オーストラリア・ニュージーランド銀行 有価証券報告書
提出書類 | 有価証券報告書 |
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提出日 | |
提出者 | オーストラリア・ニュージーランド銀行 |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
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オーストラリア・ニュージーランド銀行(E05961)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 令和6年2月1日
【事業年度】 自 令和4年10月1日 至 令和5年9月30日
【会社名】 オーストラリア・ニュージーランド銀行
( Australia and New Zealand Banking Group Limited )
(Australian Business Number 11 005 357 522)
【代表者の役職氏名】 グループ財務責任者 (Group Treasurer)
エイドリアン・ウェント (Adrian Went)
【本店の所在の場所】 オーストラリア、ヴィクトリア州3008、ドックランズ、コリンズ・スト
リート833、9階、ANZセンター・メルボルン
(ANZ Centre Melbourne, Level 9, 833 Collins Street, Docklands,
Victoria 3008, Australia)
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 黒丸 博善
【代理人の住所又は所在地】 東京都港区六本木六丁目10番1号
六本木ヒルズ森タワー23階
TMI総合法律事務所
【電話番号】 03-6438-5511
【事務連絡者氏名】 弁護士 黒丸 博善
弁護士 海江田 光
弁護士 奥村 文彦
【連絡場所】 東京都港区六本木六丁目10番1号
六本木ヒルズ森タワー23階
TMI総合法律事務所
【電話番号】 03-6438-5511
【縦覧に供する場所】 該当なし
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( 注)1. 別段の記載がない限り、本書において「当行」または「ANZBGL」とはオーストラリア・ニュージーランド銀行を意味
し、別段の記載がない限り、または文脈上別に解すべき場合でない限り、「ANZ」、「当グループ」または「ANZBGLグ
ループ」とはオーストラリア・ニュージーランド銀行とその子会社を意味する。別段の記載がない限り、本書におい
て「ANZGHL」とはANZグループ・ホールディングス・リミテッド(ANZ Group Holdings Limited)を意味し、別段の記
載がない限り、または文脈上別に解すべき場合でない限り、「ANZGHLグループ」とはANZグループ・ホールディング
ス・リミテッドとその子会社(ANZ BH Pty Ltd、ANZBGL、ANZ Group Services Pty LtdおよびANZ NBH Pty Ltdを含
む。)を意味する。別段の記載がない限り、または文脈上別に解すべき場合でない限り、「ANZグループ」とは、
(ⅰ)2023年1月3日前については、オーストラリア・ニュージーランド銀行とその子会社、および(ⅱ)2023年1
月3日以降については、ANZGHLとその子会社を意味する。
2 .ANZBGLの事業年度は9月30日に終了する。本書に別段の記載がない限り、または文脈上別に解すべき場合でない限
り、2023年9月30日に終了した事業年度は「2023年度」、「2023事業年度」、「2023会計年度」または「2023年9月終
了年度」と言及され、2022年9月30日に終了した事業年度は「2022年度」、「2022事業年度」、「2022会計年度」また
は「2022年9月終了年度」と言及され、2023年9月30日に終了した半期(半年)は「2023年9月終了半期」と言及さ
れ、その他の事業年度および半期(半年)についてもこれに対応する記載によって言及される。暦年に関する言及はそ
の通りの意味を持つ。
3. 本書に別段の記載がない限り、または文脈上別に解すべき場合でない限り、本書において「ドル」「豪ドル」、
「オーストラリアドル」または「セント」とはオーストラリア連邦の法定通貨を指す。本書において便宜上記載されて
いる日本円への換算は、1ドル=96.62円の換算率(2023年12月8日現在の株式会社三菱UFJ銀行公表の対顧客電信
売相場)により換算されている。本書に別段の記載がない限り、または文脈上別に解すべき場合でない限り、本書にお
いて「米ドル」とはアメリカ合衆国の法定通貨を指し、「ニュージーランドドル」はニュージーランドの法定通貨を指
し、「ユーロ」とはユーロ圏の公式通貨を指す。
4. 本有価証券報告書は、事象や動向に関する記述および意見ならびに当グループの事業運営、市況、業績および財務状
態、適正資本、サステナビリティに関する目的または目標、特定の規定およびリスク管理慣行ならびに当グループが実
施中または実施する可能性がある業務に関する当グループの意向、信条または現在の予測など、「将来に関する記載」
または意見を含むことがある。これらの事項は、当グループの実際の業績および財務状態を本書に提示される情報から
大幅に異ならせる可能性のあるリスクおよび不確実性に左右される。本有価証券報告書において、当グループとその経
営陣に関連して、「予測する」、「推定する」、「目的」、「目標」、「指標」、「計画(プラン)」、「パスウェ
イ」、「展望/野心」、「モデリング(モデル化)」「計画する」、「意図する」、「予想する」、「確信する」、
「期待する」、「することがある」、「見込みである」、「リスクがある」、「予定である」、「追求する」、「だろ
う」、「可能性がある」、「すべきである」およびこれらに類する表現が使用されている場合は、将来に関する記載ま
たは意見を示すことが意図されている。これらの記述および意見は通常予測的な性格を有し、不確実な仮定もしくは未
知のリスクや不確実性の影響を受ける、または最終的に達成されるものと大きく異なる可能性がある。そのため、投資
判断を行うにあたってこれらの記載および意見に依拠すべきではない。実際の結果が本書に記載の将来に関する記載ま
たは意見と大幅に異ならないとの保証はできない。本書に含まれる将来に関する記載と意見に影響を与える特定の要因
に関する詳細については、下記「第3 事業の状況-3 事業等のリスク」を参照のこと。本有価証券報告書に含まれ
ている将来に関する記載または意見はいずれも本書提出日現在においてなされた記載であり、今後提出されることのあ
る本書の訂正報告書または臨時報告書ならびに発行登録書、訂正発行登録書および発行登録追補書類の参照書類の補完
情報およびそれらの添付書類においてなされた記載により、かかる記載または意見は更新、修正、訂正または置き換え
られることがある。本書中の将来に関する記載または意見はかかる記載がなされた日時点のみについて述べたものであ
り、同日以降における正確性を表明するものではない。この将来に関する記載は、1995年米国民事証券訴訟改革法の目
的における「将来に関する記載(forward-looking statements)」を構成する。当グループは、本書日付以後に事象や
状況を反映するために、または予期しない事態の発生を反映するために、これらの将来に関する記載または意見の修正
結果を公表する義務を負わない。
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気候関連の情報
本書は、気候関連のリスクおよび機会、気候に関する目標および野心、気候シナリオ、排出削減のパスウェイならび
に気候予測などの気候に関する記載を含むことがある。当グループは、これらの記載を誠実に作成したが、気候関連
の記載にはその有用性、正確性、完全性に影響を与えうる大きな不確実性、課題およびリスクが内在する。これには
以下が含まれる。
(1) データの入手可能性および信頼性 - 排出量および気候関連データ(当グループの顧客から提供されるデータ
を含む。)は完全でない、一貫性がない、信頼性がないまたは入手できない可能性があり、そうした場合には
仮定、見積りまたは代替データに依拠することが必要になる可能性がある。
(2) 不確実な手法およびモデリング - 気候関連の指標、モデリングおよび気候データの計算に用いる手法、枠組
みおよび基準は適用が普遍化されておらず、急速に進化しており、変更される可能性がある。その影響が、本
書の作成に用いるデータ・モデリング、アプローチおよび目標に及ぶ可能性がある。
(3) 計算および見積りの複雑性 - 投融資先排出量(ファイナンスド・エミッション)(金融活動への排出割当て
を含む。)および排出削減量の見積りは複雑であり、多くの場合、長い年月にわたる前提および判断に依拠す
る。資本市場業務に係る排出量(ファシリテイテッド・エミッション)については、本書で言及されるANZGHL
グループの2023年度気候関連開示書類の作成時において、金融機関がそれを計算できるような適切な基準は策
定に至っていなかった。
(4) 気候関連の規律体系の変更 - 気候に関連する政策、法律、規制ならびに市場の慣行、基準および展開の変更
(法的手続や規制当局の調査の結果によるものを含む。)。
(5) 定義の一貫性の欠如および気候科学用語の可変性 - 気候関連データや評価枠組みの定義および基準は、それ
を用いる業界や法域によって異なる可能性があり、気候科学や脱炭素パスウェイに関する用語および概念は、
経時的に進化し更新される可能性がある。このような非一貫性および変更のため、異なる組織間で気候目標や
成果を比較することが困難または不相当になる可能性もある。
(6) 第三者のデータへの依存または第三者の関与 - 当グループまたはANZGHLグループは、データ・手法の外部プ
ロバイダーまたはその他の第三者からの支援、データまたはその他の情報に依存することが必要になる可能性
があり、これらについても変更や不確実性の可能性を伴う。さらに、利害関係者などの第三者(金融機関、政
府機関および非政府機関を含む。)の活動および継続的参与を要する可能性もある。
このような不確実性、課題およびリスクのため、当グループまたはANZGHLグループが作成または使用した記載、仮
定、判断、計算、見積りまたは代替データが誤り、不正確または不完全であったと後に判明する可能性がある。読者
は自身で独自に分析すべきであり、これらの情報に依存して投資判断を行うべきではない。
上注の情報は、本書に記載される限定条件、制約および指針とあわせて読まれるべきである。
さらなる詳細については、以下の文書を参照のこと。
・ anz.com.au/about-us/esg/reportingで入手可能なANZの2023 Environment, Social and Governance (ESG)
Supplement(2023年度環境・社会・ガバナンス(ESG)補足資料)(英文)
・ anz.com.au/about-us/esg/reportingで入手可能なANZの2023 Climate-related Financial Disclosures Report
(2023年度気候関連財務開示報告書)(英文)
・ anz.com/esgreportで入手可能なANZ Financed Emissions Methodology(投融資先排出量算定手法)(英文)
・ anz.com.au/about-us/esg/environmental-sustainability/environmental-footprintで入手可能なANZの
Greenhouse Gas Reporting and Carbon Offset Guidelines(温室効果ガス報告およびカーボン・オフセット・
ガイドライン)(英文)
・ anz.com/esgreportで入手可能なANZのSocial and Environmental Sustainability Target Methodology(社
会・環境的サステナビリティ目標法)(英文)
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5. 本書中の表において、計数が四捨五入されている場合、合計は計数の総和と必ずしも一致しない。
6. 本書に別段の記載がない限り、または文脈上別に解すべき場合でない限り、「本書」とは本有価証券報告書を意味す
る。
7. 本書の参照先のウェブサイトに記載されまたはかかるウェブサイトで入手可能な情報は、本書の一部を構成するもの
ではない。本書中でのウェブサイトの参照はすべて、非アクティブな(随時更新されない)原文を参照するものであ
り、これらはアクティブな(随時更新される)リンクではない。
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第一部【企業情報】
第1【本国における法制等の概要】
1【会社制度等の概要】
(1)【提出会社の属する国・州等における会社制度】
以下はオーストラリアの2001年会社法および当行の定款の概要を含む。以下の事項をより徹底して理解したいと希望する読
者は、元となるこれらの文書を参照すべきである。
当行はその他のオーストラリアの銀行および会社と同様、2001年会社法(「会社法」)に従い、会社法により規制される。
会社法は制定法であり、オーストラリア証券投資委員会(「ASIC」)が管理している。
オーストラリア連邦の諸法律(「豪州法」)は当行のオーストラリアにおける業務運営の様々な局面に影響を与えている。
会社法に加え、特に当行に関係のある重要な豪州法は、1959年銀行法(「銀行法」)、1998年オーストラリア健全性規制庁
法、2001年オーストラリア証券投資委員会法および1998年金融部門(株式所有)法を含む、現行の銀行諸法から構成される。
当行はオーストラリア証券取引所(「ASX」)における上場債券の発行会社であるため、ASX が管理する上場規程による規制も受
ける。
当行に適用のある会社法の主要規定の概略は以下の通りである。
会社法は、会社が定款を制定できる旨規定している。当行は、2023年11月10日における当行株主の特別決議により承認され
た定款(「定款」)を採択した。当該定款は、2007年12月18日に開催された株主総会で当行株主により承認され、随時改正さ
れた旧定款に代わるものである。
定款には、会社の業務、運営、権利および権限ならびに株主、取締役、その他の役員の権利および権限に関して、豪州法の
規定と一致する規則のみを含めることができる。定款は、決議に関して議決権を有する会社の株主の最低75%の投票をもって
決議される場合のみ改定することができると会社法により規定されている。 ANZ BH Pty Ltd(オーストラリア会社番号(ACN)
658 939 952)は当行の唯一の株主であり、かかる決議における議決権を有する。ANZ BH Pty Ltdは、ANZグループ・ホール
ディングス・リミテッドの完全所有子会社である。
定款は通常、以下の事項に関する規定を含む。
・会社の株式に付随する権利および義務ならびに会社の株式の譲渡。
・株主総会の投票および運営方法。
・取締役の人数、権限、義務および任免ならびに取締役会会議の運営方法。
・会社秘書役の任命および社印の使用。
・会計および監査。
・株主への通知。
・会社の清算に際しての資産の分配。
会社法は、当行に対し、その取引、財務状況および業績を正確に記録かつ説明し、真正かつ公正な財務書類の作成および監
査を可能にする、書面による会計帳簿を保持することを要求している。
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会社法は当行に対し、その事業年度ごとに財務報告書を期限前に作成し、監査を受けることを要求している。財務報告書
は、(ⅰ)財務書類(損益計算書、包括利益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書および持分変動計算書ならびに財
務書類の注記を含む。)ならびに(ⅱ)財務書類および注記についての取締役の宣誓書から構成される。財務報告書はオースト
ラリアの会計基準および会社法に規定されているその他の関連規則を遵守しなければならず、財務書類および注記は当行の財
務状況および業績につき真正かつ公正な見解を表示しなければならない。当行はグループ内の親会社であるので、当該事業年
度を通して随時、当行が支配している会社との連結財務書類の作成も要する。会社法に基づき、当行の監査人は企業もしくは
個人(どちらの場合でも会社法に基づく登録を行っている会社監査人でなければならない。)または(会社法に基づく公認監
査会社である)会社でなければならない。監査人は、毎事業年度の当行の財務報告書の監査を実施し、当行の年次財務報告書
に関して以下の事項について意見を述べる義務を有する。
・年次財務報告書が会社法およびオーストラリアの会計基準に従い作成されているか否か。
・年次財務報告書が当行の財務状況および業績について真正かつ公正な見解を示しているか否か。
・監査人は、監査の実施につき必要なすべての情報、説明および支援を得ているか否か。
・当行は年次財務報告書の作成および監査を可能にするため十分な会計帳簿の記録を保持しているか否か。
・当行は会社法の要求するその他のすべての記録および登録簿を保持しているか否か。
ただし、年次財務報告書に関する監査報告書は、上記の最初の2項目のみを明示的に言及している。
財務報告書中のあらゆる欠陥もしくは不正または上記の最後の3項目に言及される事項に関する不備、不履行もしくは不足
についての詳細は監査報告書に記載されなければならない。
当行の取締役は、会社法で特定された一定の事項に関して、当行の株主宛てに事業年度ごとの取締役会の報告書を作成しな
ければならない。これらの事項にはとりわけ、事業年度中支払われた配当額、事業年度中推奨されたが支払われなかった配当
額、事業年度の業務運営およびその業績結果の検討、事業年度中に行われた当行の主要な業務についての記載ならびにこうし
た業務の性質の重大な変更、事業年度における当行の経営状態の重大な変化、および当行の業務運営、業績または経営状態に
重大な影響を及ぼした、もしくは今後の事業年度において及ぼす可能性のある、当該事業年度以降に生じる当行の事項や状況
が含まれる。
ASX に 債券が 上場されている企業としての当行の取締役会報告書にはとりわけ、(取締役および特定の上級経営陣を 含む )当
行の主要経営陣の報酬の性質および額の決定またはそれらに関する取締役会の方針の検討、ならびにかかる方針と当行の業績
との関係 が記載される 。
当行は、ASICには事業年度末から3か月以内に、またASXにはASICへの提出と同時におよびいかなる場合でも事業年度末から
3か月以内に、年次財務報告書の写しを提出しなければならず、当行の株主全員に対して、株主がかかる報告書を受領しない
ことを特別に希望しない限り、年次株主総会から21日前まで、または当該事業年度末から4か月後のいずれか早い方までにか
かる報告書の写しを送付しなければならない。半期報告書はASICには半期終了から75日以内に、またASXにはASICへの提出時ま
でにおよびいかなる場合でも半期終了から2か月以内に提出しなければならない。半期報告書を株主に送付する義務はない
が、半期報告書はASXに提出され、ASXのウェブサイトで公衆の縦覧に付され、当行のウェブサイトにも掲載される。
ASX 上場債券の発行会社として、当行は多くの開示要件および報告要件を遵守しなければならない。これには、継続開示義
務、上場有価証券の配当、分配または利息の支払いについて当行が行う決定に関して特定の所定情報をASXに逐次報告するこ
と、ならびに所定の期間内に年次決算をASXへ提出することが含まれる。
定款は、当行の取締役会が、特に、当行が配当を維持する能力に関連する定款の一定の規則および会社法の規定に従って、
適切と考えるいかなる配当の支払いも決議し得ることを定めている。会社法は、以下の場合を除くと、会社は配当を支払わな
くてもよいと規定している。
・配当が宣言される直前に会社の資産がその負債を上回っており、その超過が配当の支払いに十分である。
・配当の支払いが会社の株主全体にとって公平で妥当である。
・配当の支払いによって、会社がその債権者に支払いする能力に重大な損害を与えない。
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株主
当行の定款は、会社法で要求される場合には、取締役会は株主総会を招集しなければならない旨規定している。会社法の規
定に従い、複数の株主を有する公開会社は暦年ごとに少なくとも1回、事業年度の終了から5か月以内に株主総会を開催しな
ければならない。しかしながら、会社法は、当行のように株主が1名のみの公開会社については年次株主総会の開催を要さな
い旨規定している。
1998 年金融部門(株式所有)法の定めるところによれば、何人もまたはかかる者とその関係者も、オーストラリア連邦の財
務大臣の承認を得ないで、金融業界の会社(当行を含む。)の全議決権の20%超を保有することまたは実質的な支配権を所有
することは認められていない。しかしながら、財務大臣は、オーストラリアの国益であるという条件を満たす場合のみ、20%
超の持分をある者が保有することを承認することができる。ある者に対する当行株式の保有、所有または議決権を行使する能
力の制限についての詳細は、下記の「2 外国為替管理制度-証券保有者に影響を与える制限」を参照のこと 。
経営および運営
公開会社である当行は、3名以上の取締役によって運営されることが要求されており、その内少なくとも2名はオーストラ
リアに通常居住する者でなければならない。取締役は自然人でなければならない。定款は当行の取締役の数を5名以上 10 名以
下と規定している。取締役の当行を運営する権限は、定款で定められている。
定款に従い、当行の取締役は取締役会として行為しなければならず、取締役会は諸決議を取締役会会議で行うほか、定款に
従い、会議を開催することなく書面決議の方法によりこれを行うことができる。個々の取締役、委員会、代理人またはその他
の者は、当行の取締役会の決議で付与された場合には当行を代表して行為する権限を有する。当行の取締役会は、取締役会の
あらゆる権限を1名以上の取締役またはその他の者に委任することができる。
公開会社は最低1名の秘書役(その内少なくとも1名はオーストラリアに居住する者でなければならない。)および定めら
れた数の取締役(上記に記載の通り)を任命することを義務付けられているが、会社法はその他の特定の役員の任命を要求し
ていない。秘書役は会社法および定款に基づき、特定の機能と責任を有しており、自然人でなければならない。
当行の株主は以下の事項を行う権限により最終的決定権を保持している。
(a) 取締役会に諸権限を付与している定款を修正すること。
(b) 株主総会を招集すること。
(c) 取締役の解任または会社法および定款に規定されたその他の事項を決議すること。
定款によって付与された権利および権限を行使するに際しては、当行の取締役は相当な注意と勤勉さをもってこれに当たる
ことが要求され、かつその権限の行使と義務の履行に際しては誠意をもって、常時当行の利益、すなわち一般的な意味ではそ
の株主の利益のために尽くすことが要求されている。
持株会社の最善の利益
適用法令に従い許可される範囲において、各取締役は当行の持株会社の最善の利益のために行為することを授権されてい
る。当行の持株会社はANZ BH Pty Ltdであり、当行の最終持株会社はANZグループ・ホールディングス・リミテッドである。
株式の発行
当行の未発行株式はすべて当行の取締役の管理下にあり、 当行の定款および会社法に従い、 取締役会が適切と判断した条件
によりこれら株式を発行することができる。
定款の詳細および抜粋については、下記の「(2)提出会社の定款等に規定する制度」を参照のこと。
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(2)【提出会社の定款等に規定する制度】
以下には当行の定款から抜粋した情報が含まれており、かかる定款はオーストラリア、ヴィクトリア州3008、ドックラン
ズ、コリンズ・ストリート833、9階、ANZセンター・メルボルンにおいて平日(土曜日、日曜日および祝祭日を除く。)の通
常営業時間に閲覧可能である。
本(2)に記載の定款の抜粋は、参考の便宜上、適宜言換えがなされており、またかかる抜粋に使用されている定義済の用
語は、定款において与えられた意味を有する。定款に定められた規則を完全に理解するためには、定款の写しを全文で読む必
要がある。
取締役会
取締役の人数(代理取締役は数に入れない。)は、取締役会が決定することができるが、 10名または最終持株会社(ANZグ
ループ・ホールディングス・リミテッド)が定めるその他の員数を超えてはならない。当行は最低5名(代理取締役は含まな
い。)の取締役を置かなければならない。
会社法、定款、および上記の人数制限に基づきその時々に確定される取締役の上限人数を条件に、 最終持株会社(ANZグルー
プ・ホールディングス・リミテッド)は随時、当行に通知することにより取締役となる者を任命することができる。
取締役の任命期間が明示的に特定されているか否かにかかわらず、会社法に従い、 最終持株会社 (ANZグループ・ホールディ
ングス・リミテッド) は 取締役を解任することができる。
取締役の数が上記の人数制限により要求される最少人数を下回ることとなる場合、残っている取締役らは、(a)最少人数を満
たす数までの取締役の任命、(b)株主総会の招集、および(c)緊急事態についてのみ、取締役会として行為することができる。
取締役会会議
取締役はいつでも取締役会会議を招集でき、また、秘書役は取締役からの要請ある場合は必ず取締役会会議を招集しなけれ
ばならない。
取締役会が別段に定めない限り、取締役会会議の定足数は取締役2名とし、この定足数がかかる会議の終始、常に出席して
いなければならない。取締役を兼任している代理取締役、または複数の任命権者の代理取締役となっている者は、定足数に1
回のみ数え入れる。
株主総会
当行は年次株主総会を会社法により要求されている通りに開かなければならない。 会社法は、当行のように株主が1名のみ
の公開会社については年次株主総会の開催を要さない旨規定している。
株主総会は、取締役会 または取締役 がいつでも招集でき、また会社法もしくは会社法に基づく命令により要求される 場合に
は 取締役会が招集しなければならない。
取締役会は、株主総会の延期、中止または開催場所の変更を行うことができる。
株主総会の通知は、会社法に則り行われなければならない。 招集通知については会社法を遵守するものとし、会社法が許可
するあらゆる方法を用いて通知することができる。
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議決権
会社法に従い投票が要求されない限り、株主総会で採決される決議は挙手によって決定されなければならない。 会社法、定
款の規定および株式発行の条件を制約とし、
(a) 挙手に際して、
( ⅰ) 株主が議決権行使代理人を2名任命している場合は、いずれの議決権行使代理人も 票を投じることはできない。
( ⅱ) 出席している投票権を有する株主で、かつ他の株主の議決権行使代理人、代理人または代表者である者は、1票を
有する。
( ⅲ) 上記(a)(ⅰ)および(a)(ⅱ)の条件を制約とし、議決権を有する株主である各出席者または議決権を有する株主の議
決権行使代理人、代理人もしくは代表者である各出席者は、1票を有する。
(b) 投票に際して、各株主は保有する全額払込済み株式1株につき1票を有する。
株主総会の議長には決定票がない。ある決議の賛成票および反対票が同数である場合、かかる案件は否決されたと裁定す
る。
株式
会社法および定款を条件として、取締役会は当行に代わり、取締役会が決定する任意の者に対して任意の条件および時期に
おいて、未発行株式の発行、オプション付与、その他の処理を行うことができる。
当行は、 優先株式(償還義務のある優先株式を含む。)を発行することができる。優先株式には、
(a) 定款に提示されている、もしくは従い決定される権利、または
(b) 会社法に従い認められているその他の権利が付されている 。
優先株式に付されている権利
(a) 取締役会は、定款を条件として、発行に先立ち取締役会が決定するあらゆる権利(外国通貨で表示された権利を含む。)
が付された優先株式を発行することができる。かかる方法で定められた権利は、その時点で発行されている優先株式に付
されている権利と同じである必要はない。
(b) 優先株式は、1シリーズもしくは複数の異なるシリーズで発行することができ、各シリーズは取締役会が定める方法によ
り識別する。
配当請求権
(a) 定款に基づく取締役会の権限を制限することなく、あらゆる優先株式の割当ての前に取締役会は、下記の事項、またはこ
れらの事項を決定する際の方法を定めなければならない。
( ⅰ) かかる株式に対して支払われる (もしあれば)配当金の率または金額
( ⅱ ) かかる株式に対する配当金の支払いの時期または状況
( ⅲ ) 配当金が支払われる期間
( ⅳ ) その他の種類の株式との関係でかかる株式の配当金支払いの優先順位
( ⅴ ) かかる株式に累積配当の権利があるのか、非累積配当の権利があるのか、および
( ⅵ ) 分配できる利益がある場合に、かかる株式はさらにそれに参加する権利があるのか否か
(b) 優先株式の発行の条件にはさらに、以下の規定を盛込むことができる。
( ⅰ) 税金またはその他の国庫賦課金、あるいは課税控除またはインピュテーション税額控除、もしくはそれら双方を考
慮に入れて、もしくは参照して、配当金額を調整する基準(もしあれば)、および、
( ⅱ) 優先株式の保有者に支払われるはずであった(発行の条件においてであるが)配当金の額が、配当金以外の方法で
当行が優先株式の保有者に支払う金額の程度まで、削減されるもしくは消滅される旨。
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配当金支払いの優先順位
取締役会が割当ての前に定める以下の配当金支払いの優先順位に関する規定(すべてまたは一部)が、あらゆる特定の優先
株式について適用される。
(a) 当行はその優先株式の配当金を下記の通り、支払うものとする。
( ⅰ) 普通株式に対するあらゆる配当金の支払いより優先し支払うものとする。
( ⅱ) 利益への関与に関して、同順位の明示がなされているその他すべての優先株式の配当金と同等に支払うものとす
る。および、
( ⅲ) 利益への関与に関して、優先して順位が明示されているすべての優先株式(もしあれば)の配当金より劣後して支
払うものとする。
(b) 償還または清算に際して、優先株式の保有者に累積配当の権利がある場合には、上記(a)で定めている通りのその他の株
式との優先順位にて、当行は、かかる保有者に償還日もしくは(場合に応じ)清算開始までの未払い配当金または配当滞
納金(宣言されたか否かを問わない。)に等しい額を支払わなければならない。
(c) 償還または清算に際して、優先株式の保有者が非累積配当の権利を有している場合、上記(a)で定めている通りのその他
の株式との優先順位にて、当行は、かかる保有者に償還日もしくは(場合に応じ)清算開始までに宣言されたが未払いの
配当金に等しい額を支払わなければならない。
清算時の優先順位
(a) 優先株式の割当てに先立ち、取締役会は、当行清算時の資本の払戻しに関する各優先株式の優先順位および残余資産への
株主の参加の権利(もしあれば)を決定するものとする。
(b) 割当てに先立ち取締役会がかかる決定をした場合、優先株式の保有者は、当行の清算に際してかかる優先株式につき払込
済みまたは払込済みとして貸記された金額と同額の支払い、および配当金ならびに発行の条件に従い保有者に権利が与え
られているその他の金額の支払いに対する権利を以下の通り有する。
( ⅰ) 普通株式に対する支払いより優先して支払われる。
( ⅱ) 清算に際し当該優先株式と同順位の明示がなされているその他すべての優先株式の保有者に対する支払いと同等に
支払うものとする。および、
( ⅲ) 清算に際し、当該優先株式より優先して順位が明示されているすべての優先株式(もしあれば)の保有者に対する
支払いより劣後して支払うものとする。
ただし、当行の剰余金、もしくは当行の利益または資産のその他の分配には参加しないものとする。
2【外国為替管理制度】
為替管理
現在、当グループの有価証券の保有者に対する配当、利息の支払またはその他の送金を制限する、オーストラリアにおいて
効力を有する一般的な為替管理規制はない。
取引制限
オーストラリアの公共政策を反映して随時オーストラリア国内において為替管理が実施され、適用あるオーストラリアの規
制当局の承認なしに特定の人物または団体との特定取引の締結を禁止する効果を有する。それらには以下が含まれる。
1. 2011年独自制裁法(連邦)に基づき、かつ2011年独自制裁規則(連邦)に従い、禁止の中で特に以下のもの:
(a) ミャンマー、ウルグアイの特定の地域 (クリミア、ドネツク、ルハンシクおよびセバストポリ) 、ロシア、イラン、
シリア、ジンバブエまたは朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への「制裁されているサービス」供与の禁止。財政援
助、特定の種類の金融サービスまたは軍事活動もしくは一定の輸出認可品目(武器または関連物資等)を支援もしく
はそれらに関連して供与されるその他サービスを含む。
(b) 北朝鮮、旧ユーゴスラビア共和国、イラン、リビア、ミャンマー、シリア、ジンバブエ、ウクライナまたは関係大臣
が当該人物もしくは団体が大量破壊兵器の拡散に関与していると納得する地域向けの、関係大臣により指定された個
人または団体に対し、直接的もしくは間接的に、資産を利用させることまたはそれらの利益のために資産を利用させ
ることの禁止。
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(c) ロシアにとって経済的または戦略的に重要性がある活動への従事または機能の実行の禁止。
(d) ウクライナの主権と領土の保全に対する脅威に責任がある、または加担していると関係大臣が確信する個人または団
体に対する禁止。
2. 1945年国連憲章第4章に基づき、かつ、2008年国連憲章(資産の取引)規則に従った、オーストラリア連邦の外務
大臣がオーストラリアの官報において随時挙げる人物または団体の金融その他の資産の利用または取引に対する制裁。当該
個人または団体は以下におけるものを含む。
(a) コンゴ民主共和国(国連憲章(制裁-コンゴ民主共和国)2008年規則を参照)
(b) 北朝鮮(国連憲章(制裁-朝鮮民主主義人民共和国)2008年規則、国連憲章(制裁-朝鮮民主主義人民共和国)2017
年文書および国連憲章(制裁-朝鮮民主主義人民共和国)(贅沢品)2017年文書)を参照)
(c) スーダン(国連憲章(制裁-スーダン)2008年規則を参照)
(d) イラン(国連憲章(制裁-イラン)2016年規則および国連憲章(制裁-イラン)(制裁対象輸出品)2016年制裁リス
トを参照)
(e) イラク(国連憲章(制裁-イラク)2008年規則を参照)
(f) ISIL(ダーイシュ)および アルカイダ(国連憲章(制裁- ISIL(ダーイシュ)および アルカイダ)2008年規則を参
照)
(g) ソマリア(国連憲章(制裁-ソマリア)2008年規則を参照)
(h) レバノン(国連憲章(制裁-レバノン)2008年規則を参照)
(i) マリ(国連憲章(制裁-マリ)2018年規則を参照)
(j) リビア(国連憲章(制裁-リビア)2011年規則を参照)
(k) タリバン(国連憲章(制裁-タリバン)2013年規則を参照)
(l) 中央アフリカ共和国(国連憲章(制裁-中央アフリカ共和国)2014年規則を参照)
(m) イエメン(国連憲章(制裁-イエメン)2014年規則を参照)
(n) 南スーダン(国連憲章(制裁-南スーダン)2015年規則を参照)
3. 2006年マネーロンダリング防止およびテロ資金対策法(連邦)および2007年マネーロンダリング防止およびテロ資
金対策規則文書(第1号)(連邦)の適用を受ける報告事業体として、当行は、疑うべき取引、基準値超えの取引および国
際的な資金振替指示に関する報告義務を負う。
証券保有者に影響を与える制限
以下のオーストラリア法は、オーストラリアの非居住者または非市民が当行株式を保有、所有または議決権行使する権利に
対して制限を課している。
1. 1975年外資による資産買収・企業買収法
外資によるオーストラリアの会社株式の取得は、1975年外資による資産買収・企業買収法(「外国買収法」)により規制
を受ける。外国買収法は、一定の金額の基準を条件とし、とりわけ以下のいずれかの状況をもたらす株式の取得または発行
に適用される。
・1名の外国人もしくは外国支配法人が単独で、または関係者と共同で、議決権もしくは潜在的議決権の20%以上を支配
する立場にある、またはオーストラリア事業を行う法人の発行済株式もしくは発行済株式に対する権利の20%以上の法律上
もしくは衡平法上の権利を保有する立場にある。
・2名以上の外国人もしくは外国支配法人がその関係者と共同で、議決権もしくは潜在的議決権の40%以上を支配する立
場にある、またはオーストラリア事業を行う法人の発行済株式もしくは発行済株式に対する権利の40%以上の法律上もしく
は衡平法上の権利を保有する立場にある。
上記のいずれのケースにおいても、また一定のその他状況において、オーストラリアの国益に反する場合、財務大臣はこ
の買収を禁止することができる。
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オーストラリアの外国投資の承認制度に対する新改正が2021年1月1日より発効した。 国家安全保障上の懸念の可能性が
ある投資は、0ドルの金額基準の対象となるか、 または審査請求が課されることがある。国家安全保障に関する事業および
国家安全保障用地への投資に対しては、承認の義務付けに関する要件が新たに導入され、審査基準となる投資の割合は引き
下げられて上記の20%の基準の代わりに10%の基準が一般的に適用される(特定の状況ではさらに低い基準が適用される場
合がある。)。「国家安全保障に関する事業」とは、一般的に「重要なインフラ資産」、電気通信、防衛または(オースト
ラリアもしくは外国の)国家の情報コミュニティまたはそれらのサプライチェーンに関与または関連する事業である。2021
年12月2日、2021年セキュリティ法改正(重要インフラ)法(連邦)が発効し、現行の2018年重要インフラセキュリティ法
(連邦)が大幅に修正された。とりわけ、同法により、「重要なインフラ資産」の定義が拡大され、金融サービスを含む11
の追加のセクターにおける重要資産が対象とされる。
2. 1998年金融部門(株式所有)法
1998 年金融部門(株式所有)法は、1名の者(関係者がいる場合は共同で)、または取決めに基づく2名以上の者が、そ
の者が(関係者と共同で)20%を超える会社持分を保有することになる場合、金融部門の会社の株式を取得することを禁止
する。しかし、財務大臣は、オーストラリアの国益であるという条件を満たす場合のみ、20%を超える持分をある者が保有
することを承認することができる。 下記「第2 企業の概況」の「2 沿革」および「3 事業の内容-(1)概要」に記載の
本再編に関するものを除き、当行の株式についてかかる承認が与えられたことはない。
3. 2001年会社法
企業において議決権株式を取得する者は誰でも、会社法第6章に記載の株式取得条項の制限に従う。 会社法第6章は当行
の株式持分には適用されないが、ASX上場株式を発行している当行の最終持株会社のANZグループ・ホールディングス・リミ
テッドには適用される。 特定の例外を除き、会社法第606節は、取引を理由として、 (ANZグループ・ホールディングス・リ
ミテッドのような)会社におけるある者もしくはその他の者の 議決権が(i)20%以下から20%超へ、または(ii)20%超
90%未満から、増加する場合、その者が当該会社の議決権株式の権益を取得することを禁止する。
第606節の例外の1つは、ある者が取得前の6か月間を通して当該会社の最低19%の議決権を保有していた場合、その者が
追加で3%の議決権を取得することを認める。
会社法の目的上、ある者のある会社における議決権は、議決権株式に付属する投票総数であり、かかる議決権株式につき
その者およびその関係者(広く定義される。)が当該会社の全議決権株式に付属する全投票数の比率に応じて「関連持分」
を有している。広く言えば、特定の資格に従い、ある者が証券の保有者である場合、その者は証券の「関連持分」を保有
し、証券に付与された議決権を行使する権利もしくは行使を支配する権利を持つ、または証券を処分する権利、もしくは処
分する権利の行使を支配する権利を持つ。
さらに、会社法に基づき、 (ANZグループ・ホールディングス・リミテッドなどの)該当する会社の 実質的な持分の保有を
始めるもしくは保有をやめる、またはある者が既に実質的持分を持っておりその持分に少なくとも1%の変動がある場合、
かかる者は 当該会社 およびASXに特定の規定情報(氏名および住所、ならびに当行の議決権株式における関連持分の詳細を含
む。)を知らせる通知を行う必要がある。かかる通知はおおむね、その者が情報を知った時から2営業日以内に行うものと
する 。
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3【課税上の取扱い】
本「3 課税上の取扱い」において、「本サムライ債」とは、 ANZBGL が発行し日本国内で募集が行われた本書日付現在未償
還であるサムライ債を意味し、「本売出債」とは、 ANZBGL が発行し日本国内で売出しが行われた本書日付現在未償還である売
出社債を意味し、また「本社債権者(サムライ)」とは本サムライ債の所持人を、「本社債権者(売出し)」とは本売出債の
所持人を、また「利札」は本サムライ債および本売出債に付された利札を意味するものとする。
以下の記述は一般的な性質のものであり、現時点で効力のある規定に基づくものである。自身の税務上の立場について疑問
がある本社債権者(サムライ)および本社債権者(売出し)は、それぞれの専門アドバイザーに相談すべきである。
当行によるまたは当行を代理しての本サムライ債、本売出債および利札に関する元利金の支払いはすべて、オーストラリア
連邦において、またはその課税権限を有する当局により課税、徴収、源泉徴収または賦課される一切の現在または将来の税
金、関税、賦課金または公租を源泉徴収または控除することなく行われる。ただし、かかる源泉徴収または控除がオーストラ
リア連邦法により要求されるまたはFATCA(以下に定義される。)のためにもしくはそれを理由として行われる場合を除く。か
かる場合、慣習上の例外(FATCAのためにもしくはそれを理由として行われる源泉徴収または控除の場合を含む。)を除き、当
行は、かかる源泉徴収または控除が要求されなかった場合受領するはずであった額を 本社債権者(サムライ)および本社債権
者(売出し)が 受領することができるよう、追加額を支払うことに同意している。
「FATCA」とは、以下を意味する。
( ⅰ) 合衆国内国歳入法(または合衆国内国歳入法の修正もしくは継承法)第1471条ないし第1474条およびそれらの現在も
しくは将来の規則もしくは公権解釈、
( ⅱ) 合衆国内国歳入法のかかる条項もしくは米国以外の法の類似規定のいずれかを実施することに関連して、政府間で締
結された合意に従って採用された米国もしくは米国以外の財務または規制上の法制、規則、指針または実務、または
( ⅲ) 米国内国歳入庁、米国政府またはその他の法域の政府機関もしくは税務当局との、上記(ⅰ)または(ⅱ)の実施に従う
合意。
「合衆国内国歳入法」とは、1986年米国内国歳入法(その後の修正を含む。)を意味する。
本売出債または本サムライ債に関するオーストラリアの課税上の立場の説明については、以下を参照のこと。
(a) 本売出債の場合、随時補足および/または更新される、 2023年11月21日付 オーストラリア・ニュージーランド銀行
60,000,000,000米ドル・ユーロ・ミディアム・ターム・ノート・プログラムのベース・プロスぺクタス「税制-オーストラリ
ア」。
(b) 本サムライ債の場合、当該本サムライ債の発行時において有効であり、随時補足または訂正される、当行がその時々に提
出した訂正発行登録書または発行登録追補書類の「第一部-第1-1-摘要-I.(12)オーストラリアの租税」(またはそれに
相当もしくは代替する項目)。
4【法律意見】
当行のオーストラリアの法律顧問であるアレンズ法律事務所により、当該法律意見書に記載の一定の前提および限定に基づ
き、上記「第一部-第1-1、2および3」に記載されたオーストラリア連邦の法的事項に関する記載はすべての重要な点に
おいて真実かつ正確である、との法律意見書が提出されている。
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第2【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
連結財務情報
(単位:百万ドル(ただし、発行済株式数、1株当たり情報、比率および従業員数を除く。))
(下段は円換算額(1)(百万円(ただし、発行済株式数、1株当たり情報、
比率および従業員数を除く。)))
(-はマイナスを示す。)
9月30日終了年度(2)
2023 年度 2022 年度 2021 年度 2020 年度 2019 年度
収入(3)(4) 53,818 28,161 22,788 28,014 35,523
(5,199,895) (2,720,916) (2,201,777) (2,706,713) (3,432,232)
税引前利益(4) 10,134 10,079 8,936 5,516 8,920
(979,147) (973,833) (863,396) (532,956) (861,850)
税引後利益(非支配持分を除く) 7,165 7,119 6,162 3,577 5,953
(692,282) (687,838) (595,372) (345,610) (575,179)
当期包括利益合計 7,954 3,399 5,858 3,467 7,307
(非支配持分を除く) (768,515) (328,411) (566,000) (334,982) (706,002)
29,082 28,797 25,984 26,531 26,490
普通株式資本
(2,809,903) (2,782,366) (2,510,574) (2,563,425) (2,559,464)
発行済株式総数
3,003,366,78 2 2,989,923,751 2,823,563,652 2,840,370,225 2,834,584,923
(普通株式)
株主資本(非支配持分を除く) 68,592 65,907 63,665 61,287 60,783
(5 )(6) (6,627,359) (6,367,934) (6,151,312) (5,921,550) (5,872,853)
1,106,041 1,085,729 978,857 1,042,286 981,137
資産合計(5)
(106,865,681) (104,903,136) (94,577,163) (100,705,673) (94,797,457)
非支配持分を除く1株当たりの株主資
22.84 22.55 21.58 21.44
22.04
本(5)(6)
(2,207) (2,130) (2,179) (2,085) (2,072)
(単位:上段 ドル、下段 円)
普通株式1株当たり配当額 204 146 142 60 160
(単位:上段 セント、下段 円)(7) (197) (141) (137) (58) (155)
資産合計に対する非支配持分を除く株
6.20% 6.07% 6.50% 5.88% 6.20 %
主資本(5)(6)
平均株主資本に対する純利益(損失)
10.7% 11.4% 9.9% 5.9% 10.0 %
(8)
営業活動(に使用された)/による 6,195 20,176 43,822 40,282 -4,550
キャッシュフロー (598,561) (1,949,405) (4,234,082) (3,892,047) (-439,621)
投資活動(に使用された)/による -10,042 -1,817 10,258 -11,465 -206
キャッシュフロー (-970,258) (-175,559) (991,128) (-1,107,748) (-19,904)
財務活動(に使用された)/による 4,034 -2,345 -9,672 -432 -2,761
キャッシュフロー (389,765) (-226,574) (-934,509) (-41,740) (-266,768)
現金および現金同等物の期末残高 168,154 168,132 151,260 107,923 81,621
(16,247,039) (16,244,914) (14,614,741) (10,427,520) (7,886,221)
期末現在従業員数(フルタイム換算)
40,119 39,381 40,221 38,579 39,060
(FTE)(単位:人)(9)
注:(1) 円換算額は、全報告期間について、1ドル=96.62円の換算率(2023年12月8日現在の株式会社三菱UFJ銀行公表の対顧客電信売相場)によ
り換算されている。
(2) 2023 年1月3日、ANZBGLは、スキーム・オブ・アレンジメントにより、ANZグループの新たな上場持株親会社として純粋持株会社であるANZグ
ループ・ホールディングス・リミテッドを設立した(「本再編」)。本再編の詳細については、下記「3 事業の内容-(1)概要」を参照のこ
と。当グループの2023年度の財務情報は、2022年10月1日から2023年1月2日までの再編前のANZグループの業績、および2023年1月3日から
9月30日までのANZBGLグループの業績で構成される。2022年度、2021年度、2020年度および2019年度の財務情報は再編前のANZグループの業績
を表す。
(3) 受取利息、その他営業収入、資産運用収入および保険事業収入純額ならびに関連会社投資の持分利益/損失を含む。支払利息および大手銀行税
は考慮しない。
(4) 数値および比率は継続事業ベースで表示されている。
(5) 2019 年10月1日のAASB第16号の適用に伴い、当グループにおいて17億ドルのリース負債および16億ドルの使用権資産が認識された。その結果、
2019年10月1日現在において、期首利益剰余金が8,800万ドル減少、繰延税金資産が3,700万ドル増加した。2019年度の比較情報は修正再表示さ
れていない。
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(6) 非支配持分を除く。非支配持分を含む株主資本合計は、次の通りである。2023年度691億1,400万ドル(約6兆6,780億円)、2022年度664億100
万ドル(約6兆4,160億円)、2021年度636億7,600万ドル(約6兆1,520億円)、2020年度612億9,700万ドル(約5兆9,230億円)および2019年
度607億9,400万ドル(約5兆8,740億円)。
(7) 各年度において当行の普通株主に提案または支払われた配当額。2023年度には、ANZGHLの完全子会社でANZBGLの直接持株会社であるANZ BH Pty
Ltdに対して支払われた2023年1月における10億ドル(約970億円)の特別配当、2023年7月における23億8,700万ドル(約2,310億円)の中間配
当および2023年12月における27億7,100万ドル(約2,680億円)の期末配当が含まれる。
(8) 純利益(損失)は、税引後法定利益と定義される(非支配持分を除く)。平均株主資本は、当該年度についての平均株主資本(非支配持分を除
く。)と定義される。
(9) 1835i グループPtyリミテッドが管理する連結された投資先のFTEを含めるため、2022年度の比較情報は修正再表示されている(2022年度:
FTE185人)。本再編の一環で、これらのFTEはANZ NBH Pty Ltdに移管された。これ以外の比較情報は修正再表示されていない。
ANZBGL は、公開市場で取引される普通株式または潜在普通株式をもはや有していないため、1株当たり利益について意味のある数値を算出すること
や、関連する会計基準に準拠することはできない。そのため、ANZBGLは今後1株当たりの利益の数値を報告することはない。ANZGHLは、ANZグルー
プの上場会社として、今後もかかる数値の報告を継続する。
2【沿革】
ANZ の歴史は、1835年において特許状に基づきバンク・オブ・オーストラレーシアがロンドンにおいて設立された時まで遡る
ことができる。バンク・オブ・オーストラレーシアは当初、1835年にオーストラリアのシドニーにおいて、および1838年には
メルボルンにおいて開設された。
1951 年、バンク・オブ・オーストラレーシアは、ユニオン・バンク・オブ・オーストラリア(1837年設立)と合併し、オー
ストラリア・アンド・ニュージーランド・バンク・リミテッド(ANZ銀行)となった。1970年には、現在の組織であるオースト
ラリア・アンド・ニュージーランド・バンキング・グループ・リミテッドを形成するために、ANZ銀行がイングリッシュ・スコ
ティッシュ・アンド・オーストラリアン・バンク・リミテッド(1852年設立)と合併した。ANZは1969年に英国において設立さ
れ、同年にオーストラリア証券取引所に上場された。1977年、設立地がオーストラリアに移転された。
2023 年1月3日、ANZBGLは、スキーム・オブ・アレンジメントによりANZグループの新たな上場持株親会社として、純粋持株
会社であるANZグループ・ホールディングス・リミテッド(「ANZGHL」)を設立し、その後、ANZグループの銀行事業と一部の
非銀行事業をANZ銀行グループとANZ非銀行グループに分離するための再編(「本再編」)を実施した。ANZ銀行グループは、本
再編前にANZBGLで保有されていた事業と子会社の大部分から構成されている。ANZ非銀行グループは、ANZグループの顧客に対
する新しいテクノロジーや銀行関連サービスの提供に注力するため、ANZグループが開発または買収した銀行関連事業と、別の
サービス会社から構成されている。本再編についての詳細については、下記「3 事業の内容-(1)概要」を参照のこと。
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3【事業の内容】
(1) 概 要
当グループは、オーストラリアでの営業を1835年に、またニュージーランドでの営業を1840年に開始した、オーストラリア
に本店を置く4大銀行グループの1つである。ANZBGLは、オーストラリアで設立されオーストラリアに所在する公開会社であ
り、その社債は証券取引所に上場されている。ANZBGLの登記上の本店はオーストラリア、ヴィクトリア州3008、ドックラン
ズ、コリンズ・ストリート833、9階に所在し、電話番号は+61 3 9683 9999である。ANZBGLのオーストラリア企業番号はABN
11 005 357 522である。
当グループは、幅広い銀行業および金融商品およびサービスをリテール、小規模企業、コーポレートおよび法人顧客に提供
する。地理的には、オーストラリア、ニュージーランド、アジア太平洋地域の複数の国々、英国、フランス、ドイツおよび米
国にかけて営業を行っている。
2023 年9月30日現在、当グループの資産合計は1兆1,060億ドルであり、当行の株主に帰属する株式資本および準備金は681億
(1)
ドルであった。当グループは、銀行グループのうち資産合計の面で、2023年9月30日現在オーストラリアで第2位 、2023年
(2)
9月30日現在ニュージーランドで第1位 であった。
2023 年1月3日、ANZBGLは再編を行い、その結果ANZBGLに代わりANZGHLがANZグループの上場親会社となった。ANZGHLは、純
粋持株会社(「NOHC」)であり、1959年銀行法(オーストラリア連邦)(「銀行法」)におけるNOHCとしての権限を有する。
ANZGHLはASXに上場されており、ANZGHLの普通株式はASXで値付けされている。ANZGHLの普通株式はまた、ニュージーランド証
券取引所(「NZX」)でも値付けされている。ANZBGLは、公認預金受入機関(「ADI」)であり、オーストラリアのオーストラ
リア健全性規制庁(「APRA」)やニュージーランドのニュージーランド準備銀行(「RBNZ」)を含む様々な健全性規制機関に
よる規制を受けている。本再編後は、ANZBGLはANZGHLの子会社である。
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ANZ グループの本再編後の構成は以下の図のとおりである
ANZGHL については以下の事項に留意されたい。
・ ANZGHLは、ANZBGLの債務を一般的に保証したり、ANZBGLの発行した債券に関してこれを保証したりするものではない。
・ ANZGHLは、ANZBGLの発行した債券について債務を負うものではない。
・ ANZGHLは、ANZBGLが発行したTier 2負債証券について、当該証券の要項に従って当該証券がANZGHLの普通株式に転換可
能であることを除き、債務を負うものではない。
本再編の実施前においては、ANZBGLの普通株式の主たる上場証券取引所はASXであり、ASXでその値付けがされていた。
ANZBGLの普通株式は、NZXにおいても値付けされていた。本再編の結果、ANZBGLの普通株式は、ASZにおいてもNZXにおいても、
上場も値付けもされていない。
(1) 出典:オーストラリア・コモンウェルス銀行の 2023 年6月30日終了会計年度に関する業績発表。ナショナル・オースト
ラリア銀行の 2023 年9月30日終了会計年度に関する業績発表。ウェストパック・バンキング・コーポレーションの 2023
年9月30日終了会計年度に関する業績発表。
(2) 出典: 2023 年6月30日終了の四半期に関する ニュージーランド準備銀行(RBNZ)の銀行財務力ダッシュボード
(https://bankdashboard.rbnz.govt.nz/summary) 。
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(2) ビジネス・モデル
当グループのビジネス・モデルは主に、顧客預金およびホールセール債券市場を通じて資金を調達し、当該資金を顧客に貸
し出すことからなる。さらに、当グループは、セールス、トレーディングおよびリスク管理業務から収益を得るマーケッツ事
業を営んでいる。当グループはまた、支払および決済ソリューションも提供している。
当グループの主な貸付業務は、居住用住宅ローン、クレジットカードおよび当座貸越を扱う個人ローンならびにコーポレー
トおよび法人顧客への貸付である。
当グループの収入は多数の収入源によるものであるが、主なものは以下のとおりである。
・ 純利息収益-当グループが貸付業務で得た受取利息と顧客預金およびホールセール資金調達に関して支払った利息との
差異を示す。
・ 受取手数料(純額)-貸付で得た手数料収入ならびに金融商品およびサービスに関連した貸付以外で得た手数料収入を
示す。資産運用収入を含む
・ 関連会社投資の持分利益-当グループが支配はしていないが重大な影響力を有する事業体に係る当グループの持分利益
を示す。
・ その他収入-保険事業の純利益、セールス、トレーディングおよびリスク管理業務から生じた収益、外国為替収入純
額、経済ヘッジ損益ならびに収益および費用ヘッジ損益ならびに事業の売却および閉鎖による損益を含む。
(3) 戦 略
ANZ グループの戦略は、顧客の財務的安定および持続可能性を改善することに注力しており、そのために、顧客を獲得して維
持し、顧客の行動を積極的に変革するような優れたサービスおよび手段と洞察を提供している。
とりわけ、ANZグループは、次のことを支援したい。
・ 顧客が貯蓄をし、住み心地のよい住宅を購入および所有すること
・ 顧客が事業を開始または買収して成長させ、持続可能な形で成長させること
・ 顧客が地域内で資本および物品を流通させ、持続可能な形で顧客のビジネスを成長させること
ANZ グループは、次のことを通じて、その戦略を達成しようとしている。
・ 命題 ANZグループの顧客は、絶えず変化するそのニーズを満たすべく進化するサービスを、容易に利用できることを好
む。
・ 顧客を強化するとともに、他の者が産業を強化するためにも利用することのできる、柔軟で回復力のあるデジタル・バ
ンキング・ プラットフォーム
・ 新しい価値をもたらす パートナーシップ これは顧客がその財務的健全性と持続可能性をさらに改善するのに役立つエ
コシステムを伴うものである。
・ 目的 と価値に導かれる人々 これらの人々は、ANZグループの顧客およびANZグループが創出する結果を大切にすること
により、その価値を駆り立てる。ANZグループの人員は、他者の意見を聞き、学び、かつ適応し、最初に適切な事柄を成
して、財務的健全性と持続可能性の挑戦に向けた結果をもたらそうとする。
(4) 当グループの主な活動
2023 会計年度中、当グループは、オーストラリア・リテール部門、オーストラリア商業部門、法人部門、ニュージーランド
部門、パシフィック部門、ならびにグループ・センター部門の6つの部門からなる部門構造で事業を営んだ。
下記に報告される部門は、AASB第8号「事業セグメント」に定義される事業セグメントおよび事業の最高経営意思決定者が
最高経営責任者であるために提供を受ける内部報告と一致する。
2023 年9月30日現在、当グループの6つの部門の主要な活動は以下のとおりであった。
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オーストラリア・リテール
オーストラリア・リテール部門は、 オーストラリアの個人顧客に、あらゆる銀行サービスを提供する。これには、住宅ロー
ン、預金、クレジットカードおよび個人ローンが含まれる。商品およびサービスは、支店網、住宅ローン・スペシャリスト、
コンタクト・センターおよび様々なセルフサービス・チャネル(デジタル・バンキングおよびインターネット・バンキング、
ウェブサイト、ATMおよびテレホバンキング)、および外部のブローカーを通じて提供される。また、この部門には、リテール
顧客向けに提案するANZプラスの企画の開発および運営に関する費用も含まれる。
オーストラリア商業
オーストラリア商業部門は、中小企業(SME)バンキング(小規模企業主および中規模商業顧客)ならびにスペシャリスト事
業(大規模商業顧客ならびに富裕層の個人顧客および同族グループ)という顧客セグメントに対し、アセット・ファイナンス
を含むあらゆる銀行商品および金融サービスを提供する。
法 人
法人部門は、オーストラリア、ニュージーランドおよび国外(パプアニューギニア(「PNG」)を含む。)の世界的な機関投
資家および法人企業ならびに政府に対して、以下の事業ユニットを通じてサービスを提供する。
・ 「トランザクション・バンキング」は、顧客に対して、ドキュメンタリー取引、サプライチェーン・ファイナンス、コ
モディティ・ファイナンス、キャッシュ・マネジメント・ソリューション、預金、支払、決済など運転資本および流動
性ソリューションを提供する。
・ 「コーポレート・ファイナンス」は、顧客に対して、ローン商品、ローン・シンジケーション、専門ローンのストラク
チャリングおよび執行、プロジェクトおよび輸出向けファイナンス、デット・ストラクチャリングおよび買収関連ファ
イナンス、コーポレート・アドバイザリー・サービスを提供する。
・ 「マーケッツ」は、顧客に対して、当グループの金利エクスポージャーおよび流動性ポジションを管理する他、為替、
金利、クレジット、コモディティおよびデット・キャピタル・マーケットに係るリスク管理サービスを提供する。
ニュージーランド
ニュージーランド部門は、以下の事業ユニットで構成される。
・ 「パーソナル」は、あらゆる銀行サービス、ウェルス・マネジメント・サービスを個人およびプライベート・バンキン
グの顧客に提供する。インターネットとアプリベースのデジタル・ソリューションおよび支店網、モーゲージ・スペ
シャリスト、リレーションシップ・マネジャーおよびコンタクト・センターを通じてサービスを提供する。
・ 「ビジネスおよび農業」(従前は「ビジネス」)は、デジタル、支店およびコンタクト・センターのチャネルを通じた
バンキング、また、従来のリレーションシップ・バンキング、ならびに専任のマネジャーを通じての高度な金融ソ
リューションなど、あらゆる銀行サービスを提供する。これらは、未上場の小規模、中規模、大規模企業、農業事業セ
グメント、政府および政府関連企業を対象としている。
パシフィック
パシフィック部門は、リテール顧客および商業顧客(多国籍企業を含む。)、ならびにパシフィック諸島(法人部門の一部
であるPNGを除く。)の政府に銀行商品・サービスを提供する。
グループ・センター
グループ・センターは、技術、資産、リスク管理、財務管理、資金管理、戦略、マーケティング、人事、コーポレート業務
および株主機能などのオペレーティング部門をサポートする。グループ・センターには、アジアにおける少数投資も含まれ
る。
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(5) サンコープ・バンク買収
2022 年7月18日、ANZグループは、サンコープ・バンクの直接の純粋持株会社であるエスビージーエイチ・リミテッド(SBGH
Limited)の株式の100%を取得することに合意したことを発表した。この買収は、オーストラリア競争・消費者委員会
(「ACCC」)の認可または承認が条件とされていた。ACCCは、2023年8月、この買収の認可を拒否したため、その決定は現在
オーストラリア競争審判所による審査に付されている。また、この買収は、連邦財務大臣の承認およびクイーンズランド州の
1996年州金融機関およびメトウェイ合併法(QLD)の改正といった一定の条件を満たすことが条件とされている。APS第222号
「関連事業体の関与」(「APS第222号」)に基づきまたはこれに関連してAPRAがANZBGLに対してこの買収の完了に向けて手続
を進めてはならない旨の書面通知を発した場合、ANZBGLは、サンコープ・バンク売買契約上その解除権も有している。諸条件
が満たされ、かつ買収が認可された場合、買収は2024暦年の年央が予定されている。 より詳しい情報については、下記の「第
3 事業の状況-3 事業等のリスク-(2)主なリスクおよび不確実性-当グループの事業の活動および業界に関するリスク
- 9 買収および売却は、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。」の項を参照のこと。
(6) 最近の進展
2023 年9月30日以降、本書日付までに、ANZBGLについて重要な進展はない。
(7) 監督および規制
主要な銀行グループとして、当グループ(ANZBGLグループおよびその子会社)は、事業を行う各主要市場において規制当局
および証券取引所による広範な規制の対象となっている。当グループは、ANZグループ(ANZGHLおよびその子会社)の一部であ
る。ANZGHLは、APRAの認可を受けた純粋持株会社(「認可NOHC」)であり、ANZグループの上場親会社である。本項は、オース
トラリア、ニュージーランドおよび米国における当グループならびにANZグループの規制および監督の概要を示す。本書で記載
される場合を除き、「(7)監督および規制」の項の記載情報は当グループに関するものである。
概要
APRA
ANZBGL およびANZGHLは、APRAの規制対象事業者であり、 銀行法およびAPRAの健全性基準および報告基準上の義務を負う。
APRA によるANZグループに対する規制の概要は以下のとおりである。
・ ANZGHL:認可NOHCである。ANZGHLは、下記に要約した認可条件(特定の資本要件を含む。)を遵守することが求めら
れる。認可NOHCとし て、銀行法および APRA の健 全性基準に基づく規制にも服する。レベル3のグループの最上位の法
人としては、ANZグループ(ANZ銀行グループおよびANZ非銀行グループの関連メンバーを含む。)全体に、APRAの一
定の健全性基準が適切に適用されることを確保することが要求される。
・ ANZ銀行グループ:銀行業務を行うANZグループの事業体(ANZBGL、ANZバンク・ニュージーランドおよびその他の当
グループの事業体を含む。)を含む。ANZGHLは公認預金受入機関(ADI)であり、ANZ銀行グループは、自己資本比率
や流動性に関する基準など、ADI にかかる APRA の 健全性基準や報告基準全般の適用を受ける。ANZ銀行グループに適用
のあるAPRAの役割についてより詳しい情報については、下記の「オーストラリア」の項を参照のこと。
・ ANZ非銀行グループ:ANZグループのうち、ANZ銀行グループ以外の事業体で構成される。APRAの認可に関する要件に
従うことを条件としつつ、かかる事業体には、ANZBGLに現在適用のある銀行の自己資本比率規制や流動性規制といっ
た ADI 特有の 規制は適用されない。前記のとおり、ANZGHLは、ANZグループやその顧客を保護するために適切であると
ANZGHLが判断した場合、またはAPRAがANZGHLに要求した場合、ANZ非銀行グループの関連メンバーも含め、APRAの一
定の健全性基準をANZグループ全体に適切に適用することが求められる。
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ANZGHL は、ANZ銀行グループとANZ非銀行グループの両方を含むANZグループ全体のリスクを反映した十分な資本を保有するこ
とが要求される。ANZBGLに適用される所要自己資本を含め、ANZ銀行グループの所要自己資本は、現行のAPRAの要件によって決
定される。
上記のように、本再編後、ANZGHLは、APRAの規制対象事業者である。APRAによるANZGHLの銀行法上の認可NOHCとしての認可
は、以下の事項を含む一定の条件付きのものである。
・ ANZ銀行持株会社 および ANZBGL は、ANZGHLまたはANZ非銀行グループの事業体のいずれの取締役会メンバーでもない独
立取締役一名を有しなければならない。
・ ANZGHL自身は、例えば、ANZグループ全体に対する経営指導、子会社への投資の保有、子会社への投資や支援、自己
の 活動 または健全性義務を遵守するために必要なその他の活動を行うための資金調達、その他APRAが承認した活動以
外の活動を行ってはならない。
・ ANZGHLは、 ANZ 非銀行グループにおいて重要な活動を開始する前に、APRAから異議がない旨の確認を得なければなら
ない。
・ ANZBGLは、自身の運営に必要なすべての機能の保有を維持するかまたは利用可能なものとしなくてはならない。
・ ANZグループの非規制業務は、ANZBGLとは、財務上も運営上も分離可能なものとしなくてはならない。
・ ANZGHLは、ANZ非銀行グループがADIに過度のリスクをもたらす活動を行わないことを確保しなければならない(ま
た、APRAがADIに過度のリスクをもたらすと書面で通知した活動については、ANZ銀行グループがANZ非銀行グループ
に移転することを確保しなければならない)。
APRA は、適切と判断した場合にはいつでもこれらの条件を見直し、変更することができる。
RBNZ
ANZBGL およびANZバンク・ ニュージーランド (またはANZバンク・ニュージーランドの子会社)に対するRBNZの規制について
は下記の「オーストラリア」および「ニュージーランド」の項を参照のこと。
その他の規制の影響
多くのその他の規制当局がANZグループ(ANZ銀行グループおよびANZ非銀行グループの両方を含む。)に対する監督および規
制を継続する。オーストラリアでは、これらの規制当局には以下のものが含まれる。
・ オーストラリア証券投資委員会(「ASIC」) - 会社および証券の事項に関連するもの
・ オーストラリア取引報告分析センター (「AUSTRAC」)- マネーロンダリング防止およびテロ資金対策法に関連するも
の
・ オーストラリア情報コミッショナー事務局(「OAIC」) - 情報法に関するプライバシーおよび自由に関連するもの
米国では、これらの規制当局には米国連邦準備制度および通貨監督庁が含まれる。
オーストラリア
健全性および規制の監督
APRA の監督上の役割
1998 年7月1日以降、APRAが、銀行(ANZBGLを含む。)、信用組合、ビルディング・ソサイエティ、保険会社および退職年
金基金を含むオーストラリアのADIの健全性および規制の監督に責任を持っている。それ以前は、オーストラリアの銀行業界は
オーストラリア準備銀行(「RBA」)による規制を受けていた。RBAは、引き続き金融政策、金融システムの安定性および支払
システムの規制に対して全体的な責任を持つ。APRAは1998年オーストラリア健全性規制庁法によりその権限を付与されてい
る。
APRA はADIに、様々なAPRA健全性基準の範囲内の一定の健全性要件を満たすよう要求する。APRAは、認可NOHC(ANZGHLを含
む。)のような様々な規制対象事業体の健全性規制および監督についての責任も負っている。
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APRA は、その監督下にあるADIに、財務状態についての財務上および統計上のデータならびに健全性およびその他事項に関す
る情報を含む広範囲な情報を記載した報告を定期的に提供するよう要求することによりその責任の一部を果たしている。APRA
は、自己資本比率、流動性、利益、信用の質および関連する貸付損失の履歴、リスクの集中、資産および負債の満期構成、オ
ペレーショナル・リスク、市場リスク、銀行勘定における金利リスク(「IRRBB」)、関連会社に対するエクスポージャー、外
部委託、資産運用、ガバナンス、事業継続性の管理、回復と解決の計画、監査およびその他の関連事項、証券化業務、ならび
に国際銀行業務に特別な注意を払っている。APRAはまた、ADIがその財務状態についての情報の提供を怠った場合、一定の調査
権限を行使することもできる。APRAが、ADIが債務不履行に陥る可能性があるまたは(その他の状況の中でも)支払い停止に陥
る可能性があるとみなした場合、APRAは(銀行法上の法定支配人の任命を含め、)ADIの事業を管理することができる。APRAは
また、ADIがその債務に関して支払いを行わないよう指示する権限を有する。加えて、APRAは、1999年オーストラリア金融部門
法(譲渡および条件緩和)の下で、一部もしくはすべてのADIの資産および負債またはその株式を、APRAが指定する第三者(す
べての場合にADIであることは必要とされない。)に強制譲渡させる権限も有する。大まかに言えば、APRAは、オーストラリア
における担当大臣が譲渡すべきであると宣明した場合、または銀行法、規制もしくは規制上の措置への違反があり、もしくは
ADIが債務不履行に陥る可能性が高い旨もしくは支払い停止に陥りそうである旨をAPRAに対して通知し、一定の他の基準に適合
するとAPRAが認める場合(金融部門全体の利益を考慮すれば譲渡が適切であるとAPRAが認める場合を含む。)などに、かかる
強制譲渡をさせることができる。ADIとの契約の相手方は、ADIへの債務の否定のため、または当該契約に基づく債務の繰上げ
のため、当該契約に関する取引の終了のため、もしくは当該契約に基づく担保の実行の根拠として、銀行法上の法定支配人が
ADIの事業を管理しているという事実または指示もしくは強制譲渡命令のみに依拠することはできない。
その監督の役割を果たすため、APRAは、各ADIから収集した統計データの分析を、選択的な「現場」訪問ならびにADIの上級
経営陣および外部監査人との正式な会議により補完する。APRAはまた、ADIの同意を得て各ADIの外部監査人との協議関係を正
式なものとした。外部監査人は、ADIの会計記録から得られた情報で、ADIのAPRA報告に含まれているものが、すべての重要な
点において、信頼でき、関連するAPRAの健全性および報告基準に従っていることをAPRAに対して追加保証する。外部監査人は
また、APRAが選択した特定のリスク管理分野を対象とした検査を行う。加えて、ADIの取締役会は、適用ある健全性基準が指定
する様式により、ADIのリスク管理に関してAPRAに対して年次宣言書を提出しなければならない。
その他のオーストラリアの規制
APRA ならびにその健全性および規制の監督に加えて、ANZBGLおよびそのオーストラリアの子会社はいくつかの点において
ASIC、ACCC、AUSTRAC、OAICおよび様々な証券取引所を含むその他の監督機関による監督および規制を受けている。
ASIC はオーストラリアにおける会社、市場、金融サービスおよび消費者信用の監督機関である。ASICは投資、退職年金、保
険、預金受入および信用の取扱および助言を行うオーストラリアの会社、金融市場、金融サービス機関および専門家に対する
規制を行っている。ASICは、消費者信用の監督機関として、消費者信用業務に従事する人々および企業(銀行、信用組合、金
融会社ならびにモーゲージ・ブローカーおよび金融ブローカーを含む。)に対してライセンスを付与し、規制を行っている。
ASICは、2009年オーストラリア国家消費者信用保護法が定める消費者に対する責任についての要求基準等にライセンスが適合
することを確保する。ASCIは、市場の監督機関として、公認の金融市場が公平で秩序および透明性のある市場を運営する法的
義務をいかに効果的に遵守しているかについて調査している。2010年8月1日より、ASICは、オーストラリア国内の認可され
たエクイティ市場、デリバティブ市場および先物市場における取引を監督する責任も有している。ASICは、金融サービスの監
督機関として、金融サービス企業に対し、それらが効果的で誠実かつ公平な運営を行うことを確保するために、ライセンスを
付与し、監視を行っている。それらの企業は、概して、退職年金、管理されたファンド、株式および社債、デリバティブなら
びに保険を取り扱っている。ANZBGLはASICが監督する市場に商品を提供し、また参加している。
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ACCC は、消費者、企業および社会に便益をもたらすべく、オーストラリアの市場における競争および公正取引を促進する独
立した連邦法定機関である。同機関はまた、いくつかの国家のインフラ・サービスを監督する。その主要な任務は、個人およ
び当グループを含む企業が、オーストラリアの競争、公正取引および消費者保護法を遵守することを確保することである。
AUSTRAC は、オーストラリアの金融情報機関であり、マネーロンダリング防止およびテロ資金対策の規制当局でもある。2006
年オーストラリアマネーロンダリング防止およびテロ資金対策法(「AML法」)を含むオーストラリア法に基づき、一定のマ
ネーロンダリング防止およびテロ資金対策の法規制を遵守する義務を負っている。AML法は、AUSTRACにより運用されている。
OAIC は、オーストラリア司法長官の所掌する独立機関である。OAICの主な役割は、プライバシー、情報公開および政府の情
報政策であり、調査の実施、決定の見直し、不服の処理ならびに指導および助言の提供などを担当する。
適用法令(マネーロンダリング防止、内部告発、銀行業および健全性にかかる法令規則を含むがこれらに限定されない)の
下でまたはこれらに関連して、秘密保持義務が随時適用されうる。かかる秘密保持義務の対象となる情報は公に開示されな
い。
自己資本および流動性
自己資本
銀行の自己資本規制の適切な水準を決定する共通の枠組みは、一般に「バーゼル3」として知られる枠組みに基づいてバー
ゼル銀行監督委員会(「BCBS」)により設定される。
バーゼル合意の第1の柱に基づく最低自己資本要件(「自己資本要件」)を計算するために、当グループは、APRAより、信
用リスク加重資産について先進的内部格付手法を使用し、およびオペレーショナル・リスク加重資産についてAPS第115号 自己
資本規制:標準的計測手法 を使用する認可を受けている。
APRA は、オーストラリアにおいてバーゼル3自己資本改革の大部分を採用した。APRAはバーゼル3改正を最低要件とみな
し、そのためバーゼル3規則で提案された譲歩のいくつかを組み込まず、他の分野でより高度な要件も定めている。その結
果、オーストラリアの銀行のバーゼル3で報告される自己資本比率は、国際的な同業他社と直接的には比較できない。APRAの
バーゼル3改正は、CET1資本からの資本控除の増額、自己資本比率の引上げ(2023年1月1日から全面的に実施される規定最
低資本バッファーを含む。)、新規のその他Tier1(「AT1」)およびTier2証券についての要件の厳格化ならびに新規制に
合致しない既存のその他Tier1およびTier2証券の移行措置を含む。
自己資本規制の動向に関する詳細については、下記「規制上の動向-自己資本および流動性」を参照のこと。
流動性
ANZBGL の流動性および資金調達リスクは、ANZBGLの取締役会リスク委員会により承認された詳細な方針枠組により管理され
ている。流動性および資金調達ポジションならびにリスクの管理は、グループ資産負債委員会によって監督されている。
ANZBGLの流動性リスク選好 は、 ANZBGL の 取締役会リスク委員会が義務付けた一連の規制上の要件および内部の流動性指標を満
たす能力で定義される。指標は、異なるデュレーションおよび深刻度水準の様々なシナリオに渡る。この枠組みは以下に役立
つ。
・ より短期だがより極端な市場の混乱およびストレスに対して保護を提供する。
・ 適切な額の長期資産の調達をより長期の資金調達にすることで、貸借対照表の構造的な強さを維持する。
・ 当グループの資金調達プロファイルに過度の時期の集中が存在しないことを確保する。
この枠組みの主要な要素は、 2015 年1月1日付でオーストラリアで実施された流動性カバレッジ比率(「LCR」)である。
LCRは、APRAを含む銀行規制当局によって義務付けられる深刻な短期の流動性ストレス・シナリオであり、流動性リスクの測
定、基準およびモニタリングのためのバーゼル3国際的枠組みの一部として導入された。
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さらに、当グループは、2018年1月1日より、APRAの安定調達比率(「NSFR」)の要件を満たしている。2023年9月30日に
おいて、当グループのレベル2NSFRは116%であった(2022年9月30日は119%)。ANZBGLは、APRA健全性基準APS第210号 流動
性 (「APS第210号」)が要求する流動性および資金調達リスクに関する健全性義務、ならびにANZBGLのオフショア業務に係る
海外規制当局の健全性要件を厳守することに努める。
APRA の規制における自己資本管理および流動性
当グループの自己資本管理および流動性に関する詳細については、「第3 事業の状況-4 経営者による財政状態、経営
成績及びキャッシュ・フローの状況の分析-G.流動性および資本資源-(1)流動性」から「(4)レバレッジ比率」までを参
照のこと。
銀行役員説明責任体制および金融説明責任体制
銀行役員説明責任体制(「BEAR」) は、ADIグループにおける取締役および最も上級の役員に関する責任および説明責任の新
しいフレームワークとして、2018年に導入された。 BEAR の 下でのANZBGLの義務は、2018年7月1日に開始した。 BEAR の下で、
・ ANZBGLは、一定の上級役員または取締役の任命に際して、任命される個人を事前にAPRAに登録し、その者のADIグループ
(ANZバンク・ニュージーランドを含む。)における役割および責任を示した図を整備してAPRAに提出しなければなら
ず、また、各上級役員または取締役について個人の役割および責任を詳述した説明責任文書をAPRAに提出しなければな
らず、
・ ANZBGLの登録された上級役員および取締役が説明義務を果たさない場合には、APRAは裁判所の命令なしにそれら個人の
上級役員または取締役としての資格を奪う権限を与えられ(ただし、銀行法第6編に従った行政審理の対象とな
る。)、
・ ANZBGLは、取締役および上級役員について、報酬の一部繰延べを含むBEARの要件に適合した報酬決定方針を定めなけれ
ばならず、
・ ANZBGLは、BEARの義務を遵守しない場合には、相当な金額の罰金を支払う義務を負う。
2023 年9月、金融説明責任体制(「FAR」)を確立する立法が発効した。これにより、BEARを拡張し、これに代替することが
企図されている。BEARと同様に、FARはANZBGLの事業の全てに適用されるものである。
FAR は、APRAの規制対象である銀行業、保険業および退職年金事業を行う一定の事業者、ならびに当該事業者において一定の
地位または責任を有する人員の説明責任のフレームワークを設定するものである。FARは、最終的に、BEARよりも幅広いAPRAの
規制対象事業体を直接規制することになる。FARは、様々なタイプの主体について、FARの目的上「説明責任を負う主体」の定
義に該当し、FARによって直接規制されるようになるまでの段階的なスケジュールを定めている。かかるスケジュールに従い、
・ 2024年3月15日から、ANZBGL(ADIとして)およびANZGHL(ADIの認可NOHCとして)は、説明責任を負う主体になり、ま
た
・ 2025年3月15日から、当グループ内の保険会社およびライセンスを受けた退職年金受託者は、説明責任を負う主体にな
る。
FAR は、APRAとASICにより共同で執行されるものである。
FAR では、当グループおよびその一定の上位役職員は、新規のまたは強化された説明責任の義務を負い、その影響を受けるこ
とになる。例えば、FARは、ANZBGLおよびその他の説明責任を負う主体の各々が下記を実施するために合理的な措置を講じるこ
とを要求する。
・ 適切な技能、注意および精励をもって、誠実かつ真摯にその業務を行うこと
・ オープンで建設的、協力的な方法で、APRAとASICと取引すること
・ 健全な地位または健全な評判に悪影響が及ぶことを防止すること
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・ 一定の取締役、上級役員その他のキーパーソンが上記の行為基準を満たし、適用のある法律を遵守するための合理的な
措置を講じることを確保すること、ならびに
・ 関連事業者でその事業と活動が重要かつ実質的な影響をANZグループ内の説明責任を負う主体に与える者が、説明責任を
負う主体と同様にFARを遵守することを確保すること
危機管理
銀行法の下では、APRA は、規制対象法人(およびその子会社と持株会社の一部)の経営難の際に秩序ある破綻処理を促進す
る権限を保有している。当グループに影響を与える可能性がある権限には、ANZBGLおよびその他のANZグループの法人(ANZGHL
を含む。)との関係での監視、管理および監督権限が含まれる。銀行法には、ANZグループ内の規制対象法人(ANZGHLを含
む。)に対する法定管理権限の強化、ならびに規制された資本商品の転換または償却を法的に認めるための条項(「法定転換
および償却条項」)が含まれる。
法定転換および償却条項は、一定の金融セクターの事業体(ADIを含み、ANZBGLもその1つである。)が発行した規制された
資本商品に関して適用され、APRA健全性基準に適合するための転換または償却条項を含む。ある商品に法定転換および償却条
項が適用された場合、当該商品はその条項に従って転換されうる。これは、いかなる(特定の法律の他、現時点では、ある者
がオーストラリアの企業または金融セクターの事業体の持分利益を取得する能力に関する法律以外の)法令、発行者もしくは
当該商品の転換先事業体の定款、発行者もしくは当該商品の転換先事業体が当事者となっている契約、ならびに当該商品に適
用のある上場規則、業務規則またはクリアリングおよび決済規則にかかわらずそうなる。加えて、銀行法には、法定転換およ
び償却条項の運用に関する理由による一定の措置(義務の否定、債務の繰上げ、取引の終了、担保の実行など)のモラトリア
ムが定められている。
規制上の動向-自己資本および流動性
RBNZ の自己資本要件
RBNZ は、ニュージーランド国内で設立、登録された銀行に適用をしてその自己資本要件を改定し、これは銀行業健全性要件
(「BPR」)の文書に規定されている。新しい自己資本要件は、2021年10月から2028年7月までの移行期間中に段階的に施行さ
れる。適用のある主要な自己資本要件のうち、主要な要件は、以下のとおりである。
・ ANZバンク・ニュージーランドのTier1資本要件は リスク加重資産(「 RWA 」) の 16%に増加し、そのうち2.5%まではAT
1資本で構成することができる。ANZバンク・ニュージーランドの自己資本合計の要件は、RWAの18%に増加し、そのう
ち2%まではTier2資本とすることができる。増加した自己資本比率要件は、 2028 年7月1日にかけて段階的に施行さ
れる。
・ AT1資本は永久優先株式によって構成することが必要であるが、これは償還可能なものでもよい。Tier2資本は長期劣
後債務で構成することが必要である。
ANZBGL の レベル1のCET1資本への正味の影響は、2023年9月30日から2028年の移行期間の最終日までに約10億ドルから15億
ドルへの資本要件の増加である(当グループの2023年9月30日現在の貸借対照表に基づく。)。この金額も、ANZバンク・
ニュージーランドの自己資本状態の変更(例えばRWAの増加、管理バッファー要件によるものおよび潜在的な配当金額)に従
い、時が経つとともに変化し得る。
詳細については、 「監督および規制-ニュージーランド-ニュージーランドの規制上の動向- 銀行の自己資本要件 」 を参照
のこと。
自己資本規制-問題なく強固
APRA は、2023年1月1日、ADIに対する自己資本十分性および信用リスクに関する最終要件を実施に移した。
さらに、IRRBB、市場リスクおよびカウンターパーティー信用リスクが存在しており、APRAは、多数の健全性基準の修正につ
いて協議を行っているところである。APRAがまだ最終化していない項目が複数あることを前提とすれば、 ADI の 「問題なく強
固」に関する自己資本フレームワークの見直しに関連して行った APRA 健全性基準へのすべての変更による総合的な最終結果
は、依然として不明である。
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APRA の総損失吸収力要件
2019 年7月、APRAは、損失吸収力に関する決定を公表し、この決定に従いANZBGLを含むオーストラリアの国内のシステム上
重要な銀行(「オーストラリアのD-SIB」)に対して2024年1月までにRWAの3%増加させることを求めることになる。2021年
12月2日、APRAは、損失吸収力に関する要件を最終化し、オーストラリアのD-SIBに対し、2026年1月までにその自己資本合計
をさらにRWAの1.5%引き上げるよう要求する旨を述べている。以前公表した暫定的な3%の増加を含め、これによって、最低
所要自己資本合計は全体でRWAの4.5%相当分引き上げられることになる。APRAは、主にその他Tier2資本によってこの要件が
充足され、他の上位の資金調達において相当額の減少があると予想している。
追加の所要自己資本合計額は、2026年1月時点での当グループの実際のRWAに基づいて決定される。APRAは、「ADIの資本改
革によるRWAの変化を考慮すると、2023年から実施される新たな自己資本フレームワークに基づいたドル建て金額の下限は、概
ねRWAの4.5パーセンテージ・ポイントの要件に一致する」と言及している。
APRA の オーストラリア におけるその他Tier1資本についてのディスカッション・ペーパー
APRA は、2023年9月に、オーストラリアにおけるその他Tier1資本の有効性を改善するための選択肢を検討し、関係者からの
フィードバックを求めるためのディスカッション・ペーパーを公表した。APRAは、このペーパーについて関連する利害関係者
と協議する意向を示しており、2024年中に健全性基準の改正案について正式に協議する可能性がある。現段階では、APRAが提
案する選択肢が当グループにどのような影響(もしあれば)を与えるか確認することはできない。
関連会社の枠組みの変更
2022 年1月 、関連ADI(または同等の海外事業体)に対するオーストラリアのADIの個々のエクスポージャーの上限をレベル
1総資本の50%からレベル1のTier1資本の25%へ、またエクスポージャー合計ではレベル1総資本の150%からレベル1の
Tier1資本の75%へと引き下げるためのAPRAによるAPS第222号の修正が発効した。かかる上限の引下げが当グループに重大な
影響を及ぼすことはなかった。詳細については、下記「ANZBGLが財政支援を提供する能力の制限」を参照のこと。
ANZBGL が財政支援を提供する能力の制限
APRA 健全性基準による効果
APRA が課す現在または将来の要件は、ANZBGLの事業、業績、流動性、資本の源泉または財政状態に悪影響を及ぼす可能性が
ある。APS第222号は、関連会社の関与に起因するリスクの監視、管理および統制に関してANZBGLを含むオーストラリアのADIが
遵守すべき最低要件を設定するとともに、グループ内の財務上のエクスポージャーに係る上限を含んでいる。
APS 第222号の下で、ANZBGLが関連会社(ANZバンク・ニュージーランドを含む。)に財政支援を提供する能力は以下の制限に
服する。
・ ANZBGLは、関連会社の事業の支援を主要な目的とするいかなる第三者取引も行ってはならず、
・ ANZBGLは、関連会社に対して、合計または個別の会社レベルのいずれにおいても、特定の時間または金額による限定が
ない無制限のエクスポージャーを持ってはならず(例えば、関連会社のいかなる義務をもカバーする一般的保証を提供
してはならず)、
・ ANZBGLは、関連会社の債務不履行(財務的な債務であるか否かを問わない。)がANZBGLの債務不履行を引き起こすかま
たは引き起こすとみなされる内容のクロス・デフォルト条項を締結してはならず、
・ 自己資本から除かれるエクスポージャーを控除後のANZBGLのレベル1Tier1のエクスポージャーの水準は、以下を超え
てはならない。
(i) ANZバンク・ニュージーランドなどの関連ADIもしくは同等の事業体に対し、個々のエクスポージャーベースで25%、
またはすべての関連ADIもしくは同等の事業体に対するエクスポージャー合計で75%
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(ii) その他の関連会社に対し、
ⅰ 規制された関連会社の場合、個々のエクスポージャーベースで25%、または
ⅱ その他の(規制されていない)関連会社の場合、個々のエクスポージャーベースで15%、および
ⅲ すべての非ADIまたは同等の関連会社に対するエクスポージャー合計で35%
2023 年9月30日時点のANZBGLのANZバンク・ニュージーランドに対するエクスポージャーは、APS第222号の上限を遵守したも
のとなっている。
加えて、APRAは、2021年1月1日からは、ANZBGLの通常時におけるニュージーランド業務
(ANZバンク・ニュージーランドなどのニュージーランドにおいて設立された子会社およびANZBGLのニュージーランド支店を
含む。)への非株式等エクスポージャーを、ANZBGLのレベル1のTier1資本基盤に対する比率で5%以下に収めることができ
ることを確認した。この上限は、資本商品の保有または金融ストレス時にANZバンク・ニュージーランドおよびその子会社
(ANZバンク・ニュージーランドとその子会社を総称して「ANZバンク・ニュージーランド・グループ」)に対して提供される
適格担保付きの偶発的な資金調達の支援を含まない。
APRA はまた、金融ストレス時におけるANZBGLによるANZバンク・ニュージーランドへの偶発的な資金調達の支援は、APRAが承
認可能な条件に基づいて提供されなければならないことを確認した。現在、カバード・ボンドのみが偶発的な資金調達に係る
APRAの基準に該当している。APRAはまた、ANZBGLのニュージーランド業務に対するエクスポージャー合計は、ANZBGLのレベル
1のTier1資本基盤の50%を超えてはならないことを要求する。
レベル3枠組みによる効果
加えて、特にグループ・ガバナンスおよびリスク・エクスポージャーに関連するAPRAのレベル3枠組みの一定の要件が、
2017年7月1日に発効した。この枠組みはまた、当グループが子会社(ANZバンク・ニュージーランドを含む。)に対する財務
上および業務上のエクスポージャーを制限しなければならないことを要求する。
子会社に対するエクスポージャーの許容水準を定めるに当たり、ANZBGLの取締役会は以下を考慮する。
(a) 信用度が概ね同等である第三者について承認されるであろうエクスポージャー、および
(b) ANZBGL の自己資本ポジションおよび流動性ポジションに対する潜在的な影響、ならびに子会社が破綻した場合にも営業
を継続できるANZBGLの能力
これらの要件は、ANZBGLがANZバンク・ニュージーランドを含む子会社に対して財務上または業務上の支援を提供する能力に
さらなる制限を課すとは予想されていない。
規制上の動向-その他
フレームワークおよび実務の自己評価
2018 年5月、APRAは、すべての規制を受ける金融機関はガバナンス、文化および説明責任に関するフレームワークおよび実
務の自己評価を実施することにより恩恵を受ける旨、ならびに当グループのような大手金融機関についてもその取締役会によ
り見直され承認された評価書を求めていく旨を指摘した。APRAがこのように述べたのは、他の主要なADIに関する健全性調査に
ついての最終報告書で特定された論点に鑑みたものである。この健全性調査は、他の主要なADIグループのガバナンス、文化お
よび説明責任に関するフレームワークおよび実務を調査するために創設された。2018年11月30日、ANZBGLはAPRAに対して自己
評価書を提出した。2019年8月、ANZBGLは、自己評価書の中で提起された問題に対応するためのANZBGLの取組みの状況
(「ロードマップ」の進展を含む。)を詳述したANZBGL会長の論説を公表した。ANZBGLのロードマップでは、5つの注力領域
(文化、ガバナンスおよび説明責任、オペレーショナル・リスクの管理、救済、ならびに簡素化)が設定されていた。複数年
にわたる計画のロードマップは、2022年をもって完了した。APRAは、(2019年9月30日から)ANZBGLのロードマップにおいて
概要が示されたオペレーショナル・リスクの管理に関する計画された目標が効果的に達成されるまで、オペレーショナル・リ
スクのための5億ドルの追加資本を保持するようANZBGLに求めており、かかる行為により持続的な望ましい効果がもたらされ
ている。APRAは、2023年のANZBGLのオペレーショナル・リスクの管理の継続的な改善に向けた進捗の評価を行っている。
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住宅モーゲージ貸付実務
近年において、APRAは、住宅モーゲージ貸付実務を厳しく監視し、また銀行業界全体での住宅モーゲージ貸付基準の強化を
狙いとした数々の手段をとってきた。
2021 年10月、APRAは、住宅ローン申請にかかる実行性を評価する際にADIが使用することが予定される最低金利バッファーに
つき、ローンの金利に追加されるものとして最低2.5%であったものを最低3%に引き上げた。APRAは、かかる決定は、ADIの
住宅モーゲージ貸付に関して増大する財務安定性リスクを反映するものであると指摘した。APRAは以下の事項も指摘した。
APRAは、2022年9月に発効したADIの住宅モーゲージ貸付に関する信用リスク管理フレームワークをさらに改訂した。具体的に
は、ADIは、以下の類型の貸付に該当する貸付の程度を制限する能力を有しなければならない。
(a) 返済負担率が4倍または6倍以上の貸付
(b) 貸出金比率が80%または90%以上の貸付
(c) 投資目的の貸付
(d) 利息のみの貸付
(e) (a) から(d)のいずれか2つを組合せによる貸付
住宅モーゲージ・ローンの分類の変更
ANZBGL の住宅モーゲージ・ローンの現行の分類は一般に、 監督機関 および 市場に報告している通り、顧客から提供 される 情
報または顧客が事後的にローンの変更を申請する際に提供される情報に基づき、ローンの組成の過程(すなわち、与信申請、
審査および貸付実行)で決定されている。
住宅用 モーゲージ ・ ローン の 分類は、以下を理由に変更される可能性がある。
・ 組成段階での誤分類:組成段階で顧客が自己の身上についてANZBGLに誤った情報を通知する範囲で、ローンは誤って分
類されるリスクがあり、かかるローンは再分類される可能性がある。
・ 顧客の状況の変化:与えられた分類の継続的な妥当性は、顧客が自己の状況の変化についてANZBGLに情報を通知する義
務、および顧客から提供される情報を独自に検証するANZBGLの能力に依存する。顧客が自己の状況の変化を通知する範
囲で、またはANZBGLがその検証プロセスに基づきその旨を決定する場合において、ローンは再分類される可能性があ
る。
・ 規制その他の変更:ローンの分類基準およびその解釈は、1または複数の報告上の目的により変更される 可能性 があ
り、このことは一定のローンの分類に影響を及ぼす可能性がある。
・ ANZBGLのシステムおよびプロセスの変更
ローンの誤分類または再分類は、持ち家居住者向けの不動産担保ローンがより金利の高い投資用不動産ローンに再分類され
るなどの場合において、顧客の返済義務を履行する能力に影響を及ぼす可能性がある。 顧客が再分類後のローンの返済義務を
履行する能力を欠けば、かかるローンにつき債務不履行を生じるリスクが増す可能性があり、このことは当グループのポジ
ションに悪影響を及ぼす可能性がある。
その他
当グループにもたらされるリスクも含む規制上の動向に関する詳細 について は、 下記「第3 事業の状況-3 事業等のリ
スク-(2)主なリスクおよび不確実性- 法的および規制上のリスク -16. 規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守でき
ないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。 」を参照のこと。
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ニュージーランド
RBNZ の監督の役割
1989 年銀行健全性監督法(「BPS法」)は、ニュージーランド準備銀行( RBNZ )が以下の目的で、銀行登録および登録銀行
(ANZバンク・ニュージーランドを含む。)の健全性監督の権限を行使することを求めている。
・ 健全で 効率的 な金融システムの維持を推進する。
・ 登録銀行の破綻から生じる可能性のある金融システムへの重大な損害を防止する。
銀行登録に係るRBNZの方針は、適切な地位および評判を持つ金融機関のみが登録銀行となることができることを確実にする
ことを目的としている。この要件を条件として、RBNZは、銀行業界内の競争を促進するために、新規登録銀行参入への障壁を
最小限に保つ意向があると述べている。
RBNZ の 監督機能は、金融システム全体の安定性および効率性を促進することを目的としており、個々の銀行の破綻防止や 債
権者 の 保護を目的としたものではない。RBNZは、市場に本来存在する規律を活用し強化することで、これを達成することを目
指す。
RBNZ は、財務成績およびリスク状況に係る情報を定期的に銀行が開示する要件ならびに取締役が一定の主要な事項を定期的
に保証する要件を非常に重視している。これらの方策は、市場規律を強化し、銀行の健全性管理責任が、RBNZがその責任を行
使するのに最もふさわしいと考える者、すなわち取締役および経営陣にあることを確実にすることを意図している。
RBNZ の 監督的役割の主要な要素は以下を含む。
・ すべての銀行が一定の健全性最低要件を遵守することを求め、これは登録条件を通じて適用される。これらは、 関連 エ
クスポージャーに対する制約、最低自己資本比率要件および流動性リスク管理最低基準を含み、以下にさらに詳細に記
載される。
・ 各登録 銀行 の財務状況および登録条件遵守を、主に公表される半期開示書類およびRBNZに対して非公開で提出される月
次報告書に基づいて監視する。この監視は、RBNZが各銀行および銀行業界全体の財務状況に引き続き精通し、必要と
なった場合危機管理の権限を行使する準備状態を維持することを確実にするよう意図されている。
・ 登録銀行の上級経営陣と協議する。
・ BPS法に基づいて利用可能な危機管理の権限を用いて、銀行の経営難または破綻の状況が金融システムの健全性を脅かし
ている場合介入する。
・ 銀行が健全に業務を行っているかを査定する。
・ 銀行のマネーロンダリング防止および対テロ資金要件の遵守の監視に係る指針を発行する。
・ 銀行の外部委託契約を、外部委託に関連する登録銀行のリスクが適切に管理されているかを判断するために監視する。
・ 銀行の内部自己資本十分性プロセスおよび流動性方針に係る指針を発表する。
・ コーポレート・ガバナンスに係る指針を発表する。
・ 銀行特有の問題、政策問題ならびにニュージーランドおよび親銀行が所在する国々での金融システムの状況に関連する
一般事項に関して親銀行の監督機関(オーストラリアのAPRA等)との密接な業務 関係を維持する。
登録銀行は、半期ごとに、包括的な詳細情報ならびに、通年に ついて は完全な財務書類、半期については未監査の半期財務
書類を含む開示書類を発行することを求められる。財務書類は、各会計年度末には 全面的 な外部監査の対象となり、各半期末
には限定された範囲のレビュー対象となる。各銀行取締役は、銀行の開示書類に署名し、一定の保証を行わなければならな
い。銀行およびその取締役は、銀行の開示書類が虚偽または誤解を招くとみなされる情報を含んでいた場合、刑事上および民
事上の罰則を課せられる可能性がある。
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RBNZ は、登録銀行の主要な情報の四半期ごとの「ダッシュボード」をRBNZのウェブサイトで公表している。ダッシュボード
は、公衆および市場参加者がそれらの銀行の財務力およびリスク・プロファイルに関する情報を理解し、当該情報に基づいて
行動する能力の向上を目指している。情報は、銀行がRBNZに非公開で行う報告に基づく。ダッシュボードで公表されたANZバン
