フランス電力 有価証券報告書
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 令和元年 6 月28日
【事業年度】 第2018年度 (自 平成30年1月1日 至 平成30年12月31日)
【会社名】 フランス電力
(Electricit é de France)
【代表者の役職氏名】 会長兼最高経営責任者 ジャン・ベルナール・レヴィ
( Jean-Bernard Lévy , Chairman and Chief Executive Officer )
【本店の所在の場所】 フランス パリ市 75008 ワグラム通り 22番地30
(22-30, avenue de Wagram, 75008 Paris, France)
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 柴 田 弘 典
【代理人の住所又は所在地】 東京都千代田区大手町一丁目1番1号
大手町パークビルディング
アンダーソン・毛利・友常法律事務所
【電話番号】 東京(03)6775-1039
【事務連絡者氏名】 弁護士 金 村 直 弥
同 村 上 沙 織
同 渡 邊 淳 平
【連絡場所】 東京都千代田区大手町一丁目1番1号
大手町パークビルディング
アンダーソン・毛利・友常法律事務所
【電話番号】 東京(03)6775-1323
【縦覧に供する場所】 該当なし
注(1) 本書中、別段の表示のない限り、すべて、「EDF」、「当社」および「会社」と表示されたものは、親会社であるフラ
ンス電力を意味し、「EDFグループ」、「当グループ」および「グループ」は、フランス電力ならびにその子会社およ
び関連会社を意味する。
(2) 本書中、別段の表示のない限り、すべて、ユーロまたは€と表示されたものは欧州通貨ユーロを、ドル、米ドルまたは
$と表示されたものはアメリカ合衆国ドルを意味する。
ユーロから日本円への換算は、2019年5月31日現在の株式会社三菱UFJ銀行によるユーロの日本円に対する対顧客電信
売買相場の仲値である1ユーロ=121.74円により計算されている。
(3) 本書における「AMF」への言及はすべて、フランス金融市場監督局( Autorit é des March és Financiers )を指す。
(4) フランス電力の事業年度は暦年である。
(5) 本書の表で計数が四捨五入されている場合、合計は計算の総和と必ずしも一致しない。「n.a.」、「n/a」および
「N/A」は、「該当なし」を意味する。
(6) 本書において、別段の記載がある場合を除き、下記の用語は下記の意味を有する。
1/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
放射性廃棄物管理庁(ANDRA) フランスにおいて放射性廃棄物は、1991年12月30日付フランス法により商工業
公益機関として設立された放射性廃棄物管理庁(ANDRA)に管理される。
原子力安全当局(ASN) フランス政府に代わり、原子力安全当局(ASN)は、労働者、患者、一般市民
および環境を原子力使用に関連して生じるリスクから保護するため、フランス
国内の原子力の安全性と放射線防護を監督している。原子力安全当局は、とり
わけ、フランス国内での原子力施設の外部からの管理に関する責務を有する。
ASNは、300名超の職員からなる独立した監督機関である。国レベルでは、ASN
は、原子力安全および放射線防護総局(DGSNR)により代表されている。
核燃料は264本の燃料棒の配列からなる集合体の形をとっており、管と格子で
集合体燃料
構成される剛構造の形式で固定されている。各燃料棒は、燃料を構成する酸化
ウランペレットが蓄積される防水のジルコニウム管により構成されている。こ
の集合体は、原子炉の炉心を形成するために(1,500MWの原子炉には205本の燃
料集合体が必要とされる。)、原子炉容器と隣り合わせに搭載されている。運
転中には、これらの集合体の間を下から上まで通っている一次冷却水が接触に
よって熱せられ、このエネルギーを蒸気発電機へ運搬する。
バランス・メカニズム 2003 年4月1日にRTEによって作成され、需要と供給に不均衡が生じた際には
予備電力が使用可能となるメカニズム。
ベクレル(Bq) 放射能測定の国際的な法的単位。ベクレル(Bq)は、1壊変毎秒に相当する。
かかる単位で表される放射能は非常に小さいため、MBq(メガベクレルまたは
百万ベクレル)およびGBq(ギガベクレルまたは十億ベクレル)のようにその
倍数が用いられる。
2/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
コジェネレーション 電力と熱の併合生産のための発電技術。コジェネレーションの長所は、従来の
電力発電の過程では失われていた燃料によって生産される熱を捕捉することが
できる点である。また、このプロセスにより、同一の設備で、企業用顧客と地
方自治体の両者に対しての暖房(温水または蒸気)および電力需要に対応する
ことができる。このシステムは発電過程のエネルギー効率を上げ、平均で燃料
消費を20%削減することが可能である。
コンバインド・サイクル・ガス 天然ガス火力発電所で電力を生成する最新技術。コンバインド・サイクルは、
1つ以上の燃焼タービンと蒸気タービンから構成され、発電量を向上させる。
合成ガスは燃焼タービンへと運ばれ、電力と超高温の排出ガス(排出物)を生
成する。排出ガスからの熱はボイラーで回収され、蒸気を生成する。蒸気の一
部が蒸気タービンで回収され、電力を生成する。
輻輳 国内の送電網を繋ぐ相互接続が、相互接続および/または関係する国内の送電
網の容量不足に起因して、市場オペレーターが要求する国際的取引の物理的フ
ローのすべてを吸収できない状況。
フランスのエネルギー規制委員会 CRE は電気およびガス市場が適切に機能するよう保証するため2000年3月30日
(CRE) に設立された。CREは、独立した機関としてフランスのエネルギー市場の開放
を統制する。CREは、すべての発電業者と有資格顧客が平等に電力網に対しア
クセスできるよう保証する。管轄権内において、当委員会は監視、認可および
すべての紛争の解決を行い、また必要な場合に制裁措置を課す。CREの権限の
詳細は「第2 3(3)③(ⅱ)フランスの規制:エネルギー法」を参照。
配電網 送電網の下流部分で、低・中電圧配電網は、最終顧客(住宅用顧客、地方当
局、中小企業および地方自治体等)への供給を担う。
中断可能性 顧客が補償と引換えに電力を自発的に削減すること。消費量が少ない施設を集
約したことにより削減された場合には、「拡散」と呼ばれる。
3/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
電力供給 電力需要は4種の消費に分類される。
・「基本」(または「リボン」)供給は1年間を通して発電および消費される
電力をいう。
・「準基本」供給は、冬季の間、発電および消費される電力をいう。
・「ピーク」供給は、1年の間で、電力発電または供給量の需要が著しく高い
時にこれに応じて行う供給をいう。
・「レース」供給は「リボン」供給への補充供給である。
4/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
濃縮ウラン 唯一の核分裂性物質である同位元素235の含有量を、天然の低いレベル
(0.7%)から加圧水型原子炉燃料用に約4%にまで増加させたウラン。
濃縮 元素の核分裂性含有量が増量される処理をいう。天然の状態のウランは0.7%
のウラン235(核分裂性)および99.3%のウラン238(非核分裂性)で構成され
る。加圧水型原子炉内での効率的使用を可能にするため、ウラン235の比率を
約4%まで高める。
バランス責任企業 RTE が、バランス責任企業によって結集される利用者のポートフォリオの実際
の消費量および生産量と予想との間の不足分を調達する契約を結ぶ企業体。バ
ランス責任企業は、過剰供給と過少供給の間の種々の差から生じる潜在的損失
を補償する保険会社の役割を果たす。
EPR 欧州加圧水型原子炉。第3世代と呼ばれる現在建設中の最新原子炉世代であ
り、独仏間の協力により誕生し、高度な安全、環境および技術的パフォーマン
スを提供する。
再濃縮ウラン(ERU) 原子炉で使用するには、核分裂性ウランを天然の状態より多く含んでいる場合
であっても、再処理ウラン(RepU)をさらに濃縮する必要がある。そのため再
濃縮ウラン(ERU)と呼ばれる。
フッ素化(転換) 「転換」とも呼ばれる。フッ素化により、ウラン化合物の精製および六フッ化
ウラン(UF )への転換が可能となり、その結果、現在の技術を用いてそれら
6
の濃縮が可能となる。
燃料サイクル 核燃料サイクルは、フランスおよびフランス国外における産業運転のすべてを
包括し、これにより原子炉内でエネルギーを発生させるための燃料供給、なら
びにその後の燃料の取出しおよび処理が可能となる。このサイクルは3段階に
分類される。
・上流部門:ウラン鉱からの濃縮加工、転換、濃縮、燃料生産(2年超の工程
を要する。)
・主要サイクルで、原子炉内での燃料使用にあたる過程:受領、搭載、運転、
排出(これは、3~5年の工程を要する。)
・下流部門:プール貯蔵、原子炉内の使用済燃料の再利用可能な原料への再処
理、高レベル放射性廃棄物のガラス固化、貯蔵前の一時保存
温室効果ガス 大気圏において太陽放射の一部を保持するガス。人間の活動(人為的なガス排
出)に起因するかかるガスの排出増加は、地球の平均気温を上昇させ、気候変
動に重大な影響を与えている。京都議定書は、二酸化炭素(CO )、メタン
2
(CH )、亜酸化窒素(N O )、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ペルフル
▶ 2
オロカーボン(PFC)、六フッ化硫黄(SF )および三フッ化窒素(NF )
6 3
(2013年より)を主な7種類の温室効果ガスとして対象としている。
5/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
IAEA ウィーン(オーストリア)に拠点を置く国際原子力機関。
相互接続 ある国の送電網を近隣諸国との間で連結させ、他国とのエネルギー交換を行う
ことを可能にする電力送電基幹施設をいう。
中間貯蔵 放射性廃棄物管理プロセスの中間段階。廃棄物管理プロセスのその後の段階で
回収することを目的として、施設に廃棄物容器を収容し、一定期間、人や周囲
の環境と接触しないように確実に隔離することを含む。中間貯蔵施設は、かか
る廃棄物の生産者(EDF、AREVA NC(旧COGEMA)およびCEA)によって設計、建
設および管理され、廃棄物の調整が行われる地域の近傍にある。
フランスの地方配電会社(LDC) フランスの地方配電会社。地方配電会社は、独占区域において最終顧客に電力
を販売および配電する。
液化天然ガス(LNG) -162℃に冷却することで液化し、容積が600分の1に縮小された天然ガス。
人・シーベルト 集団積算線量を表す単位。人・シーベルトは、1,000人が1mSv(ミリシーベル
ト)の放射線量に晒された場合の集団線量。
測定 電力網接続のある地点で、送電または配電中の電力量 ( 出力、周波数、有効エ
ネルギーおよび無効エネルギー)の記録を可能にするシステム。
複数年にわたるエネルギー計画(PPE フランスにおける公的機関は、法律により定められる目標(2050年のカーボ
または Programmation pluriannuelle ン・ニュートラルを含む。)を達成するために、「PPE」と呼ばれる業務計画
の形式で、エネルギー分野における活動の優先事項を示す。フランス本土の
de l'ée lram )
PPEは、政府によって策定される。PPEは、将来におけるフランスのエネルギー
構成を提供するために、互いに補完し合うすべてのエネルギー分野の道筋を定
める。
メガワット・メガワット時 MWh は、設備発電エネルギーの単位で、設備出力(MWで表す。)に運転時間を
(MW/MWh) 掛けたものに等しい。
1MW=1,000キロワット=1百万ワット
1MWh=1時間で1MW出力=1メガワット/時
1GW=1,000MW=1十億ワット
1TW=1,000GW
6/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
累積削減メガワット時(MWh cumac) 累積削減メガワット時は、エネルギー証書の計測単位であり、稼働期間中の累
積エネルギー節約量の合計に当たる。
非相互接続地域 フランス都市部と接続されていないフランスの地域(コルシカおよび海外
県)。
原子力の安全性 原子力の安全性を確保するための対策は、事故リスクを防止し、事故の影響を
制限するためのあらゆる技術的、組織的および人的対策を含み、これらの対策
は、原子力発電所の存続期間のすべての段階(発電所の設計から操業、最終的
には廃炉まで)において行われている。
原子力発電機 原子力ボイラーとタービン交流発電機からなる電力発電ユニット。原子力発電
機は、基本的に原子炉の種類およびタービン交流発電機の出力により構成され
る。EDFが所有する原子力発電所の大部分が2基または4基の発電機を有する
が、中には6基有するものもある。
発電所供給力 技術的に利用不可能な事態のみを考慮に入れた場合の理論上の最大発電エネル
ギーに対する供給可能率。稼働率(Kd)は実際の年間発電容量(または年間発
電可能量)と理論上の最大年間発電容量の比率で定義される。理論上の最大発
電容量は設備容量×8,760時間に等しい。Kdは、技術的に利用不可能な事態
(すなわち、予定操業停止、予定外の供給停止および試運転期間)のみを考慮
に入れ、発電所の工業的パフォーマンスを特性づける。
プルトニウム(Pu) 原子番号94(中性子の数)の元素。自然には発生しない同位元素(同数の電子
と陽子、つまり同一の化学的性質を有するが、中性子の数は異なる原子の元
素)である。核分裂性同位体、プルトニウム239は、原子炉でウラン238から生
産される。
7/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
水力発電容量 通常の水圧状態の下での動力を用いて水力発電施設が生産することができる最
大電力量。しかしながら、水力発電施設の発電量は、年ごとに水圧(降雨およ
び降雪)に応じ変動し、時として著しく変動することもある。渇水の年には、
発電指標は、20%以上基準値から変動する可能性もある。
放射線防護 発電所における電離放射線源は、燃料そのもの、中性子束により放射化された
機器(特にタンクまたは蓋といった炉心に近接するもの)および原子炉の一次
回路が腐食し、一次冷却水により運ばれた粒子など様々である。人体への放射
線被爆量は、線量当量によりシーベルト(Sv)で数値化される。線量測定と呼
ばれる 人・シーベルト で表される線量当量の合計は、すべての関係者が被爆し
た放射線量を示す指標として用いられている。現場当事者の動員により、電離
放射線の影響から従業員を保護するパフォーマンスが継続的に向上した。
再生可能エネルギー 初期資源を枯渇させることなく、発電されるエネルギー。水力エネルギー、風
力エネルギー、太陽エネルギー、海洋エネルギー(海洋波力および潮流から得
られるエネルギー)、地熱エネルギー(地下マグマの熱から得られるエネル
ギー)およびバイオマス(生体物質、とりわけ木材や有機廃棄物からのエネル
ギー)を含む。家庭廃棄物または産業廃棄物の焼却により得られるエネルギー
もしばしば含まれる。
再処理 最終廃棄物からリサイクル可能な原料(ウランおよびプルトニウム)を分別す
ることを目的とした原子炉での照射済燃料の再処理。
8/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
再処理ウラン(RepU) 使用済燃料の再処理によって生成されるウランである再処理ウラン(RepU)
は、天然ウランよりもウラン235をわずかに多く、ウラン同位体をより多く含
む点で天然ウランと異なる。再処理ウランは、再利用が可能であり、RepU燃料
集合体による燃料交換は原子炉で用いられる。
系列 原子力分野において、1系列の発電所とは、同一の発電容量を有する原子力発
電所の一群を意味する。EDFのPWRモデルは、900MW系列(各約900MWの原子炉が
34基)、1,300MW系列(20基)および1,450MW系列(4基)の3系列の発電可能
電力に分けられる。
STEP 揚水発電所。揚水発電所は、上部貯水池と下部貯水池の2つの貯水池を有し、
それらがポンプで繋がれ、タービンが回ると下部貯水池から上部貯水池に向
かって水が汲み上げられる。
貯蔵 貯蔵とは、施設内に放射性廃棄物の格納容器を安置し、確実に長期管理を行う
(すなわち、安全な条件下で長期リスク統制を可能にする)ことである。
システム・サービス システム・サービスとは、送電網事業者であるRTEと発電事業者の共同作業に
よって利用者(消費者または発電事業者)に提供されるサービスをいう。シス
テム・サービスは、電力消費量と発電量との均衡を常時維持するために周波数
および電圧を制御することを目的としている。RTEは、発電事業者の初期出
資、すなわちRTEに提供された一次準備金および二次準備金でシステム・サー
ビスを構築した。RTEは、送電調整連合(UCTE)によって規定される規則に基
づき、電力網使用料金からこれらのサービスの代金を再請求する前にこれらの
補助サービスの対価として発電事業者に報酬を支払っている。
サーム(th) 1サームは1,163KWh、または4,186百万ジュールに相当する。
送電網 発電所から配電網または直接接続している工業用地への高圧および超高圧送電
網。主要な相互接続送電網(400,000ボルトおよび225,000ボルト)ならびに地
方の配電網(225,000ボルト、150,000ボルト、90,000ボルトおよび63,000ボル
ト)を含む。
9/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ウラン 天然の状態でウランは、3種の主要な同位体(元素の原子が電子および陽子を
同数有するため同じ化学的特性を有するが、中性子数は異なる。)を含む混合
物である。
・ウラン238 99.3% 核分裂性同位体に転換可能
・ウラン235 0.7% 核分裂性
・ウラン234
ウラン235は唯一の天然核分裂性の同位体であり、エネルギー源として使用で
きる性質を有する。
ガラス固化 高温でガラス板と混合することによって、高レベル廃棄物の濃縮液をガラス構
造内で固定化するプロセス。
廃棄物管理 1MWhの電力(2世帯の月間消費量に相当)を原子力で発電すると、全種類を
総合して、約11グラムの廃棄物が発生する。
短寿命廃棄物は、全体の90%超を占めるが、放射性廃棄物をそのうちの0.1%
しか含まない。放射能レベルにより、かかる廃棄物は2つの下位カテゴリー
(低レベル廃棄物および極低レベル廃棄物)に分類される。
長寿命の中レベルおよび高レベル廃棄物は少量(全体量の10%未満)しか産出
されないが、放射性廃棄物の大部分(99.9%)を含む。
10/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
第一部【企業情報】
第1【本国における法制等の概要】
1【会社制度等の概要】
(1)【提出会社の属する国・州等における会社制度】
EDFは、1946年4月8日付フランス法第46-628号に従って、商工業公益企業体( É tabliss ement Public industriel et
commercial 、またはEPIC)の形態で設立された。
EDFは2004年8月9日付法第2004-803号および2004年11月17日付命令第2004-1224号によって、フランスの株式会社に組織変
更された。当社の存続期間は、早期解散もしくは延長の場合を除き、2004年11月19日以後の99年間に設定されている。
2004年11月20日以降、EDFは、取締役会を備えたフランスの株式会社となっている。当社は、フランス・エネルギー法または
公企業のガバナンスおよび資本取引に関する2014年8月20日付政令第2014-948号ならびに当社の定款において具体的に除外さ
れるもの以外については、商行為を営む会社に適用のある法令および規制、特にフランス商法に準拠している。
① 名称および登記上の本店
当社の名称は、「フランス電力」である。当社はまた法律的には、その頭文字により単に「EDF」と呼称することができる。
当社の本店は、パリ市75008、ワグラム通り22番地30に位置する。
② 商業登記、APE番号
当社は、パリ市商業および法人登記所に552 081 317号により登記されている。
APE番号は、401 Eである。
③ 設立
規制市場または多角的取引システムでの株式の取引が認められる株式会社の設立には、当社のようなフランス政府が大株主
である会社(1983年7月26日付フランス法第83-675号第37条)を除いては、個人または法人である7人以上の発起人が存在し
なければならない。
2005年11月21日以降、EDF株式は、金融商品市場に関する2014年5月15日付欧州議会および欧州理事会指令2014/65/ECの目的
上の規制市場であるユーロネクスト・パリに上場している。 2018 年12月31日現在、フランス政府により 2,518,498,450 株(資本
金の 83.67 %およびEDFの議決権の 83.77 %)、機関投資家および個人投資家により 453,361,661 株(資本金の 15.06 %およびEDF
の議決権の 15.08 %)ならびにEDFグループの従業員および元従業員により 34,679,546 株(資本金の 1.15 %およびEDFの議決権の
1.15 %)が保有されている。さらにEDFは、自己株式( auto contr ô le )として 3,728,019 株(自己資本の 0.12 %を占め、議決権
はない。)を保有している。
フランス商法上当社定款の中で規定すべき事項は、1)目的、2)商号、3)発行済株式の種類、種類別の株式数およびそ
れらの株式資本の構成割合または名目価値、4)資本金総額、5)株式の形態、6)登録された事務所、7)会社の法的形
式、8)自然人または法人を問わず、定款に署名する者の属性、9)会社の存続期間、10)会社の経営組織の構成、組織およ
び権限に関する規定、11)利益の分配、準備金、残余財産に関する規定、12)会社の初代経営者および監査人の氏名、13)株
式の譲渡または売買に制限がある場合に、譲受人の登録に必要な条件、14)現物出資の内容、各現物出資の評価および各現物
出資に対して発行された株式数、15)優先株主および優先権の内容、である。
④ 法律文書の閲覧
当社に関連するすべての法律文書は、適用規則に従い株主に開示されなければならないが、パリ市75008、ワグラム通り22番
地30に所在する当社の登記上の本店において閲覧することができる。
当社は、ユーロネクスト・パリにおける当社株式の取引の承認後、フランス金融市場監督局( Autorit é des marches
financiers 、以下「AMF」という。)の一般規制に準拠して、年次報告書の形式で届出書類( Document de R é f é rence )を提出
する。2007年4月19日に第R.07-036号として同書類(2006年 Document de R é f é rence )を提出し、2008年4月14日にも第R.08-
022号としてかかる届出(2007年 Document de R é f é rence )を行った。さらに、2009年4月14日に第D.09-0243号として同書類
(2008年 Document de R é f é rence )を提出し、2009年5月15日に第D.09-0243-A01(2008年 Document de R é f é rence を改訂)を提
出し、2010年4月8日に第D.10-0227号(2009年 Document de R é f é rence )を提出し、2011年4月18日に第D.11-0320号(2010年
11/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
Document de R é f é rence )を提出し、2012年4月10日に第D.12-0321号(2011年 Document de R é f é rence )を提出し、2013年4月
5日に第D.13-0304号(2012年 Document de R é f é rence )を提出し、2014年4月8日に第D.14-0312号(2013年 Document de
R é f é rence ) を提出し、2015年4月14日に第D.15-0344号(2014年 Document de R é f é rence )を提出し、2016年4月29日に第
D.16-0448号(2015年 Document de R é f é rence )を提出し、2017年3月6日に第D.17-0125号(2016年 Document de R é f é rence )を
提出し、2018年3月15日に第D.18-0133号(2017年 Document de Référence )を提出し 、また2019年3月15日に第D.19-0157号
(2018年 Document de Référence )を提出し た。かかる年次報告書には、本書の開示前各2事業年度の当社および子会社の財務
書類記録が含まれる。さらにEDFは、公開会計項目ならびに当社の組織、事業、リスク、財務状態および業績に関連する新事実
に関する最新情報をAMFに対し定期的に提出する場合がある。
かかる年次報告書および当社の定款(またはそれらの複写)は、当社の登記上の本店(パリ市75008、ワグラム通り22番地
30)およびEDFのウェブサイト(www.edf.fr)において閲覧することができる。
⑤ 事業年度
会社の各事業年度は12か月とし、毎年1月1日に開始し12月31日に終了する。
⑥ 株式
株式会社の資本は、37,000ユーロ以上 または(公募を行う会社の場合には)225,000ユーロ以上 でなくてはならない。株式会
社の資本は、株式に分割される。フランス法の下では、(当社のように)その株式が規制市場において取引されることが認め
られている会社の株式には譲渡制限を付すことができない。
フランス・エネルギー法第L.111-67条の規定に従い、フランス政府は常に当社の株式資本の70%超を保有していなければな
らない。
⑦ 利益の分配
事業年度の収支状況を要約した損益計算書は、減価償却費、償却費および準備金を控除した後の当該事業年度の損益を示し
ている。
事業年度の利益から必要に応じて過年度の繰越損失を差し引いたものから、法定準備金として最低5%が控除される。当該
控除は、準備金が株式資本の10分の1に達した時点で行う必要がなくなる。理由の如何を問わず、法定準備金が株式資本の10
分の1を割った場合、控除が再び強制的に行われる。
分配可能利益は、当該事業年度の利益から、繰延損失および法律または定款による準備金への組入額を控除し、これに前期
繰越留保利益を加えたもので構成される。株主総会は、これより任意の準備金勘定への配分または次期繰越しに適当とみなす
金額を差し引くことができる。
さらに株主総会は控除対象の準備金の項目を明示することにより、処理可能な準備金から控除し分配する金額を決定するこ
とができる。しかしながら、配当金は当該事業年度の分配可能利益から優先的に控除される。
当社は、資本金および法律または定款により配当できない準備金の合計額を株式資本の額が下回る場合、または配当するこ
とにより下回ることが予測される場合には、減資が行われない限り、株主に対して配当を行うことはできない。再評価による
差額を分配することはできない。当該差額の全部または一部は、株式資本に組み入れられる。
損失が生じた場合、かかる損失は消滅するまでその後の事業年度の利益から差し引くためまたは減資により消滅させるため
に、特別勘定に計上される。
株主総会で決議された配当金の支払方法は、株主総会または同総会でこれを行わない場合は取締役会により決定される。ま
た、配当の支払は裁判所の許可により延長される場合を除き、事業年度終了後最長でも9か月以内に行われなければならな
い。
事業年度中または事業年度末に作成され、監査人により監査された貸借対照表において、前事業年度終了以降、必要な減価
償却費、償却費および引当金を設定し、繰越損失(もしあれば)および法律または定款に従って準備金に組み入れられる金額
を控除し、かつ次期繰越利益額を考慮に入れた上で、当社がなお利益を得た場合には、法定の条件に従い、当該事業年度の財
務書類の承認前に中間配当の支払を行うことができる。かかる中間配当の額は、上記で定められた利益の額を上回ってはなら
ない。
支払日から5年以内に請求がなされなかった配当金については、受取人は権利を喪失する。
⑧ 株主および株主総会
(下記、「⑩(ⅰ)総会、参加要件、議決権」を参照。)
株主の責任は、当該株主の有する株式の引受価額を限度とする。株主は、適用される法律に別段の定めがある場合または臨
時株主総会での決定がある場合を除き、当該株主の有する株式の数に応じて新株の割当てを受ける権利を有する。ただし、フ
12/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ランス・エネルギー法第L.111-67条および当社の定款第6条第2項の規定により、フランス政府は当社の株式資本の70%超を
保有していなければならない。
株主総会は、法律または定款に定められた事項を決議する株式会社の最高意思決定機関である。株主総会は、定時総会と臨
時総会に分けられる。株式会社は、少なくとも毎年1回事業年度の終了時より6か月以内に定時総会を招集しなければならな
い。臨時総会は、必要に応じて随時招集することができる。株主総会の招集は、原則として取締役会がこれを決定する。ただ
し、会社が破産した際には、清算人または管財人が株主総会を招集できる場合がある。また、(ⅰ)当社の株式資本の5%以
上に当たる株式を有する一人または複数の株主、(ⅱ)緊急時における利害関係者、(ⅲ)緊急時における労働委員会、また
は(ⅳ)株式を株主名簿上少なくとも2年間保有しており、合計して当社議決権の少なくとも1%を保有する株主により構成
される有効に承認された株主組合は、商事裁判所の裁判長に対して総会を招集するための代理人の選任を請求することができ
る。会社の法定監査人もまた総会の招集を取締役会に請求することができ、もし取締役会がこれに応じない時は総会を直接招
集することができる。
株主は直接株主総会に出席して議決権を行使したり、または代理人にその議決権を行使させることができる。
定足数
フランス商法は、議決権ある株式の少なくとも20%について、保有する株主が直接出席すること、または書面や委任状もし
くは定款により規定されている場合においては(なお、当社定款においても当該規定は存在する。)テレビ会議もしくは同一
性を特定できる一定の通信手段を用いることにより投票を行うことを、以下の場合における定足数充足のための要件としてい
る。
・定時株主総会
・準備金、利益または剰余金の資本組入れによる当社株式資本の増加を決議するための臨時株主総会
その他の臨時株主総会における定足数は、上記同様の基準により、議決権ある株式の25%とされている。
株主総会において定足数が充たされない場合においては、当該株主総会は延期されることとなる。そして、延期された定時
株主総会が再度開催される場合には、定足数要件は不要とされる。また、延期された臨時株主総会が準備金、利益または剰余
金の資本組入れによる当社の株式資本の増加を決議することのみを目的として再度開催される場合にも、定足数要件は不要と
される。一方、それ以外の臨時株主総会が再度開催される場合において、定足数要件を充足するためには、行使可能な議決権
のうち少なくとも20%を保有する株主が直接出席すること、または書面や委任状または定款により規定されている場合におい
てはテレビ会議もしくは同一性を特定できる一定の通信手段を用いて投票を行うことが必要とされている。定足数要件が充足
されない場合には、再度招集された総会を最大2か月間延期することができる。定足数が充たされない状況下においては、株
主は原則としていかなる審議も行うことはできない。ただし、延期となった株主総会の議題に関する質問についてのみは、審
議を行い、決議することができる。
13/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
多数決
株主は単純過半数によって、定時株主総会または準備金、利益もしくは剰余金の資本組入れによる当社の株式資本の増加を
決議するための臨時株主総会の決議を可決することができる。一方、その他の臨時株主総会については、株主の投票総数の3
分の2以上の特別多数が要求される。
また、株主の責任を拡大する決議を行う場合においては、全会一致が要求されることになる。
直接出席しまたは定款に規定されている通信手段もしくは委任状による代理や書面による投票により出席者とされた者が投
票を棄権した場合、その者は株主投票にかけられた決議事項に対して反対票を投じたものとして計算される。
一般的に各株主は株主総会において1株につき1議決権を有している。フランス商法においては、会社が保有する自己株式
または直接もしくは間接に会社の支配下にある法主体が有する株式については議決権がなく、定足数および多数決に関する計
算には算入されないとされている。また、会社が数種類の株式を発行する場合には、利益の配当に関して優先権を有する優先
株式について、定款をもって議決権がないものとすることができる。
⑨ 取締役、取締役会および法定監査人
当社は、国有企業のガバナンスおよび株式資本取引に関する2014年8月20日付政令第2014-948号第Ⅱ章の規定に従い、3名
から18名の構成員からなる取締役会により運営される。
この枠組みにおいて、 2019 年3月15日現在、取締役会には、2014年8月20日付政令第2014-948号第6条Ⅱおよび公共部門の
民主化に関する1983年7月26日付フランス法第83-675号第Ⅱ章第2節の規定に従い、18名(11名が株主総会で任命され、1名
がフランス政府の代表者であり、6名が従業員を代表する取締役である。)が含まれている。
上記の2014年8月20日付政令第2014-948号第19条によれば、取締役会会長は、取締役会からの提案を受けて、命令により取
締役の中から任命される。取締役会会長としての職務期間は取締役としての在任期間を超過してはならない。取締役会会長
は、選任の際と同条件により再任することができる。また取締役会会長は命令により解任することができる。取締役会会長は
68歳を超えてはならないものとし、68歳を超える場合には、自動的に退任したものとみなされる。
取締役会の構成員の任期は4年間である。ただし、例外的に、2014年11月21日の株主総会後に選任された従業員を代表する
取締役の最初の任期は5年とし、2014年11月21日の株主総会で任命された取締役の任期は2018年12月31日に終了する事業年度
の財務書類を承認するために招集される定時株主総会の終了時に満了するものとする。何らかの理由で取締役会の構成員に欠
員が生じた場合、その後任者は、取締役会の全員が改選されるまでの期間についてのみ職務を行う。
70歳を超える取締役の数は在職する取締役の3分の1を超えてはならない。
取締役会は会社の利益に合致する限り、法令の規定に従って、議長の通知により必要な回数開催される。
運営規定は、適用される法規定に従い、本人確認が可能でかつその有効な参加を確保する電気通信手段により取締役会に参
加するすべての取締役は、定足数および多数決を算定する上で出席しているものとみなす旨を規定している。
2005年6月6日開催の定時株主総会の決議により、法定監査人が、6事業年度の期間について選任された。この期間は、
2010年12月31日に終了した事業年度の財務書類を承認する定時株主総会の終了時に満了した。
2011年5月24日の株主総会において、Deloitte et AssociésおよびKPMG SAの法定監査人をさらに6事業年度の期間について再
任することを決定した。
2017年5月18日の株主総会において、Deloitte et AssociésおよびKPMG SAの法定監査人を、さらに2022年12月31日に終了する
6事業年度の期間について再任することを決定した。
・Deloitte et Associés、代表者:ダミアン・ルロン氏および クリストフ・パトリエ 氏、住所: 6, Place de la Pyramide, 92908
Paris-La Défense cedex
・KPMG SA、代表者:ジェイ・ニルシムルー氏およびミシェル・ピエット氏、住所:Tour EQHO, 2, avenue Gambetta, CS 60055,
92066 Paris - La Défense cedex
上記の指定された監査人はEDFの 2018 年の Document de R é f é rence に記載の財務書類を証明する。
14/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
⑩ 株主総会
( ⅰ) 総会、参加要件、議決権
株主総会は、取締役会またはこれが不可能な場合は監査人もしくは授権された者により招集される(上記、「⑧ 株主および
株主総会」を参照。)。株主総会は登記上の本店または招集通知に記載するその他の場所において開催される。総会はテレビ
会議または株主を認識できる通信手段により行うことができるものとするが、その性質および条件はフランス商法第R.225-97
条から第R.225-99条までに定めるものとする。かかる場合、かかる手段により総会に出席した株主は、法の要求に従い定足数
および過半数を算定する上で出席株主とみなされる。
法律に別段の規定のある場合を除き、株主は株主総会予定日の15日前に通知を受ける。ただし、かかる通知期間は、第2回
目の通知後の株主総会および延長総会については、10日間に短縮することができる。
その株式が規制市場において取引されることが認められている会社は、株主総会日の少なくとも35日前に総会開催の旨の通
知( avis de • é union )をBALO( Bulletin des Annonces L é gales Obligatoires )において公表しなければならない。かかる通
知には特に1)会社名、必要であれば会社のロゴ、2)会社の形態、3)株式資本、4)登記上の本店、5)総会の議案、
6)取締役会が株主に呈示する決議案の文言、7)会社が郵便投票の記入用紙を株主全員に送付しない場合には、かかる用紙
の入手場所および条件、8)株主が株主総会において電子的な通信手段を用いて投票することが可能なウェブサイトのアドレ
スおよび必要に応じて質問を送ることのできる電子メールアドレスが記載される。
また、総会を招集する通知( avis de convocation )もまた、原則として総会日の15日前に、BALOにおいて公表しなければな
らない。議案もしくは決議案の文言に何ら変更のない場合には、総会招集通知( avis de convocation )を兼ねる総会の通知
( avis de • é union )のみを公表することもできる。かかる通知はまた、上記の情報に加えて、1)会社の登録番号、2)登録
場所および登録番号、3)総会の日時および場所、ならびに4)総会の性質(通常、臨時または特別)の詳細な事項を含まな
ければならない。
株主総会は、総会の2営業日前の午前0時(パリ時間)に、全額が払込済みである株式を保有しており、株主総会参加の権
利が、自己の名義で、記名株式として登録されることによって、フランス居住者ではない株主の場合、登録されている財務仲
介業者の名義で株式が登録されることによって正当化される、すべての株主により構成される。
上記2日間における株式の登録は、会社の株主名簿もしくは権限を有する仲介業者の無記名式株式口座のいずれかにおいて
行われなければならない。
株主は、その資格と身分を確認する書類の簡単な提示により、株主総会に参加することができる。取締役会は、必要と判断
すれば、個人用の入場許可証を作成、配布し、当該入場許可証の提示を要求することができる。
すべての株主は、株主総会において配偶者または他の株主を代理とすることができる。フランス商法第L.228-1条に規定され
た条件に従いその株式を仲介業者の名義で合法に登録している株主は、同条に規定された条件に従い当該登録仲介業者に自身
を代理させることができる。
株主はまた、郵送により投票することができる。かかる郵送により、または委任状を会社に送付することにより投票を行っ
た後は、当該株主は他の方法で株主総会に参加することを選択できない。会社は、電子投票を除き、遅くとも株主総会の3日
前までに投票用紙を受領しなければならない。電子投票の場合、会社は総会開催日の前日の午後3時(パリ時間)までに投票
用紙を受領しなければならない。
委任状、書面による投票用紙および株式の不動化証明は、電子的書式により作成し、フランスで適用される法律上および規
制上の条件に従って正式な署名を付すことができる。
(特にインターネットによる)隔地投票についてのフランス商法第R.225-79条および第R.225-80条の規定に従い、株主総会
の開催が公表される時に、取締役会の指示があれば、様式への電磁的記入および署名を当社の作成したウェブサイト上で直接
行うことができる。これは、フランス民法第1316-4条第2項第一文の規定およびフランス民法第1367条に従ったIDコードおよ
びパスワードで保護されたシステムまたはフランス民法第1316-4条第2項第一文の規定およびフランス民法第1367条に準拠す
るその他のシステムを利用して行われる。
株主総会前にかかる電磁的システムを介して記入される委任状または投票、ならびに提供された受領確認は、撤回不可能で
あり、あらゆるものに反対可能であるとみなされる。ただし、株主の保有する株式が総会の2営業日前の午前0時(パリ時
間)までに売却される場合は例外とし、その場合、当社は、取締役会の設置した電磁的システムを介して当該総会の前に表明
された委任状もしくは投票を無効とするか、またはしかるべく修正する。
15/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( ⅱ) 二重議決権
フランス商法第L.225-123条(2014年3月29日付法律第2014-384号により改正)に従い、2年以上同じ株主名で登録されてい
る全額払込済株式については、いずれも、その保有者に対して、他の株式の2倍の議決権が自動的に付与される。この規定
は、2016年4月3日より効力が発生した。EDFの取締役会は、フランス商法第L.225-123条に規定される二重議決権の適用を回
避するための定款の修正を、株主総会において提案しない旨を決議した。
実体経済を取り戻すための2014年3月29日付フランス法第2014-384号の効力が発生して以来、2年以上にわたりフランス政
府が保有していた直接記名式株式 1,805,952,345 株に付された二重議決権の割当てにより、 2019 年2月 18 日に政府は、EDFにお
いて 2,129,149,089 株および 3,935,101,434 個の議決権を保有していることを通知した(資本金の 70.73 %およびEDFの議決権の
80.84 %( この比率は、議決権の付された全株式(議決権を剥奪された株式を含む。)に係る理論上の議決権数に基づき計算さ
れた。 ))。
( ⅲ) 議決権の制限
フランス商法第L.225-126条の規定に従い、1件以上の一時的売却、または譲渡人に対する株式の再売却もしくは返還の権利
を付与するかもしくはこれを義務付ける取引に関連して、上場会社の議決権の0.5%超を表章する数の株式を単独でまたは他者
と共同で保有する者は、株主総会の2営業日前の午前0時(パリ時間)までに、当社およびAMFに対して通知しなければなら
ず、当該取引に係る契約が当該日においても有効である場合は、一時的に保有する株式の総数についての情報も提供しなけれ
ばならない。この申告には、取得株式数に加えて、譲渡人の身元、当該取引に係る契約の締結日および終了日ならびに該当あ
る場合には議決権に関する取決めの記載を要する。
会社およびAMFに対する情報提供がなされなかった場合、上記の方法で取得された株式は、関連ある株主総会およびかかる株
式が再売却または返還されるまでの間に開催されるすべての株主総会について自動的に議決権を剥奪されることとなる。ま
た、会社の代表者、株主またはAMFは、情報提供を怠った株主の議決権を最長5年間完全にまたは部分的に停止する命令を求め
て商事裁判所へ申立てを行うことができる(議決権を貸借している株主による議決権の行使の有無は問わない。)。
⑪ 株式の保有報告基準
フランス商法の規定に従い、自然人や法主体において単独でまたは他の者もしくは事業体と共同して、資本または議決権の
5%、10%、15%、20%、25%、30%、33.3%、50%、66.6%、90%もしくは95%超を表章する数の株式を取得する者は、当
社に対して、かかる株式保有基準を超過することとなった日から4取引日目の営業時間が終了するまでに、その保有する株式
または議決権の総数を通知しなければならない(フランス商法第R.233-1条)。また、かかる自然人や法主体は、かかる取得に
ついて、当該株式保有基準を超過することとなった日から4取引日目の営業時間が終了するまでに、AMFに対してかかる取得を
通知しなければならない(AMF一般規制第223-14条)。AMFは、通知された基準超過取引を公表する。2012年以降、現金決済
で、かつ原株式の保有と類似の経済効果を有するデリバティブを、基準超過取引の計算に入れることとなった(フランス商法
第L.233-9(I)(4)条の2)。AMFの一般規制に従い、当該金融商品の保有者は、報告義務の枠組みの履行にあたり、上記の種
類の契約および金融商品が使用されている株式の数を計算に入れなければならず、基準超過の申告の際に、保有する上記の種
類の契約および金融商品の結果に関しての意向を明示しなければならない。
資本または議決権の保有割合が上記の基準を下回った場合にも、同一の期限および条件において、かかる情報を開示しなけ
ればならない。
適切な申告がなされなかった場合には、上記法律の規定に従い申告されるべきであった数値を超えて保有する株式について
は、有効な開示がなされた日から2年間のうちに開催されるすべての株主総会について議決権を剥奪されることとなる。加え
て、当社定款は当社の資本または当社議決権の0.5%またはその倍数を表章する株式を、単独もしくは他者と共同で、直接、間
接を問わず所有するに至った自然人や法主体、または持株数が当該数値を下回ることとなった自然人や法主体は、当社に対し
て、当該基準を超過することとなった日から4取引日目の営業時間が終了するまでに、配達証明付書留郵便で、その保有する
株式、議決権または株式持分の総数を通知しなければならない旨を定めている。当社の定款において、当該法的基準に適用さ
れる株式保有の計算および統合に係る規則ならびに株式に統合されていない金融商品に関する情報の提供義務は、定款に定め
る基準に関して定款において規定される開示義務にも適用される旨が定められている。
上記の規定の遵守を怠った場合には、当社資本の1%以上を保有する1名以上の株主からの要請により、申告されるべきで
あった数値を超えて保有する株式については、上記に規定される有効な開示がなされた日から2年が経過するまでの間に開催
されるすべての株主総会について、議決権を剥奪されることにより、罰せられる。かかる要請は、株主総会議事録に記録され
る。
⑫ 証券の保有者の確認
16/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
規制市場の証券取引所に当社株式が上場された時点から、定款にその旨の規定がある場合においては、当社は適用法令およ
び規則に従って、金融商品中央預託機関への支払と引換えに必要に応じて、当社の株主総会において議決権を付与される無記
名式株式の保有者の氏名または商号、国籍、生年月日または設立年月日、住所および各々が保有する株式数ならびに該当する
場 合はかかる株式に対する制限を随時照会する権限を有する。上記の機関から提供されたリストについて、当社は、リスト上
で代理登録されていると判断する者に対して、株式の保有者に関する上記の情報を要求することができる。
直ちにまたは将来、株式資本化される記名式証券に関して、フランス商法第L.228-1条に定める条件に従って登録を行ってい
る仲介業者は、当社またはその代理人からの要請がある場合はいつでも、当該証券の保有者の身分および各々が所有する証券
数を、要請日から10営業日以内に明らかにする義務がある。
当社が、身分を確認済みである無記名式または記名式証券の保有者が、証券の所有者である第三者に代わり所有者であるか
のように行為していると判断する場合、当社は上記と同様の条件で、かかる保有者にこれらの証券の真の所有者の身分および
その各々が所有する証券数を明らかにするよう要求する権利を有する。
さらに、上記で言及した情報の要求に続き、当社はフランス商法第L.228-3条以下の規定に従い、当社の株式資本または議決
権の40分の1超を所有する法人に、当該法人の株式資本または株主総会において行使される議決権の3分の1超を直接もしく
は間接に保有する者の身元情報を提供するよう要請することができる。
上記規定、また、より一般的には、証券の所有者の身元確認に関する法の規定により要請を受けた者が法定期間内に要求さ
れた情報を提供しなかった場合、または自身もしくは証券の所有者の身分もしくはその保有する証券数に関し不完全もしくは
誤った情報を提供した場合には、直ちにまたは将来、株式資本化され、かつかかる者により口座に登録されている株式または
証券は、適正な開示がなされる日まで、すべての株主総会における議決権を喪失し、配当金の支払についても同日まで延期さ
れる。
さらに、登録者が上記規定、またより一般的には証券の所有者の身元確認に関する法の規定を故意に無視した場合、当社の
登記上の本店所在地を管轄する裁判所は、当社または当社の株式資本の少なくとも5%を有する1人以上の株主からの要請に
より、合計で5年を超えない期間にわたり当該株式に付随する議決権または社債権者集会に係る議決権の全面的または部分的
な停止、また場合によっては同期間にわたる相応の配当金の支払停止を命じることがある。
上記規定は、新たに採決された2019年5月22日付PACTE法第2019-486号により改正されている。ただし、本書提出日現在、フ
ランス法に基づく証券の所有者の身元確認手続をさらに補完および改正する命令は未公表であることに留意されたい。
⑬ 社債等の発行
フランス商法第L.228-40条に従って、取締役会のみが社債の発行を決定または授権することができる、ただし株主総会が当
該権限を行使することを決定した場合はこの限りではない。また、取締役会は、取締役会によって選任された者に社債の発行
権限を1年間を限度に委任することができる。
(2)【提出会社の定款等に規定する制度】
法律で認められる範囲で、当社の定款もまた、当社の組織について記載している。
下記項目は、2018年 6 月 29 日付の 取締役会 の決議において修正された定款を参照している。
本項は、当社定款の主要な規定について記載している。
17/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
① 目的(定款第2条)
上記(1)記載の法律に従ったフランスおよびすべての国々における当社の目的は、以下のとおりである。
・ 電力の生産、輸送、分配、供給、取引およびその輸出入の確保
・ 法令および規則、特にエネルギー法およびフランス地方自治体法( le Code général des collectivités territoriales )
第L.2224-31条ならびに委託契約により委託された公益事業業務の遂行。また、フランスのエネルギー担当大臣の決定によ
る発電投資複数年計画に定められた目的を実現することで電力供給に関する均整の取れた開発の保証に貢献することを通
じた、特に公共電力網の開発および運営任務、規制料金による電力の供給、予想外の停電を補うことを目的とした非常時
における電力の電力会社および顧客に対する供給ならびに供給業者の見つからない有資格顧客に対する電力供給の各任務
の遂行
・ より一般的には、あらゆる顧客層を対象としたエネルギー分野におけるあらゆる産業、商業またはサービス活動(研究お
よびエンジニアリング活動を含む。)の開発
・ 保有または使用しているすべての動産および不動産の価値の向上
・ 上記の目的のいずれかに関わるすべての動産、不動産および事業の創出、取得、リースまたはリース管理契約( location-
gérance )の締結ならびに同様のすべての施設、事業所、工場および作業場のリース、設置および運営
・ 上記の目的のいずれかに関わる事業活動に関連するすべての手続および特許の獲得、取得、利用または譲渡
・ 会社または事業体の設立、資産の拠出、有価証券もしくは会社株式( droits sociaux )の引受けもしくは買取り、持分取
得、合併、提携またはその他方法の如何を問わず、上記の目的のいずれかに関わるすべての取引への直接的または間接的
な参入
・ より一般的には、上記目的のいずれか、またはそれと同様のもしくはそれに関連する目的、または当社の事業を発展させ
る性質のあらゆる目的に、直接または間接に、全面的または部分的に関連した、すべての産業、商業、金融、動産または
不動産の取引に関わる業務への従事
② 株式資本 (定款第6条)
株式資本は 1,505,133,838.00 ユーロであり、1株当たりの額面金額0.50ユーロの全額払込済株式 3,010,267,676.00 株からな
る。
エネルギー法第L.111-67条の規定に従い、政府はいかなる時にも当社の資本の70%超を保有していなければならない。
③ 資本の増減 (定款第7条)
株式資本は、法律に従いこれを増資、減資または償還することができる。
資本の増減により、政府持分が、前項「② 株式資本(定款第6条)」に定められた基準を下回ってはならない。
④ 株式 の払込み (定款第8条)
増資の場合、現金払込みにより取得される株式については、その引受けの際に、(場合により)額面金額の払込みおよび割
増金の払込みにつき、法律で定められた最小の割当額の全額が払い込まれなければならない。部分的に払い込まれた株式は、
その全額が払い込まれるまで記名式とする。従業員を対象とした新株発行について適用される法律の規定に従うことを条件と
して、残額は、取締役会の決定または(場合により)仮処分において下された商事裁判所の裁判長の決定により、増資が法的
に拘束力のある状態となった日から5年以内に、1回または数回にわたり、全額が払い込まれるものとする。
株主に対する現金払込請求の通知は、各払込みのため定められた日から15日前までに、配達証明付書留郵便または本店所在
地における法定公告の掲載により行われる。払込みは、本店またはかかる目的のために指定されたその他の場所において行わ
れる。
正当な機関により定められた期間に株主が全額を払い込まない場合、未払金額は払込期日から法定利率により自動的に法律
に従って利息を生じるものとする。かかる利息の発生は、法律で定められたその他の法的救済および罰則を妨げるものではな
い。とりわけ当社は、払込期日が到来しても未払金額が全額払い込まれていない株式を法令および規則に定められた条件で売
却させることができる。
18/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
⑤ 株式の形式 (定款第9条)
株式は、法令および規則に従うことを条件として、株主の選択により記名式または無記名式とする。
株式は、商法第L.228-1条以下に定められた条件に従い、仲介業者の名義で登録することができる。仲介業者は、法令および
規則に定められた条件に従い、第三者のために証券を保有する仲介業者としての資格を届け出るものとする。
上記の規定は、当社が発行するその他の証券に対しても同様に適用される。
当社は、随時、現行の法令および規則に定められた条件に従い、金融商品中央預託機関に対し費用を負担して、場合によ
り、当社株主総会において直ちにまたは将来にわたり議決権を付与する無記名式株式の株主の氏名または名称、国籍、生年月
日または設立年月日、住所および当該株主が保有する株式数ならびに該当する場合はかかる株式に関わる制限を知らせるよう
要求することができる。当社は、上記機関より提供された一覧に基づき、第三者を代理して登録されていると当社が判断する
かかる一覧に記載のある者に対して、株主に関する上記の情報を要求することができる。
株式が直ちにまたは将来、株式資本となる記名式株式の場合、第L.228-1条に定められた条件に従い登録された仲介業者は、
当社またはその代理人により要求があれば随時、当該要求から10営業日以内に当該株式の保有者の身分を開示しなければなら
ない。
上記、「(1)⑫ 証券の保有者の確認」についても参照。
⑥ 株式の譲渡 (定款第10条)
株式は、法令および規則に従うことを条件とし、自由に取引可能である。株式は適法に口座に登録され、その譲渡は口座振
替により行われる。これらの規定は、当社が発行するその他あらゆる種類の証券にも同様に適用される。
当社に対し一定の割合の資本または議決権を保有していることを通知する法律により定められた義務とは別に、当社の資本
または議決権の0.5%に相当する株式を直接と間接とを問わず単独または共同で保有するに至ったすべての自然人または法主体
は、かかる基準以上の株式を保有することとなった日から4取引日目の日の取引終了時までに、配達証明付書留郵便で、その
保有する株式、議決権および資本となる証券の総数を当社に申告するものとする。
法的基準を定める規則は、本項に従って申告される基準の算定および申告において提供される情報の決定に適用される。
前項第二段落に従い、証券の保有者として登録されている仲介業者は、証券の所有者の義務を損なうことなく、本項に定め
られた申告を行うものとする。
かかる申告は、新たに0.5%に達した場合、これを超えたか下回ったかにかかわらず、また理由の如何を問わず、いつでも改
めて上記の条件に従い行うものとする。これには、商法第L.233-7条に規定された5%の上限を超える場合も含まれる。
上記の規定が遵守されない場合、当該株主は、法律で定められた条件および制限の範囲内で、申告の対象となる上限を超え
る部分の株式に帰属する議決権を喪失する。
上記、「(1)⑪ 株式の保有報告基準」についても参照。
⑦ 株式に付随する権利および義務 (定款第11条)
各株式には、これが表章する資本の割合に比例する、利益および当社の資産に対する権利が与えられる。
さらに、法律、規則および定款による制限に従い、株主総会における議決権および出席権が与えられる。
株式の所有者は、その保有により、定款および株主総会の決定に自動的に従うものとされる。
株主が負担する損失は、その出資額を上限とする。
株主の相続人、債権者、受取人または株主を代理するその他の者は、当社の資産および証券に対する差押えの実施を要請で
きず、また不可分所有されている財産の分配または競売( licitation )を要請することができず、当社の取締役会の行為に介
入することもできない。かかる者がその権利を行使するためには、貸借対照表および株主総会による決定を参照しなければな
らない。
株式の交換、併合もしくは割当てが行われる際に、または増資、減資、合併もしくはその他の企業取引の結果、いずれかの
権利を行使するために複数の株式を所有する必要が生じた場合、単一の株式または必要数を下回る株式を保有する株主は、個
人的に自己の株式を取りまとめ、場合によっては要求された数の株式の買入れまたは売却を決定することによってのみ、かか
る権利を行使することができる。
⑧ 株式の不分割性、用益権 (定款第12条)
(ⅰ)当社の株式はこれを分割することができない。
分割できない株式の共同保有者は、かかる共同保有者のうちの1名または代理人1名のみをもって株主総会に出席するこ
とができる。共同保有者間で意見が一致しない場合、最初に行為した共同保有者の請求による裁判所の命令によって代理
人が任命される。
(ⅱ)株式に付随する議決権は、定時株主総会においては実質所有者に、臨時株主総会では名義上の所有者に属する。
19/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
⑨ 取締役会 (定款第13条)
(ⅰ)当社は、2014年8月20日付政令第2014-948号第Ⅱ章の規定に従い、3名から18名の構成員からなる取締役会により運営さ
れる。
これに関連して、取締役会には、株主総会で任命された取締役が含まれ、適用ある場合には、上記の政令の第6条Ⅱに従
い、政府の代表者1名および1983年7月26日付法律第Ⅱ章第2節の規定に従い選出された従業員の代表者の3分の1が含
まれる。
(ⅱ)取締役会は秘書役を任命するものとし、これは取締役会の構成員以外から選出することができる。
取締役会会長兼最高経営責任者は、各取締役に対し、その任務遂行のために必要なすべての書類および情報を提供するも
のとする。
(ⅲ)取締役会構成員の任期は4年である。
ただし、例外的に、2014年11月21日の株主総会後に効力が発生する従業員を代表する取締役の最初の任期は5年とし、
2014年11月21日の株主総会で任命された取締役の任期は2018年12月31日に終了する事業年度の財務書類を承認するために
招集される定時株主総会の終了時に満了するものとする。
2018事業年度の年次財務書類を決議する2019年の株主総会から、株主総会により選任された取締役の半数(またはこれに
最も近い整数名)が2年ごとに更新され、当該取締役に関する取締役会が4年の期間末に完全に刷新される方法で、従業
員により選任された取締役および命令に基づき任命されたフランス政府代表の取締役を除く取締役会が交代し、更新する
ものとする。
段階的な更新日以外の日に新たな取締役を任命する場合における更新の実施または維持に関しては、株主総会は、段階的
な更新を可能にするため、当該取締役の任期を4年未満に定めることができる。
退任の順序は、取締役会の会合における全会一致の投票によるか、またはこれが不可能な場合にはくじ引きにより、取締
役会が決定するものとする。
(ⅳ)株主総会で任命された取締役が1名以上死亡または辞任したことにより取締役会の構成員に欠員が生じた場合、取締役会
は、商法第L.225-24条に規定される要件に基づき、その後任となる者を臨時に任命することができる。上記により任命さ
れた取締役は、前任者の残りの任期の間のみ、その職務を遂行する。
(ⅴ)株主総会は、必要な場合、取締役に支給される手当の額を決定する。従業員の代表者である取締役には、任期に係る手当
は支給されない。
取締役が、取締役としての地位に関連する職務の遂行のために負担した経費は、その証明書類に基づいて当社により払い
戻される。
従業員代表は、法定労働時間の2分の1に相当する職務遂行手当を与えられる。
(ⅵ)株主総会で任命された取締役は、同総会により解任することができる。
(ⅶ)取締役会会長兼最高経営責任者の発意により、取締役会は必要と判断すれば、議事に応じて当社株主または社外の者を招
き、取締役会会議に出席させることができる(ただし、議決権は有しない。)。
企業委員会またはこれと同等の組織の秘書役は、取締役会に出席するが、議決権を有しない。
(ⅷ)取締役会の審議に出席するため招集された者は、取締役と同様の思慮義務を有する。
上記「(1)⑨ 取締役、取締役会および法定監査人」についても参照。
20/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
⑩ 取締役会会長および経営陣の職務 (定款第14条)
上記の2014年8月20日付政令第19条に従い、取締役会会長は取締役会の提案に基づき、取締役の中から命令により選任され
る。取締役会会長の任期は、その取締役としての在任期間を超えてはならない。その任期は、任命時と同じ方法で更新するこ
とができる。取締役会会長は命令により解任することができる。取締役会会長は、68歳を超えてはならず、68歳を超えた場合
には、自動的に辞任したものとみなす。
取締役会会長は、取締役会会長兼最高経営責任者の役職を有し、当社運営の責任を有する。取締役会会長は、最高経営責任
者に関する法令および規則の規定の適用を受ける。
商法第L.228-40条に従い、取締役会は、会長兼最高経営責任者へまたは、後者との合意により、1名以上の取締役会副会長
へ1年以内の社債の発行および条件の決定に必要となる権限を委任することができる。同様の審議により、かかる権限の行使
を取締役会へ報告する条件が定められる。
⑪ 取締役会の審議 (定款第15条)
(ⅰ)取締役会は、当社の利益のために必要なときに、法令および規則の規定に従い、取締役会会長による招集通知の発行後に
開催される。2014年8月20日付政令第12条第2項にかかわらず、過半数の取締役は、取締役会の議題を明らかにして、取
締役会を招集することができる。取締役会が2か月間開催されていない場合には、取締役会構成員の3分の1以上によ
り、議題の審議のために、会長に取締役会の招集を要請することができる。
取締役会は当社本店または招集通知に示されたその他の場所において開催される。
商法第L.232-1条および第L.233-16条に記載の取引に関連する場合を除き、取締役会は、法令および規則の規定に従い、か
つ取締役会の内部規則に定められた条件に従い、テレビ会議か、または取締役を特定することができ、取締役の実質的な
参加を確保し、フランス国務院( Conseil d'Etat )との協議に基づく命令に規定される性質および条件を有するその他の遠
隔通信手段により開催することができる。テレビ会議またはその他の上記の条件に基づく遠隔通信手段により取締役会に
参加する取締役は、定足数および過半数を計算する上で出席とみなされる。
取締役会の招集通知は、議題を明らかにして、書簡、電報、ファックスもしくは電子メール、または緊急の場合にはあら
ゆる方法で少なくとも7日前に送付される。緊急の場合には24時間前に招集通知を送付することができる。取締役会会長
兼最高経営責任者は、各取締役に対し、その任務遂行のために必要な書類および情報を提供する。
取締役会の議長は、取締役会会長が務めるかまたは取締役会会長が不在の場合には出席取締役のうち最年長者が務める。
(ⅱ)取締役会においては、構成員の少なくとも2分の1以上が出席している場合にのみ、有効な審議を行うことができる。規
則により定足数および過半数を計算する上では、テレビ会議を通じて、または上記の条件に基づくその他の遠隔通信手段
により、適法な条件下で会議に参加する取締役を出席取締役とみなす旨を定めることができる。
議案は、出席取締役または出席代理人の過半数の賛成により可決される。賛否同数の場合には、取締役会会長兼最高経営
責任者が裁決権を有する。
(ⅲ)取締役会においては、出席者名簿を準備し、出席取締役はこれに署名するものとする。出席者名簿にはまた、テレビ会議
を通じて、または上記の条件に基づくその他の遠隔通信手段により会議に参加する取締役の氏名も記載する。取締役会の
審議は、現行の法律の規定に従い作成される議事録に記載され、議長および取締役1名により(または議長がこれをする
ことができない場合には、取締役2名により)署名される。かかる議事録の写しまたは抄本は、取締役会会長兼最高経営
責任者、取締役会副会長、一時的に取締役会議長を委任された取締役、取締役会秘書役またはこの目的のために権限を付
与された者により有効性が証明される。
⑫ 取締役会の権限 (定款第16条)
取締役会は、当社の事業戦略を決定しその実施状況を監督する。取締役会は、株主総会に明示的に付与されている権限を除
き、また会社の目的の範囲内で、当社の円滑な運営に係るすべての問題に取り組むことができ、取締役会の審議を通して当社
の事業に関する事項を決定する。
取締役会は、特に監査委員会、戦略委員会または報酬委員会等の専門的な諮問委員会を取締役会内に設置する決定を行うこ
とができる。かかる委員会の権限および構成については取締役会が決定する。各委員会には、少なくとも1名の従業員の取締
役が在籍しなければならない。委員会はその任務に関し取締役会に報告を行う。下記、「第5 5(1)③取締役会の委員会」
も合わせて参照。
各委員会の任務とその運営方法は、規則により定められている。
⑬ 取締役会会長兼最高経営責任者 および取締役会副会長の権限 (定款第17条)
取締役会会長兼最高経営責任者は、取締役会の審議を統括および指揮し、これを株主総会に報告する。取締役会会長兼最高
経営責任者は、当社の各組織が円滑に運営されるよう監督し、とりわけ取締役がその任務を達成できるかどうかを確認する。
21/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
公共部門の企業に特有の法律の規定、法律により明示的に株主総会に与えられている権限および取締役会に特別に留保され
ている権限に従い、かつ会社の目的の制限内で、取締役会会長兼最高経営責任者は当社を代表してあらゆる状況下で行動する
こ とができる最も広範な権限を付与される。
取締役会会長兼最高経営責任者の提案により、取締役会は1名または複数の自然人を、取締役会会長兼最高経営責任者の補
佐役として任命することができる。かかる者は、取締役会副会長の役職を任ぜられるものとする。取締役会副会長は5名を超
えないこととし、各副会長の任期および権限に対するあらゆる制限も取締役会が定めるものとする。
取締役会会長兼最高経営責任者がその職務の遂行を停止した場合またはこれを妨げられた場合、取締役会副会長は、取締役
会で別段の決定がなされた場合を除き、新たな取締役会会長兼最高経営責任者が任命されるまで、その職務の遂行および権限
の行使を継続する。
取締役会会長兼最高経営責任者は、適切と判断する数の代理人に対して権限の一部を委任することができる。取締役会副会
長も第三者に対し同様の権限を有する。
⑭ 規制対象となる契約(定款第18条)
当社と、当社の最高経営責任者もしくは当社の取締役会副会長のうち1名もしくは当社の取締役のうち1名もしくは議決権
の10%超を保有する当社の株主のうち1名との間において、直接もしくは仲介者を通じて締結される契約または法人株主の場
合には商法第L.233-3条に定められた意味における当社の支配会社との間において、直接もしくは仲介者を通じて締結された契
約のすべては、事前の承認を得るために取締役会に提出されなければならない。
前段落において対象とされている者が間接的な利害関係を有している契約および当社の最高経営責任者もしくは取締役会副
会長のうち1名もしくは取締役のうちの1名が所有する会社または無限責任持分保有者、管理者、取締役、監査人もしくは一
般的に役員である会社と当社との間に締結される契約についても、同様である。
取締役会は、事前承認に際しては、とりわけ、当該契約に伴う財務的な条件を明確化することにより、当社のかかる契約に
おける利益の正当性を証明する。
上記段落の規定は、日常の取引に関連して通常の条件で締結された契約には適用されず、また、一方の会社がもう一方の会
社の全資本(適用ある場合には、フランス民法( code civil )第1832条または商法第L.225-1条および第L.226-1条の要件を満
たすために要求される最低株式数を控除する。)を直接的または間接的に保有する2社間で締結された契約にも適用されな
い。
⑮ 株主総会 (定款第20条)
上記、「(1)⑧ 株主および株主総会」および 「(1) ⑩ 株主総会」についても参照。
(ⅰ)株主総会は、全額が払込済みである株式を保有しており、かつ、商法により規定される要件および期限により株主総会参
加の権利が、株主自身の名義か、または、フランス居住者ではない株主の場合には登録されている仲介業者の名義で、記
名株式として口座に登録されることによって証明されるすべての株主により構成される。
株式の口座登録は、当社の記名証券口座または権限を有する仲介業者の無記名式証券口座のいずれかにおいて行われなけ
ればならない。
株主は、その資格と身分の簡単な証明により、株主総会に参加することができる。取締役会は、適切と判断すれば、株主
の名前を記載した個人用の入場券を手配し、当該入場券の提示を要求することができる。
すべての株主は、その選任する個人または法人を、株主総会における自身の代理人とすることができる。委任状および
(もしあれば)その撤回は書面により行われるものとし、当社に送付される。委任状は、代理人の任命において必要とさ
れるものと同じ様式で(適用ある場合には)電子システムを通じて撤回することができる。商法第L.228-1条に規定された
条件に従いその株式を仲介業者の名義で合法に登録している株主は、同条に規定された条件に従い当該登録仲介業者に自
身を代理させることができる。
株主はまた、郵送による投票をすることができる。かかる郵送による投票を行うか、または委任状を送付した後は、当該
株主は他の方法で株主総会に参加することを選択できない。当社は、遅くとも株主総会の3日前までに投票用紙を受領し
なければならない。ただし、電子投票の場合、当社は株主総会開催日の前日の午後3時(フランス時間)までに投票用紙
を受領しなければならない。
委任状および郵送投票用紙ならびに出席証明は、電子形式により作成し、フランスにおいて適用ある法律上および規制上
の条件に従って正式な署名を付すことができる。
(ⅱ)株主総会は、取締役会または法定監査人もしくはかかる目的のために適法に授権された者により、招集される。株主総会
は登記上の本店または招集通知に記載されたその他の場所において開催される。株主総会はテレビ会議または株主を認識
できる通信手段により行うことができるが、その種類および使用条件は商法第R.225-97条から第R.225-99条までに定める
22/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ものとする。かかる場合、かかる手段により株主総会に出席した株主は、法的条件に従い定足数および過半数を算定する
上で出席株主とみなされる。
法律に別段の規定のある場合を除き、株主総会の招集通知は開催予定日の15日以上前に送付されるものとする。かかる期
間は、第2回目の通知後の株主総会および延会については、10日間に短縮することができる。
(ⅲ)招集通知には当該株主総会の議事を記載する。議事はかかる通知の作成者により作成される。
株主総会は、その議事に含まれる事項についてのみ審議することができる。
法律で要求される株式資本を所有する1名以上の株主、または法律の要件を充足し、法的条件を遵守し法定期限内に行為
する株主の団体は、議事に項目または決議案を加えることを要求することができる。議事に項目を追加することを要求す
る場合、理由を述べなくてはならない。また、企業委員会は、フランス労働法( code du travail )に従い、議事に決議案
を加えることを要求することができる。
各株主総会において、法律で規定される情報を含む出席者名簿が作成される。
株主総会の議長は、取締役会会長兼最高経営責任者か、または取締役会会長兼最高経営責任者が不在の場合には、かかる
目的のために取締役会が権限を委任した取締役が務める。その他の場合、株主総会がその議長を任命する。
自身が直接有するか、または委任状により有するかを問わず、当該株主総会において最大の票数を有する2名の構成員
は、株主総会に出席しており、かつ、かかる職務を受諾すれば、選挙管理官として任命される。
株主総会の役員は、秘書役を任命する。秘書役は、株主以外からも選任することができる。
株主総会の役員は、出席者名簿を確認および承認しかつこれに署名し、適切な決議を実施し、会議中の偶発事象を解決
し、投票を管理し、適法性を保証し、かつ議事録を作成することに責任を負う。
作成された総会の議事録ならびにその複製およびその決議の抜粋は法律に従って認証される。
定時株主総会は、定款の改正以外の決定を行うために開催される。定時株主総会は、年に1度以上、各事業年度終了より
6か月以内に招集され、当該事業年度の財務書類を承認するものとする(延期される場合は司法判断により定められた期
間内に開催されるものとする。)。
1回目の招集では、出席株主、その代理人、または郵送で投票をした株主が、あわせて議決権付株式の5分の1以上を保
有しない限り、有効に決議を行うことができない。2回目の招集では、いかなる定足数も要求されない。出席株主、その
代理人、または郵送で投票をした株主が所有する票数の過半数にて決議される。
(ⅳ)臨時株主総会は、定款の改正を行うことができる唯一の株主総会である。ただし、株式の併合に起因する取引が適法に実
施された場合であっても、定款の改正により株主の義務を加重することはできない。
準備金、利益または剰余金からの資本組入れにより実現される増資に適用される法律の規定に従い、臨時株主総会は、1
回目の招集の際は出席株主、その代理人、または郵送で投票をした株主が、あわせて議決権付株式の4分の1以上を保有
している場合、2回目の招集の際は出席株主、その代理人、または郵送で投票をした株主が、あわせて議決権付株式の5
分の1以上を保有している場合にのみ、有効な決議を行うことができる。後者の定足数に満たない場合、2回目の株主総
会は、前回の招集日から最大2か月間延期することができる。
同様の規定に従い、臨時株主総会においては、出席株主、その代理人、または郵送で投票をした株主の3分の2以上の票
数で決議とする。
⑯ 株主の情報開示請求権 (定款第21条)
株主はすべて、法令および規則に定められた条件に従い、当社の経営陣および経営について判断するために必要な書類を入
手する権利を有する。上記、「(1)④ 法律文書の閲覧」についても参照。
⑰ 利益処分 (定款第24条)
上記、「(1)⑦ 利益の分配」を参照。
(ⅰ)事業年度における収益および費用の要約である損益計算書は、減価償却費および繰入額を控除後の差額により当該事業年
度の利益または損失を示している。
当該事業年度の利益から繰越損失(もしあれば)を差し引いたものから、少なくとも5%が法定準備金として控除され
る。当該控除は、準備金が株式資本の10分の1に達した時点で、義務的なものではなくなる。理由の如何を問わず、法定
準備金が当該10分の1を下回った場合、控除が再開される。
分配可能利益は、当該事業年度の利益から繰越損失および法律または定款により準備金として計上されている金額を控除
し、これに留保利益を加算したもので構成される。株主総会は、かかる利益から、任意準備金組入額または繰越利益剰余
金として適当と判断する額を控除することができる。
さらに、株主総会は、どの準備金費目から分配されたかを明示することにより、その裁量に基づき、剰余金から引き出さ
れた金額の分配を決定することができる。ただし、配当金はまず当該年度の分配可能利益から支払われるものとする。
23/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
減資の場合を除き、自己資本の額が、法律または定款により分配できない資本金と準備金の合計額を下回る場合、または
かかる分配を行ったことに伴いこれを下回ることとなる場合は、株主に対する分配を行ってはならない。再評価による差
額 は分配されない。かかる再評価による差額は、その全部または一部が株式資本に組み入れられる。
損失(もしあれば)は、特別勘定に計上され、かかる損失が相殺されるまでその後の年度の利益から控除され、または減
資により消化される。
(ⅱ)事業年度末において、少なくとも2年以上にわたり登録株主であり、その事業年度に係る配当金の支払日においても登録
株主としての地位が維持されている場合、当該株式につき支払われる配当金に関して、他の株式につき支払われる配当金
の10%に相当する追加配当(株式により支払われる配当を含む。)を受領するものとする。配当金の増加分については、
最も近い整数のセント金額に切り下げる。
同様に、事業年度末において、2年以上にわたり登録株主であり、準備金、利益またはプレミアムの資本組入れによる増
資が完了する日においても当該株式を保有している場合、交付数の10%に相当する新株式を追加で受領するものとする
(端数については、整数未満を切り捨てる。)。
かかる追加分の株式数は、前事業年度末現在の当該株主に係る株式資本の0.5%を超えてはならない。
⑱ 配当の支払方法 (定款第25条)
株主総会は、法律に従い、分配された配当の全部または一部について、現金により配当の支払を受けるか株式により配当の
支払を受けるかを選択する権利を各株主に付与する権限を有する。
前年度末後、必要な減価償却費および引当金の計上後、繰越損失および法律または定款に基づき準備金費目に積み立てる額
(もしあれば)を控除し、かつ前事業年度末からの留保利益を考慮に入れた上で、当社が利益を得たことが、事業年度中また
は事業年度末に作成され法定監査人によって監査された貸借対照表により判明した場合は、法律に従い、当該事業年度の財務
書類の承認前に、中間配当を分配することができる。取締役会は、株主総会による事前承認を条件として、中間配当の全部ま
たは一部について、現金により支払を受けるか株式により支払を受けるかを選択する権利を株主に提案することができる。中
間配当の額は、上記に規定された利益の額を上回ってはならない。
さらに、株主総会では金融商品を含む当社の資産を交付することによる配当、中間配当、剰余金、分配プレミアムまたは減
資に関する決定も行うことができる。
株主総会において議決される配当の支払条件および配当株式の権利確定日は、法に定められた要件に従い、株主総会または
取締役会において決定される。株主に付与される現金以外の配当額が整数の株式数とならない場合、当該株主は、最も近い整
数の株式数に切り下げた数の株式を受け取ることができ、当該切下げ分は現金調整額により補填される。また、株主総会にお
いて要請があった場合には、端数を最も近い整数の株式数に切り上げた数の株式を受け取ることができ、かかる場合、差額は
現金で支払われるものとする。
配当の支払は、現金であるか株式であるかにかかわらず、かかる期限の延期が裁判所の決定により許可されない限り、事業
年度末後9か月以内に行われるものとする。支払日から5年以内に支払の請求がなされなかった配当は無効となる。
上記、「(1)⑦ 利益の分配」についても参照。
⑲ 解散と清算 (定款第27条)
当社の存続期間が満了し、または当社が解散する場合、定時株主総会において清算の方法を決定し、かつ1名以上の清算人
を任命してその権限を法律に従い決定する。
負債および社会保障費の弁済ならびに株式の未償却の額面金額の株主に対する払戻しの後に残存する純利益は、株主間で配
分する。
2【外国為替管理制度】
( 1) 非居住者による株式の所有
フランス法の下では、現在において、適用される一般的な規制に従う限り、非居住者またはフランス国籍以外の証券保有者
がフランスの会社の証券を所有し、議決権を行使する権利は何ら制限されない。
2017年5月10日付命令第2017-932号に従い、届出( déclaration administrative )の義務はなくなった。
もっとも、フランス通貨金融法典第R.151-1条 以下 および第R.153-1条 以下 の規定に従い、取得者/投資家はフランスの会社
に対して外国投資、直接投資、間接外国投資を行う際には、フランス当局に対して届出( ▼ é claration administrative )をしな
ければならない。現行の行政規則によれば、フランスの会社の株式資本または議決権の33.33%超を保有する場合には、届出
( ▼ é claration administrative )に服する直接投資であるとみなされる。かかる届出( ▼ é claration administrative )は、財務
24/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
省(( Ministère de l' É conomie et des Finances, Direction Générale du Trésor, Bureau Multicom, 2 / Télédoc 554 ) 139,
rue de Bercy, 75572 Paris Cedex 12)に送付しなくてはならない。
さらに、非居住者は、株式資本(または議決権)の10%以上を取得する、または10分の1の株式保有基準をまたぐ
15,000,000ユーロ以上の取引を行う場合は、フランス銀行に対して届出( ▼ é claration statistique )をしなければならない。
( 2) 為替管理
フランスの現行の為替管理規制によれば、フランスの会社から非居住者に送金される額には特に規制はない。もっとも外国
為替管理に関する法令および規則は、フランス居住者から非居住者への資金の支払および送金については、正式な認可を受け
た仲介人を通して行わなければならないこととされている。フランスでは、すべての登録銀行およびほぼすべての金融機関が
認可を受けた仲介人である。
3【課税上の取扱い】
( 1) 株式に関する課税
以下は、当社の株式を保有または処分する場合におけるフランスの主要な課税関係の概要である。当該概要は(ⅰ)日本に
おいて所得税、法人税を支払う義務のある個人または法人であり、(ⅱ)1995年3月3日付の所得に対する租税に関する二重
課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約(以下「日仏租税条約」という。)および
2007年1月11日付の日仏租税条約を改正する議定書により邦人居住者として取り扱われ、(ⅲ)当社の株式資本の10%未満を
保有し、(ⅳ)フランスにおいて事業を行いまたは人的役務を履行するための恒久的施設および固定施設のいずれかに関連し
て株式が保有されるものでない場合(以下「日本の株主」という。)に関連するものである。
以下の記載は概略を説明することのみを目的とするものであり、特定の状況下において関連し得るフランスの税法上のあら
ゆる観点からの検討を行うものではない。当該概要は、とりわけ、パートナーシップや外国政府、国際的機構、外国の公共団
体、年金基金、銀行その他証券会社や為替会社といった金融機関を含む非課税主体、または税務上の居住者となっている以外
の国において事業拠点を有する主体といった特別の規制に服する株主に関する課税上の取扱いについて検討の対象とするもの
ではない。
以下の概要は、本書提出日現在有効なフランスおよび日本の法律ならびに日仏租税条約および税務当局の規則に依拠するも
のであり、変更(遡及効が生じる可能性もある)または異なる解釈があり得るものである。
当社の株式を購入する予定のある投資家は、その個別の事情(州、地域、その他の国内法の影響を含む。)を十分に考慮の
上、その株式の購入、所有、処分に伴う課税上の取扱いについて、自己の税理士に助言を求められたい。
① 株式の売却または処分の際の課税関係
日本の株主がその持株を売却または処分する際においては、譲渡収入についてフランスの税制は適用されない。ただし、
(ⅰ)譲渡人が売却または処分を行った課税年度において、直接もしくは間接的に、または単独でもしくは親族と共同で当社
の 株式資本 の25%未満を 表章する株式を 保有する場合または(ⅱ)譲渡人が売却または処分を行った課税年度において、単独
でもしくは親族と共同で当社の株式 資本 の5%未満を 表章する株式を 売却または処分した場合に限られる。なお、複数の国の
居住者となっている者については、特別な規制が適用される。
当社の株式の譲渡にはフランス金融取引税が課されることになる。かかるフランス金融取引税は、フランスに本店を有し、
前暦年度の12月1日にその時価総額が1十億ユーロを超えている上場会社の株式の取得を伴う取引に対して、0.3%の税率で適
用される。フランスの経済および予算担当大臣により発布される命令に、かかる金融取引税が適用される会社の各年のリスト
が記載される。
また、(ⅰ)当社の株式の譲渡にフランス金融取引税が課されず、かつ(ⅱ)譲渡人が、書面による契約に基づき、当社の
株式を譲渡する場合、当該譲渡は登録されなければならず、 当該譲渡株式の譲渡価格または公正市場価格のいずれか高い価格
に基づき 0.1%の登録税が課されることになる。
② 配当の際の課税関係
フランスでは、配当は税引後利益から支払われる。
フランスの税法では、配当には、(ⅰ)フランス税法上の居住者でない個人が受領する支払の場合は12.8%、または(ⅱ)
フランス税法上の居住者でない法主体が受領する支払の場合は30%(2020年1月1日以降に開始する事業年度については、フ
ランス一般租税法( Code général des Impôts )第219-I条に定める基本法人税率に則する。)の税率の源泉徴収税が課税され
る。また、フランス国外で、フランス一般租税法第238-0のA条に定める意味における非協力国もしくは地域(以下「非協力
25/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
国」という。)において配当の支払が行われる場合、フランス一般租税法第187-2条に基づき、75%の源泉徴収税が適用される
(一部の例外および適用ある二重課税防止条約の規定に服する。)。
上記にかかわらず、かかる配当の支払の主目的および結果が非協力国における配当の支払を許容するものではないことを 当
社 が証明できる場合、非協力国において住所を有しもしくは設立された者に対して支払われる配当、またはかかる非協力国に
おいて支払われる配当に関して、フランス一般租税法第187-2条に定める75%の源泉徴収税は適用されない。
いかなる場合においても、2014年2月11日付フランス税務当局によるガイドラインBOI-INT-DG-20-50-20140211第1190号にお
いて、フランスと租税条約を締結している国に居住している配当の支払の受益者については、配当の支払が非協力国において
行われる場合であっても75%の源泉徴収税は適用されない旨が定められている。かかる場合には、適用ある租税条約の規定が
適用される。
日仏租税条約によれば、日本の株主は、(ⅰ)自らが配当の受益株主であり、かつ(ⅱ)下記の手続に従う場合には、10%
に減額されるという恩恵を受けることができる。租税条約によれば、日本の株主はフランスで徴収された源泉額について、配
当金の受領に関して日本で課される課税の範囲内で税額控除を受けることができる。
日本の株主に支払われる配当金については、一般的に支払日において、租税条約に規定される軽減税率で源泉徴収税が課さ
れる(12.8%または30%の税率で徴収されたフランスの源泉徴収税が租税条約上の税率を上回る部分を後に還付する方法では
ない。)。もっとも、日本の株主が、配当支払日までに、2012年9月12日付フランス税務当局による行政ガイドラインBOI-
INT-DG-20-20-20-20-20120912による様式に従った証明書(以下「証明書」という。)を支払代理人に対して提供し、当該軽減
税率が適用される資格を取得することが条件となる。
もし日本の株主が配当支払日までに証明書を提出しなかった場合、フランスの源泉徴収税は通常の12.8%または30%の率で
課されることになる。当該日本の株主は、超過して支払った源泉徴収税について、配当金の支払があった年度から2年後の12
月31日までに財務省様式5000および 5001 の書面を支払代理人に提出することにより、その還付を請求することができる。
③ 相続税および贈与税
フランスは、フランス非居住者から相続または贈与によって個人または法人がフランスの会社の株式を取得した際に、資産
税および贈与税を課している。
④ 日本における課税上の取扱い
「第8 2(4)本邦における配当等に関する課税上の取扱い」を参照。
( 2) 社債に関する課税
以下は、(ⅰ)日本国の税法上および日仏租税条約上の日本国の居住者、ならびに(ⅱ)日仏租税条約の恩恵を受ける資格
を有する者による当社が発行した社債 ( obligations ) (以下「本社債」という。)の取得、保有および処分に関するフランス
の租税上の重要な結果の要約である。
以下の記述は一般的な概要であり、特定の状況にある本社債の社債権者(以下「本社債権者」という。)に関連し得るフラ
ンスの税法および日仏租税条約の全体像を示すことを意図していない。
① 本社債の利息に対する課税
2010 年3月1日以後に発行された本社債について
2010年3月1日以後に発行された本社債(2010年3月1日より前に発行された本社債と併合(フランス法の意味における統
合)され、1つのシリーズを構成するフランス一般租税法第131条の4の規定の恩恵を受ける本社債を除く。)について 当社 が
行う利息その他の所得の支払は、当該支払がフランス国外の非協力国(上記に定義される。) (フランス一般租税法第238-0の
A条第2項の2に定めるものを除く。) において行われる場合を除き、フランス一般租税法第125のA条Ⅲに定める源泉徴収税の
対象とならない。本社債に基づくかかる支払が非協力国において行われる場合、フランス一般租税法第125のA条Ⅲに基づき
75%の源泉徴収税が適用される(本社債権者の税務上の居住地を問わない。また例外もあり(一部は下記に規定される。)、
日仏租税条約のより有利な規定に従う。)。非協力国の一覧は、省令により発行され、毎年更新される。
さらに、フランス一般租税法第238のA条に従い、かかる本社債に係る利息およびその他の所得は、それが(ⅰ)非協力国
(フランス一般租税法第238-0のA条第2項の2の 2° に定 めるものを含む。)において居住し、もしくは設立された者に対し
て支払われ、もしくは発生した場合、または(ⅱ)当該非協力国に所在する金融機関に開設された銀行口座に支払われた場合
は、当社の課税所得から控除することはできない(以下「控除対象外」という。)。一定の条件の下では、控除できない利息
およびその他の所得はフランス一般租税法第109条以下に従って、みなし配当と位置付けられることがある。その場合、かかる
控除できない利息およびその他の所得は、(ⅰ)フランス税法上の居住者でない個人が受領する支払の場合は12.8%、(ⅱ)
フランス税法上の居住者でない法人が受領する支払の場合は30%(2020年1月1日以降に開始する事業年度については、フラ
26/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ンス一般租 税法第219-I条 に定める基本法人税率に則する。)、または(ⅲ)フランス国外で、非協力国(フランス一般租税法
第238-0のA条第2項の2の2°に定めるものを除く。)においてなされた支払の場合には75%(一部の例外および適用ある二
重 課税防止条約の規定に服する。)の税率で、フランス一般租税法第119条の2の2に規定する源泉徴収税の対象となることが
ある。
上記にかかわらず、特定の本社債の発行に関して、かかる本社債の発行の主目的および結果が非協力国における利息その他
の所得の支払を許容するものではないことを 当社 が証明できる場合、非協力国において住所を有しもしくは設立された者に関
連ある支払がなされるという事由、またはかかる非協力国において支払がなされるという事由のみでは、フランス一般租税法
第125のA条Ⅲに定める75%の源泉徴収税 または(該当する利息もしくは所得が真正な取引に関連するものであり、異常なもし
くは過大な金額でない範囲に限り)フランス一般租税法第238のA条に規定される控除対象外およびこれに伴うフランス一般租
税法第119条の2の2に規定する源泉徴収税のいずれも 適用されない(以下「例外規定」という。)。本社債が以下に該当する
場合、2014年2月11日付BOI-INT-DG-20-50-20140211第990号、2014年2月11日付BOI-RPPM-RCM-30-10-20-40-20140211第70号お
よび2015年3月20日付BOI-IR-DOMIC-10-20-20-60-20150320第10号に基づき、フランス税務当局によって発行された公式ガイド
ラインに従い、 当社 による本社債の発行の目的および結果の証明を要することなく、当該本社債の発行について例外規定の恩
恵を受けることができる。
(ⅰ)本社債の募集が、フランス通貨金融法典第L.411-1条に定める意味における公募により、または非協力国以外の国における
同等の募集に従って行われる場合。本項において、「同等の募集」とは、国外の証券市場当局による、もしくは同証券市
場当局に対する募集に係る書類の登録または提出を要する募集をいう。
(ⅱ)本社債が規制市場またはフランス国内もしくは国外の多角的証券取引システムにおいて取引されることが認められている
場合。ただし、かかる市場またはシステムが非協力国に存在するものではなく、かかる市場の運営が市場オペレーターも
しくは投資サービス会社またはその他国外の類似の事業体により行われており、さらに、かかる市場オペレーター、投資
サービス会社および事業体は、非協力国に存在するものではない場合に限る。
(ⅲ)本社債についてその発行時に、(フランス通貨金融法典第L.561-2条に定める意味における)中央預託機関、証券、受渡兼
支払システム・オペレーターまたは1社以上の国外の類似の預託機関もしくはオペレーター(ただし、かかる預託機関お
よびオペレーターが非協力国に存在するものではない場合に限る。)の業務が認められた場合。
2010 年3月1日以後に発行された本社債のうち、2010年3月1日より前に発行された本社債と統合(フランス法の意味におけ
る統合)され、1つのシリーズを構成するものについて
2010年3月1日以後に発行された本社債のうち、2010年3月1日より前に発行された本社債と統合(フランス法の意味にお
ける統合)され、1つのシリーズを構成するフランス一般租税法第131条の4の規定の恩恵を受けるものに係る利息その他の所
得の支払については、フランス一般租税法第125のA条Ⅲに定める源泉徴収税が免除される。フランス税務当局の公式ガイドラ
インである2014年2月11日付BOI-RPPM-RCM-30-10-30-30-20140211第100号に基づき、支払がフランス国外の非協力国で行われ
る場合にも例外措置が適用される。
2010年3月1日より前に発行された本社債のうち、ユーロ建てであるかその他の通貨建てであるかを問わず、フランス法上
の債券、または2014年2月11日付BOI-RPPM-RCM-30-10-30-30-20140211第50号を参照し、フランス税務当局によって発行された
公式ガイドラインに定める意味における譲渡性証券( titres de cr é ances n é gociables )、またはフランス法もしくは外国の
法律に基づいて発行され、フランス税務当局により同様の分類に該当すると判断されるその他の債務証券を構成するものは、
上記で言及されるガイドラインに従い、フランス一般租税法第131条の4の規定の適用においては、フランス国外で発行された
ものとみなされる。
さらに、2010年3月1日以後に発行された本社債で、2010年3月1日より前に発行された本社債と統合(フランス法の意味
における統合)され、1つのシリーズを構成するものについて 当社 が行う利息その他の所得の支払は、非協力国において支払
われること、または非協力国に設立された者もしくは居住する者に対して発生するかもしくは支払われることのみを理由に、
フランス一般租税法第119条の2に定める源泉徴収税の対象とならない。
② 譲渡所得税
日仏租税条約に従って、日本の本社債権者が保有する本社債の売却または処分から得る利益は、フランスの租税に服さな
い。
27/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
③ 日本における課税上の取扱い
日本国の居住者および内国法人が支払を受ける本社債の利息および本社債の譲渡または償還による所得は、日本国の租税に
関する現行法令の定めるところにより一般的に課税対象となる。
日本国内に恒久的施設を有しない日本国の非居住者または外国法人が支払を受ける本社債の利息および本社債の譲渡または
償還による所得については、一般的に日本国の租税は課せられない。かかる日本国の非居住者または外国法人の納税義務は、
適用される租税条約の規定により、さらに限定されまたは免除されることがある。
4【法律意見】
当社のフランスにおける法律顧問であるホーガン・ロヴェルズ(パリ)LLPより、下記の趣旨の法律意見書が関東財務局長宛
に提出されている。
本書第一部 第1(本国における法制等の概要)の1(会社制度等の概要)から3(課税上の取扱い)(ただし、3(1)
④「日本における課税上の取扱い」および3(2)③「日本における課税上の取扱い」を除く。)までに記載されているフラ
ンス共和国における法令および/または規則に関するすべての事項は、すべての重要な点で真正かつ正確である。
28/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
第2【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
連結損益計算書からの抜粋
(単位:百万ユーロ (十億円))
(4) (3) (2) (1)
2017年 2017年 2014年 2014年
12月31日に
2018年 2016年 2015年
終了した年度
(再表示後) (再表示前) (再表示後) (再表示前)
68,976 64,892 69,632 71,203 75,006 73,383 72,874
売上高
(8,397) (7,900) (8,477) (8,668) (9,131) (8,934) (8,872)
減価償却費お
15,265 13,742 13,742 16,414 17,601 17,279 17,279
よび償却費控
(1,858) (1,673) (1,673) (1,998) (2,143) (2,104) (2,104)
除前営業利益
5,282 5,637 5,637 7,514 4,280 7,984 7,984
営業利益
(643) (686) (686) (915) (521) (972) (972)
連結会社の 473 3,401 3,401 4,181 1,692 5,433 5,433
税引前利益 (58) (414) (414) (509) (206) (661) (661)
1,177 3,173 3,173 2,851 1,187 3,701 3,701
EDFの純利益
(143) (386) (386) (347) (145) (451) (451)
(1) 2015年に発行された2014事業年度のデータ。
(2) 2014年12月31日現在の正味ショート・ポジションを示す、電力卸売市場におけるEDF Energy の取引(トレーディング業務
を除く。)については、509百万ユーロが購入エネルギー費用から売上高に再分類されている。
(3) 2018年に発行された2017事業年度のデータ。
(4) 2017年12月31日に公表された数値は、IFRS第15号基準の売上高への適用による影響を反映するために再表示された。しか
し、IFRS第9号により認められた単純化されたアプローチに従い、2018年1月1日以降のIFRS第9号の初度適用に関して
は再表示されていない。
29/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
連結貸借対照表からの抜粋
(単位:百万ユーロ (十億円))
(4) (3) (2) (1)
2017年 2017年 2014年 2014年
12月31日現在 2018年 2016年 2015年
(再表示後) (再表示前) (再表示後) (再表示前)
210,384 204,324 204,324 195,309 200,745 195,160 195,202
非流動資産
(25,612) (24,874) (24,874) (23,777) (24,439) (23,759) (23,764)
72,785 67,518 76,428 81,111 78,196 72,769 72,769
流動資産
(8,861) (8,220) (9,304) (9,874) (9,520) (8,859) (8,859)
売却目的
5,220 18 18
− − − −
保有に分類
(635) (2) (2)
された資産
283,169 271,842 280,752 281,640 278,941 267,947 267,989
資産合計
(34,473) (33,094) (34,179) (34,287) (33,958) (32,620) (32,625)
自己資本 44,469 41,357 41,357 34,438 34,749 35,246 35,191
(EDF持分) (5,414) (5,035) (5,035) (4,192) (4,230) (4,291) (4,284)
自己資本 8,177 7,341 7,341 6,924 5,491 5,419 5,419
(非支配持分) (995) (894) (894) (843) (668) (660) (660)
177,708 176,287 176,287 176,788 178,462 169,487 169,487
非流動負債
(21,634) (21,461) (21,461) (21,522) (21,726) (20,633) (20,633)
52,815 46,857 55,767 61,381 60,239 57,795 57,892
流動負債
(6,430) (5,704) (6,789) (7,473) (7,333) (7,036) (7,048)
売却目的
保有に分類
2,109
− − − − − −
された資産
(257)
に関連する
負債
自己資本
283,169 271,842 280,752 281,640 278,941 267,947 267,989
および
(34,473) (33,094) (34,179) (34,287) (33,958) (32,620) (32,625)
負債合計
(1) 2015年に発行された2014事業年度のデータ。
(2) 2014年の比較数値は、IFRIC第21号の遡及適用の影響を反映するために再表示されている。
(3) 2018年に発行された2017事業年度のデータ。
(4) 2017年12月31日に終了した年度の比較数値は、IFRS第15号の遡及適用による影響のため、再表示された(2018年12月31日
に終了した年度の連結財務書類の注記2.1.3.2を参照。)。
30/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
連結キャッシュ・フロー計算書からの抜粋
(単位:百万ユーロ (十億円))
12月31日に終了した年度 2018年 2017年 2016年 2015年 2014年
13,364 11,663 11,125 12,730 10,625
営業活動によるキャッシュ・フロー (純額)
(1,627) (1,420) (1,354) (1,550) (1,293)
△17,165 △11,713 △16,557 △18,839 △12,393
投資活動によるキャッシュ・フロー (純額)
(△2,090) (△1,426) (△2,016) (△2,293) (△1,509)
3,530 712 4,138 5,574 1,223
財務活動によるキャッシュ・フロー (純額)
(430) (87) (504) (679) (149)
△271 662 △1,294 △535 △545
現金および現金同等物の純増加/(減少)額
(△33) (81) (△158) (△65) (△66)
純負債額に関する情報
(単位:百万ユーロ (十億円))
12月31日現在 2018年 2017年 2016年 2015年 2014年
59,188 56,846 65,195 64,183 55,652
借入金およびその他の金融負債
(7,206) (6,920) (7,937) (7,814) (6,775)
△1,972 △1,176 △3,965 △3,795 △3,083
負債のヘッジに使用されたデリバティブ
(△240) (△143) (△483) (△462) (△375)
(1)
売却目的保有資産に関連する負債 に
1,458
− − − −
組み替えられた金融負債 (177)
△3,290 △3,692 △2,893 △4,182 △4,701
現金および現金同等物
(△401) (△449) (△352) (△509) (△572)
△20,538 △18,963 △22,266 △18,141 △12,990
売却可能金融資産-流動性の高い資産
(△2,500) (△2,309) (△2,711) (△2,208) (△1,581)
△670 △670
− − −
RTEおよび被共同支配子会社への貸付金
(△82) (△82)
△104
(1)
− − − −
売却目的保有資産 に組み替えられた金融資産
(△13)
33,388 33,015 37,425 37,395 34,208
(2)
純負債額
(4,065) (4,019) (4,556) (4,552) (4,164)
(1) 2016 年における売却目的保有資産の純負債額は、主に、CTE(RTE(フランス・エネルギー法により定義されるEDFの独立
子会社)の100%を保有する会社)およびポーランドの会社に関係している。
(2) 純負債額は会計基準に定義されておらず、当グループの連結貸借対照表には直接表示されていない。これは、借入金およ
び金融負債の合計から、現金および現金同等物ならびに流動性の高い資産を控除したものからなる。流動性の高い資産
は、ファンドまたは有価証券からなる、当初の満期3か月超で、容易に換金でき、流動性重視の方針に従って運用されて
いる金融資産である。
31/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2【沿革】
ガスおよび電力分野が国有化される中、1946年4月8日付法律によりEDFは商工業公益企業体(EPIC)として設立され、電力
およびガス産業(IEG)に関する特別な地位を付与された。この法によっても一定数の非国営の配電会社(DNN)および地方配
電会社(LDC)が生き残った。
1946年から2000年までの期間は、当グループの産業基盤の発達によって特徴付けられた。当初は、石炭を燃料とする火力発
電所を有し、燃料油および水力発電所と続き、特に1952年にティグネおよび1960年にセール・ポーンソンにダムが建設され
た。1963年、EDFは、シノンに最初の商業用原子力発電ユニット(70MW)の運転を開始し、かかるユニットは、1972年まで建設
が続いた天然ウラン黒鉛ガス(UNGG)系の6世代ユニット系列の初代ユニットである。1973年および1979年の石油危機は、火
力から原子力への変換を加速させる結果となった。1969年、UNGG系は加圧水型原子炉(PWR)系に替えられ、PWR系は新しい発
電所に使用された。
1990年代初め、EDFは国外で著しい拡大を遂げ、具体的には1998年12月、London Electricity(2003年6月30日にEDF Energy
と名称を変更した。)を買収した。この方針はさらに続き、2001年、EnBWの株式の20%(2005年までには45.01%に引き上げ
た。)を取得し、IEBのコンソーシアムによりイタリア企業Edisonの株式持分(63.8%)を取得し、このうちEDFは18.03%を所
有した。2002年、英国を拠点とする配電会社2社、EPN Distribution Plc.およびSeeboard Plc.を買収した。
フランスにおいて、近年の主要な発展は欧州規則によって推進された市場の自由化であった。1999年2月、市場の20%を占
める年間の電力消費量が100GWhを超える施設が、供給業者を選択する資格を得た。有資格の閾値はその後段階的に低下し、こ
れにより2000年5月に市場の30%が、その後、2003年2月に市場の37%が開放され、また、非住宅用顧客の市場全体が自由化
されたため、2004年7月には市場の69%が開放された。2007年7月以降、市場は住宅用顧客を含め、完全に自由化されてい
る。
同時に、自由市場が効率的に機能するための機関が設置された。フランス電力規制委員会(後のエネルギー規制委員会
( Commission de régulation de l'énergie またはCRE))が、2000年5月に設立された。同年、市場のすべての事業者に対し
て、公平なアクセスを保証するために、EDFは、高圧および超高圧公共送電網を管理するRéseau de Transport d'Électricité
(2005年にRTE EDF Transportの名称でEDFの子会社( RTE。フランス・エネルギー法により定義される独立送電網事業者。 )と
なり、後にRTE Réseau de Transport d'Électricitéと名称を変更)を設立した。2000年、当グループは、取引のスペシャリス
トであるルイ・ドレフュス氏とともに、商事会社としてEDF Tradingを設立した。2003年に同社はEDFの完全子会社となった。
2001年、EuronextおよびEDFを含む電力市場の様々な工業および金融業者が、フランスの電力取引所Powernextを設立した。
2001年、EDFが、EnBWに出資することを承認することを条件に、欧州委員会はEDFに対し、競争相手の市場へのアクセスを容易
にするため供給量入札システム(仮想発電所、またはVPP)の実施を要請した。2003年、EDFグループはCompagnie Nationale
du Rhône の株式をSUEZ(現在のEngie)に売却した。
2004年11月20日、2004年8月9日付法律に従って、EDFはフランスの株式会社( société anonyme )となり、取締役会が設置
された。
2005年、EDFおよびA2A SA(旧AEM SpA)は、公開買付けが開始された後、Edisonの共同買収に関する契約を締結した。EDFグ
ループは欧州に再度焦点を当てる戦略を続行し、子会社EdenorおよびLightの支配的持分ならびにメキシコにおける資産を売却
した。
EDFは、196,371,090株の新株発行、ならびにEDFの従業員、元従業員および特定の子会社に対するフランス政府による当社に
おける保有株式34.5百万株超の売却を通じて、2005年11月に新規株式公開を果たした。その後、2007年12月3日にフランス政
府は、所有する45百万株を売却した。
2006年後半には、EDFグループにより50%を保有されている子会社のEDF Renouvelables(旧EDF Énergies Nouvelles)が、
新規株式公開を果たした。
2008年1月1日から、EDFの配電事業は、 2006 年12月7日付フランス・エネルギー法に準拠した配電事業活動への貢献の結果
として、 EDF の子会社 となったEnedis(旧ERDF)( Enedisは、エネルギー法において定義される独立経営子会社である。可読性
のため、以降本書においてEnedisに言及する際は単にEnedisとし、エネルギー法において定義される完全独立子会社であるこ
とに都度言及しないものとする。 )により行われている。
2008年から2009年には、EDFグループは、中国の公共事業であるCGNとジョイント・ベンチャーを設立し、英国において最も
大きなエネルギー会社の1つであるBritish Energyを買収し、米国を拠点とするConstellation Energyの原子力資産の半分近
くを取得したことによって、国際的に原子力の再興において主要な企業となった。またEDFは、ベルギーの会社であるEDF
Luminusの株式の51%を取得し、2010年にはEDF Luminusにおける持分を63.5%まで引き上げた。
2010年にEDFは香港のCheung Kongグループに対する英国配電網の売却を完了させ、また2011年、ドイツのバーデン・ヴュル
テンベルク州にEnBWの株式の売却を完了させた。
32/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2011年、簡易型の選択型の現金による買付または株式交換の慣行に続く少数株主のスクイーズ・アウトによって、EDF
Renouvelablesにおける保有が100%まで増加したことにより、EDFは再生可能エネルギーを利用した発電の分野における主要な
事 業者としての地位を確かなものとした。
A2Aとの戦略的パートナーシップから7年超が経過した2012年、EDFはイタリアの電力市場における中心的企業の1つで、欧
州において4番目の市場規模であるEdisonを承継した。この取引はガスチェーンのすべての段階におけるEdisonの専門性を頼
りにする、当グループのガス戦略の一環として実施された。
2014年、EDFは米国の先駆的な原子力事業者であるExelonに対して、EDF(49.99%)およびExelon(50.01%)により保有さ
れるCENGが所有する原子炉5基の運営管理を行う権利を委譲した。さらに、EDFはCitelumグループを含むフランスにおける
Dalkiaのすべての事業ラインを承継し、VeoliaはDalkiaグループの国際事業を承継した。最後に、F2i、EdisonおよびEDF
Énergies Nouvellesは、F2i(70%)ならびにEdisonおよびEDF Renouvelablesが保有する持株会社(30%)により保有され
る、再生可能エネルギー分野においてイタリアで3番目の規模の事業会社を設立した。
2015年、EDFおよびChina General Nuclear Power Corporation(CGN)はサマセットにおけるヒンクリー・ポイントC原子力
発電所の建設および操業に関する法的拘束力のない戦略的投資契約を締結した。かかるパートナーシップは、EDFの取締役会に
よって2016年7月28日に承認された。契約書類は、2016年9月29日付で調印された。
2015年および2016年、EDFおよびAREVA SAは、EDFによるAREVA NP( かかる会社を本書においてNew NP、New AREVA NPまたは
Framatomeというが、同一の会社である。 )の独占的支配権の取得、ならびに包括的な戦略的および産業パートナーシップのた
めの、法的拘束力のない2つの覚書に調印した。かかる覚書の条件に従い、EDFによるAREVA NPの完全子会社である事業体
(NEW NP)の独占的支配権の取得に関する条件を規定する契約は、2016年11月15日付で調印された。かかる取引は2017年12月
31日に完了した。Framatomeに改名したNew NPは現在、三菱重工業株式会社(19.5%)およびAssystem(5%)と並んで75.5%
をEDFにより保有されている。Framatomeは、原子力発電所ならびに原子力設備、燃料集合体および利用可能な設置基盤向けの
産業事業、設計事業および供給事業をとりまとめ、約14,000名の従業員を有している。さらに、その80%をEDF、残りの20%を
Framatomeにより保有される専門会社であるEDVANCEが2017年6月に設立された。当該専門会社は、ニュークリア・アイランド
の設計(基幹および詳細な設計)ならびに建設(供給、構築および起動)、ならびにフランス国内外における新規原子炉の計
装制御に関連する前述の2社の事業をとりまとめている。
2017年3月30日にEDFは、1株当たり6.35ユーロの新株632,741,004株、総額4,018百万ユーロ(プレミアム発行を含む。)の
優先引受権が付された現金増資を完了させた。フランス政府が3十億ユーロ、すなわち発行株式の75%を引き受けた。当該株
式発行は成功裏に終わり、約4.9十億ユーロとなった。市場申込倍率は最大 185.9%となった。
2017年3月31日にEDFは、RTEの被支配株主持分49.9%を フランス預金供託公庫 および CNP Assurances に売却した。EDFはさら
に、EDF Polskaの資産およびEDF Démasz(ハンガリー)の100%についても売却した。
EDFは、売却計画を完了するため、ダンケルクLNGターミナルを運営する企業であるDunderque LNGの保有株式の売却を2018年
10月30日に完了し、続いて2018年11月28日に、200超のオフィスおよび事業所を有するポートフォリオのColony Capitalへの売
却を完了させた。
33/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
3【事業の内容】
( 1) 当グループの戦略
① 環境および戦略的課題
温室効果ガス排出の抑制による気候変動との闘いは、地球温暖化を+2℃までに抑制するという目標の下、極めて重要な局
面を迎えている。
世界の二酸化炭素排出量のほとんどがエネルギーによるものであることを考慮すれば、かかる気候目標の達成のためには、
エネルギー源としての化石燃料の使用量を徐々に削減していくことが重要である。このために、2つの主要な取組み手段とし
て、エネルギー効率化ソリューションの開発によるエネルギー消費量の低減ならびに無炭素のエネルギー源(すなわち、再生
可能エネルギー(火力エネルギー(木材、バイオマス)または電力エネルギー(水力、太陽光もしくは風力)および原子力エ
ネルギー)の使用の増加が挙げられる。
今日、世界のエネルギー消費量に占める電力の割合はわずか約20%である。このため、現在化石燃料により賄われている消
費量は、電力ソリューションを筆頭とする無炭素エネルギー・ソリューションにより代替されなければならない。電力ソ
リューションは、消費者からエネルギー効率化と同義に捉えられることが多いため、エネルギー消費量の低減ならびに燃料油
またはガスボイラーの代替としてのヒートポンプ、内燃機関自動車の代替としての電気自動車といった、輸送、建物および産
業向けの化石燃料からの移行という連動した目標に貢献している。
欧州連合は、クリーン・エネルギー・気候変動パッケージによって、2020年および2030年における野心的な目標を設定し
た。
フランスは、気候変動との闘いに重点を置いている。フランスは、2050年までにカーボン・ニュートラルを達成することを
目指す気候プランを通じて、その目標を再確認している。
かかる点につき、既に炭素強度の低い電力施設を有するフランスは、欧州の主要な近隣諸国よりも先んじている。再生可能
エネルギーと原子力エネルギーの補完関係を活かし、この低炭素かつ競争力ある構成を長期的に維持しなければならない。
しかしながら、既存資産を維持するため、また、より長期的には発電所を刷新するために重要な投資を行うことが依然とし
て必要とされているにもかかわらず、市場および欧州の規制環境により発電会社の現在の事業モデルは抑制されている。
・商品価格(石油、ガス、石炭)は、炭素が潤沢でありシェールガス生産量が増加したにもかかわらず変動性が高く、今後も
この状態が続くと見込まれている。これらの商品価格は、依然として、地政学的な緊張、経済成長における変動ならびに気
候面および技術面での悪条件に対して非常に高い感応度を有する。
・二酸化炭素の価格は、適用規制に直接左右される。欧州では、現行の排出権の割当制度において二酸化炭素の最低価格が保
証されていない。
・電力の市場価格は上記要因に直接左右され、発電所の損益分岐点に影響を及ぼす。
・商品価格および二酸化炭素の価格が下がると、電力の市場価格が下がる。欧州の電力需要が低迷している場合には、より一
層この傾向が見られる。例えば、2018年の最初の8か月において、EDFの4つの主要な欧州市場における需要は、2017年と比
較して1%増加した。さらに、エネルギー移行政策によって政府補助を受けた大型の生産設備が送電網に接続されており、
これもまた価格に対して影響を及ぼしている。
・2016年以降は商品価格が上昇し、2018年には、フランスにおけるN+1年の電力の市場価格が、2013年以来初めて50ユーロ/
MWhの基準値を超過した。
・しかしながら、欧州の二酸化炭素排出権の価格が急激に変動した例(2018年に、7ユーロ/トンから25ユーロ/トンの間で
変動した。)からも明らかなように、これらのパラメータが現在の水準に留まるという保証はない。
欧州とは対照的に、エネルギー消費は、新興市場、特にアジアにおいて急速に増加した。これらの地域の発電会社はこれに
よる恩恵を受けている。2017年から2040年にかけて、中国においては年間約+200TWh(平均で年間2.3%)、またアフリカにお
いては年間+51TWh(年間3.9%)となる見込みであるのに対し、欧州連合においては年間+9TWh(年間+0.3%)となる見込
みである( 出典:IEAの「世界エネルギー予測」、2018年11月ならびにフランス、英国、イタリアおよびベルギーに関するユー
ロスタット )。
欧州においては、フランスおよび英国が、主としてエネルギー効率、再生可能エネルギーおよび原子力を組み合わせた混合
施策を中心に、低炭素・脱エネルギー依存政策を展開している。そのため、発電施設の大規模な建替えの実施を必要とする英
国は、気候変動法を採択し、かかる政策に即した市場モデルを構築した(最低炭素価格、差額決済契約、容量市場等)。フラ
ンスでは、電力は脱炭素化への原動力としても使用されており、グリーン成長に向けたエネルギー移行に関する2015年8月17
日付法律は、フランスにおける原子力の設備容量に63.2GWの上限を設定している。この容量は、需要および輸出余力の変化を
受け、エネルギー構成における再生可能エネルギーの発展に見合うものである。また、特にフランス、英国(「 第2 3(2)
⑤(ⅰ)(イ)戦略」を参照。 )およびベルギーにおいて、供給量市場も拡大している。
34/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
第21回締約国会議(COP21)においてパリで成立した合意では、気候変動に対応するために講じられている対策および欧州域
外におけるエネルギー移行の拡大が確認された。168か国および欧州連合から批准されたこの合意は、2016年11月4日に効力が
発生した。2017年12月にパリで開催された気候変動サミットでは、資金の動員が支援され、世界的な気候変動との闘いを支持
す るコミットメントの形成に至った。
フランスでは、2015年8月に採択されたグリーン成長に向けたエネルギー移行法において、フランスにおける温室効果ガス
排出量、エネルギー消費およびエネルギー構成に関するいくつかの中期的・長期的な目標が定められている。この法律は、国
家低炭素戦略およびこれらの目標を管理するための複数年にわたるエネルギー計画(PPE)の策定につながった。PPEは、公共
企業がすべての多様なエネルギー形態を管理するための方向性および取組みの優先順位を、5年間にわたり定めている。最初
のPPEは、2016年から2018年および2019年から2023年の期間を対象としている。
2017年および2018年に、事業者数社の協議により、2019年から2023年および2024年から2028年の期間に関する新たなPPEが策
定された。これを背景に、政府は、2050年までにカーボン・ニュートラルを達成するという目標を設定し、国家低炭素戦略へ
のさらなる取組みを表明した。2017年10月から2018年1月にかけて、PPE改訂のための24のワークショップが、政府により開催
された。2018年3月から6月にかけては、「 Commission nationale du débat public 」(フランス公開討議委員会)により公
開討議が開催された。次いで政府は、2018年11月27日にPPE草案の骨子案を発表し、2019年1月25日に草案の全体版を発表し
た。この文書では、フランスのエネルギー目標は、高炭素エネルギーの消費量を低減し、炭素エネルギーを無炭素エネルギー
と代替することに重点を置くことによる、エネルギー消費量の削減に関連するものであることが再表明されている。同文書で
は、電力が多くの用途において脱炭素化の手段であると述べられている。同文書は、特に以下の目標を設定している。
・温室効果ガスの排出量を、2023年には二酸化炭素277百万トンまで削減し、2028年には227百万トンまで削減する。
・2012年と比較した化石燃料の一次消費量を、2023年には20%削減し、2028年には35%削減する。
・再生可能エネルギーの開発(2023年には再生可能熱の消費量を196TWhとし、2028年には218TWhから247TWhの範囲とする。フ
ランスにおける再生可能電力の設備容量を、2023年には74GWとし、2028年には102GWから113GWの範囲とする。)。
・電気自動車の開発(2023年には、自家用電気自動車の利用台数を1.2百万台とする。)。
・温室効果ガスを排出する自動車の新規販売を2040年に終了する。
・エネルギー効率化のための住宅リフォームを毎年500,000件実施する。
同文書は、フランスのエネルギー構成に占める原子力の割合を、2035年に50%とすることを目標としており、2035年までに
14基の原子炉(うち2基はフェッセンハイムの原子炉である。)が閉鎖され、2028年までには他の2基から4基の原子炉が閉
鎖される(PPEの第2期において、2027年および2028年に、安定供給の要件が遵守されることを条件として2基の原子炉が閉鎖
される。さらに、電力価格および欧州の電力市場の推移に関する一定の条件が満たされれば、2023年に下される決定に基づ
き、2025年から2026年の間に、追加の2基の原子炉が閉鎖される可能性がある。)。同文書は、石炭火力のみによる発電所を
2022年までに閉鎖することも定めている。
PPE計画は、長期的には、国内の産業容量および技術に基づいて新規の原子炉を建設する容量を維持することが重要であると
述べている。政府は、産業容量、EDFが提案するEPR2原子炉の新型モデルに関するリスク回避プログラム、当該原子炉に係る
費用の評価、フランスの電力システムにおける新規原子炉プログラムのための資金調達オプションの検討、ならびに当該プロ
グラムの資金調達体制およびその実行について欧州委員会の承認を得るために必要な取組みに関連して、2021年半ばまでに原
子力部門との作業プログラムを実施する。
さらに政府は、2025年以降の市場価格の上昇から消費者を保護することを目的とした、既存の原子力発電所に関する新たな
規制の詳細を提案する予定であるが、一方で、低価格時におけるPPEの需要を満たすために、EDFに対して発電施設の経済的な
持続可能性を保証する財務的な余地を与えている。この見通しおよび原子力発電所開発の方針により、EDFが実施する原子力発
電所(フェッセンハイムを除く。)の大規模な総点検プログラム(「グラン・カレナージュ( Grand Carénage )」)の妥当性
が確認された。
PPE計画は2019年度上半期に協議に付され、2019年中に命令が発表される予定である。
顧客は、エネルギー方針に係る各々の消費および地域においてより主体性を持つことを望んでいる。この新たな期待感を受
け、エネルギー事業者は、電気通信技術およびデジタル技術の革新ならびに電気自動車を含む新たな用途の出現に促進され、
新たなソリューションおよびより分散化された新たなモデルを考案することを求められている。
このように、電力業界は、中長期的な社会的動向および技術的動向の影響を受けており、従来以上に変革が起こっている。
かかる変革を背景に、またかかる展望に基づき、欧州の発電会社は従来の事業に対する投資を削減し、また対象を絞った事
業、特に再生可能エネルギー・ソリューションおよび低炭素ソリューション、国際的な成長分野、電力網、顧客への供給、貯
蔵ならびにサービスに投資を集中させている。
このため、EDFグループは、かかる状況および地球温暖化を+2℃までに抑制するというシナリオに貢献する必要性に対応す
るため、CAP2030の戦略における優先目標を設定した(第2 3(1)②「CAP2030の戦略における優先目標」を参照。)。EDF
35/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
グループは、エネルギー移行の課題に取り組むため、徐々に発電構成を変化させることによって、超低炭素発電における勝者
であり続けなければならない。
EDFは、エネルギー移行支援のため、革新的技術および電力貯蔵に投資している。このため、EDFは太陽光発電、電気自動車
および電力貯蔵に関する計画を発表した。
EDFは、エネルギー移行の実施成功のために、顧客ポートフォリオおよび地域との関わりという重要な資産を活用している。
以下のとおり、これらすべての活動が、EDFグループをエネルギー移行におけるリーダーたらしめることに貢献している。
・既存の原子力発電所における競合優位性、水力エネルギーおよび他の再生可能エネルギー(風力、太陽光)の開発における
リーダーシップ、ならびに貯蔵等の革新的技術への投資により、EDFは、最適な費用にて常時利用可能な再生可能エネルギー
の割合を増やしたエネルギー構成の課題に、長期的にかつ相互補完的に取り組むことができる。
・送電網への投資は、再生可能エネルギーの開発および業務の脱炭素化に不可欠である。
・顧客ポートフォリオおよび地域との関わりは、無炭素エネルギーの取組みおよびエネルギー効率化ソリューションの効率的
な実施における重要な資産である。
EDFは、主要な産業問題に重点を置き、創立以来公共サービスに係る使命および公共サービスに係る義務を履行してきた。
EDFは、責任ある事業者として、その戦略決定に際して、経済動向に加え、長期的な産業上、社会上および地域上の側面を織り
込んでいる。これらには特に、連帯、エネルギー貧困との闘い、他者の尊重、事業の遂行における責任および倫理が含まれ
る。
そのため、特に厳しい市場状況において、EDFグループは、その優先的な発展分野に投資することができるよう、CAP2030戦
略の遂行に懸命に取り組んでいる。
② CAP2030の戦略における優先目標
低炭素化の進展を支持する、責任ある、また能率的な発電事業者となること。これが、CAP2030の戦略に推進されるEDFグ
ループの目標である。これは、以下の3つの優先目標に分けられる。
・顧客および地域とのつながり
・原子力および再生可能エネルギーの構成の調整を通じた低炭素発電
・海外展開
2015年以降、いくつかの戦略ワークショップが開催され、当該3つの戦略的優先事項を実現させた。
かかる目標はまた、簡略化、革新およびデジタル技術、説明責任およびパフォーマンス、ならびに個人の意欲および技能に
基づく変革プログラムを通じて達成される。
EDFグループは、CAP2030の一環として6つの企業責任目標への取組みを誓約している。EDFは地球温暖化との闘いに取り組ん
でおり、炭素排出量が欧州でも最低水準となっているが、特に2018年には、二酸化炭素の直接排出量を2030年までに40%削減
し(2017年の51百万トンと比較して、2030年の目標値は30百万トン)、2050年までにカーボン・ニュートラルを達成するとの
目標を維持するという誓約を掲げた。
( ⅰ) 顧客および地域とのつながり
エネルギーの移行において顧客および地域を支えるため、EDFグループは、以下の3つの手段により、新たな競争力のある分
散型ソリューション、新たなカスタマイズ型低炭素エネルギー・サービス、およびスマート・グリッドを立ち上げることを目
標としている。
顧客向けのエネルギー効率化ソリューションおよび新たなデジタル・サービスの開発
EDFは、その専門子会社(Dalkia、Citelum、IZIVIA、Edelia、Netseenergy、Fenice)が提供するソリューションの範囲を拡
大するため、2017年に立ち上げられた「EDFエネルギー・ソリューション(EDF Solutions énergétiques)」というブランドを
展開している。低炭素の暖房ネットワーク、スマート・ライティング、廃棄物の回収、電気モビリティというサービス範囲は
相互補完的かつ革新的であり、地域の社会および事業における新たな課題に対して同様に対応する。例えば、地域レベルで
は、Citelumのインテリジェント・プラットフォームであるMUSE©により、「ディジョン・メトロポール」都市圏においてすべ
ての設備および公共サービスを集中管理することができるようになる。ベルギーでは、Citelum率いるEDF Luminus、DIFおよび
CFEとのコンソーシアムが、ワロンの主要な高速道路におけるスマート・ライティングに関する官民連携事業を獲得した。
住宅用顧客向けに、EDFグループは、フランスおよび「欧州の主要国」(英国、イタリア、ベルギー)において販売されてい
る一連のデジタル・エネルギー・サービスを提供し、また継続して開発している。例えば、2016年のSoweeの設立(2017年およ
び2018年にさらに多角化した、革新的なコネクテッドホーム向け製品およびソリューションを提供する子会社)は、特に住居
の持続可能な快適性に関する顧客の新たな期待に応えるためのEDFグループの取組みを反映している。既存のサービスおよび顧
36/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
客窓口もまた、特に幾つかの国に配置されているスマート・メーター・システムに促進され、新しいデジタル技術および機能
により継続して強化される。
化石燃料に代替する新しい効率的な電力の利用(電気モビリティ、自家消費、ヒートポンプ、低炭素住宅等)の開発支援
EDFグループは、フランス市場の自家消費における主要な事業者となることを目指しており、当グループの市場から4つの具
体的な対象市場(フランス、英国、イタリアおよびベルギー)を示した2018年10月10日付の電気モビリティ計画の発表によ
り、電気モビリティの開発に強い意欲を表明した。電力貯蔵は、エネルギー移行における重要な革新分野である。2018年3月
27日に発表された当グループの電力貯蔵計画は、2035年までに世界各地に10GWの新たな貯蔵施設を開発し(6GWの大規模貯蔵
施設、4GWの分散型貯蔵施設)、かかる時点までに当グループの貯蔵容量を15GWに増加させることを定めている。
研究開発および革新
EDFグループは貯蔵、太陽エネルギー、電気モビリティ、スマート電力システムおよび持続可能な地域のエネルギー・ソ
リューション(スマート・シティ)に関する研究および開発を強化している。
また、EDFグループは、顧客の期待に応え、新しい消費パターンに適応したソリューションおよびサービスを提供するため
に、よりデジタル化したコミュニケーション手段に基づいた革新の取組みを強化している。この取組みは、当グループのプロ
ジェクト展開に貢献している。EDFは、当グループ内外のプロジェクトの起業支援組織である「EDF Pulse Expansion」を通じ
て、新規事業部門の検証および調査、当グループの成長のための新たな推進力の創造、ならびに顧客に対する新たな幅広い革
新的な製品およびサービスの提供を行っている。
最後に、Linky( Linkyとは、独立経営の配電網事業者であるEnedisによるプロジェクトである。簡略化のため、以降本書類
においてLinkyについて言及する際、それがEnedisのプロジェクトである旨を必ずしも特定しない。 )スマート・メーターの配
備、再生可能エネルギーおよび電気モビリティの開発ならびに現地のエネルギー選定に積極的に関与する都市の出現により、
配電網は電力システムの移行の前線にある。そのため、配電事業者は、エネルギーの移行における推進役という主要な役割を
担っている。かかる点につき、EnedisおよびEDFは、委託契約当局との関係性の近代化のため、全国委託元当局連合会
(FNCCR)およびフランス都市連合とともに、規制料金による公共配電および電力供給に関する新たな委託契約案を作成した。
この契約では、公共サービス、地域の連帯および全国的な最適化というフランスにおける委託モデルの原則を維持しつつ、地
域の変革およびエネルギー移行を一本化している。
( ⅱ) 超低炭素発電:原子力および再生可能エネルギー
EDFの原子力施設により、フランスは競争力の高い電力費用を依然として保ちつつ、温室効果ガス排出の抑制において既に隣
国と大きな差をつけている。
超低炭素発電施設の分野におけるリーダーであり続けるため、EDFグループは、再生可能エネルギーの開発を強化し、既存の
原子力施設および新規の原子力施設建設への投資に係る安全性、業績および競争力を確保している。
資産基盤の統合
超低炭素発電の目標達成は、水力および原子力に係る資産基盤を統合することから始まる。
・EDFは、経済、エネルギーおよび環境に関する業績を統合するために水力発電委譲へ定期的に投資し、将来的には水力発電を
強化するためのソリューションを提案する。
・EDFは、今ではフランスの原子力発電所の経済面および炭素の面での競争力が証明されたことから、最高基準の安全要件に基
づき、かかる施設の運転期間を40年超に延長する承認を得るために投資を行っている。これに関連して、EDFは、運転継続に
関する「グラン・カレナージュ( Grand Carénage )」プログラムを実施している。かかるプログラムは、各10年点検後にASN
(フランス原子力安全当局)によりそれぞれのユニットに対して個別に付与される承認に影響するものではない。英国にお
いても、原子力発電所すべての耐用年数を延長するための投資が行われた。最後に、EDFグループは、フランスおよび英国に
おける原子力発電所の廃炉および廃棄物管理の準備に対する投資を継続して行う。
再生可能エネルギーおよび新たな原子力プロジェクトの開発
同時に、EDFグループは、(当グループのENRおよび水力発電所の設備容量を、2014年の28GWから2030年には50GWと倍増させ
ることを目的とした)再生可能エネルギーの開発および新たな原子力プロジェクトの開発に積極的に取り組んでいる。
再生可能エネルギーに関して新たに開発された発電方法は、基本的に陸上および洋上の風力発電、太陽光発電ならびに水力
発電となる。2017年12月、EDFは、2020年から2035年までの間にフランスにおいて30GWの太陽光発電施設を設置することを目標
とした太陽光エネルギー開発計画である、ソーラー・プランを発表した。フランス国外におけるかかる資産の展開は、EDFグ
ループの海外戦略に従って行われる。かかる点につき、2018年、当グループは、新規プロジェクトの発展により、フランスだ
37/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
けではなく米国、英国、ドイツ、中東、ブラジル、チリ、インドおよび中国において再生可能エネルギー産業の統合を強化し
た(「第2 3(2)①(ⅴ)(ハ)EDF Renewables」を参照。)。
新たな原子力プロジェクトに関する主要な課題は、以下のとおりである。
・フラマンビル3および中国における台山の稼働開始(2018年12月に1号機が稼動開始した。)。
・ヒンクリー・ポイントにおける2つのEPR原子炉の建設および稼働。かかるプロジェクトの最終合意は、2016年9月29日付で
EDF、CGNおよび英国政府によって調印された。
・2017年12月31日よりEDFが75.5%を所有するFramatomeの統合(「第2 2沿革」を参照。)。
・Framatomeと共同で行っているEPR2プロジェクト(EPRの新型モデル・プロジェクトの後続プロジェクト)を通じた、今後の
原子炉の準備作業(特に、状況が適切であればフランスにおける新規の原子炉建設プログラムの立上げの決定を目指す、フ
ランス政府とのワーキング・プログラム)
・(特にインドにおける決定に伴う)輸出市場向けのEPRの開発
カーボンフリー水素サービスの開発
最後に、EDFは主に研究開発を通じて積極的に水素分野に取り組んでおり、脱炭素化が困難な部門である企業用顧客およびモ
ビリティのヘビーユーザーを主要な対象とした、競争力あるカーボンフリー水素サービスの中期的な開発のための準備を行っ
ている。このため、2018年、水素の(電解による)製造装置、貯蔵および供給を専門とするMcPhyとの間で、産業パートナー
シップおよび持分投資に係る契約が締結された(「EDF Pulse Expansion」により16百万ユーロが投資された。)。
( ⅲ) 海外展開
EDFグループは、公共政策に従って、エネルギー安全保障、経済的競争力の強化および欧州経済の低炭素への移行において役
割を果たすことにより、フランスおよび欧州の中核国(英国、イタリア、ベルギー)のエネルギー市場における主要なプレー
ヤーでありたいと考えている。
当グループは、以下の3つの長期目標への取組みにより、欧州外へも進出している。
・産業上および商業上のプレゼンスを通じて、3つの追加的な国々/地理的地域(南米、西アフリカおよび中央アフリカ、中
東ならびにインドを含む。)において産業横断的な優位性を確立すること
・世界的なエネルギー移行に資する投資選択を行うこと、および商業ベースで新たな事業を展開すること
・2030年までに(欧州外における)海外事業を大幅に拡大すること
このように、EDFは地理面で対象を絞ったアプローチを採用しており、エネルギー・サービスおよびエンジニアリング事業に
加え、低炭素発電プロジェクト(特に水力、風力および太陽光発電プロジェクト)に重点を置いて投資選択を行っている。EDF
は、当グループの二酸化炭素に係る方針に従って、貯蔵容量の拡大およびガス生産プロジェクトの開発を、これらがエネル
ギー移行の重要な要素となる地域において実施している。また、孤立地域向けの小規模な適応型送電網であり再生可能エネル
ギーが多くの割合を占めるマイクロ送電網も、特にシンガポールに建設されたMASERAデモ用モデルを通じて研究されている。
( ⅳ) 移行
安全衛生、デジタルおよび新しい仕事慣行、責任および簡略化、技能ならびに評価モデルは、当グループの移行における5
つの主要な手段である。
当グループは、2016年以降の多くの具体例(マネージャーの労働日数の規定、キャリアの強化ならびに内部での異動および
昇進のための研修の促進、当グループの方針の合理化および簡略化等)ならびに他の直近の例(契約のデジタル署名および財
務報告の簡略化等)に示されるように、組織および作業方法の合理化により経営管理慣行を適応させている。またEDFは、2018
年に、企業の社会的責任に係る新たな国際協定(「CSR協定」)を締結した。同協定においては、当グループの従業員のため
に、多様性のための改善およびその他の社会的な改善がなされている。
さらに、実験(「研究」および顧客との協働によるプラットフォームの構築)ならびにオープンな革新プログラムに基づく
革新の促進は、当該移行に貢献するものとなる。「新規ビジネス」を担当する部門であるEDF Nouveaux Businessの創設は、当
該分野における課題解決のためにEDFが漸次的に発展させている技術を完成させた。EDF Nouveaux Businessは、起業支援、当グ
ループ外の新興企業に対する(Electranovaのファンドを通じた)投資および技術的パートナーシップを活用する(「第2 3
(2)⑥(ⅰ)(ハ)EDF Pulse Expansion」を参照。)。
デジタル変革は、従業員および社内作業方法、顧客関係ならびに産業資産の管理および設計を含む。2016年末における変
革・経営効率部門の創設は、情報システム、購入、不動産および共通サービスに関連する当グループの業務を統合するもので
あり、当該分野を促進したいという当グループの意向を反映している。EDFグループは、数年前よりデジタル変革における重点
を戦略レベルに置いており、グループ内の組織および研修について徹底的な見直しを実施してきた。
38/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
データの分野においては、当グループはデータ管理方針を導入し、原子力発電、火力発電および再生可能発電のための専門
知識を蓄積する「データ・アナリティクス」施設(2018年4月完工)を設置した。
EDFグループにとって、業績の改善は常に優先される。現在の経済および財務状況は、かかる改善の必要性をさらに高めてい
る。当グループは、他社と同じ水準となるよう、原価管理を強化しており、その手法は、関係する対象(学際的機能、運営主
体等)に応じて調整されており、数多くのプロジェクトにおいて、サポート業務の競争力強化および事業パフォーマンスのて
こ入れを目的として、営業費用の削減、必要運転資本の最適化および管理の改善(現金ベースの管理、プロジェクト管理チー
ム、サイバー・セキュリティ管理)の面で既に実績が上がっている。
最後に、当年度上半期に、変革を支援するための集団知イニシアチブである「レッツ・トーク・エネルギー(エネルギーに
ついて話そう)」が、当グループの中長期的なシナリオの構築に向けたEDF従業員の知力の活用を目的として開始された。フラ
ンスでエネルギーに関する議論が交わされている状況に照らして、このイニシアチブは継続される予定である。
(ⅴ)持続可能な開発
CAP2030戦略的計画の一環として、国連の新しい持続可能な開発プログラム(2015年から2030年)に関連し、EDFは6つの企
業責任目標を通じた企業責任に係る取組みを誓約した。当グループは、利益性が高く責任ある開発に貢献するための当グルー
プの事業および子会社のロードマップを示す年次報告を行うことを誓約している。
・気候変動:当グループの二酸化炭素の排出量をさらに削減し、COP21が設定する+2℃の目標の要件を超えること。当グルー
プの二酸化炭素の排出量は、当グループの欧州内の主要な同業他社と比べて既に非常に低い水準にある。
・人材開発:安全衛生、ジェンダー平等および社内昇進などの人材開発分野での産業グループにおける成功事例の導入
・エネルギー貧困:すべての社会的弱者層に対して、エネルギー消費を支援し権利の行使に助力するための情報およびソ
リューションを提供すること
・エネルギー効率化:顧客がエネルギー消費を最適化できるよう、デジタル・エネルギー効率化ソリューションを通じた革新
を行うこと
・対話および協議:透明性があり、各新規プロジェクトに開放された対話および協議のイニシアチブを、体系的かつ国際的に
組織化すること
・生物多様性:当社の事業が及ぼす影響の把握または低減だけではなく、ポジティブな影響を与えるために、生物多様性に対
する積極的な取組みを開始すること
(ⅵ)研究開発によるエネルギー移行支援
研究開発(R&D)は、既存および将来の施設の安全かつ経済効率の良い運営を強化しつつ、低炭素ソリューションの開発にお
いて重要な役割を担っている。「第3 5研究開発活動」を参照。
(ⅶ)CAP2030の成功要因
CAP2030により、当グループは、低炭素、再生可能エネルギーおよび原子力エネルギー、顧客のためのサービス、分散化され
たエネルギー・ソリューションに焦点を当てた資産ポートフォリオを展開することができる。
CAP2030の成功に係る重要な要素は以下のとおりである。
・サービスの幅および模範的な顧客窓口の拡大
・特に原子炉の新規モデル、「グラン・カレナージュ( Grand Carénage )」計画または英国における新規の原子力発電所建設
の展開などの主要プロジェクトの管理
・プロジェクトに対する投資の厳選
・費用管理
・当グループの作業方法および総員のコミットメントの変革
これを受けて、2018年末現在、2016年4月22日に公表された当グループのパフォーマンス計画の実施は順調に進行してい
る。
・2015年から2018年にかけての0.96十億ユーロの営業費用の削減( 比較対象となる範囲および為替レートに基づく。一定の年
金割引率に基づく。サービスの事業の営業費用の変動を除く。 )。2015年から2019年における削減目標は1.1十億ユーロであ
る。
・2015年から2020年における約10十億ユーロの資産売却計画は、2018年に達成済みである。
・合計4.0十億ユーロの増資、および2015事業年度、2016事業年度、2017事業年度における、特に政府により選択された株式に
よる配当オプション(累積額5十億ユーロ)を通じた財務体質の強化
当グループは、CAP2030の戦略に沿った投資プログラムを実行している(「第2 3(1)③投資方針」を参照。)。
39/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
さらに、当グループは、「説明責任、簡略化および革新・デジタル技術」の変革プログラムを通じて、当グループの運営方
法について取組みを継続している。
・当グループ事業の20の事業ユニットへの改編および経営指標の見直し
・外部認定プログラムの設定による、プロジェクト・マネージャーのプロフェッショナル化
・一部プロセス(購入、訓練、報告等)の簡略化
・「EDF Pulse Expansion」支援および資金調達を受けた起業による新規サービスの創設(第2 3(2)⑥(ⅰ)(ハ)「EDF
Pulse Expansion」を参照。)を通じた革新の展開ならびに当グループ全体における30超の革新の場およびグループ内外での
EDF Pulse賞を通じた参加型革新の支援
・デジタル戦略の展開。「Yプロジェクト」の新シーズン(30名の若手グループが参加)による、連携ツールの利用強化、な
らびに顧客支援ならびに維持管理費用および営業コストの最適化のためのデータ活用の構造化を行う文化変革
③ 投資方針
( ⅰ) 2018年における投資
当グループは、2017年においては14.7十億ユーロであったのに対し、2018年においては総額16.2十億ユーロとなった総合営
業投資プログラムを継続した。これらの投資の一部は、より長い期間でキャッシュ・フローを生み出すことができる成長投資
であると認識されている(「第3 3(3)⑤(ⅰ)(ロ)投資活動によるキャッシュ・フロー(純額)」を参照。)。
売却計画を除く純投資の合計額は、2018年においては14.0十億ユーロとなった。
・これには、2018年における3.1十億ユーロの新たな開発に係る項目(主として、Linkyに係る0.8十億ユーロおよび英国におけ
る新規の原子力発電所に係る1.6十億ユーロ)を含む。
・新たな開発以外では、戦略的売却を除く純投資は、2018年においては10.9十億ユーロとなった。これは、主に、原子力発電
所の維持管理に係る3.9十億ユーロ、フラマンビル3プロジェクトに係る0.8十億ユーロ、フランスの規制業務および島部シ
ステム(Linkyを除く。)に係る3.3十億ユーロ(接続、本土および島部の電力網の近代化)、最後に再生可能エネルギー
(1.1十億ユーロ)ならびにサービス(0.4十億ユーロ)に対応するものである。
2018年における資産売却は1.9十億ユーロとなり、ダンケルクLNGターミナルの持分の売却に係る1.5十億ユーロを含んでい
る。この結果、当グループの売却計画が完了し、2018年末現在に累積合計額10十億ユーロに達した。
40/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( ⅱ) 投資プログラム
短期的および中期的には、当グループは以下を目標とする。
・それぞれ資本支出が10.9十億ユーロ( 中間利息を除いたフラマンビル3建設の費用(ユーロ(2015年)) )および4.0十億
ユーロ( プログラムの完成に係る費用は、設備(メーターおよびコンセントレータ)ならびに設置サービスに関して締結さ
れた最新の契約における価格を考慮して、2014年から2021年の期間に関して4.5十億ユーロから4.0十億ユーロへと下方修正
された。 )相当であるフランスのフラマンビル3のEPRおよびフランスのスマート・メーター(Linky)(それぞれ「第2 3
(2)①(ⅱ)(イ)フラマンビル3EPRプロジェクト」および「第2 3(2)④(ⅱ)(ニ)今後の課題」を参照。)など
主要な産業プロジェクトを完了すること
・プロジェクトの100%完了時の合計費用19.6十億英ポンド(2015年)( 中間利息およびプロジェクトの基準為替レートである
1英ポンド=1.23ユーロと比較した為替レートの影響は含まれない。 )のヒンクリー・ポイントCプロジェクトの完了を目
的とする、英国の新規の原子力発電所建設に対する投資を継続すること(「第2 3(2)⑤(ⅰ)(ロ)(d)新規の原子力
発電所建設事業」を参照。)。また、当グループはサイズウェルプロジェクトに関する調査も継続している。
・2014年から2025年までの期間における投資額が約45十億ユーロ(2013年)に上るフランス国内の原子力に係る「グラン・カ
レナージュ( Grand Carénage )」の産業プログラムを継続すること(「第2 3(2)①(ⅰ)(ロ)原子力発電所の操業お
よび技術的実績」を参照。)
・2017年から2020年までの期間において、再生可能エネルギーに対する投資総額が年間2十億ユーロ超となる、フランス国内
外における再生可能エネルギーに対する投資を強化し、太陽光発電設備容量を拡大すること。当グループは、主にパート
ナーシップを通じた資金調達によるソーラー・プランを2017年12月11日に立ち上げることを発表した。
・Edisonの資産回転を継続すること。これは、まず2017年におけるミラノの本社の売却およびガス資産ポートフォリオの売
却、次いで2018年におけるGas Natural(GNVI)およびサービス事業者であるZephyroの顧客ポートフォリオの取得より開始さ
れた。
・2018年3月27日付で発表された電力貯蔵計画により、当グループが既に運営している5GWに加えて、2035年までに世界各地
で10GWの新たな電力貯蔵施設を開発すること。また、EDFは、貯蔵技術の急速な開発を支援するため、この分野における研究
開発および革新のための設備も拡充している。
・2018年10月10日の戦略的パートナーシップを通じた革新的事業者のエコシステムに基づく電気モビリティ計画の立上げに
よって、2022年以降、4つの大規模市場(フランス、英国、イタリアおよびベルギー)において、クリーンな電気モビリ
ティにおける主要な電力会社となること
上記のプロジェクト(フラマンビル3、Linky、ヒンクリー・ポイントCおよび「グラン・カレナージュ( Grand
Carénage )」)、再生可能エネルギーに対する投資、ならびに当グループが実施した有形資産および無形資産の取得に関する
強固なコミットメントについては、2018年12月31日に終了した年度の連結財務書類の注記46.1.2.1に記載されている。
最後に、CAP2030の戦略の一環として、当グループは、その方針および経済的制限の中で、既に開始された既存の計画に加え
て新規開発計画を投資対象とする。かかるプロジェクトとは、EPR2プロジェクト、英国における新たな原子力発電所の建設、
新たな再生可能エネルギーのプロジェクトおよび国際的な持分投資に係る新しいプロジェクトである。
当グループは、経済的制限を考慮し、可能な場合にはいつでも、新たなプロジェクトの資金調達にパートナーシップを利用
する方針である。
( 2) 当グループの事業の概要
EDFグループは、原子力エネルギー、再生可能エネルギーおよび火力エネルギーの発電、(持分法適用事業体であるRTE( RTE
は、フランス・エネルギー法により定義される独立送電網事業者である。 )を通じた)送電、(Enedis( Enedisは、エネル
ギー法において定義される独立経営子会社である。 )を通じた)配電、販売およびマーケティング、エネルギー効率化および
エネルギー・サービスならびにエネルギー取引というすべての電力事業に携わる総合的なエネルギー会社である。EDFグループ
は、フランスの電力市場における中心的な事業者であり、欧州(主に英国、イタリアおよびベルギー)においても確固たる地
位を有しており、これにより当グループは世界における主要電力エネルギー会社の1つで、かつ定評のあるガス事業者となっ
ている。また、EDFグループは、原子炉の設備および燃料の設計および製造、ならびに関連サービス(Framatomeによる事業)
においてもプレゼンスを有している。
当グループは、2018年12月31日現在、世界全体で126.5GWe( 出典:EDF。連結会計方法に従って計算された数値。 )の純設備
容量と584TWhの発電量を持つ、世界で最大規模の発電設備の1つを保有している。世界の10大電力供給業者のうち、EDFグルー
プは、原子力発電、水力発電およびその他再生可能エネルギーがその発電構成を占めていることから、その1キロワット時当
たりの二酸化炭素の排出量は最も低い( 出典:かかる電力供給業者10社により公表されたデータに基づく比較。 )。
41/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
EDFグループは、以下のとおり、全世界で39.8百万件の顧客施設( 2018年末現在、顧客は施設ごとに計数されている。顧客1
人当たり、電気用に1つとガス用に1つの2つの供給地点を持つことができる。 )(その内の29.7百万件がフランス国内)に
エネルギーおよびサービスの提供を行っている。
・34.7百万件(その内の28.2百万件がフランス国内)の電力顧客( 2017年末現在の電力施設数は35.9百万件であり、その内の
29.4百万件がフランス国内(ESおよび海外部門を除くEDF)であった。 )。
・5.1百万件(その内の1.5百万件がフランス国内)のガス顧客( 2017年末現在のガス施設数は4.7百万件であり、その内の1.5
百万件がフランス国内(ESおよび海外部門を除くEDF)であった。 )。
当グループは、オペレーショナル・リスクおよび市場リスクの最適な管理を通じた顧客へのエネルギー供給を保証するた
め、また総利益を最大化するために、上流部門(エネルギーおよび燃料の生産および調達)ならびに下流部門(卸売りおよび
小売り)の資産ポートフォリオの合同運用管理のための統合モデルを用いている。
① 発電事業
フランス本土における発電事業は、原子力発電所部門および火力発電所部門ならびに再生可能エネルギー部門に分かれてい
る。これらの2つの部門に加えて、エンジニアリングおよび新たな原子力プロジェクト部門が、フランスおよび国外における
当グループの新規の原子力資産の開発プロジェクトの責任を負っている。これら3つの部門は、欧州の主要な発電所を運営す
るために必要なすべての専門知識およびプロジェクトの推進者を有しており、その開発および持続可能性を確保し、これらの
3つの分野においてグループ全体へその技術および産業の専門知識を提供している。
発電所の優位性
当グループの発電所は、以下の重要な優位性を有する。
・可変発電コスト( 可変発電コストは、発電されたエネルギー量により直接的に変動するすべてのコストに相当する。電力発
電の可変コストは、主に燃料コストである。 )が低い、競争力のある発電構成。
・EDFの下流ポートフォリオの需要(最終顧客、代替供給業者への販売、卸売市場での販売等)を十分に賄うことのできる様々
な発電手段。発電所の様々な構成要素の利用は、随時最も可変コストの低い発電手段を優先させることによって管理され
る。河流式水力発電所は基礎発電として使用される。原子力発電所は、その低い可変発電コストにより、ベースロード発電
およびミッドメリット発電に使用される。揚水発電所(STEP)( EDFは、フランスにおいて5GWのSTEPを運営しており、また
海外(イスラエル、チリ等)の30GWにおいて、EDFのエンジニアリングが参照されている。 )により補完される調整可能な水
力発電(ダム由来)および火力発電所は、ミッドメリット発電およびピークロード発電に使用される。
・EDFがその耐用年数にわたり完全に管理する、原子力発電所の標準化された重要な施設。さらにEDFは発電所の耐用年数を延
長し、技術的な性能を向上させるべく取り組んでいる。
・厳格化する環境規制の流れにおいて原子力および水力発電施設が大部分を占めていることにより、二酸化炭素を排出せずに
90%の発電が可能な発電所。
・大陸平野部と半島(イタリア、スペインおよび英国)間の電力交換の中継点にあたる地理的な位置。
発電所の構成および特性
フランス本土におけるEDFの発電所
2018年12月31日現在において、フランス本土( コルシカ島およびフランス海外県を除く。 )に89.4GWの総設備・発電容量を
有するEDFは、主要欧州諸国(ドイツ、イタリアおよびスペインを含むENTSO-E(欧州送電系統運用者ネットワーク)35の加盟
地域( この計算は、当年の統計を翌年の4月30日にのみ入手できるため、2017年のENTSO-E統計に基づき行われている。 ))に
おける総設備容量の8.4%近くを占める、欧州最大の発電設備を保有している。
2018年、フランス本土におけるEDFの発電所の発電量は、揚水発電にかかる水力発電量を除き443.3TWh、また揚水発電にかか
る水力発電量を含めて450.6TWhであった。
2018年12月31日現在、EDFの発電容量は主として以下のとおりである。
・加圧水型原子炉(PWR)型の58基の原子力ユニット(ユニットとは、原子炉、蒸気発生器、タービン、発電装置、補助装置お
よびこれら収納する建物を含む発電ユニットとして定義されている。)。これらのユニットは、900MWから1,500MWまでの発
電容量を有し、19か所に散在しており、その平均運転年数は33年である(「第2 3(2)①(ⅰ)フランスにおける原子力
発電」を参照。)。
・稼働中の20基の火力発電ユニットがあり、その平均運転年数は約20年である(「第2 3(2)①(ⅳ)フランス本土におけ
る火力発電」を参照。)。
・水力発電ユニットは433基であり、その平均運転年数は( 計算上 )74年である(「第2 3(2)①(ⅴ)(イ)フランスにお
ける水力発電」を参照。)。
42/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・当グループの子会社のSHEMAグループ(100%)およびCERGA(ドイツの電力会社であるEnBWと50/50の対等所有)を通じて所
有するその他の水力発電所。これらの発電所は、2018年において合計で設備容量が約140MWであった。
その他の地理的地域および子会社
また2018年末現在、当グループは、以下のとおり、37.1GWの発電設備容量も有している(2018年の発電量は133.4TWhであっ
た。)。
・EDF Renewables(「第2 3(2)①(ⅴ)(ハ)EDF Renewables」を参照。)(総設備容量8GW、発電量約15TWh)。
・海外県の島部エネルギー・システム(設備容量2GW、2018年における発電量約6TWh)(「第2 3(2)④(ⅲ)島部エネ
ルギー・システム」を参照。)。
・英国のEDF Energy(設備容量14GW、2018年における発電量約70TWh)(「第2 3(2)⑤(ⅰ)英国」を参照。)。
・イタリアのEdison(発電設備容量6GW、2018年における発電量約20TWh)(「第2 3(2)⑤(ⅱ)イタリア」を参
照。)。
・上記以外の世界各地(総設備容量4GW、発電量18TWh)(「第2 3(2)⑤(ⅲ)その他国外」を参照。)。
・Dalkiaからの発熱を除く寄与分(「第2 3(2)⑥(ⅰ)(イ)Dalkia」を参照。)(発電設備容量2GW、2018年における
発電量4TWh)。
( ⅰ) フランスにおける原子力発電
フランスにおけるEDFの原子力発電所による発電量は、2018年において、揚水発電量を除くEDFの総発電量の88.7%であっ
た。
( イ) フランスにおけるEDFの原子力発電所
EDFのPWRモデルは、発電可能電力により3系列に分類される。
・平均運転年数が37年、電力容量が約900MWの34基からなる900MW系列(総電力容量30,770MW)
・平均運転年数が30年、電力容量が約1,300MWの20基からなる1,300MW系列(総電力容量26,370MW)
・平均運転年数が18年、電力容量が約1,500MWの4基からなる最新型のN4系列(総電力容量5,990MW)
合計58基がEDFの所有する19か所の施設で稼働中であり、2018年12月31日現在、これらの認可された合計容量は63,130MWであ
る。40年を超える技術的な予想耐用年数に対して、平均使用年数が約33年であるEDFの原子力発電所は、世界中に設置された発
電所と比較しておよそ平均水準である。
2018年末現在、これらのユニットの稼働時期および直近の10年点検(VD)の時期は以下のとおりである。
ユニット 稼働年 直近の 次回の ユニット 稼働年 直近の 次回の
10年点検 10年点検 10年点検 10年点検
終了年 終了年
フェッセンハイム1 1978 2009 n/a グラブリンヌ6 1985 2018 VD4
フェッセンハイム2 1978 2011 n/a クリュアス3 1984 2014 VD4
ビュジョイ2 1979 2010 VD4 クリュアス4 1985 2016 VD4
ビュジョイ3 1979 2013 VD4 シノンB3 1987 2009 VD3
ビュジョイ4 1979 2011 VD4 シノンB4 1988 2010 VD3
ビュジョイ5 1980 2011 VD4 パリュエル1 1985 2016 VD4
ダンピエール1 1980 2011 VD4 パリュエル2 1985 2018 VD4
グラブリンヌ1 1980 2011 VD4 パリュエル3 1986 2017 VD4
グラブリンヌ2 1980 2013 VD4 パリュエル4 1986 2008 VD3
トリカスタン1 1980 2009 VD4 サンタルバン1 1986 2017 VD4
トリカスタン2 1980 2011 VD4 フラマンビル1 1986 2018 VD4
ダンピエール2 1981 2012 VD4 サンタルバン2 1987 2018 VD4
ダンピエール3 1981 2013 VD4 フラマンビル2 1987 2008 VD3
ダンピエール4 1981 2014 VD4 カットノン1 1987 2016 VD4
トリカスタン3 1981 2012 VD4 カットノン2 1988 2018 VD4
トリカスタン4 1981 2014 VD4 ノジャン1 1988 2009 VD3
グラブリンヌ3 1981 2012 VD4 ベルヴィル1 1988 2010 VD3
43/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
グラブリンヌ4 1981 2014 VD4 ベルヴィル2 1989 2009 VD3
ブライエ1 1981 2012 VD4 ノジャン2 1989 2010 VD3
ブライエ2 1983 2013 VD4 パンリー1 1990 2011 VD3
ブライエ3 1983 2015 VD4 カットノン3 1991 2011 VD3
ブライエ4 1983 2015 VD4 ゴルフシュ1 1991 2012 VD3
サンローラン1 1983 2015 VD4 カットノン4 1992 2013 VD3
サンローラン2 1983 2013 VD4 パンリー2 1992 2014 VD3
シノンB1 1984 2013 VD4 ゴルフシュ2 1994 2014 VD3
クリュアス1 1984 2015 VD4 ショーB1 2000 2010 VD2
シノンB2 1984 2016 VD4 ショーB2 2000 2009 VD2
クリュアス2 1984 2018 VD4 シボー1 2002 2011 VD2
グラブリンヌ5 1985 2017 VD4 シボー2 2002 2012 VD2
EDFの第1世代設計の発電所は徐々に停止され、現在は廃炉にされつつある(「第2 3(2)①(ⅰ)(ヘ)原子力発電所の
廃炉」を参照。)。
発電割当契約
1970年代から1980年代にかけて、EDFは、欧州の原子力産業の事業者との間に、EDFのフランスの原子力発電所のユニットを
背景とした発電割当契約の締結によって、工業的な協力関係を構築してきた。
この発電所において、EDFは、以下の欧州のエネルギー会社との契約に関与する12基の発電ユニット(最大1.5GW)を有して
いる。
・EnBW(17.5%)およびスイスの電力グループCNP(15%)と共同所有するフェッセンハイム1-2(当該最終契約は、2017年
12月31日に終了した。)。
・EnBW(5%)と共同所有するカットノン1-2
・Électricité de Laufenbourg( Axpoグループ )(17.5%)と共同所有するビュジョイ2-3
・Electrabel( Engieグループ )(12.5%)と共同所有するトリカスタン1-4
・EDFのベルギーの子会社であるEDF Luminus(3.3%)と共同所有するショーB1-B2
これらの発電割当契約の目的は、建設費用、年間営業コスト(上流および下流燃料コストを含む。)、地方税および原子力
エネルギーに課税される特別税ならびに廃炉関連費用を共同負担する見返りに、各パートナーが実際に発電された電力のそれ
ぞれの割当分(それぞれに割り当てられた容量の割合に基づく)を利用できるようにすることである。これらの取引におい
て、パートナーは発電所の開発において、産業上のリスクをEDFと共有し、発電所の現在の操業に関する業績に関連するリスク
を負う。一方で、パートナーは操業上の役割は担わない。
さらに、EDFは、発電所のプールに関連する第2のタイプの発電割当契約(合計でおよそ2GW)に調印し、これによりEDFは
そのパートナーが関連するユニットについてパートナーのために確保された容量の割当てに適用される、標準的な発電所のす
べてまたは一部の稼働率の水準により定められる発電量の割当てを得ることを可能にした。かかる契約は主に以下の発電所に
関係する。
・ショーB1-B2(最新型N4系列)について、Electrabel(21.7%)
・カットノン3-4について、Électricité de Laufenbourg(7.8%)およびCNP(21.8%)
( ロ) 原子力発電所の操業および技術的実績
原子力発電とは、その可変コスト、主に燃料関連コストが営業コスト( 営業コストとは、以下のとおり規定される。燃料コ
スト(燃料サイクルにおける下流部門費用を含む。)、営業費用(購入費用、外部サービス費用および従業員費用)ならびに
維持管理コスト(費用および投資)。建設関連の投資または廃炉費用は含まない。 )の30%未満と低い数値を示す発電方法で
ある。したがって、この運転の段階において原子力発電所の競争力のてこ入れを図るには、発電エネルギー量ならびに固定営
業コストおよび維持管理コストの最適化が必要となる。燃料サイクルのてこ入れに関しては、「第2 3(2)①(ⅰ)(ニ)
核燃料サイクルおよび関連する問題」に詳しく述べる。
原子力発電所の操業方法
発電サイクルおよび計画的な供給停止
44/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
気温に対して非常に敏感であるフランスの季節ごとの大幅な消費変動、整備資材の入手可能性および原子炉燃料の効率的な
使用に関わる問題を調整するために、EDFは現在、発電所に12か月および18か月の発電サイクルを採用している。2018年末にお
けるその区分は以下のとおりである。
・28基の900MW系列の運転サイクルは約12か月である。
・6基の900MW系列、20基の1,300MW系列、および4基のN4系列(1,450MW)の運転サイクルは約18か月である。
これらの運転サイクルの終わりに、炉心に搭載された燃料の一部を交換し、維持管理を行うために、供給停止期間が計画さ
れている。
各発電サイクルの終了時に、以下の2種類の計画的な供給停止が交互に行われる。
・燃料交換のための通常の操業停止。その標準的な期間は約35日間であり、簡単な維持管理または定期的な検査もこのタイプ
の停止期間に行われるが、使用済燃料の排出および新しい燃料との交換が主要な作業である。
・燃料交換および維持管理のための部分的点検。その標準的な期間( 標準的な期間は、供給停止の種類ごとの最適化された現
実的な言及に基づく期間を表している。これらは、過去の供給停止からのフィードバックを考慮している。予定された供給
停止期間は、実施される作業計画によって、これらの標準的な期間の前後で変動する。 )は約70日間である。
10年ごとに、10年点検の実施のために、発電所は約110日間の標準的な期間中停止される。かかる期間の長さは、作業および
維持管理プログラムならびに関連する系列によって異なる。10年点検のプログラムの内容には以下が含まれる。
・操業停止の場合と同様に行う、使用済燃料の排出および新しい燃料の補給。
・一次冷却システムの水力テスト、格納容器の漏洩テスト、原子炉圧力容器の検査作業。
・10年間の安全性再評価に伴う改良作業。
・特に主要な部品の修理および交換を含むその他特定の維持管理業務。
10年点検の終了時に、ASNは原子炉の再稼働を承認するか否かを決定し、操業継続に係る条件を定めた技術面での指示を交付
する。
