新韓銀行 有価証券報告書
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新韓銀行(E26225)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2019 年6月27日
【事業年度】 自 2018年1月1日 至 2018年12月31日
【会社名】 新韓銀行
(Shinhan Bank)
【代表者の役職氏名】 銀行長兼最高経営責任者 晉 玉童
( Ok Dong Jin , President and Chief Executive Officer)
【本店の所在の場所】 大韓民国ソウル特別市中区世宗大路9道20
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 島崎文彰
【代理人の住所又は所在地】 東京都文京区後楽二丁目3番27号 テラル後楽ビル2階
島崎法律事務所
【電話番号】 (03) 5802-5860
【事務連絡者氏名】 弁護士 島崎文彰
【連絡場所】 東京都文京区後楽二丁目3番27号 テラル後楽ビル2階
島崎法律事務所
(03) 5802-5860
【電話番号】
【縦覧に供する場所】 該当事項なし
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( 注)1.本有価証券報告書(以下「本書」ということがある。)において別段の記載がある場合を除き、下記の語の意
味はそれぞれ対置された内容を指すものとする。
「発行会社」または「当行」 文脈上別段に解釈すべき場合を除き、新韓銀行およびそ
の子会社
「韓国」 大韓民国
「政府」または「韓国政府」 大韓民国政府
2.別段の記載がある場合を除き、本書に記載の「ウォン」は韓国ウォンをいい、「円」は日本の通貨をいう。
2019年4月15日現在の 東京の主要銀行 の 対顧客電信直物売買為替相場の仲値は、100ウォン=9.88円であっ
た。
3.当行の事業年度は暦年である。
4.本書において表中の数字が四捨五入されている場合、合計は計数の総和と必ずしも一致しない。
5.将来予測に関する記述
本書に 含まれる一定の 記載は、発行会社の将来の業績および事業見通しについての期待および予測に関する
記述を含む「将来予測に関する記載」を構成している。「信じている」、「期待している」、「予想してい
る」、「見積もっている」、「予測している」、「~であろう」、「~つもりである」、「~となりそうであ
る」、「引続き~であろう」、「意図している」、「計画している」、「企図している」、「求めている」、
「将来」、「目的」、「目標」、「~するべきである」、「追求するであろう」といった用語ならびに類似の
表現またはこれらの表現の変形は、将来予測に関する記載を示すものとして用いられている。さらに、本書に
記載される歴史的事実についての記述を除くすべての記載(発行会社の商品およびサービスに関する開発計画
および目標を含む発行会社の財政状態および業績、事業戦略、将来の事業に係る経営計画および目標を含む
が、これらに限定されない。)は将来予測に関する記載である。かかる将来予測に関する記載および本書に記
述されるその他の予測(発行会社によりなされたか第三者によるものかを問わない。)は、将来予測に関する
記載により表明または示唆される将来の結果、業績または成果とは著しく異なる実際の結果、業績または成果
をもたらす可能性のある既知および未知のリスク、不確実性ならびにその他の要因に関わっている。かかる将
来予測に関する記載は、発行会社の現在および将来の事業戦略ならびに発行会社が将来行う事業環境に関する
現在の確信、仮定、期待、見積りおよび予測に基づいている。これらの仮定の一部もしくは全部を阻害し、ま
たは将来予測に関する記述とは著しく異なる発行会社の実際の結果、業績もしくは成果をもたらす可能性のあ
る重要な要因の中には、とりわけ、下記の事項が含まれている。
・韓国および世界の経済停滞による悪影響のリスク
・発行会社がその事業戦略を首尾よく実行しうる能力
・消費者の信認および支出の変化を含む韓国、アジアまたは世界の経済の状況および変化
・不良債権の将来の水準
・発行会社が事業戦略を首尾良く成し遂げられるかどうかを含む発行会社の成長および拡大
・金利の変動や政府規制ならびに韓国および発行会社が事業を行うその他の法域における発行会社の事業免
許の変更
・金融サービス業界における競争
発行会社の実際の結果、業績または成果を著しく異なるものにさせることがありうる追加的な要因には、
「第一部 第3-2 事業等のリスク」において記載されるものを含むが、これらに限られない。なお、本書に
含まれる将来予測に関する記載は、本書提出日現在においてのみ有効なものとして述べられている。
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6.本書に記載されるすべての財務情報は、別段の記載がない限り韓国採択国際会計基準(以下「韓国IFRS」と
いう。)ならびに適用ある場合には銀行業に適用される韓国の会計基準に基づく会計および報告ガイドライン
に準拠した連結ベースで表示されている。個々の借り手、借り手のグループもしくは区分または産業別、地域
別、規模その他による分類に関する本書の財務およびその他の情報(貸出金、信用、総エクスポージャー、引
当金、担保価値、不良債権およびその他の事項についての情報を含む。)は、専ら当行の内部管理情報システ
ムから得られている。
韓国の1950年銀行法 (その後の改正を含む。)(以下「銀行法」という。)に基づき、韓国の銀行が信託を
受けた資産は当該銀行勘定のその他の資産と分別されなければならない。したがって、当行を含め、銀行業お
よび信託業に従事する銀行は、そのそれぞれの銀行業および信託業の詳細を示す、銀行勘定および信託勘定の
2つ別個の勘定および2つの独立した会計記録を維持しなければならない。別段の記載のない限り、当行に関
する本書に記載されるすべての財務情報は当行の銀行勘定のみに関して表示されている。
7.別段の記載のない限り、本書記載の財務書類または添付の監査報告書の解釈に相違が生じた場合は、監督官
庁への報告のために用いられる韓国語版が優先する。
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第一部【企業情報】
第1【本国における法制等の概要】
1【会社制度等の概要】
(1)【提出会社の属する国・州等における会社制度】
当行を規律する法制度は、韓国の商法(以下「商法」という。)である。以下は、商法の規定に基づいて
設立された株式会社(当行を含む。)に適用される商法の主要な規定の概略である。
(a)設立
株式会社の設立については、次のような基本的な要件がある。
(ⅰ) 1人以上の発起人が必要である。自然人だけでなく法人も発起人になることができる。各発起人は、
1株以上の株式を引受けて株式会社に出資しなければならない。
(ⅱ) 発起人は、定款を作成して全員が記名および捺印または署名しなければならない。
(ⅲ) 定款を作成し、株主を確定してから払込金が受領される。株式会社を設立する方法としては、発起設
立と募集設立の2つの方法があるが、前者は、発起人だけが発行株式を全額引受ける方法であり、後
者は、発起人と発起人でない者が共に株式を引受ける方法である。
(ⅳ) 株式会社は、設立登記によって成立する。株式会社設立の無効は、当該会社の株主、取締役または監
査役による設立日から2年以内の訴訟によってのみこれを主張することができる。
商法に規定された定款の効力の必要条件として必要な記載事項が欠如していたり、かかる事項について違
法な規定が含まれるときは、定款は無効となる。定款の必要な記載事項は、(ⅰ)目的、(ⅱ)商号、
(ⅲ)株式会社が発行する株式の総数、(ⅳ)額面株式が発行される場合は1株の額面金額、(ⅴ)株式会
社の設立に際して発行する株式数、(ⅵ)本店の所在地、(ⅶ)公告の方法ならびに(ⅷ)発起人の氏名、
住民登録番号および住所である。
(b)株式
株式会社の資本は、これを株式に分割しなければならず、1株の額面金額は、100ウォン以上で均一にしな
ければならない。無額面株式の発行は定款でその旨を定める場合は商法上認められる。この場合、かかる会
社は額面株式を発行することができない。商法の規定に基づき、株式会社は、定款の定めによって株式の譲
渡に取締役会の承認を要求することができる。譲渡は株券の交付によって行われる。
(c)株主および株主総会
株主の責任は、当該株主の有する株式の引受額を限度とする。株主は、法律や定款に別段の定めがない限
り、当該株主の有する株式の数に応じて新株の割当を受ける権利がある。
株主総会は、法律および定款に定められた事項を決議する株式会社の最高意思決定機関である。株主総会
は、定時株主総会と臨時株主総会からなる。定時株主総会は、毎年1回一定の時期に招集しなければなら
ず、年2回以上の決算期を有する株式会社は、毎期に定時株主総会を招集しなければならない。臨時株主総
会は、必要に応じて随時招集することができる。株主総会の招集は、原則として取締役会がこれを決定す
る。ただし、議決権のない株式および自己株式を除いた発行済株式総数の100分の3以上にあたる株式を有す
る株主は臨時株主総会の招集を取締役会に請求することができ、もしも取締役会がこれに応じないときは、
裁判所の許可を得て総会を直接招集することができる。
株主は、直接株主総会に出席して議決権を行使したり、または代理人にその議決権を行使させることがで
きる。議決権は、原則として1株につき1個が与えられる。ただし、株式会社が異なる種類の株式を発行す
る場合においては、利益の配当に関して優先的内容を有する優先株式については、定款の規定をもって議決
権がないものとすることができる。また、株式会社が自己の株式を有する場合およびその他一定の例外的な
場合は、株式には議決権がない。
(d)取締役、取締役会および監査役
取締役は、株主総会で選任し、3人以上でなければならない(ただし、資本の額面金額の総額が1十億
ウォン未満の株式会社については1名または2名の取締役で足りる。)。取締役会は、株式会社の業務執行
に関する意思決定のために取締役全員で構成される株式会社の必要な機関である。取締役会の決議は、在任
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取締役の過半数の出席と出席取締役の過半数の賛成により行わなければならないが、定款でこの比率を高め
ることができる。株式会社は、取締役会の決議により取締役の中から株式会社を代表する代表取締役を選任
し なければならない。ただし、定款をもって株主総会でこれを選任する旨定めることができる。
株式会社の業務監査のために、監査役が設置される(ただし、資本の額面金額の総額が1十億ウォン未満
の株式会社については監査役を設置しなくてもよい。)。監査役は株主総会で選任される。監査役の選任に
おいて、無議決権株式を除いた発行済株式総数の3%を超過する数の株式を有する株主は、その3%を超過
する株式については、議決権を行使することができない。監査役は、取締役の業務執行を監査する。株式会
社は、定款に従い監査役に代えて監査委員会を設置することができるが、この場合は監査役を置くことはで
きない。
(e)財務情報の開示
商法に基づき、取締役は、毎決算期に貸借対照表、損益計算書、資本変動計算書、キャッシュ・フロー計
算書、利益剰余金処分計算書(または欠損金処理計算書)および財務書類注記ならびにそれらの附属明細書
(これらを総称して、以下「財務諸表」という。)ならびに事業報告書を取締役会の承認を得るために作成
しなければならない。取締役は、定時株主総会の会日の6週間前にこれらの書類を監査役に提出し、監査役
は当該書類の受領後4週間以内に監査報告書を取締役に提出する必要がある。取締役は、定時株主総会の会
日の1週間前からかかる書類および監査報告書を本店に5年間、支店に3年間備え置き、これらの備置書類
を株主および会社の債権者の閲覧に供することが要求されている。財務諸表は定時株主総会に株主の承認を
求めるために提出され、また事業報告書は当該総会に提出され、その内容が報告されなければならない。上
記にかかわらず、一定の要件を満たす場合には、取締役は財務諸表のそれぞれを取締役会に提出して承認を
得なければならない。取締役会で承認された後、取締役は財務諸表の内容を定時株主総会で報告しなければ
ならない。財務諸表が定時株主総会の承認を得られると、取締役は遅滞なく貸借対照表を公告しなければな
らない。
株式会社の外部監査に関する法律に従い、( ⅰ) 直前の会計年度末時点で 資産合計額または売上高合計額が
50十億ウォン以上の株式会社、(ⅱ)上場しているかもしくは当会計年度もしくは翌会計年度に上場予定の株
式会社、または(ⅲ)直前の会計年度末時点で、(A)資産合計額が12十億ウォン未満である株式会社、(B)負債
合計額が7十億ウォン未満である株式会社、(C)売上高合計額が10十億ウォン未満である株式会社、および
(D)従業員数が100人未満である株式会社、のうち3つ以上に該当しない株式会社は、その財務諸表について
独立監査人の会計監査を受けなければならない。 また、韓国の資本市場を規制するいくつかの法律(証券取
引法を含む。)を統合した金融投資サービスおよび資本市場法(以下「FSCMA」といい、2009年2月4日付で
施行された。一方、同日付で証券取引法は廃止された。)、同施行令および金融委員会(以下「FSC」とい
う。)の規則に基づき、韓国証券取引所に株式または社債を上場している株式会社は、(ⅰ)年次報告書(監
査済個別財務書類および監査済連結財務書類を含む。)を会計年度末から90日以内に(ただし、資産合計額
が2兆ウォン以下でかつ株式会社の外部監査に関する法律 施行令 に基づき国際会計基準を採用していない会
社の場合、提出期限の延長が認められる。)、ならびに(ⅱ)各会計年度の期初からそれぞれ3ヵ月間、6ヵ
月間および9ヵ月間にかかる中間報告書を各期間末から45暦日以内に(ただし、例外として、連結財務書類
を使用して中間報告書を作成することを採用してから1年目および2年目の事業年度に限り、各期間末から
60日以内に中間報告書を提出することができる。)、FSCおよび韓国証券取引所に対して提出しなければなら
ない。かかる報告書の写しは、FSCおよび韓国証券取引所において公衆の閲覧に供される。
(2)【提出会社の定款等に規定する制度】
下記は、株式、機関および会計に関する当行の定款(以下「当行定款」という。)における一般規定の要
約である。
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(a)株式
当行の授権株式の総数は20億株であり、額面金額は5,000ウォンである。当行は、普通株式および優先株式
を記名式で発行することができる。新株の発行は株主総会の決議により決定される。優先株式は議決権を有
さず、優先株式数は、発行済株式総数の25%を超過してはならない。
株主は、当行が発行する新株を、その持分に比例して引受ける新株引受権を有する。ただし、当行は、以
下の場合に株主総会の決議により既存の株主以外の者に新株を割当てることができる。
(i) FSCMAの規定に従って新株を募集するかまたは引受人に引受させる場合
(ⅱ) FSCMAの規定に従って従業員持株組合員に新株を優先的に配分する場合
(ⅲ)FSCMAの規定に従って預託証券の発行のために新株を発行する場合
(ⅳ) 政府または韓国預金保険公社(「KDIC」)の出資に係る新株を発行する場合
(ⅴ) 先進金融技術の導入、当行の資金需要、当行の財務状況の改善または戦略的業務提携など経営上の必
要により外国人投資者、国内外金融機関または提携会社などから資本を調達するために新株を発行す
る場合
上記 (ⅲ)または(ⅴ)に基づいて発行される株式合計数は発行済株式総数の50%を超えることはできず、当該
株式の種類、数および発行価格は株主総会の決議により決定されなければならない。
(b)株主総会
当行の株主総会は、定時株主総会か臨時株主総会のいずれかである。定時株主総会は各会計年度末から
3ヵ月以内に招集されるものとし、臨時株主総会は必要な時にこれを招集することができる。法令に別段の
定めがある場合を除き、定時株主総会は、当行の取締役会(以下「当行取締役会」という。)の決議に従っ
て、当行の銀行長(以下「当行銀行長」という。)により招集される。株主総会の招集に際しては、適用あ
る法令に別段の定めがない限り、日時、場所および議題を記載する通知が、かかる総会の会日の少なくとも
2週間前に郵便または電磁的方法により発されなければならない。
各株主は、その所有する株式1株につき1個の議決権を有する。株主は、代理人により議決権を行使する
ことができる。
株主総会の招集を決議する取締役会において、書面による議決権行使を可能とする議案が可決された場合
には、株主は総会に出席せずに書面によって議決権を行使することができる。
株主総会のすべての決議は、適用ある法令に別段の定めがない限り、出席株主の過半数の賛成票(ただ
し、発行済株式総数の4分の1以上に相当しなければならない。)により可決されるものとする。
(c)取締役、取締役会、銀行長および監査委員会
当行は、5名以上11名以内の取締役を有する。社外取締役の数は3名以上で、取締役総数の50%超でなけ
ればならない。
取締役の任期は以下のとおりで、株主総会において決定され、再任されうる。下記の任期はその任期中の
最終決算期に関する定時株主総会の終結時まで延長することができる。
(ⅰ) 社外取締役:2年以内とし、社外取締役が再任される場合、当該社外取締役の再任後の任期は1年以
内に制限されるとともに、当行における在任期間が6年を超える継続的な再任は認められず、当行ま
たはその系列会社における在任期間が累計して9年を超えてはならない。
(ⅱ) 当行監査委員会(以下に定義する。)の常任委員を兼任する取締役:3年以内
(ⅲ) 上記(ⅰ)および(ⅱ)に該当しないその他の取締役:3年以内
取締役は株主総会で選任される。社外取締役は、役員候補推薦委員会の推薦を得て株主総会で選任され
る。
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当行取締役会は、取締役により構成され、四半期ごとに開催される定例取締役会および特別取締役会によ
り当行のすべての重要事項を決定することができる。当行取締役会は当行取締役会内に、監査委員会(以下
「当行監査委員会」という。)、リスク管理委員会、報酬委員会および役員候補推薦委員会を設置する。各
委員会の構成および運営に関する事項は当行取締役会の決議により定められる。
当行銀行長は持株会社および役員候補推薦委員会の推薦を経て、株主総会の決議により選任される。当行
銀行長は当行を代表し、当行取締役会で決定された事項を含む当行の一切の業務を執行する。
当行は、監査役を有する代わりに、3名以上の取締役からなり、1名の当行監査委員会常任委員を含む当
行監査委員会を設置する。当行監査委員会の少なくとも3分の2は社外取締役でなければならない。さらに
監査委員会の委員のうち少なくとも1名は関係法令に定められる会計または財務の専門家でなければならな
い。
当行監査委員会は、当行の会計および業務を検査する。当行監査委員会は株主総会に提出される議案およ
び書類に記載される事項を調査し、法令または定款に違反する事項が存在するか否かに関して株主総会にお
いてその意見を表明する。当行監査委員会は、その職務を遂行するに当たって当行取締役会に対し臨時株主
総会の招集を請求すること、ならびに当行の子会社から事業報告書を徴求することができる。当行監査委員
会は外部監査人を 選任し、また、外部監査人の解任を要請することができる。
(d)会計
当行の事業年度は、毎年1月1日に開始し、12月31日に終了する。
当行銀行長は、定時株主総会の会日の6週間前までに事業報告書ならびに連結および個別ベースの
(ⅰ)財政状態計算書、(ⅱ)包括利益計算書および(ⅲ)当行の財政状態および経営成績を示す、関係
法令により義務付けられるその他の書類、ならびにそれらの附属明細書からなる財務書類を当行監査委員
会に提出する。当行監査委員会は、上記の書類を受領した日から4週間以内に監査報告書を当行銀行長に
提出する。
(e)利益処分および分配
株主総会の決議により別段の決定がなされる場合を除き、当行は毎事業年度の処分前利益余剰金を以下の
通り処分する。(ⅰ)利益準備金(利益の10%以上)、(ⅱ)株主への配当、(ⅲ)配当平準化準備金、(ⅳ)役員
に対する賞与、(ⅴ)退職給付金、(ⅵ)その他準備金および(ⅶ)翌期への繰越し。
当行の配当は、毎会計年度末日現在の株主名簿に記載された株主または登録された質権者に分配される。
当行は、商法に従い当行取締役会決議により一定の日を定めてその日の株主に対して中間配当を支払うこと
ができる。ただし、中間配当は金銭により支払われる。
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2【外国為替管理制度】
外国為替取引法および大統領令ならびにこれらに基づく規則(以下「外国為替取引法」と総称する。)
は、非居住者による韓国の有価証券への投資および韓国の会社による韓国外での有価証券発行を規制してい
る。外貨建有価証券の元本総額が50,000,000米ドルを上回り、かつその期間が1年を超える場合、当行は、
かかる有価証券の非居住者に対する各発行について、韓国企画財政部(以下「企画財政部」という。)に報
告書を提出し、その承認を得なければならない。また、法人投資家のリスクヘッジ比率(新規外貨建てデリ
バティブ取引額と既存の外貨建てデリバティブ取引額との合計を、かかる取引によりヘッジされたポジショ
ンの価値で除したもの)は100%以下でなければならない。
一定の制限がある場合を除き、企画財政部は外国為替取引法のもとで以下の措置をとる権限を有する。
(ⅰ) 韓国政府が、戦争、武力衝突、自然災害または国内外の経済情勢の深刻かつ突発的で重大な変化また
はその他これに準ずる事由または状況を理由に必要とみなした場合、企画財政部は、外国為替取引法が
適用されるすべての外国為替取引に基づく手続の全部もしくは一部を一時的に停止し(外国為替の受払
いの停止を含む。)または支払手段を韓国銀行、外国為替平衡基金またはその他一定の政府機関または
金融会社等に預託し、その保護預りに付しまたは売却する義務を課することができる。
(ⅱ) 韓国政府が、国際収支および国際金融市場に深刻な混乱が生じているかまたは生ずる虞がある、または
韓国と他の諸国との間の資本移動が通貨政策、為替政策またはその他のマクロ経済政策に悪影響を及ぼ
す可能性が高いと判断した場合、企画財政部は、資本取引を行おうとする者に対して許可を取得するよ
う要求し、または資本取引を行った者に対してかかる取引により取得した支払手段の全部または一部を
韓国銀行、外国為替平衡基金またはその他の金融会社等に預託するよう要求する措置を講ずることがで
きる。
さらに、企画財政部はその裁量により、当行に対し、外貨建社債の発行にかかる報告書を受理するにあ
たって為替相場の変動を回避するために必要な措置を講ずるよう指示することができる。
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3【課税上の取扱い】
以下の概要は、本書の日付現在有効な韓国税法以外の法律について説明することを意図したものではな
い。以下の韓国の税務上の考慮事項の概要は、次のいずれにも該当しない場合、当行の社債の保有者に適用
される。
・ 韓国の居住者
・ 韓国内に所在する登録本店もしくは主要事務所を有する法人または韓国で有効な管理が行われている
法人
・ 関連所得がそれに帰せられるかまたは関連所得がそれに実質的な関連を有する恒久的施設または固定
的施設(以下「恒久的施設」という。)を通じて韓国国内における取引または事業に従事している者
韓国の居住者ではない個人または外国法人(以下「非居住者」という。)に対する課税は、当該非居住者
が、韓国国内に恒久的施設を有しているか否かにより異なる。韓国国内に恒久的施設を有しない非居住者に
対する課税については、以下に記載される。韓国国内に恒久的施設を有する非居住者に対する課税には、別
の規則が適用される。
韓国の租税特例制限法(以下「租税特例制限法」という。)では、当行が韓国外で発行し、非居住者が所
有する外貨建社債に係る利息および一定の手数料に対する個人所得税および法人所得税は免除される。韓国
の税当局は、韓国税法のもとでは、社債の償還に係る割増金は、一定の事実関係の下では利息収入とみなさ
れるべきであるとの公式見解を発表した。外貨建社債については、かかる社債が韓国外で発行された場合に
限り、その利息は課税対象とならない。
韓国税法のもとでは、韓国国内に恒久的施設を有しない非居住者による別の非居住者に対する社債の譲渡
(かかる非居住者の韓国国内の恒久的施設に対するものである場合を除く。)による所得は、韓国の課税対
象とはならない。さらに、韓国国外で行われた社債の譲渡により非居住者が得た所得も、かかる社債の発行
が租税特例制限法上の海外発行とみなされる場合には、租税特例制限法に基づき現在韓国の課税対象となっ
ていない。
将来の法律の変更により、租税特例制限法に定める免税が廃止された場合は、上記の利息の支払いには、
韓国の源泉徴収税が課せられる可能性がある。韓国と日本の間の所得税の二重課税回避および脱税防止に関
する条約(以下「日韓租税条約」という。)では、日本の居住者に対して当行が支払う利息および前述の追
加的な支払い(利息収入とみなされる場合。)には、10%を上限とする税率(地方所得税を含む。)で源泉
徴収税が課せられる。また、日韓租税条約によれば、社債の譲渡所得に係る租税は、譲渡人が居住する国に
おいてのみ課せられる。
日韓租税条約に基づく免除を受けるためには、非居住者である譲渡人は、譲渡代金の受領前に譲渡人の居
住国の管轄税当局により発行された居住に関する証明書を添付した免税申請書を提出しなければならない。
かかる申請書は、譲渡代金の最初の支払日の翌月の9日までに管轄税務署に提出しなければならない。ただ
し、かかる証明は、上記の租税特例制限法を含む韓国税法に基づく免除には適用されない。
利息およびキャピタルゲインといった一定の韓国源泉所得に対し租税条約に基づく軽減税率の恩恵を受け
る非居住者について、適用ある租税条約に基づき、韓国税法は、一定の例外が適用される場合を除き、かか
る非居住者に対し、かかる韓国源泉所得を受領する前に、租税条約に基づく軽減税率適用申請書をかかる韓
国源泉所得の支払者に提出することを義務付けている。韓国源泉所得が海外の投資ビークルを通じて非居住
者に支払われる場合、かかる投資ビークルは、かかる韓国源泉所得の実質所有者であるそれぞれの非居住者
から租税条約に基づく軽減税率適用申請書を受領し、かかる韓国源泉所得の支払者に、海外投資ビークル報
告書とともに提出しなければならない。海外投資ビークルとは、投資対象の取得、処分またはその他の方法
により、投資勧誘を通じて集めた資金を運用し、かかる運用の成果を投資家に分配する韓国外に設立された
組織を意味する。非居住者によって提出された租税条約に基づく軽減税率適用申請書はその提出日から3年
間有効であるが、かかる申請書の記載事項に重要な変更が生じた場合は、かかる変更を反映した申請書を新
たに提出しなければならない。
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相続税は、相続の発生時に被相続人が韓国の居住者であるか、または相続した資産が韓国に所在する場合
に課せられる。贈与税は、一般的に贈与時に受贈者が韓国の居住者である場合、または贈与された資産が韓
国に所在する場合に課せられる。相続税および贈与税は、相続財産または贈与財産の価値が一定の上限を超
えている場合に課せられ、その税率は、当事者に応じて10%から50%と様々である。とりわけ、相続財産ま
たは贈与財産の価値および当事者に応じて決定される。現時点において韓国は相続税および贈与税に関する
租税条約を締結していない。
韓国の相続税および贈与税を決定する際に、韓国において設立された法人が発行した社債は、その実際の
所在地または所有者にかかわらず、韓国国内に所在する財産とみなされる。
韓国において作成された一部の書類にかかる名目的な印紙税を除き、社債の発行に関し、韓国において社
債所持人により支払われるべき印紙税、発行税または登録税はない。社債の譲渡については有価証券取引税
は課されない。
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4【法律意見】
当行の韓国における法律顧問である法務法人律村(Yulchon LLC)により、大要、次の趣旨の法律意見書が
提出されている。
(a) 当行は、韓国法のもとで適法に設立され、有効に存続している法人である。
(b) 本書中の韓国法に関するすべての記述は、すべての重要な点で真実かつ正確である。
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第2【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
(1)
連結財務情報
(単位:別段の表示がない限り、百万ウォン)
12 月31日現在/12月31日終了年度
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
営業利益 1,797,396 1,733,726 1,958,978 2,205,714 3,164,686
(百万円) (177,583) (171,292) (193,547) (217,925) (312,671)
当期純利益 1,455,653 1,489,988 1,940,621 1,712,314 2,279,362
(百万円) (143,819) (147,211) (191,733) (169,177) (225,201)
総包括利益 1,396,780 1,197,961 1,717,969 1,496,581 2,333,266
(百万円) (138,002) (118,359) (169,735) (147,862) (230,527)
資本合計(純資産) 20,476,900 20,842,773 21,466,973 22,653,944 24,192,539
(百万円) (2,023,118) (2,059,266) (2,120,937) (2,238,210) (2,390,223)
資産合計 255,646,329 285,015,818 302,854,623 324,314,242 348,523,615
(百万円) (25,257,857) (28,159,563) (29,922,037) (32,042,247) (34,434,133)
1株当たり当期純利益(基本的)
857 903 1,195 1,061 1,421
(単位:ウォン)
(円) (85) (89) (118) (105) (140)
1株当たり当期純利益(希薄化
857 903 1,195 1,061 1,421
後)(単位:ウォン)
(円) (85) (89) (118) (105) (140)
自己資本比率(単位:%) 15.43 14.75 15.70 15.59 16.03
営業活動によるキャッシュ・フ
-1,785,704 974,564 3,441,594 3,973,193 -3,133,709
ロー
(百万円) (-176,428) (96,287) (340,029) (392,551) (-309,610)
投資活動によるキャッシュ・フ
1,299,514 -4,472,193 -4,780,063 -8,370,357 -2,542,424
ロー
(百万円) (128,392) (-441,853) (-472,270) (-826,991) (-251,191)
財務活動によるキャッシュ・フ
28,926 2,535,128 2,414,553 5,122,548 7,079,374
ロー
(百万円) (2,858) (250,471) (238,558) (506,108) (699,442)
期末現在の現金および現金同等物 4,536,204 3,578,718 4,627,784 5,331,103 6,704,953
(百万円) (448,177) (353,577) (457,225) (526,713) (662,449)
従業員数(単位:人) 15,657 16,889 16,154 15,796 15,519
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(1)
個別財務情報
(単位:別段の表示がない限り、百万ウォン)
12 月31日現在/12月31日終了年度
2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年
営業利益 1,734,077 1,516,139 1,720,770 2,044,595 2,834,833
(百万円) (171,327) (149,795) (170,012) (202,006) (280,082)
当期純利益 1,433,310 1,216,391 1,777,072 1,607,761 2,116,606
(百万円) (141,611) (120,179) (175,575) (158,847) (209,121)
総包括利益 1,355,956 931,730 1,582,484 1,536,857 2,179,652
(百万円) (133,968) (92,055) (156,349) (151,841) (215,350)
普通株式資本金 7,928,078 7,928,078 7,928,078 7,928,078 7,928,078
(百万円) (783,294) (783,294) (783,294) (783,294) (783,294)
発行済株式数
1,585,615,506 1,585,615,506 1,585,615,506 1,585,615,506 1,585,615,506
(単位:株)
資本合計(純資産) 20,371,857 20,468,080 20,960,746 22,188,504 23,571,383
(百万円) (2,012,739) (2,022,246) (2,070,922) (2,192,224) (2,328,853)
資産合計 242,075,869 269,018,149 282,819,576 302,936,552 323,875,533
(百万円) (23,917,096) (26,578,993) (27,942,574) (29,930,131) (31,998,903)
1株当たり配当
283.80 409.94 302.72 340.56 561.30
(単位:ウォン)
(円) (28) (41) (30) (34) (55)
1株当たり当期純利益(基本
843 731 1,092 995 1,319
的)(単位:ウォン)
(円) (83) (72) (108) (98) (130)
1株当たり当期純利益(希薄
843 731 1,092 995 1,319
化後)(単位:ウォン)
(円) (83) (72) (108) (98) (130)
(2)
31.40 53.44 27.01 33.59 42.05
配当性向(単位:%)
営業活動によるキャッシュ・
-1,517,992 581,177 2,678,339 5,317,356 -1,455,483
フロー
(百万円) (-149,978) (57,420) (264,620) (525,355) (-143,802)
投資活動によるキャッシュ・
1,246,605 -4,314,344 -3,936,319 -8,571,482 -2,852,325
フロー
(百万円) (123,165) (-426,257) (-388,908) (-846,862) (-281,810)
財務活動によるキャッシュ・
-73,485 2,218,791 1,591,595 4,290,051 5,444,274
フロー
(百万円) (-7,260) (219,217) (157,250) (423,857) (537,894)
期末現在の現金および現金同
3,501,472 1,988,013 2,305,025 3,332,539 4,462,317
等物
(百万円) (345,945) (196,416) (227,736) (329,255) (440,877)
(3)
13,879 13,937 13,819 13,419 13,089
従業員数(単位:人)
___________________________
注記:
(1) 数値は、該当する年度の連結財務書類および個別財務書類から抜粋している。
(2) 支払配当を 純利益で除したもの。
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(3) DART(DATA Analysis, Retrieval, and Transfer System) を通じて公表された従業員数である。
(4) 当行の株式は上場していないため、株価収益率(PER)は上記の表には記載されていない。
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2【沿革】
朝興銀行(法律上の当行の前身であり、以下「朝興銀行」という。)は、商業銀行業務および信託業務を
行うことを目的として、1897年2月19日に設立された漢城銀行と1906年8月8日に設立された東一銀行との
新設合併により、韓国の一般銀行法に基づき1943年10月1日に設立された。
1956年6月3日、朝興銀行の株式は韓国証券取引所に上場された。同行は、1999年4月30日および1999年
9月11日に、それぞれ忠北銀行および江原銀行と合併した。韓国の金融危機時における1999年に実施された
減資および韓国預金保険公社による資本注入の結果、以下に記載される2003年8月19日の新韓フィナンシャ
ル・グループ(下記に定義する。)による朝興銀行の買収時までに、韓国預金保険公社は朝興銀行の発行済
株式の80.04%を保有していた。朝興銀行は2003年9月30日現在、468店舗の国内支店、91の預金受入事務所
および6店舗の海外支店を通じて営業しており、資本金は3,395,592百万ウォンであった。
1982年7月7日、旧新韓銀行(以下に記載されるとおり、2006年4月1日に朝興銀行に吸収合併され
た。)は商業銀行業務および信託業務を行うことを目的として、韓国の一般銀行法に基づき設立された。旧
新韓銀行は2003年9月30日現在、358支店および177ヵ所に設置された現金自動預払機を通じて営業してお
り、資本金は1,223,211百万ウォンであった。
2001年9月1日、新韓フィナンシャル・グループ・カンパニー・リミテッド(以下「新韓フィナンシャ
ル・グループ」という。)は、企業、政府、政府機関および個人に広範な金融サービスを提供することを目
的とした事業を提供するために銀行業ならびに様々な関連事業に従事するために、韓国金融持株会社法に従
い、韓国で初めての民間保有の金融持株会社として設立された。新韓フィナンシャル・グループの設立によ
り、旧新韓銀行は新韓フィナンシャル・グループの完全子会社のひとつとなった。
2003年8月19日、新韓フィナンシャル・グループは、韓国預金保険公社から朝興銀行の発行済株式の
80.04%を取得し、続いて資本注入により朝興銀行の株式所有を81.15%に増加させ、2004年6月22日に、現
金を対価とする公開買付けおよびその後の韓国法に基づく小規模の株式交換により残りの株式、すなわち
18.85%を取得した。これにより、朝興銀行は新韓フィナンシャル・グループの完全子会社となり、2004年7
月2日にその株式は韓国証券取引所から上場廃止となった。
2005年12月30日付の朝興銀行と旧新韓銀行との合併契約の条項に基づき、旧新韓銀行は、朝興銀行を存続
会社として2006年4月1日に朝興銀行と合併し、合併後直ちに朝興銀行はその社名を「新韓銀行」に変更し
た。また朝興銀行と新韓カード・カンパニー・リミテッド(以下「新韓カード」という。)との間の2005年
12月30日付の吸収分割契約の条項に従い、2006年4月1日に朝興銀行のクレジットカード事業は分割され、
新韓カードに吸収された。
日本における業務
当行は、日本においてはその海外銀行子会社であるSBJ銀行を通じて一般商業銀行業務を行っている。本書
提出日現在、SBJ銀行は日本において、東京都港区芝5丁目36番7号三田ベルジュビル4階(郵便番号108-
0014)に所在する東京支店を含む10支店および4ヵ所の両替所を有している。
当行が日本に子会社を設立したのは2009年であるが、当行は1986年3月以来、その支店を通じて日本にお
いて銀行業務を提供している。
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3【事業の内容】
概要
当行は、とりわけ資産合計、収入、収益性および自己資本の点で韓国の大手商業銀行の一つである。同一
の判定基準で韓国の大手金融持株会社の一つである新韓フィナンシャル・グループの旗艦傘下会社である当
行は、主に韓国において、また韓国における程度には及ばないものの、選ばれた海外市場において、個人顧
客および法人顧客向けに幅広い商業銀行業務およびその他の銀行業務を提供している。当行は、中小企業を
対象とする韓国最大のレンダーの一つである。2018年12月31日現在、当行は876の国内支店および14の海外支
店ならびに日本、中華人民共和国、香港、ベトナム、米国、カナダ、ドイツ、カンボジア、カザフスタン、
メキシコおよびインドネシアに各1社の計11の子会社を有していた。
旧新韓銀行は、韓国で初めての民間資本による商業銀行として1982年に設立された。朝興銀行は韓国最古
の金融機関として1897年に設立された。旧新韓銀行と朝興銀行は2006年に合併し、新銀行の名称を「新韓銀
行」とした。
2018年12月31日現在の当行の資産合計、償却原価測定正味貸出金(貸倒引当金控除後)および銀行勘定預
金は、それぞれ348,524十億ウォン、251,234十億ウォンおよび257,893十億ウォンであった。2017年12月31日
現在の当行の資産合計、正味貸出金(貸倒引当金控除後)および銀行勘定預金は、それぞれ324,314十億ウォ
ン、231,732十億ウォンおよび242,654十億ウォンであった。2017年および2018年12月31日に終了した年度に
ついて、当行の純利益はそれぞれ1,712十億ウォンおよび2,279十億ウォンであった。
韓国の会社登記簿における当行の登録番号は110111-0012809である。当行の本店は、韓国04513ソウル特別
市中区世宗大路9道20に所在する。
金融持株会社の組織
2001年9月、旧新韓銀行は韓国金融持株会社法に従って金融持株会社である新韓フィナンシャル・グルー
プを設立した。旧新韓銀行の株式は、新韓フィナンシャル・グループの株式と交換された。かかる株式交換
の一環として、旧新韓銀行は新韓キャピタル・カンパニー・リミテッドに対するその持分を新韓フィナン
シャル・グループに譲渡した。金融持株会社の組織に関する詳細は、「第2-3-(4) 新韓フィナンシャ
ル・グループ」を参照されたい。
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(1) 事業
事業の概観
当行の主要業務
当行は、個人顧客および法人顧客からの預金を受入れており、これは様々な銀行サービスを提供するため
に必要な資金を当行に提供している。当行は、主に4つの事業セグメントにより構成される包括的な銀行
サービスを提供している。2015年4月より、当行は、進化する事業モデルと組織構成の変化を反映して、主
要な事業セグメントを一部再調整した。「第6-1 財務書類」に記載される当行の監査済連結財務書類に対
する注記5を参照されたい。
当行の各事業セグメントの概要は以下のとおりである。
・ 個人顧客(富裕層の個人および家族を含む。)ならびにより少ない程度ではあるものの、病院、空港お
よび学校などの非営利機関に対する貸出ならびに同顧客からの預金の受入れに注力する個人向け銀行業
務。
・ 中小企業を含む営利目的の法人に対する貸出およびかかる法人からの預金の受入れならびに法人顧客に
対する投資銀行業務の提供に注力する法人向け銀行業務。
・ 海外の子会社および支店の経営管理ならびにその他国際業務に注力する国際銀行業務。
・ 財務業務(行内資産負債管理および非預金の資金調達業務を含む)、有価証券の投資およびトレーディ
ングならびにデリバティブのトレーディングに加え、銀行業務全般の管理からなるその他業務。
当行の主要業務は、重要な季節的傾向によって左右されない。当行は数多くの海外支店および子会社を有
しているが、当行の資産の大部分は韓国に所在し、その収益の大部分は韓国で生じている。
預金受入業務
当行は、異なる顧客セグメントをターゲットとした多くの預金商品を提供しており、これらは各セグメン
トの財務およびその他の特徴に合わせた機能を備えている。当行が提供する預金商品には主に以下のものが
含まれる。
要求払預金 要求払預金は、無利息であるかまたは定期預金または貯蓄預金より低い利率の利息が生じ、
顧客は随時資金の預入れおよび引出しができる。利息が付される場合には、要求払預金の金利は、預入期
間および預入金額に応じて固定金利または変動金利となる。 2017 年 12 月 31 日現在および 2018 年 12 月 31 日現
在における要求払預金は、当行の総預金額のそれぞれ約 16.2 %および 15.7 %を占めていた。 2017 年度およ
び 2018 年度における要求払預金の平均支払金利はそれぞれ 0.35 %および 0.39 %であった。
定期預金および貯蓄預金 定期預金は通常、顧客が所定の期間預金を維持することを求められ、その期間
中かかる預金には、固定金利または資金調達コスト・インデックス( COFIX )を含む一定の金融指標に基づ
く変動金利が付される。所定期間終了前に預金が引き出される場合には、顧客の受取金利は当初提示され
た金利よりも低くなる。定期預金の期間は通常1ヵ月から5年である。貯蓄預金は、顧客が随時資金の預
入れと引出しを行うことを認め、通常、定期預金または積立預金の適用金利よりも低い変動可能な金利が
付される。定期預金および貯蓄預金は、 2017 年および 2018 年 12 月 31 日現在における当行の預金合計額のそ
れぞれ 80.7 %および 80.7 %を占め、 2017 年度および 2018 年度の平均支払金利はそれぞれ 1.16 %および
1.35 %であった。
その他の預金 その他の預金は主に譲渡性預金からなる。譲渡性預金の満期は通常 30 日から2年である。
譲渡性預金の金利は、預金の預入期間および実勢市場金利に基づいて決定される。譲渡性預金は、当該譲
渡性預金に対する支払金利を反映して、額面価額から割り引いて販売される。その他の預金は、 2017 年お
よび 2018 年 12 月 31 日現在における当行の総預金額のそれぞれ 3.1 %および 3.6 %を占め、 2017 年度および
2018 年度における平均支払金利はそれぞれ 1.57 %および 1.96 %であった。
当行はまた、住宅法および住宅供給に関する規則(以下「住宅法」という。)に基づく住宅申込優先権を
顧客に付与する預金ならびに抵当ローンおよび住宅担保ローンに対する適格性を顧客に付与する預金を提供
している。 2015 年6月の住宅法の改正により、住宅申込貯蓄口座、住宅申込定期預金口座および住宅申込分
割払い貯蓄口座に対する新規申込みを 2015 年9月1日から受けることができなくなった。代わって、現在は
誰もが一般住宅申込貯蓄口座(上記3口座すべての機能を併せ持っている。)を利用可能である。拠出期間
は、申込日から口座名義人が住宅の買い手として選ばれる日までで、毎月の拠出金額は最低 20,000 ウォンか
ら最高 500,000 ウォンである。一般住宅申込貯蓄口座に対する金利は口座終了時に一括して支払われ、その金
利は国土交通部により決定され、発表される利率で計算される。一般住宅申込貯蓄口座を有し、一定のその
他の基準を充たすに者は住宅購入申込優先権が付与される。民間資金による住宅の場合、当該口座に対する
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合計拠出金額は、当該住宅の所在地別の適用預金限度額(2百万ウォン以上 15 百万ウォン以下)以上でなけ
ればならない。当初の口座名義人の死亡による相続の場合を除き、一般住宅申込貯蓄口座の名義を変更する
こ とはできない。当行が提供する主な預金商品の種類別の当行の韓国ウォン建て預金についての詳細は、
「第2-3- (2) 資産および負債の詳細-資金調達-預金」を参照されたい。
当行の預金商品に支払われる金利は、平均資金調達費用、利付資産の収益率、金融機関の実勢市場金利お
よびその他主要な金融指標に応じて著しく異なる場合がある。
当行はまた、韓国の裁判所の訴訟当事者に対して裁判所預託業務を提供しており、これには一定の種類の
法的またはその他の手続に関与する訴訟当事者に対して効果的にエスクロー・サービスを提供することが含
まれる。朝興銀行は、 1958 年以降かかるサービスの主な提供者であり、旧新韓銀行による朝興銀行の買収後
は、当行がこれらのサービスにおいて引き続き優勢な市場シェアを有している。かかる預金は通常、市場金
利(年率約 0.5 %)を下回る金利が付され、 2017 年および 2018 年 12 月 31 日現在の預金額はそれぞれ 5,639 十億
ウォンおよび 5,645 十億ウォンであった。
韓国銀行の金融政策委員会は、商業銀行のウォン建て預金に対し、通常、満期までの期間および預金商品
の種類に基づいて 0 %から7%の範囲の預金準備率を課している。「第2-3- (6) 監督および規制-銀行に
適用される主要な規制-流動性」を参照されたい。
預金者保護法は、韓国預金保険公社が適格な銀行預金の返済を同法に基づき預金者あたり1行合計 50 百万
ウォンまでおよび確定拠出退職年金に基づき付保される 50 百万までを保証する預金保険制度を規定してい
る。「第2-3- (6) 監督および規制-銀行に適用される主要な規制-預金保険制度」を参照されたい。
個人向け銀行業務
概観
個人向け銀行業務には、抵当ローン、住宅担保ローンおよび個人向け貸出ならびに要求払預金、貯蓄預金
および定期預金の受け入れ、当座口座サービス、エレクトロニック・バンキングおよび自動金銭出納機(以
下「 ATM 」という。)サービス、料金自動引落しサービス、給与および小切手の支払業務、為替ならびに資金
の電子送金が含まれる。当行は、近代的かつ効率的な個人向け銀行業務の提供は、当行の公共性を維持する
ためにも、また手数料ベースの収入源としても重要であると考えている。したがって、当行は、国内銀行部
門が一段と発展してその複雑さが増すことから、個人向け銀行業務および商品が今後数年でますます重要に
なると考えている。
個人向け銀行業務はこれまで当行の中核事業の一つであり、今後もそうあり続けるであろう。個人向け銀
行業務における当行の戦略は、自動化の拡大および顧客サービスの向上、ならびに販売に注力した支店網の
合理化を通じて個人顧客に迅速かつ総合的なサービスを提供することである。個人部門は、富裕層の個人を
ターゲットとすることに注力している。 2018 年 12 月 31 日現在の当行の個人向け貸出金(貸倒損失引当金およ
び繰延貸付付帯費用控除前)は 112,698 十億ウォンであった。
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個人向け貸出業務
当行は、様々な個人向け貸出商品を提供しているが、これは主に個人および家計向け貸出からなってい
る。当行の個人向け貸出商品は国民の様々なセグメントをターゲットとし、各顧客の職業、年齢、借入目
的、担保要件および顧客と当行との取引期間を含む各セグメントの金融特性およびその他の特徴に合わせた
機能を備えている。個人向け貸出は主に以下から構成される。
・ 抵当ローンおよび住宅担保ローン これは大部分が住宅購入の資金調達のために使用される抵当ローン
からなっており、通常は購入する住宅によって担保される。
・ その他の個人向け貸出 これは抵当ローンおよび住宅担保ローン以外を目的として行われる顧客への貸
出であり、その条件は主に借り手の特性によって異なり、無担保であるか、または預金もしくは第三者
による担保もしくは保証が付される。その他の個人向け貸出はまた、個人の借り手に無担保で提供され
るアドバンスローン(その借入金の使途が建設完了前の住宅購入資金に制限される)を含む。
2018 年 12 月 31 日現在、当行の抵当ローンおよび住宅担保ローンならびにその他の個人向け貸出金は当行の
ウォン建て個人向け貸出金のそれぞれ 54.7 %および 45.3 %を占めていた。
有担保の貸出については、当行は、先順位担保権(少額の権利を除く。)があればこれを考慮して、当該
担保の評価額の 40 %から 100 %までを貸し付ける方針である。 抵当ローンおよび住宅担保ローン については、
当行は、政府により実施される 抵当ローンについてのローン資産価値比率、債務所得比率および債務返済比
率の上限の要件を充たすことを条件に、 当該担保の評価額の 45 %から 82 %までを貸し付ける方針である。抵
当ローンおよび住宅担保ローンを含む有担保貸出のローン資産価値比率は、最新の担保評価額を用いて毎月
更新され、ローン資産価値比率の上限は、担保資産の所在地、貸出の性質および目的ならびに市場競争の水
準といった要因に基づきさらに調整される。 2019 年1月 11 日から、ローン資産価値比率の上限は( 2019 年1
月 11 日より前は5%ごとであったのに対し)1%ごとに決定され、調整することができるため、当行はその
有担保貸出に対し、より正確かつ個別仕様の資産価値比率限度を設定することができる。
2018 年 12 月 31 日現在、当行の抵当ローンおよび住宅担保ローンのローン資産価値比率は 49.9 %であった。
2018 年 12 月 31 日現在、実質的にすべての当行の抵当ローンおよび住宅担保ローンは居住用不動産によって担
保されていた。
FSC および金融監督院(以下「 FSS 」という。)の 2014 年8月1日付の行政指導(数回延長および改正され
たが、下記に記載する厳格化された措置を反映した 銀行業務の監督に関する規則および銀行業務の監督に関
する細則 に置き換えられた。)に基づき、当行は 抵当ローンおよび住宅担保ローンを提供する場合には、
ローン資産価値比率上限を 70 %とし(一定の例外があるが、資産の所在地に拘わらない。)および債務所得
比率上限を 60 %(一定の例外があるが、ソウル首都圏地域に所在する集合住宅に関する場合に限る。)とす
ることが課されている。
2017 年8月2日、政府は、投機を抑制し、住宅価格の上昇を緩和するための一連のより厳しい不動産市場
対策を発表した。かかる対策に従い、 2017 年8月3日から、ソウル、世宗特別自治市および果川は「投機過
熱地域」と名付けられ、この地域で住宅を購入する場合のローン限度額が資産価値の 60 %から 40 %に引下げ
られた。債務所得比率の上限は 50 %から 40 %となる。ソウルおよび世宗特別自治市の中の 11 の地域は「投機
地域」と名付けられ、より高い税およびより厳しい規則の対象となった。これらの対策は、ソウルでの住宅
購入権および不動産の転売を防ぐために企図され、「調整対象地域」に指定される地域(ソウル、世宗特別
自治市、京畿道の7市および釜山広域市の7区)において、住宅購入者に対するローン資産価値比率の上限
を 70 %から 60 %に、債務所得比率の上限を 60 %から 50 %に引下げた 2017 年6月 19 日に明らかになった文在寅
大統領政権による初めての対策に続くものである。新たな貸出限度は 2017 年7月3日に実施されたが、住宅
価格の高騰を抑えることができず、 2017 年8月2日には、より厳しい対策が発表されることとなった。現
在、「投機過熱地域」、「投機地域」、「調整対象地域」およびその他地域のローン資産価値比率ならびに
新たな債務所得比率は銀行業務の監督に関する規則および銀行業務の監督に関する細則により規制されてい
る。
2018 年1月 31 日、従来の債務所得比率要件は、 (i) 適用される抵当および住宅担保ローンと、 既存の抵当お
よび住宅担保ローン 双方の元利金支払い、ならびに ( ⅱ ) その他のローンの利払いを反映する新たな債務所得
比率要件に置き換えられた。以前の債務所得比率要件は、 (i) 適用される抵当および住宅担保ローンの元利金
の支払い、および ( ⅱ ) 既存の抵当および住宅担保ローンの利払いのみを反映したものであった。
上記の対策にもかかわらず、ソウル首都圏地域の住宅価格は引き続き上昇しており、 2018 年9月 13 日、政府
は住宅価格を抑制するためにより強力な政策を発表した。 2018 年9月 14 日より、これらの対策は、とりわけ
「投機過熱地域」、「投機地域」および「調整対象地域」(「規制対象地域」と総称する。)におけるロー
ン資産価値比率上限に関するより厳しい規則を含んでおり、かかる規則に基づき、1件以上の住宅の所有者
が規制対象地域のいずれかに所在する住宅を抵当および住宅担保ローンを利用して購入しようとする際に適
用されるローン資産価値比率上限はゼロとなった(ただし、1件のみの住宅所有者がもう1件の住宅を購入
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しようとする場合に適用される一定の例外がある。)規制対象地域のいずれかに所在する実際の居住目的で
ない高額住宅(公表価格が 900 百万ウォン超)の購入についても、ローン資産価値比率上限はゼロとなる。
さらに、韓国の監督当局は韓国の銀行に対して随時行政指導を行うが、これには借り手による住宅ローン
の使用を制限する効果があり、そのため、不動産物件に対する需要を抑制する効果がある。例えば、 FSS は、
一定の状況を除き、抵当ローンおよび住宅担保ローンを提供する前に、担保の種類もしくは価値または不動
産の所在地にかかわらず、借り手の返済能力を所得証明に基づいて検証させる行政指導を金融機関に対し公
表した。かかる行政指導は、証明できる所得のない借り手に対する新規の抵当ローンおよび住宅担保ローン
の提供を事実上禁止する効果があった。
当行は、適用ある規則および関連監督官庁の行政指導を遵守して、抵当ローンおよび住宅担保ローンを提
供している。
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下表は、当行の個人向け貸出金(貸倒損失引当金および繰延貸付付帯費用控除前)の内訳を示している。
12 月 31 日現在
2017 年 2018 年
(単位:十億ウォン、%を除く。)
(1)
個人向け貸出金
抵当ローンおよび住宅担保ローン 58,252 61,614
その他個人向け貸出金 45,472 51,084
総貸出金合計に対する個人向け貸出金の割合 ▶ 4.6% 44.5%
___________________________
注 記 :
(1) 貸倒損失引当金控除前。
2018 年 12 月 31 日現在の当行の抵当ローンおよび住宅担保ローンの貸出金残高合計額は、 61,614 十億ウォン
で、このうち、元本分割返済型貸出金(その貸出元本が一部分割払いにより返済される貸出)は 44,914 十億
ウォンで、元本分割返済を伴わない貸出金は 16,700 十億ウォンであった。さらに、 2018 年 12 月 31 日現在、当
行はまた元本分割返済を伴わない貸出金の貸出金残高について 633 十億ウォンの与信限度額を有している。
価格設定
当行の個人向け貸出金に付される金利は、定期的に調整される変動金利(内部振替価格制度を用いて算出
された3ヵ月、6ヵ月または 12 ヵ月間の期間について決定された基準金利に基づいており、貸出関連費用お
よび関連貸出商品の利益率を考慮するために調整された、資金調達の市場コストを反映している。)か、ま
たは貸出関連費用および利益率を考慮するために調整された、資金調達の市場コストを反映した固定金利の
いずれかである。固定金利の貸出金は限定された場合に限り変動金利貸出金にプレミアムを付して提供され
る。当行が変動金利または固定金利に基づき提供している無担保の貸出について、これらにかかる金利は、
とりわけ貸出承認プロセスにおいて決定された借り手の信用スコアに基づく利益率が反映される。有担保貸
出について、信用限度は担保の種類に基づき、担保およびローン資産価値比率が優先される。当行は、借り
手による現在および/または将来予想される当行の収益に対する貢献を反映するために、これらの貸出の価
格設定を調整することができる。当行の貸出商品にかかる金利は、貸出延長時に調整することができる。貸
出が貸出日から3年以内に弁済される場合、借り手は当行に対して未返済の元本額の通常 0.8 %から 1.4 %の
早期弁済手数料に加え、当該貸出の元本に対する発生済みだが未払いの金利に当該貸出の満期までの残存日
数を分子とし、当該貸出の期間または3年間のいずれか長い方の日数を分母とする分数を乗じた金額を支払
うことが義務付られる。 2019 年1月、 FSC は貸出日から3年以内の返済に対する早期弁済手数料を引下げる計
画を発表し、そのために世帯向け貸出をめぐる競争がさらに激化する可能性がある。
2018 年 12 月 31 日現在における当行の3ヵ月、6ヵ月および 12 ヵ月の基準金利はそれぞれ約 1.92 %、 1.95 %
および 1.98 %であった。 2018 年 12 月 31 日現在、満期が5年の抵当ローンおよび住宅担保ローンに対する当行
の固定金利は、約 4.83 %であった。また、満期が1年のその他の個人向け貸出金に対する当行の固定金利
は、顧客の信用スコアに応じて 4.45 %ないし 14.00 %の範囲であった。
2018 年 12 月 31 日現在、当行の個人向け貸出金合計の 94.0 %は変動金利の貸出であり、 6.0 %は固定金利の貸
出であった。同日現在、満期が1年超の当行の個人向け貸出金の 96.5 %は変動金利の貸出であり、 3.5 %が固
定金利の貸出であった。
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当行が顧客に課す金利は、韓国銀行連合会によって公表される「資金コスト・インデックス」( COFIX )に
ある程度基づいている。 COFIX は、韓国の大手銀行8行(当行、國民銀行、ウリィ銀行、 KEB ハナ銀行、農協
銀行、中小企業銀行、シティバンク・コリア・インクおよびスタンダード・チャータード・バンク・コリ
ア・リミテッドからなる。)の選定された資金調達商品(定期預金、住宅その他積立貯蓄預金、買戻条件付
有価証券、割引手形および非転換型社債を含む。)の加重平均金利に基づいて計算されている。各銀行はそ
の後、 COFIX と自行の全般的な資金調達コスト、事務費用、顧客の信用スコア、貸出の満期およびかかる銀行
との顧客関係に基づいた顧客に固有のプレミアムおよびディスカウントとの差に基づいて、 COFIX に対するス
プレッドを加算してそのそれぞれの顧客への適用金利を個別に決定している。これらの金利は通常、月ごと
に調整される。 2019 年1月に FSC が「資金コスト・インデックス」( COFIX )を計算する際に、要求払い預金
のような短期預金に対する金利を反映させることを発表したことから、従来の COFIX 金利に比べて、世帯向け
貸出に対する金利が低下することが見込まれる。
プライベート・バンキング
当行はこれまで富裕層顧客に注力してきた。当行の個人向け銀行業務には、複雑な財務上の問題について
個人的な助言を求める富裕層顧客へのプライベート・バンキング業務の提供が含まれる。プライベート・バ
ンキングにおける当行の目的は、当行の富裕層顧客に対して、とりわけ資産ポートフォリオおよび資金管
理、税務コンサルティング、不動産管理ならびに家庭オフィスサービス業務を含むカスタマイズされた資産
運用ソリューションおよび包括的な金融サービスを提供することで、かかる顧客の富の蓄積を強化し、その
金融面での造詣を深めることである。 2011 年末以来、当行は、商業銀行業務と、新韓金融投資によって提供
される投資相談サービスとの相乗効果をより大きくすることにより、進化する顧客のニーズに先手を打って
対応し、資産の成長を促進するために、当行の一部の支店と同じ場所に所在する新韓金融投資の支店とを組
み合わせたプライベート資産運用センターの営業を開始した。近年、当行はザ・アセット誌による「韓国の
ベスト・ウェルス・マネジャー」賞(7年連続受賞)および「韓国のベスト・プライベート・バンク」賞
(4年連続受賞)ならびにザ・アジアンバンカーによる 2018 年の「韓国のベスト・ウェルス・マネジメン
ト・バンク」賞(4年連続受賞)、「インベストメント・プロダクト・オブ・ザ・イヤー」および「ベス
ト・ウェルス・マネジメント・サービス・クオリティ」を含む業界の著名な賞をいくつも受賞したことによ
り、プライベート・バンキングにおける当行の強さは広く認識されてきた。
2018 年 12 月 31 日現在、当行は韓国全土(ソウルに 18 ヵ所、ソウル郊外に3ヵ所および韓国の他の地域にお
ける他の市に6ヵ所)において、 27 の資産運用サービスセンターを運営している。同日現在、当行は約 7,461
名のプライベート・バンキング顧客(通常、当行に 500 百万ウォンの預金を有する場合、プライベート・バン
キング・サービスを利用することができる。)を有していた。
法人向け銀行業務
概観
当行は、 SOHO ( Small Office, Home Office )として知られ、個人または世帯で営まれる企業を含む中小企
業および、これより程度は低いものの財閥関連企業を含むより規模の大きい企業に対して法人銀行業務サー
ビスを提供している。当行はまた、政府系企業に対しても貸出を行っている。
下表は、表示日現在における当行の法人向け貸出業務の各区分に帰属する当行の貸出金合計額(貸倒損失
引当金および繰延貸付付帯費用控除前)の残高および割合を示している。
12 月 31 日現在
2017 年 2018 年
(単位:十億ウォン、%を除く)
(1)
中小企業向け貸出
81,815 63.4% 84,972 33.6 %
(2)
大企業向け貸出
47,273 36.6% 55,389 21.9 %
法人向け貸出合計 129,088 100.0% 140,361 55.5%
___________________________
注 記 :
(1) 小規模および中規模企業に関する基本法ならびに関連する大統領令のもとで中小企業の定義を満たす企業に対して付与された貸出
金の元本額を表す。
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(2) 公的機関およびその他貸出ならびに他銀行への貸出を含む。
中小企業向け銀行業務
小規模および中規模企業に関する基本法(以下「中小企業基本法」という。)ならびに関連する大統領令
(改正済。 2016 年1月 27 日施行。)のもとで、中小企業として適格となるためには、 (i) 直前の会計年度末に
おける当該企業の資産合計が 500 十億ウォン未満で、 ( ⅱ ) その年間売上高の平均および合計がその主たる事業
の種類に適用される大統領令に定める基準を満たし、かつ ( ⅲ ) 当該企業は大統領令に定める所有から独立し
た経営基準(独占規制および公正取引に関する法律において定義されるコングロマリットの構成企業でない
ことを含む。)を満たさなければならない。しかし、中小企業基本法の直近の改正以前に中小企業として定
義されていたが、改正後にかかる定義を満たさなくなった企業は、中小企業基本法の目的上の中小企業とみ
なされる。中小企業基本法および大統領令に規定される一定の要件を満たす非営利企業は、中小企業として
適格とすることができる。さらに、 2014 年4月 15 日から、大統領令に規定される協同組合および協同組合連
合会は中小企業とみなされる。 2018 年 12 月 31 日現在、当行は 84,972 十億ウォン(貸倒損失引当金および繰延
貸付付帯費用控除前)の貸出を 284,911 社の中小企業に付与していた。
当行はこれまで中小企業向け貸出に注力してきており、当行は、そのマーケティング能力(当行に著しい
顧客ロイヤルティを与えてきたと考えられる。)および与信承認に対する保守的な信用格付制度を含む慎重
なリスク管理の実施に鑑みて、中小企業市場で成功するために好位置につけていると考えている。中小企業
向け貸出の市場シェアを維持または増大させるために、当行は以下の取組みを行っている。
・ 顧客および商品について市場に精通し、また主導する専門性を蓄積してきたこと。 当行は、当該市場セ
グメントに組み込まれた信用リスクを深く理解し、当該市場セグメントの需要に特に合わせた貸出およ
びその他の商品を開発することができると考えている。
・ 中小企業に対し個別仕様された顧客サービスを提供するための関係管理システムを運営していること。
当行は現在、 185 の銀行支店に関係管理チームを有しており、このうち 49 は法人向け銀行業務支店であ
り、 136 は個人顧客および限定的な範囲での法人顧客の双方に対するサービス提供を目的としたハイブ
リッド銀行業務支店である。これらの関係管理チームは商品を販売し、信用リスクの低い少額貸出の検
討および承認を行っている。
・ 他の商品とクロス・セルされる貸出商品に引き続き注力していること。 例えば、当行が中小企業向けに
貸出を行う時は、かかる企業の従業員向けに、個人向け貸出もしくは預金商品をクロス・セルするかま
たは投資顧問サービスを提供する機会も模索する。
大企業向け銀行業務
大企業顧客は、主として財閥グループ企業および金融機関で構成されている。当行の大企業向け貸出は、
2018 年 12 月 31 日現在 55,389 十億ウォン(貸倒損失引当金および繰延貸付付帯費用控除前)であった。大企業
顧客は中小企業顧客よりもより優れた信用プロフィールを持つ傾向にあるため、当行は、そのリスク管理政
策の一環としてこれらの顧客に対する注力を拡大してきた。
当行は、事業拡大と成長に向けて努力する法人顧客とパートナーを組むワンストップの金融ソリューショ
ンのプロバイダーとなることを目指している。当行は、かかる目的のために、投資銀行業務、不動産ファイ
ナンス、海外不動産プロジェクト・ファイナンス、大規模開発のプロジェクト・ファイナンス、インフラ・
ファイナンス、ストラクチャード・ファイナンス、持分投資/ベンチャー投資、 M&A コンサルティング、証券
化およびデリバティブ・サービス(有価証券およびデリバティブ商品ならびに外国為替取引を含む。)を含
