メキシコ合衆国 有価証券報告書
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メキシコ合衆国(E06002)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第１項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2019 年６月21日
【会計年度】 自 2018年１月１日 至 2018年12月31日
【発行者の名称】 メキシコ合衆国
(United Mexican States)
【代表者の役職氏名】 ガブリエル・ヨリオ・ゴンザレス
( Gabriel Yorio González )
財務省公債局次官補
(Deputy Undersecretary for Public Credit of the Ministry
of Finance and Public Credit)
【事務連絡者氏名】 弁護士 島崎文彰
【住所】 東京都文京区後楽二丁目３番27号 テラル後楽ビル２階
島崎法律事務所
【電話番号】 (03) 5802-5860
【縦覧に供する場所】 該当なし
注(1) 本書中、「発行者」または「メキシコ」とあるのは、メキシコ合衆国を指すものとする。
(2) 本書中、「ペソ」とは、メキシコ合衆国の法定通貨を、また「米ドル」もしくは「ドル」とは、アメリカ合衆
国法定通貨を指し、「名目」データとは、インフレ調整を行っていないペソ表示のデータを、「実質」データと
は、インフレ調整後のペソで表示されたデータを指す。別段の記載がない限り、特定の日現在のペソ金額の米ド
ル相当額は、ペソ以外の通貨で表示され、メキシコ国内で支払われる債務の支払についてメキシコ中央銀行が公
表した当該日付現在の為替レートに基づいており、特定の期間についてのペソ金額の米ドル相当額は、当該期間
中にメキシコ中央銀行が日々公表した為替レートの平均値に基づいている。メキシコ中央銀行は、大口取引の市
場状況を反映した代表的な金融機関による建値から得られた平均値を基準に日々公表する為替レートを計算して
いる。メキシコ中央銀行は、メキシコの公式経済統計の計算に際してこのレートを用いている。2019年６月10日
にメキシコ中央銀行が公表した為替レート（２営業日後決済）は、１米ドル＝19.2040ペソであった。「第３－
１－(3) 貿易及び国際収支－⑧ 為替管理および為替レート」を参照のこと。ペソと米ドルとの間の為替相場の
変動により、本書日付以降のいかなる日においても為替相場は上記の相場とは大きく異なる可能性がある。参考
までに、2019年６月10日現在株式会社三菱ＵＦＪ銀行が建値した対顧客電信直物売買為替相場の仲値は、１ペソ
＝5.62円および１米ドル＝108.52円であった。上記の為替レートは参考のためにのみ本書に記載されるものであ
り、本書中のペソ建または米ドル建の金額がいずれかの特定のレートで米ドル、ペソもしくは日本円に交換しえ
た、または交換しうると意味するものではないことに留意されたい。
メキシコの通貨法の下では、契約によるものであるか、メキシコの裁判所の判決によるものであるかを問わず、
メキシコにおいて外国通貨でなされるべき支払は、支払時におけるペソの実勢為替レートによりペソでこれを行
うことができる。
(3) メキシコ連邦政府（以下「政府」という。）の会計年度は、12月31日に終了する。本書において、2018年12月
31日に終了した会計年度は「2018年」とし、その他の年度も同様とする。
(4) 本書中の表で計数が四捨五入されている場合、合計は計数の総和と必ずしも一致しない。
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第１【募集（売出）債券の状況】
募集債券
上場金融商品取
会計年度末
引所名または登
債券の名称 発行年月 券面総額 償還額 現在の
録認可金融商品
未償還額
取引業協会名
第16回メキシコ合衆国
2013年８月 150億円 150億円 - なし
(1)
円貨債券 (2013)
第17回メキシコ合衆国
2013年８月 170億円 - 170億円 なし
円貨債券 (2013)
第18回メキシコ合衆国
2014年７月 338億円 - 338億円 なし
円貨債券 (2014)
第19回メキシコ合衆国
2014年７月 139億円 - 139億円 なし
円貨債券 (2014)
第20回メキシコ合衆国
2014年７月 123億円 - 123億円 なし
円貨債券 (2014)
第21回メキシコ合衆国
2016年６月 459億円 - 459億円 なし
(2)
円貨債券 (2016)
第22回メキシコ合衆国
2016年６月 509億円 - 509億円 なし
円貨債券 (2016)
第23回メキシコ合衆国
2016年６月 163億円 - 163億円 なし
円貨債券 (2016)
第24回メキシコ合衆国
2016年６月 219億円 - 219億円 なし
円貨債券 (2016)
第25回メキシコ合衆国
2018年４月 572億円 － 572億円 なし
円貨債券 (2018)
第26回メキシコ合衆国
2018年４月 241億円 － 241億円 なし
円貨債券 (2018)
第27回メキシコ合衆国
2018年４月 387億円 － 387億円 なし
円貨債券 (2018)
第28回メキシコ合衆国
2018年４月 150億円 － 150億円 なし
円貨債券 (2018)
(1) 当該債券は2018年８月８日の満期に全額償還された。
(2) 当該会計年度末以降、当該債券は2019年６月14日の満期に全額償還された。
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売出債券
該当事項なし。
本会計年度中に、各債券の所有者の権利等に重要な影響を与えるような出来事は発生しなかった。
第２【外国為替相場の推移】
該当事項なし。
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第３【発行者の概況】
１【発行者が国である場合】
(1) 【概要】
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① 地域、人口および社会
メキシコは、メキシコシティを含む32の州により構成されている。メキシコは、面積が1,964,375平方キ
ロメートルで、アメリカ大陸中第５位、世界第14位を占めている。北はアメリカ合衆国（以下「米国」と
いう。）と3,141キロメートルに及ぶ国境を接している。南東は、グアテマラと641キロメートル、ベリー
ズと249キロメートルに及ぶ国境を接し、東側の海岸線は、メキシコ湾に沿って2,429キロメートル、カリ
ブ海に沿って865キロメートルおよび太平洋に沿って7,828キロメートルに及ぶ。
メキシコは、地理的に非常に多様な国である。山岳地帯や広大な海岸平野のほか、谷間、峡谷、高原お
よび窪地などの特徴がある。メキシコで最も顕著な地理的特徴があるのは、東西シエラマドレ山脈、バ
ハ・カリフォルニア半島、メサ・デル・セントロおよびユカタン半島である。メキシコの国土の約11％は
耕作地であり、約14％は放牧に適しており、約11％は森林である。
メキシコはその地理的位置から、ハリケーン、地震、豪雨および洪水といった自然災害、ならびにメキ
シコ湾における石油流出や鉱山事故など環境に影響を及ぼす事故に弱い。例えば、2017年９月７日の地震
はメキシコ南西部に被害を及ぼし、同年９月19日には別の地震が発生し、メキシコシティを含むメキシコ
中部に被害をもたらした。
2017年９月７日および同年９月19日の地震を受けて、連邦政府は、2018年４月30日現在、6,844.4百万ペ
ソの緊急支援と22,810.3百万ペソの復興支援を授権した。各州からさらに8,468.7百万ペソの拠出が見込ま
れている。これら資金の大半は、住宅、教育、考古学的および歴史的建造物、道路ならびに水道に使われ
るものと見込まれる。
自然災害または事故が経済活動またはメキシコの公的支出に及ぼす影響について予見することはできな
い。2017年８月４日、メキシコは世界銀行の世界復興開発銀行（以下「IBRD」という。）との間でIBRDの
キャピタル・アット・リスク・ノート・プログラムを通じてメキシコに総額360百万米ドルの自然災害リス
クに対する保険を提供する内容の契約を締結した。メキシコは、2017年９月７日の地震後にIBRDから、
2017年８月４日の契約の条項に基づき地震に係る最大支払額となる150百万米ドルの支払を受けた。
2018年２月７日、メキシコは、太平洋同盟諸国４カ国 を対象とした大災害連動型のキャピタル・アッ
ト・リスク・ノート・プログラムに基づくIBRDによる５シリーズの債券発行に関連して、 2017年８月４日
のIBRDとの契約に基づき利用可能な金額に加えて、地震リスクに対する総額260百万米ドルの保険をメキシ
コに提供する内容の事後契約をIBRDとの間で締結した。
メキシコ国立統計地理情報院（ Instituto Nacional de Estadística y Geografía 、以下「INEGI」とい
う。）による2010年の住宅および人口に関する国勢調査によると、メキシコの人口は112.3百万人で、アメ
リカ大陸では人口が３番目に多い。かかる国勢調査によると、メキシコの人口の77.8％（推定）は都市部
に居住し、22.2％は農村部に居住している。メキシコの三大都市は、メキシコシティ、グアダラハラおよ
びモンテレイで、その人口はそれぞれ20.1百万人、4.4百万人および4.1百万人である。国家人口審議会
（ Consejo Nacional de Población ）によると、2017年の推定人口増加率は1.0％である。
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メキシコは、一般に上位中所得発展途上国に分類されている。以下の表は、IBRDが公表したメキシコお
よびその他のアメリカ大陸諸国にかかる最近の抜粋比較統計を示している。
抜粋比較統計
メキシコ ブラジル チリ ベネズエラ 米国
国民１人当たりGDP
(1)
8,208.6 8,649.9 13,792.9 n.a. 57,638.2
平均寿命（2015年） 77 76 80 75 79
(2)(3)
青年識字率
男性 98.9 ％ 98.4 ％ n.a. 98.4 ％ n.a.
女性 99.0 ％ 99.3 ％ n.a. 99.1 ％ n.a.
(4)
乳児死亡件数 13 14 7 14 6
n.a.：未詳
(1) 数値は、購買力平価について調整済みの米ドルで表示。
(2) 15歳から24歳まで。
(3) ブラジルについては2014年現在、メキシコについては2015年現在、ベネズエラについては2016年現
在の数値。
(4) 出生1,000人に対する乳児死亡件数。
出典： 2017年および2016年世界開発指標
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② 政府の形態
メキシコの現在の政府形態は、1917年５月１日に発効したメキシコ政治憲法（ Constitución Política
de los Estados Unidos Mexicanos 、 以下「憲法」という。）により確立された。憲法はメキシコ政府を、
政府および州政府からなる連邦共和国として設立されるものと定めた。
政府
憲法はまた、政府を行政府、司法府および立法府の３つに分けることにより、権限の分立を定めてい
る。
2017年12月現在、行政府および立法府ならびに各州政府には９の政党が代表者を送っていた。1929年か
ら1994年までは、制度的革命党（ Partido Revolucionario Institucional 、以下「PRI党」という。）が各
大統領選に勝利し、1929年から1997年７月まで、PRI党が連邦議会（ Congreso de la Unión 、以下「議会」
という。）の両院において過半数を占めてきた。1929年から1989年まで、PRI党は各州知事選においても勝
利を収めた。2000年７月、メキシコで最も古くからある野党の国民行動党（ Partido Acción Nacional、 以
下「PAN党」という。）と環境主義緑の党（ Partido Verde Ecologista de México ）が組んだ改革連合
（ Alianza por el Cambio ）の候補者が、大統領選で勝利した。
メキシコでは、2018年７月１日に総選挙が実施された。制度的革命党のエンリケ・ペニャ・ニエト大統
領に代わって、国家再生運動党からの候補者であるアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール氏が大
統領に選出され、2018年12月１日に就任した。任期開始日の変更が2024年から効力を生じるため、ロペ
ス・オブラドール大統領は５年10カ月の任期で大統領職を務める。憲法は、その後のいかなる期間につい
ても大統領の再選を禁じている。
(i)行政府
メキシコの大統領（以下「大統領」という。）は、行政府の長である。大統領は、18歳以上のメキシ
コ国民の一般投票により選出される。憲法は、大統領の任期を１期６年に制限しており、大統領は再選
を認められていない。
2018年７月１日に行われた総選挙においてアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール氏が大統領
に選出された。新大統領は2018年12月１日に就任し、2024年の選挙について任期開始日が変更されるこ
とにより、５年10カ月の任期で大統領職を務める。
行政府は、18の省、連邦法制局（ Consejería Jurídica del Ejecutivo Federal ）および連邦検察庁
（ Procuraduría General de la República 、2018年からは憲法上の組織として連邦検察総局（ Fiscalía
General de la República ））、ならびにエネルギー部門の２つの規制上の組織である国家炭化水素委員
会（ Comisión Nacional de Hidrocarburos 、CNH）およびエネルギー規制委員会（ Comisión Reguladora
de Energía ）からなる。大統領は、各省の長を任命する。大統領は、上院（ Senado de la República ）
による承認を条件として、連邦司法長官（ Procurador General） も任命する。同様に、大統領による財
務省最高幹部（ empleados superiores ）の任命も、上院による承認を要する。
2018年12月13日、カルロス・マヌエル・ウルスア・マシアス氏がメキシコ財務省の財務大臣に任命さ
れた。
2013年５月20日、政府はペニャ・ニエト大統領の任期中における主な目標および目的を設定した５カ
年計画である国家開発計画（ Plan Nacional de Desarrollo ）を連邦官報（ Diario Oficial de la
Federación ）に掲載した。同計画には、メキシコにおける平和の実現、社会参加の促進および市民の社
会的権利の保護、メキシコの教育制度の改善および利用促進、機会均等に重きを置いた持続可能な経済
成長の促進、対外政策の目標への注力ならびに自由な国際貿易の推進が盛込まれている。
また、国家開発計画では、すべての政府政策に盛込まれる予定の３つの一般的な戦略が提案されてい
る。まず、この計画は、メキシコ経済の成長と競争力を促進し、メキシコの個人および企業の生産性を
制限する障害を排除し、かつメキシコ経済への参加者に対して資源の有効利用を奨励することにより、
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生産性を民主化することを目的としている。次に、この計画は情報へのアクセスおよび個人情報の保護
を保証し、情報通信技術および自動管理システムを拡張し、資源を効率的に配分し、かつ能力主義を促
進 することにより、効率的で近代的な政府の育成を目指している。最後に、この計画では、すべての政
府政策および措置に男女共同参画の原則が採り入れられている。
2019 年３月15日、ロペス・オブラドール大統領は、新しい2019-2024年国家開発計画を提示したが、こ
れは現在検討中で、承認および公表の具体的な日付は決まっていない。
(ii)司法府
メキシコの司法府（連邦司法府）は、最高裁判所（ Suprema Corte de Justicia de la Nación ）、巡
回裁判所（ Tribunales Colegiados de Circuito ）、地方裁判所（ Juzgados de Distrito ）および連邦司
法委員会（ Consejo de la Judicatura Federal ）で構成されている。最高裁判所は11名の裁判官からな
り、その任期は15年で期差任期制により交替する。最高裁判所の各裁判官は、大統領が指名した３名の
候補者の中から、上院の３分の２の多数票で選任される。最高裁判所長官の職位は裁判官が交替で務
め、各長官の 任 期は１期４年に限られる。最高裁判所長官１名を含む７名により構成される連邦司法委
員会は、連邦司法制度を管理し、巡回司法裁判官および地方司法裁判官（ magistrados ）を任命する。
(iii)立法府
立法権は、上院および下院（ Cámara de Diputados ）からなる議会に付与されている。議会の議員は、
18歳以上のメキシコ国民の一般投票により、直接または比例代表制を通じて選出される。上院は128名の
上院議員で構成され、そのうち96名は直接投票により選任され、その他32名は比例代表制により選出さ
れる。下院は500名の下院議員で構成され、そのうち300名は選挙区の直接投票により選出されるが、そ
の他200名は比例代表制により選出される。この比例代表制のもとで、とりわけ、国民投票の少なくとも
3.0％を獲得した政党間で、その候補者に対して比例して議席が分配される。
憲法は、大統領が法案に対して拒否権を発動することができ、議会が各議院の３分の２の票決により
かかる拒否権を無効にすることができることを規定している。
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上院議員は６年、下院議員は３年の任期である。連邦下院議員は４期まで連続して再選資格があり、
上院議員は２期まで連続して再選資格がある。
2018年７月１日にメキシコにおいて総選挙が実施された。制度的革命党のエンリケ・ペニャ・ニエト
大統領に代わって、国家再生運動党からの候補者であるアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール
氏が大統領に選出され、2018年12月１日に就任した。2024年から就任日の変更が効力を生じるため、ロ
ペス・オブラドール大統領は５年10カ月の任期で大統領職を務める。憲法は、その後のいかなる期間に
ついても大統領の再選を禁じている。
以下の表は、メキシコの上院および下院の所属政党を反映した議席配分を示している。
(1)
メキシコ議会の議員数
上院 下院
議席数 比率（％） 議席数 比率（％）
59 46.1 259 51.8
国家再生運動党
24 18.8 78 15.6
国民行動党
14 10.9 47 9.4
制度的改革党
8 6.3 28 5.6
市民運動党
6 4.7 28 5.6
労働党
6 4.7 11 2.2
メキシコ環境主義緑の党
5 3.9 29 5.8
社会遭遇党
5 3.9 11 2.2
民主革命党
1 0.8 9 1.8
無所属
128 100.0 500 100.0
合計
注：四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 2019 年５月15日現在。各議員は所属政党を変更することができる。
出典： 上院および下院
http://sitl.diputados.gob.mx/LXIV_leg/info_diputados.php
http://www.senado.gob.mx/64/senadores/integracion
州政府
2016年１月29日、メキシコシティはメキシコの32番目の州となったが、政府部局の中枢およびメキシコ
の首都は依然としてメキシコシティに置かれている。2017年２月５日、メキシコシティの政治憲法が連邦
官報に掲載され、2018年９月17日に施行された。
メキシコシティを除くメキシコの各州は、それぞれ州知事を長とし、またメキシコシティは一般投票に
より選出される市長を長とする。
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③ 法改正および政治改革
2012年以降、メキシコは、司法制度および公教育制度の改革、政府の透明性の向上ならびにより効率の
良い公行政の構築を目的として、政府に影響を及ぼす様々な法改正および政治改革を行ってきた。
汚職対策
2016年７月18日、国家汚職対策システム（ Sistema Nacional Anticorrupción 、以下「NAS」という。）
が発効した。NASは、公行政および政府会計における汚職および贈収賄と闘うことを目指した制度的枠組み
である。
2016年12月21日、米国司法省は、ブラジルを拠点とする世界的な建設コングロマリットであるOdebrecht
S.A.社がとりわけ12カ国で100件を超えるプロジェクトについて支払った賄賂に関連して贈収賄の罪を認め
たことを公にした。2016年12月22日、ペメックス当局は、かかる申立てに関連した贈収賄事件について行
政上および刑事上の調査を開始した。2017年１月25日、ペメックスは、ペメックスに対してなされた可能
性のある行為について当事者に対して連邦検察庁に刑事告発を行った。
2017年12月11日、公行政省（ Secretaría de la Función Pública 、SFP）は、持株会社であるOdebrecht
S.A.社の主要子会社であるConstructora Norberto Odebrecht S.A.社に対して調達手続きへの参加、また
は連邦行政（ Administración Pública Federal ）の諸機関および組織、連邦検察庁、ならびに連邦の資源
を利用する州の諸機関もしくは組織との間の契約締結を禁じた。
2017年、INEGIは、2017年政府の質と影響に関する世論調査（ Encuesta Nacional de Calidad e Impacto
Gubernamental 2017 ）を公表した。この調査により、公務員と接触した国民の約15％が少なくとも１回は
腐敗行為に見舞われたことが判明した。この調査により、18歳以上の国民の33.3％が自治体政府に少なく
とも何らかの信頼感を持っており、同じく29.3％が州政府に少なくとも何らかの信頼感を持っており、
25.5％が連邦政府に少なくとも何らかの信頼感を持っていたことも判明した。
2017年12月７日、INEGIは、腐敗のコストにかかる統計を公表した。2015年、腐敗行為のコストは、人口
10万人以上の都市に住む被害を受けた成人一人当たり平均2,799ペソ、総額6.4十億ペソであった。INEGIの
調査によると、2016年には腐敗行為のコストは、被害を受けた事業体１社当たり平均12,243ペソ、総額1.6
十億ペソであった。この調査によると、事業体の64.4％は、腐敗行為が主に政府プロセスの迅速化を理由
として発生していると考えていた。統計はまた、2016年には公安当局および司法当局とのやり取りを伴う
プロセスおよびサービスにおいて腐敗の発生率が最も高かったことも示している。
2019年３月14日、憲法第22条および第73条の改正が官報に掲載された。この改正は、とりわけ、政府に
よる差押え（ extinci ó n de dominio ）の範囲を拡大することを意図している。政府による差押えは、現在
は汚職、公務員による犯罪、組織犯罪、誘拐、強奪、人身売買、炭素資源に関する犯罪等の行為を含んで
いるが、今後はより広範な違反リストに関連する資産も対象となり、またそれらについて適法に取得され
たとの証拠がないものも対象となる。
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司法審査
最高裁判所は、初めて行った2019年２月14日の違憲に関する一般宣言において、法律で特に定められて
いない規制枠組みに違反があった場合にラジオおよびテレビの営業権者および免許所有者の課税所得の
１％という最低の罰金を科す連邦通信放送法（ Ley Federal de Telecomunicaciones y Radiodifusion ）の
規定が過大であるとして無効を言い渡した。
反マネー・ロンダリング
2019年３月１日、財務省の金融情報機関（ Unidad de Inteligencia Financiera 、FIU）とメキシコシ
ティの市長は、マネー・ロンダリングおよびテロへの資金供与と闘うため情報交換をする協定を締結し
た。同協定により、違法な資金源をもつ犯罪を援助するために与えられたあらゆる種類の援助を防止し、
摘発するために、いっそうの連携が可能になるであろう。
中央行政機関の調達手続き
2017 年11月８日、財務省、公行政省および国家デジタル戦略調整局（ Coordinación de Estrategia
Digital Nacional ）は、国家情報公開庁（ Instituto Nacional de Transparencia, Acceso ▶ la
Información y Protección de Datos Personales 、INAI）、メキシコ透明性庁（ Transparencia
Mexicana ）、世界銀行、オープン・コントラクティング・パートナーシップおよび国際財政透明性イニシ
アティブと共同で、政府のオープン・コントラクティング・プラットフォーム（ Contrataciones
Abiertas ）を立ち上げた。このプラットフォームには、集中化された公共行政（ Administración Pública
Centralizada ）の調達手続きのあらゆる段階からのデータが含まれている。このプラットフォームの目標
は、不正行為の可能性を排除し、民間部門のプロバイダーへの信頼感を深め、機関への信頼感を高めるこ
とである。
情報へのアクセスおよび政府の透明性
政府は、情報へのアクセスおよび政府の透明性を改善するため、いくつかの法改正および政治改革を実
施した。例えば、技術および経営上の自治権ならびに予算上の自立採算を認められた独立した組織として
連邦情報公開庁（ Instituto Federal de Acceso ▶ la Información y Protección de Datos 、以下
「IFAI」という。）を設立するため、2014年２月７日に憲法が改正された。また、IFAIの構成、機能およ
び運営を定めることを目的とした連邦情報公開庁内部規則（ Reglamento Interior del Instituto Federal
de Acceso ▶ la Información y Protección de Datos ）が2014年２月20日に公表された。
2016年５月９日、透明性および公開政府情報へのアクセスに関する連邦法（ Ley Federal de
Transparencia y Acceso ▶ la Información Pública Gubernamental ）に代わって透明性および公開情報へ
のアクセスに関する連邦法（ Ley Federal de Transparencia y Acceso ▶ la Información Pública ）が施
行された。この法律は、引続き政府機関が保有する情報へのアクセス権を確保するほか、軍隊、国家炭化
水素部門産業安全性・環境保護庁（ Agencia Nacional de Seguridad Industrial y de Protección al
Medio Ambiente del Sector Hidrocarburos ）、国家炭化水素委員会、エネルギー規制委員会、安定化と開
発のためのメキシコ石油基金（ Fondo Mexicano del Petróleo para la Estabilización y el
Desarrollo ）ならびに生産的国有企業および生産的子会社にかかる透明性の義務を盛り込むよう拡大され
た。新法は、制裁を課す国家情報公開庁の権限について規定している。
国家選挙機関規則を発行する運びとなった、2016年11月14日付の透明性および公開情報へのアクセスに
関する国家選挙機関の評議会の同意（ Acuerdo del Consejo General del Instituto Nacional Electoral
por el que se Expide el Reglamento del Instituto Nacional Electoral en Materia de Transparencia
y Acceso ▶ la Informaci ó n P ú blica ）により、連邦、州または地方自治体の範囲内で公的資金を受取り、
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これを使用する者またはこれらの範囲内で行為する者が所有する情報へのアクセス権を保証する機関、基
準および手続きが設定された。
2018年５月７日、公行政省は、2018年６月30日付で公務員の資産および利害関係の申告（ declaraciones
patrimoniales ）に関するデクララネット・システム（財産申告システム）に含まれるすべての情報を、過
去のデータを含め、オープン・データの形で一般に向けて利用可能にすることを発表した。
2016年７月18日以降、公行政省は、国家腐敗防止システムおよび国家デジタル・プラットフォーム
（ Plataforma Digital Nacional ）の実施を通じて組織強化の手続きを実施してきた。公行政省は、公務員
の個人的財務状態の一定の詳細を公にすることを義務づけることにより、汚職と闘うことを目指してい
る。2018年４月18日、国家腐敗防止システム事務局（ Secretar í▶ Ejecutiva del Sistema Nacional
Anticorrupci ó n ）の報告には、INEGI、最高裁判所および連邦電気通信委員会（ Instituto Federal de
Telecomunicaciones ）を含む14の公的機関にかかる物流の詳細ならびにこの新しい規制の枠組みをどのよ
うに遵守するかが定められている。
刑事司法
2008年６月、刑事司法制度改革のための憲法改正が行われた。この改革は８年間かけて実施され、2016
年６月18日に施行された。この改革の下で、メキシコは、有罪が立証されるまでは被告人を無罪と推定す
る弾劾的刑事司法制度に移行した。ほぼ書面だけを通じて手続きが進められていた従来の閉鎖的な訴訟に
代わって、一般に公開された口頭審理が導入される。各刑事訴訟を判決の言渡しまで通して担当する特定
の裁判官が任命され、各回の審問に出席することが義務づけられる。犯罪行為の被害者が一層直接的に訴
訟に関与できるほか、個人データの保護強化、ならびに法律、医学および精神面の支援の恩恵を受けられ
る。
2014年３月５日付国家刑事訴訟法（ Código Nacional de Procedimientos Penales ）は、憲法およびメキ
シコが当事者となっている国際条約に定められた原則に従って刑事訴訟について全国の統一規則を設ける
ことを目的としている。この改革は、より迅速な法律手続きの促進、被害者およびその権利の保護の確
立、無罪推定の実施ならびに適正な手続きの尊重の強化などを目的としている。
2017年10月12日、下院は、強制失踪および個人が関与する失踪ならびに国家人物捜索システムに関する
一般法（ Ley General en Materia de Desaparición Forzada de Personas, Desaparición Cometida por
Particulares y del Sistema Nacional de Búsqueda de Personas ）を承認した。同法は、人物の捜索につ
いての決定、実行およびフォローアップについて責任を負う国家人物捜索システム（ Sistema Nacional de
Búsqueda de Personas ）ならびに被害者家族、民間機関、連邦および地方の検察機関からなる協議・参加
機関となる国家捜索委員会（ Comisión Nacional de Búsqueda ）の創設を通じて、加害者の免責を招かない
よう対応し、被害者およびその家族の権利を保護するための手段を定めるものである。
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租税
2015年11月18日、2014年12月までに海外において投資を行い、かつかかる投資についてメキシコの税務
当局への報告を行っていない個人および会社は、その投資および2016年上半期中の利益を、罰則、調整も
しくは遅延手数料なしに本国送金するオプションを有することを定めた法律が公布された。また、この本
国送金プログラムを利用できる個人および会社は、当期の所得に基づく所得税を支払うことのみを義務づ
けられる。ただし、かかる支払は本国送金から15日以内になされるものとし、かかる資金は特定の活動へ
の再投資または債務の支払に充当されること等を条件とする。こうした奨励策は、メキシコまたは米国の
いずれかの居住者が海外で保有する口座に関する情報の交換について定めた、米国の内国歳入庁（IRS）と
メキシコの税務当局（ Servicio de Administraci ó n Tributaria (SAT)）との間の二者間協定から生じたも
のである。
公会計
連邦予算・財政責任法（ Ley Federal de Presupuesto y Responsabilidad Hacendaria ）および政府会計
に関する一般法（ Ley General de Contabilidad Gubernamental ）の改正が、それぞれ2015年12月30日およ
び2016年７月18日に連邦官報に掲載された。これらの改正により、各州は政府の各レベルを通じて公会計
を標準化するために会計審議会を創設することを義務づけられている。
地方政府の財政
2016年４月27日付の州および地方自治体の財政規律に関する法律（ Ley de Disciplina Financiera de
las Entidades Federativas y los Municipios ）に従って、州および地方自治体は、債務残高が該当する
会計年度について立法府が承認した歳入の６％を上回る場合には、追加の債務負担について地方議会の承
認を要する。この法律はまた、政府が州および地方自治体の発行する債務に保証を付す前に満たされるべ
き一定の新しい要件を課している。この法律は、憲法の各種規定を改正し、州および地方自治体の借入慣
行を管理する新しい法律の枠組みを設定した2015年５月の命令に続くものである。
2016年10月25日付の州および地方自治体の財政および債務の単一公登記に関する規則（ Reglamento del
Registro P ú blico Ú nico de Financiamiento y Obligaciones de Entidades Federativas y Municipios ）
は、州および地方政府の資金調達および債務の登録、修正または取消しを規制するものである。
州および地方自治体の財政規律に関する法律に掲げられた目的を推進するため、2017年３月31日付の警
告システム規則（ Reglamento de Sistema de Alertas ）によって、警告システム（ Sistema de Alertas ）
を通じて州および地方自治体の負債水準を評価するパラメーターが設定された。これにより政府は、危険
水準の負債を防ぐために州および地方自治体の財政規律に関する法律によって求められる措置をとること
ができる。警告システムによってもたらされた情報に基づき、各州および地方自治体の負債水準は、(1)持
続可能な負債、(2)監視対象負債および(3)多額負債の３つの水準のいずれかに分類されており、この分類
は2018年にかかる各州および地方自治体の正味資金調達上限の決定に使用された。
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経済発展
「(1) 概要－②政府の形態－政府」に記載の国家開発計画の一部である2016年６月６日付の連邦経済特
区法（ Ley Federal de Zonas Económicas Especiales ）は、2017年９月29日の対応する連邦規制当局とと
もに、国内の開発中の地域におけるインフラ開発プロジェクトを通じて事業を促進し、新規投資を誘致
し、雇用機会を生み出すための特別奨励策の対象となる経済特区（ Zonas Económicas Especiales ）と呼ば
れる指定区域の設置および運営を規制する。経済特区の開発プロセスを強化するため、財務省は、2017年
５月17日に世界銀行との間で技術協力契約（ Acuerdo de Cooperaci ó n T é cnica ）を締結した。この契約に
従って、財務省は、連邦経済特区開発庁を通じて、かつ国家インフラ基金（ Fondo Nacional de
Infraestructura 、以下「FONADIN」という。）の財政支援を受けて、4.2十億米ドルを拠出することを約束
した。2017年９月１日、連邦経済特区開発庁ならびに国際経済へのメキシコの参加を強化する戦略の調整
を担う連邦政府機関であるプロメヒコ（ProMéxico）は、外国からの直接投資を誘致し、外国貿易および経
済特区における雇用の創出を促進するための業務提携契約を締結した。2017年10月９日、連邦経済特区開
発庁およびプロメヒコは、経済特区への投資機会を促進するためのインドネシア、シンガポールおよびベ
トナム訪問を完了した。
国家開発計画に従い、2017年１月９日、政府は、 経済の強化およびメキシコ一般家庭の家計を守るため
の連邦政府と地方政府間合意 （ Acuerdo para el Fortalecimiento Económico y la Protección de la
Economía Familiar ）に署名したことを発表した。この合意は、メキシコの一般家庭の家計を守り、投資を
増やし、雇用創出、経済成長および競争力を維持することに重きを置き、メキシコの国内市場を強化する
ことを目的としている。
2017年５月15日付の証券取引所に適用される一般規定（ Disposiciones de Carácter General
Aplicables ▶ las Bolsas de Valores ）は、証券取引所に適用される規制の枠組みを強化するもので、こ
れにはとりわけ証券取引所の内部統制の強化、 市場動向情報の開示を網羅する規則ならびに運営上の困難
を抱えている証券取引所についての緊急時対応計画の策定などが含まれる。
2018年３月９日、エンリケ・ペニャ・ニエト大統領は、クラウドファンディングのような金融および投
資の代替的な利用手段、電子決済資金の発行および管理ならびに仮想資産または暗号通貨の交換を提供す
る会社の組織、運営、役割および権限を規制する金融テクノロジー機関規制法（ Ley para Regular las
Instituciones de Tecnología Financiera 、フィンテック法）に署名した。フィンテック法により、新し
いタイプの金融機関、すなわち、クラウドファンディング機関および電子決済機関も設立される。これら
の事業体は、電子申請 、インターネットまたはその他の電子的もしくはデジタルによる通信手段のような
インターフェースを通じて、金融、投資、貯蓄、支払または移転の業務を行い、 国家銀行証券委員会
（ Comisión Nacional Bancaria y de Valores 、以下「CNBV」という。）からの承認を要する。
2018年５月21日、INEGIおよび連邦経済特区開発庁は、経済特区の 影響を受ける地域の 実施、運営および
開発を強化するため、 業務提携にかかる一般協定に署名した。この協定は、研修、調査、普及、技術的お
よび科学的な支援を促進するであろう。
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公務員
2018年11月６日、連邦公務員報酬法（ Ley Federal de Remuneraciones de los Servidores Públicos ）
が施行された。同法は、広義に定義される連邦公務員の給与を規制することを目的として制定されたもの
であり、当該給与は一定の限度に従い、(ⅰ)大統領が受取る給与または(ⅱ)当該公務員の上司が受取る給
与を超えてはならない。
2019年１月３日、メキシコ中央銀行（ Banxico ）は、最高裁判所において連邦公務員報酬法に対して憲法
上の申立てを行った。メキシコ中央銀行の申立ては、連邦公務員報酬法は、憲法上の自治機関としてのメ
キシコ中央銀行の公務員の給与がどのように規制されるべきかについて不確実性を生じさせると主張して
いる。
メキシコ中央銀行による上記訴訟のほか、2018年12月以降、連邦公務員報酬法の有効性に異議を唱える
その他複数の訴訟が提起されている。2019年１月８日現在、連邦公務員報酬法は最高裁判所の最終判決が
下されるまで一時的に中断されていた。
2019年２月13日、最高裁判所第二法廷は、連邦公務員報酬法に対して2019年１月８日に認められた一時
中断を支持する判決を下した。その結果、同法は最高裁による最終決定がなされるまで引続き中断されて
いる。
2018年12月、連邦議員は、2018年11月11日施行の連邦行政に関する基本法（ Ley Orgánica de la
Administración Pública Federal 、以下「LOAPF」という。）の合憲性に異議を唱える訴訟を開始した。
LOAPFは、(1)腐敗を回避・削減する取組みにおいて財務省に移管された政府の調達手続きを統合し、(2)と
りわけ公共の安全サービスを直接的に担当する治安・市民防災省（ Secretaría de Seguridad y
Protección Ciudadana ）を新たに創設し、(3)メキシコの各州に３つの政府レベル間で連邦の社会開発プロ
グラムを調整すること等の職務を担う連邦代表を設置するものである。
国家警備隊
2019年３月26日、国家警備隊に関する憲法改正が連邦官報に掲載された。国家警備隊は、軍部ではなく
文民統制の下で軍人および警官により構成され、公共治安省の一部を構成することとなる。議会は、国家
警備隊の活動および組織を規制する二次法を制定する予定であるが、一方でこの憲法改正により大統領
は、同改正の制定から５年間、軍を公共治安活動に従事させることができる。
2019年５月27日、政府は、国家警備隊法（ Ley de la Guardia Nacional ）、国家武力行使法（ Ley
Nacional sobre el Uso de la Fuerza ）および国家拘留記録法（ Ley Nacional del Registro de
Detencciones ）を連邦官報に掲載した。国家警備隊法は、国家警備隊の統合、管理および職務ならびに連
邦および地方自治体の公安組織との調整および協力の掌握について定めている。
国家武力行使法は、「武力の行使」によって解されるものを定義し、州の公安機関による武力行使の基
準および同法の正しい履行のための訓練ならびに不遵守の場合の制裁について定めている。
国家拘留記録法は、 刑事手続きまたは行政手続きの段階において当局の権限に従って拘留された者に関
する全国レベルの情報を集約するデータベースの運用、各拘留において記録されるべき最低限の情報なら
びに登録機関の照会制度を規定している。
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④ 外交、国際機関および国際経済協力
メキシコは、193カ国と外交関係を結んでいる。メキシコは、国際連合の創設国のひとつである。メキシ
コは、カナダおよび米国と共に米国・メキシコ・カナダ協定（以下「USMCA」という。）の締結国であり、
また欧州復興開発銀行（以下「EBRD」という。）、米州開発銀行（以下「IADB」という。）、国際金融公
社、国際通貨基金（以下「IMF」という。）、米州機構および世界銀行の創設国である。メキシコはカリブ
開発銀行の非借入域内加盟国でもある。
メキシコはまた、経済協力を促進するいくつかの国際協定にも参加している。こうした国際経済協力の
事例については、「(3) 貿易及び国際収支－①貿易－対外貿易協定」を参照のこと。
⑤ 国内の治安
特に麻薬の製造、加工および取引といった活動に関係していることを理由に、ここ数年、政府は組織犯
罪対策を徐々に強化している。具体的には、政府は、様々な治安対策を実施すると同時に、軍隊および警
察を増員している。メキシコの選挙政治またはメキシコ財政への影響を含め、麻薬取引や麻薬絡みの暴力
事件がメキシコ経済に及ぼしている影響に関する政府の調査は終了していない。しかし政府は、麻薬取引
や麻薬絡みの暴力事件がメキシコ経済や外国からのメキシコに対する投資に重大な影響を及ぼしていると
は考えていない。
2017年９月26日、INEGIは、迫害と治安の認識に関する世論調査2017（ Encuesta Nacional de
Victimización y Percepción sobre Seguridad Pública 2017 ）を公表した。この調査の結果、麻薬取引お
よび組織犯罪といった被害調査対象外の連邦犯罪を除き、地方犯罪および関連する治安対策によりメキシ
コの家計に対して2015年に236.8十億ペソの費用がかかったのに対して、2016年にはGDPの1.1％にあたる約
229.1十億ペソの費用がかかったことが判明した。この費用は、地方犯罪の被害者１名につき5,647ペソに
相当する。
2017年５月12日にヨーロッパ、アジアおよび中南米の複数の国に影響を及ぼしたサイバー攻撃を受け
て、国家安全保障委員会（ Comisión Nacional de Seguridad 、以下「CNS」という。）は、連邦警察
（ Policía Federal ）が連邦機関のコンピュータ機器のセキュリティを高めるための技術的提言を備えたガ
イダンスを発行したことを報告した。ランサムウェア・ソフトウェアにリンクしたサイバー事案を管理す
るため、CNSと他の諸国の同等機関との間のコラボレーション・プロトコルも作動した。
2017年５月、メキシコにおいて人権擁護者およびジャーナリストに対する暴力が多発したのを受けて、
政府は対策の実施を発表したが、これには、人権擁護者およびジャーナリストに対する暴力事件の調査を
実施し、解決する能力を強化するため、(1)人権擁護者およびジャーナリストを保護するためのインフラお
よび予算措置を拡大すること、(2)民間団体、国家人権委員会（ Comisión Nacional de los Derechos
Humanos ）および政府の代表者の主導で、暴力のリスクを特定し軽減する国家的な連携システムを立ち上げ
ること、ならびに(3)表現の自由に対する犯罪に対応する特別検察（ Fiscalía Especial para la Atención
de Delitos Cometidos Contra la Libertad de Expresión ）が利用可能な財源を増やすことが含まれる。
2017年６月22日、大統領は、表現の自由を保護する政府の取組みを繰返し強調した。この取組みに合わ
せて大統領は、連邦検察庁に対して「ペガサス」として知られる先進的なスパイウェアがメキシコにおい
てジャーナリスト、人権擁護者および汚職問題活動家のプライバシーを侵害するために使用されたとの申
立てについて捜査するよう命じた。
2017年12月21日、大統領は、治安に関わる事由発生時にメキシコ軍が行うべき行動を明確にする国内治
安法（ Ley de Seguridad Interior ）に署名した。国内治安法は、州および地方自治体への治安目的の軍の
介入を一時的なものに限定することを定めている。
2018年４月および５月、メキシコ中央銀行（ Banco de México ）が開発し、運営する、銀行預金口座間の