ク・ニュージーランド・グループに関する情報は、本書の参照情報ではなく本書の一部を構成しない。場合によっては、それ
らの情報は、ANZバンク・ニュージーランドの連結財務書類中の表示とは異なる分類または表示がなされている。
ニュージーランドで設立された銀行は、ニュージーランドの状況を反映して修正されたバーゼル3自己資本比率要件を遵守
することを求められる。RBNZはまた、ANZバンク・ニュージーランドを含む国内のシステム上重要な銀行の大半に、最低比率を
RWAの4.5%上回る健全性資本 バッファー を維持することを求めており、これに従わない銀行は販売を制限される。この健全性
資本バッファーは、2028年7月におけるRWAの9%まで、段階的に引き上げられる。詳細については、下記「ニュージーランド
の規制上の動向-銀行の自己資本要件」を参照のこと。
ニュージーランドで設立された銀行(ANZバンク・ニュージーランドを含む。)は、RBNZの流動性方針(「BS13」)を遵守す
ることが求められる。BS13の要件は、ニュージーランドで設立された銀行に75%の最低コア資金調達比率(「CFR」)を満たす
ことを求め、銀行の資金調達のうち少なくとも最低限の割合が顧客預金、期限付ホールセール資金調達およびTier1資本に
よって満たされることを確保している。
RBNZ は、2022年2月に、BS13の包括的なレビューも開始している。詳細については、下記「ニュージーランドの規制上の動
向--RBNZによるBS13のレビュー」を参照のこと。
また、RBNZは、すべての登録銀行に対し、承認された機関からの信用格付を取得および維持し、かかる格付を開示書類で公
表することも求めている。
さらに、RBNZは、その監督機能に関連して、さらなる情報、データおよび見通しを取得し、ならびにかかる情報、データお
よび見通しを監査させる広範な権限を有している。
RBNZ はまた、いくつかの危機管理権限も有している。これらの権限には、銀行登録の取消勧告、登録銀行の業務の調査、登
録銀行のRBNZとの協議の要求、登録銀行への命令、登録銀行の取締役の解任、交替もしくは指名、または登録銀行を法定管理
下に置く勧告が含まれる。
登録銀行が法定管理対象になると宣言された場合、いかなる者も、特に以下の行為をしてはならない。
・ 銀行に対する反訴による手続きを含む、訴訟またはその他手続きを開始すること、または継続すること。
・ 執行命令を出すこと、債務を差し押さえること、または当該銀行に関して得られた判決および命令を執行し、もしくは
執行することを求めること。
・ 当該銀行を清算する手段を講じること。
・ 当該銀行に対して相殺権を行使すること。
RBNZ の 監督権限の一環として、ある者が登録銀行への「重要な影響力」を獲得するまたは増大する結果となる取引を生じさ
せる前に、その者はRBNZの書面による同意を取得する必要がある。「重要な影響力」とは、登録銀行の取締役会の25%以上を
指名する能力またはその議決権株式の10%以上の適格持分(例えば、法的または受益所有権)を意味する。
登録銀行への重要な影響力を取得する同意の申請を評価する際に、RBNZは、登録銀行としての登録申請を評価する際に関連
するのと同一の事項を考慮に入れると述べている。同意を与える際、RBNZは、ふさわしいとみなす条件を課す可能性がある。
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ニュージーランドの規制上の動向
銀行の自己資本要件
RBNZ は、ニュージーランド国内で設立登録された銀行に適用される銀行自己資本要件を改定し、これは、BPR文書に規定され
ている。 新たな自己資本要件は、2021年10月から2028年7月の移行期間中に段階的に実施される。現在実施中の主要な要件は
以下のとおりである。
・ ANZバンク・ニュージーランドのTier1資本はRWAの16%まで引き上げられ、そのうち2.5%まではAT1資本で構成するこ
とができる。ANZバンク・ニュージーランドの総資本要件はRWAの18%に引き上げられ、これはTier1資本要件の2%ま
ではTier2資本で構成することができる。自己資本比率要件の引上げは、2028年7月1日までに段階的に実施される。
・ AT1資本は、償還可能な永久優先株式で構成されなければならない。Tier2資本は、長期劣後債務で構成されなければ
ならない。
・ Tier1資本要件は、RWAの9%のCET1健全性資本バッファーを含む。これには 、2%の 国内のシステム上重要な銀行の
資本バッファー、1.5%の「早期設定」カウンターシクリカル資本バッファー(金融危機後においては0%まで一時的に
引き下げる ことが可能であり、または一時的に引き上げることができる。)、および5.5%の保全バッファーが含まれ
る。
・ 条件付資本商品は、今後適格規制資本として取り扱われない。2023年9月30日現在、ANZバンク・ニュージーランドは約
12億3.800万ニュージーランドドルのAT1商品(「条件付AT1商品」)を保有しているが、かかる商品が未償還で残った
場合、2028年7月1日までの移行期間中に段階的に適格規制資本としての取扱いの対象から外れることになる。条件付
AT1商品の最大適格規制資本額は、2021年9月30日における合計残額(「条件付AT1ベース」)から、2022年から2028
年の各年の1月1日における条件付AT1ベースの12.5%を控除した額であり、2028年7月1日からは、条件付AT1商品は
適格でなくなる。
RBNZ の 見直しは、ANZバンク・ニュージーランドが保有すべき自己資本の水準を著しく増大させる。見直しにより、ANZバン
ク・ニュージーランドの資本配分および事業計画を含むANZバンク・ニュージーランドおよびその事業に対して、重大な影響が
及ぶ可能性もある。
RBNZ の 改正外部委託方針
ANZ バンク・ニュージーランドなどのニュージーランドで設立された大手銀行は、外部委託契約のBS11(RBNZの変更外部委託
方針)の遵守を確保しなければならない。
すべての外部委託契約は、2023年10月1日までにBS11を遵守しなくてはならないとされた。ANZバンク・ニュージーランド
は、RBNZが確認したそのBS11移行プログラムを完了した。
BS11 の要件はANZバンク・ニュージーランドの登録条件の一部をなす。ANZバンク・ニュージーランドが外部委託に関する登
録条件をみたさない場合、RBNZは、ANZバンク・ニュージーランドの外部委託利用に追加的な制限を付すなどの執行措置を講じ
ることができる。
準備銀行法の見直し
ニュージーランド政府は、1989年ニュージーランド準備銀行法(「準備銀行法」)の見直しを行い、同法はBPS法と改名され
た。見直しの第1段階の結果、ニュージーランドの金融政策の枠組みにいくつかの変更を加える2018年ニュージーランド準備
銀行(金融政策)改正法が制定された。第2段階では、金融政策に関する1989年ニュージーランド準備銀行法の金融政策の規
定の包括的な見直しが行われた。
BPS 法は、2つの別個の法制により代替されることが予定されている。
・ 2021 年ニュージーランド準備銀行法 は、RBNZのハイレベルでの目的、権限、役割、ガバナンスと資金調達方法に関して
BPS法の一部を代替するもので、2022年7月に完全に施行された。2021年ニュージーランド準備銀行法は、とりわけ、以
下の事項を規定している。
- 金融政策委員会が行うべき事項を除くすべての決定に責任を負う法定のガバナンス・ボードを設置すること
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- ニュージーランドの金融システムの安定性を保護し増進させる包括的金融安定性目的を(経済目的および中央銀行の
目的に加えて)導入すること
・ 2023年預金受入機関法(「預金受入機関法」)は、とりわけ、以下の事項を規定することが見込まれている。
- すべての銀行およびノンバンク預金受入機関向けの単一の規制制度を創設すること。
- 払戻事由 が発生した場合に、一預金受入機関につき、預金者一人当たり10万ニュージーランドドルまで保護する預金
者補償制度(「DCS」)を創設すること。
- 預金受入機関の取締役の説明責任要件の強化。
- RBNZの監督および執行方法の拡充。
- RBNZの危機破綻処理の枠組み(BPS法から主要な管理権限を実質的に引き継ぎ、当該権限を(実際的である場合に
は)破綻処理機関としてのRBNZに付与するもの)の強化および明確化。
預金受入機関法は2023年7月に制定された。RBNZは現在、2028年の預金受入機関法制度の開始をサポートするための政策、
基準および規制を策定するための複数年にわたる作業プログラムを実施している。預金受入機関法が完全に開始されるまで
は、銀行に対する現行の規制の枠組みはBPS法の下で継続される。
DCS は、ANZバンク・ニュージーランドを含む預金受入機関から徴収する賦課金で賄われ、預金補償制度は、預金受入機関法
の他の条項の発効に先んじて、2025年半ばの当初の実施が目標とされている。2023年、RBNZは賦課金の枠組みを含むDCSを支援
するための規則の策定について協議した。RBNZは、2024年の暦年の第1四半期中に、DCS規則の策定についてさらに協議を行う
ことを計画している。
金融機関の行為規制
2022 年金融市場(金融機関の行為)改正法(「FMCIA法」)は、2022年6月に立法化され、2025年3月31日に施行される。
FMCIA法は、施行になった場合、該当サービスおよび関連商品を提供する金融機関(登録銀行、認可保険会社およびノンバンク
預金受入機関を含む。)に対して以下を要求する。
・ 2013年金融市場行動法第6部に基づく認可を取得すること。
・ (顧客の利益を正当に考慮するなど、顧客を公平に取り扱うことを要請する)公平性原則を遵守すること。
・ 公正性原則を運用可能にするための効果的な公正性プログラムを策定、実施、維持および遵守すること、ならびに公正
性プログラムの要約を発行すること。
・ 関連サービスの提供に従事するスタッフその他の人員に対する販売奨励金に対する規制を遵守すること。
FMCIA 法は、広範な行為制度を実現しようとするものであり、かかる制度は、時とともに拡大し、規制対象事業体に義務の拡
大をもたらし得る。
RBNZ によるBS13のレビュー
RBNZ は、BS13の包括的レビューを行っている。かかるレビューについての最初の2段階の協議段階は完了した。かかる第2
段階の協議を受けたRBNZの主要決定事項には以下のものが含まれる。
・ バーゼル3の流動性フレームワークの採用ではなく、RBNZの既存の量的流動性指標に修正を加えたものの維持。
・ ニュージーランドにおける流動性資産の適格要件の厳格化。
・ 新しい適格要件を満たさない現存の適格流動性資産にかかるRBNZによる流動性確保手段の構築。
上記レビュー過程は、更なる2段階の協議および量的影響の調査を含むと見込まれている。第3段階と第4段階の協議段階
は、2024年および2025年の暦年に予定されている。預金受入機関法上の中核基準として、流動性方針を更新したものが、2026
年の後半か2027年の前半に公表されることが予定されている。 レビューの主要対象事項で未決定のものには以下のものが含ま
れる。
・ 流動性確保手段を利用する預金受入機関に生じる費用(手数料)
・ RBNZの既存の量的流動性指標の変更の詳細及び程度。
・ 各種の預金受入機関に対してどのように流動性要件は適用されるべきか。
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有価証券報告書
・ 外国銀行の支店に対して流動性要件は適用されるべきか。
・ マクロ・プルーデンスのための手段として流動性要件は使用されるべきか。
サイバーレジリエンスに関するガイダンスおよび情報共有の協議
2021 年4月、RBNZは、サイバーレジリエンスに関して、規制対象事業体(ANZバンク・ニュージーランドを含む。)に対する
RBNZの期待を概説するガイダンスを公表した。このガイダンスは、特に、取締役会および上級管理職のレベルで、金融セク
ターのサイバーレジリエンスに対する意識を高め、最終的にはその強化を図ることを目的とする。このガイダンスは、主要な
国際的および国家的なサイバーセキュリティの基準およびガイドラインに依拠しており、プリンシプル・ベースのハイレベル
の推奨事項を事業体に提供することを意図している。
2023 年5月、RBNZは、サイバー関連情報の収集を改善するアプローチの提案について業界との協議を開始した。RBNZは、以
下の3つの分野にわたるデータ収集を提案している。
・ 規制対象事業体に対してすべての重要なサイバー事件を検知後72時間以内にRBNZに報告することを義務付ける重要なサ
イバー事件の報告義務
・ 重要性いかんにかかわらない、すべてのサイバー事件の定期的報告
・ RBNZのサイバーレジリエンスガイダンスに基づいた規制対象事業体のサイバーレジリエンスに関する定期的調査
ANZ バンク・ニュージーランドは、2023年7月に終了した協議プロセスに参加した。RBNZは、この分野における健全性規制と
行為規制の整合性を確保するため、金融市場庁(「FMA」)と緊密に協力していることを確認した。ANZバンク・ニュージーラ
ンドは、引き続きサイバー事件の報告要件の進展を監視しており、当該要件は2023年後半に公表される予定であったが、本書
日付現在まだ公表されていない。
債務返済能力に関する制限
2023 年4月、借主の収入比で借入限度額を設定する住宅モーゲージ貸付のための収入負債比制限枠の確定版を発表した。い
ずれの収入負債比制限枠もその実施は2024年3月以降となる。RBNZは、2024年の早い時期に、住宅融資の収入負債比制限の調
整と実施について協議する意向である。
本書日付現在、提案されている返済負担率の制限がANZバンク・ニュージーランド・グループに与える影響は不確実である。
ローン資産価値比による制限
2023 年6月1日から、ニュージーランドで登録された銀行は、ローン資産価値比(「LVR」)80%を超える「非資産投資住宅
モーゲージ貸付」(標準的な住宅モーゲージ貸付で、所有者が占有している住宅用資産にのみ担保が設定されているもの)
は、 新しい 非資産投資モーゲージ貸付の総ドル価値の15%(以前は10%)までに制限し、かつ、LVR65%(以前は60%)を超え
る「資産投資住宅モーゲージ貸付」(標準的な住宅モーゲージ貸付で、非資産投資住宅モーゲージ貸付でないもの)は、新し
い資産投資住宅モーゲージ貸付の総ドル価値の5%までに制限するものとされている。かかる2つの変更がもたらすANZバン
ク・ニュージーランド・グループに対する影響は重大なものとはならないと見込まれている。
気候関連開示
2021 年金融セクター(気候関連開示およびその他の事項)改正法をもって、2022年10月27日より2013年金融市場行動法が改
正された。
この改正により、ANZバンク・ニュージーランドおよびANZニュージーランド・インベストメンツ・リミテッドは、2024年に
終了する各会計年度について、ニュージーランド外部報告委員会が発行した気候報告基準に従って、気候報告書を作成するこ
とが義務付けられることになる。ANZバンク・ニュージーランド・グループは、このスケジュールに従って気候報告書を作成す
るための準備を積極的に進めている。
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その他
ANZ バンク・ニュージーランド・グループにもたらされるリスクも含む規制上の動向に関する詳細 について は、 下記「第3
事業の状況-3 事業等のリスク-(2)主なリスクおよび不確実性- 法的および規制上のリスク -16. 規制の変更または法律、
規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。 」を参照のこと。
アメリカ合衆国(米国)
ANZBGL は、ANZGHLの間接子会社であり、ANZ銀行持株会社の直接の子会社である。ANZGHLは、ANZBGLの純粋持株会社である。
ANZBGL、ANZGHLおよびANZ銀行持株会社は各々 米国連邦準備制度理事会(「FRB」) から金融持株会社(「FHC」)として取り扱わ
れることを選択した。FHCは、FRBおよび米国財務省が本質的に財務的である、あるいはそれに付随していると決定した活動、
ならびに(FRBが承認した場合は)FRBが財務活動を補完すると判断した活動に米国内で従事し、あるいは従事する企業を買収
することを認められている。
1956 年銀行持株会社法(「BHC法」)の下で、FHCの活動は、当該FHC(米国の支店および代理店ならびに米国の預金受入機関
子会社を含む。)がFRBの規則の定義にしたがい「良好に経営されている」あるいは「資本が充実している」と言えなくなった
場合、FHCが特定の資本水準を維持することを求める執行措置の対象となった場合、または、FHCの米国の預金受入機関子会社
が地域再投資法上「並」以上の格付けを維持できなくなった場合に、制約の対象となる。FRBは、ANZBGL、ANZGHLおよびANZ銀
行持株会社を含む、FHCを管轄する「包括的な」監督者である。
ANZBGL 、ANZGHLおよびANZ銀行持株会社は各々1978年国際銀行法(「IBA」)を含む米国連邦法令に従う。IBAに基づき、ANZBGL
のニューヨーク支店(「ニューヨーク支店」)を含む、在米の外国銀行のすべての支店および代理店は、米国銀行持株会社に
より所有または支配されている国内銀行に課せられているものと同様の報告および審査要件に従うものとする。連邦政府の認
可を受けた支店は、主に米国通貨監督庁(「OCC」)の規制を受けることから、ニューヨーク支店は、国内銀行に許可されてい
る業務に従事することができるものの、ニューヨーク支店はリテール預金を受け付けることができない。ニューヨーク支店は
リテール預金を受け付けないため(法人預金および企業預金は受け付ける)、連邦預金保険公社(「FDIC」)の監督対象では
ない。ANZBGLのグアムの米国銀行子会社は、新規のリテール預金を受け付けてはおらず、その清算過程にあるが、いまだFDIC
の監督対象である。現在進行中の当グループの米国サモア事業の閉鎖準備手続およびANZBGLのグアムの銀行子会社の清算が完
了した後でも、ANZBGL、ANZGHLまたはANZ銀行持株会社のいずれか一つ以上が「良好な経営」または「十分な資本」を維持でき
なくなった場合または特定の資本水準の維持を求める執行措置の対象となろうとした場合には、ANZBGL、ANZGHLおよびANZ銀行
持株会社の各々がBHC法の対象となり、そのFHCとしての活動が制限を受け続けることになる。
IBA の下で、FRBは、ニューヨーク支店を含む、外国銀行の米国支店および代理店が保有している預金に対する準備金要件を
課す権限を有している。ニューヨーク支店は、一般的にその会計と記録をANZBGL、ANZGHLおよびANZ銀行持株会社のものとは別
に維持する必要があり、OCCが規定するそのような追加要件に従う必要がある。IBAおよびBHC法は、ANZBGL、ANZGHLおよびANZ
銀行持株会社の米国におけるノンバンク業務に従事する能力にも影響する。
IBA の下で、非米国銀行の在米支店は、国内銀行と同じ範囲でOCCにより管財人の管理対象となる。監督官は在米支店の事業
と財産を占有することがある。監督官は、法律や規制の違反および安全と健全性の違反に対処する広い範囲の監督および執行
手段を自由に使うことができ、それは在米支店に対して課される場合がある。監督官は、在米支店の経営者を解任し、民事上
の罰金を課することもある。状況によっては、監督官は自ら、あるいはFRBの勧告を受けて、在米支店の免許を剥奪することも
ある。
ANZBGL 、ANZGHLおよびANZ銀行持株会社の各々は、2010年のドッド-フランク・ウォール・ストリート改革および消費者保護
法(「ドッド-フランク法」)の一定の規定に従っている。ドッド-フランク法は、米国および世界の銀行業務の多くの側面を
規制する。
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BHC 法のセクション13およびその施行規則は通称を「ボルカー・ルール」といい、とりわけ、銀行およびその関連会社が一定
の「自己勘定取引」に従事することを広く禁止し(ただし、引受け、マーケット・メーキング関連、リスク緩和ヘッジ業務な
どの一定の業務は許可する。)、一定の重要な例外および免除はあるが、一定のプライベート・ファンド(プライベート・エ
クイティ・ファンドおよびヘッジファンドを含む。)への資金提供ならびに投資を制限する。
その他のドッド-フランク法の規制は、非清算集中スワップおよび有価証券関連スワップについて最低限の証拠金の要件を課
し、規制された取引プラットフォームおよび決済機関において標準店頭(「OTC」)デリバティブを集中約定および集中決済す
ることを要請し、特定の種類のデリバティブについてポジションの規模に制限を課し、取引データを規制されたスワップおよ
び有価証券関連スワップのデータ蓄積機関に報告することを要請し、ならびにディーラーおよびデリバティブ市場の主要な市
場参加者の監督強化を規定している。ANZBGLは、商品取引法および商品先物取引委員会(「CFTC」)規則に基づく仮登録ス
ワップ・ディーラーである。ANZBGLは、米国証券取引委員会(「SEC」)に登録された有価証券関連スワップ・ディーラーでは
ないが、登録が必要となった場合または登録が適切と判断された場合は、登録を行うことがある。さらに、当グループ内の他
の関連会社は、米国人であるカウンターパーティーまたはその他の特定の種類のカウンターパーティーとのスワップまたは有
価証券関連スワップ取引の水準次第で、スワップ・ディーラーまたは有価証券関連スワップ・ディーラーの登録の対象となる
可能性がある。CFTCまたはSECへの登録が必要とされなくても、そのような企業は、米国人であるカウンターパーティーまたは
その他の特定の種類のカウンターパーティーとの取引に関連して、CFTCまたはSECの規制要件の一部の対象となる可能性があ
る。
2020 年、CFTCは、クロスボーダー取引に関する規則を採択し、これは特に、CFTCがCFTCのものに相当すると決定した規制制
度を有する非米国法域に所在するスワップ・ディーラーによる「代替的コンプライアンス」を許容する。CFTCは、従前、クロ
スボーダー取引に関する規則の採択前に自らが発行したガイダンスに基づいてオーストラリアの法令の一定の側面に関してか
かる決定を行っており、かかる決定は、新たな規則の下でも有効に存続する。かかる決定に基づき、ANZBGLは、相当するCFTC
規則の遵守の代わりに一定のオーストラリアの規則の代替的遵守に依拠することができる。
米国の健全性規制機関、CFTCおよびSECは、決済されないスワップおよび有価証券関連スワップの取引に当初および変動証拠
金要件を課す規則を実施した。ANZBGLは、FRBの監督に服するスワップ・ディーラーであり、OCCにより規制されるニューヨー
ク支店を運営していることから、FRB、農業金融局、FDIC、連邦住宅金融庁およびOCCが公布した非清算集中スワップの証拠金
に関する規則を遵守する必要がある。これらの規則により、対象のカウンターパーティーとの対象の取引に関して当初および
変動証拠金を収取および預託することを求める要件が課されている。健全性規制機関およびCFTCの規則はまた、ANZBGLのよう
な非米国スワップ・ディーラーが、一定の分野の取引およびカウンターパーティーに関して、健全性規制機関が非米国法域に
ついて同等性の決定を行った場合には健全性規制機関およびCFTCの証拠金に関する規則の代わりに当該非米国法域の適用ある
法律を遵守すること、またはその他の方法で米国の証拠金に関する規則を遵守しないことを認めている。
ドッド-フランク法およびその施行規則に従い、ANZBGLは、本再編前に、FRBとFDICに対して直近の米国破綻処理計画を2022
年6月に提出した。本再編後は、ANZGHLが、FRBとFDICに対して直近の米国破綻処理計画を提出する。2019年10月、FRBおよび
FDICは、外国の銀行組織の米国での事業規模およびリスク・プロファイル次第でそれらに適用される、破綻処理計画の策定に
ついて個別適合的な要件を適用する最終規則および強化された健全性基準の修正を発行した。 最終規則の下では、ANZGHLは、
2025年7月1日までに簡易な破綻処理計画の提出を求められることになる。 ANZBGL 、ANZGHLおよびANZ銀行持株会社の各々は、
レギュレーションYYのサブパートNに基づく「強化された健全性規制」の対象になり、これはドッド-フランク法第165節に基
づき導入され、財務およびリスク監視要件の遵守の四半期ごとおよび年1回の証明を求めている。
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ANZGHL は、ANZセキュリティーズ・インク(「ANZSI」)を通じて米国における債券資本市場の活動を行っている。ANZSIは、
SECの認可を受けたブローカーディーラーであり、SECおよび金融業規制機構(「FINRA」)の監督下にある。また、ANZSIは、
事業を行っている州および地域でライセンスを取得している。SECおよびFINRAにおいては、ANZSIに適用ある広範な遵守事項が
あり、これには、記録の維持、取引および通信のモニタリング、ANZSIの従業員の監督、内部方針および手続、ならびにANZSI
の日常業務を規律するその他多くの事項が含まれる。ANZSIは、その業務についてSECおよびFINRAによる定期的なレビューを受
けている。
米国の外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)は、金融機関に、特定の顧客デュー・デリジェンスを実施し、米国市民ま
たは課税上の米国居住者である口座保有者(一定の者についてはその実質的所有者を含む。)の情報を、直接または現地税務
当局を経由して、米国連邦税務当局である内国歳入庁に提供することを求める。必要な顧客データ収集デュー・デリジェンス
および口座保有者情報の提供が実施されず、適用ある要件を満たす方法および形式で提供されない場合、当グループおよび/
または当グループ内のメンバーの口座に資産を保有する者は一定の金額に関して30%の源泉徴収の対象となる可能性がある。
かかる源泉徴収は現在、米国内の源泉からなされた一定の支払に対してのみ適用される可能性があるが、「外国でのパスス
ルーの支払」という用語を定義する米国の最新の規則が制定された日の2年後の日より前に行われた米国外の源泉からなされ
た支払にはかかる源泉徴収税は課されない予定である。現在、「外国でのパススルーの支払」の定義案または最終の定義は存
在せず(法令上の要件および時間枠は変わりうるが)、そのため一定の支払が外国でのパススルーの支払として扱われる可能
性があるか否かは不明である。
以上の議論は、一定の手取金総額の支払について源泉徴収を行わず、米国外からの支払に対する源泉徴収の発効日を遅らせ
る米国の規制案を反映したものである。米国財務省は、納税者は規制案に依拠できる旨を述べている。以上の議論は、現在の
内容で規制が最終化され、遡及的に適用されることを前提としている。
FATCA に加え、米国は、一定の状況において当グループに一定の情報を米国支払人(源泉代理人、 カストディアン など)に提
供することを求める可能性があり、当グループおよび/またはその顧客は、当グループが当該情報を適用ある規則および規制
を遵守して提供しなかった場合、源泉徴収の適用を受ける場合がある。さらに、当グループが求められた情報を提供したとし
ても、一定の米国からの支払に対してはなお源泉徴収の適用がありうる。
当グループはまた、ANZBGLが営業を行う国が米国との政府間協定の締結および施行を行わず、その国においてFATCAの遵守を
妨げる現地法上の障害がある場合には、多大な源泉徴収エクスポージャーおよびその他の営業上の影響といったより広範なコ
ンプライアンス上の問題に直面する可能性がある。
金融機関に影響を及ぼしている米国政府政策の主な焦点の1つは、マネーロンダリング、テロリストの資金調達および米国
の制裁への違反に対抗することである。2001年テロリズムの阻止と回避のために必要な適切な手段を提供することによりアメ
リカを統合し強化 するための法律(「愛国者法」)は、著しいコンプライアンスとデュー・デリジェンスの義務を課し、犯罪を
確認し、罰則を規定し、米国外における管轄権を拡大することによって、米国マネーロンダリング防止法の範囲を大幅に拡大
した。米国財務省は、愛国者法の様々な要件を実施する数々の規制、および制裁に関するその他の米国法を発表し、それは
ANZSIおよびニューヨーク支店などの外国銀行の一定の米国非銀行子会社および米国銀行子会社ならびに支店を含む米国金融機
関に適用される。
それらの規制は、米国内で事業を行っている金融機関に、マネーロンダリングとテロリストの資金調達を特定、阻止、報告
するとともに顧客の身元を確認する適切な方針、手続き、管理を維持するよう求める。それらの規制はまた、米国内の金融機
関に対して、米国の制裁制度を遵守して業務を行うよう求める。さらに、米国銀行規制機関は、より高い基準を課し、米国法
執行機関は、より積極的な役割を果たしてきており、その結果、当該事項の執行が強化されている。他のグローバルな金融機
関に対する執行処分決定には、多額の罰金の支払、将来の事業運営に関する合意、関係者の処分などが含まれている。金融機
関が、マネーロンダリングとテロリストの資金調達に対抗する適切な方針と手続きを維持、実施できず、また米国の制裁制度
を遵守できない場合、金融機関にとって法的および評判上深刻な結果を招くことがあり、さらに民事上、金銭上および刑事上
の罰則処分を課される結果となることもある。
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2021 年1月、2020年マネーロンダリング防止法(「AMLA」)が米国において立法された。AMLAでは、米国マネーロンダリン
グ法制を包括的に改革し最新化することが企図されている。とりわけ、AMLAは、金融機関のマネーロンダリング防止のコンプ
ライアンスについてリスクベース・アプローチを条文化し、マネーロンダリング防止コンプライアンスのための評価技術およ
び内部手続の基準を米国財務省が発展させることを要請し、執行および調査に関連する権限の拡大(一定の違反に対して適用
可能な制裁措置の大幅な拡大を含む。)を行うものである。AMLAの多くの条文は、追加的な規則制定、報告その他の措置を必
要としており、AMLAの効果は、とりわけ、規則制定および施行ガイダンスの影響を受けるであろう。
その他の監督機関
当グループには、一定の証券取引所に上場している証券がある。これにより、当グループは、オーストラリアおよび海外の
様々な上場の要件ならびにコーポレート・ガバナンスの要件を遵守しなければならない。
APRA がANZBGLおよびその支店業務を対象に行う健全性自己資本監督ならびに上記の監督および規制の詳細に加えて、すべて
のANZBGLのオフショア支店および銀行子会社の現地での銀行業務は、それぞれの監督機関による現地国の監督に従う。例えば
RBNZ、OCC、FRB、英国健全性規制機構(「PRA」)、シンガポール通貨監督庁、香港金融管理局、中国の国家金融監督管理総局
(従前は中国銀行保険規制委員会)ならびにこれらの諸国および他の関連諸国のその他の金融監督機関である。これらの監督
機関は、とりわけ、それぞれの管轄法域におけるこれらの業務に対し、最低自己資本金要件を課す可能性がある。
当グループはまた、営業を行うすべての国の現地法における、マネーロンダリング防止および対テロ資金に関する一定の法
規制を 遵守することを求められる。
(9) 競 争
オーストラリア
オーストラリアの銀行業界は集中しており、競争が激しい。2023年9月30日現在、オーストラリアの4つの主要な銀行グ
ループ(ANZグループ、オーストラリア・コモンウェルス銀行、ナショナル・オーストラリア銀行およびウェストパック・バン
(1)
キング・コーポレーション)がオーストラリアで営業を行うADIのオーストラリアの貸付資産総額の約73% を保有していた。
規模の小さい地方銀行の業務運営は、典型的には、特定の州または地域の顧客へのサービス提供に焦点を絞っており、リテー
ル銀行業務に重点を置いている。多くの国際銀行もオーストラリアで銀行サービスを提供しており、一般的にこれらの銀行は
リテールまたは法人市場の特定の部門に重点を置き、かかる部門において若干のシェアを占めている。
1980 年代初頭のオーストラリアの金融制度の規制緩和は、4大銀行グループと選択的な市場で競争する銀行金融機関および
非銀行金融機関の急増につながった。住宅金融組合や信用組合などのノンバンク仲介機関は主に預金受入および住宅ローン貸
付の分野で競争する。大手住宅金融組合のうちいくつかは、銀行法の下で、銀行業免許を付与されている。専門的な銀行以外
の住宅ローン貸付業者および直接的な(支店以外の)銀行業者もまた近年においてより重要になっている。
競争は歴史的に住宅ローン市場においてより激しい。競争は、当初は担保付住宅ローン・オリジネーターの増加、その後は
担保付住宅ローン・ブローカー業界の成長および非ADIの貸金業者(ノンバンクの貸金業者)の活動の増加からもたらされた。
ADIを含む住宅ローンの提供者は、新規貸付市場およびリファイナンス市場のいずれにおいても、広告された料率を下回る大幅
なディスカウントおよびキャッシュバック・オファーのような住宅ローンの乗換えキャンペーンを行うことにより活発に競争
している。
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オーストラリアのリテール預金市場もまた、資金調達を支えるための信用の伸び増加および貸付需要増の時期には特に、競
争が激しい。リテール顧客の銀行預金に対するオーストラリア政府保証は、世界金融危機の最中の2008年に導入され、大手
オーストラリア銀行への預金の増加およびその他預金ファンド提供者への預金の減少をもたらした。オーストラリア政府保証
は、オーストラリアの預金受入機関の預金およびホールセール資金調達に係る保証の提供を可能とするためにオーストラリア
政府によって発表された一時的措置に依拠している。さらに、金融サービス・セクターの変化により、ノンバンクでも、従来
銀行が 様々な(物理的およびオンラインの)流通チャネルを通じて 提供してきた商品およびサービスを提供することが可能に
なっている。
コーポレートおよび商業銀行業においては、大手および地域の銀行、ならびにその他の商業銀行業務提供者全体で依然とし
て競争が激しく、そこでは、顧客とのリレーションシップ維持および推進、ならびに銀行の新規顧客の獲得が重視されてい
る。競争は、貸付けおよび預金商品全体、ならびにクレジットカード、マーチャント・サービス、決済およびデジタルバンキ
ング・ソリューションといったその他の銀行業の商品およびサービスにおいて存在する。
法人市場において、競合他社はその顧客基盤の質、認知された技術の組合せ、体系化されたソリューションおよび価格設
定、顧客の洞察力、デジタル機能、評判およびブランドにより評価を獲得する。オーストラリア国内市場においては、大手中
堅企業および大企業の顧客レベルでの競合他社は一般に、オーストラリア大手銀行、少数の世界的な投資銀行ならびに現地市
場を超越している少数のアジア銀行およびニッチ分野に力を入れている巨大多国籍銀行コングロマリットのブティック型事業
である。
銀行業界は、顧客のニーズおよび変化する顧客の選好に応えるために、引き続き新しいデジタル商品およびデジタル・サー
ビスのソリューションとともに進化を続けている。革新的なデジタル・ソリューションへの需要は、特にリテール銀行業にお
いて、銀行業界への既存参入者と新規参入者とのさらなる競争に寄与している。
さらに、将来の経済状況は、当グループが中期的に事業を展開する市場における金融仲介業者の数にさらに影響を与える効
果をもたらす可能性がある(詳細については、「第3 事業の状況-3 事業等のリスク-(2)主なリスクおよび不確実性-当
グループの事業の活動および業界に関するリスク-3当グループが業務を行う市場における競争は、当グループのポジション
に悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。)。ただし、中期的な競争水準の低下にはつながらない可能性がある。
オーストラリアのオープン・バンキング法は、商品とサービスを比較し切り替える消費者の能力を向上させることを目的と
する。これにより、オーストラリアの銀行業界への新規参入者に対する障壁が削減され、競争が激化する可能性がある。当グ
ループに与えうるリスクを含む、オープン・バンキング法の詳細については、「第3 事業の状況-3 事業等のリスク-(2)
主なリスクおよび不確実性-法的および規制上のリスク-16 規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守できないこと
は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。
(1) 出典: APRA2023年9月の月次公認預金受入機関統計(2023年10月31日公表)。
ニュージーランド
当グループが営業を行うニュージーランドの金融サービス・セクターは非常に競争が激しい。ANZバンク・ニュージーランド
の主な競合他社は、ASB銀行、ニュージーランド銀行、ウェストパック・バンキング・コーポレーション/ウェストパック・
ニュージーランド、およびキウィ銀行である。
ASB 銀行、ニュージーランド銀行、ウェストパック・バンキング・コーポレーション/ウェストパック・ニュージーランド
は、それぞれオーストラリアの大手銀行の子会社または支店であり、個人から大企業まであらゆる顧客層を対象としている。
当グループがキウィ銀行と競合する主な分野は、個人顧客セグメントである。
競争はまた、その他銀行の特定のセクターにも存在する。ラボバンク・ニュージーランドは、リテール預金および農業貸付
市場において活動する。ハートランド・バンク・リミテッド、TSBバンク・リミテッドなどの地方銀行は、リテール・セクター
での競争力を高めている。香港上海銀行、株式会社三菱UFJ銀行などの国際的な銀行は、法人市場に限定的に参加している。
2013年末以降、ニュージーランドではまた、中国工商銀行、中国建設銀行および中国銀行が、ニュージーランドにおいて登録
銀行として子会社を設立した(2017年以降、各銀行は、ニュージーランドで銀行業務を行うための支店も開設している)。こ
れらの銀行の重点は住宅貸付および事業貸付に置かれているようであるが、当該セグメントにおけるこれらの銀行の市場シェ
アは、依然として小さい。
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歴史的に、ニュージーランドのリテール預金市場は競争が激しい。しかし、ニュージーランドのCOVID-19のパンデミックか
らの景気回復を支えるためにRBNZが導入した大規模な資産購入(「LSAP」)プログラムにより、ニュージーランドの銀行業界
内の資金量が増加したため、預金獲得競争は緩和された。2022年、RBNZはLSAPプログラムの漸減を開始し、その結果、LSAPプ
ログラムが徐々に縮小するにつれ、預金獲得競争が激化する可能性がある。2023年9月30日現在、住宅ローン市場が登録銀行
(1)
によるニュージーランドでの貸付の半分以上 を占めており、この市場が競争における主要分野である。
近年、ニュージーランドではノンバンクのオリジネーターの活動が活発化しているが、総資産における成長率はオーストラ
リアなどのオフショア市場と比較して低くなっている。顧客の実店舗からオンラインやデジタル・サービスへの移行が継続し
ており、これにより金融サービス・セクターにおける新たなプレーヤーの出現が促される可能性がある。2023年9月30日現
(1)
在、ノンバンク・セクターは金融制度の資産合計の約3% を占めていた。
将来起こり得る経済的混乱またはインフレ圧力に対応する個人財務管理への顧客需要の高まりは、規制および金融政策の変
更、資金調達コストおよび信用供与の増加、流動性のレベル、ならびに事業戦略の変更により、ニュージーランドの金融サー
ビス・セクターにおける競争に中期的な影響を与える可能性がある。
(1) 出典: ニュージーランド準備銀行 2023年9月(2023年10月31日公表)。
アジア
アジアにおける銀行業は、非常に競争が激しい。多数のグローバル銀行ならびに地域銀行が、各市場の地方銀行に加えて本
地域で営業している。
当グループは、現在、アジアの多数の国において、法人銀行業ならびに地域のトレードおよび資本フローによる顧客への金
融ソリューションの提供に焦点を絞って営業を行っている。当グループは、地理的対象、オーストラリアおよびニュージーラ
ンドの国内市場における強み、ならびに顧客、産業および商品に係る専門化(マーケッツおよびトランザクション・バンキン
グを含む。)への的を絞った集中により、地域を超えて競合他社との差別化が可能になると確信している。
競争は引き続き活発であり、多数の銀行がこの地域の成長機会を支援するためにバランスシートの一部を投じたいという意
欲を示している。このことは、アジアにおける法人貸付の純預貸利鞘が、オーストラリアおよびニュージーランドにおける類
似の貸付における純金利マージンよりも一般に低水準であることに寄与している。
当グループは、法人顧客に対して幅広い一連の金融サービスを提供するが、アジアにおけるリテール市場または商業市場に
おける銀行となることは目指していない。
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4【関係会社の状況】
2023 年1月、オーストラリア法に基づいたスキーム・オブ・アレンジメントによって、純粋持株会社のANZグループ・ホー
ルディングス・リミテッド(「ANZGHL」)がANZグループの新たな親会社となった。かかる新たな企業構造の下で、ANZGHLが
ANZ BH Pty Ltdの全株式を保有し、ANZ BH Pty LtdがANZBGLの直接親会社となっている。
(1)親会社
(a) ANZグループ・ホールディングス・リミテッド(ANZ Group Holdings Limited)
名称 ANZ グループ・ホールディングス・リミテッド
(ANZ Group Holdings Limited)
住所 オーストラリア、ヴィクトリア州3008、ドックランズ、
コリンズ・ストリート833、9階、ANZセンター・メルボルン
(ANZ Centre Melbourne, Level 9, 833 Collins Street, Docklands,
Victoria 3008, Australia)
資本金の額 29,082 百万ドル(2023年9月30日現在)
主要な事業の内容 純粋持株会社
提出会社の議決権に対 100 %(ANZGHLは、ANZ BH Pty Ltdの保有するANZBGLの全議決権を通じ
する当該親会社の所有
て、ANZBGLの議決権の100%を間接保有している。)
割合
取締役および役員 2023 年9月30日現在および同日から本有価証券報告書提出日までの期間
において、ANZBGLの各取締役は、グラハム・ホッジス氏を除いて、
ANZGHLの取締役を兼任している。かかる期間において、2名の取締役が
退任した(2023年度コーポレート・ガバナンス報告書に記載のとおり。
下記「第5 提出会社の状況-3 コーポレート・ガバナンスの状況等
-(1)コーポレート・ガバナンスの概要」を参照のこと)。
2023 年9月30日現在および同日から本有価証券報告書提出日までの期間
において、ANZBGLの各執行役員はANZGHLの執行役員を兼任している。上
記の期間において1名の執行役員が退任し、別の者が執行役員に就任し
た。
(b) ANZビーエイチ・ピーティーワイ・リミテッド(ANZ BH Pty Ltd)
名称 ANZ ビーエイチ・ピーティーワイ・リミテッド
(ANZ BH Pty Ltd)
住所 オーストラリア、ヴィクトリア州3008、ドックランズ、
コリンズ・ストリート833、9階、ANZセンター・メルボルン
(ANZ Centre Melbourne, Level 9, 833 Collins Street, Docklands,
Victoria 3008, Australia)
資本金の額 29,082 百万ドル(2023年9月30日現在)
主要な事業の内容 純粋持株会社
提出会社の議決権に対 100 %(ANZ BH Pty Ltdは、ANZGHLの完全子会社であり、ANZBGLの議決
する当該親会社の所有
権の100%を保有している。)
割合
取締役および役員 2023 年9月30日現在および同日から本有価証券報告書提出日までの期間
において、ANZBGLの各取締役はANZ BH Pty Ltdの取締役を兼任してい
る。
2023 年9月30日現在および同日から本有価証券報告書提出日までの期間
において、ANZBGLの各執行役員はANZ BH Pty Ltdの執行役員を兼任して
いる。上記の期間において1名の執行役員が退任し、別の者が執行役員
に就任した。
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(2)被支配法人
当グループの重要な被支配法人(2023年9月30日現在)は以下のとおりである。
議決権の
(1)
名 称 事業の内容 設立地 帳簿価額 所有割合
(単位:千ドル)
(2)
銀行業 ベトナム 298,348 100 %
ANZ バンク(ベトナム)リミテッド
ANZ ファンズ Pty Ltd 持株会社 オーストラリア 13,307,719 100 %
(2)
銀行業 キリバス 5,400 75 %
ANZ バンク(キリバス)リミテッド
(2)
銀行業 サモア 17,565 100 %
ANZ バンク(サモア)リミテッド
(3)
銀行業 バヌアツ 100 %
61,798
ANZ バンク(バヌアツ)リミテッド
(2)
持株会社 ニュージーランド 100 %
10,253,320
ANZ ホールディングス(ニュージーランド)リミテッド
(2)
銀行業 ニュージーランド 100 %
11,327,613
ANZ バンク・ニュージーランド・リミテッド
ANZ インベストメント・サービシズ(ニュージーランド) 資産運用 ニュージーランド # 100 %
(2)
リミテッド
(2)
ファイナンス ニュージーランド 465 100 %
ANZ ニュージーランド(インターナショナル)リミテッド
ANZ ニュージーランド・インベストメンツ・ 持株会社 ニュージーランド 116,459 100 %
(2)
ホールディングス・リミテッド
ANZ ニュージーランド・インベストメンツ・リミテッド 資産運用 ニュージーランド 121,016 100 %
(2)
(2)(5)
ファイナンス ニュージーランド # 100 %
ANZ ニュージーランド・ カバード・ボンド・トラスト
(2)
持株会社 シンガポール # 100 %
ANZ インターナショナル・プライベート・リミテッド
(2)
自家保険 シンガポール 41,375 100 %
ANZ カバー・インシュアランス・プライベート・リミテッド
ANZ レンダーズ・モーゲージ・インシュアランス Ptyリミテッド 抵当保険 オーストラリア 338,296 100 %
(5)
ファイナンス オーストラリア # 100 %
ANZ レジデンシャル・カバード・ボンド・トラスト
オーストラリア・アンド・ニュージーランド・バンク 銀行業 中国 1,121,161 100 %
(2)
(チャイナ)カンパニー・リミテッド
オーストラリア・アンド・ニュージーランド・バンキング・ 銀 行業 パプアニューギニア 754,828 100 %
(2)
グループ(PNG)リミテッド
(4)
持株会社 グアム 40,692 100 %
シティズンズ・バンコープ
(4)
銀行業 グアム 38,106 100 %
ANZ グアム・インク
インターナショナル・セキュリタイゼーション・サービシズ 証券化 オーストラリア 17,700 100 %
・リミテッド マネージャー
(2)
銀行業 インドネシア 262,460 99 %
PT バンクANZインドネシア
# 500 ドル未満。
注: (1) 帳簿価額=当該被支配法人の直接の親会社であるANZBGLグループ会社が保有する投資の帳簿価額。これは「第6 経理の状況-1 財務書類」
の2023年度財務書類において報告されている被支配法人の純資産の帳簿価額ではない。
(2) 当グループ監査の一環として、または単体財務書類に必要であるため、海外のKPMGによる監査を受けている。
(3) ロー・パートナーズによる監査を受けている。
(4) デロイト・グアムによる監査を受けている。
(5) 当グループは所有していない。当グループが事業のほぼすべてのリスクおよび経済価値を留保する場合、支配が存在する。
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重要な被支配法人の変更
ANZ シンガポール・リミテッドは2023年8月18日付で登録が抹消された。ANZインターナショナル(香港)リミテッド、
ANZ(タイ)パブリック・カンパニー・リミテッド(旧ANZバンク(タイ)パブリック・カンパニー・リミテッド)、重慶
市梁平ANZ農村銀行は、2023年9月30日現在、清算中である。
重要な制約
健全性規制に服する被支配法人は、最低自己資本やその他の規制要件の維持を要求されることがあり、これにより、資
産の譲渡、配当金支払その他の資本分配を親会社や当グループ内の他の事業体に行う能力を制限される場合がある。当グ
ループはこのような制約を 「第6 経理の状況-1 財務書類」中の2023年度財務書類の注記17「財務リスク管理」に概
要を記したリスク管理の枠組みおよび同財務書類の注記24「資本管理」に概要を記した資本管理戦略の範囲内で管理して
いる。
2023 年9月30日現在、当グループ内の事業体が資産の譲渡、配当金支払その他の資本分配を当グループ内の他の事業体
に対して行う能力についての制約は、当グループの流動性または資本管理にとって重要性はない。
(3)関連会社
当グループの重要な関連会社 (2023年9月30日現在) は以下のとおりであ る。
(1)
議決権の
主たる事業所 帳簿価額
名称 事業の内容 および設立地 ( 単位:百万ドル) 所有割合
AMMB ホールディングスBerhad 銀行業務および保 マレーシア 881 22 %
険
PT バンク・パン・インドネシア 個人および企業向 インドネシア 1,440 39 %
け銀行
注 : (1) 関連会社に対するANZBGLの出資の持分法による帳簿価額。
本再編の一環として、ワールドライン・オーストラリア Pty リミテッドに対するANZBGLの投資は、ANZ NBH Pty Ltdに譲渡
された。
当グループの関連会社の詳細については、「第6 経理の状況-1 財務書類」の2023年度財務書類の注記26を参照のこ
と。
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5【従業員の状況】
2023年9月30日現在、当グループはフルタイム換算(FTE)基準で40,119名(2022年9月:39,381名)の従業員を雇用してい
た。
年度
フルタイム換算従業員(1)
2023 年 2022 年
部門別 9月終了 9月終了 増減率
オーストラリア・リテール 11,313 11,107 2 %
オーストラリア商業 3,514 3,551 -1 %
法人 6,412 6,316 2 %
ニュージーランド 6,766 6,793 0 %
パシフィック 1,013 1,086 -7 %
グループ・センター 11,101 10,319 8 %
継続事業におけるFTE合計 40,119 39,172 2 %
非継続事業 - 209 -100 %
FTE 合計(非継続事業を含む。) 40,119 39,381 2 %
平均FTE(継続事業) 39,674 39,672 0 %
平均FTE(非継続事業を含む。) 39,674 40,113 -1 %
年度
2023 年 2022 年
地域別 9月終了 9月終了 増減率
オーストラリア 19,403 19,396 0 %
その他の各国 13,472 12,705 6 %
ニュージーランド 7,244 7,280 0 %
FTE 合計 40,119 39,381 2 %
注:(1) グループ・センター部門に所属する、1835iグループPtyリミテッドが管理する連結された投資先のFTE
(FTEでは185人、平均FTEでは126人)を含めるため、比較情報は修正再表示されている。本再編の一環
で、これらのFTEはANZ NBH Pty Ltdに移管された。
以下の表は、リーダー層の女性比、育児休暇および報酬のジェンダー平等に関するANZGHLグループの実数および比率を示し
ている。ANZGHLグループとANZBGLグループの従業員は99%以上が重複しており、したがってANZGHLグループの実数および比率
はANZBGLの実数および比率と同じまたは極めて近い値になる。
2023 年
リーダー層における女性比 9月30日現在
リーダー層全体の女性比(%)(1) 37.3
主要経営陣全体の女性比(%)(2) 30.0
注:(1) シニアマネージャー、執行役員および上級執行役員の職位への登用数により算定する。休職状況を問わず
全従業員を含むが、(FTEには含まれる)契約社員は含めない。
(2) ANZGHLの取締役(執行取締役か否かを問わない。)、およびANZGHLグループの経営の戦略的指針について
重要な責任を担う者のうち、銀行役員説明責任制度業務執行責任制度(BEAR)上の説明責任を負い、かつ
最高経営責任者(CEO)の直下に置かれる社員。
育児休暇(1) 女 性 男 性 合 計
当年度中に育児休暇を取得した従業員数 897 841 1,738
当年度中に育児休暇から職場復帰した従業員数 983 860 1,843
注:(1) 育児休暇のデータは、2023年9月30日終了会計年度のもので、データを入手できたのはオーストラリア、
ニュージーランドおよびインドの従業員についてのみである。
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報酬(固定給のみ)に関するジェンダー平等(1)
2023 年 度(2)(3)
報酬の男女格 報酬の
役 職 (1) 差の平均 好遇 格差の平均 好遇
上級執行役員(4) 3.8% 男性 1.6% 男性
執行役員(5) 2.8% 男性 0.7% 男性
シニアマネージャー(6) 3.0% 男性 1.6% 男性
マネージャー(7) 6.9% 男性 1.6% 男性
非管理職(8) 2.5% 男性 -1.4% 女性
注:(1) ESGに関する報告年度と前年度業績に関する年度の整合性を高めるため、報告方法を改訂した。
(2) 2022年9月9日現在のデータに基づく報告値。
(3) オーストラリアのデータのみ。執行委員会、臨時職、有期雇用従業員および研修員/インターンを除く。
(4) 上級執行役員は、ANZGHLグループが指定するグループ1の役職に就く者で構成される。これらの役職は通
常、大規模事業、地域または事業分野の戦略、方針およびガバナンスを主導する(グループ執行委員会を
除く。)。
(5) 執行役員は、ANZGHLグループが指定するグループ2の役職に就く者で構成される。
(6) シニアマネージャーは、ANZGHLグループが指定するグループ3の役職に就く者で構成される。
(7) マネージャーは、ANZGHLグループが指定するグループ4の役職に就く者で構成される。
(8) 非管理職は、ANZGHLグループが指定するグループ5およびグループ6の職務に従事する者で構成される。
労使関係
オーストラリア
オーストラリアにおいては、一部またはすべての従業員について、雇用条件は給与を含めて団体企業労働協約(「EBA」)の
一部として労働組合と経営陣との間で交渉することができる。ただし、従業員の過半数の賛成を条件とする。オーストラリア
において当グループは長年にわたってEBAを取り入れており、オーストラリアにおいて約91%を占めるグループ4、5および6
の従業員(すなわち中間管理職および非管理職従業員)の最低雇用条件を定めている。
2013 年8月、当グループは、2017年9月に修正され、2023年EBAが開始されるまで適用されていた従前のANZ労働協約2015-
2016年(オーストラリア)に代わり、ANZ労働協約2023-2027年(オーストラリア)と称される新たなEBA(「2023年EBA」)に
ついて金融部門組合(「FSU」)との間で合意に達した。2023年EBAは、同じ従業員層を対象としているが、オーストラリアに
おける新たな雇用法を反映して更新されており、従業員の休暇およびその他の給付が改善された。2023年9月に2023年EBAに対
する従業員投票が行われ、投票した91%の従業員により支持を受けた。その後、2023年EBAは公正労働委員会により承認され、
2023年10月26日に適用開始となった。2023年EBAの名目上の有効期限は2027年9月30日である。同日を過ぎても2023年EBAは引
き続き適用されるが、当グループ、FSUおよびオーストラリアにおける当グループの従業員は新たな代替のEBAについて交渉を
開始することができる。
オーストラリアにおいて、経営陣と労働組合との間の重大な紛争はない。
ニュージーランド
ニュージーランドの従業員の過半数は個人の雇用契約によりカバーされている。FIRSTユニオンとANZニュージーランドの団
体労働協約は、ニュージーランドの従業員の約12%をカバーし、2022年8月1日付で更新され、2024年7月31日まで有効であ
る。
経営陣と労働組合との間でいかなる重要な紛争も存在していない。
その他の各国
当グループが従業員を有するオーストラリアおよびニュージーランド以外のいずれかの法域において、経営陣と労働組合と
の間の重大な紛争はない。
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年金制度
当グループは世界中で多数の年金、老齢退職年金および退職後医療給付制度を設定している。当グループの老齢退職年金債
務の詳細については、「第6 経理の状況-1 財務書類」の2023年度財務書類の注記29を参照のこと。
従業員株式
ANZGHLは、ANZ従業員株式購入制度およびANZ株式オプション制度に基づき運営される多数の従業員株式およびオプション制
度を運営する。これらの従業員株式およびオプション制度の詳細については、「第6 経理の状況-1 財務書類」の2023年
度財務書類の注記30を参照のこと。
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第3【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
上記「第2 企業の概況-3 事業の内容」および下記 「3 事業等のリスク」を参照のこと。本項は本書の表紙(注)4.
に記載の「将来に関する記載」および「気候関連の情報」に関する説明とあわせて検討されるべきである。
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2【サステナビリティに対する考え方及び取組】
当「2 サステナビリティに対する考え方及び取組 」の以下の記載は、ANZGHLの2023年会計度のコーポレート・ガバナンス
報告書、気候関連財務開示、ESG補足資料およびESGデータ・フレームワーク・パック(ANZGHLまたは場合によりANZGHLおよび
その子会社(ANZBGLを含む。)のサステナビリティ関連開示が含まれる。)からの抜粋であり、それらに基づいている。
ANZGHLグループのESGに関するより詳細な成果および課題は、これらの開示により関係者に提供される。これらの書類の情報は
2023年11月10日現在のものである。
本「2 サステナビリティに対する考え方及び取組」において、別途の記載がある場合または文脈が要求する場合を除き、
「当グループ」および「ANZ」という語はANZグループ・ホールディングス・リミテッドおよびその子会社を指し、「取締役
会」という語はANZグループ・ホールディングス・リミテッドの取締役会を指し、「取締役」という語はANZグループ・ホール
ディングス・リミテッドの取締役を指す。
以下の記載は、本書の表紙(注)4.に記載の「将来に関する記載」および気候関連の情報に関する説明とあわせて検討さ
れるべきである。
(1) ガバナンス
以下は、ANZグループの気候関連事項に係るガバナンスに関する記述である。ANZグループのコーポレート・ガバナンス全般
については、「第5 提出会社の状況-3 コーポレート・ガバナンスの状況等-(1) コーポレート・ガバナンスの概要」を
参照のこと。
取締役会および執行役員による監督
ANZ グループ・ホールディングス・リミテッドの取締役会(取締役会)は、当グループならびにそのガバナンスおよび業績全
般の監督について責任を負い、その具体的な任務を定める憲章はanz.com/corporategovernanceで入手可能である。
取締役会は、各取締役会各委員会の補佐のもと、ANZのガバナンス枠組みを監督することについても責任を負う。この枠組み
は、効果的かつ責任ある意思決定をもたらすよう構想されており、もってANZの戦略と目標の達成を支援する。
主要な取締役委員会として、倫理、環境、社会およびガバナンス(EESG)委員会、監査委員会、リスク委員会、人事委員
会、デジタル事業・技術委員会、指名・取締役会運営委員会の6つが設置されている。各委員会には、その役割と責任を定め
た独自の憲章がある。
経営レベルでは、ANZの大部分の上級執行役員によりグループ執行委員会が組織されている。最高経営責任者(CEO)および
その他の上級経営陣への委任事項については、権限委任枠組みで概要が示されている。さらに、正式に設置されたいくつかの
マネジメント委員会が、具体的な現下の課題に対応している。
当グループのESGへのアプローチ(気候関連のリスクおよび機会の管理方法を含む。)は、主に取締役会委員会であるEESG委
員会とマネジメント委員会である倫理・責任ある事業活動委員会(ERBC)を通じて、取締役会および経営陣により監督され
る。リスク管理のガバナンスおよび監視は、銀行全体で委員会およびフォーラムの重点事項となっている。
取締役会および取締役会委員会
取締役会は、当グループのガバナンスについて株主に対して責任を負い、その運営と財務実績を監督する。
取締役会委員会であるEESG委員会(ANZの会長が委員長を務める。)は、倫理およびESGに関する事項を中心にANZの目的の達
成手段を監督することで、取締役会を補佐する任を負う。
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取締役会委員会であるリスク委員会(BRC)は、当グループのリスク管理の枠組みの実施および運用を監督しており、その対
象には新しいリスクが含まれる。気候はBRCにおいて対処されており、例えばセクター報告やANZのリスク管理戦略のアップ
デートの中で最高リスク責任者の報告事項となっている。
人事(HR)委員会は、報酬およびその他の人事に関する事項について取締役会を補佐する。人事委員会は当グループの報酬
に関する方針および実務を検討し、オーストラリアおよび海外の市場慣行ならびに規制およびコンプライアンス要件を監視す
る。
マネジメント委員会およびフォーラム
気候関連のリスクおよび機会の監視に関して、ANZは以下のマネジメント委員会およびフォーラムを設置している(詳細は、
anz.com/esgreportで入手可能なANZ気候関連財務開示(英文)の「Management Committees and Forums(マネジメント委員会
およびフォーラム)」(9ページから10ページ)に掲載されている。)。
・ 倫理・責任ある事業活動委員会(ERBC)
・ 気候アドバイザリー・フォーラム(CAF)
・ オペレーショナル・リスク執行委員会(OREC)
・ 信用・市場リスク委員会(CMRC)
(2) リスク管理
ANZBGL のリスク管理については、「3 事業のリスク等-(1) リスク」を参照のこと。
気候関連リスクの管理
当グループは引き続き、生物多様性の喪失などの気候関連リスクおよび自然関連リスクへの見識を高め、十分に配慮してい
く。
2023 年11月9日、取締役会委員会であるリスク委員会は、「気候リスク」を重要リスクに格上げすることを承認した。これ
は、気候リスクの管理に対する当グループの全社的アプローチをさらに強化していくことを意味する。当グループは、この変
更を定着させるための取組みを進めている。次の開示の記載は、気候関連リスクを2023会計年度においてどのように管理し追
跡したかの概要である。気候リスクの重要リスクへの格上げを反映するために更新された当グループのリスク管理枠組みおよ
び実務に関する情報ついては、「3 事業のリスク等-(1) リスク」を参照のこと。
気候関連リスクおよび自然関連リスク(生物多様性の喪失など)へのアプローチ
リスクの特定、測定、評価、監視および報告に対するANZのアプローチは、当グループのリスク管理枠組み(RMF)の中で定
められており、そこでリスクの全類型(気候関連リスクや生物多様性の喪失などの自然関連リスクを含む。)に関する当グ
ループの管理方法が説明されている。
当グループのリスクの類型については、「3 事業のリスク等-(1) リスク」を参照のこと。
気候変動リスクは、ANZの事業・戦略・資本管理プロセスの一環として管理および監視されている。
自然関連リスク(生物多様性の喪失など)へのアプローチ
生物多様性リスクは、当グループのリスク管理枠組み(RMF)では他のリスク分野より新しいリスクの1つと認識されてお
り、また当グループの気候変動コミットメントの中でも認定されている。ANZは、新しいリスクの発生を把握して当グループへ
の潜在的影響を評価するよう努めている。
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社会・環境リスクの管理
方 針
当グループは、現在および新規の社会・環境問題を参照して、貸付の業務および方針を定期的に見直している。
顧客貸付に関連するこれらの潜在的な社会・環境問題は、通常、マネジメント委員会である倫理・責任ある事業活動委員会
(ERBC)および取締役会委員会である倫理、環境、社会およびガバナンス(EESG)委員会でも検討される。
当グループは、当グループの社会・環境リスク方針(「本方針」)およびその付随要件(以下の「センシティブ・セク
ター」向けのものを含む。)を適用することで、貸付判断の影響を評価および管理するよう努めている。
・ エネルギー
・ 資源採取業
・ 林業・営林
・ 水力発電
・ 軍事装備
・ 水
(1)
本方針は、大口取引 を検討する際に当グループの銀行員が考慮すべき社会・環境要因をまとめたものである。本方針は当
グループの人権に対するアプローチを包含しており、これには当グループが不適切と考える土地の取得および非自発的な移
住、ならびに現代奴隷制のような労働権問題に対する「徹底的な不寛容(ゼロ・トレランス)」が含まれる。
(1) 法人顧客やコーポレート顧客が関与する取引をいう。
ERBC の監督のもと、当グループは少なくとも3年ごとに本方針を見直し、本方針の目的適合性が確実に維持されるようにし
ている。この見直しでは、顧客の業務の変化、国際基準、新しい社会・環境問題、および利害関係者からのフィードバックが
考慮される。
2023 年度に当グループは、大口顧客向けの社会・環境リスク審査ツールを統合し、オンライン顧客プロファイル・プラット
フォームによる信用リスク評価プロセスを向上させた。これにより、個々の顧客レベルと当グループのポートフォリオ全体の
両面において、顧客活動から当グループに波及しうる財務および非財務のリスク(レピュテーション(評判)リスクを含
む。)をより正確に特定できるようになる。当年度に、当グループは気候変動リスク評価を拡充した。詳細は、
anz.com/esgreportで入手可能なANZ気候関連財務開示(英文)の37ページから39ページ(「Our Approach to the Energy
sector, including Oil and Gas customers in extractive industries(採取産業の石油・ガス顧客などのエネルギー・セク
ターへの当グループのアプローチ)」など)を参照のこと。
(3) 戦 略
当グループの目的は、人々と地域社会が繁栄する世界を築くことである。この目的は、当グループが存在する「意義」を説
くものであり、ANZのすべての営み(サービスの提供先や業務運営方法についてなされる日々の選択を含む。)の原動力となっ
ている。
当グループは、顧客を獲得して維持し、顧客の行動に良い変化をもたらすような優れたサービス、手段および洞察を提供す
ることで顧客の経済的充実と持続可能性を高めるという当グループの戦略を通じて、当グループの目的に血を通わせている。
当グループはその目的を通じて、大きな社会的課題に直面する以下の3点を取り上げ、当グループの戦略や営業先もこれに
沿わせている。
・ 生涯を通じて資金を最大限に活用できるよう支援することで、従業員、顧客および地域社会の経済的な充実を高める。
・ 環境の持続可能性が高まるように家庭、ビジネスおよび金融業務を支援する。
・ すべてのオーストラリア人とニュージーランド人のために、資産状況に見合った手ごろな住宅の購入に向けた利用可能
な選択肢を増やす。
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ESG アプローチを当グループの戦略に組み入れることは、顧客により良いサービスを提供して長期的な株主価値を生み出す機
会を当グループにもたらす。
当グループは、以下を通じてこの戦略を達成していく。
・ 顧客に喜ばれる提案 … 変化する顧客ニーズに合わせて進化する使いやすいサービスを提案する。
・ 柔軟性と復元性を備えたバンキング・プラットフォーム … 当グループの顧客に貢献し、また業界を支援するために顧
客以外の者の利用にも供する。
・ 新しい価値をもたらすパートナーシップ … 顧客の経済的充実と持続可能性をさらに高めるための共同収益環境を構築
する。
・ 目的・価値主導型の人材 … 当グループの顧客および当グループの成果創出を大切にすることで価値を推進する。
気候関連の課題に向けた戦略
気候変動コミットメント
パリ協定の目標を達成するため、温室効果ガスの大幅な削減が全経済セクターで求められている。クリーンエネルギーやク
(1)
リーン輸送、持続可能な食糧生産および強靭なインフラのための新旧技術に対して数兆ドルの投資が必要な状況にある 。
(1) 「エコノミック・トランスフォーメーション: ネット・ゼロへの移行で変わること(The economic transformation:
What would change in the net-zero transition)」マッキンゼー・アンド・カンパニー、2022年1月。
当グループの気候変動に関する約束事項(コミットメント)は、当グループの貸付をパリ協定の目標に沿うようにシフトす
るという当グループの戦略の実現に向けて枠組みを与える。当グループは2021年にネットゼロ・バンキング・アライアンス
(2)
(NZBA)に加盟し、顧客の排出削減を支援するために同コミットメントを反映して道筋(パスウェイ) を設定している。
(2) 当グループのセクター別パスウェイとは、当グループの貸付ポートフォリオのうち最大9つの高排出セクターをパリ協
定の目標に向けて徐々に導いていくための方法をいい、NZBAへのコミットメントの1つである。
当グループの環境サステナビリティ戦略では、当グループの気候野心の実現に資する重点分野、技術および金融機会を特定
している。
ネットゼロ(正味排出ゼロ)への移行において当グループが果たせる最も重要な役割は、当グループの顧客の排出削減およ
び気候変動への耐性強化を支援することである。当グループは、社会的影響を認識してそれに対応していく秩序だった移行を
支援する。そうすることは、人々と地域社会が繁栄する世界を築くという当グループの目的にも合致する。家庭、ビジネスお
よび金融業務を支援して環境の持続可能性を高めることが、当グループの目的の根幹である。
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人的資本戦略
ジェンダー、多様性、包摂性などのANZグループの人的資本に関する方針の詳細は、「第5 提出会社の状況-3 コーポ
レート・ガバナンスの状況等- (1) コーポレート・ガバナンスの概要」を参照のこと。
変化する労働力のニーズへの対応
当グループは、シンプルでシームレスな人事(HR)系基幹ツールおよびサービスに投資することで変化する組織のニーズに
対応しており、従業員が大事なことに集中してそれを実現できるよう適応および成長を支援している。
当グループは当年度に新たな人事プラットフォームを立ち上げた。これにより当グループの従業員は、採用、入社、業績管
理、研修、キャリア開発、昇進、褒賞・表彰・報酬および退社までを網羅したコネクテッドな技術を体験することになる。
ウェルビーイングおよびエンゲージメント
当グループは、従業員のすべての領域における充実(ウェルビーイング)を支援するプログラムの提供に引き続き注力して
おり、これには身体的、精神的、社会的および経済的な充実が含まれる。
従業員の確保および維持
当グループ従業員の離職率は9.5%となり、2022年度の13.9%から低下し、COVID以前の10.6%から微減となった。
当グループは、当グループの各主要地域で近年見られた採用市場での厳しい人材確保競争は緩和傾向にあると見ており、求
人広告1件当たりの応募件数は増加し求人広告全体は減少している。もっとも、失業率はオーストラリア(3.6%)および
ニュージーランド(3.6%)で依然として低く、職種によって、特にエンジニアやデータ処理専門家の採用競争は厳しい状況が
続いている。
他の職種でも、コンプライアンスおよび非財務リスク、信用リスク、ならびにカスタマー・リレーションシップの担当職に
ついては候補者の供給が引き続き重要な課題となっている。競合他社が拡大を続け、人工知能、オペレーションおよびデジタ
ルの分野で人材への需要が高まる中、当グループはベンガルール(インド)で人材を集め雇用することに注力している。
研修および能力開発
当グループは当年度も引き続き従業員の能力開発に投資し、デジタル・ラーニング・プラットフォームを通じて136万時間超
の研修を実施した。これには、約616,000時間のコンプライアンス研修および484,000時間超の自主研修が含まれる。さらに継
続的な専門技能開発に149,000時間が充てられた。
事業におけるジェンダー・バランスの実現
当グループは2023年度に、リーダー層の女性比(WIL)を目標の36.9%を上回る37.3%に増加(2022年から1.4パーセンテー
ジ・ポイント増加)させることができた。当年度中、収益稼得を担うリーダー職の女性比は2パーセンテージ・ポイント増え
て32.2%となった。
2024 年度の当グループの目標はWILを改めて1パーセンテージ・ポイント増やすこと、すなわち38.3%とすることである。当
グループは、事業形態の変化や伝統的に男性優位な職種への注目の高まりにより、当グループが目指すWILの増加の達成には困
難を伴う可能性があると考えている。
この目標の達成を支援するため、当グループは当年度に、リーダー層の女性比(WIL)に関するアクション・プランを策定し
た。同プランでは、WILを増やして「昇進ルートを構築する」ことに重点が置かれ、またリーダー層が厚く男性の比率が高い法
人部門や技術部門などの重点部門に継続して注力するとされている。
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報酬に関するジェンダー平等の重視
当グループは当年度にオーストラリアで支払報酬総額のジェンダー・ギャップを初めて開示し、ジェンダー別報酬報告のア
プローチをさらに前進させた。当グループは当年度に、給与ではなく報酬総額の差額を報告することを選択をしたが、これ
は、より透明な報酬均衡のデータを公表して報酬のジェンダー・ギャップを埋めるという当グループの意欲の表れである。
職場における多様性および包摂性
当グループは、多様な社員と包括的な文化を持つことでANZの意思決定の質を向上させ、革新を後押しし、それによって当グ
ループが顧客にとってより良い銀行となることを目指している。
少数者グループの社員の参与
当グループは、採用・選考プロセスが包摂的でバリアフリーで広く開かれたものになるよう、同プロセスの継続的な改善に
注力している。当グループは当年度に、採用プロセスにおいて全応募者がジェンダー代名詞を用い、ジェンダー中立的な敬称
を選択し、ノン・バイナリーを自認することができるようにした。
詳細については、anz.com/esgreportで入手可能なANZGHLの2023年度ESG補足資料(英文)の「Employee wellbeing,
engagement and inclusion(従業員のウェルビーイング、エンゲージメントおよびインクルージョン)」を参照のこと。
(4) 指標および目標
以下は、ANZグループのサステナビリティに関する指標および目標である。
当グループのESG目標
当グループは毎年、ESGの重点分野を反映し、事業戦略の実施を補足し、ESGの最重要課題に対応した公開目標を設定してい
る。目標に向けた進捗は、執行役員による倫理・責任ある事業活動委員会が四半期毎に、および取締役会委員会である倫理、
環境、社会およびガバナンス委員会が年2回レビューを行う。
2023 年度目標の達成状況 当グループのESG重要課題
顧客体験
当年度は、すべての目標が達成されるか、または良好に進捗し
た。
環境サステナビリティ
3つ の目標を達成 倫理・行動・文化
(達成)
6つ の目標は部分的に達成または順調に進捗 経済的充実
(順調)
住 宅
5つの目標については、2023年度目標の期中修
正または2024年度目標の再設定がなされた。
情報セキュリティ
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2023 年度ESG目標の達成状況の要約
目標 達成状況 達成度
2023 年度末までに、ANZプラス・ ANZ プラス顧客の36%が貯蓄目標を設定済み。
セーブ(ANZ Plus Save)の顧客
の30%以上に貯蓄目標を設定して
もらう。
マネーマインド(資金教育プログ 2020 年10月以降、当グループは新たに14件のマネーマインド
ラム:MoneyMinded)を貧困地域 のパートナーシップを締結した。これらのパートナーシップ
にまで拡張してその効果を上げる により、当グループが営業を行う市場でより多くの低所得層
ため、2023年度末までに新たに7 に対してマネーマインドのプログラムを実施し、彼らの経済
つのパートナーシップを締結す 的充実の向上を支援することができるようになった。
る。
顧客の活動や直接投資を通じた社 2023 年4月1日以降、当グループは54件の取引で約88億ドル
会・環境的成果(アウトカム)の の資金およびファシリティ(41億ドルの資金および47億ドル
2023 年度
ために、2030年度末までに1,000 のファシリティ)を提供した。
目標を
億ドル以上の資金およびファシリ 2023 年3月31日、ANZはサステナブル・ソリューションの2025
期中修正
ティを提供する。二酸化炭素排出 年度までの目標額を500億ドルと定めた。すでに387件の取引
(1)
削減の支援、自然および生物多様
でおよそ470億万ドル の資金およびファシリティを提供済み
性の保全、手ごろな住宅へのアク
であり、500億ドルという目標は2025年度を待たずに十分達成
セス向上、ならびに経済的充実の
できる見込みである。
促進のための取組みなどを対象と
する。
当グループの顧客企業の排出量上
位100社と対話して、2024年末ま
2024 年度
でに以下を行うよう呼びかける。
目標を
・低炭素化プランを充実させ、 ・ 当グループは当年度に改めて顧客企業全100社と対話し、
再設定
より多くの顧客が「優良」ま 低炭素化計画や生物多様性保全の取組みを呼びかけた。
たは「先進的」の評価を得ら ・ 「優良」または「先進的」なプランを整備した顧客は、
れるようにする。 2021年9月の42社に対して現在は64社となっている。
・ 当グループは、「整備中/初段階」および「プラン未公
表」の評価を受けた顧客(プランを十分に整備していな
い、または公表していない顧客)との対話(エンゲージメ
ント)に重点を置き、プランの改善を求めた。2023年度に
7社の顧客の評価が「プラン未公表」から「整備中/初段
階」に上がった。
・生物多様性の保全への取組み ・ 生物多様性については、顧客の54社が生物多様性保全の
を強化させる。 目標、方針および戦略を設定し、また顧客の61社が生物多
様性保全の取組みを開示している。
・ オーストラリアのセーフガード措置改革を一因として、
当グループは目標の修正を進めており、2024年度には特に
排出の多い顧客企業とのエンゲージメントを新たな段階に
進めることになる。
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2023 年度 末までに、以下の活動を
通じて気候変動リスクの管理を向
上させる。
・ ANZが営業を行うすべての ・ 当グループは、当グループが営業する7つの法域(オー
国および地域の適用規制上の ストラリア、ニュージーランド、シンガポール、香港、英
義務に基づき、リスク基準を 国、欧州および米国)の規制上の期待事項の比較評価を行
まとめる。 うため、外部のプロバイダーと契約した。この評価は、
2024年以降に気候リスクに関する基準および義務を非財務
リスク枠組みに統合する際に参照される。
・資源・エネルギーなどの高排 ・ CCRAは、社会・環境リスク審査ツールと共にオンライン
出セクターの法人顧客をはじ 顧客情報プラットフォームを通じてデジタル化され、信用
め、気候変動リスク評価 リスク評価プロセスに統合された。
(CCRA)の手法をプロジェク ・ 厳格なデュー・ディリジェンス・プロセスが適用される
ト・ファイナンス事業以外に 法人部門のエネルギー・セクター顧客や高排出企業向けエ
も拡張する。 ンゲージメント・プログラムの対象顧客をはじめ、CCRAは
プロジェクト・ファイナンス事業以外にも拡張されつつあ
る。
・ CCRAは引き続き2024年から2025年にかけて、法人部門顧
客に対して段階的に展開される。
・セクター別の移行パスウェ ・ 環境サステナビリティ(ES)のデータ戦略が策定され、
イ、シナリオ分析、ストレス データ優先度決定フォーラムのメンバーにより承認され
テストおよび解析に気候デー た。
タを供給・統合する当グルー ・ 当グループは、こうしたデータ戦略は、部門間や当グ
プのアプローチを周知するた ループの営業法域間で気候データを共有できる組織的で一
め、データ戦略を策定する。 元的なアプローチの開発に有効であると考えている。
ニュージーランド気候リス
ク・プログラムで得られた知
見をこれに取り入れる。
以下により、当グループの事業活
動が環境に直接与える影響を減ら
2024 年度
(2)
す 。
目標を
・ スコープ1とスコープ2の排出量は、2015年度から80%
・スコープ1(直接排出)およ
再設定
減少した。
びスコープ2(間接排出)の
排出量を(2015年度のベース
ライン(基準値)に対して)
2025年度までに85%、および
2030年度までに90%削減する
(3)
。
・再生可能資源による電力を増 ・ 2023年度は、当グループの事業活動に関連する電力消費
やし、2025年度までに100% 量の49%を再生可能源で賄った。
(4)
とする 。
・水の使用量を2025年度までに ・ 水の消費量は、2017年度のベースラインに対してグロー
(2017年度のベースラインに バルで61%減少した。
対して)40%削減する。
・埋立廃棄物を2025年までに ・ 事業から生じる埋立廃棄物は、2017年度からグローバル
(2017年度のベースラインに で71%減少した。
対して)40%削減する。
・紙の消費量(社内および顧客 ・ 紙の消費量は、2015年から71%減少した。
の紙使用の両方)を2025年ま
でに(2015年度のベースライ
ンに対して)70%削減する。
2030 年度 までに、より手ごろで手 ・ 当年度に当グループは約6億1,000万ドルの資金および
の届きやすいサステナブルな売・ ファシリティを追加で提供し、これにより2018年10月から
2024 年度 目
(5)
貸住居物件を供給するために、
の累計額は53億ドル を超えた。
標を再設定
100億ドルの投資資金およびファ
シリティを提供する。(オースト
ラリア/ニュージーランド)
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2025 年度 末までに、12,000世帯を 2020 年10月以降、当グループは、快適な住宅に住めるように
対象に3億ニュージーランド・ド 9,482世帯を支援し、3億7,909万ニュージーランド・ドルの
2024 年度
ルの運用資産を格安で融資するこ 融資を以下により実行した。
目標を
とで、より多くの顧客が快適な住 ・ ヘルシー住宅ローン・パッケージ
再設定
宅に住めるように支援する。 ・ 省エネ住宅ローン・トップアップ
(6)
(ニュージーランド)
・ 住宅断熱化無利子ローン
2023 年9月末現在、当グループは以下を達成済みである。
・ 2025年度の運用資産(FUM)目標額の126%
・ 2025年度の支援世帯目標件数の74%
2024 年度 末までに、先住民との協 当グループは、RAPの17の活動について引き続き良好な進捗を
調に向けた活動計画(RAP)で定 確保し、2023年度を期限とする目標はすべて達成している。
める17の活動を遂行する。(オー 当グループは当年度に、
ストラリア) ・ コマーシャル・バンキングの提供案を発表し、先住民
系商業顧客に対応する先住民系小企業担当マネージャー
を2名任命した。
・ オーストラリア先住民局と連携し、先住民系企業6社
のリーダーにCEOの技量チェックのための1日クリニッ
クを開催した。
・ 先住民系企業に1,170万ドル(RAP開始以降の累計で
2,440万ドル)を支出した。
・ アボリジニ系やトレス海峡諸島民系の顧客、従業員お
よび共同体の協力者のニーズに応えられるよう、オース
トラリア拠点の非先住民系従業員の文化的素養を高める
ための文化研修戦略を実施した。
・ 地域の伝統的土地権利者と協議のうえ、主要オフィス
や支店の改装または新設時の設計コンセプトに先住民族
啓発デザイン原則を採用した。
・ ANZ の先住民族採用・雇用・専門能力開発戦略(2024-
2026年)を策定および実施し、組織の全職位レベルで該
当者の登用を増やした。
・ 先住民族団体のブラック・カード(BlackCard)と提携
し、オーストラリア拠点の280名超の従業員に文化理解
研修を実施した。
・ 遠隔地域で働く自治体職員やファイナンシャル・カウ
ンセラーを対象に、マネー・ビジネス(金融リテラシー
向上イニシアチブ:Money Business)の指導者研修会を
8回実施した。
(1) この数字は、2023年5月5日に公表した2023年度半期の未監査開示書類から修正再表示済みである。500億ドルの目標額
に対し、集計終了時点で470.9億ドルに達していたが、その後、監査済期末残高は469.9億ドルで確定した。
(2) オーストラリアの規制上の報告年度に合わせ、環境報告年度は7月1日から6月30日までとする。
(3) 当グループのGHGの算定および報告では、一部のGHG排出量を除外している。ANZのGHGの算定および報告、ならびに関連
するカーボン・オフセットの購入のアプローチについての詳細は、本書日現在にanz.com.au/about-
us/esg/environmental-sustainability/environmental-footprint/で入手可能なANZの 温室効果ガス報告およびカーボ
ン・オフセット・ガイドライン( ANZ Greenhouse Gas Reporting and Carbon Offset Guidelines )(英文)を参照のこ
と。
(4) 自家発電による再生可能エネルギー電力、オフサイトで発電施設にグリッド接続する直接調達(電力購入契約(PPA)
等)、およびRE100(Renewable Energy 100%)の技術ガイドラインに準拠した信頼性の高いグリッドでデフォルト供給
される再生可能エネルギー電力。
(5) 2022 年度の開示累計額44億ドル、2023年度の達成額約6億1,000万ドル、および開示歴のない2022年度以降の繰延案件の
追加額2億8,800万ドルが含まれる。
(6) 2022 年7月に設定された商品。
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2024 年度のESG目標
目標 重点項目
新 規 顧客と対話して資金対応力を形成・維持するよう呼びかけ、2026年度末ま
(1)
でに250万人以上の顧客 に支出の約6週間分の資金バッファーを確保さ
せることを目標とする。(オーストラリア/ニュージーランド)
(2)
2025 年度 末までにフィジーとバヌアツで低所得者向けの貯蓄プログラム
(3)
を試験的に実施し、終了時には80%以上の参加者に貯蓄習慣 を定着させ
る。(パシフィック)
2023 年度 目標の 顧客の活動やANZによる直接投資を通じた社会・環境的成果(アウトカ
期中修正、および ム)のために、2030年度末までに1,000億ドル以上(うち2024年度末まで
2024 年度 目標の に150億ドル)の資金およびファシリティを提供する。二酸化炭素排出削
再設定 減の支援、自然および生物多様性の保全、手ごろな住宅へのアクセス向
上、ならびに経済的充実の促進のための取組みなどを対象とする。
2024 年度 目標の 特に排出量の多い顧客企業との対話(エンゲージメント)に集中すること
再設定 で、気候関連のリスクおよび機会の管理を強化する。当グループは以下を
通じて、低炭素化プランを強化することを顧客企業に期待および奨励して
いる。
・ 当グループの顧客企業の排出量上位100社の低炭素化プランの策定初
期より評価を上げて「優良」または「先進的」と評価される顧客を増
やすことを2025年度末までの目標とし、その企業顧客とのエンゲージ
メントに注力して高い期待値を設定する。
・ 気候変動リスク評価手法の使用対象を広げ、2024年度末までに、当グ
ループの排出量上位100社の顧客リスト(更新後)とのエンゲージメ
ントの支援において同手法を活用できるようにする。
(4)
当グループの事業活動が環境に直接 与える 影響 を、以下により削減す
る。
・ スコープ1とスコープ2を合わせて、排出量を2025年度までに(2015
年度のベースラインに対して)85%および2030年度までに90%削減す
(5)
る 。
・ 再生可能資源による電力を増やし、2025年までに100%とする。
・ 水の消費量を2025年度までに(2017年度のベースラインに対して)
40%削減する。
・ 埋立廃棄物を2025年度までに(2017年度のベースラインに対して)
40%削減する。
・ 紙の消費量を2025年度までに(2015年度のベースラインに対して)
70%削減する。
(6)
より手ごろで手の届きやすい、またはサステナブルな売・貸住居物件 を
供給するために、2030年度末までに100億ドル以上(うち2024年度末まで
に7億5,000万ドル)の投資資金およびファシリティを提供する。
2025 年度 末までに、16,000世帯以上を対象に総額6億7,000万ニュージー
ランド・ドル以上を格安で融資することで、ニュージーランドの住宅所有
者による自宅の維持(サステナビリティ)向上および/または交通排気の
削減を支援する。(ニュージーランド)
変更せずに継続 2024 年度 末までに、先住民との協調に向けた活動計画で定める17の活動を
遂行する。(オーストラリア)
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(1) 顧客数は2023年9月30日現在の約240万人をベースラインとする。
(2) セイバー・プラス。
(3) 10 か月のうち8か月は(セイバー・プラス・プログラムに従って)貯蓄を行う状態。参加者の調査データにより判定さ
れる。
(4) オーストラリアの規制上の報告年度に合わせ、7月1日から6月30日までを環境報告年度とする。
(5) 当グループのGHGの算定および報告では、一部のGHG排出量を除外している。ANZのGHGの算定および報告、ならびに関連
するカーボン・オフセットの購入のアプローチについての詳細は、本書日現在にanz.com.au/about-
us/esg/environmental-sustainability/environmental-footprint/で入手可能なANZの 温室効果ガス報告およびカーボ
ン・オフセット・ガイドライン (英文)を参照のこと。
(6) 適格住宅に関する取引には、2030年度末までに1,000億ドルを達成するという社会・環境目標の適格基準をも満たすもの
があり、これらは両目標に貢献する可能性がある。
気候関連の指標および目標
ANZGHLは部門別の脱炭素パスウェイを設定しており、これは当グループの気候関連財務開示報告書および投融資先排出量
(ファイナンスド・エミッション)算定手法(いずれもanz.com/esgreportにて入手可能)で説明されている。
スコープ1、2および3の排出量の詳細は、2023年気候関連財務開示報告書(英文)および投融資先排出量算定手法(英
文)ならびに ANZ の 温室効果ガス報告およびカーボン・オフセット・ガイドライン(英文) (https://www.anz.com.au/about-
us/esg/environmental-sustainability/environmental-footprint/にて入手可能)にも記載されている。
人的資本
ANZ グループの人的資本に関する指標および目標の詳細は、「第2 企業の概況-5 従業員の状況」、「第5 提出会社の
状況-3 コーポレート・ガバナンスの状況等-(1) コーポレート・ガバナンスの概要」および同「 -(2) 役員の状況」なら
びにanz.com/esgreportで入手可能なANZGLの2023年度ESGデータ・フレームワーク・パック(英文)の「Employee(従業員)」
を参照のこと。
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3【事業等のリスク】
(1)リスク
2023 年には地政学的緊張が高まり、マクロ経済環境が不透明な状態が続いた。このような状況は、引き続き事業環境に課題
を投げかけている。当グループの顧客も同様に、悪天候などの追加的な課題と共にこれらの影響を受けていると当グループは
認識している。当グループのリスク管理の枠組みおよび手法は、かかる課題に対応するため進化を続けている。
当グループのリスク管理の枠組み(RMF)
取締役会は、当グループの基礎となるシステム、構造、方針、手順、プロセス、および人材を支柱に据えたRMFを設定し、か
つ監督することに最終的な責任を負う。取締役会は、当グループのリスク管理方針の遵守を推進し、監視する権限を取締役会
リスク委員会(BRC)に対して委任している。同委員会は、その活動について取締役会に定期的に報告を行う。当グループの
RMFの主柱となるものには以下が含まれる。
・ リスク管理戦略(RMS)は当グループのRMFの重要な要素である。RMSには、当グループの目的と戦略を支援するリスク機能
部門の構造、銀行役員説明責任制度(BEAR)に基づく説明責任者としての当グループ最高リスク責任者の所定の責任の遂
行、戦略的優先事項を実現する際のリスクに関する意思決定を支援する価値観、態度および行動、取締役会が承認した目標
および意欲的なリスク文化、重要なリスクそれぞれの内容、ならびに関連する方針、基準および手続きに準拠した重要なリ
スクそれぞれに対するRMSにおける対処方法についての概要が含まれる。また、重要なリスクの当グループによる特定、測
定、評価、監視、報告の方法およびそれらのリスクの管理または軽減の方法、ならびに監督の仕組みおよび/もしくは所定
の委員会に関する情報も含む。
・ リスク選好報告書(RAS)は、重要な各リスクについて、株主、預金者および顧客の利益を考慮の上、当グループが戦略的
目標および計画の達成に向かうにあたって受け入れる意思があるリスクの最大レベルを記載している。
・ リスク原則はRMFを支援し、リスク管理の指針として適用されることが期待される行動および慣行を概説するとともに、当
グループ全体に適切なリスク文化を浸透させるのに役立つ。
当グループは、3つの防衛線モデルに基づき事業を行っている。それぞれの防衛線において、効果的なリスク管理を支える
ために、役割、責任およびエスカレーション・パスが明確に定められている。これらの3つの防衛線モデルは、「リスクは全
員の責任」という文化を根付かせるものである。
事業および実行機能部門が1番目の防衛線となり、リスクと統制の日常的な管理を含め、RMFの実施と継続的な維持のために
責任を負う。
2番目の防衛線はリスク機能部門であり、当グループのリスク・プロファイルに重大な影響を及ぼす活動および決定に対す
る的確な異議の提起やRMFの策定と維持の支援を含め、当グループのリスク・プロファイルおよびRMFに対する独立した監視を
行う。
3番目の防衛線は内部監査であり、当グループのRMFの妥当性、有効性および適切性に対する独立した評価および保証を与え
る。
リスク管理のガバナンスおよび監視は、日々の活動に組み込まれている一方で、当グループ全体にわたって委員会および定
期的なフォーラムにおける重要な取り組みとなっている(下図を参照のこと)。委員会およびフォーラムにおいては、既知の
問題の対処にあたっての管理プランの見直しと進行状況の監視を行い、既知および新規のリスクについての議論と監視を行
う。
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重要リスク
以下は、当グループのRMSに基づく当グループが直面する重要リスクと、これらのリスクの管理方法の要約である。
リスクの種類 内容 リスク管理
自己資本充実 当グループの連結業務およびリスク選好 当グループは、主要方針目標に照らした資本基盤の
リスク 度を支援するための、健全性規制当局お 水準と構成の継続的な審査および取締役会の承認を
よびその他の主要な利害関係者(株主、 通じて、預金者、債権者および株主の利益の保護を
債券投資家、預金者および格付会社等) 目的とした自己資本管理に対する積極的な取組みを
が要求する自己資本水準を当グループが 進めている。
維持できない場合に発生する損失に関す
るリスクである。
信用リスク 以下の結果生じる財務損失に関するリス 当グループの信用リスクについての枠組みはトップ
クである。 ダウン構造で、信用原則、信用指針および信用要件
・ カウンターパーティーが債務履行 により定義づけられている。与信の政策、要件およ
を怠る。 び手続きは、初期承認およびリスクのグレード化か
・ カウンターパーティーの信用の質 ら継続的な管理および問題債権の管理まで、与信の
が低下し、そのことにより損失が ライフ・サイクルにわたってあらゆる面を網羅して
生じる。 いる。
流動性および 以下を含む、期日が到来した支払債務を 当グループは、バランスシートにおいて内在する流
資金調達リス 当グループが履行できないリスクをい 動性および資金調達リスクを認識しており、流動性
ク う。 および資金調達リスクを軽減および管理する一連の
・ 預金者への返済またはホールセー 主要原則を確立している。
ル債券の満期償還 当グループの枠組みはトップダウン構造で、流動性
・ 資産を増額する資金調達を行う当 原則および方針により定義づけられている。流動性
グループの能力が不十分 制限の枠組みが導入され、流動性制限が流動性スト
レステストの枠組みに基づき設定されている。
市場リスク 当グループのトレーディングおよびバラ 当グループは、詳細な市場リスク管理および統制の
ンスシート取引に起因するリスクであ 枠組みを有しており、この枠組みには、トレーディ
り、以下に起因する当グループの利益に ングおよびバランスシートのポートフォリオにおけ
対するリスクをいう。 る市場リスクの大きさを定量化するための独立した
・ 金利、外国為替レート、信用スプ リスク測定アプローチを組み込むことが含まれてい
レッド、ボラティリティおよび相 る。このアプローチは、一定の期間に予想できる、
関関係の変動、または 可能性のある結果が及ぶ範囲を特定し、それらの結
・ 債券価格、コモディティ価格もし 果の可能性を確定し、これらの活動を支援する適正
くは株価の変動 な額の資本の割り当てを行う。
戦略リスク 戦略リスクとは、内部または外部要因に 戦略リスクは、取締役会の承認を経て、グループ経
より、当グループが効果のない戦略的選 営委員会により管理された年間の戦略計画策定プロ
択を行い、戦略を効果的に遂行すること セスを通じて検討および管理される。戦略がその他
ができず、または環境および要件の変化 の重要リスク(例えば、信用リスク、市場リスク、
に対応して戦略を調整することができな 非財務リスク)の増大につながる場合は、それらの
いことから、その事業の中核となる主要 リスクに関するリスク管理戦略により一次的な管理
な戦略目標の達成を妨げられるリスクと が行われる。
定義される。
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気候リスク 気候リスクには以下が含まれる。 当グループは、気候変動により当グループに生じる
・ 物理的リスク-長期的な気候変動 財務リスクおよび非財務リスクの特定、監視および
(慢性リスク)のほか、異常気象 管理に努める。気候関連リスクが他の重要リスクの
の頻度および規模(急性リスク) 増大につながる場合は、それらのリスクに関するリ
により生じる。物理的慢性リスク スク管理戦略により、一次的な管理が行われる。
要因の例としては、海面上昇、平 現行の方針、プロセスおよびガバナンスの枠組みを
均気温の上昇、海洋酸性化などが 通じて、当グループのリスク管理の枠組みに気候リ
挙げられる。物理的急性リスク要 スクを統合し組み込むための作業が進められてい
因の例としては、熱波、洪水、森 る。これには、3つの防衛線全体の役割および責任
林火災、サイクロンなどが挙げら の定義が含まれる。
れる。
・ 移行リスク-低炭素経済への移行
により生じる。これには、国内お
よび国際的な政策や規制環境の変
更、技術革新、社会適応および市
場の変動が含まれる。
・ 責任リスク-気候変動の影響を十
分に検討することまたは対応する
ことができないことにより、潜在
的訴訟または規制措置という形で
生じる可能性がある(物理的リス
クおよび移行リスクを含む。)。
これには、例えば事業体がその気
候関連リスク、事業の信頼性また
は戦略について虚偽の説明をした
とされる場合に生じ得るグリーン
ウォッシング・リスクが含まれ
る。
当グループの気候リスクに対する理解は
今後も進化し成熟していく。このリスク
は、リスク管理の枠組みに組み込まれて
いる。これは、気候変動および低炭素経
済への移行によってもたらされるリスク
と機会の両方への対応を目的とした、当
グループの事業運営および事業戦略のさ
らなる調整を支援するものとなる。
非財務リスク 非財務リスク(NFR)は、不適切または 非財務リスク管理を発展させる当グループの戦略
機能不全の内部プロセス、人員、システ は、当グループの非財務リスク管理を改善するため
ムおよび/もしくはデータ、または外生 の計画的かつ積極的なアプローチを提供する。NFR
的事象に起因する損失リスクおよび/ま 戦略は、当グループが非財務リスクの特定、評価、
たは法の不遵守リスク(法律、規制、業 是正、監視および非財務リスクに関する報告を、総
界基準および規範、ならびに内部方針を 体的に一貫性をもって効果的に行うことができるよ
遵守して行為を行わないことを含む。) うに策定された、NFRフレームワークを通じて運用
である。 されている。
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(2)主なリスクおよび不確実性
序論
当グループの活動は、当グループの事業、事業モデル、業務、業績、レピュテーション(評判)、見通し、流動性、資本の
源泉、財務実績および財務状態(「当グループのポジション」と総称する。)に重大な悪影響を与える可能性のあるリスクお
よび不確実性に左右される。これらのリスクと不確実性は、財務上でも非財務上でも発生し得るもので、当グループがほとん
どもしくは全く制御できない外部的要因から生じる可能性がある。以下に記載するリスクおよび不確実性は当グループが直面
する可能性のあるすべてのものではない。当グループが認識していないまたは当グループが現在重要であるとみなしていない
さらなるリスクおよび不確実性も影響を与える重要な要因になる可能性がある。以下に記載する、または記載していないリス
クおよび不確実性のいずれかが(個別または集合的に)実際に生じた場合、当グループのポジションが重大な悪影響を受け、
その結果当グループの株式および債券の取引価格や価値が下落し、投資家がその投資の全部または一部を失う可能性がある。
下記のリスク要因は、本書の表紙(注)4.に記載の「将来に関する記載」および「気候関連の情報」とあわせて検討されるべ
きである。
当グループの事業の活動および業界に関するリスク
1.政治および経済の情勢の変化(とりわけオーストラリア、ニュージーランド、アジア太平洋地域、英国、ヨーロッパおよ
び米国(「関連法域」)におけるもの)は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループの財務実績は、当グループ、その顧客およびカウンターパーティーが事業を展開している国々および地域におけ
る政治、経済および金融の情勢に影響される。当グループが主要な業務を行う関連法域または業務もしくは資金調達を行うそ
の他の法域における経済状況の将来の可能性について、当グループは保証することはできない。
関連法域における政治、経済および金融情勢は様々な要因の影響を受けることがあり、これには国内外の経済事象、銀行シ
ステムの安定性および資金調達や資本市場に対する関連の影響、金融市場のその他の変化、グローバル・サプライチェーンの
発展、政治上の展開、パンデミックならびに自然災害が含まれるが、これらのみに限定されるものではない。
政治情勢の不安定化は、不確実性、市場流動性の低下、国際金融市場におけるボラティリティの増大、関連法域における経
済活動への悪影響をもたらし、これが当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。最近の例としては、ウクライ
ナ紛争、イスラエルとハマスの交戦およびそれに伴う経済安全保障関連法の施行、様々な市場における制裁措置および貿易制
限ならびに米国と中国間の緊張の高まりなどがある。