む広範な法人向け銀行サービスを提供している。当行は、香港子会社である 新韓アジュ金融有限公司 を通じ
て、とりわけアジアにおいて海外事業を拡大している韓国企業向けに資金調達を手配し、コンサルティン
グ・サービスを提供している。
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法人向けエレクトロニック・バンキング
当行は、「新韓ビズバンク」として知られるウェブベースの総合的な資金管理サービスを法人顧客に提供
している。新韓ビズバンクは、基本的な取引履歴の照会や資金振替から信用状開設、貿易金融、支払管理、
回収管理、販売決済サービス、購入決済サービス、企業間決済サービス、スイーピング(口座精算)、プー
リング(資金プーリング)、 ERP インターフェイス・サービス、ホスト間バンキング・ソリューション、
SWIFT SCORE サービスおよびグローバルなキャッシュ・流動性管理サービスに至るほぼすべての種類の銀行取
引をサポートしている。さらに、当行はインターネット・バンキング、キャピタル・マネジメント・サービ
スおよび企業資源プランニングを組み合わせ、企業顧客によりよいサービスを行うことを企図した「インサ
イド・バンク」プログラムを通じて、顧客にその金融サービスへの統合された高度アクセスを提供してい
る。インサイド・バンク・プログラムはまた、様々な業種のコングロマリットから小規模企業に至るまで
ターゲットとする企業顧客の包括的なニーズを満たすカスタマイズされた金融サービスを提供し、当行の法
人顧客が当行の金融サービスにアクセスする際の利便性を高め、その資金の戦略的な運用を支援することを
目標とするものである。法人向け取引の非対面のオンラインによる取引を促進するための当行の取組みに
沿って、 2018 年、「新韓ダモア・サービス」として知られる仮想口座に基づく法人向け資金運用サービスを
アップグレードし、モバイル・チャネルで利用できるようにした。さらに、当行は、電話番号サービスによ
る資金の振替(顧客が受取人の口座番号なしで資金の振替ができる。)を可能にした。かかる振替はこれま
で個人向け銀行業務の顧客のみが利用できたが、法人向け銀行業務顧客も利用できるようになった。
法人向け貸出業務
当行の法人顧客向けの主要貸出商品は、運転資金融資および設備融資である。運転資金融資には手形割引
と貿易金融を含み、通常一般的な運転資金目的に使用される貸出である。設備融資は、設備の購入や製造工
場の建設の資金調達のために提供される。 2018 年 12 月 31 日現在における当行の運転資金融資および設備融資
はそれぞれ 54,702 十億ウォンおよび 51,411 十億ウォンであり、当行のウォン建て法人向け貸出合計のそれぞ
れ 48.2 %および 45.3 %を占めていた。運転資金融資は通常満期が1年であるが、無担保貸出の場合には合計
3年まで、有担保貸出の場合には5年まで1年ごとに延長することができる。設備融資の最長満期は 15 年
で、通常、年2回の分割払いにより返済されるが、初回の返済は貸出期間の3分の1を超えない猶予期間が
あり、期間が3年以下の設備融資は、満期日に全額返済することができる。
法人向け貸出は、無担保であるかまたは不動産、預金もしくは保証状による担保付きでなされる。 2018 年
12 月 31 日現在、有担保貸出および保証付き貸出(信用保証保険基金の発行する保証証書によって担保された
貸出を含む。)は当行のウォン建て中小企業向け貸出のそれぞれ 59.6 %および 12.6 %を占めていた。 2018 年
12 月 31 日現在、法人向け貸出の 50.7 %は不動産を担保としていた。
当行は、法人顧客に貸出を供与するか否かを評価する際に、当該顧客の信用度、信用スコア、担保があれ
ばその価値および/または第三者の保証を検討する。担保の価値は、担保評価額、先順位担保権または当該
担保に対する他の権利ならびに不動産に関しては前年に裁判所監督の競売において売却された近隣物件の平
均価額を含むいくつかの事項に基づく調整要因を考慮した算式を用いて計算される。当行は、有担保の貸出
が更新されるかまたは当該貸出に関するトリガー事由が発生した場合に担保を再評価する。
価格設定
当行は、法人向け貸出商品の価格を、主にそれぞれの資金調達コストおよび借り手の信用リスクに基づく
期待損失率に基づいて決定する。 2018 年 12 月 31 日現在、満期までの残存期間が1年以上である当行の法人向
け貸出の 61.7 %は、適用ある市場金利によって決定される変動金利であった。
より具体的には、当行の法人向け貸出の金利は通常次のとおり決定される。
金利 = ( 当行の期間毎の市場変動金利または参照金利 ) に取引費用、信用スプレッドおよびリスクプレミ
アムを加算し、裁量的な調整を加減する。
当行は、市場情勢および借り手との合意に応じて、借り手に対する金利を決定するための基準金利とし
て、期間毎の市場変動金利または参照金利を使用できる。 2018 年 12 月 31 日現在における当行の期間毎の市場
変動金利(当行の市場金利システムを利用して算出される3ヵ月、6ヵ月、1年、2年、3年または5年の
期間ごとに決定される基準金利に基づいている。)は、3ヵ月物が 1.92 %、6ヵ月物が 1.95 %、1年物が
1.98 %、2年物が 2.01 %、3年物が 2.03 %および5年物が 2.07 %であった。同日における当行の参照金利は
4.75 %であった。参照金利は、当行が使用する基準貸出金利をいい、とりわけ当行の資金調達コスト、費用
効率および裁量的マージンに基づいて、当行の資産・負債管理委員会が毎年決定する。
取引費用は、各貸出商品に割り当てられる標準的な取引費用およびその他の雑費用(信用保証基金への拠
出金を含む。)ならびに教育税を反映している。信用保証基金は法的に設置された団体であり、商業銀行が
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行った貸出に対する信用保証を提供し、商業銀行が行うすべての貸出金(ファシリティ・ローンといった一
部の貸出を除く。)の約 0.22 %の額に相当する商業銀行からの強制拠出金によって資金が賄われている。
信用スプレッドは、借り手の信用格付および担保または支払保証があればその価値に基づく期待損失を反
映するために、期間毎の変動金利に加算される。また、当行は、特定の借り手に付与された信用格付による
期待損失を超える可能性のある非期待損失の潜在性を考慮してリスクプレミアムを加算する。
裁量的な調整金利は、借り手の現在および/または将来における当行の収益性に対する貢献を反映するた
めに加算されるかまたは差し引かれる。保証により追加的な信用が提供される場合には、かかる信用スプ
レッドの変更を反映するために調整金利が差し引かれる。また、競合銀行が類似の借り手に対して設定した
価格およびその他の条件によって、当行は他行とより効果的に競合するために当該金利を引き下げることが
ある。
国際業務
当行は、国際資本市場において財務および投資業務に従事している。これには主に、外貨建て有価証券取
引、外国為替取引およびサービス、貿易関連の金融サービス、国際ファクタリング・サービスならびに海外
支店および子会社を通じた外国人向け銀行業務が含まれる。当行は、海外の現在および潜在的な顧客の様々
な財務上のニーズに応えるために、アジアの主要銀行となり、また当行の海外ネットワークを一段と強化
し、海外業務をローカライズし、とりわけ資産運用に関する商品提供の多様化によって国際事業を拡大する
ことを目指している。「販売網-海外のサービス・ネットワーク」を参照のこと。
その他銀行業務
概観
当行により行われるその他銀行業務には財務業務(行内資産負債管理および非預金の資金調達業務を含
む。)、債務証券およびより少ない程度であるが持分証券の自己勘定でのトレーディングならびにこれらに
対する投資、デリバティブ取引業務ならびにバックオフィス機能の管理が含まれる。
財務
財務部門は当行のすべての事業運営に資金を提供し、当行の運営上の流動性を確保している。当行は、安
定した長期資金を確保するために、固定金利および変動金利のノート、社債、ストラクチャード・ファイナ
ンスおよびその他の先進的な資金調達法を使用している。海外での資金調達については、当行は、日本円お
よびユーロといった米ドル以外の通貨建てで資金調達を行う可能性を注意深くモニタリングしている。ま
た、当行は短期金融市場においてコールローンの貸出およびコールマネーの借入を行っている。コールロー
ンはウォン建てまたは外貨建てのいずれかによる銀行および金融機関間の短期貸出であり、最低取引額は 100
百万ウォン、満期は通常1日である。
証券投資およびトレーディング
当行は、適切な流動性資源を維持し、受取利息、受取配当およびキャピタル・ゲインを生み出すために、
自己勘定で有価証券に投資し、取引を行っている。当行のトレーディングおよび投資ポートフォリオは、主
に韓国の財務省証券および政府機関、地方自治体または一部の政府出資企業が発行した債券、金融機関債券
ならびに韓国取引所の KRX KOSPI 市場および KRX KOSDAQ 市場の上場持分証券からなっている。当行の有価証券
投資ポートフォリオの詳細は、「第2-3- (2) 資産および負債の詳細-投資ポートフォリオ」を参照された
い。
デリバティブ取引
当行は、以下を含む一連のデリバティブ商品を当行の顧客に提供し、また限定的な範囲において当行の自
己勘定でこれらの取引を行う。
・ウォン金利リスクと LIBOR リスクにそれぞれ関連する金利スワップ、オプションおよび先物
・大部分が米ドル、円およびユーロに対するウォンのクロスカレンシー・スワップ
・株式および株式連動オプション
・外貨先渡、オプションおよびスワップ
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・商品先渡、スワップおよびオプション
・クレジット・デリバティブ
・ KOSPI200 指数連動株式オプション
2017 年および 2018 年における当行のデリバティブ取引高(想定元本)は、それぞれ 183,457 十億ウォンおよ
び 233,655 十億ウォンであった。かかるデリバティブ業務は通常、法人顧客がリスク・エクスポージャーを
ヘッジするためにデリバティブ契約を締結するニーズへの対処、およびかかる法人顧客との契約の結果生じ
た当行のリスク・エクスポージャーをヘッジするためのバック・トゥー・バックのデリバティブが中心と
なっている。
当行はまた、当行の資産および負債から生じる金利および外貨リスクのエクスポージャーをヘッジするた
めにデリバティブ契約を締結している。また、限定的な範囲であるが、当行はその定められたオープン・ポ
ジションの範囲内において自己勘定でデリバティブ取引を行っている。「第2-3- (2) 資産および負債の
詳細-デリバティブ」を参照されたい。
信託勘定管理サービス
概観
当行の信託勘定管理サービスには、主として金銭信託の形式による信託勘定の管理が含まれる。信託勘定
顧客は通常個人であり、銀行勘定への預金によって提供されるものより高い収益率を求めている。預金準備
率要件は、銀行勘定に保有される預金とは違って信託勘定に保有される預金には適用されず、また信託勘定
について定める規制は銀行勘定ほど厳しくない傾向があることから、当行は信託勘定商品について概ね銀行
預金商品よりも高い収益率を提供することができる。しかしながら、近年は低金利環境が続くことから、当
行は信託勘定商品について魅力ある収益率を提供できていない。
信託勘定商品は、通常、類似の銀行勘定預金商品よりも所要最低預金額が高い。銀行預金商品とは異な
り、信託勘定への預入金は、主として有価証券 ( 主に債務証券および不動産金融に対する受益証券からな
る。 ) に、また、これより程度は低いものの貸出金に対して投資される。これは、資金源が比較的不足してい
ることから、信託勘定は流動資産への投資比率を高くする必要があるためである。
銀行法、 FSCMA および信託法に基づき、信託勘定の資産は受託銀行の他の資産とは分離することが義務付け
られ、受託銀行の預金者または他の債権者に対する債務の弁済に充当することはできない。したがって、元
本(または元本および利息の双方)について保証のない信託勘定は銀行勘定とは分離して計上および報告さ
れる。「第2-3- (6) 監督および規制」を参照されたい。信託勘定は信託法および FSCMA によって規制さ
れ、大部分の全国規模の商業銀行は同種の信託勘定商品を提供している。当行は、信託勘定管理業務から収
益を得ており、これは正味信託管理報酬として計上されている。
2017 年および 2018 年 12 月 31 日現在、当行が保有する信託資産はそれぞれ合計 58,536 十億ウォンおよび
76,161 十億ウォンであり、その主な内訳は有価証券投資がそれぞれ 16,870 十億ウォンおよび 22,479 十億ウォ
ン、不動産投資がそれぞれ 12,053 十億ウォンおよび 14,154 十億ウォンならびに貸出金の元本総額がそれぞれ
469 十億ウォンおよび 528 十億ウォンであった。有価証券投資の内訳は、社債、政府関連債券およびその他の
有価証券(主にコマーシャル・ペーパー)であった。 2017 年および 2018 年 12 月 31 日現在、当行の信託勘定合
計額のうち、債務証券はそれぞれ 27.3 %および 28.5 %を、持分証券はそれぞれ 1.5 %および 1.1 %を占めてい
た。信託勘定からの貸出は、すべて韓国ウォン建てである点を除き、当行の銀行勘定からの貸出と同種のも
のである。 2017 年および 2018 年 12 月 31 日現在、信託勘定からの貸出金額のうち、それぞれ 57.1 %および
57.8 %が有担保または保証付きであった。各信託勘定の受入資金から投資を行う際には、各信託商品は、特
に会社、業種および証券に特有の制限を記載した各商品に適用ある投資ガイドラインを定めている。
信託商品
韓国では、信託商品は通常、金銭信託の形式を取る。金銭信託は、受託者が適用ある法律に従ってその投
資裁量を有する一任信託であり(特定金銭信託の場合を除く。)、それぞれの種類の信託勘定について混蔵
され、合同運用される。特定金銭信託は、自身の信託資産の投資方法に関して特定の指示を与える顧客のた
めに設定される。
当行の信託勘定事業が管理する金銭信託は、 2017 年および 2018 年 12 月 31 日現在においてそれぞれ 37,700 十
億ウォンおよび 44,290 十億ウォンであった。
当行は、個人向け支店網を通じて変動利率信託商品を提供している。 2017 年および 2018 年 12 月 31 日現在に
おける当行の変動利率信託勘定はそれぞれ 33,720 十億ウォンおよび 40,270 十億ウォンであり、このうち元本
保証された変動利率信託勘定はそれぞれおよび 3,979 十億ウォンおよび 4,019 十億ウォンであった。変動利率
信託勘定は、その保有者に対して、信託勘定の預入金元本額に対する変動利率によるリターンを提供し、元
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本保証型変動利率信託勘定(元本の支払が保証される。)の限られた場合を除き、預入金の元本額に対する
リターンの保証は提供しない。当行は、一括金またはかかる信託に保有される資産の固定割合を管理報酬と
し て請求し、信託商品によって、顧客による早期解約の場合には追加手数料を受領する権利を有する。当行
を含む韓国の銀行は、現在次の種類の変動利率信託勘定商品の元本を保証することを認められている。それ
は (i) 既設の個人年金信託、 ( ⅱ ) 新規の個人年金信託、 ( ⅲ ) 既設の退職年金信託、 ( ⅳ ) 新規の退職年金信託、
( ⅴ ) 年金信託および (vi) 従業員退職給付信託である。当行はまた、その保有者に固定利率によるリターンと
ともに元本返済保証を提供する、保証付固定金利信託商品をわずかな金額であるが( 2017 年および 2018 年 12
月 31 日現在でそれぞれ 1.0 十億ウォンおよび 1.0 十億ウォン)提供している。これらは過去に提供した商品が
繰越されたもので、当行はもはや保証付固定金利信託商品を提供していない。
販売網
当行は、国内広域にわたる個人向けおよび法人向け銀行業務に特化した支店網や、セルフサービスの端末
やエレクトロニック・バンキング(携帯電話バンキングを含む。)および海外サービス・ネットワークで補
完される様々な販売網および販売チャネルを通じて、個人顧客および法人顧客に幅広い金融サービスを提供
している。
韓国における支店網
2018 年 12 月 31 日現在、韓国における当行の支店網は 876 のサービスセンターで構成され、これは 679 の個人
向け銀行業務サービスセンター( 27 の個人向け資産運用サービスセンターおよび 135 の個人向け事務所を含
む。)、 12 の大企業顧客向けのバンキング・サービスセンター、 49 の法人向け銀行業務サービスセンターな
らびに 136 のハイブリッド銀行業務支店からなっている。
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下表は、 2018 年 12 月 31 日現在の当行の韓国における販売網の地理的分布を支店およびその他の販売チャネ
ル別に表示したものである。
個人向け 法人向け 合計
ソウル首都圏 289 70 359
京畿道 141 51 192
6大都市 132 38 170
仁川 48 13 61
釜山 30 8 38
光州 10 3 13
大邱 17 7 24
蔚山 11 ▶ 15
16 3 19
大田
小計 562 159 721
117 38 155
その他
679 197 876
合計
当行の支店網は、支店の各対象顧客に合わせたワンストップの銀行業務サービスを提供することを目的と
している。
個人向け銀行業務チャネル
韓国では、現金またはクレジットカードで多くの個人取引が実施され、従来の当座勘定は通常提供されな
いか、または米国など他の諸国におけるほど幅広く使用されていない。従来より、広範な銀行取引のための
主要なプラットフォームとして広範な個人向け支店網が重要な役割を果たしてきた。しかし、ますます多く
の顧客がその銀行取引のニーズを満たすために、インターネット・バンキング、モバイル・バンキングおよ
びその他の非対面形態のプラットフォームといったその他のサービス手段に変更しつつある。かかる変更に
対応して、当行は最近、過剰と思われる一部の支店の転換、合併または閉鎖を含むその個人向け支店ネット
ワークの再編に注力してきた。
最近では、プライベート・バンキングを通じて富裕層の個人をターゲットとすることが当行の重要な取組
みの一つとなっている。当行のプライベート・バンキング業務は主として、ターゲットとする顧客グループ
の中で、顧客が個々の投資戦略を策定することを支援するプライベート・バンキング・リレーションシッ
プ・マネジャーを通じて提供される。当行は、リレーションシップ・マネジャーが当行顧客との持続的な関
係を醸成する一助となるものと確信している。プライベート・バンキング顧客はまた、当行の個人向け支店
網および当行が個人向け銀行業務を通じて提供するその他の一般的な銀行商品を利用することができる。
法人向け銀行業務チャネル
当行は現在、大企業顧客へのサービス提供を目的としたコーポレート・バンキング・サービス・センター
ならびに個人および小企業顧客へのサービス提供を目的としたハイブリッド銀行業務支店を通じて法人向け
銀行業務を提供している。中小企業顧客は伝統的に当行の法人顧客の中核であり、当行はこれらの顧客に対
する強みを引き続き維持する計画である。
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セルフサービス端末
当行の銀行業務支店網を補完するために、当行は幅広い自動窓口機のネットワークを維持し、これらは支
店や無人店舗に設置されている。これらの自動窓口機は、 ATM 、現金支払機および記帳機からなっている。
2015 年 12 月、当行は、生体認証技術を特徴としており、新規口座の開設、デビットカードおよびチェック・
カー ドの発行、外国為替および外貨の海外送金といった従来の ATM ではできなかった広範なサービスを行うこ
とができる新世代自動セルフサービス機「デジタル・キオスク」をソウル首都圏地域で導入した。これらの
デジタル・キオスクは現在、ソウル首都圏地域の 41 支店で稼働している。 2018 年 12 月 31 日現在、当行は 5,810
台の ATM 、 13 台の現金支払機および 46 台のデジタル・キオスクを有していた。当行は、顧客に便利なサービス
を提供し、支店レベルでのマーケティングおよび販売機能を最大化し、人件費を削減し、収益性を改善する
ために、これらの販売チャネルの使用を積極的に推進してきた。 2018 年において、自動窓口機の取引は、当
行の処理件数およびこれらから生じた手数料収入について、当行の預金の預入れおよび引出し取引合計のか
なりの部分を占めた。
エレクトロニック・バンキング
当行のインターネット・バンキング・サービスは店舗カウンターで利用できるサービスと比較してより総
合的であり、 24 時間の口座残高照会、リアルタイムの口座振替、海外送金および借入申込が含まれる。当行
はまた、より迅速、便利かつ安全な銀行取引を顧客が携帯電話を用いて利用できるモバイル・バンキング・
サービスを提供している。 2018 年 12 月 31 日現在、当行は約 18,376,152 のインターネット・バンキング・サー
ビス利用顧客および約 13,994,499 のスマートフォン・バンキング利用顧客を有しており、これは 2017 年 12 月
31 日現在と比較してそれぞれ 8.1 %および 9.7 %増加した。当行のオンラインおよびモバイル・バンキングの
利用者数は引き続き増加するであろう。当行は当初、収益を増やすよりもむしろコスト節減の観点からオン
ラインおよびモバイル・バンキングの提供を開始したが、オンラインおよびモバイル・バンキングは、時間
や場所の制約を受けることなく、より容易でより便利な銀行サービスへのアクセスを顧客に提供し、かつ、
顧客に適合したカスタマイズされたサービスを各顧客に提供するので、これらのサービスを通じて収益を増
加させる可能性を高める方法を現在探求している。 2017 年9月、当行は、よりユーザーフレンドリーで、こ
れまでのプラットフォームよりアクセスが容易で、追加のアプリケーションや認証を要しない新たなウェブ
ベースのモバイル・プラットフォームである「新韓 Tong 」を発売した。新韓 Tong はモバイル識別および非対
面の本人確認技術を利用しており、これにより利用者が実際に銀行支店に訪れることなく、銀行口座を開設
し、外貨に両替し、またクレジットカードの申請といったその他のサービスを利用することができる。 2018
年2月、当行は、新韓 S バンクおよびサニーバンク・アプリケーションといった当行の6つのこれまでの既存
のモバイル・アプリケーションを統合する新たなモバイル・バンキング・アプリケーションである「 SOL 」を
開始した。 SOL は当行の顧客志向でユーザーフレンドリーなモバイル・バンキング・プラットフォームを顧客
に提供するための取組みの蓄積であり、とりわけ使いやすい生態認証と非対面の識別認証技術を特徴として
いる。
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海外のサービス・ネットワーク
下表は、 2018 年 12 月 31 日現在における当行の海外銀行業務子会社および支店を示している。
設立年または
事業部門 所在地 取得年
子会社
中国 香港特別行政区
新韓アジュ金融有限公司 1982 年
(1)
ドイツ フランクフルト
ヨーロッパ 新韓銀行 1994 年
米国 ニューヨーク
アメリカ 新韓銀行 1990 年
中国 北京
新韓銀行中国有限公司 2008 年
カンボジア プノンペン
新韓カンボジア銀行 2007 年
カザフスタン アルマトイ
新韓カザフスタン銀行 2008 年
カナダ トロント
カナダ新韓銀行 2009 年
(2)
日本 東京
SBJ 銀行 2009 年
(3)
ベトナム ホーチミンシティ
新韓バンク・ベトナム 2011 年
(4)
メキシコ メキシコシティ
メキシコ新韓銀行 2015 年
(5)
インドネシア ジャカルタ
新韓インドネシア銀行 2016 年
支店
ニューヨーク 米国 1989 年
シンガポール シンガポール 1990 年
ロンドン 英国 1991 年
ムンバイ インド 1996 年
香港 中国 2006 年
ニューデリー インド 2006 年
カーンチープラム インド 2010 年
プネー インド 2014 年
マニラ フィリピン 2015 年
ドバイ アラブ首長国連邦 2015 年
シドニー オーストラリア 2016 年
アフマダーバード インド 2016 年
ランガ・レッディ インド 2016 年
ヤンゴン ミャンマー 2016 年
(6)
駐在員事務所
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メキシコ メキシコシティ
メキシコ 2008 年
ウズベキスタン タシュケント
ウズベキスタン 2009 年
(1)
ポーランド ワルシャワ
ポーランド 2014 年
___________________________
注記:
(1) ヨーロッパ新韓銀行は 2014 年にポーランドに駐在員事務所を設立した。
(2) 当行は 2009 年に同子会社を日本に設立したが、 1986 年から支店組織を通じて日本で銀行業務を提供してきた。
(3) 2011 年に同子会社を設立する以前、当行は、 1995 年から支店組織を通じてベトナムで銀行業務を提供してきた。
(4) メキシコ新韓銀行は 2018 年3月に営業開始した。
(5) 当行はインドネシアの Bank Metro Express および Centratama Nasional Bank の2行の持分をそれぞれ 2015 年 11 月に 98.01 %および
2016 年 12 月に 100 %取得した。 2016 年3月3日、 Bank Metro Express は新韓インドネシア銀行の商号で事業活動を行う免許を取得し
た。 2016 年 12 月6日、 Centratama Nasional Bank は新韓インドネシア銀行に吸収合併された。
(6) ミャンマーの当行駐在事務所は 2018 年6月8日に閉鎖した。
現在、当行の海外子会社および支店は主に、海外市場において韓国企業や韓国人向けに貿易金融および現
地通貨での資金調達を行っており、また、当行の本店とともに外国為替業務を提供している。限定的ではあ
るが、これらの海外支店および子会社は外国の発行体の有価証券への投資やこれらのトレーディングを行っ
ている。将来においては、当行は「グローバリゼーション」への取組みの一環として、個人向けおよび法人
向け銀行業務において一段と幅広いサービスを提供することで、海外市場における現地顧客のカバレッジを
拡大する計画であり、かかる目的のために当行のプレゼンスを高め、これらの市場においてより柔軟にサー
ビス提供を行えるように、選別された市場において支店の代わりに子会社の設立を増加させており、 2011 年
には当行のベトナム銀行子会社2社を合併した。当行は、組織の成長への注力を維持する計画で、何もない
状態で参入しても現地の銀行免許の取得が難しい市場では買収を選択的に追及する場合もある。この目的を
追求するために、当行は 2015 年 11 月および 2016 年 12 月にインドネシアの Bank Metro Express および
Centratama Nasional Bank の2行においてそれぞれ 98.01 %および 100 %の持分を取得した。当行は 2016 年 12
月にこの2行の合併を完了した。当行はまた 2016 年下半期にオーストラリア、ミャンマーおよびインドに新
たなに支店を開設した。 2017 年4月、新韓バンク・ベトナムは、 ANZ バンク(ベトナム)リミテッドのリテー
ル部門を取得した。 2017 年、新韓銀行は韓国の銀行で初めてメキシコに現地子会社を設置する免許を取得
し、 2018 年3月にメキシコにおいて現地業務を開始した。当行はその海外のバンキング・サービス・ネット
ワークおよびグローバルな営業の拡大の取組みを継続する計画である。
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子会社
2018 年 12 月 31 日現在、当行は 11 の連結子会社を所有しており、その詳細を下表に示す。
株式持分
( 1 )
子会社 所在地 ( 単位:% ) 業務内容
新韓アジュ金融有限公司 香港 99.99 投資銀行業務、韓国企業向けの財務
およびコンサルティング業務のアレ
ンジ、ならびに中国および東南アジ
ア諸国において投資銀行業務に従
事。
アメリカ 新韓銀行 ニューヨークおよ 100.00 一般銀行業務。大部分が米国に居住
びカリフォルニア する韓国人顧客対象。
カナダ新韓銀行 トロント 100.00 一般銀行業務。大部分がカナダに居
住する韓国人顧客対象。
新韓銀行中国有限公司 北京 100.00 現地および韓国コミュニティならび
に企業に対する金融サービス。
ヨーロッパ 新韓銀行 フランクフルト 100.00 海外貸出。大部分が韓国企業およ
び/またはその関連会社対象。
新韓カザフスタン銀行 アルマトイ 100.00 一般銀行業務。大部分がカザフスタ
ンに居住する韓国人顧客対象。
SBJ 銀行 東京 100.00 一般銀行業務。大部分が日本に居住
する韓国人顧客対象。
新韓バンク・ベトナム ホーチミンシティ 100.00 一般銀行業務。大部分が現地の個人
およびベトナムに居住する韓国人顧
客(法人を含む。)対象。
新韓カンボジア銀行 プノンペン 97.50 一般銀行業務。大部分がカンボジア
に居住する韓国人顧客対象。
(2)
メキシコシティ 99.99 現地および韓国企業の双方に対する
メキシコ新韓銀行
金融サービス。
PT Bank Shinhan Indonesia ジャカルタ 99.00 一般銀行業務。大部分が現地の中小
(3)
企業およびインドネシアに所在する
韓国人顧客(法人を含む。)対象。
___________________________
注記:
(1) 当行はまた韓国 IFRS に従い連結子会社として処理されるストラクチャード・エンティティ(構造化企業) 81 社を有している。
(2) メキシコ新韓銀行は 2018 年3月に営業開始した。
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(3) 当行はインドネシアの Bank Metro Express および Centratama Nasional Bank の2行の持分をそれぞれ 2015 年 11 月に 98.01 %および
2016 年 12 月に 100 %取得した。 2016 年3月3日、 Bank Metro Express は新韓インドネシア銀行の商号で事業活動を行う免許を取得し
た。 2016 年 12 月6日、 Centratama Nasional Bank は新韓インドネシア銀行に吸収合併された。
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情報技術
当行は、業務運営を支援し、質の高い顧客サービスを提供することを目的として、高度な情報技術システ
ムを維持するために相当程度の資源を注いでいる。当行の情報技術システムは、包括的なグループ規模の情
報収集および処理に基づき、新韓フィナンシャル・グループにより運営されている。新韓フィナンシャル・
グループはまた、顧客関係管理機能、リスク管理システムおよびデータ処理のために、「エンタープライ
ズ・データ・ウェアハウス」という単一のグループ規模の企業情報技術システムを運営している。新韓フィ
ナンシャル・グループは、そのリスク管理システムおよびリスク閾値に事業環境の変化を反映するだけでな
く、その競合企業との差別化を強調するそのクラスで最高の技術を適用するために、そのグループ規模の情
報技術システムを継続的にアップグレードしている。
2013 年、新韓フィナンシャル・グループは、グループ全体のすべての子会社に対する情報技術システムの
包括的な管理を担う統合データ・センターの建設を完了した。同センターは、最低 15 年間にわたる中央情報
処理設備の安定利用を確保し、さまざまなデータ・センターを組み合わせることにより、経営効率およびコ
スト効率を最大限にし、情報セキュリティを強化するために設計されている。当行は 2014 年にその情報管理
機能をこのセンターに移転させた。
新韓フィナンシャル・グループは、その子会社によって提供される金融サービスのセキュリティならびに
信頼性を強化するために、継続的にグループ全体の情報セキュリティ基準の強化およびその関連システムの
アップグレードに努めている。 2008 年、新韓フィナンシャル・グループは、グループ全体の情報システムお
よび方針を設定し、それ以来これを継続的にアップデートし、アップグレードしてきた。 2014 年、新韓フィ
ナンシャル・グループは、さらにグループ全体の情報セキュリティ統制タワーをそのクラスで最高の水準に
アップグレードし、サイバー侵害を受けた際のセキュリティ防御能力を強化するために、その社内の情報セ
キュリティ担当スタッフの大半を優れた技能を有する外部専門家に入替えた。
当行はまた、電子バンキングおよびモバイル・バンキング、オンラインによるコンサルティング、拡張販
売サービスならびにカスタマイズされた情報サービスを含め、顧客サービスの質を向上させることによりそ
の競争力を高めるために、引き続き子会社の情報技術システムをアップグレードしている。さらに、当行
は、最近、当行のバンキング・アプリケーション「 SOL 」の開始といった、法人向けオンライン・バンキン
グ・サービスの主要なアップグレードおよび携帯電話ベースの商品提供の拡大を通じて、その間接サービ
ス・チャネルならびに携帯電話によって金融サービスにますますアクセスする顧客基盤の成長に照らした販
売およびサービスのネットワークを強化した。さらに、当行はグローバルな顧客管理システムを通じてその
海外子会社および支店の販売能力および経営能力を支援するだけでなく、各国で固有の金融サービスを提供
するために、情報技術システムを拡大しており、引き続き拡大する所存である。
当行の情報技術システムは現在、リアルタイム・ベースでバックアップされている。 2014 年、新韓フィナ
ンシャル・グループは、新韓データ・センターが遮断された場合でも、継続的に途切れることなく顧客サー
ビスを提供するために、既存のデータ・センターをバックアップ用の運営と災害復旧センターとしての運営
に転換した。
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(2) 資産および負債の詳細
別段の記載がない限り、下記の情報はすべて連結ベースで表示されている。別段の記載がない限り、当行
の信託勘定の資産および負債については、「信託勘定」に記載されている。
貸出ポートフォリオ
当行は、その銀行勘定および信託勘定の双方から貸出を行っている。保証は、当該保証に関し当行が顧客
に代わり支払いを行わない限り、および当行が支払いを行うまで、貸出には分類されない。
単一の借り手に対する当行のエクスポージャー合計ならびに独占規制および公正取引に関する法律に定義
される同一の企業グループに属する単一の企業グループに対するエクスポージャー合計は、法律により Tier
I 資本および Tier II 資本(資本控除項目を除く。)の合計額のそれぞれ 20 %および 25 %に制限されている。
新韓フィナンシャル・グループおよび当行を含むその子会社の単一の借り手に対するエクスポージャー合計
ならびに独占規制および公正取引に関する法律に定義される同一の企業グループに属する単一の企業グルー
プに対するエクスポージャー合計は、正味株式資本合計(金融持株会社法大統領令に定義される。)のそれ
ぞれ 20 %および 25 %に制限されている。
当行の表示日現在の種類別貸出を下表に示す。別段の記載のある場合を除き、すべての貸出金額は貸倒引
当金および繰延貸付付帯費用控除前である。貸出金合計は延滞金額を含み、当行の貸出ポートフォリオを反
映している。
12 月 31 日現在
2017 年 2018 年
(単位:十億ウォン)
(1)
129,088 140,361
法人向け貸出
(2)
103,724 112,698
個人向け貸出
(3)
253,059
232,812
合計
___________________________
注記:
(1) 公的機関およびその他貸出、他銀行への貸出を含む。
(2) クレジットカード債権を含む。
(3) 2017 年および 2018 年 12 月 31 日現在、当行の総貸出金合計のそれぞれ 87.4 %および 87.0% はウォン建てであった。
借り手別のエクスポージャー上位 10 件
2018 年 12 月 31 日現在において、貸出、有価証券ならびに保証および引受手形からなる当行のエクスポー
ジャー上位 10 件の合計は 41,754 十億ウォンであり、当行のエクスポージャー合計の 24.6 %を占めていた。下
表は、表示日現在における当行の借り手の上位 10 件に対するエクスポージャー合計を示している。
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ウォン建て 外貨建て 保証および
エクスポー
貸出 貸出 有価証券 引受手形 ジャー合計
2018 年 12 月 31 日現在
(単位:十億ウォン)
- - 17,551 - 17,551
企画財政部
40 - 5,419 - 5,459
韓国銀行
- - 4,941 - 4,941
韓国住宅金融公社
10 11 3,710 - 3,731
韓国産業銀行
644 - 2,861 - 3,505
中小企業銀行
- 11 1,629 - 1,640
韓国輸出入銀行
- 1,433 - - 1,433
三星電子
1,100 - 110 - 1,210
KB 証券
698 - 471 - 1,169
韓国証券金融
- - 1,115 - 1,115
韓国預金保険公社
2,492 1,455 37,807 - 41,754
合計
主な債務者グループに対するエクスポージャー
2018 年 12 月 31 日現在、当行のエクスポージャー合計の 11.1 %は FSS 院長により認定された主要債務者 10 グ
ループに対するもので、その大部分は財閥であった。下表は、表示日現在における、当行が最大エクスポー
ジャーを有する主要債務者 10 グループに対する当行のエクスポージャー合計を示している。
外貨建て
ウォン建て 保証および エクスポー
貸出 貸出 有価証券 手形引受 その他 ジャー合計
2018 年 12 月 31 日現在
(単位:十億ウォン)
535 2,001 735 968 - 4,239
三星
781 1,809 449 332 1 3,372
現代自動車
618 378 577 804 - 2,377
SK
295 718 493 339 2 1,847
ロッテ
377 256 452 537 - 1,622
LG
158 171 30 1,074 - 1,433
現代重工業
254 265 482 328 - 1,329
ハンファ
76 388 189 627 - 1,280
LS
151 453 60 139 - 803
暁星
76 464 40 23 - 603
S オイル
3,321 6,903 3,507 5,171 3 18,905
合計
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業種別の貸出の集中
下表は、 2018 年 12 月 31 日現在における当行の法人向け貸出の残高合計を業種別に示している。
2018 年 12 月 31 日現在
法人向け貸出残高合計
業種 貸出残高合計 に対する割合
(単位:十億ウォン、%を除く)
製造 45,309 32.28 %
不動産、リースおよびサービス 25,454 18.14
小売および卸売業 19,396 13.82
金融および保険 13,859 9.87
建設 3,009 2.14
(1)
6,466 4.61
ホテルおよびレジャー
26,868 19.14
その他
140,361 100.00 %
合計
___________________________
注記:
(1) 主にホテル、モーテルおよびレストランからなる。
満期分析
下表は、 2018 年 12 月 31 日現在における当行の貸出ポートフォリオの満期予定(満期までの残存期間別に表
示)を示している。開示されている金額は、これに帰属する貸倒引当金および繰延貸付付帯費用控除前の額
である。分割返済ローンの場合、分割返済時期を考慮して満期が調整されている。
2018 年 12 月 31 日現在
(1)
1年以下 1年超5年以下 5年超 合計
(単位:十億ウォン)
法人向け貸出 99,266 36,563 4,532 140,361
43,020 28,628 41,050 112,698
個人向け貸出
142,286 65,191 45,582 253,059
総貸出金合計
___________________________
注記:
(1) 延滞貸出を含む 。
当行は、当行が貸出審査手順に従って標準的な貸出審査を行った後、法人向け貸出(主に運転資金融資お
よび設備融資からなる。)および個人向け貸出(分割返済でない場合)について借り換えを認めることがで
きる。当行の運転資金融資は合計3年から5年までの期間について、通常1年ごとに延長することができ
る。設備融資は通常有担保であり、通常は最初の貸出日から 15 年間を最大として、1年ごとに延長すること
ができる。個人向け貸出は、有担保および無担保貸出の双方について、最大 12 ヵ月までの追加期間を延長し
て最初の貸出日から合計 10 年間とすることができる。
金利感応度
下表は、 2018 年 12 月 31 日現在における当行の貸出の内訳を金利感応度別に示したものである。
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2018 年 12 月 31 日現在
(1)
1年超 合計
1年以内
(単位:十億ウォン)
(2)
固定金利付貸出 45,684 14,778 60,462
(3)
96,602 95,995 192,597
変動金利付貸出
総貸出金合計 142,286 110,773 253,059
___________________________
注記:
(1) 延滞貸出を含む。
(2) 固定金利付貸出は、全期間について金利が固定された貸出である。
(3) 変動金利または金利調整貸出は、全期間について金利が固定されていない貸出である。
当行の金利リスクの管理に関する情報の詳細は、「第2-3- (3) リスク管理-市場リスク管理-トレー
ディング業務から生じる市場リスク・エクスポージャー」を参照されたい。
未収利息不計上の貸出および延滞貸出
買戻した貸出の場合を除き、当行は通常、未収利息不計上の貸出にかかる受取利息を、減損損失を測定す
るためのかかる貸出の将来キャッシュ・フローの割引に用いられた金利を用いて認識する。通常、当行は、
金利および/または元本の支払が 90 日間延滞した場合、貸出にかかる未収利息の計上を停止する。貸出(買
戻した貸出を除く。)は、金利および元本の支払が再開されるまで未収利息計上の貸出として再分類されな
い。
当行は通常、商業貸出の場合は1日から 14 日、個人向け貸出の場合は1日から 30 日にわたり金利の支払が
延滞した貸出について、貸出元本残高および関連未収利息の全額を即座に返済するよう借り手に要請するこ
とはない。
既往の利息は、当行の会計簿上発生していない未収利息不計上貸出金にかかる支払期日到来利息である。
2017 年および 2018 年に、当行は未収利息不計上の貸出について、各年度またはその年の一部の間保有した貸
出については実行から期末までの期間においてかかる貸出が当初契約条件のとおりに収益計上されていたな
らそれぞれ 47 十億ウォンおよび 39 十億ウォンの総受取利息が計上されたであろう。 2017 年および 2018 年の当
行の正味利息に含まれたこれらの貸出金にかかる受取利息はそれぞれ 30 十億ウォンおよび 25 十億ウォンで
あった。
下表は、表示された日における1日以上延滞した未収利息不計上貸出金および未収利息計上貸出金とされ
た貸出金額を示している。「未収利息計上だが1日延滞」の要件には、まだ未収利息を計上しているが元本
または利息の支払が契約上は1日以上延滞している貸出を含む。当行は引き続き、未収利息が現金預金によ
り全額担保されている場合を含め、貸出金の全額が未払いである貸出金にかかる未収利息を計上する。
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12 月 31 日現在
2017 年 2018 年
(単位:十億ウォン)
(1)
未収利息不計上貸出金
法人向け
945 824
個人向け
281 314
小計
1,226 1,138
契約上1日以上延滞となっている未収利息計上貸出金
法人向け
157 189
個人向け
403 439
小計
560 628
合計
1,786 1,766
___________________________
注記:
(1) 韓国 IFRS に基づき「不良債権の再編」である貸出金または金利および/または元本の支払が 90 日以上(二重に計上することを避ける
ために両方の要件を満たしている貸出金の重複調整後)延滞している貸出金を表している。
不良債権の再編
「債務整理および再生手続中の会社に対する信用エクスポージャー」を参照されたい。
下表は、表示日現在における「不良債権の再編」とされる当行の貸出を示している。これらの貸出金は主
として、債務整理および再生手続きを通じて再編された法人向け貸出からなっている。「債務整理および再
生手続中の会社に対する信用エクスポージャー」を参照されたい。これらの貸出金は、当初の契約条件より
も低い金利が付されるか、または再編に際しての条件の変更により、当初の契約上の満期の延長を伴う。
12 月 31 日現在
2017 年 2018 年
(単位:十億ウォン)
「不良債権の再編」に分類された貸出金
50 12
(未収利息不計上貸出および延滞貸出を除く。)
「不良債権の再編」に分類された貸出金
633 428
(未収利息不計上貸出および延滞貸出を含む。)
下表は、表示期間における、再編済み貸出について、当初の再編済み貸出の契約条件に基づき当行の受取
利息に計上されるべきであった金額と、かかる貸出の再編された契約条件に基づき、実際にかかる貸出につ
いて当行の受取利息として計上された金額を示している。
12 月 31 日現在
2017 年 2018 年
(単位:十億ウォン)
(1)
再編済み貸出の当初契約条件に基づく受取利息 28 19
再編済み貸出の再編された契約条件に基づく受取利
息 16 7
___________________________
注記:
(1) 未収利息不計上貸出金および延滞貸出金を含む。
下表は、当行の表示日現在における「不良債権の再編」に分類される法人向け貸出の貸出金残高および個
別貸倒引当金(未収利息不計上貸出金および延滞貸出金を含む。)の内訳を、かかる貸出が対象となる再編
の種類別に示している。
12 月 31 日現在
2017 年 2018 年
貸出金残高 引当金 貸出金残高 引当金
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(単位:十億ウォン)
「不良債権の再編」に分類された法人
(1)
向け貸出 :
391 275 331 237
債務整理
242 94 97 33
法定管理および和議
633 369 428 270
合計
___________________________
注記:
(1) 未収利息不計上貸出金および延滞貸出金を含む。
下表は、表示日現在の個人債務者向けの「債務整理前プログラム」に基づく債務整理の対象である個人向
け貸出(未収利息不計上貸出金および延滞貸出金を含む。)の貸出金残高および個別貸倒引当金の内訳を、
かかる貸出が対象となる再編の種類別に示している(かかる貸出は前述の法人向け貸出には含まれないた
め、上記の表に含まれていない。)。「債務整理前プログラム」に関する詳細は、下記「債務整理および再
生手続中の会社に対する信用エクスポージャー-延滞している消費者および中小企業の借り手に対する信用
再生プログラム」を参照されたい。
12 月 31 日現在
2017 年 2018 年
貸出金残高 引当金 貸出金残高 引当金
(単位:十億ウォン)
「債務整理前プログラム」に基づく債
34 21 67 36
(1)
務整理の対象である個人向け貸出
___________________________
注記:
(1) 未収利息不計上貸出金および延滞貸出金を含む。
下表は、表示日現在の法人向け貸出のうち、減損したとみなされ、下記に記載される当行の一般金利計上
方針に基づき未収利息不計上に分類される再編済み貸出の金額を示している。同表はまた、表示期間の法人
向け貸出について、再編済み貸出金の償却合計および再編の一環として持分証券に転換された貸出に関する
再編済み貸出の償却金額を示している。
12 月 31 日現在
2017 年 2018 年
(単位:十億ウォン)
(1)
897 416
減損した未収利息不計上の再編済み貸出金
(1)
70 59
再編済み貸出金の償却合計
再編の一環として持分証券に転換された貸出金
41 67
(1)
に関連する再編済み貸出金の償却
___________________________
注記:
(1) 法人向け貸出のみを含む。
債務整理 および再生手続中の会社に対する信用エクスポージャー
当行の再編に対する信用エクスポージャーは、法人貸出回収部によって監視され、管理されている。 2018
年 12 月 31 日現在、当行の貸出金合計の 0.17 %( 428 十億ウォン)(うち 416 十億ウォンが未収利息不計上に分
類され、 12 十億ウォンは未収利息計上に分類されている。)が再編中である。当行の信用エクスポージャー
の再編が主に取る法的形式は、債務整理および再生手続きである。
債務整理
最初の企業再生促進法(法律第 6504 号)(以下「旧企業再生促進法」という。)は、破産した会社の裁判
所の関与しない再編を促進するために 2001 年8月 14 日に施行された。同法は 2005 年 12 月 31 日に失効し、新た
な企業再生促進法が 2007 年8月3日( 2010 年 12 月 31 日に失効) 、 2011 年5月 19 日( 2013 年 12 月 31 日に失
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効)、 2014 年1月1日( 2015 年 12 月 31 日に失効)、 2016 年3月 18 日( 2018 年6月 30 日に失効)および 2018 年
10 月 16 日( 2023 年 10 月 15 日に失効予定。 2018 年 10 月 16 日に制定され、施行された新企業再生促進法を以下
「企 業再生促進法」という。)に制定された。
不良兆候会社の「主たる債権者金融機関」が 2023 年 10 月 15 日までに債権者委員会(下記に定義する。)の
招集通知を提示した場合、かかる債権者委員会により開始された手続きはいずれも、かかる手続きが完了ま
たは停止しない限り、 2023 年 10 月 15 日の後も企業再生促進法の対象となる。
企業再生促進法の主要な規定の概要は以下のとおりである。企業再生促進法は、債務会社またはその他の
第三者に「信用供与」を行ったことにより、かかる債務会社に対して金融請求を有する債権者(以下「金融
債権者」という。)に適用される。「信用供与」とは、下記のいずれかに該当する FSC により定められた取引
として企業再生促進法において定義される。
• 貸出
• 約束手形および債務証書または債券の購入
• 機器のリース
• 支払保証
• 支払保証に基づく引受手形および保証に関する貸付の提供
• 債務会社による不払いの結果、相手方に損失をもたらす可能性のある直接または間接の金融取引
• 上記のいずれにも該当しないが、上記と実質的に同じ結果を招く可能性のある取引
「債務会社」は、企業再生促進法においては韓国商法に基づき設立された会社または営利事業を行うその
他の者と定義されている。「不良兆候会社」とは、企業再生促進法に定める方法で行われた信用評価によっ
て、「主たる債権者金融機関」により、外部による金融支援または追加融資(通常の金融取引の過程で取得
する貸出を除く。)がなければかかる金融債権者に対する債務の返済が困難であるとみなされる債務会社を
意味する。
「債務会社」が主たる債権者金融機関に「不良兆候会社」の定義に該当する旨を通知されると、かかる会
社は事業再生計画および金融機関債権者リストを提出し、かかる債権者金融機関に、金融債権者委員会(以
下「債権者委員会」という。)またはかかる主たる債権者金融機関により行われる管理手続きの開始を申請
することができる。
企業再生促進法に基づき、不良兆候会社の主たる債権者金融機関は、不良兆候会社の財政状態が、その事
業再生計画に従い再生されるかまたは通常に戻る可能性があると判断する場合、下記の行為のうちのひとつ
を行わなければならない
" 債権者委員会による不良兆候会社の管理手続きを開始するか否かを決定するために債権者委員会の第1
回集会を招集すること。
• 主たる債権者金融機関による不良兆候会社の管理手続きの引受け
企業再生促進法に基づき、債権者委員会の第1回集会を招集するため、主たる債権者金融機関は、金融債
権者、不良兆候会社および FSS に対して通知しなければならない。しかし、主たる債権者金融機関は、金融業
務を行わない金融債権者または不良兆候会社に対する請求がわずかである金融債権者に対する通知を省略す
ることができる。主たる債権者金融機関からの通知を受領しない金融債権者は、債権者委員会からは除外さ
れるが、かかる金融債権者が集会への参加を希望する場合は、主たる債権者金融機関はかかる金融債権者を
除外してはならない。主たる債権者金融機関が債権者委員会第1回集会を招集する場合、金融債権者に第1
回集会が終了するまで請求の執行(担保権の執行を含む。)について猶予を求めることができる。さらに、
債権者委員会第1回集会において、金融債権者は管理手続きの開始日から1ヵ月(または不良兆候会社の財
政状態に関する調査が必要な場合は3ヵ月)(債権者委員会の決議によりさらに1ヵ月延長することができ
る。)以内の猶予を宣言することを決議することができる。
債権者委員会の第1回集会に出席した金融債権者はとりわけ、 (i) 管理手続きの開始、 ( ⅱ ) かかる管理手続
きに参加する金融債権者の構成、および ( ⅲ ) 上記の猶予の宣言を決議することができる。
管理手続きが開始すると、主たる債権者金融機関は、不良兆候会社 の財政状態に関する調査の結果を考慮
して、不良兆候会社 の企業再生計画を作成し、かかる計画を債権者委員会の承認を得るために提出しなけれ
ばならない。企業再生計画はとりわけ、不良兆候会社が有する債務の返済繰延べ、新たな信用供与および不
良兆候会社の事業再生計画に関する事項を含むことができる。企業再生計画が猶予期間終了日までに承認さ
れない場合、債権者委員会による不良兆候会社の管理手続きは終了したとみなされる。
債権者委員会の決議は通常、債権者委員会を構成する金融債権者の不良兆候会社に対する貸付残高の 75 %
以上を有する金融債権者の承認により可決される。ただし、単一の金融債権者が貸付残高の 75 %以上を有す
る場合、決議は債権者委員会を構成する金融債権者の総数(かかる単一の金融債権者を含む。)の 40 %以上
による承認により可決される。不良兆候会社の債務繰延べに関しては、債権者委員会を構成する金融債権者
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が不良兆候会社に対して保有する担保付請求総額の 75 %以上に持分を有する金融債権者による追加の承認が
必要である。
債権者委員会による不良兆候会社の管理手続きの開始、企業再生計画の策定または改訂、管理手続きの延
長、請求の繰延べまたは新たな与信の提供に関して債権者委員会の決議に反対する金融債権者(以下「反対
金融債権者」という。)は、かかる決議から7日以内に、主たる債権者金融機関に対し、不良兆候会社に対
する請求の種類および数量を提示して、その買入れを要請することができる。かかる決議を承認した金融債
権者(以下「賛成金融債権者」という。)は、かかる要請から6ヵ月以内にかかる請求を共同で買入れる。
かかる買入の買入価格および条件は、賛成金融債権者と反対金融債権者との間の相互の合意により決定さ
れる。かかる事項についての合意が未決定の場合、支払いは暫定的な価格で行われ、合意に達した後に行わ
れた支払いを調整する。合意に達しない場合、かかる事項は企業再生促進法に基づき設立される調整委員会
により決定される。
再生手続き
2006 年4月1日に施行された債務者再生および破産法のもとでは、法定管理に代えて再生手続が導入され
た。再生手続では、債務会社の経営が裁判所に任命された管財人に委ねられる法定管理手続とは異なり、債
務会社の現最高経営責任者が債務会社の経営を継続することができる。ただし、 (i) 資産の不正な委譲または
隠蔽が存在しないこと、 ( ⅱ ) 債務会社の財政破綻が当該最高経営責任者の重過失によるものでないこと、お
よび ( ⅲ ) 合理的な理由に基づき、当該最高経営責任者の交代を裁判所任命の管財人に要求することを目的と
した債権者委員会が開催されていないことを条件とする。再生手続はいかなる支払不能債務者によっても開
始することができる。また、国際基準を満たすために、国際破産手続が韓国で導入された。かかる手続に基
づいて、外国の破産手続の管財人は係属中の外国破産手続について韓国の裁判所の承認を得て、韓国の破産
手続を申請し、またはこれに参加することができる。同様に、国内の再生手続の管財人または破産管財人
は、適用ある外国の法律により認められる範囲で、債務者の資産が所在する外国においてその職務を遂行す
ることが認められている。
2018 年 12 月 31 日現在、再生手続の対象となっていた貸出金合計は 97 十億ウォンであった。法定管理または
和議手続の対象となっていた貸出金はなかった。
債務整理および再生手続中の貸出金は、通常 90 日超延滞しておりかかる貸出金には利息が生じないことか
ら、上記「未収利息不計上の貸出および延滞貸出」に記載されるように当行の財政状態計算書(「第6-1
財務書類」に記載されている「財務状態表」と同じ意味である。以下、同様。)において未収利息不計上貸
出金として計上されている。不良債権の再編の定義を満たす再編済み貸出金は、上述の「不良債権の再編」
において記載される不良債権の再編として報告される。かかる再編済み貸出金は、再編の結果として受領す
る商品の種類に応じて、当行の財政状態計算書上貸出金または有価証券として報告されている。
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延滞している消費者および中小企業の借り手に対する信用再生プログラム
韓国政府は、クレジットカードやその他の消費者信用における延滞が徐々に増加していることに鑑みて、
延滞している消費者たる借り手の信用再生を支援することを目的としたいくつかの措置を実施している。こ
うした措置は、当行が延滞している消費者信用から回収する金額や時期に影響を及ぼす可能性がある。
信用カウンセリングおよび再生サービスは、個人債務者に、債務整理前プログラムおよび個人債務整理プ
ログラムのふたつのプログラムを提供しており、いずれも債務金額の合計が 1.5 十億ウォン以下(担保付債務
1十億ウォン以下および無担保債務 500 百万ウォン以下)である個人が利用することができる。債務整理前プ
ログラムは延滞期間が 31 日以上 89 日以下の個人(延滞期間は1日以上 30 日以下であるが年収が 40 百万ウォン
以下であり、申請日の直前の年における累積延滞期間が 30 日以上の個人を含む。)に対し、個人債務整理プ
ログラムはその延滞期間が3ヵ月以上である個人に対して提供される。個人債務者が債務整理前プログラム
または個人債務整理プログラムを申請すると、信用カウンセリングおよび再生サービスは、債務再編計画を
審査し、決定する。信用カウンセリングおよび再生サービスと信用再生支援合意を行っており、かつ当該個
人債務者に対する無担保債務および担保付債務それぞれの過半を有する債務者金融機関がかかる再編計画に
合意すると、かかる再編計画は完成し、申請された債務整理前プログラムまたは個人債務整理プログラムに
従い、満期の延長、金利の調整または債務削減といった債務再編措置が行われる。
債務者再生および破産法に基づき、債務残高合計が無担保債務 500 百万ウォンおよび/または担保付債務1
十億ウォンの上限を超えない適格な個人債務者は、債権者に対して拘束力を有する裁判所監督に基づく債務
再編を通じて自己の債務を再編することができる。
借り手が、債務整理前プログラムへの参加が適格であるとみなされると、当行は損失を軽減するために速
やかにかかる借り手の有担保貸出の担保を売却し、以下の方法により、かかる借り手の無担保貸出(その種
類を問わない。)を再編することができる。
・期間の延長:貸出の種類、貸出金額合計、返済金額および返済可能性についての検討に基づき、3年を
超えない猶予期間付きで、無担保貸出の満期を 10 年まで、有担保貸出の満期を 20 年まで延長することが
できる。
・金利の調整:貸出金利を当初金利の 70 %または年5%のいずれか高い方に調整することができる。ただ
し、当初金利が年利5%未満の場合には調整は適用されない。調整後の金利は、債務整理前プログラム
の一環としての調整後の元本に対し適用され、すでに発生している利子または未払手数料には利息は付
されない。
・債務免除:債務整理前プログラムに基づく債務免除は、 (i) 債務整理前プログラムの申請前に発生した遅
延利息、ならびに ( ⅱ ) プログラムを申請したが承認を受ける前に発生した定期利息および遅延利息に限
定される。
・繰延べ:レイオフ、失業、事業閉鎖、災害または利益損失による適格な借り手に対する有意義な支援の
提供において上記の3つの対策が十分でないとみなされる場合、貸出返済は最長1年まで繰延べること
ができる。ただし、債務整理前委員会がかかる繰上げ期間を6ヵ月ごとに延長することができるが、
6ヵ月を超えない期間については借り手の申請による。繰延期間は返済期間として計算されず、繰延期
間中の金利は年3%である。
2017 年および 2018 年に当行の債務整理前プログラムに基づき改訂された貸出金合計はそれぞれ 34 十億ウォ
ンおよび 67 十億ウォンであった。かかる改訂済み貸出金はすべて期間の延長および金利引下げを適用された
が、かかる貸出のうちごくわずかについては債務免除および繰延べが適用された。
FSC のガイドラインに基づき、当行を含む韓国の銀行は、 2008 年から中小企業に対する流動性支援プログラ
ムであるファスト・トラック・プログラムを運営してきた。ファスト・トラック・プログラムが 2016 年 12 月
31 日に終了したため、 FSC は 2017 年1月1日に開始する5年間に中小企業に対して迅速な金融支援プログラム
を実施した。このプログラムに参加する銀行およびその他の金融機関は、信用リスク評価に基づき、一時的
な流動性危機に直面しているが、一定の基準以上の信用格付を有する中小企業に対して金融支援(既存の債
務の期間の延長および金利の引下げを含む。)を提供する。原則として、企業に対する迅速な金融支援プロ
グラムの申請は3年を限度とするが、かかる申請は、債権者である金融機関との交渉により、1回につき最
長1年まで延長することができる。
不良債務再編中の貸出金に係る貸出条件改訂プログラム
当行は通常、再編済み貸出金について、金利の低減、延滞利息の免除、元本の返済期日の延長、債務の株
式への転換またはこれらを組み合わせた条件緩和を与えている。かかる条件緩和の内容および程度は、とり
わけ借り手の信用度、再編される貸出金の規模、当該貸出金の現行条件および関連する債権者委員会によっ
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て関連があるとみなされるその他の要因によって異なる。当行は通常、既存の貸出金を新たな複数の新規貸
出金に再編することはしない。
下表は、 2017 年および 2018 年 12 月 31 日現在、当行の貸出条件改訂プログラムによって再編中の貸出金総額
の内訳を、各年度末現在の貸出区分ならびに延滞/非延滞の状況別に示している。
2017 年 12 月 31 日
改訂プログラム 延滞 非延滞 合計
(単位:十億ウォン)
元本および利息について支払期
82 - 82
限の延長
351 27 378
金利の低減
- - -
株式への転換
(1)
- 6 6
追加貸出
(2)
151 16 167
その他
合計:
584 49 633
2018 年 12 月 31 日
改訂プログラム 延滞 非延滞 合計
(単位:十億ウォン)
元本および利息について支払期
限の延長 - 79 79
金利の低減 8 250 258
株式への転換 - - -
(1)
- - -
追加貸出
(2)
37 54 91
その他
合計:
45 383 428
___________________________
注記:
(1) 再編パッケージの一部として、より有利な条件で借り手に提供された追加貸出を示す。これには、中でも支払期日の延長または金利
の低減が含まれることがある。
(2) 主として、表示日現在再編条件が決定されていなかった再編済み貸出金からなる。貸出金は、再生手続の開始をもって、または関連
する債権者委員会もしくは当行の貸出担当者が借り手は債務整理の対象となると判断した時に再編が開始されたものとみなされ、
多くの場合、かかる貸出金についての再編の条件はかかる貸出金が再編の対象になるとみなされる時点においては決定されていな
い。
債務の株式への転換
当行は、改訂後の条件で回収可能とみなす貸出金と、いかなる条件の改訂を行っても回収不能とみなす貸
出金を区別している。後者の貸出金に関しては、かかる貸出金の一部を借り手との交渉後に持分証券に転換
し、以下に詳述するように当該貸出金の残存部分を償却する。そのように転換された持分証券は、入手可能
であればかかる証券の時価に基づく公正価値で、時価を入手できない場合には外部評価人による当該証券の
評価額で計上される。 2018 年に持分証券への転換により再編された当行の貸出金は 38 十億ウォンにのぼり、
これは後に償却された。
債務の株式への転換には、概して二つの主なメリットがある。一つ目は、債務の株式への転換によって借
入額および関連する借り手の利息費用が減少し、その結果債務負担額が減少して流動性が増加し、借り手が
再編から脱却して当行への債務を返済する可能性が高まる。二つ目は、借り手の再生が成功した場合には、
当行は転換された持分証券の価値の値上がり益に対する権利を有する。しかしながら、これらのメリットに
も拘らず、再編の一環として転換される貸出金は概ねいかなる条件の改訂を行っても回収不能とみなされる
ことから、債務の株式への転換が当行の受取利息に与える影響は通常重大ではない。当行の資産分類に与え
る影響については、当行は概して、非再編済み貸出金および再編済み貸出金の双方に対して同じ資産分類基
準を適用する。再編済み貸出金については、当行はまた、とりわけ適用可能な範囲で借り手のその事業計画
に対する強い意志および自助手段の実行といった追加要因を考慮した。かかる基準を考慮し、当行は通常、
債務整理の対象となる貸出金を「要注意」として分類している。当行の貸出分類の一般的な説明について
は、「第2-3- (6) 監督および規制-銀行に適用される主要な規制-自己資本比率」を参照のこと。
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貸出条件改訂プログラムの評価
当行は、借り手が再編済み貸出金の改訂後の条件を遵守しているかどうかを個別に監視しているものの、
現在、個別の条件緩和の成果を種類別に体系的または定量的に評価(歴史的なものか、相互の関連性または
韓 国の他の金融機関との関係の点からなされるものかを問わない。)してはいない。これは主に以下の理由
による。
一つには、再編の対象であるか対象となりそうな大企業(韓国で最も多くの再編事例を占める。)の場
合、通常再編手続は当行ではなく、いくつかの大規模な債権者金融機関を含む債権者委員会によって主導さ
れ、大企業または大規模なビジネス・コングロマリットのグループ企業の場合には、再編が経済全般に波及
効果をもつ可能性に鑑みて政府の指導が必要になることが多い。したがって、当行が借り手の信用情報やど
のような種類の条件緩和を与えたかに基づいて個別の条件緩和の成果を評価するのに役立つデータを収集す
ることは困難である。
第二には、韓国における再編事例は借り手が再編プログラムから比較的早期に脱却できる能力の点でみる
と大部分が成功しており、さらに失敗事例で特に重大なものはこれまでなかったとの当行の一般的な判断に
も拘らず、これを体系的には分析できないことである。
その結果、今日まで当行は、提供された特定の条件緩和の成果を種類別に評価する目的で、体系的な分析
を実施するための必要な時間と資源を費やすことが特に必要であるかまたは役立つとは考えていない。
しかしながら、当行は限られた方法で、つまり、主に借り手と債権者機関との間で合意された再編計画の
契約条件を借り手がどの程度遵守しているかという点から条件緩和の成果を測定している。再編計画には通
常、事業計画および借り手が実施する自力救済が含まれる。当行は、借り手による再編計画の遵守を定期的
に監視し(再編計画の条件に従って年毎、半年毎および四半期毎)、 (i) 事業計画の実施の進展、 (ⅱ) 自力救
済措置の実施の進展、ならびに (ⅲ) 経済全般における主要な展開、規制環境、競争上の展望、上級役員の質
および経営の透明化といったその他の数量的要素という、主に3つの属性に関して当該条件緩和の成果を評
価している。当行はまた、借り手のキャッシュ・インフローおよびキャシュ・アウトフローを注意深く監視
し、債権者委員会は通常、借り手による主な支出および借入関連の意思決定に参加する権利を有している。
再編済み貸出金に対する未収利息計上方針
当行は、未収利息計上方針の目的上、再編済みの貸出金を主に (i) 企業再生促進法に基づく債務整理の対象