資金の電子的移転を可能にする銀行間電子決済システム（ Sistema de Pagos Electr ó nicos
Interbancarios ）の５つの登録参加機関は、サイバーセキュリティ違反を経験した。観測されたすべての
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攻撃は、銀行、ブローカー企業および決済システムのその他の参加者に向けられたものであった。これら
の事案は、銀行、ブローカー企業またはその他攻撃の標的となった者の個人顧客に金銭的な損失をもたら
す ものではなかった。
こうしたサイバーセキュリティ事案に対応して、2018年５月15日、メキシコ中央銀行は、技術的インフ
ラ保護を改善し、技術セキュリティ管理部（ Gerencia de Seguridad de Tecnologías ）にサイバーセキュ
リティ管理に対する監督権限を付与することを通じて、その取扱うデータの保護を強化するため内部規則
の改訂を実施した。メキシコ中央銀行は、資金移転サービスを提供する与信機関およびその他の組織に対
して、システムによる変則的な資金移転の発見、ならびに参加者およびシステム全体に対して可能性のあ
るダメージを回避するためのその運用の整合性を検証する能力を強化するため、追加的な管理措置を適用
するオプションを与える規定を発行した。これらの規定は、与信機関による現金引出しの検証に対する規
則の変更も規定している。
2018年５月24日、金融部門の６つの当局、連邦検察庁、メキシコの金融部門の様々な同業組合および民
間金融機関の代表者は、メキシコの金融制度において情報のセキュリティが侵されるような事由が発生し
た場合に金融部門の当局および団体がこれに対応し、他の機関と調整する方法を強化するため、情報セ
キュリティに係る調整基準（ Bases de coordinación en materia de seguridad de la información ）に調
印した。
2018年11月15日、最高裁判所は、2017年12月21日施行の国内治安法につき違憲の宣言を下した。同法
は、 大統領が自身で、または該当する州議会の要請によって、国家安全保障の脅威になると判断し、宣言
した州において、連邦軍が公共の安全機能を制御することを認めることを目的とするものであった。
⑥ 環境
メキシコは、環境保護に取組む法律および規則の枠組みを制定した。
憲法は、すべての国民にその発展と福祉のための健全な環境に対する権利を付与している。この権利
は、環境保護に取組む法律、規則、命令および条例のしっかりした枠組みを通じて保証される。さらに、
メキシコの法律では、経済の成長は環境保護を条件とすることが命じられている。
1988年、メキシコは、国内の環境政策の基盤となる生態系均衡および環境保護一般法（ Ley General del
Equilibrio Ecol ó gico y la Protecci ó n al Ambiente ）を制定した。生態系均衡および環境保護一般法
は、とりわけ(1)各人の発展と福祉のために健全な環境で生活する権利を保証すること、(2)環境政策の原
則およびその実行のための仕組みを明確にすること、ならびに(3)生物多様性を保全、保護し、自然保護区
を管理することを目指している。
2000年に環境天然資源省（ Secretaría de Medio Ambiente y Recursos Naturales 、以下「SEMARNAT」と
いう。）が設立された。SEMARNATは、天然資源の保護に対する国民の期待の高まりに対応して環境に絡ん
だ政府政策を策定し、これについて助言するほか、汚染の原因ならびに生態系および生物多様性の喪失へ
の取組みを担当している。SEMARNATのほかに、とりわけ、環境規制の遵守状況を監視し、生物多様性を保
全し、持続可能な開発政策を推進し、森林の保全および復元を推進し、環境の保護、生態系の保全および
復元ならびにメキシコにおける気候変動に対する懸念の軽減にかかる科学的および技術的な知識を生成
し、利用するために、環境保護連邦検察庁（ Procuraduría Federal de Protección al Ambiente 、
PROFEPA）、国家自然保護地区委員会（ Comisión Nacional de Áreas Naturales Protegidas 、CONANP）、
国家森林委員会（ Comisión Nacional Forestal 、CONAFOR）および 国立環境・気候変動研究所（ Instituto
Nacional de Ecología y Cambio Climátido ）が設立された。
2003年10月８日付の廃棄物の発生防止および処理に関する一般法（ Ley General para la Prevención y
Gestión Integral de los Residuos ）は、有害廃棄物および非有害廃棄物の処理を規制するものである。
この法律は、有害廃棄物を発生させる小規模業者に対してSEMARNATへの登録と有害廃棄物の年間生産量な
らびにその管理の記録を保持することを義務づけるため、定期的に見直し、更新および拡大がなされてお
り、最後に改正されたのは2015年５月22日であった。
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メキシコは、 気候変動に関する国際連合枠組条約（ UNFCCC ）の京都議定書の締約国である。
メキシコの主な環境面の関心事項には、革新的な経済、財政および公共政策手段による自然遺産の保
全、復元および開発を通じた資源および便益の推進および創造、ならびに環境財・サービスの消費の促進
などがある。メキシコは、とりわけ、環境品質を改善するために環境の生態系および被害地域を回復する
こと、インフラおよび環境関連プログラムの対象を拡大して、公衆衛生を保護し、生態系および天然資源
の保全を保証するようにすること、気候変動問題、生物多様性および環境における地域協力および国際協
力を推進し、強化すること、ならびに環境および天然資源の保護に利用可能な資源を増やす金融および投
資の取決めを推進することを目指している。
輸送関連の汚染は、メキシコシティの大気汚染の大きな原因となっており、また間接的に大気中のオゾ
ン排出の大きな原因となっている。その結果、輸送関連汚染の抑制が政府の公害防止プログラムの主たる
目的となっている。メキシコシティおよびメキシコのその他いくつかの都市を走行するすべての新車両
は、（触媒式排ガス浄化装置の段階的導入に続いて）米国の性能基準に適合した排出制御装置を備えるこ
とを義務づけられている。メキシコシティでは各平日に市内の自家用車の５分の１が締め出されることを
義務づけ、週末の運転規制を定期的に、また市内の汚染水準が高いと判断された場合に、拡大されるプロ
グラムであるノーカーデー（ Hoy No Circula ）を引続き実施している。排出基準を満たした車両が一定の
排出基準テストを満たした場合には毎日利用することができる。また、メキシコシティ州政府は、市内の
大気汚染を抑える取組みの一環として、メキシコシティ内の４カ所の大気の質を測定する移動分析施設を
利用し始めた。
輸送関連の汚染のほかに、主にメキシコ盆地内に所在の工業が原因となっている工業関連の汚染もメキ
シコの大気汚染発生の大きな要因となっている。製造業部門の大部分はメキシコ盆地外の地域に移転して
いるが、メキシコの製造業の生産高の大部分は依然としてこの地域内の工場から生産されている。メキシ
コ盆地への工業の集中は、メキシコシティの変動しやすい気候および周辺の山々と相まって、ハイレベル
の(1)大気中の浮遊粒子、(2)二酸化硫黄（ディーゼル燃料と燃料油の燃焼による気体副産物）、(3)空中鉛
（有鉛ガソリンが燃焼したときにガスとして放出されるものおよび工業により微粒子の形で放出されるも
の）、(4)一酸化炭素（ガソリンの不完全燃焼により生成されるもの）、ならびに(5)オゾン（窒素酸化
物、炭化水素および太陽放射の組合せによって発生するもの）の原因となっている。
当局は、いくつかの方法でこうした工業関連の汚染に取組もうとしてきた。例えば、政府はメキシコ盆
地またはモンテレイやグアダラハラといったその他の主要工業都市における新工場建設を思いとどまらせ
る総合政策を講じている。当局はまた、大気中の汚染物質の濃度が一定水準まで上昇した場合に、特定の
種類の工場に対して操業の縮小や一時的な閉鎖を義務づける規制を実施している。こうした政治的主導の
下で、当局は、随時メキシコ盆地内の工場に対して高度の汚染水準を理由に操業の縮小を命じてきた。
農業・牧畜・農村開発・漁業・食糧省（ Secretaría de Agricultura, Ganadería, Desarrollo Rural,
Pesca y Alimentación 、以下「農業省」という。）も、農村における環境イニシアティブを推進してき
た。乾燥地域国家委員会（ Comisión Nacional de las Zonas Áridas 、以下「乾燥地域委員会」という。）
は、メキシコの乾燥地域および未耕作地域の開発に責任を負う。乾燥地域委員会のプログラムは、現在生
産性の回復と土壌保全および雨水活用の実践の推進に力を入れている。こうしたプログラムのひとつは、
一次生産に利用される土壌、水および植物の保全、持続可能な利用および管理の推進に重きを置いた天然
資源の持続可能性のためのプログラム（ Programa de Sustentabilidad de Recursos Naturales ）である。
これらの目標は、農村地域に対して(1)保全プロジェクトへの投資、(2)雨水の取り込み、貯蔵および処理
のための手続きの策定および開発、ならびに(3)植被の利用を奨励することにより、実現される。
2015年12月24日付のエネルギー移行法（ Ley de Transición Energética ）は、よりクリーンなエネル
ギー源を推進することにより、気候変動に対応しようとするものである。この法律により、クリーン・エ
ネルギー証明書プログラムが設けられ、2024年までにメキシコの電力供給の少なくとも35％がクリーン・
エネルギー源から生み出されなければならないという目標が設定されている。
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エネルギー移行法に従って、2017年５月31日、エネルギー省（ Secretaria de Energia ）は、エネルギー
市場におけるクリーン・エネルギーの比率を2018年までに25％、2021年までに30％、2024年までに35％に
引き上げるためのクリーン・エネルギー戦略を評価し、実施するための特別エネルギー移行プログラム
（ Programa Especial de la Transición Energética ）の創設を公表した。
2016年９月、上院はパリ協定を批准する命令を発し、パリ協定は2016年11月４日付で施行された。パリ
協定は、温室効果ガスによる地球温暖化を食い止めるための長期的な目標を設定しようとするものであ
る。
パリ協定の規定を遵守するためのメキシコの取組みの一環として、SEMARNATは2016年11月17日のパリ協
定参加国の会議において2050年までに温室効果ガスの排出を削減するメキシコの戦略を提示した。
2017年12月12日、SEMARNATは、炭素価格の設定に関する地域協力に対するメキシコの取組みについて再
確認した。メキシコは、カナダ、チリ、コロンビアおよびコスタリカの地域の首脳ならびに米国の各州お
よびカナダの州の首脳とともに、パリ協定に対する取組みを再確認し、炭素価格の設定、排出の監視およ
び関連事項における地域協力を約束した。
2018年４月27日、SEMARNATは、政府支援を受ける農業活動が森林伐採に寄与することがないようにする
規則を細かく定めた持続可能な森林開発に関する法律（ Ley de Desarrollo Forestal Sustentable ）の公
布を発表した。
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(2) 【経済】
① 概要
世界銀行のデータによると、2016年のGDP（米ドル現行価格による）で測定したメキシコ経済は、世界で
15番目の規模である。メキシコ経済は、2018年の実質GDPが18,525.9十億ペソで、2014年から2018年の間に
実質GDPは1,792.2十億ペソ増加した。
② 経済における政府の役割－民営化
概要
過去20年間にわたって、政府は規制緩和、民営化および民間部門からの投資の増加を通じて経済の生産
性および競争力を向上させるための措置を講じてきた。これらの施策には、(1)政府が鉄道および衛星通信
への民間部門からの参入を認可することを認めるための憲法改正および関連する法律の制定、(2)メキシコ
民間部門の企業による天然ガスの貯蔵、配送および輸送への参入を認める法律の制定、(3)空港、港湾およ
び高速道路の民営化、(4)民間企業にメキシコ国内での商業空輸サービス事業の30年間有効な営業免許
（ concesiones ）を認める民間航空に関する法律の制定、ならびに(5)政府が石油の採掘および生産ならび
に配電への民間からの参入を認可することを認めるための憲法改正および関連する法律の制定が含まれて
いた。
2017年12月31日現在、政府が所有または支配する事業体の数は202社であった。これらの事業体には、
(1) 政府が過半を所有する企業（ empresas de participación estatal mayoritaria ）（その一部は、与信
の利用を制限されてきた個人および企業に貯蓄、金融教育および金融・ジェンダー包摂を奨励する機関で
ある全国貯蓄金融サービス銀行（ Banco del Ahorro Nacional y Servicios Financieros, S.N.C. ）などの
銀行開発機関とみなされる。）、（2）主として中小規模の預金者向けに銀行預金を保証し、銀行の支払能
力の問題に解決策を与えることを目的とする銀行預金保険機構（ Instituto para la Protección al
Ahorro Bancario 、以下「IPAB」という。）など、銀行制度の安定性に貢献し、全国決済システムを保護す
る分権的機関（ organismos decentralizados ）、（3）地域開発、雇用創設、経済発展、社会福祉および生
活の質の向上を目指した観光部門への持続可能な投資プロジェクトを特定しようとする観光推進国家基金
（ Fondo Nacional de Fomento al Turismo ）などの公的信託基金（ fideicomisos públicos ）、（4）公開
市場に参入し、経済価値を生み出すことを目的としたメキシコ石油公社（以下「ぺメックス」という。）
および連邦電力公社（ Comisión Federal de Electricidad、 以下「CFE」という。）などの生産的国有企業
（ empresas productivas del estado ）ならびにそれらの子会社またはペメックス・エクスプロレーショ
ン・アンド・プロダクション社（ Pemex Exploración y Producción ）およびペメックス・コジェネレー
ション・アンド・サービシズ社（ Pemex Cogeneración y Servicios ）といった生産的国有子法人
（ empresas productivas subsidiarias ）が含まれる。
2014年８月11日、旧エネルギー規制委員会法（ Ley de la Comisión Reguladora de Energía ）および旧
天然ガス規制法（ Reglamento de Gas Natural ）に代わって、メキシコにおける炭化水素の探査、採掘およ
び精製から配送、貯蔵、販売およびマーケティングに至る活動を規制することを目的とした炭化水素法
（ Ley de Hidrocarburos ）が制定された。2014年８月28日、国家天然ガス管理センター（ Centro Nacional
de Control de Gas Natural ）が設立され、現在では、メキシコにおける天然ガスのパイプライン・ネット
ワークおよび貯蔵の管理、調整および効率的な監督について責任を負っている。
また2014年８月11日には、第二次立法により、石油およびガスの探査、生産および輸送への参入にかか
るメキシコ人および非メキシコ人の投資家向けの入札手続きが開始された。政府はまた、2014年10月31日
に、電力部門への参入にかかる入札手続きを詳しく定めた電気産業法規則（ Reglamento de la Ley de la
Industria Eléctrica ）を制定した。政府は、民営化への取組みをメキシコの構造的経済改革の重要な要素
と考えている。また、議会は、メキシコ経済の主要部門への民間および外国人の参入範囲を拡大する一連
の法律を施行した。例えば、FONADINは、公的部門および民間部門の参加によるインフラ整備プロジェクト
開発のための財政基盤として機能している。2014年４月29日、2014年－2018年国家インフラ整備プログラ
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ム（ Programa Nacional de Infraestructura 2014 - 2018 ）が実施され、とりわけ通信、道路ならびにエ
ネルギーおよび観光へのメキシコにおけるインフラ投資に関連した活動においてFONADINの支援を受けてい
る。
2016年１月１日以降、民間企業はペメックスのフランチャイズであることを要しないガソリンおよび
ディーゼルのサービス・ステーションを所有することができる。2016年４月１日以降、民間企業はガソリ
ンおよびディーゼルを輸入できるようになった。
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③ 国内総生産
以下の表は、表示期間についてのメキシコの実質国内総生産（GDP）および支出をペソおよび比率で示し
たものである。
実質国内総生産および支出
(1)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
(2)
（ 単位：十億ペソ）
GDP 16,740.3 17,287.8 17,791.5 18,157.0 18,519.1
加算：財貨およびサービスの
5,596.2 5,927.4 6,099.5 6,478.1 6,879.6
輸入
財貨およびサービスの供給合
計 22,336.5 23,215.2 23,890.9 24,635.1 25,398.7
控除：財貨およびサービスの
5,451.5 5,910.2 6,114.8 6,369.7 6,735.9
輸出
国内支出に供され得る
財貨およびサービス合計 16,885.0 17,305.0 17,776.1 18,265.4 18,662.8
財貨およびサービス合計の配
分
民間部門消費 11,046.5 11,418.0 11,835.8 12,142.3 12,411.6
2,041.8 2,081.5 2,131.3 2,149.7 2,179.3
公的部門消費
消費合計 13,088.3 13,499.5 13,967.1 14,292.0 14,590.8
総固定投資 3,565.4 3,743.1 3,784.1 3,722.6 3,744.4
159.8 140.8 159.1 149.8 164.0
在庫の増減
16,813.5 17,383.4 17,910.2 18,164.5 18,499.2
国内支出合計
(71.5) 78.4 134.1 100.9 163.6
誤差脱漏
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 2013年12月31日現在の購買力に基づく恒常ペソによる表示。
出典： INEGI
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実質国内総生産および支出
(1)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
(2)
（ 単位：GDPに対する百分比）
GDP 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
加算：財貨およびサービスの輸入 33.4 34.3 34.3 35.7 37.1
財貨およびサービスの供給合計 133.4 134.3 134.3 135.7 137.1
32.6 34.2 34.4 35.1 36.4
控除：財貨およびサービスの輸出
国内支出に供され得る
財貨およびサービス合計 100.9 100.1 99.9 100.6 100.8
財貨およびサービス合計の配分
民間部門消費 66.0 66.0 66.5 66.9 67.0
12.2 12.0 12.0 11.8 11.8
公的部門消費
消費合計 78.2 78.1 78.5 78.7 78.8
総固定投資 21.3 21.7 21.3 20.5 20.2
1.0 0.8 0.9 0.8 0.9
在庫の増減
100.4 100.6 100.7 100.0 99.9
国内支出合計
(0.4) 0.5 0.8 0.6 0.9
誤差脱漏
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 2013年12月31日現在の購買力に基づく恒常ペソによる表示。
出典： INEGI
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以下の表は、表示期間についてのメキシコの実質国内総生産のペソによる経済部門別構成および対前年
比変動率を示したものである。
部門別実質国内総生産
(1)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
(2)
（ 単位：十億ペソ）
第一次産業：
農業、林業、漁業、狩猟業
(3)
および畜産業 530.2 541.2 561.6 578.0 591.7
第二次産業：
鉱業 1,131.8 1,082.2 1,037.6 950.1 897.5
電力、ガスおよび水道事業 263.9 268.3 268.7 267.6 273.2
建設業 1,242.9 1,273.0 1,298.6 1,286.4 1,294.5
製造業 2,679.7 2,752.1 2,794.5 2,885.2 2,932.8
第三次産業：
卸売・小売業 2,846.6 2,970.4 3,053.2 3,153.8 3,252.5
運輸・倉庫業 1,046.5 1,091.9 1,125.9 1,169.8 1,206.2
情報業 339.2 396.6 472.4 512.7 543.6
金融および保険業 616.0 707.3 793.9 840.0 892.5
不動産、賃貸および
リース業 1,887.1 1,933.9 1,972.3 2,003.3 2,041.5
専門業、科学および
技術サービス業 316.9 330.2 355.0 356.5 361.0
会社・企業経営 96.9 101.1 100.9 102.4 102.0
管理、支援、廃棄物処理お
よび修復サービス 575.6 583.1 608.1 643.9 676.8
教育サービス 667.2 666.6 673.5 681.6 682.9
ヘルスケアおよび
社会支援サービス 373.0 366.4 376.5 381.4 390.9
芸術、娯楽および
レクリエーション 70.3 73.1 76.4 77.6 77.7
宿泊および飲食サービス 354.2 380.8 392.9 410.6 414.8
その他のサービス
（行政サービスを除く。） 344.7 353.0 362.3 360.4 356.3
685.2 701.9 703.9 702.4 714.8
行政サービス
基本的価値による総付加価値 16,067.8 16,573.1 17,028.2 17,363.7 17,703.1
製品にかかる税金
672.5 714.7 763.3 793.3 816.0
（補助金控除後）
16,740.3 17,287.81 17,791.46 18,157.0 18,519.1
GDP
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 2013年12月31日現在の購買力に基づく恒常ペソで計算したGDPに基づいている。
(3) 上記表および本書のその他における農業生産に関するGDPの数値は、穀物の成長時期に基づいて穀物ごとにその
定義が異なる「農業年」についての数値に基づいている。GDPのその他の項目については暦年についての数値が
用いられている。
出典： INEGI
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部門別実質国内総生産の成長率
(1)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
(2)
（ 対前年変動率（％））
GDP （2013年の恒常ペソ） 2.8 3.3 2.9 2.1 2.0
第一次産業：
農業、林業、漁業、狩猟業および
畜産業 3.8 2.1 3.8 3.2 2.4
第二次産業：
鉱業 (1.9) (4.4) (4.1) (8.2) (5.5)
電力、ガスおよび水道事業 8.1 1.7 0.1 (0.4) 2.1
建設業 2.7 2.4 2.0 (0.9) 0.6
製造業 4.0 2.7 1.5 2.8 1.7
第三次産業：
卸売・小売業 3.8 4.4 2.8 3.4 3.1
運輸・倉庫業 3.5 4.3 3.1 4.2 3.1
情報業 4.5 16.9 19.1 8.5 6.0
金融および保険業 8.6 14.8 12.2 5.8 6.3
不動産、賃貸およびリース業 1.8 2.5 2.0 1.6 1.9
専門業、科学および技術サービス業 1.7 4.2 7.5 0.4 1.3
会社・企業経営 7.2 4.3 (0.2) 1.5 (0.4)
管理、支援、廃棄物処理および修復サービス (0.3) 1.3 4.3 5.9 5.1
教育サービス 0.5 (0.1) 1.0 1.2 0.2
ヘルスケアおよび社会支援サービス (0.3) (1.8) 2.7 1.3 2.5
芸術、娯楽およびレクリエーション (4.2) 4.1 4.5 2.0 0.2
宿泊および飲食サービス 2.7 7.5 3.2 4.1 1.0
その他のサービス（行政サービスを除く。） 1.4 2.4 2.6 (0.2) (1.1)
行政サービス 2.0 2.4 0.3 0.2 1.8
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 2013年12月31日現在の購買力に基づく恒常ペソで計算したGDPに基づいている。
(3) 上記表および本書のその他における農業生産に関するGDPの数値は、穀物の成長時期に基づいて穀物ごとにその
定義が異なる「農業年」についての数値に基づいている。GDPのその他の項目については暦年についての数値が
用いられている。
出典： INEGI
世界の金融と経済の回復は、2011年および2012年に勢いを失った。2014年までに、主要先進諸国におけ
るレバレッジ解消の過程およびユーロ圏における経済的困難をはじめとするいくつかの要因により、国際
的な経済環境は著しく悪化した。2015年から2016年初めには、世界経済の展開は弱含みで、成長見通しを
継続的に下方修正することとなったが、これは金融市場において繰り返し生じるボラティリティの問題、
石油価格の下落傾向が持続したこと、ならびに米国の金融政策の正常化の時期およびペースについての不
透明性が高かったことによる。経済活動は2017年を通じて強まり、 ユーロ圏、日本、アジア新興国、ヨー
ロッパ新興国およびロシアの成長見通しが上方修正され、米国および英国の成長見通しの下方修正を相殺
した。しかし、多くの諸国では成長は依然として弱く、商品輸出業者は海外収益減少の悪影響を受けてき
た。
国際的に経済環境が悪化する状況にあって、メキシコ経済は2014年には上向き傾向を示し、旺盛な外
需、いくつかの国内需要項目（特に民間消費および公的支出）の早期回復、ならびに民間投資の段階的回
復により、年間のGDP成長率は2.8％で安定的に成長した。2015年から2016年初めには、国内経済は順調に
成長を続けた。
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主に米国における金融政策の正常化のプロセスにかかる継続的な不透明性および2016年11月の米国大統
領選挙の結果、2016年を通じて、メキシコ経済が直面した外部環境は高いボラティリティをもたらした。
そ の結果行われた国際金融市場におけるポートフォリオの調整は、国内市場に大きな影響を及ぼし、資産
価値の低下につながった。2016年第４四半期には、第３四半期を下回る伸び率ではあったが、生産活動は
拡大を続けた。特に、外需および民間消費はいずれも好調を維持した。
2017年、メキシコ経済は、直前３年間に見られた成長から減速した。2017年第４四半期に、メキシコ経
済は主としてサービス部門の実績により大幅に拡大した。輸出は引続き好調に推移し、民間消費は引続き
上向き傾向を示した。これとは対照的に、投資の不振は続いた。総じて、メキシコのGDPは、2017年には
2016年と比較して実質ベースで2.0％の成長であった。この成長は、金融部門および情報関連産業における
成長によるものである。メキシコにおけるインフレに関する情報については、「(4) 通貨・金融制度－①
金融政策、インフレおよび金利」を参照のこと。
暫定値によると、メキシコのGDPは、2018年に実質ベースで2.0％成長した。これは、主に年間を通じて
産業活動が停滞し、投資がマイナス基調であったことから、2017年の2.1％成長と比較すると減速成長とな
る。特に投資は、建設および機械製造の落込み、世界経済の減速ならびに政権が実施する政策に関する不
確実性の高まりの影響を受けた。産業活動および投資の落込みは、財貨およびサービスの消費増加によっ
て後押しされた内需の拡大によって一部相殺された。
メキシコの国民１人当たり国民総所得
（ 単位：米ドル、現行価格および購買力平価）
2012 年 16,420
2013 年 16,440
2014 年 17,130
2015 年 16,860
2016 年 17,160
注： メキシコの国民１人当たり国民総所得に関する2017年および2018年の数値は、まだ世界銀行のウェブサイトか
ら入手できない。
出典： 世界銀行のデータ
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④ 物価および賃金
インフレ
2014年の消費者物価の上昇は4.1％で、2013年の消費者物価上昇率を0.1パーセンテージ・ポイント上
回った。年間インフレ率は3.0％のインフレ目標から想定偏差の範囲（+/-1.0％）を超えて上昇した。これ
は主として高カロリー製品および炭酸飲料に対する生産・サービス特別税（ Impuesto Especial sobre
Producción y Servicios 、以下「IEPS税」という。）、国境地域における付加価値税の平準化を含む新し
い税制の導入、ならびにエネルギー価格の値上がりによるものである。
2015年の消費者物価の上昇は2.1％で、同年のインフレ目標である3.0％－4.0％を下回り、2014年の消費
者物価上昇率を2.0％下回った。年間インフレ率は3.0％のインフレ目標から想定偏差の範囲（+/-1.0％）
を下回る範囲であった。これは主として、(1)2014年に実施された財政の立て直しにより価格への影響が弱
まることが予想された金融政策、(2)電気通信およびエネルギーなどのサービス産業における価格の低下、
(3)直接的または間接的な貢献があったと思われる構造的改革、ならびに(4)総需要側からの圧力の欠如に
よるものである。
2016年の消費者物価の上昇は3.4％で、同年のインフレ目標である3.0％を上回り、2015年の消費者物価
上昇率2.1％を1.3パーセンテージ・ポイント上回った。メキシコ中央銀行によると、インフレ率は、3.0％
の目標値から想定偏差の範囲（+/-1.0％）を上回る範囲であった。これは主として、2016年11月の米国の
大統領選挙後の外部環境によりメキシコ・ペソが下落し、また一部の農産品および北部国境付近における
ガソリンを含むエネルギー商品の価格値上がりに関連したインフレによるものである。
2017年の消費者物価の上昇は6.8％で、同年のインフレ目標である3.0％を上回り、2016年の消費者物価
上昇率3.4％を3.4パーセンテージ・ポイント上回った。メキシコ中央銀行によると、インフレ率は、3.0％
の目標値から想定偏差の範囲（+/-1.0％）を上回った。これは、主として、国内外双方において重大な
ショックが続いた結果であるが、インフレを2001年以降記録されていなかった水準にまで導いた。特に、
2017年初め以降、インフレは、メキシコ・ペソ安、ならびに、米国新政府がメキシコとの二国間関係につ
いてとるであろうポジションに関する不確実性、来るべきメキシコの選挙にまつわる不確実性およびメキ
シコが生産し輸出するいくつかのエネルギー製品（ガソリンおよびLPガスを含む。）の価格の値上がりに
よるペソのボラティリティの高まりの影響を受けた。2017年上半期には、メキシコの複数の都市において
自動車運送料金の引上げおよびいくつかの農産品価格の値上げがあったが、これらはいずれもインフレ率
の上昇の一因となった。2017年末の数カ月にはいくつかのエネルギー源（主にLPガス）ならびに特定の果
物および野菜の値上がりを含む一連の追加的なショックがあり、インフレ率をさらに引上げた。
政府は、国内の燃料価格が市場力に従って決定されるようにこれらを自由化するため、2017年にガソリ
ンおよびディーゼルにかかる価格統制を段階的に撤廃した。国内の燃料価格は、政府が決定するいかなる
特定の価格帯も考慮することなく変動することがある。2016年12月27日、財務省は、2017年１月１日付で
メキシコの一部地域に適用されるガソリンおよびディーゼルの最高価格の引上げを発表した。これにより
この地域においてガソリン価格が最大20％の値上げとなった。価格統制の撤廃およびそれに伴う値上がり
により、メキシコ全体に抗議活動が広まった。メキシコは、ガソリンおよびディーゼル価格の変化ならび
に関連する政治的・社会的不安のメキシコ経済に対する影響について、またメキシコ政府が将来において
価格自由化戦略を変更しうるかどうかについて、予測することはできない。2016年12月27日、財務省はさ
らに、メキシコの各地域に適用される燃料価格の上限が2017年２月18日をもって日次で決定されることと
なる旨を発表した。
2017年８月23日、INEGIは、メキシコの家計の消費パターンをよりよく反映することを目的として、2018
年８月から全国消費者物価指数に変更を加えることを発表した。この変更には、(1)基準年の更新、(2)財
貨およびサービスの品目数の増加、(3)代表的分野数の増加および(4)各品目のウェイトの調整が含まれ
る。新しい尺度により、全国消費者物価指数にはより大きなボラティリティが生じるものと予想される。
2018年の消費者物価の上昇は4.8％で、メキシコ中央銀行による同年のインフレ目標である3.0％（+/-
1.0％）を上回り、2017年の消費者物価上昇率6.8％を2.0パーセンテージ・ポイント下回った。これは、主
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として、メキシコ中央銀行が実施した金融政策措置により中長期のインフレ期待が安定したことならびに
LPガス、ガソリンおよび電力などのエネルギー価格の年間上昇率が低下したことが相俟った結果である。
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以下の表は、表示期間についての物価指数および最低賃金の年間上昇率の変動を百分比で示したもので
ある。
物価指数の変動率
(1)(3)(4)
全国生産者価格指数
(1)(2)
(5)
全国消費者物価指数 最低賃金上昇率
2014 年
4.1 3.3 3.9
2015 年 2.1 2.8 6.9
2016 年 3.4 8.5 4.2
2017 年 6.8 4.7 10.4
2018 年１月 5.6 3.4 -
2018 年２月 5.3 3.2 -
2018 年３月 5.0 3.6 -
2018 年４月 4.6 4.0 -
2018 年５月 4.5 5.4 -
2018 年６月 4.7 7.0 -
2018 年７月 4.8 6.5 -
2018 年８月 4.9 6.4 -
2018 年９月 5.0 6.9 -
2018 年10月 4.9 6.3 -
2018 年11月 4.7 6.5 -
2018 年12月 4.8 6.4
2019 年１月 4.4 5.0 -
2019 年２月 3.9 4.5 -
2019 年３月 4.0 4.3 -
2019 年４月 4.4 4.6 -
(1) 年次の数値については、物価指数の変動は毎年12月に計算されている。
(2) 全国消費者物価指数は、2018年７月下半期を基準日としている。
(3) 全国生産者物価指数の数値は、基本的な商品およびサービスの価格（石油価格を除く。）の変動を示してい
る。当該指数は2012年６月に導入された新手法に基づいている。
(4) 2019年については暫定値。
(5) 全国生産者価格指数は、2012年６月を基準日としている。
出典： INEGI、労働福祉省
賃金
メキシコの最低賃金は、企業および労働部門ならびに政府の代表者で構成される国家最低賃金委員会
（ Comisión Nacional de los Salarios Mínimos ）によって設定される。2017年11月21日、国家最低賃金委
員会は、メキシコ全土における最低賃金を、2017年１月１日現在の１日当たり80.04ペソから10.4％引上げ
て１日当たり88.36ペソとする決定を発表した。新しい最低賃金は、2017年12月１日付で効力を生じ、メキ
シコ全土において一律に適用された。
メキシコの法律では、税引前利益の10％を労働者に分配することによる強制利益分配制度を含め、十分
な労働者福利厚生を提供することがメキシコにおいて業務を行う事業者に義務づけられている。その他の
給付としては、年金基金および労働者住宅基金制度への強制加入が挙げられる。
2018年11月16日現在、国家最低賃金委員会が設定した最低賃金は、2017年12月１日以降効力を有してい
た１日当たり88.36ペソであった。
2018年12月20日、ロペス・オブラドール大統領は、労働福祉省（ Secretaría del Trabajo y Previsión
Social ）および国家最低賃金委員会とともに、最低賃金の決定に関する新しい政策を発表した。新しい政
策の下で、メキシコは、新たに設定された北部国境自由貿易地域に含まれる米国との国境沿いの自治体に
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適用されるものと、メキシコのその他地域に適用される異なる賃金という、２つの最低賃金を有すること
になる。
新しい政策に加えて、国家最低賃金委員会は、2019年１月１日以降に効力を生じている次の新しい最低
賃金を発表した。すなわち、北部国境自由貿易地域内の自治体における１日当たり176.72ペソ（2019年１
月１日より前に有効であった１日当たり88.36ペソの最低賃金から100％の引上げ）と、メキシコのその他
地域における１日当たり102.68ペソ（従前の最低賃金から16.2％の引上げ）である。
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⑤ 雇用および労働情勢
雇用
1990年代初頭以降、メキシコの貿易自由化政策およびNAFTA加盟が経済の構造的変化を生み、不完全雇用
を発生させた。メキシコには包括的な失業給付制度または十分に発達した社会福祉制度は存在しない。政
府は中期的に労働力になることが見込まれる多数の者のために雇用機会を創出する経済環境作りに専心し
ている。しかし、政府はメキシコの重大な不完全雇用問題への対策が引続き重要な課題となる可能性が強
いことも認識している。
2017年12月31日現在、メキシコ社会保険庁（ Instituto Mexicano del Seguro Social 、以下「IMSS」と
いう。）の保険に加入している労働者数は、経済の「公式」部門における雇用を示す指標であるが、その
数は2016年末に比べ4.3％増の19,418,455人であった。IMSSは、退職した労働者に対して医療給付および年
金を提供している。
全国職業雇用調査（ Encuesta Nacional de Ocupación y Empleo ）による測定では、顕在失業率は、調査
参照週の労働が１時間に満たなかったが、労働意欲を示しており、かつ職を得る目的で何らかの活動に従
事している経済活動人口の比率を示している。この調査の目的上、経済活動人口には15歳以上の個人が含
まれる。
顕在失業率（ Tasa de Desocupación Abierta ）に関する暫定値によると、2018年12月31日現在のメキシ
コの失業率は3.4％であり、2017年12月31日現在より0.3パーセンテージ・ポイント上昇した。2018年12月
31日現在、メキシコにおける15歳以上の経済活動人口は56.0百万人であった。
2017年12月31日現在、メキシコにおける15歳以上の経済活動人口は54.7百万人であった。
以下の表は、2018年12月31日現在の年齢別および性別のメキシコにおける失業者数およびその比率を示
したものである。
年齢別および性別の失業者数
合計 ％ 男性 ％ 女性 ％
合計 1,828,591 100.0 1,081,643 100.0 746,948 100.0
15 －24歳 642,155 35.1 378,114 35.0 264,041 35.3
25 －44歳 840,729 46.0 473,241 43.8 367,488 49.2
45 －64歳 314,292 17.2 208,185 19.2 106,107 14.2
65 歳以上 30,752 1.7 22,103 2.0 8,649 1.2
不明 663 0.0 0 0.0 663 0.1
出典： INEGI
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失業は特に農村部で広がっており、その状態が継続している。INEGIの2010年の国勢調査によると人口の
約22.2％が農村部に居住している。以下の表は、暫定値による2018年12月31日現在のメキシコにおける失
業率および総人口を州別に示したものである。
失業率（％） 総人口
アグアスカリエンテス州 3.2 1,184,996
バハ・カリフォルニア州 2.2 3,155,070
バハ・カリフォルニア・スル州 3.7 637,026
カンペチェ州 3.5 822,441
コアウイラ州 3.6 2,748,391
コリマ州 3.7 650,555
チアパス州 3.5 4,796,580
チワワ州 2.2 3,406,465
ドゥランゴ州 4.1 1,632,934
グアナフアト州 3.8 5,486,372
ゲレロ州 1.2 3,388,768
イダルゴ州 2.1 2,665,018
ハリスコ州 2.5 7,350,682
メヒコ州 3.8 15,175,862
メキシコ市 5.1 8,851,080
ミチョアカン州 2.4 4,351,037
モレロス州 2.1 1,777,227
ナヤリット州 3.6 1,084,979
ヌエボ・レオン州 3.5 4,653,458
オアハカ州 2.0 3,801,962
プエブラ州 2.5 5,779,829
ケレタロ州 3.7 1,827,937
キンタナロー 州 3.1 1,325,578
サン・ルイス・ポトシ州 2.1 2,585,518
シナロア州 3.1 2,767,761
ソノラ州 3.6 2,662,480
タバスコ州 7.9 2,238,603
タマウリパス州 3.8 3,268,554
トラスカラ州 4.0 1,169,936
ベラクルス州 2.7 7,643,194
ユカタン州 1.5 1,955,577
サカテカス州 2.4 1,490,668
出典： INEGIおよび国家人口審議会 （ Consejo Nacional de Población ）
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サービス部門は、メキシコの経済活動人口の最大部分を雇用している。以下の表は、暫定値による2018
年12月31日現在のメキシコの経済活動人口に占める割合を経済部門別に示したものである。
部門別経済活動人口
比率（％）
サービス業
42.9
商業 18.7
製造業 16.9
農業 12.2
建設業 8.0
その他 0.7
不明 0.5
出典： INEGIおよび国家人口審議会
雇用人口に占める不完全雇用の比率
（2014年－2018年）
比率（％）
2014 年
8.1
2015 年 8.3
2016 年 7.6
2017 年 7.0
2018 年 7.0
出典： INEGIおよび国家人口審議会
労働力
特に産業の成長が急速なメキシコの一部の地域では、産業界は熟練労働者と管理職の不足ならびに高い
転職率に悩まされている。政府は社内教育訓練プログラムを義務づけ、その費用の税務上の損金算入を認
める法令を通じて、これらの問題に取組む努力をしてきた。
2018年12月31日現在、メキシコの労働力の約8.1％が組合化されている。メキシコの労働法令では、労働
協約の最低２年ごとの更新（賃金は毎年再交渉の対象）を義務づけ、ストライキに対しては法的制約が加
えられている。2018年に、連邦の管轄下で規制されている部門に影響を及ぼすストライキの発生はなかっ
た。
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⑥ 社会保障制度
連邦社会保障諸法
連邦社会保障法（ Ley del Seguro Social ）および公務員社会保険庁法（ Ley del Instituto de
Seguridad y Servicios Sociales de los Trabajadores del Estado 、以下「ISSSTE法」という。）を総称
して社会保障諸法と呼ぶが、これらの法律は雇用主（政府事業体雇用主も含む。）に対し、各勤労者の退
職または終身障害に際して引出すために開設されている口座への拠出向けに、雇用主が選定する金融機関
に当該勤労者の基本給の２％に相当する金額を積み立てることを義務づけている。
1980年代初めにISSSTE法が施行されてから、連邦公務員は同法により新たに創設された完全積立方式年
金制度に加入することを義務づけられている。連邦公務員はISSSTE年金制度とISSSTE法の施行前に存在し
ていた賦課方式年金制度からの選択を認められている。ISSSTE年金制度は、連邦公務員向けの医療および
年金制度ならびに公務員社会保険庁（ Instituto de Seguridad y Servicios Sociales de los
Trabajadores del Estado 、以下「ISSSTE」という。）の財政難に対する政府の対応を支援する上で重要な
役割を果たしてきている。ISSSTE法によりISSSTEのコストが段階的に削減され、それによってISSSTEには
国内貯蓄、特に長期の貯蓄を増加させることにより経済成長および社会福祉に貢献するための追加的な手
段が提供されている。
ISSSTE法はまた、勤労者に退職貯蓄拠出金と年功特典を民間部門と公的部門の医療・年金制度の間で移
転させる権利を与え、民間部門と公的部門の間の移動を奨励している。
年金および住宅基金
(i) AFORES
メキシコの退職貯蓄制度は、メキシコ人労働者の経済状態を改善し、経済における長期貯蓄を推進する
ように意図されており、公的部門および民間部門の双方における投資プロジェクトに資金を提供してい
る。1997年から、各勤労者の独立退職貯蓄口座は退職基金事務管理者（ Administradoras de Fondos para