当グループは、イスラエル、ガザ、ロシアまたはウクライナにおいて事業を展開しておらず、これらに対していかなる重要
な直接的エクスポージャーも現在有していないが、市場のボラティリティまたは経済の不確実性が長引けば、当グループのポ
ジションに悪影響が及ぶ場合がある。米国と中国間の緊張状態も、当グループが事業を展開する市場や当グループのポジショ
ンに悪影響を及ぼす可能性がある。このような地政学的問題により、多くの市場において経済安全保障関連法の施行や貿易制
限が実施され、これらには対内外の投資審査メカニズムの強化、反威圧措置(ACI)、制裁措置、輸出管理および安全保障関連の
産業政策が含まれた。
関連法域を含む多くの経済においてインフレ圧力が高まっている。財およびサービスに対する過度の需要の強さ、地政学的
緊張、サプライチェーンの問題、農業地域での気象状況、エネルギー価格の上昇、食品価格の上昇と労働市場の逼迫などの世
界的な経済の課題が高インフレの要因となっている。持続的な高インフレのリスクは、市場ボラティリティの悪化、経済成長
の鈍化の促進や失業率の上昇をもたらし、これらのそれぞれが事業および投資家の信頼をさらに悪化させ、顧客の債務不履行
リスクを増大させる可能性があり、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
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中国はオーストラリアおよびニュージーランドの主要な貿易相手国の一つであり、当グループとその顧客が事業を行ってい
る多くの市場において、商品需要と価格の重要な牽引役となっている。地政学的緊張の高まりや、追加関税および制裁措置を
含むその他の保護貿易政策または経済安全保障関連の貿易政策の実施など、中国の経済成長ならびにオーストラリアおよび
ニュージーランドと中国の経済関係に悪影響を及ぼす事象が発生した場合、オーストラリアまたはニュージーランドの経済活
動に悪影響を及ぼす可能性があり、その結果、当グループのポジションにも悪影響が及ぶ可能性がある。さらに、中国で広範
かつ持続的な景気減速が起きた場合、中国金融システムの健全性に悪影響が及ぶ可能性があり、それが世界の金融システムと
経済に悪影響を与える可能性がある。こうなれば、景気後退、カウンターパーティーの債務不履行および各国の資本規制の導
入につながるおそれがあり、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。リスク要因5.「オーストラリア、
ニュージーランドまたは当グループが事業を行うその他市場の不動産市場の変動は当グループのポジションに悪影響を与える
可能性がある。」を参照のこと。
米国およびヨーロッパにおけるいくつかの金融機関の破綻の結果、近年において銀行システムの安全性は厳しく精査されて
いる。銀行やその他の金融機関の破綻による伝染リスクは、満期を迎える債務を借換え、タイムリーかつコスト効率の良い方
法で資金調達する当グループの能力に重大な影響を及ぼす可能性があり、このことが当グループのポジションに悪影響を与え
る可能性がある。リスク要因13.「流動性および資金調達リスクに関する事象は、当グループのポジションに悪影響を与える
可能性がある。」を参照のこと。
世界中の商業用不動産市場において、とりわけ米国やヨーロッパにおけるセンチメントの弱まりを受けて、投資家が投資ク
ラスの再配分を行ったり、インフレや金利に関する確実性が高まるのを待つなど、投資家の警戒感が高まっている。世界的な
流動性の逼迫は、ファンダメンタルズの弱体化が商業用不動産市場における評価額および借換えリスクに与える影響をさらに
強める可能性がある。オーストラリア、ニュージーランドまたは当グループが事業を行っているその他の市場における不動産
市場の変化は、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。商業用不動産市場におけるマイナスの動向は、企業
破産による信用損失の増大、金融ストレスの高まり、レバレッジの高い借手の債務不履行につながる可能性があり、これが当
グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。リスク要因5.「オーストラリア、ニュージーランドまたは当グルー
プが事業を行うその他市場の不動産市場の変動は当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。
関連法域において経済状況が悪化した場合、住宅、商業用または地方不動産市場の資産価値が下落し、失業が増加し、企業
および個人所得が減少する可能性がある。世界市場(株式、不動産、外国為替およびその他資産市場を含む。)の悪化は、当
グループの顧客ならびに当グループが貸付およびその他の信用供与のエクスポージャーに対して保有する担保に影響を与える
おそれがあり、これは貸付およびその他の信用供与のエクスポージャーを回収する当グループの能力に影響を与える可能性が
ある。上記のいずれかが生じた場合、当グループのポジションは悪影響を被る可能性がある。リスク要因10.「信用リスク
は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。
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2.COVID-19のパンデミックおよび将来のパンデミックは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
COVID-19 のパンデミックの影響は当グループのポジション、国内経済および世界経済に引き続き影響を及ぼしている。
COVID-19のパンデミックが及ぼす今後の影響は依然として不明である。さらなる変異株が発生した場合には当グループの顧客
や事業に影響を与え、政府が当グループのポジションに悪影響を与え得る措置をとる必要が生じる可能性がある。COVID-19に
関連したサプライチェーンの混乱およびモビリティの制約により、当グループの利益率が低下する可能性があり、顧客の
キャッシュフロー、資本、流動性および資金調達需要に影響を与える可能性がある。COVID-19のパンデミックの間の世界的な
経済活動の大幅な縮小により、グローバル金融市場において大幅なボラティリティが生じ、これが今後も引き続き関連法域に
大きな影響を与え続けると予想される。個々の状況に応じた個別に適合した支援および持続可能な取決めを当グループが提供
できなければ、苦境に陥っている顧客が不利益を被る可能性がある。COVID-19のパンデミックや他のパンデミック後の政治と
経済の情勢によって、当グループの商品およびサービスに対する需要の減退、貸付その他の債権のデフォルト、不良債権およ
び減損の増加、ならびに当グループの事業コストの増加が引き起こされる可能性がある。これらのいずれかが発生した場合、
当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
3.当グループが業務を行う市場における競争は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループが事業を行う市場での競争は激しく、ますます高まっていくことが予想される。競合相手には、オーストラリア
またはニュージーランドで事業を拡大しているオーストラリア国外の金融サービス事業者や、新規参入のノンバンクおよび小
規模事業者が含まれる。競争に影響を与え、当グループのポジションにマイナスの影響を及ぼす要因の例として下記が挙げら
れる。
・ オーストラリアおよびニュージーランド外における事業体を含め、当グループと競合する事業体は、当グループより緩
やかなレベルの規制および規制活動の対象となる可能性がある。このことは、規制レベルが緩やかであることがそれら
の事業体のコストベースを低下させ、および/または当グループが他の方法で雇用を模索することになる従業員を惹き
付ける能力を与えるため、より競争力のある商品およびサービスの提供をかかる事業体に可能にさせることがあり得
る。
・ デジタル技術およびビジネスモデルが顧客の行動および競争環境を変化させている。競合会社は、人工知能(AI)を含
む新技術の利用を増やし、金融サービス部門における既存のビジネスモデルの分断を図っている。
・ 金融サービス部門以外の会社が、従来銀行が提供する商品およびサービスを提供することにより当グループと直接競争
を展開している。これには、新規参入者による銀行業免許の取得および既存の競合会社との提携によるものが含まれ
る。
・ 消費者および企業が、競争上当グループがそれに関する金融サービスを提供しないことを選択する可能性がある、また
は提供できない可能性がある(仮想通貨または中央銀行のデジタル通貨などの)新しい形態の通貨を利用した取引また
はこれらの通貨への投資もしくは価値の保存を行う選択をすることもあり得る。新しい形態の通貨は、金融仲介および
市場の運営方法の変更につながり、それに伴い当グループの競争上および商業上のポジションに悪影響が及ぶ可能性が
ある。
・ オープン・バンキング(以下に記載する。)により競争が増す可能性がある。(リスク要因16.「規制の変更または法
律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこ
と。)
・ オーストラリア政府およびニュージーランド政府は、銀行市場の競争をさらに高める政策の実施を検討する可能性があ
る。最近の例には、オーストラリア議会による経済活力、競争、事業形成に関する調査や、オーストラリア競争・消費
者委員会(ACCC)によるリテール預金商品の供給市場に関する調査が含まれる。また、オーストラリア政府は最近にお
いて競争法および競争制度の見直しを開始した。さらにニュージーランドでは、商務委員会が個人向け銀行業務の提供
や買収に関する競争に影響を及ぼす可能性のあるあらゆる要因についての市場調査を開始した。これらの調査や見直し
は銀行市場の競争を強める政策の実施につながる可能性があるが、当グループに与える調査や見直しの正確な影響はま
だ不明である。
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市況における競争の増加による当グループに対する影響または当グループの事業プラットフォームを競争上不利にする技術
の変動は、特に当グループの主要市場および商品においては、当グループの市場シェア、顧客および利鞘の大幅な減少につな
がる可能性があり、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。預金獲得のための競争の高まりにより当グルー
プの資金調達コストが増加しうる。当グループが預金獲得に首尾よく競争できない場合、当グループはより安定していないお
よび/またはよりコストが高い形の資金調達に頼るか、貸付を削減せざるを得ないかもしれない。これは当グループのポジ
ションに悪影響を与える可能性がある。
地政学的および経済的混乱は、資金調達コストおよび信用引当金の増加、金利の変動、流動性の不足、事業継続計画の実
施、事業戦略の変更ならびに規制上のセーフハーバーにより、金融サービス部門の競争や収益性に大きな影響を与える可能性
がある。低成長環境下においては、特に強固なビジネスモデルを有する伝統的な競合企業間での競争の激化とマージンの圧迫
が起こる可能性がある。
4.純粋株会社を設立した当グループの本再編は当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
2023 年において、当グループは本再編を実施し、ANZGHLがANZBGLに代わり当グループの新たな上場親会社となった。ANZGHL
は純粋持株会社(NOHC)であり、オーストラリア銀行法上においてNOHCとしての認可を受けている。APRAによるNOHCに関する
健全性の枠組みは、業界協議の期間を経て2025年から発効する予定である。APRAによるADIのNOHCに関する最終的な規制の枠組
みやANZGHLに対する規制は、時間が経過するにつれ既存の規制の枠組みと異なってくるため、当グループの規制上のリスクが
増大するリスクが存在している。この結果、当グループに悪影響が及ぶ可能性およびさらなる構造上の変更が必要となる可能
性がある。本再編後のオペレーティング・モデルが期待通りに機能せず、および/または見込まれた利益が実現できず、その
ため当グループにおける構造上のさらなる変更が必要となる可能性がある。このような事態が起きればその範囲において、当
グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
5.オーストラリア、ニュージーランドまたは当グループが事業を行うその他市場の不動産市場の変動は当グループのポジ
ションに悪影響を与える可能性がある。
住居用および商業用不動産への融資は、不動産開発および投資不動産向け融資とともに、当グループの重要な事業である。
当グループの貸付ポートフォリオの主要なサブ・セグメントには以下が含まれる。
・ 住宅ローン(自己所有および投資)
・ 商業用不動産ローン(投資および開発)
金利の上昇の規模とペースから、2021年以降においてオーストラリアおよびニュージーランドにおける不動産価格の下落が
起きている。不動産価格の変動幅は、最終的に今後のさらなる金利上昇または高金利の持続の状況と経済への影響に左右され
ることになる。
2023 年1月1日より、APRAは、与信ベースのマクロ・プルーデンス政策措置を健全性基準APS第220号「信用リスク管理」
(「APS第220号」)に盛り込んだ。これらの措置をAPRAは必要に応じてシステミック・リスクの対処に利用することができ
る。APRAがこれらの措置を将来変更した場合、当グループの柔軟性が制限され、1つまたは複数の事業の収益性に影響する可
能性がある。(リスク要因16.「規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジション
に悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。)。
ニュージーランドの住宅用不動産価格の中央値は2021年11月に最高値に達した後、2022暦年および2023年初頭には下落に転
じている。金利の上昇と生活費の増加が家計のバランスシートを圧迫し、このことが住宅および商業用不動産の需要に引き続
き影響する可能性が高い。この圧迫により、ニュージーランドにおいて住宅用不動産関連の滞納が増加しており、COVID-19以
降は低水準で推移していた滞納件数は2023年9月までの1年間でさらに増加した。
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金利の上昇は、債務返済能力に影響を及ぼし、当グループの借手による債務不履行を増加させ、ローンの融資条件を圧迫
し、オーストラリアおよびニュージーランド双方において商業用および住宅用不動産ならびに当グループの関連融資商品の需
要を減退させる可能性がある。現在の高水準のインフレに対処するため、さらなる金利の引き上げが行われる可能性がある。
さらなる金利の引き上げまたは高金利の持続は、企業破産による信用損失の拡大、モーゲージ・ストレス(住宅ローン返済に
よる家計への圧迫)の増大および債務不履行の増加、市場への潜在的な悪影響ならびにオーストラリアおよびニュージーラン
ド経済の潜在的な低迷にもつながる可能性がある。その結果、これがテナントの賃借料の支払能力に影響し、さらには当グ
ループの借手の不動産収益の質を低下させる可能性がある。
最近の金利の上昇、資産価格のインフレおよび利回りの圧縮は、インタレスト・カバレッジ・レシオと資産価値を低下させ
る可能性がある。現在、評価額は市場センチメントより遅れて反応している。当グループは既存の担保の価値の下落を観測し
ており、今後12か月の間にいくつかの部門においてさらなる下落が起こると予測している。これまでの評価額は2022年半ばま
での資産価格インフレにより生じたバッファーの恩恵を享受している。これが借換えリスクを高め、債務削減に向けた借手の
持分拠出を必要にさせたり、および/または設備の再編につながる可能性がある。セカンダリーグレードの資産はより価格が
下落しやすくなる可能性があり、これは、競争が激しく流動性の高い市場(債券と株式)において投資家がファンダメンタル
ズを見逃した場合に起こり得る。銀行部門において流動性の逼迫がみられた場合、借換えリスクが高まる可能性がある。投資
家がポートフォリオを見直し、不確実性とボラティリティの増加に直面して予測を変化させていることから、ノンバンクの債
券市場ではセンチメントに幾分の変化の兆があることを当グループは観測している。これにより、流動性が低下するより資金
調達コストが上昇する結果となり、ノンバンクの債券市場は依然として利用可能な借換資金のソースとなっている。ノンバン
クの金融機関は近年において開発前の土地や不動産開発セクターを支援してきたため、資金調達コストの上昇を考えた場合、
またはノンバンクの金融機関がより脆弱な出資者からの支援を取り止める場合には、新規プロジェクト開始数は減少する可能
性がある。
請負業者の安定性、サプライチェーンの逼迫、資材コストと人件費の上昇や労働力不足などの建設リスクは、短・中期的に
商業用または大規模住宅のプロジェクト(土地およびマンション)開発ならびに地価に影響を与える可能性がある。
COVID-19 のパンデミックにより、柔軟な勤務体系が浸透したため、オフィス部門の需要と供給の動向に変化が生じており、
特にセカンダリーグレードの資産に対する需要と賃借料の伸びの見通しが小幅であることから、これが投資家の需要とイール
ド予測に影響を与える可能性がある。
不動産市場の変化により、様々な地域において機関投資家顧客の不動産投資ポートフォリオの価値は低下する可能性があ
り、これにより、当グループに対する関連ローン・ファシリティの返済意欲および/または能力が低下する可能性がある。
上記のほか、不動産開発の鈍化と不動産市場の低迷に起因する中国経済の全般的な低迷と現在の成長鈍化により、将来にお
いてに商品(鉄鉱石など)の需要の減退が起き、その結果、商品価格が下落してオーストラリアとニュージーランドの一部の
輸出に対する需要に悪影響が及ぶ可能性がある。さらに、中国での生産が減速すれば、一任された小売、卸売、製造、パッ
ケージおよび自動車セグメントなどの様々な産業セグメントにわたってサプライチェーンに混乱が生じる可能性がある。
上記の各要因は、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
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6.ソブリン・リスクに関する事象が世界の金融市場の不安定化を招き、当グループのポジションに悪影響を与える可能性が
ある。
ソブリン・リスクは政府が債務につき不履行となる、満期を迎えたときに債務の借換えができない、それにより自国の経済
の一部が不安定化するリスクである。ソブリン・リスクは、当グループの資産価値に悪影響を及ぼすことを通じて直接的に、
または国際金融市場の不安定化を通じて間接的に、当グループに悪影響を与え、これにより当グループのポジションに悪影響
が及ぶ可能性がある。ソブリン・リスクは、関連法域を含む多くの経済国において存在している。1つの国家が債務不履行に
陥った場合、他の市場および国へ波及する可能性があり、それによる影響は、世界金融危機およびその後のソブリン債務危機
の期間中に経験した状況に類似もしくはそれより悪いものとなる可能性がある。
7.市場リスクに関する事象は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
市場リスクは、金利、為替レート、信用スプレッドのマイナスの変化、または債券、商品もしくは株式価格の変動から生じ
る損失のリスクである。財務リスク管理の目的で、当グループはトレーディングおよび非トレーディングの市場リスクを区別
する。トレーディング市場リスクは主に当グループの金利、為替レート、商品および有価証券のトレーディング・オペレー
ションから生ずる。非トレーディング市場リスクは専ら銀行業資産の金利リスクである。その他の非トレーディング市場リス
クには、海外営業での資本投資から生ずる取引および構造的為替リスクおよび非トレーディング株式リスクが含まれる。かか
る市場リスクに関する事由の発生により生じる損失は、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
8.為替レートの変動が、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループは、いくつかの異なる通貨で事業を行っている。そのため、当グループの事業は、為替レートの変動により影響
を受ける可能性がある。当グループの年次報告書および中間報告書は豪ドルで作成・提示される。当グループが収益を得てい
る(特にニュージーランドドルおよび米ドル)または資本を保有している他の通貨に対する豪ドルの価値の変動は、当グルー
プの報告された収益および自己資本比率に悪影響を及ぼす可能性がある。現在、当グループは通貨の変動の影響を一部軽減す
るためにヘッジを設定している。当グループのヘッジが十分なものまたは効果的となる保証はなく、当グループが収入を得て
いるまたは資本を保有している他通貨に対して豪ドルの価値が変動した場合には当グループのポジションに悪影響を与える可
能性がある。
9.買収および売却は、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは定期的に、当グループの戦略的ポジションおよび財務実績を強化する機会か否かを判断するため、買収および
売却を含め、様々な企業の機会を検討している。買収(または売却)した事業の統合(または分離)は複雑で費用がかかる。
これは、時には会計およびデータ処理システム、技術プラットフォームならびに経営管理の統合(または分離)とともに、従
業員、顧客、規制当局、カウンターパーティー、サプライヤーおよびその他の事業の相手方との関係や契約を管理することを
含む。買収または売却により重要な関係および人員の喪失があった場合、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性があ
る。
買収(または売却)は、その基礎となった前提が正確であったか、または達成可能であったかわからないため、シナジー効
果、コストまたはコスト節減、統合(または分離)までの時間および全体的なパフォーマンスに関して期待されるプラスの結
果を生み出す保証はない。また、買収(または売却)は、当グループの信用格付、資金調達コストおよび追加の資金調達の手
段に影響を与え、その結果、当グループの資金調達のポジションおよび流動性のポジションに悪影響を与える可能性がある。
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統合(または分離)への取り組みの中で、基準、統制、手続および方針の不一致を生じさせる可能性があり、経営陣の注意
をそらし、資源が流出する可能性がある。カウンターパーティーが当グループに対して完了済みまたは未完了の取引に関して
請求を行うリスクが存在し、それが当グループのポジションに悪影響を与えるおそれがある。これらの要因のすべてまたは一
部が、当グループが事業を成功裡に行う能力に悪影響を及ぼす可能性があり、また当グループの業務または業績に影響を与え
る可能性がある。新しく買収(または維持)した事業の従業員、顧客、カウンターパーティー、サプライヤーおよび事業の他
の相手方がかかる買収後(または売却後)も留まるという保証はない。さらに、当グループまたはカウンターパーティーが完
了条件を満たすことができないため、または規制当局、株主その他の承認などのその他の完了条件が成就しないためなど、当
事者間で当初合意された形かまたは全く違う形であるかにかかわらず、合意された取引が完了しないリスクが存在する。統合
または分離リスクのいずれかが発生した場合、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
当グループにより発表済みであるが、完了に至っていない取引には、サンコープ・バンクの直接の純粋持株会社であるエス
ビージーエイチ・リミテッド(SBGH Limited)の全株式の取得についてのサンコープ・グループ・リミテッド(「SGL」)との
合意が含まれている。ACCCは、2023年8月、この買収の認可を拒否したため、その決定は現在オーストラリア競争審判所によ
る審査に付されている。当該買収は下記に記載のものを含む一定の条件を満たすことが前提とされており、かかる条件が充足
され、合併の承認が下りた場合、2024暦年半ばに合併は実施される見込みである。
SGL からのサンコープ・バンクの買収は、一定の条件の充足が前提となっている。これには、連邦財務大臣の承認、ACCCの認
可または承認(上記を参照のこと。)およびクイーンズランド州の州金融機関およびメトウェイ合併法の一定の改正が含まれ
る。また、APS第222号に基づきまたはこれに関連して、APRAがANZBGLに対してこの買収の完了に向けて手続を進めてはならな
い旨の書面通知を発した場合、ANZBGLは、サンコープ・バンク売買契約上その解除権も有している。承認を与える条件におい
て、条件、制限、義務もしくは費用が課される、買収後の当グループやその事業の遂行に制約が課される、または取引条件の
変更が要求されることもあり得る。規制当局がかかる条件、義務もしくは制約を課さないという保証はなく、かかる条件、制
限、義務もしくは制約が課された場合、取引の完了を遅延させるもしくは阻止する、買収後に当グループが多額の追加コスト
を負担するもしくは当グループの収益を著しく制限する、または見込まれる当グループの買収利益を減少させる影響をもたら
さないという保証はなく、これらはいずれも当グループに悪影響を与える可能性がある。
ANZBGL は、サンコープ・バンクの買収提案に関連して、サンコープ・バンクに関して提供された、またはサンコープ・バン
クの経営陣との会合で提供された財務、技術、法務その他の情報の検討に一部基づきデューデリジェンス手続きを実施した。
ANZBGLは、デューデリジェンス調査の一環として合理的な努力を行っているが、提供されたすべての情報の正確性、信頼性ま
たは完全性を確認することはできない。デューデリジェンスにおいて提供されたまたはANZBGLが依拠した情報が不正確、不完
全または誤解を招くものであることが判明した場合、サンコープ・バンクの実際の財政状態および業績が予想と異なるかもし
れないリスクが存在する。また、実施されたデューデリジェンスが確定的であり、買収提案に関するすべての重要な問題およ
びリスクが特定、回避または軽減されているという保証はないため、当グループに悪影響を与える可能性のある問題またはリ
スクが発生するおそれがある。SGLは、ANZBGLに対し、買収完了前の特定の事項に関する一定の補償およびANZBGLに有利な一定
の表明保証を提供している。このような保護があってもこれらの事項に関する債務をカバーするには不十分である可能性があ
り、その場合、当グループの財務実績およびポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。通常、保証や補償は一定の金銭債権の
限度およびその他の制限にも服することになる。
サンコープ・バンクの買収を含め、公表済みの買収または売却が何らかの理由により完了しなかった場合、当グループの継
続事業が悪影響を受け、当グループが多くのリスクに晒されるおそれがある。かかるリスクには以下が含まれる。
・ 金融市場が否定的に反応し、その結果、当グループの証券への悪影響およびその他の悪影響が起こる可能性
・ 当グループの顧客、ベンダーおよび従業員が否定的に反応する可能性
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・ 買収が完了するか否かにかかわらず、当グループは、法務、会計、投資銀行、その他の専門家への報酬や事務手数料な
ど買収に関する費用を負担し、一定のコストを支払う必要が生じる可能性
・ 買収に関連する事項に対し、当グループの経営陣が、当グループに利益をもたらす可能性のあった他の機会に充てるこ
とができたはずであった時間と資源を多大に費やす必要が生じる可能性
当グループの財政状態に関するリスク
10 .信用リスクは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
金融機関として、当グループは、カウンターパーティーがその契約債務を履行することができない、あるいは履行を拒否す
る結果として起こり得る信用関連の損失を被る場合を含め、信用供与から生じるまたはそれに関するリスクに晒されている。
信用損失によって、金融サービス機関が重大な損失を被るか、場合によっては破綻するようなケースが生じる可能性があり、
これまでも生じている。
金利の上昇、高インフレ、グローバル・サプライチェーンの混乱および特にリスク要因1.「政治および経済の情勢の変化
(とりわけオーストラリア、ニュージーランド、アジア太平洋地域、英国、ヨーロッパおよび米国(「関連法域」)における
もの)は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」に記載されているような政治的緊張の高まりにまつわ
る状況が信用関連損失のリスクに引き続き影響を与えている。信用関連損失のリスクは、上述の要因により増大しており、全
般的、または特定の産業部門あるいは地理的地域であれ、不利な状況が起こればさらに増大する可能性があり、これによっ
て、顧客またはカウンターパーティーは債務を履行できない可能性がある。このような状況には、当グループ、その顧客また
はカウンターパーティーに影響を与える可能性がある銀行システム全般または特定の金融機関の安定性に対する信頼の低下、
高水準の失業率の持続、金利の上昇およびインフレ状況の継続、当グループが担保として保有する資産の価値または当グルー
プが保有するカウンターパーティーの商品や債務の市場価値の低下が含まれるが、これらに限定されない。
以下の部門のエクスポージャーに晒されている当グループの顧客およびカウンターパーティーの一部は脆弱化のおそれがあ
る。
・ 政府の景気刺激策の解除および金利の上昇に影響を受ける産業。
・ 消費者の裁量的支出に依存する産業。
・ とりわけウクライナの紛争とそれによる石油とガスの価格、生産および供給の影響を受けた、燃料供給不足ならびに航
空、道路輸送・海運および農業などのコストの上昇に晒される産業。
・ 価格の変動に起因するデリバティブの証拠金の支払い要求の増加に晒されるエネルギーまたは商品市場の参加者。
・ 制裁、地政学的な緊張または貿易紛争のリスクのある産業(テクノロジー、農業、通信および金融機関を含む。)
・ 世界的な成長の落ち込みおよびグローバル・サプライチェーンの混乱に晒される産業。これには、リテール、ホール
セール、自動車、製造およびパッケージング産業を含むがそれらに限定されない。
・ 商業用不動産部門(建設および請負業者を含む。)。かかる部門は、サービサビリティ(返済可能性)に影響する金利
の上昇、ならびにとりわけCOVID-19前の水準に稼働率が回復しないことからオフィス部門や家計の裁量的支出が減少
し、その結果として基本賃料、売上歩合賃料および賃料の伸び率の減少が見込まれることからリテール部門における評
価額の引下げ圧力に晒されている。一部の市場では、商用向け請負業者や下請業者は、現在のプロジェクトが終了し、
将来を見越したプロジェクト数が減少しているため、今後12か月から24か月にわたりキャッシュフローおよび流動性の
問題に直面する可能性がある。サプライチェーンの逼迫と建設資材コストの上昇は幾分収束したが、主要都市部おける
オーストラリア政府のインフラ・プロジェクトによる需要と競合することから、労働需給とモビリティの問題は増大し
ている。
・ 観光業、接客業、技術、農業、小売業、医療、建設業およびサービス業など、労働力不足に直面している、ならびに熟
練・未熟練双方の移民労働者の獲得に依存している産業。
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・ 物理的な気候リスク(森林火災、洪水、暴風雨および干ばつなど)および移行リスク(二酸化炭素削減要求とそれに伴
う商品およびサービスの需要や流動性の変化に晒される産業など)による混乱に晒される顧客および産業。気候関連の
リスクの詳細については、リスク要因30.「将来の気候関連事象、生物多様性の喪失、人権、地質学的事象、植物、動物
および人間の疾病ならびにその他外因性事象の影響は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を
参照のこと。
・ 為替相場の変動に晒されている産業および外国為替市場全般。
・ 急激な金利上昇による流動性の逼迫および資産価値への影響により、信用格付の引下げ、再編および資本増強の必要
性、金融機関に対する信用の喪失または債務不履行の可能性がある銀行および金融サービス会社。
当グループはまた、特定の状況において第三者に対する権利が強制履行できない場合があるリスクに晒されており、これが
信用損失につながる可能性がある。当グループの信用供与のエクスポージャーに重大な信用損失が生じる場合、当グループの
ポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
また、当グループが締結した一定のデリバティブ、クリアリングおよび決済契約により、ならびにその他の銀行、金融機
関、会社、政府および政府機関の財務状態が世界金融市場の経済状況の影響を受ける場合、かかる機関が発行した債券の
ディーリングおよび保有により、信用リスクが発生する可能性がある。
顧客およびカウンターパーティーと与信取引を行うかあるいは他の取引を行うかを判断するにあたり、当グループは、財務
諸表およびその他の財務情報を含む、顧客およびカウンターパーティーあるいはその代理により提供された情報に依拠する。
また、当グループはそれらの情報の正確性および完全性に関しては顧客および独立顧問による表明に依拠する可能性がある。
当グループの財務実績は、不完全、不正確あるいは著しく誤解を招くおそれのある情報に依拠する場合、マイナスの影響を受
ける可能性がある。
当グループは貸倒引当金を保有しており、これらの引当金は、当グループの貸付ポートフォリオ内の減損の現在の情報およ
び主観的で複雑な判断に基づき決定される。しかし、評価が行われる情報が不正確である場合、または当グループが情報を正
確に分析できない場合、貸倒れの引当金は不十分である可能性があり、当グループのポジションに悪影響を与えかねない。
11 .当グループの資本基盤の管理における課題が要因となり、自己資本比率におけるボラティリティが高まる可能性があり、
当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
当グループの資本基盤は、当グループの事業を管理し資金を調達するにあたり不可欠である。当グループの健全性規制機関
は、APRA、RBNZならびに米国、英国およびアジア太平洋地域の規制機関を含むがそれらに限定されない。当グループは、主た
る規制機関であるAPRAおよびRBNZ(ANZバンク・ニュージーランド・リミテッドおよびその子会社(「ANZニュージーランド・
グループ」)の場合)により、適切な規制上の自己資本を維持することを義務付けられている。
現在の規制上の要件のもとでは、リスク加重資産および予想貸付損失はカウンターパーティーのリスク度合いの悪化に従い
増加する。これらの規制上の自己資本の要件は、ストレス時の利益減少による自己資本の減少の影響を強める傾向にある。そ
の結果、自己資本比率におけるボラティリティがより高まる可能性があり、当グループが追加資本の調達を求められる可能性
がある。必要とされる追加資本が利用可能であるか、または合理的な条件で調達可能であるかについては確実ではない。
当グループの自己資本比率は、(ⅰ) 収益低下(非連結となった子会社(例えば、保険事業子会社)ならびに関連会社への投
資からの配当減少を含む。)、(ⅱ) 資産の伸び、(ⅲ) リスク加重資産または為替換算調整勘定に影響を与える、当グループ
が業務を行う他通貨(特にニュージーランドドルおよび米ドル)に対する豪ドル価値の変動、(ⅳ) 事業戦略の変更(買収、売
却および投資または資本集約的事業の増加を含む。)ならびに(ⅴ) 規制要件の変更などの数々の要因に影響を受ける可能性が
ある。2023年9月、APRAは、オーストラリアにおけるその他Tier1資本の有効性の改善ための選択肢を検討し、関係者からの
意見を求めるディスカッション・ペーパーを発した。APRAは、関係者と当該ディスカッション・ペーパーに関して話し合う意
向を示しており、2024年には健全性基準の改正案について正式な協議を行う可能性がある。現段階では、APRAが提案した選択
肢が当グループにどのような影響を与えるか(もしあれば)について確定することはできない。
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APRA およびRBNZはバーゼル3に対応するための健全性基準を実施している。一定の他の監督当局は、銀行、資産運用会社お
よび保険会社の流動性および自己資本比率をとりわけ強化することを目指す規制(バーゼル3を含む。)を実施しているか、
もしくは実施の過程にあるが、これらの規制が意図された効果をすでにもたらしている、または将来もたらすという確証はな
い。最近の米国およびヨーロッパにおける特定の金融機関の破綻により、当グループに適用される資本およびその他の規制要
件が変更される可能性が高まり、これが当グループのポジションに影響を与える可能性がある。当グループに影響を与えてい
る、または与える可能性がある最近の健全性規則の変更の詳細については、リスク要因16.「規制の変更または法律、規則も
しくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。当グループが
規制上の自己資本を維持することができなかった場合、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
12 .当グループの信用格付は変更される可能性があり、資本およびホールセール資金を調達する当グループの能力に悪影響を
与え、新規貸付を抑制する可能性があり、これにより当グループのポジションに悪影響を受ける可能性がある。
当グループの信用格付は、資本およびホールセール資金調達の利用およびコストに顕著な影響を与える。また、当グループ
の信用格付は、顧客またはカウンターパーティーが当グループの商品およびサービスを評価する際に重要となることがある。
信用格付および格付けのアウトルックは信用格付機関によっていつでも撤回、限定、修正または保留されることがある。格付
機関が信用格付および格付のアウトルックを決定するために用いる方法も、法的もしくは規制上の変更、市場の動向またはそ
の他の理由に対応し、修正される可能性がある。
当グループの信用格付または格付のアウトルックは、オーストラリア連邦またはニュージーランドの信用格付もしくは格付
アウトルックの変更、本書に記載された1つまたは複数のその他のリスク、格付手法の変更または銀行部門におけるボラティ
リティなどのその他の事象もしくは要因により、マイナスの影響を受ける可能性がある。このため、全般的な経済状況または
当グループの財政状態の変化を反映しない当グループの信用格付または格付アウトルックの格下げが行われる可能性がある。
当グループ(および世界のその他銀行)が発行する個別の証券(一定のTier 1資本およびTier 2資本証券ならびにカバード・
ボンドを含むがそれらに限られない。)の格付は、かかる商品に対する規制要件および格付機関が利用する格付方法論の変化
によって影響を受ける可能性がある。
当グループの信用格付または格付のアウトルックの引き下げまたは引き下げの可能性により、資本およびホールセール債券
市場の利用が制限され、および資金調達コストを増加させる可能性があり、新規貸付高を抑制し、カウンターパーティーが当
グループと取引しようとする意思に影響を与え、これが当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。信用格付
は、関連格付機関が当グループの募集する証券への投資を奨励するものではない。
13 .流動性および資金調達リスクに関する事象は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
流動性リスクおよび資金調達リスクは、当グループが(預金者への払戻しやホールセール債権者への返済を含め)期日どお
りに支払債務を履行することができない、または当グループが資産の増加に対して資金調達能力が不十分であるというリスク
である。流動性リスクおよび資金調達リスクは、資金収入と資金支出の間のタイミングのミスマッチのため、銀行業務に内在
するものである。
流動性の低下は、当グループの借入コストの増加を招き、新規貸付額の制限につながる場合があり、それにより当グループ
のポジションが悪影響を受ける可能性がある。
市場情勢の悪化およびボラティリティならびに当グループに対する投資家の信頼の低下によって、満期を迎える債務を借り
換え、タイムリーかつコスト効率の良い方法で資金調達を利用する当グループの能力が重大な影響を受ける可能性があり、こ
れが当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。技術の進歩により、当グループに預けた資金を顧客が迅速に引
き出せるようになったため、普通預金および貯蓄預金などの要求払い負債に関するリスクが加速される可能性がある。
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当グループは、資金調達需要を満たすため、また当グループの事業を維持あるいは成長させるため、国内の市場およびオフ
ショア市場内で顧客預金およびホールセール資金調達を含む様々な調達源から資金を調達する。主要市場の情勢は、国際資本
市場における流動性に悪影響を受ける場合がある。例えば、流動性ストレスの時期において、当グループに対する市場の信頼
が損なわれた場合、またはオーストラリア内外の市場からの資金調達が利用できないもしくは抑制された場合に、当グループ
の資金調達源および流動性を利用する能力は、抑制される可能性があり、当グループは流動性リスクおよび資金調達リスクに
晒されることになる。
14 .当グループの一部の資産および負債の評価の変動は、当グループの収益および資本ならびに当グループのポジションに悪
影響を及ぼす可能性がある。
当グループは、デリバティブ商品を含む多様な金融商品、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資産および負
債、損益を通じて公正価値で測定される資産および負債ならびに一定の資産および負債(「第6 経理の状況-1 財務書
類」に記載の2023年度財務書類の注記18に記載されるもの)を公正価値で測定することを要する会計基準を採用しており、公
正価値の変動は損益または資本に認識される。
一般的に、これらの金融商品の公正価値を測定するために、当グループは取引相場価格、現在価格の見積もりまたは市場参
加者が資産と負債の評価に際して考慮すると思われる要因の影響を組み込んだその他の評価手法に依拠する。一部の非上場の
株式への投資を含む一定のその他の資産は割引キャッシュフロー法により評価される。これらの商品の公正価値は、当グルー
プの収益および/または資本に悪影響を与える可能性がある市場価格または評価の変数の変動により影響を受ける。
当グループは貸付関連でない資産の減損(損益に認識される。)の結果としてその価値の下落に晒される場合がある。当グ
ループは、少なくとも年1回のれん残高の回収可能性および耐用年数が確定できないまたは使用可能になっていない無形資産
についてテストする必要があり、減損の兆候がある土地建物および設備機器(リースから生じる使用権資産を含む。)、関連
会社に対する投資、資産計上したソフトウェアならびにその他の無形資産を含むその他の貸付関連でない資産をテストする必
要がある。
のれん残高の回収可能性を査定するため、当グループは利益倍率計算法を使用する。当該計算の基礎となる仮定の変更は、
収益の変動とともにこの査定に大きく影響するかもしれず、結果としてのれん残高の一部または全部の償却の可能性がある。
その他の貸付関連でない資産について、資産が今後使用されない場合または当該資産により生み出されるキャッシュフロー
が帳簿価格を裏付けられない場合、減損費用が計上される可能性がある。これは、上述の他の潜在的な変化と相俟って、当グ
ループのポジションに影響を及ぼす可能性がある。
15 .会計方針の変更が当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループが適用する会計方針は当グループが財務状態および営業成績を記録および報告する方法にとって基礎となる。経
営陣は、これらの会計方針の多くについて選択および適用につき判断を下し、当グループが適用ある会計基準または解釈を遵
守し、当グループの財務状態および営業成績を記録および報告するのに最も適切な方法を反映させるようにする。これらの会
計方針が不正確に適用され、その結果、当グループの財務状態につき不実表示がされる可能性がある。新規のまたは改正され
た会計基準または解釈の適用によっても当グループのポジションが悪影響を受ける可能性がある。当グループは、いずれかの
報告期間において初めて発効する新たな会計基準の影響については、その期間に関する連結財務書類の注記において開示して
いる。時には、経営陣は、2つ以上の選択肢から会計方針を選択する必要があり、いずれの選択肢も関連する会計基準または
解釈に適合しその状況下で合理的であるかもしれないが、選択肢に基づいて報告されたものとは著しく異なる結果を報告する
結果になる可能性がある。
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法的および規制上のリスク
16 .規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性があ
る。
当グループの事業および業務は厳しく規制されている。当グループは、関連法域において業界の自主規制を含めた法律、規
則および政策(「関連規制」)に従っている。関連規制は絶えず変更されており、通常、要求される遵守の範囲、規模、複雑
さ、コストおよびスピードは増していく(「関連規制変更」)。当グループが関連規制を遵守できなかった場合や関連規制変
更に対処できなかった場合、規制当局の調査、法律上もしくは規制上の制裁、財務損失もしくはレピュテーションの喪失、訴
訟、罰金、刑罰、当グループが事業を行う能力の制限、規制上の免許の取消し、停止もしくは条件の変更またはその他の強制
執行もしくは行政処分もしくは合意(強制執行可能な約束など)につながる可能性があり、いずれも当グループのポジション
に悪影響を及ぼす可能性がある。上記の不遵守が発生すれば、当グループは第三者(集団訴訟手続きによるものを含む。)か
らの訴訟リスクに晒されるおそれがある。訴訟(集団訴訟手続きを含む。)の結果により、第三者への補償金の支払いおよび
さらなる救済行為につながる可能性がある。当グループの訴訟および偶発債務に関する情報については、リスク要因17.「訴
訟および偶発債務は当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。」および「第6 経理の状況-1 財務書類」
に記載の2023年度財務書類の注記32を参照のこと。
さらに関連規制により、当グループの事業環境が影響を受け、当グループに多大な法令遵守(コンプライアンス)コストが
生じる可能性がある。当グループの事業環境および当グループが対象となる関連規制の変更は、当グループの収益性に影響を
与え、当グループが直面する競争レベルの変化を招いたり、または当グループがその事業の1つもしくは複数の要素を遂行す
る能力に影響を与える可能性がある。また、法令遵守コストの増加は、収益性を低下させ、当グループの他の優先事項から資
金を逸失させる可能性があり、その結果として当グループの革新力と競争力に影響する可能性がある。
健全性規則
健全性規制は関連規制の一つであり、関連規制変更の影響を受けるものである。APRAおよびRBNZの健全性規則における進展
により当グループは重大な影響を受ける可能性がある。通常、APRAおよびRBNZとの協議に付されている健全性規制案は常に多
数存在する。健全性規則の変更が、当グループに対して維持することが要求される規制上の自己資本の水準の引き上げにつな
がり、当グループの柔軟性を制限し、多額の費用の負担が必要となり、および1つまたは複数の事業ラインの利益性に影響を
及ぼす可能性があり、このいずれもが当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループに影響を与えたまたは与える可能性がある最近の健全性規制には、以下のものを含む。
・ 市場リスクおよびカウンターパーティー信用リスク : APRA は、銀行業の金利リスク(IRRBB)、市場リスクおよびカウ
ンターパーティー信用リスクといった市場リスクに関連する健全性基準、ガイダンスおよび報告基準の修正について協
議を行っている。APRAは、2025年10月1日から適用される最新基準に先立ち、2024年半ばまでにAPS第117号「IRRBB」を
最終化する意向である。
・ 「問題なく強固」に関する自己資本フレームワーク : APRAは、2023年1月1日、ADIに対する自己資本比率および信用
リスクに関する最終要件を施行に移した。しかしながら、引き続きAPRAは、IRRBB、市場リスクおよびカウンターパー
ティー信用リスクなどの多くの残された健全性基準について協議し、最終化を図っている。 APRA がまだ最終化していな
い項目が複数あることを前提とすれば、 ADI の「問題なく強固」に関する自己資本フレームワークの見直しに関連して
行った APRA 健全性基準へのすべての変更による総合的な結果は、依然として不明である。
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・ マクロ・プルーデンス政策の枠組み : 2022年6月、APRAは、マクロ・プルーデンス政策の枠組みを確定させた。かか
る枠組みの実施を支援するため、APRAは、APS第220号の新規の添付書類の中で、与信ベースのマクロ・プルーデンス政
策措置を正式化し、健全性基準に盛り込んだ。APRAの目的は、マクロ・プルーデンス政策の透明性、実施および強制執
行力を強化することにある。2023年1月1日に発効したAPS第220号の更新には、必要に応じてシステミック・リスクの
対処に利用される与信ベースの一連のマクロ・プルーデンス政策が盛り込まれている。かかる更新には、 ( ⅰ) 貸出限度
(この一時的な貸出限度の目的は、システミック・リスクが高まっている時期に、より高リスクの貸出の過度の増加を
抑制することにある。)および ( ⅱ) 貸出基準(APRAはこれに従い住宅用モーゲージのサービサビリティ(返済可能性)
バッファーなどの措置を含む貸出基準の最低要件を設定できる。)の2種類の主要な与信ベースのマクロ・プルーデン
ス政策の措置が含まれた。 APRA は、現行の設定に変更はない旨を確認し、(ⅰ)貸出限度については、高リスクの貸出に
制限を設けないが、APRAは引き続き商業用不動産向けの貸出における外れ値銀行における高リスク融資を監視してい
き、(ⅱ)貸出基準については、サービサビリティのバッファーを貸出金利より3.0%高い設定で維持することになる。こ
れらの設定が将来変更された場合は、当グループの柔軟性が制限され、および1つまたは複数の事業ラインの収益性に
影響がおよぶ可能性がある。 詳細については、リスク要因5 . 「オーストラリア、ニュージーランドまたは当グループが
事業を行うその他市場の不動産市場の変動は当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。 」を参照のこ
と。
・ オペレーショナル・リスク管理 : 2023年7月、APRAは、健全性基準CPS230「オペレーショナル・リスク管理」
(「CPS230」)を最終決定し、事業継続計画とサービス・プロバイダーのリスク管理についての要件の更新を含む、オ
ペレーショナル・リスク管理に関する最低基準を定めた。新基準では、現在では健全性基準CPS231「外部委託」および
CPS232「事業継続管理」に含まれているサービス・プロバイダー管理(現在は「外部委託」)と事業継続管理の要件の
更新が盛り込まれる。遵守が発効する日は2024年1月1日から2025年7月1日に変更された。APRAは、サービス・プロ
バイダーとの従前からの契約上の取り決めについての移行措置も規定する予定である。基準の要件は次回の契約更新日
または2026年7月1日のいずれか早い方に適用されることとなる。プロジェクトチームが結成され、当グループは複雑
で、システム、業務および第三者との契約上の取り決めの変更を要する実施プロセスに引き続き取り組むこととなる。
・ 回復および出口計画 : 2022年12月、APRAは、健全性基準CPS190「回復および出口計画」(「CPS190」)」を確定させ
た。CPS190は金融システムのレジリエンス(回復力)を強化することを目的としている。これはAPRAの規制下にある企
業が深刻な金融ストレス期に対処するためのより一層の準備を確実にするためのものである。CPS190に従い、企業は、
深刻な金融ストレス期に対処するための信頼できる計画を策定して維持することが求められる。これには、金融のレジ
リエンスを安定させ取り戻すために取り得る行動と、規制下事業からの秩序と支払能力を保った撤退を実施するための
行動が含まれる。これらの要件は、APRAの規制下にある全ての業種に適用される。CPS190は2024年1月1日から銀行お
よび保険会社に対して発効する予定である。
・ 破綻処理計画 : 2023年5月、APRAは健全性基準CPS900「破綻処理計画」(「CPS900」)」を確定させた。CPS900は、
重要な金融機関である企業や、重要な機能を提供する企業に対し、破綻処理計画の策定と実施においてAPRAを支援する
ことを要求しており、これにより、企業が債務不履行に陥る、もしくは陥る可能性が高い場合、または支払停止に陥
る、もしくは陥る可能性が高い場合に、APRAが秩序をもって企業を管理できるようになる。CPS900は、破綻処理計画に
おいて企業がAPRAに協力するための一定の要件を定めている。CPS900に基づき、APRAは、破綻が起きた場合の企業に対
処するAPRAの戦略を定めた破綻処理計画を作成し、これには、例えば、資本再構成、事業縮小または事業譲渡の計画が
含まれる可能性がある。これは、財政的実行可能性に対するリスクを管理するための企業の計画を定めたコンティン
ジェンシー・プラン(緊急時対応計画)を補完する重要なものである。同基準は2024年1月1日に発効する予定であ
る。
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・ ADIの自己資本フレームワーク : APRAは、2023年9月に、オーストラリアにおけるその他Tier1資本の有効性を改善す
るための選択肢を検討し、関係者からのフィードバックを求めるディスカッション・ペーパーを公表した。2023年12
月、APRAは、協議に向けてADIの自己資本フレームワークに関する軽微な変更を公表した。現段階では、APRAが提案する
選択肢が当グループにどのような影響(もしあれば)を与えるかを確認することはできない。
・ 損失吸収力 : 2019年7月、APRAは、損失吸収力に関する決定を公表し、ANZBGLを含むオーストラリアのD-SIBに対して
2024年1月までに自己資本合計をRWA比で3%まで引き上げることを求めている。2021年12月2日、APRAは、損失吸収力
に関する要件を最終化する旨を公表し、オーストラリアのD-SIBに対し、2026年1月までにその自己資本合計をさらに
RWA比で1.5%引き上げるよう要求する旨述べている。以前公表した暫定的な3%の増加を含め、これによって、最低所
要自己資本合計は全体でRWAの4.5%相当分引き上げられることになる。APRAは、主にその他Tier2資本によってこの要
件が充足され、他の上位の資金調達において相当額の減少があると予想している。追加の所要自己資本合計額は、2026
年1月時点での当グループの実際のRWAに基づいて決定される。
・ RBNZ の更新後の自己資本要件 : RBNZのニュージーランド の 銀行に 対する 更新後の自己資本要件は、銀行業健全性要件
の文書に規定されて おり、 2021 年10月から2028年7月までの移行期間中に段階的に施行される。ANZBGLのレベル1のCET
1資本への正味の影響は、2023年9月30日から2028年の移行期間の最終日までに約10億ドルから15億ドルへの自己資本
要件の増加であろうと予想されている(当グループの2023年9月30日現在の貸借対照表に基づく。)。この金額は、ANZ
ニュージーランドの自己資本ポジションの変更(例えばRWAの増加、管理バッファー要件、潜在的な配当金額から生じる
もの)に従い時が経つとともに変化し得る。
・ ニュージーランドの条件付資本商品 : ANZニュージーランドの条件付資本商品は、今後適格規制資本として取り扱われ
ない。条件付その他Tier1資本商品(「条件付AT1商品」)は2028年7月1日までの移行期間中に段階的に適格規制資
本としての取り扱いの対象からはずれることになる。条件付AT1商品の最大適格規制資本額は、2021年9月30日におけ
る合計残額(「条件付AT1ベース」)から、2022年から2028年の各年の1月1日における条件付AT1ベースの12.5%を
控除した額であり、2028年7月1日からは、条件付AT1商品は適格でなくなる。
ASIC の規制
ASIC の 現在の執行優先事項では、消費者の金融被害のリスクの低減とオーストラリアの金融市場の一体性の維持の必要性に
焦点が当てられている。具体的には、ASICは以下の優先事項を特定した。かかる事項には、金融商品の不十分な設計、流通、
マーケティング、グリーンウォッシュを含むサステナブル・ファイナンスおよび気候関連財務開示に関連する誤解招く行為、
差金決済取引(CFD)および暗号資産を含む高リスクのリテール商品に関わる不正行為、投資詐欺およびフィッシング・サイト
への対処および撲滅、サイバー攻撃のリスク軽減やサイバーレジリエンスに関するガバナンスの不備が著しい場合の強制措
置、投資商品に関する誤解を招く行為と虚偽的行為、エネルギーおよび商品デリバティブ市場における操作、不当な契約条件
を対象とした執行措置が含まれる。当グループが適用法令を遵守できなかった場合、顧客や市場の一体性、当グループのレ
ピュテーションおよび財務実績にマイナスの影響を与え、訴訟や規制上の執行手続きを生じさせる可能性があり、その結果、
当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
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競争に関する規制
オーストラリアおよびニュージーランドの金融サービス部門の競争は関連規制および関連規制変更において重要な要因と
なっている。2023年2月14日、オーストラリア財務大臣は、ACCCに対してADIが供給するリテール預金商品の市場について調査
を行うよう指示した。これには、銀行の金利およびその他の条件の設定方法が含まれた。2023年12月15日、ACCCは、7つの提
言を盛り込んだ調査に関する最終報告書を公表した。これらの提言は、意思決定を支援する透明性を高め、より効果的な消費
者との関係構築を補完し、競争促進のために消費者の乗換えに対する障壁を軽減することが意図されている。オーストラリア
財務省は、2020年ACCC住宅ローン価格調査の提言と併せてこれらの提言について協議する。オーストラリア政府は、2024年に
その結果を公表すると通知している。(競争リスクの影響に関連するリスク要因3.「当グループが業務を行う市場における
競争は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。)。2023年3月、ACCCは、今年度のコン
プライアンスと執行優先事項を発表した。ACCCは、金融サービス部門における競争の問題(特に決済サービスの問題)に引き
続き注力することを発表し、また、金融サービス部門における「健全な」競争の促進と非競争的行為の調査に重点を置くと表
明した。ACCCの審査が増加することにより、潜在的買収を通じて成長する当グループの能力が悪影響を受ける他、関連して当
グループの費用が増加する可能性があり、このことが当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。さらに政府
は、ACCC内において特定の申立機能を導入する法案について協議を行っている。これにより、特定の消費者および小規模事業
支援者は、オーストラリアの消費者または小規模事業者に影響を与える重要なまたは制度上の市場問題の証拠を有する場合、
ACCCに対して申立てを行うことが可能となる。当該機能を通じてACCCに対し、当グループに関係する申立てが行われる可能性
があるものの、これが当グループにどのような影響(もしあれば)を及ぼすかは不明である。
2023 年6月、ニュージーランド政府は商務委員会に対し、ニュージーランドのリテールバンキング部門の競争に関する市場
調査を開始するよう指示した。調査は、消費者の行動と傾向、個人向け銀行市場において参入や事業拡大する新規の競合会社
にとっての障壁、新規または革新的な製品およびサービスにとっての障壁、消費者による銀行の乗り換えを制限する障壁につ
いて検討する。調査の一環として、商務委員会は、銀行の収益性やその他の財務指標を調査し、銀行部門の競争を評価する。
調査は、住宅ローンおよび預金口座(貯蓄現在高および当座貸越枠を含む。)などの個人向け銀行サービスに焦点を当ててい
る。商務委員会は、2023年8月に予備的討議報告書を公表し、その中で、これまでの調査の当初の見解を示し、ニュージーラ
ンドの銀行は過去10年において、比較可能な経済圏より収益性が高いと思われ、個人向け銀行サービスの競争を含め、競争を
促すことについて問題を呈している。商務委員会は、2024年8月の市場調査の完了時に最終報告書を発表する予定である。現
在のところ、市場調査が当グループのポジションにどのような影響(もしあれば)を与えるかは不明であるが、かかる調査の
結果を受けてニュージーランド政府が採用する勧告または政策が当グループの収益性に重大な影響を及ぼす可能性がある。
オーストラリア政府もまた、2023年8月23日に競争政策設定の見直しを発表した。この見直しでは2年にわたって競争に関
する法律、政策および制度について検討する。オーストラリア政府は、見直しの一環として検討される当初の論点には、合併
法の改正案、その他の競争法上の問題、労働者による雇用主の変更を制限する非競争条項および関連条項ならびに新テクノロ
ジーおよびネットゼロ移行に起因する競争上の問題に関する助言の提供が含まれると発表した。かかる見直しは一回の報告書
の発行ではなく、無期限の政策プロジェクトとして実施される。この見直しがどのように当グループのポジションに影響する
かは不明であるが、提案された変更が当グループのポジションに重大な影響を与えないとの保証はない。
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商品に関する規制
当グループを含む金融サービス事業者が提供する商品の適合性について重点的な取り組みがなされている。責任ある消費者
向け融資に関する規制政策は大きな進展を見せ、監督は大幅に強化されており、引き続き事業慣行に影響を及ぼしている。責
任ある消費者向け融資に関する進展および監督の結果、さらに関連規制が改正された場合、かかる変更は、当グループの将来
における消費者向け融資業務の提供方法に影響を与えることがあり、これがかかる分野の当グループの業務に一部悪影響を及
ぼし、結果的に当グループのポジションにも悪影響が及ぶ可能性がある。ASICは、2019年12月に責任ある融資に関する法律に
ついての最新の規制ガイダンスを発表した。オーストラリア苦情機構(AFCA)は、当グループのような貸手による、消費者向
けおよび小規模企業向けの融資要件の遵守を評価する方法について協議を行っている。金融商品および追加保険の繰延販売モ
デルに関し、新たにより厳格な不招請勧誘の禁止が課された。金融商品および信用商品の設計および販売義務に関する法律で
は、特に当該商品の発行者および販売会社に対し、適切な対象市場を特定し、その対象市場にアクセスできるよう当該商品を
販売することを要求している。不遵守に対しては多額の罰金が科せられており、かかる法律の制定は将来における金融商品の
発行およびマーケティングを行う当グループの能力に影響する可能性がある。金融商品の販売要件とAFCAの法令遵守の新たな
評価方法に起因する法令遵守コストの増加は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
上級役員に関する規則
2023 年9月14日、2023年金融説明責任体制法(「FAR」)が国王の裁可を得た。FARは段階的に実施され、ANZGHLおよび
ANZBGLを始めとする当グループ内の対象企業に対しては2024年3月15日から、その後2025年3月15日からは当グループ内の保
険会社や認可年金受託者に対して実施される。FARでは、当グループおよびその一定の上位役職員は、新規のまたは強化された
説明責任の義務を負い、その影響を受けることになる。例えば、FARは、ANZBGLが、(ⅰ)適切な技能、注意および精励をもっ
て、誠実かつ真摯にその業務を行うこと、(ⅱ)オープンで建設的、協力的な方法で、APRAとASICと取引すること、(ⅲ)健全な
地位または健全な評判に悪影響が及ぶことを防止すること、(ⅳ)一定の取締役、上級役員その他のキーパーソンが上記の行為
基準を満たし、適用のある法律を遵守するための合理的な措置を講じることを確保すること、ならびに(ⅴ)関連事業者でその
事業と活動が重要かつ実質的な影響をANZBGLに与える者が、ANZBGLと同様にFARを遵守することを確保することを実施するため
に合理的な措置を講じることを要求する。当グループへの潜在的なリスクには、罰金の支払リスクならびに優秀な取締役およ
び上級役員を誘因および維持するための当グループの能力に対するリスクが含まれる。
最終補償制度
オーストラリア政府の最終補償制度(「CSLR」)の創設に関連して、当グループには費用とさらなるエクスポージャーが発
生することになる。CSLRの目的は、AFCAから補償の決定を受けた適格消費者に対する補償金の支払いを促進することにより、
金融システムの紛争解決の枠組みの信頼性を支えることである。2023年6月、オーストラリア政府はCSLRを実施する法案を可
決した。CSLRは運営開始初年度にはオーストラリア政府からの資金拠出を受け、その後は業界への賦課金で賄われる。各運営
年度における業界からの資金拠出の上限額は2億5,000万ドルである。さらに、「開始前」の紛争に関する一定の決定事項に充
てられる資金は、当グループを含む10業界の参加者により支払われる最大額2億5,000万ドルの当初賦課金によって賄われる。
当初賦課金の額および当グループの負担額についてオーストラリア政府はまだ決定していない。残存している潜在的なエクス
ポージャーおよび法案の変更の結果や関連する費用の総額は未だ不明であり、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能
性がある。
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業界自主規制
リテールおよび小規模企業バンキングに影響する業界ベスト・プラクティスの指針および基準には、規制当局、利益団体お
よび業界参加者からの関心が集まっている。特に、2021年には、オーストラリア銀行業行動規範(「行動規範」)についての
独立審査により116の勧告がなされた。オーストラリア銀行協会(「ABA」)および加盟銀行は、受け入れた勧告を最新の行動
規範において実行するために取り組んでいる。受け入れた勧告には、「脆弱性」および「小規模企業」の新たな定義、保証受
け入れ前の保証人予定者との面談の要件の導入、ならびに「公正、合理的かつ倫理的方法」で顧客と関わるとする要件をオー
ストラリア会社法における「効率的、誠実かつ公正」の基準に沿った要件に置き換えること、が含まれている。ABAは、ASICに
対して最新の行動規範を提出し承認を求めている。ASICは、2024年上半期に承認に関する決定を行う予定である。行動規範の
遵守に失敗した場合、当グループのレピュテーションにマイナスの影響を与え、訴訟または規制当局による強制措置につなが
る可能性があり、その結果、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
オープン・バンキング規制
オープン・バンキングは、2019年8月に成立したオーストラリアにおける消費者データに関する権利(「CDR」)の一つであ
る。CDRは、顧客に自己データに関するアクセスおよび管理権限を与え、また商品とサービスとを比較し切り替える消費者の能
力を確立しこれを向上させるものである。オーストラリアの銀行業界への新規参入者に対する障壁を削減することが期待され
ている。CDR制度は現在も進展中である。2023年6月、オーストラリア政府はCDRについての法定の見直しに応えて声明を発表
し、同政府は、銀行とエネルギーでの業務支援を継続し、これらの分野でCDRが成熟する時間を確保するため、他の分野での
CDRの実施を一時的に停止すると述べた。ニュージーランド政府は2023年6月に、ニュージーランドにおけるCDRの導入を検討
する諮問法案を公表した。オープン・バンキングにより競争が高まる可能性があり、これが当グループのポジションに悪影響
を及ぼす可能性がある。リスク要因3.「当グループが業務を行う市場における競争は、当グループのポジションに悪影響を与
える可能性がある。」を参照のこと。
サイバー関連規制
2021 年、金融サービス部門および金融市場部門向けに、オーストラリア重要インフラ・セキュリティ法が制定された。同法
により、事業体へ特定の行動を指示し、オーストラリア信号局(「ASD」)にサイバー攻撃への介入を許可する「最終手段」の
権限がオーストラリア政府に与えられ、同法には重要インフラ資産とサイバー・インシデントについての登録および報告要件
が盛り込まれている。ASDは、無線諜報およびサイバー・オペレーションに重点を置く情報機関である。部門特有の要件を通じ
て遂行されることになる重要インフラ資産に対する積極的なセキュリティ義務と国家的に重要なシステムに対する強化された
サイバーセキュリティ義務などのさらなる改革が2022年に発効した。オーストラリア政府は、現行法のギャップに対応し、セ
キュリティとレジリエンスを向上させることを目的とした新たなサイバーセキュリティ法案および2018年重要インフラ・セ
キュリティ法の改正について協議を行っている。同法案の遂行により当グループにおけるコストが上昇し、規制上の執行手続
きが生じる可能性があり、その結果、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
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支払関連規制
2021 年において、オーストラリア政府は支払いに関する 3つの調査と検討事項に対応し、 オーストラリアの決済システム の
見直し、モバイル決済およびデジタル・ウォレットの調査、ならびに(フィンテックおよび暗号通貨取引の脱銀行化を対象と
した)技術・金融センターとしてのオーストラリアについての調査が行われた。 オーストラリア 政府 は勧告 に概ね同意し、
オーストラリア 財務省は勧告 の実施 について 協議を行っている 。かかる作業が当グループに与える影響は不明である。可能性
がある政策対応には、新たな規制要件や決済システムへのアクセス拡大が含まれ、これらにより競争が高まり、当グループの
ポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。2023年、オーストラリア政府は、決済システムについての政策目標と優先事項を定
めた「オーストラリアの決済システムの将来に関する戦略計画」を発表した。この戦略計画は、決済システムにおける重要な
問題へのオーストラリア政府の取り組みについて企業に確信を与え、明確化している。また、戦略計画は、オーストラリアの
決済システムが安全、安価、信頼でき、容易に利用し続けられることを確保するにあたってのオーストラリア政府のコミット
メントを概説している。例えば、地域社会における現金の利用可能性は懸念事項として浮上している。ACCCは、ABA(オースト
ラリア銀行協会)、その加盟銀行およびその他関連業界参加者に対し、オーストラリア経済全体における現金の物理的流通を
維持する取決めについて議論し、それを策定する暫定的な許可を与えている。ABAによる許可申請は、オーストラリアの現金輸
送サービスの大手供給業者であるアーマガードが、当業界は現在の形態では持続可能でないという懸念を示したことを受けた
ものである。現金輸送サービスの中断は、顧客に現金を提供する当グループの能力に重大な影響を及ぼす可能性がある。現金
輸送に関する措置により、銀行業界からの資金提供を受ける当該サービスの公共施設の設立を伴う場合を含め、当グループの
費用が増大する可能性がある。戦略計画に従い、政府は決済サービス供給業者との協議に入っている。決済システムに関する
政府の政策目標や優先事項が実施される結果生じる規制変更が、当グループに与える影響は定かではない。この戦略計画の結
果、当グループのポジションにどのようなタイミングで影響が生じるかは不明である。
その戦略計画の一環として、オーストラリア政府は、2030年までに小切手の使用を終了する意向を表明した。政府は、円滑
かつ秩序ある方法による小切手制度の段階的廃止における機会および課題について協議を行っている。段階的廃止プロセスが
当グループに及ぼす影響は、現時点でまだ明らかではない。
プライバシーに関する規制
最近行われた法律の制定により、重大または反復したオーストラリア・プライバシー法の違反に対し、執行手段が強化さ
れ、罰則が厳格化されている。かかる罰則が当グループに課された場合、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性があ
る。オーストラリア政府は、オーストラリア・プライバシー法の見直し後、プライバシー関連改革の道筋を公表した。これに
は、いくつかの提案に対処したオーストラリア・プライバシー法の改正と広範な改革案に関するさらなる協議が含まれ、企業
が個人情報を利用する方法が大きく影響を受ける可能性がある。かかる改革による当グループへの影響は定かでなく、オース
トラリア政府の政策に左右される。プライバシーに関してさらなる規制上の義務が実施されれば、当グループのポジションに
悪影響が及ぶ可能性がある。
デジタル・アイデンティティ
オーストラリア政府は、デジタル・アイデンティティの枠組みを確立するための法案を連邦議会に提出した。かかる枠組み
では、オーストラリア政府のデジタルIDシステムを段階的に拡張することが可能とされ、オーストラリア国民が連邦サービス
を利用するために、認定を受けた州および準州のデジタルIDサービス・プロバイダーのいずれを利用するかについてより多く
の選択肢を与えるシステムが構築され、当初のデジタルID規制当局としてACCCが任命される。当グループにとってかかる枠組
みの影響はまだ不明であるが、当グループがデジタル・アイデンティティのプロバイダーとなること、または顧客向けのオン
ボード・プロセス(研修プロセス)の一環としてデジタル・アイデンティティを利用することを希望する場合、一定のオース
トラリア政府の要件に従う必要性が生じる可能性がある。かかる遵守により、多額の実施コストと遵守コストが生じ、これが
当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
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金融アドバイスの質に関する規制
2023 年、オーストラリア政府は、「アドバイスの質」に関する報告書を公表した。報告書には、金融アドバイス提供に関す
る規制上の枠組みを刷新するための提言が含まれた。この見直しを受け、オーストラリア政府は特に、新しいクラスの金融ア
ドバイザーを導入し、近代化された最善の利益義務を適用し、助言書を提供する要件を原則に基づく助言記録を提供する要件
に置き換えることを発表した。政府は、2024年に法案について協議する予定である。この変更が当グループに及ぼす影響はま
だ明らかではない。
人工知能(AI)に関する規制
2023 年、オーストラリア政府は、AIの規制について協議した。この協議が当グループに与える影響は明らかでなく、オース
トラリア政府が実施する政策に左右される。AIの利用に関して追加的な規制義務が導入されれば、当グループのポジションに
悪影響を及ぼす可能性がある。
スキャムに関する規制
オーストラリア政府は、新たに義務化される業界行動規範の導入を約束しているが、これには、銀行、デジタル通信プラッ
トフォームおよび電気通信事業者に重点を置いた、スキャム行為に関する民間部門の責任が概説されている。政府は、スキャ
ム行動規範フレームワークの提案された要素に関する協議書を発表し、当該部門のスキャムへの対応義務が導入されることと
なる。この政策的措置が最終的にどのような形となるかは定かでない。これとは別に、ABAおよびその加盟銀行は、個人および
小規模企業顧客に影響を与えるスキャムの防止、摘発および阻止のための7つの取り組みを概説するスキャム・セーフ合意を
公表した。潜在的な政府の政策的措置がどのような影響を当グループに及ぼすかは不明であるが、顧客に関わるスキャム行為
の特定、防止および救済に関して当グループがより高い基準を満たす必要性が生じる可能性がある。これには、当グループが
スキャム行為から生じた損失を顧客に払い戻すまたは補償する場合の基準または期待が含まれる可能性がある。かかる基準ま
たは期待を満たすことができない場合、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
不公正な取引慣行
オーストラリア政府は2023年8月に、オーストラリア消費者法における不公正な取引慣行への対処のための政策オプション
(選択肢)に関する協議を公表した。オーストラリア政府は、不公正な取引慣行とは、オーストラリア消費者法の既存の規定
の対象ではないが、それにもかかわらず顧客や小規模企業に重大な損害をもたらす可能性がある特定の種類の商行為のことと
している。協議において4つの選択肢が提案され、非良心的行為の法律上の禁止の改正、不公正な取引慣行の全面的禁止の導
入ならびに不公正な取引慣行の全面的禁止および特定慣行の禁止の組み合わせの導入が含まれた。オーストラリア消費者法は
当グループが提供する種類のASIC規制対象金融商品には適用されていないが、協議文書では、2024年には独立した規制影響評
価プロセスにおいてASIC規制対象金融サービスへの改革の拡大が検討されるとしている。政府がオーストラリア消費者法につ
いてどの選択肢を採用するのか、またASIC規制対象金融サービスに適用される場合、どのように適用されるのかは不明である
が、不公正な取引慣行を禁止する新たな法律に従うにあたり当グループにおける遵守コストが増加するリスクが存在してい
る。こうした法律に違反した場合、当グループに罰則が科せられる可能性がある。かかるコストの増加または違反は、当グ
ループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
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動産担保制度の見直し
オーストラリア政府は、2009年動産担保法(連邦)の法定の見直し(Whittakerレビュー)に続き、同法の改正について協議
した。かかるレビューにおいて394通りの提言がなされ、政府はそのうち345を受け入れた。政府による改正の包括的な目的
は、動産担保権の枠組みを簡素化して利用者がより容易に関与できるようにし、明確で利用しやすい動産に対する担保権の設
定、有効性および執行についての規則を提供することにある。当グループに対する改正の影響はまだ明らかではなく、担保の
取得、登録、執行手続き、管理手続き、制度および書類作成について影響が及ぶ可能性がある。当グループへの影響は、オー
ストラリア国会へ提出される法案の最終化にあたってのオーストラリア政府の決定に左右される。
ニュージーランドにおける規制
ニュージーランドの政府および規制当局は、ニュージーランドの金融機関に対する大幅な法律上および規制上の変更につい
て提案または実施している。これらの変更には、RBNZによる自己資本要件および改正外部委託方針(BS11)の改訂、金融機関
に対する行動規制、気候関連の財務リスク開示制度、銀行に対する既存の健全性監督制度の預金受入機関制度(預金保証制度
を含む。)への代替、消費者信用契約制度の改正、ならびに消費者データに関する権利が含まれる。上記の変更は、ANZニュー
ジーランド・グループに悪影響を及ぼす可能性があり、潜在的にその企業構造、事業、戦略、資本、流動性、資金調達および
収益性、コスト構造、顧客のためのコストおよび信用の利用ならびにさらに広い範囲にわたる経済に影響し、これがさらに当
グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
その他のオーストラリアにおける調査
オーストラリアの金融セクターに対して、上記以外にも調査および介入が行われている。2022年から2023年にかけて行われ
たものには、「生活費」、「経済活力、競争および事業形成の促進」、「オーストラリアの四大銀行のレビュー」および
「オーストラリアの地方銀行の閉鎖」についての議会による4つの個別の調査が含まれた。これらの調査は広範囲に及び、税
金や賦課金によるものを含め、当グループのポジションに悪影響を及ぼすおそれがある法規制の変更または措置につながる可
能性がある。例えば、これまでの調査の実施結果に基づき、オーストラリアの地方銀行の閉鎖に関する調査では、オーストラ
リア政府が地方や農村部において銀行を置くことについての基準を課すよう勧告する可能性があり、一方主要銀行に関する調
査ではオーストラリア政府がスキャムに関する基準を銀行に課すよう勧告する可能性がある。しかしながら、これらの調査に
よって勧告がなされたとしても、オーストラリア政府がそれらを採用するかは定かではない。
その他のオーストラリアにおける規制
2022 年、オーストラリア政府は、銀行支店の閉鎖が地域社会に与える影響を評価した地方銀行タスクフォースの作業を完了
した。ABAの支店閉鎖議定書に新たな要件を加えることを含め、銀行はタスクフォースの勧告を実施している過程にあり、支店
が閉鎖される場合には当グループも適用を受けることになる。上院の地方地域問題・運輸常設委員会は、オーストラリアの地
方における銀行閉鎖の現状についても検討しており、2024年5月には、オーストラリア連邦議会に報告する予定である。地方
銀行タスクフォースのほか、当該委員会が追加的にどのような提言を行うかは不明である。
オーストラリア連邦議会はようやくオンライン賭博におけるクレジットカードの使用を禁止する法律を成立させた。これ
は、銀行認識番号を用いてクレジットカード決済を認識し、ブロックすることにより行われる。この取組みが当グループに与
える影響は明らかではない。リスク要因18.「マネーロンダリング防止、対テロ資金および制裁に関連する法令違反の場合に多
大な罰金および制裁を受ければ、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。」も参照のこと。
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監督権限および罰金
オーストラリア消費者法を含め、オーストラリアにおける法律違反に対する罰金が引き上げられ、規制当局の権限および規
制当局による違反の取り締まりのための財政的支援が強化されている。強化の対象となった監督権限には、ASICの商品介入権
限、ならびにASICの指示権限の拡大案が含まれる。オーストラリア財政法改正法(企業および金融部門に対する罰則強化)に
より、企業および金融部門による様々な義務違反に適用される処罰が大幅に強化された。競争・消費者法(オーストラリア消
費者法を含む。)の違反に対する罰金の最高額や民事上の罰金が引き上げられ、不正な契約条件に対する民事上の罰金制度が
導入された。これには、該当する場合、法人に対する罰金の上限を、法人の年間売上高の10%から違反が発生した期間におけ
る調整後売上高の30%に引き上げることが含まれている。当グループに対してかかる罰金が賦課された場合、当グループのポ
ジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
17 .訴訟および偶発債務は当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは、その時々において重大な訴訟、規制措置、法的あるいは仲裁手続きおよびその他の偶発債務の対象となる可
能性があり、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは、2023年9月30日現在、「第6 経理の状況-1 財務書類」の2023年度財務書類の注記32に概要が記載され
る事項に関する偶発債務を有していた。注記32は特に以下の事項を含む。
・ 監督当局および顧客に対するエクスポージャー
・ 南アフリカの金利に関する訴訟
・ 資金調達に関する訴訟
・ Esandaのディーラー自動車ローンに関する訴訟
・ OnePathの年金に関する訴訟
・ ニュージーランドのローン情報に関する訴訟
・ クレジットカードに関する訴訟
・ 王立委員会
・ 担保回収の訴訟
・ 保証、補償およびパフォーマンス管理費
当グループは、オーストラリアおよび世界レベルにおいて、規制当局による調査、監視および見直し、報告対象の事態、民
事執行活動(訴訟であるか否かを問わず)、公式および非公式の照会ならびに規制当局による監視活動に関して規制当局と定
期的に意見交換を行っている。当グループは業界全体に対する見直しおよび当グループ固有の見直しの両方の一環として規制
当局からの各種通知および情報の請求を受け、勧奨に基づき規制当局に対する開示も行った。これらのやり取りの性質は広範
囲にわたり、例えば近年においては責任ある貸付慣行、規制上の貸付要件、商品の適合性および流通、利息および手数料なら
びにそれらを課す資格の付与、顧客救済、富裕層への助言、保険の販売、価格設定、競争、金融市場における行為および金融
取引、資本市場取引、マネーロンダリング防止および対テロ資金に関する義務、プライバシーに関する義務および情報セキュ
リティ、事業継続管理、報告および開示義務ならびに商品の開示書類などの一連の事項が含まれている、または含まれてき
た。規制当局に対するエクスポージャーに加えて、顧客に対するエクスポージャーも存在する可能性がある。これらにはクラ
ス・アクション、個別請求または顧客救済もしくは補償行為が含まれうる。かかる見直しおよび可能性のあるエクスポー
ジャーの結果および関連する費用の総額は不明である。しかしながら、偶発債務が予想以上に大きい、あるいは追加的訴訟、
規制上措置、訴訟もしくは仲裁手続きまたはその他の偶発債務が生じるかもしれないというリスクがある。
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18 .マネーロンダリング防止、対テロ資金および制裁に関連する法令違反の場合に多大な罰金および制裁を受ければ、当グ
ループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
マネーロンダリング防止(AML)、対テロ資金(CTF)および制裁遵守は、近年、重要な規制上の変更および執行の対象と
なっている。当グループが業務を行う環境が複雑さを増すことによって、これらのオペレーショナル・リスクおよびコンプラ
イアンスのリスクが高まってきている。さらに、国内および世界における金融機関によるコンプライアンス問題の結果につい
ての透明性が向上したことやそれに関連する罰金と和解金額も増加していることは、これらのリスクが引き続き当グループが
注視する分野であることを意味する。
2023 年において、オーストラリア政府は、AMLおよびCTFの規制制度の潜在的な改革について諮問手続きを開始した。諮問手
続きは、制度の簡素化および近代化と、弁護士、会計士、信託・会社関連サービス提供者、不動産業者および貴金属・貴石
ディーラーを含む特定の「高リスク」専門的職業への制度拡大のための「トランシェⅡ」改革の実施の2つの部分で構成され
た。この進展が当グループに与える影響はまだ明らかでない。改革の過程において新たな規制要件が課せられる可能性があ
り、これが当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
最近において、ニュージーランド政府も2009年マネーロンダリング防止および対テロ資金対策法(「AML/CFT法」)の見直
しに着手し、2022年11月に法務大臣よりニュージーランド国会に報告書が提出され、その中で法改正の対象となる可能性があ
る200超の分野(既存の要件および定義の細部の明確化から報告主体に課せられる新たな義務まで)が概説されている。提案さ
れた提言のいくつかが受け入れられて新たに発せられた規制を通じて当初の改革パッケージに盛り込まれ、2023年7月に規制
の第一段階(主に定義の変更と明確化で構成される。)が開始された。規制の第2段階と第3段階はそれぞれ2024年6月およ
び2025年6月に開始され、様々な既存の義務(顧客管理(カスタマー・デュー・デリジェンス(CDD))、より厳格な顧客管理
(EDD)および現行のデュー・デリジェンス要件)に変更が加えられるのとともに、新たな義務が導入されることになる。見直
しにより特定されたがまだ規制による導入が行われていない分野についての公衆からの意見徴収がさらに行われた後、いずれ
か適当な時期に当初のAML/CFT法の改正を通じた追加的な改革が行われるものと予想されるが、追加の法改正の時期は現在の
ところ不明である。改革の結果について現段階では明確な見解はないが、改革の過程において当グループに新たな規制要件が
課さられ、これが当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
ウクライナにおける紛争を受けて、世界中の規制当局が、ロシアやその他の国に対して多くの制裁措置を適用している。米
国、欧州およびオーストラリアにおける多くの政府は、制裁対象については同意しているものの、その意味合いや具体的な制
限については完全に一致しているわけではない。企業はロシアまたはロシア所有の機関との継続的な事業活動に関してリスク
選好度評価を実施しており、このことは、合法とみなされるまたは他のカウンターパーティーのリスク選好の範囲内での取引
を進める上でのオペレーショナル・リスクやコンプライアンス・リスクを高めている。かかる紛争が続く限り、この状況は続
くと予想される。
オーストラリアでは近年、AML/CTF規制当局による「報告事業体」に対する措置が強化されている。「報告事業体」とは、銀
行口座開設やローンの提供など少なくとも1つの「指定サービス」を顧客に提供する法人を指す。2017年以降、オーストラリ
ア取引報告分析センター(「AUSTRAC」)は、監査人の任命や違反通知を含め、その規制上の様々な権限を行使し、オーストラ
リアの主要銀行に対して3件の(罰金およびその他の罰則を伴う)公的強制措置を行っており、また、多数のその他の銀行、
カジノおよび他の報告事業体に対しても措置を執っている。
ニュージーランドでは、RBNZが、ニュージーランドのAMLおよびCTFに関する法律の違反に対して正式な強制執行措置を採る
意欲を高めていると述べている。他の規制当局(アジア太平洋地域を含む。)もAML/CTFに関する法律の不遵守に対して措置を
とる傾向が強まっている。
様々なレベルや種類の金融犯罪についての綿密な監視が当グループ全体にわたって続けられている。スキャムは引き続き蔓
延して急速に進化しているが、新たなリスクが出現するに応じて、潜在的なマネーロンダリングやテロリズムの資金調達活動
に対する警告の管理に影響が及ぶリスクが引き続き存在している。
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AML/CTF および制裁関連の法律の不遵守リスクは、当グループの規模および複雑性ならびにいくつかの必須の報告要件の透明
性の欠如を考慮すると、引き続き高い。仮想資産サービス・プロバイダー(例えばデジタル通貨の交換業者およびウォレッ
ト・プロバイダー)により提供されるもの等の新興技術ならびにフィンテックやその他のディスラプターを通じたますます複
雑化する送金の取決めにより、資金の流れを追跡し、関連取引の監視を進め、報告義務を満たす当グループの能力が制限され
る可能性がある。当グループの技術の複雑性ならびにAML/CTFおよび制裁遵守において機能するシステムの変更の頻度の増加に
より、当グループは、システムおよび制御への影響を特定できないリスクに晒されている。資金の流れを報告し、マネーロン
ダリング、テロ資金調達その他の重大な犯罪に対抗するための強固なプログラムを実施できないと、当グループおよびその従
業員に財務上、法的およびレピュテーションの面で深刻な影響が及ぶ可能性がある。
上記の結果、罰金、刑事上および民事上の罰則、民事訴訟、レピュテーションの毀損および一定の法域で事業を行うことの
制限などが発生する可能性がある。これらの結果によっては、個別または集団的に、当グループのポジションに悪影響が及ぶ
こともあり得る。当グループが海外業務を行っていることにより、当グループに対する規制当局からの監視が強化され、法令
遵守コストが増加する可能性がある。
19 .金融政策の変更は当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
中央金融当局(RBA、RBNZ、米国連邦準備制度理事会、欧州中央銀行、イングランド銀行および当グループが業務を行うアジ
アの法域の金融当局を含む。)はそれぞれ関連法域で通貨および信用の需要に影響を与えるため、政策金利の設定またはその
他手段を取っている。法域の一部では、通貨政策が全般的な事業状況ならびに通貨および信用の需要に影響を与えるために使
用される。これらの手段および政策は、当グループの貸付および投資の資金コスト、ならびに当グループがそれらの貸付およ
び投資からあげるリターンにかなりの影響を与える可能性がある。これらの要因は当グループの純預貸利鞘に影響を与え、当
グループが保有する債券およびヘッジ商品などの金融商品の価値に影響を与える可能性がある。中央金融当局の取る手段およ
び政策はまた、当グループの借入者に影響を与える可能性があり、借入金返済を履行できないリスクを潜在的に増加させる。
かかる政策金利および金融政策の変更を予測することは困難であり、当グループのポジションに悪影響を与える可能性があ
る。リスク要因5.「オーストラリア、ニュージーランドまたは当グループが事業を行うその他市場の不動産市場の変動は当
グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」およびリスク要因10.「信用リスクは、当グループのポジションに
悪影響を与える可能性がある。を参照のこと。
20 .グローバル顧客の税務の透明性に関する制度により課される現在進められている広範囲に及ぶ「非居住者に係る金融口座
情報の自動交換のための報告制度(AEoI)」義務に関し、継続的で多額の法令遵守(コンプライアンス)コストが生じること
は、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループを含めたすべてのグローバルな金融機関(「FI」)による、外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)、経済協
力開発機構(OECD)の共通報告基準(CRS)およびこれらに類する租税回避対策制度に基づくグローバル顧客の税務の透明性に
関する制度への遵守に関して、引き続き強制的かつ大幅な変更が行われており、また規制当局の関心も高まっている。これら
は、強制執行や罰則の世界的な規制による動きや、追加的なコンプライアンス枠組み要件、コンプライアンス評価要件、調
査、オンサイトの金融機関監査、証拠に関する要件、回避の封じ込め、不遵守の阻止、検出および罰則の賦課を目的とした詳
細な規則および枠組みの規制による実施の強化が含まれている。継続中のOECD諸国の政府レベルでの相互審査ならびにIRSおよ
び規制当局によるFIのコンプライアンス審査/監査要件によりFIに対する監視は強化されているため、世界中でFIには予定外
の作業負荷が増している。不遵守の防止および処罰のために罰金制度が十分であることを確保するよう、各CRS採択国はOECDに
より迫られている。
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当グループは世界的に相関関係が存在する事業環境で事業を展開するFIであるため、各国の様々な制度の実施に伴う義務が
高度に複雑かつ厳格な性質を有するものであることは当グループのオペレーショナル・リスクやコンプライアンス・リスクを
高めている。国際的な規制遵守の枠組みが成熟し、規制当局が執行(金銭的制裁を含んだり、その他のより一般的な税務リス
クの枠組みに影響する可能性がある。)に重点を移しているため、不遵守となった場合には多額の制裁金の要求や評判の失墜
につながる可能性がある。したがって、グローバル顧客の税務の透明性に関する制度の遵守は、当グループにとって主要な関
心分野であり、大きなコストを発生させている。
FATCA およびその他の関連するその他米国財務省の規則に基づき、当グループは以下の影響を受ける可能性がある。
・ 継続中の詳細にわたる義務を適切に履行できない場合、一定金額(顧客に支払われる金額を含む。)に対して30%の源
泉徴収税を課せられ、上位支払者に対して一定の情報を提供するよう求められる可能性があり、また、その他の不利な
影響も受ける可能性がある。
・ 米国と当グループが業務を行う適用ある法域との間のFATCAに関する政府間協定が失効した場合、広範なコンプライアン
スの問題、重大な源泉徴収に関わるエクスポージャー、競争面での不利な状況およびその他の業務上の影響を受ける可
能性がある。
CRS の 下で、当グループは、
・ 太平洋地域などの当グループが事業を行っている発展途上国における課題に直面している。これらの国々の現地規制当
局は一般に「パートナー」国家から支援を受けており、実施や遵守のための基準や証拠に関する要件の導入は引き続き
困難である。
・ 所定の顧客情報の収集または報告の不履行について、さらに広範な「裏付けのある信頼関係」による結論および多額の
罰金と共に、現地の法律および規制の実施において国ごとに特有の広がり続ける大幅な差異に対処しなければならな
い。
・ 規制当局の取り組みの重点がFIの効果的な実施へ移ったため、ますます厳格化する規制当局による監視と措置を受けて
いる。このような規制強化は各国で異なるペースで行われているが、影響を受ける顧客にとって重大な不利益な体験
(一方的な口座の凍結および閉鎖、それから生じる根本的な顧客関連の問題ならびに顧客への直接的な罰則の可能性を
含む。)につながる可能性があり、当グループのポジションに悪影響が及ぶ、また、他のFIが同様のことを履行しない
場合には重大な競争上の不利益および事業上の損失が生じる可能性がある。
・ 凍結および閉鎖の影響により不当に扱われたと感じる顧客により、法的責任や第三者賠償責任に晒される可能性が高ま
るなど、顧客成果の悪化に直面する。これは、とりわけ当グループが規制上の問題を顧客に明確に伝えていなかった
り、(例えばデータやプロセスの誤りにより)不正に口座を凍結または閉鎖した場合に起こる可能性がある。
・ 規制上の影響を受けるリスクを高める可能性がある、仲介機関に関連する複雑な要件が絡む多くの実施上の課題に引き
続き対処している。
当グループの規模および複雑性は、FATCA、CRSおよびその他の税務報告制度への不遵守を犯すリスクが高いことを意味して
いる。主要な人材および重要な特定分野の専門家の流出と共に、資格を有する後任者の発掘という課題は上記義務への不遵守
リスクを増大させている。実施されたプロセスを上手く運用できない、または義務のすべてを特定および履行できない場合、
当グループおよびその従業員に法律、財務およびレピュテーション面への影響が生じる可能性がある。かかる影響には、罰
金、刑事上および民事上制裁、民事上の請求、レピュテーションの毀損、競争上の不利益、事業損失、事業遂行上の制約が含
まれる。
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自然災害およびCOVID-19のパンデミックのような外的要因により、システム、ツールおよび情報へのスタッフによるアクセ
スを困難なものとなり(予定外のスタッフの欠勤を含む。)、規制当局が期待するエラーのゼロ率の達成が要求されている継
続的な改善活動のみならず、義務付けられたFATCAおよびCRSの規制上の報告、顧客へのフォローアップに関する戦略、規制当
局からの勧告の解決と対処を含む、当グループの規制上の義務を必須の期間内に履行することに影響を与えている。企業自身
の税務上の申告や納税に関連する当グループの国際的な税務上の義務も同様に影響を受ける可能性がある。外的要因がもたら
す継続的な課題にFIが対応することを規制当局が期待していることから、世界の規制当局から当初受けていた寛容な対応は、
厳格化または撤回が続いており、このため、規制上の義務を履行するにあたっての不備や遅延が起きた場合の結果として、規
制当局による監督、関連する罰則およびレピュテーションへの影響が発生するリスクがさらに増している。
これらの影響は、個別的または集合的に、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
21 .いずれかの法域における当グループの営業免許の予期せぬ変更は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性があ
る。
当グループは、様々な法域で営業する免許を取得している。政府、当局または規制省庁により、営業免許の条件に対し、当
グループがこれまで許可されていた方法での取引を禁止または制限するような予期できない変更がなされた場合には、当グ
ループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
内部統制、オペレーショナル・リスクおよびレピュテーショナル・リスク
22 .非財務リスク事象は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
非財務リスク(NFR)は、社内手続き、人員およびシステムの不適切もしくは障害、または外的事象から生ずる損失リスクお
よび/もしくは法の不遵守(法律、規制、業界基準および規約、ならびに内部方針を遵守して行為を行わないことを含む。)
のリスクである。これはオペレーショナル・リスクおよびレピュテーションの喪失リスクを含むが、戦略リスクは含まない。
当グループのリスク分類に基づく非財務リスクの種類には以下が含まれる:
・ 金融犯罪(資金洗浄、制裁規制違反、贈収賄および汚職、ならびに「Know your customer」の顧客本人確認不履行のリ
スク)。リスク要因18.「マネーロンダリング防止、テロ資金および制裁に関連する法令違反の場合に多大な罰金およ
び制裁を受ければ、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。」を参照のこと。
・ 内部不正行為(内部関係者が組織に対して企図または遂行する不正行為)。
・ 社外の不正行為(従業員の関与なしに部外者(すなわち、当グループと直接的な関係がない者(顧客は含まない。))
が組織に対して企図または遂行する詐欺または盗難)。
・ 事業の継続性(事業継続性管理枠組みの不全)。
・ 物理的な安全性(当グループの物的資産、顧客資産または当グループが責任を負うべき公的資産への損害、および当グ
ループの従業員または関連係会社への(犯罪)被害のリスク)。
・ 人材(雇用法制への違反、従業員関係の管理の瑕疵、安全な労働環境の確保不足のリスク)。
・ 取引の処理および実行(取引およびその他の手続の適正および適切な処理、管理および実行の不備)。
・ 技術(ハードウェア、ソフトウェアおよびネットワークなどのシステムの停止に関するリスク)。リスク要因26.「I
Tシステムの混乱、あるいは新規技術システムの実施の失敗は、当グループの事業を大いに妨害する可能性があり、こ
れは当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。
・ 行為(当グループの事業活動を行うにあたり、当グループ、その従業員または代理人が消費者の利益、金融市場の一体
性および地域社会の期待への適切な配慮を欠くために生ずる損失または損害のリスク)。リスク要因25.「コンダク
ト・リスク事象は当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。」を参照のこと。
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・ リーガル(法的手続および法的プロセスを誤って実施するリスク)。
・ 規制上のリスク(他に記載されるリスクでは捕捉されない法律上または規制上の義務の不履行)。リスク要因16.「規
制の変更または法律、規制もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性があ
る。」を参照のこと。
・ 第三者(サービスや機能の外注に起因する付加的なオペレーショナル・リスクを特定および軽減するための合理的な措
置を講じないなど、第三者に係る関係およびリスクを適切に管理できないリスク)。
・ サイバーセキュリティなどの情報セキュリティ(データ/情報の喪失、盗難または悪用などの情報セキュリティ事案の
リスク―あらゆる種類のデータを対象とし、また情報セキュリティ関連規則の不遵守を包含しうる)。リスク要因27.