である貸出金、および (ⅱ) 債務者再生および破産法(韓国における総合的な破産関連法)に基づく再生手続
きの対象である貸出に分類している。上記「債務整理および再生手続中の会社に対する信用エクスポー
ジャー」を参照されたい。債務整理対象の貸出については、当行の一般的方針は、上記「未収の貸出および
延滞貸出」に記載されるとおり、貸出にかかる元本または利息の支払が 90 日以上延滞した時に未収利息の計
上を中止するというものである。これらの貸出金については、かかる貸出金が未収利息不計上に区分変更さ
れた日から利息は現金ベース(すなわち回収時)で認識され、かかる貸出金は延滞している元本および/ま
たは利息が全額返済されるまで、利息計上に区分変更されない。この全般的な方針は、かかる貸出金が再編
済み貸出金であった場合においても、債務整理対象の貸出金にも適用される。再生手続きの対象である貸出
金の場合には(たとえかかる貸出金の支払がまだ遅延していない場合でも)、当行は、借り手の返済能力に
関する懸念の高まりに鑑みて、借り手が再生手続きの対象となり次第、直ちに未収利息の計上を中止する。
かかる貸出金に対する利息は現金ベースで認識され、かかる貸出金は、借り手が再生手続きから脱却するま
では未収利息計上に区分変更されない。したがって、当行の未収利息計上方針に基づき、未収利息不計上の
再編済み貸出金に対する支払回数は、かかる貸出金を利息計上状況に戻すかを判断する際に関連する要素と
はならない。
再編済み貸出金の履行の判断
当行は、借り手が既存の貸出条件に基づきその義務を満足に履行したかを判断する場合、主に借り手の支
払履歴、すなわち当該借り手が当行の一般的な未収利息計上方針に基づく1日以上の延滞をしたかを検討す
る。借り手が再編後の条件に従って引き続き契約履行能力を示しているかについては、当行は主に、再編後
の条件に基づく借り手の弁済能力の見込みに関する貸出担当者(または多額の貸出金残高を有する大企業の
借り手の場合には債権者委員会)による評価に基づいて判断し、かかる評価では問題となっている貸出金の
規模、借り手の信用プロファイル、当該貸出金の当初条件および関連する貸出担当者が関連性があるとみな
すその他の要因が考慮される。問題となっている貸出金の規模や借り手の信用プロファイルといった様々な
要因によって、当行または関連する債権者委員会は、場合に応じて、上述の評価を補完すべく詳細な
デュー・デリジェンスを実施するために外部のコンサルタント会社を雇用する場合がある。一部の場合に
は、借り手は再編に対する承認を促進するよう自力救済案も提出する。かかる救済策も、再編後の条件に基
づいて借り手が引き続き契約を履行する将来の能力を判断する際に、当行の貸出担当者または関連する債権
者委員会(場合による)によって検討される。
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再編済み貸出金の償却
当行は、改訂後の条件に基づいて回収可能と考える貸出金に関しては、通常かかる貸出金を改訂後の条件
(例えば、元本および/または利息の返済期日を延長するか、適用利率を下回る利率を実勢市場金利を下回
る利率に軽減するか、またはこれらの組み合わせによる。)に基づいて再編し、かかる貸出金のいかなる部
分も償却しない。
当行は、いかなる条件の改訂にも拘らず回収不能と考える貸出金に関しては、かかる貸出金の一部につい
て、とりわけ (i) 持分証券への転換が借り手の債務負担および流動性上の懸念をどの程度軽減するか、 (ⅱ) 当
該貸出金が持分証券に転換されなかった場合の回収可能性と比較して当該持分証券の価値から得られる当行
の潜在的なメリット、ならびに (ⅲ) かかる転換後の持株構成に関する借り手の懸念を考慮して、かかる貸出
金の一部を借り手の持分証券(通常は普通株式)に転換することを交渉する。当行は次に、持分証券に転換
されなかった貸出金の残存部分を償却する。そのように転換された持分証券の価値は、入手可能であればか
かる証券の市場価値に基づく公正価値により、市場価値が入手できない場合には外部評価人による当該証券
の評価額により計上される。
当行は、債務整理対象貸出金については通常 90 日以上の延滞がない限り未収利息を計上するが、再生手続
きの対象貸出金については通常未収利息を計上しないことから、償却は当行が特定の再編済み貸出金の未収
利息計上状況を判断する際に検討する関連要因とはならない。
当行は、すべての債務に対して契約上支払われるべき利息および元本の返済が合理的に保証されていると
判断する場合には、再編済み貸出金について引き続き未収利息を計上する。かかる判断は、とりわけ、問題
となっている貸出金の規模および借り手の信用の質といった様々な要素に関する当行貸出担当者または関連
する債権者委員会による評価(場合により、外部のコンサルティング会社によるデュー・デリジェンスに
よって補われる。)に基づいて、当行が借り手の返済能力を注意深く検討した後にのみなされる。
潜在的不良債権
債務不履行の著しい潜在性を有する貸出についてより体系的かつリアルタイムな監視を可能にするため
に、当行は「早期警告システム」を運用している。このシステムは、それぞれの貸出金返済条件に従った借
り手の返済能力について深刻な疑いがある貸付および返済不能の著しい潜在性のある貸付を識別することに
より、当行の経営陣による決定の助けとなるものである。
当行は潜在的不良債権を「早期警告貸出」として指定される貸出として分類し、 FSS に報告する。「早期警
告貸出」としての指定は、 (i) 当行の早期警告システムにより、当該借り手の財務データ、信用情報および /
または銀行との取引に基づき信用リスクの兆候を示していると特定され、かかる特定の後、 ( ⅱ ) 当行の貸出
担当者により、かかる借り手に起こりうる信用問題についての既知情報の評価に基づき潜在的不良債権とし
て指定された借り手に対して適用される。かかる貸出は四半期ごとに FSS に報告することが義務付けられてい
る。ある借り手のローンが上記のプロセスに従い「早期警告貸出」として指定され、当行の FSS への四半期報
告書に記載される場合、当行はこれを、かかる借り手に近い将来その返済条件に従った返済能力に深刻な疑
いのある兆候とみなす。 2018 年 12 月 31 日現在、当行の潜在的不良債権は 905 十億ウォンであった。
引当方針
当行は、信用リスクを特定し、貸倒引当金全般を設定するために、定期的かつ系統的に貸出ポートフォリ
オの詳細な検討を実施している。当行の経営陣は、貸倒引当金は各財政状態計算書日現在における予想信用
損失額の最善の見積りを反映していると考えている。
各報告日に、当行は、金融商品の信用リスクが当初認識時から著しく増加したか否かを査定する。査定を
行う際に、当行は、予想信用損失額の変動の代わりに、金融商品の予想期間にデフォルトが発生するリスク
の変動を利用する。この査定を行うために、当行は、過度のコストおよび労力なく入手可能で、当初認識時
からの信用リスクの著しい増加を示す合理的な補足情報を考慮して、金融商品の報告日のデフォルトリスク
と当初認識日のデフォルトリスクを比較する。補足情報はまた当行が有するデフォルト履歴データおよび行
内の信用リスク格付の専門家による分析を含む。
デフォルトリスクと合理的な相関性を有する考えられる観察可能なデータおよび履歴に基づき、各個別の
エクスポージャーに対し内部信用リスク格付を付与する。内部信用リスク格付は、エクスポージャーの性質
および借り手の種類により様々なデフォルトリスクを示す質的要因および量的要因の双方を考慮して決定さ
れる。
当行は、商品および借り手の種類ごとの信用リスクに対するエクスポージャーに関する情報およびデフォ
ルト情報ならびに内部信用リスク査定の結果の分析を経て情報を蓄積する。一部のポートフォリオについて
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は、当行は、外部の信用格付機関がこれらの分析を行っている場合は、かかる機関から入手した情報を利用
する。
当行は、 (i) 蓄積した情報によるエクスポージャーの残存期間中のデフォルトの可能性および ( ⅱ ) 全期間に
予想されるデフォルトの可能性の変動を見積もるため、統計技法を適用する。
当行は、信用リスクの著しい増加を決定するために、ポートフォリオごとに定義された指標を用いる。か
かる指標は一般に、内部信用リスク格付、質的要因、遅延日数その他の変動により予想されるデフォルトリ
スクの変動からなっている。
当行は、下記の条件のひとつ以上に該当する場合、金融資産がデフォルトの状態にあると考えている。
・ 借り手が契約上の支払期日から 90 日以上延滞した場合
・ 当行が、金融資産にかかる担保権を履行せずに元本および利息の回収が不可能であると決定した場合
当行は、借り手がデフォルトの状態にあるか否かを決定する際に、下記の指標を利用する。
・ 質的要因(例えば、契約期間の違反)
・ 量的要因(例えば、同じ借り手が当行に対する1つ以上の支払義務を履行しない場合、支払義務ごと
の延滞日数。ただし、特定のポートフォリオの場合、当行は金融商品ごとの延滞日数を利用する。)
・ 内部および外部データ
当行により適用されるデフォルトの定義は通常、規制上の資本管理目的で定義されたデフォルトの定義と
一致している。しかし、状況により、デフォルトが発生したか否かおよびその程度を決定する情報は様々で
ある。
当行は将来予測的に予想信用損失を測定し、予想信用損失は様々な情報源に基づき内部の専門家により提
示された情報を反映する。かかる将来予測的な情報の見積もりのために、当行は、国内および海外の調査機
関または政府および公的機関が公表する経済見通しおよび予想を利用する。
当行は、予想信用損失の測定に際し、偏りなく、中立的な立場から予想される将来のマクロ経済状況を反
映する。この点に関する予想信用損失は、最も発生しそうな状況を反映し、かつ当行が事業計画および経営
戦略に用いるのと同じ仮定に基づいている。
予想信用損失の測定に用いられる重要な変数は以下のとおりである。
・ デフォルト率( PD )
・ デフォルト時損失率( LGD )
・ デフォルト時貸出残高( EAD )
これらの変数は当行内で開発した統計的技法を用いて過去の履歴データにより見積もられ、将来予測的情
報を反映して調整される。金融資産の予想信用損失を測定する際に、当行は契約上の満期に基づいた予想信
用損失測定期間を反映する。当行は契約上の満期を決定する際に、借り手が有する延長権を考慮する。
PD 、 LGD および EAD といったリスク要因は、下記の基準に従い集合的に見積もられる。
・ 商品の種類
・ 内部信用リスク格付
・ 担保の種類
・ ローントゥバリュー (LTV)
・ 借り手が属する業種
・ 借り手または担保の所在地
・ 延滞日数
グループの均質性を維持するため、グループの分類基準は定期的に検討され、必要であれば調整される。
当行は、過去の経験から蓄積した十分な内部データのない特定のポートフォリオについての内部情報を補足
するために外部の基準情報を利用する。「第3-3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フ
ローの状況の分析-重要な会計方針-金融資産の予想信用損失」を参照されたい。
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貸出金の経過期間表
下表は、表示日現在におけるすべての貸出に関する当行の貸出金の経過期間表(未収利息を除く。)を示
している。
3ヵ月以下の 3ヵ月 - 6ヵ月
非延滞 延滞 の延滞 6ヵ月超の延滞 合計
金額 % 金額 % 金額 % 金額 % 金額
(単位:十億ウォン、%を除く)
2017 年 12 月 31 231,658 99.50
日 686 0.30 168 0.07 300 0.13 232,812
2018 年 12 月 31
251,813 99.51 788 0.31 201 0.08 257 0.10 253,059
日
不良債権
不良債権は、 90 日超支払期限を経過した貸出金として定義される。下表は、表示日現在における当行の不
良債権ポートフォリオ合計およびその貸出金合計に占める割合を示している。
12 月 31 日現在
2017 年 2018 年
(単位:十億ウォン、%を除く)
不良債権合計額 468 458
貸出金合計額に占める割合 0.20 % 0.18 %
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不良債権の分析
下表は、表示日現在における当行の不良債権合計を借り手の種類別に示している。
12 月 31 日現在
2017 年 2018 年
(1) (1)
貸出金合計 不良債権 不良債権比率 貸出金合計 不良債権 不良債権比率
(単位:十億ウォン、%を除く。)
法人 129,088 254 0.20% 140,361 219 0.16 %
103,724 214 0.21 112,698 239 0.21
個人
合計
232,812 468 0.20% 253,059 458 0.18 %
___________________________
注記:
(1) 6ヵ月を超えて支払遅延している無担保貸出を含む。
業種別不良債権
下表は 2018 年 12 月 31 日現在の当行の法人向け不良債権の業種別内訳を示している。
法人向け不良債権
法人向け不良債権
業種 残高総額 残高総額に占める割合
(単位:十億ウォン) (%)
不動産、リースおよびサービス 24 11.0%
建設 ▶ 1.8
製造
96 43.8
小売および卸売
38 17.4
金融業および保険
- -
輸送、倉庫および通信
10 4.6
ホテルおよびレジャー
9 4.1
(1)
36 16.4
その他のサービス
(2)
2 0.9
その他
合計
219 100.0%
___________________________
注記:
(1) 出版、マスコミおよび教育といったその他サービスを含む。
(2) 農業、林業、鉱業、電気およびガスといったその他産業を含む。
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不良債権上位 20 件
2018 年 12 月 31 日現在における当行の不良債権上位 20 件は、当行の不良債権合計の 23.8 %を占めていた。下
表は、表示日現在における当行の不良債権の上位 20 件に関する一定の情報を示している。
2018 年 12 月 31 日現在
業種 元本残高総額 貸倒引当金
(単位:十億ウォン)
1 借り手A 製造 21 7
2 借り手B その他サービス
16 ▶
3 借り手C 小売りおよび卸売
12 12
▶ 借り手D 製造
11 ▶
5 借り手E 製造
9 9
6 借り手F 輸送、倉庫および通信
5 1
7 借り手G 不動産、リースおよびサービス
5 2
8 借り手H 不動産、リースおよびサービス
3 -
9 借り手I 製造
3 3
10 借り手J 輸送、倉庫および通信
3 -
11 借り手K 不動産、リースおよびサービス
3 -
12 借り手L 不動産、リースおよびサービス
3 1
13 借り手M 製造
2 -
14 借り手N 小売りおよび卸売
2 -
15 借り手O 製造
2 -
16 借り手P 小売りおよび卸売
2 1
17 借り手Q 製造
2 1
18 借り手R その他サービス
2 -
19 借り手S 不動産、リースおよびサービス
2 -
20 借り手T 不動産、リースおよびサービス
1 -
109 45
不良債権対処戦略
当行の主な目的の一つは、当行の貸出金の不良債権化を防ぐことである。当行の貸出担当者が、借り手の
信用格付に依拠して信用リスクの高い借り手に新規貸出金を付与することを防止するよう設計された当行の
企業信用格付システムを通じて、当行は将来の不良債権に関連するリスクの軽減に努めている。また、当行
の早期警告システムは、借り手の信用リスクの急激な上昇があれば貸出担当者に注意を喚起するよう設計さ
れており、その後同担当者はかかる貸出金を注意深く監視する。
こうした予防的な仕組みにも拘らず貸出金が不良債権化した場合には、不良債権の監視に責任を負う支店
レベルの担当者が当該借り手の資産に関するデュー・デリジェンスを開始し、支払要請通知または当行が法
的措置を取るかもしくは法的措置の準備にかかる旨の通知を送付する。
これと同時に、当行は以下を含む不良債権管理プロセスにも着手する。
・ 売却予定の対象となる貸出金を、かかる不良債権の担保(もしあれば)の見積り回収価値に基づいて、
当該売却による見積損失を評価することで特定する。
・ 不良債権の担保(もしあれば)の見積り回収価値および無担保貸出金の予想回収率に基づいて、償却対
象となる貸出金を特定する。
・ 限定的な範囲で、借り手のキャッシュ・フローの状況に基づいて、正常化への取組みの対象となる商業
貸出金を特定する。
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不良債権の詳細が特定されると、当行は回収のために早期解決を図る。実際の不良債権回収への取組み
は、とりわけかかる貸出金の内容および借り手に応じて関連部門が担当する。
担当部署および部門の担当者または代理人は、不良債権を解決するために以下を含む様々な手法を使用す
る。
・ 返済を要求するために借り手への電話や訪問を行うこと
・当行の借り手の資産を継続的に査定および評価すること
・必要に応じて、担保権の執行、差押えおよび訴訟といった法的措置に着手すること
担保権の執行および訴訟の対象となる貸出金の迅速な回収を促すために、これらの貸出金の担当支店は、
当該貸出金を本社の関連部門に移管することができる。
当行は、約束手形の場合は支払不履行から1ヵ月以内に、その他の貸出金の場合は支払遅延から4ヵ月以
内に法的手続を開始する方針である。支払不能であるかまたは破産した借り手に対する貸出金について、ま
たは通常の手続による回収が不可能であると当行が判断したときは、当行は猶予期間に拘らず迅速な法的措
置を取る。
当行は、こうした不良債権の回収への取組みの他に、以下を含む不良債権の水準を低下させるための措置
を講じている。
・韓国資産管理公社を含む第三者に不良債権を売却すること
・不良債権に関して資産証券化取引を実行すること
・代理契約に基づき新韓信用情報を通じて3ヵ月以上延滞している個人向け貸出を管理すること
・信用情報会社を含む第三者の回収機関を利用すること
2018 年、当行は不良債権 22 十億ウォン(投資運用会社であるハナ F&I インクに譲渡された 19 十億ウォンを含
む。)を第三者に売却した。第三者に譲渡された債権は通常真正売却の基準を充たしているため、認識が中
止される。
下表は当行の 2018 年における不良債権のロールフォワードを示している。
(単位:十億ウォン)
2017 年 12 月 31 日現在の不良債権 546
延滞による不良債権の増加
(51)
売却された債権
(22)
償却された債権
(7)
貸出条件の改訂により非延滞となった債権
-
(1)
(8)
その他調整
2018 年 12 月 31 日現在の不良債権
458
___________________________
注記:
(1) 返済された貸出金および貸出条件改訂によることなく非延滞に戻った貸付金を表している。当行は、売却された不良債権、償却され
た不良債権および貸出条件が改訂されたことにより非延滞となった不良債権を除く不良債権または売却可能投資ポートフォリオに
振替えられた不良債権を個別に回収および分析していない。
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貸倒引当金の配分
下表は、表示日現在における当行の貸倒引当金の配分を種類別に示している。
12 月 31 日現在
2017 年 2018 年
引当金合計に 引当金合計に
引当額 対する割合 引当額 対する割合
(単位:十億ウォン、%を除く)
法人向け 1,209 80.3% 1,366 81.5 %
298 19.7 310 18.5
個人向け
1,507 100.0% 1,676 100.0 %
貸倒引当金合計
当行の貸倒引当金合計は、 2017 年 12 月 31 日現在の 1,507 十億ウォンから 169 十億ウォン( 11.2 %)増加して
2018 年 12 月 31 日現在には 1,676 十億ウォンとなった。これは主に、従来のガイドラインに基づく「発生損失」
モデルから 2018 年1月1日から採択された韓国 IFRS 第 1109 号に基づく「予想信用損失」モデルへの減損損失
モデルの置き換えによるもので、これにより当行はより将来予測的な基準に基づきより早く減損損失を認識
することが可能になった。「第3-2 事業等のリスク-当行の事業に関連するリスク-韓国 IFRS 第 1109 号の
実施により、当行の貸出ポートフォリオおよびその他の金融商品の予想信用損失を補てんするために減損損
失引当金が増加する可能性があり、当行の損益のボラティリティが高まる可能性がある。」を参照のこと。
貸倒引当金の分析
下表は、各表示期間における当行の貸倒損失の実績の分析を示している。
12 月 31 日終了年度
2017 年 2018 年
(単位:十億ウォン、%を除く)
期首残高 1,456 1,870
引当金繰入額 482 246
償却総額:
法人 (261) (277)
(127) (207)
個人
(388) (484)
償却総額合計
回収額:
法人 75 63
41 49
個人
116 112
回収額合計
正味償却額 (272) (372)
譲渡貸出金関連引当金 (60) (59)
(99) (9)
その他
1,507 1,676
期末残高
正味償却額の平均貸出金残高に対する比率 0.12 % 0.15 %
貸出金の償却
当行の償却総額は、 2017 年度の 388 十億ウォンから 2018 年の 484 十億ウォンへと 24.7 %増加したが、これは
主に、 2017 年に比較して 2018 年の個人向け貸出の償却額が増加したためである。
2018 年、再編された貸出金の償却額は 59 十億ウォンとなり、このうち 67 十億ウォンは再編の一環として持
分証券に転換された貸出金に関するものであった。 2017 年、再編された貸出金の償却額は 70 十億ウォンとな
り、このうち 41 十億ウォンは再編の一環として持分証券に転換された貸出金に関するものであった。貸出条
件の改訂にもかかわらず当行が回収不能とみなした債権については、当行は借り手との交渉を経てかかる債
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権の一部を持分証券に転換し、かかる債権の残りを上記「不良債務再編中の貸出金に係る貸出条件改訂プロ
グラム-再編済み貸出金の償却」において記載したとおり償却する。転換された持分証券は、かかる有価証
券 の市場価格が入手可能であればこれに基づき、市場価格が入手不可能であれば外部鑑定士によるかかる有
価証券の評価額に基づき、公正価値で計上される。
基本方針
当行は、貸出供与前の信用リスク分析に基づいた堅実な与信承認プロセスを実施し、貸出金残高を体系的
に管理することによって貸出金の償却を最小限に留めるよう努めている。
償却対象の貸出金
貸出金は、以下の区分のいずれかに該当し、回収不能とみなされた場合には、償却される。
・支払不能もしくは破産、解散または債務者の事業の終了によって、その回収を予見することができない
貸出金
・債務者の死亡または行方不明によりその回収を予見することができない貸出金
・回収費用が回収可能額を上回る貸出金
・法的手段またはその他の手段を通じて回収することができない 貸出金
・ 12 ヵ月を超えて延滞している無担保の個人向け貸出に対する未返済残高
・ 12 ヵ月を超えて延滞しているリースに関して延滞している支払額
・「推定損失」に分類され、回収不能とみなされる貸出金の部分(担保からの回収額があればこれを除
く。)
・ FSS により償却が義務付けられている国内貸出金、または当行の外国子会社もしくは支店が保有する貸出
金で関連監督官庁により償却もしくは特別な引当金の積立てが義務付けられている貸出。
償却のタイムライン
償却される貸出金は、回収が不可能とみなされた月から1年以内に償却されなければならない。かかる貸
出金が1年以内に償却されない場合、その遅延理由を当行の監査部に報告しなければならない。
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償却の承認手続
当行の貸出金を償却するための申請は、関連する支店または部署により信用回収部へ提出される。信用回
収部は、償却のための当行の行内手続きを確実に遵守するために、かかる申請を監査部に照会する。信用回
収部はかかる申請が関連要件を充たしていることを確認するために見直した後、 FSS に償却の承認を求める
が、通常は承認される。 FSS の承認( 10 百万ウォン以下の推定損失とされる家計向け貸出を除く償却は自動的
に FSS に承認されると考えられている。)を得ると、当行銀行長の承認を経て償却が行われる。
償却された貸出金の取扱い
貸出金が償却されると、これらは当行の財政状態計算書上での認識が中止され、償却された貸出金として
分類される。当行は、第三者回収機関を通じて、引き続きこれらの貸出金の回収に努める。信用回収部の部
長は報告期間ごとに償却されたか回収された貸出金額を FSS に永久に報告しなければならない。
担保の取扱い
当行が、不動産を担保とする貸出金を通常の回収チャネルを通じて回収することができないと判断した場
合、当行は通常、債務不履行および支払不能が生じてから1ヵ月以内、支払遅延から4ヵ月以内に裁判所に
担保権の実行を申し立て、裁判所監督による競売を通じて当該担保を売却する。ただし、かかる手続は、当
該競売手続についての制限がある再編、再生手続き、債務整理またはその他の裁判所手続中の会社には適用
されない。かかる申立てを裁判所に対して行うと、通常、債務者は延滞している貸出金の返済を促される。
債務者が最終的に返済できず、裁判所が担保権実行を承認した場合、当行は当該担保を売却し、売却額(競
売によって生じた費用控除後)を上限として元本および未払利息を回収する。韓国の法令に基づく担保権実
行手続は、担保の内容によって、開始から回収まで通常7ヵ月から1年間を要する。
財務書類の表示
当行の財務書類は通常、 12 ヵ月を超えて延滞しているすべての個人向け無担保貸出金を償却として報告し
ている。リースは 12 ヵ月を超えて延滞すると償却される。有担保貸出金については、当行は対象となる貸出
金の簿価が、担保権執行手続きの一環としてその担保の売却により受領されたかまたは受領される金額を超
過する金額を償却し、その売却価格はかかる手続きの一環として裁判所公報を通じて認識される。
与信の種類
下表は、表示日現在における FSS 規則に基づいて FSS に報告された当行の個別ベースの信用ポートフォリオ
の主な内訳を示しており、これらは概ね、以下のものにより構成されている。
・ 割引現在価値控除後の、および一定の項目(主として銀行間預け金、コールローンおよび売戻条件付買
入有価証券)を除く貸出金
・ 確認保証および引受手形(オフ・バランスシート項目)および当行の信託勘定からの貸出金で、当行が
その元本および/または利息を保証するもの
・ 一定のその他の項目(主に投資銀行与信および未決済受取債権)
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12 月 31 日現在
2017 年 2018 年
(単位:十億ウォン)
ウォン建て貸出金 194,701 208,767
外貨建て貸出金 7,964 9,622
外貨建て買入手形 7,085 6,961
私募債 290 412
投資銀行業務貸出金 496 410
信託勘定貸出金 469 528
ファクタリング債権 155 115
保証および引受手形に基づく貸出金 8 10
(1)
211,168 226,825
貸出金合計
その他の与信:
保証および手形引受 8,061 9,729
与信としての未決済受取債権 1 1
与信合計
219,230 236,555
___________________________
注記:
(1) FSC に報告する与信合計額を計算する目的上、貸出金合計額は割引現在価値控除後の値で示されており、一定の貸出金項目(銀行間
預け金、コールローンおよび売戻契約付買入有価証券からなる。)は貸出金合計額から除外されている。
固定以下の与信
固定以下の与信は FSC の資産分類基準に基づき固定以下と分類される与信として定義される。下表は、表示
日現在における、 FSC に報告された固定以下の与信を含む当行の与信にかかる資産の質についての一定の詳細
(割引現在価値控除後)を個別ベースで示している。
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12 月 31 日現在
2017 年 2018 年
(単位:十億ウォン、%を除く)
与信:
216,940 234,335
正常
1,084 1,167
要注意
462 424
固定
363 334
回収疑問
381 313
推定損失
219,230 236,573
与信合計
1,206 1,071
固定以下の与信合計
2,290 2,238
要注意および固定以下の与信
(1)(2)
2,915 3,111
与信損失引当金
0.55% 0.45 %
与信合計に対する固定以下の与信の割合
与信合計に対する要注意および固定以下の与信の割
1.04% 0.95 %
合
241.71% 290.48%
固定以下の与信に対する与信損失引当金の割合
1.33% 1.32 %
与信合計に対する与信損失引当金の割合
___________________________
注記:
(1) 与信損失引当金は、貸倒引当金、未決済受取債権引当金、引受手形および保証引当金ならびに銀行業務の監督に関する規則第 29 条に
従った規制上の貸倒損失準備金からなる。
(2) 信用コミットメントについては、信用コミットメント引当金および規制上の貸倒損失準備金を除く。
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信託勘定
韓国法のもとでは、当行が信託勘定に受け入れた資産は当行の他の資産とは分離され、預金者または当行
のその他の債権者による債権を弁済するために使用することはできない。したがって、当行の信託資産およ
び負債(元本(または元本および金利の双方)を保証されているものを除く。)は、当行の銀行勘定とは分
離して計上および報告される。
下表は、表示日現在における当行の信託勘定の資産および負債を示している。
12 月 31 日現在
2017 年 2018 年
(単位:十億ウォン)
資産:
貸出金 469 528
有価証券 16,870 22,479
銀行勘定貸出金 3,504 2,174
(1)
その他 37,694 50,981
(1) (1)
受取債権評価引当金
58,536 76,161
資産合計
負債:
金銭信託 37,700 44,290
財産信託 19,813 30,836
特別準備金 105 109
918 926
その他
58,536 76,161
負債合計
___________________________
注記:
(1) 主に財産信託に基づいて受託した不動産資産を含む。
当行は、信託勘定の資産および負債の限られた額について元本および/または利息に対して保証を付与し
ている。 2018 年 12 月 31 日現在、当行が固定利率を保証する固定利率保証付信託は、当行の信託勘定の金銭信
託合計額の 0.002 %を占めていた。 2018 年 12 月 31 日現在、元本または利息について保証が付された金銭信託の
合計額は、 4,020 十億ウォンであり、当行の金銭信託合計額の 9.1 %を占めていた。
当行が元本または元本および利息の双方に保証を付与している金銭信託は韓国 IFRS に基づき連結されてい
る。下表は、当行が元本または元本および利息の双方に保証を付与している金銭信託の資産および負債なら
びにかかる資産の当行の信託資産合計に占める割合を示している。
12 月 31 日現在
2017 年 2018 年
(単位:十億ウォン、%を除く)
資産 4,471 4,522
負債 4,471 4,522
信託資産合計に占める比率 7.64% 5.94 %
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投資ポートフォリオ
投資方針
当行は、以下を目的として、ウォン建て有価証券ならびにこれより程度は低いものの外貨建て有価証券へ
の投資および売買を自己勘定で行っている。
・当行の資産の安定性および分散性を維持すること。
・当行の資金需要に見合った、適切なバックアップの流動性の資源を維持すること。
・当行の中核となる貸出業務からの収入を補完すること。
特定の有価証券についての投資決定を行う場合、当行はとりわけ、マクロ経済の動向、産業分析および信
用評価を考慮する。
当行の有価証券投資業務は、銀行法のもとで定められた制限を含むいくつかの規制上のガイドラインに従
う。これらの規制に基づき、当行は株式および満期までの期間が3年を超える有価証券(韓国銀行が発行す
る金融安定化債券および国債を除く。)に対する投資を、当行の Tier I 資本および Tier II 資本合計(資本項
目控除後)の 100.0 %に制限しなければならない。通常、当行は他社が発行した議決権付株式の 15.0 %超を保
有することも禁じられている(子会社の設立または取得を目的とする場合を除く。)。当行の投資活動を管
理する規制環境に関する情報の詳細は、「第2-3- (6) 監督および規制-銀行に適用される主要な規制-
他企業の株式保有に関する規制」を参照されたい。
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簿価および市場価値
下表は、表示日現在における当行の投資ポートフォリオにおける金融投資の簿価および市場価値を示して
いる。
12 月 31 日現在
2018 年
簿価 市場価値
(単位:十億ウォン)
その他包括利益を通じて公正価値測定される
有価証券:
443 443
持分証券
債務証券:
7,713 7,713
国債
15,404 15,404
金融機関債券
8,318 8,318
社債およびその他
合計 - その他包括利益を通じて公正価値測
31,878 31,878
定される有価証券
償却原価測定有価証券:
11,694 11,793
債務証券:
929 931
国債
4,126 4,166
金融機関債券
75 75
社債
16,824 16,965
合計 - 償却原価測定有価証券
損益を通じて公正価値で測定される有価証券:
123 123
持分証券
債務証券:
777 777
国債
2,506 2,506
金融機関債券
1,689 1,689
社債
4,196 4,196
買入れ手形
3,002 3,002
CMA
3,164 3,164
その他
155 155
金/銀預け金
合計 - 損益を通じて公正価値測定される有
15,612 15,612
価証券
64,314 64,455
有価証券合計
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12 月 31 日現在
2017 年
簿価 市場価値
(単位:十億ウォン)
その他包括利益を通じて公正価値測定される
有価証券:
2,537 2,537
持分証券
債務証券:
6,075 6,075
国債
15,778 15,778
金融機関債券
8,094 8,094
社債
12 12
その他
29,959 29,959
小計
合計 - その他包括利益を通じて公正価値測
32,496 32,496
定される有価証券
償却原価測定有価証券:
債務証券:
9,808 9,813
国債
1,225 1,223
金融機関債券
3,790 3,786
社債
14,823 14,822
合計 - 償却原価測定有価証券
損益を通じて公正価値で測定される有価証券:
521 521
持分証券
債務証券:
856 856
国債
2,302 2,302
金融機関債券
1,484 1,484
社債
2,678 2,678
買入れ手形
3,157 3,157
CMA
29 29
その他
11,027 11,027
小計
189 189
金/銀預け金
合計 - 損益を通じて公正価値測定される有
11,216 11,216
価証券
58,535 58,534
有価証券合計
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満期分析
下表は、 2018 年 12 月 31 日現在における当行の有価証券を満期別に分類したものである。
2018 年 12 月 31 日現在
1年 1年超
5年超
以下 5年以下 10 年以下 10 年超 合計
加重平均 加重平均 加重平均 加重平均 加重平均
(1) (1) (1) (1) (1)
簿価
利回り 簿価 利回り 簿価 利回り 簿価 利回り 簿価 利回り
(単位:十億ウォン、%を除く)
その他包括利
益を通じて公
正価値測定さ
れる有価証
券:
1,982 2.45% 5,406 2.00% 284 3.53% 41 6.15% 7,713 2.19%
国債
金融機関債 9,192 1.81 6,094 2.46 106 4.02 12 5.90 15,404 2.09
券
社債および 2,885 1.97 5,423 2.46 10 1.61 - - 8,318 2.29
その他
14,059 1.94% 16,923 2.31% 400 3.61% 53 6.09% 31,435 2.17%
合計
償却原価測定
有価証券:
2,099 3.05% 9,270 2.21% 171 4.77% 154 7.24% 11,694 2.47%
国債
金融機関債 588 1.81 268 2.87 36 5.82 37 6.30 929 2.45
券
416 1.76 3,198 2.42 474 2.87 38 2.90 4,126 2.41
社債
65 7.14 10 6.95 - - - - 75 7.11
その他
3,168 2.73% 12,746 2.28% 681 3.50% 229 6.37% 16,824 2.47%
合計
損益を通じて
公正価値で測
定される有価
証券:
22 1.99% 494 2.06% 239 1.86% 22 2.37% 777 2.00%
国債
金融機関債 1,420 1.99 1,028 2.30 - - 58 2.16 2,506 2.12
券
614 2.09 1,037 2.28 21 1.39 17 3.75 1,689 2.21
社債
4,196 2.29 - - - - - - 4,196 2.29
買入手形
2,982 2.14 20 2.00 - - - - 3,002 2.14
CMA
2,971 0.08 193 - - - - - 3,164 0.08
その他
12,205 1.67% 2,772 2.09% 260 1.82% 97 2.49% 15,334 1.75%
合計
29,432 1.91% 32,441 2.28% 1,341 3.21% 379 5.34% 63,593 2.15%
債務証券合計
___________________________
注記:
(1) ポートフォリオの加重平均利回りは、それぞれの有価証券の満期までの償却原価を用いた加重平均利回りである。
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リスクの集中
下表は、 2018 年 12 月 31 日現在の当行が保有する簿価合計額が同日現在における当行の資本の 10 %を上回る
有価証券を示しており、その額は 2,419 十億ウォンであった。
2018 年 12 月 31 日現在
簿価 市場価値
(単位:十億ウォン)
発行体名:
韓国政府 18,251 18,334
韓国銀行 5,729 5,730
韓国住宅金融公社 4,938 4,962
韓国産業銀行 3,812 3,814
2,921 2,921
中小企業銀行
35,651 35,761
合計
上記の事業体(政府を除く。)はすべて政府機関または政府が支配する事業体である。
与信関連の約定および保証
当行は、その通常の業務の過程において、顧客の資金調達およびその他の事業上の需要を満たすために
様々な約定および保証を行っている。約定および保証は通常、とりわけ与信供与の約定、商業信用状、スタ
ンドバイ信用状および履行保証の形式をとる。これらの金融商品の契約上の金額は、相手方が当該約定の実
行を請求し、または当行が保証に基づくその義務を履行すべきときに相手方が契約に基づく履行を行わない
場合に最大予想損失額を示す。
下表は、表示日現在における当行の与信関連の約定および保証を示している。
12 月 31 日現在
2017 年 2018 年
(単位:十億ウォン)
与信供与約定 72,332 89,093
商業信用状 2,739 3,161
(1)
19,412 22,029
その他
94,483 114,283
合計
___________________________
注記:
(1) 金融保証、履行保証、特別目的事業体に対する流動性ファシリティ、受取手形、信託勘定にかかる保証および裏書手形からなる。
当行は、財政状態計算書に反映されない与信関連の約定を有しており、これは主に与信供与の約定および
商業信用状からなっている。与信限度額を含む与信供与の約定は、貸出金の形による与信の承認の未実行部
分を示す。これらの約定は所定の日に失効し、顧客は事前に定められた条件に従って約定に基づく資金を引
き出すことを要求される。
商業信用状は、顧客に代わって、特定の契約条件に基づいて所定の金額を上限として資金を引き出すこと
を第三者に承認する約束である。これらは通常短期であり、関連する商品の裏付となる船荷によって担保さ
れている。
当行はまた、当行の財政状態計算書に開始時の公正価値で計上され、保証の期間にわたり償却される保証
を有している。かかる保証は通常、スタンドバイ信用状、その他の財務および履行保証ならびに特別目的事
業体に対する流動性ファシリティを含む。
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スタンドバイ信用状は、当行の顧客が貸出金または債務商品を返済しなかった場合に、第三者の受益者に
対する支払いを行う取消不能の義務であり、通常外貨建てである。これらのスタンドバイ信用状の大部分
は、 取引関連文書を含む担保物件によって担保されている。
その他の財務および履行保証は、顧客が一部の契約に基づく履行をしなかった場合に、当行が受益者に支
払いを行うという取消不能の保証である。特別目的事業体に対する流動性ファシリティは、現金不足などの
きっかけとなる事由が生じた場合に、当行の顧客が設定した緊急時流動性与信枠を特別目的事業体に提供す
るという取消不能の約定である。
当該約定および保証は、未使用のまま期間が終了することが多いため、必ずしも当行のエクスポージャー
を表わすものではない。
デリバティブ
上記「第2-3- (1) 事業-事業の概観-当行の主要業務-その他銀行業務-デリバティブ取引」に記載
される通り、当行は、顧客がリスクをヘッジできるよう、主に顧客の代理としてデリバティブ取引業務を
行っており、また、かかる取引から生じるリスク・エクスポージャーをヘッジするために他の金融機関と
バック・トゥー・バックのデリバティブも締結している。当行はさらに、自身の資産および負債に起因する
リスク・エクスポージャーをヘッジするためにデリバティブ取引を行っている。このうちのいくつかは、
ヘッジ会計の適用要件を満たさない非売買デリバティブである。
下表は、 2017 年および 2018 年 12 月 31 日現在において当行が (i) 売買目的および ( ⅱ ) ヘッジ会計に適格であり
非売買目的で保有または発行していたデリバティブの想定元本総額または契約金額を示している。
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12 月 31 日現在
2017 年 2018 年
原想定 原想定
見積公正 見積公正 見積公正 見積公正
(1) (1)
元本 価値資産 価値負債 元本 価値資産 価値負債
(単位:十億ウォン)
売買:
外国為替デリバティ
ブ:
先物および先渡し契約 86,989 1,598 1,433 126,118 848 778
スワップ 29,690 830 865 31,104 394 374
1,157 12 12 1,943 8 12
オプション
117,836 2,440 2,310 159,165 1,250 1,164
小計
金利デリバティブ:
先物および先渡し契約 400 - - 295 - -
スワップ 5 6,469 149 161 64,010 191 133
- - - - - -
オプション
56,869 149 161 64,305 191 133
小計
株式デリバティブ:
スワップ - - - - - -
オプション 455 ▶ 2 396 - 2
6 - - 30 - -
先物契約
461 ▶ 2 426 - 2
小計
商品デリバティブ:
スワップおよび先渡し
契約 129 1 - 157 2 -
オプション - - - - - -
小計
129 1 - 157 2 -
合計
175,295 2,594 2,473 224,053 1,443 1,299
非売買:
金利デリバティブ:
スワップ 7,948 8 519 9,378 35 467
外国為替デリバティ
ブ:
先物および先渡し契約 214 2 2 224 6 6
合計
8 ,162 10 521 9,602 41 473
___________________________
注記:
(1) 外貨建ての想定元本は、 2017 年および 2018 年 12 月 31 日現在の実勢為替レートにてウォンに換算されている。
資金調達
当行は、その銀行業務のために、国内外の様々な原資から資金を調達している。当行の主な資金調達源
は、銀行業務から得る顧客預金である。また、当行はコールマネー、中央銀行借入金、その他の短期借入
金、社債およびその他の長期債務(債務証券および持分証券の発行を含む。)、資産担保証券ならびにレポ
取引を通じて、顧客預金を通じた資金調達を補うために、または必要に応じてこれに代えるために資金を取
得している。「第3-3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析-流動性お
よび資金源」を参照されたい。
預金
当行の銀行預金の大半は短期のものであるが、当行の預金者の大半はこれまで満期時に預金を預け替え、
当行の銀行業務に安定的な資金源を供給してきた。
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下表は、表示期間における、当行の預金残高および当行の預金について支払われた平均金利を示してい
る。
12 月 31 日に終了した年度
2017 年 2018 年
(1) (1)
平均残高 平均金利 平均残高 平均金利
(単位:十億ウォン、%を除く)
有利子預金:
要求払預金 33,981 0.35% 35,535 0.39 %
定期および貯蓄預金 186,305 1.16 200,669 1.35
8,048 1.57 8,459 1.96
その他の預金
228,334 1.06% 244,663 1.23 %
有利子預金合計
___________________________
注記:
(1) 平均日次残高に基づく。
個人向け預金商品の内訳は、「第2-3- (1) 事業-事業の概観-当行の主要業務-預金受入業務」を参照
されたい。その他、売却された手形は短期借入金に計上されており、買戻し契約に基づき売却された有価証
券は担保付借入金として計上されている。
譲渡性預金証書およびその他の定期預金
下表は、 2018 年 12 月 31 日現在の 100 百万ウォン以上の譲渡性預金証書およびその他定期預金を満期までの期
間別に示している。
2018 年 12 月 31 日現在
譲渡性預金証書 その他定期預金 合計
(単位:十億ウォン)
3ヵ月以内 4,121 27,391 31,512
3ヵ月超6ヵ月以内 2,309 21,112 23,421
6ヵ月超 12 ヵ月以内 1,956 36,022 37,978
447 5,956 6,403
12 ヵ月超
8,833 90,481 99,314
合計
当行の海外支店で発行された譲渡性預金証書およびその他の定期預金の大半の金額は 100,000 米ドル以上で
ある。
短期借入金
下表は、表示期間における、当行の短期借入金(当初満期が1年以内のもの)に関する情報を示してい
る。
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2017 年 12 月 31 日現在および同日終了年度
加重平均
月末におけ
(1) (2)
残高 平均残高 る最高残高 金利 年度末金利
(単位:十億ウォン、%を除く)
韓国銀行からの借入金
(3)
2,874 2,859 2,938 0.67% 0.50 - 0.75 %
コールマネー 562 1,484 3,512 1.79 0.00 - 6.20
(4)
6,335 5,111 6,512 1.14
その他短期借入金 0.00 - 9.25
9,771 9,454 12,962 1.10 %
___________________________
注記:
(1) 平均残高は (a) 当行の毎日の残高および (b) 当行の関連会社の四半期ごとの残高に基づいている。
(2) 加重平均金利は、支払利息合計を平均借入金額で除して算出されている。
(3) 韓国銀行からの借入金は通常、ウォン建て借入金は満期が1ヵ月以内で、外貨建て借入金は満期が6ヵ月以内である。
(4) その 他短期借入金には、信託勘定からの借入金、買入手形ならびにウォン建ておよび外貨建て借入金を含む。
2018 年 12 月 31 日現在および同日終了年度
加重平均
月末におけ
(1) (2)
残高 平均残高 る最高残高 金利 年度末金利
(単位:十億ウォン、%を除く)
韓国銀行からの借入金
(3)
2,289 2,566 2,814 0.66 % 0.50 - 0.75 %
コールマネー 960 1,583 5,052 2.51 0.00 - 6.85
(4)
12,043 9,263 12,262 1.79
その他短期借入金 0.00 - 9.20
15,292 13,412 20,128 1.66 %
___________________________
注記:
(1) 平均残高は (a) 当行の毎日の残高および (b) 当行の関連会社の四半期ごとの残高に基づいている。
(2) 加重平均金利は、支払利息合計を平均借入金額で除して算出されている。
(3) 韓国銀行からの借入金は通常、ウォン建て借入金は満期が1ヵ月以内で、外貨建て借入金は満期が6ヵ月以内である。
(4) その 他短期借入金には、信託勘定からの借入金、買入手形ならびにウォン建ておよび外貨建て借入金を含む。
当行の短期借入金は、韓国銀行からの借入金(通常、当行が保有する売却可能有価証券または満期保有有
価証券によって担保されている。)を除いて通常無担保で満期は1年未満である。
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(3) リスク管理
概観
当行は、許容範囲内で当行のリスクを管理し、資産の健全性を確保するために包括的なリスク管理システ
ムを有している。当行は、効果的なリスク管理を通じて長期的収益性の安定化に努めている。
取締役会は、当行のリスク限度額等、当行のリスク管理および統制に関する基本ガイドラインを定めた。
取締役会の監督の下、リスク管理委員会は、各事業グループの資本配分およびリスク限度額を決定し、全銀
行業務の基本管理ガイドラインの策定において経営陣を補助する。
基本方針およびガイドラインに従い、ともに上級役員およびグループ長からなるリスク方針委員会ならび
に資産・負債管理委員会(以下「 ALM 委員会」という。)は、信用リスク、市場リスクおよびオペレーショナ
ル・リスクを監督する。全事業単位から独立したリスク管理グループは、当行のすべてのリスクを特定、評
価および管理し、リスク管理委員会を補佐する。
信用リスク管理
借り手、その他債務者または当行が契約を締結した取引についてのその他の相手方の債務不履行により生
じる損失にかかるリスクである信用リスクは当行が直面する最大のリスクである。当行の信用リスク管理
は、貸借対照表に記録される取引だけでなく、保証、貸出コミットメントおよびデリバティブ取引といった
オフバランスシート取引を含む潜在的な経済損失をもたらす可能性のあるあらゆる信用の分野を網羅してい
る。当行の信用リスク管理は、以下の原則に基づいている。
・ 関係するリスクの水準に見合った利益水準を達成すること。
・資産の質を改善し、最適な資産構成のポートフォリオを達成すること。
・特定の借り手または部門に対する過剰な貸出の集中を避けること。
・借り手の債務返済能力を厳密に監視すること。
・選別された顧客の成長を推進するために、財務支援を提供すること。
当行の全体的なリスク管理計画および信用方針ガイドラインを含む当行の信用リスク管理のための主な方
針は、信用リスク管理に関する最高意思決定機関である当行のリスク方針委員会が決定する。リスク方針委
員会は、最高リスク担当者が代表を務め、最高信用担当者および各事業ユニットの長からなっている。当行
は、貸出承認機能を信用方針の意思決定から分離するために信用審査委員会を設けており、同委員会が、行
われた貸出による資産の質および収益性の改善に注力して信用審査を評価し、リスク方針委員会とは別に運
営される。リスク方針委員会と信用審査委員会はともに、それぞれの委員会の出席委員数の三分の二以上
(それぞれの定足数を満たすためには、各委員会の委員数の少なくとも三分の二の出席が必要である。)の
投票により決定を行う。
当行は、内部ガイドラインおよび規則に基づいて信用リスク管理手順を遵守し、これらのガイドラインお
よび規則を継続的に監視し、改善している。当行の信用リスク管理手順には以下が含まれる。
・信用評価および承認
・信用審査および監視
・信用リスク評価および管理
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信用評価および承認
貸出申請者および保証人はすべて、貸出の承認を得る前に信用評価を受けなければならない。貸出申請者
の信用評価は、貸出承認の特任上級役員によって実施される。貸出評価は、客観的かつ慎重なプロセスを通
じて個人による審査ではなくグループにより実施される。貸出申請者および保証人の信用格付は、貸出金
利、必要な内部承認の水準、信用エクスポージャーの限度、潜在的損失計算および資本の見積コストに影響
を与えるため、当該事業部門により客観的かつ独立的に決定される。当行は、個人向けローンについては 信
用スコアリングシステム を、法人向けローンについては信用リスク格付システムを用いている。
当行の借り手のそれぞれに、さまざまな基準を考慮した包括的内部信用評価システムに基づく信用格付が
付与されている。個人の借り手の信用格付は、とりわけ借り手の経歴の詳細、当行との過去の取引および外
部信用格付情報を考慮する。法人の借り手の信用格付は、とりわけ、財務指標ならびに産業リスク、オペ
レーショナル・リスクおよびマネジメント・リスクといった非財務指標を考慮する。信用格付が付与される
と、それは当行の信用リスク管理のための基本的手段として機能し、与信承認、与信限度管理、貸出の金利
設定および貸倒引当金の計算を含む広範な信用リスク管理プロセスに適用される。当行は、個人顧客、 SOHO
顧客および法人顧客について個別の信用評価システムを有しており、それはさらに細分化され、バーゼル II
の要件を満たすよう改善されたが、かかる要件はバーゼル III に基づき変更されなかった。 「第3-3 経営
者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析-重要な会計方針-金融資産の減損」を
参照されたい。
個人向けローン
個人向けローンの貸出申請は、当行の信用スコアリングシステムおよび当行のリテール・バンキング部門
が維持・運用している担保付貸出および無担保貸出に関する客観的な統計モデルに従い審査されている。当
行の信用スコアリングシステムは、貸出申請の評価に用いられる自動与信承認システムであり、貸出の適切
な金額を決定し、借り手の個人情報、当行およびその他の金融機関との取引履歴ならびに関連する信用情報
等の要素を考慮する。申請者に対しては、 (i) 申請者の貸出を承認するか否か、 ( ⅱ ) 貸出額、および ( ⅲ ) 貸出
に係る利息を決定するために用いられるスコアがつけられる。申請者のスコアに応じて申請者が与信を認め
られるか、条件付で認められるか、追加審査を必要とするか、与信を認められないかが決定される。申請者
が追加審査の対象となる場合には、支店レベルまたは本店レベルの適切な裁量権を有する機関が、信用履
歴、職業および過去の当行との関係等の質的要素ならびに量的要素に基づいて再評価を行う。
抵当ローンおよび住宅担保ローン ならびに不動産担保ローンについては、当行は、ローンの担保として供
される不動産の価値を、韓国全土の不動産価格に関する情報を含む専用データベースを利用して評価する。
また、当行は、韓国の不動産市場および資産価額について第三者により提供された最新の情報も利用する。
当行は、不動産担保の価額を処理センターの内部職員に評価させる一方、処理センターで当初定められたと
おり、評価額が3十億ウォンを超える不動産担保の評価額を審査し、共同で署名する公認鑑定士を雇用す
る。当行はまた、少なくとも毎年、担保の評価額を概要ベースで内部で再評価する。
有価証券、預金または不動産以外のその他の資産を担保とする貸出については、当行は、借り手に対し
て、担保付債務について特定の担保率を遵守することを要求する。
法人向け貸出
当行は、すべての法人の借り手を、内部で開発された複数の信用評価システムを用いて格付する。これら
の信用評価システムは、与信決定を標準化するための様々な基準(量的、質的、財務および財務以外のも
の)を考慮し、貸出金額よりも借り手の質に重点を置いている。量的検討には、借り手の財務およびその他
のデータが含まれ、質的検討は、借り手の返済能力に関する当行の信用審査担当者の判断に基づいている。
財務の検討には、総資産利益率およびキャッシュ・フローの債務合計に対する比率等、当行の顧客の財務書
類に基づく財務変数や諸比率が含まれ、財務以外の検討には、とりわけ借り手の属する業界、業界における
借り手の競争上の立場、稼動力および資金力、経営陣および支配株主の質(部分的に役員および従業員との
面接に基づく。)、技術力ならびに労使関係が含まれる。
当行はまた、その内部信用審査の正確性を高めるために、 Nic e 情報サービス( Nice Information Service )
および 韓国企業データ( Korea Enterprise Data )等外部の信用格付機関が作成した報告書を検討し、 実際の
債務不履行の記録を継続的に更新しているデータベースを用いて信用リスク格付システムの有効性を監視お
よび改善している。
上記の評価基準および債務不履行の可能性を考慮して信用格付システムに基づき計算されたスコアに応じ
て、当行は借り手を 23 段階(最高 AAA から最低 D3 まで)に分類する。 AA から B は、さらに「+」、「 0 」または
「-」に細分される。 AAA から B- は正常、 CCC は要注意、 CC から D3 は不履行懸念に分類される。信用リスク格
付モデルはさらに、法人の借り手の規模および信用ファシリティの種類に応じて分類され る。
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貸出承認プロセス
貸出は通常、支店レベルのリレーションシップ・マネジャーおよび当行の該当する事業単位の委員会によ
る評価および承認を得た後に承認される。個人向け貸出の承認限度額は、当行の自動信用スコアリングシス
テムに基づいて設定される。大規模な法人の場合には、承認限度額は本店レベルの信用審査担当者による審
査および承認も経る。貸出の規模および重要度に応じて、承認プロセスはさらに信用審査担当委員会または
信用審査主任委員会の審査を経る。貸出が重大であるとみなされるか、または、金額が信用審査主任委員会
の裁量権の範囲を超える場合には、信用承認に関する当行の最高意思決定機関である信用審査委員会によっ
て追加的な評価が実施される。貸出限度についての信用審査委員会の評価および承認は、当行の内部信用格
付システムが定める借り手の信用格付によって異なる。例えば、信用格付が B- の借り手に対して、信用審査
委員会は、無担保貸出については 10 十億ウォン、担保付貸出については 15 十億ウォンを超える額の貸出の評
価および承認を行う。一方、信用格付が AAA の借り手に対して同委員会は、無担保貸出については 40 十億ウォ
ン、担保付貸出については 90 十億ウォンを超える額の貸出の評価を行う。また、信用審査委員会は、元本額
が信用審査委員会の定める所定水準を超える多額の貸出申請の承認を行うために少なくとも1週間に2回の
会議を行う。
下記の図は当行の信用承認プロセスの概要を示している。信用審査主任および事業部長は貸出承認につい
て個人で決定を下さず、グループ・レベルでの意思決定プロセスの一部となる。
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審査プロセスの各レベルでの審査担当者は、その裁量により、かかるレベルに割り当てられた貸出毎の最
大額までの貸出を承認することができる。貸出承認プロセスの各レベルにおける裁量的な貸出承認限度額
は、当該借り手に対する総貸出額、信用審査に基づく申請者の信用レベル、担保の有無およびその価値なら
びに信用格付システムにより設定された信用リスクのレベルが考慮される。裁量的な貸出承認限度額は、信
用格付が B- の無担保の個人向け貸出に対する 15 百万ウォン(個人向け支店マネジャーの承認を受けなければ
ならない。)から、信用格付が AAA の担保付貸出に対する 90 十億ウォン(信用審査主任委員会の承認を受けな
ければならない。)の範囲である。裁量的な貸出承認限度額を超える貸出はいずれも、信用審査委員会によ
る承認を受けなければならない。
信用審査および監視
当行は、主に借り手に関する信用リスクを継続的に審査および監視している。特に、当行の自動早期警告
システムが 206 を超える財務要素および非財務要素を用いて借り手を毎日審査しており、支店マネジャーおよ
び信用審査担当者は、定期的に貸出審査を行い、独立した信用審査部に報告しなければならない。同部は、
その結果を詳細に分析し、これに応じて信用格付を調整している。これらの審査に基づき、当行は借り手の
信用格付、信用限度額および信用方針を調整している。さらに、借り手グループのグループ信用格付がある
場合には、 FSS 院長が信用エクスポージャー残高に基づき指定する主な債務者グループ(大部分が「チェボル
(財閥)」として知られる最大の韓国の商業コングロマリットで、 2018 年 12 月 31 日現在このうち 60 グループ
が指定された。)の定期審査後に調整される。当行は、指定された格付の適切性を確保するために、借り手
の事業についての業界固有の状況ならびに国内外の資産基盤および事業等その他の要素も継続的に審査す
る。信用審査部門は、引受けとは独立して、信用審査報告書を最高リスク管理責任者に毎月提出する。
早期警告システムは、当行が1十億ウォン超の合計エクスポージャー(預金担保、積立貯蓄、保証および
輸入担保金控除後の借り手からの未回収残高合計)または信用エクスポージャーを除いた 500 百万ウォン超の
合計エクスポージャー(有効な担保を控除後の合計エクスポージャー)を有する借り手を自動で毎日チェッ
クする。早期警告システムが警告の兆候を検出した場合、当行が2十億ウォン超のエクスポージャーを有す
る場合は信用検査部が、2十億ウォン以下のエクスポージャーの場合は支店マネジャーおよび信用審査担当
者が、かかる兆候および監視によるその他の所見を検討する。さらに、当行は経済環境の変化に基づいた信
用リスク要因の変動に従い、各借り手に対してタイムレスな与信検討を実施している。かかる与信検討の結
果は当行の信用リスク担当者に対し継続的に報告される。
早期警告システムが検出した警告の性質に応じて、借り手が「信用悪化」と分類され評価の対象となって
信用格付が引き下げられる場合、または当初から「早期警告兆候を示す借り手」に分類されるか、もしくは
「正常借り手」に復活する場合がある。「早期警告兆候を示す借り手」に分類された借り手について、支店
マネジャーは情報を集め、信用悪化と分類するべきか否かまたは経営改善警告を行うかもしくは共同債権者
の管理を実施するかを決定するために借り手の審査を行う。借り手が債務不履行状態に陥った場合には、当
行の回収部門は、回収率を最大化するために直接借り手の勘定を管理し、必要に応じて競売、裁判所手続、
資産売却または企業再編を実施する。
上記の信用審査および監視手続きに従い、かつ、貸出の質の悪化を速やかに防ぐために、当行は潜在的に
問題のある借り手を (i) 早期警告兆候を示す借り手、 ( ⅱ ) 警戒を要する借り手、 ( ⅲ ) 監視を要する借り手およ
び ( ⅳ ) 正常借り手に分類し、それに従い別々に取り扱っている。
当行の法人顧客の返済の延滞を抑制するために、当行は主に (i) 多額の残高を有する借り手に対する体系的
な監視、 ( ⅱ ) 信用履歴の良くない借り手および/または問題のある業種に属する借り手の監視の強化、なら
びに ( ⅲ ) 特定の業種が一般的な事業サイクルに特に敏感であるか、および/または特定の時期に苦境にある
のか否かの調整を経た業種固有の貸出上限額の割当てといった措置を行う。
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多額の貸出残高を有する借り手に対する体系的監視
当行は現在、貸出残高(保証付貸出ならびに当行への預金または信用状といった特定の種類の担保により
担保された貸出を除く。)が合計1十億ウォン以上かつ正味貸出残高(貸出残高からかかる貸出の担保(上
記以外のもの)の公正価値を差引いた金額)が合計 500 百万ウォン以上である法人顧客に対し強化監視システ
ムを適用している。この監視システムに基づき、各借り手には下記の格付が付与される。
・「正常借り手」: CCC 以上の信用格付(適用あるサブボロアー格付)の支払不能の可能性が低いと判断さ
れる借り手。
・「監視を要する借り手」:将来の企業破産に影響するリスクを一定程度有し、かかるリスクの変動の検
出の継続的な監視の対象となる借り手。
・「警戒を要する借り手」:デフォルトリスクの増加による支払不能の可能性があり、かかる借り手の信
用の質の詳細な調査および追加融資に警戒を要する借り手。
・「早期警告兆候を示す借り手」:支払不能の可能性の高い借り手。
・「問題があるかまたは再編の対象の借り手」:現在、経営改善計画、債務整理または企業再生といった
再生手続きの過程にあるか回復の兆候のない借り手。
当行は、借り手の信用格付に応じた間隔(例えば、格付が AAA から A までの「正常」借り手については 12 ヵ
月ごと、格付が A- から BBB+ の「正常」借り手については9カ月ごと、格付が BBB から B- の借り手については6
か月ごと、 CCC 以下の格付の借り手および「正常」とみなされない格付の借り手については3ヵ月ごと)で上
記の借り手に対して体系的な監視を行っている。さらに、貸出審査担当者は、借り手に信用の質の悪化の兆
候がある場合、より頻繁な監視を要請することができる。2十億ウォン以上の貸出残高を有する借り手につ
いては、当行はまたかかる借り手の収入および所得を四半期ごとに四半期終了後 10 週間以内に監視する。
信用履歴に問題のある借り手および/または問題のある業種に属する借り手に対する監視の強化
上記の体系的な監視に加え、当行はまた、とりわけ、 (i) 上記の「監視を要する借り手」もしくは「警戒を
要する借り手」もしくは「早期警告兆候を示す借り手」とみなされた借り手、 ( ⅱ ) 過去に延滞もしくは再編
を経験している借り手、または ( ⅲ ) 固定以下に分類された借入を有する借り手に対して追加的な監視を行っ
ている。これらの借り手に対する強化された監視に基づき、当行は、とりわけ、特定の業種の全体的な資産
の質が事業サイクルの各局面でいかに変化するか、かかる借り手に対するエクスポージャーをいかに制限
し、縮小するか、当行のグループ全体の延滞率および不履行率をいかに変えるかといったことについて緊急
対策計画を調整する。
信用リスク評価および管理
当行は、体系的に信用リスクを評価するために、 延滞率、不良債権率、予想損失額および加重平均リスク
格付を含む選択された各種統計の監視に基づき信用リスクを数量化するように設計されたシステムを開発お
よびアップグレードした。
当行は、ポートフォリオレベルおよび個別貸出勘定レベルの2段階で貸出を監視および管理することで貸
出の集中を管理している。ポートフォリオレベルの信用リスクを適切な水準に維持するために、当行は銀行
全体およびその各事業単位にバリュー・アット・リスク(以下「 VaR 」という。)による限度額を用いてその
貸出を管理している。特定の借り手または借り手の種別にリスクが集中することを防止するため、当行はま
た借り手、業種、国およびその他の詳細な分類ごとに信用リスクを管理している。
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当行は、信用リスクを内部で蓄積した情報を用いて計測している。当行は、総資産について毎月期待損失
および非期待損失を計測し、事業グループのリスク限度額の設定および事業グループへの資本の分配に際し
て参照している。期待損失は、デフォルト確率、デフォルト時損失率、デフォルト時エクスポージャーなら
びに過去の破産率および回収率に基づき計算され、これに応じて当行は貸倒引当金を計上する。当行は FSS 要
件または当行の内部計算のいずれか高い方の水準で引当を実施する。非期待損失については、当行にとって
の信用リスク限度額の合計および当行内の関連部門にとっての信用リスク限度額に合致しているかを判断す
るために使用される VaR に基づき予測される。当行は、口座ごとのレベルでの VaR の計算およびリスク調整済
業績測定に、銀行監督についてのバーゼル委員会(以下「バーゼル委員会」という。)により提案された先
進内部格付手法を使用している。
市場リスク管理
市場リスクとは、金利、為替レート、株価などの市場価格の変動により生じる損失リスクをいう。当行が