el Retiro 、以下「AFORES」という。）により運用されている。これらの民間部門の事業体は、個人年金
口座および特定退職貯蓄投資信託（ Sociedades de Inversión Especializadas de Fondos para el
Retiro 、「SIEFORES」）として知られる投資信託の運用を行うために、政府の承認を条件として設立され
ている。外国の金融機関によるAFORESへの投資は認められているものの、各AFORES事業体の発行済株式の
過半数は、メキシコ人により所有されていなければならない。単独の株主がいかなる種類の株式において
も10％超の支配権を取得することは認められない。
AFORESは、運用資金の最大100％を政府債または発行体の信用格付に応じて民間企業発行の負債性証券
に、また負債性証券の信用格付に基づく特定の制限を付して、最大20％を外国有価証券に投資することが
できる。AFORESは、メキシコの事業体が発行するエクイティ証券に投資することも認められている。
暫定値によると、2019年４月30日現在、63.3百万口の個人退職貯蓄口座がAFORESに開設され、運用され
ていた。2019年４月30日現在のAFORESの資産運用残高は3,586兆ペソで、その52.84％は政府証券に投資さ
れ、47.16％は民間部門、銀行、地方政府および外国の有価証券に投資されていた。
2017年９月20日、国家年金制度委員会（ Comisión Nacional del Sistema de Ahorro para el Retiro 、
CONSAR ）は、退職基金に特化した投資会社のための投資制度を設立する一般規定を公表した。これらの規
定には、各市場の安全性と発展を考慮した投資適格国のリストが含まれている。
(ii)INFONAVIT
勤労者住宅基金公社（ Instituto del Fondo Nacional de la Vivienda para los Trabajadores 、以下
「INFONAVIT」という。）は、1972年に勤労者向けの住宅プログラムの運営および住宅不足への対処のた
めに創設された。INFONAVITは金融仲介機関としての役割を果たし、住宅の建設または購入に関して勤労
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者への信用供与を行う。現在、雇用主は各勤労者について基本給の５％に相当する金額を銀行に開設され
ている住宅サブ口座に拠出することを義務づけられている。退職貯蓄サブ口座と同様に、住宅サブ口座へ
の 拠出金は、雇用主の税務上の当該年度の損金として認められる。これらの資金はさらにメキシコ中央銀
行におけるINFONAVITの口座に預け入れられることが義務づけられている。勤労者が住宅の購入または建
設に関してINFONAVITからの融資を受けた場合、当該勤労者の住宅サブ口座における残高は住宅の頭金資
金として使用することができる。未使用残高は、当該勤労者が退職または就業不能となった時点で引出す
ことができる。
2018年12月31日現在、INFONAVITの資本合計は、2017年と比較して10.3％増の219.1十億ペソであった。
また、2018年12月31日現在、INFONAVITの貸付ポートフォリオ合計は、2017年12月31日現在と比較して
7.5％増の1,133.0十億ペソであった。
(iii) 年金基金および住宅基金の合計
2018年12月31日現在のINFONAVITが運用する運用する住宅サブ口座およびAFORESにおける勤労者の個人
口座に累積された資金総額は4,731.10十億ペソであった。この数字には、(1)旧社会保険法に基づいて銀
行に開設された年金サブ口座よりの移転額、ならびに(2)新年金制度下での直接拠出額および確定拠出制
度を選択したISSSTE受給者への謝礼ボーナスが含まれる。
2018年に年金基金および住宅基金に預け入れられた総額は4,473.4十億ペソに上り、このうち3,234.11
十億ペソは勤労者の退職貯蓄サブ口座への預金に対応し、1,239.31十億ペソは住宅サブ口座への預金に対
応している。
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⑦ 経済の主要部門
メキシコ経済の主要部門は、製造業、石油および石油化学、観光業、農業、運輸および通信、建設業、
鉱業ならびに電力産業である。
(a) 製造業
メキシコは、(1)製造業の間接費が低いこと、および(2)メキシコが主要貿易相手国である米国と国境を
接していることを活用するという二つの目的をもって、製造業部門を発展させてきた。メキシコの現在の
政策は、融資の利便性を高めることにより社会経済を育てる一方で、国内市場を強化し、起業家を奨励
し、零細・中小企業を強化することを目指している。
2013年以降、メキシコの鉱工業生産高は大幅に増加してきた。こうした拡大は、主として、第一次金
属、金属加工製品および輸送機器部門における製造の増加ならびに製造品の米国向け輸出の増加によるも
のである。自動車の輸出は上向き傾向を維持したが、その他の製造品の輸出は低成長を続けた。
2017年、製造業の生産高は、機械、輸送機器、コンピュータおよび電子製品の製造の増加を反映して、
上向き傾向を示した。こうした改善は、石油・石炭製品の生産減ならびに繊維製品の生産減によって相殺
された。
2018年10月-12月期にかかるメキシコ中央銀行の四半期報告書によると、製造業の生産実績は、2018年上
半期に回復を示したのに対して、2018年第４四半期には低調であった。第４四半期における製造業生産の
低下は、ほとんどが、2018年第１四半期末以降減少傾向を続けた投資に最も直接的に関係する部門の低調
に関係するものであった。2018年下半期中、製造業活動は、世界の商取引の伸び悩みに伴う外需の減速の
影響も受けた。また、同期間中、ヨーロッパ、とりわけドイツ向けの自動車輸出は、新たな排出ガス規制
の影響を受けた。2018年第４四半期における製造業の生産が前期との比較で減少したのは、特に食品産
業、化学産業、卑金属産業、金属製品製造ならびに石油・石炭製品の製造の減少によって牽引された。
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以下の表は、表示期間の2013年恒常ペソによる十億ペソ単位での鉱工業生産高ならびに表示年における
生産高合計に占める各製造業部門の割合を百分比で示したものである。
部門別鉱工業生産高
(1) (1) (1) (1)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年 2017 年 2018 年
全体に占める
(2)
（ 単位：十億ペソ ） 割合(％)
食料品 604.0 617.1 633.9 647.7 659.6 22.4 22.5
飲料および
タバコ製品 140.3 147.7 158.9 161.8 170.8 5.6 5.8
繊維機械 24.9 26.2 26.0 25.8 26.3 0.9 0.9
繊維製品機械 13.2 14.1 14.7 13.0 13.8 0.5 0.5
衣料品 57.5 59.9 58.8 59.2 59.7 2.1 2.0
革工業製品 23.1 23.6 23.4 23.0 22.6 0.8 0.8
木製品 24.7 25.6 24.4 25.6 25.0 0.9 0.9
紙 46.5 48.1 49.8 51.1 51.8 1.8 1.8
印刷および
関連支援活動 17.9 18.3 18.4 18.3 19.7 0.6 0.7
石油・石炭製品 74.2 69.0 59.9 48.9 40.6 1.7 1.4
化学 266.1 256.6 249.3 244.6 243.3 8.5 8.3
プラスティック
およびゴム製品 72.3 76.5 75.9 78.4 79.4 2.7 2.7
非金属鉱産物製
品 68.0 72.5 74.2 74.4 75.0 2.6 2.6
第一次金属 190.8 180.1 183.5 190.1 186.7 6.6 6.4
金属加工製品 93.4 96.6 97.3 99.5 100.8 3.4 3.4
機械 116.1 117.2 119.1 127.5 129.2 4.4 4.4
コンピュータお
よび電子製品 198.8 213.7 226.6 244.8 253.8 8.5 8.7
電気設備、機器
および部品 80.3 84.9 88.7 89.1 90.8 3.1 3.1
輸送機器 482.6 515.6 521.7 566.1 587.5 19.6 20.07
家具および
関連製品 30.8 33.0 31.9 30.5 32.5 1.1 1.1
54.1 55.9 58.1 65.8 63.9 2.3 2.2
その他
2,679.7 2,752.1 2,794.5 2,885.2 2,932.8 100.0 100.0
合計
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 2013年12月31日現在の購買力に基づく恒常ペソによる。
出典： INEGIおよびメキシコ中央銀行
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以下の表は、表示期間について、部門別鉱工業生産高の変動を示したものである。
部門別鉱工業生産高
(1)
（対前年変動率（％））
(2) (2)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
食料品 0.2 2.2 3.1 1.8 1.8
飲料およびタバコ製品 3.3 5.3 7.6 1.9 5.6
繊維機械 (1.9) 5.0 (0.6) (0.8) 2.0
繊維製品機械 5.9 6.9 3.0 (10.8) 6.6
衣料品 (0.2) 4.1 (1.5) 0.5 0.8
革工業製品 (0.7) 1.9 (1.0) (1.3) (1.9)
木製品 1.4 3.8 (4.6) 4.8 (2.1)
紙 2.7 3.5 4.1 2.1 1.2
印刷および関連支援活動 (0.2) 2.0 0.0 (1.7) 7.4
石油・石炭製品 (4.8) (7.1) (13.1) (18.4) (16.9)
化学 (1.3) (3.6) (3.0) (1.7) (0.5)
プラスティックおよびゴム製品 2.5 5.8 (0.8) 3.4 1.3
非金属鉱産物製品 2.8 6.6 0.2 2.4 0.8
第一次金属 8.1 (5.6) 1.9 1.5 (1.8)
金属加工製品 5.4 3.4 1.1 0.7 1.3
機械 9.0 0.9 0.4 8.3 1.4
コンピュータおよび電子製品 12.7 7.5 6.8 6.8 3.7
電気設備、機器および部品 6.8 5.8 4.0 1.0 1.9
輸送機器 9.6 6.8 0.9 8.3 3.8
家具および関連製品 (3.4) 7.2 (3.7) (4.2) 6.5
その他 3.2 3.3 3.3 6.1 (2.9)
拡大/縮小合計 4.0 3.0 1.6 2.8 1.7
(1) 前年度からの変動率。変動率は2013年恒常ペソでの差異を反映している。
(2) 暫定値。
出典： INEGI
2014年に製造業は2013年と比べ実質ベースで4.0％成長した。これは主として、第一次金属、コンピュー
タおよび電子製品ならびに輸送機器の製造が増加したこと、ならびに米国向けの製造品輸出が増加したこ
とによる。自動車の輸出は上向き傾向を維持したものの、その他の製造品輸出は低成長を続けた。全体で
は、2014年には、それぞれ2013年と比較して、７の製造業部門が後退し、14部門が成長した。
2015年に製造業は2014年と比べ実質ベースで3.0％成長した。これは主として、繊維製品機械部門が実質
ベースで6.9％増加したこと、ならびに家具および関連製品部門が実質ベースで7.2％、コンピュータおよ
び電子製品部門が実質ベースで7.5％、それぞれ増加したことによる。しかし、石油・石炭製品および第一
次金属（それぞれ7.1％および5.6％減少）といった他の製造業部門では、実質ベースで後退した。全体で
は、2015年には、それぞれ2014年と比較して３部門が後退し、18部門が成長した。
2016年に製造業は2015年と比べ実質ベースで1.6％成長した。これは主として、飲料およびタバコ製品部
門が実質ベースで7.6％増加したこと、ならびにコンピュータおよび電子製品部門が実質ベースで6.8％、
繊維製品機械部門が実質ベースで3.0％、それぞれ増加したことによる。しかし、石油・石炭製品ならびに
木製品部門（それぞれ13.1％および4.6％減少）といった他の製造業部門では、実質ベースで後退した。全
体では、2016年には、それぞれ2015年と比較して８部門が後退し、13部門が成長した。
2017年に製造業の生産高は、機械、輸送機器ならびにコンピュータおよび電子製品の生産が増加したこ
とを反映して、上向き傾向を示した。2017年10月-12月期にかかるメキシコ中央銀行の四半期報告書による
と、輸送機器の製造が増加したのは、同部門への投資が増加したことによる。この部門の設備容量は2016
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年から2017年の間に約20％増加したものと推定される。これは、2015年末現在の推定設備容量が3.8百万ユ
ニットであったのに対して、約775,000ユニットの増加となる。こうした改善は、下記「(b) 石油および石
油 化学」において述べるように、繊維製品ならびに石油・石炭製品の生産の減少によって相殺された。
2018年には、上向き傾向を示し、2017年と比較して2018年には1.7％拡大した。こうした拡大は、主に飲
料およびタバコ製品部門の5.6％増加、繊維製品機械部門の6.6％増加ならびに印刷および関連支援活動の
7.4％増加によるものである。それでも、石油・石炭製品部門およびその他部門など一部の部門では実質
ベースで後退した。石油・石炭製品部門は16.9％、その他部門は2.9％、それぞれ減少した。全体では、
2018年には、2017年と比較して６部門が後退し、15部門が成長した。
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(b) 石油および石油化学
(i) 概要
ぺメックスおよびその子法人で構成されるメキシコの国有石油・ガス企業は、その歴史の大半におい
て、メキシコの石油およびガス産業における唯一の参加者であった。2018年12月31日現在、ペメックスは
依然として同産業における最大の参加者であった。
( ⅱ) エネルギー改革および入札
2013年、憲法第25条、第27条および第28条の改正によりメキシコの石油・ガス産業の規制および監督に
おけるメキシコの役割に対して改革が行われ、政府はペメックスへの権益譲渡またはペメックスとの契約
および他の石油・ガス会社への権益譲渡または他の石油・ガス会社との契約を通じて探査・採掘活動を実
施することが可能となった。
2014年８月にエネルギー改革を実効あらしめるための第二次立法が議会で承認され、成立した。このエ
ネルギー改革の一環として、ペメックスは、ペメックスを分権的公法人から生産的国有企業に転換すると
いう企業構造の再編を受けた。また、経過規定により既存のペメックスの子法人４社が新しい生産的国有
子法人２社に転換され、生産的国有子法人５社が新たに設立された。また、炭化水素法および炭化水素歳
入法（ Ley de Ingresos sobre Hidrocarburos ）によって、権益譲渡および契約を通じて第三者のメキシコ
市場への参入を可能にする炭化水素の探査および採掘のための新しい法的枠組みならびに政府がメキシコ
の炭化水素産業参加者から支払を徴収するための新しい税制が設けられた。
エネルギー改革は、ペメックスがメキシコにおいて引続き探査・生産活動を実施することができる権利
の優先的割当ての決定のために、一般にラウンドゼロと呼ばれる手続きを定めた。2014年８月13日、エネ
ルギー省はペメックスに対して、合わせてメキシコの石油およびガス確認埋蔵量見積りの95.9％を含む区
域（エリア）を引続き探査・開発する権利を与えた。2014年12月、エネルギー省は一般にラウンドワンと
呼ばれる手続きを開始し、それによって、ペメックスがラウンドゼロを通じて申請をしなかったまたはペ
メックスに権益譲渡されなかった区域（一時的にペメックスに権益譲渡された区域を含む。）が、一定の
要件を条件に、ペメックスおよびその他の会社による入札の対象となった。
2016年６月、エネルギー改革プロセスのラウンドツーが開始され、これにおいて国家炭化水素委員会は
メキシコの浅海、陸上および深海における探査および開発を実施する権利取得にかかる応札を受けた。ラ
ウンドツーには、一定数の「鉱区（ブロック）」が入札対象となる４回の入札が含まれていた。
2017年６月19日、エネルギー改革プロセスのラウンドツーの第1次入札が行われ、これにおいて15カ所ブ
ロックが入札対象となった。ぺメックスは、国際的な企業とのコンソーシアムにより２つのブロックを落
札した。2017年７月12日に実施された第２次および第３次の入札では24のブロックが入札対象となった。
いくつかの民間企業によりメキシコ湾に新たな炭化水素鉱床が発見されたのを受けて、エネルギー省
は、2017年７月16日、政府がこれら各企業のそれぞれの利益の83％から90％の分配を受取ることになると
発表した。これには基礎のロイヤルティ（使用料）、当該企業の営業利益における政府の持分、炭化水素
の探査・採掘税および所得税が含まれている。
2017年を通じて政府によりガソリンおよびディーゼルに対する価格統制が段階的に撤廃された結果、国
内の燃料価格は完全に自由化され、市場力に従って決定されることとなった。国内の燃料価格は、政府が
決定するいかなる特定の価格帯も考慮することなく変動することがある。
2017年12月１日にメキシコ全土においてガソリンおよびディーゼルに対する価格統制が撤廃されたのを
受けて、エネルギー省は、メキシコ全土のガソリン・スタンドの約19％がペメックスのフランチャイズで
はなく別のブランドとなり、１年以内に約30の新しいブランドが追加されることになると発表した。メキ
シコ全土に燃料ブランドの数が増えることにより、石油・石油化学産業は今後数年間に貯蔵およびパイプ
ラインならびに鉄道輸送の分野の新たなインフラに４十億米ドル近くの投資を行うものと予想される。
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2017年12月31日現在、ガソリンの輸入について220件、ディーゼルの輸入について357件、LPガスの輸入
について79件、航空燃料の輸入について60件の許可が下りていた。
2018年５月16日現在、ガソリンの輸入について390件、ディーゼルの輸入について512件、LPガスの輸入
について108件、航空燃料の輸入について82件の許可が下りていた。これらは、それぞれ2017年12月31日現
在の220件、357件、79件および60件より増加している。
2018年１月31日、エネルギー改革のラウンドツーの第４次で最後の入札が終了し、これにおいてペメッ
クスは、国際的な企業とのコンソーシアムにより４つのブロックを落札した。
2018年３月２日、ペメックスは、融資付公共工事契約（以下「FPWC」という。）の最初の移行を完了し
た。ミシオン・ブロックを対象とするFPWCは、Servicios Múltiples de Burgos, S.A. de C.V.社および国
家炭化水素委員会との生産物分与契約に移行した。ミシオン・ブロックは、ヌエボ・レオン州およびタマ
ウリパス州に所在する。ぺメックスは、契約対象区域の51％の持分を有し、この契約に基づく2018年の平
均生産量は１日当たり59.8百万立方フィートのガスであった。ミシオン・ブロックは、現在、2019年１月
の国家炭化水素委員会による開発計画の承認を受けて、開発段階にある。
2018年３月27日、ペメックスは、国家炭化水素委員会のラウンドスリーの第１次入札に首尾よく参加
し、浅海の７つの契約対象区域を落札した。このうち６区域はコンソーシアムの一社として、また１区域
は単独によるものであった。ペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社は、南東部
盆地の４ブロックを落札したが、このうち２ブロックはトタルS.Aとの、１ブロックはシェル石油とのコン
ソーシアムにより、１ブロックは単独によるもので、また、ベラクルス州タムピコ・ミサントラに対応す
る３ブロックは、そのうち２ブロックがCompañía Española de Petróleosとの、１ブロックがDEA社との
パートナーシップによるものであった。
2018年５月７日、ペメックスは、メキシコ湾におけるいくつかの深海ブロックを対象とする４件の炭化
水素探査・採掘契約を締結したが、これらにかかる権利は、ラウンド2.4と呼ばれる入札ラウンドに従って
競売に付された。
・Shell Exploración y Extracción de México, S.A. de C.V.との同社を運営者とするブロック２にか
かる探査・生産契約。ぺメックスは広さ2,146平方キロメートルで、プレガド・ペルディド・ベルトに
所在する契約対象区域の50％の持分を有している。
・Chevron Energía de Mexico, S. de R.L. de C.V.（同社を運営者とする。）およびInpex E&P
México, S.A. de C.V.とのブロック22にかかる探査・生産契約。ぺメックスは、広さ2,879平方キロ
メートルで、クエンカ・サリーナ地域に所在する契約対象区域の27.5％の持分を有している。
・ブロック５にかかる探査・生産契約。ぺメックスは、広さ2,733平方キロメートルで、プレガド・ペル
ディド・ベルトに所在する契約対象区域の運営者であり、その100％の持分を有している。
・ブロック18にかかる探査・生産契約。ぺメックスは、広さ2,917平方キロメートルで、コルディレラ・
メキシカーナ盆地に所在する契約対象区域の運営者であり、その100％の持分を有している。
2018年８月３日、ペメックスは、エバノ・ブロックにかかる統合探査・開発・生産（E&P）契約を、DS
Servicios Petroleros, S.A. de C.V.（以下「DIAVAZ」という。）（同社を運営者とする。）およびD&S
Petroleum, S.A. de C.V.との間の生産物分与契約に移行した。エバノ・ブロックは面積が1,569.1平方キ
ロメートルで、ベラクルス州、サン・ルイス・ポトシ州およびタマウリパス州に所在する。2018年12月31
日現在、この契約に基づく平均生産量は、原油が１日当たり7.2千バレル、ガスが１日当たり3.8百万立方
フィートであった。ぺメックスおよびDIAVAZは、パートナーシップにおけるそれぞれの持分に応じてメキ
シコ政府に対する企業保証額を支払った。企業保証額は総額500百万米ドルで、このうち55％をペメックス
が、45％をDIAVAZがそれぞれ支払った。
2018年９月20日、ペメックスは、ヤスチェ油田の一部区域に関連する実施前契約およびブロック７にか
かる生産物分与契約を、Talos Energy社（同社が運営者である。）、Sierra Oil社およびGas and Premier
Oil社のコンソーシアムとの間で締結した。両区域ともメキシコ南東部の盆地の近海地域に所在する。この
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契約は、メキシコにおいて初めて締結された実施前契約である。かかる契約は、ペメックスが業務を行う
法規制の枠組みに対する最近の変更に基づいて認められている。この実施前契約は２年契約で、ブロック
７ に所在するサマでの発見、およびサマでの発見のペメックスに権益譲渡された近隣ブロックへの展開の
可能性に関する情報共有を可能にする。実施前契約では、 共有鉱床が確認された場合のユニット契約およ
びユニット運営契約の調印も予定されている。実施前契約の結果、ペメックスは、運営および情報面の効
率性を最大化し、区域に関するデータ収集を最適化し、潜在的な危険を減らすことを目的として、コン
ソーシアムとの間で作業グループを立ち上げる予定である。作業グループは、参加企業の法務および技術
面の代表者によって構成されることになる。
2018年11月21日、ペメックスは、ミケトラ・ブロックにかかる統合E&P契約を運営者としてのOperadora
de Campos DWF, S.A. de C.V.との間のライセンス契約に移行した。ミケトラ・ブロックは、広さが139.7
平方キロメートルで、プエブラ州およびベラクルス州に所在する。2018年12月31日現在、この契約に基づ
く平均生産量は、原油が１日当たり135.6千バレル、ガスが１日当たり255.6百万立方フィートであった。
ペメックスは、契約対象区域の49％の持分を有しており、契約期間は30年である。
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( ⅲ) ぺメックス
本「(iii) ぺメックス」中の情報は、ペメックスが公表したか、またはそのウェブサイト上に掲載され
る公開情報に基づくものである。本「(iii) ぺメックス」において、メキシコ石油公社ならびにその子法
人６社（すなわち、生産的国有子法人であるペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクショ
ン社（Pemex-Exploración y Producción）、ペメックス・インダストリアル・トランスフォーメーション
社（Pemex Transformación Industrial）、ペメックス・ドリリング・アンド・サービシズ社（Pemex
Perforación y Servicios）、ペメックス・ロジスティックス社（Pemex Logística）、ペメックス・
ファーティライザーズ社（Pemex Fertilizantes）およびペメックス・エチレン社（Pemex Etileno））な
らびにその子会社（メキシコ石油公社により直接的または間接的に支配されている。）を総称して「ぺ
メックス」という。
概要
メキシコ石油公社は、1938年６月７日付でメキシコ議会が制定した法律により設立された。同法律は
1938年７月20日に連邦官報に掲載され、同日施行された。2013年12月20日、エネルギー問題に関するメキ
シコ憲法の各種規定を改正および補足する法令（ Decreto por el que se reforman y adicionan diversas
disposiciones de la Constitucion Politica de los Estados Unidos Mexicanos ）が連邦官報に掲載さ
れ、2013年12月21日付で施行されたが、これにはエネルギー部門に関する立法実施にかかる一般的な枠組
みを定める経過規定が盛り込まれていた。
この法的枠組みの一環として、2014年８月11日、メキシコ石油公社法（ Ley de Petroleos Mexicanos ）
が連邦官報に掲載された。メキシコ石油公社法は、一部規定を除き、2014年10月７日に施行された。2014
年12月２日、エネルギー省は、連邦官報において、生産的国有子法人、関係会社、補償、資産、管理責
任、国への配当金、予算および債務に関するメキシコ石油公社の活動を規律する特別制度を告示した。
2015年６月10日、メキシコ石油公社およびその生産的国有子法人にかかる一般契約規定（ Disposiciones
Generales de Contratacion para Petroleos Mexicanos y sus Empresas Productivas Subsidiarias ）が
連邦官報に掲載され、その翌日に、買収、リース、サービスおよび公共事業に関する事項にかかる特別制
度が施行された。
メキシコ石油公社法の施行により、メキシコ石油公社は分権的公法人から生産的国有企業に転換され
た。メキシコ石油公社は、メキシコにおいて原油およびその他の炭化水素の探査および採掘を行う目的を
もって、自己の名をもって財産を保有し、事業を行う権限を有する法人である。また、メキシコ石油公社
は、衡平の原則と社会および環境に対する責任を遵守しつつ、経済的価値を創出し、その所有者であるメ
キシコ政府の収益を高めるために、精製、ガス処理および技術ならびに調査プロジェクトに関連する活動
を行う。
ペメックスは、 Expansión 誌の2018年７月号によるとメキシコ最大の企業であり、また Petroleum
Intelligence Weekly 誌の2018年11月19日号によると、原油生産会社としては世界第10位であり、2017年の
データによると石油・ガス会社としては世界第19位を占めていた。
企業構造
生産的国有子法人の主な事業ラインは以下のとおりである。
・ペメックス-エクスプロレーション・アンド・プロダクション社（ Pemex-Exploración y Producción ）
の後継として、2015年６月１日に設立されたペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダク
ション社は、原油および天然ガスの探査、採掘、輸送、貯蔵および販売を行う。
・2015年８月１日に設立されたペメックス・ドリリング・アンド・サービシズ社は、掘削および油井補
修サービスを行う。
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・2015年８月１日に設立されたペメックス・ファーティライザーズ社は、アンモニアの生産チェーンを
肥料の販売時点まで統合している。
・2015年８月１日に設立されたペメックス・エチレン社は、エチレンの生産チェーンの統合を利用する
ためにペメックスの石油化学部門からエチレン事業を分離し、メタンおよびプロピレンを含むその他
のガスの流通、販売を行っている。
・2015年10月１日に設立されたペメックス・ロジスティックス社は、ペメックスおよび第三者への陸
上、海洋およびパイプラインによる輸送、貯蔵および流通を提供している。
・ぺメックス・リファイニング社（ Pemex-Refinación ）、ペメックス・ガス・アンド・ベーシック・ペ
トロケミカル社（ Pemex-Gas y Petroquímica Básica ）およびペメックス・ペトロケミカル社（ Pemex-
Petroquímica ）の後継として2015年11月１日に設立されたペメックス・インダストリアル・トランス
フォーメーション社は、石油化学製品およびその派生品の精製、天然ガス、液化天然ガス、人工ガス
および派生品の加工、工業用石油化学プロセスへの参加ならびに電力および地熱エネルギーの生産、
供給および売買を行っている。
これらの生産的国有子法人は、それぞれ自己の名をもって財産を保有し、事業を行う権限を有する法人
であり、メキシコ石油公社による中央調整と戦略的指示に従って、技術的および経営上の自治権を有して
いる。
2018年７月27日より前は、ペメックス・コジェネレーション・アンド・サービシズ社（ Pemex
Cogeneración y Servicios ）がもう１社の生産的国有子法人として運営していた。2018年７月13日、メキ
シコ石油公社の理事会は、ペメックス・コジェネレーション・アンド・サービシズ社の清算および消滅宣
言（ Declaratoria de Liquidación y Extinción de Pemex Cogeneración y Servicios ）を発し、これは連
邦官報に掲載され、2018年７月27日に効力を生じた。2018年７月27日現在、ペメックス・コジェネレー
ション・アンド・サービシズ社のすべての資産、負債、権利および義務は自動的にペメックス・インダス
トリアル・トランスフォーメーション社により引受けられ、かつ同社に対して譲渡され、同社は、メキシ
コ法上、ペメックス・コジェネレーション・アンド・サービシズ社の承継者となった。これにより、ペ
メックス・コジェネレーション・アンド・サービシズ社は2018年７月27日付で解散した。
2019年３月26日、メキシコ石油公社の理事会は、ペメックスの経営陣に対してペメックス・エチレン社
をペメックス・インダストリアル・トランスフォーメーション社に吸収合併させ、ペメックス・ドリリン
グ・アンド・サービシズ社をペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社に吸収合併
させる提案をするよう要請した。本書日付現在、理事会はこの合併案に関する決議をまだ承認していな
い。
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ぺメックスの最近の財務・経営情報
ぺメックスの財務データ（要約）
(1)
12 月31日終了年度
2017 年 2018 年
（百万ペソ）
包括利益（損失）計算書データ
売上高 1,397,030 1,681,119
営業利益 104,725 367,400
金融収益 16,166 31,557
金融費用 (117,645) (120,727)
デリバティブ金融商品（費用）収益－純額 25,338 (22,259)
為替（損失）利益－純額 23,184 23,659
当期純（損失）利益 (280,851) (180,420)
財政状態計算書データ（期末現在）
現金および現金同等物 97,852 81,912
資産合計 2,132,002 2,075,197
長期債務 1,880,666 1,890,490
長期負債合計 3,245,227 3,086,826
資本（欠損）合計 (1,502,352) (1,459,405)
キャッシュフロー計算書
減価償却費および償却費 156,705 153,382
(2)
油井、パイプライン、有形固定資産の取得 91,859 (94,004)
(1) メキシコ石油公社、子法人および子会社を含む。
(2) 資産計上された金融費用を含む。
出典： 包括利益計算書、財政状態計算書およびキャッシュフロー計算書に関連しているため、IFRSに準拠して作成
されたペメックスの連結財務書類。
2018年、確認炭化水素埋蔵量および生産が継続して減少したため、ペメックスは営業上重要な問題を経
験した。ぺメックスは、営業と財政状態の安定に注力した。ぺメックスは、営業上重要な問題を経験する
一方で、業界全体の価格情勢の改善およびペソの対米ドル価値の上昇の好影響を受けた。しかしながら、
価格は2014年の水準を大きく下回っており、2018年には大きく変動した。メキシコ産原油の加重平均輸出
価格は、2017年の１バレル当たり46.79米ドルから2018年には１バレル当たり61.34米ドルに上昇し、2018
年におけるペメックスの原油生産量は、目標である１日当たり1,951.0千トンを下回り、１日当たり
1,822.5千トンであった。
2018年12月31日終了年度に、ペメックスの純損失は、2017年の280.9十億ペソから35.8％減少して180.4
十億ペソとなった。純損失が減少した主な要因は以下のとおりである。
・主として原油および天然ガスの平均価格の値上がりにより、売上高合計が284.1十億ペソ増加。
・ 油井、パイプラインおよび有形固定資産の減損が172.9十億ペソ減少。
・ その他の収益（純額）が17.9十億ペソ増加。
・ 合弁会社、関連会社等における利益分配が1.2十億ペソ増加。
・ 為替差益（純額）が0.5十億ペソ増加。
これらの効果は、以下により部分的に相殺された。
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・ 主として売上高合計が増加したことにより、売上原価が195.3十億ペソ増加。
・ 租税公課が128.6十億ペソ増加。
・ 金融費用（純額）が35.3十億ペソ増加。
・ 一般管理費が16.8十億ペソ増加。
2018年、ペメックスの資本（欠損）合計は、2017年12月31日現在のマイナス1,502.4十億ペソから43.0十
億ペソ改善して、2018年12月31日現在ではマイナス1,459.4十億ペソとなった。この改善は、主として従業
員給付にかかる数理計算上の利益が222.5十億ペソ増加したことおよび累計外貨換算差益が1.3十億ペソで
あったことによるもので、その一部は180.4十億ペソの当期純損失によって相殺された。
ぺメックスの売掛債権は、2018年入力0.6％減少して、2017年12月31日現在の168.1十億ペソから2018年
12月31日現在では167.1十億ペソとなった。これは主として、2018年12月に売上高が減少したことにより対
顧客売掛債権が減少したことによるもので、その一部はガソリン輸入が増加したことから年末現在におけ
る雑債権（主としてIEPS税）による売掛債権の増加により相殺された。
2018年12月31日現在、ペメックスは納入業者に対して149.8十億ペソの債務があったが、これに対して
2017年12月31日現在では140.0十億ペソであった。2018年12月31日現在、ペメックスは、2017年12月31日現
在の納入業者および請負業者に対する未払残高を支払済みであり、2019年３月31日現在では、2018年12月
31日現在の納入業者および請負業者に対する未払残高の約73.7％を支払済みであった。
2018年12月31日現在のペメックスの資本（欠損）合計は1,459.4十億ペソのマイナスで、ぺメックスの資
本構成合計（長期負債プラス資本）は1,555.5十億ペソであった。2018年に、ペメックスの資本（欠損）合
計は2017年12月31日現在の1,502.4十億ペソのマイナスから43.0十億ペソ改善した。これは主として従業員
給付の保険数理上の利益が222.5十億ペソ増加したこと、および為替換算効果による累積利益が1.3十億ペ
ソであったことによるが、これらは180.4十億ペソの当期純損失を計上したことにより一部相殺された。メ
キシコ石油公社および子法人はメキシコ破産法（Ley de Concursos Mercantiles）の適用対象とはならな
い。また、ペメックスの現行の金融契約のいかなるものも、債務超過となることまたは財務比率の不遵守
により債務の期限の利益喪失にかかる請求権を発生させるようないかなる規定をも有していない。
2018年および2017年、ペメックスはメキシコ政府からの資本出資を受けなかった。
2017年および2018年12月31日現在、メキシコ石油公社に対する政府の出資金残高は、43.7十億ペソで
あった。2017年および2018年12月31日現在、出資証書「A」の形態による出資金合計は、356.5十億ペソで
あった。
2019年１月31日、メキシコ政府は、メキシコ石油公社の理事会に対して、メキシコ政府がエネルギー省
を通じて総額25.0十億ペソをペメックスに支払うことを通知した。2018年３月８日、ペメックスは10.0十
億ペソ、また2019年４月11日に５十億ペソの支払を受けた。これらの支払は、メキシコ政府の以下に述べ
るメキシコ石油公社強化プログラム（ Programa de Fortalecimiento de Petróleos Mexicanos ）または
「強化プログラム」の一環として行われたものである。
ぺメックスは、コスト管理緊縮政策、債務削減、原油ヘッジおよび燃料盗難対策といった内部措置、な
らびにメキシコ石油公社強化プログラムによるその財政状態の改善、生産の増加、ひいては資本化による
収益力の向上、安定的な価格政策、財政支援、政府が以前にペメックスに発行した約束手形の期限前返済
および燃料盗難対策への追加支援のような外部措置を通じて、ペメックスの財務内容強化に重点を置いた
新しい事業戦略を実施することによりその運転資本のニーズを満たし、かつ債務の支払義務を果たす計画
である。
2019年２月15日、メキシコ政府は、メキシコ石油公社強化プログラムの一環として、ペメックスの財政
状態を立て直し、その生産およびひいては収益力を高める手助けとなる支援プログラムを発表した。その
第一段階には、ペメックスへの拠出が含まれているが、これはとりわけ以下のとおりなされる。
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・ 2019年度の設備投資予算においてすでに予定されている資本化による25,000,000ペソ。これは、2019
年中に５回に分けて支払われる予定で、このうち15,000,000ペソは上述したとおり受取済みである。
・ メキシコ石油公社およびその生産的国有子法人の年金および退職金制度に関連する34,887,250ペソの
約束手形の2019年中における前払い。このうち28,063,511ペソは本書日付現在すでに受取済みであ
る。
・ 権益譲渡および移行契約、ならびにその後の採掘および探査プロジェクトに関連する費用、経費およ
び投資の控除および払戻しの限度額の引上げを通じて行われる2019年から2024年までの税負担の段階
的軽減。
2018年、ペメックスは、営業上重要な問題を経験した。ぺメックスの原油生産量は１日当たり1,822.5千
バレルで、これは１日当たり1,951.0千バレルの原油生産高目標を下回り、2017年の１日当たり1,948.3千
バレルと比較して１日当たり125.8千バレル、6.5％の減少であった。この減少は、主として、一部の成熟
油田における生産の自然減およびザナブ油田を含む一部の油田において油井における水流の増加によるも
のである。2019年については、ペメックスは原油の目標生産量を１日当たり1,725.0千バレルに、また窒素
を除く天然ガスの目標生産量を１日当たり3,486.0百万立方フィートに設定している。
2018年、ペメックスは、2017年と比較して20.2％減の１日当たり611.9千バレルの原油を処理した。これ
は主として、その製油所一部の信頼性に関する営業上の問題が生じたことによる。その結果、ペメックス
は、2018年には一次蒸留容量の37.6％（2017年と比較して20.2％減）を使用した。2018年にはペメックス
の変動精製マージンは、１バレル当たり4.47米ドル減少して0.96バレルとなったが、これは2017年より
82.3％の減少である。この減少は、主として、2018年11月および12月の米国のメキシコ湾岸地域における
値下がりおよび精製マージンの不振の結果であるが、これらはガソリンに対する需要の減少および石油精
製品の製造水準の高まりによるものである。
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原油および乾性ガスの埋蔵量に関する以下の３つの表は、米国1933年証券法のレギュレーションS-Xの規
則4－10(a)に従って決定されたペメックスの確認埋蔵量のペメックスによる見積りを示したものである。
(1)
会計年度の平均価格に基づく2018年12月31日現在の石油およびガス の確認埋蔵量の概要
(2) (3)
原油およびコンデンセート 乾性ガス
（百万バレル） （十億立方フィート）
確認開発埋蔵量および
確認未開発埋蔵量
確認開発埋蔵量 3,588 3,380
2,198 2,990
確認未開発埋蔵量
5,786 6,370
確認埋蔵量合計
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) ペメックスは、現在合成石油または合成ガスを生産しておらず、また合成石油もしくは合成ガスが生産されう
るその他の天然資源を採取していない。
(2) 原油およびコンデンセートの埋蔵量には、油田に所在する天然ガス処理プラントにおいて回収可能な少量の液
化炭化水素埋蔵量が含まれる。
(3) 別の表で報告される天然ガスの生産量は、湿性サワーガスについていうが、本表では乾性ガスの生産量をい
う。乾性ガスを得るために天然ガス液および不純物が抽出されると、生産量は減少する。よって、天然ガスに
ついては乾性ガスより多い量が報告されている。
出典： ペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社
原油およびコンデンセートの埋蔵量
(1)
（天然ガス液を含む。）
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（百万バレル）
確認開発埋蔵量および確認未開発埋蔵量
１月１日現在 11,079 10,292 7,977 7,219 6,427
(2)
修正 95 (1,491) 189 (95) 22
採掘および発見 119 111 (55) 147 140
生産 (1,001) (935) (891) (805) (743)
国家炭化水素委員会の入札プロセス
による油田のファームアウトおよび
- - - (38) (59)
譲渡
10,292 7,977 7,220 6,428 5,786
12 月31日現在
12 月31日現在の確認開発埋蔵量 7,141 5,725 4,886 4,166 3,588
12 月31日現在の確認未開発埋蔵量 3,151 2,252 2,333 2,261 2,198
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 原油およびコンデンセートの埋蔵量には、油田に所在する天然ガス処理プラントにおいて回収可能な少量の液
化炭化水素埋蔵量が含まれる。
(2) 修正には、油井掘削からの新しいデータによるプラス・マイナスの変化、実際の油層挙動が予測挙動と異なる
場合になされる修正および炭化水素価格変動の影響が含まれる。
出典： ペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社
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乾性ガスの埋蔵量
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（十億立方フィート）
確認開発埋蔵量および確認未開発埋
蔵量
１月１日現在 12,273 10,859 8,610 6,984 6,593
(1)
修正 ▶ (955) (183) 169 3
採掘および発見 93 47 (308) 468 809
(2)
生産 (1,511) (1,341) (1,134) (999) (887)
国家炭化水素委員会の入札プロ
セスによる油田のファームアウ
- - - (29) (148)
トおよび譲渡
10,859 8,610 6,984 6,593 6,370
12 月31日現在
12 月31日現在の確認開発埋蔵量 6,740 6,012 4,513 4,026 3,380
12 月31日現在の確認未開発埋蔵量 4,119 2,598 2,471 2,567 2,990
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 修正には、油井掘削からの新しいデータによるプラス・マイナスの変化、実際の油層挙動が予測挙動と異なる
場合になされる修正および炭化水素価格変動の影響が含まれる。
(2) 別の表で報告される天然ガスの生産量は湿性サワーガスについていうが、本表に記載される生産量は乾性ガス
の生産量をいう。乾性ガスを得るために天然ガス液および不純物が抽出されると、生産量は減少する。よっ
て、天然ガスについては乾性ガスより多い量が報告されている。
出典： ペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社
探査および生産
2015年のペメックスの企業構造の再編により、ペメックスの探査および生産セグメントで運営されていた
一部の事業ユニットおよび資産は、2015年８月１日付のペメックス・ドリリング・アンド・サービシズ社
の設立をもってペメックスの掘削およびサービス・セグメントに移転された。2015年12月31日に終了した
年度については、ペメックスは掘削およびサービス・セグメントの経営成績を区分表示しておらず、した
がってペメックスの探査および生産セグメントの業績に当期にかかる同セグメントの業績が含まれてい
る。探査および生産セグメントならびに掘削およびサービス・セグメントの双方の業績は、2016年１月１
日に開始する年度については、区分表示されている。
探査および掘削
ペメックスは、将来の確認埋蔵量の置換率を上昇させるために、自社の探査プログラムを通じて新たな
石油貯留層の確認に努めている。1990年から2018年までに、ペメックスは13,391件の探査井および開発井