EDF の原子力発電所の操業
可変コストが低いため、原子力発電資源は、河流水力およびその他の不可避の再生可能エネルギー、ならびに分散型エネル
ギー事業者からの購入義務に基づいて購入したエネルギーに続くベースロード発電として第一に使用される資源である。1年
間(夏冬、昼夜を問わず)のエネルギー消費量の変動および国境地帯での相互接続が限定されていることに起因して現状では
制約されている卸売市場の流動性によって、原子力はミッドメリット発電にも使用されることとなった。フランスの季節ごと
の大幅な消費変動および冬季の消費レベルの大きな変動のため、計画的な原子力発電所の操業停止は、4月から10月の間に集
中させることが必要になる。2003年の熱波では、河川における非常に高い温度の影響、とりわけ「川岸の」ユニットの操業状
況に関する影響が浮き彫りにされた。これに従い、「海岸の」ユニットについては、冷却能力が気候にさほど左右されないた
め、7月および8月中のユニットの操業停止数を減らし、最大出力での操業を継続できるように、発電ユニットの操業停止頻
度の見直しが行われた。
発電および技術的実績
2018年の原子力発電所による発電量は393.2TWhであって、2017年の発電量から14.1TWhの増加であった。
年間のエネルギーとして示される原子力発電は、フランスの原子力発電所については「Kp」という負荷率(理論上の最大エ
ネルギー、すなわち設備容量が1年を通して常に稼働された場合の発電エネルギーに対する発電されたエネルギーの比率と定
義される。)に相当する。当該比率は、2つの係数を掛け合わせることにより得られる(Kp=Kd×Ku)。
・稼働率(Kd)(理論上の最大エネルギー、すなわち設備容量が1年を通して常に稼働された場合の発電エネルギーに対する
利用可能エネルギー( 利用可能エネルギーは、計画的な供給停止、故障によるまたは安全上必要な計画外の供給停止および
規制点検の実施といった発電所固有の技術的理由による発電量の損失を除いた理論上の最大のエネルギーに等しい。 )の比
率)。Kdは、供給停止期間によって左右されるため、標準的な期間および実施される行動プログラムにより影響を受ける。
・利用率(Ku)(利用可能エネルギーに対する発電されたエネルギーの比率)。Ku係数は、環境上、規制上および社会上の制
約、システム・サービスの供給およびEDFにより実施される(燃料および調整における)最適化を反映する。
2018年において、Kp係数は2017年(68.55%)からわずかに増加して71.1%となった。これは、Kdが2017年(77.1%)から減
少して76.5%であったこと、またKuが2017年(88.92%)から増加して92.8%であったことの結果である。
2018年、発電のパフォーマンスは偶発的な損傷および発電に関する大規模な事象(約12.5TWhの損失)、予定より長期にわ
たった供給停止(約5TWhの損失)、ならびに環境的な制約(約2TWhの損失)による影響を受けた。2018年に生じた供給停止
の延長については、維持管理および運営品質に係る問題、技術的な故障ならびにプロジェクトの管理不備が等しく原因となっ
ている。予定外の供給停止に関連するパフォーマンスの損失は、数件の偶発的な事象により、2017年の3.26%から増加して、
2018年には3.7%となった。これらを除くと予定外の供給停止の割合は3%となる。これらの数値は、主要部品の修復および交
45/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
換に関して2007年に実施され、2009年以降の予定外の供給停止の割合を全体で30%に引き下げた維持管理戦略を後退させるも
のではない。
2018年における発電量に影響を及ぼした主な技術的事象は以下のとおりである。
・2016年3月後半に、パリュエル2の原子炉建屋内の老朽化した蒸気発生器が、3回目の10年点検中の交換時に倒壊した後
の、パリュエル2原子炉の再稼働に向けた活動の継続および完了。一次冷却システムが2018年4月20日に実施された水圧試
験を通過し、ASN(フランス原子力安全当局)は2018年7月13日にパリュエル2の原子炉2号機の臨界を正式に認可した。パ
リュエル2は、2018年7月23日に電力網に再接続された。
・AREVA NPのクルーゾ・フォルジュ工場における、鍛造部品のいくつかの製造記録(この記録は、「閉鎖」および「非閉鎖」
記録と呼ばれる。)における品質上の瑕疵の調査の継続。運転中の原子炉に取り付けられた部品の製造記録の包括的な見直
しにより、各原子炉に関する概要報告書が作成された。この報告書は、当該原子炉が法定の計画的な供給停止の後に再稼働
される少なくとも2か月前に、ASNに対して審査のために送付される。その後ASNは、各原子炉が再稼働される前の場合と同
様に、再稼働許可の決定を下す。2018年末、58基の運転中の原子炉に関する概要報告書が、定められた期間内にASNへ送付さ
れた。2019年1月末現在、54基の原子炉がASNから再稼働の許可を取得し、関連する部品の運転上の安全性が確認された。
EDFは、鋳造部品の異常の処理に次いで、2017年12月15日付のASN決定第2017-DC0664号に基づき、書面の品質監査範囲をク
ルーゾ・ロワール工場で組み立てられた部品に関する記録にも拡大した。504件の関連する製造記録の審査において特定された
異常は、いずれも設備の完全性および運転上の安全性を損なうものではなかった。概要報告書は、2018年末にASNへ送付され
た。
フェッセンハイム2の蒸気発生器3号機に関する特定の例(2016年に下部の鋳造記録に異常が発見され、2017年7月初旬
に、2016年秋に実施された追加試験プログラムの結果とともに総合分析報告書がASNへ送付された。)に関しては、2018年2月
27日に常任の専門家委員会が開かれ、問題となっているフェッセンハイム2の蒸気発生器の再稼働を支持する意見を表明し
た。2018年3月12日、ASNは、かかる異常により蒸気発生器の有用性が損なわれておらず、規則を遵守していることが実証され
たことを考慮し、フェッセンハイムの原子炉2号機に設置されている蒸気発生器に係る圧力試験証明書の停止を解除した。3
月23日、フェッセンハイムの施設は、原子炉2号機について臨界の許可を受けた。同施設は、2018年4月9日に電力網に再接
続された。
・2017年末にベルヴィル2の原子炉において発見されたサーマル・スリーブ(原子炉容器上蓋内側の機械部品)への損傷の調
査および処置。ベルヴィル2において、観察された損傷の程度の調査に続き、修復記録が作成および実行された。そのた
め、同原子炉は2018年4月12日に再稼働し、同施設の他の原子炉において、計画されたユニットの供給停止の期間中に検査
が実施された。一部の1,300MWの原子炉において、現在のユニットの供給停止期間中に修復が必要であることが検査により判
明し、供給停止期間が延長された。これにより、2018年全体で合計約10TWhの影響が生じた。2019年4月末までに、全原子炉
が検査される。
・ダンピエール4の蒸気発生器の早期予防的な洗浄(計画的なユニットの供給停止の期間中に予防的検査が実施され、蒸気発
生器3基において、第5スペーサー・プレートの目詰まりが予想よりも悪化していることが判明した。)。
またEDFは、その原子力施設設備の法令遵守を保証するための体制構築プロセスを継続している。このため、EDFは、ASNに対
して、安全性の問題を考慮しながら異常の処理を優先および手配するための行動計画を提示した。同計画の実施は、すべての
原子力発電所および国内のエンジニアリング・ユニットに関係するものである。
フランスの既存の原子力発電所に係る投資プログラム
EDFの産業戦略は、既存の原子力発電所を、(特に、福島の原子力発電所事故後の改善を組み込んだ)原子力安全、環境上の
安全および保全に関して最善の状態で40年を優に超えて稼働させることであり、これは2014年から2025年の期間にかけて大規
模な維持管理の継続的な実施を必要とする。当グループが発電所になされるべき膨大な量の作業を産業パートナーとともに統
合するために、「グラン・カレナージュ( Grand Carénage )」計画が実施された。
2015年1月22日、EDFの取締役会は、フランスの原子力発電所を改装し、原子炉の安全性を向上させ、また状況が許せばその
稼働を継続させることを目指した大規模な総点検プログラム(「グラン・カレナージュ( Grand Carénage )」)について原則
的に承認した。承認された投資額は、現在稼働中の58基の原子炉について、2014年から2025年までの期間に最大55十億ユーロ
(2013年)(ユーロ時価で60十億ユーロ)であった( フランス会計検査院の2016年2月10日の報告書で提示される数値は、
2030年までのより長期的な時間の範囲を対象としており、また投資を越え、営業費用および維持管理費用を含む。両評価は、
フランス会計検査院がその報告書で記述するとおり一貫している。実際に、フランス会計検査院が算出した全体の予測の中
で、また、2014年から2030年の期間において100十億ユーロ近くにもなる、74.73十億ユーロと見積もられている投資支出は、
25.16十億ユーロ(2013年)と見積もられている営業費用と区別されるべきである。2014年から2030年の間の投資費用74.73十
億ユーロ(2013年)のうち、55十億ユーロ(2013年)が2014年から2025年の期間に充てられており、これによりEDFグループお
よびフランス会計検査院が設定した2つの予測が結び付けられる。 )。
46/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
既存の発電所に関しては、本プログラムは通常の維持管理費用および設備の耐用年数の延長(900MW系列の4回目の10年点検
および1,300MW系列の3回目の10年点検における蒸気発生器の交換)に要する投資の両方をカバーしている。
それ以降に実施された最適化の作業(削減および延期)により、本プログラムの2014年から2025年の期間における全体的な
費用は45十億ユーロ(2013年)(またはユーロ時価で48十億ユーロ)へと下方修正された。かかる修正は、主に、採用された
技術ソリューションおよび部品交換戦略の最適化の不断の努力、またこれらのより的確な適用による産業基盤容量の合理化
(これにより一部費用の支出が延期可能となった。)によるものである。また、4回目の10年点検に先立つフェッセンハイム
発電所の閉鎖日も考慮された。
これらの産業的な施策により、約6十億ユーロ(2013年)(またはユーロ時価で7.5十億ユーロ)の費用が削減され、また約
3.8十億ユーロ(2013年)(またはユーロ時価で4.7十億ユーロ)の支出が2025年以降に延期され、当初予測から合計10十億
ユーロ(2013年)(またはユーロ時価で12十億ユーロ)近くの削減となった。
このため、かかる全体的な修正に対する当該延期の貢献度は、2017年と比較してわずかに上方修正された。10年点検および
福島の事故からのフィードバックの適用(合計6.2十億ユーロ(2013年)(またはユーロ時価で7.2十億ユーロ))、蒸気発生
器および大型部品の交換(合計4十億ユーロ(2013年)(またはユーロ時価で4.6十億ユーロ))、ならびにその他エンジニア
リング・プロジェクト(合計1.8十億ユーロ(2013年)(またはユーロ時価で2.1十億ユーロ))に関して、追加の削減額が特
定されたものの、ユーロ時価における約2十億ユーロの増加により相殺された。2019年以降、通常の維持管理費用(主として
定期的な検査に係る費用のより正確な特定のために発生したもの)は、投資として認識される。
本プログラムを完了させるために、「グラン・カレナージュ( Grand Carénage )」という独立した事業体が設立された。本
プログラムのスポンサーは、現在22のプロジェクトに分けられている本プログラムの範囲ならびに財務予想について承認を行
う原子力発電所部門および火力発電所部門(DPNT)である。本プログラムの監督は、その活動内容を定める原子力発電事部門
が担当している。プロジェクト管理は、当該プロジェクトの期間中すべての領域、すなわち期限、品質管理および財務予想に
おいてプロジェクト・マネージャーにより支援される、プログラム・ディレクターが担当している。取締役会は、その主要な
特徴が提示されるプロジェクトの大まかな区分ごとに、主要投資について検討し、予め定められていた金額を上回る契約また
は取引の承認を行い、また本プログラムの実施に関して、その物理的および財務的な進展の程度を示す指標、未達成の課題お
よび最終的な費用に基づいて年1回の見直しを行う。
この産業計画は、グリーン成長に向けたエネルギー移行法の目的、複数年にわたるエネルギー計画、フランスのASNの見解お
よび命令ならびに原子炉が40年を超えて稼働することについての承認手続を遵守した上で、徐々に実施されている(「第2 3
(2)①(ⅰ)(ホ)フランスにおける原子力発電所の将来に向けた準備」を参照。)。
本プログラムの下で、発電機、変圧器または蒸気発生器といった発電所の主要な部品の計画的な修復または交換を継続して
行う予定である。
2018年末までには、以下の作業が行われた。
・修復が予定されている合計49基のユニットのうち、47基のユニットの交流発電機が修復された。
・主要な変圧器のポールの予防交換のプログラムが継続された。174個のうち126個の主要な変圧器のポール(すなわち約
72%)が修復された。
・900MW系列の34基のユニットのうち、28基において蒸気発生器が交換された。
産業上の取組みは、2025年以降も、1,300MW系列のユニットの3回目および4回目の10年点検、900MW系列のユニットの4回
目の10年点検ならびにN4系列のユニットの2回目および3回目の10年点検が行われる際に、継続して行われる予定である。こ
の計画は、福島の原子力発電所事故後に認識されたさらなる安全性の向上および複数年にわたるエネルギー計画に沿って施設
の稼働期間を40年超まで大幅に延長することを認める変更を具現化する機会を提供する(「第2 3(2)①(ⅰ)(ホ)フラ
ンスにおける原子力発電所の将来に向けた準備」および「第2 3(3)②フランスにおける公共サービス」を参照。)。
( ハ) 環境、原子力の安全性および放射線防護
環境保護
EDFは、ISO 14001認証の管理システムに沿った環境手続を基準として用いており、多くの発電所について2002年に開始さ
れ、その後すべての原子力発電所へ拡大された。
放射性廃棄物の管理に関して、2004年以降、極低レベルの廃棄物(VLLW)はオーブのモールヴィーエー貯蔵施設に移動され
た。低レベルおよび中レベルの廃棄物(LILW)については、EDFはすべての原子力施設において中間貯蔵を制限する処置を引き
続き講じており、代わりにセントラコ工場(EDFグループの子会社であるSOCODEIが所有)に依存している。
燃料サイクルの下流部門における放射性廃棄物処理および廃炉処理の詳細は、それぞれ「第2 3(2)①(ⅰ)(ニ)核燃
料サイクルおよび関連する問題」および「第2 3(2)①(ⅰ)(ヘ)原子力発電所の廃炉」を参照のこと。
絶えず存在する原子力安全対策
47/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
EDFは原子力事業者として、その能力の範囲内で原子力の安全性に対して責任を負い、急激に変化する枠組み内(市場競争
力、環境問題等)で、事故防止および事故による影響を制限することを通し、とりわけ人および環境の健康の保護を最優先事
項として、原子力の安全性を再確認する。さらに、原子力分野の透明性および安全性に関する2006年6月13日付成文法(「第
2 3(3)法令および規制に関する環境」を参照。)が、特に事業者が講ずる原子力安全対策に関する情報への公衆のアクセ
スを許可し、原子力安全に関する透明性の公的な土台を築く。
フランスの原子力発電プログラムの実施により、EDFが確立した安全性対策は以下のとおりである。
・設計段階から、設備の実際の操業から生じるものか内的または外的要因により生じるものかにかかわらず、発電所の稼働時
に発生し得るリスクを考慮する。
・厳格な稼働規則の適用および真の安全性の文化の確立を通じた技術チームの慎重な調査を重ねる態度を基礎とする。
・原子炉58基の標準設備に関する経験の集積(1,970年を超える原子炉稼働年数、EDFの加圧水型原子炉(PWR)の合計稼働年
数)を基礎とする。
・自動的操業停止の回数を減らすための持続的な努力によって特に体現されている、継続的な改善への取組みを組み入れる。
・故障の修繕を見越し、設備の良好な稼働を維持し、継続的に装置を開発し、安全マージンを再評価しおよび技術の進歩を監
視するために、当グループ内の統合された原子力エンジニアリングおよび研究開発を活用するとともに、より効率的な新し
い技術を実施し、また廃炉されている敷地における作業を管理する。
・技術の発展に強く依存しており、この目標の下、各原子力発電所は、いかなる状況にも対応するために、訓練に使用するシ
ミュレーション装置を備えている。
原子力の安全性は内的および外的な数多くの制御を受ける。
・EDFは、以下の内部統制手続を実施している。例えば、3年から4年に一度、EDFは、各原子力発電所に対して、3週間にわ
たって約30人の調査官が関与する総合的な安全性評価を行う。また、EDFの会長兼CEOに直属し、会長兼CEOにより指名された
原子力安全・放射線防護総括監査官は、年次監査、原子力発電所の総合的な安全性に係る意見の表明、および当社の経営陣
に対する改善策の提案を行う。特に、人為的動作を改善するためのEDFの尽力により、ここ10年にわたって自動的操業停止の
年間平均数が半減した。この数値は、2018年に原子力発電所全体で合計18回となった。
・フランスにおける原子力施設の外部による安全制御はASNによって国レベルで実施される。
-以下の2種類の点検が行われている。
-ASNが実施する、予定されたまたは抜き打ちの施設の点検(2018年にはEDFのすべての原子力施設において519件の点検)
-原子力発電所の状況、その稼働により得られた経験、原子力科学における新たな進展および類似の発電所に適用される
規則を考慮して、かかる発電所における適用規則の遵守を強化し、またかかる発電所が環境および公衆衛生に及ぼしう
るリスクの評価を更新するための定期的な(10年)見直しプロセス。かかる目標はその遵守の監視を行うASNによって設
定され、EDFはこれらの目標に合致する解決策を提案し、ASNの承認を得た後にこれを実施する(「第2 3(2)①
(ⅰ)(イ)フランスにおけるEDFの原子力発電所」を参照。)。定期的な再検査は、発電所の稼働を継続する重要なス
テップである(「第2 3(2)①(ⅰ)(ホ)フランスにおける原子力発電所の将来に向けた準備」および「第2 3
(3)⑥(ⅱ)(ロ)基礎原子力施設に適用される特別な規制」を参照。)。
-国際レベルでは、定期検査が実施され、世界中の経験を共有することが可能である。
-IAEA(国際原子力機関)のOSART(運転管理評価チーム)は、フランス政府の要請に基づき、推奨事項を作成し、成功事
例を促進するために調査を実施している。とりわけ、最初のEDFの企業内OSARTが2014年に開催され、EDFはIAEAにより定
められた基準を完全に遵守しているという判断を下した。企業内OSARTのフォローアップは、2016年末に実施された。
-WANO(世界原子力事業者協会)が実施する国際的な「ピア・レビュー」調査が、国際的に最善の業務慣行に照らした安
全実績の評価を行うためにEDFの要請で組織された。企業ピア・レビューは、ガバナンスの形態および企業の本社と施設
との関係性の評価を目的として2017年に実施された。WANOは、企業ピア・レビューの終了後、2件の最優秀事例を挙
げ、行動計画につながる4つの提言を発表した。
警告システム
事故の際に、環境や人への影響を抑え、施設の安全性を確保するための危機管理計画が策定されている。この危機管理シス
テムは、以下の2つの密接に連携する計画に依拠しており、地方と国の両方で利用されるように設定されている。
・EDFが作成した、各原子力施設のための内部緊急時計画
・フランス州政府がフランス政府およびEDFと協力して作成した特別介入計画
さらなる効率性を提供し、よって、全住民の保護を向上するために、かかる計画は特に外的リスク(洪水等)および内的リ
スク(火災等)をも想定している。人々に警告し、情報提供し、人々を保護するシステムの妥当性は、事故シミュレーション
実習を通じて、定期的に評価される。毎年、フランスのすべての原子力発電所において、約100回の実習が、すなわちほぼ3日
に一度の割合で、実施される。約10回の実習が、ASNの管理の下、全国レベルで行われ、EDFおよび公的機関(具体的には、州
48/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
政府)も関わる。2018年には、4回の全国レベルの実習が開催された。施設の核物質防護(安全上の危機)に関連する最後の
全国レベルの実習は、2017年に実施された(2年ごとに実施予定)。
2011年3月の福島の原子力発電所事故を受けた初期的分析の後、EDFは、大きな問題の生じた敷地に対する物質的支援および
人的支援を迅速に提供することを可能にする全国的なチームとともに、危機管理組織を補完することを決定した。原子力事故
即応部隊(FARN)と呼ばれるこのシステムは、シボー、パリュエル、ダンピエールおよびビュジョイに所在する拠点におい
て、多くのシミュレーション実習を実施し、問題の生じている施設のユニットに送ることができる。FARNは、1つの施設にお
いて6つのユニットへ同時に対応することが可能である。
安全性に関する重大事象
原子力施設の運転時の安全性は、当初の設計段階から考慮され、従業員の意欲を上げる政策および大規模な投資プログラム
の実施とともに定期的に監視されている。当グループの原子力の安全性に関する政策はEDFの従業員および下請業者の両方の訓
練にも組み込まれている。
統制および監視
原子力の安全性は、内部統制(年報、内部統制計画およびフランス国内の核査察監査)および外部統制(WANOおよびOSARTの
企業メンバー間でのピア・レビューおよびIAEAの専門家が実施する監査)を受けている。
フランスの原子力施設の安全性はASNが統制する。事象は、7を最も深刻な事象とする、1から7の尺度(いわゆるINES尺度
( 国際原子力事象評価尺度 ))で分類される。原子力の安全上重大でない事象は「レベル0事象」と称される。1987年にフラ
ンスでこの尺度が設定されて以来、フランスの原子力発電所において、レベル3(極めて少量の外部放出および規制限度のご
く一部の公衆被曝の影響があるとされる重大な異常事象)以上の事象は発生していない。
また、福島での事故後にEDFが追加の安全評価を実施したことに伴い、ASNは、さらなる危機管理システムである原子力事故
即応部隊(FARN)の創設を承認した。
49/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2018 年における事象
2017年と同様、安全性または放射線防護に関する重大事象は、フランスでは記録されなかった。2018年、EDFのフランスにお
ける原子力発電所部門および火力発電所部門(DPNT)は、583件のINES0に分類される重大安全性事象(ESS)、74件のINES1
に分類されるESS、および0件のINES2に分類されるESSを申告した。
全体として、2018年の実績は、2017年と同等であり、分類されない事象(レベル0)の平均数は、2017年における10.38件に
対して、原子炉1基当たり10.05件のESSへとわずかに減少しており、レベル1の事象の平均数は、2017年における1.13件に対
して、原子炉1基当たり1.27件とわずかに増加した。
自動的操業停止回数は、原子炉1基当たり0.31回(2017年は0.38回、2016年は0.48回、2015年は0.66回)へと引き続き減少
した。
2018年の原子力の安全性の詳しい結果は、原子力安全総括監査官が作成する年報に発表され、インターネット上で入手可能
である。
放射線防護
現場当事者の動員により、電離放射線の影響からの従業員の保護に関する継続的なパフォーマンスの向上が可能となった。
したがって、EDFおよび発電所に関わる外部の企業の両方のすべての従業員の年間平均集団線量は、10年未満で半分となってい
る。2018年、平均集団線量は、原子炉1基当たり0.67人・シーベルト(年間集団線量は38.8人・シーベルト)である。2018年
の集団線量測定結果は、活動レベルが上がったために、2017年の値(35.38人・シーベルト)から増加した。EDFは、稼働中の
発電所のための産業計画により生じる作業量を増加させつつ集団線量を制限するために、ALARA(合理的に達成可能な限り低
い)方針を積極的に実施している。既に達成したレベルを考慮して、主に最悪の線量測定結果を出した発電所について、特に
回路の洗浄を行うことにより、努力を集中させる。
EDFはさらに、放射線被爆を、12か月の周期で体全体で20mSvという規制限度を下回るまで下げる努力を続けている。その結
果、2018年および12か月の周期を通して、関係者(EDFの従業員および請負業者)のうち1名のみが、14mSvを超える個人線量
(わずか50マイクロ・シーベルト超の超過)に晒された。
今後は、既に達成したレベルを考慮して、最悪の線量測定結果を出した発電所について、特に回路の洗浄を行うことによ
り、努力を集中させる必要がある。
( ニ) 核燃料サイクルおよび関連する問題
EDFのフランス国内の原子炉において使用された核燃料の年間平均基準消費量は、約1,200トン(重金属、天然濃縮ウラン、
再濃縮ウラン、プルトニウム)であって、このうち約1,080トンがENU燃料(濃縮天然ウラン)、110トンがMO 燃料(再濃縮され
X
たプルトニウムから生成される。)および10トンがERU燃料(再濃縮ウラン)に相当する。
核燃料サイクルは、原子炉におけるエネルギー発電のための燃料の供給、その後の燃料の搬出および処理を可能にする、フ
ランス国内外の発電工程のすべてを含む。当該サイクルは、以下の3段階で構成される。
・フロントエンド(上流部門):ウラン鉱からの濃縮物の購入、フッ素化(または転換)ならびに燃料の濃縮および製造
・原子炉内での燃料使用における中核サイクル:受領、搭載、操業および排出。燃料は原子炉内に4年から5年留まる。
・フランス国内の原子力発電所におけるバックエンド(下流部門):放射性物質および放射性廃棄物の持続可能な管理に関す
る2006年6月28日付のフランスの法律により義務付けられる中間的なプール貯蔵、使用済燃料の再処理、放射性廃棄物の調
整、再使用可能な原料のリサイクル、および貯蔵前における処理廃棄物の中間貯蔵
EDFは、燃料サイクルのすべての業務を調整する。一般的に、上流部門および下流部門の業務は、複数年契約に基づき、通常
は請負業者または供給業者により行われている。EDFは、原材料の大部分をウラン濃縮物(U O )として取得しており、その精
3 8
巧な製品への転換(フッ素化、濃縮および製造)は産業事業者がサービス契約に基づき実施し、中核サイクルの業務を提供す
る。EDFはほとんどの場合において燃料および原料を所有し、サイクルのあらゆる工程を通じて使用する燃料および原料につい
て責任を負う。
50/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
上流部門
EDFは、フランスおよび英国における原子炉への供給の継続性および安全性を確保するため、契約のポートフォリオおよび燃
料サイクルのフロントエンドの様々な段階において備蓄する(天然ウラン、フッ素化および濃縮化された、または濃縮化され
ないウランならびに貯蔵されている未使用集合体)ことによりサイクルの各段階の業務を全体で統括している。
Oranoは、この点において重要な供給業者である(「第3 2(4)依存因子」を参照。)。
必要に応じて、当グループはそのウラン供給のための為替ヘッジ戦略を実施する。
天然ウランの供給
EDFに対するウラン供給は、供給業者および資源の多様化政策を採用している最長20年間の長期契約により保証されている。
EDFは2018年に、いくつかの主要な市場の供給業者からの長期的な供給の確保を引き続き行った。
天然ウラン供給のポートフォリオ契約の指数化方程式には、固定価格(基準価格(インフレを問わない。))および変動価
格(市場価格指数に従って指数化される。)が含まれ、最低価格および最高価格により制限される場合がある。その結果、天
然ウランの供給コストに対する市場価格の変動による影響は限定的である。
特に世界全体のウラン生産の90%を占める企業をまとめる世界原子力協会(WNA)内の原子力産業の会議に集う製造業者とと
もに、EDFはかかる分野の全体的な進展に貢献するために、採鉱における成功事例が確実に実施されるよう取り組んでいる。
2011年以降、EDFはWNAと協力して生み出した方法に基づいた鉱山の監査を定期的に実施しており、これは当該分野におけるす
べての利害関係者により認められた標準化された枠組みを構成する。必要に応じて、改善計画とともに提案を行うことが可能
である。
WNAにより定められたこれらの方針は、現場で見られた成功事例を広め、それをかかる分野におけるすべての利害関係者と共
有することを目的としている。WNAは、ウランの持続的な抽出およびその使用に関して国際金属・鉱業評議会が定めた方針を特
に再度主張する( これらの10の方針は、従業員および地元住民の健康(放射線および排出物に対する安全および保護)、環境
保全(廃棄物管理および飲料水資源の保護)、放射線、利害関係者および一般市民の安全衛生、廃棄物管理および環境保護を
監視および管理するための現行の法律および国際基準(AIEA)に従った法的枠組みの必要性、情報、透明性、利害関係者との
対話、利用可能な最良の技術を使用した有害廃棄物および汚染物質の責任ある管理、リスク分析を含むプロジェクトの上流工
程における品質管理システム(環境に対する影響の調査)の発展、事故管理の準備、有害廃棄物の完全に安全な輸送、ならび
に正規職員の研修に関するものである。 )。基本的権利の行使ならびに供給業者および下請業者による主な国際基準に関する
EDFの期待を列挙した条項は、EDFが署名した契約書へ進歩的に挿入されてきている。これらは特に透明性および供給業者への
監査を実施するEDFの権限を強調している。
フッ素化(または転換)
EDFの需要は、Oranoグループ、ならびにカナダのCameco、米国のConverdynおよびロシアのTenex等国外における他の生産業
者により満たされている。
天然ウランのウラン235への濃縮
EDFの濃縮物需要は、Oranoグループ(フランスのトリカスタン施設におけるジョルジュ・ベスⅡ工場)、Urenco(英国、ド
イツ、オランダおよび米国)ならびにTenex(ロシア)といった世界の濃縮業者から、一定の通貨ベースでは減少しても、主に
固定価格契約により確保されている。
再濃縮ウラン
1990年代以降、再処理によって、使用済燃料の処理からウランを原子炉自体の中でリサイクルすることが可能となった。ウ
ランは使用済燃料の質量の約95%を占める。
2013年、再処理は、新たな産業構造が利用可能となるまで停止された。
2018年、取締役会は、強固で競争力を有しかつ効率的な部門の再開を承認した。集合体の初装荷は、技術的変更の実施およ
び安全当局から必要な許可を取得することを条件として、2023年に予定されている。
2018年度第2四半期に、対応する契約が各供給業者との間で締結された。
当該部門の再開の効力発生まで、再処理ウランは安定した状態で貯蔵されている。
燃料集合体製造
燃料集合体製造業者であるFramatomeおよびWestinghouseとの間の契約は、EDFの需要の大部分を満たしており、少なくとも
2020年まで供給を保証するために2014年に更新されている。
51/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
下流部門
EDFは、使用済燃料がどうなるか、その処理がどのように行われるか、またそれに伴う廃棄物について、責任転嫁の可能性や
時間の制限なく、これに対しての責任を負っている。Oranoは、使用済燃料の処理に対して責任を負い、ANDRAは、放射性物質
および放射性廃棄物の長期的な管理に関する2006年6月28日付成文法に従い、最終廃棄物の長期的な貯蔵管理に対して責任を
負う。
原子力燃料サイクルに関して、EDFは、フランス政府と合意の上、使用済燃料を処理し、可能な限りこの処理においてMO 燃料
X
の形態に分離されたプルトニウム等の物質をリサイクルする戦略を現在行っている。処理される量は、MO 燃料を積載すること
X
のできる原子炉におけるリサイクル可能なプルトニウムの量によって決定される(「同等流量」の法則)。フランスの発電所
における原子力ユニットのリサイクル能力では、年間で約1,100トンの使用済燃料の処理が可能である。
さらに、現在、EDFは、原子力発電所における貯蔵需要を見越して、大規模な使用済燃料貯蔵プールの設計に着手している。
これにより、現在クレイ・マルヴィル発電所の使用済燃料貯蔵プールにおいて、第4世代原子炉(Gen Ⅳ)の完成まで貯蔵さ
れている、PWRおよびスーパーフェニックス高速中性子炉の燃料集合体からの使用済MO 燃料およびERU燃料の長期貯蔵(約100
X
年)が可能になる。
EDFは、2016年から2018年の放射性物質および放射性廃棄物管理国家計画に沿って、2020年までにこのプールの建設許可を申
請する予定である。
PNGMDRの2019年-2021年版は、2019年の公開討議に供される。2018年5月、CNDP(フランス公開討議委員会)は、かかる討
議の準備、計画および実施のために特別公開討議委員会(CPDP)を任命した。
EDF の原子力発電所からの使用済燃料の処理
処理前の使用済燃料は、まずは発電所のプール、その後はラアーグにあるOranoの再処理工場のプールにおいて、冷却プール
の水中に一時的に貯蔵される。世紀単位の期間にわたって安全に貯蔵されることが、貯蔵条件として定められている。使用済
濃縮天然ウラン燃料が原子炉から排出されてから約10年後、廃棄物からリサイクルできる物質を分離するために、使用済濃縮
天然ウラン燃料の処理が行われる。廃棄物はその後調整され、ラアーグの敷地の特定の施設において一時的に貯蔵される。
使用済燃料の輸送、処理およびリサイクルに関する2008年から2040年までの期間のEDFとOranoとの関係は、2008年12月19日
に締結された枠組み合意により構築された。
2016年2月、EDFとOranoは、2016年から2023年の期間を対象とした実施契約および関連するMO 集合体の供給契約を締結し
X
た。
ヒンクリー・ポイント(英国)におけるEDFの原子炉2基の燃料供給
2016年9月、EDF、OranoおよびFramatomeは、ウラン供給、転換および濃縮に係るサービスの提供ならびにヒンクリー・ポイ
ントCの原子炉の燃料供給のための集合体製造について規定する契約を締結した。
調整後の最終的な廃棄物の貯蔵
放射性廃棄物は、その特性、放射能のレベルおよび放射性核種の成分の寿命により、高レベル廃棄物(HLW)から低レベル廃
棄物(LLW)および中レベル廃棄物(ILW)を経て極低レベル廃棄物(VLLW)までの異なるカテゴリーに分類される。廃棄物
は、その放射能が活発な期間が30年超の場合は長寿命(LL)と呼ばれる。
長寿命高レベル廃棄物(HLW-LL)
使用済燃料の処理により、HLW-LLのガラス固化が可能となり、ガラス固化により廃棄物の体積は減少し、高い技術での貯蔵
が保証される。廃棄物はその後、ラアーグの特定施設に一時的に貯蔵される。例えば、旧天然ウラン黒鉛ガス(NUGG)発電所
の操業および現行のPWR施設における50年間の操業から排出され、この方法で発生した長寿命高レベル廃棄物の体積は、全部で
約9,300立方メートルとなる(百万人当たりの年間電力消費量から、約3立方メートルのHLW-LLが発生する。)。
長寿命中レベル廃棄物(ILW-LL)
ILW-LLは、使用済燃料の処理中に分離される燃料集合体の構造物(シェル、ノズル、クラッドの破片等)により構成され
る。これらは現在、ステンレス鋼製の容器の中に圧縮され、格納されている。ILW-LLは、特定の維持管理および解体作業から
も発生する。例えば、発電所の耐用年数としての50年間および解体作業を考慮した、特に天然ウラン黒鉛ガスの原子炉を有す
る第1世代の発電所の操業および廃炉作業から発生した廃棄物ならびに現行のPWR施設から発生した廃棄物を含むILW-LLの総体
積は、約37,000立方メートルとなる。HLW-LLとは異なり、ILW-LLは熱を発生させないことから最終的な貯蔵前の冷却を要さな
いため、HLW-LLよりも迅速な貯蔵に適している。
52/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
使用済燃料の再処理から得られたHLW-LLおよびILW-LLは、ANDRAの Centre industriel de stockage géologique ( Cigéo )プ
ロジェクトの一環として現在想定されている深い地層中での貯蔵の実施を待つ間、ラアーグの専用施設において一時的に貯蔵
される。
Cigéoは、フランスの放射性廃棄物のための深地層貯蔵施設計画である。これは、フランスにおいて現存するすべての(廃炉
になるまでの)原子力施設および原子力発電所の使用済燃料の処理から生じる高レベル放射性廃棄物および長寿命廃棄物を貯
蔵するよう設計されている。15年間に及ぶ研究、評価および公開討議を経て、放射性物質および放射性廃棄物の持続可能な管
理に関する2006年6月28日付フランス法第2006-739号により、将来世代に負担を負わせることなくこの種類の廃棄物を管理す
るための安全な長期的な解決方法として、深地層貯蔵の方針が採用された。
当該施設はフランス東部、ムーズ県とオート・マルヌ県との間の県境に設置される予定である。Cigéoは、廃棄物パッケージ
の受入れおよび準備ならびに地下施設の掘削作業および建設作業に利用される地上施設によって構成される。廃棄物は、約500
メートルの深さにある、非常に長い期間(数十万年間)において放射能を閉じ込められることができる不透過性の粘土層にあ
る地下施設に貯蔵される。Cigéoは、少なくとも100年間操業するよう、また、将来世代に、それを必要に応じて適応させるこ
とができる可能性を最大限に与えるための柔軟性を提供するように設計されている。
可逆的深層貯蔵施設の創設の詳細を規定する2016年7月11日付フランス法は、長寿命中高レベル放射線廃棄物(HLW-LLおよ
びILW-LL)の管理のためのCigéoプロジェクトの承認を取得する前の重要な必要条件の充足を示している。ANDRAは、2019年ま
でにこの施設の建設許可の申請を行うことを視野に入れ、設計に関する研究を継続している(準備工程および設計最適化工程
の計画更新を受けて、スケジュールが変更された。)。
ANDRAは、2022年の建設許可取得、2026年のパイロット操業フェーズ開始、および2031年の初回廃棄物搬入開始を目指してい
る。2018年1月15日、ASNは、Cigéoから提出されたDOS(安全性オプションのリスト)につき、このプロジェクトが、その段階
としては全体として技術的に十分な成熟度に達したと考える旨の意見を表明した。ASNの意見案は、Cigéoで処理されない歴青
質廃棄物の貯蔵に関する代替案を調査することを要求している。2018年9月、2019年になされるCigéoプロジェクトの実施許可
申請を踏まえて、DGEC(フランス政府におけるエネルギーおよび気候変動の管轄部門)により、3つの要因(歴青およびその
挙動、中性化プロセスならびにその貯蔵手段に関する知識)に基づき、歴青の管理を評価するための専門家グループが任命さ
れた。
長寿命低レベル廃棄物(LLW-LL)
LLW-LL(黒鉛および処理済廃棄物)は、旧NUGG原子炉の廃炉により生じる(「第2 3(2)①(ⅰ)(ヘ)原子力発電所の
廃炉」を参照。)。2006年6月28日付法律は、この廃棄物が特定の方法で地表近くに貯蔵できることを規定した。2015年7
月、ANDRAは、フランスのスーレヌ地域(オーブ県)に所在する敷地における貯蔵施設の実現可能性に関する報告書を提出し
た。かかる報告書は、ASNに、その意見を伺うために提出された。貯蔵可能な廃棄物の特定のため、放射性廃棄物管理国家計画
(PNGMDR)の下で作業が進行中である。さらに、この放射性廃棄物の存在量をより厳密に明らかにすることを目的としたEDFの
調査も、大きな成果を挙げた。この結果として、既存の地上施設において(特にシノンのA2原子炉の)黒鉛の一部を貯蔵する
ことが再検討される可能性がある。
短寿命低レベル廃棄物および短寿命中レベル廃棄物(LILW-SL)ならびに極低レベル廃棄物(VLLW)
短寿命超低レベル廃棄物、短寿命低レベル廃棄物および短寿命中レベル廃棄物(グローブ、フィルター、樹脂等)は、原子
力施設の稼働およびそれらのがれき(コンクリート、くず鉄、断熱材、パイプ等)から生じる。これは、オーブ県において
ANDRAが運営するスーレヌ貯蔵センターおよびモールヴィーエー貯蔵センターの地上部分において貯蔵される。
体積を最小限に抑えるため、一部の廃棄物は、EDFの子会社であるSOCODEIが所有するセントラコ工場において、溶解または
焼却により事前処理される。2016年、Studsvikの英国およびスウェーデンの資産の取得後、新たに取得された資産をまとめ、
廃棄物の処理に関する当グループの対内および対外の業務を集中させるために、持株会社「Cyclife」が設立された。2017年9
月、SOCODEIはCyclifeに株式保有されることとなった。
使用済燃料の管理および放射性廃棄物の長期的な管理に係る将来的な費用の計上
毎年EDFは、フランスにおける核燃料サイクルの下流部門に対し、引当金を設定している(2018年12月31日に終了した年度の
連結財務書類の注記29を参照。)。
( ホ) フランスにおける原子力発電所の将来に向けた準備
EDFの原子力発電所の将来に向けた準備の産業的な目標は、主に以下の戦略分野に依拠している。
・原子力発電所の耐用年数について40年を超えて延長できるための技術的条件の実施。2016年度上半期、フランスにおける原
子力発電所のうち900MW発電所の会計上の償却期間を当グループの産業戦略に合わせるために必要なすべての技術上、経済上
53/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
およびガバナンス上の条件が充足された。したがって、EDFの取締役会は、フランスにおけるPWRの900MW系列の発電所
(フェッセンハイムを除く。)の会計上の償却期間を、各10年点検後にそれぞれのユニットに対して個別に付与する継続的
な 稼働許可に関するASNによる決定に影響を与えることなく、2016年1月1日より40年から50年に延長することを、2016年7
月28日に承認した。
・主に日本の福島の原子力発電所事故から得た教訓をまとめることによる、継続的な安全性の改善。
・経年劣化または老朽化した設備に関する予防策の実施。
稼働中の発電所の40年を優に超える継続した稼働
福島の事故後の追加安全評価(ASA)
日本における福島の原子力発電所の事故を踏まえ、2011年9月15日に、EDFはASNに対して、既存の原子炉および建設予定の
原子炉すべてを含め、各原子力発電所について1件ずつ、計19件の追加の評価報告書を提出した。
これらの評価は、日本での出来事を鑑み、安全当局により作成された仕様書に事前に定められている課題を考慮した上で
の、既存の発電所および建設中の発電所の防御機能の再評価からなるものであった。このように、冷却材および電力供給の同
時的な不足が生じた状況ならびに重大な事故の結果に対処する場合の、地震および洪水に関するリスクに対する安全マージン
の再評価が行われた。これらの評価により、当社は保護システムの規模を決定するために利用された状況を超えた、計画され
たシナリオに対する特定の変動が、安全性という点で結果を悪化させるもの(「クリフエッジ効果」)であるか否かについて
調査することになり、また最終的には原子力施設の設計およびその後の安全性の検査において利用された状況を大幅に超えた
極端な状況について確定的に検討することとなる。EDFの原子力発電所の安全性は、継続的な改善を行うという原則に基づいて
いる。既存の施設および新たな施設の両方について、継続的にすべての発電所からのフィードバックが生かされており、世界
中で生じる可能性のあるインシデントおよび事故から教訓を得ることができる。
最終的に、ASAはまた、下請けに適用される規則の見直しも行った。
これらの分析は、とりわけ1980年代の終わりならびに原子力分野の透明性および安全性に関する2006年6月付法律(TSN法)
による成文化(また後にはフランス環境法による成文化)が行われて以降、フランスで実施された定期安全審査により、EDFの
原子力発電所全体の安全性の適切なレベルが満たされていることを第一に確認するものであった。EDFはまた、現在の原子力発
電所の安全性レベルのさらなる改善に寄与するべく安全システムの規模を決定する際に想定された状況を超えた追加措置をASN
に対して提案した。
2012年1月3日に公表された政府に対する意見の中において、ASNは、その技術的支援の分析に基づき、「優先的な原子力施
設に係る追加安全評価の後、ASNは、検証された施設は十分な安全性レベルを示しており、したがってそのいずれについても即
時の操業停止を要求しないと考えている。」と述べている。同時に、ASNは、「これらの施設の操業を続けるには、現在の安全
マージンを超えた範囲で、極端な状況に対処するために、可及的速やかにその頑健性を向上させることが必要とされる。」と
考えている。
ASNはまた、「ハードコア」の構想およびFARNシステム(「第2 3(2)①(ⅰ)(ハ)環境、原子力の安全性および放射線
防護」を参照。)も推奨している。この「ハードコア」は、ASAに関して検証された状況に耐えることができる発電所の構造、
システムおよび構成部品からなる。2012年6月26日に、ASNは、福島の原子力発電所事故後の行動計画に従った規制上の要件を
定めた600超の技術的要件に従うことをEDFに対して義務付ける、19の決定を行った。これらの技術的な規則は、すべての原子
力発電所の敷地がいくつかの設備に影響を及ぼすような大規模な事故の発生に対して耐性のある構造および現地の危機管理セ
ンターを有さなければならない旨を義務付けている。EDFの発電所にとって、規定の「ハードコア」は、とりわけ各ユニットの
「燃料補給の」電気資源を有していなければならない。その一方で、臨時のバックアップ用ディーゼル発電機が2013年に58基
それぞれについて設置された。「ハードコア」の完全な定義は、2014年1月にASNにより発令された技術面での規則に記載され
ている。
EDF のPWR設備の耐用年数
フランス環境法の規定は、耐用年数の限度を定めていないが、原子力発電所の状況、その稼働により得られた経験、原子力
科学における新たな進展および類似の発電所に適用される規則(安全基準)を考慮した、適用規則ならびにかかる発電所が保
護対象の利益に及ぼしうるリスクの評価の更新情報の観点から、10年ごとの施設点検を定めている。
900MW系列の3回目の10年点検に関連した調査報告の一部として、ASNは、2009年7月初旬に、EDFが900MW系列の原子炉の安
全を最大40年間管理する能力が疑われるような一般的問題はない旨を公言した。ASNの包括的見解は、各原子炉に関する決定に
より補完される。
EDFの産業戦略は、3回目の10年点検および福島の原子力発電所事故後の改善策に関連して行われた多額の投資ならびにフラ
ンスのエネルギー需要をも考慮に入れ、安全性およびパフォーマンスの面で最良な状態で、40年を超えて発電所を稼働させる
ことである。この目標は、同様の技術を利用する原子炉について世界中で見受けられる傾向に沿っている。EDFは、この目的を
54/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
達成するために、産業計画および研究開発計画を実行している。新品に交換されるべき主要部品を新しくするための作業が開
始され(「第2 3(2)①(ⅰ)(ロ)原子力発電所の操業および技術的実績」を参照。)、原子炉格納建造物および原子炉
容 器といった交換できない設備につき、これらが60年間まで作動できるようにするために、その設備能力を実証するための解
決策が研究されている。
原子力安全性という絶対的な最優先事項を尊重しつつ、また複数年にわたるエネルギー計画(「第2 3(2)①(ⅰ)
(ロ)原子力発電所の操業および技術的実績」を参照。)の一環として、現在の原子力発電所の耐用年数を延長することによ
り、発電所に相当する産業上のベースをより良く利用することができ、また新たな発電所の操業開始の時期を拡散することが
できる。
関連する技術上、経済上およびガバナンス上の条件がすべて充足されたことを受けて2016年6月に成立した、2016年1月1
日付の900MW系列のPWRの発電所(フェッセンハイムを除く。)の耐用年数を40年から50年に延長する決定は、フランスにおけ
る原子力発電所の耐用年数を40年超に延長する当グループの産業上の戦略の一部である。かかる変更は、国際的なベンチマー
クによって支持される少なくとも50年間稼働可能なPWRの900MWの発電所の技術能力およびグラン・カレナージュ( Grand
Carénage )計画の下で漸進的に行われた投資に基づくものである。かかる投資により900MW系列のPWRは、その4回目の10年点
検(VD4)後、EPRの安全性レベルに可能な限り近くかつ世界最高水準でもある安全性レベルに到達する見込みである。
900MWユニットの耐用年数の延長は、2018年から2023年までの期間および2024年から2028年までの期間に関する複数年にわた
るエネルギー計画における現行の改訂と合致する予定である。
一部のユニットの耐用年数を40年超まで延長するために必要となる安全性向上策に関連して、ASNは、2015年4月に開催され
た専門家委員会の会合を受けて、900MW系列の原子炉の4回目の10年点検に関連する安全性の見直しに係る主要な戦略決定につ
いて最初の見解を交付した。当初、ASNは、2018年から2019年にこの再調査の「包括的な」段階に係る最終的な見解を交付し、
原子炉ごとに行われている40年超の最終的な利用許可の決定を発表する予定であった。2016年4月20日、ASNはEDFへ、900MW系
列のフランスの原子炉の耐用年数の潜在的な延長を許可する見込みを示した書簡を送付した。ASNは、EDFが提出した、対象と
なる原子炉34基の使用を40年超へ延長するためのそのアプローチおよび方法論を提示した報告書のレビュー後に、EDFは安全面
の問題に十分に対処しており、原則的にそのプログラムにはコメントを要しないと判断した。しかしながら、ASNは、EDFに対
して、管理計画の範囲および調査の改善に関連する目標を含むいくつかの側面において、そのプログラムを完成させることを
求めた。
ASNは、900MWのユニットの4回目の定期的再評価についてのNRO(目標に対する反応についての覚書)に関する2018年9月28
日付の文書において、「実施された取組みおよび予定されている取決めは、施設の安全性を大幅に改善し、この再評価の目標
達成に寄与するであろう」と述べた。ASNは、2020年に包括的な見解を交付する予定である。それまで審査は継続し、EDFは調
査、検査および作業に関するASNの要求事項を検討している。
また2018年9月、EDFは、対象となる施設の地域情報委員会(CLI)が開催する公開会議におけるEDF、ASNおよびIRSNからの
専門家との討論および対話における一般市民の参加を目指して、IRSNおよびANCCLI(フランス全国地域情報委員会連合)とと
もに6か月にわたる公開討議を立ち上げた。これらの公開会議は、デジタル・プラットフォームにより補完される。
フランスにおけるその他のより新しい系列(1,300MWおよび1,450MW)の会計期間は、延長の条件がまだ満たされていないこ
とにより、今のところ40年に留まっている。フランスの原子力発電所において最も直近に設置された原子炉の今後の延長は、
当グループの産業戦略の中核となっている。
2018年末、900MWのユニット34基のうち32基において3回目の10年点検が実施された。これらのうち12基(フェッセンハイム
1および2、ビュジョイ2、4および5、トリカスタン1、2および3、ダンピエール1および2ならびにグラブリンヌ1お
よび3)は、ASNとの情報交換を完了した(ASNの意見および要求事項を受領した。)。最後のユニット2基(シノンB3および
シノンB4)の点検は、それぞれ2019年および2020年に予定されている。
( ヘ) 原子力発電所の廃炉
EDFは、発電所の廃炉に関し、規制面、財政面および技術面での全責任を負っており、その課題は、廃炉プロセスにより、原
子力発電のライフサイクル全体に対する統制を実施することである。
2001年以降EDFによって採用されている基準シナリオは、「容認可能な経済条件で、かつフランス公衆衛生法第L.1333-2条お
よび同法第L.110-1条Ⅱに規定された原則に沿った、できる限り短い期間での」廃炉を規定するフランスの規制(フランス環境
法第L.593-25条を参照。)に沿った、待機期間のない廃炉についてのものである。
廃炉に係る規制上のプロセスは、フランス環境法および2007年11月2日付命令第2007-1557号に服する(「第2 3(3)⑥
(ⅱ)(ロ)基礎原子力施設に適用される特別な規制」を参照。)。特定の敷地については、かかるプロセスに以下の特徴が見
られる。
・操業停止予定日から少なくとも2年前までの操業停止宣言。
・当局による審査および公式の調査を受けて、廃炉を許可する命令によりもたらされた廃炉要請。
・廃炉に関する安全基準システムに含まれる、ASNと共同で行う主要な進捗状況の点検。
55/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・最終的には、作業完了後、基礎原子力施設を統制する法体制から当該施設を除外するための、施設の指定解除。
操業停止となった発電所の廃炉
EDFは、操業停止となった発電所(ショーAにおける加圧水型原子炉(PWR)が1基、ブレンリスにおける重水炉(HWR)が1
基、クレイ・マルヴィルにおける高速中性子炉(FNR)が1基ならびにビュジョイ、サンローランおよびシノンにおける黒鉛ガ
ス減速原子炉(NUGG)が6基)に関して、フランス公衆衛生法およびフランス環境法の原則に沿って、廃炉作業に関連した技
術的リスク管理を確保しつつ、できる限り速やかにこれらを完全に廃炉とすることを選択した。
当該敷地は引き続きEDFが所有し、EDFの責任下および監督下に置かれる。
責任ある事業者として、EDFは、廃炉に関し、委託機関として行為する。
最終的に操業停止したEDFの第1世代ユニット9基の廃炉は、約1百万トンの一次廃棄物(うち80%が標準廃棄物であり、高
レベル廃棄物は存在しない。)を発生させる。残りの20%は、極低レベルから中レベルの廃棄物により構成され、ILW-LLおよ
びLLW-LLの貯蔵施設の利用を必要とする長寿命廃棄物が約2%含まれる。
短寿命VLLWおよびLILWの除去に係る既存の方法は、以下の手順によって補完される予定である。
・放射性廃棄物のパッケージングおよび中間貯蔵施設( Installation de conditionnement et d'entreposage des déchets
activés またはICEDA)を建設するプロジェクトがビュジョイの敷地においてほぼ完了している。同施設の操業開始は、2019
年に予定されている。
・LLW-LL貯蔵センターは、放射性物質および放射性廃棄物の長期的かつ持続可能な管理に関する2006年6月28日付法律により
定められている。2008年におけるANDRAによる最初の敷地調査で結果が得られなかったことを受け、2012年末に政府に対して
報告書を提出した後、ANDRAは2013年に調査を再開し、2015年7月に、フランスのスーレヌ地域に位置する敷地における貯蔵
施設の実現可能性に関する報告書を提出した(「第2 3(2)①(ⅰ)(ニ)核燃料サイクルおよび関連する問題」を参
照。)。さらに、NUGG発電所の新たな廃炉スケジュールにおいては、最終的な処分ルートが利用可能となるまで(2044年に
黒鉛の初回搬出が行われる。)、サンローランの貯蔵施設にLLW-LLライナー用貯蔵施設を建設することが規定されている。
ショーA発電所の廃炉は、ショーの原子炉プールの充填ならびに原子炉容器の内部部品の切断および撤去が、依然としてス
ケジュールどおりに継続している。ショーAは、稼働中の58基と同様の技術を利用しているが、より古い構造の加圧水型原子
炉である。この原子炉は、1967年に稼働開始し、1991年(最終的な発電終了日)まで操業された。丘陵の斜面の岩窟の中にあ
るという原子炉の立地状態は、アクセス条件ならびに材料の搬入および搬出が他の既存のPWR発電所よりも困難であることを意
味している。この廃炉作業は、2001年にEDFが放射性物質の減少を待機する期間を設けずに廃炉を行う戦略を選択し、2007年に
完全な廃炉に係る命令が採択された後に開始され、認可から15年後の2022年に終了する予定である。この期間は、加圧水型原
子炉の廃炉に関してEDFが選択した。
2017年末におけるクレイ・マルヴィル原子炉容器の充填後、廃炉プロセスは、原子炉容器の上蓋の切断作業場の建設現場に
おいて継続している。
ブレンリスに関しては、2008年に締結されたCEAとの契約( 同契約により、CEAはフェニックスの廃炉について全責任を負う
こととなった。 )に従い、EDFは当該施設の廃炉について全責任を負うこととなった。当初の命令の対象に含まれた廃炉作業
は、廃棄物処理工場のエプロンの最終区画の解体および土砂掘削が現在進行中である。
2014年12月4日付のリヨン行政裁判所の判決では、ICEDAの建設許可の有効性が復活したことにより、EDFは、先の申請を
行って以来生じてきた新たな規則、特にBNFの規則の適用を考慮して、ブレンリスの完全な廃炉に係る申請についての調査を再
開することとなった。このため、2018年7月末に廃炉に関する完全な資料が提出された。
NUGG原子炉の廃炉における産業戦略については、2015年末に徹底した検討が行われる中で「水中方式」による解体から「空
気中方式」による解体へと転向し、また2013年から2015年のプロジェクト準備段階での調査結果が考慮されている。かかる検
討において、容器の廃炉作業が大幅に延長され(当初の予定の10年が、約25年)、作業リスクを低減させるために、他の5基
のユニットの廃炉の実施前に最初の系列のユニットを完全に廃炉することが必要であるとされた。新たな廃炉戦略は、2016年
3月および2017年6月にASNの監査委員会に提示された。ASNの要請により、独立の専門家グループが廃炉案の安全性評価のた
めに任命され、かかる廃炉案の主要な事項が承認された。第1世代の発電所廃炉の産業シナリオの更新(特にNUGG原子炉に関
するもの)により、2015年12月31日時点で、引当金が590百万ユーロ増加した(2015年12月31日現在の連結財務書類の注記29.1
を参照。)。
廃炉スケジュールの更新により以下のとおり優先順位が決定された。
・最初の容器の「空気中方式」による解体に使用する機械設備の検証のための産業用実証炉を建設すること
・他のNUGG原子炉の産業的な解体に先立ち、最初の系列のユニットの「空気中方式」による解体を実施し、その後完全な
フィードバック手続を実現すること
・他の容器については、電気機械の解体ならびに周辺建物および構造物(原子炉建屋、プール等)の解体後における安全構造
体の開発作業が、従前のシナリオよりもいくらか前倒しで進められる見込みである。
56/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
新たなシナリオにおいては、最初のNUGG原子炉からの初回の黒鉛除去が2044年までに行われる予定であり、他の黒鉛廃棄物
の処分ルートの必要性については2070年以降まで先送りされた。
ASNは、2016年3月に開催されたASNの監査委員会における初回の公聴会を受けて、2016年7月29日付の補完書面において、
当該事項に関し意見交換を行うことを提案した。2017年度第1四半期に、ASNの要請により、独立の専門家グループが、6基の
NUGG原子炉の廃炉に関してEDFが選択した解決策の検討のために任命され、EDFの方策が承認された。2017年6月、同年3月に
EDFが提出したこれらの結論および議論に基づき、ASNの監査委員会における新たな公聴会が開催された。
2017年12月下旬、EDFは、戦略および安全性の確保された構造体に関する安全オプションに関する資料ならびに2017年から
2032年の期間を対象とする詳細な作業スケジュールを提出した。2018年、ASNはNUGGの戦略文書における主要な疑問点および結
論を発表した。全原子炉の「空気中方式」による解体、産業用実証炉の妥当性および最初に廃炉される「最初の系列のユニッ
ト」(シノンA2)に関する計画は承認されたと考えられる。しかしながら、他の5基の原子炉の解体スケジュールに関して
は、議論が継続している。EDFが提案したスケジュールでは、(最初の原子炉廃炉による)多くのフィードバックを、より複雑
な段階の開始に先立って得ることができる。ASNは、最初の系列のユニットによるフィードバックを考慮に入れる必要性は認め
ているものの、現段階では全体のスケジュールに対する同意を表明していない。2019年2月12日、EDFは、EDFの提案する計画
の裏付けとなるすべての情報を提示するために、ASNの監査委員会による聴き取りを受けた。公開討議に提出される予定のASN
の決定案は、2019年に発表される見込みである。
実施予定の複雑な作業に関する不安定性の原因(特に新たな手法および技術の開発)を考慮すると、引当金は作業の優先順
位および原子炉6基の廃炉プログラムにおける全体のスケジュールに大きく左右される。最終的に、EDFが作業スケジュールの
変更(優先順位付けの省略)をしなければならなくなった場合には、引当金の水準が増加する可能性がある。
フェッセンハイム発電所の閉鎖プロジェクト
法律第2015-992号(エネルギー移行法)により導入されたフランス・エネルギー法第L.311-5-5号は、フランスにおける原子
力発電設備容量の上限を63.2GWとした。したがって、かかる上限に従い、フラマンビルEPRは、フェッセンハイムの原子炉2基
の閉鎖前には稼働を開始することができない。
憲法院が2015年8月17日付法律第2015-992号(エネルギー移行法)の合憲性を検証した際に2015年8月13日付決定において
指摘したとおり、フェッセンハイム発電所が早期に閉鎖されれば、EDFは補償を受け取る権利を付与される。
EDFとフランス政府との間の協議を経て、補償の原則を定めた覚書案が作成され、政府補助金規則に基づき欧州委員会により
承認された。
EDFの取締役会は、2017年4月6日の会合において、フェッセンハイム発電所の運転許可の取消しは、フラマンビル3EPRの
稼働後にのみ、効力が生じること、ならびにフェッセンハイム発電所の閉鎖は、かかる取消要請日およびフラマンビル3EPRの
稼働開始日の両日において、63.2GWの法定の上限を遵守するための必要事項であることを条件として、フェッセンハイムの閉
鎖が不可逆的で不可避であることに留意した。
取締役会は、法律に従って、かかる取消要請がなされる日までに、フランス政府と交渉し欧州委員会により承認された補償
協定に署名する権限を会長に付与した。
2015年8月17日付法律第2015-992号(エネルギー移行法)を遵守する取締役会のかかる決定によって、EDFの企業利益が保証
され、あらゆる状況において顧客に従事する当社の事業を継続することが可能となる。
2019年1月25日、環境連帯移行省は、2019年から2023年までの期間および2024年から2028年までの期間に関する複数年にわ
たるエネルギー計画の草案を発表した。同計画案では「フェッセンハイム原子力発電所は、2020年春までに廃炉すべきであ
る」と明記されている。
このような状況の変化を考慮して、合意案の一部条項の微調整、またとりわけEDFの求償権を保持しつつフラマンビル3の稼
働からフェッセンハイムの閉鎖を切り離すことを目的とした、新たな交渉が開始された。
同発電所におけるEDFのパートナーであるEnBWは、一定の条件において、同発電所の発電容量に係る契約上の権利の割合に応
じて、かかる逸失利益を受け取る権利を有する。この部分に関して、CNPは、パートナーシップへの参加の終了を決定した。
EDFがCNPによるこの決定を認識した後、2017年12月31日に両社間の契約が終了した。
廃炉費用
EDF 原子力発電所
発電所の操業開始以降、EDFは、廃炉作業、設備のエンジニアリング、監視および維持管理ならびに現場警備に対する引当金
を設定している(2017年12月31日に終了した年度の連結財務書類の注記29.1.3および注記29.1.5を参照。)。廃炉の目標は、
用地および土地を産業利用に適した状態に回復することである。
EDFは、見積範囲の相違や国内環境および規制環境等の直接的な比較を歪曲させる可能性のある特定の要素を必ず考慮しつ
つ、国際的な相互比較を通じた分析の強化を継続する。
57/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2016年、PWRの廃炉費用に関してDGEC(フランス政府におけるエネルギーおよび気候変動の管轄部門)が委託し、「DA09」モ
デルに基づき2014年7月から2015年8月まで行われた監査による勧告および第1世代の発電所(Gen Ⅰ(特にショーA発電
所)) の廃炉から収集されたフィードバックの両方を反映することを目的とした、第2世代の発電所(Gen Ⅱ(稼働中のPWR発
電所))の廃炉に関する見積費用が修正された。
この見積費用の検討は、詳細な分析プロセスの実施ならびに現在稼働しているユニットの今後の廃炉に関連するエンジニア
リング、工事、運転および廃棄物処理に係るあらゆる費用の特定により行われた。結果として、発電所廃炉に係る詳細な
フィードバックに基づく数値が算定された。上記プロセスの実施により、先進的なモデルに特有の費用および系列・共有によ
る影響の詳細な評価が可能になった(これらの費用と影響は、発電所の規模と設計に左右される。)。
2016年12月31日、かかる詳細なプロセスにより、廃炉引当金が451百万ユーロ(2016年)減少し、ILW-LL廃棄物の長期管理引
当金が162百万ユーロ(2016年)増加した(2017年12月31日現在の連結財務書類の注記29.1を参照。)。見積りの算定において
考慮された、主要な共有・系列による影響の性質は以下のとおりである。
共有による影響には、様々な種類がある。
・一部は、同一の施設内の複数の原子炉の操業において共通の建物および施設が使用されているため、かかる建物および施設
の解体を2度行う必要がないことに関連するものである。このように、構造上、同一の施設内の原子炉2基の廃炉に係る費
用は、2か所の別々の敷地における単独の原子炉2基の廃炉よりも安価になる。フランスでは、他の国と異なり、単独の原
子炉は存在せず、施設内に2基または4基(ある施設では6基)の原子炉が設置されている。
・同一の施設内で2基または4基の原子炉を廃炉する場合、一部の費用が安価になる。通常、調査費用および施設の操業状況
の安全性維持のための費用が該当する。
・集中施設において廃棄物を処理することにより(主要な部品の切断等)、廃炉施設内の複数の処理施設において処理を行う
よりも安価になる。
系列による影響は、主に2種類ある。
・第1の影響は、単一の技術を用いて操業される発電所においては、毎回膨大な調査を実施し直す必要がないことによるもの
である。
・第2の影響は、単一の技術を用いて操業される発電所においては、ロボットおよび設備を施設間で幅広く再利用可能である
ことによるものである。
かかる系列による影響は、発電所の建設時に、調査または部品製造工場において見られるのと同様の性質のものである。
例えば、900MW発電所では、平均的な原子炉のユニット2基において、先進的なモデルのユニット2基と比較して約20%の系
列による影響が見込まれる。
特に系列・共有による影響が存在するため、フランスの発電所と他国の原子力発電所の原子炉ごとの平均廃炉費用を単純比
較することは適切ではない。
ただし、数値には、ごくわずかな生産性の向上および系列による影響のみが含まれている。DGECにより行われた稼働中の発
電所の廃炉費用に関する外部監査では、見積りにおいて考慮された系列による影響はわずかであると判断された。
留意点として、かかる見積りにはリスクおよび不確実性の評価も含まれている。
第三者施設であるラアーグ(Orano)およびフェニックス(CEA)
施設の廃炉の責務は施設の運営者に課せられることから、EDFはこれらの操業に係る財務的な義務から解放されることを望ん
でいる。
そのため、2010年7月にOranoとの間で、また2008年後半にCEAとの間で締結された契約では、両当事者による財務上の責任
が明確にされている。EDFは、現金を支払った後は、操業停止したフェニックスの施設およびラアーグの発電所の廃炉に関する
すべての資金調達義務から解放された。
( ト) 長期的な原子力コミットメントを満たすための資産(運転サイクルに関するものを除く。)
1999年より、長期的な原子力関連コミットメントを満たすための専用資産が徐々に積み立てられている(2018年12月31日に
終了した年度の連結財務書類の注記45.2「ポートフォリオの内容および測定」を参照。)。
フランス環境法第L.594条およびその施行規則により運転サイクルに関連しない負債が規定され、したがって、かかる引当金
は専用資産により賄われなければならない(2018年12月31日に終了した年度の連結財務書類の注記45.4「長期原子力債務の填
補率」を参照。)。
( ⅱ) 新たな原子力プロジェクト
58/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
「第3 2(1)⑤当グループの原子力事業に関する特定リスク」の「解説5D:複雑なプロジェクトの管理リスク(リスク
要因4A)に加えて、EPRプロジェクトの成功は、特定の産業、規制および財政要因に左右される。」と称するリスク要因も参
照。
( イ) フラマンビル3EPRプロジェクト
EDFは、フラマンビル3のEPR(欧州加圧水型原子炉)プロジェクトを保有および管理している。
原子力安全当局(ASN)との対話および行政許可
ASNは、2015年3月に提出された稼働許可申請書の審査の最終段階に入っている。ASNの委託を受けた3つの専門家委員会
が、かかるEPRが満たすべきすべての技術要件の集約を支援した。2018年度上半期末に常任の専門家グループの会合が開催さ
れ、この施設の稼働の許可を視野に入れた安全性の実証について賛成意見を表明した。しかしながら、同施設の稼働は、主要
二次システムの溶接の審査、起動試験の結果および当該ボイラーのESPN( 原子力圧力機器 )に対する安全性認証の付与を条件
とされている。
ASNは、温態機能試験の実施に関する一部稼働許可に関する決定を下した。また、排出量に係る命令も更新され、同施設の環
境フットプリントが減少する。
敷地への燃料搬入許可を目的とした一部稼働許可申請書は、ASNによる最終審査中である。2019年度上半期に、関連する決定
の草案が公開討議に供されなければならない。
2018年10月9日、EDFは、DGEC(フランス気象エネルギー総局)に対して、運転許可申請書を送付した。
現場作業の進捗
同現場では、毎日3,600人近くが動員され、未だに高い作業レベルにある。
2018年末には電子機器設備の98%超が組み立てられ、残りの作業はシステム性能試験が実施され次第行われる。
2018年には、以下のとおり多くの主要な段階が達成された。
・稼働時の圧力を上回る240バール超の圧力下での一次システムの漏洩試験等の、数回の試験が実施される、「冷態機能」試験
が行われた。
・2018年4月、原子炉建屋の圧力試験に成功した。これは、建屋内の気圧を大気圧の6倍まで加圧し、コンクリート構造物の
適切な力学的挙動および機密性を検証することを目的とした、「空気中方式」による試験であった。
・2018年9月初旬に計装制御の配置の統合が行われ、約250の変更がなされた。これにより、一貫しかつ固定された配置の計装
制御により温態機能試験を実施することができる。
現在、フラマンビル3の稼働に関する3つの主要な課題は以下のとおりである。
・主要二次システムの溶接処理の戦略が承認されること、次いで主な利害関係者(ASN、パートナーおよびその下請業者)と協
働して修復作業を成功させること
・稼働日までに準備が完了するように、安全性および品質に係る基準ならびにスケジュールに沿いつつ試験を迅速化すること
・短期の作業計画を最大限に最適化するため、設置完了作業を事業化し、また同施設の組織体制を新たな段階へと移行するこ
とで段階的に運営事業者に施設を引き渡すこと
機器製造の品質
2018年末現在、従来のアイランド等の原子力部門の設備のほとんどは、敷地に搬入・設置された。Framatomeにより製造され
た一次冷却システムの品質状態は以下のとおりである。
原子炉格納容器
2017年度上半期、ASNは、FramatomeがEDFの監督下で提出した書類に基づき、炭素レベルが「想定を上回った」容器の上蓋お
よび下鏡の審査を行った。ASNは、ASNが任命した専門家グループによる2017年10月11日付の意見に基づき、容器の上蓋および
下鏡の機械的性能は、事故発生の場合を含めて、要件を満たしていると判断した。
2018年10月9日、ASNは以下の事項を認可した。
・容器下鏡の稼働(適切な検査を条件とする。)。
・検査の技術的な実現可能性が容器下鏡と同等であることが判明しない限り、耐用年数を2024年までに制限した上で容器上蓋
を稼働すること
現在、EDFは、容器上蓋の供用期間中検査法の開発プロジェクトに取り組んでおり、この作業方法が産業的に実現可能である
場合には、2019年にASNに対して現行の容器上蓋を維持するための申請を行うことを目指している。かかる認可が得られない場
合、代替の容器上蓋の製造に係る費用の一部または全部をEDFが負担しなければならない。これらの費用は、該当する場合に
59/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
は、稼働後に発生することから、目標建設費用には含まれていない。さらに、EDFは、この件に関してAREVA SAに対し仲裁手続
を開始した。
破断防止および主要二次回路の溶接における品質不具合に関する問題
2017年11月30日、EDFは、蒸気発生器からフラマンビル3EPRのタービンへ蒸気を運搬する主要二次配管の溶接品質における
不具合の発見に関して、原子力安全当局に対し重大事象の申告を行った。
蒸気発生器からフラマンビル3EPRのタービンへ蒸気を運搬する回路(主蒸気管)は、「破断防止概念」に基づき設計および
製造された。この手法は、設計、製造および稼働中の監視に係る要件の厳格化によるものである。EDFの要求により厳格化され
たこの要件には、これらの回路の建造に係る「高度な」要件も含まれている( これらの要件の提示後は、安全性実証試験にお
ける配管破断の仮定については検証の必要がなくなった。安全性実証試験において、事故は物理的に不可能であるかまたは極
めて可能性が低く、許容される経済状況において、また高い信頼性から、その影響は限定的であることが証明された。 )。
しかしながら、これらの要件は設計段階で適用されたものの、溶接段階では正確に理解されていなかった。これらの要件の
不遵守は、必ずしも原子力圧力機器に係る規制の不遵守を意味するものではない。
また2018年3月21日以降、EDFは、当初包括的検査において、フラマンビルEPRの主要二次システムの配管の溶接に品質の不
具合を発見した。当初包括的検査は、発電所の稼働に先立つ規制要件であり、特に、一次システムおよび二次システムの溶接
の検査が行われ、稼働前の発電所の当初参照状態が設定される。
産業上の手続に従って、溶接は当該システムの製造を担当した請負業者のコンソーシアムにより検査されていた。同コン
ソーシアムにより、各溶接について、施工完了時に基準に適合していることが申告されていた。
2018年4月10日( 「EDFが、フラマンビルEPRの主要二次システムの一部の溶接における品質の不具合を発見、追加の審査を
開始」と題する、2018年4月10日付のEDFのプレスリリースを参照。 )、EDFは、これらの溶接の検査における不具合の発見に
関して、ASNに対し重大事象の通知を行った(主要二次システムの一部に関しては、「破断防止」要件の適正な適用に関して、
既に不具合が生じている。)。
このためEDFは、2018年度第2四半期に、主要二次システムにおける対象となる150か所の全溶接について、新たな点検を実
施した。
150か所の全溶接の点検の結果は以下のとおりである。
・品質不具合のある33か所の溶接は、修復の必要がある。品質不具合のある溶接の修復作業は、2018年7月末より現場で開始
された。
・EDFはまた、この他に欠陥はなかったがEPR設計段階においてEDFが定義した「破断防止」要件に合致しない20か所の溶接につ
いて、修復することを決定した。初回の溶接是正措置の記録がASNに対して送付され、現地での溶接は2018年11月に開始され
た。
・これ以外の10か所の溶接について、EDFは、当該施設の全操業期間にわたる高水準の安全性を確保するための特定の検証方法
をASNに提案した。最終分析の結果、この数は8か所に減少した。さらに、これら8か所の溶接のうち1か所に小さな品質不
具合があることが、検査後に認められた。ASNは、上記の特定の検証方法について、今後数か月にわたり綿密な調査を行う予
定である。
稼働スケジュールおよび建設費用
2018年7月25日( 「フラマンビルEPRの主要二次システムにおける溶接:EDFによる是正措置の策定ならびにスケジュールお
よび目標建設費用の調整」と題する、2018年7月25日付のEDFのプレスリリースを参照。 )、当グループは、これらの点検につ
いての進捗報告書を発表し、これに対応してスケジュールおよび目標建設費用を修正した。
・燃料装荷の目標は2019年度第4四半期末に設定され、このため温態機能試験は2018年末に開始予定となった。
・目標建設費用は、10.5十億ユーロから10.9十億ユーロ( ユーロ(2015年)。中間利息を除く。 )に増加した。
2019年1月21日( 温態機能試験のスケジュールについては「フラマンビルEPR:進行状況」と題する、2019年1月21日付の
EDFのプレスリリースを参照。 )、EDFは、温態機能試験のスケジュールが見直され、2019年2月後半に開始予定となることを
発表した。温態機能試験は、2019年2月22日に開始された。
スケジュールおよび建設費用の見積額は、依然として厳しいものである。これらには、上記のASNによる行政許可の日程が含
まれており、この日程は特に、当グループが2019年1月31日付で発表したプレスリリースに記載されるとおり、主要二次シス
テムにおける溶接の加工についてEDFが検討している方法の審査の完了に左右される( ASNの声明については「フラマンビル
EPR:進行状況」と題する、2019年1月31日付のEDFのプレスリリースを参照。 )。
2019年1月29日、ASNの委員長は、ASNは主要二次システムの溶接の検証プログラムに関する声明を2019年5月に発表する予
定であり、また「原子炉建屋内の溶接8か所においても交換が必要と判明した場合、期日に間に合わせるのは不可能になるだ
ろう」と発表した。このため、フラマンビルのEDR施設における特にスケジュールおよび建設費用に関する詳細な進行状況は、
60/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ASNによる裁定の公表後に発表される予定である。現段階では、EDFは、ASNの決定において提案されている方法が認証されな
かった場合の影響を評価することはできない。
2019年3月11日、EDFは、同原子炉の稼働期日を2023年4月11日まで延長するための建設許可命令の修正申請を、環境連帯移
行省に対して念のために送付した。
61/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( ロ) 「新たな原子力」のその他のプロジェクト
英国
英国においては、EDF Energyがヒンクリー・ポイントにおける2つの原子力発電所の建設プロジェクトの66.5%を保有して
おり、残りの33.5%はChina General Nuclear Power Corporation(CGN)が保有している。新規の原子力発電所建設事業ユ
ニット(NNB)がプロジェクト保有者であり、新たな原子力プロジェクトおよびエンジニアリング部門が設計調査を担当してい
る。
EDFはまた、CGNとのパートナーシップの一環として、英国における2つの原子力発電所建設プロジェクト(サイズウェルC
およびブラッドウェルB)にも取り組んでいる。
「第2 3(2)⑤(ⅰ)(ロ)(d)新規の原子力発電所建設事業」を参照。
台山のEPR
中国においては、EDFは、中国の広東省台山に2基のEPR原子炉を建設および操業するために設立されたTNPJVC(Taishan
Nuclear Power Joint Venture Company Limited)の30%を保有している。CGNは51%、Yudeanは19%の持分を保有している。
2018年には、1号機において以下の主要な稼働段階が達成された。
・容器への燃料装荷
・電力網への接続
・最大出力での運転
・2018年12月13日に発表された商業稼働。これにより、台山原子力発電所は、商業運転を開始した最初のEPRとなった。
2号機においては、性能試験段階における多くの重要な段階が達成された。EDFは、台山プロジェクトへの技術サポートを継
続しつつ、同時にこれらの事業からのフィードバックを他のEPRプロジェクトのために収集した。
2号機に関しては、数種類の主要な試験が実施された。2018年7月には、一次システムの水圧試験を含む冷態機能試験が完
了した。2018年10月には、原子炉建屋の漏洩試験の実施に成功した。2019年1月には、温態機能試験が完了した。
台山のEPRプロジェクトは、2019年においても継続し、2号機において容器への燃料装荷準備が行われる。2019年度上半期に
おける課題は、中国の安全当局による稼働許可の交付に関連するものである。
現在まで、1号機の商業稼働は、EDFの想定を下回る暫定料金に基づくものであった。発電事業者と中国当局との議論により
最終的な料金が決定され、第3世代の原子力発電所に対して、商業稼働日から遡及的に適用される。
EPR 2
EDFは、2016年末に、原子力安全規制当局に対して「EPRの新型モデル」(NM EPR)プロジェクトに関する安全オプション・
ファイルを提出し、原子力安全規制当局は2017年にこれを審査した。2018年初めに、原子炉に関する常任の専門家グループ
は、かかる安全オプション・ファイルに対する結論を提出した。特に、同専門家グループは「NM EPRプロジェクトに用いられ
る設計における変更点のほとんどは、フラマンビルのEPRおよび現在運転中の原子炉からのフィードバックからの教訓ならびに
福島第一の事故からの教訓を踏まえたものである」とし、また「多くの取組みにつながった技術審査における議論を踏まえて
補完または変更されたNM EPRプロジェクトに用いられる設計オプションは、少なくともフラマンビル3EPRの原子炉と同等の安
全水準を確保している可能性が高く、(加圧水型原子炉の設計に関する)ASN指針第22号の提言に適合していると考える」と結
論付けた。
2017年、ASNによる安全ファイルの審査と並行して、EDFおよびFramatomeによるEPRの新型モデル・プロジェクトの作業は、
フランスで現在稼働中の原子力発電所を代替する可能性があり、ひいてはフランスの原子力産業の輸出事業を強化する可能性
のあるモデルの技術構成の完成に至った。この結果、NM EPRプロジェクトは「EPR2」と改称された。この技術構成は、NM EPR
の安全ファイルの審査中に原子炉に関する常任の専門家グループにより発表された提言のほとんどを、予め統合している。
ASNは、常任の専門家グループによる結論およびEDFによる質問への回答に基づき、EPR2プロジェクトから2016年に提出され
た安全オプション・ファイルに関する意見を2019年初めに発表する。
フランスにおける新規の原子力発電所建設プログラムの準備
2019年1月25日、フランス政府は、複数年にわたるエネルギー計画の主要な方針を発表した。政府は、かかる方針に従っ
て、フランスにおける原子力発電所の更新プログラムの適切な内容を決定するため、2021年半ばまでに原子力部門とともに徹
底的な取組みを実施すると述べた。フランス政府と原子力部門戦略委員会(CSFN)との間で2019年1月28日付で締結された部
門契約には、フランスにおける新規の原子炉建設プログラムの実施に必要な産業容量の準備に係る項目が含まれている。
EDFは、この取組みに沿うために、EPR2技術に基づき、経済的および産業的な提案の準備を開始した。EDFは、フランス政府
がかかる産業プログラムの資金調達に係る適切な規制枠組みを決定できるように情報提供を行う。
62/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
開発中のプロジェクト
2018年3月、EDFは、インドの国営電力会社であるNuclear Power Corp of India Ltd.(NPCIL)との間でインドのジェイタ
プール用地におけるEPR原子炉6基の建設に向けた拘束力のない産業協働契約を締結した。この契約は、特にEDFおよび
Framatomeによるニュークリア・アイランドに係るすべての調査および設備の供給を含む、産業的な枠組み、パートナーの役割
および責任、ならびに次の段階を規定している。2018年5月に、EDFの作業範囲に関して、最初の商業的および技術的な提案が
提出された。2018年6月、EDFおよびGeneral Electricは、ジェイタプールのプロジェクト支援のため、6基の原子炉の従来型
アイランドの建設に関する、長期的パートナーシップに関する戦略的協働契約を締結した。2018年末に、EDFおよびそのパート
ナーにより、総合的かつ条件付の拘束力のない提案が顧客に対して提出された。
またEDFは、サウジアラビアにおいてK.A.CARE(アブドラ国王原子力・再生可能エネルギー都市)が開始した原子炉2基の建
設プロジェクトに関する入札の募集にも応札している。2018年6月の第1段階の終了時に、EDFは、手続の次の段階に選出され
たことをK.A.CAREより通知された。
中出力部門においては、EDFは中国(CGN)および日本(三菱重工)との長年のパートナーシップに依存している。当グルー
プは、2つの中出力技術(CGNとのUK HPR1000および三菱重工とのATMEA1)を通じて、市場機会を活用していく方針である。UK
HPR1000テクノロジーに関しては、EDFおよびCGNは、ジョイント・ベンチャー(GNS)を通じて、英国の安全当局による同技術
の認証に向けて協働している。
フランスおよび英国以外におけるこれらすべての新規開発プロジェクトにおいて、EDFグループは技術提供業者および産業
パートナーとしての位置付けを目指している。EDFグループは、この点において、プロジェクト管理に関するリスクに晒される
可能性があるが、出資者として財務体質に影響を受ける可能性はない。
( ハ ) 原子力エンジニアリングのデジタル変革( SWITCH プログラム)
2017年7月の設立以降、このプログラムは、現行の新たな原子力プロジェクトの管理、稼働中の発電所の耐用年数の延長、
海外展開およびデジタル変革の導入に関連する分野において、EDFのCAP2030戦略に寄与している。これは、Framatomeを含む
EDFの原子力部門の全事業者が参加する複数部門にわたるプログラムである。
このプログラムは、以下を通じてエンジニアリングの転換点となることを目指している。
・大規模な産業プロジェクトの複雑性をその耐用年数にわたってより良く把握するために、手法の中でも特にシステム・エン
ジニアリングに係る基準の適用を通じて、プロセスおよび手法を変革および簡略化すること
・拡大企業モデル内の統合された共同の産業用高性能情報システムを基盤とする、データ中心のアプローチを用いて、プロセ
スをデジタル化すること
これに関連して、2017年に開始された入札の募集により、2018年度第2四半期にPLM(製品ライフサイクル管理)ソリュー
ションの供給業者としてDassault Systèmesが選出され、PLM(発電所の耐用年数管理)ツールを担当するインテグレーターと
してCap Geminiが選出された。
SWITCHプログラムは、2018年度第4四半期に運用段階に入り、ESPN(原子力圧力機器)、RTI(エンジニアリング技術基
準)、EPR2およびHPC等の範囲における変革の作業を開始した。
( ⅲ) Framatome
Framatomeは原子力エネルギー市場の国際的な大手企業であり、その事業は、原子力蒸気供給システムの設計および製造、な
らびに装置、計装制御(I&C)システムおよび燃料の設計、供給および設置である。Framatomeは、その顧客を発電所の稼働ま
で支援し、あらゆる関連サービスを提供している。
Framatomeは、世界中に14,000人を超える従業員を擁し、その専門技術により、顧客の原子力発電所の安全性および性能の向
上ならびに経済的・社会的目標の達成を支援している。
Framatomeは、フランス(17か所)、ドイツ(4か所)、米国(7か所)および中国(8か所)において、業界で大きなプレ
ゼンスを占めている。同社は、南アフリカ、アルゼンチン、ブラジル、ブルガリア、カナダ、韓国、スペイン、ハンガリー、
日本、チェコ共和国、英国、ロシア、スロバキア、カザフスタン、スウェーデンおよびウクライナにおいても、業界または営
業でのプレゼンスを有する。
Framatomeは、EDF(75.5%)、三菱重工業株式会社(三菱重工、19.5%)およびAssystem(5%)により保有されており、
2017年12月31日よりEDFグループの連結財務書類に含まれている。
( イ) Framatomeの戦略、市場およびビジネス機会
63/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
Framatomeの戦略は、その主要事業(すなわち原子力蒸気供給システム)に基づいており、安全で競争力のあるソリューショ
ンを提供し、その産業化を行い、産業部門の一環としてプロジェクトを遂行することを目標としている。
Framatomeは、実績のある持続可能な専門技術、実行力、機敏な組織、安全で競争力のあるソリューションおよび国際的な発
展の5つの戦略軸を活用することで、その進展を支えている。
同社の顧客基盤は、国際的な大手エネルギー企業を含み、世界中の250基を超える原子炉で作業をしている。
Framatomeは、あらゆる技術の原子炉における経験をもって、世界中の顧客のニーズに対応することができる。
原子力市場は、現在世界の32か国で稼働している約392GWeに相当する450基の原子炉( 出典:CEA-Élecnuc、2018年版、2017
年 12 月 31 日 時 点 の 数 値 (http://www.cea.fr/english/Documents/scientific-and-economic-publications/Elecnuc-
2018.pdf) )および予定されている新規の原子力発電所により、燃料、近代化およびサービスの分野において機会を提供す
る。Framatomeの目標は、差別化された提案および輸出パートナーシップにより市場シェアを拡大することである。
( ロ) Framatomeの事業
原子力発電所の設計および建設において60年にわたって築いた経験をもって、Framatomeは、原子炉技術全般において、プロ
セスのすべて段階で存在感を示している。同社は、熟練のエンジニアおよび技師を擁し、現在までに世界中で90を超える原子
力発電プロジェクトを完了している。
エンジニアリング
Framatomeの専門家は、原子力蒸気供給システムを構成する装置の主要品目の設計に特化しており、これには、機械学、冶金
学、中性子工学、科学計算業務、流体力学、リスク分析および原子力安全性分析が含まれる。Framatomeのエンジニアリング業
務には、「ニュークリア・アイランド」ともいわれる発電所の心臓部、および原子炉の一次回路の主要部品(蒸気発生器、ポ
ンプ、加圧器および原子炉圧力容器等)が含まれる。その専門家および技術者は、新たなEPR原子炉等の主要な新規原子力発電
所建設プロジェクトに積極的に関与している。
機器の製造
Framatomeの機器は、11か国の100を超える発電所において装備されている。Framatomeは、フランスのル・クルーゾ、サンマ
ルセルおよびジュモンの各工場において、新規の発電所への装備または稼働中の発電所の機器の交換のために、世界中の電力
会社向けの原子力蒸気供給システムの主要な機器を製造している。同社は、先端技術の重機(原子炉圧力容器、蒸気発生器
等)および移動式機器(原子炉冷却ポンプおよび制御棒駆動機構)を製造している。1970年以降、約10,000の機器がその製造
所で、Framatomeの鍛冶作業員、機械工、材料技術者、機械検査技術者、ボイラー製造者および溶接士によって製造されてい
る。
2018年、同社は、1月末にフランス原子力安全当局(ASN)およびEDFからフランスの原子力施設向けの鍛造部品の製造再開
の許可を得た後、原子力産業向け重機の製造に特化しているバーカンディーのル・クルーゾ工場での増産を継続した。ル・ク
ルーゾ工場は、フランスの原子炉向けの交換部品の供給のみならず、海外の新規建設プロジェクト(特に英国のヒンクリー・
ポイントCにおけるEPR原子炉プロジェクト)向けに主要な鍛造部品の供給も行う。
計装制御システム
Framatomeは、稼働中および新規の発電所向けに安全な原子力計装ソリューションおよび計装制御システムの設計、製造およ
び設置を行う。そのソリューションは、安全計装制御システムから通常操作の自動化システムまで、原子力計装からライフサ
イクル・ソリューションまで、シミュレーターおよびグローバルな計装制御エンジニアリングの専門技術からヒューマン・マ
シン・インターフェイス・デザインおよびヒューマン・ファクター・エンジニアリングまで、多岐にわたる。Framatomeは、こ
れまでに世界中のあらゆる型の原子炉に、300を超える完全な計装および計装制御システムを設置した。
2018年、Framatomeは、EPZ(Elektriciteits-Productiemaatschappij Zuid-Nederland)が運営するオランダのボルセレ発電
所のデジタル計装制御システムの近代化を完了した。プロジェクトは2014年に開始され、これには発電所の運営を監視するた
めの、新たな原子炉制御・出力制限システムの設置が含まれていた。
また、Framatomeは、中国の発電所の田湾原子炉3号機に、実績のあるTELEPERM XSプラットフォームに基づいた完全な計装
制御(I&C)システム、これに対応する計装、I&C電源キャビネットおよび稼働中のI&Cシステムを提供している。
燃料
Framatomeは、加圧水型原子炉、沸騰水型原子炉および研究用原子炉の燃料集合体の設計、開発および製造を行う。同社のノ
ウハウは、燃料集合体の設計から、ジルコニウムおよびその合金(ジルコニウムは燃料生産において極めて重要である。)の
製造、燃料製造および関連サービスならびに原子力発電所の稼働に至るまで、全過程に及ぶ。同社は、最高の性能および安全
64/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
性を確保するために、燃料管理全般から専用ライセンスまで、関連するすべての計算を行う。Framatomeの226,000本を超える
燃料集合体が、世界中で稼働している100基を超える原子炉に装荷されている。
2018年に、Framatomeおよび中国グループのCNNCは、そのジョイント・ベンチャーであるCASTを通じて、福清原子力発電所5
号機の「華龍1号」に燃料被覆管の初回分を搬入した。これらのジルコニウム合金管は、原子炉の安全かつ効率的な稼働に寄
与する。2年に及ぶ継続的かつ安定的な生産後、51,494本の被覆管(198キロメートル、すなわち185本の燃料集合体に相当)
がCASTの発電所により供給される。
また、同社は、2018年に、その先進燃料であるATRIUM 11を米国のサスケハナ原子力発電所に供給する旨の契約をTalen
Energyと締結した。同社は、2021年1月に、ペンシルバニア州バーウィックに所在する施設に6回にわたって再装荷される燃
料の初回分を供給する予定である。
原子力発電所の稼働および使用許可
Framatomeは、世界中で現在稼働中のあらゆる型の原子炉について、原子力安全当局と国際的な協働の経験が豊富である。同
社はまた、各安全当局との関係を通じて、現行規制を適用して、事業者に対し支援を行う。Framatomeは、フランスにおいて、
原子力圧力機器に関する法令( Arrêté relatif aux Équipements Sous Pression Nucléaire (ESPN) )の適用に関して専門知識
を有する。同社の顧客は、機器が要件を満たすようにし、適格性研究および関連書類の作成において支援を受けるために、技
術センターおよび検査施設を利用することができる。
原子力発電所の維持管理および近代化ならびにその耐用年数の延長を図るためのサービスおよびソリューション
Framatomeは、稼働の安全性、性能および利用率を確保しながら、既存の原子力発電所の維持管理および近代化を図り、既存
設備の耐用年数を延長するために、革新的なソリューションおよびサービスを提供している。Framatomeは、各種技術および世
界中の250基を超える原子炉の維持管理において、60年にわたる国際的な経験を有する。そのチームは、維持管理、部品交換、
検査・点検、燃料交換、および維持管理のための原子炉停止の最適化された管理に関して専門技術および知識を有する。具体
的には、その業務は、燃料集合体の供給および関連サービス、機器および予備部品の管理、I&Cの近代化ならびに化学的・放射
化学的サービスに及ぶ。
2018年に、Framatomeは、米国南東部にある3つの原子力エネルギー施設の31の原子炉冷却ポンプ電動機の改修を完了した。
同社は、2002年から2018年5月までの間に、これらの部品の変更および改良を行い、その再設置以降、信頼度は100%となり、
故障ゼロの性能を実現した。原子炉冷却ポンプ内の電動機は、原子炉心の一次回路の周りでの冷却材の循環を可能にする。
同年、Framatome、Bureau VeritasおよびDoosan Babcockは、英国において原子力設備能力の認証サービスを提供するための
アライアンスであるEQUALLE™を設立した。
大規模プロジェクトの管理
Framatomeは、新規原子炉プロジェクトの建設において、その設計から調達・供給、稼働まで携わっている。
そのチームは、複雑なプロジェクトの管理について広く認められた専門技術をもって、最も厳しい安全基準を満たし、顧客
の要求を満たすことを任務としている。新規の建設プロジェクトの場合、同社は、ニュークリア・アイランドについてソ
リューションを提供する。Framatomeは、フランス(フラマンビル3)、中国(台山1および2)および英国(ヒンクリー・ポ
イントCの原子炉2基)の5基のEPR原子炉の建設および稼働に、EDFとともに積極的に関与している。
2017年に、EDFおよびFramatomeは、フランスおよび世界中で新規の原子力発電所を建設するための共同エンジニアリング子
会社である EDVANCE を設立した(「第2 2 沿革」を参照。)。
( ハ) 2018年におけるFramatomeの主要な実績
1月に、Framatomeは、核燃料の設計、エンジニアリングおよび核燃料関連サービスにおける協働の拡大、原子力発電所のデ
ジタル計装制御における連携の強化ならびに稼働中の原子力発電所の維持管理、安全性確保および操業上の改良における協力
関係の強化を目的として、中国パートナーであるCNNCと共同開発契約を締結した。これと同時に、CNEIC(CNNCの子会社)との
間で、燃料集合体用の部品について10年間の主要な更新契約が締結された。
同時期に、米国では、LightbridgeおよびFramatomeが、Lightbridgeの設計した金属燃料技術およびその他の先端の核燃料に
関する知的財産に基づき核燃料集合体の開発、製造および販売を行う、出資比率50対50のジョイント・ベンチャーである
Enfissionを立ち上げた。
2月に、Framatomeは、Schneider Electricの原子力計装制御事業の取得を完了した。この取引により、Framatomeは、その
エンジニアリングの専門技術を強化し、計装制御(I&C)製品を拡大している。
65/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
4月には、FramatomeおよびVattenfallが、スウェーデンの原子炉であるフォルスマルク3ならびにリングハルス3および4
に2021年から2024年までの間に10回にわたって再装荷される燃料集合体の搬入につき契約を締結した。これらの契約には追加
で、2024年以降、各原子炉につき2回の再装荷を行うオプションが含まれる。
5月に、Framatomeは、米国に有する全原子力発電所について蒸気発生器の維持管理サービスを提供するために、Dominion
Energyと数百万ドルの契約を締結した。点検および維持管理の作業は、2018年から2020年の間に行われる8回の操業停止中に
実施される予定である。
6月末に、Framatomeの支援により、中国の台山原子力発電所1号機の送電網への接続が初めて成功した。これは、6月6日
に最初の臨界に達した後、発電を開始した世界初のEPR原子炉となった。
また、Framatomeは、2018年9月に、フランスにおけるEDFの900MWe系列の原子炉の計装制御(I&C)システムの更新について
契約を締結した。2015年より既に行われている研究に沿って、現場における最初の操業は、2019年に900MWe系列の原子炉の4
回目の10年点検と同時に開始される。
11月に、Framatomeは、原子炉の耐用年数延長プログラムの更新の一環として、革新および新たな業務に関する覚書をカナダ
のBruce Powerと締結した。
( ニ) 原子力施設
基礎原子力施設(BNF)
Framatomeのロマン工場には、2つの基礎原子力施設(BNF)、すなわちBNF第63号(研究用原子炉向け燃料部品の製造
(CERCA))およびBNF第98号(原子炉向け燃料集合体の製造)がある。2018年7月、Framatomeの設置基盤事業ユニット内の
SOMANU( Société de Maintenance Nucléaire )の工場は、その形態をBNFから環境保護指定施設(ICPE)に変更した。
原子力の安全性に関する2018年の実績 ( Framatomeの目的は、その業務に関連して生じるすべての不具合および異常を発見し、
報告し、考え得る最善の方法で取り扱うことである。この指標は、経験の共有を強化し、分析を拡張し、弱いシグナルを重視
することを目的としている。INESスケールでレベル0と申告された事象は、安全性の偏差であり、「弱いシグナル」とみなさ
れる。業務を行う上で、より良いリスク回避の管理のための継続的な改善プロセスの一環として、これを考慮することが不可
欠である。Framatomeは、「弱いシグナル」に関する報告および経験の共有を促進するために、不具合を発見して記録する。独
立した安全性審査部門による後者の分析により、安全当局への報告レベルを判断する。 )
2017年と同様、Framatomeのロマン・シュル・イゼール工場およびSOMANUの工場のいずれにおいても、安全性または放射線防
護に関する重大事象はなかった。
2018年に、Framatomeのロマン・シュル・イゼール工場は、INES0に分類される重大安全性事象(ESS)16件およびINES1に
分類されるESS4件を申告し、INES2に分類されるESSはなかった。申告された事象の件数は、2017年と比較して横ばいであっ
た。
2018年に関して申告された事象で、従業員、一般市民または環境に影響を及ぼすものはなかった。
原子力の安全性に関する2018年の実績の詳細は、原子力安全総括監査官が作成する年報およびFramatomeのロマン・シュル・
イゼール工場のTSN報告書において公表され、ウェブサイト(www.framatome.com)で入手可能である。
専用資産
長期的な原子力コミットメントを満たすために専用資産が積み立てられている(2018年12月31日に終了した年度の連結財務
書類の注記45.6「FRAMATOMEおよびSOCODEIの専用資産」を参照。)。
( ⅳ) フランス本土における火力発電
2018年のフランスにおいて消費が低迷している状況(-1%)で、化石燃料による火力発電量は減少し、「接続グループ」
の役割を果たした。
2018年、EDFのフランス本土に所在する火力発電所からの発電量は、その全発電量の約2.5%を占めた。同年において、この
発電設備は、合計設備容量5,525MWを有していた。
火力発電資産は、高い感応性および柔軟性(立上りが迅速で、電力調整が可能である。)を有し、投資費用が比較的少額で
建設期間が短いなど多くの利点を備えている。
火力発電資産は、電力消費ならびに再生可能エネルギー発電量(特に太陽光発電および風力発電)の変動に対応し、生産と
消費の均衡をリアルタイムで確保する、エネルギー構成における重要な要素の1つである。水力発電設備の一部(貯水池およ
び揚水発電所)とともに、火力発電資産は、ミッドメリット時およびピークロード時の電力要求に対処するために使用され
る。火力発電資産はまた、システムの制御に役立っており、これにより送電網全体にわたり適切な電圧および周波数のレベル
を維持することに寄与している。
66/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( イ) フランス本土におけるEDFの火力発電
2018年12月31日現在、EDFが運営する火力発電施設は、燃料および電力の両方に関して、様々な種類から構成されていた。
発電量 (TWh)
2018 年12月
31 日現在
ユニット
稼働
2018 年 2017 年
容量 (MW) 合計容量 (MW)
燃料 ユニット数 開始年
12 月31日 12 月31日
1983 年および
石炭 580 3 1,740 3.9 6.1
1984 年
燃料油 - - - - - 0.5
1980 年および
85 ▶ 340
1981 年
203 1 203 1992 年
134 1 134 1996 年
燃料油ならびに
二重燃焼タービン 0.2 0.5
1998 年および
125-129 2 254
(ガスおよび燃料油)
2007 年
185 2 370 2010 年
2008 年および
179-182 3 542
2009 年
427 1 427 2011 年
コンバインド・
2012 年および
サイクル・ 6.9 9.0
465 2 930
2013 年
ガス・タービン
585 1 585 2016 年
( ロ) 火力発電に関する課題
ミッドメリット時の需要を満たすための石炭発電所の刷新および石炭の比率を削減するための混合燃焼の研究
EDFは、2013年から2015年における石炭火力発電ユニット10基の閉鎖後、最新技術に基づく3基の発電所(ル・アーブルの1
基、コルドメの2基)からなる1か所の石炭発電所を維持している。これらの石炭火力ユニットについては、信頼性および効
率性改善のための刷新プログラムが2014年から2016年の間に完了した。
それらの設備は、燃焼排ガスの脱硫および脱硝システム(二酸化硫黄排出の90%を削減し、酸化窒素排出の80%を削減す
る。)ならびにほぼすべての煤塵を捕捉する集塵装置を装備している。これらの措置により、上記のユニットが2016年以降に
有効な環境規制上の要件を満たすことが可能となった。
石炭およびグリーン・バイオマスの混合燃焼プロジェクトも2016年に開始された。2016年2月にコルドメにおいて実施され
た石炭およびバイオマスの混合燃焼の試験では、技術的性能を低下させることなくバイオマスを細かく粉砕し、燃焼させるボ
イラーの技術的能力(20%)が実証されている。試験は2017年にも続けられ、2018年には発電所残留物の高密度化に関するパ
イロット試験が計画されていた。2018年に実施された試験では、EDFの石炭ボイラーによる80%のバイオマス混合燃焼の実行可
能性およびパイロットの蒸気爆発プロセスによるバイオマスペレットの生産能力が実証された。
このプロジェクトは、「エココンバスト」と呼ばれるもので、2022年までに石炭発電を全廃し、バイオマス資源を開発する
ことを目指す、2017年7月の気候プラン、国家低炭素戦略(SNBC)および複数年にわたるエネルギー計画(PPE)の理念に沿っ
ている。2019年1月24日、EDFおよび環境連帯移行省は、エココンバスト・プロジェクトの決定に先立ち、作業計画を承認し
た。2019年に、この作業計画は、技術テスト、環境に対する影響調査およびプロジェクトのビジネスモデルの要件を満たすは
ずである。技術面、経済面および環境面で満足のいく結論が得られることを条件として、フランス政府および地方当局との継
続的な議論を経て、EDFは、2022年から燃料生産の産業化段階を開始する。
より一般的に、当グループは、そのすべての火力発電所の実績を最適化するための取組みを行っている。
燃料油火力発電所の閉鎖
EDFは、長年にわたってほとんど使用されていなかったアラモンの火力発電所を2016年4月1日付で、またポルシュヴィルお
よびコルドメの火力発電所の2つのユニットを2017年の春に永久的に操業停止することを決定した。
またEDFは、最後の燃料油火力発電ユニット(コルドメの3基)について、2018年の春に永久的に操業停止した。
天然ガスコンバインド・サイクル・タービン火力発電所の近代化
EDFは2011年に、ブレノにおいてフランスで最初のコンバインド・サイクル・ガス・タービン(CCGT)発電所の操業を開始
し、その後2012年および2013年にマルティーグにおいて2基のCCGTの操業を、続いて2016年にはGeneral Electricと提携して
67/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ブシャンにおける次世代CCGT発電所の操業を開始した。かかる火力発電所の近代化により、二酸化酸素、二酸化窒素および硫
黄酸化物の空気中への排出が削減された。
マルティーグのGCCTは、蒸気タービン、コンデンサーおよび水処理設備といったその設備の一部を再利用して、かつての燃
料油火力発電ユニットをリパワリングしたものであった。この発電ユニットの改良は欧州で初めて行われたものであった。マ
ルティーグの敷地の設備容量は930MWであり、その発電量は50%超と、石炭火力発電ユニット等の発電量を著しく上回るもので
ある。
ブシャンのCCGT発電所は、General Electricの新種の大容量「9HA」タービンを備えている。この革新的な9HAタービンを備
えたCCGTは、その容量(30分未満に600MWの発電が達成可能)および発電量(基準型のCCGT発電所における57%から58%の間の
平均発電量に対して60%超)が向上しており、2015年に操業停止された近隣の旧型の石炭火力発電所の二酸化炭素排出量の3
分の1に値する、平均約360g/KWhという良好な環境パフォーマンスを提供する。この発電所は、特定の運転条件において、過
去最高となる62.22%の発電量を達成した。同発電所は、2016年春に稼働開始してから2017年12月にその所有権がGeneral
ElectricからEDFに引き渡されるまで、プロトタイプとしての検査が行われた。同施設は、2018年において着実に稼働(5,630
時間)し、2.6TWh発電した。
環境規制の枠組みの展開
今日、EDFの火力発電所は、環境保護指定施設( Installations classées pour la protection de l'environnement、 または
ICPE)に適用される規制、温室効果ガスの排出に関する規制および大気環境に関する個別規制に照らして稼働されている
(「第2 3(3)⑥(ⅰ)環境、健康、衛生および安全性に適用される一般的規制」を参照。)。
2018年に、フランス本土におけるEDFの火力発電所は、約11TWh(2017年は16TWh)の純発電量に対し、6.4百万トン(2017年
は9.5百万トン)の二酸化炭素を排出した。2018年のフランス本土におけるEDFの火力発電所の発電量1KWh当たりの正味二酸化
炭素排出量は、579g/KWh(2017年は590g/KWh)で、EDFの火力発電史上最小の二酸化炭素排出量であった。このEDFのKWhで示さ
れる火力発電量の脱炭素化は、EDFの火力発電構成に占めるCCGT発電所の割合の増加に直接起因しており、CCGT発電所は、2018
年における火力発電所の発電量の62%超(2017年は56%)を占めた。フランス本土におけるEDFの火力発電所の発電量1KWh当
たりの正味二酸化炭素排出量が、2010年にはまだ900g/KWhを上回っていたことに留意する必要がある。
また、2018年に、フランス本土におけるEDFの火力発電所は、1.8ktの硫黄酸化物、4.6ktの窒素酸化物および0.03ktの煤塵を
排出した。EDFの火力発電所の発電量1KWh当たりの汚染物質排出量は、2010年に比べて、窒素酸化物については4倍、硫黄酸
化物については10倍超、煤塵については20倍超も削減された。これらの大幅な排出量削減は、旧型の火力発電所の操業停止、
最新の発電所において利用可能な最善の技術による煤煙処理装置の改修および設置、硫黄含有量の低い燃料の使用および低公
害の天然ガスタービン・コンバインド・サイクル発電所の稼働により実現した。
フランス本土における火力発電所の環境パフォーマンスは、2018年6月に署名されたEDFグループの新たな持続可能な開発方
針に定める目標と完全に一致しており、特に以下のものが挙げられる。
・当グループが定めた方針に沿ってEDFグループの二酸化炭素排出量を、2030年までに30百万トンまで削減(すなわち、EDFグ
ループの1つ目の企業社会責任目標である、2017年から2030年の間に40%削減)すること。
・EDFグループの硫黄酸化物、窒素酸化物および煤塵の大気中への排出量を、2005年から2020年の間に50%削減すること。
( ハ) 発電および技術性能
2018年の火力発電量は、フランスにおける消費の低迷を受けて、2017年に比べて運転量が低下したことにより11TWhとなっ
た。
2018年において、石炭ユニットは3.9TWhを供給し、CCGT発電所は6.9TWhを供給し、燃料油火力発電ユニットは0.2TWhを供給
した。予定外の供給停止を最小限にすることは、ミッドメリット時およびピーク時の発電に利用される火力発電所のような施
設にとって最も重要な目標である。年間を通して変動的に必要とされるかかる発電方法は、最高水準の安定性および供給力を
確保することにより、システムの安全性を確実にすることを最優先事項としている。
2018年において火力発電所の信頼性が確認されており、これは欧州の基準に適合している。持続的な運転を行う同発電所の
順応力が実証された。最適化サービスおよびRTEからの要求に対して、燃焼タービンにより達成された反応率は、非常に良好で
あった。燃焼タービンは、逼迫する需給バランスにおいて、システムの安定性維持のために十分に役割を果たした。
閉鎖されたユニットの廃炉
EDFは、既に閉鎖されたかまたは閉鎖が予定されている火力発電施設ユニットのすべてを廃炉化する計画を立てた。かかる廃
炉化のための引当金として、稼働ユニットすべての廃炉化および発電所敷地の除染に係る費用に対応する金額が計上されてい
る(2018年12月31日に終了した年度の連結財務書類の注記30を参照。)。
2018年において、EDFは、操業停止が確実となった発電所において廃炉作業を継続した。
68/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( ⅴ) 再生可能エネルギーによる発電
水力、風力、太陽光、バイオマス、地熱および海洋エネルギー等の再生可能エネルギー( 再生可能エネルギーまたは「グ
リーン」エネルギーは、人類にとって無尽蔵のエネルギーと考えられる、迅速に再生可能である天然資源から得られる。 )
は、世界中で力強い成長を遂げている。
EDFグループは現在、再生可能エネルギーにおける欧州でのリーダーであり、特に欧州連合においては水力発電の主要な供給
業者である。水力発電は当グループの最も重要な再生可能エネルギーである。その設備容量は23GWであり、世界各地に301基の
ダム( AクラスおよびBクラスのダム(高さが10メートル超)に関連するフランスでの分類(命令第2015-526号)に従って
2018年に計算されたもの。ダムの総数は、これらのダムにおけるEDFグループの株式持分の有無を問わない。ダムの正味の数は
270基。 )を有している。当グループはまた、競争力の高い分野(主に風力および太陽光)の到来において、役割を果たしてい
る。
水力発電は、世界で主要な再生可能エネルギーであり、その推定総設備容量は1,271GWであり( 全世界の水力発電容量の出
典:国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の2018年再生可能エネルギー容量統計-2018年3月 )、そのうち119GWは揚水発電
による貯蔵容量である。水力発電は、多くの先進諸国においては潜在的な操業能力の限界に達しつつあるが、一部の地域にお
いては大きな成長可能性を有している。IEAによれば、2018年から2022年の期間において、新設容量の約13%を水力発電が占め
ると予想されている。
全世界の陸上風力発電の合計設備容量は、前年における453GW(このうち147GWを中国が占める。)に対し、495GWとなった
(このうち161GWを中国が占める。)( 全世界の陸上風力発電容量の出典:国際再生可能エネルギー機関(IRENA)-2018年3
月 )。
太陽光発電に関しては、世界の合計設備容量は、前年における292GWcに対して386GWcとなった(32%増)( 全世界の太陽光
発電容量の出典:国際再生可能エネルギー機関(IRENA)-2018年3月 )。今日、再生可能エネルギーの成長を牽引しているの
は、主に風力、太陽光およびバイオマスによる発電である。
(1)
2018 年末現在における当グループの再生可能エネルギーの純設備容量
海洋
(単位:MW) 水力 風力 太陽光 バイオマス 地熱 合計
エネルギー
フランス 20,327 1,340 225 240 8 240 22,380
欧州(フランスを除く。) 1,994 2,316 103 9 - - 4,422
米国 - 3,663 697 40 - - 4,400
アジア 432 185 110 - - - 727
アフリカ - 374 235 - - - 609
(*)
純設備容量合計 8 32,538
22,753 7,878 1,370 289 240
(1) 各資産におけるEDFグループの保有割合に応じた発電容量。
(*) 参照:主要な非財務上の業績評価指標。
( イ) フランスにおける水力発電
2018年、フランス本土におけるEDFの水力発電所の発電量(揚水発電を含む。)は、合計で46.5TWhとなり、発電量合計の
10.3%であった。
( a) EDFの水力発電所
水力は、フランスにおいて、原子力に次いで2番目の発電資源であり、再生可能エネルギー発電の中では第1位の発電資源
である。これは、とりわけ送電網の安全性および均衡化といった多くの理由から電力システムにとって重要な分野である。
2018年末現在、フランス本土におけるEDFの水力発電所は、433基の発電所から構成され、その平均運転年数は74年( 算術平
均 )である。
・発電所の約11%が100MWを超えるユニット容量を有し、これは総発電量の約56%にあたる。
・発電所の約51%が12MW未満のユニット容量を有し、これは総発電量の約7%にあたる。
2018 年12月31日 2017 年12月31日
容量が12MW以下の水力発電所
69/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
最大容量 (MW )
988.7 989.7
揚水作業による消費量 (GWh )
48.2 23.5
揚水発電を含む発電量 (TWh )
3.1 2.1
容量が12MW超の水力発電所
最大容量 (MW )
19,025.5 19,017.0
揚水作業による消費量 (TWh)
7.3 7.0
揚水発電を含む発電量 (TWh )
43.4 34.7
最大容量合計 (GW )
20.0 20.0
(1)
揚水発電を含む発電量合計 (TWh)
46.5 36.8
(1) 小数第1位未満を四捨五入した、 正確な値の合計に相当する。
フランス本土においては、水力発電所は主に、ピレネー、アルプス、マシフ・サントラルおよびジュラといった山間部なら
びにライン川流域に所在する。合計で、EDFの発電所の22%にあたる、約20GWの設備容量を有し(フランス海外県およびコルシ
カ島を除く。)、年間約40TWhの発電容量を有する。
様々な水力発電の施設が、多目的水管理(詳細については「第2 3(2)①(ⅴ)(イ)(d)水力発電に関する課題」を参
照。)の一環として、かかる施設が位置する渓谷地での水資源の利用を最適化するべく設計されている。その発電所の規模お
よび多様性により、EDFは、ベースロード発電時からピークロード発電時に至るまで、あらゆる種類の需要に対応可能な施設を
有しており、またかかる施設は以下に示す順応性に応じて最適化のための方策も提供している。
・ライン川沿いの発電所のような「河川設置型」発電所は、蓄電能力をほとんど有さず、利用可能な水の流れに応じて発電す
る。
・発電所に調整池がある場合、ピーク時の需要に対応するため、1週間または1日のうちに時折利用される(湖よりも小さ
い)平均規模の貯水池を利用することができる。
・山間部(アルプス、マシフ・サントラルおよびピレネー)の人口池(季節性の貯水池)の発電所。
・揚水発電所は、需要が少なく電力価格も低い期間に、下流の貯水池から上流の貯水池まで水を揚げ、(貯蔵された水を上流
の貯水池から下流の貯水池へとタービンを通じて放出することで)ピーク時にエネルギーを生成するために利用される水を
溜める。
・ランス川(ブルターニュ)の潮汐発電所は、潮の干満を利用し、非常に規則的な電力供給を行う。
種類 タービン容量 50年間の平均発電容量
河川設置型 3.6GW 16.8TWh
人工池 8.1GW 14.2TWh
調整池式発電所 3.1GW 8.2TWh
揚水 5.0GW 1.5TWh
潮汐発電所 240MW 0.5TWh
( b) 水力発電の安全性
水力発電の安全性は、水力発電所の設計時および稼働時に講じられるあらゆる措置を含み、その目的は、人間および財産に
対する水に伴う危険または施設の存在もしくは操業による危険を軽減することである。水力発電の安全性は、発電業者の継続
的な最優先の懸案事項である(「第3 2(2)②(ⅳ)(ロ)水力発電分野」を参照。)。リスク管理には、以下の3つの主
要な活動が含まれる。
・下流河川における水位または水流の変動に関する顧客への情報提供(コミュニケーション・キャンペーン、河川で作業する
従業員に関する情報、夏季における「水力発電ガイド」の雇用)を通じた業務リスクの管理。
・施設およびこれを取り巻く地域社会の安全確保を目的とした、水位が例外的に高い期間中の施設の管理。
・公的機関により監督される施設の定期的な監視および維持管理を通じた、ダムまたは貯水池の故障に伴う主要リスクへの対
処策。最大規模のダムのうち、68のダムが、該当する地方当局により実施される特別な管理手続(特別介入計画)の対象と
なっている。
EDFは、とりわけ継続的な構造上の健全性監視という方法により、保有するダムの定期的な監視および維持管理を行ってい
る。
さらに、(命令第2015-526によるフランスの規制に従った)AクラスおよびBクラスの236のダムそれぞれについて、10年か
ら15年ごとに(各々Aクラスのダム1つおよびBクラスのダム1つに関する)危険性調査が行われる。かかる調査により構造
および関連する対応策の十分な概要が整備され( 詳細については、EDFのウェブサイトで入手可能な水力発電の安全検査局が作
成する年次報告書を参照。 )、水中機器の使用または貯水池の抜水による徹底した調査が行われる。かかる業務は、公的機関
の厳格な監督の下で実行される。2018年に、EDFの発電所における水力発電の安全性は良好な状態を保ち、EDF Hydroの範囲
70/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( SHEMA関連会社により運営される施設に関する報告を除く。 )において「オレンジ」に分類される水力発電の重大な安全性事
象(EISH)(2010年5月21日付命令内の意味において、人々に危険または重大な損害をもたらした事象。2018年において、
「オ レンジ」に分類される状況は、「人々を危険にさらした事象」ではなく、「ダムに対する甚大な損害」である。)は1件
であった。「黄色」に分類されるEISH(不遵守を反映した事象のうち誰も危険にさらすことはないもの)は、本年は8件発生
した。主要な指標は、以下のとおり、未だに高いレベルで維持されている。
・発電所の下流に位置し、水流の変動に伴うリスクが高い施設の数は減少し、2005年の114か所から2017年には6か所、2018年
には3か所となった。
・水力発電施設の管理は、同年に発生した洪水の際にも適切に行われていた。
2006年以降、稼働している水力発電所の安全性および性能に係る項目に関する工学計画が、多額の投資を受けて継続してお
り、安全性に関する主要な活動の慎重な管理が確保され、かかる活動の全国的な認知度が上がった。目標は、長期にわたって
高水準の水力発電の安全性を維持し、発電所の技術的性能を保持するために、技術面でのアップデートを遂行し、施設の維持
管理計画を改善することである。2018年末には、2017年より減少し、440件の具体的なシステムおよび施策(すなわち、受容可
能な水準の安全性、性能および個人の安全性を整えるための暫定的な施策)が実施され、主としてギャラリー、パイプ、ダ
ム、水圧管および水門の5つの優先施設グループごとに監視されていた。
( c) 水力発電所の性能
2018年に、EDFは、最適で安全な稼働を確保するべく、水力発電所の開発および維持管理のために、フランス本土において
370百万ユーロの投資を行った。
高度自動化・遠隔管理発電所
水力発電施設の柔軟性を活用するため、数年前からEDFは、自動化、水力発電所の遠隔制御および各渓谷地の中央管理を含む
意欲的な計画を実施している。現在、発電量が15GW(水力設備容量の約75%)を超えるEDFの最大の水力発電所が、電力システ
ムの需要および電力市場により求められる経済機会に対応し、発電所の稼働プログラムをいつでも修正することができる4つ
の制御センターにより遠隔管理されている。
信頼性を向上させるために、EDFは、最大級の発電所を、温度や振動といった機械の物理的環境の監視を担当している5つの
地域動作センターに接続しており、これによりできるだけ早く異常を検知し、事故を防ぐことが可能となった。
発電所の技術的性能および2018年における水力発電の状況
水力発電による発電量は、水源における気候が不確定なため、年により大幅に異なる可能性がある。2018年は、変革に関す
るプロジェクトの具体化、成果重視型の管理、需要と市場価格に基づく供給停止の最適化(DOAATと共同で管理される。)に加
えて、当年度上半期における水利条件の大幅な余剰と下半期におけるわずかな不足による豊富な発電量を受けて、発電におい
て優れた実績があったことを特徴としている。
EDFは、天候プログラミングの部門による貯水池の動的な管理を展開しており、これにより例えば2018年においては、時間を
かけて発電量を最大化する目的で、雪が解ける時期に一部の湖を予防的に徐々に空にすることとなった。
揚水発電所の運転に必要となる電力を差し引く前の水力発電量は、フランス本土で46.5TWh、かかる揚水発電にかかる消費量
を差し引いた後では39.2TWhであった。
2018年の発電量指標は非常に満足のいくパフォーマンス水準を示しており、内部損失率( 内部損失とは、タービンを通過せ
ず、貯蔵されなかったエネルギー・フローである。内部損失率は、内部損失を通年の発電量で除した後に内部損失を加算する
ことで算出される。 )は4.5%という低い率であった(2017年は3.5%)。水力発電設備全体の稼働率、すなわち年間のうち発
電所がフル稼働した時間の比率は、2017年は99.31%であったのに対して、2018年においては99.20%であった。2018年の損失
率は3.1%であった。
水力発電所のパフォーマンスおよび競争力を獲得するべく、EDFは、とりわけ電気設備の改修、計装および管理ならびに情報
化された経営手段、維持管理手段および運転手段を通じて、水力発電所の維持管理および運転の近代化を行うことで、水力発
電所の工業パフォーマンスを向上させるための投資を行っており、その完了時にはかかる投資額は過去10年間で800百万ユーロ
(2010年)近くに及んだ。
これは、EDFがその資産の効率化および近代化に向けた取組みを進める際の基盤となっている。
( d) 水力発電に関する課題
水力発電のセグメントは現在、法律第2015-992号(エネルギー移行法)の施行、水へのアクセス管理および開発プロジェク
トに取り組んでいる。
71/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
委託契約の更新
フランスにおいて、水力発電施設は、4.5MW以上の建造物に関するフランス政府による委託および4.5MW未満の建造物に係る
県の許可証の枠組みの中で稼働している(「第2 3(3)⑥(ⅱ)(ニ)水力発電施設に適用される規制」を参照。)。
水力発電の利用に係る1919年10月16日付フランス法に従い、水力発電の委託には75年の当初期間がある。2012年までに満了
した委託の大半は、30年から50年の期間で更新された。しかしながら、フランス政府は、2018年12月31日現在満了していた13
の委託契約について未だに更新をしていない。これらの委託契約は、その満了以降、フランス・エネルギー法第L.521-16-3条
により定義された「延長」の状態にあり、これにより、満了となったが更新されていない委託契約は、当面の間、稼働を継続
するため、従前の条件の下で新たな委託が認められる時点まで延長される。これに関して、「延長」の状態にあるこれらの委
託契約は、2019年に係る2018年12月28日付フランス法第2018-1317条により、2019年1月1日より料金が課される。この料金は
委託契約の特徴を考慮し、国務院の命令により決定される予定である。グリーン成長に向けたエネルギー移行に関する2015年
8月17日付法律および水力発電委託に関する2016年4月27日付命令において、水力発電が組み込まれた新たな法定および規制
の枠組みが規定されている。
一連の法律文書、具体的には、競争入札の全体的な枠組みを定める委託契約に関する2016年1月29日付政令および2016年2
月1日付の施行命令ならびに一定の水力発電施設が対象となる可能性が高い購入義務および追加報酬に関する2016年5月27日
付命令等において、水力発電委託契約の属性および/または履行に関する枠組みが補完されている(「第2 3(3)法令およ
び規制に関する環境」を参照。)。
このような状況において、EDFは、より高いエネルギー効率、水域環境に対する配慮、政府および市町村による料金を通じた
補償ならびに地域開発を組み合わせるとともに、操業の安全性を保証することで、上述の法定の枠組みに基づく委託契約の更
新に対する準備を行っている。
欧州委員会(EC)は、欧州連合の機能に関する条約(TFEU)第1章第106条(同条約第102条と併せて読まれるものとす
る。)に基づき、フランスにおける水力発電委託に関してフランス政府に対する訴訟を提起した。そのため欧州委員会は、
2015年10月22日にフランス政府に対して、フランスにおける水力発電委託の大部分が、上記の条文に違反してEDFに帰属し、
EDFによって留保されており、これによりEDFのフランス電力小売市場における独占的地位が強化される事実を検討している旨
が記載された正式通知を送付した。政府は、かかる通知に対して回答し、フランス政府および欧州委員会との間の対立する見
解のやりとりが始まったことが明らかとなったが、これは最終的な結果に影響を与えることはない。EDFは、主要な利害関係を
有する当事者として、正式通知の写しを受領し、2016年1月4日、欧州委員会に対して、欧州委員会の分析およびその根拠に
対して強く異議を唱える意見を送付した。EDFは、これ以降フランス政府および欧州委員会との間における、特にフランス市場
の運営に関する技術的詳細の提供に関する情報交換に関与してきた。これらの交渉は、2019年においても継続する見込みであ
る(「第3 2(1)①エネルギー市場規制に関連するリスク」を参照。)。
法律第2015-992号(エネルギー移行法)により導入されたフランス・エネルギー法第L.521-16-3条に従い、フランス政府
は、EDFが保有する一定の委託契約の延長と引換えに、欧州委員会に対してエネルギー移行に関する投資計画を提出した。欧州
委員会は、かかる延長がEU法、とりわけ有効な委託契約を修正することのできる範囲を制限する委託契約の発注に関する2014
年2月26日付指令2014/23/EUの第43条に適合するものであるかについて裁定することとなっている。
2019年3月7日に、欧州委員会は、水力発電の委託契約の更新に関する正式通知をフランス政府に送付した。その他の加盟
国も、同様の正式通知を受領した。フランスに関してより具体的に言えば、欧州委員会は、これらの更新に対して公的秩序に
係る欧州の法律を適用することの問題点およびこれらの更新において準拠するフランスの法律が同様の公的秩序に係る欧州の
法律に適合しないという問題点を特定した。フランス政府は、欧州委員会によって行われたこの主張に対して返答するために
2か月の期間が与えられている。
開発
EDFは、エネルギー移行を支援する中で、収益性のある水力発電の部門において相応な立場を得るために多くの措置を講じて
いる。
・新規プロジェクトには、イゼール県のロマンシュ・ガヴェのプロジェクトが含まれており、このプロジェクトにおいてEDF
は、6基の既存の小水力発電所の建設の代わりに、新たな地下発電所(既存の発電所よりも55GWh多い93MWの発電容量を持
つ)の建設工事を開始した。このプロジェクトは、中部ロマンシュの委託契約の更新および2010年12月31日に公表された命
令に関連して遂行されている。
・2018年3月27日に発表された当グループの電力貯蔵計画の一環としての、フランスにおける揚水発電所(STEP)の潜在力を
利用することによる貯蔵の開発。 2013 年6月17日付命令により、EDFはサヴォワ県のラ・コッシュのSTEPにおいて、240MWの
新たなタービン発電機ユニットを建設する権限を付与された。2017年に建設が開始されたこのペルトンのユニットにより、
既存の施設の容量は20%増加し、毎年追加で約100GWhを発電する予定である。2018年には水供給ライン(244メートル長)が
委託され、新たな発電ユニットの設置工事が開始された。EDFはまた、とりわけエネルギー移行の目的での貯蔵の需要を満た
72/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
すために、トルヴェール渓谷の主要プロジェクトにも取り組んでいる。このプロジェクトは、トリュイエール川およびロッ
ト川上流の委託契約の延長の一環として実施されることとなる。これは、2017年4月にフランス政府により欧州委員会に対
し て提出された。原則的な承認が下りるのを待って、正式通知の手続が進められる。
・以下により、容量の増加が行われる。
-例えば サヴォワ県のラ・バティ発電所において、6基の発電ユニットの交換により発電所の合計容量を600MWに増加させ、
2018年には既に工事が実施された最初の3基のユニットに加えて、4基目のユニットの容量を増加させる工事が開始され
る等の改修 。
-既存のより小規模の 水力発電所の容量を増設。これは、最先端の対応策の開発に貢献する目的で、 2016年1月29日付政令
により開始された承認制度に基づき行われる。
- 維持流量タービンの開発。その目的は、2018年には2015年以降に既に委託されている追加の合計容量4.5MWに加えて、2020
年までに委託が予定されている、現在検討中の新たなプロジェクトを追加することによって、規制上の最低流量に関連す
る電力の一定量を回収するための設備を、一定数のダムに設置することにある。
・「小規模」水力発電所(容量が12MW未満であるが、場合により20MWから30MWに及ぶことがある。)の開発。その目標の1つ
として、以下による小規模水力発電所の開発が挙げられる。
-プロジェクトの開発のためのパートナーシップの構築および当グループのフランスにおける「小規模」水力発電所の設備
容量の開発の機会の検討。
-重要な改修プログラムの後に複数の施設が2017年から2018年に再稼働することによる、既存の発電所の発電容量の最適化
および増設、ならびに/または長期間の稼働停止後の、ごく小規模もしくは小規模の水力発電所プロジェクトの建設およ
び/もしくは運営の入札に対する応札。SHEMAおよびÉlectricité de Strasbourgによって提案された3つのプロジェクト
は、2016年4月26日に公表された入札を落札し、SHEMAにより提案された2つのプロジェクトは、(アリエ県のヴィシーお
よびサヴォワ県のルシュレットにおいて)2018年に成功を収めた。
水力発電所が位置する渓谷地における地域への定着
EDF Hydroは、水力発電所が位置する渓谷地およびその発電施設近辺の経済地域の発展の持続可能性を確保し、かかる発展を
共有するように常に配慮している。これらの地域は、多くの場合は農村地域であり、時として孤立する地域の場合もあるが、
常に(経済、社会または気候に関する)その環境の変化に適応しようと努めている。
基準および規制を十分にかつ有効に遵守することに加えて、EDFは、その水力発電所の維持管理および運転の開発の一環とし
て、かかる地域が直面する社会的および経済的な変化に対処するための支援を、これらの地域に対して確実に提供する。
これに関して、また、水力発電所が位置する渓谷地周辺において現地の支援を提供するという決定を強化するために、EDFは
2012年に「1地域に1つの川」という専用のプログラムを開始した。
「1地域に1つの川」は、双方にとって利益のあるプログラムであり、2018年末には、フランス本土において7つの機関が
動員されている。
現地の事業者と共有のガバナンスの下で創設され、かかる地域のニーズに特有の戦略的アクションを採用しているこれらの
機関は、雇用を通じてかつ雇用のために一体化し、渓谷地における持続可能な経済活動を開発し、民間事業または公共事業の
主催者を支援し、利害関係者間のコミュニケーションを促進し、10年間で約40の事業を支援してきている専用の金融子会社を
通じて水力発電所が位置する渓谷地の企業における雇用を創出しまたは保護することを目指している。
「1地域に1つの川」の現地機関の活動により、水力発電に特有の事業ライン、とりわけ機械工学の分野における1,000近く
の現地事業によって、供給業者討論会において、EDFに対する照会が行われることとなった。
水へのアクセス管理
フランスにおいてEDFの大規模ダムにより保有される貯水量は、国内表面貯蔵量の75%に相当する、7.5十億立方メートルで
ある。
水力発電施設は、経済発展および環境の両方にプラスの影響を与えている。EDFは、様々な水に関する利害関係者と連携し
て、その水資源に関して、積極的な管理方針を採用している。地方当局、農家、漁業者、観光地の管理者および工業事業者等
との間で契約が締結されている(「第2 3(3)⑥(ⅰ)環境、健康、衛生および安全性に適用される一般的規制」を参
照。)。
水および水域環境に関する2006年12月30日付法律には、水資源管理(特に、最低流量( 水生生物を保護するためにダムの下
流で維持されている最低流量 )の恩恵および水力発電所操業の柔軟性)に関する規定が含まれている。かかる規定は、生物多
様性、自然および景観の再生に関する2016年8月8日付法律によって補完された。しかしながら、EDFグループは、地方におけ
る実施方法およびかかる規則に関する今後の進展を引き続き注視し、より一貫性のある水、エネルギーおよび環境に係る公共
政策を求めている。
73/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( ロ) 新たな再生可能エネルギー
( a) 風力発電
風力タービンは、発電機に接続された動翼を動かすために風の作用を利用する。風力発電には、以下のとおり様々な種類が
ある。
・陸上風力発電は、実績があり、また競争が激化している分野であり、特定の地域において、現在では、従来の分野に匹敵す
るまではいかないとしても、従来の分野と競合できる状態にまで近づいている。この分野は、様々な国において経済的奨励
策の援助を受けているが、資金援助を受けずに開発が進められているプロジェクトが増えている(「第2 3(3)③電力市
場の規制」を参照。)。世界的に設置されている陸上風力発電タービンは、平均的に2MW超の定格容量を有し、この値は着
実に増えている。EDF Renewablesは、当グループ内の風力発電の開発を担う子会社である。EDF LuminusおよびEdisonの子会
社も、稼働中の風力発電所を有している。
・洋上風力発電は、成熟度が低く、急成長している分野であり、現状、より多くの初期投資が要求され、陸上風力発電よりも
送電網への接続に費用がかかり、また運営および維持管理は、より困難である。この分野の長所は、各風力タービンの定格
容量がより多く(一般的に5MW超)、風がより確実であるため生産量がより高いことである。EDFグループは、当グループの
主要国の一部(フランスおよび英国を含む。)において、興味深い成長見通しを与える洋上風力発電への投資を増加させる
ことを決定した。
( b) 太陽光発電
太陽光発電の稼働原理は、太陽光を直接電力に変換することである。太陽光発電は、2つの方法で用いられる。それは、送
電網に接続する方法かまたは隔絶した敷地において発電する方法である。送電網に接続された太陽光発電システムは、地上用
の太陽光発電所ならびに建物用および住宅用の屋上設備の2つの市場において、安定した成長を見せた。
太陽光発電の費用は、近年著しく減少している。しかしながら、特に革新および産業プロセスの改良の分野においては改善
の余地はまだかなり存在する。またEDFの研究開発部門は、CNRS(フランス国立科学研究センター)およびENSCP(パリ高等化
学学校)と協同で設立したフランス太陽光発電研究開発機関(IRDEP)の支援の下、太陽光技術の研究を行っている。
( c) バイオマスおよびバイオガス
バイオマスに基づく技術では、主に、林業および農業からの特定の種類の廃棄物を燃やすことまたは木質燃料用の森を開発
することにより、熱または電気を発生させている。
バイオ燃料は、様々な燃料源から発生する。植物性の物質(木材、農業廃棄物)または動物性の物質による燃焼発電所、バ
イオガス生成発電所(有機飼育の動物または植物性の物質の発酵から生成されるガス)および家庭ごみの焼却場の3つの異な
るエネルギーの区分が存在する。
最後に、当グループは、フランス国内(特にその子会社であるDalkia(「第2 3(2)⑥(ⅰ)(イ)Dalkia」を参照。)
における株式保有を通じて)およびフランス国外の数十の暖房ネットワークおよび小規模の、主に木材を燃料とする発電所に
おける持分を所有する。
( d) 地熱エネルギー
地殻中の岩石の温度は、深さとともに平均して100メートルごとに3℃上昇する。一部の地域では、地熱が温泉、水または蒸
気の形で地表に到達する。温水は暖房の形で、住居のセントラル・ヒーティングまたは温室暖房に直接利用される。
地下から抽出された蒸気も発電に利用され、従来型の火力発電と同様に、タービンを駆動させる。また、蒸気から発電する
ための資源として、熱い乾燥した岩石を利用することもできる。EDFは、この種類のエネルギーを発展させるため、アルザスの
ソルツ周辺において高温で自然破砕した結晶岩体によるプロトタイプ地熱発電所の開発および操業を行う欧州のコンソーシア
ムの一員として、複数のパートナー(ÉSおよびドイツの電力会社を含む。)と提携している。
フランスは、海外領に所在する高温資源も有している。EDFグループは、主としてグアドループに所在するGéothermie
Bouillanteの少数株主持分を通じて、この事業を行っている。
( e) その他の技術
再生可能エネルギーは、広範囲の部門および技術を網羅している。将来に備え、EDF Renewablesは、EDFグループ内における
有望な部門を特定する責任を負い、当グループの研究開発チームまたは産業パートナーの支援とともに新たな技術を創造する
ことに貢献する。いわゆる集光型太陽熱発電(「第2 3(2)①(ⅴ)(ロ)(b)太陽光発電」を参照。)およびエネルギー
貯蔵のほか、海洋エネルギーも当グループが深く探求している分野である。
74/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( ハ) EDF Renewables
水力発電とは別に、EDFグループの再生可能エネルギー源への取組みは、EDFの完全子会社であるEDF Renewables(旧EDF
Énergies Nouvelles)が主に行っている。EDF Renewablesグループに属する企業は、2018年12月31日現在、3,853名の従業員と
いう労働力を有している。
EDF Renewablesは、とりわけ陸上および洋上の風力エネルギーならびに太陽光エネルギーの分野等の、EDFの再生可能エネル
ギー分野における成長の確保に必要な専門知識を有している。EDF Renewablesは、当グループの電力貯蔵計画にも寄与してい
る。
2018年12月31日現在、EDF Renewablesは12,890.5MWの総設備容量(純設備容量は8,296.6MW)および現在建設中の2,359.9MW
の総設備容量を有している。プロジェクト・ポートフォリオ( 貯蔵関連プロジェクトを含む。 )は27.8GWであり、このうち現
在建設中である容量を除くと、プロジェクトの容量は25.4GWである。EDF Renewablesは、20か国を超える国々に存在し、中で
もその最大かつ歴史のある市場である北米(米国、カナダおよびメキシコ)および欧州においては再生可能エネルギーの開発
および発電における主要な企業の1つである。EDF Renewablesは、再生可能エネルギーにおいて大きな成長潜在力を有する南
アフリカ、ブラジル、チリ、中国、インドおよびイスラエルといった新たな国々においてその地位を確立し、さらに最近では
2017年にアラブ首長国連邦およびエジプトへ参入するなど、2012年以降成長を続けている。
EDF Renewablesは、再生可能エネルギーにおける統合的な事業者であり、バリュー・チェーンのすべての段階に関与してい
る。EDF Renewablesは、プロジェクトの開発、発電所の建設中のエンジニアリングならびにこれらの運営および維持管理にお
いて、上流部分で業務を行っている。これらの各業務は、同社自身のために、または第三者のために、行われることがある。
また当グループは、その事業モデルの一環として、第三者の投資家に対して建設したプロジェクトの全部または一部の販売
を行うストラクチャード・アセットの開発および売却事業(「DSSA」と呼ばれる事業)に関与している。2018年にDSSAにおい
て販売された純容量は773.6MWであった。
風力エネルギーおよび太陽光エネルギー(同社の純設備容量の約98%を占める。)の開発に重点を置いているEDF
Renewablesは、着床式風力発電所および浮体式洋上風力発電所において確固たる地位を有しており、電力貯蔵などのその他の
部門においても事業を行っている。最後に、EDF Renewablesは、分散型の再生可能エネルギー部門(屋上太陽光発電)におい
て、フランスでは住宅用顧客と企業用顧客向けの事業を行っており、さらに最近では米国および中国において企業顧客向けの
事業を行っている。
75/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
部門別および国別設備容量
2018年12月31日現在 2017年12月31日現在
(1) (2) (1) (2)
総計 正味 総計 正味
( 単位:MW)
風力
米国 3,704.5 2,605.5 3,589.5 2,667.5
フランス 1,536.0 1,328.1 1,449.2 1,118.2
(3)
英国
591.7 184.6 731.8 262.5
トルコ 661.6 267.4 661.6 267.4
ポルトガル 546.5 205 534.7 199.1
カナダ 724.7 588.4 724.7 588.4
メキシコ 391.5 229.5 391.5 229.5
イタリア 424.2 298.1 424.2 290.1
(4)
ベルギー
325.2 26.9 325.2 26.9
ギリシャ 264.5 238.2 264.5 238.2
中国 219.3 102.6 198.4 85.9
南アフリカ 110.6 55.8 107.6 54.2
モロッコ 50.4 50.4 50.4 50.4
ポーランド 106.0 106.0 106.0 106.0
インド 164.0 82.0 164.0 82.0
ブラジル 182.0 182.0 66.0 66.0
デンマーク 6.0 6.0 6.0 6.0
ドイツ 185.8 183.8 151.3 149.3
チリ 115 57.5 0.0 0.0
(5)
風力合計
10,309.2 6,797.8 9,946.4 6,487.7
太陽光
フランス 230.4 174.9 233.1 177.0
米国 394.0 205.4 394.0 322.4
分散型エネルギー(フランス) 66.3 40.1 78.3 51.8
イスラエル 295.1 192.5 193.5 99.2
インド 207.0 99.7 207.0 81.3
イタリア 76.9 74.3 76.9 74.3
カナダ 61.4 42.4 23.4 23.4
ギリシャ 12.1 12.1 12.1 12.1
ブラジル 398.5 199.3 283.6 226.9
チリ 261.0 130.5 146.0 73.0
アラブ首長国連邦 266.0 42.6 0.0 0.0
中国 14.0 10.5 0.0 0.0
メキシコ 119.6 119.6 0.0 0.0
(5)
太陽光合計
2,402.3 1,343.8 1,647.9 1,141.5
その他部門
水力発電 0.0 0.0 62.8 60.0
バイオガス 70.0 70.0 70.0 70.0
バイオマス 40.0 40.0 40.0 40.0
貯蔵 69.0 45.0 20.0 20.0
(5)
その他部門合計
179.0 155.0 192.8 190
(5)
合計
12,890.5 8,296.6 11,787.1 7,819.1
(1) 総設備容量:EDF Renewablesが出資している設備の設備容量の合計。
76/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
(2) 純設備容量:EDF Renewablesの持分に応じた設備容量。
(3) EDF Renewablesは、EDF Renewables UKの51%を保有する(残りの49%は、EDF Energyにより保有されている。)。
(4) 洋上風力のみのMW。
(5) 小数第1位未満を四捨五入した、正確な値の合計に相当する。
2018年のEDF Renewablesのすべてのセグメントおよび国々における完全連結の施設の発電量は、15.2TWhであった。2018年末
における負荷率は、陸上風力発電において30%、太陽光発電において18%に達した。
風力発電
陸上風力発電
2018年にEDF Renewablesは、陸上風力発電の成長を続けた。
EDF Renewablesの風力発電の総容量は362.8MW増加し、2018年末現在における陸上風力発電の総発電量は9,874.5MWとなっ
た。
2018年には総容量686.9MWの陸上風力発電所が稼働し、建設中の陸上風力発電所は、2018年12月31日現在、合計で895MWの総
容量を占めた。
フランス
2018年、EDF Renewablesは風力発電における成長を続け、100MW近くの容量を追加で稼働することによってEDFグループの
CAP2030戦略計画に寄与した。
複数の風力発電所が当年度中に稼働開始し、これにはエスピエ(18MW)、ギュヴィル(17.7MW)、クランリュ(13.2MW)な
らびにFuturenにおけるクラン・ナシャン(21MW)およびドマンジュ(19.8MW)の発電所が含まれる。
これらの新たな容量に加えて、合計で約129.1MWの複数の風力発電所が建設中であり、これにはタイヤール(27.2MW)、ペ
イ・ダングルール(21.6MW)の発電所およびFuturenが所有するコトー発電所(38MW)が含まれる。
Futurenの風力発電容量が加わり、2018年12月31日現在のEDF Renewablesのフランスにおける風力発電の総設備容量は
1,536MWとなり、これに建設中の陸上風力発電所129.1MWが追加される。
英国
2018年、EDF Renewables UK(51%はEDF Renewablesにより保有され、49%はEDF Energyにより保有される。)は、その子会
社であるEDF Energy Renewables Holdings(稼働中の風力発電容量の311MWおよび2018年に稼働開始したスコットランドのドレ
ネル風力発電所(177MW)を保有する。)の49%を売却した。
EDF Renewables UKが稼働する風力発電容量は、2018年末現在、合計で488.2MWであった(純容量は127MW)。
77/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ドイツ
Futurenおよびその設備容量により、2018年12月31日現在の当グループのドイツにおける風力発電の総設備容量は185.8MWに
達した。
EDF Renewablesはまた、エッコルシュテット風力発電所を再稼働させた。この風力発電所ではリパワリングまたは刷新(す
なわち、寿命に達した施設の分解修理)が完了した。14.5MWという当初の容量から、エッコルシュテット風力発電所は現在、
10の新たな発電施設により、34.5MWの設備容量を有している。
イタリア
2018年12月31日現在の当グループのイタリアにおける風力発電の総設備容量は424.2MWに達した。
ポルトガル
アラダ風力発電所(11.8MW)のフェーズ2の拡張が完了した。当グループは現在、ポルトガルにおいて、546.5MWの風力発電
容量を運営している。
トルコ
2018年、EDF Renewablesは、トルコ国内において風力発電の総容量661.6MWを有している。
南アフリカ
南アフリカでは、EDF Renewablesは、政府による総設備容量110.6MWの入札の落札に成功し、3か所の風力発電所を運営して
いる。
米国
2018年末現在、EDF Renewables North Americaは、3,704.5MWの総設備容量(または2,605.5MWの純設備容量)の陸上風力エ
ネルギーを有していた。
2018年中に、EDF Renewables North Americaは、Googleとの契約の下でアイオワ州においてグラシエ・エッジ風力発電所
(202.7MW)の建設を開始し、またストーンレイ風力発電所の建設を進める一方でコヨーテ風力発電所(242.2MW)の建設を開
始した。コペンハーゲン風力発電所(80MW)は、稼働開始している。
さらに、レッド・パイン(100MWの純設備容量)およびロック・フォールズ(77MWの純設備容量)のプロジェクトの50%が当
年度中に売却された。
カナダ
2018年末、当グループのカナダにおける風力発電の総設備容量は、724.7MW(または588.4MWの純設備容量)であった。
EDF Renewables Canadaにより50%が保有されるロムニー・プロジェクト(60MW)が建設中である。EDF Renewables Canada
はまた、アルバータの電力網事業者であるAESO(Alberta Electric System Operator)とのサポート契約である、RESA(再生
可能電力サポート契約)に調印した。この20年間の契約は、容量201.6MWのサイプレス・プロジェクトに関連するものである。
このプロジェクトは、電力購入契約(PPA)の下で行われ、AESOがアルバータ州政府に代わって管理するREP(再生可能電力プ
ログラム)の第二次入札中に落札されたものである。このプロジェクトは、EDF Renewables、カナダおよび先住民である Gens-
du-Sang (ブラッド・トライブ)間のパートナーシップの一環として行われるものである。
メキシコ
2018年末、当グループのメキシコにおける風力発電の総設備容量は、391.5MW(または229.5MWの純設備容量)であった。
78/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
中国
2018年、EDF Renewables Chinaの子会社は、肥城Ⅰ風力発電所の全体の稼働を開始し(総容量45.3MW)、康平ⅡおよびⅢの
風力発電所(96MW)の建設を継続した。
2018年末、当グループの中国における風力発電の総設備容量は、219.3MW(または102.6MWの純設備容量)であった。
インド
2018年末に、当グループのインドにおける風力発電の総設備容量は164MW(または82MWの純設備容量)となった。風力発電プ
ロジェクトの300MWのポートフォリオが、2018年9月の政府の入札の後に付与された。
ブラジル
2018年に、EDF Renewables Brasilは、バイア州のヴェントス・ド・バイア風力発電所(総容量182MW)のフェーズ2
(116MW)を稼働した。EDF Renewables Brasilはまた、ブラジルの規制機関により開始された新エネルギーのための別の政府
の入札においても、複数の風力発電プロジェクトについて、20年間の長期電力供給契約(PPA)を落札した。かかるプロジェク
トには、バイア州の容量147MWのフォーリャ・ラルガ・プロジェクトおよびヴェントス・ド・バイア風力発電所の拡張である
129MWの風力発電プロジェクトが含まれる。EDF Renewables Brasilはまた、熱可塑性プラスチックの製造で世界をリードする
会社の1つであるBraskemと20年間の法人PPAを締結した。この契約に基づく電力は、33MWを上限としてフォーリャ・ラルガ・
プロジェクトの一部から発電される予定である。
チリ
EDF Renewables Chileの初の風力発電所となる、総容量が115MWのカボ・レオネス1風力発電所が稼働開始した。
モロッコ
子会社であるFuturenを通じて、当グループのモロッコにおける風力発電の総設備容量は50.4MWに達した。
洋上風力発電
EDF Renewablesの開発において、洋上風力発電は得意とする分野となっている。同社は、欧州全域(ドイツ、ベルギー、フ
ランス、英国)で開発中、稼働中または運営および維持管理中の複数のプロジェクト(総容量2.8GW)を通じて洋上風力発電市
場において既にその存在を認められており、米国における洋上風力発電部門の発展に大きく貢献することを目指している。
フランスにおいては、2012年にフランス政府により発行された入札につき、3つのプロジェクト(フェカン洋上風力発電
所、サンナゼール洋上風力発電所およびクルル・シュル・メール洋上風力発電所)を落札した。これらは全体で1,428MWの合計
容量となり、その費用は約6十億ユーロである。これら3つの風力発電所に関連する許可はすべて付与された。しかしなが
ら、これら3つの風力発電所それぞれについて異議が申し立てられ、投資決定における当初の計画日程が後ろ倒しにされてい
る。2016年、カナダの発電会社であるEnbridge(Dong Energyに代わる会社)との間で、50対50の割合で共同支配する3つの風
力発電所の開発、建設および運営に関するパートナーシップが締結された。2018年、フランス政府は、交渉の期間を経て、こ
れら3つの洋上風力発電所のプロジェクトを是認した。工事開始に係る最終的な投資決定は、取得された許可につき一切の申
立てがなくなった時点で行うことができる。
2018年に、EDF Renewables UKは、洋上風力発電プロジェクト「Neart na Gaoithe」を、風力発電および太陽光発電における
国際的な事業者であるMainstream Renewable Powerより取得した。この450MWのプロジェクトは、すべての行政上の許可を取得
しており、スコットランドの東海岸のフォース川河口に位置し、105平方キロメートルの地域に及ぶ。このプロジェクトは、欧
州で最も優れた風力発電システムの1つを備えている。プロジェクトに要する投資総額は、約1.8十億英ポンドである。
最後に、EDF Renewables USは2018年末に、米国連邦当局により発表されたリースの一環として、ニュージャージー風力発電
海域(WEA)内のOCS-0499として知られる敷地において洋上風力発電プロジェクトの開発を行うために、Shell New Energies
US, LLC(Shell)とともに、折半出資のジョイント・ベンチャーであるAtlantic Shores Offshore Wind, LLCを設立した。こ
のリースの対象となっているエリアは、約2,500MWの風力発電量を潜在的に有している。この運営については、規制上の許可を
取得しなければならない。最終的な投資決定を受けて、建設が行われる。このリース対象の敷地は、74,200ヘクタールに及
び、アトランティックシティの海岸沖約13キロメートルの米国の領海外大陸棚(OCS)に位置する。このエリアは、電力消費量
の高い大都市近くの比較的浅い水域において、大部分のかつ安定的な風力発電資源を有している。
太陽光発電
79/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
EDF Renewablesは、2番目の成長分野である太陽光発電における成長を追求している。2018年末現在、太陽光発電の総設備
容量は、2017年末から純設備容量が202.3MWp(18%)増加して、2,402.3MWp(純設備容量は1,343.8MWp)となった。EDF
Renewablesは、総設備容量1,111.4MWpの建設中の太陽光発電プロジェクトのポートフォリオも有している。
フランス
2018年12月31日現在、EDF Renewablesのフランスにおける太陽光発電の総設備容量は230.4MWに達した。
EDF Renewablesは、2017年12月に当グループによって開始された、EDFソーラー・プランに寄与するための対策を講じた。こ
のプランは、EDFグループのCAP2030戦略的計画に含まれている、フランス国内外における再生可能エネルギーの開発のための
他の活動に加えて、2020年から2035年までの期間にわたりフランスにおいて30GWcの太陽光発電プロジェクトの開発および建設
を行うことを目的としている。太陽光発電における成長を重ねるために、EDFは、プロジェクトが稼働に至るまでの一体化され
た開発モデル、業界における卓越性の追求および刷新に対する継続的な投資に基づき、すべての市場セグメントを対象とした
戦略を実施している。この戦略は、EDFの研究開発ならびに地方自治体および地元企業に特化したEDFチームの地域的なネット
ワーク構築を活用するものである。最優先の対象となっている土地は、産業が荒廃した土地、汚染された土地、放棄された土
地またはかつての採掘場といった「ダメージを受けた」と言われる敷地であり、太陽光発電プロジェクトの開発により復興す
ることのできる土地である。
さらに、ガール県のアラモン・コミューンにおいて、地上太陽光発電所に関するCREの第四次入札を受けてEDF Renewablesに
より遂行されているアラモン太陽光プロジェクト(5MWp)は、2018年に大手のデジタル投資プラットフォームであるWiSEEDで
のクラウドファンディングのキャンペーンを実施した。このキャンペーンは、ガール県に隣接する7県の住民を対象に、アラ
モンにある廃炉中の火力発電所の敷地において太陽光発電所を建設のするための資金調達を行う目的で実施されたものであっ
た。
EDF Renewablesはまた、サン=パルゴワールの太陽光発電プロジェクトのための、デジタル投資プラットフォームである
WiSEED上のクラウドファンディングのキャンペーンも開始した。このキャンペーンは、エローおよびその隣接する4県の住民
より、太陽光発電所の建設の資金調達のために200,000ユーロを募ることを目的としている。
オート・アルプのビュエッシュ川におけるEDFグループの最初の水上太陽光発電所であるラゼールは、環境連帯移行省により
開始された地上太陽光発電所の入札において選ばれた。このプロジェクトの最大出力20MWpのソーラーパネルが、エリア全体の
水域の4分の3にあたる24ヘクタールの水力発電用貯水池に設置される予定である。
北米(米国およびカナダ)
2018年に、EDF Renewables North Americaはバレンタイン太陽光発電所(134MWp)およびマーヴェリック第2および第3太
陽光発電所(210MWp)の建設を開始した。
同社はまた、カリフォルニア州カーン群のビッグ・ビュー太陽光発電および貯蔵プロジェクトに関連して2件の20年間の電
力購入契約に調印した。128MWacの容量を有するこの施設は、40MW(160MWh)の蓄電池貯蔵施設に接続されている。この施設に
より発電された電力は、2つの現地の電力供給業者である、Silicon Valley Clean Energy(SVCE)およびMonterey Bay
Community Power(MBCP)に対して、それぞれ55%および45%が売却される予定である。EDF Renewables North Americaと
Shell Energy North America (US), L.P.(SENA)は、モハーヴェ砂漠の中心部、カリフォルニア州リバーサイド郡における
マーヴェリック第4発電所と呼ばれるペイレン太陽光発電プロジェクト(500MWac)の132MWp(100MWac)の発電ユニットのエ
ネルギー発電に関して15年間の電力購入契約(PPA)に調印した。このプロジェクトの建設は開始されている。
2018年、カナダにおいては、EDF Renewables Canadaも、バーロウ太陽光発電所(18.2MWp)およびペンドルトン太陽光発電
所(19.8MWp)の建設を開始した。
北米において、当グループは、合計455.4MWpの太陽光発電の総設備容量を有している。
メキシコ
当グループは、国による入札を経てブルーメックスプロジェクトを落札したことで、2016年にメキシコの太陽光発電市場に
参入した。ソノラ州において、2018年末に発電所(119.6MW)が稼働開始した。
インド
2018年、EDF RenewablesおよびEREN Renewable Energyによって、インドにおけるかかる2つのパートナーの太陽光発電事業
を運営するために2016年に設立された共同子会社であるEDENを通じて、当グループはインドにおいて稼働中の太陽光発電によ
る総容量207MWpを有している。
80/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ブラジル
2018年、EDF Renewables Brasilは、ピラポラⅡプロジェクト(114.9MWp)の稼働を開始した。ピラポラⅠ(191MWp)および
ピラポラⅢ(92.6MWp)のプロジェクトが2017年に稼働が開始されたため、ピラポラⅡはブラジル南東部に位置するピラポラ太
陽光発電総合施設(その総容量は約400MWp)の最終段階となっている。ピラポラ総合施設は、2018年末に現地のエネルギー事
業者であるOmegaがCanadian Solarの持分およびEDF Renewablesの株式30%を取得した後、EDP RenewablesとOmegaが折半で保
有している。
チリ
2018年、EDF Renewables Chileは、チリ首都の北部にあるサンティアゴ太陽光発電所(115MWp)の稼働を開始した。当グ
ループは現在、チリにおいて261MWの太陽光発電の総設備容量を有している。
イスラエル
イスラエルでは、EDN Renewablesは、ネゲヴ砂漠において合計で101MWpの設備容量を有する5つの太陽光発電所、すなわち
マシャベイ・サデー(60MWp)、メルファジム2(13.4MWp)、ペデュイム(14.1MWp)、クファル・マイモン(6.7MWp)および
ビッチャ(7.4MWp)の各太陽光発電所の稼働を開始した。当グループは現在、イスラエルにおいて17の太陽光発電所を運営し
ており、その太陽光発電の総設備容量は合計で295.1MWpである。当グループはまた、ティムナ太陽光発電所(60MW)および
ショーレッシュ太陽光発電所(27MW)の建設を開始した。
アラブ首長国連邦(ドバイ)
EDF Renewablesは、ドバイ電気水道局(DEWA)と協同でドバイ近辺において開発中の、世界最大の太陽光発電所プロジェク
トの1つであるムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム太陽光発電所の第3期である「DEWAⅢ」プロジェクト
(1,062MW)を展開するMasdar率いるコンソーシアムに参加した。
同発電所は、3段階に分けて稼働開始する予定である。2018年、266MWの最初のユニット(フェーズA)が稼働を開始し、
394MWの2番目のユニット(フェーズB)の建設が開始された。
エジプト
EDF Renewablesは、130MWacの総設備容量を有する2つの太陽光発電所の開発、建設および操業を行うために、Elsewedy
Electricと提携してエジプト市場に参入した。エジプト南部に位置する2つの発電所は、ベンバン太陽光総合施設(1.8GWac)
の一部を形成し、これに関してEgyptian Electricity Transmission Company(EETC)との25年間の電力購入契約(PPA)が締
結されている。
運営および維持管理
総合事業者として、EDF Renewablesは、自社の大部分の風力および太陽光施設の運営および維持管理を行っている。まずは
EDFグループの風力および太陽光の資産を中心に行われたこの業務は、第三者のためにも行われている。全世界において、EDF
Renewablesは、2018年12月末現在、11か国にわたって1,300人超の専門家、エンジニアおよび技術者を擁して15.1GWを稼働して
いる。EDF Renewablesは、北米における運営・維持管理分野で長年にわたり活発に事業を行っており、北米では10.8GW近くを
管理している。この業務は欧州およびその他の国々においても成長し、その総容量は2018年末で4.4GW超となっている。
この業務は、新たな発電所の稼働ならびに技術および地域に応じて臨機応変にどの施設を操業するかという選択によっても
たらされる。予想されるまたは延長された設備の耐用年数を通じて、製造業者との協力によりすべての施設において最大限の
効率を達成することが目標とされている。
したがって、EDF Renewablesは最近、予測維持管理監視センター(電子診断センター)を設立し、EDFグループの研究開発部
門との連携で、集約化された特定の社内の専門知識を活用している。これは、コロンビエール(フランス)、エムデン(ドイ
ツ)およびサンディエゴ(カリフォルニア州)の3つのリアルタイム監視センターからなる施設の遠隔監視および制御システ
ムを補完するものである。
2017年以降、EDF Renewablesは、その子会社であるREETEC GmbHを通じて、洋上風力発電所の運営および維持管理に特化した
子会社であるOffShore Wind Solutions GmbH(OWS)というドイツの会社を保有している。OWSは、北海のドイツ海岸沖95kmに
あるBARD洋上1風力発電所(400MW)の運営および維持管理を行っている。
EDF Renewablesは、イタリア、ポーランド、ベルギー、ドイツおよびフランスに複数の欧州維持管理センターを所有してい
る。これらの運営・維持管理ユニットは、より迅速な応答時間と操作性能を保証するために、技術チームを風力発電所または
太陽光発電所のできるだけ近くに配置するように設計されている。
81/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
分散型エネルギー
フランス
当グループは、屋上設備の設計、建設、運営および維持管理を行う分散型太陽光発電の総合業者として運営している。当グ
ループの完全子会社であるEDF ENRは、住宅用顧客および企業用顧客ならびに地方自治体に向けて、フランスにおいて太陽光発
電に関するソリューションを販売し、実施している。住宅用顧客を対象とした自家消費型の「 Mon Soleil et Moi 」のサービス
を受け入れた後、当社はまた、自家発電および自家消費を希望する共同所有者、社会住宅供給者およびすべての共同住宅の運
営者を対象とした「 Notre Soleil et Nous 」のサービスも開始した。
さらに、EDF Renewablesの完全所有子会社であるEDF Renewables Technologiesは、上流部門においても事業を行っている。
同社は、住宅設備から地上太陽光発電所に至るまで様々な用途がある結晶シリコン技術を利用した太陽光モジュールの設計お
よび製造を行うEDF ENR PWT(Photowattブランド)を100%所有している。2018年初頭に、Photowattは、一方では新たな産業
モデルに、また他方では応用研究開発に基づく開発プロジェクトを公表した。この新たな産業モデルは、ハイテクなシリコン
製のインゴットおよびウエハーの低炭素製品に特化するであろう。発電容量は、フランスのオーヴェルニュ・ローヌ・アルプ
地方におけるブルゴワン=ジャイユー(県番号:38)のPhotowattの既存の施設の現在の容量50MWpに対して、1年間で徐々に
500MWp超まで達する見込みである。この共同プロジェクトと並行して、Photowattは、太陽光電池と太陽光モジュールの分野に
おいて新たなテクノロジーの誕生を促し、産業化する前の状態でその試験を行う目的で、EDFグループの研究開発部門および
INESまたはイル・ド・フランス地域の太陽光研究所といった太陽光エネルギー研究センターと合同で、Photowatt Labと改称さ
れたその研究開発活動に専念することになる。
米国
地方自治体、サービス会社および事業者向けの太陽光発電所の導入および販売に特化したGlobal Ressources Options, Inc.