さらされる主な市場リスクは金利リスクであり、より程度は低いものの、為替リスクおよび株価リスクにも
さらされている。これらのリスクは、貸出、預金、有価証券、金融デリバティブなどの金融商品に関連する
当行のトレーディング業務および非トレーディング業務から生じる。当行は、市場リスクをトレーディング
業務から発生するリスクと非トレーディング業務から発生するリスクに分けている。
当行のリスク管理委員会は、トレーディング業務と非トレーディング業務の両方について包括的な市場リ
スク管理方針を定めている。かかる方針に基づき、当行のリスク方針委員会は、市場リスクおよび資産に関
し、リスク管理方針およびリスク制限を設定し、当行のトレーディング業務および非トレーディング業務か
ら発生する市場リスクを管理することについて最高意思決定機関として行為している。リスク方針委員会
は、当行の7つの事業グループをそれぞれ担当する副銀行長、最高リスク担当者および最高財務担当者で構
成される。リスク方針委員会は、少なくとも月に一度の頻度で、とりわけ当行のトレーディング業務に係る
ポジションおよび VaR と、当行の非トレーディング業務に係るポジション、 VaR 、デュレーション・ギャップ
および時価分析ならびに正味受取利息シミュレーションに関連する報告書の検討と承認を行っている。さら
に、当行のリスク技術部は、当行の業務部門から独立して包括的に市場リスクを管理し、当行のミドル・オ
フィスとして機能している。当行は、 FSC が制定した規則に従って、銀行勘定および信託勘定のすべての資産
および負債に関する市場リスクを計測している。
トレーディング業務から生じる市場リスク・エクスポージャー
当行のトレーディング業務は、主に以下のもので構成されている。
・ 市況および顧客需要の変化について当行の短期的な見通しに基づく持分証券・債務証券市場および外国
為替市場における売買から短期的な売買益を実現するため、自己勘定および顧客の信託勘定で行われる
トレーディング業務
・ 主に、スワップ、先渡取引、先物取引、オプションなどのデリバティブに関わる裁定取引によって利益
を実現するためのトレーディング業務、ならびにより小規模ではあるものの、当行の顧客に対してデリ
バティブを販売するトレーディング業務およびかかるトレーディング業務に付随する市場リスクを補完
するトレーディング業務
これらのトレーディング業務により、当行は 主として 、金利リスク、為替リスクおよび株価リスクにさら
されている。
金利リスク
当行がさらされている金利リスクは、主として直接または受益証券を介して間接的に保有するウォン建て
債券および、より小規模ではあるが、金利デリバティブから生じる。外貨建ての売買目的債券から生じる金
利リスクに対する当行のエクスポージャーは、かかる債券におけるネット・ポジションが小さいため、軽微
である。当行のトレーディング勘定は日々値洗いされるため、当行は、トレーディング勘定に関係する金利
リスクを、時価に基づいたツールである VaR を用いて管理している。
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外国為替相場リスク
当行の外国為替相場リスクに対するエクスポージャーは、主に当行のウォン以外の通貨建ての資産および
負債(外貨先渡および先物、通貨スワップなどのデリバティブを含む。)に関するものである。当行は、ト
レーディング勘定と非トレーディング勘定両方のすべての為替直物ポジションおよび先物ポジションを対象
として、その外国支店が直面する関連リスクを含む外国為替リスクを連結ベースで管理している。
当行の外貨の正味オープン・ポジションは、外貨建て資産および負債を為替先物ポジションと相殺した差
額であり、当行の外国為替リスクに対する主要なエクスポージャーとなる。リスク方針委員会は、トレー
ディング業務および非トレーディング業務の両方について、外貨の正味オープン・ポジションの限度額、ス
トップ・ロス限度額および VaR 限度額を設定することにより、当行の外国為替エクスポージャーを監視してい
る。当行は、金融技術センターを通じて外国為替ポジションを集中的に監視し、管理している。金融技術セ
ンターのディーラーは、現物取引、先渡契約、通貨オプション、先物取引、スワップおよび為替スワップを
通じて、当行の連結されたポジションを事前に設定された限度内で管理する。当行は、通貨ごとに正味オー
プン・ポジションの限度額を設定している。米ドル、日本円、ユーロおよび中国元以外の通貨の限度額は、
かかる通貨における為替取引を最小限に抑えるために保守的な方法で設定されている。
下表は、 2017 年および 2018 年 12 月 31 日現在の当行の外貨の正味オープン・ポジションを示している。プラ
スの数値は買い持ち、マイナスの数値は売り持ちを表している。
12 月 31 日現在
通貨 201 7 年 201 8 年
(単位:百万米ドル)
米ドル 47.3 38.9
日本円 (3.9) (9.6)
ユーロ 3.4 0.9
その他 1,113.9 1,104.1
1,160.8 1,134.3
合計
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株価リスク
当行のトレーディング業務に係る株価リスクは、主に韓国企業の株式トレーディング・ポートフォリオな
らびに韓国株価指数先物およびオプションの取引に関するものである。株式トレーディング・ポートフォリ
オは、韓国証券取引所の KRX KOSPI 市場または KRX KOSDAQ 市場に上場される株式ならびに厳格な分散化制限お
よびポジション限度額が定められた期近または翌限月の先物で構成される。当行は、韓国株式市場の不安定
性に照らして、これらの業務の厳格な監視を維持しており、損切りおよびその監視についても厳密な監視を
行っている。当行がそのトレーディング勘定に保有する持分証券は、債券と比較するとかなり少ないが、持
分証券の価値の変動性が高いことから、トレーディング勘定の株価リスクの VaR は、通常トレーディング勘定
の金利リスクの VaR よりも高い。 2017 年および 2018 年 12 月 31 日現在、当行のトレーディング勘定(信託勘定を
含む。)における持分証券は、それぞれ 219.0 十億ウォンおよび 184.2 十億ウォンであった。
トレーディング業務から生じる市場リスクの管理
下記の表は、 2018 年 12 月 31 日現在および同日に終了した事業年度における当行のトレーディング業務から
生じる VaR で計測された市場リスクの概要を示している。市場リスク管理上、当行は、 VaR 合計の計算に、銀
行勘定のトレーディング・ポートフォリオと信託勘定の資産を含めており、当行はそれぞれについて FSC の規
則に従い元本または固定金利を保証している。
2018 年 12 月 31 日に終了した年度の
(1)
トレーディング・ポートフォリオ VaR
2017 年
平均値 最低値 最高値 12 月 31 日現在
(単位:十億ウォン)
22.6 16.2 29.8 18.8
金利リスク
39.3 34.1 45.7 34.3
(2)
為替リスク
12.1 2.0 25.7 22.2
株価リスク
0.1 0.03 0.6 0.3
(3)
オプション・ボラティリティ
(30.1) (14.3) (44.3) (21.3)
(4)
控除:ポートフォリオの分散
44.0 38.0 57.5 54.3
(5)
VaR 合計
___________________________
注記:
(1) 信頼水準99.9%の10日VaR
(2) 当行が全ポジションに基づき為替リスクを管理するため、トレーディング勘定と非トレーディング勘定の両方を含む。
(3) ブラック・ショールズ・モデルまたは類似のモデルを使用したオプション評価による予想変動率
(4) ポートフォリオの分散効果の計算は、異なるリスク要素について異なる日のシナリオで行われる。VaR合計は、ポートフォリオ分散
により相殺されているため、VaRのリスク要素の単純な合計を下回っている。
(5) 当行が元本または固定金利を保証する銀行勘定のトレーディング・ポートフォリオおよび信託勘定の資産を含む。
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当行は通常、 ポートフォリオの トレーディング業務から生じる市場リスクを 総額を 基準に管理する。 当行
は、 トレーディング・ポートフォリオの市場リスク を 管理 するために 、ポジション限度額、 VaR 限度額 、 ス
トップ・ロス限度額 、 Greek 限度額およびストレス損失限度額 を使用している。 また、当行は投資有価証券に
ついて別の限度額を設定している。 当行は、 FSC が 公表 した規則およびガイドラインに基づいて、デリバティ
ブ取引のためのリスク管理指針を 維持 し 、 トレーディング業務を行う事業部門およびチームのリスクを監視
および管理するためにトレーディング業務から生じる市場リスクを 測定してい る。当行は、そのトレーディ
ング・ポジションの市場リスク測定システムへの自動インターフェイスに基づき VaR 測定を管理し、日ごとに
制限している。さらに、当行はトレーディング部門およびデスクに対し、損失限度、感応度限度、投資限度
およびストレス限度をあらかじめ設定し、かかる限度およびその遵守を毎日監視している。
バリュー・アット・リスクの分析 当行は、市場リスクを測定するために、 10 日 VaR および1日 VaR を使用し
ている。当行は、 (i) 保有期間を 10 日とする過去 12 ヵ月間のデータに基づき、日々 10 日 VaR を計算し、 (ⅱ) 保
有期間を1日とする過去 12 ヵ月間のデータに基づき、日々1日 VaR を計算している。 10 日 VaR および1日 VaR
は、通常の市場環境において 10 日間および1日間にそれぞれ起こり得る統計的に推計された予想最大損失額
である。 VaR が 99 %の信頼水準で測定された場合、実際の損失額は平均して 100 営業日中1日だけ予想 VaR を上
回る可能性があり、一方、 99.9 %の信頼水準を用いて VaR を測定した場合、平均して 1,000 営業日中1日だけ
実際の損失額が予想 VaR を上回る可能性がある。
当行は現在、 FSS への報告に用いられる規制資本の計算のために 99 %信頼水準の 10 日 VaR およびストレス VaR
を用いている。ストレス VaR は、過去 12 ヵ月間の危機シミュレーションから得たシナリオに基づく現在のト
レーディング・ポートフォリオにおける潜在的な重要損失を反映している。当行はまた、内部管理目的の当
行の「経済上の」資本の計算に、より保守的な 99.9 %信頼水準の 10 日 VaR を用いているが、これは市場リスク
に照らして当行の必要資本の金額を決定する際に用いられた概念である。さらに当行は、営業部門の各デス
クまたはチームごとに個別のリスク限度を設定し、運用するために、またバックテスト目的で、補足的に
99 %信頼水準の1日 VaR を用いている。当行の損失額(実際の、または仮想の)が 99 %信頼水準の1日 VaR を
上回ったことが 2016 年には1回、 2017 年には3回あり、 2018 年には一度もなかった。最も最近では、 2017 年
10 月 10 日に損失額が 99 %信頼水準の1日 VaR を 6.2 %上回った。上記の VaR の例外はすべて VaR 額を上回る仮想
損失の額によるものである。仮想損失とは、同じポートフォリオを翌取引日の市場変数でシミュレーション
した場合のポートフォリオ価値の潜在的な変化である。
バリュー・アット・リスクは通常使用される市場リスク管理法である。ただし、 VaR モデルには以下の欠点
がある。
・ VaR は、過去の市場動向のデータを使用し、特定の信頼水準において一定の期間に渡って生じ得る予想
損失額を推計する。しかし、過去の市場動向は、特に将来起こり得る事象の性質が極端である場合には
必ずしも信頼性のある指標とはならない。
・ VaR は、市場動向が極端になる可能性を過小評価する可能性がある。
・ 当行の VaR モデルは、通常、1日から 10 日の保有期間があれば原ポジションを解消するのに充分である
と想定しているが、保有期間の長さに関するかかる想定が実際には不適切であることが判明する場合が
ある。
・ 99.9 %の信頼水準は、この信頼水準を超えて生じるかもしれない損失については考慮しておらず、かか
る損失を示唆するものでもない。
・ VaR は、ポジションおよびポートフォリオの価値に関する様々なリスク要因についての複雑な影響をす
べて捉えているわけではなく、損失の可能性を過小評価する可能性がある。
当行は現在、実際の業績に対する VaR の結果のバックテストを日々行っている。
当行は、ウォン建ておよび外貨建て勘定を管理する総合的な市場リスク管理システムを運用している。こ
のシステムは、ヒストリカル・シミュレーション法を用いて、株式や債券などの商品から生じる線形リスク
とオプションを含む他の商品から生じる非線形リスクを計測する。当行は、このシステムによって、複雑か
つ一貫性のある VaR 情報を創出し、モデルの妥当性を確認するための感応度分析およびバックテストを日々行
うことができると考えている。
ストレステスト VaR のほか、当行は市場リスクを測定するためにストレステストを実施している。 VaR は通
常の市場環境を前提とするため、当行は起こりそうもない異常な市場変動に対する市場リスク・エクスポー
ジャーを、ストレステストによって評価している。ストレステストは、 VaR を補完するために重要である。な
ぜなら、 VaR は当行の通常の予測を超える市場変動が生じた場合の潜在的な損失をカバーしていないからであ
る。ストレステストは、ストレス事象の発生期間中、ポートフォリオのリスク特性を変更するための措置が
取られていないことを前提に、一定のシナリオのもとで、保有するポジションについて予想される価値の変
動を予測する。
当行は、外国為替レート、株価ならびにウォン建て金利および外貨建て金利の4つの市場リスク要素を考
慮することにより、比較的単純ではあるが基本的な7つのストレステストのシナリオを使用する。最悪のシ
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ナリオでは、4つの市場リスク要素が瞬時かつ同時に変動することを想定している。かかる変動とは、ウォ
ンが 20 %上昇し、韓国証券取引所の総合株価指数が 30 %下落し、かつウォン建て金利および米ドル建て金利
が それぞれ 200 ベーシスポイント上昇するという状況である。この最悪のケースのシナリオに基づき、当行の
トレーディング・ポートフォリオの市場価額は 2018 年 12 月 31 日現在で 337 十億ウォン減少した。当行は、日々
ストレステストを実施し、その結果をリスク方針委員会に毎月報告し、四半期ごとにリスク管理委員会に報
告する。
当行は、業務全体についてのストレステストの上限を設定している。市場の混乱やその他の異常の潜在的
な影響が大きい場合には、当行のリスク管理部門の長はかかる影響を通知し、ポートフォリオの再構築また
はその他の適正な措置を要求することができる。
ヘッジ取引およびデリバティブ市場リスク
当行の グループ全体の ヘッジ戦略の主な目的は、その市場リスクを設定された範囲内で管理することであ
る。当行は、市場リスクをヘッジするため、および事前に設定されたリスクの範囲内でデリバティブ商品を
売買することによって収益を上げるため、デリバティブ商品を利用する。当行のデリバティブ取引には、金
利スワップ、クロスカレンシー・スワップ、為替先物予約、通貨先物、株価指数先物、金利先物、株価指数
オプションおよび通貨オプションが含まれる。
当行はヘッジ目的でデリバティブを使用するが、当行は利益を上げるためにトレーディング・ポジション
を取ることから、デリバティブ取引はその性質上市場リスクを伴う。これらの業務は主に以下からなってい
る。
・スポット市場とデリバティブ市場間、またはデリバティブ市場内における短期的な不一致から利益を得
るための裁定取引
・当行の法人顧客の様々な需要を満たす個別仕様のデリバティブ商品の販売、およびこれらの販売から生
じるエクスポージャーを低減させるための関連取引
・当行が市場予測に基づいて短期売買による利益を予測する限定的な場合において、ポジションを取るこ
と
・上述のとおり、当行の金利および外貨リスクのエクスポージャーをヘッジするために取引を行うこと
2018 年1月1日から韓国 IFRS 第 1039 号「金融商品:認識と測定」に取り替わった韓国 IFRS 第 1109 号「金融
商品」に基づく会計上の要件に従い、当行は、特に公正価値モデルが内部で開発され、重要な商品の価格付
けに利用される場合、公正価値が適切に測定されることを確実にするために、いくつかの重要な抑制を含む
内部プロセスを実施した。
当行は、かかる商品の発売前に内部モデルから得られた新商品の公正な市場価値の妥当性を査定する。査
定プロセスには下記が含まれる。
・内部ディーリング・システム市場価値の計算(ディーリング・システムから得られた市場価値を計算す
るために用いられた公式およびモデルの妥当性の量的分析チームによる査定に基づく。)
・外部信用評価会社から得られた市場価値の計算
・内部ディーリング・システムにより得られた市場価値と外部信用評価会社から得られた市場価値とを比
較した後、部門間のコンセンサスに基づく内部で開発された市場価値を利用するかどうかについての決
定
上記の査定プロセスを経て当行により公式に利用されるディーリング・システム市場価値は、個別取引の
検討に基づく価値を確認するサンプリング・プロセスを経ておらず、ディール・ポートフォリオ感応度に基
づくディーリング・システムによる利益に対するかかる価値を比較する追加的な査定手続きの対象となる。
「第3-3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析-重要な会計方針」およ
び 「第6-1 財務書類」に記載される当行の連結財務書類に対する注記 2を参照されたい。
非トレーディング業務のための市場リスク管理
金利リスク
金利リスクは当行の非トレーディング業務から生じる主な市場リスクである。金利リスクは、当行の財政
状態および経営成績に悪影響を及ぼす金利の変動により生じる損失リスクである。当行の金利リスクは、主
として利 付 資産と有利子負債に係る金利変更の時期が異なることに関連している。
金利リスクは、当行の収益および純資産の経済的価値に以下の影響を及ぼす。
・ 収益 金利の変動は、金利感応度の高い営業利益および費用に影響し、これにより当行の正味受取利息に影
響を及ぼす。
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・ 純資産の経済的価値 金利の変動は、資産、負債および当行のその他の取引からのキャッシュ ・ フローの現
在価値に影響し、これにより当行の正味資産に影響を及ぼす。
そのため、当行はその利益および純資産価値 の双方 に対する金利変動の影響を考慮した上で、非トレー
ディング業務における金利リスクを 測定 し、管理している。当行は、その銀行勘定(主に ヘッジ目的で締結
される金利スワップである ウォン建てのデリバティブを含む。)および信託勘定におけるすべての利 付 資産
および有利子負債について、 毎日および毎月のベースで 金利リスクを計測し、管理している。ただし、これ
以外については当行は VaR を月次ベースで計測している。当行の利 付 資産および有利子負債の多くはウォン建
てである。
金利リスク管理
当行の金利リスク管理の主な目的は、安定した正味受取利息を生み出し、その純資産価値を金利変動のリ
スクから保護することである。その資産および負債管理システムを通じて、当行は金利ギャップ、デュレー
ション・ギャップならびに正味現在価値および受取利息シミュレーションといったさまざまな分析手法に基
づき金利リスクを監視し、管理し、毎月、金利 VaR 限度、金利アーニングス・アット・リスク( EaR )限度お
よび金利ギャップ比率限度を監視する。当行は、金利履歴のさまざまなシナリオ分析に基づき1年間におい
て純資産価額および正味受取利息が最大に減少した場合をシミュレーションした予測に基づき金利 VaR および
EaR を測定する。リスク方針委員会は少なくとも年に一度、当行のウォン建てならびに外貨建ての非トレー
ディング勘定および信託勘定についての金利リスクの限度額を設定し、リスク管理委員会は当行全体の金利
リスクの限度額を設定する。そしてリスク管理 部 は、当行によるかかる限度額の遵守状況を監視し、その監
視結果を月に一度リスク方針委員会に報告し、四半期ごとにリスク管理委員会に報告する。当行は、その金
利エクスポージャーの限度額を管理するために金利スワップを利用する。
金利がマイナスに変動した場合、金利 VaR は、正味現在価値計算(利付資産の現在価値から有利子負債の現
在価値を差引くことにより計算される。)における最大予想損失を表しており、金利 EaR はその直後の1年間
についての正味利益計算(受取利息から支払利息を差引くことにより計算される。)における最大予想損失
を表している。そのため、金利 VaR は金利 EaR に比べてより広範な概念であり、前者はすべての利付資産およ
び有利子負債をカバーするのに対し、後者は1年の間に金利ボラティリティにさらされる利付資産および有
利子負債のみをカバーする。
そのため、金利 VaR にとって、デュレーション・ギャップ(つまり、すべての利付資産の加重平均デュレー
ションからすべての有利子負債の加重平均デュレーションを差引いたもの。)は、金利 VaR への影響において
該当する資産および負債の相対的な規模より重要な要因となる場合がある。対照的に、金利 EaR にとって、
「1年以下の金利」の形態における該当する資産および負債の相対的規模の差(つまり、満期まで1年未満
の利付資産の金額から満期まで1年未満の有利子負債の金額を差し引いたもの)は、金利 EaR への影響におい
て最も重要な要因である。
金利 VaR 限度は、 (i) 正味現在価値計算の予想損失の平均( 2,000 のシナリオの平均に基づいて計算され
る。)と、 ( ⅱ )99.9 %信頼水準の標準偏差の差として設定される。
金利 EaR 限度は、正味受取利息の最大の減少に際し、 (i) 見積金利ギャップが運用可能な(耐えうる)状況
における最大水準に拡大したと仮定して、 ( ⅱ ) 金利ショック・シナリオを過去 10 年間の市場金利を用いた金
利の年間ボラティリティに適用することにより定められる。
当行は月ごとに金利 VaR および金利 EaR の非トレーディング・ポジションが上記のそれぞれの限度を上回る
か否かを監視している。
トレーディング・リスクの運用に際し、主に (i) 裏付資産が異なるため(つまり、市場リスク VaR の場合の
トレーディング資産と比較した、金利 VaR の場合の非トレーティング利付資産および有利子負債)、ならびに
( ⅱ ) 金利 VaR は金利変動のみに敏感であるが、市場リスク VaR は金利変動だけでなく、為替レート、株式の市
場価格およびオプション・ボラティリティといったその他の要素に対しても敏感であることから、金利 VaR は
10 日間における 99 %信頼水準の VaR (以下「市場リスク VaR 」という。)と意味のある比較をすることはでき
ない。
仮に金利 VaR と市場リスク VaR の金利部分のみを比較したとしても、当行は、金利 VaR は資産および負債の双
方(相殺する影響を有する傾向にある。)の金利変動の影響を検証するが、市場リスク VaR の金利部分は資産
のみの金利変動の影響を検証するため、かかる比較は意味を有さないと考えている。
当行は 毎日および毎月のベースで 様々な分析的方法を用いて非トレーディング業務における金利リスクを
計測し、管理している。かかる方法には以下の分析が含まれる。
・金利ギャップ分析
・デュレーション・ギャップ分析
・市場価値分析
・正味受取利息シミュレーション分析
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金利ギャップ分析
当行は、当行の利付資産と有利子負債が、見積りキャッシュ・フローと金利更改日に基づいて適切な期間
に割り当てられる金利ギャップ表を作成することで、特定の期間についてのそれぞれの満期日と金利更改日
における利付資産と有利子負債の金額の差を測定するために、金利ギャップ分析を行っている。当行は、そ
の銀行勘定および信託勘定のウォン建ておよび外貨建ての資産および負債について、日々金利ギャップ分析
を行う。当行のギャップ分析には、ウォン建てのデリバティブ(ヘッジの目的上通貨スワップ)および外貨
建てのデリバティブ(ヘッジの目的上通貨スワップ)が含まれ、金融技術センターにより集約的に管理され
ている。当行は、金利の感応度ギャップ、累積ギャップおよびギャップ比率を測定する金利分析を通じて、
将来の金利リスクの変動に対するエクスポージャーを評価する。
当行は、金利ギャップ分析について、様々な種類の資産および負債に対して以下の満期を想定および使用
している。
・当行は、資産の満期および金利更改日に関しては、プライムレートに連動する貸出の満期は固定金利貸
出と同じと想定している。当行は、利付資産から持分証券を除外している。
・当行の負債の満期および金利更改日については、当行は、金融市場の預金口座および FSC ガイドラインの
もとで「非中核」である要求払い預金は、ウォン建ておよび外貨建て勘定の双方について1ヵ月以下の
満期を有するものと想定している。
・ FSC ガイドラインのもとで「中核」である要求払い預金については、当行は1ヵ月から5年間を範囲とす
る8つの異なる期間の満期を有するものと想定している。
下表は、 2018 年 12 月 31 日現在における、 ( ⅰ ) ヘッジ目的で締結されたデリバティブを含むウォン建て非ト
レーディング銀行勘定および ( ⅱ ) ヘッジ目的で締結されたデリバティブを含む外貨建て非トレーディング銀
行勘定の当行の金利ギャップを示している。
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2018 年 12 月 31 日現在
1-2 年
0-3 ヵ月 3-6 ヵ月 6-12 ヵ月 2-3 年 3 年超 合計
(単位:十億ウォン、%を除く)
利付資産 121,433 57,702 28,158 23,618 16,779 19,477 267,167
固定金利 18,277 12,900 17,804 15,869 10,519 10,966 86,334
変動金利 101,816 43,723 8,264 7,749 6,229 8,502 176,283
金利スワッ 1,340 1,080 2,090 0 30 10 4,550
プ
有利子負債 103,635 43,398 65,910 20,402 13,141 24,386 270,873
固定負債 44,625 32,092 54,261 10,205 2,844 3,298 147,326
変動負債 54,460 11,306 11,649 10,197 10,297 21,088 118,997
金利スワッ 4,550 0 0 0 0 0 4,550
プ
感応度ギャッ 17,798 14,304 (7,752) 3,215 3,638 (4,909) (3,706)
プ
累積ギャップ 17,798 32,102 (5,650) (2,435) 1,203 (3,706) (3,706)
総資産に対す 6.66% 12.02% (2.11)% (0.91)% 0.45% (1.39)% (1.39)%
る割合
(1)
外貨建ての非トレーディング銀行勘定
2018 年 12 月 31 日現在
0-3 ヵ月 3-6 ヵ月 6-12 ヵ月 1-3 年 3 年超 合計
(単位:百万米ドル、%を除く)
利付資産 23,491 7,333 2,677 3,669 4,676 41,847
有利子負債 21,750 4,312 4,869 6,554 5,715 43,200
感応度ギャッ 1,741 3,021 (2,191) (2,886) (1,038) (1,354)
プ
累積ギャップ 1,741 4,762 2,570 (315) (1,354) (1,354)
総資産に対す 4.16% 11.38% 6.14% (0.75)% (3.23)% (3.23)%
る
割合
___________________________
注記:
(1) マーチャント・バンキング勘定を含む。
デュレーション・ギャップ分析
当行は、当行の利付資産と有利子負債の保有期間(かかる保有期間は、適用あるイールド・カーブを用い
てそれぞれの割引キャッシュ・フローに基づいて計算されたそれぞれの加重平均満期を示している。)の差
を審査することにより、資産および負債の市場価値にかかる金利リスクの様々な影響を測定するために、
デュレーション・ギャップ分析を行っている。これらの測定は毎日、業務部門、勘定、商品および通貨のそ
れぞれの、利付資産および有利子負債の保有期間について行われている。
下表は、 2018 年 12 月 31 日現在の非トレーディング勘定における当行のウォン建て利付資産および有利子負
債の市場価値のデュレーション・ギャップならびに金利が1パーセント・ポイント上昇した際のこれらの市
場価値の変動を示している。
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(1)
2018 年 12 月 31 日 現在の保有期間(非トレーディングのウォン建て銀行勘定 )
2018 年 12 月 31 日現在
(単位:月)
利付資産 10.29
有利子負債 10.83
ギャップ (0.54)
___________________________
注記:
(1) マーチャント・バンキング勘定およびヘッジ目的のデリバティブを含む。
市場価値分析
当行は、当行の有利子負債の市場価値と比較した利付資産の市場価値の変化を測定するために、金利が平
行にシフトすると仮定して、市場価値分析を行っている。これらの測定は毎日行われている。
(1)
2018 年 12 月 31 日現在 の市場価値(非トレーディングのウォン建て銀行勘定 )
2018 年 12 月 31 日現在
実質 1パーセント・ポイント上昇時 変動
(単位:十億ウォン)
利付資産
282,971 280,706 (2,265)
有利子負債
275,808 273,468 (2,340)
ギャップ
7,163 7,238 75
___________________________
注記:
(1) マーチャント・バンキング勘定およびヘッジ目的のデリバティブを含む。
正味受取利息シミュレーション
当行は、当行の経営成績に対する金利変動の影響を測定するために正味受取利息シミュレーションを行
う。かかるシミュレーションは、現在の満期構造に基づき、金利(平行にシフトすると仮定)および資金調
達需要に関するさまざまなシナリオを用いて、当行の年次正味受取利息(受取利息から支払利息を控除した
もの)の見積変動を測定するために、確定的分析手法を用いている。金利変動に関するシミュレーションで
は、当行は、資金調達需要に変動がないとの仮定に基づき、 (1) 変動なし、 (2) 金利が1パーセント・ポイン
ト上昇、および (3) 金利が1パーセント・ポイント減少、の場合の金利が平行にシフトする3つのシナリオを
適用する。
下表は、当行の正味受取利息シミュレーション・モデルを用いて、 (a)2018 年 12 月 31 日現在の満期構造およ
び資金調達需要、ならびに (b)2018 年 12 月 31 日現在の金利と同じ金利および金利が1パーセント・ポイント上
昇または減少した場合を仮定して、ウォン建て利付資産および有利子負債に関する 2018 年の当行の正味受取
利息のシミュレーションした変動を一例として説明している。
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シミュレーションした 2018 年の正味受取利息
(1)
( ウォン建ての非トレ ー ディング銀行勘定 )
仮定金利 正味受取利息変動 正味受取利息変動
% 変動 % 変動
金額 金額
1パーセン 1パーセン (1パーセ (1パーセ (1パーセン (1パーセン
ト・ポイン ト・ポイ ント・ポイ ント・ポイ ト・ポイン ト・ポイント
変動なし ト上昇 ント減少 ント上昇) ント上昇) ト減少) 減少)
(単位:十億ウォン、パーセントを除く)
シミュレー 9,044 10,615 7,473 1,571 17.37% (1,571) (17.37)%
ションした受
取利息
シミュレー 3,949 4,957 2,941 1,008 25.53% (1,008) (25.53)%
ションした支
払利息
5,095 5,658 4,532 563 11.05% (563) (11.05)%
正味受取利息
___________________________
注記:
(1) マーチャント・バンキング勘定およびヘッジ目的で締結されたデリバティブを含む。
当行の非トレーディング勘定におけるウォン建て利付資産の金利更改期間は、かかる勘定の有利子負債の
当該期間より平均的に短いため、当行の非トレーディング勘定におけるウォン建て利付資産および有利子負
債は、金利の上昇により恩恵を受ける満期構造を有している。これは主に、近年の韓国において低金利環境
が続いているためであり、これにより当行の貸出金全体の一定部分を占める変動金利貸出金(固定金利貸出
金よりも満期または金利更改期間が短い傾向にある。)に対する需要の著しい増加をもたらしたことによ
り、当行の貸出金全体の満期または金利更改期間が平均的に短くなった。その結果、当行の正味受取利息
は、金利が低下すると減少する傾向にあり、金利が上昇すると総じてその反対となる傾向にある。
非トレーディング資産および負債に対する金利 VaR
当行は、非トレーディング業務からの金利リスクに対する VaR を毎月測定している。下表は、 2018 年 12 月 31
日現在および同日に終了した年度についての、その他の資産および負債に対する金利ミスマッチにかかるリ
スクについての VaR を示しており、これは、当行の非トレーディングの利付資産(売却可能投資有価証券を含
む。)と有利子負債との間の金利更改日におけるミスマッチから生じる。 FSC 規則に基づき、当行はこれらの
利付資産および有利子負債の VaR の計算を、当行の銀行勘定およびマーチャント・バンキング勘定に含めてい
る。
(1)
2018 年度についての VaR
平均 最小 最大 12 月 31 日現在
(単位:十億ウォン)
金利ミスマッチ
-非トレーディング資産および負債 203 164 278 164
___________________________
注記:
(1) 信頼水準 99.9 %による1年の VaR 実績
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株式リスク
当行の実質的にすべての株式リスクは、韓国企業の普通株式のポートフォリオに関連している。 2018 年 12
月 31 日現在、当行は未上場の外国会社の株式持分を総額 153.8 十億ウォン(非上場のプライベート・エクイ
ティ・ファンドへの投資の 144.6 十億ウォンを含む。)有している。
当行の投資ポートフォリオにおいて保有されるウォン建ての持分証券は、韓国取引所の KRX KOSPI 市場また
は KRX KOSDAQ 市場に上場される株式および一部の非上場株式で構成される。当行は、関連するリスクの管理
のためにこれらの持分証券のほとんどについてエクスポージャーの限度を設定している。 2018 年 12 月 31 日現
在、当行はその非トレーディング勘定において総額 552.5 十億ウォンの持分証券を有しており、このうち
168.9 十億ウォンはとりわけ経営支配目的および延滞した貸付があった貸出先の会社の再編手続の一環として
の債務の株式への転換によるものであった。
2018 年 12 月 31 日現在、当行は、総額 237.2 十億ウォンのウォン建て転換社債を 非トレーディング勘定に 保有
していたが、ウォン建て交換可能社債およびウォン建てワラント付社債をそれぞれ非トレーディング勘定に
保有していなかった。当行は、転換社債、交換可能社債またはワラント付社債に関する株式リスクを測定し
ておらず、これらの株式関連証券の金利リスクは他の債務証券と合わせて測定されている。したがって、当
行はこれらの株式関連証券に対して株式リスク VaR ではなく金利リスク VaR を測定している。
流動性リスク管理
流動性リスクとは、資金の流入と流出の乖離によって生じる支払不能、債務不履行または損失のリスクで
あり、これには利用可能な資金が不足しているために高い金利で資金を入手しなければならないか、または
不利な価格で有価証券を売却しなければならないリスクが含まれる。当行は、流動性にボラティリティを起
こしうる資金の調達および運用に関連するリスク要因の早期検出により、また体系的管理を通じて適切な流
動性水準を確実に維持することにより、流動性リスクを最小限に抑えようとしている。さらに、流動性リス
クを先制的かつ包括的に管理するために、当行は「限度管理指数」、「早期警告指数」および「監視指数」
を含むさまざまな指数を用いて流動性リスクを測定し、監視している。
当行は、流動性リスク管理に以下の基本原則を適用している。
・最適な時期に合理的な費用で充分な額の資金を調達すること
・流動性リスクを適切な水準に維持し、所定のリスク限度システムおよび早期警告検知システムを通じて
これらを予防的に管理すること
・満期の異なる多様な資金源に基づいて効果的な ALM を実施することで、安定した収益源を確保し、実際の
損失を最低限に留めること
・通常の状況および危機的な状況の双方において、適時な返済および支払期限の到来した金融債務の決済
のために、日々ならびに日中の流動性ポジションおよびリスク・エクスポージャーを監督し、管理する
こと
・流動性危機の可能性を想定して定期的に流動性ストレステストを行い、実際の危機に備えて緊急資金調
達計画を策定し、これを実施すること
・商品およびサービスの価格設定、業績評価ならびに新商品およびサービスの発売承認を決定する際に、
流動性関連の費用、便益およびリスクを検討すること
当行は、社内ならびに監督官庁により設定されたリスク限度およびガイドラインに従い、流動性リスクを
管理している。 FSC による銀行に適用される主要な規則に従い、当行は流動性カバレッジ比率および外貨建て
流動性カバレッジ比率ならびに安定調達比率を維持することを義務付けられている。当行は、上記の比率を
一定の最低水準以上に維持することを義務付けられている。
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当行は、 FSC 規則に従って、ウォン建て勘定および外貨建て勘定について設定された限度額の範囲内で流動
性リスクを管理している。 FSC は、当行を含む韓国の銀行に対し、最低流動性カバレッジ比率を 2017 年1月1
日現在で 90.0 %以上、 2018 年1月1日現在で 95.0 %以上および 2019 年1月1日現在で 100.0 %以上とする要件
を実施した。 FSC は、ウォン建て流動性カバレッジ比率を、価値の損失がほとんどなく即座に現金化可能な流
動性の高い資産を、バーゼル III に基づく流動性カバレッジ比率要件を実施するために 2016 年6月 28 日付で改
訂された 銀行業務の監督に関する規則 に基づくウォン建て流動性カバレッジ比率に従って設定されたストレ
ス水準の状況における翌 30 日間のキャッシュ・アウトフローの正味金額で除したものと定義している。流動
性カバレッジ比率に加え、 FSC は 2018 年1月から、銀行業務の監督に関する規則に安定調達比率を導入した。
流動性カバレッジ比率は翌 30 日間の流動性を測定するためのものであるが、安定調達比率は、所要安定資金
調達に対する入手可能な安定資金調達の比率として計算され、翌1年間の流動性を測定するためのものであ
る。銀行の入手可能な安定資金調達は、1年超にわたり銀行に留まることが安全に予想されるその資本と負
債の一部である。銀行の所要安定資金調達は、資産の流動性の特性および残存期間ならびにオフバランス
シートのエクスポージャーから生じる偶発的な流動性リスクを考慮して、保有することが必要とされる安定
的な資金調達の金額である。当行は、最低 100 %の資金調達比率を維持することを FSC により義務付けられて
いる。
外貨建て流動性カバレッジ比率に関し、銀行業務の監督に関する規則は、外国為替業務を行う金融機関
(すなわち銀行)は、外貨建ての負債が直前の半期末現在で 500 百万米ドル以上またはその負債合計の5%以
上である場合、 2017 年1月1日以降は 60 %以上、 2018 年1月1日以降は 70 %以上および 2019 年1月1日以降
は 80 %以上の外貨建て流動性比率を維持することを義務付けている。「外貨建て流動性比率」とは、翌 30 日
間における外貨建て資産および負債に関する正味キャッシュ・アウトフローに対する質の高い流動資産の比
率である。
財務部は、当行のウォン建ておよび外貨建て資金に関する流動性リスク管理を担当している。財務部は、
当行の毎月の資金調達および資産管理計画を、マクロ経済指標、金利および外国為替の動向ならびに当行の
資産および負債の満期構成を含む様々な要素の分析に基づいて、 ALM 委員会の承認を得るために同委員会に提
出する。当行のリスク技術部は、当行の流動性カバレッジ比率を毎日測定し、安定調達比率を毎月測定し、
当行がそれぞれの限度額を遵守しているかをリスク方針委員会(当行の流動性カバレッジ比率および安定調
達比率を設定し、監視する。)に毎月報告する。
下表は、 2018 年 12 月 31 日現在の FSC の規則に従った当行の外貨建て勘定(デリバティブおよびマーチャン
ト・バンキング勘定を含む。)の (i) 平均流動性カバレッジ比率、 ( ⅱ ) 平均外貨流動性カバレッジ比率および
( ⅲ ) 安定調達比率を示している。
2018 年 12 月の平均流動性カバレッジ比率
2018 年 12 月 31 日現在
(単位:百万米ドル、%を除く)
52,736
質の高い流動資産 (A)
53,988
翌 30 日間の正味キャッシュ・アウトフロー (B)
84,835
キャッシュ・アウトフロー
30,847
キャッシュ・インフロー
97.68%
流動性カバレッジ比率 (A/B)
2018 年 12 月の平均外貨流動性カバレッジ比率
2018 年 12 月 31 日現在
(単位:十億ウォン、%を除く)
3,583
質の高い流動資産 (A)
3,044
翌 30 日間の正味キャッシュ・アウトフロー (B)
10,618
キャッシュ・アウトフロー
7,574
キャッシュ・インフロー
流動性カバレッジ比率 (A/B)
117.71%
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2018 年 12 月の安定調達比率
2018 年 12 月 31 日現在
(単位:十億ウォン、%を除く)
2,170,955
入手可能な安定資金調達 (A)
1,928,511
所要安定資金調達 (B)
112.57%
安定調達比率 (A/B)
当行は、その資金調達需要を満たす柔軟性を促進するために、様々な流動性資源を維持している。当行
は、主として個人および法人の預金者からの預金受入、コールローン市場(満期が1ヵ月未満の貸出に対す
る短期市場)へのアクセス、債券の発行ならびに韓国銀行からの借入によって業務資金を調達している。当
行は、主として貸出の供与または有価証券の購入にかかる資金を使用している。通常、預金は貸出または投
資よりも平均満期が短い。
当行は、通常の市況のもとでの流動性リスク管理に加えて、起こり得る流動性危機に効果的に対処するた
めに緊急時対応計画を有している。流動性危機は、数ある理由の中でも、当行の通常の資金源を利用できな
いか、または金融市場の崩壊や当行の信用の急激な悪化を含む様々な内外の要因により預金の引出しが多発
することによって、当行が通常の流動性管理手法では状況を効果的に管理できない場合に生じる。当行は、
以下の流動性指標に基づいて、「注意段階」、「危機が差し迫った段階」および「危機段階」の異なる流動
性リスクの段階に対応した緊急時対応計画を備えている。
・金利や株価等の市場動向を反映する指標
・マネー・マーケット・ファンドの規模を例とする金融市場感情を反映する指標
・当行内部の流動性状態を反映する指標
オペレーショナル・リスク管理
オペレーショナル・リスクは数量化が困難であり、様々な定義に従う。バーゼル委員会は、オペレーショ
ナル・リスクを、内部プロセス、人およびシステムが不適切であるか機能しない場合、またはその他の外部
事象によって生じる損失のリスクと定義している。同様に、当行はオペレーショナル・リスクを、信用リス
ク、市場リスク、金利リスクおよび流動性リスク以外の総合的な管理に関連するリスクと定義している。こ
れらには、システムの不具合、人為的ミス、方針や手順の不遵守、不正、不適切な内部統制および内部手順
または環境の変化によって生じるリスクで、結果として財務または財務以外の損失をもたらすリスクが含ま
れる。当行は、かかる損失を最小化するために、事務リスク、 IT リスク(サイバー・セキュリティ・リスク
を含む。)、管理上のリスクおよび法的リスクを含む、当行の事業運営に関連するオペレーショナル・リス
クの監視および評価を行っている。
当行は、オペレーショナル・リスクの監視および管理を行うために、広範な方針に基づいたシステムを維
持しており、組織全体に安定的かつ十分に管理された業務環境を提供することを目的とした管理の枠組みを
構築している。現在、当行の銀行業務オペレーショナル・リスク手順の確実な遵守についての主な責任は、
各事業部門および業務チームが担っている。また、当行の監査部、リスク管理部およびコンプライアンス部
も、当行の内部統制環境の統一性の検討および維持にあたり重要な役割を果たしている。
当行のオペレーショナル・リスク管理システムは、リスク管理部のオペレーショナル・リスクチームが管
理している。現行のシステムは主に、リスク管理の自己査定、主なリスク指標を用いたリスクの数量化、損
失データの収集、シナリオ管理およびオペレーショナル・リスク資本測定からなっている。当行は、全従業
員が本システムをよく理解することを目的とした、いくつかの教育および認識プログラムを運営している。
当行はまた、本部のオペレーショナル・リスクチームとフロント・オフィスの従業員との調整役を担い、オ
ペレーショナル・リスク管理システムを一段と向上させるための集中的なフィードバックの提供に努めるオ
ペレーショナル・リスク・マネジャーを当行の各部門および支店で指名している。
2018 年 12 月 31 日現在、当行は、当行の部門および国内外の支店についてリスク管理の自己評価を実施し、
かかる評価からすべての支店に関する体系的なデータを回収し、かかる自己評価による調査結果を関連する
部門または支店の手順およびプロセスの改善に役立てている。さらに、当行は 2003 年以降のリスク関連デー
タを蓄積し、業務損失を監視する手順を改善しており、現在はリスク・シミュレーション・モデルを策定し
ている。また、当行は部門レベルで約 186 の主要リスク指標を選定し、これらを監視している。
当行の監査委員会は1名の常任取締役および2名の社外取締役で構成され、当行の内部統制ならびに定め
られた倫理上および法律上の原則の遵守を監督する独立した検査機関である。監査委員会は、数ある事項の
中でも特に当行の管理全般および会計について内部監査を実施し、当行の監査委員会を支援する監査部を監
督する。監査委員会はまた、当行の会計方針およびその変更、財務上および会計上の事項ならびに財務報告
の公平性を検討し、これらを評価する。
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当行の監査委員会、監査部およびコンプライアンス部は、以下の監査を監督および実施する。
・業務全般について毎年実施される全面的な監査を含む通常監査、必要に応じて実施される選定された業
務の部分的監査、ならびに定期および不定期のスポット監査。
・監査委員会が必要と認めるときに実施されるか、または最高経営責任者もしくは FSS 等の監督機関の要請
により実施される特別監査。
・当行の業務部部長または上級役員の承認を必要とする重要な取引または業務に対して、監査委員会の常
任委員によって実施される日々の監査。
・イレギュラーな取引を特定して必要な措置を講じるために、コンピューター化された監査システムに
よって実施されるリアルタイムのモニタリング監査。
・当行の業務規則および方針を業務部門が確実に遵守するための、各業務部門による自己チェックとして
の自己監査(日次監査、月次監査および特別監査を含む)。
これらの監査およびコンプライアンス業務の他に、当行のリスク管理部は、オペレーショナル・リスク管
理の枠組みと、取締役会、関連部門および事業部門の機能ならびに業務の適切性を監視し、オペレーショナ
ル・リスクについて定期的な検査を実施し、その結果を報告するオペレーショナル・リスク管理の検査担当
者を指名している。当行の監査部も、オペレーショナル・リスクを最小化するために、提案された銀行商品
またはその他の業務もしくはサービスの計画を事前に審査する。
通常監査、特別監査、日次監査およびリアルタイムのモニタリング監視は、当行の検査担当者によって実
施され、自己監査は関連する業務部門の自己監査担当者によって実施される。
内部監査および検査の他に、 FSS は当行業務の通常の年次監査を行う。 FSS はまた、リスク管理、信用モニ
タリングおよび流動性など、当行の業務の特定の面について必要に応じて特別監査も実施する。これらの監
査の通常の過程では、 FSS は規制対象の金融機関またはその従業員が適用ある法律または FSS の規則、規制お
よびガイドラインを遵守していないと判断する場合には、通常、警告通知を発行する。当行は過去にこうし
た通知を受理しており、また今後も受理することが予想されるが、当行はかかる通知に対して適切に対処し
ており、今後も引き続き適切に対処していく。例えば FSC は 2012 年の 11 月から 12 月まで当行の包括的監査を行
い、当行が適切な承認なく顧客口座を監視したこと、一部の金融取引について守秘義務に違反したこと、な
らびに当行の関連会社に対する1件の投資についての開示および FSS への報告義務を怠ったことが発覚した
後、 2013 年7月に当行に機関注意(機関警告を繰り返した場合とは異なり、重大な制裁となるものではな
い。)を発し、当行の従業員 65 名に対する懲戒処分および 87.5 百万ウォンの罰金を課した。さらに 2013 年3
月、 FSS は当行の金融コンピューター・ネットワークの故障とされる事件に関し、当行に対し特別監査を行っ
た。当行がその情報技術管理者のアカウントおよびワクチン・サーバーに関して適切なメンテナンスを行っ
ていなかったことが発覚した後、 2013 年 12 月に当行に機関警告を発し、当行の従業員5名に懲戒処分を課し
た。 2013 年 10 月から 2014 年 11 月、 FSS はまた、承認を受けない顧客口座の監視に関し、当行に対し一連の特別
監査を行い、 2014 年2月、韓国の検察庁もまたこの件に関して当行の調査を開始した。当行が適切な承認な
く顧客口座を監視したことが発覚した後、 2015 年 12 月、 FSS は当行に機関注意を通知し、当行の元役員2名に
対し懲戒処分を課したが、 2016 年4月に検察庁が証拠不十分により当行の元役員を起訴しないことを決定し
た。さらに FSS は 2015 年4月から5月に当行の定期監査を行い、当行はかかる監査に関し、 2016 年6月に経営
陣への注意要請5件および改善要請3件の通知を受けた。 FSS は 2017 年4月に追加監査を行い、当行に経営陣
への注意要請 11 件および監査に関する改善要請 18 件通知した。
当行は、法的リスクをオペレーショナル・リスクの一部と捉えている。当行の顧客および取引相手方の義
務の法的強制力(担保権の強制執行を含む。)の不確実性によって、法的リスクが生じる。法律および規則
の変更も当行に悪影響を与える可能性がある。法的リスクは、法律が裁判所で検証されていないことがよく
ある新規の事業分野では高くなるが、当行の従来型の事業においても、韓国における法律および規制上の状
況が変化しており、多くの新たな法律や規則が裁判所で検証されていない場合においては、法的リスクが増
大する。当行は、厳格なリーガル・ドキュメンテーションを使用し、取引が適切に承認されることを確実に
することを目的とした手順を採用し、法律顧問に相談することで、法的リスクの最小化に努めている。コン
プライアンス部は、当行のコンプライアンス・システムを運用している。このシステムは、当行従業員のす
べてによる関係法令の遵守を確実にすることを意図している。コンプライアンス・システムの主な機能は、
関係法令遵守の改善度合いを監視し、内部統制を維持(各部門が適切な部内方針を確立し、かかる方針を確
実に遵守するようにすることを含む。)し、法律の遵守について従業員を教育することである。コンプライ
アンス部はまた、自己監査の管理、実施および結果も監査する。
リスク管理システムのアップグレード
海外子会社のリスク管理を強化し、現地および国内の規則を有効に遵守するために、当行は海外子会社の
リスク・データを記録する世界規模のリスク管理システム・ネットワークを構築する過程にある。当行は、
このシステムの開発を海外進出のさらなる拡大と既存の海外子会社の安定的な成長のために活用しようとし
ている。当行はこれまでに中国、日本、ベトナム、米国、カナダ、インド、ヨーロッパおよびメキシコの子
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会社について、かかるシステムの開発を完了した。当行はまた、その他の海外子会社についてこのシステム
の適用を拡大する計画である。
当行はまた、 2008 年の世界金融危機のようなストレス・シミュレーションに備えるために、「バーゼル
II 」の基準に基づくストレス VaR を計算するシステムの開発を完了した。当行はかかるシステムについての認
可を FSC から受け、 2012 年から実施している。
2012 年、当行はまた、デフォルト時損失率( LGD )の高度データ処理を通じて不良資産の回収および回復を
改善するシステムを開発した。 2012 年、当行は、外部監査法人による監査を義務付けられていない中小企業
および SOHO に対するリスク査定のための信用評価モデリングをアップグレードするための許可を FSS から取得
した。このアップグレードは、かかる中小企業および SOHO の長の信用プロフィールにおけるファクタリング
に関するものである。 2014 年、当行はさらに、外部監査の対象となっている企業、外部監査の対象となって
いない企業および企業の長についてのモデリングを完全に改造することにより、外部監査法人による監査を
義務付けられていない中小企業のリスク査定の信用評価モデリングをアップグレードした。かかるアップグ
レードされたモデリングは FSS により認可され、当行は、 2014 年からアップグレードされたシステムの実施を
開始している。 2014 年、当行は企業のリスク査定の信用評価モデルを (i)IFRS (韓国 IFRS に基づく外部監査の
対象企業)、 ( ⅱ )GAAP (一般に認められる会計原則に基づく外部監査の対象企業)、 ( ⅲ ) 中小企業、および
( ⅳ )SOHO の4つのカテゴリーに再分類した。かかる再分類は FSS により承認され、当行は 2015 年に同システム
の実施を開始した。
さらに、 2013 年、当行は、当行の個人向けおよび SOHO のエクスポージャーに関するバーゼル II の信用リス
クについて内部評価モデルの利用について FSS から承認を取得した。 2016 年、当行は新たな内部評価モデルを
開発し、当行の個人向けのエクスポージャーに関するバーゼル II の信用リスクについてその新たなモデルを
使用することについて FSS の承認を得た。さらに、 2016 年に当行は、回復期間の長期化および低金利といった
経済状況の変化を反映するために AIRB アプローチを利用した LGD データ処理についても承認を取得し、新たに
承認された LGD データ処理は個人向けおよび SOHO の双方のエクスポージャーについて、既存のデータ処理に
取って代わることとなる。
当行はまた 2012 年に、バーゼル III 、 IFRS およびその他の規制要件を適時に遵守し、リスク関連データの質
を改善するために、資産負債管理システムをアップグレードした。 2014 年、当行は、毎日の測定と効果的な
管理を円滑に行うために、バーゼル III に基づき、流動性カバレッジ比率および正味安定資金調達比率システ
ムをアップグレードした。
リスク管理のための先進的測定手法の FSS による認可を経て、当行はオペレーショナル・リスク管理能力を
さらに強化するために、オペレーショナル・リスク管理システムを再構築した。
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(4) 新韓フィナンシャル・グループ
概要
新韓フィナンシャル・グループは、とりわけ資産合計、収入、収益性および自己資本の点で韓国の大手金
融機関の一つである。新韓フィナンシャル・グループは、 2001 年9月1日に設立されており、韓国で設立さ
れた初の民間金融持株会社である。その設立以来、新韓フィナンシャル・グループは幅広い金融商品および
サービスを韓国で開発および導入しており、利便性の高いワン・ポータル・ネットワークを通じて総合的な
金融ソリューションを顧客に提供することを目指している。 FSS の報告によると、新韓フィナンシャル・グ
ループは、 2018 年9月 30 日現在の連結ベースの資産合計で韓国第2位の金融サービス・プロバイダーであ
り、韓国において第2位の銀行業務( 2018 年9月 30 日現在の連結ベースの資産合計による)および最大のク
レジットカード業務( 2018 年のクレジットカードでの購入額による)を営んでいた。
新韓フィナンシャル・グループは、数回の合併および買収を通じて大幅な成長を遂げた。中でも 2003 年の
新韓フィナンシャル・グループによる朝興銀行の買収によって同グループは韓国で第2位の銀行業務を有す
ることになった。さらに、 2007 年3月の新韓フィナンシャル・グループによる LG カード(当時の韓国最大の
クレジットカード会社である。)の買収により、韓国で最大のクレジットカード業務を有することができ、
これにより新韓フィナンシャル・グループの銀行業務以外の能力が著しく拡大し、バランスの取れた事業
ポートフォリオを達成することができた。 2018 年9月、新韓フィナンシャル・グループは、非銀行業務の多
角化および強化の取組みの一環として、 ING 生命保険の旧韓国部門であるオレンジ・ライフ生命保険の
59.15 %の持分を取得することを発表した。かかる取得は 2019 年1月 16 日に FSC による承認を受け、 2019 年2
月1日に完了した。
新韓フィナンシャル・グループは、現在、直接子会社 15 社および間接子会社 26 社を有しており、商業銀行
業務、コーポレート・バンキング、プライベート・バンキング、クレジットカード、資産管理、ブローカー
および保険サービスを含む幅広い金融商品およびサービスを提供している。新韓フィナンシャル・グループ
は、こうした幅広いサービスが当行の現在の顧客および潜在顧客の多様なニーズを満たすのに役立つと考え
ている。新韓フィナンシャル・グループは、現在グループ全体で約 1,268 の支店網において、約 22,012 名の従
業員を通じて約 19 百万の稼働顧客(かかる顧客基盤は、韓国で最大であると同グループは考えている。)に
サービスを提供している。新韓フィナンシャル・グループの収益の 80 %超がこれまで韓国から得られている
が、同グループは米国、カナダ、英国、日本、中華人民共和国、ドイツ、インド、オーストラリア、香港、
ベトナム、カンボジア、カザフスタン、シンガポール、メキシコ、ウズベキスタン、ミャンマー、ポーラン
ド、インドネシア、フィリピンおよびアラブ首長国連邦における 188 の事務所からなる世界的なネットワーク
を通じて当グループの顧客のニーズに応えることを目指している。
沿革および組織
2001 年9月1日、新韓フィナンシャル・グループは、新韓フィナンシャル・グループの普通株式と交換に
以下の4企業の発行済み株式のすべてを当該企業の旧株主から取得した結果、金融持株会社法に基づく金融
持株会社として設立された。かかる4企業とは、 (i) 韓国取引所に上場されていた全国的な商業銀行である当
行、 ( ⅱ ) 韓国取引所に上場されていた証券会社である新韓証券、 ( ⅲ ) 韓国取引所コスダック市場( KRX
KOSDAQ )に上場されていたリース会社である新韓キャピタルおよび ( ⅳ ) 非上場の投資信託委託会社である新
韓金融投資信託運用である。 2001 年9月 10 日、新韓フィナンシャル・グループの持株会社の普通株式は、現
在 KRX KOSPI 市場となっている市場に上場された。
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新韓フィナンシャル・グループはその設立以来業務を拡大しており、その大部分は戦略的買収、子会社の
設立または合弁事業の設立によってなされている。新韓フィナンシャル・グループの主な買収、資本出資お
よび合弁事業の設立を以下に記載する。
取得日 会社名 主な業務 設立方法
2002 年4月 済州銀行 地方銀行業務 韓国預金保険公社からの取得
(1)
2002 年7月 証券投資業務 双竜グループからの取得
新韓金融投資
BNP パリバとの 50 対 50 の合弁
(2)
2002 年8月 投資助言業務
新韓 BNP パリバ投資信託運用
事業
2003 年8月 朝興銀行 商業銀行業務 債権者からの取得
2005 年 12 月 新韓生命保険 生命保険サービス 株主からの取得
クレジットカード・サー
2007 年3月 LG カード 債権者からの取得
ビス
債権者からの資産および負債の
(3)
2012 年1月 貯蓄銀行
トマト相互貯蓄銀行
購入ならびに承継
(4)
韓国預金保険公社からの取得
2013 年1月 貯蓄銀行
イエハンビョル貯蓄銀行
新設
2017 年 10 月 新韓リート運用 不動産資産運用
(5)
2019 年2月 生命保険サービス 大株主からの取得
オレンジ・ライフ生命保険
___________________________
注記:
(1) 2009 年8月付でグッドモーニング新韓証券から新韓金融投資に社名変更。
(2) 2009 年1月、 SH 資産運用および新韓 BNP パリバ投資信託運用は合併して新韓 BNP パリバ資産運用となった。
(3) トマト相互貯蓄銀行 の一部の資産および負債を買入れ、かつ承継するために、 2011 年 12 月 12 日に新韓ホープ・カンパニー・リミテッ
ドが設立された。 2011 年 12 月 28 日、新韓ホープ・カンパニー・リミテッドは、貯蓄銀行の免許を取得し、その社名を新韓貯蓄銀行と
変更し、新韓フィナンシャル・グループの直接の子会社となった。
(4) 2013 年1月、新韓フィナンシャル・グループは韓国預金保険公社と、韓国に所在する貯蓄銀行であるイエハンビョル貯蓄銀行を
45.3 十億ウォンで取得する株式購入契約を締結し、イエハンビョル貯蓄銀行を新韓フィナンシャル・グループの既存の子会社である
新韓貯蓄銀行と合併するための当局の許可を得た。 2013 年4月1日、新韓貯蓄銀行とイエハンビョル貯蓄銀行はイエハンビョル貯蓄
銀行を存続会社として合併し、単一の事業体となり、新たな合併後の銀行はその名称を新韓貯蓄銀行とした。
(5) 2018 年9月、新韓フィナンシャル・グループは、非銀行業務の多角化および強化の取組みの一環として、 ING 生命保険の旧韓国部門
であるオレンジ・ライフ生命保険の 59.15 %の持分を取得することを発表した。かかる取得は 2019 年1月 16 日に FSC による承認を受
け、 2019 年2月1日に完了した。完了と同時にオレンジ・ライフ生命保険は新韓フィナンシャル・グループの直接の子会社となっ
た。
新韓フィナンシャル・グループの子会社は、以下を除いてすべて韓国で設立されている。
・新韓アジュ金融有限公司(香港で設立)
・アメリカ新韓銀行(米国で設立)
・カナダ新韓銀行(カナダで設立)
・新韓銀行中国有限公司(中華人民共和国で設立)
・ヨーロッパ新韓銀行(ドイツで設立)
・新韓カザフスタン銀行(カザフスタンで設立)
・ SBJ 銀行(日本で設立)
・新韓クメール銀行(カンボジアで設立)
・新韓バンク・ベトナム(ベトナムで設立)
・ PT Bank Shinhan Indonesia (インドネシアで設立)
・メキシコ新韓銀行(メキシコで設立)
・ LLP MFO 新韓カード(カザフスタンで設立)
・ PT 新韓インド・ファイナンス(インドネシアで設立)
・新韓マイクロファイナンス(ミャンマーで設立)
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・新韓金融投資 USA (米国で設立)
・新韓金融投資アジア(香港で設立)
・新韓セキュリティーズ・ベトナム(ベトナムで設立)
・ PT 新韓セクリタス・インドネシア(インドネシアで設立)
・新韓インドネシア資産運用(インドネシアで設立)
・新韓 BNP パリバ資産運用(香港)(香港で設立)
・新韓 DS ベトナム(ベトナムで設立)
本書の日付現在、新韓フィナンシャル・グループは 15 の直接および 26 の間接子会社を有している。
下図は、 2019 年4月4日現在における新韓フィナンシャル・グループの組織構成を示している。
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___________________________
注記:
(1) 現在清算手続き中である。
(2) 現在、新韓フィナンシャル・グループとその子会社が合わせて 32.6 %を有している。
(3) 現在、新韓フィナンシャル・グループとその子会社が合わせて 34.6 %を有している。
(4) 現在、新韓フィナンシャル・グループとその子会社が合わせて 1.8 %を有している。
(5) 現在、新韓フィナンシャル・グループとその子会社が合わせて 18.9 %を有している。
(6) 現在、新韓フィナンシャル・グループとその子会社が合わせて 25.27 %を有している。
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下表は、 2018 年 12 月 31 日現在(別段表示のない限り)における新韓フィナンシャル・グループの普通株式
の実質所有に関する一定の情報を記載したものである。
所有普通株式数 所有割合(%)
株主名
44,497,838 9.38%
韓国国民年金サービス
25,225,925 5.32
(1)
ブラックロック・ファンド・アドバイザーズ
22,179,229 4.68
新韓フィナンシャル・グループ従業員持株組合
16,826,276 3.55
BNP パリバ SA
14,223,838 3.00
シティバンク・エヌ・エイ (ADR 部 )
11,972,346 2.52
シンガポール政府
8,062,776 1.70
ノルウェー銀行
7,034,053 1.48
サムスン・アセット・マネジメント
バンガード・トータル・インターナショナル・ス
6,237,149 1.32
トック・インデックス
5,095,455 1.07
中国人民銀行
5,006,452 1.06
ラザード・ファンド・インク
307,838,250 64.92%
その他
474,199,587
100.00%
合計
___________________________
注記:
(1) 2019 年2月8日付でブラックロック・インクによって提出されたフォーム SC 13G による。
上記の株主を除いて、他のいかなる株主も新韓フィナンシャル・グループの発行済み議決権付株式の1%
以上を保有していない。新韓フィナンシャル・グループのいかなる株主も異なる議決権を有していない。
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(5) 韓国の銀行業界
別段明記しない限り、本項に記載される情報および統計は、 FSC により公表された情報を含む一般に入手可
能な情報から抜粋したものである。当行またはその関連会社もしくは顧問による検証は行われていない。
2018 年 12 月 31 日現在 、 韓国の銀行業界は、 専門銀行5行、全国規模の商業銀行6行、地方商業銀行6行お
よび外国銀行の 38 支店により構成されている。
専門銀行は、特別法に基づいて設立されまたは設立が認可され、政策に従って韓国経済の特定部門におい
て、資源の制約または収益性の欠如により商業銀行では満たすことのできない需要に応じることを目的とし
ている。例えば、韓国産業銀行は韓国の主要産業に長期設備投資資金を提供し、一方、韓国輸出入銀行は輸
出貸出および貿易金融を提供している。中小企業銀行は、中小企業部門に重点を置いており、一方、農協銀
行および韓国漁業協同組合中央会( NFFC )はそれぞれの産業を支援している。韓国輸出入銀行を除き、これ
らすべての専門銀行はまた従来型の預金商品を提供している。
商業銀行は、一般個人向けおよび法人部門向けに業務を行うことを目的としている。 全国規模の 銀行は、
当行、國民銀行、ウリィ銀行、 KEB ハナ銀行、シティバンク・コリア・インクおよびスタン ダード・チャー
タード・バンク・コリア・リミテッドの 6行である。中でも、当行、國民銀行および KEB ハナ銀行は、韓国商
法および金融持株会社法に基づいて設立されたそれぞれの金融持株会社の旗艦事業会社であり、伝統的銀行
業務とノンバンク業務との間のクロスセリングの機会ならびに資源配分および資本効率の向上を促進するこ
とを目的としている。
各行のソウル支店の顧客を除き、地方銀行の主要な取引顧客はその対象地域の中小企業である。地方銀行
は、釜山銀行、大邸銀行、光州銀行、全北銀行、慶南銀行および済州銀行である。済州銀行は新韓フィナン
シャル・グループの子会社である。
多くの国と同様、韓国の商業銀行は広範囲にわたる事業に従事することができる。その中核業務には、預
