病給付制度の採択、修正若しくは運営を含む。)で、当
該基金又は制度の対象者には通常付与されない特権又は優位をかかる当社取締役又はその関係者に付与しないもの
(f)当社又はその子会社の従業員に対する若しくはそのための、当社による株式にかかるオプション又はその他の有価証券
の発行又は付与を伴う従業員インセンティブ制度の採択、修正若しくは運営、又は株式若しくはその他の有価証券を取
得する条件付権利に関する提案又は取決めで、当該取締役又は関係者のいずれかがそれに基づき利益を受ける可能性の
あるもの
当社取締役は、当社取締役会が定める期間、その定める条件で、(会計監査人以外の)当社の他の役職又は利益を得る立場
を兼任することができ、かかる当社取締役には当社取締役会が定める追加報酬を支払うことができる(給与、手数料、利益参
加等支払方法は問わない。)。
当社取締役はまた、当社が発起人となった会社若しくは当社が利害関係を有するその他の会社の取締役若しくはその他の役
員に在任し若しくは就任することができ、又はそれ以外の理由によりかかる会社と利害関係を有することができる。当社取締
役はまた、当社又は株主に対してかかる会社の取締役若しくはその他の役員として又はかかる会社との利害関係により受領し
た報酬、利益又はその他の便益について説明する責任を負わない。
当社取締役会は、当社が保有若しくは所有する当該会社の株式により付与された議決権、又は当社取締役が当該他の会社の
取締役として行使しうる議決権を、全ての点で当社取締役会が適当とみなす方法で行使することができる。かかる行使には、
当社取締役のいずれかをかかる他の会社の取締役若しくは役員に任命する決議案に対して賛成票を投ずることを含む。当社取
締役又はその企業は、当社の会計監査人として行為することはできない。
配当
当社は、普通決議により、配当を宣言することができるが、かかる配当は当社取締役会が勧告する金額を超えないものとす
る。当社の利益又はその他の分配可能な準備金以外からはいかなる配当も支払われないものとし、配当には当社に対する利息
は付されないものとする。
配当に関する特別な権利を有する者の権利に服することを条件として、全ての配当は、配当が支払われる株式について当該
株式に払込がなされた金額又は払込済みであると計上された金額に応じて宣言され、支払われるが、払込請求に先立って払込
がなされた金額又は払込済みであると計上された金額はかかる目的においては当該株式について払込済みであるとはみなさな
いものとする。
当社取締役は、当社が先取特権を有する株式に対して又はこれに関して支払われる配当又はその他の金銭を留保することが
でき、これを当該先取特権に係る債務、負債又は約定の弁済に充当することができる。当社取締役会は、株主に対して支払わ
れる配当又は特別配当から、当該株主が当社に対して払込請求額、分割払金等として現在支払うべき金銭(もしあれば)全額
を控除することができる。
当社取締役会が支払うことを決議した配当、又は株主総会において当社取締役会若しくは当社により宣言若しくは承認さ
れ、若しくはその宣言若しくは承認が提案された配当について、当社取締役会は、(a)かかる配当の全て又は一部が、全額
払込済として計上された株式を割り当てることにより履行されるか(割当を受ける権利を有する株主がかかる割当に代えて現
金による配当(又はその一部)を受領することを選択する権利を有することを条件とする。)、又は(b)かかる配当を受領
する権利を有する株主が当該配当の全額若しくは当社取締役が適切と判断する一部の代わりに全額払込済として計上された株
式の割当を受けることを選択することができる旨を決定及び発表することできる。当社は、当社取締役会の勧告に基づき、普
通決議により、当社の特定の1回の配当につき、株式の割当に代えて現金による配当を受取ることを選択することができる権
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利を株主に付与することなく、配当が全額払込済みとして計上される株式を割り当てることにより全て履行することができる
旨、決議することができる。
当社取締役は、適切と判断する場合、随時、当社の準備金により正当化されるものと当社取締役が判断する中間配当を当社
株主に支払うことを決議することができる。
当社取締役は、配当の全部又は一部の弁済として、当社の資産、特に、当社が権利を有する他の会社の株式又は有価証券を
株主間で現金又は現物で分配することができる。支払義務が発生してから1年が経過した後においても請求がない配当の全て
は、請求があるまでは、当社の利益のために当社取締役が投資し又はその他の方法により利用することができる。配当につき
支払われる金銭の別口口座への支払は、当社をそれに関する受託者とするものではないものとする。配当の支払が可能となっ
た日から6年が経過した後においても請求がない配当は全て当社取締役により没収することができ、当社に帰属するものとす
る。
解散
特別な条項又は条件で発行された株式の所持人の権利に従うことを条件として、当社が解散する場合、全ての債権者に対す
る支払後の残余財産は、各株主が保有している株式について払込済みの資本金額に応じて株主の間で分割されるものとする。
かかる残余財産が払込済み資本の全てを返還するのに充分ではない場合、残余財産は、可能な限り、株主が負担する損失が各
株主の保有株式について払込済みの資本に比例するようにそれぞれ分配される。
当社が解散する場合、清算人(任意清算人又は公的清算人の別を問わない。)は、特別決議による承認を得て、当社の財産
の全部若しくは一部を現金若しくは現物により株主の間で分割するか、又は当社の資産の一部を決議に定める方法で株主若し
くはそのいずれかを受益者として信託に付することができる。かかる決議は、特定の資産を、異なる株主の間でそれぞれの既
存の権利に従う以外の方法で分配することを定め又は承認することができる。但し、その場合、各株主は、あたかも当該決議
が香港会社(解散及び雑則規定)条例(香港法第32章)の第237条に従い可決された特別決議である場合と同様に異議を申し立て
る権利又はその他これに準ずる権利を有するものとする。
当社が香港で解散する場合、その時点で香港にいない当社の株主は全て、当社を任意解散する有効な決議が採択された後14
日以内、又は当社の解散命令が下されてから14日以内に、香港に居住する者で当社の解散に関するか又はこれに基づく召還
状、通知、訴状、命令及び判決を送達し得る者を指名する書面通知を当社に送付しなければならない。かかる指名を行わない
場合、当社の清算人は任意に、当該株主に代わりかかる者を指名することができ、かかる被指名者に対する送達は、全ての目
的において当該株主本人に有効になされた送達とみなされる。清算人がかかる指名を行った場合、清算人は、できる限り速や
かに、当該清算人が適当とみなす香港において流通している英語の日刊紙に公告するか、又は当社の株主名簿に登録された当
該株主の住所に充てて書留で郵送することにより、その旨を通知しなければならない。その場合、かかる通知は、公告が掲載
された日又は郵便が投函された日に送達されたものとみなされる。
所在不明株主
当社の権利を損なうことなく、当社は、配当支払のための小切手又は証書が2回連続して現金化されないまま放置されてい
る場合には、かかる小切手又は証書の郵送での送付を中止することができる。但し、当社は、かかる配当支払のための小切手
又は証書が受取人不在として差し戻される事態が生じて初めて、配当支払のための小切手又は証書の送付を中止する権利を行
使することができる。
当社は、当社取締役会が適当と考える方法で、所在不明株主の株式を売却することができる。但し、かかる売却は、下記条
件が充足されない場合は行ってはならない。
(a)当社定款により授権された方法で関連期間中に送付された小切手又は証書に関する当該株式の所持人に現金で支払うべ
き金額に係る小切手又は証書の全てが、合計3回以上現金化されないままとなっていること。
(b)関連期間の期末現在において当社の知る限り、当社は、関連期間中のいかなる時点においても、当該株式の所持人であ
る株主の存在又は死亡、破産若しくは法律の適用により当該株式に対する権利を取得した者の存在を示唆するものを受
け取っていないこと。
(c)香港会社条例第164条に基づき、当社がかかる株式を売却する意向である旨を当社が英語の日刊紙1紙に英語で及び中国
語の日刊紙1紙に中国語で公告し、かかる公告の掲載日から3ヶ月が経過していること。
(d)当社が、関連する区域の証券取引所に対し、かかる売却を行う旨を通知していること。
上記規定の適用に当たり、「関連期間」とは、上記(c)項に記載の公告の掲載日の12年前に始まり、同項に記載の期間の
満了日に終了する期間をいう。
かかる売却を実行するために、当社取締役会は、任意の者を指名して当該株式を譲渡せしめることができ、かかる者により
又はかかる者のために署名又はその他により作成された譲渡証書は、あたかもこれが登録所持人又は当該株式の移転によりそ
の権利を取得した者が作成した場合と同様の効力を有するものとする。購入者は、購入代金の使途について留意する義務を負
わず、当該株式に対するかかる購入者の権原は、売却に係る手続の不備又は無効により影響されない。株式売却の手取金は当
社に帰属し、当社はかかる手取金を受領したとき、これに係る全ての金銭を別段勘定に計上することにより、かかる売却の手
取金に等しい額につき元株主に対し債務を負うこととなる。かかる債務について信託は創設されず、これについて利息は支払
われない。当社は、かかる売却の手取金から得た金銭について報告する義務を負わず、当社はかかる手取金を当社の事業に又
はその適当とみなす方法で使用することができる。
会計
当社取締役は、随時、香港会社条例に基づき、同条例により要求される関連報告書類を作成させ、定時株主総会に提出させ
るものとする。関連報告書類の写しは、当該株主総会の開催日の21日前までに当社株主及び債務証券所持人の全員の登録住所
に宛てて交付又は郵送されなければならない。
後発的に発生した事象
当社の定款について2018年12月31日より後に生じた重要な事象の概要は以下のとおりである。
2019年5月17日、当社株主は当社定款を修正する特別決議を採択した。主な変更内容は以下のとおりである。
(a)定時株主総会の議長は、類似の会議の議長が法律に基づき有する通常の権限を有する。また議長は、株主総会の安全か
つ規律ある進行に必要と思料する一切の義務及び制限を課す権限(株主の同意無く株主総会を延期することを含むが、
これらに限定されない。)を有する。
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(b)特別決議として定時株主総会に適式に提案された決議案については、いかなる修正案(明白な誤謬を訂正する修正を除
く。)も提案及び採決されてはならない。
(c)普通決議として定時株主総会に適式に提案された決議案については、(ⅰ)修正案の書面通知及び当該修正案を提言す
る旨の意向が、当該普通決議案が提案される株主総会の指定開催時刻の48時間以上前に登記上の当社事務所に提出され
た場合、又は(ⅱ)株主総会の議長が、その完全なる裁量により、修正案の検討又は採決が許容されると決定した場合
を除き、いかなる修正案(明白な誤謬を訂正する修正を除く。)も提案及び採決されてはならない。検討中の一切の決
議案に対する修正案が、検討又は採決されるべきである(又は、場合により、されるべきでない)と株主総会の議長が
決定する場合、かかる決定は確定的なものであるとする。
(d)第91(a)条の取締役の年間報酬の上限額が削除され、取締役としての役務について取締役に支払われる報酬は、当社が株
主総会において随時決定する金額となった。
(e)年次株主総会で順番に退任する当社取締役の人数は、香港上場規則及び第104条に基づく一切の要件に従い決定される。
(f)年次株主総会で順番に退任する当社取締役の人数は、その年度中に臨時の欠員を埋める為に任命され、次回の年次株主
総会で退任する当社取締役の人数にかかわらず決定される。
(g)委員会によりなされた香港上場規則及び本社定款に基づく行為は、当社取締役会によりなされた場合と同様の効力を有
し、当社取締役会は、第92条に基づき一切の委員会メンバーに報酬を与え、かかる費用を当社に請求する権限を有す
る。
2【外国為替管理制度】
香港には、対内又は対外投資及び香港からの資金の送金又は還流について、外国為替管理規制はない。
3【課税上の取扱い】
(1)香港における租税
以下の情報は、 2018年12月31日 現在有効な香港における租税の概要である。
配当課税
香港税務局の現在の実務においては、香港では、当社により支払われた配当金についていかなる税金も課されない。
利益税
香港では、株式のような財産の売却により生じたキャピタル・ゲインは課税の対象とされない。但し当該利得が、香港で取
引、専門的職業又は事業(株式取引を含む。)を行う者によって稼得されたものであり、且つ香港において生じたものとみな
される場合を除く。かかる場合には、当該利得は香港利益税の課税対象となり、 原則 法人に対しては16.5%の税率、個人又は
(注)
非法人企業に対しては15%の税率が課される 。香港証券取引所で実行された株式売却による利得は、原則として香港にお
いて生じたとみなされる。したがって、香港利益税の税負担は、香港で事業を行う者が実現した株式売却により香港において
生じた利益に関して発生することになる。
印紙税
香港の印紙税は、香港において譲渡に係る登録がなされている株式(以下「香港株式」という。)のあらゆる売買について
売り手及び買い手の双方に納税義務があり、売り手及び買い手それぞれに対して、譲渡された香港株式の対価又は市場価格の
うち高い方の金額に対して0.1%の従価税率が課される。すなわち、現在、一般的な香港株式の売買取引には合計で税率0.2%
の印紙税が課される。このほか、香港株式の譲渡に係る証書(要求される場合)1枚につき、5香港ドルの固定印紙税が課税
される。香港外の株主名簿に登録されている株式の譲渡については、香港の印紙税は課されない。
遺産税
香港では、2005年歳入(遺産税廃止)条例が2006年2月11日に発効した。これにより、香港では、同日以降に死亡した故人
の遺産につき相続税は課されなくなった。2006年2月11日以降に死亡した株主に関しては、香港の遺産税は課されず、また、
代理権の付与を申請するための相続税清算書も不要である。
(注)2018年3月29日付で二段階利益税制度が制定されていることに留意されたい。かかる制度は、2018年4月1日以降に開始する賦課年度
に適用される。二段階税率においては、法人については、グループ内の指定された法人の2百万香港ドルまでの課税利益に対し通常企
業に課される利益税の50%(すなわち8.25%)の低減税率が適用され(一定の例外を除く。)、残りの利益に対し16.5%の通常の税率
が適用される。個人及び非法人企業については、2百万香港ドルまでの課税利益に対し通常個人及び非法人企業に課される利益税の
50%(すなわち7.5%)の低減税率が適用され、残りの利益に対し15%の通常の税率が適用される。
(2)日本における課税上の取扱い
適用ある租税条約、所得税法、法人税法及び相続税法その他の日本の現行の関連法令に従い、且つこれらの法令上の制限内
において、日本国の居住者である個人又は内国法人の所得(及び、日本国の居住者である個人に関しては相続財産)につき上
記の香港税制に関する記述にある香港の租税が課される場合においては、かかる香港の租税は、当該日本国の居住者である個
人又は内国法人が日本において納付することとなる租税の計算上税額控除の対象となる場合がある。なお、日本の租税に関す
る詳細については、下記「第一部-第8-(2)本邦における実質株主の権利行使方法の概要-⑤本邦における配当等に関す
る課税上の取扱い」を参照のこと。
4【法律意見】
当社の香港における法律顧問であるクリフォードチャンス法律事務所より、大要、下記の趣旨の法律意見書(当該法律意見
書に記載の前提に基づく。)が出されている。
(a)当社は、香港の法律に基づき適式に設立され、且つ有効に存続している株式有限責任会社である。
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(b)本書の「第一部 企業情報-第1 本国における法制等の概要」の「1 会社制度等の概要」及び「2 外国為替管理
制度」における全ての記載は、当該記載が本書において言及される香港の法律的事項の概要を構成するという限りにお
いて、全ての重要な点につき真実且つ正確である。
当社の香港における税務顧問であるプライスウォーターハウスクーパースより、大要、下記の趣旨の法律意見書が出されて
いる。
本書の「第一部 企業情報-第1 本国における法制等の概要」の「3 課税上の取扱い-(1)香港における租税」にお
ける全ての記載は、当該記載が本書において言及される香港の税制上の事項の概要を構成するという限りにおいて、全ての重
要な点につき真実且つ正確である。
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第2【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
以下に記載する経営成績の概要は、「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類」に記載される当社の連結財務情報と併せ
て読まれるべきである。
以下の表は、2014年、2015年、2016年及び2017年の11月30日並びに2018年12月31日に終了した5事業年度における当グルー
プの経営成績の概要を示している。2014年、2015年、2016年及び2017年の11月30日並びに2018年12月31日に終了した5事業年
度における当グループの当該財務情報は、(ⅰ)IASBが公表したIFRS、(ⅱ)香港公認会計士協会(以下「HKICPA」とい
う。)が公表した香港財務報告基準、及び(ⅲ)香港会社条例に準拠して作成されている。「第一部-第6 経理の状況-
1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及び重要な会計方
針」の注記2.1を参照のこと。インドにおける当社のジョイント・ベンチャー持分に帰属する業績は、当社が当該持分を持分法
により会計処理しているために、当社のその他の市場報告セグメントの総加重保険料収入、年換算新既契約保険料又は新規契
約高には反映されていない。かかる業績は、当社の経営成績の抜粋の「関連会社及び共同支配企業による持分(損失)/利
益」に反映されている。さらなる詳細については、「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了し
た事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及び重要な会計方針」の注記2.3及び注記15を参照のこと。
経営成績の抜粋
12 月31日に終了し
11 月30日に終了した12ヶ月
た13ヶ月
(百万米ドル) 2018 年 2017 年 2016 年 2015 年 2014 年
年換算新規契約保険料 6,770 6,092 5,123 3,991 3,700
総加重保険料収入 33,109 26,147 22,133 19,876 19,211
保険料、手数料収入及びその他の営業収益
純額(出再保険料控除後) 32,222 25,708 20,641 18,812 17,229
8,728 7,096 6,424 6,143 5,864
投資収益
収益合計 40,950 32,804 27,065 24,955 23,093
保険契約及び投資契約給付金純額 27,049 21,387 17,512 16,232 15,153
手数料及びその他の獲得費用 4,131 3,443 2,686 2,468 2,139
営業費用 2,366 1,969 1,752 1,638 1,619
511 400 334 297 278
財務費用及びその他の費用
費用合計 34,057 27,199 22,284 20,635 19,189
関連会社及び共同支配企業による持分(損
失)/利益 – – (5) – 14
税引前営業利益 6,893 5,605 4,776 4,320 3,918
(1,162) (923) (763) (735) (647)
税引前営業利益に係る税金
税引後営業利益 5,731 4,682 4,013 3,585 3,271
以下に帰属する税引後営業利益:
AIA グループ・リミテッド株主 5,684 4,647 3,981 3,556 3,248
非支配持分 47 35 32 29 23
純利益 3,226 6,187 4,212 2,792 3,664
(注)2018年度より、当社の決算日は11月30日から12月31日に変更された。これにより2018年度の対象期間は2017年12月1日から2018年12月
31日の13ヶ月となる。
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貸借対照表情報の抜粋
連結財政状態計算書
12 月31日現在 11 月30日現在
(百万米ドル) 2018 年 2017 年 2016 年 2015 年 2014 年
資産
金融商品 186,142 176,220 150,998 139,083 138,809
投資不動産 4,794 4,365 3,910 3,659 3,639
現金及び現金同等物 2,451 2,289 1,642 1,992 1,835
繰延獲得費用及び繰延オリジネー
ション費用 24,626 21,847 18,898 17,092 16,593
その他の資産 11,793 10,970 9,626 7,932 8,113
資産合計 229,806 215,691 185,074 169,758 168,989
負債
保険契約及び投資契約負債 172,649 156,979 135,214 123,085 121,139
借入金 4,954 3,958 3,460 3,195 2,934
その他の負債 12,797 12,382 11,090 12,056 12,139
控除:負債合計 190,400 173,319 149,764 138,336 136,212
資本
資本合計 39,406 42,372 35,310 31,422 32,777
控除:非支配持分 400 378 326 303 310
AIA グループ・リミテッド株主に帰
属する資本合計 39,006 41,994 34,984 31,119 32,467
株主配分持分 36,795 35,658 29,632 26,705 26,391
(注)2018年度より、当社の決算日は11月30日から12月31日に変更された。
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2【沿革】
1919 年 グループの創立者であるコーネリアス・バンダー・スター氏が上海に保険代理店を設立し、AIAが企業とし
ての根をアジアにおろす。
1921 年 コーネリアス・バンダー・スター氏が、同氏初の生命保険企業であるアジア・ライフ・インシュアランス・
カンパニーを上海で設立する。
1931 年 コーネリアス・バンダー・スター氏が、上海でインターナショナル・アシュアランス・カンパニー・リミ
テッド(以下「INTASCO」という。)を設立する。
INTASCO が、香港及びシンガポールで支店を設立する。
1947 年 ザ・フィリピン・アメリカン・ライフ・アンド・ジェネラル・インシュアランス・カンパニー(以下「フィ
ラム・ライフ」という。)がフィリピンで設立される。
INTASCO の本店を香港に移す。
1948 年 INTASCO が社名をアメリカン・インターナショナル・アシュアランス・カンパニー・リミテッドに改名す
る。
当社がマレーシアに進出する。
1992 年 認可を受けた中国における最初の外資系生命保険事業である上海支店を通じて、中国における当社の地位を
再建する。
1998 年 上海の外灘にある旧本社ビルに本社を戻す。
2009 年 アリコ台湾が当社の支店となる。
フィラム・ライフが当社の事業子会社となる。
当社が2008年度におけるAIGの流動性危機に起因する再編成を完了し、当社の株式公開への準備が整う。
2010 年 AIA グループ・リミテッドが、当時世界で3番目の規模の新規株式公開となる香港証券取引所のメインボー
ドへの上場に成功する。
2011 年 AIA がハン・セン指数の構成銘柄となる。
当社がスポンサー付きレベル1米国預託証券プログラムを開始する。
2013 年 AIA がAIAとINGマレーシアの完全なる事業統合を完了する。
アビバNDBインシュアランスの買収を通じ、当社がスリランカでの事業を開始する。
2014 年 AIA とシティバンクが、アジア・パシフィック地域の11の市場を対象とする画期的な長期且つ独占的な(保
険)銀行窓販パートナーシップを締結する。
AIA がトッテナム・ホットスパー・フットボール・クラブのオフィシャル・シャツ・パートナーとなり、健
康的生活の重要な要素としてスポーツが果たす役割を推進する。
2015 年 AIA がMDRTで世界1位の企業となる。
2016 年 バンコクでAIAリーダーシップ・センターが開設される。
AIA が2年連続でMDRTの世界1位の企業となる。
当社が、インドのジョイント・ベンチャーであるタタAIAライフ・インシュアランス・カンパニー・リミ
テッドに対するAIAグループの持分を、26%から49%に拡大する。
2017 年 AIA が3年連続でMDRT会員数世界第1位の企業となる。
AIA が香港観覧車及びAIAバイタリティ・パークをオープン。
2018 年 AIA とWEDOCTOR(微医)が長期戦略的パートナーシップを発足させる。
この戦略的 パートナーシップを通じて、AIAは、質の高いヘルスケア提供機関との間のパートナーシップ
と、デジタル技術により実現した個人に合わせた長期的なヘルスケア・サービスを通じて優れた健康上の成
果をもたらすヘルス・アンド・ウェルネス戦略を基盤として、アジア・パシフィック地域における多国籍保
険会社の中で疾病保険市場をリードする現在の地位をさらに強化した。
AIA がソヴリン社の買収を完了するとともに、20年間の戦略的パートナーシップを締結する。
AIA が、オーストラ リア・コモンウェルス銀行のニュージーランドにおける生命保険事業であるソヴリン社
の買収を完了する。また、ニュージーランドのASBバンク・リミテッドとの間で戦略的(保険)銀行窓販
パートナーシッ プが発効する。
AIA が新たなブランド公約として、「より健康で、より長く、より良い人生( HEALTHIER, LONGER, BETTER
LIVES )」を導入する。
より健康で、よ り長く、より良い人生は、AIAの存在意義と企業としてなすべきことを正確に反映した最新
の単独且つ強力なブランド公約である。新ブランド公約の導入に際して、当社はAIAのグローバル・アンバ
サダーであるデビッド・ベッカム氏を起用して北京と香港でイベントを開催した。
AIA がMDRT会員数で4年連続第1位を達成。
AIA が 4年 連続でミリオン・ダラー・ラウンド・テーブル会員数第1位を達成した世界で唯一の多国籍企業
となる。
当社は、2009年8月24日に設立された。
当社が設立に際し準拠した法律については、「第一部-第1-1 会社制度等の概要-(1) 提出会社の属する国・州等に
おける会社制度」を参照のこと。
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3【事業の内容】
(1)企業構造
2018年12月31日現在の主要な事業子会社及び支店の企業構造の略図は、以下の通りである。
特記ある場合を除き、保有割合は(直接又は間接)100%である。
(注1)タタAIAライフに対する持分の残りは、当社のジョイント・ベンチャーのパートナーであるタタ・サンズ・プライベート・リミテッド
により保有されている。
(注2)フィラム・ライフ株式の約0.0001%は単一の独立第三者(1名の自然人の遺産)により所有されている。
(注3)AIAインシュアランス・ランカ・ピーエルシーに対する持分の残りは、一般投資家により保有されている。
後発的に発生した事象
主要な事業子会社及び支店について2018年12月31日より後に生じた重要な変更の概要は以下のとおりである。
(a)AIAリインシュアランス・リミテッドは、2019年1月1日付でAIAホールディングス・リミテッドの完全子会社となった
(AIAホールディングス・リミテッドは当社の完全子会社である。)。
(b)AIAインシュアランス・ランカ・ピーエルシーは現在、コロンボ証券取引所の公式リストからの同社株式の上場廃止手続
中である。
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(2)事業
当社の2018事業年度は2018年12月31日に終了する13ヶ月を対象としているが、以下では2018年12月31日に終了した12ヶ月に
係る当グループの事業の概況を、対応する2017年12月31日に終了した12ヶ月と比較して掲載している。これは、2018年及び
2017年の12月31日に終了した12ヶ月における当グループの業績の有意な比較を円滑化することを目的としている。
事業の概況
販売
代理店
AIA の専属代理店は、当社の中核的な販売チャネルであり、当グループの主要な成長の原動力である。当社の代理店販売網
は、その専門性と広範な規模によりAIAに競争優位をもたらしている。この代理店販売網を通じて、個別の顧客に合わせた日常
的なやり取りとともに、様々なライフステージを通じた顧客のニーズに対応する包括的な一連の商品とサービスの提供が可能
になっている。
プレミア代理店戦略の重点的な実施を通じて、2018年度の新規契約高は26%増の非常に力強い成長を遂げ、2,943百万米ドル
となった。代理店の新規契約高は、当グループの新規契約高全体の72%を占めている。また、年換算新規契約保険料は18%増
の4,179百万米ドルとなり、新規契約利益率は70.4%に上昇した。
AIA のプレミア代理店戦略は、業界最高の研修開発プログラムを代理店に提供することを通じて、顧客に質の高い助言を行
い、より健康で、より長く、より良い人生を送ることを支援する能力を養成している。2018年度には、当社代理店と代理店
リーダーの質と専門性を高めるため、新たなデジタル支援ツールが導入されるとともに、目標を絞った研修と開発のプログラ
ムが拡充された。さらに、AIAの地域を通じた重要な差別化要因である代理店の質に引き続き重点を置く取組みの一環として、
当社の全ての市場において最低業績基準が引き上げられている。
当グループは、代理店と顧客の双方の販売とサービスに関する経験の向上のため、グループを通じたデジタル・モバイル・
プラットフォームの開発に投資を行っている。2018年度の当グループの代理店における新規契約の90%超が当社の双方向性販
売時点情報管理(iPoS)技術を通じて申請されている。2018年度には、代理店に指針を示し、顧客のニーズに最適の商品につ
いてより適切に助言できるようにするため、iPoSを含むデジタル・ツールに財務ニーズ分析と傾向モデルを組み込む取組みに
着手している。さらに当社の多くの市場では、より双方向性が高く魅力的な完全にペーパーレスの学習経験を創造する目的で
試験的なデジタル・クラスルームの導入が開始されている。
当社のイニシアチブと質の高い採用活動に引き続き重点を置いた取組みの結果、当年度を通じて当グループ全体の稼働中代
理店数は7%の増加となり、稼働中代理店生産性は2桁の上昇を達成した。
2018 年度におけるAIAのもう1つの傑出した成果として、当グループ全体のミリオン・ダラー・ラウンド・テーブル(以下
「MDRT」という。)登録会員数が10,000名を突破したことが挙げられる。これは2017年度から22%の増加であり、専門的なフ
ルタイム代理店網の構築が力強く進展していることを如実に示している。AIAは、MDRT登録会員数世界第1位を4年連続で達成
した最初の多国籍企業となっている。
パートナーシップ
AIA のパートナーシップ販売網は専属代理店を補完する存在であり、2018年度の当グループの新規契約高全体の28%を占めて
いる。パートナーシップ販売網の新規契約高は11%増の1,172百万米ドルとなり、既報の通り2017年度上半期の香港におけるリ
テールIFAチャネルのきわめて力強い業績からさらに成長を遂げている。また、年換算新規契約保険料は10%増の2,331百万米
ドルとなった一方で、新規契約利益率は50.3%の力強い水準を維持した。
当社の市場を通じた主要な多国籍銀行や国内銀行との間の長期戦略的パートナーシップは、重要な競争優位をもたらしてい
る。当グループの(保険)銀行窓販事業では、特定の顧客セグメントに合わせて設定された共同マーケティング・キャンペー
ン、分析手法に裏付けられたデジタル・リード創出、専用の販売管理プログラム等の様々なイニシアチブの成果を反映して、
新規契約高が18%の成長を達成した。
当年度中に当社は、タイのバンコク・バンク・パブリック・カンパニー・リミテッド(Bangkok Bank Public Company
Limited)(以下「バンコク・バンク」という。)及びニュージーランドのASBバンク・リミテッド(ASB Bank Limited)(以
下「ASB」という。)との間に新たに長期戦略的パートナーシップを発足させた。さらにAIAの商品とサービスの競合他社から
のいっそうの差別化を図るため、当社の多くの市場で既存の(保険)銀行窓販パートナーシップにAIAバイタリティ(AIA
Vitality)が導入された。たとえば、バンク・オブ・フィリピン・アイランド(Bank of the Philippine Islands)(以下
「BPI」という。)との間のパートナーシップにおけるAIAバイタリティを組み込んだ商品の販売高は、健康増進プログラムと
ともに販売可能な商品全体の3分の2近くを占めている。
当社の仲介チャネル(IFA、ブローカー、民間銀行及び専門家アドバイザーを含む。)の新規契約高は、2017年度上半期のき
わめて良好な実績からさらに2018年度下半期に力強い成長を達成し、通年でもプラス成長となった。当社は高度に差別化さ
れ、主要なパートナーに合わせて設定されたサービス支援モデルを通じて、主要な市場における主導的地位を維持している。
ダイレクト・マーケティング事業の新規契約高は、韓国におけるパートナーとの関係の持続的な強化と新規契約高の構成が高
利益率の保障型商品に移行したことに伴う力強い成長から恩恵を受けている。
さらに2018年度にAIAは、中国のWeDoctor(微医)や韓国のSKテレコム(SK Telecom)等のテクノロジー企業や電気通信業者
との間で非従来型のパートナーシップを発足させた。これらのパートナーシップにより、AIAは新たに大きな機会を得て、より
広範な顧客に対するアクセスを確保するとともに、当社のブランド公約の一部である新たなデジタル・ヘルスとデジタル・
ウェルネスのサービスを両国市場に提供する道を開いている。
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マーケティング
AIA は、100年前に上海で設立されて以来の長い歴史を通じて、地域内で最も高い信頼と評価を得ているブランドの1つと
なっている。2018年度には、当社の全ての市場を通じた目的主導型の新たなブランド公約として、より健康で、より長く、よ
り良い人生(Healthier, Longer, Better Lives)が導入された。この公約は当社の企業としての存在意義を示すとともに、当
社が顧客にもたらす価値と、アジア地域における生活習慣病の急増への対策の一翼を担う意思を表明するものである。このブ
ランド公約は、当社のあらゆるマーケティング活動において重視されるだけでなく、顧客のより健康で、より長く、より良い
人生を支援する企業としての活動の中心にもなっている。
顧客との関係
AIA の顧客基盤は33百万件を超える個人保険契約と16百万人を超える団体保険制度加入者を有するその規模と範囲により、当
社の顧客との積極的な関わりと長期的な関係の構築を通じて非常に大きな成長の機会をもたらしている。当社は顧客データの
充実に引き続き取り組むとともに、個人に合わせた商品とサービスの提供に役立てるため、顧客ニーズの理解の向上と有意義
な顧客セグメントの設定における先進的な機械学習の利用を拡大している。また、傾向モデルの構築を通じて、保険の購入の
決定に影響を与える顧客の性格と行動を見抜く洞察力を得ている。その成果として提携銀行と共同で目標を絞った販売キャン
ペーンを実施した結果、リード選択に傾向モデルを使用しないキャンペーンと比較して契約率が最大3倍にまで上昇した。
当社が営業を行っているアジア市場では、モバイルとインターネットの利用者数がきわめて高い成長を続けている。
当社と顧客はオンラインとオフラインの双方でやり取りを行っており、当社は簡易ソリューション向けのオンライン・セル
フサービスから、市場をリードする専門的な代理店による包括的なプランニングとサポートに到るまで、顧客の嗜好を満足さ
せる能力の向上のために投資を継続している。
当社のグローバル・アンバサダーであるデビッド・ベッカム氏は、当年度中にインドネシア、中国、香港、オーストラリ
ア、タイにおけるAIAの大規模なイベントに参加し、数千万の人々に対し当社ブランドのプロモーション活動を行った。この活
動は、顧客やその他の関係者に当社のブランド公約を周知し、より健康な生活に向けた小さな一歩の重要性に対する認識を向
上させることに寄与している。また、ベッカム氏を起用した#ホワッツ・ユア・ホワイ(#WhatsYourWhy)キャンペーンは、当
社の市場を通じて第2段階に入っており、しばしば人々の最大の動機付けとなる子供たちに健康な生活について意見を聞いて
いる。現在までにこのキャンペーンを支持するビデオは56百万回を超える視聴回数を記録しており、キャンペーンのホーム
ページの閲覧者数は2百万人を超えている。
当社とトッテナム・ホットスパー・フットボール・クラブ(以下「スパーズ」という。)との間のグローバル・プリンシパ
ル・パートナーシップ(Global Principal Partnership)は、AIAと健康なライフスタイルを結び付け、スポーツへの積極的な
参加を奨励することに引き続き重要な役割を果たしている。2018年度には、当社の10の市場で25,000人の親子や従業員を対象
にスパーズとのサッカー・トレーニング・セッションが開催された。
革新的な商品の開発
2013 年の導入以来、AIAバイタリティは顧客参加における変革を推進し、プログラムが採用された場合には、より健康的な行
動に見返りを与え、健康上のプラスの効果を実現してきた。2018年度に当社は引き続きモバイル・プラットフォームの改良に
取り組み、顧客向けの健康増進提案の拡充、機能の向上、ユーザー経験の改善を図った。
2018 年度中にAIAバイタリティを組み込んだ20の新商品(韓国市場で最初の商品を含む。)が導入され、当グループ全体で
AIAバイタリティを組み込んだ商品の合計は85になった。6つの市場でAIAバイタリティの会員から提出された健康評価による
と、血圧とコレステロール値について不健康値から健康値の範囲に移行した会員の割合は、それぞれ56%と38%に達してい
る。
アジア地域を通じて、AIAバイタリティの会員はその他の顧客に比べて16倍も頻繁にAIAとやり取りをしている。現在までに
AIAバイタリティの会員から当社のプラットフォームに3百万件を超える健康評価と2百万件を超える体格指数(BMI)の測定
値がアップロードされ、毎日600,000件を超える運動結果がフィットネス・トラッカーを通じて送信されている。当社の健康増
進プログラムの会員総数は1.2百万人を超えている。
当社の顧客提案では、ブランド公約を反映してヘルス・アンド・ウェルネスに関するものがいっそう中心的な位置を占める
ようになっている。2018年度にAIAマレーシアが導入した革新的な医療プランのA-プラス・ヘルス(A-Plus Health)は、顧客
の行動や保険金請求履歴に基づく「ヘルス・ウォレット(health wallet)」を提供し、回復や予防を目的とする医療給付、あ
るいは保険契約給付の拡充に利用可能としている。また、シンガポールでは、顧客の身体と精神の健康を守ることを目的とし
た新たな重病保険プランが開発されている。このプランは、重病や重度の精神疾患となった場合に、顧客を経済的に支援する
だけでなく、個人に合わせた医療支援へのアクセスを提供する。さらに当社とメディックス(Medix)との間の専属パートナー
シップが延長されており、現在では香港とシンガポールの顧客に全く新しい個人向け医的症例管理サービスを提供している。
技術及び業務
デジタル化を通じた技術システムと事業プロセスの変革は、当グループの戦略的優先事項を実現可能にする手段として重要
な位置を占めている。当年度中にバックオフィスのプロセスとシステムの拡充のために関連技術に対する多額の投資が実施さ
れ、あらゆる販売チャネルを通じた生産性のさらなる向上の推進に加え、顧客経験と提供商品の改善のための技術革新の活用
が図られている。
保険会社にとって情報セキュリティはきわめて重要な問題であり、2018年度に当社は新たに高度なサイバー攻撃の脅威の検
出と対応の能力を備えたサイバー・セキュリティ共有サービスセンターを新設した。さらにデバイス上の人工知能(AI)機能
を利用してサイバー攻撃の脅威を検出する能力も拡充されている。現在では、疑わしい活動に関するシステム挙動を常時分析
するとともに、当社の事業をフィッシング攻撃から保護するために電子メール攻撃の脅威を検知する高度なシステムを採用し
ている。さらに専門のサイバー・セキュリティ・チームが、あらゆる重要なアプリケーションを通じた技術的な準備態勢を十
分に点検することで、AIAの事業継続能力は大幅に強化されている。
デジタル化を通じた効率の向上
毎年当社は顧客との間で34百万件を超える通常の商品関連の保険取引に関するやり取りに加え、AIAバイタリティを通じて
105百万件のデジタル顧客とのやり取りを行っている。バックオフィス業務のデジタル化は、当グループ全体の業務効率を向上
させるとともに、優れたカスタマー・サービスの提供に寄与している。カスタマー・サービスのデジタル化の拡大は生産性の
向上につながっており、2018年度に当グループを通じた従業員1人当たり取引件数は25%増加した。
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当社は業務支援のためのAI機能の採用を拡大しており、その結果、顧客と販売店の選択肢と利便性が向上している。AIは、
インテリジェント契約申請ツール、チャットボットによるサービスの提供、保険金請求処理業務における効率向上と詐欺防止
の ための高度な分析手法の利用等、多くの点で新規契約処理業務を支援している。2018年度第4四半期に中国では、オンライ
ンツールと代理店サービス用のAI実現型サービスボットの導入によりコールセンターの合理化を実現している。
2018 年度に当グループのバックオフィス業務の専用「プライベート・クラウド」環境への移行が完了した結果、全ての市場
を通じた事業継続能力が確保されている。AIAは、データ・センター現代化プロジェクトの進展に伴い、IBM及びBTとの間に戦
略的パートナーシップを構築している。さらに2018年度中にマイクロソフトとの間の戦略的関係が拡充され、事業の変革を支
援する「ハイブリッド・マルチクラウド」戦略の実行能力が構築されている。
また、マレーシアの共有サービスセンターには、ナイス(Nice)とオートメーション・エニウェア(Automation Anywhere)
の双方を利用した優れたロボティック・プロセス・オートメーション・センター(Robotic Process Automation centre)が設
置されている。すでに一部の業務では処理時間が最大で50%向上しており、より複雑で付加価値の高い作業にリソースを再配
分できるようになっている。
生産性の向上と優れたサービスの推進
AIA のデジタル販売時点情報管理技術は進化を続けており、その効果は拡大している。2018年度には当グループ全体の新規契
約の90%超がデジタル的な方法で申請されている。引受査定の自動化率は上昇を続けており、2018年度には当グループ全体の
新規契約申請件数の57%が、人間の介在しない販売時点ルール・エンジンを通じて引き受けられている。
フロントエンドにおけるデジタル化とバックエンドにおける自動化の組み合わせを通じて、当グループ全体で顧客にとって
の具体的な成果として応答時間の劇的な短縮が実現している。2018年度末現在、AIA中国では新規契約高の70%がエンド・
ツー・エンドのストレートスルー・プロセシングで処理されている。現在ではこのような取引の応答時間は日単位ではなく分
単位となっている。
当社は代理店の双方向性モバイル・オフィス(iMO)プラットフォームにおけるアプリケーション・スイートの拡充に引き続
き取り組んでいる。たとえば、iリクルート(iRecruit)は、採用活動の質と新規採用者の導入研修の成果を改善するものであ
り、iアカデミー(iAcademy)は、代理店が自分のペースで学習できるeラーニングのプラットフォームとして当社の事業部門
を通じて採用されている。
また、当社の次世代顧客プラットフォームであるマイページ(MyPage)は、全ての主要な市場で運用が開始されており、1
つのポータルサイトで顧客が当社の商品とサービスにアクセス可能になっている。
技術革新の推進と顧客経験の向上
AIA は、AIやブロックチェーン等の重要分野における中核的な技術革新の能力を強化するとともに、新興技術に関する専門知
識のネットワークの拡大に取り組んでいる。当社は事業の変革と拡張のために革新的な技術を利用する戦略を通じて、顧客と
の間の関係を深めるとともに、持続可能な成長を支援している。
当社は顧客経験を大幅に向上させるエコシステムの構築において、デジタル・ヘルスとデジタル・ウェルネスに重点を置い
ている。マレーシアでは、革新的な「ヘルス・ウォレット」が組み込まれたA-プラス・ヘルスが導入され、AIAタイでは、大
幅に改善されたキャッシュレスの保険金請求手段を顧客に提供するデジタル医療保険金請求サービスの「コネクテッド・ク
レームス(Connected Claims)」が導入された。また、AIA中国では、WeDoctor(微医)とのパートナーシップを通じて、同社
の技術で実現した医療ソリューションを顧客が優先的に利用可能になっている。
2018 年度に当社はFPTソフトウェア(FPT Software)をパートナーとしてベトナムにブロックチェーン研究所を設立してお
り、これによりIBMのハイパーレッジャー技術を利用可能になっている。さらにAIAは、R3ブロックチェーン・コンソーシアム
のメンバーであり、コルダ(Corda)のオープンソース・ブロックチェーン・プラットフォーム上に構築されたノウ・ユア・カ
スタマー(Know Your Customer)アプリケーションを含むグローバルな試験運用に参加している。
コグニティブAIのような変革をもたらす技術は、高度な訓練を受けた従業員による代理店と顧客向けの24時間サービスの提
供やバックオフィス業務の効率向上を支援する新たな能力をもたらしている。そのような技術の例として、従業員、代理店、
顧客向けのセルフサービス・チャットボット機能が挙げられる。さらに当社の香港とシンガポールにおける事業部門は、これ
らの市場で最初にカスタマー・サービス・センターに人間型ロボットを導入した保険会社となった。
地域別市場
香港
成長率 成長率
2018 年 2017 年
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 恒常為替レート 実質為替レート
(注1)
新規契約高
1,712 1,384 24% 24%
(注2)
新規契約利益率
62.0% 53.7% 8.3 pps 8.3 pps
年換算新規契約保険料 2,697 2,493 8% 8%
総加重保険料収入 11,444 9,535 20% 20%
税引後営業利益 1,814 1,627 11% 11%
財務ハイライト
AIA 香港の新規契約高は、域内と中国大陸華人来訪者の双方の顧客セグメントを通じて素晴らしい成長を達成し、当社の多様
なチャネルの販売網の傑出した質の高さを改めて実証した。プレミア代理店戦略の実行とパートナーシップ販売チャネルを通
じた持続的成長の推進に引き続き重点を置いて取り組んだ結果、新規契約高は24%増の1,712百万米ドルとなり、年換算新規契
約保険料は8%増の2,697百万米ドルとなった。また、商品構成が利益率の高い長期貯蓄商品と保障型商品への移行を続けてい
ることを受けて、新規契約利益率は62.0%に上昇した。税引後営業利益は、基礎となる事業の力強い成長と保険金請求実歴の
改善が、既存ポートフォリオにおける有配当型契約の比率の増大によって一部相殺された結果、11%増の1,814百万米ドルと
なった。
事業ハイライト
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香港におけるプレミア代理店戦略は、若く有能な人材を勧誘し、MDRT適格代理店や将来のリーダーへと育成することを通じ
た質の高い採用活動に重点が置かれている。当社の包括的な採用と研修のプラットフォームであるAIAプレミア・アカデミーと
AIAプレミア・リーダーズ・アカデミーは、代理店と顧客との関係や結び付きを向上させる一連の広範なデジタル・ツールによ
る 支援を受けている。2018年度にこれらのイニシアチブの重点的な実施を通じて、稼働中代理店数の2桁の増加といっそうの
生産性向上が実現し、当年度を通じた新規契約高の非常に力強い成長が支えられている。
さらに当社とシティバンクとの間の長期戦略的パートナーシップにおける新規契約高も非常に力強い成長を達成した。当社
は同行と密接に協力して特定の顧客ニーズに的を絞ったマーケティング・キャンペーンを開始するとともに、同行の所有財産
管理プラットフォームに生命保険に関する助言とソリューションを組み込む作業を進めている。また、リテールIFAチャネルで
は、当年度の上半期と下半期における販売が安定を維持したことから、通年の新規契約高は堅実な成長を示している。
AIA 香港は、特に新たなデジタル・ツールに対する投資による積極的な顧客関係の構築と顧客経験の拡充を通じて、顧客の保
障と長期貯蓄のニーズを満たすことに取り組んでいる。2018年度中に当社は、1つのポータルサイトでAIAの商品とサービスを
全て管理するモバイルアプリを顧客向けに提供開始した。さらにiPoSプラットフォームが拡充され、光学式文字認識とAI技術
が組み込まれた結果、身分証明書類の確認が簡素化され、新規顧客の初期手順がいっそう合理化された。
AIA バイタリティは、引き続きより頻繁な顧客参加を実現するための重要な手段となっている。2018年度に会員数は40%を超
える増加となり、AIAバイタリティを組み込んだ商品の販売による新規契約高は倍増した。
タイ
成長率 成長率
2018 年 2017 年
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 恒常為替レート 実質為替レート
(注1)
新規契約高
447 381 12% 17%
(注2)
新規契約利益率
(0.4) pps (0.3) pps
73.1% 73.4%
年換算新規契約保険料 611 519 13% 18%
総加重保険料収入 3,895 3,559 5% 9%
税引後営業利益 995 868 9% 15%
財務ハイライト
2018 年度にAIAタイは力強い業績を上げており、新規契約高は2桁の成長を回復して12%増の447百万米ドルとなった。年換
算新規契約保険料は、業界全体の不振にもかかわらず13%の増加となり、新規契約利益率は73.1%の力強い水準を維持してい
る。販売の成長は、主として代理店チャネルにおける販売の勢いの加速によるものである。税引後営業利益は、基礎となる事
業の成長と継続率の改善の結果、9%増の995百万米ドルとなった。
事業ハイライト
当社のタイ事業は、国内全土の代理店網の全体的な質と生産性の向上を目的とするファイナンシャル・アドバイザー・プロ
グラム(Financial Adviser programme)を通じたホールセール代理店の変革を引き続き推進している。選抜された高い潜在力
を持つ候補者を対象とする拡充された研修開発プログラムを通じて、新規採用されたファイナンシャル・アドバイザーの稼働
率はその他の新規代理店の2倍を超えており、稼働中新規代理店の生産性も大幅に向上している。
当社のファイナンシャル・アドバイザーの年換算新規契約保険料は37%の増加となっており、生産性の低い代理店数をさら
に減少させるため、代理店全体の最低業績基準が引き続き引き上げられている。このような戦略の実行に重点を置いた結果、
MDRT適格者数は36%の増加となり、当社は登録会員数で業界首位を維持している。
2018 年3月に発足した当社とバンコク・バンクとの間のパートナーシップは、同行の支店勤務保険スペシャリストの採用と
研修に当初の重点が置かれている。下半期には商品レンジが拡大されるとともに、同行の様々な顧客セグメントに対する保障
型商品と長期貯蓄商品の新販売モデルの試験運用が実施された。AIAは、タイにおける保障型保険事業の市場リーダーとなって
いる。当年度中の重病保険の商品レンジの拡大を受けて、保障型商品の年換算新規契約保険料は18%の増加を達成した。AIAは
デジタル化を通じた顧客経験の拡充に取り組んでおり、2018年度に導入されたウェブとモバイルに対応した顧客向けセルフ
サービス・ポータルのマイページ(MyPage)では、顧客が保険契約情報にアクセスし、個人の詳細情報を更新できるように
なっている。また、8月には電子認証を容易に行える電子決済ツールが導入され、顧客の銀行口座に給付金を直接振り込むこ
とが可能になった。
シンガポール
成長率 成長率
2018 年 2017 年
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 恒常為替レート 実質為替レート
(注1)
新規契約高
357 297 18% 20%
(注2)
新規契約利益率
(4.3) pps (4.3) pps
65.4% 69.7%
年換算新規契約保険料 547 426 26% 28%
総加重保険料収入 2,738 2,435 10% 12%
税引後営業利益 558 513 7% 9%
財務ハイライト