(groSolar)を2016年に取得した後、EDF Renewables North Americaは、2018年に、商業用および企業用(C&I)の顧客向けの
太陽光エネルギーの分散型発電のためのソリューションの主要な供給業者であるEnterSolarとの戦略的パートナーシップを締
結した。このパートナーシップは、EDF RenewablesによるEnterSolarにおける50%もの持分投資に関するものである。これに
より、いずれの会社も、C&Iの顧客に対して分散型発電の「店頭販売」のための最も広範なソリューションを提供し、分散型発
電のソリューションに対するC&I部門からの需要の急激な伸びを十分に活かすことができる。
中国
2018年、EDF Renewablesは、現地企業および多国籍企業向けの屋上太陽光施設の中国における主要デベロッパーの1つであ
るAsia Clean Capital(ACC)とともに、中国における分散型の屋上太陽光エネルギー・プロジェクトのポートフォリオの構築
および運用を目的としたジョイント・ベンチャーを開始した。このジョイント・ベンチャーは、中国における主要な分散型太
陽光発電事業者としてのACCの現地での評判ならびに分散型太陽光発電および事業者向けの自己消費ソリューションにおける
EDF Renewablesの国際的な専門知識を活用する予定である。
貯蔵部門
2018年に、当グループは、2035年までに電力システムのための10GWの貯蔵施設を新たに設置することを定めた電力貯蔵計画
を開始し、これに対してEDF Renewablesは貢献している。
EDF Renewablesは、その子会社であるEDF Renewables Technologiesを通じて、当グループの完全所有子会社であるEDF
Store & Forecastの支配株主である。EDF Store & Forecastは2014年3月に設立され、再生可能エネルギー発電および貯蓄の
自動制御の予測、計画および最適化に関するソフトウェア・ソリューションを販売している。
再生可能エネルギー発電が力強く成長し、大規模な電気設備が閉鎖されたことを背景として、蓄電池技術がスマート・コン
トロール・システムとともに、国営電力網における発電の円滑な運営を助けている。貯蔵システムは、変動に迅速に対応する
ために、電力網上で稼働することができる。このような状況下で、EDF Renewablesは、子会社を通じて米国、英国およびフラ
ンスにおいて革新的な貯蔵システムを開発している。
2015年、EDF Renewablesは、EDF Renewablesの北米子会社がエネルギー蓄電池とコンピュータ制御の監視ソフトウェアの組
合せからなる革新的な貯蔵システムを開始したことを発表した。マクヘンリー発電所は、約20MWの容量(動的容量40MW)を供
給し、現地の送電網の周波数を安定させるためのエネルギー貯蔵量の監視を支援する。
2018年、EDF Renewablesは、英国のノッティンガムシャーのウェスト・バートンB発電所において、2016年に入札を落札し
た49MWの容量の蓄電池による貯蔵システムの稼働を開始した。この施設は、英国全体で展開される予定の新たな周波数管理シ
82/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ステムの最も重要なプロジェクトである。これは、電力網の安定性を向上させ、電力網の周波数変動に迅速に対応することを
目的とするものである。
2018年に、EDF Renewablesはまた、カリフォルニア州のビッグ・ビュー太陽光発電および貯蔵プロジェクトの建設に関連し
て2件の20年間の電力購入契約に調印し(「太陽光発電-北米(米国およびカナダ)」を参照。)、40MW(160MWh)の蓄電池
貯蔵施設に接続した。
最後に、仏領ギアナにおいて2015年より稼働している蓄電池による貯蔵システムが備わったトゥーカン太陽光発電所(5
MWp)に加えて、相互接続されていない地区(ZNI)に位置し、蓄電池による貯蔵システムを備えた100kWp超の容量を有する太
陽光発電施設の建設および操業に関するCREの第二次入札において、2017年にトゥーカン2太陽光発電所(5MWp)の企画案が
選ばれた。10万を超える太陽光モジュールを有する、建設予定のトゥーカン2発電所は、EDF Store & ForecastとEDF
Renewablesにより開発された電子設備遠隔制御システムを特徴とするものとなる。
② フランスにおける販売および供給事業
( ⅰ) フランス市場について
( イ) 需要
2018事業年度におけるフランス(コルシカを含む。)の国内電力消費は、とりわけ気候が穏やかであったことから、2017年
と比較して0.8%減少し、478TWh( 総消費量。出典: RTEが公表した2018年電力報告書。 )となった。
( ロ) 競争
2007年7月1日以降、フランスの電力およびガス市場は完全に開放されており、各顧客は、エネルギー供給業者を選択する
ことができる。
エネルギー規制委員会(CRE)によると、過去3年間にわたって、フランスで活動する電力供給業者(従来の供給業者を除
く。)の数は、2015年末現在の24社から2018年9月30日現在は43社と、実質的に2倍となった。2018年9月30日時点におい
て、CREによると、その他の供給業者の敷地の面での電力市場シェアは、住宅用顧客市場について18.2%であり、非住宅用顧客
市場については42.4%であり、敷地数の面でのガス市場シェアは、それぞれ28.5%および43.2%であった。
電力市場およびガス市場においては、2000年代初頭より多くの供給業者が企業および地方自治体への提供を申し出てきた。
住宅用顧客にとっては、他の事業または地理的地域において定評のあるガスおよび電気の供給業者が市場に参入したことによ
り、2017年以降競争が大いに激化している。
2018年には、EDFの代替電力供給業者は、それぞれ顧客に供給を行うために、約82TWhについて自社の発電容量ならびに電力
卸売市場およびARENHを利用することができた。2018年11月の申込手続では、代替供給業者からの需要は、ARENHによる配電量
100TWhに対して132.98TWhに達した。「第2 3(2)③(ⅲ)既存の原子力発電所からの電力に対する規制されたアクセス
( Accès Régulé à l'Énergie Nucléaire Historique またはARENH)」も参照のこと。
( ハ) 規制電力販売料金契約
電気の規制料金に対する権利
2010年のNOME法の導入以来、顧客カテゴリー別の電力に関する状況は下記のとおりである。
・その敷地の電力に関し、36kVA以下の契約に加入している住宅用および非住宅用最終顧客:これらの顧客は規制販売料金の恩
恵を得る。かかる顧客は、自由に規制料金および市場価格を交互に切り替えることができる。
・その敷地の電力に関し、36kVA超の契約に加入している住宅用および非住宅用最終顧客:2016年1月1日以降、これらの敷地
について、2015年12月31日に廃止された規制販売料金の契約に加入することはできない。
・本国の電力網につながっていない地域に所在する敷地の住宅用および非住宅用最終顧客:これらの顧客は規制販売料金を利
用することができる。
・2018年1月1日に、2005年1月1日以降課されている基本必須料金が、アルデシュ県、アベロン県、コート・ダルモール県
およびパ・ド・カレー県において2016年および2017年に行われた試験運用の後に導入されたエネルギー小切手に置き換えら
れた。
「青色料金」(主に住宅および小企業に適用される青色料金)-国務院の2018年5月18日および2018年10月3日付決定
2016年および2017年の料金決定に対して、「青色料金」として知られる住宅および小企業向けの規制電力販売料金が、欧州
の法律に適合していないという理由から、AnodeおよびEngieにより不服申立てが国務院に提起された。
これらの申立てに関する判決ならびに2018年5月18日および10月3日の決定により、国務院は、規制電気料金の原則を受け
入れており、かかる規制電力料金によって、消費者が市場価格よりも安定した価格の電気料金を支払うことを保証するという
一般的な経済利益目標を達成できるという点を特に認識している。国務院は、通常の電気料金単価の規制よりも緩い規制によ
83/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
る国の介入によってのみこの目標が達成されること、また「規制電力料金」(フランス語の略称でTRV)に係る規則により電力
会社による顧客へのアクセスが差別なく平等に行われる点を保証することについて確認した。
しかしながら、国務院は、恒久的な継続性およびその適用範囲に関してはこの規制が不均衡であったことを鑑み、現在は
36kVA未満の電力契約に加入している大企業の敷地を含めている。これらの要素は、2016年7月28日および2017年7月27日の料
金決定の一部取消しを正当化するものである。現在フランス政府にはこれらの決定を実施するという義務が課されている。本
書提出日現在、かかる決定を含むフランスのエネルギー・気候法の新たな草案が、フランス議会において討議されている。
「青色料金」の料金改定
2015年12月8日以降、フランス・エネルギー法のL.337-4条およびL.337-13条(NOME法)に従い、CREは、経済およびエネル
ギー担当省に対して、正当な電気の規制販売料金(TRV)案を通知する責任を負っている。3か月の期限内に異議が申し立てら
れなかった場合、かかる料金案は承認されたものとみなされる。
2018年の料金改定に関し、CREはNOME法に従い、政府に対して2018年1月11日の審議により、住宅顧客向け「青色料金」にお
いて0.7%(税抜き)および非住宅顧客向け「青色料金」において1.6%(税抜き)の引上げを提案した。この提案は、2018年
1月31日付料金決定により確認され、2018年2月1日に「官報」において公布されており、2018年2月1日に施行された。
その後、2018年夏の料金水準もこのプロセスに従い改定された。2018年8月1日付のTURPEの変更を受けて、フランスのエネ
ルギー法に従い、CREは2018年7月12日付の審議において、住宅顧客向け「青色料金」において0.5%(税抜き)の引下げおよ
び非住宅顧客向け「青色料金」において1.1%(税抜き)の引上げを提案した。さらに、上述の2018年5月18日付の国務院の決
定に関して、CREはまた、その2018年7月12日付審議に、「統計および経済分析目的で事業が所属する分類を判定するための基
準に関する2008年12月18日付政令2008-1354」に基づく大規模事業の範囲決定のための定義付けを提案することで、すべての大
規模事業用地に関する非住宅顧客向け「青色料金」の廃止を含めた。CREの提案は、その全部が2018年7月27日付料金決定によ
り承認され、2018年7月31日付官報において公布された後、2018年8月1日に施行された。
2019年の料金改定に関して、CREは、2019年2月12日に公布された2019年2月7日付決定を通じて、政府に対して住宅顧客向
けおよび非住宅顧客向けの「青色料金」を7.7%(税抜き)引き上げる提案を行った。この提案は、主にエネルギー卸売費用お
よび容量保証価格に加えてARENHの上限メカニズムによる影響といった、電気の規制販売料金(TRV)の複数の要素により生じ
た費用の増加を考慮し、行われることとなった。この提案が施行される日付は不明である。政府には、この提案を拒否する期
間として3か月が与えられている。
( ニ) 電力供給契約
フランスでは、顧客は規制販売料金を事前の通知なくいつでも自由に停止することができ、EDFを含む別の供給業者により提
案された市場価格に切り替えることができる。
送電網に直接接続する顧客で、別々の供給および配電契約を締結しなければならない顧客を除き、すべての顧客は、選択し
た供給業者と、その電力供給および送電に関して単一の契約を結ぶことができる。これに関し、顧客に単一の契約を提供して
いる供給業者は、これにより配電業者に代わって義務を果たしていることから、かかる供給業者に対しては、配電業者から手
数料が支払われる。
供給の質は、配電業者の責任によるところであり、配電業者との契約に基づき定期的に監視される。EDFは、供給停止の影響
および顧客に対する提供の質ならびに改善を続けることで配電業者と連携するという目標の達成について監視する(「第2 3
(2)④(ⅱ)(ロ)配電事業」を参照。)。
( ⅱ) 顧客部門
フランス(海外県およびコルシカ島を除く。)におけるEDFの販売および供給活動は、顧客部門により運営管理されている。
( イ) 供給の概要および供給戦略
EDFは、フランスにおいて、エネルギーおよびサービスを約30百万の顧客の敷地(海外県およびコルシカ島を除く。)に対し
て市場で販売している。
電力市場において、EDFの電力販売量(LDCを除く。)は2018年に約280TWhとなり、市場シェアは約65%となった。
EDFはすべての種類の顧客にガスを供給している。2018年、EDFは1.5百万超の顧客へ31TWhのガスを販売し(2017年は
30.1TWh)、市場シェアは6.6%であった。
ガス供給および電力供給に加え、EDFは、高いエネルギー効率の提供および新たな分散化されたエネルギー・ソリューション
を通じて、顧客に寄り添っている。さらに、EDFは、顧客の期待に応えるため、また進行中のデジタル革命における顧客支援の
ため、自社の商品および顧客窓口のデジタル化に引き続き取り組んでいる。これらの取組みは、当グループのイノベーショ
ン・アクセラレータであり、内部エコシステムおよび外部パートナーのネットワークを駆使してイニシアチブの支援を行うEDF
84/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
Pulse Studioを通じて行われている。また、EDFは、人工知能などの革新的アプリケーションに特化したスマート・ラボを備え
ている。当グループは、エネルギー革新および顧客サービスにおいて引き続き先駆的な役割を担う。また、当グループは、住
宅 用顧客に関して、経済的および社会的な誓約の中に「家庭における持続的な快適性」を組み込む方針である。
例えば、住宅用顧客は、モバイル・アプリケーション「 EDF & MOI 」をダウンロードし、「eバランス( e.quilibre )」ソ
リューションを閲覧し、エネルギー消費量削減に関して支援を受けることができる。
2006年に導入された省エネ証書(CEE)制度は、2018年1月1日に改定された。第4期(2018年-2020年)の国民の義務が、
1,600TWhc(このうち400TWhcはエネルギー貧困世帯のためのものである。)に設定された。これは、前期(2015年-2017年)
に対して2倍を超える増加となっている(かかる数値は前期では700TWhcに設定されていたが、2016年1月1日に「エネルギー
貧困世帯」向けのCEEが導入されたことにより850TWhcまで増加した。)。EDFは、2015年から2017年の第3期の義務を果たして
おり、当年度の義務を遂行するために第4期について2018年における供給を増加させた。
EDFグループは、エネルギー移行地域の規範となるパートナーとなり、地域における再生可能エネルギー発電に関するエネル
ギー効率化プロジェクトおよび地域緑化開発プロジェクトにおいて、かかる地域のニーズを満たしたいと考えている。EDFグ
ループは、子会社のIZIVIAを通じて、電気モビリティの開発において主導的な役割を果たしている。
最後に、顧客満足は、EDFの最優先の目標であり、すべてのセグメント(住宅用顧客、企業および地方自治体)において良好
な結果を達成している。この実績は、顧客がその苦情に関してEDFの橋渡し役(mediateur.edf.fr)からのサポートを求めるこ
とができるようになったことに加えて、顧客満足の文化が各販売マネージャーからトップレベルに至るまでの目標となった結
果である。
( ロ) 顧客の種類別の業務
( a ) 住宅用顧客
2018年12月末現在、EDFは、フランスにおいて24.5百万の住宅用電気施設および1.4百万超のガス顧客を有していた。2018事
業年度において、電力販売量は合計120.3TWh、天然ガスの販売量は合計13.4TWhであった。
EDFは、日々革新しており、住宅用顧客の満足を優先している。EDFへの問合せ後、問合せの方法または理由を問わず、10人
中およそ9人の顧客が当社から受けた対応に満足している。2018年5月に公表されたフランス国内エネルギー・オンブズマン
の年次報告書では、EDFはその競合企業を大きく引き離して、紛争が生じる率が最も低かった( 出典:2017年フランス国内エネ
ルギー・オンブズマン年次報告書 )。顧客サービスは、デジタル(顧客用スペース、チャット、ウェブ上のコールバック、モ
バイル・アプリケーション、デジタル・ソリューション、ソーシャル・メディア等)と人との両方で提供されている。全員が
フランスに拠点を置く5,000人のアドバイザーが、顧客のニーズに気を配り、個別のアドバイスを提供している。2018年10月末
現在、商業関係および販売について42,000時間超の研修時間がEDFのアドバイザーに対して充てられた。
エネルギーの提供
EDFは、規制販売料金(TRV)で、またTRVを補完する幅広い電力の市場価格によって、電力を提供している。2018年、EDFは
住宅用顧客に対してより多くの選択肢を提供するために、その電力の市場価格の範囲を拡大した。これにより Vert Electrique
Auto (グリーン電力自動車)料金が1月に開始された。この再生可能電力供給の提供は、とりわけ自宅で電気自動車またはハ
イブリッド車の再充電を行う顧客に焦点を当てたものである。この料金はまた、EDFの子会社であるIZIVIAにより提供される
「ローミング」(旅行用)ソリューションにより、手間のかからない遠出用の、自宅外での再充電を促進している。10月に、
EDFは規制販売料金と比較して1キロワット時当たり5%(税抜き)割安で提供する最初のオンラインでの電力供給「デジワッ
ト」を開始した。この革新的な提供は、EDFとの関係を個別に、快適に、かつ魅力的な価格で管理することを希望する顧客向け
に設計されている。
また、EDFは、1.4百万の顧客に対し、天然ガスを市場売出しの一環として提供している。EDFの一連のガスの市場売出しには
以下の3つの提供が含まれる。「 Avantage Gaz 」の提供は、4年の期間について1キロワット時当たりの固定価格(税抜き)
に基づいている。「 Avantage Gaz Durable 」は、「 Avantage Gaz 」のすべての利点を享受していることに加え、ガスの消費に
係る炭素排出を相殺し、フランスにおけるバイオガス・リサーチ・プログラムを支援している。最後に「 Avantage Gaz
Connecte 」によって、顧客は暖房を遠隔管理することができ、接続されたサーモスタットを購入することで顧客の快適性が高
めることができる。
機能性およびサービス
EDFはAXAと提携し、外部電力およびガス施設(電力およびガスのオプション)、電力、ガスおよび水力施設ならびに配管/
錠前トラブル(住宅オプション)ならびに設備(設備オプション)に対応する3つの迅速な修理オプションの提供を通じて、
「 Solution Dépannage Confiance 」と呼ばれる幅広い支援サービスの範囲を拡大した。EDFはまた、AXAと提携し、顧客の支払
85/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
困難時(失業、就業不能、入院、傷病または死亡時)に定額の払戻しを受けることによりエネルギー料金の支払いを可能にす
るエネルギー保険( Assurénergie )を提供している。
EDFは、顧客がエネルギー貯蓄を達成する手助けを行うための幅広いソリューションを提供している。 e.quilibre はすべての
EDFの住宅用顧客がアクセスすることのできるデジタル・ソリューションであり、これにより顧客は、そのエネルギー消費につ
いてのより深い理解と管理が可能となり、特に、推定エネルギー消費量の毎月の監視、前年度の消費量および同様の世帯の消
費量との比較、または最も多くのエネルギーを消費する電化製品の特定が可能となる。日々の省エネを達成するための個別の
アドバイスも e.quilibre において入手することができる。さらに、Linkyスマート・メーターを設置している10百万超のEDFの
顧客は、同意した場合には、実際のTWhおよびユーロの単位での消費量に関するニュースを毎日または30分ごとに入手すること
ができる。希望する場合には、消費目標をユーロ表示で設定することもでき、目標を超過した場合は警告される。また、「 EDF
& MOI 」アプリケーションで「 Fil d'Actu 」にアクセスすることもでき、履歴を利用してその消費量と省エネを理解するための
情報(天候の影響、同様の世帯、暖房の割合、採用された行動等)にアクセスすることができる。
オンライン・プラットフォームのElectriscoreは、インターネットユーザーが、EDFの住宅用顧客であるか否かを問わず、電
力消費を最小限に抑える家庭用器具を選択する手助けを行う。
EDFは、これらのデジタル・ツールのほか、自社のウェブサイト(edf.fr)において省エネに関する助言を提供し、住宅用顧
客の家庭のエネルギー使用計画を改善させることを目的とした「EDF住宅ソリューション・パートナー」のネットワークを運営
している。住宅用顧客はまた、家庭のエネルギー使用の改善について、EDFの財務パートナーであるDomofinanceによるローン
に関するソリューションにアクセスすることができる。
最後に、EDFは、インターネットユーザーおよび新規企業の共同開発を目的としたデジタル共同プラットフォームである、
EDF Pulse&Youとともにオープンな革新に投資している。2016年3月の導入より6,000人のインターネットユーザーが、新商品
の試験を通じた革新的なプロジェクトの開発に参加しており、90,000件を超える寄付を行っている。
省エネ証書(CEE)の獲得
住宅用顧客に関し、主に「EDF住宅ソリューション・パートナー」のネットワークに基づく住宅のエネルギー改善によって
CEEが発行された(「第2 3(3)⑥(ⅰ)環境、健康、衛生および安全性に適用される一般的規制」を参照。)。住宅のエ
ネルギー効率化を達成したすべての住宅用顧客は、www.prime-energie.edf.frにアクセスし、必要な情報および書類を提出す
ることで、EDFより現金が支給される特典を受けることができる。
連帯政策
連帯は、EDFの本質的価値観であり、およそ30年間もの間、経済的に困難な状況にある顧客に焦点を当てた方針を追求してき
た。
( b ) 企業用顧客
EDF EntreprisesおよびEDF Collectivitésは、併せて1.5百万の顧客を有している。2018年には、規制販売料金または市場価
格での電力販売量は163TWh、天然ガスの販売量は17.7TWhに達した。
EDF および企業用顧客
EDF Entreprisesは、特に電力請求額の削減およびエネルギー移行への参加を手助けすることによって、企業用顧客のエネル
ギー・パフォーマンスに貢献している。この活動は、特にエネルギー・サービスの開発に重点を置くEDFグループの戦略の中核
である。
EDF Entreprises の商品
EDF Entreprisesは、企業用顧客に対して、競争力のある、オーダーメイドの電気・ガスの供給サービスを提供している。こ
れらのサービスは、顧客の要望と消費パターンに応じて変化する。
EDF Entreprisesが提供する電力サービスでは、簡潔な契約手続を通じて、中小および零細の企業用顧客がエネルギー供給の
最適化を行うことができる。消費量が増加した顧客は、予算の見通しを立てる必要性に応じて、提供価格における契約期間を
選択することができる。最後に、EDF Entreprisesは、最も消費量の多い顧客に対して、その消費の構成に適したソリューショ
ンを提供することが可能である。EDF Entreprisesはまた、企業用顧客に対して、顧客が将来的な計画を立てられるよう、3年
間の保証価格を設定している。
EDF Entreprisesは、消費量の多い顧客に対してピーク時およびオフ・ピーク時、さらには夏と冬とで異なる価格を設定し、
顧客がこれらの時期に発電費用に応じて消費量を最適化できるよう、商品の仕組みを通じて支援している。
86/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
EDF Entreprisesは、すべての顧客に対して、自社の全商品にわたり再生可能エネルギー源による電力によって消費量を賄う
ことを選択できるようにしている。中小規模の企業用顧客に対しては、消費量の100%が再生可能エネルギー源による電力で賄
わ れることを保証することにより、当該企業用顧客の貢献について当該企業用顧客自身の顧客への情報開示を容易にする、再
生可能エネルギー契約という個別サービスも提供している。より大規模な顧客に対しては、保証された供給源から賄う消費量
の割合を顧客自身が20%から100%の間で決定できるオプションを提供している。
EDF Entreprisesは、オンラインでの消費モニタリング、電子請求、サポートおよびトラブルシューティング、特にエネル
ギー管理システムの利用を希望する顧客に対するアドバイス(契約中の電力の最適化、エネルギー費用の効率化および削減
等)等、中小企業であるか大規模の企業用顧客であるかを問わず、すべての電気およびガス顧客に向けた様々な種類の商品を
提供している。
EDFは大規模顧客に特化したサービス(オーダーメイドの電気およびガス供給サービスならびに負荷削減が可能な顧客に対す
る報奨金支払サービスのみならず、顧客のエネルギー消費量および二酸化炭素排出量の管理ならびに国内割当計画に基づく企
業の二酸化炭素取引を支援するサービス(「第2 3(3)⑥(ⅰ)環境、健康、衛生および安全性に適用される一般的規制」
を参照。))を提供している。
最後に、EDF Entreprisesは、顧客のエネルギー移行を支援するため、意識向上キャンペーンによる環境保護行動の促進にも
携わっている。さらに、EDF Entreprisesは、顧客が省エネ可能な量をより良く把握できるようにエネルギー監査を行ってい
る。EDF Entreprisesにより認定されたチームが、顧客のエネルギー管理システム(ISO 50001)の実施を支援している。
EDFは、融資、維持管理、監督およびパフォーマンスの監視といった一連の関連サービスによって、企業用顧客および地方自
治体が、それぞれの電力のニーズに基づき最適化された太陽光自家消費ソリューションを通じてエネルギー移行に直接従事す
るという目標を達成するための手助けを行っている。EDFはまた、自家消費操業を行う顧客がその特性に応じた電力供給を補完
するための新たなサービスを有しており、これによりかかる顧客は自家発電による節約を最大化することができ、必要な場合
は消費を管理することができる。EDFはまた、集合的な自家消費操業の組成および管理を促進することを目指すサービスおよび
技術システムを試みることにより革新を進めている。EDFはフランスにおいていくつかの先駆的な運営に携わった。
顧客満足
EDF Entreprisesは、顧客満足を優先しており、顧客と接触するたびに需要の充足度、要望のモニタリング、ならびに提供さ
れた情報およびアドバイスに耳を傾け、調査を行っている。2017年に約10ポイント急増した後、EDF Entreprisesの全セグメン
トにおける顧客の全体的な満足度の平均は、顧客の89%が「満足」および「とても満足」と回答し、2018年においても安定し
ている。
EDF ならびに地方自治体、社会住宅家主、地方配電会社(LDC)および公共サービス事業者
EDFは、地方改革およびエネルギー移行を背景として、分権的意思決定を有する地方自治体および公的機関(病院、大学およ
び主要な大学院、商工会議所、CROUS学生サービスセンター、港および空港)に対してカスタマイズされた解決策を提供してい
る。
競争力の高い分野における事業者として、EDFグループは顧客に対し、3つの分野において以下の事業を行っている。
・エネルギー問題(入札の要請に記載された需要に適応した提供とソリューションの提案)へ対応した、市場価格での電力お
よびガスの供給
・地方気候プラン、地域緑化、地域発電、街路照明、電気モビリティ、建物のエネルギー効率等のエネルギー移行に関する
サービスの開発
・さらに、公共サービスの使命に関して、EDFは以下を任されている。
-規制販売料金での電力の供給に係る委託契約の締結
-規制販売料金での電力の供給
-エネルギー貧困との闘い
2018年において、EDF Collectivitésの顧客の全体的な満足度は安定しており、10人中9人の顧客は「とても満足」または
「かなり満足」と回答した。
地方自治体とのエネルギー消費管理
各地域でのエネルギー移行の実施に関連して、地方自治体との合意書への調印が行われた。また、エネルギー分野の決定権
のある地方自治体は、エネルギー需要コントロールおよび再生可能エネルギーに関する問題においてそれらの地域における特
定の活動を行う。社会住宅賃貸人向けの「ロード量」装置は、社会住宅のエネルギー効率を改善し、EDFが省エネ証書を発行す
ることができるようにすることを目指している。2018年において、127,700超の社会住宅が修繕工事についての支援を受けた。
EDFはまた、地方自治体向けのCEEプログラム(例えば、TEPCVまたは「 Watty à l’école 」)を提供している。
87/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( ハ) 持続可能な都市および地域となるために
都市および地域は、地元の要請と責任ある開発との調和を行わなければならない。EDFは、地方の開発に従事する者(地方自
治体、都市・農村計画者、産業推進者等)が、プロジェクトの技術的および経済的な特徴を考慮に入れて、別のエネルギーの
ソリューションおよびサービスの可能性を特定するための手助けを行っている。
EDFは、低炭素排出地域の設計、資産管理戦略に基づく建物の在庫の刷新、または車両の電化計画もしくは発電所もしくは再
生可能エネルギーの設置計画を行うための一連の助言業務(Optim Range)を開発した。エネルギー需要をコントロールするた
めの活動も実施されており、その一部は、省エネ証書(CEE)プログラムの一環となっている。
EDFが大都市、大都市圏、中規模都市、農村部のニーズにより良く応じることができるように、すべての地域にわたって45名
の開発マネージャーが存在している。
( ニ) 顧客データの保護
EDFの顧客に関するデータの保護は、資産/商品および情報システムを保護するための顧客部門の活動計画の主たる構成要素
である。
計画に基づく取組みは、供給業者の統治機関に対して毎年提示されている。
とりわけデータ処理の規則(一般データ保護規則(GDPR))を遵守するために細心の注意が払われている。2018年、顧客
データ処理の詳細を更新し、営業データ管理者(ODC)を特定し、データ管理者とODCをまとめ、年に2度集会する委員会であ
るデータ保護委員会を設置するための取組みが遂行された。
住宅用顧客市場および企業用顧客市場のすべての顧客アドバイザーは、顧客の権利の行使に関する顧客からの要請に対応す
るように訓練を受けている。
顧客データを安全に管理するため、情報システムの容量に関して毎年内部監査が行われ、顧客窓口担当の従業員に限り、顧
客データにアクセスしていることを確認している。
顧客データへのアクセスは、認定を受け、利用規定への署名を行うことを条件とする。
先を見越した行動を実施することについても細心の注意が払われている。顧客優先センターによって、住宅用顧客は、満足
度および優先度に関する主要な見解を享受し、顧客スペースからこれらの満足度を管理することができる。
( ホ) 規制料金での公共配電委託
ここで言及する委託には、2つの異なる公共サービス義務がある。
・公共配電網の開発および運営。かかる開発および運営は、フランス本土(地方配電会社(LDC)を除く。)についてはEnedis
( 独立して運営される電力配電網事業者 )(「第2 3(2)④(ⅱ)配電-Enedis」を参照。)が、接続されていない地域
(ZNI)についてはEDFが担当する。
・(LDC以外の)フランス本土およびZNIを請け負うEDFによる、公共配電網に接続した規制販売料金の恩恵を受ける顧客に対す
る電力供給。当該義務は、委託仕様書の義務ならびに一般的な販売条件(申込み、支払いおよび配電条件ならびに契約締結
等)に従って履行されている。
フランス本土における各委託契約はEDF、Enedisおよび許認可機関により連署されており、自治体または自治体連合にも関係
している。この公共サービス義務は475の委託契約(そのうち50は県単位のものである。)の枠組みの中で履行されている。
2018年は、EDF、Enedis、FNCCR(全国委託元当局連合会)およびフランス都市連合の間で2017年12月21日に調印された合意
の主題となっていた新たな国の委託契約モデルの実施に関して、進展のあった最初の年となった。県のエネルギー・コンソー
シアム、都市共同体およびコミューンとの間で、この新たなモデルに沿った約60の契約が2018年12月31日に締結された。
2019年は、この新たな契約モデルの継続的な適用を特徴とする年になるであろう。とりわけ、委託契約の更新、全国的およ
び地域的権限の動員、委託機関におけるEDFの問合せ窓口の専門性の強化、毎年の委託状況報告書(CRAC)の作成、ならびに許
認可機関からの監視要求への対応等のための組織および手段が維持されている。
③ フランスにおけるEDFの最適化業務
( ⅰ) 上流部門/下流部門最適化取引部門(DOAAT)の役割および事業
DOAATは、EDFの上流部門/下流部門の電力ポートフォリオのバランスの管理、かかるポートフォリオから生み出される電力
の売上総利益の最適化および確保、ならびに関連する物理的リスクおよび金融リスクの管理を担っている。
電力の供給/需要の管理は、当グループのリスク統制部門からの命令に従って起草され、執行委員会により承認された極度
リスク(数量リスク)および価格リスクに関する方針により設定された枠組み内で、現時点に分類される(「第3 2(1)②
競争および一般的な環境に関するリスク」を参照。)。気候変動は、かかる管理に影響を及ぼす。例えば、冬の気温が1℃低
下すると、フランスにおける地域的電力消費量は2,400MW増加し( 出典: RTE )、EDFのポートフォリオはかかる感温性の大部分
の影響を受ける。さらに、極端な2年間では、それぞれの年の流出量に応じたEDFの水力発電量の範囲内の差は約20TWhに上る
88/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
可能性もある。DOAATは、常にそのコミットメントを充たせるように、十分な余剰電力の保有を確保している。このためDOAAT
は、発電所の管理業務(特に原子力発電)のプログラミング、在庫管理(化石燃料、水力発電の予備電力および顧客による負
荷 削減)ならびにDOAATを代理して市場にアクセスする任務を負っているEDF Tradingを通じた卸売市場での売買等、一連のレ
バレッジを管理している(「第2 3(2)⑥(ⅲ)最適化および取引:EDF Trading」を参照。)。DOAATはまた、EDF
Tradingの支援を得て、エネルギーおよび燃料の卸売市場(ガス、石炭および石油製品)ならびに二酸化炭素排出権の市場の価
格変動に対するEDFの上流部門/下流部門のポートフォリオのエクスポージャーを管理している。
DOAATは、RTEに関して、EDFのフランス本土における役割範囲において「調整責任企業」としての役割を担っている。この点
に関して、EDFは、RTEに対し、その調整対象において矛盾が生じた場合、財務的に補償を行うものとする。最適化は、RTEに対
し、需要と調整された提供スケジュールを知らせ、EDFの契約上のコミットメントの供給費用の最小化を可能にすることにより
行われる。
( ⅱ) 長期的な電力の購入契約および売却契約
EDFは、欧州事業者とエネルギー購入契約または売却契約を通じて、商業関係を持っている。
契約には以下に関連する複数の種類がある。
・発電所(主に原子力発電所)が生成するエネルギーに対する権利。発電所の稼働期間中、取引相手方はかかる権利から利益
を得る(「第2 3(2)①(ⅰ)(イ)フランスにおけるEDFの原子力発電所」を参照。)。
・通常15年から25年間の期間、全面的または部分的に保証される電力引出権
( ⅲ) 既存の原子力発電所からの電力に対する規制されたアクセス( Accès Régulé à l'Énergie Nucléaire Historique または
ARENH)
2011年7月1日より運営されているARENH制度においては、枠組み合意を締結した他の供給業者が、エネルギー規制委員会
(CRE)が定める電力量を規制料金にてEDFから購入し、顧客へ供給する権利を付与される。この制度は、電力網事業者が損失
の補填のために利用することもできる。CREはこの制度の管理および購入権の計算を担い、購入権の計算の結果を共同で契約す
る関係当事者へ通知する。したがって、ARENHの利用権の行使を希望する供給業者は、CREに提出し、申請を行うことで当該利
用権の行使が可能となる。詳細な予測値および各供給業者について計算された購入権は、CREおよび当該供給業者のみが知るこ
とができる。支払いは、フランス預金供託公庫により管理される。
ARENH価格は、エネルギー規制委員会(CRE)による提案を受け、エネルギー省および経済財務省によって決定されるが、
2011年5月17日以来、42ユーロ/MWhを維持している。価格には、電力の供給および関連する供給量証書の発行が含まれる。
最終顧客の需要を満たすための電力を申請する供給業者に対して販売することができるARENHの電力量は、最大で年間100TWh
に設定されている。かかる上限の適用に係る条件は、CREによって定められている。
2016年11月14日付の命令によって、ARENHの枠組み合意は、容量メカニズムの実施に関連した規定を組み込み、供給業者によ
る早期終了に係る条件を定めることを主な目的として改正されている。改正後枠組み合意は、このような、一方的に早期終了
することができる権限の行使を制限し、(ⅰ)ARENH価格が2%を超えて変更された場合、(ⅱ)枠組み合意が大幅に修正され
た場合、または(ⅲ)ARENH関連の規制の変更が、買い手の入手条件の調整に重大なマイナスの影響を与えた場合にのみ、当該
権限が適用されるものとする。
また、「モノトニー条項」の適用についての規約を定めるため、既存の原子力発電所からの電力に対する規制されたアクセ
スに関する2017年3月21日付命令第2017-369号によって、ARENHに関するフランス・エネルギー法の政令規制の条項の一部が改
正された。同命令は、過去のフランス・エネルギー法の文言において定められていなかった事例に対する措置であり、すなわ
ち当期以前の期間において枠組み契約がなかった場合またはARENH申請が行われなかった場合などが事例に挙げられる。申込み
および契約がなかった場合は、ゼロ・ボリュームの申込みとみなされる。
2018年、EDFは、競合事業者の最終顧客の需要を満たすために87.1TWhの配電量をARENHの一部として供給した。
エネルギー規制委員会は、フランス・エネルギー法に従い、2018年10月25日付決定第2018-222号を通じて、需要が法定上限
を超えた場合のARENHの電力量の配分方法について定めた。かかる決定は、2018年11月以降にARENHの上限を超えた場合、第一
に、かかる申請手続中に新たに行われたARENH申請のみが制限の対象となること、また、第二に、EDFが支配する子会社は電力
容量を十分に備えており、当該上限を超える場合があることを規定している。最後に、かかる決定は、前述の子会社が親会社
と合意を締結し、ARENHのメカニズムおよび電力供給の条件、中でも他の供給業者の上限レートを復元する場合があると規定し
ている。この上限メカニズムが導入された場合、規制販売料金(TRV)の決定における市場参照価格の比重は高まり、その他す
べての要素が同等であり続ける中、エネルギー要素が増加することになる。
2018年11月21日の適用手続中に供給業者(EDFの子会社を除く。)が要請した電力量が上限を超え、132.98TWhとなったこと
から、EDFは、競合事業者の最終顧客の需要を満たすため、2019年においては100TWhのARENH配電量を供給する予定である。
89/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
(ⅳ) 購入義務および卸売市場での販売を専門とするバランス調整グループ
EDFは、政府が支援および開発を望む発電施設(再生可能エネルギー源およびエネルギー効率の優れたコジェネレーション)
からの電力を購入する義務を負っている。法律(フランス・エネルギー法第L.121-7条)により、当該義務から発生する追加費
用は、電力市場のベンチマーク価格に基づき、EDFのために相殺される(「回避コスト」という概念である。)。2017年1月1
日以降、当該取引に係る費用もまた相殺された。
2011年の費用に関して2012年10月9日に開催された委員会において、CREは、「購入義務の対象となる発電量は部分的に予測
不能であることから、理論上は、EDFの負担する不均衡コストを回避コストから差し引くべきである。当該不均衡は、過年度に
おいては消費関連の不均衡と比較すれば無視できるものであったが、より顕著になってきている。」と表明した。
再生可能エネルギーの開発に伴って、予測発電量と実際の発電量との差異から発生する費用が顕著になっている。このた
め、CREは、2014年12月16日に開催された委員会において、かかる不均衡コストを組み込むためにEDFの回避コストの計算式を
変更した。CREは、EDFに対して、かかる不均衡を具体化し個別に特定するために、バランス調整専門グループを設立するよう
依頼した。
購入義務契約の対象となる施設を専門とするバランス調整専門グループは2015年7月1日に設立された。購入義務契約の対
象となる施設で発電されたエネルギーの販売は、DOAATがエネルギー市場において直接に管理している。これにより、当該エネ
ルギーをEDF自体のポートフォリオから切り離して管理することが可能となる。こうして、2015年11月4日以降、短期(すなわ
ち、次回販売日の前日。「購入義務のランダム要素」と呼ばれる。)の予測が可能な購入義務に基づく発電量は、EPEXスポッ
ト市場において販売されている。2016年1月以降、長期の予測が可能な発電量(購入義務の「ほぼ確定的」とされる要素)
は、透明かつ公平な入札に基づき販売されている。
(ⅴ) 容量メカニズム
NOME法に由来するフランス・エネルギー法第L.335-1条以下は、各電力供給業者に対し、政府による当初の基準に従い、フラ
ンス本土における電力の安定供給に貢献することを義務付けている。このため、各供給業者は、その義務に関する容量の保証
(RTEによって定められるピーク時における顧客の発電およびエネルギー消費を参照して算出される。)を得なければならな
い。
この義務を遵守するため、各供給業者は、発電事業者(すべての発電手段を認証する義務を負う。)または需要反応管理事
業者から容量の保証を得なければならない。
開始後は、容量の取引のため、配電が行われる年の4年前から、その3年後まで数回の入札が行われる予定である。
引き続き店頭取引を行うことも可能である。同様に、EDFのような、発電事業者であるとともに販売会社としての義務を有す
る総合業者は、その義務を履行するために内部容量移送が許可されている。移送は市場価格で行われる。
当該新システムの管理を引き受けているDOAATは、フランスにおける今後数年のEDFのすべての発電手段および顧客に対する
契約上の需要反応容量を認証した。必要に応じて、これらの認証は上下のバランス調整の対象となる。同様に、DOAATは、関連
する容量保証について、市場における購入義務(OA)および販売義務に基づき、発電手段についての認証および必要なバラン
ス調整を行う予定である。
エネルギー市場と同様、欧州電力取引所における容量の販売および購入は、EDFに代わりDOAATによって管理され、EDF
Tradingを介して行われている。
④ フランスの送配電事業
フランス本土における電力の送配電は、規制業務である。これらの業務はフランス・エネルギー法の条項内の意味におい
て、完全な独立性とともに経営管理されている送電網事業者であるRTEおよびEnedisによって行われる。
( ⅰ) 送電-Réseau de Transport d'Électricité(RTE)
2000年7月1日に設立され、2005年9月1日以降は子会社となったElectricity Transport Network(RTE)は、フランスの
送電網の運営、維持管理および開発を行う送電網所有者兼事業者である。かかる送電網は、100,000キロメートル超の高圧ある
いは超高圧の電気回路および50の国際電線を有しており、欧州最大の送電網となっている。その地理的位置によって、RTEは欧
州電力市場の中心的存在となっている。RTEは、電力網の適正な運営および安全性を保証し、すべての電力網利用者に対して自
由かつ公平なアクセスを提供している。また、同社は、送電網および相互接続の開発が不可欠となる、フランスの再生可能エ
ネルギー源の開発および再生可能エネルギー源の電力システムへの統合の支援に特別な関心を払っている。
2018年12月31日現在、RTEは(CTEを通じた)EDFの間接的な子会社(50.1%)である。RTEにおける特定のガバナンス状況に
より、当グループは、RTEを完全連結ではなく持分法によって会計処理されている。
( イ) CTEおよびRTEのガバナンス
90/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
CTE
CTEは、EDF(50.1%)、フランス預金供託公庫(29.9%)およびCNP Assurances(20%)が保有する取締役会を有する株式
会社( société anonyme )である。CTEは、RTEの株式資本の100%を保有している。
CTEの唯一の目的は、同社の定款に基づき、RTEの株式を取得し、保有することであり、より一般的には、企業目的に直接的
または間接的に関連しているか、業績を高め、事業の成長を促進させるすべての商業、金融、無形および有形の財産取引を指
す。
CTEの8名の取締役には、EDFを代表する4名、フランス預金供託公庫を代表する2名およびCNP Assurancesを代表する2名
が含まれる。当該取締役の任期は6年である。RTEのコンプライアンス監査役もまた、CTEの取締役会に出席する。
RTE
RTEは、業務執行委員会および監査役会の双方を有する株式会社( société anonyme )である。RTEの監査役会は、以下の12名
からなり、任期は5年である。
・株主総会により任命された8名
-政府を代表する2名(個人によって代表される、法人としての政府を含む。)
-株主を代表する6名(EDFを代表する3名、フランス預金供託公庫を代表する2名およびCNP Assurancesを代表する1名)
・従業員により選出された4名
また、政府委員も任命され、相談役として監査役会に出席している。
2018年7月4日付命令第2018-580号に従い、RTEは、フランス政府による経済・財政統制の対象となった。また、同命令に基
づき任命された監査総監は、監査役会会議に出席することになった。
RTEの業務執行委員会は、フランス・エネルギー法およびRTEの定款に定める範囲内において、監査役会の監督下でその任務
を遂行する5名で構成される。エネルギー担当大臣の承認後、監査役会は、業務執行委員会委員長を任命し、業務執行委員会
委員長の提案に基づき、業務執行委員会のその他構成員が任命される。
( ロ) RTEの事業
フランスにおいて、RTEは、公共送電網を管理し、適用ある命令により2051年まで承認されているモデル仕様書に定める条件
の範囲内でその職務を遂行している。フランス・エネルギー法に従い、送電網事業者は、当該団体が同法に規定される独立性
条件を充足していることを保証することを目的とした、CREと欧州委員会が関与するプロセスに従って認証されなければならな
い。RTEは、2012年にCREよりITO(独立送電運用機関)としての認証を取得した。2017年、RTEはその保有比率の変更により、
CREに対して認証の再審査を申請し、2018年1月11日付のCREの決定を経て、同社はその認証を維持している。
したがって、RTEは、送電基盤の管理、送電網へのアクセスの保証、およびエネルギー流量の管理を行っている。
RTEは、電力送電網の事業者として、欧州市場の統合、発電施設の再構築の促進ならびに新たな公益インフラの統合ならびに
顧客および自治体の全体的なニーズを満たすような工業施設の維持に関する制限を強化する社会の変革など、業務上の様々な
課題に取り組まなければならなかった。
( a) エネルギー・レポート
2018 年の概要
2018年の総消費量は、前年度から0.8%減少し、約478TWhとなった。この減少は、前年度に比して特に年初および年末におい
て全体的に気温が温暖であったこと、経済成長が2017年を下回ったこと、ならびに鉄道輸送業界における春の労働運動に起因
している。電力消費量は、遅めの寒波が到来していた2018年2月28日の午後7時にピークを迎え、96.6GWであった。これはフ
ランスにおいて記録された史上3番目に高い数値である。
2018年において、気候変動およびカレンダー効果について調整されたエネルギー分野を除いた消費量は474TWhに達し、2017
年と比較して横ばい(-0.3%)であった。この安定化の背景にある構造上の主な要因は、経済成長が2017年を下回ったことお
よび消費量管理による影響である。
公共送電網に直接接続している主要な企業用顧客の消費量は、66.2TWhとなる。これは2017年と比較して1.8%の減少であ
り、主に、鉄道輸送業界における大規模な労働運動および金属業界の企業用顧客の所有する施設において発生した事故に起因
する。
供給停止相当時間は、RTEによる電力供給の品質を測定する指標である。2018年のRTEの供給持続性に係る指標は、依然とし
て暫定的である。現時点で取得可能な情報によると、供給停止相当時間は、2分59秒( 2018年の供給停止時間の値は、年度末
時点における特定の事象を、特別な事象として区分し、本書が開示された後、変更する可能性がある。 )であり(CREが設定し
た目標は2分48秒)、供給停止頻度は0.42であった(CREが設定した目標は0.46)。
91/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
エネルギー移行の促進のため、再生可能エネルギーが引き続き増加した。
2018年12月31日現在、風力タービンの設備容量は、15,108MWに達した。これは、2017年と比較して11.2%の増加であった。
2018年の風力発電量は、27.8TWhとなり、2017年と比較して15.3%増加した。この増加は、設備純容量の増加のみならず、2018
年の天候が特に良好であったことにも起因している。
2018年12月31日現在、873MWの新たな太陽光発電容量がフランス本土に接続され、太陽光発電の設備容量は8,527MWに達し
た。これは、2017年と比較して11.4%の増加であった。太陽光発電は、2018年において10.2TWhとなり、2017年と比較して
11.3%増加したが、これは、設備容量の増加および良好な天候の双方によって促進された。
フランスは、再び欧州最大の輸出国となった。
2018年におけるフランスの取引高は、直近2年間と比較して増加し、合計60.2TWhであった。輸入量は26.1TWhであり、輸出
量は86.3TWhであった。フランスは、再び欧州最大の輸出国となった。
2018年における国境を越えた契約上の電力取引の状況は、以下のとおりである。
・スペイン:スペインに対する取引高は12TWhと大幅なプラスであった。しかしながら、とりわけイベリア半島の水力発電量が
上昇したことから、前年度から微減した。
・中欧および西欧(ドイツおよびベルギー):直近2年間における取引高はマイナスであったが、2018年においては反対の傾
向が見られ、6.1TWhのプラスであった。これは、とりわけフランスにおける原子力発電所の供給量が上昇したこと、フラン
スにおける水力発電量が豊富であったこと、また、年度末にベルギーの原子力発電所において停電が数回発生したことに起
因している。
・イタリア:イタリアに対する取引高は、18.5TWhと大幅なプラスであった。相互接続は主に輸出の方面で要請され、1時間単
位の輸入期間はわずか330(すなわち、1時間単位の4%未満)であった(2017年は452であった。)。
・スイス:スイスに対する取引高は増加傾向にあり、10.6TWhであった。マイナスを計上したのは7月のみであり、通常、(ス
イスの水力発電量が上回る)夏の取引高は、より均衡が取れている。
・英国:英国に対する取引高は、ケーブル事故を受け、IFA連系線の一部が停電したことにより、3月9日から5月5日の間、
取引容量が1,500MWに制限されていたにもかかわらず、2017年から増加して13TWhとプラスであった。
( b) 送電基盤の維持管理
RTEは、維持管理、設備の修復および交換ならびに緊急の補修を行うことにより、送電網資産の管理を行っている。
異常気象に対応するため、電力グリッドをより堅固かつより強靭にする機械的安全プログラムの実施は、関連する省庁によ
る1999年の暴風雨以降のコミットメントに従い、2017年末に完了した。このプログラムにかかった費用は約2.8十億ユーロであ
る。近年の暴風雨の影響を小さく抑えられたのは、特に連鎖的停電を回避する安全塔の果たす役割を鑑みた場合、当該プログ
ラムが有効であったことを証明している。2017年末、対象とする接続の100%について、安全性が自動的に確保された。RTE
は、2018年より当該安全ネットワークを存続させることに尽力している。
( c) 新規資本投資の展開および完了
エネルギー輸送によって、フランス国内の電力システムの基盤が変化している中、RTEは、これらの大規模な転換について準
備を行い、尽力するため、事業の改善を図っている。RTEは、相互接続が増加している一方で、投資において再生可能エネル
ギーを広く取り入れており、その原動力は電力消費量の増加に限られない。RTEはまた、デジタル技術、ストレージおよび新た
な慣行を利用し、ネットワーク管理をより柔軟にするための新たなソリューションを開発している。
RTEは、CREに提出する年間投資プログラムを作成している。2018年には、RTEの合計投資額は1,447百万ユーロ(CREの規制範
囲内)となった。主要な投資としては、フレジュス安全トンネルを通じるフランス・イタリア間の直接電流リンクの敷設、フ
ランス・英国間の新たな直接電流リンクである「IFA2」の敷設の継続、パリ北西部の安全性の向上を目指す「セルジー-ペル
サン」プロジェクトおよび現行の225,000ボルトの送電網を400,000ボルトに交換するパリ圏のモビリティ・プロジェクトの稼
働開始ならびにサンナゼール洋上風力発電所の連系工事の着工が含まれる。
既存の資産を最適化し、地域内の敷設による影響を最小限に抑えることに配慮し、RTEは、資本の約3分の2を既存の体制の
適合のために投資している。
2019年における規制機関承認済みのRTEの投資プログラムは、1,642百万ユーロである。2019年の投資プログラムは、特にエ
ネルギー移行および欧州における市場統合に伴う環境の変化を考慮した、電力網の開発および交換ならびにITシステムの開発
および交換に対する大規模な投資の継続に関するものであった。例えば、2018年夏に行われた洋上風力発電所の入札に関する
落札者とフランス政府の間の再交渉を受け、これらのプロジェクトを電力網に接続するための費用は、RTEが負担している。
2018年には、規制資産ベース(RAB)は194百万ユーロ増加し、2018年1月1日現在の14,119百万ユーロから2019年1月1日
現在では14,313百万ユーロに増加した( 実績額に基づき算出された合計額は、CREの承認待ちである。 )。記録のために記載す
92/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ると、RABは、TURPE5の期間中、税引前で6.125%の加重平均資本コスト料率の報酬を受けている。これは、投資子会社控除後
のRTEの産業資産を表しており、建設中の有形固定資産(2012年末までは4.8%のTURPE3料率で報酬を受け、2013年から2016年
の 期間においては、2013年4月のCRE決定による価格に従って4.6%の料率で報酬を受け、2017年以降は2016年11月17日付の
TURPE5決定に従って3.7%の料率で報酬を受けるもの)を除外して計算されている。
( d) 電力システムの運営
電力システムの管理
RTEは、リアルタイムで送電網の流量を管理し、調整メカニズムを通じて入手可能な資源を活かしながら、リアルタイムで供
給と需要のバランスを確保している。予想流量と実際の流量との間のマイナスの不均衡への対処としてRTEが実行した調整に対
応する費用は、不均衡額に基づき按分比例で「調整責任企業」(発電事業者、取引会社、供給業者等)に転嫁される。プラス
の不均衡の場合、RTEは、調整責任企業に対して財務補償する。
相互接続の管理
RTEは、欧州近隣諸国の送電網事業者と協力し、外国との相互接続のアクセスを管理する。かかる相互接続により、ある国か
ら別の国へのエネルギー送電および送電網を運営する際の安全性が保証され、また電力供給業者が近隣諸国間のピーク時の差
異を利用して欧州連合内の別の国の消費者にエネルギーの販売を行うことによって欧州電力市場が発展し、欧州全体として発
電手段をより効率的に共有することが可能となる。
欧州電力網の調整
RTEおよびELIA( ELIAは、ベルギーの高圧送電網事業者(30,000ボルトから380,000ボルト)である。 )は、フランスおよび
ベルギーの電力網の運営を調整することを目的として、Coresoと呼ばれる共同会社を2008年12月に設立した。Coresoの設立
は、欧州委員会および電力市場の関係者の双方から表明のあった送電網事業者(TNO)間の業務上の連携を強化させるという要
求に応えたものである。Coresoは、地域レベルでの再生可能エネルギー発電の統合を向上させ、増加している国境を越えた流
量の安全管理を保証する義務を負う。
RTEおよびELIAにはその後、徐々に西欧の電力網事業者であるNational Grid(英国)、Terna(イタリア)、50Hertz(ドイ
ツ北東部)、REN(ポルトガル)、REE(スペイン)ならびに最近ではEirgridおよびSONI(アイルランド)も加わった。
( ⅱ) 配電-Enedis
Enedisの主な目的は、常に安全性を保証しかつ電力流量のバランスを監視しながら、公共配電網の運用および拡張を行うこ
とである。Enedisは、2008年1月1日より操業している。Enedisは、以前はERDFと呼ばれ、2016年6月1日にその名称を
Enedisに変更した。Enedisは、フランス本土の人口の約95%に対して電力を供給している。残りの5%は地元の配電会社
(LDC)により配電されている。
2018年、Enedisはフランス本土において、約1.4百万キロメートルの電力網を通じて36.5百万超の顧客(配電地点)に対し
て、410,000か所の発電施設から電力を供給した。
2018年12月31日現在、Enedisの従業員数は38,691人であった。
配電網の機能には電力損失が伴うが、これは主に物理的効果によるものであり、流れる電力量に直接比例する。Enedisは、
最終顧客へ供給される電力量を満たすために、かかる損失を填補しなければならない。2018年の電力損失は24.5TWhであり、損
失率は6.3%( この比率は、送電網におけるバックフローの控除前の総インフローにおける損失率として計算された。 )であっ
た(電力報告書を参照。)。財務書類に計上された損失は、過去の事業年度の再表示を含め、1,100百万ユーロであった。かか
る損失を補うために、Enedisは、組織された市場プラットフォームにおいてまたは約20の認可された供給業者との入札によ
り、相当する電力を卸売市場にて購入している。
技術仕様:2018年12月31日現在、Enedisが委託を受けている配電網(「第2 3(2)④(ⅱ)(ロ)配電事業」を参照。)
の構成の概要は以下のとおりである。
・20,000ボルトのA型高圧(HVA)線644,901キロメートル
・400ボルトの低圧(LV)線721,000キロメートル
・2,242個のHVB/HVA変電所
・787,492個のHVA/LV変電所
( イ) Enedisの組織
フランスにおける配電事業は、法的枠組みに従い、Enedis(フランスの株式会社( société anonyme )であり、その業務執行
委員会と監査役会は公共配電網の運用に責任を負う。)によりほぼ独占的に提供されている。
93/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
指令2003/54/EC(当該指令の原則は2009年7月13日付指令2009/72/ECにおいて適用された。)に従い、公共配電網事業者が
垂直的に統合された会社の一部である場合には、その組織および意思決定は配電以外のその他の事業から法的に独立していな
け ればならない。この枠組みにおいて、EDFおよびGaz de France(現在のEngie)が当該原則を採用したことにより、これら2
社の配電網事業が分割された。EnedisおよびGRDFは、法的枠組みに従い、「共同サービス」を行っている(「第2 3(2)④
(ⅱ)(ハ)EnedisおよびGRDFによる共同サービス」を参照。)。
2004年8月9日付法律に従って、公共配電網事業者の事業は、2007年に子会社化された。
Enedisの監査役会は合計15名で構成されており、そのうち8名は定時株主総会により選任され、5名は1983年7月26日付の
公共部門の民主化に関する法第83-675号の規定に従って選出された従業員の代表であり、1名は2014年8月20日付政令第2014-
948号第4条または第6条に基づきフランス政府により選任され、そして1名は公共配電網の当局の代表であり、グリーン成長
に向けたエネルギー移行に関する法律第2015-992号第153条に基づき、施行令により選任された。2017年、Enedisの業務執行委
員会は、監査役会の監督の下に職務を遂行した役員5名により構成されていた。2018年1月11日より、Enedisの新たな業務執
行委員会が設置され、2名の役員により構成されている。
フランス政府は、2014年8月20日付政令第2014-948号(第15条)に規定されるオプションの適用および2015年1月19日付命
令第2015-38号に基づき、2015年2月4日付の施行令により、Enedisの監査役会会議に出席する政府委員を選定した。2018年10
月25日、施行令に基づき、新たな政府委員が選定された。
2016年6月1日、公共配電網事業者のビジネス名称は、ERDFに代わりEnedisに変更された。この新名称には、COP21を受けた
エネルギー移行に対する同社の精力的な取組みが反映されている。また、CREが推奨するとおり、この新名称によって当該配電
網事業者の認知度が高まり、その目的が明確化される。
フランスにおけるEnedisの使命
Enedisは、法律および各公共配電委託機関と締結した委託契約に規定された条件に従い(「第2 3(2)④(ⅱ)(ロ)配
電事業」を参照。)、フランス本土において公共配電網事業者としての使命を果たしている。
その使命は以下のとおりである。
・配電網に関する運営、投資および拡大政策の概要を決定し、実行する。
・客観性、透明性および公平性のある状態で利用者のこれらの電力網への接続およびアクセスを提供し、ならびに他の電力網
との相互接続を提供する。
・利用者に対し、配電網へ効率的に接続するために必要な情報(規制または法律により保護されている情報を除く。)を提供
する。
・これらの事業に即した、エネルギー規制当局(エネルギー省、エネルギー規制委員会(CRE)および公共配電委託機関)との
関係の監視を行う。
・地方自治体との関係を監視する。
・委託契約の交渉、締結および管理を行う。
・配電網の運営、維持管理および修理を行う。
・インフラの設計および建設、ならびに電力網関連作業の管理を行う。
・当該配電網に接続している利用者に計量サービスを提供する。これには、とりわけ、メーター装置の提供、設置、点検、維
持管理および交換ならびにデータ管理、ならびにこれらの業務全体に関連する他の業務が含まれる。
・エネルギー効率事業を実施し、再生エネルギーの電力網への組入れを推進する。
・負荷分散の事業範囲を監視する。
・送電網事業者間の発電およびエネルギーの流量ならびにこれらの電力網に係る損失の公平な填補の保障を担う。
・フランス地方自治体法の第L.2224-31条第Ⅲ項および第Ⅳ項にそれぞれ規定されているLDC、配電事業者および当局に対し、
サービスを提供する。
( ロ) 配電事業
Enedisの事業は、多くの業務から構成されている。すなわち、委託を受けた委託資産の管理、継続的な供給を確保するため
の電力網の運用および維持管理、電力網に関する作業(とりわけ電力網の接続、強化および更新作業)、既存の契約の枠組み
内でのすべての使用者に対する電力網へのアクセスの提供、メーター設備の運用、ならびに電力網利用者の消費データの取
得、処理および伝達である。
投資の変化
94/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2018年、Enedisは3,998百万ユーロを投資したが、そのうちの1,464百万ユーロは主として新規の顧客および電力事業者の接
続ならびに電力網の強化に割り当てられた。さらに2018年、委託機関が705百万ユーロを投資した。2018年におけるフランス本
土の配電網への投資額は、合計で約4.7十億ユーロとなった。
Enedis の総投資
( 単位:百万ユーロ) 2018年 2017年
接続および強化 1,464 1,411
規制上、安全上および配電事業者としての義務 415 402
作業設備および運用資源 347 363
(1)
電力網の近代化
1,772 1,591
Enedis の投資合計 3,998 3,767
(2)
第三者および地方自治体からの割当作業
705 721
電力網投資合計 4,703 4,488
(1) このうち792百万ユーロは2018年、612百万ユーロは2017年のLinkyに帰属する(一般化に係るコストおよび実験後の費
用)。
(2) PCT(PCT(料金により賄われる部分)とは、接続の資金として、プロジェクト管理請負業者に対して配電料金から支払わ
れる部分をいう。)および第8条(作業と周辺環境との一体化(電圧線の埋設等)に関する委託仕様書別紙1第8条)に
基づく控除後。
拠出された追加資源は、顧客、地方自治体および委託機関の期待が特に高い領域である、送電品質、電力網の防護性、安全
性および環境保全のために割り当てられる。
Enedisは、上記のような水準の投資額を投じることにより、資産更新プログラムを実行することが可能になった。
Enedisは、上記の投資に加えて、電力網の予防的維持管理業務(縮小作業を含む。)も継続している。2018年、当該予算は
325百万ユーロとなった(2017年は327百万ユーロ)。
サービスの質
サービスの質は、Enedisの主要な目的の1つである。2018年において、送電事故および例外的事象を除いた平均停電時間は
64分であった。これは、当年度の頻繁かつ急激な気候変動を勘案した場合、良好な実績である。提供されたサービスの質は、
規制に定められた水準に可能な限り近い状態で電圧水準を維持すること、および停電件数の最少化によっても反映されてい
る。
重大な事故に対応できるよう、Enedisは、電力緊急介入部隊(FIRE)を利用し、顧客への電力復旧を可能な限り迅速に行う
ために、あらゆる被災地域に対して他の地域の作業チームおよび物資を何時でも動員・運搬できるようにした。2018年、FIRE
は5度(1月4日にフランス北部を襲った暴風雨エレナー、1月中旬および2月初旬にイル・ド・フランスに被害を及ぼした
洪水、7月4日にフランス南西部に被害を及ぼした雷、7月末と8月中旬の間にイル・ド・フランスおよびフランス南部の一
部を襲った熱波ならびに10月29日および30日の積雪)にわたり動員された。大規模な暴風雨の影響から架空配電網を保護する
ための保険については、「第3 2(3)⑤(ⅲ)暴風雨保険」を参照。
再生可能エネルギーの開発
Enedisの事業範囲では、太陽光発電施設の送電網への接続件数が再度増加し、2018年、825MW(2017年末現在では755MW)の
新たな太陽光発電施設が接続され、太陽光発電の接続が上昇した。公共配電網に接続された風力発電の増加も継続中であり、
1,360MWが2018年に配電網に接続された(2017年は1,300MW)。
2018年末現在、合計約20.4GWの太陽光発電および風力による発電がEnedisの送電網に接続されており、その内訳は太陽光発
電所が7.4GW、風力発電が13GWである。この発電量に他の手段による発電量(特に「従来型の」水力発電所(1.5GW)、コジェ
ネレーション(2.5GW)、バイオガス、バイオマスおよび給電指令可能な化石燃料火力発電を含む。)が加算される。2018年末
現在、Enedisに接続された発電所の発電規模は、合計約26.3GWであった。
2018年、19,200か所を超える太陽光自家消費施設が接続され、当年度の小規模事業者の接続のうち、約80%を占めた。
さらにEnedisは、再生可能エネルギーの電力網への接続のため、地方計画の規制上の枠組みの一部として、エネルギー源の
敷設工事を行うことで、再生可能エネルギーのための発電容量の開発を継続した。
電力市場
95/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
フランスの電力販売市場は、2007年7月1日からすべての顧客に対して開放されている。
フランスの市場において、65社の電力供給業者が業務を行っており、Enedisと契約を締結している。同契約は、顧客が電力
の供給と配電について網羅した1つの契約に申し込む場合について、供給者と配電事業者との間の規約を定めている。
供給市場は、2016年末に規制販売料金による提供が終了したことで、36kVAを超える供給電力を申し込む施設に関して、ま
た、36kVA以下の供給電力を申し込む施設に関しても同様に、競争レベルの激化に直面している。顧客の承諾に基づき顧客消費
に関するデータを利用する可能性の高い、100を超える新規の第三者事業者は、市場ダイナミズムに寄与している。
委託
2018年12月31日現在、EnedisおよびEDFは、人口の約95%を対象とする475件の委託契約の共同受託事業者である。委託契約
は、一般的に20年から30年の期間について締結されるものである。
フランスでは、地方公共サービスの委託に関する慣習法に基づく委託制度によって公共配電網が運用されている。このため
Enedisは、法律(フランス・エネルギー法第L.121-4条)に基づき公共配電網の開発および運営(公共配電網による全国規模の
合理的なサービスならびにあらゆる状況下での公共配電網への接続およびアクセス)を行っている。フランスと相互接続のな
い区域においてはEDF、また独占区域においてはLDC(地方配電会社)がその業務の責任を負っているが、同社はフランス本土
の大部分においてかかる業務の遂行を請け負っている。
2017年12月21日、FNCCR、フランス都市連合、EDFおよびEnedisは、新たな委託契約モデルに基づき枠組み合意を締結した。
FNCCRとの1992年の合意から25年が経過し、この新たな枠組み合意には、市町村、大都市の自治体およびメンバーの大多数が公
共配電に係る契約機関の権限を有する都市を代表するフランス都市連合が含まれる。当該合意によって締結された新契約は、
フランス委託モデルの原則(公共サービス、地域間の連携および国家の最適化)を再定義すると同時に、エネルギー移行に伴
う課題を勘案している。この新モデルが公式に導入されることで、Enedisおよび委託契約機関の関係の近代化かつ長期化が進
むこととなる。2018年以降、委託契約の更新が完了し、2021年末までに現行のすべての契約を更新する目的で、交渉が行われ
ている。2018年12月31日現在、約60の委託契約がかかる新モデルに基づき更新された。さらに、およそ60もの委託機関が、こ
れに基づき遅くとも2021年までに契約を更新する措置を既に講じている。
フランス・エネルギー法第L.334-3条に従い、Enedis(旧ERDF)の設立後に締結または修正された委託契約は、委託機関(地
方自治体または提携する公的機関)ならびに「規制料金での供給」に関する箇所についてはEDF(または管轄領域が競合する
LDC)、および「配電網」に関する箇所についてはEnedis(または管轄領域が競合するLDC)により連署されている。現行のそ
の他委託契約は、同様の方針に従って連署されたとみなされている。
法律および法学が定める制限の範囲内において、委託機関は、返還可能資産( 返還可能資産とは、委託期間終了時、認可機
関に対して返還されることが義務付けられているものである。かかる財産は、最初から現地の委託機関に属するものとみなさ
れる。これらは委託契約または法律において定められている。当初より、委託サービスに履行において必要不可欠とされる資
産が一般的に適格とされている。 )からなる配電網の所有者である。
「第2 3(2)②(ⅱ)(ホ)規制料金での公共配電委託」および「第2 3(3)⑥(ⅱ)(ト)公共調達に適用される規
制」も参照。
( ハ) EnedisおよびGRDFによる共同サービス
フランス・エネルギー法第L.111-71条に定義されるEnedisおよびGRDFの共同サービスは、電力およびガスの配給事業部門に
おいて、設備の構築、作業プロジェクト管理、ネットワークの運営および維持管理、ならびに計量作業である。当該サービス
は、法人格を持たない。
EnedisおよびGRDFは、共同サービスの枠組みにおける2社の関係、当該共同サービスの範囲、および当該サービスにより生
じた費用の分担について規定した契約を通じて、関係を有している。この契約は無期限で締結され、18か月前の通知によりい
つでも終了できるが、この期間中に両者は再交渉を行わなければならない。この契約は定期的に更新される。
2014年7月、EnedisおよびGRDFは、メーター測定に係る共同事業の定期的な休止およびメーター・パネルの相互介入に留意
した共同声明を発表した。Enedisは、現在まで、すべての運営業務を地域規模で一体化する、地方部局を擁する組織を支持し
てきた。地域事業に関しては、さらに詳細な構造が確保されている。
2018年3月、EnedisおよびGRDFは、2社の混合企業(雇用契約、研究ならびに医療問題および社会問題を包括するUONRH-MS
ならびに電話およびオフィス・オートメーションに係るすべての活動を包括するIT・電気通信事業者であるOIT)の設立を決定
した。これら2社の混合企業は、2019年1月1日に効力が生じる。
Enedisにおいて、その他の支援活動(自動車&機械、紛争および保険、研修および人材採用ならびにサービスの購入)は、
支援サービス部門に分類されている。
( ニ) 今後の課題
96/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
スマート・グリッドおよびスマート・メーター(Linky)
公共配電サービスの保障を担うEnedisは、電力網を開発、最新化および確保するために常に投資を行っている。社会におけ
る新たなニーズに電力網を対応させることが主要な戦略的課題となっている。この目標を達成するために、Enedisは、技術者
が物理的に関わることなく受注およびデータ送信が可能な「スマート・メーター」と呼ばれる次世代メーターを基盤とする
Linkyシステムの産業展開を開始している。このシステムは、スマート・グリッド、すなわち「スマート・ネットワーク」の導
入の初期段階である。これにより、大幅に拡大した再生可能エネルギー配電を統合するため、また、電力グリッドのいかなる
ポイントにおいても発電および消費のバランスを確保し、供給業者がその顧客に新たなエネルギー・ソリューションを提供す
ることができるよう、Linkyメーターを含め、配電ネットワークが接続オブジェクトとともに設置される。2018年、後者は
Linkyを大規模に(例えば太陽光パネルを通じて発電する「グリーン」電力の利用に係る電力料金の区別化および引下げ)導入
し、新たに任意的公開買付けを行った。顧客は、Linkyによって、1日、1週間または1か月当たりの電力消費量曲線を知るこ
とが可能となる。これは、エネルギー消費管理を容易にし、エネルギー移行について責任を負う公的機関の要望に応えるため
の明確な手段となる。
2015年12月1日、Enedisは、フランス政府に承認された実験が成功した後、Linkyメーターの一般展開の第1段階を開始し、
資本投資総額は、2014年から2021年の期間にかけて、4,045百万ユーロ( プログラムの完成に係る費用は、設備(メーターおよ
びコンセントレータ)ならびに設置サービスに関して締結された最新の契約における価格を考慮して、2014年から2021年の期
間に関して4,455百万ユーロから4,045百万ユーロへと下方修正された。 )であった。
2018年末時点の完全展開に係る(2014年から2018年の期間の)累積投資額は、合計1,911百万ユーロに達し、15.6百万個の
Linkyメーター(実験に使用されたものを含む。)が設置され、そのうち13.7百万個超がすべてのサービスを対象としていた。
「第2 3(3)③(ⅱ)フランスの規制:エネルギー法」も参照。
エネルギー移行の促進
一方で、Enedisは、消費者および企業に対して大幅に最新化された電力網の提供を可能にする数多くのソリューションにつ
いて大規模な試験を行っている。この作業は、低圧および中圧の電力網の運営、再生可能エネルギーと電気自動車との融合、
貯蔵管理ならびに電圧維持等に及ぶ。配電事業者の課題は、社会の費用負担を最低限に抑えながら、電力網を開発し、エネル
ギー移行を支援することである。新技術により、消費、発電および電力網の状態に関するより良い理解に基づきさらに高精度
かつ迅速な制御が可能となった。この「インテリジェンス」により、品質と安全性という公共サービスにおけるEnedisの2つ
の目標に沿って、電力網の信頼性を確保しつつも、消費のピークに応じて過剰な投資を防止することができる。
既に完了したプロジェクトは、電力網の革新、適応性および再生可能エネルギーの統合といった分野において成果を挙げて
いる。2017年、Enedisはまた、集合住宅および商業ビルにおける実際の環境下で試験が行われた個人および共同の自家消費、
貯蔵、データ管理ならびに経済モデルに関する技術的な解決策を提案した。
技術的な解決策の産業化
Enedisは、2018年までの「基盤となる電力網」の導入に向け、スマート・グリッドにおける最先端の解決策を産業化する準
備を継続して行っている。これには(ⅰ)ソース管理施設(電力網の自動送電の一元管理を行うPCCNまたはデジタル・コマン
ドおよびコントロール・ステーションならびに再生可能エネルギーからの電力供給管理を可能にするFARまたは電力自動化機
能)、(ⅱ)配電施設(HVA/LVスマート施設)、(ⅲ)電力網のセンサー、ならびに(ⅳ)すべての情報システム・ツール
(予測、管理、経営企画、Linkyネットワーク等)におけるデジタル技術を備えた電力網のすべての構成が関係する。
2019年、Enedisは、再生可能エネルギーの導入を促進し、電力システムにおける全関係者を支援することを目的として、電
力網の近代化を継続する予定である。
デジタルへの切替えおよびデータ管理の遂行
Enedisが2014年より取り組んでいるデジタル・プログラムが終了した。(ⅰ)インフラ管理(遠隔管理、予測管理等)、
(ⅱ)外部との対話、(ⅲ)電力メーターおよびセンサーからのデータの管理、ならびに(ⅳ)企業の社会的および文化的な
変革の4つのベクトルに基づき、顧客に対してより良いサービスを提供するために、情報システムに接続された新たなツール
を従業員に提供している。Enedisは、機密性およびセキュリティ規則に従い、収集されたデータの処理、活用および蓄積を行
い、電力システムの様々な関係者(供給業者、送電網業者、地方自治体、新規参入者)に対して当該データを提供するために
自社を体系化した。
「未来都市」または「スマート・シティ」、すべての地域および市民に向けた活動
自家消費、自己供給、電気モビリティ、スマート・メーター、データ管理および電力網のリアルタイムでの最適化-これら
は配電事業者が地域全体および特に都市部に関して直面している新たな課題である。これは現時点で現実となった。
97/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
Enedisは、電力網に限らず、スマート・シティを目指す地域企業および都市に必要とされる関連データに関しても、地方
(都市、地域等)を含む各レベルの利用に関するエネルギー移行の推進役であるDSO(配電網事業者)の参入を促進している。
Enedisが策定するオープン・イノベーション政策は、多数のエネルギー、技術および環境面のイニシアチブを実施し、新興
企業に依拠している地域コミュニティにおいて特に評価が高かった。Enedisは(特にスマート・グリッドおよびデータの分野
における)自社の研究およびイノベーションを利用し、これらのプロジェクトおよび開発を「強化」している。2018年、
Enedisはまた、その開発を広範囲で支援するソリューションを共同開発するため、自己の戦略展開計画に、すべての電気モビ
リティ事業者にとっての主要な産業パートナーとなるという目標を盛り込んだ。
すべての充電スタンドは、直接・間接的を問わず、Enedisが開発および運営を行う配電網に接続される予定である。すべて
の事業者(特にEnedisの日常的なパートナーである地方自治体および産業事業者)は、電気モビリティの集団的な課題に対す
るEnedisによる貢献に依拠している。
海外展開への注力
Enedisは、スマート・グリッドの分野において、わずか数年間で単なる構想からデモ用モデルへ、さらには成熟度の高い産
業へと進化を遂げた。目標は、スマート・メーターの展開に加え、主要な地理的地域において電力網に係るスマート・グリッ
ドのソリューションを大規模に展開することである。ベルギー、エジプト、インドネシアおよびインドは、Enedisが提案した
ソリューションおよびその専門性を選択した。
Enedisは、フランスにおけるスマート電力グリッドに係る産業部門を、その他のフランスにおける同部門の企業とともに現
在約100名のメンバー(主要な事業者、新規企業、大学、研究機関等)を有する「 Think Smartgrids 」構想を通じて組織化し
た。
フランスのスマート・グリッド・チームの目標は、欧州におけるリーダーシップを維持し、その他の地域に拡大させること
である。
( ⅲ) 島部エネルギー・システム
島部エネルギー・システム(IES)は、本土と相互接続していないか、または狭い範囲でしか接続していない、EDFが運営す
る電力網をいう。コルシカ島、海外県(マヨット島を除く。)ならびに海外県であるサンバルテルミー島、サンマルタン島お
よびサンピエール島・ミクロン島ならびにポナン島(サン島、ウェサン島、モレーヌ島)である。
これらの地域におけるEDFの組織は、2つの体制に基づいている。
・日々の供給と需要のバランスを確保し、すべてのネットワークを監督し、活性エネルギー効率化政策の下で、競争のない販
売およびマーケティング業務を提供する島部エネルギー・システム部門
・新たな発電方法の構築および運営について責任を負う子会社であるEDF Production Électrique Insulaire
議会は追加発電費用を公共サービス費用とみなし、フランス本土における当該費用と異なり、かかる地域における追加発電
費用は国家予算によって相殺されている(「第2 3(3)②フランスにおける公共サービス」を参照。)。
公共送配電網使用料金は、配電網に接続した顧客に適用される(「第2 3(3)③(ⅱ)フランスの規制:エネルギー法」
も参照。)。
次へ
98/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2018 年におけるIESの主要な特徴
2018年末現在
合計 コルシカ島分
(1)
従業員数
3,457 762
顧客数 1,166,994 259,914
電力網の長さ (単位:km) 37,348 11,951
EDFの設備容量 (単位:MW) 2,058 574
水力発電所およびその他の再生可能エネルギー源 437 204
(1)
火力発電所
1,621 369
(1)
EDFによる発電量 ( 単位:GWh)
5,928 1,388
水力発電量 1,682 569
第三者からのエネルギーの購入 (単位:GWh) 3,762 894
バガスを含む再生可能エネルギー 1,377 278
その他のエネルギー 2,385 615
EDF による発電量および第三者からの購入エネルギーの合計 9,690 2,281
(1 )コルシカ島および海外県部門の火力発電所の更新を担当するEDFグループの完全子会社であるEDF Production Électrique
Insulaire (PEI)を含むデータである。火力発電設備容量は、2017年から2018年の間、横ばいであった。
かかるシステムにおけるメガワット時の発電費用および均一化された料金での販売価格との間の差異を鑑み、EDFは、行政府
部門、市町村、フランス環境エネルギー管理庁(ADEME)および地方組織などの組織事業者と連携して、これらの地域において
需要重視の管理(DSM)戦略を適用している。
変更点および見通し
発電所の容量を保証するための最新化および増強を目的とする投資
地域PPEに従い、EDFグループは、耐用年数の終了した主要な発電所の交換を実施した。新たな発電所は、EDFの子会社である
PEI(Production Électrique Insulaire)により建設・運営される予定である。
総発電容量が約746MWとなる4か所のディーゼル発電所(ラ・レユニオン島のポール・エスト、マルティニークのベルフォン
テーヌB、グアドループのポワント・ジャリーおよびオート・コルスのルッチアナB)の建設は、2012年から2015年の間に無
事に完了した。革新的な技術を備えたこれらの新たな発電施設により、当グループは、より良い産業面・環境面の成果を達成
することが可能となり、またこれらの地域で発生している電力需要の一部を満たすことに寄与する。さらに2か所の発電所
が、コルシカ島およびフランス領ギアナにおいて建設中である。
サンバルテルミー島の発電所への拡張(16MWの新規発電機2基)およびサンピエール島・ミクロン島の発電所(21MW)の改
修は、それぞれ2014年および2015年以降実施されている。
40MWの設備容量を有するサンマルタン島の発電所は、2016年6月末に完成した。
EDFは、2018年にIESの発電事業に対して総額92百万ユーロの投資を行った。
配電網への投資
エネルギー効率対策の実施ならびに再生可能エネルギーの発展および稼働を開始した発電施設の増加にもかかわらず、これ
らの地域における消費量の継続的な成長は、EDFグループによる配電網の強化継続に繋がった。
上記のとおり、EDFは、2018年にその電力網に対して201百万ユーロの投資を行った。
再生可能エネルギーを発電構成により良く統合することおよび電力システムの管理を最適化することを意図したプロジェクト
への参加
エネルギー移行法は、フランスの海外県が2030年まで(コルシカ島は2050年まで)にエネルギーを自給するようになること
と明記している。
EDFグループは、IESに対応した再生可能エネルギーに基づく発電手法の開発および発展を支えている。最適な方法は、長期
的に持続可能な豊富かつ保証されたエネルギーを競争力のある発電費用で提供し、火力発電に代わる発電方法として信頼でき
るものにする方法、すなわちバイオマス、海洋および河川エネルギー、廃棄物回収、ならびにバイオガスである。
99/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
また、EDFは、技術仕様の改良を提案し、発電中断に対する耐性を強化し、スマート・メーター・システムを開発することを
通じて、断続的な再生可能エネルギーをIESにおいて導入するための技術力の開発も支援している。EDFはまた、2018年にCREが
選択した一連の電力貯蔵プロジェクトのうちの供給/需要の変動を相殺する方法として、3件の5MWのバッテリー・プロジェ
ク トに取り組んでいる。
一部の隔絶した地域において、100%が再生可能エネルギーによって作動するマイクロ・ネットワークを構築する作業も引き
続き進行中である。2017年、太陽光、デジタル・モニタリングおよび貯蔵が混合した革新的なシステムがフランス南西沖に位
置するセーヌ島に設置され、これにより1日数時間、100%再生可能な電力を供給することができるようになった他、レユニオ
ン島のマファト圏谷の一部は太陽光発電の供給を受けており、蓄電池および水素型燃料電池を備えている。その他、特に仏領
ギアナ内陸の遠隔コミューン(マリパスラ、パペクソン、サン・ジョージ・ド・ロヤポック)について、いくつかのプロジェ
クトが計画されている。
エネルギー効率は、島部システムのエネルギー移行に係る極めて重要な方策である。EDFは、デマンドサイドマネジメント
(DSM)地域戦略の策定および実施を支援しており、同戦略の主な方法の1つが、設備に係る公的助成金(2019年から2023年ま
での期間を対象に、CREが承認した600百万ユーロ)である。EDFは、これらの助成金を財源とするすべての種類の顧客向けの
DSM事業を(とりわけAgir Plusのレーベルを通じて)活発に推進している。
EDFは、2023年末までに海外県(マヨット島を除く。)およびコルシカ島において、1.2百万個のデジタル・メーターを展開
することを目指しており、268百万ユーロの投資額に及ぶ。これらのデジタル・メーターは、顧客関係をより近代化させ、エネ
ルギー移行に係る方策を拡張させる予定である。2018年末現在、115,000個を超えるメーターが設置された。
2017 年における異常気象後の再建段階
2017年9月6日、ハリケーン・イルマがサンマルタン島およびサンバルテルミー島を襲った。これまで、発電の方法は比較
的乏しかった。電力グリッドの再建は2018年に開始された。この工事は、異常気象時のグリッドの回復力および構造を強化す
る予定である。
また、双方の島におけるデジタル・メーターの展開によって、エネルギー需要の管理および再生エネルギーの電力網への組
入れに関する取組みの効果が高まる。
(ⅳ)Électricité de Strasbourg
Électricité de Strasbourg(ÉS)は、アルザスのエネルギー電力業者であり、4つの事業(電力の配電、エネルギーの供
給、エネルギー・サービスおよび再生可能エネルギーの生成)を通じて、その地域における長期的なエネルギーおよび経済面
に係るパフォーマンスに取り組んでいる。こうした事業のポートフォリオにより、ÉSグループは、エネルギー移行に係るより
良い支援を顧客に対して提供することが可能となる。
ÉSはまた、フランス東部の現地の配電会社( Entreprises Locales de Distribution またはLDC)にサービスを提供してい
る。
ÉSグループは、EDFにより88.64%保有され、残りの株式は一般株主およびその従業員により保有されている。同グループの
株式は、ユーロネクスト・パリで取引されている。
( イ) 配電
Strasbourg Électricité Réseauxは、公共配電網の管理業務を担当している。Strasbourg Électricité Réseauxは、委託契
約に基づき、ESRに配電グリッドの運営を委託した400のアルザス地方の自治体における全長14,000キロメートル超の配電網の
運営、維持、開発および更新を行う。これらの委託契約は、1993年から2001年の間に、40年の期間で更新された。サービスの
対象となる地域はバラン県の4分の3を網羅し、また低電圧および高電圧(AおよびB)の520,000超の配電箇所のほか、
Enedisのネットワークならびにその他の2つの下流ネットワーク事業者との接続を有している。
フランス・エネルギー法の最近の改正に従うために、ÉSは、2017年5月1日、自身の配電事業に関して子会社を設立する過
程に携わった。
( ロ) 販売およびマーケティング
ÉS Énergies Strasbourgは、ÉSグループの販売およびマーケティングの子会社である。
2018年末現在、ÉS Énergies Strasbourgは、545,000を超える電力顧客(再生可能エネルギーを含む。)および113,000のガ
ス顧客における(サービス分野および産業分野の)住宅用顧客および企業用顧客の両方または地方自治体に対して、電力を供
給している。
電力およびガスの供給のほか、ÉS Énergies Strasbourgは、顧客が電気料金についてより深く理解し、自らの消費量をより
良く管理することができるよう、電力、ガスおよび配管維持管理およびデジタル・サービス等の関連サービスも提供する。ま
100/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
たÉS Énergies Strasbourgは、住宅用顧客向けに、顧客が現地のパートナーのネットワークに直接連絡をとることができる
ポータルを通じて住居の修理および建設に関する支援サービスを引き続き実施した。
36kVA超の電力および30MWh超のガスの規制料金の廃止を受け、ÉSは、50%の電力および75%のガスの販売量を市場価格に基
づき販売している。ÉSは、競争力のある価格およびその強固な現地拠点によって、大きな市場シェアを確保している。
( ハ) エネルギー・サービス
ÉS Services Énergétiquesは、ÉSのエネルギー・サービス子会社であるÉcotralおよびDalkia Bas-Rhinとの間の提携によっ
て2016年1月1日に創設された。
同社は、地方自治体、住居、衛生管理、第3セクターおよび第三次産業のためのエネルギー・サービス施設の製造および運
営を担う。
例えば、ÉS Services Énergétiquesは、(ⅰ)ポール・デュ・ランに位置するストラスブールのバイオマス電力発電所の運
営および維持を担っており、(ⅱ)サン=テュルバン新開発区域において火力発電所の建設、運営および維持を行っており、
(ⅲ)ユネスコ世界遺産に登録されたストラスブールの歴史的建造物であるサン・トマ教会の照明を一任されている。
2018年、ストラスブール市中心部の暖房ネットワークは、安全性を高め、新たな区域に供給を行うために修復かつ拡張され
た。
( ニ) 再生可能エネルギー発電
深部地熱発電
ÉSグループは、フランスにおける深部地熱発電の分野の主導的な事業者の1つである。同社はECOGI(工業用地中熱利用)プ
ロジェクトの株式持分の40%を保有している。当該プロジェクトによって、Roquette社とフランス預金供託公庫との提携なら
びにADEME、アルザス地方およびSAF-Environnementによる支援の結果、同社は、リッテショフェンにおいて初の工業用深部地
熱発電所を建設した。同発電所は、2016年9月より、2,500メートル超の深さに位置する地熱資源を用いて24MWの再生可能過熱
水を生成している。
ÉSはまた、提携企業のEnBWとともに、ソルツ・ス・フォレにおける深部地熱エネルギー調査施設を、産業用発電施設へ転換
した。同地熱発電所は、2016年7月以来1.7MWの電力を生成している。
2017年、ÉSは、イノベーション団地および周辺の地域に対して将来供給を行う予定の暖房ネットワークに電力を供給するイ
ルキルシュ=グラフェンスタデン地熱発電プロジェクトを開始した。同プロジェクトは完全子会社であるÉS Illkirch
Géothermieによって展開されている。投資額は合計37百万ユーロに及ぶ。当該発電所は、26MWの火力出力を有する燃焼発電所
(発熱および電力発電)である。最初のボーリング孔は、2018年12月に掘削された。2番目のボーリング孔は、2019年初頭に
掘削が予定されており、2020年に発電所が稼働予定である。
2018年6月から8月の間、ÉSは、アルザス北部に位置する200平方キロメートルに及ぶフランス最大規模の区域において、底
土の3次元モデルを策定した。同モデルは、将来的な発電所の建設に関して最良の場所を特定する手助けを行う。
バイオマス
バイオマスの分野において、ÉSグループは、ÉS Biomass社の過半数所有を通じて、バイオマスのコジェネレーション発電所
の稼働を2016年末に開始した。かかる発電所は、年間70GWhの電力、年間112GWhの熱源を再生可能資源から生産し、それにより
ストラスブールの3つの主要な暖房ネットワークの2つを補っている。
⑤ 国際事業
( ⅰ) 英国
EDFグループの英国における事業は、EDF EnergyおよびEDF Tradingを通じて行われている(「第2 3(2)⑥(ⅲ)最適化
および取引:EDF Trading」を参照。)。
また、当グループは、Edisonを通じて、北海で石油およびガスの探鉱および生産活動を行っており(「第2 3(2)⑤
(ⅱ)(ハ)(b)炭化水素分野」および「第2 3(2)⑥(ⅱ)(ロ)(c)探鉱および生産(E&P)」を参照。)、Dalkia
Wastenergyを通じて、廃棄物回収を行っている(「第2 3(2)⑥(ⅰ)(イ)Dalkia」を参照。)。
EDF Energyは、主として英国における発電、住宅用顧客および企業用顧客への電力の供給、住宅用顧客へのガスの供給、新
たな原子力発電所の建設において、また、EDF Renewablesとのジョイント・ベンチャーとして再生可能エネルギー・プロジェ
クトの開発および運営における少数株主持分を通じて活躍している。
EDF Energyは、英国の最大エネルギー企業の1つおよび低炭素電力の最大発電事業者であり、その原子力発電所、石炭およ
びガス火力発電所ならびに熱電併給施設により、国内電力の約5分の1を生産している。
101/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
EDF Energyは、5.27百万の企業用および住宅用の顧客口座に対してガスおよび電力を供給しており、英国における供給量に
おいて最大の電力供給業者である。
EDF Energyは、英国の原子力ルネサンスを率いている。EDF Energyは、China General Nuclear Corporation(CGN)と連携
して、サマセットのヒンクリー・ポイントC発電所建設用地の持分(EDFが66.5%およびCGNが33.5%有している。)を有して
おり、さらにサフォークのサイズウェル(開発段階で、EDFが80%およびCGNが20%有している。)およびエセックスのブラッ
ドウェル(EDFが33.5%およびCGNが66.5%有している。)における新たな原子力プロジェクトを開発している。
同社は、国全体でおよそ12,300人を雇用している。
2018年における英国全土の総発電量は約289TWhであり、総電力供給量は約259TWh(主に送配電網に係る損失を反映した差
異)であった。2018年、英国国内の顧客に供給されたガスの総容量は311TWhであった。
EDF Energy 2018 年12月31日 2017 年12月31日
(1)
供給電力 ( 単位 : GWh ) 43,939 43,769
供給ガス (単位:GWh) 28,944 27,879
(2)
住宅用顧客口座数 (単位:千) 4,945 5,160
(3)
従業員数 12,292 12,797
(4)
記録可能な事故発生率合計 1.12 0.59
(1) 最終顧客に提供された電力(前年度における計測中断分を含む。)。
(2) 年度末の数値。
(3) 産休中の従業員を含む期末現在の人数。
(4) 記録可能な事故発生率合計は、1年間に発生した、休業災害、死亡事故、労働を制限するけがおよび医療処置を要するけ
が(応急手当てを除く。)の合計件数の、労働時間に百万を乗じた値に対する割合。全従業員ならびに代理店および請負
業者の人員を含む。EDF Energy Renewablesおよびヒンクリー・ポイントCプロジェクトを除く。
( イ) 戦略
概要
EDF Energyの戦略は、安全で信頼性があり、かつ手頃な価格の低炭素電力の発電を通じて低炭素排出経済への移行を支える
ことに重点を置きながら、効率的で信頼できる方法で顧客のエネルギー需要および関連するサービスのニーズを満たす持続可
能な長期的事業を目標としている。EDF EnergyはEDFグループのCAP2030に完全に準拠しており、業界トップクラスの安全実績
の維持および全事業にわたる費用効率の改善への注力により支えられている。
EDF Energyは、そのエネルギー供給事業において、顧客に対して優れたサービスおよび利便性を提供する一方で、より良
く、速く、安く物事を行うことによって、その顧客がエネルギーを利用しやすくすることを目標としている。これは、国家プ
ログラムの一環として、顧客の自宅および小規模な事業所にスマート・メーターを設置することも伴う。英国政府による住宅
用顧客標準変動料金に係る短期的な料金上限の導入を受けて、EDF Energyは、事業の展開を目的として、効率化に向けた取組
みを継続し、代替案を探求している。また、同社は市場機会および経済活動の電化に柔軟に対応するため、新たなサービスお
よび収入源の開発を行っている。EDF Energyはまた、Imtech社を含むDalkiaとのエネルギー・サービスのジョイント・ベン
チャーおよびフレキシビリティ・プラットフォームであるパワーシフトなどの能力を通じて、エネルギー、炭素および費用の
削減を提供するソリューションの検証および開発を行う事業体を支援することである。
発電においては、EDF Energyは、既存および新規の事業の双方によって、価値を創造することを目標としている。
EDF Energyは、オペレーショナル・エクセレンスおよび安全で信頼性ある発電の継続を通じて、既存の原子力、石炭および
ガス資産の価値の確保を目指している。2009年以降、EDF Energyはそのすべての改良型原子力ガス冷却原子炉(AGR)の耐用年
数を平均で8年間延長した。しかしながら、交換不可能な大型部品により、AGRの耐用年数には技術的な限界があり、発電所
は、かかる限界に近づくにつれ、発電所の耐用年数の終了時期の最適化に努め、英国の既存の原子力発電所の操業におけるそ
の専門技術を基に、原子力廃炉における新たな事業を展開する機会を模索している。
当社の発電施設に関するその他の重要な戦略的取組みには、ウェスト・バートンBのコンバインド・サイクル・ガス・ター
ビン発電所の運営の最適化および英国の発電容量の市場における石炭発電容量の残存耐用年数の最適化が含まれる。
EDFは、China General Nuclear Corporation(CGN)と連携して、EPR技術に基づき、サマセットのヒンクリー・ポイントに
おける2基の新規の原子力ユニット(3.2GWの合計容量)を建設している。またEDF Energyは、サフォークのサイズウェルにお
いて類似する3.2GWのEPRプロジェクトをCGNと協働して進めている。また、エセックスのブラッドウェルにおいて、CGNの「UK
HPR1000」中国テクノロジーに基づく新規の原子力発電所の開発が提案されている。
102/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
EDF Energyは、英国の(EDF Énergies Nouvellesとのジョイント・ベンチャーである)EDF Energy Renewablesと連携して、
2018年に取得したスコットランド東岸沖に位置する450MWのNeart na Gaoithe洋上風力発電プロジェクトを含む、新規の再生可
能 発電プロジェクトの開発を継続して行っている。現在、ウェスト・バートンBにおいて、49MWの新たな電力貯蔵プロジェク
トが稼働し、National Gridに対して周波数応答サービスを提供しており、さらなる融通性のあるプロジェクトが模索されてい
る。2018年6月、EDF Renewablesは、Dalmore Capital LimitedおよびPensions Infrastructure Platformとの間でパートナー
シップを締結し、24基の風力発電所(約550MW)の49%の少数株主持分を譲渡した。EDF Energyは、生産されるすべてのエネル
ギーおよび風力発電所が標準市況に基づき発電するエネルギーに係る再生可能エネルギー証書を、引き続き購入する予定であ
る。
規則
ブレグジットおよびユーラトム条約
2016年6月23日、英国は欧州連合からの離脱を投票により決定した。これにより英ポンド安が引き起こされ、英ポンド/
ユーロの為替レートに影響を及ぼした。「合意がない」場合、さらなる英ポンド安が予想されている。「第3 2(1)②競争
環境および一般的な環境に関するリスク」および「解説2H:英国の欧州連合離脱は、全般的な経済状況、金融市場およびEDF
の事業に悪影響を与える可能性が高い。」と題するリスク要因も参照。
2018年11月25日に開催された欧州理事会において、離脱合意ならびに英国が欧州連合および欧州原子力共同体から離脱した
後の欧州連合と英国との将来の関係性に関する枠組みを定めた政治宣言について、承認がなされた。当該宣言は、エネルギー
および民生原子力について言及しており、いずれも将来の関係交渉において優先される予定であることを保証している。政治
宣言の民生原子力セクションには、欧州原子力共同体と英国の間の広範な原子力協働契約へのコミットメントが含まれてい
る。
同契約は、ブレグジットに関する決定が行われる前に、庶民院による承認を得なければならない。
当グループは、英国のユーラトム条約(「欧州原子力共同体」)からの離脱が及ぼす影響について、より広範なブレグジッ
ト問題とともに検討を行ってきた。全社的な総合影響評価制度によって、主なリスク、中でも「合意がない」シナリオに重点
を置いたリスクに取り組むため、いくつかの緩和策が策定かつ導入された。
英国政府は、国レベルで取り扱われる必要のある民生原子力セクターに関する重要な問題について検討を進め、以下のとお
り前進した。
・欧州原子力共同体からの離脱に関するすべての問題が、英国と欧州連合の間で合意に至った。
・英国独自の原子力保障措置が策定された。
・米国、カナダおよびオーストラリアとの間の原子力協働契約ならびに2019年3月末までに日本との間の新たな原子力協働契
約
英国政府およびEDFの緩和策を実施することで、欧州原子力共同体およびより広義のブレグジットにより生じる最も深刻な潜
在的影響に対処することが可能となる。ブレグジットによる潜在的影響には、関税および非関税の障壁ならびにサプライ・
チェーンの途絶をもたらす(かつ発電所の性能およびヒンクリー・ポイントCの建設計画に影響を及ぼす可能性のある)港/
空港の遅延ならびにヒンクリー・ポイントCの建設に係る労働を含め、熟練労働力へアクセスする能力が含まれる。労働移動
性については、英国政府は最近、ブレグジット後の移民制度に係る提案に関する白書を発表した。さらに、2019年1月29日、
英国政府は、新たな英国移民制度(少なくとも2021年までは発効されない。)の導入に要する時間を鑑み、2019年3月30日よ
り移行措置を適用することを発表した。これは、英国のモビリティおよび入国労働における現在から2021年初頭に亘る変化
は、実際には限定的にとどまる予定であることを意味している。
いずれの場合においても、英国は、国際原子力機関(IAEA)の加盟国であり続け、英国が関連する国際的基準を満たし続け
ることを保証するため、国際的な関係者と取組みを行う予定である。英国は、代替としてIAEAと二者間の自発的保障措置協定
を締結し、2019年3月29日までの批准に向けて進行中である。
供給量市場
2018年11月15日、欧州連合司法裁判所の一般裁判所は、欧州委員会の主張を退け、Tempus Energyを支持し、政府補助金を理
由に英国供給量市場に異議を唱えないとする欧州委員会の決定を取り消した。その結果、英国政府は、発電事業者に対する供
給量の支払いを停止した。政府は、供給量市場が可能な限り早急に復旧するよう、委員会と緊密に取り組んでいく声明を発表
した。一方で政府は、National GridおよびElectricity Settlement Companyに対して、(可能な限り)通常どおりに供給量市
場における業務を展開するよう要請し、2019年中頃(引渡しは2019年後半/2020年前半)に、落札者に条件付きの供給量が与
えられる代替のT-1追加入札を実施する意思を表明した。政府は、容量停止期間後、供給業者が異なる支払方法を選択できるよ
うになることを希望しているが、異なる支払方法は、既存の供給量に係る契約または将来の入札のいずれかに関連しているか
103/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
にかかわらず、引き続き欧州委員会の政府補助金認可を条件とする。2019年2月21日、欧州委員会は、英国の供給量市場ス
キームについて、綿密な調査を行うことを発表した。
( ロ) EDF Energyの事業
( a) 原子力発電
EDF Energyは、英国において、8.9GWの合計容量を有する8基の原子力発電所(15基の原子炉)を所有および操業している。
2009年以降、Centrica plc(Centrica)は、原子力資産(新規の原子力発電所を除く。)を有する会社であるLake
Acquisitions Limitedの20%の持分を保有している。
原子力発電所の技術
8基の原子力発電所のうち7基は、改良型ガス冷却原子炉(AGR)型発電所(ダンジェネスB、ハートルプール、ヘイシャム
1、ヘイシャム2、ヒンクリー・ポイントB、ハンターストンBおよびトーネス)であり、8基目のサイズウェルBは加圧水
型原子炉(PWR)型発電所である。
安全性および放射線防護
原子力の安全性は、EDF Energyの最優先事項である。2018年は、2017年と同様、EDF Energyの発電所において安全性事象は
報告されなかった。
2018年、EDF Energyは、AGR発電所において1件のINES( 国際原子力事象評価尺度 )2に分類される重大安全性事象(SSE)
を申告した(2017年にはINES2に分類されるSSEはなかった。)。
EDF Energyは、すべての既存のEDF Energyの原子力発電所の従業員および請負業者が受けた放射線量を最低限まで削減し管
理するために、厳格な手続に基づき操業している。2018年において、EDF Energyの既存の原子力発電所の全従業員が受けた個
別線量は平均0.058mSvであった(年間法定線量限度は20mSvである。)。2018年において個人が受けた最高線量は7.2mSvであっ
た。
原子力発電所の耐用年数
各発電所の実際耐用年数は、主に、発電所のセーフティー・ケースを裏付ける技術的および財政的な実現可能性に基づいて
決定される。これは、各法定供給停止期間に、その後の稼働期間に関して、発電所の性能に関する検査、維持管理業務、試験
および審査を行うことにより確認される。発電所の停止後は、原子炉を再開する前に、原子力規制局(ONR)の承諾が必要であ
る。法定供給停止期間と次の法定供給停止期間の間の稼働期間は通常、AGR発電所が3年、サイズウェルBが18か月である。
さらに、10年ごとに、発電所は、より詳細かつ広範囲にわたる構造上、操業上および組織上の安全性に関する定期安全審査
(PSR)を受けなければならない。これについても、発電所の操業継続のためにONRの承認を得なければならない。2017年1
月、ONRは、ヒンクリー・ポイントBおよびハンターストンBのPSRを承認し、2018年1月に、ONRはダンジェネスBのPSRを承
認した。ONRは現在、ハートルプールおよびヘイシャム1のPSRの評価を行っており、その承認は2019年前半に予定されてい
る。ヘイシャム2およびトーネスのPSRは、ONRの評価のために2019年に提出されており、2020年1月にONRに承認される予定で
ある。
AGRは、名目上の耐用年数を25年間、サイズウェルBは耐用年数を40年間として設計されている。しかしながら、技術的情報
ならびに操業経験および安全経験の集約により、AGRの予想耐用年数を見直すことが可能となった。さらに耐用年数を延長する
ことは、各発電所への追加的な投資が必要となり、また技術面、安全面および経済面での正当性を示すことが必要となる。ま
た原子力負債が増加する可能性があることから、原子炉廃炉当局(NDA)の承諾が必要となる。
British EnergyがEDFによって取得されて以来、AGRの耐用年数は、平均でさらに8年間延長された。直近の延長は、2016年
2月に公表された。ハートルプールおよびヘイシャム1は、さらに5年間延長され、ヘイシャム2およびトーネスは7年間延
長された。
サイズウェルBの延長を支援する取組みはまだ実施されていないが、EDF Energyはおよそ20年間延長することが可能であろ
うと見込んでいる。
現在の操業年数 ( EDF Energy により正式に記録され、NDAによる承認を受けている。 ) および閉鎖日
発電所の
原子炉 の 耐用年数 耐用年数の延長 関連する 定期安全審査
発電所
種類 発電開始 (正式発表) (正式申請済み) 閉鎖 予定日 予定日
1976 年2月 47 年
ヒンクリー・ポイントB AGR 22 年 2023 年 2017 年
47 年
ハンターストンB AGR 1976 年2月 22 年 2023 年 2017 年
104/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
1983 年4月 ▶5年
ダンジェネスB AGR 20年 2028 年 2018 年
1983 年7月
ヘイシャム1 AGR 41 年 15 年 2024 年 20 19年
1983 年8月
ハートルプール AGR 41 年 15 年 2024 年 20 19年
1988 年5月
トーネス AGR 42 年 17年 2030 年 2020 年
1988 年7月
ヘイシャム2 AGR 42 年 17年 2030 年 2020 年
1995 年2月
サイズウェルB PWR 40 年 - 2035 年 20 25年
発電所別の発電容量および発電量
(2)
発電量 ( 単位: TWh)
(1)
容量 ( 単位: MW) 2018 年
発電所 2017 年
AGR 発電所
ダンジェネス B 1,090 5.7 5.7
ハートルプール 1,185 8.1 9.3
ヘイシャム1 1,060 7.4 6.3
ヘイシャム2 1,240 8.9 10.3
ヒンクリー・ポイントB 965 7.2 7.3
ハンターストンB 985 3.8 7.3
トーネス 1,200 8.6 8.9
PWR 発電所
サイズウェルB 1,198 9.4 8.8
合計 8,923 59.1 63.9
(3)
負荷率 76 82
% %
(1) 発電容量は、National Gridから輸入された電力を含む、発電所自身の使用のための純電力消費量で計上される。
(2) 各年の発電量は、燃料補給のための、計画内および計画外の供給停止を反映している。
(3) 負荷率は、実際の発電量を各発電所が当該期間に相当する所定の発電容量で運営した場合に得られる発電量で除して、算
出される。
既存の原子力発電所の操業に関する検討
2018年における原子力発電所の発電量は、2017年(63.9TWh)から4.8TWh減少して、59.1TWhであった。発電量の減少は、主
にハンターストンBにおける黒鉛点検および安全性ケースワークのための供給停止の延長、ダンジェネスBにおける蒸気配管
の亀裂および冷却水配管の腐食に関する調査のための供給停止の延長ならびに2018年における2件の追加的な法定の供給停止
に起因している。
計画的な法定の供給停止は、ハートルプールの原子炉1号機、ヘイシャム1の原子炉2号機、ヘイシャム2の原子炉7号
機、ヒンクリー・ポイントBの原子炉4号機およびトーネスの原子炉2号機で完了した。2017年にサイズウェルBにおいて開
始した計画的な法定の供給停止は、蒸気発生器への修理を行うために2018年まで延長されたが、2018年1月31日に完了した。
法定の供給停止は、2018年8月にダンジェネスBの原子炉22号機において開始し、共通するシステムの修理のため、9月に
は関連する原子炉21号機において供給停止が開始した。これらの供給停止は、蒸気配管の亀裂および冷却水配管の腐食に関す
る調査のため、延長された。ユニットは、2019年度第2四半期に再稼働する予定である。
ハンターストンBの原子炉3号機は、計画された主要部の黒鉛点検のため、2018年3月に供給停止した。炉心において、現
在のセーフティ・ケースのモデルよりも若干高い頻度で新たな鍵穴状の亀裂が確認され、EDF Energyは、さらなる調査および
セーフティ・ケースの作業のため、同原子炉を作動させないことを決定した。ハンターストンBの原子炉4号機において2019
年に計画されていた主要部の黒鉛点検は、2018年10月に前倒しとなった。ユニットは、2019年度第2四半期に再稼働する予定
である。
放射性廃棄物の管理
英国において、放射性廃棄物は以下のとおり4つのカテゴリーに分類される。
・低レベル廃棄(LLW)。地表近くの処分ルートが存在する。ウェストカンブリアのドリッグに所在するLLW Repositoryを含
む。
・中レベル廃棄物(ILW)。英国において利用可能なILWの処分ルートは存在しない。
105/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・高レベル廃棄物(HLW)。これは、放射能のために温度が大幅に上昇する可能性のある放射性廃棄物と定義され、したがっ
て、貯蔵施設および処分場を設計するにあたり、熱の要素が考慮されなければならない。
・高放射能廃棄物(HAW)。実質的に地表近くの処分に適さないHLW、ILWおよびLLWという。
LLWおよびHAWに関するEDF Energyの発電戦略は、英国政府およびスコットランド政府が廃棄物の階層(減量、再利用、リサ
イクル、回収)の適用に重点的に取り組んでいることを反映したものである。廃棄物のリサイクルおよび処分ルートの幅広い
利用は、カンブリアにおける低レベル廃棄物保管施設(LLWR)を最大限に利用するよう支援することとなる。現在、英国におい
ては、LLWに関してのみ処分場が存在する。
HAWは、EDF Energyの各発電所の安全な専用施設において、中期的に貯蔵される一方、より長期間の国家によるソリューショ
ンがイングランドおよびスコットランドにおいては確立されている。
従来の契約上の取決めに基づき、AGRからの使用済燃料は、セラフィールドの核燃料再処理施設(NDAが所有する。)まで輸
送され、再処理または長期貯蔵される。使用済AGR燃料の再処理工程から生じる発熱性HAWは、ガラス固化され、安全に長期貯
蔵される。
サイズウェルBに関しては、使用済燃料は敷地内に貯蔵されており、EDF Energyは、発電所が引き続きサイズウェルBの耐
用年数中に発生するすべての使用済燃料を安全に貯蔵できるようにするために、サイズウェルBに追加の使用済燃料乾式貯蔵
施設を建設した。長期間の地表貯蔵の後、サイズウェルBのPWRの使用済燃料は、将来の英国地層処分施設に送られ、処分され
る。
EDF Energyの事業の性格および従来の政府との相互関係から導かれることは、EDF Energyの発電所から発生する使用済燃料
および放射性廃棄物に関する戦略は、NDAの承認を受けているということである。しかし、EDF Energyは、当社のより広範な安
全性、持続可能性および環境に関する方針を通じて、発生し続ける使用済燃料および廃棄物の改善および最小化を継続する方
針である。
放射性廃棄物の管理および廃炉に関する費用-再編契約
再編契約は当初、旧British Energy グループ(EDF Energy Nuclear Generation Group(EENGG))の財務状況の安定化を目
的とする英国政府との合意の指導に基づき2002年から実施され、EDF Energy Nuclear Generation Groupの再編の一環として、
2005年に締結された。
これらの再編契約により、以下のとおりとなる。
・再編の一環として英国政府が設定した独立投資信託である原子力負債ファンド(NLF)は、(国務大臣の裁量により、)その
資産の範囲内で、以下に資金供給することに同意した。すなわち、(ⅰ)契約していない適格原子力負債(サイズウェルB発
電所の使用済燃料の管理に関する負債を含む。)、および(ⅱ)EENGGが所有および操業する既存の原子力発電所に関する適格
廃炉費用である。
・国務大臣は、以下に資金供給することに同意した。すなわち(ⅰ)NLFの資産を超える範囲で、かつEENGGが所有および操業す
る既存の原子力発電所に関連する契約していない適格原子力負債(サイズウェルB発電所の使用済燃料の管理に関連する負債
を含む。)および適格廃炉費用、ならびに(ⅱ)上限を2,185百万英ポンド(2002年12月の貨幣価値、適宜調整される。)とし
て、EENGGの使用済燃料の適格契約負債(特に、2005年1月15日以前のAGRの使用済燃料の廃棄物の管理のための負債を含
む。)である。
・EDF Energy Nuclear Generation Limitedは、一定の除外されたまたは不適格の負債(主に発電所の危険または不注意な操業
に起因する負債)の資金手当について責任を有し、またその子会社のNLFおよび国務大臣に対する関連する潜在的な義務は
EENGGの主要メンバーから保証を受ける。
EENGGの数社(EDF Energy Nuclear Generation Limitedを含む。)は、2005年1月15日以降のAGRの使用済燃料(新燃料)の管
理のため、現在NDAと個別の契約を締結しているが、セラフィールドへの移管後はこの燃料に関して責任を負わない。
( b) 火力発電およびガスの貯蔵
発電量 (TWh)
発電容量
発電所
所在地 稼働年 ユニット数 発電所の種類 (MW) 2018 年 2017 年
コッタム ノッティンガムシャー 1970 年 ▶ 石炭火力 2,000 2.7 3.1
石炭火力
ウェスト・バートンA ノッティンガムシャー 1970 年 ▶ 1,987 1.8 1.7
(1)
およびOCGT
コンバインド・サ
ウェスト・バートンB ノッティンガムシャー 2013 年 3 イクル・ガス・ 1,332 6.8 6.6
タービン
106/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
合計 英国 11 5,319 11.3 11.4
(1) オープン・サイクル・ガス・タービン。
2018年において、コッタムおよびウェスト・バートンAの石炭火力発電所は、4.5TWhの電力を発電した。これは、前年より
も0.3TWh減少しており、石炭火力発電ユニット8基のうちの6基の供給停止に加えて、ダークスプレッドが極めて低かった年
としては、好調なパフォーマンスを示すものであった。
2019年2月7日、EDF Energyは、コッタム石炭火力発電所の発電を、その50年間の稼働を経て、2019年9月30日に終了する
ことを決定した。かかる決定は、市場の変化および発電プロセスから積極的に炭素を除く推進力を反映している。
2018年において、ウェスト・バートンBのCCGTの発電量は、2017年から0.2TWh増加して6.8TWhとなった。これは、市場のボ
ラティリティ、発電所の課題および年度中における3回の一時的な供給停止を考慮すると、良好なパフォーマンスであった。
また、EDF Energyは、チェシャー州において2つの中間サイクル・ガス貯蔵施設を運営している。ヒル・トップ・ファーム
は、3つのドームを有し、2015年1月中旬に商業運転が可能となった。4つ目のドームが2018年に商業運転が可能となり、残
りのドームは、2019年までに稼働が開始する予定である。2018年中、発電所へのいくつかの重要な投資に関する差し迫った要
件に加えて、困難な市場環境により、当面ホール・ハウス施設の商業運転を再開しない決定が下された。
( c) 顧客事業
2018 年12月31日 2017 年12月31日
顧客への供給電力 ( 単位 :GWh) 43,939 43,769
顧客への供給ガス (単位:GWh) 28,944 27,879
期末現在の住宅用顧客口座数 (単位:千) 4,945 5,160
顧客事業は、英国全体の住宅用顧客および企業用顧客に対するガスおよび電力の供給ならびに卸売市場におけるEDF Energy
の発電資産および顧客資産の最適な活用に関して責任を負う。
EDF Energyは、エネルギーを2つの主要顧客部門である住宅用顧客および企業用顧客に販売している。企業用顧客の規模
は、大規模産業事業者から小規模民間事業者に及んでいる。EDF Energyは、住宅用顧客および非住宅用顧客に対して異なるリ
スク管理戦略を採用している。
住宅用顧客
2018年中、EDF Energyは、住宅用顧客部門に対して、11.65TWhの電力および28.78TWhのガスを供給した。2018年12月31日現
在、EDF Energyは、当該部門内で3.003百万の電力顧客口座および1.942百万のガス顧客口座を有していた。
107/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
競争
Cornwallの最新の市場シェアのデータ(2018年10月末現在)によれば、中小規模の供給業者の合計市場シェアは、2017年10
月末現在の20.6%に対して、約27%であった。10月末時点において、中小規模の供給業者(ホワイトラベルおよびライセン
ス・ライトを除く。)が62社存在している。
EDF Energyは、2018年12月末現在、年初から0.2百万個減少して、4.945百万個の製品勘定を有していた。市場シェアは直近
12か月間においてわずかに減少して、2018年10月31日現在9.6%である。総勘定に基づくEDF Energyの市場シェアが0.46%減少
したものの、これはその他の大規模の供給業者の市場シェアの平均損失0.92%に匹敵し、E.ONのみがより低い減少(0.3%)と
なった。
EDF Energyは、2018年1月にMoneySavingExpertの集団的スイッチを獲得し、2年間の固定料金で10,000人の顧客を獲得し、
その集団的スイッチおよび独占的料金志向型獲得戦略を継続した。
規制の改正
既定料金の上限
2018年11月6日、Ofgemは以下の主な特徴を有する既定料金の上限に関する決定を発表した。
・2019年1月1日に導入。
・英国における既定料金の対象となる11百万人の顧客に適用される。
・既存の前払いメーター(PPM)の上限と合致するよう、6か月ごとに更新される。
・少なくとも2020年までは適用され、その後は政府が一回につき12か月間さらに延長する可能性があり、最長で2023年まで適
用される。
一般的な消費における上限の水準は、自動引落し(DD)の顧客は1,137英ポンドであり、現金およびチェック(CC)の顧客は
1,221英ポンドである。
再エネ購入義務の平準化
2018年11月21日、Ofgemは、政府の再エネ購入義務制度の購入資金において59百万英ポンドの不足額を確認した。これとは別
に、固定価格買取制度の定期的な均等化の資金への供給者の支払いにおける4百万英ポンドの不足額も存在する。これらの不
足額は、相互化を誘引し、これは、義務を遵守した供給者が不足額を補わなければならないことを意味する。
スマート・メーター
EDF Energyは、2020年までに、スマート・メーターという新しい技術の恩恵を受けることを希望するすべての住宅用顧客お
よび小規模の企業用顧客に、スマート・メーターを供給することに引き続き尽力している。2018年、EDF Energyは、さらにそ
の活用の場を増やすために、その2018年の年間目標を上回る、約515,000個のスマート・メーターを追加で設置した。2018年末
までに、展開の対象となるEDF Energyの顧客の約24%がスマート・メーターを有していた。2018年、国家のITおよびコミュニ
ケーションのインフラ(DCC)がようやく利用可能になったことを受けて、供給者は第二世代のスマート・メーターの設置を開
始することができるようになり、EDF Energyはそれを約36,000個設置した。EDF Energyは、第二世代のスマート・メーターへ
の移行を、政府が設定した期限に沿って、2019年度第1四半期に完了する予定である。
住宅用顧客サービス部門
EDF Energyは、2018年度第3四半期のCitizens Adviceによるエネルギー供給業者格付けの格付一覧において、British Gas
およびSSEに次いで、主要なすべての供給者のうち第3位となった。EDF Energyは、2017年度第4四半期の第2位から順位が下
がったものの、そのスコアは2017年度第4四半期の(5点満点のうち)3.7から2018年度第3四半期の3.95へと改善した。供給
者全体の一覧において、EDF Energyは、34の供給者のうち、2017年度第4四半期の第9位から、2018年度第3四半期の第8位
へと改善した。
2018年を通して、顧客は、すべてのルートを通じて受けたサービスについて、依然として非常に肯定的であり、当社の連絡
ルートについて年度末(2018年10月から12月の平均)のアドバイザー推薦スコアは+53となり、デジタル・ネット・イーズ・
スコアは5点中4.2点を獲得した。EDF Energyは、取引の68%を顧客による国内のセルフ・サービスのルートの使用によって完
了させており、引き続き顧客との不要な連絡を減らすことに取り組んでいる。
非住宅用顧客
2018年において、非住宅用顧客部門は合計32.3TWhの電力(203,434の小規模の企業用顧客(SME)口座に対して1.9TWh、中規
模および大規模の企業用顧客(I&C)口座に対して30.4TWh)を供給した。英国における企業用顧客の電力市場は合計約
184.1TWhであり、EDF Energyは最大の企業用顧客向け供給業者となった。
108/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
中規模の企業用向けは好調であり、取引量が多く、売上総利益も増加した。このセグメントにおける取引量は、毎月増加し
続けている。2018年10月は、業績が好調であり、英ポンド/MWhのマージンは年度始めと比べて増加した。
大口の企業用向けに関しては、2つの戦略的な見通し、すなわちHansonおよびManchester Airport Groupの取得およびその
着手により、2018年を通してその供給量を増加させた。これは、好調な財務成績に反映され、2018年の総利益は2017年から増
加した。2018年に締結されたさらなる重要な取得は、複数の主要な更新に加えて別の戦略的な公共部門の枠組み(NEPO)を含
み、これらは2019年への移行にかけて大口の企業用向けの取引量のポジションの支えとなる。
卸売市場の最適化
一般的原則
EDF Energyのエネルギー購入ならびにリスク管理を取り巻く方針は、EDFグループの方針に基づき実行されており、総利益の
ボラティリティを制限する一方で、EDF Energyの事業が最適化され、そのサービスが競合価格で提供されることを確保してい
る。
卸売市場最適化(WMO)部門の目的は、1つの場所におけるEDF Energyの卸売市場リスクを所定のリスク限度および統制の枠
組みに収まるよう管理することである。WMO部門は、EDF Tradingを通じ、卸売市場との間に独自のインターフェースを提供す
る。また、WMO部門は、EDF Energy全体に対し、モデル作成サービスの提供も行うとともに、NDAおよびCentricaのような第三
者との間で、資産担保商業用ストラクチャーの交渉および管理も行う。
電力の販売および調達
発電所が発電する電力は、EDF Energyの顧客事業内のWMO部門を通して販売される。2010年4月以降、原子力発電事業からの
発電量の20%が、British Energyの取得時点において締結された契約に従い、現在の原子力発電所の少数株主であるCentrica
に個別に売却されている。残りの80%は、Centricaとの取引に用いられるものと同じ移転価格で、EDF EnergyのWMO部門に売却
される。この移転価格は、公表される市場価格に基づき、流動性が許す場合は、先物電力価格に向けて平準化される。
自己の発電量を超える場合、EDF Energyは、主に再生可能エネルギー発電事業者およびCHP発電事業者との間で締結される電
力購入契約による輸出電力を通じても電力を調達する。2018年、EDF Energyは、この経路からおよそ4.5TWhを取得した。
2018年の供給において、卸売市場におけるEDF Energyの純持高は、約17.4TWhの売越しであった(仕組取引を含む。)。2018
年において、EDF Energyは、約49.3TWh売却し、32.0TWh購入した。
ガス、石炭および炭素に関する権利の調達
石炭およびガス契約(現物および財務の)ならびに二酸化炭素排出権に関する契約が、その電力発電所およびガス消費者の
必要量のヘッジを目的として、EDF Energyにより締結された。
購入は、石炭およびガス資産の発電予測ならびに石炭の目標貯蔵水準に基づき行われる。2018年におけるEDF Energyの石炭
供給量の29%が国内供給業者からのものであり、71%が海外の供給業者からのものであった。
( d) 新規の原子力発電所建設事業
新規の原子力発電所建設事業
EDFの2016年7月28日付取締役会で最終投資決定(FID)がなされたのを受けて、EDFおよびChina General Nuclear Power
Corporation(CGN)は、サマセットのヒンクリー・ポイント用地(ヒンクリー・ポイントCまたはHPCプロジェクト)における
EPR原子炉2基の建設に関する最終的な契約を締結した。またかかる契約には、サフォークのサイズウェル(サイズウェルCプ
ロジェクト)およびエセックスのブラッドウェル(ブラッドウェルBプロジェクト)の英国における原子力発電所2か所の開
発に関するパートナーシップが含まれる。
EPR技術は既に、フランスのフラマンビル(現在建設中で、EDFの完全子会社である。「第2 3(2)①(ⅱ)(イ)フラマ
ンビル3EPRプロジェクト」を参照。)および中国の台山(「第2 3(2)①(ⅱ)(ロ)「新たな原子力」のその他のプロ
ジェクト-台山のEPR」を参照。)の発電所で展開されている。英国の規制上の要件およびヒンクリー・ポイントCの施設の仕
様のために適合されたものの、この同じ技術を使うことにより、設計、建設および運営の標準化において系列の効果を利用す
ることができる。
ヒンクリー・ポイントC(HPC)
資金調達
HPCにおけるEDFの持分は66.5%であり、CGNの持分は33.5%である。
EDFは大株主であり続ける意向であり、英国政府の事前の承諾なしに、HPCの建設期間中にその支配権を売却しないことを英
国政府と合意している。
109/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
プロジェクト費用およびタイムライン
2016年9月に最終投資決定がなされた後、EDFは、2017年にHPCプロジェクトの費用およびタイムラインの再検討を実施し、
その結果は、以下のとおりとなった( 2017年7月3日付プレスリリース「ヒンクリー・ポイントCプロジェクトに関する説
明」を参照。 )。
・2019年半ばに予定されている、ユニット1におけるコモン・ラフトのための安全規格に従った最初のコンクリートの流し込
みの完了に対応する「J0」の節目の確認。
・従前の評価と比較して、2015年の英ポンド換算で1.5十億英ポンド( 中間利息およびプロジェクトのベンチマーク為替(1英
ポンド=1.23ユーロ)と比較した為替の影響を除く。 )増加した、2015年の英ポンド換算で実質19.6十億英ポンドとなった
プロジェクトの完成に係る費用の見積もり。この見積もりは、とりわけ供給業者との協同で行われる、好調な業務上の行動
計画を想定したものである。追加の見積費用( 行動計画の影響額は含まない。 )は、主として、英国の規制当局の要件に適
合する設計への理解の深まり、現場の作業量および作業の優先順位付けならびに供給業者との契約の段階的な実施の結果と
して生じるものである。EDFの予測利益率(IRR)は、当初の約9%( 中間利息およびプロジェクトのベンチマーク為替(1
英ポンド=1.23ユーロ)と比較した為替の影響を除く。 )に対して、約8.5%( 2017年7月の為替(1英ポンド=1.16ユー
ロ)で算出されたIRR。為替の変動はIRRに影響を及ぼす可能性がある。2018年12月31日現在の為替は1.12ユーロであっ
た。 )と見積もられている。
・ユニット1について15か月、ユニット2については9か月となる納期の遅延リスク(COD)の見積もり。かかるリスクの実現
は、2015年の英ポンド換算で約0.7十億英ポンドの潜在的な追加費用を伴うものである。この仮定に基づくEDFのIRRは、約
8.2%( 中間利息およびプロジェクトのベンチマーク為替(1英ポンド=1.23ユーロ)と比較した為替の影響を除く。 )とな
る。
全体的なスケジュールに関して、プロジェクト・チームは総動員されており、2025年末までにユニット1を引き渡す目標が
達成できるよう、行動計画を実施している。
EDFとCGNとの間の契約には、予算超過または遅延が生じた場合のキャップ付き補償メカニズムが含まれる。これらの契約
は、機密条項に服する。
プロジェクトの進捗
プロジェクトは、2018年末に、2019年半ばに設定された「J0」目標を確認し、2018年に設定された以下の4つの目標を達成
した。
・プロジェクトの1つ目の目標:ユニット1のプリストレスのギャラリー建設の完了。ユニット2における作業は現在進行中
である。
・プロジェクトの2つ目の目標:ユニット1の「深部掘削」部分の建設。これは、高さ54メートルの揚水発電所を含む。
・プロジェクトの3つ目の目標:ユニット1のニュークリア・アイランドのコモン・ラフトの設計パッケージが引き渡され、
現場での作業の開始が可能となった。
・プロジェクトの4つ目の目標:ユニット1のニュークリア・アイランドでの安全規格に従った最初のコンクリートの流し込
みの完了。最初のニュークリア・アイランドでのコンクリートの流し込みのためのホールド・ポイントをリリースするた
め、かかる工程についてONRの事前承認が必要とされた。最終設計の決定を受けて、2018年11月8日に承認が付与された。
2018年末現在におけるこれまでのプロジェクト全体に係る支出は、6.8十億英ポンド(時価。中間利息を除く。)であった。
上述の行動計画から生じる機会を特定するために、現在作業が行われている。
原子力規制局(ONR)の英国オフィスとの交流
ONRとの協議は進行中である。
ONRの次のホールド・ポイントは、現場での燃料搬入となる。さらに、Framatomeからの最初の部品の発送のために、ONRから
の同意が必要となる。
差額決済契約(CfD) ( 契約の条件は、英国政府のウェブサイト(https://www.gov.uk/government/publications/hinkley-
point-c-documents)にて入手可能である。 )
納期の遅延に記載されるリスクについて、配電の期限(ユニット1については15か月、ユニット2については9か月)は、
締結された契約で設定されている配電の期限より短い。
HPCプロジェクトの関係会社であるNNB Generation Company (HPC) Limitedおよびエネルギー・気候変動省(DECC)は、2014
年10月に欧州委員会により承認されたHPCのCfDの全条項に関して、2015年10月付で合意した。
110/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
CfDは、2016年9月29日に、英国政府との間で締結されたその他すべての契約と並行して締結され、稼働開始から35年間にわ
たり、行使価格と市場価格の差額に基づいて行われる補償を通じて、HPCによって生成され、販売された電力から生み出される
収益に保証を付与する契約である。
発電所の稼働開始日以降、発電事業者が市場で電力を販売する際の基準価格が、契約条件に基づく行使価格よりも低い場
合、発電事業者は追加の支払いを受け取る。基準価格が行使価格よりも高い場合、発電事業者が差額を支払う義務を負う。
CfDの重要な要素は以下のとおりである。
・サイズウェルCプロジェクトが開始された場合(すなわち、最終投資決定がなされた場合)、HPCの行使価格は、EPR原子炉
について被った最初の費用がHPC施設およびサイズウェルC施設にわたって共有されることを反映するために、92.50英ポン
ド/MWh(2012年)または89.50英ポンド/MWh(2012年)に設定される。
・行使価格は、消費者物価指数(CPI)を通じて英国のインフレに完全に連動する。
・この契約は、開始日から35年間存続する。ユニット2について、契約で定められた商業的稼働開始日から8年超遅れた場
合、CfDにおける利益が変動する可能性がある。原子炉2基のうち1基がその特定の期間内に稼働開始した場合、調整は部分
的である。
・このプロジェクトは、一定の不利な規制および法律の変更から保護される。また、15年目および25年目における(使用され
た仮定によって増加したかまたは減少した)費用を検討するための規定ならびに廃炉および廃棄物管理に係る費用の一定の
条件(資金調達による廃炉プログラム)を検討するための規定が策定された。
・HPCプロジェクトの建設において節約が達成された場合、かかる節約分は、電力価格の引下げにより、消費者にも享受され
る。
CfDにおいて、販売量に関する保証は明記されておらず、またその上限も存在しない。しかし、当該契約は、規制の変更また
は市場の変化に伴う取消しのリスクから保護されている。
HPCプロジェクトは、CfD期間における電力の市場価格の変動から保護されている。
主要なプロジェクト・リスク
これらのリスクに関する詳細は、「第3 2(1)⑤当グループの原子力事業に関する特定リスク」を参照。
この規模の他のプロジェクトもそうであるように、プロジェクトは、たとえCfDが保護役を担っていたとしても、プロジェク
トの終了時点で、時期および予算超過に関するリスクを有する。
外国為替に関しては、プロジェクト費用の約3分の1はユーロ建てであることを留意すべきである。これにより、当該プロ
ジェクトおよびEDFグループはともに、英ポンド/ユーロの為替レートのリスクに晒される。
英ポンドがユーロに対して下落した場合、プロジェクトの英ポンドでの費用が上昇し、その結果そのIRRは減少する。これに
より、グループ・レベルでは、ユーロ建ての資金需要の減少につながり、その結果当グループの負債が減少する。
HPCプロジェクトにおける長期にわたる投資ホライズンにより、EDFグループは、HPCへの投資額の英ポンド建ての価値の増加
リスクを補填するために段階的な戦略を施行している。廃炉フェーズ以降、ユーロ建ての投資のIRRは、収益が英ポンド建てで
発生し、インフレに連動することから、英ポンドおよび英国のインフレ(2017年7月のベースラインに関連する。)の変動に
依存する。
資金調達による廃炉プログラム(FDP)
資金調達による廃炉プログラム(FDP)に関する契約は、2016年9月29日に締結された。原子力事業者は、法定要件によって
FDPを有さなくてはならず、そのFDPに基づき独立したファンド会社が資金を調達し、原子炉の発電後の廃炉に係る費用を支払
うために積み立てられた資金を管理する。
Nuclear Decommissioning Fund Company(FundCo)は、2008年エネルギー法に従い設立され、FDPを導入することにより廃炉
に係る費用を提供することをその目的とする。
FDPの全般的な目的は、以下について事業者に十分な引当金を確保させることである。
・施設の廃炉費用の全額
・廃棄物の安全な管理および廃棄(長期貯蔵を含む。)につき、事業者が負担する費用の全額。これにより公的資金に依存す
るリスクが少なくなる。
サイズウェルC
EDFおよびCGNは、HPCに関する契約と並行して、サイズウェルCプロジェクトの資本に関する契約を2016年9月29日付で調印
し、第三者によって融資される2基のEPR(3.2GW)の建設および操業を行うためのプロジェクトの最終投資決定がなされるま
で、サフォークのサイズウェルCプロジェクトを開発することに大筋で合意した。
111/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
最終投資決定がなされる前の開発段階において、EDFの持分は80%、CGNの持分は20%である。最終投資決定後、本プロジェ
クトはEDFのレベルで管理されることは意図されていない。今後、その他の投資家および貸手が参入する必要がある。
最終投資決定は、2021年末に予定されている。
本プロジェクトの開発は、HPCからの複製戦略に基づいている。よって、サイズウェルCプロジェクトは、EPRの技術にも基
づき、非常に発達している英国のサプライ・チェーンに加えて、HPCからのフィードバックおよび経験からも恩恵を受ける。
協議の第3段階が2019年1月4日に開始した。3か月間、住民、地方自治体および利害関係者が様々な会議および交流の場
への参加が可能となる。協議の主な議題には、交通、宿泊施設の選択肢、および環境への影響の評価が含まれる。
ブラッドウェルB
2016年9月29日、EDFおよびCGNは、英国版の第3世代HPR1000華龍原子炉に関し、英国の原子力安全規制機関に対して設計認
証(包括的設計審査)を取得するための共同申請を行うことについて、契約を締結した。HPR1000は、中国における防城港の
CGN発電所のユニット3に設置される予定で、これは、華龍の英国版の設計を開発する両社にとって、基準となる発電所であ
る。
開発段階において、CGNは66.5%の割合で、EDFは33.5%の割合で出資している。
2018年11月、当該プロジェクトは、包括的設計審査のプロセスにおける(4段階のうちの)第3段階の開始に伴い、「UK
HPR1000」テクノロジーによる原子力設計の承認手続において新たな段階に突入した。
( ⅱ) イタリア
( イ) EDFグループのイタリアにおける市場および影響力
イタリアは、フランス、英国およびベルギーに並ぶ欧州の4大市場の1つである。
当グループは、主にイタリアの電力市場およびガス市場の主要な事業者であり、認知度の高いイタリアのブランドである
Edisonの株式を97.446%( 株式持分:議決権の99.484%の割合 )保有することにより、イタリアにおいて事業を行っている。
2016年にエネルギー・サービスを専門に扱うEDFの完全子会社のFeniceは、より包括的で多様なエネルギー・サービスを行う
ことでイタリアの市場における主要な事業者になるというEdisonの戦略目標を推し進めるために、Edisonに統合された。
またEDFグループは、CitelumおよびEDF Renewablesのイタリアにおける子会社を通じて、イタリアにおいて事業を行ってい
る。
( ロ) Edisonの戦略
大多数の欧州エネルギー・システムと同様に、イタリアの市場はいくつかの困難に直面している。現在の地位ならびにガス
および電力のバリュー・チェーンにおける総合的なプレゼンスにより、Edisonは、CAP2030の優先事項に基づく効率性および収
益性を追求する一方で、市場の変化から創出される機会の獲得に適した地位にいる。
2018年において、Edisonは、低炭素の再生可能エネルギー発電に向けての再設定および下流部門エネルギー・サービスの開
発を目指す改革戦略の実施に焦点を当てている。以下の4つの分野が特に注目されている。
・供給に関して、Edisonは、革新的な提供を行うことにより、イタリアの市場における地位を強化する目標を有している。
Edisonブランドの確立した地位ならびにホーム・オートメーション、モビリティおよび住宅用ソーラーパネル等のEdisonが
提供する幅広いサービスに依拠して、Edisonはガスおよび電力の個人顧客ポートフォリオを成長させることを目指してい
る。とりわけ企業用顧客、第三次産業および行政の部門における最終市場との関係を強化することを目的として、特にエネ
ルギー・サービスの開発および低炭素エネルギー提供を通じた質の高い提供を行っている。
・発電に関して、Edisonは、イタリアにおける発電ポートフォリオを最適化し、二酸化炭素の排出を削減するために、水力発
電への特定の設備投資ならびに風力発電プロジェクトおよび太陽光発電プロジェクトの開発を促進することにより、再生可
能エネルギーによる発電を増加させることを目指している。さらに同社は、再生可能エネルギー発電と並行して、高効率お
よび低炭素の火力発電所を最大限に活用していく意向である。同社は、国のエネルギー目標が市場状況に有利に働いた場
合、同社の最も効率的な資産に資源を集中させ、新たな高効率ガス発電所を開発することを検討している。
・ガスに関して、Edisonは、EDFグループのガス事業の基盤となっている。EDFの監督下において多様でかつ広範囲におよぶ技
術を活用しているEdisonは、欧州および英国の卸売市場において資産を最適化し、短期取引を実施するEDF Tradingととも
に、統合モデルに基づきEDFのガス事業および資源のすべてを管理している。2017年8月1日より、EDFは、業務契約を通じ
て、資産管理および上流部門の業務展開(ガスおよびLNGの供給、契約管理ならびに中長期の最適化、輸送および貯蔵を含
む。)をEdisonに委託している。また、Edisonは、現在のポートフォリオの最適化に留まらず、EdisonおよびEDFグループの
競争力の向上ならびに供給の柔軟性および安定性の強化を図るために、イタリアのガス市場の成長に貢献することを目標と
している。
112/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・探鉱および生産(E&P)に関して、2018年にEdisonは、新たな事業体であるEdison Exploration & Productionにその業務を
合理化した。
( ハ) Edisonの事業
2018年におけるイタリアのエネルギー消費量は、2017年からわずか0.4%増加して、321.9TWhとなった。
280.2TWhの純発電量は、国内消費量の87%(前年は89%)を占め、その差は43.9TWhの純輸入量(2017年から16.3%増加)に
よって補われた。2017年と比較して、火力発電量の減少(15.3TWh減少して2018年は185TWh)ならびに太陽光発電量および風力
発電量の減少(2017年は41.6TWhであったのに対して2018年は40.2TWh)は、より有利な気候条件に起因する水力発電量の増加
(2017年は37.56TWhであったのに対して2018年は49.3TWh)によって一部相殺された。2017年の発電関連データ( AEEGにより公
表されたデータ(ARERA報告書1巻、48ページ、図表2.1)。2018年のデータは、2019年半ばに発表される。 )によると、
Edisonは、EnelおよびEniに続き、全国レベルで3番目に規模の大きい電力会社である。2018年において、Edisonのイタリアに
おける純発電量は18.8TWhであり、イタリアにおける純発電量の約7%を占めた。
ガスの国民需要は、電力の純輸入量の増加および水力発電量の増加に関連して発電におけるガスの使用量が8.1%減少したこ
とにより、2017年と比較して3.4%減少し、72.1G㎥となった。住宅用の消費量は、秋の終わりに気温が上昇したことにより、
1%減少した。
イタリアの天然ガス輸入量は、国の需要の93%を占め、Edisonはこの輸入量のうちの22%、すなわち14.6G㎥を占めた。
イタリアおよびイタリア国外における当グループのEdisonを通じたガスの生産量は、2017年から9%増加して、2.3G㎥に達
した。
石油およびコンデンセートの生産量は、安定して4百万バレルを維持し、このうち1.7百万バレルがイタリアにおいて生産さ
れた。
( a) 発電
2018年12月31日現在、Edisonの設備発電容量は、2017年と比較して4.8%減少して、2018年において6.1GW(純発電量は
18.8TWh)であった。これは、主として、火力発電量および風力発電量の減少によるものであるが、より良好な気候に起因する
水力発電量の増加により一部相殺された。
現在、Edisonの発電所は、水力発電所91基、火力発電所14基、風力発電所39基、太陽光発電所8基およびバイオマス発電所
1基で構成されている。コンバインド・サイクル・ガス・タービン(CCGT)は発電量の79%を占める一方で、水力発電は発電
量の16%、風力発電および太陽光発電は併せて発電量の5%を占める。
Edisonは、イタリアにおいて、3.1TWh(2017年から39%増加)を発電した約1,012MWの水力発電施設を操業している。
2018年にEdisonは、そのほとんどがピエモンテおよびロンバルディの灌漑用運河に位置する15か所の発電所を所有してい
る、Frendy Energyの72.9%の持分を1月に取得したことによって、小水力発電所への進出を継続している。2018年後半に
Edisonは、バレ・ダオスタにおける現地の水力発電事業者であるEaux Valdotainesから、それぞれ4.6MWの容量を有する稼働中
の3つの小水力発電所(1つは建設中で、その他は正式な承認段階にある。)を取得した。
再生可能エネルギーの分野において、F2iファンドと共同で2014年に設立され、F2iファンドが70%の持分を保有し、(自身
もEdisonにより83.3%、EDF Renewablesにより16.7%保有される)Edison Partecipazioni Energie Rinnovabili srlが残りの
30%を保有する事業体のE2i Energie Speciali srlにより、Edisonは必要な規模を維持した。
E2iは、661MWの再生可能エネルギー資産を保有し、生産するエネルギーの100%をEdisonへ譲渡しており、Edisonはこれを発
電ポートフォリオの総合管理に使用している。
Edison Spa(30%)およびEDF Renewables Services SAS(70%)が所有する事業体であるEDF EN Services Italia srlは、
かかるプラットフォームの運営および維持について責任を負っている。
2016年末にE2iは、風力発電部門の事業を発展させるために、一般入札において風力発電所の建設、改造または拡張に関する
8つのプロジェクトを獲得し、その合計設備容量は165MWであり、うち153MWは補助の対象となる料金保証付きである。2018年
にE2iは、2017年後半に欧州投資銀行(EIB)から供与された15年間の150百万ユーロの与信枠からの資金提供を受けて、これら
の風力発電所の建設および更新を開始した。2019年にプロジェクトが完了次第、E2iの設備容量に700MW超が追加される。
EdisonおよびF2iとのパートナーシップ以外でも、EDF Renewablesはイタリアにおいて事業を行っている(「第2 3(2)
①(ⅴ)(ハ)EDF Renewables」を参照。)。
革新という観点から、2018年後半にEdisonは、その再生可能エネルギー発電の適合性を試すために、カラブリア州アルトモ
ンテにおける3.3MWの太陽光発電所において、822kWhの容量を有する初のエネルギー貯蔵システムを構築した。
国際的な観点から、Edisonはギリシャにおける確立したプレゼンスから恩恵を受けており、(Edisonが38%の持分を有し、
残りの62%はHellenic Petroleum、Helenic Energy and Development(Hellactorグループ)およびHalcorが保有する)
ElpEdison SAを通じて、ギリシャにおける主要な電力事業者の1つとなっている。ElpEdisonは、Edisonにより建設され、民間
113/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
利用者向けの市場において電力を販売している2つのCCGT発電所(1つはテッサロニキ(389MW)、もう1つはティスヴィ
(410MW))を有している。
最後に、Edisonは、226MWのCCGT発電所を操業しているブラジルの子会社のIbiritermoの50%の持分およびスイスにおいて
626MWの水力発電所を操業するKraftwerkeの20%の持分を保有している。
( b) 炭化水素分野
ガス戦略の実施において、EDFグループはEdisonを通じて、天然ガスの探鉱および生産から直接販売という一貫したバ
リュー・チェーンに従って、発展させた経験から恩恵を受けている。
イタリアにおけるEdisonのガス供給ポートフォリオは主として長期契約に基づいており、2018年のガス供給ポートフォリオ
には、ガス・パイプラインおよびLNGを通じた約14.6G㎥の輸入量ならびに0.4G㎥のイタリアにおける自己生産および5.8G㎥の
市場からの購入が含まれている。
イタリアにおける2018年のガスの販売量の合計は、(2017年の21.3G㎥と比較して)20.7G㎥であった。Edisonは、4.5G㎥の
ガスを産業部門に、2.8G㎥のガスを住宅用顧客に、6.5G㎥のガスを火力発電部門(Edison自身の内部需要が含まれる。)に、
6.9G㎥を卸売市場に供給した。
Edisonは、イタリアにおいて競争力を高め、ガスのサプライ・チェーンを強化するために、長期の輸入契約をさらに強化
し、多様化させている。
探鉱および生産において、Edisonは、2018年末現在、イタリアでは56、国外では41の委託および探鉱の許可を有しており、
また約209百万バレルに相当する埋蔵量も有していた。国外では、Edisonの最も重要な資産は、エジプトのアブキールのガス田
であり、Edisonは、2009年初頭において最初の期間が20年で10年ずつ延期可能な、かかるガス田の探鉱、生産および開発の権
利を購入した。2017年末に、EdisonがSonatrach、RepsolおよびDEA Deutsche Erdoel AGとともに11.25%の持分を所有するコ
ンソーシアムは、アルジェリアのサハラ砂漠にあるレッガーヌ・ノール・ガス田の生産を開始した。最後に、Edisonは、クロ
アチア、英国およびノルウェーにおいても事業を展開しており、それらの国で北海、ノルウェー海およびバレンツ海に対する
ライセンスを有している。
ガス・インフラ
Edisonは、ギリシャとイタリア(ITGI-Poseidon)、ギリシャとブルガリア(IGB、ブルガリアと50/50の割合のパートナー
シップ)およびギリシャとキプロス(EastMed)を繋げることを目的とした様々なプロジェクトの開発に関与している会社であ
るIGI Poseidon(Edisonが50%を保有)等の、様々なガス輸入インフラ・プロジェクトに関与している(「第2 3(2)⑥
(ⅱ)(ロ)(b)インフラ」を参照。)。2018年にIGBプロジェクトに出資する最終投資判断がなされ、建設は2019年に開始す
る。
Edison、DepaおよびGazpromは、2017年、イオニア海の海底のギリシャとイタリアを結ぶガス・パイプライン・プロジェクト
の開発を通じて黒海からロシアのガスを供給するための南方ルート確立に向けた協力協定を締結した。地政学的な発展により
南方のパイプラインがギリシャを通過することが可能となった場合、かかるプロジェクトは、ITGI-Poseidonプロジェクトによ
り既に開発された事業からの恩恵を受けることができる。
またEdisonは、Ras Laffan Liquified Natural Gas Company LimitedⅡ(RasGasⅡ)とともにカタールから輸入したLNGの再
ガス化が行われるロビゴ洋上再ガス化ターミナルの容量の80%(すなわち年間8G㎥のうちの6.4G㎥)を利用する権利を有して
いる。
LNGに関して、2018年にEdisonは、卸売市場においてLNGを販売するために小規模のLNGサプライ・チェーンを構築し始め、そ
れによって陸路輸送および海路輸送向けの持続可能な燃料の開発を支援する。プロジェクトの最初の段階には、ラヴェンナ港
において、小規模の専用LNGターミナルを通じてLNGを貯蔵する場所となる陸上の貯蔵庫を建設することが含まれ、かかる建設
は、Edison(49%)およびPetrolifera Italiana Rumena(51%)が共同で保有する新たな事業体のDepositi Italiani GNLが
請け負う。Edisonは、年間1M㎥超のLNGの容量を貯蔵できる貯蔵庫の85%を使用する権利を有し、12,000台の大型トラックお
よび最大48隻のフェリーにLNGを供給することが可能となる。
( c) 販売およびマーケティング
2018年、Edisonは、イタリアにおいて(2017年には28.2TWh、すなわち4.2%増の)29.4TWhの電力を販売した。このうち、
18.8TWhは発電によるものであり、10.6TWhは市場での購入によるものである。最終顧客への販売量は13.7TWhであり、すべての
セグメントにわたり、2017年と比較して25.3%増加した。2018年末現在、Edisonは、企業用顧客と住宅用顧客の両方の部門に
おいて、約656,200の電力顧客および約936,200のガス顧客に供給している。
2018年2月、Edisonは、Naturgy(旧Gas Natural Fenosa)からのGNVI(Edison Energieに改称)の取得を完了し、その結果
としてイタリアの中央部および南部に所在する非常に低い解約率の顧客で構成される顧客基盤を取得した。これによりEdison
114/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
は同国における活動を拡大し、顧客ポートフォリオを50%拡大することができた。当年度中にEdisonは、既存の相乗効果を最
大限にするために、さらにEdison Energieを業務に統合した。またEdisonは、90,000件の契約を有し、住宅用ボイラーの保守
の 専門会社であるServigasを取得したことにより、多数の相乗効果、とりわけ革新的な家電製品およびスマートホーム・シス
テムの設置および維持管理を行う企業のAssistenza Casa(2017年にEdisonが同社の51%の持分を取得)との相乗効果を発揮し
ている。
さらにEdisonは、プーリアにおける30,000の最終顧客に対してガスを販売する企業のAttivaを2018年4月下旬に取得したこ
とにより、小売市場において拡大し続けている。
販売およびマーケティングにおいて、Edisonは、個人および中小企業部門への電力およびガス販売を伸ばし続けており、顧
客関係において卓越し、また厳選された忠実な顧客に的を絞ることを目的に掲げている。並行して、Edisonはエネルギーに関
する顧問的アプローチならびに顧客の統合等の市場および規制上の変化により可能となる革新的な商品およびサービスを開発
することにより、企業用顧客市場の第一人者としての地位を維持することを意図している。近年の販売プロセスにおける改善
は、顧客に対するより良いサービスへと繋がった。顧客満足度の上昇は、低炭素商品の開発および部門別の目標とする付加価
値サービスと組み合わさることにより、最終市場との繋がりが強化され、顧客基盤の拡張の条件が整えられる。
( d) エネルギー・サービス
Edisonは、「エネルギー・サービス市場部門(ESMD)」と呼ばれる専門の事業部門を通じて、エネルギー・サービスおよび
環境サービスの開発、販売および管理を行っている。
FeniceおよびEdison Energy Solutionsの事業は、かかる新部門に統合された。主要な企業用顧客、中小企業および三次顧客
に向けたエネルギー効率化プロジェクトの開発に対してソリューションの提案を行う。公共サービスにおいて活動的な2つの
企業を取得したESMDは、エネルギー・サービスの需要という観点から成長段階にある分野において、その地位を確立すること
を目指している。サービスの提供は、Sersysの環境事業によって完成される。
ビジネスモデルは、顧客の要求に適応される。ESMDの事業体は、顧客に代わって、コジェネレーション/トリジェネレー
ション発電所、太陽光発電施設、変電所、産業使用用の火力発電所、冷却発電所、圧縮空気発電プラント、流体分散システム
(電気、ガス、熱気または冷気、圧縮空気、産業用ガスおよび水)ならびに産業用水処理施設等の資産の設計、構築および管
理を行う。サービスの範囲は、エネルギー、環境安全保障の管理ならびに顧客および提携企業の内部研修および外部研修に関
するコンサルティング業務によって完成する。ESMDは、約420の顧客を有しており、FCAグループとの契約は、依然として
Feniceの事業の半分以上を占める。
プロジェクトは、顧客との産業協力またはパフォーマンス契約の形で開発される。また金融モデルは、顧客の要求に適応
し、その範囲は第三者金融による顧客支援からEdison(Esco)によるプロジェクトへの直接的な投資にまで及ぶ。
市場のすべてのセグメントに向けて総合的なサービス提供を行う成長戦略の一環として、Edisonは、2017年3月に取得した
Comat Energiaにおける51%の持分を通じて、木材ペレットを使用した暖房および都市部の暖房の分野において事業を行ってい
る。ESMDの範囲は、エネルギー効率を促進する建物のデジタル・モデルに特化した建築コンサルティング会社であるMagnoli &
Partnersの60%の取得により、さらに補完された。
Edisonは、Edison Facility Solutions(2017年に取得した旧Energon Facility Solutions)ならびに特にロンバルディ、
ヴェネトおよびラツィオの地域の病院におけるエネルギー効率および総合的なエネルギー管理に特化したZephyroを通じて、公
共サービス部門における活動を行っている。
Feniceは、2018年7月にPrima Holding SrlからZephyro Spaの普通株式の71.3%(または総株式数の70.66%)を買い取った
後、イタリアのAIM市場において残りの普通株式の買付けを行った。株式の買付けを行った結果、現在Feniceは、Zephyroの普
通株式の99.93%および総株式資本の99.05%を保有している。1株当たり10.25ユーロの価格での株式の購入総額は、約106百
万ユーロであった。結果的に、Borsa Italiaは、イタリアのAIM市場におけるZephyroの普通株式およびワラントを、2018年10
月23日をもって上場廃止にした。追加の買付けにより、Feniceは、Zephyroの総株式資本の99.499%を保有している。
エネルギー効率化業務は、Feniceの子会社によって、海外(スペイン、ポーランド、モロッコ)で展開されている。
Fenice Spaの完全子会社であるEDF Fenice Ibéricaは、そのグローバル・エネルギー・パートナーのビジネスモデルを統合
することによって、事業を成長させている。EDF Fenice Ibéricaは現在、スペイン市場における産業向けエネルギー効率化
サービスのベンチマークとして自身を位置付けている。さらに2016年、EDF Fenice Ibéricaは、廃水処理施設を建設し、運営
するために、農産食品部門に属する国際的なグループと契約を締結した後、モロッコにおいて子会社のEDF Fenice Marocを設
立した。
Fenice Spaが100%保有するFenice Polandは、主に産業向け公益事業(コジェネレーション、加熱、冷却、圧縮空気、電力
網、産業用ガス)の委託管理の分野において事業を行っている。また同社は、様々なエネルギー・サービスおよび関連する環
115/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
境サービス(飲用水、廃棄物処理および廃水)を管理している。Fenice Polandはまた、顧客へ供給するために必要とされる供
給ネットワーク(電力、ガス、加熱)に係る行政上の営業権を有している。
( e) 規制業務
ガスの輸送および貯蔵
Edisonは、規制されたガス貯蔵事業を取り扱う会社であるEdison Stoccaggioを100%保有している。また、Edisonは、
チェッリーノ(1984年以降)、コッラルト(1994年以降)およびサンポティート&コティニョーラ(2013年以降)の劣化貯留
層(天然ガスが枯渇した土地)における3つの貯蔵施設を運営している。すべての施設における埋蔵量は、1G㎥である。
配給
イタリアにおけるガス配給は、特に品質および安全性のパラメータならびにネットワークへの接続規則を規定する電気・ガ
スの当局である、ARERAにより規制および監督されている。
Infrastrutture Distribuzione Gas Spaは、天然ガスの配給を専門とするEdisonグループ内の会社である。2018年におい
て、Infrastrutture Distribuzione Gasは、イタリア北部および中央部の約151,500人の利用者に対して262.8M㎥の天然ガスを
配給した。
( ニ) イタリアにおけるEDF Renewables
2018年12月31日現在、EDF Renewables Italieは、424.2MWの総風力発電容量(298.1MWの純容量)(Futurenの風力発電容量
を含む。)および76.9MWの総太陽光発電容量(74.3MWの純容量)を有している(「第2 3(2)①(ⅴ)(ハ)EDF
Renewables」を参照。)。
( ホ) イタリアにおけるCitelum
当グループは、子会社であるCitelumを通じて、イタリアにおいても事業を行っている。同社は、Consip Luce契約に基づ
き、(例えばシラキューズやロナート・デル・ガルダにあるような)公共照明、信号機および(EBF Costruzioni Impianti
SrLとともに)スマート・シティに関するグローバル・プロジェクトに関する多くの契約を有する。
Citelumは、イタリアにおける200を超える都市の公共照明を管理している。また2018年にCitelumは、ロンバルディ州、エミ
リア・ロマーニャ州およびトスカーナ州における公共建物の屋内照明を設置するための都市部の基本雇用契約を2件獲得し
た。
( ⅲ) その他国外
「その他国外」部門において、当グループは2018年末現在4GWの総設備容量を有し、2018年には18TWhの発電を行った。
( イ) 欧州北部
ベルギー
ベネルクスは、独仏共同電力市場との重要な接点を有する地域であり、ドイツおよび英国との新たな接点に関するプロジェ
クトが検討されている。ベネルクスはまた、ゼーブルッヘのハブおよび近接するダンケルクのLNGターミナルなどの多数の輸入
および輸送のインフラにより、欧州のガス市場の重要な中継地を構成している。
EDFグループは、ベルギーにおいて、主に子会社であるEDF BelgiumおよびEDF Luminusの2社を通じて事業を行っている。ま
た2018年終盤において、Citelumもベルギー市場に参入した。
EDF Belgium
Electrabelとの原子力エネルギーに関する長期協働契約の一環として、EDFは、ベルギーの完全子会社であるEDF Belgiumを
通じて、チアンジュ1原子力発電所の持分の50%につき、不可分の共同所有権を有している。EDFに帰属する電力容量は、
481MW(またはベルギーの発電容量の2%)である。EDF Belgiumに帰属するチアンジュ1の発電量は、(2015年末に追加で10
年間更新された長期契約を通じて)EDFに販売され、EDF SAは代わりにEDF Luminusに対して市場価格で電力を再販売する。
ベルギーの原子力の段階的廃止に関する2003年法は当初、2015年10月1日のチアンジュ1の閉鎖を定めている。それにもか
かわらず、2012年のベルギー政府による設備計画および原子力エネルギーの段階的廃止の時間枠に関する2003年法を改正する
2013年法の導入の後、稼働を2025年まで延長することが最終的に決定された。かかる延長は、2014年3月12日付で
Electrabel、EDFおよびベルギー国家との間で締結された契約に基づくもので、条件は当該契約において定められる。
チアンジュ1の耐用年数の延長には、2011年から2020年までの期間に分散して行われる膨大な投資(EDFの投資割合は約300
百万ユーロ)が必要となる。
116/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
EDF Luminus
2018年末現在、EDFグループは、その子会社であるEDF Belgiumを通じて、EDF Luminus社の68.63%を保有しており、残りの
株式は、ベルギーの一般の株主により保有されている。
EDF Luminusは、ベルギーのエネルギー市場で、Electrabelに続く2番目の規模の企業であり、バランスの取れた上流部門/
下流部門のポートフォリオを有している。市場シェアが20%近い同社は、2018年末現在2,129MWの設備容量を有し、ベルギーの
合計発電容量の10%近くを所有している。EDF Luminusの発電量は、2018年に5.2TWhに達した。同社は、新たに取得した子会社
を含め、2,000人の従業員を有している。
EDF Luminusは、当グループのCAP2030戦略計画の一環として、費用の削減および火力発電所の合理化を行う目標を遂行する
一方で、顧客に革新的かつ持続可能なソリューションを提供するために、風力発電所を発展させ、エネルギー・サービスの展
開を促す目標を掲げている。
EDF Luminusは、ベルギーのチアンジュ2およびチアンジュ3の原子力発電所(それぞれ1983年および1985年に稼働開始)な
らびにドゥル3およびドゥル4の原子力発電所(それぞれ1982年および1985年に稼働開始)の10.2%(419MW)を所有してお
り、これらの耐用年数は40年である。EDF Luminusはまた、フランスの発電所の平均利用可能性に基づく一連の保証発電量に基
づき、フランスのショーB原子力発電所の100MWの引出権を所有している。
2018年において、これらの発電所の大部分が予定外の供給停止の延長を経験した。
・チアンジュ2は、潜在的なコンクリート劣化の検証を行うため、2018年8月以降停止している。
・チアンジュ3は、コンクリート劣化により、2018年5月以降停止している。
・ドゥル3は2017年に閉鎖され、土木工事が行われた後、2018年8月に再稼働したばかりである。
・ドゥル4は2018年8月から2018年12月下旬まで閉鎖されていた。
原子力発電所の引出権とは別に、EDF Luminusはまた、複数の発電所(コンバインド・サイクルおよびオープン・サイクル)
から構成される1,208MWの設備容量を有する火力発電所を所有している。
セランの蒸気ガス・タービンは、2017年11月から2018年10月末までの期間に係る戦略的予備電力義務を果たした。戦略的予
備電力制度が更新されなかったため、発電所が再稼働した。
上記とは別に、EDF Luminusは、アングル3およびイゼゲムのオープン・サイクル発電所については、最終的な閉鎖を2019年
10月31日まで延期することを決定し、その旨を管轄当局に通知した。またEDF Luminusは、2018年/2019年冬期におけるベル
ギーの電力供給力の確保を支援するために、ハム発電所を2018年10月22日に再稼働した。
EDF Luminusは、ワロンおよびフランドルにおいて散在する7つの水力発電所および52の陸上風力発電所、計189のタービンを
有し、再生可能エネルギーにおいてより一層存在感を示している。同社は、2015年末以降、ベルギーの主導的な陸上風力発電
事業者となり、現在は438.5MWの設備容量を有している。2018年にEDF Luminusは、62.8MWの総容量を有する24の風力タービン
を建設した。また同社は、フランドルにおける陸上風力発電事業者であるMegaWindy CVBAを買収した。MegaWindyは土地の所有
権を有しており、約40MWの発電が可能となる予定である。
販売およびマーケティング
「Luminus」ブランドの下で、EDF Luminusは、ベルギーの住宅用顧客および企業用顧客向けの約1.7百万の供給地点に、電力
およびガスを供給しており、2018年にはB2C(企業・顧客間)における25,000の顧客を正味で失った。
エネルギー・サービス
EDF Luminusは、その子会社であるRami Services、Dauvister、LeneenおよびInsaverを通じて、ボイラーの設置および維持
管理を行い、スマート・サーモスタット(Netatmo)の販売および管理を行い、ソーラーパネルの設置を行い、また住居へ予測
できない損害が発生した際のコンフォート・サービスを提供することにより、住宅用顧客向けのエネルギー・サービスの分野
に携わっている。2018年末現在、前記の3つのサービスに関するB2Cのポートフォリオの契約数は、2018年に販売量が急増した
ことにより、175,000を超過した。
企業用顧客については、EDF Luminusは、ATS、Vanparijs、DauvisterおよびNewelecとともに、包括的に統合された電力およ
び熱に関するソリューションを企業用顧客に提供している。これに加えて、その子会社であるEDF Luminus Solutions(EDF
LuminusとDalkiaがそれぞれ同社の51%および49%の持分を保有)は、エネルギー・パフォーマンスに関する契約に基づき、管
理棟、病院、学校、スポーツ施設、水泳プールおよび集合住宅といった施設に対するエネルギー効率化サービスに従事してい
る。
2018年にEDF Luminusは、(Newelecを通じて)M. Lemaitre SAおよび(Dauvisterを通じて)Holding Léonard SPRL等のHVAC
(暖房、換気および空調)を取り扱う企業を取得することにより、エネルギー・サービスへの拡大戦略を遂行した。ATSの子会
117/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
社であるGezel Ⅱは、その市場範囲を拡げるために、暖房を扱う会社のAcar NVを取得した。またEDF Luminusは、SOGEPA(ワ
ロンの公共投資ファンド)とともに、SOGEPAが持分を有し、SOGEPAが経済活動を行う地域において、管財人の管理下にある企
業 のエネルギー効率および再生可能エネルギーに関するプロジェクトを引き受けるために、Demainvest SAを設立した。
2018年にSOFICO(ワロンのインフラ投資ファンド)は、「照明計画( Plan Lumières )4.0」に基づき、Citelum、EDF
Luminus、CFEおよびDIFにより構成されるLuWaコンソーシアムに対して、ワロンの高速道路上の照明を置き換えるPPP契約を付
与した。ワロンの高速道路網を「スマート」LED照明に置き換えるプロジェクトが完了するには、20年間かかる。
オランダ
ジョイント・ベンチャーであるSloe Centrale BVを通じて、EDFグループおよびPZEM(旧Delta)(それぞれ50%を保有)
は、オランダ南西部に870MWのCCGT発電所を所有しており、2基の435MWのユニットは、2009年に稼働が開始された。その高い
技術的な性能により、Sloe発電所は、2018年において4,923時間稼働されており、これはガスを動力源とする発電所にはあまり
適していない市場環境において、顕著な実績である。
スイス
EDFグループは、上場企業であるAlpiq Holding SA(25%)ならびにLe Châtelot(50%)、Emosson(50%)および
Mauvoisin(10%)における水力発電施設への投資を通じて、スイスにおいて事業を行っている。
Alpiqは、エネルギーの発電、販売および取引を行う、欧州エネルギー市場における大手企業であり、スイスの電力の3分の
1超を供給している。2018年末現在、その設備容量は6,100MWであり、その内訳は、原子力が738MW、火力が2,333MW、水力が
2,701MWおよびその他の再生可能エネルギーが328MWであった。
2018年の売上高は、5,186百万スイス・フランであった。売上高では、Alpiqはスイスの電力会社においてトップ・レベルで
ある。
2005年に締結されたAlpiqの設立当初からの株主との現行のコンソーシアム契約は、その条件に基づき、EDFが契約終了した
後、2020年9月に終了する予定である。
ドイツ
EDF International S.A.S.の完全子会社であり、ベルリンに拠点を置くEDF Deutschland GmbHは、ドイツにおける当グルー
プの活動を担う。これには、ドイツのエネルギー移行( Energiewende )を促進するための、新たなエネルギー・ビジネス・モ
デルおよび革新的なソリューションへの専念が伴う。EDF Deutschlandはまた、ドイツの政界および経済界を主導する、当グ
ループの代表的な存在である。
またEDFグループは、ニーダーザクセン州のエッツェルに位置する岩塩空洞による天然ガス貯蔵施設を所有している。この地
上施設は、EnBWとの50/50のジョイント・ベンチャーを通じて運営されている(「第2 3(2)⑥(ⅱ)(ロ)ガス資産およ
びプロジェクト」を参照。)。また、EDFは、子会社であるEDF Gas Deutschlandを通じて、BEPのガス・パイプライン(Bunde-
Etzel-Pipelinegesellschaft)の持分の16%を保有している。
当グループは、ライン川流域のイフェツハイムに位置する河川設置型水力発電所(148MWで、5つのタービンを有し、この発
電所の拡張工事は2013年に完了した。)の50%を所有している。
EDF Deutschlandは、ubitricityにおける持分を11.67%から18.21%に引き上げた。ベルリンを拠点とする当該新興企業は、
EDFグループが提供する電気モビリティのサービス範囲を向上する、スマート電気自動車の充電問題に対するソリューションを
販売している。
EDF Renewablesは、Futurenの設備容量を含めると、ドイツにおいて2018年12月31日現在185.8MWの風力発電の総設備容量を
有している。またエッコルシュテット風力発電所が再稼働し、リパワリングを行った。リパワリング(またはアップグレー
ド)には、旧式または中古の発電所設備を交換することが含まれる。またEDF Renewablesは、ドイツの子会社のREETEC(陸上
風力発電および洋上風力発電のサービス提供会社)を通じて2017年に取得した、洋上風力発電所の運営および維持管理に特化
したドイツの会社であるOff-Shore Wind Solutions(OWS)を所有している(「第2 3(2)①(ⅴ)(ハ)EDF Renewables」
を参照。)。
エアランゲン(バイエルン州)に拠点を置くFramatome Gmbhは3,500人の従業員を有しており、同社は世界で2番目に規模の
大きいFramatomeのエンジニアリング会社となった。同社の主要な事業は、世界中の原子力発電所(特に計装制御システム)の
維持管理、耐用年数の延長およびアップグレードである。また同社は、フランス、フィンランド、中国および英国におけるEPR
の建設にも関与している。さらにFramatomeは、ドイツにおける電力および水素の貯蔵においても活動的である。Framatomeの
ドイツにおける他の子会社であるAdvanced Nuclear Fuels GmbH(ANF)は、ドイツおよび欧州の加圧水型原子炉(PWR)および
118/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
沸騰水型原子炉(BWR)向けに燃料集合体を生成しており、リンゲン(本社)およびカールシュタインにおいて430人の従業員
を有している。
EDFの研究開発部門に直属する研究センターであるEIFERは、カールスルーを拠点とし、110人を超える従業員を有する。同社
の仕事は、エネルギー資源および分散型発電の最適化(再生可能エネルギーの統合)、都市および地域社会のエネルギーなら
びに省エネおよび環境保護(電気モビリティ、パワー・ツー・ガス、スマート・シティ)に重点を置いている。
Electranova Capitalは、ドレスデンを拠点とする高温電解槽(パワー・ツー・ガスおよびパワー・ツー・リキッド)の開発
を行う会社であるSunfireの株式の約13.4%を保有している。
最後に、EDF Tradingは、ドイツのコモディティ市場(特に日中市場およびガス市場)に積極的に参加している。
( ロ) 中東欧諸国
ポーランド
2017年11月13日、EDFは、2017年5月19日付でEDFとPGEの間で締結した売却契約に基づき必要とされる規制上の承認および許
可をすべて取得した後、EDF Polskaの資産(コジェネレーション資産および発電資産)につきPGE Polska Grupa Energetyczna
SAへの売却を完了した。
EDFグループは、その子会社であるEDF Renewables、DK Energy PolskaおよびFenice Polandを通じて、ポーランドにおいて
事業を行っており、同国のエネルギー構成および原子力プログラムの開発においてポーランド政府のパートナーであり続ける
意向である。
ロシア
EDFグループは、エネルギー・サービス分野において、Dalkiaの子会社であるFenice Rusを通じて事業を行っている(「第2
3(2)⑥(ⅰ)(イ)Dalkia」を参照。)。
( ハ) 南欧諸国
スペイン
2018年12月31日現在、EDFグループは、Endesa Generación(40.99%)およびIberdrola Generación(12.0%)とともに、
320MWのICCG型(石炭ガス化複合発電)の発電所を保有するElcogas社の31.48%の資本を保有している。当該発電所の利益率は
もはや保証されていないため、2016年にネットワークから切断され、解体が開始された。2017年4月25日にElcogasは、パルプ
の製造業者であるEnceに対して、土地および施設を売却することに関して合意した。Enceは、敷地に50MWのバイオマス発電所
を開発し建設する予定である。Elcogasはもはや利益を生み出さないことから、同社は今後数か月の間に清算される予定であ
る。
当グループはまた、現地の子会社であるFenice(EDF Fenice Ibérica)(「第2 3(2)⑤(ⅱ)イタリア
」を参照。)およびCitelumの子会社(「第2 3(2)⑥(ⅰ)(ロ)Citelum」を参照。)を通じて、スペイン市場におい
て事業を行っている。
2018年にCitelumは、アンダルシアのアルメリア市による光害の測定および削減のイニシアチブに参加した。カタルーニャの
サン・クガ・ダル・バリェスにおいて、Citelumは、スペインのスマート・シティにおける生活を改善するための新たな接続
サービスの開発を引き続き行っており、その目標に向けて、街灯に接続されている革新的なノイズ・センサー・システムを設
置した。
EDF Tradingは、ロンドンの貿易基盤により、かかる市場において事業を行っている(「第2 3(2)⑥(ⅲ)最適化およ
び取引:EDF Trading」を参照。)。
Framatome Ibéricaは、原子炉を所有する企業との間の様々なエンジニアリングおよび維持管理に係る契約を通じて、スペイ
ンで活動している。
最後に、2015年以降、EDF Investは、マドリード地域における主要なガス供給網事業者であるMadrileña Red de Gasの少数
株主持分を保有している。
( 二) 北米
EDFグループは、北米大陸全土において事業を運営しており、米国において強いプレゼンスを示している。
EDFグループは、米国において、8.9GW超の設備容量を有している。またEDFグループは、第三者のために、運営および維持管
理または最適化のサービス契約を通じて、約52GWの設備容量を管理している。
北米におけるEDFの事業の主な内訳は、以下のとおりである。
119/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・(米国における有数の原子力事業者である)Exelonグループとのジョイント・ベンチャーであるCENG(Constellation
Energy Nuclearグループ)における49.99%の持分に関連する、3つの原子力発電所への投資。CENGは、4GWの設備容量を有
している(2GWはEDFグループにより連結されている。)。これらの3つの施設は、Exelonにより運営されている。
・主としてEDF Renewablesの米国における完全子会社であるEDF Renewables North Americaを通じて米国に拠点を置く、純設
備容量6.9GWを有する再生可能エネルギーの事業。同様に、EDF Renewables Services(EDF Renewables North Americaの完
全子会社)は、運営および維持管理の契約を通じて、自身でまたは第三者のために、北米で10GW近くを管理している。
・EDF Trading North Americaを通じた、北米のガスおよび電力市場のバリュー・チェーンの全域にわたる取引の事業ならびに
EDF Energy Services(EDF Trading North Americaの完全子会社)を通じた米国およびカナダにおけるエネルギー管理製品
の供給。
・Dalkiaならびにその子会社のDalkia Wastenergy、Groom Energy SolutionsおよびAegis Energy Servicesの管理下で行われ
るエネルギー・サービス、地域のエネルギー管理およびエネルギー効率化。
・EDFイノベーション研究所の取組みの一環としての研究開発およびイノベーション。
・EDFの完全子会社であるCitelumを通じた都市部の街路照明。
( a) 米国における原子力事業
原子力発電:Constellation Energy Nuclearグループ(CENG)
2009年11月6日、EDFグループおよびCEGは、CENGを設立した。ExelonとCEGの合併以降、EDFおよびExelonは、CENGの持分を
それぞれ49.99%および50.01%の割合で保有していた。2014年、EDFおよびExelonは、CENGの発電所の運転許可をExelonに譲渡
することにつき合意した。かかる合意に基づき、Exelonは3つのCENG原子力発電所(5つの原子炉)の日常運営の管理を行
う。
かかる取引の一環として、2016年にCENGは、EDFに特別配当金400百万米ドルを支払い、EDFはEDFのCENG持分を2016年1月1
日から2022年6月30日までの間にExelonに対し公正市場価格で売却できるプット・オプションを付与された。
CENGは、取締役会の10名のメンバーにより運営される。うち5名はEDFグループにより指名され、残りの5名(会長を含
む。)は、Exelonにより指名される。
CENG の原子力事業
CENGの原子力事業は、米国原子力規制委員会(NRC)の規制下にある。
CENGは、3つの操業用地に散在し、総容量が4,272MWの5つの原子炉を稼働している。カルバート・クリフのユニット1およ
びユニット2、ナイン・マイル・ポイントのユニット1およびユニット2ならびにREジーナの敷地許可の期間は、60年であ
る。
(2)
会社所有の
発電量 (TWh)
原子炉 容量 (MW) 持分(%) 容量 (MW)
2018 年 2017 年
カルバート・クリフ1 908 100 908 7.29 7.83
カルバート・クリフ2 881 100 881 7.70 7.27
ナイン・マイル・ポイント1 620 100 620 5.31 4.89
(1)
ナイン・マイル・ポイント2
1,287 82 1,056 8.29 9.11
REジーナ 576 100 576 4.70 4.70
合計 4,272 4,041 33.29 33.80
(1) CENG は、このユニットの82%(すなわちユニットの合計容量1,287MWのうち1,056MW)の持分を保有している。ナイン・マ
イル・ポイントのユニット2の18%の持分のうち、CENGが所有していないものは、Long Island Power Authority
(LIPA)に属している。LIPAは、CENGに対して当該ユニットに係る費用分担額を支払うことと引き換えに、ナイン・マイ
ル・ポイントのユニット2による容量および発電量の18%を受領しており、また、同ユニットの廃炉費用の18%につき支
払責任を負っている。CENGおよびLIPAは、それぞれナイン・マイル・ポイント2に対して一定の資金を拠出する義務を
負っている。
(2) これらの値は、四捨五入後の小数第1位で表示される正確な値の合計に相当する。
EDFの資産は、米国の原子力発電容量の2%、合計発電容量の0.4%を占めた(2017年のデータ)。かかる市場におけるCENG
の主要な競合他社は、Entergy、AEP、Exelon、DynegyおよびNRGである。
120/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ニューヨーク州の規制
2016年8月1日、ニューヨーク州公益事業委員会(NYPSC)は、新たな規制を確立する条例であるクリーン・エネルギー基準
(CES)を公布した。かかる基準は、ある側面において、ゼロカーボン発電の環境上の特徴を認識することにより、ニューヨー
ク州の原子力資源を保護することを目標としている。制度には、NYPSCが決定する基準に準拠する低炭素原子力発電施設を保護
するためのゼロ排出クレジットプログラム(ZECまたはゼロ排出クレジット)の策定が含まれる。ニューヨーク州エネルギー研
究開発局(NYSERDA)は、ZECの証書を適格な発電所に集中して発行する。各2年、6つのトランシェにより管理される12年間
の契約であり、2017年4月1日から2029年3月31日までである。適格な事業者に対するZECの支払いは、上限および最低性能要
件に従い、発電されたメガワット時の数値に基づいて行われる。各トランシェにおけるZECの買取価格は、連邦政府により2016
年に見積もられた炭素の社会的費用に基づく公式を使用して、行政的に決定される。かかる公式には、エネルギー市場および
容量の価格変動に関連する下方修正が含まれる。(2017年4月1日から2019年3月末までの)最初のトランシェに係るZECの価
格は、1MWhの発電につき17.48米ドルに設定された。これに続くトランシェの価格は、2年ごとに更新される予定である。
各電力供給業者(電力小売事業者)は、ニューヨーク州におけるそれぞれの市場シェアに相当するZECを購入することが義務
付けられている。規制料金の恩恵を受ける顧客からのプログラム費用の回収分は、電力料金の請求書に含まれている。
NYPSCは、ジーナおよびナイン・マイル・ポイントの原子力施設がZECプログラムの対象となることを確認した。2016年11月
18日、NYSERDAとの間で、ジーナおよびナイン・マイル・ポイントのZECの売却に関する契約が締結された。2018事業年度中、
CENGは、ZECの売却により、312.5百万米ドルを計上した。
2016年11月30日、ニューヨーク州裁判所に対して、ZECプログラムの無効化を目的とした申立てが環境団体によって提出され
た。かかる申立ては、2017年1月13日に修正された。かかる申立てでは、NYPSCが当該プログラムを立ち上げる権限を有さず、
当該プログラムは州の環境法に違反し、かつ行政手続に関するニューヨーク州法(SAPA)における特定の規定に違反すると主
張されている。2017年2月15日にCENGは、かかる訴えを取り下げるよう申立てを行った。裁判所は、2018年1月22日、環境に
関する申立ておよび大部分の原告からの申立てを棄却したが、残りの原告5名の主張に係る申立てについては、本案にコメン
トすることなく、棄却を拒否した。かかる案件は、全記録とともに、略式判決に向けて審議中である。CENGの答弁書および準
備書面は2018年3月30日に提出された。裁判所は、ブリーフィングが完了した後、審理を行うか否かを決定する。
2016年10月19日、火力発電事業者の連合は、ZECプログラムが米国憲法の特定の規定に違反し、より具体的に、卸売価格に関
する米国連邦エネルギー規制委員会の規制上の要件の妨げとなり、他の州の競合他社に対する差別を構成すると主張してNYPSC
に対する訴訟をニューヨーク連邦地方裁判所に提起した。2016年12月9日、CENGは案件に介入し、訴訟の棄却を求める申立て
を行った。また州も棄却を求める申立てを行った。裁判所は、2017年7月25日に両方の棄却の申立てを認めた。2017年8月24
日、原告側は当該判決に対して、第2巡回区連邦控訴裁判所に上訴を行った。2018年9月27日に第2巡回区連邦控訴裁判所
は、ZECプログラムに対する訴えを棄却した下級裁判所の判決を支持した。
( b) 北米におけるEDF Trading
EDF Tradingは、電力(送電権を含む。)、ガス、石炭および環境商品に関して、北米市場で業務を行っている。EDF Energy
Services は、EDF Tradingの商業用リテールおよび産業用リテール部門であり、北米の大規模かつエネルギー消費の多い商業
用顧客および企業用顧客に対する管理サービスおよび最適化サービスを提供する(「第2 3(2)⑥(ⅲ)最適化および取
引:EDF Trading」を参照。)。
( c) 北米におけるEDF Renewables
EDF Renewablesは、その子会社であるEDF Renewables North America、EDF Renewables CanadaおよびEDF Renewables
Mexicoを通じて、北米における拡大を続け、2018年には風力、太陽光およびバイオガスによる総発電容量272.6MWを稼働した。
EDF Renewables Servicesは、自社および第三者のために、風力発電プロジェクトおよび太陽光発電プロジェクトを管理して
いる(「第2 3(2)①(ⅴ)(ハ)EDF Renewables」を参照。)。
( d) 北米におけるDalkia
EDFグループの完全子会社であるDalkiaは、北米のエネルギー・サービス市場(地域のエネルギー管理およびエネルギー効率
化)において事業を行い、521人の従業員を有している。Dalkiaは、カナダにおけるDalkia Wastenergyならびに米国における
Groom Energy SolutionsおよびAegis Energy Servicesを通じて業務を行っている(「第2 3(2)⑥(ⅰ)(イ)Dalkia」を
参照。)。
( e) 研究開発
121/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
EDFは、EDFグループの研究開発および革新ならびに米国における発展を支援し、カリフォルニア州ロス・アルトスに所在す
る研究開発部門イノベーションチーム(EDFイノベーション研究所)を有している(「第3 5(3)国際的な事業およびパー
トナーシップ」を参照。)。これらの目的のために、EDFイノベーション研究所は、地域において、新たな技術および新興企業
の 分析、商品開発ならびにソリューションの検証を行っている。2016年、かかるチームは、コートジボワールにおいて競争の
激しい送電網非接続型太陽光エネルギー供給のEDFのパートナーであるOff Grid Electric(OGE)を特定した(「第2 3
(2)⑤(ⅲ)(リ)送電網非接続型のエネルギー」を参照。)。
( f) 北米におけるCitelum
また都市部の街路照明の分野におけるEDFの子会社であるCitelumも、米国において事業を行っている(「第2 3(2)⑥
(ⅰ)(ロ)Citelum」を参照。)。2018年、Citelumは、アルバカーキ市において20,000個超のLEDの街路照明を設置し、モノ
のインターネット(IoT)構造を開発し、中央管理システムを展開している。この契約を通じて、Citelum USAは、15年間にわ
たりエネルギー消費および維持費用を削減するとともに、より良い照明およびサービスを提供することを目指している。
Citelumは、ドーバー(デラウェア州)の市議会から、計画されている街路照明プロジェクトの第1段階(在庫分析および光分
析)を受注した。
( g) 北米におけるFramatome
1950年代以降米国の原子力エネルギーを運営しているFramatomeは大きな市場シェアを有しており、米国の約36百万世帯への
電力供給に関与している。同社の任務には、米国において稼働中の原子力発電所の維持および近代化を保証し、これらに必要
な燃料を供給し、かつ新たな発電所の建設を支援することが含まれる(「第2 3(2)①(ⅲ)Framatome」も参照。)。
( ホ) 南米
南米において、EDFグループはブラジルおよびチリの市場で事業を行っており、開発機会を見込んでいる地域の特定の国々に
もその目標を広げている。
( a) ブラジル
2014年4月以降、当グループは、EDF Norte Fluminense(EDF NF)の株式資本において、Petrobrasが保有する10%の持分を
買い戻したことで、EDF Norte Fluminenseの100%を保有している。同社は、マカエ地域に位置し、826MWの設備容量を有する
ノルテ・フルミネンセ・コンバインド・サイクル・ガス発電所の建設および運営を2004年末から行っており、配電会社Lightに
対して、20年間の725MWの供給契約を有している。2018年、発電所の発電量は4.9TWhに増加した。ブラジルの市況および電力網
によって受け入れられる状況になれば、残高は、電力自由市場で販売される。EDF Norte Fluminenseは、2018年において、自
らの発電量(167GWh)およびその他のエネルギー取引を通じて、219GWhを販売した。
EDF Norte Fluminenseは、工業消費を目的とした追加の太陽光発電所を有している。同発電所は、2018年に370MWhを発電し
た1,764個の太陽光電池モジュールからなり、約155トンの二酸化炭素排出量の削減に役立っている。
さらに、2014年12月11日、EDFは、その子会社であるEDF Norte Fluminenseを通じて、408MWの設備容量を有するシノプの水
力発電所の建設に責任を有するCompagnia Energetica de Sinop(CES)の51%の持分を取得した。ダムの建設は2014年春に始
まり、2018年10月1日以降に給水が予定されている貯水池とともに完成した。2019年1月下旬にEDFは、利害関係者との間の貯
水池の給水作業手順に関する契約に従い、貯水池の給水を開始する許可を取得した。数か月間の遅延が生じたことにより、発
電所の開始も延期され、それによって電力購入契約(PPA)の条件に基づく費用が増加した。ダムへの給水は2019年1月30日に
始まり、2月19日までに292メートルに達した。この水準は、稼働開始前における設備の技術的な観察および技術的な検証が可
能となる水準である。最初の分析が行われた後に追加的な作業が行われ、Sinop Energiaは2019年度第2四半期末より前にダム
を稼働させることを望んでいる。
2018年度第1四半期において、EDF NFはシノプ発電所の運営および維持管理の実施に関する入札を落札した。EDF NFとCESと
の間の契約は、発電所の稼働が開始する前に満たさなければならない予備要件について時間を与えるために、2018年4月に効
力が生じた。
EDF Renewablesの子会社は、CAP2030戦略計画に沿って、ラテンアメリカ、とりわけCanadian Solar Inc.からミナスジェラ
イス州北部のピラポラⅠ太陽光発電プロジェクト(399MWp)を2段階で取得したことを機に太陽光エネルギー市場に参入した
ブラジルにおける発展を加速している。EDF Renewablesは、Ventos da Bahiaのポートフォリオの過半数を取得した後、2015年
2月からこの国において事業を行っている。「第2 3(2)①(ⅴ)(ハ)EDF Renewables」を参照。
またEDFは、以下の会社を通じて、ブラジルにおいて事業を行っている。
・ミナスジェライス州における226MWのCCGTを操業する子会社Ibiritermoの50%を保有するEdison。
122/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・1999年に設立され、街路照明に特化したCitelumの子会社。ブラジルにおけるEDFの主要な競合他社は、ENGIE、Neoenergia、
CPFL、ENELおよびEDPである。2018年にCitelumは、北部のアマパー州の州都マカパにおける街路照明に関する契約を獲得
し、 セアラー州のソブラル、サンパウロ州のポアーおよびマラニャン州のサン・ルイスにおける契約を更新した。
( b) チリ
2013年以降、EDFは、チリにおけるパートナーであるAndes Mining & Energy(AME)と共同で、約600MWの発電量からなる
CCGT発電所、貯蔵インフラおよびLNG浮体式貯蔵再ガス化施設(FSRU)の設計、建設および操業を統合するガス発電プロジェク
トを開発している。当グループは、2014年に当該目的で設立された子会社のEDF Chileを通じて、AMEが支配株主である
BiobioGenera(50%)の他に、(ペンコ・リルケンのLNGターミナルおよびエル・カンペシーノ発電所の)プロジェクト運営会
社2社の50%の株式を保有している。
この「ガス発電」プロジェクトは、ガス、水力および再生可能エネルギー発電のバランスのとれた組合せを目指しているチ
リのエネルギー政策の一環である。それにもかかわらず、チリの最高裁判所が2017年1月30日の判決において、ペンコ・リル
ケンの再ガス化ターミナルに関する許可を取り消したことにより、プロジェクトは後退した。現段階では、チリの発電分野に
おける当グループの拡大をさらに促進するための様々な対策(許可を取得するための手続のやり直しを含む。)が講じられて
いる。2019年度上半期には許可を取得できるはずである。さらに2017年12月にEl Campesino発電所は、750MWの発電資産の所有
者であるESSAを買収するために契約を締結した。同取引は2018年5月に完了された。
またEDF Renewablesは、アタカマ砂漠に位置するボレロ太陽光発電所(146MWp)、AMEと共同保有し、2018年1月に稼働開始
したサンティアゴ太陽光発電プロジェクト(115MWp)および2018年6月に稼働開始したカボ・レオネス1風力発電所(115MW)
を通じて、チリにおいて事業を行っている。「第2 3(2)①(ⅴ)(ハ)EDF Renewables」を参照。
最後に、EDFグループの完全子会社であるCitelumもまた、街路照明市場においてチリで事業を行っている(「第2 3(2)
⑥(ⅰ)(ロ)Citelum」を参照。)。2018年にCitelumは、インデペンデンシア(サンティアゴ県)の街路照明の95%を交換
し、町の電力消費量を50%削減する手助けを行い、町の最も象徴的な遺跡および記念碑を照らす様々な芸術的照明を設計し
た。Citelumは、ロ・バルネチェアにおいて、複数の契約を更新および獲得し、現在23,315の街路照明を運営している。
( ヘ) アジア/太平洋
アジア-太平洋地域におけるEDFグループの事業は、中国および急速な成長を遂げている国々に重点を置いている。発電、電
力網およびサービスの分野におけるプレゼンスは、当グループの産業的課題となる。原子力発電分野では、台山における2基
のEPR原子炉の建設および操業プロジェクトに加え、新規プロジェクトにより、当グループは技術革新へアクセスできるように
なり、産業上の専門知識の活用が可能となる。
したがって、EDFの目標は、グローバルな原子力プログラム、新興市場における設備の設置およびフランスにおける施設の更
新の見通しに焦点を置き、国際的な場における競争上の優位性および技術的な優位性を維持することである。
( a) 中国
EDFグループは、原子力、火力および水力の発電技術に関する助言業務を通して、中国において30年超にわたり事業を行って
いる。今日EDFグループは、発電に関して中国における最も重要な外国投資家の1つであり、2,000MW( EDFの持分に対応する容
量の持分 )の合計設備容量を有する石炭火力発電所に投資している。台山プロジェクトのフェーズI(1,750MWの原子炉2基)
においてもEDFは、EPR原子力発電所が関連している発電プロジェクトの30%持分を保有する投資家となった。最後に、EDFグ
ループは、2016年以降中国における再生可能エネルギー発電に関与しており、原子力産業、再生可能エネルギー、エネル
ギー・サービスおよびエンジニアリングへの投資に新たな可能性を広げるパートナーシップを構築している。
原子力発電事業
大亜湾-嶺澳発電所および台山フェーズI発電所