を完了した。2018年中のペメックスの探査井の平均成功率は、2017年を37.8％下回る38.9％で、開発井の
平均成功率は、2017年を3.1％上回る95.8％であった。2014年から2018年の間に、ペメックスは12の新た
な油田と４つの新たな天然ガス田を発見し、この結果2018年末時点における原油と天然ガスの生産田は合
計356となった。
ペメックスの2018年探査プログラムは、陸上地域と海底地域の両方の探査から構成され、メキシコ湾の
深海を含んでいる。これらの探査活動は、４つの原油生産田の発見ならびに既存の２つの生産田において
２本の評価井を掘削したことにより、石油換算で287百万バレルの確認埋蔵量を生み出した。ペメックス
は、特に３次元地震探査データに関連して、主要な地震探査データ収集活動を継続した。2018年、ペメッ
クスは深海および浅海において1,085平方キロメートルに及ぶ三次元地震探査データを取得した。
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以下の表は、2018年12月31日に終了した５年間におけるペメックスの掘削活動（いずれもメキシコ領内
で行われたものである。）を要約したものである。
12 月31日に終了した年度
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
(1)
開始井 474 274 93 70 149
(1)
探査開始井 20 22 23 22 28
(1)
開発開始井 454 252 70 48 121
(2)
掘削井 535 312 149 79 162
探査井 24 26 21 24 19
(3)
生産性のある探査井 8 13 6 10 5
枯渇した探査井 16 13 15 14 14
成功率（％） 33 50 29 42 26
開発井 510 286 128 54 143
生産性のある開発井 484 266 110 50 137
枯渇した開発井 26 20 18 ▶ 6
(4)
成功率（％） 95 93 86 93 96
生産中の油井（年間平均） 9,558 9,363 8,749 6,699 6,771
海底地域 581 544 539 443 519
南部地域 1,420 1,403 1,244 931 129
北部地域 7,557 7,416 6,966 5,325 6,123
生産中の油井（年度末現在）
(5)
9,077 8,826 8,073 8,194 6,946
原油 5,598 5,374 4,912 4,956 4,321
天然ガス 3,479 3,452 3,161 3,238 2,625
生産中の油田 428 434 405 398 356
海底地域 45 41 43 43 43
南部地域 97 97 88 91 83
北部地域 286 296 274 264 230
掘削リグ 136 113 110 83 84
掘削距離（キロメートル） 1,413 815 330 280 455
油井１本当たりの平均深さ
（メートル） 2,738 3,038 3,655 3,639 2,808
(6)
発見油田 2 6 1 3 ▶
原油 - 6 1 1 ▶
天然ガス 2 - - 2 -
油井１本当たりの原油および
天然ガス平均産出量
（１日当たり石油換算バレ
ル） 370 349 348 291 329
開発済面積合計
(7) (8) (8) (8)
（平方キロメートル） 8,339 8,654 7,017 6,886 6,923
未開発面積合計
(7) (8) (8) (8)
（平方キロメートル） 1,278 1,000 712 620 607
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 「開始井」とは、油井の完了時または完了予定時期にかかわらず、所与の年度中に掘削が開始された油井の数
をいう。
(2) 「掘削井」とは、油井の掘削開始時期にかかわらず、所与の年度中に掘削が完了した油井の数をいう。
(3) 商業的生産性のない油井を除く。
(4) 注入井を除く。
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(5) 2014年および2015年12月31日に終了した年度については、ペメックスはその所有するいかなる油井についても
他者に対して部分的な作業利権を認めることも、他社が所有する油井について部分的な作業利権を取得するこ
と もしていなかったため、本表のすべての生産性のある油井ならびに本表に掲げるその他すべての油井は、
「正味」で記載されている。2016年、2017年および2018年12月31日に終了した年度にかかる数値は、合弁会社
および関連会社の取得に伴う部分的な利権を含んでいる。
(6) 確認埋蔵量のある油田のみを含む。
(7) 2014年および2015年12月31日に終了した年度については、ペメックスは、部分的な利権を他社に認めること
も、生産物分与契約を締結することもしていなかったため、すべての面積は「正味」で記載されている。2016
年、2017年および2018年12月31日に終了した年度にかかる数値は、合弁会社および関連会社の取得に伴う部分
的な利権を含んでいる。
(8) 数値はペメックスの現在の割当に関係するもののみを示している。
出典： ペメックス・エクスプロレーション・アンド・プロダクション社
以下の表は、2018年12月31日に終了した５年間についてのペメックスによる原油、天然ガスおよび石油
製品の平均輸出入量ならびに2017年から2018年への変動率を示したものである。
輸出入量
2017 年と
12 月31日に終了した年度
2018年との
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年 比較
（ 単位：別段の記載がない限り１日当たり千バレル） （％）
輸出
原油：
オルメカ 91.2 124.2 108.0 18.9 - (100.0)
イスムス 133.7 194.0 152.7 85.8 30.7 (64.2)
マヤ 887.1 743.4 864.9 1,053.9 1,090.1 (3.4)
アルタミラ 27.2 27.7 23.6 15.3 19.9 30.1
3.0 83.1 45.2 - 43.5
タラム 100.0
1,142.2 1,172.4 1,194.3 1,173.9 1,184.1
原油合計 0.9
(1)
天然ガス 4.1 2.7 2.2 1.7 1.4 (17.6)
ガソリン 66.0 62.9 52.7 45.0 37.7 (16.2)
その他の石油製品 133.3 130.8 132.9 113.1 95.1 (15.9)
(2)
石油化学製品
(3)
406.1 333.8 124.7 60.5 57.8 (4.5)
輸入
(1)
天然ガス 1,357.8 1,415.8 1,933.9 1,766.0 1,316.5 (25.5)
ガソリン 389.7 440.1 510.8 582.5 599.9 3.0
その他の石油製
(1)
品およびLPG
(5)
248.7 299.7 289.6 353.6 376.7
6.5
(2)
石油化学製品
(4)
85.3 107.3 278.2 332.8 831.8 149.9
注： 原油輸出は船積みごとの含水率を反映する目的上調整されることがあるため、数値は調整されること がある。
(1) １日当たり百万立方フィートで表示されている。
(2) 千トン。
(3) プロピレンを含む。
(4) イソブタン、ブタンおよびN-ブタンを含む。
(5) マンサニヨ・ターミナルを通じて輸入した液化天然ガスを含む。
出典： 2019年１月16日付PMI社営業統計およびペメックス・インダストリアル・トランスフォーメーション社
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原油輸出は、2018年に0.9％増加して、2017年の１日当たり1,173.9千バレルから2018年には１日当たり
1,184.1千バレルとなった。これは主として、重質原油（マヤ、タラムおよびアルタミラ原油）の輸出が
7.9％増加し、2018年中にイスムス原油の輸出が64.2％減少し、オルメカ原油の輸出が100％減少したこと
によりその一部が相殺されたことによる。ぺメックスは、入手できる輸出向けオルメカ原油が不足したた
め、2018年にはオルメカ原油の輸出を行わなかった。
2018年に、ペメックスは、全国精製システムにおける処理のために、93.8百万米ドル相当となる１日当
たり3.8千バレルの軽質原油を輸入した。これはペメックスによる初めての原油輸入となった。
ぺメックスは、ペメックスによる生産の不足分を満たし、かつ生産田から離れているために米国から天
然ガスを輸入することでより効率的に供給が可能となるメキシコ北部地域における需要を満たすため、天
然ガスの一種である乾性ガスを輸入している。乾性ガスの国内販売量は、2017年の１日当たり2,623.0百万
立方フィートから21.3％減少して、2018年には１日当たり2,064.3百万立方フィートとなったが、これは主
として国内市場における第三者からの供給との競争によるものである。天然ガスの輸入は、2018年に
25.5％減少して、2017年の１日当たり1,766.0百万立方フィートから2018年には１日当たり1,316.5百万立
方フィートとなった。2018年の１日当たりの輸入天然ガスの総量には、マンサニヨ・ターミナルを通じて
輸入した１日当たり17.4百万立方フィートの液化天然ガスが含まれる。天然ガス輸入のこの減少は、主と
して第三者供給業者との競争により国内市場における需要が減少したことによる。
PMIトレーディングは、精製品および石油化学製品を、FOB（本船渡し）、本船持込渡しおよび運賃込条
件で販売し、精製品および石油化学製品ならびに原油を、FOB（本船渡し）、運賃込および本船持込渡し条
件、国境渡し条件および 仕向地持込渡し条件 で購入する。
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以下の表は、2018年12月31日に終了した５年間についてのペメックスによる原油、天然ガスおよび石油
製品の輸出入額ならびに2017年から2018年への変動率を示したものである。
(1)
輸出入額
2017 年と
12 月31日に終了した年度
2018年と
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
の比較
（ 単位：百万米ドル） （％）
輸出
オルメカ 3,114.7 2,333.1 1,569.3 358.1 - (100.0)
イスムス 4,557.1 3,489.0 2,107.6 1,588.7 722.2 (54.5)
アルタミラ 806.7 366.6 262.4 219.8 419.6 90.9
マヤ 27,119.4 11,158.9 11,172.6 17,880.6 24,435.7 36.7
40.4 1,103.6 470.1 - 934.6
タラム 100.0
(2)
35,638.3 18,451.2 15,582.0 20,047.2 26,512.1
原油合計 32.2
天然ガス 4.8 1.6 1.1 1.3 1.0 (23.1)
ガソリン 1,985.9 1,007.4 733.2 746.9 813.9 9.0
その他の石油
製品 3,425.7 1,580.2 1,161.9 1,655.6 1,938.1 17.1
132.4 63.5 20.5 37.8 39.7
石油化学製品 5.0
天然ガス、
石油製品お
よび石油化
5,548.8 2,652.7 1,916.7 2,441.5 2,792.8
学製品合計 14.4
41,187.1 21,103.9 17,498.7 22,488.8 29,304.8
輸出合計 30.3
輸入
天然ガス 2,819.3 2,043.2 (17.7)
1,673.7 2,097.9 2,484.1
ガソリン 16,691.2 12,805.2 11,994.8 15,380.1 18,867.5 22.7
その他の石油
8,738.7 6,178.6 5,699.9 8,446.3 11,103.3
製品およびLPG 31.5
168.1 196.3 85.5 122.5 588.8
石油化学製品 380.7
28,417.3 20,853.8 19,878.1 26,433.0 32,602.8
輸入合計 23.3
正味輸出
12,769.8 250.1 (2,379.4) (3,944.2) (3,297.9)
（輸入） (16.4)
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) PMIトレーディングまたはPMI-NASAがメキシコ国外の第三者から購入し、国際市場で再販売した原油、石油製品
および石油化学製品を含まない。本表に示す数値は、為替レートの計算方法の違いおよびその他の微調整のた
め、ペメックスの財務書類における「純売上高」の項目に記載される金額とは異なる。
(2) 原油輸出は、船積みごとの含水率を反映するため、調整されることがある。
出典： 2019年１月16日付PMI社営業統計（船荷証券の情報に基づく。）およびペメックス・インダストリアル・ト
ランスフォーメーション社
2018年、天然ガスの輸入額は、2017年と比較して17.7％減少したが、これは主に、天然ガスの輸入量が
減少したしたことによる。ガソリンの輸入額は同期間に22.7％増加したが、これは2017年と比較してガソ
リンの国内生産量が減少し、ガソリンの平均価格が値上がりした結果、ガソリンの輸入量が増加したこと
によるものである。
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以下の表は、表示期間におけるペメックスによる輸出原油の１バレル当たりの平均価格を示したもので
ある。
原油価格
12 月31日に終了した年度
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（１バレル当たり米ドル）
オルメカ 93.54 51.46 39.71 51.79 -
イスムス 93.39 49.28 37.72 50.75 64.54
マヤ 83.75 41.12 35.30 46.48 61.41
アルタミラ 81.31 36.19 30.35 39.45 57.81
タラム 36.74 36.40 28.44 - 58.91
加重平均実現価格 85.48 43.12 35.65 46.79 61.34
出典： 2019年１月16日付PMI社営業統計
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租税公課
概要
ぺメックスに適用される租税公課は、メキシコ政府の歳入の重要な供給源である。ペメックスは、政府
の歳入に対して、2017年には11.3％、2018年には11.0％貢献した。2018年、ペメックスは、子会社企業の
一部が支払うその他の租税公課に加えて、数種類の特別な石油およびガス税および公課を政府に納付し
た。2018年のメキシコ石油公社およびその子法人に対して効力を有する施行される税制（以下「税制」と
いう。）は2015年に施行され、その後その時々に修正される。2014年８月に公表された施行令には、2015
年１月１日からメキシコにおいて行われる探査・生産活動を対象とする新しい契約上の取決めに適用され
る税制ならびに2016年１月１日からメキシコ石油公社およびその子法人が支払うべき国への配当金が規定
されている。
ぺメックスに対する税制
炭化水素歳入法は、メキシコ政府により認められたペメックスの割当てに関連して、ペメックスに適用
ある以下の税金等を規定している。
・利益配分税（ Derecho por la Utilidad Compartida ）：2015年１月１日現在、この税金は、関連する
区域において生産された石油およびガスの価値の70％から認められた一定の控除額を差引いた額に相
当した。炭化水素歳入法に従って、この税金は毎年引下げられた。2019年１月１日現在、この税金は
65％とされていた。2018年に、ペメックスはこの税に関して、2017年に納付した372,903百万ペソより
18.8％多い443,294百万ペソを納付したが、これは石油およびガスの価格の値上がりによるものであ
る。2017年８月18日、ペメックスがこの税に従って投資、費用および経費について控除可能な金額を
引上げる旨の政令が連邦官報に掲載され、その結果、11,170百万ペソの恩恵を受けた。
・炭化水素採掘税（ Derecho de Extracci ó n de Hidrocarburos ）：この税金は、各種の炭化水素（すな
わち原油、随伴天然ガス、非随伴天然ガスまたはコンデンセート）、生産量および関連する市場価格
にリンクした率に基づいて決定される。2018年に、ペメックスは、主として石油およびガスの価格が
値上がりしたことにより、この税に基づいて2017年の58,523百万ペソより41.9％増の83,027百万ペソ
を支払った。
・炭化水素探査税（ Derecho de Exploraci ó n de Hidrocarburos ）：政府は、生産されていない区域１平
方キロメートルにつき毎月1,294.71ペソの支払を受ける権利を有する。60カ月経過後は、この税金は
生産されていない区域１平方キロメートルにつき追加の１カ月ごとに3,096.04ペソに引上げられる。
これらの金額は全国消費者物価指数（以下「NCPI」という。）に従って毎年更新される。2018年に、
ペメックスはこの税に基づいて1,027百万ペソを納付したが、これは2017年に納付した981百万ペソよ
り4.7％の増加である。
・2018年に、メキシコの企業は一定の控除を行った後の収益に適用される30.0％の税率で法人所得税を
納付した。2015年初め、メキシコ石油公社および子法人は、メキシコ所得税法（ Ley del Impuesto
sobre la Renta ）の対象となった。ぺメックスは、2016年に1,333百万ペソの法人所得税を納付したの
に対して、2018年および2017年には同法に基づく法人所得税を納付していない。
2018年税制の下で、ペメックスの製品の一部は引続き以下の税金IEPS税にも服するが、ペメックスは
顧客から徴収し、税務当局にこの税金を支払う。IEPS税は売上や経費には含まれていない。
・自動車燃料の販売にかかるIEPS税（ IEPS sobre la venta de los combustibles automotrices ）：こ
の税金は、ペメックス・インダストリアル・トランスフォーメーション社がメキシコ政府に代わって
徴収する自動車燃料、ガソリンおよびディーゼルの国内販売にかかる手数料である。この税金にかか
る適用手数料は、マグナ・ガソリン１リットル当たり4.59ペソ、プレミアム・ガソリン１リットル当
たり3.88ペソおよびディーゼル１リットル当たり5.04ペソである。手数料の金額は、燃料の種類に
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よって変わり、財務省が毎年これを設定し、毎週調整する。この手数料は、メキシコ国内における販
売および輸入に適用されている。
・州、地方自治体および属領のためのIEPS税（ IEPS ▶ beneficio de entidades federativas,
municipios y demarcaciones territoriales ）：この税金は、ペメックス・インダストリアル・トラ
ンスフォーメーション社がメキシコ政府に代わって徴収する自動車燃料、ガソリンおよびディーゼル
の国内販売にかかる手数料である。この税金にかかる適用手数料は、マグナ・ガソリン１リットル当
たり40.52セント、プレミアム・ガソリン１リットル当たり49.44セントおよびディーゼル１リットル
当たり33.63セントである。この手数料はインフレに連動して毎年変更される。この手数料によって集
められた資金は、財政調整法（ Ley de Coordinación Fiscal ）の規定に従って、メキシコの州および
地方自治体に割当てられる。この手数料は、メキシコ国内における販売についてのみ適用があり、付
加価値税の対象にはならない。
・化石燃料にかかるIEPS税（ IEPS ▶ los combustibles fósiles ）：この税金は、ペメックス・インダス
トリアル・トランスフォーメーション社がメキシコ政府に代わって徴収する化石燃料の国内販売にか
かる手数料である。この税金にかかる適用手数料は、プロパン１リットル当たり6.93セント、ブタン
１リットル当たり8.98セント、ガソリンおよび航空機用ガソリン１リットル当たり12.17セント、
ジェット燃料およびその他のケロシン１リットル当たり14.54セント、ディーゼル１リットル当たり
14.76セント、燃料油１リットル当たり15.76セント、石油コークス１トン当たり18.29ペソ、石炭コー
クス１トン当たり42.88ペソ、鉱石炭素１トン当たり32.29ペソならびにその他の化石燃料からの炭素
１トン当たり46.67ペソである。この手数料はインフレに連動して毎年変更され、メキシコへの輸入に
ついて適用がある。
炭化水素歳入法はまた、潜在的な将来の競争入札手続きに関して政府がペメックスおよび他の会社に対
して認めた探査・生産のための契約に適用される財務上の条件を定めている。具体的には、かかる財務上
の条件とは、（該当年度にかかる連邦歳入法（ Ley de Ingresos de la Federación ）およびその他適用あ
る税法に従って納付すべき税金に加えて）以下の税金、賦課金、鉱区使用料および政府に対するその他の
支払を想定している。
・探査段階の契約手数料（ Cuota Contractual para la Fase Exploratoria ）：ライセンス、生産物分与
契約または利益配分契約の対象となるプロジェクトの探査段階では、政府は探査中で生産されていな
い区域１平方キロメートルにつき毎月1,294.71ペソの支払を受ける権利を有する。60カ月経過後は、
この手数料は、生産されていない区域１平方キロメートルにつき追加の１カ月ごとに3,096.04ペソに
引上げられる。これらの手数料金額はNCPIに従って毎年更新される。
・鉱区使用料（ Regalías ）：政府に対する鉱区使用料の支払は、関連する炭化水素の「契約価値」に基
づいて決定される。契約価値は、基礎となる炭化水素の種類（例えば、原油、随伴天然ガス、非随伴
天然ガスまたはコンデンセート）、生産量および市場価格を含む様々な要因に基づく。鉱区使用料
は、ライセンス、生産物分与契約および利益配分契約に関連して支払われる。
・契約価値の支払（ Pago del Valor Contractual ）：ライセンスには、財務省が契約ごとに決定する、
生産された炭化水素の「契約価値」に対する比率として計算される支払が求められる。
・営業利益の支払（ Porcentaje ▶ la Utilidad Operativa ）：生産物分与契約および利益配分契約で
は、営業利益の特定比率に相当する支払が求められる。生産物分与契約では、かかる支払は生産され
た炭化水素の引渡しを通じて現物で行われる。利益配分契約では、かかる支払は金銭で行われる。
・契約金（ Bono ▶ la Firma ）：ライセンスの実施または割当て区域の変更に際しては、財務省が指定す
る金額の契約金が政府に対して支払われる。
・炭化水素探査・採掘活動税（ Impuesto por la actividad de Exploración y Extracción de
Hidrocarburos ）：探査・採掘のための契約ならびに政府により付与された割当てには、関連する鉱区
において実施される探査・採掘活動に対する特定の税金が含まれる。採掘段階が始まるまで、１平方
キロメートル当たり月額1,688.74ペソの税金が探査段階中に納付される。プロジェクトの採掘段階で
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は、関連する探査・採掘のための契約または割当てが終了するまで、１平方キロメートル当たり月額
6,754.99ペソの税金が納付される。
炭化水素歳入法の下では、探査・生産のための契約に関連した探査および生産活動は付加価値税の対象
とならない。
変動する原油価格水準は直接にペメックスが支払う一定の税金および賦課金に影響を与える。
メキシコ政府に対するその他の支払
メキシコ石油公社法に基づいて、2016年１月１日付で、メキシコ石油公社およびその新しい子法人は、
毎年政府に対して配当金を支払う義務を負うことになっている。毎年７月、メキシコ石油公社およびその
子法人は、前会計年度にかかる財務実績ならびに今後５年間の投資および資金調達計画を開示した報告書
を、かかる投資の収益性の分析および関連する財政状態の予測とともに、財務省に提出しなければならな
い。財務省は、メキシコ石油公社およびその子法人各社が支払うべき国への配当金の金額を決定するにあ
たって、かかる報告書および安定化と開発のためのメキシコ石油基金の技術委員会が発行する意見書に依
拠する。メキシコ石油公社法は、2016年に支払われる国への配当金の総額を、メキシコ石油公社およびそ
の子法人の前会計年度の税引後利益合計の少なくとも30％に相当する額とすることを定めている。同法は
また、かかる税率が2021年に15％、2026年には０％になるまで今後引下げられる予定であると定めてい
る。2016年連邦歳入法、2017年連邦歳入法、2018年連邦歳入法および2019年歳入法に従って、政府は、メ
キシコ石油公社が2016年、2017年および2018年には国への配当金の支払を求められなかった。また2019年
には国への配当金の支払を求められることはない。
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(c) 観光業
観光業は、メキシコ経済において重要な枠割を担っている。観光推進国家基金といった措置を通じて、
政府はワトゥルコ、カンクーン、カボサンルーカス、イスタパおよびプエルトバヤルタといったいくつか
のビーチタウンに観光案内所を設置してきた。
メキシコの観光部門は、2018年の国際収支において11.2十億米ドルの黒字を計上したが、これは2017年
に計上された10.5十億米ドルより6.8％の増加である。メキシコの観光部門は、以下の表に示すとおり2018
年には拡大した。
(1)
観光による収入および支出
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
外国からの旅行者からの収
入
(2)(3)
（十億米ドル） 16.2 17.7 19.6 21.3 22.5
内陸部への観光客からの収
入
(2)
（十億米ドル） 13.6 15.0 16.9 18.2 19.2
内陸部への観光客１人当た
りの平均支出額（米ドル） 848.8 821.2 819.1 809.4 823.0
内陸部への観光客数
（百万人） 16.0 18.3 20.7 22.5 23.4
メキシコから海外への観光
客の支出総額
（十億米ドル） 6.2 6.5 6.6 6.9 7.6
メキシコから海外への旅行
者の支出総額
(4)
（十億米ドル） 9.6 10.1 10.3 10.8 11.3
(1) 平均支出および観光客数を除き、十億単位で表示。
(2) 2008年12月31日現在の購買力に基づく恒常ペソによる表示。
(3) メキシコへの日帰りの観光客および訪問者の双方を含む。
(4) 海外への日帰りの観光客および訪問者の双方を含む。
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(d) 農業
(i) 農業改革
歴史的に、メキシコ人の食生活の一定の主食の十分な供給を確保し、農村コミュニティの平均所得を維
持するために、政府は農業部門に干渉してきた。かかる政策の一部を継続する一方で、政府は一般的には
農業の流通チェーンにもはや干渉しておらず、その代わり農業部門の市場志向の発展を奨励する政策に変
更した。こうした政策変更は、土地保有の構造の変化や政府の農業政策イニシアチブに表れている。
メキシコが土地の譲渡制限付コミュニティ保有制度であるエヒード（ ejido ）制を変更した1992年以降、
メキシコは土地保有制度の近代化を続けてきた。こうした取組みは、土地の所有者に対して(1)新たな資金
源の利用、(2)一定の要件に従ったより効率的な生産者への土地の譲渡、および(3)投入財のより効率的な
利用を認めることによって、農業投資の拡大を促進してきた。こうした改革による農業部門の生産性向上
によって、主要な都市部以外の多くの農業従事者にとって雇用機会が生み出された。
(ii)農業政策
政府は農業部門を国家的優先課題とみなしており、農業の生産性向上および農村地域の生活水準の向上
を目的とした様々な施策を制度化してきた。農業の生産性向上について、目標とされる政府施策には、(1)
生産単位の統合による大規模化、(2)全国的な灌漑システムの拡大、ならびに(3)農家向け融資および農産
物に影響を及ぼすリスクをカバーするための政府出資のヘッジの利用可能性の拡大が含まれている。農村
地域の生活水準の向上に関して、政府は農産物価格がコストを下回ることがないように農産物価格を見直
す政策をとっている。
政府部内において、農業省は、(1)食糧生産を増大し、(2)農業部門の比較優位を最大限に高め、(3)農村
環境での生産チェーンの活動と経済の他部門の活動とを統合し、(4)生産者間の協力を促すことを目的とし
た開発政策に責任を負う。
農業省の指示に基づく運営機関は、メキシコの農産物輸出を促進し、メキシコの農業生産者が直面して
いる競争上のデメリットを低下させるために設立された農業流通支援サービス（ Apoyos y Servicios ▶ la
Comercialización Agropecuaria ）である。農業流通支援サービスは、 PROCAMPO Productivo としても知ら
れる直接現場支援プログラム（ Programa de Apoyos Directos al Campo ）の運営・管理も行っている。こ
のプログラムは、地方の農業生産者に対して外国の競合者が自国政府から受取る補助金の分を埋め合わせ
る一助とするための政府資金を提供するものである。暫定値によると、このプログラムは、２百万超の生
産者に行き渡り、対象地域は約11.3百万ヘクタールとなっている。
(iii)業績
暫定値によると、農業部門（畜産業、漁業、林業および狩猟を含む。）は、2016年および2015年のメキ
シコのGDP全体の約3.1％を占めた。GDPに占める割合は同率を維持したものの、2016年の農産物生産高は実
際には2015年と比較して3.6％増加した。
暫定値によると、2016年12月31日現在のメキシコの経済活動人口の約13.3％が農業部門で雇用されてい
た。これらの労働者は、全国土の約11.2％に相当する約54.2百万エーカーの土地を耕していた。これらの
労働者は約52.3百万エーカーから収穫を行ったが、そのうち約27.7％は灌漑地であった。
2017年現在、メキシコは、米国の農業輸出の13.5％、米国からの農業輸入の20.3％を占めていた。メキ
シコは、カナダとともに、米国の最大農業貿易相手国のひとつである。2018年12月現在、米国のメキシコ
からの輸入は果物が6.23十億米ドル、野菜が6.43十億米ドルであった。2018年に輸出された主な農産品
は、アボカド、トマト、ピーマン、ナッツ類およびキュウリであった。2018年12月現在、農業輸出が農業
輸入を27.9％上回っていたため、農業貿易収支は3.07十億米ドルの黒字を示していた。さらに、2018年の
農業輸出および輸入は、いずれも2017年と比較してそれぞれ1.4％および9.5％増加した。
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(e) 運輸および通信
メキシコの運輸および通信インフラの近代化および拡張は国家の優先課題である。2014年－2018年国家
インフラ整備プログラムに従って、政府は運輸および通信部門向けに1.3兆ペソのインフラ整備支出を行う
ことを授権した。
2016年８月18日、鉄道の運営、路線および乗入れの権利、運送業者間の競争ならびに料金等を規制する
ため、連邦令によって新しい鉄道輸送規制局（ Agencia Reguladora del Transporte Ferroviario ）が創設
された。
電気通信に関するメキシコ憲法の枠組みに対するいくつかの改正の一環として、2016年１月29日、通信
省（ Secretaría de Comunicaciones y Transportes ）および連邦電気通信委員会は、全国をカバーするこ
とになる卸売電気通信共有公共ネットワークの設置について公開入札手続きを開始した。このプロジェク
ト等により、メキシコ政府は、国民向けのブロードバンド通信サービス利用の改善および通信市場におけ
るいっそうの競争促進を目指している。これらの新たな改正の解釈において、2017年８月16日、最高裁判
所は、通信サービス・プロバイダーが無償でそのネットワークを競合他社に利用させることを義務づける
連邦通信放送法（ Ley Federal de Telecomunicaciones y Radiodifusión ）の一部は違憲であると宣言し
た。最高裁判所は、議会ではなく、連邦電気通信委員会のみが接続料金を決定する権限を有していると裁
定した。2017年11月２日、最高裁判所の裁定に従って、連邦通信委員会は、通信サービス・プロバイダー
の間で合意が得られない場合に使用される接続料金を決定した。
2018年に、運輸・倉庫産業は、実質ベースで2.2％増加したが、これに対して2017年には実質ベースで
3.65％の成長であった。
メキシコ州サン・ヘロニモ・アカスルコのコミュニティの住民グループから、土地を利用する通行権に
ついて通信省が以前に提供した金額を上回る追加補償の請求があったため、都市間鉄道（ Tren
Interurbano ）の建設が2018年１月10日から同年４月24日まで中断された。３カ月に及ぶ工事の中断によっ
て、2018年５月までとされていた都市間鉄道の完工予定に遅れが生じた。
2018年３月23日、メキシコ市における新空港である新メキシコシティ国際空港（ Nuevo Aeropuerto
Internacional de la Ciudad de México 、以下「NAICM」という。）の建設、管理および運営を担当する政
府系企業であるグルポ・アエロポルチュアリオ・デ・ラ・シウダ・デ・メヒコ、S.A. de C.V.（ Grupo
Aeroportuario de la Ciudad de México, S.A. de C.V. ）は、メキシコのエネルギーおよびインフラ投資
信託証書であるFIBRA Eの発行を通じて、総額30十億ペソを調達した。
2018年５月23日、通信省は、ハリスコ州のグアダラハラの軽量軌道鉄道３号線の建設が最終段階に入っ
たことを発表した。この３号線は、完成するとハリスコ州のグアダラハラ、サポパンおよびトラケパケの
３都市を結ぶことになる。
2018年11月および12月に、メキシコの新政権は、 NAICM に関する政策の転換を発表した。こうした発表に
関連して、2018年12月、メキシコシティ・エアポート・トラスト（MEXCAT）は国際市場において発行した
債券６十億米ドルのうち1.8十億米ドルを保有者の同意を得て現金で買入れ、債券に係る信託証書およびそ
の他の関連諸契約を修正した。これにより、新政権によってさらなる政策変更がなされても柔軟に対応で
きることになる。修正は一般に、テスココにおけるNAICM建設案に関連したコベナンツおよび債務不履行事
由のすべてを削除するものであった。
2019年３月11日、ロペス・オブラドール大統領は、メヒコ州スンパンゴに所在のサンタルチア空軍基地
（ Base Aerea Militar de Santa Lucia ）に２本の滑走路を追加建設することにより、メキシコシティ国際
空港（ Aeropuerto Internacional de la Ciudad de México 、AICM）の飽和状態に対応することを発表し
た。
この発表において、大統領はまた、進行中の既存の高速道路インフラ・プロジェクトおよび過去10年間
に高速道路プロジェクトに割り当てられた最大金額となる同プロジェクトへの41十億ペソの投資を完了さ
せることを政府の優先課題とすることを強調した。この投資額のうち78％はすでに公開入札の対象とな
り、付与済みである。
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より規模の大きい公共事業プロジェクトについては、大統領は、いかなるプロジェクトも現政権下で完
了することが確実でない限り着手しないことを表明し、マヤ鉄道（ Tren Maya ）および地峡鉄道（ Corredor
Transistmico ） は大統領の６年間の任期末までに運航を開始する見込みであると発表した。
マヤ鉄道は、ユカタン州、カンペチェ州、キンタナロー州、タバスコ州およびチアパス州を結ぶ予定
で、観光客、乗客および貨物のための全長1,500キロメートルの新しい鉄道インフラである。マヤ鉄道は、
年間３百万人の旅客の輸送能力を有する見込みである。マヤ鉄道への見積り投資額は120十億ペソから150
十億ペソの範囲であり、建設段階では300,000の直接的な雇用創出が見込まれる。
地峡鉄道が完成すると、メキシコの太平洋沿岸とメキシコ湾を結び、サリナ・クルス港およびコアツァ
コアルコス港の拡張ならびに両港間の貨物鉄道インフラの近代化が含まれる予定である。
道路
政府は、メキシコの道路網の大部分を建設、保守しているが、2003年以降、政府は民間企業に有料道路
の建設、運営および保守を認める長期的な営業免許を付与している。
暫定値によると、2018年12月31日現在、メキシコの道路網の全長は397,993キロメートルで、このうち
174,912キロメートルは舗装道路であり、10,274キロメートルは有料高速道路であった。
以下の表は、2014年から2018年までの間におけるメキシコの道路網の発展を示したものである。
メキシコの道路網の発展
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
道路網（全長）
（キロメートル） 389, 345 390,267 393,788 397,993 397,993
舗装道路
（キロメートル） 155,239 156,762 164,493 174,912 174,912
高速道路および有料道路
（キロメートル） 9,457 9,669 10,133 10,274 10,274
出典： メキシコ中央銀行
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港湾
2018年にメキシコの港湾を経由した貨物の輸送量は、2017年に比べ2.9％増の317.0百万トンであった。
道路網とともに、政府は過去10年にわたり、メキシコの港湾施設の開発、管理および改良における民間
部門の役割の強化を推進してきた。1993年以降、政府は港湾施設の建設および運営について105件の長期免
許を付与した。これらと引換えに、民間部門事業者は港湾施設および周辺の運輸インフラを開発し近代化
することが期待されている。最近の大規模免許の付与にもかかわらず、政府は依然としてメキシコの主要
港湾施設の大部分を運営している。
航空
メキシコ市、グアダラハラおよびモンテレイといったメキシコの主要都市に所在の空港には、国内およ
び国際航空会社が就航しているが、より小規模な都市の多くの空港にも限られた国内航空会社の定期便が
運航している。メキシコには76の空港があり、このうち64の空港には国内外の航空会社が就航している。
メキシコシティ国際空港（ Aeropuerto Internacional de la Ciudad de México ）は政府所有の会社が運営
している。2016年には、メキシコを発着する国際線および国内線の乗客数は2015年と比較して9.4％増加し
たが、メキシコを発着する国際線の乗客数は2015年と比較して4.4％の増加であった。
2014年、メキシコ政府は、現在運営されているメキシコシティ国際空港に代わるNAICMの建設を発表し
た。2017年１月６日、グルポ・アエロポルチュアリオ・デ・ラ・シウダ・デ・メヒコ、S.A. de C.V.は、
新空港ターミナルの設計および運営にかかる契約ならびに着工が認められたことを発表した。NAICMは、完
成すると年間125百万人の旅客処理能力をもつものと予想される。この空港は、2020年に開業の予定であ
る。
2017年９月、NAICMは、10年満期および30年満期の２本のグリーン・ボンド（環境および/または気候に
プラスの恩恵を与えるプロジェクトに資金提供するために創設された債券）の売付けにより合計４十億米
ドルを調達した。
適用あるメキシコ法の下で、外国人はメキシコの空港の49％を上限として保有することができるが、国
家外国投資委員会（ Comisi ó n Nacional de Inversiones Extranjeras ）の承認を得たうえでより高い比率
を取得することができる。空港を運営、保守および開発するためには、通信省から免許を受ける必要があ
る。
2018年12月現在、メキシコには64の国際空港が運営されており、2017年12月と比較して7.55％増の
96,406,000人を輸送した。メキシコの空港を経由して輸送された貨物量は、2017年と比較して12.16％増の
830,000トンであった。
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鉄道
メキシコの鉄道システムは、３本の地域路線、いくつかの短距離路線およびメキシコ盆地の１つのター
ミナル駅に分割されている。
2017年、メキシコの鉄道システムは、2016年と比較して4.0％増の126.9百万トンの貨物を輸送した。鉄
道による輸出輸送は、2016年の17.8百万トンから2017年には4.5％増加して18.6百万トンとなった。一方、
輸入輸送は、2016年の59.3百万トンから2017年には3.2％増加して61.2百万トンとなった。
2017年11月12日、通信省は、メキシコ市からメキシコ州の州都であるトルーカまでを結ぶことになる全
長58キロメートルの都市間鉄道の建設を発表した。都市間鉄道は2018年の完成が予定されていたが、建設
およびルートについて何らかの修正および問題が生じたため、運営開始は無期限に延期されている。
2018年12月31日現在、政府はメキシコの鉄道システムの一部の所有および運営について合計14件の営業
許可を付与していた。2018年２月、Ferrocarril del Istmo de Tehuantepec社は、2017年中に同社に付与
されたVia Corta Oaxacaの営業許可を取得した。
政府はまた、鉄道旅客輸送サービスを提供する権利およびメキシコ盆地におけるターミナルの所有権を
民間企業に付与するとともに、太平洋側北部鉄道路線の一部で観光目的の鉄道輸送を行うことをハリスコ
州に割当てた。
通信
以下の表は、2014年から2018年までにおけるメキシコの電話、携帯電話およびインターネットの接続回
線数の伸びを示したものである。
通信
12 月31日現在
(1)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（居住者100人当たりの数値）
(2)
電話回線数 60.0 59.4 59.1 58.0 60.0
携帯電話回線数 87.0 89.0 91.0 90.0 94.0
インターネット接続居住者 40.8 45.3 48.4 50.0 53.0
(1) 2018年の数値は第３四半期に対応している。
(2) 100軒当たりの数値。
出典： IFT
2014年、政府は、メキシコ市民がより安価で質の良い通信サービスを利用できるようにし、かつこれら
の産業における競争および投資を強化するための改革を実施した。これらの改革の下で、通信および衛星
通信部門（ケーブル・テレビを含む。）では、外国人による投資は100％まで認められる。放送部門への外
国からの直接投資は、メキシコと投資家または運営者の出身国との間の互恵協約に従って、49％が上限と
されている。
2014年７月14日、施行令により連邦通信放送法およびメキシコ合衆国における公共放送システム法（ Ley
del Sistema Público de Radiodifusión del Estado Mexicano ）が施行された。連邦通信放送法は、通信
および放送のアクセスを全般的に高め、携帯電話事業者の料金（長距離電話（ローミング）料金を含
む。）を廃止または軽減するための具体的な措置を定めている。メキシコ合衆国における公共放送システ
ム法は、メキシコの各州における放送サービスへの確実なアクセスを確保するため、分権的公企業である
メキシコ合衆国公共放送システム（ Sistema Público de Rafiodifusión del Estado Mexicano ）を設立す
るものである。この企業は、従前の放送局プロモーター（ Organismo Promotor de Medios
Audiovisuales ）に代わるものである。
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2017年11月10日、通信省は、通信改革の負託に従って、メキシコ電信公社（ Telecomunicaciones de
México 、以下「TELECOMM」という。）が、TELECOMMが実施する予定の国際的RFPの仕組みについて包括的な
助 言サービスおよび支援の提供にかかる入札を勧誘するため、初めての国際的電子的提案依頼書（RFP）公
募を公開したことを発表した。とりわけ、TELECOMMの国際的RFPは、自ら資金調達を行う官民パートナー
シップの下で大容量光ファイバー全国データ伝送ネットワークの構築および成長を計画、設計および実行
する基幹ネットワーク（ Red Troncal ）プロジェクトの契約に関連して行われる予定である。
2017年12月21日、通信省は、TELECOMMがコンプラネット上に１回目のRFPとおおむね同様の目的で２回目
の国際的電子的RFPを公開したことを発表した。
(f) 建設業
建設部門の生産高は、実質ベースで2017年には1.1％増加したのに対して、2018年には実質ベースで
2.2％の減少であった。建設部門は景気循環トレンドの影響を受けやすく、政府および民間部門の支出の変
動の影響を最も受ける部門の一つである。そのため建設部門は連邦の高速道路網の最近の再構築、近代化
および拡張ならびにその他のインフラ整備や住宅および産業関連建設プロジェクトの恩恵を多く受けてき
た。
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(g) 鉱業
以下の表は、2014年から2018年における鉱業部門の発展を示したものである。
鉱業
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
鉱業、石油およびガス部門生産高
（前年比成長率） (5.0) (3.8) (6.6) (7.8) (7.3)
抽出鉱物輸出（石油を除く。）
（前年比成長率） 7.4 (11.0) (3.0) 24.2 14.8
商品輸出全体に占める抽出鉱物輸出
（石油および石油製品を含む。）の
割合 12.0 7.3 6.2 7.1 8.2
出典： メキシコ中央銀行
2017年と比較して2018年に鉱業、石油およびガス部門の生産高が減少したのは、主として石油プラット
フォーム生産および石油採掘関連サービスが減少したことによるものである。
メキシコは豊富かつ多種類の鉱物資源を有しており、銀、ビスマス、アンチモン、ホタル石、グラファ
イト、バライト、モリブデン、鉛および亜鉛の世界有数の産出国である。メキシコの鉱物の国内生産は自
国産業での需要の大部分を満たし、銀、銅、硫黄および鉄の輸出を可能にしている。
憲法および適用あるメキシコ法の下で、鉱物鉱業活動の遂行が認められるのは、政府またはこれに代
わって政府の免許の認可を受けたメキシコの個人もしくは企業のみである。放射性鉱物の採掘を除き、メ
キシコ法に基づいてメキシコの鉱業会社に対する外国人投資（支配持分を含む。）は認められている。外