金の受入れ、資金貸出および手形割引、送金および取立ならびに外国為替が含まれる。商業銀行はまた、保
証・手形引受および自己勘定による有価証券投資等の業務も行う。信託およびクレジットカード業務といっ
た非銀行業務の各分野に従事する場合は、個別の認可を得なければならない。さらに、多くの商業銀行は、
非金利事業だけでなく、バンカシュアランスおよびファンド販売といった手数料ビジネスにもその業務を拡
大してきている。
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(6) 監督および規制
銀行に適用される主要な規制
韓国の銀行制度は、銀行法および 1950 年韓国銀行法(その後の改正を含む。以下「韓国銀行法」とい
う。)による規制を受ける。また、韓国の銀行は、韓国銀行、韓国銀行の金融政策委員会、 FSC およびその執
行機関である FSS による規制および監督を受ける。
韓国銀行法に基づき 1950 年6月に設立された韓国銀行は、中央銀行の通常の機能を果たす。韓国銀行は、
効率的な通貨信用政策の策定および実施を通じて物価の安定を図ることにより、韓国経済の健全な発展に寄
与することを目的としている。韓国銀行は、その最高政策決定機関である金融政策委員会の指示に基づき業
務を営む。
韓国銀行法に基づき、金融政策委員会は、通貨政策および信用政策の策定ならびに韓国銀行の業務、管理
および運営に関する決定を主要な任務としている。 FSC は 1998 年4月1日に金融監督委員会として設置され、
その後 2008 年3月3日に金融委員会に名称を変更し、銀行法に従い、商業銀行の自己資本比率に関するガイ
ドラインの策定を含む商業銀行に対する規制を行い、銀行の監督に関する規制を制定する。さらに、 1999 年
5月 24 日の政府組織法および銀行法の改正に従い、 FSC は現在、企画財政部に代わり、銀行業への市場参入規
制も行っている。
FSS は、 FSC の指示および指令に従い、商業銀行の監督および検査を行う。 FSS はとりわけ、銀行の流動性の
慎重な管理および自己資本比率に関する要件を定め、 FSC 規則により委任された権限に従い報告要件を設定
し、銀行はこれに従って財務実績および株式保有に関する年次報告書、経営戦略、不良債権(償却を含
む。)および問題企業の管理に関する定期報告書ならびに不良債権の処分計画を提出しなければならない。
銀行法の下では、商業銀行業務または長期金融業務を開始するには FSC からの承認を取得しなければならな
い。商業銀行業務は、その大部分を預金の受入れから得た資金の貸出でその期間が1年を超えないもの、ま
たは FSC の定める一定の制限に従い1年から3年の間のものと定義される。長期金融業務は、その大部分を払
込資本金、準備金、その他の留保利益、満期まで1年以上の預金受入れまたは債券もしくはその他有価証券
の発行から得た資金の貸出でその期間が1年超のものと定義される。信託業務といった商業銀行および長期
金融業務以外の業務に参入することを希望する銀行は、 FSC の承認を受けなければならない。他の金融機関と
の合併、解散、銀行業務の廃止または事業の全部もしくは一部の譲渡に対する認可も FSC から取得しなければ
ならない。
政府が銀行の財政状態が不健全であるとみなす場合または銀行が韓国法に定める適用ある自己資本比率を
満たすことができない場合、政府はとりわけ以下の事項を命令することができる。
・増資または減資
・担当役員の任務の遂行停止および保管会社の任命の停止
・株式の消却または併合
・事業の一部または全部の譲渡
・資産の売却および高リスク資産の取得禁止
・支店の閉鎖もしくは規模縮小または従業員の削減
・金融持株会社法に基づく金融持株会社との合併またはその子会社になること
・第三者による銀行の買収
・事業活動の一部または全部の停止
・金融取引に関する契約上の権利義務の譲渡
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自己資本比率
銀行法は、全国規模の銀行の場合は最低 100 十億ウォン、地方銀行の場合は最低 25 十億ウォンの払込資本金
を維持しなければならないと定めている。
最低資本要件の他に、韓国に所在する外国銀行の支店を含むすべての銀行は、所定の支払能力を維持しな
ければならない。銀行はまた、稼得した純利益にかかる配当の支払ごとに、税引後純利益の少なくとも 10 %
の利益準備金を、かかる利益準備金が払込資本金合計に達するまで積み立てなくて はならない。
銀行法の下で、銀行の資本は Tier I 資本および Tier II 資本の2つのグループに分けられる。 Tier I 資本
(通常「コア資本」という。)は、 (i) 株式資本、資本剰余金および利益剰余金といった普通株式の発行によ
り発生し、銀行が被った損失を吸収することができる資本(「普通株式資本金」と総称する。)、ならびに
( ⅱ ) 普通株式資本金を使い切った後に銀行の損失を吸収することができる資本で、 FSS により指定された要件
を満たす Tier I 資本商品の発行により発生する株式資本および資本剰余金(「その他のコア資本」と総称す
る。)からなっている。 Tier II 資本(通常「補完的自己資本」という。)は、コア資本に相当する資本であ
るが、コア資本には含まれず、 FSS により指定された要件を満たす Tier II 資本商品の発行により発生する株
式資本および資本剰余金で、銀行が清算された後で損失を吸収することができる資本ならびに「正常」およ
び「要注意」に分類された債権のための貸倒引当金を表している。
銀行業務の監督に関する細則に基づき、 Tier I 資本商品はとりわけ、その他のコア資本として認識される
ために下記の要件を満たさなければならない。
( ⅰ ) かかる商品の価格は発行手続きを通じて全額払込済であり、ステップアップまたは償還をトリガー
する要因のない永久的な形式でなければならない。
( ⅱ ) かかる商品は、預金者、一般債権者および銀行の劣後債務に劣後することについての特別合意(破
産または同様の事象が発生した場合、劣後債権者の支払請求権は、非劣後債権者の請求が全額返済
された後で初めて有効となるとする特別合意をいう。以下同様である。)により拘束されなければ
ならないが、債務者再生および破産法に基づき破産宣告する時点において資産を上回る負債となら
ないこと。
( ⅲ ) 銀行が韓国金融業構造改善法もしくは適用ある韓国預金者保護法に基づく「支払い不能金融機関」
として指定された日から配当もしくは利息の支払いが停止されるか、または上記の事象が解除され
るまで、 FSC が業務改善提言、業務改善要請、業務改善命令および緊急対策といった銀行業務の監
督に関する規則に基づく銀行に対する措置を講じること。
( ⅳ ) 配当または利息の支払いは、銀行の信用格付に関連して決定されないこと。
( ⅴ ) 配当は分配可能利益からのみ支払うことができること。
( ⅵ ) 銀行は配当または利息の支払いをいつでもその単独の裁量で取消すことができること。
( ⅶ ) 普通株主に対する配当に関する場合を除き、配当の支払いの取消しにより銀行に制約が課されない
こと。
( ⅷ ) 配当または利息の支払いの取消しは債務不履行事由とはみなされてはならず、銀行はその単独の裁
量で配当もしくは利息の支払いを取消された金額を、その時点で返済期限が到来している銀行のそ
の他の債務の償還のために使用することができること。
( ⅸ ) かかる商品は発行日から5年以内に償還されてはならず、発行日から5年経過した後も、銀行はそ
の単独の裁量でかかる商品を償還するか否か決定することができ、かかる商品は、実際にその商品
を発行する銀行に対し、償還されるか、償還の負担を課す条件を有することにより投資家に期待を
持たせるようないかなる条件の対象にもなっていないこと。
(x) 銀行業の監督に関する規則施行細則の別紙3-5(偶発資本証券トリガー事象)に規定される要件
を充たしていること。
(xi) 銀行または銀行に対する事実上の支配力を有する者は、資本商品を購入してはならず、かかる商品
を購入する者に対し、支払いの担保もしくは保証の提供または貸付によりその購入資金を提供して
はならず、その商品に対して支払われた価格についての請求の優先性を法的もしくは経済的に引上
げてはならず、その商品の購入者に対して直接または関連会社を通じて担保もしくは保証を提供し
てはならないこと。
(x ⅱ ) かかる資本商品は、商品を発行する銀行の将来の資本調達もしくは資本拡大を妨げる条件を有しな
いこと。
銀行業務の監督に関する細則に基づき、 Tier II 資本商品はとりわけ、補完的自己資本として認識されるた
めに下記の要件を満たさなければならない。
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( ⅰ ) 発行手続きが完了しており、かかる資本商品の価格が全額払込済みで、かかる資本商品は、預金お
よび通常債務に劣後する旨の特別合意によって拘束されていること。
( ⅱ ) Tier II 資本商品の満期は発行日から5年以上とし、発行日から5年未満で償還されてはならないこ
と。
( ⅲ ) ステップアップ条項のような銀行にかかる資本商品を償還することを奨励する条件がなく、かつ銀
行はその単独の裁量により、かかる商品を満期日前に償還するかどうかを決定することができ、か
つ、かかる商品には、かかる商品が償還されると投資家に期待させるような条件または実際の発行
銀行に償還の負担を課すような条件もないこと。
( ⅳ ) 銀行が破産または清算の対象となる場合を除き、 Tier II 資本商品の保有者は、当初の支払期日前に
かかる商品の元金または利息の支払いを銀行に要求する権利を有してはならないこと。
( ⅴ ) 配当または利息の支払は、銀行の信用格付に関連して決定されてはならないこと。
( ⅵ ) 銀行業の監督に関する規則施行細則の別紙3-5(コンティンジェント・キャピタル証券のトリ
ガー事象)に規定される要件が充足されること。
( ⅶ ) 銀行または銀行が重大な支配力を行使する者もしくは事業体は、かかる銀行が発行する資本商品を
購入してはならず、かかる資本商品を取得しようとする者もしくは事業体のために、担保の提供も
しくは保証もしくは貸出の提供により、直接もしくは間接にこれを取得するための資金を提供して
はならないこと。
( ⅷ ) 銀行は資本商品の支払優先性を法的または経済的に強化してはならず、かかる資本商品を取得する
者または事業体のためにいかなる担保もしくは保証を直接もしくはその関連会社を通じて間接に提
供してはならないこと。
すべての銀行は、国際決済銀行(以下「 BIS 」という。)の基準に基づき策定された FSC の要件に従い決定
されたリスク・アセットに対する Tier Ⅰ資本および Tier II 資本(資本控除項目を除く。)の最低比率に関
する基準を満たさなければならない。これらの基準は 1996 年に採用され、実施された。これらの規制に基づ
き、すべての国内銀行および外国銀行支店はリスク・アセットに対する Tier I 資本および Tier II 資本(資本
控除項目を除く。)の比率を最低8%とすることが義務付けられている。
さらに、韓国においてバーゼル III が採択され、 2013 年 12 月1日から段階的に実施されているため、韓国の
すべての銀行は銀行業務の監督に関する規則に定められる普通株式資本金(資本項目控除後)およびコア資
本(資本項目控除後)のリスク・アセットに対する最低比率を充たさなければならない。普通株式資本(資
本項目控除後)のリスク・アセットに対する最低比率要件は 4.5 %で、コア資本(資本項目控除後)のリス
ク・アセットに対する最低比率要件は 6.0 %である。
さらに、追加的資本保全バッファー要件が 2016 年1月1日から 2019 年1月1日までに段階的に実施され
た。かかる要件に基づき、韓国の銀行は 2016 年1月1日から 0.625 %の資本保全バッファーを維持することが
義務付けられ、これは 2017 年1月1日に 1.25 %に、 2018 年1月1日に 1.875 %に、 2019 年1月1日に 2.5 %
に、段階的に引き上げられた。
銀行業務の監督に関する規則および同規則に基づき公布された細則に基づき、韓国の銀行はその住宅抵当
ローンに関して下記のリスク・ウェイト比率を適用している。
(1) 信用リスク・アセットの測定について標準的手法を採用している銀行に対しては、 35 %のリスク・ウェ
イト比率、および
(2) 信用リスク・アセットの測定について内部格付手法を採用している銀行に対しては、デフォルト確率、
デフォルト時 損失率およびデフォルト時エクスポージャー(それぞれ銀行業の監督に関する細則におい
て定義される。)を参照して測定されるリスク・ウェイト比率。
銀行のリスク管理の改善および自己資本比率の向上を目的として 2004 年6月にバーゼル委員会によって取
り決められた合意であるバーゼル II は、韓国において 2008 年1月に実施された。バーゼル II に従い、8%の
自己資本比率を維持することに加え、不適切な手続、従業員による損失リスク、内部制度、予期せぬ事態の
発生といったオペレーショナル・リスクならびに信用リスクおよび市場リスクが、リスク・アセットの測定
の際に考慮される。バーゼル II に基づき、信用リスクの資本要件は内部格付( IRB )手法または標準的手法に
より測定することができる。
標準的手法に基づき、居住用不動産に対する第1位抵当権により完全に担保される住宅抵当ローンのリス
ク・ウェイトは 35 %であるが、 2018 年 12 月 31 日の 銀行業務の監督に関する 細則の改訂に従い、ローン資産価
値比率が 60 %を超える一部の住宅抵当ローンのリスク・ウェイトは 50 %である。
銀行業務の監督に関する規則に基づき、銀行は韓国 IFRS に従った健全性のクラスごとに貸倒引当金を備え
なければならない。以下の基準に従い計算された健全性のクラスごとの金額が備えられた貸倒引当金を上
回った場合、かかる超過金額は決算日ごとに規制上の貸倒損失準備金として取置かなければならない。
・正常の与信については 0.85 %(または建設、小売および卸売、宿泊、外食、不動産およびリースを含む
一定の業種に対する貸出からなる正常与信の場合は 0.9 %、個人および家計への貸出からなる正常与信
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の場合は 1.0 %、クレジットカード・ローンからなる正常の与信の場合は 2.5 %ならびにその他クレジッ
トカード債権からなる正常与信の場合は 1.1 %)。
・要注意の与信については7%(または個人および家計への貸出からなる要注意与信の場合は 10 %、クレ
ジットカード・ローンからなる要注意の与信の場合は 50 %ならびにその他のクレジットカード債権から
なる要注意の与信の場合は 40 %)
・固定の与信については 20 %(または韓国企業再生法または韓国債務者再生および破産法の第 180 条2項に
従い銀行が優先的に支払いを受ける権利を有する資産(以下「優先資産」という。)からなる固定の与
信の場合は 10 %、クレジットカード・ローンからなる固定の与信の場合は 65 %ならびにその他のクレ
ジットカード債権からなる固定の与信の場合は 60 %)
・回収疑問の与信については 50 %(または優先資産からなる回収疑問の与信の場合は 25 %、個人および家
計への貸出からなる回収疑問の与信の場合は 55 %ならびクレジットカード・ローンおよびその他クレ
ジットカード債権からなる回収疑問の与信の場合は 75 %)
・推定損失の与信については 100 %(または優先資産からなる推定損失の与信の場合は 50 %)
さらに、銀行業務の監督に関する規則に基づき、銀行はその確認保証(確認手形引受を含む。)および未
使用のクレジット・ライン残高に関する貸倒損失に対し、 上記の貸出残高ならびにその他与信の正常、要注
意、固定、回収疑問および推定損失の与信に適用されるのと同じ割合で計算した合計金額の貸倒引当金およ
び規制上の貸倒損失準備金を維持しなければならない。
FSC は 2016 年1月1日付で、システム上重要な銀行の追加資本積立ておよびカウンターシクリカル資本バッ
ファー要件に関するバーゼル III の要件を実施した。 FSC は年ごとに国内の金融システム上重大な影響力(規
模およびその他金融機関との関係に基づく)を有する銀行を国内のシステム上重要な銀行として指定し、以
下のうち最も高いものに従い追加資本を積立てることを義務付けることができる。 (i) 普通株式資本のリス
ク・アセットに対する比率がシステム上の重要性評価スコアにより、 0.0 %から 2.0 %、 ( ⅱ ) 銀行の持株会社
が国内のシステム上重要な持株会社である場合、金融持株会社監督規則に基づき銀行持株会社に義務付けら
れる追加資本に対応する比率、または ( ⅲ ) 銀行がまたバーゼル委員会によって定義されるグローバルなシス
テム上重要な銀行である場合、バーゼル委員会によって義務付けられる資本比率。新韓フィナンシャル・グ
ループおよび当行は 2018 年および 2019 年に国内のシステム上重要な銀行持株会社および国内のシステム上重
要な銀行にそれぞれ指定された。 FSC の指示に従い、当行を含む国内のシステム上重要な銀行は、 2016 年1月
1日から 0.25 %の追加的資本バッファーを維持することが義務付けられ、かかる資本バッファーは毎年
0.25 %ずつ引上げられ、 2019 年1月1日に 1.00 %に達した。 FSC はまた、四半期ごとの検討により、銀行が積
立てなければならないカウンターシクリカル資本バッファーの水準を GDP に対する与信の増加程度といった要
因を考慮して、リスク・アセットの0%から 2.5 %の範囲で決定し、義務付けることができる。 FSC は 2016 年
3月以来、カウンターシクリカル資本バッファー要件を0%に維持しており、 2019 年第1四半期についても
カウンターシクリカル資本バッファー要件 を0%に維持した。さらに、銀行業務の監督に関する規則は 2019
年中に改正され、個人向け部門の与信増加に特に対処するために追加的カウンターシクリカル資本バッ
ファー要件が導入される予定である。これは、与信の増加が一般に国内総生産に相関して増加する程度を考
慮する既存の一般的なカウンターシクリカル資本バッファー要件に追加される別の要件である。銀行業務の
監督に関する細則もまた 2018 年6月 30 日に改正され、 FSS が韓国の銀行のリスク管理制度を評価する際の追加
基準として「個人向け部門のリスク集中」が加えられた。
流動性
すべての銀行は、十分な流動性を確保するために、銀行法に従ってその資産および負債の満期を一致させ
なくてはならない。銀行は、 Tier I 資本および Tier II 資本(資本控除項目を除く。)の合計額の 100% を超え
る金額を、株式または満期まで3年超の期間を有するその他の証券に投資してはならない。しかし、この規
制は、韓国国債、韓国銀行が発行した金融安定債には適用されない。
FSC は当行を含む韓国の銀行に対し、 2017 年1月1日現在で 90.0% 以上、 2018 年1月1日現在で 95.0 %以上
および 2019 年1月1日現在で 100 %以上の最低流動性カバレッジ比率要件を課している。 FSC は流動性カバ
レッジ比率を、価値の損失がほとんどなく、即座に現金化可能な流動性の高い資産を、バーゼル III に基づく
流動性カバレッジ比率の要件を実施するために 2016 年6月 28 日付で改訂された銀行業務の監督に関する規則
に基づく流動性カバレッジ比率に従って設定されたストレス水準のもとでの翌 30 日間の正味キャッシュ・ア
ウトフローで除したものと定義している。
外貨建て流動性カバレッジ比率に関し、銀行業務の監督に関する規則は、外国為替業務を行う金融機関
(すなわち銀行)は、外貨建ての負債が直前の半期末現在で 500 百万米ドルまたはその負債合計の5%以上で
ある場合、 2017 年1月1日現在で 60 %以上、 2018 年1月1日現在で 70 %以上および 2019 年1月1日現在で
80 %以上の外貨建て流動性比率を維持することを義務付けている。「外貨建て流動性比率」とは、翌 30 日間
における外貨建て資産および負債に関する正味キャッシュ・アウトフローに対する流動性の高い資産の比率
である。外貨建て負債が直前の半期末現在で 500 百万米ドル未満またはその負債合計の5%未満である外国為
替業務を行う金融機関の場合、 (i) 残存期間が3ヵ月未満の資産の残存期間が3ヵ月未満の負債に対する比率
は 85 %以上でなければならず、 ( ⅱ ) 残存期間が1ヵ月未満の資産が残存期間が1ヵ月未満の負債を 10 %超上
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回ってはならない、とする比率の維持が義務付けられ、外貨建て資産および負債を残存期間ごとに分類し、
管理しなければならない。
韓国銀行金融政策委員会は、銀行が預金債務に対して維持しなければならない最低支払準備要件を設定
し、これを変更する権限を付与されている。現行の最低支払準備率は、ウォン建ての要求払い預金の残高に
ついては平均残高の 7.0 %、ウォン建ての従業員資産形成貯蓄預金、従業員長期貯蓄預金、従業員住宅購入貯
蓄預金、長期住宅購入貯蓄預金、家計長期貯蓄預金および従業員優先貯蓄預金の残高に対しては平均残高の
0.0 %、ならびにウォン建ての定期および貯蓄預金、相互積立、住宅積立および譲渡性預金証書の残高につい
ては平均残高の 2.0 %である。外貨建て預金債務に対する最低支払準備率は、貯蓄預金の残高に対しては
2.0 %、要求払い預金に対しては 7.0 %、オフショア口座、移民口座および外国為替銀行に開設された居住者
口座に対しては 1.0 %である。
預貸率
2009 年 12 月、 FSS は、銀行が過去数年に渡って住宅に係る抵当権や中小企業への貸出金を付与することで過
度に競って資産規模を拡大した結果、預貸率が継続的に上昇したことから、韓国の銀行の流動性が全般的に
不安定になったと判断し、銀行業務の監督に関する規則の改正により預貸率に関する新たな一連の規制を導
入することを発表した。銀行業務の監督に関する規則( 2010 年8月 19 日付および 2014 年 12 月 26 日付で改正さ
れ、それぞれ 2014 年1月1日および 2015 年1月1日から効力が生じている。)は、保有するウォン建て貸出
金の直前の四半期の最終月の価値が2兆ウォン以上の銀行に対して、ウォン建て貸出金(韓国産業銀行もし
くは韓国政府から借り入れた資金を利用した一定の種類の貸出または韓国銀行連合会の一定の業務規則に基
づいて行われた貸出を除く。)のウォン建て預金(譲渡性預金証書を除く。)およびカバード・ボンドの発
行に関する法律に基づく満期が5年未満のカバード・ボンドの残高(カバード・ボンドの発行によるかかる
調達資金がウォン建てで使用され、かつ、ウォン建て預金の1%を超えない場合に限る。)に対する比率を
1対1未満に維持することを義務付けている。 2018 年 12 月 31 日現在における毎月の平均残高に基づく当行の
預貸率は 99.23 %であった。
現在、預貸率の計算において個人向け貸出と法人向け貸出との間に差異はない。しかし、 2018 年7月 12 日
に銀行業務の監督に関する規則が改正され、 2020 年1月1日から、個人向け貸出は 115 %、法人向け貸出
( SOHO に対する貸出を除く。)は 85 %の異なる比重で預貸率を計算することが規定され、これによって預貸
率の計算において個人向け貸出の影響が強まり、法人向け貸出の影響が弱まることとなった。
単一顧客および大株主に対する金融エクスポージャー
銀行法に基づき、一定の例外を除き、銀行による重大な信用エクスポージャー、すなわち Tier I 資本およ
び Tier II 資本(資本控除 項目を除く。 )の合計額の 10 %を超える単一の個人、法人またはかかる個人もしく
は同一の企業集団(独占規制および公正取引に関する法に定義される。)に属する企業といった法人と信用
リスクを共有する者に対する貸出の合計額は、当該銀行の Tier I 資本および Tier II 資本(資本控除項目を除
く。)の合計額の5倍を超えてはならない。一定の例外を除き、いかなる銀行も、その Tier I 資本および
Tier II 資本(資本控除項目を除く。)の合計額の 20 %を超えて個人または法人に対する与信(貸出、保証、
有価証券の購入(与信の性質を有する場合に限る。)および直接または間接に信用リスクを生むようなその
他の取引を含む。)を行うことを認められておらず、また、いかなる銀行も、同一の企業集団(独占規制お
よび公正取引に関する法律に定義される。)に属する個人、法人および会社に対して、その Tier I 資本およ
び Tier II 資本(資本控除項目を除く。)の合計額の 25 %を超える貸出を行うことはできない。
銀行法に従い、大株主に対する与信には一定の規制が適用される。「大株主」の定義は以下のとおりであ
る。
・(銀行法に関する大統領令に定義される当該株主と特別な関係にある個人と併せて)銀行の発行済議決
権付株式総数の 10 %(地方銀行の場合は 15 %)超を保有する株主、または
・銀行(地方銀行を除く。)の発行済議決権付流通株式総数の4%超(銀行法に関する大統領令に定める
とおり、当該株主と特別な関係にある個人と併せて)を保有する株主で、かかる株主が最大株主である
かまた当該銀行の主要事業を実質的に支配できる(例えば、最高経営責任者または経営陣の過半数の任
命および解任を通じて)場合。
銀行法のもとで、銀行は、大株主(および銀行法に関する大統領令に定義される当該大株主と特別な関係
にある個人と併せて)に対して、 (1) 当該銀行の Tier I 資本および Tier II 資本(資本控除 項目を除く。 )の
合計額の 25 %と、 (2) 当該大株主の株式保有率に当該銀行の Tier I 資本および Tier II 資本(資本控除項目を
除く。)の合計額を掛けた額のいずれか低い方を超える金額の与信を行うことを禁じられている。また、銀
行のすべての大株主に供与された与信額の合計は、当該銀行の Tier I 資本および Tier II 資本(資本控除項目
を除く。)の 25 %を超えてはならない。
銀行の信用リスクを管理する際、銀行による信用補完措置のうち、貸出契約、資産担保コマーシャル・
ペーパー買受契約、劣後受益証券の購入および資産担保証券に基づく債務不履行に対する保証書の提供によ
る債務引受が銀行に対して金融エクスポージャーを発生させる例である。
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利率
韓国の銀行は、主要資金源として預金の受入れに引続き依存している。現在、韓国では、貸出事業法に基
づく利息の上限金利の年 24.0 %を除いては、貸出金利に関する法的規制はない。
中小企業向け貸出
商業銀行(当行を含む。)が、韓国銀行により「優先的借り手」として特別に指定された特定の新設企
業、ベンチャー企業、革新的企業およびその他の戦略的な中小企業に対するウォン建て貸出を提供する場
合、韓国銀行は一般に、韓国銀行により規定される月次調整限度額(現在 5.9 兆ウォン)の範囲で、優先的借
り手に対する貸出金全額の 50 %を上限として譲許的な金利で、これらの銀行にその原資となる資金を提供す
る。ただし、すべての商業銀行により優先的借り手に提供されたかかる貸出金がある月に規定の限度額を上
回った場合、翌月の譲許的資金提供は、各商業銀行が優先的借り手に対しその配分に先立つ2ヵ月に提供し
た貸出金に比例してこれらの銀行に配分される。このため、ある特定の銀行の優先的借り手に対する貸出金
提供が他の銀行より少ない場合、かかる銀行が韓国銀行から譲許的な金利で受領できる資金の額は比例的に
減額される。
管理運営実績の開示
一般公衆、とりわけ預金者および株主が銀行をより良く監視できるようにするために管理運営実績の強制
開示を行うことを目的として、 FSC は商業銀行にとりわけ以下の事項の一般開示を義務づけている。
・前月末現在における単一の企業グループに対する銀行の Tier I 資本および Tier II 資本(資本控除項目を
除く。)の合計額の 10 %を超える金額の貸出で利益を生じないもの(かかる借り手に対する貸出エクス
ポージャーが銀行業務の監督に関する規則に基づき施行された細則に従い計算されている場合)。ただ
し、単一の企業グループに対する貸出エクスポージャーが4十億ウォン以下のものを除く。
・前月末現在における銀行の Tier I 資本および Tier II 資本(資本控除項目を除く。)の合計額の1%を超
える金額の、裁判所の判決または民事手続における類似の決定に起因する損失。ただし、損失が1十億
ウォン以下の場 合を除く。
貸出に関する規制
銀行法に基づき、 商業銀行は 、以下のいずれの種類の貸出も行うことを禁じられている。
・自行株式を担保として直接または間接に行われる貸出
・自然人または法人による自行株式の購入を可能にするために直接または間接に行われる貸出
・銀行の役員または従業員に対して行われる貸出(ただし、 (1) 一般貸出の 場合は 20 百万ウォン、 (2) 一般
貸出に住宅ローンを加算する場合は 50 百万ウォンまたは (3) 一般貸出、住宅ローンおよび金融取引上の従
業員の不正行為に起因する損害賠償金を支払うための貸出の場合は合計 60 百万ウォン を上限とする少額
貸出を除く。)
・銀行の子会社の株式を抵当として担保される与信(貸出を含む。)または自然人もしくは法人が銀行の
子会社の株式を購入することを可能とするための与信(貸出を含む。)
・ 20 百万ウォンまでの一般貸出または合計 50 百万ウォンまでの一般貸出および住宅ローンを除く銀行の子
会社の役員もしくは従業員に対する貸出
個人世帯向け貸出に関する最近の規制
FSC は近年、銀行が個人世帯向け貸出残高を評価し、報告する仕組みについていくつかの変更を実施し、さ
らに変更を行うことを提案している。住宅ローン規制を合理化するために、 FSC および FSS は 2014 年7月に行
政指導を規定し、これは 2014 年8月1日に施行され、数回にわたり延長および改正された。同指導では、銀
行法に基づく銀行を含むすべての金融機関はローン資産価値比率上限を 70 %(一定の例外があるが、資産の
所在地に拘わらない。)および債務所得比率上限を 60 %(一定の例外があるが、ソウル首都圏地域に所在す
る集合住宅に関する場合に限る。)としなければならない。しかし、住宅または他の形態の住宅を担保とす
る貸出金の急増を受けて、 FSC および FSS は、 2017 年8月に、上記の行政指導に取り替わる銀行業務の監督に
関する規則および銀行業務の監督に関する細則をそれぞれ修正することにより、住宅を担保とした新規貸出
またはリファイナンスを抑制するために下記の規制を実施した。
・全国に所在する住宅(集合住宅を含む。)を担保として行われる貸出に関しては、ローン資産価値比率
(担保評価額に対する当該担保により行われる貸出の元本総額)は 70 %を超えないものとする。
・ 政府により「調整対象地域」と指定される地域に所在する住宅を担保とする貸出についてはローン資産
価値比率は 60 %を超えないものとする。
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・政府により「投機過熱地域」または「投機地域」と指定される地域に所在する住宅を担保とする貸出に
ついてはローン資産価値比率は 40 %を超えないものとする。
・ (i) 「調整対象地域」に所在する住宅に関しては、世帯年収が 60 百万ウォン(初めての住宅購入者につい
ては 70 百万ウォン)未満かつ住宅の価額が 500 百万未満であること、および ( ⅱ ) 「投機過熱地域」または
「投機地域」に所在する住宅に関しては、世帯年収が 70 百万ウォン(初めての住宅購入者については 80
百万ウォン)未満かつ住宅の価額が 600 百万ウォン未満であること、という要件を充たす低所得世帯に提
供される住宅を担保とする貸出については、ローン資産価値比率上限は、上記の適用あるローン資産価
値比率である「調整対象地域」の 60 %および「投機過熱地域」または「投機地域」の 40% より 10 %引き上
げる。
・既に、住宅を担保とする1件以上の貸出を受けている世帯に対して提供される住宅を担保とする貸出に
ついては、ローン資産価値比率上限は、上記の適用あるローン資産価値比率である「調整対象地域」の
60 %および「投機過熱地域」または「投機地域」の 40% より 10 %引き下げる。
・ソウル首都圏地域に所在する住宅(集合住宅に限定される。)を担保とする貸出については、借り手の
債務所得比率( (i) 年間返済合計額( (x) かかる住宅により担保されるローンならびに既存の抵当および
住宅担保ローンの元金および利息と、 (y) 借り手のその他の債務に係る利息の合計)の ( ⅱ ) 借り手の年収
に対する比率として計算される。)は 60 %を超えないものとする。
・政府により「調整対象地域」と指定される地域に所在する住宅(集合住宅に限定される。)を担保とす
る貸出については、借り手の債務所得比率は 50 %を超えないものとする。
・政府により「投機過熱地域」または「投機地域」と指定される地域に所在する住宅を担保とする貸出に
ついては、借り手の債務所得比率は 40 %を超えないものとする。
・低所得世帯に提供される住宅を担保とする貸出については、債務所得比率上限は、上記の適用ある債務
所得比率である「調整対象地域」の 50 %および「投機過熱地域」または「投機地域」の 40% より 10 %引き
上げる。
・既に、住宅を担保とする1件以上の貸出を受けている世帯に対して提供される住宅を担保とする貸出に
ついては、債務所得比率上限は、上記の適用ある債務所得比率である「調整対象地域」の 50 %および
「投機過熱地域」または「投機地域」の 40% よりも 10 %引き下げる。
・政府により「投機地域」と指定される地域に所在する集合住宅に関しては、当該集合住宅により担保さ
れる新規貸出を1世帯につき1度しか受けることができない。
・政府により「投機地域」と指定される地域に所在する集合住宅により担保される貸出を2件以上受けて
いる世帯は、満期の最も早く到来する貸出がまず返済されなければならず、貸出件数は最終的に1件ま
で減らさなければならない。
上記の対策にもかかわらず、ソウル首都圏地域の住宅価格は引き続き上昇しており、 2018 年9月 13 日、政
府は住宅価格を抑制するためにより強力な政策を発表した。 2018 年9月 14 日より、これらの対策は、とりわ
け「投機過熱地域」、「投機地域」および「調整対象地域」(「規制対象地域」と総称する。)における
ローン資産価値比率上限に関するより厳しい規制を含んでおり、かかる規制に基づき、1件以上の住宅の所
有者が規制対象地域のいずれかに所在する住宅を抵当および住宅担保ローンを利用して購入しようとする際
に適用されるローン資産価値比率上限はゼロとなった(ただし、1件のみの住宅所有者がもう1件の住宅を
購入しようとする場合に適用される一定の例外がある。)。規制対象地域のいずれかに所在する実際の居住
目的でない高額住宅(表記価格が 900 百万ウォン超)の購入についても、ローン資産価値比率上限はゼロとな
る 。
不動産投資に関する規制
銀行は、事業を行うために必要な範囲に限り不動産を所有することができ、当該不動産の価値の総額は、
Tier I 資本および Tier II 資本(資本控除 項目を除く。 )の合計の 60 %を超えてはならない。銀行が (1) 担保
権者としての権利の行使により取得した不動産または (2) 銀行法により取得が禁じられる不動産は、規則によ
り別途定めのある場合を除き、3年以内に処分しなければならない。
他企業の株式保有に関する規制
銀行法に基づき、銀行は、他企業の発行済議決権付株式の 15 %超を保有してはならない。ただし、とりわ
け下記の場合を除くものとする。
・かかる株式を発行する企業が FSC の定める種類の金融業に該当する事業(プライベート・エクイティ・
ファンドに対する株式持分を保有することをその事業目的とする会社を含む。)に従事している場合、
または
・銀行による株式の取得がかかる企業の企業再編上必要であり、かつ FSC の承認を受けている場合。
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上記の場合、銀行は以下の要件のいずれかを満たさなければならない。
・発行済議決権付株式の 15 %超を保有する企業に対する銀行の投資総額が、 Tier I 資本および Tier II 資本
(資本控除項目を除く。)の合計の 20 %を超えないこと、または
・買収が FSC の定める要件を満たしている場合に、発行済議決権付株式の 15 %超を保有する企業に対する銀
行の投資総額が、 Tier I 資本および Tier II 資本(資本控除項目を除く。)の合計の 30 %を超えないこ
と。
銀行法により、銀行は Tier I 資本および Tier II 資本(資本控除項目を除く。)の合計の1%相当額を超え
て当該銀行の大株主が発行する株式を取得するために、自己の銀行勘定および信託勘定を利用することを禁
じられている。
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銀行の所有に関する規制
銀行法の下で、一定の例外を除き、単一の株主およびかかる株主と特殊関係にある個人(銀行法大統領令
に定義される。)は、全国規模の銀行の発行済議決権付株式の 10 %および地方銀行の発行済議決権付株式の
15 %を上限として、実質的所有権を取得することができる。政府、韓国預金保険公社および金融持株会社法
に基づき適格である金融持株会社は、かかる上限による制約を受けない。ただし、非金融グループ会社(す
なわち、 (1) グループに属するすべての非金融会社の純資産総額が、当該グループのすべての構成員 の純資産
総額の 25 % 以上である同一の株主グループ、 (2) グループに属するすべての非金融会社の資産総額が2兆ウォ
ン以上である同一の株主グループ、 (3) 上記 (1) または (2) に記載された同一の株主グループが発行済株式総数
の4 % 超を所有する投資信託、 (4)FSCMA に基づくプライベート・エクイティ・ファンドで、 (i) かかるプライ
ベート・エクイティ・ファンドの無限責任組合員、 ( ⅱ ) かかるプライベート・エクイティ・ファンドにおけ
る株式保有比率が 10 %以上である有限責任組合員、または ( ⅲ ) 独占規制および公正取引に関する法律に定義
される同一のコングロマリットに属する単一の企業集団のメンバー企業で、かかるプライベート・エクイ
ティ・ファンドにおける合計株式保有比率が 30 %以上である有限責任組合員であり、上記の (1) から (3) のい
ずれかに該当する場合、または (5) プライベート・エクイティ・ファンドの特別目的会社で、上記 (4) に記載
されるプライベート・エクイティ・ファンドが特別目的会社の発行済株式の4%以上を保有するかもしくは
特別目的会社の主要な経営事項に対して、例えば役員の任命および解任を通じて事実上の支配権を有する場
合)は、全国規模の銀行の発行済議決権付株式の4%を超える実質所有権を取得することはできない。ただ
し、かかる非金融グループ会社は、下記の条件のもとで、実質所有権を取得することができる。
・かかる非金融グループ会社が4%を超える株式に関する議決権を行使しないという条件のもとに、 FSC の
承認を得ている場合には、全国規模の銀行の発行済議決権付株式の 10 %まで。
・外国人(外国人投資促進法に定義される。)が全国規模の銀行の発行済議決権付株式の 10 %以上を保有
する場合には、 FSC の承認を得ずに当該銀行の発行済議決権付株式の 10 %まで、およびかかる外国人が
当該銀行の発行済議決権付株式の 10 %、 25 %または 33 %超を保有する場合には、 FSC の承認を得てかか
る外国人が保有する株式数まで。
また、いずれの者(韓国国民であるか外国人であるかを問わない。)も、上記の非金融グループ会社を除
き、全国規模の銀行の発行済議決権付株式総数の 10 %超を取得することができる。ただしこれは、保有総数
が当該銀行の発行済議決権付株式総数の 10 %(地方銀行の場合は 15 %)、 25 %または 33 %を超える場合は FSC
の承認を得ていることを条件とする。
預金保険制度
預金者保護法は、預金保険制度を通じて、韓国における銀行の一定の預金について保証を行うものであ
る。預金者保護法の下で、当行を含む銀行法による規制を受けるすべての銀行は、四半期ベースで預金者保
護法施行令の定める料率による保険料を韓国預金保険公社に支払わなければならないが、これは所与の年度
における当該銀行の被保険預金の 0.5 %を超えないものとする。現在の銀行の保険料は、各四半期の被保険預
金の 0.02 %である。韓国預金保険公社が保険金を支払う場合、韓国預金保険公社は当該支払額を限度に預金
者の債権を取得する。現行の規則の下で、韓国預金保険公社は、預金の預入れ時期および規模にかかわら
ず、ひとりにつき、単一の金融機関における預金および利息の合計額の 50 百万ウォンまでのみを保護する。
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信託業務
信託業務を開始しようとする銀行は FSC による承認を得なければならない。銀行の信託業務活動は、 FSCMA
の適用を受ける 。銀行業務および信託業務の両方に従事する銀行は、以下を含む一定の法律上および会計上
の手続要件に従う。
・銀行法、 FSCMA および信託法の下で、韓国の銀行が受託した信託財産は、当該銀行の勘定における他の
資産と分別管理しなければならない。したがって、銀行業務および信託業務の双方に従事する銀行は、
「銀行勘定」と「信託勘定」の2つの別個の勘定および銀行業務と信託業務それぞれの詳細を示す2つ
の別個の記録を管理しなければならない。
・信託勘定を構成する財産は、トラスティーが清算または解散する場合、かかる銀行の預金者またはその
他の一般債権者への弁済に充てることに利用することはできない。
銀行が FSCMA に基づく集団投資業事業体、トラスティー、カストディアンまたは一般事務管理者として資格
を有し、かつその業務を行う場合、銀行業務、集団投資業務、トラスティー業務またはカストディー業務お
よび一般事務管理の間の潜在的な利益相反を防止するための関連管理運営制度を構築しなくてはならない。
これらの措置には以下のものが含まれる。
・特定の 業務に携わる役員、取締役および従業員が、他の業務に役員、取締役および従業員として関わる
ことの禁止。ただし、役員または取締役が (1)FSCMA 大統領令に従って重要な利益相反のない複数の事業
活動を担当している場合、または (2)FSCMA に従って、信託業もしくは カストディー 業を担当しており、
同時に 一般事務管理 業も担当している場合を除く。
・コンピューター機器またはオフィス機器の共同使用または共有の禁止。
・異なる業務部 門の役員、取締役および従業員による、またはそれらの間における情報共有の禁止。
資産運用会社としての資格を有し、集団投資業事業体として業務を行っている銀行は、かかる銀行が運用
する投資信託の受益証券の販売に従事することができる。ただし、かかる銀行は以下の業務に従事すること
を禁止されている。
・かかる銀行により運用される投資信託のトラスティーとして行為すること。
・かかる銀行自身の資金を用いて、かかる銀行が運用する投資信託の受益証券を購入すること。
・かかる銀行が運用する投資信託の信託財産に関連するその他の集団投資証券の情報を、同行の販売活動
において利用すること。
・かかる銀行が運用する投資信託の受益証券を、銀行法に基づき設立されたその他の銀行を通じて販売す
ること。
・短期の金融集団投資ビークルを設立すること。
・投資信託を設定すること。
その他の事業活動を規制する法令
外国為替業務を開始するには、銀行は企画財政部に登録しなければならない。外国為替業務は外国為替取
引法による規制を受ける。証券業を開始するには、銀行は FSC の認可を取得しなければならない。証券業は、
FSCMA に基づく規則の適用を受ける。上記の法律に従い、銀行は、外国為替業務ならびに国債およびその他の
公債の引受業務に従事することが認められている。
近年、監督官庁は消費者の金融上の費用負担を少なくするために、 ATM 利用料を引き下げることを奨励して
いる。さらに、家計債務の増加に鑑み、監督官庁は固定金利の個人向け貸出の元本比率を、 2012 年の 14 %か
ら 2017 年までに 45 %へと徐々に引き上げることを奨励している。
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4【関係会社の状況】
親会社
2018年12月31日現在、当行の親会社の情報は以下のとおりである。
名称 住所 資本金 主たる事業内容 議決権割合
新韓フィナンシャル・ 大韓民国04513 2,645,053 百万ウォン 金融持株会社 100.0 %
グループ
ソウル特別市 中区
世宗大路9道20
連結子会社および関連会社
2018年12月31日現在の当行の連結子会社は以下のとおりである。
名称 所在地 資本金 主要事業内容 議決権割合
子会社:
新韓アジュ金融有限公司 香港 100 百万米ドル 銀行業務 99.99%
アメリカ新韓銀行 米国、ニューヨー 173 百万米ドル 銀行業務 100.00%
ク州およびカリ
フォルニア州
ヨーロッパ新韓銀行 ドイツ、 23 百万ユーロ 銀行業務 100.00%
フランクフルト
新韓カンボジア銀行 カンボジア、 75 百万米ドル 銀行業務 97.50%
プノンペン
新韓カザフスタン銀行 カザフスタン、 10,029 百万カザフス 銀行業務 100.00%
タン・テンゲ
アルマトイ
新韓銀行中国有限公司 中国、北京 2,000 百万人民元 銀行業務 100.00%
カナダ新韓銀行 カナダ、トロント 80 百万カナダ・ドル 銀行業務 100.00%
SBJ銀行 日本、東京 17,500 百万円 銀行業務 100.00%
新韓バンク・ベトナム ベトナム、 4,547,100 百万 銀行業務 100.00%
ホーチミンシティ ベトナム・ドン
メキシコ新韓銀行 メキシコ、 1,583 百万 銀行業務 99.99%
メキシコシティ メキシコペソ
新韓インドネシア銀行 インドネシア、 944,278 百万ルピア 銀行業務 99.00%
ジャカルタ
2018年12月31日現在、当行はまた韓国IFRSに従い連結子会社として処理されるストラクチャード・エン
ティティー(構造化企業)81社を有している。「第6-1 財務書類」に掲げる2018年および2017年12月31日
に終了した年度の連結財務書類に対する注記1を参照されたい。
2018年12月31日現在の当行の持分法適用関連会社の一定の情報については、「第6-1 財務書類」に掲げ
る2018年および2017年12月31日に終了した年度の連結財務書類に対する注記13を参照されたい。
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5【従業員の状況】
2018年12月31日現在の当行従業員の状況は下表のとおりである。
2018年12月31日現在、9,302人の従業員は当行の労働組合に加盟している。当行は労働組合との間に良好な
関係を維持しており、過去3年間において重大な労働争議を経験していない。
基準日:2018年12月31日(個別ベース)
(金額:百万ウォン)
従業員数
1人当た
平均 年間給与
男性/ 正規雇用従業員 有期雇用従業員
りの平均
女性
勤続年数 合計
合計
給与
うち短時間 うち短時間
合計 合計
勤務従業員 勤務 従 業員
男性 7,148 - 722 284 7,870 16 年10ヵ月 917,700 116
女性 5,941 206 184 94 6,125 12 年3ヵ月 433,080 70
13,089
合計 206 906 378 13,995 14 年9ヵ月 1,350,780 96
___________
注記:
(1) 正規雇用従業員の平均勤続年数である。
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第3【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
戦略
2008年から2009年の世界的な金融危機の発生により、当行は主に改善されたリスク管理および顧客維持を
強化するために考案されたプログラムを通じて、事業基盤を強化し、競争力ある持続可能性を確保すること
に注力した。当行は、こうした積極的な措置が金融危機により発生した短期的課題に首尾よく対処すること
に役立つと考えている。しかし、当行は金融危機の影響により、課題と機会の独特の組み合わせが生じたと
考えている。
急速に波及した世界的金融危機の影響がいくぶん収まったものの、世界経済、ひいては韓国経済は引き続
き、事業の全般的な低成長および世界金融市場における継続的なボラティリティに特徴づけられる不確実な
状況に直面している。当行は、世界中の主要な都市中心部での「ウォール街を占拠せよ。」運動および類似
する動きならびに金融活動に関する規制上の監視および制限がより広範に求められていることに示されるよ
うに、概してこの状況が主要な金融サービス・プロバイダーに対する人々のマイナス感情を生み出している
と考えている。さらに、モバイルおよびその他の技術における進歩が、金融サービス・プロバイダーに対
し、既存のビジネスモデルを絶え間なく再検討するという新たな課題を与えている。合わせて、これらの展
開は当行に、顧客の信頼を育み、当行の社会資本を強化し、当行の事業環境の絶え間ない変化に素早く対応
する機会を引き続き追求することを求めている。これに応じた全般的な戦略目標として、当行は、これらの
課題に対処し、新たな事業環境により提示される機会を活用するために、新たな成長機会を選択的に見い出
し、リスク管理を強化し、資源を効率的に利用し、顧客一人一人により対応した接客を強化することによ
り、当行自身を再創造するべく努力している。
さらに具体的には、当行は、世界的金融危機は、(i)金融規制の強化、(ⅱ)金融商品のリスクに対する許容
範囲の狭小化、(ⅲ)負債水準の低下に対する要求、(ⅳ)安定成長に基づくビジネスモデルに対する市場の受
容度の広がり(たとえ収益水準が相対的に低下する場合であっても)、(ⅴ)金融機関のより重大な社会的責
任および説明責任に対する政治的要求、ならびに(ⅵ)世界経済の新興市場(特にアジア)の重要性の高まり
に対する幅広い認識、といった特徴を有する新たな事業機会を生み出していると考えている。
世界的な金融危機により生じた不確実性の中で、最も有利な位置につき、今後の機会をとらえるために、
当行は革新を通じて引き続き価値の高い成長性を強化し、当行の収益源を多様化させ、資産の質を改善し、
リスク管理措置を強化し、新韓フィナンシャル・グループの子会社間でシナジーを最大限にし、顧客基盤を
固め、拡大し、世界的に競争するための基盤を強化する予定である。
さらに具体的には、当行の戦略的優先事項には以下のものが含まれる。
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革新を通じて価値ある成長性を強化すること。 当行は継続的に、当行の文化に根付いている価値ある成
長性を強化することに焦点を当て、当行の商品およびサービスの革新ならびに創造性を促進することを最優
先している。当行は、革新的な商品およびサービスが当行の顧客にとっての価値を創造し、ブランド価値を
高めると考えている。当行は、こうした価値が長期的な成長率を維持し、安定的な収益基盤を確保するため
に寄与するものと考えている。当行が導入した最も革新的な商品の一つとして、「ゴールド・リッチ・ゴー
ルド・インストールメント」があり、これは韓国で初めて、物理的に金を移動させることなく、顧客がより
低い取引費用で金に投資することを可能としたものである。さらに、当行はその革新的なサービスについて
広く認知されてきた。最近の例としては、2014年および2015年には当行は、アジアン・バンカーにより、
「チャネル・コンバージェンス・セクター(2015年)におけるベスト・アジアン・バンク」および「ベス
ト・インターネット・バンキング・バンク(2014年)」として認識された。2014年、当行は毎経メディア・
グループおよび未来創造科学部から「コリアン・デジタル・マネジメント・イノベーション賞」を受賞し
た。さらに、当行は朝鮮日報の「2014年世界韓国賞」の銀行・金融サービス部門で大賞を受賞した。2015年
には当行は韓国中央日報主催の2015年消費者による選定賞の「スマート・バンキング」部門で大賞を5年連
続で受賞し、韓国商工会議所、産業通商資源部および韓国中央日報の共催によるコーポレート・イノベー
ション賞において大統領賞を受賞した。さらに、当行の「スピードアップ」為替サービスはFSSによる2015年
新金融商品優秀賞の大賞を受賞した。2016年、サニーバンクのプラットフォームを利用することで、モバイ
ル機器により、自動車購入者が支店に出向くことなく当行の自動車ローンを利用できる「サニー・マイ
カー」ローン・サービスは、韓国マネジメント協会が主催する2016年韓国イノスター・イノベイティブ・プ
ロダクト・アワードを受賞した。2017年および2018年、当行はその新たな顧客サービスおよび商品に対し、
「韓国イノベーション・フロンティア賞」を受賞した。
新しい事業機会の選択を通じて収益源を多様化すること。 当行は、規制上の変更および新しい業界動向に
より創出された新しい事業機会を選択的に活かす予定である。特に、当行は(i)韓国の高齢化および最近の韓
国企業の退職年金の強制採用を踏まえて、退職年金市場において市場シェアを積極的に引き上げ、(ⅱ)既存
および潜在的な顧客ベースに対する統合されたグローバルな資産管理を戦略的に提供し、(ⅲ)商業銀行業務
と投資銀行業務をさらに統合させることで、投資銀行業における機会を活用し、また(ⅳ)「フィンテッ
ク」、「グリーン」およびその他成長産業において新しい事業開発能力を強化する予定である。
資産の質をさらに向上させ、リスク管理対策を強化すること。 当行は、効果的な信用リスク管理を通じ
て、高い資産の質を確保することが、安定的な成長および収益性を維持する上で重要であり、リスク管理は
引き続き重要な重点領域の一つであると考えている。当行の最優先事項の一つは、資産の質を改善し、貸出
ポートフォリオにおいて固有の信用リスクを考慮に入れて、貸出商品の価格設定をより効果的に行うことで
ある。この目的を達成するために、当行は、潜在的な不良債権の探知および事前阻止力を向上させ、グロー
バルベースでのリスク管理に向けた革新的なコンティンジェンシープランを評価し、発展させる新韓フィナ
ンシャル・グループのさらにアップグレードされた包括的なグループ全体のリスク管理制度を最大限に利用
する計画である。さらに、当行は海外支店の最適な成長を促進し、海外支店がリスク管理能力の一部の分野
を改善する取組みを支援するために当行の信用リスク評価モデルおよびデータ基盤をアップグレードしてき
た。
新韓フィナンシャル・グループの子会社間でのシナジーを最大化すること。 当行は、競争力を高めるため
に、以下により、新韓フィナンシャル・グループの金融持株構造を利用するつもりである。
・ 新韓フィナンシャル・グループの子会社の幅広い商品およびサービスを当行の顧客に提供すること
で、ワンストップ金融サービスの目的地となること。
・当行と新韓フィナンシャル・グループのその他の子会社(韓国最大のクレジットカード会社である新
韓カードを含む。)との顧客情報の共有を可能にすること。これは、金融持株会社組織外では認めら
れないため、当行のクロスセリングおよびリスク管理能力を高めることになる。
・バックオフィス処理および調達といった分野でのコスト削減の能力を高めること。
・海外拡張計画を実施し、新韓フィナンシャル・グループの他の企業と共同で世界的な販売およびマー
ケティング能力を強化すること。
かかる戦略を支援するために、当行は新韓フィナンシャル・グループのもとで、グループ会社間で顧客情
報の共有および様々な顧客ロイヤルティ・プログラムの統合を促進するためのグループ全体の総合顧客関係
管理制度の強化を含め、特定のイニシアチブを実施している。
顧客基盤を固め、拡大すること。 更なる経済回復および韓国の主要商業銀行間での更なる統合の可能性に
より、韓国金融部門において顧客獲得競争が激化することが予想されることから、当行は既存の顧客間での
ロイヤルティを高めるとともに、質が高く信用力のある顧客ベースを拡大するために積極的な対策を講じる
計画である。特に、当行は(i)顧客志向型の文化を植え付け、あらゆる主要な事業分野において顧客管理プロ
セスを標準化し、改善し、(ⅱ)各顧客セグメントに対応したマーケティングおよび事業戦略を通じて、稼動
個人顧客を特定し、ターゲットとし、(ⅲ)さらに顧客と交流を高めるため、直接および間接的にマーケティ
ング経路を強化し、多様化し、(ⅳ)高度な資産運用サービスを提供することにより富裕顧客に注力し、(ⅴ)
より多角的範囲の資金投資商品を提供し、また(ⅵ)新顧客としてさらに公共団体および政府事業体を呼び込
むためのマーケティングの取組みを統合し、強化する予定である。
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世界的に競争するために基盤を強化すること。 当行のグローバルな大手銀行としての地位と基盤をさらに
強化するために、当行は(i)収益性と生産性を改善する方法を考案することにより、海外のプロフィットセン
ター を設置するために既存のグローバル・ネットワークとの関係を構築し、さらに海外子会社への資本投資
を行い、何もない状態で参入しても現地の銀行免許の取得が難しい市場では買収を選択的に追及しつつ、組
織の拡大に向けた注力を維持し、(ⅱ)中華人民共和国、ベトナムおよびインドネシアといった核となる海外
のターゲットである市場において競争的な地位を強化し、さらに米国、日本、インド、カザフスタンおよび
カンボジアといった当行が現在拠点を有するその他の市場でさらに差別化を図り、また(ⅲ)組織再編、プ
ロセス改善および有能な人材の採用を通じて、世界的なビジネス能力のための支援構造を高めることを計画
している。
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競争
特に、低金利環境の継続(貸出金利と資金調達金利の差に基づき利益を得る機会を狭める)、全般的な経
済の低迷、業界全体の成熟および飽和の拡大、新規市場参加者の参入および規制緩和により、韓国の金融
サービス業界の競争は激しく、この状態はこれからも続くことが予想される。
当行は主に韓国のその他の全国規模の商業銀行と競合するだけでなく、韓国で事業を行っている外国銀行
の支店および子会社を含む多くの銀行業機関、地方銀行、インターネットのみによる銀行、韓国産業銀行、
中小企業銀行および韓国漁業協同組合といった政府が出資する開発銀行ならびに韓国の特殊銀行のみなら
ず、貯蓄機関(相互貯蓄金融会社、信用金庫および信用組合など)、投資会社(証券会社、投資銀行会社お
よび資産運用会社など)ならびに生命保険会社を含む様々なその他の金融サービス提供者との競争に直面し
ている。2018年12月31日現在、韓国には6つの主要な全国規模の商業銀行(共に世界的金融機関により買収
された国内商業銀行であるシティバンク・コリア・インクおよびスタンダード・チャータード・バンク・コ
リア・リミテッドを含む。)、6つの地方商業銀行、2つのインターネトのみによる銀行ならびに38の外国
銀行の支店および子会社がある。外国の金融機関はその多くが当行よりも幅広い経験およびより多くの財源
を有しており、今後も韓国市場に参入し続け、それら自身によるかもしくは既存の韓国金融機関との提携に
よる金融商品およびサービスの提供において競合する可能性がある。
当行の伝統的な中核事業である中小企業および個人向け銀行業分野では、競争がさらに激化することが予
想される。近年、当行を含む韓国の銀行は、高い信用格付を有する法人の借り手、担保水準が高いSOHO顧客
に対する貸出、ローン資産価値比率および債務所得比率が規定の限度内である抵当ローンおよび住宅担保
ローンといった質の高い与信に基づく安定的な資産の拡大にますます焦点を当てている。当行は、資産規模
または市場占有率を高めるよりも、収益性を高めることに従来から焦点を当て、引き続き焦点を当てること
にしており、実行可能な範囲で、貸出金利の引下げによる価格競争を避けてきたが、リスクのより少ない資
産に基づく安定的な成長への共通した焦点の移行は、銀行が質の高い同じ限られた与信のプールを求めて価
格競争またはその他の方法により競争することになるため、競争が激化する可能性が高い。さらに、特に低
金利環境が相当長く続くことになれば、かかる競争は正味資金利鞘を縮小させ、全般的な収益性を低下させ
る可能性がある。少なくとも一部には韓国銀行による基準金利が2017年11月に1.25%から1.50%に上昇し、
2018年11月に1.50%から1.75%に上昇したことにより、正味資金利鞘は2017年の1.75%から2018年には
1.81%とわずかに改善し、2019年の間に基準金利が再び上昇した場合、正味資金利鞘はさらに改善する可能
性があるが、市場金利のボラティリティの高まりに加え、個人事業に対する与信審査のガイドラインの追加
実施を含むSOHOへの貸出に関する規制が厳しくなっているため、当行の業績に及ぼすメリットは少なくなる
可能性がある。したがって、競合する金融機関が貸出金利を下げることで市場占有率の拡大を試みた場合、
特に、主に貸出金利に基づき貸し手を決定する顧客の間で、当行は顧客を喪失する可能性がある。これに対
して、またはその他戦略的な理由により、当行もまた競争力を保つために、貸出金利を引き下げる可能性が
あり、これが正味資金利鞘の低下を招き、市場金利の全般的な上昇による正味資金利鞘に対する潜在的なプ
ラスの影響を相殺して余りある影響を及ぼす可能性がある。当行の顧客基盤もしくは正味資金利鞘の将来的
な減少は、当行の経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
当行の競争相手である金融機関同士の統合および政府の民営化に向けた取組みもまた当行が業務を行う市
場における競争を激化させる可能性がある。2012年のハナ・フィナンシャル・グループによる韓国外換銀行
の買収およびその結果としての2015年9月のハナ銀行と韓国外換銀行との合併を含め、近年、韓国におい
て、当業界でいくつもの重大な合併および買収があった。さらに2014年、政府によるウリィ・ファイナン
ス・ホールディングス(現在はウリィ銀行に合併されている。)およびその旧子会社の民営化計画の実施に
より、ウリィ・ファイナンシャル、ウリィ資産運用およびウリィF&IはKBフィナンシャル・グループ、キウム
証券および大信証券にそれぞれ買収され、ウリィ投資証券、ウリィ・アビバ生命保険およびウリィ金融貯蓄
銀行はNH農協フィナンシャル・グループに買収された。さらに、2014年10月、光州銀行および慶南銀行の持
株会社における政府の所有持分がJBフィナンシャル・グループおよびBSフィナンシャル・グループ(現在は
BNKフィナンシャル・グループ)にそれぞれ買収された。2015年、政府はウリィ銀行における30%から40%の
持分をそれぞれ4%から10%の範囲に分割して複数の投資家に売却することを決定した。2016年12月以降、
韓国預金保険公社は、キウム証券、韓国投資証券、ハンファ生命保険、東陽生命保険、ユージン資産運用、
ミレー・アセット・グローバル・マネジメントおよびIMMプライベート・エクイティを含む7つの機関投資家
との間でウリィ銀行の合計29.7%の持分を複数の投資家に売却する取引を完了した。これらの展開のいずれ
かは、当行を競争上不利な立場にさせる可能性や、新たに再編された事業体のサービス水準を好ましく思わ
ない人々を新たな顧客として獲得したり、資金調達源を多様化するために広範囲な銀行との関係を維持した
いと考える法人顧客に信用ファシリティを提供する機会といった形の当行にとっての潜在的な利益を相殺し
て余りある影響を及ぼす可能性もある。当行は、金融業界におけるかかる統合およびその他の構造上の変更
は続くと予想している。その他の金融機関もその他企業の買収または合併を模索している可能性があり、こ
のような統合により生まれた金融機関は、その拡大した規模と事業範囲によって、当行にとってより厳しい
競争を仕掛けてくる可能性がある。競争の激化および統合の継続により、利幅が縮小し、当行の将来の収益
性に重大な悪影響を与える可能性がある。
韓国の規制改革および事業慣行の全般的な近代化もまた韓国の金融機関の間の競争を激化させている。
2015年7月以来、FSCは韓国金融決済院を通じて、かかるサービスに参加している金融機関(現在は、銀行、
証券会社および郵便局、韓国地域信用協同組合、韓国信協、相互貯蓄銀行および全国林業共同組合といった
その他の金融機関)に口座を保有する者が自動払い口座を検索し、終了し、変更することができる、統合自
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動振替管理サービスを提供している。さらに、2016年12月から、FSCは統合口座管理サービスの提供を開始し
た。これにより、そのサービスに参加している銀行に口座を開設している口座保有者は、その銀行口座の詳
細 な情報を検索し、少額の休眠口座(すなわち、過去1年間に取引がなく、かつ残高が500,000ウォン未満の
口座。)を閉鎖し、かかる口座の残高を別の口座に移管することができる。さらに2017年12月、FSCは、消費
者が、銀行、保険、相互金融、ローンおよびカード発行に関する情報を含む自身の重要な金融口座情報を1
ページにまとめて見ることができる 「一目でわかる自分の口座」制度 を導入した。「一目でわかる自分の口
座」制度は2016年2月にはモバイル機器でも利用できるようになり、そのサービスの範囲を貯蓄銀行および
有価証券にも拡大した。これらが導入されてから、統合自動振替払管理サービス、統合口座管理サービスお
よび「一目でわかる自分の口座」制度は幅広く受け入れられている。 金融部門の改革が継続しているため、
既存の銀行、保険会社、証券会社およびその他の金融機関の間の競争はより激しくなる可能性があり、現在
の韓国の金融市場に著しい変化をもたらす可能性がある。その結果、当行は預金を増やし、保持することが
困難となる可能性があり、その結果、当行の資金調達コストが増加し、決済・送金サービスによる手数料収
入が減少する可能性がある。
さらに、韓国経済がさらに発展し、新たな事業機会が生まれると、より多くの競争相手が金融サービス市
場に参入する可能性がある。例えば、カカオ・コーポレーション、ネイバーおよびサムソン電子といった大
規模な利用者ネットワークを有するオンライン・サービスのプロバイダーならびに技術会社は、一般に
「フィンテック」と称する金融サービスと金融技術との高まるコンバージェンスに基づくシステムを通じた
仮想振込サービスの提供に著しく参入しているため、オンライン顧客をめぐる競争は、商業銀行の間だけで
なく、モバイル支払サービスのプロバイダーも含めて激しくなっている。2015年、政府は、インターネット
のみによる銀行の営業を韓国において許可する計画を発表した。KTコンソーシアムのKバンクが2017年4月
に、カカオ・コンソーシアムのカカオ・バンクが2017年7月にそれぞれ営業を開始した。インターネットの
みの銀行は、人件費および間接費用を節約できる分を預金口座により高い金利を提供し、貸出費用を引下
げ、サービス手数料を抑えることにより顧客に還元することができるため、従来の銀行に対して優位となる
可能性がある。そのため、商業銀行は、物理的な銀行店舗で対面での利用を主とする従来の顧客に比較し
て、成長著しい顧客基盤であるオンライン利用者を惹きつけ、維持するためにそのサービス基盤をアップグ
レードすることへの高まる圧力に直面するであろう。
最近、世界金融危機の後、政府が韓国の金融機関に資産の質、自己資本比率、流動性ならびに住宅および
その他の貸出慣行といった分野においてより厳しい規制上の要件ならびに指針を課したこと(過剰なレバ
レッジを抑制するために2018年1月に導入された合計リスク・エクスポージャーに対するコア資本の一定比
率の維持要件を含む。)は、競争を緩和する効果があった。FSCはバーゼルIIIの資本要件を実施し、銀行業
務の監督に関する規則(改訂済)および銀行業務の監督に関する細則に定められるガイドラインに基づき、
その最低要件は2013年12月1日から段階的に実施され、2015年1月1日までに完全実施された。さらに、FSC
は流動性カバレッジ比率および資本保全バッファーに関するバーゼルIIIの要件を実施しており、これらはそ
れぞれ2019年1月1日現在完全実施されている。FSCは2016年1月1日付で、システム上重要な銀行の追加資
本積立ておよびカウンターシクリカル資本バッファー要件に関するバーゼルIIIの要件を実施した。FSCは年
ごとに国内の金融システム上重大な影響力(規模およびその他金融機関との関係に基づく)を有する銀行を
国内のシステム上重要な銀行として指定し、以下のうち最も高いものに従い追加資本を積立てることを義務
付けることができる。(i)普通株式資本のリスクアセットに対する比率がシステム上重要な評価スコアによ
り、0.0%から2.0%、(ⅱ)銀行の持株会社が国内のシステム上重要な持株会社である場合、金融持株会社監
督規則に基づき銀行持株会社に義務付けられる追加資本に対応する資本比率、または(ⅲ)銀行がまたバーゼ
ル委員会によって定義されるグローバルなシステム上重要な銀行である場合、バーゼル委員会によって義務
付けられる資本比率。FSCの指示に従い、当行を含む国内のシステム上重要な銀行は、2016年1月1日から
0.25%の追加的資本バッファーを維持することが義務付けられ、かかる資本バッファーは毎年0.25%ずつ引
上げられ、2019年1月1日に1.00%に達した。FSCはまた、四半期ごとの検討により、銀行が積立てなければ
ならないカウンターシクリカル資本バッファーの水準を国内総生産に関連する与信の増加程度といった要因
を考慮して、リスクアセットの0%から2.5%の範囲で、決定し、義務付けることができる。しかし、これら
の措置が競争を抑制する効果を有すると保証することはできず、また政府がかかる措置を覆したり削減した