2018 年度のAIAシンガポールでは、主として代理店チャネルに加え、シティバンクとの間の戦略的パートナーシップの後押し
により、新規契約高が18%の非常に力強い成長を達成した。年換算新規契約保険料は26%の増加となったが、新規契約利益率
は、主として既報の通りヘルスシールド(HealthShield)事業における収益性の低下に加え、2018年10月の規制変更を前に一
時払ユニットリンク商品事業の契約高が増大したことを受けて低下した。税引後営業利益は、市場における医療費の2桁の上
昇が収益性を圧迫したにもかかわらず、7%増の558百万米ドルとなった。
事業ハイライト
AIA シンガポールは、代理店販売事業において市場をリードする地位を維持しており、この中核的な販売チャネルを通じた新
規契約高は非常に力強い成長を達成した。プレミア代理店戦略の重点的な実施を通じて、稼働中代理店数と生産性はともに向
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AIAグループ・リミテッド(E24847)
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上しており、当社の専門的な代理店は定期払保障型商品に重点を置いて、引き続き顧客のニーズを満たすことに集中的に取り
組んでいる。
2018 年度に当社が開発したいくつかの革新的なデジタル・ツールのうち、当社の傾向モデルを組み込んだ新たなモバイル・
アプリケーションは、代理店がより適切に顧客のニーズに対応するため、より効果的に顧客とのやり取りを行うことを支援す
るものである。これらのツールの導入と目標を絞った採用・研修プログラムを通じて、稼働中代理店数は16%の増加となり、
生産性は2桁の上昇を達成した。
当社とシティバンクとの間の戦略的パートナーシップでは、顧客の保障ニーズに対応する同行の保険スペシャリストの採用
と生産性向上に重点を置いたことで、新規契約高が素晴らしい成長を達成した。さらにAIAシンガポールは、団体保険市場の
リーダーの地位を維持しており、当年度中に数件の大規模な新規企業クライアントの案件を確保している。
2018 年度を通じて、当社はきわめて競争の激しい疾病保険市場において質が高く持続可能な医療サービスを顧客に提供する
ために多大な努力を傾注している。AIAクォリティ・ヘルスケア・パートナーズ(AIA Quality Healthcare Partners)のネッ
トワークはさらに拡大され、事前承認保険金請求サービスに対応した参加医療機関の数が増加するとともに、顧客に提示され
る医療プランのオプションが追加されている。さらにメディックスとの間で発足した専属パートナーシップでは、全く新しい
個人向け医的症例管理サービスが顧客に提供されている。
AIA シンガポールは、受賞歴のあるAIAバイタリティ健康増進プログラムに対する投資を継続している。その結果、新たな見
返りの給付が追加され、AIAバイタリティの新モバイル・アプリケーションが導入されるとともに、このプログラムを組み込ん
だ保険商品の数が増加した。AIAバイタリティの会員総数は2017年度から40%を超える増加となり、法人会員数は70%の増加と
なった。
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マレーシア
成長率 成長率
2018 年 2017 年
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 恒常為替レート 実質為替レート
(注1)
新規契約高
247 215 8% 15%
(注2)
新規契約利益率
1.4 pps 1.3 pps
63.8% 62.5%
年換算新規契約保険料 382 340 5% 12%
総加重保険料収入 2,083 1,848 6% 13%
税引後営業利益 320 274 9% 17%
財務ハイライト
AIA マレーシアの新規契約高は、当年度における消費活動の縮小と税制改正にもかかわらず、下半期に成長率が改善したこと
から、通年で8%増の247百万米ドルとなった。年換算新規契約保険料は5%増の382百万米ドルとなり、新規契約利益率は、
新たに数種類の旗艦的ユニットリンク商品と疾病保険商品の提案の導入を受けて63.8%の力強い水準を維持している。税引後
営業利益は、基礎となる事業の成長に後押しされて9%増の320百万米ドルとなった。
事業ハイライト
AIA マレーシアの代理店事業は選抜的な採用活動と研修能力の持続的な開発に引き続き重点を置いたことで、代理店の生産性
向上につながっている。また、AIAマレーシアは、タカフル事業セグメントを引き続き戦略上の重要分野としており、2018年度
にタカフル代理店の新規契約高は堅実な成長を遂げている。2018年度上半期に当社は代理店販売活動管理の専用デジタル・
ツールとしてAIAライフ・プランナー・アプリ(AIA Life Planner App)を導入した。その後、当年度下半期には、このアプリ
に一連のアップグレードと代理店及び代理店リーダー向けの新機能が導入されている。このプラットフォームに対する反応は
非常に良好であり、利用率は80%超に達している。
当社とパブリック・バンク・ブルハド(Public Bank Berhad)との間の戦略的パートナーシップでは、特別の高額保険金の
定期払ユニットリンク商品の導入を通じて、同行の富裕層顧客基盤への浸透拡大に引き続き取り組んだ結果、新規契約高が2
桁の成長を達成した。さらにAIAは、マレーシアの団体保険市場における単独のリーダーとしての地位を維持している。
2018 年度下半期にAIAマレーシアは、公式の規制上の期限前に新たな最低配分率(Minimum Allocation Rate)規則を遵守し
たユニットリンク商品を提供している同国で最初の保険会社となった。さらに、これらの商品には、AIAバイタリティ・プログ
ラムを組み入れた新たな疾病保険特約が導入されている。この特約は、健康的な生活を奨励し、治療後の回復をサポートする
ように設計された医療と健康増進の機能を盛り込んだ市場で最初の商品である。
中国
成長率 成長率
2018 年 2017 年
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 恒常為替レート 実質為替レート
(注1)
新規契約高
965 725 30% 33%
(注2)
新規契約利益率
7.1 pps 7.4 pps
90.5% 83.1%
年換算新規契約保険料 1,067 873 19% 22%
総加重保険料収入 4,006 3,118 26% 28%
税引後営業利益 870 643 32% 35%
財務ハイライト
AIA 中国は再度優れた業績を達成しており、新規契約高は30%増の965百万米ドルとなった。年換算新規契約保険料は19%増
の1,067百万米ドルとなり、新規契約利益率は、定期払保障型商品と長期貯蓄商品の販売への取組みに加え、さらなる規模拡大
の経済的効果により7.1ポイント上昇して90.5%となった。税引後営業利益は、基礎となる事業の成長と好ましい保険金請求実
歴の維持を受けて32%の増加となった。
事業ハイライト
AIA 中国におけるプレミア代理店戦略の継続的な実施は、質の高い採用活動と革新的なデジタル・プラットフォームによる支
援に重点を置いた取組みによって支えられている。当社は、厳格な選抜基準、しっかりした面接のプロセス、業界最高の研修
と高度な代理店リーダー育成プログラムを通じて、代理店の質の向上に引き続き優先的に取り組んでいる。
当社のデジタル・プラットフォームには、顧客の獲得と関係構築、ニーズに基づく助言、販売、サービスの提供のための総
合的な機能が盛り込まれている。これらの機能は、代理店が質の高い助言を行い、シームレスな顧客経験を提供することを支
援するものである。2018年度に新たに導入されたデジタル・ツールのマスター・プランナー(Master Planner)は、新規代理
店の開発、業績評価、チーム活動管理について代理店リーダーを支援することにより、そのプロフェッショナリズムと専門知
識をさらに強化するものである。
AIA 中国の代理店チャネルにおける戦略的優先事項の実施が進められた結果、稼働中代理店数が2桁の力強い成長を遂げた一
方で、質の高い採用活動に重点が置かれたことで、新規代理店の生産性が17%上昇した。
2018 年度に当社は保障に重点を置いた顧客提案のいっそうの差別化に取り組んだ。当年度を通じて中国における健康増進プ
ログラムの会員数は2倍を超える増加となり、このプログラムのモバイル顧客向けアプリを通じて特定の顧客セグメントに合
わせて設定された顧客参加活動の提案が開始されている。また、2018年5月に中国で最大の技術実現型医療ソリューション・
プラットフォームであるWeDoctor(微医)との間に発足した長期戦略的パートナーシップにより、当社の顧客は微医のサービ
スを優先的に利用できるようになっている。
さらに当年度下半期には新興技術を活用してAIA中国で初めてのAI搭載のサービスボットであるAIAシャオ・ヨウ(AIA Xiao
You)が導入された。このサービスボットはソーシャル・メディア・プラットフォーム上に配置され、広範な問題について代理
店と顧客の双方に即時・双方向性の24時間照会サービスを提供している。来年度にはこのサービスの機能が引き続き拡充さ
れ、オンライン顧客ポータルサイトや代理店デジタル・プラットフォームからも接続可能となる予定である。
2019 年2月に当社は、中国銀行保険監督管理委員会(China Banking and Insurance Regulatory Commission)(CBIRC)の
天津事務局と河北事務局から、天津市と河北省石家荘市に販売・サービスセンターを設置する準備の開始について承認を得
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た。今回の承認は、現行の規制政策に従い、京津冀一体化計画(Beijing-Tianjin-Hebei Integration Plan)における保険業
の一体化の推進に関する試験的プログラムに基づいて与えられたものである。当社は準備作業の完了後に最終的な規制当局の
承 認を受けた後に天津市と河北省で業務を開始する予定である。
その他の市場
成長率 成長率
2018 年 2017 年
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 恒常為替レート 実質為替レート
(注1)
新規契約高
435 395 13% 10%
(注2)
新規契約利益率
(4.1) pps (4.1) pps
35.8% 39.9%
年換算新規契約保険料 1,206 973 27% 24%
総加重保険料収入 6,377 5,898 10% 8%
税引後営業利益 826 742 14% 11%
AIA のその他の市場には、オーストラリア(ニュージーランドを含む。)、カンボジア、インドネシア、韓国、フィリピン、
スリランカ、台湾、ベトナム及びインドが含まれる。
当社のインドにおけるタタ・グループ(Tata Group)とのジョイント・ベンチャーであるタタAIAライフ(Tata AIA Life)
に対する当社の株式持分49%からの財務実績は、持分法会計ベースでIFRS税引後営業利益に含めている。明確化のため、新規
契約高、年換算新規契約保険料及び総加重保険料収入については、インドからの寄与分は除外している。
財務ハイライト
2018 年度のその他の市場の新規契約高は13%増の435百万米ドルとなった。年換算新規契約保険料は27%増の1,206百万米ド
ルとなり、新規契約利益率は35.8%となった。2018年度中間報告書で既報されているオーストラリアにおける大規模な団体保
険制度の影響を除外すると、このセグメントの通年の新規契約高の成長率は14%になる。税引後営業利益は、主として基礎と
なる事業の成長に加え、下半期におけるソヴリン社の業績が組み入れられたことから、14%増の826百万米ドルとなった。
事業ハイライト
オーストラリア: 2018 年度のAIAオーストラリア及びニュージーランドの新規契約高は力強い成長を達成した。この業績は、
オーストラリアの生命保険市場をリードする当社の地位に加え、ソヴリン社の業績が組み入れられたことによるものである。
現在AIAは、ニュージーランドの保障型保険市場においても新規契約保険料で第1位の生命保険会社である。
AIA バイタリティは、引き続きオーストラリア市場におけるAIAの重要な差別化要因となっており、2018年度に業界全体の新
規契約高が減少したにもかかわらず、当社のリテールIFA事業の新規契約高が2桁の成長を達成したことを後押ししている。
AIAバイタリティの会員数は2倍を超える増加となり、2018年9月には大手企業クライアントに対するプログラムの提供が開始
されている。さらに団体保険事業では、2018年度に数件の重要な団体保険制度が更新されるとともに2018年3月に新規の大規
模な団体保険制度を獲得した結果、新規契約高が前年度比で力強い成長を達成した。
カンボジア: AIA のカンボジア事業は、多様なチャネルの販売戦略を通じて規模の拡大を続けている。当社の代理店網は、専
門的な代理店の採用と育成に重点を置いた継続的な取組みを通じて拡大している。(保険)銀行窓販のネットワークでは、カ
ンボジア・パブリック銀行(Cambodian Public Bank)の富裕層金融セグメントを含む、新たなパートナーの獲得により顧客の
範囲が大幅に拡大されている。
インドネシア: インドネシア事業の新規契約高は、下半期におけるユニットリンク商品の需要が現地株式市場の変動と不安
定の影響を受けたことから減少した。AIAインドネシアでは代理店チャネルにおける質の高い採用活動に重点を置いた結果、稼
働中代理店数が増加し、代理店チャネルの新規契約高はプラス成長となったが、(保険)銀行窓販チャネルの新規契約高が減
少したことで相殺されている。
韓国: 韓国事業では、主として、電話営業担当者数の2桁の増加と質の高い顧客リードの増大に後押しされたダイレクト・
マーケティング・チャネルを原動力として、新規契約高が非常に力強い成長を記録した。新規契約利益率は、商品構成の改善
を受けて上昇した。2018年度下半期にAIA韓国は、統合型健康増進保険商品の規制上の承認を受けた最初の企業となった。さら
に当社は、韓国最大の顧客数を有する電気通信サービス・プロバイダのSKテレコム(SK Telecom)との間で戦略的パートナー
シップを発足させ、同社の顧客にAIAバイタリティを提供している。
フィリピン: 2018 年度の当社のフィリピン事業における新規契約高は力強い成長を達成した。代理店チャネルでは、質の高
い採用活動に重点を置いた結果、稼働中代理店数が2桁の増加となった。当社とBPIとの間のジョイント・ベンチャーでは、稼
働中支店勤務保険スペシャリスト数が30%を超える増加となったことで、新規契約高の素晴らしい成長が達成されている。
2018年度にAIAバイタリティを組み入れた商品の新規契約高は、新たな保障型商品と顧客参加キャンペーンの導入を受けて3倍
を超える増加を達成した。
スリランカ: 2018 年度にAIAスリランカの新規契約高は、政治経済的な不安定が消費者マインドを圧迫したことを受けて減少
した。また、新規契約利益率は、既報の通り2018年4月に施行された税制改正による影響を受けている。これらの問題にもか
かわらず、主要な(保険)銀行窓販のパートナーとの関係を引き続き強化するとともに、新たな保障と退職貯蓄のソリュー
ションを導入した結果、2018年度の年換算新規契約保険料はプラス成長を達成した。
台湾: 2018 年度にAIA台湾の新規契約高は素晴らしい成長を達成した。IFAと(保険)銀行窓販の双方のチャネルでは、相続
プランニングと退職に関する顧客のニーズに対応する保険ソリューションの提供に加え、効果的な販売促進活動と販売パート
ナーに対する包括的な販売支援を通じて、力強い販売の成長を達成した。
ベトナム: ベトナム事業の新規契約高は2桁の成長を示している。新規契約高に最大の貢献をしているのは引き続き代理店
販売網であり、当社は代理店の稼働率と生産性の向上のための戦略的イニシアチブを継続的且つ重点的に実施している。ま
た、2018年度に当社とベトナム・プロスペリティ・ジョイント・ストック・コマーシャル・バンク(Vietnam Prosperity
Joint Stock Commercial Bank)との間の専属パートナーシップやその他の国内銀行とのパートナーシップにおいて新規契約高
が素晴らしい成長を達成したことから、パートナーシップ販売網の貢献も大幅に拡大している。
本注記は「販売」の項を通じて適用する。
(注)販売チャネル別の新規契約高及び新規契約利益率は、現地の法定準備金要件及び自己資本要件に基づき、また、年金事業を含めない。
本注記は「地域別市場」の項を通じて適用する。
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(注1)表中の新規契約高の数値は、現地の法定準備金要件及び自己資本要件に基づき、また、年金事業を含む。
(注2)新規契約利益率は、算定において用いた年換算新規契約保険料の定義に従い、年金事業を含めない。
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リスク管理
概要
当グループは、当社事業のあらゆる点について、全ての利害関係者のために健全なリスク管理の重要性を認識している。こ
れにより、保険契約者にとっては、当社が常に保険契約者のために存在することを理解して安心が得られ、投資家にとって
は、自己の投資の長期的な価値の保全と拡大の重要な手段となっている。最後に、規制当局にとっては、健全なリスク管理
は、業界の成長を支え、業界における大衆の信頼を強める要因となっている。
効果的なリスク管理はあらゆる組織にとって不可欠であるが、生命保険業界では、価値の基礎的な推進力として中核的要素
になっている。当グループのリスク管理体制(以下「RMF」という。)は、全てのリスクを解消することを目指すのではなく、
長期的な価値の創出を支えるため、リスクを特定し、理解し、許容可能な制限内で管理することを目指している。
当グループのRMFは、当社の戦略目標の達成を支援するため、組織のあらゆるレベルにおいて適切で慎重なリスク風土を構築
することを中心に構成されている。RMFは、ビジネス・ユニットがリスクを特定し、評価し、必要な場合には特定された重要な
リスクをさらなる評価を求めて上申するための適切なツール、プロセス、能力を提供する。
当グループのRMFを構成する主要な要素は、以下の通りである。
・リスク風土(Risk Culture)
・リスク管理プロセス(Risk Management Process)
・リスク・ガバナンス(Risk Governance)
・リスク選好度(Risk Appetite)
・リスク・ランドスケープ(Risk Landscape)
リスク風土
RMF では、リスクの有効な管理におけるリスク風土の重要性を認識している。リスク風土は、当グループのリスクに対する態
度を決定するとともに、適正な行動を推進する報酬体系を確保する。
説明責任
説明責任は、当グループのリスク風土の重要な要素の1つである。1つ目の防衛線(以下「第1の防衛線」という。)は、
通常はビジネス・ユニットの経営陣により構成され、当該ビジネス・ユニットの事業に関連するリスクの管理に責任を負う。
2つ目の防衛線(以下「第2の防衛線」という。)は、リスク管理及びコンプライアンス機能によって構成され、その長であ
るグループ最高リスク担当役員(以下、最高リスク担当役員を「CRO」という。)が当グループを通じたリスク及びコンプライ
アンス機能について全体的な説明責任を負う。各ビジネス・ユニット内では、ビジネス・ユニットCROが、グループCROに対す
る一次報告ラインと現地の最高経営責任者(以下「CEO」という。)に対する二次報告ラインを有する上級職となる。この構造
を通じて、第2の防衛線の独立性が確保されるとともに、ビジネス・ユニットCROには、現地事業に関する議論に全面的に参加
してリスク管理に関する見解と洞察を示す機会が保証される。グループCROは、グループ執行委員会のメンバーであり、ビジネ
ス・ユニットCROも、ほとんどの場合、該当する現地執行委員会のメンバーである。
以下は、リスク管理及びコンプライアンス機能の組織構造の表している。
報酬
当社の役員報酬体系は、強い業績志向の社風の中でRMFに対する適切な配慮を確保している。この報酬体系は、全てのスタッ
フが「何を」成し遂げたかだけでなく、「どのようにして」成し遂げたかについても評価される業績管理システムによって支
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えられている。この報酬体系は、業績とともに行動に大きな重点が置かれており、「正しい人々と、正しい方法で、正しいこ
とを行えば、正しい結果は付いてくる(Doing the Right Thing, in the Right Way, with the Right People ... Right
Results will come)」という当社の基本的な業務理念に則っている。
リスク管理プロセス
当グループは、グループの重要なリスクを管理するための十分な情報、能力、ツールを提供する強力なリスク管理プロセス
を備えている。この目的のため、当グループはリスク・エクスポージャーを特定し、定量化し、管理し、監視する以下の主要
なプロセスを設定している。
特定
リスクの適時且つ完全な特定は、リスク管理プロセスに不可欠な第一段階である。リスク及びコンプライアンス機能は、ビ
ジネス・ユニットにおける既存リスクとエマージング・リスクを特定するためのシステマチックなプロセスを設定している。
定量化
リスクの定量化は、エクスポージャーのレベルを設定し、当グループのリスク選好度の範囲内で適切な管理措置を決定する
ための重要な要素である。定量化プロセスを支援するために採用されている具体的なリスク指標については、下記「リスク・
ランドスケープ」において詳細に説明されている。
上申及び軽減
リスク定量化プロセスに続いて、第1の防衛線に従事する役員は、重要なリスクの動向について適時に特定し、上申するこ
と、さらに適切な場合には、リスク軽減措置を実施することについて責任を負う。
報告及び監視
第2の防衛線は、第1の防衛線に助言、指針及び支援を与え、また異議を唱えるのに加え、第1の防衛線の活動を監視し、
リスク選好度において設定されているリスク指標とリスク上限に照らして第1の防衛線の実績を適切なリスク委員会に報告す
ることについて責任を負う。加えて、リスク管理プロセスの有効性を確保するため、リスクとソルベンシーの自己評価(Own
Risk and Solvency Assessment)がリスク委員会に報告され、年1回の審査を受ける。
リスク・ガバナンス
3つの防衛線
当グループのリスク・ガバナンス体制は、「3つの防衛線」モデルに基づいて設定されている。リスク管理の目的は、リス
クが適切に特定され、評価され、管理され、統制されているという確信を得るための適切な体制(抑制と均衡の独立したシス
テムを含む。)を確立することである。この体制では、上級経営陣(第1の防衛線)、リスク及びコンプライアンス機能(第
2の防衛線)並びに内部監査機能(第3の防衛線)の間におけるリスクの管理に関する役割と責任を明確に定義している。各
防衛線は相互に独立しているが、効果的な監視体制を確保するため緊密に協力する。
第1の防衛線は、事業意思決定者によって構成されており、RMFに合致する方法により、効果的にリスクを特定し、評価し、
管理するため、常に有効且つ適切なプロセスの設定を確保することに責任を負う。とりわけ、組織の各レベルにおいて引き受
けられるリスクの量は、当グループ及び関連ある現地ビジネス・ユニットの双方のリスク選好度に合致していなければならな
い。
当初のリスクの特定、評価及び管理は、第1の防衛線に従事する役員が担当する。大きなリスクを伴うとみなされる活動に
関する意思決定又は所定の管理レベルに委任された権限の制限を超える意思決定は、上級グループ役員に付託されるか、又は
適切な場合には、グループ最高執行役員兼プレジデントを通じて、当社取締役会のリスク委員会、さらに適切な場合には、全
取締役会に付託される。
第2の防衛線は、リスク及びコンプライアンス機能により構成されている。この機能(グループ最高執行役員兼プレジデン
トに直属するグループCROの指揮下にある。)は第1の防衛線とは独立したものであるが、当グループのリスク選好度の範囲内
でリスクの適切な管理を確保するため、第1の防衛線と緊密に協力して業務に当たる。さらに第2の防衛線は、第1の防衛線
の活動を監督するとともに当グループの高い自己基準の遵守を確保することについても責任を負う。
3つ目の防衛線(以下「第3の防衛線」という。)は、当社取締役会の監査委員会に直属するグループ内部監査(以下
「GIA」という。)機能である。GIAは、リスク管理及び重要な内部統制の有効性について独立の保証を与えることついて責任
を負い、監査結果に基づく提言を行う。
3つの防衛線は、当グループのRMFについて全体的な責任を負う当社取締役会に集約されている。
リスク委員会の構造
当グループのリスク委員会の構造は、以下を実現するように設計されている。
・当グループを通じたRMFの一貫した適用の確保
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・リスク関連の問題の適時の特定、評価及び上申を目的とした合理化されたプロセスの実現
・情報に基づく意思決定を可能とせしめるリスク関連の問題の客観的な分析の提供
・最適な結果を導き出すための適切なフォーラムにおけるリスク関連の問題の検討及び異議申立の確保
当社取締役会
当社取締役会は、当グループのリスク管理活動の監督全般に責任を負っている。これに関連して当社取締役会は、当グルー
プのリスク選好度を設定し、RMF(随時の修正又は改定を含む。)を承認し、グループ全体の重要なリスクを監視する。これら
の職責の遂行に当たって、当社取締役会はリスク委員会の支援と助言を受けている。
リスク委員会
リスク委員会は、当グループ全体のリスク管理を監視し、当社取締役会の検討を要するあらゆるリスク関連事項について当
社取締役会に対する助言を行う。リスク委員会の構成員は全て当社取締役であり、議長を含む過半数は社外非執行取締役であ
る。リスク委員会の会議は少なくとも年4回開かれる。
業務リスク委員会及び金融リスク委員会
リスク委員会は、相互にあらゆるリスクの管理を監視する2つのリスク執行委員会の支援を受けている。業務リスク委員会
は、その議長をグループ最高財務担当役員が務め、内部プロセス、人員、システムの不備に関連するリスク又は外部の要因か
ら生じるリスクを監視する。金融リスク委員会は、その議長をグループ最高執行役員兼プレジデントが務め、金融業務、保険
業務および投資業務の活動に関連するリスクを監視する。金融リスク委員会及び業務リスク委員会の会合はそれぞれ少なくと
も年4回開かれる。
上記の委員会構造は、該当する場合、ビジネス・ユニットのレベルにおいても同様に設定されている。
リスク選好度
当グループのリスク選好度はRMFの基盤になっている。このリスク選好度は、当グループがその戦略目的を達成するために引
き受けることのできるリスクの量と性質を設定するものである。
・リスク選好度宣言とは、企業のリスクに対する態度に関する包括的な宣言である。
・リスク原則及びリスク許容度とは、リスク選好度宣言について詳述及び実証する定性的説明及び定量的指標である。
・リスク統制及びリスク上限は、特定のリスクの管理に用いられる。
当グループは、下記のリスク選好度宣言を採用している。
「AIAが当社事業の通常の過程で引き受けるリスクの量は、当社顧客の保障及び給付に対する合理的な要求を満たすと同時
に、日本を除くアジア・パシフィック地域に重点を置く生命保険会社にとって適切である広範なリスク・プロファイルに合致
した株主還元の水準とボラティリティを確保するために十分な量とする。」
リスク選好度宣言は、5つのリスク原則により支えられている。
リスク原則
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自己資本 「AIAは、規制に違反しようとする一切の意図を有さず、したがって、もっとも極端
な場合を除いてあらゆる市場の条件において現行の法定の最低ソルベンシーを満た
すのに十分な資本を保有する状態を確保する。」
財務力 「AIAは、金融債務及び当社の顧客に対する約束の双方について、当社顧客に対する
全ての将来のコミットメントを履行できる能力を当グループに確保する。当社は、
当社の事業上のニーズを満たす財務力格付を裏付ける十分な資本を保持する。」
流動性 「AIAは、予想される財務上のコミットメントを期限到来時に履行するために十分な
流動性を維持する。」
利益のボラティリティ 「AIAは、報告される営業利益が予想に合致したものとなるように努め、業務リス
ク、リスクの集中、保険リスクが合理的な許容範囲内に収まるように方針、制限及
び統制を実行する。」
事業慣行 「AIAは、高い倫理基準を掲げ、健全な内部統制を整備することにより、合理的な許
容度の範囲内における業務上の障害の影響による下方リスクを最小化する。」
リスク・ランドスケープ
当グループは全てのリスクが特定され、システマチックに管理されている状態を確保するため詳細なリスク分類を維持管理
している。主要なリスクとその定義の概要は以下の通りである。
リスク 定義
投資 投資リスクとは、当グループの投資ポートフォリオから発生するリスクであり、
(ⅰ) 取引相手方による債務不履行(信用リスク)、(ⅱ) 市場の動向(市場リス
ク)、又は (ⅲ) 市場の流動性の低下に起因する。
保険 保険リスクとは、請求実績の変動並びに保険契約の取得及び継続率に関連するより
一般的なエクスポージャーにより発生するリスクである。これには、当該リスクの
将来の実績に関する保険数理に関する前提の変動も含まれる。
資産負債ミスマッチ(ALM) ALM リスクとは、当グループの資産及び負債のデュレーションの差異により発生する
リスクである。かかるミスマッチは、主にそれぞれの資産及び負債のキャッシュ・
フローの時期及び規模の差異に起因する。
業務 業務リスクとは、内部プロセス、人員及びシステム又は外的事象により発生するリ
スクであり、事業に直接的又は間接的に影響を及ぼす可能性がある。
戦略的 戦略的リスクとは、当グループの利益、資本及び評判に関する事業戦略の潜在的影
響により発生するリスクである。さらにこのリスクでは、所定の期間内に事業戦略
に影響を及ぼす可能性がある、より広範な社会上、経済上、政治上、規制上、競争
上又は技術上の傾向が考慮される。
財務リスク-投資
信用
信用リスクは、第三者が当グループに対する債務を期限到来時に履行することの不確実性から生じる。
信用リスクの主たる原因は当グループの投資ポートフォリオであるが、再保険活動や資金活動を通じて発生する場合もあ
る。当グループは、各取引相手について詳細な分析を行い、格付を提言し、随時更新している。この格付は、当グループがそ
の取引相手との間で引き受けようとするエクスポージャーの量の基準となるものである。当グループのリスク管理機能は、当
グループの社内格付枠を管理し、格付けの提言を審査し、適切な場合には随時修正の提言を行う。
株価
株価リスクは、株式の市場価格が変動することにより発生する。
株価リスクは、ベンチマークと一切のトラッキングエラー目標値を設定する個別の投資マンデートを通じて管理される。さ
らに個別のエクスポージャーを抑制するために株式限度額が適用される。全体的な集中度を監視するため、個々の取引相手に
関する総合信用エクスポージャー報告書には株式エクスポージャーが盛り込まれている。
不動産価格
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不動産価格リスクは、一般的又は個別の要因による不動産市場価格のボラティリティから発生する。
不動産価格リスクは、より広範な経済的及び社会的要因によって引き起こされることがあり、かかる要因には、とりわけ賃
借人の需給状況、個々の資産の流動性、インフラの発展又は市場に直接的若しくは間接的に影響を及ぼす可能性のある政策等
が挙げられる。また、不動産価格リスクは、特定の保有不動産の特徴(エリア内における立地、施設の競争力、物理的条件
等)によっても引き起こされる場合がある。
当グループは一切の重要な不動産投資について個別に審査を行い、受け入れられないエクスポージャーの集中や該当するビ
ジネス・ユニットの財務上の柔軟性の低下を防止している。
信用スプレッド
信用スプレッド・リスクは、有価証券の償還の可能性に対する見解が変化することによりその市場価値が変動することから
生じる。
当グループは、多数のポートフォリオにおいて配当目的で非政府証券に投資しており、当該証券を主として満期まで保有す
ることを意図している。当グループは、ポートフォリオ全体の質と分散に重点を置いて慎重に信用スプレッド・リスクを管理
しており、投資ポートフォリオの時価評価額の過剰なボラティリティを回避するように努めている。
投資流動性
投資流動性リスクは、当グループが市場における利用可能性と価格決定に従って投資を売買する能力から生じる。
投資流動性リスクは、第一に市場規模に対する当グループの相対的な個別銘柄の保有規模を通じて管理され、主として良好
な流動性プロファイルを有する国債や質の高い社債に対する投資の質によって補完されている。さらに当グループは、上場株
式に対する投資について、最低流動性基準を維持している。
財務リスク-保険
失効
失効リスクとは、保険契約の解除率が当グループの予想から逸脱するリスクをいう。
当グループは、顧客が自分のニーズに合致する商品のみを確実に購入することを業務理念の中心に据えている。当グループ
は、業務品質管理体制(Business Quality Framework)の効果的な運用、総合的な販売研修プログラム、販売活動と継続率の
積極的な監視を通じて、適格営業担当者による適切な商品の販売と、顧客のニーズを一貫して満たすサービス水準の確保に努
めている。
費用
費用リスクとは、新規契約の販売と有効契約の管理の費用が価格設定及び/又は引当金計上において想定された金額を超過
するリスクをいう。
日常の業務は、当社が営業している市場における当グループのきわめて豊富な経験に基づく費用管理を可能にする規律ある
予算編成と管理プロセスに従って行われている。
疾病率及び死亡率
疾病率及び死亡率リスクとは、医療/死亡保険金請求の発生率及び/又は金額が価格決定又は準備金の設定における前提条
件を上回るリスクをいう。
当グループは、長年の実績に基づき、専門の再保険会社の支援を得て設定された明確な市場志向型の引受査定と保険金請求
に関するガイドラインと実務慣行に従っている。
当グループの保険数理チームは、有効契約における全ての保険リスク要因について定期的に実績調査を行っている。これら
の内部調査は外部データと合わせて、最新の傾向を確認するために使用され、そこから得られた結果を商品設計、価格決定、
引受査定、保険金請求の管理や再保険のニーズを通知するために使用することができる。
現地と世界の医療技術、保健及び健康の状況、法律の影響並びに一般的な社会、政治及び経済条件の趨勢を監視することを
通じて、当グループは、グループの商品に対する潜在的な悪影響を予想し、早期に対応するように努めている。気候変動を含
む環境リスクは、特定の疾病の発生頻度及び深刻度や自然災害が衛生状態と死亡率に及ぼす影響に関係する要因であることか
ら、当社の全体的な保険リスク・プロファイルの一部を形成している。
再保険は、特に大型保険契約や新規リスクに伴う集中リスクと変動リスクを軽減することに加え、伝染病や自然災害等の破
局的事象に対する保護を目的として利用される。当社は商品レンジにおける多くのカテゴリーを通じた一連の多様なリスク要
因の検討を通じて、保険リスクの全体的な水準を評価している。このようなリスクの多様性は、当社の再保険プログラムや広
範な地理的活動範囲と相まって、リスクを分散し、大災害や短期的な環境上の影響に対する保護をもたらすことに役立ってい
る。
近年、死亡率リスクの管理と保険金請求管理の改善のために実施されたイニシアチブとして、AIAバイタリティ等の健康増進
プログラムの推進、顧客のヘルスケア経験の改善のための専門のヘルスケア・チームの設置が挙げられる。
金融リスク-資産負債ミスマッチ
金利
金利リスクは、将来の資産及び負債のキャッシュ・フローの価値に対する金利変動の影響から生じる。
金利リスクに対するエクスポージャーは、主として当グループの負債と資産のデュレーション間の差異から生じる。
当グループは、主として資産と負債の双方のデュレーションを決定するための経済的な基準に基づいて金利リスクを管理し
ている。現地のソルベンシーに関する制度が経済的な基準から乖離しているビジネス・ユニットについては、現地のソルベン
シーに基づく金利リスクも考慮される。さらに、裁量的な給付を伴う商品については、適切な管理措置を決定する指針とし
て、金利リスクの追加的なモデル設定を行っている。また、このリスク管理では、オプションや保証を伴う商品の評価におい
て金利変動の非対称的な影響についても考慮する。
金利リスクに対するエクスポージャーは、「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了した事業
年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及び重要な会計方針」の注記36に要約されている。この注記では、変
動金利、固定金利及び無利息の投資間における金融資産及び金融負債のスプリットを示している。
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為替変動
為替変動リスクは、将来の資産及び負債のキャッシュ・フローの価値に係る為替変動、並びにビジネス・ユニットの貸借対
照表の当グループの報告通貨への換算から生じる。
各ビジネス・ユニットにおける資産、負債並びに全ての自己資本及びストレス資本は、現地通貨以外の通貨建てで保有され
ている株式を除き、所定の制限の範囲内で通貨建てが一致している。1年以内の予想資本変動額については、ヘッジが要求さ
れている。当グループのビジネス・ユニットの簿価は、当グループの報告通貨である米ドルに対してヘッジされていない。
財務流動性
財務流動性リスクは、期限到来時に取引相手に対する支払義務を履行するための現金資源の利用可能性から生じる。
「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における「連結財務書類
に対する注記及び重要な会計方針」の注記19において開示されている通り、当グループの投資の大部分は、必要が生じたとき
に即時換金可能な市場性のある有価証券の形で保有されている。
その他に財務流動性リスクは、デリバティブやレポ取引における担保の利用可能性からも生じる。このリスクは、適切な制
限の設定に加え、ビジネス・ユニットが極端な市場の動向に耐えられる可能性の評価を通じて管理されている。さらに当グ
ループは、契約に基づく銀行信用枠と当グループのグローバル・ミディアム・ターム・ノート・プログラムによる債券市場に
対するアクセスの維持を通じて必要な流動性を確保している。
当グループの金融資産及び金融負債並びに保険契約負債の満期分析については、「第一部-第6 経理の状況-1 財務書
類-A. 2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及び重要な会計方針」の注記36
を参照のこと。
業務リスク
業務リスクとは、社内プロセス、従業員及びシステム又は直接若しくは間接に事業に影響を及ぼす可能性がある外的要因か
ら生じるリスクをいう。
業務リスクは、当グループを通じて採用されている共通の分類法により分類される。当グループに発生する業務リスクの主
要な分野は、以下の通りである。
・販売リスク-このリスクは、チャーニング、販売/商品の適合性に関する過誤、詐害行為及びその他の市場行動に関連する
事項を含む仲介業務における不当行為に関するものである。
・規制コンプライアンス・リスク-このリスクは、関連法令の遵守に関するものである。
・財務及び業務プロセス・リスク-このリスクは、商品管理、投資、財務、保険数理、引受、保険金請求、保険契約管理等の
業務機能における主要なプロセスの統制に関するものである。
・システム及び情報セキュリティ・リスク-このリスクには、システム性能、災害復旧、サイバー及び情報セキュリティ基準
に関するものが含まれる。
各業務リスクは、財務損失(Financial Loss)、規制違反(Regulatory Breach)、信用毀損(Reputation Damage)、事業
中断(Business Disruption)の4つの業務上のリスクを生じるおそれがある所定の影響要因について評価される。この評価に
基づき当グループは、新たに設定される事業実務リスク原則(Business Practice Risk Principle)と上記のリスク選好度の
セクションで提示されたリスク許容度に照らして、リスクのエクスポージャーを監視することが可能になる。
当グループは、下記を含む様々な手法を用いて業務リスクを管理している。
・第1の防衛線のリスク管理者(First Line Risk Owners)及びリスク保護者の任命
・主要な各業務リスクに関するリスク統制評価(RCAs)
・主要リスク指標(KRIs)の監視
・内部インシデント(Internal Incidents)の報告
・重要プロジェクト及び商品管理等の主要プロセスに関する業務リスク・チェックリストの作成
さらに当グループは、事業の中断、財産損壊及び社内詐害行為を含む幅広い業務損失事由に対して保険を購入することによ
り、財務上の損失からグループを保護している。かかる保険の保障範囲は、当グループの業務リスク・プロファイル
(Operational Risk Profile)を考慮して決定される。
戦略的リスク
戦略的リスクは、事業計画プロセスの一環として特定され、当グループの利益、資本及び評判に関する事業戦略の潜在的影
響要因として定義される。さらにこのリスクでは、所定の期間内に事業戦略に影響を及ぼす可能性がある、より広範な社会
上、経済上、政治上、規制上、競争上又は技術上の傾向が考慮される。
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(3)監督及び規制
AIA グループの規制
当社は、事業を営む各地域市場において、広範な地域的行政監督の対象となる。HKIAは、AIAカンパニー及びAIAインターナ
ショナルのレベルにおけるAIAグループの主要な規制当局としてAIAカンパニー及びAIAインターナショナルを規制し、また、こ
れらの事業体はHKIOの要件の対象となる。香港の保険市場及び保険業に適用される主な法規制は、HKIO及び同条例に基づく下
位規則であり、これらは、保険会社及び保険仲介業者の認可、継続的な法令遵守及び届出義務に関する要件を定める。HKIA
は、HKIOの運営を目的に設立された規制機関である。HKIAは、HKIOを運営する保険局として任命された保険長官に統括され
る。HKIAの主な役割は、保険契約者又は潜在的保険契約者の利益の保護を図り、保険業界全体の安定を促進することである。
HKIAは、主に以下に掲げる義務を負い、権能を有する。すなわち、(ⅰ)香港で保険業を営む保険会社を認可すること、
(ⅱ)主に保険会社が提出する監査済年次財務諸表及び法人納税申告書の調査を通じて保険会社の財政状態を規制すること、
並びに(ⅲ)保険業の監督に関する法律及び指針を策定することである。
当グループは規制当局の支払能力及び自己資本比率基準に準拠している。HKIAは、AIAカンパニー及びAIAインターナショナ
ルがHKIOのソルベンシー・マージン要件を満たすことを求めている。HKIOは(いくつかの事項の中でも特に)、保険業者が香港
において又は香港を起点として保険業を行うための承認を得る上での最低ソルベンシー・マージン要件を定めている。
2017 年5月16日にHKIAと中国銀行保険監督管理委員会(China Banking and Insurance Regulatory Commission(前身は中国
保険監督管理委員会(China Insurance Regulatory Commission)))は、ソルベンシー規制体制に関する対等評価枠組協定
(Equivalence Assessment Framework Agreement on the Solvency Regulatory Regime)を調印した。移行期の取決めとし
て、AIAは、HKIOに基づき、2022年3月31日の全面施行までの4年間の段階的移行期間を通じて、中国支店の資本ポジションを
中国の現地規制上のソルベンシー基準に基づき段階的に報告することになっている。
AIA がHKIAに対して果たすべきこととなった責任とは、AIAカンパニー及びAIAインターナショナルがそれぞれ、香港以外の支
店について資産の負債に対する超過額を香港における法定最低ソルベンシー・マージンの100%以上に維持することである。
また、AIAグループの個々の支店及び子会社も、その支店及び子会社ならびにその親会社が営業を行い、また子会社について
は、当該子会社が設立された法域における政府当局の監督を受ける。当グループを監督する様々な規制当局は、当社の現地の
ソルベンシー・マージンのポジションを積極的に監視している。AIAカンパニー及びAIAインターナショナルは、その監査済年
次財務書類に基づき、ソルベンシー・マージンのポジションに関する年次報告書をHKIAへ提出している。
当グループの株主に対する配当金及びその他の債務の支払能力は、究極的に事業子会社及び支店から受領する配当金及びそ
の他の支払いに左右され、それらは契約、規則及びその他の制限に従っている。当グループの個々の支店及び子会社を監督す
る様々な規制当局は、規制対象の子会社及び支店がAIAカンパニーへ配当金又はその他の分配金及び支払金を支払う能力につい
て、追加の制限を課す裁量権を有している。これには、事業部門が維持するよう求められるソルベンシー・マージンの引上げ
が含まれる。例えば当グループの一部の支店又は子会社は、その規制当局の合意が無ければ資本の送金を行うことができな
い。株主に対する配当金、分配金及びその他の支払金の支払は、HKIAの監視に服する。
当グループ特有の資本及び規制上の命令
2018 年12月31日現在、以下に要約されている要件及び制限は当グループにとって重要である可能性があり、また別途記載の
ない限りその効力を維持している。
HKIA
AIA は、HKIAに対して、下記の事項を約束した。
(ⅰ) AIAは、(a)AIAカンパニー及びAIAインターナショナルの各社が、常に、香港の支店については資産の負債に対する超
過額を香港における法定最低ソルベンシー・マージン要件の150%以上に維持し、香港以外の支店については資産の負債
に対する超過額を香港における法定最低ソルベンシー・マージン要件の100%以上に維持すること(以下においては、各
比率を「最低比率」という。)、(b)AIAグループ・リミテッドが、AIAカンパニー又はAIAインターナショナルのいずれか
らも、ソルベンシー比率が(a)に記載の最低比率未満となるような資本の引上げ又は資金若しくは資産の移転を行わない
こと(但し、いずれかの場合において、保険局の書面による事前の同意を得た場合を除く。)、並びに(c)AIAカンパニー
又はAIAインターナショナルのいずれかのソルベンシー比率が各最低比率未満となった場合、当社が、HKIAが受諾可能な
方法で、可能な限り速やかに当該ソルベンシー比率を各最低比率まで回復させるための対策を講じることを保証する。
(ⅱ) AIAは、ある者が、(a)香港証券取引所で取引されているAIA株式の取得を通じてAIAカンパニー及びAIAインターナ
ショナルの統括者(HKIO第9条(1)(a)(ⅲ)(B)の定義に準ずる。)となった事実、又は(b)香港証券取引所で取引されて
いるAIA株式の売却を通じてAIAカンパニー及びAIAインターナショナルの統括者(HKIO第9条(1)(a)(ⅲ)(B)の定義に準ず
る。)でなくなった事実を把握した場合、その旨を速やかに書面にてHKIAへ通知する。
(ⅲ) AIAは、HKIAの監督に服し、またHKIO第8条(2)に基づく統括者の「適切且つ相当」な基準に関するHKIAのガイダンス
を継続的に遵守する。HKIAは、HKIOに基づき、ある者が認可を受けた保険会社の統括者又は取締役として適切且つ相当
でないと思われる場合に異議を申し立てる権限を有する。これらの基準は、持株会社の財源の十分性;HKIAの規制対象
である保険子会社を対象とした持株会社の事業計画の実現可能性;当グループの法律上、経営上及び運営上の構造の明
瞭性;他の持株会社又は管理する主要子会社の詳細;持株会社、その取締役又は統括者が、管財人の管理下、行政管理
下、清算中若しくはその他同様の手続中にあるか否か、また裁判所の命令に基づく債務の不履行、刑事上の有罪判決、
又は制定法若しくは規制の要求事項に対する違反があるか否か;グループのコーポレート・ガバナンスの健全性;グ
ループのリスク管理の枠組の健全性;適用される法令、規則及び規制を遵守した管理を行うための、HKIAの規定対象で
ある保険子会社からの情報の受領;HKIAの規定対象である保険子会社の監督及び運営管理における役割等である。
(ⅳ) 当社は、上記(ⅲ)に述べるガイダンスの全ての強化又は改善、及びHKIAが随時公表する行政措置若しくはHKIAが
HKIOに従って定める可能性のある要件、HKIOに基づく規制又はHKIAが随時公表するガイドラインを履行する。
規制と国際的な状況
国際的に生命保険会社が直面している規制環境は変化を続けている。特に保険監督者国際機構(以下「IAIS」という。)
は、保険会社の国際的な規制に関する共通の枠組の更新版の開発と導入を長期目標に掲げ、複数年にわたる特定の保険基本原
則の見直しを継続している。
AIA の事業範囲を通じて、規制当局は、個別の規制枠組をIAISが勧告する包括的な原則に合致させること(リスク・ベースの
資本枠組への適用に関するものを含む。)を目的とした様々なイニシアチブを継続中である。AIAは地域を通じてこれらのイニ
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シアチブに継続的に関与しており、IAISによる保険資本基準(ICS)の構築を含む多数の関連事項に関する国際的な業界の対話
に積極的に参加している。ICSのフィールド・テストは、2019年中に完了する見通しであり、ICSの実施は2段階に分けて行わ
れ る予定である。第1段階では、ICSは5年間のモニタリング期間中におけるグループ全体の管理者に対する機密報告のために
使用される。第2段階では、ICSがグループ全体の既定の自己資本要件として実施される。
2016 年にバミューダの保険業の健全性に関する枠組は、ソルベンシーII指令(Solvency II Directive)の要件に基づき欧州
の保険会社に適用される規制基準と同等のものとみなされている。バミューダ金融庁は、同庁の拡大された商業上の健全な収
益に関する制度に基づき、営利保険会社に対する経済上の貸借対照表の作成の義務付けを含む、同庁の法定の健全性報告要件
に対する一連の改定を実施した。これらの新たな規制上の要件は、2017年11月30日に終了したAIAの事業年度から適用されてお
り、AIAは、これらのイニシアチブの策定及び改良に参加している。
2017 年6月26日に香港の保険会社の規制官庁として設立されたHKIAは、2019年には仲介業者の直接的な規制監督に着手する
見通しである。一方、香港の保険会社のためのリスク・ベースの資本制度の構築に向けた複数年の協議手続も進行中である。
AIAは、これらの取り組みに引き続き密接且つ建設的に関与している。
2017 年5月16日にHKIAと中国銀行保険監督管理委員会(China Banking and Insurance Regulatory Commission(前身は中国
保険監督管理委員会(China Insurance Regulatory Commission)))は、ソルベンシー規制体制に関する対等評価枠組協定
(Equivalence Assessment Framework Agreement on the Solvency Regulatory Regime)を調印した。移行期の取決めとし
て、AIAは、HKIOに基づき、2022年3月31日の全面施行までの4年間の段階的移行期間を通じて、中国支店の資本ポジションを
中国の現地規制上のソルベンシー基準に基づき段階的に報告することになっている。
2017 年5月18日付で国際会計基準審議会(以下「IASB」という。)は、現行の「国際財務報告基準(IFRS)第4号(保険契
約)」に代わる「IFRS第17号(保険契約)」(従来はIFRS第4号フェーズⅡ)を公表した。IFRS第17号には、保険契約の測定
と利益の認識の双方について、現行の会計方法と根本的に異なる内容がいくつか含まれている。2017年12月12日付で香港公認
会計協会(HKICPA)は、「香港財務報告基準(HKFRS)第17号(保険契約)」の発行を承認した。当グループは、新基準の詳細
な評価と、その適用に向けた準備に着手している。2018年11月の会合でIASBは、IFRS第17号の発効日を1年先送りすることを
決議したため、この基準の適用は2022年1月1日以後に開始する会計期間から義務付けられることになる。
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4【関係会社の状況】
(1)親会社
該当事項なし。
(2)子会社
当社の主要な子会社の詳細については、「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了した事業年
度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及び重要な会計方針」の注記43を参照のこと。以下の表は、2018年12月
31日現在のAIAグループの主要な子会社の名称及び所在地を示したものである。
主要な子会社の名称 所在地
(注1、3)
AIA カンパニー・リミテッド
香港
(注3)
AIA インターナショナル・リミテッド
バミューダ
AIA オーストラリア・リミテッド オーストラリア
AIA ペンション・アンド・トラスティ・カンパニー・リミテッド イギリス領バージン諸島
AIA Bhd.