EDFは、1994年に大亜湾におけるそれぞれ1,000MWの原子炉2基の設計、建設および試運転を率いた後、中国グループのChina
General Nuclear Power Co.(CGN)による嶺澳発電所のフェーズⅠ(2002年および2003年にそれぞれ稼働を開始した、1,000MW
の原子炉2基)およびそれに続くフェーズⅡ(2010年および2011年にそれぞれ稼働を開始した、追加の1,000MWの原子炉2基)
の建設を支援し、現在ではCGNグループに、発電所全体の操業に関して支援を提供している。稼働後にこれらの発電所が達成し
た業績は、中国における当グループの主要なベンチマークの1つである。またEDFは、広東省台山における2基のEPR原子力発
電所に出資し、その建設および運営を行うために設立されたTaishan Nuclear Power Joint Venture Company Ltd.における
30%の持分を保有している。かかるプロジェクトを通じて、当グループは、中国の原子力発電における初の外国投資家となっ
た。プロジェクトの成功は、EDFおよびCGNグループの補完的な専門技術に依拠する。プロジェクトは、2018年において、6月
6日に原子炉が最初の臨界に達し、6月29日に稼働したことによって、2つの節目を迎えた。ユニット1は2018年12月13日に
123/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
商業運転を開始し、2019年にはユニット2についても商業運転が予定されている(「第2 3(2)①(ⅱ)(ロ)「新たな原
子力」のその他のプロジェクト」を参照。)。
パートナーシップ契約
EDFとCGNとの間のジェネラル・パートナーシップ契約は2007年に締結され、エンジニアリング、研究開発および発電所の運
営に関する取決めの実行により、2014年に補完された。EDFグループは、フランスの主力産業として活動し、当グループのプロ
ジェクトを支援するために中国の原子力分野と協力して自身の地位を確立させながら、建設アセンブラの総合事業者としての
EDFのモデルを宣伝するために、北京および深圳(中国の原子力産業における当グループの本部)を拠点にした施設を設置し
た。この施設における専門家は、とりわけフランスにおける指針および基準ならびに当グループの原子力安全指針をさらに推
進するよう取り組んでいる。かかる施設はまた、EDFが会長を務め、中国における開発を試みるEDFの適格な供給業者によって
構成される仏中電力協会( Partenariat France Chine Électricité またはPFCE)の代表でもある。
2010年、当グループは、より深い、グローバルな事業ラインでの協力関係を築くために、China National Nuclear
Corporation(CNNC)とパートナーシップ枠組み契約を締結し、かかる契約は2014年3月に延長された。また、2013年に当グ
ループは、CGNおよびAREVA-Framatomeとの間で、将来における原子炉建設の条件ならびにCGNが運営する発電所およびその開
発に対するEDFの貢献を定めた契約を締結した。
CGNとの間のパートナーシップにより、英国における共同の原子力プロジェクトへの参加に関する協議の開始が実現し、その
結果として、2016年9月29日、ヒンクリー・ポイントC発電所の最終契約が、EDFおよびCGNによって締結された。同時期に、
英国の華龍技術の開発を対象とした契約も締結された。
最後に、2015年6月の仏中間の政府宣言を背景として、台山におけるEPR建設の継続、中国の企業用顧客の英国への参入なら
びに中規模および大規模の原子炉の開発に係るパートナーシップを定めた三者協定(EDF、AREVA-FramatomeならびにCGNおよ
びCNNC)が2015年に調印された。さらに、AFCENとNEA(国家エネルギー局長)との間の規約および基準に関する協力体制を網
羅した契約が2017年11月に締結された。かかる契約の目的は、フランスと中国の双方が国際的な原子力市場で活動できるよう
に、原子力に関する規約および基準の相互認識を促し、両国間の協力体制の基盤を確立させることである。
2018年1月にフランスの大統領および中国の主席によって出された共同声明は、フランスと中国の事業者間のEPR、とりわけ
台山のEPRに関する協力関係を歓迎し、英国のプロジェクト(ヒンクリー・ポイントC、サイズウェルおよびブラッドウェル)
に関するさらなる行動努力を呼びかけた。
Framatome
中国において35年間の経験を有するFramatomeは、顧客向けにボイラーの安全性に関する計装制御システム、設備、サービス
および燃料を提供する。Framatomeは、EPRの設計者として台山2原子炉を建設しており、中国人が設計した華龍原子炉に対し
て、いくつかの設備および燃料を提供している。Framatomeは、Dongfang Electric Corporation(FDJV)およびChina
National Nuclear Corporation(CAST)とのジョイント・ベンチャーを通じて、また完全子会社であるFramatome Nuclear
Services(FNS)を通じて、中国において事業を行っている。Framatomeは、北京において事業活動を行い、連雲港市、上海、
秦山、福清、大亜湾および台山においても事務所を有している。
石炭火力発電事業
Shandong Zhonghua Power Company Ltd.(SZPC)
EDFグループは、山東省に3,060MWの合計発電容量を有し、1987年から2004年まで稼働していた3つの石炭火力発電所を所有
する会社であるSZPCの19.6%を保有している。その他の株主は、Guodianグループ(2017年にShenhuaと合併し、State Energy
Investment Groupを設立した。)および香港の電力事業会社のCLPである。
Datang Sanmenxia Power Generation Company Ltd. (DSPC)
EDFグループは、2007年に稼働を開始し、「超臨界圧石炭」として知られる技術を使用する2×600MWの設備容量を有する河南
省の三門峡2発電所を所有する会社であるDSPCの35%を保有している。この投資は、中国当局が存続期間を2039年までと定め
たジョイント・ベンチャーを通じて行われた。その他の株主は、DSPCの支配株主であるDatangグループを含む中国企業2社で
ある。
Fuzhou Power Generation Company(FZPC)
EDFグループは、江西省における「超々臨界圧」石炭火力発電所(2×1,000MW)を建設および運営するためのDatangグループ
の子会社とともに2014年に設立されたジョイント・ベンチャーであるFPCの49%を保有している。第1ユニットは2015年12月
に、第2ユニットは2016年4月に稼働を開始している。したがって、Fuzhouは、EDFグループが持分を有する初の「超々臨界
124/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
圧」タイプ(すなわち、発電量が増加し、環境に与える影響が抑えられている)の発電所である。かかる技術によって、石炭
消費量および発電量1キロワット時当たりの二酸化炭素排出量を削減しつつ、ボイラー内の温度および圧力は高水準に達する
た め、従来の発電所に比してより高い発電量(Fuzhouの場合、44%近く)を確保することが可能となる。
再生可能エネルギー
EDF Renewablesは、中国において風力発電プロジェクトの開発および建設を行い、100人の従業員を有する会社のUPC Asia
Wind Management(AWM)における80%の持分を有している。EDFグループは、AWMを通じて、315.3MWの合計設備容量(EDFの持
分割合は140.2MW)を有する6つの風力発電所(建設中の2つを含む。)における持分ならびに開発中の数百MWに相当するプロ
ジェクトを有している。2018年にEDF Renewablesは、企業用顧客向けの屋上ソーラーパネルの開発を目的とするACCとのジョイ
ント・ベンチャーを設立することによって、配電向け太陽光発電事業の多角化を行った(EDFは、持分の保有割合に応じて、予
定されている20.9MWの容量のうち、15.7MWを保有する。)。またEDF Renewablesは、山東省においてOiluが運営する高速道路
沿いの地上設置型ソーラーパネルを設置するために、Oilu Transportationとともにジョイント・ベンチャーを設立した(「第
2 3(2)①(ⅴ)(ハ)EDF Renewables」を参照。)。
研究開発活動
設立から7年が経過したEDFの中国における研究開発センターは、EDF中国の部門へのサポートを強化しており、中国におけ
るEDFの発展に際しての優先的な分野において専門性を発揮している。かかる研究開発センターの業務は、低炭素発電・貯蔵、
革新的な電力網、地域における複数のエネルギー・システム、エネルギー・エンジニアリング、電気モビリティおよびオープ
ンな技術革新に携わっている。これらの各分野における主要な要素として、モデリングおよびデジタル・シミュレーションの
能力が挙げられる。
エネルギー・サービス
EDFは、三門峡市(河南省)において、パートナーであるDatangの火力発電所からの排出が不可避の廃熱の回収を使用した都
市部の暖房ネットワークの建設および運営を担う(EDFが65%を保有する)ジョイント・ベンチャーを設立した。2016年8月9
日に30年間の委託契約が締結され、かかるネットワークは、2016年11月15日に商業的な稼働を開始した。最初の暖房期間で成
果を上げた後、2017年8月29日に三門峡市の地方自治体は、ジョイント・ベンチャーに委託されている地域を拡張することお
よび2021年から二酸化炭素排出量を年間200,000トンから240,000トン削減することを決定した。
EDFは2017年11月13日、霊宝市(河南省)において、35MWのバイオマスのコジェネレーション発電所を原動力とする暖房ネッ
トワークを構築し運営していくために、(EDFが65%を保有する)ジョイント・ベンチャーを地方投資会社とともに設立した。
フランス大統領の中国への公式訪問の一環として、2018年1月9日に30年間の委託契約が締結された。発電所の建設は、2018
年度第1四半期に開始される予定である。かかるプロジェクトは、地域の農家に対して追加的な所得を提供し、農業廃棄物の
管理された排出および年間150,000トンの二酸化炭素排出量の削減を可能にする。
2017年8月8日、EDFおよびそのパートナーであるChangfeng Energyは、三亜市(海南省)の地方自治体によって、30年間の
委託契約に従い、市の観光エリアにおける複数のエネルギー施設のネットワークを完成させる任務に選出された。かかるイニ
シアチブによって、冷房(空調)および清浄温水をホテル、ショッピング・センターおよび病院に提供することが可能にな
る。2017年11月6日に(EDFが50%を保有する)ジョイント・ベンチャーが設立され、2018年1月9日にフランスの大統領およ
び中国の主席の面前で委託契約が締結された。かかるプロジェクトは、年間20,000トンから70,000トンの二酸化炭素排出量の
削減を可能にする。
エネルギー・サービスに関しては、2013年に武漢市のDongfeng Peugeot Citroën Automobileとの間で締結された、街路照明
に関する契約が2014年および2015年に延長された。EDFはまた、蔡甸区の仏中共同エコ地域におけるエネルギー・サービスの計
画、開発および運営について、武漢市と連携している。街路照明および試験用建物のエネルギー効率化を対象とした2つの試
験的なプロジェクトの完了に関する当初の契約が、2016年に締結された。
また当グループは、とりわけスマート・グリッド、コジェネレーション、廃熱利用および分散型再生可能エネルギー(ヒー
トポンプ、都市部の太陽光エネルギー、バイオマス・エネルギーおよび地熱エネルギー)の分野に関するEDFの欧州における専
門知識を活用することにより、企業用顧客およびエコ地域に対して革新的なソリューションを提供することを提案している。
エンジニアリング・サービス
EDFは、例えば「漸進的な」配電網および電力の販売などの新たなエンジニアリング・ベースのビジネスモデルへの投資を支
援する方法を模索している。またEDFは、長期的なパートナーシップを育成し、超臨界二酸化炭素および集光型太陽熱発電
(CSP)等の中国の技術にアクセスするために、中国におけるパートナーに対してオンデマンドのエンジニアリング・サービス
を提供している。
125/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
中国におけるEDFグループのその他の活動
Citelumの子会社もまた、昆明市と締結した契約を通じて、この国において公共照明の事業を行っている。
( b) 東南アジアおよび南アジア
東南アジアおよび南アジアにおけるEDFグループの事業は、とりわけ独立系発電所(IPP)に関する機会を提供する国々にお
ける、新たな火力ガス発電所および水力発電所の設計、建設および運営に係るプロジェクトならびに再生可能エネルギー、原
子力、スマート・シティおよびイノベーションの分野への関与を通じて、電力分野の開発に集中している。
ベトナム
2018年12月31日現在、EDFは、715MWの発電容量を有するコンバインド・サイクル・ガス発電所のフー・ミー2.2を所有する会
社であるMekong Energy Company Ltd.(MECO)の56.25%の持分を保有している。その他の株主は、TEPCO(JERA)およびSGM2
(Sumitomo)である。当該発電所は、ベトナムにおける外国投資家のみが資金調達した初のIPPプロジェクトである。BOT(建
設、運営および譲渡)契約の期間は20年間である。2005年、EDFは、発電所の「ターンキー」配電を提供し、現在はMECOが運営
を管理している。
2018年において、ベトナムのソンミ1火力発電所の建設が新たな節目を迎えた。建設が完了すると、ホーチミン市の北東部
に位置するビントゥアン省における2,250MWの容量を有し、高効率かつ環境面で最適化されているCCGT発電所は、EDFにより20
年間運営される。かかる発電所はエネルギー源を多様化するベトナムの取組みの一部を形成しており、エネルギー構成におけ
る石炭の割合(現在は34%)を削減してガスおよび再生可能エネルギーを支持する一方で、国の電力への需要の高まりを満た
す手助けをする。2018年3月、EDFグループは、現地のパートナーであるPacific Corporationならびに日本のパートナーであ
る双日株式会社および九州電力株式会社(それぞれの持分は37.5%、25%、18.75%および18.75%)と協力して、プロジェク
トを研究する任務を負うコンソーシアムを率いる役目に選ばれた。2018年11月2日、ベトナムの商工省との間でプロジェクト
の一般条件を規定する覚書が締結された。
ラオス
2018年12月31日現在、EDFグループは、同社が「ターンキー」契約に基づき建設し、2010年に稼働が開始された、国の設備容
量の約17%に相当する1,070MWの設備容量を有するナム・テウン2水力総合発電所を所有するNam Theun 2 Power Company
(NTPC)の40%の持分を保有している。その他の株主は、タイの企業であるEGCO(Electricity Generating Public Company
Limited)(35%保有)およびラオスの国有企業であるLHSE(Lao Holding State Enterprise)(25%保有)である。NTPC社
は、ラオス政府と締結した25年委託契約に基づき、同発電所を運営する。
ナム・テウン2水力発電プロジェクトを監督する世界銀行の専門家委員会(POE)は、2018年9月に発行された直近の報告書
において、委託契約に基づく難民支援の目標が成功裏に達成されたことを記述している。その結果として、POEは、再定住化実
施期間の終了を提案した。環境目標および社会目標を達成するにあたって、ナム・テウン2プロジェクトは、責任ある水力発
電開発の具体例である。
2018年12月にEDFは、EDF InternationalのNam Theun Power Company(NTPC)における少数株主持分を取得し、その一部は当
時、EDF Investから専用資産に割り当てられ、残りは2019年に割り当てられる。
インド
原子力エネルギーでは、EDFおよびインドの国営電力会社であるNuclear Power Corp of India Ltd.(NPCIL)は、2016年1
月、ジェイタプールにおけるEPR原子炉6基の建設計画に関して、協力の覚書を締結した後、協力の枠組みをさらに定義するた
めの協議を2017年に前進させ、その結果として2018年3月10日、EDFがEPR技術の提供者として行為し、プロジェクトにおける
産業上の子会社を編成することを約束する産業的前進に関する契約の締結に至った。「第2 3(2)①(ⅱ)(ロ)「新たな
原子力」のその他のプロジェクト」も参照。
EDFは、スマート・メーターおよびスマート・グリッドの事業を展開し続けている。2016年にニューデリー市議会に75,000の
スマート・メーターを供給する契約を獲得した後、2018年9月から11月に当グループは、インドのエネルギー・サービス会社
(ESCO)であるEnergy Efficient Services Limited(EESL)により実施された、インドの5つの州における約5百万のスマー
ト・メーターの設置に関する入札を落札した。
EDF Renewablesは、インドにおいて太陽光発電事業および風力発電事業を拡大し続けており、後者は2016年に確立した
(「第2 3(2)①(ⅴ)(ハ)EDF Renewables」を参照。)。
126/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
一方でCitelumはアフマダーバードにおける178,000の街路照明を運営しており、Tata Projects Ltd.とのパートナーシップ
とともにノイダの照明インフラの改修を行う予定である。
ミャンマー
2018年9月5日にミャンマー政府は、EDF率いるコンソーシアムに対して、同国の北東部に位置するシュウェリ川の水力発電
ダムを建設する独占権を付与した。2018年に始まり、2019年に続く交渉は、遅くとも2025年までに発電所が稼働することを定
める委託契約へと繋がることが期待されている。このダムに適用される企業責任および社会的責任に関する基準は、当グルー
プのすべてのプロジェクトに適用されている厳しい基準と同等のものとなる。同ダムは、現在人口の60%が電力へのアクセス
を持たない、経済発展のために電力を緊急に必要としている同国に対して、責任ある供給源から低炭素電力を供給することと
なる。
研究開発
2013年6月に、都市の中で最大の建設会社であるSingapore Housing and Development Boardとの間で契約を締結したことを
受け、2014年、EDFグループは、革新的な都市モデリング方法の開発を行う目的で、アジアにおける持続可能な都市のための中
核的研究開発センターであるEDF Lab Singaporeを開設した。この都市計画に特化した研究開発センターの目的は、既存の協力
関係を強化し、シンガポールおよびその他の地域の都市との新たな協力関係を構築することである。
2018年10月、南洋理工大学、EDF、Enedisおよびシンガポール南洋理工大学は、シンガポール国際エネルギー週間(SIEW)お
よび2018年フランス・シンガポール・イヤー・オブ・イノベーションの一環として、遠隔地域のための手頃な価格で持続可能
な電力のマイクロ送電網(MASERA)のデモンストレーターを始動させた。かかるデモンストレーターにより、EDFグループは、
東南アジアの遠隔地域向けに、手頃な価格の効率的なマイクロ送電網を提供することが可能となる。
また2018年6月から8月にかけて、当グループは、東南アジアにおける利益を良く管理し、研究開発所との相乗効果を強化
し、またシンガポールにおいて特に活気のあるスマート・シティのエコシステムの開発および革新に自ら取り組むために、ア
ジア本店をバンコクからシンガポールに移転した。
( ト) アフリカ
当グループは、それぞれの地理的地域に応じた適切な選択に基づき、高エネルギーの需要がある国を支援することおよび持
続可能な多産業間のパートナーシップを構築することによって、アフリカ大陸における発展を望んでいる。またEDFは、競争の
激しい送電網非接続型エネルギーの供給における活動を強化している。
南アフリカ
EDFグループは、2007年に南アフリカの原子力プログラムの再開を当初の目的として、ヨハネスブルグに子会社を設立した。
2011年5月に公布された国のエネルギー指針は、2030年までの間に9.6GWの原子力発電量を稼働する予定であることを規定して
いる。かかるプログラムは検討中の段階にある。2019年に実施することを視野に、原子力、再生可能エネルギーおよび液化天
然ガスを統合するいつかのシナリオに関する協議が行われている。また南アフリカの子会社は、とりわけ発電プロジェクトな
らびに熱工学、水力および送配電に関するサービスの販売に関して、EDFの事業活動を南アフリカにおいて展開していく責任を
有する。
2018年10月、EDFグループは、南アフリカの会社であるGIBB Engineering and Architectureのエネルギー関連子会社である
GIBB Powerにおける30%の持分を取得したことを発表した。この取得により、EDFグループは、今後3年間にわたり、この地域
における火力発電、水力発電、輸送および配電エンジニアリング・サービスの業務を急激に増やすことが可能となる。また
GIBB Powerは、EDFグループがアフリカ南部において的を絞った投資を特定し、実行することを可能にする。
さらにEDF Renewablesは、2011年以降にエネルギー省が開始した入札の様々な段階を経て、南アフリカの風力発電市場にお
ける地盤を確立した。同社は、2018年にEDF Renewables South Africaに改称した子会社のInnoWind(EDF Renewablesが94%の
持分を保有)を介して選ばれ、110.6MWの総容量を操業している。「第2 3(2)①(ⅴ)(ハ)EDF Renewables」を参照。
当グループはまた、2002年に設立されたKES(Kukhanya Energy Services)社を通じても、南アフリカにおいて事業を行って
いる(「第2 3(2)⑤(ⅲ)(リ)送電網非接続型のエネルギー」を参照。)。
モザンビーク
当グループは、1980年代終盤以降、エンジニアリング・サービスを提供することでモザンビークにおいて活動しており、EDM
( Electricidade de Moçambique )との優先的なパートナーシップを結んでいる。
EDFグループおよびEDMは、水力、火力および再生可能エネルギーによるすべての接続型および非接続型の電力システムのほ
か、ネットワークおよび訓練における交流を促す目的で、2017年6月に協働契約を締結した。
127/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
EDFグループは、World Leading Education(WLE)とともに、職業訓練およびEDMの訓練センターの刷新に関する入札の枠組
み内において選出された。
モロッコ
EDFグループは1970年代以降、モロッコにおいて活発に事業を行っており、モロッコ国営電力水道公社(ONEE)、配電機関お
よび事業者と優先的なパートナーシップを構築している。当グループは、その開発を支援するため、1997年にEDF Marocを設立
し、2012年にEDF EN Marocを設立し、また2016年10月にEDF Fenice Marocを設立した。
当グループおよびONEEは、2012年1月に締結された契約に従い、再生可能エネルギー発電、火力発電および水力発電ならび
に電力網および研修の分野において協力を継続した。
日本のグループである三井物産株式会社とのパートナーシップとともにEDF Renewablesが率いるコンソーシアムは、ONEEに
より入札における落札者として選ばれた後、150MWの容量を有するタザ風力発電所を開発している。2017年にFuturenを取得し
たことに伴い、当グループのモロッコにおける総設備容量は、50.4MWに達した。「第2 3(2)①(ⅴ)(ハ)EDF
Renewables」を参照。
さらに当グループは、モロッコにおいて子会社のFeniceとともにエネルギー効率化業務(EDF Fenice Marocについては、
「第2 3(2)⑤(ⅰ)(ロ)EDF Energyの事業」を参照。)に従事しており、また子会社のCitelumとともに公共照明に従事
している。Citelumは、現地企業であるNABILUMとともに、フェズ市により実施された入札を落札した。フェズ市(51%)およ
びCitelum/NABILUM(49%)によって支配される第三セクター(モロッコではSDLと呼ばれている。)により実施される15年契
約には、市の約68,000の街路照明の改修、拡張および維持管理が含まれる。
セネガル
また当グループは、カフリン-タンバクンダ-ケドゥグの地方電化委託事業の事業者であるERA社を通じて、セネガルにおい
ても事業を行っている(「第2 3(2)⑤(ⅲ)(リ)送電網非接続型のエネルギー」を参照。)。さらに当グループは、独
立系発電事業者との発電に関するサービス契約および子会社であるEDF International Networksによる複数のサービス契約を
通じて事業を行っており、現地の事業者であるSenelecの配電網のパフォーマンスを改善し、信頼性を確保するために、契約を
履行する責務を負う。
カメルーン
EDF(40%)、IFC(20%)、カメルーン共和国(15%)、Africa50(15%)およびSTOA(10%)によって構成されるコン
ソーシアムは、ヤウンデ近郊のサナガ川沿岸に位置する420MWのナハティガル水力発電ダムの建設を開始した。2016年7月、
Nachtigal Hydro Power Companyがプロジェクトの支援のために設立され、2017年4月に発電に関する委託契約が締結された。
2018年7月下旬に最終投資決定がなされ、2018年11月8日に資金調達について合意がなされた。2018年12月24日にナハティガ
ル・プロジェクトのゴーサインが出た。
ナハティガル水力発電所は国にとって大規模なプロジェクトであり、稼働が開始されれば、カメルーンにおいて最も重要な
発電資源となる。当該発電所は電力需要の約3分の1を提供し、現地の経済に多くの経済的利益を与えることとなる。
コンゴ共和国
EDFグループの完全子会社であるEDF International Networksは、2017年9月、SNEの支援とともに同国における事業をさら
に発展させるために、支店を開設した。
エジプト
EDFグループは、エジプトの再生可能エネルギー発電市場に参入した。EDF Renewablesは、エジプトの会社であるElsewedyと
の50/50の割合のパートナーシップにより、アスワン近くのベンバンにおける2つの50MWpの太陽光発電所の出資、建設および
運営を行う。これらのプロジェクトは、25年間の電力購入契約(PPA)の恩恵を受ける予定である(「第2 3(2)①(ⅴ)
(ハ)EDF Renewables」を参照。)。
2017年にEDFは、コンサルティング・サービスに関する契約を2件獲得した。1つは、デルタの給電所のエンジニアリングお
よび建設の監督に関してEETCとの間で締結されたものであり、もう1つは、子会社であるEDF International Networksがフラ
ンスの事業会社であるSagemcom率いるコンソーシアム(エジプトの会社であるGlobaltronicsを含む。)によって完了する
53,000個のスマート・メーターの配備を管理するために、EEHCとの間で締結されたものである。
1990年代半ば以降、EDFグループは、その子会社であるEdisonを通じて、エジプトにおいて炭化水素の探鉱および生産
(E&P)の事業を行っている(「第2 3(2)⑤(ⅱ)(ハ)(b)炭化水素分野」を参照。)。
128/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
また2016年以降、当グループは、エジプトにおけるエネルギー・サービスの先駆者であり、Edisonの完全子会社のEEESを通
じて、エジプトにおいて活動している。
コートジボワール
EDFグループは、アフリカ西部におけるコートジボワールの農工業グループであるSIFCAおよび2018年1月にプロジェクトに
加わった投資会社であるMeridiamと共同で、23MWのユニット2基のバイオマス発電所の「Biovéa」プロジェクトを開発してい
る。このプロジェクトは、既にコートジボワールの国家開発基本計画に含まれており、2017年11月30日に発電エネルギーの譲
渡価格に関する契約が締結された。最終投資決定は2019年半ばに行われる。
2016年8月に当グループは、コートジボワールにおける開発戦略を支援する現地子会社を設立した。
2016年10月、EDFは、地方および郊外の住民向けの送電網非接続型のエネルギー・プロジェクトを展開するために、米国の会
社であるOff Grid Electric(OGE)と共同で、ジョイント・ベンチャーのZECI社を設立した(「第2 3(2)⑤(ⅲ)(リ)
送電網非接続型のエネルギー」を参照。)。
ガーナ
2017年10月、EDFグループは、この国における開発戦略を支援するための現地子会社を開設した。同グループはまた、ZEGHA
社を通じて、ガーナにおいて事業を行っている(「第2 3(2)⑤(ⅲ)(リ)送電網非接続型のエネルギー」を参照。)。
( チ) 中東
EDFグループは、アラブ首長国連邦(UAE)に所在し、同地域の開発およびプロジェクトの監視業務を担当する営業所を通じ
て、中東地域において事業を行っている。
さらに、当グループは、カタール、ドーハ、サウジアラビア(リヤド)、レバノン(ベイルート)、バーレーンならびにア
ラブ首長国連邦(アブダビおよびドバイ)に事務所を有している。
これらの事務所は、様々な国において商業活動およびプロジェクトを運営している。
この地域における以下の主要なプロジェクトは、(ドバイの水および電気を担当している)顧客のDEWAが所在するUAEにおい
て行われている。
・800MWの太陽光発電所の開発プロジェクト。EDFは、子会社のEDF Renewablesを通じて、Mubadalaグループに属するアブダビ
を拠点とする会社であるMasdarおよび顧客のDEWAとともに、プロジェクト開発を行っている。同発電所の200MWは既に稼働し
ており、300MWは2018年に建設中であるが、完成すれば、世界最大の太陽光発電所となる予定である(「第2 3(2)①
(ⅴ)(ハ)EDF Renewables」を参照。)。
・顧客のDEWAのための、ドバイ首長国のハッタ山で計画されている250MWのダム揚水発電所の管理支援プロジェクト。
EDFグループは、UAEのバラカ原子力発電所の事業者であるNawahとの長期的な関係の構築に努めている。2018年11月21日に
EDFおよびNawahは、EDFが安全性、放射線防護、燃料サイクル管理および環境モニタリング等の様々なサービスを通じて、バラ
カ原子力発電所の運営および維持管理について子会社のEmirates Nuclear Energy Corporation(ENEC)を支援することを規定
する、長期的な基本契約書を締結した。
ドーハにおいて、(「フェーズ13」に該当する)もう1つの主要なプロジェクト、すなわち、変電所および高電圧ケーブ
ル・ネットワークの完成に関連した、顧客のKahramaa(カタールにおける水および電力を担当)へのエンジニアリングのコン
サルティング業務が完了に向かっている。
2014年にEDFグループは、サウジアラビアにおいて、国のベンチマークの電力事業者であるSaudi Electricity Company
(SEC)とパートナーシップ契約を締結した。かかる契約によって、2つのグループの研修イニシアチブを含む幅広い協力関係
を実現することが可能となる。かかる契約の延長上、2016年2月に締結された「発電・最適化センター(GOC)」契約は、地域
の発電・最適化センターの導入へのEDFの支援を規定している。
イスラエル
EDFグループは2010年以降、送電網に接続されている総設備容量295.1MWの太陽光発電プロジェクトを運営し、2018年に追加
で87MWの容量の建設を開始した子会社のEDF Renewablesを通じて、イスラエルにおいて事業を行っている(「第2 3(2)①
(ⅴ)(ハ)EDF Renewables」を参照。)。
また当グループは、イタリアの子会社であるEdisonがガス探査に進出し、イスラエルとイタリア間を接続するEastMedのガ
ス・パイプラインを開発するための取組みを支援している。
さらにEDF Hydroの水力エンジニアリング・センターは、ギルボア山における揚水を通じた電力貯蔵のためのイスラエル初の
プロジェクトにおいて、サービスを提供している。
129/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( リ) 送電網非接続型のエネルギー
EDFグループは、アフリカの送電網非接続型の電力供給において、地域別の委託に基づいて当該目的のために設立された会社
を通じて、15年間の経験を有している。2017年以降、EDFグループは農村地域および郊外地域の顧客に対し、それぞれの所得や
需要に応じて電力およびサービスを供給する革新的な新興企業と手を組んでいる。ソリューションには、中央電力網への電力
の供給、小規模電力網の設置および太陽光発電キットの提供が含まれる。
かかるサービスにより、南アフリカ、コートジボワール、ガーナ、セネガルおよびトーゴにおける何千もの人々が、照明を
付け、その提供の範囲内でテレビもしくはラジオ等の低消費の家庭用電化製品に電源を入れ、または携帯電話を充電すること
が可能になる。ケニアにおける当グループの顧客は、太陽光発電による給水ポンプを購入し、それによって穀物生産高を飛躍
的に改善することができる。
EDFグループは、17%の持分を有するEDF Pulse Croissance Holdingを通じて、当グループのエネルギー供給およびエネル
ギー・サービスのソリューションの資金調達目的でNEoT Offgrid Africaを設立するために、投資会社のMeridiamと協力した。
BBOXX
2018年11月にEDFは、トーゴの農村家庭における太陽光発電キットの販売、設置および維持管理を請け負うために、BBOXX UK
からBBOXX Togoの50%の持分を取得した。
KES
南アフリカにおいて2002年に設立されたKES(Kukhanya Energy Services)社の50%の持分はEDFにより保有されており、
15%の持分は地方発電事業者であるCaluloにより保有されており、残りの35%はTotalにより保有されている。同社は、初めに
クワズール・ナタール州において太陽電池部品を取扱う事業を展開し、その後、東ケープ地域においても事業を拡大した。
ERA
セネガルにおいて、EDFグループは、その現地のパートナーであるMatforceとともに、ERA社の株式の70%を保有している。
2014年以降、ERAは、(セネガルの面積の25%を占める)カフリン、タンバクンダおよびケドゥグの地方電化委託事業の運営を
行っている。フランス開発庁の助成金を受領し、第3ユニットおよび最後のユニットがリリース予定である状況下で、ERAは、
電力網を展開し、地方において太陽光発電パネルの取付けを行い、現在では約6,000の顧客に対して電力を供給している。受託
事業者の要請を受けて2017年6月に規制当局により開始された料金の見直しプロセスは、委託の財政的な均衡を保証し、長期
的な発展を可能にする新料金の公表をもって、2019年初めに完了することが見込まれている。
SunCulture
2018年7月18日にEDFグループは、ケニアの農村家庭における太陽光発電式給水ポンプの販売、設置および維持管理を請け負
い、その他のアフリカ諸国にも急速に拡大することを目的として、ケニアの会社であるSunCultureにおける持分を取得した。
ZECI
EDFグループおよび、EDFのクリーン・テクノロジーのベンチャー・キャピタルの投資ファンドであるElectranova Capitalが
株式持分を保有し、アフリカにおいて太陽光エネルギーの配電を行う米国会社のOff Grid Electric(OGE)は、2016年10月、
アフリカにおいて競争力のある送電網非接続型の太陽光エネルギーを供給するために、コートジボワールにおいてジョイン
ト・ベンチャーのZECIを設立した。
かかるジョイント・ベンチャーの枠組みにおいて、EDFグループおよびZolaElectricは、農村地域および郊外の家庭向けの太
陽光発電キットの設置および維持管理に係る費用を負担する。
ZEGHA
Off Grid Electric、ガーナの会社であるCHグループおよびEDFは、ZEGHAの設立を決定し、2019年に現在の開発段階に突入す
る前に、コートジボワールをモデルとして、2017年12月にパイロット・フェーズに着手した。
⑥ エネルギー・サービスおよびその他事業
(ⅰ) エネルギー・サービス
地球温暖化への闘いおよびエネルギー効率性の高まりに向けてますます変化していく法的、技術的および社会的な状況の中
で、EDFグループは、顧客に対して効果的なソリューションを提供するために、エネルギー・サービスを適応していかなければ
ならない。
130/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
これらのソリューションは、様々な子会社を通じて採用されている当グループの専門技術を活用している。2017年6月、こ
れらのソリューションは、EDFブランドに基づく業務の最適化を目的として、「EDFエネルギー・ソリューション( EDF
Solutions énergétiques )」の傘下に分類された。
当グループのエネルギー・サービスは、都市サービス(例えば、電気モビリティおよびスマート・ライティング)、配電お
よび冷暖房ネットワークの管理、新たなエネルギー機器(例えば、ボイラーおよび室内照明)に対する手頃な価格での民間投
資ならびにスマート・ビルディング管理等の幅広い適用により、地方自治体、企業および個人が表明するニーズを満たすよう
設計されている。これらのすべてのソリューションは、炭素排出削減およびエネルギー効率性の向上の必要性を共有してい
る。
2018年にEDFは、欧州の温室効果ガス排出量の20%を占める運送業における低炭素排出を支持するために電気モビリティに焦
点を当てている。この目的において、2018年10月10日にEDFにより発表された電気モビリティ計画は、2022年までに当グループ
がエネルギー業界における電気モビリティの主導的なサービス提供者となる目標の概要をまとめたものである。当該計画に
は、以下の3つの目標がある。
・2022年までに電気自動車の主導的な電力供給業者になること
・充電スタンドの主導的な事業者になること
・2020年までに欧州におけるスマート充電サービスの主導的な提供者になること
EDFは、自動車メーカー、機器製造業者およびレンタカー会社等の信頼性の高い自動車関連の利害関係者とのパートナーシッ
プが、電気モビリティにおける急速な拡大に極めて重要であると確信している。このため、RenaultおよびValeo等の企業との
間でパートナーシップが既に形成されている。
EDFグループの完全子会社であるIZIVIA(旧Sodetrel)は、これらの目標の達成に向けて、既に取組みを行っている。
( イ) Dalkia
EDFグループは、再生可能エネルギーおよびエネルギー回収の開発、エネルギー消費の削減ならびに施設のパフォーマンスの
改善に貢献する、フランスにおける広範なサービスおよび卓越した販売網を提供する、欧州のエネルギー・サービス市場の主
導的な会社であるDalkiaの株式持分を2014年7月以降99.94%保有している。
Dalkia の運営
Dalkiaは現在、地球温暖化との闘いおよび温室効果ガス排出量を削減する必要性、貯蓄源としてのエネルギー効率ならびに
都市化現象の進行による地域変化の3つの大きな課題に直面しながら事業を行っている。
Dalkiaは、都市および企業の持続可能な発展を目指した、より環境に配慮し、より経済的で革新的なエネルギー・ソリュー
ションを設計、実現および管理するため、顧客に専門性を提供する。
Dalkiaは、システム・パフォーマンスを改善するため、分散型発電から需要重視の管理まで、供給を最適化している中、エ
ネルギーチェーンの各段階において事業を行っている。Dalkiaは、80年にも及ぶ冷暖房ネットワークの管理、産業向け公益事
業の最適化、建物のエネルギー・パフォーマンスの改善または代替および再生可能エネルギーの使用における実績により、エ
ネルギー消費の軽減ならびにその施設の環境面および経済面のパフォーマンス改善のため、顧客に対し、オーダーメイドのソ
リューションを提供する。
このようにして、2018年、Dalkia(その子会社を含む。)により、その顧客は4.2百万トンの二酸化炭素排出量を削減し、
6.3TWhのエネルギーの節約を実現することに成功した。
Dalkiaは、以下の3つの顧客部門において、80,000を超えるエネルギー施設を運営している。
冷暖房ネットワーク
冷暖房ネットワークの開発は、最適化を目的とした以下の様々な方策に依拠した再生可能なモデルを確立したDalkiaにとっ
て、過去数年間にわたり成長の原動力であった。
・チームおよび組織の効率性の向上、電力網の買収時における事業のパフォーマンスの最適化
・コジェネレーションの最適化ならびに再生可能エネルギーおよびエネルギー回収(バイオマス、地熱エネルギー、廃棄物発
電、バイオガス、不可避エネルギーの回収等)の開発とともに、効率性を高め、二酸化炭素を削減するためのエネルギー構
成の変更
・資産を高めるためのサービスの追加(例えば、デジタル化)
このように、Dalkiaは、地域の冷暖房ネットワークの管理におけるフランスの主導的な会社の1つであり、300を超える地域
および地方における設備を運営し、2百万を超える世帯に暖房を提供している。かかるモデルを対象地域に展開することは、
将来的な成長の大きな要素となる。
131/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
産業向け公益事業
Dalkiaは、2,300を超える産業用施設のための産業向け公益事業において、活動的である。課題は、(とりわけ二酸化炭素排
出量を管理し、エネルギー回収の評価を行うことによる)環境パフォーマンス、競争力および供給保証の向上である。
Dalkiaの戦略は、その企業用顧客のエネルギー使用および温室効果ガス排出量を最適化しながらも、それらの発電量および
施設の技術的管理に責任を持つことで、当該顧客がそのコア・プロセスに集中することを可能とすることである。Dalkiaは、
以下を含む幅広い一貫した一連のサービスにより、他社と差別化を図っている。
・産業向け公益事業(蒸気、電気、冷気および圧縮空気)の最適化
・必要に応じた使用の調整
・不可避のエネルギーおよび回収可能な副産物の供給源の特定
・産業用建物の利用の最適化
・温室効果ガス排出量の削減
建物向けエネルギー・サービス
建物向けエネルギー・サービスは、建物のエネルギー施設の管理(地方の火力エネルギー発電の最適化、変換されたエネル
ギーの供給、技術的施設の運営および維持管理)から構成される。また同サービスは、既存システムの効果を最大限にし、二
酸化炭素排出量を削減するために、その運営の向上を目指す。Dalkiaは、第三次産業、公共部門、民間部門および民間部門の
顧客のために、施設の設計、建設および更新から、変換されたエネルギーの供給および管理ならびに施設の維持に至るまでの
統合されたエネルギー・サービスを提供する。
フランスにおけるDalkiaの主要子会社
Dalkia Smart Building(旧Optimal Solutions)
Dalkiaの完全子会社であるDalkia Smart Buildingは、顧客がフランスにおけるエネルギー移行およびデジタル移行に適応で
きるようにするためのソリューションの設計および実施を専門に扱う会社である。Dalkiaの地域範囲を補完するDalkia Smart
Buildingは、既存の学校、政府、屋内プールおよび事務所施設の改修を行うためのソリューションを設計および実施し、新た
な建物および地域(スマート・ビルディング、スマート暖房・電力網、グリーン・データ・センターおよびスマート・プー
ル)を建設し、築き上げる。
Dalkia Wastenergy(旧Tiru)
2018年3月29日以降Dalkiaの完全子会社であるDalkia Wastenergyは、地方自治体および企業用顧客を対象とした廃棄物の回
収を専門に扱う会社である。
・燃焼、嫌気性消化および廃棄物固形燃料(SRF)を燃料として運転するボイラーを通じて行われるエネルギー回収によって可
能となる蒸気、電気またはバイオガスの生成
・堆肥、リサイクル可能な物質の分別およびパッケージングならびに廃棄物固形燃料の生成を通じて行われる物質回収
Dalkia Wastenergyは、フランス、英国およびカナダに所在する施設の設計、建設および現在では運営を行っている。
Dalkia Froid Solutions(旧Cesbron)
Dalkiaの完全子会社であるDalkia Froid Solutionsは、企業用顧客および第三次産業用顧客向けに冷房に関するソリュー
ションの設計、導入および維持管理を専門に扱う。同社はまた、パン屋および産業用キッチン向けに冷房に関するソリュー
ション、空気処理ならびに可逆性のある熱処理を提供している。
Dalkia Biogaz
Dalkiaの完全子会社であるDalkia Biogazは、バイオガスの生成および回収を専門に扱う。同社は、フランスおよびベルギー
において事業を行っており、農業向け、地域向けまたは産業向けに、嫌気性消化、バイオガス処理(乾燥およびろ過)、コ
ジェネレーションまたは処理によるバイオガスの回収ならびにバイオメタン注入のサービスを提供している。
CRAM
CRAMグループは、主として、建物エネルギー・サービスを専門に扱う地域企業である。
Techsim
Dalkiaの完全子会社であるTechsimは、産業分野および原子力分野における圧縮空気、窒素および呼吸可能な空気の生成に関
するエネルギー・ソリューションを専門に扱っている。
132/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
Asteriot
Asteriotは、接続対象物から収集した情報を利用して、集団で利用される建物(住戸、第三次産業用および行政用の建物)
における流体管理およびエネルギー最適化のソリューションを提供している。
フランス国外におけるDalkiaの主要子会社
現在Dalkiaの名称およびブランドの下で営業を行っているMatex Controls
ポーランドに拠点を置くMatex Controlsは、商業用建物および企業用顧客の技術設備(換気、暖房、空調、防火等)の設
計、構築および維持管理を行っている。同社はまた、建物のエネルギー・パフォーマンス管理に対して、VEMS©(バーチャル・
エネルギー管理システム)を含む革新的なソリューションを提供している。
現在Dalkiaの名称およびブランドの下で営業を行っているZEC
ZECは、主として、ポーランドのカトヴィツェ(上シレジア)の地域における熱源の生成および配給を専門に行っている。同
社は、石炭に代わるものとして、暖房ネットワークおよび配電施設で使用される炭鉱ガスのエネルギー回収において、専門技
術を有している。
現在Dalkiaの名称およびブランドの下で営業を行っているFenice Rus
企業用顧客向けのエネルギー効率化を専門に扱うFenice Rusは、ロシアのエネルギー・サービス分野における先駆者のうち
の1社である。
Imtech
DalkiaおよびEDF Energyによって共同保有されるImtechは、英国およびアイルランドにおいて、火力および電力に関するエ
ンジニアリング、設備の技術的メンテナンスおよび取得システムとデータ管理システムの統合を専門に扱っている。Imtech
は、建設分野、産業分野、第3セクターおよび地方自治体に対してサービスを提供している。
Groom Energy Solutions
Groom Energy Solutions LLCは、米国全土の企業および企業用顧客に対して、コンサルティング、プロジェクト管理および
エネルギー効率化業務のパフォーマンスへの包括的アプローチを提供している。
Aegis Energy Services
マサチューセッツ州ホールヨークに拠点を置き、2018年8月に取得されたAegis Energy Services LLCは、米国北東部におけ
る小規模のガス・コジェネレーション発電所の設計、建設および操業を専門に扱う会社である。同社は、1985年に設立されて
以来、1,000にわずかに満たない数のコジェネレーション発電所を設置した。
( ロ) Citelum
Citelumは、スマート・ライティングおよび接続サービスを行うEDFグループの子会社であり、かかる分野においてフランス
のみならず、世界で主導的な事業会社の1つである。
フランスにおよそ500人の従業員を有するCitelumは、主に欧州(フランス、イタリア、スペインおよびデンマークを含
む。)ならびに米州(米国、メキシコ、ブラジルおよびチリを含む。)において2,500人の従業員を有しており、これにより世
界中(メキシコ市、コペンハーゲン、バルセロナ、ローマ等)の主要な都市へのサービスを管理することが可能となってい
る。2018年末現在、Citelumは世界中で3百万超の街路照明を管理しており、30百万人の居住者のために照明を照らしている。
ある照明器具の技術的な変更によって、今では既存の接続インフラを利用することが可能となり、エネルギー貯蓄、設置の
遠隔管理および安全性の向上のほか、文化財の展示が促された。さらに、他の機器(センサー、カメラ等)に接続されている
この照明器具は、公害の防止、地域のビデオ監視、利用者への情報提供または都市部の交通および駐車の管理の分野におい
て、新たな付加価値サービスを提供する。
Citelumは、以下の3つの価値連鎖に取り組んでいる。
・エネルギー支出を制限しながらも、照明の最適化を行うことを通じて顧客への魅力を高める。
・割り当てられた資産の使用を最適化することにより、認識している安全性を改善する。
・より流動的な交通および駐車を実現し、顧客からの収入の増加を促進する。
133/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
Citelumは、融資ソリューション、子会社のCitegestionのデジタル都市空間管理プラットフォームであるMuse®の革新および
契約によるエンジニアリングの優れた技能をサービスの提供に盛り込むことにより、設計および作業の完了から維持管理まで
のプロジェクトのすべての段階を支援する能力で差別化を図っている。
2018年、Citelumは、Renaultの工場10か所における照明の改修を終えた。115,000個の照明をLEDに交換し、その他の35,000
個を取り外したことにより、全般照明が最適化され、照明はより良い配置となった。これによってRenaultは、光熱費を年間
60%削減し、労働の安全性を確保しながらも労働条件を改善することができた。今や工場は、精密さと安全性が最優先の環境
下で、労働者の要求および生産品質の目標により適した状態となっている。
ディジョン都市圏は、公共空間の接続型管理プロジェクトのためのMUSE®プラットフォーム・サービス、すなわちMUSE® GMAO
(コンピューター化された維持管理システム)、MUSE® GCI(一元的な行動管理システム)およびMUSE® Main Courante(記録
管理システム)の納品を予定通りに受けた。
2018年にCitelumは、Violaとともに、アニエール・シュル・セーヌのコミューンにおける街路照明および信号機の設計、改
修、運営および維持管理を8年間行う契約を獲得した。改修後には76%の照明がLEDとなり、80%超の省エネが可能となる。契
約期間中には、横断歩道用照明、スマート・パーキング、IoTインフラならびに遺跡用および大通り用の照明等、新たな接続
サービスがMUSE®プラットフォームを通じて展開される予定である。
2018年にSOFICO(ワロンのインフラ投資ファンド)は、照明計画( Plan Lumières )4.0に基づき、Citelum、EDF Luminus、
CFEおよびDIFによって構成されるLuWaコンソーシアムに対して、ワロンの高速道路の照明の交換に関するPPP契約を発注した。
ワロンの高速道路網を「スマート」LED照明で再装備するプロジェクトは、完了に20年を要する。
Citelumは、メキシコにおいて、メキシコ市の中心部にあるBBVAバンコメール・タワーの照明を担う役目に選ばれ、またメキ
シコ州における10都市を繋ぐ高速道路網の照明に関する契約を獲得した。
Citelumは、チリにおいて、インデペンデンシア市とともに、PPPに基づく照明の業務を請け負った。10年プロジェクトに基
づき、7,300の街路照明がLEDに置き換わった。
Citelumは、2018年にブラジルにおいて、アマパー州の州都マカパにおける34,000の街路照明の運営に関する契約を獲得し
た。
Citelumは、インドにおいて、ニューデリーの衛星都市ノイダにおける70,000の街路照明の設置および運営に関する新たな契
約を確保するために、Tata Projectsと提携した。
Citelumは、2018年にイタリアにおいて、ロンバルディ州、エミリア・ロマーニャ州およびトスカーナ州の公共建物の室内照
明の設置に関するCEV基本契約を2件獲得した。
Citelumは、デンマークにおいて、コペンハーゲン、フレゼレクスベア、ヒレレズ、アルバーツルンドおよびフーア湖の街路
照明が含まれる同国のポートフォリオに、コペンハーゲンの信号機を加えた。
当年度中にCitelumは、トゥールーズ(フランス)におけるスマート・パーキング・システム、サン・クガ(スペイン)にお
けるノイズ・センサー・システムおよび街路照明変調システムならびにアルメリア(スペイン)の光害を測定し、削減するた
めの生物多様性保全プログラム等の新たな革新的なサービスを導入した。
( ハ) EDF Pulse Expansion
革新は、常にEDFの戦略の中核にある。2017年6月、EDFグループは、その業務の範囲を広げるために、EDFの新興企業のイン
キュベーターとして活動するために、EDF Nouveaux Businessという新たな組織を設立した。
2018年10月、EDF Nouveaux Businessは、当グループの革新的な部門(EDF Pulse)の傘下に置き、その注目度を高めるため
に、EDF Pulse Expansionに改称された。
EDF Pulse Expansionの目的は、エネルギー移行およびデジタル移行を検討し、家庭、企業および地方自治体に対して革新的
かつ競争力のある商品およびサービスを提供することにより、当グループの新たな成長の原動力を作ることである。年間30百
万ユーロの資金調達能力(特別なプロジェクトを除く。)を有するEDF Pulse Expansionは、2019年末までに、少なくとも新興
企業10社に対して投資を行う予定である。
以下の4つの分野が優先される。
・事業および製造の効率化
・住宅向けサービス
・持続可能な町および地方に関する計画
・分散型エネルギー・システム
EDF Pulse Expansionは、投資ファンドおよび社内起業制度のインキュベーターとして、EDFの研究開発部門および機能的な
部門と密接な協力関係にある結束の強いチーム、ならびにオープンな革新および新興企業との連携にコミットしている当グ
ループのあらゆる資源を有している。
134/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
インキュベーター
社内起業制度のインキュベーターとして、EDF Pulse Expansionは、当グループの従業員のアイディアおよび専門知識を活用
しており、かかる従業員に対して、当グループおよびその従業員の起業家に利益をもたらす起業家的アプローチの一環として
のプロジェクト開発を支援する献身的なサポートを提供する立場にある。
投資家およびパートナー
EDF Pulse Expansionは、新規事業の開発および新技術の革新的ソリューションを成功させるために、創業間もない新興企業
に直接投資するかまたは当グループのエコシステム、とりわけEDF Pulse Expansionが持分を有するElectranova Capital等の
専門ファンドと繋げることができる。同社はまた、新興企業とともにジョイント・ベンチャーを設立し、新たなビジネスモデ
ルを模索し、フランス国内外の新市場を勝ち取ることを目指すことができる。基本的に投資は、包括的な事業および産業パー
トナーシップの一環としてみなされている。
EDF Pulse Expansionは、デジタル変換およびエネルギー移行に関連する様々な分野で活動的な新興企業に対して融資を行っ
ている。その例には、Perfescoとのエネルギー効率化、Seclabとのデータ・セキュリティ、EDF Store & Forecastとのエネル
ギー管理システムおよび新興企業のZnr Batteriesとの空気亜鉛電池への第三者融資が含まれる。
設立以来、EDF Pulse Expansionは新興企業13社に投資を行い、13の投資ファンドに対する持分を増大させた。2018年12月31
日現在、EDF Pulse Expansionは、新会社8社による取引の開始を支援した。
Agregio
Agregioは、再生可能エネルギー容量を有する発電事業者および負荷制限容量を有する企業用顧客に従事するアグリゲーター
である。Agregioは、発電事業者向けに、発電事業者による発電量を市場において最適化および販売し、経時的に収入を確保す
るための適合したソリューションを提供している。これは、もはや購入義務の恩恵を受けない再生可能エネルギーの発電事業
者からの強い期待を受けたものである。またAgregioは、電力システムのニーズに応じて報酬と引換えに消費量を削減するかま
たは移行することを望んでいる企業用顧客および第三次産業用顧客を対象としている。Agregioは、地域における生産および消
費を最適化するために、地域のプロジェクトの最適化プラットフォームとして最終的に自らを位置付ける予定である。Agregio
は、この分野におけるベンチマーク事業者になることを望んでいる。
Metroscope
Metroscopeは、社内起業プロジェクトから2017年12月に設立された。Metroscopeは、人工知能システムを通じて、業務シス
テムに影響を及ぼすランダム外乱、障害および効率損失を特定することにより、企業用顧客が産業施設のパフォーマンスの向
上および最適化またはそのいずれかの実現を可能にする、リアルタイムの診断を提供している。これにより産業事業者は、生
産施設の維持管理を最適化し、業務コストを削減することができる。かかる「ファクトリー4.0」ソリューションは、EDFの原
子力発電所の経営幹部により選ばれたものであり、現在フランスの58の原子力発電ユニットで活用されている。また当グルー
プは、2019年までに、Metroscopeのソリューションを社外の産業顧客向けにも売り込む予定である。
NEoT Capital N Green MobilityおよびNEoT Offgrid Africa
NEoT Capitalは、エネルギー貯蓄の革新的なプロジェクトおよび技術に対して融資を行うために2016年に設立された。同社
は、EDF Pulse Croissance Holding(42.5%)、三菱商事株式会社(42.5%)およびForsee Power(15%)により保有されて
いる。NEoT Capitalは、2017年に設立された別々の会社が抱える2つの事業を開発している。
・N Green Mobilityは、数年にわたってB2Bの機内エネルギー・サービスを提供しており、電気モビリティ機器(バッテリー、
充電インフラ、電気バス等)の供給、運営および維持管理を行い、かつエネルギー効率性を確保している。同社は、EDF
Pulse Croissance Holding、フランス預金供託公庫および三菱商事株式会社により共同保有されている。
・NEoT Offgrid Africaは、アフリカにおいてB2BおよびB2Cの定常貯蓄サービスを展開しており、EDFとともに複数のプロジェ
クトに取り組んでいる。同社は、Meridiam(64.28%)、三菱商事株式会社(17.86%)およびEDF Pulse Croissance
Holding(17.86%)によって保有されている。
McPhy
水素の生成、貯蔵および配給を行うMcPhyは、世界のエネルギー移行を促進するための手段として、低炭素水素を広めてい
る。パワー・ツー・ガスのゼロ排出モビリティおよび産業用水素商品の全範囲を網羅するMcPhyは、顧客のアプリケーションに
適した電気自動車の充電、燃料電池および産業用電力供給等のターンキー式ソリューションを提供している。2008年以降の事
業では、McPhyは、フランス、イタリアおよびドイツにおける開発、エンジニアリングおよび生産の3つの拠点において、水素
135/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
関連機器の設計、製造および統合を行っている。国際的な子会社が、同社の革新的な水素に関するソリューションをグローバ
ル市場で販売する。McPhyは、ユーロネクスト・パリ取引所において上場している(コンパートメントC、ISINコード
FR0011742329、 ティッカーシンボル MCPHY)。
Oreka Solutions
Oreka Solutionsは、複数の基準からなるモデルの中で、産業活動および原子力発電所の運営のシミュレーションおよび評価
を行うツールの開発および販売を行っている。同社の意思決定およびシミュレーションの主力ソフトウェアであるDEMplus®
は、費用、遅延、廃棄物および線量測定を分析するリアルタイム3D技術に基づいている。
Hoppy
Hoppyは、購入申込(テレビ、インターネット、モバイル、電気/ガス)の管理を容易にし、タスクや作業を整理し、工務業
者の予約を行う、英国における家庭管理のデジタル・プラットフォームである。
Zenpark
2019年初めにEDFグループは、Zenparkの持分を取得したことを発表した( 2019年1月29日付プレスリリース「Zenparkは、
EDFグループおよびRATPからの出資で、10百万ユーロ超の資金調達を行った」を参照。 )。Zenparkは、運転手が従前では利用
できなかった民間の駐車場スペースを利用することができる自動化された駐車場共有プラットフォームを運営する。サービス
によって使用されていない駐車場スペースが解放され、その拡大されたスマート・パーキング・ネットワークを通じて、新し
い形の可動性が促される。
新興企業の資金調達
新興企業に出資を行うEDF Pulse Expansionのコミットメントを表す一例、とりわけフランスにおける例として、原子力廃
炉、高齢者の家庭における自立および安全性ならびに住宅サービスに関するアイディアを募集するプロジェクトが3回行われ
たことが挙げられるが、かかる募集は、現在EDFの関連部門のサポートとともに進行中である12の有償の概念実証へと繋がっ
た。
( ニ) EDFグループのその他のサービス子会社
EDFが提供する一連のエネルギー・サービスは、EDFグループ内におけるその他の子会社によって完成する。かかるサービス
は、異なる区分の顧客(住宅、専門家、法人および地方自治体)を対象とした特殊分野に焦点を当てており、調査、建設、設
備保全、投資資金融資ならびに許可および助成金を取得するための補助を含む広範囲の業務を網羅する。
エネルギー管理
顧客によるエネルギーおよび流体の消費の管理を支援するため、EDFグループは施設の監視および管理ソリューションを提供
する。EDFグループの子会社であるNetseenergyおよびEdeliaは、この戦略的な分野において活動的である。
Netseenergy
EDFの完全保有会社であるNetseenergyは、企業用顧客および地方自治体が不動産におけるエネルギー・パフォーマンスおよ
び運営パフォーマンスを管理し、最適化することができるよう一連のソリューションを策定、開発および実施する。同社は、
以下のサービス提供等を行う、エネルギー管理のデジタル化における主要な事業者である。
・エネルギーおよび不動産のパフォーマンス管理:自動化データの回収、モバイル・アプリケーション、エネルギー管理業者
によるカスタマイズされたエネルギー管理
・革新的なエネルギー監査:顧客のエネルギーおよび不動産に関するデータのアルゴリズム制御ならびに科学データおよび
ビッグデータ
Netseenergyは、毎日20,000か所からの約9百万データのインプットを処理している。IoTの専門家によって毎日60,000の接
続対象物からデータが収集されるNetseenergyは、16年以上にわたり、エネルギーと表面積120百万平方メートル超の不動産面
積を管理してきた。
Netseenergyの価値提案は、不動産およびエネルギーに関するデータの収集を自動化し、分析することにより、エネルギー効
率を改善し、不動産管理をデジタル化することである。
Edelia ( Edev Téléservices )
136/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
Edeliaは、EDFの完全子会社であり、個人および法人がそのエネルギー消費量を監視し、管理するためのソリューションを設
計し、実施する。同社のオンライン・プラットフォームは、EDFグループの10百万を超える顧客に対して、一連の革新的なデジ
タル・サービスを提供する。またEdeliaは、利用者自身のエコシステムに適応可能なIoT(モノのインターネット)に基づくモ
ジュ ラー式ツールを提供することによって、スマート・ホームの接続対象物を最大限に活用し、顧客向けのデジタル・ツール
を改善している。
コネクテッド・ホーム
当グループの子会社であり、エネルギーの販売を接続ステーションと連携している唯一のフランス企業であるSoweeが提供す
る商品によって、住宅用顧客向けオプションの幅が広がった。当グループは、企業用顧客および地方自治体の顧客に対して、
エネルギー利用の管理を行うことにより、遠隔モニタリングおよび消費分析に関連する提供の幅を拡大し続けている。
電気モビリティ
現在、輸送分野は化石エネルギーに大きく依拠しており、二酸化炭素の排出の最も大きな原因の1つとなっている。それに
もかかわらず、低炭素電力は、環境に配慮した電気モビリティおよび地域の輸送の発展のための方策となっている。これが、
EDFグループが、とりわけその子会社のIZIVIA(旧Sodetrel)を通じてこの分野に投資を行っている理由である。
当グループのソリューションには以下のものが含まれる。
・電気自動車の充電インフラに係る位置決めおよび規模に関する地方自治体および法人向けのコンサルティング・サービス
・すべての顧客部門(住宅用顧客、地方自治体および法人、駐車場ならびにスーパーマーケット)のための充電インフラの設
置
・充電スタンドの遠隔による管理および監視
当グループはまた、グルノーブル、ニースおよびモナコにおいて、試験的な自動車の相乗りに参画した。
IZIVIA (旧Sodetrel)
EDFの完全子会社として、1998年にSodetrelの名称で設立されたIZIVIAは、現在、フランスの電気モビリティ・サービスの主
導的な事業者である。IZIVIAは、20年以上にわたり、充電スタンドの設置、運営および維持管理からその利用者との関係の管
理に至るまでの電気モビリティ・プロジェクトの各段階について、地方自治体、エネルギー・コンソーシアムおよび法人を支
援してきた。
IZIVIAは、自社製の200基のコリドー高速道路急速充電スタンド網( EDF、IZIVIA、Renault、日産、BMW、Volkswagenおよび
ParisTechから構成されるコンソーシアムからの資金提供ならびに欧州委員会からの追加的な資金提供を受けているプロジェク
ト。 )(市場におけるすべての電気自動車モデルに対応しており、約80キロメートルごとの間隔で設置されている。)を保有
し、運営しており、PASSを通じて、電気自動車またはハイブリッド電気自動車の運転手にとってのモビリティ・サービス提供
会社として自らを位置付けている。またIZIVIAは、充電に関するエネルギー消費量を最適化するために設計された互換性のあ
る自社製のスマート充電機器も作っている。
2018年にフランスのニース市は、Citelum-IZIVIA(旧Sodetrel)に対して、電気自動車充電スタンド網の維持管理に関する
契約を発注した。
電気工学:HTMS
EDFの完全子会社であるHTMSは、高電圧および中電圧の機器および変電所の運営および維持管理、回路ブレーカーおよび回路
変圧器の供給および交換、故障点検、プロジェクト管理の支援ならびに訓練に関与している。同社の主要な事業は、操作者の
安全性、施設の利用可能性ならびに施設および機器の持続可能性を確保するために、維持管理の最適化を行うことである。
また同社は、独自の評価およびコンサルティング(業務監査、維持方針の定義および機器のアップグレード)ならびに主要
なプロジェクトの監視業務も提供する。
その活動は、事業上の子会社(ボルドー、リヨンおよびアヴィニョン)が付随する3つの機関(Lorette、Audruicqおよび
Nantes)を中心に組織されている。
暖房:CHAM
EDFグループの完全子会社であるCHAMは、ボイラーから再生可能エネルギーまでの中小規模の暖房設備の設置、維持管理およ
び修理を行う。同社は革新的なオンラインによる維持管理ソリューションを展開しており、コネクテッド・ホームの管理サー
ビスを提供している。
フランスにおいて900人超の従業員を抱えているCHAMは、住宅所有者、民間および公共の集合住宅および法人のニーズの応
え、年間700,000を超えるタスクを完了する。
137/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
成長を執拗に追求するCHAMは、専門的な従業員、ネットワーク専門技術および力強い現地市場の3つの主要な強みに基づい
た専門的なエネルギー・サービス提供者として、自らを位置付けている。
エネルギー効率への第三者投資:Perfesco
EDFの完全子会社であるPerfescoは、設計、投資、設置および運営を含む、パフォーマンス保証付きのエコ・エネルギー効率
化サービスを提供している。Perfescoは、顧客によるエネルギー移行の手助けを行っている。同社は、これを行うために、主
要な経済事業者の高エネルギー消費項目を特定し、より経済的な機器の設置を提供し、節約できた分に基づき利益を生み出
す。
(ⅱ) ガス事業
欧州において、EDFグループは、25十億立方メートル超のガスを使用している。そのため、EDFは5.1百万超の顧客( 顧客は
2018年末現在の供給地点数に応じて分類されている。 )、コジェネレーション発電所およびガス発電所に対するガス供給の保
障を確保するガス戦略を開発した。
当グループは、その子会社であるEDF EnergyおよびEDF Luminusを通じて、より具体的にイタリアにおいては、その子会社で
あるEdisonを通じて、フランスおよび欧州の天然ガス市場において活動を行っている。後者のEdisonは、2017年8月1日に、
EDFの資産の運用および上流部門業務の開発に関するサービス契約を通じて、EDFのガス・プラットフォームとなった(「第2
3(2)⑤(ⅱ)(ロ)Edisonの戦略」を参照。)。また、当グループは、大陸および英国の卸売市場における取引に関連した
短期事業についてEDF Tradingに依拠しており、コジェネレーション発電所についてDalkiaに依拠している。
最後に、当グループは、欧州外、とりわけ主要な企業用顧客および配給事業者への重要な天然ガス供給業者であるEDF
Energy Servicesが所在する米国において、事業を行っている。
2018年にEDF Trading LimitedおよびJERA Co. Inc.は、EDF Tradingが持分の33.33%を保有し、JERA Co. Inc.の完全子会社
であるJERA Trading International Pte Ltdが持分の66.67%を保有する、JERA Global Marketsという名称のジョイント・ベ
ンチャーを設立することにつき合意した。JERA Global Marketsは、EDFとJERAのLNG資産の短期的および中期的なパフォーマン
スの管理を担う唯一の事業体となる。
( イ) 天然ガスの最終市場
2018年12月31日の欧州における下流部門の顧客ポートフォリオは、以下のとおりであった。
・フランス(EDFおよびÉS):2018年に約1.7百万人の顧客(小売業者および重要顧客)ならびに31TWh超
・イタリア(Edison):約0.9百万人の顧客、7.3G㎥のガスおよび約77.5TWh
・英国(EDF Energy)( 北アイルランドを除く。 ):約1.9百万人の顧客および約29TWh
・ベルギー(EDF Luminus):約600,000人の顧客および約14TWh
( ロ) ガス資産およびプロジェクト
( a) 供給源
欧州において、当グループのガスおよびLNGの供給は、カタール、ロシア、北海および北アフリカから生じる、短期および長
期のガス市場ならびに長期ガス契約の多様なポートフォリオを通じて確保している。
米国では、供給の大部分は、ガス市場から確保している。
世界のその他の地域においては、当グループのガス発電所の供給力を確保するために、特定の契約が締結されている。
当グループは、顧客に供給を継続できるよう中長期的なガス源の強化および多様化を目標としている。
( b) インフラ
ガス・パイプライン
EDFグループは、欧州ネットワークにおいて、様々な送電容量に係る権利を保有している以外に、その子会社のEdisonを通じ
てガス輸入インフラ・プロジェクトに参加している(「第2 3(2)⑤(ⅱ)(ハ)(b)炭化水素分野」を参照。)。
LNG 再ガス化ターミナル
2018年10月30日にEDFは、Axa Investment Managers - Real EstateとのパートナーシップとともにFluxysおよびCrédit
Agricoleに対して、またSamsung Securities Co. Ltd.、IBK Securities Co. Ltd.およびHanwha Investment & Securities
Co. Ltd.から構成される金融コンソーシアムに対して、(25%の持分をFluxys、10%の持分をTotalが保有する)ダンケルクの
LNGターミナルにおける65%の持分を売却した。EDFは、当グループのガス戦略に沿って、引き続きターミナルの主要な長期荷
主である。
138/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
またEDFは、Edisonを通じて、ロビゴ洋上ターミナルの再ガス化容量の80%(年間で6.4G㎥)を使用する権利を保持している
(「第2 3(2)⑤(ⅱ)イタリア」を参照。)。
当グループはまた、ゼーブルッヘ(ベルギー)のターミナルにおいて、再ガス化容量を有している。
小規模のLNGサプライ・チェーン
2018年にEdisonは、陸上輸送および海上輸送向けの低炭素の持続可能な燃料の開発を支援するために、陸上の貯蔵庫および
小規模のLNGターミナルによって構成される小規模のLNGサプライ・チェーンを、イタリアにおけるLNGの販売用に構築し始めた
(「第2 3(2)⑤(ⅱ)(ハ)(b)炭化水素分野」を参照。)。
貯蔵
ドイツにおいて、EDFグループは、エッツェルに位置する岩塩空洞による天然ガス貯蔵施設を所有している。この地上施設
は、EnBWとの50/50のジョイント・ベンチャーを通じて運営されている。EDFは、約190百万立方メートルの岩塩空洞貯蔵容量
を有している。
イタリアおよび英国における貯蔵事業については、それぞれ「第2 3(2)⑤(ⅱ)(ハ)(e)規制業務」および「第2
3(2)⑤(ⅰ)(ロ)(b)火力発電およびガスの貯蔵」を参照。
当グループはまた、オランダ、ベルギーおよびフランスにおいて貯蔵に係る権利を有している。
( c) 探鉱および生産(E&P)
当グループは、Edisonを通じて、上流の炭化水素の探鉱および生産の業務を行っている(「第2 3(2)⑤(ⅱ)イタリ
ア」を参照。)。ガスの確定埋蔵量は209百万バレルの石油に相当し、2018年には18.1百万バレルの石油に相当する量が生産さ
れた。
( ⅲ) 最適化および取引:EDF Trading
EDF Trading(EDFT)は、EDFグループおよび第三者に対して市場、最適化およびリスク管理に関するサービスを提供する、
EDFグループのエネルギー卸売市場との専用インターフェースである。同社は、欧州、北米およびアジアにわたり、電力、天然
ガス、LNGおよびLPG、環境商品ならびに(JERA Tradingとのパートナーシップを通じて)石炭および貨物の卸売市場で業務を
行っている。EDF Tradingは、欧州および北米において最大のエネルギー卸売市場取引業者の1つである。同社は、子会社であ
るEDF Energy Servicesを通じて、発電企業向けおよび小売業者向けのエネルギー管理サービスの主要な独立した提供者の1つ
であり、北米の商業用利用者および企業用利用者に対する小売電力供給業者の上位5社に含まれる。
EDF Tradingの登記上の本店はロンドンに所在する。同社は、約870人の従業員を有しており、英国金融市場の規制当局であ
る、金融行動監視機構の監督を受けている。
とりわけEDFは、DOAATに代わって卸売市場へのアクセスに責任を有する(「第2 3(2)③フランスにおけるEDFの最適化
業務」を参照。)。
欧州における電力市場
EDF Tradingは、年間2,000TWh超の取引を行う、欧州の電力卸売市場における主導的な参加者である。同社は、EDFグループ
の資産運用者および第三者に対して広範囲なリスク管理サービスを提供する。同社は、広範な地理的基盤および事業規模を有
しており、それにより市場の変化に素早く適応することおよび必要に応じて新規事業を展開することが可能となる。2018年に
EDF Tradingは、当グループのフランスの変動的な資産に対する最適化サービスを継続した。また同社は、フランスのEDF向け
に、ARENHの規制へのエクスポージャー管理を手助けする特注のリスク管理構造を開発した。EDFTは、2017年におけるEdisonと
の電力に関するパートナーシップを開始した後、イタリアにおけるサービスを拡大した。また同社は、EDFのC&I顧客事業向け
に多数の取引を成立させた。
欧州におけるガス事業
EDF Tradingはまた、年間764bcmを超える取引を行う、欧州のガス卸売市場における主導的な参加者である。同社は、生産、
輸送権、長期供給契約ならびに再ガス化および貯蔵の能力を含むEDFグループ企業のガス資産を最適化している。これにより、
完全なガス卸売市場のソリューションを通じたEDFグループおよび第三者顧客への支援が可能となる。2018年にEDF Trading
は、Edisonとの石油およびガスのヘッジ事業を増やし、ダンケルクのLNGターミナルにおける最適化サービスを拡張した。また
同社は、EDFの商業部門およびDalkiaに対して、ガス貯蔵まわりのフランスの新たな規制に対応する柔軟なサービスを含む市場
へのアクセスを提供した。
139/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
北米における電力事業およびガス事業
EDF Tradingは、広範な地理的基盤を持つ北米のエネルギー卸売市場における主導者である。また同社は、北米で700を超え
る取引先と取引を行う、主要な電力およびガスの業者の1つである。同社は、電力、天然ガスおよび環境に関する長期的な商
品を含む、顧客との契約ポートフォリオを有している。EDFT NAは、平均215百万立方メートルの天然ガス貯蔵容量の契約を有
するかまたは管理を行っており、また1日当たり約140百万立方メートルの取引を行っている。さらに同社は、5つのISOに散
在する300GWのポートフォリオに対する(金銭的および物理的な)ヘッジ管理および輻輳管理のサービスも提供している。2018
年、EDF Tradingは、E&P部門との業務を増やし、生産者から購入するにあたって生産者との関係を構築し、同社の供給義務を
最適化している。
EDF Energy Services
EDF Energy Servicesは、北米におけるEDF Trading専用の顧客基盤であり、C&I事業、発電事業者およびエネルギー小売アグ
リゲーターに対して、包括的なエネルギー・リスク管理サービスを提供している。同社は、非住宅用顧客のポートフォリオに
対して環境商品、天然ガスおよび電力を提供し、北米の小売電力供給業者の上位5社にランク付けされている。さらに同社
は、米国およびカナダにおける住宅用顧客および小口の商業用顧客に対して電力およびガスの供給を行うエネルギー小売アグ
リゲーターとの供給契約も有している。EDF Energy Servicesは、米国における第三者の発電所向けの主要な発電事業者の1社
であり、147の発電所および12を超える負荷需要反応顧客に対して、41GW超の発電量を給電している。EDF ESの顧客の一部は欧
州の事業体であるかまたは欧州で事業を行っていることから、EDFはこれらの顧客の要求にグローバルな規模で応えることがで
きる。2018年、EDF Energy Servicesは、多数の契約の締結または更新を行うことにより、その基盤を拡張し続けている。同社
は現在、欧州および北米においてプレゼンスを有する、EDFの世界トップの顧客のうちの26の顧客に対応している。2018年、
EDF Energy Servicesは、TransCanadaの電力マーケティング小売ポートフォリオを取得したことにより、より幅広い顧客にア
クセスできるようになり、またより小規模な商業用顧客および企業用顧客を取り込んで顧客基盤を拡張する戦略を推し進めて
いる。
環境関連商品
EDF Tradingは、環境商品市場に専念しており、有数の再生可能エネルギー発電事業者として、EDFグループおよび世界中の
第三者顧客を支援する、複数のコモディティによる幅広い仕組みソリューションを提供している。EDFTは、欧州における発電
源証明書による保証、米国における再生可能エネルギー証書および世界のその他の地域における国際再生可能エネルギー証書
を含む、コンプライアンスおよび任意の炭素市場において積極的に活動している。さらに同社は、欧州の天候市場のリスク管
理商品において広く認められている先駆者および提供者である。2018年にEDF Tradingは、EDFグループにとって初となるI-REC
(国際再生可能エネルギー証書)を締結し、発電源証明書に関する事業を拡大させた。
世界の燃料
2017年4月、EDF Tradingは、JERAに対する石炭および輸送事業の売却を完了した。EDFTは現在、世界で最大規模の石炭取引
業者の1社であるJERA Tradingの33%の株式持分を保有している。
EDF Tradingは、供給、配給および適切なネットワークへの委託を含む全範囲のLNGサービスおよびLPGサービスを提供してい
る。2018年にEDF TradingおよびJERAは、LNGの最適化および取引を行うジョイント・ベンチャーを設立するための拘束力のあ
る契約を締結し、これによってJERAとEDFTそれぞれによるLNGの最適化および取引の業務がJERA Tradingに統合される。かかる
取引は、2019年初めに完了する予定である。当グループは、引き続きグローバルなLPG業務を展開している。
( ⅳ) 株式持分
( イ) EDF Trading Logistics
2018年に約1百万トンの燃料油および1.8百万トンの石炭を供給したEDF Trading Logisticsは、燃料油の購入におけるEDFの
媒体を務める。同社は、JERA Tradingならびにル・アーブルおよびサンナゼールの港にある石炭ターミナルの事業者との密接
な協力関係とともに、フランス本土、コルシカ島およびフランスの海外県におけるEDFグループのすべての火力発電所のため
に、燃料油および石炭の供給物流業務を行っている。
さらに、EDF Trading Logisticsは、当グループに対し、燃料油(有害物質)の輸送に係るリスク管理業務(ISO 14001認証
を取得した業務)およびこの業務から生じる環境危機の管理についての専門知識を提供している。
( ロ) その他の株式持分
地方配電会社またはLDC(SMEG、Enercal、Électricité de MayotteおよびEDSB)に対する持分のほかに、EDFグループは産業
上の子会社および持分を保有している。これらの企業は、特定の事業分野(すなわち発電、燃料およびエンジニアリング)に
140/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
おいて当グループの任務に貢献し、特に発電およびエンジニアリングの分野において、EDFのフランスにおける発電資産ポート
フォリオの短中期のパフォーマンスを保証する。
かかる企業には、EDFグループに代わって燃料の輸送および取引業務を専門に行うSAE、小規模の発電所における水力発電を
専門に行うSHEMA、ならびにEDFの完全子会社であり、また低レベルおよび中レベルの放射線廃棄物の処理および被覆を専門に
行うSOCODEIが含まれる。
フランス国外の欧州大陸において、EDFは化石燃料に基づくエネルギー生成資産の戦略的な検討を開始した。
専用資産ポートフォリオの最近の変動については、「第3 3(3)⑥(ⅰ)(ヘ)EDFの専用資産ポートフォリオに対する金
融リスクの管理」を参照。
( 3) 法令および規制に関する環境
EDFグループの会社は、その事業の遂行において、様々な広範の規制に服する。特に、EDFは、フランスの法律に移行されて
いる電力市場およびガス市場に係る欧州の規制に服し、同時に、適用ある環境、原子力発電、保健および安全に関する規制に
も服する。
法令および規制の規定についての以下の説明は、EDFグループに適用されるかかるすべての法令および規制の規定を完全に記
載することを意図していない。
① 公共事業体としてのEDF
2018年12月31日現在、フランス政府は、EDFの株式資本の83.67%( 2018年1月以降EPIC(商工業公益企業体)である
BpiFranceが保有するEDFの株式389,349,361株の割当て分を含む。 )および議決権の88.83%を保有しており、また、フラン
ス・エネルギー法第L.111-67条に従い、EDFの資本の70%以上を常に保有していなければならない。
フランス政府が支配株主である会社として、EDFは、公企業のガバナンスおよび資本取引に関する2014年8月20日付政令第
2014-948号および同日付施行令第2014-949号に服する。
2004年9月9日付命令第2004-963号により設置されたフランス政府株式保有代理機関(APE)は、フランス政府のEDF株主と
しての権限を実行し、この点に関し、関係する担当大臣と協議してフランス政府の決定および指針を提言し、実行する。
フランス政府が支配株主であるすべての事業体に適用される法律に従って、EDFは、特に、フランス政府による経済的評価お
よび財務評価に関する1955年5月26日付命令第55-733号ならびに国有公共事業体および経済的または社会的目的を有する特定
の機関に対するフランス政府による評価に関する1953年8月9日付命令第53-707号に基づく経済的評価および財務評価を通じ
た、フランス政府による一定の監査手続を受けなければならないことがある。
EDFはまた、フランス会計検査院( Cour des Comptes )およびフランス議会による監査手続を受けなければならない。した
がって、法定監査人による統制に加え、当社の会計および経営ならびに必要に応じて過半数を所有する直接子会社の会計およ
び経営が、フランス財務管轄法第L.111-4条、第L.133-1条および第L.133-2条に従ってフランス会計検査院の統制下に置かれ
る。
さらに、企業、コンソーシアムおよび組織または政府からの財政援助を要求するあらゆる形態の会社に対する政府の支配を
規定する1935年10月30日付命令では、一般財政検査院による監査をEDFに受けさせる権限を経済担当大臣に与えている。
最後に、フランス政府によるEDF株式の処分またはEDF資本のフランス政府保有分の希薄化は、公企業のガバナンスおよび資
本取引に関する2014年8月20日付政令第2014-948号に従った特別の手続を必要とする。
② フランスにおける公共サービス
フランスにおける公共サービスの法令上の定義
フランス・エネルギー法第L.121-1条以下に、公共電力サービスの枠組みの概要が述べられている(かかる規定については、
「第2 3(3)③(ⅱ)フランスの規制:エネルギー法」を参照。)。
公共サービスに係る使命
フランス・エネルギー法第L.121-1条以下は、公共電力サービスは均衡の取れた電力供給を発展させ、公共電力網の開発およ
び運営を行い、規制販売料金で電力を供給しなければならないと規定している。
均衡の取れた電力供給の発展に係る使命
フランス・エネルギー法第L.121-3条に規定される、均衡の取れた電力供給の発展の目的は、複数年にわたるエネルギー計画
(PPE)に規定された目的を達成することである。PPEは、命令により規定され、フランス本土におけるあらゆる形式のエネル
ギーの管理に係る公的機関の行動の優先順位を設定する。かかる優先順位は、2015年11月18日付命令第2015-1491号に規定され
る、炭素に係る予算および低炭素戦略により設定される温室効果ガスの排出削減目標との互換性がなければならない。
141/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
PPEには、(ⅰ)供給の保証、(ⅱ)エネルギー効率の改善および一次エネルギー(とりわけ化石燃料)消費の削減、(ⅲ)
再生可能エネルギーの利用およびエネルギー回復の発展、(ⅳ)エネルギー電力網、貯蔵および転換の均衡の取れた発展なら
び にエネルギー需要の管理、(ⅴ)とりわけ国際競争に晒されている事業体に係る消費者購買力およびエネルギー価格の競争
力の維持、(ⅵ)エネルギー分野における専門技術の需要の評価および研修コースをかかる需要にいかに適用できるか、なら
びに(ⅶ)クリーン・モビリティの開発戦略についての項目が含まれている。
同計画は、その定量的目標ならびに政府およびその公的機関がかかる目標を達成するために動員する公的基金に係る表示予
算の上限額を規定している。同予算は、目的ごとおよび産業部門ごとに分割することができる。
最初のPPEは、当初3年間(2016年から2018年)および第2期の5年間(2018年から2023年)を対象とする。その後のPPE
は、2回の連続する5年の期間を対象として作成される。
最初のPPEは、複数年にわたるエネルギー計画に関する2016年10月27日付命令第2016-1442号に規定される。EDFは、法律に従
い、2017年4月6日に、PPEの第1期に規定される供給の安定性および発電の多様性に関する目標を達成するために当社が実施
する行動を提示した企業戦略計画(PSE)を作成した。エネルギー担当大臣の承認を得るためにPSEが提出されたが、エネル
ギー担当大臣は、PSEのPPEとの適合性を検討した後、EDFに対して新たな計画を作成するように求めた。
電力供給の均衡の取れた発展の使命には、フランス本土と相互接続されていない地域(コルシカ島ならびに海外県および海
外領土)ならびにブルターニュのいくつかの島への供給を保証することも含まれている。コルシカ島、グアドループ、ギア
ナ、マルティニーク、マヨット島、ラ・レユニオン島およびサンピエール島・ミクロン島は、それぞれ独自のPPEを有する。大
都市電力網に相互接続されていないその他の地域(サンマルタン島およびサンバルテルミー島を除く。)は、フランス本土の
PPEに追加される項目に服することとなる。
EDFは、発電事業者として、他の発電事業者とともに、この使命の遂行に貢献している。
2018年3月19日から同年6月30日までの間に、2019年から2023年および2024年から2028年の期間に係るPPE案に対するパブ
リックコメントが募られた。
2019年1月25日に環境省は、今後数年間における国のエネルギーに関する基礎を成すこととなるPPE案の全文を公開した。最
初にPPE案は、エネルギー移行、エネルギー方針、エネルギー料金およびエネルギー供給網に関して正式に付託された権限を有
する様々な国の代表組織( Conseil National de la Transition Écologique 、 Conseil Supérieur de l'Energie 、 Comité
d'Experts pour la Transition Énergétique 、 Comité de Gestion des Charges de Service Public de l'Électricité および
Comité du Système de Distribution Publique d'Électricité )によって、審議、承認、改訂または却下される。その後、国
の環境当局により公表される意見を考慮して、PPEについてのオンラインによるパブリックコメントが募られる。近隣諸国から
のコメントも募られる。PPEの採用およびこれに対応する命令の公布は、2019年に予定されている。
公共送配電網の開発および運営に係る使命
フランス・エネルギー法第L.121-4条に規定される公共送配電網の開発および運営に係る使命は、以下を確保することにあ
る。
・環境に優しい方法による公共送配電網を通じてのフランスにおける合理的な配電サービス。
・近隣諸国との相互接続ならびに非差別的な状況の下での公共送配電網への接続およびアクセス。
これらの義務を果たすことを法律によって指定されている公共電力網事業者は、送電についてはRTE、配電についてはEnedis
および現地の配電会社(地方配電会社またはLDC)、大陸の大都市と電力網が相互接続されていない地域における送配電につい
てはEDFとなっている。
電力を供給する使命
フランス・エネルギー法第L.121-5条に規定される電力供給に関する公共サービスの使命は、電力の規制販売料金の恩恵を受
けるフランス全土の顧客に対する電力供給を確保することにある。
法律により、かかる使命はEDFおよびLDCに委託されている。
電力の規制販売料金から恩恵を受けることができる顧客についての条件は、フランス・エネルギー法第L.337-7条以下に規定
されている。
また、電力を供給する使命には、特別な「基本必須」料金(TPN)の適用も含まれている。かかる公共サービスに関する使命
は、全電力供給業者に対して割り当てられている。2015年8月17日付法律第2015-992号(エネルギー移行法)は、「エネル
ギー・バウチャー」によるTPNの漸進的な移行について規定している。かかるバウチャーは、特別な支払手段であり、それによ
り財政難に陥っている家庭がエネルギー費用(電気、ガス、燃料油など)または住宅のエネルギー効率の改善に係る費用の一
部を補填することができる。
142/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
さらに、電力を供給する使命には、公共電力網に接続する顧客への予備電力の供給も含まれている。関係監督機関は、1回
または複数回の入札手続により、予備電力供給業者を指定する。2019年3月15日現在、施行規則がまだ適用されていないた
め、かかる規則はまだ効力を生じていない。
社会的連携
フランス・エネルギー法第L.121-5条は、規制料金による電力供給は、特に電力の規制販売料金および規制販売料金への資格
の国内平準化を通じて社会的連携に貢献しなければならないとしている。
フランス社会扶助家族法第L.115-3条は、電力供給業者に対して、冬季(11月1日から3月31日まで)において、電気料金支
払遅滞を理由に、個人または家庭の主たる居住地に対する電力供給の停止を実行すること(解約を含む。)を禁止している。
ただし、電力供給業者は、一定の場合において、供給電力を減らすことができる(「エネルギー・バウチャー」の恩恵を受け
ている顧客の場合を除く。)。
EDFは、電力供給業者として、2014年2月27日付命令第2014-274号に従い改正された内容で施行された上記条文ならびに電
気、ガス、暖房および水道の料金支払遅滞の場合に適用される手続に関する2008年8月13日付命令第2008-780号の定める条件
に従って、電力供給を維持しなければならない。
公共サービス契約
フランス・エネルギー法第L.121-46条に従って、2005年10月24日、フランス政府およびEDFにより公共サービス契約が締結さ
れた。かかる契約は、EDFおよびフランス政府が行ったコミットメントを詳述し、サービス・コミットメントに対する財政的な
補償について定めた規則を明確にするものであり、当該契約に規定されたとおり、新たな契約が締結されるまで有効に存続す
る旨定められている。
EDF のコミットメント(電力網事業者を除く。)
EDFの公共サービス・コミットメントには、以下のものが含まれる。
・公共電力サービスへのアクセスおよび規制料金を引き続き受けることを選択した顧客への電力供給。
・生産および販売。これらの分野にはエネルギー政策の実施および環境に優しく安全な発電を維持することが含まれる。
・電力網の安全性への貢献。この点について、特に発電施設の最適化および電力網の均衡を維持するために必要な資源の利用
可能性について、EDFはRTEと複数の契約を締結している。
電力網事業者によるコミットメント
公共サービス契約において、EnedisおよびRTEの電力網事業者は、公共送配電網の管理および電力網の安全を確約した。これ
らのコミットメントは、公共送配電網使用料金(TURPE)により賄われる。
これらのコミットメントは、特に、電力網の安全性、供給の質、第三者の安全性および環境保護に関するものであり、これ
らの4分野は顧客および地方自治体の期待がとりわけ高い分野である。
よりアクセスしやすいサービス
2010年9月28日、政府およびEDFならびにその他8社の主要な公共サービス事業者は、パートナーシップ契約「 + de
services au public 」(さらなる公共サービスを)を締結した。かかるパートナーシップ契約は、フランスの農村人口に対し
て、請求書の支払いに関する情報、総合案内、交通チケットの販売等のサービス提供を行うためのアクセスを開発することを
目的としている。
受付スタッフおよびインターネットのアクセスポイントは、多重サービス仲介情報ポイント(PIMMS)、公共サービス中継所
(RSP)および市役所などその他の建造物等、共有する施設を通じて利用者に提供できる多くの資源のうちの一部である。かか
るサービスがフランスにおける22県で展開された実験段階の後、2013年7月、公共活動の近代化に関する省庁間委員会
(CIMAP)は、フランス全土でサービスの開始を延長することを決定した。
③ 電力市場の規制
(ⅰ) 欧州の規制
発電、送電、配電および電力の供給に関する共通規則を定めるため、3つの欧州指令が相次いで適用され、現在のフランス
の電力市場の組織の基礎となっている。1996年12月19日付指令96/92/ECは、競争を促すために電力市場を開放するための基礎
を築いた。
2003年6月26日付指令2003/54/ECにおいて、主要な原則を踏襲し、新規市場開拓のために資格要件をすべての顧客へ漸進的
に拡大する追加的な策がとられた。
143/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
「第3電力指令」として知られる2009年7月13日付指令2009/72/ECは、第三次「エネルギー・パッケージ」の一部として導
入された。かかる指令は、主として送電系統事業者の独立性の保証を強化し、国内規制当局の権限を増大させる。かかる規定
は、 フランス・エネルギー法に統合された。
さらに、国境を越えた電力取引のための電力網へのアクセス条件について定めた規則は現在、第三次エネルギー・パッケー
ジの一部である2009年7月13日付欧州議会および欧州理事会の規制(EC)第714/2009号により規定されている。この規制は、
特に、送電系統事業者が電力網上において国境を越えて電力の流れを受容した場合に必要となる費用に対する補償の仕組みを
規定している。この補償の支払いは、国境を越える電力の流れの発生地点およびこれらの流れの終着地点のシステムにある国
の送電系統事業者により行われる。
最後に、2006年1月18日付で採択された「電力供給の安全性」に関する指令2005/89/ECは、最低限の運営基準が満たされる
ことを確実にし、需要と供給の均衡を維持し、さらに、システムに対する投資を導く、様々な事業者の責任をより明確に規定
するために策定されている。この指令の目的は、フランスの様々な法令および規則の中で考慮されている。
エネルギー同盟
2016年11月30日、欧州委員会は、電力に係るすべての法律の修正を提案する「すべての欧州の人々にクリーン・エネルギー
を」と題する法案パッケージを提示した。かかるパッケージは、11の立法上の文書および欧州委員会の提案に伴う相当数のコ
ミュニケーション関連書類からなる。これらの提案は、電力の卸売市場および小売市場の組織が対象となり、消費者中心の対
策の重要性を高めるために策定されている。また法案は、エネルギー効率(30%の目標の提案)および再生可能エネルギー
(27%の目標の提案)の観点から、2030年の新たな欧州の目標を確認または提案する機会となる。新たな規制は供給の保証の
ために提案され、エネルギー規制機関調整庁(ACER)に関して規制の改定案が提示された。すべての規定案は、欧州のエネル
ギーおよび気候に関する政策の便宜のために、欧州エネルギー同盟の計画の一環として、電力市場にとってより一貫した組織
的な枠組みを策定することを目的としている。エネルギー同盟による統治に関する法解釈メモは、パッケージを完成させ、欧
州委員会により実施される予定の、加盟国による目標達成の監視方法を規定する。議会討論は2017年初めに開始され、欧州連
合理事会もこれらの文書に関する交渉に参加した。建物のエネルギー・パフォーマンスに関する2018年5月30日付指令(EU)
2018/844は別として、最終的な文書は、欧州議会、欧州連合理事会および欧州委員会の三者間交渉の後、2019年半ばより前に
採択される予定はない。そのため新規または改定済みの規定は、加盟国に直ちに適用可能であるか(規制)または国内法に置
き換わる必要があるか(18か月のデフォルト期間)によって、2019年から2021年までの間に効力が生じる予定である。
エネルギー規制機関調整庁
2009年7月13日付欧州議会および欧州連合理事会の規制(EC)第713/2009号により、エネルギー規制機関調整庁(ACER)が
設立された。ACERは、電力およびガス分野の送配電網規約を発展させる役割を担い、国境を越えたインフラに関する決定を行
うことができる(かかる主題については、「第2 3(3)⑥(ⅱ)(ホ)再生可能エネルギー発電に適用される規制」を参
照。)。
(ⅱ) フランスの規制:エネルギー法
エネルギー法に関する様々な法規( 1906年6月15日付法律、1946年4月8日付法律第46-628号、2000年2月10日付法律第
2000-108号、2003年1月3日付法律第2003-8号、2004年8月9日付法律第2004-803号、2006年12月7日付法律第2006-1537号お
よび2010年12月7日付法律第2010-1488号 )は、原子力発電に係る規定の大部分を除き、2011年5月9日付政令第2011-504号に
よりフランス・エネルギー法に統合された。原子力発電に係る規定は、2012年1月5日付政令第2012-6号により、フランス環
境法に統合された。さらに、2015年12月30日付命令第2015-1823号により、フランス・エネルギー法の規制の項が体系化されて
いる。結果として、約100のエネルギー法に係る命令が置き換えられた。
グリーン成長に向けたエネルギー移行に関する2015年8月17日付法律により、フランス・エネルギー法の多数の規定、とり
わけエネルギー政策の目的が改正されている。それらは現在、あらゆる産業部門(とりわけグリーン成長部門)の結集、供給
の保証および輸入への依存の減少、競争力があり魅力的なエネルギー価格、人間および環境の健康、社会的連携および地域的
統合、燃料不足との闘いならびに欧州エネルギー同盟の推進への寄与を通じて多数の雇用を創出する競争力のある経済を達成
することに重点が置かれている。
発電施設
フランス・エネルギー法第L.311-5条に基づき発行された運営免許を取得すれば、いかなる者も、命令により定められた電力
に関する一定の基準を超えた発電所を運営することができる。電力発電に関連する地方当局の権限および責任については、フ
ランス地方自治体法第L.2224-32条および第L.2224-33条ならびに環境に対する国家のコミットメントに係る2010年7月12日付
法律第2010-788号第88条に規定されている。
144/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
既存の原子力発電所からの電力に対する規制されたアクセス(ARENH)
フランス・エネルギー法第L.336-1条以下で規定されている、既存の原子力発電所からの電力に対する規制されたアクセス
(ARENH)を規制する法律は、2011年7月1日から施行されている。この点に関しては、「第2 3(2)③(ⅲ)既存の原子
力発電所からの電力に対する規制されたアクセス( Accès Régulé à l'Énergie Nucléaire Historique またはARENH)」を参照。
電力供給業者の選択
2007年7月1日以降、すべての顧客は例外なく、欧州連合の領域またはフランスと国際契約を締結している国の領域におい
て設立された発電事業者または供給業者と、自己の選択に基づき、自由に電力購入契約を締結できる資格を有する(フラン
ス・エネルギー法第L.331-1条)。
顧客は、フランス・エネルギー法第L.337-7条以下に記載の条件に従って、電力の規制販売料金から恩恵を受けることを選択
できる。これらの規定の内容は以下のとおりである。
・電力需要が36kVA以下の住宅用最終顧客および非住宅用最終顧客は、顧客の依頼により、規制販売料金の恩恵を享受する。こ
れは、フランス本土と相互接続されていない地域のすべての顧客にも当てはまる。
・電力需要が36kVA超の住宅用最終顧客および非住宅用最終顧客のうち、2010年12月7日までに資格を行使しなかった者は、
2015年12月31日まで、規制料金の恩恵を享受することができた。かかる顧客は、2016年1月1日以降は、規制料金の恩恵を
受けていない。消費に関する2014年3月17日付法律第2014-344号第25条により、6か月間の移行期間について規定されてお
り、2015年12月31日までに供給業者と新規の契約を締結していない顧客は、電力供給の継続による利益を保証するため、最
大6か月間の移行期間中、EDF( または地方配電会社 )との契約による利益を引き続き享受するが、その終了日(すなわち
2016年6月30日)以後は電力が供給されない。かかる期間中、顧客は、かかる契約を、補償金を支払うことなくいつでも終
了する機会があった。EDFは、該当する顧客に対し、移行中の契約の終了について、当該終了の3か月前および1か月前に書
面により通知する義務を負う。2016年2月10日付政令第2016-129号により、2016年7月1日以降、継続したガスおよび電力
の供給を確保する制度が導入された。2016年6月30日時点で市場基準提案への申込みを行っていない顧客は、CREの2016年5
月4日付決定に従い、競争入札手続を経て指定された供給業者の提案する新契約を受け入れたものとみなされる。2016年11
月、CREは、2016年5月に割り当てることのできなかったロットの新規入札を実施した。かかる入札は、電力供給契約を対象
とするロットについては、不成功に終わった。
フランス・エネルギー法第L.111-84条は、その資格にかかる権利を行使した顧客への供給と規制料金の顧客への供給の区別
がつくよう、内部会計を維持することを求めている。国およびCREは、電力会社の決算書を入手する権利を有する。
電力網に対する第三者のアクセス
フランス・エネルギー法第L.111-91条は、以下の目的のため、電力網事業者が公共送配電網へのアクセスを保証しなければ
ならないことを規定している。
・規制電気販売料金および基本必須特別料金で電力供給に関する公共サービス責任を履行すること。
・電力調達契約を履行すること。
・フランス国内の領土に所在する発電事業者または供給業者が締結した電力輸出契約を履行すること。
第三者の電力網へのアクセスに関する紛争は、エネルギー規制委員会(CRE)の一部である紛争調停および制裁に関する委員
会(CoRDiS)により取り扱われる。
フランス・エネルギー法第L.341-2条以下に規定される、公共送配電網使用料金(TURPE)は、2017年8月1日に効力が生じ
ている。かかる料金は、送電(TURPE5 HVB)および配電(TURPE5 HVA/LV)について、それぞれCREによる2016年11月17日付
決定により規定された。CREは、2017年10月26日付決定を通じて、TURPE5配電に関する2016年11月17日付決定に、顧客管理に
付随する費用の補填条件(供給業者手数料)を規定する決定を追加した。
特定の発電部門に係る助成金制度
EDFは、電力購入義務を負っており、その結果として施設の事業者との間で契約を締結した。購入義務の制度は、公共電力
サービスの近代化および発展に係る2000年2月10日付法律第2000-108号により設定され、グリーン成長に向けたエネルギー移
行に関する2015年8月17日付法律第2015-992号により改正された。これはこの制度のいくつかの面を明確にし、追加報酬の名
の下に助成金の新しい形を創出するものである。前述の2015年8月17日付法律に基づく特定の発電部門に係る助成金制度は現
在、3組の個別の制度からなる。
第一に、購入義務制度は、フランス・エネルギー法第L.314-1条以下により規定される。かかる条項は、再生可能エネルギー
の資源を使用するためまたはエネルギー効率の具体的な形式(例えばコジェネレーション)を持っているため、公共機関が発
展の支援を望む技術部門が発電した電力について、EDF(およびサービス提供地域の範囲内において供給の責任を有するLDC)
145/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
は発電事業者の請求に応じて購入契約を締結しなければならないことを規定している。適格な施設は、フランス・エネルギー
法第D.314-15条に記載されている。
フランス・エネルギー法第R.314-2条は、購入義務から恩恵を受けている発電事業者は、エネルギー担当大臣の承認を受けた
参考モデルを基準として締結された契約に基づき、そのすべての発電量をEDFに販売しなければならないことを規定している。
購入条件、特に、電力購入価格は、エネルギー・経済担当大臣の省令により規定される。
第二に、追加報酬制度は、グリーン成長に向けたエネルギー移行に関する2015年8月17日付法律第2015-992号により導入さ
れ、フランス・エネルギー法第L.314-18条以下に準拠している。追加報酬は、発電した電力の市場での売却および供給量証書
の割当てにより得た収入を補完するものとして発電事業者に対して支払われるプレミアムの形式をとる。この点において、EDF
は、契約締結を要求する適格な発電事業者との間および現在購入義務から恩恵を受けており当初の購入契約の条件の残りの部
分について追加報酬契約から恩恵を受けることを望む特定の発電事業者との間で、追加報酬契約を締結する義務を負う。追加
報酬の受給資格を有する施設は、フランス・エネルギー法第D.314-23条に記載されている。
第三に、エネルギー担当大臣は、発電容量が複数年にわたるエネルギー計画の目標を満たさない場合、フランス・エネル
ギー法第L.311-10条以下に従い、入札手続を開始することができる。EDFはその後、LDCが供給する地域外で、選出された入札
者との間で、電力購入契約または追加報酬を規定する契約(「発電事業者」の資格において、入札で選出されたのがEDF自身で
ある場合は覚書)を締結することを義務付けられている。
エネルギー購入義務に基づき締結された契約から発生し EDFおよびLDCが負担する 追加費用については、政府により補償さ
れ、とりわけ2015年補正予算法により創設された「エネルギー移行」に係る特別目的会計を財源とする。2018年において、
2017年12月30日付法律第2017-1837号第50条(2018年予算法)により、TICCおよびTICPEによる予想税収入の不確実性ならびに
CASの収入の拡大を克服するために、フランス・エネルギー法第L.314-14条に規定される保証された資源の入札により生じる収
入を組み入れられ、当該収入が一定の割合でTICCおよびTICPEに代わる資金源となる。同様に、2019年予算法は、2019年の支出
予算に沿って、TICPEの割合を7,166.3百万ユーロから7,246.4百万ユーロにわずかに増やすことを規定している。
公共サービスの追加費用の補償機構
公共電力サービス拠出金(CSPE)
フランス・エネルギー法第L.121-6条により、政府は、とりわけその他の発電事業者およびLDCに対して電力(電気およびガ
ス)を生成し、供給するよう、EDFに割り当てられている公共サービスの義務に帰属する費用をすべて補償しなければならない
という原則が規定されている。
発電に関する場合、フランス・エネルギー法第L.121-7条に規定される費用は以下を含む。
・入札手続(フランス・エネルギー法第L.311-10条以下)後にEDFおよびLDCにより締結された電力購入契約およびフランス・
エネルギー法第L.314-1条以下の枠組みの中で締結された購入義務契約の両契約ならびにフランス・エネルギー法第L.314-18
条以下に従い締結された追加報酬契約から生じる追加的費用。
・フランス本土と相互接続されていない地域における以下の費用。
-規制販売料金から発電費用に充当される額によって補償されない追加的発電費用。電力網事業者が管理する貯蔵施設に関
する費用。補償される額は、当該費用により削減された追加的発電費用の額を上限とする。
-規制販売料金から発電費用に充当される額によって補償されない追加的電力調達費用(上記購入義務に関連するものを除
く。)。補償される額は、当該費用により削減された追加的発電費用の額を上限とする。
-エネルギー需要管理計画において電力供給業者が支払う費用(当該計画において得られる利益の控除後)。補償される額
は、当該費用により削減された追加的発電費用の額を上限とする。
-複数年にわたるエネルギー計画に係る命令に規定される電力供給プロジェクトの実施を目的とした、発電事業者または供
給業者により支払われる研究費用。
・2016年補正予算法以降、購入契約、追加報酬契約および入札手続後に締結された契約の締結および管理から直接的に生じ
た、EDFおよびLDCの直接負担となる費用(適切に管理され、適正に準備された場合に、平均的な企業が負担したであろう費
用の範囲内)。
電力供給に関する場合、フランス・エネルギー法第L.121-8条に規定される費用は以下を含む。
・「エネルギー・バウチャー」の実施によって供給業者が被る収益損失および追加費用。
・低所得者向けに作成されたスマート・メーターの展示計画への参加に伴い電力供給業者が被る費用。
さらに、フランス・エネルギー法第L.121-8-1条の規定に基づき、負荷制限容量が複数年にわたるエネルギー計画に規定され
る目標に達しなかった場合に公共送電網事業者が開始する可能性のある入札に関して、当該公共送電網事業者の負担する費用
を拠出することも、CSPEの目的である。
146/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
フランス・エネルギー法第L.121-9条以下に準拠している公共サービス費用の補償機構は、2015年12月29日付法律第2015-
1786号(2015年補正予算法)に基づき2016年1月1日に改正されており、これは公共電力サービスの費用の資金調達を確保す
ることを目的としている。
電力(およびガス)の公共サービス費用は現在、以下のとおり総合的に資金調達が行われている。
・再生可能エネルギーに係る助成金制度の対象となるエネルギー移行に関連する費用および2015年12月31日現在においてEDFが
負う「長期」補償金の不足額の払戻しは、2015年補正予算法により創設された「エネルギー移行」に係る特別目的会計
(CAS)として計上された。 2017 年初め以降、CASは、TICPEおよびより少ない程度ではあるがTICCの収入の一定の割合から資
金を得ている。したがって、化石燃料がエネルギー移行に伴う支払い の補助となっている。
・再生可能エネルギーの助成金制度に付随する費用を除く、その他の公共サービス費用(燃料貧困、フランス本土と相互接続
されていない地域における料金の公平性、コジェネレーションおよびエネルギー斡旋に係る予算など)は、「公共電力サー
ビス」の一般予算に直接組み込まれる。
・公共電力サービス拠出金(CSPE)と改称された 電力の最終消費に係る国内税からの収入(TICPE)は、一般予算に直接的に影
響を及ぼす。 CSPEは、電力の販売価格に対する追加課税の形式で電力の最終消費者から、または自家用に発電を行う発電事
業者から直接的に徴収されている。2017年1月1日より前において、CSPEは、再生可能エネルギーおよびコジェネレーショ
ンの発電所への資金提供に使用され、島部地域における予算超過を相殺し、福祉政策への援助を行っていた。
CSPEの金額は、2016年1月1日以降、22.50ユーロ/MWhに設定されている。かかる金額は、2017年、2018年および2019年も
維持される。例外として、電力集約型および超電力集約型の事業体および配電会社に関しては、料金の減額が0.50ユーロ/MWh
から12ユーロ/MWhの間で規定された。
2016年2月18日付命令第2016-158号は、公共サービス・エネルギーの使命、各事業者に対して補償される費用の額を決定す
る手続および費用を負担した事業者に対する補償金の支払いに係る取引に起因する費用の決定に係る規則を規定している。
CREは毎年、前年度に関する事業者の責任である公共サービス・エネルギーの使命に起因する費用を計上し、次年度に係る同
様の費用の暫定的な金額を査定し、当年度に係る費用の予想を更新する。このようにすることによって、「エネルギー移行」
特別目的会計に割り当てられる費用と一般予算から直接的に調達される費用を区別する。
CREは、毎年7月15日より前に、エネルギー担当大臣に対してこれらの費用の評価額を提示する。
再生可能エネルギー源から発電する施設(主に、風力発電施設および太陽光発電施設)および購入義務から利益を得る施設
の大幅な拡張は、ここ数年で、補償される費用の大幅な増加に繋がった。しかし2007年以降、消費者に実際に適用されたCSPE
の金額では、これらの費用を補填できておらず、EDFが単独で行い、当グループの負債額に悪影響を及ぼす補償額の不足分の支
払いへと繋がった。そのため、電力消費者のみに基づかない資金調達による、均衡の取れた新たな制度(すなわち新たに生じ
る構造的な不足を回避する制度)を設計する必要性が生じている(電力は最も低炭素なエネルギーである一方で、不均衡な税
制度により、その他のエネルギー形態に対する競争力に対してペナルティーが科されることがあり、これは「エネルギー移
行」法に基づく二酸化炭素排出量の削減目標と矛盾するものである。)。このことから、2017年1月1日以降、CSPEは直接的
におよび単独で一般予算に割り当てられた一方で、TICPEの収入の一定の割合は「エネルギー移行」のCASに割り当てられた。
EDFおよび公的機関は、2015年12月31日現在の補償額の不足分によって生じた負債(5,779.8百万ユーロ)の返済に関して、
合意に達した。2016年1月1日以降に効力が生じている新たな制度の下、かかる負債は、2016年5月13日付命令(2016年12月
2日に改正)によって規定される繰延返済計画に従って、2020年12月31日までに支払われる予定である。
2016年12月22日、EDFは、かかる負債の一部(26.40%)を銀行および専用の特別目的事業体(SPE)で構成される投資家集団
に対して売却した。遡及権なしのかかる売却の手取金は、総額1.542十億ユーロとなった。売却された負債には、専用資産に分
類されない構成要素が含まれている。かかる構成要素の売却は、約645百万ユーロの純負債額の改善へと繋がった。残りは、専
用資産に割り当てられる負債の一部に相当する。これは、かかる資産に再投資される予定である。
追加的配電費用の補償
フランス・エネルギー法第L.121-29条に基づきEDFに委託された課金管理である電気料金均衡化基金(FPE)の目的は、関係
事業者間の配電網の管理に課せられた公共サービス任務の結果生じた料金(特に、運営している電力網の個別特性に関連した
ものおよびかかる電力網を規制料金で使用している部分または公共配電網使用料金では賄われないもの)を配分することであ
る。1995年2月4日付法律第95-115号第42条に定められたとおり、地理的、経済的または社会的に個別の問題を抱えた地域の
開発への関与に関連した料金も該当する。法律の適用による当グループの財務への影響は、2018年12月31日に終了した年度の
連結財務書類の注記4に記載されている。
供給量の保証
NOME法(新電力市場組織( Nouvelle Organisation du Marché de l'Électricité ))に由来するフランス・エネルギー法第
L.335-1条以下は、各電力供給業者に対し、その顧客の電力消費パターンを考慮してフランス本土における電力の安定供給に貢
147/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
献することを義務付けている。これにより、これを履行しなかった場合、行政処分の対象となる条件の下、各供給業者は、
ピーク時における顧客の消費に従い供給量の保証を毎年提供しなければならない。供給業者は、発電事業者または負荷事業者
か ら供給量の保証を得るが、公共配電網事業者により認証された供給量を最初に保有していなければならない。
かかるメカニズムの目的は以下のとおりである。
・公的機関により設定された(電力の)供給確保の水準を確かなものにする発電容量または負荷制限容量の維持または発展を
可能にすること。
・かかる容量の報酬を改善すること。
・すべての供給業者の間で安定供給に係る費用が分配されていること。
RTEにより提案された「容量メカニズムに関する規則」は、CREとの協議の上で2015年1月22日付省令により承認された。電
力分野における容量メカニズムの要件に関する2018年11月15日付命令第2018-997号が公布された後、RTEは一連の規則案に関し
て協議を試みた。
グリーン成長に向けたエネルギー移行に関する2015年8月17日付法律により、小規模の参加者に対しても容量メカニズムが
適用され、LDCが容量債務をその他のLDCのみならず「その他いかなる供給業者」にも移行することおよび電力供給業者が容量
債務を(消費目的で)最終顧客または(その損失のために)公共ネットワーク事業者へ移行することが許可された(フラン
ス・エネルギー法第L.335-5条)。
さらに、フランス・エネルギー法第L.335-3条により、すべての容量事業者が、実効容量および保証容量との間の相違に係る
負債ならびにかかる相違に関する罰金の支払いを第三者へ移行することができる可能性がもたらされた。
2015年11月13日に欧州委員会は、政府補助金に係る欧州規則を踏まえ、フランスの容量メカニズム計画について詳細な調査
を開始した。
2016年11月8日に欧州委員会は、フランスの容量メカニズム計画を承認した。フランスは、調査期間中に、新たな容量につ
いて長期(7年)契約を取り入れ、外国の容量を考慮に入れ、かつ市場操作の防止策が講じられるよう、容量メカニズムを修
正することにつき合意した。
市場の透明性および監視の改善のために行われた修正は、2016年11月29日付命令(2018年10月12日付決定により改正)の公
布へと繋がった。これにより、メカニズムが2017年1月1日より効力が生じることが可能となった。
引き続き店頭取引を行うことも可能である。
外国の容量供給業者へのメカニズムの解放および長期契約に関するコミットメントの実施には、高等エネルギー理事会、基
準評価国家諮問委員会、エネルギー規制委員会および競争当局からの意見が検討された後、国務院により2012年に採択された
2012年の命令の改正が必要となる。電力分野における容量メカニズムの要件に関する2018年11月15日付命令第2018-997号は、
フランスの電力供給保証への一部の国境を越えた貢献の明示的な組入れおよび新たな容量の複数年にわたる契約システムの確
立を規定したものである。
電力負荷制限
かかる主題について、グリーン成長に向けたエネルギー移行に関する2015年8月17日付法律により、負荷制限に関する法規
則、とりわけフランス・エネルギー法第L.271-1条以下が改正された。
かかる規定は、以前の法規則を改正し、とりわけ以下の事項を規定している。
・負荷制限は、「特別な要求が負荷管理者または電力供給業者により1または複数の最終顧客に対して送られた場合、将来的
な消費計画または消費の見積りと比較して、1または複数の消費施設により公共電力供給および配電網から電力の効果的な
引込み水準を一時的に削減する行為」として定義されている。
・供給とは切り離せない需要反応の提案の一部としての供給業者に対してかまたは負荷管理者の仲介を通じてかのいずれかに
より、顧客がそれぞれの需要反応を収益化する可能性がある。
・政府は、負荷管理者の容量が複数年にわたるエネルギー計画の目標と合致しない場合、入札募集を企画する(かかるメカニ
ズムは負荷削減プレミアムのそれと置き換わる。)。
・最後に、大きな省エネ効果をもたらす負荷削減の場合、法律により、監督機関が負荷管理者およびRTEとの間で共有されてい
る供給業者に対する支払いを要求する可能性があることが規定されている。
かかる規定の適用条件は、直近で2017年3月29日付命令第2017-437号によって完成したフランス・エネルギー法第R.271-1条
以下により、またCREにより2017年12月14日付で承認され、2018年に適用された(「NEBEF3.1」規則として知られる)エネル
ギー卸売市場における需要反応の評価に関する規則ならびにCREの2017年12月14日付決定により承認され、2018年に適用された
バージョンの計画、均衡化メカニズムおよび均衡化に係る費用の回収に関する規則により規定されている。
電力の自家消費
148/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
グリーン成長に向けたエネルギー移行に関する2015年8月17日付法律第2015-992号第119条により、政府は、その自家発電容
量の全部または一部を消費するための施設の管理に基づいた確実な発展を保証するために必要な措置を、政令を通じて講じる
権限を付与された。
電力の自家消費に関する2016年7月27日付政令第2016-1019号が公布された後、2017年2月24日付法律により承認され、完成
したフランス・エネルギー法第L.315-1条から第L.315-8条が2016年7月28日に公布された。かかる条文は、個人自家消費と共
同自家消費を区別し、とりわけ、
・自家消費操業を促進し、とりわけ電力の測定に関して必要な技術上および契約上の準備を行い、透明で公平な状況下での自
家消費操業を実現可能にするよう電力網事業者に対して要求するものである。
・自家消費操業を行う消費者に対して供給を行う発電施設の設備容量が100キロワット未満である場合には、CREが当該消費者
に対して公共配電網の特別料金を設定することを規定するものである。
フランス・エネルギー法を改定する2017年4月28日付命令第2017-676号の規定は、とりわけ共同自家消費に関して、これら
の規定の適用条件(自家消費を行う資格を得るための要件の基準はないこと、CREの定める「自家消費型」施設向けのTURPEへ
の資格に関して法律により規定される100kW基準の評価手続、共同自家消費操業に参加する消費者間の発電量の配分に関する一
般原則、共同自家消費操業の責任者である法人と公共配電網事業者との間の関係性、ならびに均衡のとれたグループに帰すべ
き債務から逸脱可能な発電施設の最大容量(命令により3kWに設定されている。))を定めている。
現段階では、自家消費操業の導入方法は未だ決定しておらず、CREは2017年秋に、利害関係者とともに自家消費に関するワー
クショップを編成し、自家消費への貢献に関して、料金問題、契約上の枠組みおよび支援制度の3つの課題に着手した。
このことを受けて、2018年2月15日にCREは、自家消費に関する勧告および意見を示した決定を下した。
CREは、2018年6月7日付の決定において、共同自家消費に係るTURPE(公共送配電網使用料金)を設定した。
PACTE経済改革法案の検討の一環として、議会は、「CREの意見に対する決定において定義される限定的な地理的範囲内にお
いて」共同自家消費を試験的に5年間承認する改正を可決した。かかる改正は、2019年5月22日に採択されたPACTE法第2019-
486号において維持されている。
閉域配電網
グリーン成長に向けたエネルギー移行に関する2015年8月17日付法律第2015-992号第167条により、政府は、指令2009/72/EC
第28条によって可能となった実務の枠組みを規定するために、閉域配電網に関する項目をフランス・エネルギー法に追加する
ための法律に基づくあらゆる措置を、命令を通じて講じる権限を付与された。
閉域配電網に関する2016年12月15日付政令第2016-1725号を受け、フランス・エネルギー法第L.344-1条以下において、閉域
配電網の定義、その法体制、閉域配電網事業者に与えられている使命およびかかる規定が遵守されなかった場合に適用される
制裁が規定されている。
フランス・エネルギー法第L.344-13条では、これらの規定の適用条件が国務院の命令によって定められる旨が規定されてい
る。かかる命令は現時点では承認されていない。
2017年2月15日にかかる命令を承認する法案が上院に提出された。
国内ネットワーク
従来型および非従来型の炭化水素の研究および使用を終了させ、エネルギーおよび環境に関連する様々な規定を採用した
2017年12月30日付法律第2017-1839号が12月31日に官報に掲載された。
その目的は、とりわけ、公共送配電網および閉域配電網とともに、新たなカテゴリーのネットワークを構成する国内におけ
る建物ネットワークの構築および運営を定義し、認可することである。
フランス・エネルギー法第L.345-1条以下に従い、国内ネットワークは現在、次の4つの基準を満たした場合にのみ法的に構
築することができる。すなわち、ネットワークを構築する国内の建物は、ⅰ)独立しており、ⅱ)単一の所有者に属しており、
ⅲ)事務所を主たる使用目的としており、かつⅳ)住居を含まない。
国内の建物ネットワークに関する2018年5月29日付命令第2018-402号は、当該ネットワークが存在するにあたって準拠すべ
き条件ならびにオフィスビルの所有者および管理者、ネットワーク利用者および公共配電網の管理者の権利および義務を規定
したものである。
電力分野の規制
エネルギー規制委員会(CRE)
CREは、2000年2月10日付法律第28条により設立された独立した監督機関である。
149/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
フランス・エネルギー法第L.131-1条以下には、CREの権限に関する一般的規定があり、CREは最終顧客の利益のために電力お
よび天然ガス市場を健全に機能させるために貢献する任務を負う。この任務に関し、CREは、特に、電力および天然ガスの送配
電網へのアクセス条件が競争の発展を妨げないことを確保する。
CREは、提案の権限、助言の権限ならびに意思決定権限(承認の権限および規制の権限)といった大きな権限を有する。
CREは、特に、経済担当大臣およびエネルギー担当大臣に対して、発電事業者に割り当てられた公共サービスに係る任務に起
因する費用の額および関連拠出金の純額に関する提言を行っている。ARENHの価格の計算を考慮に入れた費用を認識し財務書類
へ計上する方法を規定する命令が公布された後は、CREがARENHの価格も提案する。さらに、2015年12月7日より、CREは、経済
およびエネルギー担当大臣に対して、(以前は意見を提出することのみ可能であった)電力の規制販売料金および振替料金の
変更に関する正当な提案を提出する責任を負っている。かかる提案が受領された後3か月以内に当該大臣が1人も異議を唱え
なかった場合に、決定がなされたとみなされる。
CREは現在、公共送配電網使用料金(TURPE)を設定する大幅な意思決定権限を有している。CREは、エネルギー政策指針が遵
守されない場合に新たな決定を行うことをCREに求める権限を有する行政当局に対し、その決定を付随する理由とともに通知す
る。残りの規制権力に基づき、CREはまた、電力網の連結に係る決定ならびにARENHに対する供給業者の権利を計算および調整
する規則を定義する決定を行う。
CREはまた、その権限の実現に有用と思われるあらゆる情報を取得し、調査を行う多大な権限ならびに紛争調停および制裁に
関する委員会(CoRDiS)を通じて、紛争を解決し、違約金を課すことを可能にする幅広い権限を与えられている。
グリーン成長に向けたエネルギー移行に関する法律はまた、監査済みの事業体の費用負担で、監査済みの権限を通じて得た
情報を保有する可能性をCREに与えている。
独立した監督機関および公的機関に関する2017年1月20日付組織法第2017-54号ならびに独立した監督機関および公的機関の
一般法に関する2017年1月20日付法律第2017-55号により、これらの機関(CREを含む。)は、共通の法的地位が付与された。
これらの法律は、主として、構成員の権能、構成員の倫理、これらの機関の業務および組織ならびに議会による統制に関する
規則を定めている。
規制上の枠組み
公共送配電網使用料金(TURPE)
フランス・エネルギー法第L.341-3条に従い、公共送電網使用料金は、CREの妥当な決定により設定されている。
公共送電網使用料金(TURPE5 HVB)は、2017年8月1日に発効し、4年間適用される。かかる料金はCREによる2016年11月
17日付決定により設定されたものであり、2017年1月28日付官報において公表された。かかる決定により、かかる料金は2017
年8月1日に6.76%引き上げられ、毎年8月1日にインフレーションによる変更(収益および費用の是正により生じる修正を
除く。)が行われる。2018年8月1日には、インフレーションに連動して3%引き上げられた。
RTEの資産における財務報酬は、2018年1月1日における規制資産ベース(RAB)の見積額(14,119百万ユーロ)に、固定報
酬率を乗じることにより算出する。かかる固定報酬率は、2013年から2016年までの料金実施期間における7.25%の税引前の名
目率に対応している。2017年から2021年までの期間に係る固定報酬率は、税引前で6.125%である。
天然ガスの輸送および配給(2003年1月3日付法律第2003-08号)については、「第2 3(3)④(ⅱ)フランスの規制:
エネルギー法」を参照。
公共配電網使用料金(TURPE配電料金)
Enedisの売上高の90%超は、電力送電事業からの収益によるものである。公共送配電網使用料金(TURPE)の水準および構成
は、CREが、適格な電力網事業者が負担する全費用を賄うために、透明かつ公平な方法により定めている。
2016年11月17日、CREは新たにTURPE5 HVA/LVを設定した。この新たな料金は、2017年8月1日に発効し、当初約4年間適用
され、2018年から2020年まで毎年8月1日にインフレーションに連動して引き上げられること(収益および費用の是正により
生じる修正を除く。)が規定されている。
エネルギー担当大臣は、2か月の任期を残し、CREのプロジェクトが国家エネルギー政策を考慮に入れていなかったことを考
慮し、2017年1月17日付の官報において公布された2017年1月12日付の決定により、新たな決定を求めた。
CREは、2017年1月19日付の新たな決定により、2016年11月17日付の当初の決定を確定させた。両方の決定が2017年1月28日
付官報において公表された。
CREは、単一の契約に基づく顧客管理についてEnedisから供給業者に対して支払われるべき報酬(供給業者手数料)に関し
て、2017年10月26日付決定についての2016年11月17日の審議を終了し、同決定は2017年12月14日付官報において公表された。
CREは、従来型および非従来型の炭化水素の研究および使用を終了させ、エネルギーおよび環境に関連する様々な規定を採用し
た2017年12月30日付法律第2017-1839号がフランス・エネルギー法にもたらした変更、とりわけ、供給業者手数料に関するCRE
150/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
の権限に関するものを考慮し、2018年1月25日付官報において公表された2018年1月18日付の新たな決定に、2017年10月26日
付決定のすべてを盛り込んだ。
2017年2月2日、Enedisは国務院に対して、TURPE5 HVA/LVに関する2つの決定を無効にするよう申立てを行った。
また2017年2月3日にEDFも、国務院に対して、これらのCREの決定を無効にするよう申立てを行った。
国務院は、2018年3月9日に下した決定により、投下資本コストを決定するにあたり、対応する資産に「無リスクの利率」
が適用されなかった場合に限り、いわゆる「TURPE2」料金の(未償却部分について)対象となる料金実施期間中において、更
新引当金が割り当てられた作業および認可された当局から送電網事業者に対して引き継がれた作業に対して、TURPE5の審議を
取り消した。かかる取消しは、2018年8月1日までは効力が生じない。
国務院の決定に応えて、2018年6月28日にCREは、TURPE5a HVA/LVおよび2018年8月1日付で行われるその引上げについて
決定を下し、2018年7月29日付官報において公表を行った。TURPE5 HVA/LVのいかなる側面も当該決定によって異議を唱えら
れるものではなく、TURPE5aとTURPE5は、国務院の決定において規定される原則を考慮に入れるか、または法人税率において
予想される引上げを考慮に入れるかという点でのみ相違する。
これらの変更は、2018年8月1日の0.06%の引上げ(インフレーションおよび調整項目も考慮に入れた場合には平均で
0.21%下落)によって説明される。
新たな料金は、約3年間有効となり、毎年8月1日にインフレーション(調整項目およびより少ない程度ではあるが国務院
の決定による最新の会計上の影響を除く。)に連動する。
TURPE5 HVA/LVに関するEnedisの財務報酬は、(2.5%のRABで支払われる)管理資産報酬と規制株主資本の(4.0%の料率で
の)報酬の合計額から算出する。
かかる決定は、管理の構成要素を通じて、CREが従前に行った単一の契約に基づく顧客管理費用に関する決定を網羅し、また
低圧の電力網に接続されている共同自家消費の新たな料金(個人自家消費の料金に変更はない。)を導入する、CREが従前に
行った共同消費に関する2018年6月7日付決定を網羅したものとなっている。
151/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
Linky の規制
Linkyプロジェクトは、メーターの耐用年数(20年)について、2015年から2021年の間に設置されたメーターおよび関連シス
テム専用の規制資産ベース(RAB)を用いて、特定の規制枠組みの対象となっている。
また、2014年7月17日付のCREの決定により、コスト・パフォーマンスおよびシステム・パフォーマンス、目標ならびに期限
をより良く満たすために、インセンティブ規制について7.25%の税引前の名目率および3%の追加報奨金が定められ、RABへの
リターンは10.25%となった。また、インセンティブ規制によって、リターンを引き下げる(ただし、5.25%の下限を下回らな
い。)可能性のある罰金が生じるおそれがある。
さらに、顧客の料金に対するLinkyによる影響を中立にするため、延長料金が適用されたが、これは2014年から2022年の期間
に係る支払いが、2023年から2030年の期間に行われる見込みであることを意味している。この延長料金には、財務費用の持越
しを補う4.6%の補償金が含まれており、2030年までに全額支払われる予定である。
2018年12月31日現在、繰延額は、+950百万ユーロであった(この金額は、2018年12月31日現在において有効な会計基準に
従って作成された当グループの同日現在における貸借対照表では計上されていない、ネットワーク利用者に関するEnedisへの
債権を示す金額である。)。
④ ガス市場の規制
( ⅰ) 欧州の規制
1998年6月22日付指令98/30/ECおよび2003年6月26日付指令2003/55/ECは、ガス市場を競争市場として開放するための主要
なステップであった。
天然ガスの域内市場の機能改善を目的とする新しい規則は、2009年7月13日付指令2009/73/ECおよび天然ガスの輸送網への
アクセス条件に関する2009年7月13日付規制(EC)第715/2009号に規定されている。
かかる規制に従い、容量割当メカニズム(CAM)に係るネットワーク法および均衡化に係る規則が、それぞれ2015年11月1日
および2015年10月1日に公式に発効した。前者は送電網内の相互接続地点の容量を、第1のネットワークの発電容量および第
2のネットワークの受入容量の一括売却ならびにオークションを通じた相互接続容量の売却により商業化することを要求して
いる。かかる前者の法律は、2017年3月16日付規制(EU)第2017/459号による新たな法律によって置き換わった。後者の目的
は、送電網に関する均衡化に係る規則の調和である。
これらの法律は、2017年3月16日付規制(EU)第2017/460号によるガス配給の料金体系の標準化に関するネットワーク法に
よって完成した。
( ⅱ) フランスの規制:エネルギー法
2009年7月13日付欧州議会および欧州理事会の指令2009/73/ECは、フランス・エネルギー法の規制部分を体系化した2011年
5月9日付政令第2011-504号によりフランス法に移行された。フランス・エネルギー法は、2011年6月1日に発効した。
天然ガス・ネットワークへのアクセス
フランス・エネルギー法は、施設を運営する事業者との契約に規定される条件の下で、顧客、供給業者およびそれらの代理
店が、天然ガスの輸送配給施設およびLNG施設へのアクセス権を有することを規定している。
天然ガス網事業者は、いかなる方法によっても、顧客間または顧客の種類ごとで差別をしてはならない。
顧客
2007年7月1日以降、すべての顧客は自由に供給業者を選択することができる。
フランス・エネルギー法第L.445-4条の規定に従い、1年当たり30,000kWhより少ない電力を消費する住宅用顧客および非住
宅用顧客は、申請に応じて、無条件に規制料金の恩恵を受けることができる。電力の特別な「基本必須」料金の資格を有する
住宅用顧客は、消費の一部に対して、天然ガスの供給に適用される特別連帯料金から恩恵を受けることができる。かかる特別
料金は、漸進的に「エネルギー・バウチャー」制度に置き換えられる。
電力使用量が1年当たり30,000kWhを超える顧客は、フランス・エネルギー法第L.445-4条の第2段落に従い、対象となる施
設において市場基準提案が認められない限り、当該施設のガスの規制販売料金のみの恩恵しか受けることができない。
1年当たり30,000kWh超を購入し、依然としてフランス・エネルギー法第L.445-3条に規定される天然ガスの販売に関する規
制料金から利益を得ている非住宅用最終顧客は、もはや当該料金の資格を有していない。
・送電網につながっている非住宅用顧客については、2014年6月18日から。
・1年当たりの消費量が200,000kWhを超えた非住宅用顧客については、2014年12月31日から。
・1年当たりの消費量が30,000kWhを超えた非住宅用顧客については、2015年12月31日から。
152/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
消費に関する2014年3月17日付法律第2014-344号第25条では、電力供給の継続性を確保するために、2015年12月31日より前
に選択した供給業者との間で新たな契約を結んでいない顧客が、最大6か月に及ぶ移行期間中に従来の供給業者との間の契約
からの恩恵を受け続けられるように、6か月の移行期間が設けられたが、かかる期間の終了(2016年6月30日)後に供給は行
わ れない。かかる期間中、顧客は、当該契約を損害賠償なしにいつでも終了する機会を有する。供給業者は、対象となる顧客
に対して、移行契約の条件を、当該契約が自動的に終了する3か月前および1か月前に、書面により通知する義務を負ってい
る。2016年2月10日付政令第2016-129号により、2016年7月1日以降、ガスおよび電力の継続的な供給を確保するシステムが
導入された。2016年6月30日時点で市場基準提案に申し込んでいない顧客は、CREの2016年5月4日付決定に基づき、競争入札
手続後に指定された供給業者から提案された新たな契約の条件を承諾したものとみなされる。2016年11月、CREは、2016年5月
に割り当てられなかったロット、新たに対象となった施設および新たに対象となった消費施設のために、新たな新規の入札を
行った。かかる入札により、ガス供給契約に係る1つのロットを獲得することができた。
2017年7月19日付決定により、国務院は、天然ガスの規制販売料金に関する2013年5月16日付命令を廃止した。これは、当
該料金を維持することが欧州連合法に反するという根拠に基づいている。実際に天然ガスの規制販売料金は指令2009/73/ECに
規定されている条件を充足するものではなく、とりわけ、一般的な経済利益の目的を追求したものではない。ただし、前述の
決定は争点となっている命令を廃止したに過ぎず、2016年1月1日以降に有効となっている天然ガスの規制販売料金に関する
エネルギー法の規制条項を廃止するものではない。このことから、首相がかかる条項を無効にしない限り、天然ガスの規制販
売料金は維持される。
PACTE経済改革法案は、規制されたガスおよび電力の販売料金を欧州連合法に沿ったものにするために、法律の発布から6か
月以内に命令を出すことによって法律の範囲内においてあらゆる措置を講じ、それらの措置を、影響を受ける有効な契約に対
して、前述の料金の取消しおよび(場合によっては)その日付時点において代わりとなる市場料金の設定について規定する当
該契約の条件に従い適用する権限を政府に対して付与することを目的としている。規制電力販売料金の契約は、2023年7月1
日に終了する予定であった。
しかしながら、フランス憲法院による2019年5月16日付決定第2019-781号DCによって、PACTE経済改革法案に含まれる上記の
規定は違憲だという判断が下され、エネルギー・気候法の新たな草案に組み込まれた。本書提出日現在、かかる草案はフラン
ス議会において討議されている。
政府は、最終顧客への継続的な供給を確保することを目的として、天然ガス供給業者を有さない国内の顧客に対する最終手
段としての供給を行い、事業を行うことができないかまたは禁じられている供給業者の代わりに非常時の供給を行うために、
命令を出すことによって、さらなる措置を講じる権限を与えられる。
供給業者
フランス・エネルギー法第L.443-4条は、供給業者を(ⅰ)欧州連合の加盟国の領域または国際協定に従った他の国の領域に
本拠を設立し、かつ(ⅱ)エネルギー担当大臣が発行した免許を保有する者をいうと規定している。
EDFは、2004年9月14日付産業担当副大臣の命令により、一般的利益に関するサービスを提供しない非住宅用顧客に対して、
また2005年8月9日付命令により、一般的利益に関するサービスを提供する非住宅用顧客ならびに天然ガス配給業者および供
給業者に対して、また2007年6月15日付命令により、住宅用顧客に対して、それぞれ天然ガスを供給する許可を得ている。
EDFは、顧客に対して市場基準価格でのみ供給を行う。規制販売料金は、ガス供給の任務を負うEngieおよびLDCによっての
み、提案可能である。
地下貯蔵および天然ガス貯蔵施設への第三者のアクセス
フランス・エネルギー法第L.421-4条は、11月1日から3月31日までの期間、住宅用顧客および一般的利益に関するサービス
を提供するその他の顧客、または、ガス供給の中断を契約において受け入れなかったその他の顧客に対して、供給を行う直接
または間接の契約上の義務を遵守するため、すべての供給業者に、毎年10月31日に、代理店を通じて(直接か間接かを問わな
い。)、フランスにおける天然ガスの十分な在庫を保有することを要求している。
フランス・エネルギー法の第R.421-1条以下は、天然ガスの地下貯蔵施設に適用される法的枠組みを規定している。
2017年7月31日付命令は、天然ガスの供給業者が在庫および貯蔵容量を申告かつ保有する義務を履行する際のその他の調整
手段を考慮した条件を定めている。
2017年12月30日に官報に掲載された、従来型および非従来型の炭化水素の研究および使用を終了させ、エネルギーおよび環
境に関連する様々な規定を採用した2017年12月30日付法律第2017-1839号により、供給の確保に必要な天然ガスの地下貯蔵施設
へのアクセスに関する規則が改定された。かかる改定は、アクセスに関する規制上の枠組みを確立させるために行われ、これ
らの施設の事業者が負担する費用の補填を、天然ガス輸送網使用料金を通じて保証する。供給業者は、CREの定める条件に従
い、入札制度を通じた貯蔵容量の申込みに参加することができる。したがって、フランス・エネルギー法第L.421-4条に規定さ
れている、供給業者による天然ガスの在庫保有義務は廃止された。
153/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
天然ガスの地下貯蔵へのアクセスに関するフランス・エネルギー法の規制の条項は、2017年12月30日付法律第2017-1839号に
より導入される法律の変更を考慮に入れるために、フランス・エネルギー法第L.421-6条において言及される天然ガスの在庫の
追 加的な備蓄に関する2018年3月30日付命令第2018-221号およびフランス・エネルギー法における天然ガス分野の規制に関す
る様々な規定を改正する2018年4月18日付命令第2018-276号によって改正された。
フランス・エネルギー法第D.421-12条を適用する際に、欧州連合の他の加盟国から賃借している貯蔵容量を考慮に入れるこ
とを定めた2018年5月9日付決定によって、2017年7月31日付命令が廃止された。
最後に、CREは、2018年2月22日付で発行された(ⅰ)天然ガスの地下貯蔵インフラの使用料金、(ⅱ)貯蔵容量の売却条件なら
びに(ⅲ)貯蔵容量入札の後、天然ガス送電網の使用料金における貯蔵料金の支払額を設定するCREによる2018年3月27日付決定
によって追加された、GRTgazおよびTIGFの送電網の使用料金における貯蔵料金の支払いの導入に関する3つの決定を通じて、
天然ガスの貯蔵に関する改革を実施した。
監督および違約金
フランス・エネルギー法は、経済担当大臣、エネルギー担当大臣およびCREに対して、ガス市場を監督する権限を付与してい
る。また、エネルギー担当大臣は、違約金を課すこと、または天然ガスを供給する許可を取り消すこともしくは停止すること
ができる。CREは、フランス・エネルギー法の規定に違反する行為が行われたかに関して調査を実施することができる(フラン
ス・エネルギー法第L.135-13条)。
⑤ フランスにおける公共配電委託
委託に適用されるフランスの法制度
フランス・エネルギー法第L.121-4条以下および第L.322-1条以下ならびにフランス地方自治体法第L.2224-31条に従って、公
共配電が公共サービス委託制度の下で行われている。かかる法制度に従い、委託機関は、委託機関および事業者のそれぞれの
権利義務を規定する委託契約および一般規定を通じて、公共配電サービスを行う。現在、委託機関は、複数の地方自治体が協
力して組織する公共の機関であることが最も多いが、県間協力によるものが一般的になりつつある。
共同体指令に従って行われた供給事業と配電事業の分離により、公共サービスの2つの区別された任務が認識されるように
なった。一方の任務は、独占サービス地域において、EDFおよびLDCに委ねられている規制料金による供給の任務であり、他方
の任務は、それぞれのサービス分野においてはEnedisおよびLDCに委ねられ、大陸都市電力網に相互接続されていない地域にお
いてはEDFに委ねられている、公共配電網の開発および運営の任務である。
フランス・エネルギー法第L.334-3条によれば、新規委託契約の締結および修正ならびに既存の委託契約の更新は、3つの当
事者、すなわち委託機関、配電網事業者(公共配電網の運営に関する条項について)およびEDF(または地理的地域権限を有す
るLDC)(規制料金での供給について)により、締結されなければならないと規定している。現在有効なその他の委託契約は、
これら3つの当事者が共同で締結したとみなされている。
2014年2月26日付共同体指令2014/23/EUを国内法に置き換えた、委託契約に関する2016年1月29日付政令第2016-65号および
2016年2月1日付施行令第2016-86号に従って、規制料金による公共配電網の運営および電力供給に関する委託契約は、公開せ
ずに、また競争入札手続を経ずに、双方の合意をもって締結された。
ELAN法案は、電力網へのアクセスおよび接続に関するフランス・エネルギー法の条項に、上昇配電線に関する第5章を追加
する。法律が公布した後に稼働する上昇配電線は、公共配電網に帰属することとなる。法律が公布される前の上昇配電線は、
法律が公布されてから2年以内に、公共配電網に統合されなければならない。上昇配電線の所有者および共同所有者は、上昇
配電線の統合を前もって申請することができ、また配電線の所有権を保持することもできる。
委託機関の権利
委託機関の権利に関する詳細は、本書の「第2 3(2)④(ⅱ)(ロ)配電事業」を参照。
⑥ フランスにおいて環境、原子力、健康、衛生および安全性に適用される規制
フランスにおけるEDFの事業は、EDFが事業を行っている他の国における事業と同様に、環境、原子力、健康、衛生および安
全性に適用される規制に服する。かかる規制はより厳しくなり、かつ常に変化しているため、これらの規制の遵守は、当グ
ループが法令遵守を徹底して事業を行うための多大な費用を生じさせている。
( ⅰ) 環境、健康、衛生および安全性に適用される一般的規制
環境に関する規制
環境問題への市民参画
154/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
公的機関による、環境に影響を及ぼす規制上の決定および個別の決定の準備過程における市民参画に関しては、フランス環
境法第L.120-1条以下に一般的な枠組みが規定されている。専門的規制により定められた個別規定がない場合は、これらの規定
が適用される。
この法的枠組みは、環境に影響を及ぼす可能性のある一定の決定に関する情報公開およびかかる決定への参画を保証するた
めの手続を改革した2016年8月3日付政令第2016-1060号の採択に伴い最近変更され、2017年4月25日付命令第2017-626号に
よって完成した。成長、事業および機会の均等についての2015年8月6日付法律第2015-990号(「マクロン法」として知られ
る。)に基づき採択されたかかる命令は、(ⅰ)市民参画の目標および参画した者の権利を定義するフランス環境法の序章とし
て採り入れられ、(ⅱ)意思決定プロセスに先立つ協議手順を拡大し、かつ(ⅲ)終了段階における協議手順を近代化させた。
環境責任法(LRE法)
フランス環境法第L.160-1条から第L.165-2条に統合された環境賠償責任に関する2008年8月1日付法律(LRE)の目的は、一
定の深刻度に達した水、土壌および生物多様性に対する環境破壊の防止ならびに改善を促進することである。かかる改善は、
環境的観点からのみ行われるものであり、自然環境が以前の状態または以前と同程度の状態に回復されるようにしなければな
らない。
均衡のとれた水資源管理
2000年10月23日付水枠組み指令は、共同体の水政策の基礎である。当該指令は、主要な各河川流域の水の管理および保護の
枠組みを定め、地表水の水質の維持および修復の目標(具体的には、2015年までに生態学的および/または化学的に水質が健
全な状況であることの保証。)を設定する。
フランスでは、当該指令の目標達成を保証するために設計された手段を規定する水および水域環境に関する2006年12月30日
付法律により当該指令はまず国内法化された。かかる目標は、各河川流域の水の開発および管理の基本計画(SDAGE)によって
定められる。水および水域環境に影響を及ぼす可能性のあるEDFの事業のすべては、SDAGEに定められている目標と適合しなく
てはならない。
当該法律は、水の様々な使用法の調整を求めている。したがって、必須とされるバランスの取れた持続的な水資源の管理
は、水力発電所の稼働の権利にも影響を及ぼし、間接的には水域環境に影響を及ぼすEDFの活動すべてに影響を与える。
EUの水枠組み指令は、2019年までにその効力が生じた後19年以内に、欧州委員会による再調査に関する規定を設ける。
生物多様性の保全
EDFは、自然の土壌および水辺を占有し、使用する者として、生物多様性の問題に直接的に関与している。
生物多様性、自然および景観の再生に関する2016年8月8日付法律第2016-1087号は、生物の多様性の保護状況を改善させ
た。生物多様性に関する法律の主要な規定には、フランス環境法に記載される新たな指針(環境法を後退させない方針、生物
多様性の保護方針および生物多様性の「純損失ゼロ」の目標)が盛り込まれている。かかる法律により、フランス生物多様性
庁(AFB)を含む生物多様性の保護を目的とした新たな機関が創設された。またかかる法律により、環境害に対する補償につい
て、フランス民法に新たな規則が盛り込まれた。
単一の環境の許認可
(フランス環境法第L.181-1条および第R.181-1条以下において成文化されている)環境の許認可に関する2017年1月26日付
政令第2017-80号ならびに2017年1月26日付命令第2017-81号および第2017-82号は、2017年1月27日付のフランスの官報にて公
布された。環境の許認可に関する2017年1月26日付政令第2017-80号は、2014年3月以降に導入されている許認可手続を一本化
する試みを継続することを目的としている。かかる命令は、単一の環境許認可システムを最終的にフランス環境法に組み込
む。この包括的な許認可システムにより、許認可取得の申込みに関して協調的な評価を行い、特定のプロジェクトに関して政
府が行う必要のあるすべての決定を単一の書面によって発行することが可能になった(「第2 3(3)⑥(ⅱ)(イ)環境保
護指定施設(ICPE)に適用される規制」を参照。)。EDFのプロジェクトには、単一の許認可手続が適用される可能性が高い。
内部告発者
2016年11月8日、フランス議会は透明性、汚職との闘いおよび経済生活の近代化に関する法案ならびに権利擁護当局による
内部告発者の指針および保護に関する憲法改正案を最終的に可決した。
2016年12月9日付法律第2016-1691号には、重罪もしくは犯罪、法規制により規定される義務の深刻かつあからさまな違反ま
たは公益に対する深刻な脅威もしくは危害について、自ら誠意を持って暴露または報告する個人として定義される内部告発者
を保護するための規則が含まれる。法律により規定される規則は、起こり得る刑事手続または懲戒手続から内部告発者を保護
し、また社内で使用される内部告発に関する一連の規則を規定することを目的としている。
155/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
この枠組みは、同一のグループ内に属するすべての会社に共通の報告手続を規定し、手続の機密性を保証する2017年4月19
日付命令第2017-564号の規定によって完成した。
2018年4月17日に欧州委員会は、欧州連合法に対する違反を報告する者の保護に関する指令案を発表したが、文書に関する
議論および採択の予定表は設定されていない。
環境集団訴訟
21世紀における司法の近代化に関する2016年11月18日付法律第2016-1547号は、集団訴訟に関する一般的な権利を生じさせ、
これにはフランス環境法第L.142-3-1条に規定される環境集団訴訟が含まれる。
かかる権利は、似た環境に身を置き、損害を被っている個人の集団が、違反を止めさせ、「環境の汚染から生じる身体傷害
および財産への損害」に対する損害賠償を得るために、裁判所に集団訴訟を提起することを可能にするものである。環境集団
訴訟は、フランス環境法第L.141-1条に従い認定されている環境保護協会を通じて、または国務院との協議後に公布された命令
(2017年5月6日付命令第2017-888号)において定義される条件に従い認定される協会を通じて提起することができ、その目
的には、これらの内規によれば、身体傷害の被害者の抗弁またはメンバーの経済的利益の抗弁が含まれる。
2018年4月11日に欧州委員会は、消費者の集団的利益を保護するための代表訴訟に関する指令案を公表し、当該指令案は指
令2009/22/ECを廃止するものである。文書は、まだ欧州の機関内で議論されていない。
156/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
事業の社会・環境報告義務(RSE)
フランス商法第L.225-102-1条および第R.225-104条は、自社の事業が社会および環境に与える影響に関してEDFグループがど
のように考慮しているかについての情報ならびに持続可能な開発に係る社会的義務についての情報をEDFの経営報告書に開示す
るよう求めている(CSR報告)。
2017年7月19日付命令および2017年8月9日付施行令によってフランス法に置き換わった2014年10月22日付指令2014/95/EU
に従い、2018事業年度において前述のCSR報告は、(適用する場合)連結範囲に含まれるすべての会社を対象とした、非財務実
績報告書による経営報告書の公表によって置き換わった。
さらに、親会社および下請業者への注意義務に関する2017年3月27日付法律は、(その所在地がフランスの国内であるか国
外であるかを問わず)会社、その子会社、下請業者および供給業者の業務から生じる人権、基本的自由、深刻な身体的損傷ま
たは環境への損害および健康リスクを特定し、防止するための合理的なデュー・デリジェンス対策を伴う計画の策定および導
入を規定している。
PCB およびPCT
当グループは、当グループが事業を行っている様々な国、とりわけ欧州において、ポリ塩化ビフェニル(PCB)およびポリ塩
化テルフェニール(PCT)に関する規制に服する。
1996年9月16日付欧州指令96/59/ECは、PCBおよびPCTの汚染除去および漸次処理に関する国内計画とともに、これらの物質
を500ppm超含む装置の一覧表の作成を要求しており、これらの物質は主に、特定の変電器およびコンデンサーに含まれる。こ
れらの物質を含む装置の汚染除去は、遅くとも2010年12月31日までに完了する予定であった。EDFは、特別処理計画を立案し、
かかる目標を達成した。
EDFは、2013年4月10日付命令第2013-301号に基づき、汚染レベルが50ppmから500ppmの装置については清掃および汚染除去
の義務を負うが、150超の装置を所有することから、環境担当大臣の命令により承認された「特別計画」の恩恵を受ける可能性
がある。この計画では、少なくとも、2020年1月1日までにかかる装置の半分について、また2025年12月31日までにはすべて
の装置について、汚染除去または取壊しを行わなければならない。2013年10月28日付命令により、この特別計画への申込みの
内容が規定された。RTEおよびEnedisの汚染除去計画は、2014年4月14日付および2014年7月3日付の2つの命令により承認さ
れた。
また、2013年4月10日付命令は、5d㎥超のPCBの液体を含む装置の特定、分類、表示および利用に関する新たな義務も規定
している。この義務に対応するための規則の詳細は、2014年1月7日付および2014年1月14日付の2つの命令により規定され
た。
温室効果ガス(GHG)
割当交換計画
EDFグループの事業のいくつかは、2003年10月13日付指令2003/87/EC(2009年4月23日付指令2009/29/EUによって改正済み)
の適用範囲に属し、かかる指令により、京都議定書( 排出量割当取引制度( ETS)指令)に規定されるプロジェクトメカニズム
を用い、欧州における温室効果ガス(GHG)排出枠取引スキームが創設された。
フランスでは、かかる指令は、フランス環境法第L.229-5条および第R.229-5条以下に置き換えられ、統合された。当グルー
プは、当グループ施設が年間で排出する二酸化炭素レベルと同等の排出枠を譲渡する義務を有している。かかる義務を履行す
るため、一定の条件の下、当グループは、京都議定書の第6条および第12条に規定されたプロジェクトメカニズムが適用され
るプロジェクトにおいて発行されたクレジットを使用することができる(共同実施およびクリーン開発メカニズム)。
ETS指令に従い、温室効果ガス(GHG)排出割当交換計画の第3期は2013年1月1日に開始された。かかる計画に関するフラ
ンス環境法における規定は2012年6月28日付政令第2012-827号(2013年7月16日付法律第2013-619号により承認済み)、2015
年8月17日付法律第2015-992号、2015年12月2日付法律第2015-1567号、ならびに2012年12月3日付命令第2012-1343号、2014
年2月25日付命令第2014-220号、2015年8月17日付命令第2015-995号および2016年6月28日付命令第1016-849号により改正さ
れた。2013年1月1日以降、電力分野における原則は、2010年11月12日付規則(EU)第1031/2010/EC号に定義される原則に基
づく入札割当てである。かかる日付以降、EDFは、自身の排出枠を100%購入しなければならない。
欧州議会および欧州理事会は、欧州市場におけるGHGの割当価格を維持するため、2015年10月6日付決定(EU)第2015/1814
号において、市場から余剰割当分を排除することが可能になる「市場安定化リザーブ」の創設を決定した。このメカニズム
は、2019年1月1日に施行される予定である。さらに、2020年以降について、メカニズムの構造的改革が欧州レベルで現在進
められている。
GHG 報告
157/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
フランス環境法第L.229-25条および第R.229-46条以下(それぞれ、政令第2015-1737号、2016年8月8日付法律第2016-1087
号および2015年12月24日付命令第2015-1738号により改正)に基づき、500名超の従業員を有する企業は、自社の温室効果ガス
排出量およびかかる排出の削減に関する行動計画の概要について年次報告書を提出しなければならない。第R.229-46条(上記
の 2015年12月24日付命令により改正)には、「フランス労働法第L.2331-1条に定義されるグループについては、フランス事業
分類において同じレベル2のコードを有し」かつ500名超を雇用する「すべてのグループ企業が、温室効果ガス排出量に関する
統合版報告書を作成することができる」旨が規定されている。かかる開示された情報は4年ごとに更新されなければならな
い。
エネルギー効率化
エネルギー効率化指令
2012年10月25日、欧州連合はエネルギー効率化に関する指令(2012/27/EU)を採択した。国内法化の期限が2014年6月5日
であったかかる指令の目的は、欧州連合が2020年までに20%の省エネ目標を達成できるようにすることである。かかる目標を
念頭に置き、当該指令はエネルギー効率化サービスに関する欧州の規制(2006/32/EC)およびコジェネレーション
(2004/8/EC)の規定を強化した。
2012年10月25日付指令は、EDFグループの事業に影響を与える可能性があるいくつかの規定を含んでおり、その中で最も顕著
なものは、加盟国が2014年から2020年の期間中、毎年、エネルギー売上高における年間合計削減量の1.5%に当たる省エネ目標
を達成する義務を負うことであり、配電事業者および/または電力供給業者は売上高を減少させざるを得なくなる可能性があ
る。また、当該指令は、顧客への消費情報の提供、エネルギー・サービスの促進、冷熱生産および電力の送配電の効率の考慮
に関する規定も含む。
欧州連合の2018年6月19日付官報において公表された、建物のエネルギー・パフォーマンスに関する指令2010/31/EUおよび
エネルギー効率に関する指令2012/27/EUを修正する2018年5月30日付指令(EU)2018/844は、現行の規定を強化し、欧州委員
会の「クリーン・エネルギー・パッケージ」に基づいていくつかの側面を簡素化するものである。かかる指令は、2020年3月
10日までに加盟国によって法律に置き換えられなければならない。
エネルギー監査
フランス・エネルギー法第L.233-1条以下(当該指令の第8-4条をフランス法に組み入れる2013年7月16日付法律第2013-619
号から派生)は、大規模企業に対して、遅くとも2015年12月5日までに(またその後は4年ごとに)フランスにおける事業活
動のエネルギー監査を行うことを義務付けている。対象となる企業の基準、監査の範囲およびエネルギー監査人が充足すべき
条件は、フランス・エネルギー法第R.233-1条および第R.233-2条ならびに第D.233-3条から第D.233-9条に規定され、またエネ
ルギー監査の適用条件に係る2014年11月24日付命令によって補完されている。ISO 50001に準拠する公認エネルギー管理システ
ムを利用する企業は、一定の条件において、この義務を免除されることができる。EDFは、当該規制に従って、監査報告書の要
約を管理当局に送付した。
省エネ証書
国内レベルでは、フランス・エネルギー法第L.221-1条以下に記載される省エネ証書(CEE)メカニズムにおいて、電力供給
業者は省エネ義務を課されている。かかるメカニズムにより、販売量に基づく省エネ達成義務を負う個人(義務負担者)の間
で配分される3年計画の目標が規定される。当該期間末において、義務負担者は、省エネ活動の実施(直接的もしくは間接
的)または全国証明書登録簿(エミー登録)を通じた他の義務負担者もしくは「適格」経済事業者からのクレジットの購入の
いずれかによって獲得した、達成義務が課された省エネ相当量の省エネ証書を提示しなければならず、違反した場合は罰則が
課される。
メカニズムの第3期は、2015年1月1日に始まり、2017年12月31日に終了した。第3期の発表された省エネ目標は、700TWhp
(すなわち1年当たり233.4TWhp)であった。2014年12月29日付命令第2014-1668号(現在のフランス・エネルギー法第R.221-1
条以下)および2014年12月に発行された省エネ義務履行のための複数の施行令により、かかる新たな期におけるCEEの発行のた
めの条件が決定された。
グリーン成長に向けたエネルギー移行に関する2015年8月17日付法律は、エネルギーが不安定な状況にある世帯のための省
エネに関して従前から規定されていた義務に追加の制度を組み込み、第3期におけるCEE制度を改正した。2015年12月30日付命
令第2015-1825号(現在のフランス・エネルギー法第R.221-1条以下)および同日付の複数の省令により、エネルギーが不安定
な状況にある世帯のために具体的に設定された省エネ目標を達成するための規則が明確化された。エネルギー供給業者に対す
るこの具体的な義務の水準は、2016年から2017年について150TWhpに設定された。
第4期は、2018年1月1日に始まり、2020年12月31日に終了する予定である。
158/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
(フランス・エネルギー法第R.221-1条以下において成文化される)省エネ証書に関する2017年5月2日付命令第2017-690号
は、第4期の省エネ証書の実施方法を規定するものである。かかる規定では、2018年から2020年までに係る義務の合計水準の
目標を、標準で1,200TWhp、エネルギー貧困の状況にある世帯については追加で400TWhpと設定している。これは第3期と比較
し て、2倍の水準となっている。
(フランス・エネルギー法第R.221-1条以下において成文化される)2017年12月29日付命令第2017-1848号では、援助プログ
ラムの上限を、200十億kWhの更新された最終使用電力総容量に設定している。
登録自然区域および指定区域(埋設線)
EDFグループはまた、指定区域およびフランス環境法第L.341-1条から第L.341-22条および第R.341-1条からR.341-31条に規定
される登録区域の規制に従わなければならない。
かかる規制の目的は、自然遺産の保護および景観、芸術、歴史、科学、民族または景勝の観点から一般市民の関心が高い敷
地を保護することである。「指定」は、他に類を見ない敷地に対して用いられ、幅広く保護の対象になるのに対し、「登録」
は、規則の枠組みも緩和され、より制限的でない敷地に対して提案される。
フランス環境法に従い、指定区域における新たな送電線は、埋設されなければならない。この登録および指定は、施設の日
常運用にも影響する可能性がある(複数の区域で同時に施設が視認できる場合および政府の建造物監視官による意見
( architecte des Bâtiments de France )を取得する義務等)。
健康、衛生および安全性に適用される規制
アスベスト
フランスでは、規制により、建物内のアスベスト含有資材の特定が特に義務付けられており、必要な場合には、対策の監視
またはアスベストの除去作業も行わなければならない。また、EDFはアスベスト粉塵の吸入に晒される可能性がある従業員に情
報を提供し、保護する規制上の義務を有する。
レジオネラ菌
EDFは、環境保護指定施設(ICPE)および基礎原子力施設(BNF)に関する規制(病原性微生物(レジオネラ菌およびアメー
バ)の拡散から生じるリスクを回避することを目的とした原子力安全当局による2016年12月6日付決定第2016-DC-0578号を含
む。)に服する、特に発電事業を行うのに使用する冷却塔を運転している。EDFは、その他の義務の中でもとりわけ冷却塔内の
レジオネラ菌の増殖リスクの系統的分析を実施し、清掃および消毒といった予防保全策を実施しなくてはならない。EDFはま
た、関連施設の種類に応じて、月に1回または2回、分析を行わなければならない。
ナノ粒子物質
2013年1月1日以降、フランス環境法第L.523-1条以下および第R.523-12条以下により、フランスにおいて生成、流通、また
は輸入されたナノ粒子物質またはナノマテリアルの量および使用に関する報告が義務付けられた。かかる物質に関する情報
は、一般に公開され、監視当局が入手可能でなければならない。申告すべき情報および申告を統制する規則については2012年
8月6日付命令において規定された。EDFは、ナノ粒子物質を使用しているため、かかる規定の影響を受ける可能性が高い。
159/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
電磁場(EMF)暴露
グルネル第二法に従い、2011年12月1日付命令第2011-1697号は、送電線によって引き起こされるEMFに関する定期的な検査
の実施を公共送電網業者に義務付けている。
電磁波の暴露に関する節度、透明性、情報および協議に関する2015年2月9日付法律第2015-136号は、電磁場の発生する備
品を住宅用敷地内に設置する者に対する情報提供義務を導入した。今後EDFグループの企業のいくつかはかかる義務の対象とな
る可能性がある。
化学物質
化学物質の登録、審査および許認可に関する規則(EC)第1907/2006号は、「REACH」として知られ、2007年6月1日から効
力を発生し、EDFは、化学物質の使用者としてだけではなく、製造業者および輸入業者としてかかる規制の適用を受ける。EDF
は、自社が製造または輸入する年間1,000トンを超える量の物質について欧州化学物質庁へ登録する義務を遵守した。2013年5
月、EDFは、いくつかの原子力発電所の現場で製造されるモノクロラミンの登録を行った。
さらに、2012年5月22日付殺生物剤新規制(EU)第528/2012号によって、現場で生成される殺生物剤製品について、適用範
囲を拡大した新たな市場販売許認可手続が規定された。かかる新たな規制環境において、EDFは、モノクロラミンおよび次亜塩
素酸ナトリウムの製造業者および使用者に該当する可能性がある。この殺生物剤新規制の枠組みにおいて、許認可申請の準備
および届出が行われる。
廃棄物
2015年12月に初めて提示された欧州委員会のサーキュラー・エコノミー・パッケージが採択された。当該パッケージは、
(ⅰ)廃車に関する指令2000/53/EC、電池および蓄電池ならびに電池および蓄電池の廃棄物に関する指令2006/66/ECならびに電
気機器および電子機器の廃棄物に関する指令2012/19/EUを改正する欧州議会および欧州理事会の2018年5月30日付指令(EU)
2018/849、(ⅱ)廃棄物埋立地に関する指令1999/31/ECを改正する欧州議会および欧州理事会の2018年5月30日付指令(EU)
2018/850、(ⅲ)廃棄物に関する指令2008/98/ECを改正する欧州議会および欧州理事会の2018年5月30日付指令(EU)
2018/851、ならびに(ⅳ)包装および包装廃棄物に関する指令94/62/ECを改正する欧州議会および欧州理事会の2018年5月30日
付指令(EU)2018/852の4つのパッケージから構成される。サーキュラー・エコノミー・パッケージは、廃棄物管理の規則を
強化および確立し、商品のライフサイクル全体を考慮に入れることを目指している。かかる指令は、2020年7月5日までに加
盟国によって法律に置き換えられなければならない。
衛生および環境
衛生および環境ならびに内部告発者保護の分野に関する専門家の見解の独立性に関する2013年4月16日付法律第2013-316号
は、事業の公衆衛生および環境分野における通報手続に関する認識を確認し、この手続の利用規則を規定している。また、こ
の法律において、内部告発者の保護制度が体系化され、公衆衛生および環境に関する職業倫理・通報全国委員会(CNDASE)が
設立された。複数の命令が、かかるシステムの導入について規定している(2014年3月11日付命令第2014-324号ならびに2014
年12月26日付命令第2014-1629号および第2014-1628号)。
( ⅱ) EDFの施設および当グループ事業に適用される規制
( イ) 環境保護指定施設(ICPE)に適用される規制
関連する施設および主要な義務
EDFグループがフランスで運営しているいくつかの施設、特に化石燃料火力発電所は、環境保護指定施設(ICPE)に関する法
律に服する。かかる法律は、フランス環境法に統合されている。かかる施設は、環境または公衆衛生に与える危険または不利
益の程度により、事前申告、簡易許認可(「登録」として知られる。)または許認可に服する。
ICPE規制により、施設が稼働停止になった場合、土地の利用見込みに応じて、敷地の回復が義務付けられている。また、フ
ランス環境法第L.516-1条に従い、許認可(セベソ施設も含む。)および登録の対象となる一部のICPEには財務保証の付与が必
要となる。財務保証の基準および額は施設によって異なる。かかる財務保証は、閉鎖前後に事故が発生した場合に講じなけれ
ばならない措置ならびに閉鎖後の監視、安全作業、修復作業のための資金調達の担保提供を目的としている。かかる保証は、
実施する業務による損失または損害を被る可能性がある第三者に対し事業者が負担すべき補償を賄うものではない。
かかる保証の設定義務に関連するICPEの一覧表ならびにかかる財務保証の算定および設定に関する規則は、2012年5月31日
付命令(2015年2月12日付命令により改正)および2012年7月31日付命令によって規定される。2014年2月5日付命令は、民
間保証基金の仲介で保証を設定する際の枠組みに関する規則を規定している。EDFグループは、かかる新たな要件に関連ある施
設を運営している。2015年10月7日付命令第2015-1250号により、保証が必要とされる基準が75,000ユーロから100,000ユーロ
へと引き上げられた(フランス環境法第R.516-1条)。また、当該命令により、フランス預金供託公庫に収納される追加の財務
160/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
保証が規定され、また保証の実行事由を統制する規則が、特に裁判所命令による清算手続の開始後直ちに実行可能になる点で
改正された。
2017年1月26日付の政令第2017-80号ならびに命令第2017-81号および命令第2017-82号において定められる条件に従い、2017
年3月1日に、環境の許認可に関する改革が有効となった。同日、ICPEの許認可に服するプロジェクトまたは水法に基づく施
設、構造、作業および業務(IOTA)については、2つの手続が環境の許認可に統合された。かかる新たなスキームでは、フラ
ンス環境法第Ⅰ編の範囲内において、「環境の許認可」と題する別の項目を構成し、第L.181-1条から第L.181-31および第
R.181-1条から第R.181-56によって構成される「行政上の手続」と題する新規の第Ⅷ章が組み込まれることとなった。
セベソ施設
2015年6月1日以降、「セベソ」ICPEは、セベソ2指令(96/82/EC)に代わり、セベソ3指令(2012年7月4日付
(2012/18))の規定によって統制される。セベソ3指令の効力発生により、セベソ2指令では適用のなかった危険な商品の使
用(2008年12月16日付CLP規制の下)がセベソ規制の適用範囲に組み込まれた。
セベソ3指令には、国民の安全性に関する情報へのアクセス、意思決定プロセスへの関与および司法アクセスならびに情報
の収集方法、管理方法、入手方法および共有方法の改善に関するより厳格な一連の規定が含まれる。セベソ3指令は、より厳
格な検査基準についても規定している。2013年7月16日付法律第2013-619号は、環境法(第L.515-15条以下)にセベソ施設に
関して特有のセクションを組み込むことにより、当該指令の法的部分をフランス法に国内法化した。2014年3月3日付の命令
第2014-285号および命令第2014-284号ならびに2014年5月26日付命令により完成された当該規定は、2015年6月1日に効力が
発生した。
2015年10月7日付命令第2015-1250号により、「セベソ」ICPEに適用される財務保証の設定方法を統制する規則が、特に複数
の施設の事業者による当該保証の共同出資を可能にする点で改正された。「フランス・エネルギー法第R.516-2-I条に規定され
る財務保証の算定の規則および設定の条件を定める」2018年9月24日付決定は、2019年1月1日以降における財務保証の設定
条件および共同出資される保証の算定方法を規定する。
「IED」の対象の施設
産業排出に関する2010年11月24日付指令2010/75/EU(「IED」指令として知られる。)により、IPPC指令、LCP指令、廃棄物
焼却指令およびVOC指令といった現行の複数の指令が改正され、1つの法律へと改変された。
かかる指令の第3章は、特に化石燃料火力発電所の燃焼設備について規定しているため、EDFに影響を与える。適用される要
求水準は、該当する燃焼設備の火力出力定格および使用される燃料によって異なる。かかる指令の一部は、2012年1月5日付
政令第2012-7号を通じてフランス法に国内法化されており(フランス環境法第L.515-28条から第L.515-31条に組み込まれ
た。)、新規事業を含めるためのIPPC指令の適用の拡大、固定排出制限値の基準となる利用可能な最良の技術(BAT)の範囲の
拡大、BATの変更を考慮に入れた運営状況の定期的な再考の必要性の発生、また、場合によっては、土壌の状態についての「基
本報告」の要求といった影響をもたらしている。
2013年1月2日付命令第2013-5号には、土壌の状態についてのIED指令の規定の一部が組み込まれた。当該命令の第1条(現
在のフランス環境法第R.512-4条)には、施設に大幅な変化があった場合には、土壌の中間分析が必要となり、汚染が発生した
場合には、事業者は対策を示さねばならないと記載されている。別の2013年5月2日付命令第2013-374号により、IED指令に特
有で規定されていた施設に関する規定がフランス環境法第R.515-58条から第R.515-84条に組み込まれ、IED指令の組み込みは完
了した。かかる規定は、2018年12月20日まで、20MW以上の出力定格を有する燃焼設備に関する2013年8月26日付命令に具体的
に規定される条件の下、化石燃料火力発電所に適用される。その日以降、2781-1型、2910型、2931型および3110型の燃焼設備
には、5つの2018年8月3日付命令により定められる当該規定が適用される。最後に、欧州議会の指令2010/75/EU別紙Ⅰにお
いて言及される施設のフランス環境法の規則および産業廃棄物に関する国務院による2010年11月24日付の規則を改定する2017
年5月9日付命令第2017-849号は、行政上の手続(審査書類の内容を含む。)を簡素化し、IED指令の実施がより実用化され
た。
( ロ) 基礎原子力施設に適用される特別な規制
EDFおよびFramatomeは、フランスにおいて、特に、原子力分野の透明性および安全性に関する2006年6月13日付法律第2006-
686号(TSN法)に服する。かかる法律は、フランス環境法およびその施行規則、とりわけ基礎原子力施設の修繕、最終的な操
業停止および廃炉ならびに業務委託に関する2016年6月28日付命令第2016-846号により改正された2007年11月2日付命令第
2007-1557号、ならびに基礎原子力施設の一般的な規則を定めた改正済みの2012年2月7日付命令(BNF命令)に統合された。
これらの規定では、基礎原子力施設(BNF)に適用される改正済みの法体制が定められている。当該法律は、2016年2月10日付
命令第2016-128号(原子力に関する様々な事項に係る規定を含み、特に、原子力施設の原子力の安全性の共同体枠組みを定め
た指令2009/71/Euratomを改定した2014年7月8日付理事会指令2014/87/Euratomならびに使用済燃料および放射性廃棄物の安
161/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
全かつ責任ある管理に関する共同体枠組みを定めた2011年7月19日付指令2011/70をフランス法に国内法化した。)によって改
正された。また、当該法律はASNによる制裁の権限に関しても規定している。
このTSN法により、原子力安全担当大臣が主要な許認可の発行および一般規則の立案を行う権限を保持する独立した政府機関
である原子力安全当局(ASN)が設立された。
BNFの建設は、公開議論および公的な調査を経て、ASNと協議後の公布された命令によって、また原子力安全担当大臣からの
報告に基づき許認可がなされる。かかる建設の許認可を行う命令には、事業者の身元ならびに施設の種類、最大容量および外
周が記載されなければならない。BNFの建設の許認可申請には、安全性に関する予備報告(PSR)、当該施設の環境および健康
に対する影響調査ならびに廃炉計画およびリスク管理調査(RMS)が含まれなければならない。BNFの建設を許認可する命令に
より、当該施設の稼働開始までの期限の設定が行われ、安全性の調査が10年ごとに予定されていない場合には、その頻度の設
定が行われる。さらに、かかる命令は基本的な要件について規定している。BNFの稼働開始に関する許認可は、公聴会の後に
ASNにより付与される。この点において、事業者は、更新された安全規則ならびに事業者が緊急時に実施しなければならない組
織的対策および必要な資源について規定する内部緊急時計画(IEP)を提供する。安全性の定期的な検査では、施設に適用のあ
る規制の遵守を評価し、上記の利益に関わる施設のリスクの評価の更新を行う。
施設設置の許認可に関する命令に基づき、水の汲上げ、廃液および気体廃棄物(放射性物質であるか否かを問わない。)の
放出に適用される条件ならびにこれらの業務に関連して設定された制限は、ASNの決定によって設定される。したがって、施設
から外界への排出制限の設定に関する決定には行政による承認が必要である。
ASNはまた、施設設置の許認可に関する命令に基づき、事故または事件の影響を防止または抑制し、個人レベルおよび集団レ
ベルで住民を保護するための施策を規定し、騒音公害を抑制し、当該施設が生成または貯蔵する廃棄物を管理するための規制
を公布する。
基礎原子力施設の原子力の安全性および調査に関する規則
EDFが運営する原子力施設は、フランス環境法から派生した基礎原子力施設に関する一般的規則に服している。BNF命令に規
定されるとおり、事故を防止し、および原子力の安全性に対する事故の影響を抑制することを通じて、法律に規定されている
利益(市民の安全、健康、公衆衛生、自然および環境)の保護が優先されなければならない。この点において、原子力の安全
性は、BNFの設計、建設、運営、操業停止および廃炉ならびに放射性物質の輸送に関して、事故の防止または事故の影響の抑制
の観点から導入される、一連の技術的な規定および組織的な対策として定義される。
労働衛生管理に関するものを除き、ASNは、原子力の安全性および放射線防護の分野において発布された命令および決定の適
用条件を満たすために、技術的な性質を持つ規制決定を行う権限を有している。かかる決定は、関連担当大臣の承認に服す
る。前述のBNF命令が公表されて以来、現在作成段階にある約30の決定のうち、20を超える決定が既に公表され承認されている
が、その他は作成段階にある。
2016年6月付命令は、命令を必要とする大幅な変更と、ASNによって設けられる基準に基づき申請および承認を必要とする重
要な変更を区別することにより、BNFへの改正に関する規制の見直しを行った。ASNは、2017年11月30日付決定において、重要
な変更(基準、条件および内部統制)に適用される規則に追加を行い、内部承認システムを廃止した。新たな規制は、2019年
7月1日までに効力が生じる予定である。
BNFに関するフランス環境法の規定にはまた、当局への情報提供のためのメカニズムが規定される。この観点から、BNFの操
業に伴って生じ、人々の健康または環境に著しい危害を与える可能性のあるすべての事故および事件は、ASNおよび監督機関に
対し、事業者から可及的速やかに報告されなければならない。また、例えば、原子力の安全性に関する透明性および情報のた
めの高等委員会(HCTINS)の設立、ならびに国民が電離放射線被曝に関するリスクならびにこれらのリスクまたは被曝を防止
し減少させるために取られる安全策および放射線防護策に関する情報を事業者に直接要求することができる機会が一般の人々
に付与されたことを通じて、公共に情報開示する手段が改善した。
さらに、BNFが許認可なしに運営された場合には3年の懲役および150,000ユーロの罰金、放射性物質が許認可または承認を
得ずに輸送された場合には、1年の懲役または30,000ユーロの罰金が科される等、法律上または規制上の義務を遵守しないBNF
の事業者を処罰するための刑事罰の規定が創設された。
2014年7月、欧州連合の理事会は、2014年7月8日付指令2014/87/Euratom(原子力施設の原子力の安全性の共同体枠組みを
定めた指令2009/71/Euratomを改正)を採択したことに留意が必要である。
原子力の安全性および調査に関する上記の法的枠組みは、グリーン成長に向けたエネルギー移行に関する2015年8月17日付
法律の一部の規定および原子力に関する事項についての様々な規定を含む2016年2月10日付政令第2016-128号によって補完さ
れた。
特に、地域情報委員会(CLI)の役割が強化されており、当該情報委員会による動議権限の範囲にあるすべての事項について
審議することができ、特定の介入計画が修正される場合には当該情報委員会との協議が義務付けられ、また国際原子力事象評
価尺度(INES)のレベル1以上に分類される事象が発生した場合にはCLI委員長の要請によりBNFを調査すること等ができる。
162/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
さらに、特にASN内に、国務院の議員およびフランス破毀院の顧問からなり、10百万ユーロ以下の行政上の罰金を科すことので
きる制裁委員会を設置することにより、ASNの行政上の制裁権限が強化された。
原子力施設の廃炉
BNFの廃炉は、公的な調査が行われ、ASNの意見書が発行された後に発せられる首相の命令により規定される。かかる命令
は、廃炉の段階、継続期間および目標とする最終的状況について明記する。ひとたび廃炉が完了すると、事業者は、ASNに対
し、指定解除申請を提出しなければならず、ASNがその申請を受理した後には、施設のBNFとしての地位は喪失する。グリーン
成長に向けたエネルギー移行に関する2015年8月17日付法律(特に、現在のフランス環境法第L.593-25条)は、経済上許容さ
れる範囲内でありかつフランス公衆衛生法第L.1333-2条およびフランス環境法第L.110-1条第Ⅱ項に規定される原則に準拠して
いることを条件として、EDFが2000年代初頭から実践してきた、最終的な操業停止後「可能な限り短い」期間で廃炉を行わなけ
ればならないという方針を、法的観点から裏付けた。さらに、前述の法律は、予定された操業停止日より2年以上前に、かか
る施設の操業停止を申告する義務を事業者に課す追加の行政上の手続を規定する。
「手続に係る命令」として知られる2007年11月2日付命令は、グリーン成長に向けたエネルギー移行法から派生する規定
(特に操業停止申告および廃炉申請提出の内容)を施行することにより、基礎原子力施設の改良、最終的な操業停止および廃
炉ならびに業務委託に関する2016年6月28日付命令第2016-846号によって改正された。
放射性廃棄物
EDFの事業は、放射性廃棄物の持続可能な管理に関するフランスの規制に服する。EDFは、その事業から生じる放射性廃棄物
に対して責任を負う。フランスでは、放射性廃棄物管理の研究に関する1991年12月30日付法律第91-1381号により設立された産
業商業公的機関である放射性廃棄物管理庁(ANDRA)により放射性廃棄物は管理されている。
フランスにおける放射性廃棄物の管理方法は、当該廃棄物の放射線の程度および残留期間に依拠する(「第2 3(2)①
(ⅰ)(ニ)核燃料サイクルおよび関連する問題」を参照。)。2006年6月28日付法律(現在のフランス環境法第L.542-1条以
下)は、放射性廃棄物管理の組織および資金調達について規定し、フランス環境法第L.594-1条以下に統合されたBNFの廃炉費
用の評価および補償ならびに使用済燃料および放射性廃棄物の管理に関する枠組みの要件も規定している。具体的には、事業
者は引当金補償に割り当てられた資産を他の目的に使用することができず、これらの資産については別の勘定手続が行われな
ければならない。かかる規定の導入は、監督機関、すなわち、エネルギー担当大臣により監督されており、エネルギー担当大
臣自身も、BNFの廃炉に伴う資金調達費用ならびに使用済燃料および放射性廃棄物の管理に関して国家評価委員会によって監督
される。
原子力産業における資金調達費用の確保に関する2007年2月23日付命令第2007-243号は、2006年6月付法律の導入に関する
諸条件を規定している。
報告書は3年ごとに監督機関およびASNに提出され、その写しは法定監査人に送付される。かかる報告書には具体的に費用見
積り、引当金の算定に使用される方法および資産構成が含まれる。監督機関は、追加的補足書面を要求し、外部機関に調査を
実行させ、または事業者の費用で専門家に資産価値の査定を要求することができる。
原子力問題に関する様々な規定を含む2016年2月10日付政令第2016-128号に置き換わった指令2011/70/Euratomは、一定数の
欧州連合加盟国のために、使用済燃料および放射性廃棄物の管理についての共通の基本原則を形成し、いくつかの規定を明確
化する。かかる文書は、とりわけ深地層処分を長期の高レベル廃棄物の管理において最も安全で持続可能な選択肢として提示
し、任意ベースで、加盟国共有の処理施設を創設する可能性に関して検討するものである。
廃炉および放射性廃棄物の管理事業における資金調達
2006年6月28日付法律(現在のフランス環境法第L.542-1条以下)は、放射性廃棄物管理の組織および資金調達について規定
し、フランス環境法第L.594-1条以下に統合されたBNFの廃炉費用の評価および補償ならびに使用済燃料および放射性廃棄物の
管理に関する枠組みの要件も規定している。具体的には、事業者は引当金補償に割り当てられた資産を他の目的に使用するこ
とができず、これらの資産については別の会計手続を使用しなければならない。かかる引当金の導入は、監督機関、すなわ
ち、エネルギー担当大臣により監督される。エネルギー担当大臣自身も、BNFの廃炉に伴う資金調達費用ならびに使用済燃料お
よび放射性廃棄物の管理に関して国家評価委員会によって監督される。
原子力産業における資金調達費用の確保に関する2007年2月23日付命令第2007-243号は、2006年6月付法律の導入に関する
諸条件を規定している。
報告書は3年ごとに監督機関およびASNに提出され、その写しは法定監査人に送付される。かかる報告書には具体的に費用見
積り、引当金の算定に使用される方法および資産構成が記載されている。監督機関は、追加的補足書面を要求し、外部機関に
調査を実行させ、または事業者の費用で専門家に資産価値の査定を要求することができる。
163/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
放射線防護に関する規制
フランスにおいて、人々が電離放射線に晒されるリスクがある原子力事業は、防護されるべき個人の分類により、2つの異
なる規則によって規制される。かかる放射線に対する市民の基本的防護に関する規制は、フランス公衆衛生法によって統制さ
れ、主に、すべての原子力事業を申告、登録または許認可に服させることによってなされる。基礎原子力施設設立のための許
認可は、フランス公衆衛生法において義務付けられている許認可の役割を果たす。フランス公衆衛生法第R.1333-11条は、一般
市民については年間最大被曝線量を1mSvと規定している。
電離放射線の危険からの従業員保護に関するフランスの規制は、フランス労働法によって統制され、被曝する可能性が高い
従業員の雇用主の様々な義務について規定しており、特に、連続する12か月間での従業員の電離放射線の被曝線量が20mSvを超
えてはならないと規定している。
フランス公衆衛生法には、高レベルの密封放射線源および身元不明線源の管理に適用される規定が含まれる。
「基本的な安全基準」を規定した2013年12月5日付指令2013/59/Euratomは、1996年5月13日付指令96/29を廃止した。かか
る指令は、前述の2016年2月10日付政令第2016-128号、フランス公衆衛生法、フランス環境法およびフランス国防法の規制に
関する項目を改正する2018年6月4日付命令第2018-434号、ならびにフランス労働法を同様に改正する同日付命令第2018-437
号によって、フランス法に置き換わった。施行令によって規定が定められる。
164/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
原子力発電事業者の民事責任
いくつかの国際条約、特に、原子力エネルギー分野における第三者の責任に関する1960年7月29日付パリ条約およびかかる
パリ条約を補完する1963年1月31日付ブリュッセル条約は、原子力発電事業者の民事責任について規定している。これら2つ
の条約は、かかる条約を批准した締約国(フランスおよび英国を含む。)に適用される(「第3 2(3)⑥原子力施設の操業
に対する特別保険」を参照。)。
パリ条約は、いくつかの特長を有する特別責任適用除外制度を創設した。人および財産に対する原子力損害に対する賠償責
任は(過失不存在の場合であっても)厳格であり、金額および期間が制限され、原子力発電事業者のみに向けられている。
フランスでは、事業者の賠償責任は、発電所における原子力事故の場合、1件当たり91.5百万ユーロに限定され、輸送中の
原子力事故の場合、1件当たり22.9百万ユーロに限定されていた。これらの金額は、下記のグリーン成長に向けたエネルギー
移行に関する2015年8月17日付法律第130条の施行により、2016年2月18日、それぞれ700百万ユーロおよび70百万ユーロに引
き上げられた。
事業者の責任限度額を超えた場合、事故が発生した国は、最高201.4百万ユーロを限度として(当該国がブリュッセル条約の
締約国であるとき)、犠牲者に対する補償の責任を負う。かかる金額を超えた場合、ブリュッセル条約を批准している加盟国
(フランスを含む。)は共同で、345.3百万ユーロを上限として、補償する。
また、かかる条約では、事業者が資金の利用を保証するために設定された賠償責任限度額を上限とする保険の契約または財
務保証を行う義務を有する。経済担当大臣は、フランスの事業者による当該義務の遵守を監視する。EDFは、現行の付保要件を
遵守している(「第3 2(3)保険」を参照。)。
パリ条約およびブリュッセル条約を修正する議定書は、2004年2月12日に調印されたが、まだ施行されていない。当該議定
書は、より多くの犠牲者および補償の対象となる様々な被害を補償するために、当初の条約よりも利用可能な補償額の大幅な
引上げを義務付けている。したがって、事業者の賠償責任は、施設における原子力事故の場合1件当たり少なくとも700百万
ユーロであり、輸送中の原子力事故の場合1件当たり70百万ユーロとなる見込みである。かかる損害を引き起こし、事故の賠
償責任が生じた事業者の原子力施設がある国は、1.2十億ユーロを上限として(当該国がブリュッセル条約の締約国であると
き)、事業者の支払義務である700百万ユーロを超える額を支払う義務がある。この額を超えた場合、ブリュッセル条約の締約
国は、最高1.5十億ユーロまで支払う義務がある。さらに、人的傷害についてのみ、補償請求ができる期間が、当該事故の日よ
り10年間から30年間に変更された。もう1つの重要な変更は、「原子力損害」の詳細な定義の導入であり、これには、経済的
な損失、保護対策の費用、破壊された環境の回復措置のための費用および環境への損害から生じた特定のその他の損失が含ま
れる。ただし、これらの新規定は、パリ条約を修正する議定書の発効、すなわち16の締約国のうち少なくとも3分の2の締約
国の批准がなされた場合に限り、その日付現在から適用される。フランスは、両方の議定書の批准を可能にする法律(2006年
7月5日付法律第2006-786号)を採択したが、未だに当該批准書を提出していない。
さらに、2014年4月30日、フランスは、ウィーン条約およびパリ条約の適用に関する批准書を提出したことにより、かかる
条約はフランスでは2014年7月30日に効力が発生した。かかる共同議定書は、西欧諸国を対象するパリ条約および特に東欧諸
国を対象とする原子力損害の民事責任に関する1963年5月21日付のウィーン条約との連携を構築する。かかる共同議定書によ
り、共同議定書に加盟し、2つの条約(パリ条約またはウィーン条約)のうち1つの条約に加盟する関係当事者は、もう一方
の条約によって提供される補償による恩恵を受けることが可能となる。
核物質を格納する施設の防護
フランス国防法第L.1333-1条において統制される核物質の防護および管理に関する規制の目的は、施設に貯蔵中または輸送
中である核物質の紛失、盗難または不正流用もしくはかかる物質の変質、損傷または散逸計画を発見および阻止することであ
る。
かかる規制は、核物質、原子力施設および原子力輸送の防護および管理に関する2009年9月17日付命令第2009-1120号により
完全に改変され、フランス国防法に規定されている。かかる命令の主たる目的は、防護の範囲を核物質から核物質を貯蔵する
原子力施設にまで拡大することであった。2011年に公表されたいくつかの命令は、事業者の義務を詳述している。
原子力発電所に関し、許認可がないと保有することのできない核物質を保管する施設の物理的防護に関する2011年6月10日
付命令は、悪意ある行為により不履行または被害が発生した際に放射線の影響を与えるおそれがある核物質、原子力設備また
は原子力機能といった対象からの徹底的な防護に基づいている。したがって、事業者は、6つの区域(例えば、立入制限区
域、枢要区域、内部区域等。)で構成されるいくつかの防護ラインを設置しなければならない。2015年9月15日付命令による
改正後、2011年6月10日付命令により、フランス国防法第R.1333-4条に規定される安全性研究の評価内容によって、安全目標
達成のために実施される対策が不十分であることが判明した場合、危険区域に安全装置を設置することが可能になった。
2011年6月9日付命令により、核物質の物理的監視ならびに核物質の会計状況および事業者の義務に関する制度が構築され
た。したがって、事業者は、許認可が公布された時点で特定された悪意ある行為からの物理的監視および会計を防護すること
を保証しなければならない。
165/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
今現在はフランス国防法に統合された、核物質を保管する民間施設の保護の拡大に関する2015年6月2日付法律第2015-588
号は、これらの施設への不法侵入に対して特別な軽犯罪を設定した。当該規則の施行のため、2015年10月8日付命令第2015-
1255 号により原子力立入制限区域(ZNAR)が創設され、各施設内での区画分けが義務付けられた。ZNARへの不法侵入は、1年
の実刑判決および15,000ユーロの罰金が科される軽犯罪を構成する。これらの罰則は、加重する事態が発生した際には引き上
げられる(グループが違反した場合は3年の実刑判決および45,000ユーロの罰金が課され、凶器を使用または脅威により違反
した場合には7年の実刑判決および100,000ユーロの罰金が課される。)。各原子力発電所のZNARを規定するすべての命令は、
公布されている。
ブレグジットのユーラトム条約への影響
英国は2019年3月29日に欧州連合を離脱し、その後ユーラトム条約の当事者ではなくなる予定であった。この状況の結果お
よびこれに対応して取られる措置については、「第2 3(2)⑤(ⅰ)(イ)戦略」に記載される。
( ハ) 化石燃料火力発電に適用される規制
EDFグループの化石燃料火力発電事業は、フランスではICPE(「第2 3(3)⑥(ⅱ)(イ)環境保護指定施設(ICPE)に適
用される規制」を参照。)に適用される規制に服する。EDFの化石燃料火力発電施設はまた、一部の大気汚染物質の国内排出量
の上限に関する2001年10月23日付欧州指令2001/81/EC(NEC指令)および大規模な燃焼設備からの一部の汚染物質の大気中への
排出量の制限に関する2001年10月23日付指令2001/80/EC(LCP指令)(2016年1月1日以降に廃止され、産業排出に関する2010
年11月24日付指令2010/75/EU(IED指令)と置き換わった。)により採択された大気の質に関する特別規制を遵守しなくてはな
らない。これらの規制は、複数の命令、とりわけ20MWth超の出力定格を有する既存の燃焼設備のボイラーに関する2003年7月