りせず、その他の規制緩和措置を導入しないと保証することはできず、それにより韓国金融サービス業界に
おける競争が一層激化する可能性がある。
マクロ経済環境の変化に適応し、新たな規則を遵守するための当行の取組みにもかかわらず、当行が変化
する事業および規制環境において効果的に競争できなかった場合には、当行の利幅および市場シェアが損な
われる可能性があり、またその将来の成長機会が制限される可能性があり、かかる可能性が当行の事業、経
営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
経営方針および経営環境については、「第2-3 事業の内容 - (5) 韓国の銀行業界」ならびに「2 事
業等のリスク」および「3 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」も参照されたい。
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2【事業等のリスク】
以下には多数の将来予測に関する記述が含まれている。かかる将来予測に関する記述は、本書提出日現在
における当行の判断に基づくものである。
当行の事業に関連するリスク
韓国および世界経済ならびに金融市場の困難な状況および乱高下が、当行の事業、資産の質、自己資本およ
び利益に不利な影響を及ぼす可能性がある。
当行の資産の多くは韓国に所在しており、当行はその収益の多くを韓国で得ている。したがって、当行の
利益および収益性は、当行の法人および個人顧客の財務上の健全性に影響を及ぼす金利、インフレ、輸出、
個人支出および消費、失業、企業製品およびサービスに対する需要、家計および企業の債務返済負担、信用
が一般的にどの程度利用可能であるか、不動産および有価証券の資産価値ならびにその他の要因を含む韓国
全般の経済および社会状況に大きく依存している。
韓国経済は、世界経済に緊密に結びついており、その展開に重大な影響を受ける。ヨーロッパにおける経
済および政治的状況に関して継続する全般的な不確実性(特にブレグジットの過程にあること)、中国経済
の冷え込みの兆し、イラク、シリアおよびイエメンを含む中東の様々な地域ならびにとりわけロシアおよび
ウクライナを含む旧ソビエト連邦の共和国における継続的な地政学的・社会的不安定、ならびに米国と中国
との間でお互いの貿易品に対する関税を導入するといった継続する貿易戦争の潜在的な加速に照らし、世界
経済の見通しは全般的に今なお著しく不透明で、韓国経済に不利な影響を与えており、引き続き不利な影響
を与える可能性がある。さらに、韓国経済は成熟しているため、「はさみ効果」、つまり、後進経済地域に
おいては競争相手に追いつかれているが先進経済地域では競争相手に完全に追いついてはいないリスクにま
すますさらされており、かかるリスクは韓国経済が輸出に大幅に依存しているという事実により増幅されて
いる。韓国経済はまた、国内の消費および投資の不振、不動産市場のボラティリティ、家計債務の増加、人
口統計の高齢化および出生率の低下による生産性の潜在的減少ならびに若年層の失業率の上昇を含むその他
の困難に引き続き直面している。世界および韓国経済の将来の悪化は、当行の事業、財政状態および経営成
績に悪影響を及ぼす可能性がある。
特に、金融および経済状況の困難は、当行の資産の質を著しく悪化させ、また、ますます多くの当行の法
人および個人顧客が破産または支払不能を申し立て、またはその債務弁済義務に応じることが一層困難にな
るため、貸倒損失および償却のための引当金をより多く引き当てることとなる。例えば、2011年および2012
年に、不動産市場および造船事業において継続する停滞は、建設業、不動産賃貸業、造船業および船舶業の
当行の法人借り手の間の延滞(STXグループの現在および以前の傘下企業、京南企業、東部製鉄、三府土建お
よび韓進重工業の例にみられるように、一定の場合においては、支払不能、債務整理、再生手続きおよび/
または債権者との和議取決めさえもある。)の増加を招いた。同じ時期に、不動産市場において持続する停
滞はまた、当行の個人借り手の間の延滞を増加させ、特に新たに建設された集合住宅のユニットの事前販売
に際しグループ貸出を受けている借り手の間の延滞を増加させた。従って、当行の延滞率(償却および売却
債権控除後の1ヵ月以上の延滞に基づく。)は2010年12月31日現在の0.48%から2011年12月31日現在の
0.60%および2012年12月31日現在の0.61%へと増加した。しかし、住宅市場における緩やかな回復、かかる
困難に直面した業界に対するエクスポージャーおよびその他のリスクを有する借り手に対するエクスポー
ジャーを早期リスク管理政策を通じて少なくしようとする当行の積極的な取組みに加え、その資産の質を改
善するための当行の戦略的イニシアチブの一環として質の高い信用プロフィールを有する借り手に対する貸
出を増加させたことにより、当行の延滞率はそれ以来、2013年12月31日現在には0.39%に、2014年12月31日
現在には0.31%、2015年12月31日現在には0.33%に、2016年12月31日現在には0.28%に、2017年12月31日現
在には0.23%および2018年12月31日現在には0.25%に着実に低下または安定した。しかしながら、韓国銀行
の基準金利の上昇、これらの業界の停滞の継続またはその他の理由により、かかる借り手に対する貸出の質
はさらに悪化する可能性があり、当行が特にこれらの苦境にある業界の借り手の貸倒損失によりさらなる貸
倒損失を被らないと保証することはできない。
さらに、2008年から2009年の金融危機の時と同様に、金融市場および経済全般の困難の性質次第では、当
行は一部の中核的貸出事業およびその他の事業の規模を縮小し、高い調達コストで借り入れを行い、正味利
息スプレッドの縮小に直面しなければならない可能性があり、これらはいずれも当行の利益および収益性に
不利な影響を与える可能性がある。さらに、当行は現在、規制上の最低要件よりも高い自己資本比率を維持
しているが、新たな経済危機が起こった場合、政府によりさらに高い資本要件が課されないと保証すること
はできない。また、世界的な金融システムおよび経済関係が高度に統合している特性に照らし、その他の予
期せぬシステミック・リスクもしくは現在予測することのできないその他のリスクが存在する可能性があ
る。これらのリスクのいずれかが現実となった場合、当行の事業、流動性、財政状態および経営成績に重大
な悪影響を与える可能性がある。
韓国の金融サービス業界における競争は熾烈であり、さらに競争が激化する可能性がある。
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韓国の金融サービス業界における競争は、とりわけ低金利環境(貸出金利と資金調達金利の間のスプレッ
ドに基づき利益を得る機会が狭まる。)の継続、経済全般の不振、業界全般のますますの成熟および飽和、
新 規市場参加者の参入ならびに規制緩和などにより厳しく、これからも厳しいと予想される。
当行は主に韓国のその他の全国規模の商業銀行と競合するだけでなく、韓国で事業を行っている外国銀行
の支店および子会社を含む多くの銀行業機関、地方銀行、インターネットのみによる銀行、韓国産業銀行、
中小企業銀行および韓国漁業協同組合といった政府が出資する開発銀行ならびに韓国の特殊銀行のみなら
ず、貯蓄機関(相互貯蓄金融会社、信用金庫および信用組合など)、投資会社(証券会社、投資銀行会社お
よび資産運用会社など)ならびに生命保険会社を含む様々なその他の金融サービス提供者との競争に直面し
ている。2018年12月31日現在、韓国には6つの主要な全国規模の商業銀行(共に世界的金融機関により買収
された国内商業銀行であるシティバンク・コリア・インクおよびスタンダード・チャータード・バンク・コ
リア・リミテッドを含む。)、6つの地方商業銀行、2つのインターネットのみによる銀行ならびに38の外
国銀行の支店および子会社がある。外国の金融機関はその多くが当行よりも幅広い経験およびより多くの財
源を有しており、今後も韓国市場に参入し続け、それら自身によるかもしくは既存の韓国金融機関との提携
による金融商品およびサービスの提供において競合する可能性がある。
当行の伝統的な中核事業である中小企業および個人向け銀行業分野では、競争がさらに激化することが予
想される。近年、当行を含む韓国の銀行は、高い信用格付を有する法人の借り手、担保水準が高いSOHO顧客
に対する貸出、ローン資産価値比率および債務所得比率が規定の限度内である抵当ローンおよび住宅担保
ローンといった質の高い与信に基づく安定的な資産の拡大にますます焦点を当てている。当行は、資産規模
または市場占有率を高めるよりも、収益性を高めることに従来から焦点を当て、引き続き焦点を当てること
にしており、実行可能な範囲で、貸出金利の引下げによる価格競争を避けてきたが、リスクのより少ない資
産に基づく安定的な成長への共通した焦点の移行は、銀行が質の高い同じ限られた与信のプールを求めて価
格競争またはその他の方法により競争することになるため、競争が激化する可能性が高い。さらに、特に低
金利環境が相当長く続くことになれば、かかる競争は正味資金利鞘を縮小させ、全般的な収益性を低下させ
る可能性がある。少なくとも一部には韓国銀行による基準金利が2017年11月に1.25%から1.50%に上昇し、
2018年11月に1.50%から1.75%に上昇したことにより、正味資金利鞘は2017年の1.75%から2018年には
1.81%とわずかに改善し、2019年の間に基準金利が再び上昇した場合、正味資金利鞘はさらに改善する可能
性があるが、市場金利のボラティリティの高まりに加え、個人事業に対する与信審査のガイドラインの追加
実施を含むSOHOへの貸出に関する規制が厳しくなっているため、当行の業績に及ぼす影響へのメリットは少
なくなる可能性がある。したがって、競合する金融機関が貸出金利を下げることで市場占有率の拡大を試み
た場合、特に、主に貸出金利に基づき貸し手を決定する顧客の間で、当行は顧客を喪失する可能性がある。
これに対して、またはその他戦略的な理由により、当行もまた競争力を保つために、貸出金利を引き下げる
可能性があり、これが正味資金利鞘の低下を招き、市場金利の全般的な上昇による正味資金利鞘に対する潜
在的なプラスの影響を相殺して余りある影響を及ぼす可能性がある。当行の顧客基盤もしくは正味資金利鞘
の将来的な減少は、当行の経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
当行の競争相手である金融機関同士の統合および政府の民営化に向けた取組みもまた当行が業務を行う市
場における競争を激化させる可能性がある。2012年のハナ・フィナンシャル・グループによる韓国外換銀行
の買収およびその結果としての2015年9月のハナ銀行と韓国外換銀行との合併を含め、近年、韓国におい
て、当業界でいくつもの重大な合併および買収があった。さらに2014年、政府によるウリィ・ファイナン
ス・ホールディングス(現在はウリィ銀行に合併されている。)およびその旧子会社の民営化計画の実施に
より、ウリィ・ファイナンシャル、ウリィ資産運用およびウリィF&IはKBフィナンシャル・グループ、キウム
証券および大信証券にそれぞれ買収され、ウリィ投資証券、ウリィ・アビバ生命保険およびウリィ金融貯蓄
銀行はNH農協フィナンシャル・グループに買収された。さらに、2014年10月、光州銀行および慶南銀行の持
株会社における政府の所有持分がJBフィナンシャル・グループおよびBSフィナンシャル・グループ(現在は
BNKフィナンシャル・グループ)にそれぞれ買収された。2015年、政府はウリィ銀行における30%から40%の
持分をそれぞれ4%から10%の範囲に分割して複数の投資家に売却することを決定した。2016年12月以降、
韓国預金保険公社は、キウム証券、韓国投資証券、ハンファ生命保険、東陽生命保険、ユージン資産運用、
ミレー・アセット・グローバル・マネジメントおよびIMMプライベート・エクイティを含む7つの機関投資家
との間でウリィ銀行の合計29.7%の持分を複数の投資家に売却する取引を完了した。これらの展開のいずれ
かは、当行を競争上不利な立場にさせる可能性や、新たに再編された事業体のサービス水準を好ましく思わ
ない人々を新たな顧客として獲得したり、資金調達源を多様化するために広範囲な銀行との関係を維持した
いと考える法人顧客に信用ファシリティを提供する機会といった形の当行にとっての潜在的な利益を相殺し
て余りある影響を及ぼす可能性もある。当行は、金融業界におけるかかる統合およびその他の構造上の変更
は続くと予想している。その他の金融機関もその他企業の買収または合併を模索している可能性があり、こ
のような統合により生まれた金融機関は、その拡大した規模と事業範囲によって、当行にとってより厳しい
競争を仕掛けてくる可能性がある。競争の激化および統合の継続により、利幅が縮小し、当行の将来の収益
性に重大な悪影響を与える可能性がある。
韓国の規制改革および事業慣行の全般的な近代化もまた韓国の金融機関の間の競争を激化させている。
2015年7月以来、FSCは韓国金融決済院を通じて、かかるサービスに参加している金融機関(現在は、銀行、
証券会社および郵便局、韓国地域信用協同組合、韓国信協、相互貯蓄銀行および全国林業共同組合といった
その他の金融機関)に口座を保有する者が自動払い口座を検索し、終了し、変更することができる、統合自
動振替管理サービスを提供している。さらに、2016年12月から、FSCは統合口座管理サービスの提供を開始し
た。これにより、そのサービスに参加している銀行に口座を開設している口座保有者は、その銀行口座の詳
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細な情報を検索し、少額の休眠口座(すなわち、過去1年間に取引がなく、かつ残高が500,000ウォン未満の
口座。)を閉鎖し、かかる口座の残高を別の口座に移管することができる。さらに2017年12月、FSCは、消費
者 が、銀行、保険、相互金融、ローンおよびカード発行に関する情報を含む自身の重要な金融口座情報を1
ページにまとめて見ることができる「一目でわかる自分の口座」制度を導入した。「一目でわかる自分の口
座」制度は2016年2月にはモバイル機器でも利用できるようになり、そのサービスの範囲を貯蓄銀行および
証券会社にも拡大した。これらが導入されてから、統合自動振替払管理サービス、統合口座管理サービスお
よび「一目でわかる自分の口座」制度は幅広く受け入れられている。金融部門の改革が継続しているため、
既存の銀行、保険会社、証券会社およびその他の金融機関の間の競争はより激しくなる可能性があり、現在
の韓国の金融市場に著しい変化をもたらす可能性がある。さらに、2018年7月12日に銀行業務の監督に関す
る規則が改正され、2020年1月1日から、個人向け貸出は115%、法人向け貸出(SOHOに対する貸出を除
く。)は85%の異なる比率で預貸率を計算することが規定され、これによって預貸率の計算において個人向
け貸出の影響が強まり、法人向け貸出の影響が弱まることとなった。このことにより、商業銀行間の法人向
け貸出および預金をめぐる競争はさらに激化する可能性があり、その結果、当行は法人向け貸出および預金
を増やし、保持することが困難となる可能性があり、その結果、当行の資金調達コストが増加する可能性が
ある。
さらに、韓国経済がさらに発展し、新たな事業機会が生まれると、より多くの競争相手が金融サービス市
場に参入する可能性がある。例えば、カカオ・コーポレーション、ネイバーおよびサムソン電子といった大
規模な利用者ネットワークを有するオンライン・サービスのプロバイダーならびに技術会社は、一般に
「フィンテック」と称する金融サービスと金融技術との高まるコンバージェンスに基づくシステムを通じた
仮想振込サービスの提供に著しく参入しているため、オンライン顧客をめぐる競争は、商業銀行の間だけで
なく、モバイル支払サービスのプロバイダーも含めて激しくなっている。2015年、政府は、インターネット
のみによる銀行の営業を韓国において許可する計画を発表した。KTコンソーシアムのKバンクが2017年4月
に、カカオ・コンソーシアムのカカオ・バンクが2017年7月にそれぞれ営業を開始した。インターネットの
みの銀行は、人件費および間接費用を節約できる分を預金口座により高い金利を提供し、貸出費用を引下
げ、サービス手数料を抑えることにより顧客に還元することができるため、従来の銀行に対して優位となる
可能性がある。そのため、商業銀行は、物理的な銀行店舗で対面での利用を主とする従来の顧客に比較し
て、成長著しい顧客基盤であるオンライン利用者を惹きつけ、維持するためにそのサービス基盤をアップグ
レードすることへの高まる圧力に直面するであろう。
最近、世界金融危機の後、政府が韓国の金融機関に資産の質、自己資本比率、流動性ならびに住宅および
その他の貸出慣行といった分野においてより厳しい規制上の要件ならびに指針を課したこと(過剰なレバ
レッジを抑制するために2018年1月に導入された、コア資本は合計リスク・エクスポージャーに対して一定
の比率を維持しなければならないとする要件を含む。)は、競争を緩和する効果があった。FSCはバーゼル
IIIの資本要件を実施し、銀行業務の監督に関する規則(改訂済)および銀行業務の監督に関する細則に定め
られるガイドラインに基づき、その最低要件は2013年12月1日から段階的に実施され、2015年1月1日まで
に完全実施された。さらに、FSCは流動性カバレッジ比率および資本保全バッファーに関するバーゼルIIIの
要件を実施しており、2019年1月1日に完全実施されている。FSCは2016年1月1日付で、システム上重要な
銀行の追加資本積立ておよびカウンターシクリカル資本バッファー要件に関するバーゼルIIIの要件を実施し
た。FSCは年ごとに国内の金融システム上重大な影響力(規模およびその他金融機関との関係に基づく)を有
する銀行を国内のシステム上重要な銀行として指定し、以下のうち最も高いものに従い追加資本を積立てる
ことを義務付けることができる。(i)普通株式資本のリスクアセットに対する比率がシステム上重要な評価ス
コアにより、0.0%から2.0%、(ⅱ)銀行の持株会社が国内のシステム上重要な持株会社である場合、金融持
株会社監督規則に基づき銀行持株会社に義務付けられる追加資本に対応する資本比率、または(ⅲ)銀行がま
たバーゼル委員会によって定義されるグローバルなシステム上重要な銀行である場合、バーゼル委員会に
よって義務付けられる資本比率。FSCの指示に従い、当行を含む国内のシステム上重要な銀行は、2016年1月
1日から0.25%の追加的資本バッファーを維持することが義務付けられ、かかる資本バッファーは毎年
0.25%ずつ引上げられ、2019年1月1日に1.00%に達した。FSCはまた、四半期ごとの検討により、銀行が積
立てなければならないカウンターシクリカル資本バッファーの水準を国内総生産に関連する与信の増加程度
といった要因を考慮して、リスクアセットの0%から2.5%の範囲で、決定し、義務付けることができる。し
かし、これらの措置が競争を抑制する効果を有すると保証することはできず、また政府がかかる措置を覆し
たり削減したりせず、その他の規制緩和措置を導入しないと保証することはできず、それにより韓国金融
サービス業界における競争が一層激化する可能性がある。「第2-3 事業の内容-(6)監督および規制-銀
行に適用される主要な規制-自己資本比率」を参照されたい。
マクロ経済環境の変化に適応し、新たな規則を遵守するための当行の取組みにもかかわらず、当行が変化
する事業および規制環境において効果的に競争できなかった場合には、当行の利幅および市場シェアが損な
われる可能性があり、またその将来の成長機会が制限される可能性があり、かかる可能性が当行の事業、経
営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
当行は中小企業への大きなエクスポージャーを有しており、かかる企業が財政困難となった場合、当行の資
産の質が悪化する可能性がある。
当行の中核的銀行業のひとつは従来、そしてこれからも中小企業( 「第2-3 事業の内容-(1) 事業-事
業の概観-当行の主要業務-法人向け銀行業務-中小企業向け銀行業務」において定義される。)に対する
貸出である。当行のかかる企業への貸出(貸倒損失引当金および繰延貸付付帯費用控除前)は、2017年12月
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31日現在で78,556十億ウォンおよび2018年12月31日現在で84,972十億ウォンであり、各日付現在の当行の貸
出ポートフォリオ合計のそれぞれ33.7%および33.6%を占めていた。
より資本が充実し、景気低迷をよりうまく乗り切れる傾向にある大企業に対する貸出または住宅を担保と
する傾向があるために借り手が債務不履行を望まない個人および家計向け貸出に比べ、中小企業への貸出
は、伝統的に比較的延滞率が高い。多くの中小企業は個人事業であったり、比較的限られた供給業者および
顧客に依存する小規模事業であるため、大企業の借り手に比べてより広範囲に韓国および世界経済の変動に
よる影響を受けがちである。さらに、中小企業はしばしば大企業の借り手に比べて財務記録が整っていな
い。そのため、一般に銀行にとってこれらの企業への貸出に付随するリスク水準を判断することは大企業に
比べてより困難である。加えて、多くの中小企業は、主に供給業者として韓国の大企業との事業関係に依存
している。それらの大企業が直面している困難が、当行がエクスポージャーを有する中小企業を含め、関係
する中小企業の流動性および財政状態を悪化させる可能性があり、そしてその結果、その貸出返済能力が損
なわれる可能性がある。韓国の大企業は、人件費およびその他の経費がより安価な中国、東南アジアおよび
その他の国々に引き続き進出しており、生産プラントや設備を移転している。かかる展開は中小企業に重大
な悪影響を及ぼす可能性がある。
とりわけ近年の韓国および世界の経済問題により中小企業が経験している財政上の難題に加え、この部門
への貸出のための近年の銀行の積極的なマーケティングおよび厳しい競争は、当行の保守的な貸出方針によ
り資産の質の悪化に立ち向かう取組みと相まって、当行のこの部門への貸出金の資産の質の変動を招いた。
2017年および2018年12月31日現在の当行の中小企業に対する延滞貸出金はそれぞれ303十億ウォンでおよび
299十億ウォンで、延滞率(償却および売却債権控除後)はそれぞれ0.39%および0.35%であった。韓国または
世界の経済の進行中の困難が継続するかもしくは悪化した場合、当行の中小企業に対する貸出金の延滞率は
上昇する可能性がある。
中でも特に懸念されるのは、不動産およびリースならびに建設業に属する企業に対し当行が有する重要な
エクスポージャーである。2018年12月31日現在の当行の不動産およびリースならびに建設業(その多くは中
小企業)に対する貸出残高(貸倒損失引当金および繰延貸付付帯費用控除前)はそれぞれ25,454十億ウォン
および3,009十億ウォンで、同日現在の当行の貸出ポートフォリオ合計に対する比率はそれぞれ10.1%および
1.2%であった。当行はまた、韓国経済のこれらの部門の借り手に対し、かかる企業のための保証の提供やか
かる企業が発行した債務証券および持分証券の保有といったエクスポージャーも有している。さらに、当行
は造船業および船舶業の借り手に対するエクスポージャーを有しており、これらの産業は今なお重要な方向
転換ができていない。
韓国の不動産開発および建設業に属する企業は住宅市場に激しく集中しており、主に不動産市場を安定さ
せることを企図した政府による政策措置、住宅用不動産の供給過剰、韓国および世界の経済停滞の継続なら
びに韓国の人口構造の変化を含む要因が重なっていることによる近年の緩やかな需要回復にもかかわらず、
不動産需要が減速する中で引き続き困難を経験している。また当行は、不動産プロジェクト・ファイナンス
に対するエクスポージャー、特にソウル首都地域圏外の地方に住宅を建設してきた建設会社による不動産プ
ロジェクト・ファイナンスに対して限定的なエクスポージャーを有している。これらの会社では、その手取
金が建設会社の主要な流動性およびキャッシュフローの重要な資源となっている事前販売の割合が比較的少
なかった。
これらの展開のいずれかにより当行の資産の質が悪化する可能性がある。 「第2-3 事業の内容-(2)資
産および負債の詳細-債務整理および再編手続中の会社に対する信用エクスポージャー」を参照されたい。
当行は、中小企業顧客の延滞を削減するために、貸出申請の検討過程を強化し、問題のある事業部門の借り
手を厳密にモニターするといった方法を含め、積極的な措置を行ってきた。こうした努力にもかかわらず、
特に、韓国経済がさらなる困難に直面し、その結果これらの借り手の流動性およびキャッシュフローが悪化
した場合には、当行の中小企業の延滞率が将来上昇しないと保証することはできない。これらの借り手の延
滞率が著しく上昇することにより、償却が増加し、引当金が増加し、金利および手数料収入が減少すること
になり、当行の事業、財政および経営成績が重大な悪影響を受ける可能性がある。
当行の信用エクスポージャーの限られた部分が、比較的少数の大企業の借り手に集中しており、これらの企
業が将来財政困難に陥った場合、当行に重大な影響が及ぶ可能性がある。
2018年12月31日現在、当行の法人向けエクスポージャー上位10社のうちの2社について当行が主要債権者
銀行であった。10社のうちのすべてがFSS院長により主要債務者グループに特定されていたかまたは特定され
ており、これらは主に「チャボル(財閥)」として知られる最大の韓国商業コングロマリットであった。同
日現在、当行のこれら10社に対するエクスポージャーの総額は18,905 十億ウォンであり、当行のエクスポー
ジャー合計の11.1%を占めた。同日現在、個別ベースの当行の単一最大の主要債務者グループに対するエク
スポージャー残高は4,239十億ウォンで、当行のエクスポージャー合計の2.5%を占めた。「第2-3 事業の
内容-(2)資産および負債の詳細-貸出ポートフォリオ-主な債務者グループに対するエクスポージャー」を
参照されたい。造船業の低迷継続の結果、2013年、韓国の主要なコングロマリットのひとつであるSTXグルー
プの現在および過去の傘下企業が、その信用状況を改善するため、債権者(当行を含む。)と和議の取決め
を締結し、STXグループの傘下企業のうちのSTX造船海洋およびSTX重工業の2社が2016年5月および2016年7
月にそれぞれ法定管理の申立てを行った。建設業界の停滞により、2013年に韓国の大手建設会社である京南
企業は債務整理手続きに入り、2015年3月に再生手続きを申請した。東部製鉄および三府土建もまた著しい
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苦境にあったが、2015年に債務整理または再生手続きを開始した。さらに2015年10月、韓国産業銀行が主導
する大宇造船海洋の債権者はキャッシュ注入および合計4.2兆ウォンの貸出ならびに広範な合理化対策を含む
再 編計画を発表し、2016年11月、韓国産業銀行は1.8兆ウォンのデットエクイティ・スワップを行うことに合
意し、韓国輸出入銀行は1兆ウォンの無期限債券を発行することに合意した。大宇造船海洋の財政状態の悪
化が継続する中で、2017年3月、韓国産業銀行および韓国輸出入銀行はさらに、その他の債権者および社債
権者が一定額のデットエクイティ・スワップおよび満期の延長に合意することを条件として、2.9兆ウォンの
追加貸出および1.6兆ウォンのデットエクイティ・スワップを提供することに合意した。2016年1月には、韓
進重工業が長引く業界の不況に抗えず流動性不足により債権者との間で任意再編契約を締結した。一部には
造船および建設部門に対するエクスポージャーを削減するための積極的な過去の取組みの結果、当行が上記
の問題のある会社に対して現在有しているエクスポージャーは限定的である。しかし、主要債務者グループ
に対するものを含め、当行の大企業に対するエクスポージャーの信用の質が低下した場合は、当行は貸出に
ついてさらなる貸出損失引当金および有価証券に関する減損損失を計上することが必要となる可能性があ
り、これが当行の財務状態、経営成績および自己資本に悪影響を及ぼす可能性がある。当行は、特に経済減
速が長引くか、または繰り返した場合、これらのエクスポージャーに対して設定された引当金がかかるエク
スポージャーから将来発生するすべての損失をカバーするのに十分であることを保証することができない。
当行が信用エクスポージャーを有している限定的な数の主要な債務者グループが引き続き再編プログラム
の対象となっているかまたは対象となっていない場合はその財務状態の改善のために、グループ間貸出の獲
得および資本構成の一層の改善のための契約の締結などの多大な努力をしている。当行の主要な法人顧客が
将来再編の対象とならないと保証することはできず、かかる再生により債権全額の回収ができず、当行に著
しい損失がもたらされないと保証することもできない。さらに、政府が苦境にある会社に対する積極的な再
編政策を推し進めることを決定した場合、当行を含む韓国の商業銀行は延滞率の一時的な上昇や引当金の積
増しに対する圧力の高まりに直面する可能性がある。さらに、財閥グループを含む大企業の破産または財政
困難は、かかる大企業に部品や労働力を供給している中小企業にも波及し、中小企業に対する当行の貸出の
延滞および減損を引き起こすといった悪影響を及ぼす可能性がある。当行が財閥グループを含む大企業に対
するエクスポージャーにより将来損失を受けた場合、当行の事業、財政状態および経営成績に重大な悪影響
を受ける場合がある。
当行の個人向け貸出の資産の質が悪化する可能性がある。
近年、家計および法人化されていない小規模事業向けの貸出を含む消費者債務が韓国において増加し続け
ている。当行の個人向け貸出ポートフォリオはふたつの主要な商品タイプ、つまり、担保付個人向けローン
(主に不動産を担保とする抵当ローンおよび住宅担保ローンからなる。)および一般目的ローン(無担保貸
出で、信用リスクがより高い傾向にある。)からなっている。2018年12月31日現在、当行の個人向け貸出
ポートフォリオ(貸倒損失引当金および繰延貸付付帯費用控除前)は112,698十億ウォンで、貸出残高合計の
44.5%を占めた。2017年および2018年12月31日現在、当行の不良個人向け債権はそれぞれ215十億ウォンおよ
び239十億ウォンで、不良債権比率(償却および売却債権控除後)はそれぞれ0.21%および0.21%であった。
消費者債務に対する当行の大きなエクスポージャーは、当行が韓国の消費者に影響を与える経済状況の変
化にさらされていることを意味している。例えば、韓国における失業率の上昇、金利の上昇または住宅価格
の低下は、消費者の返済能力に悪影響を及ぼし、潜在的な債務不履行の可能性が増加する場合がある。消費
者を苦しめる韓国における経済上の困難により、延滞が増加し、当行の家計向け貸出ポートフォリオの資産
の質が悪化し、そのために当行は貸倒損失および償却のためにさらに多額の引当金の計上を余儀なくされ、
このことが当行の財政状態および経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
当行の今後の業績にとって、流動性、資金調達管理および信用格付は極めて重要である。
金融仲介機関として当行の事業を行うにあたり流動性は不可欠であり、また当行は近い将来、機会があれ
ば流動性ニーズを充足し、規制上の要件を満たし、資本の水準を高め、事業成長に資金を供給するために、
追加の資金調達を行う可能性がある。
例えば、バーゼルIIIは、上記のとおり、流動性リスクの測定、基準およびモニタリングのための国際的枠
組みを含んでおり、これには、銀行が確実に、30暦日続く著しいストレス・シナリオに耐えるために民間市
場で簡単かつ迅速に現金化でき、処分上の制約を受けない高品質な適格流動資産(以下「HQLA」という。)
の十分なストックを有するために作られた流動性カバレッジ比率(以下「LCR」という。)として知られる新
たな最低流動性基準が含まれる。LCRは(a)銀行機関のHQLAの価値を(b)ストレス・シナリオの下での次の30暦
日間の予想合計正味キャッシュアウトフローで除すことにより計算される。最低LCRは100%である。2013年
1月、バーゼル委員会は、バーゼルIIIの一環として2010年12月に承認された2つの量的流動性測定のひとつ
であるLCRの修正公式を発表した。バーゼル委員会はLCRの完全段階的導入のスケジュールを延期し、2015年
1月1日現在の最低LCRは60%に設定され、その後年10%ずつ引き上げて2019年1月1日現在にLCRを100%と
した。2014年12月、FSCは、バーゼルIIIの流動性要件を実施するための規則を公布し、2015年1月1日現在
の最低LCRを80%に引上げ、その後年5%ずつ引き上げて2019年1月1日現在に韓国の商業銀行の最低LCRを
100%とした。
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当行の流動性および資金需要の大部分は、短期顧客預金により手当てされており、かかる預金は通常、満
期になると預け替えられている。当行の顧客の預金量はこれまで一般に安定的であったが、例えば、上げ相
場の時にはその他の高利回りの投資機会(すなわち、株式および投資信託)への人気が高まったことで当行
の 顧客預金が大幅に減少した。このような時期に当行は、高いコストを支払って代替資金調達を行うことが
必要であった。将来、同じような展開が起こらないと保証することはできない。さらに近年、当行は預金商
品に関して競合他社とのますます熾烈な価格競争に直面している。当行が預金顧客に対し競争力ある金利を
提供し続けることができない場合、従来から当行の安定的かつ低コストの資金源であった預金顧客との取引
を失う可能性がある。さらに、当行が競合他社による価格設定に対抗することができたとしても、そのよう
な価格設定を行うことは資金調達コストを引上げる場合があり、当行の経営成績に悪影響を及ぼす可能性が
ある。
また当行は資本市場で資金調達を行い、その他金融機関から借り入れを行うが、そのコストは市場金利や
一般的な信用供与状況に左右され、また配当金を支払ったり、買収を行ったりすることが制限されるほか、
その他の制限条項に服する場合がある。現在当行はいかなる重要な点においても流動性の問題に直面してい
ないものの、理由の如何を問わず、長期間当行が商業上受け入れることが可能な条件で資金調達をできない
場合、当行は財務上の継続性を確保し、規制要件を満たし、当行の戦略を実行し、効果的に競争することが
できなくなる可能性がある。
信用格付は当行が資金調達を可能とする費用とその他条件に影響を及ぼす。国内および国際格付機関は定
期的に当行を評価し、これらの機関による当行の長期債務の格付は、様々な要因(財政力に加え、金融サー
ビス業および韓国経済全般に影響を及ぼす条件を含む。)に基づいている。格付機関が当行の現在の信用格
付および見通しを維持し、また一般的な韓国経済または当行特有の理由に関連して、当行の信用格付および
見通しが引き下げられないと保証することはできない。当行の信用格付および見通しの引き下げにより、資
金調達費用を引き上げ、資本市場へのアクセスおよびその他の借入を制限し、または、金融取引においてさ
らなる信用強化を提供することが要求される可能性が高く、これらのいずれかが当行の流動性、正味資金利
鞘および収益性に悪影響を及ぼす可能性があり、その結果、当行の事業、財政状態および経営成績に悪影響
を及ぼす可能性がある。
金利、外国為替相場、社債および株価ならびにその他の市場要素の変動は、当行の事業、経営成績および財
政状態に影響を及ぼし、これからも影響を及ぼす。
当行が直面する最も重要な市場リスクは、金利、外国為替相場、社債および株価リスクである。金利の水
準、イールドカーブおよびスプレッドの変動は、貸出金と借入金との間で実現した利息マージンに影響を及
ぼす場合がある。特にウォンと米ドルとの間の外国為替相場の変動は、当行の外貨建て資産および負債、当
行の非韓国子会社の報告利益および外国為替取引による収益に影響を及ぼし、為替相場の大幅かつ急速な変
動により、当行にとってコマーシャルベースで受け入れ可能な条件で国際金融市場で外貨建ての資金調達を
行うことが困難となる場合がある。金融市場のパフォーマンスは社債および株価に影響を及ぼす場合がある
ため、当行の投資およびトレーディング・ポートフォリオの価値変動が生じる場合がある。当行は、これら
の市場リスクおよび当行がさらされているその他の市場リスクを緩和し、抑制するためにリスク管理システ
ムおよびリスク閾値を実行しているものの、経済または市況の変化を正確に予測し、かかる変化が当行の事
業、財政状態および経営成績に及ぼす影響を予想することは困難である。
金利の変動が当行の資産負債構成のミスマッチその他の要因により当行の正味資金利鞘を悪化させる可能性
があり、かかる悪化が当行の資産の質および収益性に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
2009年以来、韓国はその他の多くの国々と同様に、一部には政府による積極的な金利引下げ措置を通じて
経済を刺激しようとする政策により、幾分のわずかな変動はあるものの低金利の状況が続いている。2009年
から2014年の間、韓国銀行により設定される基準金利は2.00%から3.25%の範囲であった。最近の韓国の成
長の減速および不確実な世界経済の見通しに鑑み、韓国銀行は2015年3月に基準金利を1.75%に引下げ、
2015年6月に1.50%に引下げ、2016年6月にさらに歴史的な低金利である1.25%に引下げた。
2017年11月、韓国銀行は基準金利を1.50%に引上げた。これは2011年以来初めての基準金利の引上げで
あった。そして2018年11月にはさらに1.75%に引上げた。金利の動向は、規模および時期ならびに当行の資
産および負債に対するそれらの相対的な影響という点で、当行の正味資金利鞘および収益性、特にかかる金
利動向に敏感な金融商品に関して著しい影響を及ぼす。例えば、当行の貸出(資産として計上される。)に
適用される金利が、預金(負債として計上される。)に適用される金利よりも遅い速度もしくはより小幅に
上昇したなら、正味資金利鞘は縮小し、収益性はマイナスの影響を受ける。さらに、変動金利の貸出および
預金の相対的な規模および構成もまた(固定金利の貸出および預金に比較して)、正味資金利鞘に影響を及
ぼす場合がある。さらに、当行の利付資産(主に貸出)と有利子負債(主に預金)を比べたときの平均的な
金利改定の頻度の違いが当行の正味資金利鞘に影響を与える場合がある。例えば、当行の預金の期間が平均
して貸出の期間よりも長い傾向にあるため、当行の預金は、当行の預金および貸出の金利が連動する傾向に
ある基準金利の動向に対して平均して感応度が低く、そのため、基準金利の引下げは、当行の正味資金利鞘
を減少させる傾向にあり、一方、基準金利の引上げはその反対の効果を有する傾向にある。当行は継続的に
その資産および負債の金利変動に対するエクスポージャーを最小限にするよう管理しているものの、当行に
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よるかかる取組みが金利変動に対するエクスポージャーを適時にかつ効果的に緩和することができない場合
があり、当行の正味資金利鞘、ひいては当行の財政状態および経営成績が著しく悪化する場合がある。
当行は、政府が将来、市場金利と深く関わっている基準金利をいつ、どの程度調整すると断言することは
できない。基準金利の調整の決定には、とりわけ、経済全般のサイクル、インフレ水準、他国の金利および
為替レートを含む多くの政治的配慮ならびに市場の要因の影響を受ける。一般に、当行の資産および負債は
上記のとおり様々な満期構成であるため、金利の引下げは当行の受取利息に悪影響を与える。反対に、金利
が著しくまたは持続的に上昇したなら、すべての他の条件が同じであれば、かかる変動により取引されてい
る債務証券の価格は下落し、当行の資金調達コストが引き上げられる一方で、特に個人顧客による借入需要
が後退する。それゆえ、金利の上昇により、当行は資産負債管理の潜在的なミスマッチのリスクを最小限に
抑え、収益性を維持するために、当行の資産および負債のリバランスが求められることになる。さらに、金
利水準の上昇は、韓国経済および当行の個人および企業の借り主の財政状態に悪影響を及ぼす可能性があ
り、その結果、当行の信用ポートフォリオの資産の質を悪化させる可能性がある。当行の法人向けおよび個
人向け貸出の大半は、一般的な市場相場に基づき適用金利が定期的に調整されているため、金利水準の継続
的な上昇により、当行の借り手の資金調達費用を増加させ、借入残高に対する支払能力に悪影響を及ぼす可
能性がある。
当行は最低所要水準を上回る自己資本比率を維持することが要求されており、維持できなかった場合には、
当行の事業の一部または全部が停止することがある。
当行は韓国の他の商業銀行と同様、規定の自己資本比率を維持することが要求されている。例えば、2015
年1月1日から、当行は普通株式等Tier I自己資本比率を最低4.5%、Tier I自己資本比率を最低6.0%に維
持し、合計資本(BIS)比率を最低8.0%に維持することを要求されている。これらの比率は連結ベースによ
るそれぞれの規制上の自己資本のリスクアセットに占める割合として測定し、FSCの指針に基づき決定され
る。さらに下記に詳述するように、当行はまた国内のシステム上重要な銀行として資本保全バッファーおよ
び追加資本を維持しなければならず、カウンターシクリカル資本バッファーの維持も義務付けられる可能性
がある。2018年12月31日現在、当行の普通株式等Tier I自己資本比率、Tier I自己資本比率および合計資本
(BIS)比率は連結ベースでそれぞれ12.89%、13.29%および16.03%であった。
現在、当行は要求される規制上の最低水準を上回って自己資本比率を維持しているものの、リスクのある
資産および引当金費用の増加、不良債権の処分に関する代替費用、有価証券ポートフォリオの価額の減少、
外国為替相場の悪化、自己資本比率要件、自己資本比率の算出に関する指針もしくはFSCの指針の基本となる
バーゼル委員会により定められた枠組みの変更、または当行の資産の質もしくは株式資本に影響を及ぼすそ
の他の悪変化を含むいくつもの理由により自己資本比率要件を継続的に満たすことができない可能性があ
る。
2010年12月、バーゼル委員会は(i)より回復力のある銀行および銀行制度のための世界的な規制枠組みおよ
び(ⅱ)流動性リスク測定、基準および監視のための国際的な枠組みに関する最終規則を発行し、これらは、
通常「バーゼルIII」と総称される。バーゼルIIIに基づき、Tier I資本は普通株式等Tier I自己資本および
追加的Tier I自己資本を含むと定義される。普通株式等Tier I自己資本は、主に普通株式、資本剰余金、利
益剰余金およびその他包括利益(数年間にわたり資本比率の計算に段階的に組み込まれる。)からなる新た
な資本区分である。普通株等Tier I自己資本比率の最低要件を4.5%および追加的強制資本保全バッファー要
件を2.5%とすることを含む新たな最低資本要件が、2019年1月1日現在で完全実施されている。追加的な任
意のカウンターシクリカル資本バッファー要件は段階的に実施される予定で、リスクアセットの0%から
2.5%の範囲で、国家の監督機関の裁量により定められる。バーゼルIIIはまた最低レバレッジ比率要件を導
入した。2017年12月7日、バーゼル委員会はリスクアセットの計測のためのいくつかの重要な方法論を最終
化した。この改定には、信用リスクの標準的手法、オペレーショナル・リスクの標準的手法、信用評価調整
(CVA)リスクの枠組みの改訂および内部モデル手法の使用の制限が含まれる。バーゼル委員会はまた、これ
までに、カウンターパーティ信用リスクの改訂標準化モデル、セキュリタイゼーションの枠組みの改訂およ
びトレーディング勘定の抜本的見直しを最終化し、これにより、市場リスク測定のモデル手法および標準化
手法の双方をアップデートしている。かかる改訂はまた、資本フロアを改訂標準的手法に基づく合計リスク
アセットの72.5%に設定することを含んでおり、これにより、銀行が内部モデル手法の利用によりリスクア
セット水準を引下げることができる範囲を制限する。
韓国でバーゼルIIIの資本要件を実施するために銀行業務の監督に関する規則が改訂され、2013年12月1日
に施行された。改訂された銀行業務の監督に関する規則に基づき、2015年1月1日から、韓国の商業銀行は
最低普通株式等Tier I自己資本比率4.5%、最低Tier I自己資本比率6.0%および最低総自己資本比率(BIS比
率)8.0%を維持しなければならない。バーゼルIIIに基づく流動性カバレッジ比率要件を実施するため、
2014年12月26日付で銀行業務の監督に関する規則が再度改訂され、流動性カバレッジ比率の最低要件は2015
年1月1日現在の80%から毎年5%ずつ引上げられ、2019年1月1日現在には100%とされた。資本保全バッ
ファー要件もまた2016年1月1日から段階的に実施され、毎年0.625%ずつ引上げられ、2019年1月1日には
韓国の商業銀行は2.5%の資本保全バッファーを維持しなければならない。商業銀行がかかる資本保全バッ
ファー要件を維持できない場合、かかる銀行は配当金分配や自己株式買入れといったその利益の用途に関し
一定の制約を受けることとなる。FSCは2016年1月1日付で、システム上重要な銀行の追加資本積立ておよび
カウンターシクリカル資本バッファー要件に関するバーゼルIIIの要件を実施した。FSCは年ごとに国内の金
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融システム上重大な影響力(規模およびその他金融機関との関係に基づく)を有する銀行を国内のシステム
上重要な銀行として指定し、以下のうち最も高いものに従い追加資本を積立てることを義務付けることがで
き る。(i)普通株式資本のリスクアセットに対する比率がシステム上の重要性評価スコアにより、0.0%から
2.0%、(ii)銀行の持株会社が国内のシステム上重要な持株会社である場合、金融持株会社監督規則に基づき
銀行持株会社に義務付けられる追加資本に対応する比率、または(ⅲ)銀行がまたバーゼル委員会によって定
義されるグローバルなシステム上重要な銀行である場合、バーゼル委員会によって義務付けられる資本比
率。新韓フィナンシャル・グループおよび当行は、2018年および2019年に国内のシステム上重要な銀行持株
会社および国内のシステム上重要な銀行にそれぞれ選ばれている。FSCの指示に従い、当行を含む国内のシス
テム上重要な銀行は、2016年1月1日から0.25%の追加的資本バッファーを維持することが義務付けられ、
かかる資本バッファーは毎年0.25%ずつ引上げられ、2019年1月1日に1.00%に達した。FSCはまた、四半期
ごとの検討により、銀行が積立てなければならないカウンターシクリカル資本バッファーの水準をGDPに対す
る与信の増加程度といった要因を考慮して、リスクアセットの0%から2.5%の範囲で、決定し、義務付ける
ことができる。2016年3月から、FSCは0%のカウンターシクリカル資本バッファー要件を維持しており、
2019年第1四半期も0%のカウンターシクリカル資本バッファー要件を維持した。さらに、銀行業務の監督
に関する規則は2019年中に改正され、個人向け部門の与信増加に特に対処するために追加的カウンターシク
リカル資本バッファー要件が導入される予定である。これは、与信の増加が一般に国内総生産に相関して増
加する程度を考慮する既存の一般的なカウンターシクリカル資本バッファー要件に追加される別の要件であ
る。銀行業務の監督に関する細則もまた2018年6月30日に改正され、FSSが韓国の銀行のリスク管理制度を評
価する際の追加基準として「個人向け部門のリスク集中」が加えられた。
当行は現在、バーゼルIIIを完全に遵守しており、また2013年12月のその導入以来、完全に遵守してきた。
しかし、当行がバーゼルIIIの要件を遵守し続けることができると保証することはできない。バーゼルIIIに
基づく新要件が将来、当行の信用リスクに対する自己資本要件の引き上げを要求する可能性があり、それに
より当行は資産の質を改善するか、もしくは追加の資本金を調達するかのいずれかを要求される場合があ
る。さらに、当行の自己資本比率が所要水準を下回った場合、FSCは警告から業務停止または事業免許取消し
までの範囲の罰則を課す場合がある。所要水準を上回る自己資本比率を維持するために、当行はエクイティ
ファイナンスを通じて追加的な資本を調達することが要求される場合があるが、商業上有利な条件でかかる
調達を行えると保証することはできず、例え成功した場合においても、このような資金調達法が、当行の株
主に対しその持分について希薄化効果を有する可能性がある。
当行の貸出を担保する担保物件の価値が下落するかまたは当行が担保価値の全額を実現できなければ、当行
の信用ポートフォリオが悪影響を受ける可能性がある。
当行の抵当ローンおよび住宅担保ローンの大半は、借り手の住宅、その他不動産、その他証券および保証
(主に政府およびその他金融機関により保証されたもの)により担保されており、当行の法人向け貸出の大
部分は、不動産などにより担保されている。担保された当行の貸出(貸倒損失引当金および繰延貸付付帯費
用控除前)は、2018年12月31日現在、112,236十億ウォン(ローン総額の48.7%)である。当行は担保価値が
将来著しく下落しないと保証することはできない。当行の抵当ローンおよび住宅担保ローンの一般的な方針
は、政府により実施されるローン資産価値比率、債務所得比率および債務返済比率の上限の要件を充たすこ
とを条件に、担保物件の鑑定評価額の45%から82%までを上限として貸出を行い、かかる担保を定期的に再
評価することである。政府により実施されるローン資産価値比率およびその他の要件の説明については、
「第2-3 事業の内容-(1) 事業-事業の概観-個人向け銀行業務-個人向け貸出業務」を参照のこと。し
かし、韓国の不動産市場が低迷した場合、担保物件の価値が抵当ローンの残存元本額を下回る水準まで下落
する可能性がある。かかる担保された抵当ローンの借り手は、かかる返済の担保要件を満たすことができな
ければ、かかる抵当またはローンの全部もしくは一部の返済もしくは担保物件の売却を迫られる場合があ
り、かかる売却は、不動産全般の価格のさらなる低下を招く可能性があり、担保価値のさらなる低下により
その他の借り手の連鎖反応の引き金となる可能性がある。不動産価格が下落すれば、当行の抵当ローンおよ
び住宅担保ローンを担保する担保物件の価値の下落を招き、それにより担保価値が当行の有担保貸出にかか
る回収不能額を補填するのに十分ではなくなる可能性がある。当行の貸出を担保する不動産またはその他の
担保物件の価値が下落するか、またはこのような下落に際して追加の担保を入手できなければ、当行の資産
の質の悪化を招き、当行は貸倒引当金をさらに積み増す必要に迫られる可能性がある。韓国では、担保権の
実行には、一般に韓国の裁判所に書面で申立てを行うことが要求される。韓国での担保権実行手続は、通
常、担保の性質にもよるが開始から回収まで10ヵ月から14ヵ月を要し、申請が行われた場合、遅延や行政上
の要件による制約を受けることがあり、これによりかかる担保に関する実現価値が低下する可能性がある。
数ある要因の中でも、担保権実行手続の遅れおよび担保権にかかる対抗要件の不備ならびに担保価値の全般
的な下落により、当行が担保価値全額を実現できると保証することはできない。当行が予測される担保価値
を回収できなければ、当行は著しい損失を被る可能性がある。
当行の不動産融資に関して受けた保証は、十分な補償を与えない可能性がある。
当行は、単独でまたはその他の金融機関と共に、不動産開発プロジェクトに対する融資を行っており、か
かるプロジェクトは主に共同住宅建設に集中している。韓国のディベロッパーは、土地を取得し、関連プロ
ジェクト開発費用を支払うために一般にプロジェクト・ファイナンスを用いる。市場慣行として、当行を含
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むプロジェクト・ファイナンスの貸し手は概して、ディベロッパーが小企業でレバレッジが高いことが多い
ため、総合建設請負業者からディベロッパーによるプロジェクトの完了について履行保証を、また建設発注
を 確保するためにディベロッパーにより設立された特別目的融資ビークルにより資金調達された借入金につ
いて支払保証を受ける。当行は、特に韓国不動産市場の不振が継続する中で、その不動産プロジェクト融資
関連のエクスポージャーを積極的に管理し、減少させてきた。2018年12月31日現在、当行の不動産プロジェ
クト・ファイナンス関連エクスポージャーの残高合計は2.2兆ウォンであった。しかし、当行の既存の不動産
開発プロジェクトへの貸出について債務不履行が著しく増加し、総合建設請負業者が当行の融資額をカバー
するのに必要な保証金額を支払わない場合、当行の事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性
がある。
当行の保証および手形引受に係る求償資産の質の悪化は、当行の財政状態および経営成績に重大な悪影響を
及ぼす可能性がある。
当行は、通常の銀行業務において様々な約定を交わし、また保証および手形引受の形で一定の偶発債務を
負担する。当行が保証の受益者に対して、保証を行った借り手が関連債務証書の条項に従い支払期日に支払
を怠ったためにその受益者に生じた損失を補償するために特定の支払を行うべきことを定めた契約である金
融保証は、当初その公正価値で計上され、かかる当初公正価値は金融保証の年数にわたって償却される。そ
の他の保証は当行の財務書類に対する注記においてオフバランスシート項目として記録され、当行が支払い
を確認した保証は手形引受となり、財政状態計算書に計上される。2018年12月31日現在、当行は15,522十億
ウォンの保証および手形引受を有しており、損失引当金105.5十億ウォンを引当てた。
当行の保証および手形引受の裏付資産の質が著しく悪化した場合には、当行の引当金はこれらの負債によ
り生じる実際の損失を補填するためには十分ではない可能性がある。
当行は市場変動により、投資またはそれよりも程度は少ないもののトレーディング業務により、著しい損失
を被る場合がある。
当行は、「第2-3 事業の内容-(1)事業-事業の概観-その他銀行業務」の「財務」および「証券投資
およびトレーディング」に記載するとおり、主に当行の資金運用および投資業務を通じて、確定利付商品に
おいて大きな投資ポジションを有し、また、これを維持する。また当行は、銀行業務の一環として、株式お
よび株式連動型証券およびデリバティブ金融商品を含むより小さなトレーディング・ポジションを維持して
いる。これらのポジションを取ることで、金融市場の動向およびトレンドについての評価が必要となる。当
行がこれらのポジションおよび関連取引の多くから得る収入および利益は、市場価格に依存しているため、
当行の支配が及ぶものではない。当行が債務証券または持分証券といった資産を保有しているときに、例え
ば市場金利もしくは株式相場指数の変動に伴い時価が下落した場合、それにより当行はトレーディング損失
および評価損失を被る場合がある。市場価格が当行が予想していない方向に動いた場合、損失を被る場合が
ある。さらに、市場が変わりやすく、価格が急激な変動を伴う場合、実際の市場価格は当行の評価とは逆の
動きをする場合があるため、収入または利益が予想を下回る可能性があり、関連取引およびポジションに関
しては損失を伴うことさえある。
当行の手数料ビジネスから損失が生じる場合がある。
当行は、手数料ビジネスの提供を行い、またこれを提供する範囲を拡大しようとしている。株式市場の低
迷は、主として当行がその顧客のために実行する取引額の減少につながり、その結果、非金利収益の減少を
もたらす。さらに、当行が顧客ポートフォリオを管理するための報酬は多くの場合、資産運用額に基づくた
め、株式市場の低迷が顧客ポートフォリオの価値を引き下げる影響や、解約金額の増加により、当行が信託
勘定管理およびその他勘定管理サービスから受取る報酬を一般に引き下げることとなる。市場が低迷しない
場合でも、当行の様々な勘定サービスの実績が株価実績を下回った場合には、解約の増加およびキャッ
シュ・インフローの減少をもたらす可能性があり、その結果、これらの業務から当行が受領する収益額が減
少する可能性がある。さらに、長引く資産価格の下落により、当行が保有する資産の流動性が低下する可能
性があり、時宜を得たやり方もしくはコマーシャルベースで合理的な価格で悪化しているポジションを処分
または売却できない場合には、重大な損失を被ることになる。
当行はカウンターパーティー・エクスポージャーに伴う損失を被る場合がある。
当行は、契約相手が当行に対する契約義務を履行できないというリスクに直面している。これらの当事者
は、破産、流動性不足、経営上の失敗またはその他の理由により、当行に対する義務を履行しない可能性が
ある。このリスクは例えば、契約相手が当行に対し支払義務を有するスワップまたはその他のデリバティブ
契約や、契約相手によるノンデリバリーまたは決済代理人、取引所、手形交換所もしくはその他金融仲介業
者によるシステム障害により、要求される時期に決済できない通貨またはその他取引を実行する際に生じる
可能性がある。カウンターパーティー・リスクが現実となった場合、当行の事業、経営および財政状態に悪
影響を及ぼす可能性がある。
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当行のリスク管理政策および手続は、常に十分な効果が現われない場合がある。
通常の当行の事業において、信用リスク、市場リスクおよびオペレーショナル・リスクといった数々のリ
スクを管理しなければならない。当行は、集中リスク管理組織および信用評価システム、報告および管理シ
ステム、早期警告システムならびにその他のリスク管理インフラを包含する包括的なリスク管理プラット
フォームを通じて、様々なリスク管理戦略および技術を用いて、リスク・エクスポージャーを監視し、管理
している。「第2-3-(3) リスク管理」を参照されたい。当行はリスク管理政策および手続を発展させ、
改善するために重要な資源を注ぎ込み、今後も引き続きそのようにする予定であるが、当行のリスク管理慣
行は、あらゆる市場環境におけるリスク・エクスポージャーまたはあらゆる種類のリスク(未確認または予
期せぬリスクを含む。)を常に除去または緩和する上で十分に効果的でない場合がある。例えば、過去に当
行の限られた人数の従業員は、当行のリスク管理制度により発見されるまでに、長期間かなりの額を着服し
ていたことがあった。こうした出来事に対応して、当行はとりわけ、リアルタイムでの監視制度を実施する
ことで内部統制手続を強化してきたが、このような措置が将来、従業員による類似の不正行為を防止する上
で十分であると保証することはできない。信用リスク、市場リスクおよびオペレーショナル・リスクの管理
には、とりわけ多数の取引および事象を適切に記録し、検証するための方針と手続が必要とされるため、当
行はこういった方針および手続により当行が直面するあらゆるリスクに対して常に十分な有効性を有するこ
とを保証することはできない。
2018年1月1日を施行日とする韓国IFRS第1109号の実施により、2016年および2017年12月31日に終了した年
度の当行の過去の財務情報の一部は2018年1月1日以降の当行の財務情報と直接比較することができない。
2018年1月1日を施行日として、韓国IFRS第1109号「金融商品」が韓国IFRS第1039号の従来のガイダンス
と完全に取り替わった。韓国IFRS 第1109号 の採択後、当行は、対応する過年度の数値の修正再表示を要する
ことなく、2018年1月1日からその金融商品の一部を再分類および再測定(減損測定を含む)することが義
務付けられている。韓国IFRS第1109号に従い認められた採択方法に基づき、当行は、新たな帳簿価額と元の
帳簿価額との差を利益剰余金として認識する場合、対応する過年度の数値の修正再表示を要することなく
2018年1月1日からの資本を調整することが認められている。2018年1月1日現在の新たな帳簿価額と元の
帳簿価額との差は123十億ウォンであった。当行は、韓国IFRS第1109号の実施により影響を受けた数値の修正
再表示を求められていないため、2016年および2017年12月31日に終了した年度の当行の過去の財務情報の一
部は2018年1月1日以降の当行の財務情報の対応する数値と直接の比較ができない。そのため、投資家は
2018年1月1日以降の財務数値を2018年1月1日より前の財務数値と比較する際ならびに当行の財政状態、
経営成績および実績を評価する際には注意しなければならない。韓国IFRS第1109号の採択に関する詳細につ
いては、「第3-3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析-重要な会計方
針- 最近の会計方針の変更」および「第6-1 財務書類」に記載される当行の連結財務書類に対する注記2
を参照のこと。
韓国IFRS第1109号の実施により、当行の貸出ポートフォリオおよびその他の金融商品の予想信用損失をカ
バーするために減損損失引当金が増加する可能性があり、当行の損益のボラティリティが高まる可能性があ
る。
韓国IFRS第1109号の採択後、貸出金、負債性商品、リース債権、契約上の資産および金融保証契約につい
ての従来のガイダンスに基づく「発生損失」モデルは、将来予測的な「予想信用損失」モデルに取り替わっ
たため、減損損失は、従来のガイダンスに基づき発生損失モデルを用いる場合よりも、より早い時期に、よ
り将来予測的な基準に基づき、かつより広範な金融商品について認識されるようになる。従って、2018年1
月1日現在、韓国IFRS第1109号の採択により、当行の信用損失引当金は1,676十億ウォンから2,059十億ウォ
ンに増加した。 韓国IFRS第1109号はまた、従来のガイダンスと比較して、金融資産を償却原価またはその他
包括利益を通じた公正価値で測定する追加要件を導入したため、損益を通じた公正価値で測定される金融資
産の比率が潜在的に増加し、これにより当行の損益のボラティリティが高まった。 韓国IFRS第1109号の採択
に関する詳細については、「第3-3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分
析-重要な会計方針- 最近の会計方針の変更」および「第6-1 財務書類」に記載される当行の連結財務書
類に対する注記2を参照のこと。
労働不安が当行の事業に悪影響を及ぼす可能性がある。
2018年12月31日現在、9,302名の従業員が労働組合の組合員であり、現在まで当行は従業員との関係におい
て、重要な困難な状況を経験していない。しかし、韓国金融業界または韓国経済のその他部門における著し
い労働不安が、当行の事業活動ならびに当行の多くの顧客の事業活動およびその借入の返済能力に悪影響を
及ぼす可能性があり、また韓国企業一般の財政状態に影響を及ぼす可能性がある。こうした状況が、当行の
事業、財政状態、経営成績および自己資本比率に悪影響を及ぼす可能性がある。
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2018年2月28日、国会は労働基準法を改正する法案を可決した。かかる改正により、従業員の労働時間の
上限が週68時間から週52時間に引下げられ、労働時間の上限にかかる規制を免除される特殊産業の数が著し
く減る。改正労働基準法に基づく新たな労働時間の上限による規制は、2018年7月1日から従業員数300人以
上 の事業所を対象とし、2020年1月1日から従業員数50人以上の事業所を対象とし、さらに2021年7月1日
から従業員5人以上の事業所が対象となる。改正労働基準法の当行に対する影響がある場合、どのような影
響を受けるかは不明確であり、当行の経営成績および財政状態に重大な影響を及ぼさないと保証することは
できない。I
当行は当行の情報技術システムに関する混乱、遅延およびその他の困難に遭遇する可能性がある。
当行は、広範な金融サービスならびに当行の日常業務(請求、オンラインおよびオフラインによる金融取
引の決済ならびに記録保管を含む。)を継ぎ目なく提供するために情報技術システムに依存している。また
当行は、特に技術の進歩によるサイバー・セキュリティ・リスクの高まりに照らして、顧客データの共有関
連およびその他の顧客関係管理システムを含む当行のグループ全体の情報技術システムを継続的にアップグ
レードし、かつアップグレードのために莫大な支出を行っている。しかし、当行の最高の取組みにもかかわ
らず、当行は、当行の情報技術システムに関する混乱、遅延、サイバーもしくはその他のセキュリティ侵害
またはその他の困難に直面する可能性があり、現在計画した通りに当行のシステムを時宜更新することがで
きない場合がある。特に当行の顧客が、当行が最高のセキュリティ・システムを提供しておらず、当行の情
報技術システムの障害を適時にかつ完全に修正できないと認識している場合、これらの展開のいずれかが、
当行の事業に悪影響を及ぼす可能性がある。
当行の事業活動はサイバー・セキュリティ・リスクにさらされている。
当行の事業活動は、増加するサイバー攻撃のリスクにさらされており、今後も引き続きさらされる。また
その性質は引き続き進化している。サイバー・セキュリティ・リスクは、システム全体の「ハッキング」ま
たはその他の手段を通じた、パスワードや口座情報を含む社外秘のセンシティブな顧客情報への権限のない
アクセスおよびその不正な利用を含んでいる。様々な種類の金融取引をインターネットや携帯電話による銀
行サービスに依存する顧客の数がますます増加したことにより、一般にサイバー・セキュリティ・リスクは
ますます高まっている。当行は暗号およびその他のセキュリティ・プログラムにより顧客データを油断なく
保護し、サイバー攻撃による一層の脅威に立ち向かうためのシステムの構築およびアップグレードならびに
防御策に多額の投資を行ってきたが、かかるデータが将来のセキュリティ侵害を受けないと保証することは
できない。さらに、当行の従業員、外部コンサルタントもしくはハッカーその他による不正行為により、当
行が顧客情報の漏えいまたはその他のセキュリティ侵害を経験しないと保証することはできない。
例えば、2013年3月、韓国の主要な放送ネットワークおよび金融機関のセキュリティ・システムに対する
未確認の発信源による大規模なサイバー攻撃により、当行のオンラインによる金融サービスの提供に一時的
な障害が発生した。当行のオンラインによる金融サービスにおける障害は約90分間続いた後にさらなる異常
はなく再開した。FSSはこの事件について調査を行い、当行がその情報技術管理アカウントおよびワクチン・
サーバーのメンテナンスを適切に行っていなかったことが判明した。その結果、2013年12月に、FSSは当行に
対し機関注意(機関警告の繰り返しとは異なり、重大な制裁に引上げられることはない。)を通知し、当行
従業員の5名に対し、懲戒処分を課した。当行は、かかる事件が顧客情報もしくはその他のセンシティブな
情報の重大な損失もしくは漏えいをもたらしたとは考えていない。
韓国および世界中の主要な金融機関はまた過去に大規模な情報漏洩の被害を受けた。2013年12月、韓国の
スタンダード・チャータード・バンクおよびシティバンクの約130,000件の個人情報が漏えいしたと報道さ
れ、かかる漏えいは、スタンダード・チャータード・バンクでは第三者の委託業者によるもので、シティバ
ンクでは従業員によるものであった。さらに2014年1月、韓国のNHカード、ロッテ・カードおよびKBカード
の約100百万の顧客の個人情報が漏えいしたと報道され、かかる漏えいはこれらのクレジットカード会社3社
の情報技術プログラムの開発中に、第三者の信用情報会社の従業員によるかかる情報への不正なアクセスに
より発生した。2017年、米国の信用情報会社であるエキファックス・インクは、143百万人を超える個人情報
の侵害を受けたと報じられた。
上記の2013年3月のサーバー・セキュリティ攻撃を除き、類似する大規模な顧客情報の漏洩を含め、当行
はこれまで重大なセキュリティ侵害を経験していない。顧客情報およびその他の専有情報に関するセキュリ
ティ侵害のリスクを最小限に抑えるために、当行は最高クラスの情報セキュリティ・システムの採用および
実施ならびに内部統制手法の強化といった一連の予防措置を取ってきた。当行はサイバー・セキュリティお
よび消費者保護措置を最高水準に維持し、これらを継続的にアップグレードすることに全力を尽くしてい
る。当行はISO 27001の認証を受けたセキュリティ管理システムを実施し、情報セキュリティ管理システムの
認証を取得した。当行はかかる認証は当行が国際的なセキュリティ事項に関し最高の種類の国際的な水準を
遵守していることが第三者により証明されたことを示していると考えている。当行のセキュリティ管理シス
テムは潜在的なサイバー攻撃の兆候を継続的に監視し、当行が素早く対処できるよう早期警告を提供するよ
うに設計されている。従業員による意図的および偶発的なセキュリティ問題を防止するために、当行は違反
モニタリング・システムを創設し、様々な脅威のシナリオを先制的に識別し、セキュリティ違反の可能性を
迅速に識別できる様々な種類のデータを収集および分析することにより、セキュリティ対策を強化した。さ
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らに、当行はハッキングその他のサイバー脅威に対応する継続的なセキュリティの研究開発システムを構築
するため、新たな情報セキュリティ研究所を設立した。これらの対策を通じて、当行は最近のセキュリティ
脅 威に対応するために必要な技術力を開発中である。当行はまたサイバー・セキュリティについての集中的
な従業員研修を情報技術担当者およびその他の従業員に対して行い、強制ウェブサイト認証およびキーボー
ドによるセキュリティ機能といったオンライン金融サービスの先進的なセキュリティ・インフラ(非常に優
れた情報セキュリティの専門家チームの雇用を含む。)を採用している。さらに、定期的な監査および外部