マレーシア
AIA シンガポール・プライベート・リミテッド シンガポール
PT. AIAファイナンシャル
インドネシア
ザ・フィリピン・アメリカン・ライフ・アンド・ジェネラル・インシュア
フィリピン
ランス(フィラム・ライフ)カンパニー
AIA (ベトナム)ライフ・インシュアランス・カンパニー・リミテッド ベトナム
AIA インシュアランス・ランカ・ピーエルシー スリランカ
ベイショア・ディベロップメント・グループ・リミテッド イギリス領バージン諸島
BPI-Philam ライフ・アシュアランス(BPLAC)コーポレーション フィリピン
AIA リインシュアランス・リミテッド バミューダ
AIA ライフ・インシュアランス・カンパニー・リミテッド 韓国
ソヴリン・アシュアランス・カンパニー・リミテッド ニュージーランド
(注1)当社子会社。
(注2)上記の全ての子会社が、プライスウォーターハウスクーパースによる監査を受けている。
(注3)当社の子会社のうち、上記のAIAカンパニー・リミテッド及びAIAインターナショナル・リミテッドの各社は、2018年12月31日に終了
した事業年度における当社の連結売上高の合計(連結消去後)の10%以上を占めていた。詳細については、下表を参照のこと。
(注)
売上高合計
税引前利益 当期純利益 総資産額 純資産額
名称
(百万米ドル)
21,668
AIA カンパニー・リミテッド 8,397 6,090 5,637 70,643
AIA インターナショナル・リミテッド 14,267 227 79 77,809 10,764
(注)連結消去後。
2018年12月31日現在、当社の子会社総数は約89社である。当社取締役の兼任状況については、「第一部-第5 提出会社の
状況-4 役員の状況-(1)取締役会及び執行委員会」を、主要な事業の内容、発行済株式資本及び各子会社の議決権に対
するAIAグループの所有割合(2018年12月31日現在、AIAカンパニー・リミテッドは当社が直接保有し、それ以外の子会社は全
て当社が間接的に保有している。)については、「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了した
事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及び重要な会計方針」の注記43を、それぞれ参照のこと。
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(3)関連会社
以下の表は、2018年12月31日現在の当社の主要な関連会社の名称、所在地及び発行済株式資本を示したものである。
関連会社の名称 所在地 発行済株式資本
タタAIAライフ・インシュアランス・カンパニー・リミ
インド 19,535,000,000 インド・ルピー
テッド
2018年12月31日現在、当社の関連会社総数は12社である。当社取締役の兼任状況については、「第一部-第5-4 役員の
状況-(1)取締役会及び執行委員会」を、主要な事業の内容及び関連会社の議決権に対する当社の2018年12月31日現在の間
接所有割合については、「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類」に
おける「連結財務書類に対する注記及び重要な会計方針」の注記15を、それぞれ参照のこと。
5【従業員の状況】
2018年12月31日現在、当社は、合計約21,032人の正規従業員を有している。
以下の表は、2018年12月31日現在の当社の正規従業員の内訳の概要を、市場別に示したものである。
主要市場 正規従業員数(概数)
香港(マカオを含む。) 1,771
タイ 2,244
シンガポール(ブルネイを含む。) 1,325
マレーシア 3,522
中国 3,335
韓国 557
インドネシア 994
フィリピン 2,635
その他の市場 3,906
その他 743
合計 21,032
2018年12月31日現在、AIAグループ従業員(正規従業員と非正規従業員の両方を含む。)の平均年齢は約35.33歳であり、平
均勤続年数は約5.32年である。また、2018年12月31日に終了した13ヶ月のAIAグループの従業員(正規従業員と非正規従業員の
(注1)
両方を含む。)一人当たりの平均年間給与(賞与及びその他の報酬を含む。)は、約66,748米ドルであった 。2018年12月
31日現在、当グループの非正規従業員(契約従業員及び臨時従業員)の総数は、約1,231人であった。当グループと従業員又は
労働組合との間に、重要な問題はない。
(注1)連結ベースによる2018年12月31日に終了した13ヶ月に係るAIAグループの人件費の金額を、2018年12月31日現在のAIAグループの正規
従業員及び非正規従業員の総数(約22,263人)で除して計算したものである。
(注2)本「5 従業員の状況」における「従業員」にスタッフ代理人(AIAが雇用する販売代理人)及びタタAIAライフ(当グループが49%
所有し、インドのタタ・ソンズ・リミテッドが51%所有するジョイント・ベンチャー)の従業員は含まれない。
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第3【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
「第一部-第2-3 事業の内容-(2)事業」における「事業の概況」及び「リスク管理」並びに「第一部-第3-2
事業等のリスク」を参照のこと。
2【事業等のリスク】
リスク要因
投資家は、一切の投資判断を行う前に、本書に記載される全ての情報(下記に記載するリスク及び不確実性を含むが、これ
らに限定されない。)を慎重に検討すべきである。当グループの事業、財政状態及び経営成績は、これらのリスク及び不確実
性のいずれかにより重大な悪影響を受ける可能性がある。当社普通株式の市場価格は、著しく下落する可能性がある。現在に
おいて当グループが認識していないか又は当グループが現在において重要性が低いとみなすリスク及び不確実性が将来発生し
又は重要となり、当グループに重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
これらの要因は、発生する可能性も発生しない可能性もある偶発事由である。以下に記載する情報は2018年12月31日現在の
ものであり、その後更新されることはなく、また本書表紙の注4「将来予想に関する記述」に記載の留保事項に服する。
当社の事業に関するリスク
当社の事業は、当社が事業を営む地域別市場における市場の変動及び全般的な経済状況の影響を本質的に受ける。
当社の事業は、当社が事業を営む地域別市場における市場の変動及び全般的な経済状況の影響を本質的に受ける。著しい市
場の不安定性及びそれに対し政府が実施する政策により、当社が直面しているリスクの一部が悪化する可能性がある。また、
世界経済の状況に対する懸念を受け、市場は引き続き非常に不安定な状態を維持する可能性がある。このような市場の不安定
性は、様々な時点における様々な資産区分の実績に影響を及ぼす恐れがある。当社の金融資産及び負債の大部分(トレーディ
ング資産及び負債、損益を通じて公正価値で測定する金融資産及び負債並びに売却可能証券を含む。)は、公正価値で計上さ
れる。トレーディング目的で保有する証券及び損益を通じて公正価値で測定する金融資産の価値の変動は、連結損益計算書を
通じて計上されている。また、厳しい事業環境が、当社の商品及びサービスへの需要を減らし、当社の投資ポートフォリオか
らの収益を減少させ、又は当該ポートフォリオにおける債務不履行や損失の原因となり、失効リスクを増大させ、またその他
当社の事業、財政状態又は経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
金利又は市況の変動が当社の収益力に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
当社の投資ポートフォリオの大部分を確定利付証券が占めている。2018年12月31日現在、当社の投資合計(ユニットリンク
契約の裏付けのために保有するものを除く。)(以下「本保険契約者及び株主運用資産」という。)の83%を確定利付証券が
占めていた。金利が低下する期間においては、期限の到来した投資が低利回り及び低利息の新たな投資にとって代わられるた
め、当社の平均投資利回りは減少する。その結果、金利の低下は当社の投資収益を減少させ、これにより、当該投資が特定の
保険契約債務の裏付けとして使用されているか否かにかかわらず、当社の収益力が著しく低下する可能性がある。利率保証型
の商品については、金利の低下により、当該商品に基づく債務の裏付けとされる投資において得られる利益率が減少する。反
対に、金利が上昇する期間においては、確定利付証券の公正価値の見積額が減少する結果、当社の投資ポートフォリオの公正
価値が減少する可能性がある。また金利の上昇により、保険契約者はより高利益の投資を選択しようとする可能性があるた
め、保険契約の解約件数の増加が促される可能性がある。
当社商品の価格決定には、金利に関する仮定が伴う。実際の金利が想定した金利より低い場合、当社の収益力に悪影響が及
ぶ可能性がある。
当社の収益の大部分は、その投資ポートフォリオからもたらされる。金利の変動に加え、金融市場(株式市場及び確定利付
債券市場を含む。)の変動は当社の投資ポートフォリオから発生する収益及び当社の投資ポートフォリオの価値に影響を及ぼ
し、これに応じて資本が増減する。そのため、当社が投資エクスポージャーを有する市況の悪化は、当社の財政状態及び経営
成績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
クロスボーダー業務には、本質的に複雑な法務リスク、政治的リスク、規制リスク、税務リスク及び経済リスクがある。
当社は、アジア・パシフィック地域全体にわたる18の地域別市場においてプレゼンスを有しているが、これは一定の多様性
を当社にもたらしている反面、当社をクロスボーダー業務に関連するリスクにさらしている。当社の事業の一定部分(当社が
事業を営む主要市場の一部における事業を含む。)は、政治的に不安定で、且つ規制体制、税制及び法体制(海外投資及び外
国資本に関する幅広い規制を含む。)が発展途上である国に存在する。また、AIAインターナショナルはバミューダに設立され
ているが、当該地域は過去、税率が低い又は「非協力的」であるとみなされた課税地域に対し他の法域が実施する措置の対象
となっており、また将来においても引き続きその対象となる可能性がある。当社は、金融サービス、保険、税金、有価証券及
びその他関連ある多数の規制当局による規制監督に服する。これらの規制当局は、当社の事業に対し幅広い権限(所有権及び
株式保有構造、資本、支払能力及び準備金に係る要件に関する権限や、新しい事業分野若しくは市場へ参入し又は一定のリス
クを引き受ける当社の能力に対する権限を含む。)を有し、かかる規制当局が定めるこれらの要件のいずれも、法令又は規制
上の変更がなされる可能性がある。当社のリスク管理の方針及び手続は、幅広いリスク(保険の引受、投資、流動性、業務及
びシステムに関するリスクを含む。)に対応できるよう設定されている。しかしながら、様々な法域、とりわけ開発途上且つ
急成長している国及び市場で事業を営むことに起因する規制リスク及びその他のリスクの全てを、当社が成功裏に管理するこ
とができなかった場合、当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響が及ぶ可能性がある。
また、中国における規制又は法令の変更は、当社のものを含む香港の事業に影響を及ぼす可能性がある。例として、中国人
顧客による香港市場の保険商品の購入をより困難又は高額にするような中国政府の政策のあらゆる変更、又は金融・決済シス
テムのプロバイダ又は仲介業者等の市場参加者の規則又は方針の変更は、当グループの香港事業に重大な影響を及ぼす可能性
がある。
当社の事業は厳格な規制事業であり、かかる事業に対する規制の変更又は当該規制の不遵守により、当社の事業に悪影響が及
ぶ可能性がある。
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当社は、その事業をあらゆる面で規制する法律、規則及び規制に服している。当社が事業を行う地域別市場において当社が
服する法律、規則及び規制の一部は、比較的新しく(情報のプライバシーに関する法律及び規制を含む。)、その解釈及び適
用が未だ不明確である。適用ある法律、規則及び規制の不遵守(規則及び規制の変更又は関連ある規制当局による規則及び規
制 の解釈の変更の結果によるものを含む。)により、罰金、遵守に要する費用又は資本の増大、当社の事業免許の停止、又は
極端な場合には事業免許の取消が生じる可能性があり、そのいずれもが、当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響
を及ぼす可能性がある。また、当社が効果的な内部統制を導入し維持できない場合、当社の財務書類の信頼性及び適用ある法
令規則を遵守する当社の能力に影響を及ぼす可能性がある。
当社は、訴訟、規制当局による調査及びその他当社の事業に関連する手続のリスクにさらされている。
当社に対する訴訟の判決又は重大な行政行為又は当社の取締役、役員若しくは従業員に対する手続における不利な判決に起
因する当社の事業の一時中断から発生する多額の債務は、当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性
がある。さらに、当社が訴訟、行政手続又は調査において最終的に有利な判断を受けたとしても、かかる手続は当社の評判を
著しく毀損させる可能性があり、それにより、当社の見通し及び将来の成長に重大な影響が及ぶ可能性がある。
実際の実績は、保険契約負債の設定や価格の設定において用いられた仮定から乖離する可能性があり、それにより当社の収益
力に悪影響が及ぶ可能性がある。
当社は、将来見込まれる給付金及び保険金を反映するため、負債を設定している。当社は、死亡率及び疾病率、保険契約者
の行動様式、予想保険料、投資収益、契約継続率、給付金の支払額及び費用の負担額並びに金利及びインフレ等のマクロ経済
的要素を含む多くの仮定に基づいて、かかる負債の設定及び当社の商品の価格設定を行っている。
根底にあるリスクの性質及び未払いの給付金及び保険金に係る債務の決定に伴う不確実性により、これらの金額は見積額と
は異なる可能性がある。実績が仮定と著しく乖離した場合、当社の財政状態、経営成績及び見通しに重大な悪影響を及ぼす可
能性がある。
当社は、その負債(繰延獲得費用控除後)を、これらの負債の設定の際に用いられた仮定及び見積りの更新並びに当社の給
付金及び保険金の実績に基づいて、定期的に評価している。負債十分性テストは、少なくとも年に1度行われる。将来の保険
給付金のために当初設定された正味負債が不十分であることが明らかとなった場合、当社は、正味負債を増額しなければなら
ず、それにより当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響が及ぶ可能性がある。
当社が本書に記載した新規契約高、エンベディッド・バリュー及びエンベディッド・バリュー持分に係る情報は複数の仮定に
基づくものであり、これらの仮定が変更された場合に著しく変化する可能性がある。
当社の経済的価値及び業績を理解するための追加手段を投資家に提供するため、当社は、その新規契約高、エンベディッ
ド・バリュー及びエンベディッド・バリュー持分に関する情報を開示した。これらの数値は、一般に適用される数理法を用い
た割引キャッシュ・フローの評価に基づいている。保険会社の新規契約高、エンベディッド・バリュー又はエンベディッド・
バリュー持分の形式、決定又は表示のいずれについても、単一の定まった基準は存在しない。新規契約高、エンベディッド・
バリュー及びエンベディッド・バリュー持分の算定は多数の要因に関連する仮定を伴うものであり、その多くは当社の支配の
及ばないものであり、実際の数値は仮定と著しく異なる可能性がある。さらに、新規契約高、エンベディッド・バリュー及び
エンベディッド・バリュー持分の算定に伴う技術的な複雑性、及び主要な仮定の変更に伴い新規契約高、エンベディッド・バ
リュー及びエンベディッド・バリュー持分の見積りも大幅に変化するという事実に鑑みて、投資家は、新規契約高の情報並び
にエンベディッド・バリュー及びエンベディッド・バリュー持分の算定結果の解釈に当たっては特に注意するべきである。当
社は、新たな情報、将来の事象その他いかなる理由があっても、これらの価値を将来、その規制上の報告義務の範囲を超えて
更新又はその他修正する意図を有しない。
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当社が、その資産及び負債のデュレーションをマッチングさせることができない場合、金利リスクに対する当社のエクスポー
ジャーが増大する可能性がある。
金利の変動に対する当社のエクスポージャーを減少させるため、当社はその資産のデュレーションをその関連する負債と
マッチングさせようと努める。しかしながら、一部の法域においては、適切なデュレーションを有する資産又はそれに代わる
デリバティブ商品の利用が、保険関連法、規則及び規制又は市場要因により制限される可能性がある。当社がその資産及び負
債のデュレーションを密接にマッチングさせることができない場合、当社は金利の変動にさらされ、それにより当社の財政状
態及び経営成績に重大な悪影響が及ぶ可能性がある。
当社の財務力が低下し、又は低下したと認識された場合、事業の損失を招くおそれがあり、また当社の業績に悪影響を与える
可能性がある。
2018年12月31日現在、当社の主要な事業子会社であるAIAカンパニーの財務力格付は、ムーディーズが「安定的」のアウト
ルックを伴うAa2(Very Low Credit Risk)、フィッチが「安定的」のアウトルックを伴うAA(Very Strong)、スタンダー
ド&プアーズが「安定的」のアウトルックを伴うAA-(Very Strong)である。当社の発行体信用格付は、ムーディーズが「安
定的」のアウトルックを伴うA2(Low Credit Risk)、フィッチが「安定的」のアウトルックを伴うAA-(Very High Credit
Quality)、スタンダード&プアーズが「安定的」のアウトルックを伴うA(Strong)である。当社の財務力の現実の若しくは
認識上の低下(信用格付の格下げ、ソルベンシー・マージンの低下又はその他の要因によるか否かを問わない。)は、当社の
事業に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。かかる影響には、解約件数の増加、新規契約高への悪影響、借入費用の増加並び
にサービス提供者及び取引相手方(再保険業者等)からのサポートの喪失等が挙げられ、これらにより当社の事業、財政状態
及び経営成績に重大な悪影響が及ぶ。
当社の商品の販売は、当社の販売パートナーの実績及び当社が引き続き適切な代理店及び販売パートナーを採用し、その意欲
を向上させ、かかる代理店及び販売パートナーを維持することができるか否かに左右される。
当社の専属代理店チャネルは、当社の販売プラットフォームの中核であり、顧客との持続的なアクセスを当社にもたらして
いる。また当社は、銀行及び証券会社を通じた生命保険商品の売上を維持する試みを強化している。当社は、当社の専属代理
店網又は(保険)銀行窓販、ダイレクト・マーケティング若しくはその他の仲介チャネルにおける試みが成功を収めると保証
することはできない。加えて当社は、代理店リーダー及び個人代理店を誘致し維持するための激しい競争に直面している。当
社は、当社の評判、商品の範囲、報酬及び退職給付、研修、支援サービス及び財政状態に基づき、代理店のサービスをめぐっ
て他の会社と競争している。代替的な販売チャネルへのアクセスも、同様の競争にさらされている。これらのいずれかの要因
の悪化は、当社による十分な数の適格代理店の誘致及び維持を妨げる可能性があり、また、当社による代替的な販売パート
ナーとの関係の維持及び発展に悪影響を及ぼす可能性がある。当社がその既存の販売関係を維持できない又は新たな販売関係
を確保できない限りにおいて、当社は新規契約高又は保険料収入を維持し又は増大させることができなくなる可能性があり、
それにより当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響が及ぶ可能性がある。
個人代理店、従業員及び販売パートナーの違反行為は、当社の評判を傷つけ、又は当社に対する規制当局による処分若しくは
訴訟を引き起こす可能性がある。
個人代理店、従業員又は販売パートナーの違反行為により、法律違反、規制当局による処分、訴訟又は評判若しくは財務の
著しい毀損に至る可能性がある。かかる違反行為には、とりわけ、当社の商品の特徴又は制限の不適切な表示、特定の顧客に
とって不適切な商品の推奨又は顧客の資金の不正流用等が含まれる。
当社の個人代理店、従業員及び販売パートナーによる違反行為を発見及び防止するために当社がとっている措置は、全ての
状況下において効果的とはいえない可能性がある。当社は、かかる違反行為が当社の評判、事業、財政状態及び経営成績に重
大な悪影響を及ぼさないと保証することはできない。
有能な専門家を誘致し維持できない場合、当社の事業に悪影響が及ぶ可能性がある。
当社の事業の成功は、当社が事業を行う生命保険市場について精通し深い理解を有する主要な人材を誘致し維持することが
できるか否かに左右される。
当社は、当社が適格な人材を誘致し維持することができると保証することはできず、また、当社の上級経営陣又はその他の
主要な人材が如何なる時も退職又はその他の理由で当社を去らないと保証することもできず、それにより当社の事業に重大な
悪影響が及ぶ可能性がある。
当社は、その投資相手方(当社が有する証券の発行体又はローンの借入人を含む。)の信用リスクを受ける。
当社の投資ポートフォリオは、主に確定利付証券により構成されており、当社は多額の国債及び政府機関債並びに社債を保
有している。その結果当社は、政府系及び企業の発行体に対し著しい信用エクスポージャーを有する。政府系債券に対する投
資には、社債に対する投資にはないリスクが伴う。そのような有価証券への投資は、発行体が所在する国における政治、政
府、社会又は経済の変化の直接的又は間接的帰結並びに政府の信用力に対するエクスポージャーをもたらす。加えて、債券の
発行体又は債券の償還を規制する政府当局は、元本又は利息をその期限の到来時に当該債券の条件に従い支払うことができな
い又はこれを望まない可能性があり、債務不履行が発生した場合、強制的な支払を求める当社の償還請求権は限定的である可
能性がある。
当社はまた、銀行及びその他の金融機関に対し著しいリスク・エクスポージャーを有する。特定の業界、資産クラス、関連
ある業界群、国若しくは地理的地域に悪影響を及ぼす事象又は展開は、当社のポートフォリオがそこに集中し、且つ当社の関
連ある投資相手方も同様に影響を受ける限りにおいて、当社の投資ポートフォリオにより大きな悪影響を及ぼす可能性があ
る。
また、当社は、当社の投資活動に関連する一定の相手方(取引相手方、スワップその他のデリバティブ契約の相手方、並び
にその他の金融仲介機関及び保証人を含む。)の不履行により当社が損失を被らないと保証することはできない。
当社の投資相手方が当社の投資に基づくその債務を履行しないことに起因する損失は、当社の財政状態及び経営成績、並び
に当社の流動性及び収益力に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
当社は、その投資の一部において流動性リスクにさらされている。
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当社の投資の一部(私募による確定利付証券、仕組債、未公開株式投資及び不動産投資等)は、流動性の高い取引市場が存
在しない可能性がある。取引市場の流動性は、適切な買主及びマーケットメーカーの存在、市場感情及びボラティリティ、信
用 枠の利用可能性及び信用コスト並びに経済、政治及び社会の全般的な条件等、様々な要因の影響を受ける。2018年12月31日
現在、当社は、公正価値の階層において「レベル3」(「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終
了した事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及び重要な会計方針」の注記22に定義される。)に分類さ
れる金融資産合計を有している。その公正価値合計は3,183百万米ドルであり、これは公正価値で計上された投資合計の2%に
相当する。これらの投資の流動性は、適切な買主及びマーケットメーカーの存在、市場感情及びボラティリティ、信用枠の利
用可能性及び信用コスト並びに経済、政治及び社会の全般的な条件等、様々な要因の影響を受ける。
関連ある市場の規模及び流動性と比較した当社保有の確定利付証券の一部の規模に起因し、一部の証券をその市場価格を著
しく下げることなく、又は全く下げることなく売却する当社の能力は、限定的である可能性がある。当社がこれら又はその他
の潜在的流動資産を短期間で処分することを余儀なくされた場合、当社は、当社の連結財務書類に計上された価格を著しく下
回る価格でかかる資産を売却せざるを得なくなる可能性がある。
当社は、為替変動リスクにさらされている。
当社の資産、負債、収益及び費用の相当部分が現在多様な外国通貨建てであるが、これらが財務報告のために米ドルに換算
されるため、外国通貨を米ドルに換算する為替レートの変動は、当社の財政成績に直接反映される。当社はかかるリスクに対
処するため、為替デリバティブを締結する等の一定の措置を講じているものの、当社が報告する業績は、為替相場の変動によ
る重大な悪影響を受ける可能性がある。
当社の各ビジネス・ユニットは原則的に現地通貨で事業を行っており(主に米ドルを使用している香港を除く。)、また現
地で創出される負債と資産の通貨の大部分をマッチングさせているため、当社の事業部門の現地通貨貸借対照表は軽度の為替
変動リスクにさらされている。また、事業部門による送金の大部分は各予算期間中にヘッジングされているが、当社は各予算
期間の期首においてヘッジングされなかった一部の送金に起因する為替変動リスクにさらされている。
当社が事業を営む一部の地域別市場においては、通貨を当該地域別市場に流入させたり、当該地域別市場から流出させたり
する当社の能力を制限又は統制する規制が設けられている。これは、為替レートの変動に対する当社のエクスポージャーを増
大させ、当社が最も有利な方法で資本を配分することを不可能にする可能性がある。これにより、当社の財政状態及び経営成
績に重大な悪影響が及ぶ可能性がある。
当社は、将来追加資本を必要とする可能性がある。
当社の既存の資本源が必要な水準に満たない限りにおいて、当社は外部資源の模索を強いられる可能性がある。将来当社が
外部資源から追加資本を得られるか否かは、当社の将来の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー、規制上の検討事項並
びに市況全般を含む様々な不確実性に左右される。
将来、債務による資金調達が利用可能となった場合、その条件は当社の財務上の柔軟性を制限し、又は当社がその事業を自
由に行うことを妨げる可能性がある。
当社は、再保険を成功裏に活用できない可能性がある。
当社が外部再保険を適時に且つ合理的な費用で利用することができるか否かは多くの要因による制限を受けており、その多
くが当社の支配を超えたものである。特に、例えば疫病などにより、当社が受ける一定のリスクについては、再保険が困難で
ある。当社が既存の外部再保険を期間満了時に更新できず又は許容可能な新規の外部再保険を取得することができない場合、
当社の正味リスク・エクスポージャーが増加するか、又は、当社が正味リスク・エクスポージャーの増加を許容できない場合
には、当社の全体的な引受能力及び当社が引き受けることが可能なリスクの金額が減少する可能性がある。当社が外部再保険
を利用することができない限度で、当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響が及ぶ可能性がある。
当社はまた、その保険事業の全ての分野において、再保険会社に関する信用リスクにさらされる。特に、再保険は当社の保
険契約者に対するその第1次負債から当社を免責するものではないため、一又は複数の再保険会社による当社との再保険協定
の不履行は、当社が保険をかけたリスクから生じる財務上の損失を増加させ、それにより当社の収益力が低下し、当社の流動
性ポジションに重大な悪影響が及ぶ可能性がある。当社の再保険会社が当社に対して適時に支払わず、又は全く支払わなかっ
た場合には、当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響が及ぶ可能性がある。
当社の事業は、新たな事業活動に起因するリスクにさらされている。
当社の全体的な戦略の一環として、当社は、一定の事業、資産及び技術の取得、並びに当社の事業を補完する新規の商品及
び販売チャネルの開発を行う可能性がある。一切の投資、買収、販売の取決め又はパートナーシップを当社の既存の事業及び
業務に統合することは、当社にとって困難であるか又は全く不可能である可能性があり、また当社は、将来当社が成功する施
策を見極めることができない可能性がある。これらのいずれの課題も、当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を
及ぼす可能性がある。
当社の新商品は成功しない可能性がある。
革新的且つ収益性の高い商品を開発することは、当社が継続的な成長を達成するための重要な要素である。新商品を開発す
る際、当社は、当社のリスク管理体制を通じてその商品を審査し、また、価格決定に関する知識を会得するために再保険を利
用している。しかしながら、当社の新商品が当社の意図した水準の成功を収めるという保証はなく、また何らの成功を収める
という保証もない。当社の新商品が失敗に終わった場合、当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性
がある。
のれんその他の無形資産の帳簿価額の減損は、当社の財政状態又は経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。
のれんその他の無形資産は、帳簿価額(原価から償却累積額を差し引いた額)で計上されている。これらの無形資産は、少
なくとも年に1度、又は、指標が存在する場合はより高い頻度で、減損の審査が行われる。減損損失は、資産の帳簿価額がそ
の回収可能額(資産の公正価値から売却費用を差し引いた額又は使用価値のいずれか大きい方をいう。)を超過した場合に認
識される。かかる資産の回収可能性の評価にあたり、経営陣は、利益率、成長率、割引率、事業の予想業績及びその他の要因
に関する様々な仮定に依拠している。これらの仮定及び経営陣によるその適用の判断には固有の不確定要素が存在する。また
当社は、将来の市況又は事業環境によりこれらの無形資産の一部が減損されないと保証することはできない。その結果、将来
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追加的な減損処理が行われなければならない可能性があり、これにより当社の財政状態又は経営成績に悪影響が及ぶ可能性が
ある。
金融資産(損益を通じて公正価値で測定するものを除く。)もまた、定期的な減損評価を必要とする。かかる評価は、単一
の金融資産又は金融資産のグループが減損したという客観的な証拠が存在するか否かを判断するために行われる。そのような
減損は、当社の財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
繰延税金は、資産及び負債とその連結財務書類上の帳簿価額との間の課税基準の一時的な差異に関連して認識される(但
し、のれんの当初認識若しくは税務上償却費の控除が認められないのれん、又は取引時に会計上の損益又は税務上の損益のい
ずれにも影響を及ぼさない取引(企業結合を除く。)における資産又は負債の当初認識に起因する一時的な差異を除く。)。
「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における「連結財務書類に
対する注記及び重要な会計方針」の注記2.15を参照のこと。繰延税金資産は、その実現可能性について、経営陣が定期的な評
価を行う。利用可能な情報に基づき、繰延税金資産が実現しない可能性が実現する可能性を上回る場合、純利益に対応する費
用が認識される。かかる費用は、当社の財政状態又は経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。また、法人税率の変動
は、当社の繰延税金資産の価値に影響を及ぼす可能性があり、当該資産の一部を償却しなければならなくなる可能性がある。
実際の実績と繰延獲得費用及び繰延販売促進費用の評価及び償却に用いられた見積額とが著しく乖離する場合、当社は繰延獲
得費用及び繰延販売促進費用の償却の前倒し及び/又は減損を迫られる可能性があり、それにより当社の財政状態又は経営成
績に悪影響を及ぼす可能性がある。
当社は、新規保険契約や更新契約の取得に関連して巨額の費用を負担している。新規保険契約や更新契約の創出に伴い変動
し、またもっぱらこれに関連する費用は繰延処理され、繰延獲得費用となる。一定の保険契約者に支給されるボーナス金額
(デイ・ワン・ボーナス、継続ボーナス及び上乗せされた手数料率を含む。)は繰延処理され、繰延販売促進費用となる。繰
延獲得費用及び繰延販売促進費用の回収は、関連事業の将来の予想される収益力に左右される。将来の利益又は利益率は主
に、保険契約者に支給される金額に対する投資収益の超過額、死亡率、疾病率、継続率、保証利率、保険契約者に支払われる
配当額、事業運営費、再保険の相手方の信用力及び一定の経済変数(インフレ等)に依存している。これらの要因のうち、当
社は、投資収益が当該費用の償却率に最も影響を及ぼすと予想している。上記の要因は、経営陣による総利益又は総利益率の
推定において考慮され、一般的にかかる総利益又は総利益率が当該費用の償却に利用される。
2018年12月31日に終了した12ヶ月における繰延獲得費用の約74%は、保険料に基づき償却される。そのような事業において
は、償却処理は安定的であり、また実績変動に対するセンシティビティも比較的低い。残りの繰延獲得費用は、主に総利益に
基づき償却される。
実際の総利益又は総利益率が当初の推定を下回る場合、かかる費用の償却は、実際の実績が認識された期間内で前倒しさ
れ、費用処理が行われる。かかる調整により、当社の財政状態又は経営成績に重大な悪影響が及ぶ可能性がある。「第一部-
第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記
及び重要な会計方針」の注記2.4.1を参照のこと。
当社の又は委託先の情報技術システムに障害が発生した場合、当社の事業に悪影響が及ぶ可能性がある。
当社の事業は、異なる地域別市場及び多数の商品ラインにわたり大量の取引を適時に処理する当社の情報技術システムの能
力に大きく依存している。当社の財務統制、会計、顧客データベース、顧客サービスその他のデータ処理システム(引受査定
及び保険金請求処理機能に関するものを含む。)、並びに当社の本社、現地事業部門及び主要な情報技術センターをつなぐコ
ミュニケーション・システムが正常に機能することは、当社の業務にとって、また、当社が効果的に競争するために、不可欠
である。当社は、障害発生時に主たる設備に代わって作動することを意図した障害回復設備のネットワークを維持しているも
のの、これらの又は他の情報技術システム又はコミュニケーション・システムのいずれかに部分的又は全面的な障害があった
場合に、当社の事業活動に重大な混乱が生じないと保証することはできない。当社の情報技術システム又はコミュニケーショ
ン・システムの障害は、当社の評判を毀損し、当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
また当社は、その情報技術システムの一部について、第三者サービス・プロバイダとの間に委託契約を締結している。これ
らのサービス・プロバイダは、その提供するサービスが低品質であったり、その情報技術システムに誤作動や障害が発生した
り、又は人為的ミス、セキュリティ侵害若しくは従業員による不正行為等が発生する可能性がある。これらのいずれも当社の
事業を阻害し、当社の評判を毀損し、また当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
当社のコンピュータ・システム又は他の者により管理されているコンピュータ・システムに対するサイバー攻撃又はその他の
セキュリティ侵害、及び顧客又は事業の機密情報の漏洩は、当社の評判を毀損し、規制当局による処分及び訴訟を引き起こ
し、又は顧客及び収益の損失を招く可能性がある。
当社は膨大な機密情報を当社のコンピュータ・システム上で処理しており、これには顧客の取引データや、当社の従業員、
代理店及び顧客の個人情報並びに当社の顧客の従業員及び顧客の個人情報が含まれる。当社は、今日金融サービス機関が直面
している、電子メール、ウェブサイトの閲覧、アプリケーション及びエンドポイントへの不正アクセスに起因するサイバー・
セキュリティ脅威(例えばマルウェア、ランサムウェア及びフィッシング攻撃を用いたもの)の多くに晒されている。当社は
警戒を維持し、あらたなサイバー・セキュリティ脅威の特定に注力しており、先進的な保護・監視システム、及び重大なサイ
バー攻撃が当社の防御の突破に成功した場合に対応にあたる専属のサイバー・セキュリティ・インシデント対処チームを設置
している。また、当社による情報システムのセキュリティ維持並びに顧客及び事業の機密情報の維持は、商業技術並びに従業
員、代理店及び第三者に依存しており、故意又は事故による個人情報又はその他の機密情報の漏洩又は不正使用のリスクにさ
らされている。今日に到るまで、当社は当社の情報システムに対する重大な侵害を経験していないものの、当社が導入した防
衛策が、今後も重大な機密情報の損失を防ぐことができると保証することはできない。当社の情報システムのセキュリティが
侵害された場合、又は当社の顧客、従業員及び代理店に関する個人情報等の極秘情報のセキュリティ、機密性又はプライバ
シーを当社が維持できなかった場合、その理由を問わず、当社の業務に著しい障害を引き起こす可能性があり、当社の評判が
毀損し、当社に対する規制当局の処分及び訴訟を引き起こし、顧客及び収益の損失を招き、又はその他当社の事業、財政状態
又は経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。また、当社の事業は、他の者により管理されているコンピュータ・システムに
対するサイバー攻撃又はセキュリティ侵害により、間接的に損害を受ける可能性がある。当社は、他の者により管理されてい
るコンピュータ・システムに対するサイバー攻撃又はセキュリティ侵害が、当社の事業、財政状態又は経営成績に重大な悪影
響を及ぼさないと保証することはできない。
その性質上予測し得ない破局的事態が、当社の収益力及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
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疫病、世界の多くの地域における国際緊張、テロ、継続中及び将来の軍事行動その他の行動の脅威、これらの脅威に対応し
て強化された安全対策、自然災害、気候の変動その他の破局的事態が、商業の中断、経済活動の低下及び市場ボラティリティ
を 引き起こす可能性がある。当社の保険事業は、かかる事象に起因する保険金請求のリスク(とりわけ、大規模な保険金請求
並びに/又は準備金要件及び自己資本要件の拡大の原因となる疫病その他による壊滅的な死亡率のリスク)に当社をさらして
いる。
IFRSに従って、当社は、破局的事態に対する保険契約準備金をその発生前に積み立てておらず、単独又は複数の破局的事態
による損失が、当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
当社の属する業界に関するリスク
当社は激しい競争に直面している。
当社は、当社が営業を営む全ての地域別市場において激しい競争に直面している。当社の競争力は、徴収される保険料及び
その他の補償条件、商品特性、運用成績、提供サービス、販売能力、規模、経験、手数料体系、ブランド力、知名度、情報技
術、並びに現実の又は認識上の財務力等、多数の要因に基づいている。さらに、当社の市場の一部では、現地の保険会社又は
現地の保険会社と提携する外資保険会社は、それらを競争上優位に立たせる別段の規制又は認可要件から便宜を受けられる可
能性がある。しばしば、競合他社(保険会社、投資信託会社、銀行及び投資運用会社を含む。)が、当社が事業を営む地域別
市場に参入することを可能とする新たな規制が可決されることがある。規制変更が当社市場における参加者の増加をもたらす
限りにおいて、競争は激化する可能性がある。かかる競争上の影響は、当社の事業、経営成績及び財政状態に重大な悪影響を
及ぼす可能性がある。
支払能力要件及び自己資本要件を遵守することにより、当社は追加の増資を実施し、事業戦略を変更し、又は当社の成長を減
速させることを余儀なくされる可能性がある。
保険会社は、一般に、適用法に基づき法定の最低基準を上回る基準の支払能力及び自己資本を維持することが要求される。
当社の支払能力は、主に、当社が維持することを要求されるソルベンシー・マージンにより影響される。ソルベンシー・マー
ジンは、当社が販売する新たな保険契約の契約高及び種類、当社の有効な保険契約及び投資の構成、並びに法定準備金の決定
に関する規制により影響される。また、当社の支払能力は、当社の商品の利益率、当社の資産及び投資の収益、金利、引受査
定及び保険契約獲得費用、並びに保険契約者及び株主に支払う配当金等、その他の多数の要因により影響される。
近年、当社の市場の多くにおける保険監督機関が、より厳しい資本と支払能力の枠組を導入し、又は導入する意向である旨
発表した。現在、タイ、シンガポール、マレーシア、中国、オーストラリア、インドネシア、韓国、フィリピン、台湾及びス
リランカの規制枠組においては、リスク・ベース資本制度が用いられている。また香港では、香港の香港保険局(以下
「HKIA」という。)による指導のもと、リスク・ベース資本制度に向けた取り組みが続けられている。
更に、保険監督者国際機構(以下「IAIS」という。)は、原則に則った保険規制のための世界的に一貫した枠組の推進を模
索する多数のイニシアチブに着手している。とりわけIAISは、まず2011年10月1日に保険監督機関のガイドラインとして「保
険基本原則」を採用し、また、国際的に活動する保険グループ(以下「IAIG」という。)の規制のための共通の枠組(以下
「共通枠組」という。)の開発と導入というより長期の目的のため、数年間にわたり保険基本原則の検討を行い、保険基本原
則の一部を改正した。IAISは、共通枠組の一環として、IAIGに適用する世界的保険会社のためのグループ規模のリスク・ベー
ス資本基準(以下「ICS」という。)を開発している。当グループはIAIGに指名されることが予想されている。ICSの実地テス
トは2019年に完了し、ICSの導入は2段階に分けて実施される予定である。第1段階では、ICSは5年間のモニタリング期間中
におけるグループ規模の監督責任者への機密報告に用いられる。第2段階は、グループ規模の規定資本要件としてのICSの導入
となる。2014年には、2015年から「グローバルなシステム上重要な保険業者」に適用される基本資本要件がIAISにより承認さ
れ、G20の首脳により採択された。2019年4月1日現在、当社は「グローバルなシステム上重要な保険業者」とはみなされてい
ない。IAISの提案の多くは依然準備段階であり、その不確実性を考慮すると、当社は、かかるイニシアチブが将来導入された
場合に当グループに及ぼす影響の範囲を引き続き予測している。
2016年にバミューダの保険業の健全性に関する枠組は、ソルベンシーII指令(Solvency II Directive)の要件に基づき欧州
の保険会社に適用される規制基準と同等のものとみなされている。バミューダ金融庁は、同庁の拡大された商業上の健全な収
益に関する制度に基づき、営利保険会社に対する経済上の貸借対照表の作成の義務付けを含む、同庁の法定の健全性報告要件
に対する一連の改定を実施した。これらの新たな規制上の要件は、2017年11月30日に終了したAIAの事業年度から適用され、
AIAは、これらのイニシアチブの策定及び改良に引き続き参加する。
適用ある支払能力要件及び自己資本要件又は当該要件の将来における変更を遵守するためには、当社は、当社の支払能力要