国人投資および鉱業規則では、外国人投資家が鉱業活動に従事するメキシコ企業の過半数持分を免許期間
中保有することが認められている。これらの外国人投資規則は、(1)探査の拡大、(2)新たな資金源の獲
得、ならびに(3)さらなる国内技術開発の育成を認めているため、鉱業の発展を促進している。メキシコの
鉱業法（ Ley Minera ）に基づいて、民間企業には最長６年の探査免許と最長50年の採掘免許が認められて
いる。
(h) 電力産業
電力の利用可能性の拡大は、政府の優先事項である。2018年12月31日現在、全人口の約98.75％が電力を
使用することができた。2018年12月31日現在、全人口のうちメキシコの都市部人口の約99.63％およびメキ
シコの農村部人口の95.61％が電力を使用することができた。
政府は、メキシコの電力需要の拡大に対応するために、発電、送電および配電インフラ設備への投資を
続けている。2014年から2018年の間に、政府は、エネルギー発電インフラに約310.8十億ペソ、エネルギー
送電インフラに58.1十億ペソ、エネルギー配電に189.1十億ペソを投じる見込みである。
これらのエネルギー源により、2018年には2017年より0.48％増（2013年からは合計で0.78％増）の
260,626ギガワット時が発電された。メキシコは、2018年に1,813ギガワット時の電力を輸出したが、これ
に対して2017年の輸出量は2,040ギガワット時であった。2018年12月31日現在の発電設備容量は55,265メガ
ワットとなり、2017年より1.12％減少した。2018年には、国内発電は6,852ギガワット時の電力輸入により
補われた。
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エネルギー資源の多様化もまた政府の重点目標である。以下の表は、2015年から2018年までにおけるメ
キシコの主要なエネルギー源の構成についての一定の情報を示すものである。
電力エネルギー源の構成
（ギガワット時（GWh））
2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
構成比 構成比 構成比 構成比
発電量 (％) 発電量 (％) 発電量 (％) 発電量 (％)
204,289 208.386 202,038 200,289
従来型の電源
結合サイクル 133,260 65 134.525 65 127,355 63 129,414 65
火力 33,072 16 34.503 17 38,499 19 35,144 18
石炭 31,188 1 31.790 15 28,577 14 27,192 14
燃焼タービン 5,103 2 5,732 3 5,833 3 6,674 3
内燃機関 1,667 1 1,837 1 1,775 1 1,865 1
その他 0 0 0 0
クリーン・
49,393 47,364 48,023 50,612
エネルギー
再生可能 38,216 77 37,096 78 37,451 78 37,412 74
水力 29,855 60 28,902 61 29,843 62 30,299 60
エオリック 2,386 5 2,461 5 1,976 ▶ 2,141 ▶
地熱 5,962 12 5,721 12 5,621 12 4,962 10
太陽光 12 0 12 0 10.82 0 10.19 0
バイオ・
エネルギー 0 0 0 0
分散型電源 0 0 0 0
11,177 10,268 10,572 13,200
その他 23 22 22 26
253,682 255,750 250,061 250,901
合計
出典： エネルギー省のPRODESEN 2018-2032
2014年８月11日、議会は、電力産業法（ Ley de la Industria El é ctrica ）および連邦電力公社法（ Ley
de la Comisión Federal de Electricidad ）を含む第二次立法を施行した。電力産業法は、民間部門企業
が新しい電力卸売市場において電力の発電および販売にかかる許可を得ることを可能にする新しい規制の
枠組みを構築するものである。連邦電力公社法により、CFEは分権的公法人から生産的国有企業に転換され
た。CFEは現在、その生産的国有子法人を通じて、電力の発電、送電、配電および販売を行っている。政府
は、2017年に天然ガスの輸送について22件、天然ガスの販売について９件の営業許可を付与した。
政府は、引続き電力部門および発電への民間部門の参加を奨励している。2017年12月31日現在、メキシ
コの総発電設備容量に占める化石燃料による発電設備容量の割合は、2013年12月31日現在の79.9％に対し
て、78.9％であったが、クリーン電源からの発電設備容量は21.1％であり、これは2016年12月31日現在と
比較して3.8％の増加である。
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(3) 【貿易及び国際収支】
① 貿易
貿易政策
1980年代後半以降、メキシコは貿易収益の増加に基づく経済発展というモデルを利用してきた。そのた
めに、メキシコは主に輸出全体の拡大に力を入れてきた。例えば、政府は、非石油製品輸出を成長させ、
その競争力を高めるために、様々な貿易・財政・金融・振興策を整えた。そのひとつには、1986年の関税
及び貿易に関する一般協定（GATT）（後に世界貿易機関（以下「WTO」という。）により置換された。）へ
の加盟の政府決定が挙げられる。この決定により、とりわけ、従来から国内生産者に認められてきた保護
措置が大幅に削減された。GATTに基づいて、1987年末に最高関税率を20％とする５段階からなる関税体系
が確立された。その後まもなく、平均関税率が引下げられ始めた。
この戦略の結果、1982年以降メキシコの非石油製品輸出は50倍以上増加し、2018年には420.1十億米ドル
（保税産業を含む2018年の商品輸出合計の93.2％）に達した。過去30年間で、農産物と比較して製造品の
重要性が高まってきたことを反映して、メキシコの非石油製品輸出の構成もまた変化してきた。2018年に
は、メキシコの非石油製品輸出（保税産業を含む。）のうち397.3十億米ドル（94.6％）を製造品が占めた
が、1982年当時は5.8十億米ドル（77.1％）であった。
1993年に施行された外国貿易法（ Ley de Comercio Exterior ）により、輸出入関税およびその他の貿易
制限を設ける広範にわたる権限が大統領に付与されている。同法に基づき、経済省には、貿易関連の紛争
処理にあたる権限および外国の輸出補助金の効果を無効とするため、WTOの規則に基づいて課される輸入関
税である「相殺関税」の課税手続きを定める権限が付与されている。外国貿易法により、紛争解決および
相殺関税の手続きを管理する経済省内の組織として外国貿易委員会（ Comisión de Comercio Exterior ）も
設立された。これらに加えて、外国貿易法は、不公正な貿易慣行の定義を示すとともにこれを規制してお
り、それによりメキシコの貿易規制の枠組みは現行の国際慣行および国際基準に一段と沿った形になって
いる。
米国の経済、政治および規制の状況または外国貿易および外交関係に関わる米国の法律および政策の変
更は、国際市場に不確実性を生み出し、メキシコ経済にマイナス影響を及ぼしうる。メキシコにおける経
済状況およびメキシコが発行する有価証券の価値は、米国の経済および市場の情勢の影響を受けることが
ある。
2016年11月の米国の選挙および米国政権の変更の後、貿易および移民問題を含むメキシコおよびメキシ
コ経済にとって重要な事項に関する米国の今後の政策が不透明になっている。米国の政策変更は、メキシ
コの経済および財政に悪影響を及ぼしうる。
米国政権が、貿易、関税、移民問題および税制の分野においてメキシコに影響を及ぼしうる様々な形に
よる措置をとる可能性も高まっている。メキシコ経済は、米国経済に密接に結びついているため、NAFTAの
米国・メキシコ・カナダ協定（以下「USMCA」という。）の承認、または米国政権が採用しうるその他の政
策はメキシコの経済状態に悪影響を及ぼす可能性がある。米国の移民政策もメキシコと米国の間の貿易お
よびその他の関係に影響を及ぼす可能性があり、メキシコ政府の政策に別の影響を及ぼす。OECDは、メキ
シコにおける経済活動のペースが2017年を通じて引続き改善するものと予想したが、これらの要因は、メ
キシコのGDPの成長、米ドルとメキシコ・ペソの間の為替レート、外国直接投資の水準およびメキシコへの
証券投資、金利、インフレならびにメキシコ経済全般に影響を及ぼしうる。
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2017年４月７日、外務大臣は、太平洋同盟および南米南部共同市場（MERCOSUR）諸国の経済大臣会議に
出席した。この会合では、ラテン・アメリカにおける２つの主要なブロックによる地域統合の展望につい
て話合いが行われた。
英国がEU離脱の国民投票を行ったのを受けて、2017年７月26日、メキシコと英国は、メキシコの貿易課
題および英国のEU離脱に照らして、両国の経済および協力関係を引続き強化していくための選択肢につい
て協議した。
2017年10月19日、メキシコと英国の代表者間で高官会議が開催された。英国は、エネルギー、都市、金
融サービスおよびビジネスへの戦略的な投資を通じて経済を強化するため、メキシコに約80百万米ドルを
投資することを約束した。メキシコと英国は、自由貿易、二国間投資および自由市場への取組みを続けて
いくことを約束した。
貿易の実績
メキシコは、2013年は1.2十億米ドルの貿易赤字であったのに対し、2014年には3.1十億米ドルの貿易赤
字を計上した。これは、石油製品の黒字縮小と非石油製品の赤字縮小によるものである。具体的には、石
油製品輸出は、主として原油生産の減少により、2013年と比べて14.4％減少した。全体として、それぞれ
2013年と比較した輸出の増減は以下のとおりである。
・石油製品輸出は14.4％減少した。
・非石油製品輸出は7.3％増加した。
・商品輸出は、2013年の380.0十億米ドルに対して4.4％増の396.9十億米ドルとなった。
・製造品輸出（商品輸出合計の85.0％を占めた。）は7.2％増加した。
2014年の輸入合計は、2013年の381.2十億米ドルに対し、4.9％増の400.0十億米ドルとなった。これは、
主として中間財および消費財の輸入の増加によるものである。具体的には、それぞれ2013年と比較した輸
入の増加は以下のとおりである。
・中間財輸入が6.0％増加した。
・資本財輸入が1.5％増加した。
・消費財輸入が1.7％増加した。
メキシコは、2014年に3.1十億米ドルの貿易赤字であったのに対し、2015年には14.7十億米ドルの貿易赤
字を計上した。これは、米国の産業活動の不振と輸出の伸びの足かせとなった外需の減少によるものであ
る。具体的には、主として原油生産が減少したことにより、石油製品輸出が2014年と比較して45.5％減少
した。
2015年に輸入合計は2014年と比較して1.2％の減少であった。これは、主として消費財および資本財と
いった非石油製品輸出の減少ならびに石油輸入の減少によるものである。
2015年に輸出合計は2014年と比較して4.1％の減少であった。これは、主として米国の産業活動の不振と
その他諸国からの需要の減少によるものである。
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メキシコは、2015年に14.7十億米ドルの貿易赤字を計上したのに対して、2016年には13.1十億米ドルの
貿易赤字を計上した。これは、名目ベースで商品輸出合計が1.7％、商品輸入合計が2.1％、減少したこと
による。特に、石油輸出は、主として原油生産の減少により、2015年と比較して18.5％減少した。消費財
の輸入は、主として非石油消費財が6.6％減少したことにより、2015年と比較して2016年には名目ベースで
7.7％減少した。
2016年の輸入合計は、2015年と比較して2.1％減少した。これは、主としてすべての商品輸入が減少した
ことによる。特に、消費財は7.7％減少し、中間財および資本財はそれぞれ0.8％および3.7％の減少であっ
た。
2016年の輸出合計は、2015年と比較して1.7％減少した。これは、主として上記のとおり石油および石油
製品の輸出が減少したこと、ならびに非石油製品の輸出が0.7％減少したことによる。
暫定値によると、メキシコは、2016年に13.1十億米ドルの貿易赤字を計上したのに対して、2017年には
11.0十億米ドルの貿易赤字を計上した。この貿易赤字の縮小は、2016年と比較して石油輸出が26％増加し
た（中間財の輸入の増加により相殺された。）ことによるところが大きいが、この増加は主に2017年第４
四半期にメキシコ産原油ミックスの平均価格が上昇し、石油プラットフォーム生産がわずかに増加したこ
とによるものである。
暫定値によると、2017年の輸入合計は、2016年と比較して8.6％増加した。これは、2016年と比較して特
に石油生産に利用されるものをはじめとする中間財の輸入が9.0％増加したほか、油性消費財の輸入増加に
より消費財の輸入が10.4％増加したことによる。
暫定値によると、2017年の輸出合計は、2016年と比較して9.5％増加した。これは、主として石油および
石油製品の輸出が26.0％増加したこと、ならびに非石油鉱物製品の輸出が24.2％増加したことによる。
暫定値によると、 メキシコは、2017年に11.0十億米ドルの貿易赤字を計上したのに対して、2018年には
13.7十億米ドルの貿易赤字を計上した。 こうした貿易赤字の拡大は、非石油貿易黒字の拡大と石油製品貿
易収支の赤字拡大の正味結果である。また、石油輸出は、2018年第４四半期にも減少を続け、比較的低水
準で推移した。これは、輸出向けに提供できる原油の減少およびメキシコ産原油ミックスの平均価格の低
下によるものである。
カナダ、メキシコおよび米国は、多くのエネルギー商品について相互に最大の輸出入相手国である。メ
キシコの石油化学製品、原油および石油製品の米国およびカナダ向け輸出が減少すると、石油製品の国内
外での価格が一定であっても、関連する収益は減少しうる。しかし、2013年以降、メキシコは原油の供給
地域の範囲を拡大しており、ヨーロッパおよびアジア向けの原油輸出販売の比率を高めて国際市場におけ
るメキシコ産原油のポジションを分散化し、強化する戦略をとってきた。
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以下の表は、表示期間についてのメキシコの商品輸出入（観光を除く。）の価額に関する情報を示した
ものである。
輸出入
(1) (1)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（ 単位：メキシコ産原油ミックスの平均価格を除き、百万米ドル）
商品輸出（f.o.b.）
石油および石油製品 42,369 23,100 18,825 23,725 30,601
原油 35,638 18,451 15,582 20,047 26,512
その他 6,731 4,648 3,243 3,678 4,089
非石油製品 354,544 357,451 355,123 385,707 420,083
農業 12,332 13,126 14,845 16,000 16,508
鉱業 5,064 4,505 4,368 5,427 6,232
(2)
337,149 339,821 336,911 364,280 397,344
製造品
396,914 380,550 373,948 409,433 450,685
商品輸出合計
商品輸入（f.o.b.）
消費財 58,300 56,280 51,951 57,338 63,118
(2)
中間財 302,036 297,714 295,400 322,039 355,297
39,648 41,240 39,719 41,017 45,887
資本財
399,984 395,234 387,070 420,395 464,302
商品輸入合計
(3,071) (14,684) (13,122) (10,962) (13,618)
貿易収支
メキシコ産原油ミックス
(3)
の平均価格 （米ドル） 85.48 43.12 35.65 46.79 61.34
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 保税産業を含む。
(3) １バレル当たり米ドル表示。
出典： メキシコ中央銀行／ぺメックス
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対外貿易協定
メキシコは、多国間、地域および二国間レベルでの自由貿易および経済協力を進めるいくつかの国際協
定を結んでいる。
WTOがGATTを承継した1995年１月１日、メキシコはWTOの加盟国となった。メキシコはWTOの多国間貿易交
渉に積極的に参加している。メキシコは、1993年以降アジア・太平洋経済協力機構にも加盟している。
地域レベルでは、メキシコは、NAFTAの加盟国である。NAFTAは、(1)カナダ、メキシコおよび米国を原産
国とし、３カ国間で取引される物品に対する事実上すべての関税の撤廃、(2)多くの投資制限の撤廃または
緩和、(3)サービス貿易の自由化および知的財産権の保護強化、(4)NAFTAの下で発生した貿易紛争に対する
専門的な解決策の提供、ならびに(5)加盟３カ国における３国間、域内および多国間の協力の推進を目的と
している。
メキシコは、次の諸国/国家連合との間でも自由貿易協定およびその他類似の協定を締結している：ボリ
ビア、チリ、コロンビア、コスタリカ、北部三角地帯（エルサルバドル、グアテマラおよびホンジュラ
ス）、欧州連合、欧州自由貿易連合（アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーおよびスイス）、
イスラエル、日本、ニカラグア、ペルーならびにウルグアイ。
メキシコは、米州自由貿易地域（FTAA）についての交渉に参加している。FTAAは、予定される34の加盟
国について関税を撤廃し、共通の投資および貿易規則を採用しようとするものである。メキシコは、
MERCOSURの設立加盟国４カ国（アルゼンチン、ブラジル、パラグアイおよびウルグアイ）の各国とも個別
に自由貿易協定の交渉を行ってきている。
2016年４月27日、上院は、環太平洋諸国12カ国間の国際貿易協定案である環太平洋パートナーシップ協
定（以下「TPP」という。）に関する正式文書を受領し、その検討を開始した。2017年１月23日、米国大統
領は、米国通商代表部に対してTPPへの署名国として米国を撤退させ、TPP交渉から米国を永久に撤退させ
るよう命じる大統領令に署名した。
2017年に、メキシコとEUは、EUメキシコ自由貿易協定（ Tratado de Libre Comercio entre México y la
Unión Europea 、以下「TLCUEM」という。）の近代化について協議を行った。TLCUEMの近代化は、メキシコ
の貿易課題において優先課題であった。過去18年間にEUとメキシコの間の貿易は20.8十億米ドルから65.9
十億米ドルへと３倍強になっている。
メキシコは、2017年にスペインおよび中国の政府との間で複数回の二カ国協議に参加した。2017年４月
20日、メキシコとスペインは、航空輸送規制、商業および投資ならびに労働問題を含む様々なテーマを対
象とした６つの新たな法的文書について合意した。2017年５月３日、メキシコと中国は、2013年６月のペ
ニャ・ニエト大統領の訪中中に設定された両国の包括的な戦略的パートナーシップの枠組みの中で達成さ
れた商業、投資および航空の接続利便性の高まりに焦点を当て、二国間関係を深めていくことで合意し
た。
2018年３月８日、経済大臣は、オーストラリア、ブルネイ・ダルエスサラーム、カナダ、チリ、日本、
マレーシア、ニュージーランド、ぺルー、シンガポールおよびベトナムの通商担当大臣とともに、メキシ
コを代表して、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定（CPTPP）に署名した。
CPTPPは、2017年１月に米国が正式に撤退した後、環太平洋パートナーシップ協定（TPP）を実施すること
を目的としている。上院は、2018年４月24日にCPTPPを批准した。メキシコは、CPTPPの最初の承認国であ
り、CPTPPは６カ国または署名国の50％がこれを承認し、他の当事国にその承認を通知してから60日後に効
力を生じる。2018年11月29日、公布令が連邦官報に掲載され、同日に効力が生じた。
2018年４月21日、経済省は、TLCUEMの近代化交渉が成功裏に妥結したことを発表した。
2018年６月１日、メキシコは、鉄鋼およびアルミニウムに対する米国の輸入関税の対象となった。鉄鋼
およびアルミニウムは、自動車、航空宇宙、電気およびエレクトロニクス産業を含む北米国境付近で生産
が高度に統合されている戦略的部門の投入材である。メキシコは、現時点で米国関税の経済的影響につい
て予測することはできない。
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米国関税に対抗して、メキシコは、平鋼、照明器具、豚足および豚肩肉、ソーセージ、りんご、ぶど
う、ブルーベリーおよび各種チーズ等の製品の米国からの輸入について、メキシコに対する米国関税の経
済 的影響に見合った金額を上限として関税をかけた。メキシコの関税は、メキシコが米国の鉄鋼およびア
ルミニウム関税の対象となっている限り、引続き効力を有する。2018年６月５日、メキシコはまた、WTOの
紛争処理制度を通じて鉄鋼およびアルミニウムに対する関税に関して米国を提訴した。
2018年11月30日、メキシコ、米国およびカナダの大統領/首相は、自由貿易関係を近代化し、NAFTAに代
わるものとなるUSMCAを締結した。USMCAの最終文言は分析および承認を受けるためメキシコの上院に提出
された。同協定はまた、カナダおよび米国の法律に基づく施行手続きを条件とする。USMCAがいつ効力を生
じるのかについては依然として不確定であり、メキシコは特定の産業または政府政策に対するUSMCAの影
響、およびその結果として生じうる国際貿易の変化について評価することはできない。
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② 地域別貿易分布
以下の表は、表示期間についてのメキシコの対外貿易の分布を示したものである。
(1)
メキシコの商品輸出分布
(2) (2)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（単位：％）
輸出（f.o.b.）
米国 81.3 82.6 82.7 81.5 81.2
カナダ 2.8 2.9 2.9 2.9 3.4
EU 3.7 3.9 4.4 5.0 4.9
うち：
スペイン 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3
英国 0.5 0.5 0.9 0.6 0.5
ドイツ 1.0 1.0 1.1 1.8 1.7
オランダ 0.4 0.4 0.4 0.4 0.5
中国 1.5 1.3 1.4 1.6 1.7
日本 0.7 0.6 0.7 0.8 0.8
9.9 8.6 7.9 8.1 8.1
その他
100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
合計
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 保税産業を含む（グロス・ベース）。
(2) 暫定値。
出典： メキシコ中央銀行
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(1)
メキシコの商品輸入分布
(2) (2)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（単位：％）
輸入（f.o.b.）
米国 45.1 43.8 42.8 41.7 40.8
カナダ 2.7 2.6 2.6 2.4 2.4
EU 11.4 11.3 11.5 12.4 12.5
うち：
スペイン 1.3 1.2 1.2 1.3 1.3
英国 0.7 0.6 0.6 0.6 0.6
ドイツ 3.8 3.8 3.9 4.3 4.3
オランダ 0.3 0.3 0.3 0.4 0.4
中国 18.4 19.3 19.5 19.5 20.1
日本 4.9 4.8 5.0 4.7 4.4
その他 17.6 18.1 18.7 19.3 19.7
合計
100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 保税産業を含む（グロス・ベース）。
(2) 暫定値。
出典： メキシコ中央銀行
③ 日本との貿易
メキシコと日本は、両国が最初に友好関係を結んでから400年以上にわたって共通の利益および目標を共
有してきた長い歴史がある。それ以降、両国間の強力かつ有益な協力関係が展開されてきた。こうした友
好関係は商業上の強い関係に発展し、メキシコの日本からの輸入は、過去５年間で年平均約17.6十億米ド
ルにのぼり、この間の商品輸入合計の5.0％近くを占めてきた。
(注)
日本との貿易
輸出 輸入
2014 年 0.7 ％ 4.9 ％
2015 年 0.6 ％ 4.8 ％
2016 年 0.7 ％ 5.0 ％
2017 年 0.8 ％ 4.7 ％
2018 年 0.8 ％ 4.4 ％
注： 輸出または輸入総額に占める割合。
出典： メキシコ中央銀行
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④ 保税産業
メキシコの保税産業は原材料や部品を非課税で輸入し、完成品を輸出している企業で成り立っており、
供給業者はメキシコ国内で行った作業に対してのみ付加価値ベースで関税を支払っている。保税工場は、
そのほとんどが当初メキシコと米国との国境付近に設立されたが、現在では、国内の他の地域で事業を営
んでいる。他の地域への生産の拡大によって、保税工場および供給業者はより多くのより多様な労働力を
調達できるようになっている。この拡大によって、保税工場はメキシコの供給業者が利用できる原材料を
より利用しやすくなった。暫定値によると、2017年に保税産業が付加した価値の半分超が、自動車部品、
輸送機器およびエレクトロニクス製品の生産に関連するものであった。
以下の表は、各表示期間末における保税工場の数、保税工場における雇用従業員数および保税産業収益
を示したものである。
(1)
保税産業
12 月31日現在
(1) (1)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（年次の数値および対前年比変化率）
保税工場 5,020 (2.4) ％ 5,006 (0.3) ％ 5,018 0.2 ％ 5,089 1.4 ％ 5,155 0.5 ％
保税工場に
よる雇用労
働者数 2,256,652 6.6 ％ 2,357,556 4.5 ％ 2,479,127 5.2 ％ 2,581,487 4.1 ％ 2,695,592 4.4 ％
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
出典： INEGI
(1)
保税産業収益
12 月31日現在
(1) (1)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（十億ペソおよび対前年比変化率）
輸出売上 2,006.0 10.3 ％ 2,311.9 15.3 ％ 2,596.9 12.3 ％ 2,868.0 10.4 ％ 3,109.1 8.4 ％
1,379.8 1,530.0 1,690.2 1,898.1 2,038.8
国内売上 5.7 ％ 10.9 ％ 10.5 ％ 12.3 ％ 7.4 ％
3,385.8 3,841.9 4,287.1 4,766.1 5,147.9
収益合計 8.4 ％ 13.5 ％ 11.6 ％ 11.2 ％ 8.0 ％
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
出典： INEGI
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⑤ 国際収支および外貨準備高
「国際収支」は国が１年間にわたる世界の他の諸国との経済取引のすべてを計上する制度である。以下
の表は、表示期間におけるメキシコの国際収支を示したものである。これらの数値は、従来はIMFの国際収
支マニュアル第５版に従って算出されていたが、その後2013年11月に更新されたIMFの国際収支マニュアル
第６版に準拠するように更新されたため、過年度の数値も修正されていることに留意すべきである。
国際収支
(1)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（ 単位：百万米ドル）
(2)
経常収支 (25,199) (30,682) (24,300) (19,558) (21,643)
受取 453,286 436,317 433,866 478,726 526,097
商品輸出（f.o.b.） 397,651 380,977 374,305 409,806 451,054
非要素所得サービス 21,182 22,903 24,213 27,643 28,763
輸送 867 1,428 1,598 1,904 2,185
観光 16,208 17,734 19,650 21,336 22,510
保険および年金 3,554 3,171 2,503 3,742 3,285
金融サービス 127 138 154 352 449
その他 426 432 309 308 335
第一次所得 10,569 7,401 8,091 10,701 12,521
第二次所得 23,883 25,036 27,257 30,576 33,759
支払 478,405 466,999 458,165 498,284 547,740
商品輸入（f.o.b.） 400,447 395,575 387,375 420,790 464,850
非要素所得サービス 34,474 32,680 33,179 37,511 37,767
輸送 14,677 12,814 13,204 14,835 15,433
観光 9,606 10,098 10,303 10,840 11,300
保険および年金 4,220 4,339 3,913 4,952 4,846
金融サービス 1,430 1,348 1,809 2,171 2,249
その他 4,542 4,082 3,951 4,713 3,940
第一次所得 42,373 37,838 36,881 39,082 44,042
第二次所得 1,111 905 730 902 1,081
資本収支 27 (87) 39 150 (65)
受取 264 207 323 450 237
支払 237 294 284 300 301
金融収支 (39,145) (38,703) (32,208) (32,609) (32,854)
直接投資 (24,640) (25,143) (29,821) (28,825) (26,414)
証券投資 (46,577) (19,954) (28,264) (10,055) (9,979)
金融派生商品 3,408 (4,586) (2,247) 3,074 408
その他投資 12,336 26,646 28,259 7,962 2,648
準備資産 16,329 (15,667) (136) (4,765) 483
外貨準備 15,482 (18,085) 428 (2,575) 934
評価調整 (847) (2,419) 564 2,190 451
誤差・脱漏 (14,053) (7,934) (7,947) (13,201) (11,146)
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 経常収支の数値は、新しい国際基準に合わせるために作成された手法に従って算出されている。か
かる基準の下では、商品輸出および商品輸入には保税産業が含まれる。
出典： メキシコ中央銀行
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経常収支
1988年以降毎年、メキシコは経常収支において赤字を計上してきたが、その主な原因は、政府による貿
易政策の自由化によって民間部門による輸入が増加したことであった。メキシコの経常収支は、2016年に
おける24.3十億米ドルの赤字に対して、2017年には19.6十億米ドルの赤字を計上した。2016年と比較して
2017年に赤字幅が縮小したのは、主として、非石油貿易収支の拡大およびメキシコの製造業輸出の回復に
貢献した世界の経済活動の強化を反映したものである。
2018 年のメキシコの経常収支は、2017年に19.6十億米ドル（GDPの1.7％）の赤字からわずかに拡大し
て、21.6十億米ドルの赤字（GDPの1.8％）の赤字となった。2017年と比較して経常収支赤字が拡大したの
は、主として石油商業収支および第一次所得収支の赤字の拡大によるものである。これらの拡大の一部
は、記録的に多額の国外からの送金による第二次所得収支の黒字拡大と、非石油商業収支の黒字拡大に
よって相殺された。とりわけ、2018年第４四半期には、世界経済が低調で世界規模で貿易の緊張が高まる
なかで、経常収支赤字は2017年同期より拡大した。
資本収支
IMFの国際収支マニュアル第６版の下では、従来資本収支に含まれていた外国直接投資、証券投資、金融
派生商品、その他投資および外貨準備は、現在では金融収支の一部となっている。メキシコの国際収支計
算の新しいシステムの下で、かつ上記の表に示すとおり、資本の移転および非生産非金融資産にかかる受
取を差し引いた支払合計を示すメキシコの資本収支は2013年から2014年には黒字を計上し、2015年には主
に受取および支払の変動により赤字を計上したが、2016年および2017年には黒字を計上した。最後に、
2018年のメキシコの資本収支は赤字を計上した。
資本収支は、2017年に150百万米ドルの資本収支黒字を計上したのに対して、2018年には65百万米ドルの
資本収支赤字を計上した。資本収支が赤字に転換したのは、主として受取が47.5％増加したのに対して、
支払がわずか0.5％の増加にとどまったことによる。
金融収支
メキシコの金融収支は投資の流入を計上しており、資本収支と合わせると、統計上の不突合、会計慣
行、および取引の計上価値に影響を及ぼす為替相場の変動を考慮後で、経常収支と均衡している。上記の
表に示すとおり、2014年から2018年まで、メキシコの金融収支は赤字を計上しているが、これは主として
その他投資および外貨準備と比較して直接投資および証券投資が比較的高かったことによる。
2018年には、メキシコの金融収支は、2017年の32.6十億米ドル流入より多い32.9十億米ドルの流入を計
上した。これは、主として金融派生商品およびその他投資がいずれも減少したこと、および外貨準備高が
増加し、評価調整が減少した結果、準備資産が増加したことによる。
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外貨準備高および対外資産
以下の表は、各表示期間末におけるメキシコ中央銀行の外貨準備高および対外純資産を示したものであ
る。
(1)
外貨準備高および対外純資産
(2)(3)
期末現在の外貨準備高 期末現在の対外純資産
（ 単位：百万米ドル）
2014 年 193,045 196,288
2015 年 176,735 177,62 9
2016 年 176,54 2 178,05 7
2017 年 172,802 175,479
2018 年
１月 173,195 178,704
２月 172,910 177,307
３月 173,232 177,629
４月 173,068 176,624
５月 173,118 177,819
６月 173,211 178,037
７月 173,238 176,674
８月 173,606 176,534
９月 173,566 177,068
10 月 173,582 176,008
11 月 173,775 176,606
12 月 174,609 176,096
(4)
2019 年
１月 175,156 179,970
２月 175,694 180,589
３月 176,649 182,099
４月 176,661 184,255
５月 177,856 185,449
(1) 「対外純資産」は、(a)外貨準備高の総額に(b)諸外国の中央銀行との融資協定から発生した期日が
６カ月を超える資産を加え、その合計から(x)IMFへの債務残高および(y)諸外国の中央銀行との融資
協定から発生した期日が６カ月未満の負債を差引いたものと定義される。
(2) 金、特別引出権（IMFにより創設された外貨準備資産）および外貨保有が含まれる。
(3) 「外貨準備高」は、(a)外貨準備高の総額から(b)期日が６カ月未満のメキシコ中央銀行の対外債務
を差引いたものに相当する。
(4) 暫定値。
出典： メキシコ中央銀行
全般的にみて、メキシコ中央銀行の外貨準備高は過去５年間では安定的に推移してきた。
2014年12月31日現在、メキシコ中央銀行の外貨準備高は193.0十億米ドルで、2013年12月31日現在から
16.5十億米ドル増加した。これは、とりわけメキシコ中央銀行の経常収支の赤字および同行の金融収支の
黒字によるものである。2014年12月31日現在のメキシコ中央銀行の対外純資産は196.3十億米ドルで、2013
年12月31日現在から17.6十億米ドル増加した。これはとりわけ、ペメックスによる通貨購入およびその他
のマイナス・インフローによるものである。
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2015年12月31日現在、メキシコ中央銀行の外貨準備高は2014年12月31日現在の外貨準備高と比べて16.3
十億米ドル減少した。これはとりわけメキシコ中央銀行の経常収支の赤字と同金融収支の黒字によるもの
である。メキシコ中央銀行の対外純資産も、主として外貨準備高の減少により、2014年12月31日現在の金
額 より18.7十億米ドル減少した。
2016年12月30日現在、メキシコ中央銀行の外貨準備高は、2015年12月31日現在の外貨準備高と比べて
194.0百万米ドル減少した。メキシコ中央銀行の対外純資産も、2015年12月31日現在の金額より428.0百万
米ドル減少した。メキシコ中央銀行の外貨準備高および対外純資産の減少は、主として為替レートの変動
によるものである。
2017年12月31日現在、メキシコ中央銀行の外貨準備高は、2016年12月30日現在の外貨準備高と比べて3.7
十億米ドル減少した。メキシコ中央銀行の対外純資産も、2016年12月30日現在の金額より2.6十億米ドル減
少した。メキシコ中央銀行の外貨準備高および対外純資産の減少は、主として過年度とは異なり、石油貿
易収支の悪化を反映して、2017年にはペメックスがメキシコ中央銀行に米ドルを売却しなかったという事
実によるものである。
2018年12月30日現在、メキシコ中央銀行の外貨準備高は、2017年12月31日現在の外貨準備高と比べて1.8
十億米ドル増加した。メキシコ中央銀行の対外純資産も、2017年12月31日現在の金額より617百万米ドル増
加した。メキシコ中央銀行の外貨準備高および対外純資産がいずれも増加したのは、主として為替レート
の変動によるものである。
⑥ メキシコに対する直接外国投資
メキシコは、中国、中東欧諸国など、諸外国との間で外国投資争奪戦を繰り広げているが、政府は自国
経済の競争力と生産性の改善により、今後も引続き外国投資を呼び込むことができると考えている。
外国投資政策
メキシコの外国投資法（ Ley de Inversión Extranjera ）により、メキシコに対する外国投資を奨励し、
メキシコ向け外国投資に対して一定の限定的制限を課すことを意図した法的枠組みが制定された。例え
ば、外国投資法では、所定の条件を満たす場合はメキシコ企業の株式資本の100％を外国人投資家が保有す
ることが認められている。外国投資法はまた、政府またはメキシコ人投資家に独占的に留保される特定の
経済活動をも規定している。また、同法は、国家外国投資委員会の承認を得ることなく、投資総額に占め
る外資比率が10％、25％、30％または49％のいずれかを超えてはならない特定の活動を定めている。
また、外国投資法は、外国人投資家に対して、一定の条件が満たされていることを条件に、メキシコ企
業により発行され、メキシコ証券取引所において取引されている持分証券を原証券とする、メキシコ人投
資家に限定されるはずの、普通参加証券として知られる証券を購入することを認めている。経済省の承認
を得て、メキシコの銀行は、投資信託を組成し、銀行が受託者として外国人投資家に代わってかかる制限
付持分証券を購入することができる。これらの投資信託は、外国人投資家が取得することができる、その
保有者に経済的権利のみを付与する普通参加証券を発行する。一切の議決権は、受託者によってのみ行使
が可能である。
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メキシコに対する外国投資
1999年から2018年までのメキシコに対する累積外国直接投資（国家外国投資登録簿（ Registro Nacional
de Inversiones Extranjeras ）に登録されていない外国直接投資を除く。）は、総額約541.5十億米ドルで
あった。
2018年のメキシコに対する外国直接投資の部門別内訳は次のとおりである。
2018 年部門別外国投資
部門
割合（％）
農業、畜産業、漁業および林業 0.1
事業支援サービス 0.2
商業 8.9
建設業 3.6
教育サービス 0.2
電気および水道業 13.5
金融サービス業 7.9
保険サービス 0.0
製造業 49.1
マスメディア 3.7
鉱業 4.4
その他サービス 0.1
専門的サービス 0.4
不動産および賃貸サービス業 0.9
娯楽サービス 0.0
宿泊施設業 2.3
輸送業 4.2
出典： 経済省
暫定値によると、2017年と比較して、2018年の外国直接投資（メキシコ国内の土地、建物または工場な
どの不動産への投資）は8.4％減少し、外国証券投資（国外で募集された有価証券を含むメキシコ企業の株
式、社債、商品または金融市場商品の購入に関与する投資活動）は60.4％減少した。
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以下の表は、表示期間について国家外国投資登録簿に記載されているメキシコへの外国直接投資を国別
に示したものである。いずれの期間の外国直接投資の水準も、特に大口の取引があればその影響を受けう
る。
(1)(2)
外国直接投資
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（単位：百万米ドル）
米国 10,326.9 19,049.9 10,892.1 14,853.5 12,309.6
カナダ 2,948.7 1,080.2 2,247.3 2,958.3 3,685.0
スペイン 4,480.3 4,040.0 3,562.8 3,326.3 3,975.4
ドイツ 2,071.9 1,322.5 2,672.9 2,582.0 2,911.2
日本 2,415.4 2,200.0 1,936.1 2,411.0 2,153.0
フランス 1,157.9 959.9 445.5 510.3 483.3
英国 237.5 521.5 416.6 410.9 662.6
ブラジル 628.0 1,144.4 911.8 (133.7) 95.9
スイス 297.1 388.4 586.2 312.2 554.6
ルクセンブルク (19.9) 4.7 9.6 3.4 55.6
その他 5,335.2 5,063.4 6,853.4 5,680.6 5,808.0
29,878.9 35,774.8 30,534.4 32,914.8 32,694.1
合計
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 国家外国投資登録簿に登録されていない外国直接投資を除く。
出典： 国家外国投資委員会
⑦ 多国間金融機関への加盟
メキシコは、現在、カリブ開発銀行、中米経済統合銀行、EBRD、地球環境ファシリティ、IADB、IMF、北
米開発銀行、特別開発基金、国際農業開発基金ならびに世界銀行（国際開発協会および国際金融公社を含
む。）といった国際機関に加盟している。
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⑧ 為替管理および為替レート
外国為替政策
外国為替委員会は、財務省およびメキシコ中央銀行の職員で構成されており、為替政策ならびにメキシ
コの外貨準備高の蓄積に関する方針に責任を負っている。外国為替委員会は、(1)IMF、国際的な金融協力
機関、中央銀行、金融問題について権限を行使する外国法人および通貨規制を目的とする外国金融機関か
らの借入を承認し、(2)メキシコ中央銀行の外国為替オペレーションの基準を設定し、(3)外国為替レート
を決定し、(4)開発銀行が行う為替リスクを伴う能動的・受動的取引額に限度額を設定し、(5)国際的な準
備資産の管理および評価を行うための指針を制定する。1990年代より、委員会は為替レートを市場原理
（変動金利制または自由変動相場制）により決定することを義務づけた。
政府は、純国内信用の拡大について四半期ごとの目標額を直接設定している。「純国内信用」は、マネ
タリー・ベース（流通通貨＋市中銀行のメキシコ中央銀行預け金）変動額からメキシコ中央銀行の「対外
純資産」変動額を差し引いた値と定義されている。また、「対外純資産」とは、メキシコの外貨準備高の
総額に、諸外国の中央銀行との融資協定から発生した期日が６カ月を超える資産を加え、その合計から(1)
IMFへの債務残高および(2)諸外国の中央銀行との融資協定から発生した期日が６カ月未満の負債を差引い
たものと定義される。
2000年代初期より、外国為替委員会は、入札による米ドルの売却を通じて、メキシコの外貨準備高蓄積
率を抑制するため、従来と異なるメカニズムを採択した。2017年１月５日、メキシコ中央銀行は、流動性
を提供し、2016年11月の米国大統領選挙後の市場のボラティリティおよびその後のメキシコ・ペソの価値
の下落を緩和するため、外国為替市場において直接２十億米ドルを売却した。詳細については、下記「外
国為替レート」を参照のこと。2017年３月６日から、外国為替委員会は、メキシコ・ペソによる決済のた
めにノンデリバラブル・フォワード取引の入札からなる外国為替市場のメカニズムを導入した。このメカ
ニズムは、市場参加者に外国為替リスク・エクスポージャーを軽減するための為替ヘッジ手段を提供する
一方で、現地の為替市場を維持することを目的としている。最大プログラム規模は20十億米ドルである。
外国為替委員会は、例外的な状況においてはその裁量により為替市場に再び介入する可能性がある。
外国為替レート
メキシコ政府は、変動相場制度を維持している。ただし、メキシコ中央銀行は、変動を最小限に抑制し
秩序ある市場を維持するために、随時外国為替市場に対する介入を行っている。メキシコ政府は、為替
レートの安定のために、メキシコ国内の銀行とその顧客との間の店頭市場における先渡取引およびオプ
ション取引を含む市場に基礎を置くメカニズムを尊重するほか、シカゴ・マーカンタイル取引所における
ペソの先物取引を認めている。さらに、メキシコ中央銀行は外国金融機関がペソ建口座を開設し、ペソの
貸借を行うことを認めている（ただし、メキシコにおける銀行業務に対する一般的な制約に服することを
条件としている。）。
2014年12月31日現在、ペソ／米ドル間為替レートの終値は、1.00米ドルにつき14.7414ペソであり、2013
年12月31日現在のレートと比較して12.7％のペソ安であった。2014年にペソが対米ドルで下落したのは、