「サイバー攻撃を含む情報セキュリティに関連するリスクは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性があ
る。」を参照のこと。
・ データ(適切にデータ(顧客データ、従業員データおよび当グループの固有データ(プライバシーを含む。)などのあ
らゆる種類のデータを含む。)を管理および維持することができないリスク)。リスク要因28.「データ管理リスク
は、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。」を参照のこと。
・ モデル(経営判断情報を提供するモデルの設計、開発、使用および/または報告に基づくモデル・エラーから生じる悪
影響の可能性)。リスク要因29.「モデルリスクは、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。」を参
照のこと。
・ 法定報告および税金(法定報告の要件および税金の納付/申告の要件を充足できないリスク)。法定報告には、当グ
ループが履行義務を負うすべての対外報告(例:規制当局への報告や財務報告)が含まれる。
リスク事象による損失は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。かかる損失には罰金、刑罰、賦課(資
本賦課を含む。)、資金もしくは資産の損失もしくは盗難、訴訟費用、顧客補償、株主価値の喪失、レピュテーションの喪
失、人命損失もしくは負傷ならびに資産および情報の損失を含む。
非財務リスクは、変動リスク事象(例えば、変更の遂行の失敗または変更の取組みから生じるリスクなど)をはじめとする
多くの原因から生じる可能性があり、またレピュテーションへの影響など多くの様々な影響を有する可能性がある(リスク要
因24.「レピュテーショナル・リスクに関する事象は、業務上の不履行および規制の不遵守とともに、レピュテーショナル・
リスクを引き起こす可能性があり、これが利害関係者の信頼を損ない、当グループのブランドを低下させ、当グループのポジ
ションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。)。
また、APRAおよびおRBNZの要件に従い、当グループおよびANZニュージーランド・グループは、将来のオペレーショナル事象
の発生に備えて「オペレーショナル・リスク資本」準備金を維持しなければならない。
COVID-19 の パンデミック以降、すべての主要オフィスでは、リモートワーク制度の採用を含め、少なくとも混合型/ハイブ
リッド・ワークの環境に戻っている。デジタル・チャネルへの依存度は依然として高く、その結果としてサイバー攻撃やシス
テム/サービスの可用性の障害に関連するリスクが高まっている。事業継続計画は、パンデミック中に十分なテストと改善が
行われたが、システム/サービスの可用性への影響がレピュテーション、財務およびコンプライアンスの観点から当グループ
のポジションに影響を及ぼす可能性が依然としてある。
当グループでは、顧客やビジネス・プロセスを支援するために予測分析による機械学習、プロセス・オートメーションおよ
び意思決定生成などの技術を含むAIの採用を拡大させているため、透明性の欠如、不正確な決定または当グループの方針もし
くは価値と矛盾する意図しない結果などの関連するAIリスクにこれまでよりさらされる可能性がある。これらが当グループに
財務上および非財務上の悪影響を及ぼす可能性がある。
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23 .人的資本リスクは、現在および将来の事業ニーズを満たすために、当グループの人員を引き付け、育成し、意欲を持た
せ、維持することができない状態に関連するものであり、財務的成果および顧客成果を上げられず、当グループが顧客および
その他の利害関係者の期待に応える能力が減少する可能性がある。
主要な執行役員、従業員および取締役は、当グループの事業運営およびその戦略的目標の追求において、重要な役割を果た
している。重要な役割を担う個人の予想外の離職が生じた場合、または現状の困難さを考えると、特にデジタル、テクノロ
ジー、リスクまたはコンプライアンスの分野において、当グループがこれらの役割に適切な技術および資格を有する者を採
用、育成および維持できない場合は、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
24 .レピュテーショナル・リスクに関する事象は、業務上の不履行および規制の不遵守とともに、レピュテーショナル・リス
クを引き起こす可能性があり、これが利害関係者の信頼を損ない、当グループのブランドを低下させ、当グループのポジショ
ンに悪影響を与える可能性がある。
当グループのレピュテーションは貴重な財産であり、事業のイニシアチブおよび資金調達力または資本調達力に関して地域
社会から受ける支援に大きく貢献している。レピュテーショナル・リスクは、外部の事象または業務上の不履行および規制の
不遵守を含む当グループの実際のまたはそのようにみなされる行為および慣行の結果として生じる可能性がある。これらの事
象が発生すれば、当グループに対する一般(当グループの顧客を含む。)、株主、投資家、規制当局および格付機関の認識に
悪影響を及ぼす可能性がある。当グループのレピュテーションに関するリスク事象の影響は、リスク事象そのものの直接的な
コストを上回る可能性があり、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループの慣行の一つが社会の期待に応えることができなかった場合、当グループはレピュテーションから生じる損害を
被る可能性がある。社会の期待は、継続的に変化し進化している。期待は適用法に従うために必要な基準を超えて求められる
こともあるため、当グループは法的義務を果たしている場合でもレピュテーションによる損害を被る可能性がある。社会の期
待と当グループの慣行との相違は、商品およびサービスの開示の慣行、価格設定方針ならびにデータの利用を含め、多くの状
況で発生しうる。当グループのレピュテーションは、特に金利上昇の局面において、広範な金融サービス業界に対する社会の
認識により悪影響を受ける可能性がある。レピュテーションから生じる損害は、当グループによる効果的なリスク管理の不履
行、規制当局による執行または監視措置、規制当局による調査の不利な結果によって、ならびに地域社会、環境および倫理的
問題に適切に対応できないまたは対応できないとみられた場合に生じる可能性がある。当グループは随時、アクティビスト株
主の行動の結果、世間の監視が強まり、レピュテーションによる損害に晒される可能性がある。オーストラリアにおいて投資
家の行動主義(アクティビズム)を呼んでいる分野は主に環境および社会問題に関連しており、当グループ自身または当グ
ループが資金提供している相手方の行動にも関心が寄せられている。
業務上の不履行および規制の不遵守または業務上の不履行および規制の不遵守とみなされることがレピュテーショナル・リ
スクを生じさせる可能性がある。かかる業務上の不履行および規制の不遵守には、以下が挙げられる(ただし、これらに限定
されない。)。
・ 身元確認義務の充足に関する不履行
・ 商品の開発に関する新たに発生する不履行
・ 継続中の商品モニタリング活動に関する不履行
・ ターゲット市場外で商品販売を行う際の適合性要件に関する不履行
・ 開示義務の不遵守
・ 財産管理リスク(例えば、信用、市場、オペレーショナルまたはコンプライアンス)に関する失敗
・ 市場操作または反競争的行為
・ 不適切な危機管理/危機的事象への対応
・ 不適切な顧客苦情処理
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・ 不適切な第三者との取決め
・ プライバシーの侵害、および
・ 不測のリスク
当グループのレピュテーションに対する損害は、当グループの収益性、規模および資金調達費用、規制当局による監視の強
化、規制当局による強制措置、追加的な法的リスク、ならびに新規事業機会の獲得可能性の制限への悪影響など、広範囲に影
響を及ぼす可能性がある。当グループのレピュテーションが損なわれる場合、当グループが顧客を引き付け維持する能力もま
た悪影響を受ける可能性があり、これは当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
25 .コンダクト・リスク事象は当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
コンダクト・リスクは、当グループが事業活動を行うにあたり、消費者の利益、金融市場の一体性および地域社会の期待を
当グループ、従業員または代理人が適切に考慮しないことから生じる損失または損害のリスクである。
コンダクト・リスクは以下のものを含む。
・ 顧客に対する不相応または不適切な助言の提供。
・ 商品もしくはサービスに関する不正確な説明もしくは開示、または顧客に対してリスクおよび利益について十分な情報
を提供しないこと。
・ 条件、開示、提案および助言に従った商品の特徴および利益の伝達ができないこと。
・ 利益相反を適切に防止または管理することができないこと。
・ 不適切な苦情処理または改善プロセス。
・ 経済的困難にある顧客に対する義務を尊重せず、遵守しないこと。
・ 当グループの方針および基準に反した金融市場における無許可の取引活動
オーストラリアおよびニュージーランドも含め、コンダクト・リスクに対する規制当局および地域社会の関心は増してきて
いる。生活費の増加や可処分所得の減少が経済的余裕を圧迫しており、顧客への経済的圧力が高まっている。これが顧客への
貸付能力、すでに苦境にある顧客に提供する必要のある返済猶予の程度に影響する可能性がある。財政的困難に陥る可能性の
ある顧客の数が増加して、当グループがより多くの支援を提供する必要性が増大することが予想される。このような事態が起
きた場合、厳しい財務状況にある顧客が最も大きな影響を受ける可能性が高く、この状況はさらに進展している。当グループ
は、顧客損害のリスクを軽減するために、高まる返済猶予の要求への対処と、複雑な顧客のニーズに応える適切な個々に沿っ
た解決法の提供にを引き続き行う必要がある。
コンダクト・リスク事象の発生にあたり、当グループは、顧客救済プログラムに責任を負う中央化されたチームを有してお
り、それには当グループの見直しから明らかになった行為に関する問題への対処が含まれる。コンダクト・リスク事象によ
り、顧客や市場の一体性が悪影響を受ける可能性があるばかりでなく、当グループが規制当局の措置、銀行業免許の制限もし
くは条件を課せられ、レピュテーションへの影響にさらされる可能性があり、これが当グループのポジションに悪影響を及ぼ
す可能性がある。救済プログラムが適切に実施されない、またはさらなる救済業務が必要となる可能性があり、これが訴訟、
規制上の措置および当グループの費用の増加を招き、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。コンダクト・
リスクに対する規制上の関心の高まりについての詳細は、リスク要因16.「規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守
できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」およびリスク要因17.「訴訟および偶発債務は
当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。」を参照のこと。
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26 .ITシステムの混乱、あるいは新規技術システムの実施の失敗は、当グループの事業を大いに妨害する可能性があり、こ
れは当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループの日々の活動およびそのサービスの提供(デジタル・バンキングを含む。)は情報技術(「IT」)システムに
大きく依存している。ITシステムまたは当グループが使用もしくは依存するサービスに混乱が生じた場合には、当グループ
がコンプライアンス義務を履行できない、および顧客のバンキング業務の要求に応えられない可能性がある。デジタル界で
は、24時間年中無休の銀行サービスへの顧客の期待に対し、高い可用性と耐性・回復力を備えたITシステムを必要としてる。
当グループは、ITシステムを維持し、IT資産のライフ・サイクル、IT資産のプロジェクト・デリバリー、技術のレジ
リエンス、技術のセキュリティ、第三者の使用、データの保持および復元ならびにビジネスルールおよび自動化などを含む、
かかるシステムに関するリスク・エクスポージャーを特定し、評価し、および対応する責任を継続的に負う。これらのリス
ク・エクスポージャーへの対応が不十分であったときは、システムの安定性と安全性が損なわれ、これが顧客に悪影響を与
え、当グループにおける費用の増加や規制要件の不遵守を招く可能性があり、これらのいずれも当グループのポジションに悪
影響を及ぼすことがあり得る。
当グループは、多数のITシステムの提供を当グループに依拠しているANZニュージーランドや海外支店を含め、当グループ
のネットワーク全体の全ての事業のために、短期および長期の双方にわたる障害発生時にも重要なITシステムが稼働し続け
ることを確保することを目的としたインシデント対応、災害復旧および事業継続対策を実施している。当グループのシステム
障害は当グループのネットワークに影響を及ぼし、よって当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。COVID-19
のパンデミックは、思いも寄らない事象に向けてこれらの対策を対応させることが必要であり、また、重要なITシステムが長
期間にわたり、多数の技術者やビジネスユーザーによってサポートおよびリモートでアクセスされることが保証されなければ
ならないことを浮き彫りにした。かかる対策が効果的に実施できない場合には、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能
性がある。
当グループの費用対効果の高い技術環境によって、進化する顧客要求を支えることができるように、当グループは、新しい
ITシステム、中でもクラウド、データおよび自動化のテクノロジーを実装し既存の技術に統合させなければならない。これら
のシステムの不十分な実装および統合またはベンダーやサプライチェーンを含め、不適切な運用および管理は、当グループの
ポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
このリスク要因については、情報セキュリティ侵害およびサイバー攻撃が、ITシステムの混乱を引き起こす可能性がある
ため、リスク要因27.「サイバー攻撃を含む情報セキュリティに関連するリスクは、当グループのポジションに悪影響を与え
る可能性がある。」と併せて読むべきである。
27 .サイバー攻撃を含む情報セキュリティに関連するリスクは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
情報セキュリティにおいて最も注力される点とは、情報および技術システムを機密性、整合性または可用性の中断から保護
することにある。銀行として、当グループは、事業を展開する複数の地域においてその顧客およびその内部業務について相当
な量の個人情報および機密情報を扱う。かかる情報は、内部および第三者のホスト環境の双方において処理および保存され
る。当グループまたは第三者が行うセキュリティ管理のいかなる不備も、当グループの事業に悪影響を与える可能性がある。
当グループにとり情報セキュリティのリスクは近年著しく増大しており、この一部の理由には、金融取引のためのインター
ネット・バンキングおよびモバイル・バンキングなどの技術の普及や、組織犯罪、ハッカー、テロリスト、国家、活動家その
他外部関係者の高度化および活発化がある。高度な持続的脅威、分散型サービス妨害、マルウェア(破壊工作ソフト)攻撃お
よびランサムウェアなどのサイバー攻撃の脅威は絶え間なく進展し、より洗練され、増加している。サイバー攻撃の脅威が増
すにあたり、当グループは、防御層の修正および強化や情報セキュリティの脆弱性の調査および是正のために適応していくつ
もりである。システムの強化や更新は、新システムの実施や既存システムとの統合に関連するリスクを生じさせる可能性があ
る。
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COVID-19 の パンデミック後において、ハイブリッドワークにより柔軟な勤務体制で働くスタッフの数が増加したため、当グ
ループの情報セキュリティ・リスクが高まる可能性がある。サイバー犯罪者は、エンド・ポイント・セキュリティにおける弱
点の追求、マルウェアの拡散およびフィッシング攻撃の増強を通じて悪用を試みる可能性がある。また、これらのリスクは地
政学的リスクによりさらに悪化する可能性がある。
昨年には、個人および組織が遭ったデータ侵害が記録的水準に達した。これまで何百万人ものオーストラリア人および
ニュージーランド人のデータが公にさらされるとともに、地域全体にわたり不正行為と詐欺が大幅に増加している。当グルー
プのサイバーセキュリティの方針、手続きまたは管理において不備があった場合は、データその他の機密情報の喪失(機能停
止によるものを含む。)を招き、これらに関連したレピュテーションから生じる損害をもたらす可能性がある。これらの事象
のいずれも、多額の財務的損失(顧客への通知または補償に関するコストを含む。)、規制当局の調査もしくは制裁の発動に
つながり、または当グループが顧客を維持および引き付ける能力に影響を及ぼす可能性があり、当グループのポジションに悪
影響が及ぶことがあり得る。
28 .データ管理リスクは、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
データ管理プロセスには、機密データを含め、大量のデータの収集、処理、配信、アクセス、保持および廃棄が含まれる。
データ管理は当グループのシステムおよび技術に依存している。様々な問題やリスク・エクスポージャーを評価するのには
データに依存するため、データの品質管理は重点分野である。データの品質もしくはデータの収集、分析および検証プロセス
の有効性に不備がある場合、または当グループのデータ、システムおよびテクノロジーを適切に管理および維持できない場
合、有効性のないリスク管理手法や不正確なリスク報告につながり、これが当グループのポジションに悪影響を与える可能性
がある。また、規制上の義務を含むデータ管理義務に従えない場合、当グループが損失を被ったり、規制上の措置につながる
可能性がある。
29 .モデルリスクは、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは、重大なビジネス上の意思決定(貸付の決定、所定自己資本の計算、引当金の水準、顧客へ支払う補償金およ
びストレスのかかるエクスポージャーを含むがこれらに限定されない。)のための多数のモデルに依拠している。使用したモ
デルが不適切に設計、実施もしくは維持され、または不正確な仮定もしくはインプットに基づいていることが明らかになった
場合、当グループのポジションは悪影響を受ける可能性がある。
環境関連リスク、ソーシャル・リスクおよびガバナンス・リスク
30 .将来の気候関連事象、生物多様性の喪失、人権、地質学的事象、植物、動物および人間の疾病ならびにその他外因性事象
の影響は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループおよびその顧客は、気候関連事象を含む環境・社会・ガバナンス(ESG)リスク、地質学的事象(火山・地震活動
または津波等)、生物多様性の喪失(種の絶滅や減少、生態系の悪化および自然の喪失を含む。)(「生物多様性の喪
失」)、植物、動物および人間の疾病またはCOVID-19などのパンデミックならびに人権リスクに晒されている。これらはそれ
ぞれが当グループの事業およびその顧客に重大な影響をもたらしている。
気象関連事象には、暴風雨、干ばつ、火災、サイクロン、ハリケーン、洪水および海面水位上昇が含まれることがある。こ
れらの事象による影響は、二次的影響まで広がる可能性がある。例えば、干ばつが経済に与える影響は、一次生産者のみなら
ず、農業部門への供給業者を含む当グループの他の顧客や、影響のあった地域に居住しその地域内で事業を営む者にも及ぶ可
能性がある。この結果、直接的または顧客に対するこれらの事象が及ぼす影響を通じて、当グループは気象関連事象に晒され
る可能性がある(リスク要因32.「直接または間接に気候リスクの影響を受けることがある顧客向けの貸付に伴うリスクは当
グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。」を参照のこと。)。
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生物多様性の喪失は、当グループがさらに理解を深めるよう努めている新たなリスクである。生物多様性に関するリスクは
気候関連リスクと密接に関連している。生物多様性に関するリスクは、自然に依存する顧客またはその活動が自然に負の影響
を与える得る顧客への融資から生じる可能性がある。また、これらのリスクは法律や規制の変更によっても起こる可能性があ
り、これが直接的にまたは当グループの顧客を通じて間接的に当グループに影響を与える。これらのリスクの管理を怠った場
合、財務および非財務リスクにつながり、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
人権リスクは、当グループの人員の安全と安心、労働上の権利、現代の奴隷制、プライバシーと消費者の保護、汚職と贈収
賄、環境保護および土地の利用と権利に関して生じる。当グループは、リスクベースのデューデリジェンスにより、人権リス
クと当グループのビジネス関係に関連する影響を特定している。これらのリスク管理ができない場合、当グループのポジショ
ンに悪影響が及ぶ可能性がある。
気候変動、生物多様性、人権、またはその他の環境、社会もしくはガバナンスのリスクに関連する法令に加えて、株主、従
業員および利害関係者の見解により、当グループが一定の活動に従事するかまたは一定の商品を提供するか否か、およびそれ
らを行う条件に影響が及ぶ可能性がある。その頻度および深刻さによっては、これらのリスクは、当グループの支店もしくは
ビジネスセンターなどのサービスまたは他の当グループのサービスの提供を中断または制限する可能性がある。また、当グ
ループの財務状態または顧客に対して供与する信用ファシリティに関連する担保状況に悪影響を与える可能性があり、これが
さらに当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
31 .当グループのリスク管理の枠組みによりすべての既存のリスクを適切に管理する、または新たに発生したリスクを十分に
素早く検知することができない場合は、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
リスク管理は、当グループの活動にとって重要な要素である。これには、当グループのリスクの特定、測定、監視および緩
和ならびに当グループのリスク・プロファイルおよび特定された管理の有効性に関する報告を含む。当グループのリスク管理
の枠組みが効果的に機能する保証はなく、それらには、既存のリスクおよび当グループが適時に予想もしくは識別できない新
たなリスクへの効果が含まれ、また、これらに対する管理が有効でない可能性がある。リスクを効果的に管理することができ
ない場合、当グループのレピュテーションまたは規制上の義務の遵守に悪影響が及ぶ可能性がある。
当グループのリスク管理の枠組みの有効性は、適正な報酬体系により支えられる健全なリスク管理の文化の確立および維持
にも関連している。適切な報酬体系が策定または有効に実施されていない場合、当グループのリスクの文化および当グループ
のリスク管理の枠組みの有効性に悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは、継続的にリスク管理の枠組みの改善に取り組んでいる。当グループは、そのリスク管理方針の遂行および定
期的な見直しを行い、リスクの管理および軽減のため追加資金を当グループ内で配分する。かかる取組みによって当グループ
がリスクに晒されることを防げない可能性もあり、当グループのリスク管理の枠組みが効果的であるという保証はない。当グ
ループのリスク管理プロセスまたはリスクガバナンスにおける不備により、当グループが不測の損失およびレピュテーション
の低下を被る、および規制上の義務を遵守できない可能性があり、このことが当グループのポジションに悪影響を与える可能
性がある。
32 .直接または間接に気候リスクの影響を受けることがある顧客向けの貸付に伴うリスクは当グループのポジションに悪影響
を及ぼす可能性がある。
当グループにとって最も重大な気候関連リスクは、企業およびリテールの顧客に対する貸付によって引き起こされる。顧客
は物理的リスクおよび移行リスクによる影響を直接受ける可能性がある。これには、異常気象が顧客の事業または財産に及ぼ
す影響(保険料のコストおよび保険金の入手可能性や免除の影響を含む。)、顧客の事業が行われている規制環境および政策
環境の変化、新テクノロジーによる混乱、ならびに低炭素の商品やサービスへの需要の変化などがある。気候関連リスクは顧
客のサプライチェーンに対する影響を通じて間接的に顧客に影響を与える可能性がある。
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気候リスクは、顧客の債務返済能力に影響を与え、債務不履行の可能性を高め、「座礁資産」を生み出し、担保として保有
された担保物件の価値や流動性が損なわれることにより当グループの回収可能額に影響する可能性がある。顧客の収益に影響
を及ぼしたオーストラリアにおける気象関連事象の例の中には、2019年および2020年の深刻な干ばつ状態、山火事ならびに
2021年および2022年の大洪水に加え、2023年12月のクイーンズランド州における最近の洪水などがある。ニュージーランドで
も近年において2023年2月のサイクロン「ガブリエル」や2023年中の深刻な洪水などの同様の事象が発生している。
気候変動に関するリスクに対し、規制上、政治的および社会的に注目が高まっている。
気候変動リスクを当グループのリスク管理の枠組みにさらに組み込み、気候変動および低炭素経済への移行により生じたリ
スクと機会の対応に向けた当グループの業務および事業戦略を採用することは、当グループに重大な影響を与える可能性があ
る。
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4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
以下は、ANZBGLの2023年9月30日に終了した会計年度に関する2023年度米国開示書類(「米国開示書類」)を基に、抜粋し
たものである。本書に記載されている場合を除き、米国開示書類に開示されているすべての財務情報は、当グループに関連し
ている。米国開示書類の一部の説明および参照は、本書の規定の様式に合わせるため、省略または修正されている。
本再編を受け、当グループの2023会計年度の業績は以下のように構成される。
・ 2022年10月1日から2023年1月2日までの再編前のANZグループの業績
・ 2023年1月3日から9月30日までのANZBGLおよびその子会社(当グル-プ)の業績
A . 作成基準
本書記載の当グループの財務書類および財務情報は、別途記載がある場合を除き、オーストラリア会計基準審議会
(「AASB」)が公表したオーストラリア会計基準(「AAS」)および2001年会社法(連邦法)(「会社法」)の認識および測定
に関する要件に準拠して作成されたものである。国際財務報告基準(「IFRS」)は、国際会計基準審議会(「IASB」)により
公表されている基準および解釈である。AASはIFRSに基づいて設定されている。本書記載の当グループの財務書類および財務情
報は、IFRSの認識および測定に関する要件に準拠している。当グループの財務書類および財務情報の作成基準に関する詳細
は、「第6 経理の状況-1.財務書類」の2023年度財務書類の注記1を参照のこと。
(1) 非継続事業
2023 年度において非継続事業はなかった。2022会計年度の比較期間の非継続事業に係る利益/(損失)は、売却済みの富裕
層事業の分離に係る重要でない残余事業費および2022年4月に終了した移行サービス契約に基づく費用の一部回収に関係して
いる。
(2) 部門別業績
部門の経営成績の表示は、2023会計年度における以下の構造の変更により影響を受けた。2022会計年度の比較情報は修正再
表示されている。
・ 非銀行事業 - オーストラリア商業部門および法人部門で保有されていた非銀行事業をグループ・センター部門に移行
し、その後本再編の一貫として処分された。
・ 顧客のセグメント変更
- ニュージーランド部門内で一部の顧客をパーソナルからビジネスおよびアグリに移行した。
- 一部の企業および不動産金融の顧客をニュージーランド部門から法人部門に移行した。
・ 費用の再配分 - 一部の費用をオーストラリア・リテール部門、オーストラリア商業部門、法人部門およびグループ・
センター部門にわたり再配分した。
報告対象部門は、最高意思決定者である最高経営責任者に提供された内部報告と一致している。
(3) IFRSに準拠していない財務指標
当グループは、営業セグメントの業績をIFRSに準拠していない指標である現金利益に基づき測定しており、現金利益は、当
該セグメントが内部でどのように管理されているかを示すものである。当グループは、株主に帰属する税引後利益からいくつ
かの項目を除外して現金利益を計算している。当期および過去の会計年度における調整は、将来の利益を通じて解消される期
間差異を表す経済ヘッジならびに収益および費用ヘッジの影響に関連している。現金ベースで表示される情報は、営業セグメ
ントの財務実績の法定指標を示すものとみなされてはならず、またそれに代わるものとしてもみなされるべきではない。現金
利益と税引後利益との調整を含む追加情報については、下記「F.部門別業績」を参照のこと。
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B . 営業活動および財務レビュー
本セクションでは、当グループの過去2会計年度にわたる営業および財政状態に関する経営者の考察および分析を示す。
本セクションは、継続事業ベースで作成されている。
重大/重要項目
当グループの税引後利益に含まれる重大/重要項目について、以下に説明する。
事業の売却/閉鎖
売却/閉鎖した事業に関連して当グループに生じた利益/損失は、以下のとおり要約される。
事業の売却/
売却完了事業の
閉鎖による利益/
(損失) 事業損益 合計
年度
2023 年 2022 年 2023 年 2022 年 2023 年 2022 年
9月終了 9月終了 9月終了 9月終了 9月終了 9月終了
重大/重要項目の影響:
( 百万ドル )
ANZ ワールドライン・パートナーシップ 307 60 367
- - -
ファイナンシャル・プランニング・
アドバイス事業 - (69) - 5 (64)
-
法人の合理化 43 (65) 43 (65)
- -
その他の事業売却/閉鎖 23 (13) 23 (13)
- -
税引前利益 /(損失) 66 160 65 66 225
-
法人税 ベネフィット/(費用) - 37 (19) - 18
-
継続事業による 利益 /(損失) 66 197 46 66 243
-
・ ANZワールドライン・パートナーシップ - 2022 会計年度において、当グループは、当グループとワールドラインが新たに
加盟店獲得業務(アクワイアリング)グループを設立してその保有持分をそれぞれ49%および51%とするワールドラインSA
とのパートナー契約が終了したことに伴い、利益を認識した。
・ ファイナンシャル・プランニング・アドバイス事業 - 2022 会計年度において、当グループは、富裕層にサービスを提供
するファイナンシャル・プランニング・アドバイス事業のチューリッヒ・フィナンシャル・サービシズ・オーストラリア・
リミテッドへの売却が完了したことに伴い、損失を認識した。
・ 法人の合理化 - 当グループは、その構造を簡素化するためにいくつかの海外法人を解散し、その結果、関連する為替換
算調整勘定がその他の包括利益から損益にリサイクリングされた。2023会計年度についてはANZバンク(タイ)パブリック・
カンパニー・リミテッド、ANZインターナショナル(香港)リミテッドおよびANZシンガポール・リミテッドが、ならびに
2022会計年度についてはミネルヴァ・ホールディングス・リミテッドおよびANZアジア・リミテッドが含まれる。
・ その他の事業売却/閉鎖 - 当グループは、2023会計年度中に、完了したUDCファイナンスおよびペイマーク・リミテッド
の売却に係る利益について調整を認識した。2022会計年度において当グループが認識した純損失は、ANZアメリカ領の閉鎖計
画から生じた損失で構成され、これは完了済みのUDCファイナンスおよびペイマーク・リミテッドの売却に係る余剰引当金の
戻入により一部相殺された。
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顧客救済 - 顧客救済には、顧客への返金予定額に対する引当金、救済プロジェクト費用、ならびに顧客および規制に関
する請求、罰金ならびに訴訟の費用および結果が含まれる。
組織再編 - 主に、全部門の運営上の変更に関する費用。
取引関連費用 - 新たなグループ組織構造の設立および手続中のサンコープ・バンクの買収に関連する費用。
資産合理化 - 当グループは2023会計年度中に、技術環境を簡素化し、オンプレミス型運用をクラウドベースのソリュー
ションへ移行する長期的戦略に合致させるため、オーストラリアのデータセンターに関するセールアンドリースバック契約
を締結し、その結果として損失を認識した。2022会計年度に当グループは、メルボルンの55 Collins Streetに所在する建物
のヘッドリースを早期解約し、その結果として加速償却および資産償却を含むリース解約費用に関連する純損失が生じた
が、これはリース負債および使用権資産の測定から生じたリース条件変更利益により一部相殺された。
当初CSLR税 - 当グループは2023会計年度に、2023年金融サービス最終補償制度税法に基づく税金(「CSLR税」)の当初
見積額を計上した。当初CSLR税は10社の金融サービス企業により支払われ、2022年9月までにオーストラリア金融苦情処理
局に申し立てられた債務超過金融会社の未処理金の苦情や未払金の補償請求に充当される。今後の会計年度については、
CSLR規制当局の資金は、幅広い金融サービス企業から徴収する年次税で賄われる。当グループの当面の年次CSLR税の支出は
大きくないと予想されている。
訴訟の和解 - 2022会計年度中に、当グループは、一定の指標参照レートに基づく商品の売買に関連する米国の集団訴訟
を解決する合意に達し、その費用を認識した。当該訴訟は責任を認めることなく解決された。
源泉徴収税 - 2022会計年度において、ANZパプアニューギニア(「ANZ PNG」)は、ANZBGLに対し、7億1,400万ドルの配
当金(源泉徴収税控除後)の支払いを行った。これは、APRAによる子会社に関する自己資本要件の変更に対応して、当グ
ループ内の資本を再配分することを目的としている。ANZBGLは、AZN PNGに対し、配当金に相当する額(源泉徴収税控除後)
を資本投入した。配当金の支払いの結果、当該期間において配当金に係る源泉徴収税費用を認識した。
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重大/重要項目
継続事業による現金利益において、当グループはいくつかの重大/重要項目を認識した。下表はこれらの項目を示してい
る。
2023 会計年度
継続事業による利益に含まれる重大/重要項目
事業の 顧客 組織 取引関連 資産 当初
売却/閉鎖 救済 再編 費用 合理化 CSLR税 合計
(百万ドル)
重大/重要項目の影響 -
純利息収益 - (18) - - - - (18)
その他営業収入 66 (30) - - (43) - (7)
営業収入 66 (48) - - (43) - (25)
営業費用 - (84) (169) (128) - (40) (421)
貸倒引当金繰入および
66 (132) (169) (128) (43) (40) (446)
法人税控除前利益
貸倒引当金(繰入)/戻入 - - - - - - -
法人税引前利益 66 (132) (169) (128) (43) (40) (446)
法人税(費用)
/ベネフィットおよび - 39 49 33 6 12 139
非支配持分
継続事業による利益
66 (93) (120) (95) (37) (28) (307)
/(損失)
2022 会計年度
継続事業による現金利益に含まれる重大/重要項目
組織
事業の 顧客 取引関連 資産 訴訟の 源泉
(1)
売却/閉鎖 救済 再編 費用 合理化 費用 徴収税 合計
(百万ドル)
重大/重要項目の影響
純利息収益 - - - - - - - -
その他営業収入 298 (34) - - 23 - - 287
営業収入 298 (34) - - 23 - - 287
営業費用 (69) (190) (81) (12) (47) (10) - (409)
貸倒引当金繰入および
229 (224) (81) (12) (24) (10) - (122)
法人税控除前利益
貸倒引当金(繰入)/戻入 (4) - - - - - - (4)
税引前利益 225 (224) ( 81 ) ( 12 ) (24) (10) - (126)
法人税(費用)
18 58 13 2 7 - (126) (28)
/ベネフィットおよび
非支配持分
継続事業による現金利益
243 ( 166 ) ( 68 ) (10) (17) ( 10 ) (126) (154)
/(損失)
注:(1) 2022会計年度の税引前組織再編費用8,100万ドルには、事業の売却/閉鎖の一部として生じた2022会計年度の組織再編
費用2,000万ドル(ファイナンシャル・プランニング・アドバイス事業の700万ドルおよびANZアメリカ領の1,300万ド
ル)は含まれていない。
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C. 当グループの要約損益計算書情報
年度
2023 年9月終了 2022 年9月終了
( 百万ドル)
純利息収益 16,575 14,874
(1)
その他営業収入 3,891 4,552
営業収入 20,466 19,426
営業費用 (10,087) (9,579)
貸倒引当金繰入および法人税控除前利益 10,379 9,847
貸倒引当金(繰入)/戻入 (245) 232
法人税引前利益 10,134 10,079
法人税 (2,941) (2,940)
非支配持分 (28) (1)
継続事業による利益 7,165 7,138
非継続事業による利益 - (19)
当行の株主に帰属する利益 7,165 7,119
注:(1) 「第6 経理の状況-1 財務書類」に表示されているその他営業収入、保険事業収入純額および関連会社投資の持分
利益/(損失)を含む。
当グループの実績
・ 2023年度と2022年度の比較
継続事業による利益は、主に以下により、2022年会計年度と比較して2,700万ドル増加した。
・ 純利息収益は、利付資産平均残高の655億ドル(+7%)の増加および純預貸利鞘の7ベーシス・ポイントの増加によ
り、17億100万ドル(+11%)増加した。利付資産平均残高の増加は、全部門における貸付の伸び、流動資産の増加お
よび為替換算の影響に牽引された。純預貸利鞘の7ベーシス・ポイントの増加は、有利な預金の利鞘、資本収益およ
び複製ポートフォリオの預金の増加、ならびに有利な融資構成によるものであった。この増加は、住宅ローンの価格
競争、不利な預金構成、および主にコモディティ資産(関連収益がその他営業収入に認識される。)に対する資金調
達コストの増加に影響を受けたマーケッツの取引により一部相殺された。主な変動に関する詳細については、下記
「D. 主な収入および費用項目の分析」を参照のこと。
・ その他営業収入は6億6,100万ドル(-15%)減少した。これは主に、経済ヘッジならびに収益および費用ヘッジに係
る未実現時価評価額の不利な変動(13億1,300万ドル)、事業の売却/閉鎖による減少(2億3,200万ドル)、当グ
ループの別部門における有利な為替換算差額を相殺した外貨建て収益源に対する経済ヘッジに係る実現益の減少
(9,800万ドル)、ならびにオーストラリアのデータセンターの処分に係る損失(4,300万ドル)によるものであっ
た。この減少は、顧客活動の増加およびより有利な取引状況によるマーケッツのその他営業収入の増加(10億6,300万
ドル)により一部相殺された。主な変動に関する詳細については、下記「D. 主な収入および費用項目の分析」を参
照のこと。
・ 営業費用は、主にインフレの影響、戦略的取組みに関連する増分費用、サンコープ・バンク買収関連費用の増加、過
去に非継続事業に帰属していた費用および当初CSLR税により、5億800万ドル(+5%)増加した。この増加は、生産
性向上イニシアチブおよび投資の優先順位の見直しにより一部相殺された。主な変動に関する詳細については、下記
「D. 主な収入および費用項目の分析」を参照のこと。
・ 貸倒引当金は、一括評価および個別評価貸倒引当金の増加により4億7,700万ドル増加した。主な変動に関する詳細に
ついては、下記「D. 主な収入および費用項目の分析」を参照のこと。
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D. 主な収入および費用項目の分析
(1) 純利息収益
下表は、当グループ、オーストラリア・リテール部門、オーストラリア商業部門、法人部門およびニュージーランド部門の
純利息収益、純預貸利鞘、利付資産平均残高、ならびに預金およびその他の借入金の平均残高の概要である。
年度
2023 年9月終了 2022 年9月終了
当グループ ( 百万ドル)
(1)
純利息収益 16,575 14,874
(2)
利付資産平均残高 975,540 910,037
(2)
預金およびその他の借入金の平均残高 825,113 780,373
純預貸利鞘(%) 1.70 1.63
年度
2023 年9月終了 2022 年9月終了
( 1 )
主要部門別純預貸利鞘 ( 百万ドル)
オーストラリア・リテール
純預貸利鞘(%) 2.22 2.25
(2)
利付資産平均残高 257,354 245,448
(2)
預金およびその他の借入金の平均残高 156,099 145,794
(3)
オーストラリア商業
純預貸利鞘(%) 2.70 2.10
(2)
利付資産平均残高 61,130 58,867
(2)
預金およびその他の借入金の平均残高 112,821 115,097
法人
純預貸利鞘 (%) 0.89 0.90
(2)
利付資産平均残高 456,238 412,722
(2)
預金およびその他の借入金の平均残高 355,748 334,104
ニュージーランド
純預貸利鞘 (%) 2.64 2.47
(2)
利付資産平均残高 119,510 116,325
(2)
預金およびその他の借入金の平均残高 102,296 101,355
注:(1) 2023会計年度の大手銀行税-3億5,300万ドル(2022会計年度:-3億4,000万ドル)が含まれている。
(2) 平均残高は主として日次平均を用いて計算されている。
(3) オーストラリア商業部門は、保有する余剰預金によるプラスの純利息収益を生成している。したがって、2023会計年
度における584億ドルの平均預金額(2022会計年度:634億ドル)は、内部経営報告の見解と一致させるため、純預貸
利鞘の計算のための利付資産平均残高に含まれている。
・ 2023年度と2022年度の比較
純利息収益は、以下により17億100万ドル(+11%)増加した。
純預貸利鞘(+7ベーシス・ポイント)
・ 資産の価格設定(-19ベーシス・ポイント):主にオーストラリア・リテール部門およびニュージーランド部門におけ
る住宅ローンの価格競争に起因した。
・ 預金の金利設定(+32ベーシス・ポイント):金利上昇環境による有利な預金の利鞘に起因した。
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・ 資産構成および資金調達構成(-8ベーシス・ポイント):利益率の低い定期預金への移行に伴う不利な預金構成およ
び顧客預金と比較して増加した期限付ホールセール資金調達による。これは、利益率の高い変動金利の住宅ローンへ
の移行に伴い有利となった融資構成により一部相殺された。
・ 資本収益および複製ポートフォリオ(+11ベーシス・ポイント):主に金利の上昇に起因したが、取引量の減少により
一部相殺された。
・ ホールセール資金調達(-1ベーシス・ポイント):ホールセール資金調達率の上昇による。
・ 流動性(-2ベーシス・ポイント):2023年3月終了半期に停止された流動性供給枠(「CLF」)に代わる利回りの低
い流動資産の伸びおよび規制遵守要件を充足するための流動資産のその他の増加による。
・ マーケッツの取引(-6ベーシス・ポイント):主にコモディティ資産(関連収益がその他営業収入に認識される。)
に対する資金調達コストの増加により、純利息収益が減少した。
利付資産平均残高(+655億ドルすなわち+7%)
・ 正味貸付金および前渡金の平均残高(+369 億ドルすなわち+6%) :全部門における 貸付の増加および 為替換算の影響
に牽引された。
・ 売買目的資産および投資有価証券の平均残高(+49億ドルすなわち+4%):債務投資有価証券の増加に牽引された
が、為替換算の影響により一部相殺された。
・ 現金およびその他の流動資産の平均残高(+238億ドルすなわち+14%):売戻条件付契約の増加、中央銀行預け金の増
加およびANZの未収決済残高の増加によるものであった。
預金およびその他の借入金の平均残高(+447億ドルすなわち+6%)
・ 預金およびその他の借入金の平均残高(+447億ドルすなわち+6%):全部門における定期預金の伸び、他行からの預
金および買戻条件付契約の増加、譲渡性預金の増加、ならびに為替換算の影響によるものであったが、通知預金の減
少により一部相殺された。
(2) その他営業収入
年度
2023 年9月終了 2022 年9月終了
( 百万ドル)
(1)
手数料およびコミッション収益(純額) 1,855 1,907
マーケッツのその他営業収入 1,923 860
関連会社投資の持分利益/(損失) 225 177
(2)
経済ヘッジ (305) 802
(3)
収益および費用ヘッジ (129) 77
(1)(4)
その他 322 729
(5)
継続事業によるその他営業収入合計 3,891 4,552
マーケッツの収入
純利息収益 184 707
その他営業収入 1,923 860
マーケッツの収入合計 2,107 1,567
注:(1) マーケッツ事業部門を除く。
(2) 金利リスク、為替リスクおよび指定された会計ヘッジの非有効部分の管理に使用される経済ヘッジに係る未実現利益
および損失を示す。
(3) 多額の外貨建て収益および費用をヘッジするために使用される収益および費用ヘッジに係る未実現利益および損失を
示す。
(4) 為替差益および保険事業収入純額を含む。
(5) 「第6 経理の状況-1 財務書類」 に表示されるその他営業収入、保険事業収入純額および関連会社投資の持分利
益/(損失)を含む。
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・ 2023年度と2022年度の比較
その他営業収入は6億6,100万ドル(-15%)減少した。その業績に影響を及ぼした主な要因は以下のとおりである。
手数料およびコミッション収益(純額)(-5,200万ドルすなわち-3%)
・ 過年度のワールドライン事業売却後の収益の減少に牽引された、オーストラリア商業部門における8,200万ドルの減
少。これは、商業上の支出増加を反映したカード収入の増加により一部相殺された。
・ 主に2022年11月に導入された規制上の手数料改定によるカード収入の減少に牽引された、ニュージーランド部門にお
ける3,000万ドルの減少。
・ 個人消費の増加を反映したカード収入の増加、ならびにブレイクフリー・パッケージの移行に関連する免除の終了に
起因する住宅ローンの相殺勘定手数料およびカード年会費の増加に牽引された、オーストラリア・リテール部門にお
ける6,900万ドルの増加。
マーケッツの収入(+5億4,000万ドルすなわち+34%)
マーケッツの収入は、その他営業収入の10億6,300万ドルの増加により、5億4,000万ドル増加したが、この増加は、純
利息収益の5億2,300万ドルの減少により一部相殺された。純利息収益の減少は、コモディティ資産(関連収益がその他営
業収入に認識される。)を含む、資金調達コストの増加によるものであった。5億4,000万ドルの増加は、以下の事業活動
に起因した。
・ すべての事業ラインおよび地域におけるフランチャイズ収入の2億6,200万ドルの増加。継続する主要通貨間での金利
格差により、外国為替および金利ヘッジ商品に対する顧客需要が根強く、資本市場では、顧客への発行量が増加し
た。取引収入の増加は、通貨および金利の変動性の低下、信用スプレッドの縮小および貴金属商品の有利な取引状況
によるものであった。
・ 有利なイールド・カーブの変動およびポートフォリオの金利更改に牽引された、バランスシート取引収入の1億9,700
万ドルの増加。
・ 信用スプレッドの縮小による利益ならびに通貨および金利の変動性の低下に起因する、デリバティブ評価調整の8,100
万ドルの増加。
関連会社投資の持分利益/(損失)(+4,800万ドルすなわち+27%)
・ PTバンク・パン・インドネシア(「PT Panin」)(4,100万ドル)およびAMMBホールディングスBerhad(「AmBank」)
(1,300万ドル)による関連会社投資の持分利益における4,800万ドルの増加。
経済ヘッジ(-11億700万ドル)
・ 2023会計年度における経済ヘッジに係る損失は、主にUSD/EURおよびUSD/JPYの通貨ベーシススプレッドの縮小による
資金調達関連スワップに関係する。それ以外の損失は、主に2023年度上半期において、ネット決済される固定スワッ
プの経済ヘッジポジションに及ぼした利回りの変動の影響による。
・ 2022会計年度における経済ヘッジに係る利益の大半は、主にUSDに対するAUDおよびNZDの下落による資金調達関連ス
ワップ、AUD/USDの通貨ベーシススプレッドの拡大、ならびに選定されたストラクチャードファイナンスおよび特定の
リース取引の経済ヘッジに及ぼした金利上昇の影響に関係する。
収益および費用ヘッジ(-2億600万ドル)
・ 2023会計年度における収益および費用ヘッジに係る損失は、主にNZDに対するAUDの下落による。
・ 2022会計年度における収益および費用ヘッジに係る利益は、主にNZDに対するAUDの上昇による公正価値の変動に関係
する。
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その他(-4億700万ドルすなわち-56%)
・ ANZワールドライン・パートナーシップの取引完了による利益(3億700万ドル)およびファイナンシャル・プランニ
ング・アドバイス事業の売却損(6,200万ドル)を含む、過年度の事業売却による影響に牽引された、オーストラリア
商業部門における2億1,500万ドルの減少。これは、投融資事業の売却益(800万ドル)およびワールドライン・オー
ストラリアPty Ltdに提供するサービスに対する収入の増加(600万ドル)により一部相殺された。
・ 当グループの別部門における有利な為替換算差額を相殺した外貨建て収益源に対する経済ヘッジに係る実現益の減少
(9,800万ドル)、損益を通じて公正価値で測定された投資の不利な評価調整(4,800万ドル)、オーストラリアの
データセンターの売却損(4,300万ドル)、過年度の重要なリース契約の条件変更に係る純利益(2,300万ドル)、お
よび過年度におけるメルボルンの55 Collins Streetに所在する建物のリース解約に起因する土地建物賃貸収入の減少
(2,100万ドル)に牽引された、グループ・センター部門での1億2,400万ドルの減少。これは、当年度および過年度
の多数の海外事業体の解散による為替換算調整勘定のその他の包括利益から損益へのリサイクリングの正味影響(1
億800万ドル)により一部相殺された。
・ 保険関連収入の減少に牽引された、オーストラリア・リテール部門における4,000万ドルの減少。
・ 主に海外事業が現地の規制要件を充足するために保有するUSD資本に関連する評価損に牽引された、法人部門における
3,100万ドルの減少。
・ 過年度の政府債の売却益に牽引された、ニュージーランド部門における2,100万ドルの減少。
・ 主に取引の増加による外国為替収入の増加に牽引された、パシフィック部門における2,400万ドルの増加。
(3) 営業費用
年度
2023 年 2022 年
9月終了 9月終了
( 百万ドル)
人件費 5,736 5,296
土地建物費 684 721
テクノロジー費 1,686 1,621
組織再編費用 169 101
その他 1,812 1,840
継続事業による営業費用合計 10,087 9,579
(1)
継続事業によるフルタイム換算従業員 40,119 39,172
(1)
継続事業による平均フルタイム換算従業員 39,674 39,672
注:(1) 2022 年度 の比較情報は、1835iグループPtyリミテッドが管理する連結された投資先のフルタイム換算従業員(フルタ
イム換算従業員:185人、平均フルタイム換算従業員:126人)を含めるため、修正再表示されている。
・ 2023年度と2022年度の比較
営業費用は5億800万ドル(+5%)増加した。
・ 人件費は、戦略的取組みに関連する増分費用、休暇引当金の増加を含むインフレによる賃金への影響、以前非継続事
業に帰属していた費用および不利な為替換算の影響により、4億4,000万ドル(+8%)増加した。この増加は、生産
性向上イニシアチブおよび投資の優先順位の見直しにより一部相殺された。
・ 土地建物費は、過年度の重要なリース契約の条件変更に牽引され、3,700万ドル(-5%)減少した。
・ テクノロジー費は、戦略的取組みに関連する増分費用、ソフトウェア・ライセンス費用の増加、インフレによるベン
ダーコストへの影響および以前非継続事業に帰属していた費用に牽引され、6,500万ドル(+4%)増加した。これ
は、テクノロジーの簡素化による効果、投資の優先順位の見直しおよび償却費の減少により一部相殺された。
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・ 組織再編費用は、全部門における運営上の変更に牽引され、6,800万ドル(+67%)増加した。
・ その他費用は、本再編の一環で行った非銀行事業の処分および投資の優先順位の見直しに牽引され、2,800万ドル(-
2%)減少した。これは、サンコープ・バンク買収関連費用の増加および当初CSLR税により一部相殺された。
(4) 信用 リスク
クレジット・ポートフォリオの予想信用損失 (「ECL」)に関する当グループの評価は、内部および外部の様々な情報に加
え、多様な状況下でのポートフォリオの運用状況における当グループの経験に基づく、経営陣の判断および見積りに従う。詳
細については、「第6 経理の状況 - 1 財務書類」の2023年度財務書類の注記13を参照のこと。
貸倒引当金繰入/(戻入)
年度
2023 年 2022 年
9月終了 9月終了
(百万ドル)
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) 152 (311)
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) 93 79
貸倒引当金繰入/(戻入)合計 245 (232)
貸倒引当金繰入/(戻入)の分析
年度
2023 年 2022 年
9月終了 9月終了
新規および増加した引当金 (戻入控除後)
(百万ドル)
- 一括評価
152 (311)
- 個別評価
476 520
戻入 (216) (233)
以前償却した額の回収 (167) (208)
貸倒引当金繰入合計 245 (232)
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部門別貸倒引当金繰入/(戻入)
年度
2023 年 2022 年
9月終了 9月終了
一括評価 (百万ドル)
オーストラリア・リテール 55 (169)
オーストラリア商業 65 (170)
法人 (31) (13)
ニュージーランド 86 61
パシフィック (22) (19)
グループ・センター (1) (1)
一括評価合計 152 (311)
個別評価
オーストラリア・リテール 80 40
オーストラリア商業 42 37
法人 (49) (14)
ニュージーランド 26 (16)
パシフィック (6) 13
グループ・センター - 19
個別評価合計 93 79
貸倒引当金繰入/(戻入)
オーストラリア・リテール 135 (129)
オーストラリア商業 107 (133)
法人 (80) (27)
ニュージーランド 112 45
パシフィック (28) (6)
グループ・センター (1) 18
貸倒引当金繰入/(戻入)合計 245 (232)
一括評価 個別評価
2023 会計年度
ステージ3 - ステージ3 -
ステージ ステージ ステージ 新規および 回収および
1 2 3 合計 増加 戻入 合計 合計
(百万ドル)
オーストラリア
・リテール (27) 91 (9) 55 192 (112) 80 135
オーストラリア商業 57 21 (13) 65 127 (85) 42 107
法人 79 (94) (16) (31) 99 (148) (49) (80)
ニュージーランド (3) 76 13 86 53 (27) 26 112
パシフィック 4 (13) (13) (22) 5 (11) (6) (28)
グループ・センター (1) - - (1) - - - (1)
合計 109 81 (38) 152 476 (383) 93 245
2022 会計年度
オーストラリア
・リテール 6 (159) (16) (169) 218 (178) 40 (129)
オーストラリア商業 71 (214) (27) (170) 194 (157) 37 (133)
法人 104 (117) - (13) 50 (64) (14) (27)
ニュージーランド 42 15 4 61 39 (55) (16) 45
パシフィック (2) (13) (4) (19) 19 (6) 13 (6)
グループ・センター (1) - - (1) - 19 19 18
合計 220 (488) (43) (311) 520 (441) 79 (232)
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一括評価貸倒引当金繰入/(戻入)
・ 2023年度と2022年度の比較
2023 会計 年度 における1億5,200万ドルの一括評価貸倒引当金繰入は、経済見通しの低下および信用リスクの悪化によるも
のであった。これは、特に法人部門の有利なポートフォリオ構成の変更により一部相殺された。
2022 会計年度における3億1,100万ドルの一括評価貸倒引当金戻入は、信用リスクの改善、有利なポートフォリオ構成の変
更および経営陣による一時的な調整の正味戻入によるものであった。これは、経済見通しに関連するダウンサイドリスクの
上昇によって一部相殺された。
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入)
・ 2023年度と2022年度の比較
個別評価貸倒引当金繰入の1,400万ドル(+18%)の増加は、戻入および回収の減少に起因するニュージーランド部門での
増加(+4,200万ドル)およびオーストラリア・リテール部門での増加(+4,000万ドル)によるものであった。この増加は、
単一エクスポージャーの戻入に起因する法人部門での減少(-3,500万ドル)および戻入の増加に起因するパシフィック部門
での減少(-1,900万ドル)により一部相殺された。
(1)
予想信用損失引当金
期末現在
2023 年9月終了 2022 年9月終了
(百万ドル)
一括評価予想信用損失引当金 4,032 3,853
個別評価予想信用損失引当金 376 542
予想信用損失引当金合計 4,408 4,395
正味貸付金および前渡金(償却原価で測定) 3,546 3,582
オフバランスシートのコミットメント 827 775
投資有価証券-負債証券(償却原価で測定) 35 38
予想信用損失引当金合計 4,408 4,395
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(1)
部門別予想信用損失引当金
期末現在
2023 年9月終了 2022 年9月終了
一括評価 (百万ドル)
オーストラリア・リテール 954 899
オーストラリア商業 1,041 976
法人 1,425 1,452
ニュージーランド 560 448
パシフィック 52 77
グループ・センター - 1
一括評価合計 4,032 3,853
個別評価
オーストラリア・リテール 63 75
オーストラリア商業 127 188
法人 126 200
ニュージーランド 40 46
パシフィック 20 33
グループ・センター - -
個別評価合計 376 542
予想信用損失引当金
オーストラリア・リテール 1,017 974
オーストラリア商業 1,168 1,164
法人 1,551 1,652
ニュージーランド 600 494
パシフィック 72 110
グループ・センター - 1
予想信用損失引当金合計 4,408 4,395
注:(1) 正味貸付金および前渡金(償却原価で測定)、投資有価証券-負債証券(償却原価で測定)、オフバランスシートの
コミットメント-未実行与信枠および偶発与信枠の予想信用損失引当金を含む。投資有価証券-負債証券(FVOCIで測
定)の予想信用損失引当金は、その他の包括利益に認識され、対応する費用は損益に認識される。
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一括評価 個別評価
合計
ステージ1 ステージ2 ステージ3 合計 ステージ3
2023 年9月終了年度末現在
(百万ドル)
オーストラリア・リテール 118 674 162 954 63 1,017
オーストラリア商業 410 531 100 1,041 127 1,168
法人 1,205 210 10 1,425 126 1,551
ニュージーランド 139 351 70 560 40 600
パシフィック 20 20 12 52 20 72
グループ・センター - - - - - -
合計 1,892 1,786 354 4,032 376 4,408
2022 年9月終了年度末現在
オーストラリア・リテール 145 583 171 899 75 974
オーストラリア商業 352 511 113 976 188 1,164
法人 1,124 303 25 1,452 200 1,652
ニュージーランド 134 259 55 448 46 494
パシフィック 16 36 25 77 33 110
グループ・センター 1 - - 1 - 1
合計 1,772 1,692 389 3,853 542 4,395
注:(1) 正味貸付金および前渡金(償却原価で測定)、投資有価証券-負債証券(償却原価で測定)、オフバランスシートの
コミットメント-未実行与信枠および偶発与信枠の予想信用損失引当金を含む。投資有価証券-負債証券(FVOCIで測
定)の予想信用損失引当金は、その他の包括利益に認識され、対応する費用は損益に認識される。
・ 2023年度と2022年度の比較
予想信用損失引当金合計の増加は、一括評価予想信用損失引当金の1億7,900万ドルの増加に牽引されたが、個別評価予想
信用損失引当金の1億6,600万ドルの減少により一部相殺された。一括評価予想信用損失引当金の増加は、経済見通しに関連
するダウンサイドリスク(1億7,100万ドル)、信用リスクの悪化(5,400万ドル)、ならびに為替換算およびその他の影響
(3,000万ドル)によるものであった。これは、特に法人部門における有利なポートフォリオ構成の変更(7,200万ドル)お
よび経営陣による一時的な調整の減少(400万ドル)により一部相殺された。個別評価予想信用損失引当金の減少は、多額の
単一エクスポージャーの戻入に起因する法人部門での減少および減損貸付金の水準低下に起因するオーストラリア商業部門
での減少に牽引された。
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減損資産総額
期末現在
2023 年 2022 年
9月終了 9月終了
減損資産総額 (百万ドル)
(1)
減損貸付金 1,037 1,043
(2)
条件緩和債権 437 376
(1)
不良資産を裏付けとする契約債務、偶発債務およびデリバティブ 47 26
減損資産総額 1,521 1,445
部門別減損資産総額
オーストラリア・リテール 520 390
オーストラリア商業 248 360
法人 562 425
ニュージーランド 122 93
パシフィック 69 177
減損資産総額 1,521 1,445
エクスポージャーの規模別減損資産総額
1,000 万ドル未満 999 1,084
1,000 万ドル以上1億ドル以下 113 131
1億ドル超 409 230
減損資産総額 1,521 1,445
個別評価引当金
減損貸付金 (366) (533)
不良資産を裏付けとする契約債務、偶発債務およびデリバティブ (10) (9)
減損資産純額 1,145 903
注:(1) 減損貸付金ならびに不良債権を裏付けとする契約債務、偶発債務およびデリバティブは、90日超延滞している無担保
リテール・エクスポージャーおよび不履行が発生しているが十分な担保を供されるエクスポージャーからなる、一括
評価されたステージ3のECLであるエクスポージャーを含んでいない。
(2) 条件緩和債権とは、当初の契約条件が顧客の財政的困難に関連する理由により修正され、ステージ3のECLについて一
括評価されたファシリティである。条件緩和は、利息、元本その他法律上期限が到来した支払いの削減、または同様
のリスクの新規ファシリティに対して一般的に提供される満期を大幅に超える延長からなる。
・ 2023年度と2022年度の比較
減損資産総額は、7,600万ドル(+5%)増加した。これは、条件緩和住宅ローンの与信枠の増加に起因するオーストラリ
ア・リテール部門での増加(1億3,000万ドル)および単一顧客の複数の有担保エクスポージャーの格下げに起因する法人部
門での増加(1億3,700万ドル)に牽引された。この増加は、格下げの件数減少によるオーストラリア商業部門での減少(-
1億1,200万ドル)および条件緩和エクスポージャーの格上げによるパシフィック部門での減少(-1億800万ドル)により一
部相殺された。
当グループの減損資産に対する個別評価引当金のカバレッジ比率は、2023年9月30日現在で24.7%(2022年9月30日現在で
37.5%)であった。
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新規減損資産
期末現在
2023 年 2022 年
9月終了 9月終了
新規減損資産 ( 百万ドル)
(1)
減損貸付金 1,032 798
(2)
条件緩和債権 284 412
(1)
不良資産を裏付けとする契約債務および偶発債務 51 28
新規減損資産合計 1,367 1,238
部門別新規減損資産
オーストラリア・リテール 497 481
オーストラリア商業 186 300
法人 525 241
ニュージーランド 148 85
パシフィック 11 131
新規減損資産合計 1,367 1,238
注:(1) 減損貸付金ならびに不良債権を裏付けとする契約債務および偶発債務は、90日超延滞している無担保リテール・エク
スポージャーおよび不履行が発生しているが十分な担保を供されるエクスポージャーからなる、一括評価されたス
テージ3のECLであるエクスポージャーを含んでいない。
(2) 条件緩和債権とは、当初の契約条件が顧客の財政的困難に関連する理由により修正され、ステージ3のECLについて一
括評価されたファシリティである。条件緩和は、利息、元本その他法律上期限が到来した支払いの削減、または同様
のリスクの新規ファシリティに対して一般的に提供される満期を大幅に超える延長からなる。
・ 2023年度と2022年度の比較
新規減損資産は、1億2,900万ドル(+10%)増加した。これは、単一顧客の複数の有担保エクスポージャーの格下げに起
因する法人部門での増加(+2億8,400万ドル)およびリテール・ポートフォリオにおける支払延滞の増加に起因するニュー
ジーランド部門での増加(+6,300万ドル)に牽引された。この増加は、過年度の条件緩和の増加によるパシフィック部門で
の減少(-1億2,000万ドル)および支払延滞が依然として低調に推移しているオーストラリア商業部門での減少(-1億
1,400万ドル)により一部相殺された。
延滞しているが減損していない正味貸付金および前渡金の期間分析
2023 年 度 2022 年 度
(百万ドル)
1~29日 7,223 5,322
30 ~59日 1,809 1,243
60 ~89日 1,146 598
90 日以上 2,841 2,402
合計 13,019 9,565
・ 2023年度と2022年度の比較
延滞しているが減損していない正味貸付金および前渡金は、34億5,400万ドル(36%)増加した。期間分析のすべての区分
での増加は、主にオーストラリア・リテール部門およびニュージーランド部門における住宅ローン・ポートフォリオによる
ものであった。
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(5) 法人税費用
年度
2023 年 2022 年
9月終了 9月終了
( 百万ドル)
法人税費用 2,941 2,940
実効税率 29.0 % 29.2 %
オーストラリア法人税率 30.0 % 30.0 %
・ 2023年度と2022年度の比較
実効税率は、29.2%から29.0%へと減少した。20ベーシス・ポイントの減少は、海外配当金に対する源泉徴収税費用の減
少(-113ベーシス・ポイント)、事業の売却/閉鎖による損金不算入損失(純額)の減少(-38ベーシス・ポイント)、より
低い税率が適用されるオフショア利益の増加(-34ベーシス・ポイント)および持分法利益の増加(-15ベーシス・ポイン
ト)によるものであった。これは、過年度のワールドライン・パートナーシップの取引完了による非課税利益(120ベーシ
ス・ポイント)、転換型金融商品に対する損金不算入利息の増加(42ベーシス・ポイント)および過去の期間の調整額の減
少(29ベーシス・ポイント)により一部相殺された。
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E. 要約貸借対照表情報
期末現在
2023 年 2022 年
9月終了 9月終了
(十億ドル)
資産
現金および現金同等物/ANZの未収決済残高/支払担保 186.1 185.6
売買目的資産および投資有価証券 134.0 121.4
デリバティブ金融商品 60.4 90.2
正味貸付金および前渡金 707.7 672.4
その他 17.8 16.0
資産合計 1,106.0 1,085.6
負債
ANZ の未払決済残高/受取担保 29.7 30.0
預金およびその他の借入金 815.2 797.3
デリバティブ金融商品 57.5 85.1
発行済社債 116.0 93.7
その他 18.5 13.2
負債合計 1,036.9 1,019.3
株主資本合計 69.1 66.4
・ 2023年度と2022年度の比較
・ 売買目的資産および投資有価証券は、国債、準国債および短期国債の増加により126億ドル(+10%)増加した。
・ デリバティブ金融資産および負債は、市場金利の変動、ならびに決済日が到来した過去の期間の外国為替スポットポ
ジションおよびフォワードポジションにより、それぞれ298億ドル(-33%)および276億ドル(-32%)減少した。
・ 正味貸付金および前渡金は353億ドル(+5%)増加した。これは、オーストラリア・リテール部門(+216億ドル)お
よびニュージーランド部門(+30億ドル)における住宅ローンの成長、オーストラリア商業部門(+18億ドル)および
法人部門(+18億ドル)における貸付の増加、ならびに為替換算の影響によるものであった。
・ 預金およびその他の借入金は179億ドル(+2%)増加した。これは、オーストラリア・リテール部門(+148億ド
ル)、法人部門(+27億ドル)およびニュージーランド部門(+18億ドル)における顧客預金の増加、譲渡性預金の増
加(+78億ドル)、ならびに為替換算の影響によるものであった。この増加は、銀行からの預り金および買戻条件付契
約の減少(-112億ドル)ならびにコマーシャル・ペーパーの減少(-63億ドル)により一部相殺された。
・ 発行済社債は223億ドル(+24%)増加した。これは、ANZキャピタルノート8を含む優先債務および劣後債務の新規発
行によるものであった。
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F. 部門別経営成績
部門構成の詳細については、「第2 企業の概況-3 事業の内容-(4) 当グループの主な活動」を参照のこと。
部門別経営成績は継続事業ベースで報告される。
当グループは、営業セグメントの業績をIFRSに準拠していない指標である現金利益に基づき測定しており、現金利益は、当
該セグメントが内部でどのように管理されているかを示すものである。当グループは、株主に帰属する税引後利益からいくつ
かの項目を除外して現金利益を計算している。当期および過去の期間における調整は、将来の利益を通じて解消される期間差
異を表す経済ヘッジならびに収益および費用ヘッジの影響に関連している。当グループ内のセグメントにわたる部門間の取引
は、独立第三者間基準で行われ、これらのセグメントの収益および費用の一部として開示される。
部門の経営成績の表示は、2023会計年度における以下の構造の変更により影響を受けた。2022会計年度の比較情報は修正再
表示されている。
・ 非銀行事業 - オーストラリア商業部門および法人部門で保有されていた非銀行事業をグループ・センター部門に移行
し、その後本再編の一貫として処分された。
・ 顧客のセグメント変更
- ニュージーランド部門内で一部の顧客をパーソナルからビジネスおよび農業に移行した。
- 一部の企業および不動産金融の顧客をニュージーランド部門から法人部門に移行した。
・ 費用の再配分 - 一部の費用をオーストラリア・リテール部門、オーストラリア商業部門、法人部門およびグループ・
センター部門にわたり再配分した。
上記を除き、他の重要な変更はなかった。報告対象部門は、最高意思決定者である最高経営責任者に提供された内部報告と
一致している。
オーストラ
リア・リ オーストラ ニュージー パシフィッ グループ・ グループ
テール リア商業 法人 ランド ク センター 合計
2023 会計年度 (百万ドル)
純利息収益 5,716 3,224 4,040 3,149 123 323 16,575
受取手数料純額 546 322 685 398 19 (24) 1,946
保険事業収入純額 89 - - - - - 89
(1)(2)(3)
16 43 2,009 11 66 (80) 2,065
その他収入
関連会社投資の持分利益/
- - - - - 225 225
(損失)
(1)(2)(3)
6, 367 3,589 6,734 3,558 208 444 20,900
営業収入
営業費用 (3,542) (1,423) (2,708) (1,291) (145) (978) (10,087)
貸倒引当金繰入および
2,825 2,166 4,026 2,267 63 (534) 10,813
(3)
法人税控除前現金利益
貸倒引当金(繰入)/戻入 (135) (107) 80 (112) 28 1 (245)
(3)
2,690 2,059 4,106 2,155 91 (533) 10,568
税引前利益
法人税および
(816) (619) (1,143) (603) (20) 105 (3,096)
(1)(2)(3)
非支配持分
継続事業による現金利益/
1,874 1,440 2,963 1,552 71 (428) 7,472
(3)
(損失)
非継続事業による現金利
-
益/(損失)
(3)
7,472
現金利益/(損失)
(1)(3)
(217)
経済ヘッジ
(2)(3)
(90)
収益および費用ヘッジ
株主に帰属する税引後利益 7,165
財政状態
外部資産合計 315,184 61,916 538,827 125,178 3,391 61,545 1,106,041
外部負債合計 168,866 119,341 452,779 122,924 3,862 169,155 1,036,927
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注:(1) 経済ヘッジに関する現金利益の調整は、法人部門、ニュージーランド部門およびグループ・センター部門に適用さ
れ、3億500万ドルの損失をその他営業収入で認識し、8,800万ドルのベネフィットを法人税費用で認識した。
( 2) 収益および費用ヘッジに関する現金利益の調整は、グループ・センター部門に適用され、1億2,900万ドルの損失をそ
の他営業収入で認識し、3,900万ドルのベネフィットを法人税費用で認識した。
(3) 営業 セグメントの継続的な業績に不可欠といえない項目は、営業セグメントから除外されている。こうして導かれる営
業セグメント別の利益を現金利益といい、これは当該セグメントが内部でどのように管理されているかを示すIFRSに
準拠していない指標である。
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オーストラ
リア・リ オーストラ ニュージー パシフィッ グループ・ グループ
テール リア商業 法人 ランド ク センター 合計
2022 会計年度 (百万ドル)
純利息収益 5,527 2,568 3,697 2,871 96 115 14,874
受取手数料純額 477 404 648 428 26 (11) 1,972
保険事業収入純額 140 - - - - - 140
(1)(2)(3)
5 258 1,003 32 42 44 1,384
その他収入
関連会社投資の持分利益/
- - - - - 177 177
(損失)
(1)(2)(3)
6,149 3,230 5,348 3,331 164 325 18,547
営業収入
営業費用 (3,397) (1,301) (2,566) (1,273) (153) (889) (9,579)
貸倒引当金繰入および
2,752 1,929 2,782 2,058 11 (564) 8,968
(3)
法人税控除前現金利益
貸倒引当金(繰入)/戻入 129 133 27 (45) 6 (18) 232
(3)
2,881 2,062 2,809 2,013 17 (582) 9,200
税引前利益
法人税および
(872) (511) (872) (564) (8) 142 (2,685)
(1)(2)(3)
非支配持分
継続事業による現金利益
2,009 1,551 1,937 1,449 9 (440) 6,515
(3)
/(損失)
非継続事業による現金利
(19)
益/(損失)
(3)
6,496
現金利益/(損失)
(1)(3)
569
経済ヘッジ
(2)(3)
54
収益および費用ヘッジ
株主に帰属する税引後利益 7,119
財政状態
外部資産合計 292,876 59,983 544,066 116,218 3,707 68,879 1,085,729
外部負債合計 153,494 118,355 473,114 115,263 4,065 155,037 1,019,328
注:(1) 経済ヘッジに関する現金利益の調整は、法人部門、ニュージーランド部門およびグループ・センター部門に適用さ
れ、2022会計年度において8億200万ドルの利益をその他営業収入で認識し、2億3,300万ドルの費用を法人税費用で
認識した。
( 2) 収益および費用ヘッジに関する現金利益の調整は、グループ・センター部門に適用され、2022会計年度において7,700
万ドルの利益をその他営業収入で認識し、2,300万ドルの費用を法人税費用で認識した。
(3) 営業セグメントの継続的な業績に不可欠といえない項目は、営業セグメントから除外されている。こうして導かれる
営業セグメント別の利益を現金利益といい、これは当該セグメントが内部でどのように管理されているかを示すIFRS
に準拠していない指標である。
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(1) オーストラリア・リテール部門
年度
2023 年 2022 年
9月終了 9月終了
オーストラリア・リテール部門
( 百万ドル)
純利息収益 5,716 5,527
その他営業収入 651 622
営業収入 6,367 6,149
営業費用 (3,542) (3,397)
貸倒引当金繰入および法人税控除前現金利益 2,825 2,752
貸倒引当金(繰入)/戻入 (135) 129
税引前現金利益 2,690 2,881
法人税および非支配持分 (816) (872)
現金利益 1,874 2,009
貸借対照表
正味貸付金および前渡金 312,249 290,322
その他外部資産 2,935 2,554
外部資産 315,184 292,876
顧客預金 164,786 149,953
その他外部負債 4,080 3,541
外部負債 168,866 153,494
リスク加重資産 127,673 125,517
(1)
302,203 286,270
貸付金および前渡金の総額の平均残高
(1)
156,099 145,794
預金およびその他の借入金平均残高
比率
平均資産利益率 0.62% 0.70%
純預貸利鞘 2.22% 2.25%
営業収入に対する営業費用 55.6% 55.2%
資産平均残高に対する営業費用 1.16% 1.18%
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) 80 40
貸付金および前渡金の総額(GLA)の平均残高に対する
0.03% 0.01%
(2)
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入)の割合
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) 55 (169)
GLA の平均残高に対する
0.02% (0.06%)
(2)
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入)の割合
減損資産総額 520 390
GLA に対する減損資産総額の割合 0.17% 0.13%
フルタイム換算従業員数合計 11,313 11,107
注:(1) 平均残高は主として日次平均を用いて計算されている。
(2) 割合計算に用いた貸倒引当金繰入/(戻入)は、貸付金および前渡金の総額ならびにオフ・バランスシートのコミッ
トメント-未実行債務および偶発債務に関係する。
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2023 年度と2022年度の比較
現金利益は1億3,500万ドル(-7%)減少した。
業績に影響を与えた主な要因は以下のとおりである。
・ 貸付高は、住宅ローンの成長を要因として増加したが、これは、無担保貸付の減少により一部相殺された。
・ 純預貸利鞘は、住宅ローンの金利競争による資産マージンの縮小、利鞘の小さい定期預金へのシフトに伴う預金構成の
悪化、および資金調達コスト純額の増加を主因として3ベーシス・ポイント減少した。これは、金利上昇環境下での預
金マージンの改善、利鞘の大きい変動金利住宅ローンへのシフトに伴う貸付構成の好転、ならびに複製ポートフォリオ
の利益の向上により一部相殺された。
・ その他営業収入は、消費支出の増加を反映したカード収入の増加、ならびにブレークフリー・パッケージへの移行に係
る手数料免除の終了に伴う住宅ローンオフセット口座手数料および年間カード手数料の増収を要因として、2,900万ドル
(+5%)増加した。これは、保険関連収入の減少により一部相殺された。
・ 営業費用は、 インフレの影響、ANZプラスなどの戦略活動に関する費用の増加および組織再編費用の増加を要因として1
億4,500万ドル(+4%)増加した。これは、生産性向上イニシアチブおよび投資の優先順位の見直しにより一部相殺さ
れた 。
・ 貸倒引当金戻入は、一括評価引当金戻入の増加、ならびに戻入および回収の減少による個別評価引当金の増加を要因と
して2億6,400万ドル増加した。
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(2) オーストラリア商業部門
年度
2023 年 2022 年
9月終了 9月終了
オーストラリア商業部門
(百万ドル)
純利息収益 3,224 2,568
その他営業収入 365 662
営業収入 3,589 3,230
営業費用 (1,423) (1,301)
貸倒引当金繰入および法人税控除前現金利益 2,166 1,929
貸倒引当金(繰入)/戻入 (107) 133
税引前現金利益 2,059 2,062
法人税および非支配持分 (619) (511)
現金利益 1,440 1,551
貸借対照表
正味貸付金および前渡金 61,557 59,727
その他外部資産 359 256
外部資産 61,916 59,983
顧客預金 113,408 112,195
その他外部負債 5,933 6,160
外部負債 119,341 118,355
リスク加重資産 47,497 54,043
(1)
61,283 59,120
貸付金および前渡金の総額の平均残高
(1)
112,821 115,097
預金およびその他の借入金平均残高
比率
平均資産利益率 1.21% 1.27%
(2)
2.70% 2.10%
純預貸利鞘
営業収入に対する営業費用 39.6% 40.3%
資産平均残高に対する営業費用 1.19% 1.07%
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) 42 37
貸付金および前渡金の総額(GLA)の平均残高に対する
0.07% 0.06%
(3)
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入)の割合
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) 65 (170)
GLA の平均残高に対する
0.11% (0.29%)
(3)
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入)の割合
減損資産総額 248 360
GLA に対する減損資産総額の割合 0.40% 0.59%
フルタイム換算従業員数合計 3,514 3,551
注:(1) 平均残高は主として日次平均を用いて計算されている。
(2) オーストラリア 商業部門は、保有する余剰預金によるプラスの純利息収益を生成している。したがって、2023会計年
度における584億ドルの平均預金額(2022会計年度:634億ドル)は、内部経営報告の見解と一致させるため、純預貸
利鞘の計算のための利付資産平均残高に含まれている。
(3) 割合計算に用いた貸倒引当金繰入/(戻入)は、貸付金および前渡金の総額ならびにオフ・バランスシートのコミッ
トメント-未実行債務および偶発債務に関係する。
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2023 年度と2022年度の比較
現金利益は1億1,100万ドル(-7%)減少した。
業績に影響を与えた主な要因は以下のとおりである。
・ 貸付高は、SMEおよびスペシャリスト事業貸付の成長を要因として増加したが、これは、投融資事業の売却およびアセッ
ト・ファイナンスの自然減を要因とするセントラル・ファンクションの貸付高の減少により一部相殺された。
・ 純預貸利鞘は、金利上昇環境下での預金マージンの改善、ならびに資本ポートフォリオおよび複製ポートフォリオの利
益の向上を要因として60ベーシス・ポイント増加した。これは、利鞘の小さい定期預金へのシフトに伴う預金構成の悪
化、資金調達コスト純額の増加、および競争圧力による資産マージンの縮小により一部相殺された。