件及び自己資本要件を充足すべく、特定の地域別市場から他の地域別市場へ追加の資本を移転し、又は追加の資本を調達若し
くは注入する必要が生ずる可能性があり、これにより当社株主にとって希薄化を招く可能性がある。また当社は、販売する商
品の種類を含む事業戦略及び資本の管理方法を変更することを要する可能性がある。最後に、支払能力要件及び自己資本要件
を遵守することにより、当社は事業拡大のペースを減速させることを迫られる可能性がある。
保険会社は、保険契約者に有利な法律及び規制に服する。
当社が事業を営む一部の地域別市場において保険会社に適用される法律及び規制には、他の債権者の債権よりも優先的な地
位を保険契約者に付与する規定が盛り込まれている。このような保護規定は、保険契約者以外の保険会社の債権者の債権に悪
影響を及ぼす可能性がある。
金融危機及びその他の危機を受けて政府が実施する政策及び規制により、当社の事業に重大な悪影響が及ぶ可能性がある。
2008年、世界の金融市場及び信用市場において極めて深刻なボラティリティと混乱が見られ、このことが金融その他の資産
の価格の全般的な下落及び借入枠の縮小を招いた。これを受け、保険会社を含む金融機関が直面する課題に対応するため、多
数の法域における政府並びに政府機関及び規制機関により、様々な措置が実施されている。かかる措置には、一部の金融機関
の事業及び業務の監督及び規制の強化が含まれる。例えば、2016年6月22日、立法会により金融機関(決議)条例(Financial
Institutions (Resolution) Ordinance)(以下「FIRO」という。)が可決され、2017年7月7日に施行された。FIROに基づく
主要な規定には、香港の金融システムの安定性及び効果的運用の促進及び維持、預金者及び保険契約者の保護、公的資金への
異存の最小化並びに決議費用の抑制を目的とした決議制度の設立が含まれ、これらは全ての金融機関に適用される。2015年7
月には独立の保険局の設立に備えるための法律が可決され、2017年6月26日をもってHKIAが保険会社の規制を引き継いだ。こ
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れらの措置並びに関連法令は随時変更される可能性があり、当社は、将来の法改正又は規制変更が当社の事業、財政状態及び
経営成績に重大な悪影響を及ぼさないと保証することはできない。
当社の事業に適用される税制の変更は、当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
当社の事業及び業務は、それらが組織され当社が事業を営んでいる国及び市場における税法及び税規制に服する。税法、税
規制又はそれらの解釈の変更は、当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。また、これらの
変更は、当社商品の一部の売上を著しく減少させる可能性がある。当社は、法人税又は保険商品に影響を及ぼす税法又は税規
制が施行される可能性、かかる税法又は税規制の具体的な内容、又は一切の法律又は規制により当社の事業、財政状態及び経
営成績に何らかの重大な悪影響が及ぶ可能性を予想することはできない。
IASB 、HKICPA又はその他の基準策定機関が設定する会計基準の変更が、当グループの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があ
る。
IFRS 及び香港財務報告基準は、定期的に変更され、且つ/又は拡張される。したがって、随時当グループはIASB又はHKICPA
が定める新たな又は変更された会計基準を採用する必要が生ずる。市場環境により、会計基準設定団体は、金融商品、ストラ
クチャー及び取引に関する会計基準を解釈し又は変更することを意図した新たな指針並びに開示を拡大する新たな基準を発行
することを促されてきた。当グループが採用することを要する将来の会計基準により、当グループが連結財務情報の作成に当
たり適用する現在の会計上の取扱いが変更される可能性があり、かかる変更が当グループの財政状態及び経営成績に重大な悪
影響を及ぼす可能性がある。
2016年9月12日、IASBはIFRS第4号( 保険契約) の改訂版である「IFRS第9号(金融商品)のIFRS第4号 との 併用」を発行
し、IFRS第9号及びIFRS第17号(保険契約)のそれぞれ異なる発効日に対応するための2つの代替措置を規定した。これらの
措置には、専ら保険に関連した事業活動を行う会社が、IFRS第17号の発効日又は2021年1月1日(後述の通り、IASBはIFRS第
17号の発効日を2022年1月1日まで延期することを提案している。)以降に開始する財務報告事業年度のいずれか早い方ま
で、IFRS第9号の発効日を暫定的に延期することができる旨の内容、及びIFRS第17号が適用されるまでの間に発生しうる会計
上のミスマッチによる影響額を事業体が損益から除外することを許容するアプローチが含まれる。当グループは、IFRS第4号
の改訂版に基づき、IFRS第9号の発効日を延期する暫定措置の適用を受ける条件を満たしており、上記の変更をIFRS第17号
(保険契約)と並行して導入するため、当該措置を適用する意向である。
IFRS第17号(保険契約)(従来のIFRS第4号フェーズⅡ)は、現行のIFRS第4号(保険契約)に取って代わる基準である。
IFRS第17号は、保険契約の評価及び収益の認識の両方において、現行の会計規則とは根本的な違いを有する。基本的なモデル
は割引キャッシュ・フロー法に基づいており、リスク調整と前受収益の繰延が盛り込まれている。基礎項目上の収益に連動す
る保険契約のうち一定の要件を満たしたものについては別のアプローチが適用される。また、IFRS第17号では、包括利益の表
示において、より詳細な情報と新たな記載様式、そして広範囲の開示が義務付けられる。 2017 年12月12日付で香港公認会計士
協会 (以下「 HKICPA 」という。)は、HKFRS第17号(保険契約)の発行を承認した。当グループは、新基準の詳細な評価を実施
中である。この基準は、現時点では2021年1月1日以後に開始する会計期間から適用が義務付けられているが、2018年11月、
IASBは、2022年1月1日以降に開始する事業年度まで、IFRS第17号及び保険会社に対するIFRS第9号の暫定的な例外措置を延
期することを提案している。かかる延期案は、2019年に予定されるパブリック・コンサルテーションにかけられる。HKICPAは
IASBによるIFRS第17号の延期案についていかなる発表もしていない。
株式
株式の取引価格は変動する可能性があり、その結果投資家に多額の損失が生じる可能性がある。
株式の取引価格は変動する可能性があり、香港、アジア・パシフィック地域、米国その他世界各国の一般的な市場環境等、
当社の支配の及ばない要因により大幅に変動する可能性がある。特に、他の保険会社及び金融機関の市場価格のパフォーマン
ス及び変動は、株式の価格のボラティリティ及び出来高に影響を及ぼす可能性がある。市場及び業界の広範な要因により、当
社の業績に関係なく株式の市場価格が著しく下落する可能性がある。株式の価格が変動する場合には、投資家は投資額の全て
又は相当部分を失う可能性もある。市場及び業界の要因に加えて、株式の価格及び出来高は特定の事業上の理由により大幅に
変動する可能性がある。特に、当社の収益、利益及びキャッシュ・フローの変動などの要因により、株式の市場価格は大きく
変動する可能性がある。これらの要因により、株式の出来高及び取引価格に大幅な突然の変動を招く可能性がある。
当社は将来、当社株式に対する配当金を支払うことができない可能性がある。
現在のところ当社の配当政策を変更する計画は存在しないが、当該配当政策が、将来において変更されないという保証はな
い。将来の継続的な配当金は、当社取締役会の裁量によるものであり、当社の将来の経営成績、一般的な財政状態、資本要
件、当社によるAIAグループの子会社及び支店からの配当金その他の分配金及び支払の受領可能性、為替レート、法令上、規制
上及び契約上の制限、並びに当社取締役会が関連あると考えるその他の要因に依存している。さらに、将来において当社が当
社株式につき支払を決定する配当金(もしあれば)の通貨、及び当社の株主のために当該通貨から他の通貨に換算するメカニ
ズムは、当社取締役会の裁量により定められる。
RSU 制度に基づくRSU報奨及び株式オプション制度に基づくオプションの付与は、株主に対して希薄化をもたらす可能性があ
る。
当社は、当社のRSU制度に基づくRSU報奨及び当社の株式オプション制度に基づくオプションを付与する予定である。当該報
奨制度は、その参加者に、一定の場合において当社普通株式を取得する権利を与える。RSU報奨の付与及びオプションの行使に
より当社の発行済株式が増加する可能性があり、これにより、当社の既存株主のエクイティ持分が希薄化し、1株当たり利益
が減少する可能性がある。RSU制度の採択後、当該制度に基づき発行された株式はない。
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3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当社の2018事業年度は2018年12月31日に終了した13ヶ月を対象としているが、以下では2018年12月31日に終了した12ヶ月に
おける当グループの財務の概況を、対応する2017年12月31日に終了した12ヶ月と比較して掲載している。これは、2018年及び
2017年の12月31日に終了した12ヶ月における当グループの業績の有意な比較を円滑化することを目的としている。
決算日の変更
2018年2月26日、当社取締役会は、当社の決算日を11月30日から12月31日に変更することを決議した。これにより、当社の
2018年度の決算日は2018年12月31日となり、当グループの監査済連結財務書類の対象期間は2017年12月1日から2018年12月31
日の13ヶ月となる。
変更の理由
当社は、2010年のIPO以来、専らIPO前の経緯に基づき、11月決算で運営を行ってきた。当グループは、アジア・パシフィッ
ク地域の18の市場で事業を営んでおり、その事業体の大多数が、現地の規制目的上、12月決算を義務付けられている。した
がって当社取締役会は、決算日の変更により、効率性を向上し、当グループの事業体ごとに異なる報告決算日を採用すること
に伴う複雑性及びリスクを軽減できるものと考えている。
運営上の効率性による恩恵に加え、決算日の変更は、当社と、12月決算で運営を行う当社の巨大な国際的競合保険会社との
比較を容易にする。また、暦年末日は、HKIAを含む規制当局が一般向けの保険市場情報を作成する基準とも一致している。更
に、当社取締役会は、決算期の変更により、12月決算で運営を行うビジネス・パートナーとの間において、企画・報告活動に
おける営業上の連携が促進されるものと考えている。
グループ最高執行役員兼プレジデントによる報告書
2018 年度においてもAIAは再び一連の素晴らしい業績を上げており、全ての主要な財務指標を通じて2桁の成長を達成しまし
た。
新規契約高は22%の増加、税引後営業利益は13%の増加、原処分可能剰余金創出額は13%の増加となりました。これらの数
字は、いずれも恒常為替レート・ベースの比較によるものです。エンベディッド・バリューに基づく当社の株主に帰属する持
分(以下「エンベディッド・バリュー持分」という。)は3,774百万米ドル増加して56,203百万米ドルとなりました。
当社取締役会は、14%の増配となる1株当たり84.80香港セントの期末配当を提言しました。これにより2018年度の配当総額
(特別配当を除く。)は1株当たり114.00香港セントになります。この増配は、AIAの力強い財務業績と当グループの将来の見
通しに対する自信を反映したものです。さらに当社取締役会は、当社の事業年度末日の変更に伴い、通年の配当金に1ヶ月分
が追加されることを反映して1株当たり9.50香港セントの特別配当を行うことを提言しました。
当社の力強い営業成績は、金融市場の変動による困難な背景事情と世界のマクロ経済環境に関する不安の中にあって、当社
が積極的な事業運営に重点を置き、成長戦略を追求してきたことを反映した結果です。AIAの成功は、アジア・パシフィック地
域を通じた有能なチームと、当社全体の従業員と代理店が示した高度な専門性、献身、ケアによって後押しされています。
生命保険業界は、経済成長の転換に伴って生じる社会問題やインフラ問題への対応を支援することで、発展途上国経済にお
いて重要な役割を果たしています。生活水準の向上により、個人が築き上げた財産を守り、家族を扶養する必要と希望が生じ
ており、一家の稼ぎ手の経済的な責任は相当に大きくなると思われます。
アジア地域では、主として拡大家族が伝統的に生活保護の役割を担ってきた結果として、政府が設定する社会福祉のセーフ
ティネットは十分に発達しておらず、アジア諸国の政府の間では、費用が掛かる全面的で包括的な社会福祉の提供には耐えら
れないという認識が一般的になっています。
そのため、当社の市場では、先進国、新興国を問わず、重大な「保障ギャップ」、すなわち災害や病気の時の経済的な保障
に対する社会のニーズと、そのリスクをカバーするために実際に確保されている保険や貯蓄の水準との間に格差が生じていま
す。さらに当社の市場の多くでは従属人口指数が上昇していることから、新たに「退職貯蓄ギャップ」、すなわち非効率的な
貯蓄の形態、退職後のための貯えの欠如、寿命の延長といった全ての要因が長期貯蓄の大幅な欠如につながる現象が生じてい
ます。
民間保険は、このような人生を通じた不測の事態に備える有効な対策の鍵となっています。しかし、アジア地域では依然と
して生命保険、疾病保険、年金保険の付保率は非常に低く、そのことが市場の弾力性と大きな成長潜在力を示しています。
さらにアジア地域の消費者の期待も変化しています。消費者にとって福祉、健康、長寿、老後の生活水準の向上への期待が
ますます大きな関心事となっています。一方で消費者は自分が必要とする保障の範囲と購入すべき商品の種類について不安を
抱えています。
AIA は、比類のない販売能力、強力なブランド、財務力、革新的な新商品開発に対する投資能力によって、上記のような基本
的な社会経済上のニーズを満たすことを支援する独自の地位を築き上げています。
当社は、このような競争優位を踏まえ、収益的成長を維持し、顧客の将来の健康と経済上の安全を保障するため、明確な戦
略的優先事項の実現に引き続き重点的に取り組んでいます。
2018 年度の業績ハイライト(恒常為替レート・ベース)
香港 では、当年度も非常に大きな成果を上げており、新規契約高は24%増の1,712百万米ドルとなりました。この素晴らしい
業績は、当社の多様なチャネルの販売網の質の高さを実証するものであり、域内と中国大陸華人来訪者の双方の顧客セグメン
トの成長に幅広く立脚しています。プレミア代理店戦略の継続的な実施の成果により、稼働中代理店数は2桁の増加を達成し
ました。さらに香港におけるリテール独立財務アドバイザー(IFA)事業が非常に好調であったことに加え、シティバンク・エ
ヌ・エー(以下「シティバンク」という。)との間の長期戦略的パートナーシップにおける新規契約高は再度非常に力強い成
長を達成しました。税引後営業利益は11%増の1,814百万米ドルとなりました。
中国 の事業も再度素晴らしい業績を達成し、新規契約高は30%増の965百万米ドルとなりました。当社の革新的なデジタル・
プラットフォームによる支援を受けた質の高い採用活動と業界最高の研修により、稼働中代理店数は2桁の増加を達成しまし
た。税引後営業利益は、基礎となる事業の成長と良好な保険実績を受けて32%の増加となりました。2019年2月に当社は天津
市と河北省石家荘市に販売・サービスセンターを設立する準備の開始について規制当局から承認を受けました。今後、当社は
中国においてますます多くの家庭にAIAの差別化された商品とサービスを提供していく見通しです。
タイ 事業における新規契約高は2桁の成長を回復し、12%増の447百万米ドルとなりました。代理店網の質の向上に重点を置
いた取組みの成果により、顧客に質の高い助言を提供するフルタイムの専門的な稼働中代理店数が継続的に増加していること
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を受けて、ミリオン・ダラー・ラウンド・テーブル(MDRT)適格代理店数は36%の増加を示しています。2018年3月に当社と
バンコク・バンク・パブリック・カンパニー・リミテッド(Bangkok Bank Public Company Limited)(以下「バンコク・バン
ク」 という。)との間で新たなパートナーシップが発足し、同行の支店勤務保険スペシャリストを通じた商品レンジの拡大に
より将来の成長基盤の構築が続けられています。税引後営業利益は、基礎となる事業の成長と既存契約の継続率の改善により
9%の増加となりました。
シンガポール における2018年度の新規契約高は、代理店チャネルに加え、シティバンクとの間の戦略的パートナーシップの
後押しを受けて、18%の非常に力強い成長を達成しました。また、プレミア代理店戦略の実行を通じて、稼働中代理店数の増
加と生産性水準の向上が達成されています。税引後営業利益は7%の増加となりました。
マレーシア では、消費活動の低迷と物品サービス税(GST)の変更による影響を受けた市場環境の中にあって下半期の業績が
改善したことから、新規契約高は通年で8%の成長を達成しました。当社のタカフル事業の新規契約高は2桁の成長を遂げて
おり、引き続き重要な戦略上の重点分野となっています。税引後営業利益は9%の増加となりました。
その他の市場 における新規契約高は13%の増加となりました。業績ハイライトには、オーストラリア及びニュージーラン
ド、韓国、フィリピン、台湾の事業における力強い業績が含まれています。税引後営業利益は14%増の826百万米ドルとなりま
した。
2018 年度の当社の業績は、AIAの地理的市場、商品、販売チャネルを通じた多様性のある成長ポートフォリオの利点とアジ
ア・パシフィック地域における収益的成長の非常に大きな潜在力を改めて明確に実証するものとなっています。
グループ全体の概要
販売
専属代理店販売網は当社の中核的な販売チャネルであり、代理店の専門性と規模がAIAに大きな競争優位をもたらしていま
す。2018年度にはプレミア代理店戦略の重点的な実施により、新規契約高が26%増の2,943百万米ドルとなりました。当社は、
代理店販売がアジア地域の大衆富裕層市場の経済的な保障と長期貯蓄のニーズを満たす最も有効な手段であると確信していま
す。最高の質の人材を勧誘、採用し、代理店経営のあらゆる点について最良の研修とバックオフィス業務の支援を提供する能
力は、当社の最も重要な成長の原動力の1つになっています。さらにAIAは、代理店の専門性と生産性をともに向上させる次世
代デジタル・ツールを率先して提供しています。このようなプレミア代理店戦略の実施が、引き続きAIAの将来の成功の礎とな
るのです。
MDRT 会員資格は代理店の質を測る重要な尺度であり、AIAの登録会員数は2017年度比で22%増の10,000人超となっています。
現在AIAは4年連続でMDRT登録会員数世界第1位の多国籍企業となっており、このことは高度に専門的なフルタイムの代理店販
売網の構築の成果を明確に示しています。
AIA は長期戦略的パートナーシップを通じて、アジア・パシフィック地域全体で顧客に対するアクセスを拡大しています。
2018年度のAIAのパートナーシップ販売事業における新規契約高は、既報の通り2017年度上半期の香港におけるリテールIFA
チャネルのきわめて力強い業績からさらに11%増加して1,172百万米ドルとなりました。2018年3月に当社は、資産総額でタイ
最大の銀行であり、同国最大の銀行顧客基盤の1つを有するバンコク・バンクとの間に新たな戦略的パートナーシップを発足
させました。このパートナーシップは、タイにおける当社の市場をリードする地位を強化する大きな機会をもたらしていま
す。2018年7月に当グループは、ニュージーランドのソヴリン・アシュアランス・カンパニー・リミテッド(Sovereign
Assurance Company Limited)を買収する取引が完了したことと、ASBバンク・リミテッド(ASB Bank Limited)(以下「ASB」
という。)との間の20年間の戦略的(保険)銀行窓販パートナーシップが発足したことを発表しました。
さらに当社は、大規模な既存顧客基盤を持つ企業との間に、AIAにとって商業上の意義のある非従来型の戦略的パートナー
シップの構築を模索しており、当事業年度中に中国のWeDoctor(微医)及び韓国のSKテレコム(SK Telecom)との間でそのよ
うなパートナーシップを発足させました。AIAは微医とのパートナーシップを通じて、AIAの顧客に微医のサービスに対する優
先的なアクセスを提供する一方で、180百万人を超える中国人消費者からなる同社の登録利用者基盤に生命保険と疾病保険のソ
リューションを提供する推奨保険会社となっています。また、韓国で最大の顧客数を有する電気通信業者であるSKテレコムと
の間の戦略的パートナーシップにはAIAバイタリティが導入されています。これらの新たなパートナーシップは、新規顧客に対
するアクセスを拡大するとともに、既存保険契約者に対して新たなデジタル・ヘルスとデジタル・ウェルネスのサービスを提
供可能にすることで、AIAに新たな成長の機会をもたらしています。
上記に加えて、当社はアジア・パシフィック地域を通じた規模とプレゼンスによって、戦略的パートナーシップの機会が生
じた場合に、それを活用できる有力な立場を確保しています。当社は販売網を大幅に拡大する機会を模索しており、そのよう
な機会を厳格な財務上及び戦略上の基準に照らして綿密に評価しています。
ブランドとマーケティング
2018 年度に当社の全ての市場で、顧客がより健康で、より長く、より良い人生(Healthier, Longer, Better Lives)を送る
ことを支援するというAIAのブランド公約が導入されました。AIAは保障型保険事業を受動的に保険金を支払う企業から、顧客
の健康と福祉の向上を積極的に支援するパートナーへと転換する道を開こうとしています。これにより生命保険や疾病保険の
購入に対する顧客の考え方を変化させ、AIAとの関係において顧客が早期に積極的で具体的な利益を受けることを可能にしてい
ます。当社のアプローチは、アジア・パシフィック地域における消費者の急速に変化するニーズと期待に全面的に応えるもの
であり、顧客や販売網とのやり取りの質と頻度を向上させる大きな可能性をもたらしています。
当社は地域全体の経済社会的発展の推進に指導的な役割を果たすという目的を表明しており、当社の新たなブランド公約
は、当社の企業としての存在意義を明示しています。当社は、アジア地域における生活水準の向上とそれに伴う生活習慣病の
拡大から生じる保障ニーズに対応するため、顧客との間の長期的な関係の醸成に積極的に取り組んでいます。当社は健康増進
を組み込んだ疾病保険事業における指導的地位にあることから、上記の問題に先頭に立って取り組んでおり、この取組みは顧
客とコミュニティの双方にプラスの利益をもたらすとともに、AIAの長期的な成長の維持を支援する当グループの重要な戦略的
優先事項となっています。
AIA バイタリティは、当社の科学的に裏付けられた総合的な健康増進プログラムです。2013年の導入以来、当社は健康的なラ
イフスタイルの選択を奨励し、その見返りを与えることを通じて顧客の健康上の成果を実証してきました。さらに当年度中に
AIAバイタリティは、当社の多数の(保険)銀行窓販パートナーシップに導入されており、2018年度末現在で当社の健康増進プ
ログラムの会員総数は1.2百万人を突破しています。
マーケティングとスポンサーシップ活動では、AIAのブランドを健康的なライフスタイルに結び付け、スポーツへの積極的な
参加を奨励することに重点が置かれています。当社はトッテナム・ホットスパー・フットボール・クラブ(スパーズ)との間
のグローバル・プリンシパル・パートナーシップ(Global Principal Partnership)や、当社のグローバル・アンバサダーで
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あるデビッド・ベッカム氏を通じて、ソーシャル・メディア・キャンペーン、フットボール・コーチング・クリニック、顧客
や従業員が参加するスポーツイベント、その他のメディア露出の機会において、当社ブランド公約に対する顧客、パート
ナー、 従業員の認識向上に取り組んでいます。
環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する問題は、全ての利害関係者にとってますます大きな関心事となっています。当社は
アジア全域で最大の生命保険会社として、ESGの問題に対する意識と配慮の向上を促進するために重要な役割を担っています。
AIAは気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言を支持しており、また、香港を本拠地とする資産オーナーとし
て最初に責任投資原則(PRI)に署名し、この原則を当社市場全体の持続可能な投資に対する取組みに反映させています。2018
年度に当社はISS-oekomから「プライム」の格付けを取得し、FTSE4Good Index Seriesの構成銘柄となりました。
さらに当社はブルームバーグ男女平等インデックス(Bloomberg Gender Equality Index)の構成銘柄に再度選定されていま
す。
技術及び業務
デジタル化を通じた事業の変革は、当社の事業のあらゆる点を通じて重要な実現要因になっています。2018年度に当社は
バックオフィス業務処理の簡素化と効率の向上に的を絞った多額の投資を継続することで、さらなる生産性の向上を推進する
とともに、顧客に対する革新的な商品と質の高いサービスの提供を確保しています。
当社の顧客は、その好みに応じてオンラインとオフラインで当社とやり取りをしています。当社は継続的な投資を通じて、
基本的な事務処理や簡単な保険契約の申請に関するオンラインのセルフサービスから、市場をリードする代理店やその他の販
売パートナーの支援に必要とされる高度なデジタル・ツールの提供に到るまで、デジタル能力の向上に取り組んでいます。
毎年当社は顧客との間で34百万件を超える通常の商品に関連する保険取引に加え、AIAバイタリティを通じて105百万件のデ
ジタル顧客とのやり取りを行っています。当社は業務支援のために人工知能(AI)機能を活用する方法の探求をさらに強化し
ています。AIは、新規契約の処理、既存顧客に対するサービスの提供、保険金請求処理等、当社の多くのプロセスを通じて利
用されています。
AIA のデジタル販売時点情報管理技術は進化を続けており、2018年度に当グループを通じた新規契約案件の90%超がデジタル
申請されています。また、引受査定の自動化率も上昇を続けており、2018年度には新規契約全体の57%が人間を介在せずに販
売時点で引き受けられています。さらにAIA独自の双方向性モバイル・オフィス(iMO)プラットフォームを通じて代理店が利
用するアプリケーションの拡充も継続されており、採用活動の成功率を向上させ、導入研修のプロセスをデジタル化するiリク
ルート(iRecruit)や当社の事業全体で採用され、代理店がどこでも継続的な学習や能力開発をできるようにするeラーニン
グ・プラットフォームのiアカデミー(iAcademy)が導入されています。
当社はまた、技術革新と新技術の利用を通じた事業の変革の方法を模索しています。当グループは、提携銀行向けにエン
ド・ツー・エンドの販売とサービスのプラットフォームを構築するため、パートナーシップ販売網を対象としたデジタル化の
イニシアチブに着手しています。これらの取組みは、上記のデジタル・ツールが顧客と販売網にもたらす経験を通じて事業の
変革を推進することを目的としています。
サイバー・セキュリティは、AIAにとってきわめて重要な問題であり、業界と当社の事業に対するリスクを増大させていま
す。この分野に経営陣の最大限の関心、支援、ガバナンスが注がれるように、定期的に最新情報がグループ執行委員会と当社
取締役会に報告されています。当社はこの分野の能力の強化と投資を継続しており、専門のサイバー・セキュリティ・チーム
を支援するため、当グループ全体のサイバー攻撃の脅威の防止、検知、対応に関する先進的な能力を拡張するサイバー・セ
キュリティ共有サービスセンターを新設しました。
人々との関わり
AIA の成功の中心となっているのは、22,000人を超える有能で専門的且つ献身的な従業員の存在です。当社が力強い成長と成
功の実績を持続できるのは、従業員の献身、勤勉、カスタマー・サービスに対するあくなき追求と当社戦略の一貫した実行の
賜物です。
AIA の社風を特徴づけている業務理念は、「正しい人々と、正しい方法で、正しいことを行う。そうすれば、正しい結果が得
られる(Doing the Right Thing, in the Right Way, with the Right People... the Right Results will come)。」という
ものです。当社の企業構造は、グループ・センターによって設定、監視される戦略・リスク管理体制の範囲内で現地事業に権
限を与えるように設計されており、それによって従業員と現地市場の関係の強化を促進しています。この社風の維持にとって
重要な鍵となるのは、当社から提供される継続的な専門性開発の機会を積極的に追求し、AIAのブランド公約と目的を受け入れ
る非常に有能な従業員の勧誘、育成、維持であると当社は判断しています。
AIA リーダーシップ・センター(AIA Leadership Centre)(以下「ALC」という。)は、当グループを通じた上級経営陣の育
成に重要な役割を果たしています。同センターは、AIAの主要な戦略的優先事項に合致する非常に効果的なリーダーシップ養成
プログラムの提供に明確に重点を置いています。運営開始から3年目を迎えるALCは、2018年度に240回を超えるイベントを一
流のビジネス・スクールやコンサルティング企業と提携して開催しました。また、特定分野の知識とスキルの向上を目的とし
た技術的リーダーシップ・プログラムや機能的リーダーシップ・プログラムも開催されています。このような専門教育に対す
る取組みが評価され、AIAはLOMAから「優秀教育賞(Excellence in Education)」を授与されています。
当社は学習・開発プログラムの提供を支援するためにテクノロジーを利用しており、コンテンツ・オン・デマンドへのアク
セスを含むデジタル化された学習コンテンツと提供方法を備えた新たな学習プラットフォームを導入しました。さらに当社
は、効率と人材分析能力の向上のため、人事情報システムを転換する大規模な戦略的イニシアチブに着手しています。
当年度中に当社の市場全体で約1,400名の上級職の査定が実施され、その結果、明確な承継計画が設定されるとともに人材開
発の機会が確保されています。AIAは常に社内でリーダーを育成することを最優先しており、当年度中に生じた上級管理職の欠
員の過半数が内部昇格によって補充されています。
当社の年次従業員エンゲージメント調査は、市場全体の協力体制の成果を測る重要な指標であり、引き続き当社に貴重な洞
察をもたらしています。喜ばしいことに、当グループの従業員エンゲージメント・スコアは、ギャラップ社のグローバル金融
サービス・保険業ベンチマークの上位4分の1に入っています。AIAは、2018年度にギャラップ社からグレート・ワークプレー
ス・アワード(Great Workplace Award)を受賞した世界で39社の企業の1つであり、国際生命保険会社で唯一同賞を授与され
ています。
展望
アジア地域の経済成長の基礎的要因は、最近の金融市場の変動、現在の国際貿易関係の緊張から生じている地政学的な不安
定、現行の経済成長サイクルの持続性に対する不安にもかかわらず、弾力性を維持しています。世界の経済成長率は減速が予
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想されていますが、アジア地域では強力な国内需要の推進要因と主要な人口の動向が、AIAの事業の長期的な見通しを構造的に
支えるプラス要因となっています。このような状況で米国の政策決定者は利上げを当面見合わせる対応を取っており、中国で
は、 さらなる金融改革と併せて、成長率が減速しても質の高い経済成長へと転換を続けていくと予想されます。
世界の次の10億人の中産階級消費者の90%はアジア地域で出現すると予想されており、これに基づく試算ではアジア地域の
中産階級人口は2025年までに倍増すると見られています。世界のマクロ経済と地政学的環境の不安定を背景に、民間保険の普
及率と社会保障の水準が低いことから、当社の保険商品に対するニーズは拡大を続けており、当社は戦略的優先事項の実現に
引き続き重点的に取り組んでいます。
AIA はアジア地域で1世紀の歴史を持ち、世界でも有数の活気と魅力がある生命・疾病保険市場において事業を運営していま
す。2019年の創立100周年を機に当社は、顧客の経済的な安全保障に取り組むことを改めて表明しています。当グループの次の
100年を見据え、より健康で、より長く、より良い人生という公約は、当社の市場を通じて生じている空前の経済的、人口動態
的、社会的な構造変化から生じる顧客のニーズの増大に対応する方法を如実に示しています。この公約の実現を通じて、当社
は人々の人生に真のプラスの影響を与えていく方針です。
100 周年を迎えた上で道のりは始まったばかりだと言える企業はまれでしょうが、AIAが顧客、従業員、パートナー、株主に
さらに多くのものを提供できることを今までと同様に確信しています。むろん、その機会を捉えるためにすべきことは多くあ
りますが、当社が適切な戦略とリーダーシップに加え、長期持続可能な価値の創出を継続するための最良のプラットフォーム
を備えていると判断しています。AIAの次の100年を指導していくことを非常に喜ばしく思い、AIAがアジア・パシフィック地域
全体のより健康な世紀をリードしていくことを期待しています。
(署 名)
ヌガ・ケン・ホーイ
グループ最高執行役員兼プレジデント
2019 年3月15日
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財務の概況
AIA は、アジア・パシフィック地域の18の市場にプレゼンスを有しており、アジア全域で最大の上場生命保険グループであ
る。当社は保険料の大部分を現地通貨で受領しており、為替変動による経済的な影響を最小限に抑えるため、現地の資産と負
債の厳密なマッチングを行っている。当グループは連結業績を米ドル建てで報告していることから、連結業績の報告において
通貨換算の効果が生じる。当社の営業成績における成長率や注釈は別段の表記がない限り、恒常為替レート・ベースで示され
ている。この方式を採用した理由は、基礎となる事業の年次業績比較をより明確な形で提示できるからである。
2018 年2月にAIAグループ・リミテッド(以下「当社」という。)の取締役会(以下「当社取締役会」という。)は、当社の
事業年度末日を11月30日から12月31日に変更することを決議した。そのため、当会計期間の期末日は2018年12月31日となって
いる。この変更に伴い、財務情報の比較可能性を高めるため、下記の財務情報は当期については2018年1月1日から2018年12
月31日までの12ヶ月を対象としており、前期については2017年1月1日から2017年12月31日までの12ヶ月を対象としている。
これに加え、2018年12月31日に終了した12ヶ月における当グループの監査済連結財務成績と2017年12月31日に終了した12ヶ月
に関する比較財務情報が、連結財務書類及びエンベディッド・バリューに関する補足情報の注記47において任意開示されてい
る。
概要及び主要財務ハイライト
2018 年度にAIAは再度素晴らしい財務成績を上げており、引き続き比較優位に立脚して戦略的優先事項の実現を強力に推し進
めた結果、新規契約高、税引後営業利益、エンベディッド・バリュー、営業利益、原処分可能剰余金創出額が2桁の成長を達
成した。さらに処分可能剰余金が増加するとともに、弾力性のあるソルベンシー・ポジションを維持しつつ、有機的成長と価
値の増大を伴う無機的な機会の双方に資金を投入している。
上記の財務成績とAIAの将来に対する自信を反映して、当社取締役会は、期末配当を14%増配して1株当たり84.80香港セン
トとすることを提言した。さらに当社取締役会は、当社の事業年度末日が2018年11月30日から2018年12月31日に変更されたこ
とに伴う会計期間の追加の1ヶ月について、1株当たり9.50香港セントの特別配当を行うことを提言した。
エンベディッド・バリュー
2018 年度の新規契約高は22%増の3,955百万米ドルとなり、当社の報告対象の全ての市場で新規契約高がプラスの成長を達成
した。代理店販売網は引き続き当社の新規契約高の主要な源泉となっており、当グループの新規契約高全体の72%を占めてい
る。代理店チャネルからの新規契約高は、プレミア代理店戦略の重点的な実施を通じて引き続き非常に力強い成長を遂げ、
26%増の2,943百万米ドルとなった。パートナーシップ販売による新規契約高は、既報の通り2017年度上半期の香港におけるリ
テール独立財務アドバイザー(IFA)チャネルの非常に力強い業績からさらに11%増の堅実な成長を達成した。
年換算新規契約保険料は15%増の6,510百万米ドルとなり、新規契約利益率は3.7ポイント上昇して60.0%となった。また、
新規契約保険料の現在価値に基づく利益率は、商品構成と国別構成の改善を反映して、2017年度の9%から10%に上昇した。
エンベディッド・バリュー営業利益は、新規契約高の力強い成長に加え、エンベディッド・バリューに係る期待収益が3,893百
万米ドルに増加したこと、既存ポートフォリオの先を見越した管理を通じて全体的な営業実績のプラス変動が603百万米ドルに
なったことを反映して23%増の8,278百万米ドルとなった。その結果、エンベディッド・バリュー営業収益率は2017年度比で
110ベーシス・ポイント上昇して16.3%となった。
エンベディッド・バリューに基づく当社の株主に帰属する持分(以下「エンベディッド・バリュー持分」という。)は3,774
百万米ドル増加して56,203百万米ドルとなった。この増加は、主としてエンベディッド・バリュー営業利益が、投資ポート
フォリオと法定準備金に係る株式及びその他の資本市場の期待収益に比較した短期的な変動の影響を反映した投資収益の2,218
百万米ドルのマイナス変動により一部相殺されたことによるものである。エンベディッド・バリューは、合計1,589百万米ドル
の株主配当金の支払後の数字として報告されている。
エンベディッド・バリュー持分には、2018年12月31日現在ののれん及びその他の無形資産1,686百万米ドル(2017年12月31日
現在は1,650百万米ドル)を含む。この増加は、主としてソヴリン・アシュアランス・カンパニー・リミテッド(Sovereign
Assurance Company Limited)の買収によるものであり、同社はオーストラリア・コモンウェルス銀行(Commonwealth Bank of
Australia)(CBA)がニュージーランドにおいて所有していた生命保険及び疾病保険会社のASBグループ(ライフ)リミテッド
(ASB Group (Life) Limited)及びその子会社(ソヴリン社)の買収(2018年7月2日付で完了した。)の一部として取得さ
れたものである。
IFRS 利益
税引後営業利益は13%増の5,298百万米ドルとなった。2018年度には当社の全ての報告対象の市場セグメントで税引後営業利
益がプラスの成長を達成しており、これは新規契約高の持続的な成長と既存ポートフォリオの先を見越した管理によるもので
ある。費用率は、規模の拡大による継続的な恩恵を受けて、2017年度の7.6%から7.1%に低下した。
税引後営業利益率は、主として2018年度における総加重保険料収入の力強い成長と既存ポートフォリオにおける有配当型契
約の割合の増大を反映して、2017年度の17.7%から17.5%に低下した。
株主配分持分営業収益率は、主として税引後営業利益の成長により、40ベーシス・ポイント上昇して14.5%となった。
2018 年12月31日現在の株主配分持分は36,795百万米ドルの安定した水準を維持しているが、これは1,589百万米ドルの株主配
当金支払後の数字であり、さらに当社の報告通貨である米ドルに対する現地通貨の下落に伴う732百万米ドルと、株式ポート
フォリオの時価評価のマイナス変動を含む純利益2,597百万米ドルが反映されている。
資本 及び 配当
2018 年12月31日現在の処分可能剰余金は2,165百万米ドル増加して14,751百万米ドルとなった。この増加には、AIA韓国の子
会社化による1,886百万米ドルの処分可能剰余金の追加と、ソヴリン社の買収に伴う正味の影響額497百万米ドルの控除が含ま
れている。
原処分可能剰余金創出額は、AIA韓国の子会社化に伴う263百万米ドルの控除前の比較で13%増の4,945百万米ドルとなった。
新規契約投資額は10%増の1,540百万米ドル、投資収益の変動及びその他の項目はマイナス795百万米ドル、株主配当金の支払
額合計は1,589百万米ドルとなった。2018年12月31日現在のAIAカンパニーのソルベンシー比率は、2017年12月31日現在の446%
から421%になった。当社のソルベンシー比率は、ソヴリン社の買収と当社に対する配当の影響の適用後においても非常に強固
な水準を維持している。
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2018 年度の当社の現地事業部門からグループ・コーポレート・センターに対する送金額は、2017年度の2,039百万米ドルから
2,753百万米ドルに増加しており、この数字にはソヴリン社の買収後のニュージーランドからの特別送金が含まれている。当社
取締役会は、AIAの確立された賢明で持続可能且つ漸進的な配当方針に従い、期末配当を14%増配して1株当たり84.80香港セ
ン トとすることを提言した。さらに当社取締役会は、当社の事業年度末日が2018年11月30日から2018年12月31日に変更された
ことに伴う会計期間の追加の1ヶ月について、1株当たり9.50香港セントの特別配当を行うことを提言した。これらの配当額
は、当社の好調な財務成績に加え、当グループの将来の見通しについて当社取締役会が引き続き自信を持っていることを反映
したものである。この配当の提言は、当社の2019年度定時株主総会において株主の承認に掛けられる。
新規契約の成長率
セグメントごとの新規契約高、年換算新規契約保険料及び新規契約利益率
2018 年 2017 年 新規契約高成長率
百万米ドル(特記あ 新規契約 新規契約利 年換算新規契 新規契約利 年換算新規 恒常為替 実質為替
新規契約高
る場合を除く。) 高 益率 約保険料 益率 契約保険料 レート レート
香港 1,712 62.0% 2,697 1,384 53.7% 2,493 24% 24%
タイ 447 73.1% 611 381 73.4% 519 12% 17%
シンガポール 357 65.4% 547 297 69.7% 426 18% 20%
マレーシア 247 63.8% 382 215 62.5% 340 8% 15%
中国 965 90.5% 1,067 725 83.1% 873 30% 33%
その他の市場 435 35.8% 1,206 395 39.9% 973 13% 10%
小計 4,163 63.2% 6,510 3,397 59.4% 5,624 21% 23%
連結準備金・自己資
本要件を反映した調
整額 (56) n/m n/m (61) n/m n/m n/m n/m
未配分のグループ事
務費の税引後価値 (152) n/m n/m (130) n/m n/m n/m n/m
合計 3,955 60.0% 6,510 3,206 56.0% 5,624 22% 23%
2018 年度の新規契約高は22%増の3,955百万米ドルとなり、当社の報告対象の全ての市場で新規契約高がプラスの成長を達成
した。
年換算新規契約保険料は15%増の6,510百万米ドルとなり、新規契約利益率は3.7ポイント上昇して60.0%となった。新規契
約保険料の現在価値に基づく利益率は、商品構成と国別構成の改善を反映して、2017年度の9%から10%に上昇した。代理店
販売網は引き続き当社の新規契約高の主要な源泉となっており、当グループの新規契約高全体の72%を占めている。代理店
チャネルからの新規契約高は、プレミア代理店戦略の重点的な実施を通じて引き続き非常に力強い成長を遂げ、26%増の2,943
百万米ドルとなった。この成長は、年換算新規契約保険料が18%の力強い成長を示して4,179百万米ドルになったことと新規契