30日付命令(2016年1月1日に廃止され、2910型および2931型の設備については承認が必要となる20MW以上の出力定格を有す
る燃焼設備に関する2013年8月26日付命令(2018年12月20日に廃止)に置き換わった。)によりフランス法に国内法化され
た。2018年8月3日付命令第2018-704号によって、2910型(燃焼)ならびに2770型および2771型(焼却)の設備に対する指定
が改正され、承認および申請の基準が2MWから1MWに引き下げられた。同命令は、燃焼設備の申請要件を修正する。2018年12
月20日以降、2781-1型、2910型、2931型および3110型の燃焼設備には、5つの2018年8月3日付命令によって定められる当該
規定が適用される。
大気中への排出に関する義務の免除は、2015年12月31日まで適用可能であった。かかる時点では、上記で言及したIED指令に
基づく上限および免除は汚染レベルが適用されている規定を交渉する必要となるレベルにある海外県の発電施設および緊急シ
ステムといった特定の問題に特に適用される。また、化石燃料火力発電によるエネルギー生産は、セベソ3指令の規定ならび
に財務保証を行う義務に服する(「第2 3(3)⑥(ⅱ)(イ)環境保護指定施設(ICPE)に適用される規制」を参照。)。
2017年12月19日までにフランス法に置き換わる予定であった中規模燃焼設備からの特定の汚染物質の大気中への排出量の上
限に関する2015年11月25日付指令2015/2193/EUは、施設の分類化を改正する2018年8月3日付命令第2018-704号およびフラン
ス環境法の複数の規定によって国内法化された。当該指令は、中規模燃焼設備から排出される二酸化硫黄(SO )、酸化窒素
2
(NO )および煤塵による大気汚染を制限し、大気中の排出量と人の健康および環境衛生への潜在的リスクを軽減するための規
x
則を規定している。該当する設備は、使用燃料の種類を問わず、1MW以上50MW未満の火力出力定格を有する燃焼設備である。
指令2015/2193/EUを置き換えるために、環境保護指定施設に適用される規制に服する燃焼設備に適用される規制を改正する5
つの命令が、2018年8月3日に採択された。
( ニ) 水力発電施設に適用される規制
フランスでは、水力発電施設は、フランス・エネルギー法の第L.511-1条以下に含まれる規定に服する。水力発電所は、政府
により付与された委託契約(4.5MW超を発電する施設の場合)または県の許認可による委託契約(4.5MW未満の施設の場合)が
必要である(水力発電委託に関しては「第2 3(2)①(ⅴ)(イ)(d)水力発電に関する課題」を参照。)。
EDFの水力発電事業は、水力に関する実質的な規制の規定に服する。かかる規制は、とりわけ水位および水流量の変動、近隣
地域の安全性および水力発電所の下流の地域の管理ならびに一般的に水資源の安定した管理の維持に関係する(「第2 3
(3)⑥(ⅰ)環境、健康、衛生および安全性に適用される一般的規制」を参照。)。
水力発電委託の競争入札
契約
水力発電委託契約の競争入札手続は、2016年4月1日まで、現在はフランス・エネルギー法の規制の部の第Ⅴ編に組み込ま
れている1994年10月13日付命令第94-894号(フランス・エネルギー法の規制の部の構成に関する2015年12月30日付命令第2015-
1823号を参照。)によって引き続き統制されていた。この命令(2008年9月26日付命令第2008-1009号によって改正済)は、委
託を、「サパン法」として知られる1993年1月29日付法律第93-122号に定義される公共サービス委託契約の法的枠組みの中に
166/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
位置づけており、既受託事業者に対する従来の優先権は、EU法にそぐわないとの理由から、水および水域環境に関する法律
(2006年12月30日付法律第2006-1772号)によって廃止されることが規定された。
現在、水力発電委託契約の発注は、2016年4月1日以降開始されるすべての手続について、委託契約に関する2016年1月29
日付政令第2016-65号および2016年2月1日付施行令第2016-86号に統制されている。この規制は、上記のサパン法の規定を近
代化してEU法(委託契約の発注に関する2014年2月26日付指令2014/23/EU)に適合させるため、当該規定を廃止した。
グリーン成長に向けたエネルギー移行に関する2015年8月17日付法律は、政府に以下の可能性を提供することにより水力発
電委託契約の法的枠組みを補完した。
・該当するすべての委託契約について新たな終了日を設定することにより「水圧で連結された施設のシリーズ」を形作る委託
契約を統合する可能性(フランス・エネルギー法第L.521-16-1条および第L.521-16-2条)。
・それぞれが株式の少なくとも34%を保有する民間の事業者および公共部門(国家、地方自治体等)による半公共の水力発電
会社(SEM)の設立の可能性(フランス・エネルギー法第L.521-18条以下)。
・国内のエネルギー政策目標の達成に必要な事業者の投資と引き換えに特定の委託契約を延長する可能性(フランス・エネル
ギー法第L.521-16-3条)。
水力発電委託契約に関する2016年4月27日付命令は、上記の2015年8月17日付法律の規定の施行および水力発電委託契約の
規制枠組みの近代化(特に、一般的な条項の新たな雛形が承認されたことにより、水力発電委託契約の発注手続の一部が明確
化された。)を目的としている。
水力発電委託契約の履行に関連して、一連の規定がかかる法的枠組みを完成させた。かかる規定には、とりわけ、水力発電
施設の行政管理を強化し、操業の権限の更新に関する一定の規則を明確化するための、フランス・エネルギー法の第Ⅴ編に
様々な改正を行った2016年4月28日付政令第2016-518号、一定の水力発電施設が対象となる可能性が高い購入義務および追加
報酬に関する2016年5月27日付命令、情報公開および国民参加に関するプロジェクトおよび手続の環境上の評価に関する2016
年8月3日付政令、ならびにデジタル国家のための2016年10月7日付法律が含まれる。
年間委託料
フランス・エネルギー法第L.523-2条に基づき、フランス・エネルギー法第L.521-16-2条または第L.521-16-3条に規定される
条件に従って水力発電委託契約を更新または延長する時において、当該委託契約からの収益に比例する年間委託料が課され、
かかる委託料の一部はフランス政府に対して支払われ、一部は使用する河川の流域にあたるフランスの県および地方自治体に
支払われる。委託機関により、新規の委託または更新された委託契約について個別にそれぞれ上限が設定されている。2015年
12月29日付法律第2015-1785号第69条(2016年予算法)は、この種の委託料が、2006年より前に更新された委託契約に適用され
る同法第L.523-1条に定める委託料の適用除外となる旨を明確に確認した。さらに、2018年12月28日付法律第2018-1317号
(2019年予算法)は、フランス・エネルギー法第L.521-16条に従い、2019年1月1日以降、延長された委託契約の「繰り返す
遅延」に対して委託料を課す。かかる委託料は、委託の性質を考慮して、国務院からの命令によって設定される。
施設の安全性
フランス環境法第R.214-112条以下には、認可および委託契約に基づき運営がなされている水力発電施設の安全性に適用され
る規定が記載されている。ダムは、その性質(特にダムの高度および容量)によって3つのクラス(A、BおよびC)に分類
される。この分類および施設に適用される法的規則に基づき、規制上、事業者または受託事業者は、当該施設の安全性を保証
するための一定の義務(特に、危険分析の実行および更新。「第2 3(2)①(ⅴ)(イ)(b)水力発電の安全性」を参
照。)の履行が求められる。上記の水力発電委託契約に関する2016年4月27日付命令には、施設に適用される法的規則を問わ
ずに規制を統一するための規定が含まれている。建設が許可されている施設および稼働中の施設に適用される、ダムの安全性
に関する技術的な要件を規定する2018年8月6日付命令は、ダムに適用される基本的な安全要件を規定する。かかる規定は、
2025年12月31日から2035年12月31日までの間に、既存のダムに対し、ダムの種類に応じて徐々に効力が生じる。
( ホ) 再生可能エネルギー発電に適用される規制
「気候パッケージ」(「2020年エネルギー・気候パッケージ」として知られている。)とは、2020年までに欧州連合が温室
効果ガス(GHG)の排出を20%削減すること、エネルギー効率を20%改善することおよびエネルギー消費の20%を再生可能エネ
ルギー(REN)とすること、といった目標の達成を確実なものとすることを目的とした一連の措置の枠組みである。「2030年エ
ネルギー・気候パッケージ」は、2014年10月24日に採択され、GHG排出を1990年に比べて40%削減すること、エネルギー構成に
おける再生可能エネルギーの割合を27%とすること、および省エネを27%改善することといった、2030年に向けた新しい目標
を設定している。
2020年エネルギー・気候パッケージを構成する5つの文書の1つが「REN指令」として知られる再生可能エネルギー源からの
エネルギー利用の促進に関する2009年4月23日付指令2009/28/ECである。かかる指令は、特に各国の国内エネルギー構成、各
167/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
国の潜在性およびそのGDPを考慮の上、2020年までに欧州連合の最終エネルギー消費における再生可能エネルギーを20%とする
欧州連合目標達成のための取組みを加盟国間で分担し、加盟国が国内再生可能エネルギー行動計画を採択するよう義務付けて
い る。
前述のREN指令第4条に基づき、フランスは、国内再生可能エネルギー行動計画(2009年-2020年)を採択した。かかる行動
計画は、REN指令に基づき、2020年までに最終総エネルギー消費量における再生可能エネルギー源からのエネルギーを23%とす
る国内目標について規定している。またグリーン成長に向けたエネルギー移行に関する2015年8月17日付法律は、2030年まで
にエネルギー消費における再生可能エネルギーを32%とする目標について規定している。さらに、同法は、国内計画がPPEにお
ける再生可能エネルギーおよびエネルギー回収の開発に関する箇所と差し替わる旨を規定している。
REN指令の目標を達成するため、グルネル第二法は、様々な再生可能エネルギー分野間での均衡の取れた開発が可能となるよ
う新たな土地計画手法を創設した。これには以下のものが含まれる。
・気候、大気およびエネルギーに関する地域基本計画(SRCAE)。その法的枠組みは、フランス環境法第L.222-1条から第
L.222-3条および第R.222-1条から第R.222-7条の中に規定されている。2014年5月1日現在、すべての地域で、SRCAEの採択
が行われた。
・再生可能エネルギー網への接続に関する地域枠組み(S3RER)。発電事業者の接続のための構成、承認規則、受入容量管理お
よび財務条件は、フランス・エネルギー法第D.321-10条から第D.321-21条および第D.342-22条から第D.342-25条の中に規定
されている。
REN指令第15条に基づき、2011年9月14日付政令(2013年7月16日付法律第2013-619号により批准)によって再生可能エネル
ギー源の使用およびコジェネレーションによって生産された電源の保証に関する法規制が改正され、フランス・エネルギー法
第L.314-14条以下に規定される。かかる新たなスキームおよび電源保証の管理(発行、譲渡および取消し)を担当する組織を
任命する規則の導入条件は、フランス・エネルギー法第R.314-24条から第R.314-41条に規定されている。再生可能エネルギー
源を利用した電力の発電および購入義務を負う事業者として、EDFグループは、かかる規定の影響を受ける。政府は、グリーン
成長に向けたエネルギー移行法に関する2015年8月17日付法律によって、再生可能エネルギーからの発電に関する2016年8月
3日付政令第2016-1059号を公布する権限を付与された。かかる政令は、当該発電施設の電力市場へのさらなる統合を保証し、
また接続された発電施設(とりわけ再生可能資源による発電施設)の電力システムを公共配電網にさらに統合させるために必
要な技術規定を定めるために、再生可能資源による発電施設に適用される規定を改定するものである。
また、グルネル第二法には、グリーン成長に向けたエネルギー移行に関する2015年8月17日付法律により強化された洋上エ
ネルギーの開発を後押しするための例外規定が含まれている。
また、企業生活の簡略化に関する2014年12月20日付法律第2014-1545号第18条は、海上公共領域にある再生可能エネルギーを
生成する洋上施設およびかかる施設の結合構造について、政府が専用の包括的な承認システムを定める権利を与える。さら
に、2016年1月8日付命令第2016-9号は、競争入札手続を落札した洋上再生可能エネルギー・プロジェクトに適用される法的
手続を簡略化した。
また、グリーン成長に向けたエネルギー移行に関する2015年8月17日付法律は、「再生可能エネルギー源から発電する施
設」のために、許認可が発行されてからまたは通知されてから許認可を争うための4か月の例外的な不服申立て期間を規定し
ている。
( ヘ) 風力発電に適用される規制
フランス都市計画法第R.421-1条および第R.421-2条に従い、12メートル以上の高さの陸上風力発電所には建設許可の取得が
必要である。ただし、陸上風力発電プロジェクトの完成に向けて付与される環境上の許認可では、フランス都市計画法第
R.425-29-2条に従い、建設許可要件が免除される。一方、公共海上領域における風力発電所の建設では、フランス都市計画法
第R.421-8-1条に基づき、建設許可要件が免除される。
さらに、グルネル第二法は、第2980項の「1つ以上の風力発電機による機械風力エネルギーを利用した陸上発電施設」に規
定される許認可または申告(「第2 3(3)⑥(ⅱ)(イ)環境保護指定施設(ICPE)に適用される規制」を参照。)といっ
た法制度に従い、陸上風力発電所は現在ICPEに適用されるリストに服する旨規定している。建設許認可の適用に関連して、許
認可を必要とする風力発電所においては影響調査を行わなければならず、建築許認可書類とともに提出しなければならない。
グリーン成長に向けたエネルギー移行に関する2015年8月17日付法律は、風力発電所と住宅との間に義務付けられる距離に
ついての規定を改定し、最短距離(500メートル)は維持されたが、許認可申請の一環として行われる影響調査を考慮して拡張
することができる。また、当該法律は、フランス都市計画法第L.146-4.I条に「海岸線」法の影響を受ける地方自治体での陸上
風力発電所の設置を促進するための規定も加えた。軍事施設および軍事部門、気象観測機器ならびに航空施設に関して、風力
発電所の設置に関する規定が、命令により明確にされる予定である。
風力発電所の事業者、またはかかる事業者が債務不履行を起こした場合には、その親会社が、理由の如何にかかわらず運営
を停止し次第、その発電所の閉鎖および敷地の回復を行う責任を有している(フランス環境法第L.553-3条および第R.553-1
168/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
条)。かかる目的に資するため、事業者は発電当初の段階およびそれに続く事業年度において財政保証を施すことが要求され
ている。
洋上風力発電プロジェクトの開発に必要な発電および送電の作業に関する許認可は、2016年1月8日付命令第2016-9号にお
いて規定される特定の訴訟に関する枠組みに服する。
(ト)公共調達に適用される規制
公共調達に関する指令2014/24/EUならびにEDFが購入者として服する水、エネルギー、交通、および郵便部門で活動する企業
による調達に関する指令2014/25/EUは、以下の政令および命令によりフランス法に国内法化された。
・公共調達契約に関する2015年7月23日付政令第2015-899号(フランス公共調達法および2005年6月6日付政令第2005-649号
に以前規定されていた様々な競争入札手続を統合する。)。
・2015年7月23日付政令を施行する2016年3月25日付命令第2016-260号。
これらの文書は2016年4月1日に効力が発生した。
169/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
⑦ エネルギー卸売市場に関する規制
金融市場に適用される市場での濫用行為に関する指令2003/6/ECに含まれる規則(「第5 5(1)①コーポレート・ガバナ
ンス規約」を参照。)に着想を得て、2011年12月28日付でエネルギー卸売市場の統合性および透明性に関する「REMIT」規則と
して知られる規則(EU)第1227/2011号が発効した。この規則は、エネルギー卸売市場における濫用行為および操作の防止なら
びに市場参加者および消費者の信頼の強化を目的としている。
エネルギー卸売市場における統合性および透明性の強化により、とりわけこれらの市場において設定される価格が供給と需
要の間の公正で競争性のある相互関係を反映するよう、市場の公正な公開競争が育成されなければならない。この規則はイン
サイダー・トレーディングおよび市場操作を禁止し、REMITに定義される内部情報を公開する義務を課す。
欧州のエネルギー規制機関調整庁(ACER)は、内部情報および市場操作に基づく取引を発見し、防止するために、エネル
ギー商品の卸売取引を監視する責務を主に負っている。
また、ACERは市場を評価および監視するのに必要なデータを収集している。同規則は、市場参加者または当該市場参加者に
代わり権限を与えられた者に、ACERに対してエネルギー卸売市場取引の明細を提出するよう規定している。
さらに、ACERへの届出が必須である取引を行う市場参加者は、それらが設立された加盟国の国内規制当局(フランスにおい
てはCRE)において登録を行わなければならず、それらが欧州連合内で設立されていない場合には、それらが事業を行う加盟国
で登録を行うものとする。
170/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
4【関係会社の状況】
( 1) 親会社
詳細については、「第5 1(4)所有者別状況」を参照。
( 2) 子会社等
当グループの連結の範囲に含まれる子会社、ジョイント・ベンチャーおよび関連会社の一覧については、2018年12月31日に
終了した年度の連結財務書類の注記3「重要な事象および取引」および注記5「連結範囲の変更」を参照。
① ENGIE(旧GDF SUEZ)との関係
電力およびガスの供給をそれぞれ行っている2つの電力網事業者、EnedisおよびGRDFが共有する共益サービスの任務は、フ
ランス・エネルギー法第L.111-71条に定義されているとおり、電力およびガスの供給分野において、体制の構築、プロジェク
ト管理、ネットワークの運営および維持管理ならびに計測業務を行うことである。両社は法人格を有しない。組織上および機
能上の規則については、「第2 3(2)④(ⅱ)(ハ)EnedisおよびGRDFによる共同サービス」を参照。2018年3月、Enedis
およびGRDFは、2つの共同事業体を設立することを決定した。すなわち、雇用契約活動、研究および医療社会サービスを取り
まとめるUONRH-MS、ならびにITおよび通信事業者としてすべての電話による通信およびオフィス・オートメーション活動を取
りまとめるOITである。これら2つの共同事業体の設立は、2019年1月1日付でその効力が発生した。
② 公共部門の企業との関係
公共部門の企業との関係は、主にOranoグループが関係する。Oranoとの取引は、核燃料サイクルの上流部門および下流部門
が関係してくる。これらの関係についてはとりわけ「第3 2(4)依存因子」、「第2 3(2)①(ⅰ)(ニ)核燃料サイク
ルおよび関連する問題」、「第2 3(2)①(ⅰ)(ヘ)原子力発電所の廃炉」および2018年12月31日に終了した年度の連結
財務書類の別紙の注記48に記載されている。
③ Framatomeとの契約
規制対象となる契約およびコミットメントに関する2018年3月9日付の法定監査人による特別報告書において、過去にEDFの
株主総会において承認され、現在も引き続き効力を有する以下の契約について言及されている。
・フラマンビル3EPR原子力ボイラー供給に関する合意(2007年1月23日開催のEDFの取締役会において承認された。)
・フランスにおける900MWシリーズの原子炉に係る3回目の10年点検の間に実施される予定のボイラーの維持管理に関する合意
(2007年6月14日開催のEDFの取締役会において承認された。)
2018年以前になされた合意の再検討において、取締役会は2019年2月14日の会合で、これらの合意はEDFおよびFramatomeの
通常の事業取引の一部とみなすことができ、通常の状況下において締結されたとみなすことができる旨を言及した。したがっ
て、これらの合意はフランス商法に定められた規制対象となる契約の範囲に該当せず、機密指定を解除された。
④ 当グループの組織
( ⅰ) EDFの組織概要
当グループの連結範囲に含まれる会社または会社グループの一覧については、2018年12月31日に終了した年度の連結財務書
類の注記51を参照。
( ⅱ) 当グループ内の契約
フランス商法第L.225-38条において言及されている規制対象となる契約およびコミットメントに関する情報は、法定監査人
の特別報告書に記載されており、「第2 4(2)③Framatomeとの契約」では、もはや前述の第L.225-38条の範囲に該当しな
いFramatomeとの間で締結された契約について言及している。規制市場において株式を上場している会社は、2019年5月22日付
PACTE法第2019-486号を施行する新たなフランス商法第L.225-40-2条に従い、フランス商法第L.225-38条において言及されてい
る規制対象となる契約およびコミットメントに関する情報を、遅くともかかる契約等の締結日までに、自身のインターネッ
ト・ウェブサイト上で公表しなければならない。留意点として、インターネット・ウェブサイト上に公表されるべき情報の一
覧を示す命令は、本書提出日現在公布されていない。
EDF およびその子会社の間の資金の流れ
以下のキャッシュ・プーリング契約に関する資金の流れに加え、EDFおよびその子会社の間の資金の流れは、当グループ内の
配当の分配とも関連している。2018年にEDFは連結子会社から合計2,753百万ユーロを配当として受け取った。
171/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
EDFとその子会社間のその他の資金の流動形態は、主に当グループの親会社が一部の子会社の利益のために行う融資、資産譲
渡および保証に相当する。
EDFグループとその子会社間の財務上の関係( Framatomeは2018年にそのすべての側面において組み込まれている。 )は、EDF
の2017年5月付の「資金調達、現金および金融リスクの統制」に関する方針に規定されているとおり、次の原則に基づいてい
る。
・EDFの内部金融機関およびEDF Investissements Groupe(ベルギーに拠点を置く会社)による貸付および持分金融
・金利リスクおよび為替リスクの集中管理
さらに、核燃料の購入(子会社であるEDF Energyのための購入を含む。)は、EDF SAにより集中管理されている。
子会社の支払った費用に関する資金の流動については、グループ内サービスの提供に関する契約が、2012年以降の連結範囲
に含まれる主要な子会社との間で締結された。またEDFは、特定の子会社または当グループ外の事業体に対して、一定のサービ
スを提供することが求められる場合がある。さらに、EDFブランドを発展させる業務を行うにあたり、当社はEDFブランドを使
用する子会社との間でライセンス契約を締結した。
EDF およびその子会社との間で締結されたキャッシュ・プーリング契約 ( Framatomeは2018年にこれらの契約に組み込まれてい
る。 )
EDFが設定したキャッシュ・プーリング・システムは、子会社のすべての現金ポジションを集約するものであり、これにより
当グループの流動性が最適化される。キャッシュ・プーリングの本質は、子会社のすべての現金残高を親会社のレベルに集約
する点にある。特定のフランス国内および国外の子会社は組み込まれているが、RTEは組み込まれていない。
EDFグループ内の企業のためのキャッシュ・プーリング・システムは、キャッシュ契約によって定められている。EDFと各子
会社との二者間契約が、残高の支払い等、各手順の具体的な条件を明確にしている。
国際的なレベルでは、システムに組み込まれている子会社はキャッシュセンターとして機能するEDFと包括契約を締結してい
る。
EDFはまた、フランスの国内子会社からのすべての通貨フローを集中させている。
保険
EDFおよびその子会社( Framatomeは現在統合されている。 )は、子会社が当グループの保険プログラムによって提供される
保険の補償を受けるために、加入手続を行った。
5【従業員の状況】
企業の社会的責任に係る2つ目の目標に加えて、人的側面は、ますますEDFの戦略の中心となり、当グループの業績において
重要な要素である。
EDFは、その産業的課題に対応するために、従業員の技術を向上させ、プロフィールの多様性を育てることで、社会的責任を
有し、かつ積極的に関与する雇用者であり続け、またプロフェッショナリズムおよびその従業員の意欲的関与に関してリー
ダーであり続けている。当グループはまた、長期的な実績を保証するために、参加型アプローチを推奨し、優れた実務の共有
を容易にすることにより、社会革新という観点で実例を示している。
当グループが業務を行っているすべての場所において、自己の従業員およびその業務委託業者の従業員の安全衛生は、絶対
的に優先される事項である。EDFグループは、フランス国内およびフランス国外のいずれにおいても、その価値に従い行動して
おり、そのすべてのスタッフに倫理的に行動し、誠実性を示し、基本的権利を尊重することを求めている。
新しいCSR契約は、2018年6月に当グループのすべての労働組合に加え、2つの国際的な連盟(IndustriAllおよびPSI)によ
り締結された。これは今や、当グループのすべての従業員および業務委託業者を拘束する包括協定となっている。かかる契約
は、以下に関連する主要な原則を定めている。
・尊重および誠実性
・従業員の能力開発
・対話および協議
・共同体へのサポートおよび地域への影響
( 1) 優れた専門性:雇用および技能開発
① 2018年における当グループの従業員数
172/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2018年12月31日現在、EDFグループの連結従業員数は総計165,790名であり、従業員数が10,000名を超える5社を含む。すな
わち、EDF(65,368名)、Enedis(38,691名)、Framatome(14,545名)、Dalkia(16,017名)およびEDF Energy(13,460名)で
ある。
連結による影響(およびとりわけ2018年1月1日付のFramatomeの統合による影響)を除き、当該従業員数は、エネルギー移
行、技術開発およびフランスにおいては競争の激化という背景に反し、2017年と比較して0.5%増加した。
フランス国内の従業員数
当グループ会社は、2018年12月31日現在でフランス国内において131,409名( 2017年および2018年におけるEDFグループのフ
ランス国内の従業員数の変動は、2017年12月31日時点における Framatomeの従業員数(すなわち8,521名)を含んでいる。 )を
雇用しており、各地域の当グループ会社における従業員の集計方法の変更による影響を除き、過去3年間安定している( 本書
提出日以降、EDIFIS情報システムの変更により、当社の登記上の事務所が所在する国ではなく、従業員が業務を行う国におい
て従業員を集計することが可能になった。その他のセクションにおいて表示される従業員数およびその割合の変動は、この新
しい従業員の集計方法を考慮している。 )。
この比較的安定した従業員数は、フランス国内のEDFグループ会社間における対照的な傾向を実際に反映したものであり、そ
のうちいくつかはその成長を支えるために大幅に従業員数が増加した(EDF Renewablesは9.9%増加、Framatomeは4.1%増加、
Citelumは10.8%増加およびSOCODEIは4%増加)一方、その他は、EDF(2.4%減少)のように業績後退に伴いその従業員数を
削減しなければならなかった。
2018年12月31日現在、EDFはフランス国内において65,163名の従業員を有しており、開発プロジェクト(すなわち、新規の原
子力発電所建設、再生可能エネルギー、国際的発展、エネルギー供給およびサービス提供等)を成功裏に完了し、そのビジネ
ス・モデルを適合させるために、2016年に始動した変革を継続している。かかる変化は、徐々に従業員の減少(2016年末から
4.8%減少)へとつながっており、主に以下を対象としている。
・販売(マーケット・シェアの低下のため)
・化石燃料(火力発電)プラント(関係する発電ユニットの閉鎖のため)
・技術インキュベーター(退職に対処するための新規雇用のピーク後における急激な低下のため)
・生産性向上のための取組み(手続の簡略化およびデジタル化のため)
・サポート部門の最適化
・不動産事業のための新しい管理モデル
当グループのフランス国外の従業員数(連結子会社)
当グループは、世界全体で34,500名近く(2017年末と比較して0.6%増加)の従業員を有しており、その大部分が欧州を拠点
としている(フランスを除く欧州において従業員27,000名)。この世界全体の従業員数の増加は、主にEDF Renewables(とりわ
けドイツ、英国、南北アメリカおよび中国において)に加え、欧州におけるEdisonおよびEDF Luminusの成長に牽引されたもの
であった。
以下の表は、EDFグループの連結範囲に含まれる国外の子会社および株式保有会社の従業員の内訳に加え、2017年末以降の従
業員数の変動を示したものである。
2018 年12月31日現在の世界全体のEDFグループの従業員数
フランス
EDF SA: /
65,163 -2.43%
Enedis: 38,691 / -0.51%
Dalkia: 13,745 / +5.12%
Framatome: 8,872 / +4.12%
EDF Renewables: /
1,541 +9.91%
Électricité de Strasbourg: /
1,107 -0.54%
CHAM: 890 / +3.85%
Citelum: 554 / +10.80%
Groupe PEI: /
431 +0.94%
SOCODEI: 287 / +3.99%
G2S: 58 / -6.45%
173/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
その他: 70 / +6.06%
合計: 131,409 / -0.43%
欧州(フランス国外)
EDF Energy: /
13,440 -3.70%
Edison: 4,637 / +9.86%
Framatome: 3,259 / +1.18%
EDF Luminus: /
2,048 +5.57%
Dalkia: 1,649 / +6.94%
EDF Renewables: /
842 +11.97%
Citelum: 572 / +4.00%
EDF Trading: /
396 -4.81%
EDF SA: /
68 -
合計: 26,911 / +1.17%
世界のその他の地域
EDF Renewables: /
1,470 +10.69%
Citelum: 1,348 / -8.98%
Framatome: 2,414 / +0.58%
Edison: 735 / -22.06%
(*)
Dalkia : /
623 -25.66%
(*)
EDF Trading : /
423 +25.89%
China Holding Co: /
140 +5.26%
EDF SA: /
137 -
(*)
101 /
EDF Norte Fluminense:
-3.81%
(*)
77 /
MECO: -
EDF Luminus: /
2 -
合計: 7,470 / -2.24%
アジア
EDF Renewables:
104
Citelum: 152
Framatome: 102
Dalkia: 102
EDF Trading:
9
China Holding Co:
140
EDF SA:
77
MECO: 77
EDF Luminus:
2
合計: 765
南北アメリカ
EDF Renewables:
1,268
Citelum: 1,190
Framatome: 2,312
Dalkia: 521
EDF Trading:
414
174/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
EDF SA:
28
EDF Norte Fluminense:
101
合計: 5,834
アフリカ
EDF Renewables:
98
Citelum: 6
Edison: 735
EDF SA:
32
合計: 871
(*) Dalkia: ロシアに従業員102名
EDF Trading: 米国に従業員414名
EDF Norte Fluminense: ブラジルに従業員101名
MECO: ベトナムに従業員77名
以下の表は、2018年12月31日現在における当グループの世界全体の従業員数の内訳を示したものである。
2018 年 変動
フランス 131,409 -0.43%
欧州(フランスを除く) 26,911 +1.17%
世界のその他の地域 7,470 -2.24%
世界におけるEDFグループの合計 165,790 -0.26%
( 2) 雇用主の建設努力への参加
EDFは、毎年フランス建設努力プログラムに参加する義務を負っている。その負担額は人件費総額の0.45%以下であり、2018
年は約18.5百万ユーロ(2017年は18.7百万ユーロ)であった。
この投資額の代わりに、EDFの従業員はその住居移動を容易にすることを目的とした補助金およびサービス(賃貸支援、住居
の購入支援、引越し支援、融資のアドバイス)を受けることができる。
( 3) 持ち家助成ローン
EDFは福利厚生政策の一環として、金融機関(SOCRIF)とのパートナーシップ締結により、従業員が持ち家を購入するための
支援を行っている。かかる機関は、当社の従業員に対する融資の創出、提供および管理を行う。EDFはかかる機関に対し、
SOCRIFがEDFの従業員に対して行う融資の優遇利率とかかる機関に対して行われた銀行調査の結果により得られた利率との差を
埋めるための補償をする。
2018年12月31日現在、EDFの貸借対照表における個人向住宅ローンの非証券化残高は、1.7百万ユーロであった(2017年12月
31日現在は2.1百万ユーロ)。
175/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
第3【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
( 1) 経営方針、経営戦略および経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
詳細については、「第2 3(1)当グループの戦略」および「第3 3(3)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー
の状況の分析」を参照。
( 2) 経営環境
詳細については、「第2 3(1)当グループの戦略」、「第3 2(1)当グループが晒されるリスク」および「第3 3
(3)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照。
( 3) 対処すべき課題
詳細については、「第2 3(1)当グループの戦略」を参照。
2【事業等のリスク】
当グループが晒されていると考えている主要なリスクおよびその具体的内容については、「第3 2(1)当グループが晒さ
れるリスク」に記載されている。
事業および当グループが晒されているリスクを統制するために当グループが講じている措置については、「第3 2(2)当
グループのリスクおよび事業の統制」に記載されている。
顧客と供給業者の依存因子については、「第3 2(4)依存因子」に記載されている。
概して、当グループは、そのあらゆる事業および様々な市場において法的リスクに直面している。当グループが関係してい
る主な法的手続、行政手続および仲裁手続については、「第6 3(2)訴訟および仲裁手続」に記載されている。
「第3 2(3)保険」では、EDFグループの保険プログラムについて説明する。
( 1) 当グループが晒されるリスク
当グループは、大きく変化し、膨大なリスクが生じる環境の中で事業を行っている。そのうちのいくつかのものは、当グ
ループの外部で、規制および経済または一般的な環境に左右される。これらのリスクは、当グループの各部門の事業に内在す
る内部リスクに加えて生じるものである。
当グループが晒されるリスクに関連する問題は、複数の基準からなる。戦略上または経営上の問題であったり、特に財務状
態または不動産価値に財務上の影響を与えたりする。
当グループが晒されていると考えている特定のリスクについて、以下に説明する。特定性の原則から、本項ではEDFグループ
の特定性が主要な要因となるリスクについてのみ述べる。当グループに特定でないリスクについては、本項に説明がないから
といって、当グループかかるリスクを考慮していないわけではない。係属中の訴訟および仲裁手続に関するリスクについて
は、「第6 3(2)訴訟および仲裁手続」に記載されている。
特定のリスクは5つのカテゴリーに分類され、「第3 2(1)①エネルギー市場規制に関連するリスク」から「第3 2
(1)⑤当グループの原子力事業に関する特定リスク」にそれぞれ記載されている。
最初の2つのカテゴリーは、当グループ外部の要因に関するものである(下記表の「外部リスク要因」を参照。)。
エネルギー市場の規制に関連するリスクについては、「第3 2(1)①エネルギー市場規制に関連するリスク」に記載され
ており、特に電力に関する規制については以下を考慮する必要がある。
・特に当グループの業務の大部分が行われている欧州およびフランスの競争ルール。
・エネルギー分野における公共政策。
「第3 2(1)②競争環境および一般的な環境に関するリスク」では、当グループが事業を行うエネルギー市場に対するエ
クスポージャーによって生じるリスク、ならびに当グループが事業を行う様々な国および地域における競争および新たな社会
的期待、経済情勢または一般的な状況、および公共政策または一般規則の変化によって生じるリスクについて説明する。
以下の3つのカテゴリーは、当グループ内部の要因に関するものである(下記表の「内部リスク要因」を参照。)。
「第3 2(1)③当グループの変革に関するリスク」では、当グループの戦略の実施、EDFグループのポートフォリオおよ
び事業モデルの変化、ならびに産業、サービスおよび販売活動における変革(および関連する変更管理)に関するリスクにつ
いて説明する。
176/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
「第3 2(1)④当グループのパフォーマンスに関するリスク」では、様々な産業、サービスおよび販売活動における事業
活動の統制に関するリスクについて説明する。
「第3 2(1)⑤当グループの原子力事業に関する特定リスク」では、当グループの原子力事業に関する特定リスクに充て
られている。これには、特に原子力安全の最優先要件および原子力事業の長期的資本集約性に関する、追加的なリスク要因お
よび具体的な措置が含まれる。
EDF グループの主な特定リスクは5つのカテゴリーに分類される 。
エネルギー市場規制 競争環境および一般的な環境
(「第3 2(1)①」を参 (「第3 2(1)②」を参
照。) 照。)
・国のエネルギー政策、PPE(複 ・競争
外部リスク
数年にわたるエネルギー計 ・エネルギー卸売市場
要因
画)および市場規制 ・低炭素移行ソリューション
・料金規制 ・気候の影響
・委託 ・悪意ある行為およびサイバー
攻撃
・停電
当グループの変革 パフォーマンス 原子力事業
(「第3 2(1)③」を参 (「第3 2(1)④」を参 (「第3 2(1)⑤」を参
照。) 照。) 照。)
・当グループの戦略の実施 ・大型プロジェクトの管理 ・原子力安全性および原子力民
内部リスク
・能力の適応 ・パフォーマンスの管理 事責任
要因
・サプライ・チェーンおよび顧 ・稼働期間の持続
客 ・放射性廃棄物および廃炉
・金融リスク(流動性、金利) ・EPRプロジェクト
・就業中の安全衛生
・倫理およびコンプライアンス
当グループの特定リスクは5つのカテゴリーに分類され、各カテゴリーに関する各項において詳細に説明されている。下記
表と詳細な説明を関連付けやすいよう、番号が振ってある。リスクは、当グループに対する潜在的影響と発生確率の両方を考
慮する定性的アプローチによって、重要度別に分類されている。このため、各カテゴリーにおいて最も重要なリスク(下表で
+印がついているもの)が特定されているが、リスクの相対的重要度またはカテゴリーの相対的重要度の推定は行われない。
原則として、エクスポージャーの範囲は、フランス、欧州および国外である。エクスポージャーの範囲がより限定的である
場合は、表およびリスクの説明に明記する。
リスクに対するエクスポージャーは、期間によって異なる。これらのリスクの潜在的影響から、ごく短期(1年未満)、中
期(最大数年間)からきわめて長期(複数の国々に及ぶ場合がある当該産業活動の性質により、数十年間またはそれ以上)ま
で、様々な期間の影響が生じることがある。この期間については、リスクの説明において適宜明記する。
本項(「第3 2(1)当グループが晒されるリスク」)の主要部分では、個別に負う一部のリスクが発生した場合に生じる
財務的影響の規模について記載しているが、これらは参考情報に過ぎない。
当グループの事業および当グループが晒されるリスクを統制するため、ならびに適切な統制、防止および軽減措置を取るた
めに当グループが講じる措置については、「第3 2(2)当グループのリスクおよび事業の統制」に記載されている。
リスク・カテゴリー 当行グループの主要な特定リスクの概要 重要度
エネルギー市場規制(第 ・1A-フランスにおける複数年にわたるエネルギー計画(PPE、 +
3 2(1)①) programmation pluriannuelle de l’énergie )を含む、国のエネルギー政
策および市場規制の変化
・1B-規制枠組みおよび料金規制の変化 +
(***)
・1C-委託の規制枠組みの変化(水力発電の分野または公共配電) +
(*)
・1D-公益サービスの対価の不足
(*)
・1E-省エネ証書による費用の増加
177/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
競争環境および一般的な ・2A-エネルギー市場における競争の激化 +
環境(第3 2(1)②) ・2B-卸売市場および供給量市場価格に対するエクスポージャー +
・2C-当グループの低炭素移行ソリューションにとって不利な環境 +
・2D-気候変動の物理的効果に対するエクスポージャー +
・2E-サイバー攻撃を含む悪意ある攻撃リスクの増加 +
・2F-停電リスク +
・2G-大規模な危機
・2H-ブレグジットの影響
当グループの変革(第3 ・3A-設定した目標に沿った当グループの戦略の実施 +
・3B-当グループの変革、部門の需要および新たな作業方法に従った技能の +
2(1)③)
適応および向上
・3C-当グループの長期的な社会および財務コミットメントを保証する能力
(年金およびその他の従業員給付)
パフォーマンス(第3 2 ・4A-大型かつ複雑な産業プロジェクト(原子力を含む。)の管理 +
・4B-経営実績および財務実績の管理 +
(1)④)
・4C-サプライ・チェーンならびに顧客および供給業者との契約関係の運用 +
上の連続性
・4D-金融リスク(流動性、為替、金利、割引率)に対するエクスポー +
ジャー
・4E-労働安全または衛生の阻害 +
・4F-倫理またはコンプライアンス違反 +
・4G-労働安全、および生物多様性を含む環境遺産に対する影響
(**)
原子力事業(第3 2 ・5A-原子力運転安全性、原子力民事責任の履行 +
(**)
(1)⑤)
・5B-費用を抑え期限を管理しながら安全に耐用年数を延ばすこと (フ +
(*)
ランスにおけるグラン・カレナージュ( Grand Carénage ) )
・5C-放射性廃棄物の最終処分、原子炉の廃炉、およびこれに相当するコ +
(**)
ミットメントの履行能力の管理
・5D-4Aに加えて、EPRプロジェクトにはその他の規制、産業および財務 +
要因が考慮される
(**)
・5E-4Bに加えて、燃料サイクル管理における検討事項
以下の注記のあるものを除き、エクスポージャーの主要な範囲はフランス、欧州および国外である。
(*) フランス
(**) フランスおよび英国
(***) フランスおよびイタリア
① エネルギー市場規制に関連するリスク
解説1A:当グループが事業を行う国々におけるエネルギー政策および市場規制の変化(フランスにおける複数年にわたるエ
ネルギー計画(PPE)等)は、当グループのガバナンスまたは事業ポートフォリオの大規模な変革につながる可能性が高い。こ
のことは、当グループが競合事業者との関連で発展することを妨げ、または気候保護コミットメントの履行能力を損なうおそ
れがある。
2019年1月25日、フランス政府は、今後10年間のエネルギー政策、ひいては環境保護への移行の軌道を定めた複数年にわた
るエネルギー計画(PPE)の草案を、以下のとおり発表した(「第2 3(3)②フランスにおける公共サービス」を参
照。)。
・PPEガイドラインを完全に実施するため、政府はEDFの経営陣に対し、原子力、再生可能エネルギー、エネルギー・サービス
および電力網の部門において当グループが直面する課題に対処できるような当グループの発展を提案するよう求めた。発展
案は、当グループの統合性を保ち、各事業に適切な資源および資金を充てられるようにしなければならない。
・フランス政府は、電力構成を多様化し、原子力の割合を2035年までにフランス国内の発電の50%まで引き下げる、という目
標を確認した。原子力の割合を電力構成の50%まで引き下げるため、2035年までに14基の原子炉(フェッセンハイムの2基
を含む。)が閉鎖される可能性がある。これは、フランスにおいて現在稼働中の原子炉の4分の1に相当する。複数年にわ
たるエネルギー計画の最終版では、原子炉を閉鎖される予定の施設が明らかにされる予定である。
178/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・そのため、産業的選択ではなく法的判断の結果として、1基または複数基のEDF発電所の原子炉の早期閉鎖の決定が下される
可能性がある。かかる決定により、フランス憲法院が2015年8月13日付決定において確認したとおり、EDFは損害補償を受け
ら れるはずである。これに関連して、フェッセンハイム原子力発電所に関して、補償の指針を定義するための協議が継続中
であるが、この補償は失われる収益の全額を賄えない可能性がある。
同時に、特定のエネルギー市場において競争を維持または促進する目的で、当グループの経済的もしくは財務的利益に反す
る決定または一体としてバランスのとれた事業者としての当グループのモデルに影響する決定が、関係当局または特定の政府
によって下される可能性がある。
欧州におけるエネルギー分野の自由化を組織する法律上の枠組みは、比較的最近のものである。その枠組みは、将来的に変
更される可能性があり(「気候エネルギーおよびクリーン・エネルギー・パッケージ」)、その変更は当グループにとって不
利な変更となる場合もあり、具体的には、追加費用の発生、当グループの成長モデルとの不適合、当グループが事業を行う競
争環境の変化、規制料金に関する欧州の規制の変更につながり、また既存もしくは今後の発電ユニットまたは当グループの他
の事業の収益性に影響を与える可能性もある。
事業の範囲について施行される可能性のある管理または制限に関して、EDFは、一部の戦略的決定および業務上の決定を制限
されまたは管理できないことで、様々な事業の見通しおよび収益性に悪影響が生じるおそれがある(「第2 3(3)法令およ
び規制に関する環境」を参照。)。同時に、EDFは今後も株主として、一定のリスクを負い、第三者に対して潜在的負債を負
い、資産の収益性に影響し得る要因を有する可能性がある。
EDFは、競争および非差別化に関して適用される法令および規則を遵守しており、今後も引き続き遵守する予定であるが、競
合事業者が、これらの規則の違反を申し立てており、また今後も申し立てる可能性があり、かかる訴訟において当グループの
利益に反する判決が下される可能性がある(「第6 3(2)訴訟および仲裁手続」を参照。)。
新エネルギーの分野について、EDFは主に多数の国で事業を行っている子会社EDF Renewables(「第2 3(2)①(ⅴ)
(ハ)EDF Renewables」を参照。)に任せている。かかる発展の収益性は、しばしば多くの国で適用されている支援政策に依拠
するものである。当グループは、支援プログラムが一部の国において変更されないことおよび投資の収益性に悪影響を及ぼさ
ないことを保証することはできない。
最後に、当グループが事業を行う様々な国のエネルギー部門において、法律および規制環境が変化した場合、「気候変動対
策に専心する」という当グループの1つ目の企業責任目標を達成する上で、障害となる可能性がある。
解説1B:当グループの収益の大部分は規制購入または販売料金の対象事業から発生しているため、料金規制の改定は当グ
ループの業績に影響を与えるおそれがある。二酸化炭素排出枠の価格を含む二酸化炭素の排出規制が改定されると、当グルー
プの収益性、および気候保護のための低炭素エネルギー・ソリューションの目標に影響が生じる可能性が高い。
フランスにおいては、EDFグループの収益の大部分は公的機関または規制当局が設定する規制料金(規制販売料金および公共
送配電網使用料金(TURPE))に基づいている。フランスにおいて、電力市場の新たな構造に関する法律(NOME法、 Nouvelle
organisation du marché de l’électricité )は、EDFと競合する電力供給業者のために、既存の原子力発電所からの電力に対
する規制されたアクセス(ARENH)も導入した(「第2 3(3)法令および規制に関する環境」を参照。)。
これに関するリスクは以下のとおりである。
・同じ品質のサービスに対する料金の引上げが制限または禁止されるリスク
・料金の決定に対して利害関係者が異議を申し立てるリスク
・その他の供給業者のための多くのオプションにより、その他の供給業者は市場においてEDFに不利益となる裁定機会を有す
る。したがって、EDFは対称的に、エネルギー市場のリスク管理の有効性に悪影響を与える主要な不確実性に晒される(「第
3 2(2)②(ⅱ)(イ)エネルギー市場リスクの統制」を参照。)。
より一般的には、当グループは、フランスにおいては他国同様、当グループの発電、サービス、送電および配電資産に投下
した資本に見合った利益を確保することで、規制販売料金または購入価格が、当グループの短期的、中期的および長期的な投
資能力ならびに持分を維持できるレベルで常に設定されると保証することはできない。
規制が不適切であれば、二酸化炭素排出権価格が低迷して低炭素エネルギー・ソリューションを十分に推進できず、地球温
暖化対策としての効果的な移行および当グループの気候変動対策の両方が不利益を被るリスクがある。このことで、当グルー
プの低炭素エネルギー・ソリューションを推進する機会が失われ、気候変動対策に専心するという1つ目の企業責任目標を達
成できるか、疑問視されるおそれがある。
解説1C:当グループは、公共サービス委託契約に基づいて発電、送電、配電または供給事業を運営する場合があり、常に運
営する資産の所有者であるとは限らない。規制枠組み、委託規定および実施条件が変更されると、当グループの業績に影響が
生じるおそれがある。
当グループは、その事業に使用している資産を常に所有しているとは限らず、その場合の多くは、公共サービス委託契約に
基づいて資産を運営している。
179/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
例えば、フランスでは、Enedisは、配電網資産のすべてを所有しておらず、地方当局と交渉される委託契約に基づき配電網
を運営している(「第2 3(2)④(ⅱ)(ロ)配電事業」を参照。)。かかる委託契約は、ERDFに対し、拡大業務に従事
し、 公共配電網を運営する独占権を付与する。これらの公共配電委託契約は、一般に20年から30年の期間について締結され、
認可当局、配電網事業者および規制料金による供給業者の三者間契約である。法律において、Enedisおよびサービス提供地域
における地方配電会社(LDC)(ならびにフランス本土の電力網に接続されていない地域についてはEDF)のみが、公共配電網
の事業者に任命され得、またEDFおよびサービス提供地域におけるLDCのみが、規制料金による供給業者に任命され得る。した
がって、現在、委託契約の更新の際には、EnedisおよびEDFは他の事業者と競争することはない。しかしながら、当グループ
は、今後、かかる規定が法律により改定されないと保証することはできない(「第2 3(3)⑤フランスにおける公共配電委
託」を参照。)。さらに、当グループは、同様の財務条件においてかかる契約を更新することができない可能性がある。
フランスの水力発電施設は、4.5MW以上の施設はフランス政府によって付与される委託に基づき、また4.5MW未満の施設は県
の許可証に基づき運営されている(「第2 3(3)⑥(ⅱ)(ニ)水力発電施設に適用される規制」を参照。)。フランスに
おける水力発電委託契約の更新に関する課題については、「第2 3(2)①(ⅴ)(イ)(d)水力発電に関する課題」に記載
されている。
EDFグループは、現在運営している委託が更新されることも、最初の委託時と同じ財務条件において各委託が更新されるとも
保証することはできない。さらに、当グループは、委託業務が早期終了した場合に政府により支払われる補償が、それによる
当グループの収入減少を補償するのに十分であるとの保証も、手数料の上限に関する今後の規制が当グループに悪影響を与え
る方向に展開しないと保証もすることはできない。これらの要因は、当グループの事業および財務状態に悪影響を与える可能
性がある。
当グループは、事業を行っている他の国(水力発電の分野では特にイタリア)においても、電力の配電または発電事業を委
託に基づき運営している。各国の状況によっては、送電、配電または発電委託が、委託仕様書における財務条件の変更によ
り、EDFにとって有利に維持または更新されない可能性があり、その場合、当グループの事業および財務状態に悪影響を与える
可能性がある。
解説1D:EDFは、一定の責務(特に公共サービス責務)を負っており、かかる責務に関連して追加費用が発生した場合には補
償がなされる制度が設けられているが、その全額が補償されない可能性があり、また、かかる補償制度が変更される可能性が
ある。
フランス政府およびEDFが2005年10月24日に締結した公共サービス契約は、法律(特にフランス・エネルギー法第L.121-1条
以下)に基づきEDFが履行責任を負う公共サービス責務の目的および条件を規定しており、かかる責務の履行に関してEDFが補
償の対象となる制度について規定している(「第2 3(3)②フランスにおける公共サービス」および「第2 3(3)③
(ⅱ)フランスの規制:エネルギー法-公共電力サービス拠出金(CSPE)」を参照。)。2019年にEDFがフランスにおいて相殺
される予定である公共サービス・エネルギー費用の推定金額は、7,206.1百万ユーロである(2019年の公共サービス・エネル
ギー費用の見積りに関するエネルギー規制委員会の2018年7月12日付決定)。
配電網に直接接続する再生可能エネルギーの開発により、特定の地域において、変電所および電力網の受入容量が飽和状態
となる可能性がある。かかる飽和状態は、Enedisが特定の事業者を切断するかまたは大幅な遅れをもって接続せざるを得ない
場合、地域格差または紛争を生む可能性がある。かかる地域に対する新規投資が必要となる可能性があるが、上記に関する費
用が考慮されないリスクがある。
より一般的には、EDFは、公共サービス責務の履行に関して適用される法令および規制によって規定される補償制度が、かか
る責務の履行のために発生した追加費用の全額を補償すると断言することはできない。さらにEDFは、特に新たな公共サービス
契約の交渉中には、かかる補償制度が変更される可能性がないと保証することもできず、また既存の制度が、公共サービス責
務に関連してEDFに新たに課される義務に関連して発生する可能性のある追加費用を完全に補償できると保証することもできな
い。
上記の事象のいずれかが発生した場合、EDFの事業および財務状態に悪影響を与える可能性がある。そうなれば、脆弱な人々
を支援するという当グループの3つ目の企業責任目標を達成できるか、疑問視されるおそれがある。
解説1E: 省エネ証書(ESC)に関する規制の変化によりEDFに追加の義務が発生し、それにかかる費用が発生する可能性があ
る。
フランスにおいて、フランス・エネルギー法第L.221-1条以下に記載される省エネ証書(ESC)条項は、エネルギーの売手に
対して省エネ義務を課している。これは、販売量に対して3年省エネ目標を定めるもので、対象者はこの目標の達成義務を負
い、達成できない場合は制裁金が課される。グリーン成長に向けたエネルギー移行に関する2015年8月17日付法律は、EECス
キームを修正するもので、当該スキームの第3期として、もともとの義務に、燃料不足時における家庭向けの補足的な省エ
ネ・スキームを追加した。2017年5月2日付命令第2017-690号は、2018年から2020年の期間について全体的な義務のレベルを
180/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
設定し、目標は第3期の2倍としている(「第2 3(3)⑥(ⅰ)環境、健康、衛生および安全性に適用される一般的規制」
を参照。)。
エネルギー供給業者間の競争激化、経済危機、または主要な省エネ源の減少により、この3年目標の達成はさらに難しくな
る可能性がある。当グループは、3年目標を達成するために負担した商業費用をエネルギー価格に全額転嫁できると保証する
ことはできず、もし転嫁できない場合は当グループの財務状態は悪影響を受けると思われる。そうなれば、気候に対する取組
みにおける1つ目の企業責任目標、および顧客一人一人のよりよい消費をサポートするという4つ目の企業責任目標が疑問視
されるおそれがある。
② 競争環境および一般的な環境に関するリスク
解説2A:当グループは、欧州のエネルギー市場(特に当グループの主要市場であるフランスの電力市場)において厳しい競
争に直面している。
フランス国内では、2007年7月1日以降、電力市場は、完全に自由な競争市場となった。EDFのすべての顧客は、電力供給業
者を選択することができるため、EDFの競合事業者のいずれをも選択することができる(「第2 3(2)②(ⅰ)フランス市
場について」を参照。)。競合が激化する中(新たな顧客の期待、新たな規制、新たな競合者の出現、既存の事業者の合併、
市場価格の変動等)、これらの変化は、消費および価格水準が一定の場合、フランスにおける当グループの売上高に悪影響を
与えており、かつ、今後も与えることが予想される。EDFは、マーケティング費用の調整を余儀なくされる可能性があり、調整
が不十分であった場合、EDFの収益性に悪影響が生じる可能性がある。
その他の欧州では、当グループは、地域ごとの競争条件(市場の完全自由化または一部自由化、競合者の状況、規制等)に
応じて様々な状況に直面している。当グループが直面する競争の種類、競争の長期的変化および競争が当グループの事業およ
び業績に与える影響は、国ごとに異なる。これらの要因は、とりわけ、当該国における市場の活発さおよび規制の進捗、なら
びに当グループが制御し得ないその他の要因に依存している。
この状況の下では、特に低炭素電力使用ならびにエネルギー・サービスおよびエネルギー効率の開発を受けて、当グループ
は、その市場シェアを守ることができないもしくは予想どおりの市場シェアを獲得できない可能性または当グループの利益率
が減少する可能性があり、その場合、当グループの事業、戦略および財務状況に悪影響が生じる可能性がある。
解説2B:当グループは、発電した電力を販売する際、展開の過程で欧州のエネルギー卸売市場および供給量市場の価格に直
接または間接的に影響されるため、その程度によっては当グループの財務状態が影響を受ける可能性がある。
当グループは、発電事業およびマーケティング事業を、主として欧州におけるエネルギー市場において行っている。した
がって、当グループは、エネルギー卸売市場(電気、ガス、石炭、石油製品)における価格変動リスクに晒される。これらの
変動は、欧州における現在のエネルギー卸売価格において特に著しい(「第3 3(3)②経済環境」を参照。)。
フランスにおいては、企業向けの規制料金の終了以降、当グループは市場価格に晒されている。エクスポージャーの程度
は、ARENH制度の利用状況に対応し、またかかる利用状況は市場価格の水準に対応する。したがって、フランスにおける市場エ
クスポージャーは、ARENH制度をまったく利用していないときに最大になり、フランスにおけるEDFの発電量の約80%に相当す
ると推定される。
電力価格が低水準だと、売上高、期待利益率および業績は大いに不安定になる。このような状況が続けば、欧州を中心に、
当グループの発電ユニットの収益性、およびより広範な資産価値、ならびにその維持管理または更新に関する条件にも影響が
生じる可能性がある。
エネルギー卸売市場におけるこれらの価格水準には、世界市場におけるコモディティ価格、需要と供給のバランスだけでな
く、一部の発電手段に適用される料金、財務または助成金政策等、様々な要素が影響している。このため、当グループは、当
グループの事業の発展、資産価値および財務状態に生じる悪影響を回避しうると保証することはできない。
当グループは、主として卸売市場における売買により、そのリスク・エクスポージャーに対処している。石油製品市場を除
き、卸売市場は、依然として発展途上の新市場である。それゆえ、流動性の欠如が、当グループのエネルギー市場におけるリ
スク・エクスポージャーのヘッジ能力を制約する可能性がある。加えて、これらの市場の一部は、特に相互接続の欠如等によ
り、依然として、国ごとに一部分断されている。さらに、これらの市場では、予測困難な価格の大幅な変動および流動性危機
が起きる可能性がある。
エネルギー市場リスクの管理は、当グループが採用している「エネルギー市場リスク」方針に沿って行われている(「第3
2(2)②(ⅱ)(イ)エネルギー市場リスクの統制」を参照。)。当グループは、組織的市場または店頭において取引される
先物、先渡、スワップおよびオプション等のデリバティブ金融商品を通じて、当該市場における当グループのポジションを
ヘッジしている。しかし、当グループは、特に流動性リスクおよび大幅な価格変動に対して完全な防御を保証することはでき
ず、それらのリスクは当グループの財務状態および資産価値に悪影響を与える可能性がある(2018年12月31日に終了した年度
の連結財務書類の注記40「市場リスクおよび相手先リスクの管理」を参照。)。
181/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
さらに、欧州のエネルギー卸売市場における価格の状況は、特定の発電ツール、特に食糧確保に潜在的に有用なものの収益
性に影響を与える可能性があり、これは欧州のすべての発電事業者に当てはまる。供給量市場は、いくつかの欧州諸国におい
てそれぞれ異なるアプローチで設定されている。また、欧州連合司法裁判所が2018年11月15日に言い渡した判決により英国の
供 給量市場が一時停止されたことは、当該市場の持続可能性およびEDF Energyのかかる収益に対するリスクとなる。このよう
に様々に変化する供給量市場に当グループが晒されていることで、当グループの財務状態は影響を受ける可能性がある。
解説2C:地域社会、技術および経済の状況は、気候変動の課題に対処するための当グループの低炭素移行ソリューションに
とって好ましくない可能性がある。
当グループは、直接大気中に放出される二酸化炭素の排出量を、2017年の51百万トンから2030年の30百万トンを目標に大幅
に削減するための取組みを行っている。この目標の達成は、気候変動対策に関する1つ目の企業責任目標に直接寄与するもの
で、主として、原子力が引き続き地域社会に受け入れられているか、化石燃料火力発電所の閉鎖または転換が完了している
か、ならびに原子力発電および水力発電に加えて再生可能エネルギーによる発電の開発が加速しているか、によって判断され
る。当グループは、とりわけフランスにおける太陽エネルギー、電力貯蔵および低炭素電気モビリティの開発を積極的に行っ
ており、これによって当グループの低炭素エネルギー・ソリューションの、特にフランスおよび欧州において依然大量の二酸
化炭素を排出している輸送部門における発展および進展が可能になる見通しである。
外部、地域社会、競争、社会、経済または産業の状況は、これらの発展にとって障害となるおそれがある。新しい低炭素エ
ネルギー・ソリューションは、新たな地域社会の問題を引き起こす可能性がある(新技術の押しつけ、土地保有、希少資源の
利用における新たな用途に係る紛争等)。原子力は、地域社会レベルでは低炭素移行を可能にする主要な要因とはみなされな
い可能性がある。
当グループは、これらの変革を実現する際に困難に直面する可能性があり、期待される目標を達成できない可能性がある。
また、移行の必要性に応じて、新しい技術または破壊的なソリューションの出現に対処しなければならない可能性もある。
これらの状況は、当グループの取引高、利幅、資産価値、財務状態、評判または展望、ならびに1つ目の企業責任目標の達
成および気候に対する取組みの履行に、直接または間接的に影響する可能性が高い。
このリスク要因の期間は、短期または中期である。
解説2D:当グループは、気候変動の物理的効果に晒されており、当グループの産業施設および第三次施設、ならびにより一
般的には当グループの財務状態に影響が生じるおそれがある。
当グループの産業施設および第三次施設は、原子力施設および水力施設を定期的に点検しているとはいえ、予想耐用年数の
間、気候変動に伴う異常気象事象に耐えるよう設計されてはいない場合がある。EDFグループの産業、物流および第三次活動
は、気候変動により想定される物理的効果から重大な影響を受ける可能性が高い。かかる影響は予測が困難であり、当グルー
プの業務の継続、経営成績、キャッシュ・フローおよび全体的なパフォーマンスに悪影響を与えるおそれがある。また、気候
変動に伴う新たな法律または規制の変化も、EDFの業務に悪影響を与えるおそれがある。
このような状況により、持続可能な開発方針に明記された当グループの気候変動対策が妨げられ、財務状態および評判に影
響が生じるおそれがある。
このリスク要因の期間は、中期または長期である。
解説2E:当グループは、特に情報システムにおける悪意ある攻撃リスクの増加に晒されている。
当グループまたはその従業員が稼働する施設または資産は、外部からの攻撃またはあらゆる悪意ある攻撃の標的となる可能
性がある。これらの施設に対する攻撃または悪意による行為は、人および建物への被害、対策が不足しているとの判断を理由
とする当グループへの責任追及ならびに業務の中断等の結果をもたらす可能性がある。また、当グループは、影響を受けやす
い敷地および重要な基幹施設の防護に関して、法令がさらに制限的になり、当グループにとって追加の投資および費用が発生
するようなことにならないと保証することはできない。
当グループは、商業活動および産業活動の遂行、人的資産、産業資産および商業資産の保護、(顧客および従業員の別な
く)個人情報の保護、特に急速に変化する状況(デジタル移行、テレワークの拡大、拡張会社という供給業者と仕事を共有す
る新しい方法、規制の変更等)に適応しなければならない水力および原子力の産業プロセスの管理に不可欠な、相互に接続さ
れた非常に複雑な情報システム(データベース、サーバー、ネットワーク、アプリケーション等)を複数運営している。
情報システムへの侵入およびデータの破損事象は、世界中でその頻度および複雑さを増しつつある。
悪意ある攻撃は、当グループの運営活動、財務状態、法的状況もしくは財産の状態、またはその評判に悪影響を与える可能
性がある。
182/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
解説2F:当グループがサービスを提供する地域において顧客に対する電力供給の中断、停電、または広範囲にわたる電力網
の事故が繰り返された場合、当グループにも原因がある場合は特に、当グループの業務、財務状態および評判に影響が生じる
おそれがある。
当グループは、度重なる電源異常もしくは停電、相当規模の広範な電力網事故に直面したり、巻き込まれたりする可能性が
ある。これは、きっかけとなった事故の発生した電力網がEDFの運営するものではない場合、またはかかる事故がEDF以外の事
業者の責に帰す場合でもあり得ることである。
かかる停電の原因は様々で、電力の生産と消費の間の局所的または地域的な不均衡、事故による電力供給または送電の中
断、連鎖的停電、国境間の相互接続問題、および特に規制の不十分なまたは変化しつつある市場での事業者間の連携の困難さ
等が挙げられる。
かかる停電による初期の影響としては、電力の回復または電力網の復旧のために発生する修復費用が挙げられる。また、例
えば、発電量または電力網容量の追加導入が決定された場合には、停電は、設備投資につながる可能性がある。この場合、当
グループの売上高が減少する可能性もある。さらに、とりわけ停電が当グループにも起因するものである場合には、当グルー
プの財務状態または顧客およびすべての利害関係者に与えるイメージに悪影響が生じることが予想される。
解説2G:当グループに関するものであるか当グループ外のものであるかを問わず、予測不可能な規模の大きな事象または危
機が発生すると、当グループの財務状態に重大な悪影響が生じるおそれがある。
フランスでの暴風雨クラウス(2009年)およびシンシア(2010年)、ならびにアンティル諸島でのイルマ(2017年)のよう
に、自然災害(洪水、土砂崩れ、地震等)、その他の大規模な気候変動(干ばつ等)または予測困難な規模でのその他の事象
(大規模な流行病、世界の大規模な産業事故等)は当グループの事業に影響を与える可能性がある。このような事象のそれぞ
れを国内外で評価した結果、当グループの施設、特に産業施設の堅牢性を強化し、かかる大規模事象による影響および被害を
食い止めるために、引当金を繰り入れる可能性がある。
例外的な事象の場合、対策を講じることで、災害による損傷の修復以外の費用が発生し、当グループによる供給および当グ
ループが提供するサービスが中断して利益が喪失する可能性がある。
暴風雨保険更新の一環として、Enedisは、大型暴風雨による影響に対応するために、その空中送配電網を対象とするパラメ
トリック保険契約をSwiss Reと締結した(「第3 2(3)⑤(ⅲ)暴風雨保険」を参照。)。島部エネルギー・システムの空
中送配電網は、財産損害保険の対象となっていない。保険が欠如し、または不十分であった場合、これらの送配電網の損壊に
より、当グループの財務状態に悪影響を与える可能性がある。また、近年の代替リスク移転市場における自然災害の頻度およ
び規模の影響により、特定の保険の更新および加入は、困難であるかまたはより多くの費用を伴う可能性がある。
EDFは、疫病の流行の際には(危機的状況の程度によっては)電力供給の継続および施設の安全性を十分に保証できなくなる
可能性がある。
地域における当グループの存在および当グループのエネルギー事業の経済的重要性を考慮した危機管理システムを実施して
いるにもかかわらず、当グループは、自然災害、または本質的に予測が困難な規模のその他の事象の発生が、当グループの事
業、資産、財務状態および評判に重大な悪影響を与えないと保証することはできない。
解説2H:英国の欧州連合離脱は、全般的な経済状況、金融市場およびEDFの事業に悪影響を与える可能性が高い。
2016年6月、英国民の過半数が、国民投票において欧州連合離脱に賛成票を投じた。この国民投票の結果、および英国の離
脱手続は、欧州連合条約第50条に規定された離脱手続の範囲内で交渉される。英国の多くの政策が変更されると予測される
(金融、税、経済、エネルギー等)。これらの変更が経済および金融環境(特に成長、為替レートおよびインフレ)ならびに
当グループに与える影響は、移行期間から、または事の流れが落ち着いてから現れる可能性がある。これらの結果は、英国と
欧州連合との交渉だけではなく、英連邦、米国および中国といった第三者との交渉の内容にも左右される。
この国民投票は、英国が差し替えまたは複製を決定する欧州起源の法令を含め、英国と欧州連合との将来の関係性に重大な
不透明感を生んだ。さらに、英国が欧州連合を離脱することにより、欧州連合内および英国両方のエネルギー政策が変更さ
れ、原子力事業に関する法律が改定される可能性がある。
2017年2月1日に庶民院によって可決された、欧州連合条約第50条に基づき英国首相に離脱権を履行する権限を与える法案
は、「ユーラトム」条約によって制定され、英国が1973年1月1日に欧州経済共同体の加盟と同時に加盟した欧州原子力共同
体からの同時離脱も規定している。原子力分野における継続的な協力および運営の連続性を考慮して、英国は国際原子力機関
の一員のまま、具体的な合意について適切な交渉が行われている。しかしながら、新たな規定の策定または整備が遅れれば、
現行または将来のプロジェクトの実施、およびより一般的には既存の原子力発電所の稼働に支障を来す可能性がある。
これらすべての動きが当グループの英国事業に与える影響は、短期間では限定的なものとなる。「第2 3(2)⑤(ⅰ)
(イ)戦略」を参照。しかしながら、経済情勢が悪化し、エネルギー市場の制約につながる可能性はある。金融および経済環境
の変化、デフレまたはインフレの状況、将来の為替レートの変動の可能性、サービスおよび商品の売買ならびに人の移動の両
183/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
方に関する新たな法律、規制、課税または通関手数料の可能性、経済事業者が推し進める新たな変化により、当グループは英
国市場において新たなリスクに晒される可能性がある。
この新しい環境により、プロジェクトの収益性条件が変更され(特に「第2 3(2)⑤(ⅰ)(ロ)(d)新規の原子力発電
所建設事業」を参照。)、英国または欧州における当グループの将来のプロジェクトに関する投資家の評価見直しまたは離反
さえ招く可能性がある。為替レートが変動したり関税が変更されたりすると、特にヒンクリー・ポイントC(HPC)プロジェク
トに影響する可能性がある(「第3 2(1)⑤当グループの原子力事業に関する特定リスク」における解説5Dを参照。)。
これらの動き、これらに伴う不透明感、および上記のいずれかが起こるかもしれないという確信は、欧州の経済活動を鈍化
させ、欧州の規制環境の安定を脅かし、為替レートを著しく変動させる可能性が高い(リスク要因における「為替リスク」を
参照。)。これは、世界の経済情勢、とりわけ当グループの特に英国における事業、財務状態および経営成績に重大な悪影響
を与えるおそれがある。
③ 当グループの変革に関するリスク
解説3A: 当グループの成長戦略、事業範囲の変更、および統合された当グループ内におけるシナジーは、顧客、当グループ
の利害関係者および気候保護のために当グループの設定した目標に沿う形で実施できない可能性がある。
当グループは、気候保護に向けた1つ目の企業責任目標および4つ目の目標に沿って、欧州の主要国(英国、イタリア、ベ
ルギー)および国外において、フランスにおいて低炭素成長の最も大きい、高パフォーマンスで責任ある発電会社として、
CAP2030戦略に沿う形で発展を推進する意向である。この戦略は、成長の原動力の追求と既存の資産の活用を結びつける。当グ
ループの変革の戦略および推進力については、「第2 3(1)当グループの戦略」に記載されている。当グループの特に上流
部門と下流部門を統合したモデルの活用、または各部門の相互補完および当グループが展開するソリューションの多様性の拡
大におけるシナジーが小さければ(第2 3(2)「当グループの事業の概要」を参照。)、物理的および市場の偶発事象、な
らびに顧客、子会社および当グループの業績に不利益となる粗利益の損失に関するリスクが増加するおそれがある。地域的な
分散効果の付加価値がない場合、または当グループの提案する低炭素産業ソリューションの多様性および相互補完性がない場
合、または統合された当グループにおいて展開される事業部門を超えたシナジーが減少した場合、当グループが発電および電
力販売事業の季節的性質に対処する能力が落ち、地元の期待の多様性が減少し、顧客および利害関係者との距離が遠くなり、
それらを実現するために活用する低炭素産業ソリューションの効率およびそれに伴う競争力が落ちるおそれがある。
当グループは、戦略のための資源を調達するため、成長、転換、再編、および業績計画を実施している(「解説4B:当グ
ループは、経営実績を管理および継続的に向上できないリスクに晒されている。」を参照。)および売却に焦点を合わせたプ
ログラムを実施している。これらのプログラムは、資産の戦略的分析によって補完される場合があり、かかる分析自体によっ
ても財務のさらなる機動性が求められ、売却または買収につながる場合がある。
当グループは、主として顧客および利害関係者を重視し、特にエネルギー効率サービスにおける統合されたサービス・ソ
リューションの提供、低炭素および分散型発電ソリューションの提供、ならびに持続可能な開発アプローチによる、顧客およ
び現地の地域社会の非常に近くにおける拡散貯蔵ソリューションの提供を開発し、統合する意向である。
ソーラー・プラン、電力貯蔵計画および電気モビリティ計画は、当グループ内で既に広く利用可能な産業ソリューション
(特に風力、水力および原子力)に加えて、当グループが提供する低炭素エネルギー・ソリューションを開発し、その幅を広
げるための、3つの主要な手段である。
保護的な契約条項があったとしても、当グループは、当グループのサービスに関する、またはかかる条項を履行するために
採用する様々な低炭素産業ソリューションに関する各種プロジェクトが、予定の時間枠に従って、十分な経済、財政、規制、
パートナーシップおよび法的状況下で実行されること、またはかかるプロジェクトが当グループの顧客および利害関係者が表
明するニーズに長期的に応え、当初予測していた収益性を確保できることを保証することはできず、これにより、当グループ
の財務状態、気候変動対策およびその評判に悪影響が及ぶ可能性がある。
解説3B:技能の転換および育成は、当グループの変革、事業部門の需要ならびに新たな組織および作業方法を考慮すると、
不十分である可能性がある。
人材の育成は、2つ目の企業責任目標である。当グループの事業の範囲は、急速に変化する環境において、かつ、エネル
ギーおよびデジタル移行との関連で、変化しているため、新たな事業ラインがいくつも生まれ、新たな作業方法が採用されて
いる(拡張会社、プロジェクト・プラットフォームの運営、テレワーク等)。従来の事業ラインも、特に水力部門および原子
力部門ならびに電力網が大きく変化しているが、非常に高度な専門性は維持し、同様に高い安全性および保安の文化が求めら
れている。人材および社会組織的側面は、当グループの業績にとって重要な要因である。新たなニーズおよび新しい事業ライ
ンに関する需要の予想、事業範囲の変更を円滑にするために求められる機能的および地域的調整により、技能および組織の適
応および継続的変化が促される(「第2 5(1)優れた専門性:雇用および技能開発」を参照。)。資格または承認の取得に
は数年かかる場合があり、知識および経験の移転を十分にカバーしている必要がある。技術およびそれに伴う事業ラインの急
184/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
速な変化には、個人および組織の両方のレベルにおいて、ならびに作業方法ならびに個人および集団の技能の取得および移転
に関して、柔軟性および適応能力が必要となる。
EDFグループは、時間をかけて技能とニーズを動態的にマッチングすることを最大の課題とみなしており、変化を円滑にする
ために適切な手段を取っている。しかしながら、採用される方法が、十分である、時宜を得ている、または満足のいく条件で
あるとは限らず、その場合には、当グループの事業、財務状態および雇用者としての評判に影響を与える可能性がある。
解説3C:当グループは、年金およびその他の従業員給付に関する多額のコミットメントを履行しなければならない可能性が
ある。
当グループが事業展開している様々な国で適用されている年金制度では、当グループの従業員に対する給付の支払いに関す
る長期的コミットメントがある(2018年12月31日に終了した事業年度の連結財務書類の注記31を参照。)。フランスでは、こ
れらの年金コミットメントに加えて、当グループは雇用後給付および在職中の従業員に対する長期給付に関するコミットメン
トがある。現在フランスで行われている年金改革は、当グループのコミットメントに影響する可能性がある。
上記のコミットメントをカバーするために、当グループは必要に応じて、外部委託基金または年金基金を設立している。場
合によるが、2018年末における当該資産はかかるコミットメントの一部をカバーする程度であったが、当グループにとって
は、その満期は相対的に段階的に到来する。2018年12月31日現在、従業員給付コミットメントの平均期間はフランスでは18.8
年、英国では19.5年であった。
上記コミットメント、計上された引当金、設立された外部委託基金または年金基金、ならびに資金不足を補うための追加拠
出金の金額は、市況によって変更される可能性のある一定の保険数理上の仮定(割引率等)、フランスにおける従業員関連の
コミットメントについては一般的な退職制度によって支払われる退職給付を規定する規則、および当グループによって支払わ
れる給付に基づいて算定されている。これらの仮定および規則は、将来において調整される可能性があり、その場合、年金お
よびその他の従業員給付に関する当グループの現在のコミットメントを増加させ、その結果、それに応じた引当金の増額につ
ながる可能性がある。
さらに、外部委託基金または年金基金の金額が、特に英国またはフランスにおいて、主に算定上の仮定または金融市場の変
動により、当該コミットメントについて不十分となることが判明した場合(「解説4D:当グループは、金融市場におけるリ
スクに晒されている。」を参照。)、当グループは当該基金に対して追加の拠出金を支払わなければならなくなる可能性があ
り、その場合、当グループの財務状態に悪影響を与える可能性がある。
④ 当グループのパフォーマンスに関するリスク
解説4A: 当グループは大型プロジェクトの管理 (原子力と原子力以外の両方) に関するリスクに晒されている。
当グループは、事業の一環で、プロジェクト事業者または元請業者として、本質的に複雑で多額の投資を要し、建設および
規制承認に長期にわたる手続が必要なプロジェクトを実行しなければならない。膨大な数の利害関係者が関与する可能性があ
る。プロジェクトは、現地の開発プロジェクトと連携する必要が生じたり、現地の承認に関連して困難に直面したりする可能
性がある。これらのプロジェクトの統制は、世界中の新規プロジェクト一つ一つにつき、開かれた対話および協議のプロセス
を整備するという5つ目の企業責任目標に含まれている。
かかるプロジェクトには、新エネルギーのための洋上構造物(フランスにおける洋上風力)、フランスもしくは英国におけ
る何千万もの顧客をカバーする配電網を通じた新メーターの設置、国際水力発電プロジェクトの実施、または何十年にもわた
る大規模原子力投資の実施(主としてグラン・カレナージュ( Grand Carénage )、EPRプロジェクトおよび廃炉プロジェクト)
が含まれるが、これらに限定されない。技術、事務管理、資金調達または許認可の問題は、プロジェクトのスケジュール、関
連費用または収益性に影響する可能性が高い。
原子力事業および原子力プロジェクトに関するその他のおよび具体的な課題、ならびにリスクについては、「第3 2(1)
⑤当グループの原子力事業に関する特定リスク」に記載されている。
より一般的には、これらのプロジェクトの実施は、多くの技術、産業、業務、経済、規制または環境リスクに晒される可能
性がある。そうなると、当グループの事業、業績、資産価値、財務状態、評判および見通しに悪影響が生じるおそれがある。
解説4B:当グループは、経営実績を管理および継続的に向上できないリスクに晒されている。
当グループは、当グループの経営実績および財務実績を常に改善し、当グループの財務上の柔軟性を高めるためのプログラ
ムを実施している。これらのプログラムの目的は、達成できない可能性がある。
エネルギー、および具体的には電力は、一般的な経済活動と非常に密接に関連した事業であり、主として経済環境の変化な
らびに顧客および利害関係者の変化するニーズに効果的に対応するため、経営実績の反応性および柔軟性が求められる。
当グループの経営実績および財務実績は、顧客のエネルギー消費を最適化するために革新するという4つ目の企業責任目標
達成における主要な条件である。これにより、当グループの持続可能な開発方針に明記された持続可能な開発の実績目標の達
185/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
成が可能となり、その他の企業責任目標、すなわち、気候変動対策に専心するという1つ目の目標、脆弱な人々を支援すると
いう3つ目の目標、および生物多様性に対する取組みを行うという6つ目の目標の達成に寄与する。
当グループが変革できるか否かは、経営成績の達成に左右される。
しかしながら、当グループは、当グループが実施する業績向上プログラムが予想どおりの成果をあげるとも、計画された予
定どおりにかかる成果をあげるとも、または当該プログラムが規制および経済の動きならびに当グループのコミットメントに
共同で対処する上で十分であるとも、保証することはできない。
期待された経営成績を達成できない場合、および経営実績改善目標を達成できない場合は、当グループの財務状態および評
判の悪化、ならびに変革能力の低下に直結する可能性がある。
解説4C:当グループは、サプライ・チェーンならびに顧客および供給業者との契約関係の運用上の連続性、ならびに事業活
動において購入する原料、機器またはサービスの価格および入手可能性の変動に影響されやすい。
当グループのニーズは、特に業界サービスの構造および変化、または新規利用による競争の激化(特に情報システムの高ま
るニーズとエネルギー事業者のニーズとの競争の激化)から、表面積の限られたまたは緊張の高まる市場において発生する場
合がある。気候遷移は、サプライ・チェーンにさらなる緊張を生む可能性がある。気候変動の効果は、サプライ・チェーンに
影響するおそれがある。原料価格が長期にわたり著しく高騰した場合、当グループは、一定の重要な製品またはサービスに係
る調達コストの増加に直面する可能性がある。かかるコストの増加により、一定の供給業者がその利鞘の減少の結果、供給量
の縮小につながる可能性がある。また、当グループの業績は、電力およびエネルギー・サービスの価格設定に使用される特定
原料の価格の変動によっても影響を受ける可能性がある。また、一部の原料、機器またはサービスは、利用可能な業界供給よ
り需要が大きくなる場合があり、そうなるとその費用および入手可能性、ならびに費用、取引高および契約上の柔軟性といっ
た当グループの供給能力に影響が生じるおそれがある。
当グループは、現在、特定の技能および相応の経験を有する限られた数の事業者に依存している。この状況は、EDFが買い手
として行動する市場における競争を軽減し、これらの特定の技能を有する1つ以上の供給業者またはサービス供給業者が債務
不履行に陥った場合は当グループがリスクに晒される。これは、特にOrano、Westinghouse、GEおよびAlstomについて言えるこ
とである(「第3 2(4)依存因子」を参照。)。かかる多様な供給業者の株式保有または統治の変更もまた、費用、現行契
約の運用上の連続性ならびに実施されるサービスまたは提供される商品の費用に影響を与える可能性がある。
地理的、地政学的、産業または規制の制約がある場合、当グループにとって原料の不足は重要な意味を持つおそれがある。
原料または半完成材料が当グループのニーズに応えて入手、加工またはパッケージング条件を管理できるか否かは、規制当局
の強い要求、警戒強化、または研究開発行為もしくは新たな産業ソリューションの開発を通じた代替ソリューションの模索を
行うための準備金の有無に左右される可能性がある。
かかる事業を管理できるか否かは、財務状態および、供給業者との関係を通じて、人材育成に関する2つ目の企業責任目標
の達成に、直接影響する可能性がある。
解説4D:当グループは、金融市場におけるリスクに晒されている。
EDFグループは、その事業により、以下の金融市場におけるリスクに晒されている。
・流動性リスク:当グループは、いかなる時点においても、日常業務、当グループの拡大に必要な投資、長期の原子力へのコ
ミットメントのための専用資産ポートフォリオへの充当金を賄うため、また起こりうる例外的事象に対応するために、十分
な財源を保持していなければならない。当グループの新たな負債による調達能力、既存の負債の借換能力、またはより一般
的には金融市場における資金調達能力、およびこの趣旨で交渉可能な条件は、格付機関による当グループのグループ企業の
格付を含めた多くの要因に依存している。当グループの債券は、外部の格付機関によって定期的に格付されている(「第3
3(3)⑥(ⅰ)(ロ)格付」を参照。)。EDFの債券格付が引き下げられると、既存の借入金の借換費用が増加し、当グ
ループの資金調達能力に悪影響が生じる可能性がある。資金需要を満たすためにハイブリッド債を活用することで、特に会
計基準が変更された場合は、当グループの財務書類に変更が生じる可能性がある。
・カウンターパーティー・リスク:すべての経済事業者と同様に、当グループは、一部の契約相手方(パートナー、下請業
者、サービス供給業者、供給業者または顧客)による債務不履行の可能性に直面している。かかる契約相手方が債務不履行
に陥った場合、当グループに財政面での影響が及ぶ(特に、EDFが満足できる代替案を見つけなければならない場合、または
当該事業を引き継がなければならない場合または契約上の違約金を支払わなければならない場合において債権を失い、追加
費用を被る)可能性がある。このリスクは、マージン・コールの利用によってヘッジされる可能性がある。市場のボラティ
リティが高い場合、当グループは現金を結集しなければならない可能性がある(「第3 3(3)⑥(ⅰ)(イ)(b)流動性
リスクの管理」を参照。)。
・為替リスク:当グループは、その事業および地域分布の多様化により、外国為替レートの変動リスクに晒されており、これ
は為替換算調整額、貸借対照表項目および当グループの金融費用、株主資本および財務状態に影響を与える可能性がある。
当グループは長期の契約を有するため、不利な為替変動はプロジェクトの収益性に影響するおそれがある。したがって、
186/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ヘッジできなければ、ユーロと当グループが事業展開する様々な国際市場通貨との通貨変動は、当グループの業績に重大な
影響を与え、毎年の業績水準を比較することが困難になる可能性がある。ユーロが他の通貨に対して上昇(または下降)し
た 場合、当該他の通貨建てで当初認識されていた資産、負債、利益および費用のユーロ建て価値が減少(または増加)す
る。また当グループが、対応する販売が行われる通貨以外の通貨で費用を計上する限り、為替レートの変動によって費用が
増加する可能性があり、これは売上高の割合で表され、当グループの収益性および利益に影響する可能性がある(「第3 3
(3)⑥(ⅰ)(ハ)為替リスクの管理」を参照。)。
EDFグループの負債が表示されている通貨(米ドル、英ポンド、他の通貨)に関する為替レートが10%下降した場合、EDFグ
ループのヘッジ後の負債には約2%の影響が生じる。
・株式リスク:当グループは、外部管理の年金基金に関連して原子力事業関連の長期的コミットメントに関する費用を負担す
るために設定された専用資産として主に保有されている有価証券、および(これより程度は少ないものの)現金資産に関連
のある有価証券および当グループが直接保有する投資対象としての有価証券について、株式リスクに晒されている(「第3
3(3)⑥(ⅰ)(ホ)株式リスクの管理」および「第3 3(3)⑥(ⅰ)(ヘ)EDFの専用資産ポートフォリオに対する金
融リスクの管理」を参照。)。
・金利リスク:当グループは、当グループが事業展開する様々な国において金利の変動に関するリスクに晒される。これらの
金利は、中央銀行の決定に一部依存している。金利の上昇は、当グループが最適な条件で資金を調達できるか否か、または
市場の資金が不足している場合に借換えを行えるか否かに影響する可能性がある。金利の変動に対する当グループのエクス
ポージャーとして、特に2種類のリスクがある。すなわち、(ⅰ)当グループの割引負債の変動リスクと併せた固定金利金
融資産および負債の価値の変動リスクならびに(ⅱ)変動金利金融資産および負債に関するキャッシュ・フローの変動リス
クである。金利の下降は、とりわけ、異なる期間の金利に基づく割引率で割り引かれる、原子力分野における当グループの
長期的コミットメントならびに退職およびその他の従業員個別引当金に関するコミットメントの価値に影響する可能性があ
る。そのように引当金が変動すれば、(ⅰ)債務証券の格付に影響し、(ⅱ)専用ヘッジ資産への支払義務を生じさせるな
ど、当グループの財務状態に影響を与える可能性がある(「第3 2(1)⑤当グループの原子力事業に関する特定リスク-
使用済燃料の処理業務、廃棄物の回収およびパッケージング、ならびに廃棄物の長期管理に関して当グループが計上した引
当金は、費用見積りのための仮定および作業時間の優先順位付けが修正された場合、大幅に増加する可能性がある。」を参
照。)(「第3 3(3)⑥(ⅰ)(ニ)金利リスクの管理」を参照。)。
金利が0.5%変動すると、税引前利益に対する影響は+290百万ユーロ前後となる( この見積りは参考に過ぎない。本書は、
金利上昇が当グループに与える経済的影響について完全には網羅していない。 )(借入コストおよび引当金の増加費用に関し
て財務実績に生じる影響、ならびに従業員給付金に関して営業余剰金総額に生じる影響)。
EDFグループが保有し、変動金利債および譲渡可能債務証券に分類されている金融資産については、金利が1%変動した場合
に税引前利益に生じる影響は、22百万ユーロ前後となる。
また、EDFグループの為替リスクは、とりわけ、様々な期間の金利に依存する金利を用いて現在価値に割り引かれる、EDFグ
ループの長期原子力コミットメント(2018年12月31日に終了した事業年度の連結財務書類の注記29を参照。)ならびに年金お
よびその他の従業員給付に対するコミットメント(2018年12月31日に終了した事業年度の連結財務書類の注記31を参照。)、
ならびにこれらのコミットメントを賄うための専用資産の管理目的で保有される負債性金融商品の価値に関係している。
フランスにおける原子力引当金という特定のケースでは、最近数年は割引率が下がっていることを考慮すると、割引率の上
限に関する規則に従って当グループが用いる方法を適用することで、今後数年間は割引率を下げることができるだろう。この
引下げの重要性は、今後の率の動きによって異なる。割引率の引下げによって原子力引当金が増加した場合、専用資産への割
当てが必要となり、当グループの業績、キャッシュ・フロー創出および純負債に悪影響が生じる可能性がある。
割引率の上限についての規則に関して、2017年12月29日付の命令によって法定割引率の上限が変更された。この新しい公式
により、2016年12月31日現在の規制上限(4.3%)から2026年には30年満期固定金利(TEC30)の直近4年間の平均に相当する
規制上限まで、10年かけて100ベーシス・ポイントずつ徐々に引き上げられる。
過去のおよび予測される割引率の変化を踏まえて、この新しい公式は、4.3%の規制比率から4年間の平均比率への漸進的移
行(100ベーシス・ポイントのスプレッドを含む。)を考慮しており、従前の公式とは対照的に、今後数年間の規制上限比率の
変化は安定すると思われる。
専用資産によって賄われる引当金を含む引当金の増加は、以下に依存するため、場合によっては当該日現在の専用資産への
割当金額に対する機械的な影響を意味しないこともある。
・専用資産の収益性およびそれに伴うヘッジ率:ヘッジ率が110%に達すれば専用資産に割り当てる必要はない。
・割当てを行う期間:適用されるルールは、監督機関による承認を条件として、割当てを進める期間として最大3年間を設定
する選択肢を規定している。
割引率の変化による原子力引当金見積額の変化は、以下のとおり記録されることに注意する必要がある(2018年12月31日現
在の連結財務書類の注記1.3.2.2および29.1.5.1を参照。)。
187/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・引当金の契約相手方が当初資産として計上されている場合:正味帳簿価額の範囲内で、対応する資産の増加または減少とし
て
・その他の場合:当該期間の財務収益として
したがって、割引率の変化は、かかる変化があった年の財務業績に確実に影響し、翌年以降には影響しない。
当行グループの金融リスクの管理に関する方針および原則については、「第3 3(3)⑥(ⅰ)金融リスクの管理および統
制」に記載されている。金融リスクの統制については、「第3 2(2)②(ⅱ)(ロ)金融リスクの統制」に記載されてい
る。
しかし、当グループは、特に外国為替レート、金利および株式市場の大幅な変動に対して、完全な防御を保証することはで
きない。
解説4E:当グループは、労働衛生および安全性のリスクに晒されている。
人的資源および関連する技能は、当グループおよびそのサービス供給業者にとって最大の課題である。産業がきわめて多様
化する中、当グループの産業施設で働く人々に影響する可能性のある様々なリスクのルールおよび留意事項を忠実に守ること
は、労働衛生および安全を守る上で緊要である。
2018年5月29日、EDFの会長兼CEOは、国際労働機関のジュネーブ本部において、世界労働組合連盟の2機関の書記長(イン
ダストリオール・グローバルユニオンおよび国際公務労連(PSI)のローザ・パヴァネリ)と、責任ある雇用者として、人権お
よび社会的権利についての世界協定に調印した。この協定は、国際労働協約に従い、EDFが24か国で行うすべての産業活動およ
び第三次活動を網羅する。当グループの160,000人の従業員を対象とした共通の基準を策定すること、および社会的対話を強化
することを目的としている。この協定は、当グループが事業を行うすべての場所において、従業員および下請業者の人権、多
様性、衛生および安全、技能の育成ならびに社会的保護を推進する。この取組みは、2つ目の企業責任目標に沿うものであ
る。
当グループは、長年にわたり、事業展開する様々な国において安全衛生に関する法令および規則を遵守するために必要な手
段を講じ、当グループの従業員およびその下請業者の従業員の安全衛生を保証するための対策を採ってきていると考えている
が、労働関連の疾病および災害のリスクを排除することはできない。労働関連の疾病および災害の発生は、当グループに対す
る訴訟の提起およびその結果として多額となりうる損害賠償の支払いにつながる可能性がある。
解説4F:事業遂行の際に従業員または第三者によって行われた禁止行為および倫理違反行為は、一定の状況において、当グ
ループの評判および株主価値に悪影響を及ぼす可能性がある。当グループは訴訟または規制当局による調査の当事者となって
おり、また将来当事者となる可能性があり、それによって当グループの評判、ならびに規制当局との関係および業績に悪影響
が生じる可能性がある。
当グループの事業のグローバル化および特に事業遂行の際の倫理違反行為を抑制する規制枠組みの強化は、当グループ、そ
の従業員または当グループに代わって行為する第三者を刑事制裁および民事制裁に晒す可能性があり、EDFの評判および株主価
値に悪影響を与える可能性がある。
フランスにおいては、透明性、腐敗撲滅および経済活動の現代化に関する2016年12月9日付法律第2016-1691号は、同法に基
づき設立されたフランス腐敗対策機関の監督下で、違反すれば行政処分または刑事処分を適用する条件で、会社に対し、腐敗
または斡旋収賄を防止および特定するための措置を講じるよう義務付けている。この法律には、告発者を刑事訴追または懲戒
処分の可能性から保護するシステムがあり、企業の枠組みに内部警告報告システムを提供する(「第2 3(3)⑥(ⅰ)環
境、健康、衛生および安全性に適用される一般的規制」を参照。)。これらの規制により、法令遵守費用は増加する可能性が
ある。また、これらの規制を遵守できない場合は、EDFが訴追される可能性があり、そうすると当グループの業績および評判に
悪影響が生じる可能性がある。
当グループは当グループの実務が現行の規則を確実に遵守するよう、必要な措置をすべて講じてはいるが、遵守できないリ
スクは完全には排除できない。
当グループは、事業活動の結果、複数の訴訟および仲裁ならびに規制当局による調査の当事者となっており、このうちの重
要なものについては、「第6 3(2)訴訟および仲裁手続」に記載されている。当グループは、今後、かかる訴訟手続に係わ
り、または晒される可能性がある。これらの訴訟手続において不利な結果が出た場合、損害賠償金の支払いが必要となった
り、または当グループにとって不利なその他の民事上もしくは刑事上の責任(財政面の影響を含む。)が生じたりする可能性
がある。2014年のフランスにおける集団訴訟の実施および他の欧州法域における同様の動き、ならびに最近または将来の規制
の変更により、訴訟リスクおよび関連費用が増加する可能性があり、そうすると当グループの業績および評判に悪影響が生じ
る可能性がある。
解説4G:当グループが運営する施設は、事故が発生し労働安全対策に不備があった場合、特に生物多様性および環境資本の
観点から人的環境または自然環境に甚大な被害を与える可能性がある。
188/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
当グループが現在運営しているまたは過去に運営してきた施設は、日常的操業の中で、産業事故や環境面および公衆衛生面
での影響の原因となり得、なる可能性があり、またはなった可能性がある。当グループの施設は、同様のリスクに晒される他
の 事業が行われている産業地域に位置している場合があり、したがって、かかる地域では、当グループの施設が、他の事業者
が所有する当グループの管理下にない近隣の施設で起きる事故の影響を受ける可能性がある。
生物多様性の問題は、当グループのすべての施設およびプロジェクト(特にEDFが地主であり重要な天然資源の管理者である
フランスにおけるもの)に関係する。当グループは、6つ目の企業責任目標を通じて、生物多様性に対する取組みを行ってい
る。
労働安全対策およびこれらのリスクの統制は十分に有効ではない可能性があり、その場合は人員、財産および事業の継続性
に影響が生じるおそれがある。類似の施設には安全対策が取られる可能性があり、当グループが責任を問われる可能性があ
る。
当グループが加入している民事責任保険および損害保険の補償範囲は著しく不十分である可能性があり、また、当グループ
が、現在加入している保険と同水準の補償範囲の保険を同額の保険料で維持できるという保証はない。
原子力施設に特有のリスク要因については、「第3 2(1)⑤当グループの原子力事業に関する特定リスク」に別に記載さ
れている。
労働安全対策に不備があった場合、当グループの営業活動、財務状態、法的地位もしくは財産の状態、または評判に悪影響
が生じる可能性があり、当グループが生物多様性に関する6つ目の企業責任目標を達成できなくなるおそれがある。
⑤ 当グループの原子力事業に関する特定リスク
EDFグループは、稼働中の原子炉数という点において世界の主要な原子力事業者である(世界で稼働中の453基の原子炉のう
ち、EDFグループが原子力事業者である原子炉は73基( 出典:国際原子力機関、「原子炉情報システム」。
https://www.iaea.org/pris は、2019年1月23日現在、世界で453基の原子炉が稼働中であるとしている。 ))。フランス国内
で稼働中の原子炉の数は58基で、原子力発電は、2018年末現在、設備発電容量の47.8%、およびフランスにおける同年の総発
電量の71.6%を占めている( 出典 :RTE 、 www.rte-france.com/fr/article/ bilans-electriques-nationaux )。EDFは、英国に
おいて15基の原子炉を運営しており、2017年の発電量の19.3%を占めている( 出典 : www.iaea.org/pris )。
当グループは、基礎的な核燃料サイクル施設を有し、2018年に子会社New NPが当グループに統合され現Framatomeになって以
降、調査、機器製造およびその他の原子力事業者に対するサービスの提供といった新たな事業を行っている。
さらに、当グループは、中国、米国、ベルギーおよびスイスにおいて稼働中のの原子力発電所の少数株主持分を有するが、
これらの運営は行っていない。当グループは、フランス、英国および中国において新規原子炉プロジェクトに投資しており、
その他の国々、特にインドおよびアラブ首長国連邦、2018年に原子力事業者が当グループと契約を締結した国々においても原
子力産業活動を行っている。
したがって、低炭素エネルギーとしてグループの電力構成に占める原子力エネルギーの割合において、当グループの競争お
よび発展上大きな産業資産となっている。
原子力産業の化石燃料による二酸化炭素排出量が産業のライフサイクル全体に与える影響が小さいことを考慮すると、原子
力事業の遂行および統制は、企業責任目標の達成に直接寄与する。気候変動対策に専心する、人材育成の取組み、特にエネル
ギーの貧困に対する取組み、および最も恵まれない人々を含む、クリーンで低炭素かつ競争力のあるエネルギーを利用する権
利において、脆弱な人々を支える取組み、顧客一人一人のよりよい消費をサポートする取組み、協議に関する取組みおよび生
物多様性に関する取組み。
EDFの原子力事業は、以下の問題を伴う。
・他の原子力事業者同様、現在の義務は、原子力発電所事故を防止するため、および事故が発生したと仮定してかかる事故の
影響を抑えるため、技術的および組織的規定に基づいて原子力の安全を常に優先することを意味する。原子力事業は、当グ
ループが原子力事業者としての責任を果たす国々において、原子力安全当局の監督下で行われている。原子力の安全だけを
絶対最優先事項として考慮しなければ、当グループに重大な、または致命的な影響が生じるおそれがある。
・当グループの原子力事業は、特にフランスにおける基礎原子力施設の監視および定期的な再審査制度等、第一に原子力安
全、環境および公衆衛生の保全、また悪意のある行為に関する安全保障上の問題(特に、テロの脅威)を勘案した詳細かつ
厳格な規制の対象となっている。かかる規制は、フランス国内または欧州の当局によって大幅に強化される可能性がある
(「第2 3(3)⑥(ⅱ)(ロ)基礎原子力施設に適用される特別な規制」を参照。)。さらに、規制の強化または現行規
制もしくは将来規制の不遵守により、当グループの1か所以上の発電所が一時的もしくは恒久的に閉鎖されるかまたは金銭
的罰則が課される可能性がある(フランス環境法第L.596-4条を参照。)。規制に違反した場合、または引き受けたコミット
メントを履行できなかった場合、第三者がEDFを相手取って訴訟を提起する可能性もある。原子力安全当局(ASN)からの要
求の高まりおよび管理の強化により、EDFの遵守費用およびリスクが増加する可能性がある。
189/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・原子力事業は、エネルギー供給の安全保障および温室効果対策に効率的に寄与することができるが、事業を行う上で異なる
期間について競争力および受諾を確立しなければならない。原子力事業は、本質的に多額かつ長期の(時に何十年にもわた
る)投資を必要とする。産業サイクルが1世紀またはそれを超えることから、稼働中の発電所の維持管理および改修プログ
ラ ムの長期的な健全性および効率性、新たな原子炉プロジェクト、ならびに非常に長期のコミットメントの尊重には、必然
的に、細心の注意を払わなければならない。
・核燃料サイクルは、産業の長期的見通しに不可欠である。EDFは、様々な利害関係者と長期的戦略を策定する特定の責任を負
う。
・原子力事業は、フランス、欧州および世界中の多くの産業パートナーを結集する産業活動である。フランスにおいては、EDF
は公的機関から原子力分野の指導的役割を託されており、子会社Framatomeを統合したことで、かかる責任およびFramatome
の事業の履行に関する特定のリスクが伴う。
EDFが世界最大の原子力事業者であることを踏まえると、EDFグループが世界的な主導者であることに伴うリスクを持続可能
な形で管理することができるよう、常に世界的フィードバックを活用し、国際的な最良の慣行と比較している( 国際原子力機
関および世界原子力事業者協会(WANO)の基準およびフィードバックの活用。 )。
解説5A:上記の4番目のカテゴリーに記載された産業パフォーマンスの管理に関するリスクに加えて、原子力事業者として
の責任を履行し、原子力の安全性を最優先にすることで、原子力事業における当グループの全体的なパフォーマンスが決定す
る。この結果、当グループは、原子力に対する民事責任のリスクに晒されている。
原子力の安全の主たる責任は、原子炉の運転サイクルを通じて原子力事業者が負う。原子力の安全を最優先することで、原
子力事業全体の産業パフォーマンスが牽引される。原子力事業者が設計を配慮することも、原子力の安全の一要素である。運
転上の安全を管理できない場合、当グループの産業資産、財務状態および発展の見通し、または産業活動の継続にまで、重大
な、または致命的な影響が生じるおそれがある。
当グループの原子力事業に関連して深刻な事象が発生し、人々もしくは地域に影響を与える可能性がある場合、または実際
に影響が確認された場合、当グループの産業施設の操業に対する制約が大幅に増大し、または当グループの原子力事業が部分
的もしくは全面的に妨害されるおそれすらある。そのような事象は、当グループの事業、財務状態、戦略および評判に重大な
悪影響を与えるおそれがある。
パリ条約締約国の原子力施設事業者に適用される原子力民事責任制度および適用される保険については、「第2 3(3)⑥
(ⅱ)(ロ)基礎原子力施設に適用される特別な規制」および「第3 2(3)⑥原子力施設の操業に対する特別保険」に記載
されている。この制度は、原子力事業者が厳格な責任を負うことを原則としている。したがって、原子力損害の要因となる事
象が生じた場合、当グループには、当該損害の要因となった事象の原因およびいかなる安全対策が行われたかの如何にかかわ
らず、当該国で適用される法律が定める財務上の限度額において自動的に損害賠償責任が生じることになる。
当グループは、その原子力施設を運営する国において、法律によって定められる損害賠償限度額が引き上げられないとも撤
廃されないとも保証することはできない。例えば、パリ条約およびブリュッセル条約を改正する未発効の議定書(「第2 3
(3)⑥(ⅱ)(ロ)基礎原子力施設に適用される特別な規制」を参照。)では、当該限度額の引上げおよび対象となる損害の
大幅な拡大が定められている。グリーン成長に向けたエネルギー移行に関する2015年8月17日付法律第2015-992号に基づき、
2016年2月18日現在、新たな金額が適用されている。フランスの事業者の現在の損害賠償額は、施設における原子力事故につ
いては700百万ユーロ、輸送中の原子力事故については70百万ユーロとなっている。これらの議定書が提示するその他の変更が
発効すれば、保険に係る費用はさらに増加する可能性が高く、当グループは、この損害賠償額をカバーする保険が常に存在す
るとの保証も、当グループがこれらの保険を常に維持できるとの保証もできない。当グループの原子力事業者としての民事責
任をカバーする保険については「第3 2(3)⑥(ⅰ)原子力事業者の民事責任」に、核物質の輸送をカバーする保険につい
ては「第3 2(3)⑥(ⅱ)核物質の輸送に関する民事責任」に記載されている。
EDFの原子力施設への物的損害は、保険契約の対象となっている(「第3 2(3)⑥(ⅲ)原子力施設への損害」を参
照。)。かかる保険範囲にもかかわらず、当グループの原子力施設が甚大な損害を被るような事象が発生した場合には、当グ
ループの事業および財務状態に悪影響を与える可能性がある。
最後に、当グループは、特に、2011年3月に日本で発生した原子力発電所事故等の事象による保険市場への影響に関して、
原子力発電事業者の賠償責任および施設への物的損害の両方について保険を提供している保険会社に常に支払余力があるとの
保証も、保険に係る費用が著しく増加しないとの保証もできない。
解説5B:当グループは、その原子炉の稼働について、現行の計画期間を超えて継続するための許認可を取得できない可能性
があり、また当該期間の終了まで利用する許認可すら取得できない可能性がある。リスク要因4Bに記載された複雑なプロ
ジェクトの管理に加えて、当グループは、稼働中の発電所の改修(フランスにおける大規模修繕)のため、操業費用および期
限を管理できない可能性がある。
190/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
フランスにおいて当グループが現在運営する原子炉群は、高度に規格化されている(「第2 3(2)①(ⅰ)(イ)フラン
スにおけるEDFの原子力発電所」を参照。)。これにより、当グループは、特に規模の経済を達成することが可能となり、最新
原 子炉に対して行われた改善をすべての原子炉に適用することが可能となり、かつ、ある原子炉が故障した場合には、その他
の原子炉で採るべき措置を予測することが可能となる。しかしながら、この規格化には同時に、機能不全が複数の原子炉また
は一世代もしくは一系列の原子炉に共通して起こるという潜在的リスクが伴う(「第2 3(2)①(ⅰ)(ロ)原子力発電所
の操業および技術的実績」を参照。)。当グループは、重大なまたは費用のかかる修繕または改造作業を発電所の全部または
一部について実施しなければならない事態に直面しないと保証することはできず、また当グループの発電所の運営またはその
発電量に影響を与えるもしくは当グループの発電所の全部または一部の一時停止または永久的な閉鎖を招く事象が起こらない
と保証することもできない。
10年に1回の点検中に行われる定期評価において、および日本の福島の事故後、当グループは、「大規模修繕」と呼ばれる
大規模な作業計画を策定し、その基本方針は取締役会の承認を受けた。後者の潜在的リスクは、特に原子力安全当局(ASN)か
ら受ける予定の許認可に関して、操業を開始するために必要な許認可の評価が遅れる可能性があることなどである。かかる不
確定要素は、多くの産業計画が同時に実行されている状況において、敷地における新設備の製造および引渡しまたは敷地にお
いて実行される作業にも関係する可能性がある。
各原子炉および各認可段階につき、ASNは、事業者が講じるべき措置を決定し、さらなる指示を与える。原子炉格納建造物お
よび原子炉容器等、交換不可能な機器の容量が60年間の稼働に耐えることを証明するため、解決策の研究がなされている。か
かる研究は、フランスだけでなく世界のデータに基づいており( 米国の原子炉6基が、80年に延長された耐用年数について調
査を受けている。原子力規制委員会(NRC)の職員は、その後の免許更新(SLR)を、60年から80年に延長された耐用年数につ
い て 行 う と 定 め て い る ( http://www.nrc.gov/reactors/operating/licensing/renewal/subsequent-license-
renewal.html . )。 )、調査中の耐用年数につき安全マージンを確認することを可能としているが、既存の発電所について(必
要であれば)講じるべき追加の保護措置を特定する必要が生じる可能性もあり、これはそのパフォーマンスに影響するおそれ
がある。
新規ユニットの建設および関連する投資を延期し、引き続き低炭素発電の恩恵および既存の発電所からのキャッシュ・フ
ローを受けるために、当グループはここ数年、フランス国内の原子力発電所の耐用年数を40年超に延長することを目指してい
る(フランスでは既に5基の原子炉でこの期間を超過している。)。900MWe系列の原子炉の4回目の10年点検(VD4-900)に
は、従前同様、施設が現行のリファレンス設計に準拠していることの検証、および安全性の再評価が含まれている。このこと
で、国際的な最良の慣行、ならびに施設の状態、運営を通じて得た経験、ならびに同様の施設にも応用できる知識およびルー
ルの変更を考慮することによる、安全性レベルのさらなる向上が可能になる。
ASNは、定期的再評価の結論を出した報告書に基づき、点検および再認定テストの結果を考慮して、各原子炉の稼働の延長に
ついて審査する。900系列の原子炉の4回目の再評価に関しては、2020年2月には最初の最終報告書が、トリカスタン1につい
て発表される予定である。ASN局長は、2020年に全体的な見解を発表すること、および2021年にはASNがEDFに適用される実行可
能な要件を提示することを確認した。ASNは、次の主要な要素に依拠する。すなわち、2018年2月28日付でASNに送信され、900
系列の原子炉の4回目の定期的再評価においてEDFが提案した対策を評価する、目標に対する反応についての覚書、原子力の安
全性に関する透明性および情報のための高等委員会の監督の下、2018年度下半期に行われた再評価の一般的段階についての公
開討議の結果、現在2020年に計画されている無期限「原子炉」群の終了、ならびに2020年2月に最初の当該原子炉についてEDF
が提出する予定の4回目の定期的再評価についての最初の最終報告書である。
2016年、当グループの産業戦略に基づきフランスの原子力発電所の償却期間に必要なすべての技術、経済および統治条件は
満たされていた(2018年12月31日現在の連結財務書類の注記1.3.2「経営者の判断および見積り」を参照。)。2018年12月31日
現在の連結財務書類では、900MWのPWRユニット(フェッセンハイムを除く。)の償却期間を40年から50年に延長しているが、
各10年点検後、原子炉ごとに稼働を継続することの許認可に関して原子力安全当局が行う決定には影響を与えない。
フランスの原子力発電所のその他の系列(より新しい1,300MWおよび1,450MW)の会計処理期間は、延長のための条件を満た
していないため、現時点では40年のままである。これら他の系列の耐用年数を後に延長することは、引き続き当グループの産
業目的の1つであるが、これは実現できない可能性がある。
英国では、稼働中の原子炉、特に特殊技術を要する改良型ガス冷却原子炉(AGR)の供用期間中検査および改修プログラムに
より、結果としてダウンタイムが長引く可能性がある。
EDF Energyの既存の原子力発電所における原子炉の現行の計画耐用年数は、改良型ガス冷却原子炉(AGR)については41年か
ら47年の間で、加圧水型原子炉(PWR)については40年である。EDF Energyによる取得以降、AGR発電所の耐用年数は平均10年
延長されており、PWRの耐用年数を現行の計画である40年から20年延長することを目標としている(「第2 3(2)⑤(ⅰ)
(ロ)(a)原子力発電」を参照。)。しかしながら、当グループは、英国において適用される原子力安全規則を踏まえた上
で、EDF Energyがその既存の原子炉を現行の見積耐用年数の終了まで運営するために適切な時期に必要な許認可を取得できる
と保証することも、当グループに対して多額の費用または投資を負担させることなくかかる許認可を取得できると保証するこ
ともできない。
191/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
当グループは、EDFによる運営の責任はないがEDFが(米国、ベルギー、スイスおよび中国において)経済的利益を有する原
子炉について、同様の金融リスクに晒されている。当グループは、これらのユニットについて実行される予定の、費用のかか
る 修理もしくは改良、または耐用年数、発電量もしくは供給力に影響を与える可能性のある事象に対して、当グループの持分
の金額を上限に寄与することを求められる場合がある。フランスおよび英国同様、これらの国々の原子力安全当局も、特に国
際的な経験からのフィードバックの活用および先行事象の可能性の事前対処に関して、追加の作業または統制を要する決定を
下す可能性がある。
さらに、当グループがその原子力施設に関して行う運営の質および変更にかかわらず、原子力の安全性に責任を負う原子力
事業者の主導で、または原子力安全当局の要請で、これらの施設のいずれかに対して運営上の安全マージンを広げるための特
別運営条件が課される可能性は、排除できない。
最後に、当グループは当事者ではないが世界の広範囲に影響を与える深刻な原子力事故が発生した場合、当グループの原子
炉および当グループが出資する原子炉について新たな改修を行うよう、安全当局に要求されるおそれがある。
当グループは、関係当局から耐用年数の延長の許認可を取得できることを保証することはできない。また、特定の条件の下
でかかる延長許可を取得できたとしても、その財務上の影響は、特に投資に関して、当グループの原子炉の耐用年数延長に関
する戦略、または当グループの世界投資戦略推進力に及ぶ能性がある。これらの事象は、当グループの財務状態に重大な悪影
響を与えるおそれがある。
解説5C-1:当グループの原子力事業に付随する長期的コミットメント(放射性廃棄物および廃炉)に関する費用をカバー
するために当グループがフランスにおいて割り当てている専用資産の額を上方修正する必要が生じ、または追加の支払金が生
じる可能性がある。
フランスにおいて、EDFの専用資産ポートフォリオの市場価額は、2017年12月31日現在は28.1十億ユーロであったのに対し、
2018年12月31日現在は27.7十億ユーロであった(「第2 3(2)①(ⅰ)(ト)長期的な原子力コミットメントを満たすため
の資産(運転サイクルに関するものを除く。)」および「第2 3(3)⑥(ⅱ)(ロ)基礎原子力施設に適用される特別な規
制」、ならびに2018年12月31日に終了した事業年度の連結財務書類の注記45.3を参照。)。
専用資産の参照ベースを測定する引当金に大幅な変更がなされた場合、かかる資産の価値を調整するための追加的な割当て
が必要となる可能性があり、これはEDFの財務状態に重大な悪影響を与える可能性がある。さらに、国レベルでの規制(特に、
EDFが構成する専用資産の基準に影響力を与え得る規制)または欧州レベルでの規制の強化が、専用資産の構成に関する要件を
より厳しくすることにつながり、EDFの財務状態に重大な影響を与える可能性がある。
最後に、これらの資産は、厳格かつ慎重な規則に従って設定および管理されているが、当グループは、金融市場の価格変動
または価値変動が当該資産の価値に重大な悪影響を与えないと保証することはできず(感応度分析については、「第3 3
(3)⑥(ⅰ)(ヘ)EDFの専用資産ポートフォリオに対する金融リスクの管理」を参照。)、その結果、EDFは、当該資産の価
値を回復させるために、さらなる割当てを行わなければならない可能性があり、かかる事象は、当グループの財務状態に悪影
響を与える可能性がある。
英国では、原子力コミットメントへの資金供給は、英国政府が設立した独立の機関(原子力負債ファンド(NLF))により管
理されている。したがって、事業者は、この目的で管理している資産はない(「第2 3(2)⑤(ⅰ)(ロ)(a)原子力発
電」を参照。)。
専用資産の金額が当グループの長期的コミットメントの支払計画をヘッジするのに利用できないまたは不十分である場合、
当グループの財務状態および評判に悪影響が生じるおそれがある。
解説5C-2:当グループが放射性廃棄物の最終処理および貯蔵に割り当てた引当金は、特に使用済燃料の再処理および廃炉
による長寿命廃棄物については不十分である可能性がある。
当グループは、特に、事故の場合もしくは使用済燃料または廃棄物を通じて第三者または環境に損害を与えた場合には(燃
料および廃棄物が当グループ以外の請負業者(特にフランスにおいてはORANOグループおよびフランス放射性廃棄物管理庁
(ANDRA))によって取扱われ、輸送され、貯蔵され、倉庫に入れられまたは保管されている場合も含み、特にかかる請負業者
による不履行の場合には)、適用ある廃棄物規制に定義される原子力事業者または放射性廃棄物排出者として責任を負う可能
性がある。
フランスでは、EDFグループは、原子力施設の操業中、原子炉から生じた使用済燃料の再処理中、および原子力施設の廃炉作
業中に生じたすべての放射性廃棄物に対して責任を負う(「第2 3(2)①(ⅰ)(ニ)核燃料サイクルおよび関連する問題
-調整後の最終的な廃棄物の貯蔵」を参照。)。
放射性廃棄物の長期管理は、放射性廃棄物の管理についての研究に関する1991年12月30日付計画法第91-1381号および放射性
物質および廃棄物の持続可能な管理に関する2006年6月28日付計画法第2006-739号における複数の調査の主題となっている。
当グループは、あらゆる長寿命の高レベルおよび中レベル放射性廃棄物がフランス環境法第L.542-1-1条の意味における「最終
的な放射性廃棄物」を構成し、また結果としてこの廃棄物を直接地層深くに埋めることができるようになると保証することは
192/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
できない。これは特に、グリーン成長に向けたエネルギー移行に関する法律第2015-992号に基づき採択された2016年2月10日
付原子力政令が、行政当局に対し、放射性物質を放射性廃棄物として、また放射性廃棄物を放射性物質として再分類する権限
を 与えたためである。また、当グループは、公的機関がかかる貯蔵を承認するまでの期間についても保証することはできず、
廃棄物の行く末、EDFが負う責任および結果的な費用に関する不確実性をもたらす可能性が高い技術指針について、どのような
ものが取られるか保証することもできない。
EDFは、長寿命高レベル放射性廃棄物の最終貯蔵として国際的な基準となっている地層処分を前提として評価され、ANDRA、
公的機関および放射性廃棄物排出事業者で構成される作業部会が2006年に行った合理的な作業に基づき、廃棄物の長期管理に
引当金を割り当てている(2018年12月31日に終了した事業年度の連結財務書類の注記29.1.2を参照。)。DGECの監視の下、EDF
も協力して深層貯蔵の費用が新たに計算されたことを受けて、エコロジー・持続可能開発・エネルギー担当大臣は、2016年1
月15日付命令において、2011年12月31日現在の経済情勢に基づき新たな参考費用を25十億ユーロに設定した。かかる費用は、
当グループの2015年末現在の財務書類に計上されている(2018年12月31日に終了した事業年度の連結財務書類の注記29.1.2を
参照。)。現在の見積りは初期設計を前提としており、省令にも明記されているとおり、プロジェクトの進捗に伴って定期的
に修正される。放射性廃棄物を深地層で処分するCigeoプロジェクトについてANDRAが提示した安全オプション・ファイルに関
する、原子力安全当局の2018年1月11日付意見第2018-AV-0300号には、当該プロジェクトが安全オプション・ファイルの段階
で全体として満足のいく技術的成熟を達成している、と明記されている。残る留保分、およびANDRAが2022年からの地層処分場
の建設許可を取得するために行われる補足調査は、廃棄物の長期管理規定の改正につながる可能性がある。
2006年6月28日付法律第2006-739号は、黒鉛などの長寿命低レベル廃棄物専用の貯蔵センター(FAVL)について規定するも
のである。ANDRAは、2015年7月、放射性物質および放射性廃棄物管理国家計画(PNGMDR)に基づき中間報告書を提出した。こ
の報告書は、いくつかの貯蔵概念を評価し、黒鉛廃棄物をスーレヌの敷地に貯蔵する可能性を考慮に入れている。すべての
FAVL放射性廃棄物の管理のための総合産業計画は、2019年末までにPNGMDRによって策定される(「第2 3(2)①(ⅰ)
(ニ)核燃料サイクルおよび関連する問題」を参照。)。引当金は、適宜調整しなくてはならない可能性がある。
英国では、British Energyが再編された際、既存の原子力発電所から発生する特定の放射性廃棄物の管理に関して、当局と
の間で契約が締結された(「第2 3(2)⑤(ⅰ)(ロ)(a)原子力発電」を参照。)。これらの契約の条件に従い、特定の
放射性廃棄物の管理に係る責任および一部の費用負担は、英国政府に移転している。ただし、上記契約の範囲に含まれない廃
棄物の管理、貯蔵および処理に関する財務上、技術上および法律上の責任は、引き続きEDF Energy Nuclear Generation
Limitedが負う。
EDFは運営を行わないが、EDFが(米国、ベルギー、スイスおよび中国において)財務的利益を有する原子力発電施設につい
て、当グループは、使用済燃料および廃棄物管理に関連する将来的な支出負担のため、その株式保有の割合に応じた金融リス
クに晒されている。
これらの技術的および産業的感応度の要因に加え、現在繰り入れられている引当金の額は、今後数年以内に変更される可能
性がある。上記の引当金の評価は、費用、インフレ率、長期割引率および債務返済予定に関する仮定に従い変動する。フラン
ス環境法に基づき、かかる引当金の金額は、経済省およびエネルギー省が共同で設置した監督機関が決定し、かかる監督機関
は、特に引当金の計上された費用の適切性を検証し、当該引当金の割引率に上限を設定する。これらの感応度要因を考慮し、
一部のパラメータの変更は、計上済みの引当金の大幅な修正につながる可能性がある。そのような場合には、長期の原子力へ
のコミットメントに対する引当金の不足が、当グループの財務状態に重大な悪影響を与える可能性がある(2018年12月31日に
終了した事業年度の連結財務書類の注記29.1.5を参照。)。
2018年12月31日現在の連結財務書類の注記29.1「フランスにおける原子力引当金」における注記29.1.5.2「マクロ経済に関
する仮定に対する感応度分析」には、「年度末の経済状況に基づく費用」(2018年12月31日現在の見積額)と「引当金の現在
価値」との関係が示されている。廃棄物の長期管理ならびに廃棄物の回収およびパッケージングについては、廃棄物の遠隔貯
蔵所が満期を迎えたことによる割引効果が非常に大きかったため、年度末の経済状況に基づく費用は32,164百万ユーロと見積
もられ、これに対する引当金は10,597百万ユーロである。注記29.1.5.2「マクロ経済に関する仮定に対する感応度分析」で
は、引当金の種類別に、割引率の変動に対する引当金および当グループの業績の感応度を分析している。
当グループが責任を負う廃棄物の処理および最終貯蔵に関して、完了までの費用およびスケジュールを管理できなければ、
当グループの財務状態および評判に悪影響が生じる。
解説5C-3:原子力施設の廃炉に関して当グループが割り当てた引当金は、十分ではない可能性がある。特に、リスク要因
4Aに記載された複雑なプロジェクトの管理に加えて、既存の原子力発電所の廃炉には、現時点で予測できない困難が生じる
可能性があり、またはその費用が現時点の引当金を大幅に上回る可能性がある。
フランスにおいて進行中の作業(「第2 3(2)①(ⅰ)(ヘ)原子力発電所の廃炉」を参照。)は、現行の原子力発電所
およびスーパーフェニックス発電所(「第1世代」の発電所)より以前に建設され稼働していた発電所に関するものである。
かかる事業では、4つの異なる原子炉技術を扱っている。すなわち、重水炉(ブレンリス)、ナトリウム冷却高速炉(クレ
193/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
イ・マルヴィルにおけるスーパーフェニックス)、黒鉛減速ガス冷却炉(シノン、サンローランおよびビュジョイにおける
UNGG原子炉)、および(ショーにおける「PWR」)である。これらの事業はEDFにとって初めてのことであり、PWRを除き、国際
的 なフィードバックが少ないか、または存在しない原子炉技術に関するものである。したがって、新たな方法および技術を開
発する必要があり、これは既にフィードバックのある技術よりもリスクが大きい。ショーにおけるPWRの廃炉にはいくらかの
フィードバックがある(基本的に米国のもので、限定的である。)ものの、PWRが洞窟の中にあるという画期的な特徴のため、
経験を直接移転できるものではなく、また固有のリスクも伴う特異な事業となっている。
ショーにおけるPWRからのフィードバックにより、現在稼働中の原子力発電所(「第2世代」の発電所)の将来の廃炉費用の
研究および見積りを、可能な限りまとめることができる。それにもかかわらず、EDFも他の事業者も当グループの現行のPWR発
電所に相当する規模での廃炉プログラムを開始したことがなく、したがって、見積りには特にこのスケール効果に関するリス
クが伴う。
かかる作業のスケジュールおよび費用は、行政上の許認可、ならびに放射性廃棄物の貯蔵センターまたは廃棄物の保管また
は貯蔵に必要なその他の施設を必要な時に利用できるか否かにも左右される。
これら技術的および産業的感応度の要因に加え、現在繰り入れられている引当金の金額は、今後数年の間に変動する可能性
がある。かかる引当金の評価は、費用、インフレ率、長期割引率および債務返済予定に関する仮定に従い変動する。これらの
引当金の金額は、フランス環境法に従って監督機関が決定し、かかる監督機関は、特に引当金の計上された費用の適切性を検
証し、当該引当金の割引率に上限を設定する。
これらの感応度要因を考慮し、一部のパラメータの変更は、計上済みの引当金の大幅な修正につながる可能性があり、した
がって、当グループは、引当金が適当な時点で実際に計上された費用と同額であると保証することはできず、これは、当グ
ループの財務状態に悪影響を与える可能性がある(2018年12月31日に終了した事業年度の連結財務書類の注記29.1.5を参
照。)。財務諸表への影響を限定するため、当グループは定期的に引当金に関する主要な見積りの更新を行っている(2018年
12月31日に終了した事業年度の連結財務書類の注記29.1.3を参照。)。
フランス国内における原子力発電所の廃炉引当金に関しては、年度末の経済状況に基づく費用は27,331百万ユーロと見積も
られ、これに対する引当金は15,985百万ユーロである。最後の重要な引当金については、廃棄物の遠隔貯蔵所が満期を迎えた
ことによる割引効果が非常に大きかったため、年度末の経済状況に基づく費用は4,346百万ユーロと見積もられ、引当金の現在
価値は2,526百万ユーロと評価されている。2018年12月31日に終了した事業年度の連結財務書類の注記29.1.5.2「マクロ経済に
関する仮定に対する感応度分析」では、引当金の種類別に、割引率の変動に対する引当金および当グループの業績の感応度を
分析している。
フランスの基礎原子力施設に関するFramatomeおよびSOCODEIの引当金は、それぞれ77.5百万ユーロおよび45.5百万ユーロで
ある(2018年12月31日に終了した事業年度の連結財務書類の注記30「その他の施設廃止引当金」を参照。)。
英国では、British Energyの再編に関して締結された取決めに基づき、EDF Energy Nuclear Generation Group Ltd.の既存
の原子力発電所の廃炉費用については原子力負債ファンドより支払われる。同ファンドの資産が不十分な場合、英国政府がか
かる費用を負担する(「第2 3(2)⑤(ⅰ)(ロ)(a)原子力発電」を参照。)。
EDFは運営を行わないが、EDFが(中国、米国、ベルギーおよびスイスにおいて)財務的利益を有する原子力発電施設につい
て、当グループは、将来の廃炉費用負担につき、その寄与に応じた金融リスクに晒されている。
当グループが責任を負う原子力施設の廃炉に関して、完了までの費用およびスケジュール、ならびに関連する引当金を管理
できなければ、当グループの財務状態および評判に悪影響が生じる。
解説5D:複雑なプロジェクトの管理リスク(リスク要因4A)に加えて、EPRプロジェクトの成功は、特定の産業、規制およ
び財政要因に左右される。
EPRプロジェクトの成功は、原子力産業セクターのパフォーマンスおよび評判、ならびにそれを通じて当グループの業績およ
び評判も決定づける。
フラマンビル3プロジェクトは、当グループにとって、産業、規制および財政面で大きな課題である。
期限までに完了できるか否かは、特にフラマンビルEPRの主要二次回路のパイプについて行う予定の、53か所の溶接作業の作
業計画の実施、今後行う起動試験の成功、およびASNから受けなければならない様々な許認可の取得を条件としている。この枠
組みにおいて、原子炉の起動期限を2023年4月11日まで延期するための予防措置として、EDFは2019年3月11日、環境連帯移行
省に対して建設を許可する命令の改正を申し入れた。
当グループは、新たな不確実性に対処しなければならない可能性がある。求められる許認可を取得できないおそれがあり、
または判決によって許認可が危うくなる可能性がある。
さらに、EDFは、耐用年数を通じて当該施設の安全を高水準に保てるよう、さらに10か所の溶接作業の妥当性を示すための具
体的なプロセスをASNに提案している。当初該当していた溶接作業のうち2か所はその後適合していると判断されたため、その
数は8か所に減らされた。
194/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ASNは、フラマンビル3の溶接作業に関するEDFの戦略について、2019年5月に見解を発表する予定である。この戦略に対す
るASNの評価が否定的であれば、作業現場の引渡しに向けた完成期限に間に合わなくなる。予定が遅れれば、建設費用が増加
し、現在の目標を超過することになる( 2015年は10.9十億ユーロ(中間利息を除く。) 。チームを動員したにもかかわらず、
完 了までのスケジュールは過密である(「第2 3(2)①(ⅱ)(イ)フラマンビル3EPRプロジェクト」を参照。)。
既存の原子力発電所の更新時に競争力の高い原子炉を設置するため、EPR2プロジェクトの調査が続けられている。競争力目
標を達成できない場合、適切な規制枠組みがない場合、または原子炉の整備を続けるために必要な許認可を取得できない場
合、当グループの財務状態に影響が生じるおそれがある(「第2 3(2)①(ⅱ)新たな原子力プロジェクト-EPR2」を参
照。)。
中国において、当グループは、中国のパートナーであるCGNと並んで、TNPJVC(Taishan Nuclear Power Joint Venture
Company Limited)に30%の持分を有している。台山1は、2018年6月29日に送電網に接続される予定の最初のEPR原子炉で
あった。2018年12月13日に稼働が開始された。台山の原子炉2号機は、2019年の稼働開始に向けて起動試験を継続中である。
CGNが買取料金を取得するために中国当局と行っている作業如何では、期待した収益目標に見合う買取料金を実現できない可能
性がある(「第2 3(2)①(ⅱ)(ロ)「新たな原子力」のその他のプロジェクト-台山のEPR」および「第2 3(2)⑤
(ⅲ)(ヘ)(a)中国」を参照。)。
英国においては、設計管理、ならびに製造および建設用地の大きな節目の管理が、ヒンクリー・ポイントCプロジェクトの
収益性、および英国における将来のプロジェクトの資金調達を決定する。当グループは、中国パートナーであるCGNの33.5%と
並び、ヒンクリー・ポイントCプロジェクトに66.5%の持分を有している(「第2 3(2)①(ⅱ)(ロ)「新たな原子力」
のその他のプロジェクト」および「第2 3(2)⑤(ⅰ)(ロ)(d)新規の原子力発電所建設事業」を参照。)。プロジェク
トの完成までには19.6十億英ポンド(2015年)( 中間利息およびプロジェクトの基準為替レートである1英ポンド=1.23ユー
ロと比較した為替レートの影響は含まれない。2018年12月31日現在の為替レートは1英ポンド=1.12ユーロであった。 )かか
る、と2017年7月現在見積もられている。この見積もりは、特に供給業者と協同で行う運転行動計画の成功を前提としてい
る。また、商業的稼働が延期されるリスクは、1号機については15か月、2号機については9か月と予測される。かかる潜在
的遅延による追加費用は、約0.7十億英ポンド(2015年)と見積もられている。当該プロジェクトのIRRは、為替レートに影響
されやすく、英ポンドがユーロに対して下降を続けた場合は減少する可能性がある。さらに、プロジェクトの実施状況は、特
に関税、人の移動ならびに商品およびサービスの売買に関するブレグジットの展開条件によって、影響を受ける可能性がある
(リスク2Hを参照。)。最後に、プロジェクトのガバナンスは、株主間の不均衡があれば影響を受けるおそれがある。これ
らの様々な要因が変化すると、当グループの財務状態に影響するおそれがある。
またEDFは、英国における2件の原子力建設プロジェクト、サイズウェルCおよびブラッドウェルBの調査に関して、CGNと
別の2件の契約を締結した(「第2 3(2)⑤(ⅰ)(ロ)(d)新規の原子力発電所建設事業」を参照。)。EDFがサイズ
ウェルCについて最終的な投資判断をできるか、および開発段階を超えてこれらのプロジェクトの資金を調達できるか否か
は、ヒンクリー・ポイントCプロジェクトの統制、投資家および資金提供者の存在、ならびに適切な規制および融資の枠組み
にかかっている。
2018年3月10日現在、EDFの会長兼最高経営責任者、およびインドにおいて既に22基の原子炉を運営しているNPCIL(Nuclear
Power Corporation of India Limited)の会長兼最高経営責任者は、インドのジェイタプールにおける6基のEPR型原子炉の建
設について、産業的前進に関する契約を締結した。ジェイタプールは、合計電力容量が約10GWと、世界最大の原子力プロジェ
クトになる予定である。EDFは、2018年12月14日、初期的提案を行った。この提案の一環として、EDFは、GEおよび子会社
Framatomeと共同で、プロジェクト全体のエンジニアリング・コントラクターおよびEPR技術の供給業者となる。EDFは、最初の
2基の原子炉につき、すべてのエンジニアリング調査およびすべての部品調達業務を請け負う(「第2 3(2)①(ⅱ)
(ロ)「新たな原子力」のその他のプロジェクト-開発中のプロジェクト」および「第2 3(2)⑤(ⅲ)(ヘ)(b)東南ア
ジアおよび南アジア」を参照。)。
EPRプロジェクトの成功および当グループが関与するEPR原子炉の運転安全性において基本となるのは、EPRプロジェクトの設
計段階の最初から設計および実施を通じて運転安全性に責任を負う、最終的な事業者の義務である。
Framatomeは、現在、当グループの子会社であるため、フランス国内外において他の原子力事業者または顧客のために行う活
動を通じて、当グループをリスクに晒す可能性がある。エクスポージャーは財務面であるか、または当グループの評判に関わ
るものである可能性がある。Framatomeの産業パフォーマンスは、フランスおよび英国におけるEDFの原子力事業者にとって、
依然きわめて重要である。EPRプロジェクトが無事完了するか否かは、Framatomeが各EPRプロジェクトにおいて調査、部品また
はサービスを提供する際の質、および契約条項の遵守にかかっている。
FramatomeのEDFグループへの統合が成功し、その結果として価値が生まれれば、原子力プロジェクトにとって融合フレーム
ワークとなり、結果的にシナジーを醸成することになる。これらの目標を実現できなければ、フランスの原子力セクターの競
争力および国際的発展における当グループの競争力、ならびにすべてのEPRプロジェクトの成功が脅かされるおそれがある。
これらのプロジェクトは、特に資金調達面で、行政上の許認可および免許の取得ならびに(場合により)さらなるパート
ナーシップの構築を必要とする。これらは、多数の産業パートナーおよび多額の投資を要する大規模かつ長期的なプロジェク
195/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
トであり、その資金調達および価格決定の状況については確認が必要である。経済および制度の状況に鑑みると、かかる資金
調達は遅延する可能性がある。
当グループの契約コミットメントを遵守できない場合、またはこれらのプロジェクトの実行もしくはこれらの原子炉の運転
における大規模事象による当グループの潜在的エクスポージャーは、当グループのエクスポージャー、法的立場および財務状
態、または当グループの評判に、重大な影響を与えるおそれがある。
最後に、機関、地域、国および外国、産業および財務利害関係者を含む、すべての利害関係者とEPRプロジェクトについて協
議および対話を行うことは、5つ目の企業責任目標の達成に直接寄与する。
解説5E: 上記の4番目のカテゴリー「パフォーマンス」 のリスク要因4Bに記載された産業パフォーマンスの管理に加え
て、当グループは、原子力事業において核燃料サイクルの管理義務を負う。
当グループの営業コストは、核燃料購入を含む。
EDFは、フランスおよび英国における原子力発電所において、ウラン、転換サービスおよび濃縮サービス、燃料集合体、およ
び使用済燃料の再処理事業の供給を受けている。
価格および入手可能量は、当グループがコントロールできない特に政治的および経済的要因(特に、鉱業投資の収益性見通
し、需要と供給の不均衡、または(例えば)ウラン鉱山またはコンバインド・サイクル発電所での作業事故、新規鉱山の試運
転の遅延またはウラン生産国における制度的不安につながる事象に関連した供給不足)に起因して変動する。
新しい核燃料または使用済核燃料の貯蔵および輸送は、特別な安全保障措置が要求される産業活動である。こうした要求は
さらに厳しくなる可能性があり、当グループにとってさらなる課題および費用が発生する可能性がある。
この産業物流システムが崩壊した場合には、新たな燃料集合体を運び込めなくなるか、または中間貯蔵施設が飽和状態とな
るため、当グループは当該発電所における発電量を削減するか、または全部もしくは一部を中断しなければならなくなる可能
性があり、この場合、当グループの財務状態に悪影響を与える可能性がある(「第2 3(2)①(ⅰ)(ニ)核燃料サイクル
および関連する問題」を参照。)。
フランスでは、EDFは、使用済核燃料の管理業務(輸送、処理およびリサイクルのための調整)に関して、Oranoとの間で
2008年12月に締結された基本契約およびその後の実施契約に基づく価格および処理量の条件を用いて引当金を計上している
(2018年12月31日に終了した事業年度の連結財務書類の注記29.1.1を参照。)。2016年から2023年までの期間に関する実施契
約は、2016年2月に締結された(「第2 3(2)①(ⅰ)(ニ)核燃料サイクルおよび関連する問題」を参照。)。現行の契
約の対象ではない期間を対象とする引当金の現行の計上金額は、同契約の更新条件が現行より不利なものとなった場合には、
再評価されるべきである。
2018年12月31日現在の連結財務書類の注記29.1「フランスにおける原子力引当金」における注記29.1.5.2「マクロ経済に関
する仮定に対する感応度分析」には、「年度末の経済状況に基づく費用」(2018年12月31日現在の見積額)と「引当金の現在
価値」との関係が示されている。使用済燃料の管理に関しては、年度末の経済状況に基づく費用は18,737百万ユーロと見積も
られ、これに対する引当金は10,698百万ユーロである。
しかしながら、当グループは、当グループの契約が、フランス国内および国外における、突然のまたは大幅な価格上昇に対
して完全な防御機能を果たすと保証することはできない。当グループは、当該長期契約が満了した場合に、当グループがそれ
らを(とりわけ、同等の価格で)更新できると保証することはできず、当グループの財務状態に悪影響を与える可能性があ
る。
( 2) 当グループのリスクおよび事業の統制
本項の目的は、重要とみなされる活動またはリスクに関連する統制手続、および2018年の主要な長期手続に焦点を合わせ、
2018年に行われた変更および主要なイニシアチブを取り上げることである。これらの内部統制およびリスク管理手続は、当グ
ループの政策集によって定義された枠組みに沿っている。また、AMFのリスク管理および内部統制の参照枠組み(2010年7月22
日発表)に規定された一般原則も遵守し、主要な国際報告ガイドライン、特にCOSO-2013の変更点に基づいている。
① 統制環境
( ⅰ) 一般的な制度
枠組み:グループ政策集
2017年以降、EDFグループは、執行委員会が認証および承認した当グループの政策に沿って、事業およびリスクの統制を行っ
ている。この政策集は、すべてのグループ企業および子会社のために持続可能で事業部門を超えた要件を規定するものであ
り、以下のテーマが含まれる。管理および運営、倫理およびコンプライアンス、安全保障、持続可能な開発、人的資源、購
買、不動産および一般サービス、法務、財務および市場、通信、情報システムおよびデジタル変換。定期的にアップデートす
ることにより、規制の変化および戦略的指向性に要件を適合させることが可能となる。
196/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
統制システムの目的
方針「グループ機能原則/リスク管理および内部統制」に規定された当グループのリスクおよび事業を統制するシステム
は、以下を目的としている。
・関連する効果的な行動計画の存在および統制を確認するため、当グループの目標に影響を与える可能性の高い重要なリスク
および機会を特定し、定期的に再評価すること。
・恒常的に以下を保証すること。
-法令の遵守
-当グループの方針の遵守
-内部プロセスの適切な機能(特に当グループの資産の保護に資するもの)
-財務情報の信頼性
-あらゆるリスクおよび活動の全般的統制
実行の原則
実行の基本的原則は、以下の3つの統制モデル・ラインに基づいている。
・第1の統制ライン:あらゆるレベルの各マネージャーは自己の担当業務につき、自己の業務に関する主要なリスクの特定お
よび管理、スタッフの担当業務に対するかかる統制の徹底、特定されたリスクの統制行動が相応に支援されていることの徹
底、特定されたリスクおよび統制行動についての自己評価による、自己のマネージャーに対する正式な定期報告について、
責任を負う。
・第2の統制ライン:当グループ事業の統制に対する寄与については、「第3 2(2)①(ⅳ)リスクおよび事業に係る第2
の統制ライン:担当部署および使命」に記載されている。このうち、リスク統制および内部統制機能は、全体的な統制行動
をまとめ、当グループの統治機関に対する報告書を作成する。リスクおよび事業を統制するための具体的な措置について
は、「第3 2(2)②リスクおよび事業の統制制度の実施」に記載されている。
・第3の統制ライン:独立した監査システムが、当グループのグループ企業のリスクおよび事業の管理行動について、その適
切性および有効性を確認し、当グループの事業部門を超えた主要なプロセスおよび大型プロジェクトの管理状況を確認し、
より一般的には当グループのリスクの統制レベルを確認することができる。(「第3 2(2)①(ⅴ)第3の統制ライン:
当グループの監査機能」を参照。)。
3つの統制ラインに基づくこれらの措置はすべて、当グループのマネージャーおよび統治機関に対して、主要なリスクの特
定および範囲に関する「合理的な保険」を与える。
範囲
統制範囲(規制対象のインフラ事業者である子会社を除く。)に関して、これらの目的および原則は、執行委員会の構成員
が管理する部門または子会社によって実施され、当該構成員は、自己が管理する部門、業務ユニットまたは子会社においてか
かる目的および原則が実施されていることを確認する。
当グループの他の子会社(規制対象のインフラ事業者である子会社および重要な持分)に関しては、EDF統治機関の代表者
は、各子会社につき、事業およびリスクの統制システムが整備されていることを確認し、リスクの分類、内部統制および監査
業務(プログラムおよび主要な結果)に関する情報を定期的に提供する。また、これらの各措置の有効性および妥当性につい
て、各企業の定期監査を通じて確認することができる。その上で、規制対象のインフラの事業者についても原則を適応させ、
経営の独立性に関する義務を確実に遵守している。
( ⅱ) 権限委譲および技術的認可
会長兼最高経営責任者は、当グループの組織およびこれらのグループ企業の責任者に割り当てられた任務と一貫するよう、
運営チームのメンバーに対して、自己の権限の一部を委譲する。
調達のための組織は、プロセスを適切に管理することを意図して設置されている。調達契約は、調達部門担当部長もしくは
その代理人が署名した後に、基準金額に応じて、会長兼最高経営責任者、グループ常務取締役、またはいずれかの代理人が署
名する。調達部門担当部長またはその代理人が署名することで、当該文書が調達プロセスを遵守していることが正式に認めら
れる。各グループ常務取締役は、署名を求められた調達文書および当該部門が直接取り扱う調達文書について、内部統制シス
テムを補強する予定である。
会長兼最高経営責任者は、原子力および化石燃料発電所部門担当のグループ常務取締役および新原子力エンジニアリングお
よびプロジェクト部門担当のグループ常務取締役に対して原子力事業者の責任を委譲し、かかる常務取締役は当該部門の部長
に再委譲し、かかる部長はユニット・マネージャーに再委譲する。
197/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
承認は各施設の管理者が行うが、かかる管理者は、再委譲に係る技能の評価を受けていること、およびかかる管理者に資源
が提供されていることを、前もって確認しなければならない。これらの要件は、EDFのスタッフもサービス提供業者も、作業を
行うすべての者に適用される。
当グループにおける権限委譲の指示書は、権限の委譲の性質、影響およびその管理規則について、EDF企業に情報を提供し認
識を高めることを目指している。
( ⅲ) 経営組織
EDFの経営幹部の組織については、「第5 4(2)①執行委員会の構成員」に記載されている。執行委員会の各構成員は、
自己の担当範囲内のリスクを統制するために必要な一切の行為を行う責任を負う。
リスク委員会
執行委員会は、少なくとも年に2回、リスク委員会の形で定期的に会議を開き、特に当グループのリスクの分類および内部
統制業務の評価を検討する。当グループにとってのリスクの優先順位を決定し、当グループの戦略に関してかかるリスクの軽
減戦略を共有し、これを主導する執行委員会の構成員を指名する。またリスク委員会は、監査業務(年間計画、結果)につい
ても検討する。
グループ執行委員会のコミットメント委員会
プロジェクトの評価および監視を強化するため、執行委員会の企業投資委員会( 構成は執行委員会と同じ。 )(CECEG)は、
コミットメントの規模および/または執行委員会の意思決定前に負うリスクの点から最も重要なプロジェクトについて、徹底
的に調査する(「第3 2(2)②(ⅱ)(ハ)コミットメントの承認」を参照。)。
(ⅳ) リスクおよび事業に係る第2の統制ライン:担当部署および使命
第2の統制ラインは、当グループのすべてのサポート部門(調達、通信、持続可能な開発、倫理およびコンプライアンス、
財務、不動産、法務、人的資源、リスク、資産の保護、一般サービスおよび情報システム)からなる。これらの部門は、業務
執行取締役と連係して、当グループにおける自己の事業ラインの全体的な管理および指揮システムを運営する。具体的には、
これらのサポート部門は当グループの方針の実施について、準備および調整に責任を負う。
( イ) 当グループのリスク部門
当グループのリスク部門(書記長に直属する。)の任務は以下のとおりである。
・リスクおよび内部統制方針を策定すること。内部統制機能をまとめること。特に主要なリスクについて連結分類を作成およ
びアップデートすること。当グループの内部統制を評価すること(システムの詳細については、「第3 2(2)②(ⅰ)
(イ)リスク分類ならびに事業およびリスクの統制に関する報告」を参照。)。
・会長兼最高経営責任者および執行委員会に対して、新興リスクおよびこれまで十分に観察されていないリスクについて警告
すること。
・エネルギー市場リスク方針を策定することで、エネルギー市場リスクが確実に統制されるようにすること(「第3 2(2)
②(ⅱ)(イ)エネルギー市場リスクの統制」を参照。)。
・金融リスク(金利、外国為替、流動性および信用)および契約相手方の債務不履行リスクを定義し、統制すること(「第3
2(2)②(ⅱ)(ロ)金融リスクの統制」を参照。)。
・投資および長期コミットメント・プロジェクト(CECEGに付託される。)についてのリスク分析の包括性および妥当性を統制
すること(「第3 2(2)②(ⅱ)(ハ)コミットメントの承認」を参照。)。
・危機管理および事業継続方針を策定すること。危機管理組織がグループ・レベルで確実に機能するように維持すること
(「第3 2(2)②(ⅰ)(ロ)危機管理および事業継続」を参照。)。
( ロ) 企業財務部門
財務部門は、主として以下の任務を通じて、当グループの事業の統制に寄与する。
・パフォーマンス管理
-当グループのパフォーマンス計画の策定の支援、ならびにグループ企業および事業ラインが講じる措置の検証による、当
グループのグループ企業のパフォーマンス管理への寄与。このため財務部門は、経済および財務のパフォーマンス管理に
関する方針の枠組みにおいて、当グループの各事業の経済モデルに適応したいくつかの管理指標を採用している( この方
針は、EDF SAのすべてのグループ企業および子会社に適用される。ただし、規制対象のインフラ事業者については、指令
第2009/72/CE号および第2009/73/CE号に規定された経済監督枠組みによって株主権が行使される。 )。
198/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
-部門および被支配子会社全般におけるパフォーマンス・レビューを通じた、予算の実施の監督への寄与。
-ポートフォリオ・レビューならびに経済および財務の最適化分析の実施。
-財務管理方法およびプロセスの開発および周知徹底。これにより当グループ内における財務管理文化の周知徹底に寄与す
る。
・報告
-当グループの経営サイクル・プロセス(予算、予測の修正および中期計画)の監督。会計および財務報告方針の枠組みに
おいて、部門レベルおよび子会社レベルでこれをまとめ、選択肢を提案することが目的である。財務部門は、決定を行う
前に、想定される業務による財政面への影響または提案されたパフォーマンス・レベルを分析して警告を発し、提案を行
う。
-中長期的な財務の軌道の開発。
・会計
-EDFの財務書類および当グループの連結財務書類の作成。
-適用すべき会計基準および勘定科目表を定めたグループ報告方針を用いて、会計制度を確実に遵守すること。
-「第3 2(2)②(ⅲ)財務および会計情報の信頼性に関する内部統制手続」に記載されているシステムに基づく当グ
ループの「会計および財務の内部統制」に関する手引書に規定された、当グループの会計および財務の内部統制システム
の整備。
・課税
-税務の一貫性の確保。かかる要件は、当グループの税務方針に記載されている。
-法律および申告上の義務について、特に当該テーマを監視することで確実かつ適切に履行されるようにすること。
-繰延税金についての追跡会計および会計の定期的な妥当性チェックを確実に行うこと。
-当グループの税金リスクの特定および統制。
・財務および投資、保険
-資金調達、現金および金融リスク統制の枠における当グループの資金調達の確保。
-特に当グループのヘッジ対象資産、負債および当グループ全体の貸借対照表の金融リスクに対するエクスポージャーを統
制するために、当グループの貸借対照表および財務実績に特有のすべての行動を調整すること。
-投資、取得および売却、ならびに帳簿上または簿外の専用資産の管理。
-コミットメント方針が定めるとおり、当グループの貸借対照表および損益計算書に対する影響を予測し、財務の軌道の信
頼性を高めるため、執行委員会コミットメント委員会に提出された投資プロジェクトを評価すること。
-保険方針(「第3 2(3)保険」を参照。)が定めるとおり、市場の最良の基準で、当グループの発展をあらゆる面でサ
ポートするような画期的な保険を開発および実施すること。
・財務コミュニケーション方針の要件に基づく当グループの財務コミュニケーション(「第3 2(2)②(ⅲ)(ニ)財務コ
ミュニケーション」を参照。)。
・財務情報システム(IS):財務ISは、当グループのすべての部門向けの共通の基盤と、国または事業の特異性に応じた各企
業または子会社に特有のツールで構成され、データの整合性およびアプリケーションの利用可能性についていくつかの重要
な問題を提起する。財務部門は、事業主体として行為する。
( ハ) 法務部および契約管理部門
法務部
書記長に直属する法務部の役割は、当グループの利益を保護し、サポート、アドバイスおよび専門知識を提供することで当
グループの事業を確保することである。2018年に承認された当グループの法的リスク管理指揮政策に、業務の範囲が規定され
ている。グループ法務部長が率いる法務部は、EDFグループの法務部と子会社の法務部からなる。
法務部は、潜在的な法的影響を防ぐため、難題を伴うケースおよびプロジェクトについては可能な限り早期に組織的に関与
する。その職務において、特に以下の任務を実行する。
・当グループが原告または被告となっている主要な紛争の管理( ただし、(ⅰ)税法に関する紛争については財務部門が、
(ⅱ)雇用法に関する紛争の一部については人事部門の国内雇用法部門が、それぞれ管理する。 )。
・当グループの戦略の支援およびリスクもリターンも高い事業の保護。
・当グループの商業、産業および財務的利益の保護、ならびに特にブランド、専門知識、ノウハウ、データおよび発明の保護
を確保しながら、構造調整オペの準備およびリスクもリターンも高い契約の交渉において各事業ラインを支援すること。
・法律および規制の変更の監視。注意喚起および認識向上活動の実施。
また法務部は、EDFおよび子会社の一部の主要な契約コミットメントをリストアップおよびデジタル化する安全なプロセス
「contrathèque」を整備し、EDFの機密契約資産の知識および統制を保証する。
199/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
法務部は、子会社および持分のガバナンス方針によって、各新法人の設立条件、役員の任命手続、および当グループ内のガ
バナンスの質に対する期待を規定する。
契約管理部門
EDFが締結した契約の管理の向上は、運用、期限および関連費用の統制における主要な課題である。これは、リスク管理の向
上および契約管理における機会創出を目的とした「契約管理」機能の役割である。この機能は、契約プロセスを通して各事業
ラインの契約管理者を結集する。企業と各部門との間で組織される、契約管理における追加的な防衛線である。書記長に直属
する契約管理部門は、この機能の構築、契約管理プロセスの主導、パフォーマンスの測定、および担当部署の専門化に責任を
負う。
( ニ) 当グループの倫理・コンプライアンス部門
事務局長に直属する当グループの倫理・コンプライアンス部門(DECG)は、制裁のリスクを回避するため、当グループの倫
理的価値観、ならびに当グループが業務上および立地上適用を受ける主要な規制に対する理解およびその遵守の浸透に責任を
負う。当グループのイメージおよび評判のために、当グループのコンプライアンス業務をまとめ、統制し、かつ、当グループ
の誠実性文化の保護および推進を目指す。執行委員会ならびに取締役会のガバナンスおよび企業の社会的責任委員会に直属す
る。
DECGは、2015年12月16日に当グループ会長が策定したグループ・倫理およびコンプライアンス・プログラムを、以下の基準
に基づいて実行する。
・2016年5月17日、執行委員会が承認したグループ倫理・コンプライアンス方針(PECG)。かかる方針は、各マネージャーが
認識、尊重およびその企業における遵守を確保しなければならない、かかる企業のリスクに厳密に即した主要なルールに準
拠している。PECGは、事業関係の健全性チェック、証券取引における商業倫理、個人情報保護、不正対策、贈与および誘引
を含め、その展開を容易にするため、手引書および支援指針によって補完される。PECGは、グループ倫理憲章および倫理・
コンプライアンス行動規範を超越する参考文書であり、適用される規制の新設に合わせてアップデートされ、監査を受け
る。
・当グループの3つの価値(尊重、連帯、責任)を中心に策定され、当グループ従業員の日常的な行動および行為の規範とな
る要件を定めたグループ倫理憲章。2013年憲章の改訂版が、2019年に導入される予定である。
・2017年6月1日に公表され、各企業の内部規則に記載されている行動規範。これは、腐敗防止のための参考文書を構成し、
従業員全員に適用される(サパンⅡ法の要件)。
・EDFグループの倫理・コンプライアンス内部告発システム。これは、当グループの従業員および外部協力者(派遣社員、サー
ビス提供業者の従業員等)または臨時従業員(期間限定契約、見習い、研修生等)ならびに第三者が、2016年12月9日付
「サパンⅡ」法に基づき透明性、腐敗対策および経済活動の近代化に関して、ならびに2017年3月27日付「警戒義務」法に
基づき親会社および下請業者への注意義務に関して、報告を行うことを認めるものである。
・マネージャー、取締役および従業員の研修および意識向上措置、ならびに企業倫理およびコンプライアンス担当役員(ECO)
のネットワークのための、職務に対する支援。
( ホ) 持続可能な開発部門
EDFグループは、持続可能な開発に関する問題に配慮し、これを全体的な戦略に組み込んでいる。CAP2030戦略プロジェクト
は、EDFを「低炭素成長を推進し、効率的で責任ある発電事業者」にすることを目標に、当グループの持続可能な開発および環
境アプローチについて新たな見通しを立てている。これには、6つの企業社会責任目標が含まれている。
持続可能な開発委員会(SDC)は、グループ・レベルでは環境業務執行委員会として機能し、ISO 14001に基づく環境管理シ
ステムの調整を担当する。
EDFグループは、2002年4月9日に初めて取得したISO 14001認証を維持している。認証の範囲は、EDF、複数のフランス子会
社(Dalkia、Électricité de Strasbourg、EDF Renewables、Citelum等を含む。)、およびEDF Energy、EDF Luminus、EDF
TradingおよびEdisonを含む多数の国際子会社である。この認証の一環として実施されるプロセスは、当グループの環境リスク
の統制、特に規制的側面および優先すべき環境問題に関して、構造的組織または適合する組織における当グループの利害関係
者に保証することで、補強する一助となる。
グループ・レベルの持続可能な開発に関するすべての要件は、特に気候変動の課題に関する要件を含めてすべて、当グルー
プの持続可能な開発に関する方針に明記されている。気候関連リスクおよび機会の分類は、EDF戦略の定義に含まれている。行
動計画は、物理的、財務的および社会的影響を考慮して、気候変動戦略(軽減および適応)のアップデートについて規定して
いる。持続可能な開発部門は、この方針の管理、調整および統制を組織し、実施および統制は当グループの各部門およびグ
ループ企業の責任である。
200/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2018年12月、様々なグループ企業のあらゆるCSR問題をよりよく調整し、戦略的管理を確保するため、企業の社会的責任戦略
委員会が設置された。企業の社会的責任戦略委員会は、具体的には、6つのCSRGの分野におけるEDFグループのコミットメン
ト、二酸化炭素削減の取組み、CSR協定およびEV100コミットメントを監督する。
( ヘ) 当グループの情報システム部門
当グループの情報システム部門(GISD)は、様々な任務の中でも、情報システム・ガバナンスおよびデジタル変換、当グ
ループの情報システムのセキュリティおよびデータ管理の方針の実施を監督し、内部統制および関連するリスクのヘッジの主
導に責任を負う(「第3 2(2)②(ⅱ)(ニ)情報システム(IS)の保護」を参照。)。
また、当グループの情報システム部門は、法務部と共同で、個人情報の保護に関する当グループの手引書を策定する。グ
ループ企業は、グループ倫理・コンプライアンス方針の適用に従ってこの手引書の適用を義務付けられている。
( ト) セキュリティおよび経済情報部門
EDFグループのセキュリティ組織は、悪意ある行為に対する資産保護に関するグループ方針において定められた要件を確実に
遵守することを目的としている。セキュリティおよび経済情報部門は、この方針の管理、調整および統制を組織し、特にこの
方針の要件を適用する際の解説、実務指針および方法をグループ企業向けに作成し、提供する。
( ⅴ) 第3の統制ライン:当グループの監査機能
当グループの監査機能は、内部監査業務を行う当グループのすべての監査資源からなる。会長兼最高経営責任者の決定に従
い、この機能は当グループの監査担当部長が監督する。当グループの監査機能には、監査部門(書記長に直属する“DAi”)、
ならびにフランス国内外の主要な子会社の監査チームが含まれる。監査部門と様々な監査チームとの関係、およびそれぞれの
権限は、当該チームがEDFに所属するかまたは規制対象のインフラ事業者である子会社に所属するかを考慮し、経営の独立の原
則を確実に遵守するよう関係性を適応させている。監査部門は、事業ライン(監査部門による子会社(RTEおよびEnedisを除
く。)の監査担当部長の共同指名および相互評価、成功事例の紹介、研修、ツールおよび手法の共有等))の監督を行う。
2018年末現在、当グループの監査機能は55人で構成されていた( フルタイム相当量 )。
EDF および被支配子会社の運営基準
DAiは、内部監査人協会の定義による国際基準を適用し、かかる基準を推進し、その遵守を監視する。
監査人の任務、権限および責任、ならびに被監査人の権利および義務は、2016年5月にアップデートされた規約に記載され
ている。この規約は、会長兼最高経営責任者が署名したもので、監査機能の独立性を再確認し、内部監査機能の任務および責
任、ならびに監査人および被監査人の義務および権利を明記している。これには、当グループの監査機能全体に適用される倫
理規約が含まれる。この規約は、倫理の文化を促進し、監査人がその職業および内部監査の実施に関連する基本原則を遵守お
よび適用しなければならないことを改めて表明するものである。
最高監査責任者は、会長兼最高経営責任者と直接連絡を取ることができ、監査委員会に対して監査作業の報告を行い、実行
すべき任務を実施するスタッフの適性に関する有益な情報を提供する。
すべての監査人は、国際基準に則った方法で訓練されている。かかる監査人らは、当グループの様々な事業および外部の監
査事務所から採用されている。監査人は、各任務の終了時に評価される。
監査部門の業務全体における適切な機能(監査プログラムの起草から、提案の実施の監視まで)に関しては、主要なプロセ
スが設定および調整されている。
監査機能は、定期的かつ自発的にIFACI( Institut français de l'Audit et du Contrôle Interne(フランス監査および内
部統制協会) )の評価を受けている。2018年に受けた最新の評価においては、従前と同様に、監査実務が国際的な監査基準を
満たしているとの認定を得た。
機能手続
当グループの監査機能は、EDFのグループ企業および被支配子会社の包括的監査を行う。これらの監査には、それぞれの内部
統制の健全性調査も含まれ、規模に応じて3年から5年の間隔で行われる。監査部門は、部門を超えた企業レベルの監査を、
子会社の監査部門はその責任の範囲内で監査を行う。監査部門は、企業レベルのリスクについて子会社の監査を行う権限を有
する唯一の機関である。
監査プログラムは、会長兼最高経営責任者、リスク委員会、次いで取締役会のレビューを受ける。監査プログラムは、以下
を反映して策定される。
・主要なグループ企業について、特に内部統制が正確に行われていることを評価するため、重要性に応じた間隔で監査する必
要性。
・主たる会計および財務プロセスならびに「グループ・ヘッド」プロセス(HR、IS)。
201/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・主要なプロジェクト。
・当グループのリスク分類において、リスクの重大な特質に応じた間隔で前述の監査を受けていないリスク。
・経営幹部の決定の監視。
監査人が大量のデータを活用し相違をターゲットにする一助として、デジタル・ツールが開発されている。
監査後は必ず提案が行われ、その提案は被監査人およびその経営陣による確認後、かかる経営陣および被監査人が起草する
行動計画の主題となり、監査部門に送られる。監査部門は、その後12か月から18か月間で、発見された不正を是正するため、
これらの是正措置または経営陣が決定したその他の行為が確実に行われるように監視する。
監査機能が行った監査における重要な事象、主要な企業監査結果および対応する提案をまとめた中間監査概要書を作成す
る。年2回の概要書には、監査プログラムの評価、被監査人の満足度、ならびにHRおよび予算報告が記載される。この概要書
は、複数の監査において観察され、経営陣の特別な注目に値する、反復的または一般的な問題の特定も行う。当グループのリ
スクの統制レベルについて、監査に基づく見方を示す。この概要書は、会長兼最高経営責任者、リスク委員会、次いで監査委
員会および取締役会に提出される。
( ⅵ) 外部統制
すべての上場企業と同様、EDFグループは、AMF(フランス金融市場監督局)のレビューを受ける。フランス政府が支配株主
である会社として、EDFは、フランス会計検査院、国家統制官、財務監察院、経済委員会またはフランス国民議会および上院の
特別調査委員会の統制も受ける。
法律に基づき、法定監査人は、年次財務書類(親会社および連結財務書類)の証明を行い、当グループの要約中間連結財務
書類について限定的なレビューを行う。法定監査人の報告書には、フランス商法第L.225-237-3条以下が定めるコーポレート・
ガバナンスについての情報の検証が含まれる。
EDFは、その事業を考慮して、エネルギー規制委員会(CRE)および原子力安全当局(ASN)の統制も受ける。
② リスクおよび事業の統制制度の実施
(ⅰ) 一般的な統制制度
( イ) リスク分類ならびに事業およびリスクの統制に関する報告
企業の事業およびリスクの統制に関する報告
各グループ企業(EDFおよびその被支配子会社の範囲で2018年は60社)は、自己評価に基づく事業およびリスクの統制、なら
びに進展させるための行動の概要について、年次報告書を作成する。各報告書により、行われる統制のレベルおよび講じる措
置について、当該グループ企業の取締役の承認するコミットメントが発生する。2018年、CAP2030の簡素化要求を満たし、それ
に伴って経営陣の関与を推進するため、自己評価枠組みは、関連性が高く、数を絞った統制ポイントを特定するよう変更され
た。
報告書には、内部統制、資産保護に関する報告、ならびに倫理およびコンプライアンス報告が含まれる。倫理およびコンプ
ライアンスに関する部分は、グループ倫理・コンプライアンス方針の要件を満たしている。これには、倫理警告システム、腐
敗リスクの防止(取引関係の健全性管理、贈与および誘引の監督)、金融倫理(マネーロンダリングおよびテロリズムへの資
金供与のリスクの防止、市場での濫用行為の防止、EMIR( 欧州市場インフラ規制(EMIR):市場インフラに関する欧州の規
制)規制の遵守 )、競争法の違反防止、利益相反の防止、個人情報の保護に関する規則の遵守、不正行為の防止、嫌がらせお
よび差別の防止、部門別の規則の遵守(エネルギー市場の統合性および透明性に関するREMIT規則( エネルギー卸売市場の統合
性および透明性に関する規則)、軍民両用品に関する規則 )、および国際制裁プログラムの遵守等が含まれる。
資産の保護に関する部分は、悪意ある行為に対する資産保護に関するグループ方針の要件を満たしている。これには、国外
旅行中の個人の安全、重要な資産の保護、および無形資産の保護(機密情報の特定、分類および保護)が含まれる。上記に加
えて、自己評価はより一般的に、すべての「事業ライン」活動、および当グループの方針において特定された事業部門を超え
たその他の分野におけるすべての要件の統制について、それらのリスク分類に沿って報告する。最後に、自己評価は、AMFの枠
組みに即して会計および財務の内部統制に関する要件の統制についても報告する(「第3 2(2)②(ⅲ)財務および会計情
報の信頼性に関する内部統制手続」を参照。)。
企業リスク分類
グループ企業は、当グループ全体に共通する方法に基づき、年間リスク分類を作成する。各グループ企業のリスク分類の作
成プロセスは、以下に基づく。
・「第3 2(2)①(ⅰ)一般的な制度」に記載されている管理の責任原則。
・内的リスクおよび外的リスク、業務リスクおよび戦略リスク、ならびに機会を含め、可能な限り広範囲に特定するためのリ
スクの類型論。
202/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・各リスクの影響、確率および統制レベルの定性的評価方法。
・リスクを取り扱う行動計画の概要、およびその有効性の評価。
当グループのリスク部門と各グループ企業の間では、リスクの妥当性および実施する統制行動の健全性を問うため、数々の
協議が行われている。
方法-ツール:このアプローチの裏付けとして、各企業は方法論的指針を利用できる。また、リスクの情報交換および統合
を推進および確保するため、2016年からはリスク管理情報システム(SIGR)が導入され、2017年には当グループ全体で利用可
能となった。
グループ・リスク分類
内部監査部門との組織的照合によって補完されるこの報告に基づき、EDFグループは、経営陣および統治機関に対し、主要な
リスクおよび統制レベルについて定期的にアップデートされた統合的見解を提供することを目的として、内部統制の全体的な
評価を含む主要なリスクの統合的分類を作成している( 当グループのリスク分類には、主として環境リスクおよび気候変動に
関するリスク(物理的リスクおよび移行リスク)が含まれる。これらのリスクについては「 第3 2(1)当グループが晒され
るリスク 」に記載されている。 )。これらの文書は年末に作成され、リスク委員会によって検証され、監査委員会による調査
後、取締役会に提出される。
2015年以降、リスク委員会は、当グループのリスク分類において、業務上または戦略上の重要性に応じて選別した少数の
「優先リスク」を特定している。これらのリスクと戦略プロジェクトCAP2030との関係は、リスク統制行動計画が、対応するプ
ロジェクトに可能な限り多く含まれるよう、優先されている。
( ロ) 危機管理および事業継続
危機管理および事業継続方針は、危機管理および事業継続に関する組織原則を定め、その実施に必要なシステム全体を規定
している。この方針の具体的な内容は、以下のとおりである。
・危機管理体制および恒久的警告システムが確実に備わるようにすること。
・関連リスクの危機管理手続の存在を確認し、定期的にアップデートすること。
・危機期間におけるすべての利害関係者との調整手続を策定すること。
・危機および危機訓練からのフィードバックが、同様の危機を回避し、またはその影響を軽減するために、体系的に確実に活
用されるようにすること。
・各グループ企業における事業継続計画の存在を確認すること。
・危機に陥ったすべての事業者について、専門職の育成が行われていることを確認すること。
これらのメカニズムの効率および全体的な一貫性は、危機訓練のプログラムを通じて試される。2018年は、当グループの危
機組織をサイバー危機リスクへ対応させることに、特別な注意が払われた。
( ⅱ) 特定の統制制度(会計および財務情報を除く。)
( イ) エネルギー市場リスクの統制
当グループは、年1回、当グループのエネルギー市場リスク方針に基づき、当グループのリスク部門の助言を求めた後、企
業のヘッジ戦略および関連するリスク制限を承認する。この方針は、以下について規定する。
・承認済みヘッジ戦略。
・リスク管理と統制の責任を明確に区別し、当グループの連結エクスポージャーの監視を可能にする、管理および測定システ
ム。
・リスク制限を超過した場合の、当グループの経営幹部が関与するリスク統制プロセス:トレーディング業務の特性を考慮し
て、子会社EDF Tradingの統制システムは強化されている。
・2段階のエネルギー市場リスク統制ユニット:企業が業務上の統制を行い、当グループのリスク統制部門が第2の統制を確
実に行う。
当グループのリスク部門は、取締役会の監査委員会に対して、年1回、この方針の実施状況の評価を提出する。この方針の
実施への期待、主要な措置および手続については、「第3 3(3)⑥市場リスクの管理および統制」に記載されている。
また、グループREMIT指令は、当グループがエネルギー卸売市場の統合性および透明性に関する欧州規則を遵守していること
を確認するための期待値を規定している。
( ロ) 金融リスクの統制
203/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
資金調達、現金および金融リスクの統制に関する方針は、当グループのすべてのグループ企業が、金融リスク(具体的には
流動性、金利、為替およびカウンターパーティー)を継続的かつ系統的に特定するよう義務付けている。当グループのリスク
部門は、以下を通じて、これらのリスクの二次統制を行う。
・方針の原則(作業管理枠組みの策定、方法、エクスポージャーの監視、リスク指標の定期的な計算、およびリスク制限の遵
守の監視)が適切に適用されていることの確認。
・現金管理を担当する金融取引担当部署のポジションの統制。かかる業務には、指標およびリスク制限が毎日および毎週
チェックされるシステムがある。市場委員会(財務投資部門および当グループのリスク部門をまとめる機関)は、四半期に
1回、必要に応じて、作業管理枠組みの適用除外要請および新たな金融商品に対する投資要請をチェックおよびレビューす
る。
EDF SAの専用資産に関する金融リスクの構成、管理および統制に関する方針は、財務部門の管理する専用資産のポートフォ
リオに適用される。当グループのリスク部門は、リスク管理の原則およびこのポートフォリオにふさわしいリスク制限を定め
る、年1回のリスク・マンデートおよび特別な作業枠組みを策定する。
( ハ) コミットメントの承認
コミットメント方針は、コミットメント委員会が以下に関する当グループ(規制対象子会社を除く。)のすべてのコミット
メント・プロジェクトを調査する、と定めている。
・50百万ユーロを超える投資、投資引揚、ならびに合併および買収案件。
・契約の全期間で200百万ユーロを超える金額の供給、作業またはサービスの費用。
・電気については5TWh、ガスについては10TWh、石炭、石油、排出権および二酸化炭素排出権については150百万ユーロを超え
る年間量または金額の、エネルギー、排出権および二酸化炭素排出権の長期購入または売却。
・バックエンド原子炉および核燃料サイクル・サービスを供給する複数年計画。
・廃炉(義務移転作業を含む。)または核燃料サイクルのバックエンドに関するコミットメントの年間プログラム。
・それぞれが50百万ユーロを超えない複数の投資を通じて、長期にわたる可能性の高い当グループの戦略的プロジェクト。
議題であるプロジェクトには、定義されたリスクの分析のための方法論的基準に従った、リスクの徹底分析が含まれる。
コミットメント案は、必要に応じて、「第5 5(1)②(ⅲ)取締役会の権限および義務」に記載されたとおり、取締役会
で検討される。「戦略的売却プロジェクト」については、機密および感応度を維持するため、売却委員会が個別に調査し、監
督する。
( ニ) 情報システム(IS)の保護
情報システムの保護は、以下を重視した情報システム・セキュリティ方針に基づいて行われる。すなわち、情報システムに
関する管理者の関与の強化および資産の保護、情報システム保護リスクの管理、新たな規制上(欧州の個人情報保護規制、軍
事計画法等)の義務の考慮である。
ISに特有のリスクの内部統制およびカバーは、以下に基づき、当グループの情報システム部門において調整されている。
・事業部門を超えたリスク分類および実施すべき統制行動を承認する、(EDF SAの情報システム部門および主要子会社の最高
情報責任者からなる)ISグループ委員会。
・情報システムの保護に関する様々なチェックおよび監査に続き、統制行動を一貫させ、調整および監視する、当グループの
情報システム・セキュリティ・マネージャー。
2018年、ISの保護に関して実施された主要な措置は、以下のとおりである。
・情報システム・ガバナンスおよびデジタル変換政策を通じて、当グループのCISO(最高情報セキュリティ責任者)を真の
「グループ・サイバー・セキュリティ担当部長」に変革すること。かかる部長は、当グループのすべてのISを規定し、事業
の特権を尊重しつつサイバー・セキュリティの監査を行うことができる。
・全ユーザーに向けたサイバー・セキュリティ通信計画、ならびに各部門の経営委員会および各子会社の執行委員会に向けた
個別の意識向上キャンペーンの実施。
・グループ企業を対象とする年1回のサイバー・セキュリティ評価の実施。
・最も重要な資産の保護の継続的強化。
・サイバー ・インシデントをより忠実に考慮するための当グループの危機管理システムの適応 。
・災害復旧計画のテスト、および2019年初めに行われた「グループ規模」サイバー・セキュリティの危機管理行動の策定。
(ⅲ) 財務および会計情報の信頼性に関する内部統制手続
( イ) 報告方針
204/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
内部統制に関する手引書は、2011年、AMF(フランス金融市場監督局)の参照の枠組み(2010年改定)に沿うよう、会計およ
び財務情報に関して完全に再編された。また、2015年および2016年にも、当グループの新たな内部統制力学に適合するよう改
定された。統治、役割および責任の基本は変わっていない。
EDFグループ(当グループの連結財務書類の範囲は、連結財務書類の注記に記載されている。)が使用する会計基準は、国際
会計基準審議会(IASB)が発表し、欧州連合の承認を受け、2018年12月31日現在適用されている国際基準を遵守している。こ
れらの国際基準には、IAS(国際会計基準)、IFRS(国際財務報告基準)、ならびにSICおよびIFRICの解釈が含まれる。会計規
則および方法は、当グループの会計原則に関する手引書に明記され、連結財務書類の注記に要約されている。
作成および当グループの財務部門への報告に適用される原則については、会計および財務報告方針に規定されている。統制
手続に関して講じるべき措置については、当グループの会計および財務の内部統制に関する指令に記載されている。事業ライ
ンおよび子会社の各部門の財務管理担当部長は、それぞれの所属する企業の経営委員会の一員である。規制対象のインフラ事
業者である子会社を除き、運用管理および経営管理機能の管理によって、共同で指名および評価される。事業部門および子会
社からの担当者のネットワークにより、様々なグループ企業全体への指示の浸透、および実施の統一が容易になる。
各EDF事業および機能の担当取締役は、それぞれが責任を負う会計および財務分野における内部統制システムの質、次期の改
善目標、ならびに会計情報の正確性および完全性について、毎年コミットメント・レターを作成して当グループの会計および
税務部門の部長に送付することで、これを確約する。これに対して、各取締役は、当グループの税務会計担当部長から会計の
質についての評価文書を受け取る。これは、様々な評価要素(内部統制の結果、会計の質のダッシュボード指標、CSP2Cによる
会計評価文書、個別の行動)に基づくもので、進展を強調し、実施または継続すべき改善措置を決定する。EDFにおいては指標
の参照枠組みが使用されているため、各プロセスについて、会計情報の整合性を評価することができる。子会社に関して、各
法人は、当グループの会計および財務の内部統制に関する指令の実施に責任を負う。
( ロ) 連結財務書類の作成および統制手続
連結財務書類は、会計および税務部門が、当グループの基準および決算指示に従い、各グループ企業(親会社および子会
社)が出した単一の勘定科目表を用いて作成している。連結範囲は、すべての重要な被支配会社、被共同支配会社、または重
要な影響下にある会社を考慮した上で決定される。EDFが利害を有し、連結範囲に該当する可能性のある会社が重要であるか重
要でないかは、定期的に検討され、年に1回、法定監査人の評価を受ける。
中間連結財務書類は監査委員会に提出され、その後取締役会の承認を受ける。年次連結財務書類は、監査委員会のレビュー
後、当該事業年度の12月31日付で取締役会が締め、最後に株主総会によって承認される。
年次および半期の財務書類を作成するたびに、各利害関係者から財務書類の公表時に受け取るべき主要な提出物、運用報告
書および年次決算の参考資料を明記した指示書を作成する。EDFの各部門および子会社と打ち合わせを行うことで、これらの財
務書類の作成が容易になり、一部の取扱いに関する変更を予測できるため、公表される会計および財務情報の信頼性が増す。
提出後、作成条件(期日の遵守、情報の質等)を分析することで、連結財務書類の作成および分析過程を定期的に向上させる
ことができる。
貸借対照表勘定および損益計算書に関する情報が毎月報告されることで、複雑な業務の処理を予測することができ、実績の
信頼性の向上に貢献している。
予測および経営行為は、単一の参照枠組みおよび会計と経営に共通のツールを用いて行われる。このシステムは、当グルー
プの経営の一貫性に寄与し、あらゆる組織レベルにおける意見交換が容易になり、また当事者間の情報交換の促進、および提
供する情報の質の向上にも役立っている。
( ハ) 個別財務書類の作成および統制手続
財務書類は、通期および半期の決算時、会計連結部の親会社財務書類部門によって作成される。年次財務書類は、当該事業
年度の12月31日付で締め、EDF取締役会が承認し、その後株主総会が承認する。
要約中間財務書類は、当該事業年度の6月30日付で取締役会が締める。EDFの取引会計(核燃料部門、島部エネルギー・シス
テム部門、廃炉および廃棄物プロジェクト部門、ならびに人件費の会計については業務執行管理部門を除く。)は、第三次
サービス部門の「共通会計」および助言サービス・センター(CSP2C)が処理する(同センターはフランスの子会社の一部につ
いて取引会計も行っている。)。取引会計の処理は、プロセスごとに組織されている。「統治協定」により、事業および機能
部門、共通「会計」サービス・センターまたは(場合により)運用事業ラインの会計担当者および会計連結部のそれぞれの責
任が規定されている。
財務書類を作成し、一部の取扱いに関する変更を予測して、公表される会計および財務情報の信頼性を向上させるため、四
半期に1回、EDFの諸部門と打ち合わせが行われる。
( ニ) 財務コミュニケーション
205/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
財務コミュニケーション方針は 、 当グループが公表する財務情報の信頼性および整合性を保証するために遵守すべきルール
を定めている。投資および市場部門が統制する財務コミュニケーションは、質が高く、一貫し、異なる受け手に同じ内容を示
す 財務情報を確実に提供すること、および財務情報が現行の法令および規制を確実に遵守すること、という2つの基本目標の
達成を目指している。また、EDFグループは、EDFまたはEDFグループの上場会社の有価証券を対象とする取引に適用される原則
および規則について確認した、市場倫理規約を採用している。この規約の周知徹底と並行して、当グループの従業員に対して
は、証券取引規程、特に内部情報ならびに内部情報を保有する業務執行管理者および一部の従業員が当社株式を対象とする取
引を行ってはならないブラックアウト期間に関する対策および義務について、意識向上措置が取られている。
(ⅳ) 特定の事業ラインに係る規定
( イ) 原子力発電分野
EDFグループの原子力安全性方針には、いかなる場合も、原子力の安全性がEDFグループの原子力事業における最優先課題で
ある、と明記されている。安全性は、責任および統制という明確な原則に基づいている。原子力施設を運営する当グループの
各企業は、それぞれが所在する国に特有の法律および規制の枠組みの中で事業を行い、かかる法律および規制を遵守する義務
を負う。いずれも、施設の原子力安全性を確保し、その方法、技能および価値観に基づいて、絶えず安全性レベルを向上す
る。当グループは、事故の防止、ならびに作業員、一般市民および環境の保護の最高水準を達成することを目指して、共通の
原則を策定している。かかる原則は、新たなプロジェクトおよび既存の発電所の両方について、その事業のあらゆる局面に適
用される。当グループは、産業パートナーに対しても、これらの目標を達成するよう熱心に働きかけている。
各企業は、原子力事業の適正な実施に責任を負い、決定および行動の各レベルにおいて適切な委任を行う。当グループは、
原子力の安全性に必要な資源が割り当てられるよう保証する。
各施設、各企業および当グループにおいて、独立安全性評価を行う内部機関が設置されている(IGSNR( 原子力安全・放射線
防護総括監査官 ))。各機関は、他の管理機能から独立して当該マネージャーに直属する。また、直接関係する階層レベルの
反応が期待と異なる場合は、その上の階層レベルに警告する義務を負う。
当グループの原子力事業会社は、定期的に国際評価チーム(WANO( 世界原子力事業者協会 )ピア・レビュー、IAEAのOSART
( 国際原子力機関(IAEA)の運転管理評価チーム ))を受け入れている。
当グループでは、事象およびその潜在的影響について、明快かつ率直な情報交換を推進している。有給の職員およびその代
理人、下請業者、監督機関(フランスの原子力安全当局、英国の原子力規制局)、地域社会、および原子力の安全性に関する
その他すべての利害関係者に対して、このように質の高い対話が追求され、維持されている。
EDFの会長兼最高経営責任者が委員長を務める原子力安全委員会は、年に数回会議を開き、2月には年1回実施されるEDFグ
ループの原子力安全評価を検討する。原子力安全・放射線防護総括監査官は、会長兼最高経営責任者に任命され、これに直属
する。EDFグループのすべての原子力事業について検査業務を行う。毎年、EDF内の安全性について意見を述べる。その報告書
は、原子力安全委員会に提出されて討議された後、公表される。
( ロ) 水力発電分野
水力発電における安全性は、水および施設の存在または操業に関係した人および財産に対するリスクおよび危険を低減する
ため、発電所の設計時およびその操業中に取る一切の対策をもって構成される。水力発電の安全性は電力会社が常に最も重視
する事柄であり、以下の3つの主要な活動を中心とする。
・公的機関、主として環境・地域整備・住宅局( Directions Régionales de l’Environnement, de l’Aménagement et du
Logement -DREAL)の監督下における施設の定期的監視および維持管理による、ダムおよび貯水池の損傷に関連する主要なリ
スクの対策。最大規模のダムのうち68は、所轄の知事が行う特別行政手続の対象となっている。
・施設および周辺地域社会の安全を確保するための、異常高水位期間の施設の管理。
・業務リスクの統制:作業の下流における水域の水位または水路の流れの変化。
EDFは、定期的にダムの監視および維持管理を行っている(継続的な監視を含む。)。各施設における複数データ(コンク
リート部の目視検査および機械部品の点検等と併用した、沈下、圧力、漏水の測定)の即時測定および分析により、EDFは、ダ
ムの状態について定期的に評価を行うことができる。グルノーブルおよびトゥールーズにおいては、EDFチームは、最大規模の
ダムまたは現地に行くのが非常に困難なダムについて、一連のセンサーを用いて遠隔で即時に分析することができる。
さらに、大規模ダムそれぞれについて、精密技術調査を含む危険性調査が10年ごとに行われる。この調査には、排水または
水中機器の使用による水面下の部品の点検が必要となる。これらの業務は、公的機関(地域レベルのDREALならびに特に大規模
ダムおよび水力発電施設に責任を負うフランス中央政府機関であるSTEEGBH(大規模ダムおよび水力発電による電力エネルギー
の技術サービス))の監督の下で実行される。
グループ・レベルでは、水力発電安全性検査官が、自己が直属するEDFの会長兼CEO、および水力発電の安全性に関わる者に
対して、年次報告書を提出する。水力発電安全性検査官が分析、点検および評価を行った後で作成されるこの報告書は、当グ
206/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ループの施設の水力発電の安全性レベルについて意見を述べ、その向上および強化のための熟考および進展の根拠を提供する
ことを目的としている。この報告書は、当グループのウェブサイト上で公開されている。
( 3) 保険
その資産を保護し、財務状態に対する特定の事象の影響を限定するため、EDFグループは、財産損害、民事責任および人身障
害の主要なリスクをカバーすることを目的とした専用の保険プログラムに加入している。原子力リスクは、以下に記載の特別
民事責任制度の対象となっている。
① 保険の組織機構および方針
当グループの保険部門は、規制対象のインフラ事業者の経営の独立性を尊重しながら、保険により管理可能なリスク( 保険
市場および代替市場に移転することが可能なリスク )の全体的費用を継続的に最適化することを目的として、EDFグループの保
険方針の策定および当グループ内における当該方針の実施に責任を負う。
かかる部門の責務は、下記のとおりである。
・当グループのリスク部門と連携して、EDFグループのリスクのカバーを継続的に分析する(事業ライン別、企業別およびプロ
ジェクト別の分析)。
・カバーすることが可能および必要であるすべてのリスクをカバーすることができる当グループ全体の規則を策定するととも
に、その費用合計を最適化し、かつボラティリティを管理する。
・適切な方法を用い、かつガバナンス・ルールに従い、当該規則を当グループの全事業体に対し推進および適用する。
・上記の職務の実行に必要なツールの開発および監督を行う(EDF Assurancesおよび当グループの専属保険企業等の保険部門
に報告を行う子会社内のものを含む。)(「第3 2(3)②自家保険会社および相互保険会社の利用」を参照。)。
当グループのプログラムに参加している事業体および被支配子会社の保険管理者は、以下の事項の責任を負う。
・すべてのリスクが保険により補償されていることを確認する。
・予防査察の日程を計画し、これによる勧告の実行を監督する。
・カバー戦略および申請金額を検討する(リスクの定量化)。
・損失を分析し、請求処理に参加する。
当グループの保険部門と密接に協力して行われる当該業務は、プログラムの更新および予防査察の実行に際し、保険により
管理可能なリスクに関する情報の質を引き続き改善することができる(予想最大損失額(MPL)の評価)。予防的措置に関し、
保険部門は現場検査プログラムを設定し、その実施を監督する。
当グループの保険方針が2017年1月に執行委員会により承認された。
目的
保険方針は、当グループが市場に委譲することを決定したリスクおよびかかる委譲の最適化に係る一般原則(当グループの
保険プログラムの設定による購入のグループ化、従来の市場と他の種類の補償(専門の相互保険会社、金融市場への委譲等)
の間のリスク分配、個人および当グループの控除免責金額(通常、主要なリスクのみ委譲される。)、仲介費用の最適化)を
定める。
実施方法
2004年以降、監査委員会は、保険によって、または金融市場にリスクを移転することで、EDFのリスクをカバーする費用につ
いて、毎年アップデートの報告を受けている。保険のアップデート、および当グループのリスクが保険により管理可能か否か
の見直しは、2018年12月、監査委員会に報告書が提出された。
2011年以降、財務投資部門取締役が委員長を務める戦略的保険方針委員会(COSA)が、事業ラインおよび財務部門に対し、
保険方針の変更およびその実行手続、特に当該プログラムの主要な特徴を反映させる機会を提供している。
保険部門および当グループのリスク部門は、毎年、グループ・レベルでリスク分類の分析を行い、保険システムを整備する
ことでこれを補う。この共通認識に基づき、EDFは、当グループが設定した当該分野における原則に従って、付保すべきリスク
へのカバーを改善し、必要に応じて拡大することができる。
当グループの保険プログラムは、リスク・カバーを均一化し、その管理を効率化する一方で、対応する保険費用を統制する
ために、可能な限り広範囲の被支配子会社を統一することを目的としている。
規制対象子会社の経営の独立の原則に従い、RTEは、当グループの保険プログラムに含まれない( 2015年3月31日付撤退 )。
保険契約は、市場慣行に従い、免責事項、制限事項および下限値を含む。
② 自家保険会社および相互保険会社の利用
207/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
すべての主要なフランスおよびフランス国外におけるグループと同様に、EDFは従来の保険市場において提供される保険の適
用範囲を補完するため、自家保険会社および相互保険会社を利用している。
EDFの自家保険会社は、以下のとおりである。
・Wagram Insurance Company DAC:2003年にダブリンで創業した保険会社であり、当グループの保険プログラムの多くに関与
している。
・Océane Re:EDFの原子力に対する民事責任への再保険のために、2003年にルクセンブルグで設立された再保険会社。
またFramatomeは、2018年12月21日以降、ルクセンブルグに再保険会社(Tereco)を有している。
EDFは、当グループが所有する資産またはEDFおよびその連結子会社による委託に基づく資産(空中電力網を除く。)の損害
リスクを補償する相互保険会社であるOil Insurance Limited(OIL)のメンバーでもある。OILは、相互保険会社であり、その
メンバーに財産損害に補償を提供している。特に、原子力発電所(非核部分)、化石燃料火力発電所、水力発電施設、電力網
変電所ならびに探鉱および生産に関する資産がかかる補償の範囲である。
当グループの損害保険プログラムは、OILが提供する補償および市場の保険会社によって提供される補償を組み合わせたもの
である。
EDFグループは、欧州の原子力発電事業者のためにこの分野における補償を提供する相互保険会社であるEuropean Liability
Insurance for the Nuclear Industry(ELINI)、European Mutual Association for Nuclear Insurance(EMANI)、Nuclear
Industry Reinsurance Association(NIRA)およびBlue Reのメンバーでもある。
自家保険会社および相互保険会社は、EDFが支払われる保険料の合計額および、より一般的には保険制度にかかる費用を削減
することを可能にする。
③ 民事責任保険(原子力に対する民事責任を除く。)
EDFは、EDF、Enedisおよびこれらの被支配子会社を対象範囲とし、それらが第三者に対して与えた損害により事業中に生じ
る可能性のある民事責任(原子力損害を除く。)の財務上の影響について補償する一般の民事責任保険に加入している。とり
わけ、このプログラムは構造上(水力発電ダム、化石燃料火力発電所、変電所およびその他電力網施設)の運営に関連する民
事責任のリスク、当グループの再生可能エネルギー事業(風力、太陽光等)の開発に関連するリスクならびに環境への損害
(固形、液状またはガス廃棄物の排出)に関連するリスクを含む。
かかる補償は、保険市場および再保険市場において許容可能な経済条件で得られる範囲内で購入される。最大保険額は1十
億ユーロであった。このプログラムにおいてWagram Insurance Company DACおよびOcéane Reの負担分を含む保険事故に関する
当グループのリスク負担割合(保有額)は、保険事故1件当たり10百万ユーロ以下となる。子会社は通常その財務能力に合わ
せて控除免責金額を軽減する傾向にある。
④ 役員および取締役に対する民事責任保険
EDFは、執行機能の履行において生じる民事責任の財務上の影響に対して、EDF、Enedisならびにこれらの被支配子会社の役
員および取締役を保険の対象とする民事責任保険に加入している。
⑤ 損害保険(原子力資産を除く。)
( ⅰ) 従来型の損害保険プログラム
従来型の損害保険プログラムの対象範囲には、Enedis、EDF Energy、EdisonおよびDalkiaをはじめ、EDFのほとんどすべての
子会社が含まれる。
当グループの自家保険会社であるWagram Insurance Company DACならびに他の保険会社および再保険会社は、OILの保険に加
えて、さらに広範な補償(財産損害および事業中断)に対して最大1十億ユーロを提供している。
この従来型の損害保険プログラムにおいて、損害賠償請求1件に対する当グループの保有額((子会社によって異なる)控
除免責金額ならびにWagram Insurance Company DACおよびOcéane Reのリスク負担割合を含む。)は15百万ユーロを超えない。
このプログラムは、子会社の大部分について財産損害が発生した場合の事業中断に対する補償をカバーしているが、EDFはカ
バーの対象とならない。産業リスクおよび環境リスクを防止し、その影響を制限するために実施される行動および講じる措置
については、「第3 2(2)②リスクおよび事業の統制制度の実施」を参照。
( ⅱ) 「建設」リスク保険
EDFは、特定の建設リスク(建設に関するすべてのリスクおよび組立/試験に関するすべてのリスクの保険契約)を補償する
保険契約に加入している。これらの保険契約は、当グループのプログラムの一環ではないが、フラマンビルのEPR、ヒンク
208/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
リー・ポイントC、コンバインド・サイクル発電所、ダム等の建設のような主要な建設プロジェクトに関してはその都度加入
している。
これらの保険は、建設プロジェクトで不測の事象が発生した場合は注意深く監視され再交渉される。
( ⅲ) 暴風雨保険
暴風雨保険の更新に関連して、Enedisは2016年6月27日、例外的規模の暴風雨による影響に対応するために、空中送配電網
を対象としたパラメトリック保険契約をSwiss Reとの間で締結した。
この画期的な保険契約は、期間が5年、補償総額が275百万ユーロで、請求がなされたときに、フランス気象局が記録した総
合風速指数にEnedisの委託地域の各区域における配電網の脆弱性の重み付けをし、パラメトリック・ベースで補償額を支払
う。
( ⅳ) サイバー・リスク保険
2017年7月1日以降、サイバー・リスク保険を導入している。2年間で100百万ユーロを補償する契約で、EDF SAのグループ
企業および当グループの子会社のすべてをカバーする。
当グループの情報システムに対するサイバー攻撃を原因とする大規模な障害に関して、その処理に要した費用を補償するこ