の専門家によるシミュレーションレビューによりシステムの見直しが行われる。さらに、適用ある規則を遵
守し、当行は最高10十億ウォンのサイバー・セキュリティ侵害を対象とする保険に加入している。さらに、
金融サービスへのアクセスにモバイル機器の利用が拡大していることを鑑み、当行は、安全なモバイル・バ
ンキング・サービスの提供に加え、顧客データの不法な漏えいおよび共有を防止し、顧客のプライバシー保
護を強化するためのセキュリティ措置(暗号化およびサービス端末監視を含む。)を実施している。
当行はまた、セキュリティ侵害により生じることのある訴訟リスクおよび規制上の制裁リスクを強く認識
しており、安全かつ優れた管理者としての能力を最優先で強化する文化を積極的に強調している。さらに、
当行は実際の金融詐欺および潜在的な金融詐欺に関して規制当局により推奨され、または義務付けられる防
御その他の措置の実施を積極的に行っている。しかし、技術の進歩およびその他の理由により、サイバー・
セキュリティの脅威の性質は予測不可能に、かつ継続的に進歩しているため、当行が最高のサイバー・セ
キュリティ・システムを最善の努力をもって維持しているにもかかわらず、当行が将来重大なサイバー・セ
キュリティ攻撃を受けないと保証することはできない。
公衆はその個人情報を秘匿することの重要性についてますます認識を高めており、金融規制当局が金融
サービス提供者による個人情報保護により重点を置くようになっている。例えば、2017年10月に直近の改正
が行われた個人情報保護法に基づき、その他の法令により特別に住民登録番号の管理を要請もしくは許可さ
れない限り、金融機関は個人情報管理者として、その顧客の住民登録番号を取得し、保管し、維持し、利用
もしくは提供してはならない。さらに、2018年12月に直近の改正が行われた信用情報の利用および保護法に
基づき、金融機関には信用情報、つまり、金融取引およびその他の取引の相手方の信用評価に必要な重要な
情報を保護するより厳しい義務がある。かかる規則は金融機関によるかかる情報のその関連会社もしくは持
株会社への移転または提供をかなり制限し、かかる情報の漏洩について金融機関に対し3倍の損害賠償を課
すことができる。さらに、2017年4月に直近の改正が行われ、2017年10月に施行された電子金融取引法に基
づき、金融機関は、例えかかる違反がその金融機関に直接起因しない場合でも、金融機関のサイバー・セ
キュリティ違反による被害を受けた顧客に対する補償に主たる責任がある。当行は、当行の顧客情報に関
し、情報保護についての法令を確実に遵守するよう緊密に監視する統合システムを維持している。
当行に関し、サイバーまたはその他のセキュリティ侵害が発生した場合、その被害を受けた顧客もしくは
第三者による訴訟(集団訴訟を含む。)、サイバー・セキュリティ攻撃の被害者が被った損失の補償、風評
悪化、顧客喪失、規制当局による検査および制裁の強化、現在および将来の規制上の制限のより厳密な遵守
ならびに情報セキュリティ・システムの損害抑制、修復および強化に関するその他費用が発生する可能性が
あり、これらのいずれかが、当行の事業、財政状態および経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
当行の事業運営において法的請求および規制上のリスクが発生する。
当行の通常の営業過程において、当行は規制制度および潜在的な法的・行政的責任のリスクの対象となっ
ている。また、当行は、韓国およびその事業を行っているその他の法域において、その他様々な請求、紛
争、法的手続ならびに政府調査の対象となっている。これらの種類の手続により、当行は相当な金銭的およ
び/または評判に対する損害および法的防御費用、差止請求、刑事上および民事上の罰則ならびに当行の事
業に対する規制制限にさらされている。これらの事柄の結果は予期することはできず、当行の将来の事業に
悪影響を及ぼす可能性がある。
当行は、当行に対する訴訟または規制上の手続きにおいて徹底的に防禦する予定であるが、かかる事件の
最終結果を予想することは困難である。合計請求金額は訴訟中に増額される場合もあり、類似の申立てによ
り、当行に対して他の訴訟が起こされる可能性がある。したがって、これらの訴訟およびその他の手続き
が、当行の事業、財政状態および経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
法律、規則および政府政策に関するリスク
当行は厳しく規制されている事業体であり、変更されることがある法的・規制環境の中で営業しているた
め、これに違反した場合には罰則およびその他規制措置が課される可能性がある。
金融サービス・プロバイダーとして、当行は、経済的およびその他義務を遵守し、リスク・エクスポー
ジャーを制限することを確保するために、韓国の金融制度の安全性および健全性を維持するために考案され
た数々の規制に服している。これらの規制は当行の業務を制限する可能性があり、これらの規則の変更に
よって営業費用が増加する場合がある。規制当局は、当行の事業に関する規制を頻繁に見直し、新しい規制
措置(随時、当行に適用される貸倒引当金の最低水準または自己資本比率の引上げを含む。)を実行する。
当行は、当行が事業を行っている規制環境は引き続き変化すると予想している。当行および当行の事業に適
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用される規則の変更またはかかる規則の実施もしくは解釈の変更が予想しえない方法で当行に影響を及ぼす
可能性があり、当行の事業、経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
政府により提案されている金融消費者保護法が施行されれば(国会の準委員会による法案の検討中であ
る)、金融商品提供者としての銀行は、より厳しいガイドラインの交付、改善された金融紛争解決制度、金
融商品提供者が直接負担する損害賠償の増額および新たに課される加重罰金を含む手厚い投資家および消費
者保護措置の対象となる。当行はまた、とりわけその要件の国際的な採択の速度および範囲を考慮しつつ、
韓国において段階的に採択されているバーゼルIIIに基づくより厳密な流動性および資本要件を含む将来の法
令の変更の結果、当行事業に対するその他の規制の対象となる場合がある。これらの規制上の展開のいずれ
かが、事業を拡大し、当行のリスクおよび負債を適切に管理する当行の能力に重大な悪影響を及ぼす場合が
ある。
さらに、法律および規則の違反により、当行は著しい負債および制裁を課される可能性がある。例えば、
FSSが当行に対する定期監査を行い、その時々に当行がFSSから機関警告を受けてきた。FSSがかかる監査の一
環もしくはその他により当行の財政状態が健全ではないかもしくは当行がFSSの命令を含む適用法令に違反し
ていると判断した場合、または場合により当行が韓国法で定められた適切な自己資本もしくは自己資本比率
の要件を満たしていない場合、FSSはFSCにはとりわけ、事業の承認、認可もしくは登録の取消し、事業の一
部もしくは全部の停止、支店の閉鎖、役員の解任もしくは役員の職務履行の停止を命じることを要請する場
合があり、またはFSSは機関警告、機関注意、役員に対する懲戒警告、役員に対する注意警告もしくは役員に
対する注意を命じる場合がある。財政状態が健全でないか、最低自己資本比率要件を遵守していないか、ま
たはその他の理由により、当行がかかる措置のいずれかを課された場合、当行の事業、財政状態および経営
成績は重大な悪影響を受けるであろう。
FSSは2012年の11月から12月まで当行の包括的監査を行い、当行が顧客口座を適切な承認を得ずに監視した
こと、一部の金融取引について守秘義務に違反したこと、および当行の関連会社に対する1件の投資につい
て開示し、FSSに報告する義務を怠ったことが発覚した後、2013年7月に当行に機関注意(機関警告を繰り返
した場合とは違い、重大な制裁とはならない。)を発し、当行の従業員65名に対する懲戒処分および87.5百
万ウォンの罰金を課した。さらに2013年3月、FSSは申立てのあった当行の金融コンピューター・ネットワー
クの故障に関し、当行に対し特別監査を行った。当行がその情報技術管理者のアカウントおよびワクチン・
サーバーに関して適切なメンテナンスを行っていなかったことが発覚した後、2013年12月に当行に機関注意
を発し、当行の従業員5名に懲戒処分を課した。2013年10月から2014年11月、FSSはまた、申立てのあった顧
客口座の承認を得ない監視に関し、当行に対し一連の特別監査を行い、2014年2月、韓国の検察庁(以下
「検察庁」という。)もまたこの件に関して当行の調査を開始した。当行が顧客口座を適切な承認を得ずに
監視したことが発覚し、FSSは2015年12月に当行に機関注意を通知し、当行の元役員2名に懲戒処分を課した
が、2016年4月に検察庁は証拠不十分のため当行の元役員を起訴しないことを決定した。さらに、FSSは2015
年4月から5月に当行の定期監査を行い、当行はかかる監査に関し、2016年6月に経営陣への注意要請5件
および改善要請3件の通知を受けた。FSSは2017年4月に追加監査を行い、当行に経営陣への注意要請11件お
よび監査に関する改善要請18件通知した。
当行に適用ある主たる法律および規則の詳細については、「第2-3 事業の内容-(6) 監督および規制」
を参照されたい。
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政府は、政策目的の推進において一定の部門に的を絞った貸出を奨励することがあり、当行はこの要因を考
慮に入れることがある。
政府は、政府の課題を推進するために一定の企業および個人への貸出をこれまで奨励してきており、ま
た、将来において奨励する可能性がある。例えば、政府は随時、FSC等の規制機関を通じて、当行を含む韓国
の銀行および金融機関が特定の業界、事業グループまたは顧客部門に対する貸出を行うことを促進するため
の貸付政策を発表しており、一部のケースにおいては、特定の顧客部門へのさらなる貸出を促進するため
に、韓国銀行による貸出を通じてより低いコストの融資を提供した。これらのイニシアチブの一環として、
2000年代後半の韓国および世界経済の停滞により偏った影響を受け、今なお回復していない中小企業および
低所得の個人を支援するために、政府は様々なイニシアチブをこれまで行っており、現在も行っている。こ
れらのイニシアチブの一環として、例えば、FSSは最近、経済の回復が遅れている中で中小企業の財政負担を
軽減するために、韓国の銀行に中小企業に対する貸出を増加することを奨励し、また2016年2月に韓国銀行
は、経済全般の低迷が続いていることからかかる企業の流動性の困難が高まることを予想して、また貿易輸
出、インフラ投資および起業の取組みを刺激するために、中小企業に対する貸出支援を増加すると発表し
た。金融規制当局はまた商業銀行の一部の貸出慣行(かかる慣行は、中小企業に対する貸出提供を不当に禁
止する効果があると認識されている。)を改善させることを企図したいくつかの措置を採択した。さらに、
有望な起業を支援する政府のイニシアチブの支援の一環として、2015年2月、金融規制当局は、韓国の銀行
に中小企業部門の技術企業に対する貸出を年20兆ウォンを目標として増加させ、技術関連の与信審査能力を
強化することを奨励すると発表した。これらのイニシアチブにより、中小企業部門の技術企業への貸出合計
は累計で2016年には58.4兆ウォン、2017年には82.0兆ウォンおよび2018年には97.0兆ウォンに達した。2018
年12月31日現在、当行の技術企業に対する貸出合計は累計で15.3兆ウォンに達した。
さらに、金利が上昇した場合の消費者債務水準の増加および個人の借り手の債務返済能力に関する懸念の
高まりに対応して、2014年2月、FSCは、商業銀行が提供する住宅ローン(従来、多くの場合変動金利で満期
時に元金一括返済され、通常1年ごとに借り換えられる。)にしめる固定金利のローンおよび元金分割返済
ローンの比率を増加する計画を発表した。この計画によると、固定金利のローンの比率目標は2015年末まで
に35%、2016年末までに37.5%および2017年末までに40%とされ、元金分割返済に基づく住宅ローンの比率
目標は2015年末までに35%、2016年末までに40%および2017年末までに45%とされている。家計債務の増加
に関する懸念の中で、2016年5月、2016年の 固定金利の貸出および 元本分割返済の住宅ローンの比率目標が
それぞれ40%および45%に引上げられ、2017年2月、2017年の固定金利の貸出および元本分割返済の住宅
ローンの比率目標がそれぞれ45%および55%に引上げられた。2018年4月、FSCは2018年の固定金利の貸出の
比率目標を47.5%とすることを公表した。さらに、満期が10年以上の貸出(この計画以前は満期が15年以上
の貸出が対象であった。)に対して、金利返済の税額控除の増額が付与される。FSCは銀行が毎年この目標を
達成するかどうかの検査を行うことを発表した。
固定金利の住宅ローンの比率を拡大する政策を推進するため、FCSは2015年3月24日から3月27日および
2015年3月30日から4月3日のそれぞれの期間に「債務転換救済」プログラムを実施し、これに基づき、適
格な住宅ローンの借り手(つまり、当初の借入日から1年以上経過しており、過去6ヵ月間に延滞しておら
ず、元本額が500百万ウォン以下で、900百万ウォン以下の価額の住宅のための住宅ローンで、変動金利およ
び/または利払いのみのローンの場合。)は、かかるローンを固定金利の新たなローンに転換することがで
きる。これにより、借り手は元利金の返済を猶予期間なしで10年、15年、20年または30年の分割払いで返済
することが義務付けられる。ただし、新たなローンはローン資産価値比率上限を70%(資産の所在地にかか
わらない。)、債務所得比率上限を60%(一部の例外を除き一部の例外を除き、ソウル首都地域に所在する
集合住宅に関してのみ。)とする。借り手は、かかるローンを提供した銀行でのみ、元のローンを転換する
ことが認められている。新たに転換された固定金利のローン債権を保有する銀行は、かかる債権を政府が支
配する事業体である韓国住宅金融公社に売却することが義務付けられており、同公社は、かかる債権を証券
化し、不動産担保証券(かかる債権を担保とする。)を発行し、そのローン債権を売却した銀行にその売却
したローンの金額に比例して買い取らせる。かかる銀行はかかる証券を1年間保有しなければならないが、
その後はかかる証券を市場その他で売却または処分することができる。FSCによれば、このプログラムに基づ
き、約327,000人の借り手が総額31.7兆ウォンのローンを固定金利ローンに転換した。このうち当行の占める
割合は約13.5%であった。かかるイニシアチブを主たる要因として、固定金利ローンおよび元金分割返済
ローンは、2018年12月に政府により発行された情報によると、2018年6月30日の韓国の商業銀行により提供
された住宅ローン合計のそれぞれ44.2%および51.0%を占めていた。2018年12月31日現在、当行が提供した
住宅ローンのうち、固定金利ローンおよび元金分割返済ローンは、それぞれ43.8%および49.1%であった。
市場金利が、2015年の3月から4月の同プログラムが実施された期間に適用された金利よりも高くなった
場合、当行はその保有する不動産担保証券について評価損または実現損失を被る可能性がある。金利環境お
よびその他の市況により、当行は商業的に合理的な価格で不動産担保証券を市場で売却もしくはその他の方
法により処分することができない場合がある。さらに、このプログラムの結果、当行は資産ポートフォリオ
の計測および資産・負債管理政策により追加コストを被る可能性がある。これらの展開のいずれかが当行の経
営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
貸出を行うか否かの最終決定権は当行にあり、政府の政策とは独立して当行の行内与信承認手続およびリ
スク管理制度に基づき決定されるものの、当行は、貸出の実施を検討する際に、任意に、政府の政策および
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奨励の存在を織り込むことがある。さらに、中小企業および低所得の個人に追加貸出を提供することと並行
して、当行はかかる取決めの結果リスク因子の高い企業および個人に不良貸付を行うことから生じる潜在的
悪 影響を低減するために、貸付審査および貸付後監視プロセスの強化といった積極的な措置を講じている。
しかしながら、当行は、かかる取決めは、かかる課題がない場合に当行が純粋に商業上の判断のみに基づい
て行っていたであろう場合と比較して、リスクと報酬の観点から最適ではない貸付ポートフォリオ配分と
なっていないかもしくは将来そうならないこと、または類似のもしくは他の政府主導の課題が将来そうなら
ないと保証することはできない。政府は、将来、経済全般の活性化または的を絞った業種の成長を促すため
にまたは国民の一部を救済するために、類似のまたは他の課題を実施する可能性がある。政府は、特に経済
の停滞によって中小企業または低所得の世帯が総じて一段と厳しい財政難もしくは脆弱性に直面しており、
そのため、政府が提案する金額および方法によって中小企業に貸出を行うことが一段と高リスクかつ商業上
望ましくないものとなっている場合には、貸出関連の課題を実施するかまたは現行の課題をより強化して実
施する可能性がある。従って、かかる政策主導の貸出が、これらの課題がなかった場合と比較して、当行に
リスク管理上の一層の困難、資産の質の悪化および利益の減少をもたらす可能性があり、そのため、当行の
事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。
政府はまた政策目的の促進のため、一部の機関に対する投資を奨励する可能性があり、当行は適時にまたは
商業上合理的なその他の方法で、かかる投資を回収できない可能性がある。
的を絞った貸出に加え、政府は随時、その政策目的の促進のために、当行およびその子会社を含む韓国の
金融機関に対し、一部の機関に対する投資もしくはその他の形態による金融支援の提供を奨励または要請す
る可能性がある。これに対して、当行は行内のリスク査定に基づき、当行のリスク管理制度および方針に従
い、かかる奨励もしくは要請を遵守するか否か、どのように、どの程度遵守するかについての最終決定を
行ってきており、引き続き行う所存である。同時に、韓国の金融サービス業界の主導的な一員として、か
つ、責任ある法人として、当行はまた、例えかかる要請の遵守がさらなる短期的なコストおよび限られた範
囲のリスクを伴う可能性があったとしても、特に、健全な金融システムを維持するための政策目的の推進に
より生じる長期的な利益に関して、政府からのかかる奨励または要請に対し十分に相当な配慮をする所存で
ある。
例えば、2008年から2009年の世界的な金融危機の後の不良債権の増加に対処するために、政府は主要な政
策銀行および商業銀行6行(すなわち、当行、國民銀行、KEBハナ銀行、中小企業銀行、ウリィ銀行、農協銀
行)からの資本拠出による2009年10月の連合資産管理会社(以下「UAMCO」という。)の設立を支援した。政
府は当初2015年中にUAMCOを処分し、会社再編を専門とする新たな会社を設立する計画であったが、かかる計
画を取止め、その代わりにUAMCOを再編成し、その再編事業を拡大することを決定した。UAMCOはその貸借対
照表を強化する取組みの一環として、2016年5月に新たな2社の株主(韓国産業銀行および韓国輸出入銀
行)ならびに既存株主2社(ウリィ銀行および農協銀行)から追加の資本拠出を受けた。当行はUAMCOに対す
る資本のうち175十億ウォンを拠出することを約束しており、現在までに85.1十億ウォンを拠出している。本
書の日付現在、当行はUAMCOの14%の持分を保有しており、その他の政策銀行および商業銀行7行はそれぞれ
2%から14%の範囲で持分を有している。
UAMCOは、債務再編、資本注入、資産売却、会社更生、債務整理ならびに清算および破産手続きを含む広範
な再編プログラムを通じて苦境にある会社の財務改善を行うことを目指している。UAMCOは韓国最大の不良金
融資産一般の買い手である。当行は2017年および2018年にそれぞれ118.2十億ウォンおよび131.7十億ウォン
の不良資産をUAMCOに売却した。
上記の近年の資本拠出を経て資本基盤が拡大したことにより、UAMCOは韓国の法人部門の再編においてより
積極的な役割を担うことが期待されている。政府はまた、UAMCOの事業活動を促進するためにFSCMAの改訂を
検討している。
UAMCOが拡大された再編事業に成功した場合、当行を含む金融機関は、苦境にある借り手の事業の再編に
直接取組むよりもむしろ、より多くの不良債権をUAMCOに譲渡することにより、その財務上の健全性を一層強
化できることが期待される。しかし、当行またはその他の銀行は、政府によりUAMCOに対する追加の資本拠出
もしくは貸出を要請される可能性があり、これにより予期せぬ費用が生じる可能性がある。さらに、不良資
産の質が総じて低いことから、当行が保有するかかる資産を商業上妥当な条件で適時にUAMCOに売却できると
保証することはできない。さらに、政府が、同様の、またはその他の政策目的の推進のために、当行に対
し、同様の、もしくはその他の投資もしくはその他の金融支援の提供を要請もしくはその他の方法で奨励す
る可能性がないと保証することはできない。かかる提供について、当行は十分に補償されないか、または通
常であれば負うことのないさらなるリスクを負う可能性があり、そのために当行の事業、財政状態および経
営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。
当行の個人向け貸出業務(特に抵当ローンおよび住宅担保ローン)に対する政府の監督の度合いおよび範囲
は、経済または政治情勢により変更される可能性がある。
韓国の非常に多くの世帯にとって不動産は最も重要な資産であり、住宅価格の変動は概して国内経済に重
大な影響を及ぼす。従って、住宅価格の規制は、住宅価格バブルが疑われる時には実際のもしくは予期され
る過剰投機を抑え込もうとする点で、また、不動産市場が停滞している時には租税補助金、貸出期間に対す
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る指導もしくはその他の方法により不動産取引の価格および/または不動産取引の件数を刺激する点で、政
府にとって重要な政策課題であった。
例えば、2000年台の初期から中期に、政府は、一般の不動産投資および選ばれた地域における投機の高ま
りを抑え込むために、いくつかの規制措置(個人向け銀行業に関連するものを含む。)を採択した。過去に
実施された措置の一部には、とりわけ、投機性が高いとみなされる地域に所在する不動産向け抵当ローンに
対してより厳格な債務所得比率およびローン資産価値比率を金融機関が課すことを義務づけ、複数の住宅を
所有する者に対して不動産取引にかかる財産税を引き上げ、新築住宅の販売価格に上限を設け、商業銀行が
抵当ローンおよび住宅担保ローンのさらなる提供を控えることを商業銀行に勧告することが含まれていた。
さらに、韓国において住宅市場の低迷が長引く中で、2013年4月、不動産包括対策を発表し、これはとりわ
け、(i)キャピタルゲイン課税の引下げ、および(ⅱ)初めての住宅取得者に対する住宅取得税の免除を規定し
ている。さらに、2013年11月、政府は住宅取得税の永久削減を発表し、これは2013年8月から遡及適用され
た。かかる削減の前、かかる住宅取得者が一軒目の住宅を購入するのか二軒目の住宅を購入するのかによ
り、異なる基準に基づき住宅取得税が査定されており、前者の場合、900百万ウォン以下の住宅を購入する場
合は2%、900百万ウォン超の住宅を購入する場合は4%、後者の場合は住宅の価格にかかわらず4%の住宅
取得税が査定される。新たな規制の仕組みの下で一軒目の住宅取得と二軒目の住宅取得との異なる課税基準
は廃止され、すべての住宅取得者に対し、600百万ウォン以下の住宅の購入の場合は1%、600百万ウォン超
900百万ウォン以下の住宅の購入の場合は2%、900百万ウォン超の場合は3%の住宅取得税が査定される。
さらに、2014年2月、FSCは、商業銀行が提供する住宅ローン合計にしめる固定金利の住宅ローンおよび元金
分割返済に基づく住宅ローンの比率を増加する計画を発表した。「政府は、政策目的の推進において一定の
部門に的を絞った貸出を奨励することがあり、当行はこの要因を考慮に入れることがある。」を参照された
い。
さらに、FSCおよびFSSは住宅ローンに関する規則を合理化するために、銀行法に基づく銀行を含むすべて
の金融機関は、ローン資産価値比率の上限を70%(一部の例外を除き、資産の所在地にかかわらない。)と
し、債務所得比率の上限を60%(一部の例外を除き、ソウル広域首都地域に所在する集合住宅に関しての
み。)とする行政指導を2014年7月に定め、これは2014年8月1日に実施された。かかる行政指導は数回延
長され、修正された。上記の行政指導は、下記に述べるより厳しい対策を反映した銀行業務の監督に関する
規則および銀行業務の監督に関する細則に置き換えられている。さらに、2014年12月、国会はまた不動産市
場を刺激するためのいくつかの法案を可決した。2016年11月、家計債務の増加に関する懸念の中で、政府
は、ソウルで不動産を購入する場合、かかる不動産の所有権をより長い期間保持することを義務付け、かか
る不動産の頭金を増加させる別の不動産包括対策を発表した。2017年1月、与信審査方法を近代化し、家計
債務の管理を安定させるためにFSCは債務返済比率および新たな債務所得比率の導入計画を発表した。新たな
債務所得比率は、2018年1月31日に施行され、(i)対象となる抵当および住宅担保ローンならびに既存の抵当
および住宅担保ローンの元金ならびに利息の双方の返済、ならびに(ⅱ)その他の貸出の利息返済を反映す
る。
これまで、債務所得比率は(i)対象となる抵当および住宅担保ローンの元金ならびに利息の双方の返済、な
らびに(ⅱ)既存の抵当および住宅担保ローンの利息の返済のみを反映していた。対象となる貸出およびその
他の貸出の双方の元金ならびに利息返済を反映する債務返済比率は、2018年3月26日に自主規制参照指標と
して試験的に導入され、2018年10月に完全実施された。新たな債務所得比率は、抵当および住宅担保ローン
の評価ならびに承認プロセスにおいて主要な参照指標として利用され、債務返済比率は、抵当および住宅担
保ローンに追加的な制限を加える補助的な指標として利用される。2018年10月から、賃貸事業に対する貸出
には、住宅賃貸事業については最低1.25および非住宅賃貸事業については最低1.50の賃料対金利比率(借り
手のかかる賃貸資産を担保とする貸出にかかる合計年間支払金利に対する借り手の合計年間賃貸収入として
計算される。)の対象となる。
2017年8月2日、政府は、投機を防止し、住宅価格の上昇を抑制するための一連のより厳しい不動産市場
対策を明らかにした。かかる対策に基づき、2017年8月3日から、ソウル、世宗特別自治市および果川は、
住宅を購入する場合のローン限度額がその不動産価値の60%から40%に引き下げられる「投機過熱地域」に
指定されている。債務所得比率の上限は50%から40%となる。ソウルおよび世宗特別自治市の11の地域はま
た、より高い税およびより厳しい規制の対象となる「投機地域」に指定されている。2017年8月2日付の対
策は、ソウル市内の不動産資産の購入権の転売を防ぐ一方で、「調整対象地域」に指定された地域(ソウ
ル、世宗特別自治市、京畿道の7つの市および釜山広域市の7つの町から成る。)における住宅の買い手に
対するローン資産価値比率の上限を70%から60%に引下げ、債務所得比率の上限を60%から50%に引下げる
2017年6月19日に明らかになった文在寅大統領の政権となって初めての対策に続くものである。しかし、
2017年7月3日から実施された新たな貸出制限は住宅価格の上昇を止めることができなかったため、2017年
8月2日により厳格な対策が発表された。現在、「投機過熱地域」、「投機地域」、「調整対象地域」およ
びその他の地域におけるローン資産価値比率および新たな債務所得比率は、銀行業務の監督に関する規則お
よび銀行業務の監督に関する細則により規制されている。これらの更改された対策により、抵当および住宅
担保ローンの全体的な額が減少することが予想されるが、賃貸住宅長期保証金貸出および高い信用プロ
フィールを有する借り手に対する貸出が増加する可能性がある。
上記の対策にもかかわらず、ソウル首都圏地域の住宅価格は引き続き上昇しており、2018年9月13日、政
府は住宅価格を抑制するためにより強力な政策を発表した。2018年9月14日より、これらの対策は、とりわ
け「投機過熱地域」、「投機地域」および「調整対象地域」(「規制対象地域」と総称する。)における
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ローン資産価値比率上限に対するより厳しい規則を含んでおり、かかる規制に基づき、1件以上の住宅の所
有者が規制対象地域のいずれかに所在する住宅を抵当および住宅担保ローンを利用して購入しようとする際
に 適用されるローン資産価値比率上限はゼロとなった(ただし、1件のみの住宅所有者がもう1件の住宅を
購入しようとする場合に適用される一定の例外がある。)規制対象地域のいずれかに所在する実際の居住目
的でない高額住宅(表記価格が900百万ウォン超)の購入についても、ローン資産価値比率上限はゼロとな
る。これらの更改された対策により、抵当および住宅担保ローンの全体的な額が減少することが予想される
が、賃貸住宅長期保証金貸出および高い信用プロフィールを有する借り手に対する貸出が増加する可能性が
ある。
銀行業務の監督に関する規則に従い、当行は預貸率を100%以下に維持しなければならない。現在、預貸率
の計算において個人向け貸出と法人向け貸出との間に差異はない。しかし、2018年7月12日に銀行業務の監
督に関する規則が改正され、2020年1月1日から、個人向け貸出は115%、法人向け貸出(SOHOに対する貸出
を除く。)は85%の異なる比率で預貸率を計算することが規定され、これによって預貸率の計算において個
人向け貸出の影響が強まり、法人向け貸出の影響が弱まることとなった。さらに、銀行業務の監督に関する
細則もまた2018年6月30日に改正され、最低合計資本(BIS)比率を決定する際に、ローン資産価値比率が
60%を超える抵当および住宅担保ローンに適用される加重比率が規定された。さらに、銀行業務の監督に関
する規則はまた、2019年中に改正され、個人向け部門の貸出の増加に特に対処するために追加的カウンター
シクリカル資本バッファー要件が導入されることが見込まれている。これは、与信の増加が一般に国内総生
産に相関して増加する程度を考慮する既存の一般的なカウンターシクリカル資本バッファー要件に追加され
る別の要件である。銀行業務の監督に関する細則もまた2018年6月30日に改正され、FSSが韓国の銀行のリス
ク管理システムを評価する際の追加基準に、「個人向け部門におけるリスクの集中」が加えられた。
政府の対策が、その意図する結果を達成できると保証することはできない。不動産部門の成長を刺激する
ために企図された政府のこれらの措置により、少なくとも短期的には当行の個人向け貸出事業(特に抵当お
よび住宅担保ローンに関するもの。)が成長し、その収益性が改善する可能性があるものの、かかる措置
は、韓国の不動産市場に「バブル」とその後の市場崩壊をもたらす過剰投機を含む意図しない結果をもたら
す場合がある。対照的に、政府がその刺激策の方向を変更した場合(例えば、不動産市場における実際の、
または予想されるバブルを先手を打って取り除くための変更)、かかる政策変更が不動産市場の収縮を招
き、不動産価格が下落し、その結果、当行の個人向けおよび/またはその他の貸出事業の成長率ならびに収益
性が低下し、またはその他により、当行の事業、財政状態および経営成績または収益性に悪影響が及ぶ可能
性がある。「当行の事業に関連するリスク-当行の貸出を担保する担保物件の価値が下落するかまたは当行
が担保価値の全額を実現できなければ、当行の信用ポートフォリオが悪影響を受ける可能性がある。」を参
照されたい。
当行はイランに関する限定的な決済取引に従事しており、これにより当行に法的および評判リスクが発生し
ている。
米国財務省外国資産管理局(以下「OFAC」という。)は一定の法規制(以下「OFAC規制」という。)を運
用し、執行しており、これによってイランを含むOFAC規制対象である一部の諸国、政府、事業体および個人
との取引またはこれらに関する取引について規制を課し、またその資産が凍結され、その米国人との取引が
一般に禁止される特別指定国のリスト(以下「SDNリスト」という。)を保管している。一部のOFAC制裁は、
その適用に米国とのつながりを求める(「第一次制裁」)が、その他のOFAC制裁は米国とのつながりがなく
ても、イラン、北朝鮮およびロシアに関連する一部の取引に適用される(第二次制裁)。様々な法的背景に
より、その一部が米国において完了した取引に従事することによって米国人による違反を非米国人が生じさ
せるような場合には、かかる非米国人が第二次制裁の対象となり、また第一次制裁について責任を負わなけ
ればならない場合がある。欧州連合も一定の法規制を執行しており、これによって加盟国の国民および事業
体ならびに加盟国において行われる事業に対して、かかる規制対象である一部の諸国、政府、事業体および
個人との活動または取引について規制を課している。国連安全保障理事会およびその他の政府関連事業体も
類似の規制を課している。
2016年8月、政府は、韓国とイラン事業との間のユーロ建て取引の決済銀行を務めることを当行に対し授
権した。この認可を付与されるまでは、かかる事業活動の支払いは韓国ウォン建てでのみ決済されており、
当行はかかる決済に参加していなかった。2016年8月から2017年8月まで、当行は10回のかかる取引を行
い、最小限の収益を得た。2017年8月から、当行はかかる取引を停止していおり、将来かかる取引を行う意
思はない。当行は合法な取引のみに従事し、関連するすべてのOFAC規制および欧州連合による規制に従うこ
とを誓約しているが、当行の従業員が行う行為がかかる規制に違反しないと保証することはできない。2018
年5月8日、米国大統領ドナルト・トランプは、米国の包括的共同作業計画(以下「JCPOA」という。)への
参加を終了する決定を発表し、これに従いイランに関するOFAC規制の一部の解除が規定された。2018年8月6
日に終了した期間と2018年11月4日に終了した期間の2つの終了期間の後、JCPOAに従って免除されていたイラ
ンに関連するすべての二次制裁は再開され、イラン経済の一部の重要な部門と取引を行うか、または対象の
活動に関連する付随サービスを提供する非米国人は現在、第二次制裁のリスクに直面している。そのため、
イラン関連の活動により当行がOFAC規制ならびに潜在的な法的および評判リスクの対象となる可能性があ
る。
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当行は通常、韓国の会計、規制、コーポレート・ガバナンスおよび開示基準に服しており、これらはその他
諸国の銀行に適用されるものとは異なっている。
当行を含む韓国の銀行は韓国の会計基準および開示要件に服しており、これらは米国を含む一部の国の銀
行に適用されるものとは重要な点で異なっている。当行の財務書類は韓国IFRSに従い作成されており、これ
はその他諸国で適用されるIFRSとはいくつかの点で異なっている可能性がある。さらに、当行は韓国の銀行
に適用されるコーポレート・ガバナンス基準の対象となっており、これはその他諸国で適用される基準と多
くの点で異なっている。さらに、当行のような韓国の銀行に関して公式に入手できる情報は、その他諸国の
公開または非公開企業について通常入手できるものに比べて少ない可能性がある。会計およびコーポレー
ト・ガバナンス基準の相違ならびに入手可能な公開情報がより少ないことにより、コーポレート・ガバナン
ス慣行または投資家に対する開示が十分でない場合がある。
韓国に関連するリスク
韓国および世界における金融および経済の好ましくない情勢が、当行の資産の質、流動性および財務実績に
重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
当行は韓国で設立され、その資産の大半は韓国にあり、その収益の大半は韓国で生み出されている。その
ため、当行は韓国固有の政治、経済、法律および規制上のリスクにさらされており、当行の事業、経営成績
および財政状態は、韓国経済に関連する動向に実質的に依存している。韓国経済は、世界経済の健全性およ
び方向性に依存しており、ある国の情勢に対する投資家の反応が他国の企業の有価証券の価格に悪影響を及
ぼす可能性があるため、当行もまた世界経済および金融市場の変動により影響を被る。韓国または世界経済
の景気循環を決定する要因は、その大部分が当行の支配の及ばないものであり、内在的に不確実なものであ
る。本項の他の部分に記載された世界経済および市場の不確実性ならびに当行に関するリスクに関する最近
の情勢に関する議論以外に、将来において韓国経済に悪影響を及ぼす可能性がある要素には、とりわけ以下
のものが含まれる。
・継続する韓国の信用および資本市場のボラティリティまたは悪化。
・欧州、中国およびその他の金融部門の困難ならびにいくつかの国におけるソブリンの債務不履行リスクの
高まりならびにその結果として生じる世界金融市場への悪影響。
・消費者信認の低下ならびに消費者支出および企業投資の減速。
・外貨準備高水準、商品価格(石油価格を含む。)、為替相場(米ドル、ユーロもしくは日本円の為替相場
の変動または中国人民元の切上げならびに2016年6月に英国の国民投票で過半数の有権者が欧州連合から
の脱退に賛成票を投じたこと(以下「ブレグジット」という。)の韓国ウォンの価値に対する全般的な影
響を含む。)、金利、インフレ率または株式市場の悪化またはボラティリティの高まり。
・家計債務水準の増加。
・個人および中小企業の借り手による延滞および信用破綻の増加。
・韓国の重要な輸出市場である経済国および地域(米国、ヨーロッパ、日本および中国またはアジアもしく
はその他の新興市場経済国)において継続する不利な状況に加え、ブレグジットによる不確実性の高ま
り。
・係属中または将来の自由貿易協定の経済的影響。
・米国と中国が互いの貿易品に対する関税を導入するなど両国間で続いている貿易紛争の潜在的な拡大
・社会・労働不安。
・韓国の不動産の市場価格の低下。
・税収の減少に加え、財政刺激、失業補償ならびにその他経済および社会プログラムのための政府歳出の莫
大な増加による政府予算の赤字拡大。
・韓国の企業グループ、その他の苦境にある大企業、これらのサプライヤーまたは金融部門の財政問題また
はこれらの再編が進展しないこと。
・企業会計の不正および一部の韓国の企業グループに関するコーポレート・ガバナンス問題による投資家の
信頼性の喪失。
・韓国において高齢化する人口を支えるための社会支出の増加または韓国の人口減少による経済上の生産性
の低下。
・地政学上の不確実性およびいわゆる「イスラム国」による行為を含む世界中のテロリスト集団によるさら
なる攻撃のリスク。
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・最近のエボラ出血熱、中東呼吸器症候群(MERS)およびジカウイルスの発症を含む韓国および世界のその
他地域における深刻な疫病の発生。
・韓国における終末高高度防衛(THAAD)システムの配備に関する最近の韓国と中国との外交関係ならびに韓
国の鉄鋼、洗濯機、変圧器およびソーラーパネルに対する反ダンピング関税の課税に関する韓国と米国と
の間の貿易紛争といった領土または貿易紛争もしくは外交政策の不一致による悪化を含む、韓国とその貿
易相手国もしくは同盟国との間の経済上または外交上の関係の悪化。
・政局の不確実性または韓国の政党間もしくは政党内の対立の激化に加え、効果的かつ適時の政策策定を妨
げたり、混乱させる政府もしくは議会の政治的停滞。
・中東および北アフリカの産油国を巻き込む敵対的行為または政治的もしくは社会的緊張ならびに世界的な
石油供給の重大な遮断または石油価格の急騰。
・ロシアに関する政治もしくは社会的緊張ならびに世界的な石油供給もしくは世界的な金融市場に対するそ
の悪影響。
・韓国(数ヵ月にわたり消費者感情を著しく損ねた2014年4月の客船セウォル号の沈没など。)および特に
韓国の貿易相手国である世界のその他の地域における自然災害または人為的災害の発生。
・北朝鮮と韓国または米国との間の緊張関係の度合いの高まりまたは敵対的行為の発生。
今後、韓国経済が悪化すれば、当行の事業、財政状態および経営成績が悪影響を受ける可能性がある。
北朝鮮との間の緊張関係が当行に悪影響を及ぼす可能性がある。
韓国と北朝鮮との関係は、韓国の近代史を通じて緊張関係が続いている。韓国と北朝鮮との間の緊張の度
合いはこれまで変動してきており、現在および将来の出来事如何で突発的に高まる可能性がある。特に、
2011年12月の金正日の死後、北朝鮮の政治的指導力に関する不確実性に加え、同地域の政治・経済の安定の
行方に関する懸念が高まっている。金正日の三男である金正恩が、その父の指名した後継者として権力を承
継したが、かかる指導力の移行による長期的な結果は今なお不透明である。2017年2月、金正恩の異母兄で
ある金正男がマレーシアの国際空港で暗殺されたと報じられた。
さらに、核兵器および長距離ミサイル計画に関する行為を含む北朝鮮の敵対的な軍事及び外交行動によ
り、同地域の安全保障上の緊張の高まりが継続している。かかる行為の近年のいくつかの例には下記が含ま
れる。
・ 北朝鮮は 2003 年1月の核拡散防止条約に基づく義務を放棄し、 2006 年 10 月から 2013 年2月までの間に3
ラウンドの核実験を行い、これにより同地域の緊張が高まり、世界中で激しい反対が起きた。 2016 年1
月6日、国際的監視機関が北朝鮮の核実験区域とされる場所付近でマグニチュード 5.1 の地震を観測し
た数時間後、北朝鮮はその初の水爆実験に成功したと発表した。かかる主張は独自に検証されていな
い。問題の実験は、北朝鮮が水爆を開発したと主張する金正恩によるその前月に行われた声明の後に行
われた。 2016 年2月7日、北朝鮮は科学的観測のための人工衛星打ち上げ用であるとされるロケットを
発射した。かかる打ち上げは、国際社会により、核弾頭を運ぶことのできる長距離ミサイルのテスト発
射であると広く疑われている。 2016 年2月 18 日、合衆国の大統領であるバラク・オバマは北朝鮮の最近
の核およびミサイル実験、人権侵害ならびにサイバー犯罪に対する強制的制裁法に署名した。かかる法
案は、北朝鮮のみを標的とした合衆国による初めての措置であり、北朝鮮の武器計画に関連する事業に
従事する者の資産を差押えることを企図しており、北朝鮮へのラジオ放送および人道支援プロジェクト
のために5年間に 50 百万米ドルを支出することを承認した。 2016 年3月2日、国際連合安全保障理事会
は北朝鮮に対して制裁を課す決議を全会一致で採択した。かかる制裁には、北朝鮮を行き来するすべて
の貨物の検査、すべての武器取引の禁止および「不法行為」を行った北朝鮮外交官の退去を含んでい
る。また、 2016 年3月4日、欧州連合は制裁対象者リストに記載される会社および個人をさらに追加
し、北朝鮮に対する制裁を拡大することを発表した。 2016 年9月、北朝鮮は弾道ミサイルに搭載できる
核弾頭実験に成功したと発表した。これに対し、韓国政府はかかる実験を非難し、国連安全保障理事会
は 2016 年 11 月 30 日、北朝鮮の石炭輸出の上限ならびに銅、ニッケル、銀および亜鉛といった非鉄金属の
輸出禁止を含むさらなる制裁を北朝鮮に課すとする決議を満場一致で可決した。 2017 年3月、北朝鮮は
4発の中距離ミサイルを日本の米軍基地に向けて打上げ、これらは朝鮮半島の東の沿岸海域に着水し
た。国連安全保障理事会はかかる打上げを非難し、かかる政権に対する追加措置を採択する計画を表明
した。米国のドナルド・トランプ大統領と中国の習近平国家主席との初めての会談の1日前の 2017 年4
月4日、北朝鮮は弾道ミサイルを打上げ、これは朝鮮半島の沿岸海域に着水した。国連安全保障理事会
の非難に加え、韓国政府および中国の代表は、北朝鮮に対し、より強力な制裁を課す計画を表明した。
2017 年4月 15 日、北朝鮮はさらに1発のミサイルを打上げたが、これは打上げ直後に爆発して失敗に終
わった。これに対し、韓国政府は国連安全保障理事会決議の違反であるとして非難し、北朝鮮が今後さ
らに核実験や大陸間弾道ミサイルの打上げを行うなら、報復を受けなければならないと警告した。 2017
年7月、北朝鮮は2発の大陸間弾道ミサイルを打上げ、米国の一部の地域ならびにアジア太平洋地域の
その他の近隣諸国を潜在的に標的とすることができる能力を有する長距離弾道ミサイルをさらに開発し
ていることを示した。これに対し、国連安全保障理事会は北朝鮮に対するより強力な制裁を満場一致で
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採択した。 2017 年8月、北朝鮮はグアムに向けて4発の弾道ミサイルを打上げる計画を発表し、北朝鮮
と米国との間の外交上の緊張が高まった。 2017 年9月、北朝鮮は6度目の、これまでで最強の核爆弾の
実 験を行った。かかる核実験により、北朝鮮とその他諸国との外交上の緊張関係はさらに高まった。国
連、米国および欧州連合のそれぞれは北朝鮮に対する追加制裁を採択した。スペイン、メキシコ、ペ
ルーおよびクウェートはその各国に駐在する北朝鮮の大使を追放した。 2017 年 11 月、北朝鮮はさらに1
発の大陸間弾道ミサイルの打上げ実験を行った。かかるミサイルは、大きさ、威力および飛距離の範囲
が向上しており、北朝鮮が米国本土を標的とすることが潜在的に可能とするものであった。
・ 2015 年8月、非武装地帯の南側で所定のパトロール中の韓国兵士2名が地雷の爆発により負傷した。か
かる地雷は北朝鮮により埋められたと主張して、韓国軍は非武装地帯付近で拡声器を利用した北朝鮮に
対するプロパガンダ計画を再開した。北朝鮮軍はその報復として拡声器周辺を砲撃し、南北朝鮮の武装
準備は最高の水準となった。その後、軍事的緊張を緩和するために南北朝鮮の高官による会談が行われ
た上、共同声明が発表され、この中で、とりわけ北朝鮮は地雷を埋めて韓国兵士を負傷させたことに対
する遺憾の意を表明した。
・ 北朝鮮はその時々に朝鮮半島沿岸から海に向かって短距離から長距離のミサイルを発射してきた。最近
では 2015 年3月に、韓国と米国による年次共同軍事演習に対する明白な抗議として7発の地対空ミサイ
ルを東岸から発射した。
・ 2013 年 12 月、金正恩の親戚であり、金正恩に次ぐ副司令官であると広く推測されていた張成沢が扇動罪
で処刑された。かかる展開が北朝鮮におけるさらなる政治・社会的不安定および/または北朝鮮とその
他世界とのさらなる軋轢を生む可能性のあるより敵対的な政策の採択を引き起こす可能性があると報じ
られている。
・ 2013 年4月、北朝鮮は国境付近の都市である開城の工業団地への韓国人の立ち入りを封じた。同月、合
衆国は韓国の領空および領海に原子力搭載船を配備した。しかし、 2013 年9月、韓国と北朝鮮は合意に
達し、開城工業団地の操業を再開した。 2014 年2月、米国議会調査局は、開城工業団地の拡大および国
際化に向けた韓国のアプローチは、北朝鮮に対する制裁を拡大しようとする米国の法的取組みと対立す
るものであると報告した。 2016 年2月 10 日、北朝鮮の最近の長距離ロケットの発射に対する報復とし
て、韓国は、北朝鮮が開城工業団地からの資金をその核およびミサイル計画の資金に利用することを阻
止するため、その操業を停止することを発表した。これに対応し、 2016 年2月 11 日、北朝鮮はすべての
韓国人従業員を工業団地から追放し、工業団地のすべての韓国の資産を凍結すると発表した。北朝鮮に
よる発表の後、開城の全韓国労働者 280 名は同工業団地を去り、同工業団地は本書の日付現在閉鎖されて
いる。
・ 2013 年3月、北朝鮮は韓国と「戦争状態」に入ったと発表し、 1953 年の休戦協定が無効であると宣言
し、韓国と米国の共同軍事訓練ならびにミサイルおよび核実験についての北朝鮮に対する追加制裁に抗
議するために、最高水準の戦闘準備をして大砲を配備した。
北朝鮮の経済はまた、深刻なインフレおよび食糧不足を含む厳しい問題を抱えており、これらが北朝鮮の
社会・政治的緊張を一層悪化させる可能性がある。さらに、将来、韓国と北朝鮮の再統一がなされる可能性
があり、そのためには韓国による多大な経済上のコミットメントおよび支出が伴い、それは再統一によりも
たらされる経済上の利益を上回る可能性がある。
2018 年4月 27 日、 2018 年5月 26 日および 2018 年9月 18 日、文在寅大統領は金正恩と首脳会談を行い、とり
わけ朝鮮半島の非核化について話し合った。次に、 2018 年6月 12 日、ドナルド・トランプ米国大統領と金正
恩は、シンガポールにおいて米国と北朝鮮の指導者の初の会談となる公式な首脳会談を行った。シンガポー
ル・サミットの後、両国はとりわけ新たな平和的関係と朝鮮半島の非核化に関する共同声明に調印した。
2019 年2月 27 日および 2019 年2月 28 日、ドナルド・トランプ大統領と金正恩との二回目の公式な首脳会談が
ベトナムで行われた。 2019 年2月 27 日の夜、米国ホワイトハウスはドナルド・トランプ大統領と金正恩は翌
日の午後に共同声明に調印すると発表した。しかし、 2019 年2月 28 日、米国ホワイトハウスは首脳会談を短
縮したことおよび会談は合意に至らなかったことを発表した。かかる二度の首脳会談の後、朝鮮半島の平和
交渉および非核化は引き続き著しく不確実である。そのため、当行は、将来、朝鮮半島における緊張の度合
いが高まらないと保証することはできず、また北朝鮮の政治体制が突然崩壊しないと保証することもできな
い。朝鮮半島において軍事的、政治的または経済的な安定に関連する緊張または不確実性がさらに高まれば
(北朝鮮の核計画を巡る外交交渉の決裂、軍事的敵対行動の勃発、北朝鮮政治指導層の安定に対する懸念の
高まりもしくは実際の崩壊、指導層の危機または高官レベル協定の決裂もしくは再統一の加速を含む。)、
当行の事業、財政状態および経営成績ならびに韓国、当行もしくは当行の社債の信用格付の格下げに重大な
悪影響を及ぼす可能性がある。
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3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
以下の議論および分析は、連結財務書類および注記(「第6-1 財務書類」に記載されている。)と併せ
て、これら全体を参照して読まれるべきである。下記に記載されるすべての財務情報は、別段の記載がない
限り連結ベースで表示されている。本項におけるかかる議論には、将来予測に関する記述が含まれており、
将来の事象および財務実績に関する当行の本書提出日現在の見解が反映されている。実際の結果は、いくつ
かの要因(「第3-2 事業等のリスク」および本書のその他の箇所に記載された要因が含まれる。)によ
り、かかる将来予測に関する記述の中で予想されたものと大きく異なる場合がある。
概観
当行は、とりわけ資産合計、収入、収益性および自己資本の点において韓国の大手商業銀行の一つであ
る。とりわけ資産合計、収入、収益性および自己資本の点において韓国の大手金融持株会社の一つである新
韓フィナンシャル・グループの旗艦傘下会社である当行は、主に韓国において、また韓国における程度には
及ばないものの選ばれた海外市場において、個人ならびに法人顧客向けに幅広い商業銀行業務およびその他
銀行業務を提供している。当行は中小企業を対象とする韓国最大のレンダーの一つである。 2018 年 12 月 31 日
現在、当行は 876 の国内支店および海外支店 14 店に加え、日本、中国、香港、ベトナム、米国、カナダ、ドイ
ツ、カンボジア、カザフスタン、メキシコおよびインドネシアにそれぞれ所在する子会社計 11 社を有してい
る。
当行の資産の大半は韓国に所在し、その収益の大半が韓国において発生している。したがって、当行の事
業および収益性は、金利、インフレ、輸出、個人支出および消費、失業、企業商品およびサービスに対する
需要、家計および企業の債務返済負担、信用能力全般、不動産および有価証券の資産価値ならびに当行の法
人および個人顧客の財政状態に影響を与えるその他の要因を含む韓国の全般的な経済ならびに社会情勢に大
きく依存している。韓国経済は世界経済および金融市場と密接に統合されており、世界経済および金融市場
における動向に著しい影響を受けている。近年、世界経済および金融市場は厳しく、ボラティリティの高い
状況にあり、このことは韓国経済に、ひいては当行の事業および収益性に悪影響を与えた。「第3-2 事業
等のリスク-当行の事業に関連するリスク-韓国および世界経済ならびに金融市場の困難な状況および乱高
下が、当行の事業、資産の質、自己資本および利益に不利な影響を及ぼす可能性がある。」を参照された
い。
当行は、その収益の大半を法人向けおよび個人向け貸出の資金調達費用(主に顧客預金に対する支払利
息)控除後の利息から得ている。正味受取利息は主に貸出金の平均残高および貸出金にかかる正味利息スプ
レッドに連動している。
2017 年、個人向け貸出の平均残高は、主に賃貸住宅長期保証金ローンに対する需要が継続して増加してい
ることにより、 2016 年から 3.9 %増加した。家計債務の増加に関する懸念により、政府が 2017 年に抵当および
住宅担保ローンの金額の急増を制限するための政策ならびに対策を継続したことから、個人向け貸出の増加
は 2017 年も引き続き減速した。 2017 年、 SOHO および特に製造業の中小企業の需要の増加により、法人向け貸
出の平均残高は、 2016 年から 4.5 %増加した。
2018 年、個人向け貸出の平均残高は、主に賃貸住宅長期保証金ローンが継続して増加していることによ
り、 2017 年から 9.1 %増加した。 2018 年、特に製造業、不動産およびサービス業の SOHO および中小企業に対す
る貸出の増加により、法人向け貸出の平均残高は、 2017 年から 7.3 %増加した。
2016 年から 2017 年にかけて、主に 2017 年 11 月に韓国銀行が基準金利を引き上げたことにより、個人向け貸
出および法人向け貸出の双方の平均利回りは上昇したものの、当行の預金は全般に貸出金よりも満期プロ
フィールが長いため、基準金利および市場金利の変動に対する感応度が低いことに加え、流動性コア預金と
いったコストの低い資金預金の比率が増加したため、預金の平均金利は低下した。平均残高は 利付資産およ
び有利子負債の 双方において増加した。当行の正味受取利息は 2016 年の 4,504 十億ウォンから 10.8 %増加して
2017 年には 4,992 十億ウォンとなった。 貸倒損失引当金計上後の正味受取利息は 2016 年および 2017 年にそれ
ぞれ 3,848 十億ウォンおよび 4,508 十億ウォンであった。当行の営業利益は 2016 年の 1,959 十億ウォンから
12.5 %増加して 2017 年には 2,206 十億ウォンとなった。
2017 年から 2018 年にかけて、主に 2017 年 11 月および 2018 年 11 月に韓国銀行が基準金利を引き上げたことに
より、利付資産の平均利回りおよび有利子負債の平均金利はともにさらに上昇した。利付資産および有利子
負債の双方の平均残高が増加した。当行の正味受取利息は 2017 年の 4,992 十億ウォンから 11.9 %増加して 2018
年には 5,586 十億ウォンとなった。 貸倒損失引当金計上後の正味受取利息は 2017 年および 2018 年にそれぞれ
4,510 十億ウォンおよび 5,340 十億ウォンであった。当行の営業利益は 2017 年の 2,206 十億ウォンから 43.5 %増
加して 2018 年には 3,165 十億ウォンとなった。
韓国経済の傾向
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2018 年上半期、世界経済は回復の兆しを見せたものの、 2018 年下半期にはその勢いは弱まった。 2018 年上
半期、主要経済国が量的緩和および財政拡大政策を実施したことにより、流動性が高まり、その結果、資産
価格が上昇し、主要経済国および新興経済国の双方において力強い成長から中程度の成長および継続的な回
復 をもたらした。上半期中、米国を含む主要経済国は引き続き力強い成長を経験し、中国およびインドはア
ジア諸国経済の緩やかな成長を主導した。ロシアおよびブラジルといった主に原材料の輸出に頼っている経
済国もまた、低迷から脱し始めた。しかし、 2018 年下半期、主要経済国の経済減速の兆候、米国の金利上昇
ならびに互いの貿易品に関税を導入するといった米国と中国の間の貿易戦争の潜在的な激化および長期化の
中で、全般的な世界経済の減速に関する懸念が生じた。特に、連邦準備制度理事会による金利引上げの決定
などの主要経済国の金融引締めや、欧州中央銀行の量的緩和政策を取り巻く不確実性は、株価および不動産
資産などの資産価格にマイナスの影響を及ぼし、消費者および投資家の感情の落込みをもたらした。
2018 年、経済成長の鈍化に加え、 2017 年に比較して 2018 年の消費者心理が落ち込んだことにより、韓国経
済の成長率は、 2017 年の 3.1 %に対し、 2.7 %を記録した。韓国の国内総生産の年間成長率は 2018 年第1四半
期には 2.8 %、 2018 年第2四半期には 2.8 %、 2018 年第3四半期には 2.0 %および 2018 年第4四半期には 3.1 %
であった。 2018 年に輸出は着実に伸び続けているが、これは一部には半導体の輸出の増加によるものであ
る。しかし、政府による家計債務に対する規制の厳格化および社会資本予算の削減により、建設業界にマイ
ナスの影響を及ぼし、自動車を含む従来の製造業に対する世界および国内の需要の下降の兆しが現れ、イン
フラにおける生産および投資の水準が低下した。政府による所得に基づく成長および雇用政策にもかかわら
ず、金融危機以降、雇用創出水準は低下し、失業率は歴史的水準まで上昇し、韓国経済における個人消費お
よび消費者心理に悪影響を及ぼした。 2019 年には、インフラへの投資が低調に推移すると見込まれ、輸出お
よび国内消費水準が減速の兆しを見せると予想されるため、韓国経済の全般的な低迷は続くと予想される。
近年の輸出を牽引してきた半導体の輸出の伸びは、中国からの供給の増加によりわずかに減速すると予想さ
れ、インフラへの投資の水準低下は、韓国経済を取り巻く投資家感情に一層の悪影響を及ぼすことが予想さ
れる。しかし、経済を刺激するための政府の取組み、特に社会資本予算増加政策は劇的な経済後退に対する
緩衝材としての役割を果たし、韓国経済の回復に貢献することが期待されている。
2019 年、当行は、 (i) 雇用創出の減速に加え、特に若年層の失業率の上昇といった失業問題の悪化による韓
国経済の長引く停滞、 ( ⅱ ) 中国の成長の減速および中国のハードランディングの可能性、 ( ⅲ ) 人口の高齢化
および出生率の低下による生産性の潜在的な低下、 ( ⅳ ) 高水準の家計債務による金融部門の懸念、 ( ⅴ ) 米国
およびその他の主要経済国の保護主義の高まりを含む、政治・経済政策に関する不確実性ならびにボラティ
リティ、 ( ⅵ ) 主要経済国による予想を上回る急速な金利引上げの可能性、 ( ⅶ ) 基準金利の引上げを含む世界
経済の様々な金融政策による外国為替市場のボラティリティの高まり、ならびに ( ⅷ ) 北朝鮮によるの政情不
安を含む政治リスク、を韓国経済の潜在的なリスクと考えている。
金利の変動に関しては、 2009 年以来、韓国は、その他の多くの国々と同様に、わずかな変動はあったもの
の低金利環境であった。これは一部には政府による積極的な金利引下げ措置による経済刺激政策によるもの
であった。 2009 年から 2014 年までの間、韓国銀行により設定される基準金利は 2.00 %から 3.25 %の範囲に留
まっていた。近年の韓国の成長減速および世界経済の不確実な見通しに照らし、韓国銀行は 2015 年3月に基
準金利を 1.75 %に引下げ、 2015 年6月には 1.50 %に引下げ、 2016 年6月にはさらに歴史的な低金利である
1.25 %に引下げた。 2017 年 11 月、韓国銀行は 2011 年以来初めて基準金利を 1.50 %に引き上げ、 2018 年 11 月に
は 1.50 %から 1.75 %にさらに引上げ、韓国銀行の基準金利と連邦準備理事会の指標金利との金利差が拡大し
たことにより、総額 1,500 兆ウォンを超える家計債務および潜在的な資金のアウトフローに関する懸念が生じ
た。連邦準備理事会は 2017 年に指標金利を3回引上げた後、最も最近では 2018 年 12 月に 2.25 %から 2.50 %の
範囲に引上げ、 2018 年中には指標金利を4回引上げた。 2019 年中にもさらに2回指標金利を引き上げること
が予想される。 2019 年および予見可能な将来における韓国銀行の金利政策は引き続き不確実であり、連邦準
備理事会の予見可能な将来の政策見通しもまた不確実であるものの、これにより一部影響を受けるであろ
う。
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金利
金利の変動は、その規模および時期ならびに当行の資産および負債に対する相対的な影響といった点で、
当行の正味資金利鞘および収益性、特に金利変動に敏感な当行の金融商品に重大な影響を及ぼす。例えば、
当行の貸出金(資産に計上されている。)に適用される金利が当行の預金(負債に計上されている。)に適
用される金利に比較してより速いペースでもしくはより大きな幅で低下するか、またはより遅いペースでも
しくはより小さい幅で上昇する場合、正味資金利鞘は縮小し、当行の収益性は悪影響を受ける。さらに、当
行の変動金利の貸出金および預金の相対的規模および構成(固定金利の貸出金および預金に比較して)もま
た、当行の正味資金利鞘に影響を与える場合がある。さらに、当行の利付資産(主に貸出金)と有利子負債
(主に預金)の平均的な金利改定の頻度の相違もまた当行の正味資金利鞘に影響を与える場合がある。例え
ば、当行の預金の期間は現在は平均的に貸出金の期間よりも長期であるため、当行の預金は、当行の預金お
よび貸出金が連動する傾向にある基準金利の変動に対して、平均的にそれほど敏感ではなく、そのため基準
金利の上昇は当行の正味資金利鞘を上昇させる傾向にあり、一方、基準金利の低下はその反対の影響を有す
る傾向にある。当行は、金利のボラティリティに対するエクスポージャーを最小限に抑えるべく継続的にそ
の資産および負債を管理しているものの、当行のかかる努力によっても金利ボラティリティを適時または効
果的に緩和することができない可能性がある。
当行により顧客に課される金利は、一部には韓国銀行連合会によって公表される「資金調達コスト・イン
デックス」( COFIX )に基づいている。 COFIX は、韓国の大手銀行8行(当行、國民銀行、ウリィ銀行、 KEB ハ
ナ銀行、農協銀行、中小企業銀行、シティバンク・コリア・インクおよびスタンダード・チャータード・バ
ンク・コリア・リミテッドからなる。)の選ばれた資金調達商品(定期預金、住宅その他積立貯蓄預金、レ
ポ、割引手形および非転換型シニア社債を含む。)の加重平均金利に基づいて計算されている。各銀行はそ
の後、 COFIX と自行の全般的な資金調達コスト、事務費用、顧客の信用スコア、貸出の満期およびかかる銀行
との顧客関係に基づいたその他顧客に固有のプレミアムおよびディスカウントとの差に基づいて、 COFIX にス
プレッドを上乗せしてそれぞれの顧客への適用金利を個別に決定している。これらの金利は通常毎月調整さ
れる。 2019 年1月、 FSC は、「資金調達コスト・インデックス」( COFIX )の計算の際に、要求払い預金と
いった短期預金の金利を反映する計画を公表した。これにより、これまでの COFIX 金利に比較して家計向け貸
出の金利が低下することが見込まれている。
表示日現在のウォン建て借入の基準金利の一部を下表に示す。
譲渡性預金 COFIX COFIX 新規
(1) (2)
(3) (4) (5)
社債金利 国債金利 証書金利 残高基準 借入基準
(%)
2014 年6月 30 日 3.10 2.68 2.65 2.79 2.59
2014 年 12 月 31 日 2.43 2.10 2.13 2.58 2.10
2015 年6月 30 日 2.01 1.79 1.65 2.22 1.75
2015 年 12 月 31 日 2.11 1.66 1.67 1.90 1.66
2016 年6月 30 日 1.69 1.25 1.37 1.75 1.54
2016 年 12 月 31 日 2.13 1.64 1.52 1.62 1.51
2017 年6月 30 日 2.24 1.70 1.38 1.58 1.47
2017 年 12 月 31 日 2.68 2.14 1.66 1.66 1.77
2018 年6月 30 日 2.77 2.12 1.65 1.83 1.82
2018 年 12 月 31 日 2.29 1.82 1.93 1.95 1.96
出典 : 韓国金融投資協会
___________________________
注記:
(1) AA- 格付を有する3年物社債の利回りにより測定されている。
(2) 3年物国債の利回りにより測定されている。
(3) 91 日満期の譲渡性預金証書の利回りにより測定されている。
(4) COFIX の報告対象の商業銀行による資金調達商品の月末ごとの残高についての借入金利の加重平均に基づき測定されている。
(5) COFIX の報告対象の商業銀行による新規資金調達商品の各月の残高についての借入金利の加重平均に基づき測定されている。
重要な会計方針
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当行の財務書類の作成にあたり、経営陣は、一定の会計方針の適用において、本質的に不確実性の高い事
項の影響について重要な見積りおよび仮定を伴う判断を行うことが要求されている。これらの見積りおよび
仮 定は、一部の資産、負債、収益および費用の報告金額に重大な影響を与える可能性があるが、財務書類の
日付現在当行が入手可能な情報に基づいており、異なる見積りおよび仮定を用いることにより、時の経過に
よってかかる情報に変更がある場合には財務書類上の報告金額に重大な影響を与える可能性がある。一部の
会計方針はその性質上、見積りおよび仮定の利用により大きく依拠しており、これにより、当初報告された
ものと大きく異なる結果となることがある。
報告金額の基礎となる手法、見積りおよび仮定に対する財務書類数値の感応度に基づき、当行は重要な会
計見積りに関わる以下の重要な会計方針を特定している。これらの方針は主観的または複雑な判断を要求し
ており、そのため、新たな情報が入手可能になることにより改定される場合がある。当行の重要な会計方針
は、「第6-1 財務書類」に記載される連結財務書類に対する注記2により詳しく述べられている。
最近の会計方針の変更
韓国 IFRS 第 1109 号は 2015 年9月 25 日に公表され、 2018 年1月1日以後に開始する年度から 実施されてい
る。同基準書は、韓国 IFRS 第 1039 号「金融商品:認識および測定」の従来のガイダンスに代わるものであ
る。当行は、 2018 年1月1日以後に開始する年度から、韓国 IFRS 第 1109 号 を採用し、 2018 年1月1日を適用
開始日とする韓国 IFRS 第 1109 号の初度適用による累積的影響を認識した。
新たな基準である韓国 IFRS 第 1109 号の主要な特徴は、 (i) 金融資産を管理するビジネスモデルおよび
キャッシュフローの特性を反映した金融資産の分類および測定 ( ⅱ ) 金融資産の「予想信用損失」モデルを反
映した減損手法、ならびに ( ⅲ ) ヘッジ会計に適格なヘッジ項目およびヘッジ手段の範囲の拡大ならびに
ヘッジ関係の有効性についての評価方法の変更である。
韓国 IFRS 第 1109 号は遡及適用することが原則となっている。しかし、当行の金融商品の分類、測定および
減損についての比較情報の修正再表示を免除する規定がある。さらに、ヘッジ会計については、オプション
の時間的価値の会計処理といった一定の場合を除き、新基準が将来的に適用される。
韓国 IFRS 第 1109 号の初度適用による金融資産および金融負債の帳簿価額の調整、信用損失引当金の調整な
らびに資本に対する影響の詳細については、「第6-1 財務書類」に記載される当行の監査済連結財務書類
に対する注記 45 に示されている。
当行はまた 2015 年 11 月6日に公表された韓国 IFRS 第 1115 号「顧客との契約から生じる収益」を 2018 年1月
1日に開始する年度から採択した。韓国 IFRS 第 1115 号は、韓国 IFRS 第 1018 号「収益」、韓国 IFRS 第 1011 号
「建設契約」、韓国 IFRS 第 2031 号「広告役務の交換取引」、韓国 IFRS 第 2113 号「顧客ロイヤルティー制
度」、韓国 IFRS 第 2115 号「不動産建設約定」および韓国 IFRS 第 2118 号「顧客からの資産移転」を含む既存の
収益認識ガイダンスに代わるものである。
韓国 IFRS 第 1115 号に従い、すべての種類の契約は5段階の収益認識モデル( (1) 契約の識別、 (2) 履行義務
の識別、 (3) 取引価格の決定、 (4) 取引価格の履行義務に対する配分および (5) 履行義務の充足による収益の認
識)により収益を認識する。
当行は、韓国 IFRS 第 1115 号の遡及適用を選択し、韓国 IFRS 第 1115 号の移行規定に従い、韓国 IFRS 第 1115 号
の適用開始日における初度適用の累積的な財務上の影響を反映した。韓国 IFRS 第 1115 号の初度適用による資
本に対する影響の詳細については、「第6-1 財務書類」に記載される当行の監査済連結財務書類に対する