主として米国経済が予想より好調であったことと、国際金融市場（特に新興経済市場）のボラティリティ
を招いた米国連邦準備制度理事会の資産購入プログラムの縮小によるものである。
2015年12月31日現在、ペソ／米ドル間為替レートの終値は、1.00米ドルにつき17.2487ペソであり、2014
年12月31日現在のレートと比較して17.0％のペソ安であった。2015年にペソが対米ドルで下落したのは、
主として米国の金利が引上げられるとの期待があったことと、国際的な石油価格の下落を受けて石油の生
産および生産地域での縮小によるものである。
2016年12月31日現在、ペソ／米ドル間為替レートの終値は、1.00米ドルにつき20.6194ペソであり、2015
年12月31日現在のレートと比較して19.5％のペソ安であった。2016年にペソが対米ドルで下落したのは、
主として2016年11月の米国大統領選挙の結果を受けてのメキシコと米国の将来の関係性に関する不確実
性、米国連邦準備制度理事会による金融政策の段階的引締めの決定、2006年以来となる2015年12月のフェ
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デラル・ファンド金利の引上げ、ならびに2016年６月23日の英国の欧州連合からの脱退（ブレグジット）
（その結果新興市場通貨への投資が減少した。）による国際金融市場のボラティリティによるものであ
る。
2016年11月の米国大統領選挙の結果、ペソの価値に圧力がかかったため、ペソは2017年１月に下落し
た。2017年末までに、ペソは失われた価値の大部分を回復した。
2017年12月31日現在、ペソ／米ドル間為替レートの終値は、1.00米ドルにつき19.6629ペソであり、2016
年12月31日現在のレートと比較して4.6％のペソ高であった。2017年に米ドルに対してペソ高となったの
は、主としてメキシコ中央銀行による金融政策の結果ならびにNAFTAの再交渉に対する見通しの改善および
全般的な米ドル安によるものである。
2018年12月31日現在、ペソ／米ドル間為替レートの終値は、1.00米ドルにつき19.6512ペソであり、2017
年12月31日現在のレートと比較して0.1％のペソ高であった。2018年12月31日にメキシコ中央銀行が公表し
たペソ／米ドル間為替レート（２営業日後より有効）は、1.00米ドルにつき19.6650ペソであった。
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以下の表は、各表示期間について、メキシコ国内においてペソで支払われる米ドル建債務の支払のため
の、メキシコ中央銀行が公表した日々のペソ/米ドル為替レートを示したものである。
為替レート
代表的な市場レート
期末現在 平均
（１ 米ドル当たりペソ）
2014 年 14.7414 13.3056
2015 年 17.2487 15.8680
2016 年 20.6194 18.6908
2017 年 19.6629 18.9197
2018 年
１月 18.6069 18.9074
２月 18.8331 18.6449
３月 18.2709 18.6308
４月 18.7878 18.3872
５月 19.9759 19.5910
６月 19.6912 20.3032
７月 18.6457 19.0095
８月 19.1792 18.8575
９月 18.7231 19.0154
10 月 20.3177 19.1859
11 月 20.3455 20.2612
12 月 19.6512 20.1112
2019 年
１月 19.0388 19.1651
２月 19.2607 19.2049
３月 19.3779 19.2477
４月 19.0099 18.9864
５月 19.6426 19.1197
出典： メキシコ中央銀行
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(4) 【通貨・金融制度】
メキシコの金融制度は、商業銀行、開発銀行、証券売買仲介業者、ならびに保税倉庫、保証会社、債権買
取会社、金融リース会社、外国為替取扱業者、保険会社および多目的金融機関といったノンバンク機関、な
らびに限定的ではあるが公益信託で構成されている。
① 金融政策、インフレおよび金利
金融政策
メキシコ中央銀行は、1925年に設立されたメキシコの中央銀行であり、その機能および管理はメキシコ
中央銀行法（ Ley del Banco de México ）の規定に準拠し、また憲法第28条に従っている。
メキシコ中央銀行の主たる目的は、国家経済に自国通貨であるペソを供給することである。この目的を
追求するために、ペソの購買力の安定を目指すことを主な目標としている。
メキシコ中央銀行は、通貨および外国為替管理、金融派生商品の規制を含む金融制度の健全な発展、決
済制度の適切な機能ならびに公益の保護を目的とした規則を発令する権限を有している。メキシコ中央銀
行は、とりわけ(1)通貨の発行および流通、外国為替、金融の仲介およびサービスならびに決済制度を規制
すること、(2)準備銀行および信用機関の最後の貸し手として機能すること、(3)政府に対して国庫サービ
スを提供し、（メキシコの外貨準備の管理による場合を含め）政府の財務代理人として行為すること、(4)
経済および財政問題について政府に助言すること、ならびに(5)IMFおよびその他の国際的金融機関に参加
することなどの機能を果たすことを授権されている。
2018年12月31日現在、メキシコ中央銀行の資産は合計3,850.2十億ペソであった。
メキシコ中央銀行は、大統領が任命し、上院が承認した５人制理事会（ Junta de Gobierno ）によって運
営されている。メキシコ中央銀行の５人制理事会における現在の総裁は、アレハンドロ・ディアス・デ・
レオン氏である。同氏は、2017年12月１日付で就任し、2021年12月31日まで在任する予定である。
政府の金融政策の主要目的は、低くかつ安定的なインフレ環境を創り出すことである。これらの目的
は、物価動向を政府の金融政策の包括的な目標に一致させる金利およびインフレへの期待に影響を及ぼす
ためにメキシコ中央銀行が執る措置を通じて達成される。低くかつ安定的なインフレ環境を創り出すこと
により、メキシコ中央銀行は、持続的な成長と正規雇用の創出の双方に相応しい状況を奨励している。し
たがって、過去にメキシコ中央銀行は、(1)ペソの価値が下落し、(2)資本が流出し、または(3)インフレ率
が予測よりも高いときには、国内金融を引締めてきた。1995年、メキシコ中央銀行は、流動性規制を促進
し、メキシコ中央銀行による日々の正味貸出量を減少させるため、新たな預金準備率を導入した。また、
メキシコ中央銀行は、純国内貸出額の拡大について四半期毎の上限目標を設定している。
2008年以降、メキシコ中央銀行は、翌日物銀行間貸出金利（ Tasa de Fondeo Bancario ）を主要な金融政
策の手段として使用している。この政策の下では、メキシコの翌日物銀行間貸出金利は、中期インフレ予
測が目標値である3.0％（+/-1.0％）から外れた場合に変更される。これは、ペソの購買力の安定化を意図
したものである。2009年の国際的な経済危機以降、最低翌日物銀行間貸出金利は一貫して低下してきた。
しかし、2015年12月17日から、メキシコ中央銀行の理事会は翌日物銀行間貸出金利の引上げを定期的に発
表した。
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2018年12月31日現在、中央政府の純債権と国内経済の他の部門の債権の合計額を示すメキシコ中央銀行
の正味国内信用は、2017年12月31日現在には1,904.5十億ペソのマイナスであったのに対して、1,792.5十
億ペソのマイナスであった。
マネー・サプライおよび金融貯蓄
メキシコ中央銀行の通貨総量は、国内金融市場および海外金融市場からの通貨供給量を、いずれも居住
者による預金と非居住者による預金とに分けて計算する。通貨総量はまた、公的部門と民間部門による預
金を区別している。メキシコ中央銀行のＭ１通貨総量は、一般公衆によって保有されている紙幣および硬
貨に、(1)自国通貨および海外通貨建の当座預金、(2)有利子口座におけるペソ建預金でデビットカードの
引当とされているもの、および(3)貯蓄・貸付組合の預金を加えたものからなる。Ｍ２は、Ｍ１に、(1)銀
行預金、(2)政府発行証券、(3)企業およびノンバンク金融仲介機関によって発行された有価証券ならびに
(4)政府および退職者貯蓄制度に関連したINFONAVITによる負債を合計したものからなる。Ｍ３は、Ｍ２
に、メキシコにおいて発行された金融資産で非居住者によって保有されているものを加えたものからな
る。Ｍ４は、Ｍ３に、メキシコの銀行の外国支店および海外拠点における預金を加えたものからなる。
以下の表は、各表示日現在のメキシコの通貨供給量Ｍ１およびＭ４を示したものである。
通貨供給量
12 月31日現在
(1)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（単位：百万名目ペソ）
Ｍ１：
928,052 1,087,271 1,261,697 1,372,884 1,494,949
現金通貨
当座預金
1,168,417 1,299,508 1,472,683 1,630,929 1,746,611
自国通貨
232,467 333,094 469,185 537,826 506,151
外貨
534,973 614,312 647,414 702,744 739,278
有利子自国通貨建預金
12,598 14,560 17,332 19,635 23,797
貯蓄・貸付組合の預金
2,876,506 3,348,743 3,868,311 4,264,018 4,510,786
Ｍ１合計
9,630,957 10,127,696 10,818,147 11,705,849 12,285,449
Ｍ４
注： 国内金融資産と呼ばれる新しい指標の導入および通貨総量の定義の変更によって、通貨供給量の計算方法が
2018年１月31日から変更となった。この新しいデータは、2000年12月以降のものが入手可能である。これに
は、追加的な情報源が盛込まれ、より正確なものとなっている。新しい通貨供給量は、2016年にIMFが公表し
たガイドラインを考慮したものである。
四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値
出典： メキシコ中央銀行
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2018年のＭ１マネー・サプライは実質ベースで0.9％増加した。Ｍ１マネー・サプライの2018年における
増加は、現金通貨が実質ベースで3.9％増加したことと、当座預金が2.2％増加したことによるものであ
る。
Ｍ４通貨総量と一般公衆が保有する現金通貨との差額として定義される金融貯蓄は、2018年には着実に
増加した（ただし、2017年の金融貯蓄より実質ベースでは0.4％減少）。この増加は、Ｍ４通貨総量が実質
ベースで0.1％増加したのに対して、現金通貨が実質ベースで3.9％増加したことによるものである。2017
年から2018年の間、メキシコ居住者による貯蓄の伸び率は、前年が3.7％であったのに比べて、実質ベース
で1.4％であった。一方非居住者による貯蓄は実質ベースで6.8％減少した。非居住者の貯蓄が減少したの
は、主に要求払い預金、銀行定期預金、債券投資基金における持分および非居住者が保有する公共債の減
少によるもので、レポ契約の債権者が保有する価額の増加によって一部相殺された。
2018年のマネタリー・ベースは合計1,681.4十億ペソで、これは2017年のマネタリー・ベース合計より名
目で8.8％の増加となる。こうした拡大は、流通現金通貨の名目8.9％の増加および銀行預金項目の減少
（2017年の3.3十億ペソから2018年には0.84十億ペソ）によるものである。
金利
外部環境が不安定になった結果、特に短期的なインフレ期待が高まった。メキシコ中央銀行は、インフ
レへの二次的影響を回避し、中長期的なインフレ期待を落着かせることを目指している。メキシコ中央銀
行は、2018年２月の決定において翌日物銀行間貸出金利の目標値を25ベーシス・ポイント引上げ、7.50％
の水準に達した。メキシコ中央銀行は、2018年４月および同年５月の決定においては翌日物銀行間貸出金
利を7.50％に据え置いたが、その後2018年６月の決定において25ベーシス・ポイント引上げた。メキシコ
中央銀行は、2018年８月および同年10月の決定においては翌日物銀行間貸出金利を7.75％に据え置いた
が、2018年11月および同年12月の各決定において25ベーシス・ポイントずつ引上げ、2018年12月31日現在
では、2017年12月31日現在の7.25％に対して、8.25％の水準に達した。これらの措置は、エネルギー価格
の上昇、貿易をめぐる国際紛争に関する不確実性、金融政策の実施および世界の金融情勢の引締めなど、
インフレに寄与する国内外の一連の要因を考慮したものである。
財務省証券の金利
メキシコの金利測定に用いられる指標のひとつは、政府が発行したゼロクーポン債である政府短期証券
（ Certificados de la Tesororía de la Federación 、 Cetes ）に付される金利である。
2014年の28日物政府短期証券の平均金利は、2013年の3.8％に対して、3.0％であった。2014年の91日物
政府短期証券の平均金利は、2013年の3.8％に対して、3.1％であった。
2015年の28日物政府短期証券の平均金利は、2014年と同じく3.0％であった。2015年の91日物政府短期証
券の平均金利は、2014年と同じく3.1％であった。
2016年の28日物政府短期証券の平均金利は、2015年の3.0％に対して、4.2％であった。2016年の91日物
政府短期証券の平均金利は、2015年の3.1％に対して、4.4％であった。
2017年の28日物政府短期証券の平均金利は、2016年の4.2％に対して、6.7％であった。91日物政府短期
証券の平均金利は、2016年の4.4％に対して、6.9％であった。
インフレへの二次的影響を回避し、中長期的なインフレ期待を安定化するというその政策に合わせて、
メキシコ中央銀行は、2018年12月20日の決定において、翌日物銀行間貸出金利（ Tasa de Fondeo
Bancario ）の目標値を25ベーシス・ポイント引上げ、2017年12月31日現在の7.25％に対して2018年12月20
日現在では8.25％の水準に達した。メキシコ中央銀行は、目標値引上げの決定はメキシコ経済が直面した
不確実な環境ならびに インフレに対する短期的および長期的なリスク水準の上昇傾向に対応して引き起こ
されたものであると発表し、貿易をめぐる紛争が拡大するリスク、石油価格およびペソの為替レートのボ
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ラティリティ、新しい最低賃金政策およびそれに伴う最低賃金の引上げならびに世界的な金融情勢の引締
めを含むいくつかのリスクが顕在化した。
2018年の28日物政府短期証券の平均金利は、2017年の6.7％に対して、7.6％であった。91日物政府短期
証券の平均金利は、2017年の6.9％に対して、7.8％であった。
2019年６月13日現在の28日物政府短期証券および91日物政府短期証券の金利は、ともに8.3％であった。
2019年５月16日、メキシコ中央銀行は、同年最初の金融政策会議を開催し、翌日物銀行間貸出金利を
2018年12月20日に設定された8.25％に据え置く決定をした。この決定は、最近のインフレ動向とその主要
な決定要因に基づいており、これらは中長期的に予想される軌跡、景気の循環的ポジションの低下、およ
び現在の金融政策のスタンスがインフレの収斂とその目標水準に沿ったものであるとのメキシコ中央銀行
の判断に一致している。
TIIE 金利
メキシコ中央銀行は銀行間均衡金利（ tasa de interés interbancaria de equilibrio 、以下「TIIE」と
いう。）と呼ばれる金利を公表している。TIIEは、28日物と91日物について、国内の金融市場における資
金の需要と供給が均衡に達する金利として算出される。一方、代替的な金利指標である商業銀行の定期預
金の加重平均金利（ costo porcentual promedio 、以下「CPP」という。）は、最新の市場情勢からはいく
ぶん遅行する傾向がある。
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以下の表は、表示期間についての28日物および91日物の政府短期証券、CPP、ならびに28日物および91日
物のTIIEの年平均金利を示したものである。
政府短期証券、CPPおよびTIIEの平均金利
28 日物政府短 91 日物政府短
期証券 期証券 CPP 28 日物TIIE 91 日物TIIE
2014 年
１月－６月 3.2 3.3 2.6 3.7 3.7
７月－12月 2.8 2.9 2.3 3.3 3.3
2015 年
１月－６月 2.9 3.0 2.2 3.3 3.3
７月－12月 3.1 3.2 2.1 3.3 3.4
2016 年
１月－６月 3.6 3.8 2.4 3.9 4.0
７月－12月 4.7 4.9 2.9 5.0 5.1
2017 年
１月－６月 6.4 6.6 4.0 6.7 6.8
７月－12月 7.0 7.1 4.5 7.4 7.4
2018 年
１月－６月 7.5 7.6 5.0 7.8 7.9
７月－12月 7.8 8.0 5.4 8.2 8.2
2019 年
１月 7.9 8.2 5.6 8.6 8.6
２月 7.9 8.1 5.7 8.6 8.6
３月 8.0 8.1 5.7 8.5 8.5
４月 7.8 8.1 5.8 8.5 8.5
５月 8.1 8.2 5.8 8.5 8.5
出典： メキシコ中央銀行
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② 銀行制度
信用機関法（ Ley de Instituciones de Crédito 、以下「LIC」という。）に従って、メキシコの銀行制
度は、メキシコ中央銀行、商業銀行、開発銀行および限定的ではあるが政府が創設した公益信託からな
る。LICは、メキシコにおける銀行および与信業務、とりわけ、信用機関の組織、所有および経営、ならび
に信用機関が実施できる業務および取引ならびにその資本構成および準備金水準を規制している。LICに
従って、銀行および信用サービスは、信用機関のみが提供することができる。LICでは、(1)商業銀行およ
び(2)開発銀行が信用機関であると規定されている。
2014年１月10日、財務省は、連邦金融改革を公表した。この改革は、34本の法令を改正するもので、金
融機関の枠組み全体を強化し、より勢いがありかつ持続可能な与信を認めるものである。
2014年の金融改革により、新しい金融グループ規制法（ Ley para Regular Las Agrupaciones
Financieras ）が制定され、金融安定理事会（以下「FSB」という。）が提唱した金融機関の実効的な破綻
処理の枠組みの主要な特性に対するメキシコの法的枠組みの遵守度合いが高まった。金融グループ規制法
は、金融グループを構成する持株会社および子会社に適用されるガバナンスの基準を強化した。
2014年の金融改革は、(1)金融サービス業者間での競争を促進すること、(2)開発銀行を強化すること、
(3)金融サービス顧客により適した新しい商品およびサービスを創り出すこと、ならびに(4)金融部門の健
全性および安定性を確保すること、の４つを主な目標としている。金融グループ規制法に従って、一定の
状況下で複数の金融サービス企業が単一のグループとして営業することができる。
これらの目標を実現するため、2014年の金融改革は、国家金融サービス利用者保護委員会（ Comisión
Nacional para la Protección y Defensa de los Usuarios de Servicios Financieros 、以下
「CONDUSEF」という。）に追加的な権限を付与することにより、金融機関の透明性を高め、実行能力を強
化した。例えば、CONDUSEFは、現在では金融機関に対する勧告を発行、公表し、消費者との間で用いられ
る標準的な契約を規制し、消費者のために集団訴訟を開始することができる。
2014年の金融改革はまた、取引銀行の切替えや口座間の変更を行う際の手続きを簡素化した。その結
果、現在では条件付販売が禁じられている。開発銀行も、その営業を改善し、与信供与を行う権限を与え
られている。開発銀行はまた、資金調達の利用機会の利用を拡大する新しいプログラムや金融商品の開発
を奨励されている。
さらに、2014年の金融改革は、銀行の業績および過剰な与信供与を定期的に査定する追加的な権限を金
融当局に付与し、金融当局間での調整の仕組みを強化した。貸出保証の受入れおよび実行、リスクならび
に与信コストの削減にかかる法的枠組みは、いっそう簡素化された。
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商業銀行
LICに従って、商業銀行は、商業銀行として組織され運営するために政府から認可を受けなければならな
い。認可は、CNBVの理事会の事前承認およびメキシコ中央銀行の賛成意見をもって、CNBVにより付与され
る。かかる認可は、その特殊性により譲渡不能である。
外国の金融業者は、支店ではなく子会社を通じてメキシコにおいて業務を行う。よって、メキシコにお
いて業務を行う銀行はすべて、現地で設立され、現地の規則および監督の対象となる独立した法主体であ
る。破綻処理制度は、外国銀行の子会社を含めメキシコにおいて設立されたすべての商業銀行に適用され
る。
以下の表は、商業銀行制度の業績の尺度の抜粋を示したものである。
商業銀行制度
12 月31日現在
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
(1)
（ 単位：十億ペソ）
ローン・ポートフォリオ合計 3,177.3 3,631.5 4,122.1 4,506.8 4,928.4
(2)
商業銀行の延滞ローン 45.9 44.4 35.1 36.9 40.5
(2)
商業銀行の貸倒引当金 55.5 52.7 46.6 48.0 53.4
(1) 2008年12月31日現在の購買力に基づく恒常ペソ。
(2) 政府介入の対象となっている銀行および特殊な状況にある銀行を除く。
出典： CNBV
2018年12月31日現在、CNBVには商業銀行50行が登録されていた。
開発銀行
開発銀行は、明確な行為能力と予算を持つ連邦公共管理庁の機関である。開発銀行は、メキシコの銀行
制度の一部を構成する全国信用機関として設立されている。議会は、各開発銀行の対象分野を決定する。
開発銀行の主な目的は、それぞれの対象分野における個人および法人向けに貯蓄および資金調達へのアク
セスを提供すること、ならびに技術支援および訓練を提供することである。
現在、メキシコの開発銀行制度を構成する金融機関は６機関であり、中小企業、公共インフラ、外国貿
易支援、住宅、貯蓄の改善および軍隊向け与信を含む幅広い分野を対象としている。これらの機関は以下
のとおりである。
・メキシコ産業金融公社、S.N.C.（以下「NAFIN」という。）
・メキシコ公共事業銀行、S.N.C.（以下「BANOBRAS」という。）
・メキシコ外国貿易銀行、S.N.C.（以下「BANCOMEXT」という。）
・連邦住宅公社、S.N.C.（以下「SHF」という。）
・貯蓄金融サービス銀行、S.N.C.（以下「BANSEFI」という。）
・国立軍部銀行、S.N.C.（BANJERCITO）
NAFINの主要な業務には、(1)中小企業向けの与信供与、(2)証券市場の発展促進、および(3)一定の国際
取引における政府の財務代理人としての業務遂行が含まれる。
BANOBRASの主要な業務には、(1)公営企業ならびに連邦、州および地方政府に対して短期、中期および長
期の資金を提供すること、ならびに(2)低所得者向け住宅融資を行うことが含まれる。
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BANCOMEXTの主要業務には、(1)輸出入関連の与信供与、および(2)民間・公的部門の法人向けの外国貿易
促進のための保証提供が含まれる。BANCOMEXTの外国貿易および外国投資の業務の一部は、経済省の管轄下
に置かれている信託であるプロメヒコ（ ProMéxico ）によって運営されている。
政府は、各開発銀行の株式資本の大部分を保有している。また、NAFIN、BANOBRASおよびBANCOMEXTの設
立準拠法に基づき、政府はこれらの開発銀行が外国の民間企業や政府機関、政府間機関等と締結する取引
について常に責任を負う。こうした法律上の責任は、各開発銀行と非メキシコ個人の間の取引には及ばな
い。政府の法律上の責任を実行するための期間を含む具体的な手続きはない。政府の法律上の責任は法律
および予算上の制約に従う。
③ 銀行の監督および支援
国家銀行証券委員会（CNBV）
LICに基づき、CNBVは商業銀行および開発銀行の多角銀行（ instituciones de banca múltiple ）として
の経営を授権し、それらの監督について責任を負う。CNBVは、臨検を行い、LICまたはそれに基づく規則に
対する銀行の遵守違反について制裁を課す権限を有している。CNBVはまた、金融持株会社、銀行および証
券売買仲介業者を監督し、経営介入（ intervención ）または清算（ resolución ）を宣言し、持株会社また
は事業会社のいずれかのレベルで金融グループに介入し、これを管理する権限を有している。
銀行監督政策
2010年以降、政府は銀行制度を監督する様々なプログラムを創設してきた。こうしたプログラムおよび
施策には、とりわけ、金融持株会社の活動におけるCNBVの監督および介入権限の強化、ならびに米国にお
いて一般に認められた会計原則を初めとする国際的な会計基準との整合性をより高めることを目的とした
メキシコの商業銀行および開発銀行に適用される会計慣行のCNBVによる大幅な変更の適用が含まれる。
連邦法は、違法資源が利用されるリスクを高める可能性のある、金融部門以外での個人間の特定取引を
特定するための措置および手続きを定めている。
2010年12月、バーゼル銀行監督委員会は、バーゼルⅢ合意（以下「バーゼルⅢ」という。）を公表し
た。これは適正な銀行の資本と流動性に関する世界的な規制基準を定めるものである。バーゼルⅢ基準に
関係して、メキシコの新しい資本準備要件は、2013年１月１日に効力を生じ、2016年６月22日付の金融機
関に適用される一般規定の改訂決議（ Resolucíon que Modifica las Disposiciones de Carácter General
Aplicables ▶ las Instituciones de Crédito ）は、メキシコにバーゼルⅢの要件を完全に遵守させること
を主な目的としていた。
2017年12月７日、CNBVは、メキシコ中央銀行とともに、バーゼル銀行監督委員会によって承認された未
決のバーゼルⅢの金融危機後の規制改革が2022年１月１日に効力を生じること、ならびに今後５年間にわ
たって段階的に実施される予定であることを発表した。メキシコ中央銀行およびCNBVは、設定された期限
内に公表された改革を実施するための作業を行い、最低流動性カバレッジ比率および正味安定資金調達比
率など、改革に含まれる一定の基準の実施状況について2020年６月に評価を受けることになっている。
銀行預金保険機構（IPAB）
IPABは、経営難の銀行を救済する。議会は毎年IPABの純負債を管理・返済するためにIPABに資金配分を
行うが、この負債は公的部門の債務とはみなされない。緊急時にIPABは議会承認を得ないで、メキシコの
銀行の負債総額の６％を超過しない額を３年ごとに追加調達することができる。国内市場における負債性
証券のメキシコによる入札に加えて、IPABもメキシコ中央銀行が実施する入札を通じて預金保険債（ Bonos
de Protección al Ahorro 、以下「BPA」という。）として知られるペソ建債券をメキシコで売却する。
IPABはまた、個人または事業体あるいは銀行ごとに査定が行われる預金保険プログラムを管理してい
る。現在、預金保険額の上限は400,000UDI（ Unidades de Inversión 、以下「UDI」という。）である。UDI
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とは、通貨市場において取引可能な資金の指数単位であって、インフレに日々連動するペソ建て計算単位
であり、NCPIの変動として測定される。IPABは、ローン・ポートフォリオの売却も行っており、2009年初
め 以降商業用ローン資産が大量に売却された。
銀行支援政策
政府は、経営難の銀行を支援する様々なプログラムおよび銀行制度を全般的に支援する多くの追加対策
を講じている。これらのプログラムおよび対策には、メキシコ中央銀行が導入した新しい資本準備要件を
含む、メキシコの銀行に対する資本要件の拡大、メキシコの金融機関に対する国内外からの投資許可の拡
大、延滞融資を再編するための数多くの債務者向け支援プログラムの創設、存続可能だが過小資本の銀行
を支援するための自主的なプログラムである暫定資本化プログラム（ Programa de Capitalización
Temporal de la Banca ）の創設、および銀行が米ドルの流動性ニーズを満たすことができるようにするた
めの、銀行預金保護基金（ Fondo Bancario de Protección de Ahorro 、以下「FOBAPROA」という。）を通
じた外貨信用手段の提供などが含まれる。
2014年の金融改革により、同じ企業グループ内の組織にかかる共同破産手続き機関およびIPABの監督下
にある信用機関のための新しい清算手続きの創設を通じて破産手続きが修正された。
2014年の金融改革によって信用機関法も改正され、銀行の破綻処理制度の改善につながった。銀行の破
綻処理制度に対する主な修正点には、(1)貸付保証の付与および実行に対する規制改善（その結果与信者に
とって法的確実性が高まり、そのことが与信供与にプラスの影響を与えた。）、(2)審理における所要時間
を短縮する商業的枠組みの改善、(3)企業が同一企業グループに属する場合に商人が集団訴訟に参加をする
ことを認めることによる破産手続きの合理化、ならびに(4)機関と個人の間の金融問題に関わる訴訟につい
て裁定制度の導入、などがある。
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④ 信用の産業部門別内訳
以下の表は、各表示日現在の商業銀行および開発銀行が供与した信用の産業部門別内訳を示したもので
ある。
(1)
信用の産業部門別内訳
12 月31日現在
(2)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（単位：十億ペソおよび全体に占める割合（％））
農業、林
業および
漁業 59.0 1 ％ 73.0 2 ％ 78.7 2 ％ 89.8 2 ％ 100.1 2 ％
工業 797.1 20 915.7 20 1,029.3 20 1,126.3 21 1,333.1 22
サービスお
よびその他
の活動 800.0 20 931.4 21 1,150.0 23 1,146.0 21 1,437.6 23
住宅信用 546.2 14 612.9 14 685.0 13 745.7 14 804.0 13
消費信用 556.5 14 615.3 14 685.0 13 745.6 14 804.0 13
統計上の
調整 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0
金融部門 417.2 11 463.9 10 493.7 10 546.6 10 637.8 10
公的部門 716.8 18 778.7 17 858.1 17 841.9 16 859.0 14
その他 17.1 0 28.0 1 28.3 1 27.3 1 25.9 0
46.3 1 58.8 1 87.5 2 98.0 2 99.1 2
対外部門
3,956.1 100 ％ 4,477.8 100 ％ 5,095.6 100 ％ 5,367.1 100 ％ 6,100.7 100 ％
合計
銀行間部
門 1.2 2.3 4.7 9.2 1.0
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 商業銀行および開発銀行の双方を含む。
(2) 暫定値。
出典： メキシコ中央銀行
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⑤ 保険会社、投資信託および補助的信用機関
メキシコ以外の金融グループおよび金融仲介業者は、メキシコ子会社を通じて、メキシコで保険業務な
ど様々な活動に従事することが認められている。
メキシコ保険・保険業法（ Ley de Instituciones de Seguros y de Fianzas ）が2013年に承認され、外
国人投資家がメキシコの保険会社の株式資本を49％まで取得することを認めている。また、メキシコと貿
易協定を締結している国に本籍を置く外国金融機関は、財務省の承認があれば、メキシコの保険会社の資
本の過半数を取得することができる。メキシコの保険会社は、再保険取引に関してメキシコ国内外に拠点
を置く仲介会社のサービスを利用することができ、また劣後債だけでなく無議決権株式または制限付議決
権株式を発行することができる。また、財務省の事前承認があれば、外国保険会社はメキシコに駐在事務
所を設置することができる。
補助的信用機関および活動一般法（ Ley General de Organizaciones y Actividades Auxiliares del
Crédito ）（改正済）は、金融仲介業者を統治するものである。同法は、(1)財務省による事前承認なし
に、個人または事業体は金融仲介会社の払込資本の10％超を直接的・間接的に保有することはできない
旨、(2)補助的信用機関および外国為替仲介業者は、資本準備金が払込資本と同額になるまで利益の10％を
準備金に積立てなければならない旨、(3)金融リース会社は借り手が債務不履行に陥った場合、リース財の
占有回復を行うための司法救済措置を受ける権利を有する旨、(4)CNBVは、補助的信用機関が誤解を招く文
書を使用することを防止する権限を有する旨、ならびに(5)CNBVは、規制対象および規制対象外の多目的金
融機関（ sociedades financieras de objeto multiple ）の双方を検査および調査する権限を有する旨を規
定している。
海外投資家は補助的信用機関の資本を49％まで取得できる。メキシコと貿易協定を締結している国に本
籍を置く海外金融機関は、財務省が承認すれば、メキシコの補助的信用機関の資本の過半数を取得するこ
とができる。
2014年の金融改革の一環として、投資ファンドを規制する法律である投資ファンド法（ Ley de Fondos
de Inversión ）が改正された。これらの施策の主な目標は、企業統治ならびに内部手続きおよび内部統制
の改善によって投資ファンドの規制をより効率的に行うことであった。かかる改正は、独立の外部監査人
と投資ファンドとの相互の影響に適用される規則を制定することおよび公平性と利益相反回避の双方の必
要性を強調することにより、独立の外部監査人の役割および責任を認識している。CNBVは、投資ファンド
に対してより強い制裁を科すこともできる。
⑥ 証券市場
メキシコ証券取引所
メキシコ証券取引所（ Bolsa Mexicana de Valores 、またはBMV）は、メキシコにおける持分証券および
負債性証券の上場および取引に携わる最大の公認証券取引所である。メキシコ証券取引所において上場ま
たは取引されている有価証券には、(1)民間部門企業の株式および債券、(2)銀行が発行した持分証券また
は株式、(3)コマーシャル・ペーパー、(4)銀行引受手形、(5)譲渡性預金証書、(6)国債、ならびに(7)特別
ヘッジ商品が含まれる。メキシコ証券取引所は、公開企業（ sociedad anónima bursátil de capital
variable ）である。
2017年８月29日、財務省は、新しい証券取引所にかかる免許について公表した。新しい証券取引所機構
（ Bolsa Institutional de Valores 、またはBIVA）は、証券市場法（ Ley del Mercado de Valores ）に定
める要件を満たしたときに、運営が開始される。この新しい免許は、証券市場を発展させるという財務省
のプログラムの一環として付与されたものである。
メキシコの株式市場は、時価総額では中南米最大級の取引所である。
メキシコ証券取引所の業績
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メキシコ証券取引所は、最も活発に取引されている35の株式グループに基づく株式市場指数（ Índice de
Precios y Cotizaciones 、以下「IPC」という。）を公表している。以下の表は、メキシコ証券取引所の業
績 について別の２つの尺度に沿った指数を示すものである。
メキシコ証券取引所の業績
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（単位：指数を除き、十億米ドル）
指数（ポイント） 43,145.7 42,977.5 45,642.9 49,354.4 41,640.3
時価総額 480.2 403.2 351.7 415.8 384.9
取引高 184.6 148.3 138.8 123.2 119.5
出典： メキシコ中央銀行/メキシコ証券取引所
2018年に、株式および遺産寄付証書を含む持分証券は、メキシコ証券取引所における取引の99.5％を占
めた。資本開発証書は取引高の0.01％を占め、コマーシャル・ペーパー、手形、債券および通常の参加証
書を含む固定収入証書は取引の0.03％を占めた。
2019年６月11日現在、IPCは、2018年12月31日現在の水準を5.0％上回る43,714ポイントであった。
証券市場法改革
証券市場法は、メキシコにおける有価証券の売買を対象としている。2014年の金融改革には、証券市場
法の改正が含まれていたが、これは市場の活動力をさらに高めるために制定された。この改正により、有
価証券の発行者が特定の種類の投資家のみを対象に公募を行うことを認める制限的募集（ Oferta
Restringida ）制度が設定された。またこの改正により、これまで債務証券のみに適用されていた募集プロ
グラムが現在ではすべての発行者による利用が可能となり、これにより有価証券の登録手続きおよびエク
イティ証券の公募を含む一定の公募が促進された。
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⑦ メキシコ中央銀行の貸借対照表
以下の表は、2018年12月31日現在のメキシコ中央銀行の貸借対照表を要約したものである。
連結貸借対照表
（監査済み）
（2018年12月31日現在）
（単位：百万ペソ）
資産の部 負債および資本の部
3,434,883 1,674,211
外貨準備高 マネタリー・ベース
対外資産 3,466,159 流通紙幣および硬貨 1,673,205
控除されるべき負債 (31,276) 当座勘定銀行預金 1,006
連邦政府に対する与信 0 連邦政府当座勘定預金 365,979
その他の連邦政府預金 279,116
1,312,195
金融規制預金
金融規制預金 1,083,532
政府証券 868,923
銀行 215,239
金融規制債券 105,120
その他の銀行預金およびレ
ポ取引による債務 123,543
石油安定化基金預金 276
金融仲介機関に対する与信
およびレポ取引による債権 366,819
IMF 0
特別引出権 77,925
86,445
国際的金融機関への参加 14,440 その他の負債
3,796,147
負債合計
資本金 9,015
固定資産、什器および備品 6,572 資本準備金 144,443
(99,439)
その他の資産 27,454 当期利益剰余金
当期収支 1
54,021
資本合計
3,850,168 3,850,168
資産の部合計 負債および資本の部合計
上記の貸借対照表は、メキシコ中央銀行法およびメキシコ中央銀行の定款に定める諸規則および要件ならびに国内
の財務情報基準に準拠して、適切な中央銀行の慣行に従って作成されている。定款第38条に従って、外貨準備は、メ
キシコ中央銀行法第19条における定義によっている。政府証券は、正味保有かつ金融規制預金控除後で表示されてお
り、レポ取引を介して購入または移転された有価証券を含まず、売り手としてのポジションがある場合には、金融規
制預金の項目に掲げる。IPAB証券は、メキシコ中央銀行が 銀行預金保険機構（IPAB）から取得した金融商品に相当す
る。レポ取引を通じて金融仲介機関および債務者に付与される債権には、商業銀行、開発銀行およびレポ取引が含ま
れる。資本準備金は、資産再評価準備金に相当する。
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(5) 【財政】
① 概要
メキシコの年度予算（以下「予算」という。）には、政府、その省庁および予算管理対象機関の歳入お
よび歳出が含まれる。予算は、歳入法（ Ley de Ingresos ）および連邦歳出予算（ Presupuesto de Egresos
de la Federación para el Ejercicio Fiscal 、以下「歳出予算」という。）からなる。
予算編成
メキシコの予算編成にあたっては、すべての省庁および政府機関が参加し、調整を行うことが求められ
る。財務省は、会計年度毎に、(1)政府ならびに(2)予算に特定の法律上の承認を必要とする一定の政府機
関および政府系企業（以下「予算管理対象機関」という。）が翌会計年度に受領する見込みの歳入を定め
る歳入法案を作成する。さらに各省庁は、財務省が設定する政策方針およびプログラム指針に基づいて、
各々の事業およびその管轄下にある全予算管理対象機関のための歳出見積りを作成する。その後財務省
は、かかる歳出請求案を審査し、政府および予算管理対象機関両者のために歳出法案を作成する。
歳入法案は議会両院に提出され可決されなければならない。議会両院により可決されると、歳入法案は
歳入法となる。これに基づき、税金およびその他の歳入を徴収するためならびに融資契約を締結するため
に必要な権限が、省庁および予算管理対象機関に与えられる。
一方、歳出法案は、歳入法案とは異なり、憲法上下院の承認のみが求められている。下院により可決さ
れると、歳出法案は歳出予算になる。これに基づき、当該年度に支出する権限が省庁および予算管理対象
機関に与えられる。これらに加えて下院には、省庁および予算管理対象機関が前年度に行った歳出が記載
されている公会計を、連邦上級会計監査院を通じて、毎年審査しなければならない。憲法に基づき、歳出
予算に盛り込まれている場合、または後日議会により可決された法律で認められる場合に限り、省庁また
は予算管理対象機関は支出することができる。
公的部門の機関および公社の取扱い
公的部門全体の予算、歳入および歳出に関する本書中の記載は、連結ベースで作成されたもので、政
府、省庁および予算管理対象機関の歳入および歳出だけでなく、その予算について法定の承認を必要とし
ない他の公的部門の機関および公社（以下「運営管理対象機関」という。）の歳入および歳出も算入され
ている。運営管理対象機関にはNAFINおよびBancomextなどが含まれている。運営管理対象機関の予算は政
府の審査を受ける必要があり、予算管理対象機関と同様に、すべての対外借入について財務省の承認を得
なければならない。
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財政収支報告の方式
財政収支は、政府の歳入合計から政府支出を差し引いて測定する。メキシコは、(1)公的部門の借入需要
（PSBR）および(2)公的部門収支を計算するにあたり、別個の方式を用いて財政収支を報告している。
メキシコは、金融資産および金融債務の正味取得とは異なる費用から収益を差引くことにより、公的部
門の借入需要を算出している。この方式は、会計年度中の変化を査定するのに用いられ、公的部門の金融
費用を除く主要項目において表示される。この公式は、連邦公的部門を対象としているが、メキシコ中央
銀行は除外されている。インフレ期間中には、この公式は経済に対するインフレの影響を評価するために
インフレ負債の構成要素を用いて修正されうる。
公的部門収支は、金融費用ではない公的部門の連結歳出から連結歳入を差引くことにより算出される。
公的部門の借入需要の方式と同様、この方式も、会計年度中の変化を査定する指標であり、公的部門の金
融費用を除く主要項目において表示される。ただし、この公式は、非金融公的部門のみを対象としてい
る。公的部門の借入需要の方式と同様、インフレ期間中には、この公式も経済に対するインフレの影響を
評価するためにインフレ負債の構成要素を用いて修正されうる。
以下の表は、上述の主な報告方式に従い、表示年におけるメキシコの公的部門の借入需要およびメキシ
コの公的部門の財政収支の実績をGDPに対する比率で示したものである。以下の表および本項を通じて示さ
れる数値は、2013年恒常ペソを基準とするGDP数値をもとに計算されたものである。
公的部門の財政収支
（比率）
-3.10 ％
2014 年
-3.40 ％
2015 年
-2.50 ％
2016 年
-1.10 ％
2017 年
-2.10 ％
2018 年
出典： 財務省
公的部門の借入需要
（比率）
-4.50 ％
2014 年
-4.00 ％
2015 年
-2.80 ％
2016 年
-1.10 ％
2017 年
-2.30 ％
2018 年
出典： 財務省
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② 財政政策
政府の経済安定化戦略は、貧困率の低下ならびに雇用および経済成長率の上昇のために、歳出の効率的
な割当および歳入の拡大に重点が置かれている。経済成長および雇用機会をさらに推進するために、政府
はメキシコへの投資に纏わる障壁およびリスクを軽減し、世界市場におけるメキシコ企業の競争力を高
め、消費者のために製品およびサービスのコストを引下げることを財政政策上の主な目標としている。
これらの目標を達成するため、政府は、メキシコの税制運営の簡素化および各種税法の一貫した適用の
推進を含む多面的な計画を進めている。さらに、政府は、政府機関間の調整の拡充および公的支出の透明
性向上を通じて公的部門の効率性を高め、それによって社会の発展およびインフラの両面における支出の
増加を可能とする計画である。政府は、引続きメキシコの株式市場および債券市場を発展させ、財政規
律、石油資源の有効利用および透明性が高く効率的な予算編成の利用を通じてマクロ経済の安定性を高め
ていく計画である。政府はまた、公務員年金制度を改善するための一定の改革も計画している。最後に、
政府は、公共政策および法の支配を推進する一方で、必要に応じた経済の各種分野の規制の改善（または
規制緩和の追求）および貿易自由化政策の策定に取り組んでいる。
2013年12月16日に承認された2013年－2018年国家開発資金計画（ Programa Nacional de Financiamiento
del Desarrollo 2013-2018 、以下「PRONAFIDE」という。）では、政府の財政政策上の最終目標を規定して
いる。これらの目標には、社会インフラおよび生産性を拡大するための十分な財源の確保が盛り込まれて
いる。そのため、PRONAFIDEはいくつかの具体的な目標を概説しており、これには、連邦および州レベルで