とが目的である。
⑥ 原子力施設の操業に対する特別保険
( ⅰ) 原子力事業者の民事責任
フランスにおいて、EDFの現在の保険方針は、1968年10月30日付フランス法第68-943号、1990年6月16日付法律第90-488号お
よび2006年6月13日付法律第2006-686号(いわゆるTSN法)に従っている。これらの法律は、現在フランス環境法において成文
化されており、パリ条約によって原子力発電事業者に課された民事責任に関する義務を成文化したものである(「第2 3
(3)⑥(ⅱ)(ロ)基礎原子力施設に適用される特別な規制」を参照。)。
2015年8月17日にフランスで制定されたグリーン成長に向けたエネルギー移行法により、その後、フランス環境法第L.597-
28条および第L.597-32条の規定が改正され、具体的には、原子力事業者の民事責任限度額が、2016年2月18日以降、原子力施
設は700百万ユーロ(低リスク施設は70百万ユーロ)、輸送中のリスクは80百万ユーロとなった。
新たな法定上限を遵守するため、EDFは2015年8月10日、「EDF SA原子力責任保険プログラム」と題した入札公告を発行し
た。これは、原子力民事責任および関連する請求の管理のため、適切な保険の補償を取り付け、また設定するものである。
この入札公告後に取り付けた保険の補償により、当グループは、財務的影響を抑制しながら新たな債務を支払うことが可能
となる。原子力保険市場(フランス原子力基金Assuratomeにより再保険が付保されたAXA)、当グループの自家保険会社、およ
び原子力相互保険会社ELINIとのとの間で、保険が分担されている。
この補償は2016年2月18日付で、期間3年で発効した。期間中に事業者に課される債務に想定される変化(特にパリ条約お
よびブリュッセル条約を改正する議定書の発効)を考慮して(「第2 3(3)⑥(ⅱ)(ロ)基礎原子力施設に適用される特
別な規制」を参照。)、契約の解約を認める条項が含められている。
請求の管理は、相互保険会社ELINIのコンピューター化された請求処理システム、ならびに必要な人的資源およびネットワー
ク資源を有する会社EQUADに委任されている。
EDF Energyが原子力発電所を運営する英国において、原子力事業者の民事責任規定はフランスの規定と類似している。英国
議会は2016年5月4日、「原子力施設命令」(前述の2004年2月の改正議定書を国内法化するための命令)を可決した。これ
は、2006年のフランスTSN法とほぼ同じ変更であるが、大部分は議定書と同時に発効する。
この命令は、英国の事業者の義務を現在の上限140百万英ポンドから700百万ユーロ相当に引き上げるもので、この金額は5
年かけて1.2十億ユーロの上限まで徐々に引き上げられる。
EDF Energyは現在、ELINIおよびWagram Insurance Company DACの保険に加入している。自家保険会社Océane Reも、Wagram
Insurance Company DACに対する再保険契約により、このリスクを負っている。
原子力事業者の民事責任に関する法律の詳細については、「第2 3(3)⑥(ⅱ)(ロ)基礎原子力施設に適用される特別
な規制」を参照。
( ⅱ) 核物質の輸送に関する民事責任
パリ条約に基づき、「荷主」である事業者は核物質の輸送について民法上賠償責任を有し(別段の規定がある場合を除
く。)。2016年2月18日、かかる賠償責任の限度額は、損害範囲はそのままで80百万ユーロに引き上げられ(さらなる情報に
ついては、「第3 2(3)⑥(ⅰ)原子力事業者の民事責任」および「第2 3(3)⑥(ⅱ)(ロ)基礎原子力施設に適用さ
209/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
れる特別な規制」を参照。)、改正後のパリ条約が発効したときに補償が認められる損害範囲が拡大される予定である。この
賠償責任は、現在、前述の原子力事業者の民事責任保険によってカバーされている。
( ⅲ) 原子力施設への損害
相互保険会社であるOILにEDFが加盟していることによる補償は、フランスおよび英国の両国において、原子力事故の影響を
除き、控除免責金額である15百万米ドルを超過した400百万米ドルの60%に相当するコールドエリア内の重大な損害をカバーす
る。
2018年9月30日までは、かかる補償のほか、主にNRI英国保険基金、(フランス原子力基金Assuratomeにより再保険が付保さ
れた)AXAおよびAllianz、ならびにEMANI(原子力相互保険会社)(「第3 2(3)②自家保険会社および相互保険会社の利
用」および「第3 2(3)⑦保険料」を参照。)が補償責任を負う共同保険プログラムにより、フランスにおけるEDFの原子
力施設および英国におけるEDF Energyの原子力施設への財産損害(原子力事故に付随するものを含む。)ならびに放射能除染
費用が、240百万ユーロ超、総額1,760百万ユーロまで補償される。
2018年10月1日現在、
・フランスにおいてOILが提供する保護は、敷地の除染費用を含む原子力事故の影響について、控除免責金額である10百万ユー
ロを超過する90百万ユーロ分を、EMANI原子力相互保険会社、AxaおよびAllianz(Assuratomeによる再保険を付保されてい
る。)ならびにWagram Insurance Company DAC(Océane Reによる再保険を付保されている。)を利用した補償によって補完
されている。
・英国における保護は、敷地の除染費用を含む原子力事故の影響について、EMANI原子力相互保険会社、英国原子力プールNRI
およびNorthcourt(英国の専門的な保険会社を含む。)が提供する金額240百万ユーロを超過する総額1,510百万ユーロの保
険プログラムによって補完されている。
さらに、米国におけるCENG(Constellation Energy Nuclear Group)の事業をカバーするため、EDF Inc.は、米国の原子力
相互保険会社NEIL(Nuclear Electric Insurance Limited)に加入している。
⑦ 保険料
すべての種類の保険における当グループの保険料総額は、2018年は248百万ユーロである。
( 4) 依存因子
EDFグループは、単一の顧客に依存しているとは考えていない。
EDFは、毎年、約13,850社の供給業者と契約している。
当グループの購入部門は、燃料購入、ならびに子会社の一部のための第三次、ITおよび電気通信の購入を除く、EDFの購入を
管理している。2018年の合計発注額は7十億ユーロを超えた(EDFグループに所属する供給業者を除く。)。
EDFの供給業者上位5社は、2018年、EDFの全体発注額(燃料購入および当グループの子会社を除く。)の10.4%(2017年は
17.5%、2016年は16.4%)を占めており、上位10社では16.4%(2017年は23.9%、2016年は22.5%)を占めていた。
EDFの購入(燃料を除く。)における供給業者の割合 2018年 2017年 2016年
上位5社の供給業者 10.4% 17.5% 16.4%
上位10社の供給業者 16.4% 23.9% 22.5%
2017年と2018年との相違は、主として、2017年12月31日付でFramatomeがEDFグループの子会社となったことによるものであ
る。
2018年の供給業者上位10社は、(アルファベット順に)Alstom Power Service(General Electric Group)、CAPGEMINI
Technology Services、Clemessy、ENDEL SAS(Engie Group)、ONET Technologies TI、ORANO Dismantling and Services、
SOPRA STERIA Group、SPIE Nuclear、ReelおよびWestinghouse Electrique France SASである。
当グループの事業に関連して当グループが購入する商品またはサービスの供給業者および請負業者の一部は、主に原子力分
野において、またこれより程度は少ないが、個別および安全な送信手段である情報システムおよび電気通信分野においても、
代替することができない。
EDFは、代替不能性および購入量から、いわゆる戦略的供給業者を決定している。
EDFグループは、発電所の建築および組立業者として、また核燃料サイクル統合事業者としての専門性を発達させてきた。こ
のことにより、EDFは、その供給業者の専門性に依存しない技術的な専門性を有している。
EDFグループは、AREVAグループとの間に歴史的に非常に重要な商業関係を有しており、AREVAグループは、核燃料サイクルの
各段階、ならびにEDFの発電所における原子力ボイラーの設計、建設および維持管理にも取り組んでいる。フランスでは、
210/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
AREVAグループは、原子力分野においてEDFの主要供給業者であり、EDFはAREVAグループの主要顧客であった。2017年12月31日
以降、AREVAの事業は2つに分割され、燃料サイクルについてはOranoが、原子力発電所におけるボイラーの設計、製造および
維 持管理についてはEDFの子会社Framatomeが行っている。Oranoグループのグループ企業に関する相互依存の状況は、現在も続
いている。
① 核燃料サイクル分野
燃料サイクルに関連して、EDFおよびOrano Groupの間の関係は、複数年契約により規定されている。
あらゆる種類の燃料を含む上流部門の核燃料サイクル(「第2 3(2)①(ⅰ)(ニ)核燃料サイクルおよび関連する問題
-上流部門」を参照。)に関して、EDFは、Oranoグループに大きく依存している。Oranoグループは、2018年においてEDFの購
入の約34%を占め、Framatomeは17%を占めていた(2017年はAREVA-Oranoグループ全体で52%であった。)。
・天然ウラン要件について、EDFは、供給源を原産地および供給業者ともに多様化することを目的とした方針を推進している。
Orano Groupは、この分野において引き続きEDFの重要な供給業者である。
・核燃料転換過程に関連するEDFの需要量の大部分は、世界各地の他の供給業者と競争して、Oranoが供給している。
・EDFは、ウラン濃縮分野において、その供給源を分散し、現在世界における複数の主要な供給業者を利用している。これらの
サービスの大部分は、Oranoのジョルジュ・ベスⅡ工場により提供されている(「第2 3(2)①(ⅰ)(ニ)核燃料サイク
ルおよび関連する問題」を参照。)。
・EDFは、核燃料集合体の製造について、FramatomeおよびWestinghouseの2つの供給業者を利用している。
Oranoグループは、フランスにおけるすべての核燃料サイクルのバックエンド(「第2 3(2)①(ⅰ)(ニ)核燃料サイク
ルおよび関連する問題-下流部門」を参照。)の運営を行うよう任命された。
・使用済燃料の管理に係る業務(除去、即時貯蔵および処理)は、ラアーグにあるOranoグループの工場で行われている。これ
らの運営方法のほか、処理過程で生じた副産物のリサイクルは、2008年から2040年までの期間につき、EDFとOranoの間で締
結された2008年12月19日付基本契約において合意され、一連の適用契約に規定されている(2016年12月31日に終了した事業
年度の連結財務書類の注記29.1.1を参照。)。2016年2月には、2016年から2023年までの期間を対象とする契約が締結され
た(「第2 3(2)①(ⅰ)(ニ)核燃料サイクルおよび関連する問題-下流部門」を参照。)。
・MOX燃料の製造を対象とするリサイクルは、OranoのMELOX発電所において実施されている。
② 発電所の開発および維持管理分野
Framatomeは、発電所の建設および維持管理サービスにおいてEDFの主要供給業者である。とりわけ、Framatomeは、原子力ボ
イラー、その交換部品および対応する安全性の研究を供給している。2011年にEDFはFramatomeとの間で、3回目の10年点検の
際、44基のうち32基の1,300MW系列の蒸気発生器を製造するための契約および1,300MW原子炉の制御コマンド・システムの改修
工事の契約という2つの主要な契約を締結した。1つ目の契約に基づき、蒸気発生器を製造中であるが、プロジェクトの品質
上の欠陥から施設への新たな構成物の搬入が遅れている。2つ目の契約は、2015年、パリュエル発電所の2号機向けの最初の
施設の工事が開始された。2016年3月にこの施設で発生したインシデントにより、2018年に完成した(使用済蒸気発生器の取
り回し中の落下。「第2 3(2)①(ⅰ)(ロ)原子力発電所の操業および技術的実績」を参照。)。当該契約に基づくコマ
ンド・システムおよび制御システムの改修工事は、その後、パリュエル1号機および3号機、カットノン1号機および2号
機、ならびにサンタルバン1号機および2号機において無事完了し、フラマンビル1号機においては完成に近づいている。ま
た、数年間にわたり、特にWestinghouseおよび三菱と共同で、ボイラーの一部の主要構成物(44基のうちの12基の1,300MW系列
の蒸気発生器はWestinghouseが提供予定)の交換および維持管理サービスの提供について多様化計画が実行されている。900MW
(4トリプレット)の蒸気発生器の最後の交換は、2018年、三菱からの発注であった。
EDFは、発電施設の再開発に備え、フラマンビルEPR発電所の建設を開始し、Framatomeと共同で開発したEPR技術を利用する
ことを決定した。このプロジェクトに関連し、2007年、EDFはEPR用ボイラー供給について、Framatomeと契約を締結した。
原子力発電所および化石燃料火力発電所の特定の構成部品の維持管理のために、EDFは、GE Groupとの関係を維持している。
また、GE(Alstom)は、フラマンビル3のEPRのエンジンルームを供給している。GEがEDFに供給する商品およびサービスは、
原子力発電所のタービン発電機および火力発電所の一部の大型構成部品の維持管理に関してとりわけ重要である。
EDFは、事業の大半が競争に晒されているGE Groupグループに依存しているとは考えていない。それでもなお、EDFは、
General ElectricがAlstomのエネルギー部門を買収して以降、原子力分野における利益の確保に努めてきた。EDFの主たる課題
は、以下の2つである。
・操業条件に基づき維持管理を行い、フランスおよび英国においてEDFが操業する原子力発電所(フラマンビル3およびヒンク
リー・ポイントCのEPR原子炉を含む。)の耐用年数を延長するために必要な生産能力を、各ユニットの耐用年数の終わりま
でに許容できる費用で、保証すること。
・将来のEDF原子力プロジェクトのために、優秀な技術および良好な経済条件の下でタービンを提供できるよう保証すること。
211/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
これらの戦略的利益の保護は、包括契約および、原子力発電所の機械室での作業を専門とする共同原子力子会社GEASTの設立
に依存している。2014年6月21日にフランス政府、AlstomおよびGeneral Electric(GE)の間で締結された契約は、GEおよび
Alstom (GEAST)のジョイント・ベンチャーについて規定しており、このジョイント・ベンチャーに対してAlstomは1議決権少
ない50%の持分を保有する。GEASTは、排他的な世界ベースでAlstomの原子力事業を、およびフランス国内でAlstomの蒸気(非
原子力)事業を展開することを期待されている。フランス政府は、このジョイント・ベンチャーに対して「黄金株」を保有
し、代表として取締役を送り込み、特定の統治問題については拒否権を有する。GEは2018年、Alstomの要請により、GEASTに対
するAlstomの持分を取得した。GEASTは現在、GEの完全子会社である。国の権利および関連するガバナンス手続きに変わりはな
い。EDFが関連する管理委員会は、GEASTの活動およびこれらの契約の適切な履行を監督する。
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
( 1) 業績等の概要
詳細については、「第3 3(3)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照。
① 顧客と売上高
2018年12月31日に終了した年度の連結財務書類の注記7「売上高」を参照。
② EDFの連結負債の変動
詳細については、「第3 3(3)⑤(ⅱ)純負債額」を参照。
③ シンジケート・ローン
詳細については、「第3 3(3)⑥(ⅰ)(イ)流動性ポジションおよび流動性リスクの管理」を参照。
2018年12月31日に終了した年度の連結財務書類の注記38.2.5「与信枠」を参照。
④ 格付
詳細については、「第3 3(3)⑥(ⅰ)(ロ)格付」を参照。
( 2) 生産、受注及び販売の状況
「第2 3 事業の内容」および「第3 3(3)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照。
( 3) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
① 主要なデータ
国際的な会計基準の採用に関する2002年7月19日付欧州規則第1606/2002号に準拠して、EDFグループの2018年12月31日に終
了した年度の連結財務書類は、IASB(国際会計基準審議会)により公表され、欧州連合により2018年12月31日現在において適
用することを承認されている国際的な会計基準に基づき作成されている。これらの国際的な基準は、IAS(国際会計基準)、
IFRS(国際財務報告基準)およびSICとIFRICの解釈指針である。
当グループの会計方針は、2018年12月31日に終了した年度の連結財務書類の注記1に記載されている。
本書中の数値は、EDFグループの2018年12月31日現在の連結財務書類から抜粋している。
連結財務書類の注記に表示されている2017年12月31日に終了した年度の比較数値は、IFRS第15号「顧客との契約から生じる
収益」の遡及適用による影響のため、再表示された。かかる再表示の結果、2017年12月31日に公表された売上高および購入エ
ネルギー費用は減少したが、EBITDAは影響を受けなかった(2018年度の連結財務書類の注記2.1を参照。)。
IFRS第9号「金融商品」は、2018年1月1日に義務化された。これは金融商品の分類および測定、金融資産に係る信用リス
クの減損ならびにヘッジ会計の新たな原則を導入するものである。単純化したアプローチを可能とするIFRS第9号が適用され
たが、適用後の初年度の比較数値は再表示されていない。当グループの移行対策および新たな基準による主な影響は、2018年
度の連結財務書類の注記2.2に記載されている。
当グループの2018年の主要な数値は、以下の表のとおりである。
連結損益計算書からの抜粋
212/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
(1)
2017年
( 単位:百万ユーロ) 2018年 変動 変動率(%) 本業の成長率(%)
売上高 68,976 64,892 4,084 +6.3 +4.0
減価償却費および償却費控除前営業利益
15,265 13,742 1,523 +11.1 +11.3
(EBITDA)
営業利益 (EBIT)
5,282 5,637 △355 -6.3 -1.9
連結会社の税引前利益 473 3,401 △2,928 -86.1 -79.0
EDFの純利益 1,177 3,173 △1,996 -62.9 -57.5
(2)
経常外項目を除く純利益
2,452 2,820 △368 -13.1 -7.5
(1) 2017年12月31日に公表された数値は、IFRS第15号基準の売上高への適用による影響を反映するために再表示された。しか
し、IFRS第9号により認められた単純化されたアプローチに従い、2018年1月1日以降のIFRS第9号の初度適用に関して
は再表示されていない。
(2) 経常外項目を除く純利益は、IFRSに定義されていないため、当グループの連結損益計算書に直接的に表示されない。経常
外項目を除く純利益は、経常外項目、トレーディング業務以外のエネルギーおよびコモディティ・デリバティブの公正価
値の純変動額ならびに債券および株式の公正価値の純変動額(税引後)を除く当グループの純利益(EDFの純利益)の当
グループの持分(「第3 3(3)④(ⅸ)経常外項目を除く純利益」を参照。)に相当する。
213/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
EDF の純利益から経常外項目を除く純利益まで
( 単位:百万ユーロ) 2018年 2017年
EDFの純利益 1,177 3,173
(1)
当グループのCTE に対する投資の49.9%の売却による利益
- △1,289
その他(トレーディング業務以外のエネルギーおよび
コモディティ・デリバティブの公正価値の純変動額ならびに 777 △94
債券および株式の公正価値の変動額を含む。)
減損 498 1,030
経常外項目を除く純利益 2,452 2,820
永久劣後債の持参人に対する支払額 △584 △565
ハイブリッド債に係る支払調整後の経常外項目を除く純利益 1,868 2,255
(1) RTE(フランス・エネルギー法に定義されるEDFの独立子会社である。)の株式の100%を保有する会社である。
連結貸借対照表からの抜粋
(1)
2017年12月31日
( 単位:百万ユーロ) 2018年12月31日
無形および有形資産 162,219 156,900
その他の非流動資産 48,165 47,424
非流動資産 210,384 204,324
棚卸資産および営業債権 30,137 30,981
その他流動資産 39,358 32,845
現金および現金同等物
3,290 3,692
流動資産
72,785 67,518
売却目的保有資産 - -
資産合計 283,169 271,842
自己資本 (EDF持分)
44,469 41,357
自己資本 (非支配持分)
8,177 7,341
自己資本合計 52,646 48,698
非流動引当金 71,772 71,373
特別委譲資産 46,924 46,323
その他の非流動負債 59,012 58,591
非流動負債 177,708 176,287
流動負債 52,815 46,857
売却目的保有に分類された資産に関連する負債 − -
自己資本および負債合計 283,169 271,842
(1) 2017年12月31日に終了した年度の比較数値は、IFRS第15号の遡及適用による影響のため、再表示された(2018年12月31日
に終了した年度の連結財務書類の注記2.1.3.2を参照。)。
当グループのキャッシュ・フロー
( 単位:百万ユーロ) 2018年 2017年 変動 変動率(%)
(1)(2)
当グループのキャッシュ・フロー -129.7
△480 △209 △271
(1) 当グループのキャッシュ・フローはIFRSに定義された財務成績を測定するための総額ではなく、また、他社により同名で
発表される指標と比較できるものではない。当グループのキャッシュ・フローは、純運転資本、純投資、専用資産からの
配分および引出しならびに配当後の営業キャッシュ・フローに相当する(「第3 3(3)⑤(ⅱ)純負債額」を参
照。)。
(2) 増資前
純負債額の詳細
( 単位:百万ユーロ) 2018年12月31日 2017年12月31日 変動 変動率(%)
借入金およびその他の金融負債 59,188 56,846 2,342 +4.1
負債のヘッジに使用されたデリバティブ △1,972 △1,176 △796 +67.7
214/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
現金および現金同等物 △3,290 △3,692 402 -10.9
売却可能金融資産-流動性の高い資産 △20,538 △18,963 △1,575 +8.3
(1)
純負債額
33,388 33,015 373 +1.1
(1) 純負債額は会計基準に定義されておらず、当グループの連結貸借対照表上には直接表示されていない。これは、借入金お
よび金融負債の合計から、現金および現金同等物ならびに流動性の高い資産を控除したものからなる。流動性の高い資産
は、ファンドまたは有価証券からなる、当初の満期3か月超で、容易に換金でき、流動性重視の方針に従って運用されて
いる金融資産である。
② 経済環境
( ⅰ) 電力および主要なエネルギー源の市場価格
緊密化した欧州市場において、フランスおよび欧州のその他の国々の市場価格の分析は、重要な情報を提供する。
2018年における欧州の電力スポット価格は、2017年よりも全体的に高かった。
( イ) 欧州における電力スポット価格 ( フランスおよびドイツ:EPEXSPOTにおける当日引渡向け前日平均価格。ベルギー:
Belpexにおける当日引渡向け前日平均価格。英国:EDF Tradingにおける当日引渡向け前日平均OTC価格。イタリア:GMEにおけ
る当日引渡向け前日平均価格 )
フランス 英国 イタリア ドイツ ベルギー
2018 年のベースロード
50.2 64.9 61.3 44.5 55.3
平均価格 (ユーロ/MWh)
2018 年/2017年の
+11.6% +25.4% +13.6% +30.0% +24.0%
ベースロード平均価格の変動率
2018 年のピークロード
59.1 70.0 67.9 52.1 64.8
平均価格 (ユーロ/MWh)
2018 年/2017年の
+10.1% +23.5% +10.0% +22.0% +18.4%
ピークロード平均価格の変動率
以下の記載は、ベースロード価格に関するものである。
2018年のフランスの電力の平均スポット価格は、50.2ユーロ/MWh(ベースロード)および59.1ユーロ/MWh(ピークロー
ド)となり、2017年と比較してそれぞれ5.2ユーロ/MWhおよび5.4ユーロ/MWh上昇した。かかる上昇は、主として3月から9
月にわたり上昇したすべてのコモディティ価格、2018年2月下旬に訪れた寒波および欧州全土における夏季の低い風量に起因
する。
2018年のフランスにおける需要は、2017年から4.6TWh減少し、合計475.2TWhとなった。原子力発電所の稼働率および水力発
電量が大幅に増加した(2017年と比較してそれぞれ+14.1TWhおよび+9.4TWh( 総計は9.4TWhであり、揚水後合計は9.1TWhであ
る。 ))ことにより、化石燃料火力発電所の使用は減少した。また、風力発電量および太陽光発電量もそれぞれ4.0TWhおよび
0.8TWh増加し、2018年は26.8TWhおよび9.7TWhとなった。
ドイツの風力発電量の減少およびドイツの価格に大きく影響した二酸化炭素の価格の上昇により、欧州中西部に対する輸出
量が5月から7月にかけて、またその後の9月から12月にかけて大幅に増加したことに伴い、フランスの輸出バランスは前年
同期比で23.0TWh( 出典:ENTSO-Eの透明性に関するウェブサイト )増加した(フランスの輸出バランスは、5月から7月の間
で8.2TWh増加し、その後9月から12月の間で10.4TWh増加した。)。
英国の電力の平均スポット価格は、2017年から13.2ユーロ/MWh上昇し、2018年は64.9ユーロ/MWhとなった。かかる上昇
は、燃料価格の上昇によりすべての月間平均価格が前年同期比で約33%(平均で+16ユーロ/MWh)上昇した3月に開始した。
もう1つの重要な要因は、2018年2月下旬および3月初めにおける寒波による価格の大幅な上昇であり、その影響はノル
ウェーのガス田およびラフ・ガス貯蔵施設が閉鎖した直後にオランダとの相互接続が予定外の供給停止を行った後におけるガ
スの供給量に対する緊張によって強調された。
イタリアの平均スポット価格は、2017年から7.4ユーロ/MWh上昇し、2018年は平均61.3ユーロ/MWhとなった。かかる変動
は、2018年の穏やかな天候により価格が32%下落した1月に対して、とりわけ燃料価格の上昇により価格が2017年の水準から
約28%上昇した3月から10月に関連する。
ドイツのスポット価格は、2017年から10.3ユーロ/MWh上昇し、2018年は平均44.5ユーロ/MWhとなった。温暖な気温のた
め、1月の価格は前年同期比で22.9ユーロ/MWh下落したが、その後、特にドイツの発電所の営業コストに大きな影響を及ぼし
た二酸化炭素および石炭のコモディティ価格の回復および風量が低かった6月により押し上げられた。6月以降、月間価格は
215/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2017年から平均して20ユーロ/MWh近く上昇した。風力発電量は、2017年から2.7TWh増加して2018年は108.6TWhとなり、太陽光
発電量は、4.8TWh増加して2018年は41.2TWhとなった。2018年12月31日現在、ドイツにおける風力発電の総設備容量および太陽
光 発電の総設備容量は、それぞれ約59GWおよび約46GWである。風力発電および太陽光発電における重大な期間が複数(2017年
の146時間に対して2018年は134時間)あったため、価格が下落した。1時間当たりの最低価格は1月1日に計上され、-76.0
ユーロ/MWhであった。
ベルギーのスポット価格は、2017年と比較して10.7ユーロ/MWh上昇し、2018年の平均価格は55.3ユーロ/MWhとなった。か
かる上昇は、とりわけ穏やかな気温によって2017年1月の価格より約50%下落した2018年1月に対し、燃料価格の上昇を反映
して価格が前年同期比で約44%上昇した3月から11月に関連する。年末のスポット価格は、Engieグループが運営する原子力発
電所の低い稼働率(ベルギーにおける原子炉7基のうちの5基は9月半ばから12月末まで操業停止され、6基目は維持管理の
ために10月半ばから11月半ばまで操業停止された。)により押し上げられた。
( ロ) 欧州における電力先物価格 ( フランスおよびドイツ:1年先の平均EEX価格。ベルギーおよびイタリア:1年先の平均
EDF Trading価格。英国:2018年4月から2019年4月までのICE平均年次契約価格(英国では、年次契約の引渡取引は4月1日
から3月31日までの間に行われる。) )
フランス 英国 イタリア ドイツ ベルギー
2019年年次契約に基づく2018年
48.9 60.1 59.0 44.1 51.0
ベースロード平均先物価格 (ユーロ/MWh)
年次契約に基づく2018年/2017年の
+27.9% +20.1% +26.7% +36.1% +36.9%
ベースロード平均先物価格の変動率
2019年年次契約に基づく2018年12月31日現在
61.6 65.3 66.8 55.8 60.9
のベースロード先物価格 (ユーロ/MWh)
2019年年次契約に基づく2018年
62.1 65.8 66.8 54.2 63.7
ピークロード平均先物価格 (ユーロ/MWh)
年次契約に基づく2018年/2017年の
+24.3% +18.2% +26.6% +33.8% +33.0%
ピークロード平均先物価格の変動率
2019年年次契約に基づく2018年12月31日現在
75.6 71.1 75.7 67.8 73.3
のピークロード先物価格 (ユーロ/MWh)
欧州における年次契約に基づく電力のベースロードおよびピークロードの価格は、石炭、ガスおよび二酸化炭素のコモディ
ティ価格が上昇したため、2017年より平均して高かった。
フランスの翌年引渡予定の年次契約に基づくベースロード平均価格は、2017年から27.9%上昇し、48.9ユーロ/MWhとなっ
た。かかる上昇は、主として2017年から2018年までの間、石炭の平均価格が18%、ガスの平均価格が22%上昇し、二酸化炭素
の平均価格が3倍となり、燃料および二酸化炭素の価格が上昇したことに起因する。「カレンダー」年度(Y)+1年の契約
価格は、61.6ユーロ/MWhで2018年を終えた。
英国の年度(Y)+1年の4月1日から年度(Y)+2年の3月31日までの4月先物ベースロード契約価格は、二酸化炭素
価格のみならず英国の電力価格の形成に大きく貢献するガス価格が2年間で上昇したため、2017年より20.1%上昇し、2018年
は平均60.1ユーロ/MWhとなった。
イタリアの翌年引渡予定の年次契約に基づくベースロード価格は、2017年から26.7%上昇し、2018年は59.0ユーロ/MWhと
なった。かかる上昇は、イタリアの電力価格において重要な要素であるガス価格および二酸化炭素価格の大幅な上昇に起因す
る。
ドイツの翌年引渡予定の年次契約に基づくベースロード平均価格は、2017年から36.1%上昇し、2018年は44.1ユーロ/MWhと
なった。かかる上昇は、石炭火力発電所がドイツの電力価格の形成に大きく貢献し、ガス火力発電所より二酸化炭素価格の上
昇の影響を大きく受けるため、燃料および二酸化炭素の価格が前年同期比で上昇したことに起因する。
ベルギーの翌年引渡予定の年次契約に基づくベースロード価格は、石炭および二酸化炭素の価格の上昇により、2017年から
約37%上昇し、2018年は平均51.0ユーロ/MWhとなった。かかる上昇のもう1つの要因は、チアンジュ2および3の原子炉が
2018年後半に操業停止する旨が発表されたことである。かかる発表により、9月21日から価格が押し上げられたが、その後、
ベルギーにおける冬季中の電力供給量の確保を保証するために講じた措置の発表がなされた後の10月半ばに下落した。
( ハ) 二酸化炭素排出権価格 ( フェーズⅢ(2013年-2020年)の年次契約に関する平均ICE価格 )
216/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
年度(Y)+1年の12月に引渡予定の二酸化炭素排出権価格は、2017年12月と比較して16.8ユーロ/トン上昇し、年末には
25.0ユーロ/トンとなった。2021年から2030年の期間にわたりEU-ETSを改革すること(改革案は2018年2月に欧州議会によっ
て 承認された。)を合意した後の2017年9月から始まった傾向をたどり、二酸化炭素価格は1月から9月初旬までほぼ一定に
上昇した。かかる価格の上昇傾向により二酸化炭素市場から離れた多くの投機的な関係者が戻ったために、この傾向が強調さ
れ、市場のボラティリティが増加した。
( ニ) 化石燃料価格 ( 石炭:欧州での翌年の引渡取引に関する平均ICE価格(CIF ARA)(米ドル/トン)、石油:ブレント第
1基準原油バレル価格、IPE指標(期近物)(米ドル/バレル)、天然ガス:フランスで翌年の10月からの引渡取引に関する平
均ICE OTC価格(PEG Nord)(ユーロ/MWhg) )
石炭 石油 天然ガス
(米ドル/トン) (米ドル/バレル) (ユーロ/MWhg)
2018年平均価格 87.0 71.7 20.9
平均価格変動率(2018年/2017年) +18.0% +31.0% +21.9%
2018年最高価格 100.0 86.3 27.4
2018年最低価格 72.8 50.5 16.9
2018年終値 85.9 53.8 20.4
2017年終値 90.3 66.9 18.2
欧州における翌年引渡予定の石炭価格は、終値が2017年から4.4米ドル/トン下落したものの、18%(+13.3米ドル/トン)
上昇し、2018年は平均87.0米ドル/トンとなった。石油価格の下落およびアジア(とりわけ規制変更により電力会社が輸出に
注力するように促進されたインドネシア)の高い供給量により、石炭価格は2018年度第1四半期に下落した(-13米ドル/ト
ン)。石油価格の回復ならびに中国およびインドの需要の増加により、石炭価格は3月下旬から10月初旬にわたり27米ドル/
トン超上昇した。石油価格の下落、中国の輸入規制およびライン川の低水位がドイツの発電所への引渡しに影響を及ぼしたこ
とによるベネルクス港における高い貯蓄量により、石炭価格は、10月3日に100米ドル/トンの水準に接近し、その後の最終四
半期に大幅に下落した(-15米ドル/トン)。
2018年の石油価格は、終値が2017年から13.1米ドル/バレル下落したものの、年間で31%(+16.9米ドル/バレル)上昇
し、平均71.7米ドル/バレルとなった。世界中の需要の短期的な低迷に関する懸念によって2月初旬に約8米ドル/バレル下
落した後、OPEC加盟国が石油生産量の制限に係る合意を遵守したため、石油価格は3月から5月にわたりほぼ一定で上昇し
た。イランから原油を輸入する国に対する米国の制裁の脅しの後、石油価格は夏季にわたり横ばいであったが、その後9月に
大幅に上昇した。かかる上昇は長続きせず、イランに対する制裁が予想より軽く、ロシアおよび米国における生産量が非常に
高かったため、石油価格は最終四半期に下落した(-29米ドル/バレル)。
フランスのPEG Nordハブにおける翌年引渡予定の年次ガス契約に基づくガス価格は、2017年から約22%(+3.8ユーロ/
MWh)上昇し、2018年には平均20.9ユーロ/MWhで取引された。2018年は、単一のガス市場地域となるPEGを形成するために、11
月1日にPEG NordとTRS区域が合併したことにより特徴付けられた。年次ガス契約に基づくガス価格は、2018年度第1四半期に
おいて全体的に横ばいであった。かかる上昇は、主に長期契約が石油価格に一部連動するため、石油価格の回復および長期価
格に影響を及ぼした短期貯蔵水準に関する緊張に起因して、4月から9月にわたり生じた。石油価格の下落に伴い、また欧州
におけるLNG供給量が良好であったことおよび比較的温暖な冬季が予想されていたものの貯蔵水準が十分であったことにより、
最終四半期におけるガス価格は下落した(-6.7ユーロ/MWh)。
( ⅱ) 電力消費量 およびガス消費量
( イ) フランスの電力消費量 およびガス消費量
フランスの電力消費量( フランスに関する出典:RTEが提供した気象影響について未調整および調整後のデータ。) は、2017
年からわずかに減少し(-0.8%)、2018年は478.2TWhとなった。2018年は温暖な年となり、年間平均気温が2017年の12.8℃と
比較して13.4℃を記録した。
2018年度第1四半期は、著しく対照的な期間であった。(平年を3.0℃上回った)1月が非常に温暖であった後、(それぞれ
平年を3.5℃および1.1℃下回った)2月および3月は非常に寒冷であった。気象影響の補正後、フランスの電力消費量は2017
年と比較してわずかに減少(-0.3%)した。
フランスにおける天然ガスの推定消費量( フランスに関する出典:Smart GRTgazが提供した未調整データ。 )は、2017年か
ら2018年にわたり4.7%減少して470.0TWhとなった。2月および3月における前年同期比での低い気温により、暖房の需要が大
217/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
幅に増加した。それにもかかわらず、通年の発電のためにガス火力発電所の使用が減少(-11TWh)したこと、およびとりわけ
1月および12月の温暖な天候による暖房の需要が減少したことに起因し、2018年の消費量は全体的に減少した。
( ロ) イタリアの電力消費量 およびガス消費量
イタリアの電力消費量( イタリアに関する出典:イタリア国営の送電網事業者であるTernaが提供し、Edisonが調整したデー
タ。 )は、2017年から2018年にわたり横ばい(+0.4%)であった。火力発電量および太陽光発電量の減少は、水力発電量およ
び総輸入量の増加により相殺された。
イタリアの天然ガスの国内需要( イタリアに関する出典:経済開発省(MSE)からのものであり、Snam Rete Gasからのデー
タは1Bcm = 10.76TWhのベースで、Edisonが調整している。 )は、2018年度最終四半期の例外的に高かった気温により住宅用
市場および火力発電所による消費量が減少したために、3.4%減少した。
( ⅲ) 電力および天然ガス販売料金
フランスでは、規制料金が以下のとおり変更された。
・「青色」料金は、2018年2月1日から住宅用顧客に対して0.7%、非住宅用顧客に対して1.6%引き上げられた。
・「青色」料金は、2018年8月1日から住宅用顧客に対して0.5%引き下げられ、非住宅用顧客に対して1.1%引き上げられ
た。
英国では、EDF Energyが住宅用顧客の変動料金に対して以下の2つの変更を行った。
・住宅用顧客に対する料金を2018年6月7日から2.7%引き上げた。
・2018年8月31日から電力料金を6.1%、ガス料金を6%引き上げた。
かかる引上げは、主として卸売市場価格の上昇に起因する。
( ⅳ) 天候:気温および降雨量
2018年は年間を通して平均気温が平年を0.7℃上回った。2月および3月のみが平年の月間気温を下回った。(平年を3℃上
回った)1月は特に温暖であり、(平年を2℃上回った)7月および12月も通常より温暖であった。フランスの2018年の年間
平均気温は13.4℃となり、1900年から最も暖かい年となった。
降雨量に関し、2018年は対照的な1年となった。
・当年度上半期において欧州南部(フランスを含む。)の大部分では高い降雨量、ドイツおよび欧州中部の一部では降雨量の
不足ならびに欧州北部では平年並みの降雨量が観測された。
・当年度下半期において欧州の大部分(特にフランス、ドイツおよびスカンジナビア全土)では非常に低い降雨量が観測され
た。
したがって、2018年の年間降雨量は、欧州南部の全土において高い降雨量が記録され、欧州中央部およびスカンジナビアに
おいて降雨量の不足が記録された。
フランスにおける当年度上半期の降雨量は非常に高く、冬季の降雪量はすべての山脈において例外的に高かった。その後、
非常に温暖で乾燥した夏季および秋季が続いたため、水量は徐々に低下し、とりわけフランス北部における秋季の水量は非常
に低かった。
かかる対照的な天候条件の結果、2018年度上半期のすべての月においてフランスの水量の余剰分(40年間で最高水準を記録
した。)が発生し、その後、2018年度下半期において不足した。しかし年間を通しての水量は、平年を約10%とわずかに上
回った。
③ 2018年の重要な事象( 全プレスリリースは、EDFのウェブサイト(www.edf.fr)にて入手可能である。 )
本項は、2017年 Document de Rocument が提出された2018年3月15日以降の重要な事象について記載している(2017年度有価
証券報告書「第一部 第3 7(3)2017年の重要な事象」および「第一部 第3 7(9)後発事象」を参照。)。
( ⅰ) 主要な事象
( イ) 持続可能な開発および当グループの再生可能エネルギー事業
EDF Renewables ( 全プレスリリースは、EDF Renouvelablesのウェブサイト(www.edf-renouvelables.com)にて入手可能であ
る。 )
・EDF Renewablesは、2018年に新規施設を操業開始し、電力購入契約を締結し、また新規プロジェクトを実施した。
・EDF Renewablesは、フランスの太陽光発電の専門会社であるLuxelグループの取得を目的とした独占的な会談に入った(2019
年2月14日付プレスリリースを参照。)。
218/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・EDF RenewablesとSITACグループは、インドの300MWの風力発電プロジェクトに関する電力購入契約を締結した(2019年2月
4日付プレスリリースを参照。)。
・EDF Renewablesは、Aksamit Resource Management, LLCおよびYork Capital ManagementからなるパートナーシップであるYork
Nebraska Wind Partners, LLCとの間で締結した、300MWのミリガン1風力発電プロジェクトにおける100%の持分の購入契約を
完了させた(2019年1月17日付プレスリリースを参照。)。
・EDF RenewablesとMasdarのコンソーシアムは、サウジアラビアにおいて400MWの風力発電プロジェクトを勝ち取った(2019年
1月11日付プレスリリースを参照。)。
・EDF RenewablesおよびShell New Energies US LLCは、ニュージャージー州における洋上風力発電に投資した(2018年12月20日
付プレスリリースおよび2018年度の連結財務書類の注記3.8.1を参照。)。
・EDF Renewablesは、ドイツのエッコルシュテット風力発電所のリパワリングを発表した(2018年12月11日付プレスリリースを
参照。)。
・EDF Renewablesは、カリフォルニア州において132MWpの太陽光発電量を供給するためにShell Energy North America (US), LP
との契約を締結した(2018年11月15日付プレスリリースを参照。)。
・EDF Énergies Nouvellesは、EDF Renouvelablesへと商標を変更し(2018年9月6日付プレスリリースを参照。)、EDF
Énergies Nouvellesの海外子会社は、EDF Renewablesへと商標を変更した(2018年4月12日付プレスリリースを参照。)。
・EDF Renewablesは、ブラジルにおける276MWの風力発電プロジェクトを勝ち取った(2018年9月5日付プレスリリースを参
照。)。
・EDF Renewablesは、英国における24の風力発電所の少数株主持分49%(約550MW)を売却した(2018年6月29日付プレスリ
リースおよび2018年度の連結財務書類の注記3.8.2を参照。)。
・EDF Renewablesが提携企業のEnbridge Inc.およびWPDと開発しているフェカン、クルル・シュル・メールおよびサンナゼー
ルにおける3つの洋上風力プロジェクトの完成が確認された(2018年6月20日付プレスリリースを参照。)。
・EDF Renewablesは、スコットランドにおける450MWの洋上風力発電プロジェクトをMainstream Renewable Powerから取得した
(2018年5月3日付プレスリリースおよび2018年度の連結財務書類の注記5.2を参照。)。
水力発電
・EDF、国際金融公社およびカメルーン共和国は、カメルーンのナシチガル水力発電ダムの建設に関する最終的かつ拘束力のあ
る契約を締結した(2018年11月8日付プレスリリースを参照。)。最終調印は、当該プロジェクトにAfrica50(15%)およ
びSTOA(10%)が参入したことにより保有株式の構成が変更した2018年12月24日に行われた。現在、国際金融公社が20%の
持分、カメルーン共和国が15%の持分を保有し、EDFは変わらず40%の持分を保有する。
EDF Pulse Expansion
・EDF Nouveaux Businessは、EDF Pulse Expansionになった。
・EDFおよびMcPhyは、フランスおよび世界中においてカーボンフリー水素を開発するためにパートナーシップ契約を締結した
(2018年6月5日付プレスリリースを参照。)。
( ロ) 当グループのエネルギー・サービス事業
・Edisonは、その子会社であるFeniceを通じて、Zephyro SpAの支配権を取得し、強制的公開買付けを開始した(2018年7月2
日付プレスリリースを参照。)。
・Dalkia Wastenergy(旧Tiru)の75%を保有していたDalkiaは、Engieグループが以前保有していた株式の25%を取得した
(ウェブサイト(www.dalkia.fr)で入手可能であるDalkiaの2018年3月30日付プレスリリースを参照。)。
( ハ) 原子力業界
・フラマンビル3EPRプロジェクト
-フラマンビルEPRの主要二次システムの溶接:EDFは、是正措置を講じ、スケジュールおよび目標建設費を調整した(2018
年7月25日付プレスリリースおよび2018年度の連結財務書類の注記3.10を参照。)。
-温態機能試験は、2019年3月28日に実施された。
-原子力安全当局は、2019年4月9日および同年4月10日にその諮問委員会を招集した後、主要二次システムの溶接の検証
プログラムに関する声明を2019年6月19日付で発表した。原子力安全当局の決定の発表後、スケジュールおよび建設費等
のフラマンビルEPRに関する進捗の最新情報の詳細が公表される(2019年1月31日付プレスリリースを参照。)。
219/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・中国の台山原子力発電所における最初のEPR原子炉2基が商業運転を開始した(2018年12月14日付プレスリリースおよび2018
年度の連結財務書類の注記3.1を参照。)。
・EDFおよびNawahは、アラブ首長国連邦のバラカ原子力発電所の運転・維持支援に関する契約を締結した(2018年11月22日付
プレスリリースを参照。)。
・EDFおよびGEは、インドにおけるEPR6基の建設計画に関する戦略的協働契約を締結した(2018年6月26日付プレスリリース
を参照。)。
( ⅱ) 資産売却計画
・EDFは、Colony Capitalに対して200超の不動産資産および事業用資産ポートフォリオを売却した(2018年11月29日付プレス
リリースおよび2018年度の連結財務書類の注記3.2を参照。)。
・EDFは、Dunkerque LNGの持分の売却を完了した(2018年10月30日付プレスリリースおよび2018年度の連結財務書類の注記3.3
を参照。)。
( ⅲ) 財政構造
・EDFは、革新的ESG指数連動リボルビング与信枠のシンジケーションが成功したことを発表した(2018年11月27日付プレスリ
リースおよび2018年度の連結財務書類の注記3.7を参照。)。
・EDFは、ハイブリッド債によるリファイナンスの取引の成功を発表した(2018年10月3日付プレスリリースならびに2018年度
の連結財務書類の注記3.5および3.6を参照。)。
・EDFは、1.25十億ユーロのハイブリッド債の募集において価格決定を行い、1十億ユーロの優先債の募集において価格決定を
達成した(2018年9月25日付プレスリリースならびに2018年度の連結財務書類の注記3.4および3.5を参照。)。
・EDFは、数本の米ドル建て優先債の発行を通じて3.75十億米ドルを調達した(2018年9月19日付プレスリリースおよび2018年
度の連結財務書類の注記3.4を参照。)。
( ⅳ) 規制環境
規制変更に関する詳細は、2018年度の連結財務書類の以下の注記において記載されている。
・注記4.1「フランスの複数年エネルギー計画(PPE)」
・注記4.2「フランスの規制電力販売料金―「青色」料金」
・注記4.3「「TURPE」送配電網使用料金」
・注記4.4「公共エネルギー・サービス費用の補償(CSPE)」
・注記4.5「フランス発電容量メカニズム」
・注記4.6「省エネ証書」
・注記4.7「ARENH」
( ⅴ) その他の重要な事象
・原子力発電および火力発電部門担当の上級幹部にフィリップ・サセーニュ氏が任命された(2019年2月8日付プレスリリー
スを参照。)。
・EDFは、2018事業年度の中間配当を1株当たり0.15ユーロの現金配当として支払ったことを発表した(2018年11月6日付プレ
スリリースおよび2018年度の連結財務書類の注記27.3を参照。)。
・2017事業年度の配当金残高における株式による支払オプションの結果(2018年6月15日付プレスリリースおよび2018年度の
連結財務書類の注記27.1を参照。)。
・再生可能エネルギー担当の当グループ上級執行副社長としてブルーノ・ベンサソン氏をEDFグループの執行委員会に任命した
(2018年3月30日付プレスリリースを参照。)。
・Edisonは、Edison Énergie(旧Gas Natural Vendita Italia)の取得を完了した(2018年2月22日付プレスリリースおよび
2018年度の連結財務書類の注記5.3を参照。)。
④ 2017年および2018年の事業および連結損益計算書の分析
2017年度および2018年度の連結損益計算書における売上高およびEBITDAの表示および分析は、2つの分析レベルによって表
示されている。まずは当グループに焦点を当て、次に異なる事業セグメント(フランス-発電と供給業務、フランス-規制業
務、EDF Renewables( EDF Énergies Nouvellesを除くEDF Renewables )、Dalkia、Framatome( Framatomeは、2017年12月31日か
ら連結に含まれている。Framatomeの2018年の純利益の総額は、連結範囲の変更の影響に含まれている。 )英国、イタリア、そ
の他国外ならびにその他事業)について報告する。EBIT(営業利益)および純利益は一般的な観点から分析される。
220/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2018年において当グループは、戦略的な理由上、セグメント報告を変更し、現在は(以前まで「その他事業」セグメントに
含まれていた)EDF RenewablesとDalkiaを別々に表示する。当グループが使用するセグメントは2018年度の連結財務書類の注
記 6.1に記載されている。
(1)
2017年
( 単位:百万ユーロ) 2018年
売上高 68,976 64,892
購入燃料およびエネルギー費用 △33,012 △32,901
その他の対外費用 △9,364 △8,739
人件費 △13,690 △12,456
法人所得税以外の税金 △3,697 △3,541
その他の営業収益および営業費用 6,052 6,487
減価償却費および償却費控除前営業利益
15,265 13,742
(EBITDA)
トレーディング業務以外のエネルギーおよび
コモディティ・デリバティブの公正価値の △224 △355
純変動額
減価償却費および償却費 (純額)
△9,006 △8,537
委譲運営有形固定資産更新引当金の純増加額 △50 △58
(減損)/戻入 △598 △518
その他の収益および費用 △105 1,363
営業利益 (EBIT)
5,282 5,637
総金融負債に係る費用 △1,716 △1,778
割引の影響 △3,486 △2,959
その他の金融収益および費用 393 2,501
金融損益 △4,809 △2,236
連結会社の税引前利益 473 3,401
法人所得税 149 △147
関連会社およびジョイント・ベンチャーの
569 35
純利益に対する持分
グループの純利益 1,191 3,289
EDFの純利益 1,177 3,173
非支配持分に帰属する純利益 14 116
1 株当たり利益 (EDF持分) ( 単位:ユーロ)
1株当たり利益 0.20 0.98
希薄化後1株当たり利益 0.20 0.98
(1) 2017年12月31日に公表された数値は、IFRS第15号の売上高への適用による影響を反映するために再表示された。 しかし、
IFRS第9号により認められた単純化されたアプローチに従い、2018年1月1日以降のIFRS第9号の初度適用に関しては再
表示されていない。
( ⅰ) 売上高
連結売上高は6.3%増加し、4.0%の本業の成長を示した。
( イ) グループ売上高の増減
(1)
2017年
( 単位:百万ユーロ) 2018年 変動 変動率(%) 本業の成長率(%)
売上高 68,976 64,892 4,084 +6.3 +4.0
(1) 2017年12月31日に公表された数値は、IFRS第15号基準の売上高への適用による影響を反映するために再表示された。
売上高は、2017年から4,084百万ユーロ(+6.3%)増加し、2018年には68,976百万ユーロとなった。ユーロに対する英ポン
ド、米ドルおよびブラジル・レアルの下落を主とする外国為替の影響(-203百万ユーロ)ならびに主にFramatomeの取得およ
221/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
びEDF Polskaの資産の売却に関連する連結範囲の変更(+1,713百万ユーロ)を除き、連結売上高は4.0%の本業の成長となっ
た。
( ロ) セグメントごとの売上高の増減
以下の表は、セグメント間消去を除く、セグメントごとの売上高を示している。
(1)
2017年
( 単位:百万ユーロ) 2018年 変動 変動率(%) 本業の成長率(%)
(2)
フランス-発電と供給業務
26,096 25,084 1,012 +4.0 +4.0
(3)
フランス-規制業務
16,048 15,836 212 +1.3 +1.3
EDF Renewables
1,505 1,280 225 +17.6 +8.4
Dalkia 4,189 3,751 438 +11.7 +8.5
Framatome 3,313 - 3,313 - -
英国 8,970 8,688 282 +3.2 +3.9
イタリア 8,507 7,722 785 +10.2 +6.2
その他国外 2,411 3,166 △755 -23.8 +3.4
その他事業 2,601 2,475 126 +5.1 +5.3
消去 △4,664 △3,110
△1,554 +50.0 +4.2
グループ売上高 68,976 64,892 4,084 +6.3 +4.0
(1) 2017年12月31日に公表された数値は、IFRS第15号基準の売上高への適用による影響およびセグメント報告の変更(IFRS第
8号)を反映するために再表示された。
(2) フランス本土における発電、供給および最適化、ならびにエンジニアリングおよびコンサルティングサービスの販売。
(3) 規制業務は、Enedis(Enedisとは、フランス・エネルギー法に定義されるEDFの独立子会社である。)によって行われる
フランス本土における配電、EDFの島部業務およびÉlectricité de Strasbourg業務で構成される。フランス本土におい
て、配電網業務は、TURPE(公共送配電網使用料金)を介して規制されている。
( a) フランス-発電と供給業務
フランス-発電と供給業務セグメントによる売上高は、2017年から1,012百万ユーロ(+4.0%)の本業の成長となり、
26,096百万ユーロとなった。
再生可能エネルギーの発電量の増加および市場価格の上昇により、購入義務の対象である電力の再販売量は、有利に変動し
た。これは売上高に対し、推定+606百万ユーロの好影響をもたらした(購入義務に関する費用がCSPEの税金により補填される
ため、EBITDAに対する影響は相殺された。)。
電力価格の好影響およびガス貯蔵事業の収益の増加が、最終顧客に対する電力販売量の減少による悪影響を補って余りある
ものとなったため、下流部門における市況は、売上高に対して推定+220百万ユーロの好影響をもたらした。
供給量証書の販売は、2017年と比較して+55百万ユーロの好影響をもたらした。
電力の規制販売料金( 2017年8月1日付の住宅用顧客および非住宅用顧客を対象とした「青色」料金の(2017年8月1日付
のTURPE5配電料金の+2.71%の指数化を盛り込んだ)+1.70%の料金変更ならびに2018年8月1日付のTURPE5配電料金の-
0.21%の指数化を含む2018年の料金変更(2018年2月1日からの住宅用顧客を対象とした「青色」料金の+0.7%および非住宅
用顧客を対象とした「青色」料金の+1.6%の料金変更ならびに2018年8月1日からの 住宅用顧客を対象とした「青色」料金の
-0.5%および非住宅用顧客を対象とした「青色」料金の+1.1%の料金変更。) )の非配電部分の変更は、約+48百万ユーロ
の好影響をもたらした。
天候による影響、需要の変動および顧客離れを除き、ARENH制度の下の販売量ならびに卸売市場での購入および販売の均衡
は、売上高に対して推定203百万ユーロのマイナス影響をもたらした。
発電
原子力発電量は、2017年から14.1TWh増加して、2018年は393.2TWhとなった。かかる増加は、とりわけ2017年にはクルーゾ・
フォルジュの製造記録の確認、炭素偏析の問題およびトリカスタン発電所の発電ユニット4基の一時的な供給停止に関連し、
複数の原子炉の供給停止が行われたために増加した2018年における原子力発電所の稼働率に起因する。
水力発電量は、2017年から25.4%(+9.4TWh)増加して、2018年には46.5TWh( 揚水量を差し引いた水力発電量は、2018年は
39.2TWh(2017年は30.0TWh)となった。 )となった。かかる増加は、とりわけ2017年は不利であり、その後2018年は有利で
あった水利条件(「第3 3(3)②(ⅳ)天候:気温および降雨量」を参照。)に起因する。
222/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
火力発電所の使用は減少した。火力発電所の発電量は、2017年と比較して5.1TWh減少し、11.0TWhとなった。
最終顧客(地方配電会社を含むが、国外事業者を除く市場セグメント)への販売量は、17.0TWh減少し、このうち13.1TWhは
顧客離れに起因する。
EDFは、卸売市場において78.6TWhに及ぶ純売手となった。2017年と比較して26.1TWh増加した卸売市場の純販売量は、主に原
子力発電および水力発電におけるより有利な条件ならびに購入義務の下増加した供給量に起因する。
( b) フランス-規制業務
フランス-規制業務セグメントによる売上高は、2017年から212百万ユーロ(+1.3%)の本業の成長となり、16,048百万
ユーロとなった。
売上高は、TURPE5配電料金の引上げ(242百万ユーロ)( 2017年8月1日付の+2.71%および2018年8月1日付の-0.21%
のTURPE5配電料金の指数化。 )および接続サービスの収益(37百万ユーロ)に関連するEnedisに対する好影響による恩恵を受
けた。
( c) EDF Renewables
EDF Renewablesの売上高は、2017年から107百万ユーロ(+8.4%)の本業の成長となり、2018年には1,505百万ユーロとなっ
た。
発電所の(支配権の変更を伴う)売却の多くが2018年末に行なわれたため、かかる成長は、主として発電に帰属する収益の
10.2%の本業の成長に貢献した、2017年における風力発電および太陽光発電プロジェクトの稼働開始に起因する。
( d) Dalkia
Dalkiaによる2018年の連結売上高に対する貢献は、2017年と比較して319百万ユーロ(+8.5%)の本業の成長となり、4,189
百万ユーロとなった。
かかる成長は、主としてエネルギー価格の上昇による好影響、サービス契約価格の改定に係る指数の有利な傾向および多数
の契約(例えば、ペルピニャンおよびモンベリアル(フランス)における新たな暖房ネットワークに関する契約ならびにサン
テティエンヌの病院(フランス)と締結した15年間のエネルギー効率化契約)の締結または更新に起因する。
( e) Framatome ( Framatomeは、2017年12月31日から連結に含まれている。Framatomeの2018年の純利益の総額は、連結範囲の
変更の影響に含まれている。 )
Framatomeの売上高は、2018年には3,313百万ユーロとなった。かかる売上高の大部分は当グループ内で実現された。
受注は、3十億ユーロとなった(60%超が非グループ企業からであった。)。
Framatomeは、燃料事業で好調な活動水準を記録し、福清原子力発電所の華龍1原子炉へ燃料被覆管の初回分を納品する等、
2018年において重要な業績を残した。またFramatomeは、再装荷される燃料集合体の搬入に関するVattenfallとの新たな契約を
勝ち取った。その一方で、設置基盤活動は、とりわけ米国においてわずかに停滞した。
Framatomeは、2018年2月に北米においてSchneider Electricの原子力計装制御(I&C)に係る入札を落札したことにより、エ
ンジニアリング専門技術を開発し、I&Cソリューションのポートフォリオを拡大している。さらに、Framatomeは、田湾原子力
発電所の3号機(1,000MWの純設備容量を有するVVER(ロシア型)加圧水型原子炉)に対して、完全なI&Cシステムを提供し
た。Framatomeは、スウェーデンのフォルスマルク原子力発電所において、3号機の安全I&Cシステムのアップグレードの稼動
開始に成功した。
( f) 英国
英国のグループ売上高に対する貢献は、2017年から282百万ユーロ増加し、2018年には8,970百万ユーロとなった。ユーロに
対する英ポンドの下落は、2017年と比較して82百万ユーロの悪影響となった。外国為替による影響および連結範囲の変更を除
き、2017年と比較した売上高における本業の成長率は3.9%であった。
英国の売上高のプラスの変動は、住宅用市場および企業用市場での電力料金の引上げおよび電力価格の上昇ならびに企業用
顧客に対する電力販売量の増加を反映している。かかる成長は、原子力発電量の減少による卸売市場での販売量の減少および
顧客口座数の減少に沿った住宅用電力顧客に対する販売量の減少により一部相殺された。
( g) イタリア
イタリアの連結売上高に対する貢献は、2017年と比較して478百万ユーロ(+6.2%)の本業の成長となり、8,507百万ユーロ
となった。
探鉱および生産活動の売上高は、ブレント石油価格およびガス価格の有利な変動により増加した。
223/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
電力事業の売上高は、主に企業用顧客に対する販売量の増加および水力発電量の増加により増加した。
( h) その他国外
その他国外セグメントは、主にベルギー、米国、ブラジルおよびアジア(中国、ベトナムおよびラオス)における事業を対
象としている。
その他国外セグメントのグループ売上高への貢献は、2017年から755百万ユーロ減少し、2018年は2,411百万ユーロであっ
た。外国為替の影響(-81百万ユーロ)および連結範囲の変更(主に2017年のEDF Polskaの資産の売却に関連する-783百万
ユーロ)を除き、売上高は本業において3.4%の成長となった。
ベルギー( ベルギーは、EDF LuminusおよびEDF Belgiumで構成される。 )の売上高は、2017年と比較して3.1%の本業の成長
となり、1,806百万ユーロとなった。これには、競争が非常に激しい市場において価格が上昇し、供給事業の販売量が減少した
ことが含まれる。発電に関して、風力発電容量は2017年から17%増加し、440MWとなった。発電量は、Engieグループが運営す
る原子炉の長期にわたる供給停止により依然として影響を受けた。サービス販売は、2015年に始まった上昇傾向を維持した。
ブラジルの売上高は、2017年から9.5%の本業の成長となり、422百万ユーロとなった。(EBITDAに中立的な影響を及ぼす)
電力購入契約に基づく売上高に課されたICMS税(商品流通サービス税)の導入による好影響は、スポット市場における売上高
の減少により一部相殺された。
( i) その他事業
その他事業は、EDF Tradingおよびガス事業等の事業体で構成される。
その他事業セグメントの売上高は、2017年から130百万ユーロの本業の成長となり、2018年には2,601百万ユーロとなった。
EDF Tradingの売上高は、合計873百万ユーロとなり、47.8%の大幅な本業の成長となった。かかる成長は、EDF Tradingが利
用したコモディティ市場の変動、天候による好影響ならびに欧州および米国の需要供給バランスに対して時折生じる有利な緊
張を反映している。また、LNG(液化天然ガス)に関連する活動は、2018年9月下旬までのアジアにおける需要の増加および石
油価格の上昇傾向により、かかるパフォーマンスに貢献した。
( ⅱ) 減価償却費および償却費控除前営業利益(EBITDA)
EBITDAは11.1%増加し、11.3%の本業の成長となった。
(1)
2017年
( 単位:百万ユーロ) 2018年 変動 変動率(%) 本業の成長率(%)
売上高 68,976 64,892 4,084 +6.3 +4.0
購入燃料およびエネルギー費用 △33,012 △32,901 △111 +0.3 +1.0
その他の対外費用 △9,364 △8,739 △625 +7.2 +0.1
人件費 △13,690 △12,456 △1,234 +9.9 -0.6
法人所得税以外の税金 △3,697 △3,541 △156 +4.4 +3.3
その他の営業収益および
6,052 6,487 △435 -6.7 -9.7
営業費用
EBITDA 15,265 13,742 1,523 +11.1 +11.3
(1) 2017年12月31日に公表された数値は、IFRS第15号基準の売上高への適用による影響を反映するために再表示された。
( イ) 連結EBITDAの増減および分析
2018年の連結EBITDAは、2017年から11.1%増加し、15,265百万ユーロとなった。外国為替による影響(-58百万ユーロ)お
よび連結範囲の変更(+26百万ユーロ)を除き、EBITDAは11.3%の本業の成長を計上した。
2018年の当グループの購入燃料およびエネルギー費用は、2017年から111百万ユーロ(+0.3%)の増加、または、344百万
ユーロ(+1.0%)の本業の成長となり、33,012百万ユーロであった。
・フランス-発電と供給業務およびフランス-規制業務セグメントにおける燃料およびエネルギー購入は、主に原子力発電量
および水力発電量の増加ならびにARENH制度の下の需要を満たすために下落した購入価格により、760百万ユーロ(-4.1%)
の本業のマイナス成長となり、17,935百万ユーロとなった。
・英国の燃料およびエネルギー購入における本業の成長(+468百万ユーロまたは+8.7%)は、主に規制上の費用の増加なら
びにエネルギー価格および石炭価格の上昇に関連するものである。
・イタリアの燃料およびエネルギー購入は、主に電力事業における販売量、配電費用および電力網サービスの増加ならびに炭
化水素事業におけるガス価格およびブレント石油価格の上昇を反映し、566百万ユーロ(+9.5%)の本業の成長となった。
224/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
その他の対外費用は、2017年から625百万ユーロ(+7.2%)増加して、9,364百万ユーロとなった。外国為替による影響(+
26百万ユーロ)および連結範囲の変更(主にFramatomeの取得に関連する-646百万ユーロ)を除き、事業(とりわけ再生可能
エ ネルギー事業およびサービス事業)の成長にもかかわらず、その他の対外費用は、本業において横ばい(+5百万ユーロ)
であった。
・フランス-発電と供給業務およびフランス-規制業務セグメントにおけるその他の対外費用は、合計4,638百万ユーロとなっ
た。216百万ユーロ(-4.4%)の本業のマイナス成長は、主としてすべての事業分野にわたるパフォーマンス向上計画の一
環として実施された継続的なコスト削減活動を反映している。
・EDF Renewablesにおけるその他の対外費用の本業の成長(+67百万ユーロ)は、主として米国におけるサービス活動の成長
および開発費用を反映している。
・Dalkiaにおけるその他の対外費用の本業の成長(+112百万ユーロ)は、サービス活動の拡大に起因する。
当グループの人件費は、2017年から1,234百万ユーロ増加して、合計13,690百万ユーロとなった。外国為替による影響(+25
百万ユーロ)および連結範囲の変更(主にFramatomeの取得に関連する-1,336百万ユーロ)を除き、人件費の本業の変動率は
0.6%のマイナス成長となった。
・フランス-発電と供給業務セグメントにおける人件費は、人件費の管理に関する取組みを反映し、2017年から177百万ユーロ
減少して、合計6,013百万ユーロとなった。平均従業員数は、すべての事業分野で減少し、2018年においては3.1%( 見習い
およびワークスタディ契約の従業員を除く。 )減少した。
・フランス-規制業務セグメントにおける人件費は、2017年から17百万ユーロ減少して、合計3,141百万ユーロとなった。平均
従業員数は、2017年と比較して横ばいであった。
・Dalkiaにおける人件費の本業の成長(+35百万ユーロ)は、主としてサービス事業の拡大に伴う平均従業員数の増加に起因
する。
2018年における法人所得税以外の税金は、2017年から156百万ユーロまたは4.4%(本業においては+3.3%)増加して、
3,697百万ユーロとなった。
・かかる増加は、主に付加価値に関連する税金の増加により法人所得税以外の税金が50百万ユーロ増加したフランス-発電と
供給業務セグメントに関連する。
その他の営業収益および営業費用は、2017年から435百万ユーロ減少し(-629百万ユーロまたは-9.7%の本業の変動)、
2018年においては6,052百万ユーロの純利益があった。
・フランス-発電と供給業務セグメントにおけるその他の営業収益および営業費用による利益は、816百万ユーロ減少した。か
かる減少の主要な要因は、省エネ証書に関する義務に係る費用の増加、引当金の変動および2018年には同様の計上がなかっ
た2017年のプラスの項目である。
・その他事業セグメントにおけるその他の営業収益および営業費用は、主としてフランスでの不動産資産の売却により生じ、
115百万ユーロの本業の成長となった。
( ロ) 連結EBITDAの増減およびセグメントごとの分析
(1)
2017年
( 単位:百万ユーロ) 2018年 変動 変動率(%) 本業の成長率(%)
フランス-発電と供給業務 6,327 4,896 1,431 +29.2 +29.2
フランス-規制業務 4,916 4,898 18 +0.4 +0.4
EDF Renewables
856 751 105 +14.0 +4.1
Dalkia 292 259 33 +12.7 +12.0
Framatome 202 - 202 - -
英国 783 1,035 △252 -24.3 -15.4
イタリア 791 910 △119 -13.1 -12.7
その他国外 240 457 △217 -47.5 -3.1
その他事業 858 536 322 +60.1 +62.1
グループEBITDA 15,265 13,742 1,523 +11.1 +11.3
(1) 2017年12月31日に公表された数値は、セグメント報告の変更(IFRS第8号)を反映するために再表示された。
( a) フランス-発電と供給業務
フランス-発電と供給業務セグメントのEBITDAは、2017年から1,431百万ユーロ(+29.2%)の本業の成長となり、6,327百
万ユーロであった。
225/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
水力発電量および原子力発電量の増加は、EBITDAに対して推定+1,079百万ユーロの大きな好影響をもたらした。また、卸売
市場の環境が向上したことが、EBITDAに対する推定+413百万ユーロの改善に貢献した。
下流市場( 市場における提供価格の省エネ証書の部分を除く。 )の環境は、市場における新たな提供価格の有利な変動が市
場シェアの減少(-13.1TWh)を補填したために、2017年と比較して+150百万ユーロの好影響をもたらした。
価格変動および省エネ証書の部分を除いた規制販売料金に対する料金調整の部分の終了により、2017年と比較して推定152百
万ユーロ減少した。
EDFグループのパフォーマンス計画の下、営業費用( 人件費およびその他の対外費用の合計額。比較対象となる連結範囲およ
び為替レートならびに一定の年金割引率に基づく。サービス業務の営業費用における変動を除く。 )は、購入費用および人件費
の管理を通じて、313百万ユーロ(-3.5%)の削減となった。かかる対策は、すべての事業体(とりわけサポート機能および
供給事業)にわたって適用されており、原子力発電所、水量発電所および火力発電所に係る営業コストの削減が行われてい
る。
主として付加価値に関連する税金(企業付加価値負担金)の増加、引当金の変動および2018年には同様の計上がなかった
2017年のプラスの項目を含む複数の要因が、EBITDAに対して合計-372百万ユーロの影響をもたらした。
( b) フランス-規制業務
フランス-規制業務セグメントのEBITDAは、2017年から18百万ユーロ(+0.4%)の本業の成長となり、4,916百万ユーロと
なった。
EBITDAは、TURPE5料金( 2017年8月1日付の+2.71%および2018年8月1日付の-0.21%のTURPE5配電料金の調整指数。
2017年8月1日付の+6.76%および2018年8月1日付の+3.0%のTURPE5送電料金の調整指数。 )の有利な調整指数による推
定+68百万ユーロの恩恵を受けた。
(とりわけエネルギー生産事業者を対象とした)電力網の接続サービスの事業成長による+37百万ユーロの好影響および営
業費用の削減(+38百万ユーロ)は、EBITDAに対して好影響をもたらした。
しかし、天候の悪影響、送電網の購入による損失に対するマイナスの価格影響ならびに2012年から2018年までの期間の電気
料金均衡化基金へのEnedisおよびÉlectricité de Strasbourgの貢献における変更のリスクに対する規定の策定が組み合わさっ
た影響により、EBITDAは125百万ユーロ減少した。
( c) EDF Renewables
EDF Renewablesの2018年のグループEBITDAに対する貢献は、31百万ユーロ(+4.1%)の本業の成長となり、856百万ユーロで
あった。
発電事業のEBITDAは、2018年の15.2TWhの発電量により、本業において15%の成長を計上し、903百万ユーロとなった。これ
は、主として発電所の(支配権の変更を伴う)売却が2018年後半に行なわれたことにより、2017年後半に稼働開始した発電所
に起因する。
ストラクチャード・アセットの開発および売却事業の2018年における貢献は、2017年より減少した。事業の成長を支えるた
め、開発費用およびサポート機能に係る費用が増加した。
2018年においてEDF Renewablesによって稼働が開始された総容量は、合計1.6GW(太陽光発電の0.9GWを含む。)であった。
2018年12月31日現在の純設備容量は、前年同期比で0.5GW増加して、8.3GW(合計12.9GW)であった。2018年12月31日現在に建
設中のプロジェクトの総ポートフォリオは、合計2.4GW(1.2GWの風力発電および1.2GWの太陽光発電)であった。
2018年においてEDF Renewablesは、英国における24の風力発電所の少数株主持分49%を売却した。EDF Renewablesがかかる
取引の主導権を維持しているため、かかる取引はEBITDAに影響を及ぼさない。
( d) Dalkia
Dalkiaの2018年のグループEBITDAに対する貢献は、31百万ユーロ(+12.0%)の本業の成長を反映して、292百万ユーロと
なった。かかる成長は、Dalkiaの子会社1社が2017年に直面した契約上の困難(2018年には匹敵するものがなかった。)を考
慮したものである。かかる要因を補正後、パフォーマンス計画を通じた競争の改善および経費の良好な管理により、EBITDAは
1.3%の本業の成長となった。とりわけエネルギー効率化および暖房ネットワークの分野における商業契約の署名および更新
は、EBITDAに対して好影響をもたらした。しかし、DalkiaのEBITDAは、複数の重要な発電所での維持管理業務、天候および価
格変動による悪影響を受けた。
( e) Framatome ( Framatomeは、2017年12月31日から連結に含まれている。Framatomeの2018年の純利益の総額は、連結範囲の
変更の影響に含まれている。 )
226/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
FramatomeのEBITDAは、EDFグループのその他の事業体とともに実現されたマージンを含めて465百万ユーロであった。
Framatomeの2018年のグループEBITDAに対する貢献は、202百万ユーロであった。
Framatomeは、2018年において重要な業績を残し、燃料事業で好調な活動水準を記録したが、特に米国における設置基盤活動
がわずかに停滞した。
FramatomeのEBITDAは、期待に沿った営業コストおよび構造的なコストの削減計画の実施により支えられている。2018年の
EBITDAには、Framatomeの購入価格の配分の関係で実施された棚卸資産の再評価に関連する42百万ユーロの経常外費用が含まれ
ている。
( f) 英国
英国における2018年のグループEBITDAに対する貢献は、2017年から本業において15.4%減少して、783百万ユーロとなった。
英国のEBITDAは、原子力発電量の減少および市場が上昇し、原子力発電所の稼働率が減少したために行われた購入に一部起
因する原子力発電の正味実現可能価額の下落による影響を受けた。2018年の原子力発電量は、2017年から4.8TWh減少して、合
計59.1TWhとなった。かかる減少は、主にハンターストンBの調査およびダンジェネスBの供給停止の延長に起因する。
競争が激しい環境において顧客ポートフォリオが前年同期比で4.2%減少したものの、供給業務は、住宅用料金の引上げによ
る恩恵を受けた。
( g) イタリア
イタリアにおける2018年のグループEBITDAに対する貢献は、2017年と比較して12.7%の本業のマイナス成長となり、791百万
ユーロであった。
イタリアの2017年のEBITDAは、Edisonのミラノ本社の売却による約100百万ユーロの利益による恩恵を受けた。かかる経常外
項目の消去後、EBITDAはほぼ横ばいとなった。
電力事業のEBITDAは、主に水力発電および電力システム・サービスの好調なパフォーマンスにより増加した。しかし、風力
発電量は、価格のマイナス影響を反映して減少した。主に企業用顧客に関連する供給業務は、より競争が激しい市場において
マージンが減少したにもかかわらず成長した。
ガス事業のEBITDAは、主に長期契約のマージンに対して影響を及ぼした価格の不利な影響のため減少した。
探鉱および生産事業は、ブレント石油価格が上昇したことおよびアルジェリアにおいて新たな領域が稼働を開始したことに
よる価格および発電量の有利な影響の恩恵を受けた。
( h) その他国外
2018年におけるその他国外セグメントのEBITDAは、2017年と比較して14百万ユーロ(-3.1%)の本業のマイナス成長とな
り、240百万ユーロであった。
ベルギーにおけるEBITDAは、8百万ユーロ(-5.5%)の本業のマイナス成長となった。一部EDF Luminusが所有し、Engieが
運営する原子炉4基の供給停止の延長により、2018年のEBITDAは推定76百万ユーロ減少した。火力発電によりかかる影響は一
部相殺され、再生可能エネルギーの生産は、2018年12月31日現在合計440MWであった風力発電の設備容量の増加(2017年と比較
して17%増加)による恩恵を受けた。供給業務は、依然として競争の激しい環境が特徴的であるが、サービス業務の成長によ
る恩恵を受けている。
また、ブラジルにおけるEBITDAは、主として送電網に関する作業によるガス供給の一時停止およびEDF Norte-Fluminenseの発
電所における重要な点検のために行われた2018年の計画的な供給停止により、本業のマイナス成長(-46百万ユーロ)となっ
た。かかる事象により、市場価格が上昇する中、電力購入契約(PPA)を補填するために電力市場での大きな購入が必要となっ
た。
( i) その他事業
その他事業による2018年のグループEBITDAに対する貢献は、2017年から333百万ユーロ(+62.1%)の本業の成長となり、
858百万ユーロであった。
EDF Tradingの2018年のEBITDAは、2017年から263百万ユーロ(+73.5%)の本業の成長となり、633百万ユーロであった。か
かる増加は、売上高に関する記述で記載されている取引マージンが、市場の高いボラティリティにより上昇したことに伴うも
のである(「第3 3(3)④(ⅰ)(ロ)(i)その他事業」を参照。)。
また、その他事業のEBITDAは、2015年に開始した不動産売却計画の最終取引から生じた著しい資産譲渡益による恩恵を受け
た。
( ⅲ) 営業利益(EBIT)
227/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
EBITは2017年から6.3%減少した。
( 単位:百万ユーロ) 2018年 2017年 変動 変動率(%)
EBITDA 15,265 13,742 1,523 +11.1
トレーディング業務以外のエネルギーおよび
△224 △355 131 -36.9
コモディティ・デリバティブの公正価値の純変動額
減価償却費および償却費 (純額)
△9,006 △8,537 △469 +5.5
委譲運営有形固定資産更新引当金の純増加額 △50 △58 8 -13.8
(減損)/戻入 △598 △518 △80 +15.4
その他の収益および費用 △105 1,363 △1,468 -107.7
EBIT 5,282 5,637 △355 -6.3
2018年における当グループの連結EBITは、2017年から355百万ユーロ減少し、5,282百万ユーロとなった。かかる減少は、
EBITDAが増加したにもかかわらず、主に2017年中のCTEの49.9%の売却(2018年にはこれに匹敵するものがなかった。)ならび
に減価償却費および償却費(純額)の増加に起因する。
( イ) トレーディング業務以外のエネルギーおよびコモディティ・デリバティブの公正価値の純変動額
トレーディング業務以外のエネルギーおよびコモディティ・デリバティブの公正価値の純変動額は、2017年においては-355
百万ユーロであり、2018年においては-224百万ユーロとなった。
イタリアでは、かかる変動は、ここ数年の長期ガス契約の再交渉に起因するものであり、これによりボラティリティの影響
が軽減された。
( ロ) 減価償却費および償却費(純額)
減価償却費および償却費(純額)は、2017年と比較して469百万ユーロ増加した。
フランス-発電と供給業務セグメントでは、減価償却費および償却費(純額)が169百万ユーロ増加し、これは主に原子力発
電所のうちの新たに稼働開始した発電所に関連する容量効果に起因する。かかる増加は、燃料油火力発電所の閉鎖の影響によ
り、一部相殺された。
フランス-規制業務セグメントでは、減価償却費および償却費(純額)が145百万ユーロ増加し、これは主にLinky( Linkyと
は、フランス・エネルギー法に定義されるEDFの独立子会社であるEnedisによるプロジェクトである。 )プロジェクトの設置な
らびに接続および電力網の強化に対する投資に起因する。
( ハ) 委譲運営有形固定資産更新引当金の純増加額
2017年と比較した2018年の委譲運営有形固定資産更新引当金の純増加額における8百万ユーロの減少は、フランス-規制業
務セグメントに起因している。
( ニ) 減損/戻入
2018年の減損は、598百万ユーロとなった(2018年度の連結財務書類の注記13を参照。)。
2017年の減損は、518百万ユーロであった。
( ホ) その他の収益および費用
2018年のその他の収益および費用は、-105百万ユーロとなった(詳細については、2018年度の連結財務書類の注記14を参
照。)。
2017年のその他の収益および費用は、+1,363百万ユーロであり、主にCTEにおける当グループの投資の49.9%の売却による
1,462百万ユーロの利益からなる。
( ⅳ) 金融損益
(1)
2017年
( 単位:百万ユーロ) 2018年 変動 変動率(%)
総金融負債に係る費用 △1,716 △1,778 62 -3.5
割引の影響 △3,486 △2,959 △527 +17.8
その他の金融収益および費用 393 2,501 △2,108 -84.3
228/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
金融損益 △4,809 △2,236 △2,573 +115.1
(1) IFRS第9号により認められた単純化したアプローチに従い、2018年1月1日以降のIFRS第9号の初度適用に関しては再表
示されていない。
2018年の金融損益は、2017年から2,573百万ユーロ増加して、4,809百万ユーロの金融費用となった。これは主に以下に起因
する。
・総金融負債に係る費用は62百万ユーロ減少した。当年度における社債の償還に伴う金融費用の減少は、2018年における社債
の発行に係る費用および2017年10月における発行の通期影響を補って余りあるものとなった。
・主として2018年12月31日現在のフランスにおける原子力引当金の算定に適用される実質割引率(実質割引率-0.2%)が、
2017年から2018年にかけて、前年度(実質割引率-0.1%)よりも大きく低下したため、割引の影響は527百万ユーロの不利
な変動となった。2018年12月31日現在の割引率は3.9%であった(平均インフレ率1.5%を含む。)(2017年12月31日時点で
はそれぞれ4.1%および1.5%、2016年12月31日時点ではそれぞれ4.2%および1.5%)。
・主として専用資産に関連する影響(特に成長性資産(株式および株式ファンド)によるパフォーマンスによる影響)によ
り、その他の金融収益および費用は2,108百万ユーロ減少し、2017年は+12.7%であったのに対して、2018年は市場が不利に
推移したことを反映して-7.0%となり、全体として以下の影響を及ぼした。
-IFRS第9号の適用後の2018年の債券および株式の公正価値の純変動額(ヘッジ後)は、-989百万ユーロとなった。
-2018年のEDFの専用資産の売却からの利益の純増加は、-12百万ユーロとなった(IFRS第9号の適用前の2017年は+985百
万ユーロ)。
( ⅴ) 法人所得税
2018年の法人所得税は、+149百万ユーロとなり、これは-31.5%の実効税率に相当する(2017年は-147百万ユーロであ
り、これは+4.3%の実効税率に相当していた。)。かかる変動は、主として連結会社の税引前利益の減少および経常外項目を
反映したものである。
上記の経常外項目を除外すると、2018年の当期税金に係る実効税率は+25.7%(2017年は+18.1%)となった。当グループ
の2017年から2018年にかけての当期税金に係る実効税率の上昇は、主として、2017年には引き下げられた税率に基づく売却に
よる好影響があったのに対して、2018年にはこれに匹敵するものがなかったことによるものである。
( ⅵ) 関連会社およびジョイント・ベンチャーの純利益に対する持分
当グループの関連会社およびジョイント・ベンチャーの純利益に対する持分は、2017年は35百万ユーロであったのに対し、
2018年は569百万ユーロであった。
かかる+534百万ユーロの変動は、主として、2017年にCTEの純利益が増加し、またCENGの資産に関して491百万ユーロの減損
が計上されたのに対して、2018年にはこれに匹敵するものがなかったことにより説明される。
2018年における関連会社の純利益に対する持分には、合計39百万ユーロの減損が含まれている。かかる減損に関する詳細
は、2018年度の連結財務書類の注記23「関連会社および共同支配企業に対する投資」に記載されている。
( ⅶ) 非支配持分に帰属する純利益
非支配持分に帰属する純利益は、2017年から102百万ユーロ減少し、2018年においては14百万ユーロとなった。かかる減少
は、主に、2017年のEDF Polskaの資産の売却、ならびに原子力発電量および原子力の実現価格の両方の下落によって英国におけ
るCentricaの原子力発電からの利益が減少したことにより説明される。
( ⅷ) EDF の純利益
EDFの純利益は、特に2017年にはCTEの売却益が生じたのに対して2018年にはこれに匹敵するものがなかったこと、および金
融市場における市況が悪化し財務実績に重大な影響を及ぼしたことにより、2017年から1,996百万ユーロ(-62.9%)減少し、
2018年は合計1,177百万ユーロであった。
( ⅸ) 経常外項目を除く純利益
*
当グループの経常外項目を除く純利益 は、2017年には金融資産において大きな収益が生じたのに対して、2018年にはこれに
匹敵するものがなかったことにより、2017年から13.1%減少して、2018年においては2,452百万ユーロであった。
* 経常外項目ならびにトレーディング業務以外のエネルギーおよびコモディティ・デリバティブの公正価値の純変動額なら
びに債券および株式の公正価値の純変動額(税引後)を除く当グループの純利益。
229/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
税引後の経常外項目ならびにトレーディング業務以外のエネルギーおよびコモディティ・デリバティブの公正価値の純変
動額ならびに債券および株式の公正価値の純変動額の金額は、 以下のとおりである。
・その他リスクおよび減損は、2017年の+617百万ユーロと比較して、2018年は-385百万ユーロであった。
・税引後のトレーディング業務以外のエネルギーおよびコモディティ・デリバティブの公正価値の純変動額は、2017年の
-264百万ユーロと比較して、2018年は-145百万ユーロであった。
・2018年の債券および株式の公正価値の純変動額は-745百万ユーロであった(IFRS第9号)。
⑤ キャッシュ・フローおよび純負債額
( ⅰ) キャッシュ・フロー
( 単位:百万ユーロ) 2018 年 2017 年 変動 変動率(%)
営業活動によるキャッシュ・フロー ( 純額)
13,364 11,663 1,071 +14.6
投資活動によるキャッシュ・フロー ( 純額)
△17,165 △11,713 △5,452 +46.5
財務活動によるキャッシュ・フロー ( 純額)
3,530 712 2,818 n.a.
現金および現金同等物の純増加/(減少)額 △271 662 △933 n.a.
現金および現金同等物の期首残高 3,692 2,893 799 +27.6
現金および現金同等物の純増加/(減少)額 △271 662 △933 n.a.
為替変動の影響 △95 △13 △82 n.a.
現金および現金同等物に係る金融収益 13 21 △8 -38.1
組替の影響 △49 129 △178 n.a.
現金および現金同等物の期末残高 3,290 3,692 △401 -10.9
n.a. =該当事項なし。
( イ) 営業活動によるキャッシュ・フロー(純額)
( 単位:百万ユーロ) 2018 年 2017 年 変動 変動率(%)
連結会社の税引前利益 473 3,401 △2,928 -86.1
( 減損)/戻入 598 518 80 +15.4
減価償却費および償却費、引当金繰入額ならびに
13,180 9,980 3,200 +32.1
公正価値の変動
金融収益および費用 729 764 △35 -4.6
関連会社およびジョイント・ベンチャーからの
387 243 144 +59.3
受取配当金
資産譲渡損益 △1,014 △2,739 1,725 -63.0
運転資本の変動 462 1,476 △1,014 -68.7
営業によるキャッシュ・フロー ( 純額)
14,815 13,643 1,172 +8.6
金融費用支出 ( 純額)
△1,062 △1,209 147 -12.2
法人所得税支払額 △389 △771 382 -49.5
営業活動によるキャッシュ・フロー ( 純額)
13,364 11,663 1,701 +14.6
2018年、営業活動によるキャッシュ・フロー(純額)は、2017年から1,701百万ユーロ増加して、13,364百万ユーロとなっ
た。
かかる変動は以下の結果として生じた営業によるキャッシュ・フロー(純額)における1,172百万ユーロの増加を含んでい
る。
・減損、減価償却費、引当金繰入額および公正価値の変動に係る調整後の連結会社の税引前利益における変動(2017年の
13,899百万ユーロから352百万ユーロ増加し、2018年は合計14,251百万ユーロ)。
・運転資本の変動率の減少(2017年と比較して-1,041百万ユーロ)。
・資産譲渡益の減少(2017年と比較して+1,725百万ユーロ。基本的には、2017年におけるCTEの49.9%の売却(1,462百万ユー
ロ)を反映している。)。
230/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( ロ) 投資活動によるキャッシュ・フロー(純額)
2018年、投資活動によるキャッシュ・フロー(純額)は、2017年の11,713百万ユーロと比較して、17,165百万ユーロとなっ
た。以下の表は、有形固定資産および無形資産の取得および売却、企業の取得および売却(取得/譲渡現金控除後)ならびに
金融資産の増減に基づく、投資活動によるキャッシュ・フロー(純額)の概要を示している。
( 単位:百万ユーロ) 2018 年 2017 年 変動 変動率(%)
無形資産および有形固定資産への投資 △16,186 △14,747 △1,439 +9.8
無形資産および有形固定資産の売却による
611 1,140 △529 -46.4
収入 ( 純額)
資本支出 ( 純額)
△15,575 △13,607 △1,968 +14.5
持分投資の取得、取得現金控除後 △484 △2,463 1,979 -80.3
持分投資の処分、譲渡現金控除後 1,261 2,472 △1,211 -49.0
金融資産の変動 △2,367 1,885 △4,252 n.a.
投資活動によるキャッシュ・フロー
△17,165 △11,713 △5,452 +46.5
( 純額)
n.a. =該当事項なし。
資本支出(純額)
2018年、資本支出(純額)は、2017年より1,968百万ユーロ(+14.5%)増加して、15,575百万ユーロとなった。
同期間中における当グループの資本支出(純額)の推移は、以下のとおりである。
( 単位:百万ユーロ) 2018 年 2017 年 変動 変動率(%)
フランス-発電と供給業務 5,507 5,822 △315 -5.4
フランス-規制業務 4,308 3,995 313 +7.8
EDF Renewables
1,898 756 1,142 n.a.
Dalkia 385 352 33 +9.4
Framatome 261 - 261 n.a.
英国 2,938 2,385 553 +23.2
イタリア 407 182 225 n.a.
その他国外 199 309 △110 -35.6
その他事業 △328 △194 △134 +69.1
資本支出(純額) 15,575 13,607 1,968 +14.5
n.a. =該当事項なし。
資本支出は純投資の要素のうちの1つであり、その詳細は「第3 3(3)⑤(ⅱ)純負債額」に記載される。
持分投資の取得/処分、(取得/譲渡)現金控除後
2018年においては、新規投資(取得現金控除後)は、2017年から1,979百万ユーロ減少し、484百万ユーロとなった。この減
少は、主に2017年におけるFramatomeの75.5%の取得(1,868百万ユーロ)によるものである。
2018年においては、投資の処分(譲渡現金控除後)は、1,211百万ユーロ減少し、1,261百万ユーロとなった。この変動は、
主に2017年におけるCTEの49.9%の売却(1,282百万ユーロ)を反映している。
金融資産の変動
2018年における金融資産の変動は、2,367百万ユーロの減少であり、これは主に流動資産(専用資産を除く。)の売却に対応
するものである。
2017年における金融資産の変動は、1,885百万ユーロの増加であり、これは主に流動資産(専用資産を除く。)の売却に対応
するものである。
( ハ) 財務活動によるキャッシュ・フロー(純額)
2018年 2017年 変動 変動率(%)
( 単位:百万ユーロ)
EDFの増資 - 4,005 △4,005 -
231/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
(1)
非支配株主との取引
1,548 481 1,067 n.a.
親会社の支払配当金 △511 △109 △402 n.a.
非支配株主に対する支払配当金 △183 △183 - -
自己株式の買入/売却 △3 △6 3 -50.0
株主とのキャッシュ・フロー 851 4,188 △3,337 -79.7
借入債務の発行 5,711 2,901 2,810 +96.9
借入債務の返済 △2,844 △6,304 3,460 -54.9
永久劣後債の発行 1,243 - 1,243 n.a.
永久劣後債の償還 △1,329 - △1,329 n.a.
永久劣後債の持参人に対する支払額 △584 △565 △19 +3.4
委譲運営資産に対する受取拠出金 131 144 △13 -9.0
投資補助金 351 348 3 +0.9
財務活動によるその他のキャッシュ・フロー 2,679 △3,476 6,155 n.a.
財務活動によるキャッシュ・フロー ( 純額)
3,530 712 2,818 n.a.
(1) 被支配会社の増資および減資ならびに持分の追加取得によるものである。
n.a. =該当事項なし。
2018年、財務活動に関連するキャッシュ・フローは、2017年から2,818百万ユーロ増加して、3,530百万ユーロに及ぶ純イン
フローをもたらした。かかる変動は、主に以下によるものである。
・2018年9月19日における合計3.75十億米ドルの3本の優先債および9月25日における1十億ユーロの1本の社債の発行。
・非支配株主との取引における1,067百万ユーロの増加。2018年における当該取引には、Dalmore Capital Limitedおよび
Pensions Infrastructure Platformに対する英国の風力発電所24か所(約550MW)の持分49%の売却による受取金701百万英
ポンド、ならびにヒンクリー・ポイントCの増資におけるCGNの出資金に対応する743百万ユーロが含まれる。2017年におけ
る非支配株主との取引には、ヒンクリー・ポイントCの増資におけるCGNの出資金501百万ユーロが含まれていた。
・2017年のEDFの増資による4,005百万ユーロ。
( ⅱ) 純負債額
純負債額は、現金および現金同等物ならびに流動性の高い資産を控除した後の借入金ならびに金融負債の合計からなる。流
動性の高い資産とは、当初の満期が3か月超で、容易に換金でき、流動性重視の方針に従って運用されるファンドまたは証券
からなる金融資産である。
当グループの純負債額は、2017年12月31日現在は33,015百万ユーロであったのに対し、2018年12月31日現在は、33,388百万
ユーロであった。
232/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2018年 2017年 変動 変動率(%)
( 単位:百万ユーロ)
減価償却費および償却費控除前営業利益
15,265 13,742 1,523 +11.1
(EBITDA)
EBITDAに含まれる非貨幣項目の消去 △1,253 △1,796
金融費用支出 (純額)
△1,062 △1,209
法人所得税支払額 △389 △771
その他の項目 (関連会社およびジョイント・
383 221
ベンチャーからの受取配当金を含む。)
(1)
営業キャッシュ・フロー
12,944 10,187 2,757 +27.1
運転資本の変動 462 1,476
(2)
純投資
△12,107 △9,810
純投資後のキャッシュ・フロー 1,299 1,853
専用資産 △501 △1,171
(3)
配当前キャッシュ・フロー
798 682
現金支払配当金 △1,278 △891
当グループのキャッシュ・フロー △480 △209
その他貨幣的変動 △111 3,855
純負債額の(増加)/減少 (為替レート
△591 3,646
変動による影響を除く。)
為替レート変動による影響 97 701
その他非貨幣的変動による影響 121 63
純負債額の(増加)/減少 △373 4,410
期首における純負債額 33,015 37,425
期末における純負債額 33,388 33,015
(1) 営業キャッシュ・フローはIFRSに定義された財務成績を測定するための総額ではなく、また、他社により同名で発表され
る指標とは直接比較できないものである。営業活動による資金(FFO)とも認識されているかかる指標は、金融費用支出
(純額)および法人所得税支払額を控除後の、経常外効果の影響と関連する調整をした運転資本の変動を除く営業活動に
よるキャッシュ・フロー(純額)に相当する。
(2) 純投資は、成長のための営業投資および金融投資の純処分額である。また、純投資には、証券の取得時または処分時に取
得もしくは譲渡された純負債、投資補助金受取額、非グループパートナー投資、Linky、新たな開発および当グループの
資産売却計画も含まれる。
(3) 配当前キャッシュ・フローは、IFRSに定義された財務成績を測定するための総額ではなく、また他社により同名で発表さ
れる指標と比較できるものではない。この値は、運転資本の変動、注記(2)で定義される純投資および専用資産への純割
当額を控除した後の注記(1)で定義される営業キャッシュ・フローに等しい。
( イ) 営業キャッシュ・フロー
2018年の営業キャッシュ・フローは、2017年の10,187百万ユーロと比較して2,757百万ユーロ増加して(+27.1%)、12,944
百万ユーロとなった。
かかる変動は、主に以下を反映したものである。
・EBITDAの増加(+1,523百万ユーロ)。
・主としてフランスにおける当グループの課税所得が減少したことに起因する法人所得税の減少(2017年の-771百万ユーロに
対し、2018年は-389百万ユーロ)。
( ロ) 運転資本の変動
2018年中、運転資本は462百万ユーロ改善した。
かかる変動は、主として以下により説明される。
・主として棚卸資産および営業債権に係る運転資本改善計画により生じる増加(+242百万ユーロ)。
・主として市場価格の上昇(購入義務に係る費用は減少)による超過補償に起因する、CSPEに関連する好影響(+258百万ユー
ロ)。
2017年から2018年の間の運転資本の変動の差異(-1,014百万ユーロ)は、主として以下の事項により説明される。
・2017年は最適化取引業務に関してマージン・コールを受領したのに対して、2018年には約-700百万ユーロの支払いとなった
こと。
233/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・供給量証書を高値で購入したこと(-201百万ユーロ)。
( ハ) 純投資
純投資は、2017年の9,810百万ユーロから2,297百万ユーロ増加して(+23.4%)、2018年は12,107百万ユーロとなった。か
かる詳細は以下のとおりである。
( 単位:百万ユーロ) 2018年 2017年 変動 変動率(%)
フランス-発電と供給業務 5,275 5,849 △574 -9.8
フランス-規制業務 3,345 3,212 133 +4.1
EDF Renewables
458 701 △243 -34.7
Dalkia 293 339 △46 -13.6
Framatome 261 - 261 n.a.
英国 568 643 △75 -11.7
イタリア 438 511 △73 -14.3
その他国外 252 553 △301 -54.4
その他事業 45 160 △115 -71.9
Linky 、新たな開発および
10,935 11,968 △ 1,033 -8.6
当グループの資産売却計画を除く純投資
Linky 、新たな開発および
1,172 △ 2,158 3,330 n.a.
当グループの資産売却計画
純投資 12,107 9,810 2,297 +23.4
n.a. =該当事項なし。
( a) Linky 、新たな開発および当グループの資産売却計画を除く純投資
フランス-発電と供給業務セグメントによる純投資は、574百万ユーロ、すなわち9.8%減少した。かかる変動は、主に2017
年におけるブシャン火力発電所への投資および2018年における非常用ディーゼル発電機にかかる費用が2017年に比べて減少し
たことに起因する。また、当グループが、供給業者であるFramatomeを買収したことも、純投資の減少に寄与した。
フランス-規制業務セグメントによる純投資は、133百万ユーロ(+4.1%)増加した。これは、主に住宅用顧客向けの接続
数の増加および規制上の義務の増加に起因する。
EDF Renewablesによる純投資は、243百万ユーロ(-34.7%)減少した。これは主に、2017年から2018年にかけてのストラク
チャード・アセットの売却(特に英国における風力発電所の売却)の大幅な増加によるものであるが、2018年におけるスコッ
トランドの「Neart na Gaoithe1」洋上風力発電所の開発権の取得により一部相殺された。
英国において、75百万ユーロ(-11.7%)の減少は、特に石炭火力発電所への投資の減少ならびにスマート・メーターおよ
び(程度は低いが)再生可能エネルギーに対する投資ペースが鈍化したことによって説明される。
イタリアにおいて、純投資は、73百万ユーロ減少した。これは、主として探鉱および生産事業に対する投資の減少によるも
のであった。
その他国外セグメントにおいて、純投資は、301百万ユーロ(-54.4%)減少した。これは、2018年12月に商業運転を開始し
た中国の台山原子力発電所におけるEPR建設に係る支出の減少、ブラジルのSINOPプロジェクトに対する投資ペースの鈍化、お
よび2017年におけるポーランドの事業体の売却によって説明される。
その他事業セグメントにおいて、純投資は、115百万ユーロ減少した。かかる減少は、特に2018年におけるDunkerque LNG売
却により同社による投資が減少したこと、および近年の不動産資産売却によるものである。
( b) Linky 、新たな開発および当グループの資産売却計画
2017年以降強化されたLinkyプログラムへの投資は、2018年においては792百万ユーロに上った。
新たな開発は、直ちにEBITDAが生じない当グループの大型開発プロジェクトおよび大型取得に対応している。2018年におけ
るこれらの新たな開発は、主として総額1,646百万ユーロの英国の新規原子力発電所への投資(ヒンクリー・ポイントCプロ
ジェクトにおける進捗)、総額402百万ユーロのEdisonによる取得(主にEdison Énergie( 旧Gas Natural Vendita Italia )お
よびZephyro)ならびに(程度は低いが)フランスにおける洋上風力発電所プロジェクトに関連するものであった。
資産の売却は、特にEDFによるDunkerque LNGに対する持分の売却に関連するものであり、これにより純負債額が1,468百万
ユーロ減少した。
( ニ) 専用資産
234/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
放射性物質および放射性廃棄物の持続可能な管理に関する2006年6月28日付フランス法第2006-739号に準拠して、EDFは、そ
の長期原子力債務に対応する資金調達を確実に行うため、専用資産のポートフォリオを作成し、その額は2018年12月31日現在
合 計26,232百万ユーロとなった。
専用資産の変動は、全体的に以下の項目からなる。
・債務を完全に填補するための配分。
・これらの資産から生じた金融収益(配当および利息)の再投資。
・2006年6月28日付法律の適用範囲内である長期原子力債務の履行期間において発生した費用に対応する資産からの引出し。
・ポートフォリオの価値が、賄われるべき責任の額を超過した際に、専用資産を管理するガバナンス機関へ提案された、例外
的な引出し(かかる引出しは、その組織により認可されなければならない。)。
2018年における-501百万ユーロの専用資産の純変動は、上記の最初の3項目に対応している。
( ホ) 配当前キャッシュ・フロー
2018年の配当前キャッシュ・フローは798百万ユーロ(2017年は682百万ユーロ)となった。これは主に以下の要因により説
明される。
・12,944百万ユーロの営業キャッシュ・フロー。
・-12,107百万ユーロの純投資。
・専用資産への-501百万ユーロの純割当額。
・運転資本における462百万ユーロのプラスの変動。
2017年からの116百万ユーロの変動は、営業キャッシュ・フローおよび専用資産における変動がプラスとなったことに主に起
因する。しかしながら、これらの変動は、純投資における2,297百万ユーロの増加および運転資本におけるより小幅な改善(-
1,014百万ユーロ)により一部相殺された。
( ヘ) 現金支払配当金
2018年の現金支払配当金(-1,278百万ユーロ)は、以下により構成される。
・2017年の配当金残高(-60百万ユーロ)。これは、ほとんどが株式の形式で支払われた。
・2018年の中間配当(-451百万ユーロ)。これは、取締役会により2018年11月6日に決定され、2018年12月10日に1株当たり
0.15ユーロで支払われた。
・2013年1月および2014年1月に行われた「ハイブリッド」債の発行のための永久劣後債の持参人に対する2018年の支払い
(-584百万ユーロ)。
・当グループの子会社による少数株主に対する支払配当金(-183百万ユーロ)。
( ト) 当グループのキャッシュ・フロー
当グループのキャッシュ・フローは、2017年の-209百万ユーロに対して-480百万ユーロとなった。
235/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( チ) 為替レートの変動による影響
2018年12月31日現在、外国為替の影響は、+97百万ユーロの好影響を当グループの純負債額に与えた。
( リ) その他貨幣的変動
その他貨幣的変動は、主に2017年にはEDF SAの増資が行われたのに対して、2018年にはこれに匹敵するものがなかったこと
に伴い、2018年12月31日現在の当グループの純負債額に対して-3,966百万ユーロの不利な影響を与えた。
⑥ 市場リスクの管理および統制
( ⅰ) 金融リスクの管理および統制
本項では、戦略的財務管理フレームワークにおいて規定されている当グループの金融リスク(流動性リスク、金利リスク、
為替リスクおよび株式リスク)の管理に関する方針および指針ならびにEDFグループによって導入された当グループのカウン
ターパーティー・リスク管理方針について記載している。これらの指針はEDFおよび事業上の被支配子会社またはEnedisのよう
な法律によって独立経営の特別保証を受けていない子会社にのみ適用される。IFRS第7号に従い、以下の段落は、感応度およ
び信用(カウンターパーティー)リスクの分析に基づいた、金融商品から生じるリスクの性質について記載している。
2002年以降、専門組織である、金融リスク管理・投資部門( département Contrôle des Risques Financiers et
Investissements または CRFI )は、主として戦略的財務管理フレームワーク(2015年7月)の指針の適切な適用を期することに
よって当グループ・レベルで金融リスク管理を担当している。この部門は、2008年以降、当グループのリスク部門に報告を
行っている独立したユニットであり、EDFの事業体および運営上の支配の及ぶグループ子会社(Enedisを除く。)の契約相手方
の債務不履行リスクの二次チェック(手順面および組織面)ならびにEDF SAの金融取引担当部署の資金調達活動の一次チェッ
クを行うという職務も担っている。またCRFI部門は、専用資産ポートフォリオに関する運用活動の二次チェックも実施してい
る。
CRFI部門は、EDF SAの金融取引担当部署の活動に関連するリスク指標に関して日次および週刊の監視報告書を公表してい
る。
管理が実際に実施されていること、また、その効果性を徹底するため、定期的な内部監査が行われている。
( イ) 流動性ポジションおよび流動性リスクの管理
( a) 流動性ポジション
2018年12月31日現在、流動性の高い資産、現金および現金同等物により構成される当グループの流動資産は総額23,828百万
ユーロとなり、利用可能な与信枠は11,393百万ユーロであった。
2019年において予定されている当グループの債務返済額(元本および利息)は、社債(ハイブリッド債を除く。)に係る
5,583百万ユーロも含めて、2018年12月31日現在、11,749百万ユーロとなる見込みである。
2018年12月31日現在、当グループの企業で、借入れについて債務不履行に陥っている企業はなかった。
( b) 流動性リスクの管理
2018年9月19日に、EDFは、3本の優先債によって、3.75十億米ドルを調達した。
・4.5%固定金利、10年満期の1.8十億米ドルの債券
・4.875%固定金利、20年満期の650百万米ドルの債券
・5.0%固定金利、30年満期の1.3十億米ドルの債券
さらにEDFは、2018年9月25日に、2%固定金利、12年満期の1十億ユーロの優先債を発行した。
これらの取引により、EDFグループは、EDFグループの貸借対照表の構成をさらに強化し、次回の金融債務のための資金を補
充することが可能となる。
当グループの借入債務の詳細については、2018年度の連結財務書類の注記38.2「借入金およびその他の金融負債」を参照。
当グループの総負債の平均満期は、2017年12月31日現在における13.7年に対し、2018年12月31日現在においては13.6年で
あった。EDF SAの平均満期は、2017年12月31日現在における14.3年に対し、2018年12月31日現在においては14.2年となった。
2018年12月31日現在、金融負債(利息の支払いを含む。)の残存満期は、IAS第39号に基づいた場合、下記のとおりとなる
(値は、2018年12月31日現在の為替レートおよび金利に基づく。)。
(1)
負債に
ヘッジ手段
2018年12月31日
対する
保証
金利スワップ 通貨スワップ
( 単位:百万ユーロ) 負債
2018年 11,749 △521 △140 138
236/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2019年から2022年 20,007 △1,855 △426 335
2023年以降 67,993 △3,020 △1,997 501
合計 99,749 △5,396 △2,563 974
債務返済 57,849
支払利息 41,900
(1) ヘッジ商品のデータは、資産および負債の両方を含む。
EDFグループは保守的な流動性管理によりその資金調達上の要請に対応することができ、満足のいく条件で資金調達を行うこ
とができている。
幅広い特有な手段が、当グループの流動性リスクを管理するために用いられている。
・被支配子会社の現金管理を集中化する当グループのキャッシュ・プーリング・システム。当グループの現金管理の最適化の
ため、また市場における資金調達条件と同等の条件が保証されるシステムを子会社に提供するため、子会社の現金残高は、
利息と引換えにEDF SAが利用できるようにされている。
・被支配子会社の資金調達を当グループの現金管理部門レベルで集中化。かかる部門は、子会社に供給するスタンドバイ・ク
レジット・ラインの形で、当グループからもリボルビング・クレジットを付与される可能性のある子会社の運転資本の変動
を供給している。EDF SAおよびNatixis Belgique Investissements銀行と共同で設立された投資子会社であるEDF
Investissements Groupe(EDF IG)も、EDFグループのフランス国外の事業に対してEDF SAおよびEDF IGが完全に単独で中期
的および長期的な融資を提供する。各企業は、アームズレングスの市場取引においてかかる子会社が設定されるであろう条
件と同等の条件を自らにも設定している。
・当グループが利用する資金調達源の積極的な管理および分散化。当グループは、フランスのコマーシャル・ペーパー
( billets de trésorerie )および米国のコマーシャル・ペーパーのためのプログラムを通じて、さまざまな市場において短
期資金を調達することができる。EDFの場合、これらのプログラムの上限は、フランスのコマーシャル・ペーパーについては
6十億ユーロ、そして米国のコマーシャル・ペーパーについては10十億米ドルである。
2018年12月31日現在、当グループの発行済みのフランスのコマーシャル・ペーパーは955百万ユーロで、米国のコマーシャ
ル・ペーパーについては1,193百万米ドルであった。EDFは、世界の主要な債券市場に参入している。ユーロ市場(特にユーロ
債および英ポンド債)については、現在上限が45十億ユーロのEMTNプログラムで参入しており、フランス国内市場では米ドル
建て(144A債券)、円建て(サムライ債)およびスイス・フラン建てのスタンドアロン発行で参入している。
以下の表は、2018年12月31日現在における当グループの主要な借入を記載している。
237/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
借入の種類
(1)
発行日
( 各通貨の単位:百万) 発行体 満期 額面金額 通貨 利率
債券 EDF 2009年1月 2019年1月 2,000 米ドル 6.50%
債券 EDF 2014年1月 2019年1月 1,250 米ドル 2.15%
債券 EDF 2010年1月 2020年1月 1,400 米ドル 4.60%
ユーロMTN EDF 2008年5月 2020年5月 1,200 ユーロ 5.38%
債券 EDF 2015年10月 2020年10月 1,500 米ドル 2.35%
ユーロMTN EDF 2009年1月 2021年1月 2,000 ユーロ 6.25%
ユーロMTN
EDF 2013年11月 2021年4月 1,400 ユーロ 2.25%
(グリーンボンド)
ユーロMTN EDF 2012年1月 2022年1月 2,000 ユーロ 3.88%
ユーロMTN EDF 2012年9月 2023年3月 2,000 ユーロ 2.75%
ユーロMTN EDF 2009年9月 2024年9月 2,500 ユーロ 4.63%
債券
EDF 2015年10月 2025年10月 1,250 米ドル 3.63%
(グリーンボンド)
ユーロMTN EDF 2010年11月 2025年11月 750 ユーロ 4.00%
ユーロMTN
EDF 2016年10月 2026年10月 1,750 ユーロ 1.00%
(グリーンボンド)
債券 EDF 2017年1月 2027年1月 107,900 日本円 1.09%
ユーロMTN EDF 2012年3月 2027年3月 1,000 ユーロ 4.13%
債券 EDF 2018年9月 2028年9月 1,800 米ドル 4.50%
ユーロMTN EDF 2010年4月 2030年4月 1,500 ユーロ 4.63%
ユーロMTN EDF 2018年10月 2030年10月 1,000 ユーロ 2.00%
ユーロMTN EDF 2001年7月 2031年7月 650 英ポンド 5.88%
ユーロMTN EDF 2003年2月 2033年2月 850 ユーロ 5.63%
ユーロMTN EDF 2009年6月 2034年6月 1,500 英ポンド 6.13%
ユーロMTN EDF 2016年10月 2036年10月 750 ユーロ 1.88%
650
債券 EDF 2018年9月 2038年9月 米ドル 4.88%
債券 EDF 2009年1月 2039年1月 1,750 米ドル 6.95%
ユーロMTN EDF 2010年11月 2040年11月 750 ユーロ 4.50%
ユーロMTN EDF 2011年10月 2041年10月 1,250 英ポンド 5.50%
債券 EDF 2014年1月 2044年1月 1,000 米ドル 4.88%
債券 EDF 2015年10月 2045年10月 1,500 米ドル 4.75%
債券 EDF 2015年10月 2045年10月 1,150 米ドル 4.95%
債券 EDF 2018年9月 2048年9月 1,300 米ドル 5.00%
ユーロMTN EDF 2010年9月 2050年9月 1,000 英ポンド 5.13%
ユーロMTN EDF 2016年10月 2056年10月 2,164 米ドル 4.99%
債券 EDF 2014年1月 2114年1月 1,350 英ポンド 6.00%
(1) 資金を受領した日。
2018年12月31日現在、EDFは、総額10,292百万ユーロの利用可能な与信枠(シンジケート・ローンおよび相対与信限度)を有
する。
・シンジケート与信枠は4十億ユーロであり、期限は2023年12月である。2018年12月31日現在、かかるシンジケート与信枠か
らの引出しは行われていない。
・相対与信枠は、利用可能額6,162百万ユーロに相当し、その期限は2023年9月までに延長された。利用可能与信枠のレベル
は、当グループが十分な予備の与信枠を確実に有することができるように、極めて頻繁に審査される。
238/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・European Investment Bankとの与信枠を通じた利用可能額は130百万ユーロである。2018年12月31日現在、200百万ユーロの
1つの与信枠から、70百万ユーロが引き出された。2018年12月31日現在、他の3つの与信枠につき、225百万ユーロ、500百
万ユーロおよび500百万ユーロが全額引き出された。
EDF Investissements Groupeは、400百万ユーロのシンジケート与信枠(2020年9月に期限を迎える。)を有している。2018
年12月31日現在、これらの与信枠からの引出しは行われていない。
Edisonは、European Investment Bankに268百万ユーロの与信枠(すべて引き出されている。)および複数の銀行に350百万
ユーロの与信枠(2018年12月31日現在、かかる与信枠から引出しは行われていない。)を有している。
( ロ) 格付
2018年12月31日現在、財務格付機関であるスタンダード・アンド・プアーズ、ムーディーズおよびフィッチ・レーティング
スは、EDFグループに以下の長期格付および短期格付を割り当てた。
会社 格付機関 長期格付 短期格付
(1)
A- ネガティブな見通し
スタンダード・アンド・プアーズ A-2
A3 安定した見通し
EDF ムーディーズ P-2
A- 安定した見通し
フィッチ・レーティングス F2
Baa2 安定した見通し
EDF Trading
ムーディーズ n.a.
(2)
BBB- ネガティブな見通し
EDF Energy
スタンダード・アンド・プアーズ A-3
(3)
BBB- 安定した見通し
スタンダード・アンド・プアーズ A-3
Edison
Baa3 安定した見通し
ムーディーズ n.a.
n.a. =該当事項なし。
(1) S&Pは、EDFの見通しを2017年11月20日に安定した見通しからネガティブな見通しに修正した。
(2) S&Pは、EDF Energy の見通しを2017年11月20日に安定した見通しからネガティブな見通しに修正した。
(3) S&Pは、2018年6月19日に、Edisonの長期格付をBB+からBBB-に、短期格付をBからA-3に修正した。
( ハ) 為替リスクの管理
当グループは、事業および事業地域の多様化により、貸借対照表項目、当グループの金融費用ならびに自己資本および純利
益に関係する換算差額に影響を与える可能性がある為替レートの変動リスクに晒されている。
当グループは、為替リスクに対するエクスポージャーを制限するために、以下の管理指針を導入した。
・現地通貨での資金調達:各事業体は、現地の金融市場の機能に照らして可能な限り、事業資金をその現地の機能通貨で調達
する。資金がその他の通貨で調達されるべく契約された場合、為替リスクを制限するためにデリバティブが使用される場合
がある。
・資産および負債のマッチング:当グループは、ユーロ圏外に所在する子会社の純資産により、為替リスクに晒される。連結
貸借対照表において、為替リスクは、金融デリバティブを用いた市場でのヘッジにより管理される。外国通貨建ての純資産
のヘッジはリスク/リターン指標に従うところ、ヘッジ比率は通貨によって異なり、プリンシパルエクスポージャーの31%
から72%の範囲にある。ヘッジ手段がない場合またはヘッジ費用が高額な場合、為替持高のオープン・ポジションに関する
リスクは、感応度分析により監視される。
・外国通貨建の営業キャッシュ・フローのヘッジ:一般的に、EDFおよびその子会社の営業キャッシュ・フローは、現地通貨建
てである。ただし、(主に米ドル建てで行われる)燃料購入に関するキャッシュ・フローおよびさほど多額ではない設備購
入に関する特定のキャッシュ・フローはこの限りではない。戦略的財務管理フレームワークにおいて規定される方針の下、
EDFおよび為替リスクの影響を受ける主要子会社(EDF Energy、EDF Trading、Edison、EDF Renewables)は、将来における
これらの営業キャッシュ・フローに関連して確実に生じるまたは高い可能性で生じるであろうコミットメントをヘッジする
ことが要求される。
資金調達および為替リスクのヘッジ方針の結果として、2018年12月31日現在の当グループの総負債の通貨別の内訳(ヘッジ
後)は、以下のとおりである。
239/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
総負債の通貨別構造(ヘッジ前およびヘッジ後)
ヘッジ手段の
2018年12月31日
影響を反映後の負債
(1)
ヘッジ手段の影響
当初の負債構造
( 単位:百万ユーロ)
構造 負債の割合(%)
ユーロ建て借入債務 26,783 21,438 48,221 81
米ドル建て借入債務 20,546 △17,564 2,982 5
英ポンド建て借入債務 9,250 △2,414 6,836 12
その他通貨建て借入債務 2,609 △1,460 1,149 2
負債合計 59,188 - 59,188 100
(1) 外国子会社の負債および純資産のヘッジ。
以下の表は、2018年12月31日現在、当グループの総負債における為替レートの変動が自己資本に対して与える影響を示して
いる。
当グループの総負債の為替リスク感応度
為替レートの 為替レートの
ユーロ換算された
2018年12月31日
ヘッジ後の負債 不利な変動10%の影響 不利な変動10%後の負債
( 単位:百万ユーロ)
ユーロ建て借入債務 48,221 - 48,221
米ドル建て借入債務 2,982 298 3,280
英ポンド建て借入債務 6,836 684 7,520
その他通貨建て借入債務 1,149 115 1,264
負債合計 59,188 1,097 60,285
当グループの総負債に対する為替リスクに係るヘッジ方針により、当グループの支配する会社の損益計算書は、為替リスク
にわずかに晒される。
以下の表は、当グループの子会社の外貨建て純資産に関する為替持高を示している。
純資産ポジション
(1)
2018年12月31日
純資産 社債 デリバティブ 管理後の純資産
( 各通貨の単位:百万)
米ドル 4,937 1,350 1,480 2,107
スイス・フラン
710 - 508 202
(スイス)
英ポンド (英国)
16,164 5,435 △356 11,085
チリ・ペソ
△6,663 - - △6,663
(チリ)
ポーランド・ズロチ
307 - 153 154
(ポーランド)
ブラジル・レアル
1,164 - - 1,164
(ブラジル)
人民元 (中国)
9,932 - - 9,932
(1) 2018年12月31日現在において計上された純資産。2018年12月31日現在において計上された社債およびデリバティブ。表示
された純資産ポジションからは、一定の重要ではないエクスポージャーが除外されている。
上記の表は、当グループの外国子会社の外貨建て資産であり、資本に計上されたキャッシュ・フロー・ヘッジ、債券および
株式の公正価値の変動額ならびに収益に計上された金融商品の公正価値の変動について調整されている。
以下の表は、2018年12月31日現在、当グループの主要子会社の外貨建て純資産において、資本に外国為替差損が生じるリス
クを示している。これは、ユーロに対する均一為替レートの変動が10%であるという不利な条件を仮定している。純資産は、
終値で換算され、その影響は絶対値で報告される。
240/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
純資産の為替リスク感応度
2018 年12月31日 2017 年12月31日
通貨別の 為替レート 通貨別の 為替レート
ユーロ換算 ユーロ換算
管理後の 変動10%の 管理後の 変動10%の
された管理後 された管理後
(各通貨の単位:百万)
純資産 の純資産 資本への影響 純資産 の純資産 資本への影響
米ドル 2,107 1,840 184 2,606 2,173 217
スイス・フラン (スイス)
202 179 18 245 209 21
英ポンド (英国)
11,085 12,392 1,239 9,153 10,316 1,032
チリ・ペソ
△6,663 △8 △1 1,135 2 -
(チリ)
ポーランド・ズロチ
154 36 ▶ 35 8 1
(ポーランド)
ブラジル・レアル
1,164 262 26 1,066 268 27
(ブラジル)
人民元 (中国)
9,932 1,261 126 10,028 1,285 129
売却可能有価証券に関する為替リスクは、主にEDFの専用資産ポートフォリオに集中している(「第3 3(3)⑥(ⅰ)
(ヘ)EDFの専用資産ポートフォリオに対する金融リスクの管理」を参照。)。
外貨建ての短期投資および営業負債に関する為替リスクは、2018年12月31日現在、当グループに依然として限定的なもので
あった。
( ニ) 金利リスクの管理
金利の変動に対する当グループの純負債額のエクスポージャーとして、2種類のリスクがある。1つは、変動金利金融資産
および負債の純金融費用が変動するリスクであり、もう1つは、固定金利で投資された金融資産の価値が変動するリスクであ
る。これらのリスクは、純負債額の変動金利部分の監督により管理され、金利の期待変動を考慮し、純金融支出に対するリス
ク/リターンを参照して定義される。
一部の負債は変動的であり、当グループは、ヘッジ目的で金利デリバティブを使用することができる。固定金利および変動
金利のエクスポージャーの分配は、測定される。
2018年12月31日現在、当グループの負債の内訳(ヘッジ手段の後)は、57.2%が固定金利で、42.8%が変動金利であった。
2018年12月31日現在、ヘッジされた変動金利の総負債を基準とすると、金利が年間一律1%上昇することにより、金融費用
が約253百万ユーロ増加する。
2018年末の当グループの負債の平均費用(残高の加重金利)は、2.87%であった。
以下の表は、2018年12月31日現在、当グループの負債構造および金利の1%変動の影響を示している。金利変動の影響は、
2017年から横ばいであった。
241/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
当グループの負債の構造および金利感応度
金利変動1%の
2018年12月31日 ヘッジ手段の
( 単位:百万ユーロ) 当初の負債構造 ヘッジ手段の影響 影響を反映後の負債構造 利益への影響
固定金利 55,810 △21,949 33,861 -
変動金利 3,378 21,949 25,327 253
合計 59,188 - 59,188 253
金融資産に関して、以下の表は、EDFが保有する変動金利債券および短期性預金の金利リスクならびに金利リスクへの感応度
(純利益への影響)を示している。
変動利付債券の金利リスク感応度
2018年12月31日
( 単位:百万ユーロ) 価値 金利変動1%の利益への影響 金利変動1%後の価値
変動利付債券 2,165 △22 2,143
当グループの金利リスクは、とりわけ当グループの長期的な原子力債務の価値(2018年度の連結財務書類の注記29を参
照。)ならびに当グループの年金およびその他の特定の従業員給付債務(2018年度の連結財務書類の注記31を参照。)に関連
し、様々な期間の金利に応じた割引率を使用して現在価値に調整され、専用資産の運用に関連して保有される債務証券がこれ
らの債務を補填するために確保される(「第3 3(3)⑥(ⅰ)(ヘ)EDFの専用資産ポートフォリオに対する金融リスクの管
理」を参照。)。
( ホ) 株式リスクの管理
株式リスクは、以下の分野に集中している。
EDF の原子力債務の補填
株式リスクの分析は、「第3 3(3)⑥(ⅰ)(ヘ)EDFの専用資産ポートフォリオに対する金融リスクの管理」に記載され
ている。
EDF SA、EDF EnergyおよびBritish Energyの従業員給付債務の補填
EDFの従業員給付債務に充てられた資産の一部は、国際株式市場および欧州株式市場において投資されている。したがって、
市場動向がこれらの資産の価値に影響を与え、株価が下落することにより、貸借対照表上の引当金が増加する。
2018年12月31日現在、EDFの従業員給付債務に充てられた資産の28%(3.1十億ユーロ分の株式)が、株式に投資された。
2018年12月31日現在、EDF Energyが設立した2つの年金ファンド(EDF Energy Pension SchemeおよびEDF Energy Group
Electricity Supply Pension Scheme)が、22.9%を上限として株式および8.1%を上限として株式ファンドに投資された。こ
れは、258百万英ポンド分の株式に相当する。
2018年12月31日現在、British Energyの年金ファンドは、8.1%を上限として株式および株式ファンドに投資された。これ
は、505百万英ポンド分の株式に相当する。
CENG ファンド
CENGは、原子力発電所の廃炉費用を補填するために設定されたファンドの管理において、株式のリスクに晒されている。
EDF の長期現金管理
EDFは、その長期現金管理方針の一環として、株式に相関性のある投資の割合を減少させる戦略を、引き続き行っており、そ
の結果、2018年12月31日現在、同投資の割合は、1百万ユーロを優に下回る重要ではないポジションとなった。
( ヘ) EDFの専用資産ポートフォリオに対する金融リスクの管理
EDFは、長期的な原子力債務の財源確保のため、1999年以来、漸次、専用資産を形成してきた。2006年6月28日付法律および
その施行規則により運転サイクルに関連しない引当金が定義され、したがって、かかる引当金は専用資産により賄われなけれ
ばならない(2018年度の連結財務書類の注記45「EDFの専用資産」に記載される。)。
242/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
かかる専用資産ポートフォリオについては、取締役会ならびにその助言委員会(原子力監視委員会および監査委員会)の監
視の下、運用されている。
原子力監視委員会(CSEN)は、2007年にEDFの取締役会により設立された専門委員会である。
原子力財務専門委員会(CEFEN)は、資産および負債のマッチングならびに資産運用に関する問題について、当社およびその
経営陣を補佐することを目的としている。この委員会の委員は、EDFからは独立した立場にある。かかる委員には、特に、資産
および負債の管理、金融経済研究および資産運用の分野において、技能と幅広い経験を有する人材が選定されている。
ガバナンスおよび管理原則
EDFの取締役会によりその正当性が立証されるガバナンスの指針は、専用資産に関する構造ならびに専用資産の運用に係る意
思決定および統制プロセスについて規定している。また、かかる方針は資産ポートフォリオの仕組み、財務管理者の選定なら
びにファンドの法制、会計制度および税制についての原則についても定めている。
戦略的資産配分は、長期原子力費用の資金調達に最も適しているターゲット・ポートフォリオを特定するために行われる資
産および負債の精査に基づいている。戦略的配分は、EDFの取締役会により承認され、必要がない限り、原則として3年ごとに
見直される。2018年度中、新規の戦略的配分が有効になった。対象の配分は収益性ポートフォリオ、成長性ポートフォリオお
よび確定利付ポートフォリオで構成され、それぞれポートフォリオ全体の30%、40%および30%を占めている。収益性ポート
フォリオは、不動産資産およびインフラ資産で構成され、成長性ポートフォリオは株式および株式ファンド(上場および非上
場)で構成され、確定利付ポートフォリオは債券、デット・ファンド(上場および非上場)、CSPE債権ならびに現金で構成さ
れている。これらのポートフォリオは、上場資産管理部門およびEDF Invest(2013年7月24日付命令に従い2013年に設立され
た。)により管理される。
ポートフォリオのうちの「現金」区分は、填補する資産の目的に関連する今後の支出の填補を確保するために存在し、特
に、保守的なアプローチを要する市場危機の際に戦略的に強化することができる。
2013年2月13日に、CSPE債権は専用資産へ配分された(2018年度の連結財務書類の注記45を参照。)。
成長性資産および確定利付資産の戦術的管理は、以下の複数の分野に焦点を当てている。
・成長性資産および確定利付資産の間で生じるエクスポージャーの監視。
・各サブポートフォリオ内における「二次資産区分」による割当て。
・多様化を目的とする投資ファンドの選定。
-種類別(成長株、非上場有価証券および利付債)
-資本別(主要株、中型株および小型株)
-投資プロセス別(マクロ経済および分野別アプローチならびに「株式数」ベースでの株式の選定等)
-投資媒体別(投資比率の上限に従う)
・債券については、選定された証券を直接保有、仲介業者を通じての保有または多様化を考慮した投資ファンドを通じての保
有。
-発行の種類別(確定利付債、インデックス型債券)
-証券の種類別(国債または国際機関債、担保付社債および類似の社債)
-発行者別および満期日別
成長性資産および確定利付資産の間の配分方針は、各々の市場および地域に関する経済および財政的な見通し、異なる市場
および市場セグメントにおける市場評価の見直し、ならびにCRFI部門により作成されたリスク分析に基づき、運用管理委員会
( 専用資産の運用に関して査定、協議および運用上の意思決定を行う常設の内部委員会 )により構築された。
EDF の専用資産ポートフォリオの内容および実績
ポートフォリオの内訳
2018 年12月31日 2017 年12月31日
収益性資産 19.3% 18.5%
成長性資産 36.5% 35.9%
確定利付資産 44.2% 45.6%
合計 100% 100%
2018年12月31日現在、ポートフォリオの価値の総額は、2017年の28,115百万ユーロと比較して、27,689百万ユーロとなっ
た。
243/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
また、金融ポートフォリオの内容については、2018年度の連結財務書類の注記45「EDFの専用資産」においても詳述されてい
る。
2007 年2月23日付命令第2007-243号の第4条の分類に基づくポートフォリオの内容
2018 年12月31日 2017 年12月31日
種類
(1) (1)
正味帳簿価額 正味帳簿価額
( 単位:百万ユーロ) 実現可能価額 実現可能価額
(2)
CTE (RTE の100%株式保有会社)
2,705 2,738 2,705 2,705
その他非上場証券 2,333 2,618 2,221 2,505
収益性資産 5,038 5,356 4,926 5,210
OECD 加盟国が発行した債券
9,370 9,844 8,372 9,942
以外にも投資を行うファンド
ヘッジ、預金および債権 20 45 - 30
その他非上場証券 198 219 132 127
成長性資産 9,588 10,108 8,504 10,099
OECD 加盟国の国債および
4,362 4,443 4,261 4,363
その類似債券
OECD 加盟国の企業(非政府)債 946 950 618 636
上記2つの項目に投資を行うファ
4,580 4,647 4,210 4,387
ンド
資金調達後のCSPE 2,060 2,080 3,294 3,349
その他非上場証券 114 105 74 71
確定利付資産 12,062 12,225 12,457 12,806
専用資産合計 26,688 27,689 25,887 28,115
(1) 親会社の財務書類における正味帳簿価額。
(2) 2018年および2017年においては、専用資産にはCoentreprise de Transport d’Électricité (CTE)の50.1%が含まれ
る。
下記の表は、2018年12月31日現在および2017年12月31日現在のポートフォリオによるパフォーマンスを示している。
EDF の専用資産ポートフォリオの実績
2018年12月31日 2018年の実績 2017年12月31日 2017年の実績
株式市場価額 株式市場価額
または または
( 単位:百万ユーロ) 実現可能価額 ポートフォリオ 実現可能価額 ポートフォリオ
収益性資産 5,356 7.0% 5,210 9.1%
成長性資産 10,108 -7.0% 10,099 12.7%
確定利付資産 12,225 -0.4% 12,806 1.4%
専用資産合計 27,689 -1.6% 28,115 6.6%
2007 年2月23日付命令第2007-243号の第4条の分類に基づくポートフォリオによるパフォーマンスの内訳
2018年12月31日 2018年の実績 2017年12月31日 2017年の実績
株式市場価額 株式市場価額
または または
( 単位:百万ユーロ) 実現可能価額 ポートフォリオ 実現可能価額 ポートフォリオ
CTE (RTE の100%株式保有会
2,738 7.0% 2,705 7.3%
(1)
社)
(2)
その他非上場証券
2,942 7.9% 2,703 11.2%
株式ファンド(デリバティ
9,889 -7.4% 9,972 12.9%
ブを含む)
債券および債券ファンド 10,010 -0.8% 9,282 2.1%
通貨基金 30 -0.3% 104 -0.1%
資金調達後のCSPE 2,080 0.4% 3,349 0.4%
244/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
専用資産合計 27,689 -1.6% 28,115 6.6%
(1) 2018年および2017年においては、専用資産にはCoentreprise de Transport d’Électricité (CTE)の50.1%が含まれ
る。
(2) EDF Invest(CTEを除く。)。
2018 年におけるポートフォリオの変動
2018年、金融市場には2つの局面があった。夏季の終わりまでは、特に最高記録を達成した米国市場の影響によりボラティ
リティは全体的に低く止まり、株式市場は安定的であった。年末には状況はより不安定になり、特に12月には大規模な再調整
がなされた。この再調整に伴い、ボラティリティは大幅に上昇した。信用取引市場も、2018年には記録的な水準に達し、2007
年以来で最もスプレッドが縮小したが、年末にかけて激化した緊張状態の影響を受けた。連邦準備制度(Fed)が段階的な利上
げ政策を継続したことにより、米国債における緊張状態が生じ、10年債利回りは3.25%に達したが、株式市場の低迷により
0.50%超低下した。欧州では、イタリアにおける利回りがイタリア予算を巡る緊張状態に強く反応し、10年債利回りは4月の
1.80%から10月の3.60%超にまで上昇したが、年末には2.70%まで下げ戻した。
EDFは、CSPE債権の一部の返済後に相当額の投資を行ったが、かかる不安定な状況において慎重な手法をとった。それでもな
お、EDF Investは、継続して、インフラ、不動産および投資ファンドの3つの資産クラスからなるポートフォリオを構築する
ことができた。
収益性資産については、2018年11月に、EDF Investが、容量合計310MWとなる131の陸上風力発電所を所有する、英国企業6
社(Bicker Fen、Fallago Rig、Fenland、Glass Moor II、Green Rigg、Rusholme)における少数株主持分をEDF Renewablesか
ら取得した。
2018年12月、Nam Theun Power Company(NTPC)におけるEDF Internationalの少数株主持分の一部が、EDF Investへ売却さ
れた。EDF Investは、残りの持分を2019年に取得する。NTPCは、ラオスで運営されている設備容量1,070MWの水力発電ダムであ
る。同ダムは、長期委託契約に基づき運営されている。EGAT(タイ王国発電公社)およびÉlectricité du Laosとの間で締結さ
れた長期電力販売契約により収益が発生している。
これらの新たな投資は、CTE、Terega(旧TIGF)、Porterbrook、Madrileña Red de Gas、Géosel、Thyssengas、Aéroports de
la Côte d'Azur、Autostrade per l'ItaliaおよびQ-Parkへの投資とともにEDF Investの「インフラ」資産クラスに組み入れら
れ、EDF Investのポートフォリオは再生可能エネルギーへと分散化された。
EDF Investの2018年における年間パフォーマンス(CTEを除く。)は7.9%であり、CTEを含めると7.5%であった。2018年12
月31日現在、CTEを含むポートフォリオの価値は5.7十億ユーロであった。
成長性資産については、6月後半にS&P500のプット・スプレッドによる防御的な購入が行われた。このオプションは、当初
満期1年であり、現在も保有されている。同オプションは、年末の市場急落の場面で成長性区分において防御的な役割を果た
した。しかしながら、成長性資産による-7%のパフォーマンスは、依然として、主に上場株式に起因している。5年前に開
始された、上場資産への投資を実施する方針は、特に米国市場において指数に連動した運用を強化することで継続される。
確定利付資産についても、ポートフォリオは、3つのレベル(低金利環境においてデュレーション・リスクを抑制するため
に全体的な感応度を低く保つこと、投資適格の信用ポートフォリオの大部分を売却すること、およびイタリア国債に係るリス
クへのエクスポージャーを大幅に削減すること)により、非常に慎重なポジション構成をとった。年末になって初めて、これ
らの運用により累積された非常に潤沢な資金を債券資産へ再投資し始めたが、現在も残存期間が短期のものを優先し、リスク
を抑制しつつ取引を継続する利点を活用している。
2018年に、専用資産の税引き後の全体パフォーマンス(剰余金および純利益に対する影響。)は、-23百万ユーロとなっ
た。かかる内訳は、CSPEが+31百万ユーロ(税引前は+46百万ユーロ)、専用資産に配分されるCTE株式が+283百万ユーロ、
およびその他証券が-337百万ユーロ(税引前は-641百万ユーロ)であった。
専用資産のリスクへのエクスポージャー
EDFは、専用資産ポートフォリオを通じて、株式リスク、金利リスクおよび為替リスクに晒されている。
2018年12月31日現在、EDFの専用資産ポートフォリオにおける上場株式の市場価額は、9,889百万ユーロとなった。同日にお
ける上場株式のボラティリティは、52週間分の実績に基づき14.3%であり、2017年12月31日現在は6.0%であった。かかるボラ
ティリティを同日における上場株式の市場価額に適用した場合、当グループは、専用資産の株式部分の年間ボラティリティが
1,414百万ユーロになると推定している。
2018年12月31日現在、上場債券(10,010百万ユーロ)の感応度は、5.3となり、利率が一貫して100ベーシス・ポイント上昇
した場合、市場価額が530百万ユーロ減少することとなった。2017年12月31日現在の感応度は、5.1であった。
( ト) カウンターパーティー/信用リスクの管理
245/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
カウンターパーティー・リスクとは、契約相手方が債務不履行に陥り、約定債務の履行を怠った場合に、EDFグループがその
事業および市場取引において負うこととなる損失の合計額を意味する。
当グループは、カウンターパーティー・リスク管理方針を掲げており、それはEDFおよび運営上の支配の及ぶすべての子会社
に適用される。かかる方針は、かかる種類のリスクの監視とともに、その管理ならびにカウンターパーティー・リスク管理の
構成および監視を開始した。かかる方針は、毎月更新される金融およびエネルギー事業における当グループのエクスポー
ジャーが毎月連結され、その他の事業については四半期ごとに連結される。また、CRFI(金融リスク管理)部門は、当グルー
プの契約相手方に対する監視(日々の警戒態勢の見直し、特定の契約相手方に対する特別警戒基準の策定)を厳重にする。
米国においてPG&Eが破産法の申請を行ったため、当グループのカウンターパーティー・リスクは増大している。EDF
Renewablesのエクスポージャーは、既存の電力購入契約(PPA)およびGEグループの経営難により数百万ユーロに上っている。
下記の表は、格付により、EDFグループのカウンターパーティー・リスクへの連結エクスポージャーを示している。2018年9
月30日現在、当グループのエクスポージャーの90%が「投資適格」の契約相手方に関連するものであった。これは主に短期投
資の大部分が低リスク資産に関連するとともに、現金および資産管理事業により生じたエクスポージャーが優勢であったこと
に起因する。
内部格付
投資適格 非投資適格 なし 合計
2018 年3月31日 91% 7% 2% 100%
2018 年9月30日 90% 8% 2% 100%
事業の性質によるカウンターパーティー・リスクへのエクスポージャーは、以下のとおり分布している。
燃料購入
現金および
購入 保険 配電および販売 資産管理 および電力取引 合計
2018 年3月31日 6% 1% 9% 78% 6% 100%
2018 年9月30日 6% 1% 11% 75% 7% 100%
電力取引事業におけるエクスポージャーは、EDF Tradingに集中しており、各契約相手方には、その財政上の頑強さに応じた
限度が指定されている。一連の手法(主にポジション・ネッティング契約、現金担保契約および銀行または関連会社の保証の
導入)は、EDF Tradingにおけるカウンターパーティー・リスクを軽減するために使われる。
EDFの金融取引担当部署の契約相手方に対して、CRFI部門は、契約相手方の承認手続を明確にする枠組みおよび割当制限の計
算に対する方法論を策定した。エクスポージャーのレベルは、随時助言を受け、日々体系的に監視される。制限の適切性につ
いては、契約相手方に影響する警告または不利な展開が生じた場合には遅滞なく再検討される。
ユーロ圏の政治および金融の状況が依然として不安定であることから、EDFは周縁国における現金投資に関して、保守的な運
用方針を引き続き適用している。「投資適格」である銀行、ソブリンおよび企業の取引の相手方の債券のみが一定限度の額お
よび満期の限度で、保有が認められている。
( ⅱ) エネルギー市場の管理および統制
( イ) エネルギー市場リスクの管理および統制
最終顧客市場の開放ならびに卸売市場の成長およびその国際的な発展の維持において、EDFグループは、財務実績に重大な影
響を与える可能性のあるエネルギー市場において価格変動のリスクに晒されている。
したがって、当グループは、EDFおよびEDFの運営上の支配の及ぶ事業体に適用されるすべてのエネルギー商品に対する「エ
ネルギー市場」リスク方針を設定している。
この方針は、以下を目的としている。
・当グループの様々な事業体のそれぞれの資産ポートフォリオの管理事業(発電、最適化および販売)ならびにEDF Tradingと
の取引によるエネルギー市場におけるリスクの管理について一般的な枠組みを規定すること
・資産運用者およびトレーダーの責任ならびに活動の管理に関する様々なレベルを規定すること
・当グループの財政的責任と一貫した、調和のとれたグループ全体のヘッジ方針を実施すること
・構造的エネルギー関連市場において、EDFが支配する様々な事業体のエクスポージャーを経営上で集約すること
EDFの運営上の支配が及ばない事業体のリスク管理の枠組みは、統治機関によりレビューされる。
( ロ) リスク統制の構成および一般的なリスクヘッジの原則
246/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
当グループの運営上の支配が及ぶ事業体のエネルギー市場リスクの統制は、以下の手続に基づいている。
・管理責任とリスク統制責任とを明確に分離するガバナンスおよび市場リスク・エクスポージャー測定システム
・ヘッジ戦略の策定および関連するリスク限度の設定により、各事業体に明白に委任。これにより、執行委員会は、財務目的
に沿った当グループの年間のリスクのプロファイルの設定および監視を行うことができ、市場展望(通常は3年)におい
て、エネルギー市場リスクの運営管理を指示することができる。
ヘッジの基本的な方針は、
・上流/下流ポジションの相殺。可能な限り、最終顧客への売上げは内部売上げによってヘッジされる。
・先渡市場における流動性の制限を見越して、N-1年度を重視して行われる可能性のある、平均価格を捕らえる所定のヘッジの
軌道( エネルギー市場リスクに晒されている各事業体につき、当グループによって毎年承認されるリスク統制の枠組みに
は、所定の価格基準を超過した場合における、かかる軌道からの逸脱を可能にする加速計画または減速計画が含まれること
がある。かかる計画は、段階的なヘッジに係る一般原則に準拠しないため、厳しい条件の下でしか適用されない。 )に基づ
く会計年度末前のポジションの段階的なクローズ。
フランスの電力市場において、EDFは、ARENH制度が任意であることから、その正味エクスポージャーについて非常に高い不
確実性に晒されている。ARENHの申込容量が引渡期間の直前にしか知ることができないため、EDFはARENHの申込容量について、
プルーデンス・マージンを含む仮定を用いることを余儀なくされる。そのためEDFは、仮定が必ずしも現実と対応しない可能性
があるリスクに服することとなり、故に最終的に実際に申し込まれなかった積立容量を自ら販売する義務を負うか、または逆
に申込みが行われないという仮定から、ARENHの入札募集が実施される前に販売された容量を購入する義務を負う可能性があ
る。卸売市場におけるエネルギー価格と容量価格の合計がARENH価格(42ユーロ/MWh)に近いため、このリスクは特に高い。
発電事業、供給事業およびトレーディング業務内で行われた決定の強力な相互作用を前提として、エネルギー・リスク管理
プロセスは、当グループの経営陣が関与し、また、リスク限度を超えた場合の警告通知手続を組み込んだリスク指標および測
定システムに基づいている。
運営上の支配の及ぶ事業体を通じて、当グループのエネルギー市場リスクに対するエクスポージャーは、年に4回執行委員
会に報告される。統制プロセスは、定期的に再評価され、監査される。
( ハ) エネルギー市場リスクの運営管理および統制の原則
運営上の支配の及ぶ当グループの事業体のエネルギー市場リスクの運営管理および統制の方針は、資産(発電および供給)
管理ならびに取引を識別する、エネルギー市場リスクの管理責任の厳格な分離に基づく。
発電資産および供給資産の管理者は、財務実績の変動性に対するエネルギー市場リスクの影響を最少化するリスク管理戦略
の実施の責任を有する(これらのヘッジの会計分類は2018年度の連結財務書類の注記41「デリバティブおよびヘッジ会計」に
詳述されている。)。しかしながら、流動性または市場の厚みの欠如および供給量の不安定性といった要因により市場でヘッ
ジできないリスクは引き続き残されている。
当グループの運営上の支配の及ぶ事業体のエネルギー市場におけるポジションは、主には、当グループのトレーディング会
社であるEDF Tradingにより取られており、同社は、その他の当グループの事業体のためおよび当グループの産業資産に関連す
る自己の取引事業目的のため、市場で事業を行っている。その結果、EDF Tradingは、特にトレーディング会社の欧州規則にお
ける厳格なガバナンスおよび統制の枠組みに服する。
EDF Tradingは、規制市場またはOTC市場で、先物、先渡、スワップおよびオプション(当グループのレベルで適用される会
計分類とは無関係である。)等のデリバティブを取引する。エネルギー市場におけるそのエクスポージャーは、子会社の経営
陣およびグループ・レベルでエネルギー市場リスク管理を担当する部門による日々の上限管理により監視されて、厳しく統制
されている。また、自動的警告通知手続が、リスク制限(バリュー・アット・リスク制限)または損失(ストップ・ロス制
限)に違反したことを、EDF Tradingの取締役会の構成員に通知するために存在する。バリュー・アット・リスク(VaR)は、
所与の期間および所与の信頼期間における市場の不利な動向に際するポートフォリオに関する潜在的な市場価値の最大損失を
統計的に測定する指標である( EDF Tradingは、「モンテカルロ手法」によりVaRを評価し、かかる手法は、直近の40取引日に
わたって観測された市場価額に使用して測定されたボラティリティおよび過去の相互関係を参照する。VaR制限は、EDF
Tradingのポートフォリオの合計に適用される。 )。特定のキャピタル・アット・リスク(CaR)制限もまた、VaRの適用が難し
い特定の分野(非流動市場の運営、長期的な契約および体系的な契約)において使用されている。ストップ・ロス制限は、取
引事業の許容可能なリスクを規定し、3か月間にわたる損失の最大レベルを設定する。これらの制限を超過する場合、EDF
Tradingの取締役会は、一部のポジションの閉鎖を含む適切な措置を講じる。
2018年、EDF Tradingの市場への拠出額は35百万ユーロのVaR制限、それぞれ250百万ユーロの長期契約に係るCaR制限および
非流動市場の取引に係るCaR制限、ならびに180百万ユーロのストップ・ロス制限に服していた。
これらの制限は超過されたことがなく、EDF Tradingは、常にEDFの負託の範囲内でリスクを管理していた。ストップ・ロス
は、その導入以来、一度も超過されたことはない。
247/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
当グループのコモディティの公正価値ヘッジの分析は、2018年度の連結財務書類の注記41.4.3を参照。当グループがヘッジ
として分類していないコモディティ・デリバティブの詳細は、同連結財務書類の注記42.3を参照。
( ⅲ) 保険により管理可能なリスクの管理
EDFグループは、EDF SAおよび編入されることにより支配の及ぶ子会社に適用される保険プログラムを有している。補償範
囲、除外事項、控除免責金額、制限は、各事業およびこれらの子会社の特異性に適合している。
主な保険プログラムの補償範囲は以下のとおりである。
・当グループの財産への従来型の損害:EDFは、エネルギー事業者向けの国際相互保険会社であるOIL( Oil Insurance
Limited )のメンバーである。追加保険は、EDFの自家保険会社のWagram Insurance Company DAC( EDFの完全子会社であるア
イルランドの保険会社 )、ならびにその他の保険会社および再保険会社から提供される。
・EDFグループの原子力施設に対する損害:OILのメンバーとして、EDFは、フランスおよび英国両国の寒冷地域における外的損
害(原子力事故による損害を除く。)について、15百万米ドルを超過する場合に400百万米ドルの60%が保険で補償される。
・2018年9月30日まで、上記の補償範囲に加え、フランスにおけるEDFの原子力発電所および英国におけるEDF Energyの原子力
発電所への外的損害(原子力事故に付随するものを含む。)ならびに汚染浄化費用は、主に英国の原子力基金である
National Risk Insurers(NRI)、Axa and Allianz(フランスの原子力共同基金であるAssuratomeによる再保険が付保され
ている。)およびEuropean Mutual Association for Nuclear Insurance(EMANI)を含む共通保険契約により、240百万ユー
ロを超過する場合に合計で1,760百万ユーロが補償されていた。
・2018年10月1日以降は、以下のとおりとなる。
-フランスにおいては、OILによる補償は、原子力事故(施設の汚染浄化費用を含む。)の場合には、EMANI、Axa and
Allianz(Assuratomeによる再保険が付保されている。)およびWagram Insurance Company DAC(当グループの自家保険会
社であるOcéane Reによる再保険が付保されている。)により提供される、10百万ユーロを超過する場合に90百万ユーロが
補償される保険により補填される。
-英国においては、原子力事故の影響(施設の汚染浄化費用を含む。)に係る追加保険は、英国の専門保険会社グループで
あるEMANI、NRIおよびNorthcourtにより、240百万ユーロを超過する場合に合計で1,510百万ユーロが補償される保険プロ
グラムを通じて提供される。
CENGの米国における事業の運営に関連して、EDF Inc.はNEIL( Nuclear Electric Insurance Limited )のメンバーである。
・輸送された商品に対する損害:このプログラムにより、当グループ会社および子会社に対して、輸送中の物品に対する損害
が補償される。
・原子力事業者の民事責任:
フランスにおいて、EDFの保険契約は、今ではフランス環境法の一部を成す1968年10月30日付フランス法第68-943号、1990年
6月16日付フランス法第90-488号および2006年6月13日付フランス法第2006-686号(原子力の透明性および安全性に関する
「TSN」法)に準拠している。かかる法律は、パリ条約によって原子力施設事業者に課された民事責任に関する義務を解釈し
たものである(原子力事業者の民事責任に係る規制の詳細については本書「第2 3(3)⑥(ⅱ)(ロ)基礎原子力施設に
適用される特別な規制」を参照。)。
2015年8月17日に制定されたグリーン成長に向けたエネルギー移行法は、フランス環境法第L.597-28条および第L.597-32条
の規定を改正するものである。かかる変更のうち、原子力事業者の民事責任限度額が2016年2月18日を効力発生日として、
原子力施設については700百万ユーロ、リスク低減型施設については70百万ユーロ、輸送中のリスクについては80百万ユーロ
に引き上げられた。
保険水準に係る新たな法的要件を履行するために、EDFは2015年8月10日に「EDF SAの原子力民事責任保険プログラム」と題
した契約通知書を発行した。これは、EDFの原子力民事責任およびそれに付随する請求の管理に必要な保険の補償を確保し、
また設定するためのものである。
かかる通知に応じて確保した保険により、当グループはその義務を履行している。かかる補償は、2016年2月18日から3年
間有効であり、原子力保険市場、当グループの自家保険会社(フランスの原子力基金Assuratomeにより再保険が付保される
Axa)および原子力相互保険会社ELINIの間で共有される。
当該期間中に原子力事業者の義務(とりわけパリ条約およびブリュッセル条約を改正する議定書の適用)が変更される可能
性が高いとの見方から、撤回に関する条項が契約に盛り込まれた。
請求の管理については、機械化された請求処理システムを有するELINIならびに必要な人材およびネットワーク資源を有する
EQUADが責任を負う。
EDF Energyが原子力発電所を操業している英国では、原子力事業者の民事責任に関する規則がフランスの規則と類似してい
る。2016年5月4日、英国議会は、(既存の議定書を改正する2004年2月付議定書を置き換える)原子力施設に関する政令
248/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
を承認した。かかる政令は、実質上フランスの2006年TSN法と同じ変更を加えるものであるが、そのほとんどが議定書と同時
にその効力が生じる。
かかる命令は、英国の事業者の現在の責任限度額である140百万英ポンドを700百万ユーロ相当に引き上げ、上限の1.2十億
ユーロのポンド相当額に達するまで、5年かけて徐々に引き上げられる予定である。
EDF Energyは現在、ELINIおよびWagram Insurance Company DACによって保険が付されている。当グループの自家保険会社で
あるOcéane Reもまた、Wagram Insurance Company DACへの再保険契約を通じて、リスクを負う。
フランスのエネルギー移行法が2016年2月18日に効力が生じたことにより、当グループの原子力事業者としての民事責任に
係る保険料は40%増加した。また当グループの保険料は、今後のパリ条約およびブリュッセル条約を改正する議定書の効力
発生後、大幅に引き上げられる見込みである。
・一般の民事責任:このプログラムは、第三者に生じたEDFグループの事業特有のリスク(原子力によるものを除く。)により
起こり得る財務上の損害に対して当グループを保険の対象とする。
・取締役および執行役員に対する民事責任:EDFの保険契約は、当グループのマネージャーおよび主要な執行役員の職務過程に
関連する第三者の請求により生じた訴訟費用およびその他の財務的な影響を保険の対象とする。
・建設リスク:EDFは特定の労働現場のリスク(一般の労働現場リスクならびに一般の組立リスクおよび試験リスク)を補償す
る保険契約に加入している。これらの保険契約は、当グループのプログラムの一環ではないが、フラマンビルおよびヒンク
リー・ポイントCのEPRのような主要なプロジェクトまたは発電もしくは配電ユニットの建設もしくは改修に関してはその都
度加入している。当グループは、類似施設(変電所または水力発電所)での作業に関しては枠組み契約を整備している。
・Enedisの空中送配電網:2016年6月27日、Enedisは、暴風雨および強風による損害を補償する保険を更新するために、空中
送配電網への暴風雨による著しい損害を対象とするパラメトリック保険契約に調印した。損害が発生した場合には、総額275
百万ユーロを限度とするかかる革新的な5年契約により、フランス気象局が計測する風速を参照するパラメトリック総合指
数を基に、Enedisの委託範囲内に含まれる各地域の送配電網の脆弱性が加重された補償額が支払われる。
・サイバー・リスク:2017年7月1日、グループの情報システムに対するサイバー攻撃を原因とする大規模な障害の処理費用
について、2年間で100百万ユーロを補償する契約で、EDF SAの事業体および当グループの子会社のすべてをカバーするサイ
バー・リスク保険が導入された。
すべての種類の保険に係る当グループの2018年の保険料の合計は、248百万ユーロであった。
⑦ 請求書の支払期日(フランス商法第L.441-6-1条により義務付けられる買掛金および売掛金)に関する情報
EDF SAは、LME法(経済の成長、活動および機会均等に関する法律第2015-990号により改正済)の定めに従って、当年度末が
支払期限である買掛金および売掛金の金額(税込)を、期限の超過期間別に、当年度の購入高および売上高の合計(税込)に
対する割合とともに、以下のとおり報告する。
D.441 I.-1 条:当年度末が支払期限であるが D.441 I.-2 条:当年度末が支払期限であるが
未払いの受領済請求書 未払いの発行済請求書
合計 合計
1日以上 31 日以上 61 日以上 1日以上 31 日以上 61 日以上
0日 91 日以上 (1 日 0日 91 日以上 (1 日
30 日以下 60 日以下 90 日以下 30 日以下 60 日以下 90 日以下
以上) 以上)
(A) 超過期間
請求書数 80,869 - - - - 4,967 3,703,114 - - - - 7,076,458
請求書合計額
(税込) 2,323 9 5 1 - 15 1,056 250 71 56 631 1,008
(単位:百万ユーロ)
当年度購入高合計に
4.7 - - - - -
対する割合(%)
当年度売上高合計に
対する割合(%) 1.8 0.4 0.1 0.0 1.1 1.7
(税込)
(B) 係争中または未認識の買掛金および売掛金に関連して(A)から除外された請求書
除外された
0 0
請求書数
除外された
0 0
請求書合計額
(C) 適用支払条件
(契約または法律に定められる条件(フランス商法第L.441-6条または第L.43-1条))
249/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
超過期間の計算に
契約および法律に定められる条件 法律に定められる条件
用いられる支払条件
250/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
⑧ 商法第L.232-1条により義務付けられる既存の支店に関する情報
2018年12月31日現在、当グループは、当社の登記簿謄本( Kbis )に記載されるフランスの商事裁判所の登記簿において登録
されている181か所の駐在員事務所を有し、また支店となるための独立管理基準を満たさない数千の異なる事務所を通してフラ
ンス全土において事業を行っていた。
フランス本土外におけるEDF SAの支店は以下のとおりである( 財政上の観点において、これらはフランス国外に所在する恒
久的施設の一覧である。 )。
・サンバルテルミー島
・サンピエール島・ミクロン島
・サンマルタン島
・アラブ首長国連邦:アブダビ
・バーレーン
・ベナン
・カンボジア
・中国
-台山
・南アフリカ
・カーボベルデ
・カタール
⑨ 後発事象
・2019年2月中旬、EDF Renewablesは、太陽光エネルギー供給業者であるLuxelの100%取得に関する独占交渉を開始したと発
表した。フランスのエロー県に登記上の事務所を有するLuxelグループは、(主にフランス南部において)総容量90MWpの施
設を有し、130MWp近くを運営しており、約900MWpのプロジェクト・ポートフォリオを保有している。EDFグループは、この取
得を通じて、そのソーラー・プラン(2020年から2035年までの間にフランスの太陽光部門市場における30%のシェアを達成
することを目標としている。)を実施するための追加手段を得たいと考えている(2019年2月15日付のEDF Renewablesのプ
レスリリースを参照。)。
・2019年3月5日、EdisonおよびAnsaldo Energiaは、イタリアのマルゲーラ・レヴァンテ(ヴェネチア)用地における、
780MWの発電容量および63%のエネルギー効率を有する新たなコンバインド・サイクル・ガス発電所への投資に関する合意を
発表した。約300百万ユーロの総投資額は、このイタリアの火力発電所における二酸化炭素および酸化窒素の平均排出量削減
に充てられる(2019年3月5日付のEdisonおよびAnsaldo Energiaのプレスリリースを参照。)。
⑩ 見通し
本項(「第3 3(3)⑩見通し」)に含まれる利益の予測および予想は、過年度の財務情報と比較可能な基準に基づき作成
および連結されており、2018年12月31日現在のEDFグループの会計方針に沿ったものである。このため、これらには2019年1月
1日から適用されるIFRS第16号「リース」による影響は含まれていない。
2019 年の目標 ( IFRS第16号の適用前。フランスにおける一定の法令の枠組みに基づく。 )
・EBITDA( 2019年1月1日現在の連結範囲および為替レートに基づき、またフランスにおける原子力発電量が395TWhとなるこ
とを前提とする。ヘッジされていない2020年のフランスの発電量については、2019年2月初旬における実勢価格の状況(約
50ユーロ/MWh)に基づく。 )を、15.3十億ユーロから16.0十億ユーロとすること
・営業費用( 人件費およびその他の対外費用の合計。比較対象となる範囲および為替レートに基づく。一定の年金割引率に基
づく。サービス活動における営業費用の変化は除く。 )を、2015年と比較して約1.1十億ユーロ削減すること
・キャッシュ・フロー(ヒンクリー・ポイントCおよびLinkyを除く。)を、0超とすること
2019 年から2020年の抱負 ( IFRS 第16号の適用前。フランスにおける一定の法令の枠組みに基づく。 )
・取得および2019年から2020年までの当グループによる売却を除く純投資( フラマンビル3プロジェクトの完成に係る費用お
よび日程に関する当グループの予想に基づく。 )の合計額を、年間約15十億ユーロとすること
・2019年から2020年までの当グループによる売却を、2十億ユーロから3十億ユーロとすること
・純負債/EBITDA倍率( 2019年1月1日現在の連結範囲および為替レートに基づき、またフランスにおける原子力発電量が
395TWhとなることを前提とする。ヘッジされていない2020年のフランスの発電量については、2019年2月初旬における実勢
価格の状況(約50ユーロ/MWh)に基づく。 )を、2.5倍以下とすること
251/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・目標配当性向を、経常外項目を除く純利益( フランス政府は、2018年の配当残高ならびに2019年および2020年の通年の配当
を、株式の形式で受領することを表明した。 )( 自己資本として計上されたハイブリッド債に係る報酬を調整 )に基づき、
45% から50%とすること
⑪ 後発事象
( ⅰ) 2019年3月22日-EDFおよびBBVAが、300百万ユーロの持続可能なリボルビング与信枠を締結
EDFおよびBBVAは、二酸化炭素排出量およびエネルギー効率に連動したEDFの持続可能なパフォーマンスに基づく価格調整が
盛り込まれた、300百万ユーロの持続可能性連動型のリボルビング与信枠(RCF)を締結した。
これはBBVAがフランスの法人向けに提供する初めての持続可能なローンであることから、この取引によってBBVAは、持続可
能な資金調達の分野において新たな節目に到達した。
RCFには、EDFの3つの持続可能な重要業績指標(KPI)(直接的な二酸化炭素排出量、顧客によるオンラインでの消費モニタ
リング・ツールの利用および自動車の電化)に利幅を連動させる価格調整メカニズムが盛り込まれている。
フランスは、欧州における持続可能な資金調達の最前線にいる。ローン市場で現在利用可能な持続可能な資金調達ソリュー
ションに対する法人の関心は高まっている。より具体的に借入人は、一般事業目的の施設に持続可能なメカニズムを追加でき
ることを歓迎しており、標準的な施設を資金調達に転換し、それによって社会および環境への好影響をもたらす傾向がさらに
高まっている。
( ⅱ) 2019年3月25日-EDFは、洋上風力発電所2か所の建設および運転ならびに武漢市における暖房および空調のネットワー
クの最適化に係る契約を通じて、中国における事業を強化する
2019年3月25日(月曜日)付で、EDFは、中華人民共和国主席である習近平氏のフランス公式訪問時に、中国における低炭素
プロジェクトに関して2件の契約を締結した。1件目の契約は、中国における洋上風力発電プロジェクト2件の共同実施を目
指して、中国の電力会社であるChina Energy Investment Corporation(CEI)との間のパートナーシップを正式に成立させる
ものである。東台ⅣおよびⅤの洋上風力発電所の総設備容量は500MWであり、EDFグループの中国における最初の洋上プロジェ
クトとなる。電力会社であるHuadianとの間で締結された2件目の契約は、武漢市における暖房および空調のネットワークの運
転に関するものである。
EDF は、中国の洋上風力市場における足がかりを獲得
中国の電力市場で最大手の事業者であるChina Energy Investment Corporationとの間で締結された協働契約は、上海の北に
位置する江蘇省の海岸沖の東台ⅣおよびⅤの洋上風力プロジェクトにおける、EDFによる持分取得に関するものである。東台Ⅳ
プロジェクトは、現在建設中である。東台Ⅴの建設は、2019年に開始予定である。最終契約の締結に基づき、両パートナー
は、総設備容量500MW(2021年までに段階的に稼働予定)を建設および運転する予定である。
3.8GWの洋上風力容量が既に運転されている中国は、急速な成長を続け、2030年までには50GWが運転され、世界の発電所の約
半分を占める見込みのある有望な市場である。
EDFグループは、子会社であるEDF Renouvelablesを通じて世界の洋上風力市場における大手事業者となっており、当該部門
を専門とする500人超が、プロジェクトの開発、実施および運転からなるすべての主要分野において確かな技術力をもって働い
ている。現在、当グループは、5.3GWの洋上風力発電所を運転または開発しており、当該容量のうち500MWの運転および維持管
理を行っている。現在、当グループは、中国における310MW超を含めて、フランスおよび世界において風力および太陽光の総容
量13GW超を運転している。
武漢市における暖房および空調のネットワークの運転に関する契約
EDFおよび電力会社であるHuadianは、武漢市内の一部地域における暖房および空調のネットワークのパフォーマンスの向上
を目的とした協働契約を締結した。当該ネットワークは、100,000人の顧客に対して暖房を提供し、500,000平方メートルのオ
フィス・スペースに対して空調ネットワークを提供する見込みである。両署名者は、三門峡市の暖房ネットワークにおいてEDF
グループが既に利用しているスマート・エネルギー管理ツールの利用可能性を共同で検討する。
( ⅲ) 2019年3月29日-流動性契約
EDFおよびODDO BHFが新たな流動性契約を締結し、当該契約は2019年3月28日に効力を発生した。
この新たな契約は、流動性契約を規定する規制の変更を受けて策定され、2018年7月2日付のAMF決定第2018-01号に沿った
ものである。
当該流動性契約に基づく取引の取引場所は、ユーロネクスト・パリである。
当該契約の規定に基づき、契約の停止事由または終了事由となる状況または条件は以下のとおり規定されている。
・AMF決定第5条に規定される条件に基づき、当該契約の締結が停止される場合
252/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・ユーロネクスト・パリの決定により証券の上場が中断された場合、かかる中断期間において、運用者の契約上の義務は自動
的に停止される。
・発行会社による自己の責任に基づく要求により、発行会社による正当性の証明を要さずに、当該契約を停止することができ
る。
当該契約は、以下の条件により終了することができる。
・当該契約第13条に規定される流動資産勘定の閉鎖に係る条件に基づき、発行会社が、通知を要さずに、受領証付書留郵便に
より、随時かつ直ちに終了することができる。
・運用者による1か月前の通知により、随時終了することができる。流動資産勘定は、通知期間の終了時に、当該契約第13条
に規定される条件に基づき閉鎖される。
2019年3月28日現在、流動資産勘定には以下の資金が保有されている。
・10,120,161ユーロ
・株式738,882株
( ⅳ) 2019年4月2日-EDFが、低炭素水素の製造販売子会社であるHynamicsを設立
EDFは、国際的な産業見本市であるハノーバーメッセにおいて、産業向けおよびモビリティ向けの効率的な低炭素水素の供給
に従事する、当グループの新子会社である「Hynamics」( EDF Pulse Croissance Holdingが、Hynamicsの全株式を保有す
る。 )の設立を発表した。
この取組みにおいて、EDFはフランスおよび世界の水素部門における主要事業者となること、ならびに気候変動に対する闘い
および低炭素社会のための闘いへの貢献を強化することを目標としている。
McKinsey発表の報告書によれば( 「フランス経済のための水素開発」、McKinseyと共著の2018年Afhypac報告書。 )、2050年
には世界の最終的なエネルギー需要の18%を水素消費量が占める。現在、水素の95%は化石燃料から製造されている。
Hynamicsは、多量の二酸化炭素を生み出すこの手法とは異なり、使用される電力自体が低炭素の発電手法で発電されたもので
ある限り、二酸化炭素をそれほど排出しない技術である、水の電気分解による水素製造を選択した。
Hynamicsは、以下の2つの異なる低炭素水素ソリューションを提供する。
・水素が不可欠である企業用顧客(精製所、ガラス製品、農業食品、化学品等)に対しては、Hynamicsは、必要なインフラへ
投資することにより、水素製造工場の設置、運営および維持管理を行っている。
・モビリティ供給業者(一般部門および専門部門)に対しては、Hynamicsは、列車、バス、ごみ収集車、ユーティリティ・
ビークルおよび水路交通手段等の商業用車両の充電のために水素を提供するサービス・ステーションをもって、様々な地域
の接続を支援している。これらのサービスは、2018年10月に当グループが発表した電気モビリティ計画のためのさらなる資
産となっている。
Hynamicsチームは、2019年3月末において、フランスならびにベルギー、ドイツおよび英国を含む他の欧州諸国における約
40のターゲット・プロジェクトを定め、取り組んでいる。
Hynamicsは、当グループの新興企業のインキュベーターであるEDF Pulse Expansionにおいて育成された、10名程度の従業員
が率いる「社内ベンチャー」プロジェクトの成果である。この市場で最大手のフランス企業であるMcPhyにおいてEDFの持分を
取得したことに続く、当該新子会社の設立は、EDFグループの低炭素水素に関する目標を確認し、新たな用途を適用するもので
ある。
( ⅴ) 2019年4月5日-EDF、EBMおよびEOSが、AlpiqにおけるEDFの持分25%を、EBMおよびEOSに対して売却することに合意
2019年4月4日、EDF、EBM(Coopérative Elektra Birseck)およびEOS(EOS Holding SA)は、各々の統治機関による承認
を受けて、EDFによる、スイスの電力会社であるAlpiqにおける同社持分(Alpiqの資本および議決権の25.04%を表章する。)
の、EBMおよびEOSへの売却(両社が同持分の半分ずつを取得する。)に関する契約を締結した。
この取引において、AlpiqにおけるEDFの持分は、Alpiq株式1株当たり70スイス・フランの買取価格に基づき、約489百万ス
イス・フラン(約436百万ユーロ( 2019年4月4日現在の為替レートである1スイス・フラン=0.8915ユーロに基づく。 ))と
評価されている。当該株式譲渡契約は、将来的なアーン・アウト・メカニズムを含んでいる。
EBMおよびEOSによる取得は、Credit Suisse Energy Infrastructure Partnersが運用するファンドであるCSA Energy
Infrastructure Switzerlandが融資する、Alpiq株式における強制転換ローンによって資金調達される。
取引の完了は、ドイツの競争当局による承認を条件としており、2019年度上半期末までになされる見込みである。その後の
進捗については、「第3 3(3)⑪(xⅳ)2019年5月28日-EDFが、Alpiqにおける持分25%の売却完了を発表」を参照。
( ⅵ) 2019年4月11日-フラマンビルEPRの最新情報
EDFは、フラマンビル3EPRの破断防止概念の対象である主蒸気配管の溶接部に影響を及ぼす品質の不具合について、原子力
圧力機器の常任の専門家グループ(GP ESPN)のポジションを再検討し、2019年4月11日に公表を行った。
253/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
常任の専門家グループによる勧告および同グループの提案する解決への手段は、試運転の日程および建設費用に影響を及ぼ
す可能性がある。
EDFは、本件の今後の進行についての決定を向こう数週間以内に発表する予定の原子力安全当局(ASN)とやりとりを進めて
いる。
ASNの決定が発表された後、フラマンビルEPRの日程および建設費用に関する最新情報の詳細が公表される。
調査手続の詳細
2019年4月9日、ASNは、フラマンビル3EPRの破断防止概念の対象である主蒸気配管の溶接部に影響を及ぼす品質の不具合
の調査の一環として、原子力圧力機器の常任の専門家グループ(GP ESPN)を招集した。
・2018年12月3日、EDFはASNに対して、破断防止要件に関連して不具合が明らかとなった主要二次系配管の溶接部の修理およ
び更新、ならびに原子炉格納建造物に位置する溶接部8か所に関する具体的な是正策の手続を示す技術的な申告を行った。
・かかる申告は、IRSN(放射線防護・原子力安全研究所)の技術的なサポートとともに、ASNによる調査に服している。
・かかる調整に基づきGP ESPNの会議で協議が行われ、同会議に出席したEDFは、事実が生じた順序、その分析および不具合の
対処法を提示した。EDFは、かかる申告の技術的な指示に関する常任の専門家グループからのすべての質疑に応じるよう努め
た。
( ⅶ) 2019年4月17日-EDFグループが、2019年における従業員を対象とした売出し「ERO 2019」を導入した
2019年4月17日、パリ-EDFグループは、2019年4月17日に従業員株式保有制度( 2014年8月20日付政令第2014-948号第31-2
条(2015年8月6日付法律第2015-990号によって改正。)の規定に従い、EDFが2017年3月に行った株主優先引受権の維持によ
る増資を受けて、EDFは、EDFおよびEDFの子会社の適格な従業員および元従業員に対して7,704,974株を売り出さなくてはなら
ない。 )「ERO 2019」の導入を発表した。
2018年におけるパフォーマンスの大幅な上昇およびパフォーマンス計画の進捗に促され、当グループは、エネルギー移行へ
のコミットメントおよびCAP2030戦略の実施を続ける。無炭素電力が中心である複数年にわたるエネルギー計画(フランス語で
はPPE)について政府が採用したアプローチは、現在この戦略的ロードマップにおいて当グループの新たな推進力でもある。
これに関連して、EDFの取締役会は、従業員株式保有制度の原則を2019年4月4日に決定した。当該制度は、フランス政府が
EDFに最大7,704,974株の発行済株式を譲渡した直後に、EDFが適格な従業員、元従業員および年金受給者に譲渡する方法によっ
て実施される。
当該制度は、当社、EDFグループ貯蓄計画のメンバーであるEDFのフランス子会社1社(PEG)またはEDF Internationalのグ
ループ貯蓄計画のメンバーであり、EDFが直接的または間接的に過半数を所有する海外子会社(PEGI)において3か月以上勤続
する( 取消期間の最終日時点。 )従業員ならびにPEGおよびPEGIの株式を保有し、かつ当社またはこれら子会社1社との間で5
年以上の期間にわたり従業員契約を締結していたかもしくは有給活動を行っていた元従業員および年金受給者が対象である。
かかる売出しには、ユーロでの個人的な貢献額が保証されるいわゆる「レバレッジド」式およびいわゆる「クラシック」式
が含まれる。かかる売出しは、フランス従業員のミューチュアル・ファンド( Fonds commun de placement d'entreprise また
はFCPE)を通じて実施される。「クラシック」式については、従業員に対して雇用主のマッチング拠出額の売出しが行われ
る。
売出株式は、ユーロネクスト・パリ(コンパートメントA)に上場している、現在の配当受領権が付された普通株式である。
当該株式は、PEGのFCPEの株式を引き受けることにより取得され、2024年7月16日に終了する5年間の強制保有期間の対象とな
るが、早期売却の場合は規則の規定に従う。議決権は、FCPEの監査役会により行使される。
株式の売出価格は、2019年6月20日に決定される。当該価格には、かかる決定日前の20日間にわたりユーロネクスト・パリ
の株式市場におけるEDF株式の1日の出来高加重平均株価に基づく参照価格と比較して20%の割引が含まれる。
予約期間は2019年5月6日から2019年5月21日(同日含む。)までであり、取消期間はその後の2019年6月21日から2019年
6月24日である。当該株式は、フランス政府の株式保有・譲渡委員会( Commission des participations et des transferts )
による好意的意見の発表後のフランス経済・財務大臣による決定が承認する権限の前提条件に従い、遅くとも2019年7月16日
までには交付される。上記に記載の日付は参考に過ぎず、変更される可能性がある。
ヘッジ取引
「レバレッジド」式による売出しの実行は、スワップ契約における契約相手方である金融機関(Crédit Agricole CIB)によ
る、とりわけ当該制度の導入前(特に参照価格確定期間中)に実施するヘッジ取引(特に株式売買、株式貸借取引および株式
の購入オプションの締結)から発生する可能性が高いが、Crédit Agricole CIBの相手方であるその他金融機関による同ヘッジ
取引から発生する可能性もある。
254/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( ⅷ) 2019年4月24日-明日の接続されたコミュニティ:BBOXXは、発展途上の世界における「将来のコミュニティ」の展望を
明らかにした
次世代の公益事業体であるBBOXXは、今日のトーゴにおいて「明日の接続されたコミュニティ」と称される新たなコンセプト
を打ち出した。
かかるコンセプトは、エネルギーへのアクセスを通じて発展途上国のコミュニティ全体における人々の人生を一変させ、経
済の可能性を解き放つことにより、BBOXXの任務を実現する。
「明日の接続されたコミュニティ」は、トーゴ共和国のH.E.フォール・ニャシンベ大統領による正式開始の発表後、トーゴ
のシクペ・アフィデニョンの農村において展開されている。
国の南部に位置し、300世帯および4,000人により構成される同村全体(街路照明、家庭、学校および小さなお店を含む。)
に対して、太陽光発電エネルギーが供給される。またコミュニティは、その他の公益事業の商品およびサービス(衛生的な料
理に関するソリューション、インターネット・サービスおよび給水ポンプ等)にもアクセス可能となる。
BBOXXは、「BBOXX avec EDF」のブランドの下、BBOXX Togoにおける50%の持分を保有するEDFとともに、トーゴにおいてか
かるコンセプトを実施している。これに加えて、BBOXXとEDFは、トーゴのプロジェクトを実現するために、革新的な国外およ
び地域の協力会社とも協働している。
同コンセプトは、高まるエネルギー消費需要を満たすためのGeneral Electricによって開発されたマイクロ送電網、ならび
に家庭および中小企業にエネルギーを供給するためのBBOXXの住宅用太陽光設備を使用して行われている。これは、発展途上の
世界のエネルギー課題を満たすための、BBOXXによる包括的なソリューションを示すものである。すべてのサービスは、BBOXX
の包括的なデジタル管理プラットフォームであり、データ分析および予測分析を使用して顧客サービスの管理および商品の維
持管理を行うBBOXX Pulseを通じて実施されている。
かかる事業の立上げは、BBOXXが2018年11月に発表したルワンダのキガリにおける「明日の農村家庭」の成功に基づいてい
る。「明日の接続されたコミュニティ」はBBOXXの展望を数段階先に進めており、家庭からコミュニティへと飛躍し、伝統的な
大型送電網インフラの需要からリープフロッグ型発展を遂げている。
かかる事業の立上げは、BBOXXが節目の12,000世帯に対してエネルギーを供給し、トーゴにおける60,000の顧客に好影響を与
えると同時に行われる。BBOXXは、トーゴ政府により実施された全国にわたる住宅用太陽光設備の設置の入札を獲得した2017年
12月以降、トーゴにおいて事業を行っている。2018年、新興市場において人々の人生を一変させるエネルギー・サービスの供
給を行うBamboo Capital Partnersが設立した投資プラットフォームのBEAMからの出資により、BBOXX Togoの成長はさらに加速
する。
BBOXX Togoは、2018年4月の1,000世帯から現在では12,000世帯と急速に拡大しており、地域に260の雇用を創出し、5つの
地域において20店舗を開設した。さらに、2019年3月にトーゴ政府は、トーゴ政府の全国電化戦略の一環として、太陽光エネ
ルギーへの支出に対して初となる政府による顧客向けの助成金を開始した。かかる助成金はエネルギー貧困を克服する一助と
なる。
EDFグループは、商業的な資源、電池性能における技術的なノウハウ、送電網非接続型ソリューションの開発における複数の
アフリカ諸国の現場での経験を提供することにより、BBOXXの発展を支援している。
( ⅸ) 2019 年5月14日-四半期財務情報(2019年3月31日現在)
売上高が1.7%増加 ( 比較対象となる連結範囲および為替レートに基づく本業における変動。 )
2019 年の目標の確認および2019年から2020年までの大望
グループ売上高 21.0十億ユーロ
(1)
本業の変動 +1.7%
(1) 比較対象となる連結範囲および為替レートに基づく本業における変動。
ハイライト
・再生可能エネルギーにおける新たな進展
-EDF Renewablesの建設中のプロジェクトのポートフォリオにおける記録的な水準:第1四半期において1.2GWの総容量の建
設が開始され、3月末までには3.5GWの総容量(1.4GWの太陽光発電容量を含む。)となった。
-太陽光発電:
・フランスにおける太陽光発電計画の加速:2019年4月1日に1GWpのポートフォリオ(うち約90MWpが稼働中)を保有す
るLUXELグループを取得
・中国における77MWpの屋上太陽光発電資産ポートフォリオの過半数持分を取得
・アテネの近くに位置する60MWpの太陽光発電所における20年間の電力購入契約を受注
255/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
-中国における洋上風力発電:中国の電力会社であるChina Energy Investment Corporation(CEI)とともに500MWの洋上風
力発電所を2か所建設し、稼働することに関する契約
・顧客サービスに関する革新
-低炭素水素を生産し、販売する子会社のHynamicsの設立
・企業用顧客:水素生産工場の設置、稼働および維持管理
・公共および専門のモビリティ提供者:商用車の再充電用に水素を提供するサービス・ステーション
・新規の原子力発電所
-台山2:2019年4月16日に燃料装荷終了
・財務構造
-EDFのAlpiqにおける25%の持分を売却することにつき合意
-ESG基準に連動する300百万ユーロの持続可能なリボルビング与信枠を締結
運営データ
発電量
フランスの原子力発電量 111.8TWh -1.0%
英国の原子力発電量 12.6TWh -16.4%
当グループの再生可能エネルギー事業 15.7TWh -23.7%
(1)
うちフランスの水力発電量 9.9TWh
-32.2%
(1) 揚水発電量を差し引く前の島部業務を除いた水力発電量。なお、揚水発電量を差し引いた水力発電量は、2018年度第1四
半期は12.8TWhであり、2019年度第1四半期は8.3TWhであった。
(2)
・EBITDA 16.0十億ユーロから
16.7十億ユーロ
(3)
IFRS 第16号の影響を含む
・営業費用の削減額 2015年と比較して
(1)
2019年の目標
約1.1十億ユーロ
(4)
・HPCおよびLinkyを除いたキャッシュ・フロー 600百万ユーロ超
・取得および「2019年から2020年までの当グループによる売 年間約15十億ユーロ
(5)
却」を除いた純投資の合計額
・2019年から2020年までの当グループによる売却 2十億ユーロから
3十億ユーロ
IFRS 第16号の影響を含む
2019年から2020年までの
(2)
・純負債/EBITDA倍率 2.7倍以下
(1)
大望
(6)
・配当:経常外項目を除く純利益の目標配当性向 45%から50%
フランス政府は、2018年の配当残高ならびに2019年および
2020年の通年の配当を、株式の形式で受領することを表明
した。
(1) フランスにおける一定の法令の枠組みに基づく。
(2) 2019 年1月1日現在の範囲および為替レートに基づき、またフランスにおける原子力発電量が395TWhとなることを前提と
する。ヘッジされていない2020年のフランスの発電量については、2019年2月初旬における実勢価格の状況(約50ユー
ロ/MWh)に基づく。
(3) 人件費およびその他の対外費用の合計。比較対象となる範囲および為替レートに基づく。一定の年金割引率に基づく。
サービス活動における営業費用の変化は除く。
(4) キャッシュ・フローに対するIFRS第16号の影響は、EBITDAの増加に起因するが、IFRS第16号に基づく純負債の利子によっ
て減少した。
(5) フラマンビル3プロジェクトの完成に係る費用および日程に関する当グループの予想に基づく。ASNの決定の発表後、フ
ラマンビルEPRの日程および建設費用に関する最新情報の詳細が公表される。
(6) 自己資本として計上されたハイブリッド債に係る報酬を調整。
EDF グループの売上高の変動
256/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
本業の
2018 年度 2019 年度 成長率
変動
( 単位:百万ユーロ) 第1四半期 第1四半期 (%) (%)
フランス-発電と
7,956 8,145 +2.4 +2.2
供給業務
フランス-規制業務 5,167 5,033 -2.6 -2.6
EDF Renewables
379 417 +10.0 +2.9
Dalkia 1,223 1,323 +8.2 +7.8
Framatome 721 706 -2.1 -4.0
英国 2,577 2,501 -2.9 -4.2
イタリア 2,252 2,372 +5.3 +1.2
その他国外 666 795 +19.4 +18.9
その他事業 751 882 +17.4 +18.5
セグメント間消去 △1,246 △1,208 -3.0 -3.0
グループ合計 20,446 20,966 +2.5 +1.7
当グループの2019年度第1四半期における売上高は約21.0十億ユーロであり、2018年度第1四半期と比較して1.7%の本業の
成長となった。
この変動は、主に、有利な市場状況、当グループのエネルギー・サービス業務の成長およびEDF Tradingによる堅調な業績に
関連して、フランス-発電と供給業務セグメントにより牽引されたものである。また売上高は、計画的な供給停止の延長に関
連した発電量の減少に起因する英国の業務による悪影響および温暖な気候に起因するフランス-規制業務による悪影響を受け
た。
EDF グループのセグメントごとの売上高の増減 ( セグメント間消去前のセグメントごとの売上高の内訳 )
フランス-発電と供給業務
2018年度 2019年度
( 単位:百万ユーロ) 第1四半期 第1四半期 本業の成長率(%)
売上高 7,956 8,145 +2.2
2019年度第1四半期におけるフランス-発電と供給業務セグメントによる売上高は、8.1十億ユーロとなり、2018年度第1四
半期と比較して2.2%の本業の成長となった。
原子力発電量は、111.8TWhとなり、2018年度第1四半期と比較して1.1TWh減少した。この減少は、主に、温暖な気温および
供給停止中の容量の増加に関連する発電量の調整によるものである。
水力発電量( 揚水発電量を差し引く前の、島部電力業務を除く水力発電量。なお、揚水発電量を差し引いた水力発電量は、
2018年度第1四半期は12.8TWhであり、2019年度第1四半期は8.3TWhであった。 )は、不利な水利条件および価格動向の見直し
による資源の最適化により、2018年度第1四半期と比較して32.2%(-4.7TWh)減少して、9.9TWhとなった。
当四半期における最終顧客消費量は、2018年度第1四半期と比較して気温が温暖であったことにより、3.7TWh減少した。財
務への影響は、1月の温暖な気候からの大きな影響を受けて低価格市場における再販売を行ったことにより、2018年度第1四
半期と比較して11百万ユーロの減少に留まった。
(配電に係る部分を除く)規制販売料金の変更( 「積上げ」方式の料金における省エネ証書(EEC)部分を除く顧客に対する
規制販売料金の価格の影響。2018年8月1日における料金の変更は、住宅用顧客の青色料金については-0.5%、非住宅用顧客
の青色料金については+1.1%であった 。)は、当初2019年2月1日に予定されていた料金の引上げが行われなかった中で、料
金調整が終了したことにより、約54百万ユーロのマイナスの影響となった。
下流部門における市況( 市場における提供のEEC部分を除く。 )は、特に卸電力の先渡市場の価格動向と相互に関係のある価
格の好影響のおかげで、推定331百万ユーロの好影響をもたらした。
最終顧客に対するエネルギー構成部分を含む卸売市場の売買残高は、その販売量の減少により、売上高に対して推定290百万
ユーロのマイナスの影響となった。
売上高は、101百万ユーロの購入義務を再販売するにあたり、1月のスポット価格の有利な影響の恩恵を受けた(EBITDAにつ
いては、CSPEメカニズムが購入義務に係る費用を相殺するため、影響は中立的であった。)。
フランス-規制業務 ( Enedis、Électricité de Strasbourgおよび島部業務を含む規制業務 )
257/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2018年度 2019年度
( 単位:百万ユーロ) 第1四半期 第1四半期 本業の成長率(%)
売上高 5,167 5,033 -2.6
2019年度第1四半期におけるフランス-規制業務セグメントによる売上高は5.0十億ユーロとなり、2018年度第1四半期と比
較して、本業において2.6%減少した。
温暖な気候に関連した特に3月における配電容量の減少は、2018年度第1四半期と比較して、推定170百万ユーロのマイナス
の影響となった。
売上高は、推定19百万ユーロとなる配電料金におけるプラスの変動( 36kVA以下の低電圧領域の顧客向け料金の1.16%の上方
修正および2018年8月1日付のTURPE5配電料金の-0.21%の指数化。 )による恩恵を受けた。
さらに、特にポートフォリオ構成の変更と関連した価格の影響により、推定17百万ユーロの好影響がもたらされた。
再生可能エネルギー
EDF Renewables
2018年度 2019年度
( 単位:百万ユーロ) 第1四半期 第1四半期 本業の成長率(%)
売上高 379 417 +2.9
EDF Renewablesの売上高は、417百万ユーロとなり、2018年度第1四半期と比較して2.9%の本業の成長となった。
この傾向は、より有利な価格の影響および風力条件によるものであったが、2018年末および2019年初めに行われた売却によ
り、発電量は概して安定していた(4TWhまたは2018年度第1四半期と比較して-0.1TWhであった。)。
純設備容量の合計は、2018年12月末と比較して広範囲に安定しており、8.3GWとなった。
他方で、2019年度第1四半期末における建設中プロジェクトのポートフォリオ合計は、2018年12月末と比較して+1.1GWの合
計3.5GW(1.4GWの太陽光発電量を含む。)という記録的な水準となった。
当グループの再生可能エネルギー事業 ( 当グループの再生可能エネルギー事業には、EDF Renewablesおよび当グループの水力
発電事業、ならびにEDF LuminusおよびEdisonの再生可能エネルギー事業が含まれる。 )
本業の
2018 年度 2019 年度 成長率
変動
( 単位:百万ユーロ) 第1四半期 第1四半期 (%) (%)
(1)
売上高
1,307 1,252 -4 -5
(1) 特にフランスの揚水発電量を差し引いた水力発電所について、より広範囲の発電資産ポートフォリオ内において最適化さ
れた再生可能エネルギー発電の売上高は、慣例として、スポット市場価格(または購入義務料金)における発電量の評価
に基づき、ヘッジの影響を考慮せず、適用ある場合は容量の評価を含めて見積もられる。