注記 45 に示されている。
さらに、当行は 2017 年5月 22 日に公表された韓国 IFRS 第 1116 号「リース」を 2019 年1月1日に開始する年
度から適用した。韓国 IFRS 第 1116 号は、韓国 IFRS 第 1017 号「リース」、韓国 IFRS 第 2104 号「契約にリースを
含むか否かの判断」、韓国 IFRS 第 2015 号「オペレーティングリース-インセンティブ」、および韓国 IFRS 第
2027 号「リースの法形式に伴う取引実態の評価」を含む従来の基準書に代わるものである。
契約開始の時点において、事業体はその契約がリース契約であるかまたはリースを含む契約であるか否か
を評価しなければならない。ただし、これまでにリースか否かを識別した契約については、事業体は適用開
始日にかかる契約がリース契約であるかまたはリースを含む契約であるかを再評価することは義務付けられ
ていない。
リース契約またはリースを含む契約の場合、賃借人または賃貸人は契約内の各リース要素を、契約の非
リース要素とは別にリースとして会計処理しなければならない。
賃借人は、リース期間中に原資産を使用する賃借人の権利を表す資産を表す使用権資産と、リース料を支
払う義務を表すリース負債とを認識しなければならない。ただし、賃借人は短期リースおよび原資産の価値
が低いリースについては要件の適用を選択することができない。また、実務的簡便法により、賃借人は、原
資産の種類によって、非リース要素をリース要素から分離せずに、各リース要素および関連する非リース要
素を単一のリース要素として会計処理することを選択できる。韓国 IFRS 第 1116 号に基づく賃貸人の会計処理
の取扱いには、従来の基準である 韓国 IFRS 第 1017 号に基づく 場合と比較して重大な変更はない。
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韓国 IFRS 第 1008 号「会計方針、会計見積もりおよび誤謬の変更」に従い、賃借人は過去の各報告期間につ
いて遡及適用する(完全遡及アプローチ)か、または適用開始日現在の累積的影響を認識する(バッチ調整
アクションの累積効果)ことを義務付けられている。
当行は、 2019 年1月1日現在の初度適用の累積的影響を適用することにより、韓国 IFRS 第 1116 号 を初めて
適用した。従って、韓国 IFRS 第 1116 号の適用の累積的影響は、適用開始日現在の利益剰余金(または適切な
場合は資本のその他の要素)において調整されており、比較のための財務書類については修正再表示されな
い。 2018 年 12 月 31 日現在、現在オペレーティングリースにより使用している資産の現在価値割引前の最低
リース料は約 519 十億ウォンで、賃貸人の増分借入金利で割引いた場合の割引後金額は約 505 十億ウォンで
あった。しかし、当行は、リース契約またはリースを含む契約の会計処理の実務的簡便法を用いて、各リー
ス要素および関連する非リース要素を単一のリース要素として会計処理する。財務書類への影響の詳細な分
析の結果、当行は、 2018 年 12 月 31 日現在の使用権資産およびリース負債がそれぞれ約 502 十億ウォンおよび約
461 十億ウォン増加すると予想している。
測定の基礎
連結財務書類は、下記の連結財政状態計算書における重要な項目を除き、取得原価に基づき作成されてい
る。
・ 公正価値で測定されるデリバティブ金融商品
・ 損益を通じて公正価値で測定される金融商品(以下「 FVTPL 」という。)
・ その他包括損益を通じて公正価値で測定される金融商品(以下「 FVOCI 」という。)
・ 公正価値で測定される株式基準報酬
・ 適格公正価値ヘッジ関係が損益において認識されるヘッジ対象項目として指定された金融商品のヘッジ
対象リスクによる公正価値の変動
・ 確定給付債務の現在価値合計から制度資産の公正価値を控除した額として認識される確定給付制度債務
金融資産の予想信用損失
償却原価で測定される金融資産および FVOCI 金融資産については、予想信用損失は各期間末現在で評価さ
れ、損失引当金として認識される。
当初認識後、損失引当金は信用リスクの重大な増加の程度により下記の3つのステージに分類される。
ステージ 区分 説明
当初認識後、信用リスクが著し 12 ヵ月予想信用損失:報告期間末以降 12 ヵ月以内に発生する
ステージ 1
く増加していない場合 可能性のある金融商品の債務不履行事象による予想信用損失
当初認識後、信用リスクが著し
ステージ 2
全体期間予想信用損失:予想存続期間に発生する可能性のあ
く増加した場合
る全ての債務不履行事象による予想信用損失
ステージ 3
信用減損した金融資産
当初認識時に信用減損した金融資産については、全期間予想信用損失の累積的変更のみが損失引当金とし
て認識される。この文脈において、「全期間」とは、契約上の満期日までの金融資産の予想存続期間をい
う。
将来予測情報 当行は、将来予測に基づいて信用リスクの重大な増加を判断し、予想信用損失を見積もる。
予想信用損失の測定に用いる要素は、経済サイクルおよびマクロ経済上の変数と一定の関係を有すると仮定
される。将来予測情報は、マクロ経済変数および信用リスク測定要素との間の関係分析を通じて予想信用損
失見積もりにおいて反映される。
償却原価測定金融資産 償却原価測定金融資産の予想信用損失は、契約上のキャッシュフローの現在価値と
予想キャッシュフローの現在価値の差として認識される。個別に重要な金融資産については別々に予想
キャッシュフローが見積もられる。個別に重要でない金融資産については、同程度の信用リスクを有する資
産のグループに含められ、集合的に予想信用損失が見積もられる。
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償却原価測定金融資産の予想信用損失は損失引当金を減算して表示され、かかる資産が回収不能であると判
断された場合に、かかる資産とともに引当金が認識中止される。過去に償却された貸出がその後回収された
場 合は、損失引当金の増額として認識される。各報告日ごとに、当行は全期間予想信用損失の変動額を損益
において認識する。
その他包括利益を通じて公正価値測定される金融資産 その他包括利益を通じて公正価値測定される金融資
産の予想信用損失は償却原価測定金融資産と同じ手法を用いて計算される。ただし、損失引当金の変動はそ
の他包括利益として認識される。売却および返済された場合は、損失引当金はその他包括利益から損益に振
替えられる。
金融保証契約
金融保証とは、特定の債務者が債務証書の規定に従った期日に返済を行わなかったために発生した損失を
債権者に払い戻すために、当行が特定の支払を行うことが義務付けられている契約である。金融保証負債は
当初は公正価値で認識され、当初公正価値は金融保証の契約期間にわたり償却される。金融保証負債はその
後、保証に基づく支払が行われる可能性が高くなった場合、かかる償却された金額と、予想される支払の現
在価値のいずれか高い方の金額で計上される。金融保証はその他負債に含められる。
確定給付制度
確定給付制度とは、確定拠出制度を除く退職後従業員給付制度である。確定給付制度における当行の正味
負債は、従業員が当期およびそれ以前の期間の勤務の見返りとして稼得し、現在価値を決定するために割引
かれた将来の給付金額を見積ることにより計算される。社外積立資産の公正価値は控除される。かかる計算
は独立した保険数理士により予測単位積立方式を用いて毎年行われる。割引率は、当行の債務の期間と満期
日が近似しており、給付が支払われる通貨と同じ通貨建ての質の高い社債の報告日付の利回りである。当行
は正味確定給付負債(資産)にかかる勤務費用および正味利息を損益において認識し、正味確定給付債務
(資産)の再測定要素をその他包括利益において認識している。
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平均残高ならびに金額および金利分析
平均貸借対照表および関連金利
下表は、 2017 年および 2018 年 12 月 31 日終了年度の当行の平均残高および平均金利ならびに正味利息スプ
レッド、正味資金利鞘および資産負債比率を示している。
12 月 31 日に終了した年度
2017 年 2018 年
利回り/ 利回り/
受取利息/ 受取利息/支
(1) (1)
平均残高 支払利息 金利 (%) 平均残高 払利息 金利 (%)
(単位:十億ウォン、%を除く)
利付資産:
他銀行への預け金 6,737 90 1.33% 6,563 107 1.62 %
FVTPL 有価証券 - - - 14,442 222 1.53
(2)
12,570 182 1.45 - -
売買目的資産 -
償却原価測定貸出金
(3)
:
個人向け 98,643 3,034 3.08 107,631 3,597 3.34
法人向け 118,369 3,736 3.16 126,964 4,383 3.45
公的機関およびその他貸
2,050 67 3.31 2,392 84 3.50
出
5,355 111 2.21 4,884 121 2.66
他銀行への貸出
償却原価測定貸出金合
224,417 6,948 3.10 241,871 8,185 3.39
計
FVTPL 貸出金 - - - 460 12 2.71
(2)
有価証券
FVOCI 有価証券 - - - 30,280 608 2.01
売却可能金融資産 28,655 488 1.70 - - -
償却原価測定有価証
- - - 15,517 404 2.60
券
12,896 356 2.76 - - -
満期保有金融資産
41,551 844 2.03 45,797 1,012 2.21
有価証券合計
- 59 - - 59 -
その他利付資産
285,275 8,123 2.85% 309,133 9,597 3.10 %
利付資産合計
非利付資産:
現金および預け金 10,562 11,122
デリバティブ資産 1,464 1,822
FVOCI 有価証券 - 448
売却可能金融資産 1,087 -
有形固定資産および無形資
産 2,322 2,364
13,018 14,777
その他非利付資産
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28,453 30,533
非利付資産合計
313,728 8,123 339,666 9,597
資産合計
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12 月 31 日に終了した年度
2017 年 2018 年
利回り/ 利回り/
受取利息/支 受取利息/支
(1) (1)
平均残高 払利息 金利 (%) 平均残高 払利息 金利 (%)
(単位:十億ウォン、%を除く)
有利子負債:
預金:
要求払預金 33,981 120 0.35% 35,535 139 0.39%
定期預金および貯蓄
預金 186,305 2,165 1.16 200,669 2,703 1.35
8,048 126 1.57 8,459 165 1.96
その他預金
228,334 2,411 1.06 244,663 3,007 1.23
利付預金合計
売買目的金融負債 2 - - - - -
借入金 15,894 207 1.30 16,988 292 1.72
債務証券 22,689 490 2.16 27,275 641 2.35
3,273 23 0.70 3,211 71 2.20
その他有利子負債
270,192 3,131 1.16% 292,137 4,011 1.37 %
有利子負債合計
無利子負債:
無利子預金 3,587 3,520
デリバティブ負債 1,720 2,339
15,904 18,547
その他無利子負債
21,211 24,406
無利子負債合計
291,403 3,131 316,543 4,011
負債合計
22,325 - 23,123 -
株主資本
313,728 3,131 339,666 4,011
負債および資本合計
(4)
1.73 %
正味利息スプレッド 1.69%
(5)
1.81 %
正味資金利鞘 1.75%
(6)
105.82%
平均資産負債比率 105.58%
___________________________
注記:
(1) 日次平均残高に基づいている。
(2) 年換算で表示されている。
(3) 減損貸出は、それぞれの平均貸出残高に含まれている。かかる減損貸出に係る受取利息は当初の実効金利を用いて認識される。実
効金利は、貸倒損失の測定にも用いられる。
(4) 利付資産から得た利息の平均金利と有利子負債に支払われた利息の平均金利との差。
(5) 正味受取利息の利付資産の平均残高に対する比率。
(6) 利付資産の平均残高の有利子負債の平均残高に対する比率。
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正味受取利息の変動分析 -金額および金利分析
下表は、当行の 2017 年と比較した 2018 年の金額および金利の変動による受取利息、支払利息および正味受
取利息の変動の分析を示している。
金額および金利の増減は、絶対金額および金利の変動に比例して、平均利付資産および平均有利子負債の
平均残高の増減および金利の変動に基づき算出される。金額および金利双方の変動により生じた増減は、絶
対金額および金利の変動に比例して割り当てられている。
2017 年から 2018 年
以下の変動による利息の増加(減少)
金額 金利 増減
( 単位:十億ウォン )
受取利息の増加(減少)
他銀行への預金 (3) 20 17
FVTPL 有価証券 222 - 222
売買 目的 資産 (182) - (182)
償却原価測定貸出金:
個人向け 300 263 563
法人向け 297 350 647
公的機関およびその他貸出 12 5 17
(13) 25 12
他銀行への貸出
596 643 1,239
償却原価測定貸出金合計
FVTPL 貸出金 12 - 12
有価証券:
FVOCI 有価証券 608 - 608
売却可能金融資産 (488) - (488)
償却原価測定有価証券 404 - 404
(356) - (356)
満期保有金融資産
168 - 168
有価証券合計
- (2) (2)
その他利付資産
813 661 1,474
受取利息合計
支払利息の増加(減少)
預金 :
要求払預金 6 13 19
定期預金および貯蓄預金 193 345 538
8 31 39
その他預金
207 389 596
利付預金合計
借入金 19 66 85
債務証券 108 43 151
(1) 49 48
その他有利子負債
333 547 880
支払利息合計
480 114 594
正味受取利息の純増
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経営成績
2018 年と 2017 年との比較
正味受取利息
表示期間についての当行の正味受取利息の主要構成要素を下表に示す。
12 月 31 日に終了した年度
2017 年 2018 年 増減率 (%)
(単位:十億ウォン、%を除く)
受取利息 :
現金および銀行預け金 90 107 18.9%
FVTPL 有価証券 - 222 -
売買目的資産 182 - -
償却原価測定貸出金 6,948 8,185 17.8%
FVTPL 貸出 - 12 -
FVOCI 有価証券 - 608 -
売却可能金融資産 488 - -
償却原価測定有価証券 - 404 -
満期保有目的金融資産 356 - -
59 59 -
その他受取利息
8,123 9,597 18.1%
受取利息合計
支払利息 :
預金 (2,411) ( 3,007) 24.7%
借入 金 ( 207) ( 292) 41.1
債務証券 ( 490) ( 641) 30.8
(23) ( 71) 208.7
その他支払利息
( 3,131) ( 4,011) 28.1%
支払利息合計
4,992 5,586 11.9%
正味受取利息
(1)
正味資金利鞘 1.75 % 1.81 %
___________________________
注記:
(1) 正味受取利息の平均利付資産に対する比率。上記「平均残高ならびに金額および金利分析-平均貸借対照表および関連金利」を参照
されたい。
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受取利息
受取利息は、主に 2017 年の貸出金からの受取利息が 6,948 十億ウォンであったのに比べて 2018 年に当行の
償却原価測定貸出金からの受取利息が 8,185 十億ウォンであったことから、 2017 年の 8,123 十億ウォンから
18.1 %増加して 2018 年には 9,597 十億ウォンとなった。かかる増加は主に、貸出金の平均残高の増加に加え、
韓国銀行が 2017 年 11 月に基準金利を 1.25 %から 1.50 %に、 2018 年 11 月に 1.50 %から 1.75 %に引き上げたこと
による市場金利の上昇 によるものである。当行の償却原価測定貸出金の平均残高は、主に以下に詳述する理
由により個人向け貸出金および法人向け貸出金の平均残高が増加したことにより、 2017 年の 224,417 十億
ウォンから 2018 年には 241,871 十億ウォンに 7.8 %増加した。当行の平均貸出金利は、主に上記のとおり韓国
銀行が基準金利を引上げたことにより個人向け貸出および法人向け貸出の平均貸出金利が上昇したことによ
り、 2017 年の 3.10 %から 2018 年の 3.39 %に上昇した。
さらに具体的には、以下の理由により受取利息は増加した。
・ 個人向け貸出に係る利息は、 2017 年の 3,034 十億ウォンから 2018 年の 3,597 十億ウォンに 18.6 %増加し
た。これは主に、個人向け貸出の平均残高が、 2017 年に 98,643 十億ウォンから 2018 年の 107,631 十億
ウォンに 9.1 %増加したことに加え、個人向け平均貸出金利が 2017 年の 3.08 %から 2018 年の 3.34 %に上
昇したためである。個人向け貸出の平均残高は、主に相対的な低金利環境に加え、抵当貸出に関して政
府により実施された債務所得比率およびローン資産価値比率の上限についてのより厳しい規制にもかか
わらず、住宅市場における需要が増加したことにより増加した。特に、賃貸住宅の長期保証金の金額が
継続して上昇していることに加え、長期保証金賃貸住宅の供給が減少したことから、より多くの世帯が
住宅を購入することを選択するため、抵当及び住宅担保ローンの金額が増加した。個人向け貸出の平均
貸出金利は主に、上記のとおり韓国銀行が基準金利を引上げたことによる市場金利の全体的な上昇によ
り上昇した。韓国銀行が設定する基準金利は、譲渡性預金証書に対する市場金利を決定し、これにより
主に当行の個人向け貸出の大半の貸出金利が決定される。
・ 法人向け貸出に係る利息は、 2017 年の 3,736 十億ウォンから 2018 年の 4,383 十億ウォンに 17.3 %増加し
た。これは主に法人向け貸出の平均残高が 2017 年の 118,369 十億ウォンから 2018 年の 126,964 十億ウォン
に 7.3 %増加したことに加え、法人向け貸出に係る貸出金利が 2017 年の 3.16 %から 2018 年の 3.45 %に上
昇したためである。法人向け貸出の平均残高の増加は主に、 SOHO および中小企業の 成長を促進するため
の政府による政策イニシアチブにより、 SOHO および中小企業の貸出需要が増加したためである。法人向
け貸出の平均貸出金利の上昇は主に、上述の市場金利の全般的な上昇によるものである。
支払利息
支払利息は、 2017 年の 3,131 十億ウォンから 28.1 %増加して 2018 年には 4,011 十億ウォンとなった。これは
主に、預金に係る支払利息が、 2017 年の 2,411 十億ウォンから 2018 年の 3,007 十億ウォンに 24.7 %増加したこ
とに加え、より程度は少ないものの、負債証券に係る支払利息が 2017 年の 490 十億ウォンから 2018 年の 641 十
億ウォンに 30.8 %増加したためである。
預金に係る支払利息が増加したのは主に、預金に係る平均支払金利(支払利息の平均預金残高に対する比
率)が 2017 年の 1.06 %から 2018 年の 1.23 %に 17 ベーシスポイント上昇したことに加え、預金の平均残高が
2017 年の 228,334 十億ウォンから 2018 年の 244,663 十億ウォンに 7.2 %増加したためである。預金に係る平均支
払金利が上昇したのは主に、定期預金および貯蓄預金に係る平均支払金利が 2017 年の 1.16 %から 2018 年の
1.35 %に上昇したためである。定期預金および貯蓄預金に係る平均支払金利が上昇したのは主に、韓国銀行
によりに設定された基準金利の引上げによるものである。預金の平均残高が増加したのは主に、定期預金お
よび貯蓄預金の平均残高が 2017 年の 186,305 十億ウォンから 2018 年の 200,669 十億ウォンに 7.7 %増加したため
であり、これは主に金融市場における不透明感の継続により、顧客が低リスクの投資を選好したためであ
る。
債務証券に係る支払利息の増加は主に、債務証券の平均残高が 2017 年の 22,689 十億ウォンから 2018 年の
27,275 十億ウォンに増加したためである。
正味資金利鞘
正味資金利鞘とは、正味受取利息の利付資産の平均残高に対する比率を表す。当行の全体的な正味資金利
鞘は、 2017 年の 1.75 %から 2018 年の 1.81 %に6ベーシスポイント増加した。これは、主に、韓国銀行が 2017
年 11 月に基準金利を 1.25 %から 1.50 %に、 2018 年 11 月に 1.50 %から 1.75 %に引き上げたことによる市場金利
の全般的な上昇により、上述のとおり正味受取利息の増加が利付資産の平均金額の増加を上回ったためであ
る。正味金利スプレッドは、利付資産により得られる平均金利と有利子負債に支払われる平均金利の差を表
しており、 2017 年の 1.69 %から 2018 年の 1.73 %に4ベーシスポイント増加した。これは主に利付資産にかか
る受取利息の平均金利が 2017 年の 2.85 %から 2018 年の 3.10 %に 25 ベーシスポイント上昇し、有利子負債にか
かる支払利息の平均金利が 2017 年の 1.16 %から 2018 年の 1.37 %に 21 ベーシスポイント上昇したことを上回っ
たためである。これは主に上述の韓国銀行による基準金利の引上げに加え、金利改定の平均頻度および相対
的な満期プロフィールの違いにより、利付資産にかかる受取利息の平均金利の上昇が有利子負債にかかる支
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払利息の平均金利の上昇を上回ったためである。 利付資産の平均金額は、主に個人向け貸出および法人向け
貸出の金額が増加したため、 2017 年の 285,275 十億ウォンから 2018 年の 309,133 十億ウォンに 8.4 %増加した。
有 利子負債の平均金額は、主に金融市場における不透明感の継続により、顧客が低リスクの投資を選好した
ことに加え、当行のよりコストの低い預金を惹きつけるための取組みにより預金が増加したため、 2017 年の
270,192 十億ウォンから 2018 年の 292,137 十億ウォンに 8.1 %増加した。
正味手数料収益(費用)
表示期間における当行の正味手数料収益の内訳を下表に示す。
12 月 31 日に終了した年度
2017 年 2018 年 増減率 (%)
(単位:十億ウォン、%を除く)
受取手数料:
与信取扱手数料 55 55 -%
電子金融手数料 142 146 2.8
仲介手数料 108 98 (9.3)
業務代行手数料 324 324 -
投資金融手数料 54 71 31.5
外国為替受取手数料 179 189 5.6
信託報酬手数料 166 192 15.7
受取保証料 61 70 14.8
95 113 18.9
その他
1,184 1,258 6.3%
受取手数料合計
支払手数料:
与信関連手数料 (34) (35) 2.9%
ブランド使用手数料 (33) (35) 6.1
サービス関連手数料 (18) (26) 44.4
売買および仲介関連手数料 (8) (9) 12.5
外国為替支払手数料 (32) (39) 21.9
(68) (77) 13.2
その他
支払手数料合計 (193) (221) 14.5%
991 1,037 4.6%
正味受取手数料
正味受取手数料は 2017 年の 991 十億ウォンから 2018 年の 1,037 十億ウォンに 4.6 %増加した。これは主に信託
報酬手数料が 2017 年の 166 十億ウォンから 2018 年の 192 十億ウォンに 15.7 %増加したことに加え、より程度は
少ないものの投資金融手数料が 2017 年の 54 十億ウォンから 2018 年の 71 十億ウォンに 31.5 %増加したためであ
る。信託報酬手数料の増加は主に特定金銭信託および不動産関連信託の管理手数料の増加によるものであ
る。投資金融手数料の増加は主に 、 M&A 、社会資本( SOC )プロジェクトおよびその他企業取引の件数の増加
によるものである。
正味非金利収益(費用)
表示期間における当行の正味非金利収益(費用)の内訳を下表に示す。
12 月 31 日に終了した年度
2017 年 2018 年 増減率 (%)
(単位:十億ウォン、%を除く)
受取配当金 101 16 (84.2)%
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FVTPL 金融商品利益 - 359 -
正味売買損失 (165) - -
正味外国為替取引利益 473 142 (70.0)
正味 FVOCI 金融資産売却益 - 16 -
正味売却可能金融資産売却利益 196 - -
信用損失引当金繰入 - (243) -
正味金融資産減損損失 (661) - -
一般管理費 (3,118) (3,062) (1.8)
正味その他営業費用 (603) (686) 13.8
正味非営業損失 (48) (18) (62.5)
1 (1) N/M
関連会社投資における持分利益(損失)
(3,824) (3,477) (9.1)%
正味非金利費用合計
* N/M =重要ではない。
正味非金利費用は、 2017 年の 3,824 十億ウォンから 9.1 %減少して 2018 年の 3,477 十億ウォンとなった。これ
は主に、 2017 年に正味金融資産減損損失 661 十億ウォンを計上したのに対し、 2018 年に 243 十億ウォンの信用
損失引当金繰入額を認識した ことに加え、より程度は少ないもの、退職手当の減少により一般管理費が 2017
年の 3,118 十億ウォンから 2018 年の 3,062 十億ウォンに減少したためである。
信用損失引当金繰入および金融資産の減損損失
表示期間における信用損失引当金繰入額を金融資産の種類別に下表に示す。
12 月 31 日に終了した年度
2017 年 2018 年 増減率 (%)
(単位:十億ウォン、%を除く)
貸出金:
個人向け 140 138 (1.4) %
法人向け 339 93 (72.6)
5 15 200.0
その他
484 246 (49.2)
小計
(1)
178 7
(96.1)
有価証券
(1) (10) 900.0
その他
661 243 (63.2) %
金融資産の正味減損損失/信用損失引当金繰入
___________________________
注記:
(1) 2017 年については売却可能金融資産および満期保有金融資産からなっており、 2018 年については償却原価測定有価証券である。
当行は、 2017 年に金融資産の正味減損損失 661 十億ウォンを計上したのに対し、 2018 年に 243 十億ウォンの
信用損失引当金繰入額を認識した。 貸出金については、当行は、 2017 年に正味貸出金減損損失 484 十億ウォン
を計上したのに対し、 2018 年に 246 十億ウォンの信用損失引当金繰入額を認識した。 2018 年1月1日、当行
は、貸出金の信用損失引当金を 1,507 十億ウォンから 1,870 十億ウォンに 363 十億ウォン引上げた。これは、 韓
国 IFRS 第 1109 号 の適用に際し、従来のガイダンスに基づく「発生損失」モデルから、より将来予測的な「予
想信用損失」モデルへと測定モデルを変更した結果である。貸出金の信用損失引当金のかかる増加の影響
は、 2018 年1月1日現在の当行の利益剰余金において計上されている。 2017 年に貸出金減損損失を計上した
のに対し、 2018 年に貸出金の信用損失引当金繰入額が減少したが、これは主に 2018 年に一部の企業借り手が
減損損失の戻入れを行ったことによるもので、信用損失引当金は従来の韓国 IFRS 第 1039 号のガイダンスに従
い 2017 年 12 月 31 日現在 1,507 十億ウォンであったのに対し、韓国 IFRS 第 1109 号に従い 2018 年 12 月 31 日現在では
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1,676 十億ウォンに増加した。当行の信用損失引当金に対する韓国 IFRS 第 1109 号の財務上の影響に関する詳細
については、「第3-2 事業等のリスク-当行の事業に関連するリスク-韓国 IFRS 第 1109 号の実施により、
当 行の貸出ポートフォリオおよびその他の金融商品の予想信用損失をカバーするために減損損失引当金が増
加する可能性があり、当行の損益のボラティリティが高まる可能性がある。」を参照のこと。当行はまた
2017 年に有価証券にかかる正味減損損失を 178 十億ウォン計上したのに対し、 2018 年には有価証券にかかる信
用損失引当金繰入額7十億ウォンを認識した。これは主に、 2017 年に Kookmin Cable Investment Inc. に対す
る当行の投資の公正価値 131 十億ウォンが著しく減少したこと(これは最大の有価証券減損損失で、もはや韓
国 IFRS 第 1109 号の実施後の減損査定の対象ではない。)を含む、売却可能持分商品の減損損失によるもので
ある。
法人税費用
法人税費用は主に、税引前利益が 2017 年の 2,159 十億ウォンから 45.7 %増加して 3,146 十億ウォンとなった
ことに加え、法人税率が 24.2 %から 27.5 %に増加した( 2018 年1月1日以後に開始する会計年度から実施さ
れる。)ため、 2017 年の 447 十億ウォンから 94.0 %増加して 2018 年には 867 十億ウォンとなった。当行の実効
税率は、 2017 年の 20.69 %から 2018 年には 27.56 %に上昇した。
当期純利益
上記により、当行の当期純利益は、 2017 年の 1,712 十億ウォンから 33.1 %増加して 2018 年には 2,279 十億
ウォンとなった。
当期その他包括利益(損失)
12 月 31 日に終了した年度
2017 年 2018 年 増減率 (%)
(単位:十億ウォン、%を除く)
後に損益に組替えられる項目
海外事業の外貨換算差益 (186) 21 N/M
FVOCI 金融資産の公正価値の未実現の正味変動 - 88 -
売却可能金融資産の公正価値の未実現の正味変
動 ( 93) - -
関連会社のその他包括損失に対する持分 (10) (2) (80.0)
後に損益に組替えられない項目
確定給付制度の再測定 74 (70) N/M
- 17 -
FVOCI 金融資産の公正価値の未実現の正味変動
0.15 0.01 (90.8)
関連会社のその他包括利益に対する持分
(215) 54
その他包括損失合計(税引後) N/M
* N/M =重要ではない。
当行はは 2017 年には 215 十億ウォンのその他包括損失を計上したのに対し、 2018 年には 54 十億ウォンのその
他包括利益を計上した。韓国 IFRS 第 1109 号の適用により、その他包括利益において認識される項目が、特
に、有価証券の分類および測定に関して変更した。当行は、 2017 年に 93 十億ウォンの売却可能金融資産に関
連したその他包括損失を計上したのに対し、 2018 年にその他包括利益を通じて公正価値で測定される金融資
産の公正価値の未実現の正味変動にかかる利益を 105 十億ウォン認識した。当行は 2017 年に 186 十億ウォンの
海外事業の外貨換算差損を計上したのに対し、主に 2018 年に為替レートが上昇したことにより、 2018 年に 21
十億ウォンの海外事業の外貨換算差益を認識した。
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事業セグメント
現在、当行の主な事業セグメントは以下のとおりである。
・個人向け銀行業:主に個人顧客(富裕層の個人および家族を含む。)ならびにより少ない程度ではあるが
病院、空港および学校といった非営利機関に貸出を行い、これらから預金を受入れる業務
・法人向け銀行業:中小企業を含む営利目的の法人に貸出を行い、これらから預金を受け入れる業務ならび
に法人顧客向けの投資銀行サービスの提供
・国際銀行業:主に海外子会社および海外支店の運営ならびにその他の海外業務
・その他銀行業:財務業務(行内資産負債管理およびその他の非預金の資金調達業務を含む)、有価証券の
投資およびトレーディングならびにデリバティブのトレーディングに加え、銀行業務全般の管理からな
る。
2 015 年4月、当行は、当行の進化する事業モデルおよび組織構成の変更を反映するために、事業セグメン
トを一部再編した。この変更の結果、それまで法人向け銀行業セグメントにおいて行われていた一部の業務
(資金業務、有価証券投資および売買ならびにデリバティブ取引業務を含む。)がその他銀行業セグメント
に移転された。
下表は、 2017 年および 2018 年 12 月 31 日終了年度のセグメント別営業利益(費用)を示している。
12 月 31 日に終了した年度
2017 年 2018 年 増減 率 (%)
(単位: % を除き十億ウォン)
個人向け銀行業 1,022 1,307 27.9%
法人向け銀行業 1,150 1,565 36.1
国際銀行業 421 439 4.3
その他銀行業 (359) (143) (60.2)
(1)
(28) (3) (89.3)
連結調整
2,206 3,165 43.5%
営業利益合計
___________________________
注記:
(1) 連結調整は、セグメント間取引の調整からなる。
個人向け銀行業
個人向け銀行業セグメントは主に、当行の個人向け銀行業支店が支店の顧客(主に個人および家計からな
る。)に提供する銀行サービスおよびその他サービスからなる。個人向け銀行業の商品は主に、抵当ローン
および住宅担保ローンならびにその他個人向け貸出、預金およびその他貯蓄商品ならびに投資およびバンカ
シュアランス商品の販売により稼得した手数料からなる。
2017 年および 2018 年 12 月 31 日に終了した年度における個人向け銀行業セグメントの損益計算書データを下
表に示す。
12 月 31 日に終了した年度
2017 年 2018 年 増減 率 (%)
(単位: % を除き十億ウォン)
正味受取利息 2,824 3,163 12.0%
正味受取手数料 495 498 0.6
(2,297) (2,354) 2.5
正味その他費用
1,022 1,307 27.9%
営業利益
2018 年と 2017 年との比較
個人向け銀行業の営業利益は、 2017 年の 1,022 十億ウォンから 27.9 %増加して 2018 年には 1,307 十億ウォン
となった。
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個人向け銀行業の正味受取利息は、当行の正味資金利鞘が拡大したことに加え、当行の個人向け貸出金の
平均金額が増加したため、 2017 年の 2,824 十億ウォンから 12.0 %増加して 2018 年には 3,163 十億ウォンとなっ
た。 当行の正味資金利鞘の拡大は主に市場金利の全般的な上昇によるものである。個人向け貸出の平均金額
の増加は主に住宅抵当ローンの増加によるものである。
正味受取手数料は 2017 年の 495 十億ウォンから 0.5 %増加して 2018 年には 498 十億ウォンとなった。この増加
は主に、信託勘定からの資産運用手数料が増加したためである。
正味その他費用は、主にオフィス賃貸市場における賃貸手数料の全般的な増加により賃貸費用が増加した
ため、 2017 年の 2,297 十億ウォンから 2.5 %増加して 2018 年には 2,354 十億ウォンとなった。
法人向け銀行業
法人向け銀行業セグメントは主に、当行の法人向け銀行業支店が支店の法人顧客(大半が中小企業および
大企業(財閥の傘下会社を含む。))に提供する一般貸出ならびに貸越およびその他貸出ファシリティ等の
銀行サービスならびにその他サービスからなる。
2017 年および 2018 年 12 月 31 日に終了した年度における法人向け銀行業セグメントの損益計算書データを下
表に示す。
12 月 31 日に終了した年度
2017 年 2018 年 増減 率 (%)
(単位: % を除き十億ウォン)
正味受取利息 1,418 1,628 14.8 %
正味受取手数料 352 402 14.2
(620) (465) (25.0)
正味その他費用
1,150 1,565 36.1 %
営業利益
2018 年と 2017 年との比較
法人向け銀行業の営業利益は、 2017 年の 1,150 十億ウォンから 36.1 %増加して 2018 年には 1,565 十億ウォン
となった。
正味受取利息は、 2017 年の 1,418 十億ウォンから 14.8 %増加して 2018 年には 1,628 十億ウォンとなった。こ
の増加は主に、法人向け貸出の平均残高が 2017 年の 118,369 十億ウォンから 2018 年には 126,964 十億ウォンに
7.3 %増加したことに加え、法人向け貸出の平均貸出金利が 2017 年の 3.16 %から 2018 年には 3.45 %に上昇した
ことによるものである。
正味受取手数料は、主に、 M&A 、社会資本( SOC )プロジェクトおよびその他企業取引の件数の増加による
投資金融手数料の増加により、 2017 年の 352 十億ウォンから 14.2 %増加して 2018 年の 402 十億ウォンとなっ
た。
正味その他費用は 2017 年の 620 十億ウォンから 25.0 %減少して 2018 年の 465 十億ウォンとなった。これは主
に、 2018 年から韓国 IFRS 第 1109 号を適用したことによる信用損失引当金繰入額の減少によるものである。
国際銀行業
国際銀行業セグメントは主に、セグメント間の貸出および借入といった当行の海外子会社および支店の業
績からなっている。
2017 年および 2018 年 12 月 31 日に終了した年度 における国際銀行業の損益計算書データを下表に示す。
12 月 31 日に終了した年度
2017 年 2018 年 増減率 (%)
(単位: % を除き十億ウォン)
正味受取利息 463 629 35.9%
正味受取手数料 90 99 10.0
(132) (289) 118.9
正味その他費用
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12 月 31 日に終了した年度
2017 年 2018 年 増減率 (%)
421 439 4.3%
営業利益
2018 年と 2017 年との比較
国際銀行業の営業利益は、 2017 年の 421 十億ウォンから 4.3 %増加して 2018 年には 439 十億ウォンとなった。
正味受取利息は、 2017 年の 463 十億ウォンから 35.9 %増加して 2018 年の 629 十億ウォンとなった。この増加
は主に、当行の海外支店(特にベトナムの子会社)によって提供された貸出の平均残高の増加によるもので
ある。
正味受取手数料は 2017 年の 90 十億ウォンから 10.0 %増加して 2018 年の 99 十億ウォンとなった。この増加は
主に新韓バンク・ベトナムによるクレジットカード手数料が増加したことによる。
正味その他費用は 2017 年の 132 十億ウォンから 118.9 %増加して 2018 年には 289 十億ウォンとなった。この増
加は主に、当行の海外ネットワークの拡大に関連する費用が増加したためである。
その他銀行業
同セグメントは主に、資金業務(行内資産負債管理およびその他非預金の資金調達業務を含む)、債務証
券およびより程度は小さいものの自己勘定での持分証券のトレーディングならびに投資、デリバティブのト
レーディング業務に加え、バックオフィス機能の管理からなるその他業務からなっている。
2017 年および 2018 年 12 月 31 日に終了した年度におけるその他銀行業セグメントの営業費用の構成要素を下
表に示す。
12 月 31 日に終了した年度
2017 年 2018 年 増減率 (%)
(単位: % を除き十億ウォン )
正味受取利息 290 164 (43.4)%
正味受取手数料 57 43 (24.6)
(706) (350) (50.4)
正味その他費用
(359) (143) (60.2)%
営業利益(費用)
2018 年と 2017 年との比較
その他銀行業セグメントの営業費用は、 2017 年の 359 十億ウォンから 60.2 %減少して、 2018 年には 143 十億
ウォンとなった。
正味受取利息は、 2017 年の 290 十億ウォンから 43.4 %減少して 2018 年には 164 十億ウォンとなった。
正味受取手数料は、 2017 年の 57 十億ウォンから減少して、 2018 年には 43 十億ウォンとなった。これは主に
受益証券に関する手数料の減少によるものである。
正味その他費用は、 2017 年の 706 十億ウォンから 50.4 %減少して 2018 年には 350 十億ウォンとなった。これ
は主に、当行が 2017 年に 165 十億ウォンの正味売買損を計上したのに対し、 2018 年に損益を通じて公正価値測
定される金融商品にかかる利益 359 十億ウォンを計上したためであり、これは、ウォン相場の値上がりにより
外国為替レートが下落したことによる外貨建て取引による純利益の減少により一部相殺された。
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財政状態
資産
表示日現在の当行の資産の主要項目を下表に示す。
12 月 31 日現在
2017 年 2018 年 増減率 (%)
(単位: % を除き十億ウォン)
現金預け金 18,662 13,150 (29.5)%
損益を通じて公正価値測定される
有価証券 - 15,612 -
売買目的資産 11,216 - -
デリバティブ資産 2,604 1,484 (43.0)
正味償却原価測定貸付債権 - 251,234 -
損益を通じて公正価値測定される
貸付債権 - 645 -
正味貸付債権 231,732 - -
その他包括利益を通じて公正価値
測定される有価証券 - 31,878 -
売却可能金融資産 32,496 - -
償却原価測定有価証券 - 16,824 -
満期保有金融資産 14,823 - -
有形固定資産 2,056 2,014 (2.0)
無形資産 300 316 5.3
関係企業等に対する投資資産 100 110 10.0
投資不動産 598 572 (4.3)
確定給付資産 34 - -
当期法人税資産 25 43 72.0
繰延税金資産 407 223 (45.2)
その他資産 9,253 14,411 55.7
8 8 -
売却目的保有資産
324,314 348,524 7.5%
資産合計
2018 年 12 月 31 日現在と 2017 年 12 月 31 日現在との比較
当行の正味貸付債権は、 2017 年 12 月 31 日現在 231,732 十億ウォンであった。 2018 年1月1日を実施日として
韓国 IFRS 第 1109 号が適用されたため、 2017 年 12 月 31 日現在の貸付債権である 231,130 十億ウォンおよび 602 十
億ウォンが正味償却原価測定貸付債権および損益を通じて公正価値測定される貸付債権にそれぞれ移転され
た。当行の 2018 年 12 月 31 日現在の正味償却原価測定貸付債権は、主に個人向け貸出および法人向け貸出の増
加により 2018 年1月1日の 230,764 十億ウォンから 8.9 %増加して 251,234 十億ウォンとなった。
当行は 2017 年 12 月 31 日現在、 32,496 十億ウォンの売却可能金融資産を計上した。 2018 年1月1日を実施日
とした韓国 IFRS 第 1109 号の適用の結果、 2017 年 12 月 31 日現在 30,354 十億ウォンおよび 2,142 十億ウォンの売却
可能金融資産がその他包括利益を通じて公正価値測定される有価証券および損益を通じて公正価値測定され
る有価証券にそれぞれ移転された。当行のその他包括利益を通じて公正価値測定される有価証券は、主に国
債の増加により、 2018 年1月1日現在の 30,354 十億ウォンから 5.0 %増加して 2018 年 12 月 31 日現在には 31,878
十億ウォンとなった。
当行の 満期保有金融資産 は、 2017 年 12 月 31 日で 14,823 十億ウォンであった。 2018 年1月1日を実施日とし
た韓国 IFRS 第 1109 号の適用の結果、 2017 年 12 月 31 日現在 14,823 十億ウォンであったすべての満期保有金融資
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産は償却原価測定有価証券に移転された。当行の償却原価測定有価証券は、主に国債の増加により、 2018 年
1月1日の 14,823 十億ウォンから 13.5 %増加して 2018 年 12 月 31 日現在には 16,824 十億ウォンとなった。
2018 年 12 月 31 日現在および 2017 年 12 月 31 日現在の当行の資産の比較に関する詳細については、「第6-1
財務書類」に記載される当行の監査済連結財務書類に対する注記 45 を参照のこと。
当行の資産に関する詳細については、「第2-3 事業の内容- (2) 資産および負債の詳細」を参照のこ
と。
負債および資本
表示日現在の当行の 負債合計 の主要項目を下表に示す。
12 月 31 日現在
2017 年 2018 年 増減率 (%)
(単位: % を除き十億ウォン)
預金 242,654 257,893 6.3%
当期損益認識指定金融負債 - 480 -
売買目的金融負債 435 - -
デリバティブ負債 2,993 1,772 (40.8)
借入負債 14,618 16,155 10.5
債務証券 25,459 31,899 25.3
確定給付債務 ▶ 71 1,675.0
引当負債 259 285 10.0
当期法人税負債 211 319 51.2
繰延税金負債 12 23 91.7
15,015 15,434 2.8
その他負債
301,660 324,331 7.5%
負債合計
22,654 24,193 6.8%
資本合計
324,314 348,524 7.5%
負債および資本の合計
2018 年 12 月 31 日現在と 2017 年 12 月 31 日現在との比較
当行の負債合計は、 2017 年 12 月 31 日現在の 301,660 十億ウォンから 7.5 %増加して、 2018 年 12 月 31 日現在に
は 324,331 十億ウォンとなった。かかる増加は主に、預金の増加に加え、より程度は少ないものの債務証券の
増加によるものである。
当行の預金は 2017 年 12 月 31 日現在の 242,654 十億ウォンから 6.3 %増加して、 2018 年 12 月 31 日現在には
257,893 十億ウォンとなった。かかる増加は主に、定期預金および貯蓄預金、要求払い預金ならびに譲渡性預
金証書が増加したためである。
当行の債務証券は、主に債務証券の全般的な増加により、 2017 年 12 月 31 日現在の 25,459 十億ウォンから
25.3 %増加して 2018 年 12 月 31 日現在の 31,899 十億ウォンとなった。
当行の資本合計は、 2017 年 12 月 31 日現在の 22,654 十億ウォンから 6.8 %増加して 2018 年 12 月 31 日現在には
24,193 十億ウォンとなった。かかる増加は主に、当期利益による内部留保の増加に加え、より程度は少ない
もののその他包括損失累計額の減少によるものである。
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流動性および資金源
当行は、貸出、トレーディングおよび投資活動のための資金調達ならびにトレーディング・ポジションの
管理から発生する流動性リスクにさらされている。当行の流動性管理の目的は、苦境においても、すべての
負債を期日通りに返済し、すべての投資機会に資金を投入することである。当行の流動性リスクの管理方法
については、「第2-3 事業の内容- (3) リスク管理-市場リスク管理-非トレーディング業務のための市
場リスク管理-流動性リスク管理」を参照されたい。当行は、運転資本が当行の現在の需要を満たすために
十分であると考えている。
表示日現在の当行の資金源を下表に示す。
12 月 31 日現在
2017 年 2018 年
( 単位:十億ウォン )
預金 242,654 257,893
長期債務 30,225 32,701
コールマネー 562 960
韓国銀行からの借入金 2,874 2,289
その他短期借入金 6,417 12,125
(1)
8,995
9,025
株主資本
合計
291,727 314,993
___________________________
注記:
(1) 株主資本、株式プレミアムおよび新種資本証券を含む。
当行は、伝統的な商業銀行であったため、その主な資金源は、これまでも、また今後も、顧客預金であ
る。 2017 年および 2018 年 12 月 31 日現在の預金は、それぞれ 242,654 十億ウォンおよび 257,893 十億ウォンであ
り、同日現在の当行の資金調達合計のそれぞれ 83.2 %および 81.9 %に相当した。従来、限られた状況を除
き、特に低金利環境および株式市場の変動性に鑑みて、主に韓国の個人および家計には代替投資機会がな
かったため、かかる顧客預金のほとんどが満期時に預け替えられる結果となり、当行にとって安定した資金
源となっていた。しかしながら、株式市場が堅調である中、顧客は魅力ある代替投資機会に直面して、銀行
預金のかなりの金額をより収益の高い投資機会を検索して、その代替投資機会に移転する可能性があり、そ
のために当行にとって有利な商業上の条件で効率的な資金調達手段を見い出すことが一時的に困難となる可
能性がある。
当行はこれまで、そして現在も、いかなる重要な点においても流動性上の困難に直面していないものの、
ウォン安その他の理由により長期間にわたり、当行にとって受入れ可能な商業上の条件で資金需要を満たす
ことができない場合、当行はその金融業者としての生命力を確保し、規制上の要件を満たし、その戦略を実
行し、または効率的に競争することができない可能性がある。
2017 年および 2018 年 12 月 31 日現在、それぞれ 5,639 十億ウォンおよび 5,645 十億ウォン(当行の預金合計の
それぞれ 2.3 %および 2.2 %)は、韓国の裁判所における訴訟に関連する訴訟当事者による預託金であった。
裁判所預託金には、一般に市場金利より低い利息が付される。
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さらに、当行は借入金ならびに社債および持分証券の発行によって資金を得ている。当行の借入金は主
に、金融機関、韓国政府および韓国政府関連ファンドからの借入からなる。ウォン建ておよび外貨建ての双
方で利用可能なコールマネーは、1ヵ月未満の満期を有する貸出のための短期貸出市場である国内コール
ローン市場で得られる。また、当行はその時々に、新韓フィナンシャル・グループからの資本拠出も受け
る。例えば、 2008 年 12 月、当時深刻化していた国際信用危機に関する懸念のただ中で当行の自己資本比率を
改善するため、当行は新韓フィナンシャル・グループから 800 十億ウォンの資本拠出を受けた。当行は、 2008
年 12 月以降は、新韓フィナンシャル・グループからの資本拠出は受けていない。
当行は、重要な資金源として、主に社債の形で長期債務に依存している。 1999 年以降、当行は、韓国の固
定利付証券市場で1年超の満期を有する長期社債を積極的に発行しており、現在も引き続き発行している。
当行は、 1999 年以降、韓国の固定利付証券市場で取得できる最高の格付である AAA を維持してきた。当行の長
期債務証券の金利は概して預金金利よりも 20 ベーシスポイントから 30 ベーシスポイント高い。しかし、長期
債務は預金保険および韓国銀行の準備金に支払われるプレミアムの対象となっていないため、長期債務証券
による資金調達コストは、預金に係る当行の調達コストとほぼ同程度である。さらに、当行はまた、海外市
場で外貨建て長期社債を発行することもできる。 2017 年および 2018 年 12 月 31 日現在、当行の長期債務(1年
以内期限到来分を控除後)は、それぞれ 30,225 十億ウォンおよび 32,701 十億ウォンであった。このうち、そ
れぞれ 6,357 十億ウォンおよび 7,894 十億ウォンは主に米ドルを含む外貨建てであった。
信用格付は、当行が資金を調達できる費用およびその他の条件に影響する。国内外の格付機関は、当行を
定期的に評価し、それらによる当行の長期債務の格付は、当行の財務の健全性および金融サービス業界全般
に影響する状況を含むいくつかの要因に基づいている。
当行は、韓国の固定利付証券市場で比較的高い債務格付を有していることから、長期社債発行によって借
り換えを行うことができると考えている。しかしながら、とりわけ、世界または韓国の経済が再び下方転換
するか、当行のコーポレート・ガバナンスが変更されるか、または当行の事業が大幅に悪化した場合には、
当行が現在の信用格付を維持すると保証することはできない。当行が現在の信用格付および見通しを維持で
きない場合には、資金調達費用が増大し、資本市場およびその他借入へのアクセスが制限され、金融取引に
担保を追加的に差し入れる必要が生じる可能性があり、これらのいずれかによって当行の流動性、正味資金
利鞘および収益性が悪影響を受ける可能性がある。
補完的な資金源には、コールマネー、韓国銀行からの借入金およびその他短期借入金が含まれ、これら
は、 2017 年および 2018 年 12 月 31 日現在、それぞれ 9,853 十億ウォンおよび 15,374 十億ウォンであり、同日現在
の当行の資金調達合計のそれぞれ 3.4 %および 4.9 %を占めた。
さらに、自己資本比率および流動性比率の要件を確実に遵守するために策定された当行のリスク管理政策
に従い、新韓フィナンシャル・グループは、流動性支援の限度額をその子会社に対してはその株主持分合計
の 70 %、子会社1社に対してはその株主持分合計の 35 %と定めてきた。
契約債務、約定および保証
当行は、通常の業務において、数年間にわたる一定の契約上の金銭債務を負担し、また、約定を行ってい
る。当行は、上記「流動性および資金源」に記載されたように様々な資金源から流動性および資金を取得す
ることができるため、かかる契約上の現金債務および約定が流動性または資金源に重大な影響を有すること
になるとは考えていない。
契約上の現金債務
2018 年 12 月 31 日現在の当行の契約上の現金債務を下表に示す。
(1)
2018 年 12 月 31 日現在の満期構成
1ヵ月未満 1 - 3ヵ月 3 - 6ヵ月 6 -12 ヵ月 1 - 5年 5年超 合計
( 単位:十億ウォン )
預金 119,899 23,978 33,363 54,460 27,536 2,836 262,072
借入金 3,739 2,675 2,023 2,778 4,164 1,103 16,482
2,403 4,023 3,917 6,779 13,497 3,400 34,019
社債
126,041 30,676 39,303 64,017 45,197 7,339 312,573
合計
___________________________
注記:
(1) 当行の有利子預金、借入金および発行済債務証券に係る見積契約利息支払額のすべてを反映しており、 2018 年 12 月 31 日現在におい
て変動金利ベースであった借入金および債務証券に係る見積契約利息支払額は、最終適用日に使用された金利(例えば、かかる変
動金利貸出については金利決定日の直前の利払日)が、その他の全期間に適用されたとみなして計算されている。
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約定および保証
当行は、通常の銀行業務において、顧客の資金調達需要を満たすために様々な約定および保証を行ってい
る。約定および保証は通常、とりわけ信用供与約定、商業信用状、スタンドバイ信用状および履行保証の形
による。かかる金融商品の契約上の金額は、相手方が約定の実行を求めるか、または当行が保証に基づく義
務を履行しなければならず、かつ相手方が契約に基づき履行しなかった場合における最大期待損失額を示
す。「第2-3 事業の内容- (2) 資産および負債の詳細-与信関連の約定および保証」および「第6-1 財
務書類」に記載される連結財務書類に対する注記 38 を参照されたい。
2018 年 12 月 31 日現在の当行の連結ベースでの約定および保証を下表に示す。
2018 年 12 月 31 日現在の約定の満期構成
1年未満 1 - 5年 5年超
合計
( 単位:十億ウォン )
(1)
68,428 10,376 10,289 89,093
信用供与約定
(2)
3,140 21 - 3,161
商業信用状
(3)
1,731 556 21 2,308
金融保証
(4)
4,641 2,913 95 7,649
履行保証
(5)
1,229 691 164 2,084
特別目的事業体向け流動性ファシリティ
(6)
283 - - 283
手形引受
(7)
7,796 - - 7,796
裏書手形
763 171 975 1,909
その他
88,011 14,728 11,544 114,283
合計
___________________________
注記:
(1) 信用供与約定は、貸出の形で信用を供与することが承認されているもののうち、資金手当てされていない部分を表す。かかる約定
は所定の日に終了し、顧客は、かかる約定に基づき資金を引き出すための事前に定められた条件に従わなければならない。与信枠
を含む信用供与約定は、通常、債務者に影響する重大な悪変化があった場合にかかる約定を取り消すことを当行に認める規定を含
む。
(2) 商業信用状は、顧客に代わって、特定の条件に基づいて所定の金額を上限として当行宛の手形を振り出すことを第三者に承認する
約束である。これらは通常、短期であり、関連する船荷によって担保される。
(3) 金融保証は、債務証書の要項に従い特定の債務者が期日に返済を行わなかった場合、当行に、発生した損失について保有者に特定
の払戻しを行うことを義務付ける契約である。金融保証債務は当初は公正価値で認識され、その当初の公正価値は金融保証の期間
にわたり償却される。金融保証債務はその後、この償却金額と、保証に基づく支払いが可能となった場合に見込まれる支払いの現
在価値のいずれか高い金額で計上される。金融保証はその他債務に含まれる。
(4) 履行保証は、建設もしくは類似のプロジェクトへの顧客の入札を保証するため、または契約条件に従ったかかるプロジェクトの完
成を保証するために発行される。また、製品、商品、保守またはその他サービスを第三者に提供する顧客の義務を補完するために
も発行される。
(5) 特別目的事業体向け流動性ファシリティは、当行が管理者として行為する特別目的事業体へのコマーシャル・ペーパー購入契約を
含む緊急時与信枠を提供する取消不能の約定を表す。
(6) 手形引受は、顧客宛てに振り出された為替手形を支払う当行による保証を表す。当行は、大半の当行引受手形についてはその呈示
がなされても、顧客は通常、直ちに償還すると予想している。
(7) 裏書手形は当行によって第三者に譲渡される手形である。当行は、主たる支払義務者がかかる手形を期日に引受けない場合に支払
い義務を履行しなければならない。
4【経営上の重要な契約等】
該当事項なし。
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5【研究開発活動】
該当事項なし。
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第4【設備の状況】
1【設備投資等の概要】
該当事項なし。
2【主要な設備の状況】
資産
当行の登録事務所および本店は大韓民国04513ソウル特別市中区 世宗大路9道 20 に所在する。韓国にある当
行資産の一部に関する情報は下表に示されている。
面積
(平方メーター)
敷地
設備の種類 場所 建物 (異なる場合)
登録事務所および本社 大韓民国04513ソウル特別市 中区世宗大路9道
59,519 5,418
20
新韓銀行廣橋別館 大韓民国04540ソウル特別市中区清渓川路54
3,652 6 , 783
新韓バックオフィス・ 大韓民国10401 京畿道高陽市一山東区中央路
24,496 5,856
サポート・センター 1311
新韓銀行バックオフィ 大韓民国06225ソウル特別市江南区驛三路251
23,374 7,964
ス・アンド・コールセ
ンター
新韓センテニアル・ビ 大韓民国04540ソウル特別市中区南大門路10道
19,697 1,389
ルディング 29
新韓銀行広橋支店 大韓民国04540ソウル特別市中区清渓川路54
16,7 27 6,783
新韓明洞支店 大韓民国04534ソウル特別市中区明洞路43
8,936 1,01 ▶
新韓永登浦支店 大韓民国07301ソウル特別市永登浦区永中路27
6,171 1,983
新韓銀行バックオフィ 大韓民国28784忠清北道清州市上党区丹齋路
6,0 19 5,376
ス・アンド・ストー 291番3
レッジセンター
当行の主要な施設は、韓国のソウルにあり、同ビルの延床面積は約59,519平方メートルである。当行は、
直接または間接に、本店ビルの過半の権利を保有している。さらに、その支店のために様々な土地・建物を
所有または賃借している。当行は、ソウル首都圏におけるITセンターに中央大型コンピューター・システム
を備えている。
2018年12月31日現在、当行は全国規模ネットワークで876の支店を有している。これらの施設のうち約
22.1%が当行が所有する建物にある一方で、残りの支店はリース物件に所在する。
2018年12月31日現在、当行により所有されるすべての資産の正味簿価は2,358十億ウォンであった。当行
は、韓国国外に重要な資産を保有しない。
3【設備の新設、除却等の計画】
該当事項なし。
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第5【提出会社の状況】
1【株式等の状況】
(1)【株式の総数等】
① 【株式の総数】
(2018年12月31日現在)
授権株数 発行済株式総数 未発行株式数
2,000,000,000 株 1,585,615,506 株 414,384,494 株
② 【発行済株式】
(2018年12月31日現在)
上場金融商品取
記名・無記名の別および 引所名または
内容
種類 発行数
額面・無額面の別 登録認可金融商
品取引業協会名
1株当り1個の
記名式額面5,000ウォン 普通株式 1,585,615,506 株 該当なし
議決権
(2)【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当事項なし。
(3)【発行済株式総数及び資本金の推移】
発行済株式総数(株) 資本金(ウォン)
年月日
増減数 残高 増減額 残高
7,928,077,530,000
2013 年12月31日現在 1,585,615,506
(783,294百万円)
7,928,077,530,000
2014 年12月31日現在 1,585,615,506
(783,294百万円)
7,928,077,530,000
2015 年12月31日現在 1,585,615,506
(783,294百万円)
7,928,077,530,000
2016 年12月31日現在 1,585,615,506
(783,294百万円)
7,928,077,530,000
2017 年12月31日現在 1,585,615,506
(783,294百万円)
7,928,077,530,000
2018 年12月31日現在 1,585,615,506
(783,294百万円)
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(4)【所有者別状況】
(2018年12月31日 現在 )
区分 株主数 株主比率(%) 保有株式数(株) 保有比率(%)
法人等 1 100.0 1,585,615,506 100.0
個人 0 0 0 0
(5)【大株主の状況】
(2018年12月31日現在)
発行済株式総数に
対する所有株式数
氏名又は名称 住所 所有株式数(株) の割合(%)
大韓民国04513ソウル特別市
新韓フィナンシャル・グループ 1,585,615,506 100.0
中区世宗大路9道20
2【配当政策】
株主に支払われる配当は、当行の個別財務書類において報告される分配可能な未処分利益剰余金(商法に
定義される。)に基づく。
当行は、2018年および2017年に下記のとおり配当を支払った。
配当金の総額
一株当たりの配当金
(ウォン)
決議日 決議 (百万ウォン)
2018 年3月22日 株主総会決議 540,000 340.56
2019 年3月26日 株主総会決議 890,000 561.30
3【株価の推移】
当行株式は、株式移転により新韓フィナンシャル・グループの完全保有子会社になった2001年9月1日に
韓国証券取引所における上場を廃止して以来、いずれの証券取引所にも上場していない。
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4【役員の状況】
経営陣
取締役会
当行の政策面および戦略面の最終的な責任は当行の取締役会にあり、当行取締役会は当行の経営管理およ
びいくつかの統治機関を通じて日常業務を監督している。当行取締役会の各取締役の住所は、大韓民国04513
ソウル特別市中区世宗大路9道20新韓銀行気付である。
当行取締役会は2名の業務執行取締役、1名の非常任取締役および6名の社外取締役から成っている。
業務執行取締役および非常任取締役は、当行の株主総会による決定のとおり最長3年を任期として選任さ
れる(再任可能)。社外取締役の任期は2年までである。社外取締役は最高6年を上限として毎年再任され
ることができる。監査委員会(下記にて説明する。)の常任委員である取締役は3年を上限として選任され
る。当行取締役会は少なくとも四半期毎に1回開催され、当行取締役会会長の要請によりその他に臨時取締
役会を招集することができる。
当行取締役会は当行取締役会の運営を下支えするための様々な任務を遂行するために4つの委員会(監査委
員会、リスク管理委員会、役員候補推薦委員会および報酬委員会)を設置している。
監査委員会の目的は、(i)内部監査計画を策定し、かかる計画を実行し、結果を評価し、適切な事後措置を
実施し、適切な改善を提案すること、(ⅱ)内部統制にかかる包括的制度に関して適切な改善を評価し、提案
すること、(ⅲ)外部監査人の任命を承認すること、および(ⅳ)上記と類似したその他様々な役割を果たすこ
とにある。
リスク管理委員会の目的は、(i)当行のリスク、評価および限度方針を見直すこと、(ⅱ)資産負債管理なら
びに信用リスクおよび市場リスクの測定を見直すこと、(ⅲ)資産の質、リスク・エクスポージャーおよび問
題資産を統制することにある。
役員候補推薦委員会の目的は、当行の銀行長、社外取締役および監査委員会委員の任用候補者を指名し推
薦することである。
報酬委員会の目的は、経営陣の業績を評価し、業務執行役員の適切な報酬(報奨および賞与を含む。)を
決定することである。
提出日現在、当行は2名の業務執行取締役を有している。同取締役は、当行の常勤従業員であり、下記に
示した業務上の役職を有している。
業務執行取締役兼最高経営責任者
業務執行取締役
氏名 生年月日 役職 就任年月日 任期終了日
晉 玉童 1961 年2月21日 銀行長、最高経営責 2019 年3月26日 2020 年12月31日
任者兼業務執行取締
(Ok Dong Jin)
役
晉 玉童氏は、2019年3月26日から当行の銀行長、最高経営責任者兼業務執行取締役を務めている。晉氏は
これまでに新韓フィナンシャル・グループの副社長および当行の経営支援グループ長を務めている。晉氏は
韓国放送通信大学校において経営管理学の学士号を取得し、中央大学校において経営管理学の修士号を取得
している。
業務執行取締役兼監査委員会委員
業務執行取締役
氏名 生年月日 役職 就任年月日 任期終了日
許 昌彦 業務執行取締役兼 2018 年1月1日 2019 年12月31日
1959 年8月25日
(Chang Eon Heo) 監査委員会常任委員
許昌彦氏は、2018年1月1日から当行の業務執行取締役兼監査委員会常任委員を務めている。許氏はこれ
まで、金融安全院総裁ならびにFSS保険局の副総裁およびゼネラルマネジャーを務めた。許氏は高麗大学校で
法学の修士号を取得している。
非常任取締役
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提出日現在、当行には、当行の常勤従業員ではなく、当行に業務上の役職を有していないが、当行の関係
会社において業務上の役職を有している1名の非常任取締役がいる。
業務執行取締役
氏名 生年月日 役職 就任年月日 任期終了日
朴