・ その他営業収入は、前年にANZワールドライン・パートナーシップ関連の売却益があったこと、および事業売却後の収入
が減少したことを要因として2億9,700万ドル(-45%)減少した。これは、前年にフィナンシャル・プランニング・ア
ドバイス事業の売却損があったこと、および商業支出の増加を反映してカード収入が増加したことにより一部相殺され
た。
・ 営業費用は、 インフレの影響、戦略活動に関する費用の増加よび組織再編費用の増加を要因として1億2,200万ドル(+
9%)増加した 。 これは、事業売却後の費用の減少および生産性向上イニシアチブにより一部相殺された。
・ 貸倒引当金戻入は、一括評価引当金の増加および個別評価引当金繰入の増加を要因として2億4,000万ドル増加した。
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(3) 法人部門
年度
法人部門
2023 年 2022 年
9月終了 9月終了
(百万ドル)
純利息収益 4,040 3,697
その他営業収入 2,694 1,651
営業収入 6,734 5,348
営業費用 (2,708) (2,566)
貸倒引当金繰入および法人税控除前現金利益 4,026 2,782
貸倒引当金(繰入)/戻入 80 27
税引前現金利益 4,106 2,809
法人税および非支配持分 (1,143) (872)
現金利益 2,963 1,937
構成:
トランザクション・バンキング 1,078 659
コーポレート・ファイナンス 1,288 1,112
マーケッツ 716 321
セントラル・ファンクション (119) (155)
現金利益 2,963 1,937
貸借対照表
正味貸付金および前渡金 210,234 207,241
その他外部資産 328,593 336,825
外部資産 538,827 544,066
顧客預金 266,462 262,534
その他外部負債 186,317 210,580
外部負債 452,779 473,114
リスク加重資産 175,247 208,119
(1)
210,900 190,059
貸付金および前渡金の総額の平均残高
(1)
355,748 334,104
預金およびその他借入金平均残高
比率
平均資産利益率 0.55% 0.39%
純預貸利鞘 0.89% 0.90%
純預貸利鞘(マーケッツ事業ユニットを除く) 2.31% 1.93%
営業収入に対する営業費用 40.2% 48.0%
資産平均残高に対する営業費用 0.50% 0.52%
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) (49) (14)
貸付金および前渡金の総額(GLA)の平均残高に対する
(0.02%) (0.01%)
(2)
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入)の割合
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) (31) (13)
GLA の平均残高に対する
(0.01%) (0.01%)
(2)
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入)の割合
減損資産総額 562 425
GLA に対する減損資産総額の割合 0.27% 0.20%
フルタイム換算従業員数合計 6,412 6,316
注:(1) 平均残高は主として日次平均を用いて計算されている。
(2) 割合計算に用いた貸倒引当金繰入/(戻入)は、貸付金および前渡金の総額ならびにオフ・バランスシートのコミッ
トメント-未実行債務および偶発債務に関係する。
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オーストラリア・ニュージーランド銀行(E05961)
有価証券報告書
2023 年度と2022年度の比較
現金利益は10億2,600万ドル(+53%)増加した。
業績に影響を与えた主な要因は以下のとおりである。
・ 貸付高は、マーケッツの収支の向上をトランザクション・バンキングの取扱高の減少が相殺した結果、前年並みであっ
た。
・ 純利息利鞘(マーケッツを除く。)は、金利上昇環境下での預金マージンの改善、ならびに資本ポートフォリオおよび
複製ポートフォリオの利益の向上を要因として38ベーシス・ポイント増加した。
・ その他営業収入は、顧客活動の増加および取引条件の好転によるマーケッツの増収を主要因として10億4,300万ドル
(+63%)増加した。
・ 営業費用は、インフレの影響および戦略活動に関する費用の増加を要因として1億4,200万ドル(+6%)増加したが、
これは、生産性向上イニシアチブにより一部相殺された。
・ 貸倒引当金戻入は、一括評価貸倒引当金の戻入、および単一エクスポージャーの戻入に伴う個別評価貸倒引当金の戻入
を要因として5,300万ドル増加した。
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(4) ニュージーランド部門
以下は、「ニュージーランド部門に関するニュージーランドドル建の表」である。
豪ドル建ての経営成績は、後掲の「ニュージーランド部門に関する豪ドル建の表」に示す。
年度
2023 年 2022 年
9月終了 9月終了
ニュージーランド部門
(百万ニュージーランドドル)
純利息収益 3,415 3,108
その他営業収入 443 497
営業収入 3,858 3,605
営業費用 (1,399) (1,377)
貸倒引当金繰入および法人税控除前現金利益 2,459 2,228
貸倒引当金(繰入)/戻入 (122) (49)
税引前現金利益 2,337 2,179
法人税および非支配持分 (655) (611)
現金利益 1,682 1,568
構成:
パーソナル 1,121 1,001
ビジネスおよび農業 558 545
セントラル・ファンクション 3 22
現金利益 1,682 1,568
貸借対照表
正味貸付金および前渡金 130,868 128,574
その他外部資産 3,603 3,326
外部資産 134,471 131,900
顧客預金 106,431 104,450
その他外部負債 25,619 26,366
外部負債 132,050 130,816
リスク加重資産 76,196 65,482
(1)
129,656 125,937
貸付金および前渡金の総額の平均残高
(1)
110,940 109,689
預金およびその他借入金平均残高
資産運用収入純額 194 196
運用資産 37,108 34,313
運用資産平均残高 36,681 37,129
比率
平均資産利益率 1.27% 1.21%
純預貸利鞘 2.64% 2.47%
営業収入に対する営業費用 36.3% 38.2%
資産平均残高に対する営業費用 1.05% 1.07%
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入) 29 (18)
貸付金および前渡金の総額(GLA)の平均残高に対する
0.02% (0.01%)
(2)
個別評価貸倒引当金繰入/(戻入)の割合
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入) 93 67
GLA の平均残高に対する
0.07% 0.05%
(2)
一括評価貸倒引当金繰入/(戻入)の割合
減損資産総額 131 106
GLA に対する減損資産総額の割合 0.10% 0.08%
フルタイム換算従業員数合計 6,766 6,793
注:(1) 平均残高は主として日次平均を用いて計算されている。
(2) 割合計算に用いた貸倒引当金繰入/(戻入)は、貸付金および前渡金の総額ならびにオフ・バランスシートのコミッ
トメント-未実行債務および偶発債務に関係する。
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2023 年度と2022年度の比較
現金利益は1億1,400万ニュージーランドドル(+7%)増加した。
業績に影響を与えた主な要因は以下のとおりである。
・ 貸付高は、住宅ローンの成長を要因として増加したが、これは、事業貸付の減少により一部相殺された。
・ 純預貸利鞘は、金利上昇環境下での預金マージンの改善を要因として17ベーシス・ポイント増加した。これは、住宅
ローンの金利競争による資産マージンの縮小、および利鞘の小さい定期預金へのシフトに伴う預金構成の悪化により一
部相殺された。
・ その他営業収入は、2022会計年度に政府証券の売却益があったこと、および2022年11月に実施された規制変更に伴い
カード収入が減少したことを要因として5,400万ニュージーランドドル(-11%)減少した。
・ 営業費用は、インフレ圧力および前年に顧客救済引当金の戻入があったことを要因として2,200万ニュージーランドドル
(+2%)増加した。
・ 貸倒引当金繰入は、一括評価貸倒引当金の増加、ならびに戻入および回収の減少に伴う個別評価貸倒引当金の増加を要
因として7,300万ニュージーランドドル増加した。
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以下は、「ニュージーランド部門に関する豪ドル建の表」である。
ニュージーランドドル建の経営成績は、前掲「ニュージーランド部門に関するニュージーランドドル建の表」に示す。
年度
2023 年 2022 年
9月終了 9月終了
ニュージーランド部門
(百万ドル)
純利息収益 3,149 2,871
その他営業収入 409 460
営業収入 3,558 3,331
営業費用 (1,291) (1,273)
貸倒引当金繰入および法人税控除前現金利益 2,267 2,058
貸倒引当金(繰入)/戻入 (112) (45)
税引前現金利益 2,155 2,013
法人税および非支配持分 (603) (564)
現金利益 1,552 1,449
構成:
パーソナル 1,033 925
ビジネスおよび農業 515 505
セントラル・ファンクション 4 19
現金利益 1,552 1,449
貸借対照表
正味貸付金および前渡金 121,824 113,288
その他外部資産 3,354 2,930
外部資産 125,178 116,218
顧客預金 99,076 92,032
その他外部負債 23,848 23,231
外部負債 122,924 115,263
リスク加重資産 70,930 57,696
(1)
119,554 116,369
貸付金および前渡金の総額の平均残高
(1)
102,296 101,355
預金およびその他借入金平均残高
資産運用収入純額 179 182
運用資産 34,545 30,234
運用資産平均残高 33,823 34,309
比率
平均資産利益率 1.27% 1.21%
純預貸利鞘 2.64% 2.47%
営業収入に対する営業費用 36.3% 38.2%
資産平均残高に対する営業費用 1.05% 1.07%
個別評価 貸倒 引当金繰入/(戻入) 26 (16)
貸付金および前渡金の総額(GLA)の平均残高に対する
0.02% (0.01%)
(2)
個別評価 貸倒 引当金繰入/(戻入) の割合
一括評価 貸倒 引当金繰入/(戻入) 86 61
GLA の平均残高に対する
0.07% 0.05%
(2)
一括評価 貸倒 引当金繰入/(戻入) の割合
減損資産総額 122 93
GLA に対する減損資産総額の割合 0.10% 0.08%
フルタイム換算従業員数合計 6,766 6,793
注:(1) 平均残高は主として日次平均を用いて計算されている。
(2) 割合計算に用いた貸倒引当金繰入/(戻入)は、貸付金および前渡金の総額ならびにオフ・バランスシートの コミッ
トメント -未実行債務および偶発債務に関係する。
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G.流動性および資本資源
(1) 流動性
平均
2023 年度 2022 年度
(1)
268.3 241.7
流動資産合計(十億ドル)
(1)
130% 131%
流動性カバレッジ比率(LCR)
注:(1) APRA健全性基準(APS第210号「流動性」)で規定され、APS第330号の要件に沿って計算された通年平均。
当グループは、深刻なストレス下の環境における当グループの流動性ポジションを保護し、かつ規制上の要件を満たすた
め、高品質な、処分に制約のない流動資産のポートフォリオを保有している。高品質な流動資産は、バーゼル3LCRと整合性の
ある定義による3つのカテゴリーからなる。
・ 最も高品質な流動資産:現金、当日中に流動性を提供する中央銀行との買戻し契約に適格な、信用の質が最も高い政
府、中央銀行または公的部門証券
・ 高品質な流動資産:当日中に流動性を提供する中央銀行との買戻し契約に適格な、信用の質の高い政府、中央銀行また
は公的部門証券、質の高い企業債務証券および質の高いカバード・ボンド
・ 代替流動資産:CLF(流動性供給枠)の担保として適格な、RBNZにより列挙されたその他の適格証券および資産
当グループは、流動資産ポートフォリオの規模および構成が規制上の要件およびANZBGLの取締役会が定めたリスク選好に
沿っているよう、継続的に監視および管理を行っている。
LCR (流動性カバレッジレシオ)は当期通年で規制上の最低基準である100%を上回っていた。
(2) 資金調達
当グループは、投資家種別、満期、調達市場および通貨ごとに過度な集中を避け、分散化した資金調達基盤を目標とする。
2023 会計年度において、当グループは、2023年9月30日現在で残存期間が1年超の期限付ホールセール資金調達399億ドル
(うち30億ドルは2024会計年度資金の事前調達分)および15億ドルのその他Tier1資本を発行した。
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下表は当グループの資金調達合計の構成を示す。
9月30日現在
2023 年 2022 年
(十億ドル)
顧客預金その他債務
オーストラリア・リテール 164.8 150.0
オーストラリア商業 113.4 112.2
法人 266.5 262.5
ニュージーランド 99.1 92.0
パシフィック 3.7 3.8
グループ・センター (0.1) (0.1)
顧客預金 647.4 620.4
(1)
11.7 8.0
その他の資金調達債務
顧客債務(資金調達)合計 659.1 628.4
ホールセール資金調達
(2)
94.0 89.0
非劣後債務および中央銀行のターム資金供給
(3)
33.7 27.3
劣後債
譲渡性預金 41.9 34.0
コマーシャル・ペーパー 33.3 39.2
(4)
113.9 110.8
その他のホールセール借入金
ホールセール資金調達合計 316.8 300.3
株主資本 69.1 66.4
資金調達合計 1,045.0 995.1
注:(1) 未払利息、未払債務およびその他債務、引当金および税引後引当金を含み、支払承諾債務は正味の資金を提供しない
ため除外する。
(2) RBA TFF の81億ドル(2022年度末現在:201億ドル)、RBNZ FLPの32億ドル(2022年度末現在:23億ドル)およびTLFの
3億ドル(2022年度末現在:3億ドル)を含む。
(3) RBNZ の要件に基づくTier2資本を構成するがAPRAのTier2要件を満たさない、ANZバンク・ニュージーランドが発行し
た劣後債、およびAPRAの自己資本フレームワークに基づき、2022年1月1日よりバーゼル3の移行措置が適用される
Tier2資本として扱われなくなった3億米ドルの永久劣後債を含む。この3億米ドルの永久劣後債は2023年10月31日
に償還された。
(4) 銀行借入金、買戻し契約に基づき売却された有価証券、デリバティブの正味残高、特別目的会社およびその他借入金
を含む。
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期限付債務の期日構成
以下に開示する金額は、当グループが期限付資金調達プログラムに基づき発行した期限付債務の元本残高、ならびにRBAの
TFF、ならびにRBNZのTLFおよびFLPに基づき2023年9月30日までに引出可能な元本残高を表している。疑義回避のため付言すれ
ば、この構成表はコマーシャル・ペーパーの発行および当グループの長期プログラムに基づく短期発行を含まず、またその金
額は金利キャッシュ・フローを含まない。この期日構成表の目的上、外貨建の期限付債務は、2023年9月29日現在の直物為替
レートを用いて豪ドルに換算されている。
28 年度
(1)
24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 28 年度 より先 合計
契約上の満期
(十億ドル)
非劣後債務および中央銀行の
25,208 23,849 20,223 5,268 11,903 4,396 90,847
(2)
ターム資金調達
(3)
3,451 3,569 6,508 3,364 3,467 6,942 27,301
劣後債務
合計 28,659 27,418 26,731 8,632 15,370 11,338 118,148
注:(1) 期日構成表は、関連する9月30日終了会計年度に満期を迎える期限付債務の金額の合計を表示している。2024年9月
30日終了会計年度(「24年度」)の満期は、2023年10月1日から2024年9月30日までの期間に満期を迎える期限付債
務に対応する。
(2) 貸借対照表の「預金およびその他の借入金」に含まれる譲渡性預金証書、RBAのTFFならびにRBNZのTLFおよびFLPの引
出可能額を含む。
(3) 永久劣後債の期日構成はすべて、次回の繰上償還可能日に基づいて表示されている。その他Tier1資本は期日構成表
から除外している。
2023 年9月30日現在の所要安定資金調達額(「RSF」)の大半は、RSF合計の49%(2023年度:49%)が住宅モーゲージおよ
び29%(2022年度:32%)が非金融機関の顧客に対する貸付によるものであった。
2023 年9月30日現在の利用可能な安定資金調達額(「ASF」)の主な供給源は、ASF合計の48%(2022年度:48%)がリテー
ルおよび中小企業顧客預金、28%(2022年度:27%)がその他のホールセール資金調達(ターム資金供給ファシリティを含
む。)、および16%(2022年度:16%)が自己資本であった。
これらの資金は、2023年度の最新報告期間については当グループの2023年9月30日現在の年次財務書類に記載のとおり、当
グループの事業戦略およびリスク選好と整合しており、適用ある規制上の要件に従った方法により一般事業目的のために当グ
ループが配分および使用する。
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(3) 自己資本管理
9月30日現在
APRA APRA
自己資本改革 バーゼル3
適格資本 2023 年 2022 年
(百万ドル)
Tier 1
株主資本および非支配持分 69,114 66,401
株主資本への適正資本調整 (425) (175)
普通株式等Tier1総資本 68,689 66,226
控除 (10,895) (10,354)
普通株式等Tier1資本 57,794 55,872
その他Tier1資本 8,232 7,686
Tier 1資本 66,026 63,558
Tier 2資本 24,959 19,277
適格資本合計 90,985 82,835
自己資本比率(レベル2)
普通株式等Tier1 13.3% 12.3%
Tier 1 15.2% 14.0%
Tier 2 5.8% 4.2%
自己資本比率合計 21.0% 18.2%
リスク加重資産 433,327 454,718
APRA の自己資本改革
APRA は、オーストラリアで設立された登録銀行に適用される新たな銀行自己資本要件を公表した。これは、APRAの銀行健全
性基準に関する文書に記載されている。当グループは、2023年1月1日からこれらの新しい要件を実施している。
新しい自己資本充実度の重要な要件には、以下を含む改革の主な特徴を有する、APS第110号「自己資本比率」(「APS第110
号」)、APS第112号「自己資本充実:信用リスクに対する標準的手法」(「APS第112号」)およびAPS第113号「自己資本充
実:信用リスクに対する内部格付手法(「APS第113号」)の変更が含まれる。
・ ストレス期間中の貸付を支援するために銀行が使用できるより高い資本バッファーを通じて、自己資本フレームワーク
の柔軟性を向上させる。
・ 高リスクの貸付に対しては自己資本要件を引き上げ、低リスクの貸付についてはそれを引き下げることにより、リスク
感応度の高いリスク加重を通じてリスク加重資産(「RWA」)を変更する。
・ モーゲージ・ポートフォリオについて、内部格付手法(「IRB」)の適用が認められたLGDモデルの使用の承認を含み、
デフォルト時損失率(「LGD」)を変更する。
・ IRBスケーリング・ファクターを引き上げる(1.06倍から1.1倍)。
・ IRBを用いるADIに対して標準アプローチに基づく計算および開示を義務付け、72.5%の標準的RWAの自己資本最低水準を
導入する。
・ レベル2の所要自己資本を計算するため、所定のニュージーランド当局の同等の健全性規則を使用する。
加えて、オペレーショナルRWAは現在、2022年12月から従前の先進的手法に代わるAPS第115号「自己資本充実:オペレーショ
ナル・リスクに対する標準的測定手法」(「APS第115号」)に基づいて計算されている。
APRA の自己資本改革の導入により、RWAは345億ドル減少し、この減少はCET1比率においては100ベーシス・ポイントのベネ
フィットに相当する。問題なく強固という水準を維持するためにより高い自己資本比率でADIを運営させるというAPRAの思惑に
より、この減少は一部相殺された。
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2023 年度と2022年度の比較
当グループのCET1比率は、2023会計年度に+105ベーシス・ポイント上昇して13.34%となった。CET1比率の変動の主な要因
は以下のとおりである。
・ APRAの自己資本改革の影響。これには、APS第115号の適用によりCET1比率が+100ベーシス・ポイント上昇した変動が含
まれる。
・ 法定利益(レベル2)が、CET1比率を+165ベーシス・ポイント上昇させた。
・ 基礎となる信用RWAの利用増加(為替換算変動、規制上の変更およびその他の一時的要因の影響を除く。)により、CET
1比率が-23ベーシス・ポイント低下した。この低下は主に、オーストラリア・リテール部門および法人部門の貸付の伸
び、ならびに市場リスクRWAの増加に牽引され、これはIRRBB(銀行勘定金利リスク)の低下により一部相殺された。
・ 2022年度期末配当の支払い(ボーナス・オプション制度(「BOP」)による発行分および配当金再投資制度(「DRP」)
による発行分を除く。)および2023年度中間配当金(BOPによるものを除く。)の支払いにより、CET1比率は-103ベー
シス・ポイント低下した。
・ 主に資本計上された費用に起因する資本控除の増加、および2023年1月の本再編の一環である余剰資本のANZGHLへの移
転により、CET1比率が-25ベーシス・ポイント低下した。
・ その他としては、合計-9ベーシス・ポイントの影響があったが、これは主に賦課純額およびその他の項目純額に起因す
るものであり、これは自己資本改革の取組みの成果により一部相殺された。
2023 年9月の見積りCET1比率は12.09%であり、これには以下の見積調整が含まれる。
・ サンコープ・バンクの買収につき、-128ベーシス・ポイント
・ ANZGHLが保有し、必要に応じてANZBGLが利用可能なNOHCの余剰資本につき、+3ベーシス・ポイント
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(4) レバレッジ比率
2023 年9月30日現在、当グループのAPRAのレバレッジ比率は5.4%で、ANZ銀行グループを含む内部格付手法を選択している
ADIに関するAPRAの最低基準3.5%を上回っている。下表は、当グループのレバレッジ比率計算の要約である。
9月30日現在
APRA
APRA
自己資本改革
バーゼル3
2023 年 2022 年
(百万ドル)
Tier 1資本 (資本控除を除く)
66,026 63,558
オン・バランスシートのエクスポージャー(デリバティブ
984,663 954,088
および証券金融取引のエクスポージャーを除く)
デリバティブのエクスポージャー 51,008 51,800
証券金融取引のエクスポージャー 50,747 35,570
その他のオフ・バランスシートのエクスポージャー 138,301 126,853
エクスポージャー測定額合計 1,224,719 1,168,311
APRA レバレッジ比率 5.4% 5.4%
2023 年度と2022年度の比較
APRA のレバレッジ比率は、当年度に-5ベーシス・ポイント低下した。変動の主な要因は以下のとおりである。
・ 配当支払額控除後の正味内部資本生成(主にレベル2の法定利益および資本控除変動額による。)により、レバレッジ
比率が+15ベーシス・ポイント上昇した。
・ その他Tier1資本の影響(キャピタルノート3の償還を控除したキャピタルノート8の発行分)により、レバレッジ比
率が+5ベーシス・ポイント上昇した。
・ エクスポージャーの増加(為替換算の影響を除く。)により、レバレッジ比率が-20ベーシス・ポイント低下した。これ
は、オーストラリア・リテール部門およびオーストラリア商業部門の貸付の伸びにより牽引され、流動資産の減少によ
り一部相殺された。
・ その他の正味影響として、レバレッジ比率が-5ベーシス・ポイント低下した。
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H .定義
「AASB」 ― オーストラリア会計基準審議会。「AASB」という用語は、AASBが発行したオーストラリア会計基準を特定す
るときに通常使用される。
「ADI」 ― APRAが定める公認預金受入機関
「ANZBGL」は、オーストラリア・ニュージーランド銀行(Australia and New Zealand Banking Group Limited)(オースト
ラリア会社番号(ACN) 005 357 522)を意味する。
「ANZバンク・ニュージーランド」は、ANZバンク・ニュージーランド・リミテッドを意味する。
「ANZバンク・ニュージーランド・グループ」は、ANZバンク・ニュージーランド・リミテッドおよびその各子会社を意味す
る。
「ANZ銀行グループ」は、ANZ銀行持株会社およびその各子会社(ANZBGLおよびANZバンク・ニュージーランドを含む。)を意
味する。
「ANZ銀行持株会社」は、事業を行わない中間持株会社(ANZGHLにより保有され、ANZ銀行グループを保有する。)であるANZ
BH Pty Ltd(ACN 658 939 952)を意味する。
「ANZグループ」は、再編前の文脈では当グループを、および再編後の文脈ではANZGHLおよびその子会社(ANZ銀行持株会
社、ANZBGL、ANZサービス会社およびANZ非銀行持株会社を含む。)を意味する。
「ANZGHL」は、ANZグループ・ホールディングス・リミテッド(ANZ Group Holdings Limited)(ACN 659 510 791)を意味
する。
「ANZプラス」は、専用の「ANZ Plus」アプリで利用可能なANZBGLのデジタル・バンキング・サービスである。その他の
ANZBGLのバンキング・サービスは「ANZ」アプリ、インターネット・バンキング、支店および電話で利用可能である。
「ANZ非銀行グループ」は、ANZサービス会社、ANZ非銀行持株会社ならびにANZ非銀行持株会社が保有するすべての事業およ
び団体を意味する。
「ANZ非銀行持株会社」は、事業を行わない中間持株会社(ANZGHLにより保有され、一部の非銀行子会社を保有する。)であ
るANZ NBH Pty Ltd(ACN 658 941 096)を意味する。
「ANZサービス会社」は、ANZ Group Services Pty Ltd(ACN 658 940 900)を意味する。
「APRA」 ― オーストラリア健全性規制庁
「APRAレバレッジ比率」は、APRA健全性基準APS第110号が定義する「エクスポージャー測定額」に対するTier1資本(パー
センテージ表示)である。現在リスクベースの自己資本要件に対する無リスクの補完または補強として設計され、銀行制度に
おける過度なレバレッジの積上げを制限することを狙いとする。
「APS」 ― ADIの健全性基準
「現金および現金同等物」は、硬貨、紙幣、コールマネー、中央銀行預入残高、流動性決済残高(容易に一定の金額の現金
に換金可能であり、価値変動のリスクが僅少なもの)および3か月未満の買戻し契約(リバース・レポ契約)に基づき購入さ
れた証券からなる。
「一括評価の予想信用損失引当金」は、ECL予想信用損失のうち、将来予測に関する情報を包含し、信用損失引当金を認識す
るにあたり損失事象の発生を要しないものである。
「供給性流動枠 (「CLF」)」は、オーストラリアにおける利用可能な高品質の流動資産(「HQLA」)の不足を補うために
RBAに設けられたファシリティであり、不測の流動性の代替形式を提供する。CLFは、RBAに担保として差入れ可能な資産(国内
住宅モーゲージ・バック証券を含む。)により担保されている。適格ADIが利用可能なCLFの総額はAPRAによって毎年設定され
る。2021年9月、APRAはADIに書面で、APRAとRBAは、ADIが流動性カバレッジ比率(LCR)の要件を満たすために十分なHQLAを
有していると認識しており、よってCLFを2023年1月1日付でゼロに減額する旨を通達した。
「当行」は、ANZBGLを意味する。
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「コロナウィルス(COVID-19)」は、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態に指定された呼吸器疾患である。COVID-19
は、2020年3月11日に世界保健機関(「WHO」)によりパンデミックと位置付けられた。2023年5月5日にWHOは、COVID-19パ
ンデミックの世界的緊急事態のステータスを解除した。
「カバード・ボンド」は、倒産隔離された特別目的事業体に移転されたADIの資産プール(カバー・プール)により担保され
た、ADIより外部の投資家向けに発行される債券である。カバー・プールを形成する主な資産はモーゲージ・ローンである。
モーゲージは発行者のバランスシートに計上される。カバード・ボンドの保有者は発行者およびカバー・プール資産という二
重のリコースを有する。カバー・プールに含まれるモーゲージは、それ以外においては担保に供することも処分することもで
きないが、プールの信用の質を維持するために買戻しおよび差替えができる。当グループは、その資金調達活動の一部として
カバード・ボンドを発行している。
「信用リスク」は、当グループの顧客および取引相手が貸付または契約上の条件を守らないまたは完全に履行できないこと
による財務的損失のリスクである。
「信用リスク加重資産(CRWA)」は、APS第112/113号に規定されているとおり、決められた公式に基づいて信用リスクで加
重された資産を表す。
「顧客預金」は、定期預金、その他有利子預金、無利子預金、および借入会社の債務を意味し、証券化預金は含まない。
「顧客救済」は、顧客に対する返金予定の引当金、救済プロジェクトの費用、ならびに顧客および規制に関する請求、罰金
および訴訟の結果を含む。
「公正価値」は、知識ある自発的な当事者間の対等な取引において資産または負債が交換されうる価額である。
「融資資金提供プログラム(「FLP」)」は、2020年11月にRBNZにより発表されニュージーランドの銀行に提供された、
ニュージーランドの企業および家計の借入コストを低減するための3年間の資金提供を表す。
「FX」は、外国為替を表す。
「総貸付金および前渡金(「GLA」)」は、貸付金および前渡金、資産計上した仲介その他の実行費用から未収収益を控除し
たものである。
「当グループ」は、ANZBGLおよびその各子会社を意味する。
「当グループのポジション」は、当グループの事業、業務、業績、レピュテーション(評判)、見通し、流動性、資本の源
泉、財務実績および財務状態を指す。
「減損資産」は、契約上の金額を全額適時に受領できるかについて懸念が存在するかまたは、顧客の財政的困難により譲許
的条項が提供されている金融資産である。
「減損貸付金」は、顧客の状態が不良債権化していると明確にされた実行済みの貸付からなる。
「個別評価貸倒引当金」は、個別的に管理されるすべての減損資産について個別の状況に応じて評価し、その際には担保
(またはその他の信用補強)の実現可能価額、清算時や倒産時の予想受取可能額、法的不確定性、回収に係る見積費用、流通
市場エクスポージャーの市価、ならびに想定される受取金および回収金の額や時期などの要素を考慮する。
「銀行勘定金利リスク(「IRRBB」)」は、当グループの将来の純利息収益に係る市場金利の変動の悪影響の可能性に関係す
る。このリスクは一般的に以下から生ずる。
1. 価格改定(リプライシング)およびイールドカーブ・リスク ― 全般的な金利水準および/またはイールドカーブ
全体にわたる金利の関連性の変動の結果としての収益または市場価値に対するリスク
2. ベーシス・リスク ― 銀行業の資産項目に適用される利鞘のボラティリティから生ずる収益または市場価値に対す
るリスク
3. オプショナリティ・リスク ― 銀行業の資産項目の独立または組込みオプションの存在から生ずる収益または市場
価値に対するリスク
「レベル1」は、APRAの監督との関連で、一定の承認された子会社を連結したANZBGLである。
「レベル2」は、APRAの監督との関連で、保険および資産運用会社、非金融営利法人ならびに一定の証券化ビークルを連結
から除いたANZ銀行グループである。
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「大手銀行税」は、オーストラリア政府が2017年7月に導入した租税を指し、当グループを含む特定の大手銀行の負債に対
して課税される。
「 純預貸利鞘」とは、平均利付資産に対する純利息収益の割合である。
「正味貸付金および前渡金」とは、総貸付金および前渡金から予想信用損失を差し引いたものである。
「正味安定資金調達比率(「NSFR」)」とは、APRAが定める所要安定調達額(「RSF」)に対する利用可能な安定調達額
(「ASF」)の比率である。利用可能な安定調達額は、1年ベースの確実な想定資金源としてオーストラリアのADIの資本およ
び負債を構成する。所要安定調達額は、ADIの資産の流動特性および残存期間ならびにオフ・バランスシート取引の関数により
定まる。ADIは少なくともNSFRの100%を維持しなければならない。
「規制上の預け金」とは、法律上の要件に従い現地の中央銀行に預ける強制的な準備預金である。
「本再編」は、事業を行わない持株会社の設立を含むANZグループの再編を意味し、ANZBGLおよび株主の間で会社法上のス
キーム・オブアレンジメントにより実施された。
「条件緩和債権」は、当初の契約条件が顧客の財政的困難に関連する理由により修正されたファシリティで構成される。条
件緩和は、利息、元本その他法律上期限が到来した支払いの削減、または同様のリスクの新規ファシリティに対して一般的に
提供される満期を大幅に超える期日延長からなる。
「平均資産利益率」とは、ANZBGL株主に帰属する利益(優先株式配当金の支払額を調整済)を平均資産合計で除した料率で
ある。
「平均普通株主資本利益率」とは、ANZBGL株主に帰属する利益(優先株式配当金の支払額を調整済)を平均普通株主資本で
除した料率である。
「リスク加重資産(「RWA」)」とは、各資産に内在するデフォルトの可能性およびデフォルトの場合にありうる損失に従
い、リスクにより加重される資産である。資産担保リスク以外の場合(すなわち、市場リスクおよびオペレーショナル・リス
ク)、RWAはこれらのリスクの資本要件に12.5を乗ずることにより決定される。
「ANZの未収決済残高/ANZの未払決済残高」は、決済される途上にある金融資産および/または金融負債である。これは取
引期限付き資産および負債、先方勘定ならびに証券決済口座を含む。
「ターム資金供給ファシリティ(「TFF」)」は、RBAが2020年3月19日に発表した、オーストラリア企業向けの低コストな
貸付を支援するための3年間の資金供給を表す。
「ターム貸付ファシリティ(「TLF」)」は、ニュージーランド企業向けの貸付を促進するためにRBNZにより2020年5月から
2021年7月まで提供される3年間から5年間の資金供給を表す。
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5【経営上の重要な契約等】
2023 年度の開始日から本書提出日までの間において、当グループが締結した重要な契約はない。ただし、当グループが実質
的に依存している、業務の通常の過程においてなされる契約を除く。
完全を期すため、以下の点に留意すること。
・ 2022年10月26日、ANZBGLとANZGHLとの間で、2023年1月3日に実施されたスキーム・オブ・アレンジメントを含む本再編
の実施に関するNOHC再編実施契約が締結された。詳細については、「第2 企業の概況-2 沿革」および「第2 企業の
概況-3 事業の内容-(1)概要」を参照のこと。
・ 要約すると、(上記の)NOHC再編実施契約は、スキーム・オブ・アレンジメントの実施を遂行するために、ANZBGLと
ANZGHLが合意した条件を定めたものであった。同契約には、実施の前提条件、日程計画ならびに規制当局の承認を取得し、
株主総会およびスキームの対価の発行など、他の必要な手続を遂行する義務が含まれていた。
6【研究開発活動】
当グループは、顧客の財務的健全性の改善という戦略に沿って、商品およびサービスの研究開発を続けている。
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第4【設備の状況】
1【設備投資等の概要】
2023 年度中、当グループはオーストラリア、ニュージーランドならびにアジア、パシフィック、ヨーロッパおよびアメリカ
における事業経営を支援するために、様々な土地建物、家具什器および技術機器を取得し、また様々な賃借物件の改良を行っ
た。2023年度中、当グループの土地建物および設備機器の追加は3億4,100万ドルであり、処分は2億3,100万ドルであった。
2023 年度中、当グループは、リテール最適化プログラムの一環として、オーストラリアで27件のリテールの賃借を終了し
た。ANZは、アデレード、ピリー・ストリート83の新たな商業用賃借契約を締結し、アデレード、ウェイマス・ストリート11か
ら退去した。また、当グループは、オーストラリアの2つのデータ・センターの売却に合意した。同取引はその後2023年6月
に決済された。
さらに、当グループはその他の無形資産に3億3,200万ドル(資産計上されたソフトウェアを含む。)を追加した。詳細につ
いては、「第6 経理の状況-1 財務書類」の2023年度財務書類の注記21を参照のこと。
2【主要な設備の状況】
当グループは、その事業目的でオーストラリア、ニュージーランド、アジア、パシフィック、ヨーロッパおよびアメリカの
各地に土地建物を自由保有および賃借している。これら土地建物は、支店および商業用管理センターを含み、2023年9月30日
現在の帳簿 価格 は15億5,000万ドル(2022年9月:15億3,100万ドル)であり、以下で構成されている。
2023 年9月30日現在 2022 年9月30日現在
所有 所有
不動産の数 (自由保有) 賃借 (自由保有) 賃借
リテール(支店網) 24 542 24 587
管理およびオペレーション・センター 2 87 3 158
居住用 12 0 14 0
合計
38 629 41 745
ポートフォリオの主な建物(自己所有および賃借)は、以下を含む。
・オーストラリア、メルボルン、コリンズ・ストリート833
・オーストラリア、メルボルン、コリンズ・ストリート839
・オーストラリア、サウス・メルボルン、ドーカス・ストリート75
・オーストラリア、シドニー、ピット・ストリート242
・ニュージーランド、ウェリントン、トーリー・ストリート49
・ニュージーランド、オークランド、アルバート・ストリート23-29
・インド、バンガロール、ヴァーター・ホブリ、キャンパス5A、RMZエコ・ワールド
・インド、バンガロール、ナガヴァラ、マナヤタ・エンバシー・ビジネス・パーク、ユカリプタス
・フィリピン、ケソン・シティ、バランガイ・バグンバヤン、E. ロドリゲス・ジュニア・アベニュー、MDC 100ビルディング
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3【設備の新設、除却等の計画】
「第2 企業の概況-3 事業の内容-(1)概要」に記載の本再編の結果、2023年度中に、一定の不動産信託がANZBGLから
ANZサービス会社へ譲渡された。譲渡日におけるこれらの不動産信託の帳簿価額は、オーストラリア、メルボルン、コリンズ・
ストリート833の土地建物の純資産価値、内部資産、未払物品・サービス税および当期税金負債で構成されていた。ANZBGLは当
該不動産資産に対する既存の賃借権を保持したため、ANZBGLの連結保有状況は所有(自由保有)から賃借へ変更された。当グ
ループの主要な設備に対する影響はない。
当グループは、定期的に世界中のリテールおよび商業部門の不動産拠点を見直し、今後の営業モデルに沿わない賃借および
自己所有不動産を除却している。
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第5【提出会社の状況】
1【株式等の状況】
(1)【株式の総数等】
①【株式の総数】
(2023年9月30日現在)
授権株数(株) 発行済株式総数(株) 未発行株式数(株)
普通株式 該当なし 3,003,366,782 該当なし
合計 該当なし 3,003,366,782 該当なし
②【発行済株式】
(2023年9月30日現在)
記名・無記名の別及び 上場金融商品取引所名又は
種類 発行数(株) 内容
額面・無額面の別 登録認可金融商品取引業協会名
普通株式(当行の定款
記名無額面 普通株式 3,003,366,782 該当なし に定める条項に基づき
発行される普通株式)
計 3,003,366,782
本再編の実施前、ANZBGLの普通株式の主たる上場証券取引所はオーストラリア証券取引所(ASX)であり、そこで値付けされ
ていた。また、ニュージーランド証券取引所(NZX)においても値付けされていた。本再編の結果、ANZBGLの普通株式はASXに
おいてもNZXにおいても上場も値付けもされていない。
(2)【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当事項なし。
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(3)【発行済株式総数及び資本金の推移】
普通株式
普通株式資本金 普通株式資本金
発行済株式 発行済株式 備考
増減額 残高
年月日 総数増減数 総数残高 (発行済株式総数
( 単位:百万ドル ( 単位:百万ドル
(株) (株) 増減の理由)
(百万円)) (百万円))
2018 年 27,205
2,873,618,118
9月30日 (2,628,547)
市場での自社株買戻しによ
り株式が買戻され消却され
-715 たが、当行のボーナス・オ
2019 年 度 -39,033,195
(-69,083) プション制度に基づき発行
された株式により一部相殺
された。
2019 年 26,490
2,834,584,923
9月30日 (2,559,464)
当行の配当金再投資制度お
41 よびボーナス・オプション
2020 年 度 5,785,302
(3,961) 制度に基づき株式が発行さ
れた。
2020 年 26,531
2,840,370,225
9月30日 (2,563,425)
当行の配当金再投資制度お
よびボーナス・オプション
-547
2021 年 度 -16,806,573 制度に基づき株式が発行さ
(-52,851)
れたが、自社株買戻しによ
り一部相殺された。
2021 年 25,984
2,823,563,652
9月30日 (2,510,574)
当行の配当金再投資制度お
よびボーナス・オプション
制度に基づき株式が発行さ
れたが、自社株買戻しによ
り一部相殺された。全額引
2,813 受型プロラタ・アクセラレ
2022 年 度 166,360,099
(271,792) イテッド・リナウンサブ
ル・エンタイトルメント・
オファー(比例按分方式・
機関株主部分先行・放棄可
能・権利付与型募集)に基
づき株式が発行された。
2022 年 28,797
2,989,923,751
9月30日 (2,782,366)
当行の配当金再投資制度、
ボーナス・オプション制度
285
2023 年 度 13,443,031 および従業員株式・オプ
(27,537)
ション制度に基づき株式が
発行された。
2023 年 29,082
3,003,366,782
9月30日 (2,809,903)
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(4)【所有者別状況】
普通株式
(2023年9月30日現在)
区分 株主数(人) 所有株式数(株) 所有株式数の割合(%)
法人 1 3,003,366,782 100
個人 0 0 0
ノミニー 0 0 0
合計 1 3,003,366,782 100
(5)【大株主の状況】
普通株式
(2023年9月30日現在)
発行済株式総数に対する
氏名又は名称 住所 所有株式数(株)
所有株式数の割合(%)
ANZ 銀行持株会社 オーストラリア、ヴィクトリア州
(ANZ BH Pty Ltd)
3008、ドックランズ、コリンズ・
3,003,366,782 100
ストリート833、9階、
ANZセンター・メルボルン
2023 年度中、本再編の実施の一環として、主要株主が以下のとおり異動した。
2023 年1月3日、ANZGHLはANZBGLの全発行済株式を保有する主要株主となった。
2023 年1月11日、ANZGHLはANZBGLの全株式をANZ銀行持株会社に譲渡した。ANZGHLは現在、ANZ銀行持株会社のANZBGLに対す
る議決権の100%を通じて、ANZBGLの議決権の100%を間接的に保有している。
2023 年1月11日、ANZ銀行持株会社はANZBGLの全発行済株式を保有する主要株主となった。
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2【配当政策】
ANZBGL の取締役会は、以下に定める制限を条件として、普通株式の株主への配当の金額および時期を決定する。本書提出日
現在、ANZ銀行持株会社がANZBGLの唯一の株主であり、同社はANZGHLにより完全所有されている。
ANZBGL は、以下の場合を除き、配当を支払ってはならない。
・ 配当の宣言の直前にANZBGLの資産がその負債を超過し、かかる超過額が配当の支払いに十分である場合。
・ 配当の支払いがANZBGLの株主全体にとって公正かつ妥当である場合。
・ 配当の支払いがANZBGLの債権者への支払能力を著しく損なわない場合。
また、普通株式の配当の支払いは、ANZBGLのハイブリッド証券の条件およびAPRAの健全性基準により制限または制約を受け
る場合がある。
配当は、2023年度中および本書提出日までに、全額払込済普通株式について支払われた。
1株当たり配当額 配当金の総額
種類 取締役会決議日 支払日
( 単位:セント) ( 単位:百万ドル)
支払われた
74 2,213 2022 年11月23日 2022 年12月15日
(1)、(2)
2022年期末配当
ANZ 銀行持株会社に
支払われた 33 1,000 2022 年12月14日 2023 年1月3日
2023年特別配当
ANZ 銀行持株会社に
支払われた 79 2,387 2023 年5月4日 2023 年7月3日
2023年中間配当
ANZ 銀行持株会社に
支払われた 94 2,825 2023 年11月10日 2023 年12月22日
2023年期末配当
注:(1) ボーナス・オプション制度調整前の金額である。
(2) オーストラリアの課税目的において全額フランキング済である(税率30%)。
2023 年1月3日の本再編の実施後、ANZBGLの配当金再投資制度(DRP)およびボーナス・オプション制度(BOP)は運用を中
止した。
配当に関するさらなる詳細は、「第6 経理の状況-1 財務書類」の2023年度財務書類の注記6を参照のこと。
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3【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
① ANZBGLのコーポレート・ガバナンス
ANZGHL の取締役会(「ANZGHLの取締役会」)は、取締役会委員会の補佐のもと、ANZBGLを含むANZグループのガバナンス枠組
みの監督について責任を負う。この枠組みは、効率的かつ責任ある意思決定をもたらすよう構想されており、もってANZグルー
プの戦略および目標の達成を支援するものである。
本再編の一環として、ANZBGLは、ANZGHLの取締役を兼務しないANZBGLの取締役会(「ANZBGLの取締役会」)の追加の非執行
取締役にグラハム・ホッジスを任命した。ANZBGLの取締役会は、その他の点では、ANZGHLの取締役会と同一である。
ANZGHL の取締役会委員会は、「監査委員会」、「EESG委員会」、「人事委員会」、「リスク委員会」、「デジタル事業およ
び技術委員会」および「指名および取締役会運営委員会」で構成されている。これら6つの主要委員会に加え、ANZGHLの取締
役会は、特定の職務の遂行を支援するため、ANZGHLの取締役のみで構成される2つの委員会を設置している。すなわち「取締
役会特別委員会」および「株式委員会」である。各委員会の役割については、ANZGHLの2023年度コーポレート・ガバナンス報
告書に詳述されている。
ANZGHL の取締役会委員会は、ANZBGLを含むANZグループ全体を監督している。ただし、ANZBGLには、別個の「監査委員会」お
よび別個の「リスク委員会」がある。ANZBGLには、その他の取締役会委員会はない。2つの別個の委員会の構成は、ANZBGLの
「監査委員会」および「リスク委員会」のみの委員であるグラハム・ホッジスを除き、ANZGHLの取締役会委員会と同様であ
る。
ANZBGL の取締役会の憲章、「監査委員会」の憲章、「リスク委員会」の憲章ならびにガバナンスの方針および手続きの条項
は、ANZグループの構造を反映する一部の変更を除き、ANZGHLのものと実質的に同一である。
以下はANZBGLのコーポレート・ガバナンスに関する記載である。ANZBGLを含むANZグループに係るANZGHLのガバナンス枠組み
は、下記「②ANZGHLのコーポレート・ガバナンス」に記載されている。
取締役会および取締役会委員会
当年度中のANZBGLの取締役会ならびにANZBGLのリスク委員会および監査委員会の会議の開催回数、ならびにそれらの会議へ
の各取締役の出席回数を以下に示す。
取締役会 監査委員会 リスク委員会
A B A B A B
P オサリバン
10 10 7 7 8 8
I R アトラス AO
10 10 7 7
S C エリオット
10 10
S J ハルトン AO PSM
10 10
(1)
G K ホッジス
6 6 4 4 6 6
RT Hon サー・ジョン・キー GNZM AC
10 8 8 8
(2)
H S クレイマー
1 1
(3)
G R リーベルト
4 4 2 2 2 2
J T マクファーレン
10 10 7 7 8 8
C E オライリー
10 10 7 7 8 8
J P スミス
10 10 6 6
A列は、取締役が委員として出席する権利を有した会議の回数を示す。
B列は、会議に出席した回数を示す。上表は委員会会議に関する委員の出席状況を記録している。
注:(1) G K ホッジスは2023年2月8日に非執行取締役に就任した。
(2) H S クレイマーは2023年8月1日に非執行取締役に就任した。
(3) G R リーベルトは2022年12月15日に非執行取締役を退任した。
ANZGHL の取締役会および取締役会委員会では行われない、ANZBGLの取締役会および取締役会委員会に特有の活動および検討
内容は以下のとおりである。
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取締役会
活動および検討内容は、ANZGHLの取締役会におけるものと実質的に同一である。下記「②ANZGHLのコーポレート・ガバナン
ス」を参照のこと。
監査委員会
活動および検討内容は、ANZGHLの監査委員会におけるものと実質的に同一である。下記「②ANZGHLのコーポレート・ガバナ
ンス-7.取締役会委員会-7.2 監査委員会」および下記「(3)監査の状況-①監査委員会」を参照のこと。
リスク委員会
活動および検討内容は、ANZGHLのリスク委員会におけるものと実質的に同一である。下記「②ANZGHLのコーポレート・ガバ
ナンス-7.取締役会委員会-7.5 リスク委員会」を参照のこと。
取締役および役員の補償
ANZBGL の定款(第9.1条)により、ANZBGLは以下が認められている。
・ ANZBGLもしくはその関連法人のいずれかの役員もしくは従業員またはその監査人が、かかる役員、従業員または監査人
として(ANZBGLまたは関連法人以外の)者に対して負った債務を(適用ある法律により認められる範囲で)補償するこ
と。これには、ANZBGLまたは関連法人により受託者としてまたは他の法人の役員もしくは従業員として任命または指名
された結果負った債務が含まれる。
・ 役員もしくは従業員または監査人が、かかる役員、従業員または監査人として負った債務に係る訴訟を防御する際、ま
たは政府機関、正当に設立された王立委員会またはその他の公的調査会、清算人、管理人、破産管財人もしくはその他
の権限を有する官吏により提起された訴訟に対抗または対応する際に負った法務費用について支払いを行うこと。
当グループの方針は、当グループの従業員を、適切な条件の下で、業務の過程において行動した結果負った一切の債務から
保護すべきであるとしている。
この方針に基づき、当グループは、従業員および元従業員が業務の過程において誠実に行動した結果第三者に対して負った
一切の債務を補償する。これは、ANZグループによりまたはその要請により他の法人もしくは団体の役員もしくは従業員として
または受託者として任命/指名された結果負った債務に及ぶ。
この補償は、適用ある法律および一定の例外に従う。
ANZBGL は、ANZBGLの定款に記載されている種類の債務および法務費用を補償するために、各取締役、ANZBGLの一定の秘書役
および元取締役、ならびに関連法人または他の法人の取締役または役員を務める一定の従業員およびその他の個人との間で、
補償証書を締結している。
2023 事業年度中、当グループはその取締役および従業員のために保険料を支払った。一般的な商慣行に従い、この保険につ
いて、保険対象債務の性質および保険料の金額の開示は禁止されている。
② ANZGHLのコーポレート・ガバナンス
本「②ANZGHLのコーポレート・ガバナンス」は、ANZGHLにより2023年11月13日に開示されたANZの2023年度コーポレート・ガ
バナンス報告書(「本コーポレート・ガバナンス報告書」)に基づいており、これを抽出したもので、2023年11月10日現在の
ものである。ANZBGLの取締役の状況については、下記「(2)役員の状況-①取締役」を参照のこと。
本「②ANZGHLのコーポレート・ガバナンス」において、別段の記載がない限り、または文脈上別に解すべき場合でない限
り、「当グループ」および「ANZ」という用語はANZグループ・ホールディングス・リミテッドとその連結子会社を意味し、
「当社」という用語はANZグループ・ホールディングス・リミテッドを意味し、「取締役会」という用語はANZグループ・ホー
ルディングス・リミテッドの取締役会を意味し、また「取締役」という用語はANZグループ・ホールディングス・リミテッドの
取締役を意味する。
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1.ガバナンスへのアプローチ
ANZ グループ・ホールディングス・リミテッド(「ANZGHL」)の取締役会(「取締役会」)は、取締役会委員会の補佐のも
と、ANZGHLおよびその子会社(「ANZグループ」、「ANZ」、「当グループ」)のガバナンス枠組みの監督について責任を負
う。この枠組みは、効率的かつ責任ある意思決定をもたらすよう構想されており、もってANZの戦略および目標の達成を支援す
るものである。
本コーポレート・ガバナンス報告書は、取締役会により承認されており、以下を含む枠組みの主要部分を概説する。
・ 経験豊富で独立的な取締役会。これを補佐する取締役会委員会の体制は、取締役会の効率的な運営および価値の創出が
継続的に確保されるよう定期的に見直される。
・ 取締役会および経営陣が担当する役割の明確な分掌。
・ 時機に即した偏りのない開示。ANZのウェブサイトのコーポレート・ガバナンスのページ
( anz.com/corporategovernance )(英文)を含む。
・ 包括的なリスク管理の枠組み。定期的に見直される。
2023 年度の再編
2023 年1月3日、オーストラリア・ニュージーランド銀行(「ANZBGL」)は、スキーム・オブ・アレンジメントにより、
ANZグループの新たな上場親会社として純粋持株会社であるANZGHLを設立し、ANZの銀行業務および一部の非銀行業務をANZ銀
行グループおよびANZ非銀行グループに分離する再編(「本再編」)を実施した。本コーポレート・ガバナンス報告書に記載
のガバナンス慣行は、手続上および管理上の事項に関連する一定の変更を除き、ANZBGLに適用されているものと実質的に同
一である。ANZGHLは、2023事業年度を通じてANZGHLがASXコーポレート・ガバナンス評議会の勧告に従ったことを確認する。
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取締役会の概要
取締役会の構成
・ ANZGHLの取締役会は、8名の独立非執行取締役(独立した会長であるポール・オサリバンを含む。)、および1名の執
行取締役(最高経営責任者(CEO)であるシェイン・エリオット)により構成される。
・ 現在、ANZGHLの取締役のうち4名が女性、5名が男性である。
・ ホリー・クレイマーが、2023年8月1日に非執行取締役に就任した。クレイマーは2023年12月21日に開催されるANZの年
次株主総会で取締役に立候補する予定である。
・ イラナ・アトラスおよびジョン・マクファーレンは、2023年12月21日に開催されるANZの年次株主総会の終結の時をもっ
て非執行取締役を退任する。
・ 各取締役の氏名および経歴の詳細は、ANZの社外における主な関連団体を含め、ANZのウェブサイト
( anz.com/directors )(英文)および2023年度の年次報告書にて参照可能である。
取締役会委員会
ANZGHL の定款に基づき、取締役会は、そのあらゆる権限を取締役会委員会に委任することができる。ANZGHLは、監査委員会
(委員長:クリスティーン・ オライリー)、倫理、環境、社会およびガバナンス(EESG)委員会(委員長:ポール・オサリバ
ン)、リスク委員会(委員長:ジョン・マクファーレン)、人事委員会(委員長:イラナ・アトラス AO (オーストラリア勲章
オフィサー) )、デジタル事業および技術委員会(委員長:ジェーン・ハルトン AO PSM (オーストラリア政府公共サービス・
メダル) )、ならびに指名および取締役会運営(NBO)委員会(委員長:ポール・オサリバン)の6つの主要な取締役会委員会
を擁する。各委員会は、その役割および責任を定める独自の憲章を持つ。
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ANZBGL の取締役会のガバナンス
取締役会はANZグループの監督および戦略的方向に責任を負う。本再編の一環として、ANZ銀行グループのトップ企業である
ANZ銀行持株会社およびANZBGLの取締役会に、ANZGHLの取締役を兼務しない追加の非執行取締役が任命された。グラハム・ホッ
ジスが2023年2月に任命され、かかる役割を果たしている。その他の点では、ANZGHLの取締役会はANZBGLの取締役会と同一で
ある。
ANZBGL には別個の監査委員会およびリスク委員会があり、それらの構成はANZGHLの委員会と同様である(ただし、ANZBGLの
監査委員会およびリスク委員会のみの委員であるグラハム・ホッジスを除く。)。
本再編の実施後のANZGHLの取締役会および委員会の憲章ならびにガバナンスの方針の条項は、ANZグループの構造を反映する
ための一部の変更を除き、本再編前のANZBGLの取締役会および委員会の憲章ならびにガバナンスの方針と実質的に同じ趣旨お
よび目的を有している。
2.取締役会の重点領域
取締役会およびその委員会は、毎年、主な戦略、ガバナンスおよび監視に係る活動に取り組んでいる。以下の事項は、2023
事業年度中に取締役会およびその委員会が検討したいくつかの重要事項に関して、利害関係人に洞察を提供するための説明で
あるが、すべての事項の包括的なリストではない。
戦略および成長
当年度中、 取締役会およびその委員会は、短期的および中期的に必要な事項を両立させつつ、長期的な戦略に関する事項に
引き続き適切に注力した。
通常の戦略会議に参加する他、 取締役会は、ANZの戦略および成長の優先課題について定期的に議論し検討を重ね た。ここで
は、取締役会で合意された当グループの主な優先課題の進捗についてCEOを交え幅広く制約なしに議 論が行われ、必要に応じ個
別の事項について掘り下げた報告が行われた。取締役会はまた、当グループの執行能力および潜在能 力を最大化するために行
われている業務の監督にも 引き続き 重点を置いた。
サンコープ・バンクの買収は、当年度の主要な検討課題であり、以下について定期的に詳細な 議論 が行われた。
・ ACCC、オーストラリア競争審判所、クイーンズランド州政府および連邦財務長官との交渉を含む、取引の最終承認プロ
セス。
・ 当グループの他の優先事項への影響を含む、完了時にサンコープ・バンクを統合するための業務上の準備に向けて当グ
ループ全体で行われた詳細な業務。
また、ANZプラスも引き続き取締役会の重要な注目事項であり、主要機能の設計・構築・実施および顧客移行を成功させるた
めの戦略ならびにANZの既存商品資産の維持について、定期的に議論が行われた。
2023 年1月の純粋持株制度の実施後、取締役会およびNBO委員会は、取締役会自身の運営を含む、新制度の実際の実施状況に
ついて検討を続けた。
取締役会はまた、当グループの持続可能性に関する戦略も検討した。
リスク、規制およびレピュテーション
リスク委員会および取締役会は、当グループの非財務リスク管理のアプローチの見直しおよびリスク文化の監督に引き続き
注力した。
取締役会は、当年度中に、建設的な双方向の対話を維持することを目的として ANZ の主要なオーストラリア規制当局と会合も
引き続き行った。
取締役会およびその委員会はまた、AMLおよびCTF、競争法、サイバーセキュリティ、持続可能性に伴う義務、詐欺および金
融説明責任制度(FAR)などの重要な分野について、定期的に最新情報を入手した。
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人材および文化
取締役会の人事委員会は、ANZの各部門および各機能で必要とされる人材および文化への影響ならびに将来の労働力について
深く掘り下げて検討した。
同委員会はまた、ANZの従業員エンゲージメント調査から得られた重要な事項についても検討した。
財務/業務
取締役会およびその委員会 は 当グループの長期的な将来性を 重視する一方で 、取締役会(およびその委員会)は 引き続き 当
グループの現在の業績も等しく重視した。これには以下が含まれる。
・ 主要各社のトップとの、事業の業績、主な注力課題および現下の経営環境の変化についての定期的で 広範 な議論
・ 急速な経営環境の変化を背景としたオーストラリア住宅ローン事業の業績に関する定期的な報告の受領
・ 銀行グループ全体の顧客救済に関する継続的な検討の実施
・ ANZの経営計画の検討、検証および最終承認
経営環境
取締役会およびその委員会は、インフレおよび金利の上昇が顧客に与える影響などの急速に変化する経営環境を、これらの
問題への対処および顧客への支援に関するANZの取組みと併せて、注意深く監視した。
また、地政学上の問題および銀行業界における国際的な動向の影響ならびに業界全般の混乱についても検討し、定期的およ
び特別な説明会を行った。
3.取締役会
3.1 取締役
ANZGHL の各取締役の氏名および任命に関する情報は以下のとおりである。現任の各取締役は2022年12月20日にANZGHLの取締
役に就任した(ホリー・クレイマーを除く。同氏は、2023年8月1日に取締役会に加わり、2023年度年次株主総会で取締役に
立候補する予定である。)。2023年1月までANZBGLが当グループの上場親会社であったため、各取締役が当グループの上場親
会社の取締役となった日付に関する情報は以下に含まれる。
会長と最高経営責任者(CEO)の役割は別個のものである。 ポール・オサリバン は2020年10月28日から会長を務めている。 オ
サリバン は2019年11月に独立非執行取締役に任命された。シェイン・エリオットは2016年1月1日からCEOを務めている。ASX
上場規則により、CEOであるエリオットは3年ごとの再選を株主に求める必要はない。イラナ・アトラスおよびジョン・マク
ファーレンは2014年から取締役会において独立非執行取締役を務めているが、2023年度年次株主総会の終結の時をもって退任
する予定である。
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上場親会社の
取締役 取締役就任 最近の選任日/再任日
ポール・オサリバン (取締役会会長、EESG委員会および 2019 年 2022 年
NBO委員会の委員長)
シェイン・エリオット(CEO) 2016 年 該当なし
イラナ・アトラス AO(オーストラリア勲章オフィサー) 2014 年 2020 年 2023年度年次株主総会の
(人事委員会委員長) 終結の時をもって退任予定
ジェーン・ハルトン AO PSM(デジタル事業および技術委 2016 年 2022 年
員会委員長)
RT Hon サー・ジョン・キー GNZM AC(ニュージーラン 2018 年 2021 年
ド・メリット勲章ナイト・アンド・デイム・グラン
ド・コンパニオン、オーストラリア勲章コンパニオ
ン)
ホリー・クレイマー 2023 年 2023 年 度年次株主総会で立候補予定
ジョン・マクファーレン(リスク委員会委員長) 2014 年 2020 年 2023年度年次株主総会 の
終結の時をもって 退任予定
クリスティーン・オライリー(監査委員会委員長) 2021 年 2021 年
ジェフ・スミス 2022 年 2022 年
3.2 取締役 および経営陣の役割
取締役会は、ANZの監視およびその慎重で健全な経営、ならびに憲章に定める一定の義務について責任を負う。経営陣レベル
では、ANZの大部分の上級執行役員がグループ執行委員会(ExCo)を構成する。グループ執行委員会は本再編による影響を受け
ず、グループ全体で業務を続けている。グループ執行委員会の委員はANZのウェブサイト( anz.com/exco )(英文)に掲載され
る。ANZは、CEOおよびその他の上級経営陣の構成員に委任される事項を明確に定める権限委任の枠組みを有する。
取締役会およびその主要委員会のそれぞれの憲章は、ANZのウェブサイト(anz.com/corporategovernance)(英文)に掲載さ
れている。
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3.3 取締役 の取締役会および委員会の会議出席状況
(1)
当年度中 の取締役会および取締役会委員会の会議の開催回数、ならびにそれらの会議への各取締役の出席回数を以下に示
す。本再編の結果、当年度中にANZグループの上場親会社がANZBGLからANZGHLに代わった。
注:(1) 当年度中、2022年10月1日から2023年1月3日までANZBGLが当グループの上場親会社であり、その後ANZGHLが当グ
ループの上場親会社となった。
倫理、
指名
デジタル
環境、
事業
および
取締役会
取締役会
株式
リスク 監査 人事
社会
および
取締役会 特別 取締役会
(1)
(1)
委員会 委員会 委員会
および
委員会
委員会
委員会
技術
運営
ガバナン
委員会
委員会
ス委員会
A B A B A B A B A B A B A B A B A B A B
ポール・オサリバン 11 11 8 8 7 7 5 5 5 5 6 6 1 1 2 2 3 3
イラナ・アトラス AO
11 11 7 7 5 5 5 5 1 1 2 2 1 1
シェイン・エリオット 11 11 1 1 2 2
ジェーン・ハルトン AO
PSM 11 11 5 5 5 5 6 6 1 1 2 2
RT Hon サー・ジョン・
キー GNZM AC
11 11 8 7 5 4 6 5 1 1 2 1
(2)
ホリー・クレイマー 2 2
(3)
グレイム・リーベルト 4 4 2 2 2 2 1 1
ジョン・マクファーレン 11 11 8 8 7 7 6 6 1 1 2 2
クリスティーン・オライ
リー 11 11 8 8 7 7 5 5 1 1 2 2
ジェフ・スミス 11 11 6 6 4 4 4 4 2 2
A列は、取締役が委員として出席する権利を有した会議の回数を示す。
B列は、会議に出席した回数を示す。上表は委員会会議に関する委員の出席状況を記録している。
注:(1) 上表に記載の取締役会委員会および株式委員会の会議は、書面による決議により行われたものを含む。
(2) ホリー・クレイマーは2023年8月1日に非執行取締役に就任した。
(3) グレイム・リーベルトは2022年12月15日にANZBGLの非執行取締役を退任した。
3.4 最高経営責任者(CEO)および経営陣への権限委任
取締役会は、その憲章が定めるとおり、CEOおよびANZ上級経営陣の一定の構成員を任命する。取締役会はCEOに、およびCEO
を通じて上級経営陣に、承認されたANZの戦略および財務目標を達成するための意思決定の権限および責任を、取締役会から経
営陣への権限委任方針およびCEOからの権限委任方針に従い委任している。これらの方針は定期的に見直される。
グループ執行委員会は通常、毎月会議を行い、人とコミュニティが繁栄する世界を作るというANZの目標を実施することにつ
いて責任を負う。グループ執行委員会は以下を重視してこれを行っている。
・ すべての主要利害関係人
・ ANZの文化および能力の形成
・ ANZの取組みおよび資源配分の優先順位付け
ANZ にはまた、正式に設置された多数のマネジメント委員会があり、これらの各委員会は、定められた意思決定権限により、
特定の継続的な課題に対処する。
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3.5 取締役会の構成、選任および任命
取締役会は、活発で、積極的かつ効果的なANZの取締役会を維持するため、取締役会の改選手順(後継者育成計画を含む。)
に継続的に取り組んでいる。NBO委員会は取締役会の構成の検討に関するあらゆる事項について取締役会を補佐する。同委員会
は、取締役会の構成を少なくとも年1回および必要に応じて中間期に見直している。候補者となりうる者を評価し取締役会の
規模および構成の見直しを実施するにあたり、NBO委員会は、取締役会の構成には以下のような項目を勘案した適切な混成比が
反映されるべきとする指導原則を考慮する。
・ 事業の成長、規制の検討および市場の発展などの要因を考慮し、取締役会に必要な技能がANZの業務に相応しくあるよう
確保
・ ANZの取締役会スキル・マトリックスで特定される主要分野全体を含む技能または経験(該当する場合)
・ 在任期間
・ 多様性
・ 候補者の個人的資質、コミュニケーション能力ならびに効果的な経営手腕、専門家としての名声および倫理的活動への
取組み
・ 関連する取締役の独立性を含む、取締役会の構成に関する関連ガイドライン/法的要件
・ 取締役会憲章に明記された取締役会在職要件
・ ANZの戦略目標を含むその他の考慮事項
取締役会は、女性40%および男性40%ならびに性別を問わず20%の取締役会構成を維持することを目標としている。
候補者となる可能性のある者について検討する際、同委員会は、多様性が大きな広がりを持ち、年齢や文化的アイデンティ
ティ(例えば、民族や母国)などのその他の事項を含む点にも着目する。取締役会における多様性は、取締役会の改選に関す
る事項により一時的に影響を受ける可能性があることが認識されている。
NBO 委員会は、取締役会の規模および構成について見直しを行い取締役会に勧告し、また取締役に適任と考えられる者を特定
して候補者を取締役会に推薦する職責を委任されている。
同委員会はまた、必要に応じて、取締役会会長の後継者育成計画および選出手順の見直しおよび勧告を行う。
ANZ の指名手順に関する情報の詳細は、「取締役会改選、取締役任命および業績評価方針(Board Renewal, Appointment of
Directors and Performance Assessment Policy)に記載があり、これはANZのウェブサイト( anz.com/corporategovernance )
(英文)で閲覧可能である。
3.6 取締役 会の技能および経験
当年度中、NBO委員会は取締役会スキル・マトリックスへの取組みの見直しおよび再評価を行った。外部専門家の手法を利用
し、各取締役は10のカテゴリーに分類された60の異なる分野における能力および経験のレベルに関する自己評価に参加した。
評価カテゴリーは、優れた実務に関する専門家の知見および能力の高い取締役会に必要な技能に基づいて策定され、ANZ独自の
要求および目標に合わせて調整された。技能評価の内容については、ANZから追加の意見および承認が得られた。
この評価から、取締役会はその役割を果たし、その責任を遂行するために必要となる総合的な技能、能力および経験を備え
ていることが判明した。
この評価は、取締役会が将来の取締役会改選の計画を立てる際に役立つものである。以下の表は、評価カテゴリーならびに
非執行取締役、上級執行役員または実務家として最低5年から10年の累積経験を有し、および/または特定のカテゴリーにお
ける複雑な過失または過誤を特定する能力を有する(見直し時点の)取締役の人数を示す。
注:見直しはホリー・クレイマーが取締役会に加わる前に実施された。
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取締役の人数
技能 および経験
(合計:8)
戦略および商業の見識 8
業界での経験 4
技術およびデジタル 5
リーダー的役割 8
人材および文化 8
ガバナンス、リスクおよびコンプライアンス 7
規制/政府方針 7
国際ビジネス 8
財務の見識 6
持続可能性 7
3.7 取締役 の独立性
ANZGHL の取締役会憲章は、ANZの独立性基準を満たす非執行取締役が取締役会の過半数を占めることを要求する。かかる基準
は取締役会改選、任命および業績評価方針で定められており、NBO委員会がASXガバナンス原則、APRAの健全性基準およびその
他の関連する要件に照らしてこれを定期的に見直している。
監査委員会憲章が監査委員のための追加的独立性基準を定めており、これも考慮されている。
かかる基準の詳細は、ANZのウェブサイト(anz.com/corporategovernance)(英文)に記載されている。
ANZ の独立性テストは、ある取締役がANZと重要な関係があるか否かを基準とする。要約すれば、以下のことをするにあた
り、取締役の意思に影響を与えるまたは与えると考えられる現実かつ妥当な可能性があるとANZGHLの非執行取締役の地位にあ
る合理的な人間が予想する場合、ANZとの重要な関係があるとみなされる。
・ 定期的に取締役会または委員会の議題に上がる傾向にある事項について決定を行う。
・ 経営陣が提供する情報および助言を客観的に評価する。
・ ANZ全体にわたり一般的に適用される方針を設定する。
・ 一般的に取締役としての自身の役割を実行する。
取締役は、ANZと個人的な取引関係を有する可能性があり、またはANZと取引関係がある会社その他の組織の取締役にも就任
する。こうした関係から独立性の問題が生じないように取決めが交わされる(第3.8項を参照)。
3.8 利益相反
独立性の問題を超えて、各取締役は、ANZの業務に関連する重要事項に関する潜在的または現実の利益相反を生じているか否
かを判断する継続的な責任を負う。かかる状況は、外部の団体、利害関係または個人的関係から生じる可能性がある。
ANZ は、「取締役の利害開示、利益相反および社外コミットメント処理手続き(Directors’ Disclosure of Interest,
Handling Conflicts of Interest and Outside Commitments Procedure)」を備えている。これは、取締役が、利益相反によ
り当社の取締役としての地位を損なってはならない旨を定める。
ANZBGL はANZGHLの子会社である。ANZBGLの取締役会は、預金保有者の利益を十分に考慮しつつ、ANZBGLの健全かつ慎重な経
営に最終的な責任を負う。潜在的な相反が生じた場合、かかる相反に対処するために取締役会の取締役が利用できる多数の手
段がある(例えば、ANZBGLの取締役会および取締役会委員会におけるグラハム・ホッジスの代表)。
経営陣はまた、相反を適切に管理するために十分な情報を取締役に提供することで支援する予定である。各取締役は、自身
の職務および責任を遂行するために必要と判断した場合、独立した助言を得ること、または独立専門家に相談することができ
る。
この手続きは、利益相反を処理するためのANZの取組みに関するより多くの情報を含んでおり、ANZのウェブサイト
( anz.com/corporategovernance )(英文)で閲覧可能である。
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3.9 非執行取締役の社外コミットメント
すべての非執行取締役は、いかなる社外での新たな役職の任命についても、引き受ける前に会長に通知する義務がある。会
長は、新たな任命の提案について検討し、個別に問題を考慮する。また、該当する場合には、複数の取締役が同一の社外取締
役会またはその他の団体に就任する場合の問題も考慮する。
この検討を行う際に会長が従う手順および考慮要素は、「取締役の利害開示、利益相反および社外コミットメント処理手続
き(Directors Disclosure of Interest, Handling Conflicts of Interest and Outside Commitments Procedure)」におい
て定められており、これはANZのウェブサイト( anz.com/corporategovernance )(英文)にて閲覧可能である。
会長が社外の新たな役職を引き受けようとする場合、在任期間の最も長い非執行取締役が上記の検討および承認手順におい
て会長の代わりを務める。
ANZ は非執行取締役の各社外コミットメントについて問題はないものと思料している。
4.業績評価
ANZ は非執行取締役、取締役会会長、取締役会および取締役会委員会の各々についての業績評価を実施している。取締役会会
長の勧告に基づき、NBO委員会は、この分野の規制要件を考慮し、非執行取締役、取締役会および取締役会委員会の評価を実施
する際に従うプロセスを毎年決定する予定である。
評価は、一般的に3年間隔で(または同委員会により決定される場合はそれ以上の頻度で)同委員会により決定される独立
した第三者の支援を受けて実施され、その間の期間は同委員会により決定される手順を使用して内部で実施されることが想定
されている。
評価プロセスの内容について以下で要約しており、更なる詳細についてはANZのウェブサイト
(anz.com/corporategovernance)(英文)に掲載されているANZの「取締役会改選、取締役任命および業績評価方針(Board
Renewal, Appointment of Directors & Performance Assessment Policy)」で説明している。
4.1 非執行取締役
非執行取締役の評価のため、会長は、通常、業績について各非執行取締役と1対1の会合を持ち、相互にフィードバックを
提供する。
4.2 取締役 会
定期的に、取締役会の業績は独立の外部の調整役を活用して評価される。
4.3 取締役 会委員会
主要な取締役会委員会は通常、それぞれが当該委員会の業績の評価を目的として年次自己評価を行う。
4.4 上級執行役員
当グループ、最高経営責任者(CEO)およびその他開示を要する執行役員の業績の取締役会による評価方法に関する実行構
造、手順および主要インプットについては、「(2)役員の状況-③役員報酬の内容(報酬報告)」に記載される。
当グループ、CEOおよび開示を要する執行役員の業績評価は、開示された取組みに従って、2023事業年度に関して行われた。
4.5 2023年度の実施評価手順
当年度、NBO委員会は、CEO出席の下、詳細なワークショップを開催し、取締役会、委員会および取締役の2022年度の独立し
た外部評価から得られた活動状況について議論した。また、非執行取締役も業績について議論するために会長と個別に会合を
行っているところである。
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5.その他の情報
5.1 適格性チェック
ANZ は、関連する上級職に任命された個人が、健全性に関する責任を適切に果たすための相当な適格性を有することを保証す
る手続きを備えている。
その枠組みは、ANZの「グループ適格性方針(Group Fit and Proper Policy)」に定められている。各取締役、関連する上
級執行役員およびANZの外部監査人のAPRA認定業務執行パートナーについて新規任命が行われる前に、評価を実施することが当
該方針で求められている。NBO委員会または取締役会のいずれかがANZの非執行取締役の評価を実施し、人事委員会は、CEOおよ
び主要な上級執行役員を評価し、監査委員会はANZの外部監査人のAPRA認定業務執行パートナーを評価する。評価には以下が含
まれる。
・ 各人が証明を提供すること
・ 審査担当者が個人の重要な資格の証拠を入手すること
・ 例えば犯罪歴、破産歴および規制上の欠格といった個人の経歴を審査担当者がチェックすること
2023 年度中、適格性の年次評価は、非執行取締役、最高経営責任者、開示を要する執行役員およびその他のCEO直属部下なら
びにANZの外部監査人のAPRA認定業務執行パートナーの各人について行われた。
適格性方針の要約および枠組みに関する更なる詳細情報は、ANZのウェブサイト(anz.com/corporategovernance)(英文)
に掲載されている。
5.2 任命書類
新任の非執行取締役は各自、任命書とともに、補債、会社役員賠償責任保険、独立した個別の助言を受ける権利、機密保持
に関する要件および情報へのアクセスなど多数の事項を網羅している取締役の証書を受領する。任命条件を明示した正式な雇
用契約書が上級執行役員に渡される。
5.3 取締役 向け初任研修
ANZ は、すべての新任取締役が参加する初任研修プログラムを整備しており、その中で参加者は上級経営陣の主要な構成員に
よる説明を含む、当グループの業務のすべての面について情報提供を受ける。これに続いて、新任取締役の要求により、追加
の会議または情報提供が実施される。
5.4 独立的助言を求める取締役の権利
取締役がその責務を履行する一助とするため、各取締役は、(会長の事前承認を受けて)ANZの費用負担において、その責務
に関する独立した専門的助言を求める権利を持つ。さらに、取締役会および各主要委員会は、ANZの費用負担において、会長の
承認を受けて、その業務を支援するために必要とするあらゆる専門的助言も得ることができる。
5.5 取締役 持株基準の充足
非執行取締役は、任命後5年以内にその基本報酬の最低100%と同額のANZGHL株式を保有するまで買い進め、以降はその保有
を維持しなければならない。会長の要件は同人の報酬の100%である。2023年9月29日現在のANZGHLの株価に基づき、非執行取
締役は全員、持株基準を満たした。過去5年以内に任命された非執行取締役は、すでに持株基準を満たしているか、または持
株基準の充足に向けて買い進めている。
5.6 非執行取締役 および上級執行役員の報酬
非執行取締役、CEOおよびその他の開示を要する執行役員の報酬の構成に関する情報は、「(2)役員の状況-③役員報酬の内
容(報酬報告)」に記載されている。
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5.7 次の年次株主総会における選任
ANZGHL の定款および2001年会社法の規定により認められているとおり、取締役会は随時ANZGHLの非執行取締役を任命するこ
とができる。しかし、同人は次の年次株主総会において退任しなければならない。
同人が取締役として継続を望む場合には同年次株主総会において株主による選任を受けなければならない。
5.8 取締役 の任期および退任
ANZGHL の定款は、非執行取締役としての役職の継続を望む非執行取締役が、3年毎に株主による再選を求めなければならな
い旨を規定している。これは、ASX上場規則に整合している。
さらに、ANZでは、特別な状況により取締役会から任期延長を依頼されない限り、非執行取締役は、適用される最長任期要件
に従って退任することを求めている。
5.9 取締役 向け継続教育
ANZ の取締役は、正式な初任研修プログラムに加えて、取締役としての自己の職務および責任に関する幅広い研修および継続
教育に参加する。
また各委員会は、独自の継続的な研修会を適宜開催し、また自己評価の要素項目の選定に努める。一例として、監査委員会
は、会計基準の動向について定期的に説明を受けている。必要に応じて、社内および社外の専門家が研修会の開催に関与し、
デジタル事業および技術委員会は、サイバーセキュリティ情勢の動向について定期的に報告を受けている。
6.会社秘書役の役割
取締役会はANZGHLの会社秘書役の任命につき責任を負う。取締役会により、会社秘書役として2名が任命されている。
ANZGHLの会社秘書役のプロフィールは(ANZGHLの2023年度年次報告書中の)取締役報告書で確認することができる。
任命された会社秘書役のうちの一人はグループ・ジェネラル・カウンセルであるケン・アダムスである。アダムス氏はANZに
対してグローバルに法務業務を提供する責任を負う。会長、取締役および上級経営陣と密接に連携し、コーポレート・ガバナ
ンス機能部門について取締役会に対し責任を負う。
会社秘書役であるサイモン・ポーデージは、コーポレート・ガバナンス機能部門の業務運営に責任を負う。これには、取締
役会および取締役会委員会会議の運営ならびにANZおよびそのオーストラリア子会社に対する取締役会のガバナンスに関する関
連要件の管理、ANZのグループ方針の管理、ANZの株式登録機関との関係の監視、ならびに分配の管理ならびに証券取引所およ
び企業規制当局との情報の連絡およびこれらへの情報の届出などのANZの上場有価証券の管理が含まれる。
同氏は、取締役会の適切な機能に関係するあらゆる事項について、取締役会に対し会長を通じて直接説明する責任を負う。
同氏はANZのコーポレート・ガバナンス原則を発展および維持させるために取締役会会長と緊密に連携する。
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7.取締役会委員会
7.1 委員および出席
各主要な取締役会委員会は、
・ 専ら独立非執行取締役により構成される3名以上の委員を擁し、
・ 独自の憲章を持ち、
・ 必要と思料される特別な調査を開始する権限を有し、また、
・ その委員のうち1名が取締役会により委員長に任命される。
各委員会は、ANZGHLおよびその子会社(ANZBGLを含む。)について一定の責任を負うために、取締役会により設置されてい
る。取締役会は、取締役会委員会の構成を毎年見直す。会長は、各主要取締役会委員会の職権上の委員となり、EESG委員会お
よびNBO委員会の委員長となる。CEOは、適宜、取締役会委員会の会議への出席を依頼される。もっとも、同人の出席は当然の
ものではなく、また自己の報酬が検討または討議される場合には出席しない。非執行取締役は、すべての委員会のあらゆる会
議に出席することができ、また出席することが推奨され、すべての会議資料の提供を受ける。