約利益率が70.4%に上昇したことを通じて達成されたものである。パートナーシップ販売による新規契約高は、既報の通り
2017年度上半期の香港におけるリテールIFAチャネルの非常に力強い業績からさらに11%の堅実な成長を達成した。当社と銀行
との間のパートナーシップにおける新規契約高は全体で18%の成長を達成した。
2018 年度の香港における新規契約高は24%増の1,712百万米ドルとなっており、域内と中国大陸華人来訪者の双方の顧客セグ
メントを通じて優れた業績を上げている。新規契約利益率は、商品構成が引き続き利益率の高い長期貯蓄商品と保障型商品に
移行したことを受けて8.3ポイント上昇して62.0%となった。
AIA の中国における完全所有事業は報告対象市場セグメントの中で最も急速な成長を遂げており、新規契約高は30%増の965
百万米ドルとなった。この素晴らしい業績は、質の高い採用活動と生産性の持続的な向上に重点を置いたプレミア代理店戦略
の規律ある実行によるものである。
2018 年度にタイにおける新規契約高は成長を回復し、主として年換算新規契約保険料の13%の成長に後押しされて12%増の
447百万米ドルとなった。さらにファイナンシャル・アドバイザー・プログラムを通じて引き続き代理店の変革に取り組んだ結
果、2018年度下半期においても販売の勢いは維持されている。
シンガポールにおける新規契約高は、主として中核的な代理店チャネルに加え、シティバンク・エヌ・エー(以下「シティ
バンク」という。)との間の戦略的パートナーシップを原動力として、18%の非常に力強い成長を達成した。新規契約利益率
は65.4%に低下したが、これは既報の通りヘルスシールド(HealthShield)事業の収益性が低下したことに加え、2018年10月
の規制変更を前に一時払ユニットリンク商品事業における契約高が増加したためである。
マレーシアでは、当年度中の消費活動の低迷と税制改正にもかかわらず、2018年度下半期には新規契約高の成長が改善し、
通年では8%増の247百万米ドルとなった。その他の市場における新規契約高は13%増の435百万米ドルとなった。この業績ハ
イライトには、オーストラリア(ニュージーランドを含む。)、韓国、フィリピン、台湾における力強い成長が含まれてい
る。
当グループの新規契約高の業績は、現地の法定要件を超えた連結準備金及び自己資本要件並びに未配分のグループ事務費の
現在価値に係る208百万米ドルの控除後の金額で報告されている。
エンベディッド・バリュー持分
エンベディッド・バリュー営業利益
エンベディッド・バリュー営業利益は2017年度比23%増の8,278百万米ドルとなった。この力強い業績は、新規契約高が22%
増の3,955百万米ドルとなったこと、エンベディッド・バリューに係る期待収益が3,893百万米ドルに増加したことに加え、全
体的な営業実績のプラス変動が603百万米ドルとなったことによるものである。2010年の当社の新規株式公開(IPO)以後の営
業実績の変動を通じて合計20億米ドル超のエンベディッド・バリューが上積みされている。
エンベディッド・バリュー営業収益率は2017年度から110ベーシス・ポイント上昇して16.3%となった。
1株当たりエンベディッド・バリュー営業利益―基本
成長率 成長率
2018 年 2017 年
恒常為替レート 実質為替レート
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エンベディッド・バリュー営業利益
(百万米ドル) 8,278 6,654 23% 24%
加重平均普通株式数(百万) 12,021 12,002 n/a n/a
基本1株当たりエンベディッド・バ
リュー営業利益(米セント) 68.86 55.44 23% 24%
1株当たりエンベディッド・バリュー営業利益―希薄化後
成長率 成長率
2018 年 2017 年
恒常為替レート 実質為替レート
エンベディッド・バリュー営業利益
(百万米ドル) 8,278 6,654 23% 24%
(注1)
加重平均普通株式数 (百万)
12,056 12,039 n/a n/a
希薄化後1株当たりエンベディッド・
(注1)
バリュー営業利益 (米セント)
68.66 55.27 23% 24%
(注1)株式に基づく報奨制度(「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における
「連結財務書類に対する注記及び重要な会計方針」の注記39を参照のこと。)における適格取締役、役員、従業員及び代理店に対す
る株式オプション、制限付株式ユニット、制限付株式購入ユニット及び制限付株式購入予約ユニットの付与に係る希薄化効果(もし
あれば)を含む希薄化後の1株当たりエンベディッド・バリュー利益。
エンベディッド・バリューの変動
2018 年12月31日現在のエンベディッド・バリューは3,738百万米ドル増加して54,517百万米ドルとなった。
この増加は、主として好調なエンベディッド・バリュー営業利益が、投資ポートフォリオと法定準備金に係る株式及びその
他の資本市場の期待収益に比較した短期的な変動の影響を反映した投資収益の2,218百万米ドルのマイナス変動により一部相殺
されたことによるものである。その他の営業外の変動は270百万米ドルとなっており、これは主としてAIA韓国の子会社化によ
るプラスの影響が、企業間取引関連費用と新会計基準の実施に係る費用により一部相殺されたことによるものである。さら
に、為替換算の変動のマイナスの影響が1,037百万米ドルとなっている。
エンベディッド・バリューは、株主配当金の支払額1,589百万米ドル及びソヴリン社の買収に係る正味の影響額111百万米ド
ル(購入価格918百万米ドル、エンベディッド・バリューの獲得額807百万米ドルから構成される。)の控除後の金額として表
示されている。
エンベディッド・バリューの変動の分析は、以下の通りである。
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2018 年
エンベディッド・
修正純資産 有効契約高
百万米ドル(特記ある場合を除く。) バリュー
期首エンベディッド・バリュー 20,974 29,805 50,779
–
買収金額 (918) (918)
(注1)
取得したエンベディッド・バリュー
487 320 807
取得の影響 (431) 320 (111)
新規契約高 (660) 4,615 3,955
エンベディッド・バリューに係る期待収益 4,550 (657) 3,893
営業実績の変動 355 257 612
営業上の前提条件の変更 29 (38) (9)
–
財務費用 (173) (173)
エンベディッド・バリュー営業利益 4,101 4,177 8,278
投資収益の変動 (1,428) (790) (2,218)
経済上の前提条件の変更の影響 (3) 50 47
その他の営業外の変動 3,452 (3,182) 270
エンベディッド・バリュー総利益 6,122 255 6,377
–
配当 (1,589) (1,589)
–
その他の資本変動 98 98
為替レートの変動による影響 (537) (500) (1,037)
期末エンベディッド・バリュー 24,637 29,880 54,517
2017 年
エンベディッド・
修正純資産 有効契約高
百万米ドル(特記ある場合を除く。) バリュー
期首エンベディッド・バリュー 16,862 25,986 42,848
新規契約高 (591) 3,797 3,206
エンベディッド・バリューに係る期待収益 4,154 (846) 3,308
営業実績の変動 297 64 361
営業上の前提条件の変更 (229) 146 (83)
–
財務費用 (138) (138)
エンベディッド・バリュー営業利益 3,493 3,161 6,654
投資収益の変動 1,272 61 1,333
経済上の前提条件の変更の影響 (7) (185) (192)
その他の営業外の変動 387 (741) (354)
エンベディッド・バリュー総利益 5,145 2,296 7,441
–
配当 (1,376) (1,376)
–
その他の資本変動 134 134
為替レートの変動による影響 209 1,523 1,732
期末エンベディッド・バリュー 20,974 29,805 50,779
(注1)ソヴリン社について獲得されたエンベディッド・バリューは、2018年7月2日現在の関連再保険契約控除後の金額で計算されてい
る。
エンベディッド・バリュー持分
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 2018 年12月31日現在 2017 年12月31日現在
エンベディッド・バリュー 54,517 50,779
(注1)
のれん及びその他の無形資産
1,686 1,650
エンベディッド・バリュー持分 56,203 52,429
(注1)金額はIFRS財務書類に準拠し、税引後であり、また有配当型ファンド及び非支配持分に帰属する。
エンベディッド・バリュー及び新規契約高に対するセンシティビティ
株価及び金利の変動による中核的な前提条件の変動に起因するエンベディッド・バリュー及び新規契約高に対するセンシ
ティビティは以下の通りであり、前期から変更が無かった。
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2018 年12月31日現在 2017 年12月31日現在
2018 年 2017 年
エンベディッド・バ エンベディッド・バ
百万米ドル 新規契約高 新規契約高
リュー リュー
(特記ある場合を除く。)
中央値 54,517 3,955 50,779 3,206
株価の変動の影響
株価10%増 736 n/a 750 n/a
株価10%減 (731) n/a (743) n/a
金利の変動の影響
金利50ベーシス・ポイント増 158 142 49 162
金利50ベーシス・ポイント減 (249) (184) (456) (225)
IFRS 利益
(注1)
セグメントごとのIFRS税引後営業利益
成長率 成長率
2018 年 2017 年
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 恒常為替レート 実質為替レート
香港 1,814 1,627 11% 11%
タイ 995 868 9% 15%
シンガポール 558 513 7% 9%
マレーシア 320 274 9% 17%
中国 870 643 32% 35%
その他の市場 826 742 14% 11%
グループ・コーポレート・センター (85) (32) n/m n/m
合計 5,298 4,635 13% 14%
(注1)当社の株主に帰属する(但し、非支配持分を除く。)。
税引後営業利益は13%増の5,298百万米ドルとなった。2018年度には当社の全ての報告対象の市場セグメントで税引後営業利
益がプラスの成長を達成しており、これは新規契約高の持続的な成長と既存ポートフォリオの先を見越した管理によるもので
ある。
香港における税引後営業利益は11%の増加となったが、これは事業の成長と保険金請求実歴の改善が、2018年度中間報告書
で既報の通り、商品構成の有配当型商品への移行により一部相殺されたためである。
中国における税引後営業利益は、主として当社事業の規模拡大と良好な保険金請求実歴に後押しされて32%の素晴らしい成
長を達成した。
タイにおける税引後営業利益は2018年度上半期からの好調な成長の勢いを維持しており、事業の成長と継続率の向上を反映
して通年では9%の増加となった。
シンガポールでは、市場における医療費の2桁の高騰が収益性を圧迫したにもかかわらず、税引後営業利益は7%の増加を
示した。マレーシアにおける税引後営業利益は、事業の成長と歩調を合わせて9%の増加を示した。2018年度にその他の市場
は力強い業績を上げており、税引後営業利益は14%の成長を達成した。この業績ハイライトには、オーストラリア(ニュー
ジーランドを含む。)、フィリピン、台湾、ベトナムにおける好調な業績が含まれている。
株主配分持分営業収益率は、税引後営業利益の成長が、平均株主配分持分が2017年度比で増大したことにより一部相殺され
た結果、40ベーシス・ポイント上昇して14.5%となった。
セグメントごとの総加重保険料収入
成長率 成長率
2018 年 2017 年
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 恒常為替レート 実質為替レート
香港 11,444 9,535 20% 20%
タイ 3,895 3,559 5% 9%
シンガポール 2,738 2,435 10% 12%
マレーシア 2,083 1,848 6% 13%
中国 4,006 3,118 26% 28%
その他の市場 6,377 5,898 10% 8%
合計 30,543 26,393 14% 16%
総加重保険料収入は2017年度比14%増の30,543百万米ドルとなった。
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IFRS 営業利益投資収益
成長率 成長率
2018 年 2017 年
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 恒常為替レート 実質為替レート
受取利息 6,125 5,500 10% 11%
株式及び不動産に関して期待される長
期投資収益 1,951 1,689 14% 16%
合計 8,076 7,189 11% 12%
IFRS 営業利益投資収益は、2017年度比11%増の8,076百万米ドルとなった。この成長は、主として投資ポートフォリオの規模
拡大によるものである。
営業費用
成長率 成長率
2018 年 2017 年
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 恒常為替レート 実質為替レート
営業費用 2,171 2,019 7% 8%
営業費用は7%増の2,171百万米ドルとなったが、費用率は引き続き規模の拡大による恩恵を受けて、2017年度の7.6%から
7.1%に低下した。
(注1)
純利益
成長率 成長率
2018 年 2017 年
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 恒常為替レート 実質為替レート
税引後営業利益 5,298 4,635 13% 14%
株式及び不動産に関する投資収益の税引後短期
(注2)
的変動
(2,063) 2,040 n/m n/m
自己使用目的で保有する不動産の税引後再評価
(注2)(注3)
益の再分類
(212) (84) n/m n/m
(注3)
税引後企業取引関連費用
(148) (25) n/m n/m
(注3)
新会計基準の税引後導入費
(42) (7) n/m n/m
その他の税引後営業外投資収益及びその他の項
(注3)
目
(236) (63) n/m n/m
合計 2,597 6,496 (60)% (60)%
(注1)当社の株主に帰属する(但し、非支配持分を除く。)。
(注2)投資収益の短期変動には自己使用目的で保有する不動産の評価益を含む。さらにこの金額は、IFRSの測定と表示に準拠させるため、
純利益から組み替えられている。
(注3)比較情報は現行年度の表示に適合するように調整されている。
IFRS 営業外実績の変動
AIA のIFRS純利益の定義には、株式ポートフォリオの時価評価額の変動が含まれる。IFRS純利益は2017年度比で60%減少して
2,597百万米ドルとなった。この減少は、株式及び不動産の短期変動が、特にその他の個別ポートフォリオで運用される有配当
型契約について、2017年度の2,040百万米ドルのプラス変動から、2,063百万米ドルのマイナス変動に転じたことが原因であ
る。2018年度のその他の営業外項目には、AIA韓国の子会社化に関連する税金費用とソヴリン社の買収に伴う費用からなる企業
間取引関連費用148百万米ドルと、新会計基準の実施に係る費用42百万米ドルが含まれる。
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株主配分持分の変動
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 2018 年 2017 年
期首株主配分持分 36,413 29,653
純利益 2,597 6,496
従業員株式信託の保有する株式の購入 (11) (10)
配当 (1,589) (1,376)
自己使用不動産の再評価益 8 88
為替換算調整額 (732) 1,409
その他の資本変動 109 153
株主配分持分の変動の合計 382 6,760
期末株主配分持分 36,795 36,413
平均株主配分持分 36,604 33,034
株主配分持分の変動は、公正価値準備金の変動調整前の数字で表示されている。これにより売却可能債券の市場価値の変動
に関するIFRS会計処理前の、当年度中における株主資本の基礎となる変動がより明確に反映されるとAIAは判断している。
2018 年度の平均株主配分持分は、2017年度中に株式ポートフォリオに多額の時価評価益が生じた結果、2018年度期首のポジ
ションが上昇していたことから、2017年度の33,034百万米ドルから3,570百万米ドル増加して36,604百万米ドルとなった。
2018 年12月31日現在の株主配分持分は36,795百万米ドルの安定した水準を維持しているが、これは1,589百万米ドルの株主配
当金支払後の数字であり、さらに当社の報告通貨である米ドルに対する現地通貨の下落に伴う732百万米ドルと、株式ポート
フォリオの時価評価のマイナス変動を含む純利益2,597百万米ドルが反映されている。
為替、金利及び株価の変動から生じるセンシティビティについては、「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018
年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及び重要な会計方針」の注記37を参照のこ
と。
1株当たりIFRS利益
2018 年度の株主に帰属するIFRS税引後営業利益に基づく基本1株当たり利益は12%増の44.07米セントとなった。
2018 年度の株主に帰属するIFRS純利益に基づく基本1株当たり利益(株式及び投資不動産ポートフォリオからの時価評価の
変動を含む。)は60%減の21.60米セントとなった。
1株当たりIFRS利益―基本
(注1) (注1)
純利益 税引後営業利益
2018 年 2017 年 2018 年 2017 年
利益(百万米ドル) 2,597 6,496 5,298 4,635
加重平均普通株式数(百万) 12,021 12,002 12,021 12,002
基本1株当たり利益(米セント) 21.60 54.12 44.07 38.62
1株当たりIFRS利益―希薄化後
(注1) (注1)
純利益 税引後営業利益
2018 年 2017 年 2018 年 2017 年
利益(百万米ドル) 2,597 6,496 5,298 4,635
(注2)
加重平均普通株式数 (百万)
12,056 12,039 12,056 12,039
(注2)
希薄化後1株当たり利益 (米セント)
21.54 53.96 43.94 38.50
(注1)当社の株主に帰属する(但し、非支配持分を除く。)。
(注2)株式に基づく報奨制度(「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における
「連結財務書類に対する注記及び重要な会計方針」の注記39を参照のこと。)における適格取締役、役員、従業員及び代理店に対す
る株式オプション、制限付株式ユニット、制限付株式購入ユニット及び制限付株式購入予約ユニットの付与に係る希薄化効果(もし
あれば)を含む希薄化後の1株当たり利益。
資本
処分可能剰余金の創出
2018 年12月31日現在の当グループの処分可能剰余金は、連結準備金及び自己資本要件を含む必要資本に対する修正純資産の
超過額を示している。
2018 年12月31日現在の処分可能剰余金は2,165百万米ドル増加して14,751百万米ドルとなった。この増加には、AIA韓国の子
会社化による1,886百万米ドルの処分可能剰余金の追加と、ソヴリン社の買収に伴う正味の影響額497百万米ドルの控除が含ま
れている。
投資収益の変動及びその他の項目を除く原処分可能剰余金創出額は、AIA韓国の子会社化に伴う263百万米ドルの控除前の比
較で13%増の4,945百万米ドルとなった。この増加は、既存事業の規模拡大に加え、魅力的な資本利益率を伴う質の高い新規契
約の引受に重点を置いた結果である。新規契約の引受に対する投資額は10%増の1,540百万米ドルとなった。
投資収益の変動及びその他の項目(規制状況の進展に伴うものを含む。)の全体的な効果は795百万米ドルのマイナスであ
り、株主配当金の支払額は1,589百万米ドルとなった。
処分可能剰余金の変動の概要は、下表の通りである。
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 2018 年 2017 年
期首処分可能剰余金 12,586 9,940
2018 年1月1日付のAIA韓国の子会社化を通じた処分可能剰余金
の放出 1,886 –
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取得の影響 (497) –
創出された基礎となる処分可能剰余金 4,945 4,568
新規契約への投資に利用された処分可能剰余金 (1,540) (1,386)
投資収益の変動及びその他の項目 (795) 1,039
未配分のグループ事務費 (170) (195)
配当 (1,589) (1,376)
財務費用及びその他の資本変動 (75) (4)
期末処分可能剰余金 14,751 12,586
グループ・コーポレート・センターに対する正味資金
運転資金は、グループ・コーポレート・センターにおいて保有される負債証券及び持分証券、預金並びに現金及び現金同等
物で構成されている。2018年12月31日現在の運転資金は10,296百万米ドルに増加した。ビジネス・ユニットからの正味送金額
は、2017年度の2,039百万米ドルから714百万米ドル増加して2,753百万米ドルとなった。この増加は主として中国及びその他の
市場からの送金額の増加によるものであり、その大きな部分をソヴリン社の買収後のニュージーランドからの特別送金が占め
ている。さらにこの増加は、2018年度のタイにおいて要求された様々な規制上の承認の時期が、規制上の承認枠組が明確にな
るまで留保されていたことに伴う送金額の減少によって一部相殺されているが、その後、2019年1月にタイからグループ・
コーポレート・センターに対し319百万米ドルが追加送金されている。
借入金は、ミディアム・ターム・ノートの発行による合計1,490百万米ドルの正味手取金が、ミディアム・ターム・ノートの
満期償還金500百万米ドルにより一部相殺された結果、1,001百万米ドルの増加となった。運転資本の増加額の合計は、株主配
当金支払額1,589百万米ドル及びソヴリン社の買収のための支払総額918百万米ドルの控除後の金額で報告されている。
以下の表は運転資金の変動の要約である。
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 2018 年 2017 年
期首運転資金 9,714 8,404
グループ・コーポレート・センターの期首実績 (85) (32)
ビジネス・ユニットからの資本流入
香港 1,054 952
タイ 149 467
シンガポール 267 238
マレーシア 185 192
中国 542 207
その他の市場 556 (17)
グループ・コーポレート・センターに送金される正味資産 2,753 2,039
–
ソヴリン社の取得に係る支払 (918)
借入金の増額分 1,001 514
従業員株式信託が保有する株式の購入 (11) (10)
配当の支払 (1,589) (1,376)
公正価値準備金及びその他の変動 (569) 175
期末運転資金 10,296 9,714
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IFRS 貸借対照表
連結財政状態計算書
2018 年12月31日現 2017 年12月31日現 成長率
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 在 在 実質為替レート
資産
金融商品 186,142 179,503 4%
投資不動産 4,794 4,363 10%
現金及び現金同等物 2,451 1,922 28%
繰延獲得費用及び繰延オリジネーション費用 24,626 21,950 12%
その他の資産 11,793 10,908 8%
資産合計 229,806 218,646 5%
負債
保険契約及び投資契約負債 172,649 159,685 8%
借入金 4,954 3,958 25%
その他の負債 12,797 11,447 12%
控除:負債合計 190,400 175,090 9%
資本
資本合計 39,406 43,556 (10)%
控除:非支配持分 400 380 5%
AIA グループ・リミテッド株主に帰属する資本合計 39,006 43,176 (10)%
株主配分持分 36,795 36,413 1%
株主資本の変動
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 2018 年 2017 年
期首株主資本 43,176 34,555
純利益 2,597 6,496
資産に係る公正価値(損失)/利益 (4,552) 1,861
従業員株式信託の保有する株式の購入 (11) (10)
配当 (1,589) (1,376)
自己使用不動産の再評価益 8 88
為替換算調整額 (732) 1,409
その他の資本変動 109 153
株主資本の変動の合計 (4,170) 8,621
期末株主資本 39,006 43,176
投資合計
2018 年12月31日現 全体に占める 2017 年12月31日現 全体に占める
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 在 割合 在 割合
保険契約者及び株主合計 171,337 88% 162,676 87%
ユニットリンク契約及び連結投資ファンド合計 23,938 12% 24,815 13%
投資合計 195,275 100% 187,491 100%
以下の通り、当年度における投資内容には変動が無かった。
ユニットリンク契約及び連結投資ファンド
2018 年12月31日現 全体に占める 2017 年12月31日現 全体に占める
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 在 割合 在 割合
ユニットリンク契約及び連結投資ファンド
負債証券 4,765 20% 4,720 19%
– –
貸付金及び預金 81 97
株式 18,418 77% 19,522 79%
現金及び現金同等物 672 3% 466 2%
– –
デリバティブ 2 10
ユニットリンク契約及び連結投資ファンド合計 23,938 100% 24,815 100%
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保険契約者及び株主の投資
2018 年12月31日現 全体に占める割 2017 年12月31日現 全体に占める割
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 在 合 在 合
有配当型ファンド及びその他の個別ポート
(注1)
フォリオで運用される有配当型契約
国債及び政府機関債 14,121 8% 11,470 7%
社債及び仕組債 30,183 18% 28,403 18%
貸付金及び預金 2,179 1% 2,245 1%
小計―確定利付投資 46,483 27% 42,118 26%
株式 13,892 8% 12,498 8%
投資不動産及び自己使用目的で保有する
–
不動産 888 1% 761
– –
現金及び現金同等物 395 201
– –
デリバティブ 148 82
有配当型ファンド及びその他の個別ポート
フォリオで運用される有配当型契約小計 61,806 36% 55,660 34%
(注1)
その他の保険契約者及び株主
国債及び政府機関債 49,317 29% 45,693 28%
社債及び仕組債 41,835 24% 42,583 26%
貸付金及び預金 5,132 3% 5,868 4%
小計―確定利付投資 96,284 56% 94,144 58%
株式 5,789 3% 6,059 4%
投資不動産及び自己使用目的で保有する
不動産 5,794 4% 5,305 3%
現金及び現金同等物 1,384 1% 1,255 1%
– –
デリバティブ 280 253
その他の保険契約者及び株主小計 109,531 64% 107,016 66%
保険契約者及び株主合計 171,337 100% 162,676 100%
(注1)有配当型ファンド及びその他の個別ポートフォリオで運用される有配当型契約並びにその他の保険契約者及び株主の表示は、「第一
部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及
び重要な会計方針」の注記20に合致している。比較情報は、現行年度の表示に適合するように調整されている。詳細は、「第一部-
第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及び重
要な会計方針」の注記20を参照のこと。
資産
有配当型保険契約は、保険契約者と株主の間の剰余金の分割について定める規則に従い、分別保管される法定基金において
引き受けられる。「その他の個別ポートフォリオで運用される有配当型契約」は、分別保管される投資資産と将来の剰余金の
分配のための明示的な引当金により裏付けられているが、保険契約者と株主の間の剰余金の分割については規則で定義されて
いないものをいう。当社はこの事業の性質と規模の拡大を反映するため、投資の開示を修正し、当該事業の資産を有配当型保
険契約と同じグループに分類している。比較情報は、2017年12月31日現在についても表示されている。
2018 年12月31日現在の資産合計は、2017年12月31日現在の218,646百万米ドルから11,160百万米ドル増加して229,806百万米
ドルとなった。
投資合計には、金融商品、投資不動産、自己使用目的で保有する不動産、現金及び現金同等物を含み、2018年12月31日現在
の投資合計は,2017年12月31日現在の187,491百万米ドルから7,784百万米ドル増加して195,275百万米ドルとなった。
2018 年12月31日現在の投資合計195,275百万米ドルのうち、171,337百万米ドルが保険契約者及び株主に関して保有されてお
り、残りの23,938百万米ドルがユニットリンク契約及び連結投資ファンドの裏付けとなる資産である。
2018 年12月31日現在の保険契約者及び株主に関して保有する確定利付投資(負債証券、貸付金及び定期預金を含む。)は、
2017年12月31日現在の136,262百万米ドルから142,767百万米ドルに増加した。確定利付ポートフォリオの平均信用格付はAであ
り、2017年12月31日現在のポジションと同等の水準を維持している。
2018 年12月31日現在の当社の確定利付投資に占める国債及び政府機関債の割合は、2017年12月31日現在の42%から44%と
なった。2018年12月31日現在の当社の確定利付投資に占める社債及び仕組債の割合は、2017年12月31日現在の52%から50%と
なった。
2018 年12月31日現在の保険契約者及び株主に関して保有する持分証券総額は、2017年12月31日現在の18,557百万米ドルから
19,681百万米ドルに増加した。このように簿価が1,124百万米ドルの増加となったのは、主として新規購入額による増加が時価
評価のマイナス変動によって相殺された結果である。上記の数字のうち、13,892百万米ドルの持分証券が有配当型ファンド及
びその他の個別ポートフォリオで運用される有配当型契約において保有されている。
2018 年12月31日現在の現金及び現金同等物は、2017年12月31日現在の1,922百万米ドルから529百万米ドル増加して2,451百万
米ドルとなった。この増加は、主として事業運営からのプラスの正味現金流入額と当年度中のミディアム・ターム・ノートの
発行による合計1,490百万米ドルの正味手取金が、ミディアム・ターム・ノートの満期償還金500百万米ドルと株主配当金支払
額1,589百万米ドルにより一部相殺された結果を反映したものである。
2018 年12月31日現在の保険契約者及び株主に関する投資不動産及び自己使用目的で保有する不動産の総額は、2017年12月31
日現在の6,066百万米ドルから6,682百万米ドルに増加した。
2018 年12月31日現在の繰延獲得費用及び繰延オリジネーション費用は、主として新規契約高の成長を反映して、2017年12月
31日現在の21,950百万米ドルから24,626百万米ドルに増加した。
2018 年12月31日現在のその他の資産は、再保険回収額、未収利息、前払金の増加を反映して、2017年12月31日現在の10,908
百万米ドルから11,793百万米ドルに増加した。
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負債
2018 年12月31日現在の負債合計は、2017年12月31日現在の175,090百万米ドルから190,400百万米ドルに増加した。
2018 年12月31日現在の保険契約及び投資契約負債は、有効契約ポートフォリオの基礎となる成長が、ユニットリンク契約及
び有配当型契約の裏付けとなる株式の時価評価のマイナス変動と為替換算のマイナスの影響により相殺された結果、2017年12
月31日現在の159,685百万米ドルから172,649百万米ドルに増加した。
2018 年12月31日現在の借入金は、ミディアム・ターム・ノートの発行による合計1,490百万米ドルの正味手取金が、ミディア
ム・ターム・ノートの満期償還金500百万米ドルにより一部相殺された結果、4,954百万米ドルに増加した。「第一部-第6
経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及び重
要な会計方針」の注記29において開示されている通り、2014年に発行された額面金額500百万米ドルのミディアム・ターム・
ノートは、2019年3月に満期を迎える予定である。レバレッジ比率(借入金及び資本の合計に占める借入金のパーセンテージ
表示と定義される。)は11.2%であり、2017年12月31日現在の8.3%から上昇した。
2018 年12月31日現在のその他の負債は、繰延税金負債と投資関連債務の増加を反映して、2017年12月31日現在の11,447百万
米ドルから12,797百万米ドルに増加した。
コミットメントと偶発債務の詳細については、「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了した
事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及び重要な会計方針」の注記42を参照のこと。
自己 資本
当グループの監督機関は香港保険局(以下「HKIA」という。)である。当グループの主たる事業会社は、香港の保険会社で
あるAIAカンパニーである。
2018 年12月31日現在、当グループの主たる規制会社であるAIAカンパニーの利用可能な資本総額は、香港保険条例の基準で
9,208百万米ドルであり、その結果、AIAカンパニーの必要最低自己資本のソルベンシー比率は、2017年12月31日現在の446%か
ら421%に低下した。当グループのソルベンシー比率は、ソヴリン社の買収と当社に対する配当金の支払の影響の適用後も非常
に力強い水準を維持している。
AIA カンパニーの利用可能な資本総額とソルベンシー比率の要約は以下の通りである。
百万米ドル(特記ある場合を除く。) 2018 年12月31日現在 2017 年12月31日現在
利用可能な自己資本総額 9,208 8,395
必要最低自己資本(100%) 2,189 1,882
ソルベンシー比率(%) 421% 446%
さらに当グループの支店及び子会社は、自己及びその親会社が営業を行っている法域の監督下にある(関連する自己資本規
制を含む。)。2018年12月31日現在、現地事業部門は、各事業体及び各地理的市場における現地監督機関の自己資本要件を満
たしている。
グローバル・ミディアム・ターム・ノート(GMTN)及び有価証券プログラム
当社の60億米ドルのGMTN及び有価証券プログラムに基づき、当社は、2018年4月に500百万米ドル及び3,900百万香港ドルの
額面金額、2018年9月に500百万米ドルの額面金額により、上位無担保固定利付社債を発行した。2018年4月発行の500百万米
ドルの社債の利率は年率3.90%であり、満期は2028年である。2018年4月発行の3,900百万香港ドルの社債は上場されており、
利率は年率2.76%、満期は2021年である。2018年9月発行の500百万米ドルの社債の利率は年率で3ヶ月物LIBOR利率プラス
0.52%であり、満期は2021年である。2018年3月に当社は、500百万米ドルの額面金額による上位無担保固定利付社債を償還し
た。2018年12月31日現在、GMTN及び有価証券プログラムに基づき発行された社債の簿価総額は4,954百万米ドルである。
2019 年1月16日に当グループは、非上場の香港ドル建て固定利付ミディアム・ターム・ノートを発行した。募集の内訳は、
利率が年率2.95%の3.5年物ノートが1,300百万香港ドル、利率が年率3.68%の12年物ノートが1,100百万香港ドルである。これ
らのノートを米ドル建てに換算すると、合計で約307百万米ドルに相当する。
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信用格付
2018 年12月31日現在のAIAカンパニーの財務力格付は、ムーディーズが「安定的」のアウトルックを伴うAa2(Very Low
Credit Risk)、フィッチが「安定的」のアウトルックを伴うAA(Very Strong)、スタンダード&プアーズが「安定的」のア
ウトルックを伴うAA-(Very Strong)である。
当社に対する発行体信用格付は、ムーディーズが「安定的」のアウトルックを伴うA2(Low Credit Risk)、フィッチが「安
定的」のアウトルックを伴うAA-(Very High Credit Quality)、スタンダード&プアーズが「安定的」のアウトルックを伴う
A(Strong)である。
配当
当社取締役会は、AIAの確立された賢明で持続可能且つ漸進的な配当方針に従い、期末配当を14%増配して1株当たり84.80
香港セントとすることを提言した。さらに当社取締役会は、当社の事業年度末日が2018年11月30日から2018年12月31日に変更
されたことに伴う会計期間の追加の1ヶ月について、1株当たり9.50香港セントの特別配当を行うことを提言した。これらの
配当額は、当社の好調な財務成績に加え、当グループの将来の見通しについて当社取締役会が引き続き自信を持っていること
を反映したものである。この配当の提言は、当社の2019年度定時株主総会において株主の承認に掛けられる。
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4【経営上の重要な契約等】
重要な契約の概要
2018年7月2日、当グループはソヴリン・アシュアランス・カンパニー・リミテッドの株式資本の100%を取得し、これによ
り同社議決権の100%の支配を獲得した。かかる取得は、ニュージーランドのオーストラリア・コモンウェルス銀行が所有する
生命健康保険事業であるASBグループ(ライフ)リミテッド及びその子会社(ソヴリン社)の取得の一環である。詳細について
は、「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における「連結財務書類
に対する注記及び重要な会計方針」の注記5を参照のこと。
非免除関連取引
2018年12月31日に終了した13ヶ月中、当グループは、香港上場規則第14A章の年次報告義務の免除の対象とならない関連取引
を締結しなかった。
関連当事者取引
2018年12月31日に終了した13ヶ月中、当グループが通常の業務過程で行った関連当事者取引の詳細については、「第一部-
第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及
び重要な会計方針」の注記41を参照のこと。かかる関連当事者取引は、全て香港上場規則第14A章における免除の対象となる関
連取引であった。
5【研究開発活動】
該当事項なし。
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第4【設備の状況】
1【設備投資等の概要】
「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における「連結財務書類
に対する注記及び重要な会計方針」の注記16を参照のこと。
2【主要な設備の状況】
2018年12月31日現在の香港、韓国、タイ、シンガポール、中国及びマレーシアにおける主なオフィス及び施設は、下の表の
通りである。
所有又は賃借不動産(香港所在)
主要な敷地内に
所有不動産の
勤務/居住する
(注)
香港における面積
会社名 所在地 市場価値
AIAグループの
(米ドル)
従業員数(概数)
当社は現在、香港(マカオを含
む。)において、完成した不動産
2件(土地の総面積は約30,000平
香港(マカオを 方メートル(約322,000平方フィー
AIAカンパニー 629,506,770 776
含む。) ト))を所有し、22件の不動産
(土地の総面積は約11,167平方
メートル(約120,206平方フィー
ト))を賃借している。
当社は現在、香港(マカオを含
む。)において、完成した不動産
3件(土地の総面積は約102,000平
AIAインターナ 香港(マカオを 方メートル(1,102,000平方フィー
3,644,627,126 1,766
ショナル 含む。) ト))を所有し、89件の不動産
(土地の総面積は約98,710平方
メートル(約1,062,504平方フィー
ト))を賃借している。
(注)所有 不動産 は、主にオフィス不動産である。賃借している不動産には、オフィス及び従業員宿舎が含まれる。
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当社のその他の 市場 における所有又は賃借不動産
主要な敷地内に
所有不動産の
各国における面積等
勤務/居住する
会社名 所在地 市場価値
(注)
(空閑地を除く。)
AIAグループの
(米ドル)
従業員数(概数)
当社は現在、韓国において、完成
した不動産1件(土地の総面積は
AIAライフ・イン
約47,000平方メートル(約505,000
シュアランス・
韓国 平方フィート))を所有して、49 309,810,000 489
カンパニー・リ
件の不動産(土地の総面積は約
ミテッド
41,031平方メートル(約441,659平
方フィート))を賃借している。
当社は現在、タイにおいて、完成
した不動産8件(土地の総面積は
約158,000平方メートル(約
AIAカンパニー 1,698,000平方フィート))を所有
タイ 653,749,145 2,760
(タイ支店) して、23件の不動産(土地の総面
積は約66,880平方メートル(約
719,900平方フィート))を賃借し
ている。
当社は現在、シンガポールにおい
て、完成した不動産4件(土地の
総面積は約41,000平方メートル
AIAシンガポー
(約446,000平方フィート))を所
ル・プライベー シンガポール 566,501,320 690
有して、4件の不動産(土地の総
ト・リミテッド
面積は約5,830平方メートル(約
62,753平方フィート))を賃借し
ている。
当社は現在、中国において、完成
した不動産1件(土地の総面積は
AIAカンパニー 中国 約178,000平方メートル(約 400,379,274 130
1,918,000平方フィート))を所有
している。
当社は現在、中国において、125件
の不動産(土地の総面積は約
AIAカンパニー
中国 200,000 平 方 メ ー ト ル ( 約 0 2,500
(中国支店)
2,150,000平方フィート))を賃借
している。
当社は現在、マレーシアにおい
て、完成した不動産27件(土地の
総面積は約136,302平方メートル
(約1,467,292平方フィート))を
AIA Bhd.