2019年度第1四半期における当グループの再生可能エネルギー事業の売上高は、2018年度第1四半期から5%減少して、1.3
十億ユーロとなった。これは、主に、フランスにおける水力発電量の減少によるものであるが、稼働開始した風力発電容量の
価格の好影響によって一部相殺された。
エネルギー・サービス事業
Dalkia
2018年度 2019年度
( 単位:百万ユーロ) 第1四半期 第1四半期 本業の成長率(%)
売上高 1,223 1,323 +7.8
Dalkiaの売上高は、1.3十億ユーロとなり、2018年度第1四半期と比較して7.8%の本業の成長となった。
258/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
この改善は、サービス契約の見直しの指標における有利な傾向、燃料価格の上昇および売上げの伸びを反映したものであ
る。商業的な動向は、PSAの鋳物工場と協力して行われたシャルルヴィル・メジエールにおける新たな地域暖房ネットワークの
構築によって継続した。
当グループのエネルギー・サービス事業 ( 当グループのエネルギー・サービス事業には、Dalkia、Citelum、CHAMならびにEDF
Energy、Edison、EDF LuminusおよびEDF SAのサービス業務が含まれる。これらは、特に、街路照明、暖房ネットワーク、現地
資源に基づく分散型の低炭素発電、エネルギー消費管理および電気モビリティによって構成される。 )
本業の
2018 年度 2019 年度 成長率
変動
( 単位:百万ユーロ) 第1四半期 第1四半期 (%) (%)
売上高 1,516 1,689 +11 +8
当グループのエネルギー・サービス事業の売上高は、1.7十億ユーロとなり、2018年度第1四半期と比較して8%の本業の成
長となった。売上高は、特に、DalkiaおよびImtechの本業における成長による恩恵を受けた。
エネルギー効率化および総合エネルギー管理ソリューションの提供の分野において、イタリアで活動している事業者の
Zephyroの取得は、エネルギー・サービスの発展に貢献した。
Framatome
2018年度 2019年度
( 単位:百万ユーロ) 第1四半期 第1四半期 本業の成長率(%)
売上高 721 706 -4.0
2019年度第1四半期におけるFramatomeの売上高は、本業において4.0%減少して、0.7十億ユーロとなった。
かかる変動は、主に、燃料集合体が装荷される年の配分に関する2019年度第1四半期におけるタイミングの影響によるもの
である。
「大型プロジェクト事業」では、台山の事業に係る売上高が減少したが、ヒンクリー・ポイントCの事業は強化されてい
る。
2018年度第1四半期にフランスにおいて力強い業績を上げた「設置基盤事業」は、わずかに減少した。
英国
2018年度 2019年度
( 単位:百万ユーロ) 第1四半期 第1四半期 本業の成長率(%)
売上高 2,577 2,501 -4.2
英国における売上高は、2.5十億ユーロとなり、2018年度第1四半期と比較して、本業において4.2%減少した。
売上高の減少は、主に原子力発電の減少ならびにより少ない程度ではあるが、供給量市場の停止およびSVT(標準変動料金)
の料金上限規制によるものである。
原子力発電量は、12.6TWhとなり、2018年度第1四半期から2.5TWh減少した。これは、ハンターストンBの調査およびダン
ジェネスBの供給停止の延長によるものである。
供給業務は、競争の非常に激しい環境下において安定を保っている住宅用顧客ポートフォリオの良好な回復力および企業用
顧客部門における売上高の増加の恩恵を受けた。
イタリア
2018 年度 2019 年度
( 単位:百万ユーロ) 第1四半期 第1四半期 本業の成長率(%)
売上高 2,252 2,372 +1.2
イタリアにおける売上高は、2.4十億ユーロとなり、2018年度第1四半期と比較して1.2%の本業の成長となった。
259/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
電気事業の売上高(本業において+122百万ユーロ)は、企業用顧客セグメントにおける売上高の増加および価格の好影響に
よって、増加した。
ガス事業の売上高は、本業において109百万ユーロ減少した。これは、卸売市場における販売量が減少したことによるもので
あるが、企業用顧客に対する販売量の増加および価格の好影響によって一部相殺された。
炭化水素事業の売上高は、ユーロでのブレント価格の好影響に関連して、本業において15百万ユーロ増加した。
その他国外
2018年度 2019年度
( 単位:百万ユーロ) 第1四半期 第1四半期 本業の成長率(%)
売上高 666 795 +18.9
その他国外の売上高は、約0.8十億ユーロとなり、2018年度第1四半期と比較して18.9%の本業の成長となった。
ベルギーにおける売上高は、特にすべてのセグメントにわたる電力価格およびガス価格の上昇を反映して、本業において59
百万ユーロ増加したが、温暖な気候に起因する住宅用顧客への販売量のわずかな減少によって一部相殺された。風力発電量
は、2018年12月末と比較して+1.6%となり、448MWとなった。
ブラジルにおける売上高は、2018年末に行われたEDF Norte Fluminenseの電力購入契約における料金の年に1度の見直しによ
る好影響およびICMS税( ブラジルにおける商品流通サービス税 )の変更による影響(EBITDAへの影響はない。)により、本業
において57百万ユーロ増加した。
その他事業
2018 年度 2019 年度
( 単位:百万ユーロ) 第1四半期 第1四半期 本業の成長率(%)
売上高 751 882 +18.5
その他事業セグメントによる売上高は、約0.9十億ユーロとなり、2018年度第1四半期と比較して18.5%の本業の成長となっ
た。
EDF Tradingの売上高は、本業において48百万ユーロ増加した。EDF Tradingは、好調なボラティリティの恩恵を受け続けて
おり、欧州における電気市場およびガス市場の価格の状況も生かした。LNG(液化天然ガス)およびLPG(液化石油ガス)に関
する業務もまた、2019年度第1四半期の業績に貢献した。
ガス事業の売上高は、好調なLNG業務および当グループの能力のより有効な活用により、本業において176百万ユーロ超増加
した。
2019 年2月15日付プレスリリース後における主な事象 ( 全プレスリリースの一覧は、EDFのウェブサイト(www.edf.fr)にて入
手可能である。 )
主な事象
・フラマンビルEPRの最新情報:ASNの決定の発表後、フラマンビルEPRの日程および建設費用に関する最新情報の詳細が公表さ
れる(2019年4月11日付プレスリリースを参照。)。
・EDF、EBMおよびEOSは、EBMおよびEOSに対して、EDFが保有するAlpiqにおける25%の持分を売却することにつき合意した
(2019年4月5日付プレスリリースを参照。)。
・2019年5月16日付株主総会の招集通知およびEDFの取締役会の任命(2019年4月5日付プレスリリースを参照。)。
・EDFは、低炭素水素の生産および販売を行う子会社のHynamicsを設立(2019年4月2日付プレスリリースを参照。)。
・EDFおよびBBVAは、300百万ユーロの持続可能なリボルビング与信枠を締結(2019年3月22日付プレスリリースを参照。)。
新規投資、パートナーシップおよび投資プロジェクト
EDF Renewables による再生可能エネルギーの開発 ( EDF Renewablesの全プレスリリースの一覧は、ウェブサイト(www.edf-
renouvelables.com)で入手可能である。 )
・EDF Renewablesは、ギリシャで行われた、アテネの近くに位置する60MWpを予定している太陽光発電所に関する入札を受け
て、20年間の電力購入契約を獲得した(2019年5月6日付プレスリリースを参照。)。
260/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・EDF RenewablesおよびWiSEEDは、ギアナにおける貯蔵付きのトゥーカン2太陽光発電プロジェクトに関して、参加型資金調
達を開始した(2019年5月6日付プレスリリースを参照。)。
・Eolien Maritime Franceは、フランスにおける2つの洋上風力発電プロジェクト向けのタービンの供給に、Siemens Gamesa
Renewable Energyを選定した(2019年4月16日付プレスリリースを参照。)。
・EDF Renewablesは、太陽光発電プロジェクトの開発および運営を行うフランスの公益企業であるLUXELグループの取得を完了
した(2019年4月1日付プレスリリースを参照。)。
・EDFは、2つの洋上風力発電所の建設および操業ならびに武漢市における冷暖房ネットワークの最適化に関する契約を通じ
て、中国における事業を強化した(2019年3月25日付プレスリリースを参照。)。
・EDF Renewablesは、パートナーであるAsia Clean Capitalとともに、中国における配電向け太陽光発電事業のプレゼンスを
強化した(2019年3月21日付プレスリリースを参照。)。
・EDF Renewablesは、米国における風力エネルギーおよび太陽光エネルギーの拡大を追求している(2019年3月12日付プレス
リリースを参照。)。
Framatome ( Framatomeの全プレスリリースの一覧は、ウェブサイト(www.framatome.com)で入手可能で ある 。 )
・米国:Framatomeは、ウルフ・クリークにおいて最先端の維持管理を行うために、数百万米ドルの契約を獲得した(2019年2
月20日付プレスリリースを参照。)。
その他の重要な事象
・EDFグループおよびLogis Cévenolsは、フランスにおける最大規模の共同自家消費の運営を開始した(2019年5月7日付プレ
スリリースを参照。)。
・「明日の接続されたコミュニティ」:BBOXXは、発展途上の世界における「将来のコミュニティ」の展望を明らかにした
(2019年4月24日付プレスリリースを参照。)。
・EDFグループは、2019年における従業員の積立制度である「2019年ERO」を開始した(2019年4月17日付プレスリリースを参
照。)。
・EDFグループおよびMETRO Franceは、風力エネルギーの供給に関する新たな契約を締結した(2019年3月25日付プレスリリー
スを参照。)。
・EDFは、顧客の利益が不当競争の実務から守られたという事実を歓迎する(2019年3月14日付プレスリリースを参照。)。
( ⅹ) 2019年5月16日-2019年5月16日開催の年次株主総会および取締役会:全決議が採択された。取締役会は、ジャン・ベ
ルナール・レヴィ氏の会長兼最高経営責任者としての任期の更新を動議した。
EDF 株主総会の結果
2019年5月16日、パリにおいてEDF株主総会が開催され、ジャン・ベルナール・レヴィ氏が議長を務めた。
本人または代理人が出席した株主は、EDFの議決権の92.02%を保有していた。出席株主は、取締役会が提案した以下を含む
全決議を承認した。
・1株当たり0.31ユーロの普通配当および1株当たり0.341ユーロの特別配当の配当の支払い。
2018年12月10日に支払われた1株当たり0.15ユーロの中間配当を考慮すると、配当の残額は、普通配当については1株当た
り0.16ユーロであり、特別配当については1株当たり0.191ユーロである。
各株主は、配当の残額について株式による支払いを選択することができる。新たな株式による支払いのオプションの行使期
間は、2019年5月24日(同日を含む。)から2019年6月10日(同日を含む。)である。配当落期日は2019年5月22日であ
る。配当の残額は、2019年6月18日より現金または株式により支払われる。
・株式買戻プログラムおよび貯蓄計画の加入者に係る株主資本の増加に関する一定の財務認可。
取締役会の更新
株主総会は、取締役の任命および更新ならびに取締役会の期差による更新について審議し、以下の決議を承認した。
・ジャン・ベルナール・レヴィ氏の取締役としての任期を4年間更新する。
・アンヌ・リゲ氏、ブルーノ・クレメル氏、ジル・ドゥノワイエル氏およびフィリップ・プティコラン氏を4年間の任期で取
締役に任命する。
・マリー・クリスティーヌ・ルプティ氏、コレット・ルウィネ氏、ローランス・パリゾ氏、ミシェル・ルソー氏およびモーリ
ス・グルドー・モンターニュ氏の取締役としての任期を2年間更新する。
AFEP-MEDEF規約の要件に従い、現在、EDFの取締役会の50%が女性であり、41.7%が適格独立取締役である。
261/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
すべての投票結果、株主総会全体のプレゼンテーションおよび再配信は、EDFのウェブサイト(www.edf.fr/agm)において提
供されている。
ジャン・ベルナール・レヴィ氏のEDFの会長兼最高経営責任者としての任期を更新する取締役会決議
EDFの会長は、公企業のガバナンスおよび資本取引に関する2014年8月20日付政令第2014-948号第19条ならびにフランス憲法
第13条に従い、フランス国民議会および上院の管轄の委員会による候補者の審査後に、取締役会の提案を受け、フランス共和
国大統領令により、取締役会の構成員から任命される。
フランス国民議会および上院の経済委員会は、4月30日および5月2日にジャン・ベルナール・レヴィ氏との面談を行い、
同氏のEDFの会長兼最高経営責任者への任命を承認した。
EDFの取締役会は、株主総会後に同日開催され、フランス共和国大統領に対してレヴィ氏の会長兼最高経営責任者への任命を
提案することを決議した。
フランス共和国大統領令の発表まで、経済担当大臣は、2014年8月20日付政令第21条に従い、2019年5月16日付で、ジャ
ン・ベルナール・レヴィ氏をEDFの暫定の会長兼最高経営責任者( Président par interim )に任命した。
(x ⅰ) 2019年5月20日-EDFが、革新的なスマート充電ソリューションを実現するための新たな子会社のDREEVを設立
DREEVは、EDF Pulse Expansionおよびカリフォルニア州の新興企業であるNUVVEが設立したジョイント・ベンチャーである。
新たなブランドの背景にある方針は、EDFの電気モビリティ計画が立ち上げられた2018年10月に発表された。同計画は、EDFグ
ループが、欧州の4つの主要な市場(フランス、英国、イタリアおよびベルギー)における電気モビリティ市場、とりわけ
「スマート充電」の分野の主導者となるよう設計されたものである。
新たな子会社であるDREEVの主要な事業は、「スマート充電」の最も革新的で、かつ有望な特徴である「自動車から送電網」
(V2G)技術に基づくソリューションの開発である。現在DREEVにより提案される同技術は、新興企業のNUVVEにより開発され、
既に世界中で試用されている。現在DREEVは、企業および地域の保有車両を対象としている。
「スマート充電」は、電気自動車の充電および放電を柔軟かつ経済的に最適化するよう設計された技術を参照している。電
気自動車の充電の管理には、主に送電網から自動車への充電の時間と速さの管理が関係する。V2G技術により、電気自動車の
バッテリーに集積されたエネルギーを、必要に応じて、建物、地域または送電網へのエネルギー供給に使用することが可能と
なる。これにより、自動車は送電網にとって活動的な構成要素となり、電力システムに一定の均衡をもたらす一助となる。こ
の方法により生産され、すぐに「消費」されないkWhの容量が貯蔵可能となることから、同技術は再生可能エネルギーの発展に
貢献する。
EDFグループおよびNUVVEの専門技術からの恩恵を受けているDREEVは、様々な分野に取り組んでいる。
・とりわけ送電網から送られたシグナルに基づく自動車の充電および放電のスマート管理
・貯蔵により可能となった、受給の均衡を確立させるためのエネルギーの柔軟性に関するサービスの実施。かかるプロセスに
より創造される価値は、結果的に顧客と共有される。
・可動性の観点から利用者のニーズを保証しながらも、未使用時に自動車から電力を引き出すことと引換えに、可能な限り最
高の報酬を受けることを支援する顧客経験
これらのソリューションは、異なる経路、とりわけEDFグループの100%子会社であり、充電施設を専門に扱うIZIVIAを通じ
て販売される予定である。
DREEVは、既に多数の成果を上げている。
・ボルドー地域にあるHotravailの敷地内においてV2Gターミナルを設置。これにより、同社は毎月1車両当たりV2G貯蓄20ユー
ロを上限として受領し、モビリティのニーズに関連する電力料金を補填することができる。
・シボー原子力発電所の敷地内においてV2Gターミナルを設置する作業が現在進行中である。かかる敷地は、特に低炭素モビリ
ティの分野に関与しており、自社の施設においてDREEVの技術を展開していくというEDFの意欲を示したものである。
これらに加えて、V2Gは当グループが既に出資している分野である。
・英国において、EDF Energyは、利用者が最良の価格で自動車を充電できるソリューションを開発するために、既にNUVVEとの
協働を開始している。EDF Energyの敷地の1つは、NUVVEのV2G充電器を既に搭載している。DREEVの設立は、これらの開発を
加速させる一助となる。
・Renaultグループと協働しているEDFは、レユニオン島において、「スマート充電」および送電網シグナルからのV2Gがもたら
す利益を検証するために、150台の車両が参加する大規模な試験を開始した。
(x ⅱ) 2019年5月20日-EDFグループの執行委員会における変更
EDFグループの会長兼最高経営責任者であるジャン・ベルナール・レヴィ氏は、当グループの執行委員会に多数の新たな委員
を任命した。かかる任命は、2019年7月1日に効力が生じる。
262/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
マルク・ブナユン氏は、顧客・サービス・地域業務担当の当グループ上級執行副社長に任命され、ガス・イタリア事業の担
当も引き続き担当する。同氏は、取締役としてその他の職務を遂行する予定のアンリ・ラフォンテーヌ氏の後任である。
セドリック・レヴァンドフスキ氏は、原子力発電および火力発電部門担当の当グループ上級執行副社長に任命された。同氏
は、退職の権利を行使するフィリップ・サセーニュ氏の後任である。セドリック・レヴァンドフスキ氏は以前、イノベーショ
ン・企業の社会的責任・戦略担当の当グループ上級執行副社長であった。
アレクサンドル・ペラ氏は、イノベーション・企業の社会的責任・戦略担当の当グループ上級執行副社長に任命された。同
氏は以前、執行委員会の事務の仕事を遂行しながら、役員補佐および政府関係担当の上級執行副社長を務めていた。
EDFグループの執行委員会は、現在以下の委員で構成されている。
・顧客・サービス・地域業務担当の当グループ上級執行副社長マルク・ブナユン氏。同氏は、Edisonおよび当グループのガス
事業も監督している。
・再生可能エネルギー担当の当グループ上級執行副社長ブルーノ・ベンサソン氏。同氏は、EDF Renouvelablesの会長兼最高経
営責任者を兼務している。
・当グループ人事担当の当グループ上級執行副社長クリストフ・カルヴァル氏。
・当グループ財務部門担当の当グループ上級執行副社長グザヴィエ・ジール氏。
・変革・経営効率担当の当グループ上級執行副社長ヴェロニック・ラクール氏。
・国際部門担当の当グループ上級執行副社長マリアンヌ・レノー氏。
・原子力発電および火力発電部門担当の当グループ上級執行副社長セドリック・レヴァンドフスキ氏。
・イノベーション・企業の社会的責任・戦略担当の当グループ上級執行副社長アレクサンドル・ペラ氏。
・当グループ上級執行副社長兼EDF Energyの最高経営責任者シモーネ・ロッシ氏。
・当グループ上級執行副社長兼当グループ書記長ピエール・トドロフ氏。
・エンジニアリング部門および新たな原子力プロジェクト担当の当グループ上級執行副社長グザヴィエ・ウルサ氏。
役員補佐および政府関係担当の当グループ上級執行副社長ポール・マリー・デゥービー氏は、執行委員会の事務の仕事も遂
行している。
(x ⅲ) 2019年5月22日-EDF、MasdarおよびGreen of Africaのコンソーシアムが、世界初の太陽光発電技術および貯蔵技術の
ハイブリッドであり、800MWの設備容量を有するモロッコの画期的なヌール・ミデルトⅠ太陽光発電プロジェクトの落札者と
なった
2019年5月22日、パリ-モロッコ太陽エネルギー庁(MASEN)は、(子会社のEDF Renewablesを通じて)EDF、Masdar(Abu
Dhabi Future Energy Company)およびGreen of Africa(モロッコの独立発電事業者)のコンソーシアムが、競争の激しい国
際入札プロセスを経て、ヌール・ミデルトⅠ複合型太陽光発電所の設計、建設、運営および維持管理の落札者となったことを
発表した。
800MWの設備容量を有するこの革新的なハイブリッド太陽光発電プロジェクトは、集光型太陽熱発電(CSP)および太陽光発
電(PV)の技術を組み合わせたものである。これらの技術のハイブリッド化は世界初である。
太陽光発電およびCSP( 集光型太陽熱発電(CSP)とは、モーター式の熱力学サイクルに加えて発電機(例えば、タービンお
よび発電機)を利用して太陽光エネルギーを熱に変え、それをさらに電力に変える一連の技術をいう。(ADEMEより) )の技術
が組み合わさることによって、発電所の発電量が増加し、日没後5時間までモロッコの送電網において柔軟で、送電可能かつ
競争力の高い電力を生成することができる。
当該発電所は、モロッコ中部のミデルトから20キロメートル北部に位置し、ムールーヤ川を囲む台地ならびに中アトラス山
脈および高アトラス山脈の間に位置する予定である。当該プロジェクトの建設は、2019年度最終四半期に開始する予定であ
り、送電網には2022年に配電される予定である。
当該プロジェクトは、2030年までに発電量の52%を再生可能資源から生成するというモロッコの目標の達成に向けての重要
な節目である。
(x ⅳ) 2019年5月28日-EDFが、Alpiqにおける持分25%の売却完了を発表
2019年4月5日、EDFは、Alpiqにおける持分の売却に関連する入札契約の締結を発表した。EDFは、ドイツの競争当局による
承認を受けて、2019年5月28日に、スイスの電力会社であるAlpiqにおける持分25.04%の売却を完了した。
(x ⅴ) 2019年6月13日-EDFがe2mを取得し、欧州における分散型エネルギー管理の分野における地位を強化
ドイツにおける地域の融通性およびエネルギー・アグリゲーション市場の主要な事業者を取得
EDFグループは、その関連会社であるEDF Pulse Expansionを通じて、ドイツの会社であるenergy2market(e2m)の資本の
100%を取得した。
263/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2009年に設立されたe2mは、地域の融通性および再生可能エネルギーの生産を集約する、この市場におけるドイツの有数の事
業者の1つである。85名の従業員を抱えるe2mは、優れた技術上および業務上のノウハウを有し、短期的な融通性管理における
幅 広いサービスの提供、再生可能エネルギーの生産の商業化ならびに自社のVPP(仮想発電所)プラットフォームのSaaS(サー
ビスとしてのVPPソフトウェア)ベースでの商業化を行っている。e2mは、主にドイツにおいて2,000の顧客を有しており、総設
備容量3GWを占める、接続された分散型エネルギーの生産および融通に係る施設4,500か所(風力発電所、太陽光発電所、バイ
オマス等)の運営および操業を行っている。
かかる取引は、依然として欧州の競争当局の承認を条件としている。e2mの取得は、2019年度第3四半期末までに完了する予
定である。
急成長市場における地位の確立を手助けする組織、EDF LEM(Local Energy Management)
EDFグループは、CAP2030の戦略に従って、フランス国内外における再生可能エネルギーおよび貯蔵の発展を加速させてい
る。かかる発展は、いわゆる地域の分散型エネルギーの開発および最適化に特に依拠している。EDFグループの新たな事業ライ
ンであるEDF Local Energy Management(LEM)は、エネルギーおよび地域の融通性の開発分野に取り組む子会社(Agregio、
EDF Store & Forecast、Dreev、EDF-Energy PowerShiftおよび取得完了後のe2m)の発展を監督する。
EDFは、かかる取得により、ドイツにおける直接的なマーケティングおよび地域の融通性市場の主要な事業者となる。また当
グループは、ドイツの先進市場における主要な事業者としての経験および技術力からの恩恵を受ける。e2mが有するノウハウ
は、フランスにおいて1.5GWの設備容量を占める分散型資産ポートフォリオの開発を行っている、2017年に設立されたアグリ
ゲーターであるEDFの子会社Agregioのノウハウを補い、またPowerShiftプロジェクトを通じて、英国における融通性のアグリ
ゲーターであるEDF Energyのノウハウを補うこととなる。
またEDF Local Energy Managementは、以下の会社により行われる活動を監督する。
・エネルギーを予測し、貯蔵することによって、地域の電力システムにおけるエネルギー利用の最適化を行うソフトウェアの
解決策を提供するEDF Store & Forecast
・断続的な再生可能エネルギー源の採入れを推奨する重要な貯蔵および融通の要素を確立するために、電気自動車についての
自動車から送電網へのソリューション開発を行うDreev
最後に、e2mの取得は、エネルギー移行を推奨する欧州の革新的な分野におけるプレゼンスを強化したいというEDFグループ
の大望を表したものである。欧州における地域の融通性能力およびエネルギー・アグリゲーション市場の水準は、200GW(うち
ドイツは75GW)と見積もられており、2030年までに2倍になると見込まれている。エネルギー構成における変化は、とりわけ
長期的な収入源を確保するために、地域の融通性および生産のアグリゲーション事業が発展しなければならないことを意味す
る。とりわけEDFグループは、ドイツにおいて、独仏共同の研究機関であるEIFER(欧州エネルギー研究機関)と協力して、地
域の低炭素ソリューション、エネルギー計画および「スマート・シティ」に関する研究活動を進めている。
(x ⅵ) 2019年6月14日-EDF率いるコンソーシアムが、ダンケルクの洋上風力発電プロジェクトに選出される
公的機関により実施された入札募集を経て、フランスの環境連帯移行省は、子会社のEDF Renewablesを通じて、またInnogy
およびEnbridgeと連携して、将来におけるダンケルクの洋上風力発電所の設計、建設、操業および維持管理を行うことに関し
てEDFグループを選出した。
本プロジェクトは、2012年におけるサンナゼール、フェカンおよびクルル・シュル・メールの3つのプロジェクトの獲得に
続き、当グループが公的機関の入札手続を通じて獲得した4つ目の洋上風力発電プロジェクトとなる。
同発電所は、ダンケルク沖10km超に位置し、約600MWの設備容量を有することとなる。同発電所は、ノール県の電力需要の約
40%相当を供給する予定である。かかるプロジェクトは、ダンケルクの経済、とりわけ製造、海上および観光の分野における
発展の中核を成し、地域の雇用を創出する。
EDFは、入札手続中にそうしたように、地域コミュニティとの協議に専念し続け、協力会社は今後数か月の間にCNDP(フラン
ス公開討議委員会)に対してプロジェクトに関する言及を行う意向である。風力発電所は、2026年に稼働を予定している。
サンナゼール洋上風力発電所の運転許可に関するフランスの国務院による2019年6月7日付決定とともに、2019年6月14日
現在の決定によって、EDFはフランスの海上エネルギー分野を主導していくことが可能になる。
EDFグループは、既にフランスおよび国際市場における洋上風力発電所の主要な事業者である。その子会社EDF Renewables
は、英国におけるブリス風力発電所(42MW)を開発、建設および操業し、またスコットランドにおけるNeart na Gaoithe施設
(450MW)の開発を継続し、ベルギーのCパワー・プロジェクト(325MW)の操業における株主でもある。ダンケルクの取得に
伴い、EDF Renewablesは、フランスにおいて2GW超のプロジェクト・ポートフォリオを有することとなる。最後に、同社は中
国における合計500MWの2つのプロジェクトへの参加交渉中であり、また米国ニュージャージー州において2,500MWの潜在力を
有する地域を開発している。
264/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
(x ⅶ) 2019年6月17日-2018事業年度の配当残高における株式による配当オプションの結果
EDFの株主の間で、配当残高を株式の形式で受領する配当オプションが支持された。2019年5月24日(当日を含む。)から
2019年6月10日(当日を含む。)までのオプション行使期間の終わりまでに、配当受領権の93.71%について、この配当オプ
ションが選択された。
フランス商法第L.232-18条および当社の定款第25条に従い、EDFの2019年5月16日付定時株主総会において、2018事業年度に
関して普通配当の受領権が付された株式1株当たり0.31ユーロの配当金を支払うことが決定され、普通配当の受領権が付され
た株式1株当たり0.16ユーロの未払いの配当残高を当社株式の形式で受領する配当オプションを付与することとなった。
新株の発行価格は、1株当たり11.10ユーロである。この価格は、ユーロネクスト・パリ市場において、定時株主総会が開催
された2019年5月16日より前の20取引日におけるEDFの上場株式の始値の平均株価の90%から、配当金残高を差し引き、ユーロ
セントの単位に四捨五入した値に相当する。
かかる取り決めにより、40,701,950株(発行後、株式資本の約1.33%を占めた。)の新株の発行が行われ、交付され、2019
年6月18日以降ユーロネクスト・パリにおける取引が許可される予定である。新株は、即時行使可能な配当受領権とともに発
行され、当社のサイトで入手可能である当社定款および2018年 Document de Référence に記載されているとおり、発行済普通株
式と同様の権利( jouissance courante )および条件を付与する。株式による配当オプションを選択した株主に支払われる現金
による配当残高は、約0.230百万ユーロとなった。
2018年の配当残高を株式の形式で受領することを選択しなかった株主に対する現金による支払配当金の残高合計は、約
30.554百万ユーロとなり、2019年6月18日に支払われた。
(x ⅷ) 2019年6月20日-フラマンビルEPR:EDF、原子力安全当局の決定を検討
EDFは、原子力安全当局(ASN)が2019年6月19日付書簡によって通知した、フラマンビルEPRの破断防止概念の対象である主
蒸気配管の溶接部に影響を及ぼす不具合に関する決定を検討している。
EDFは、フラマンビルEPRの日程および費用に対して当該決定が及ぼす影響を現在分析しており、向こう数週間以内にこのプ
ロジェクトにおける次の段階の最新情報の詳細を発表する予定である。
4【経営上の重要な契約等】
フランス商法第L.225-38条において言及される規制対象となる契約およびコミットメントに関する情報は、法定監査人によ
る特別報告に含まれる。規制市場において株式を上場している会社は、2019年5月22日付PACTE法第2019-486号を施行する新た
なフランス商法第L.225-40-2条に従い、フランス商法第L.225-38条において言及されている規制対象となる契約およびコミッ
トメントに関する情報を、遅くともかかる契約等の締結日までに、自身のインターネット・ウェブサイト上で公表しなければ
ならない。留意点として、インターネット・ウェブサイト上に公表されるべき情報の一覧を示す命令は、本書提出日現在公布
されていない。
(ⅰ)本書を通して、または2018年12月31日に終了した事業年度の連結財務書類の注記に記載された契約ならびに(ⅱ)2016事
業年度および2017事業年度に係る有価証券報告書を通して、または2016年12月31日および2017年12月31日に終了した事業年度
の連結財務書類の注記に記載された契約(下記に列挙された契約を含む。)を除き、2018年 Document de Référence 、2017年
Document de Référence および2016年 Document de Référence のそれぞれの提出日に先立つ2年間に、EDFは通常業務における契
約以外の重要な契約を締結していない。
( 1) 2018年に締結された重要な契約
2018年に当グループが締結した通常業務における契約以外の重要な契約は、以下のとおりである。
・2018年10月30日付のDunkerque LNGに対する持分に係る委譲契約
・2018年6月付の英国における風力発電所24か所(Dalmore Capital LimitedおよびPensions Infrastructure Platformの
550MW)に対する49%の少数持分に係る委譲契約
・2018年5月付のスコットランドにおける「Neart na Gaoithe」と名付けられた450MWの洋上風力発電プロジェクトに係る売却
契約
( 2) 2017年に締結された重要な契約
2017年に当グループが締結した通常業務における契約以外の重要な契約は、以下のとおりである。
・2017年5月19日付で、EDFは、EDF Polskaの資産の売却に係る契約をPGEと締結した。
・EDFは、2017年3月31日に、RTEの間接的株式持分49.9%のフランス預金供託公庫およびCNP Assurancesへの譲渡に関する契
約を締結した。
265/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・2015年7月30日にEDFおよびAREVAの間で締結され、2016年7月28日に改訂された拘束力を持たない覚書に基づき、EDFは2017
年12月31日付で、AREVAグループからスピンアウトした事業体であり、原子炉および原子炉機器の設計および製造、燃料集合
体 ならびに設置基盤向けサービスに関連する産業活動を統合するNew NP(現在のFramatome)の資本および議決権の75.5%を
取得し、これは2017年12月14日に取締役会によって承認された。
( 3) 2016年に締結された重要な契約
2016年に当グループが締結した通常業務における契約以外の重要な契約は、以下のとおりである。
・2016年7月28日のEDFの取締役会において最終投資決定が承認された後、2016年9月29日に英国政府およびCGNとの間で締結
された、ヒンクリー・ポイントCプロジェクトに関する最終契約
・2016年11月15日にEDF、AREVAおよびAREVA NP間で締結された、NEW NP(AREVA NPの完全子会社)の株式資本および議決権の
51%から75%を占める持分の取得を通じたAREVA NPの事業の取得に関する株式譲渡契約。2016年11月15日の取締役会におい
て承認されたNEW NPのガバナンスに関する株主間契約の草案がかかる株式譲渡契約に添付された。
・2016年12月14日にEDF SA、フランス預金供託公庫およびCNP Assurance間で締結された、2016年12月14日の取締役会において
承認されたRéseau de Transport d'Électricité(RTE)の持分の間接的な一部売却を規定する投資契約(およびその付属書
類)
5【研究開発活動】
EDFグループの研究開発部門(R&D)の主要課題は第一に、その最高水準の専門性および高い実務パフォーマンスを提供する
ことにより当グループの事業部門および子会社を日常ベースで補佐することであり、第二に、直面する進展および大きな課題
を予測することにより当グループの将来に貢献することである。
特に、これらの課題には以下を含む。
・エネルギーの移行を支援し、二酸化炭素排出量を削減するための、原子力発電および断続的な再生可能エネルギーによる発
電の相補性。
・水使用および環境管理。
・新興国の急速な発展およびその結果として生じる消費圏の移動。
・電力事業および顧客の行動変化に新たな機会を提供しているエネルギー分野に適用される情報技術の著しい発展。
・発電も行い、エネルギーの自立性が高い建物、地域および街に居住することによって、より効率的に消費したいと考えてい
る消費者および地方自治体。
かかる状況において、研究開発部門の役割はこれらの課題すべての解決策を見つけ出す局面においては極めて重要である。
研究開発部門の研究方法は広範な3つの優先事項を基軸に構成されている。
・顧客のための新たなエネルギー・サービスの開発および検証を行うこと。需要に関する認識の向上、顧客によるエネルギー
効率の改善、再生可能エネルギーと併用されることの多い電力の新しい効率的な利用方法(ヒートポンプ、電気モビリティ
等)の促進、建物、産業および持続可能な都市の設計に用いる技術的モデルおよび経済的モデルの開発ならびにスマート・
グリッドの利用および適正料金を通じて電力システムに利用と消費が統合される進展の結果、柔軟かつ低炭素の需要管理を
可能にすること。
・電力網の資産管理の改善による電力網インフラの耐用年数の最適化およびそれに伴う電力システムの適応、エネルギー輸送
に関する新たなインフラ・プロジェクトのための最適化モデルおよび経済シナリオの導入、断続的なエネルギーの導入なら
びにスマート・グリッドの開発を通じて将来の電力システムを備えること。
・競争力のある低炭素な発電構成の強化および開発を行うこと。移行における重要課題の1つは、パフォーマンスおよびエネ
ルギー・システムへの統合の改善による新しい再生可能エネルギーの開発とともに、とりわけ既存の原子力発電所の安全
性、パフォーマンスおよび耐用年数をさらに改善することで、従来の発電方法との効率的な共存を確保することである。
2018年、研究開発部門は、当グループの将来に備えるため、同部門が先導する破壊的イニシアチブのリストを更新し、5つ
の新たな破壊的イニシアチブが特定された。
・クリーン電力を原動力とする脱炭素経済-気候変動に対処し成長を促すため、世界の主要な都市はその炭素排出量を削減し
なくてはならない。電力が低炭素成長の重要な要素の1つとなる。研究開発部門は、この課題に対処するために技術的資源
を投資している。
・分散型の貯蔵および発電-さらに効率的かつ低コストな貯蔵、太陽光発電および分散型発電ソリューション(独立した太陽
光発電システム、マイクロ・コージェネレーション等)が、現在は需要と供給との均衡を常に保つことおよび電力網事故を
軽減することに基づいている電力会社のビジネスモデルに重大な改変を迫っている。研究開発部門は、2035年までに全世界
266/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
で10GWのエネルギー貯蔵を開発するというEDFの目標達成を支援するために、充電池、独立した発電システム、分散型発電お
よびカーボンフリー水素の分野に資源を投入している。
・スマート・ビルディングおよびスマート・シティ-将来の建物は、温室効果ガスの排出量の低減に貢献しなければならず、
また将来の街は、きれいな空気、低騒音、安全な住環境および生態系に配慮した環境等、人が窓を開けたまま眠れるような
ものでなくてはならない。これらを実現するため、EDFの研究開発部門は、複合電力システムを管理し最適化する手法やツー
ルを設計する。
・原子力イノベーション-EDFは、将来の原子力発電所の実現のために、デジタル・テクノロジー(デジタル・ツイン等)、製
造(3Dプリンター等)、資源(新型燃料等)および最適化(再生可能エネルギーと原子力エネルギーの混合構成等)の最先
端イノベーションの分野において18の技術的構成要素を定めた。
・柔軟かつ将来を見据えた研究開発部門-EDFグループは、グループ内の多様な企業のために価値を生み出すことができるよう
研究開発モデルを適合化しており、増大する技術上および競合上の課題に正面から対処することができる。
( 1) 研究開発部門の組織および主要なデータ
EDFの研究開発部門は、当グループ内の異なる部門間のシナジーおよび伝達を容易にするために、総合的かつ学際的である。
Framatomeを含む一部子会社に対して510百万ユーロのEDFの研究開発予算を増額し、2018年の当グループの研究開発予算総額
は711百万ユーロであった。これは大手電力会社の中でも最大規模の研究開発予算の1つである。かかる予算の約3分の2は、
EDFの営業部門および子会社との間の契約上の合意に基づき毎年企画されるプログラムに費やされる。残りの3分の1は、当グ
ループの研究開発の優先分野に該当する中期および長期の予想される取組みに使用される。
2018年、かかる予算の約20%は、環境保護に充当された。特にエネルギー効率、化石燃料の代替としての電力の使用、再生
可能エネルギーおよび送電網への再生可能エネルギーの投入、エネルギー貯蔵、カーボンフリー水素とその適用による経済の
脱炭素化、持続可能な都市、気候変動の地域的影響ならびにその他の環境問題(生態系の多様性、水質および擾乱の軽減等)
に関する研究に費やされた。
2018年末、EDFの研究開発部門は、フランスにおいて29の国籍にわたる計1,900人の従業員を有している。このうち84%はマ
ネージャー職であり、31.6%は女性である。また研究開発部門の117人が博士課程の学生であり、77人が職業体験プログラムの
実習生である。約160人の研究者は大学および主要な工業学校で教鞭を取っている。当部門は、世界中に225人の従業員を有
し、そのうち27人がフランス人駐在員である。2018年10月下旬、EDFの研究開発部門は45人を採用した。その従業員をEDFグ
ループ内の他の企業に配置している。かかる配置の結果、2018年10月下旬においては従業員55人の純減となった。
研究開発部門は13の専門分野によって構成される。研究開発部門の専門知識は、当グループの活動分野のすべて(再生可能
エネルギーおよび貯蔵、電力網、原子力発電、地熱発電、水力発電、エネルギー管理、商務およびサービス、ITシステム、環
境)を網羅している。これらは特定の分野、事業ラインおよびプロジェクトに特有のものであり、主要なシステムにおける業
務のために一体となる。
EDFの研究開発部門は、EDFの研究開発部門のノウハウおよびイノベーションをEDFグループ全体と共有することをその目的と
している内部的な研修実施機関である技術移転促進機関( Institut de Transfert de Technologie、 ITech)を管理している。
ITechは、研修コースのカタログを作成し、毎年更新している。2018年において提供された114コースのうち、56コースは当グ
ループ外の専門家向けにも開講された。ITechの研修コースは、専門学校においても開講授業の一部となっている。2018年、
ITechは、革新的なプロジェクトにおける価値創造に関する新プログラムを追加した。
研究開発部門は、現在複数の施設において構成されている。3か所はフランスのパリ首都圏に位置しており、6か所は国外
に位置している(ドイツ、英国、中国、米国、シンガポールおよびイタリア)。シャトゥー・センターおよびレ・ルナルディ
エール・センター(フォンテーヌブロー近辺)は、それぞれ423人および540人の従業員を有している。
EDFの中心的な研究開発センターは、2016年に開設されたパリ・サクレーのキャンパスのパレゾーに所在する。当グループの
調査員、博士課程の学生、インターンおよびEDFのパートナー等総勢1,054人が施設にて働いている。
サクレー・センターは、EDFの研究開発に関する新たな目標を定め、また科学的かつ産業的な革新および研究を当グループの
優先事項の中心に位置付けている。
2016年9月に開設されたEDFの研究開発部門の実習プログラムおよび実習センターは、当グループをパリ・サクレーのキャン
パスにおける主要企業として位置付けており、当グループは、近隣に所在している高等教育機関ならびに公立および私立の研
究センターとのより活発な協力関係から利益を得ることが可能な理想的な環境にある。
さらに、パリ・サクレー大学のその他機関との間で、複数のパートナーシップ契約が締結された。
・モノのインターネットおよび電力システムのためのサイバー・セキュリティを専門とする、EDFおよびTelecom Paris Techの
共同研究所であるSEIDO。かかる研究所の課題は、相互運用性のある通信エネルギー関連機器(暖房、空調、白物家電および
黒物家電、電気自動車等)を活用してエネルギー需要の管理およびエネルギー効率化サービスを展開するための準備とその
267/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
円滑化に取り組むことによって、システム全体の一体性および(セキュリティや機密性等の)安全性の確保に努めることで
ある。
・高等電気学校( Supélec engineering school )と協同してスマート・グリッドのモデル化およびシミュレーションを行うた
めの共有施設であるライズ・グリッド研究所。
・EDF、フランス原子力庁、サントラル・スペレック( CentraleSupélec )、パリ・サクレーの高等師範学校( École normale
supérieure Paris-Saclay )、フランス地質調査所(BRGM)およびフランス国立科学研究センター(CNRS)によって設立さ
れ、地震活動が断層線から構造に及ぼす影響のモデル化を行うSEISM研究所。
・ジャック・アダマール数学財団が主催する、EDFの研究開発部門による資金援助によって設立された最適化・運用研究のガス
パール・モンジュ・プログラム(PGMO)。
・2015年6月よりEDFとともにENSTA、CNRSおよびCEA Saclayをまとめている機械科学・産業応用研究所(IMSIA)。
・ドーフィネ大学、ENSAEおよび国立理工科大学( École Polytechnique )と共同のエネルギー財政市場研究所。
・太陽光発電分野における画期的な技術の開発を専門とする、エネルギー移行機関(ITE)である、SASであるイル・ド・フラ
ンス太陽光発電研究所(IPVF)は、EDF、Total、Air Liquide、Riber、Jobin Yvon、CNRSおよび国立理工科大学( École
Polytechnique )によってパートナーシップを編成しており、投資委員会(CGI)によるITE投資の枠組みを通じてフランス政
府の支援を受けている。
CEAの研修機関であるINSTNと、中性子輸送に関する3コースが相互利用される。さらに、INSTNとの間で、材料科学に関する
コースの相互利用への取組みが進んでいる。
研究開発部門の有する施設には、CNRSとの2つの連結研究ユニット(機械科学・産業応用研究所(旧産業持続可能構造研究
所(LaMSID))および国際研究開発センターである材料経年化研究所(MAI)がある。
研究を行うために、EDFは、強力かつ認知されているデジタル・シミュレーションへの投資を継続して行っている。同社は最
先端の演算コードと業界内でも最高峰の資源を開発している。現在、その処理能力は4ペタフロップである。
さらに、当グループは独自の実験用資源による恩恵を受けており、かかる実験用資源には化学物質/腐食、不具合および空
力音響等を研究するための特定の解析的ループ、部品およびプロセスを中心とするループ、実地試験介入のための資源ならび
に材料およびその経年劣化の特性評価専用の資源を含む。最近の主力施設は以下の2つである。
・コンセプト・グリッド:ともにスマート・グリッドを構成する革新的ハードウェアおよび「知的能力を有する」システムが
実際に電力網に導入される前に、導入の試験および精査を行うことを目的とした縮小された電力網である。コンセプト・グ
リッドは、需要管理を促進するための情報通信技術の分野における新規の装置および機器の統合に関する研究を行うことに
よって、送電網の将来の発展に備えるように設計されている。また、電力システムにおける発電資源の性質および電力貯蔵
の応用を研究することによって、分散型発電の統合を促進することも意図している。コンセプト・グリッドは、完全な現実
世界とはいえない状況において革新が試される従来型の研究所と、上質なサービスに配慮して実験が制限される実際の送電
網との間のミッシングリンクを補っている。
・VeRcors:二重構造の原子炉格納建造物が経年劣化する過程を研究するための原子炉建屋の3分の1スケールモデルの建築。
かかるモデルは2016年に完成し、初期実験が行われた。薄型化により、当グループの研究者は、原子炉建屋のコンクリート
壁の経年劣化の影響を分析し、予測することが可能となり、またこの種類の構造の強度を経年的に確認することが可能と
なった。かかるモデルは複数のデジタル・モデルとともに使用され、経年劣化の現象の明確なモデルを作成することができ
る。
研究開発部門はまた、イノベーションに関して、当グループの「CAP2030」戦略との関連において設定された、当グループの
イノベーションの活性化を導き、支援する重要な役割を担っている。
研究開発部門は、かかる目標を達成するために、イノベーション・ハブを通じてイノベーションを支援するサービスを開発
し事業開発の新規開拓を模索している。かかるイノベーション・ハブの2つの主要な目的は、以下のとおりである。
・当グループ内のイノベーションの価値を支援し、加速させ、また強化すること。「今、革新する」。イノベーションに係る
プロセス、成長および起業家精神の実行における各部門および研究開発部門に対する支援を含む。
・「未来への起業」脱却モデルを予測し追求すること。将来、これらの新たなモデルが、新規サービスまたは新しい技術的な
ソリューションとして当グループの新規事業ラインを構成し得る。
これらのイニシアチブは、特にフランス国内および国際的なエコシステムとの連携ならびに外部パートナーとのネットワー
ク形成を通じた、オープンかつ協同的なイノベーションに大きく依存している。このネットワーク(スタートアップ、イン
キュベータ、専攻グループ)は、当グループの課題に立ち向かうために利用される。
2018年の活動は、以下の優先順位に沿ったものであった。
・評価プロセスおよび内部イノベーションの保護を統合し、産業化の段階を加速/促進させる目的のアクションを通じて「ビ
ジネスまでの時間」を加速させること。EDFは、当グループの事業部門に対して、高価値の社外イノベーションを発見し、評
価し、提案する。
268/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・研究開発部門は、本年中には50超ものデモンストレーション・プロジェクトを実証した。特に、当グループの事業部門のた
めの付加価値の高いソリューションを提案するSMEパートナーおよびスタートアップを通じた協同イノベーションの発展。
EDF の目標は、当グループの事業部門に高付加価値な外部イノベーションを検知し、算定し、提案することである。研究開発
部門は、本年中には50超ものデモンストレーション・プロジェクトを実証した。
より一般的に、イノベーションの原動力はパートナーのネットワークに依存している。Paris&CoやNumaのようなインキュ
ベータ/アクセラレータ企業とのパートナーシップが締結されており、EDFはScientipôleおよびIncuballiance association
の一員である。学生企業家(HEC、ESSEC、ESCP等)との枠組み合意が市場研究のためローンチされた。当グループの技術の
算定のために国際的な専門家によるネットワークとの契約が交渉中である。
・国内外におけるイノベーションの最適化および宣伝。研究開発部門は、外面的にVivapolisのようなイベントであるEDF
Pulseコンペの枠組みにおける貢献を通じてイノベーションの価値を創造することに直接的に貢献している。
さらに研究開発部門は、「EDF Pulse Expansion」部門と連携し、とりわけ起業家精神を通じて、新規事業の発展に貢献して
いる(「第2 3(2)⑥(ⅰ)(ハ)EDF Pulse Expansion」を参照。)。
EDFはまた、CEA Investissementが管理するAmorçage Technologique Investissement(ATI)ファンドの持分も有している。
かかるファンドは、エネルギー、環境、マイクロ技術およびナノ技術における技術革新に従事しているフランスの新興企業を
対象としている。
最後に、フランス、北米および中国のベンチャー・キャピタル・ファンドにおいてEDF Pulse Expansionにより保有されてい
る下記6件の持分が、世界のスタートアップおよびイノベーションへのアクセスを提供している。
・Robolution Capital:2014年3月に立ち上げられた、ロボット工学に特化した基金。
・Chrysalix:2011年12月に立ち上げられたクリーン・テクノロジーのベンチャー・キャピタルに特化したカナダの基金。
・Tsing capital:2011年12月に立ち上げられたクリーン・テクノロジーのベンチャー・キャピタルに特化した中国初の基金。
・DBL Investors:2008年に設立された米国の基金。
・Mc Rock:2015年に立ち上げられた産業用モノのインターネット(IIoT)に特化したカナダのベンチャー・キャピタル企業。
・Partech:2017年に立ち上げられた情報通信技術を専門とする環太平洋ベンチャー・キャピタル企業。
( 2) 研究開発部門の優先事項
EDFの研究開発部門は当グループの全事業部門について取り組んでいる(最近連結されたFramatome(未だに独自の研究開発
部門を有している。)を除く。)。それぞれに対し、EDFの研究開発部門は、業績を改善する技術的な解決策または革新的事業
および経済モデルを提供し、中長期的な予測に基づく取組みを通じて当グループの長期的な将来像を計画する。EDFの研究開発
部門は、EDFが低炭素電力システムを提供する世界的な産業グループとなるための要素の1つである。
EDFの研究開発部門は、商業的な機密情報の保護および配電事業者の独立経営方針の遵守を保証する義務を規定する業務契約
に基づき、Enedisに対して電力網の業務を行っている。
エネルギー分野の大きな変化を経て、EDFの研究開発部門の目標は、顧客のための新たなエネルギー・サービスの開発および
検査、将来の電力システムの準備、ならびに競争力のある低炭素発電構成の強化および開発の3つの戦略手段の観点から明確
にすることができる。
また、研究開発部門はこの3つの戦略手段を支援するために情報技術の研究を行っている。この研究は、5つの主要なテー
マ(複合システム、大容量データの管理および処理、モノのインターネット、サイバー・セキュリティならびに身体的問題の
シミュレーション)によって構成される。
この分野での研究は、以下の二重の目的を有している。
・進化したシミュレーション技術による事業部門の業績の改善。
・新たな情報通信技術の革新的な使用による事業ラインの新たな機会の創出促進。
① 新たな顧客向けエネルギー・サービスの開発およびテスト
エネルギー効率および分散型再生可能エネルギーの開発、法律および技術面(デジタル化)の変化ならびに市場の規制緩和
はすべて、エネルギー会社とその顧客との関係に多大な変化をもたらしている。それは、顧客による個人規模および地域全体
規模での活発なエネルギー消費およびエネルギー生産を可能にしている。
欧州のクリーン・エネルギー・パッケージ、フランス政府による国家低炭素戦略(SNBC)および複数年にわたるエネルギー
計画(PPE)、ならびに化石燃料をクリーンな電力に(燃焼エンジンを電池に、燃料油火力ボイラーをヒートポンプに)置き換
えるその他多様な優遇税制等の欧州およびフランスにおける規制の転換は、未来のエネルギー情勢を形作っている。
これに関連して、EDFグループの販売業者および専門子会社が直面している問題は多岐にわたり、エネルギー・サービスに関
するEDFのCAP2030目標は高く設定されている。
・激化する競争状態に適応するための価格帯の変更。
269/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・2012年の熱規制(RT)を引き継ぐ目的で2020年に制定される予定の環境関連規制によって脅かされている自社の市場シェア
を維持するために、低炭素発電構成に基づいた建物および輸送における電力使用を展開していく意欲。
・需要の管理。英国のグリーン・ディールおよびフランスの省エネ証書等のスキームにより、供給業者が負うべき義務は増加
する。
・スマート・テクノロジーの開発。スマート・メーターの配置、顧客の消費データへのアクセスしやすさおよび接続されてい
る機器の出現により、一般市民は新しいスマート・テクノロジー(遠隔操作およびよりカスタマイズされたサービス等)が
可能にする新たなサービスに対して自由にアクセスすることができる。
・行動の変化を伴う顧客の期待の高まりとともに、さらにデジタル化する顧客関係の変化。ただし、この近代化された関係に
伴い増加する顧客のエネルギー脆弱性には、当社による適切な対応が必要であり、隠されるべきではない。
・エネルギー移行法およびNOTRe法の枠組みの中で行使される地方社会の権限の拡大。都市計画および公共電力供給の分野では
既に活発な地方自治体は、自身の将来的なエネルギー戦略に関してより一層の責任を果たせるようになっている。計画(エ
コ区域)およびモビリティ(電気自動車)の解釈を組み合わせた持続可能性な地域の概念が、地方自治体の政策において重
要な構成要素になっている。スマート・テクノロジーの開発および地域社会への権限委譲の共通部分において将来性の高い
サービスの新分野が生まれる。
・自家発電および自家消費を通じて、自身の発電における利害関係者になることを要求する顧客の台頭。
・当グループの専門子会社のそれぞれの活動地域におけるパフォーマンスの展開。
例えば、電気モビリティ、ヒートポンプおよびより経済的な建物等、電力の新しい利用方法の開発が進められた。研究開発
部門は、EDF LuminusのPACO工業用高温ヒートポンプのプロトタイプとベルギーにおける暖房ネットワークとの統合を援助し、
コジェネレーションによる再生可能エネルギーの割合を増加させた。第三次分野、商業分野および住宅分野のヒートポンプの
費用を最終的に削減することにつながる設備製造業者との共同開発イニシアチブが立ち上がっている。最後に、暖房に利用さ
れる電力のスマート・エネルギー管理(特に住宅用ヒートポンプ)についてのイノベーションおよび革新的な管理モードと互
換性を持たせるための貯蔵タンクの近代化(日中および夜間のオフピーク消費の管理等)が行われた。
EDFのスマート・ファクトリー・イニシアチブに基づき、産業用の電力網を運営する際の安全性に関する業務が強化され、企
業用顧客に対する「サービスとしてのソフトウェア」が複数開発されている。これらの活動は、政府により開始された「ファ
クトリー・オブ・ザ・フューチャー」イニシアチブにおいて概説されている目標に基づく、「スマート・ファクトリー」に向
けたEDFグループの様々なサービスを生み出す幅広いプロジェクトの一環である。
顧客関係に関連して、EDFは、住宅用顧客が2つの請求書を受領する間に自己の電力消費量およびその予算的影響を認識する
ことができるように、季節別の電力消費量および過去の消費量等の個々の特徴を考慮することによって消費者の請求額を見積
もることができるスマートフォンおよびコンピューター向けのアプリケーションを含む、スマート・メーターとの互換性を有
する一連のプロトタイプを設計し、開発した。また、EDFの研究開発部門は、エネルギー貧困と立ち向かう手段を研究してい
る。2018年には、アベ・ピエール基金と共同で「エネルギーのプレゼント(「 Don d’energie 」)」イニシアチブを立ち上げ
た。これは、人々が、自身のスマートフォン経由でエネルギー貧困世帯に寄付することのできる仕組みである。研究開発部門
はこの度、電力供給、サーモスタットに接続された電力による加熱の管理および顧客とのデジタル・インターフェースを組み
合わせた、EDFの新たな子会社に対する新たなエネルギー・サービスの提供の開発を継続した。
同年中にはさらに、特定のチャット・ボットおよび拡張現実において人工知能に紐づけされた技術を採用した、新たな顧客
インターフェイスを開始した。
持続可能な地域において、(例えば、輸送、廃棄物の処理、建物、発電および電力網のための)インフラおよびインフラ管
理の最適化を模索し、持続可能な「スマート・シティ」となることを希望している都市の要求に応えるため、研究開発部門
は、ニース都心部について実施された研究等、フランスのEDFの販売員のために都市工学資源を開発している。研究開発部門
は、ローカル・エネルギー・パイロット理念を中心として構造化された業務を特に支援していた。研究開発部門は、都市計画
に関する意思決定支援ツールを開発するためのシンガポールとのパートナーシップを更新した。
これらのツールでもって、シンガポール当局との連携は、建物およびその空調システムのエネルギー効率化に加えて、家庭
廃棄物の回収を対象としている。また、これには建物一体型の太陽光発電、屋上緑化および地域での水の再利用等に関連する
課題対処の可能性を含む。かかるモデル化は、建物や近隣レベルで革新的な3次元可視化ツールと併用され、例えば計画決定
が温室効果ガス排出量等に及ぼす影響について研究することを可能にする。この経験は、モスクワの不動産デベロッパーと共
同で検証中のサービスにつながった。
電気モビリティもまた持続可能な都市の重要な側面である。電気輸送は、移動方法の基本的変換の可能性を広げる。蓄電池
は電気輸送の主要な技術である。この分野における研究開発部門の活動は、第一に電池の安全性およびパフォーマンスを実験
室で明らかにすること、第二に、電池寿命および/またはコストを大幅に改善する可能性のある画期的技術の導入を含む。研
究開発部門はまた、もともと電気自動車に使用されていた電池を(再生可能エネルギー、システム・サービス等と組み合わせ
て)再利用するための据置型アプリケーションについても検討している。研究開発部門は、長期的に、電解槽および充電スタ
270/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ンドを含むモビリティならびに重量物輸送および軽量自動車のための燃料電池に使用される水素(H2)技術についても同様の
アプローチを採用する。
より一般的に、研究開発部門の電気自動車(EV)分野および充電式ハイブリッド自動車(RHV)分野における活動目標は、以
下のとおりであり、特に、輸送大手(ルノー、PSA、RATPおよびSNCF等)とのパートナーシップを通じて行っている。
・この新しい利用方法の開発をサポート(初期実験の監視、標準化、技術的障壁を取り除くイノベーション(無線充電))す
ること。
・電力システムへの統合(スマート充電、充電スタンドの規模および設置場所の決定)を管理すること。
・モビリティ・サービス資源(車両管理のプラットフォーム、充電スタンド運営のためのソフトウェア、住宅用顧客のための
スマート充電スタンドおよびモビリティについて地方自治体にアドバイスを行うための資源)を開発すること。
・特に主要な自動車製造会社とのパートナーシップを通じて自動車から送電網(V2G)モデルおよび自動車から住宅(V2H)モ
デルの研究を行い、電気自動車の地域のエネルギー・システムへの統合を準備すること。
・バッテリーを車両の種類および用途に合わせて調整可能かつ電気自動車および水素自動車の充電モードに対応可能な、状態
の悪い道路や水上運送向けのバッテリーや燃料電池等の代替モビリティ・ソリューションを開発すること。
・自動運転車に備え、「サービスとしてのモビリティ」を開発すること。
② 将来的な電力システムの整備
欧州における低炭素経済へのエネルギー移行は、主として電力システムの炭素排出量の削減に関するものである。これは、
電力システムの新たな課題に対処することを含む。
・再生可能エネルギーを利用する断続的な発電源を管理し、電力システムにおいてかかる発電源の導入に対する制限を緩和す
ること。
・発電構成および送電網の要件の最適化により電力の新しい利用方法を統合すること。
・欧州において送電網のインフラを開発し、電力料金を最適化すること。
・より大規模なエネルギー管理システムに統合することにより、分散型エネルギー・システム(需要管理、分散型発電および
貯蔵等)を最適化すること。
・利用パターンおよび新たな発電源を考慮するために、パワーエレクトロニクスの利用増加の状況における慣性の減少に対処
することを目的として、電力システムの調整に適応すること。
・より全般的には、公益および電力の競争力を考慮し、顧客に対する請求を大幅に増加させることなく、また電力システムの
質および信頼性を保ちつつ、発電所および貯蔵施設、電力網インフラならびにエネルギー効率化およびグリーンエネルギー
のためのソリューションへの投資を最適化することである。
スマート・グリッドとしても知られるより高度な知的能力を有する電力システムに移行する傾向は、欧州における低炭素エ
ネルギー経済への移行において極めて重要なポイントの1つである。かかる傾向は、技術的、経済的および規制上の課題のみ
ならず、再生可能エネルギーおよび新しい利用方法の統合に加えて、異なる送電網利用者に関する情報の管理および費用抑制
の必要性に関連する課題も提起する。
研究開発部門の業務は、3つの主要な分野に分かれている。
1つ目の業務分野は、エネルギー移行および分散型エネルギー・システムの出現が電力システムの開発および管理に及ぼす
影響を予測することを目的とする。
・エネルギー移行の業務は、2050年までにカーボン・ニュートラルを達成することを目的として、電力および新たな電力用途
に対する基礎需要の変化、供給途絶の可能性、エネルギー構成の選択およびエネルギー移行のシナリオを実行するための条
件(資金調達、技術およびインフラ)の概要を作成する。2018年、研究開発部門は、フランスのプロヴァンス=アルプ=コー
トダジュール地域と、競争力のある電力価格を享受しながら、低炭素かつ強靭で繁栄する地域経済を実現する方法を特定す
る市場調査を行った。
・市場設計および地域のエネルギー市場の創設に関する業務は、風力、太陽光、電気モビリティおよび分散型エネルギー・シ
ステム等の断続的エネルギー源に関連する、電力およびガス市場に対する将来の基本原則の規定に貢献する。
2つ目の業務分野は、電力網のパフォーマンスを改善することを目的とする。
・研究開発部門は、配電網資産の管理の改善に取り組んでいる。部品の耐用年数に関する研究が行われている。予測管理手法
もテストされている。これらは、維持管理周期および機器故障の早期検知を目的として、部品の性質ならびにデータおよび
画像処理手法の詳細な知識を組み合わせて行われている。
・2018年に研究開発部門は、計装制御システム、ネットワーク管理システムおよび分散型エネルギー資源を接続、管理および
運営する新世代のソフトウェアの検証を継続した。これらのツールは、機械と部品間の高い相互運用性のための国際電気標
準会議(IEC)により開発された最新の規格に基づくものである。分散型エネルギー資源および変電所の管理に使用される組
271/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
込ソフトウェアの初版は、2019年初めに導入され、当グループの企業および子会社の産業システムに統合される予定であ
る。端末装置および中央運営管理システムのための高度なサイバー・セキュリティ・ツールも開発中である。
・研究開発部門の業務の別の焦点は、大型の代替共時的電力システムのハイブリッド化に関して再生可能エネルギーを組み込
む直接的な電流の開発による影響に当てられており、断続的な再生可能エネルギーの採用の増加により、この開発が電力シ
ステムの基礎的な技術的力学および経済的力学を大いに覆す可能性について認識されている。
3つ目の業務分野は、断続的な再生可能エネルギーおよびエネルギー貯蔵や電気自動車の充電インフラなどの新たな供給資
源の統合を通じた電力システムのスマート・グリッドへの移行の管理を目的とする。
・研究開発部門の業務は、欧州の相互接続システムにおける断続的な再生可能エネルギーの高い割合を統合するソリューショ
ンを開発する欧州H2020共同開発プログラムの一部である。EDFの研究開発部門は、Eirgridなどその他32の欧州パートナーと
ともに、欧州の柔軟性ロードマップの構築を目標とするEU-SysFlexプロジェクト、エンド・ツー・エンドの計画・運営ツー
ルを作成するため、欧州のエネルギー・システムの統合モデリング開発を目標とするPlan4Resプロジェクト、また、欧州電
力市場における送配電システム事業者間のデータ取引を円滑にすることを目標とするTDX-ASSISTプロジェクト等に関与して
いる。研究開発部門は、分散型発電モデルにおける新たな配電網管理機能のデモンストレーションに取り組み、関与してい
る。この革新的な調整方法は、送電網の状態の予測に基づき、分散型発電資源が使用される場合でも高圧送電網の電圧を契
約の範囲内に維持することを可能にする。
・研究開発部門は、様々な地域規模での断続的な再生可能エネルギーの消費および生産を予測するための先進的ツールを開発
している。同部門はまた、電力システム管理の気象上のベンチマークを開発するために、気象予報機関と協力して取り組ん
でいる。
・研究開発部門では、断続的な再生可能エネルギー発電の下でのネットワーク予測管理ツール開発の業務も続けている。予測
管理は、電力フロー調整、再生可能エネルギー導入により増加した発電量、ならびに送電網上の施設の不便さなどの予測を
可能にしている。HVA送電網のために発達した機能は、現在低圧送電網においても活用されている。
・研究開発部門は、電気モビリティの送電網への統合をより容易にするような幅広いソリューションに向けて開発を加速させ
ている。これには、電気自動車の配電網との接続地点の影響、すなわち引き出した電力の負荷特性ならびに電流の安定性お
よび安全性への影響を分析することが含まれている。研究の他分野には、送電網への影響を予測するために、モビリティの
あらゆる時間と場所にわたるモデル化を行うことも含まれる。研究開発部門では、送電網への充電ステーションのシームレ
スな統合を円滑にする、新しい技術、資材、ソフトウェアおよびコミュニケーション手段を開発している。
・研究開発部門は、計測機器(Linkyメーターを含む。)において実行される一部の認証テストの技術的な支援を提供し、送電
網機器の発展に貢献している。
・研究開発部門はまた、Linkyのインフラを基に、電力使用の調整システムの試験を行っている。特にこれらの実験は、負荷管
理ならびに、電気自動車、分散型貯蔵施設および自家消費ソリューションなどの新たなタイプの柔軟性の実現可能性を表す
ことを可能にする。
・研究開発部門は、小規模送電網における分散化された再生可能資源の最適統合に向けて作業しており、その目的は地域の低
炭素電力構成への移行を推進することにある。マイクロ送電網のプロトタイプが、様々なアプリケーションで成功を収めて
いる。例えば、EDF SEIによるセーヌ島およびレユニオン島のマファトにおける島部マイクロ送電網への再生可能エネルギー
発電および貯蔵の統合、送電網の強靭性およびサポートの向上につながった相互接続のNice Gridへのマイクロ送電網の機能
的な貢献等である。2018年10月、EDFの研究開発部門は、シンガポールにおいて、マイクロ送電網のプロトタイプの利用開始
に成功した。これにより、低炭素かつ信頼性のある再製可能なシステムを通じて、競争力ある価格の電力を東南アジアの一
部地域に提供することが可能であることを証明した。
・さらに研究開発部門は、発電および消費のポートフォリオの管理に対する革新的なソリューションならびにその関連するリ
スクについて取り組んでいる。かかる取組みは、新たな発電方法および/またはエネルギー・システムの新たな分散管理方
法の開発結果を予測すること、ならびに分散型エネルギー・システムの地域的な柔軟性を集約するツールを開発することで
ある。
2つ目および3つ目の分野におけるEnedisの利益に関する業務は、EDFの研究開発部門およびEnedisの研究開発部門により締
結された業務契約に基づき行われている。
電力システムにおける研究は、広範囲に及ぶ研究施設を利用する。
・実施が予定されているあらゆる電力機器に対する非常に幅広い認定テストや調査テスト(高圧、機器および気候への耐久
性、誘電体、高圧長期経年化)を可能にする、高圧電力の試験用の研究所。高圧電力試験用の研究所は、2017年および2018
年における主要な修復プログラムの恩恵を受けた。
・システム管理試験施設、通信機器および通信システム、メーター設備、電線通信、ならびに電気自動車のスマート充電。
272/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・コンセプト・グリッドの試験施設。コンセプト・グリッドは、スケールを縮小した電力網であり、ともにスマート・グリッ
ドを構成する革新的なハードウェアおよび「インテリジェント」システムの設置の試験および検査を実際の電力網で使用さ
れる前に行うことをその目的とする。
③ 競争力のある低炭素発電構成の強化および開発
原子力発電、水力発電および化石燃料火力発電において、EDFの研究開発部門は、発電資源の安全性を向上させる手段や方
法、その耐用年数を最適化させる手段や方法ならびに発電実績および環境への影響を改善する手段や方法の開発を行ってい
る。3つの優先目標がある(当グループの原子力発電の優位性を長期的に持続させること、コストを削減しながら再生可能エ
ネルギーを開発することならびに当社の発電所の環境適合性を改善しつつ、電力システムに使用される再生可能エネルギーを
増加させること。)。
当グループの原子力発電の優位性を長期的に確保するために、研究開発部門は、設備の安全性を向上させる方針に沿った取
組み、特に業績の改善および耐用年数の延長に関する取組みを通じて、EDFの資産を保護することに務めている。例えば、2018
年に研究開発部門は、ルナルディエール研究開発センターに位置するVeRcorsコンクリート製原子炉格納モデルにおいてさらな
る実験を行った。かかるVeRcorsモデルは、1,300MW原子炉建屋を模した3分の1スケールの二重コンクリート構造原子炉格納
建造物である。2018年3月に行われた格納実験の結果は、この原子炉格納建造物のデジタル・ツインの強化に使用されてお
り、コンクリートの経年劣化、ひいては建造物の運用年数の予測の手助けとなっている。格納実験は毎年予定されており、5
回(VeRcorsの壁の厚みが実際の格納施設よりも3分の1の強度であることを考慮している。)の実験を経ることにより、デジ
タル・ツインは、合理的な裏付けをもって40年の耐用年数を超える建造物の経年劣化に関する予測が可能になる。
より広範には、EDFグループ(EDFおよびFramatome)は、三者協議組織(AREVAも含む。)の一環として、CEAと共同で研究開
発に取り組んでいる。2017年、かかる3社のパートナーは、既存の原子力発電所および新規の原子力発電所建設のための技術
的構成要素で構成される「将来の原子力計画」イニシアチブを立ち上げた。これらいくつかの技術的構成要素の目標は、EDFグ
ループの原子力ユニットの耐用年数に影響する部品の劣化メカニズムに関する実用的な知識を得ることである。これらの知識
は、安全性および利用可能性の保証を目的とした、頻発する中断の低減ならびに機器および構造物の維持管理、更新または交
換の最適化の支援に利用される。より短期的には、ユニットの効率性向上に貢献する。
さらに、原子力分野における活動は、燃料サイクルに関連した事柄にも関係している。これは、新規の発電所(とりわけ第
4世代の発電所および小型モジュラー炉(SMR))の設計を含む。
また、研究開発部門の活動は、設備の環境に及ぼす影響についての認識の向上および管理の改善に寄与すると同時に、産業
用設備における環境リスクに対してより注意が払われることの確保に寄与する。例えば、研究開発部門は、気候変動および自
然物理学的な変化による将来の水資源の利用可能性の変化について研究を行っている。研究開発部門の研究はまた、発電所に
おいて(放熱板の利用可能性、電力調整範囲および配置の最適化等に関して)生じ得るリスクおよび生じ得る結果に関する理
解に貢献している。
これらのプログラムを支援するために、研究開発部門は、デジタル・シミュレーション・ツールおよび実験用のテスト・
ツールならびに著しく増大するデジタル・データ、情報技術セキュリティおよび新しい情報通信技術により生じる新たな課題
に対処する能力を備えた手段を開発している。2017年にEDFは、サクレーにおいて、維持管理における新しい構想を実験する
ConnexLabを創設した。ConnexLabは原子力事業のデジタル移行イニシアチブの一環であり、EDFとその子会社である
Framatome、CEA、設備製造業者、維持管理会社およびデジタル・モデル供給業者とを統括する。
欧州における他の原子力発電分野の大手事業者とともに、EDFの研究開発部門は2012年に、欧州の持続可能な原子力技術プ
ラットフォーム(SNETP)の一部となる、欧州における第2世代および第3世代原子力システムに関する研究開発の唯一の協力
的な枠組みを構築することを目的とする国際的な非営利協会であるNUGENIAを設立した。かかる組織は、とりわけ製造部門、研
究部門および安全規制部門を代表する25か国101人のメンバーを有している。EDFが会長を務めるこの組織は、安全性およびリ
スク分析、過酷事故、炉心の稼働、機器の整合性および老朽化、燃料、廃棄物および廃炉、「革新的な第3世代の設計」、な
らびに非破壊的な管理および実験に加えて実務(主に安全性において)の調和等に関する組織の枠組みを超えた課題に関し
て、メンバー間または国家の研究開発プログラムとの間のシナジーの発生および共同プロジェクトを促進している。
2番目の優先事項は、再生可能エネルギーの開発を支援することである。再生可能エネルギーは欧州および世界中のエネル
ギーの展望においてともにますます重要な役割を果たしており、EDFは既にこの分野における重要な参加者であり、この分野に
おける立場をさらに強化したいと考えている。当グループは、そのCAP2030計画に基づく積極的な目標を設定しており、2017年
後半および2018年において太陽光発電計画および貯蔵計画を立ち上げた。
再生可能エネルギー、貯蔵および水素に関する研究開発部門の目標は、産学および新興企業と連携して、有意な競争優位性
を提供する技術的な進歩を確認し、最も有望な技術の産業的な生成を促進することである。EDFは、水力発電、太陽光発電、陸
上・洋上風力発電、熱力学的太陽光発電、バイオマス、海洋エネルギーおよび地熱発電、電気化学バッテリー、フライホイー
273/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ル、フローセル、電解槽、燃料電池(水素)、熱エネルギー貯蔵(熱および氷)など、幅広く再生可能エネルギーおよび貯蔵
ソリューションに関する研究を行っている。
研究開発部門は、パフォーマンスを向上させる方法および手段の開発およびEDFグループの再生可能エネルギーおよび貯蔵を
基礎にした発電システムのプロジェクト費用の最適化についても取り組んでおり、複数の目標を掲げている。
・投資リスクを軽減することで、フランス国内および英国におけるEDF Renewablesによる着床式風力発電プロジェクトおよび
浮体式洋上風力発電プロジェクトの成功に貢献すること。例えば、EDFの研究開発部門は、当グループの洋上風力発電プロ
ジェクトに対して(とりわけ、タービン・システムおよび基礎の設計、タービンの認定、発電審査方法に関する専門知識に
ついて)、不確実性を特定することによりその専門性を提供している。EDFの研究開発部門は、洋上風力発電開発の支援方法
の一例として、英国のブリス風力発電所からのフィードバックを分析し、英国パートナー企業と共同で、ハリアードのター
ビンの主要回転を検査する、専用の診断ベンチを構築した。また、研究開発部門は、浮体式洋上風力発電の技術を研究し、
将来への準備を進めている。このため、研究開発部門は、屋内モデリング・ツールを使用して、EDFのプロヴァンス・グラン
ド・ラージ浮体式洋上風力発電所の浮体構造を審査した。
・EDFグループのPVおよび風力発電所プロジェクトの競争力を高めること。それは、業績の改善(予測管理)を通じて、またPV
および風力発電所の耐用年数が延長されたこと、特に大規模風力タービンを伴ったデモ・プロジェクトを通じたイノベー
ションによりもたらされるパフォーマンス認定を通じて達成され、潮汐発電による電力削減の可能性を提示する目的もあ
る。EDFの研究開発部門は、太陽光モジュールの長期的な経年劣化の予測を目的とした、両面太陽光パネルおよびハイブリッ
ド・モデル(現物モデルおよびビッグデータからなる。)を取り付けた太陽光発電所の予測発電量を計測するツールの設計
および組立てを行った。
・EDFグループが新規市場にアクセスしやすくすること。特に熱力学的太陽光発電におけるベンチマークとなり、送電網からの
供給なしに自家消費を可能にする「 Mon soleil et moi 」の展開を成功させること。EDFの研究開発部門は、技術的リスクを
制限し、CSPと火力発電貯蔵とを一体化する革新的なハイブリッド・ソリューションを促進し、また太陽光強度の減衰量をよ
り正確に見積もるために、モロッコにおけるEDF Renewablesの経験を活用した。また、研究開発部門は、EDF ENRS向けに、
太陽光発電の自家消費を最大化するための新たなアルゴリズムを開発した。
・パフォーマンスの向上。例えば、研究開発部門は、陸上発電所のパフォーマンス分析ツールの開発に携わっており、EDF
Renewablesのパフォーマンスを向上させるために複数の側面(発電の効率化、維持、耐用、システム・サービス)を協同で
統合する、効率的な管理システムを通じて電力市場における風力発電の発電量を増加させるソリューションを検証してい
る。さらにEDFの研究開発部門は、事業の業績を改善するために新たな事業分野(仮想・拡張現実、3Dプリンター、電波障害
等)の貢献度を分析し、検証する。2018年、研究開発部門は、EDF Renewablesのデータレイクの構築時に、データ・インフ
ラの定義を支援し、同社を援助した。
・電力システムに対する技術的影響および経済的影響の管理ならびに再生可能エネルギーの取込みにおける電力システムのバ
ランスの確保。この活動は電力網に再生可能エネルギーを組み入れる方法の明確化に関するものである。これには変動する
断続的な再生可能エネルギーを統合するための異なるソリューションの分析ならびに貯蔵、スーパー・グリッド、スマー
ト・グリッドおよび需要管理等の大規模なシステムへ統合するための制限および費用の評価を含む。
・電力貯蔵体の分野においてEDFが顧客に提供する可能性のあるサービスを考案し、投資および維持費を最適化するための計画
的利用に基づき、より良い貯蔵/再生可能エネルギー/コンバータ商品を設計すること。
・再生可能エネルギーおよび貯蔵の分野において、今後主要な躍進(技術またはビジネスモデル)が生じることを予想し、そ
れに貢献し、その評価を行うこと。
・部門間の内部および外部イノベーションの展開を促進すること。
3番目の優先事項は、当社の発電所の環境適合性を改善することである。気候変動、生物多様性の著しい減少および地球上
の限られた資源は、低炭素エネルギー構成についての当社の選択を合理化する。研究開発部門の取組みの目標は以下のとおり
である。
・科学的および技術的な専門知識を通じて、環境に関する規制が重要な課題に対応するよう実施され、変化していく方法に貢
献すること。
・当社の発電所が経済的に許容できる費用で、利用可能な最良の技術に比肩することを正当化することおよび新たなプロジェ
クトにおいてこれらの利用可能な最良の技術を活用すること。
・当社の地上および水域の環境に及ぼす影響を認識し、管理すること、当社の改善計画を活用することならびに当社の副産物
を制限し、強化すること。
・例えば、将来の気候変動を踏まえて発電所の放熱板の頑健性についてより理解することにより、気候変動の新たな進行の予
測および対処法を知ること。
・地域の利害関係者に関して当社の積極的な行動によるてこ入れに貢献すること。
274/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( 3) 国際的な事業およびパートナーシップ
研究開発プログラムの実施のために、EDFの研究開発部門は、世界中で多数のパートナーシップを展開しており、その目的
は、EDFの課題の中核となる分野での世界最高レベルの専門知識を維持することおよび国内分野の膨大なスキルを補完すること
である。
研究開発部門のパートナーシップ方針は国内的にも国際的にも様々な方法で具体化されている。
フランスにおいて、過去数年間にわたって研究開発部門は学術的なパートナーおよび技術センターまたは産業センターと約
15の共同研究所を設置した。研究開発部門は、これらのパートナーやセンターとともに複数の国内機関が資金提供する共同研
究プロジェクトに参加している。各共同研究所は、すべてのパートナーに対して価値、専門性および知識を付与することを目
的として、共通の科学および技術問題を中心的に扱う共同チームを結成する機会であり、これによって共同プロジェクトへの
参加に関し大変有利となる。研究開発部門はまた、いくつかの特別目標を定めた教授職および研究職を支援している。
原子力研究開発の分野については、CEA、EDFおよびArevaとの間の三者間契約が2014年初めに締結され、2017年に更新された
(AREVAがFramatomeに替わった。)。この新しい「機関」契約は、パートナー間の研究開発プログラムの協調性を高めること
および詳細な目標(特に産業的な目標)を基準にしたプログラムを確立することを目的としており、実際には以下を伴うもの
である。
・プログラムの監視および協調を担当する三者間プログラム・チーム( équipe programme tripartite 、EPT)を設置するこ
と。かかるチームは各パートナーにつき4人のメンバーを有し、合計12人のメンバーで構成される。
・プログラムを、EPTにより監視されるプロジェクト単位にまとめること。
・これらのプログラムを既存の共同研究所へ導入すること。
同時に、CEA、IRSNおよびEDFとの間の研究開発に関する三者間契約について2014年に検討が行われ、これによりAreva NP
(現Framatome)を含む四者間契約が締結され、「機関」政策による協調拡大が推進された。
研究開発部門はまた、フランスの「将来への投資」イニシアチブの一環として導入された、エネルギー移行機関( Instituts
de la transition énergétique 、ITE)に関与している。
・イル・ド・フランス太陽光発電研究所(IPVF):EDFはかかる機関を設立した企業の1つであり、かかる機関は、市場におい
て競争力のある太陽光エネルギーの画期的な技術の開発を目的としている。最終的にかかる機関は、サクレーにおける最先
端の機器を扱うために様々なパートナーから出向する約150人の研究者を統括する予定である。IPVFを収容する新しい建物は
2017年秋に完成し、EDFおよびIPVFの従業員は、シャトゥーのEDF研究開発施設から、同建物へ移転した。床面積約8,000平方
メートルを有し、第三の空間および研究所を組み合わせた当該建物群は、パリのサクレー・キャンパスにあるEDFの研究開発
センターのほど近くに位置している。
・フランス海洋エネルギー:海洋エネルギーおよび洋上風力発電を専門に扱う非営利組織である。
・スーパー・グリッド:遠隔地における再生可能エネルギー発電所を連結する大規模な送電網の取扱いを中心とする機関であ
る。
・ヴェデコム:電気モビリティを扱う機関である。
・エフィカシティー:エネルギー効率化および持続可能な都市を扱う機関である。
・INEF4:建築物修復および持続可能な建設を扱う機関である。
EDFはまた、発電所の運用、敷地造成および設計を簡素化するために、原子力部門の当事者同士を、デジタル技術を通じて繋
げることを目的とした研究開発部門のプロジェクトであるConnexITyの立役者となった。それに対応するために、新しい研究所
ConnexLabが2017年11月パリ・サクレーのEDFの研究開発センターに開設した。
EDFはまた原子力のNugeniaおよび貯蔵のEASE等、欧州連合の水準で認識されている複数の欧州の団体の創立メンバーであ
る。
2000年代初頭から、EDFはカールスルー工科大学(KIT)と協力して、ドイツに研究センター(EIFER)を所有している。かか
るセンターは主に分散型発電(燃料電池や水素)、持続可能な都市および地域、地熱エネルギーならびにバイオ燃料に専念し
ている。かかるセンターは、水素関連の課題およびEnergieWendeの枠組みの中でドイツにおいて発達している技術およびビジ
ネスモデルのイノベーションへの重視を強化するために近年再編された。2018年、EIFERは、当グループの貯蔵計画に基づき実
施された研究イニシアチブに対する主要な貢献者の一員として、水素に関する専門技術を高めた。同年、日本の研究所である
CRIEPIとEIFERおよびEdisonの研究開発センターは、2017年に開始された連携を強化し、日本および欧州において共通ワーキン
グ・グループ会議を開催した。EIFERセンターはさらに、その多種多様なサービスから革新的なソリューションを提示すること
を通じて、商業子会社であるEDF Deutschlandのドイツ市場における販売およびマーケティング開発プロジェクトを支援してい
る。EIFERは、シンガポールで締結された契約に続いて、ロシアにおいて、モスクワ近郊の新興計画開発地域においてEDFの都
市プラットフォームを導入する業務契約に調印した。
2010年以降、英国、中国、シンガポール、米国およびイタリアにおける複数のセンターに関連して、研究活動は国際的に拡
大された。
275/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
英国のセンターは、英国の生態系研究における当グループの立場を強固なものにしており、特に再生可能分野においてはス
トラスクライド大学、マンチェスター大学、インペリアル大学、国立原子力研究所(NNL)、および原子力エネルギー分野にお
い てはブリストル大学を通じて関与している。2012年に、かかる研究センターは、独立法人であるEDF Energy R&D UK Centre
Ltd.となり、EDF Energyの子会社である。かかる法人の新たな地位は、当グループの開発戦略に沿っており、英国におけるEDF
の存在感および研究能力を拡大した。したがって、かかるセンターは、既存の原子力分野(AGR原子炉の耐用年数の延長、廃
炉)においてか、HPCプロジェクトの支援および環境問題の解決のためにブリストルに設置するアンテナに関する新しいプロ
ジェクトにおいてであるかにかかわらず、EDF Energyの事業ユニットの活動に対して直接的な支援を提供している。かかるセ
ンターは常時総動員されており、フランス内外にける当グループ全体のプロジェクトのレファレンス・センターであり、顧客
のデジタル・ソリューションおよび洋上風力発電所プロジェクトの対応に当たっている。
北京センターは、スマート・グリッドまたは原子力施設の中国国内の大規模なデモ用プロジェクトに参画する際には資産と
なる(「第2 3(2)⑤(ⅲ)(ヘ)(a)中国」を参照。)。かかるセンターは2017年に、EDF Chinaの「Go 2020」戦略計画
に則ってEDF Chinaの事業ユニットを直接的に支援するために再編された。したがって、持続可能な都市、ならびに広く電力、
暖房および冷房ネットワークを組み合わせる地域の複数のエネルギー・プロジェクトを支えている。かかるセンターはさら
に、中国において創設された新規の再生可能エネルギー開発事業を支援しており、いくつかの中国の官民のパートナーと、CSP
に関する連携を強化した。中国の電気自動車に対する多額の投資により、かかるセンターは、同国で生み出される技術および
ビジネスモデルの重要なモニタリング地点となっている。
最後に、かかるセンターは、電力網および特に電力網における再生可能エネルギーの統合に関する課題の分野において、電
力配電網事業者であるState Gridの中国電力研究所(CEPRI)との広範なパートナーシップを構築した。
研究開発センターは、Edisonの事業展開の目標を支援するために、競争重視の市場において新規顧客サービスを開発する観
点で同じ課題に直面している事業ユニットを抱えるフランス国内および英国の研究開発チームと協同で、デジタル顧客ソ
リューションおよび「コネクテット・ホーム」の分野におけるプログラムを開発した。この事業は、2015年にこれらの課題に
対処するために設立されたEdisonおよびトリノ大学の共同研究所に頼っている。上述のようにEdisonの研究開発センターは水
素部分野における研究事業に積極的に関与している。また、かかるセンターは、そのデータ分析能力にも重点的な投資を行っ
ている。
米国の研究開発部門およびイノベーション分野は、世界的に最大規模かつ最も好調な分野の1つである。EDFはこの数年間に
米国内におけるEDFの開発を支援し、当グループ内での革新に貢献するシリコンバレーに所在する研究開発部門およびイノベー
ションチームを立ち上げた。EDFのイノベーション研究所の事業分野には、とりわけ技術的、デジタル的および規制上の傾向の
分析ならびに分散型エネルギー資源およびマイクロ送電網に関連した米国内における当グループの新しい事業モデルの評価を
含む。EDFのイノベーション研究所は、カリフォルニア州の企業のOGEとともに、特定のアフリカの国々に対する「送電網非接
続型」電力へのアクセスの販売を行う、EDFの国際管理部門を支援してきた。2017年以降、EDFのイノベーション研究所は、ス
タンフォード大学等の一流のパートナーとともに、電気モビリティおよびマイクロ送電網の革新的なデモ・プロジェクトに参
加している。EDFのイノベーション研究所はまた、優秀な機関であるEPRI、MITおよびカリフォルニア大学バークレー校等とEDF
が展開した長期にわたるパートナーシップにも貢献した。
主に持続可能な都市に関する当グループのノウハウの発展および活用を支援し、上記の様々なソリューションをシンガポー
ルの都市計画機関に対して販売するために、シンガポールにおけるEDFの研究所が2014年初めに設立された。EDFが都市住宅の
大手不動産デベロッパーであるシンガポール住宅開発庁との間で2017年11月に締結した「シティ・オブ・ザ・フューチャー」
契約の枠組みの中で、EDFは革新的な3次元都市モデリング・ツールの、生活の質(騒音、ヒートアイランド現象および交通の
便等)を向上させる新しいモジュールの強化に尽力した。2018年には、シンガポール南部のセマカウ島において、競争力ある
価格で再生可能エネルギー源により運用される最初のマイクロ送電網のプロトタイプが、1年限りで利用開始された。かかる
プロトタイプにより、現在ディーゼル発電機を電源とする東南アジア地域の島部または接続されていない地域向けに、低価格
で信頼性がありかつ環境に配慮したソリューションの量産が可能になる。これは、2017年10月半ばに南洋理工大学との間で締
結された契約を強化するものである。
( 4) 知的財産
知的財産権は、EDFグループの技術およびノウハウを競争から保護する上で、またライセンス契約を通じたこれらの資産の活
用において主要な役割を担う。
EDFは、技術革新能力および技術的専門知識を最大限に活用するために、産業財産ポートフォリオを強化したいと考えてい
る。かかるポートフォリオは、特許、登録済みのソフトウェアおよび形式化された専門知識によって構成されている。
特許
276/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2018年末現在において、EDFのポートフォリオには、615の特許権を有するイノベーションが存在し、フランスおよび国外に
おいて、1,906件の所有権によって保護されている。
特許ポートフォリオの強化は、優先事項である。それにより、研究開発部門の協力を促進すること、EDFの事業の展開を保護
すること、当グループの外部イメージに貢献すること、研究者の動機付けを強化することおよび発明の価値をさらに向上させ
ることを目的としている。
EDFは、2018年に59件の特許申請を行った(2017年は64件)( Enedisは4件の特許申請を行った。 )。
商標
「EDF」は、90か国超で登録されている商標である。当グループの名称はそのイメージおよび地位を表す必要不可欠な部分で
あり、したがって、EDFのブランド、インターネット・ドメイン名およびロゴは、当グループのイメージを脅かすあらゆる不正
使用から保護するために常時監視されている。さらに、「EDF」ブランドの強化に続いて、当社は「EDF」ブランドを使用する
子会社との間で締結するブランドライセンス契約を締結した。
また、当グループは、とりわけその多様な子会社の事業に関連する、その他の多数の商標を登録している。
2018年末現在、EDFグループのブランドポートフォリオには、約497の名称が存在し、1,325超の知的財産権によって保護され
ている。
277/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
第4【設備の状況】
1【設備投資等の概要】
EDFの不動産部門は、当グループの不動産部門およびその不動産子会社によって構成され、約49%を当グループが直接所有
し、約51%を第三者からリースしている(リースおよび借地)約4.9百万平方メートルの事業用および商業用不動産に関する不
動産ポートフォリオを管理および最大限に利用することにより、フランスにおいてEDFおよびEnedisの事業体向けの不動産サー
ビス提供者として機能している。2018年、これらの資産の約247個が売却され、これは使用可能な床面積の約0.5百万平方メー
トルに相当する。かかる247個の不動産資産のうち、199個の資産ポートフォリオはSofiloによって売却された。所有する不動
産資産を最大限に活用するため、当グループは、特に大パリ圏において土地および床面積の合理化を目指した。その結果とし
て、2019年にパリのラ・デファンスやルヴァロワ・ペレにおけるいくつかのリース契約は解除され、その影響を受ける従業員
はサン・トゥーアンのスマートサイド・キャンパスに異動となる。
不動産部門は、サブリース制度を通して当グループの事業体および部署のために場所を提供することにより、不動産資産管
理、リース管理、建物の技術的運営ならびに施設の維持管理および賃借人に提供されるサービスを担当している。不動産部門
の経営幹部は第三者からリースを受けることにより、2019年から2033年までの期間において、EDFのために総額862百万ユーロ
のリース・コミットメントを支払っている。
上記の説明以外に本書の「第2 3 事業の内容」を参照。
2【主要な設備の状況】
2018年12月31日に終了した年度の連結財務書類の注記20「フランスの公共配電委譲運営有形固定資産」、注記21「その他の
業務に係る委譲運営有形固定資産」および注記22「グループ所有発電用有形固定資産およびその他の有形資産」を参照。
3【設備の新設、除却等の計画】
本書「第2 3 事業の内容」を参照。
278/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
第5【提出会社の状況】
1【株式等の状況】
(1)【株式の総数等】
①【株式の総数】
(2018年12月31日現在)
* *
授 権 株 数(株) 未発行株式数(株)
発行済株式総数(株)
- 3,010,267,676株 -
*
フランス法の下では、授権株式という概念はない。しかし、一定の範囲内で株主は、取締役会に対して株式またはエクイ
ティ証券の発行に際して、発行額および発行時期を決定する権限を与えることができる。
②【発行済株式】
(2018年12月31日現在)
記名・無記名の別及び 上場金融商品取引所名又は
種 類 発 行 数(株) 内 容
額面・無額面の別 登録認可金融商品取引業協会名
記名式
普通株式 3,010,267,676株 ユーロネクスト・パリ -
(額面0.5ユーロ)
(2)【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当事項なし。
279/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
(3)【発行済株式総数及び資本金の推移】
(2018年12月31日現在)
発行済株式総 資本金
発行済株式総数残 資本金残高
年月日 数増減数 増減額 摘要
高(株) (ユーロ)
(株) (ユーロ)
フランス政府から
2004年 1,625,800,000株
の資本および資本
1,625,800,000株 0 8,129,000,000
拠出の当社株式資
11月20日 (増加)
本への転換
2005年 7,316,100,000
連結剰余金への振
0株 1,625,800,000株 812,900,000
替を通じた減資
10月27日 (減少)
株式公開および国
2005年 187,869,028株 93,934,514
1,813,669,028株 906,834,514 際的公募に準じた
11月18日 (増加) (増加)
増資
引受業者による
オーバーアロット
2005年 8,502,062株 4,251,031
1,822,171,090株 911,085,545 メント・オプショ
12月20日 (増加) (増加)
ンの行使による増
資
株主の選択による
2010年 26,695,572株 13,347,786
現金または新株発
1,848,866,662株 924,433,331
行による中間配当
1月21日 (増加) (増加)
の支払
EDF Énergies
Nouvellesに関す
る公開買付けにお
2011年
いてEDFに出資さ
(増加) 1,860,812,110株 (増加) 930,406,055
れたEDF Énergies
6月24日
Nouvellesの株式
の対価としての増
資
消却に関する株式
2011年
買戻プログラムの
(減少) 1,848,866,622株 (減少) 924,433,331
一環としての株式
9月28日
の購入による消却
株主の選択による
2013年
現金または新株発
(増加) 1,860,008,468株 (増加) 930,004,234
行による配当の支
7月29日
払
株主の選択による
2015年 60,130,559株
現金または新株発
1,920,139,027株 (増加) 960,069,513.50
行による中間配当
12月18日 (増加)
の支払
株主の選択による
2016年 93,112,364株
現金または新株発
2,013,251,391株 (増加) 1,006,625,695.50
行による配当の支
6月30日 (増加)
払
株主の選択による
2016年 95,885,292株
現金または新株発
2,109,136,683株 (増加) 1,054,568,341.50
行による中間配当
10月31日 (増加)
の支払
280/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2017年 632,741,004株
優先引受権による
2,741,877,687株 (増加) 1,370,938,843.50
増資
3月30日 (増加)
株主の選択による
2017年 145,476,587株
現金または新株発
2,887,354,274株 (増加) 1,443,677,137
行による中間配当
7月12日 (増加)
の支払
株主の選択による
2017年 40,084,530株
現金または新株発
2,927,438,804株 (増加) 1,463,719,402
行による中間配当
12月14日 (増加)
の支払
株主の選択による
2018年 82,828,872株
現金または新株発
3,010,267,676株 (増加) 1,505,133,838
行による中間配当
6月19日 (増加)
の支払
281/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
(4)【所有者別状況】
① 当社の資本および議決権の保有者
過去3事業年度の毎年12月31日現在におけるEDF株式資本の保有内訳は、以下のとおりである。
2018 年12月31日 2017 年12月31日 2016 年12月31日
議決権 議決権 議決権
(1) (1) (1)
(%) (%) (%)
株式数 資本金(%) 株式数 資本金(%) 株式数 資本金(%)
(*)
フランス政府
2,518,498,450 83.67 83.77 2,444,361,086 83.50 83.60 1,805,952,345 85.62 85.73
機関および
453,361,661 15.06 15.08 444,381,189 15.18 15.20 267,417,384 12.68 12.70
一般投資家
(2) (3) (4)
34,679,546 35,266,513 33,097,739
1.15 1.15 1.20 1.20 1.57 1.57
従業員
自己株式 3,728,019 0.12 3,430,016 0.12 2,669,215 0.13
- - -
合計 3,010,267,676 100.00 100.00 2,927,438,804 100.00 100.00 2,109,136,683 100.00 100.00
(*) フランス政府が保有するEDF株式資本の持分には、2018年1月から保有していたEPIC(商工業公益企業体)である
BpiFranceに対するEDF株式389,349,361株の割当てが含まれる。
(1) これらの割合には、フランス商法第L.225-123条に基づき取得した可能性のある二重議決権が含まれていない。
(2) この数値には、フランス商法第L.225-102条において定められる従業員による株式保有の定義に基づく資本金の1.01%に
相当する30,453,101株(EDFのグループ貯蓄計画における「Actions EDF」のFCPEを通じて、EDFの従業員および元従業員
により所有される株式。)が含まれている。またかかる数値には、従業員または元従業員により、直接記名式で保有され
るか、またはロックイン期間なしにもしくはロックイン期間が終了して管理されている0.14%の株式に相当する約4.3百
万株が含まれている。
(3) この数値には、フランス商法第L.225-102条において定められる従業員による株式保有の定義に基づく資本金の1.05%に
相当する30,856,184株(EDFグループ貯蓄計画におけるFCPEの「Actions EDF」を通じて、EDFの従業員および元従業員に
より所有される株式。)が含まれている。またこの数値には、従業員または元従業員により、直接記名式で保有される
か、またはロックイン期間なしにもしくはロックイン期間が終了して管理されている0.15%の株式に相当する約4.4百万
株が含まれている。
(4) この数値には、フランス商法第L.225-102条において定められる従業員による株式保有の定義に基づく資本金の1.36%に
相当する28,771,251株(EDFグループ貯蓄計画におけるFCPEの「Actions EDF」を通じて、EDFの従業員および元従業員に
より所有される株式。)が含まれている。またこの数値には、従業員または元従業員により、直接記名式で保有される
か、またはロックイン期間なしにもしくはロックイン期間が終了して管理されている0.21%の株式に相当する約4.3百万
株が含まれている。
2018年1月29日付のフランス政府によるEPIC(商工業公益企業体)であるBpifranceに対するEDF株式389,349,361株の割当て
により、BPI Franceおよびフランス政府は、2社合計で当社の株式資本および議決権の5%、10%、15%、20%、30%、3分
の1、50%および3分の2の法定基準を超えた。フランス政府およびBpifranceは協働し、EDFの各株主総会前にお互いとの話
合いの場を設けるものとする。Bpifranceは、EDF株式の譲渡、担保としての差出しまたは処分を行わないことを約束した。
当社の認識している限り、フランス政府およびBPI France以外の株主は、直接・間接的を問わず株式資本および議決権の
5%を超えて有していない。
当社は、 2018 年12月31日現在、同日における当社の資本金の保有状況および当社の株主の地理的位置を検証することを可能
にした、特定可能な無記名式株式の調査を実施した。以下の表は、2018年12月31日現在および2017年12月31日現在のかかる情
報を要約したものである。
2018年12月31日 2017年12月31日
保有株式数 資本金(%) 保有株式数 資本金(%)
(*)
フランス政府
2,518,498,450 83.67 2,444,361,086 83.50
282/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
欧州の機関投資家(フランスを除
く。) 124,602,395 4.14 111,751,510 3.81
その他地域の機関投資家 201,203,349 6.68 174,348,008 5.96
フランスの機関投資家 68,798,317 2.29 83,945,491 2.87
民間による株式保有 58,752,599 1.95 74,336,180 2.54
従業員による株式保有 34,679,546 1.15 35,266,513 1.20
自己株式 3,728,019 0.12 3,430,016 0.12
合計 3,010,267,676 100.00 2,927,438,804 100.00
(*) フランス政府が保有するEDF株式資本の持分には、2018年1月から保有していたEPIC(商工業公益企業体)である
BpiFranceに対するEDF株式389,349,361株の割当てが含まれる。
2年以上にわたり政府が保有していた記名式株式1,805,952,345株に付された二重議決権の割当てにより、2019年2月18日に
政府は、EDFにおいて2,129,149,089株および3,935,101,434個の議決権を保有していることを表明した(すなわち、資本金の
70.73%およびEDFの議決権の80.84%)( かかる割合は、議決権が喪失した株式を含むすべての議決権付株式に係る理論上の議
決権数に基づき算出された。 )。
政府は、2018年だけでなく2019年および2020年においても、配当金の残額を株式として受領することを誓約している。
② 経営陣の交代に至る可能性がある契約
EDFの認識している限り、当社の経営陣の交代に至る可能性のある契約は締結されていない。
また、フランス・エネルギー法第L.111-67条に従い、フランス政府によるEDFの資本保有割合は70%未満となることはない。
(5)【大株主の状況】
2018年12月31日現在、フランス政府は、EDFの株式資本の83.67%および議決権の83.77%を保有している。フランス・エネル
ギー法第L.111-67条に従い、フランス政府は、資本保有割合の少なくとも70%を維持しなければならない。したがって、フラ
ンス政府は、大株主として、株主の承認を必要とする当社の決定、具体的には、株主総会が権限を持つあらゆる問題について
の、株主の決議結果に対する選択権を有している。
フランス政府による多数保有の結果として、EDFに適用される規制については「第2 3(3)法令および規制に関する環
境」を参照。
フランス政府との関係はまた、2018年12月31日に終了した事業年度の連結財務書類の注記48に記載されている。
2【配当政策】
( 1) 過去3事業年度間に支払われた配当金および中間配当
過去3事業年度間において支払われた配当および中間配当額は以下のとおりである。
(1)
分配された配当金総額
1株当たり配当金
事業年度 株式数 (ユーロ) (ユーロ) 配当日
(2) (3)
1.10 2,079,072,045.71
2015年 1,920,139,027 2016年6月30日
(6) (4) (5)
2,741,877,687 0.90 2,105,349,378.42
2016年 2017年6月30日
(7) (8)
0.46 1,341,187,189.41
2017年 2,927,438,804 2018年6月19日
(1) 自己株式控除後。
(2) 1.21ユーロは、特別配当から利益を得る株式に対するもので ある 。
(3) この うち、1,058,682,286.08ユーロは、当該年度の中間配当として2015年12月18日に支払われた。
(4) 0.99ユーロは、特別配当から利益を得る株式に対するもので ある 。
(5) このうち、1,005,552,797.00ユーロは、当該年度の中間配当として2016年10月31日に支払われ、922,416,509.04ユーロの
新株、82,548,293.00ユーロの現金および587,994.96ユーロの差額の支払いから構成される。2016年の配当の残額である
283/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
1,099,796,581.42ユーロは2017年6月30日に支払われ、うち1,024,155,172.48ユーロの新株、74,454,959.22ユーロの現
金および1,186,449.72ユーロの差額の支払いから構成される。
(6) 残余配当の支払い後、すなわち632,741,004株の株式が新規に発行された2017年3月30日の増資後。
(7) 0.506ユーロは、特別配当から利益を得る株式に対するもので ある 。
(8) このうち、432,632,648.85ユーロは、当該年度の中間配当として2017年12月11日に支払われ、398,440,228.20ユーロの新
株、33,746,467.50ユーロの現金および445,953.15ユーロの差額の支払いから構成される。2017年の配当の残額である
908,554,540.56ユーロは2018年6月19日に支払われ、うち847,339,360.56ユーロの新株、60,331,512.63ユーロの現金お
よび883,667.37ユーロの差額の支払いから構成される。
2018 年11月6日、EDFの取締役会は、2018事業年度に関する1株当たり0.15ユーロの中間配当を現金で支払う決定を行った。
2018 事業年度の中間配当は、451,000,397.55ユーロであり、 2018 年12月 10 日に支払われた。
2019 年2月 14 日の取締役会で、取締役会は、 2018 事業 年度は1株当たり 0.31 ユーロの配当金(特別配当を除く。)を分配す
ることを、2018年12月31日に終了する年度の財務書類を承認するために召集される 2019 年5月 16 日開催の株主総会に提案する
ことを決議した。 2018 年12月10日に支払われた1株当たり0.15ユーロの中間配当を考慮すると、当該年度の支払配当の残額
は、普通配当から利益を得る株式については1株当たり0.16ユーロであり、特別配当から利益を得る株式については1株当た
り0.191ユーロである。
株主には、 支払配当の残額について 当社の新たな株式による支払いというオプションが提案される。かかるオプションは、
2019年5月24日(同日を含む。)から2019年6月10日(同日を含む。)まで、行使することができる。遅くとも2019年6月10
日までにかかる支払オプションを行使していない株主に関しては、 支払配当の残額の支払いは すべて現金で行われる。フラン
ス政府は、新たな株式による配当を受け取ることを約束した。
増資に係る支払いのために新規発行された普通株式は、その所有者に対して2018年の配当金残高の支払を受け取る権利のみ
を付与する。
配当は、株主総会の承認に従い、2019年6月18日に支払われ、配当落期日は2019年5月22日である。
( 2) 配当方針および増加配当金
取締役会によって作成される配当方針は、当グループの投資需要、経済的事情およびその他関連すると思われる一切の要素
を考慮する。
2011年5月24日開催の株主総会にて行われた定款の修正により、前年に関し、2014年に最初の増額配当が支払われた。株式
を株主名簿上少なくとも2年間保有していた株主は、増額配当を受け取る資格を有する。かかる10%の配当の増加の権利を付
与される株式数は、株式資本の0.5%を超えてはならない。
2014年11月21日の株主総会において定款が修正され、現在の定款は、株主総会が配当、中間配当、剰余金もしくは配分され
る報奨金または金融資産を含む当社の資産の分配を通じた資本の減額の支払いを決定できるものと規定している。
( 3) 無請求配当金
配当は、その支払日から5年以内に請求が行われなければ失効し、フランス政府に支払われる。
284/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
3【株価の推移】
(1)【最近5年間の事業年度別最高・最低株価】
EDFの株式は、2005年11月21日よりユーロネクスト・パリ市場に上場されている。
(単位:ユーロ(円))
回 次 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
決算年月 12月31日 12月31日 12月31日 12月31日 12月31日
29.73 24.7 12.820 12.345 15.64
最 高
( 3,619 円) ( 3,007 円) ( 1,561 円) ( 1,503 円) ( 1,904 円)
21.555 12.60 9.190 7.400 10.04
最 低
( 2,624 円) ( 1,534 円) ( 1,119 円) ( 901 円) ( 1,222 円)
(2)【当該事業年度中最近6月間の月別最高・最低株価】 (出典: Bloomberg )
以下の表は、 2018 年7月から 2018 年12月の当社の株価の推移を記載している。
(単位:ユーロ(円))
月 別 2018 年7月 2018 年8月 2018 年9月 2018 年10月 2018 年11月 2018 年12月
12.800 14.210 15.595 15.530 15.645 14.580
最 高
( 1,558 円) ( 1,730 円) ( 1,899 円) (1,891円) ( 1,905 円) ( 1,775 円)
11.805 12.735 13.795 14.315 13.860 13.320
最 低
( 1,437 円) ( 1,550 円) ( 1,679 円) ( 1,743 円) ( 1,687 円) (1,622円)
285/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
4【役員の状況】
(2019年6月28日現在)
男性役員の数 女性役員の数 役員に占める女性の割合
10 8 44.44%
( 1) 取締役会の構成員および機能
① 取締役会の構成員
国有企業におけるガバナンスおよび取引に関する2014年8月20日付政令第2014-948号に基づきEDFは、現在、株主総会で任命
された取締役、同政令第6条に基づきフランス政府の推薦により選任された取締役(適用ある場合)、同政令第4条に従い経
済担当大臣により公務員から選ばれたフランス政府の代表1名および1983年7月26日付法律の規定に基づき従業員により選任
された取締役(取締役総数の3分の1)の、計3名から18名の構成員からなる取締役会により運営されている( 2014年8月20
日付政令第7条第Ⅰ項において言及されている従業員の代表は、その選任および地位に関して、1983年7月26日付法律に従う
企業の従業員の代表に対して適用される同法第Ⅱ章の第Ⅱ項および第Ⅲ項に規定されているものと同様の規定に従う 。)。
本書提出日現在、取締役会は、以下の18名の取締役で構成されている。
・株主総会により任命された取締役11名(フランス政府により推薦された5名を含む。)
・従業員により選任された取締役6名
・フランス政府の代表1名
当社の政府委員( 2014年8月20日付政令第15条 )、フランス政府の経済・財政総合統制部長( 1955年5月26日付命令第55-
733号第8条に従い、フランス政府によるEDFの経済・財政統制を行う。フランス政府は広範な監督手続を行うことができ
る 。)および中央企業委員会委員長は、取締役会議に出席するが議決権を有さない。しかしながら、グリーン成長に向けたエ
ネルギー移行に関する2015年8月17日付法律第2015-992号に基づく、フランス・エネルギー法第L.311-5-7号に従い、当社の政
府委員は投資判断の通知を受け、かかる投資判断の実現が当社により策定された戦略的計画の目的または複数年にわたるエネ
ルギー計画の目的に反する場合は、かかる投資判断に反対することができる(「第2 3(3)② フランスにおける公共サー
ビス」を参照。)。
2018年1月1日から本書提出日現在までに、取締役会の構成員に変更がなされた。
2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類を承認するために招集された株主総会にて9名の取締役の任期が満了し(下
記「取締役会の概要」の表を参照。)、2019年5月16日に開催された株主総会にて取締役の任命および/または再選が承認さ
れた。詳細については、「第3 3(3)⑪(ⅹ)2019年5月16日-2019年5月16日開催の年次株主総会および取締役会:全決
議が採択された。取締役会は、ジャン・ベルナール・レヴィ氏の会長兼最高経営責任者としての任期の更新を動議した。」を
参照。
男女比率の均衡-多様化政策
取締役会の女性化
フランス商法第L.225-18-1条および2014年8月20日付政令に従い、EDFは、取締役会および監査役会における男女比率の均衡
に関する規則に服し、当社は取締役会(従業員を代表する取締役を除く。)において、男女比率がそれぞれ40%未満となって
はならない。本書提出日現在、EDFの取締役のうち、従業員により選任された2名を含む8名の取締役が女性である。すなわ
ち、女性の比率は、この比率を算定した場合(従業員を代表する取締役を除く。)、取締役の50%である。
その他多様性の基準
取締役会は、AFEP-MEDEF規約の勧告およびフランス商法第L.225-37-4条第6項に従い、特に多様性(年齢、性別または専門
的な資格もしくは経験等の基準)および社外取締役の割合の観点から、取締役会の構成員および取締役会が設置する委員会の
構成員における望ましいバランスを定期的に検討する。
かかる基準および任命報酬委員会の意見を踏まえて取締役について検討した結果、2019年2月14日付の取締役会は、取締役
会の2018年の審査中に取締役が示した期待を考慮し、取締役に適用される多様化政策および取締役がその展開を促すために当
グループの戦略も考慮した目的を定めた。
取締役会の構成において良好な均衡を達成するために、取締役会は、当グループの戦略および取締役会に委託された目的に
関連して、その課題に適合するスキルおよび経験ならびにプロフィールの相補性を探すことを優先すべきであると考えてい
る。
以下の表は、取締役に適用される多様化政策を定めるために取締役会が検討した基準を示しているが、これらは、取締役の
候補者が検討された後に導入され、2019年5月16日に招集された株主総会の承認が必要である。
286/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
基準 当社の状況 取締役会による目標/対策
取締役の年齢 株主総会によって任命された取締役の年 取締役会は、現在の平均年齢に満足しており、取
齢は53歳から73歳であり、平均年齢は63 締役会の再選について候補者の年齢が取締役の選
歳である。 択において決定的な要素にはならないことを決定
したが、取締役の3分の1が70歳を超えてはなら
ない制限については注意する( フランス商法第
L.225-19条は、取締役に適用される年齢制限が定
款に明確に規定されていない場合、70歳を超える
取締役の人数が3分の1を超えてはならないと規
定している。 )。
平等 2019年3月15日現在、取締役会には7名 取締役会は、2019年3月15日現在の女性の比率
の女性が在任しており、そのうちの2名 (41.7%)に満足しているが、取締役にさらなる
は従業員により選任された取締役であ 変更があった場合に女性の人数を増やす可能性が
り、有給の取締役を除き女性の比率は ある。
41.7%である。
専門的経験およびプロ 取締役会は複数のプロフィールおよびス 取締役会は、取締役がEDFの活動および戦略に関連
フィールの相補性 キルを兼ね備えている。 する専門分野(特にエネルギー、産業および国際
レベルの分野)ならびに金融分野および大企業の
経営幹部において著しい経験を有していること、
ならびに株主総会により任命されたほとんどの取
締役がその他フランス企業または海外企業におい
て取締役として務めたことを強調した。
この検討の終了時に、取締役会は、現在のプロ
フィールの相補性が当グループの戦略の展開に有
利となると考えた。
国籍 取締役会には外国籍を有する取締役はい EDFグループが国際的に大きな存在感を示している
ない。 ことにかかわらず、取締役会は、CAP2030戦略の展
開には外国籍の取締役の短期的な任命が必要では
なかったと考えている。一方で、取締役会は、国
際的な経験を有する取締役の割合が十分であるこ
とを保証する。
必要である場合、取締役会は、取締役にさらなる
変更がある場合にかかる目標を検討する予定であ
る。
独立性 2019年3月15日現在、取締役会には5名 当社資本の支配株主の存在を考慮し、取締役会
の社外取締役が在任している(従業員を は、2019年3月15日現在の社外取締役の割合に満
代表する取締役を除き、計算に入れた12 足している。したがって取締役会は、取締役会に
名の取締役のうち41.7%が社外取締役で おいてかかる割合を維持したいと考えており、少
ある。)。 なくともAFEP-MEDEF規約が勧告するように、社外
取締役の割合を3分の1とする目標を設定した。
執行委員会における男女比率および最も責任を有する役職の上位10%における性別の多様性(フランス商法第L.225-37-4条
第6項)については、「第5 4(2)① 執行委員会の構成員」を参照。
取締役に関する情報
以下の表は、本書提出日現在の取締役に関する主要な情報の概要である。
取締役会の概要
委員会への
個人情報 経験 取締役会における状況 参加状況
287/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
上場企業にお
保有
ける役職の数 取締役会に
当初任命
株式数 (EDFを含 おける年功
年齢 性別 国籍 (株) む。 ) 独立性 された日 任期満了日 (年)(*)
会長兼最高経営責任者
(1) (2)
ジャン・ 64 男性 Fr 0 2 なし 2014年11月23 2023 年株主総会 4.25 戦略委員会委
日 員長
ベルナール・
レヴィ
株主総会により任命された取締役
(3)
コレット・ 73 女性 Fr 1,932 5 あり 2014年4月11 2021 年株主総会 4.83 任命報酬委員
日 会委員長/監
ルウィネ
査委員会の委
員/原子力監
視委員会の委
員
ローランス・ 59 女性 Fr 137 1 あり 2014年11月23 2021 年株主総会 4.25 戦略委員会の
(4)
日 委員/ガバナ
パリゾ
ンスおよび企
業の社会的責
任委員会の委
員
(5)
クレール・ 53 女性 Fr 0 1 あり 2016年5月12 2020 年株主総会 2.75 ガバナンスお
日 よび企業の社
プディニ
会的責任委員
会委員長/任
命報酬委員会
の委員
ブルーノ・ 53 男性 Fr 0 1 あり 2019年5月16 2023年株主総会 - 監査委員会 の
日 委員
クレメル
フィリップ・プ 66 男性 Fr 0 2 あり 2019年5月16 2023年株主総会 - 戦略委員会の
ティコラン 日 委員
フランス政府の推薦に基づき株主総会により任命された取締役
モーリス・ 65 男性 Fr 0 1 なし 2017年9月20 2021 年株主総会 1.42 戦略委員会の
日 委員
グルドー・
モンターニュ
マリー・クリス 57 女性 Fr 0 1 なし 2012年5月7日 2021 年株主総会 6.75 監査委員会委
ティーヌ・ルプ 員長/原子力
ティ 監視委員会の
委員
ミシェル・ 61 女性 Fr 0 1 なし 2016年9月30 2021 年株主総会 2.42 原子力監視委
日 員会の委員
ルソー
ジル・ドゥノワ 64 男性 Fr 0 2 なし 2019年5月16 2023年株主総会 - 原子力監視委
イエル 日 員会委員長
アンヌ・リゲ 50 女性 Fr 0 2 なし 2019年5月16 2023年株主総会 - ガバナンスお
日 よび企業の社
会的責任委員
会の委員
フランス政府を代表する取締役
マルタン・ 65 男性 Fr 0 2 なし 2015年9月9日 2022年11月20日 3.42 戦略委員会の
委員/任命報
ヴィアル
酬委員会の委
員
従業員により選任された取締役
クリスティー 47 女性 Fr 0 1 なし 2009年11月23 2019年11月22日 9.25 ガバナンスお
ヌ・シャボティ 日 よび企業の社
会的責任委員
会の委員/任
命報酬委員会
の委員
ジャッキー・ 59 男性 Fr 307 1 なし 2014年11月23 2019年11月22日 4.25 監査委員会の
ショラン 日 委員/戦略委
員会の委員/
ガバナンスお
よび企業の社
会的責任委員
会の委員
クリストフ・ 55 男性 Fr 24 1 なし 2017年11月7 2019年11月22日 1.25 原子力監視委
キュビリエ 日 員会の委員
288/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
マリー・ 58 女性 Fr 28 1 なし 2011年9月1日 2019年11月22日 7.42 監査委員会の
委員/原子力
エレーヌ・
監視委員会の
メイリン
委員/戦略委
員会の委員/
ガバナンスお
よび企業の社
会的責任委員
会の委員
ジャン・ 56 男性 Fr 0 1 なし 2007年11月1 2019年11月22日 11.42 戦略委員会の
日 委員/監査委
ポール・
員会の委員
リニャック
クリスチャン・ 43 男性 Fr 1,292 1 なし 2014年11月23 2019年11月22日 4.25 監査委員会の
タクシル 日 委員/戦略委
員会の委員
(*) 2019年3月15日現在。
(1) Fr:フランス国籍 。
(2) 2023年株主総会:2022事業年度の財務書類を承認するために招集される株主総会。
(3) 2021年株主総会:2020事業年度の財務書類を承認するために招集される株主総会。
(4) パリゾ氏は、2018年11月6日まで監査委員会の委員であった。
(5) 2020年株主総会:2019事業年度の財務書類を承認するために招集される株主総会。
(6) ジャン・ベルナール・レヴィ氏、フィリップ・クルゼ氏、ブルーノ・ラフォン氏、コレット・ルウィネ氏、ローランス・
パリゾ氏、オリヴィエ・アペール氏、モーリス・グルドー・モンターニュ氏、ブルーノ・レシュヴァン氏、マリー・クリ
スティーヌ・ルプティ氏およびミシェル・ルソー氏の任期は、2019年5月16日に開催された株主総会にて満了した。
(表に 別段の記載がない限り )本書提出日現在の取締役の個人情報および任期に関する情報は以下の表のとおりである。
株主総会により任命された取締役
ジャン・ベルナール・レヴィ(64歳)
289/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
当社における役職 国立理工科大学( École Polytechnique )を1973年に卒業後、Télécom Paris Techを卒
2014年11月27日より会長
業。同氏は1979年にFrance TélécomにおいてAngers Divisionの現場技術者として入
(1)
兼最高経営責任者
社。1982年に本社において業務執行管理者および人事部予算の管理を任され、その後人
事部長アシスタントとなる。1986年に郵政・電気通信大臣のジェラール・ロンゲ氏の事
務所の技術顧問に任命される。1988年から1993年の間、同氏は、現在Matra Marconi
取締役会に任命された日
2014年11月23日
SpaceとなっているMatra Espaceの通信衛星業務を担当した。1993年から1994年には産
業・郵政・電気通信・貿易大臣であったジェラール・ロンゲ氏の事務所の運営を行っ
直近で再任された日
た。1995年にMatra Communicationの会長兼最高経営責任者に任命された。1998年に最
2019年5月16日
高経営責任者としてOddo & Cieに入社し、後に経営パートナーとなった。2002年夏に同
氏は、Vivendiに入社し、2005年4月まで最高経営責任者を務め、2005年4月から2012
任期満了日
年6月までは業務執行委員会委員長を務めた。2012年12月から2014年11月まで同氏は、
2022年12月31日に終了す
Thalesの防衛・航空宇宙グループの会長兼最高経営責任者に就任した。2014年11月23日
る事業年度の財務書類を
よりEDFの取締役に就任しているジャン・ベルナール・レヴィ氏は、2014年11月27日よ
承認する株主総会
り当社の会長兼最高経営責任者に就任している。
その他の役職
2018年における職務および役職
戦略委員会委員長
当社における役職
・EDF会長兼最高経営責任者
保有株式数
0
職務/役職 所属 国
会長兼最高経営責任者 EDF フランス C
国籍
取締役会会長 Edison イタリア G/C
フランス
取締役 EDF Energy Holdings 英国 ▶
取締役 EDF Renouvelables フランス ▶
理事長 EDF財団 フランス ▶
取締役 Dalkia フランス ▶
監査役会会長 Framatome フランス ▶
取締役 Société Générale フランス C
フランス電力を代表する委員 フランス・エネルギー委員会 フランス
長兼理事
取締役 France Industrie フランス
理事 革新的な研修のための財団法 フランス
人 ( Fondation Innovations
pour les Apprentissages )
(FIPA)
理事 世界電力首脳有志の会議 カナダ
EDFを代表する委員 フランスの原子力の安全性に フランス
関する透明性および情報のた
めの高等委員会( Haut Comité
pour la transparence et l’
information sur la sécurité
nucléaire )
▶ :EDFグループ会社/C:上場会社
290/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
過去5年間に社外で就任し任期が満了した役職
フランス国内
・Thales会長兼最高経営責任者
・Institut Mines-Télécom(旧Institut Télécom)取締役会会長
・JBL Consulting & Investments会長
・Viroxis監査役会会長
・GIFAS(フランス航空宇宙工業会)副会長
・DCNS取締役
・パスツール研究所理事
・Vinci取締役
フランス国外
・Eurelectric取締役会副会長
・EDF Energy取締役会会長
(1) ジャン・ベルナール・レヴィ氏は、2014年11月21日付省令に基づき2014年11月23日より暫定的な会長兼最高経営責任者に
任命された。
291/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
モーリス・グルドー・モンターニュ(65歳)
当社における役職 モーリス・グルドー・モンターニュ氏は、パリの政治学院( Institut d'Études
フランス政府の推薦に基
politiques de Paris )および国立東洋言語文化研究所(INALCO)を卒業し、法学修士
づき株主総会により任命
号を有しており、ドイツで2年間の一般教養教育(DEUG)課程を終了している。同氏
された取締役
は、1978年にフランス外務省に入省した。同氏は、インドおよびドイツにおいて様々な
外交官の職に従事し、また、フランス外務省本部の外務省副報道官およびアラン・ジュ
取締役会に任命された日
ペ外務大臣の副官房長を務めた。その後、同氏はジュペ首相の首相府官房長を務めた。
2017年9月20日
1998年には駐日フランス大使に任命され、また2002年にはフランスのジャック・シラク
大統領の外交顧問に就任し、G8のフランスのシェルパを担当した。フランス大統領の個
直近で再任された日
人的な代理を務める者として、同氏は2002年から2007年までフランスとインド、フラン
2019年5月16日
スと中国の間の戦略対話を担った。その後同氏は、2007年12月に駐英フランス大使、
2011年2月に駐独フランス大使、2014年8月に駐中フランス大使に任命された。2017年
任期満了日
6月22日、国務院は、2017年8月1日からモーリス・グルドー・モンターニュ氏を欧
2020年12月31日に終了す
州・外務省の事務局長に任命した。
る事業年度の財務書類を
承認する株主総会
2018年における職務および役職
社外における主要な役職
その他の役職
・欧州・外務省事務局長
戦略委員会の委員
職務/役職 所属 国
保有株式数
取締役 Orano フランス
0
長官 フランス国家身分証明書保管 フランス
庁 ( Agence Nationale des
国籍
Titres Sécurisés )
フランス
長官 原子力庁( Commissariat à l フランス
’énergie atomique )
委員長 美術品登録証明委員会 フランス
(Commission de Récolement
des Dépôts d'OEuvres
d'Art)
理事 国 立 行 政 学 院 ( École フランス
Nationale
d'Administration )(ENA)
取締役 France Médias Monde フランス
理事 Renault財団 フランス
理事 アンスティチュ・フランセ フランス
( Institut Français )
局長 フランス難民・無国籍者保護 フランス
局 ( Office français de
protection des réfugiés et
apatrides )
▶ :EDFグループ会社/C:上場会社
過去5年間に社外で就任し満期が満了した役職
フランス国内
該当なし
292/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
マリー・クリスティーヌ・ルプティ(57歳)
当社における役職 同氏は、国立理工科大学( École Polytechnique )および国立行政学院( École
フランス政府の推薦に基
Nationale d'Administration )(ENA)を卒業。1987年、同氏は財務監察院に入り、監
づき株主総会により任命
査人および顧問を務めた。1991年、同氏は管理統制の実施のために、国税総局のジャ
された取締役
ン・レミエール氏によってスカウトされた。1995年、同氏は、税法部門の統合作業を担
当し、その後、税務およびマクロ経済研究の技術顧問として首相アラン・ジュペ氏の事
取締役会に任命された日
務所に入所し、1995年から1997年まで同事務所の税務および中小企業の技術顧問を務め
2012年5月7日
た。同氏は、サービスの質(事前に記入された納税申告書、遠隔手続および証明)の改
善に努め、国税総局での職務を継続した。同氏は、2004年、経済・財務省の税法に関す
直近で再任された日
る責任者に任命され、この職務を利用し、2004年から2012年まで、税改革を推し進め
2019年5月16日
た。それと同時に、同氏は2006年に社会福祉の資金調達改革を行う団体の共同議長を務
め、ミシェル・ロカール氏が議長を務めた専門家による「エネルギーにおける気候の寄
任期満了日
与」に関する協議会の報告書に連署した。また同氏は、エドゥアール・バラデュール氏
2020年12月31日に終了す
が事務長を務めた地方自治体改革委員会に常任理事として参加し、リオネル・ジョスパ
る事業年度の財務書類を
ン氏が議長を行う国民生活再生・倫理委員会の委員でもある。同氏は、2012年3月から
承認する株主総会
財務監察院長を務めており、現在は経済・財務省および行動・公会計省に所属してい
る。同氏は、 2015 年よりフランス国立美術館連合( la Réunion des Musées
その他の役職
Nationaux )およびシャンゼリゼのグラン・パレ( Grand Palais des Champs-Elysées )
監査委員会委員長および
の公的機関の理事を務めている 。同氏は、2012年5月よりEDFの取締役に就任してい
原子力監視委員会の委員
る。
保有株式数
2018年における職務および役職
0
社外における主要な役職
・経済・財務省および行動・公会計省の財務監察院長
国籍
フランス
職務/役職 所属 国
理事 フランス国立美術館連合( la フランス
Réunion des Mus ée ▲
Nationaux )およびシャンゼリ
ゼのグラン・パレ( Grand
Palais des Champs-Elysées )
の公的機関
▶ :EDFグループ会社/C:上場会社
過去5年間に社外で就任し満期が満了した役職
フランス国内
・フランス政治学会( Fondation N ationale des S ciences P olitiques )(FNSP)理事
293/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
コレット・ルウィネ(73歳)
当社における役職 高等師範学校( École N ormale S upérieure )を卒業、物理学の教授資格( A grégation )
株主総会により任命され
の学位および理学博士号を取得し、1979年にフランス電力に入社。1989年に開発および
た取締役
商業戦略部門を立ち上げ、EDFにおいて執行役員に任命された初の女性となった。1992
年から1998年まで、同氏は、AREVA-Oranoの子会社であるSGNにおいて会長兼最高経営責
取締役会に任命された日
任者を務めた。1998年にCapgeminiにおいてグローバル・エネルギーおよび公益事業部
2014年4月11日
門を設立しその後2012年6月までその管理に携わった。2012年7月よりCowinのマネー
ジャーとして、エネルギー分野のコンサルタントとしての職務を果たしている。2010年
直近で再任された日
から2015年までTDF(SAS)の非常勤会長であった同氏は、2002年よりフランス国立技術
2019年5月16日
アカデミーの会員である。同氏はBouyguesグループ、ならびにGetlink、Nexans、
IngenicoおよびCGGの取締役でもある。同氏は、2014年4月よりEDFの取締役に就任して
任期満了日
いる。
2020年12月31日に終了す
る事業年度の財務書類を
2018年における職務および役職
承認する株主総会
社外における主要な役職
・専務取締役
その他の役職
任命報酬委員会委員長な
職務/役職 所属 国
らびに監査委員会および
取締役 Bouygues フランス C
原子力監視委員会の委員
取締役 Nexans フランス C
取締役 Getlink(旧Eurotunnel) フランス C
保有株式数
取締役 CGG フランス C
(1)
1,932株
▶ :EDFグループ会社/C:上場会社
国籍
過去5年間に社外で就任し満期が満了した役職
フランス
フランス国内
・TDF取締役会会長
・Lafarge取締役
・Ingenico取締役
フランス国外
・Crompton Greaves(インド)外国取締役
・TGS Nopec(ノルウェー)取締役
(1) 直接または利益分配計画(FCPE)を通じて保有する株式。
294/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ローランス・パリゾ(59歳)
当社における役職 ナンシー第2大学( Université Nancy Ⅱ )において公法の修士学位を取得し、政治学
株主総会により任命され
院( Institut d'Études Politiques )(IEP)を卒業し、IEPにおいて政治学の修士学位
た取締役
を取得。同氏は、1985年にルイ・ハリス統計調査研究所にて統計調査マネージャーとし
て入所した。1986年に同研究所の最高経営責任者に選任された。1990年に同氏は、フラ
取締役会に任命された日
ンス世論研究所(IFOP)の会長兼最高経営責任者に任命され、徐々に同研究所の資本の
2014年11月23日
過半数を取得した。IFOPの売却後、同氏はしばらくGradivaを指揮したが、その後2018
年にはフランスのCitibankの会長兼業務執行取締役に任命された。同氏は2005年から
直近で再任された日
2013年まで、MEDEFの会長を務めた。同氏はFives、FoxintelligenceおよびFNSPの取締
2019年5月16日
役を務めている。同氏は、2014年11月よりEDFの取締役に就任している。
任期満了日
2018年における職務および役職
2020年12月31日に終了す
社外における主要な役職
る事業年度の財務書類を
・フランスのCitibankの会長兼業務執行取締役
承認する株主総会
職務/役職 所属 国
その他の役職
取締役 Fives フランス
監査委員会ならびにガバ
取締役 Foxintelligence フランス
ナンスおよび企業の社会
理事 フ ラ ン ス 政 治 学 会 フランス
的責任委員会の委員
( Fondation Nationale des
Sciences Politiques )
保有株式数
(FNSP)
137株
▶ :EDFグループ会社/C:上場会社
国籍
過去5年間に社外で就任し満期が満了した役職
フランス
フランス国内
・Gradivaマネージャー兼副所長
・IFOPグループ業務執行委員会副委員長
・Fondapol科学評議会会長
・Coface取締役
・BNP Paribas取締役
・Fives監査役
・Michelin監査役
295/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
クレール・プディニ(53歳)
当社における役職 HEC経営大学院( École des Hautes Études Commerciales )を卒業し、パリ高等商業学
株主総会により任命され
校( École Supérieure de Commerce de Paris )よりメディア・マネジメントの修士号
た取締役
を取得した。1988年に同氏は、経理・財務担当としてTotalに入社。1991年にニュー
ヨーク証券取引所におけるTotalの取引の許可を担当し、1992年に投資家向け広報担当
取締役会に任命された日
部長、1994年にメディア向け広報担当部長および1997年に新情報技術担当部長に就任し
2016年5月12日
た。1998年に同氏は、財務情報・株主向け広報担当部長としてAlcatelに入社した。こ
れに続き、2001年に投資家向け広報・広報担当部長、2004年に最高財務責任者代理、
任期満了日
2006年に人事部・企業広報担当上級部長および執行委員会委員、2007年に人事部・企業
2019年12月31日に終了す
広報・不動産担当上級部長ならびに2009年にAlcatel-Lucentの人事部・改革担当執行部
る事業年度の財務書類を
長に就任した。2010年6月からクレール・プディニ氏は、Saint-Gobainグループにおけ
承認する株主総会
る人事部・デジタル変革担当上級部長を務めている。同氏は2010年から2016年まで
Arkemaの取締役を務め、2016年5月よりEDFの取締役に就任している。
その他の役職
ガバナンスおよび企業の
2018年における職務および役職
社会的責任委員会委員長
社外における主要な役職
ならびに任命報酬委員会
・Saint-Gobainグループ人事部・デジタル変革担当上級部長、Saint-Gobain執行委員会
の委員
委員
保有株式数
職務/役職 所属 国
0
該当なし
▶ :EDFグループ会社/C:上場会社
国籍
フランス
過去5年間に社外で就任し満期が満了した役職
フランス国内
・Arkema取締役
296/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ミシェル・ルソー(61歳)
当社における役職 パリ国立高等鉱業学校( École Nationale Supérieure des Mines de Paris )を卒業
フランス政府の推薦に基
し、鉱山技師( Ingénieur Général des Mines )の称号を取得した。同氏は、環境部門
づき株主総会により任命
の部長としてノール・パ・ド・カレーのDRIRE(地域産業・研究・環境局)に入局。同
された取締役
氏は廃棄物担当の責任者として環境省に入省し、その後、産業省にてEDFの原子力発電
所の管理責任者である原子力施設安全局の部長代理を務めた。同氏はその後、フランス
取締役会に任命された日
の研究・イノベーション局ANVARの副総局長として、中小企業による革新的なプロジェ
2016年9月30日
クトを支援するための政策の実施の責任者を務めた後、エネルギー需要・市場担当部長
として経済・財務・産業省に入省した。経済・財務・産業省において同氏は、とりわけ
直近で再任された日
欧州電力およびガス市場の開放ならびに省エネおよび再生可能エネルギーの拡大を受け
2019年5月16日
て新たな法律上および規制上の枠組みの構築を担当した。その後同氏は、エコロジー・
持続可能開発省に戻り、事務局長を務め、2008年には長官およびとりわけグルネル環境
任期満了日
計画の実行責任者である持続可能な開発委員会の副委員長を務めた。2011年、同氏は
2020年12月31日に終了す
セーヌ・ノルマンディ水管理庁長官に任命され、その後2016年、環境および持続可能な
る事業年度の財務書類を
開発に関する総協議会に戻り、オー・ド・フランス地域環境当局(MRAe)の会長を務め
承認する株主総会
ている。同氏は、2017年3月よりフランス地質・鉱山調査局( Bureau de Recherches
Géologiques et Minières )の会長、国立環境・農業科学技術研究所( Institut
その他の役職
national de recherche en sciences et technologies pour l'environnement )(IRSTEA)
原子力監視委員会の委員
の理事、2016年9月よりEDFの取締役に就任している。
保有株式数
2018年における職務および役職
0
社外における主要な役職
フランス国内
国籍
・フランス地質・鉱山調査局( Bureau de Recherches Géologiques et Minières )
フランス
(BRGM)会長
職務/役職 所属 国
会長 フランス地質・鉱山調査局 フランス
( Bureau de Recherches
Géologiques et Minières )
(BRGM)
理事 国立環境・農業科学技術研究 フランス
所 ( Institut national de
recherche en sciences et
technologies pour
l'environnement )(IRSTEA)
▶ :EDFグループ会社/C:上場会社
過去5年間に社外で就任し満期が満了した役職
フランス国内
・環境および持続可能な開発に関する総協議会のオー・ド・フランス地域環境当局
(MRAe)会長
297/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ブルーノ・クレメル(53歳)
当社における役職 パリ中央学校( École Centrale de Paris )、パリ政治学院(IEP)および国立行政学院
株主総会により任命され
(ENA)(財務監督局)を卒業。同氏は、財務監督官としてキャリアを開始し、その
た取締役
後、国家保有サービス部において公的銀行および公的保険会社の担当として経済・財
務・産業省に入省し、複数の銀行および公的保険会社の民営化を成し遂げた。同氏は、
取締役会に任命された日
1998年から2000年までKeringグループ(旧Pinault-Printemps-Redoute)において、最
2019年5月16日
初は戦略計画担当の執行委員会委員、その後はPPR Interactiveの業務執行委員会委員
長を務めた。同氏は、2000年から2002年まで経済・財務・産業大臣ローラン・ファビウ
任期満了日
ス氏の補佐であった。2002年から2006年までは、FNAC Franceの会長兼最高経営責任者
2022年12月31日に終了す
にを務めた。同氏は、2006年から2012年まで投資ファンドのLBO Franceのジェネラル・
る事業年度の財務書類を
パートナーおよび執行委員会委員を務め、Maisons du MondeおよびPromovacancesの取
承認する株主総会
得を完了させた。同氏は、2012年にDarty Franceの会長兼最高経営責任者に任命され
た。同氏は、2014年5月にパートナーとして投資ファンドのPartechに参加し、その
その他の役職
後、2016年5月にジェネラル・パートナーとなった。
監査委員会の委員
保有株式数
0
国籍
フランス
298/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ジル・ドゥノワイエル(64歳)
当社における役職 パリ国立高等鉱業学校( Mines ParisTech )をジェネラル・エンジニアとして卒業し、
フランス政府の推薦に基
パリ政治学院(IEP)および国立行政学院(ENA)(財務監督局)を卒業。同氏は、1981
づき株主総会により任命
年に経済・財務省の財務監督官に任命され、その後の1985年に財務局に入局し、1996年
された取締役
まで様々な職務に就いた。同氏は、1996年に最高財務責任者としてCCFグループに入社
し、1998年には戦略・運営担当の書記長、2000年には財務担当の最高経営責任者代理を
取締役会に任命された日
務めた。同氏は、英国グループのHSBCとの合併に携わり、2004年からHSBC Franceの取
2019年5月16日
締役および最高経営責任者代理としてキャリアを続けた。したがって、同氏は最初に中
央財務機能を担当した。2006年、同氏は資産管理事業、保険活動および中央非財務機能
任期満了日
の責任者となった。2007年以降、同氏はすべてのリスク・統制機能および規制当局との
2022年12月31日に終了す
関係を監督した。同氏は、2012年にHSBC Franceの最高経営責任者を補佐する最高経営
る事業年度の財務書類を
責任者代理となった。同氏は、2015年から2017年までHSBCの欧州における国際機関関係
承認する株主総会
の代表を務めた。また、同氏は、2006年から2016年までフランスにおいて外国の管理下
にある銀行団体の会長も務め、2004年から2016年までフランス銀行協会( Association
その他の役職
Fran çaise des Banques )の会計責任者を務めた。同氏は、2018年5月からDexiaおよび
原子力監視委員会委員長
Dexia Credit Localの取締役会会長に就任している。
保有株式数
0
国籍
フランス
299/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
フィリップ・プティコラン(66歳)
当社における役職 数学の学士号を取得し、ビジネス開発学校( Centre de perfectionnement aux
株主総会により任命され
Affaires )(CPA)を卒業。同氏は、1978年にEuroprimの輸出マネージャーとしてキャ
た取締役
リアを開始し、その後、Alcatel-Alstomの子会社であるFilotexの輸出区域マネー
ジャーに就任した。同氏は、1982年に米国のChester Cableの航空販売マネージャーに
取締役会に任命された日
任命され、その後、1984年に輸出マネージャーとしてFilotexに戻った。販売部長代理
2019年5月16日
として1988年にLabinalに入社後、航空システム部門の販売およびマーケティング部長
に任命された。同氏は、1995年に航空システム部長に就任した。ValeoによるFiltrauto
任期満了日
の取得後、同氏は1999年から2001年までLabinalのFiltrauto部長および摩擦材料部長を
2022年12月31日に終了す
務めた。同氏は、2001年5月にLabinal(現Safran Electrical & Power)の最高経営責
る事業年度の財務書類を
任者に就任し、2004年11月には会長兼最高経営責任者に就任した。2006年、同氏は
承認する株主総会
Snecma(現Safran Aircraft Engines)の会長兼最高経営責任者に任命された。2011年
から2015年にわたり同氏は、Safranの防衛およびセキュリティ活動の責任者ならびに
その他の役職
Safran Electronics & Defenseの会長兼最高経営責任者となり、その後Safran
戦略委員会の委員
Identity & Securityの会長兼最高経営責任者およびSafran Electronics & Defenseの
取締役会会長となり、最終的にSafran Identity & Securityの会長となった。同氏は、
保有株式数
2015年4月にSafranの取締役および最高経営責任者に任命された。また、同氏は欧州航
0
空宇宙防衛工業会(ASD)(ベルギー)の理事であり、フランス航空宇宙工業会
(GIFAS)の副会長である。
国籍
フランス
300/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
アンヌ・リゲ(50歳)
当社における役職 パリ国立高等鉱業学校( École des Mines de Paris )を卒業。アンヌ・リゲ氏は、1991
フランス政府の推薦に基
年にAir Interに入社した。同氏は、1996年にAir Franceのパリ・オルリー空港の顧客
づき株主総会により任命
サービス責任者に任命された。1999年に同氏はハブであるパリ・シャルル・ド・ゴール
された取締役
空港の旅客・手荷物対応責任者に就任し、その後、地上オペレーションの顧客商品・手
荷物担当責任者に就任した。同氏は、2005年にパリ・シャルル・ド・ゴール空港におけ
取締役会に任命された日
るハブ・オペレーション責任者に任命された。2009年から2013年までパリ・シャルル・
2019年5月16日
ド・ゴール空港における地上オペレーションの部長代理を務め、その後、航空事業にお
ける民間航空機乗組員担当の執行副社長を務めた。2017年、同氏は顧客担当の執行副社
任期満了日
長に任命された。同氏は、2018年12月12日よりAir Franceの最高経営責任者であり、同
2022年12月31日に終了す
社の取締役である。
る事業年度の財務書類を
承認する株主総会
その他の役職
ガバナンスおよび企業の
社会的責任委員会の委員
保有株式数
0
国籍
フランス
301/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
フランス政府を代表する取締役
マルタン・ヴィアル(65歳)
当社における役職 国立経済商科大学院( É cole Supérieure des Sciences Économiques et
フランス政府を代表する
Commerciales )(ESSEC)および国立郵政通信学院( École Nationale Supérieure des
取締役
Postes et Télécommunications )を卒業。同氏は、郵政総局財務部の郵政サービス・通
信担当長官としてキャリアを開始した。1986年に同氏は、経済・財務省財政部に入省し
取締役会に任命された日
た。1988年から1993年まで、同氏は技術顧問、副長官ならびに郵政サービス・通信・宇
2015年9月9日
宙担当大臣、機器・住居・輸送・宇宙担当大臣および郵政サービス・通信担当大臣の事
務所の長官を歴任した。1993年に同氏は、航空会社であり、Air France、La Posteおよ
直近で再任された日
びTATの共同子会社であるAéropostaleの会長兼最高経営責任者に任命され、フランス航
2018年11月21日
空輸送組合( Chambre Syndicale du Transport A ér ien )およびフランス全国民間航空組
合( } é ▼ é ration Nationale de l'Aviation Marchande )の会長に任命された。1997年末に
任期満了日
同氏は、La Posteグループの最高経営責任者に就任した。2000年9月に同氏は、La
2022年11月20日
Posteグループの会長に任命され、それと同時にCaisse Nationale de Prévoyance
(CNP)の副会長に就任した。マルタン・ヴィアル氏は、2002年9月にフランス会計検
その他の役職
査院に主席顧問として入った。2003年から2014年に同氏は、アシスタンス市場において
任命報酬委員会および戦
世界的なリーダーであるEurop Assistanceグループの最高経営責任者兼取締役を務め、
略委員会の委員
またEurop Assistance Holdingの取締役兼最高経営責任者を務めた。また同氏は、当該
グループ会社の複数の取締役会の議長を務めている。2015年1月に同氏は、高齢者に対
保有株式数
する援助を提供するPremium Careという会社を設立した。2015年8月からフランス政府
0
保有株式委員を務めるマルタン・ヴィアル氏は、RenaultおよびBpifranceの取締役も務
めている。同氏は、2015年9月よりEDFの取締役に就任している。
国籍
フランス
2018年における職務および役職
社外における主要な役職
・フランス政府保有株式委員
職務/役職 所属 国
取締役 Renault フランス C
取締役 Bpifrance フランス
▶ :EDFグループ会社/C:上場会社
過去5年間に社外で就任し満期が満了した役職
フランス国内
・Europ Assistance Holding最高経営責任者兼取締役
・International Health Solutions会長
・Sicav Libertés et Solidarités会長
・Hormair Vacances取締役
・Business Solutions Capital取締役
・Thales取締役
フランス国外
・Club Santé Afrique(CSA)(米国)会長
・ブラジル、ベルギー、フランス、英国および米国のEurop Assistance会長
・南アフリカ、ドイツ、中国、スペイン、イタリアおよびポルトガルのEurop
Assistance取締役
302/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
従業員により選任された取締役
クリスティーヌ・シャボティ(47歳)
当社における役職 法学の学位を取得。同氏は法律業界で経験を積み、2000年に主要口座課の商務官として
従業員により選任された EDFの取引部門に入社した。現在は主要口座部門の主要口座売上サポート課に勤務。
取締役 2008年12月からは、労働裁判所判事( conseiller prud'hommal )を務めている。シャボ
ティ氏は、CGT組合の推薦を受けて2009年11月よりEDFの取締役に就任している。
取締役会に任命された日
2009年11月23日
2018年における職務および役職
直近で再任された日
当社における主要な役職
2014年11月23日
・EDF取引部門主要口座課商務官
任期満了日
2019年11月22日
職務/役職 所属 国
その他の役職
労働裁判所判事( conseiller 労働裁判所( Conseil de フランス
ガバナンスおよび企業の
prud’hommal ) Prud'hommes )
社会的責任委員会ならび
に任命報酬委員会の委員
▶ :EDFグループ会社/C:上場会社
保有株式数
0
過去5年間に社外で就任し満期が満了した役職
該当なし
国籍
フランス
303/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ジャッキー・ショラン(59歳)
当社における役職 パリ政治学院( Institut d'Études Politiques )(IEP)を卒業し、法学部の博士号を取
従業員により選任された
得したジャッキー・ショラン氏は、1983年に設備部門事務所において法律専門家として
取締役
EDFでのキャリアを開始した。現在同氏は、EDFの原子力発電・火力発電部門の人事部マ
ネージャー代表である。同氏は、2014年から2016年まで生態学的移行国家諮問委員会の
取締役会へ任命された日
委員を務め、また2012年からフランス高等エネルギー理事会の理事に就任している。
(1)
2014年11月23日
Force Ouvrière(FO)労働組合の推薦を受けて、ショラン氏は2004年9月から2009年11
月までEDFの取締役を務めた。同氏は2014年11月より再度EDFの取締役に就任している。
任期満了日
2019年11月22日
2018年における職務および役職
当社における主要な役職
その他の役職
・EDF原子力発電・火力発電部門人事部マネージャー代表
監査委員会、戦略委員会
ならびにガバナンスおよ
職務/役職 所属 国
び企業の社会的責任委員
理事 フランス高等エネルギー理事 フランス
会の委員
会
▶ :EDFグループ会社/C:上場会社
保有株式数
(2)
307株
過去5年間に社外で就任し満期が満了した役職
フランス国内
国籍
・生態学的移行国家諮問委員会委員
フランス
・経済・社会・環境評議会委員
・フランス首相直属の組合連合調査機関であるフランス経済・社会研究所(IRES)理事
会のForce Ouvrière労働組合代表
・FO Énergies & Mines労働組合連盟書記(技能開発センター担当)
(1) ジャッキー・ショラン氏は以前、2004年9月から2009年11月までEDF(当時有限会社であったEPIC(商工業公益企業
体))の取締役であった。
(2) 利益分配計画(FCPE)を通じて保有する株式。
304/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
クリストフ・キュビリエ(55歳)
当社における役職 フランス国籍であるクリストフ・キュビリエ氏は、1988年1月にLyonnaise des eauxに入
従業員により選任された
社し、「IT中央研究所」、「汚水」および「飲料水」部門において複数の職務に就いた。
取締役
同氏は、1989年10月にパンリーの現場の警備員としてEDFに入社した。同氏は1990年4月
にユニット1の産業用の稼働開始に携わり、その後1992年に稼働開始したユニット2の稼
取締役会へ任命された日
働作業に携わった。同氏は1994年から1998年までPOT(労働者向け技術向上)研修を経
2017年11月7日
て、現場責任者としてフラマンビルにおけるユニットの操業停止部門に配属された。2003
年、同氏はフラマンビルの安全管理品質部門に入り、安全技師として研修を始めた。2004
任期満了日
年に資格を取得し、かかる職務を約2年間務めた。同氏は2005年にFédération CGT Mines
2019年11月22日
Énergie労働組合への50%の出向を選択し、その後100%になり、共同生産委員会
(CMP)、秘書として務めた企業委員会、第2人事委員会(CSP)および職場安全衛生委員
その他の役職
会(CHSCT)等のEDFの雇用における意見交換に関する複数の機関に所属している。同氏は
原子力監視委員会の委員
2009年9月から2017年9月までフラマンビルにおける労働組合の代表者であった。同氏は
CGTの推薦に基づき2017年11月7日よりEDFの取締役に就任している。
保有株式数
24株
2018年における職務および役職
当社における主要な役職
国籍
・Fédération CGT Mines Énergie労働組合経営幹部のメンバー
フランス
職務/役職 所属 国
該当なし
▶ :EDFグループ会社/C:上場会社
過去5年間に社外で就任し満期が満了した役職
該当なし
305/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
マリー・エレーヌ・メイリン(58歳)
当社における役職 同氏は、コミュニケーション(パリ第5大学( Université Paris V ))の学位を取得。
従業員により選任された
同氏は、1982年にEDFに入社し、情報通信に関する様々な職務を歴任した。同氏は、そ
取締役
の後、電力市場の開放および再生可能エネルギーの支援に関する事業に重点的に取り組
んだ。2008年から2011年の間、同氏はEDF中央企業委員会の役員を務めた。同氏は現
取締役会に任命された日
在、EDFのイノベーション・企業の社会的責任・戦略部門の上級エンジニアである。
2011年9月1日
2012年11月、同氏はパリ政治学院およびフランス取締役学院(IEP)が共同で発行する
取締役証明書を取得した。同氏は、CFDT組合の推薦を受けて2011年9月よりEDFの取締
直近で再任された日
役に就任している。
2014年11月23日
2018年における職務および役職
任期満了日
2019年11月22日
当社における主要な役職
・EDFイノベーション・企業の社会的責任・戦略部門の上級エンジニア
その他の役職
監査委員会、原子力監視
委員会、戦略委員会なら
職務/役職 所属 国
びにガバナンスおよび企
CFDT組合の電力・ガス産業の従 フランス高等エネルギー理事 フランス
業の社会的責任委員会の
業員代表 会( Conseil supérieur de l
委員
’énergie )(CSE)
保有株式数
▶ :EDFグループ会社/C:上場会社
28株
過去5年間に社外で就任し満期が満了した役職
国籍
該当なし
フランス
306/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ジャン・ポール・リニャック(56歳)
当社における役職 トゥールーズの政治学院( Institut National Polytechnique )にてエネルギー学の博
従業員により選任された
士号を取得し、1991年にEDFに入社。同氏は、EDFの研究開発部の発電に関する共同委員
取締役
会の秘書役を5年間務めた。同氏は、EDFの研究開発部(ルナルディエールセンター)
にて技術研究者を務め、現在は工業用建物および工業用クリーンルームの暖房・空調に
取締役会に任命された日
おけるエネルギー効率に取り組む。同氏は、CGT組合の推薦を受けて2007年11月よりEDF
2007年11月1日
の取締役に就任している。
直近で再任された日
2018年における職務および役職
2014年11月23日
当社における主要な役職
・EDF研究開発部技術研究者
任期満了日
2019年11月22日
職務/役職 所属 国
その他の役職
該当なし
監査委員会および戦略委
▶ :EDFグループ会社/C:上場会社
員会の委員
過去5年間に社外で就任し満期が満了した役職
保有株式数
該当なし
0
国籍
フランス
307/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
クリスチャン・タクシル(43歳)
当社における役職 ESCPヨーロッパ学校およびドゥエー国立高等鉱業学校( École de Mines )を卒業し、エ
従業員により選任された
グゼクティブMBAの学位を取得。EDF Gaz de France Distributionに1999年に入社し、
取締役
顧客、地方自治体および委託管理等の役職でキャリアを開始した。2004年から2008年の
間、Fédération CFE-CGC Énergies組合運営チームの電力産業およびガス産業に関する
取締役会に任命された日
社会的対話の責任者を務めた。2008年に同氏はEDFグループの監査部門に入社し、その
2014年11月23日
後2009年6月から2014年9月の間Fédération CFE-CGC Énergies組合の書記長に選任さ
れた。CFE-CGC労働組合の推薦を受けて、タクシル氏は、2014年11月23日よりEDFの取締
任期満了日
役に就任している。
2019年11月22日
2018年における職務および役職
その他の役職
当社における主要な役職
監査委員会および戦略委
・Dalkia取引・マーケティング部主要顧客担当
員会の委員
職務/役職 所属 国
保有株式数
選任代表 ヴァル・ドワーズ電気・ガ フランス
(1)
1,292株
ス・通信共同組合( Syndicat
Mixte d'Électricite, de Gaz
国籍
et des Télécommunications
フランス
du Val-d'Oise )(SMDEGTVO)
▶ :EDFグループ会社/C:上場会社
過去5年間に社外で就任し満期が満了した役職
フランス国内
・Fédération CFE-CGC Énergies組合書記長
(1) 利益分配計画(FCPE)を通じて保有する株式。
308/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( 2) 執行委員会
① 執行委員会の構成員
本書提出日現在の執行役員は以下のとおりである。
氏名 役職
ジャン・ベルナール・レヴィ 会長兼最高経営責任者
マルク・ブナユン 当グループ上級執行副社長、ガスおよびイタリア担当、Edisonの最高経営責
任者
ブルーノ・ベンサソン 当グループ上級執行副社長、再生可能エネルギー担当、EDF Renouvelablesの
(1)
会長兼最高経営責任者
クリストフ・カルヴァル 当グループ上級執行副社長、人事担当
グザヴィエ・ジール 当グループ上級執行副社長、当グループ財務部門担当
ヴェロニック・ラクール 当グループ上級執行副社長、変革・経営効率担当
アンリ・ラフォンテーヌ 当グループ上級執行副社長、顧客・サービス・地域業務担当
マリアンヌ・レノー 当グループ上級執行副社長、国際部門担当
セドリック・レヴァンドフスキ 当グループ上級執行副社長、イノベーション・戦略・計画担当
(2)
フィリップ・サセーニュ 当グループ上級執行副社長、原子力発電および火力発電部門担当
シモーネ・ロッシ 当グループ上級執行副社長、EDF Energyの最高経営責任者
ピエール・トドロフ 当グループ上級執行副社長、当グループ書記長
グザヴィエ・ウルサ 当グループ上級執行副社長、新たな原子力プロジェクトおよびエンジニアリ
ング部門担当
アレクサンドル・ペラ氏は、執行委員会の秘書役である。同氏は、会長兼最高経営責任者の役員補佐および政府関係担当であ
る。
(1) ブルーノ・ベンサソン氏は、2018年4月16日付でアントワン・カユザック氏の後任となった。
(2) フィリップ・サセーニュ氏は、2019年2月8日付でドミニク・ミニエール氏の後任となった。
本書提出日現在、執行委員会には女性が2名在籍しており、女性の比率は15.4%である(2016年12月までと比較して7.7%増
加した)。EDFグループは、複数年にわたりEDFグループの統治機関の女性化に完全に取り組んできた。第一に、執行委員会の
女性の人数は2016年12月に変革・経営効率担当の当グループ上級執行副社長であるヴェロニック・ラクールが加わったことに
より、2倍になった。
また、会長兼最高経営責任者も当グループ会社の統治機関および取締役会の女性化を促進するためにいくつかの活動を導入
した。EDFの執行委員会の各委員は、女性マネージャーまたは将来の女性マネージャーを指導している。さらに、「talents」
として認定され、中期においてマネージャーに就任する可能性のある女性は、密接な個別支援および特定のプロフェッショナ
ル化活動ならびにその他関連するキャリア指導による恩恵を受ける。
最後に、当グループ会社の取締役会に任命される可能性のある女性の人材プールが創出された。当社が現代社会を反映する
ために、従業員の採用段階から特別に注目されている(「第5 4(1)① 取締役会の構成員」を参照。)。
② 執行役員の個人情報
マルク・ブナユン: 52歳。国立経済商科大学院( École Supérieure des Sciences Économiques et Commerciales )
(ESSEC)を卒業し、1989年にParibas Groupに入社。その後1993年にBoston Consulting Groupに入社し、2001年にパリオフィ
スのパートナーおよび業務執行取締役に就任した後、2008年にはモスクワオフィスのパートナーおよび業務執行取締役に就任
し、在任期間中に天然ガス部門における技能開発を含む幅広い責務を果たした。同氏は2009年に経済・料金・価格担当部長と
してEDFグループに入社した。2012年には電気、ガスおよびサービス販売の責任者である取引部門のB2B市場の部長に就任し
た。同氏は、かかる役職において、競争の激しい環境下で主導的な立場を取り戻すことを目的とした、事業者および地方自治
体(全体で400,000を超える施設があり、電力消費量は120TWh。)向けの電力料金に係る規制の終了に関連するプロジェクトを
監視した。同氏はEDF Tradingの取締役、Trimet Franceの監査役、Transalpina di Energiaの会長、イタリアにおいて3番目に
大きな電力会社であり、イタリアにおける当グループの資産の大半を管理するEdisonの最高経営責任者、Fondazione Edisonの
会長およびFeniceの取締役を務めている。同氏は2016年から当グループ上級執行副社長(ガスおよびイタリア担当)を務めて
いる。
309/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ブルーノ・ベンサソン: 46 歳。国立理工科大学( École Polytechnique )およびパリ国立高等鉱業学校( École des Mines de
Paris )を卒業。同氏は、1998年に原子力安全当局の地域部長(バッス・ノルマンディーおよびオート・ノルマンディー)とし
て キャリアを始め、その後、最高経営責任者の補佐となった。2004年から2006年の間、同氏は産業大臣の環境、新たなエネル
ギーおよび原子力エネルギー担当の技術顧問に就任し、その後、フランス大統領の 事務総局において 産業、環境および交通担
当の顧問となった。同氏は、開発戦略部における経済研究担当の取締役としてSUEZに2007年に入社した。同氏は、2011年に戦
略および持続可能な開発担当の取締役としてGDF SUEZの執行委員会に加わった。同氏は2013年初めにGDF SUEZ Energie France
の最高経営責任者に任命され、2014年7月にGDF SUEZ Energie Europeの開発・再生可能エネルギー担当の執行副社長に就任し
た。同氏は2016年にEngie Afriqueの最高経営責任者に就任した。同氏は2018年5月に 再生可能エネルギー担当の当グループ上
級執行副社長およびEDF Renouvelablesの会長兼最高経営責任者に就任した。
クリストフ・カルヴァル: 58歳。リールのHEI工業学校にて電気工学の学位を取得し、1982年にEDFグループに入社。同氏
は、電力・ガス供給分野の部門ユニット、地域ユニットおよび地域間ユニットにおいて複数の管理職を務めた。同氏は2007年
にEDFグループの新たな共同サービス部門を設立し、管理するためのプロジェクトの責任者に任命された。同氏は、2014年から
人事部長、安全衛生部長およびEnedis変革プロジェクトの責任者を務めた。2017年7月から同氏は人事担当の当グループ上級
執行副社長を務めている。
グザヴィエ・ジール: 50歳。HEC、パリの政治学院( Institut d'Études Politiques )(IEP)およびENAを卒業し、商法の修
士号を取得した。1995年にフランス会計検査院に入社した後、1999年にVeolia Environnementグループに入社してそこで12年
間を過ごし、主にVeoliaグループのグループリスク管理・監査担当最高責任者ならびにVeolia TransportationおよびVeolia
Environmental Servicesの財務担当の最高経営責任者代理を歴任した。2011年から2015年まではLa Poste Groupの最高経営責
任者代理および最高財務責任者ならびにXAnge Private Equityの最高経営責任者を務めた。同氏は2015年にフランス担当の最
高財務責任者としてEDFに入社し、当グループ上級執行副社長(財務部門担当)に任命された。またグザヴィエ・ジール氏は、
EDF Energy、EDF Énergies NouvellesおよびDalkiaの取締役、EDF Tradingの取締役会会長、Enedisの監査役ならびにCTEの最
高経営責任者でもある。さらに同氏は、MEDEF倫理委員会の委員ならびにFrançaise des Jeuxの取締役および監査委員会委員長
を務めている。
ヴェロニック・ラクール: 54歳。パリ第1大学にて情報システムの修士課程の学位を取得。同氏は1987年にThalesに入社
し、情報システム部門において確かな経験を積んだ後、2004年にThalesの新規部門の 最高情報責任者に就任した。 2007 年から
2009年、同氏はかかる部門の人事情報システムの共有サービスを管理した。2009年、同氏はSafranに入社し、最初にSafran
Aircraft Engines(旧Snecma)の最高情報責任者を務め、その後2013年に、継続的な開発および変革イニシアチブの管理を行
う開発イニシアチブ担当部長に就任した。同氏はこれに続いて、Safran Analyticsのプログラム担当部長となり、Safranグ
ループのデジタル改革戦略の一環として、ビッグデータ専門のかかる新規企業の設立に携わった。同氏は2016年12月1日に、
当グループ上級執行副社長(変革・経営効率担当)としてEDFに入社し、執行役員も務めている。同氏は当グループの情報シス
テム、購買、資産、コンサルティングならびに第3のサービスおよびITの監督を担当している。
アンリ・ラフォンテーヌ: 62歳。高等電気学校( Supélec Engineering School )において数学の修士号を取得。同氏は、
1983年にEDFに入社し、配電部門において幅広い責務を果たし、その後2000年にマルセイユのEDF GDF Servicesの配電部門の部
長に就任した。2002年、同氏は、アルゼンチンにおける子会社であるEDENORの最高経営責任者に任命された。その後2007年に
EDF島部エネルギー・システム部門の部長となった後、2010年にEDF Entreprisesの商業課の取締役に就任した。同氏は、2013
年7月に当グループ上級執行副社長(商務、最適化業務、取引業務および島部エネルギー・システム担当)の役職に任命され
た。同氏は2015年3月より当グループ上級執行副社長(顧客サービスおよび地域業務担当)に就任している。同氏はサービス
事業の子会社(Dalkiaグループ、Citelum、Netseenergy、Izivia、Sowee、EDF ENR等)を監督する。さらに同氏は、Citelumの
会長ならびにDalkiaおよびEDF Energyの取締役でもある。その上同氏はEDFの商業課の責任者である。
マリアンヌ・レノー: 54歳。セーブル高等師範学校( École Normale Supérieure de Sèvres )、国立行政学院( École
Nationale d'Administration )(「コンドルセ」クラス)およびパリ政治学院( Institut d' Étu des Politiques de Paris )を卒
業し、古典の 教授資格 の学位およびフランス文学の修士号を取得。国立行政学院( École Nationale d'Administration )を卒
業後、国務院に入り、 2007 年に国務院評定官に就任した 。1997年に外務省に配属され、チュニスのフランス大使館において一
等参事官を務めた。2000年から2002年まで、フランス国務院のメンバーとして、特にENAの取締役、文化省の法律顧問および
ENAにおいて一般的法律の上級講師などの使命を務めた。同氏は、2003年に本社の組織担当部門の部長としてGaz de Franceに
入社した。その後、2004年に広報の代表者となった。同氏は、2005年1月に当グループの法律顧問としてEDFグループに入社
310/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
し、その後2007年6月には書記長および執行役員となった。同氏は、2010年から2017年まで執行役員として当グループ上級執
行副社長(人事担当)を務めた。同氏は、2017年7月に当グループ上級執行副社長(国際部門担当)に任命された。2018年1
月 11日に同氏は、Enedisの監査役会会長に任命された。また、同氏はEDF Renouvelables、EDF TradingおよびVinci
Autoroutesの取締役ならびにパリ国際大学都市( Cité Internationale Universitaire de Paris )の理事である。
セドリック・レヴァンドフスキ: 49歳。パリ政治学院(IEP)を卒業し、地政学(パリ第8大学)の修士課程の学位(DEA)を
取得。同氏は1998年にEDFでのキャリアを始め、1998年から2004年までEDFの会長の専任スタッフ責任者を務め、その後、2005
年から2008年までフランス電力の電気輸送・自動車担当部長を務めた。同氏は、2008年から2012年までEDFの商業課における
EDF地域局の責任者に、2009年から2012年までH4の取締役会会長に、2009年から2012年までSafidiの取締役に、また2009年から
2012年にTiruの取締役会会長に相次いで就任した。その後同氏は2012年5月から2017年半ばまでフランスの国防大臣官房長に
任命された。同氏は、2017年7月から当グループ上級執行副社長(イノベーション・戦略・計画担当)を務めている。同氏
は、EDF Pulse Croissance Holdingの執行委員会委員長、Enedisの取締役、UFEの取締役およびÉlectricité de Strasbourgの
取締役会会長である。
フィリップ・サセーニュ: 61歳。ナントのフランス国立高等精密機械工学大学院大学( École Nationale Supérieure de
Mécanique )(エンジニアリングの学校)を卒業。同氏は、1982年に放射線防護・安全エンジニアとしてサンローラン・デ・
ゾー原子力発電所(CNPE)でキャリアを始めた。その後同氏は、同CNPEにおいて安全・運営の分野で複数の役職を務めた後、
1992年に技術運営ユニットに異動し、管理統制の分野において複数の任務を担当するために1994年にDPN本社に異動した。同氏
は1999年に、維持管理・ユニット閉鎖担当の執行役員を務めるためにブライエのCNPEに異動した。2002年にゴルフシュのCNPE
のマネージャーに就任した後、2006年にブライエのCNPEのマネージャーに就任した。同氏は、2009年にパリのDPNの経営チーム
に運営マネージャーとして加わった。同氏は、2010年から2013年まで技術、安全、発電、放射線防護および環境に関する問題
の責任者として、原子力発電部門の部長代理であった。同氏は、2013年にDPNのマネージャーに就任した後、2019年2月に原子
力発電および火力発電部門担当の上級執行副社長に任命された。
シモーネ・ロッシ: 50歳。ボッコーニ大学(ミラノ)経営学部卒業。シモーネ・ロッシ氏はキャリアをコンサルタントとし
て開始し、まずはKPMG Consultingにおいて企業財務、その後1996年からMcKinsey & Companyにおいて主にエネルギー、金融機
関および情報通信技術の分野を専門とした。2004年に同氏はイタリアのミラノに所在のEdison SpAに戦略部長として入社し、
2007年に計画、管理およびIT担当部長に昇格した。2009年末に、米国のボルティモアを拠点とする企業であるConstellation
Energy Nuclear Group(CENG)の最高財務責任者に任命された。次いで同氏は2011年4月にEDF Energyの最高財務責任者と
なった。2015年3月にシモーネ・ロッシ氏はEDFグループの上級執行副社長(国際部門担当)に任命された。同氏は2017年11月
1日からEDF Energyの最高経営責任者であり、EDFの当グループ上級執行副社長である。
ピエール・トドロフ: 60歳。ウルム高等師範学校( École Normale Sup érieure )および国立行政学院( École Nationale
d'Administration )を卒業し、哲学の高等教授資格保持者である。ピエール・トドロフ氏は、1986年から1990年までフランス
国務院において監査人、次いで審議官を務めた。その後Lagardère Groupに入社し、特にHachette Filipacchiの国際最高経営
責任者補佐の役職を含む、メディア部門における幅広い責務を果たした。1997年から2008年まで、同氏はAccor Groupの事務局
長に就任していた。2008年から2011年の間はHogan Lovells LLP法律事務所のパートナー、その後2011年にはPSA Peugeot
Citroënの書記長および経営委員会の委員を務めた。ピエール・トドロフ氏は2015年2月2日よりEDFグループの書記長および
執行役員に就任している。
グザヴィエ・ウルサ: 52歳。国立理工科大学( École Polytechnique )および国立高等情報通信学校( Télécom Paris )を卒
業。1991年にEDFに入社し、最初に2002年まで水力工学部門の様々な役職を務めた。同氏はEDFの水力工学センターの建設を監
督し、国際プロジェクト(特に南米)に多くの貢献を行ってきた。2002年から2005年の間、同氏はEDFの発電・エンジニアリン
グ部門担当のジェネラル・マネージャー代理の特別顧問であった。2005年から2007年にはグルノーブルにおけるアルプス発電
ユニットの副ユニット長を務め、2007年から2010年にはトゥールーズにおける南西部発電ユニットのユニット長を務めた。
2010年から2014年にかけて水力発電およびエンジニアリング部門のマネージャー代理、次いで同部門のマネージャーを歴任し
た。2015年3月よりグザヴィエ・ウルサ氏は、当グループ上級執行副社長(新たな原子力プロジェクトおよびエンジニアリン
グ部門担当)に就任している。同氏はまた、EDF Renouvelablesの取締役、世界水会議の名誉理事、EDVANCEの監督・運営委員
会委員長ならびにFramatomeの監査・運営役を務めている。同氏はまたSFENの副会長でもある。
( 3) 利益相反、理事会の構成員および経営幹部についての有罪判決の不存在ならびに業務契約
311/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
① 利益相反
EDFの認識する限り、2019年3月15日現在、EDFに関し、取締役および経営幹部の職務と取締役および経営幹部の個人の利益
またはその他の職務の間において、潜在的利益相反は存在しない(利益相反に関して取締役会に適用される規則については
「第5 5(1)②(ⅶ)取締役の責任および義務」を参照。)。
当社の取締役(「第5 4(1)①取締役会の構成員」を参照。)に適用される特有の法令および規制の規定に従い、EDFの
認識する限り、株主、顧客、供給業者またはその他の者との間で、取締役または経営幹部として選任されるべく締結された協
定または合意は存在しない。
EDFの認識する限り、EDFの証券取引倫理規約(「第5 4(4)②当社株式の取引」を参照。)により生じる制約を除き、
EDFにおける取締役の保有株式の売却能力を一定期間制約することに同意した取締役は存在しない。さらに、EDFの株式に投資
するEDFのグループ貯蓄計画を通じて投資信託の方式で株式を保有する役員または民営化制度の法的枠組みにおいてフランス政
府から株式を取得した役員は、これらの取引に適用される規定に基づく譲渡制限規制および長期投資規則に従うことがある。
また、EDFが認識する限り、理事会の構成員または経営幹部の中の家族関係は不存在である。
② 有罪判決の不存在
EDFが認識する限り、EDFの取締役または経営幹部の中に、少なくとも最近5年以内に(ⅰ)詐欺の有罪判決を受けた者、
(ⅱ)破産した者、財産の押収を受けた者もしくは清算された者または(ⅲ)行政当局もしくは規制当局により訴追されたお
よび/もしくは罰則を受けた者はいない。
さらに、EDFが認識する限り、EDFでは、発行体の管理、経営および監督機関の構成員になることまたはそれらの発行体の業
務の管理または監督に参加することを裁判所により妨げられたことがあるEDFの取締役または経営幹部は最近5年以内にいな
い。
③ 業務契約
EDFの役員は、当社または当社の子会社との間で、いかなる利益を享受することができる業務契約も一切締結していない。
312/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( 4 ) 取締役による株式所有ならびに役員および執行役員による EDF 株式の取引
① 取締役による株式所有
2018年12月31日現在、2018年12月31日現在在任中の当社の取締役は合計4,259株の株式を保有している。以下の表は、2017年
12月31日現在および2018年12月31日現在においてかかる取締役が個人的に保有していたEDF株式数の詳細を示したものである。
2017年12月31日現在 2018年12月31日現在
EDF株式数 EDF株式数
(1)
ジャッキー・ショラン 307
294
フィリップ・クルゼ 294 294
クリストフ・キュビリエ 24 24
ブルーノ・ラフォン 238 245
(2)
コレット・ルウィネ 1,932
1,870
マリー・エレーヌ・メイリン 28 28
ローランス・パリゾ 137 137
(1)
クリスチャン・タクシル 1,292
1,237
合計 4,122 4,259
(1) 利益分配計画(FCPE) を通じて保有。
(2) 直接または 利益分配計画(FCPE) を通じて保有。
2018年12月31日現在在任中であるが、上記の表に記載されていない取締役はEDFの株式を保有していない。
② 当社株式の取引
2006年、EDFグループは、EDFまたはEDFグループの上場子会社の株式の売買に適用される一連の原則および規則を採用した。
かかる規則は、倫理規約として編集され、2011年4月4日にEDFの執行委員会に提出された。市場での濫用行為に関する規則
(EU)第596/2014号(「MAR」(市場濫用規則)と呼ばれる。)、その施行規則( 株式市場操作指標、開示基準、停止期間中の
取引許可および報告すべき管理者取引の種類に関する2015年12月17日付委任規則(EU)第2016/522号、一般的な市場慣行に関
する2016年2月26日付委任規則(EU)第2016/908号、MAR第4条に基づき関係当局に提出される金融商品の報告書およびリスト
に関する2016年3月1日付委任規則(EU)第2016/909号、自社株買戻しプログラムおよび安定化策に適用される条件に関する
2016年3月8日付委任規則(EU)第2016/1052号、不正慣行または不審な注文もしくは取引に関する2016年3月9日付委任規則
(EU)第2016/957号、投資推奨または投資戦略を推奨するかもしくは提言するその他の情報の客観的な公表および特定の利益
または利益相反を示す公表に対する技術的措置に関する2016年3月9日付委任規則(EU)第2016/958号、マーケットサウン
ディングスに関する2016年5月17日付委任規則(EU)第2016/960号、インサイダーリストに関する2016年3月10日付施行規則
(EU)第2016/347号、経営幹部の職務を遂行する者により実行された取引に関する2016年3月10日付施行規則(EU)第
2016/523号、MAR第4条に基づく通知の提出の期限、構成および様式に関する技術的な施行基準を策定する2016年3月11日付施
行規則(EU)第2016/378号、マーケットサウンディングスに関する2016年5月17日付施行規則(EU)第2016/959号、インサイ
ダー情報の開示および報告についての技術的方法に関する2016年6月29日付施行規則(EU)第2016/1055号 )、市場濫用の抑制
システムを改正する2016年6月21日付法律第2016/819号ならびに2016年10月26日にAMFが発表した継続開示および内部情報の管
理に関する新たな方針を考慮し、かかる規約は2016年に更新された。
この規約の配布と同時に、当グループの従業員を対象として、株式市場の規則、特にインサイダー情報の保持に関連する警
戒および義務ならびに自粛(ブラックアウト)期間に対する認識を高めるキャンペーンが推進された。かかる期間中は、当グ
ループを代理する第三者を含む、恒常的または一時的な内部者である者およびとりわけかかる期間に関して当グループにおい
て執行業務を行う者全員は、当社の有価証券またはその他の関連する金融商品の売買を差し控えることが要求されている。
倫理規約は、EDFの有価証券またはその他の関連する金融商品に関する個人売買についてAMFおよび当社に対して申告する経
営陣、上層部経営者およびそれらに密接に関係する者の義務についても規定している。AMF一般規制の第223-22条Aに定められ
ているMAR第19条に基づき、規制市場での取引のために株式を上場している会社の経営陣は、当社株式の取引につき、現在の暦
年に行われたかかる取引の合計額が20,000ユーロを超えた場合、当該取引完了後3取引日以内に必ずAMFおよび当社に申告しな
ければならない。
313/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
また、EDFの取締役会は、AMF一般規制( AMF一般規制の第223-26条 )の規定により、直近の事業年度において経営陣および同
等の人物( EDFにおいて「経営陣と同等」の従業員とは、当社執行役員をいう。 )がAMFに申告した取引について株主総会に提
出する年次報告書に記載しなければならない。
2018事業年度中、当社の取締役または執行役員によるAMFまたは当社に対するEDFの有価証券の取引の申告はなかった。
( 5) 報酬および手当
① 役員の報酬
役員に対して当社および当社の支配下にある会社によって2018事業年度に支払われたすべての種類の報酬および手当は、以
下の表のとおりである。
以下の表は、AFEP-MEDEFコーポレート・ガバナンスの規約および2015年4月13日修正済みのAMF役職勧告2009-16により推奨
された様式に従い作成された。
( ⅰ) 会長兼最高経営責任者の報酬総額
(1)
会長兼最高経営責任者へ授与された報酬ならびにオプションおよび株式の概要
( 単位:ユーロ) 2017事業年度 2018事業年度
ジャン・ベルナール・レヴィ( 会長兼最高経営責任者 )
事業年度の報酬 452,868 452,868
事業年度中に受け取った様々な多年度報酬 - -
(2)
事業年度中に受け取ったオプション評価
- -
(2)
事業年度中に受け取った 無償株式評価
- -
合計 452,868 452,868
(1) AMF役職勧告2009-16の表1。
(2) 「第5 4(5)②ストック・オプション-無償株式」に記載するとおり、当社はストック・オプション制度を実施して
おらず、役員は無償株式の割当てを受けない。
以下の表は、会長兼最高経営責任者であるジャン・ベルナール・レヴィ氏に対して支払うべきおよび支払った2017事業年度
および2018事業年度に係るすべての種類の報酬 を表している。
(1)
会長兼最高経営責任者へ授与された報酬の概要
2017事業年度 2018事業年度
( 単位:ユーロ) 支払うべき金額 支払済みの金額 支払うべき金額 支払済みの金額
ジャン・ベルナール・レヴィ
( 会長兼最高経営責任者 )
固定報酬 450,000 450,000 450,000 450,000
変動報酬 - - - -
多年度報酬 - - - -
特別報酬 - - - -
取締役報酬 - - - -
(2)
現物給付
2,868 2,868 2,868 2,868
合計 452,868 452,868 452,868 452,868
(1) AMF役職勧告2009-16の表2。
(2) 現物給付は、社用車の現物給付からなる。
( イ) 報酬の設定条件
1953年8月9日付命令第53-707号第3条およびフランス商法第L.225-47条に従い、会長兼最高経営責任者の報酬の内訳は、
任命報酬委員会の勧告および、各大臣と協議後に経済担当大臣の承認を受け、当社の取締役会によって決定される(「第5 5
(1)③(ⅴ)任命報酬委員会」を参照。)。
2012年7月26日付命令第2012-915号は1953年8月9日付命令を修正し、当該命令の適用対象である国有企業の役員に対して
支払可能な報酬額に、450,000ユーロの制限を設けた。
314/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
フランス商法第L.225-37-2条に規定に基づき、会長兼最高経営責任者の報酬を構成する報酬方針および項目、ならびに(適
用のある場合)変動報酬および特別報酬の支払いは、株主総会の承認のために提出される決議案に従う(「第5 4(5)①
(ⅱ) 2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類を承認するために招集されたEDF株主総会において提示された報酬方針」
を参照。)。
( ロ) 会長兼最高経営責任者の報酬の設定
2018 事業年度の報酬
2018年2月7日の任命報酬委員会は、会長兼最高経営責任者の報酬方針について検討し、会長兼最高経営責任者の報酬を構
成する項目を決定するための原則および基準を2018事業年度において据え置くことを取締役会に勧告することを決定した。
任命報酬委員会による勧告に基づき、取締役会は2018年2月15日に開催された会議において、2018事業年度の会長兼最高経
営責任者の年間固定報酬を総額450,000ユーロに据え置くことを決定した。かかる年間固定報酬は、2014年にジャン・ベルナー
ル・レヴィ氏がEDFの会長兼最高経営責任者に任命されて以来、変更されていない(「第5 5(1)②(ⅱ)業務執行管理の
方法ならびに会長兼最高経営責任者の任命および権限」を参照。)。
2019 事業年度の報酬
2019年2月7日の任命報酬委員会は、会長兼最高経営責任者の報酬方針について検討し、会長兼最高経営責任者の報酬を構
成する項目を決定するための原則および基準を2019事業年度において据え置くことを取締役会に勧告することを決定した。
任命報酬委員会による勧告に基づき、取締役会は2019年2月14日に開催された会議において、2019事業年度の会長兼最高経
営責任者の年間固定報酬を総額450,000ユーロに据え置くことを決定した。
( ハ) その他の報酬項目
2018年中、ジャン・ベルナール・レヴィ氏は、取締役会会長およびEDF取締役としての取締役報酬を受け取っていない。ま
た、EDFの支配下にある会社における地位に関する取締役報酬および被支配会社からのいかなる報酬も受け取っていない。
当社は、2018年に会長兼最高経営責任者に対してストック・オプションを付与しておらず、当該事業年度においてオプショ
ンは行使されなかった。同様に、前事業年度においても無償株式は会長兼最高経営責任者に付与されておらず、当該株式を利
用することはできなかった。
ジャン・ベルナール・レヴィ氏は、EDFから着任賞与を受け取っていない。
雇用契約、補足的年金、退職金および競争禁止条項
任務の終了または変更によ
る支払われるべき報酬、利
(1)
会長兼最高経営責任者
雇用契約 補足的年金制度 益または債務 競争禁止条項報酬
ジャン・ベルナール・レヴィ
なし なし あり なし
(会長兼最高経営責任者)
(1) AMF役職勧告2009-16の表11。
315/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
任命報酬委員会の勧告に基づき、取締役会は、2015年4月8日に開催された会議において、フランス商法の規定およびAFEP-
MEDEFコーポレート・ガバナンス規約の勧告に従ってジャン・ベルナール・レヴィ氏に対して、EDFの会長兼最高経営責任者と
しての任期が終了する際に退職金を支払うことを決定した。かかる支払いは、下記の規定に服するものとする。
・支払事由:強制離職(重大な懈怠や故意の不正行為を理由とした解任を除く。)の場合のみ取締役会の判断に基づく最終決
断
・計算方法および上限額:退職金の当初金額は、着任初日(2014年11月23日)から就任後1年は総額200,000ユーロであり、以
後四半期ごとに総額60,000ユーロが増額される。ただし、上限である報酬の1年分を超えることはない。
・パフォーマンス基準:退職金は、退任以前の満3事業年度のうち少なくとも2事業年度でグループEBITDA予測の80%を達成
した場合にのみ支払われる。当人が任期の2年目に退任した場合、取締役会が直近の事業年度通期を参照して当該基準を満
たしているか否かを評価するものとする。当人が任期の3年目に退任した場合、直近の満2事業年度を参照して当該基準を
満たしているか否かを評価するものとする。
かかる規定は、フランス商法第L.225-42-1条において定められており、2014年 Document de Référence の別紙Cに含まれる
2015年4月8日付の法定監査人による特別報告に従うものである。
(ⅱ) 2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類を承認するために招集されたEDF株主総会において提示された報酬方針
フランス商法の規定に従い、2018年12月31日に終了した事業年度の財務書類を承認するために招集されたEDF株主総会は、
2018事業年度について当社の会長兼最高経営責任者である ジャン・ベルナール・レヴィ氏に支払われるかまたは割り当てられ
る報酬項目および同氏に対する2019年の報酬方針に関する承認を行った。
株主は、フランス商法第L.225-37条第1項に記載の内容を検討した結果、 「第5 4(5)①(ⅰ)会長兼最高経営責任者の
報酬総額」に記載されている、2018年12月31日に終了した事業年度について当社の会長兼最高経営責任者であるジャン・ベル
ナール・レヴィ氏に支払われたかまたは割り当てられた報酬全体を構成する固定、変動および特別項目ならびに一切の手当を
株主総会にて承認した。
また株主は、任命報酬委員会の勧告に基づき当社取締役会によって決定され、 「第5 4(5)①(ⅰ)会長兼最高経営責任
者の報酬総額」に記載される、2019事業年度について当社の会長兼最高経営責任者に割り当てられる、報酬全体の項目および
現物給付すべてに関する決定、分配および割当ての方針および基準を承認した。
かかる原則および基準は以下のとおりである。
・総額450,000ユーロの年間固定報酬の支払い
・社用車を現物給付とする規定
・強制退職の場合のパフォーマンス基準の達成度に基づく退職金
・取締役報酬を含むその他の報酬項目または一切の手当の不存在
( ⅲ) 取締役の報酬総額
以下の表は、2017事業年度と2018事業年度に取締役に対して支払われた取締役報酬の総額を表している。2018事業年度中、
取締役の任務に対して支払われた特別報酬またはその他の報酬はなかった。
316/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
(1) (1)
2017年 2018年
2018年12月31日現在在任中の取締役 (単位:ユーロ)
オリヴィエ・アペール 40,046 39,186
フランス政府予算に組み入れられた報酬 28,032 22,397
フィリップ・クルゼ 48,548 41,744
(2)
ワークグループのメンバーとしての報酬
7,500 0
(3)
モーリス・グルドー・モンターニュ
n.a. 21,400
フランス政府予算に組み入れられた報酬 n.a. 21,400
ブルーノ・ラフォン 42,033 37,907
(2)
ワークグループのメンバーとしての報酬
7,500 -
ブルーノ・レシュヴァン 38,041 36,628
フランス政府予算に組み入れられた報酬 38,041 30,224
マリー・クリスティーヌ・ルプティ 48,064 45,581
フランス政府予算に組み入れられた報酬 48,064 45,581
ジャン・ベルナール・レヴィ n.a. n.a.