各取締役会委員会は、その責任の範囲内で、憲章に基づき、その責務を実践するために関連があると思料する経営陣および
従業員に無制限に連絡をとり、かかる情報を無制限に入手することができる。
各取締役会委員会は、必要に応じて会議にANZの役員または従業員に出席を要請することができ、また外部関係者の出席を依
頼することができる。
7.2 監査委員会
監査委員会は以下を監視し、検討する責任を負う。
・ ANZの財務報告に係る原則および方針、管理ならびに手続き
・ ANZの内部統制およびリスク管理の枠組みの有効性
・ 同委員会委員長を通じて同委員会に機能上の報告経路を有し、同委員会に自由に接触できる内部監査(IA)の業務(IA
の詳細については、下記第8.1項を参照のこと。)
・ ANZの財務書類およびその独立監査の整合性ならびに関連ある法律上および規制上の要件の遵守
・ あらゆるデューデリジェンス手続き
・ 財務報告に関連する範囲において健全性の監視手続きおよびその他の規制上の要件
・ 主要な子会社の監査委員会からの報告
監査委員会はまた、次についても責任を負う。
・ 外部監査人の任命、監督および有効性に関する年次見直し(独立性、適格性ならびに資質および資格の検討を含む。)
・ 外部監査人の報酬
・ 外部監査人の交代(適宜)
・ グループ・ジェネラル・マネージャー(内部監査担当)の業績および報酬の検討、ならびに取締役会に対する適宜の勧
告の実施
委員会憲章に基づき、
・ 監査委員会の各委員は適切に財務に通じていなければならず、また、
・ 委員会の責務を有効に実践するための適切な知識、技能および経験(業界における経験を含む。)を委員間で共有して
いなければならない。
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取締役会は、クリスティーン・オライリー(委員長)が、監査委員会憲章に規定される定義に基づく「財務の専門家」であ
ると判断した。取締役会はオライリーが当該要件に基づく「財務の専門家」に必要な資質を有していると判断したが、監査委
員会憲章に定められた財務報告に関する義務は監査委員会の義務であり、「財務の専門家」とみなされる委員の個人的な責任
ではないという点は重要である。
監査委員会は、定期的に、経営陣を同席させずに外部監査人および内部監査人と会合する。監査委員会委員長は、IA、外部
監査人および経営陣と個別かつ定期的に会合する。グループ・ジェネラル・マネージャー(財務担当)は執行役員であり、監
査委員会の事務および効果的な運営に関して同委員会委員長を補佐する責任を負う。
CEO および最高財務責任者は、取締役会に対し、ANZGHLの2023年度に関して以下への誓言を与えた。
・ 会社法第295条AおよびASXガバナンス原則の勧告4.2に定められる年次財務書類およびその他の事項
・ ASXガバナンス原則の勧告4.2により要求される中間財務書類およびその他の事項
7.3 EESG委員会
EESG 委員会は以下を含む事項の監督、検討、議論および/または(適宜の)承認について責任を負う。
・ ANZの企業持続可能性の目標案
・ ANZの持続可能性の枠組み、目標および関連実績に関する開示
・ 公正で責任ある持続可能な事業を運営するANZの能力に関する過去、現在および新規の倫理、環境、社会およびガバナン
ス上のリスクならびに機会
・ 過去、現在および新規の倫理、環境、社会およびガバナンスに関する事項についての報告
・ ANZの企業倫理・責任委員会
・ 倫理または環境、社会およびガバナンスに関する重要事項の決議の取締役会への適宜の付託
・ 関連する企業ガバナンス方針および原則の策定および承認
・ 本コーポレート・ガバナンス報告書の審査
会社秘書役およびグループ・ジェネラル・マネージャー(総務担当)はEESG委員会の運営に関して同委員会委員長を補佐す
る責任を負う。
7.4 人事委員会
取締役会は、ANZグループの業績および報酬の枠組み(P&R枠組み)ならびにANZグループ全体へのその効果的な適用に最終的
な責任を負い、それらを監督する。人事委員会の役割は、P&R枠組みの効果的な運用の監督ならびにその他の人材および文化に
関する事項について取締役会を補佐することである。
人事委員会は取締役会に対して以下を含む事項について検討および承認、または勧告を行う責任を負う。
・ P&R枠組みならびに当グループの業績および報酬方針の設計および運用の監督
・ CEOおよびその他の主要な執行役員の報酬、非執行取締役の報酬
・ 主要な変動報酬制度の計画
・ 主要な上級執行役員の業績および報酬の査定
・ 主要な上級執行役員の任命および解任
・ 当グループの業績および報酬方針の有効性および同方針の変更
・ 人材および文化の変革に向けた戦略および行動(多様性、包摂性、従業員エンゲージメントおよび文化ならびに行動規
範の主題および傾向の監督を含むが、これらに限られない。)
・ セクシャル・ハラスメントの防止および対応に関する方針、体制および枠組み
グループ執行役員(人材・カルチャー担当)が、人事委員会の運営に関して、同委員会委員長を補佐する責任を負う。
人事委員会の役割および2023年度における主要な検討/承認分野の詳細は、「(2)役員の状況-③役員報酬の内容(報酬報
告)」を参照のこと。
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7.5 リスク委員会
取締役会は、ANZのリスク選好報告書およびリスク管理戦略を含むリスク選好の承認に責任を負う。
この責任は、当グループ全体で有効なリスク管理を促進するため、運営体制および必要な資源を備えた経営陣による健全な
リスク管理文化の確立の監視に及ぶ。これは翻ってANZのリスク選好範囲内で一貫して業務を行う能力を支える。
リスク委員会は、以下により取締役会を補佐する。
・ 事業、市場、信用、エクイティおよびその他の投資、財務、オペレーション、コンプライアンス、流動性およびレピュ
テーション(評判)リスクの管理ならびにANZのコンプライアンス義務の管理に対するものを含む、ANZのリスク管理枠
組みの実施および運用を監督することにより、その責任を遂行する。
・ 経営陣によるANZのリスク管理枠組みおよびその関連業務の実施を非業務執行として客観的に監督し、リスク選好および
資本力に照らし、機関全体の現在および将来のリスク状況を観察する。
最高リスク責任者は、リスク委員会の運営に関して同委員会委員長を補佐する責任を負う。
リスク管理の枠組み
当グループには、ANZの重要なリスクの監視および管理を行うリスク管理枠組みが設けられている。その健全性が維持されて
いること、およびANZが取締役が定めたリスク選好を十分配慮して運営されていることを確認するため、リスク委員会の承諾を
受けて、取締役会は、少なくとも年に1度はこの枠組みの見直しを行う。当該見直しは2023事業年度中に行われた。ANZGHLの
年次報告書はこの枠組みに関する詳細情報を含む。これは、三線防衛モデルおよびリスク管理委員会、本年度中のリスク管理
を改善するための措置およびANZに浮上しつつあるリスクに関して、当該枠組みがどのように構成されているかを含む。
三線防衛モデルに基づき、事業に第1の責任防衛線を、リスク機能部門に第2の防衛線を、および内部監査に最終防衛線を
設定している。
7.6 デジタル事業および技術委員会
デジタル事業および技術委員会は、当グループのデジタル・トランスフォーメーション、データ、技術、技術関連イノベー
ションおよび情報/サイバーセキュリティ戦略の監視に関する取締役会の責任を効率的に切り出して取締役会を補佐する責任
を負う。
また同委員会の委員が関連事項について取締役会で行うよりさらに深く疑問を投げかけ探求する場を提供する。同委員会は
以下の責任を有する。
・ ANZのデジタル・トランスフォーメーション、技術、技術関連イノベーションおよび情報/サイバーセキュリティ戦略に
関する事項を適宜監視および指導する。
・ ANZのデジタル・トランスフォーメーション、技術、技術関連イノベーションおよび情報/サイバーセキュリティ戦略の
一部をなす主要プログラムの展開を監視する。
・ 1億ドルを超えるものを含む重要なデジタル・トランスフォーメーションおよび技術投資を取締役会に勧告し、監視す
る。
・ 安全で安定した信頼性の高いサービスを確保するため、ANZの技術装備一式の健全性および関連性を見直す。
グループ執行役員(技術担当)が、当該委員会の運営に関して、同委員会委員長を補佐する責任を有する。
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7.7 指名および取締役会運営委員会
NBO 委員会は、継続的な構成、取締役会の全体的な運営ならびに取締役会が効果的かつ責任ある意思決定および監督を実行で
きる環境の提供に関するものを含め、取締役会の適切な機能に関係するあらゆる事項について、取締役会を補佐する。その業
務は以下を含む。
・ 取締役会構成の検討に関するあらゆる事項。これには、適切な取締役会および委員会の構成の確実な整備ならびに取締
役選任、任命および再任のプロセスならびに取締役会全体の改選を含む、改選および交代の計画全般に関する取締役会
の補佐、多様性に対するANZのアプローチの有効性、取締役会スキル・マトリックスの監視および変更、取締役として任
命すべき候補者の取締役会への推薦、取締役会会長の交代の計画が含まれる。
・ 取締役会、各主要委員会および会長を含む各取締役(ただしCEOを除く。)の業績評価のプロセスの見直しおよび承認。
・ 取締役会およびその委員会の効果的かつ効率的な運営に関係するあらゆるその他の事項。これには、効果的な初任研修
プロセスの実施、憲章の見直し(取締役会により見直しおよび承認されるNBO憲章を除く。)ならびに取締役会および
NBO委員会の目的および義務に関する方針および手順の見直しおよび承認が含まれる。
会社秘書役が、当該委員会の運営に関して同委員会委員長を補佐する責任を負う。
7.8 その他の委員会
取締役会は、6つの主要な取締役会委員会に加えて、特定の任務の遂行を補佐するための取締役のみで構成される2つの委
員会を設置している。2つの委員会は以下のとおりである。
・ 取締役会の全権限を有し、緊急問題を処理するために、定期的に予定される取締役会の会議の合間にも適宜招集される
取締役会特別委員会、ならびに
・ 取締役会に代わり株式およびオプションの発行を管理する権限(従業員株式取得制度および株式オプション制度に基づ
く場合を含む。)を有する株式委員会
取締役会はまた、特定の任務を果たすにあたり、取締役会の臨時特別委員会を適宜設置して権限を委任する。
会社秘書役は、取締役会の適切な機能に関連するあらゆる事項について、取締役会に対し会長を通じて直接説明する責任を
負う。
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ANZGHL の取締役会委員会の委員
倫理、環境、
社会 および デジタル 指名および
監査 ガバナンス 人事 リスク 事業および技術 取締役会 運営
委員構成
ポール・オサリ ✓ ✓ C ✓ ✓ ✓ ✓ C
バン*
イラナ・アトラ ✓ ✓ ✓ C ✓
ス AO
ジェーン・ハル ✓ ✓ ✓ C ✓
トン AO PSM
RT Hon サー・ ✓ ✓ ✓ ✓
ジョン・キー
GNZM AC
ホリー・クレイ ✓
マー
ジョン・マク ✓ ✓ C ✓ ✓
ファーレン
クリスティー ✓ C 、 FE ✓ ✓ ✓
ン・オライリー
ジェフ・スミス ✓ ✓ ✓ ✓
構成
・取締役会が取 ・取締役会が委 ・取締役会が委 ・取締役会が取 ・取締役会が委 ・取締役会が委
締役会会長以 員の1人を委 員の1人を委 締役会会長以 員の1人を委 員の1人を委
外の取締役の 員長に指名す 員長に指名す 外の取締役の 員長に指名す 員長に指名す
1人を委員長 る。 る。 1人を委員長 る。 る。
に指名する。 ・委員会の委員 に指名する。
・リスク委員会 構成において ・委員会の委員
と監査委員会 監査委員会、 構成において
の間の適切な リスク委員会 リスク委員会
情報フローの および人事委 と人事委員会
確保を目指す 員会の委員を の委員を兼務
ために、リス 兼務する者の する者の確保
ク委員会委員 確保を目指 を目指す。
長が監査委員 す。 ・リスク委員会
会委員とな と監査委員会
り、監査委員 の間の適切な
会委員長がリ 情報フローの
スク委員会委 確保を目指す
員となる。 ために、監査
・監査委員会憲 委員会委員長
章の第4.2条に がリスク委員
記載のとお 会委員とな
り、規則によ り、リスク委
り委員適格性 員会委員長が
が加重されて 監査委員会委
いる。 員となる。
委員は全員独立非執行取締役であることが求められる。
各委員会の最低員数は非執行取締役3名である。これには取締役会会長(職権上の委員)を含めることができる。
各取締役は、自身が委員ではない委員会の会議に出席することができる(投票はできない。)。
* 職権上の委員
注:C - 委員長、FE - 財務の専門家
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8.監査および財務ガバナンス
8.1 内部監査
内部監査(IA)は、経営陣から独立している。その役割は、取締役会、経営陣および規制当局に、ANZのリスクおよび統制環
境の独立的な評価を提供することである。IAは監査委員会が承認した憲章に従って機能する。IAは機能的に監査委員長に対し
て報告を行う。IAは最高経営責任者および外部監査人にも直接連絡をとることができる。
IA チームは6人のジェネラル・マネージャーを含み、彼らは、それぞれの部門に対して監査業務を行う責任を負う。ジェネ
ラル・マネージャーは、監査業務のトップ、監査ディレクター(カルチャー担当)、データ分析技術および自動化ディレク
ターならびにグループ・ジェネラル・マネージャー(IA担当)と共に、IAリーダーシップ・チームを組む。IAは、その業務の
ために、技術、信用保証、文化評価、データ分析および業務監査の技能を持つ個人から構成されるグローバル・チームの力を
活用する。グローバル・チームは15拠点に分散している。
IA は年次IA計画(ANZの全体的なリスク選好およびリスク管理の枠組みを考慮し、作成および見直しが行われる。)を発表す
る。監査委員会は、IA年次計画を検討および承認し、重要な変更があれば同委員会に通知される。これにより、IA計画が規制
上の要件を満たし、かつ、すべての重要なリスクを考慮していることを確認する。監査委員会は、IA業務の年間予算および財
源も承認する。
すべての監査活動は、主要な専門的監査機関により公表された国内および国際的な監査基準のみならず、ANZの方針および価
値観(従業員行動規範を含む。)に沿って行われている。グループ・ジェネラル・マネージャー(IA担当)は、最新の報告書
を監査委員会の各会議に提出する。これらの報告書には、主要な監査活動(IA計画に対する進捗状況、不利な監査および問題
点を含む。)、発行済み監査報告書および格付けの統計、ならびに内部監査業務に関する情報(戦略的イニシアチブ、人員配
置およびその他の関連事項の進捗を含む。)が含まれる。
IA は、その方法論に従って提起された監査上の問題の効率的かつ適時な解決について評価し、報告する。
8.2 外部監査
外部監査人の役割は、ANZの財務および報酬報告(ANZBGLの報酬報告は「(2)役員の状況-③役員報酬の内容(報酬報告)」
に含まれる。)が真実かつ公正であり会計基準および適用ある規制を遵守している旨の独立した意見を与えることである。外
部監査人はオーストラリア監査基準に基づき独立監査を実施する。監査委員会は、外部監査人との関係についての利害関係人
に係るエンゲージメント・モデル(利害関係人エンゲージメント・モデル)を監視する。
この利害関係人エンゲージメント・モデルに基づき、監査委員会には外部監査人の指名(株主承認の対象である。)ならび
に報酬の支払い、採用および行為の監督の責任がある。
また、同利害関係人エンゲージメント・モデルの規定により、監査委員会は、
・ エンゲージメント毎に、または同委員会によって個別に採択された事前承認の方針に従って、すべての監査業務、監査
関連業務および非監査業務を事前に承認する。
・ 外部監査人の独立性につき定期的に見直す。ならびに、
・ 外部監査人の有効性を評価する。
上記の利害関係人エンゲージメント・モデルは、ANZのウェブサイト( anz.com/corporategovernance )(英文)に掲載され
ている。
この利害関係者エンゲージメント・モデルには、外部監査人が提供することができる非監査業務に関する多くの要件、なら
びに外部監査従業員の採用およびローテーションに関する要件が含まれている。
外部監査人であるKPMGにより2023年度中に提供された非監査業務の情報は、ANZGHLの2023年度年次報告書中の取締役報告書
に記載されている。当該情報には、当該業務の費用および2001年会社法上の関連する独立性要件のKPMGにおける充足の十分性
に係る取締役会による書面が含まれる。
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8.3 財務管理
(当グループ内の事業体に係る)監査委員会は、ANZの財務報告方針および管理、ANZGHLの財務書類およびその他の市場向け
開示情報の整合性、外部監査人との関係、IAの業務、ならびに重要な子会社の監査委員会を監督する。
部門/事業、財務およびリスク担当の上級経営陣は、定期的に財務業績および開示情報の整合性、財務報告義務の遵守、な
らびに外部報告に係る内部統制環境の有効性を証明する。
ANZ はまた、外部報告の作成に対する主要な内部統制の有効性を評価する財務・規制報告ガバナンス・プログラムを維持して
いる。
経営陣による証明またはガバナンス評価から生じた重大事項は、適用ある監査委員会に報告される。ANZはまた、報告の財務
的整合性を支援するプロセスを強化するために、標準化、簡素化および自動化を適宜活用している。財務リスク管理委員会は
これら強化策の実施および管理を監督する。重大事項はANZのオペレーショナル・リスク管理およびコンプライアンスの枠組み
を通して対処される。
9.倫理的かつ責任ある意思決定
9.1 行動規範
ANZ は従業員規範および非執行取締役規範という2つの行動規範(「行動規範」)を有している。従業員規範はANZの価値観
を支え、ANZの従業員に対し、その日常業務における公正で偏らない倫理的な意思決定を助ける一連の実務的な指針を与えてい
る。非執行取締役規範は、法律に基づく取締役の責任が従業員のそれと異なることを認めつつ、従業員規範と同じ価値観およ
び原則を掲げている。行動規範は、誠実性、信頼性、質の高さおよび信用を求めている。ANZの従業員および取締役はこれらの
行為を実行し、行動規範を遵守することが要求される。
行動規範は、法改正の反映およびその他の合目的性の維持を確保するため定期的に検討される一連の方針により補われる。
取締役による非執行取締役規範の遵守は、通常の年次業績審査対象の一部となっている。
行動規範およびANZの価値観はANZのウェブサイト( anz.com/corporategovernance )(英文)に掲載されている。 ANZGHLの
2023年度年次報告書には、ANZの行動および文化(違反を含む。)に関して本年度中に実施された業務の情報が掲載されてい
る。EESG委員会は、行動規範への重大な違反の報告を受ける。
当グループの規範は以下のとおりである。
・ 従業員規範
・ 非執行取締役規範
社内の研修および違反に関するものを含む、行動規範に関する更なる情報は、ANZGHLの2023年度ESG補足文書に掲載されてい
る。
9.2 証券取引
ANZ 証券取引方針は、一般には入手できず、ANZの有価証券の価格もしくは価値に重大もしくは著しい影響を与えると合理的
に予想される情報を保有するすべての従業員、取締役および契約者によるANZの有価証券の取引を禁止している。
この方針は、同方針に定義されるとおりの「取引停止期間」中にANZの取締役および一定の「制限対象者」(一部の上級執行
役員を含む。)ならびにそれらの関係者によるANZの有価証券の取引を明確に禁止している。
この方針では、
・ 特定の種類の取引は同方針上の取引制限から除外される。
・ 例外的な場合に、事前の書面による許可により、禁止期間中に取引が認められる。
・ 従業員およびその関係者が、権利未確定であるかまたは保有義務のある、ANZのいずれかの従業員持株制度に基づいて付
与された持分をヘッジすることを禁止している。
・ ANZの取締役および制限対象者は、マージン・コールまたは融資担保比率違反の対象となる可能性がある、マージン・
ローンまたは同様の金融上の取決めに関連したANZの有価証券の使用を禁止されている。
当該方針はANZのウェブサイト(anz.com/corporategovernance)(英文)に掲載されている。
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9.3 内部告発者保護方針
ANZ は、開放性、信頼性および説明責任を推奨する文化に基づく強固な価値観を有しており、これにより職員みんなでの成功
や重要課題の達成が可能となる。内部告発者保護方針は、ANZグループの現在および過去の従業員、役員、関係者、請負業者お
よび下請業者のすべてが、(これらの個人の親族または扶養家族、サプライヤーおよび第三者介在者とともに、)自由に、損
失の恐れなく、ANZまたはANZグループに関連する人物による不正行為の事実またはその疑いに関して懸念を表明することがで
きるように策定された。
内部告発者保護方針およびプログラムは、ANZのコンダクト・リスク管理およびコーポレート・ガバナンス枠組みの主要な構
成部分であり、不正行為を開示し、組織の健全性の維持に極めて重要な役割を果たした個人を保護する。
内部告発者保護方針は、本方針中の別紙に記載される一層高度なまたは追加の義務を課す法域固有の規制とともに、オース
トラリアの内部告発者保護規制を当グループが事業を展開する市場全体について適用する。
内部告発者は、多様な方法で内部告発者保護方針に基づく保護開示(匿名を含む。)を行うことができる。これには、内部
告発者保護オフィサー、内部告発者プログラム・チーム、適格な受信者に開示する方法、またはANZの内部告発者報告のための
外部サービス(サードパーティー・プロバイダにより管理されている。)を利用する方法が含まれる。ANZは、可能な限り最大
限の範囲ですべての報告の秘密を保持し、実際の不正行為またはその疑いについて真の懸念を表明した者に対する、いかなる
不利益や報復も容認しない。
ANZ の内部告発者プログラム・チームは、経営リスク執行役委員会に対して年2回、EESG委員会に対して3か月に1回、報告
(方針に基づき表明された重大事案および推奨された措置が含まれる。)を行う。定期的ではないが、必要に応じて、取締役
会への報告を行うこともある。ANZグループ内のその他の取締役会および委員会に対しては、内部告発者プログラムと関連取締
役会または委員会との間で合意した方法により適宜報告する。報告は、報告者を保護するため、匿名化して実施される。
ANZGHL の取締役またはCEOが関与する内部告発者報告は、ANZGHLの会長に対して報告する義務がある。
ANZ の内部告発者保護方針は、ANZのウェブサイト(anz.com/corporategovernance)(英文)に掲載されている。
9.4 贈収賄防止および汚職防止
ANZ は、事業を行う法域の適用あるすべての贈収賄防止および汚職防止(ABAC)法を遵守し、最高水準の倫理的行動および基
準を適用し、維持するよう努めている。ANZは、ABAC方針を定めて、ANZの従業員、臨時職員およびANZグループのために行動す
る第三者が贈収賄または汚職を構成する活動に関与することを禁止している。この方針は、贈収賄および汚職に関する許容で
きない行動や活動を定義し、贈収賄および汚職リスクの予防、特定、対応を可能にするABACコンプライアンスの枠組みの基礎
となる原則を定めている。
これには、以下の禁止事項が含まれている。
・ 公務員およびすべての商業関係を含め、いかなる形でも贈賄または収賄を行うこと
・ いかなる種類でも不当な利益を得る目的で、不当に影響を与えるために公務員に価値のあるものを提供すること
・ いかなる種類でも利益を得るため、または不当に影響を与えるために寄付をすること
また、贈答品、接待および資金援助付き旅行の授受から生じる利益相反については、透明性のある開示および適切な管理が
要求される。
ANZ のABAC方針への違反は、ANZの行動規範への違反を構成し、重大な違反は、取締役会および/またはリスク委員会に報告
される。
ANZ のABAC方針は、ANZのウェブサイト(anz.com/corporategovernance)(英文)に掲載されている。
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10 .株主に対する責任
ANZ はANZに積極的に関心をもつことを株主に奨励し、時期を逸することなく質の高い情報を株主に提供することを目指す。
10.1 コミュニケーション
ANZ に関して十分な情報を得たうえで決定することができるようにするために、またANZに対する見解を伝えるために、株主
はANZの事業運営、業績およびガバナンス枠組みを把握する必要がある。
一般的に当グループはその業績報告、年次報告書(年次レビューを包含する。)、市場向けアナウンスおよび短信、半年毎
のニュースレターおよびANZの株主専用サイト( anz.com/shareholder/centre )(英文)を通じて、上記を行っている。
当グループはすべての事業慣行につき透明性の向上に向けて努力しており、株主、より広範囲の市場およびコミュニティの
信用と信頼に質の高い開示が与える影響を認識している。
何らかの情報を要求した場合または懸念もしくは関心のある事項につきANZに見解を表明したい場合、ANZのインベスター・
リレーションズ(IR)およびANZの株式登録機関、コンピューターシェア社の投資家サービスの連絡先の詳細(郵便、電話お
よびEメールを含む。)が、ANZGHLの2023年度年次報告書およびANZのウェブサイト( anz.com/annualreport および
anz.com/shareholder/centre )(英文)において提供されている。
株主が株主向け連絡の電子的な受領を選択して好みのコミュニケーション方法への更新を希望する場合、更新方法の案内は
ANZのウェブサイト( anz.com/shareholder/centre/your-shareholding/shareholder-communication/ )(英文)にて閲覧可能
である。
10.2 総会
可能な限り多数の株主に株主総会に出席する機会を与えるために、ANZは株主総会を各州都で持ち回りで開催し、ウェブキャ
スト技術を用いてオンラインで株主総会を視聴することを可能にしている。2023年度は、対面による年次株主総会を開催す
る。
本事業年度中に行われた会議およびプレゼンテーションに関する情報は、ANZのウェブサイト( anz.com/shareholder/centre )
(英文)にて閲覧可能である。
年次株主総会の前に、総会において重要な共通のテーマを検討できるように、株主は会長またはCEOに対して質問を提出する
機会を有する。
外部監査人は、ANZの年次株主総会に出席し、監査人としての能力の範囲で自らに関する事項につき株主の質問に答えること
ができる。
取締役も、異常な状況にある場合を除き、年次株主総会に出席することが求められる。
株主は企業の問題に関連した様々な決議案に投票する権利を有する。株主に対しては、総会に出席し参加することを推奨す
る。ただし、株主が総会に出席できない場合、郵便または電子的に委任状を提出することができる。
来たる2023年度年次株主総会においては、すべての決議は投票により行われる(当グループにおいてはこれが通例であ
る。)予定であり、株主は秘密投票により投票することができる。
ANZ は総会の結果を検証するために独立した第三者(通常はKPMG)を指名する。当該結果はできる限り速やかにASXに報告さ
れ、ANZのウェブサイト( anz.com/agm )(英文)に掲載される。
株主は、ANZおよびその株式登録機関から電磁的に連絡を受け取り、ANZおよびその株式登録機関に対してメッセージを送信
するオプションを有している。
ANZ は、投資家との効果的なコミュニケーションを促す包括的インベスター・リレーションズ・プログラムも備えている。
ANZ の2022年度年次株主総会の通知には、年次株主総会における取締役の選出または再選を含む、総会業務に関してANZが有
するすべての重要な情報が含まれていた。
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11 .継続開示
ANZ は、ASX、ニュージーランド証券取引所(NZX)、およびその他ANZの有価証券が上場しているオフショア取引所の(それ
ぞれ関連する事業体に適用ある)上場規則、ならびに関連する会社法および証券法の開示義務を遵守している。ANZは、例外を
除いて、市場に影響しやすいいかなる情報も、直ちにASX、(適用ある場合)NZXの順に通知しなければならない。その後、
コーポレート・ガバナンス機能部門が決定した場合には、他のオフショア取引所に当該開示を提出する。ASXに提出された市場
に影響しやすい情報に関する発表およびプレゼンテーションは、ANZのウェブサイトに掲載されている。
ANZ グループの継続開示委員会の委員は通常、提案されている開示について検討し、いかなる情報を市場に開示するかに関し
て決定を下す責任を負う。ANZの従業員および契約者は、ANZに関する潜在的な価格機微情報を覚知した場合、直ちに、それを
会社秘書役(または会社秘書役の不在時にはグループ・ジェネラル・マネージャー)に通知しなければならない。
関連する取締役会は、市場で重要な公表が行われた後、速やかにその写しを受領する。投資家またはアナリスト向けの新規
の実質的なプレゼンテーションは、プレゼンテーション実施前にASXに提出される。
ANZ グループの継続開示方針は、ANZのウェブサイト(anz.com/corporategovernance)(英文)に掲載されている。
12 .環境・社会のリスク
ANZ の重大な環境・社会リスクに関する詳細およびANZがこれらのリスクをどのように管理するかに関する詳細は、ANZGHLの
2023年度年次報告書、2023年度ESG補足資料および2023年度気候関連財務開示報告書(これらはANZのウェブサイト
( anz.com/annualreport ) (英文)において入手可能)に記載されている。ANZは、主要なリスクおよび不確実性に関する開示を
年次株主総会に先立ってリリースする。同報告書はANZのウェブサイト( anz.com/ shareholder/centre ) (英文)において入手可
能である。
13 .多様性および包摂性
13.1 包摂的な職場の創設
ANZ は、多様な社員と包摂的な文化の織りなす力が意思決定の質を向上させ、革新を後押しし、それによって当行が顧客に
とってより良い銀行となり、また人々と共同体が繁栄する世界を築けるようになると信じている。
多様性および包摂性に関するANZの方針については、ANZのウェブサイト(anz.com/corporategovernance)(英文)に掲載され
ている。
13.2 リーダーシップ、ガバナンスおよび説明責任
人事委員会はANZの人材戦略、報酬戦略ならびに多様性および包摂性(ジェンダー多様性を含む。)への取組みに関連して、
重要な役割を果たす。
人事委員会は以下について包括的な役割を担う。
・ 多様性および包摂性に対するANZのアプローチの有効性を検討、注目および監視する。
・ 多様性(ジェンダー多様性を含む。)および包摂性に対する測定可能な目標を検討および承認する。
・ かかる目標およびその達成進捗を毎年検討する。
(1)
リーダー層における女性比 を含む当グループの多様性に関する目標達成に向けた進捗は、グループ執行委員会によって定
期的に監視される。リーダー層の女性比はグループの報酬枠組みにおける指標でもあり、よってANZの変動報酬プールに関与す
る要素のひとつとなっている。
人事委員会はまた、毎年の業績および報酬査定を検討する。その検討は以下を含む。
・ 業績評価の分布、給与の変遷および短期的インセンティブの査定について、ジェンダー分析を行う。
・ ジェンダー間の待遇の均衡に重点的に取り組み、その結果はすべてCEOが検討する。
取締役会に関するジェンダー多様性の事項については、NBO委員会が責任を負う。
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13.3 取締役 会、上級執行役員およびリーダー層レベルでのジェンダー均衡
本コーポレート・ガバナンス報告書の報告日現在、取締役会は、9名の取締役、1名の執行取締役(すなわちCEO)および8
名の非執行取締役で構成され、そのうち4名が女性である。取締役会における女性比は現在44.4%である。取締役会の目標は
2023事業年度中に見直され、現在は取締役会における女性40%、男性40%および性別を問わず20%にすると変更されている。
ANZ の主要経営陣(KMP)における女性比は、2023事業年度中に37.5%から30%に低下し、女性比を少なくとも40%に戻すと
(2)
いうANZの目標数値を下回った(ただし、その後40%に上昇した。) 。しかし、損益に責任を負うKMPの「ライン」の要職4
つのうち3つ、すなわちグループ執行役員(オーストラリア・リテール担当)、グループ執行役員(商業担当)およびグルー
プ執行役員兼最高経営責任者(ニュージーランド担当)を女性が担っていることは重要である。
ANZ は、長年にわたり女性従業員が過半数(現在50.8%)を占めてきたことを踏まえ、全従業員においてではなく、リーダー
層の女性の構成において、ジェンダーの多様性を実現するための測定可能な目標を設定している。この目標は、最も改善が必
要とされているレベル、すなわち当グループで最も上位かつ影響力のあるレベルに努力の焦点を当てているため、ANZにとっ
て、より適切な目標であると考えている。
当グループの目標は、2023年度も再び、リーダー層の女性比を前年度比で1パーセンテージ・ポイント上昇させることで
あった。当グループの目標を上回り、1.4%ポイント増の37.3%で当年度を終えたことは喜ばしい。当グループは2024事業年度
以降の目標設定への取組みを刷新した。ジェンダー均衡を重視することは、依然としてANZの事業地域および事業全体において
重要な優先事項である。2023年9月30日現在、子会社取締役会におけるすべての従業員兼務取締役のうち45%に女性が任命さ
れている。
注:(1) グループ1、2および3に指定されているANZのすべての役職(KMPを含む。)に占めるリーダー層の女性比。
(2) 30 %という数字には、グループ執行役員代理(人材・カルチャー担当)のリチャード・ハウエルが含まれる。エリ
サ・クレメンツが2023年10月9日に常任のグループ執行役員(人材・カルチャー担当)に就任し、その時点でKMPでは
40%に上昇した。
13.4 リーダー層およびANZにおける女性比
2023 年度の実績は、この目的における上級執行役員の定義を含めて、以下のとおりである。
女性比の 女性比の
(^)
グループ 2024 年度目標 2023 年度目標 2023 年度実績 2022 年度実績
(1) (2)
KMP の女性比を少なく KMP の女性比を少なく 37.5 %
主要経営陣(KMP) 30 %
とも 40 % に増やす。 とも 40 % に増やす。
リーダー層の女性 リーダー層の女性比を 2021 年 度 から2024年度 37.3 % 35.9 %
1%ポイントずつ増や の間、リーダー層の女
す。 性比を 毎年度1%ポイ
ントずつ増やす。
ANZ 全体 該当なし 該当なし 50.8 % 51.1 %
注:(^) 「 グループ 」には休暇の状況にかかわらずすべての従業員を含むが、契約者(FTEに含まれる。)は含まない。
(1) 「上級執行役員」は「主要経営陣(KMP)」を意味し、これは最高経営責任者および「(2)役員の状況-③役員報酬の
内容(報酬報告)」に記載された開示を要する執行役員を意味する。
(2) 30 %という数字には、グループ執行役員代理(人材・カルチャー担当)のリチャード・ハウエルが含まれる。エリ
サ・クレメンツが2023年10月9日に常任のグループ執行役員(人材・カルチャー担当)に就任し、その時点でKMPでは
40%に上昇した。
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職場における男女平等法(Workplace Gender Equality Act)に基づき、ANZは、職場における男女平等局(WGEA)に対し、
ANZの「男女平等指標」を開示する年次の公式届出を行うことが求められる。これらの報告書は、3月31日に終了する12か月間
について、年次で提出される。最新の提出書類の写しがANZのウェブサイト(anz.com.au/about-us/sustainability/workplace-
participation-diversity/gender/)(英文)に掲載されている。
多様性および包摂性に対するANZの取組みに関する詳細は、ANZのウェブサイト(anz.com/esgreport)において入手可能な
ESG補足文書(英文)に掲載されている。
ウェブサイト
ANZ のガバナンス枠組みの詳細はANZのウェブサイト( anz.com/corporategovernance )(英文)に掲載されており、以下を閲
覧することができる。
・ 取締役会および各取締役会委員会の憲章、ならびに
・ 本コーポレート・ガバナンス報告書で言及される書類および方針の多く
ガバナンス勧告の遵守
本コーポレート・ガバナンス報告書の情報は、2023年11月10日現在の最新情報であり、すでにANZGHLの取締役会により承認
されている。
本コーポレート・ガバナンス報告書は、同報告書に関連するASX Appendix 4GとともにASXに提出されており、ANZのウェブサ
イト( anz.com/corporategovernance ) (英文)に掲載されている。ANZに関する更なる情報は、ANZGHLの2023年度年次報告書に
記載されている。
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(2)【役員の状況】
①取締役
2023 年11月10日付の特別決議をもってANZBGLの株主により採択されたANZBGLの定款(「定款」)の規定に従い、適用法令に
より要求されるその他の事項を除き、ANZBGLの事業および業務は、取締役会によりまたは取締役会の指示の下で経営されるも
のとする。取締役会は、(定款により取締役会に付与された権能および権限に加え)ANZBGLの権限の範囲内にあり、定款また
は適用法令によりANZBGLが株主総会において行うことを指示または要求されている以外のすべての権限を行使し、すべての事
項を行うことができる。
定款に基づき、最終持株会社(現在はANZGHL)は、取締役の任期が特定期間であると明示されていたか否かにかかわらず、
その取締役を解任することができる。本書提出日現在、ANZBGLの取締役会は、7名の非執行取締役および1名の執行取締役兼
最高経営責任者で構成されている。本書提出日現在の取締役の氏名ならびに資格、経験および特別な責任の詳細は以下のとお
りである。
2023 年12月20日に発表されたとおり、ジョン・シンコッタが2024年2月15日に非執行取締役としてANZBGLの取締役会に加わ
る予定である。2024年1月25日に発表されたとおり、リチャード・ギブが2024年2月15日に非執行取締役としてANZBGLおよび
ANZGHLの取締役会に加わる予定である。イラナ・アトラスおよびジョン・マクファーレンが2023年12月21日をもって非執行取
締役を退任した。
男性5名、女性3名(取締役のうち女性の比率37.5%)
所有株式数
氏名
役職名 略歴 任期
(1)
(年齢)
(株)
取締役会会 P O'Sullivan オサリバン氏は2020年10月から取締役会会長、2019年11 ANZGHL の 0
長 月から非執行取締役である。オサリバン氏はすべての取 2025年度
(オサリバン)
独立非執行 締役会委員会の職権上の委員である。 年次株主
(63歳)
取締役 総会で任
職歴 命更新予
オサリバン氏はオーストラリアおよび海外の両方で、電 定
気通信ならびに石油およびガスの分野の経験を有する。
同氏はシンガポール・テレコム(シングテル)で上級業
務執行の役職に従事しており、以前はオプタスの最高経
営責任者であった。また、カナダ、中東、オーストラリ
アおよび英国においてコロニアル・グループおよびロイ
ヤル・ダッチ・シェル・グループで管理職を務めた。
関連する他の取締役職
現在、ANZGHLの会長(2022年から)、シングテル・オプ
タスPtyリミテッドの会長(2014年から、2004年から取締
役)およびウエスタン・シドニー・エアポート・コーポ
レーションの会長(2017年から)であり、セント・ヴィ
ンセンツ・ヘルス・オーストラリアの取締役(2019年か
ら)である。
関連する過去3年間の取締役職
以前は、テルコムセル・インドネシアの取締役(2010年
から2020年)、全国障害者保険庁の理事(2017年から
2020年)、コカコーラ・アマティルの取締役(2017年か
ら2021年)およびインダラ・デジタル・インフラストラ
クチャー(旧オーストラリアン・タワー・ネットワーク
Pty Ltd)の取締役(2021年から2023年)であった。
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所有株式数
氏名
役職名 略歴 任期
(1)
(年齢)
(株)
最高経営責 S C Elliott エリオット氏は2016年1月1日から最高経営責任者兼執 該当なし 0
任者 行取締役である。
(エリオット)
執行取締役
(60歳)
職歴
エリオット氏はオーストラリアおよび海外において業界
の全側面に関して30年を超える銀行業の経験を有する。
同氏は2009年6月に法人部門の最高経営責任者としてANZ
に入社し、2012年に最高財務責任者に任命された。
ANZ 入社前は、中東最大の投資銀行であるEFGエルメスで
最高執行責任者を含む上級執行役員としての職務を果た
した。同氏はシティバンク・ニュージーランドでキャリ
アを開始し、20年間シティバンク/シティグループに勤
務した。その間、英国、米国、エジプト、オーストラリ
アおよび香港において様々な上級職を務めた。
同氏は子供のための金融市場財団の理事であり、オース
トラリア銀行協会の会員、オーストラリア・ビジネス評
議会の会員およびオーストラリア関税諮問委員会の委員
である。
関連する他の取締役職
現在、ANZGHLの取締役(2022年から)、ANZバンク・
ニュージーランド・リミテッドの取締役(2009年か
ら)、子供のための金融市場財団の理事(2016年から)
およびシドニー・マラエ・アライアンスの理事(2023年
から)であり、オーストラリア・ビジネス評議会の会員
(2016年から)、オーストラリア銀行協会の会員(2016
年から、2017年から2019年まで会長)およびオーストラ
リア関税諮問委員会の委員(2020年から)である。
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所有株式数
氏名
役職名 略歴 任期
(1)
(年齢)
(株)
独立非執行 S J Halton, ハルトン氏は2016年10月から非執行取締役である。ハル ANZGHL の 0
取締役 トン氏は監査委員会の委員である。 2025年度
AO, PSM
年次株主
(ハルトン)
職歴 総会で任
(64歳)
ハルトン氏の33年間にわたる公職の経歴には、オースト 期満了予
ラリア財務省次官、オーストラリア保健省次官、保健高 定
齢化省次官および首相内閣省エグゼクティブ・コーディ
ネーター(次官補)の地位が含まれる。同氏は金融、保
険、リスク管理、情報技術、人事、保健および高齢化な
らびに公共政策に関する豊富な経験を取締役会にもたら
す。同氏はまた、重要な国際経験も有する。
同氏はCOVAX調整メカニズムの共同議長を務めるなど、世
界保健機関を含む地方および国際機関を通じて、地域社
会の保健に広く貢献してきた。
関連する他の取締役職
現在、感染症流行対策イノベーション連合(ノル
ウェー)の会長(2018年から、2016年から理事)および
オーストラリア高齢化評議会の会長(2017年から)であ
り、ANZGHLの取締役(2022年から)およびクレイトン・
ユッツ法律事務所のディレクター(2017年から)であ
り、ワシントン大学保健基準・評価研究所の理事会メン
バー(2007年から)であり、オーストラリア国立大学心
理学研究科の名誉教授であり、シドニー大学およびキャ
ンベラ大学の非常勤教授であり、オーストラリア戦略政
策研究所の評議会メンバー(2016年から)である。
関連する過去3年間の取締役職
以前は、ボールト・システムズの会長(2017年から2022
年)であり、クラウン・リゾーツ・リミテッドの取締役
(2018年から2022年)およびネイバル・グループ・オー
ストラリアPty Ltdの取締役(2021年から2022年)であ
り、国家COVID-19委員会の諮問委員(2020年から2021
年)であった。
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所有株式数
氏名
役職名 略歴 任期
(1)
(年齢)
(株)
非執行取締 G K Hodges ホッジス氏は2023年2月から非執行取締役である。ホッ 2026 年2 0
役 ジス氏は監査委員会およびリスク委員会の委員である。 月に任命
(ホッジス)
更新予定
(68歳)
職歴
ホッジス氏は金融サービス業界で豊富な国際経験を有す
る。同氏はオーストラリア連邦財務省でキャリアを開始
し、その後ワシントンの国際通貨基金に出向した。
2018 年にANZを退職する前は、27年間ANZに勤務し、様々
な上級職を歴任した。これには、副最高経営責任者、最
高財務責任者、人事部門ヘッド、業務部門ヘッド兼オー
ストラリア担当最高経営責任者、ニュージーランド担当
最高経営責任者およびANZグループのニュージーランド業
務の運営を担当するANZナショナル・バンク・リミテッド
の取締役が含まれる。
以前は、ANZ SAM(スペシャル・アセッツ・マネジメン
ト)の取締役会会長、Esanda、ANZ富裕層事業およびオー
ストラリア政府の高齢者ケア資金調達機関の理事であっ
た。
関連する他の取締役職
現在、リージス・ヘルスケア・リミテッドの会長(2017
年から取締役、2018年から会長)であり、アセンブル・
コミュニティーズの取締役(2020年から)である。
関連する過去3年間の取締役職
以前は、AmBankホールディングスBerhadの取締役(2016
年から2021年)であった。
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所有株式数
氏名
役職名 略歴 任期
(1)
(年齢)
(株)
独立非執行 Rt Hon Sir サー・キーは2018年2月から非執行取締役である。 ANZGHL の 0
取締役 サー・キーはリスク委員会の委員である。 2024年度
John Key GNZM
年次株主
AC
職歴 総会で任
(サー・キー)
サー・キーは2002年に政治家としてのキャリアを開始 命更新予
(62歳)
し、2008年から2016年までニュージーランド首相であっ 定
た。サー・キーは国際金融における長い経歴を有し、主
にニュージーランドのバンカーズ・トラストならびにシ
ンガポール、ロンドンおよびシドニーのメリルリンチに
勤務した。以前は、ニューヨーク連邦準備銀行外国為替
委員会の委員(1999年から2001年)であった。
サー・キーは2017年の女王誕生記念叙勲においてニュー
ジーランド・メリット勲章のナイト・グランド・コンパ
ニオンを授与された。2017年には、オーストラリアと
ニュージーランドの二国間関係を進展させた功績によ
り、オーストラリア勲章のコンパニオンの勲位を授かっ
た。
関連する他の取締役職
現在、ANZバンク・ニュージーランド・リミテッドの会長
(2018年から、2017年から取締役)およびオリテイン・
グローバル・リミテッドの会長(2023年から)であり、
ANZGHLの取締役(2022年から)およびパロアルト・ネッ
トワークスの取締役(2019年から)であり、BHPグルー
プ・リミテッド(オーストラリア)の戦略顧問(2023年
から)である。
関連する過去3年間の取締役職
以前は、ニュージーランド航空の取締役(2017年から
2020年)であった。
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所有株式数
氏名
役職名 略歴 任期
(1)
(年齢)
(株)
独立非執行 H S Kramer クレイマー氏は2023年8月から非執行取締役である。ク ANZGHL の 0
取締役 レイマー氏はリスク委員会の委員である。 2026年度
(クレイマー)
年次株主
(59歳)
職歴 総会で任
クレイマー氏は取締役として豊富な経験を有する。オー 命更新予
ストラリアおよびニュージーランドの主要な上場および 定
非上場企業の取締役を幅広く務め、また報酬、持続可能
性、監査およびリスクに関する委員会の委員長を務め
た。
同氏は、執行役員としてのキャリアとして、小売業ベス
ト・アンド・レスの最高経営責任者、テルストラ、
フォードおよびパシフィック・ブランズで顧客に対応す
る様々な上級職を歴任した。
同氏は、人材、顧客および文化を強く重視し、小売業お
よびデジタル・チャネルに関する広範な経験をもたら
す。
関連する他の取締役職
現在、ANZGHLの取締役(2023年から)、ウールワース・
グループ・リミテッドの取締役(2016年から)および
フォンテラ・コーポラティブ・グループ・リミテッドの
取締役(2020年から)であり、ベイン・アンド・カンパ
ニーの取締役会諮問グループの委員(2021年から)であ
り、ポリネーションの上級顧問(2023年から)であり、
西シドニー大学の副総長代理(2018年から)である。
関連する過去3年間の取締役職
以前は、レンディ・グループの会長(2020年から2021
年)であり、オーストラリア・ポストの副会長(2015年
から2020年)であり、アバカス・グループ・ホールディ
ングスの取締役(2018年から2022年)およびエンデ
バー・グループ・リミテッドの取締役(2021年から2023
年)であった。
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所有株式数
氏名
役職名 略歴 任期
(1)
(年齢)
(株)
独立非執行 C E O'Reilly オライリー氏は2021年11月から非執行取締役である。 ANZGHL の 0
取締役 2024年度
(オライリー)
監査委員会 職歴 年次株主
(62歳)
委員長 オライリー氏はオーストラリアの優れた非執行取締役の 総会で任
リスク委員 一人である。同氏は、インフラおよび金融サービス業界 命更新予
会委員長 で業務執行の役割を担ってきた。これには、ガスネッ 定
ト・オーストラリアの最高経営責任者およびコロニア
ル・ファースト・ステート・グローバル・アセット・マ
ネジメントの非上場インフラ投資部門の共同ヘッドが含
まれる。また、初期のキャリアとして、プライスウォー
ターハウスでの投資銀行および監査の経験などがある。
関連する他の取締役職
現在、ANZGHLの取締役(2022年から)、ストックランド
の取締役(2018年から)、BHPグループ・リミテッドの取
締役(2020年から)およびインフラストラクチャー・ビ
クトリアの取締役(2023年から)である。
関連する過去3年間の取締役職
以前は、メディバンク・プライベート・リミテッドの取
締役(2014年から2021年)、CSLリミテッドの取締役
(2011年から2020年)、トランズアーバン・グループの
取締役(2012年から2020年)およびベーカー心臓・糖尿
病研究所の理事(2013年から2023年)であった。
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所有株式数
氏名
役職名 略歴 任期
(1)
(年齢)
(株)
独立非執行 J P Smith スミス氏は2022年8月から非執行取締役である。スミス ANZGHL の 0
取締役 氏はリスク委員会の委員である。 2025年度
(スミス)
年次株主
(62歳)
職歴 総会で任
スミス氏はテルストラ、ハネウェルおよびトヨタなど多 命更新予
くの企業での上級業務執行職を含む30年を超える企業経 定
験を有する、世界的なビジネスと技術の経験が豊富な幹
部である。以前はIBMコーポレーションで最高情報責任者
を務め、IT戦略、リソース、システムおよびインフラを
世界的に統括し、同社のアジャイル・トランスフォー
メーションを主導した。同氏はまた、サンコープ・ビジ
ネス・サービシズの最高経営責任者およびサンコープの
最高情報責任者、ワールド・フューエル・サービシズ・
コーポレーションの最高執行責任者であった。
同氏はまた、オーストラリアの大学院生向け奨学金を米
国の大学に支給するオーストラリアのフルブライト委員
会の委員も務めた。
同氏は以前、2019年までANZの国際技術およびデジタル事
業諮問委員会の委員であった。
関連する他の取締役職
現在、ANZGHLの取締役(2022年から)、ANZサービス会社
の取締役(2022年から)、ソンライ・セキュリティ・イ
ンクの取締役(2021年から)およびPexaオーストラリ
ア・リミテッドの取締役(2023年から)であり、ズー
ム・ビデオ・コミュニケーションズ・インクの顧問
(2018年から)、ボックス・インクの顧問(2018年か
ら)およびワールド・フューエル・サービシズの顧問
(2023年から)である。
注:(1) 本書日付現在。この文脈において、「株式」とは(本書の提出会社として)ANZBGLが発行した普通株式を意味する。
本再編後、ANZBGLの普通株式は公開市場において上場も取引もされていない。本再編に際し、ANZの各株主は、本再編
の実施前に保有していたANZBGLの普通株式1株につきANZGHLの普通株式1株を受領した。
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② 執行役員
本書提出日現在、ANZの経営幹部および執行役員(非執行取締役を除く。)は以下のとおりである。
男性6名、女性4名(執行役員のうち女性の比率40.0%)
所有株式数
氏名 現在の役職 当グループ
役職名 略歴
(1)
(年齢) への就任 への入社
(株)
最高経営責 S Elliott 上記「①取締役」に記載の略歴を参照のこ 2016 年1月 2009 年6月 0
任者 と。
(エリオット)
(60歳)
グループ執 M Carnegie ANZ における過去の役職 2022 年3月 2016 年6月 0
行役員 これまで、グループ執行役員(デジタルお
(カーネギー)
(オースト よびオーストラリア事業改革担当)、グ
(54歳)
ラリア・リ ループ執行役員(デジタル・バンキング担
テール担 当)を務めた。
当)
ANZ 入社前の役職
以前は、オーストラリアおよびニュージー
ランドのグーグルのマネジング・ディレク
ター、オーストラリアおよびニュージーラ
ンドのプロクター・アンド・ギャンブルの
マネジング・ディレクターを務めた。
グループ執 E Clements 銀行、自動車、日用消費財、医薬品および 2023 年10月 2007 年10月 0
行役員(人 専門的サービスなど多様な業界にわたる世
(クレメンツ)
材・カル 界的組織で人材および文化に関する25年を
(51歳)
チャー担 超える経験を有する。
当)
ANZ における過去の役職
これまで、法人部門の人材・カルチャー担
当ジェネラル・マネジャー、コーポレート
および商業銀行業の人材・カルチャー担当
ヘッド、グローバル・テクノロジー・サー
ビス&オペレーションズ部門の人材・カル
チャー担当ヘッド、人材・カルチャー担当
シニア・マネジャーを務めた。
グループ最 K Corbally ANZ における過去の役職 2018 年3月 2009 年7月 0
高リスク責 これまで、内部監査担当グループ・ジェネ
(コーバリー)
任者 ラル・マネジャー、マネジング・ディレク
(53歳)
ター兼与信および資本管理担当ヘッド、法
人リレーションシップ・バンキング・オー
ストラリア担当ヘッド、産業多様化担当
ヘッドを務めた。
ANZ 入社前の役職
以前は、シティグループのマネジング・
ディレクター兼コーポレートおよび商業銀
行業担当ヘッド(オーストラリアおよび
ニュージーランド担当)を務めた。
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所有株式数
氏名 現在の役職 当グループ
役職名 略歴
(1)
(年齢) への就任 への入社
(株)
最高財務責 F Faruqui 金融サービス業界において25年を超える経 2021 年10月 2014 年7月 0
任者 験を有する。
(ファルーキ)
(59歳)
ANZ における過去の役職
これまで、グループ執行役員(国際担
当)、国際銀行部門の最高経営責任者を務
めた。
ANZ 入社前の役職
以前は、シティのアジア太平洋のコーポ
レートおよび投資銀行業担当ヘッド、シ
ティのアジア太平洋のグローバル・ローン
およびレバレッジ・ファイナンス担当ヘッ
ド兼資本市場の債券部門ヘッドを務めた。
グループ執 G Florian 技術業界において30年を超える経験を有す 2017 年1月 2017 年1月 0
行役員(技 る。
(フローリア
術およびグ
ン)
ループ・ ANZ 入社前の役職
(58歳)
サービス担 以前は、ディメンション・データのITaaS部
当) 門の最高戦略責任者、ディメンション・
データのITaaS部門の戦略および契約担当シ
ニア・バイス・プレジデント、ディメン
ション・データのクラウド事業ユニット担
当最高製品責任者、ディメンション・デー
タの最高マーケティング責任者、ディメン
ション・データの最高技術責任者を務め
た。
グループ執 C Morgan オーストラリアおよび米国でビジネス・バ 2023 年3月 2023 年3月 0
行役員 ンキングおよび法人向けバンキングの販売
(モーガン)
(オースト および商品に関する様々な役職を務めてお
(45歳)
ラリア商業 り、金融サービスおよび経営コンサルティ
担当) ングに関する豊富な経験を有する。
ANZ 入社前の役職
以前は、オーストラリア・コモンウェルス
銀行(「CBA」)の小規模事業バンキング担
当エグゼクティブ・ジェネラル・マネ
ジャーを務めた。14年間CBAでキャリアを積
み、企業融資、技術および戦略に関する多
様な役職を歴任した。
グループ執 A Strong ANZ における過去の役職 2022 年11月 2009 年1月 0
行役員(戦 これまで、グループ戦略担当グループ・
(ストロング)
略およびト ジェネラル・マネジャー、法人戦略および
(52歳)
ランス マーケティング担当ジェネラル・マネ
フォーメー ジャー、法人戦略担当ヘッドを務めた。
ション担
当) ANZ 入社前の役職
以前は、12年間ボストン・コンサルティン
グ・グループで主に金融サービス企業を担
当した。
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所有株式数
氏名 現在の役職 当グループ
役職名 略歴
(1)
(年齢) への就任 への入社
(株)
グループ執 A Watson ニュージーランド、英国、オーストラリア 2019 年12月 2009 年4月 0
行役員兼最 およびハンガリーの専門的サービスおよび
(ワトソン)
高経営責任 金融サービス部門において25年を超える経
(54歳)
者(ニュー 験を有する。
ジーランド
担当) ANZ における過去の役職
これまで、グループ執行役員兼最高経営責
任者代理(ニュージーランド担当)、リ
テールおよびビジネス・バンキング担当マ
ネジング・ディレクター、ニュージーラン
ド担当最高財務責任者、ニュージーランド
担当ファイナンシャル・コントローラーを
務めた。
グループ執 M Whelan 銀行業界において35年を超える経験を有 2016 年2月 2004 年11月 0
行役員(法 し、アジア市場ならびに法人銀行業、コー
(ウィーラン)
人担当) ポレートおよび商業銀行業の経験が豊富で
(63歳)
ある。
ANZ における過去の役職
これまで、最高経営責任者(オーストラリ
ア担当)、オーストラリアの商業銀行業の
マネジング・ディレクター、アジア、ヨー
ロッパおよびアメリカの法人部門のマネジ
ング・ディレクター、アジアの法人部門の
マネジング・ディレクター、マーケッツの
マネジング・ディレクター、マーケッツ部
門セールス担当ヘッドを務めた。
注:(1) 本書日付現在。この文脈において、「株式」とは(本書の提出会社として)ANZBGLが発行した普通株式を意味する。
本再編後、ANZBGLの普通株式は公開市場において上場も取引もされていない。本再編に際し、ANZの各株主は、本再編
の実施前に保有していたANZBGLの普通株式1株につきANZGHLの普通株式1株を受領した。
取締役または執行役員間において家族関係はない。
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③ 役員報酬の内容( 報酬報告)
本「③役員報酬の内容(報酬報告)」は、2023年11月13日に公表されたANZBGLの2023年度年次報告書に含まれる報酬報告書
に基づいており、これを抽出したものである。報酬報告書には、主要経営陣(「KMP」)に適用される報酬戦略、報酬体系およ
び報酬慣行が概説されている。報酬報告書は、2001年会社法の要求に従って作成され監査を受けており、取締役報告書の一部
を構成する。報酬報告書日以降報酬報告書の対象となるKMPの状況については、上記「①取締役」および「②執行役員」を参照
のこと。
留意すべきは、2022年12月15日に開催された年次株主総会で株主により承認されたスキーム・オブ・アレンジメントに基づ
き、2023年1月3日にANZGHLがANZBGLに代わり上場会社になったことである。本報酬報告には、2023事業年度の通年(2022年
10月1日から2023年9月30日)についての開示が含まれている。2023年1月3日より前に保有されていた普通株式および従業
員の持株(後渡し株式、後渡し株式の権利、制限付き権利および業績に基づく権利)はANZBGL関連の持株であったが、ANZGHL
上場後はANZGHL関連の持株に転換された。本報酬報告における「取締役会」とは、ANZGHLおよびANZBGLの取締役会を意味す
る。ANZGHLの業績がCEOおよび開示を要する執行役員に関する業績および報酬の査定結果を決定する基礎となっているため、下
記「4. グループ業績」は、ANZBGLではなくANZGHLに関係している。
1.本報告の対象者
主要経営陣(「KMP」)は、当グループ(または事業体)の取締役であり(執行取締役か否かは問わない。)、当グループ
(または事業体)の戦略的方向性および経営管理の重要な責任を有する人員(すなわち、銀行役員説明責任体制(「BEAR」)
に基づく説明責任を有し、最高経営責任者(「CEO」)に報告するグループ執行委員会(「ExCo」)の委員である。)(これら
を「開示を要する執行役員」という。)である。
(1)
1.1 開示を要する執行役員および非執行取締役の変更
2023年度中にKMPの一部に変更があった。
・ グラハム・ホッジズは、2023年2月8日に非執行取締役(「NED」)に就任した。
・ グレイム・リーベルトは、2022年12月15日、2022年度年次株主総会の終結の時をもってNEDを退任した。
・ ホリー・クレイマーは、2023年8月1日にNEDに就任した。
・ 2022年11月1日、ジェラルド・フローリアンの役割が拡大され、グループ執行役員(テクノロジー&グループサービス
担当)に就任し、アントニー・ストロングがグループ執行役員(ストラテジー&トランスフォーメーション担当)とし
てExCo委員に任命された。
・ クレア・モーガンは、2023年3月6日にANZに入社し、グループ執行役員(オーストラリア商業担当)に就任した。
・ キャスリン・ファン・デル・マーブは、2023年5月にANZのグループ執行役員(人材&カルチャーおよびサービス・セン
(1)
ター担当)を退任した。その後この責務は分離され、2023年6月1日にリチャード・ハウエルが代理の資格において
グループ執行役員(人材およびカルチャー担当)代理に任命された。
(1) ANZの能力センター(正式にはサービス・センターとして知られている。)の代理の資格における責務は、KMPの定義を満
たしていない法人部門の最高執行責任者であるスリーラム・アイヤルにより引き継がれた。
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1 .2 主要経営陣( 「 KMP 」 )
当年度の報酬報告において報酬が開示されるKMPは以下のとおりである。
2023 年度 非執行取締役( 「 NED 」 ) -現任
P.オサリバン 取締役会会長
I.アトラス 取締役
J.ハルトン 取締役
G.ホッジズ 取締役-2023年2月8日就任(ANZBGLのNEDのみ)
J.キー 取締役
H.クレイマー 取締役-2023年8月1日就任
J.マクファーレン 取締役
C.オライリー 取締役
J.スミス 取締役
2023 年度 非執行取締役( 「 NED 」 ) -前任
G.リーベルト 前取締役-2022年12月15日退任
2023 年度 最高経営責任者(「CEO」)および開示を要する執行役員-現任
S.エリオット CEO兼執行取締役
M.カーネギー グループ執行役員(オーストラリア・リテール担当)
K.コーバリー 最高リスク責任者(「CRO」)
F.ファルーキ 最高財務責任者(「CFO」)
G.フローリアン グループ執行役員(テクノロジー&グループサービス担当)-2022年11月1日就任(2022年
10月31日までグループ執行役員(技術担当))
R.ハウエル グループ執行役員(人材およびカルチャー担当)代理-2023年6月1日就任
C.モーガン グループ執行役員(オーストラリア商業担当)-2023年3月6日就任
A.ストロング グループ執行役員(ストラテジー&トランスフォーメーション担当)-2022年11月1日就任
A.ワトソン グループ執行役員兼ニュージーランドCEO
M.ウィーラン グループ執行役員(法人担当)
2023 年度 開示を要する執行役員-前任
K.ファン・デル・マーブ 前グループ執行役員(人材&カルチャーおよびサービス・センター担当)-2023
年5月31日退任、2023年6月30日雇用終了
2023年度末以降取締役報告書の署名日までの間、以前発表したとおり、以下のKMPの変更があった。
・ 2023年10月8日、リチャード・ハウエルがグループ執行役員(人材およびカルチャー担当)代理を退任した。
・ 2023年10月9日、エリサ・クレメンツがグループ執行役員(人材およびカルチャー担当)としてExCo委員に任命された。
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2. 2023 年 度報酬査定の概観
最高経営責任者(「CEO」)の報酬
2023年度については、以下のとおりであった。
・ CEOの固定報酬(「FR」)は増額されなかった。
・ CEOは、業績の総合評価が目標を十分に上回ったことを反映して、上限機会の96%の短期変動報酬(「STVR」)が付与さ
れた(下記5.2.1を参照のこと。)。
・ CEOは、2022年度年次株主総会での株主の承認をもって、337.5万ドルの長期変動報酬(「LTVR」)が付与された。
・ CEOは、2023年度に合計460万ドルの報酬を受領した(すなわち、下記5.1に記載されるとおり、2023年度に権利が確定し
た過去のエクイティ報酬の価値を含む。)。
開示を要する執行役員の報酬
2023年度については、以下のとおりであった。
・ 2022年10月1日に(2022年度報酬報告書で開示された2022年度の執行役員報酬体系の変更に従い)固定報酬調整額を受領
した。2022年11月1日からの役割の拡大を反映して市場調整額を受領したグループ執行役員(テクノロジー&グループ
サービス担当)を除き、2023年度の開示を要する執行役員の固定報酬は増額されなかった。
・ 開示を要する執行役員のSTVR査定は平均で上限機会の89%であり、個人レベルでの査定の範囲は、上限機会の80%から
100%であった。
・ 開示を要する執行役員は、固定報酬の135%(CROについては固定報酬の100%)のLTVR機会が全額付与された(下記5.4を
参照のこと。)。
制限付き権利および業績に基づく権利の査定(CEOおよび開示を要する執行役員)
取締役会は、2023年度LTVR制限付き権利(「RR」)について、付与前評価の査定に基づき報奨全額で支給されるべきである
と判断した(下記5.3を参照のこと。)。
業績に基づく権利(「PR」)については、業績期間の3年から4年への変更に伴い(すなわち、2018年度PR報酬は2021年11
月/12月に権利確定したが、2019年度PR報酬は2023年11月/12月まで権利確定されない。)、2023事業年度において権利確定
したものはなかった。
非執行取締役(「NED」)の報酬
2023年度に関して、NEDの報酬は増額されなかった(下記9.1を参照のこと。)。
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3. ANZ の報酬体系の概要
3.1 報酬フレームワークの概要
以下は、執行役員報酬フレームワークがどのようにANZの目的および戦略を支援し、ANZのリスク管理への重視を促進し、株
主価値に沿ったものにしているかを示している。
(1) 「第2 企業の概況-3. 事業の内容-(3)戦略」および「第3 事業の状況-2. サステナビリティに関する考え方及び
取組-(3)戦略」を参照のこと。
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3.2 報酬体系の概要
(1)
CEO および開示を要する執行役員(「DE」)(CROを除く )
2022年度報酬報告に示されるとおり、当グループの規制当局であるAPRAによって新たな健全性基準CPS511「報酬」が導入さ
れたため、当グループのCEOおよび開示を要する執行役員に対する報酬の付与方法について、詳細な検討が行われることとなっ
た。取締役会は、2022事業年度から適用する執行役員報酬体系の変更を承認した。
報酬体系は以下を目的として設計されている。
・ 引き続き業績およびリスク管理を重視する。
・ 財務リスクおよび非財務リスクの効果的な管理を促進する。
・ 変動報酬の査定に関する非財務指標に対し(APRAの要件に沿って)重要な比重を置く。
・ 長期的な焦点および株主との調整を確保する。
・ CPS511の要件の充足と市場競争力のある報酬体系の構築とのバランスを取る。
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報酬体系の主な特徴には以下が含まれる。
・ 短期および長期にわたるバランスの取れた権利確定(変動報酬の大部分(約80%)は2年から5年(CEOについては2年
から6年)にわたり繰り延べられる。)
・ すべての変動報酬の支払い/権利確定後2年間のクローバックの適用を含む、強固なリスクおよび報酬の査定結果
・ 年次業績および長期業績の両方に対する執行役員への報酬付与
・ リスクベースおよびTSR要件の組合せで構成される将来を見据えた長期変動報酬
4.グループ業績
4.1 2023年度のANZグループ業績フレームワークに照らした評価
ANZグループ業績フレームワークは各事業年度の期首に取締役会により承認され、以下において主要な役割を果たしている。
・ 何が最も重要かについて社内へメッセージを発信する。
・ リスク、財務、顧客および人材に関する査定に加えて健全な経営の重要性を強化する。
・ ANZ全般での取組み、優先順位付けおよび意思決定の焦点を伝える。
ANZグループ業績フレームワークに照らした業績の評価により、以下において重要なインプットが提供される。
・ 開示を要する執行役員に対する短期変動報酬へ資金供給するANZインセンティブ・プラン(「ANZIP」)資金プールの規
模の決定
・ 短期変動報酬査定に反映される、CEO(50%の比重)および開示を要する執行役員(25%~50%の比重)に関する総合業
績評価
実施した業務に関する経営陣のインプット、実現した成果の証拠および学んだ教訓を含む、様々な客観的指標および主観的
要因が検討され、営業、規制および競争環境も考慮に入れられる。
全体的には、2023年度の業績は目標を上回っており、すべての事業ラインが大きく貢献していると評価された。
以下は、ANZの2023年度業績目標の概要であり、2023年度の総合評価を示すための主要な各業績区分における査定結果の要約
を提供する。
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(2)
・ 財務実績が大幅に改善し(下記4.2.1を参照のこと。)、以下により、前年同期比で経済的利益 (+293%)および現金
NPAT(+14%)が増加した。
- 純利息収益が力強い成長を示した(前年同期比で+11%)。これは、金利環境が下支えしている中、住宅ローンの競
争が継続し顧客が金利の高い預金商品へ移行したにもかかわらず、(i)各部門での取引量が増加し、(ii)利鞘が改善
したことによるものであった。
- 4つすべての事業における業績は、計画に対して堅調であった。
- ポートフォリオの信用の質が改善されたことで貸倒引当金繰入額が低く抑えられ(2億4,500万ドル)、顧客の選定
に関して長期的な規律が維持された。
・ 費用が市場ガイダンスに沿って適切に管理されたことにより(前年同期比で+5%(為替調整後、重大/重要項目を除
く。))、生産性が大幅に向上し、経営陣が当グループの投資に注力することが可能となった。これは大きな逆風(例
えば、インフレ圧力)の一部相殺に寄与した。
・ 当グループは、短期間にNOHC構造を実現し、BS11を達成し(ニュージーランドの銀行で初)、ナ・タプワェ・プログラ
ムを開始しており(ANZ NZの中核事業をクラウドへ移行し、より強力な回復力、強靭性およびコスト削減に向けて事業
を再設計するため)、また当グループは、経営上サンコープを統合する(当グループのオーストラリア競争審判所への
申請が成功した場合)準備ができている。
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・ オーストラリア・リテール: 取引のある顧客に関連する2023年度目標を上回ったANZプラス(目標400,000に対し
465,000)、運用資産(目標40億ドルに対し94億ドル)およびネット・プロモーター・スコア(「NPS」)(例えば、
Join社のNPSにおいては目標45に対し+52)が大きく進展した。計画していたブローカー・チャネルを通じてではないも
のの、Plus Home Loansが開始した。Classic Home Loansの対応時間は、年間を通して安定し目標範囲内(3日未満)で
あったと同時に、市場シェアは上昇し(32ベーシスポイント)、住宅ローンのNPSは、2022年度の71.1から2023年度は
76.1に改善した。
・ オーストラリア商業: 戦略が実行されており、初期段階で成功の兆しを見せている(例えば、申請プロセスの迅速化お
よび簡略化、小規模事業向けローンの最終決定までの期間短縮化(12日から9.3日)、より簡略化されたプロセスを提供
し市場をリードする「無担保融資の簡略化」の開始、NPS(2022年度の26.5に対し29.9))。しかしながら、当グループ
は、それ以上に顧客および銀行の体験を大幅に改善することを目標としていた。
・ ニュージーランド: ブランド考慮率において第1位を維持した。データ活用能力は、DOT Love Data社の買収によって強
化された。企業顧客に関しては、Business Regrowth LoanとBusiness Visa Debitの立上げが成功した。
・ 法人: 社会的および環境的結果の改善、ならびに顧客のネットゼロへの移行の支援において、引き続きアジア太平洋市
場を主導し、2023年3月31日、当グループの2025年サステナブル・ソリューション目標である500億ドルのうちおおよそ
470億ドルを達成するとともに、2023年4月1日より1,000億ドルという新たな目標(2030年末まで)への取組みを開始
(3)
した。法人部門は、ピーター・リー の調査でそのリーダーシップがさらに高く評価され、Relationship Strength
Indexのスコアがオーストラリアおよびニュージーランド両国の銀行で史上最高を達成し、トランザクション・バンキン
グの評価が過去最高となり(製品開発およびイノベーション、ならびにシステム実装における初の第1位を含む。)、
オーストラリアおよびニュージーランドでの決済・現金管理ソリューションの提供において、当グループのリーダー
シップはさらに強化された(市場シェアで第1位)。
・ ビジネスサービス: 当グループがより効率的かつ回復力のあるサービス提供の道筋として、企業規模のビジネスサービ
スを構築するという高い目標は、計画より遅れてはいるものの着実に進められている。
・ 当グループは、引き続きリーダーシップ、能力、文化およびプロジェクト実現の強化に意図して注力しているが、これ
は、価値を提供する取組みへの支援、職員による高い関与およびすばらしい職場としての認識により証明されている。
- 当グループのエンゲージメント・スコアは、金融サービスにおいて87%(2022年度は84%)と業界トップであり、
(4)
世界のあらゆる業界における最良企業と同等である。また当グループは、グラスドア の格付において、主要銀行
の中で第1位を維持した。
- 当グループにおいて、役員全体の女性が占める割合は37.3%(目標36.9%)と2022年度の35.9%から上昇し、良好
な進展を遂げている。当グループの4事業部門のうち3部門で女性がトップを務めている。
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- 当グループのプロジェクト実現能力は引き続き改善され、持続的な取組みや投資を行ったことにより、実現能力が
大幅に増大している(取締役会に対する様々な第三者の報告により裏付けられている。)。
- リーダーシップ能力は、幅広いプログラムへの投資により向上した(例えば、Lead@ANZが約5,600名のリーダーに対
し開始され、エグゼクティブ・リーダーシップ・シリーズはNPSが50を超えた。)。また、優先分野において能力が
向上した(例えば、重要な専門分野にわたる技術習得の発展を支援するエンジニアリング・キャリアパスウェイを
立ち上げ、カスタマー・コーチング・プログラムを展開し、キャリアプログラム戦略を実施した結果、2024年度卒
業生育成プログラムへの応募が100%増加した。)。
・ 信用事象における重大な違反はなく、強固な信用結果を記録した。
・ 主要な規制上の責任を継続して果たしており、(新しい当グループ全体の非財務リスクフレームワークのさらなる実施
を通じて)非財務リスク管理を改善した一方、APRAが課した5億ドルのオペレーショナル・リスク・オーバーレイが
残っている。
・ 従業員に対して率直に発言し互いに敬意を表して議論するよう奨励する持続的な取組みを反映した、リスク文化が強化
された(「健全な」状態という目標の達成および84%という高い「率直に発言する」に関するスコアの継続的な実現を
含む。)。
・ 否定的な監査上の指摘事項の再発はなく、リスクアペタイト・ステートメントにおいて重大な違反はなく、重大な非財
務リスク事象もなかった。
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4.2 ANZの業績査定
4.2.1 2019年度から2023年度のANZの財務実績
CEO、開示を要する執行役員および従業員の変動報酬査定の決定においては、異なる財務指標が幅広く考慮される。当グルー
(1)
プは、当グループの継続的事業活動の業績の評価基準として現金利益 を用いており、これにより過去の期間および競合する
機関と対照して当グループおよび部門の業績を評価するための基礎を提供している。現金利益を算出する際に行われる調整
は、監査対象である法定利益に含められている。現金利益は監査対象とされていないが、外部監査人は、各表示期間を通じて
一貫した基準で現金利益の調整額が決定されている旨を監査委員会に通知している。
法定利益は前事業年度からほぼ変動がなかったが、継続事業による現金利益は14%近く増加した。基本的な業績は、当グ
ループの各部門の貸付による堅調な収益とともに、金利環境が下支えしている中での純預貸利鞘の改善を反映しており、引き
続き成長のための投資に注力することが可能となっている。
下表は、過去5年間のANZの財務実績(現金利益を含む。)を示している。
2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
普通株主に帰属する法定利益(百万ドル) 5,953 3,577 6,162 7,119 7,098
(1)
現金利益 (百万ドル、未監査) 6,161 3,660 6,181 6,496 7,405
現金利益-継続事業(百万ドル、未監査) 6,470 3,758 6,198 6,515 7,405
引当金繰入前現金利益-継続事業
(百万ドル、未監査) 9,958 8,369 8,396 8,968 10,754
キャッシュROE(%)-継続事業(未監査) 10.9 6.2 9.9 10.4 10.9
キャッシュEPS-継続事業(未監査) 220.2 128.7 216.5 228.8 247.1
9月30日現在の株価(ドル)
(2018年10月1日の始値は27.80ドル) 28.52 17.22 28.15 22.80 25.66
配当金総額(1株当たりセント) 160 60 142 146 175
9.2 (36.9) 70.7 (14.0) 20.0
株主総利回り(12か月、%)
(1) 現金利益は法定利益に含まれる非中核項目を除外しており、2023年度については、複数の項目で構成される税金調整額を
差し引いた純額により、法定利益が3億700万ドル増加した。現金利益は、読者が当グループの主力事業活動の経営成績を
理解するために提供されている。
4.2.2 ANZ の株主総利回り(「TSR」)パフォーマンス(1-10年)
(1)
下表は、1年から10年の期間にわたり、ANZのTSRパフォーマンスを、選定金融サービス(「SFS」)比較可能グループ の
TSR中央値および業績に基づく権利(「PR」)のTSR上位25%層のTSRと対照している。下表は、当グループのPRを異なる業績期
間(すなわち、2023年9月30日まで)で測定したTSRである。
(1)
・ ANZのTSRパフォーマンスは、1年にわたる比較の場合は、SFS比較可能グループ のTSR中央値を上回った。
・ 3年、5年および10年にわたる比較の場合は中央値を下回った。
2023年9月30日までの年数
1年 3年 5年 10年
ANZ(%)
20.0 76.3 19.7 46.1
SFSのTSR中央値(%) 14.6 77.3 29.8 60.0
SFS上位25%のTSR(%) 22.3 90.9 60.9 128.2
(1) SFS比較グループの詳細については、下記7.2.5を参照のこと。
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5. 2023 年度のCEOおよび開示を要する執行役員の査定
変動報酬は「リスク性のある」報酬であり、その範囲はゼロから上限機会までである。
CEOの短期変動報酬(「STVR」)を除き、開示を要する執行役員のSTVRを含むその他すべての従業員の個人の変動報酬の査定
結果は、ANZインセンティブ・プラン(「ANZIP」)に基づき資金供給される。CEOの変動報酬の査定結果は、潜在的な利益相反
を軽減するために取締役会が個別に決定する。下記10.1.3を参照のこと。
各事業年度末に、取締役会は、公正かつ合理的なANZIP資金プール額を決定するために判断を下す。財務業績の評価は、資金
プールの額を決定するが、定型的な査定ではない。取締役会は、以下を含む様々な要因を検討する。
・ ANZグループ業績フレームワークの評価(上記4.1を参照のこと。)
・ 利益および事業環境の質
・ 2023年度中の株主体験(株主還元や配当金の過年度との比較など)
・ 当グループの報酬原則(優秀な人材を集め、動機付けし、雇用を維持することなど)(下記7を参照のこと。)
年次業績目標は、毎年期首に当グループおよび部門/個人のレベルで設定され、その実現に挑むものになるよう設計されて
いる。人事委員会および取締役会は、多数の情報源による業績の包括的分析を裏付けとして、長時間にわたる詳細な議論およ
び評価を行ったうえで、CEOおよび開示を要する執行役員に対する変動報酬の査定を決定する。
期待値が達成された場合のSTVRは、概ね上限機会の80%で付与される可能性が高い。業績が期待値を下回った場合にはSTVR
は減額され(ゼロになる可能性があり)、期待値を上回った場合にはSTVRは増額される(最大で上限機会になる可能性があ
る。)。
長期変動報酬(「LTVR」)は、全額機会に基づき期首に付与される。ただし、LTVRの制限付き権利(「RR」)の付与前評価
によって減額される場合を除く(また、CEOについては株主の承認も条件である。)。
報酬の査定は、以下の3通りで示される。
ⅰ. 受領した 報酬 (下記5.1を参照のこと。)
ⅱ. 付与された報酬 (下記5.2、5.3および5.4を参照のこと。)
ⅲ. 法定報酬 (下記11.1を参照のこと。)
5.1 受領した2023年度の報酬
下表は、CEOおよび開示を要する執行役員が、現金による支払いとして2023事業年度に関連して実際に受領した報酬、または
過去のエクイティ報酬の場合は2023年度に権利確定した価値を示している。
固定報酬(「FR」)の調整額については、2022年度報酬報告書で開示されたとおり、開示を要する執行役員は、2022年度に
変更された執行役員報酬体系に従って受領した。2022年11月1日の役割の拡大を反映して、FRが115万ドルから125万ドルに増
額されたグループ執行役員(テクノロジー&グループサービス担当)を除き、2023年において、開示を要する執行役員のFRに
その他の調整は行われなかった。
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受領した2023年度の報酬-CEOおよび開示を要する執行役員
受領価額には、当該年度に権利確定した過去のエクイティ報酬の価値が含まれる。
当年度中 当年度中
に権利確定 に権利確定
した後渡し したその他の 実際に受領
現金による
(1) (1) (2)
固定報酬 変動報酬 現金総額 変動報酬 後渡し報酬 した報酬
(単位:ドル)
CEO および現職の開示を要する執行役員
S.エリオット 2,500,000 1,160,000 3,660,000 919,413 - 4,579,413
M.カーネギー 1,250,000 550,000 1,800,000 561,264 - 2,361,264
K.コーバリー 1,250,000 532,500 1,782,500 471,287 - 2,253,787
F.ファルーキ 1,250,000 600,000 1,850,000 795,274 - 2,645,274
(3)
1,242,000 497,500 1,739,500 496,698 - 2,236,198
G.フローリアン
(4)
231,792 180,000 411,792 - - 411,792
R.ハウエル
(4)(5)
627,000 250,000 877,000 - 407,000 1,284,000
C.モーガン
(4)
690,000 315,100 1,005,100 291,162 - 1,296,262
A.ストロング
(6)
1,106,505 472,570 1,579,075 450,151 - 2,029,226
A.ワトソン
M.ウィーラン 1,460,000 730,000 2,190,000 753,723 - 2,943,723
前職の開示を要する執行役員
(1)(4)
780,000 該当なし 780,000 488,194 - 1,268,194
K.ファン・デル・マーブ
(1) 当年度中に権利確定したまたは失効/失権した後渡し変動報酬は、後渡し株式、後渡し株式の権利および/または制限付
き権利/業績に基づく権利として付与された過去の後渡し報酬の一時点における価額であり、権利が確定する日または失
効/失権する日にASXで売買される当行株式の1日出来高加重平均価格(「VWAP」)に、後渡し株式/後渡し株式の権利お
よび/または制限付き権利/業績に基づく権利の数を乗じたものに基づく。K.ファン・デル・マーブの退任時に失権した
権利未確定の後渡し報酬に関連する-4,880,967ドルを除き、CEOまたは開示を要する執行役員について、当年度中に失効/
失権した過去の後渡し報酬はなかった(2023年度に権利確定する業績に基づく権利がなかったため)。
(2) 固定報酬、現金変動報酬および当年度中に権利確定した後渡し変動報酬の合計である。
(3) 固定報酬は、役割の拡大による当事業年度中の固定報酬の変更を反映している(G.フローリアン)。
(4) 固定報酬は、開示を要する執行役員としての期間に応じて按分されている(R.ハウエル、C.モーガン、A.ストロング、K.