マレーシア 176,056,912 1,917
所有して、33件の不動産(土地の
総面積は約59,826平方メートル
(約643,962平方フィート))を賃
借している。
(注)所有不動産は、主にオフィス不動産である。賃借している不動産には、オフィス及び従業員宿舎が含まれる。
3【設備の新設、除却等の計画】
タイのバンコク都バーンナー区において16,000平方メートルの自由保有の土地を取得しており、ここに延べ床面積約113,000
平方メートルのオフィスビルを建設する予定である。工事は2019年に開始され、完成は2023年が見込まれている。
香港におけるAIAビルの再開発に関連し、AIAカンパニーは、湾仔エリアのオフィス・スペース約90,000平方フィートをス
タッフの居住のため賃貸した。かかる賃貸は2018年11月1日に開始し、2019年3月末にスタッフの移動が完了した。
AIA Bhd.は、2018年12月31日に終了した事業年度の下半期に、マレーシアの非中核物件4件を処分した。
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第5【提出会社の状況】
1【株式等の状況】
(1)【株式の総数等】
①【株式の総数】
2018 年12月31日現在
授権株数(株) 発行済株式総数(株) 未発行株式数(株)
(注) (注)
該当事項なし 該当事項なし
12,077,063,781
(注)香港会社条例に基づく「無額面株式」制度に従い、当社は「授権株式資本」を有しておらず、これに代わり、当社は発行可能な株式数
の上限を当社定款に任意で記載することができる。当社定款に発行可能な株式数の上限に関する規定はない。
②【発行済株式】
2018 年12月31日現在
上場金融商品取引所名
記名・無記名の別及び額面・
種類 発行数(株) 又は登録認可金融商品 内容
無額面の別
取引業協会名
当社資本における普通株
記名式無額面株式 普通株式 12,077,063,781 香港証券取引所 式は、完全な議決権を有
する株式である。
計 - 12,077,063,781 - -
(2)【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当事項なし。
(3)【発行済株式総数及び資本金の推移】
2018 年12月31日現在
発行済株式総数増減数 発行済株式総数残高 資本金増減額 資本金残高
年月日
(株) (株) (百万米ドル) (百万米ドル)
2013 年11月30日 - 12,044,000,001 - 12,044
(注1) (注2)
754,859 1,917
2014 年5月31日 12,044,754,860 13,961
(注1)
362,365
2014 年11月30日 12,045,117,225 1 13,962
(注3)
2,179,991
2015 年5月31日 12,047,297,216 5 13,967
(注3)
1,052,103
2015 年11月30日 12,048,349,319 ▶ 13,971
(注4)
1,099,384
2016 年5月31日 12,049,448,703 2 13,973
(注4)
7,002,323
2016 年11月30日 12,056,451,026 25 13,998
(注5)
17,599,066
2017 年5月31日 12,074,050,092 66 14,064
(注5)
491,364
2017 年11月30日 12,074,541,456 1 14,065
(注6)
1,667,228
2018 年6月30日 12,076,208,684 ▶ 14,069
(注6)
855,097
2018 年12月31日 12,077,063,781 ▶ 14,073
(注1)2014年11月30日に終了した事業年度中、1,117,224株の株式が株式オプション制度に基づき発行され、そのうち754,859株が2014年5
月31日に終了した6ヶ月中に発行された。
(注2)2014年5月31日に終了した6ヶ月における資本金の増加額1,917百万米ドルには、(a)2014年3月3日の資本剰余金からの移転1,914
百万米ドル(2014年3月3日付で有効となった新しい香港会社条例に基づく額面株式制度の廃止に起因する。)及び(b)株式オプ
ション制度に基づき発行された株式3百万米ドルが含まれる。
(注3)2015年11月30日に終了した事業年度中、2,190,404株の株式が株式オプション制度に基づき発行され、そのうち1,138,301株が2015年
5月31日に終了した6ヶ月中に発行された。2015年11月30日に終了した事業年度中、1,041,690株の株式が代理店株式購入制度に基づ
き発行され、その全てが2015年5月31日に終了した6ヶ月中に発行された。
(注4) 2016 年11月30日に終了した事業年度中、7,174,665株の株式が株式オプション制度に基づき発行され、そのうち172,342株が2016年5
月31日に終了した6ヶ月中に発行された。2016年11月30日に終了した事業年度中、927,042株の株式が代理店株式購入制度に基づき発
行され、その全てが2016年5月31日に終了した6ヶ月中に発行された。
(注5) 2017 年11月30日に終了した事業年度中、17,053,136株の株式が株式オプション制度に基づき発行され、そのうち16,561,772株が2017
年5月31日に終了した6ヶ月中に発行された。2017年11月30日に終了した事業年度中、1,037,294株の株式が代理店株式購入制度に基
づき発行され、その全てが2017年5月31日に終了した6ヶ月中に発行された。
(注6) 2018 年12月31日に終了した13ヶ月中、1,355,304株の株式が株式オプション制度に基づき発行され、そのうち500,207株が2018年6月
30日に終了した7ヶ月中に発行された。2018年12月31日に終了した13ヶ月中、1,167,021株の株式が代理店株式購入制度に基づき発行
され、その全てが2018年6月30日に終了した7ヶ月中に発行された。
(注7)2018年12月31日現在における当社により発行された株式オプションの状況は以下の通りである。
2018 年12月31日現在 株式オプションの行使により
残 高 発行する株式の発行価格
30,403,944 個 1株当たり27.35香港ドル~67.15香港ドル
2018 年12月31日に終了した13ヶ月に、2010年9月28日付で当社が採択したRSU制度(その後の改正を含む。)に基づき、11,617,538個の
制限付株式ユニットが当社により付与された。RSU制度の詳細については、報酬に関する報告書及び「第一部-第6 経理の状況-1
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財務書類-A. 2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及び重要な会計方針」の注記39を
参照のこと。
2018 年12月31日に終了した13ヶ月に、2011年7月25日付で当社が採択した従業員株式購入制度(その後の改正を含む。)に基づき、
1,409,739個の制限付株式購入ユニットが当社により付与され、841,108個のマッチング制限付株式購入ユニットが確定した。従業員株
式購入制度の採択以後、同制度に基づく新株は一切発行されていない。従業員株式購入制度の詳細については、報酬に関する報告書及
び「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する
注記及び重要な会計方針」の注記39を参照のこと。
2018 年12月31日に終了した13ヶ月に、代理店株式購入制度に基づき、1,439,468個のマッチング制限付株式購入予約ユニットが付与さ
れ、1,167,021個のマッチング制限付株式購入予約ユニットが確定し、確定済の制限付株式購入予約ユニットについて1,167,021株の新
規株式(以下「付与株式」という。)が発行された。付与株式は、そのマッチング制限付株式購入予約ユニットの確定時に、1株当た
り1.00米ドルの引受価格でコンピュータシェア・ホンコン・トラスティーズ・リミテッド(Computershare Hong Kong Trustees
Limited)(本制度のトラスティ)に対して発行されており、同社は特定の適格代理店のために当該株式を保管している。2018年4月27
日(上記のマッチング制限付株式購入予約ユニットが確定した日)の当社の株式の終値は69.00香港ドルであった。これによる手取金の
額は約1.17百万米ドルとなり、代理店株式購入制度の一般管理費用に充当された。代理店株式購入制度の採択日から2018年12月31日ま
での期間中、代理店株式購入制度に基づき累計4,173,047株の新規株式が発行された(これは代理店株式購入制度の採択日現在における
発行済株式数の約0.035%に相当する。)。
当社の株式に基づく報奨制度に関するさらなる情報ついては「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了し
た事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及び重要な会計方針」の注記39を参照のこと。
(4)【所有者別状況】
2018 年12月31日現在
区分 株主数 所有株式数(株) 構成比(%)
個人 20,010 23,373,129 0.194%
法人 63 529,002 0.004%
名義人及び仲介業者 3 12,053,161,650 99.802%
合計 20,076 12,077,063,781 100%
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(5)【大株主の状況】
2018 年12月31日現在、当社の株式及び原資産株式に対する持分及びショート・ポジション(香港証券先物条例第336条に基づ
き保管を義務づけられている登録簿に記録されているもの)を有する者(当社の取締役又は最高執行役員を除く。)は、以下
の通りである。
2018 年12月31日現在
所有株式数又は所有原資産株式
(注1)
数(株) 発行済株式総数に対する所
(注
有株式数の割合(%)
氏名又は名称 クラス 地位
ロング・ポジション(L)
2)
ショート・ポジション(S)
レンディング・プール(P)
1,088,254,932(L) 9.01
JP モルガン・チェース・アン
19,556,741(S) 普通株式 0.16 注3
ド・カンパニー
737,449,866(P) 6.10
ザ・バンク・オブ・ニュー 1,071,693,611(L) 8.87
ヨーク・メロン・コーポレー 280,300,460(S) 普通株式 2.32 注4
ション 748,065,678(P) 6.19
ザ・キャピタル・グループ・ 被支配会社
984,372,860(L) 普通株式 8.15
カンパニーズ・インク の持分
743,672,359(L) 6.15
シティグループ・インク 4,243,480(S) 普通株式 0.03 注5
732,874,388(P) 6.06
629,705,868(L) 5.21 被支配会社
ブラックロック・インク 普通株式
2,007,714(S) 0.01 の持分
氏名又は名称 住所
アメリカ合衆国、10179、ニューヨーク州、ニューヨーク市、マディソン・アベニュー
JP モルガン・チェース・アン
ド・カンパニー
383
アメリカ合衆国、19801 デラウェア州、ウィルミントン、オレンジ・ストリート
ザ・バンク・オブ・ニューヨー
ク・メロン・コーポレーション
1209、コーポレート・トラスト・センター
アメリカ合衆国、90071、カリフォルニア州、ロサンゼルス市、サウス・ホープ・スト
ザ・キャピタル・グループ・カ
リート 333、55階
ンパニーズ・インク
アメリカ合衆国、10043、ニューヨーク、グリニッジ・ストリート 388
シティグループ・インク
アメリカ合衆国、19801 デラウェア州、ウィルミントン、オレンジ・ストリート 1209
ブラックロック・インク
(注1)持分又はショート・ポジションには、以下の通り原資産株式が含まれる。
ロング・ポジション ショート・ポジション
現物決済非上場 現金決済非上場 現物決済非上場 現金決済非上場
現物決済上場株 現金決済上場株 現物決済上場株 現金決済上場株
株式デリバティ 株式デリバティ 株式デリバティ 株式デリバティ
式デリバティブ 式デリバティブ 式デリバティブ 式デリバティブ
株主の氏名又は名称 ブ ブ ブ ブ
JP モルガン・チェー
ス・アンド・カンパ 4,623,648 1,556,000 491,200 6,687,175 1,082,000 10,685,300 1,725,066 5,889,375
ニー
ザ・バンク・オブ・
– – – – – – –
ニューヨーク・メロ 280,300,460
ン・コーポレーション
ザ・キャピタル・グ
– – – – – – –
ループ・カンパニー 3,593,080
ズ・インク
シティグループ・イン
– –
4,224,852 926,370 96,400 300,000 879,080 3,064,400
ク
ブラックロック・イン
– – – – – –
182,000 818,114
ク
(注2)2018年12月31日現在の発行済株式12,077,063,781株に基づく。
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(注3)JPモルガン・チェース・アンド・カンパニーの保有する持分及びショート・ポジションは、以下に記載の地位により保有されてい
た。
株式数又は原資産株式数 株式数又は原資産株式数
地位
(ロング・ポジション) (ショート・ポジション)
実質的保有者 100,979,108 19,556,741
–
投資運用マネージャー 249,550,900
–
トラスティ 275,058
–
証券保管会社/許認可貸付代理店 737,449,866
(注4)ザ・バンク・オブ・ニューヨーク・メロン・コーポレーションの保有する持分及びショート・ポジションは、以下に記載の地位によ
り保有されていた。
株式数又は原資産株式数 株式数又は原資産株式数
地位
(ロング・ポジション) (ショート・ポジション)
被支配会社の持分 1,071,693,611 280,300,460
(注5)シティグループ・インクの保有する持分及びショート・ポジションは、以下に記載の地位により保有されていた。
株式数又は原資産株式数 株式数又は原資産株式数
地位
(ロング・ポジション) (ショート・ポジション)
株式の担保権を有する者 2,800 -
被支配会社の持分 10,795,171 4,243,480
許認可貸付代理店 732,874,388 -
上記を除き、2018年12月31日現在、当社の取締役又は最高執行役員の他に当社の株式又は原資産株式に対する持分又は
ショート・ポジション(香港証券先物条例第336条に基づき保管を義務づけられている登録簿に記録されているもの)を有する
者はいなかった(当社の取締役又は最高執行役員の持分については、下記「4役員の状況-(2)報酬その他の事項-株式及
び原資産株式に対する取締役及び最高執行役員の持分並びにショート・ポジション」を参照のこと。)。
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2【配当政策】
AIAの配当政策は、当社取締役会が配当を決定する際に考慮すべき多くの要件を満たし株主還元を促進する慎重で持続可能な
配当を維持することであり、以下の事項を含む。
・香港及び現地の自己資本要件
・経営成績、キャッシュ・フロー及び分配可能利益
・業況及び将来の事業予測
配当
2018年6月30日に終了した7ヶ月間について1株当たり29.20香港セントの中間配当(2017年5月31日に終了した6ヶ月間は
1株当たり25.62香港セント)が2018年9月28日付で支払われた。当社取締役会は、AIAの確立された賢明で持続可能且つ漸進
的な配当方針に従い、2018年12月31日に終了した13ヶ月について14%増配の1株当たり84.80香港セント(2017年11月30日に終
了した12ヶ月は1株当たり74.38香港セント)の期末配当を提言した。さらに当社取締役会は、当社の事業年度末日が2018年11
月30日から2018年12月31日に変更されたことに伴う会計期間の追加の1ヶ月について、1株当たり9.50香港セントの特別配当
を行うことを提言した。これらの配当額は、当社の好調な財務成績に加え、当グループの将来の見通しについて当社取締役会
が引き続き自信を持っていることを反映したものである。
当社の制限付株式ユニット制度(以下「RSU制度」という。)の信託証書に基づき、当社株式は2つの信託ファンドのいずれ
か一方のトラスティにより保有される。かかる株式は、制度参加者の将来の権利に備えて保有されるものである。当社株式が
トラスティにより保有されていること及びこれらの株式に対する実質的持分がいかなる受益者にも確定していないことを条件
として、トラスティは、当該株式に係る配当の支払又はその他の分配に係る権利を放棄するものとする(但し、当社が別段の
決定をした場合はこの限りではない。)。
2018年9月28日(中間配当の支払日)現在、トラスティは49,036,565株を保有している。放棄された中間配当の金額は、約
2百万米ドルであった。トラスティは、信託証書に従い、期末配当及び特別配当が宣言された場合には当該期末配当及び特別
配当に係る権利を放棄する。
2019年度株主総会における株主の承認を条件に、期末配当及び特別配当は、当該配当を受ける権利を決定する基準日である
2019年5月22日水曜日の業務時間終了時現在において当社の株主名簿にその氏名が記載された株主に対し、2019年6月6日木
曜日に支払われる。
準備金
2018年12月31日現在、香港会社条例の第6部の規定に基づき算出された当社株主への分配に利用可能な準備金の総額は、
6,488百万米ドル(2017年11月30日現在は3,315百万米ドル)であった。
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3【株価の推移】
(1)【最近5年間の事業年度別最高・最低株価】
年度 2014 年度 2015 年度 2016 年度 2017 年度 2018 年度
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
事業年度の末日
11月30日 11月30日 11月30日 11月30日 12月31日
香港ドル 45.65 58.20 54.15 69.15 75.00
最高
円 651.88 831.10 773.26 987.46 1,071.00
香港ドル 34.65 38.85 36.85 42.65 58.20
最低
円 494.80 554.78 526.22 609.04 831.10
上場証券取引所 香港証券取引所
(注)2018年度より、当社の決算日は11月30日から12月31日に変更された。そのため、2018年度は2017年12月1日から2018年12月31日までの
13ヶ月となる。
(2)【当該事業年度中最近6月間の月別最高・最低株価】
2018 年 2018 年 2018 年 2018 年 2018 年 2018 年
月別
7月 8月 9月 10月 11月 12月
香港ドル 69.80 70.10 70.10 69.50 66.05 67.00
最高
円 996.74 1,001.03 1,001.03 992.46 943.19 956.76
香港ドル 66.05 65.25 61.50 58.20 59.65 61.00
最低
円 943.19 931.77 878.22 831.10 851.80 871.08
上場証券取引所 香港証券取引所
(注)2018年度より、当社の決算日は11月30日から12月31日に変更された。
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4【役員の状況】
(1)取締役会及び執行委員会
当社取締役の任期の詳細については、「第一部-第5 提出会社の状況-5 コーポレート・ガバナンスの状況等-(1)
コーポレート・ガバナンスの状況-①コーポレート・ガバナンスに関する記載-コーポレート・ガバナンス報告書」における
「取締役会」を参照のこと。当社取締役間又は執行委員会間に家族又は親族関係はない。
取締役
以下の表は、2019年3月15日現在の当社取締役に関する情報を記載している。
男性の人数 女性の人数(女性の比率)
10 名 1名(9.09%)
2018 年12月31日現在
氏名 生年月日 地位/役職 保有する当社株式数
及びその種類
社外非執行役会長兼 3,560,400 株
エドマンド・セー-ウィン・ツェ氏 1938 年1月2日
社外非執行取締役 (普通株式)
執行取締役、グループ最
2,410,796 株
高執行役員兼
ヌガ・ケン・ホーイ氏 1955 年1月25日
(普通株式)
プレジデント
260,000 株
ジャック・チャク-クォン・ソー氏 1945 年3月12日 社外非執行取締役
(普通株式)
86,000 株
チャン-コン・チョウ氏 1950 年9月9日 社外非執行取締役
(普通株式)
75,000 株
ジョン・バリー・ハリソン氏 1956 年9月7日 社外非執行取締役
(普通株式)
100,000 株
ジョージ・ヨン-ブーン・イェオ氏 1954 年9月13日 社外非執行取締役
(普通株式)
モハメド・アズマン・ヤヒヤ氏 1964 年1月8日 社外非執行取締役 なし
160,000 株
ローレンス・ジュエン-イー・ラウ教授 1944 年12月12日 社外非執行取締役
(普通株式)
スウィー-リャン・テオ氏 1959 年9月16日 社外非執行取締役 なし
ナロンチャイ・アクラサニー博士 1945 年7月3日 社外非執行取締役 なし
セサール・ベラスケス・プリシマ氏 1960 年4月3日 社外非執行取締役 なし
社外非執行役会長兼社外非執行取締役
エドマンド・セー-ウィン・ツェ氏
エドマンド・セー-ウィン・ツェ氏(81歳)は、当社の社外非執行役会長兼社外非執行取締役である。同氏は、2010年9月27
日に当社の非執行取締役に任命され、また2011年1月1日に非執行役会長に選任された。同氏は2017年3月23日に当社の社外
非執行役会長兼社外非執行取締役に再任された。ツェ氏はまた、当社の指名委員会の議長並びに報酬委員会及びリスク委員会
の構成員でもある。同氏は、AIAファウンデーションの取締役でもある。当グループ及びその前身のAIGグループでの凡そ58年
にわたる在職期間中、ツェ氏は、2009年7月から2010年12月までAIAカンパニーの名誉会長、2000年から2009年6月まで会長兼
最高経営責任者、1983年から2000年までプレジデント兼最高経営責任者を務めている。同氏はまた、2005年から2015年まで
ザ・フィリピン・アメリカン・ライフ・アンド・ジェネラル・インシュアランス(フィラム・ライフ)カンパニーの会長も務
めている。ツェ氏は、ピーシーシーダブリュー・リミテッド(香港証券取引所上場)の非執行取締役及びブリッジ・ホール
ディングス・カンパニー・リミテッドの取締役である。同氏は、2012年から2014年までパインブリッジ・インベストメンツ・
リミテッドの非執行取締役を、また2004年から2014年7月までピーアイシーシー・プロパティ・アンド・カジュアルティ・カ
ンパニー・リミテッド(香港証券取引所上場)の非執行取締役を務めた。香港保険業界の発展に対する多大な貢献が評価さ
れ、ツェ氏は2001年に香港特別行政区政府より金紫荊星章を受賞した。ツェ氏は香港大学の社会科学分野において、1998年に
名誉研究員の称号を、また2002年に名誉博士号をそれぞれ取得した。同氏はまた、2018年に嶺南大学から経営学博士号の名誉
学位を取得している。2003年には、同氏は保険業界の権威ある賞である保険の殿堂に選出され、また2017年には同氏の保険業
界に対する多大な貢献が認められ、太平洋保険会議において初の生涯功労賞を受賞した。
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執行取締役、グループ最高執行役員兼プレジデント
ヌガ・ケン・ホーイ氏
ヌガ・ケン・ホーイ氏(64歳)は、当社の執行取締役兼グループ最高執行役員兼プレジデントであり、2017年6月1日付で
任命された。ヌガ氏は当社のリスク委員会の構成員でもある。同氏は、2010年10月に当グループに入社し、アジア地域の生命
保険業界で38年を超える経験があり、その全てのキャリアをこの分野で費やしている。現在の役職に就任する前に同氏は2017
年3月からグループ最高執行役員兼次期プレジデントに任命されており、また、2010年の入社当初から当グループの地域担当
最高執行役を務めた。この期間中に同氏は、中国大陸、タイ、インドネシア、シンガポール、ブルネイ、台湾における事業を
含む当社の一連の事業とともに、当グループの代理店販売チャネルを担当している。同氏は、AIAカンパニー及びAIAインター
ナショナルの両社の会長兼最高経営責任者を含む、当グループ内の様々な企業の取締役を務めている。当グループへの入社前
に同氏は、2008年12月から2010年までグレート・イースタン・ホールディングス・リミテッド(Great Eastern Holdings
Limited)のグループ最高経営責任者兼取締役を務めていた。ヌガ氏は、1989年から2008年までプルーデンシャル・ピーエル
シー(Prudential plc)に在籍し、2005年から2008年までプルーデンシャル・コーポレーション・アジア・リミテッド
(Prudential Corporation Asia Limited)の保険担当マネージング・ディレクターとして、マレーシア、シンガポール、イン
ドネシア及びフィリピンにおける事業の責任者であった。ヌガ氏は、1980年にAIAマレーシアの生命保険業務からそのキャリア
を開始した。同氏は、2014年9月24日からクアラルンプールの金融サービス専門家委員会(Financial Services Professional
Board)のボードメンバーを務めており、1985年から米国アクチュアリー協会の会員である。同氏は、1979年にラファイエッ
ト・カレッジ(アメリカ合衆国ペンシルベニア州)において機械工学の理学士号を取得している。
社外非執行取締役
ジャック・チャク-クォン・ソー氏
ジャック・チャク-クォン・ソー氏(74歳)は、当社の社外非執行取締役である。同氏は、2010年9月28日に当社の非執行取
締役に選任され、2012年9月26日に当社の社外非執行取締役に再任された。同氏はまた、当社の報酬委員会の議長並びに監査
委員会及び指名委員会の構成員でもある。ソー氏は、2007年8月から2010年9月まで、AIAカンパニーの社外非執行取締役を務
めた。同氏は現在、チャイナ・リソーシス・パワー・ホールディングス・カンパニー・リミテッド(香港証券取引所上場)の
社外非執行取締役及び香港機場管理局の局長である。同氏はまた、クレディ・スイス・グレーター・チャイナの独立上席顧問
及び行政長官革新戦略発展顧問団 (Chief Executive’s Council of Advisers on Innovation and Strategic Development)
の 非公式メンバーである。ソー氏は、2013年10月から2015年12月まで、香港及び中国本土経済貿易協力諮問委員会の会長を務
めていた。ソー氏は、2011年及び2017年に香港特別行政区政府より金紫荊賞及び大紫荊勲章をそれぞれ授けられた。1985年か
ら1992年まで、ソー氏は香港貿易開発審議会の執行取締役を務め、2007年から2015年まで、その会長を務めた。同氏は2002年
から2015年までキャセイ・パシフィック・エアウェイズ・リミテッド(香港証券取引所上場)の社外非執行取締役を、2000年
から2007年までザ・ホンコン・アンド・シャンハイ・バンキング・コーポレーション・リミテッドの非執行取締役を、2007年
から2013年まで香港映画発展局の会長を、2008年から2018年まで中国人民政治協商会議の会員を務めた。
チャン-コン・チョウ氏
チャン-コン・チョウ氏(68歳)は、当社の社外非執行取締役であり、2010年9月28日に任命された。同氏はまた、当社のリ
スク委員会の議長及び指名委員会の構成員でもある。チョウ氏は、2012年7月1日に香港特別行政区行政会議の非公式メン
バーに選任され、2017年7月1日から新たな任期で再任された。チョウ氏はまた、2016年7月1日に優秀な人材及び専門家の
入国に関する香港特別行政区の諮問委員会の議長、2017年6月19日に香港公益金の理事、2017年8月18日に香港特別行政区政
府により設立された金融領導委員会のメンバー、2018年4月1日に香港特別行政区政府の人的資源計画委員会(Human
Resources Planning Commission)の非公式メンバー、及び2019年2月4日にInnoHK監督委員会(InnoHK Steering
Committee)のメンバーに選任された。同氏はまた2011年3月から香港賽馬会の董事に就任している。2000年には、チョウ氏は
業界への貢献により英国のナイトに叙せられ、また2015年には香港政府から金紫荊星章を授与された。チョウ氏は、2013年か
ら2018年まで廉政公署の汚職に関する諮問委員会の議長、2012年から2018年まで香港エクスチェンジズ・アンド・クリアリン
グ・リミテッド(香港証券取引所上場)の議長、2003年から2011年までエムティーアール・コーポレーション・リミテッド
(香港証券取引所上場)の最高経営責任者、2001年から2003年まで国際的な支援サービス会社であるブランブルズ・インダス
トリーズ・ピーエルシーの最高経営責任者、及び1997年から2001年まで英国を本拠とする有力工業会社であるジーケーエヌ・
ピーエルシーの最高執行役を務めていた。同氏は、2008年から2014年までアングロ・アメリカン・ピーエルシーの社外非執行
取締役、1997年から2008年までスタンダード・チャータード・ピーエルシーの社外非執行取締役、そして2012年から2014年6
月まで香港商業連合会の会長を務めた。
ジョン・バリー・ハリソン氏
ジョン・バリー・ハリソン氏(62歳)は、当社の社外非執行取締役であり、2011年7月1日に任命された。同氏はまた、当
社の監査委員会の議長並びに指名委員会及びリスク委員会の構成員でもある。ハリソン氏は、キャセイ・パシフィック・エア
ウェイズ・リミテッド(香港証券取引所上場)の社外非執行取締役を務めている。同氏は、ビーダブリュー・グループ・リミ
テッドの社外非執行取締役であり、また、2013年よりビーダブリュー・エルピージー・リミテッドの副会長を務めている。ハ
リソン氏はまた、2017年12月1日からグロブナー・アジア・パシフィック・リミテッドの社外非執行取締役及び監査委員会議
長でもある。同氏は、2016年9月20日付で香港科技大学の名誉理事会員に選任された。同氏は、2011年4月20日から2017年4
月26日まで香港エクスチェンジズ・アンド・クリアリング・リミテッド(香港証券取引所上場)の、2012年12月6日から2017
年4月26日までロンドン金属取引所の、また2013年12月16日から2017年4月26日までエルエムイー・クリア・リミテッドの社
外非執行取締役であった。ハリソン氏は、2008年から2010年までケーピーエムジー・インターナショナルの副会長を務めてい
た。同氏は2003年に、ケーピーエムジー・チャイナ・アンド・ホンコンの会長兼最高経営責任者及びケーピーエムジー・アジ
アパシフィックの会長に選任された。ハリソン氏は1977年にロンドンのケーピーエムジーに入社し、その後1987年にケーピー
エムジー・ホンコンのパートナーになった。2012年から2015年5月まで、同氏はオーストラリアンスーパー・ピーティーワ
イ・リミテッドのアジア諮問委員会の委員を務めていた。2017年にハリソン氏は、香港科技大学から名誉フェローシップを授
与された。ハリソン氏はイングランド・ウェールズ勅許会計士協会のフェローであり、また香港公認会計士協会員でもある。
ジョージ・ヨン-ブーン・イェオ氏
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ジョージ・ヨン-ブーン・イェオ氏(64歳)は、当社の社外非執行取締役であり、2012年11月2日に任命された。同氏はま
た、当社の監査委員会、指名委員会及び報酬委員会の構成員でもある。現在イェオ氏はケリー・ロジスティクス・ネットワー
ク・ リミテッド(香港証券取引所上場)の会長及びケリー・ホールディングス・リミテッドの取締役である。イェオ氏はピン
デュオデュオ・インク(ナスダック・グローバル・セレクト・マーケット上場)及びニュー・ヤンゴン・ディベロップメン
ト・カンパニー・リミテッドの社外取締役である。同氏は2014年6月から三菱商事の国際諮問委員会の委員を務めている。同
氏はベルグレン研究所の国際諮問委員会のメンバーである。2018年3月、同氏はブランズウィック・グループ・エルエルピー
の地政学的戦略部門のシニア・アドバイザーとなった。2013年に同氏は、教皇庁の経済行政機構諮問委員会のメンバーに選任
された。同氏は2014年2月からバチカン経済会議のメンバーとなった。2012年にイェオ氏は、フィリピン政府から国家勲章、
インド政府からインド国勲章を授与され、オーストラリア名誉受勲者となった。1988年から2011年までイェオ氏はシンガポー
ルの国会議員を務め、外相、通商産業相、保健相、情報芸術相及び財務相等の閣僚を歴任した。1972年から1988年までイェオ
氏はシンガポール国防軍に勤務し、同氏が国防省の統合参謀本部長を務めていた1988年には准将となった。
モハメド・アズマン・ヤヒヤ氏(別名:モハメド・アズマン・ビン・ヤヒヤ氏)
モハメド・アズマン・ヤヒヤ氏(55歳)は、当社の社外非執行取締役であり、2014年2月24日に任命された。同氏はまた、当
社の指名委員会及び報酬委員会の構成員でもある。ヤヒヤ氏は、シンフォニー・ライフ・ブルハドの執行役会長、ランヒル・
ホールディングス・ブルハドの社外非執行役会長及びサイム・ダービー・ブルハドの社外非執行取締役を務めており、これら
のいずれもブルサ・マレーシア・セキュリティーズ・ブルハド(以下「ブルサ・マレーシア」という。)の上場企業である。
ヤヒヤ氏は、シンフォニー・ハウスSdn Bhd (旧:シンフォニー・ハウス・ブルハド)及びセパン・インターナショナル・サー
キットSdn Bhd 等、様々な会社の取締役及び会長を務めている。同氏はまた、政府系プライベート・エクイティ・ファンド運用
会社のエクイティ・ナショナル・ブルハドの理事を務めている。同氏はロンドンのケーピーエムジーで自身のキャリアをス
タートし、その後投資銀行の様々な業務に従事し、最終的にはアマナ・マーチャント・バンクの最高執行役員に任命された。
1998年に同氏は、マレーシア政府から国営資産運用会社のダナハルタを設立し、その指揮を執る業務を拝命している。同氏は
また、バンク・ネガラ・マレーシアが設置した企業債務再編委員会の委員長に就任し、存続可能な企業の債務再編プログラム
の仲介と支援に従事した。同氏はまた、2004年から2018年までマレーシア政府投資機関のカザナ・ナショナル・ブルハドの
ディレクターであった。ヤヒヤ氏は、2019年2月2日にランヒル・ホールディングス・ブルハドの社外非執行会長に再任され
るまで、同社の非執行会長であった。ヤヒヤ氏は、1985年にロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカ
ル・サイエンスにおいて経済学の理学士号(1級)を取得しており、また、イングランド・ウェールズ勅許会計士協会の会
員、マレーシア会計士協会の会員及びマレーシア銀行協会のフェローである。
ローレンス・ジュエン-イー・ラウ教授
ローレンス・ジュエン-イー・ラウ教授(74歳)は、当社の社外非執行取締役であり、2014年9月18日に任命された。同教授
はまた、当社の指名委員会及びリスク委員会の構成員でもある。現在ラウ教授は、シーエヌオーオーシー・リミテッド及びセ
ミコンダクター・マニュファクチャリング・インターナショナル・コーポレーション(いずれも香港証券取引所及びニュー
ヨーク証券取引所上場)の社外非執行取締役を務めている。同教授はまた、ハイサン・ディベロップメント・カンパニー・リ
ミテッド(香港証券取引所上場)及びファー・イーストーン・テレコミュニケーションズ・カンパニー・リミテッド(台湾証
券取引所上場)の社外非執行取締役を務めている。同教授は、2007年から香港中文大学のラルフ・アンド・クレア・ランダウ
経済学講座教授、また、2017年1月12日から深センの香港中文大学深セン金融研究協議会の議長を務めている。現在同教授
は、香港特別行政区の為替資金諮問委員会の委員、ガバナンス小委員会の議長、並びにカレンシー・ボード小委員会及び投資
小委員会の委員を務めている。さらに同教授は、ルイ・チェ・ウー・プライズ・リミテッドの受賞候補者推薦委員会の委員兼
議長、団結香港基金会(Our Hong Kong Foundation)の副議長、北京チャイナ・センター・フォー・インターナショナル・エ
コノミック・エクスチェンジズの副会長、及び香港貿易発展局一帯一路委員会のメンバーを務めている。同教授は、2011年に
香港特別行政区政府より金紫荊星章を受賞した。2004から2010年にかけてラウ教授は、香港中文大学の副総長(校長)を務め
た。同教授は、2010年9月に中国投資有限責任公司の完全所有子会社であるシーアイシー・インターナショナル(香港)カン
パニー・リミテッドの会長に任命され、2014年9月に退任した。同教授は、2013年から2018年まで中国人民政治協商会議の第
12期全国委員会の委員であり、その経済学小委員会の副議長を務めていた。同教授は、1964年にスタンフォード大学で物理学
の学士号を非常に優秀な成績で修めており、また1966年と1969年にはカリフォルニア大学バークリー校から経済学の修士号及
び博士号をそれぞれ取得している。同教授は1966年にスタンフォード大学の経済学部で教職を得ており、1976年に経済学教
授、1992年に最初のコー-ティン・リー経済開発講座教授となった。同教授は、1992年から1996年にかけてスタンフォード大
学のアジア・パシフィック研究センターの共同ディレクターを務め、1997年から1999年にはスタンフォード経済政策研究所の
ディレクターを務めた。同教授は、2006年のスタンフォード大学の退職時にコー-ティン・リー経済開発講座名誉教授に就任
した。
スウィー-リャン・テオ氏
スウェー-リャン・テオ氏(59歳)は、2015年8月14日に当社の社外非執行取締役に任命された。 同氏はまた、当社の指名委
員会及びリスク委員会の構成員でもある。 現在テオ氏は、シンガポール・テレコミュニケーションズ・リミテッド(シンガ
ポール証券取引所上場)の社外非執行取締役であり、同社のコーポレート・ガバナンス・指名委員会及び役員人材・報酬委員
会の委員並びにリスク委員会の議長でもある。同氏はまた、シンガポールに本社を置くファンド運用会社であるアバンダ・イ
ンベストメント・マネジメント・ピーティーイー・リミテッドの非執行取締役であり、同社の監査及びリスク委員会の議長を
務めている。テオ氏は、ドバイ金融サービス機構の理事会のメンバー及びクリフォード・キャピタル・ピーティーイー・リミ
テッドの取締役である。テオ氏は、シンガポール通貨監督庁(以下「MAS」という。)における27年にわたる業務経験を有して
いる。MAS在勤中に同氏は、外貨準備高管理、金融セクター開発、戦略的計画策定及び金融監督の業務に携わっていた。同氏は
銀行、保険及び資本市場に関する業界の規制及び監督並びにマクロ経済サーベイランスを統括する金融監督担当デピュティ・
マネージング・ディレクターを務めるとともに、バーゼル銀行監督委員会及び金融安定理事会の様々な委員会やワーキング・
グループを含む様々な国際的なフォーラムにMASを代表して出席した。2015年6月に同氏はマネージング・ディレクター室の特
別顧問としてMASを退官した。MASに加え、テオ氏は2002年から2010年までシンガポール民間航空庁の理事会に在籍していた。
テオ氏は1981年にロンドン大学インペリアル・カレッジ・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジーにおいて数学の理学士号
(1級)を取得し、1982年にオックスフォード大学において応用統計学の理学修士号を取得した。同氏はまた、2012年のシン
ガポール・ナショナル・デー・アワードにおいてパブリック・アドミニストレーション・メダル (ゴールド)(バー) を授与さ
れている。
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ナロンチャイ・アクラサニー博士
ナロンチャイ・アクラサニー博士(73歳)は、2016年1月15日に当社の社外非執行取締役に任命された。同博士はまた、当
社の監査委員会及び指名委員会の構成員であり、またAIAタイの諮問委員会の議長も務めている。ナロンチャイ博士は、かつて
2012年11月21日から2014年8月31日まで当社の社外非執行取締役を務めていた。同博士は、タイ王国のエネルギー相及び商業
相を歴任し、同国の上院議員を務めていた。ナロンチャイ博士は、2005年12月から2010年6月までタイ輸出入銀行総裁、2007
年10月から2012年8月までタイ保険委員会事務所理事、2009年7月から2013年7月まで経済社会開発庁理事、2011年11月から
2014年9月までタイ銀行金融政策委員会委員をそれぞれ務めた。現在同博士は、メコン研究所の運営委員会議長兼評議会副議
長、太平洋経済協力会議に関する国家委員会議長、タイのコンケン大学評議会議長を務めている。ナロンチャイ博士はまた、
タイ証券取引所の上場企業であるMFCアセット・マネジメント・パブリック・カンパニー・リミテッド、アナンダ・ディベロッ
プメント・パブリック・カンパニー・リミテッド及びタイ-ドイツ・プロダクツ・パブリック・カンパニー・リミテッドの3社
で会長及び社外取締役を務めている。同博士は、タイ証券取引所のオルタナティブ投資市場に上場されているザ・ブルッ
カー・グループ・パブリック・カンパニー・リミテッドの会長兼社外取締役を務めている。ナロンチャイ博士はまた、複数の
企業から構成されるセラニー・グループの会長である。かつて同博士は、マレー・サンプラン・パブリック・カンパニー・リ
ミテッド及びABICOホールディングス・パブリック・カンパニー・リミテッドの社外取締役、タイ-ドイツ・プロダクツ・パブ
リック・カンパニー・リミテッドの副会長兼社外取締役を務めていた(いずれもタイ証券取引所上場)。ナロンチャイ博士
は、西オーストラリア大学において経済学の栄誉学士号を取得し、ジョンズ・ホプキンス大学において経済学の修士号及び博
士号を取得している。
セサール・ベラスケス・プリシマ氏
セサール・ベラスケス・プリシマ氏(58歳)は、当社の社外非執行取締役であり、2017年9月1日付で任命された。同氏は
また、当社の指名委員会の構成員でもある。プリシマ氏は現在、アヤラ・ランド・インク及びユニバーサル・ロビナ・コーポ
レーション(いずれもフィリピン証券取引所上場)の社外取締役を務めている。同氏はまた、三井住友銀行のグローバル諮問
委員会のメンバーである。プリシマ氏は、2010年7月から2016年6月までフィリピン共和国(以下「フィリピン」という。)
政府の財務相、2004年1月から2005年2月まで貿易産業相を務めた。同氏はまた、フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng
Pilipinas)の金融政策理事会(Monetary Board)のメンバー、世界銀行グループ・フィリピン総裁、アジア開発銀行フィリピ
ン総裁、国際通貨基金フィリピン総裁代理、ランド・バンク・オブ・ザ・フィリピンズ(Land Bank of the Philippines)会
長等の政府機関の役職を歴任した。同氏は、2017年にフランス共和国大統領からレジオンドヌール勲章(Chevalier dans l’
Ordre national de la L égion d’Honneur)、2016年にフィリピン大統領からラカンドゥラ勲章(Order of Lakandula, Rank
of Grand Cross (Bayani))、2001年にフランス共和国大統領から国家功労勲章(Chevalier de l’Ordre national du
M érite )を授与されている。プリシマ氏は公認会計士である。同氏は、フィリピン国内外において公認会計士業務の広範な経
験を有している。同氏は、1999年から2004年までシシップ、ゴレス、ヴェラヨ・アンド・カンパニー(SyCip, Gorres,
Velayo & Co.)(2002年までアンダーセン・ワールドワイド(Andersen Worldwide)のメンバーファームであり、その後アー
ンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッド(Ernst & Young Global Limited)のメンバーファームとなった。)の会
長兼マネージング・パートナーを務めていた。この期間中、プリシマ氏は、2001年から2002年までアンダーセン・ワールドワ
イドのアシュアランス及びビジネス・アドバイザリー・サービス担当アジア・パシフィック地域マネージング・パートナー、
2000年から2001年までアンダーセン・ワールドワイドのASEAN業務担当地域マネージング・パートナーを務めた。プリシマ氏
は、1979年にデ・ラ・サール大学(マニラ)で商学士号(金融機関の会計及び経営専攻)、1983年にノースウェスタン大学の
ケロッグ経営大学院で経営学修士号を取得し、2012年にアンヘレス・ユニバーシティ・ファウンデーション(フィリピン)か
ら人文科学名誉博士号を受けている。
執行委員会
以下は、2019年3月15日現在の当社の執行委員会構成員に関する情報を記載している (注) 。
男性の人数 女性の人数(女性の比率)
13 名 1名(7.69%)
(注)2019年3月15日の後、ジョン・ニールセン氏は、2019年3月29日付でグループ最高リスク担当役員及び執行委員会構成員を退任した。
ヌガ・ケン・ホーイ氏
ヌガ氏の略歴については、上記を参照のこと。
ガース・ジョーンズ氏
ガース・ジョーンズ氏(56歳)は、グループ最高財務担当役員として、当グループの資本管理及び財務管理、並びに主要な
外部ステークホルダー(独立の監査人及び保険数理人、格付け機関並びに国際的会計当局及び規制当局を含む。)との関係維
持に関わる全ての業務につき当グループを統率する責任者である。同氏は、AIAカンパニー及びAIAインターナショナルをはじ
めとする当グループ内の様々な会社の取締役である。2011年4月に当グループに入社する前には、チャイナ・パシフィック・
インシュアランス(グループ)カンパニー・リミテッドの生命保険部門であるチャイナ・パシフィック・ライフ・インシュア
ランス・カンパニー・リミテッドのエグゼクティブ・バイス・プレジデントを務めていた。同氏はまた、プルーデンシャル・
コーポレーション・アジア・リミテッドに在勤していた12年間には、アジア生命保険業務最高財務担当役員を含む数多くの上
級管理職の職責を務めた。プルーデンシャル入社前には、スイスリーのアジア生命保険事業の開拓を指揮していた。同氏は英
国アクチュアリー協会の会員である。同氏は、2016年6月1日に香港の独立保険局に助言を行う長期事業に関する保険業諮問
委員会の委員に任命された。ジョーンズ氏はまた、IASBのIFRS諮問委員会のメンバーでもある。
ウィリアム・ライル氏
ウィリアム・ライル氏(53歳)は、当グループのタイ、韓国、オーストラリア及びニュージーランド、インド並びにスリラ
ンカにおける事業運営並びにグループ・パートナーシップ販売部門について責任を負う地域担当最高執行役員である。ライル
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氏は、2012年12月から2015年5月までAIAのマレーシア事業の最高経営責任者を務めており、その中で2012年における当グルー
プによる買収後のINGマレーシアの大規模且つ順調な統合を指揮した。同氏は、AIAカンパニー、AIAオーストラリア・リミテッ
ド 及びソヴリン・アシュアランス・カンパニーを含む当グループ内の様々な企業の取締役を務めている。同氏はまた、インド
における当グループとタタ・ソンズ・リミテッドのジョイント・ベンチャーであるタタAIAライフ・インシュアランス・カンパ
ニー・リミテッドの取締役である。ライル氏は2011年1月にグループ最高販売担当役員として当グループに入社した。当グ
ループ入社前に、ライル氏は2009年5月から2010年までアビバの南アジア担当マネージング・ディレクターを務めていた。ア
ビバ入社前に、ライル氏はプルーデンシャル・コーポレーション・アジア・リミテッドにおいて、2008年から2009年までマ
レーシアにおける最高経営責任者、2005年から2008年まで韓国における最高経営責任者、2002年から2004年までICICIプルーデ
ンシャルの最高代理店担当役員、2001年に南アジア代理店開発担当ディレクター等の上級職を歴任した。
ジョン・カイ氏
ジョン・カイ氏(51歳)は、当グループの中国、マレーシア、ベトナム、台湾、ミャンマーにおける事業運営を担当する地
域担当最高執行役員である。カイ氏は、AIAカンパニー及びAIA(ベトナム)ライフ・インシュアランス・カンパニー・リミ
テッドを含む当グループ内の様々な企業の取締役を務めている。同氏は2009年7月に当グループに入社した。カイ氏は、アジ
ア地域及び米国の保険業界で27年を超える経験を有している。地域担当最高執行役員への就任前、同氏は2009年からAIA中国の
最高経営責任者を務めており、同氏の在任中にAIA中国はAIAで第2の規模の最も急速に成長する事業となった。当グループ入
社前に、カイ氏はAXAホンコンにおいて最高経営責任者を務めており、2003年当初は最高代理店担当役員を務めていた。カイ氏
は1989年に西安交通大学を卒業した。同氏はまた、公認ファイナンシャル・コンサルタント(ChFC)、公認生命保険士、公認
ファイナンシャル・プランナーである。
ジャッキー・チャン氏
ジャッキー・チャン氏(55歳)は、当グループの香港及びマカオ、シンガポール及びブルネイ、インドネシア、フィリピ