の経済の発展とマクロ経済の安定性の促進、ならびに支出の効率性および財政サービスの利用促進を通じ
た追加的な財源を生み出すための財政制度の改善、およびより簡素で漸進的、かつ透明性の高い財政制度
への変換が含まれる。
連邦予算・財政報告責任法の規定（2016年１月１日付で施行された第19条の２）は、メキシコ中央銀行
の営業余剰金を(1)70％以上を以前に負担した公債の期限前償還もしくは当該年度の資金調達所要額の減額
に充当し、また(2)残りを予算歳入安定化基金の強化もしくは政府の財政状態を改善するための資産の取得
に充当する政府の義務を定めている。
財務省およびメキシコ中央銀行は、マクロ経済の安定性を高めるため、2016年２月17日、連邦公共行政
の支出に対する予防的調整を共同で発表した。この調整は、調整総額の60％を経常支出に集中させてい
る。またこの調整は、安全保障の支出または社会開発省（ Secretaría de Desarrollo Social ）のプログラ
ムには影響を及ぼしていない。
2016年９月30日、FSBは国内外の金融環境の最近の変化の分析を公表し、メキシコの金融制度におけるリ
スクを更新した。FSBのメンバーは、特に米国における経済成長の見通しが低下していることから、世界の
経済活動の不振とメキシコの経済成長に対する期待への下方修正を強調した。FSBはまた、メキシコ・ペソ
のボラティリティは、英国における国民投票、米国における選挙手続きの不確実性および米国の連邦準備
理事会による金融政策の正常化プロセスにかかる不確実性など様々な要因によるものであると表明した。
FSBは、国際的なリスク環境に立ち向かうため、各国がそのマクロ経済のファンダメンタルズを強化すべき
であることで合意した。
2017年３月30日、FSBは国内外の環境の最近の変化の分析を公表し、メキシコの経済政策およびメキシコ
の金融制度におけるリスクを検討した。FSBは、引続き財政規律および金融の安定性を優先課題とすること
を表明し、メキシコの公的債務ポートフォリオを期間、通貨および財源の面で分散化することの利点を指
摘した。FSBはまた、2016年11月の米国大統領選挙後の米国政府との対話を維持することの重要性を強調し
た。
2018年３月15日、FSBは、メキシコの経済政策、および国内外の経済環境の最近の変化を含むメキシコの
金融制度におけるリスクの分析を公表した。インフレ、新興経済諸国におけるより厳しい金融状況、継続
的なNAFTAの再交渉および2018年７月のメキシコの選挙の観点から、FSBは、メキシコの経済および金融シ
ステムは国内外の複雑な環境に直面し続ける可能性が高いと予測した。FSBは、メキシコ経済が マクロ経済
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基盤および構造改革の強さ、ならびに構造改革、財政再建および物価安定の確保に重点を置いた金融政策
を含む最近の政策措置を受けて、こうした複雑な環境の中で回復力を示し続けてきたことを強調した。
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③ 2018年予算
2017年９月８日、大統領は、2018年連邦歳入法（ Ley de Ingresos de la Federación para el
Ejercicio Fiscal de 2018 、以下「2018年歳入法」という。）案および2018年連邦歳出予算（ Presupuesto
de Egresos de la Federación para el Ejercicio Fiscal de 2018 、以下「2018年歳出予算」といい、
2018年歳入法と併せて以下「2018年予算」という。）案を議会に提出し、その承認を求めた。2018年歳入
法は、2017年10月19日に下院の承認を受け、2017年10月27日に上院の承認を受けた。2018年歳入法は、
2017年11月15日に連邦官報に掲載された。2018年歳出予算は、2017年11月９日に下院の承認を受け、2017
年11月29日に連邦官報に掲載された。
2018年予算は、経済的・社会的影響の大きいプロジェクトへの投資を除き、公的部門の予算収支をGDPの
0.0％、経済的・社会的影響の大きいプロジェクトへの投資を含めた場合、公的部門の予算赤字をGDPの
2.0％と定めている。2018年歳入法は、公的部門の予算歳入を、2017年歳入法予算について見積もられた公
的部門予算歳入と比較して実質ベースで9.6％増の合計4,778.3十億ペソとしている。2018年歳入法の見積
りは、１日当たりの石油輸出量を888千バレルとする見積りに基づくものである。石油収入は、2017年歳入
法における見積額と比べて実質ベースで11.8％の増加となる880.1十億名目ペソと見積もられる。また承認
された非石油収入は3,898.2十億ペソであり、これは2017年歳入法における見積額と比べて9.1％の増加と
なる。最後に、見積非石油税収入も2017年歳入法における承認額と比べて実質ベースで8.0％の増加となっ
た。
2018年歳出予算は、2017年歳出予算において承認された金額と比較して実質ベースで8.7％増となる合計
4,887.7十億ペソ（合計391.9十億ペソのペメックスによる物理的投資見積額を除く。）の歳出を定めてい
る。見積予算歳出の要約情報は以下の表のとおりである。
予算歳出要約；2018年歳出予算
2017 年 2018 年
2013 年 2014 年 2015 年 2016 年
(1) (2)
実績 実績 実績 実績 実績 予算
（単位：十億ペソ）
医療 116.8 114.3 121.2 121.8 121.8 122.6
教育 285.2 308.7 323.1 301.5 267.7 281.0
住宅および地域開発 21.4 25.8 29.2 26.0 16.0 16.8
政府債の返済 270.3 291.8 322.2 370.1 416.3 473.1
CFE およびペメックス
の債務返済 44.3 54.1 86.1 102.9 120.4 136.2
注：
(1) 暫定値。
(2) 2018年予算の数値は、2018年にかかる総合経済政策ガイドラインおよび経済計画に盛り込まれた経済の
前提に基づく予算上の見積りを示している。これらの数値は、当年の実績または更新されたメキシコの経
済業績予測を反映したものではない。
出典： 財務省
連邦予算・財政報告責任法は、一定の条件が満たされた場合、財務省を通じて行為する行政府に対し
て、2018年歳出予算により採択された歳出を上回る追加歳出を承認する権限を与えている。こうした歳出
は、予算収支にマイナスの影響がなく、予算赤字を増やすことがない場合に、承認される。
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2018年予算は、政府がGDPの2.6％に相当する470.0十億名目ペソの正味対内債務を負担することを認めて
いる。2018年予算はまた、政府が5.5十億米ドルの追加の対外債務を負担することを認めているが、これに
は国際金融機関からの融資が含まれている。
以下の表は、2013年－2017年の予算実績を示している。また、メキシコの2018年予算の前提と目標も示
している。
予算実績；2018年予算の前提および目標
2017 年 2018 年
2013 年 2014 年 2015 年 2016 年
(1) (2)
実績 実績 実績 実績 実績 予算
実質GDP成長率（％） 1.4 ％ 2.8 ％ 3.3 ％ 2.9 ％ 2.0 ％ 2.0-3.0 ％
全国消費者物価指数上昇
率（％） 4.0 ％ 4.1 ％ 2.1 ％ 3.4 ％ 6.8 ％ 3.0 ％
メキシコ産原油ミックス
の平均輸出価格
(１バレル当たり米ド
(3) (3)
ル) 98.44 85.48 43.12 35.65 46.79 48.50
平均為替レート
(ペソ/1.00米ドル) 12.8 13.3 15.9 18.7 18.9 18.1
28 日物政府短期証券
平均利率(％) 3.8 ％ 3.0 ％ 3.0 ％ 4.2 ％ 6.7 ％ 7.0 ％
公的部門収支
(4)
(GDPに対する百分比) (2.3) ％ (3.1 ) ％ (3.4 ) ％ (2.5 ) ％ (1.1) ％ 0.0 ％
プライマリー・バランス
(4)
(GDPに対する百分比) (0.4) ％ (1.1 ) ％ (1.2 ) ％ (0.1 ) ％ 1.4 ％ 0.9 ％
経常収支赤字
(GDPに対する百分比) (2.4) ％ (1.8 ) ％ (2.5 ) ％ (2.2 ) ％ (1.7) ％ (1.8) ％
(1) 暫定値。
(2) 2018年予算の数値は、2018年にかかる総合経済政策ガイドラインに盛り込まれた経済の前提に基づく予
算上の見積りを示している。これらの数値は、当年の実績または更新されたメキシコの経済業績予測を
反映したものではない。
(3) 政府は、石油価格が2018年歳入法において前提とされた水準に関して潜在的な変動の影響を受けないよ
うにするため、ヘッジ契約を締結した。したがって、承認された歳出水準は、当年中にペメックスが輸
出する原油の加重平均価格が2018年予算で前提とされる価格を下回ったとしても影響を受けない。
(4) ISSSTE法の改革に基づいた債券の発行に関する歳出の効果および特定のPIDIREGAS（長期生産インフ
ラ・プロジェクト）の債務を公的部門債務として認識することを含む。
出典： 財務省
インフレにかかる情報については、「(2)経済－④物価および賃金－インフレ」を参照されたい。
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④ 2019年予算
2018年12月15日、財務省は、(ⅰ)2019年連邦歳入法（ Ley de Ingresos de la Federación para el
Ejercicio Fiscal de 2019 、以下「2019年歳入法」という。）案および(ⅱ)2019年連邦歳出予算
（ Presupuesto de Egresos de la Federación para el Ejercicio Fiscal de 2019 、以下「2019年歳出予
算」といい、2019年歳入法と併せて以下「2019年予算」という。）案を議会に提出した。2019年歳入法
は、2018年12月20日に上院の承認を受け、2018年12月28日に連邦官報に掲載された。2019年歳出予算は、
2018年12月23日に下院の承認を受け、2018年12月28日に連邦官報に掲載された。
見積予算歳出および暫定結果の要約情報は以下の表のとおりである。
予算歳出要約；2018年および2019年歳出予算
2018 年 2018 年 2019 年
2017 年
(1) (2) (2)
実績 実績 予算 予算
（十億ペソ）
医療 130.6 122.2 122.6 123.2
教育 297.9 310.4 281.0 300.1
住宅および地域開発 18.3 21.3 16.8 18.8
政府債の返済 409.9 467.1 473.1 543.0
CFE およびペメックスの債務返済 123.2 147.9 136.2 154.8
ペメックス 101.1 122.1 110.8 125.1
CFE 22.1 25.9 25.4 29.6
注：
(1) 暫定値。
(2) 2017年11月29日に連邦官報に掲載された2018年予算および2018年12月28日に連邦官報に掲載された2019
年予算の数値は、それぞれ2018年にかかる総合経済政策ガイドラインおよび経済計画ならびに2019年にか
かる総合経済政策ガイドラインおよび経済計画に盛り込まれた経済の前提に基づく予算上の見積りを示し
ている。これらの数値は、当該年の実績または更新されたメキシコの2018年もしくは2019年経済業績予測
を反映するものではない。
出典： 財務省
2013年から2018年まで、名目ペソ建の政府債務の返済に向けられたメキシコの歳出は81.8％増加し、年
平均では10.5％の増加であった。この増加は、主に金利の上昇によるものである。特に、2017年から2018
年にかけては、政府債務の返済に向けられたメキシコの歳出は、主として金利が上昇した結果、15.4％増
加して615十億ペソとなった。
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以下の表は、表示期間の予算実績を示している。また、メキシコの2018年予算および2019年予算におけ
る前提と目標も示している。
予算実績；2018年および2019年予算の前提および目標
2017 年 2018 年 2018 年 2019 年
(1) (1) (2) (2)
実績 実績 予算 予算
(3)
実質GDP成長率（％） 2.1 ％ 2.0 ％ 2.0-3.0 ％ 1.5-2.5 ％
全国消費者物価指数上昇率（％） 6.8 ％ 4.8 ％ 3.0 ％ 3.4 ％
メキシコ産原油ミックスの平均輸出価
(4) (4)
格（１バレル当たり米ドル） $46.79 $61.34 $48.50 $55.00
平均為替レート
（ペソ/1.00米ドル） 18.9 19.3 18.1 20.0
28 日物政府短期証券
平均利率（％） 6.7 ％ 7.6 ％ 7.0 ％ 8.3 ％
公的部門収支
（GDPに対する百分比） (1.1) ％ (2.1) ％ 0.0 ％ 0.0 ％
プライマリー・バランス
(5)
（GDPに対する百分比） 1.4 ％ 0.6 ％ 0.9 ％ 1.0 ％
経常収支赤字
（GDPに対する百分比） (1.7) ％ (1.8) ％ (1.8) ％ (2.2) ％
(1) 暫定値。
(2) 2017年11月29日に連邦官報に掲載された2018年予算および2018年12月28日に連邦官報に掲載された2019
年予算の数値は、それぞれ2018年にかかる総合経済政策ガイドラインおよび経済計画ならびに2019年に
かかる総合経済政策ガイドラインおよび経済計画に盛り込まれた経済の前提に基づく予算上の見積りを
示している。これらの数値は、当該年の実績または更新されたメキシコの2018年もしくは2019年経済業
績予測を反映するものではない。
(3) 前年同期比の変動率。
(4) 政府は、石油価格が2018年歳入法および2019年歳入法において前提とされた水準に関して潜在的な変動
の影響を受けないようにするため、ヘッジ契約を締結した。したがって、承認された歳出水準は、2018
年および2019年中にペメックスが輸出する原油の加重平均価格が適宜2018年予算または2019年予算で前
提とされる価格を下回ったとしても影響を受けない。
(5) ISSSTE法の改革に基づいた債券の発行に関する歳出の効果および特定のPIDIREGASの債務を公的部門債
務として認識することを含む。
出典： 財務省
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⑤ 歳入および歳出
概要
以下の表は、2013年恒常ペソによる2014年－2018年の会計年度の歳入および歳出ならびに連結公的部門
の借入所要額を示したものである。また、メキシコの2019年予算における予算見積りも示している。
財政指標要約
2019 年
(1) (1) (2)
2014 年 対GDP比 2015 年 対GDP比 2016 年 対GDP比 2017 年 対GDP比 2018 年 対GDP比 予算
(3)
（ 単位：十億恒常ペソ またはGDPに対する百分比）
1. 予算歳入
3,983.1 22.8 4,267.0 23.0 4,845.5 24.1 4,947.6 22.6 5,115.1 21.8 5,298.2
連邦政府 2,888.1 16.5 3,180.1 17.1 3,571.3 17.8 3,838.1 17.5 3,871.6 16.5 3,952.4
公社および政府機関 1,095.0 6.3 1,086.9 5.9 1,274.2 6.3 1,109.5 5.1 1,243.5 5.3 1,345.8
2. 予算歳出
4,528.0 25.9 4,892.9 26.4 5,347.8 26.6 5,182.6 23.7 5,589.4 23.8 5,802.0
(a) 予算基本支出
（支払利息を除く。） 4,182.1 23.9 4,484.6 24.2 4,874.7 24.2 4,649.5 21.2 4,974.3 21.2 5,053.0
計画による 3,577.8 20.5 3,826.6 20.6 4,159.3 20.7 3,857.1 17.6 4,064.7 17.3 4,111.4
計画外 604.3 3.5 658.0 3.5 715.4 3.6 792.4 3.6 909.6 3.9 941.6
(b) 支払利息（予算部門）
346.0 2.0 408.3 2.2 473.0 2.4 533.1 2.4 615.0 2.6 749.1
3. 予算プライマリー・
バランス（1-2(a)） (199.0) (1.1) (217.6) (1.2) (29.2) (0.1) 298.1 1.4 140.8 0.6 245.2
4. 予算外プライマリー・バ
ランス 7.2 0.0 (0.9) 0.0 4.2 0.0 6.7 0.0 0.6 0.0 0.5
5. 支払利息合計
346.3 2.0 408.4 2.2 473.2 2.4 533.3 2.4 615.3 2.6 749.6
6. 統計上の誤差脱漏
(4.9) (0.0) (10.7) (0.1) (5.6) 0.0 (9.9) 0.0 (23.0) (0.1) 0.0
7. 公的部門収支
（現金ベース） (543.1) (3.1) (637.7) (3.4) (503.8) (2.5) (238.5) (1.1) (496.9) (2.1) (503.8)
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 2018年12月現在の予算見積り。予算見積りは、2018年12月現在見積もられた2019年についてのGDPデフ
レーターを用いて恒常ペソに転換されている。対GDP比は、直前の表に掲げられた予算の前提に基づいて
算出されている。
(3) 2013年12月31日現在の購買力に基づく恒常ペソ。
出典： 財務省
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歳入
( ｉ)予算歳入
公的部門の予算歳入は、2014年におけるGDPの22.8％から2018年にはGDPの21.8％となり、GDPに占める
割合が過去５年間では比較的安定していた。
暫定値によると、公的部門の予算歳入は、2017年と比較して名目ベースで2018年には3.4％増加した。
原油収入は18.3％増加し、メキシコ産原油ミックスの平均輸出価格は31.1％値上がりした。非石油税収は
7.3％増加し、石油以外の税外収入は51％減少した。ぺメックスからの税外収入が公的部門の予算歳入全
体に占める割合は、2017年と比較して0.7％上昇して、8.5％となった。
以下の表は、2013年恒常ペソによる2014年－2018年の会計年度にかかる公的部門予算歳入の内訳ならび
に2019年予算に盛り込まれた歳入予定を示したものである。
公的部門予算歳入
実績
2019 年
(1) (1) (2)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年 予算
(3)
（単位：十億 ペソ ）
予算歳入
3,983.1 4,267.0 4,845.5 4,947.6 5,115.1 5,298.2
連邦政府
2,888.1 3,180.1 3,571.3 3,838.1 3,871.6 3,952.4
税収
1,807.8 2,366.5 2,716.2 2,849.5 3,062.3 3,311.4
所得税
959.8 1,222.5 1,420.7 1,565.8 1,664.2 1,751.8
付加価値税
667.1 707.2 791.7 816.0 922.2 995.2
消費税
111.6 354.3 411.4 367.8 347.4 437.9
輸入関税
33.9 44.1 50.6 52.3 65.5 70.3
輸出関税
0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 -
炭化水素の探査およ
び採掘にかかる税金
0.0 3.7 4.0 4.3 5.5 4.5
その他
35.3 34.6 37.9 35.2 57.4 51.7
税外収入
1,080.2 813.6 855.1 988.5 809.3 641.0
手数料および料金
825.4 58.6 55.6 61.3 64.3 46.3
安定化と開発のため
のメキシコ石油基金
(4)
からの振替
- 398.8 307.9 442.9 541.7 520.7
賃料、利息および
資産売却手取金
0.0 0.0 0.0 7.8 9.9 6.8
過料および課徴金
249.3 350.7 483.8 476.5 193.4 67.2
その他
5.6 5.5 7.8 0.1 0.1 0.0
公社および政府機関
1,095.0 1,086.9 1,274.2 1,109.5 1,243.5 1,345.8
ペメックス
440.7 429.0 481.0 389.8 436.6 524.3
その他
654.2 657.9 793.2 719.7 806.9 821.5
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 2017年11月29日に連邦官報に掲載された2018年予算および2018年12月28日に連邦官報に掲載された2019
年予算の数値は、それぞれ2018年にかかる総合経済政策ガイドラインおよび経済計画ならびに2019年に
かかる総合経済政策ガイドラインおよび経済計画に盛り込まれた経済の前提に基づく予算上の見積りを
示している。これらの数値は、当該年の実績または更新されたメキシコの2018年もしくは2019年経済業
績予測を反映するものではない。
(3) 名目ペソによる表示。
出典： 財務省
メキシコ産原油ミックスの平均輸出価格が低下するなかで石油収入を確保するための政府政策に従っ
て、財務省は、2018年にかかる予想石油収入（ cobertura petrolera ）を補填した。石油価格のヘッジお
よび価格安定化基金における留保を含むこうした措置によって、2018年連邦歳入法において設定された１
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バレル当たり48.5米ドルの価格が確保されている。これらの措置は、メキシコのマクロ経済の安定性の確
保および国際的な経済環境の悪化に対する財政の保護を目的としたものであった。
(ii) 税制および税収
メキシコの連邦税体系には、主として所得税の形態による直接税ならびに主として付加価値税
（ Impuesto al Valor Agregado 、以下「VAT」という。）および消費税（生産・サービス特別税（ Ley del
Impuesto Especial Sobre Producción y Servicios 、以下「IEPS」という。）など）の形態による間接税
の双方がある。メキシコのVATは16％の定率で課税される。VATは、製造・流通チェーンを通じて消費者の
購入価格の一部に転嫁される。
所得税は個人と法人の双方に対して課税される。個人所得税は累進課税である。2014年税制改革に従っ
て、個人所得税は年収に対して査定される。所得税法第９条に従って、2014年の法人所得税率は30％で
あった。
メキシコでは、特定の限定された支払利息にもまた源泉徴収税が課される。メキシコ企業がメキシコ非
居住者に支払う利息の源泉徴収税は、一般的に30％の税率で課税される。外国金融機関に対する支払利息
にかかる源泉徴収税は4.9％の税率で課税される。ただし、金融機関は、二重課税を回避するためのメキ
シコとの二国間租税条約締結国の居住者であること等を条件とする。金融機関がかかる要件を満たさない
場合には、適用源泉徴収税率は10％となる。ファイナンス・リースにかかる支払の利息部分には15％の源
泉徴収税が課される。
メキシコの各州は、１％から３％の範囲で給与にも課税する。また、雇用主は給与の５％相当額を住宅
基金に、２％相当額を従業員退職基金に拠出しなければならない。不動産の譲渡には不動産価格の２％か
ら５％の範囲の税率で譲渡税が適用される。納税者の銀行口座に１カ月に15,000ペソを超える預金がなさ
れた場合にこれまで３％の税率で課されていた預金税は、2014年財政改革により廃止された。
二重課税を回避し、納税者により大きな法的確実性をもたらすために多国籍企業の課税を調整するた
め、2016年10月14日、メキシコの税務当局（SAT）および米国の内国歳入庁（IRS）は、マキラドーラ産業
における所得税移転価格の新しい標準的な査定方法について合意した。この標準的な移転価格の査定方法
の利用を希望する企業は、これを選択しなければならない。
2017年１月18日付の命令により、海外で６カ月間保有されている資本の本国送金を奨励するための税制
上の優遇措置が付与されている。６カ月間の保有期間中、約58十億ペソがメキシコに送金された。2017年
７月17日、このプログラムを３カ月間延長する命令が連邦官報に掲載された。
30年近くにわたり、メキシコは、二重課税を回避するため、92を超える諸国との間で二国間租税条約を
交渉してきた。2017年６月７日、歳入副大臣は、メキシコ政府を代表して、税源浸食と利益移転防止のた
めの租税条約関連措置の実施に係る多国間協定に署名した。この協定の締結国は、税源浸食と利益移転
（BEPS）プロジェクトの一環として展開される租税条約措置の速やかな実施を可能にするため、現行の二
重課税回避条約を修正することに合意した。同プロジェクトは、税制の差異を利用した税務計画戦略を防
止することを目指す100を超える国と地域を対象とする枠組みである。
2017年10月14日、太平洋同盟の当事者は、二重課税防止協定に定める租税措置承認の協定（二重課税防
止協定）に調印した。二重課税防止協定の目的は、投資家が地域の資本市場に参加し、より多くの投資の
選択肢を利用することを奨励することである。年金基金は二重課税防止協定により居住者として認められ
ているため、二重課税回避のための現行の二国間協定の対象となる。二重課税防止協定はまた、太平洋同
盟を形成するいずれかの法域におけるかかる年金基金の投資により生じるキャピタル・ゲインに適用ある
所得税に10％の上限を設定している。
2017年11月30日、ガソリンおよびディーゼルにかかる価格統制が自由化され、全国において市場の力に
従って価格を設定することが認められた。また、財務省は、2017年２月18日以降公表してきた日々の燃料
価格の最高値の公表を停止した。2017年の残りの期間および2018年については、週単位の刺激策を通じ
て、IEPSによって引続き参照燃料価格および為替レートの変動は抑えられるであろう。これを実現するた
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め、2017年11月29日、財務省は公表価格との整合性を図るため、IEPSを通じて提供される刺激の算出方法
の採用を連邦官報において公表した。この変更は、IEPSに対する週ごとの刺激の計算方法を変更させるも
の ではない。
2017年11月29日に、ガソリン、ディーゼルおよび非化石燃料を輸入販売する納税者ならびにエネルギー
規制委員会によってメキシコと米国の国境付近に所在のガソリン・スタンドで一般市民に石油を販売する
ことを認められた許可証保有者のために、一般的な刺激と北部国境付近での刺激の双方の効力を2018年ま
で延長することを目的とした大統領令が公表された。北部国境への刺激策は、この地域の価格を米国の近
隣都市の石油価格に部分的に一致させることを認めている。
SATは、2017年の税収が2017年歳入法において予定されていた金額を110.1十億ペソ（4.0％）上回る
2,849.5十億ペソとなったことを報告した。
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以下の表は、2013年および2018年における税収構成を示したものである。
税収の構成
（2013年および2018年）
2013 年 2018 年
所得税 61 ％ 54 ％
付加価値税 36 30
消費税 0 11
輸入関税 2 2
輸出関税 0 0
2 2
その他
100 ％ 100 ％
出典： 財務省
地方政府は、宿泊サービスおよび自動車所有に対して（１台目に対する連邦税に加えて）課税すること
を認められている。さらに地方政府は、アルコール飲料を販売する小売業者に現地の営業免許の取得を義
務づけることができる。その他、消費税収の一定の割合が直接州に分配されている。
現在、個人には４つの連邦税が課されている：(1)年収が750,000ペソまでの個人に対する適用税率は
30％、(2)年収が750,000ペソを超え、1.0百万ペソ以内の個人に対する適用税率は32％、(3)年収が1.0百
万ペソを超え、3.0百万ペソ以内の個人に対する適用税率は34％、(4)年収が3.0百万ペソを超える個人に
対する適用税率は35％。
歳出
暫定値によると、2018年の予算歳出は、2017年と比較してそれぞれ名目ベースで次のように増減した：
(1)公的部門予算上の正味歳出は7.8％の増加、(2)予算上の計画による正味公的部門歳出（ぺメックスに
よる物理的投資を除く。）は5.8％の増加、(3)予算上の計画による支払済み正味歳出は5.4％の増加、(4)
予算上の計画によらない支払済み正味歳出は15.0％の増加、(5)公的部門債務の資金調達コストは15.4％
の増加、ならびに(6)経済および社会開発にかかる公的部門歳出はそれぞれ12.1％および6.9％の増加。
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以下の表は、2014年－2018年の会計年度にかかる公的部門予算歳出の内訳ならびに2019年予算に盛り込
まれた歳出予定を示したものである。この表には、ペメックス、CFE、IMSSおよびISSSTEといった各種公
的機関の予算歳出も含まれている。
公的部門予算歳出
2019 年予算
(1)
(2)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（単位：十億恒常 ペソ ）
予算歳出 4,528.0 4,892.9 5,347.8 5,182.6 5,589.4 5,802.0
経常歳出 3,632.3 3,956.9 4,165.8 4,391.1 4,866.1 5,122.4
給与 633.6 679.7 723.5 745.0 801.1 839.2
連邦政府 245.4 267.4 294.4 302.2 327.2 343.7
政府機関 388.3 412.3 429.1 442.8 473.9 495.5
ペメックス 122.9 132.3 135.3 136.6 148.6 154.4
CFE 79.4 84.2 87.8 90.3 95.9 99.2
IMSS 152.2 160.6 168.3 177.1 186.4 199.2
ISSSTE 33.8 35.2 37.6 38.8 43.0 42.6
利息 346.0 408.3 473.0 533.1 615.0 749.1
連邦政府 291.8 322.2 370.1 409.9 467.1 594.3
政府機関 54.1 86.1 102.9 123.2 147.9 154.8
ペメックス 42.7 72.6 86.9 101.1 122.1 125.1
CFE 11.5 13.5 16.0 22.1 25.9 29.6
IMSS 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
ISSSTE 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
経常移転、純額 1,109.5 1,190.0 1,202.0 1,163.2 1,199.5 1,301.7
合計 1,514.3 1,636.1 1,722.7 1,765.7 1,886.9 2,012.7
公的部門 404.8 446.1 520.7 602.4 687.5 711.0
州への歳入分配 584.9 629.1 693.8 772.4 844.0 919.8
取得 239.8 230.3 240.8 302.0 365.5 319.9
連邦政府 19.9 23.6 23.9 23.7 27.2 21.4
政府機関 219.8 206.8 216.9 278.3 338.3 298.5
ペメックス 7.9 8.1 7.4 6.2 5.8 3.1
CFE 151.5 131.1 142.9 201.4 258.1 214.2
IMSS 48.0 52.1 52.2 55.1 59.7 64.1
ISSSTE 12.4 15.5 14.3 15.5 14.7 17.1
その他の経常歳出 718.5 819.5 832.7 875.4 1,040.9 992.8
連邦政府 194.7 230.7 203.1 199.0 272.8 167.3
政府機関 523.9 588.8 629.6 676.4 768.1 825.6
ペメックス 45.1 59.6 56.2 46.5 40.7 34.0
CFE 45.2 49.6 50.7 45.8 70.5 58.8
IMSS 277.7 305.7 330.7 374.4 426.4 470.7
ISSSTE 156.0 173.8 192.0 209.7 230.5 262.1
資本的支出 895.7 936.0 1,182.0 791.6 723.2 715.6
連邦政府 495.7 591.3 844.3 562.6 509.3 365.8
政府機関 400.0 344.7 337.7 229.0 213.9 349.8
ペメックス 356.9 303.4 296.8 193.2 181.3 273.1
CFE 40.3 36.9 35.9 31.9 21.8 62.5
IMSS 2.5 3.1 5.1 5.5 9.7 12.6
ISSSTE 0.4 1.3 0.0 (1.6) 1.3 1.6
過年度支払債務 - - 0.0 0.0 0.0 (36.0)
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 暫定値。
(2) 2018年12月現在の予算見積り。
出典： 財務省
2018年、教育、医療および社会保障といった社会開発プログラムにかかる支出は合計2,430.8十億ペソ
（計画による歳出全体の59.8％）に達し、経済発展にかかる支出は合計1,202.4十億ペソ（計画による歳
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出全体の29.6％）であった。暫定値によると、農業、林業、漁業および狩猟業にかかる支出合計は、2017
年の71.1十億ペソに対して、名目ベースで合計78.5十億ペソであった。住宅および地域開発にかかる支出
は、 名目ベースで2017年の204.3十億ペソに対して合計226.8十億ペソであった。
政府は、歳入のボラティリティを小さくすることを目的としたいくつかの安定化基金を創設している。
2018年12月31日現在、原油歳入安定化基金（ Fondo de Estabilización de los Ingresos Petroleros ）は
合計で38.0十億ペソ、連邦法人歳入安定化基金（ Fondo de Estabilización de los Ingresos de las
Entidades Federativas ）は合計で13.7十億ペソであったが、メキシコ石油公社のインフラ投資安定化基
金（ Fondo de Estabilización para la Inversión en Infraestructura de Petróleos Mexicanos ）およ
び年金再編支援基金（ Fondo de Apoyo para la Reestructura de Pensiones ）には残存資金がなかった。
医療および労働、教育、ならびにその他社会福祉に関する歳出
政府は、国内の社会サービスおよび福祉プログラムの大部分について運営にあたっている。政府は、主
に経常歳入を財源にして社会サービス・プログラムに直接資金を提供しているほか、別の収入源を有する
社会福祉機関にも資金を割当てている。暫定値によると、2018年の政府の主な社会福祉支出は、医療費、
社会保障費および教育費について利用された。
(i) 医療および労働
政府は、2018年に医療費および社会保障費に564.4十億名目ペソ（計画による歳出全体の35.7％）を支
出した。主要な社会保障機関としては、IMSS、ISSSTEおよび生活保護支援国営宝くじ制度（ Lotería
Nacional para la Asistencia Pública ）が挙げられる。これらの事業体が提供する制度には、医療・病
院関連サービス、健康・出産保険および予防衛生サービスなどがある。政府は、より多くの国民に医療
サービスを提供するため、各種公的機関の活動を調整し、全国医療サービス制度を組織している。
(ii) 教育
政府は、財源の多くを教育と職業訓練に割いている。2018年、政府は教育費に712.1十億名目ペソ（計
画による歳出全体の17.5％）を支出した。政府は、メキシコのすべての子供に初等および中等教育を提供
することと、メキシコ経済の需要の変化に応じた技術訓練を拡充することなどを目下の目標としている。
世界銀行が公表したところのユネスコ統計研究所によると、2015年におけるメキシコの15歳以上の国民の
識字率は約94.6％であった。
メキシコの教育制度の構成は「教育連邦主義」の概念に基づいており、国民に教育を提供するのは各州
の責任というのが前提になっている。
2013年２月27日付で、教育に関する憲法改革が施行された。同改革は、メキシコの公教育制度を改善す
ることを意図するもので、学習時間の延長および学校関連のインフラの改善のための連邦予算を定めてい
る。
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(iii) その他
政府は、メキシコの低所得者の生活状況を改善し、かつ不動産・住宅ローンの利用提供を行うため、
1972年にINFONAVITを設立した。INFONAVITは、メキシコの全雇用主による拠出金で支えられており、その
額は給与支払額合計の約５％に相当する。2018年、INFONAVITは住宅の購入、建設、補修向けに約538,517
件の融資を提供した。これに対し、2017年には約533,792件の融資を提供した。INFONAVITに関する詳細に
ついては「(2) 経済－⑥ 社会保障制度」を参照。
⑥ 政府関係機関および公社
以下の表は、金融部門以外の主要な各政府機関および公社について、その主たる業務、政府保有比率、
規模（直近会計年度末現在の総資産に基づく）、公的部門プライマリー・バランスに対する純拠出額また
は支出額および政府の責任となる借入残高を示したものである。
2018 年12月31日現在の主な政府機関、生産的国有企業および公社
プライマ
リー・バラン
スに対する純
保証債務
拠出額または
政府保有
(1) (2) (1)
(1)
政府機関/公社 主たる業務 比率 総資産 支出額 残高
（単位：百万米ドル）
ペメックス 原油および派生品の
生産、精製および流
通 100.0 ％ 105,601.6 9,888.9 －
電力の生産および販
CFE 売 100.0 ％ 84,408.3 2,240.3 －
(3)
連邦道路橋梁 有料高速道路の運営 100.0 ％ 225.4 14.2 －
空港および空港関
(3)
連サービス 空港サービス 100.0 ％ 819.2 (0.8) －
(1) 公的部門事業体に適用あるメキシコの財務報告基準に従って計算された財務データ。かかる基準は、米
国において一般に認められた会計基準および国際財務報告基準とは重要な点で異なる。したがって、
データは、本書において別途示されたメキシコの財務報告基準に従って計算された財務データとは比較
できないことがある。
(2) 政府移転後、利息支払控除後の剰余金。
(3) 国庫局（ Tesorería de la Federación ）への振替前の一次剰余金。
出典： 財務省
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(6) 【公債】
① 概要
すべての公的債務借入は、メキシコの連邦公債法（ Ley Federal de Deuda Pública ）またはその他特定
の法律（生産的国有企業の場合）に従って授権されまたは契約される。
連邦公債法に基づき、歳入法に盛込まれる公的借入計画は、毎年議会に提出してその承認を得なければ
ならない。これが承認されると、行政府は財務省を通じて上記議会承認のパラメーターの範囲内で資金調
達プログラムを策定する。
連邦公債法により、大統領は、(1)議会に対して年次決算を提出し歳入法を提案する際に政府および予算
管理対象機関の債務状況を毎年報告すること、ならびに(2)かかる債務状況を四半期ごとに議会に報告する
ことも要求されている。「(5) 財政－① 概要－予算編成」を参照のこと。
連邦公債法は、政府省庁が財務省を通じてのみ債務を負担することができる旨を規定している。なお、
予算管理対象機関および運営管理対象機関は、財務省の承認を取得した後、対外債務を負担することがで
きる。2014年８月のエネルギー改革の二次法令に従って、ペメックスおよびCFEはもはや対外債務を負担す
るために財務省の承認を得る必要はないが、適用ある歳入法において設定された上限を超えて債務を負担
することはできない。エネルギー改革の詳細については、「(2) 経済－⑦経済の主要部門－(b)石油および
石油化学」および「(2) 経済－⑦経済の主要部門－(h)電力産業」を参照のこと。
② 公債の分類
メキシコは、公債の分類にあたって、(1)公的部門の借入需要の残高履歴、(2)公的部門債務および(3)政
府債務という３つの尺度を用いている。
公的部門の借入需要の残高履歴は、最も広い範囲を対象とする尺度であり、公的機関および政府に代
わって行為する民間事業体の双方が公共政策の目的実現のために負担した対内債務および対外債務の純額
を把握するものである。これには、予算上の公的部門負債ならびにPIDIREGASおよび債務者の支援プログラ
ムに関連したIPABおよびFONADINの債務、ならびに公的部門の借入需要の年次推移を反映するものとして、
提供された貸出および減債基金を含む利用可能な金融資産を減額した開発銀行および開発基金の予想損益
が含まれる。
次に広い範囲を対象とする尺度は「公的部門債務」であり、公的部門が負担した短期債務ならびに(1)政
府、(2)生産的国有企業、(3)予算管理対象機関および(4)運営管理対象機関が負担した長期債務をいう。政
府が保証する民間部門の債務は、政府がかかる保証に基づく支払の履行を請求されるまでは、公的部門債
務に含まれない。公的部門債務は、対内債務または対外債務のいずれかに分類することができる。「公的
部門対内債務」には、政府、開発銀行およびその他の公企業が直接負担した債務の対内部分が含まれる。
「公的部門対外債務」は、政府が直接負担した長期債務の対外部分、予算管理対象機関および生産的国有
企業が負担した対外長期債務、運営管理対象機関（国立の開発銀行を含むがこれらに限定されない。）が
直接負担したかもしくは保証した対外長期債務ならびに公的部門の短期対外債務からなる。公的部門対外
債務には、とりわけメキシコ中央銀行のIMFに対する買戻し債務（2017年12月31日現在残高はない。）は含
まれない。「(4) 通貨・金融制度－③銀行の監督および支援」および下記「公的部門対外債務の種類別要
約」表の注(1)を参照のこと。
「政府債務」は、メキシコの公債の最も狭い尺度であり、政府が直接負担した債務および退職貯蓄制度
基金の資産からなる。公的部門債務と同様、政府債務は対内債務または対外債務のいずれかに分類するこ
とができる。「対内政府債務」には政府債務の対内部分が含まれ、新規発行入札（一次入札）により一般
に売却された政府短期証券およびその他の有価証券からなる。対内政府債務には、マネー・サプライ規制
（ Regulación Monetaria ）に利用するためにメキシコ中央銀行に割当てられる債務は含まれない。また、
IPABの債務または予算管理対象機関もしくは運営管理対象機関の債務も含まれない。2017年12月31日現
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在、対内政府債務はすべてペソ建またはUDI債で、ペソ払いであった。「対外政府債務」には、政府債務の
対外部分が含まれている。
本「(6) 公債」において、「長期債務」とは、その満期が発行日から１年以上である債務を指し、「短
期債務」とは、その満期が発行日より１年未満である債務を指す。対内債務および対外債務の双方を対象
としている公的部門の借入需要の残高履歴を除き、公的部門債務および政府債務は本項において対内債務
および対外債務のカテゴリーで表示される。
③ 公的 部門の借入需要の残高履歴
以下の表は、表示日現在における公的部門の借入需要の残高履歴の対GDP比を示したものである。
公的部門の借入需要の残高履歴
12 月31日現在
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
(1)
（対GDP比）
公的部門の借入需要の残高
履歴 42.6 ％ 46.5 ％ 48.7 ％ 45.8 ％ 44.9 ％
(1) 2014年から2018年の対GDP比は、2013年12月31日現在の購買力によって恒常ペソで計算された年間平均GDP
を用いて計算されている。
(2) 公的部門の借入需要の残高履歴は、公的機関および政府に代わって行為する民間事業体の双方が公
共政策の目的実現のために負担した債務の純額を表すものである。公的部門の借入需要の残高履歴に
は、予算上の公的部門負債純額ならびにPIDIREGASおよび債務者の支援プログラムに関連したIPABお
よびFONADINの債務純額、ならびに公的部門の借入需要の年次推移を反映するものとして、提供され
た貸出および減債基金を含む利用可能な金融資産を減額した開発銀行および開発基金の予想損益が含
まれる。
2018年12月31日現在、公的部門の借入需要の残高履歴はGDPの44.9％で、2017年末現在より0.9パーセン
ト・ポイント低下した。
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④ 対内公債
公的部門対内債務
2018年予算では、それぞれ30十億ペソおよび3.3十億ペソを上限とする正味対内債務の負担を認められた
ペメックスおよびCFEといった公的部門の事業体による対内債務の発行が予定されていた。
以下の表は、各表示日現在における公的部門の対内債務総額および正味対内債務を要約したものであ
る。
公的部門の対内債務総額および正味対内債務
12 月31日現在
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（ 単位：百分比を除き、十億ペソ）
5,049.5 5,639.5 6,182.3 6,448.5 7,036.3
債務総額
期間別
長期 4,518.2 5,123.6 5,552.5 5,903.2 6,463.9
短期 531.3 515.9 629.7 545.3 572.3
債務者別
連邦政府 4,546.6 5,074.0 5,620.3 5,920.2 6,429.3
生産的国有企業
( ペメックスおよび
CFE) 396.4 447.3 431.2 381.6 378.0
開発銀行 106.5 118.2 130.7 146.8 228.9
245.3 259.6 172.8 163.8 168.7
金融資産
4,804.3 5,379.9 6,009.4 6,284.7 6,867.6
正味債務合計
(1)
対内債務総額/GDP 28.9 ％ 30.4 ％ 30.7 ％ 29.4 ％ 29.9 ％
(1)
正味対内債務/GDP
(2)
27.5 ％ 29.0 ％ 29.9 ％ 28.7 ％ 29.2 ％
(1) 2014年から2018年の対GDP比は、2013年12月31日現在の購買力によって恒常ペソで計算された年間平均GDP