ファン・デル・マーブ)。
(5) C.モーガンのその他の後渡し報酬は、ANZへの入社によって失権した後渡し報酬および放棄された賞与機会に関係してお
り、当年度中に現金として繰り延べられ権利確定した。
(6) ニュージーランドドルで支払われ、豪ドルに換算されている。ニュージーランドドルから豪ドルに換算する際に使用する
年初来平均為替レートは、該当年度の9月30日現在のものである。
5.2 付与されたSTVR
事業年度末において、人事委員会は、STVR査定に関する取締役会の承認を求める勧告を行う。
STVRは毎年増減し、保証されておらず、その範囲はゼロから上限機会までになる可能性がある。
下表は、2022年度および2023年度業績期間について、CEOおよび開示を要する執行役員に付与されたSTVRの対前年比較を表
す。付与されたSTVRは、該当事業年度につき実際に 付与された STVRの現金部分および後渡し株式部分を反映している。非現金
部分は、将来の権利確定の査定結果の対象であるため、付与価額は、将来の換価代金より高くなる場合もあれば低くなる場合
もある。
2023年度の報酬査定結果は、当グループ全体の業績と各個人/部門における業績の両方を反映する。
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5.2.1 CEO
取締役会は、240万ドルのSTVR査定結果(上限機会の96%)は、CEOの全体的な業績および当グループ全体の業績の双方を考
慮し、2023年度について適切であると判断した。CEOのSTVR付与については、2016年の就任以降初めて目標を上回ったが、これ
は下記のとおり、2023年度の業績査定結果が目標を上回ったことを反映している。
該当事業年度において付与されたSTVR-CEO
STVR ( %)
STVR の実額
STVR STVR
事業年度 上限機会 STVR 合計 STVR 現金 後渡し株式 目標機会 上限機会
(単位:ドル)
CEO
S. エリオット 2023 年 2,500,000 2,400,000 1,160,000 1,240,000 120 % 96 %
2022年 2,500,000 1,860,000 930,000 930,000 93% 74%
2023 年度 のCEO個人の戦略目標
・ 特にオーストラリアにおける成長、住宅ローンの勢いおよび商業部門戦略に重点を置いて組織の戦略的方向性を推進す
るとともに、当グループのデジタル・トランスフォーメーション、サステナビリティ、プラットフォームおよびエコシ
ステムを浸透させる。
・ 長期的成長を支えるための強固で信頼性のあるプラットフォームをANZが確保できるように、健全なリスク管理、オペ
レーショナル・エクセレンスおよびシステムの安定性を含む回復力に注力する。
・ ANZの事業改革に必要な文化および説明責任を主導しロールモデルとなる。
・ すべてのステークホルダー・グループにわたってANZの評判を高める。
・ サンコープ買収を合意した統合計画により完了する。
・ 引き続きグループ執行委員会の有効性を強化し、グループ執行委員会委員とCEOの後継者育成の道筋を構築する。
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個人の戦略目標に対する業績の取締役会の評価
CEOは、当年度において良好な業績を実現した。数年にわたりANZの簡素化(事業売却や内部的再編)に重点を置き、その
後各中核事業での持続可能な成長を促進することへ移行した。喜ばしいことに、2023年度におけるANZの財務実績は過去最高
を記録し、4つの中核事業部門がそれぞれ貢献した。CEOの成果は、長期的な業績を支えるために重要な戦略的構成要素が整
備されていることを強調している。
CEO は、中核事業の持続可能な成長の達成に焦点を置いている。 その重要な結果には以下が含まれる。
・ ANZプラスは、オーストラリアで最も早く成長している新しい銀行プラットフォームとなり、それには、取引のある顧客
の数、運用資産およびネット・プロモーター・スコアに関連する目標超過が含まれる。
・ 商業部門の戦略を実行し、その新たな部門の業績は堅調であった。これは特にCEOによる当該事業の責務遂行によるもの
であった(グループ執行役員(オーストラリア商業担当)の任命前)。
・ 持続可能な金融(例えば、グリーンおよびサステナビリティ連動のローン、債券および保証)等の幅広いサステナビリ
ティ銀行業務、ネットゼロ経済への移行(例えば、グリーンビルディング、再生可能エネルギー、エネルギー効率化、
持続可能なインフラ)に資金提供しそれを促進する銀行業務を通じ、収益源としてサステナビリティを成長させる当グ
ループの意欲的な目標を上回った。
・ 住宅ローンの勢いを回復させ、その成長は1xシステムの目標を超えた。
・ 法人部門の決済プラットフォームにおけるシェアが改善され、決済全体で約8%成長した。
・ より広範な戦略(例えば、View Media Group、DOT Loves Dataおよびポリネーションへの投資、ならびにキャッシュリ
ワーズの新しいCEOの任命)を支援し、デジタルエコシステムを構築した。
銀行が直面するリスクを特定し、議論し、それに対して行為するための適切な姿勢を強調することで、CEOが主導する 強固
なリスク規律を継続している 。オペレーショナル・エクセレンスおよび回復力の強化は、CEOの重要な注力分野である。その
例として以下が含まれる。
・ 当グループ全体の非財務リスク・フレークワークの構築において(強力なビジネスリーダーシップにより)明確な進捗
が認められた。
・ 極めて意欲的な変革計画(例えば、技術向上プログラム、ANZプラス、NOHCの実現、サンコープ買収、プラットフォー
ム・サービシズ、主要な規制プログラム)を実行した。
・ 強力なサイバー・レジリエンスや金融犯罪の分野における成果を示した。
(1)
・ ニュージーランドにおける将来の成長を促すため、BS11 を実現し(ニュージーランドの銀行で初)、ニュージーラン
(2)
ドでナ・タプワェ・プログラム を立ち上げた。
CEO の主な強みは、機会を創出し、重要なものを提供し、共に成功するというANZの価値観と姿勢を強く推奨するととも
に、そのロールモデルとなっていることである 。これは、堅調な業績達成に大きく貢献したすべての事業ラインによって示
されている。CEOのリーダーシップは、すべての産業にわたるグローバル・ベスト・イン・クラスに匹敵する継続的に高い従
業員エンゲージメント(87%)で説明される。同様に、84%のANZの「率直に発言する」に関するスコアは、職員が互いに敬
意を表し議論することができると感じる文化を奨励する継続的な取組みを反映している。
CEO は引き続き 、株主、従業員、顧客、規制当局、政府および地域社会(非営利団体や環境団体を含む。)といった ステー
クホルダー・グループと効果的かつ忠実に対話する能力を示していく 。CEOは、内部および外部共に思想的な業界リーダーと
みなされており、複数の通信およびメディア、議会審理、ならびに積極的な顧客関係管理を通じて、従業員および地域社会
全体と定期的に交流を図っている。
CEO はサンコープ買収計画を主導する重要な役割を担っており 、ANZ、クイーンズランド州の顧客およびより広範な地域社
会の利益や機会の実現を強く支援してきた。ACCCはANZの買収申請を却下したが、CEOは、オーストラリア競争審判所の審査
が成功した場合には、サンコープ・バンクをANZに統合できるよう十分な準備を整えていることを確認している。
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2023 年度 の良好な業績は 、過去1年から2年にわたりCEOのチームが行った主な異動や任命と共に、 CEOによるExCoへの効
果的な支援を反映している 。執行役員の後継者育成は、引き続きCEOおよび取締役会に重点を置き、CEOは、将来的に内部か
らのCEO後継者を可能とする取組みを着実に進めている。
全体的には2023年度は多くの成果があり(ANZが戦略的優先事項を実現するため有利な立場を確保している。)、取締役会
の見解では、CEOは総合評価において目標を十分上回るという査定結果に値する。
(1) BS11は、ニュージーランド準備銀行の外部委託方針を要約したものである。
(2) ANZニュージーランドは、その事業を根本的に変革するための複数年作業プログラムに着手した。このプログラムは「ナ・
タプワェ・オ・ANZ」(「ANZの足跡」)と呼ばれ、中核技術、プロセスおよび作業方法の変更を行う。
5.2.2 開示を要する執行役員
・ STVR査定は引き続き前年度比および執行役員間で異なり、この報酬要素のリスク性のある性質、ならびに当グループおよ
び個人の業績の前年度からの変動が示される。2023年度のSTVRは、すべての開示を要する執行役員について目標に一致す
るか目標を上回っている(2023年度の戦略的および経営上の決定により共同で重大な価値を提供したことを反映してい
る。)。しかし、最近の報告期間(2018年度から2022年度)においては、目標に一致または目標を上回る変動報酬を受領
したのは、38名の開示を要する執行役員のうち2名のみであった。付与された2023年度の変動報酬の詳細については、下
記5.4を参照のこと。
・ 現職の開示を要する執行役員の平均STVR査定は、上限機会の89%である。これは、ANZグループの業績の総合評価(25%ま
たは50%の比重)(上記4.1を参照のこと。)および個人の業績の総合評価(役割に応じて75%または50%の比重)(下記
6.2を参照のこと。)が目標を上回っていることを反映している。査定結果は、上限機会の80%から100%の範囲である。
2023年度の報酬査定結果は、開示を要する執行役員が優秀なチームであることが示されており、すべての事業および組織
強化機能がそれぞれANZの堅調な業績に大きく貢献した。
・ C.モーガンおよびA.ストロング両氏に付与された2023年度のSTVRは、2023年度中の開示を要する執行役員としての期間
(すなわち、それぞれ約7か月および約11か月)に基づいている。
・ R.ハウエルに付与された2023年度のSTVRは、グループ執行役員(人材およびカルチャー担当)代理としての期間(すなわ
ち、約4か月)を反映している。
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該当事業年度において付与されたSTVR-開示を要する執行役員
STVR (%)
STVR の実額
STVR STVR
事業年度 上限機会 STVR 合計 STVR 現金 後渡し株式 目標機会 上限機会
(単位:ドル)
現職の開示を要する執行役員
M. カーネギー 2023 年 1,250,000 1,100,000 550,000 550,000 110 % 88 %
2022 年 1,250,000 920,000 460,000 460,000 92 % 74 %
K. コーバリー 2023 年 1,250,000 1,065,000 532,500 532,500 107 % 85 %
2022 年 1,250,000 885,000 442,500 442,500 89 % 71 %
(1)
2023 年 1,250,000 1,200,000 600,000 600,000 120 % 96 %
F. ファルーキ
2022 年 1,212,500 1,159,150 579,575 579,575 120 % 96 %
G. フローリアン 2023 年 1,250,000 995,000 497,500 497,500 100 % 80 %
2022 年 1,150,000 885,000 442,500 442,500 96 % 77 %
(1)
2023 年 348,068 300,000 180,000 120,000 108 % 86 %
R. ハウエル
(1)
2023 年 627,000 500,000 250,000 250,000 100 % 80 %
C. モーガン
(1)
2023 年 690,000 630,200 315,100 315,100 114 % 91 %
A. ストロング
(2)
2023 年 1,106,505 945,140 472,570 472,570 107 % 85 %
A. ワトソン
2022 年 1,108,830 845,483 422,742 422,742 95 % 76 %
M. ウィーラン 2023 年 1,460,000 1,460,000 730,000 730,000 125 % 100 %
2022 年 1,460,000 1,070,000 535,000 535,000 92 % 73 %
前職の開示を要する執行役員
(3)
2023 年 780,000 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし
K. ファン・デル・マーブ
2022 年 1,040,000 800,000 400,000 400,000 96 % 77 %
(1) STVRは、2022年度(F.ファルーキ)または2023年度(R.ハウエル、C.モーガン、A.ストロング)における開示を要する執
行役員としての期間に基づいている。R.ハウエルのSTVRは40%の繰延べの対象である(代理の性質による報酬の取決めに
ついては、下記7.1を参照のこと。)。
(2) ニュージーランドドルで支払われ、豪ドルに換算されている。ニュージーランドドルから豪ドルに換算する際に使用する
年初来平均為替レートは、該当年度の9月30日現在のものである。
(3) STVRを受領する資格を有しない。
5.3 付与されたLTVRおよび付与前評価の査定
新しい報酬体系に基づくLTVRの最初の付与は、2023事業年度期首に開示を要する執行役員(2022年11月)およびCEO(年次株
主総会後の2022年12月)に対して行われ、全額機会で付与された。
LTVRの付与が期末ではなく期首に実施するよう変更されたため、2022年度にLTVRは付与されなかった。
LTVRの 制限付き権利(「RR」)部分 は取締役会による付与前評価の対象であり、全額付与されるべき(すなわち、減額な
し)と判断された。またRRは、すべて権利確定すべきか否かを判断するため、4年の業績期間終了時に取締役会が行う非財務
指標の権利確定前評価の対象になる。
制限付き権利の付与前評価(下記7.2.4を参照のこと。)
ステップ 行動 査定結果
ステップ1 健全性の評価 目標に一致
ステップ2 リスク指標の評価 目標に一致
ステップ3 取締役会の裁量の適用 調整なし
付与前評価結果 100 %
LTVRの 業績に基づく権利(「PR」)部分 はTSR要件に従い(下記7.2.5を参照のこと。)、業績期間終了時にPRの権利確定水
準およびその後の価額が決定される。
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CEO のLTVR :337.5万ドル(固定報酬の135%)の2023年度LTVR付与については、2022年度年次株主総会で株主が承認し、50%
をRRで50%をPRで支給される。同様に、337.5万ドルの2024年度LTVR付与については、2023年度年次株主総会で株主の承認が求
められる。
開示を要する執行役員のLTVR :2023年度のLTVRは、全額機会で付与される(報酬体系の変更に関連する新たな固定報酬の
135%であり、CROについては100%である。)。C.モーガンについては、2023年度の途中にANZに入社したため、2023年度の
LTVRは期間割りされ、2023年9月(2022年11月ではない。)に付与された。R.ハウエルは、代理の資格において受領する権利
を有しなかった。支給の詳細については、下記7.2.3を参照のこと。
5.4 付与された2023年度VR
下に示したグラフは、2023年9月30日に終了した年度につき、CEOおよび開示を要する執行役員に付与されたSTVRおよびLTVR
を示している。
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5.5 2023年度報酬の対前年比較
CEO -2022年度および2023年度報酬合計の概要
付与 受領 法定
付与された報酬 は、該当年度に実際に付与さ 受領した報酬 は、該当年 法定報酬 は、オーストラ
れたSTVRの現金部分および後渡し株式部分を 度に実際に受領した報酬 リア会計基準に準拠した
反映している。非現金部分は将来の権利確定 (すなわち、現金による 報酬を反映している。こ
の査定結果の対象であるため、付与価額は、 支払いならびに該当年度 れには、該当事業年度に
将来の換価代金より高くなる場合もあれば低 に権利確定した過去に付 つき、実際に付与された
くなる場合もある。 与されたSTVR後渡し株式 また受領した価額ではな
およびLTVR業績に基づく く、固定報酬および按分
主として2022年度にLTVRが付与されなかった 権利の価額)を反映して 償却された変動報酬の会
ことにより、2023年度に付与された報酬は大 いる。 計価値が含まれる(すな
幅に増加したように見える(これは新しい報 わち、該当年度に費用計
酬体系に移行し、事業年度の(期末ではな 受領した額は2023年度に 上されたSTVRおよびLTVR
く)期首にLTVRを付与するよう変更されたた (2022年度比で)減少し の価値が含まれる。)。
め)。なお、STVRは期末に付与される。 ているが、これは2019年 これは2023年度に受領し
11月/12月に業績期間が た報酬(権利確定した過
3年から4年へと変更さ 年度の付与分を含む。)
れたため、2023年度に権 とは異なる。
利確定するLTVRがなかっ
たことによる。
固定報酬 STVR LTVR 報酬合計 報酬合計 報酬合計
(単位:ドル) (単位:ドル) (単位:ドル)
2023 年度 2,500,000 2,400,000 3,375,000 8,275,000 4,579,413 6,186,508
2022年度 2,500,000 1,860,000 該当なし 4,360,000 6,000,069 5,489,133
過年度のSTVRおよびLTVR
下表は、過去5年間のCEOのSTVRの上限機会に対する比率およびLTVRの権利確定の査定結果を示している。STVRの査定結果
は、対応する2019年度から2023年度の期間にわたる財務実績の傾向に合理的に一致しており、2023年度のSTVRは、2023年度財
務実績と整合し過年度から増加した(上記4.2.1を参照のこと。)。
(1)
過年度のSTVRおよびLTVR-CEO
2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
(2) (3)
STVR 査定結果(上限機会に対する比率) 48% 33% 53% 74% 96 %
LTVRの権利確定査定結果(権利確定率) 21.8% 0% 43.3% 51.6% 該当なし
(1) 2022年度より前は、CEOのSTVR上限機会は目標の150%であったが、新たな報酬体系(2022年度より)の下では目標の125%
に引き下げされた。よって、2022年度および2023年度におけるSTVRの上限機会に対する比率はそれぞれ74%および96%で
あり、これらは過年度と比較可能ではない。上限機会が変わらず目標の150%であったと仮定すると、2022年度および2023
年度におけるCEOのSTVR査定結果(同一条件の下)は、それぞれ上限機会の62%および80%に等しくなる。
(2) 2022年度より前はAVRと称されていた。
(3) COVID-19による50%減額後。
(1)
過年度のVR
下表は、過去5年間にわたり開示された執行役員のVRの上限機会に対する比率を示している。
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過年度のVR-開示を要する執行役員
2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
(2) (3)
(4)
45% 60% 78% 89 %
STVR 査定結果 (上限機会の平均比率(%) )
36%
(2) (3)
0%~74% 31%~44% 46%~66% 71%~96% 80 % ~100%
STVR 査定結果 (上限機会の範囲比率(%) )
VR業績に基づく権利の確定実績 (確定比率(%))
21.8% 0% 43.3% 51.6% 該当なし
(1) 2022年度により前は、開示を要する執行役員のVR上限機会は複合VR目標の150%であったが、新たな報酬体系(2022年度よ
り)の下ではSTVR部分のみ目標の125%に引き下げされた。よって、2022年度および2023年度におけるSTVRの上限機会に対
する比率はそれぞれ78%および89%であったが、これらは過年度と比較可能ではない。上限機会が変わらず目標の150%で
あったと仮定すると、開示を要する執行役員の2022年度および2023年度の平均STVR査定結果(同一条件の下)は、それぞ
れ上限機会の65%および74%に等しくなる。
(2) 2022年度より前はVRと称されていた。
(3) 2022年度より前のこれらの年度において、開示を要する執行役員には複合VR構造が用いられていたため、上限機会に対す
る比率はVR全額に適用されていた。
(4) COVID-19による50%減額後。
6.体系および支給:業績
6.1 CEOの業績
STVRに関して、CEOは、ANZグループ業績フレームワークにより50%、ANZの戦略に沿った個人の戦略目標の達成により50%評
価される。ANZグループ業績フレームワークおよび個人の戦略目標は共に、事業年度の期首に取締役会と合意して、高く設定し
その実現に挑むものとなっている。
財務指標の加重
STVR
CEOのSTVRは定型的ではなく、査定は、ANZグループ業績フレームワークのリスク要素、および業績のあらゆる
側面を考慮した適切なSTVRに関する取締役会の判断により加減される。
LTVR
TSR(相対および絶対の両方)は、引き続きLTVR PR(LTVRに50%の比重)の査定を決定する。ただし、LTVR
は、主にリスクベースの測定(付与前および権利確定前評価の一部であり、下記7.2.4を参照のこと。)を重視す
る50%の比重のRR報酬も含む。これによって、LTVRは、APRA健全性基準CPS511「報酬」により要求されるとおり、
非財務測定に重要な比重を置く。
事業年度末に、ANZの業績はANZグループ業績フレームワークに対して評価され、CEOの業績は個人の戦略目標、ANZの価値観
(姿勢)、BEAR義務の遂行、ならびにANZのリスクおよびコンプライアンス基準に対しても評価される。CEOの業績評価を実施
するにあたり、人事委員会は、会長、(リスク管理について)CRO、(財務業績について)CFO、(人材および文化に関する事
項について)グループ執行役員(人材およびカルチャー担当)および(内部監査事項について)内部監査担当グループ・ジェ
ネラル・マネジャーからのインプットを求める。当年度に生じたまたは明らかになった重大なリスク、監査および行動に関す
る事象は、取締役会の監査委員会およびリスク委員会双方からのインプットと併せて検討される。
6.2 開示を要する執行役員 の業績
各年度の期首に、当グループの開示を要する執行役員それぞれの部門業績フレームワークという形で、取締役会が承認した
ANZグループ業績フレームワークに沿って、実現には相当の努力を要する高い業績目標が設定される。
(1)
事業年度末に、開示を要する執行役員 それぞれの業績がANZグループ業績フレームワーク(25%から50%の比重)、部門業
績フレームワーク、ANZの価値観(姿勢)、BEAR義務の遂行、ANZのリスクおよびコンプライアンス基準に対して評価される。
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開示を要する執行役員のANZグループ業績フレームワークの比重は、包括的な説明責任および当グループの業績への貢献度の
重要性を促進する。2023年度の各比重は役職に応じて以下のとおりに異なる。
・ 当グループの業績における比重50%:CFO、グループ執行役員(ストラテジー&トランスフォーメーション担当)、グ
ループ執行役員(人材およびカルチャー担当)およびグループ執行役員(テクノロジー&グループサービス担当)
・ 当グループの業績における比重25%:CRO、グループ執行役員(オーストラリア・リテール担当)、グループ執行役員
(オーストラリア商業担当)、グループ執行役員兼ニュージーランド最高経営責任者およびグループ執行役員(法人担
当)
ANZグループ業績フレームワークと同様に、部門業績フレームワークには、財務的規律および経営上の回復力、顧客、ならび
(2)
に人材およびカルチャーという主要な要素が、修正要素としてのリスクと共に含まれる 。各自の役職の責任を反映して評価
基準の比重を変えている。財務的規律および経営上の回復力の要素は20%から40%の範囲である。
人事委員会は、CEOからのインプット、ならびにリスク担当、財務担当、人材およびカルチャー担当、内部監査担当から個別
の報告を求め、重大なリスク、監査および行動に関する事象を見直し、取締役会の監査委員会およびリスク委員会双方からの
インプットを求める。
開示を要する執行役員それぞれの全般的な業績査定の承認については、人事委員会が検討して取締役会に提案する。
STVR およびLTVR
事業年度末に、CEOおよび人事委員会は開示を要する執行役員それぞれについてSTVRの提案を決定し、最終的に取締役会に
(3)
よって承認される 。STVRは業績に従い毎年変動している。STVRは保証されておらず、ゼロから上限機会までの範囲で上方ま
たは下方修正される。
上記4のとおり、目標に対する業績は、STVRの査定に影響を及ぼす(例えば、期待値が達成された場合、付与されるSTVR
は、上限機会の80%に等しいおおよそ目標機会の額になる可能性が高い。)。個人のSTVRの査定結果の違いは、当グループの
構成要素の比重(すなわち、当グループの50%の比重を有する役職は概して差が少ない。)および異なる分野/個人の相対的
業績を反映し、業績と報酬間で適切な調整が確実に行われている。この査定結果はSTVRのリスク性がある性質を立証し、査定
結果が開示を要する執行役員ごとに大きく異なり、また毎年変動することを示している。開示を要する執行役員への2023年度
平均STVRは上限機会(80%から100%の範囲)の89%である。
新たな報酬体系の下でのLTVRは2023年度に初めて付与され、付与前評価(リスク測定に重点が置かれた。)が行われた結
果、RR全額の付与となった。権利確定前評価は、最終的に権利確定するRRの数を決定し、TSR要件に対する業績によりPRの権利
確定水準が決定される。LTVR(RRおよびPR)は、株主と執行役員の利益の一致を強化するために設計されており、PRは、今後
4年間にわたる執行役員の業績に対する報酬とTSRとの間に強い連動性を提供する。
(1) CROの業績に関する取決めは、リスク委員会により追加的に対応される。グループ執行役員兼ニュージーランド最高経営責
任者の業績に関する取決めは、規制上の義務との整合性を図り、人事委員会/取締役会と協議し是認された上で、ANZ
ニュージーランドの人事委員会/取締役会が決定し承認する。
(2) リスクの測定に割り当てられた比重を有するCROを除く。
(3) グループ執行役員兼ニュージーランド最高経営責任者の報酬に関する取決めは、規制上の義務との整合性を図り、取締役
会と協議し取締役会に是認された上で、ANZニュージーランドの取締役会が決定し承認する。
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7.体系および支給:報酬
ANZ の報酬には、固定報酬(「FR」)とリスク性のある変動報酬という2つの中核的な構成要素がある。
報酬を編成するにあたり、取締役会は固定報酬と変動報酬(リスク性あり)、支給方法(現金対後渡し報酬)、適切な繰延
期間(短期、中期、長期)の間の適正なバランスを確保することを目指している。
取締役会は、CEOおよび開示を要する執行役員のFRを、金融サービス市場との相関性に基づき、また職責、業績、適性および
経験を反映して設定し、毎年見直しを行っている。
CEOおよび開示を要する執行役員の変動報酬は、短期変動報酬(「STVR」)と長期変動報酬(「LTVR」)で構成されるが、そ
れらは外部の市場慣行と一致している。
変動報酬は、当グループのCEOおよび開示を要する執行役員が当グループの事業戦略を支え高い業績目標を掲げることを重視
するように、またリスク管理および長期的なステークホルダー価値の実現が促されるように設計されている。
変動報酬の査定を検討するにあたり、人事委員会および取締役会は、以下のとおり ANZの報酬原則の適用 を反映している。
・ 当グループの顧客や株主を重視し正しい行いをした職員に報酬を提供する: 変動報酬は「労力」や業績に対する割合では
なく主に「結果」に基づくべきである。また、様々なステークホルダー(株主、顧客、従業員、地域社会および規制当局
を含む。)の経験や期待を考慮する必要もある。
・ 優秀な人材を集め、動機付けし、雇用を維持する: 取締役会は、報酬の査定を決定するにあたり、特により優秀な人材を
獲得する厳しい状況において、主要な人材を確実に維持するための市場競争力のあるバランスの業績の重要性を認識して
いる。
・ 何を達成したかと同様にどう達成したかを重視する: 取締役会は、目標(リスク修正要素を含む。)に対する業績、(財
務および非財務リスクを把握した)リスク評価およびどのように業績が達成されたか(すなわち、当グループの価値観お
よび目的に沿って)について、適切に検討し重点を置く。
・ 公正で分かりやすいものにする: 変動報酬は、期間を通じて公正かつ一貫性があるべきであり、また、経営陣の管理の及
ばない外的影響を考慮すべきである。
変動報酬の査定は、様々な測定基準(下記に示す。)に基づいており、健全性基準CPS511「報酬」に従って、非財務測定に
重要な比重を置いている。当グループの変動報酬へのアプローチは、株主のための長期的かつ持続可能な実績の促進を強く重
視している。例えば、STVRの査定には、株主価値の重要な要因とみなされる多くの目標が含まれ、LTVR部分の重要な比重(変
動報酬の約60%)およびANZ株式で支給されるSTVRの50%は、(株価および配当に関して)執行役員報酬の大部分を株主体験に
一致させるものである。
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変動報酬のかなりの部分を繰り延べることで(CEOおよび開示を要する執行役員が上限機会の約80%、CROが75%)、当グ
ループは株主利益との整合性を確保しANZの戦略目標を達成し、確実に長期的な価値創出を重視するよう努めている。後渡し変
動報酬は重要な慰留の要素となり、最も重要なことには、ゼロまで下方修正ができ、これにより取締役会は、その決定および
措置の長期的な影響に関して個別にまたは共同で執行役員に責任を持たせることができる。
取締役会の裁量は、以下を含め、CEOおよび開示を要する執行役員全員の変動報酬査定の決定の際に適用される。
・ 各事業年度におけるSTVRおよびLTVR
・ LTVRの権利確定結果(権利確定前評価)
・ 以前繰り延べられた報酬の予定された引渡し前のマルスまたは追加繰延の検討
・ 変動報酬の支払いまたは権利確定後2年間を上限とするクローバックの検討(下記7.3を参照のこと。)
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7.1 報酬構成
(1)
CEOおよび開示を要する執行役員 は、同じ報酬構成(上限機会においてFRが30%、STVRが30%およびLTVRが40%)および構
造(APRAの繰延要件に沿ったCEOのさらに繰延の長期化を除く。)を有している。
CEO
開示を要する執行役員
下表のドル金額は例示目的にすぎず、125万ドルのFR価額に基づいている。
CRO
CROの報酬の取決めは、その職務の独立性を保護し、組織全体にわたるリスク統制機能を果たす際の利益相反を最小化するた
め、他の開示を要する執行役員のものとは異なる。
STVR機会(FRの100%)はCEOおよび開示を要する執行役員と同じであるが、LTVR機会は異なる(FRの135%でなくFRの
100%)。これは、RRを100%として支給するLTVR(RRを50%およびPRを50%ではない。)を反映している。CROについては、変
動報酬の上限機会はFRの200%である。報酬構成は、FRが33.3%、STVRが33.3%、LTVRが33.3%である。
グループ執行役員(人材およびカルチャー担当)代理
R.ハウエルの任命が代理の性質を有していたため、同氏の報酬の取決めは、他の開示を要する執行役員のものと異なる。代
理として勤務した期間において、2023年6月1日から同氏のFRは年間700,000ドルに設定され、2023年7月1日からは703,000
ドルに引き上げられた(退職年金保証拠出率の変更のため)。同氏のVRの上限機会は、FRの150%に設定された(よって、報酬
構成はFR40%/VR60%である。)。また同氏のVRは、CPS511の繰延要件の遵守を確保するため、現金で60%、4年から5年に
わたり繰り延べられる株式で40%を支給される。
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7.2 変動報酬の支給
CEOおよび開示を要する執行役員(CROおよびグループ執行役員(人材およびカルチャー担当)代理を除く。)の変動報酬
は、以下のとおり支給される。
・ STVRは、現金50%および株式50%(2年目および3年目にわたり等しく繰り延べられる。)
・ LTVRは、RRおよびPRが、以下のとおり繰り延べられる。
- CEOについては、4年目(33%)、5年目(33%)および6年目(34%)
- 開示を要する執行役員については、4年目(50%)および5年目(50%)
RRおよびPRはいずれも、4年の業績期間終了時に関連する業績条件に照らして判定され、その後各繰延期間が完了するま
で、追加の保有期間に従う。
業績目標では、CEOおよび開示を要する執行役員については変動報酬の63%、CROについては変動報酬の56%が、(取締役会
が10月に変動報酬を承認する日(および株主がCEOのLTVRを承認する日)から)少なくとも4年間繰り延べられる。これは、
CEOについては60%および開示を要する執行役員については40%のBEAR最低繰延要件を遵守したものである。CEOが目標STVRを
上回って受領した場合(2023年度の場合と同様)、目標を上回る金額は、BEARおよびAPRAの健全性基準CPS511「報酬」に関連
する最低繰延要件の遵守を確保するため、現金で40%および後渡し株式で60%(4年目に20%、5年目に20%、6年目に20%)
を支給される。
取締役会は、予定された後渡し報酬の引渡し前に、CEOおよび開示を要する執行役員に対して以前繰り延べられた報酬にマル
ス(または権利確定のさらなる繰延)を適用するかまたは以前付与された変動報酬にクローバックを適用するかを検討する。
下記7.3を参照のこと。
7.2.1 STVR現金-CEOおよび開示を要する執行役員
STVRの現金部分は、年次の業績および報酬レビューの終了時(2023年12月)に執行役員に対して支払われ、支払後2年間ク
ローバックの対象となる。
7.2.2 STVR後渡し株式-CEOおよび開示を要する執行役員
後渡し株式による執行役員のSTVRの50%を、2年および3年にわたり繰り延べること(ならびにマルスおよびクローバック
の対象とし続けること)により、当グループは、かかるSTVR金額の多くの部分を株主価値の実現に直接連動させることができ
る。当グループは、9月30日に終了する事業年度の業績に係る後渡し株式を、毎年11月下旬に付与している。
CEOおよび開示を要する執行役員の後渡し変動報酬については、当グループは、付与する後渡し株式の数を、ASXで売買され
る株式の、10月1日(すなわち、事業年度の開始に合わせて)までの5営業日(10月1日を含む。)のVWAPに基づいて計算す
る。2022事業年度より前の割当ては、付与日までの5営業日(付与日を含む。)のVWAPに基づいていた。開示および費用計上
の目的で使用されるVWAPは、会計基準に従った付与日での1日VWAPである。
一定の場合、当グループは執行役員に対して、後渡し株式に代えて後渡し株式の権利を付与することができる。後渡し株式
の権利1個につき普通株式1株に対する権利が保有者に与えられる。
(1)
7.2.3 LTVR-CEOおよび開示を要する執行役員
LTVRは、長期戦略目標の達成、同業他社と比較した優れた業績の追求およびすべてのステークホルダーにとっての長期的に
持続する価値創出を強化するものである。下表は、LTVR RRとPR両方に共通の設計上の特徴を示している。
本項では、2022年11月/12月に付与された2023年度LTVR報酬および2023年9月にグループ執行役員(オーストラリア商業担
当)に付与された2023年度LTVR報酬に適用されたLTVRのアプローチを詳述する。
(1) グループ執行役員(人材およびカルチャー担当)代理を除く。
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LTVR 要素 詳細
詳細 RRおよびPRは、適用される期間および業績要件が充足される限り、ANZ普通株式1株を無償
で取得する権利を提供する。それらの将来価値は、ゼロから不定額までの範囲となる可能性
がある。その価値は、適用される業績要件に対する業績と行使時の株価に左右される。
業績期間 RRおよびPRは双方とも、10月1日から開始し4年後の9月30日に終了する4年の業績期間
(例えば、2023年度付与の場合、2022年10月1日から2026年9月30日)を有する。LTVRは、
事業年度の期首(期末ではない)に付与される。
4年の業績期間によって、さらに長期の業績を反映するために十分な期間が提供される。
繰延期間 繰延期間は、4年の業績期間と適用される保有期間の合計である。
保有期間は、4年の業績期間が終了した翌日に開始し(例えば、2023年度LTVR報酬の場合、
2026年10月1日)、付与日の4年目、5年目または6年目の応当日に終了する。
行使期間 権利が確定し行使可能となった場合、関連する繰延期間(4年、5年または6年)の終了時
にのみ権利を行使することができる。
RRおよびPRの場合、関連する繰延期間の終了時に開始する2年の行使期間が存在する。
費用計上 ANZは、会計処理の目的での費用計上にのみ用いられるRRおよびPRの公正価値を独立して決
定するため、プライスウォーターハウスクーパースと契約している。プライスウォーターハ
ウスクーパースは、市場実績、株価の変動、商品の残存期間、配当利回りおよび付与日の株
価等の要因を考慮する。
配当 配当相当支払金(「DEP」)は、関連する繰延期間の終了時に現金で支払われるが、基礎と
なる権利のすべてまたは一部が該当の業績要件を満たし、その個人に権利確定した場合にの
み支払われる。配当相当支払金は、RRについては全繰延期間にわたり、PRについては保有期
間中にのみ計上される。
割当基準 取締役会がCEOおよび開示を要する執行役員に割り当てるRRおよびPRの数を決定するために
使用する価値は、ASXで売買されるANZGHL株式の10月1日(すなわち、事業年度およびLTVR
の業績期間の開始日)までの5営業日(10月1日を含む。)の額面価額である。
LTVRは、開示を要する執行役員に対して11月下旬、CEOに対して12月の事業年度の期首頃に
付与される(ただし、株主の承認を条件とする。)。
(1)
7.2.4 LTVR制限付き権利-CEOおよび開示を要する執行役員
RRの付与は、LTVRが非財務測定に重要な比重を置き(APRAの健全性基準CPS511「報酬」により要求される。)、株主との長
期的調整への支援を確保するものである。
リスクに応じた焦点は、健全性基準CPS511「報酬」の意図を反映し、報酬の取決めによって、個人に対し慎重にリスクを管
理するよう適切に促すことを確保する。業績要件は、重大なリスク事象の重視および長期にわたる強固なリスク文化の構築を
確実に行うために設計されている。
(1) グループ執行役員(人材およびカルチャー担当)代理を除く。
LTVR 要素 業績要件の詳細
RR の付与前 付与前評価の目的: RR付与価額を減額すべきかを決定し、主として前事業年度の実績に基づ
く。
および権利確定前
権利確定前評価の目的: RR付与価額がすべて権利確定されるべきか決定し、4年の業績期間
評価
にわたる実績に基づく。
付与前および権利確定前評価は、当年度または過年度のいずれかに同じ事由/実績に対して
すでに適用された調整(すなわち、STVRおよびLTVRの調整、マルスならびにクローバック)
も考慮に入れ、全体的な影響が公平であり実績の程度に応じたものであることを確保する。
よって、その他の報酬調整が最初に検討される可能性に鑑みると、また、将来RRの付与に重
点が置かれることから、RRは、以下の3つの評価手順の結果がその他の方法で決定されない
限り、ほとんどの年度において全額で割り当てられることが予想される。
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ステップ1 ステップ2 ステップ3
健全性の評価 リスク測定の評価 取締役会の裁量の適用
・ANZが自己資本比率および ・重要な影響を及ぼすことが ・取締役会は、以下を含む
流動性の健全性最低基準を 見込まれるまたは及ぼして 様々な要因の検討に基づ
充足しない場合は付与され いる執行役員の作為または き、LTVR RRの査定結果に
ない。 不作為による 重大なリスク
対して減額すべきかを決定
評価結果 を検討する。
する。
・ APRAの厳格な監督 水準に極
- ステップ1と2から得
めて不利な変更があればそ
た結果
れを検討する。
- 市場におけるANZの評
・ANZが健全なリスク文化を
判/位置に対する課題
維持している(またはそれ
の影響(もしあれば)
に向けて前進している)か
- 課題がANZ、銀行業界ま
を検証するために、執行役
たはより広い範囲の市
員の作為または不作為を考
場に特有であるか否か
慮に入れ、 リスク文化 を検
- すでに適用されている
討する。
影響(例えば、下方調
整した場合の波及経
路、LTVR RRに対する付
与前評価の影響に関す
るもの)
- 影響が個人的または集
合的に及ぼされた否か
取締役会の裁量の適用が求められる状況が通常様々でありまたは独特であることを考慮する
と、評価は統一的なものとする予定はないが、取締役会の意思決定の枠組みは、裁量を適用
する際の取締役会の指針となるよう整備されている。
重大なリスク 重大なリスク評価結果の検討は、当グループの広範な説明責任および結果フレームワーク
(下記8を参照のこと。)の一部を形成する重要なプロセスであり、関連するすべての事象
評価結果の
が適切に表面化し検討されることを確保するために策定された、包括的なボトムアップ・プ
プロセス
ロセスである。重要な手順には以下が含まれる。
・リスク、行動および監査事象が、ANZのコンプライアンス&オペレーショナル・リスク・シ
ステムで報告される。
・説明責任部門グループは、深刻なリスク、行動および監査事象を精査し、適切な場合は説
明責任および結果に関する提言を行う。
・全社的説明責任グループ(「EAG」)は、説明責任部門グループの提言を検討し、最終判断
を下す(ただし、現地の取締役会の承認が必要な場合、または重要リスクテイカーやCEO直
属のその他の非管理職について取締役会の承認が必要な場合を除く。)。
・人事委員会は、最も深刻なリスク、行動および監査事象を精査し(CROからの独自の報告の
一部として)、当グループ、部門、ならびにCEOおよびExCoの個人レベルでの影響を判断す
る。
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(1)
7.2.5 LTVR業績に基づく権利-CEOおよび開示を要する執行役員(CROを除く)
(1) グループ執行役員(人材およびカルチャー担当)代理を除く。
LTVR 要素 業績要件の詳細
業績に基づく 業績に基づく権利(「PR」)は、長期戦略目標の達成および執行役員と株主の利益の一致に
集中することの重要性を反映した株主総利回り(「TSR」)業績要件を伴う。PRの2023年度
権利の要件
付与分に対して、2つのTSR業績要件が存在する。
・75%は、相対TSR要件に照らして評価する。
・25%は、絶対TSR要件に照らして評価する。
TSRは、株式価値の変動に、支払われた配当の再投資による価値を加味したものである。TSR
は株主価値の実現に主眼を置き、十分に理解され検証された業績測定メカニズムであること
から、当グループはこれがもっとも適切な長期の評価基準であると考えている。以下によ
り、相対TSRと絶対TSRの要件の組合せでプランはバランスが保たれている。
・相対:比較可能会社の業績を上回る業績に対して執行役員に報酬を与える。
・絶対:市場後退の局面にあっても、引き続きプラス成長を生み出すことに
重点が置かれる。
2つの要件は、業績の異なる側面を評価する。
・相対TSR要件は、当グループのTSRを、中核的な地域およびグローバルの競争相手からなる
選定金融サービス(「SFS」)の比較可能グループのTSRと比較して評価する。この比較可
能グループは、収益をめぐってANZが競争している地域および事業セグメントを広く反映
して選定されている。
・年平均成長率(「CAGR」)を応用した絶対TSR要件は、執行役員に対し、達成されるべき
株主利回りの水準についてより直接的な見通しを提供する。また、執行役員の報酬と株主
に帰属する財務実績との間により密接な相関性がもたらされる。
当グループは、4年の業績期間終了時に各要件に対するANZのTSRを測定し、PRが権利行使可
能か否かを判断する。相対TSR要件および絶対TSR要件は別個に測定される。例えば、一方は
完全にまたは一部権利が確定するが、他方は権利が確定しない場合がある。
PR に関する相対TSR 相対TSR要件は外部的な要件であり、当グループのTSRを、SFS比較可能グループのそれに照
要件 らして4年間で評価する。SFS比較可能グループは、バンク・オブ・クイーンズランド・リ
ミテッド(Bank of Queensland Limited)、ベンディゴ・アンド・アデレード・バンク・リ
ミテッド(Bendigo and Adelaide Bank Limited)、コモンウェルス・バンク・オブ・オー
ストラリア・リミテッド(Commonwealth Bank of Australia Limited)、DBSバンク・リミ
テッド(DBS Bank Limited)、マッコリー・グループ・リミテッド(Macquarie Group
Limited)、ナショナル・オーストラリア・バンク・リミテッド(National Australia Bank
Limited)、スタンダード・チャータード・ピー・エル・シー(Standard Chartered
PLC)、サンコープ・グループ・リミテッド(Suncorp Group Limited)およびウェストパッ
ク・バンキング・コーポレーション(Westpac Banking Corporation)で構成される。
将来におけるPRのLTVR報奨(すなわち、2024事業年度以降)については、取締役会は、DBS
バンク・リミテッド(DBS Bank Limited)を比較可能グループから除外することを承認した
(この変更は現在継続中の報奨には適用されない。)。この変更は、2015年に国際的な比較
対象企業を(その時点での広域地方戦略の一環として)当初組み入れた時点と比べて、アジ
アへの資本配分が変化したことに対応するため、当グループの比較可能グループにおける国
際的な同業他社の比重をより適切に均衡させる必要性を反映したものである。TSR業績比較
に適切な同業他社集団を検討する際、取締役会は、類似する活動範囲、共通の重要地域、広
く比較可能なリスク・コンプライアンスおよび規制プロファイル、ならびに市場サイクルに
わたる相対的な安定性および透明性を考慮に入れる。
比較可能グループのTSRと比較した
⇒ PR が確定する割合は、
当グループのTSRが、
第50パーセンタイル値未満である場合 0%
50%をベースに、第50パーセンタイル値
第50パーセンタイル値以上を達成したが、
を1パーセンタイル上回るごとに2%を
第75パーセンタイル値未満である場合
加算
第75パーセンタイル値以上である場合 100%
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PR に関する絶対TSR CAGRを応用した絶対TSRは、ANZが最低限の成長水準を達成しまたは上回っているかに関する
要件 内部的な要件であり、取締役会が業績期間の期首に設定する。取締役会は毎年、PRの付与に
関する絶対TSR目標を見直し承認する。目標を見直す際に、取締役会は、ANZの評価済み資本
コストを参照する。資本コストは、資本資産価格モデル(「CAPM」)などの手法を用いて決
定され、定期的に見直された上で、現時点での市況を反映するために更新される。2023年度
PRの将来的な性質により、また、増大した10年債の利率の変動性を考慮して、取締役会は、
2023年度PRのCAGRを応用したTSR目標として、下半期平均資本コストの使用が適切であると
判断した。
CAGR を応用した当グループの絶対TSRが、 ⇒ 2023 年度 のPRが確定する割合は、
9.125%未満である場合 0%
9.125%である場合 50%
9.125%以上13.688%未満である場合 50%から100%まで比例的・直線的に累増
13.688%以上である場合 100%
将来におけるPRのLTVR報奨(すなわち、2024事業年度以降)については、CAGRを応用した
TSR要件は、PRの4年の業績期間にわたる時間加重資本コストに基づく。よって、CAGRを応
用したTSR目標は、取締役会が調整を行わない裁量を適用しない限り、時間加重ベースで調
整される。資本コストは、CAPM手法(債券のリスクフリーレート、市場リスクプレミアムお
よびベータ(すなわち、市場に対するANZの過去の株価の変動性)を考慮する。)からのア
ウトプットに基づいて、取締役会により四半期ごとに見直される。業績期間を通じて取締役
会が承認した資本コストの変更は見込みに過ぎず(すなわち、現在の市場要因を反映す
る。)、絶対TSR目標の動的計算の一部を構成する。業績期間にわたる資本コストの変更を
反映する動的目標(業績期間開始時の静学的な目標ではない。)へ移行することによって、
金利およびリスク双方の変動に対しより迅速に対応できるようになるとともに、投資家と執
行役員の両方の観点から、当該移行がより適切で公正であると考えられ、株主との調整への
支援が向上する。
TSR パフォーマンス TSRを基準とする業績の計算において、当グループは、
の計算 ・ 90営業日期間の初日および最終日の価格の平均計算値を用いることで、株価変動の影響を
緩和している。
・ 絶対および相対TSR要件に対するANZの業績の計算につき、外部機関のサービスを契約する
ことで、独立的な評価を確保している。
・ 業績は、4年の業績期間終了時に1回限りで、要件に照らして判定される。業績要件に達
しない場合、業績に基づく権利は失効し、再判定は行われない。
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7.3 下方修正-取締役会の裁量
取締役会は、その裁量を行使し、査定結果の管理の一部として、多くの下方修正の選択肢を適用する(適用法および定めら
れた条件に従う。)。取締役会は、いつでも以下の選択肢またはそれらの組合せを行使する選択を行うことができるが、健全
性基準CPS511「報酬」に定める状況が生じた場合、常にそれらの使用を検討する。以下の1.から3.に定める下方修正の選択肢
は全従業員に適用されるが、2023年度のクローバック(下記4.)は現在、特定の従業員(主にCEO、開示を要する執行役員およ
びクローバック規定が適用される管轄区域の一部の管理職)に限定されている。
1. 期中調整 は、最も一般的な下方修正であり、従業員が当該年度に付与された他の変動報酬分を減額する。
2. 追加繰延/凍結 は、変動報酬の支払い/割当ての決定を遅らせ、または後渡し報酬の権利確定をさらに延期し、権利確
定済み/未行使の株式および権利を凍結する。この選択肢は、通常調査が保留中/進行中の場合にのみ検討される。
3. マルス は、後渡し報酬の権利確定前に、そのすべてまたは一部の価値を引き下げる調整である。マルスは、業績または
行動により深刻な問題が生じた場合に用いられる。当グループが従業員に付与するすべての変動報酬は、ANZの継続的か
つ絶対的な裁量に従い、関連する変動報酬の権利確定前のいつでもマルスを適用し変動報酬の下方修正(ゼロまでの減
額を含む。)が行われる。
4. クローバック は、すでに権利確定しまたは支払われた変動報酬の回収である(権利確定/支払い後最長2年または取締
役会の裁量、方針もしくは適用法により決定されるそれより長い期間)。この選択肢は、通常状況の深刻度を考慮し
て、他の種類の下方修正/その他の結果が不適切である場合にのみ検討される。
後渡し報酬の予定された権利確定前に、取締役会(CEO、開示を要する執行役員およびその他特定された役職に関して)およ
び/または全社的説明責任グループ(「EAG」)(他の従業員に関して)は、追加繰延、マルスまたはクローバックを適用すべ
きかどうかを検討する。詳細については、下記8を参照のこと。
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8.説明責任および結果フレームワーク
全社的説明責任グループ(「EAG」)は、説明責任および結果フレームワークの運用に関する主要なガバナンスの仕組みであ
る。
8.1 EAGの役割
EAGは、CEOを委員長とし、そのメンバーにはCRO、CFOおよびグループ執行役員(人材およびカルチャー担当)が含まれる。
人事委員会から委任された権限に基づいて運営され、以下の責任を有する。
・ ANZの説明責任および結果フレームワークの実施および継続的な有効性を監視する際に取締役会を補佐する。
・ 説明責任および査定結果の適用(必要に応じて)に関して最も重大なリスク、行動、監査事象をレビューする。
・ リスク行動を強化するために、各部門に指針を示し部門全体における取組みを検討する。
・ 重大なポジティブリスク事象を確認しリスクのロールモデルを認識するとともに、その成果を組織全体に説明する。
・ 後渡し変動報酬に対する下方修正の解除または適用を承認する(CEOおよび開示を要する執行役員については、取締役会
がこれを承認する。)。
8.2 重大なポジティブリスク事象
EAGは、当グループのリスクの特定および軽減に対する積極的なアプローチが重大なプラスの結果をもたらした場合に、重大
なポジティブリスクに関する決定事項と事象をレビューする。これらの事例のレビューは、当該事象の重要性を認識し、企業
全体で認識を共有する機会を提供する。
8.3 リスクのロールモデル
2023年度において、組織のリスクを特定し管理し軽減するとともに、当グループの強固なリスク文化に寄与する取組みに対
し、81名の個人が優れたリスク行動を行ったロールモデルとしてEAGにより表彰された。その81名にはCEOから個人的に電子
メールが送られ、現地で表彰式が開催され、当グループのイントラネットや社内のニュースレターにその功績が紹介された。
8.4 健全性基準CPS511「報酬」の遵守
ANZの説明責任および結果フレームワークは、APRAの健全性基準CPS511「報酬」の要件遵守にむけた企業全体のアプローチの
不可欠な部分である。
当グループは、期中調整、追加繰延およびマルス等の既存の下方調整手段に加えて、2022年度より、CEOおよび開示を要する
執行役員に対してクローバック規定を設けた。
2023年度において、当グループは、従業員研修や伝達および業績・報酬に関する方針文書において、説明責任および結果フ
レームワーク(報酬の査定結果を含む。)に明確に言及することで、説明責任および結果に関する従業員の意識を継続的に高
めてきた。
加えて、当グループは、年次業績および報酬プロセスの一環として、適用された前年度の査定結果からの見解を含み、行動
および業績における課題の適切な(場合によっては義務付けられた)報酬査定結果に関する指針を、当グループの人材担当
リーダーに提供している。ANZは、全世界において一貫した報酬査定結果の適用に引き続き重点を置いており、これらはその活
動の一部である。
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8.5 重大なリスク、監査および行動事象に関する結果の検討
EAGには、事象のレビューならびに説明責任および査定結果の決定における利益相反のリスク軽減を確保する手続きが整備さ
れている。例えば、説明責任のレビューを実施する際に、レビュー責任者およびレビュー範囲に関する推薦は、その個人が偏
見のない公平なレビューを行う能力を有しているかを確認するため、CRO(または当グループのリスクに関わる事象の場合は
CEO)に提出し検討され、承認を得なければならない。
当グループの上級執行役員の説明責任および査定結果については、人事委員会および取締役会が検討し決定する。
最も重大なリスク、監査および行動に関する問題は、同時開催される会合において、人事委員会、リスク委員会および監査
委員会に報告される。この情報は、当グループの業績および全従業員の2023年度ANZIP変動報酬資金プールを検討し、CEOおよ
び開示を要する執行役員の業績および報酬査定結果を決定する際に、取締役会が考慮した。
人事委員会および取締役会は、マルスおよびクローバックの適用を含む、CEOおよび開示を要する執行役員の説明責任および
査定結果を検討する(上記7.3を参照のこと。)。2023年度は、CEOおよび開示を要する執行役員の報酬にマルスもクローバッ
クも適用されなかった。
査定結果を決定する際、説明責任の程度、顧客への影響を含む問題の重要性が考慮される。査定結果として、例えば、相
談、正式な警告、期中業績および報酬査定への影響、以前繰り延べた報酬へのマルスの適用、ならびに最終的には最も重大な
問題による雇用の終了やクローバックなどが挙げられる。
8.6 進化する説明責任および結果フレームワーク
説明責任、査定結果および強固なリスク文化の推進に対して当グループが継続的に注力することにより、物事がうまくいか
ない場合の顧客コミットメントを支援して、直ちにそれを解決し、現職(場合によっては前職)の執行役員に適宜責任を持た
せる。当グループはまた、事象の原因から学び、将来の再発リスクを軽減し、継続的に当グループのリスク文化の強化を図る
ことに注力している。当グループは、説明責任および結果フレームワークの有効性を毎年見直し、規制および社内ステークホ
ルダーのインプットに基づき、当該フレームワークのさらなる強化のための拡充を実施する。
8.7 率直に発言する文化
当グループは継続して従業員の意識を高め、以下のような取組みを通じて、従業員が率直に発言し問題や意見を述べること
のできる様々な方法を促進している。
・ 率直に発言する重要性や内部告発の促進に関して人材担当リーダーがチームメンバーと議論する際に支援する対話の手
引きを含む、6月の世界内部告発の日を記念する世界的な意識向上キャンペーン
・ 内部告発プログラムおよびプロセスへの信頼を築くことを目的とするデジタル・コミュニケーション
・ 当グループの従業員エンゲージメント調査の回答の分析
主要なリスクおよび率直な発言に関するスコアは、「担当業務の人材担当リーダーはリスクに関する個々の責任やリスクに
対する健全な姿勢を示している」(91%)、「報復措置の心配なく問題を提起し懸念を示すことができる」(81%)および
(1)
「発言した考え、意見および懸念を聞いてもらえる」(84%)など、2022年および2021年の結果 と同様に力強い一貫した数
字となった。
(1) 報告された結果は、第2四半期および/または第4四半期の従業員エンゲージメント調査、ならびにリスク文化調査によ
るものである。
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8.8 査定結果の適用
2023年度には1,330件の行動規範違反とされる従業員関連事案が生じ、その結果、2022年の518名から減少して501名の従業員
が正式な懲戒処分を受けたかANZを退職した。違反行為は、コンプライアンス/手続上の違反(23%)から、一般的な許容でき
ない行為(31.7%)、電子メール/システムの悪用(9.2%)、勤怠に関する問題(20.8%)、不正行為/窃盗(5.4%)、利
益相反(5.6%)および当グループの機会均等、いじめおよびハラスメントに関する方針違反(3.6%)の範囲にまで及ぶ。当
年度の違反行為の調査結果には、100件の雇用終了、314件の警告および87名のANZを退社した従業員が含まれる。
当グループの上級リーダーシップレベル(上級執行役員、執行役員およびシニアマネージャー)への査定結果の適用に関し
て、30名の現従業員および元従業員(2022年度は21名)の査定結果が、当グループの行動規範方針の適用および/または関連
する事象の責任に関する調査結果により適用された。査定結果には、警告、業績および報酬の査定への影響、ならびに解雇が
含まれる。
企業全体におけるすべての従業員および契約社員は、義務付けられている学習モジュールを修了することが求められる。期
限後30日以内に学習必須要件を修了しなかった正規従業員は、(例外的な状況を除き)年次業績および報酬レビューの一部と
して、FRの増額または変動報酬を受領する資格を有しない。2023年度において、企業全体における必須学習コースの受講修了
率は99.6%であった。
9.非執行取締役 (「NED」) の報酬
9.1 報酬の体系
人事委員会は、NEDの2023年度の報酬を検討し、報酬を増額しない決定を行った。
2024年度について、人事委員会は、2016年以降変更がなかったNEDの報酬を見直し、2%の増額(240,000ドルから245,000ド
ル)を承認した。取締役会会長の報酬に変更はない。また見直しに伴い、人事委員会はすべての委員会の報酬体系を一致させ
ることも承認し、各委員長の報酬は68,000ドルに、各委員の報酬は34,000ドルに増額された。この報酬を見直す際に、規制環
境で増大する複雑性、ANZの幅広い従業員の状況改善および外部市場が考慮された。
報酬体系は、ANZGHLおよびANZBGLのNEDに適用される。純粋持株会社(「NOHC」)の実現前の報酬は、ANZBGLの取締役に関連
していたが、実現後の報酬は、双方の取締役(すなわち、ANZGHLおよびANZBGLの取締役/委員)を対象とする単一の報酬とし
てみなされる。現時点では、NEDが一または複数の取締役を務めているかを問わず、この報酬体系が適用される。
NEDは、取締役としての報酬および取締役会委員会の委員長または委員としての追加報酬を受ける。取締役会会長は、取締役
会委員会の業務について追加報酬を受けない。
取締役および委員としての報酬を設定する際、一般的な業界慣行、ASXのコーポレート・ガバナンス原則と推奨、NEDの役職
に伴う責任およびリスク、当グループおよび当行の課題に対してNEDに期待される時間的関与、ならびに比較可能な会社のNED
に支払われる報酬が考慮される。
ANZは、NEDの報酬を、時価総額が近いオーストラリア上場会社のうち特に大手金融サービス機関に絞った比較可能グループ
と比較している。規模、業務の複雑性および性質ならびにNEDの稼働時間が近似することを前提に、これが適切なグループと考
えられる。
NED の独立性および不偏性を維持するため、
・ NEDの報酬は、当グループの業績と連動しない。
・ NEDは、当グループの変動報酬の取決めに関して参加資格を有しない。
現行のNEDの報酬資金プール総額は400万ドルであり、2012年度の年次株主総会で株主から承認を受けた。退職年金拠出金を
含むNED報酬の年間総額は、この合意に基づく上限の範囲内に収まっている。
下表は、2023年度のNEDの報酬方針の構成を示す。
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2023 年度 NEDの報酬方針の構成
2023年度
会長報酬・
取締役報酬・
委員長報酬 委員報酬
(単位:ドル)
(1)(2)
取締役会 850,000 240,000
監査委員会 65,000 32,500
リスク委員会 65,000 32,500
人事委員会 65,000 32,500
デジタル事業および技術委員会 55,000 27,500
倫理、環境、社会およびガバナンス委員会 55,000 27,500
(1) 退職年金を含む。
(2) 取締役会会長は取締役会委員会の業務について追加報酬を受けない。取締役会会長およびNEDは、指名および取締役会運営
委員会の委員報酬を受けない。
NED の持株ガイドライン
当グループは、NEDにANZ株式の保有を要求している。NEDは、以下を要求される。
・ 任命から5年にわたり、以下の相当額まで株式を積み増すこと。
- 取締役については、NED報酬の100%
- 取締役会長については、会長報酬の100%
・ ANZの取締役である間は、かかる持株を維持すること。
2023年9月30日現在のANZの株価に基づくと、すべてのNEDが保有要件を満たしている。在任期間が5年に満たない者につい
ては、持株ガイドラインの要件が満たされる見込みである。
9.2 2023 年度 の法定報酬-NED
(1)
下表は、オーストラリア会計基準に準拠して開示したNEDの法定報酬 を示している。
(1) 下記の報酬に加えて、サー・ジョン・キーは、ANZバンク・ニュージーランド・リミテッドの会長としての役職について
も、2022年度および2023年度に422,050ニュージーランドドルを受領した。
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2023 年度 の法定報酬-NED
短期NED手当 退職後
退職年金
(1) (2) (1) (3)
事業年度 報酬 非貨幣給付 拠出金 報酬総額
(単位:ドル)
現職の非執行取締役
P. オサリバン 202 3 824,181 – 25,819 850,000
2022 813,501 6,128 23,999 843,628
I. アトラス 202 3 339,181 – 25,819 365,000
2022 330,751 – 23,999 354,750
J. ハルトン 202 3 329,181 – 25,819 355,000
2022 318,001 – 23,999 342,000
(4)
176,745 – 17,102 193,847
G. ホッジズ 202 3
J. キー 202 3 301,681 – 25,819 327,500
2022 290,251 – 23,999 314,250
(4)
35,841 – 3,942 39,783
H. クレイマー 202 3
J. マクファーレン 202 3 336,443 – 25,819 362,262
2022 301,501 – 23,999 325,500
(4)
344,181 – 25,819 370,000
C. オライリー 202 3
2022 302,863 – 22,579 325,442
(4)
298,889 – 25,819 324,708
J. スミス 202 3
2022 36,003 – 3,780 39,783
前職の非執行取締役
(4)
G, リーベルト 202 3 72,439 2,104 – 74,543
2022 360,427 – 6,323 366,750
非執行取締役全員の合計 202 3 3,058,762 2,104 201,777 3,262,643
2022 2,753,298 6,128 152,677 2,912,103
(1) 対前年の報酬の差額は、NED報酬の変更および退職年金拠出金の上限基準額の変更に関連する。G.リーベルトは、報酬のす
べての支払いを受領する選択をしたため、2022年度第4四半期に支払われた報酬を除き、2022年度および2023年度中に退
職年金拠出金を受領しなかった。
(2) 非貨幣給付は一般に、駐車場および退社時の贈与等、会社負担の手当(および関連する付加給付税)で構成される。
(3) 長期手当および株式に基づく支払いは、NEDには適用されない。
(4) NEDの勤務期間に基づく報酬である(C.オライリーおよびJ.スミスについては2022年度、G.ホッジズ、H.クレイマーおよび
G.リーベルトについては2023年度)。
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10 .報酬ガバナンス
10.1 人事(「HR」)委員会
10.1.1 人事委員会の役割
人事委員会はANZGHLの取締役会により設置され、ANZBGLの報酬委員会として行為する権限を委譲されている。人事委員会
は、報酬およびその他の人事事項について取締役会を補佐する。当グループの報酬方針および慣行を検討し、また市場慣行な
らびにオーストラリア内外の規制上およびコンプライアンス上の要件も監視する。
当年度中、人事委員会は5回の会議をもち、以下を含む事項について検討および承認または取締役会への勧告を行った。
・ ANZグループの業績・報酬方針およびANZBGLの業績・報酬方針に従ったCEOおよびその他の主要執行役員(報酬報告にお
ける開示対象者より広義)の報酬ならびにNEDの報酬
・ APRAの健全性基準CPS511「報酬」の実施に関連する事項、BEARおよび財務省の金融説明責任体制(「FAR」)に関する最
新情報
・ ANZグループ業績フレームワーク(年間目標の設定および評価)ならびに年間変動報酬の支出
・ 主要上級執行役員の実績および報酬の査定(当年度に生じたまたは明らかになった重大な事象の検討を含む。)
・ 後渡し報酬の引渡し、追加繰延またはマルスもしくはクローバックの適用
・ 主要上級執行役員の任命および解任
・ ANZグループの業績・報酬方針およびANZBGLの業績・報酬方針、ならびに説明責任および結果フレームワークの見直し
・ 当グループの戦略を実現するために必要な能力の開発
・ 主要上級執行役員の後継育成計画
・ 文化、多様性およびインクルージョン、従業員エンゲージメント、ならびにポスト・コロナの環境での働き方
人事委員会の役割に関する詳細は、同委員会の憲章を含め、ANZのウェブサイト(anz.com > Our company > Strong
governance framework > ANZ Human Resources Committee Charter)に掲載されている。
10.1.2 報酬およびリスクの連動
人事委員会は、業績、リスク管理および報酬の関係を当グループの事業戦略と合致させることに重点を置いている。リスク
委員会および監査委員会の委員長ならびに取締役全員(ANZGHLおよびANZBGL)が特定の人事委員会の会議に出席する。人事委
員会、リスク委員会および監査委員会の同時会合は、以下を見直すために開催された。
・ 2023年度に生じたまたは明らかになった重大なリスク、行動および監査事象
・ 当グループ、CEOおよび開示を要する執行役員のレベルにおける2023年度の業績および変動報酬に関する提言
報酬とリスクの連動の重要性をより大きく反映するため、
・ 取締役会は2023年度中、(会長に加え)2名のNEDに人事委員会およびリスク委員会を兼務させた。
・ 人事委員会は、リスクおよび財務管理の人員に自由かつ無制限にアクセスできる(CROおよびCFOは特定の議題に関して
人事委員会の会議に参加する。)。
・ CROは(グループ執行役員(人材およびカルチャー担当)、内部監査担当グループ・ジェネラル・マネジャーと共に)、
最も重大なリスク、行動および監査事象に関する個別の報告書を人事委員会に提出し(該当する場合)、当グループ、
部門および個人レベルで業績および報酬の考慮事項、ならびに説明責任および査定結果を通知する。
・ CROはまた、CEOおよび開示を要する執行役員の業績および報酬の査定結果の評価にあたり、取締役会を補佐するために
独立した報告書を提供する。
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・ リスク委員会および監査委員会の委員長は、すべての関連リスクおよび内部監査に関する課題を適切に検討するため、
インプットを提供することが求められる。
・ ANZグループ業績フレームワークおよび部門業績フレームワークは、修正要素となる重要な構成要素としてリスクを含
み、各フレームワークの評価の不可欠な部分を形成し、全体的査定に直接影響を及ぼす。
・ LTVR RRの付与前および権利確定前評価は、取締役会によって実施され、主に非財務リスク査定結果に基づく。
10.1.3 利益相反
利益相反の可能性を低減するために以下を行う。
・ 経営陣は、その業績または報酬について人事委員会または取締役会が議論する場合はその会議に出席しない。
・ CEOの短期変動報酬は、ANZIP変動報酬資金プールから資金提供され個別に決定される。
・ CROの報酬の取決めは、その職務の独立性を保つために、他の開示を要する執行役員とは異なるものとする。
・ 全社的説明責任グループ(「EAG」)は、上記8に概説される利益相反を軽減するための手続きを整備している。
・ 人事委員会は、CEOおよび開示を要する執行役員の業績および報酬査定の検討事項について通知するために、以下を含む
多くの情報源からの意見を求める。
- リスク担当、財務担当、人材およびカルチャー担当、内部監査担当からの個別の報告書
- CROが提供した重大なリスク、行動および監査事象に関するデータ
- 取締役会の監査委員会およびリスク委員会双方からのインプット
10.1.4 外部アドバイザーは情報を提供したが、勧告は行わなかった
人事委員会は、必要に応じて、独立的な外部アドバイザーと契約することができる。
当年度中、人事委員会および経営陣は、外部アドバイザーであるエーオン(Aon)、アシャースト(Ashurst)、デロイト
(Deloitte)、EY、ガードン・アソシエイツ(Guerdon Associates)、ハーバート・スミス・フリーヒルズ(Herbert Smith
Freehills)、ペイIQエグゼクティブ・ペイ(PayIQ Executive Pay)およびプライスウォーターハウスクーパース
(PricewaterhouseCoopers)から情報提供を受けた。こうした情報は、市場データ、市場慣行、分析およびモデリング、法的
要件ならびにガバナンス上および規制上の要件の解釈に関連するものであった。
ANZは当年度中、KMPの報酬について外部のアドバイザーから報酬勧告を受けていない。
ANZは、人事委員会および取締役会に勧告を行う社内の報酬専門家を採用している。取締役会は、提供された情報を用い、
ANZの戦略目標、目的および価値観、リスク選好ならびに業績・報酬方針および原則を慎重に考慮したうえで、独立的に決定を
下した。
10.2 内部統制
10.2.1 ヘッジの禁止
すべての後渡し株式は、権利が完全に確定するまでリスク性を維持しなければならない。したがって、執行役員およびその
関係者は、割り当てられたエクイティの権利確定前の価値を特定的に保護するスキームを契約してはならない。これを行った
場合、当該エクイティは失権することになる。
10.2.2 CEOおよび開示を要する執行役員の持株ガイドライン
当グループは、CEOおよび開示を要する各執行役員に対して、5年にわたり、以下を要求する。
・ FRの200%相当額までANZ株式を積み増すこと。
・ ANZの執行役員である間は、かかる持株を維持すること。
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執行役員は、200%の基準を下回った場合であっても、持株に対する納税義務を履行するためにANZ証券を売却することを認
められている。ただし、当該ガイドラインの目的における納税義務は、当初の課税点事由(すなわち、後渡し株式が権利確定
するか権利が行使された場合)から生じるものに限定される。
持株には、すべての権利確定済みおよび権利確定前のエクイティ(PRを除く。)が含まれる。2023年9月30日現在の持株に
基づくと、CEOおよびすべての開示を要する執行役員は、最低保有要件を満たしているか、在任期間が5年に満たない場合は、
要件が満たされる見込みである。
10.2.3 CEOおよび開示を要する執行役員の契約条件およびエクイティの取扱い
CEOおよび開示を要する執行役員に関する契約条件および退任時のエクイティの取扱い(付与条件に従う。)は、以下のとお
りである。これらは類似しているが、置かれる立場の違いに適合するよう一定の場合に差を設けている。
契約の種類 恒久的な継続雇用契約
辞任の通知 ・ CEOからは12か月前まで
(1)
・ 開示を要する執行役員からは6か月前まで
(2) (3)
ANZ による解任通知 ・ CEOおよび開示を要する執行役員についてはANZにより12か月前まで
ただし、ANZは、重大な不正行為があった場合はいつでも直ちに個人の雇用を終了さ
せることができる。この場合、当該個人は、FRに限り退任日までおよび法定給付につ
いて支給を受けることができる。
ANZ 離職時の権利確定前株 辞任するまたは解任される執行役員は、取締役会が別段の決定をしない限り、権利確
式の取扱い 定前の後渡し株式の権利を失う。
ある執行役員が人員余剰を理由に解任され、または「善良な離職者」と分類される場
合、取締役会が別段の決定をしない限り、
・ STVR(後渡し株式/株式の権利)は継続しており、当初の権利確定日に引き渡さ
れる。
・ LTVR(RR/PR)(2020年12月31日からの付与分)は継続しており、(業績要件に
達した範囲で)当初の権利確定日に引き渡される。
(4)
・ PR (2020年12月31日前までの付与分)は、(業績要件に達した範囲で)解任
通知満了日までの在任期間に応じて期間割りされ、当初の権利確定日に引き渡さ
れる。
執行役員の死亡時または全身的かつ永久的な障害の発生時に、後渡し株式の権利は確
定する。権利確定前のエクイティは、退職後も引き続きマルスの対象となる。
支配権の変更 支配権の変更またはこれに類するその他の事象が発生した場合、当グループはCEOの
LTVR(RR/PR)に適用する業績条件を判定する。業績条件の達成度に応じてこれらの
(CEOにのみ適用)
権利が確定する。
(1) 前グループ執行役員(人材およびカルチャー担当)代理からは3か月前まで。
(2) M.カーネギー、K.コーバリー、F.ファルーキ、G.フローリアン、R.ハウエル、C.モーガン、A.ストロング、M.ウィーラン
およびK.ファン・デル・マーブの契約には、関連するANZの方針(適宜変更される。)に従い、特定の状況で人員削減給付
の受領資格を有する場合があることが記載されている。A.ワトソンについては、人員削減通知は6週間前までとし、人員
削減時点での報酬は、25年の役務後79週を上限として段階的に計算される。
(3) グループ執行役員(人材およびカルチャー担当)代理についてはANZにより6か月前まで。
(4) または、PRに代えてCROに支給される後渡し株式の権利。
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11 .その他のデータ
11.1 2023 年度の法定報酬-CEOおよび開示を要する執行役員
下表は、オーストラリア会計基準に準拠して開示された法定報酬の一覧である。同表は、支給された固定報酬(現金および
退職年金拠出金)ならびに2023年度の変動報酬のうち現金部分も表示しているが、2023年度に実際に支給または受領された変
動報酬(上記5.1から5.4を参照のこと。)は表示しておらず、これに代えて按分償却された当事業年度分の後渡し報酬(前年
支給分を含む。)の会計価値を表示している。
2023 年度の法定報酬-CEOおよび開示を要する執行役員
短期従業員給付 退職後
現金による
インセンティブ合
(1) (2) (3) (4) (5)
現金給与 非貨幣給付 計 その他の現金 退職年金拠出金
事業年度
(単位:ドル)
CEO および現職の開示を要する執行役員
S. エリオット 2023 年 2,474,181 15,676 1,160,000 - 25,819
2022 年 2,476,001 15,384 930,000 - 23,999
M. カーネギー 2023 年 1,224,181 77,341 550,000 - 26,319
2022 年 1,176,001 31,041 460,000 - 24,499
K. コーバリー 2023 年 1,224,181 10,176 532,500 - 25,819
2022 年 1,176,001 9,884 442,500 - 23,999
(9)
2023 年 1,224,181 11,423 600,000 - 25,819
F. ファルーキ
2022 年 1,159,194 174,222 579,575 - 4,806
(10)
2023 年 1,216,181 23,179 497,500 - 25,819
G. フローリアン
2022 年 1,072,169 18,569 442,500 - 23,999
(9)
2023 年 224,942 - 180,000 - 6,850
R. ハウエル
(4)(9)
2023 年 608,220 15,707 250,000 407,000 18,780
C. モーガン
(9)
2023 年 670,504 - 315,100 - 19,496
A. ストロング
(8)(11)
2023 年 1,062,823 21,431 472,570 - 60,557
A. ワトソン
2022 年 1,019,021 22,049 422,742 - 70,686
M. ウィーラン 2023 年 1,434,181 10,176 730,000 - 25,819
2022 年 1,376,001 9,884 535,000 - 23,999
前職の開示を要する執行役員
K. ファン・デル・
2023 年 760,635 7,190 - - 19,865
(12)
マーブ
2022 年 976,001 16,034 400,000 - 24,499
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長期従業員
(7)
給付 株式に基づく報酬
償却価値合計
その他の
エクイ
ティ
(4)
当年度中に
割当て
発生し
(8)
変動報酬
た長期勤続
制限付き 業績に 後渡し 退任
後渡し株
(6)
休暇 後渡し株式 式の権利 権利 基づく権利 株式 給付金 報酬総額
事業年度
(単位:ドル)
CEO および現職の開示を要す
る執行役員
S. エリオット 2023 年 35,112 1,061,506 - 212,024 1,202,190 - - 6,186,508
2022 年 33,306 933,786 - - 1,076,657 - - 5,489,133
M. カーネギー 2023 年 22,858 548,990 - 132,871 298,501 - - 2,881,061
2022 年 17,151 522,450 - - 129,603 - - 2,360,745
K. コーバリー 2023 年 27,518 568,319 265,999 196,849 - - - 2,851,361
2022 年 34,577 513,883 238,579 - - - - 2,439,423
F. ファルーキ
2023 年 19,332 600,306 56,608 132,871 364,031 - - 3,034,571
(9)
2022 年 17,524 465,805 178,143 - 302,636 - - 2,881,905
G. フローリアン
2023 年 30,978 531,235 - 122,240 270,977 - - 2,718,109
(10)
2022 年 15,812 512,134 - - 171,181 - - 2,256,364
(9)
2023 年 9,321 62,538 - - - - - 483,651
R. ハウエル
-
(4)
C. モーガン
2023 年 5,367 67,909 - 1,414 798 29,899 - 1,405,094
(9)
A. ストロング
2023 年 18,550 354,547 - 73,347 38,600 - - 1,490,144
(9)
(8)
A. ワトソン
2023 年 6,612 528,328 - 117,866 222,922 46 - 2,493,155
(11)
2022 年 4,068 505,698 2,132 - 119,057 312 - 2,165,765
M. ウィーラン 2023 年 36,172 700,447 - 155,192 393,646 - - 3,485,633
2022 年 17,779 666,495 - - 181,892 - - 2,811,050
前職の開示を要する執行役
員
K. ファン・デ
2023 年 - -418,392 - - -591,168 - 30,626 -191,244
(12)
ル・マーブ
2022 年 14,409 472,124 - - 177,072 - - 2,080,139
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(1) 現金給与には、主要経営陣の役職期間にANZのライフスタイル休暇制度の利用を反映するために必要な一切の調整額が含
まれる。
(2) 非貨幣給付は一般に、駐車場、税務サービス、配置転換/宿泊に関連して会社が払う費用など、会社負担の手当(関連す
る付加給付税を含む。)で構成される。
(3) 現金によるインセンティブ合計は、STVRの現金部分のみに関係する。STVRの後渡し部分に関係する償却は株式に基づく報
酬に含まれ、権利確定期間にわたって償却されている。STVRはすべて2023年10月17日にANZBGLおよびANZGHLの取締役会に
より承認され、A.ワトソンについては2023年10月17日にANZニュージーランドの取締役会により承認された。2022年度お
よび2023年度に支給されたSTVRの現金部分はすべて、関連する事業年度中に執行役員に対して権利が確定した。
(4) その他の現金およびその他のエクイティ割当て(C.モーガン)は、ANZに入社した結果として失権した後渡し変動報酬お
よび逸失した賞与機会の雇用契約に関係している。
(5) オーストラリアに拠点を置く執行役員について、2022年度および2023年度の退職年金拠出金は退職年金保証拠出(上限拠
出基準額に基づく。)を反映している。F.ファルーキの2022年度の額は、退職年金拠出金の年間額の一部を反映してい
る。A.ワトソンはキウィセーバー(KiwiSaver)に加入しており、ANZは加入者拠出と折半で雇用者拠出(給与支払総額の
4%を上限とする。)を負担している。キウィセーバー雇用者拠出もまた、支払時に現金によるSTVRを上限として拠出さ
れる。
(6) オーストラリアに拠点を置く執行役員について、長期勤続休暇の発生分には、退職年金保証率の変更による影響が考慮さ
れている。長期勤続休暇の発生分の前年度からの変動は、過去の固定報酬の増額が及ぼした各事業年度末に計算される発
生額への影響に関係している。
(7) AASB第2号「株式に基づく支払い」が要求するとおり、償却価値は、事業年度の開始時に完全には権利確定していなかっ
たすべてのエクイティの(市場関連の権利確定条件を考慮した)公正価値の割合部分を含む。公正価値は付与日に決定さ
れ、関連する権利確定期間において定額法で割り当てられる。報酬として含まれる金額は、エクイティの権利が行使可能
となった場合に執行役員が最終的に実現する利益(もしあれば)と関係なく、またそれを示唆するものでもない。当事業
年度中、変更または修正された株式に基づく支払い条件はなかった。また、CEOまたは開示を要する執行役員について
は、当事業年度において現金で決済された株式に基づく支払いおよびその他の形態の株式に基づく報酬はなかった。
(8) その他のエクイティ割当て(A.ワトソン)は、過去の従業員株式オファーに関連して受領された株式に関係しており、各
事業年度において、取締役会の承認を条件として適格授業員に対しANZ株式が付与された。
(9) 2022年度(F.ファルーキ)または2023年度(R.ハウエル、C.モーガン、A.ストロング)における開示を要する執行役員と
しての勤務年に基づく報酬である。
(10) 固定報酬は、拡大された役割(G.フローリアン)による当事業年度中の固定報酬の変更額を反映している。
(11) ニュージーランドドルで支払われ、豪ドルに換算されている。
(12) K.ファン・デル・マーブの2023年度報酬は、2023年6月30日に開示を要する執行役員を退任した日までの勤務年の一部を
反映している(2023年度の同氏の年間固定報酬は104万ドルであった。)。株式に基づく報酬には、権利確定前の後渡し
報酬に関する退任時の費用の取扱いが含まれている(退任時の失権に関する戻入れを含む。)。退任給付金は、同氏の契
約に従い発生した年次休暇に対する支払いを反映しており、退任時に支払いが行われる。
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11.2 エクイティの保有
2022年11月/12月にCEOおよび開示を要する執行役員に対して付与されたエクイティについては、CEOの後渡し株式は市場で
調達され、開示を要する執行役員の後渡し株式は、新株発行を通じて充足された。2022年11月に開示を要する執行役員に対し
て権利確定した後渡し株式の権利については、以前失権した株式の再割当を通じて権利を充足することができず、株式の新株
発行を通じて充足された。
11.2.1 付与、権利確定、行使/売却および失効/失権となったCEOおよび開示を要する執行役員のエクイティ
下表は、当グループがCEOおよび開示を要する執行役員に対して付与した後渡し株式および権利の詳細を示す。
・ 2022年度業績および報酬レビューの査定結果に関連して、2023年度中に付与したもの、または
・ 過年度に付与してその後権利が確定し、2023年度中に行使/売却されまたは失効/失権したもの
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付与、権利確定、行使/売却および失効/失権となったエクイティ-CEOおよび開示を要する執行役員
2023 年
9月30
エクイ
失効/失権し
日現在 2023 年
ティの
権利確定した た 行使/売却された
で権利 9月30
公正価
確定済 日現在
値(2023
エク
みかつ で行使
価値
年度付
イ
行使可 可能で
(2)
与分の
ティ
(2) (2)
能なも ないも
付与数
み) (ド 行使可能
の種 比率 価値 比率 (ド 比率 価値
(3) (4)
(1)
氏名 類 ル) 付与日 初日 満了日 数 (%) (ドル) 数 (%) ル) 数 (%) (ドル) の の
CEO および現職の開示を要する執行役員
S. エリ 後渡 8,622 2018/11/22 2022/11/22 - 8,622 100 213,125 - - - -8,622 100 205,036 - -
オット し
株式
後渡 6,002 2019/11/22 2022/11/22 - 6,002 100 148,362 - - - -6,002 100 142,731 - -
し
株式
後渡 8,130 2020/12/07 2022/11/22 - 8,130 100 200,963 - - - -8,130 100 193,336 - -
し
株式
後渡 14,441 2021/11/22 2022/11/22 - 14,441 100 356,963 - - - - 100 343,416 - -
し 14,441
株式
後渡 20,156 22.94 2022/10/01 2023/11/22 - - - - - - - - - - - 20,156
し
株式
後渡 20,156 22.94 2022/10/01 2024/11/22 - - - - - - - - - - - 20,156
し
株式
制限 24,138 18.75 2022/12/15 2026/12/15 2028/12/15 - - - - - - - - - - 24,138
付き
権利
制限 24,138 17.65 2022/12/15 2027/12/15 2029/12/15 - - - - - - - - - - 24,138
付き
権利
制限 24,869 16.61 2022/12/15 2028/12/15 2030/12/15 - - - - - - - - - - 24,869
付き
権利
業績 18,103 11.26 2022/12/15 2026/12/15 2028/12/15 - - - - - - - - - - 18,103
に基
づく
権利
業績 6,034 7.29 2022/12/15 2026/12/15 2028/12/15 - - - - - - - - - - 6,034
に基
づく
権利
業績 18,103 10.26 2022/12/15 2027/12/15 2029/12/15 - - - - - - - - - - 18,103
に基
づく
権利
業績 6,034 7.20 2022/12/15 2027/12/15 2029/12/15 - - - - - - - - - - 6,034
に基
づく
権利
業績 18,652 9.34 2022/12/15 2028/12/15 2030/12/15 - - - - - - - - - - 18,652
に基
づく
権利
業績 6,217 7.07 2022/12/15 2028/12/15 2030/12/15 - - - - - - - - - - 6,217
に基
づく
権利
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2023 年
9月30
エクイ
行使/売却され
日現在 2023 年
ティの
権利確定した 失効/失権した た
で権利 9月30
公正価
確定済 日現在
値(2023
エク
みかつ で行使
年度付
イ
(2) (2)
行使可 可能で
与分の
ティ 価値 価値
(2)
能なも ないも
付与数
み) (ド 行使可能
の種 比率 価値 比率 (ド 比率 (ド
(3) (4)
(1)
氏名 類 ル) 付与日 初日 満了日 数 (%) (ドル) 数 (%) ル) 数 (%) ル) の の
M. カー 後渡 5,202 2018/11/22 2022/11/22 - 5,202 100 128,587 - - - - - - 5,202 –
ネギー し
株式
後渡 3,961 2019/11/22 2022/11/22 - 3,961 100 97,911 - - - - - - 3,961 –
し
株式
後渡 5,323 2020/12/07 2022/11/22 - 5,323 100 131,578 - - - - - - 5,323 –
し
株式
後渡 8,220 2021/11/22 2022/11/22 - 8,220 100 203,188 - - - - - - 8,220 –
し
株式
後渡 9,970 22.94 2022/10/01 2023/11/22 - - - - - - - - - - – 9,970
し
株式
後渡 9,969 22.94 2022/10/01 2024/11/22 - - - - - - - - - - – 9,969
し
株式
制限 18,286 19.36 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - - - - - - – 18,286
付き
権利
制限 18,286 18.22 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - – 18,286
付き
権利
業績 13,715 11.27 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - - - - - - – 13,715
に基
づく
権利
業績 4,571 7.46 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - - - - - - – 4,571
に基
づく
権利
業績 13,175 10.13 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 13,715
に基
づく
権利
業績 4,571 7.32 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 4,571
に基
づく
権利
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2023 年
9月30
エクイ
失効/失権し
日現在 2023 年
ティの
権利確定した た 行使/売却された
で権利 9月30
公正価
確定済 日現在
値(2023
エク
みかつ で行使
価値
年度付
イ
行使可 可能で
(2)
与分の
ティ
(2) (2)
能なも ないも
付与数
み) (ド 行使可能
の種 比率 価値 比率 (ド 比率 価値
(3) (4)
(1)
氏名 類 ル) 付与日 初日 満了日 数 (%) (ドル) 数 (%) ル) 数 (%) (ドル) の の
K. コー 後渡 3,007 2018/11/22 2022/11/22 - 3,007 100 74,329 - - - - 100 74,464 - -
バリー し 3,007
株式
後渡 3,829 2019/11/22 2022/11/22 - 3,829 100 94,648 - - - - 100 94,820 - -
し 3,829
株式
後渡 5,581 2020/12/07 2022/11/22 - 5,581 100 137,955 - - - - 100 138,206 - -
し 5,581
株式
後渡 6,649 2021/11/22 2022/11/22 - 6,649 100 164,355 - - - - 100 164,654 - -
し 6,649
株式
後渡 9,590 22.94 2022/10/01 2023/11/22 - - - - - - - - - - - 9,590
し
株式
後渡 9,590 22.94 2022/10/01 2024/11/22 - - - - - - - - - - - 9,590
し
株式
制限 27,091 19.36 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - - - - - - - 27,091
付き
権利
制限 27,091 18.22 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 27,091
付き
権利
F. ファ 後渡 10,486 2021/11/22 2022/11/22 - 10,486 100 259,200 - - - - 19 48,523 8,523 -
ルーキ し 1,963
株式
後渡 12,950 22.94 2022/10/01 2023/11/22 - - - - - - - - - - - 12,950
し
株式
後渡 12,949 22.94 2022/10/01 2024/11/22 - - - - - - - - - - - 12,949
し
株式
後渡 5,158 2020/12/07 2022/11/22 2022/11/29 5,158 100 127,499 - - - - 100 127,499 - -
し株 5,158
式の
権利
後渡 8,033 2019/11/22 2022/11/22 2022/11/29 8,033 100 198,565 - - - - 100 198,565 - -
し株 8,033
式の
権利
後渡 8,496 2018/11/22 2022/11/22 2022/11/29 8,496 100 210,010 - - - - 100 210,010 - -
し株 8,496
式の
権利
制限 18,286 19.36 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - - - - - - - 18,286
付き
権利
制限 18,286 18.22 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 18,286
付き
権利
業績 13,715 11.27 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - - - - - - - 13,715
に基
づく
権利
業績 4,571 7.46 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - - - - - - - 4,571
に基
づく
権利
業績 13,715 10.13 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 13,715
に基
づく
権利
業績 4,571 7.32 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 4,571
に基
づく
権利
220/546
EDINET提出書類
オーストラリア・ニュージーランド銀行(E05961)
有価証券報告書
2023 年
9月30
エクイ
失効/失権し
日現在 2023 年
ティの
権利確定した た 行使/売却された
で権利 9月30
公正価
確定済 日現在
値(2023
エク
みかつ で行使
価値
年度付
イ
行使可 可能で
(2)
与分の
ティ
(2) (2)
能なも ないも
付与数
み) (ド 行使可能
の種 比率 価値 比率 (ド 比率 価値
(3) (4)
(1)
氏名 類 ル) 付与日 初日 満了日 数 (%) (ドル) 数 (%) ル) 数 (%) (ドル) の の
G. フ 後渡 1,609 2018/11/22 2021/11/22 - - - - - - - - 100 39,614 - -
ローリ し 1,609
アン
株式
後渡 3,251 2018/11/22 2022/11/22 - 3,251 100 80,360 - - - -476 15 11,861 2,775 -
し
株式
後渡 3,367 2019/11/22 2021/11/22 - - - - - - - - 100 82,313 - -
し 3,367
株式
後渡 2,244 2019/11/22 2022/11/22 - 2,244 100 55,469 - - - - 100 54,859 - -
し 2,244
株式
後渡 6,442 2020/12/07 2021/11/22 - - - - - - - - 100 157,487 - -
し 6,442
株式
後渡 4,829 2020/12/07 2022/11/22 - 4,829 100 119,367 - - - - 100 118,054 - -
し 4,829
株式
後渡 9,770 2021/11/22 2022/11/22 - 9,770 100 241,502 - - - - 100 238,846 - -
し 9,770
株式
後渡 9,590 22.94 2022/10/01 2023/11/22 - - - - - - - - - - - 9,590
し
株式
後渡 9,590 22.94 2022/10/01 2024/11/22 - - - - - - - - - - - 9,590
し
株式
制限 16,823 19.36 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - - - - - - - 16,823
付き
権利
制限 16,823 18.22 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 16,823
付き
権利
業績 12,617 11.27 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - - - - - - - 12,617
に基
づく
権利
業績 4,205 7.46 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 – – – - - - - - - - 4,205
に基
づく
権利
業績 12,617 10.13 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 12,617
に基
づく
権利
業績 4,205 7.32 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 4,205
に基
づく
権利
221/546
EDINET提出書類
オーストラリア・ニュージーランド銀行(E05961)
有価証券報告書
2023 年
9月30
エクイ
失効/失権し
日現在 2023 年
ティの
権利確定した た 行使/売却された
で権利 9月30
公正価
確定済 日現在
値
エク
みかつ で行使
価値
(2023年
イ
行使可 可能で
(2)
度付与
ティ
(2) (2)
能なも ないも
付与数
分のみ) 行使可能
の種 比率 価値 比率 (ド 比率 価値
(3) (4)
(1)
氏名 類 (ドル) 付与日 初日 満了日 数 (%) (ドル) 数 (%) ル) 数 (%) (ドル) の の
R. ハウ
(5)
エル
C. モー 後渡 3,025 24.52 2023/08/20 2024/08/20 - - - - - - - - - - - 3,025
(5)
し
ガン
株式
後渡 5,082 24.52 2023/08/20 2024/08/20 - - - - - - - - - - - 5,082
し
株式
後渡 5,082 24.52 2023/08/20 2025/08/20 - - - - - - - - - - - 5,082
し
株式
制限 18,422 19.45 2023/09/25 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 18,422
付き
権利
業績 13,816 11.89 2023/09/25 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 13,816
に基
づく
権利
業績 4,605 8.24 2023/09/25 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 4,605
に基
づく
権利
A. スト
後渡
-
ロング
し
4,361 2019/11/22 2022/11/22 - 4,361 100 107,798 - - - 100 103,826 - -
4,361
(5)
株式
後渡
し
3,229 2020/12/07 2022/11/22 - 3,229 100 79,817 - - - -639 20 15,213 2,590 -
株式
後渡
し
4,189 2021/11/22 2022/11/22 - 4,189 100 103,547 - - - - - - 4,189 -
株式
後渡
し
6,133 24.72 2022/11/22 2023/11/22 - - - - - - - - - - - 6,133
株式
後渡
し
6,132 24.72 2022/11/22 2024/11/22 - - - - - - - - - - - 6,132
株式
後渡
し
6,132 24.72 2022/11/22 2025/11/22 - - - - - - - - - - - 6,132
株式
制限
付き
10,972 19.36 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - - - - - - - 10,972
権利
制限
付き
10,972 18.22 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 10,972
権利
業績
に基
8,229 11.27 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - - - - - - - 8,229
づく
権利
業績
に基
2,743 7.46 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - - - - - - - 2,743
づく
権利
業績
に基
8,229 10.13 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 8,229
づく
権利
業績
に基
2,743 7.32 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 2,743
づく
権利
222/546
EDINET提出書類
オーストラリア・ニュージーランド銀行(E05961)
有価証券報告書
2023 年
9月30
エクイ
失効/失権し
日現在 2023 年
ティの
権利確定した た 行使/売却された
で権利 9月30
公正価
確定済 日現在
値(2023
みかつ で行使
価値
年度付
行使可 可能で
(2)
与分の
エクイ
(2) (2)
能なも ないも
付与数
み) (ド 行使可能
ティの 比率 価値 比率 (ド 比率 価値
(3) (4)
(1)
氏名 種類 ル) 付与日 初日 満了日 数 (%) (ドル) 数 (%) ル) 数 (%) (ドル) の の
A. ワ 後渡し 3,901 2019/11/22 2022/11/22 - 3,901 100 96,428 - - - - 100 97,341 - -
トソ 3,901
株式
ン
後渡し 4,354 2020/12/07 2022/11/22 - 4,354 100 107,625 - - - - 100 108,644 - -
4,354
株式
後渡し 9,924 2021/11/22 2022/11/22 - 9,924 100 245,308 - - - - 100 247,632 - -
9,924
株式
後渡し 9,162 22.94 2022/10/01 2023/11/22 - - - - - - - - - - - 9,162
株式
後渡し 9,162 22.94 2022/10/01 2024/11/22 - - - - - - - - - - - 9,162
株式
従業員 32 2019/12/02 2022/12/02 - 32 100 790 - - - - - - 32 -
株式オ
ファー
制限付 16,221 19.36 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - - - - - - - 16,221
き
権利
制限付 16,221 18.22 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 16,221
き
権利
業績に 12,166 11.27 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - - - - - - - 12,166
基づく
権利
業績に 4,055 7.46 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - - - - - - - 4,055
基づく
権利
業績に 12,166 10.13 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 12,166
基づく
権利
業績に 4,055 7.32 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 4,055
基づく
権利
223/546
EDINET提出書類
オーストラリア・ニュージーランド銀行(E05961)
有価証券報告書
2023 年
9月30
エクイ
失効/失権し
日現在 2023 年
ティの
権利確定した た 行使/売却された
で権利 9月30
公正価
確定済 日現在
値(2023
エク
みかつ で行使
価値
年度付
イ
行使可 可能で
(2)
与分の
ティ
(2) (2)
能なも ないも
付与数
み) (ド 行使可能
の種 比率 価値 比率 (ド 比率 価値
(3) (4)
(1)
氏名 類 ル) 付与日 初日 満了日 数 (%) (ドル) 数 (%) ル) 数 (%) (ドル) の の
M. ウィー 後渡 7,072 2018/11/22 2022/11/22 - 7,072 100 174,811 - - - -7,072 100 174,726 - -
ラン し
株式
後渡 6,998 2019/11/22 2022/11/22 - 6,998 100 172,981 - - - -6,998 100 172,897 - -
し
株式
後渡 4,722 2020/12/07 2022/11/22 - 4,722 100 116,722 - - - -4,722 100 116,665 - -
し
株式
後渡 11,700 2021/11/22 2022/11/22 - 11,700 100 289,209 - - - - 100 289,068 - -
し 11,700
株式
後渡 11,595 22.94 2022/10/01 2023/11/22 - - - - - - - - - - - 11,595
し
株式
後渡 11,595 22.94 2022/10/01 2024/11/22 - - - - - - - - - - - 11,595
し
株式
制限 21,358 19.36 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - - - - - - - 21,358
付き
権利
制限 21,358 18.22 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 21,358
付き
権利
業績 16,019 11.27 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - - - - - - - 16,019
に基
づく
権利
業績 5,339 7.46 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - - - - - - - 5,339
に基
づく
権利
業績 16,019 10.13 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 16,019
に基
づく
権利
業績 5,339 7.32 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - - - - - - - 5,339
に基
づく
権利
224/546
EDINET提出書類
オーストラリア・ニュージーランド銀行(E05961)
有価証券報告書
2023
2023 年 年9
9月30 月30
エクイ
権利確定した 失効/失権した 行使/売却された
日現在 日現
ティの
で権利 在で
公正価
確定済 行使
値(2023
エク
みかつ 可能
年度付
イ
(2)
行使可 でな
与分の
ティ 価値
(2) (2)
能なも いも
付与数
み) (ド 行使可能
の種 比率 価値 比率 価値 比率 (ド
(3) (4)
(1)