コレット・ルウィネ 79,066 49,419
(2)
ワークグループのメンバーとしての報酬
30,000 -
ローランス・パリゾ 48,548 39,826
(2)
ワークグループのメンバーとしての報酬
7,500 -
クレール・プディニ 40,530 39,826
(2)
ワークグループのメンバーとしての報酬
7,500 -
ミシェル・ルソー 19,566 37,907
フランス政府予算に組み入れられた報酬 19,566 37,907
マルタン・ヴィアル 40,547 39,826
フランス政府予算に組み入れられた報酬 40,547 39,826
合計 444,989 429,249
n.a. =該当なし。
(1) 事業年度における支払額には、前事業年度の固定部分の50%および変動部分の全額ならびに当該事業年度の固定部分の
50%が含まれている。
(2) ワークグループへの参加については、下記「取締役報酬の予算および分配」の記述を参照。
(3) 2017年9月20日より取締役。モーリス・グルドー・モンターニュ氏に割り当てられた2017事業年度の取締役報酬は、2018
年初めに支払われた。
取締役報酬の予算および分配
従業員を代表する取締役は、公共部門の民主化に関する1983年7月26日付法律第83-675号に従い、無報酬で役職を務め、EDF
の取締役会会長は取締役報酬を受領しない。
2014年8月20日付政令第2014-948号に従って、同政令第6条に基づきフランス政府の推薦を受け株主総会において選任され
た取締役かつフランスの公務員である取締役に割り当てられる取締役報酬は、フランス政府予算に組み入れられる。
フランス政府の推薦に基づき株主総会において選任されたが公務員ではない他の取締役について、経済・財務担当大臣によ
る2018年1月5日付決定( 2014年8月20日付政令第6-Ⅴ条に基づき導入された2014年12月18日付決定を修正する2018年1月5
日付決定の規定は、2018年2月1日から適用された。以前は、2014年12月18日付決定が、これら取締役に割り当てられた報酬
の30%までを取締役に支払い、残りの70%をフランス政府予算に計上することを規定していた。 )は、当社が取締役に割り当
てた報酬の15%をフランス政府予算に計上し、残りの85%を取締役に支払うことを規定する。
2014年8月20日付政令第4条に基づき任命されたフランス政府を代表する取締役については、その職務の遂行に対して支払
われるべき一切の報酬はフランス政府予算に組み入れられる。
任命報酬委員会の意見書の提出ならびに1953年8月9日付命令第53-707号第3条に基づいた経済担当大臣の承認を受け、取
締役会は、取締役会によって承認された配分に基づき取締役に割り当てられる取締役報酬の予算を、その承認のために株主総
会に提出する。
317/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2011年6月22日の取締役会において、任命報酬委員会の勧告に基づき、2011事業年度から適用される取締役報酬の年間予算
の配分に関する現在の設定が設定された。かかる設定は、2018年1月24日に取締役会によって再度検討され、確認された。予
算総額は、それぞれ予算の半分に値し、固定部分と変動部分に配分されており、以下のように配分される。
・固定部分は、取締役間で平等に分配される。年間の固定部分の50%が当該事業年度中に支払われ、残りの50%が翌事業年度
の初めに支払われる。
・変動部分の取締役間の分配は、会議の種類(取締役会または委員会)および各取締役の具体的な役職(委員または委員長
職)に基づく変数係数を適用することによって設定される。取締役会議に取締役が出席した場合には係数2を、委員会の会
議に取締役が委員として出席した場合には係数1を、さらに委員会の委員長である場合は係数2を用いる。係数の単価を設
定するため、変動部分は該当事業年度の係数の合計で除される。当該事業年度の変動部分は翌事業年度の初めに全額が支払
われる。
2017年5月18日に開催された株主総会は、取締役会の勧告を受け、社外取締役のワークグループがフェッセンハイム発電所
を閉鎖するプロジェクトに関して2016事業年度および2017事業年度に行った業務についての報酬を含み、2017事業年度につい
ては500,000ユーロとすることを承認した( 2016年6月3日、取締役会は、AFEP-MEDEF規約において定義される社外取締役であ
る取締役(ルウィネ氏、パリゾ氏、プディニ氏、クルゼ氏およびラフォン氏)によって構成され、ルウィネ氏が議長を務める
ワークグループに対して、EDFとフランス政府の間で行われるフェッセンハイム発電所の早期閉鎖に関する協議を監視するこ
と、および取締役会が審議を行うために取締役会に提出する前にフランス政府との間で締結される補償契約の条件の検討を委
任することを決議した 。 かかるワークグループは、2016年および2017年において複数回招集され、フランス政府とEDFの間の和
解契約書案に関する意見書を作成し、取締役会の承認を得るために提出された。 )。
2018年5月15日に開催された株主総会は、取締役会の勧告を受け、株主総会で新たな決定がなされるまで、2018事業年度以
降についての取締役報酬の年間予算を500,000ユーロで維持することを決定した。かかる報酬額について、2018年2月15日の取
締役会は、適用ある配分規則に従い、取締役会が臨時報酬または特別報酬を割り当てることを決議した場合にのみ支払われる
60,000ユーロのバッファーを有するために、取締役報酬の年間予算のうち440,000ユーロを取締役に支払い続けることを決議し
た。
② ストック・オプション-無償株式
当社はストック・オプション制度を実施しておらず、役員は無償株式の割当てを受けない( すべての従業員のために当社に
よって実施された制度の恩恵を受ける可能性がある従業員により選出された取締役を除く。 )。
318/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
5【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1)【コーポレート・ガバナンスの状況】
① コーポレート・ガバナンス規約
EDFは、AFEP-MEDEF規約( 2018年6月に改正された規約。 )を締結している。かかる規約は、EDFに適用される特別な法令お
よび規則の規定に従い、フランス商法第L.225-37-4条( 企業の役員および執行役員の報酬に関する2008年10月のAFEP-MEDEF勧
告について検討した上で、2008年12月17日開催の当社取締役会において、かかる勧告がEDFのコーポレート・ガバナンス・アプ
ローチに沿っており、既に当社が実施しているものであるとして承認した。 )に基づく当社のコーポレート・ガバナンス規約
である。
かかる特別な法令および規則は、EDFが国有企業であることならびに特に2014年8月20日付政令第2014-948号およびその附属
書類ならびに1953年8月9日付命令第53-707号の当社への適用に基づき、本書に詳細が記載され、具体的に以下の事項に関す
るものである。
・取締役会の構成員(「第5 4(1)①取締役会の構成員」を参照。)
・EDFの会長兼最高経営責任者の任命条件および業務執行管理の方法(「第5 5(1)②(ⅱ)業務執行管理の方法ならびに
会長兼最高経営責任者の任命および権限」を参照。)
・会長兼最高経営責任者の報酬の設定条件(「第5 4(5)①(ⅰ)(イ)報酬の設定条件」を参照。)
上記の特別な法令および規則に加えて、以下の表において、当社が適用していないAFEP-MEDEF規約勧告および関連する説明
事項を示している。
本書における
AFEP-MEDEF 規約勧告 当社の状況 説明
関連箇所
取締役会の期差によ 2019 年に開催された株主総 かかる期差による再選は、 「第5 5(1)②(ⅰ)
る再選 会から実施される、従業員 2019年5月16日の株主総会
取締役の在任期間-取締役
勧告13.2: により選任された取締役お で実施された。
会の期差による再選」を参
「任期は、取締役全 よび命令に基づき任命され
照。
体の交代を避けると たフランス政府を代表する
ともに、取締役の円 取締役を除く取締役会の半
滑な交代に資するよ 数について、隔年の期差に
う時期をずらして設 よる再選に向けて、EDFの定
定すべきである。」 款第13条を改訂するため
に、2018年5月15日に株主
総会が招集された。
執行役員の継承計画 取締役会内部規則は、 執行 フランス憲法第13条の規定 「第5 5(1)②(ⅱ)
勧告16.2.2: 役員の予期せぬ継承または に従い、EDFの会長兼最高経
業務執行管理の方法ならび
「 任命委員会(また 任期が終了した場合の 継承 営責任者は、フランス国民
に会長兼最高経営責任者の
は臨時委員会)は、 を見越して、任命報酬委員 議会および上院の常任委員
任命および権限」を参照。
執行役員の継承計画 会に継承計画を確実に保持 会の意見に基づき、取締役
を策定する。」 することを規定する。それ 会の勧告を受け、フランス
にもかかわらず、同委員会 大統領令により任命され
は、会長兼最高経営責任者 る。
の活動範囲についての継承
計画は検討していない。
319/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
取締役による当社株 当社定款および取締役会内 1983 年7月26日付法律に従 「第5 4(5)①(ⅲ)
式の保有 部規則において、取締役が い、従業員を代表する取締
取締役の報酬総額」および
勧告19: 支払われる取締役報酬に見 役は、取締役報酬を受領し
「第5 4(4)取締役に
「取締役は、個人と 合った相当数の株式を最低 ない。さらに、フランス政
よる株式所有ならびに役員
して株主となり、定 限保有しなければならない 府に推薦された公務員であ
および執行役員によるEDF
款または内部規則の 旨の規定はない。 る取締役に対して支払われ
株式の取引」を参照。
規定に基づき、支払 る取締役報酬は、フランス
われる取締役報酬に 政府予算に納められる。公
見合った相当数の株 務員でないフランス政府の
式を最低限保有すべ 推薦に基づき任命された取
きである。取締役就 締役は、支払われるべき取
任時に当該株式を保 締役報酬の85%のみ受領
有していない場合、 し、残りはフランス政府予
その取得のために取 算に納められる。最後に、
締役報酬を使用すべ 取締役会会長も取締役報酬
きである。」 を受領しない。様々な状況
を勘案して、取締役会は、
当社株式の保有に関して独
自の規則を設定していな
い。また、各取締役は、個
人として保有する当社株式
の数にかかわらず、当社の
最善の利益のために行動し
なければならない。
企業の役員に対する 取締役会は、会長兼最高経 会長兼最高経営責任者は、 「第5 4(5)①(ⅰ)
株式の保有義務 営責任者が保有すべき最低 取締役報酬を受領しない。
会長兼最高経営責任者の報
勧告22: 当社株式数に関する規則を その報酬は、2012年7月26
酬総額」および「第5 4
「取締役会は、企業 定めていない。 日付命令第2012-915号
(5)②ストック・オプ
の役員がそれぞれの ( 1953年8月9日付命令第
ション-無償株式」を参
任期終了までの間、 53-707号を修正 )に従い、
照。
保有すべき最低登録 制限されている。最後に、
株式数を規定してい 当社は、会長兼最高経営責
る。この規定は、少 任者に有利となるストッ
なくとも各役員の任 ク・オプション制度およ
期延長時に検討され び/またはパフォーマン
る。(中略)株式の ス・ストック・オプション
保有に関するこの目 制度を導入していない。し
的が達成されるまで たがって、この勧告は実施
の間、企業の役員 しない旨の決定がなされ
は、取締役会が定め た。また、執行役員は、個
るとおり、行使後の 人として保有する当社株式
オプションまたは付 の数にかかわらず、当社の
与されたパフォーマ 最善の利益のために行動し
ンス・シェアの一部 なければならない。
をこの目的のために
充てることとす
る。」
320/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
取締役報酬の配分に 取締役報酬の重要な部分 特別配分規則が採用された 「第5 4(5)①(ⅲ)
関する規則 (ただし、「極めて重要 が、これは取締役の責任の
取締役の報酬総額」を参
勧告20.1: な」部分ではない。)は、 度合およびその職務遂行に
照。
取締役報酬の配分方 取締役の取締役会および委 費やした時間を特に考慮す
法については、 「取 員会への実際の出席回数に る。支払われる取締役報酬
締役の取締役会およ よって決定される。 のうちの取締役の実際の出
び委員会への実際の 席に対する報酬である変動
出席回数を取締役会 部分は極めて重要ではない
の決定する方法によ ものの、かかる部分が取締
り考慮すべきであ 役報酬の予算総額の50%を
り、したがって、報 占め、かつAFEP-MEDEF規約
酬額は主として変動 による勧告に沿って、かか
部分によって構成さ る部分が取締役の責任の度
れるべきである。」 合および取締役が職務遂行
に費やすべき時間に対して
適切である限りにおいて、
当社はこれを重要であると
考えている。
② 取締役会の機能
取締役会内部規則は、取締役会の機能の原則、ならびに取締役会およびその専門委員会が付託された任務を遂行する際の条
件について規定している。また、会長兼最高経営責任者の任務および権限についても規定している。
取締役会内部規則は、特に法令および規則等の変更ならびにAFEP-MEDEF規約の改正を考慮して、定期的に改訂される(「第
5 5(1)①コーポレート・ガバナンス規約」を参照。)。
( ⅰ) 取締役の在任期間-取締役会の期差による再選
上記2014年8月20日付政令により規定されたオプションに従い、2014年11月21日開催のEDF株主総会において、当社の定款が
改正され、取締役の任期を4年に短縮した。例外として、2014年11月21日開催の株主総会後に効力が発生する従業員を代表す
る取締役の最初の任期は5年とするものとし、また2014年11月21日開催の株主総会によって任命された取締役の任期は、2019
年5月16日に招集された株主総会の終了時に満了するものと定款で規定されている(「第5 4(1)①取締役会の構成員」を
参照。)。
2014年8月20日付政令の実施に関する2014年8月20日付命令第2014-949号第2条の規定に従い、フランス政府の代表は、取
締役と同じ任期(すなわち4年の任期)で任命される。EDFの取締役会においてフランス政府を代表する取締役であるマルタ
ン・ヴィアル氏の任期は、2018年11月20日に満了したが、経済・財務担当大臣による2018年11月21日付決定によって更新され
た。
2018事業年度の財務書類を承認するために招集された2019年の株主総会から、株主総会により選任された取締役の半数(整
数に四捨五入される。)が2年ごとに更新され、当該取締役に関する取締役会が4年の期間末に完全に刷新される方法で、従
業員により選任された取締役および命令に基づき任命されたフランス政府代表の取締役を除く取締役会が周期的に交代し、更
新することを規定するために、2018年5月15日の株主総会は、EDFの定款第13条を改訂した。かかる期差による再選は、2019年
5月16日の株主総会において実施された。
株主総会により任命された取締役は、いつでも株主総会により解任することができる。公共部門の民主化に関する法律第12
条の規定に従い、従業員により選任された取締役は、その任務遂行に重大な懈怠があった場合、取締役の過半数の要請による
略式手続の形で、大審裁判所所長の命令により個別に解任することができる。ただし、重大な意見の相違により当社の運営が
中断される場合、株主総会により宣告される解任は、従業員の代表に適用される可能性がある。フランス政府の代表が辞任に
より職務を終了する場合、または任命された理由である資格を喪失した場合、残りの任期にかかわらずいつでも交代させるこ
とができる。
321/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( ⅱ) 業務執行管理の方法ならびに会長兼最高経営責任者の任命および権限
2014年8月20日付政令第18条により規定されたオプションに従い、EDFの定款は、取締役会会長が当社の業務執行管理者であ
り、その役職名は会長兼最高経営責任者であると定めている。したがって、当社の定款は業務執行管理体制の「非分離」につ
いて規定している。取締役会内部規則、とりわけ同規則が最高経営責任者の権限に課す制限は、当社の経営管理に必要な柔軟
性、有効性および反応性を維持する一方で、当社の利益のために会長兼最高経営責任者と取締役会との間に適正なバランスを
保つために策定された。
EDF会長兼最高経営責任者は、取締役会の推薦を受け、フランスの大統領令により任命され、また、2014年8月20日付政令第
20条に従って大統領令により解任することができる。フランス憲法第13条に従い、会長は、フランス国民議会および上院の常
任委員会の見解に基づき、任命される。かかる手続の終了時にジャン・ベルナール・レヴィ氏は、2014年11月27日付命令によ
りEDFの会長兼最高経営責任者に任命された。
2019年2月14日付プレスリリースでフランス大統領は、フランス憲法第13条に規定される条件に従い、フランス国民議会お
よび上院の適格な委員会の意見に基づき、当社の会長兼最高経営責任者としての任期が2019年5月16日に招集された株主総会
の終了時に満了したジャン・ベルナール・レヴィ氏の任期の更新を検討する意向であることを示した。
2019年5月16日付の株主総会の後、同日付で開催されたEDFの取締役会において、ジャン・ベルナール・レヴィ氏は当社の会
長兼最高経営責任者( Pr é sident par interim )に任命された。2019年5月22日付フランス大統領令の公布に従い、ジャン・ベ
ルナール・レヴィ氏はEDFの会長兼最高経営責任者に任命された。
会長兼最高経営責任者が不在となる場合、2014年8月20日付政令第21条に従い、フランス政府は、新しい会長兼最高経営責
任者が任命されるまで、臨時に他の人物をその役職に任命することができる( これに従い、ジャン・ベルナール・レヴィ氏
は、2014年11月21日付省令により、2014年11月23日より臨時に当社の会長兼最高経営責任者に任命された。 )。
公共部門の企業に関連する法律の特別な規定、および法律または定款が明示的に取締役会または株主総会のために留保する
権限ならびに内部規定として取締役会内部規則に定める会長兼最高経営責任者の権限の制限(下記「第5 5(1)②(ⅲ)取
締役会の権限および義務」を参照。)に従い、会長兼最高経営責任者は、会社の目的の範囲内であらゆる状況において当社を
代理して行為する最も広範な権限を付与されている。会長兼最高経営責任者は取締役会の業務を組織し、監督し、これについ
て株主総会に報告する。会長兼最高経営責任者は、当社の機関が適切に機能しているかを監督し、特に、取締役の職務遂行能
力を確保する。
( ⅲ) 取締役会の権限および義務
取締役会は、適用ある法令および規則の定めに従い、当社の利益に鑑み必要とされるたびに招集される。取締役会内部規則
に従い、取締役会は、特別セミナーの一環として当社および当グループの戦略について議論するために年に1回開催される。
また、取締役会内部規則に基づき、会長兼最高経営責任者が不参加の会議(非公開の会議)が毎年開催され、ガバナンスおよ
び企業の社会的責任委員会委員長が議長を務める。
法律に従い、取締役会は当社の事業戦略を決定し、その遂行を監督する。取締役会は、その活動の社会的問題および環境問
題を考慮しつつ、当社および当グループの主要な戦略的、経済的、財務的または技術的な目標を定義する。株主総会に明示的
に付与された権限に従い、当社の目的の範囲内で、取締役会は、当社の円滑な運営に関係するすべての事項を審査し、取締役
会での審議を通じてこれらの事項に対処することができる。
取締役会は、(場合により)1つまたは複数の適格な委員会による調査後、年間予算、中期計画、当社が発表した戦略の一
部ではない重要な業務、複数年にわたるエネルギー計画の目的を満たすために当社または当グループが実行する活動を提示す
る企業戦略計画(「第2 3(3)②フランスにおける公共サービス」を参照。)、核燃料サイクル、ガスおよび再生可能エネ
ルギーの初期工程および最終工程の運営に関連する当グループの戦略ならびに公共サービス契約について審議する。取締役会
は、あらゆる種類のリスクならびに気候変動に関連するリスクおよび機会、当該リスクによる当グループの活動への影響およ
びその結果として講ずる措置を検討する。
取締役会内部規則に従い、取締役会は、以下の取引をその実行前に承認する独占的権限を有する。
・350百万ユーロを上回り、当社または当グループの全体的な財務上のエクスポージャーに相当する、当社または当社子会社の
1社によって行われる外部的成長の取引(投資、合併および買収)、投資引揚、本業の成長の取引および株式売買の取引。
当社または当グループの戦略的方針に一致しない取引については、かかる基準は150百万ユーロに引き下げられる。
・1プログラムにつき350百万ユーロを上回り、当社または当社子会社の1社によって行われる既存資産への投資または運用に
係る一貫性がありかつ切り離すことのできない産業プログラム。
・200百万ユーロを上回り、当社または当社子会社の1社によって行われる不動産取引。
・5十億ユーロ(またはその他通貨での同等の金額)を上回る場合の一定の金融取引(長期借入、債務管理、証券化取引また
はヘッジ取引)。
322/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・350百万ユーロ以上、または、当該契約が当グループの新たな戦略的方針もしくは事業ラインに該当するものである場合には
200百万ユーロから350百万ユーロまでの金額(必要なその後の改訂契約を含む。)を伴う当社が締結した契約および同意
(供給品、製品またはサービスに関するもの)。
・年間で以下を上回る量または金額について、当社または当社子会社の1社が締結した、エネルギーの購入もしくは販売また
は二酸化炭素排出権および割当量に係る長期契約。
-10TWhの電力。
-20TWhのガス(5TWh超20TWh未満のガスの購入または販売に係る長期契約については、その署名後に取締役会において詳細
な情報が報告されなければならない。)。
-炭素、燃料油ならびに二酸化炭素排出権および割当量については250百万ユーロ。
・当グループの知的財産または技術の重大な移転を伴いかつ当グループにとって重要課題である、原子力産業における1社以
上の海外パートナーとの提携またはパートナーシップに関して確定した取消不能のコミットメントとなる、当社が締結する
戦略契約。
取締役会は、EDFの原子力責任をヘッジするための資産の形成、管理およびリスク管理についての方針の枠組みを定め、特に
資産負債管理、および資産割当戦略について決定を行う。原子力監視委員会が専用資産について非上場資産への投資に関する
計画に関して否定的な意見を示した場合、取締役会は当該計画を承認する独占的権限を有する(「第5 5(1)③(ⅱ)原子
力監視委員会」を参照。)。
フランス商法第L.225-37-1条の規定に従い、取締役会は、職業上の平等および同一賃金に関する当社の方針について毎年検
討し、当社が無差別政策および多様化政策(特に執行機関における男女平等の均衡)を実施していることを保証する。最後に
取締役は、フランス労働法第L.2323-10条に従い、EDF中央企業委員会の承認を必要とする当社の戦略目標を定める。
323/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( ⅳ) 取締役の独立性の審査
取締役の合計人数 18
社外取締役の人数 5
社外取締役の割合 * 41.7%
*
従業員を代表する取締役は除く。
AFEP-MEDEFコーポレート・ガバナンス規約は、支配株主を有する会社において、取締役会の定員のうち3分の1以上を社外
取締役とすることを推奨しており、社外取締役の比率の算定において従業員を代表する取締役は考慮されない旨を規定してい
る。
以下の表は、AFEP-MEDEF規約に記載される独立性の基準をまとめたものである。
独立性の基準
基準1:過去5年間で従業員または役員であるか否か
現在または過去5年間において、当社の従業員もしくは執行役員、当社の連結会社の従業員、執行役員もしくは取
締役、または当社の親会社もしくは当該親会社の連結会社の従業員、執行役員もしくは取締役ではないこと。
基準2:取締役相互派遣関係
当社が直接的または間接的に取締役のポジションを保有する会社、または従業員が取締役に任命されたかもしくは
当社の執行役員が(現在もしくは5年以内に)取締役である会社の執行役員ではないこと。
基準3:重要な取引関係
当社もしくは当グループの顧客、供給業者の従業員、事業銀行員、取引銀行員もしくは重要なコンサルタント、ま
たは当社もしくは当グループがその事業の大部分を占める顧客、供給業者の従業員、事業銀行員、融資銀行員もし
くは重要なコンサルタントではないこと。当社または当グループとの関係の性質が重要かまたは重要でないかの評
価は、取締役会によって審議され、かかる評価に至った定量的および定性的な基準は年次報告書に記載される。
基準4:家族関係
役員と近親関係にないこと。
基準5:法定監査人
過去5年間において当社の法定監査人ではないこと。
基準6:12年超の在任期間
当社における取締役の在任期間が12年を超えていないこと。社外取締役としての地位は12年間の任期の終了時に失
われる。
基準7:変動報酬またはパフォーマンスに基づく報酬
現金もしくは有価証券での変動報酬または当社もしくは当グループのパフォーマンスに関連する一切の報酬を受け
取らないこと。
基準8:大株主
当社または当社の親会社の大株主である取締役は、当社の支配権を破棄した時点でその独立性を認められる。しか
し、持分または議決権が10%の基準を超えた場合、取締役会は、当社の保有持分および潜在的な利益相反の存在を
考慮して、その独立性の資格を組織的に検討するものとする。
取締役の独立性の審査
取締役会は、AFEP-MEDEF規約に記載される独立性の基準に照らし、取締役の個人の状況を毎年検討する。また、取締役の状
況に変更があった場合、その取締役の独立性の検討を正当化する決定を行うために当年中に取締役会が招集される場合があ
る。
2018年において、2018年11月29日に開催されたガバナンスおよび企業の社会的責任委員会ならびに任命報酬委員会の合同会
議では、ローランス・パリゾ氏のCitibankにおける新たな役職について、AFEP-MEDEF規約に記載される独立性の基準に照ら
し、同氏の状況が検討された。2018年12月14日に開催された取締役会は、両委員会の意見に基づき、パリゾ氏の社外取締役と
しての資格が問題になるような個人の状況の変化がないことを強調した。特に、パリゾ氏が会長兼業務執行取締役を務める
CitibankとEDFグループの間の取引関係について、取締役会は、EDFグループとCitiグループの取引の性質および規模に関する
交差分析を行い、EDFとCitibankの間に重要な取引関係がないことおよびこの2つのグループ間の取引関係に依存性または排他
324/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
性がないことが明らかになった。さらに、パリゾ氏がEDFに関連する会議、討議または一切の業務に参加しないようにCitibank
内で取決めがされている。
2019年2月7日開催の合同会議で、ガバナンスおよび企業の社会的責任委員会ならびに任命報酬委員会は、AFEP-MEDEF規約
が規定する独立性の基準を考慮して、株主総会により任命された取締役の個々の状況について年1回の見直しを行った。
両委員会は、ジャン・ベルナール・レヴィ氏が執行役員であるため社外取締役としてみなされないことを述べた(基準
1)。
国有企業のガバナンスおよび株式資本取引に関する2014年8月20日付政令第2014-948号第6条に従い、フランス政府の推薦
により任命された取締役は、同政令に基づき、「 株主としてのフランス政府の利益を表す 」。AFEP-MEDEF規約に定められた基
準に基づき、かかる取締役は社外取締役としてみなされない(基準8)。
EDFの大株主の代表として、2014年8月20日付政令第2条の規定に基づき任命されたフランス政府代表の取締役についても同
様である(基準8)。
最後に、従業員を代表する取締役は、AFEP-MEDEF規約の勧告に従い、審査の対象ではない。
取引関係について、ガバナンスおよび企業の社会的責任委員会ならびに任命報酬委員会は、AFEP-MEDEF規約に規定される基
準3に照らし、ルウィネ氏、パリゾ氏、プディニ氏、クルゼ氏およびラフォン氏の状況を検討した。
両委員会の勧告に従い、当社取締役会は、2019年2月14日開催の会議で、取締役の独立性の年次評価を行い、ルウィネ氏、
パリゾ氏、プディニ氏、クルゼ氏およびラフォン氏について、各取締役が当社、当グループまたはその経営陣との間に、自由
な判断を損なうおそれのあるいかなる関係も有しないとして、社外取締役として確認した。
特に、両委員会は、当社と取締役が役員または管理職を兼務する企業および所属するグループとの間に存在し得る業務上の
つながりについて、定量調査(当社と当該企業(そのグループを含む。)との間に存在する業務上のつながりの重要性ならび
に2018年において当社と当該企業との間で記録された売上に基づく。)ならびに定性調査(当該企業における取締役の役職、
経済的依存性および独占権等に基づく。)を行った。調査の結果、取締役が役員もしくは管理職を務める企業または所属する
グループはいずれも当グループの重大な顧客、供給業者、事業銀行、取引銀行または重要なコンサルタントに該当せず、また
EDFが当該企業またはそれらのグループの重大な顧客または供給業者に該当しなかった。かかる分析に基づき、社外取締役と分
類した各取締役に関して重大な業務上のつながりが存在しないとの結論を下した。
2019年3月15日現在、以上により、当社の取締役会においては、AFEP-MEDEF規約に従って算定した場合、12名の取締役中、
5名が社外取締役であり、社外取締役の比率は当該規約の勧告を上回り、41.7%(従業員を代表する取締役を除く。)となる
(「第5 4(1)①取締役会の構成員」を参照。)。
以下の表は、AFEP-MEDEFコーポレート・ガバナンス規約に基づき独立と分類された役員の状況を示している。
基準1 基準2 基準3 基準4 基準5 基準6 基準7 基準8 分類
フィリップ・クルゼ × × × × × × × × 独立
ブルーノ・ラフォン × × × × × × × 独立
コレット・ルウィネ × × × × × × × × 独立
ローランス・パリゾ × × × × × × × × 独立
クレール・プディニ × × × × × × × × 独立
×:基準を満たしていることを意味する。
( ⅴ) 取締役会およびその委員会の機能の審査
AFEP-MEDEF規約の条項に基づき、取締役会内部規則は、ガバナンスおよび企業の社会的責任委員会が毎年、取締役会の機能
の審査について監督を行い、改善の必要な分野について提言することを定めている。したがって、取締役会は毎年1回、かか
る審査を議題の1つとし、取締役会の有効性を向上させ、重要な課題が適切に取り上げられ検討されていることを確保するた
め、取締役会の機能およびその委員会の機能について検討している。
また、3年ごとに、上記審査を外部のコンサルタントが行い、ガバナンスおよび企業の社会的責任委員会がこれを監督して
いる。
2016 年の3か年審査
2016年の審査は、ガバナンスおよび企業の社会的責任委員会の監視の下、入札後に選定された外部の専門企業によって実施
された。審査は2016年末および2017年の初めに実施された。
したがって、取締役会の業務に対する各取締役の個別貢献度の分析が実施された。外部企業がアレンジした各取締役との個
別かつ内密の会議が行われた。
325/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
かかる審査の結果は、ガバナンスおよび企業の社会的責任委員会において検討され、取締役会に提示された。その後取締役
会は、改善すべき分野として認められたものを取り上げ、3か年審査において取締役が示した期待についてより詳しく議論す
る ために特別職場会議を2017年度下半期に開催した。
2018 年年次審査
当社および取締役会に関する現在の問題ならびにこれまでの審査中に取締役が示した期待を考慮して毎年更新される詳細な
質問表により、2018年内部年次審査が実施された。かかる質問表は、取締役に送付する前にガバナンスおよび企業の社会的責
任委員会によって精査された。かかる質問表は、取締役の回答の統計的なモニタリングを可能とする選択回答式の質問と、取
締役が詳細な回答を行い、定性的な見解を提供し、変革を提案することができる自由回答式の質問の両方を含んでおり、取締
役により無記名で記入され、その後取締役会の事務局により分析される。
かかる審査は、以下の分野が対象であった。
・取締役会会議および委員会会議の開催ならびに管理
・議題および提供された情報の分析
・取締役会および委員会の作業方法ならびに取締役会と委員会の交流
・2018年に開催された取締役会の戦略的セミナーおよび非公開の会議に対するフィードバック
・取締役会と会長および経営幹部との関係ならびに会長と取締役会の間の権限の均衡に関する評価
・特に2019年における取締役会の再選に向けて、当社のガバナンスに対する個別意見、期待および提案
かかる審査の結果は、2018年11月29日のガバナンスおよび企業の社会的責任委員会の審査を経て2019年2月14日に取締役会
に提出されたが、取締役は概して、取締役会および委員会の機能に満足しており、かかる審査の対象であったテーマの大部分
について全体的な満足度が上昇した。取締役会に提供された情報は、満足のいくものであった。取締役は委員会の機能に満足
しており、委員会の活動が取締役会の意思決定に役立つと考えている。取締役は、2018年に開催された戦略的セミナーを評価
した。取締役会と会長兼最高経営責任者の間の権限の均衡は、満足のいくものとみなされ、また、取締役会内部規則は、その
ニーズに沿っているものとみなされた。概して、取締役の大多数は、コーポレート・ガバナンスに関する良好な活動について
取締役会の機能に満足しており、さらに改善していると考えた。
取締役が改善すべき分野として認めたものの中には、2019年における当社のパフォーマンスおよび価値創成の監視を改善す
ること、討議により多くの時間を配分するために議題についてのプレゼンテーションの時間を短縮すること、および非公開の
会議を年1回開催し続けることが含まれていた。
( ⅵ) 取締役への情報提供および研修-デジタル化
会長兼最高経営責任者は、取締役がその職務を遂行するために必要な情報を有することを保障する。当該情報は、取締役が
最善の状況下で業務を行うことを可能にするために取締役に速やかに提供される。
取締役会内部規則の条項に従い、取締役会は、当社および当グループの財務状態、資金状態および貸借対照表上のコミット
メントの情報、年次および半期の財務書類が発表される時期の当社の主要子会社の業績、ならびに調達に関する方針および人
事方針等の情報を定期的に受領する。取締役会は、当社の市場の変化、競争環境ならびに企業の社会的責任、社会的責任およ
び環境面における責任の分野を含む、当社が直面する主要な課題について定期的に報告を受けている。
当グループの主要な事業分野の現状、市場の動向、ならびに経済、金融および制度的環境について記載した文書が取締役会
に定期的に提出される。また当社は、各取締役会の間に適切である情報、特に緊急または重要な事項に関する情報を取締役会
に提供する。
取締役は、上記により得た情報を、取締役会の議題となっている課題を審議するために当社または当グループの上級執行役
員との面談により補足することができるが、会長が出席する必要はない。
各取締役は、当社および当グループの特性、事業活動および活動分野における追加研修を受けることができる。さらに、複
雑な事案または戦略的に重要な主要事案および取締役が要求する研修については、説明会が設けられる。2018年において、EDF
貯蔵計画の開始に伴い、電力貯蔵に関する取締役会の特別情報会議が開催され、取締役は、EDFの研究開発施設およびイタリア
におけるEdisonのガス火力発電所を訪問した。
取締役会は、2016年から取締役会および委員会の書類を円滑に、速やかにかつ安全に入手することを可能にするデジタル管
理プラットフォームを活用している。
( ⅶ) 取締役の責任および義務
取締役会内部規則は、取締役が、当社の利益のために行為すること、利益相反(「第5 4(3)①利益相反」を参照。)が
あれば取締役会に報告することおよび利益相反の可能性のある決議事項においては議論への貢献および議決権行使を差し控え
ること、秘密保持義務を履行すること、命令を勤勉にかつ責任感を持って遂行することならびにEDFの証券取引倫理規約を遵守
326/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
することを含む義務に従うことを規定している。業務を行うために必要な書類および情報の開示を確保する権利に加えて、取
締役は職務を遂行するために必要であると考える情報を要求する責任を負う。
取締役および会長兼最高経営責任者は、当社が締結した契約で自らが直接もしくは間接の利害を有するものまたは仲介者に
より締結された契約につき、直ちに取締役会に報告することが必要とされている。
取締役会内部規則に従い、各取締役は、役職の兼務について個人の状況がフランス商法に遵守していることを保証する責任
を負う。会長兼最高経営責任者もまた上場会社における任命を受諾する前に取締役会に報告する必要がある。
( ⅷ) 2018年度における取締役会の活動
2017年 2018年
会議の回数 11 (1) 9 (1)
平均出席率 90.9% 92.0%
会議の平均時間 3時間10分 3時間25分
(1) かかる会議の回数に加えて、1日限りの社外の戦略的セミナーも開催された。
以下の表は、2018事業年度中の取締役の個別の出席率を示している。
2018年12月31日現在在任中の取締役 2018年における平均出席率
ジャン・ベルナール・レヴィ 100%
オリヴィエ・アペール 88.9%
クリスティーヌ・シャボティ 88.9%
ジャッキー・ショラン 100%
フィリップ・クルゼ 77.8%
クリストフ・キュビリエ 77.8%
モーリス・グルドー・モンターニュ 66.7%
ブルーノ・ラフォン 88.9%
ブルーノ・レシュヴァン 88.9%
マリー・クリスティーヌ・ルプティ 100%
コレット・ルウィネ 88.9%
マリー・エレーヌ・メイリン 100%
ローランス・パリゾ 100%
クレール・プディニ 100%
ジャン・ポール・リニャック 100%
ミシェル・ルソー 88.9%
クリスチャン・タクシル 100%
マルタン・ヴィアル 100%
2018年、取締役会は、当社の通常の事業に関連する事項に加えて、貯蔵計画、電力構成に関する長期的な産業問題および社
会的問題、EDF RenouvelablesによるスコットランドにおけるNeart na Gaoitheの洋上風力発電所を稼働させるための会社の取
得(「第2 3(2)①(ⅴ)(ハ)EDF Renewables」を参照。)ならびに太陽光発電および風力発電のプロジェクトのための
ブラジルにおける入札への参加、複数の陸上風力発電および洋上風力発電のプロジェクト、サンナゼール、フェカンおよびク
ルル・シュル・メールのフランス洋上風力発電プロジェクトに関する建設契約の前提条件に基づく署名、英国における風力発
電ポートフォリオの49%の売却、当グループのダンケルクLNGならびにSofiloおよびEDFによる不動産資産ポートフォリオへの
参加、核燃料サイクルの戦略および再処理ウランのリサイクル分門の回復(「第2 3(2)①(ⅰ)(ニ)核燃料サイクルお
よび関連する問題」を参照。)、EnedisによるLinkyプロジェクトの継続的な展開、「グラン・カレナージュ( Grand
Carénage )」(「大改修」)プログラム、ヒンクリー・ポイントCプロジェクトおよびジェイタプールのプロジェクトの進捗
(「第2 3(2)①(ⅰ)(ロ)原子力発電所の操業および技術的実績」、「第2 3(2)⑤(ⅰ)英国」および「第2 3
(2)①(ⅱ)(ロ)「新たな原子力」のその他のプロジェクト」を参照。)、EDF TradingとJERAの間のパートナーシップの
GNLプロジェクトの延長(「第2 3(2)⑥(ⅱ)ガス事業」を参照。)、原子力費用の資金調達の確保に係る3か年報告書
を更新する2018年年次文書に含まれる内部統制報告書および構成の方針に関する更新された参考資料、専用資産に関する金融
327/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
リスクの管理および統制(「第5 5(1)③(ⅱ)原子力監視委員会」を参照。)、EDFの職業上の平等および同一賃金に関
する方針ならびに当グループの統治機関における女性化の結果、気候変動に関連する企業の社会的責任、リスクおよび機会、
EDF の注意計画、EDF中央企業委員会との協議を目的としたEDFの戦略目標、EdisonおよびFramatomeの結果ならびに見通し、な
らびに原子力安全・放射線防護総括監査官および水力発電安全性検査官による2017年報告書等の事項の検討および/または承
認を行った。
年次戦略セミナーにおいて、取締役会は、欧州のエネルギーおよび気候の政策、デジタル変革、当グループの企業の社会的
責任、持続可能な開発および利害関係者からの期待へのコミットメント、「レッツ・トーク・エネルギー(エネルギーについ
て話そう)」イニシアチブの結果、ならびにCAP2030の進捗(「第2 3(1)②(ⅶ)CAP2030の成功要因」を参照。)につい
て検討し、議論した。
③ 取締役会の委員会
取締役会は、その職務の遂行のため、取締役会全体への提出前に一定のプロジェクトの検討および準備を担う5つの委員会
を設置している。かかる専門分野別の委員会は、監査委員会、原子力監視委員会、戦略委員会、ガバナンスおよび企業の社会
的責任委員会ならびに任命報酬委員会である。
各委員会の構成員、機能および任務は、取締役会内部規則の規定による。
各委員会は、取締役会により選出された取締役を3名以上含み、取締役会が各委員会の委員長を任命する。当社の定款によ
り、各委員会は、従業員を代表する取締役を1名以上含むことが要求されている。
2019年3月15日現在、取締役会の各委員会の委員長は、以下のとおりである。
・戦略委員会については、ジャン・ベルナール・レヴィ氏
・監査委員会については、マリー・クリスティーヌ・ルプティ氏
・原子力監視委員会については、フィリップ・クルゼ氏
・ガバナンスおよび企業の社会的責任委員会については、コレット・ルウィネ氏
・任命報酬委員会については、ブルーノ・ラフォン氏
各委員会の構成については、下記に記載する。
当社の政府委員およびフランス政府の経済・財政総合統制部長は、各委員会会議に出席することができる。
かかる委員会の取組みは、年間プログラムにおいて組織されている。かかる会議は、書面の議事録により記録され、各委員
会の委員長は次回の取締役会にて口頭で報告する。
取締役会内部規則は、取締役会の議題において各委員会の検討事項が含まれている場合、当該委員会が取締役会の前に十分
な時間を設けて委員会を開催しなければならないと規定している。
各委員会は、会長兼最高経営責任者を含む当社執行役員が委員会の会議に参加することを要請することができる。また、各
委員会は、取締役会に報告することを条件として、当社の従業員または従業員でないその他の関係者の参加を要請することが
できるが、かかる参加に関して会長兼最高経営責任者に事前報告をしなければならない。各委員会は、取締役会に報告するこ
とを条件として、議題について外部の専門的な助言および調査を当社の負担で要求することができるが、かかる要求に関して
会長兼最高経営責任者に事前報告をしなければならない。
2018年における委員会全体の平均出席率は93.3%であった。各委員会の平均出席率および各委員の個別の出席率は下記に記
載する。
328/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( ⅰ) 監査委員会
構成員
監査委員会は、フランス商法第L.823-19条の規定およびAFEP-MEDEF規約の勧告に基づき、社外取締役の3分の2を含み、当
社執行役員を含まない。
以下の表は、2019年3月15日現在の監査委員会の構成員の概要である。
監査委員会の構成員
マリー・クリスティーヌ・ルプティ 委員長 フランス政府の推薦に基づき株主総会により任命された取
締役
ジャッキー・ショラン 委員 従業員により選任された取締役
フィリップ・クルゼ 委員 株主総会により任命された社外取締役
コレット・ルウィネ 委員 株主総会により任命された社外取締役
マリー・エレーヌ・メイリン 委員 従業員により選任された取締役
ジャン・ポール・リニャック 委員 従業員により選任された取締役
クリスチャン・タクシル 委員 従業員により選任された取締役
2018年において、パリゾ氏は、2018年10月に会長兼業務執行取締役に就任したCitibankのコンプライアンス方針を考慮して
監査委員会から退く旨の希望を示した。
委員数 7
社外取締役の人数 2
*
社外取締役の割合
66.67%
*
従業員を代表する取締役を除く。
フランス商法第L.823-19条に、監査委員会委員のうち1名以上は、専門的な財務会計能力を有し、かつ取締役会により規定
され公表された基準に照らして独立性を有する者であることと規定されている。また、AFEP-MEDEF規約においても、監査委員
会の委員は専門的な財務会計能力を有することと勧告されている。
2014年12月10日開催の合同会議において、倫理委員会および任命報酬委員会は、 コレット・ルウィネ氏およびフィリップ・
クルゼ氏の状況を検討し、通知書を取締役会に提出した。2014年12月10日開催の取締役会において、当該取締役は、フランス
金融市場監督局(AMF)がその2010年7月22日付の監査委員会に関する報告書において勧告した基準に照らして、専門的な財務
会計能力を有していると判断された。2019年2月14日、取締役会はまた、コレット・ルウィネ氏およびフィリップ・クルゼ氏
について、社外取締役としての資格を確認した。したがって、当該委員会委員の2名は、フランス商法第L.823-19条において
言及されている能力および独立性の両方の基準を満たしている。
任務
監査委員会は、フランス商法第L.823-19条の規定に従って与えられた職務を取締役会の監視の下遂行する。同条に基づき、
監査委員会は主として以下の職務を与えられている。
・財務情報の作成過程の監視およびその整合性を保証するための勧告
・会計および財務情報の作成および処理過程について、内部統制、リスク管理および内部監査システムの有効性の監視
・法定監査人の職務遂行の監視、法定監査人の独立性の確保およびフランス商法第L.822-11-2条において言及されている業務
に関する規定の承認
監査委員会は、職務遂行のために以下について審査し、取締役会に意見を提出する。
・当社の財務状態、中期計画およびその予算
・未監査および連結の年次財務書類および半期財務書類ならびに関連財務書類報告書
・リスクおよび内部統制の監視(当グループのリスク分類、社会的リスク、環境リスクおよび気候変動リスク等のすべての分
野におけるリスクの検出、予想および管理の手法ならびに内部統制プロセスの構築および評価)
・監査(年次監査プログラム、監査によって発見された主要な所見および是正措置ならびにかかる措置の実施の監視)
・法定監査人の監視(法定監査人の選定手続の調整、会計監査役高等評議会の所見および結論を踏まえた法定監査人の職務遂
行の監視(適用ある場合)、法定監査人の適用文書に規定される独立性の条件の遵守の確認、報酬額に対する意見、取締役
会が2016年11月3日に承認した手続に基づく法定監査人による非監査手続の規定の承認)
・特に重要である外部的成長または売却の取引の財務面(「第5 5(1)②(ⅲ)取締役会の権限および義務」を参照。)
・保険、エネルギー市場に関するリスクおよび当グループの契約相手方の破産に関するリスクの方針
329/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
監査委員会による財務書類の審査は、財務書類の準備に関する基準、適用される基準枠、実施された監査手法および監査業
務または限定的なレビューの結果を示す監査人による発表に付随して行われる。法定監査人は、年次および半期財務書類を検
討 する監査委員会の会議に加えて、リスク監視、内部統制および監査を検討する会議にも出席する。
監査委員会は、業務の一環として、法定監査人および経営陣ならびに企業財務部門、当グループのリスク統制部門および内
部監査部門と定期的に接触している。
2018 年の活動
以下の表は、2017事業年度および2018事業年度に関連する統計データを示す。
2017年 2018年
会議の回数 5 5
平均出席率 92.5% 97.5%
会議の平均時間 3時間7分 3時間3分
以下の表は、2018年12月31日現在在任の監査委員会委員による2018事業年度の個別の出席率を示す。
*
監査委員会委員 2018年における平均出席率
マリー・クリスティーヌ・ルプティ 100%
ジャッキー・ショラン 100%
フィリップ・クルゼ 100%
コレット・ルウィネ 100%
マリー・エレーヌ・メイリン 100%
ジャン・ポール・リニャック 100%
クリスチャン・タクシル 100%
*
パリゾ氏は、2018年11月6日まで監査委員会委員であった。同氏の2018年の個別の出席率は75%であった。
2018年において、監査委員会は、他の任務の中でも、特に年次財務書類および半期財務書類ならびに関連財務書類報告書、
法定監査人の2018年監査計画および監査結果の要点の発表、2019年度予算および2019年-2022年中期計画(MTP)、2018年度の
財務書類の決算を目的とした資産価値の見直し、オフバランスシート・コミットメント、更新されたリスク分類、認識された
優先リスク、リスク管理手法および改善イニシアチブの変更、2017年内部統制の自己評価の結果および内部統制変革プロジェ
クトに関する進捗報告書、内部監査および監査プログラムの概要報告書ならびに監査手続の改革の概要報告書、電力市場およ
びカウンターパーティー・リスク、供給業者のリスク、2018年-2019年の財務管理および金融リスク統制に関する契約、ならび
に保険およびリスクの保険可能性に関する当グループの方針について検討した。
EDFの取締役会が2016年11月3日に承認した手続に基づき、監査委員会は、法定監査人およびそのネットワーク内のメンバー
が財務書類の証明以外のサービスを提供することを承認し、当該手続の条件に基づく事前承認手続の一環として提供された
サービスについての報告を受けた。
監査委員会は、2018事業年度中の委員会の議題について外部の専門的な助言を要求せず調査を命じなかった。
( ⅱ) 原子力監視委員会
構成員
以下の表は、2019年3月15日現在の原子力監視委員会の構成員の概要である。
原子力監視委員会の構成員
フィリップ・クルゼ 委員長 株主総会により任命された社外取締役
オリヴィエ・アペール 委員 フランス政府の推薦に基づき株主総会により任命された取締
役
クリストフ・キュビリエ 委員 従業員により選任された取締役
マリー・クリスティーヌ・ルプティ 委員 フランス政府の推薦に基づき株主総会により任命された取締
役
マリー・エレーヌ・メイリン 委員 従業員により選任された取締役
330/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ミシェル・ルソー 委員 フランス政府の推薦に基づき株主総会により任命された取締
役
委員数 6
社外取締役の人数 1
*
社外取締役の割合
25%
*
従業員を代表する取締役を除く。
任務
原子力監視委員会(NCMC)は、長期の原子力費用の資金調達の確保に関する2007年2月23日付命令第2007-243号の第9条の
規定に従って設置された。
原子力監視委員会は、原子力負債の値および関連規定の変更を監視すること、専用資産に関する統制上の課題、資産と負債
の整合に係る規則および戦略的配分に対する見解を発表すること、ならびに当社が構築した資産の管理の結果を確認し、かか
る管理を専用資産の構成、管理および金融リスクの統制のための規則と確実に適合させることを課せられている。原子力監視
委員会は、フランス環境法第L.594-1条に規定されている費用の資金調達のための内部統制手続について取締役会に対し意見を
述べる。
同委員会は、取締役会に任命された独立した専門家( 現在のNCFECの委員は、2016年11月3日にNCMCの推薦に基づき取締役会
により3年任期で再任または任命された。 )により構成された原子力財務専門委員会(NCFEC)の作業結果に依拠している。
NCFECの任務は、資産と負債の整合および専用資産の管理に関する事項について当社およびその組織をサポートすることであ
る。
最後に、同委員会は、非上場資産への投資に先立ち、単価が400百万ユーロを超えるプロジェクトおよび(投資の結果、当社
が投資対象を全部連結することとなる場合)単価が200百万ユーロを超えるプロジェクト(不動産を除く。)に関して意見を述
べる。同委員会が投資に関する計画に関して否定的な意見を示す場合、取締役会が当該計画を承認する独占的権限を有する。
2018 年の活動
2017年 2018年
会議の回数 3 ▶
平均出席率 94.4% 79.2%
会議の平均時間 2時間11分 1時間52分
以下の表は、2018年12月31日現在在任の原子力監視委員会による2018事業年度の個別の出席率を示す。
原子力監視委員会委員 2018年における平均出席率
フィリップ・クルゼ 100%
オリヴィエ・アペール 75.0%
クリストフ・キュビリエ 50.0%
マリー・クリスティーヌ・ルプティ 100%
マリー・エレーヌ・メイリン 100%
ミシェル・ルソー 50.0%
2018年において、原子力監視委員会は、原子力引当金のカバー状況および割引率、帳簿上および簿外の専用資産のポート
フォリオのパフォーマンス、EDFグループの資産を簿外の専用資産へ計上するために提案された手続および構成の方針に関する
参考資料の更新、取締役会に承認される前の専用資産に関する金融リスクの管理および統制、原子力費用の資金調達の確保に
係る3か年報告書およびそれに含まれる内部統制報告書の2018年度年次更新文書、フランス会計検査院による専用資産、投資
決定および見通しに関する報告書の主要な結果(「第2 3(2)①(ⅰ)(ト)長期的な原子力コミットメントを満たすため
の資産(運転サイクルに関するものを除く。)」を参照。)、第1世代の原子力発電所の廃炉プログラムおよび地層処分産業
センターのプロジェクト(Cigéo)の進捗状況(「第2 3(2)①(ⅰ)(ニ)核燃料サイクルおよび関連する問題」を参
照。)、ならびにラオスのナム・テウン・ダムにおける当グループの少数持分を専用資産に移行させる提案について検討し
た。
331/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( ⅲ) 戦略委員会
構成員
以下の表は、2019年3月15日現在の戦略委員会の構成員の概要である。戦略委員会の委員でない取締役も同委員会の会議に
出席することができる。
戦略委員会の構成員
ジャン・ベルナール・レヴィ 委員長 会長兼最高経営責任者、株主総会により任命された取締役
オリヴィエ・アペール 委員 フランス政府の推薦に基づき株主総会により任命された
取締役
ジャッキー・ショラン 委員 従業員により選任された取締役
モーリス・グルドー・モンターニュ 委員 フランス政府の推薦に基づき株主総会により任命された
取締役
マリー・エレーヌ・メイリン 委員 従業員により選任された取締役
ローランス・パリゾ 委員 株主総会により任命された社外取締役
ジャン・ポール・リニャック 委員 従業員により選任された取締役
クリスチャン・タクシル 委員 従業員により選任された取締役
マルタン・ヴィアル 委員 フランス政府を代表する取締役
任務
戦略委員会は、当社の主要な戦略的目標、特に、複数年にわたるエネルギー計画の目標に従うために実行される活動が記載
される企業戦略計画(「第2 3(3)②フランスにおける公共サービス」を参照。)、EDF中央企業委員会の協議を目的とし
て策定された当社の戦略的な目標、公共サービス契約(「第2 3(3)②フランスにおける公共サービス」を参照。)、戦略
契約、提携およびパートナーシップならびに研究開発方針について、取締役会に意見書を提出する。
2018 年の活動
2017年 2018年
会議の回数 3 3
*
平均出席率
100% 92.6%
会議の平均時間 3時間10分 2時間45分
*
出席率は、(取締役も全員会議に参加することができるが)戦略委員会委員のみに基づいて算定された。
以下の表は、2018年12月31日現在在任の戦略委員会による2018事業年度の個別の出席率を示す。
戦略委員会委員 2018年における平均出席率
ジャン・ベルナール・レヴィ 100%
オリヴィエ・アペール 100%
ジャッキー・ショラン 100%
モーリス・グルドー・モンターニュ 100%
マリー・エレーヌ・メイリン 100%
ローランス・パリゾ 66.7%
ジャン・ポール・リニャック 100%
クリスチャン・タクシル 66.7%
マルタン・ヴィアル 100%
2018年において、戦略委員会は、ジェイタプールのプロジェクトの進捗、当グループの研究開発方針、フランスの原子力分
野の改革の一環であるOranoとの間の戦略的および産業パートナーシップおよび国際レベルでの閉鎖に関するOranoとの提携契
約、EDFの商業戦略、当グループの人事方針の管理上の課題および社会的課題(「第2 3(1)②CAP2030の戦略における優先
目標」を参照。)、2019年-2022年MTPの主要な前提、中央企業委員会との協議を目的として提案された戦略的目標、ならびに
原子力産業部門のサービス事業者に関連する統制プロセスの情報更新について検討した。
332/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
( ⅳ) ガバナンスおよび企業の社会的責任委員会
構成員
以下の表は、2019年3月15日現在のガバナンスおよび企業の社会的責任委員会の構成員の概要である。
ガバナンスおよび企業の社会的責任委員会の構成員
コレット・ルウィネ 委員長 株主総会により任命された社外取締役
クリスティーヌ・シャボティ 委員 従業員により選任された取締役
ジャッキー・ショラン 委員 従業員により選任された取締役
ブルーノ・レシュヴァン 委員 フランス政府の推薦に基づき株主総会により任命された取締
役
マリー・エレーヌ・メイリン 委員 従業員により選任された取締役
クレール・プディニ 委員 株主総会により任命された社外取締役
委員数 6
社外取締役の人数 2
*
社外取締役の割合
67%
*
従業員を代表する取締役を除く。
任務
ガバナンスおよび企業の社会的責任委員会は、コーポレート・ガバナンスに関する課題を監督し、当社の組織を通じて、
AFEP-MEDEF規約に規定される良いガバナンスの原則および規則の導入を確認する。同委員会は、取締役会の機能もしくは権限
の変化または取締役内部規則に関して提言することができる。
同委員会は、特に気候変動、職業上の平等および同一賃金に関連する課題を当社がどのように考慮するか、また、特に当社
の統治機関の男女比率の均衡について当社がどのように無差別政策および多様化政策を導入するかについて、倫理、コンプラ
イアンス、企業の社会的責任および持続可能な開発の観点から、当グループのコミットメントおよび方針ならびにこれらの導
入を検討する。
同委員会は、同委員会が認識したかまたは会長もしくは取締役会によって報告された利益相反の状況について検討し、意見
を発表し、また、かかる状況について取締役会に報告する。同委員会は、取締役会およびその委員会の機能について年次審査
を行っている。また、3年に1回、正式な審査を専門の外部のコンサルタントに委託し、同委員会はこれを監督する(「第5
5(1)②(ⅴ)取締役会およびその委員会の機能の審査」を参照。)。
ガバナンスおよび企業の社会的責任委員会は、毎年、任命報酬委員会とともに、AFEP-MEDEF規約に規定される基準に照らし
て取締役の個人の状況を検討し、その結果を取締役会に報告する。監査委員会に新たな委員が任命された場合、同委員会は任
命報酬委員会とともに、かかる委員の金融、会計および法定監査に関する専門知識を審査する。
2018 年の活動
2017年 2018年
* **
会議の回数 7 7
平均出席率 92.9% 92.9%
会議の平均時間 1時間35分 1時間32分
*
任命報酬委員会との1回の合同会議を含む。
**
任命報酬委員会との2回の合同会議を含む。
以下の表は、2018年12月31日現在在任のガバナンスおよび企業の社会的責任委員会による2018事業年度の個別の出席率を示
す。
ガバナンスおよび企業の社会的責任委員会委員 2018年における平均出席率
コレット・ルウィネ 100%
クリスティーヌ・シャボティ 100%
ジャッキー・ショラン 100%
333/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
ブルーノ・レシュヴァン 57.1%
マリー・エレーヌ・メイリン 100%
クレール・プディニ 100%
2018年において、ガバナンスおよび企業の社会的責任委員会は、企業の社会的責任および気候変動に関する課題、EDFの注意
計画、2017事業年度の経営報告書に含まれているコーポレート・ガバナンスに関する情報、2017年の「My EDF」の内部調査の
結果、2017年の倫理・コンプライアンス審査および2018年の優先事項ならびに当グループの警告システム、EDFグループのメ
ディエーターによる2017年の報告書、当グループおよびEDF財団の企業スポンサー方針、個人情報保護(GDPR)に関する欧州規
則第2016/679号の導入についての当グループ組織、EDFグループの世界的な企業の社会的責任に関する新たな契約、職業上の平
等および同一賃金に関する方針ならびに当グループの統治機関の女性化の結果、安全衛生および当グループの炭素排出量の目
標の管理に関する当グループの方針および結果について検討した。また、同委員会は、取締役会およびその委員会の機能に関
する2018年内部審査の基準として使用された質問表を検討し、取締役会に提出される前にかかる審査結果を検討した。
さらに同委員会は、取締役会が採用する前に、改訂された取締役会内部規則および取締役による経費の払戻しの方針を検討
し、AFEP-MEDEF規約に規定される基準に基づき取締役の独立性を検討し、また取締役1名の新たな役職に伴いその独立性を再
検討するために任命報酬委員会との合同会議を2回開催した。
( ⅴ) 任命報酬委員会
構成員
以下の表は、2019年3月15日現在の任命報酬委員会の構成員の概要である。
任命報酬委員会の構成員
ブルーノ・ラフォン 委員長 株主総会により任命された社外取締役
クリスティーヌ・シャボティ 委員 従業員により選任された取締役
コレット・ルウィネ 委員 株主総会により任命された社外取締役
マルタン・ヴィアル 委員 フランス政府を代表する取締役
委員数 ▶
社外取締役の人数 2
*
社外取締役の割合
66.67%
*
従業員を代表する取締役を除く。
任務
任命報酬委員会は、株主総会による取締役の任命について、取締役会に対して勧告または提案を提出する。同委員会は、必
要に応じて潜在的な候補者の選定方法を監督し、かかる候補者にアプローチする前にかかる候補者に関する独自の調査を実施
することができる。同委員会は、取締役に適用される多様化政策および必要に応じて会長兼最高経営責任者が提案した最高経
営責任者代理に任命する候補者について、取締役会に意見書を提出することができる。同委員会は、役員および当グループの
執行委員会の予期せぬ継承または任期が終了した場合の継承を見越して、継承計画を確実に保持するようにし、会長兼最高経
営責任者は、かかる任務を遂行するために同委員会の業務に携わる。
任命報酬委員会は、報酬に関して、会長兼最高経営責任者ならびに(必要に応じて)最高経営責任者代理の報酬における固
定、変動および特別項目ならびにすべての種類の手当の決定および配分のための原則および基準を検討し、当該原則および基
準についての意見を提出する。任命報酬委員会は、かかる報酬および手当の協議および決定のために取締役会に意見書を提出
する。同委員会委員長は、経済担当大臣からの承認を得るために、かかる意見書を提出する。同委員会は、 公開会社の役員報
酬に対する フランス政府の監督に関する 2012 年7月26日付命令第2012-915号(1953年8月9日付命令を改正)で定める制限内
で提言書を作成する。同命令の規定に従い、 会長兼最高経営責任者の 年間報酬は総額450,000ユーロを超えてはならない。
同委員会は、当グループの執行委員会および主要執行役員の報酬方針ならびに取締役に支払われる取締役報酬の配分にあ
たっての金額および条件について取締役会に意見書を提出する。
任命報酬委員会は、毎年、ガバナンスおよび企業の社会的責任委員会とともに、AFEP-MEDEF規約に規定される基準に基づき
取締役の個人の状況を検討し、その結果を取締役会に報告する。監査委員会に新たな委員が任命された場合、任命報酬委員会
はガバナンスおよび企業の社会的責任委員会とともに、かかる委員の金融、会計および法定監査に関する専門知識を審査す
る。
334/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2018 年の活動
2017年 2018年
* **
会議の回数 ▶ ▶
平均出席率 100% 100%
会議の平均時間 16分 53分
*
ガバナンスおよび企業の責任委員会との1回の合同会議を含む。
**
ガバナンスおよび企業の責任委員会との2回の合同会議を含む。
以下の表は、2018年12月31日現在在任の任命報酬委員会による2018事業年度の個別の出席率を示す。
任命報酬委員会委員 2018年における平均出席率
ブルーノ・ラフォン 100%
クリスティーヌ・シャボティ 100%
コレット・ルウィネ 100%
マルタン・ヴィアル 100%
2018年において、任命報酬委員会は、報酬方針、長期インセンティブ計画、2017年の当グループ・マネージャーの報酬の変
動およびマネージャーに適用される人材管理システムの結果について検討した。また、同委員会は、会長兼最高経営責任者の
報酬方針および2018事業年度の会長兼最高経営責任者の報酬について取締役会に意見書を提出した。
さらに同委員会は、取締役会が採用する前に、改訂された取締役会内部規則および取締役による経費の払戻しの方針を検討
し、AFEP-MEDEF規約に規定される基準に基づき取締役の独立性を検討し、また取締役1名の新たな役職に伴いその独立性を再
検討するためにガバナンスおよび企業の社会的責任委員会との合同会議を2回開催した。
④ 経営幹部によって創設された機関
会長兼最高経営責任者は、当グループのすべての事業分野からの代表者を含む執行委員会による支援を受ける。
執行委員会は、当グループの経営上および戦略上の問題について決定、考察および議論を行う機関である。執行委員会は、
当グループのすべての重要な基本的および現行の諸問題について検討し、経営目標と経営成績を監視し、EDFグループの主要な
課題に関する管理および予測に貢献する。執行委員会は、重要なプロジェクト、特に一定の基準金額を超過する当グループの
投資案件または投資引揚案件について検討し、承認する。執行委員会は、原則として毎週会議を行う。
各プロジェクトの審査および監視を一層強化するために、執行委員会直属のコミットメント委員会は、コミットメントの水
準の観点から最も重要なプロジェクトまたは発生したリスクに関し、執行委員会が決定を行う前の徹底した精査を担当する。
当社の投資案件はすべて、取締役会に検討のため提出されるに先立ち、まずコミットメント委員会の承認を得なければならな
い。
2019年3月15日現在、執行委員会は、委員13名および秘書役で構成されていた。
335/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
(2)【監査報酬の内容等】
①【外国監査公認会計士等に対する報酬の内容】
以下の表は、2018年において法定監査人およびそのネットワークが行った業務について支払われた費用を示している。
Deloitte ネットワーク KPMG ネットワーク
( 単位:千ユーロ(千円)) 金額 (税引後) 金額 (税引後)
% %
監査
法定監査、証明、会社会計および連結
会計の監査
EDF 3,133 2,954
(381,411) 21.1 (359,620) 18.2
(1)
完全連結子会社
7,249 10,839
(882,493) 48.8 (1,319,540) 66.9
小計 10,382 13,793
(1,263,905) 69.9 (1,679,160) 85.1
(2)
非監査サービス
EDF 397 772
(48,331) 2.7 (93,983) 4.8
(1)
完全連結子会社
4,071 1,640
(495,604) 27.4 (199,654) 10.1
小計 4,468 2,412
(543,934) 30.1 (293,637) 14.9
合計 14,850 16,204
(1,807,839) 100 (1,972,675) 100
(1) その監査報酬が連結損益計算書に計上される完全連結子会社および被共同支配事業体。
(2) 適用法令および規則により要求されるサービス、および当グループからの要請に基づき提供されるサービス。非監査サー
ビスとは、主に(ⅰ)フランス商法第L.225-102-1により要求される財務および会計情報または社会情報の、環境・社会
情報に関する外部報告書、(ⅱ)事業体の売却に関連するサービス、(ⅲ)現地の法律により規定される税務サービス、
ならびに(ⅳ)財務情報の作成と関連性のない業務プロセスのレビューならびに会計および情報システムのコンサルティ
ングサービスを指す。
336/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2017 年の監査報酬
以下の表は、2017年において法定監査人およびそのネットワークが行った業務について支払われた費用を示している。
Deloitte ネットワーク KPMG ネットワーク
( 単位:千ユーロ(千円)) 金額 (税引後) 金額 (税引後)
% %
監査
法定監査、証明、会社会計および連結
会計の監査
EDF 3,103 3,012
(377,759) 22.1 (366,681) 19.7
完全連結子会社 5,133 10,024
(624,891) 36.4 (1,220,322) 65.6
小計 8,236 13,036
(1,002,651) 58.5 (1,587,003) 85.3
非監査サービス
EDF 906 778
(110,296) 6.4 (94,714) 5.1
完全連結子会社 4,944 1,473
(601,883) 35.1 (179,323) 9.6
小計 5,850 2,251
(712,179) 41.5 (274,037) 14.7
合計 14,086 15,287
(1,714,830) 100 (1,861,039) 100
②【その他重要な報酬の内容】
「第5 5(2)①外国監査公認会計士等に対する報酬の内容」を参照。
③【外国監査公認会計士等の提出会社に対する非監査業務の内容】
「第5 5(2)①外国監査公認会計士等に対する報酬の内容」を参照。
④【監査報酬の決定方針】
「第5 5(2)①外国監査公認会計士等に対する報酬の内容」を参照。
337/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
第6【経理の状況】
a 本書記載のフランス電力(以下「 EDF 」または「当社」という。)および連結子会社(以下、当社および連結子会社を合わせ
て「当グループ」という。)の原文の連結財務諸表は、欧州連合により採択された国際財務報告基準(以下「 IFRS 」という。)
に準拠して作成されている。また、本書記載の当社の原文の個別財務諸表は、フランスにおける諸法令および一般に公正妥当と
認められる会計原則に準拠して作成されている。邦文の連結財務諸表および個別財務諸表(以下、合わせて「邦文の財務書
類」という。)は、原文の連結財務諸表および個別財務諸表(以下、合わせて「原文の財務書類」という。)の翻訳に、下記の円
換算額を併記 したものである。 当グループの財務書類の日本における開示については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法
に関する規則」(昭和 38 年大蔵省令第 59 号。以下「財務諸表等規則」という。)第 131 条第1項の規定が適用されている。
邦文の財務書類には、財務諸表等規則に基づき、原文の財務書類中のユーロ表示の金額のうち主要なものについて円換算
額が併記されている。日本円への換算には、2019年5月31日現在の株式会社三菱UFJ銀行の対顧客電信直物売買相場の仲値、
1ユーロ=121.74円の為替レートが使用されている。
なお、財務諸表等規則に基づき、日本とIFRSおよび日本とフランスとの会計処理の原則および手続ならびに表示方法の一
定の差異については、第6の「4 日本とIFRSおよび日本とフランスとの会計原則の相違」に記載されている。
円換算額および第6の「2 主な資産・負債及び収支の内容」から「4 日本とIFRSおよび日本とフランスとの会計原則の
相違」までの事項は原文の財務書類には記載されておらず、当該事項における原文の財務書類への参照事項を除き、下記b
の監査証明に相当すると認められる証明の対象になっていない。
b 原文の財務書類は、外国監査法人等(「公認会計士法」(昭和 23 年法律第 103 号)第1条の3第7項に規定されている外国監
査法人等をいう。)であるデロイト・エ・アソシエおよび KPMG S.A. (フランスにおける独立監査人)から、「金融商品取引
法」(昭和 23 年法律第 25 号)第 193 条の2第1項第1号に規定されている監査証明に相当すると認められる証明を受けてい
る。その監査報告書の原文および訳文は、本書に掲載されている。
338/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
1【財務書類】
(1 )連結財務諸表
連結損益計算書
2017年度
2018年度
(1)
再表示
注記
百万ユーロ 億円 百万ユーロ 億円
売上高
83,971 79,000
7 68,976 64,892
購入燃料およびエネルギー費用 8 (33,012) (40,189) (32,901) (40,054)
その他の対外費用 9 (9,364) (11,400) (8,739) (10,639)
人件費 10 (13,690) (16,666) (12,456) (15,164)
法人所得税以外の税金 11 (3,697) (4,501) (3,541) (4,311)
7,368 7,897
6,052 6,487
その他の営業収益および営業費用 12
18,584 16,730
減価償却費および償却費控除前営業利益 15,265 13,742
トレーディング業務以外のエネルギーおよびコモディティ・
(224) (273) (355) (432)
デリバティブの公正価値の純変動額
減価償却費および償却費(純額) (9,006) (10,964) (8,537) (10,393)
委譲運営有形固定資産更新引当金の純増加額 (50) (61) (58) (71)
(減損)/戻入 13 (598) (728) (518) (631)
1,659
(105) (128) 1,363
その他の収益および費用 14
6,430 6,862
営業利益 5,282 5,637
総金融負債に係る費用 15.1
(1,716) (2,089) (1,778) (2,165)
割引の影響 15.2 (3,486) (4,244) (2,959) (3,602)
478 3,045
393 2,501
その他の金融収益および費用 15.3
金融損益 15 (4,809) (5,854) (2,236) (2,722)
576 4,140
連結会社の税引前利益 473 3,401
法人所得税 16
181
149 (147) (179)
693 43
569 35
関連会社および共同支配企業の純利益に対する持分 23
1,450 4,004
連結純利益 1,191 3,289
1,433 3,863
EDF の純利益 1,177 3,173
17 141
非支配持分に帰属する純利益 14 116
ユーロ 円 ユーロ 円
1株当たり利益(EDF持分): 17
基本的1株当たり利益 0.20 24 0.98 119
希薄化後1株当たり利益 0.20 24 0.98 119
(1 )2017年12月31日現在の比較数値は、IFRS第15号に準拠して再表示されている(注記2.1)。2018年1月1日から適用されたIFRS第9号につ
いては、当該基準の経過措置の認めるところに従い、比較数値は再表示されていない。
339/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
連結包括利益計算書
2018年度 2017年度
非支配持分 非支配持分
に帰属する に帰属する
EDF の純利益 純利益 合計 EDF の純利益 純利益 合計
(単位:百万ユーロ)
1,177 14 1,191 3,173 116 3,289
グループの純利益
ヘッジ手段の公正価値の変動総額(1) 34 (19) 15 1,513 ▶ 1,517
関連する税効果 (89) - (89) (361) (2) (363)
ヘッジ手段の公正価値の関連会社および共同支配企業
(7) - (7) 6 - 6
持分
(62) (19) (81) 1,158 2 1,160
ヘッジ手段の公正価値の変動
換算調整―被支配事業体 (38) (79) (117) (970) (169) (1,139)
117 - 117 (531) - (531)
換算調整―関連会社および共同支配企業
79 (79) - (1,501) (169) (1,670)
換算調整
負債性金融商品の公正価値の変動総額(1)(2) (115) - (115) - - -
関連する税効果 42 - 42 - - -
負債性金融商品の公正価値の関連会社および共同支配
(1) - (1) - - -
企業持分
売却可能金融資産の公正価値の変動総額(1) - - - 107 - 107
関連する税効果 - - - (61) - (61)
売却可能金融資産の公正価値の関連会社および共同支
- - - 77 - 77
配企業持分
負債性金融商品および売却可能金融資産の公正価値の
(74) - (74) 123 - 123
変動
(57) (98) (155) (220) (167) (387)
リサイクルを伴う自己資本計上損益
資本性金融商品の公正価値の変動総額(2) (37) - (37) - - -
関連する税効果 - - - - - -
資本性金融商品の公正価値の関連会社および共同支配
- - - - - -
企業持分
(37) - (37) - - -
資本性金融商品の公正価値の変動
雇用後給付に係る数理計算上の損益の変動総額(3) 3,141 11 3,152 1,061 60 1,121
関連する税効果 (309) (1) (310) (337) (12) (349)
雇用後給付に係る数理計算上の損益の変動の関連
69 - 69 16 - 16
会社および共同支配企業持分
2,901 10 2,911 740 48 788
雇用後給付に係る数理計算上の損益の変動
2,864 10 2,874 740 48 788
リサイクルを伴わない自己資本計上損益
2,807 (88) 2,719 520 (119) 401
自己資本計上損益合計
3,984 (74) 3,910 3,693 (3) 3,690
連結包括利益
2018年度 2017年度
非支配持分 非支配持分
に帰属する に帰属する
EDF の純利益 純利益 合計 EDF の純利益 純利益 合計
(単位:億円)
1,433 17 1,450 3,863 141 4,004
グループの純利益
41 (23) 18 1,842 5 1,847
ヘッジ手段の公正価値の変動総額(1)
関連する税効果 (108) - (108) (439) (2) (442)
ヘッジ手段の公正価値の関連会社および共同支配企業
7 7
(9) - (9) -
持分
1,410 2 1,412
(75) (23) (99)
ヘッジ手段の公正価値の変動
換算調整―被支配事業体 (46) (96) (142) (1,181) (206) (1,387)
142 142
- (646) - (646)
換算調整―関連会社および共同支配企業
96 (96) - (1,827) (206) (2,033)
換算調整
負債性金融商品の公正価値の変動総額(1)(2) (140) - (140) - - -
51 51
- - - -
関連する税効果
負債性金融商品の公正価値の関連会社および共同支配
(1) - (1) - - -
企業持分
130 130
- - - -
売却可能金融資産の公正価値の変動総額(1)
関連する税効果 - - - (74) - (74)
売却可能金融資産の公正価値の関連会社および共同支
94 94
- - - -
配企業持分
負債性金融商品および売却可能金融資産の公正価値の
150 150
(90) - (90) -
変動
(69) (119) (189) (268) (203) (471)
リサイクルを伴う自己資本計上損益
資本性金融商品の公正価値の変動総額(2) (45) - (45) - - -
340/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
関連する税効果 - - - - - -
資本性金融商品の公正価値の関連会社および共同支配
- - - - - -
企業持分
(45) - (45) - - -
資本性金融商品の公正価値の変動
3,824 13 3,837 1,292 73 1,365
雇用後給付に係る数理計算上の損益の変動総額(3)
関連する税効果 (376) (1) (377) (410) (15) (425)
雇用後給付に係る数理計算上の損益の変動の関連
84 84 19 19
- -
会社および共同支配企業持分
3,532 12 3,544 901 58 959
雇用後給付に係る数理計算上の損益の変動
3,487 12 3,499 901 58 959
リサイクルを伴わない自己資本計上損益
3,417 3,310 633 488
(107) (145)
自己資本計上損益合計
4,850 4,760 4,496 4,492
(90) (4)
連結包括利益
(1 )負債性および資本性金融商品ならびにヘッジ手段について純損益にリサイクルされた公正価値の変動総額は、注記36.2および41.4に記載
されている。
(2) IFRS第9号の経過措置に従い、比較数値は再表示されていない。当該経過措置の詳細については注記2.2を参照のこと。
(3) 数理計算上の損益の変動総額については、注記31.1.2に記載されている。
341/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
連結貸借対照表
2017年12月31日現在
2018年12月31日現在
(1)
再表示
注記
百万ユーロ 億円 百万ユーロ 億円
資 産
のれん 18 10,195 12,411 10,036 12,218
その他の無形資産 19 9,918 12,074 8,896 10,830
フランスの公共配電委譲運営有形固定資産 20 56,515 68,801 54,739 66,639
その他の業務に係る委譲運営有形固定資産 21 7,339 8,934 7,607 9,261
グループ所有発電用有形固定資産およびその他の有形資産 22 78,252 95,264 75,622 92,062
関連会社および共同支配企業に対する投資 23 8,287 10,089 7,249 8,825
非流動金融資産 36 37,104 45,170 36,787 44,784
その他の非流動債権 26 1,796 2,186 2,168 2,639
978 1,191 1,220 1,485
繰延税金資産 16.3
非流動資産 210,384 256,121 204,324 248,744
棚卸資産 24
14,227 17,320 14,138 17,212
営業債権 25 15,910 19,369 16,843 20,505
流動金融資産 36 31,143 37,913 24,953 30,378
当期税金資産 869 1,058 673 819
その他の流動債権 26 7,346 8,943 7,219 8,788
3,290 4,005 3,692 4,495
現金および現金同等物 37
流動資産 72,785 88,608 67,518 82,196
売却目的保有に分類された資産 43 - - - -
資産合計 283,169 344,730 271,842 330,940
2017年12月31日現在
2018年12月31日現在
(1)
再表示
注記
百万ユーロ 億円 百万ユーロ 億円
自己資本および負債
資本金 27 1,505 1,832 1,464 1,782
42,964 52,304 39,893 48,566
EDFの純利益および連結剰余金
自己資本(EDF持分) 44,469 54,137 41,357 50,348
自己資本(非支配持分) 27.5 8,177 9,955 7,341 8,937
自己資本合計 27 52,646 64,091 48,698 59,285
原子力発電関連引当金―核サイクル終了、発電所廃炉および炉心核燃料 28
49,204 59,901 46,410 56,500
その他の施設廃止引当金 28 2,033 2,475 1,977 2,407
従業員給付引当金 31 17,627 21,459 20,630 25,115
2,908 3,540 2,356 2,868
その他の引当金 28
非流動引当金 28 71,772 87,375 71,373 86,889
フランスの公共配電特別委譲負債 33 46,924 57,125 46,323 56,394
非流動金融負債 38 52,129 63,462 51,365 62,532
その他の非流動負債 35 4,896 5,960 4,864 5,921
1,987 2,419 2,362 2,875
繰延税金負債 16.3
非流動負債 177,708 216,342 176,287 214,612
流動引当金 28
6,010 7,317 5,484 6,676
営業債務 34 13,421 16,339 13,994 17,036
流動金融負債 38 17,167 20,899 11,142 13,564
当期税金負債 205 250 187 228
16,012 19,493 16,050 19,539
その他の流動負債 35
流動負債 52,815 64,297 46,857 57,044
売却目的保有に分類された資産に関連する負債 43 - - - -
自己資本および負債合計 283,169 344,730 271,842 330,940
(1 )2017年12月31日現在の比較数値は、IFRS第15号に準拠して再表示されている(注記2.1.3.2)。
342/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
連結キャッシュ・フロー計算書
2018年度 2017年度
百万ユーロ 億円 百万ユーロ
注記 億円
営業活動:
576
473 3,401
4,140
連結会社の税引前利益
減損/(戻入)
728
598 518
631
16,045
減価償却費および償却費、引当金繰入額ならびに公正価値の変動 13,180 9,980 12,150
887
金融収益および費用 729 764
930
471
関連会社および共同支配企業からの受取配当金 387 243 296
資産譲渡損益 (1,014) (1,234) (2,739)
(3,334)
562
462 1,476
1,797
運転資本の変動 44.1
18,036
営業によるキャッシュ・フロー(純額) 14 ,815 13 ,643
16,609
金融費用支出(純額)
(1,062) (1,293) (1,209)
(1,472)
(389) (474) (771)
法人所得税支払額 (939)
営業活動によるキャッシュ・フロー(純額) 13,364 16,269 11,663
14,199
投資活動:
持分投資の取得、取得現金控除後 (484) (589) (2,463)
(2,998)
1,535
持分投資の処分、譲渡現金控除後(1) 1,261 2,472
3,009
無形資産および有形固定資産への投資 44.2 (16,186) (19,705) (14,747)
(17,953)
744
無形資産および有形固定資産の売却による収入(純額) 611 1,140
1,388
(2,367) (2,882) 1,885
2,295
金融資産の変動
投資活動によるキャッシュ・フロー(純額) (17, 165 ) (20,897) (11, 713 )
(14,259)
財務活動:
EDF の増資 - - 4,005
4,876
1,885
非支配株主との取引(2) 1,548 481
586
親会社の支払配当金 27.3 (511) (622) (109)
(133)
非支配株主に対する支払配当金 (183) (223) (183)
(223)
自己株式の買入/売却 (3) (4) (6)
(7)
1,036
851 4,188
株主とのキャッシュ・フロー 5,098
借入債務の発行 6,953
5,711 2,901
3,532
借入債務の返済 (2,844) (3,462) (6,304)
(7,674)
1,513
永久劣後債の発行 3.5 1,243 -
-
(1,329) (1,618) -
永久劣後債の償還 3.6
-
永久劣後債の持参人に対する支払額 27.4 (584) (711) (565)
(688)
159
委譲運営資産に対する受取拠出金 131 144
175
投資補助金 351 427 348
424
2,679 3,261 (3,476)
財務活動によるその他のキャッシュ・フロー
(4,232)
財務活動によるキャッシュ・フロー(純額) 3,530 4,297 712
867
現金および現金同等物の純増加/(減少)額 (271) (330) 662
806
現金および現金同等物の期首残高
4,495
3,692 2,893 3,522
現金および現金同等物の純増加(減少)額 (271) (330) 662
806
為替変動の影響 (95) (116) (13)
(16)
16
現金および現金同等物に係る金融収益 13 21 26
(49) (60) 129
組替の影響 157
4,005
現金および現金同等物の期末残高 37 3,290 3,692
4,495
(1) 2018年度のこの項目は、Dunkerque LNG の売却に関連する金額966百万ユーロを含む(注記3.3を参照)。
2017 年度のこの項目は、CTEの一部売却に関連する金額1,282百万ユーロを含む(注記3.11.3を参照)。
(2) 被支配会社の増資または減資および持分の追加取得または処分によるものである。2018年度のこの項目は、EDF Renewablesの風力発電所
の49%の売却に関連する金額797百万ユーロ(注記3.8.2を参照)、ならびにNNB Holding Ltd.およびSizewell C Holding Coの増資に対す
るCGNの払込みに関連する金額743百万ユーロ(2017年12月31日現在501百万ユーロ)を含む。
343/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
連結自己資本変動計算書
2018年1月1日から12月31日までの間の自己資本の変動の明細は以下の通りである。
金融商品の
その他の
公正価値修正
連結剰余
自己資本
(リサイクル 金および
(非支配
換算調整 を伴うOCI) 純利益 自己資本 自己資本
資本金 自己株式 (1) (2) (3) (EDF持分) 持分) 合計
(単位:百万ユーロ)
2016 年12月31日現在自己資本
1,055 (29) 1,637 (1,587) 33,362 34,438 6,924 41,362
(公表済)
自己資本計上損益
- - (1,501) 1,281 740 520 (119) 401
- - - - 3,173 3,173 116 3,289
純利益
連結包括利益 - - (1,501) 1,281 3,913 3,693 (3) 3,690
永久劣後債に係る支払
- - - - (565) (565) - (565)
支払配当金 - - - - (1,532) (1,532) (183) (1,715)
自己株式の買入/売却 - (11) - - - (11) - (11)
EDFの増資(4) 409 - - - 5,018 5,427 - 5,427
- - - - (93) (93) 603 510
その他の変動(5)
2017 年12月31日現在自己資本
1,464 (40) 136 (306) 40,103 41,357 7,341 48,698
(公表済)
IFRS第9号による再表示(注
- - - (1,414) 1,414 - - -
記2.2.2.5参照)
2018 年1月1日現在自己資本
1,464 (40) 136 (1,720) 41,517 41,357 7,341 48,698
(再表示)
自己資本計上損益
- - 79 (136) 2,864 2,807 (88) 2,719
- - - - 1,177 1,177 14 1,191
純利益
連結包括利益 - - 79 (136) 4,041 3,984 (74) 3,910
永久劣後債に係る支払
- - - - (584) (584) - (584)
永久劣後債の発行/償還(注
- - - - (86) (86) - (86)
記3.5および3.6参照)
支払配当金 - - - - (1,360) (1,360) (183) (1,543)
自己株式の買入/売却 - (16) - - - (16) - (16)
EDFの増資(6) 41 - - - 806 847 - 847
- - - - 327 327 1,093 1,420
その他の変動(7)
2018 年12月31日現在自己資本 1,505 (56) 215 (1,856) 44,661 44,469 8,177 52,646
金融商品の
その他の
公正価値修正
連結剰余
自己資本
(リサイクル 金および
(非支配
換算調整 を伴うOCI) 純利益 自己資本 自己資本
資本金 自己株式 (1) (2) (3) (EDF持分) 持分) 合計
(単位:億円)
2016 年12月31日現在自己資本
1,284 1,993 40,615 41,925 8,429 50,354
(35) (1,932)
(公表済)
自己資本計上損益
1,559 901 633 488
- - (1,827) (145)
3,863 3,863 141 4,004
- - - -
純利益
1,559 4,764 4,496 4,492
連結包括利益 - - (1,827) (4)
永久劣後債に係る支払
- - - - (688) (688) - (688)
支払配当金 - - - - (1,865) (1,865) (223) (2,088)
自己株式の買入/売却 - (13) - - - (13) - (13)
498 6,109 6,607 6,607
EDFの増資(4) - - - -
734 621
- - - - (113) (113)
その他の変動(5)
2017 年12月31日現在自己資本
1,782 166 48,821 50,348 8,937 59,285
(49) (373)
(公表済)
IFRS第9号による再表示(注
1,721
- - - (1,721) - - -
記2.2.2.5参照)
2018 年1月1日現在自己資本
1,782 166 50,543 50,348 8,937 59,285
(49) (2,094)
(再表示)
自己資本計上損益
96 3,487 3,417 3,310
- - (166) (107)
1,433 1,433 17 1,450
- - - -
純利益
96 4,920 4,850 4,760
連結包括利益 - - (166) (90)
永久劣後債に係る支払
- - - - (711) (711) - (711)
永久劣後債の発行/償還(注
- - - - (105) (105) - (105)
記3.5および3.6参照)
支払配当金 - - - - (1,656) (1,656) (223) (1,878)
自己株式の買入/売却 - (19) - - - (19) - (19)
344/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
EDFの増資(6) 50 - - - 981 1,031 - 1,031
398 398 1,331 1,729
- - - -
その他の変動(7)
1,832 262 54,370 54,137 9,955 64,091
2018 年12月31日現在自己資本 (68) (2,259)
(1) 2018 年12月31日における換算調整の変動79百万ユーロは主に、ユーロに対するドルの上昇がユーロに対する英ポンドの下落により一部相殺
されたことに関係している。
(2 )リサイクルを伴うOCI(その他の包括利益)に計上された剰余金の変動は、包括利益計算書に表示されている。これらは、負債証券の公正
価値修正の影響、キャッシュ・フローおよび純外国投資をヘッジする金融商品の公正価値修正の影響、ならびに終了した契約および譲渡し
た負債性金融商品に関連して純損益にリサイクルされた金額に相当する。
(3) リサイクルを伴わないOCIに計上された公正価値の変動は、「その他の連結剰余金および純利益」の項目に表示されている。
(4) 2017年度における資本金およびその他の連結剰余金(発行プレミアム)の変動は、費用控除後で4,005百万ユーロのEDFの増資、ならびに
2016年度に係る株式による配当の残額合計1,024百万ユーロおよび2017年度に係る株式による中間配当合計398百万ユーロの支払に関係して
いる。
(5) 2017年度における自己資本(非支配持分)の「その他の変動」は、NNB Holding Ltd.およびSizewell C Holding Coの増資に対するCGNの
払込みによる影響額501百万ユーロを含む。
当項目はまた、少数株主が資本の24.5%を所有するFramatome取得による影響額209百万ユーロを含む(注記3.11.2を参照)。
(6) 2018 年度における資本金およびその他の連結剰余金(発行プレミアム)の変動は、2017年度に係る株式による配当の残額合計847百万ユー
ロの支払に関係している(注記27.3を参照)。
(7) 2018 年度における連結剰余金および自己資本(非支配持分)の変動は、特にEDF Renewable, Ltd. の風力発電所の49%の売却による影響額
を含む(注記3.8.2を参照)。自己資本(非支配持分)の「その他の変動」はまた、NNB Holding Ltd.およびSizewell C Holding Coの増資
に対するCGNの払込みによる743百万ユーロ、ならびにDunkerque LNGの売却による影響額(433)百万ユーロを含む。
次へ
345/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
連結財務諸表に対する注記
フランス電力(以下「EDF」または「当社」という。)は、フランス法に準拠し、フランスにおいて登記されたフランスの株
式会社( soci ét é anonyme )である。
当連結財務諸表は、2018年12月31日終了年度に係る当社およびその子会社(合わせて「当グループ」を形成する。)ならび
に、関連会社、共同支配事業として分類された共同支配の取決めおよび共同支配企業に対する当グループの持分の会計上の状
態を反映している。
当グループは生産、輸送、配送、供給、エネルギー・トレーディングおよびサービスというエネルギー事業におけるあらゆ
る業務を営む総合エネルギー事業者である。2017年12月31日現在の当グループの事業は、Framatomeの事業(原子炉向け設備お
よび燃料のサービスおよび生産)を含んでいる(注記3.11.2を参照)。
当グループの2018年12月31日現在の連結財務諸表は取締役会の責任において作成され、2019年2月14日開催の取締役会にお
いて取締役によって承認された。当財務諸表は、2019年5月16日開催予定の株主総会による承認後、最終的に確定する予定で
ある。
注記1.グループの会計方針
1.1 基準への準拠の宣言およびグループの会計方針
国際的な会計基準の適用に関する2002年7月19日付欧州規則1606/2002に準拠して、EDFグループの2018年12月31日現在の連
結財務諸表は、2018年12月31日現在において国際会計基準審議会(IASB)により公表され、欧州連合により適用の承認がなさ
れている国際的な会計基準において規定された表示、認識および測定の規則に準拠して作成されている。これらの国際的な会
計基準は、IAS(国際会計基準)、IFRS(国際財務報告基準)ならびにSICおよびIFRIC解釈指針である。
当グループは、2018年度に強制適用されない基準および解釈指針の早期適用を選択していない。
1.2 2018年12月31日現在における会計基準の変更
2018年12月31日現在の連結財務諸表において当グループが適用している会計処理および評価の方法は、以下の変更を除き、
2017年12月31日現在の連結財務諸表において用いられているものと同一である。
1.2.1 IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」およびIFRS第9号「金融商品」
欧州連合によって採択された当該2つの新しい基準が、2018年1月1日以後開始する事業年度から適用されている。IAS第8
号の求める、当グループによる同基準適用の影響に関する情報は、注記2に記載されている。
1.2.2 IFRIC第22号「外貨建取引と前渡・前受対価」
2018年1月1日以後開始する事業年度から適用されるIFRIC第22号は、欧州連合により2018年3月28日に採択された。この解
釈指針は、外貨建ての非貨幣性前渡・前受対価の支払または受取を取引日現在の為替レートで換算し、後日の修正を行わない
ことを求めている。IFRIC第22号の将来に向かっての適用はEDFグループの連結財務諸表に重要な影響を与えない。
1.2.3 2018年1月1日から適用されたその他の基準改訂および改善
以下のIASB公表物は、当グループの連結財務諸表に影響を与えない。
・ IAS第40号「投資不動産」の改訂「投資不動産の振替」(2018年3月14日採択)
・ IFRS第2号「株式に基づく報酬」の改訂「株式に基づく報酬取引の分類および測定」(2018年2月26日採択)
・ IFRS第4号「保険契約」の改訂「IFRS第9号『金融商品』のIFRS第4号『保険契約』との適用」(2017年11月3日採択)
・ IFRSの年次改善2014-2016年サイクル(2018年2月7日採択)
1.2.4 欧州連合によって採択されたが2018年12月31日後にのみ適用となる基準および改訂
1.2.4.1 IFRS第16号―リース
IFRS第16号「リース」は、欧州連合により2017年10月31日に採択され、2019年1月1日以後開始する事業年度から強制適用
される。
346/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
IFRS第16号は、短期リースおよび少額資産リースを除くすべてのリースを、使用権資産および対応する金融負債として、借
手の貸借対照表に認識することを求めている。「オペレーティング・リース」に分類された既存の契約は、現在、オフバラン
スシート項目として報告されている(注記46.1.1.3を参照)。
EDFグループのリース契約は基本的に、不動産(事務所および住宅用不動産)、産業設備(土地、風力発電所)、次いで車両
およびIT設備に関連している。
当グループは、2017年12月31日現在存在するオペレーティング・リースの特性に関する情報を収集するために、すべての子
会社に質問書を送ることにより、IFRS第16号適用の潜在的影響を識別した。この結果に基づき、「修正」遡及法の適用が決定
された。
当該基準に準拠して、移行日現在でリース負債を現在価値に割り引くために、追加借入利子率が使用される。この利子率
は、EDFのゼロ・クーポン債金利を基礎とし、これを通貨リスク、カントリー・リスク・プレミアム、契約期間および当該子会
社の信用リスクについて調整した、EDFの追加負債利子率である。
当グループはまた、IFRS第16号により認められた2つの免除規定の適用を決定したため、以下については認識しない。
・ リース期間が12か月以下のリース(および移行に際しては当該基準の初度適用から12か月以内に終了するリース)
・ 新規個別価額が5,000米ドル未満の資産のリース
2018年6月30日現在で行われた作業に基づけば、IFRS第16号を当グループの2017年12月31日現在の財務諸表に適用した場
合、純負債額が43億ユーロ増加し(Framatomeを含む)、減価償却費および償却費控除前営業利益に対し約5億ユーロのプラス
の影響があり(Framatomeを除き、実現売却益の一部取消し2億ユーロを含む)、連結純利益には重要な差異が生じないことに
なる。
2018年12月31日現在で、IFRS第16号による影響額の見直しが行われた。修正遡及法に基づく当該基準適用の結果、当グルー
プの2018年12月31日現在の純負債額は約45億ユーロ増加する。また、当グループの計算によれば、修正遡及法に基づきIFRS第
16号を適用した場合、2018年度の減価償却費および償却費控除前営業利益に対し約5億ユーロのプラスの影響があり(実現売
却益の一部取消し2億ユーロを含む)、連結純利益には重要な差異が生じないことになる。上記の減価償却費および償却費控
除前営業利益ならびに連結純利益に対する影響は、修正遡及法を適用したことにより、IAS第8号第30項に準拠した情報提供目
的で報告している。
リース負債の2017年12月31日現在および2018年12月31日現在の見積額間の差額は、新規リース契約、既存リース契約の改訂
および更新が、リース負債の返済および一社の連結除外により一部相殺された結果生じたものである。
2018年12月31日現在における、IAS第17号に準拠して表示されたオペレーティング・リース・コミットメントとIFRS第16号に
基づくリース負債の間の差額は、以下の通り説明される。
347/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2018年12月31日現在
(単位:十億ユーロ)
2018 年12月31日現在のオペレーティング・リース・コミットメント(借手)(注記46.1.1.3)
4.4
未認識契約(IFRS第16号免除規定) (0.1)
行使されることが合理的に確実である解約または延長オプションに該当する期間の差異 1.1
2019年1月1日後に利用可能な資産について2018年度に契約されたリース (0.3)
(0.1)
その他
2018 年12月31日現在のIFRS第16号に基づく割引前リース負債見積額
5.0
(0.5)
割引の影響
2018 年12月31日現在のIFRS第16号に基づく割引後リース負債見積額 4.5
1.2.4.2 IFRS第9号の改訂
欧州連合により2018年3月22日に採択されたIFRS第9号の改訂「負の補償特性を伴う期限前償還要素」は、2019年1月1日
から適用される。現在までに完了した取引に基づいて、当グループへの影響はないものと見込まれる。
1.2.4.3 IFRIC第23号「法人所得税の税務処理に関する不確実性」
欧州連合により2018年10月23日に採択されたIFRIC第23号「法人所得税の税務処理に関する不確実性」は、2019年1月1日か
ら適用される。
この解釈指針は、税務上の不確実性が伴う場合の法人所得税の認識および測定に関するIAS第12号「法人所得税」の規定の適
用を明確化している。2018年度における当グループの分析に基づけば、IFRIC第23号の導入は当グループに重要な影響を与えな
い予定である。
1.2.4.4 IAS第28号の改訂「関連会社および共同支配企業に対する長期持分」
欧州連合により2019年2月8日に採択されたIAS第28号の改訂は、関連会社または共同支配企業に対する純投資の一部を構成
するが持分法により会計処理されない当該関連会社または共同支配企業に対するその他の持分に対し、企業がIFRS第9号「金
融商品」を初度適用すべきことを明確化している。この基準は当グループに重要な影響を与えないものと見込まれる。
1.2.5 IASBによって公表されたが欧州連合によって未採択の基準および解釈指針
以下のIASB公表物は、欧州連合によってまだ採択されていないが、2019年1月1日、2020年1月1日または2021年1月1日
開始事業年度から適用される見込みである。当グループの財務諸表に与える潜在的影響を見積るために、現在分析を実施して
いる最中である。
・ IAS第19号の改訂「制度改訂、縮小又は清算」。IAS第19号は従前より、数理計算上の仮定の更新および確定給付制度に係
る負債(資産)純額の再測定を求めていた。当該改訂は、当該制度に影響を与える変更の日以降の確定給付に係る当期勤
務費用および利息費用純額を見積るために、会社がその数理計算上の仮定を当該会計期間中に更新しなければならない旨
を明確化している。
・ IFRSの年次改善2015-2017年サイクル。以下の改訂を含む。
・ IFRS第3号およびIFRS第11号:共同支配事業の当事者が持分の追加取得により独占的支配を獲得する場合、当該共同
支配事業の資産および負債に対する既存の持分は、純損益を通じて公正価値により再表示しなければならない。
・ IAS第12号:配当金分配の税務上の影響額は、それを生み出した取引の取扱いに応じて、純損益、その他の包括利益ま
たは資本に認識しなければならない。
・ IAS第23号:会社が建設中の資産に関し特定の借入金を有する場合、当該借入金に係る利息は、当該資産を意図した用
途に使用することが実質的に可能となるまでの間、当該関連資産に配分され、当該時点で、すべての一般借入金に係
る利息に含められる。
・ IFRS第3号の改訂「事業の定義」は、事業の取得と資産グループの取得との区別を明確化している。
・ 概念フレームワークの改訂(2018年3月29日に公表)。
・ IAS第1号およびIAS第8号の改訂「『重要性がある』の定義」。
・ IFRS第17号「保険契約」。
1.3 主要な会計処理および評価方法の要約
連結財務諸表中に表示されたすべての期間を通じて、以下の会計処理方法が継続して適用されている。
348/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
1.3.1 評価
連結財務諸表は取得原価基準で作成されているが、企業結合によって取得した資産および引き受けた負債ならびに一部の金
融商品は 公正価値基準で評価されている。
1.3.2 経営者の判断および見積り
当財務諸表の作成に際しては、資産および負債の評価、当期に計上された収益および費用の決定に当たり、判断、最善の見
積りおよび仮定を使用し、期末に存在する有利および不利な偶発事象を考慮することが要求される。当グループの将来の財務
諸表上の数値は、これらの仮定または経済状況の変化により、現在の見積りと大きく異なる可能性がある。
金融市場のボラティリティを特徴とする状況において、見積りを行うために使用したパラメータは、当グループの資産の超
長期サイクルに適合するマクロ経済の前提に基づいている。
当グループが見積りおよび判断を使用した主要な取引は以下の通りである。
1.3.2.1 フランスの原子力発電所の減価償却期間
フランスの原子力発電所の減価償却期間に関する特定のケースでは、EDFグループの産業戦略は、40年を超える期間にわた
り、安全性および効率性に関して最適な状態で、操業を続けることである。
2016年度に、技術上、経済上およびガバナンス上の条件がすべて充足されたことから、900MWシリーズの発電所(フェッセン
ハイムを除く)の減価償却期間が40年から50年に延長された。フランスにおける当グループのその他のシリーズ(1,300MWおよ
び1,450MW)は比較的新しく、延長の条件を充足していないため、現在その減価償却期間は40年のまま変更されていない。
これらの減価償却期間は、直近の10年検査後の電力網との結合組替日を考慮に入れている。
注記4.1に記載した通り、新たな複数年エネルギー計画(PPE)案の下で、2基の核原子炉が、一定の条件に従い、その第5
回10年検査に先立ち、2027年および2028年に閉鎖される予定である。これが採択された最終的なPPEにおいて追認されれば、関
連する2基に係る減価償却期間は将来に向かって変更される可能性がある。この状況により当グループ発電所の原子炉2基の
閉鎖が数年前倒しされることとなり、それが年間の減価償却費に与える潜在的影響は、閉鎖対象に選定される原子炉に依存す
るが、限定的なものと見込まれる。
当該PPE案はまた、フェッセンハイムの原子炉2基の閉鎖を、「設置済の原子力発電所に係る上限を適用して、フラマンヴィ
ルEPRの操業開始を可能とするため、2020年春までに行わなければならない」と規定している。フェッセンハイムの減価償却期
間は、現在2019年11月に終了する予定であるが、最終的なPPEの規定に準拠して、将来に向かって変更される可能性がある。
1.3.2.2 原子力引当金
核サイクル終了引当金ならびに廃炉および炉心核燃料引当金の測定は、技術的なプロセス、コスト、インフレ率、長期割引
率、稼働中の発電所の減価償却期間および支出スケジュールに関する仮定の影響を受ける。
注記4.1に記載した通り、新たな複数年エネルギー計画(PPE)案の下で、2基の核原子炉が、一定の条件に従い、その第5
回10年検査に先立ち、2027年および2028年に閉鎖される予定である。これが採択された最終的なPPEにおいて追認されれば、対
応する原子力引当金の金額が変更される可能性がある。この状況により当グループ発電所の原子炉2基の閉鎖が数年前倒しさ
れることとなり、それが原子力引当金に与える潜在的影響は、数10百万ユーロの増加および関連する貸借対照表資産の調整と
なる可能性がある。
そのため、最終的に当グループが負担するコストの最善の見積額を引き当てることを確保するために、決算日毎にこれらの
パラメータの見積り改定を行っている。
当グループは、2018年12月31日現在で使用された仮定を適切かつ妥当なものと考えている。しかしながら、将来これらの仮
定に変更がある場合には、当グループの貸借対照表および損益計算書に重要な影響を及ぼす可能性がある。
原子力引当金に関する主要な仮定および感応度分析については、注記29.1.5に記載されている。
349/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
引当金の算定には、関連する事業に関し適切に、ある程度のリスクおよび未知の事項が織り込まれる。費用の評価には、以
下のような不確定要素が伴う。
・ 特に安全、危機管理および環境保護、ならびに原子力費用の資金調達に関する規制の変更。
・ 行政上の許可を得るために必要な規制上の廃炉の手続および時期の変更。
・ 長寿命放射性廃棄物の将来の貯蔵方法、およびフランスの放射性廃棄物管理庁ANDRA(Agence Nationale pour la
Gestion des Déchets Radioactifs)による貯蔵施設の提供。
・ 割引率(特に規制上の制限との関係)、インフレ率等の一定の財務的パラメータの変動、または使用済燃料管理の契
約条件の変更。
1.3.2.3 年金ならびにその他長期および雇用後給付 債務
年金ならびにその他長期および雇用後給付債務の価額は、使用されたすべての数理計算上の仮定、特に割引率、インフレ率
および昇給率に関する仮定の影響を受ける数理計算上の評価に基づいている。
2018年12月31日現在のこれらの雇用後および長期給付の計算に使用された数理計算上の主要な仮定は注記31に記載されてい
る。これらの仮定は毎年更新される。当グループは、2018年12月31日現在で使用された数理計算上の仮定は適切かつ十分な裏
付けがあると考えているが、将来これらの仮定に変更がある場合には債務の金額ならびに当グループの自己資本および純利益
に重要な影響を及ぼす可能性がある。そのため、注記31に感応度分析が記載されている。
1.3.2.4 のれんおよび長期資産 の減損
のれんおよび長期資産の減損テストは、使用されたマクロ経済およびセグメントに関する仮定、特にエネルギー価格の動向
に関する仮定ならびに中期財務予測の影響を受ける。 そのため、当グループは、定期的に更新される情報に基づき、基礎とな
る見積りおよび仮定を改定している。
これらの仮定は、当グループ固有のものであり、注記13に記載されている。
1.3.2.5 金融商品
非上場の金融商品 (原則としてエネルギー契約)の公正価値を測定する際に、当グループは、予測できない展開を示し得る一
定数の仮定に基づく評価モデルを使用している 。
1.3.2.6 供給済であるが未計測かつ未請求のエネルギー
注記1.3.7に記載するように、供給済であるが未計測かつ未請求のエネルギーの量は、報告日現在で、消費統計モデルおよび
販売価格の見積りを基に計算される。期末日現在の未請求の売上部分の決定は、これらの統計や見積りを行うに当たり使用さ
れる仮定の影響を受ける。
1.3.2.7 取替予定のフランス公共配電委譲資産に関する債務
フランス公共配電委譲に特有の性質を考慮して、当グループは委譲資産の更新債務を、委譲者向けの年次事業報告書で計
算・開示されている契約上のコミットメント金額に基づく価額で貸借対照表に表示することを選択している(注記1.3.13.2.1
を参照)。別のアプローチによれば、この債務は、工業用の耐用年数到来時においてこれらの資産の取替に必要とされる将来
支払額の現在価値に基づき評価されることになる。この別のアプローチが諸勘定に与えたであろう影響は、参考情報として注
記1.3.23に記載されている。どの評価方法が使用されたとしても、取替予定資産に関する委譲負債の測定は、特にコスト、耐
用年数および支出日についての予見できない変動の影響を受ける。
1.3.2.8 繰延税金資産
回収期間に関する見積りと仮定の使用は、繰延税金資産の認識に当たり特に重要である。
1.3.2.9 その他の判断
・ IFRS第10号およびIFRS第11号の適用に当たり、当グループは、判断を用いて支配の判定または共同で支配される事業体
に代表されるパートナーシップの取決めの種類の分類を行っている。
特に、EDFは、原子力発電所の廃炉費用および放射性廃棄物長期貯蔵費用の財源確保のために取り置いた資金の一部に
ついて「専用」投資ファンドを設定している(注記45.3を参照)。当該ファンドの特性、ファンド・マネジャーの行使
する権限および適用可能な運用戦略決定の手続に鑑み、当グループはこれらのファンドに対し、IFRS第10号に定義する
350/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
支配を有しないと考えている。従って、当該ファンドはIFRS第9号を適用して負債証券または持分証券として会計処理
されている。
さらに、2014年度以降、当グループは子会社であるEdisonを通じてEdensに対する投資の30%を保有しており、また、
当グループの他にF2iも同社に対する投資を保有している。ただし、この取引に関連してEdensに関する統治契約および
契約上の合意がなされたことにより、Edisonは、同社に対する独占的支配を与えられている。従って、Edensは、IFRS第
10号を適用して当グループの連結財務諸表に(Edisonを通じて)完全連結されている。
・ 特定の取引に適用可能な基準または解釈指針がない場合には、当グループは、判断によって、財務諸表作成のための目
的適合性があり信頼性のある情報を提供する会計処理方法を定義して適用する。
1.3 .3 連結方法
主要な子会社、関連会社および共同支配企業の一覧は注記51に記載されている。
1.3.3.1 被支配企業
子会社は、当グループが独占的支配を行使する会社であり、完全連結されている。当グループは、以下の3つの条件が充足
された場合に、当該企業を支配している。
・ 当該企業に対するパワーを有している。
・ 当該企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャーまたは権利を有している。
・ 投資者のリターンの金額に影響するようにパワーを用いる能力を有している。
当グループは、支配の判定に際し、すべての事実および状況を考慮する。他の当事者による行使の場合も含め、すべての実
質上潜在的に行使可能である議決権も考慮される。
1.3.3.2 関連会社および共同支配企業に対する投資
関連会社は当グループが財務および営業の方針に重要な影響力を行使するが独占的支配または共同支配のいずれも有してい
ない企業である。当グループの投資が20%以上である場合には、重要な影響力が存在すると推定される。
共同支配企業は、当該企業に対して共同支配を行使する当事者(共同支配投資者)が、当該企業の純資産に対する権利を有
しているパートナーシップである。共同支配とは、少数のパートナーまたは株主によって共同で運営される企業の支配を共有
する契約上の合意であり、そのため、財務および営業の方針は当事者全員の同意による。
関連会社および共同支配企業に対する投資は持分法により会計処理されている。これらは、取得後に生じた純資産に対する
持分の調整後、該当する場合には減損控除後の取得原価で貸借対照表に計上される。純利益に対する持分は、損益計算書の
「関連会社および共同支配企業の純利益に対する持分」に計上される。
1.3.3.3 共同支配事業に対する投資
共同支配事業は、当該事業体に対して共同支配を行使する当事者(共同支配事業者)が、当該事業体の資産に対する直接的
な権利および負債に対する義務を有している共同支配の取り決めである。当グループは、共同支配事業の事業者として、その
投資に関連する資産および負債ならびに収益および費用を勘定科目ごとに報告する。
1.3.4 財務諸表の表示規則
企業の正常営業循環過程の中で使用される運転資本に関係する資産および負債は、連結貸借対照表上、流動項目として分類
される。その他の資産および負債は、決算日から1年以内に満期が到来する場合には流動項目として、決算日から1年を超え
て満期が到来する場合には非流動項目として分類される。
損益計算書は、項目の性質により表示される。減価償却費および償却費控除前営業利益の下にある「その他の収益および費
用」は、非経常的な性質または金額の項目から構成される。
1.3.5 換算方法
1.3.5.1 報告通貨
親会社の機能通貨は ユーロである。当グループの財務諸表は、百万ユーロ単位で表示されている。
351/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
1.3.5.2 機能通貨
企業の機能通貨は、その企業が主として営業活動を行う経済環境の通貨である。 ほとんどの場合、機能通貨は現地通貨であ
るが、企業によっては、その主要な取引に用いられる通貨であれば、現地通貨以外の機能通貨が使用される場合もある。
1.3.5.3 機能通貨がユーロでない 外国会社の財務諸表の換算
機能通貨がユーロでない外国会社の財務諸表は、以下の通り換算される 。
・ 貸借対照表は決算日レートでユーロに換算される。
・ 損益計算書およびキャッシュ・フロー計算書は期中平均レートで換算される。
・ その結果生じる差額は、自己資本の「換算調整」に計上される。
連結された外国会社に対する当グループの純投資の不可欠な一部である貨幣性項目に影響する換算調整は、その純投資が売
却または清算されるまで、連結自己資本に含められる。当該売却または清算日に、これらはその会社に関する他の換算差額と
同様に、損益計算書に収益または費用として認識される。
1.3.5.4 外貨建取引の換算
IAS第21号を適用して、外貨建取引は当初は取引日レートによりその関連する企業の機能通貨に換算されて記録される。
外貨建の貨幣性資産および負債は、毎報告日に決算日レートで換算される。その結果生じる外国為替差額は、損益計算書に
計上される。
IFRIC第22号を適用して、外貨建ての非貨幣性前渡・前受対価の支払または受取は、取引日現在の為替レートで換算し、後日
の修正は行わない。
352/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
1.3.6 関連当事者
関連当事者には、フランス政府、政府が持分の過半数を所有する会社およびその会社の一定の子会社、ならびにEDFグループ
が共同支配するか、または重要な影響を与える会社が含まれる。これにはまた、当グループの経営および統治機関の構成員が
含まれる。
1.3 .7 売上高
売上高は、基本的に、エネルギー販売(最終顧客向けおよびトレーディング活動の一環としての)、送配電網の使用に関
連した引渡しサービス、ならびに接続サービスによる収益から成る。これらはまた、その他のサービスおよび財の引渡しによ
る収益、主にエンジニアリング、運営および保守サービス、エネルギー販売に関連したサービス、発電所またはその主要部品
向けの設計、引渡しおよび試運転サービスによる収益を含む。
エネルギー販売に係る収益は、顧客への引渡しが実行された時点で認識される。
供給済であるが未計測かつ未請求のエネルギーの量は、消費統計および販売価格見積りを用いて計算され、これに基づいて
売上高に認識される。
IFRS第15号の本人か代理人かの区別に係る規定に準拠して、エネルギー引渡しサービスは、以下のいずれかに該当する場合
に、売上高に認識される。
・ これらのサービスを、エネルギー供給サービスと区別できない場合、または
・ エネルギー供給サービスと区別でき、特にサービス実施のリスクを負担するかまたは最終顧客への引渡し料金を設定
できることを理由に、当該事業体が本人とされる場合。
一部のグループ企業がそのリスク管理方針の下で実施するエネルギー・トレーディング業務および最適化取引は、購入額差
引後の純額で認識される。
その他のサービスまたは財の引渡しによる売上収益は、契約の分析に基づき、以下の3つの場合に、時の経過に従って認識
される。
・ 当グループがサービスを実施した時点で、顧客が同時に、当該サービスにより生み出されるすべての便益を受け取
り、かつ費消する場合(特に運営および保守サービスの場合)。
・ 供給する財またはサービスを他の顧客に再配分できず、当グループがその時点までに実施した作業に対する支払いを
受ける権利を有する場合(特に発電所または一顧客のために特別に設計された主要部品向けの一定の設計、引渡しお
よび試運転業務の場合)。
・ 当該サービスが資産(財またはサービス)を生み出すかまたは資産の価値を高め、顧客が当該サービス実施の進捗に
応じて、その支配を獲得する場合。
1.3 .7.1 発電容量メカニズム
発電容量メカニズムは、フランスおよび英国において、ピーク期間中の電力供給の確保を確実にする目的で設定された。
・ フランスのシステム :電力市場の新組織に関するフランスの2010年12月7日付法律2010-1488により、フランスでは、
2017年1月1日から、電力供給の確保に貢献する義務が導入された。
発電施設事業者および電力平均分配の管理者は、発電容量についてRTEの認証を受け、所定の引渡し年度に係る安定供
給の予測水準を確約しなければならない。この見返りとして、これらの管理者は発電容量証書を受け取る。一方、電力
供給業者および電力網損失を補うための電力購入者(義務対象参加者)は、ピーク期間中における自社の顧客による消
費と同等の発電容量証書を有していなければならない。供給業者は発電容量メカニズムのコストを、販売価格を通じて
最終顧客に転嫁する。
当該システムは、参加者間の売買発電容量の登録により完成される。発電容量競売は年に数回開催される。
当グループは、当該システムの両面、すなわち発電施設事業者(EDF SA、Dalkia、EDF Renewables(旧EDF Énergies
Nouvelles))としての側面、ならびに電力供給業者(EDF SA、Électricité de Strasbourg)および電力網損失を補う
ための電力購入者(EnedisおよびÉlectricité de Strasbourg)としての側面で、これに関連している。
353/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
この取引は、以下のように計上される。
・ 証書の売却は、競売または店頭市場における売却時に収益に認識される。
・ 規制販売料金および提示市場価格により最終顧客に転嫁される発電容量メカニズムのコストは、電力の引渡時に売
上収益に認識される。ただし、ARENHシステムに係る発電容量保証の譲渡条件はCREにより定められたため、発電容
量メカニズムが発効した2017年1月1日以来、ARENH価格には発電容量価額が含まれている。
・ 証書の在庫は、証書価値(すなわち、RTEによる認証のコスト)または市場における購入価額のいずれかにより計上
される。
・ 証書在庫の減少は、加重平均単価により評価される。認識時期は、参加者により異なる。
・ 施設事業者:競売による売却時。
・ 義務対象参加者:5か月のピーク期間にわたり定額法により配分される。
・ 義務対象参加者は、発電容量証書の在庫が不足した場合に、義務の解消に要する費用の最善の見積額相当の引当金
を計上する。
・ 決算日現在で、発電容量証書の在庫の実現可能価額が正味帳簿価額を下回る場合には、減損が認識される。
・ 英国のシステム :英国の発電容量メカニズムは、引渡しの4年前に電力網管理者により組織された、事業者向け競売シ
ステムに基づいている。証書を取得した発電容量事業者は、引渡し年度において、電力供給業者の拠出金から成るファ
ンドより報酬を受け取る。
このメカニズムへの電力供給業者の拠出金は、ピーク期間中の顧客への売上高に比例し、発電容量メカニズムのコス
トは、販売価格を通じて最終顧客に転嫁される。
EDF Energyは、当該システムの両面、すなわち発電施設事業者および供給業者としての側面で、これに関連してい
る。
会計処理上は、事業者の立場で受け取った報酬は引渡年度に売上収益に認識され、電力供給業者の立場でこのメカニ
ズムに支払った拠出金はピーク期間にわたり費用に認識される。最終顧客に転嫁される発電容量メカニズムのコスト
は、電力引渡し時に売上収益に認識される。
英国の発電容量市場は、国の補助金に関するEU規則に準拠していないと結論付けた欧州司法裁判所の判決の後、2018
年11月15日付で一時停止された。英国政府は、2019/2020年の引渡期間に向けた2019年夏の追加競売に間に合うよう、新
たなメカニズムの立ち上げを目指している。2018年度の一時停止期間中には、発電容量市場収益は認識されていない。
1.3.8 法人所得税
法人所得税には当期税金費用(収益)および繰延税金費用(収益)が含まれ、その金額は利益に対する課税が行われる国々で施
行されている税法に基づき計算される。
IAS 第12号に準拠して、当期および繰延税金は通常、その基礎となる取引に応じて、損益計算書または自己資本に計上され
る。
IAS第32号に基づき、資本性金融商品の保有者に対する分配(特に、配当金および永久劣後債の保有者に対する支払)の税効
果は、IAS第12号に従って認識しなければならない。当グループは、これらの分配は過年度の累積利益からの支払であるため関
連する税効果は当期の純利益に含まれると考えている。
当期税金費用(収益)は、当期の課税所得に係る納税額の見積金額であり、年度末に適用される税率を使用して計算される。
繰延税金は、資産および負債の帳簿価額と税務上の価額との間の一時差異に起因する。 繰延税金は以下により生じた一時差
異に対しては認識されない。
・ 税務上損金算入できないのれん
・ 企業結合に該当せず、取引日現在で会計上の利益または課税所得(税務上の欠損金)に影響しない取引における資産また
は負債の当初認識
・ 当グループが一時差異の解消時期を決めることができ、その一時差異が予見可能な将来には解消しない可能性が高い場
合の子会社および関連会社に対する投資、支店に対する投資ならびに共同支配の取決めに対する持分
354/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
繰延税金資産および負債は、期末日現在で適用される税率に基づき、資産が実現する期または負債が消滅する期の予想税率
によって評価される。 税率が変更された場合には、繰延税金は新たな税率により修正され、修正差額は、数理計算上の損益ま
たはヘッジ手段および負債証券もしくは持分証券の公正価値の会計処理など、その基礎となる項目の価額の変動が自己資本に
計上される場合を除き、損益計算書に計上される。
繰延税金は毎決算日に見直され、税法の改正および将来減算一時差異の回収見込みが勘案される。繰延税金資産は、当グ
ループがその資産の便益を利用できる十分な課税所得を予見可能な将来に生み出す可能性が高い場合に限り認識される。ただ
し、期限が同じ繰延税金負債があれば、より長期的に考慮される。
繰延税金資産および負債は、納税企業または納税グループのレベルで算定され、純額で表示される。
1.3.9 1株当たり利益および希薄化後1株当たり利益
1株当たり利益は、純利益の当グループ持分を期中の加重平均社外流通株数で除して計算される。この加重平均社外流通株
数は、期首の普通株式数に期中に買戻しまたは発行された株数を調整したものである。
この株数および1株当たり利益は、必要に応じて、希薄化効果のある潜在株式(発行済のストック・オプション、新株予約
権および転換社債など)の転換または行使の影響を反映して調整される。
IAS第33号に準拠して、1株当たり利益および希薄化後1株当たり利益は、永久劣後債の持参人に対する支払額を控除後の当
期純利益に基づいている。
1.3.10 企業結合
IFRS 第3号を適用して、2010年1月1日以後実施される企業結合は、以下の原則に基づき測定・認識されている。
取得日現在で、識別可能な取得資産および引受負債は公正価値で測定され、被取得企業の非支配持分(少数株主持分)があ
ればすべて、のれんとは別に記録される。
非支配持分は、公正価値(全部のれん方式)または被取得企業の純資産の公正価値の持分割合(部分のれん方式)のいずれ
かによる評価が認められる。この決定は取引毎に行われる。
支配に影響しない子会社への投資の取得または処分は株主との取引とされ、直接自己資本に計上されなければならない。
共同支配企業、共同支配事業または関連会社の追加持分を取得するが支配を獲得しない場合には、連結財務諸表上、以前に
取得した資産負債の価額に変更はない。
支配を段階的に獲得する場合には、企業結合の原価には、被取得企業に対するその時点までの取得者の保有持分の支配獲得
日現在の公正価値が含まれる。
支配を獲得する取得に直接起因する関連コストは、IAS第32号およびIFRS第9号に準拠して計上が求められる債券または資本
性金融商品の発行費を除き、発生した期間の費用として扱われる。
IFRS第3号は共通支配下の企業結合には適用されない。共通支配下の企業結合については、個々に分析を行い、適切な会計
処理が決定される。
当グループが支配する会社の少数株主持分を購入するという当グループが付与したコミットメントは負債に含まれている。
IAS第27号(改訂後)およびIFRS第3号(改訂後)の当グループによる初度適用日である2010年1月1日以降に付与されたこの
種のコミットメントについては、非支配持分の価額とコミットメントに対応する負債との間の差額は自己資本に計上されてい
る。
1.3.11 のれんおよびその他の無形資産
1.3.11.1 のれん
355/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
1.3.11.1.1 のれんの決定
IFRS第3号「企業結合」を適用して、のれんは以下の差額とされる。
・ 以下の項目の総計
・ 支配獲得のために支払われた対価の取得日における公正価値。
・ 取得した被取得企業における非支配持分の価額。
・ 段階的に達成される取得の場合には、被取得企業に対する支配獲得前の当グループ持分の取得日における公正価
値。
・ 取得日の公正価値により測定した、取得資産および引受負債の正味の金額。
当該差額がマイナスとなる場合には、直ちに純利益に算入される。
資産および負債の公正価値ならびに結果として生ずるのれんは、取得後12か月以内に確定される。
1.3.11.1.2 のれんの測定および表示
子会社の取得に係るのれんは、貸借対照表上、区分表示される。 こののれんの 減損 は、損益計算書の「減損」に計上され
る。 当初認識の後、のれんは、減損が認識されている場合はそれを控除後の取得原価で計上される。
関連会社および共同支配企業の取得に係るのれんは投資の正味帳簿価額に含まれる。 こののれんの減損は、「関連会社およ
び共同支配企業の純利益に対する持分」に含まれる。
のれんは償却されないが、注記1.3.15に記載されているように、減損の兆候がある場合は速やかに、また、少なくとも毎
年、減損テストが実施される。
1.3 .11.2 その他の無形資産
1.3.11.2.1 研究開発費
研究費は、発生した期において費用として認識される。
IAS第38号の下で資産計上に適格な開発費は、無形資産に計上され、予測可能な有効期間にわたり定額法で償却される。
1.3.11.2.2 その他の自己創設または買入無形資産
その他の無形資産は、主に以下のものから構成されている。
・ ソフトウェア。これは耐用年数にわたり定額法で償却される。
・ 有効期間を決められないか、有効期間にわたり定額法で償却される買入ブランド。
・ 発電所の操業または使用権。これらはその基礎となる資産の耐用年数にわたり定額法で償却される。
・ 炭化水素関連の委譲に関する権利またはライセンス。これらは生産高比例法(UOP)によって償却される。探査費用
は、当該年度にわたり償却される(注記1.3.11.2.3を参照)。
・ 環境規制に関連する無形資産(有償で取得した温室効果ガス排出権および再生可能エネルギー証書―注記1.3.27を参
照)。
・ IFRS第3号の対象となる企業結合の一部として公正価値で計上されたエネルギー購入/販売契約のプラスの価額。この
価額は契約に基づく引渡しに応じて償却される。
・ IFRIC第12号の対象となる委譲契約に関連する資産で「無形資産モデル」の対象となるもの(注記1.3.13.2.4を参
照)。
・ 原子力蒸気供給システムの設計者および供給業者ならびに制御ロッドクラスタおよび核燃料の製造業者としての業務
に関連する技術(Framatome)。コードおよび手法、EPR技術、特許ならびに製造プロセスを含み、すべて耐用年数に
わたり償却される。
・ 購入顧客契約および関係。耐用年数にわたり償却される。
1.3 .11.2.3 炭化水素の試掘、探査および産出
当グループはIFRS第6号「鉱物資源の探査および評価」を適用している。
356/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
試掘および探査費用ならびに地質調査、探査試験、地質・地球物理図作製および試掘に関連して発生する費用は無形資産と
して認識し、発生年度に全額償却する。
商業的実用化が可能な鉱泉に関連する開発費および炭化水素を抽出して貯蔵する施設への投資は、「グループ所有発電用有
形固定資産およびその他の有形資産」または適切な場合には「その他の業務に係る委譲運営有形固定資産」として認識され
る。
これらは生産高比例法(UOP)によって償却される。
1.3.12 委譲運営資産、発電用資産およびその他の有形固定資産
当グループの有形固定資産は、事業およびその使用に関する契約の状況に応じて、3つの貸借対照表科目として報告されて
いる。
・ フランスの公共配電委譲運営有形固定資産
・ その他の業務に係る委譲運営有形固定資産
・ グループ所有発電用有形固定資産およびその他の有形資産
1.3.12.1 当初測定
有形固定資産は、取得原価または製造原価で計上される。
・ 内部で建造された施設の原価には、すべての労務費および材料費ならびに当該資産の建設に含めることが可能なその他
すべての製造費用が含まれる。
・ 資産の資金調達に起因する、建設期間中に発生した借入コストは、その資産がIAS第23号「借入コスト」に定義される適
格資産である場合には、資産の価額に含められる。
・ 有形固定資産の取得原価には、廃炉費用の当初見積額も含まれる。 これらの資産は廃炉義務に対して計上された引当金
の見合いとして計上される。 有形固定資産は、操業開始日に、対応する引当金と同様の方法で測定され、計上される(注
記1.3.21を参照)。
・ 原子力発電施設の廃炉費用には、炉心核燃料費用も含まれる(注記1.3.21を参照)。
発電所の廃炉費用の一部がパートナーによって負担される場合には、予想される補填額が未収収益として資産に認識され
る。引当金と未収収益との間の差額は有形固定資産として記録され、その後のパートナーによる支払額は未収収益から控除さ
れる。
当グループは、遵守しないと行政による操業禁止の制裁措置を受ける法律上および規制上の義務の結果発生する安全対策費
用を資産計上している。
発電施設の戦略上重要な安全部品は有形固定資産として扱われ、施設の残存耐用年数にわたって減価償却される。
発電資産による操業継続に不可欠な主要な点検の費用は資産計上され、点検と次の点検の間の経過期間に対応する期間にわ
たり償却される。
資産の一部分の耐用年数が資産全体の耐用年数と異なる場合、当該部分は資産の構成部分として識別され、特定の期間にわ
たって減価償却される。
1.3.12.2 減価償却費
有形固定資産の各項目は、耐用年数にわたり、定額法で減価償却される。 耐用年数とは、当グループがその資産の使用から
将来の経済的便益の享受を期待できる期間と定義される。
各国の特定の規則および契約条項により、主要な施設の見積耐用年数は以下の年数となっている。
・水力発電ダム :75年
・水力発電所において使用される電気機械設備 :50年
・化石燃料火力発電所 :25~45年
・原子力発電所
・フランス :40~50年
357/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・国外 :35~60年
・送電および配電設備(電線、変電所) :20~50年
・風力発電所および太陽光発電設備 :20~25年
・その他の一般プラントおよび機械 :10~20年
1.3.13 委譲契約
1.3.13.1 会計処理
公共・民間契約の会計処理は、その契約の性質と具体的な契約特性に依存する。
温熱発電および配電に係る委譲を除き、委譲の大部分については、委譲者は実質的にIFRIC第12号に定義されるインフラに対
する支配の性質を持たないと当グループは考えている。
1.3.13.2 フランスにおける委譲
フランスにおいて、当グループは、以下の4種類の公共サービス委譲の運営者となっている。
・ 委譲者が地方当局(市町村または複数の市町村の共同)である公共配電委譲。
・ 委譲者が国である水力発電委譲。
・ 国からの委譲に基づいて運営する公共送電網。
・ 公的委譲者からの温熱発電および配電に係る委譲。
358/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
1.3.13.2.1 公共配電委譲
背景の概要
フランスの1946年4月8日付法律の制定以来、EDF、次いでEnedisは、フランスにおける大半の公共配電網の運営者となって
いる。
フランスのエネルギー法および地方自治体法に準拠して、公共配電は、主として、公共サービス委譲の特定のシステムの下
で運営されている。委譲当局(地方自治体または地方自治体間の連携のための公的機関)は、委譲者および運営者の各々の権
利および義務を定めた明細書を付した委譲契約を通じて、公共配電サービスを構築する。その結果、Enedisは、フランス本土
の人口の95%に配電している。他の5%については地方配電会社によるサービスが提供されている。
委譲の会計処理は委譲契約に基づいており、その特別な条項を参照することとしている。これは、EDFが、いつか権限を与え
られた唯一の国家の委譲運営者としての地位を喪失する可能性を考慮したものである。
委譲契約モデル
Enedisの委譲契約は、その署名日に応じて異なるモデルに対応している。
1992 年委譲契約モデル(2007年更新)
1992年の委譲明細書モデル(2007年更新)は、FNCCR(全国委譲元当局連合会- Fédération Nationale des Collectivités
Concédantes et Régies)との間で協議され、公的機関により承認された。このモデルはEnedisに、産業的減価償却費の計上と
更新引当金の計上を義務付けている。
2017 年委譲契約モデル
2017年12月21日に、新たな委譲契約モデルに関する枠組契約が、FNCCRおよびフランス都市との間で署名された。この新モデ
ルは、Enedisと委譲者との間の長期的な関係を最新化し、フランス配電委譲の原則、即ち、公共サービス、地域の連帯および
国家の最適化への各当事者のコミットを反映している。FNCCRおよびフランス都市は委譲者、特に公共配電委譲を行う能力ある
当局である場合の、町、複数の市町村の共同、市および主要都市を代表している。
2018年以降、新たに署名される委譲契約は、2017年12月21日付で発効した委譲契約モデルを適用する。新契約の発効日現在
において、従前の委譲契約を適用して計上された、委譲資産に対する委譲者の権利を表す既存の特定委譲負債は、当該勘定に
残される。2011年以降に署名された以前の委譲契約と同様に、更新引当金を計上する契約上の義務は今後適用されず、投資の
ガバナンスも異なる。
効果的な公共サービスを提供するため、配電網運営者および委譲者は現在、社会基盤の更新を含め、委譲対象地域の公共配
電網への投資を監督するガバナンス・システムを共同で立ち上げることに合意している。このシステムは主に、委譲対象地域
の配電網の展開という長期的視野に立った基本計画、および基本計画を中期計画に適用した4~5年の複数年投資計画(PPI)
という形を取っている。PPIには、投資目的ごとに、当該計画期間に係る財務上の評価を伴う数値化された地域限定的な投資の
選定に関する詳細な目標が含まれる。PPI終了時において計画された投資の一部が未だ実施されていないと観察された場合に
は、その委譲者は一定の環境において、Enedisに対し、実施予定投資の7%に相当する合計額の預け金差入れを命令する権利
を有する。この預け金は2年後において、その時点までに実施された投資に応じて、返金または留保される。
フランスの公共配電委譲運営有形固定資産としての資産の認識
EDFグループがフランスの公共配電委譲に使用するすべての資産は、委譲者と運営者のいずれが所有するかを問わず、取得原
価または委譲者から提供された場合には移管日現在の見積価額により、貸借対照表の資産における個別項目として一括して報
告されている。
1.3.13.2.2 水力発電委譲
水力発電委譲は政令により承認された標準規則に従っている。水力発電委譲資産は、初回委譲については水力発電設備(ダ
ム、配管、タービン等)のみから成る。その他の委譲では、水力発電設備および交換機(交流発電機等)から成る。
これらの委譲に使用される資産は、委譲契約下で運営されるかEDFグループが所有するかに関わらず、「その他の業務に係る
委譲運営有形固定資産」に取得原価で計上されている。
359/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
水力発電委譲は、水力発電利用に関するフランスの1919年10月16日付法律に従い、当初期間75年を有する。2012年より前に
満了した水力発電委譲の大半は、30~50年の期間で更新された。ただし、フランス政府は、満了した委譲12件の更新をしてい
な い。これらの委譲はその満了以来、法律に定義する「継続延長」状態にあり、当該規定によれば、委譲の満了日において新
たな委譲が設定されていない場合には、当面の運営の継続性を確保するため、「当該委譲は、新たな委譲が行われるまでの
間、既存の条件にて延長される」(フランスのエネルギー法第L.521-16条第3段)。
1.3.13.2.3 公共送電委譲
フランスの法律に基づき、公共送電委譲用資産はRéseau de Transport d'Électricité (RTE) に帰属する。これらの資産は、
連結貸借対照表上、CTEの持分法価額の計算に含まれている。
1.3.13.2.4 温熱発電および配電委譲
Dalkiaと公的機関との間で締結された温熱発電および配電委譲契約は、当該機関から付託されたか、または当該機関の要請
に基づき建設された施設を、限定された期間にわたり、委譲者の監督下において運営する権利を与えるものである。
これらの契約は、報酬および契約終了時の委譲者または他の委譲後継営業者への施設引渡しの条件について定めている。
当該資産は、IFRIC第12号「サービス委譲契約」に従って、無形資産として計上されている。
1.3.13.3 外国における委譲
外国における委譲は、様々な契約および各国の法律の規制を受ける。外国における委譲運営資産の大部分は、「その他の業
務に係る委譲運営有形固定資産」として計上されている。外国における委譲は、実質的に、炭化水素産出地、ガス貯蔵所、地
域ガス輸送網および水力発電所を委譲に基づき運営するイタリアのEdisonに関係している。 Edison は基本的にすべての資産を
所有しているが、水力発電所の有形固定資産の一部は所有しておらず、当該資産は委譲終了時に無償または補償金とともに委
譲者に返還される予定である。 IFRIC第12号に従って、特定の委譲契約は無形資産として計上されている。
委譲満了時に無償で返還される予定の水力発電資産は委譲期間にわたって減価償却される。 炭化水素 産出地は当該産業に適
用される規則に従って計上されている(注記1.3.11.2.3を参照)。
1.3 .14 リース
当グループは事業の過程でリース契約により自ら資産を使用し、また、賃借人に資産を使用させている。 これらの契約につ
いては、ファイナンス・リースかオペレーティング・リースかの判定に当たり、IAS第17号に記載された状況および規定された
指針に基づき分析している。
1.3 .14.1 ファイナンス・リース
リース資産の所有に伴うすべてのリスクおよび便益が実質的に賃借人に移転される契約は、ファイナンス・リースとして分
類されている。契約により実質的にすべてのリスクおよび便益が移転するかどうかの判断に際して検討する主な基準は、以下
の通りである。
・ リース資産の経済的耐用年数のリース期間に対する比率。
・ 将来の割引後支払総額の調達された資産の公正価値に対する比率。
・ リース終了時に所有権が移転するか否か。
・ 購入オプションが有利な条件であるか否か。
・ リース資産の特有の性質。
ファイナンス・リース資産は、賃貸人の貸借対照表で認識中止され、賃借人の勘定における有形固定資産の適切な区分に含
められる。 これらの資産はその耐用年数、または当該リース契約の契約期間が耐用年数よりも短い場合は契約期間にわたり、
減価償却される。
対応する金融負債が賃借人によって、また、金融資産が賃貸人によって計上される。
当グループがファイナンス・リース契約となるセール・アンド・リースバック取引を行った場合、これは上記の原則に従い
認識される。譲渡価格が資産の帳簿価額を上回る場合、その差額は繰り延べられ、リース期間にわたり、収益として認識され
る。
360/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
1.3 .14.2 オペレーティング・リース
ファイナンス・リースに該当しないリース契約はオペレーティング・リースとして分類および認識される。賃借料はリース
契約期間にわたり定額法で計上される。
1.3.14.3 リースを含む契約
IFRIC 第4号に従い、当グループは、法形式上はリース契約ではないが、資産または特定の資産グループの使用を支配する権
利を購入者に与える契約を識別している。
こうした契約はリースとして扱われ、IAS第17号に基づき、ファイナンス・リースまたはオペレーティング・リースに分類さ
れる。
1.3 .15 のれん、無形資産および有形固定資産の減損
当グループは、年度末および各中間報告日現在で、IAS第36号を適用して、資産が著しく減損している可能性を示す兆候の有
無を評価している。減損テストはまた、有効期間が確定できない無形資産を含むか、のれんの一部もしくは全部を配分した資
金生成単位(CGU)またはCGUグループにつき、少なくとも年に一度行われる。
減損テストは、以下のように行われる。
・ 当グループは、長期資産の減損を測定するに当たり、その資産およびのれん(必要に応じてCGUにグループ化される)
の帳簿価額と回収可能価額とを比較する。
・ CGUは識別可能な独立したキャッシュ・フローを生む同種資産のグループである。これらは当グループにおける活動の
管理方法を反映する。すなわち、その活動が下位企業集団全体を横断して最適化されているときは下位企業集団の場
合もあり、別個に管理される異種の活動(化石燃料火力発電、再生可能エネルギー生産、サービス)に対応して下位
企業集団の部分ごとに形成されるCGUの場合もある。のれんは取得に起因するシナジーの便益を受けるCGUに配分され
る。
・ これらのCGUの回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値と使用価値の高い方である。この回収可能価額が貸借対照
表上の帳簿価額を下回る場合、差額相当額が「減損」に計上される。当該損失は、最初にのれんに配分され、残額が
あれば、関係するCGUのその他の資産に配分される。
・ 公正価値は、経済主体間の通常の取引における当該資産の潜在的な売却価格である。
・ 使用価値は、以下の予測将来キャッシュ・フローに基づいて算定される。
・ 資産の耐用年数および/または操業可能期間と首尾一貫した期間にわたり、
・ 有効期間が確定できない一定の無形資産(ブランド等)については、観察可能な期間またはモデル期間以降
は、基準キャッシュ・フローの割引永続価値により最終価値を算定する。
・ 評価日現在で未決定であった開発プロジェクトを除外し、
・ 資産またはCGUのリスク・プロファイルを反映した割引率で割り引く。
・ 使用される割引率は、関係する各資産または資産グループに係る加重平均資本コスト(WACC)に基づいており、これ
は、地域毎および事業セグメント毎にCAPMによって決定される。WACCは税引後で計算される。
・ 将来キャッシュ・フローは、評価日現在で入手可能な最善の情報に基づいて算定される。
・ 最初の数年間のキャッシュ・フローは、中期計画(MTP)に対応する。MTP対象期間にわたり、エネルギーおよびコ
モディティ価格は、ヘッジを考慮に入れ、入手可能な先渡価格に基づいて決定される。
・ MTP対象期間を超える期間のキャッシュ・フローは、各国および各エネルギーについての長期の仮定を基礎とし
て、年次で更新される手続を用いて見積られる。中長期の電力価格は、需給バランスを基礎的なモデルとし、一連
の仮定、例えば、経済成長、コモディティ(石油、ガス、石炭)および二酸化炭素価格、電力需要、相互接続、な
らびにエネルギー構成の推移(再生可能エネルギーの上昇、原子力発電容量の導入等)を組み込んで、分析的に構
成される。当グループは、各仮定対象について、特に外部の分析を参照する。例えば、電力価格の主要な要素であ
るコモディティおよび二酸化炭素については、当グループは自社のシナリオと、AIE、IHSまたはWood Mackenzie等
の組織が作成したシナリオとを、個々の分析自体が異なるマクロ経済環境に対応した円錐状のシナリオを提示して
いることを念頭に比較する。
361/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・ 発電資産の評価には、発電容量の市場メカニズムによる収益もまた、関連する国が発電容量の報酬メカニズムを導
入済みまたは将来の導入を発表済みであることを前提として、該当する場合にはMTP期間から考慮される。
これらの計算は、複数の変数の影響を受ける。
・ 割引率の 変動
・ エネルギーおよびコモディティの市場価格の変動、ならびに料率規制の変更
・ 需要および当グループのマーケット・シェア、ならびに顧客ポートフォリオの解約率の変動
・ 施設の耐用年数または該当する場合には委譲契約期間
・ 考慮に入れた中期計画期間以降の成長率および 該当する場合には最終価値
のれんについて認識した減損は戻入できない。
1.3 .16 金融資産および負債
金融商品の分類および測定は、事業モデルおよび当該商品の契約上の特性に依存する。IFRS第9号を適用して、当初認識時
に金融資産は、償却原価で測定するもの、その他の包括利益(OCI)を通じて公正価値で測定するもの、または純損益を通じて
公正価値で測定するものに分類される。
当グループにおいては、金融資産には、資本性金融商品(特に非連結投資)、負債証券、償却原価で計上される貸付金およ
び債権(営業債権を含む。)、ならびにデリバティブの正の公正価値が含まれる。
専用資産に配分された金融商品については、注記45に記載している。
金融負債には、借入金およびその他の金融負債、営業債務、銀行与信ならびに金融デリバティブの負の公正価値が含まれ
る。
金融資産および負債は、貸借対照表上、決算日から1年以内に満期となる場合には流動項目として、決算日から1年を超え
て満期となる場合には非流動項目として分類される。ただし、売買目的デリバティブは、すべて流動項目として区分される。
362/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
1.3 .16.1 金融資産および負債の評価および分類
金融商品は、公正価値で計上される。公正価値は、測定日現在における主要な市場または最も有利な市場の秩序ある取引に
おいて資産を売却するために受け取るであろう価格または負債を移転するために支払うであろう価格に相当する。
各レベルの評価方法は、通常、以下の通りである。
・ レベル1(無調整の相場価格):企業が測定日現在でアクセスできる同一の資産または負債に関する活発な市場にお
ける価格。
・ レベル2(観察可能なデータ):レベル1のインプットに含まれる市場価格以外の当該資産または負債に関するデー
タで、直接観察可能(価格等)または間接的に観察可能(すなわち観察可能な価格から推定される)なもの。
・ レベル3(観察不能なデータ):市場において観察可能でないデータ。観察可能なデータに重要な調整を加えたもの
を含む。
1.3 .16.1.1 OCIを通じて公正価値で測定する金融資産
OCIを通じて公正価値で測定する金融資産には、以下が含まれる。
・ 事後の公正価値の変動をOCIに認識し、売却時に純損益へのリサイクルをしない取消不能の選択を当グループが行って
いる一定の非連結投資。これらの投資からの受取配当金のみが損益計算書の「その他の金融収益」に認識される。
・ 「回収および売却」の混合事業モデルの下で投資された負債証券(債券等)で、約定キャッシュ・フローが専ら貨幣
の時間価値および当該商品に係る信用リスクを反映した元利金の支払いのみから成るもの(IFRS第9号の「SPPI(元
利金の支払いのみ)」テスト)。公正価値の変動はリサイクルを伴うOCIに直接計上され、当該証券の売却時に純損益
に振り替えられる。これらの負債証券については、受取利息は実効金利により計算され、損益計算書の「その他の金
融収益」に貸方計上される。
当初認識時に、これらの金融資産は、公正価値にその取得に起因する取引費用を加算した額をもって計上される。その後、
これらは毎報告日現在で、可能な場合は相場価格に基づいて、ないし割引将来キャッシュ・フロー法を用いて、そうでない場
合には外部の情報源を参照して、公正価値に修正される。
1.3 .16.1.2 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、以下に該当する場合に、取引開始時点で当該項目として分類される。
・ 取引開始時点から短期間で売却する目的で取得された資産。
・ ヘッジに分類されないデリバティブ(売買目的デリバティブ)。
・ リサイクルを伴わないOCIを通じて公正価値で測定するものとして分類する旨の取消不能の選択を当グループが行わな
かった資本性金融商品(非連結投資)。
・ 「回収および売却」事業モデルの管理下になく、SPPIテストの要件を満たさない負債証券。これは主に、投資ファン
ド持分に関係する。投資ファンド持分は、事業モデルに関係なくSPPIテストの要件を満たさない負債証券である。
これらの資産は、取引日に、通常は現金支出額と同額の公正価値で計上される。取得に直接起因する購入費用は損益計算書
に計上される。その後、これらの資産は報告日毎に公正価値に修正される。公正価値は、相場価格、または割引キャッシュ・
フロー法等広く認められた評価手法の使用、または他の金融商品に関する外部の情報源の参照に基づく。
公正価値の変動は、コモディティ契約に関するものを除いて、損益計算書の「その他の金融収益および費用」に計上され
る。
コモディティ売買契約の公正価値の変動は、損益計算書の「売上高」に計上される。
一定の売買目的以外のコモディティ取引の公正価値の変動は、損益計算書の減価償却費および償却費控除前営業利益の下の
独立科目である「トレーディング業務以外のエネルギーおよびコモディティ・デリバティブの公正価値の純変動額」に区分表
示されて報告されている。これらはIFRS第9号の適用範囲となる取引であるが、会計上、ヘッジ会計の要件もIFRS第9号の
「自己使用」の例外の要件も満たさないものである(注記1.3.16.3を参照)。
1.3 .16.1.3 貸付金および金融債権
貸付金および金融債権は、その事業モデルが、専ら元利金のみからなる契約上のキャッシュ・フローを回収するために当該
商品の保有を伴うものである場合には、償却原価により計上される。
363/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
受取利息は実効金利法により計算され、損益計算書の「その他の金融収益」に計上される。
償却原価分類に適格でない貸付金および金融債権は、損益計算書の「その他の金融収益および費用」を通じて、純損益を通
じて公正価値で測定するものに分類される。
1.3 .16.1.4 借入金および金融負債
個別ヘッジの会計処理が適用されない場合には(注記1.3.16.3(A)を参照)、借入金および金融負債は、該当する場合には組
込デリバティブの区分処理を行って、償却原価で計上される。支払利息は実効金利により計算され、その借入金または金融負
債の期間にわたり、「総金融負債に係る費用」として、損益計算書に計上される。
1.3.16 .2 OCIを通じて公正価値または償却原価で測定する金融資産の減損
IFRS第9号は予想信用損失(ECL)に基づく減損モデルを規定している。
債券ポートフォリオの有価証券については、当グループは、信用リスクが低い相手先に対し、格付に基づくアプローチを適
用している。リスク管理方針を適用して、当グループの債券ポートフォリオはほぼ全て、「投資適格」である信用リスクの低
い相手先の発行商品から構成されている。
この状況において、ECLは決算日後12か月の期間にわたり見積られている。
信用リスクの著しい増大を示す閾値に至るのは、相手先が「投資適格」の格付けから外れた時である。その場合は、債務不
履行リスクの著しい増大の結果、当該商品の残存期間にわたりECLが再評価される可能性がある。
貸付金および債権については、当グループは、相手先ごとのデフォルト確率および信用リスクの変動の評価に基づくアプ
ローチを選択した。
1.3 .16.3 デリバティブ
1.3.16.3.1 範囲
当グループが採用するデリバティブの範囲は、IFRS第9号が定めた原則に一致する。
特に、エネルギーまたはコモディティの現物引渡しを伴う先物購入および販売契約は、当グループの通常の営業活動の一環
として締結された(「自己使用」)と認められる場合、IFRS第9号の適用対象外と判断される。次の条件のすべてに合致すれ
ば、この要件を満たしたことになる。
・ 当該契約ではすべて現物引渡しが生ずる。
・ 契約による購入または販売数量が当グループの営業上の必要量に一致する。
・ 契約が基準に定義された売建オプションとは考えられない。電力の販売契約という個別のケースにおいては、契約
は、確定先物販売と同等であるか、発電容量の販売と考えられる。
当グループは、電力の購入および販売コミットメントを量的に均衡させる目的で行う相対取引は、総合電力事業者としての
業務の一部であり、IFRS第9号の適用対象外であると考えている。
当グループは、金融負債または非金融項目に関連するすべての契約を分析し、「組込」デリバティブを識別する。ある契約
の構成要素のうちに当該契約のキャッシュ・フローに単独のデリバティブと同様の影響を及ぼすものがある場合には、当該構
成要素は組込デリバティブの定義を満たし、契約開始日から区分して公正価値で認識される。
1.3.16.3.2 測定および認識
デリバティブは、当初、相場価格および外部の情報源から得られる市場データに基づき、公正価値で計上される。相場価格
が入手できない場合、当グループは、直近の比較可能な取引を参照するか、かかる取引が存在しない場合には、店頭登録等の
観察可能なデータから直接導かれる情報を優先するが、市場参加者によって認められた内部モデルに基づき評価を行うことが
できる。
364/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
これらのデリバティブの公正価値の変動は、キャッシュ・フロー・ヘッジまたは純投資のヘッジとして指定された場合を除
き、損益計算書に計上される。キャッシュ・フロー・ヘッジまたは純投資のヘッジとして指定されたヘッジ手段の公正価値の
変動は、ヘッジの非有効部分を除き、直接、自己資本に計上される。
トレーディング業務の一環で締結した金融商品という特殊な場合には、実現および未実現損益は、「売上高」に純額で計上
される。
IFRS第13号を適用して、デリバティブの公正価値には、デリバティブ資産に係る相手先の信用リスクおよびデリバティブ負
債に係る自己の信用リスクを含める。これらの信用リスクの算定に用いるデフォルト確率は、過去のデータに基づく。
1.3.16.3.3 ヘッジに分類されるデリバティブ
EDFグループは、外国為替および金利のリスクならびに一部のコモディティ契約に係わるリスクをヘッジするために、デリ
バティブを使用している。
当グループは、ヘッジ会計の対象となる取引を識別するに当たり、IFRS第9号が定義する適格要件を採用している。
・ ヘッジ関係は、適格なヘッジ手段およびヘッジ対象のみで構成されていなければならない。
・ ヘッジ関係は、その開始時から正式に指定され、文書化されていなければならない。
・ ヘッジ関係は、特にヘッジ比率に関し、ヘッジ有効性の要件を満たさなければならない。
キャッシュ・フロー・ヘッジの場合、ヘッジ対象である予定取引の発生可能性がかなり高くなければならない。
ヘッジ関係は、上記の適格要件を満たさなくなった場合に終了する。これには、ヘッジ手段の消滅、売却、終了もしくは行
使が行われた場合、または当初文書化されたリスク管理目的に適合しなくなった場合が含まれる。
当グループの外部デリバティブおよび当グループの同様の外部取引とマッチングされた内部デリバティブのみが、ヘッジ会
計に適格となる。
当グループは、ヘッジに以下の分類を使用している。
(A)公正価値ヘッジ
これらの金融商品は、貸借対照表に計上されている資産もしくは負債の公正価値の変動、または資産の購入・売却に
関する確定契約の公正価値変動のエクスポージャーをヘッジする。ヘッジ対象の公正価値変動額のうち当該項目のヘッ
ジ対象要素に起因するものは損益計算書に計上され、対応するヘッジ手段の公正価値変動額により相殺される。ヘッジ
の非有効部分だけが、利益に影響する。
一定の借入金および金融負債は、公正価値ヘッジの対象とされる。ヘッジ会計を適用して、その貸借対照表価額は、
ヘッジ対象リスク(外国為替および金利リスク)に起因する公正価値変動額について調整される。
(B)キャッシュ・フロー・ヘッジ
これらの金融商品は、資産もしくは負債に関連したキャッシュ・フローの変動、または発生可能性がかなり高い予定
取引をヘッジする。ヘッジ対象取引により生ずるキャッシュ・フローの変動は、ヘッジ手段の価額の変動により相殺さ
れる。
ヘッジの公正価値変動累計額のうちの有効部分は自己資本に計上され、非有効部分(すなわち、ヘッジ対象の公正価
値変動額を上回るヘッジ手段の公正価値変動額)は、損益計算書に計上される。
ヘッジ対象のキャッシュ・フローが現実に発生した時、それまで自己資本に計上された金額は、ヘッジ対象と同様
に、純損益にリサイクルされるかまたは、資産取得価額の修正として処理される。
(C)純投資のヘッジ
これらの金融商品は、当グループと機能通貨が異なる事業体への純投資に関わる外国為替リスクのエクスポージャー
をヘッジする。ヘッジの公正価値変動累計額のうち有効部分は、当該純投資の売却または清算時まで自己資本に計上さ
365/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
れ、売却の時点で売却損益に含めて計上される。非有効部分(キャッシュ・フロー・ヘッジに関するものと同様に定義
される。)は、直接、損益計算書に計上される。
1.3 .16.4 金融資産および負債の認識中止
当グループは、以下のいずれかの場合に、金融資産の認識を中止する。
・ その資産が生み出すキャッシュ・フローに対する契約上の権利が満了する場合
・ 当グループが、資産の所有に付随する実質的にすべてのリスクと経済価値を移転することにより、その金融資産に関
連する契約上のキャッシュ・フローを受け取る権利を譲渡する場合
譲渡した金融資産に生じた持分または当グループが留保する持分は、別の資産または負債として計上される。
当グループは、金融負債に係る契約上の義務が消滅、取消または満了したときに、認識を中止する。債務が貸手との間で実
質的に異なる条件で再交渉された場合には、新たな負債が認識される。
1.3 .16.5 債権の譲渡
当グループが債権の譲渡に関連する実質的にすべてのリスクと経済価値、特に信用リスクを譲渡していることを証明できる
場合には、その項目の認識は中止される。
そうでない場合には、その取引は金融取引に該当するものとされ、債権は、対応する金融負債の認識を伴って、引き続き貸
借対照表上の資産として認識される。
1.3 .17 棚卸資産
棚卸資産は、取得原価または正味実現可能価額のうち、いずれか低い方で認識される。ただし、トレーディング業務のため
に保有される棚卸資産は、市場価額で計上される。消費された棚卸資産は通常、加重平均単位原価法によって評価される。
原価には、すべての直接材料費、労務費および製造間接費の配賦額が含まれる。
1.3 .17.1 核燃料および原材料
棚卸資産勘定には以下が含まれている。
・ 燃料生産過程にあるあらゆる形態の核物質、および
・ 貯蔵中または原子炉内の燃料要素。
核燃料および原材料ならびに仕掛品の計上額は、原料費、労務費および外注費(例えば、フッ素化、濃縮、生産など)を含
む直接加工原価に基づいて決定される。
各国特有の規制上の義務に従って、燃料の棚卸資産(新しいものまたは完全に消費されていないもの)には、使用済燃料管
理および放射性廃棄物長期管理のための費用も含まれることがある。その費用に対応する金額は、引当金または債務として負
債計上されているか、燃料の積載時に全額最終的に支払われている。
フランスでは、2007年3月21日付決定に定義された「積載済燃料」の概念を適用して、原子炉に積載済みであるが未照射の
燃料に関する棚卸資産のコストには、使用済燃料管理および放射性廃棄物長期管理に係る費用が含まれている。その費用に対
応する金額は、関連する引当金において考慮されている。
IAS第23号に準拠して、核燃料在庫の資金調達により発生した利息費用は、当該在庫が反復的に大量生産されることを条件
に、その期の費用として計上される。
核燃料の消費量は、要素(天然ウラン、フッ素化、濃縮、燃料集合体生産物)ごとに、燃料が原子炉に積載された時点の予
想生産量に対する割合により、決定される。この量は棚卸資産の加重平均原価で評価される。棚卸資産は、中性子測定に基づ
く予測使用量と実地棚卸を考慮して、定期的に修正される。
1.3 .17.2 その他の事業用棚卸資産
その他の事業用棚卸資産は以下から成る。
・ 化石燃料発電所の操業に必要な化石燃料。
366/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・ 事業用資材および設備。例えば、保守プログラムに基づき供給される予備部品(資産計上された戦略的安全予備部品
を除く)。
・ 各種の環境政策に基づき発行された証書(注記1.3.27を参照)。
・ 発電容量義務メカニズム(フランスの発電容量保証)に基づき発行された証書(注記4.5を参照)。
・ 仕掛品および進行中のサービス。特にEDF Renewables、DalkiaおよびFramatomeの事業に関連するもの。
・ ガス在庫。
その他のトレーディング以外の事業用棚卸資産は、一般に、直接および間接購入費用を含む加重平均原価で評価されてい
る。
予備部品の減損は、これらの部品の回転率に依存する。
トレーディング目的で保有される棚卸資産は市場価額で計上される。
1.3 .18 営業債権
営業債権は、当初、受け取ったか受け取る予定の対価の公正価値で認識され、その後、償却原価またはOCIを通じて公正価
値により計上される。
営業債権には、供給済のエネルギーに対する未請求の債権価額も含まれ、当該債権は毎月定額を支払う顧客から受け取った
前受金を控除後で表示される。
当グループは、営業債権に係る予想信用損失を測定するために、信用損失実績に基づいて設定された引当マトリクスを用い
て、IFRS第9号の単純化したアプローチを適用している。
1.3 .19 現金および現金同等物
現金および現金同等物は、既知の金額の現金に容易に換金可能であり、通常、取得日後3か月以内に満期を迎え、価額の変
動について僅少なリスクしかない、直ちに利用可能な手許流動性および非常に短期の投資から成る。
短期所有で「現金同等物」に分類される有価証券は公正価値で計上され、公正価値の変動額は「その他の金融収益および費
用」に含まれる。
1.3 .20 自己資本
1.3.20.1 金融商品の公正価値修正
金融商品の公正価値修正は、負債証券および持分証券ならびに一部のヘッジ手段の公正価値の再表示に起因する。
1.3.20.2 新株発行費
新株発行費は、増資に明示的に関係する対外費用のみを含む。当該費用は、税引後の金額で発行プレミアムから控除され
る。
その他の費用はすべて、当期の費用となる。
1.3.20.3 自己株式
自己株式は、EDFが発行し、EDFまたは連結グループ内の他の企業が所有する株式である。 自己株式は取得原価で評価され、
処分日まで自己資本から控除される。 自己株式の処分に係る純損益は、自己資本に直接計上され、純利益には影響を及ぼさな
い。
1.3.20.4 永久劣後債
当グループが発行した永久劣後債(「ハイブリッド」債の発行)には、EDF主導による償還オプションが付されている。この
オプションは、各発行の個別の発行条件ごとに異なる最低期間の経過後に、その後は各利息支払日ごと、または極めて特殊な
状況(IFRSもしくは税制の変更等)が起きた場合に行使することができる。年利回りは、個別の発行条件ごとに異なる契約条
項に基づいて決定および再検討される。支払の無期限の繰延を認める契約条項があることから、EDFに支払義務はない。ただし
当該条項は、配当金の分配を行う場合には繰延額を支払わなければならない旨を規定している。これらすべての特性により、
367/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
元本または利息について、EDFには現金またはその他の金融資産による支払を回避できる無条件の権利が与えられている。従っ
て、IAS第32号に準拠して、これらの社債は資本性金融商品として計上され、支払額は同様に配当金として処理される(注記
3.5、 3.6および27.4を参照)。
1.3.21 従業員給付引当金以外の引当金
当グループは、当グループが過去の事象から生じた現在の債務(法的または推定的)を負っており、当該債務を決済するた
めに資源の流出が必要となる可能性が高く、かつ当該債務の金額を信頼性をもって見積ることが可能である場合に、引当金を
計上する。
引当対象となった費用の全額または一部の払戻しが見込まれる場合には、その金額は当グループが払戻しを受けることがほ
ぼ確実である場合に限り債権として認識される。
引当金は、債務を決済するために必要な費用についての当グループによる予想額に基づいて決定される。見積額は、情報シ
ステムからの経営データおよび当グループが採用した仮定に基づき、また、必要に応じて、類似の取引の経験または場合によ
り独立した専門家による報告または請負業者による見積りに基づき算出される。決算日ごとに、各種仮定の見直しが行われ
る。
予想費用は、期末日現在の経済状況に基づいて見積られ、予測支出スケジュールにわたって配分される。当該金額は、予測
長期インフレ率を適用して支払年度のユーロに調整され、名目割引率を用いて現在価値に割り引かれる。引当金は、当該割引
後の将来キャッシュ・フローに基づいている。
インフレ率および割引率は、企業が所在する国の経済および規制に関するパラメータに基づき、当グループ資産の長期の操
業サイクルおよびコミットメントの期限も勘案する。
各決算日に生ずる、時間の経過を反映する割引の影響は、金融費用の「割引の影響」に含まれる。
非常に稀な状況では、信頼性をもって見積ることができないために引当金が計上できないことがある。その場合には、資源
流出の可能性がほとんどない場合を除き、債務は偶発債務として注記に記載される。
1.3.21.1 原子力発電関連引当金
原子力発電関連引当金は、主に以下に対して設定される。
・ 核サイクル終了費用。各国特有の義務および最終的な拠出に従って、使用済燃料管理、廃棄物除去および調整、なら
びに放射性廃棄物長期管理のための引当金が計上されている。
・ 発電所の廃炉費用および原子炉が閉鎖された際に原子炉内に存在する燃料に関連する損失(炉心核燃料引当金)。
炉心核燃料費用は、最終的な原子炉の閉鎖時に完全には照射されず、技術的および規制による制約から再利用できない原子
炉燃料に係る損失、ならびに燃料処理およびこれらの業務から生じた廃棄物の除去および貯蔵の費用に相当する。
割引率の変更、支出スケジュールの変更または請負業者の見積りの変更に起因する引当金の変動は以下のように計上され
る。
・ 引当金が、当初、貸借対照表資産によってカバーされていた場合には、その正味帳簿価額を上限に、対応する資産の
増加または減少として(現在稼働中の発電所の廃炉、その廃炉から生ずる放射性廃棄物の長期管理および炉心核燃
料)。
・ それ以外のすべての場合には損益計算書において。
フランスおよび英国の原子力発電関連引当金の算定原則に関する詳細な情報は、注記29に記載されている。
1.3.21.2 その他の引当金
その他の引当金は、主に以下に関連する。
・ 子会社および投資関連の偶発債務
・ 税金負債
・ 訴訟
・ 不利契約および完成時損失
368/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・ 環境計画
不利契約引当金は、主にエネルギー売買複数年契約に関連している。
・ エネルギー購入契約に関連する損失は、契約条件に基づく取得原価と予想市場価格を比較して測定される。
・ エネルギー販売契約に関連する損失は、契約条件に基づく見積収益と供給すべきエネルギーの原価を比較して測定さ
れる。
Framatomeの長期契約に係る収益および利益マージンは、工事進行基準により計上されている。完成時の見積損益がマイナス
となる場合、当該損失は、工事進行基準の下で既に認識済の損失を控除後で、直ちに純損益に計上され、引当金が計上され
る。
環境計画引当金は、温室効果ガス排出権、再生可能エネルギー証書および省エネ証書の与えられた目標に対する不足分を補
填するために設定されることがある(注記1.3.27を参照)。
非常に稀な状況では、情報開示によって当グループが著しい損害を受けることとなり得る場合、引当金が対象とする特定の
訴訟に関する記載を財務諸表注記に含めないことが認められる。
1.3 .22 従業員給付引当金
当グループは、事業展開している各国において施行されている特定の法律および施策に従って、従業員に対して雇用後給付
(年金制度、退職金など)およびその他の長期給付(例えば長期勤続報奨)を付与している。
1.3 .22.1 従業員給付の計算および認識
確定給付制度に基づく債務は、予測単位給付積増方式により計算されている。この方式は、期末日現在で従業員がすべての
形態の制度の下で稼得している受給権の現在価値を、昇給予想および各国固有の経済状況を考慮して、決定するものである。
雇用後給付債務は、主に以下の方法および仮定を用いて評価される。
・ 各制度に適用される規則に基づき決定された退職年齢および年金満額受給権を得るための要件。
・ 従業員の年功を参照する退職時の給与水準、予想される昇進の影響に基づく退職時の予測給与水準および年金水準の
見込み動向。
・ 従業員の離職率および死亡率に関する各国のデータに基づき決定された予測年金受給者数。
・ 該当する場合には、従業員とその配偶者の平均寿命および婚姻率の両方を考慮した寡婦/寡夫年金。
・ 地域および債務の期間に応じた割引率。当該割引率は、従業員に対するEDFグループのコミットメントと同様の期間を
有する優良社債の市場利回りまたは国債の利率を参照して年度末日現在で決定される。
引当金の額は、債務の評価額からその債務をカバーする制度資産の公正価値を控除した額に対応する。
従業員給付債務に関連して年度中に計上された費用の純額は、以下のものを含む。
・ 損益計算書:
・ 当期勤務費用。年度中に稼得した受給権の上乗せに対応する。
・ 純利息費用。債務に係る利息から制度資産に係る運用収益を控除した純額に対応し、現在、運用収益は債務に関
する割引率と同一の割引率を用いて計算されている。
・ 過去勤務費用。給付制度の変更/清算または新制度の導入に関連した収益または費用を含む。
・ その他の長期給付に関連する数理計算上の損益。
・ その他の連結包括利益:
・ 雇用後給付に関連する数理計算上の損益。
・ 資産上限額がある場合には、その制限の影響。
1.3 .22.2 雇用後給付債務
当グループの従業員は、退職すると、国内規則により定められた年金からの給付を受ける。従業員はまた、会社が直接支払
う給付および適用される法規に定められた付加給付を受ける権利を取得する場合もある。
1.3.22.2.1 IEG制度の適用を受けるフランス企業
369/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
IEG(電力およびガス)産業特別制度に属する企業、具体的にはEDF、Enedis、CTE下位企業集団、 Électricité de
Strasbourg、EDF PEIおよびDalkia下位企業集団の一部の子会社は、ほぼすべての従業員が特別年金制度およびその他の法定給
付を含むIEG法の恩恵を受けているグループ会社である。
2005年1月1日に効力を生じたIEG産業の制度の財政改革以降、CNIEG (Caisse Nationale des IEG、当該産業の特別年金機
関) は、IEG特別年金制度のみならず、当該産業のための業務上の事故、傷病および死亡保険も運営している。
CNIEGは、2004年8月9日付法律によって創設された、私法の管理下にある社会保障機関である。当該機関は、法律上の事業
体として位置付けられ、フランス政府の監督下にあり、フランスの予算、社会保障およびエネルギー担当大臣との共同の監督
下で運営されている。
当該法律によって導入された資金協定に基づき、IEG産業の企業は、IEG制度がその傘下になっているフランスの標準給付制
度(CNAV、AGIRCおよびARRCO)またはガスおよび電力輸送および配送サービスに係るCTA (Contribution Tarifaire
d'Acheminement) 課税による資金供与のない給付金を填補するための年金引当金を設定している。
この積立方法の結果、IEG年金制度に転嫁されないフランスの標準年金制度の変更(従業員に有利か不利かを問わない)によ
り、当グループが債務に対して計上している引当金の額に変動が生じる可能性が高い。
これにより引当金を計上している年金関連債務は以下を含む。
・ 非 規制業務または競争の激しい業務に従事する従業員の特別給付
・ 従業員 が規制業務(送電および配電)について2005年1月1日以降に稼得した特別給付 (同日前に稼得した給付はCTA
課税を財源とする)
年金に加え、元IEGの従業員(現在就業していない)に対し、以下に記載するその他の給付が付与されている。
・ 現物給付:IEG国家法第28条により、元IEGの従業員および現従業員は、優遇価格による電力またはガスの供給という
現物給付受給権が与えられている。EDFおよびEngie(旧GDF-Suez)グループの従業員に対するエネルギー供給債務は、
退職後の期間中に受益者またはその被扶養者に供給されるKWhの見積現在価値に対応しており、それは、単位原価を基
に評価されている。これにはEngieとの間のエネルギー交換契約に基づく支払額も含む。
・ 退職慰労金:老齢年金を受け取ることになっている従業員、または、その従業員が退職前に死亡した場合にはその被
扶養者に対し、退職時に支払われる。これらの債務は、ほぼ全額、保険により補償される。
・ 忌引手当:休職中または障害がある従業員の死亡時に、その際に発生する費用への資金援助を目的として支払われる
(国家法第26条第5項)。この手当は、死亡者の主たる被扶養者に支払われる(限度額までの3か月分の年金に相当す
る法定補償)か、葬式費用を支払った第三者に対して支払われる(発生費用と同額の裁量補償)。
・ 退職前特別有給休暇:法定の老齢年金受給権を既に持ち、退職日時点で55歳以上の従業員には、雇用期間中の最後の
12か月の間に、18日間の特別有給休暇を取得する権利がある。
・ その他の給付には、学費補助、退職前休暇のための時間貯蓄およびIEG制度の適用を受けない子会社への出向者に対
する年金が含まれる。
1.3.22.2.2 IEG特別制度の適用を受けないフランス内外子会社
年金債務は、基本的に、英国の会社に関連するもので、その大部分が確定給付制度によりカバーされている。
英国では、EDF Energyにおいて、以下の3つの主要な確定給付年金制度を有している。
・ 電力供給年金制度(ESPS)の傘下にあるBritish Energy発電グループ(BEGG)制度。同制度の大半の加入者は原子力
発電の従業員である。2012年8月にBEGG制度は新規加入を中止した。
・ 同じくESPSの傘下にあるEDF Energy発電および供給グループ(EEGSG)制度。同制度は、2010年12月に、電力網売却の
一部としてUK Power Networksに以前のグループ制度が譲渡された後にEDF Energyに残った従業員向けに設定されたも
のである。EEGSG制度は以後、新規加入を受け入れていない。
・ EDF Energy年金制度(EEPS)。同制度は2004年3月に設定され、新規従業員の加入を認めている。
2016年度に、EDF Energyは、EEPS CARE(Career Average Revalued Earnings:職歴平均再評価所得)と称する、EEPS年金制
度の新規の確定給付部分を導入した。EEPS CAREの下で、年金は、受給者の全職歴にわたる平均給与(インフレ調整後)に相当
する年金受給対象給与に基づく。2017年12月に、BEGG年金制度にもCARE部分が導入され、EEPS年金制度の対応部分と同等の条
370/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
件で、原子力発電の新規従業員の加入を認めている。年金の他の部分は引き続き、受給者の直近の年金受給対象給与に基づい
ている。
各年金制度は財政的にそれぞれ独立している。BEGG制度およびEEGSG制度は、英国民間部門最大の年金制度の一つである産業
全体のESPSの一部である。
当該制度は、別個の信託により外部管理される。受託者は企業および制度加入者により任命され、その排他的利益のために
基金を管理する。受託者は制度の数理計算上のレビューを3年ごとに実施し、積立水準、雇用者および従業員の要拠出額なら
びに支払計画を決定する。受託者は、企業の合意を得て、制度の投資戦略を定める責任を負う。
1.3.22.3 その他長期給付債務
これらの給付は在職中の従業員に対するものであり、国内法規、具体的にはIEG体制のもとにあるEDFとフランス国内子会社
に対する電力およびガス産業を規制する法規に従って稼得される。これらには、以下が含まれる。
・ 就労不能、傷病、業務上の事故または業務に関連した疾患による年金。一般的な国による同等の制度と同様に、IEG内
の従業員は、業務上の事故および業務に関連した疾患に際して財政的な援助を受ける権利、ならびに就労不能および傷
病による年金および給付を受ける権利がある。この債務は、現在の受給者に対して支払うべき将来給付の現在価値の予
測として測定されており、復帰の可能性も考慮している。
・ 長期勤続報奨。
・ アスベストとの接触があった従業員に対する特別給付。
1.3 .23 特別委譲負債
これらの負債は、フランスにおける公共配電委譲の委譲規定に特有の契約上の義務を表し、以下のように負債において認識
されている。
・ 既存資産に対する権利。これらはすべての資産を無償で取戻す委譲者の権利に対応する。この権利は施設の現物評価
額(委譲運営資産の帳簿価額)から運営者の供与資金の未償却分を控除した金額から成る。
・ 取替予定資産に対する権利。これらは取替予定資産のための運営者の資金供与債務に対応する。これらの非金融負債
は以下から構成される。
・ 委譲者が資金供与した部分の資産について計上された減価償却費。
・ 更新引当金(委譲終了前に更新が必要となる資産に関するもののみ)。
資産が取替えられると、取替えられた資産に関して計上されていた委譲者の供与資金の引当および償却は消去され、既存資
産に対する権利に振替えられる。これは新たな資産のための委譲者の供与資金と考えられるためである。引当超過があれば、
損益に計上される。
このように、委譲中に委譲者の取替予定資産に対する権利は資産の更新により振替えられ、委譲者の資金流出を伴うことな
く既存資産に対する委譲者の権利となる。
一般に、特別委譲負債の価額は、以下のように決定される。
・ 既存資産に対する委譲者の権利は、委譲資産に対する委譲者の想定持分を示すものであり、貸借対照表に計上された
資産を基に評価される。
・ 取替予定資産に関係する義務は、年度末現在での減耗を考慮して測定された毎年度末現在の関連する資産の見積価額
を基に評価される。
・ 更新引当金の計算は、年度末に評価された資産の取替価額と取得原価の差額を基礎とする。毎期の引当金繰入額
はこの差額(既存の引当金控除後)を基礎とし、この純額が資産の残存耐用年数にわたり計上される。結果とし
て、ある項目について認識される費用計上額は時間とともに増加する。
・ 委譲者の供与資金の償却は、資産の取得原価のうちの委譲者が資金供与した部分を基礎とする。
当グループは、取替予定資産に関係する義務は委譲契約中の特別条項を基に評価されるべきであると考えている。このアプ
ローチによれば、これらの義務は委譲者向けの年次報告書において計算され、報告された契約上の義務の価額で計上される。
契約上の価額は、EDFグループがいつか委譲運営者としての地位を喪失する可能性も反映している。
特別条項が存在しない場合には、代替的なアプローチにより、委譲運営資産の工業用耐用年数到来時における取替えに必要
な支払額の現在価値で、契約上の義務を計上することになる。
371/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
この代替的なアプローチ、すなわち、取替予定資産の資金供与という将来の債務の割引によった場合の影響額を参考として
示すと、以下の通りとなる。
この試算に当たり使用した主要な仮定は、以下の通りである。
・ 更新引当金の計算の基礎は、毎期1.5%の予想インフレ率を適用して算出した資産の耐用年数到来時の見積取替価額か
ら資産の取得価額を控除したものである。この金額は、資産の減耗を基に3.9%で割引いた金額である。
・ 委譲者の供与資金の償却もまた3.9%で割引かれている。
以下の表は、Enedisに関する2018年度の試算の影響を示している。
・ 損益計算書への影響
(単位:百万ユーロ、税引前) 2018年度
営業利益 132
金融損益 (571)
(439)
連結会社の税引前利益
・ 貸借対照表 - 自己資本への影響
(単位:百万ユーロ、税引前) 2018年度
期首現在 1,690
1,251
期末現在
この方法による委譲負債の評価は、原価と支出日に関する不確実性の影響を受け、さらにインフレ率と割引率の影響も受け
る。
1.3 .24 投資補助金
グループ会社が受け取った投資補助金は、負債の中の「その他の負債」に含まれ、対応する資産の経済的便益の使用に応じ
て利益に振替えられる。
1.3 .25 売却目的保有に分類された資産および関連負債ならびに非継続事業
売却目的保有に該当する資産および関連負債は、貸借対照表上、他の資産および負債とは区別して表示される。
資産または資産グループが非継続事業に分類された場合には、当該非継続事業に関連する収益および費用は、損益計算書
上、単一の科目として税引後の純額で表示される。キャッシュ・フロー計算書においてもまた、非継続事業の現金および現金
同等物の純変動額は別科目として区分して報告される。
実現可能価額が正味帳簿価額を下回る場合には、減損が計上される。
1.3.26 資産へのアクセスもしくは利用または負債の決済を行う当グループの能力に対する制約の内容および範囲
資産へのアクセスもしくは利用または負債の決済を行う当グループの能力を限定する可能性のある制約の主なものは、以下
の項目に関連している。
・ 従業員給付への資金供給目的で保有する資産(主にフランスおよび英国-注記1.3.22を参照)および原子力負債に関連
する費用(主にフランスおよび英国-それぞれ注記45および注記29.2を参照)。
・ 規制上のメカニズムに従っているか否かを問わず、委譲契約に係る有形および無形資産ならびに関連負債(エネルギー
またはエネルギー関連サービス供給義務、投資管理規則、契約終了時の委譲施設返還義務、契約終了時の要支払額、料率
制限等)。これらの制約は、主にフランス(EDF、EnedisおよびDalkia)、次いでイタリアにおけるこの種の資産に当ては
まる(注記1.3.13および注記1.3.23を参照)。
・ 当グループの一部の子会社に対する投資の売却は、特にその会社が規制対象事業を行うか原子力発電所を操業している
場合(英国のEDF Nuclear Generation Ltd.、中国のTaishan(TNPJVC)および米国のCENGの場合がこれに当たる)、国の
機関による承認を必要とする。
372/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・ 保険子会社が健全性比率の要件を充足するために計上した健全性引当金および販売容量に関して講じた措置。
・ 配当金の分配が銀行債務の返済(もしくは借入金に関する適格性)および株主に関する条件に従うことを規定した融資
契約を利用しているか、または一定の国における規制上の制限を受ける、一部の企業の現金。
当グループが支配している企業に関連する一部の株主契約には、ある特定の重要な意思決定について少数株主の承認を必要
とする、少数株主保護条項が含まれている。
最後に、当グループ企業に供与された一部の融資貸付には早期償還条項が含まれており(注記38.2.6を参照)、現金および
現金同等物の一部の項目には制約が課されている(注記37を参照)。
1.3 .27 環境
1.3.27.1 温室効果ガス排出権
現在施行されているシステムについては、注記49.1に記載している。
排出権の会計処理は、その保有意図により異なる。2つの経済モデルが存在し、EDFグループではその両方を併用している。
「トレーディング」モデルでは、保有する権利は公正価値で棚卸資産に計上される。年度中に観察された公正価値の変動は
損益計算書に計上される。
温室効果ガスに係る規制上の要求に従うために保有する権利(「生産」モデル)は、無形資産に計上される。
・ 市場で購入した場合には、取得原価による。
・ 無償割当の場合には、ゼロ評価となる(無償割当システムが存続している国の場合)。
所定の期間中の当グループ内企業による見積排出量が、その期間に無償で割り当てられた排出権から現物ないし先物市場で
売却された割当済権利を控除後の残量を超える場合、排出超過を填補するための引当金が設定される。この引当金は、保有す
る権利の不足分(実際の排出量と保有する割当済権利との決算日現在での差)に相当する。
排出権の無償割当がない場合、決算日現在の実際の排出量相当の引当金が規則的に計上される。
いずれの場合も、この引当金は、現物ないし先物市場で取得された権利の量までは取得原価を基礎として測定され、残量は
市場価格に基づく。この引当金は、排出権を国に提出する際に取り崩される。
決算日現在で、当年度の排出権および排出権提出義務のポートフォリオは、相殺しないで総額で表示される。
期末日現在で無形資産として計上され、先物売りの対象となっていない購入排出権の数量が、当年度分として国に提出され
る予定の購入した権利の数量を上回る場合には、その超過分に対して減損テストが行われなければならない。実現可能価額が
正味帳簿価額を下回る場合には、減損が記帳される。
1.3.27.2 再生可能エネルギー証書
現在施行されている制度については、注記49.3に記載している。
EDFグループは以下の会計処理を適用している。
・ 義務対象外発電業者については、発電量に基づき取得した証書は供給業者に販売されるまで「その他の棚卸資産」に計上
する。
・ 義務対象発電業者、および発電と供給の両方を行い規定量の再生可能エネルギーの販売義務を負う企業については、当グ
ループは発電量に基づき取得した証書に以下の会計処理を適用する。
- 義務の水準に到達するまでは当該証書は認識されない。
- 義務を上回る証書は「その他の棚卸資産」に計上される。
- 企業が年度末に義務を充足する立場にない特別な状況の場合には、当グループは以下の会計処理を適用する。
・ 義務を充足するために有償で取得された証書は取得原価で無形資産に計上される。
373/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・ 年度末の義務と比較した証書の不足分相当の引当金が計上される。この引当金の価額は、現物ないし先物市場にお
いて購入済みの証書の取得価格および残量についての市場価格または罰金額を基礎とする。この引当金は証書が国
に提出される際に取り崩される。
トレーディング業務の一環として実施される証書の先物売買は、IFRS第9号に準拠して計上され、貸借対照表日現在の公正
価値で評価される。公正価値の変動額は損益計算書に計上される。
1.3. 27 .3 省エネ証書
現在施行されている制度については、注記49.2に記載している。
EDFグループは、国から省エネ証書を受けるためにその資産または最終顧客との間の取組みに関する施策を実施するか、また
は省エネ証書を直接購入するかのいずれかによって、その義務を履行している。
省エネ義務の累積分を充足するために発生した費用は以下のように処理される。
・ 企業の行う対策がその企業自身の資産に関係し、その費用が資産の認識規準を満たす場合には、有形固定資産。
・ その費用が資産計上の要件を満たさない場合または行われた行為が第三者の省エネを促進するためのものである場合に
は、発生年度の費用。
期末日現在の義務の累積分を超えて発生した費用は、義務履行に使用されるまで、棚卸資産に含まれる。達成した省エネ
が、省エネ義務の累積分に満たない場合には、引当金が認識される。引当金の額は、販売したエネルギーに関連する義務を充
足するために今後取るべき対策の費用に相当する。
1.3 . 27 .4 環境費用
環境費用とは、当グループの業務に起因するかその可能性がある環境破壊の防止、削減または修復のために発生する識別可
能な費用である。これらの費用は、以下のように処理される。
・ 将来の破壊の防止もしくは削減、または資源保護のために生じたものである場合には資産計上される。
・ 年度末現在で存在する債務に対応する費用であって、当該費用により報告日現在で資源の流出が発生する可能性が高
いか確実である場合には、環境負債および環境リスク引当金の増加として計上される。
・ 環境問題、環境管理、環境税、廃水・廃ガスおよび非放射性廃棄物の処理、または、投資に関係しない調査を担当す
る団体の営業費用である場合には費用計上される。
注記2.比較可能性
2.1 IFRS第15号―顧客との契約から生じる収益
IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」は、2018年1月1日付で適用された(注記1.3.7を参照)。
当グループは、完全遡及アプローチを適用し、自己資本の期首残高には影響がなかった。
この変更により、2017年12月31日現在で報告された売上高および購入エネルギー費用が4,740百万ユーロ減少し、減価償却費
および償却費控除前営業利益には影響がなかった。貸借対照表においては、引渡済エネルギーに係る未請求債権と顧客からの
前受金を相殺する新たな実務(注記2.1.3.2を参照)により、2017年12月31日現在で報告された営業債権、その他の流動債権お
よびその他の流動負債がそれぞれ6,568百万ユーロ、2,342百万ユーロおよび8,910百万ユーロ減少した。
IFRS第15号の導入に関連して、当グループは、規制料金業務の現在の会計処理に影響を与え得る国際的な基準の変更につい
て監視している。
会計処理の変更に関係する取引は、以下の通りである。
2.1.1 エネルギーの引渡しによる収益の認識(本人か代理人かの区別)
フランスおよびベルギーでは、引渡しはエネルギー供給とは別個のサービスであり、エネルギー供給業者は当該引渡しサー
ビスを供給するに当たり、代理人として行動しているものと当グループは結論付けた。
374/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
他方、イタリアおよび英国では、エネルギー供給業者は、引渡しサービスの本人として分類される。
フランスでは、電力引渡しサービスの大部分は、当グループの規制対象子会社であるフランスの配電網管理者、Enedisによ
り履行されている。従って、フランスにおける電力引渡しに関する本人か代理人かの区別は、事業セグメント報告における売
上高の表示のみに影響する。
これらの変更により、2017年度について報告されたベルギーのガスおよび電力引渡しならびにフランスのガス引渡し(およ
びフランスの非グループ配電網管理者による電力引渡し)による売上高が1,527百万ユーロ減少し、対応する引渡し費用(購入
燃料およびエネルギー費用に含まれる)が同額減少した。
2.1.2 最適化活動の一環としての市場エネルギー売買取引の認識
実施した分析により、当グループは、純額ベースの会計処理の方が、最適化取引の経済的実態をより適切に反映するとの判
断に至った。一部の当グループ企業(イタリア、ベルギーおよびDalkiaについてフランス)は従来、それらの売上高を、購入
エネルギー費用を相手勘定として、総額ベースで報告してきたため、この変更により、2017年12月31日現在で報告された売上
高および購入エネルギー費用が2,793百万ユーロ減少した。
2.1.3 その他の影響
2.1.3.1 連結損益計算書に対するその他の影響
従来は総額ベースで認識されていたが、同様にIFRS第15号を適用して現在は純額ベースで表示されているその他の取引は、
合計420百万ユーロのイタリアの委託取引およびフランスの電力網に関する再調整メカニズムの下で行われる決済である。これ
らの再表示は、2017年12月31日の時点で公表された当グループの減価償却費および償却費控除前営業利益には影響を与えな
かった。
2.1.3.2 連結貸借対照表に対するその他の影響
供給済のエネルギーに対する未請求債権の金額を含む営業債権は、現在は、毎月定額を支払う顧客から受け取った前受金を
控除後で表示されている。
この変更により、2017年12月31日現在の営業債権およびその他の流動負債が6,568百万ユーロ減少した。これらの金額に関連
する税金の相殺により、2017年12月31日現在で2,342百万ユーロの減少(その他の流動負債の「税金負債」および対応するその
他の流動資産の「税金債権」の減少)が生じた。
375/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
2.1.4 当グループの減価償却費および償却費控除前営業利益およびセグメント報告に対する影響の要約
2017 年12月31日現在 IFRS 第15号の 2017 年12月31日現在
公表済 影響 再表示
(単位:百万ユーロ)
69,632 (4,740) 64,892
売上高
(37,641) 4,740 (32,901)
購入燃料およびエネルギー費用
(8,739) - (8,739)
その他の対外費用
(12,456) - (12,456)
人件費
(3,541) - (3,541)
法人所得税を除く税金
6,487 - 6,487
その他の営業収益および営業費用
13,742 - 13,742
減価償却費および償却費控除前営業利益
以下の表は、2017年12月31日現在で報告されたセグメント情報およびIFRS第15号の適用による再表示を要約したものであ
る。
2017 年12月31日現在公表済数値
フランス- フランス- その他 その他
セグメント間
発電・供給 規制業務 英国 イタリア 国外(1) 事業(2) 消去 合計
(単位:百万ユーロ)
34,533 5,732 8,681 9,918 4,649 6,119
- 69,632
対外売上高
1,073 10,164 173 1,694 -
7 22 (13,133)
セグメント間売上高
35,606 15,896 8,688 9,940 4,822 7,813
(13,133) 69,632
公表済売上高
IFRS 第15号の再表示
対外売上高 (10,607) 10,041 - (2,218) (1,656) (300) - (4,740)
- - - - 10,101 -
(10,101) -
セグメント間売上高
- 10,101
(10,607) (60) (2,218) (1,656) (300) (4,740)
売上高
2017 年12月31日現在
再表示
23,926 15,773 8,681 5,819
7,700 2,993 - 64,892
対外売上高
1,073 63 22 173 1,694 (3,032) -
7
セグメント間売上高
24,999 15,836 8,688 7,722 7,513 (3,032)
3,166 64,892
再表示後売上高
(1) IFRS第15号の再表示は、EDF Luminus(ベルギー)のみに関連する。
(2) EDF Renewables(1,280百万ユーロ)およびDalkia(IFRS第15号の再表示後3,751百万ユーロ)を含む。
2018年1月1日付でセグメント情報も変更されており、2017年12月31日現在の比較数値はそれに従って再表示されている
(注記6を参照)。
2.2 IFRS第9号―金融商品
IFRS第9号「金融商品」は、2018年1月1日付で強制適用された。この基準は、注記1.3.16に記載した通り、金融商品の分
類および測定、金融資産の信用リスクに関する減損、ならびにヘッジ会計について、新たな原則を導入するものである。
2.2.1 経過措置
IFRS第9号により認められた単純化されたアプローチを適用して、適用初年度の比較数値が再表示された。その結果、
・ 2017年12月31日現在と2018年1月1日現在との間の金融資産および負債の帳簿価額の差額は、連結剰余金の期首残高
に計上されている。
・ 比較貸借対照表上、金融資産についてはIFRS第9号の区分により分類していない。その結果、2017年度の比較情報に
は依然として「売却可能金融資産」が表示されている(注記36.1を参照)。
・ 比較対象期間の減損については再表示していない。
376/781
EDINET提出書類
フランス電力(E05969)
有価証券報告書
・ IFRS第9号のヘッジ会計ルールは将来に向かって適用されている。移行により不適格とされたヘッジ関係はなかっ
た。
IFRS第9号適用による主な影響の詳細については、以下に記載している。2017年12月31日現在で公表された損益計算書の数
値に対する影響は、参考のために、2018年12月31日現在の損益計算書との比較可能性目的で提示されている。
2.2.2 当グループにおけるIFRS第9号の主な影響
2.2.2.1 分類および測定
IAS第39号の下で「売却可能(AFS)」として分類されていた当グループの金融資産は、現在は、その他の包括利益(リサイク
ルを伴うOCIもしくはリサイクルを伴わないOCI)を通じて公正価値で測定するもの、または純損益を通じて公正価値で測定す
るものに分類されている。
当グループにおけるIFRS第9号適用の主たる影響は、投資ファンド持分の形態で保有する金融資産に関連し、次いで、保有
する資本性金融商品(株式)に関連する。
・ 投資ファンド持分については、従来、認識中止時における純損益へのリサイクルを伴うOCIに認識されていた未実現損
益が、現在は、IFRS第9号の分類に従い、当グループの損益計算書に直接計上されている。