を用いて計算されている。
(2) 「正味対内債務」は、表示日現在政府が直接負担していた対内債務であり、これには、メキシコ中央銀行
の一般勘定残高および退職貯蓄制度基金の資産が含まれる。正味対内債務には、予算管理対象機関および
運営管理対象機関の債務または政府が保証する債務は含まれない。また、「正味対内債務」は、新規発行
入札（一次入札）により一般に売却された政府短期証券およびその他の有価証券からなるが、マネー・サ
プライ規制（ Regulación Monetaria ）に利用するためにメキシコ中央銀行に割当てられる債務は含まれな
い。これは、マネー・サプライ規制に基づくメキシコ中央銀行による債務の売却が政府の対内債務の全体
的な水準を押上げるものではないためである。メキシコ中央銀行が流通市場において売却した割当債務
で、政府に支払のため提示されたものについては、メキシコ中央銀行はこれをメキシコ政府に弁済しなけ
ればならない。ただし、メキシコ中央銀行が割当債務の大量売却を流通市場で実施する場合、その結果政
府の対内債務残高が、その正味対内債務残高を上回る可能性がある。
2018年12月31日現在、公的部門の正味対内債務は合計6,867.6十億ペソで、これは名目ベースで2017年12
月31日現在の公的部門の正味対内債務残高より9.3％の増加であった。公的部門の対内債務総額は合計
7,036.3十億ペソで、これは名目ベースで2017年12月31日現在の公的部門の対内債務総額残高より9.1％の
増加であった。
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対内政府債務
過去20年間に、政府は、債務の平均満期を積極的に延ばそうとしてきた。よって、政府はより期間の長
い新しい債務商品を発行してきた。それにより、政府は対内政府債務の借換え関連リスクを緩和すること
を望んでいる。こうした実務慣行により、長期のベンチマーク・イールドカーブを形成することができ
た。また、これらの発行により、(1) 固定利付契約、(2) メキシコ企業のペソ建証券、(3) メキシコの金
融ヘッジ商品および(4) 長期貯蓄により資金手当てされる長期投資プロジェクト、などの分野で長期的な
投資が奨励された。
この債務政策の結果、政府の対内債務の平均満期は、2013年12月31日現在の平均7.9年から2018年12月31
日現在には8.0年に延びた。
政府はまた、国内金融市場の安定化を図るため、債務の平均満期を管理する上での柔軟性を保ってい
る。
対内政府債務について、政府は現在、(1)28日物、91日物、182日物および364日物の政府短期証券、(2)
３年、10年および30年満期のUDI建証券、(3)３年、５年、10年、20年および30年満期の固定利付ペソ建債
券ならびに(4)５年物変動利付債券の証券の募集を行っている。
2016年10月28日、連邦経済競争委員会（ Comisión Federal de Competencia Económica 、COFECE ）は、価
格を操作し、需給について制限を課し、市場を操作し、またはメキシコ政府が発行した債務証券の金融仲
介機関において情報交換を行うことについて談合が行われた可能性があるとして調査を開始し、かかる調
査は現在も継続している。
2018年予算では、GDP（社会的および経済的影響の大きい投資プロジェクトを除く。）の約0.9％の予算
黒字が予定されていた。また、2018年予算では、政府は470十億ペソを上限とする正味対内債務の新規発行
を認められていた。
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以下の表は、各表示日現在における政府の正味対内債務を要約したものである。
(1)
政府の対内債務総額および正味対内債務
12 月31日現在
(2)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（ 単位：百分比を除き、十億ペソ）
債務総額
政府債券 4,223.3 92.9 ％ 4,701.2 92.7 ％ 4,915.3 87.5 ％ 5,326.0 90.0 ％ 5,837.0 90.8 ％
政府短期証券 678.7 14.9 655.8 12.9 634.7 11.3 701.6 11.9 734.5 11.4
変動利付債券 232.6 5.1 296.5 5.8 397.9 7.1 471.3 8.0 548.2 8.5
インフレ連動債券 1,011.1 22.2 1,196.6 23.6 1,223.5 21.8 1,397.7 23.6 1,656.0 25.8
固定利付債券 2,295.8 50.5 2,546.2 50.2 2,652.1 47.2 2,747.9 46.4 2,890.3 45.0
UDI 債の元本分離債 5.1 0.1 6.1 0.1 7.2 0.1 7.6 0.1 7.9 0.1
(3)
323.3 7.1 372.8 7.3 705.0 12.5 594.1 10.0 592.4 9.2
その他
4,546.6 100.0 ％ 5,074.0 100.0 ％ 5,620.3 100.0 ％ 5,920.2 100.0 ％ 6,429.3 100.0 ％
債務総額合計
正味債務
(4)
(222.5) (259.9) 224.0 205.9 225.7
金融資産
4,324.1 4,814.1 5,396.3 5,714.3 6,203.6
正味債務合計
対内債務総額の対GDP
(5)
比 26.0 ％ 27.4 ％ 27.9 ％ 27.0 ％ 27.3 ％
正味対内債務の対GDP
(5)
比 24.7 ％ 26.0 ％ 26.8 ％ 26.1 ％ 26.3 ％
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 対内債務の数値には、メキシコ中央銀行がマネー・サプライ規制に従って流動性水準を管理するために公開
市場操作によって売却した証券は含まれない。これは、この証券が政府の対内債務の全体的な水準を押上げ
るものではないためである。メキシコ中央銀行が流通市場に売却した割当債務で、政府に支払のため提示さ
れたものについては、メキシコ中央銀行がメキシコ政府に弁済しなければならない。ただし、メキシコ中央
銀行が割当債務の大量売却を流通市場で実施する場合、この規制の結果、対内債務残高の水準が正味対内債
務についての政府の数値に比べて高くなる可能性がある。
(2) 暫定値。
(3) 2017年および2018年の12月31日現在の債務額には、それぞれ145.1十億ペソおよび141.8十億ペソのISSSTE法
に基づく社会保障関連の負債が含まれている。
(4) 連邦国庫（ Tesorería de la Federación ）の一般会計のメキシコ中央銀行におけるペソ建正味残高を含む。
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(5) 2014年から2018 年の対GDP比は、2013年12月31日現在の購買力によって恒常ペソで計算された年間平均
GDPを用いて計算されている。
出典： 財務省
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2018年12月31日現在、政府の正味対内債務は、2017年12月31日現在の政府の正味対内債務と比較して名
目ベースで8.6％の増加であった。この金額には、ISSSTE法に基づく社会保障関連の負債145.8十億ペソが
含まれている。
2018年12月31日現在、政府の対内債務総額は、2017年12月31日現在と比較して名目ベースで8.6％の増加
であった。2018年12月31日現在の政府の対内債務総額のうち、短期債務は518.3十億ペソ（2017年末は
530.6十億ペソ）であり、長期債務は5,911十億ペソ（2017年末は5,389.5十億ペソ）であった。
2018年における政府の対内債務の資金調達コストは、2017年の資金調達コストと比較して名目ベースで
15.5％増加した。
⑤ 対外公債
公的部門対外債務
1990年以降、公的部門の新規対外借入の大半は、証券市場で発行された負債証券である。ただし、1995
年のメキシコ金融危機の際、公的債権者および多国間機関の債権者がメキシコに多額の資金を供給した。
過去数年の政府債務方針と輸出実績が相まって、公的部門対外債務の利払いが輸出総額に占める割合は
2014年の1.6％から2018年には2.1％に上昇した。2018年の公的部門対外債務調達費用は、2017年の8.3十億
米ドルに対して名目ベースで11.0％増となる9.2十億米であった。公的部門対外債務にかかる元本および利
息支払債務のGDPに占める割合は、2017年の4.0％に対して、2018年には3.7％であった。
2018年の公的部門の正味対外債務が増加したのは、主として、正味対外債務が11十億米ドル増加したこ
と、米ドル以外の外貨建対外債務に関連した連邦公的部門の対外資産が589.2百万米ドル減少したこと、な
らびに負債管理取引および他通貨に対する米ドルの変動に関連して1.7十億米ドルのマイナスの調整が行わ
れたことによる。2018年12月31日現在の公的部門対外債務総額のうち、198.2十億米ドルは長期債務で、
4.2十億米ドルは短期債務であった。
2018年について、議会はペメックスに対して6.2十億米ドルを上限として、有価証券の発行およびソブリ
ン債務の交換または借換えによるものも含む正味対外債務を負担することを承認したが、これに対して
2017年にペメックスが負担を承認された正味対外債務の上限は7.1十億米ドルであった。2018年について、
議会はCFEに対して347.5百万米ドルを上限として正味対外債務を負担することを承認したが、2017年につ
いて、議会はCFEに対しては追加の正味対外債務の負担を認めなかった。
暫定値によると、2018年12月31日現在、公的部門対外債務総額の残高は202.4十億米ドルであり、2017年
12月31日現在の残高194.0十億米ドルから約8.4十億米ドル増加した。このうち、198.2十億米ドルは長期債
務であり、4.2十億米ドルは短期債務であった。正味対外債務も、2018年に9.0十億米ドル増加した。
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以下の表は、政府および公的部門の債権者を含むメキシコの公的部門対外債務の債権者の内訳を示した
ものである。
公的部門の債権者（2018年12月31日現在）
債券の所有者 77.0 ％
多国間および二国間の債権者 17.8
商業銀行および供給業者 5.0
0.1
その他の債権者
100.0 ％
出典： 財務省
以下の表は、表示日現在におけるメキシコの公的部門対外債務の要約（その種類別内訳、通貨別内訳お
よび公的部門正味対外債務を含む。）を示したものである。
(1)
公的部門対外債務の種類別要約
12 月31日現在
(2)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（単位：十億米ドル）
政府の長期直接債務 78.4 82.5 88.2 91.1 95.8
予算管理対象機関の長期債
務 58.9 69.6 82.7 81.8 94.4
(3)
5.6 6.9 7.0 7.9 8.0
その他の長期公債
長期債務合計 142.9 159.1 177.9 190.7 198.2
4.8 3.2 3.1 3.3 4.2
短期債務合計
長期債務および短期債務の
147.7 162.2 181.0 194.0 202.4
合計
(1)
公的部門対外債務の通貨別要約
12 月31日現在
(2)
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（ 単位：比率を除き、十億米ドル）
米ドル 121.9 82.6 ％ 131.7 81.2 ％ 144.2 79.7 ％ 148.7 76.7 ％ 152.6 75.4 ％
日本円 5.1 3.4 4.9 3.0 6.4 3.5 6.8 3.5 8.1 4.0
スイス・
フラン 0.4 0.3 1.0 0.6 1.3 0.7 1.4 0.7 1.5 0.7
英ポンド 2.8 1.9 2.7 1.7 2.3 1.3 3.1 1.6 2.9 1.4
ユーロ 14.0 9.5 18.8 11.6 240.4 13.5 31.5 16.3 34.8 17.2
3.4 2.3 3.1 1.9 2.4 1.3 2.5 1.3 2.5 1.2
その他
147.7 100.0 ％ 162.2 100.0 ％ 181.0 100.0 ％ 194.0 100.0 ％ 202.4 100.0 ％
合計
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(1)
公的部門の正味対外債務
12 月31日現在
(2)
2018 年
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年
（単位：比率を除き、十億米ドル）
正味債務合計 145.6 161.6 177.7 192.3 201.3
GDP に対する対外債務総額の比率
(4)
12.4 ％ 15.0 ％ 18.7 ％ 17.5 ％ 16.9 ％
GDP に対する正味対外債務の比率
(4)
12.3 ％ 15.0 ％ 18.3 ％ 17.3 ％ 16.8 ％
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 米ドル以外の外貨建の対外債務は、各表示日現在の為替レートで米ドルに換算されている。公的部門対外
債務には、(a)IMFに対するメキシコ中央銀行の買戻し債務（2018年12月31日現在残高はない。）、または
(b)メキシコの公的部門の銀行に対するコモディティ・クレジット・コーポレーションからの貸付は含ま
れない。対外債務は、本表においては「総額」ベースで表示され、券面残高または額面総額による公的部
門の対外債務を含んでいる。一定の情報提供および統計上の目的から、メキシコは時に公的部門対外債務
を、海外において保有する一定の金融資産を控除した債務総額として算出される「純額」ベースで報告す
ることがある。かかる金融資産には、公的部門の事業体が保有しているが未消却のメキシコの公的部門対
外債務が含まれる。
(2) 通貨スワップの影響を反映するため調整済み。
(3) 開発銀行の債務および財政が政府財政の連結対象となっているその他の運営管理対象機関の債務を含む。
(4) 2014年から2018年の対GDP比は、2013年12月31日現在の購買力によって恒常ペソで計算された年間平均GDP
を用いて計算されている。
出典： 財務省
対外政府債務
メキシコの対外公債の目標は、市場のボラティリティと予期せぬ展開に対処しつつ、政府が規定の需要
の資金調達において柔軟であることを目指している。かかる政策はまた、コストとリスクを安定的な水準
に維持することも目指している。メキシコは、主として自国市場を通じた資金調達を目指しており、これ
を米国、ヨーロッパおよび日本からの対外資金調達で補完することとしている。対外資金調達に関するメ
キシコの主たる目的としては、メキシコの対外債務の条件を改善するとともに、最も影響力のある国際市
場におけるメキシコの継続的なプレゼンスを特に考慮して、メキシコの投資家基盤を強化し、分散させる
ことが挙げられる。また、メキシコのベンチマーク債を強化すること、ならびに透明性を確保し、メキシ
コへの投資を促進するため、国際的な投資家との恒常的な関係を維持することも目的に含まれる。
2018年予算では、政府は5.5十億米ドルを上限として追加正味対外債務（国際金融機関からの対外借入お
よび国際市場における対外債務の発行を含む。）を負担することを認められた。
政府の正味対外債務は、2018年に5.0十億米ドル増加した。これは、正味対外債務が5.7十億米ドル増加
し、対外債務関連の対外資産が299.9百万米ドル減少したこと、ならびに他通貨に対する米ドルの変動に関
連して907百万米ドルのマイナスの調整が行われたことによる。
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以下の表は、表示日現在における対外政府債務総額、正味対外政府債務および正味政府債務を含む、メ
キシコの対外政府債務を要約したものである。
政府の対外債務総額
12 月31日現在
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（ 単位：比率を除き、百万米ドル）
米ドル 65.1 82.9 ％ 66.3 80.3 ％ 67.5 76.6 ％ 68.0 74.7 ％ 70.8 73.9 ％
4.7 4.4 5.1 5.1 6.1
日本円 3.8 3.7 4.5 4.7 5.9
スイ
ス・
- - - - -
フラン - - - - -
英ポン
2.9 2.6 2.1 2.2 2.0
ド 2.3 2.2 1.8 2.0 1.9
9.5 12.6 16.2 17.9 18.0
ユーロ 7.4 10.4 14.3 16.3 17.2
0.0 0.0 0.0
0.0 0.0 0.0 0.02 0.02 0.02 0.02
その他
78.6 100.0 ％ 82.6 100.0 ％ 88.2 100.0 ％ 91.1 100.0 ％ 95.8 100.0 ％
合計
政府正味対外債務
12 月31日現在
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（単位：比率を除き、十億米ドル）
正味債務合計
77.4 82.3 86.7 90.6 95.7
GDP に対する対外債務総額の比率
6.6 ％ 7.7 ％ 9.1 ％ 8.2 ％ 8.0 ％
GDP に対する正味対外債務の比率
6.5 ％ 7.6 ％ 8.9 ％ 8.2 ％ 8.0 ％
政府正味債務
12 月31日現在
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
対外債務 79.2 ％ 77.3 ％ 75.0 ％ 76.1 ％ 76.7 ％
対内債務
20.8 ％ 22.7 ％ 25.0 ％ 23.9 ％ 23.3 ％
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) 米ドル以外の外貨建の対外債務は、各表示日現在の為替レートで米ドルに換算されている。公的部門対外債
務には、(a)IMFに対するメキシコ中央銀行の買戻し債務（2018年12月31日現在残高はない。）、または(b)メ
キシコの公的部門の銀行に対するコモディティ・クレジット・コーポレーションからの貸付は含まれない。
対外債務は、本表においては「総額」ベースで表示され、券面残高または額面総額による公的部門の対外債
務を含んでいる。一定の情報提供および統計上の目的から、メキシコは時に公的部門対外債務を、海外にお
いて保有する一定の金融資産を控除した債務総額として算出される「純額」ベースで報告することがある。
かかる金融資産には、公的部門の事業体が保有しているが未消却のメキシコの公的部門対外債務が含まれ
る。
(2) 2014 年から2018年の対GDP比は、2013年12月31日現在の購買力によって恒常ペソで計算された年間平均GDPを
用いて計算されている。
出典： 財務省
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⑥ 負債管理および債務削減取引
メキシコは、経済成長を持続させるために商業銀行や多国間債権者と密接に協力することに積極的に取
組んでいるほか、債務削減をメキシコの主要目標の一つに掲げ、現在も掲げている。メキシコは、債務証
券の追加募集を随時行っており、またその債務残高の構成を管理するために公開買付、公開市場における
買入れおよび期限前償還を含む様々な取引に随時関与している。
メキシコは、未払い債務合計を削減するために、負債同士の交換を行った。かかる負債同士の交換に基
づいて、メキシコは新しい債務と交換することで既存債務の借換えを行うことができた。
過去20年間に、メキシコは、その債務残高総額を減らすため定期的な通常の負債管理取引を行ってき
た。2017年３月、政府は、公開買付を実施し、これに従ってメキシコは2016年３月16日付の買入れ申込に
掲げたシリーズの未償還額のすべてについて現金での買入れを申入れ、これに従ってメキシコは下表に掲
げるノートを買入れた。公開買付の結果の概要は以下のとおりである。
公開買付において
旧債券のシリーズ 買戻された未償還額 公開買付後の未償還額
2020 年満期5.125％ グローバル・ノート
48,084,222.0 米ドル 1,878,656,000 米ドル
2022 年満期3.625％ グローバル・ノート
89,309,720.9 米ドル 2,471,606,000 米ドル
2023 年満期4.000％ グローバル・ノート
3,877,000.0 米ドル 3,449,928,000 米ドル
2025 年満期3.600％ グローバル・ノート
444,085,841.5 米ドル 2,472,863,000 米ドル
⑦ 歳入予算に占める債務の割合
12 月31日現在
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
（単位：百万ペソ）
(A) 連邦政府正味債務 5,462,593.2 6,230,564.4 7,193,008.9 7,507,461.6 8,087,259.4
国内（正味） 4,324,120.6 4,814,120.1 5,396,301.4 5,714,288.0 6,203,635.4
国外（正味） 1,138,472.6 1,416,444.3 1,796,707.5 1,793,173.6 1,883,624.0
(B) 公的部門年次歳入合
計 3,983,056.1 4,266,989.5 4,845,530.3 4,947,608.4 5,115,111.1
(A)/(B) （％） 137.15 ％ 146.02 ％ 148.45 ％ 151.74 ％ 158.11 ％
出典： 財務省
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⑧ 格付動向
2016年３月31日、ムーディーズ・インベスターズ・サービス（以下「ムーディーズ」という。）はメキ
シコのソブリン格付を「A3」に据え置いたが、アウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変更し
た。
2016年８月23日、スタンダード・アンド・プアーズ（以下「S&P」という。）は、メキシコのソブリン格
付を「BBB+」に据え置いたが、アウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。
2016年12月９日、フィッチ・レーティングス（以下「フィッチ」という。）は、メキシコのソブリン格
付を「BBB+」に据え置いたが、アウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。同社は、この
格付はメキシコの多角的な経済基盤ならびにマクロ経済上の安定および不均衡の抑制を定着させた秩序あ
る経済政策の実績によるものであると述べた。
2018年３月２日、S&Pは、外貨建債の格付を「BBB+/A-2」に、また自国通貨建債の格付を「A-/A-2」に据
え置き、アウトルックを「安定的」に維持した。
2018年３月16日、フィッチは、メキシコの長期ソブリン格付を「BBB+」に、また短期格付を「F2」に据
え置き、アウトルックを「安定的」に維持した。
2018年４月11日、ムーディーズは、メキシコのソブリン格付を「A3」に据え置いたが、長期ソブリン格
付のアウトルックを「ネガティブ」から「安定的」に変更した。
2018年11月１日、フィッチは、メキシコのソブリン格付を「BBB+」に据え置いたが、長期ソブリン格付
にかかるアウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。2019年３月１日、S&Pは、メキシコの
外貨建債の格付を「BBB+/A-2」に、また自国通貨建債の格付を「A-/A-2」に据え置いたが、アウトルック
を「安定的」から「ネガティブ」に変更した。
2019年６月５日、ムーディーズはメキシコのソブリン格付を「A3」に据え置いたが、長期ソブリン格付
にかかるアウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。
2019年６月５日、フィッチは、メキシコのソブリン格付を「BBB+」から「BBB」に格下げし、長期ソブリ
ン格付にかかるアウトルックを「ネガティブ」から「安定的」に変更した。
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(1)
公的部門対外債務合計の償還スケジュール
2018 年
12月31日
現在残高
(2)
2019 年 2020 年 2021 年 2022 年 2023 年 2024 年 2025 年 2026 年 2027 年 2028 年 2029 年 2030 年 2031 年 2032 年 それ以降 合計
（ 単位：百万米ドル）
A. 民間の債権
(3)
者 165,971 10,904 9,979 10,526 12,248 14,300 6,680 8,729 10,399 11,544 8,697 4,726 278 3,195 309 53,458 165,971
資本市場
（債券） 165,971 6,816 6,933 10,375 12,100 12,800 6,561 8,729 10,281 11,417 8,562 4,582 124 3,111 279 53,352 155,908
商業銀行 10,064 10,375 3,046 151 148 1,500 120 112 119 127 135 144 154 84 30 107 10,064
直接 5,604 4,088 663 63 54 801 15 - - - - - - - - - 5,604
シンジ
ケート 4,460 79 2,384 88 94 699 105 112 119 127 135 144 154 84 30 107 4,460
B. 多国間債権
者 30,215 879 855 2,819 1,138 2,368 2,105 4,360 2,326 2,897 3,531 2,196 2,250 377 1,117 995 30,215
IADB 15,452 625 13 877 691 1,280 1,308 2,388 708 560 1,758 1,378 1,754 326 378 807 15,452
世界銀行 14,763 254 243 1,942 447 1,088 797 1,972 1,617 2,337 1,773 818 497 51 740 189 14,763
C. 対外貿易 5,894 1,170 816 917 778 376 359 295 151 482 122 92 62 42 106 128 5,894
輸出入銀行 3,294 436 279 519 482 173 162 146 126 457 97 80 62 42 106 128 3,294
(4)
商業銀行 2,447 672 504 274 274 199 196 149 25 25 25 13 0 0 0 0 2,447
サプライ
ヤー 153 62 33 22 22 ▶ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 153
(5)
275 275 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 275
D. その他
202,355 13,227 11,650 14,262 14,165 17,044 9,145 13,384 12,875 14,923 12,350 7,014 2,590 3,614 1,532 54,582 202,355
公的部門合計
注： 四捨五入のため合計は一致しないことがある。
(1) メキシコの対外債務は、本表においては「総額」ベースで表示され、券面残高または額面総額による公
的部門の対外債務を含んでいる。一定の情報提供および統計上の目的から、メキシコは時に公的部門対
外債務を、海外において保有する一定の金融資産を控除した総債務として算出する「純額」ベースまた
は「経済的」ベースで報告することがある。かかる金融資産には、再編された債務および公的部門の事
業体が保有しているが未消却のメキシコの公的部門対外債務の元本および利息担保の価額が含まれる。
本表における対外公債には、(a)IMFに対するメキシコ中央銀行の買戻し債務（2017年12月31日現在残高
なし。）、(b)2017年12月31日より後の公的部門による対外借入、または(c)メキシコの民間部門の銀行
に対するコモディティ・クレジット・コーポレーションからの貸付は含まれない。メキシコは本表を半
年ごと（６月および12月）にのみ更新しているため、「(6) 公債」に含まれるデータが本表に反映され
ていないことがある。
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(2) 暫定値。
(3) 対外貿易および再編された債務を除く。
(4) 対外貿易与信枠、リボルビング・クレジットおよびその他の短期与信を含む。
(5) 特定のPIDIREGAS関連の直接債務の増減を示す。
出典： 財務省
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⑨ 債務不履行の有無
1910年の革命より前に負担した債務について1946年にリスケジュールが行われた後、メキシコはその対
外債務のいずれについても元金または利金の支払に不履行はなかった。
⑩ IMFクレジット・ライン
中南米における1980年代の債務危機以降、IMFはメキシコ経済を守るためにメキシコと連携してきた。
2009年、メキシコは他国に先駆けてIMFの予防的クレジット・ライン・プログラムである、フレキシブル・
クレジット・ライン（以下「FCL」という。）を利用した。FCLにより、強力な政策的枠組みと経済の実績
をもつ国々は潜在的なあるいは現実の国際収支圧力に直面した時にIMFからの支援および借入を求めること
が認められている。メキシコは、2009年以降IMFとの間でFCLの取決めを結んでいる。
2018年11月26日、IMF理事会は、FCLに基づく取決めにかかるメキシコの適格性の審査を終了し、メキシ
コが引続きFCL財源利用に適格であることを再確認した。メキシコが前年に示した意向に沿った、メキシコ
当局によるFCL取決めに基づく財源利用の減額要請に従って、理事会は53.4762十億SDR（約74十億米ドル）
のFCL財源利用を承認した。メキシコ当局は、引続き取決めを 予防策として扱う意向を表明した。
⑪ 最近の対外有価証券発行
メキシコは、債務証券の追加募集を随時行っており、またその債務残高の構成を管理するために公開買
付、公開市場における買入れおよび期限前償還を含む様々な取引に随時関与している。
過去20年間に、メキシコは、その債務残高総額を減らすため定期的な通常の負債管理取引を行ってき
た。
2018年１月３日、メキシコは、2028年満期3.750％グローバル・ノート2.6十億米ドルおよび2048年満期
4.600％グローバル・ノート0.6十億米ドルを発行した。それと同時に、政府は、公開買付を実施し、これ
に従ってメキシコは2018年１月３日付の買入れ申込に掲げたシリーズの未償還額について現金での買入れ
を申入れ、これに従ってメキシコは下表に掲げるノートを買入れた。公開買付の結果の概要は以下のとお
りである。
公開買付において
旧債券のシリーズ 買戻された未償還額 公開買付後の未償還額
2021 年満期3.500％ グローバル・ノート
67,416,000 米ドル 1,276,255,000 米ドル
2022 年満期3.625％ グローバル・ノート
256,180,000 米ドル 2,215,426,000 米ドル
2023 年満期4.000％ グローバル・ノート
165,052,000 米ドル 3,284,876,000 米ドル
2025 年満期3.600％ グローバル・ノート
19,299,000 米ドル 2,453,564,000 米ドル
2026 年満期4.125％ グローバル・ノート
66,279,000 米ドル 2,729,721,000 米ドル
2018年１月９日、メキシコは、2028年満期1.750％のグローバル・ノート1.5十億ユーロを発行した。
2018年４月12日、メキシコは、2023年満期（利率0.60％）、2025年満期（利率0.85％）、2028年満期
（利率1.05％）および2038年満期（利率2.00％）の４本のグローバル・ノート135十億円を発行した。
2019年１月16日、メキシコは、2029年満期4.500％グローバル・ノート2.0十億米ドルを発行した。
2019年４月１日、メキシコは、2026年満期1.625％グローバル・ノート1.5十億ユーロおよび2039年満期
2.875％グローバル・ノート1.0十億ユーロを発行した。
⑫ 政府公債に関する表および補足情報
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A. 政府の直接債務
表Ⅰ 2018年12月31日現在の短期対内債務
（ペソ払い）
償却または
銘柄 利率 満期日 未償還元本額 減債基金条項
（単位：十億ペソ）
政府短期証券（ Cetes ） 各種 各種 734.5 なし
225.7
その他 各種 各種 なし
508.8
短期対内債務合計
表Ⅱ 2018年12月31日現在の長期対内債務
（ペソ払い）
償却または
銘柄 利率 満期日 未償還元本額 減債基金条項
（単位：十億ペソ）
固定利付債券 固定 各種 2,890.3 なし
開発債券（D債券） 各種 各種 548.2 なし
UDI 建開発債券（UDI債） 各種 各種 1,656.0 なし
UDI 債の元本分離債 各種 各種 7.9 なし
退職貯蓄制度基金（SAR） 各種 各種 136.0 なし
(1)
456.4
その他 各種 各種 なし
5,694.9
長期対内債務合計
(1) ISSSTE法に基づく社会保障関連の負債145.1十億ペソを含む。「(2) 経済－⑥ 社会保障制度」を参照の
こと。
表Ⅲ 2018年12月31日現在の正味対内債務
（ペソ払い）
償却または
銘柄 利率 満期日 未償還元本額 減債基金条項
（単位：十億ペソ）
短期対内債務合計
508.8
5,694.9
長期対内債務合計
6,203.6
正味対内債務合計
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表Ⅳ 2018年12月31日現在の長期対外債務
2018 年12月31日現在の発行済債券
発行 未償還
利率
(1)
銘柄 （％） 年月 満期 通貨 当初元本額 元本額 摘要
（単位：千通貨単位）
2026 年満期11.50％
1996 年５ 2026 年５
グローバル・ボンド 11.5 月 月 米ドル 1,750,000 320,945
2001 年３ 2019 年12
2019 年満期ノート 8.125 月 月 米ドル 3,300,000 1,343,671
2001 年８ 2031 年８
2031 年満期ノート 8.3 月 月 米ドル 1,500,000 534,482
2001 年12 2031 年８
2031 年満期ノート 8.3 月 月 米ドル 1,000,000 356,321
2002 年９ 2022 年９
2022 年満期ノート 8.0 月 月 米ドル 1,750,000 611,193
2002 年12 2031 年８
2031 年満期ノート 8.3 月 月 米ドル 750,000 267,241
2003 年４ 2033 年４
2033 年満期ノート 7.5 月 月 米ドル 1,000,000 257,575
2004 年１ 2024 年２
2024 年満期ノート 6.75 月 月 英ポンド 500,000 476,526
2004 年４ 2033 年４
2033 年満期ノート 7.5 月 月 米ドル 2,056,822 529,786
2004 年９ 2034 年９
2034 年満期ノート 6.75 月 月 米ドル 1,500,000 635,187
2004 年11 2020 年２
2020 年満期ノート 5.5 月 月 ユーロ 750,000 398,988
2007 年１ 2034 年９
2034 年満期ノート 6.75 月 月 米ドル 2,266,566 959,796
2007 年９ 2034 年９
2034 年満期ノート 6.75 月 月 米ドル 500,000 211,729
2008 年１ 2040 年１
2040 年満期ノート 6.055 月 月 米ドル 1,500,000 1,170,832
2008 年12 2019 年３
2019 年満期ノート 5.95 月 月 米ドル 2,000,000 0
2009 年９ 2019 年３
2019 年満期ノート 5.95 月 月 米ドル 1,000,000 0
2009 年９ 2040 年１
2040 年満期ノート 6.055 月 月 米ドル 750,000 585,416
2009 年12 2019 年12
2019 年満期ノート 2.22 月 月 日本円 150,000,000 150,000,000
2010 年１ 2020 年１
2020 年満期ノート 5.125 月 月 米ドル 1,000,000 0
2010 年３ 2020 年１
2020 年満期ノート 5.125 月 月 米ドル 1,000,000 0
2010 年４ 2040 年１
2040 年満期ノート 6.055 月 月 米ドル 1,000,000 780,555
2010 年10 2110 年10
2110 年満期ノート 5.75 月 月 米ドル 1,000,000 1,000,000
2010 年10 2020 年10
2020 年満期ノート 1.51 月 月 日本円 150,000,000 150,000,000
2011 年２ 2020 年１
2020 年満期ノート 5.125 月 月 米ドル 1,000,000 0
2011 年４ 2040 年１
2040 年満期ノート 6.055 月 月 米ドル 1,000,000 780,555
2011 年８ 2110 年10
2110 年満期ノート 5.75 月 月 米ドル 1,000,000 1,000,000
2012 年１ 2022 年３ 1,731,306
2022 年満期ノート 3.625 月 月 米ドル 2,000,000
2012 年３ 2044 年３ 1,942,196
2044 年満期ノート 4.75 月 月 米ドル 2,000,000
2012 年８ 2110 年10 677,994
2110 年満期ノート 5.75 月 月 米ドル 677,994
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2012 年８ 2022 年３ 484,120
2022 年満期ノート 3.625 月 月 米ドル 559,254
2012 年８ 2044 年３ 935,482
2044 年満期ノート 4.75 月 月 米ドル 963,324
2013 年１ 2044 年３ 1,456,647
2044 年満期ノート 4.75 月 月 米ドル 1,500,000
2013 年４ 2023 年４
2023 年満期ノート 2.75 月 月 ユーロ 1,600,000 1,600,000
2013 年８ 2018 年８
2018 年満期ノート 1.39 月 月 日本円 15,000,000 0
2013 年８ 2019 年８
2019 年満期ノート 1.54 月 月 日本円 17,000,000 17,000,000
2013 年10 2023 年10 3,284,876
2023 年満期ノート 4.0 月 月 米ドル 3,900,000
2014 年１ 2021 年１
2021 年満期ノート 3.5 月 月 米ドル 1,000,000 932,584
2014 年１ 2045 年１ 2,985,000
2045 年満期ノート 5.55 月 月 米ドル 3,000,000
2014 年３ 2114 年３
2114 年満期ノート 5.625 月 月 英ポンド 1,000,000 1,000,000
2014 年４ 2021 年４
2021 年満期ノート 2.375 月 月 ユーロ 1,000,000 1,000,000
2014 年４ 2029 年４
2029 年満期ノート 3.625 月 月 ユーロ 1,000,000 1,000,000
2014 年７ 2019 年７
2019 年満期ノート 0.8 月 月 日本円 33,800,000 33,800,000
2014 年７ 2024 年７
2024 年満期ノート 1.44 月 月 日本円 13,900,000 13,900,000
2014 年７ 2034 年７
2034 年満期ノート 2.57 月 月 日本円 12,300,000 12,300,000
2014 年11 2025 年１ 2,453,564
2025 年満期ノート 3.60 月 月 米ドル 3,000,000
2015 年１ 2046 年１
2046 年満期ノート 4.60 月 月 米ドル 3,000,000 2,960,001
2015 年３ 2024 年３
2024 年満期ノート 1.625 月 月 ユーロ 1,250,000 1,250,000
2015 年３ 2045 年３
2045 年満期ノート 3.00 月 月 ユーロ 1,250,000 1,250,000
2015 年４ 2115 年３
2115 年満期ノート 4.00 月 月 ユーロ 1,500,000 1,500,000
2016 年１ 2026 年１
2026 年満期ノート 4.125 月 月 米ドル 2,250,000 2,040,489
2016 年８ 2026 年１
2026 年満期ノート 4.125 月 月 米ドル 760,000 689,232
2016 年２ 2022 年２
2022 年満期ノート 1.875 月 月 ユーロ 1,500,000 1,500,000
2016 年２ 2031 年２
2031 年満期ノート 3.375 月 月 ユーロ 1,000,000 1,700,000
2016 年６ 2019 年６
2019 年満期ノート 0.400 月 月 日本円 45,900,000 45,900,000
2016 年６ 2021 年６
2021 年満期ノート 0.700 月 月 日本円 50,900,000 50,900,000
2016 年６ 2026 年６
2026 年満期ノート 1.090 月 月 日本円 16,300,000 16,300,000
2016 年６ 2036 年６
2036 年満期ノート 2.400 月 月 日本円 21,900,000 21,900,000
2016 年８ 2047 年１
2047 年満期ノート 4.350 月 月 米ドル 2,000,000 2,000,000
2016 年10 2025 年１
2025 年満期ノート 1.375 月 月 ユーロ 1,200,000 1,200,000
2017 年３ 2027 年３
2027 年満期ノート 4.150 月 月 米ドル 3,150,415 3,150,415
2017 年10 2048 年２
2048 年満期ノート 4.600 月 月 米ドル 1,880,000 1,880,000
2018 年１ 2028 年１ 2,555,196 2,555,196
2028 年満期ノート 3.750 月 月 米ドル
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2018 年１ 2048 年２ 645,274 645,274
2048 年満期ノート 4.600 月 月 米ドル
2018 年１ 2028 年４ 1,500,000 1,500,000
2028 年満期ノート 1.750 月 月 ユーロ
2018 年４ 2023 年４ 57,200,000 57,200,000
2023 年満期ノート 0.600 月 月 日本円
2018 年４ 2025 年４ 24,100,000 24,100,000
2025 年満期ノート 0.850 月 月 日本円
2018 年４ 2028 年４ 38,700,000 38,700,000
2028 年満期ノート 1.050 月 月 日本円
2018 年４ 2038 年４ 15,000,000 15,000,000
2038 年満期ノート 2.000 月 月 日本円
2018 年12月31日現在の多国間機関からの借入
未償還
発行
(1) (2)
銘柄 利率（％） 年月 満期 通貨 元本額 摘要
（単位：
千米ドル）
世界銀行およ 0.25 ％から
びIADBからの 5.425％の範囲の
借入 固定および一部変 C$ 、SDR、USD、
動 各種 各種 ユーロ 26,089,686 (3)(4)
2018 年12月31日現在の二国間機関からの借入
未償還
利率
(1)
銘柄 （％） 発行年月 満期 通貨 当初元本額 元本額 摘要
（単位：千米ドル）
各種 各種 1995 年12月 各種 米ドル、ユー 2,850,614 1,906,212
ロ
長期対外債務合
95,788,890
計 (5)
(1) 通貨の定義は以下のとおりである： C$（カナダ・ドル）、イタリア・リラ（イタリア・リラ）、英ポンド
（英ポンド）、SDR（特別引出権）、USD（米ドル）、円（日本円）およびユーロ（ユーロ）。
(2) 取引の再開および負債管理取引を含む。
(3) ローンまたは有価証券を満期までに消却するために算出される、半年、四半期または月々の償却。
(4) これらの借入のうち24,922,000米ドルについては、連邦政府の財務代理機関としての資格において行為する
BANOBRAS（0米ドル）、BANCOMEXT（0米ドル）、NAFIN（1,483,000米ドル）および連邦住宅公社（ Sociedad
Hipotecaria Federal ）（23,439,000米ドル）が直接の債務者となっており、連邦政府は、残り
（26,064,764,000米ドル）について直接の債務者となっている。これらの借入のうち連邦政府が直接の債務者
となっていない部分の未償還残高は、本表の合計には含まれておらず、表Ⅴに含まれている。
(5) この合計は米ドルで表示されており、いくつかの項目が他の通貨で表示されているため、全項目の合計とは異
なる。
B. 予算管理対象機関の債務およびその他の公的部門の対外債務
表Ⅴ 2018年12月31日現在の予算管理対象機関の対外債務
（外貨払い）
当初満期が１年未満の金額の
借入人 未償還元本額の米ドル相当額 米ドル相当額
（単位：百万米ドル）
CFE 6,231.6 -
88,459.6 -
ペメックス
94,691.2 -
予算管理対象機関の対外債務合計
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(1)
表Ⅵ 2018年12月31日現在のその他の公的部門対外債務
（外貨払い）
当初満期が１年未満の
借入人 未償還元本額の米ドル相当額 金額の米ドル相当額
（単位：百万米ドル）
金融部門 11,875.2 3,850.7
NAFIN 4,059.6 2,500.7
BANOBRAS 1,455.6 -
BANCOMEXT 3,670.8 1,350.0
SHF 1,642.4 -
農村金融（Financiera Nacional） 994.5 -
BANSEFI 52.3 -
(1) この表には、国立の開発銀行および一部の商業銀行の債務で、メキシコが保証しているもの、ならびに公債管
理局（ Dirección de Deuda Pública ）に登録されているその他の公的部門債務が含まれるが、その財政が政府
の予算に含まれない事業体の債務は含んでいない。また、民間部門の債務で政府またはその他公的部門の事業
体が保証するものは、政府がかかる保証に基づく支払の請求を受けるまでは公的部門対外債務とはみなさな
い。
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(7) 【その他】
該当事項なし。
２【発行者が地方公共団体である場合】
該当事項なし。
３【発行者が国際機関又は政府関係機関等である場合】
該当事項なし。
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