ン、カンボジアにおける事業運営並びにグループ代理店販売について責任を負う地域担当最高執行役員である。同氏は、AIAカ
ンパニー及びAIAインターナショナルを含む当グループ内の様々な企業の取締役を務めている。チャン氏は、過去31年間にわ
たってAIAに勤務し、広範な経験を有している。地域担当最高執行役員への就任前、2009年からチャン氏はAIA香港及びマカオ
の最高経営責任者を務めていた。過去に同氏は、AIA中国の国別主任、台湾のナンシャン・ライフ・インシュアランスの販売及
びマーケティング担当エグゼクティブ・バイス・プレシデント、AIAのアジア地域(日本及び韓国を除く。)担当シニア・バイ
ス・プレジデント兼ライフ・プロフィット・センター長を含む上級職を歴任している。チャン氏は、香港大学で理学士号を取
得した。同氏はアクチュアリー協会(FSA)フェロー、アメリカン・アカデミー・オブ・アクチュアリーズ(MAAA)会員、カナ
ダ・アクチュアリー会(CIA)フェローである。
ミッチェル・ニュー氏
ミッチェル・ニュー氏(55歳)は、グループ・ジェネラル・カウンセル兼会社秘書役として、当グループの法務及び総務業
務、並びに、現地業務に関わる法務及び企業統治業務の指揮の責任者である。同氏は、AIAインターナショナル、AIAシンガ
ポール・プライベート・リミテッド及びAIAリインシュアランス・リミテッドを含む当グループ内の様々な会社の取締役であ
る。同氏は当グループに2011年4月に入社した。当グループへの入社以前は、ニュー氏はFasken Martineau法律事務所のメン
バーであり、マニュライフ・フィナンシャルにおいて、香港を拠点とするアジア地域のシニア・バイス・プレジデント兼最高
法務責任者や、マニュライフのカナダ部門のシニア・バイス・プレジデント兼ジェネラル・カウンセルを含む、様々な上級管
理職を務めていた。同氏は法廷弁護士及び事務弁護士の資格を有し、アッパーカナダ法律協会のメンバーであり、またマック
マスター大学で商学士及び経営管理学修士を、ウェスタンオンタリオ大学で法学士を取得している。
マーク・ソーンダーズ氏
マーク・ソーンダーズ氏(55歳)は、グループ最高戦略及び経営企画担当役員であり、当グループの戦略及び企業取引につ
いて責任を負う。同氏はまた、当グループの企業向けソリューション及び医療事業の責任者でもある。同氏は2014年4月に当
グループに入社し、当グループの様々な会社の取締役を務めている。同氏は、前職としてグループ最高戦略及び経営企画担当
役員を務めていた。当グループへの入社前にソーンダーズ氏は、タワーズ・ワトソンのアジア・パシフィック保険セクター担
当マネージング・ディレクター及び同社香港事業担当マネージング・ディレクター、並びに様々な事業体の取締役会メンバー
を務めていた。タワーズ・ワトソンでの勤務以前、同氏は、マン島に本社を置く国際的な生命保険会社のクレリカル・メディ
カル及びその韓国におけるジョイント・ベンチャーの生命保険会社(コリョ-シーエム)のアジア地域リーダー、香港最高執
行役員、並びに執行取締役兼取締役会メンバーを務めていた。同氏は英国アクチュアリー会のフェローであり、その他に5つ
の専門的保険数理士団体のフェローとなっている。
マーク・コニン博士
マーク・コニン博士(57歳)は、当グループの投資ポートフォリオの管理を監督し、また当グループ各署の多数の投資専門
家を監視及び支援するグループ最高投資担当役員である。同氏は、AIAインベストメント・マネジメント・プライベート・リミ
テッドの会長を含め、当グループ内の様々な会社の取締役を務めている。同氏は2015年9月に当グループに入社した。コニン
博士は、地域における投資事業及び戦略的拡大を担当する最高経営責任者を務めていたキャセイ・コニング・アセット・マネ
ジメントからAIAに入社した。同氏はアリアンツ・グローバル・インベスターズ(同社では、RCMグローバル・インベスターズ
のアジア・パシフィック地域担当CEOを務めていた。)、フィデリティ・インベストメンツ及びプルーデンシャルUKにおいて上
級職を務めていた。同氏は英国王立統計学会フェローであり、ロンドン・ビジネス・スクールにおいて投資管理学の学位を取
得し、英国政府が後援するオペレーションズ・リサーチにおいて博士号を取得している。
カラ・アン氏
カラ・アン氏(50歳)はグループ最高人事担当役員であり、当グループを通じた全体的な人事戦略の策定とその実行に責任
を負うとともに、国別市場の事業における人事機能を指揮し、支援を提供している。同氏は、2016年5月にAIAシンガポールの
最高人事担当役員として当グループに入社した。AIAへの入社前、アン氏はスタンダード・チャータード・バンク・シンガポー
ルの人事主任を務めていた。スタンダード・チャータード・バンク在勤中、同氏は10年以上にわたってシンガポールとタイを
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拠点として様々な国、地域、グローバルの人事を指揮する業務に携わっていた。スタンダード・チャータード・バンク・シン
ガポール入社前、アン氏はマーシュ・アジアのシニア・バイス・プレジデント兼人事主任を務めていた。
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ビスワ・ミスラ氏
ビスワ・ミスラ氏(41歳)はグループ最高技術及び業務担当役員であり、当グループの技術、業務、イノベーションの分野
における指揮監督業務とグループ・オフィスの全ての技術資源の指揮監督について責任を負う。同氏は当グループ内の様々な
企業の取締役を務めている。同氏は2013年6月に当グループに入社した。当グループ入社前、ミスラ氏はINGインシュアラン
ス・アジア・パシフィックの地域最高技術担当役員を務めていた。過去に同氏は情報技術コンサルティング会社のキャップ
ジェミニ(Capgemini)に6年間勤務し、同社のアジア地域における保険実務を指揮していた。ミスラ氏は、インド工科大学
(スーラト)で電気工学の学位を取得している。
スチュアート・A・スペンサー氏
スチュアート・A・スペンサー氏(53歳)はAIAのグループ最高マーケティング担当役員であり、当グループのマーケティン
グ・イニシアチブ、顧客提案、AIAバイタリティについて責任を負う。同氏は当グループ内の様々な企業の取締役を務めてい
る。スペンサー氏は、最近までチューリッヒ・インシュアランス・グループにおいてアジア・パシフィック地域担当暫定CEOを
務めており、2017年5月にAIAに復帰した。その前に同氏は、2013年から2016年までチューリッヒ・インシュアランスでアジ
ア・パシフィック地域損害保険担当最高経営責任者を務めていた。スペンサー氏は、1996年から2009年までアメリカン・イン
ターナショナル・グループに在籍しており、その期間中にラテン・アメリカ及びカリブ海地域における傷害・疾病損害保険業
務の指揮監督や疾病・傷害保険全世界担当プレジデントを含む上級職を歴任した。スペンサー氏はまた、チャブ・インシュア
ランス(Chubb Insurance)において全世界生命・疾病・傷害保険担当グローバル・ヘッド兼COOを務めていた。スペンサー氏
は、ハーバード・ビジネス・スクール、フレッチャー法律外交大学院、ブランダイス大学を卒業している。
ジョン・ニールセン氏
ジョン・ニールセン氏(46歳)はグループ最高リスク担当役員であり、当グループのリスク及びコンプライアンス機能につ
いて責任を負う。同氏はまた、当グループ内の様々な企業の取締役を務めている。ニールセン氏は、AIAに11年間在籍してい
る。同氏は2010年に当グループの地域担当最高財務担当役員に任命され、当グループの財務上の計画、報告、分析、財務シス
テム及び業務、資金及び税務機能を監督した。AIAへの入社前、ニールセン氏は3年間にわたってアリアンツ・グループ
(Allianz Group)で会計方針副主任を務めていた。その前に同氏は8年間にわたってデロイト・アンド・トウシュ(Deloitte
& Touche)に在籍し、主として保険クライアント業務を担当した。同氏はネブラスカ大学で会計修士号(専門職)と経営管理
学の学士号を取得しており、公認会計士である。
岩瀬大輔氏
岩瀬大輔氏(42歳)は、グループ最高デジタル担当役員として、当グループのデジタル技術革新のイニシアチブについて責
任を負っている。岩瀬氏は、2018年7月にライフネット生命保険株式会社(以下「ライフネット」という。)からAIAに入社し
た。ライフネットは、日本のデジタル・ダイレクト型上場生命保険会社であり、岩瀬氏は最近まで同社の代表取締役社長を務
めていた。岩瀬氏は、2006年にライフネットを共同で設立し、2012年に東京証券取引所への同社の上場を実現した。ライフ
ネットの共同設立以前、岩瀬氏は、東京のボストン・コンサルティング・グループでストラテジー・コンサルタントとしてそ
のキャリアを開始し、その後米国に拠点を置くテクノロジー・ベンチャー・キャピタルの東京オフィスを設立し、さらに国際
的未公開株式投資会社に勤務した。同氏はハーバード・ビジネス・スクールでMBA(優等)を、東京大学で学士(法学)を修め
ている。2010年に同氏は世界経済フォーラムからヤング・グローバル・リーダーに選定されている。
(2)報酬その他の事項
「第一部-第5-5 コーポレート・ガバナンスの状況等-(1) コーポレート・ガバナンスの状況-① コーポレート・
ガバナンスに関する記載-報酬に関する報告書」及び「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終了
した事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及び重要な会計方針」の注記40を参照のこと。
株式及び原資産株式に対する取締役及び最高執行役員の持分並びにショート・ポジション
2018年12月31日現在、当社及び当社の関連会社(SFOの第XV部に定める意味を有する。)の株式、原資産株式及び債務証券に
対する当社取締役及び最高執行役員の持分並びにショート・ポジション(SFOの第352条に基づき保管を義務づけられている登
録簿に記録され、又はモデル規約に従い当社及び香港証券取引所に通知されているもの)は、以下の通りである。
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当社の株式及び原資産株式に対する持分及びショート・ポジション
発行済株式総
株式数又は原資産株式数 (株)
数の割合
取締役の氏名 クラス 地位
ロング・ポジション (L)
(注1)
(%)
(注2)
ヌガ・ケン・ホーイ氏 7,901,583(L) 普通株式 0.06 実質的保有者
(注3) (注4)
61,200(L) 0.01 未満 配偶者の持分
(注3)
エドマンド・セー-ウィン・ツェ氏 3,460,400(L) 普通株式 0.02 実質的保有者
(注3) (注5)
100,000(L) 0.01 未満 被支配会社の持分
(注3)
チャン-コン・チョウ氏 86,000(L) 普通株式 0.01 未満 実質的保有者
(注3) (注6)
ジャック・チャク-クォン・ソー氏 260,000(L) 普通株式 0.01 未満 被支配会社の持分
(注3)
ジョン・バリー・ハリソン氏 75,000(L) 普通株式 0.01 未満 実質的保有者
(注3)
ジョージ・ヨン-ブーン・イェオ氏 100,000(L) 普通株式 0.01 未満 実質的保有者
(注3)
ローレンス・ジュエン-イー・ラウ教授 60,000(L) 普通株式 0.01 未満 実質的保有者
(注3) (注7)
100,000(L) 0.01 未満 配偶者の持分
(注1)2018年12月31日現在の発行済の当社株式12,077,063,781株に基づく。
(注2)持分には当社株式2,349,596株、株式オプション制度に基づく株式オプション4,309,630個、RSU制度に基づく制限付株式ユニット
1,240,152個、及び従業員株式購入制度に基づく適合制限付株式購入ユニット2,205個が含まれる。
(注3)持分は当社株式に係るものである。
(注4)61,200株は、ヌガ・ケン・ホーイ氏の配偶者であるレオン・スィー・ラン氏が実質的保有者として保有している。
(注5)100,000株は、エドマンド・アンド・ペギー・ツェ・ファウンデーション・リミテッドが保有しており、その持分の3分の1は、エド
マンド・セー-ウィン・ツェ氏が実質的に保有している。
(注6)260,000株は、ジャック・チャク-クォン・ソー氏が実質的に100%保有する会社であるサイバー・プロジェクト・ディヴェロプメン
ツ・リミテッドが保有している。
(注7)100,000株は、ローレンス・ジュエン-イー・ラウ教授の配偶者であるアイーシャ・アバス・マックファーソン氏が実質的保有者とし
て保有している。
2018年12月31日現在、上記に記載されているものを除き、当社又は当社の関連会社(SFOの第XV部に定める意味を有する。)
の株式、原資産株式又は債務証券に対する一切の持分又はショート・ポジションを保有する当社取締役又は当社の最高執行役
員(SFOの第352条に基づき保管を義務づけられている登録簿に記録され、又はモデル規約に従い当社及び香港証券取引所に通
知されたもの)はいない。
株式又は債務証券を取得する取締役の権利
ヌガ・ケン・ホーイ氏のサービス契約に基づき、執行取締役、グループ最高執行役員兼プレジデントであるヌガ氏は、裁量
による年次獲得インセンティブ報奨(当社株式による支払を含む。)を受領する権利を有する。ヌガ・ケン・ホーイ氏のイン
センティブ報奨の詳細については、「第一部-第5-5 コーポレート・ガバナンスの状況等-(1) コーポレート・ガバナ
ンスの状況-① コーポレート・ガバナンスに関する記載-報酬に関する報告書」に記載されている。
取引、取り決め又は契約に係る取締役の利害関係
2018年12月31日現在又は13ヶ月の対象期間中のいかなる時点においても、当社又は当社のいずれかの子会社が当事者であ
り、且ついずれかの当社取締役又はその関係法人が重大な利害関係(直接的か間接的かを問わない。)を有する重要な取引、
取り決め又は契約は存在しなかった。
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5【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1)【コーポレート・ガバナンスの状況】
① コーポレート・ガバナンスに関する記載
取締役の責任に関する報告書
当社取締役は、当社の連結財務書類を適用法令に基づき作成することに対して責任を負っている。
当社の連結財務書類を作成する際に、当社取締役は以下の事項を実施することが要求されている。
- 適切な会計方針を選択し、それを一貫して適用すること。
- 合理的且つ賢明な判断及び見積りを行うこと。
- 財務書類が香港財務報告基準及び国際財務報告基準に基づき作成されていると述べること。
- 当グループが事業を継続することを前提にすることが適切ではない場合を除き、財務書類を継続企業であることを前提に作
成すること。
当社取締役は、当社の業務の状態を真正且つ公正に示し、その取引を説明する適切な会計記録を作成する責任を負ってい
る。
当社取締役は、当グループの資産を保護し、詐欺その他不正行為を発見するために合理的な手段を講じる責任を負ってい
る。当社取締役は、当社2018年度年次報告書のReport of the Directors及びCorporate Governance Reportを作成する責任も
負っている。
当社取締役は、その知る限りにおいて下記の事項について確認している。
1. 香港財務報告基準及び国際財務報告基準に基づき作成された当社の連結財務書類が、当社の資産、負債、財政状態、
キャッシュ・フロー及び業績並びに連結財務書類に記載された事項全体を真正且つ公正に示していること。
2. 当社2018年度年次報告書の「Financial and Operating Review」が、当グループが直面する主要なリスク及び不確実性
に関する記述とともに、事業の進展及び実績及び当社の状態、並びに連結財務書類に記載された事項全体の公正な検討
を示していること。
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コーポレート・ガバナンス報告書
主要方針
取締役会は、優れたコーポレート・ガバナンスは持続可能な価値の実現及びビジネス・インテグリティーの文化の維持の双
方に不可欠であり、これらにより投資家からの信頼が支えらていると考えている。取締役会は、事業計画の着実な達成並びに
法的義務及び企業義務の遵守等、当グループの業績について最終的な責任を負っている。取締役会は、当グループのコーポ
レート・ガバナンスの向上と実施についての責任主体でもある。このコーポレート・ガバナンス報告書は、取締役会が、長期
にわたって株主価値を創造し当グループの発展を推進するために企業活動をどのように管理しているか等、当社のコーポレー
ト・ガバナンス原則とその実施について説明するものである。
当社は、香港証券取引所のメインボードに上場している企業として、高い水準のコーポレート・ガバナンスに力を注いでお
り、優れたコーポレート・ガバナンスを継続して実施していくことは、安定した成長のために不可欠であると考えている。取
締役会の構成員たちが総体として必要な能力と専門性を有し、適宜、取締役会が全体のコントロールを維持しつつ当社取締役
会、各種委員会及び経営陣との間で委任し合うことができるような仕組みによってサポートされていることが肝要である。取
締役会は、当社事業の全域を効果的に管理するため、委任可能な事項を含む社内承認プロセスを定めたガバナンス体制を承認
した。
本コーポレート・ガバナンス報告書において、当社取締役会は、当社のコーポレート・ガバナンスの構造と方針を説明し、
株主に当社のコーポレート・ガバナンスの取組みを伝え、株主にコーポレート・ガバナンスの重要性を示したいと考えてい
る。
当社は、2018年12月31日に終了した13ヶ月を通じて、コーポレート・ガバナンス規則に定める全ての適用規則規定を遵守し
ていた。
取締役会
役割及び責任
取締役会は、当社の運営について、株主に対して責任を負っている。取締役会は、当社の事業の一切の側面において高い水
準のガバナンスを維持し、当グループの戦略的方向性を定め、当グループの経営陣との間で適切なレベルの監視、異議申立て
及び指導を継続的に行うことにより、その義務を全うしている。取締役会は、当グループにとって重要だと考えられる一切の
事柄に関する最終的な意思決定機関でもある。取締役会構成員が、1つの集合体として、その役割を効果的に果たすための適
切な能力、知識及び専門性を確保し続けるようにすることも、取締役会の責任である。
これらの事柄において、取締役会は、当社の業務管理について取締役会を代表して行為する権限を有するグループ最高執行
役員を通じて、経営における業務上の問題に関するリーダーシップをとっている。取締役会からグループ最高執行役員に委任
できない事柄については、取締役会の責任となる。
当社取締役会はまた、コーポレート・ガバナンスの向上のため、監査委員会及びリスク委員会の提言する様々な方針を採用
及び/又は更新した。
13 ヶ月の対象期間中に当社取締役会は、当社のコーポレート・ガバナンス規則の遵守状況(株主に対する報告における必要
な開示を含む。)を審査した。
当社取締役会は、自ら、又は監査委員会、指名委員会、報酬委員会及びリスク委員会への権限移譲を通じて、下記の職責を
遂行している。
(a)当社のコーポレート・ガバナンスに関する方針及び実務を策定及び審査すること。
(b)取締役及び上級経営陣の研修及び継続的専門性開発を審査及び監督すること。
(c)当社の法令上及び規制上の要件の遵守に関する方針及び実務を審査及び監督すること。
(d)当グループの全ての役員及び従業員に適用される行動規範を策定、審査及び監督すること。
(e)当社のコーポレート・ガバナンス規則の遵守状況を審査し、本コーポレート・ガバナンス報告書においてこれを開示す
ること。
さらに、当社は、取締役による当社の証券の取扱いについてモデル規約の規定と同等以上に厳格な独自の取締役及び最高執
行役員取扱規程(以下「取扱規程」という。)を採用した。全ての取締役は、当社の特別調査の後、2018年12月31日に終了し
た13ヶ月中、モデル規約及び取扱規程に定められた要求基準を遵守したことを確認した。
取締役会 の評価
当社取締役会は、取締役会とその委員会の継続的且つ効果的な業務の遂行を確保するため、取締役会とその委員会及び独立
取締役の実績の公式評価を年1回実施している。この評価は、内部評価又は独立の社外コンサルタントを通じて行われる。そ
の際に取締役から意見とコメントを収集するため、特別の質問票が使用される。評価の結果は、当社取締役会により精査、検
討され、適切なフォローアップ措置を策定するために役立てられる。
取締役会の構成
2018 年12月31日現在及び本コーポレート・ガバナンス報告書の日付である2019年3月15日現在にかけて、取締役会は1名の
執行取締役と10名の社外非執行取締役の11名で構成された。当社の全ての企業通信は、その取締役の氏名が記載された箇所を
参照することにより、当社の全取締役を明確に特定できるようになっている。取締役会はバランスよく構成され、取締役は各
自、当グループの業務運営と発展に関して適切な取締役会レベルの経験と専門性を有している。当社取締役会は、様々な経歴
による事業、金融、政府、規制当局及び政策に関する幅広い経験を有する者で構成されている。当社取締役会は、国籍、民族
性、学歴、専門、性別、年齢、経験の点で多様性を有している。
取締役の経歴については、「第一部-第5-4 役員の状況-(1) 取締役会及び執行委員会-取締役」を参照のこと。
取締役会の独立性
当社取締役会の90%超(11名中10名)は社外非執行取締役である。ツェ氏について下記に開示している内容を除き、当社の
社外非執行取締役は、各自香港上場規則の第3.13条に定められた独立性に関するガイドラインを満たしており、その独立性に
ついて、必要な年次確認を当社に提出した。ツェ氏は、AIAファウンデーション(当社の子会社)の現職の取締役であること及
び社外非執行取締役に再任される前の2010年9月27日から2017年3月22日まで当社の非執行取締役を務めたことを除き、香港
上場規則の第3.13条に定められた独立性に関するガイドラインを満たしている。当社は、ツェ氏が2010年9月27日の当社非執
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行取締役就任以後、当社又はそのいずれかの子会社においていかなる業務執行又は経営管理に関する役職にも就いていないこ
と、並びに当該期間中のいずれの時点においても同氏が当社又はそのいずれかの子会社に雇用されていないことを根拠とし
て、 同氏が香港上場規則の第3.13条に定められた独立性に関するガイドラインに基づく独立性を有していることを確信してい
る。同氏は、当グループの取締役会及び委員会の会合への出席と参加を除き、当社又はその子会社の日常の経営管理業務に携
わっていない。
本報告書に開示される内容を除き、社外非執行取締役は、当社又はその子会社と取引関係はなく、また、重要な経済的利害
関係も有していない。したがって、当社は、全ての社外非執行取締役が、独立性を維持していると考えている。
取締役会の手続
取締役会は、全体的な戦略を決定し、経営に関する報告を受け、事業計画や中間及び年次決算を承認し、その他重要な事柄
を検討するために、年間最低4回開催される。また会議では、上級経営陣が当グループの事業活動及び進展状況に関する最新
情報並びに規制及び政策に関する最新情報を定期的に取締役会に報告する。
当社取締役は、関連ある委任事項に基づき、適当と思料する場合はいつでも経営陣から更なる情報を請求する権限を付与さ
れている。
13 ヶ月の対象期間中、取締役会は7回予定され、それらは全て、当社定款に従って開催され、取締役は直接又は電子的通信
手段を利用して出席した。
13 ヶ月の対象期間中における各取締役の取締役会会議、委員会会議及び当社の2018年度の年次株主総会(2018年度株主総
会)の出欠は以下の通りである。
出席した会議の数/開催された会議の数
監査委員 指名委員 報酬委員 リスク委 2018 年度
取締役会
取締役の氏名 会 会 会 員会 株主総会
社外非執行役会長兼社外非執行取締役
–
エドマンド・セー-ウィン・ツェ氏 7/7 1/1 4/4 4/4 1/1
執行取締役、グループ最高執行役員兼プレ
ジデント
– – –
ヌガ・ケン・ホーイ氏 7/7 4/4 1/1
社外非執行取締役
–
ジャック・チャク-クォン・ソー氏 3/7 3/4 1/1 4/4 1/1
– –
チャン-コン・チョウ氏 6/7 1/1 4/4 1/1
–
ジョン・バリー・ハリソン氏 7/7 4/4 1/1 4/4 1/1
–
ジョージ・ヨン-ブーン・イェオ氏 6/7 4/4 1/1 3/4 1/1
– –
モハメド・アズマン・ヤヒヤ氏 7/7 1/1 4/4 1/1
– –
ローレンス・ジュエン-イー・ラウ教授 7/7 1/1 4/4 1/1
– –
スウィー-リャン・テオ氏 7/7 1/1 4/4 1/1
– –
ナロンチャイ・アクラサニー博士 7/7 4/4 1/1 1/1
– – –
セサール・ベラスケス・プリシマ氏 6/7 1/1 1/1
当社取締役会及び全ての委員会の議事録及び書面決議は、会社秘書役が管理している。各当社取締役は、適切な通知を行う
ことにより、かかる議事録及び書面決議を閲覧調査することができる。
会長及びグループ最高執行役員
当社の社外非執行役会長であるエドマンド・セー-ウィン・ツェ氏は、当社取締役会によるその責務の履行について当社取締
役会を主導するという重要な役割を果たしている。グループ最高執行役員兼プレジデント及び上級経営陣のサポートのもと、
ツェ氏は、全ての取締役が、取締役会で持ち上がった問題について適切に概要を把握し、速やかに、適切且つ信頼できる情報
を与えられるよう努めている。ツェ氏はさらに、優れたコーポレート・ガバナンスが実体面及び手続面ともに実践されること
についての責任者でもある。
当社のグループ最高執行役員兼プレジデントであるヌガ・ケン・ホーイ氏は、取締役会に対して報告義務を負い、一切の業
務運営と業務管理を包括した、総括的なリーダーシップと、当グループの戦略及び経営管理並びに利益状況について責任を
負っている。ヌガ氏は唯一の執行取締役として取締役会に出席し、同氏のグループ最高執行役員兼プレジデントとしての地位
において、取締役会が、当社の業績に関する重要な事項について最低でも月単位で報告を受けられるよう確保する。ヌガ氏
は、当社の方針と、その与えられた権限と、所定の報告義務の枠内においてその責任を果たし、当グループの上級経営陣より
助言と助力を受ける。
役割の分離により、取締役会を管理するという会長の責任と当グループの事業を管理するというグループ最高執行役員兼プ
レジデントの責任との間に明確な区別が確保される。
当社取締役会、取締役会議長及びグループ最高執行役員の役割と責任については、当社の取締役会規程に定められており、
かかる取締役会規程は当社のウェブサイト(www.aia.com)で閲覧可能である。
取締役の選任
当社は、新取締役の選任に際して、正式且つ透明性のある手続を採用している。当社取締役会は、新たな当社取締役の選任
について、当社取締役候補の経歴を検討する指名委員会からの推薦を受ける。取締役会は、承認手続に入る前に、かかる推薦
について慎重に議論する。かかる点においてより高い透明性を促すため、2019年3月14日に取締役指名方針(Directors’
Nomination Policy)が採択された。取締役指名方針の概要については、下記「取締役会の委員会-指名委員会」を参照のこ
と。
全ての当社取締役(非執行取締役を含む。)は、当社定款及びコーポレート・ガバナンス規則に従い、3年に1度の交代制
により退任し、当社定時株主総会における再任手続に服する。
初任時と継続的な育成
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当社は各取締役に、個別の導入、研修及び育成プログラムを提供している。選任時には、各取締役は、包括的且つ個々の必
要に応じた導入プログラムを受けることになっている。導入プログラムでは、主に、取締役会及び重要な委員会の役割、グ
ルー プ構成、ガバナンス体制、並びに適用法令に基づく取締役の職務及び責任について取り扱う。
取締役は、当グループの基幹事業、当グループが属する市場及び全体的な競争状況について詳細な説明を受ける。その他、
金融業を行う会社の取締役に関する法的事項やコンプライアンスに関する事柄、当グループのガバナンスの仕方、当グループ
の会計に関する基本事項、内部監査機能及びリスク管理機能、当グループの対投資家プログラム及び取締役の報酬に関する方
針についても説明が行われる。取締役は、法令を遵守し、常に優れたコーポレート・ガバナンスを実現するため、当グループ
の事業並びに香港上場規則及びその他の適用のある法令上の義務の最新の改正について、継続的な学習を行う。
13 ヶ月の対象期間中、当社は取締役会戦略検討日を企画し、将来の事業機会獲得を目的とした当グループの戦略の導入状況
並びに当グループの主要な事業及び重要な商品の最新の状況について報告するための説明会を取締役のために複数回にわたり
開催した。2018年12月に当社取締役会はベトナムのホーチミンを訪問し、そこで当社取締役は当グループの現地事業について
詳細な報告を受けた。またかかる視察は、当社取締役にとって、オーストラリアの保険分野とその継続的成長の見通しに関す
る新たな洞察を得る機会となった。
全ての取締役は、専門分野の継続的な発展に取り組み、その知識と技術を深め、更新していくことを奨励されており、各々
の研修記録を当社に提出することを義務付けられている。13ヶ月の対象期間中に取締役が受講した研修は、以下に要約され
る。
研修の内容
規制又はガバナンスの改正に関連 当グループの事業に関連する会社
する資料の閲覧又は説明会/セミ 行事/取締役会視察/執行役員説
取締役の氏名 ナー/会議への出席 明会への参加
社外非執行役会長兼社外非執行取締役
エドマンド・セー-ウィン・ツェ氏 ○ ○
執行取締役、グループ最高執行役員兼プレジ
デント
ヌガ・ケン・ホーイ氏 ○ ○
社外非執行取締役
ジャック・チャク-クォン・ソー氏 ○ ○
チャン-コン・チョウ氏 ○ ○
ジョン・バリー・ハリソン氏 ○ ○
ジョージ・ヨン-ブーン・イェオ氏 ○ ○
モハメド・アズマン・ヤヒヤ氏 ○ ○
ローレンス・ジュエン-イー・ラウ教授 ○ ○
スウィー-リャン・テオ氏 ○ ○
ナロンチャイ・アクラサニー博士 ○ ○
セサール・ベラスケス・プリシマ氏 ○ ○
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取締役会の委員会
当社のコーポレート・ガバナンスは、当社取締役会と、当社取締役会によって設けられた4つの委員会、すなわち、監査委
員会、指名委員会、報酬委員会及びリスク委員会を含む階層構造によって実施されている。全ての当社取締役会委員会の構成
及び委任事項は、香港証券取引所及び当社の各ウェブサイトで閲覧可能である。当該4つの当社取締役会委員会に加え、執行
委員会、グループ業務リスク委員会及びグループ金融リスク委員会等を含む複数の管理委員会が設置されている。
監査委員会
監査委員会は4名の委員により構成され、その全員が社外非執行取締役である。かかる委員とは、監査委員会議長を務める
ハリソン氏、ソー氏、イェオ氏及びナロンチャイ博士である。監査委員会が13ヶ月の対象期間中に行った職務には、当グルー
プの財務報告システムの監視、リスク管理及び内部統制システムの見直し、決算日の変更に係る検討、当社の財務情報(当グ
ループの四半期業績ハイライト、中間業績及び年次業績を含む。)作成における完全性の確保、当グループの財務及び会計に
関する方針及び実務及び内部告発手続の見直し、並びに内部監査機能の資源の妥当性及び有効性の監視が含まれる。監査委員
会によるリスク管理及び内部統制システムの有効性の見直しの方法ついては、本報告書の「リスク管理及び内部統制」を参照
のこと。
監査委員会はまた、当グループの外部監査役との関係の監視及び調整(外部監査役の独立性及び客観性の監視や適用される
基準に従って監査手続を行った場合の有効性の管理監督を含む。)も行った。
監査委員会は、2018年12月31日に終了した13ヶ月中、4回の会議を行った。監査委員会の委員の出欠状況については、上記
「取締役会-取締役会の手続」を参照のこと。
指名委員会
指名委員会は10名の委員により構成される。かかる委員とは、指名委員会の議長を務める社外非執行役会長のツェ氏と、
ソー氏、チョウ氏、ハリソン氏、イェオ氏、ヤヒヤ氏、ラウ教授、テオ氏、ナロンチャイ博士及びプリシマ氏の9名の社外非
執行取締役である。当期13ヶ月における指名委員会の職務には、取締役会の構造、規模及び構成(取締役会構成員の技能、知
識、経験並びに経歴及び経験の幅広さを含む。)に関する審査及び取締役会に対する助言、取締役候補者の身元確認及び評価
の監督、取締役の承継計画策定に関する監督と指示、取締役会委員会の構成の決定が含まれる。
取締役の任命、選考、再任について、指名委員会の手続並びに選定と取締役会に対する推薦に関する基準の透明性の向上を
推進するため、指名委員会の提言に基づき、2019年3月14日付で取締役指名方針(Directors’ Nomination Policy)が採択さ
れた。
取締役指名方針の概要は以下の通りである。
・取締役として任命、選考又は再任を提案される候補者の適性の評価において、指名委員会は、取締役指名方針に定める選考
基準に基づき候補者の検討を行う。選考基準には、特に、候補者の技能、知識、経験、経歴が、取締役会の多様性に関する
方針に定める多様性の観点からの利益を適切に考慮して、在任の取締役会構成員を補完し、拡充することになるかどうか、
候補者の人格、評判、品位、能力水準、並びに取締役の職務遂行のために十分な時間を割けるかどうかが含まれる。さらに
独立非執行取締役として指名を提案される候補者については、香港上場規則ルール3.13に基づく独立性要件を満たしている
ことも要求される。
・新任の取締役の任命又は選考について、指名委員会は、候補者が取締役としてふさわしい資格を備えているかどうかの判断
を主導する。指名委員会は、在任取締役から推薦された者について、取締役指名方針に定める選考基準に基づく調査を支援
するため、公開広告や外部助言者のサービスを利用して被推薦者の検討を行うことができる。 また、株主も、当社のウェブ
サイトに記載されている関連手続に従い、株主総会において当社の取締役として選任される者を提案することができる。指
名委員会は、面談、経歴調査、第三者への照会、及び/又は同委員会が必要且つ適切とみなす一切のプロセスを通じて候補
者の適性を評価する。
・退任する取締役の再任について、指名委員会は、退任する取締役の当社に対する過去の貢献全般について審査し、再任候補
者が取締役指名方針に定める選考基準を引き続き満たしているかどうかを判断する。
上記のプロセスは、全ての取締役が要求される人格、経験、品位を備え、取締役の地位にふさわしい能力水準を実証できる
ようにすることを目的としている。
さらに、2013年に当社取締役会が採択した取締役会の多様性に関する方針は、当社の適切な多様性を確保するアプローチに
ついて定めており、その概要は以下の通りである。
・当社取締役に選任される候補者の検討及び選定は実績に基づいて行われ、候補者の人格、経験、学歴、業界又は関連の経験
及びより一般的な経験の審査を含む。
・上記の実績を最優先する条件の範囲内で、指名委員会は、当社取締役会の欠員の補充に当たって、適切な経歴と業界又は関
連の専門知識及び経験を備える候補者の中から、経歴と意見の多様性をもたらす候補者を積極的に検討することに努める。
指名委員会の検討事項には、人種、性別、年齢、国籍、文化的背景及び学歴等の要因に関する適切な多様性の水準を確保す
ることが含まれる。
・指名委員会は、(a) 当社取締役会の構成の審査において、当社取締役会のスキル、経験、知識及び特性の適切な範囲とバラ
ンスを維持するため、あらゆる多様性の側面(上記のものを含むが、それらに限定されない。)における利益を検討するとと
もに、(b) 当社取締役会の業績評価の一環として、当社取締役会のスキル、経験、知識及び独立性のバランスを検討する。
・指名委員会による当社取締役会の構造、規模及び構成の年次審査の一環として、指名委員会は、当社取締役会の多様性に関
する事項について明示的に検討し、当社取締役会に対するコメントにこれを含める。
指名委員会は、2018年12月31日に終了した13ヶ月中、1回の会議を行った。指名委員会の委員の出欠状況については、上記
「取締役会-取締役会の手続」を参照のこと。
報酬委員会
報酬委員会は、4名の委員により構成され、その全員が社外非執行取締役である。かかる委員とは、報酬委員会議長を務め
るソー氏、イェオ氏、ヤヒヤ氏及びツェ氏である。報酬委員会の職務は、当グループの取締役と上級経営陣の報酬方針につい
て取締役会に助言を行うこと、及び当グループの執行取締役及び上級経営陣に付与される報酬を審査及び承認することであ
る。
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報酬委員会は、2018年12月31日に終了した13ヶ月中、4回の会議を行った。報酬委員会の委員の出欠状況については、上記
「取締役会-取締役会の手続」を参照のこと。同委員会が13ヶ月の対象期間中に行った主な活動の詳細は、コーポレート・ガ
バナンス報告書の中の報酬に関する報告書に記載されている。
リスク委員会
リスク委員会は6名の委員により構成される。かかる委員とは、5名の社外非執行取締役、すなわちリスク委員会議長を務
めるチョウ氏、ハリソン氏、ラウ教授、テオ氏、ツェ氏、及び唯一の執行取締役であるヌガ氏である。リスク委員会が13ヶ月
の対象期間中行った職務には、当グループのリスク・プロファイル及びリスク管理戦略に関する取締役会に対する助言、中間
報告書及び年次報告書の開示内容、リスク管理関連の方針及びガイドライン、法定のソルベンシー・ポジション、リスク選好
度及び指標の検討及び見直し、リスク管理及びコンプライアンス体制の監督、リスク管理及び内部統制システムの見直し、当
社のリスク管理構造の承認並びに主要なリスクの検討が含まれる。リスク委員会によるリスク管理及び内部統制システムの有
効性の見直しの方法ついては、本報告書の「リスク管理及び内部統制」を参照のこと。
リスク委員会は、2018年12月31日に終了した13ヶ月中、4回の会議を行った。リスク委員会の委員の出欠状況については、
上記「取締役会-取締役会の手続」を参照のこと。
外部監査役
当社の外部監査役はプライスウォーターハウスクーパースである。監査委員会は、取締役会の承認及び当社の株主総会にお
ける株主の承認が必要な外部監査役の選任、再任及び解任について、取締役に提言を行う責任を負っている。監査委員会は、
外部監査役の評価において、当該外部監査役の有する関連ある経験、実務の遂行状況、客観性及び独立性を考慮する。当社取
締役会は、関連あるガバナンス実務を改善するため、外部監査役の指名及び任命並びに外部監査役により提供される業務に関
する方針を採用した。
さらに監査委員会は、外部監査役が提供する非監査業務とその報酬について定期的に審査を行っている。2018年12月31日に
終了した13ヶ月について当グループからプライスウォーターハウスクーパースに支払われる見積報酬総額は23.0百万米ドル
(2017年11月30日に終了した12ヶ月は20.0百万米ドル)であり、その明細は以下の通りである。
(単位:百万米ドル) 2018 年度 2017 年度
(注)
監査業務
16.7 16.0
非監査業務
(注)
監査関連業務
2.0 2.3
税務 1.7 0.9
その他の業務 2.6 0.8
合計 23.0 20.0
(注)監査業務の費用には、前年度においては監査関連業務の一部として報告されていたエンベディッド・バリューに関する補足情報の監査
が含まれる。比較情報は、当年度の表示に準拠するよう調整されている。
上記の報酬に加え、2018年12月31日に終了した13ヶ月について、当グループが投資顧問、マネージャー又は運用管理者と
なっているファンドからプライスウォーターハウスクーパースに0.8百万米ドル(2017年11月30日に終了した12ヶ月は0.8百万
米ドル)の監査報酬が支払われている。
会計責任及び監査
財務報告
当社の年間業績及びその他の財務情報は香港上場規則その他の適用ある法令及び業界におけるベスト・プラクティスに従っ
て公表された。当社の財務書類の作成にあたり、当社取締役会は、かかる情報を網羅的且つ有益で読み易いものとすることを
心掛けている。
取締役は、当社の連結財務書類作成は自らの責任であることと、当社の連結財務書類作成において適用ある義務及び基準を
全て満たすようにする責任が自分たちに課されていることを理解している。
当社の連結財務書類について報告義務を負う当社監査役の意見は、本有価証券報告書の独立監査人の監査報告書の中に記載
されている。
リスク管理及び内部統制
当社取締役会は、その委員会の支援のもと、当グループのリスク管理と内部統制のシステムの継続的な監督について責任を
負っている。当社取締役会は、年に1回の頻度でリスク管理及び内部統制システムの有効性を審査している。
当グループのRMFは、全てのリスクを解消することを目指すのではなく、事業の持続可能性と長期的な価値の創出を支えるた
め、リスクを特定し、理解し、許容可能な制限内で管理することを目指しており、重大な虚偽表示や損失に対し、絶対的では
なく、合理的な範囲でのみ保証を提供することができる。RMFの主要な特徴とその他の情報及び重大なリスクを特定し、評価
し、管理するために用いられるプロセスについては、上記「第2 企業の概況-3 事業の内容-(2)事業」における「リ
スク管理」を参照のこと。
当社は内部監査の機能(以下「内部監査機能」という。)を備えている。当社の内部統制システムの主要な特徴として、内
部統制に関する独立の審査と検査、リスク・ベースのアプローチの採用、年次監査計画の策定と監査委員会への提示等が挙げ
られる。重要な監査結果については、報告書が作成され、経営陣と監査委員会に通知され、統制上の弱点や欠陥が確認された
場合、それらを解決するための提言が示される。この提言には、内部監査、科学的検査、規制上の報告、特別プロジェクトに
より公式に確認された事項が含まれる。経営陣は、事業とプロセスを通じた内部統制システムの設計、実施、評価(継続的な
リスク軽減活動を含む。)について責任を負う。
当社取締役会は、リスク委員会及び監査委員会を通じて、当グループのリスク管理及び内部統制システム(財務、業務及び
コンプライアンスの統制等のあらゆる重要な統制を管掌する。)の妥当性と有効性について、以下の事項を含む審査を実施し
た。
・資源の妥当性、スタッフの適格性と経験、研修プログラム、並びに当グループの会計、内部監査及び財務報告機能の予算。
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・経営陣が特定したリスクの分野並びに経営陣によるリスクの継続的監視及びリスク管理システムの質と対象範囲。
・前回の審査以後の重大なリスクの性質と範囲の変化、並びに外部環境及び事業における変化に対する当グループの対応能
力。
・経営陣が実施する内部統制システムの質と対象範囲及び内部監査機能の業務と有効性、並びに内部監査機能により報告され
た一切の重大なリスク。
・当グループのリスク管理及び内部統制システムの有効性評価を可能にするために行われる当社取締役会及びその委員会に対
する監視結果の通知の範囲と頻度。
・当年度中に確認された一切の重大な統制上の欠点又は弱点の発生並びにそれらが当グループの財務業績又は財務状態に重大
な影響を及ぼした範囲。
・当グループの財務報告及び規制の遵守に関するプロセスの有効性。
・内部及び社外の監査人が行った業務の範囲並びに内部及び社外監査報告から生じた一切の重大事項。
・経営陣による統制自己評価活動の結果。
当グループの リスク管理及び内部統制システムの年次審査は、経営陣(当社及び子会社の双方のレベルによる)、当社のリ
スク及びコンプライアン機能並びに内部監査機能により行われる内部認証プロセスによる支援を受けている。
経営陣は、当社取締役会に対し、当グループのリスク管理及び内部統制システムが適正且つ有効であることを確認してい
る。審査結果と経営陣の確認に基づき、当社取締役会は、2018年12月31日に終了した13ヶ月について当グループのリスク管理
及び内部統制システムが適正且つ有効であると判断している。
内部情報
当社は、内部情報の取扱いと配布に関する適切な手続と内部統制を以下の通り実施している。
・当社は、当社の全ての現在の投資家と見込投資家、市場参加者及び公衆が、適時且つ同時に当グループに関する適切な情報
の提供を確実に受けられるようにするため、内部情報の開示に関する方針を設定している。この方針は全ての関連スタッフ
に通知され、当該スタッフに対する関連研修も実施されている。
・さらに、様々な内部及び外部の利害関係者との通信の管理に関する当グループ内の統制プロセスを実施するため、書面の通
信に関するプロトコルが設定されている。このプロトコルでは、該当する利害関係者に当グループに関する情報を提供する
権限を有する広報担当者のリストが明示されている。当社の行動規範(かかる行動規範は、対象期間中に更新されてい
る。)には、さらに秘密情報又は非公開情報の無権限の使用を厳格に禁止する条項が盛り込まれている。
会社秘書役
全ての取締役は、その職務並びに当社取締役会及び当社取締役会委員会の有効な運営に関連し、いつでも会社秘書役に助言
を求め、そのサービスを利用することができる。会社秘書役は全てのコーポレート・ガバナンスに関する事項について当社取
締役会に助言を行い、当社取締役の初期研修及び専門性開発を推進し、当社取締役会及びその委員会の内部、並びに経営陣と
非執行取締役の間における適切な情報の流れと連絡を確保する。さらに会社秘書役は、当社取締役会と当社取締役会委員会の
方針及び手続の遵守、並びに香港上場規則に基づく当社取締役会の株主に対する責務の履行を確保するために重要な役割を果
たしている。13ヶ月の対象期間中、会社秘書役は、少なくとも15時間にわたる継続的な関連専門性研修を行った。
株主との連絡
当社取締役会は、当社株主との間に常時連絡の手段を確保することの重要性を理解しており、定時株主総会、プレスリリー
ス、アナウンスメント、及び年次報告書、中間報告書及び通達書等の企業通信を通じてこれを行う。当社取締役会は、適時の
情報開示に取り組んでいる。当グループの活動、アナウンスメント、業績発表、ウェブキャスト及び企業通信に関する最新情
報は当社のウェブサイト(www.aia.com)で随時参照可能である。
対投資家機能は、当社の投資家との関係を監督している。当社の機関株主基盤は地理的多様性を有しており、当社は広範な
証券会社の調査アナリストから幅広い分析の対象となっている。当社は、会合、投資カンファレンス、ロードショー等の定期
的な投資家との交流を通じて機関投資家との活発で開かれた対話の機会を維持している。当社に関する投資家のフィードバッ
クやアナリストの報告は、定期的且つ組織的に当社取締役会と執行委員会に回覧され、当社の業績に対する外部の意見の理解
が促進されている。
当社取締役会は株主との連絡に関する方針を採用しており、かかる方針は、その有効性の確認のため、定期的な見直しが行
われる。当社取締役会は、株主及びその他の利害関係者からの意見、質問及び問い合わせを歓迎する。
株主及びその他の利害関係者は、当社取締役会宛に問い合わせをすることができる。
2018 年度株主総会
当社の直近の株主総会である2018年度株主総会は、2018年5月18日に、香港、九龍、東尖沙咀、モーディ・ロード 72、
ニュー・ワールド・ミレニアム香港ホテル2階、グランド・ボールルーム(Grand Ballroom, 2/F, New World Millennium Hong
(注)
Kong Hotel, 72 Mody Road, Tsim Sha Tsui East, Kowloon, Hong Kong )で開催された 。2018年度株主総会には、会長及び当時
の取締役会のその他の全構成員並びに当グループの上級経営陣及び外部監査役が出席した。投票結果は当社及び香港証券取引
所の両ウェブサイトで閲覧できる。2018年度株主総会における主な決議事項は以下の通りである。
・2017年11月30日に終了した事業年度に関する当社の監査済連結財務書類及び取締役報告及び独立監査人の監査報告書の受領
・2017年11月30日に終了した事業年度の期末配当1株当たり74.38香港セントの宣言
・個別の普通決議による、ヌガ氏の当社執行取締役再任、並びにプリシマ氏、ラウ教授、チョウ氏及びハリソン氏の当社社外
非執行取締役再任
(注)
・プライスウォーターハウスクーパースの次回年次株主総会 閉会までの当社監査役再任、及び取締役会に対する、監査報
酬を修正する権限の付与
・取締役に対する、2018年度株主総会現在の当社発行済株式総数の10%を超えない限度での当社株式の追加的発行の包括委任
(追加発行される一切の株式の割引額が基準価格の10%を超えないことを条件とする。)
・取締役に対する、2018年度株主総会現在の発行済当社株式総数の10%を超えない限度での当社の自己株式の買い戻しの包括
委任
・取締役に対する、当社株式の香港証券取引所上場日現在の当社発行済株式数の2.5%を超えない限度でのRSU制度に基づく当
社株式の発行の包括委任
(注)
当社の次回の定時株主総会は、2019年5月17日金曜日に開催される 。
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有価証券報告書
(訳注)本コーポレート・ガバナンス報告書の日付である2019年3月15日現在の記述である。
株主の権利
株主総会
株主総会において議決権を有する当社の全株主の議決権総数の5%以上を代表する当社株主は、株主総会の招集を請求する
ことができる。かかる請求が行われた場合、当社は当該株主総会を招集しなければならない。当該請求はハードコピー又は電
子的形式のいずれかにより、当該請求を行う者による認証を受け、香港、コンノート・ロード・セントラル1、AIAセントラ
ル、35/F(35/F, AIA Central, No. 1 Connaught Road Central, Hong Kong)の当社登録事務所に寄託するか、会社秘書役宛
でir@aia.comに電子メールで送信しなければならない。
当社株主は、株主総会の招集について、香港会社条例第566条ないし第568条に言及すべきものとする。
定時株主総会における決議案の提出
当社株主は、決議案通知を当社に請求し、かかる決議案を定時株主総会において提出することができる。
当社は、以下のいずれかの者から当該請求を受領した場合は、当該決議案通知を送達しなければならない。
(a)当該請求に係る定時株主総会において当該決議について議決権を有する当社の全株主の議決権総数の2.5%以上を代表す
る当社株主
(b)当該請求に係る定時株主総会において当該決議について議決権を有する50名以上の当社株主
当該請求は、通知すべき決議を特定し、ハードコピー又は電子的形式のいずかの形式により、当該請求を行う者による認証
を受け、当該請求に係る定時株主総会の6週間前まで、又は当該株主総会の招集通知が送達される時まで(いずれか遅い方)
に当社に受領されなければならない。当該請求は、香港、コンノート・ロード・セントラル1、AIAセントラル、35/F(35/F,
AIA Central, No. 1 Connaught Road Central, Hong Kong)の当社登録事務所に寄託するか、会社秘書役宛でir@aia.comに電
子メールで送信しなければならない。
当社株主は、定時株主総会における決議案の提出に係る手続に関する香港会社条例第615条及び第616条に言及すべきものと
する。
取締役の選任における推薦
当社株主は当社定時株主総会において取締役として選任すべき者を推薦することができる(退任する取締役自身を除
く。)。推薦の手続については当社ウェブサイト(www.aia.com)を参照のこと。
設立文書
当社定款(英語及び中国語の両方)は、当社及び香港証券取引所の両ウェブサイトにて閲覧可能である。13ヶ月の対象期間
中、当社定款に変更は無かった。
取締役会の命により
(署 名)
ミッチェル・ニュー
会社秘書役
2019 年3月15日
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報酬に関する報告書
報酬委員会議長の声明
2018 年12月31日に終了した13ヶ月に係る取締役及び経営幹部の報酬に関する報告書を提出いたします。
2018 年12月31日に終了した13ヶ月における報酬委員会の業務は、当社の上級経営陣と従業員の報酬取決めが、当グループの
戦略的優先事項を引き続きサポートし、当社が有能な人材を勧誘、動機付け、維持できるようにすることに重点を置いて行わ
れました。
過年度と同様、報酬委員会は、市場の慣行、規制環境、AIAのリスク管理体制、株主の利益を踏まえ、当グループの経営陣の
報酬について精査する厳格なプロセスを実施しました。
・2018年度第1四半期に報酬委員会は、グループ執行委員会の新任のメンバーであるグループ最高デジタル担当役員の報酬
パッケージについて審査を行い、その後これを承認しました。
・2018年度第2四半期に報酬委員会と当社取締役会は、短期インセンティブ・プランにおいて使用される財務業績測定基準
について審査を行いました。この審査を受けて、当社取締役会は、2019年度以降の年度における短期インセンティブ・プラン
の測定基準の1つとして、超過エンベディッド・バリュー成長率に代えて、原処分可能剰余金創出額を導入することを承認し
ました。このような業績測定基準とその加重の調整は、既存事業の成長、利益、質を引き続き重視しつつ、賢明で持続可能且
つ漸進的な株主配当方針を支える資本と現金の創出に対する重点的な取組みを強化するものです。
・さらに報酬委員会は、当社取締役会議長と非執行取締役の報酬について審査を行った後、取締役会に報酬の調整を提案
し、承認を求めました。この報酬の変更は、2019年1月1日から適用されています。当社取締役会議長と非執行取締役の報酬
の詳細については、本報告書の「取締役と経営幹部の報酬」を参照してください。
・最後に、2018年度に報酬委員会は、規制環境とコーポレート・ガバナンスに関するベスト・プラクティスについて監視し
ており、今後も監視を継続していく方針です。
2018 年度に当グループの上級経営陣の全体的な報酬構造は変更されておらず、2019年度も引き続き適用される予定です。過
年度と同様に、2018年度においても、当社の経営陣の利益が長期的に株主の利益と密接に連係するように報酬総額の大きな部
分が複数年業績基準確定条件に従って付与されています。
全体として、報酬委員会は、当グループの現行の報酬取決めを2019年度においても維持すべきであると判断しており、本報
告書が当社の方針と実務慣行に関する明確且つ詳細な情報を提示していると確信しています。
当委員会を代表して、株主の皆様の報酬関連事項に対する継続的なご信頼とご支援に深く感謝いたしますとともに、今後と
もご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
(署 名)
ジャック・チャク-クォン・ソー
報酬委員会議長
2019 年3月15日
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有価証券報告書
報酬に関するカバナンス
報酬委員会の役割
報酬委員会は、グループ最高執行役員兼プレジデント(同氏は当社唯一の執行取締役も兼任している。)と経営幹部(当グ
ループの執行委員会のメンバーであって、それぞれの役職の性質と責任により当グループの事業戦略全般に関する進行、監視
及び報告に直接関与する者)の個別の報酬パッケージを決定する責任を負っており、取締役会に対し、会長及び非執行取締役
に適用される報酬の方針と構造について助言を行う。
報酬委員会は、報酬の方針と構造の発展に向けた正式且つ透明性ある手続を確立する責任も負っている。報酬委員会は、決
定及び助言を行う際に、グループ最高執行役員兼プレジデントと経営幹部の責任、類似会社の支払報酬、当グループ内の報酬
レベル及び実績主義の報酬プログラムの採用等について検討を行う。
報酬委員会は当社の株式制度や当グループのその他のインセンティブ制度の設計と運用を監視し、従業員への株式に基づく
報奨について取締役会に提言し承認をもとめ、またそれらの制度の内容を検討し、必要に応じて修正する。
報酬委員会は取締役会から委任事項に要約された任務を遂行する権限を与えられている。報酬委員会はまた、グループ最高
執行役員兼プレジデント及び/又は経営幹部から報酬に関して必要な情報を取得する権限を有し、必要に応じ外部の専門家に
助言を求めることもできる。
報酬委員会の全委任事項は、www.aia.comで閲覧できる。
構成員及び会議
2018 年12月31日現在、報酬委員会は、4名の社外非執行取締役により構成されている。かかる社外非執行取締役とは、報酬
委員会議長を務めるジャック・チャク-クォン・ソー氏、ジョージ・ヨン-ブーン・イェオ氏、モハメド・アズマン・ヤヒヤ氏
及びエドマンド・セー-ウィン・ツェ氏である。
2018 年12月31日に終了した13ヶ月中、報酬委員会は4回の会議を行った。報酬委員会の各委員の出欠記録については、上記
「コーポレート・ガバナンス報告書-取締役会-取締役会の手続」を参照のこと。
報酬委員会の活動
2018 年12月31日に終了した13ヶ月に報酬委員会が行った主な活動は以下の通りである。
分野 活動の概要
グループ最高執行役員兼プレジ ・ グループ最高執行役員兼プレジデント及び経営幹部の期首又は任命時における報酬
デント及び経営幹部の報酬の決 パッケージの内容を審査し、承認した。
定 ・ グループ最高執行役員兼プレジデントの2018年度長期インセンティブ報奨について提
言し、独立非執行取締役の承認を求めた。
・ 2018 年度/2019年度の年次審査サイクルにさきがけ、経営陣のベンチマーク業績を審
査した。
当グループのインセンティブ制 ・ 短期インセンティブ・プランの支払及び実績主義の制限付株式ユニットの確定につい
度の設計と運営 て審査し、承認した。
・2018年度に付与された長期インセンティブ報奨について審査し、承認した。
・ 2019 年度短期インセンティブ・プラン及び2019年度長期インセンティブ報奨に用いる
業績測定基準及び目標について審査し、承認した。
報酬に関するガバナンスと開示 ・2017 年度の報酬に関する報告書について審査し、承認した。
・ 当グループの報酬と給付金の取決めを利害関係者の利害と連動させ、また過剰なリス
クの引受を回避するために報酬委員会が検討した内容の概要をリスク委員会に提出し
た。
・香港、アジア・パシフィック地域及びその他の市場における経営陣の報酬に影響を与
える規制とコーポレート・ガバナンスの環境について審査した。
・世界、アジア・パシフィック地域、その他の地域におけるAIAの同業保険会社の最新
の報酬の傾向について審査した。
取締役会議長及び非執行取締役 ・非執行取締役及び取締役会議長のベンチマーク業績について審査した。
の報酬 ・非執行取締役及び取締役会議長の報酬の調整を提案し、取締役会の承認を求めた。
当社役員の報酬方針
報酬方針の目的
当社の取締役報酬方針は、適切なリスク管理体制の中で優れた業績中心主義の文化を育成すべく、衡平で、意欲を高め、競
争力ある報酬パッケージを与えるという理念に基づいている。
この方針は、報酬とインセンティブを、個人の業績と、その者が執務し又は責任を有する業務や機能と、さらには当グルー
プの業績全体に直結させることを目指している。この方針に基づいて設定された報酬及び給付に関する取り決めは、当社株主
の利益に合致するインセンティブを提供するものであり、上級経営陣に当グループの価値に脅威を与えるおそれがある過度な
リスクを引き受けることを奨励するものではない。
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当社の報酬方針の構成要素
下の表は、2018年12月31日に終了した13ヶ月中グループ最高執行役員兼プレジデントと経営幹部に適用された当社の報酬構
造の各要素に関する報酬方針を表している。本方針は、2019年度も引き続き適用される。
要素 目的 決定の基準 運用に関する注記
基本給 基本給は、人材の確保と維持を目 基本給は、その地位に与えられた 報酬委員会は毎年、保険業界にお
的とする定額の現金による報酬要 役割と責任、社内における相関関 ける世界各地のAIAの同業他社及
素である。 係、市場の慣行、個人の経歴及び びより広範な市場レベルと比較し
成績と、当グループの事業目的の て給料の見直しを行う。
達成に必要な能力を備えた人材に 基本給の増額(適用ある場合)は
勤続意欲を持たせ継続させるため 通常3月1日から適用される。
の事柄を考慮して決定される。
短期インセ 短期インセンティブは、当グルー 短期インセンティブの目標額と機 短期インセンティブの支払は、当
ンティブ プの目的達成と個人の貢献を評価 会の上限は、個人の役割及び責任 グループの財務業績目標の達成及
し、これに報いるために、業績基 と変動及び包括報酬パッケージの び個人の貢献に基づいている。
準により現金で支給される報奨で 市場競争力を考慮して決定され
ある。 る。
長期インセ 長期インセンティブは、制限付株 長期インセンティブの付与額は、 長期インセンティブ報奨は裁量に
ンティブ 式ユニット及び株式オプションの 個人の役割及び責任、業績及び潜 ゆだねられており、その参加は毎
形で提供される。 在能力、並びに変動及び包括報酬 年決定される。
いずれの報奨も、役員の利害を株 パッケージの市場競争力を考慮し 報奨は、オーナーシップとインセ
主の利害と一致させるため、ま て決定される。 ンティブをバランス良く実現する
た、重要な貢献を果たした参加者 グループ最高執行役員兼プレジデ ために制限付株式ユニット及び株
に報い、又は将来重要な役割を果 ント及び経営幹部のパッケージの 式オプションの形で提供され、通
たすことが期待される参加者のや 大部分は、長期インセンティブ報 常3年後に確定時期が到来する。
る気を促すために用いられる。 奨の形で提供される。 制限付株式ユニットの場合は既定
の業績要件に服する。
福利厚生及 福利厚生は長期の勤続関係の一環 当社の福利厚生制度は市場競争力 グループ最高執行役員兼プレジデ
び給付金 を担い、報酬の総合価値に貢献す を有し、かつ現地の法令を完全に ントと経営幹部は退職制度に加入
るものである。 遵守するものとなるよう設定され しており、例として、医療保険と
必要に応じ、給付金が提供される る。 生命保険に加盟している。
場合がある。 現地の慣行に準拠し、市場競争力
を確保するため、給付金が提供さ
れる場合がある。
従業員株式 従業員株式購入制度は、AIAの株 本制度は審査に合格した従業員全 参加者は、株式購入に応じて、報
購入制度 式を所有することを促進及び奨励 員が参加することができるが、最 酬委員会が承認した投資上限内の
するマッチング・オファーを伴う 高拠出額が基本給に対するパーセ マッチング株式を受領する。
株式投資機会を従業員に提供する ンテージ又は制度の上限により制 マッチング株式は3年後に確定時
ものである。 限される。 期が到来する。
当社の短期及び長期インセンティブ並びに従業員株式購入制度の運営に関する更なる詳細については以下を参照のこと。
インセンティブ・プラン及び株式に基づく制度
短期インセンティブ・プラン
2018 年度短期インセンティブ・プラン
2018 年度短期インセンティブ・プランのための目標及び機会の上限は、2018年12月31日に終了した事業年度の期首に報酬委
員会により決定され、グループ最高執行役員兼プレジデントと経営幹部に伝えられた。
2018 年度の業績測定基準及び報奨
2018 年度については、短期インセンティブのための業績測定基準は2017年度から変更は無く、以下の通りであった。
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当グループの2018年度短期インセンティブの測定基準
新規契約高 超過エンベディッド・バリュー成長率 税引後営業利益
+ +
比重 比重 比重
60 % 10 % 30 %
新規契約高は、当社が発表する 超過エンベディッド・バリュー成長率は、エ 税引後営業利益は、当社が発
単年度の売上の経済的価値の推 ンベディッド・バリュー営業利益における営 表するIFRS成績に基づいてい
定である。 業実績の変動(現行年度の成績 対 エンベ る。
ディッド・バリューの算定に係る営業上の前
提条件)である。
過去年度に引き続き、グループ最高執行役員兼プレジデント及び経営幹部への支払金額の決定の際においても、個人による
業績への貢献度が考慮されている。
事業年度末日が11月30日から12月31日に変更された結果、2017事業年度に係る短期インセンティブ報奨は、2017年12月分の
支払と併せて、2018年3月に業績目標の達成水準に基づいて支払われた。2018年12月31日に終了した12ヶ月に係る短期インセ
ンティブ報奨は、2018年12月31日に終了した12ヶ月における業績測定基準の達成水準に基づいて2019年3月に支払われる予定
である。
2018 年12月31日に終了した13ヶ月について、ヌガ・ケン・ホーイ氏及び経営幹部に対し支払われた短期インセンティブ報奨
及び両氏に支払われる予定の短期インセンティブ報奨の合計は14,925,211米ドルである。
2018 年12月31日に終了した13ヶ月に係る短期インセンティブの金額は、「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A.
2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及び重要な会計方針」の注記40におい
て、ヌガ・ケン・ホーイ氏については「賞与」として、経営幹部については「給与及びその他の短期従業員給付」の一部とし
て記載されている。
2019 年度短期インセンティブ・プラン
2018 年度に報酬委員会と当社取締役会は、当グループの戦略、株主価値の向上に関する主要な業績指標、市場慣行に照らし
て、当グループの短期インセンティブ・プランの運営について審査を行った。その結果、報酬委員会と当社取締役会は、短期
インセンティブ・プランを当グループの戦略と株主の利益により合致させるため、変更を施すべきであると結論付け、当グ
ループの2019年度のグループ最高執行役員兼プレジデント及び経営幹部に係る短期インセンティブ・プランの運営を以下の通
りに変更することを決定した。
・ 超過エンベディッド・バリュー成長率に代えて原処分可能剰余金創出額を15%の加重で組み入れる。原処分可能剰余
金創出額は、事業により創出された処分可能剰余金から、新規契約に投資された処分可能剰余金、投資収益の変動及びその他
の項目を除外した金額を示す。
・ 税引後営業利益の加重を30%から25%に変更する。
上記の結果、2019年度短期インセンティブ・プランにおける新規契約高、税引後営業利益、原処分可能剰余金創出額の加重
は、それぞれ、60%、25%、15%となる。
このような業績測定基準と加重の調整は、既存事業の成長、利益、質を引き続き重視しつつ、賢明で持続可能且つ漸進的な
株主配当方針を支える資本と現金の創出に対する重点的な取組みを強化するものである。2019年度短期インセンティブ・プラ
ンの運営の詳細は、当社の2019年度年次報告書に記載される。
長期インセンティブ・プラン
RSU 制度と株式オプション制度はいずれも2010年9月28日に当社により採用され、その採用日から10年間効力を有する。かか
る制度の概要については本項の下記及び「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018 年12月31日に終了した事業年度の財
務書類」における「連結財務書類に対する注記及び重要な会計方針」の注記39を参照のこと。
これらの制度は、AIAの成功に重要な貢献をしただけでなく、将来においても重要な役割を果たすことが期待される制度参加
者に動機付けと報奨を与えるように設計されている。
これらの制度に基づき付与される報奨は裁量的なものであり、個人の変動報酬全般、報酬パッケージ全体の競争力、役割及
び責任並びに業績及び潜在力を考慮して年間ベースで決定される。
この制度は、オーナーシップとインセンティブをバランスよく混合させた制限付株式ユニット及び株式オプションの付与を
通じて運営される。報奨は資格条件の基準に従って付与され、通常は3年後に確定する。
その他の報酬の支払の場合と同様に、長期インセンティブの確定は報酬委員会の承認を条件とする。これらの制度は、設
計、プロセス、構造及びガバナンスが一体となってリスクとインセンティブのバランスを取るように働く状態を確保するた
め、定期的に見直される。
RSU 制度と株式オプション制度はいずれも2020年9月27日をもって失効する。当該失効前に報酬委員会は、2019年度中に、当
グループの報酬方針とあわせ、当グループの長期インセンティブの取決めの見直しを行う。
制限付株式ユニット制度
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RSU 制度の目的は、制限付株式ユニットを参加者に与えることを通じて参加者の勤続を促し、参加者の利害を当社の株主の利
害と一致させ、持続可能な価値の創造に報いることである。
RSU 制度では、当社又は当社の子会社の従業員、取締役(社外非執行取締役を除く。)又は役員に対して、当社から制限付株
式ユニットを与えることができる。
2018 年12月31日に終了した13ヶ月に当社は11,617,538個の制限付株式ユニットをRSU制度に基づき付与した。2010年9月28日
のRSU制度の採択以後、2018年12月31日までにRSU制度に基づき累計で74,681,122個の制限付株式ユニットが確定しており、こ
れは当社の上場日における発行株式数の約0.620%に相当する。RSU制度の採択以後、同制度に基づく新株の発行は一切行われ
ていない。
2018 年度の制限付株式ユニットの業績測定基準
過去年度に引き続き、2018年度の業績ベースの制限付株式ユニット報奨の確定要件は、以下の3の業績測定基準における3
年間の業績目標の達成度である。
2018 年度の実績主義の制限付株式ユニットの業績測定基準
エンベディッド・バリューに基づく
新規契約高 当社株主に帰属する持分 相対的株主還元総額
(エンベディッド・バリュー持分)
+ +
比重 比重 比重
3分の1 3分の1 3分の1
新規契約高は当社が発表 エンベディッド・バリュー持分は、当社が 株主還元総額は、一定期間の株式保有
する単年度の売上の経済 発表するエンベディッド・バリュー、のれ による還元高を1年分合計したもの
(注
的価値の推定である。 ん及びその他の無形資産の合計をいう。エ で、株価の変動と、当該期間に受け
1)
ンベディッド・バリューは現在有効な生命 取った(そして再投資した)配当の総
保険事業の経済的価値であり、当グループ 額から算出される。相対的還元総額
の貸借対照表上の純資産を含み、将来の新 は、実績測定期間におけるAIAの株主還
(注 (注2)(注3)
規契約に帰属すべき経済的価値を除く。 元総額を競合他社 の株主還元
1)
総額と比較するものである。
(注1)インセンティブ報奨の決定の際に考慮される新規契約高及びエンベディッド・バリュー持分の成績は、当社が発表するグループ新規
契約高及びグループ・エンベディッド・バリュー持分に基づく。
(注2)2018年度の実績主義の制限付株式ユニットについて株主還元総額を参照する競合他社には、実績測定期間の開始時点においてDow
Jones Insurance Titans 30 インデックス(以下「DJTINN」という。)の構成銘柄となっている19社の生命健康保険会社又は複合種
目保険会社が含まれる。
(注3)2016年度及び2017年度に付与された実績主義の制限付株式ユニットについては、業績はDJTINNを構成する全ての会社と比較される。
実績主義の制限付株式ユニットは、3年間の業績測定期間の終了時に、既定の業績目標と照らして評価される。各業績測定
基準の達成度により、それぞれ、報奨の3分の1が確定する。
・制限付株式ユニットの確定には閾値となる業績(株主還元総額では競合他社の株主還元総額と比較して算出された第1四分
位数)の達成が必要である。
・目標業績レベル(株主還元総額では競合他社の株主還元総額と比較して算出された中央値)では50%の制限付株式ユニット
が確定する。
・最高業績レベル(株主還元総額では競合他社の株主還元総額と比較して算出された第3四分位数以上)では全ての制限付株
式ユニットが確定する。
2018 年度制限付株式ユニット報奨の業績測定基準は、2018年1月1日に開始する3年間について評価される。
2015 年度の制限付株式ユニット報奨の確定
2018 年2月に報酬委員会は、2014年12月1日から2017年11月30日までの3年間における当社の業績を、新規契約高、エンベ
ディッド・バリュー持分及び相対的株主還元総額の測定基準に係る既定の業績目標に照らして評価した後、2015年度の実績主
義の制限付株式ユニット報奨を最大限のレベルの96.17%で確定することを承認した。2015年度の実績主義の制限付株式ユニッ
ト報奨は、2018年3月12日に確定した。
2019 年3月に確定する2016年度の実績主義の制限付株式ユニット報奨の最終確定結果は、当社の2019年度に係る年次報告書
中の報酬に関する報告書において開示される。
2019 年度の 制限付株式ユニット 報奨
報酬委員会は、当社の期末財務成績の発表後、特定の参加者に対し、実績主義の制限付株式ユニットを付与する予定であ
る。報奨付与の詳細は、当社の2019年度年次報告書において開示される予定である。
過年度と同じく、2019年度に付与される制限付株式ユニット報奨の業績評価のため、新規契約高、エンベディッド・バ
リュー持分、相対的な株主還元総額の目標値が引き続き使用される。3つの業績測定基準は、引き続き同等に加重され、2019
年1月1日に開始する3年間にわたって評価される。
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2018 年度の実績主義の制限付株式ユニットと同様に、相対的な株主還元総額の評価については、DJTINNの構成銘柄のうち 生
命・疾病保険会社又はマルチライン保険会社と考えられる企業(19社)が同業他社として選定される。
2018 年12月31日に終了した13ヶ月における制限付株式ユニット報奨の動向
以下の表は、2018年12月31日に終了した13ヶ月における制限付株式ユニット報奨の動向の要約である。
グループ最高執行役員 2018 年12月31日に 2018 年12月31日に 2018 年12月31日に終了した
2017 年12月1日現 2018 年12月31日現在
兼プレジデント、経営 付与日 確定日 終了した13ヶ月中 終了した13ヶ月中 13ヶ月中に取り消された/失
在の制限付株式ユ の制限付株式ユニッ
幹部、その他の適格従 (日/月/年)(注2) (日/月/年)(注3) に付与された制限 に確定した制限付 効した/再分類された制限付
ニット残高(注8) ト残高(注9)
業員及び参加者 付株式ユニット 株式ユニット 株式ユニット(注8)
グループ最高執行
12/3/2018 (注4)
12/3/2015 283,490 – (272,633) (10,857) –
役員兼プレジデン
9/3/2019 (注4)
9/3/2016 320,071 – – – 320,071
ト
10/3/2020 (注4)
10/3/2017 267,659 – – – 267,659
ヌガ・ケン・ホー
1/6/2020 (注4)
31/7/2017 213,164 – – – 213,164
イ氏
15/3/2021 (注4)
15/3/2018 – 439,258 – – 439,258
経営幹部
12/3/2018 (注4)
12/3/2015 1,284,096 – (924,739) (359,357) –
(グループ最高執
1/9/2015 (注5) 169,688 – (169,688) – –
行役員兼プレジデ
9/3/2019 (注4)
9/3/2016 1,661,968 – – (364,163) 1,297,805
ントを除く。)
1/8/2019 (注4)
1/8/2016 41,249 – – – 41,249
10/3/2020 (注4)
10/3/2017 1,441,875 – – (304,526) 1,137,349
1/6/2020 (注4)
31/7/2017 311,947 – – – 311,947
15/3/2021 (注4)
15/3/2018 – 1,070,214 – – 1,070,214
12/9/2021 (注4)
12/9/2018 – 61,010 – – 61,010
その他の適格従業
12/3/2018 (注4)
12/3/2015 10,916,765 – (10,309,414) (607,351) –
員及び参加者
1/9/2018 (注4)
1/9/2015 20,316 – (19,538) (778) –
(退任グループ最
9/3/2019 (注4)
9/3/2016 13,327,726 – (100,739) (1,224,764) 12,002,223
高執行役員兼プレ
1/8/2019 (注4)
1/8/2016 34,621 – – – 34,621
ジデントを含
1/8/2019 (注6)
17/10/2016 101,217 – – – 101,217
む。)(注1)
17/10/2016 (注7) 41,875 – (20,937) – 20,938
10/3/2020 (注4)
10/3/2017 12,134,441 – (46,184) (1,192,358) 10,895,899
1/6/2020 (注4)
31/7/2017 28,519 – – – 28,519
15/3/2021 (注4)
15/3/2018 – 9,815,954 (8,120) (480,755) 9,327,079
15/3/2021 (注4)
29/6/2018 – 108,956 – – 108,956
15/3/2021 (注4)
12/9/2018 – 122,146 – – 122,146
(注1)退任したグループ最高執行役員兼プレジデントであるマーク・エドワード・タッカー氏の2017年12月1日現在残存する制限付株式ユ
ニットを含む。
(注2)2015年11月30日に終了した事業年度中に行われた付与の測定基準日(会計上付与額の決定に使用される日をいう。)は、2015年3月
12日及び2015年9月1日となった。2016年11月30日に終了した事業年度中に行われた付与の測定基準日は、2016年3月9日、2016年
8月1日及び2016年10月17日となった。2017年11月30日に終了した事業年度中に行われた付与の測定基準日は、2017年3月10日及び
2017年7月31日となった。2018年12月31日に終了した13ヶ月中に行われた付与の測定基準日は、2018年3月15日、2018年6月29日及
び2018年9月12日となった。これらの測定基準日はIFRS2に従い決定されている。
(注3)確定日は適用ある取引制限に服する。
(注4)これらの制限付株式ユニットの確定は、上記の業績測定基準の達成を要件とする。
(注5)これらの制限付株式ユニットの確定要件は勤続基準のみである(すなわち、その他に要件はない。)。制限付株式ユニットの4分の
3は2017年9月1日に確定し、4分の1(2017年12月1日現在残存する株式ユニットの全部)は2018年9月1日に確定した。
(注6)これらの制限付株式ユニットの確定要件は勤続基準のみである(すなわち、その他に要件はない。)。全ての制限付株式ユニットが
2019年8月1日に確定する。
(注7)これらの制限付株式ユニットの確定要件は勤続基準のみである(すなわち、その他に要件はない。)。制限付株式ユニットの3分の
1は2017年8月1日に確定し、3分の1(2017年12月1日現在残存する制限付株式ユニットの2分の1)は2018年8月1日に確定
し、3分の1(2017年12月1日現在残存する制限付株式ユニットの2分の1)は2019年8月1日に確定する。
(注8)これらの制限付株式ユニットは、2018年12月31日に終了した13ヶ月中に失効し又は再分類された。かかる制限付株式ユニットの再分
類は、従前「経営幹部」に分類されていた2名の執行役員が、当該期間中「その他の適格従業員及び参加者」となったことに起因し
ている。2018年12月31日に終了した13ヶ月中に取り消された制限付株式ユニットは無かった。
(注9)制限付株式ユニット制度の規則に基づき、それぞれの確定日以前に失効する制限付株式ユニットの2018年12月31日現在の残高を含
む。
株式オプション制度
株式オプション制度の目的は、株主のために創出された価値に適格参加者を参加させることにより、参加者の利害を当社の
株主の利害と一致させることにある。
株式オプション制度では、当社又は当社の子会社の従業員、取締役(社外非執行取締役を除く。)又は役員に対して、当社
から株式オプションを与える。株式オプション受領の際に適格参加者が金銭を支払うことはない。
2018 年12月31日に終了した13ヶ月中、当社は、株式オプション制度に基づき、4,601,313個の株式オプションを1名の当社取
締役並びに当社及びその複数の子会社の一定の従業員及び役員に付与した。これらの株式オプションの行使価格を決定する算
式は、株式オプション制度規則に定められているとおり、(ⅰ)付与日の当社株式の終値、(ⅱ)付与日の直前5営業日の当
社株式の終値平均、(ⅲ)株式の額面価格のうち最も高い価格以上と規定している。株式オプション制度が採択された2010年
9月28日から2018年12月31日までの間、株式オプション制度に基づき累計28,890,733株の新規株式が発行された。これは、当
社上場日現在の発行済株式数の約0.240%に相当する。
全残存株式オプションについて発行することのできる株式及び本制度に基づき付与することのできる株式オプションの総数
は272,209,267個で、本報酬に関する報告書の日付である2019年3月15日現在の発行済株式数の約2.25%にあたる。香港上場規
則の手続要件により、株主の承認が得られない限り、付与予定日以前の12ヶ月の期間中(当該付与予定日を含む。)に一切の
適格参加者にオプションによって与えることのできる株式数は、付与予定日現在の発行済株式数の0.25%までとなっている。
実質株主に対して株式オプションが与えられたことも、個人の上限を超えて与えられたこともない。
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株式オプション制度規則に基づき、株式オプションの保有期間は最短で受領日から6ヶ月となっており、株式オプションは
最長で10年間の有効期間を有する。一般に、当社が付与する株式オプションは、参加者の良好な勤務の継続又は退職を条件
に、 付与日から3年で行使可能となり、その後7年間行使できる。
株式オプションの確定には業績要件はない。各株式オプションは、普通株式1株を申し込む権利を適格参加者に付与する。
株価が行使価格を超過した場合に限りその範囲で利益が生じる。
株式オプション制度は2020年9月27日に失効することとなっており、失効までに残された期間は約1.5年である。2020年の株
式オプション制度失効にかかわらず、制度失効前に付与された株式オプションは、株式オプション制度規則及び香港上場規則
に基づきその効力を維持する。
2018 年度株式オプション報奨
2018 年度に付与された株式オプションは、2021年度に確定する。株式オプション評価の詳細については、「第一部-第6 経
理の状況-1 財務書類-A. 2018 年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及び重要な
会計方針」の注記39を参照のこと。
2015 年度株式オプション報奨の確定
2015 年度に付与された株式オプションの全部が、2018年3月12日に行使可能となった。
2019 年度株式オプション報奨
報酬委員会は、当社による年度末の財務成績発表後、特定の参加者に株式オプションを付与する。かかる報奨の詳細につい
ては当社の2019年度に係る年次報告書において開示する。
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2018 年12月31日に終了した13ヶ月における株式オプションの動向
以下の表は、2018年12月31日に終了した13ヶ月における株式オプション報奨の動向の要約である。
2018 年12月31
日に終了した 株式オプ
グループ最高執行 2018 年12月31 2018 年12月31 2018 年12月31
13ヶ月中に取 2018 年12月31 ションの行
役員兼プレジデン 付与日 株式オプションの行使可能期 2017 年12月1日 日に終了した 日に終了した 日に終了した 行使価格
り消された/ 日現在の株式 使日の直前
ト、経営幹部、そ (日/月/年) 間 現在の株式オプ 13ヶ月中に付 13ヶ月中に確 13ヶ月中に行 (香港ド
失効した/再 オプション残 の株式の加
の他の適格従業員 (注2) (日/月/年) ション残高 与された株式 定した株式オ 使された株式 ル)
分類された株 高(注16) 重平均終値
及び参加者 オプション プション オプション
式オプション (香港ドル)
(注15)
グループ最高
5/3/2014 5/3/2017 - 4/3/2024 602,486 – – – – 37.56 602,486 n/a
執行役員兼プ
(注3)
レジデント
12/3/2015 12/3/2018 - 541,692 – 541,692 – – 47.73 541,692 n/a
ヌガ・ケン・
11/3/2025 (注4)
ホーイ氏
9/3/2016 9/3/2019 - 8/3/2026 851,026 – – – – 41.90 851,026 n/a
(注5)
10/3/2017 10/3/2020 - 732,574 – – – – 50.30 732,574 n/a
9/3/2027 (注6)
31/7/2017 1/6/2020 - 30/7/2027 476,786 – – – – 61.55 476,786 n/a
(注7)
15/3/2018 15/3/2021 - – 1,105,066 – – – 67.15 1,105,066 n/a
14/3/2028 (注8)
経営幹部
1/6/2011 1/4/2014 - 31/5/2021 472,746 – – – (45,467) 27.35 427,279 69.00
(グループ最
(注9)
高執行役員兼
1/6/2011 1/4/2014 - 31/5/2021 547,738 – – – (106,820) 27.35 440,918 69.00
プレジデント
(注10)
を除く。)
15/3/2012 15/3/2015 - 519,012 – – – – 28.40 519,012 n/a
14/3/2022 (注11)
11/3/2013 11/3/2016 - 792,680 – – (229,513) – 34.35 563,167 n/a
10/3/2023 (注12)
5/3/2014 5/3/2017 - 4/3/2024 941,583 – – (277,793) – 37.56 663,790 n/a
(注3)
14/4/2014 14/4/2017 - 332,282 – – – – 39.45 332,282 n/a
13/4/2024 (注13)
12/3/2015 12/3/2018 - 2,035,310 – 1,419,013 (616,297) (435,169) 47.73 983,844 67.15
11/3/2025 (注4)
9/3/2016 9/3/2019 - 8/3/2026 3,737,698 – – (968,262) – 41.90 2,769,436 n/a
(注5)
10/3/2017 10/3/2020 - 9/3/2027 3,246,812 – – (833,479) – 50.30 2,413,333 n/a
(注6)
31/7/2017 1/6/2020 - 30/7/2027 697,732 – – – – 61.55 697,732 n/a
(注7)
15/3/2018 15/3/2021 - – 2,692,372 – – – 67.15 2,692,372 n/a
14/3/2028 (注8)
12/9/2018 12/9/2021 - – 161,951 – – – 63.64 161,951 n/a
11/9/2028 (注14)
その他の適格
1/6/2011 1/4/2014 - 31/5/2021 668,366 – – – – 27.35 668,366 n/a
従業員及び参
(注9)
加者
1/6/2011 1/4/2014 - 31/5/2021 631,097 – – – (200,000) 27.35 431,097 68.55
(退任グルー
(注10)
プ最高執行役
15/3/2012 15/3/2015 - 755,175 – – – (77,483) 28.40 677,692 66.92
員兼プレジデ
14/3/2022 (注11)
ン ト を 含
11/3/2013 11/3/2016 - 672,849 – – 229,513 (279,106) 34.35 623,256 67.72
む。)(注1)
10/3/2023 (注12)
5/3/2014 5/3/2017 - 4/3/2024 2,636,920 – – 277,793 (76,874) 37.56 2,837,839 66.10
(注3)
12/3/2015 12/3/2018 - 2,461,745 – 2,670,779 209,034 (134,385) 47.73 2,536,394 67.23
11/3/2025 (注4)
9/3/2016 9/3/2019 - 8/3/2026 2,988,827 – – 213,847 – 41.90 3,202,674 n/a
(注5)
10/3/2017 10/3/2020 - 9/3/2027 1,769,098 – – 64,546 – 50.30 1,833,644 n/a
(注6)
15/3/2018 15/3/2021 - – 641,924 – (23,688) – 67.15 618,236 n/a
14/3/2028 (注8)
(注1)退任したグループ最高執行役員兼プレジデントであるマーク・エドワード・タッカー氏の2017年12月1日現在残存する株式オプショ
ンを含む。
(注2)2011年11月30日に終了した事業年度中に行われた付与の測定基準日(会計上付与額の決定に使用される日をいう。)は、2011年6月
15日となった。2012年11月30日に終了した事業年度中に行われた付与の測定基準日は、2012年3月15日となった。2013年11月30日に
終了した事業年度中に行われた付与の測定基準日は、2013年3月11日となった。2014年11月30日に終了した事業年度中に行われた付
与の測定基準日は、2014年3月5日及び2014年4月14日となった。2015年11月30日に終了した事業年度中に行われた付与の測定基準
日は、2015年3月12日となった。2016年11月30日に終了した事業年度中に行われた付与の測定基準日は、2016年3月9日となった。
2017年11月30日に終了した事業年度中に行われた付与の測定基準日は、2017年3月10日及び2017年7月31日となった。2018年12月31
日に終了した13ヶ月中に行われた付与の測定基準日は、2018年3月15日及び2018年9月12日となった。これらの測定基準日はIFRS2に
従い決定されている。
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(注3)株式オプションの確定要件は勤続基準のみである。全ての株式オプションが2017年3月5日に確定した。
(注4)株式オプションの確定要件は勤続基準のみである。全ての株式オプションが2018年3月12日に確定した。
(注5)株式オプションの確定要件は勤続基準のみである。全ての株式オプションが2019年3月9日に確定した。
(注6)株式オプションの確定要件は勤続基準のみである。全ての株式オプションが2020年3月10日に確定する。
(注7)株式オプションの確定要件は勤続基準のみである。全ての株式オプションが2020年6月1日に確定する。
(注8)株式オプションの付与日の直前の当社株式の終値は67.00香港ドルであった。株式オプションの確定要件は勤続基準のみである。全て
の株式オプションが2021年3月15日に確定する。
(注9)株式オプションの確定要件は勤続基準のみである。全ての株式オプションが2014年4月1日に確定した。
(注10)株式オプションの確定要件は勤続基準のみである。株式オプションの3分の1は2014年4月1日に確定し、もう3分の1は2015年4
月1日に確定し、残りの3分の1は2016年4月1日に確定した。
(注11)株式オプションの確定要件は勤続基準のみである。全ての株式オプションが2015年3月15日に確定した。
(注12)株式オプションの確定要件は勤続基準のみである。全ての株式オプションが2016年3月11日に確定した。
(注13)株式オプションの確定要件は勤続基準のみである。全ての株式オプションが2017年4月14日に確定した。
(注14)株式オプションの付与日の直前の当社株式の終値は62.00香港ドルであった。株式オプションの確定要件は勤続基準のみである。全て
の株式オプションが2021年9月12日に確定する。
(注15)これらの株式オプションは、2018年12月31日に終了した13ヶ月中に失効し又は再分類された。かかる株式オプションの再分類は、従
前「経営幹部」に分類されていた2名の執行役員が、当該期間中「その他の適格従業員及び参加者」となったことに起因している。
2018年12月31日に終了した13ヶ月中に取り消された株式オプションは無かった。
(注16)株式オプション制度の規則に基づき、株式オプションが行使可能である各期間の終了以前に失効する株式オプションの2018年12月31
日現在の残高を含む。
従業員株式購入制度
当社は、2011年7月25日(以下「従業員株式購入制度採択日」という。)をもって従業員株式購入制度を採択した。従業員
株式購入制度は、従業員によるAIA株式の保有を促進し奨励するよう設計されている。
従業員株式購入制度に基づき、当グループの適格従業員は、当社の株式の購入を選択することができ、同制度への参加から
3年間が経過した後に、マッチング制限付株式購入ユニットの付与を通じて、購入した2株につき1株のマッチング株式を受
け取ることができる。各適格従業員の制度参加水準は、当該従業員の基本給の8%又は1歴月につき9,750香港ドル(又はその
現地通貨換算額)のうち、いずれか低い方を一切の制度適用年度における最大購入額としている。
マッチング制限付株式購入ユニットが確定した時点において、当該従業員が当グループに依然として雇用されている場合に
は、自己が保有するマッチング制限付株式購入ユニット1個につきマッチング株式1株を受け取る。マッチング株式は、従業
員株式購入制度のトラスティが市場から購入するか、又は当社による新規株式の発行を通じて受領者に提供することができ
る。10年間に従業員株式購入制度に基づき当社が発行することができる株式の総数は、従業員株式購入制度採択日における発
行済株式数の2.5%を超えてはならない。従業員株式購入制度の採択以来、当該制度に基づく新規株式の発行は行われていな
い。従業員株式購入制度に関するさらに詳細な情報は、「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018年12月31日に終
了した事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及び重要な会計方針」の注記39を参照のこと。
2018 年12月31日に終了した13ヶ月中に、1,409,739個のマッチング制限付株式購入ユニットが付与され、841,108個のマッチ
ング制限付株式購入ユニットが確定しているが、従業員株式購入制度に基づく制限付株式購入ユニットに係る新規株式の発行
はなかった。従業員株式購入制度採択日以後、2018年12月31日までに、従業員株式購入制度に基づき累計3,479,304個のマッチ
ング制限付株式購入ユニットが確定しており、これは従業員株式購入制度採択日における発行済株式数の約0.029%に相当す
る。
取締役と経営幹部の報酬
執行取締役
ヌガ・ケン・ホーイ氏は、グループ最高執行役員兼プレジデントとしての役割についてのみ報酬を受領しており、当社取締
役としての報酬又は一切の子会社の取締役としての行為に係る報酬は別途受領していない。
次の表は、グループ最高執行役員兼プレジデント及び退任したグループ最高執行役員兼プレジデントであるマーク・エド
ワード・タッカー氏の報酬の年次目標水準(福利厚生及び手当を除く。)の詳細を表している。
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(注1)
年次目標報酬金額
2018 年度 2017 年度 2017 年度
マーク・エドワード・タッ
ヌガ・ケン・ホーイ氏 ヌガ・ケン・ホーイ氏
(単位:千米ドル) カー氏
(注2)
基本給
1,030 993 1,608
短期インセンティブの目標額 1,800 1,500 2,412
長期インセンティブの目標額 3,600 3,000 6,834
年次目標報酬金額合計 6,430 5,493 10,854
(注1)上表に示す目標報酬水準には福利厚生及び手当を含まず、ヌガ・ケン・ホーイ氏及びマーク・エドワード・タッカー氏の2017年度の
水準は年換算額表示である。両年度にヌガ・ケン・ホーイ氏は年額3,000,000香港ドルの住宅手当を受給している(2017年度について
は同氏が任命された2017年6月1日からの比例配分による。)。
(注2)ヌガ・ケン・ホーイ氏の基本給は香港ドル建てで支払われている。2017年度の基本給の金額は、2017年6月1日の任命日からの年換
算額を示しており、2018年度の金額は、2018年3月1日(2018年度年次査定給与の発効日)からの年換算額で表示されている。上表
の金額は各年度末現在の為替レートを使用して米ドルに換算されている。
2018 年12月31日に終了した13ヶ月中にグループ最高執行役員兼プレジデントに関連して当社が実際に負担した報酬に係る費
用の詳細については、「第一部-第6 経理の状況-1 財務書類-A. 2018 年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における
「連結財務書類に対する注記及び重要な会計方針」の注記40を参照のこと。
非執行取締役
2018 年12月31日に終了した13ヶ月中、社外非執行取締役の報酬が支払われ、かかる報酬には取締役会委員会のために提供さ
れた役務に対する報酬が含まれていた。
非執行取締役及び社外非執行取締役の全ての報酬は定額の年俸ベースで支払われ、企業又は個人の業績に連動する変動部分
は一切存在しない。
2018 年12月31日に終了した13ヶ月中に当社が負担した非執行取締役の報酬に係る費用の詳細については、「第一部-第6 経
理の状況-1 財務書類-A. 2018 年12月31日に終了した事業年度の財務書類」における「連結財務書類に対する注記及び重要な
会計方針」の注記40を参照のこと。
取締役会議長
2018 年度中に報酬委員会は、 当社取締役会議長と非執行取締役の報酬について審査を行った後、その調整を取締役会に提案
し、承認を求めた。
当社取締役会議長の固有の業務範囲、貢献、業務所要時間を反映させるとともに、世界の同業保険会社に対する競争力を確
保するため、取締役会議長基本報酬(取締役報酬を含む。)は、2019年1月1日をもって年額485,000米ドルから542,500米ド
ルに引き上げられ、さらに2020年1月1日から年額600,000米ドルに引き上げられる。当社取締役会議長は、当該報酬の増額に
関する協議と議決への参加を差し控えた。
非執行取締役
非執行取締役の取締役報酬は、世界の同業保険会社が支給している報酬水準により近付けるため、2019年1月1日をもって
年額160,000米ドルから168,000米ドルに引き上げられる。
取締役会委員会の委員及び議長の役職に係る追加年額報酬は非執行取締役に対しても支給され、下記の金額に据え置かれて
いる。