氏名 類 ル) 付与日 初日 満了日 数 (%) (ドル) 数 (%) (ドル) 数 (%) ル) の の
前職の開示を要する執行役員
K. ファ 後渡 524 2018/11/22 2019/11/22 - - - - - - - -524 100 12,962 - -
ン・ し
デル・
株式
・マー 後渡 3,577 2018/11/22 2020/11/22 - - - - - - - - 100 88,481 - -
(6)
し 3,577
ブ
株式
後渡 3,577 2018/11/22 2021/11/22 - - - - - - - - 100 88,481 - -
し 3,577
株式
後渡 3,577 2018/11/22 2022/11/22 - 3,577 100 88,419 - - - - 33 29,485 2,385 -
し 1,192
株式
後渡 3,301 2019/11/22 2022/11/22 - 3,301 100 81,596 - - - - - - 3,301 -
し
株式
後渡 1,650 2019/11/22 2023/11/22 - - - - -1,650 100 -39,067 - - - - -
し
株式
後渡 4,293 2020/12/07 2022/11/22 - 4,293 100 106,117 - - - - - - 4,293 -
し
株式
後渡 2,862 2020/12/07 2023/11/22 - - - - -2,862 100 -67,763 - - - - -
し
株式
後渡 1,431 2020/12/07 2024/11/22 - - - - -1,431 100 -33,382 - - - - -
し
株式
後渡 8,579 2021/11/22 2022/11/22 8,579 100 212,062 - - - - - - 8,579 -
し
株式
後渡 6,433 2021/11/22 2023/11/22 - - - - -6,433 100 - - - - - -
し 152,313
株式
後渡 4,288 2021/11/22 2024/11/22 - - - - -4,288 100 - - - - - -
し 101,527
株式
後渡 2,144 2021/11/22 2025/11/22 - - - - -2,144 100 -50,763 - - - - -
し
株式
後渡 8,669 22.94 2022/10/01 2023/11/22 - - - - -8,669 100 - - - - - -
し 205,255
株式
後渡 8,669 22.94 2022/10/01 2024/11/22 - - - - -8,669 100 - - - - - -
し 205,255
株式
制限 15,214 19.36 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - 100 - - - - - -
付き 15,214 360,220
権利
制限 15,214 18.22 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - 100 - - - - - -
付き 15,214 360,220
権利
業績 25,510 2019/11/22 2023/11/22 2025/11/22 - - - - 100 - - - - - -
に基 25,510 603,998
づく
権利
225/546
EDINET提出書類
オーストラリア・ニュージーランド銀行(E05961)
有価証券報告書
2023 年
9月30
エクイ
行使/売却され
日現在 2023 年
ティの
権利確定した 失効/失権した た
で権利 9月30
公正価
確定済 日現在
値(2023
エク
みかつ で行使
年度付
イ
(2) (2)
行使可 可能で
与分の
ティ 価値 価値
(2)
能なも ないも
付与数
み) (ド 行使可能
の種 比率 (ド 比率 価値 比率 (ド
(3) (4)
(1)
氏名 類 ル) 付与日 初日 満了日 数 (%) ル) 数 (%) (ドル) 数 (%) ル) の の
K. ファ 業績 8,503 2019/11/22 2023/11/22 2025/11/22 - - - -8,503 100 -201,325 - - - - -
ン・ に基
デル・ づく
権利
(6
業績 23,213 2020/12/07 2024/11/22 2026/11/22 - - - - 100 -549,612 - - - - -
マーブ
に基 23,313
づく
権利
業績 7,737 2020/12/07 2024/11/22 2026/11/22 - - - -7,737 100 -183,188 - - - - -
に基
づく
権利
業績 33,140 2021/11/22 2025/11/22 2027/11/22 - - - - 100 -784,652 - - - - -
に基 33,140
づく
権利
業績 11,046 2021/11/22 2025/11/22 2027/11/22 - - - - 100 -261,535 - - - - -
に基 11,046
づく
権利
業績 11,410 11.27 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - - 100 -270,153 - - - - -
に基 11,410
づく
権利
業績 3,803 7.46 2022/11/22 2026/11/22 2028/11/22 - - - -3,803 100 -90,043 - - - - -
に基
づく
権利
業績 11,410 10.13 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - - 100 -270,153 - - - - -
に基 11,410
づく
権利
業績 3,803 7.32 2022/11/22 2027/11/22 2029/11/22 - - - -3,803 100 -90,043 - - - - -
に基
づく
権利
(1) 執行役員は、高額報酬上位5名の執行役員の開示目的上、開示を要する執行役員またはグループ執行委員会のその他の委員と定義される。2023事業
年度の高額報酬上位5名の執行役員には、開示を要する執行役員5名が含まれている。2023年度に報酬として開示を要する執行役員に付与された権
利は、上表に含まれている。2023年度末から取締役報告書の署名日までの間に、CEO、開示を要する執行役員または高額報酬執行役員上位5名に対
してかかる権利は付与されなかった。
(2) 後渡し株式/後渡し株式の権利および/または制限付き権利/業績に基づく権利の一時点における価額は、権利確定、失効/失権、または行使/売
却/信託終了の日にASXで売買される当行株式の1日VWAPに、後渡し株式/後渡し株式の権利および/または制限付き権利/業績に基づく権利の数
を乗じたものに基づく。すべての後渡し株式の権利/制限付き権利/業績に基づく権利の行使価格は、0.00ドルである。株式に基づく支払いに関し
て当報告期間中に変更または修正された付与条件はなかった。
(3) 権利確定済みかつ行使可能な数は、報告期間末現在で権利が確定している株式、オプションおよび権利の数である。権利確定済みであり行使可能で
はない株式、オプションおよび権利はなかった。
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(4) 過年度に付与された(付与日を基準として)業績に基づく権利のうち、2023年9月30日現在または主要経営陣の退任日でなお行使可能でないものに
は以下が含まれる。
2019 年11月 2020 年11月 2021 年11月 2022 年11月
S. エリオット
168,066 159,308 126,353 73,143
M. カーネギー 40,816 38,378 42,345 36,572
K. コーバリー - - - -
F. ファルーキ 69,118 34,045 54,006 36,572
G. フローリアン 23,128 34,820 50,324 33,644
R. ハウエル - - - -
C. モーガン - - - 18,421
A. ストロング - - - 21,944
A. ワトソン - 31,389 51,117 32,442
M. ウィーラン 72,108 34,045 60,266 42,716
K. ファン・デル・マーブ - - - -
2023 年度にS.エリオットに付与された業績に基づく権利は、ASX上場規則10.14に従って、2022年度年次株主総会で株主により承認された。
(5) 開示を要する執行役員に就任した日から開示されたエクイティ取引である。R.ハウエルについて開示可能な取引はなかった。
(6) 主要経営陣を退任するまでに開示されたエクイティ取引である。
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11.2.2 NED、CEOおよび開示をする執行役員のエクイティ保有
下表は、各NED、CEOおよび開示を要する各執行役員(これらの者の関係当事者を含む。)により直接、間接または実質的に
保有されるエクイティの詳細を示す。
エクイティ保有-NED、CEOおよび開示を要する執行役員
オプションま
当年度中に報
たは権利の行
当年度中のそ 2023 年9月
酬として付与
2022 年10 使により当年
の他の変動に 30日の期末
されたもの
月1日の 度中に受領し
(2) (3)(4)
(1)
氏名 エクイティの種類 期首残高 たもの よるもの 残高
現職の非執行取締役
P. オサリバン 普通株式 4,350 - - - 4,350
キャピタルノート 7 9,250 - - - 9,250
I.アトラス 普通株式 15,318 - - - 15,318
J.ハルトン 普通株式 9,653 - - 405 10,058
(5)
普通株式 201,635 - - -17,234 184,401
G. ホッジズ
キャピタルノート 4 1,350 - - - 1,350
J.キー 普通株式 10,500 - - - 10,500
(5)
普通株式 5,828 - - - 5,828
H. クレイマー
J.マクファーレン 普通株式 19,042 - - - 19,042
キャピタルノート3 5,000 - - -5,000 -
キャピタルノート6 2,140 - - - 2,140
キャピタルノート 7 2,000 - - - 2,000
キャピタルノート 8 - - - 5,000 5,000
C. オライリー 普通株式 6,400 - - - 6,400
J. スミス 普通株式 2,779 - - - 2,779
前職の非執行取締役
(6)
普通株式 21,671 - - - 21,671
G. リーベルト
キャピタルノート6 2,500 - - - 2,500
キャピタルノート7 2,500 - - - 2,500
CEO および現職の開示を要する執行役員
S. エリオット 後渡し株式 69,986 40,312 - -37,195 73,103
普通株式 395,108 - - 100,532 495,640
権利確定済み株式
56,989 - - -56,989 -
(1年の制限期間)
制限付き権利 - 73,145 - - 73,145
業績に基づく権利 453,727 73,143 - - 526,870
M. カーネギー 後渡し株式 112,834 19,939 - - 132,773
普通株式 34,098 - - 7,482 41,580
制限付き権利 - 36,572 - - 36,572
業績に基づく権利 121,539 36,572 - - 158,111
K. コーバリー 後渡し株式 45,844 19,180 - -19,066 45,958
普通株式 1,381 - - 2,964 4,345
キャピタルノート6 1,400 - - - 1,400
後渡し株式の権利 62,675 - - - 62,675
制限付き権利 - 54,182 - - 54,182
F. ファルーキ 後渡し株式 28,006 25,899 - -1,963 51,942
普通株式 100,380 - 21,687 -1,550 120,517
後渡し株式の権利 31,467 - -21,687 - 9,780
制限付き権利 - 36,572 - - 36,572
業績に基づく権利 157,169 36,572 - - 193,741
G. フローリアン 後渡し株式 56,605 19,180 - -28,737 47,048
普通株式 37,583 - - 18,029 55,612
制限付き権利 - 33,646 - - 33,646
業績に基づく権利 108,272 33,644 - - 141,916
(5)
後渡し株式 12,138 - - - 12,138
R. ハウエル
普通株式 324 - - -324 -
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(5)
後渡し株式 - 13,189 - - 13,189
C. モーガン
普通株式 25 - - -25 -
制限付き権利 - 18,422 - - 18,422
業績に基づく権利 - 18,421 - - 18,421
(5)
後渡し株式 23,382 18,397 - -5,000 36,779
A. ストロング
普通株式 2,264 - - 1,971 4,235
制限付き権利 - 21,944 - - 21,944
業績に基づく権利 - 21,944 - - 21,944
A. ワトソン 後渡し株式 41,956 18,324 - -18,179 42,101
従業員株式オファー 61 - - - 61
普通株式 37,581 - - 13,393 50,974
制限付き権利 - 32,442 - - 32,442
業績に基づく権利 82,506 32,442 - - 114,948
M. ウィーラン 後渡し株式 56,260 23,190 - -30,492 48,958
普通株式 46,963 - - 233 47,196
制限付き権利 - 42,716 - - 42,716
業績に基づく権利 166,419 42,716 - - 209,135
前職の開示を要する執行役員
K. ファン・デル・マーブ
後渡し株式 63,515 17,338 - -45,016 35,837
(6)
普通株式 29,407 - - 1,918 31,325
制限付き 権利 - 30,428 - -30,428 -
業績に基づく権利 109,149 30,426 - -139,575 -
(1) 2023年度中に報酬として付与されたオプション/権利の内容は前掲の表に記載されている。
(2) 当年度中のその他の変動による株式には、購入(ANZ株式購入プランに基づく購入を含む。)、失権、売却または配当金再
投資制度に基づき取得された株式の正味残額が含まれている。
(3) 以下の株式(上記の保有分に含まれている。)が、2023年9月30日(または主要経営陣としての退任日)現在、NED、CEO
および開示を要する執行役員に代わり保有されていた(すなわち、間接的な実質保有株式)。P.オサリバン 0株、I.アト
ラス 15,318株、J.ハルトン 0株、G.ホッジズ 0株、J.キー 10,500株、H.クレイマー 5,828株、J.マクファーレン
28,182株、C.オライリー 0株、J.スミス 0株、G.リーベルト 8,436株、S.エリオット 562,395株、M.カーネギー
132,773株、K.コーバリー 47,358株、F.ファルーキ 51,942株、G.フローリアン 56,947株、R.ハウエル 12,138株、C.モー
ガン 13,189株、A.ストロング 36,779株、A.ワトソン 42,162株、M.ウィーラン 92,771株、K.ファン・デル・マーブ
35,837株。
(4) 2023年9月30日現在、権利確定済みで行使可能な権利はなく、権利確定済みで行使可能でないオプション/権利もなかっ
た。取締役報告書の署名日現在の残高に変更はなかった。
(5) 期首残高は、主要経営陣としての就任日現在の保有に基づく。
(6) 期末残高は、主要経営陣としての退任日現在の保有に基づく。
11.3 ローン
11.3.1 概況
当グループがNED、CEOまたは開示を要する執行役員に対してローンを組む場合、当グループはこれを通常の事業過程におい
て、他の従業員または顧客に与えるものより有利でない通常の商業条件に基づき実施しており、この条件には貸付条件、必要
担保および金利が含まれる。貸付商品の条件の詳細は、ANZのウェブサイト(anz.com)に掲載されている。当期間中に償却さ
れた金額はなく、これらの残高に関して個別評価予想信用損失引当金も計上されていない。
2023年9月30日現在、NED、CEOおよび開示を要する執行役員(これらの者の関係当事者を含む。)に対するローン総額
(100,000ドル未満の残高を含む。)は、31,068,195ドル(2022年度:30,679,346ドル)であり、当期間中の支払利息は
1,346,442ドル(2022年度:790,118ドル)であった。
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11.3.2 NED、CEOおよび開示を要する執行役員へのローン取引
下表は、NED、CEOおよび開示を要する執行役員(当年度中の任意の時点で個々のローン残高が総額100,000ドルを超える場合
はこれらの関係当事者を含む。)に対するローン残高の詳細を示す。
ローン取引-NED、CEOおよび開示を要する執行役員
報告期間中に
支払われたおよび
2022 年10月1日
2023 年9月30日 報告期間中の
(1) (2)
の期首残高 の期末残高 支払われる利息 最高残高
氏名 (単位:ドル)
現職の非執行取締役
P.オサリバン 731,495 657,998 28 736,813
G.ホッジズ 2,173,487 2,322,549 105,411 3,307,728
J.キー 3,703,009 3,583,961 285,191 3,927,633
H.クレイマー 3,177,784 3,189,935 29,733 3,198,854
J.マクファーレン 9,364,205 5,907,690 539,941 10,643,712
CEO および現職の開示を要する執行役員
S.エリオット 2,521,407 2,467,062 84,378 2,561,192
M.カーネギー 3,374 5,602,183 18,855 5,646,088
G.フローリアン 4,250,856 2,324,157 79,239 4,293,369
A.ストロング 1,461,490 1,715,981 62,505 1,852,107
M.ウィーラン 1,550,938 1,528,458 89,738 1,601,107
前職の開示を要する執行役員
(3)
1,655,942 1,696,038 49,224 1,733,877
K.ファン・デル・マーブ
合計 30,593,988 30,996,013 1,344,242 39,502,479
(1) 期首残高は、新任のおよび退任する主要経営陣について調整されている。
(2) オフセット口座考慮後の実質支払利息。ローン残高は総額で表示されるが、支払利息はオフセット口座の影響を考慮して
いる。
(3) 期末残高は、主要経営陣としての退任日現在である。
11.4 その他の取引
NED、CEOおよび開示を要する執行役員ならびにこれらの者の関係当事者とのその他の取引には預金が含まれる。
その他の取引-NED、CEOおよび開示を要する執行役員
2022 年10月1日の 2023 年9月30日の
(1) (2)(3)
期首残高 期末残高
(単位:ドル)
主要経営陣の預金合計
30,432,187 40,819,935
(1) 期首残高は2022年10月1日現在、または年の途中で就任した場合は就任日現在であり、時間分散を考慮するために調整さ
れている。
(2) 期末残高は2023年9月30日現在、または年の途中で主要経営陣を退任した場合は退任日現在である。
(3) 2023年度の預金の利息受取額は1,001,678ドル(2022年度:140,355ドル)である。
主要経営陣およびその関係当事者とのその他の取引には、投資運用サービス手数料、仲介手数料、銀行業務手数料に関して
当グループに支払われる金額が含まれる。当グループは、その職務の遂行に伴うセキュリティおよび秘書サービスで負担した
費用について、主要経営陣に支払う。かかる取引は、他の従業員または顧客に与えるものより有利でない通常の商業条件に基
づき実施されている。
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(3)【監査の状況】
① 監査委員会
ANZBGL は、ANZGHLから独立した独自の監査委員会(「監査委員会」)を有する。ANZBGLの監査委員会の構成は、ANZBGLの監
査委員会のみの構成員であるグラハム・ホッジスを除いて、ANZGHLの監査委員会と同一である。
ANZBGL の監査委員会憲章の条項は、ANZGHLのものと実質的に同一である。
ANZBGL の監査委員会の目的、役割および責任は、実質的にANZGHLのものと同一である。ANZGHLの監査委員会については、上
記「(1)コーポレート・ガバナンスの概要-② ANZGHLのコーポレート・ガバナンス-7.2 監査委員会」を参照のこと。
監査委員会の委員の氏名および2023年度に開催された監査委員会会議への出席状況は、下表のとおりである。
出席資格を有する
取締役の氏名 会議の開催回数 出席回数
P オサリバン
7 7
I R アトラス AO
7 7
(1)
4 4
G K ホッジス
(2)
2 2
G R リーベルト
J T マクファーレン
7 7
C E オライリー(委員長)
7 7
(1) 2023 年2月8日就任。
(2) 2022 年12月15日退任。
当年度における監査委員会の活動状況および具体的な検討内容は、以下を含むがこれらに限定されない。
・ 以下の監督およびレビュー
- 当グループの財務報告原則および方針、統制ならびに手続き
- 当グループ の内 部統制およびリスク管理の枠組みの有効性
- 当グループ の内 部監 査機能の業務(内部監査による発見事項のレビューならびに適時適切な方法による問題点の管
理および是正の確実な実施を含む。)
- ANZBGL グループと ANZGHL グル ープの財務書類の相違の検討を含む当グループ の 財務書類および独立監査の完全性な
らびに関連する法律上および規制上の要件の当グループによる遵守
- デュー・デリジェンスの手続き
- 財務報告に関連する健全性の監督手続きおよびその他の規制上の要件
- 取締役会により付託されたその他の事項
・ 外部監査人に関する以下の事項
- その任命、報酬支払い、年次評価、維持および監督
- その独立性、有効性、適合性および適切性、ならびに資格の年次レビュー(主任パートナーの交代を含む。)
- 年次の監査計画の見直しおよび承認ならびに提供を受けることができる非監査業務分野の決定
- 外部監査人により提供される すべての監査、監査関連業務および非監査業務の事前承認(もしくはその他の承
認)。
- 当グループ の 財務書類と活動に関して外部監査人が作成および発行する監査報告書ならびに重要な会計方針に関す
る報告のレビューおよび監督
- その交代(適切とみなされる場合)
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・ 以下を含むがこれらに限定されないその他の事項
- 過去の会議の議事録の承認
- 主要な子会社の監査委員会からの報告
- 監査委員会憲章の見直しおよび自己評価
- 内部監査、外部監査人および委員会委員との会議(個別に行う。)
- 純粋持株会社の設立に関する監査上、報告上及びガバナンス関連の検討事項についての議論および質疑
- サンコープ・バンクの買収案についての潜在的影響の議論および検討
- 必要に応じて、進行中の地政学的緊張 、高インフレおよび高金利の継続、労働市場の逼迫、米国その他の地域にお
けるいくつかの銀行の破綻ならびに気候事象などの問題が当グループの財務書類に与える影響の検討
ANZBGL の監査委員会と実質的に同一であるANZGHLの監査委員会の目的、権限、機能および職務、委員の適格性および会議に
関する要求事項に関する詳細は、ANZウェブサイト(www.anz.com /shareholder/centre/about/corporate-governance/ )に掲載
されている「監査委員会憲章」を参照のこと。
② 内部監査
ANZBGL は独立した内部監査機能を有さず、ANZGHLの内部監査機能がANZBGLの内部監査を担っている。ANZGHLの内部監査につ
いては、上記「(1)コーポレート・ガバナンスの概要-② ANZGHLのコーポレート・ガバナンス-8.1 内部監査」を参照の
こと。
③ 会計監査
( ⅰ) 外部監査人
ⅰ. 外部監査人の名称: KPMG
ⅱ. 継続監査期間: 外部監査人は1969年以降連続して監査関連業務を行っている。
ⅲ. 業務を執行した公認会計士の氏名: Martin McGrath(マーティン・マクグラス)およびMaria Trinci(マリア・トリン
チ)。2024年度から、マーティン・マクグラスはANZ監査契約から退き、マリア・トリンチが署名における主任パート
ナーの役割を担うことになる。
ⅳ. 監査業務に係る補助者の構成: 非公開
( ⅱ) 外部監査人を選定した理由(外部監査人の選定(または解任もしくは不再任の決定)方針を含む)
上記「(1)コーポレート・ガバナンスの概要-② ANZGHLのコーポレート・ガバナンス-8.2 外部監査」に記載されてい
るANZウェブサイト内の「外部監査人との関係についての利害関係人に係るエンゲージメント・モデル」を参照のこと。
「外部監査人との関係についての利害関係人に係るエンゲージメント・モデル」に概説されているとおり、監査委員会は、
・ 外部監査人の選任、報酬、維持および監督の責任を有する(財務報告に関する経営陣と外部監査人の間の意見の相違の
解決を含む。)。
・ 採用ごとに、または監査委員会により適用された特定の事前承認方針に基づき、すべての監査、監査関連業務および非
監査業務を事前に承認する。
・ 外部監査人の独立性を定期的に評価する(最低年に1度の正式なレビューを含む。)
・ 外部監査人の有効性を定期的に検証する(最低年に1度の正式なレビューを含む。)
・ 外部監査人による業務の提供に対応する採用モデルを維持する。
( ⅲ) 最近2連結会計年度における外部監査人の異動
該当なし。
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( ⅳ) 監査委員会による外部監査人の評価の内容
上記「(1)コーポレート・ガバナンスの概要-② ANZGHLのコーポレート・ガバナンス-8.2 外部監査」に記載されてい
るANZウェブサイト内の「外部監査人との関係についての利害関係人に係るエンゲージメント・モデル」および同ウェブサイト
内の「外部監査人-独立性および職務遂行状況の評価」を参照のこと。
監査委員会は、監査の外部入札を開始するかを含め、外部監査人の正式な年次業績評価を実施する。在任期間、監査の質、
地域的および国際的な手腕や実績、独立性などの関連要因を考慮した後、監査委員会は2024年9月30日終了年度の監査につい
てKPMGの再任を決議した。監査委員会による外部監査人の職務遂行状況の評価の詳細は開示されていない。
( ⅴ) 監査人報酬
ⅰ. 外部監査人に対して支払った報酬
「第6 経理の状況-1 財務書類」の2023年度財務書類の注記33を参照のこと。
下記の表では、オーストラリアの外部監査人に対して支払われた監査報酬その他の報酬を記載している。
2023 年 20 22 年
(単位:千ドル)
KPMG オーストラリアに対する報酬
ANZBGL グループ
財務報告書の監査またはレビュー 9,567 8,217
監査関連業務 3,882 6,037
10 8
非監査業務
13,459 14,262
ANZBGL (親会社)
財務報告書の監査またはレビュー 9,134 7,726
監査関連業務 3,808 5,956
10 8
非監査業務
12,952 13,690
子会社
財務報告書の監査またはレビュー 433 491
監査関連業務 74 81
- -
非監査業務
507 572
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ⅱ. 外部監査人と同一のネットワークに属する組織に対して支払った 報酬
下記の表では、オーストラリア以外の外部監査人の関連法人に対して支払われた監査報酬その他の報酬を記載している。
2023 年 20 22 年
(単位:千ドル)
KPMG (オーストラリア以外)に対する報酬
ANZBGL グループ
財務報告書の監査またはレビュー 6,157 5,808
監査関連業務 1,933 1,459
95 -
非監査業務
8,185 7,267
ANZBGL (親会社)
財務報告書の監査またはレビュー 1,994 2,033
監査関連業務 911 831
- -
非監査業務
2,905 2,864
子会社
財務報告書の監査またはレビュー 4,163 3,775
監査関連業務 1,022 628
95 -
非監査業務
5,280 4,403
ⅲ. ANZに対して提供した非監査業務の内容
2001 年会社法および業界の最良慣行の要件を組込んだ当グループの「 外部監査人との関係についての当グループの利害関係
人に係るエンゲージメント・モデル 」(以下「本方針」という。)は、外部監査人が外部監査人としての役割と対立するまた
は独立性の要件に違反すると考えられるサービスを提供することを防止している。これは、コンサルティングの助言および経
営陣が通常行う業務上の活動の下請け、ならびに外部監査人が自身の業務について意見を表明することが最終的に必要となる
可能性のある契約を含む。
具体的に本方針は以下を定める。
・ 提供可能な非監査業務の範囲を限定する。
・ 監査業務、監査関連業務および認められる非監査業務については、監査委員会により承認を受けるか、または監査委員
会委員長(もしくは代表者)により承認を受け監査委員会に通知する前に、独立性の規定に照らしてかつ潜在的な利益
相反を考慮することを必要とする。
・ 当グループのための一切の契約を外部監査人が開始するには、事前承認を必要とする。
本方針の詳細は、上記「(1)コーポレート・ガバナンスの概要 -② ANZGHLのコーポレート・ガバナンス-8.2 外部監査 」に
記載する。
外部監査人は監査委員会に対して、以下を確認した。
・ 適用法域における独立ルールを確実に遵守する手続きを実施した。
・ 当該法域において非監査業務の提供および本方針に関する適用ある政策および規則を遵守した。
監査委員会は、2023年度につき外部監査人が提供した非監査業務を検討し、これらの業務の提供は本方針に一致すること、
2001年会社法が課す監査人の独立性に関する一般基準に矛盾しないこと、また2001年会社法における監査人の独立性の要件を
損なわなかったことを確認した。これは監査委員会により取締役会に正式に報告された。
2023 年9月30日に終了した年度中に外部監査人であるKPMG、またはKPMGを代理して他の者もしくは事務所により当グループ
に提供された非監査業務の分類、および当グループが支払済みまたは支払うべき金額(物品・サービス税を含む。)は以下の
とおりである。
支払済金額/未払金額
非監査業務 2023 年度 2022 年度
(単位:千ドル)
105 8
方法、手続きおよび管理のレビュー
105 8
合計
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KPMG に対して支払った報酬の詳細については、下記「第6 経理の状況-1 財務書類」の2023年度財務書類の注記33「監
査人報酬」を参照のこと。かかる報酬には当年度に提供された監査関連業務に対する報酬582万ドル(2022年度:750万ドル)
が含まれる。
上記の理由から、取締役は、2023年9月30日に終了した年度中の外部監査人による非監査業務の提供が、2001年会社法が課
す外部監査人の独立性に関する一般基準に矛盾しないこと、また2001年会社法における監査人の独立性の要件を損なわなかっ
たことに満足している。
ⅳ. その他の重要な監査証明業務に基づく報酬
該当事項なし。
ⅴ. 外部監査人に対する報酬の額の決定に関する方針
監査委員会が外部監査人の報酬の額を決定する責任を有する。
ⅵ. 監査委員会が同意をした理由
監査委員会は、当グループの事業活動の性質および規模に対して期待される外部監査人の作業成果の評価に加え、オースト
ラリアにおける類似の銀行に関する監査報酬案の見直しを含む一定の要因を十分考慮し、外部監査人の報酬案に同意した。
(4)【役員の報酬等】
該当事項なし。
(5)【株式の保有状況】
該当事項なし。
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有価証券報告書
第6【経理の状況】
(イ)本書記載のオーストラリア・ニュージーランド銀行(「当行」)ならびに当行およびその被支配法人(当行と合わせ
て、「当グループ」)の2023年9月30日現在ならびに同日に終了した事業年度の財務書類(連結財務書類および個別財務
書類)は、オーストラリア会計基準(「AASs」)、およびオーストラリア会計基準審議会(「AASB」)が発行したその他
の権威ある公表文書、2001年会社法、ならびに国際会計基準審議会(「IASB」)が公表した国際会計報告基準
(「IFRS」)および解釈指針に準拠して作成されたものである。なお、当行および当グループの英文財務書類はオースト
ラリア証券投資委員会(「ASIC」)に提出され、オーストラリア証券取引所で公衆の縦覧に供されている。
当行が採用した会計基準、会計手続きおよび表示方法と、日本において一般に公正妥当と認められている企業会計基準、
会計手続きおよび表示方法との主な相違点に関しては「4.日本とオーストラリアとの会計原則の相違」に記載されてい
る。
本書記載の財務書類は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)(「財務諸
表等規則」)第131条第1項の規定の適用を受けている。
(ロ)2023年9月30日現在ならびに同日に終了した事業年度の財務書類は、当行のオーストラリアの会計監査人であるケー
ピーエムジーの監査を受けている。監査報告書および同意書は、本書に掲載されている。
なお、ケーピーエムジーによる監査を受けたことにより、当行および当グループの財務書類は「財務諸表等の監査証明に
関する内閣府令」(昭和32年大蔵省令第12号)第1条の2の規定で定めるところの、監査証明に相当すると認められる証
明を受けたとみなされるため、金融商品取引法第193条の2第1項第1号の規定に基づき日本の公認会計士または監査法人
による監査を受けていない。
(ハ)本書記載の当行および当グループの財務書類(原文)は、豪ドルで表示されている。以下の財務書類に「円」で表示さ
れている金額は、「財務諸表等規則」第134条の規定に基づき、2023年12月8日現在の、株式会社三菱UFJ銀行公表の対
顧客電信直物売相場(1豪ドル=96.62円)の為替レートにより換算したものである。
(ニ)日本円への換算額ならびに「2.主な資産・負債及び収支の内容」から「4.日本とオーストラリアとの会計原則の相
違」に関する記載は、当行の原文の財務書類に含まれておらず、上記(ロ)の監査の対象にもなっていない。
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有価証券報告書
1【財務書類】
損益計算書
連結 当行
2023 年 2022 年 2023 年 2022 年
注
9月30日終了事業年度 (百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円)
記
(1)
受取利息 49,927 4,823,947 23,609 2,281,102 41,144 3,975,333 18,408 1,778,581
支払利息 (33,352) (3,222,470) (8,735) (843,976) (29,026) (2,804,492) (7,433) (718,176)
純利息収益 2 16,575 1,601,477 14,874 1,437,126 12,118 1,170,841 10,975 1,060,405
その他営業収入 3 3,577 345,610 4,235 409,186 5,401 521,845 6,424 620,687
保険事業収入純額 3 89 8,599 140 13,527 - - - -
関連会社投資の持分利益/(損失) 3 225 21,740 177 17,102 (18) (1,739) (12) (1,159)
営業収入 20,466 1,977,425 19,426 1,876,940 17,501 1,690,947 17,387 1,679,932
営業費用 4 (10,087) (974,606) (9,579) (925,523) (8,488) (820,111) (8,123) (784,844)
貸倒引当金繰入および
法人税控除前利益 10,379 1,002,819 9,847 951, 417 9,013 870,836 9,264 895,088
貸倒引当金 ( 繰入 )/ 戻入 13 (245) (23,672) 232 22,416 (75) (7,247) 265 25,604
税引前利益 10,134 979,147 10,079 973,833 8,938 863,590 9,529 920,692
法人税費用 5 (2,941) (284,159) (2,940) (284,063) (1,964) (189,762) (1,933) (186,766)
継続事業に係る税引後利益 7,193 694,988 7,139 689,770 6,974 673,828 7,596 733,926
非継続事業に係る税引後利益/
(損失) - - (19) (1,836) - - - -
当期利益 7,193 694,988 7,120 687,934 6,974 673,828 7,596 733,926
内訳:
当行株主に帰属する利益 7,165 692,282 7,119 687,838 6,974 673,828 7,596 733,926
非支配持分に帰属する利益 28 2,705 1 97 - - - -
(1) 償却原価で測定される金融資産またはその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産について、実効金利法を使用して算出された受取利
息が、当グループに46,918百万ドル(2022年度:22,844百万ドル)、当行に37,235百万ドル(2022年度:17,123百万ドル)含まれている。
82ページから205ページ(訳注:原文のページ番号である。)の注記は本財務書類の一部である。
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有価証券報告書
包括利益計算書
連結 当行
2023 年 2022 年 2023 年 2022 年
9月30日終了事業年度 (百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円)
継続事業に係る税引後利益 7,193 694,988 7,139 689,770 6,974 673,828 7,596 733,926
その他の包括利益
将来、損益に組み替えられない項目
投資有価証券-FVOCIで測定される
持分証券 (30) (2,899) (55) (5,314) (23) (2,222) (119) (11,498)
(1)
その他の準備金増減 (80) (7,730) 127 12,271 (105) (10,145) 132 12,754
将来、損益に組み替えられる可能性のあ
る項目
為替換算調整勘定 718 69,373 (759) (73,335) 64 6,184 139 13,430
その他の準備金増減 199 19,227 (4,180) (403,872) 378 36,522 (4,132) (399,234)
上記項目に帰属する法人税 (22) (2,126) 1,172 113,239 (73) (7,053) 1,186 114,591
(2)
関連会社のその他の包括利益の持分 31 2,995 (40) (3,865) - - - -
継続事業に係るその他の包括利益
(税引後) 816 78,842 (3,735) (360,876) 241 23,285 (2,794) (269,956)
非継続事業に係る税引後利益/(損失) - - (19) (1,836) - - - -
当期包括利益合計 8,009 773,830 3,385 327,059 7,215 697,113 4,802 463,969
包括利益合計の内訳:
当行株主に帰属するもの 7,954 768,515 3,399 328,411 7,215 697,113 4,802 463,969
(1)
非支配持分 55 5,314 (14) (1,353) - - - -
(1) 当グループには、非支配株主に帰属する為替換算差額27百万ドル(2022年度:-15百万ドル)が含まれている。
(2) 当グループにおいて将来、損益に組み替えられる可能性のある、関連会社のその他の包括利益に対する当グループの持分には、以下が含まれる。
2023 年 2022 年
(百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円)
FVOCI準備金の利益/(損失) 25 2,416 (56) (5,411)
確定給付制度の利益/(損失) 6 580 15 1,449
為替換算調整勘定の利益/(損失) - - 1 97
合計 31 2,995 (40) (3,865)
82ページから205ページ(訳注:原文のページ番号である。)の注記は本財務書類の一部である。
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有価証券報告書
貸借対照表
連結 当行
2023 年 2022 年 2023 年 2022 年
9月30日現在 注記 (百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円)
資産
(1)
現金および現金同等物 8 168,154 16,247,039 168,132 16,244,914 154,408 14,918,901 155,483 15,022,767
ANZの未収決済残高 9,349 903,300 4,762 460,104 8,935 863,300 4,024 388,799
支払担保 8,558 826,874 12,700 1,227,074 7,717 745,617 11,368 1,098,376
売買目的資産 9 37,004 3,575,326 35,237 3,404,599 30,693 2,965,558 28,073 2,712,413
デリバティブ金融商品 10 60,406 5,836,428 90,174 8,712,612 59,989 5,796,137 88,056 8,507,971
投資有価証券 11 96,969 9,369,145 86,153 8,324,103 83,201 8,038,881 72,399 6,995,191
正味貸付金および前渡金 12 707,694 68,377,394 672,407 64,967,964 563,017 54,398,703 537,345 51,918,274
規制上の預け金 646 62,417 632 61,064 284 27,440 249 24,058
被支配法人に対する債権 - - - - 26,067 2,518,594 22,860 2,208,733
被支配法人に対する持分 25 - - - - 16,277 1,572,684 17,630 1,703,411
関連会社に対する投資 26 2,321 224,255 2,181 210,728 - - 53 5,121
当期税金資産 37 3,575 46 4,445 9 870 43 4,155
繰延税金資産 5 3,386 327,155 3,384 326,962 2,988 288,701 2,992 289,087
のれんおよびその他の無形資産 21 3,961 382,712 3,877 374,596 935 90,340 935 90,340
土地建物および設備機器 2,360 228,023 2,431 234,883 1,923 185,800 2,171 209,762
その他資産 5,196 502,038 3,613 349,088 3,636 351,310 2,402 232,081
資産合計 1,106,041 106,865,681 1,085,729 104,903,136 960,079 92,762,833 946,083 91,410,539
負債
ANZの未払決済残高 19,267 1,861,578 13,766 1,330,071 16,574 1,601,380 10,224 987,843
受取担保 10,382 1,003,109 16,230 1,568,143 9,452 913,252 14,425 1,393,744
預金およびその他の借入金 14 815,203 78,764,914 797,281 77,033,290 675,075 65,225,747 665,607 64,310,948
デリバティブ金融商品 10 57,482 5,553,911 85,149 8,227,096 57,511 5,556,713 84,500 8,164,390
被支配法人に対する債務 - - - - 26,894 2,598,498 25,305 2,444,969
当期税金負債 305 29,469 829 80,098 133 12,850 488 47,151
繰延税金負債 5 60 5,797 83 8,019 47 4,541 54 5,217
支払債務およびその他の負債 15 15,932 1,539,350 9,835 950,258 13,279 1,283,017 8,562 827,260
従業員受給権 568 54,880 549 53,044 424 40,967 409 39,518
その他引当金 22 1,714 165,607 1,872 180,873 1,499 144,833 1,648 159,230
発行済社債 16 116,014 11,209,273 93,734 9,056,579 98,213 9,489,340 75,828 7,326,501
負債合計 1,036,927 100,187,887 1,019,328 98,487,471 899,101 86,871,139 887,050 85,706,771
純資産 69,114 6,677,795 66,401 6,415,665 60,978 5,891,694 59,033 5,703,768
株主資本
普通株式資本 23 29,082 2,809,903 28,797 2,782,366 29,005 2,802,463 28,720 2,774,926
準備金 23 (1,796) (173,530) (2,606) (251,792) (2,222) (214,690) (2,546) (245,995)
利益剰余金 23 41,306 3,990,986 39,716 3,837,360 34,195 3,303,921 32,859 3,174,837
当行株主に帰属する株式資本
および準備金 23 68,592 6,627,359 65,907 6,367,934 60,978 5,891,694 59,033 5,703,768
非支配持分 23 522 50,436 494 47,730 - - - -
株主資本合計 23 69,114 6,677,795 66,401 6,415,665 60,978 5,891,694 59,033 5,703,768
(1) 現金および現金同等物の定義を満たすANZの未収決済残高を含む。
82ページから205ページ(訳注:原文のページ番号である。)の注記は本財務書類の一部である。
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有価証券報告書
キャッシュフロー計算書
連結 当行
2023 年 2022 年 2023 年 2022 年
9月30日終了事業年度 (百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円)
税引後利益 7,193 694,988 7,120 687,934 6,974 673,828 7,596 733,926
営業活動による(に使用された)純
キャッシュフローとの調整:
予想信用損失引当金 245 23,672 (232) (22,416) 75 7,247 (265) (25,604)
減価償却費および償却費 941 90,919 1,008 97,393 795 76,813 867 83,770
土地建物および設備機器の
売却(益)/損 43 4,155 (8) (773) 31 2,995 (1) (97)
正味デリバティブ/外貨換算調整 3,505 338,653 (4,434) (428,413) 3,074 297,010 (4,687) (452,858)
投資の売却による(利益)/損失 (29) (2,802) (252) (24,348) 70 6,763 (246) (23,769)
(1)
その他の非現金項目の増減 (90) (8,696) (48) (4,638) 124 11,981 235 22,706
営業資産の純(増加)/減少
支払担保 4,143 400,297 (2,638) (254,884) 3,590 346,866 (2,054) (198,457)
売買目的資産 (23) (2,222) 8,020 774,892 (1,769) (170,921) 6,355 614,020
(1)
正味貸付金および前渡金 (28,289) (2,733,283) (46,364) (4,479,690) (25,708) (2,483,907) (41,990) (4,057,074)
正味グループ内貸付金および前渡金 - - - - (1,481) (143,094) 978 94,494
(1)
その他資産 (1,725) (166,670) (190) (18,358) (1,333) (128,794) (81) (7,826)
営業負債の純増加/(減少)
預金およびその他の借入金 21,866 2,112,693 48,879 4,722,689 21,353 2,063,127 45,058 4,353,504
ANZの未払決済残高 5,278 509,960 (3,486) (336,817) 6,314 610,059 (4,769) (460,781)
受取担保 (5,848) (565,034) 9,468 914,798 (4,886) (472,085) 8,074 780,110
その他の負債 (1,015) (98,069) 3,333 322,034 (1,295) (125,123) 3,426 331,020
調整額合計 (998) (96,427) 13,056 1,261,471 (1,046) (101,065) 10,900 1,053,158
営業活動(に使用された)による純
(2)
キャッシュフロー 6,195 598,561 20,176 1,949,405 5,928 572,763 18,496 1,787,084
投資活動によるキャッシュフロー
投資有価証券資産:
購入 (51,974) (5,021,728) (34,292) (3,313,293) (46,130) (4,457,081) (30,065) (2,904,880)
売却または満期による手取金 41,401 4,000,165 32,797 3,168,846 35,495 3,429,527 28,201 2,724,781
事業売却による手取金、売却事業
保有現金控除後 1,135 109,664 394 38,068 1,174 113,432 (5) (483)
被支配法人に対する持分の純増減額 - - (65) (6,280) (29) (2,802) (133) (12,850)
その他資産への純投資 (604) (58,358) (651) (62,900) (612) (59,131) (667) (64,446)
投資活動(に使用された)による純
キャッシュフロー (10,042) (970,258) (1,817) (175,559) (10,102) (976,055) (2,669) (257,879)
財務活動によるキャッシュフロー
預金およびその他の借入金の実行 (11,105) (1,072,965) 1,226 118,456 (12,002) (1,159,633) - -
(3)
発行済社債
発行額 44,182 4,268,865 23,422 2,263,034 40,428 3,906,153 20,145 1,946,410
償還額 (23,985) (2,317,431) (26,017) (2,513,763) (19,641) (1,897,713) (21,985) (2,124,191)
(4)
配当金支払額 (4,700) (454,114) (3,784) (365,610) (4,673) (451,505) (3,782) (365,417)
自己株式の市場での購入 (21) (2,029) (117) (11,305) (21) (2,029) (117) (11,305)
リース負債の返済 (337) (32,561) (218) (21,063) (277) (26,764) (226) (21,836)
自己株式買戻し - - (846) (81,741) - - (846) (81,741)
ANZバンク・ニュージーランド
永久優先株 - - 492 47,537 - - - -
シェア・エンタイトルメントに基づく発
行 - - 3,497 337,880 - - 3,497 337,880
財務活動(に使用された)による純
キャッシュフロー 4,034 389,765 (2,345) (226,574) 3,814 368,509 (3,314) (320,199)
現金および現金同等物の純(減少)/
増加 187 18,068 16,014 1,547,273 (360) (34,783) 12,513 1,209,006
現金および現金同等物の期首残高 168,132 16,244,914 151,260 14,614,741 155,483 15,022,767 141,436 13,665,546
現金および現金同等物に関する
為替レート変動の影響 (165) (15,942) 858 82,900 (715) (69,083) 1,534 148,215
現金および現金同等物の期末残高 168,154 16,247,039 168,132 16,244,914 154,408 14,918,901 155,483 15,022,767
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(1) 営業資産の正味増減をより適切に反映するために、一部の非現金項目の増減は、正味貸付金および前渡金ならびにその他資産に組み替えられてい
る。比較情報は修正再表示されている(2022年度の当グループについては、その他の非現金項目の増減の減少861百万ドル、正味貸付金および前渡
金の減少14百万ドル、ならびにその他資産の増加875百万ドル、2022年度の当行については、その他の非現金項目の増減の減少723百万ドル、正味貸
付金および前渡金の減少13百万ドル、ならびにその他資産の増加736百万ドル)。
(2) 当グループの営業活動(に使用された)による純キャッシュフローは、利息受取額48,362百万ドル(2022年度:22,748百万ドル)、利息支払額
30,738百万ドル(2022年度:7,857百万ドル)および法人税納付額3,501百万ドル(2022年度:2,171百万ドル)を含む。当行の営業活動(に使用さ
れた)による純キャッシュフローは、利息受取額40,353百万ドル(2022年度:17,672百万ドル)、利息支払額26,846百万ドル(2022年度:6,692百
万ドル)および法人税納付額2,384百万ドル(2022年度:1,443百万ドル)を含む。
(3) 発行済社債に係る現金を伴わない変動には、当グループについては、主に公正価値ヘッジ調整および為替損失による未実現変動からの損失2,084百
万ドル(2022年度:4,725百万ドルの利益)が含まれており、当行については、主に公正価値ヘッジおよび為替損失による未実現変動からの損失
1,598百万ドル(2022年度:3,420百万ドルの利益)が含まれている。
(4) 配当金再投資制度に対応するための株式購入に伴うキャッシュ・アウトフローは、配当金支払額に分類されている。
82ページから205ページ(訳注:原文のページ番号である。)の注記は本財務書類の一部である。
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持分変動計算書
当行株主に帰属する
普通株式資本 準備金 利益剰余金 株式資本および準備金
連結 (百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円)
2021年10月1日現在 25,984 2,510,574 1,228 118,649 36,453 3,522,089 63,665 6,151,312
継続事業に係る損益 - - - - 7,138 689,674 7,138 689,674
非継続事業に係る損益 - - - - (19) (1,836) (19) (1,836)
継続事業に係る当期その他包括利益 - - (3,835) (370,538) 115 11,111 (3,720) (359,426)
当期包括利益合計 - - (3,835) (370,538) 7,234 698,949 3,399 328,411
株主権に基づく株主との取引:
配当金支払額 - - - - (3,965) (383,098) (3,965) (383,098)
(1)
配当金再投資制度 183 17,681 - - - - 183 17,681
(2)
グループ株式買戻し (846) (81,741) - - - - (846) (81,741)
シェア・エンタイトルメントに基づ
(3)
く発行 3,497 337,880 - - - - 3,497 337,880
その他の資本増減:
従業員持株およびオプション制度 (21) (2,029) - - - - (21) (2,029)
(4)
優先株式の発行 - - - - (7) (676) (7) (676)
その他の項目 - - 1 97 1 97 2 193
2022年9月30日現在 28,797 2,782,366 (2,606) (251,792) 39,716 3,837,360 65,907 6,367,934
継続事業に係る損益 - - - - 7,165 692,282 7,165 692,282
継続事業に係る当期その他包括利益 - - 863 83,383 (74) (7,150) 789 76,233
当期包括利益合計 - - 863 83,383 7,091 685,132 7,954 768,515
株主権に基づく株主との取引:
配当金支払額 - - - - (5,559) (537,111) (5,559) (537,111)
(1)
配当金再投資制度 206 19,904 - - - - 206 19,904
その他の資本増減:
従業員持株およびオプション制度 79 7,633 - - - - 79 7,633
再編に伴う純振替額 - - (39) (3,768) 39 3,768 - -
その他の項目 - - (14) (1,353) 19 1,836 5 483
2023年9月30日現在 29,082 2,809,903 (1,796) (173,530) 41,306 3,990,986 68,592 6,627,359
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非支配持分 株主資本合計
連結 (百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円)
2021年10月1日現在 11 1,063 63,676 6,152,375
継続事業に係る損益 1 97 7,139 689,770
非継続事業に係る損益 - - (19) (1,836)
継続事業に係る当期その他包括利益 (15) (1,449) (3,735) (360,876)
当期包括利益合計 (14) (1,353) 3,385 327,059
株主権に基づく株主との取引:
配当金支払額 (2) (193) (3,967) (383,292)
(1)
配当金再投資制度 - - 183 17,681
(2)
グループ株式買戻し - - (846) (81,741)
シェア・エンタイトルメントに基づく
(3)
発行 - - 3,497 337,880
その他の資本増減:
従業員持株およびオプション制度 - - (21) (2,029)
(4)
優先株式の発行 499 48,213 492 47,537
その他の項目 - - 2 193
2022年9月30日現在 494 47,730 66,401 6,415,665
継続事業に係る損益 28 2,705 7,193 694,988
継続事業に係る当期その他包括利益 27 2,609 816 78,842
当期包括利益合計 55 5,314 8,009 773,830
株主権に基づく株主との取引:
配当金支払額 (27) (2,609) (5,586) (539,719)
(1)
配当金再投資制度 - - 206 19,904
その他の資本増減:
従業員持株およびオプション制度 - - 79 7,633
再編に伴う純振替額 - - - -
その他の項目 - - 5 483
2023年9月30日現在 522 50,436 69,114 6,677,795
(1) 2022年度最終配当金について配当金再投資制度に基づき8.4百万株が発行された(2022年度中間配当金:7.2百万株、2021年度最終配当金:ゼロ)。
2022年度におけるDRP向けに市場で購入した株式は、204百万ドルであった。
(2) 当グループは、2022年3月25日に15億ドルのANZ普通株式の市場買戻しを完了し、その結果、2022年度に31百万株が消却された。
(3) 当グループは、2022年度にシェア・エンタイトルメント・オファーに基づく187.1百万株の普通株式を新規に発行した。
(4) ANZBGLの完全保有子会社であるANZバンク・ニュージーランドが発行した永久優先株は、当グループの非支配持分とみなされる。
82ページから205ページ(訳注:原文のページ番号である。)の注記は本財務書類の一部である。
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普通株式資本 準備金 利益剰余金 株主資本合計
当行 (百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円) (百万ドル) (百万円)
2021年10月1日現在 25,907 2,503,134 341 32,947 29,132 2,814,734 55,380 5,350,816
当期利益 - - - - 7,596 733,926 7,596 733,926
当期その他の包括利益 - - (2,888) (279,039) 94 9,082 (2,794) (269,956)
当期包括利益合計 - - (2,888) (279,039) 7,690 743,008 4,802 463,969
株主権に基づく株主との取引:
配当金支払額 - - - - (3,965) (383,098) (3,965) (383,098)
(1)
配当金再投資制度 183 17,681 - - - - 183 17,681
(2)
グループ株式買戻し (846) (81,741) - - - - (846) (81,741)
シェア・エンタイトルメントに基づく
(3)
発行 3,497 337,880 3,497 337,880
その他の資本増減:
従業員持株およびオプション制度 (21) (2,029) - - - - (21) (2,029)
その他の項目 - - 1 97 2 193 3 290
2022年9月30日現在 28,720 2,774,926 (2,546) (245,995) 32,859 3,174,837 59,033 5,703,768
当期利益 - - - - 6,974 673,828 6,974 673,828
当期その他の包括利益 - - 319 30,822 (78) (7,536) 241 23,285
当期包括利益合計 - - 319 30,822 6,896 666,292 7,215 697,113
株主権に基づく株主との取引:
配当金支払額 - - - - (5,559) (537,111) (5,559) (537,111)
(1)
配当金再投資制度 206 19,904 - - - - 206 19,904
その他の資本増減:
従業員持株およびオプション制度 79 7,633 - - - - 79 7,633
その他の項目 - - 5 483 (1) (97) 4 386
2023年9月30日現在 29,005 2,802,463 (2,222) (214,690) 34,195 3,303,921 60,978 5,891,694
(1) 2022年度最終配当金について配当金再投資制度に基づき8.4百万株が発行された(2022年度中間配当金:7.2百万株、2021年度最終配当金:ゼロ)。
2022年度におけるDRP向けに市場で購入した株式は、204百万ドルであった。
(2) 当行は、2022年3月25日に15億ドルの株式市場買戻しを完了し、その結果、2022年度に31百万株が消却された。
(3) 当行は、2022年度にシェア・エンタイトルメント・オファーに基づく187.1百万株の普通株式を新規に発行した。
82ページから205ページ(訳注:原文のページ番号である。)の注記は本財務書類の一部である。
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財務書類注記
1. 当グループの財務書類について
組織再編
2023年1月3日、オーストラリア・ニュージーランド銀行(「ANZBGL」)はスキーム・オブ・アレンジメントによりANZグ
ループの新たな上場持株親会社として、純粋持株会社であるANZグループ・ホールディングス・リミテッド(「ANZGHL」)を設
立し、また、ANZの銀行事業と一部の非銀行事業をANZ銀行グループとANZ非銀行グループに分離するための再編を実施した
(「本再編」)。ANZ銀行グループは、本再編前にANZBGLで保有されていた事業と子会社の大部分から構成されている。ANZ非
銀行グループは、ANZグループの顧客に新しい技術や銀行関連サービスを提供することに注力するためにANZグループが開発ま
たは買収した銀行関連事業と、別個のサービス会社から構成されている。
本再編の際に、ANZ株主は本再編実施前に保有していたANZ普通株式1株につきANZGHL普通株式1株を受け取った。2023年9
月30日現在のANZGHLの連結財務書類において、本再編は、AASB第3号「企業結合」に準拠してANZBGLを取得企業として識別し
た逆取得として会計処理された。
本再編の結果、2023会計年度のANZBGL連結業績は以下から構成されている。
・ 旧ANZグループの2022年10月1日から2023年1月2日までの業績
・ ANZBGLとその子会社(「当グループ」)の2023年1月3日から2023年9月30日までの業績
詳細については、後述の「本再編に適用される会計方針」の項を参照のこと。
一般情報
本財務書類は、ANZBGL(「当行」)およびその被支配法人(「当グループ」または「連結事業体」と総称する。)の2023年
9月30日に終了した事業年度の財務書類である。当行はオーストラリアで設立され、同国に本店を構え、債券が証券取引所に
上場されている公開会社である。当行はANZGHLの子会社であり、認可預金受入機関(「ADI」)としてオーストラリア健全性規
制庁(「APRA」)による規制を受けている。当行の登記上の事務所の住所、ならびに主要な事業所はANZ Centre, 833 Collins
Street, Docklands, Victoria, Australia 3008である。当グループは個人顧客および企業顧客に銀行および金融サービスを提
供しており、29の市場にわたって営業している。
2023年11月10日、取締役はこれらの財務書類の発行の承認を決議した。財務書類の情報は、財務書類の理解において重要か
つ関連性があると想定されるものに限定して含めている。例えば以下のような場合、開示は重要かつ関連性があるとみなされ
る。
・ 金額の規模が重要である(定量的要因)
・ 情報の性質が重要である(定性的要因)
・ 利用者はその開示がないと当グループの業績を理解することができない(定性的要因)
・ 例えば事業の取得や処分など、利用者にとって当期中のグループ事業の重要な変更による影響を理解するための
重要な情報である(定性的要因)
・ 将来のグループ業績に影響する重要な業務に関する情報である(定性的要因)
・ 2001年会社法、1959年銀行法(オーストラリア連邦)の規制要件に基づき、もしくはオーストラリア証券投資委
員会(「ASIC」)、オーストラリア健全性規制庁(「APRA」)などグループの主たる規制当局により求められる
情報である
財務書類の本セクションでは、以下を示している。
・ 当グループの財務書類の作成基準の概要
・ 財務書類に直接影響を及ぼす新たな会計基準もしくは規制の説明
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有価証券報告書
作成基準
財務報告は、オーストラリア会計基準(「AAS」)、およびオーストラリア会計基準審議会(「AASB」)が発行したその他の
権威ある公表文書、2001年会社法、ならびに国際会計基準審議会(「IASB」)が公表した国際財務報告基準(「IFRS」)およ
び解釈指針に準拠して営利目的企業により作成された一般目的の財務報告(Tier1)である。
当グループの財務書類は、当行の機能通貨であり表示通貨である豪ドルで表示されている。ASIC企業向け(財務書類/取締
役会報告書における四捨五入)通達第2016/191号により認められているように、別段の記載がない限り、財務書類に記載され
ている金額は百万ドル未満を四捨五入している。当グループの各社の財務書類は、各社が営業を行う主たる経済環境の通貨を
用いて測定される(機能通貨)。
測定および表示基準
財務情報は、公正価値で表示されている以下の資産および負債を除き、取得原価法に基づき作成されている。
・ デリバティブ金融商品、また公正価値ヘッジの場合、基礎となるヘッジ対象に対して行われる公正価値調整
・ 売買目的保有金融商品
・ 損益を通じて公正価値で測定するものと指定された金融資産および金融負債(「FVTPL」)
・ その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産(「FVOCI」)
・ 売却目的保有に分類された資産および負債(帳簿価額での計上が義務付けられるものを除く。)
AASB第119号「従業員給付」に準拠して確定給付債務は予測単位積増方式を用いて測定される。
当期間において非継続事業はなかった。比較情報目的のために、過去の期間における非継続事業は損益計算書において単一
行科目「非継続事業に係る税引後利益/(損失)」として、継続事業の業績からは別にして表示される。
連結基準
当グループの連結財務書類は、当行および当行の全子会社の財務書類で構成される。ある事業体について当行の支配が存在
すると認められる場合、その事業体(組成された事業体を含む。)は当グループの子会社とされる。当グループが事業体への
関与を通じてリターンの変動にさらされるか、あるいはリターンの変動に対する権利を有し、かつその事業体に対するパワー
を通じてそのリターンに影響を及ぼす能力を有している場合には支配が存在する。当グループは、事業体における関連性のあ
る活動を指図する現在の能力を当行に与える権利を検討することでパワーを評価している。当グループ内の法人間取引は、連
結ベースですべて消去されている。
為替換算
取引および残高
外貨建て取引は、取引日現在の為替レートで関連する機能通貨へ換算される。報告日において、外貨建て金融資産および負
債は、当該日のスポット・レートで機能通貨へ換算される。為替換算損益は、発生した期間の損益に含まれる。
当グループは、FVTPLとして分類される非貨幣性項目の換算差額を測定し、公正価値評価損益の一部として報告している。
FVOCIで測定される投資有価証券に分類された非貨幣性項目に関して換算差額は、その他の包括利益に含まれる。
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オーストラリアドル以外を機能通貨とする海外事業の財務書類
海外事業の財務書類は、以下の手法を用いて、当グループの財務書類に連結するためにオーストラリアドルに換算される。
外貨建て項目 使用する為替レート
資産および負債 報告日のレート
株式 当初の投資日のレート
収益および費用 期間の平均レート-ただし、重要と考えられる取引について、平均レートが合
理的ではない場合、取引日のレートを使用
海外事業の財務書類の換算から生じる換算差額は、資本の為替換算調整勘定に計上される。海外事業を処分する場合、かか
る累積換算差額は損益に振り替えられる。
受託業務
当グループは、保管、名義人および受託サービスを含む信託サービスを第三者に提供している。これに伴い、当グループ
は、第三者に代わり資産を保有、ならびに金融商品の購入および売却に関する意思決定を行う。ANZが資産の実質所有者でない
場合、もしくは資産を支配していない場合、本財務書類においてこれらの取引は認識されない。ただし、会計基準または規制
で要求される場合を除く。
本再編に適用される会計方針
純粋持株会社の導入は、ANZGHLグループ内のより広範な企業間での資産および事業体の移転を伴った。この移転は当グルー
プの範囲外にも及んだため、ANZBGLの連結財務書類に影響を及ぼした。会計上の観点からは、これらの移転は完全保有事業体
間の移転であるため、共通支配下の取引とみなされる。このような移転については、具体的な会計基準がないため、当グルー
プは会計方針の選択を行うことが義務付けられる。
当グループの会計方針では、共通支配下の企業間における資産および事業体の移転について、帳簿価額による会計処理を適
用することとしている。この手法では、帳簿価額と移転価格との差額は資本に計上される。この会計方針の選択は、本再編の
一環として資産が移転された際に、損益および資本のいずれにも重要な影響を与えなかった。この移転の詳細については、注
記31「関係当事者の開示」を参照のこと。
重要な判断および見積り
当グループの会計方針を適用する過程で、経営陣は数多くの判断を下し、過去および将来の事象に関する見積りお
よび仮定を適用している。財務書類にとって重要であると考えられる重要な判断および見積りに関する詳しい情報
は、関連するそれぞれの財務書類注記に含まれている。
世界経済は、高インフレ、高金利、労働市場の制約、継続する地政学上の緊張に伴う課題に直面しており、これら
が本財務書類の作成に伴う見積りの不確実性のレベルを高めている。
当グループは、2023年9月30日現在における将来の事象について、このような状況下で合理的と考えられる見込み
および仮定を反映した経済状況の予測に基づく様々な会計上の見積りを財務報告において行った。したがって、こ
れらの見積りの作成には、相当な判断を伴っている。予測した事象は予期したとおりには発生しないことが多いた
め、実際の経済状況は予想とは異なる可能性が高く、こうした相違による影響は本財務書類に含まれる会計上の見
積りに重要な影響を与える可能性がある。これらの予測および関連する不確実性によって影響を受ける重要な会計
上の見積りは、主に予想信用損失および非金融資産の回収可能価額に関連している。
これらの不確実性がこれらの会計上の見積りに与える影響については、本財務書類の関連する注記に記載されてい
る。本財務書類の読者は、上記に固有の不確実性に照らしてこれらの開示を検討すべきである。
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金利指標改革
銀行間取引金利(「IBOR」)改革は、IBORが無リスク金利(「RFR」)へ置き換えられる世界的な金利指標の移行である。
IBOR改革は、IBORとRFRの間の根本的な違いにより、当グループおよび当グループの顧客に広範囲の影響を及ぼしている。その
ため、当グループはIBORの移行に伴うオペレーショナル・リスク、市場リスク、法的リスク、コンダクト・リスクおよび財務
報告リスクを管理するために、全社的な指標移行プログラムを設けた。
2023年9月30日現在、当グループのプログラムは概ね完了しているが、このプログラムには移行の取組みが成功することを
確保するために必要なプロセス、技術および商品機能の導入が含まれていた。2021年初めに行われた規制当局の発表に伴い、
英ポンド(「GBP」)、ユーロ(「EUR」)、スイスフラン(「CHF」)および日本円(「JPY」)ならびに1週間物および2か
月物の米ドル(「USD」)のロンドン銀行間取引金利(「LIBOR」)を含むIBOR金利の設定値は、2021年12月31日で廃止され、
代替的なRFRに置き換えられた。当グループのIBOR改革に対するエクスポージャーは、主に2023年6月30日に廃止された他の米
ドルLIBORの設定値に集中していた。IBOR改革による当グループのリスク管理戦略の重要な変更はなく、業界および監督当局の
指導に従い、新商品におけるIBOR金利の使用は段階的に廃止された。この移行活動が当グループの損益に与えた影響に重要性
はなかった。
業界全体でこれらの指標を参照するレガシー契約をサポートするために、1か月物、3か月物および6か月物の米ドル設定
値は、代替的な「シンセティック」手法を使用して引き続き公表される。当グループは引き続き、顧客との間で移行が管理さ
れている少数の貸付およびデリバティブ契約、ならびに投資家との間の少数の発行済社債を管理している。これらの残りの契
約は、シンセティック米ドルLIBORの廃止日である2024年9月30日より前に満期となる、または移行される予定である。2024年
から2026年の間に予想される他の公表済みの指標廃止に対して当グループが有するエクスポージャーに重要性はない。
当期に採用された会計基準
別途注記されている場合を除き、会計方針は継続的に適用されている。
AASB2023-2号「オーストラリア会計基準の改訂-国際的な税制改革-第2の柱モデルルール」
2023年5月、連邦政府は経済のデジタル化から発生する課税上の課題に対処するための、OECD/G20の2本の柱からなる解決
策の第2の柱の主要な側面を導入する予定であることを公表した。この施策はまだ法制化されていない。ANZが営業している他
の法域も、この制度の導入を検討している。ANZグループは関連法規の適用範囲内にあると予想される。AASBは、法律の成立を
予期して、2023年6月にAASB2023-2号「オーストラリア会計基準の改訂-国際的な税制改革-第2の柱モデルルール」を発行
した。当グループは、この基準のパラグラフ4Aに含まれる強制的に適用される一時的な例外措置を適用しており、改訂基準全
体を2023年10月1日より適用する予定である。この改訂基準は、強制的に適用される一時的な例外措置を定めており、第2の
柱の法人税に係る繰延税金資産および繰延税金負債を認識しないこととなる。当グループは関連する法律の進展状況を監視し
ており、財務諸表への予想される影響はまだ算定していない。
早期適用されなかった会計基準
数多くの新たな基準、基準の改訂、解釈指針が公表されているが、2023年9月30日終了年度の財務書類について適用義務は
なく、当グループによる本財務書類の作成において適用されていない。これらの会計基準の詳細は以下に記載されている。
一般ヘッジ会計
AASB第9号「金融商品」(「AASB第9号」)は、会計と、財務リスクおよび非財務リスクの両方をヘッジする際に行われる
リスク管理活動をより整合させる新たなヘッジ会計要件を導入した。AASB第9号は、動的リスク管理(マクロ・ヘッジ会計)
に関する国際会計基準審議会の進行中のプロジェクトが完了するまで、AASB第139号「金融商品:認識および測定」(「AASB第
139号」)のヘッジ会計要件を引き続き会計方針として適用する選択肢を当グループに与えた。当グループは現在、AASB第139
号のヘッジ会計要件を適用している。
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AASB 第 17 号「保険契約」 ( 「 AASB 第 17 号」 )
AASB第17号の最終版は2017年7月に公表されたが、2023年10月1日まで当グループには適用されない。これは、AASB第4号
「保険契約」、AASB第1023号「損害保険契約」、AASB第1038号「生命保険契約」に置き替わるものである。AASB第17号は、保
険契約の認識、測定、表示および開示に関する原則を定めている。
AASB第17号に基づく測定、表示および開示の要件は、現行の会計基準と大きく異なる。保険契約について認識される利益の
合計は変わらないが、収益認識の時期が変わる見込みである。
AASB第17号が当グループに重要な影響を及ぼすことはない。
単一の取引から生じる資産および負債に係る繰延税金
AASB2021-5号「オーストラリア会計基準の改訂-単一の取引から生じた資産および負債に係る繰延税金」は、AASB第112号
「法人所得税」を改訂する。この基準は、同額の将来加算と将来減算の一時差異を生じさせる資産と負債の両方がある取引
(リースおよび廃棄または原状回復義務などに適用され得る)について、企業は繰延税金を認識することが求められる旨を明
確化している。この改訂は、2023年10月1日より当グループに適用されるが、当グループに重要な影響を及ぼすことはない。
セール・アンド・リースバックにおけるリース負債
AASB2022-5号「オーストラリア会計基準の改訂-セール・アンド・リースバックにおけるリース負債」は、AASB第16号
「リース」を改訂し、セール・アンド・リースバック取引の売手である借手による変動支払リース料の会計処理を規定してい
る。この改訂は、2024年10月1日より適用されるが、当グループに重要な影響を及ぼすことはない。
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2. 純利息収益
連結 当行
2023 2022年 2023 2022年
(単位:百万ドル)
純利息収益
受取利息の金融資産の種類別の内訳
償却原価で測定される金融資産 44,303 21,737 35,000 16,289
FVOCIで測定される投資有価証券 2,615 1,107 2,235 834
売買目的資産 1,654 700 1,413 547
1,355 65 1,449 177
FVTPLで測定される金融資産
外部受取利息 49,927 23,609 40,097 17,847
- - 1,047 561
被支配法人収益
49,927 23,609 41,144 18,408
受取利息
支払利息の金融負債の種類別の内訳
償却原価で測定される金融負債 (31,334) (8,019) (26,016) (6,170)
空売り有価証券 (451) (214) (392) (191)
(1,214) (162) (1,104) (151)
FVTPLで測定するものとして指定された金融負債
外部支払利息 (32,999) (8,395) (27,512) (6,512)
- - (1,161) (581)
被支配法人費用
(32,999) (8,395) (28,673) (7,093)
支払利息
(353) (340) (353) (340)
大手銀行税
16,575 14,874 12,118 10,975
純利息収益
認識および測定
純利息収益
受取利息および費用
売買目的保有、FVOCIで測定される資産、ならびにFVTPLで測定するものとして指定された資産および負債など、す
べての金融商品の受取利息および費用は、純利息収益として認識する。当グループは、償却原価で保有する資産の
償却原価を算出する際、ならびに償却原価およびFVOCIで測定される金融資産の受取利息を認識する際に、実効金
利法を用いている。実効金利とは、将来の見積り現金受取額または支払額を金融商品の予想残存期間(適切な場合
にはより短期間)にわたって、金融資産または負債の正味帳簿価額まで割り引く金利である。期限前返済の対象と
なる資産については、特定の資産ポートフォリオの過去の返済状況に基づいて予想残存期間が決定されるが、その
際には契約条件および期限前返済の実態を勘案している。
金融商品の不可欠な部分である手数料および費用(例えば貸付金組成手数料および費用)は、実効金利法を用いて
認識される。これらは、基礎となる金融商品が金融資産であるか、金融負債であるかに応じて、受取利息または支
払利息の一部として表示されている。
大手銀行税
2017年大手銀行税法(「銀行税」または「大手銀行税」)は、ANZBGLの特定の負債に対し0.06%で課税する。この
銀行税は金融費用であり、損益計算書上で支払利息の一部として表示される。
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3. 非利息収益
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
非利息収益
手数料およびコミッション収益
(1)
貸付手数料 397 374 362 340
非貸付手数料 2,275 2,394 1,533 1,744
コミッション 85 103 55 74
246 261 22 27
資産運用収入
外部手数料およびコミッション収益 3,003 3,132 1,972 2,185
- - 187 244
被支配法人収益
手数料およびコミッション収益 3,003 3,132 2,159 2,429
(1,057) (1,160) (553) (695)
手数料およびコミッション費用
1,946 1,972 1,606 1,734
手数料およびコミッション収益(純額)
その他収入
(2)
為替差益およびその他金融商品による収益(純額) 1,535 1,993 1,272 1,296
ANZワールドライン・パートナーシップの取引完了による利
益 - 307 - 307
被支配法人に対する持分の減損 - - - (180)
為替換算調整勘定の戻入 43 (65) - -
ファイナンシャル・プランニング・アドバイス事業の処分損 - (62) - (22)
オーストラリアのデータセンターの処分損 (43) - (32) -
被支配法人から受領した配当金 - - 2,562 3,181
96 90 (7) 108
その他
1,631 2,263 3,795 4,690
その他収入
3,577 4,235 5,401 6,424
その他営業収入
保険事業収入純額 89 140 - -
225 177 (18) (12)
関連会社投資の持分利益/(損失)
3,891 4,552 5,383 6,412
非利息収益
(1) 貸付手数料は、実効利回りの計算の一部として処理され受取利息に含まれている手数料を除く。
(2) 金利リスクおよび為替リスクを管理するための、会計上のヘッジとして指定されていないデリバティブの公正価値の変動
(実現および未収利息を除く。)、キャッシュフロー・ヘッジの非有効部分、FVTPLで測定するものとして指定された金融
資産および金融負債の公正価値の変動を含む。
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認識および測定
その他営業収入
手数料およびコミッション収益
当グループは、顧客との契約から発生する手数料およびコミッション収益を、(a)履行義務が1報告期間を超える
期間にわたって充足される場合には期間の経過に従って、または(b)履行義務が直ちにもしくは1報告期間内に充
足される場合にはある一時点で認識している。
・ 貸付手数料は、実効利回りの計算の一部として処理され受取利息に含まれている手数料を除く。貸付手数料
には、特定の保証またはコミットメント手数料(当該貸付または保証を利用しない可能性が高い場合)およ
びその他の手数料で原貸付商品とは別個に認識される区分可能な商品またはサービスの顧客への提供に関す
るものが含まれている。
・ 非貸付手数料には、預金およびクレジットカード口座に伴う手数料、インターチェンジ・フィーならびに国
外取引手数料などの特定の顧客取引に対する手数料が含まれる。当グループが顧客に複数の商品またはサー
ビスを同一の契約に基づいて提供する場合、当グループは当該契約の取引価格を、各履行義務の独立販売価
格の比率に基づいて個別の履行義務に配分する。収益は、各履行義務の充足時に認識される。
・ コミッションは、当グループが代理人として行動する場合の第三者からの手数料を表すもので、この場合
は、第三者(保険のプロバイダー等)が顧客に商品およびサービスを提供するよう手配する。このような場
合、当グループは顧客に原商品またはサービスを提供する主たる責任を負わない。当グループが第三者に代
わって代理人として行動している際に資金を回収する場合、当グループはコミッション純額分のみを収益と
して認識する。コミッションが、当グループの支配の及ばない要因によって変動する場合(トレイル・コ
ミッション等)、将来の期間に変動する金額の重大な戻入が必要とならない可能性が高い場合にのみ、収益
が認識される。
・ 資産運用収入は、資産運用サービスの提供に対して顧客から稼得した手数料である。収益は、資産運用サー
ビスが提供された期間にわたって認識される。資産運用業務に伴うパフォーマンス・フィーは、当該パ
フォーマンス水準の達成の可能性が高くなった場合にのみ、認識される。
為替差益およびその他金融商品による収益(純額)
当グループでは、以下の為替差益およびその他金融商品による収益(純額)を認識する。
・ 貨幣性項目の決済による換算差額および貨幣性項目を当初認識時または前期の財務報告で使用されたものと
異なるレートで換算したことにより生ずる換算差額
・ 資金調達商品の金利リスクおよび為替リスクを管理するために用いられているが、会計上のヘッジとして指
定されていないデリバティブの公正価値の変動(実現および未収利息を除く。)
・ 公正価値ヘッジ、キャッシュフロー・ヘッジ、純投資ヘッジの非有効部分
・ ヘッジ対象の売却または返済の直後において、公正価値ヘッジのヘッジ対象の公正価値調整の未償却額およ
びキャッシュフロー・ヘッジの指定に関連して資本の部に累計された金額
・ FVTPLで測定するものとして指定された、もしくは売買目的保有の金融資産および金融負債の公正価値の変
動
・ FVOCIで測定に分類された負債性金融商品の売却時にFVOCI準備金から振り戻される金額
・ 償却原価で測定される金融資産または金融負債の認識中止時の利益または損失
非金融資産の処分損益
資産の処分に伴う損益は、資産の帳簿価額と処分費用控除後の売却額との差額である。これは、当該資産の支配が
買い手に移転した事業年度においてその他の収益項目として計上される。
一つの非金融資産または資産グループが売却目的保有として分類された場合、当該資産は分類変更の直前の帳簿価
額と処分費用控除後の公正価値のいずれか低い額で測定され、再評価は、処分が当該年度中に完了した場合に適用
されるはずである処分損益の分類と一致させるために、その他営業収入に認識される。
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認識および測定
保険事業からの収入純額
以下を認識する。
・ 販売した保険契約の期間にわたってリスクの顕在化に関して推定されるパターンの評価に基づいた受取保険
料(支払再保険料控除後の純額)。この評価は、定期的に実施され、最新のリスクの顕在化パターンに従っ
て更新される。
・ 契約条件に基づいた保険契約者に対する負債の確定時、および将来の保険金請求について保険数理上の仮定
を通じて発生主義で生じる再保険金相殺後の保険金請求額。
関連会社投資の持分利益/(損失)
関連会社の会計処理には持分法が適用されている。持分法では、関連会社の税引後損益に対する当行の持分が損益
計算書および包括利益計算書に計上される。
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4. 営業費用
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
人件費
給与および関連費用 5,157 4,754 3,791 3,494
年金費用 396 375 335 317
183 167 154 127
その他
5,736 5,296 4,280 3,938
人件費
土地建物
賃借料 71 88 50 67
減価償却費 437 419 338 344
176 214 123 168
その他
684 721 511 579
土地建物
技術費
減価償却費および償却費 501 578 455 521
サブスクリプション・ライセンス費用および外注サービス費 1,007 899 695 648
178 144 144 162
その他
1,686 1,621 1,294 1,331
技術費
169 101 146 78
組織再編
その他
広告・広報費 176 165 133 128
専門家報酬 857 935 795 864
運送料、文房具、郵便および通信 175 172 128 128
604 568 1,201 1,077
その他
1,812 1,840 2,257 2,197
その他
10,087 9,579 8,488 8,123
営業費用
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認識および測定
営業費用
営業費用は、一定期間にわたり当グループにサービスが提供される都度認識されるが、その際に資産が消費される
か負債が発生する。
給与および関連費用-年次休暇、長期勤続休暇、その他従業員給付
賃金給与、年次休暇、その他の従業員給付で、従業員の勤務の提供から12か月以内に支払または決済が予想される
場合は、当グループが負債の決済時に支払が見込まれる報酬率を用いた名目額で測定される。
長期勤続休暇に関する従業員受給権は、数理計算を用いて計上される。これには、職員の退職、休暇の利用、将来
の昇給に関する仮定が含まれる。その結果は、報告日時点の市場利回りを用いて割り引かれる。市場利回りは、将
来の予想キャッシュ・アウトフローと密接に対応する残存期間を有する高格付けの社債の混合金利により決定され
る。
短期現金賞与の支給が見込まれる場合、当グループが当該額を支払う現在の法的債務、または推定的債務(従業員
が過去に提供した勤務の結果)を有しており、当該債務について信頼性のある測定が可能な場合に負債が認識され
る。
また人件費には、現金または株式で決済可能な株式報酬も含まれる。付与日において株式決済型報酬の公正価値が
計算され、その後権利確定期間にわたって償却される。これに対応して株式資本、もしくは該当する場合には株式
オプション準備金が増加する。公正価値を見積もる際には、株価に関する条件など、市場権利確定条件を考慮に入
れる。勤続条件などの市場以外の権利確定条件は、費用に含める株式の数を調整することで考慮される。
株式報酬を付与した後、従業員の辞職、契約終了、重大な不正行為による解雇通知により当該報酬規定に定められ
ていた最低勤続期間を満たせない場合など、市場以外の権利確定条件が満たされない場合は、費用として認識され
た金額は戻し入れられる。ただし、市場に基づく条件が満たされないとの理由から権利確定しない場合、当該費用
は戻し入れない。
当年度および前年度に当グループが運営する株式報酬制度に関するさらに詳しい情報は、注記30「従業員持株およ
びオプション制度」に記載されている。
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5. 法人税
法人税費用
損益に計上された法人税費用と税引前利益に対する計算上の法人税費用との調整
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
継続事業に係る税引前利益 10,134 10,079 8,938 9,529
計算上の法人税費用(税率30%) 3,040 3,024 2,681 2,859
永久差異に係る税効果
投資の売却/閉鎖による純(利益)/損失 - (83) - (113)
関連会社投資の持分(利益)/損失 (68) (53) 5 4
転換型金融商品の利息 92 49 92 49
海外税率差異 (163) (128) (95) (70)
配当金の送金に課される外国税引当金 41 155 35 150
請求可能および益金不算入配当金 - - (769) (954)
被支配法人に対する持分の減損 - - - 54
(2) 4 23 (21)
その他
小計 2,940 2,968 1,972 1,958
1 (28) (8) (25)
過年度の法人税計上(超過)/不足額
2,941 2,940 1,964 1,933
法人税費用
当期税金費用 2,887 2,694 2,012 1,725
過年度の税金に関して当年度に認識された調整 1 (28) (8) (25)
53 274 (40) 233
一時差異の発生および解消に関する繰延税金費用/(収入)
2,941 2,940 1,964 1,933
法人税費用
オーストラリア 1,640 1,844 1,568 1,755
1,301 1,096 396 178
海外
29.0% 29.2% 22.0% 20.3%
実効税率
繰延税金資産および負債
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
繰延税金資産の残高は、以下に帰属する一時差異で構成される
損益計算書に認識された金額:
一括評価される予想信用損失引当金 1,128 1,065 897 880
個別に評価される予想信用損失引当金 102 148 79 119
従業員受給権引当金 294 252 243 206
その他引当金 263 314 209 240
ソフトウェア 917 867 781 708
290 285 238 218
その他
2,994 2,931 2,447 2,371
合計
その他の包括利益に直接認識された金額:
キャッシュフロー・ヘッジ準備金 818 882 789 891
29 20 27 16
その他の準備金
847 902 816 907
合計
繰延税金資産合計 ( 相殺前 ) 3,841 3,833 3,263 3,278
(455) (449) (275) (286)
相殺規定に従った繰延税金残高の相殺
3,386 3,384 2,988 2,992
繰延税金資産純額
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2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
繰延税金負債の残高は、以下に帰属する一時差異で構成される
損益計算書に認識された金額:
ファイナンス・リース
95 79 6 (15)
303 300 212 232
その他
398 379 218 217
合計
その他の包括利益に直接認識された金額:
為替換算調整勘定 36 36 36 36
キャッシュフロー・ヘッジ準備金 17 8 7 8
FVOCI準備金 17 57 19 31
47 52 42 48
確定給付債務
117 153 104 123
合計
繰延税金負債合計 ( 相殺前 ) 515 532 322 340
(455) (449) (275) (286)
相殺規定に従った繰延税金残高の相殺
60 83 47 54
繰延税金負債純額
連結納税
当行およびオーストラリアを所在地とする当行の完全所有法人はすべて、オーストラリア税法に基づく連結納税グループの
一員である。2023年1月3日の本再編後は、ANZGHLが連結納税グループの筆頭企業である。連結納税グループのメンバーに関
する法人税費用/収益および一時差異から生ずる繰延税金負債/資産は、各メンバーの個別財務諸表において、「グループ割
当」ベースで認識される。
連結納税グループ内の法人間の納税資金調達契約に基づき、連結納税グループのメンバーおよび筆頭企業であるANZGHLとの
間での未払または未収税金拠出額は、連結納税グループの各メンバーにより支払債務または受取債権として認識されている。
連結納税グループのメンバーは、税分担契約も締結している。これは、筆頭企業が法人税支払債務を履行できなかった場合
の法人間での法人税債務の割当を規定している。
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未認識繰延税金資産および負債
(収益勘定における)未使用の税務上の欠損金に関連する未認識繰延税金資産は、当グループが合計で1百万ドル(2022年
度:1百万ドル)、当行がゼロ(2022年度:ゼロ)である。
発生し得る追加の外国税額(海外支店および子会社の利益剰余金は本国に全額送金されるものと仮定)に関連する未認識繰
延税金負債は、当グループが合計286百万ドル(2022年度:250百万ドル)、当行が30百万ドル(2022年度:18百万ドル)であ
る。
認識および測定
法人税費用
法人税費用は、当期税金と繰延税金の両方が含まれており、収益と費用に関する会計上と税務処理上の(課税所
得)の差異について調整された会計上の利益に基づいている。税金費用は損益に認識されるが、資本およびその他
の包括利益において直接認識される項目に限り、それぞれ資本またはその他の包括利益において直接認識する。
当期税金費用
当期税金は、当年度の課税所得につき支払う予定税額であり、報告日において制定済みの税率(および税法)に基
づいている。当期税金は、未払額(または還付可能額)について、負債(または資産)が計上される。
繰延税金資産および負債
繰延税金は、貸借対照表方式を用いて会計処理される。繰延税金は、会計上の利益が必ずしも課税所得と一致しな
いことから生じる。このために一時差異が生じるが、通常は、一定期間で解消する。解消するまでは、貸借対照表
に繰延税金資産または負債が計上される。繰延税金は、報告日までに制定済みまたは実質的に制定されている税率
(および税法)に基づき、資産が実現される期、または負債が決済される期に適用が予想される税率を用いて測定
される。
当期税金および繰延税金資産ならびに負債は、以下の場合についてのみ相殺する。
・ 同一課税当局により課された法人税に関係する場合。
・ 法的な権利を有し、純額決済する意思がある場合。
・ 該当する法域の税法で認められている場合。
重要な判断および見積り
不確実な税務上のポジションについて、引当金を決定する際に判断が求められる。当グループでは、事業活動を
行っている各国で該当する法律を理解し、必要に応じて独立した助言を求め、それらに基づき税金負債を見積も
る。
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6. 配当金
普通株式配当
当行の取締役会が決定した配当金は、配当支払日に対応する利益剰余金の減少とともに認識される。したがって、当会計年
度について発表された最終配当金は、翌会計年度の支払となる。2023年1月3日の本再編後、ANZGHLが連結納税グループの筆
頭企業となり、フランキングおよびインピュテーション方式の税額控除は当行からANZGHLに移管されている。
全体に占める 1株当たりの 配当金合計
割合 金額 (百万ドル)
配当金
2022会計年度
(1)(2)
2021年度最終配当金支払額 72セント 2,030
(1)(2)
2022年度中間配当金支払額 72セント 2,012
(77)
ボーナス・オプション制度調整
3,965
2022年9月30日に終了した事業年度の配当金支払額
現金 90.2% 3,577
(3)
9.8% 388
配当金再投資制度
3,965
2022年9月30日に終了した事業年度の配当金支払額
2023会計年度
(1)(2)
2022年度最終配当金支払額 74セント 2,213
2023年度 ANZ BH Pty Ltdへの特別配当金支払額
33セント 1,000
2023年度 ANZ BH Pty Ltdへの中間配当金支払額 79セント 2,387
5,600
2023年9月30日に終了した事業年度の配当金支払額
現金 96.3% 5,394
3.7% 206
配当金再投資制度
5,600
2023年9月30日に終了した事業年度の配当金支払額
1株当たりの 配当金合計
支払日 金額 (百万ドル)
発表済みで年度終了後に支払われる配当金
2023年
12月22日 94セント 2,825
2023年度最終配当金
(1) ニュージーランドのインピュテーション方式の税額控除は、2022年度最終配当金および2022年度中間配当金については9
ニュージーランド・セント、ならびに2021年度最終配当金については8ニュージーランド・セント。
(2) オーストラリアの税金については全額フランキング済み(税率30%)。
(3) DRP向けに市場で購入した株式204百万ドルを含む。
配当金再投資制度およびボーナス・オプション制度
ANZBGLの配当金再投資制度(「DRP」)およびボーナス・オプション制度(「BOP」)は、2023年1月3日の再編の実施後に
運用を停止した。
配当金支払いに係る制限
以下に該当する場合、当行普通株式の配当金の支払い前に、APRAの書面による承認が必要である。
・ 配当金の支払いが、関連する会計年度における当行の税引後利益(この税引後利益の算出にあたり、高順位の資
本性金融商品に対する支払配当金を考慮)を上回る場合
・ ANZの普通株式等Tier1資本比率が、APRAが規定する資本バッファーの範囲内になる場合
ANZキャピタルノートまたはANZ資本証券について、当行が支払予定日に配当金、分配金を支払えなかった場合、当行の普通
株式の配当金の支払決議または支払いを制限される可能性がある(ただし、様々な例外も認められている。)。
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7. セグメント報告
セグメントの概要
当グループの6つの事業セグメントは、最高経営意思決定者である最高経営責任者に提供される内部情報と同じ基準で表示
されている。これは、当グループの法的構造ではなく、業務の管理方法を反映している。
事業セグメントの業績は現金利益ベースで測定されている。現金利益を計算するために、株主に帰属する税引後利益から複
数の項目が除外されている。2023年度および2022年度については、この調整は、経済ヘッジと収益および費用ヘッジの影響に
関連しており、これらは将来の収益を通じて戻し入れられる期間差異を表している。ANZ内のセグメントにわたる部門間の取引
は、独立第三者間基準で行われており、これらのセグメントの収益および費用の一部として開示されている。
部門別業績の表示は、当期間における以下の構造改革の影響を受けている。過年度の比較情報は修正再表示されている。
・ 非銀行事業-オーストラリア商業部門と法人部門で保有されていた非銀行事業はグループ・センター部門に移
管、その後本再編の一環として処分された。
・ 法人顧客のセグメント変更-一部のビジネスおよび不動産ファイナンス顧客は、ニュージーランド部門から法人
部門に移管された。
・ 費用の再配賦-一部の費用が、オーストラリア・リテール、オーストラリア商業、法人およびグループ・セン
ターの各部門にわたって再配賦された。
報告セグメントは、異なる商品・サービス、もしくは異なる地域で同様の商品・サービスを提供している部門である。報告
セグメントは以下のとおりである。
オーストラリア・リテール
オーストラリア・リテール部門は、オーストラリアの個人顧客にあらゆる銀行サービスを提供している。これには、住宅
ローン、預金、クレジットカード、個人ローンが含まれる。商品・サービスは、支店網、住宅ローン・スペシャリスト、コン
タクト・センター、様々なセルフサービス・チャネル(デジタルおよびインターネット・バンキング、ウェブサイト、ATM、お
よびテレホンバンキング)、および外部のブローカーを通じて提供される。また、この部門にはリテール顧客向けに提案する
ANZプラスの開発および運用に関連する費用も含まれる。
オーストラリア商業
オーストラリア商業部門は、SMEバンキング(小規模事業主および中規模商業顧客)ならびにスペシャリスト事業(大規模商
業顧客ならびに富裕層の個人顧客および同族グループ)という顧客セグメントにわたり、資産ファイナンスを含むあらゆる銀
行商品および金融サービスを提供する。
法人
法人部門は、世界規模の機関顧客および法人顧客ならびにオーストラリア、ニュージーランドおよび国外の政府(パプア
ニューギニア(「PNG」)を含む。)に、以下の事業部門を通じてサービスを提供する。
・ トランザクション・バンキング は、ドキュメンタリー取引、サプライチェーン・ファイナンス、コモディティ・
ファイナンス、キャッシュ・マネジメント・ソリューション、預金、支払、決済など運転資本および流動性ソ
リューションを顧客に提供する。
・ コーポレート・ファイナンス は、ローン商品、ローン・シンジケーション、専門ローンのストラクチャリングお
よび執行、プロジェクトおよび輸出向けファイナンス、デット・ストラクチャリングおよび買収関連ファイナン
ス、コーポレート・アドバイザリー・サービスを顧客に提供する。
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・ マーケッツ は、当グループの金利エクスポージャーおよび流動性ポジションを管理する他、為替、金利、クレ
ジット、コモディティおよびデット・キャピタル・マーケットに係るリスク管理サービスを顧客に提供する。
ニュージーランド
ニュージーランド部門は、以下の事業部門で構成される。
・ パーソナル は、あらゆる銀行サービス、ウェルス・マネジメント・サービスを個人およびプライベート・バンキ
ングの顧客に提供する。インターネットとアプリベースのデジタル・ソリューションおよび支店網、モーゲー
ジ・スペシャリスト、リレーションシップ・マネジャー、コンタクト・センターを通じてサービスを提供する。
・ ビジネスおよび農業 (旧ビジネス)は、デジタル、支店およびコンタクト・センターのチャネルを通じて、ま
た、従来のリレーションシップ・バンキング、ならびに専任のマネジャーを通じて高度な金融ソリューションを
通じてあらゆる銀行サービスを提供する。これらは、未上場の小規模、中規模、大規模企業、農業事業セグメン
ト、政府および政府関連事業体を対象としている。
パシフィック
パシフィック部門は、リテールおよび商業顧客(多国籍企業を含む)、ならびにパシフィック地域の政府(法人部門の一部
であるPNGを除く。)に商品・サービスを提供する。
グループ・センター
グループ・センター部門は、技術、資産、リスク管理、財務管理、資金管理、戦略、マーケティング、人事、総務および株
主機能などのオペレーティング部門をサポートする。また、アジアにおける少数持分投資も含まれる。
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事業セグメント
オースト オースト ニュー グルー
ラリア・ ラリア商 ジーラン パシ プ・セン 当グループ
リテール 業 法人 ド フィック ター 合計
2023年9月30日に終了した事業年度
(単位:百万ドル)
5,716 3,224 4,040 3,149 123 323 16,575
純利息収益
手数料およびコミッション収益(純
額) 546 322 685 398 19 (24) 1,946
保険事業収入純額 89 - - - - - 89
(1)(2)
その他収入 16 43 2,009 11 66 (80) 2,065
- - - - - 225 225
関連会社投資の持分利益/(損失)
651 365 2,694 409 85 121 4,325
その他営業収入
(1)(2)
営業収入 6,367 3,589 6,734 3,558 208 444 20,900
(3,542) (1,423) (2,708) (1,291) (145) (978) (10,087)
営業費用
貸倒引当金繰入および法人税控除前現
金利益 2,825 2,166 4,026 2,267 63 (534) 10,813
(135) (107) 80 (112) 28 1 (245)
貸倒引当金(繰入)/戻入
税引前現金利益 2,690 2,059 4,106 2,155 91 (533) 10,568
(1)(2)
(816) (619) (1,143) (603) (20) 105 (3,096)
法人税費用および非支配持分
継続事業に係る現金利益/(損失) 1,874 1,440 2,963 1,552 71 (428) 7,472
-
非継続事業に係る現金利益/(損失)
7,472
現金利益/(損失)
(1)
経済ヘッジ (217)
(2)
(90)
収益および費用ヘッジ
7,165
株主に帰属する税引後利益
以下の非現金項目を含む:
関連会社投資の持分利益/(損失) - - - - - 225 225
減価償却費および償却費 (77) (5) (164) (105) (10) (580) (941)
株式決済型株式費用 (6) (2) (73) (4) - (20) (105)
(135) (107) 80 (112) 28 1 (245)
貸倒引当金(繰入)/戻入
オースト オースト ニュー グルー
ラリア・ ラリア商 ジーラン パシ プ・セン 当グループ
リテール 業 法人 ド フィック ター 合計
財政状態
(単位:百万ドル)
のれん 100 - 1,261 1,617 - - 2,978
関連会社に対する投資 - - - - - 2,321 2,321
外部資産合計 315,184 61,916 538,827 125,178 3,391 61,545 1,106,041
168,866 119,341 452,779 122,924 3,862 169,155 1,036,927
外部負債合計
(1) 経済ヘッジについての現金利益調整は、法人部門、ニュージーランド部門およびグループ・センター部門に適用され、305
百万ドルの損失がその他営業収入に認識され、88百万ドルの利益が法人税費用に認識されている。
(2) 収益および費用ヘッジについての現金利益調整は、グループ・センター部門に適用され、129百万ドルの損失がその他営業
収入に認識され、39百万ドルの利益が法人税費用に認識されている。
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オースト オースト ニュー グルー
ラリア・ ラリア商 ジーラン パシ プ・セン 当グループ
リテール 業 法人 ド フィック ター 合計
2022年9月30日に終了した事業年度
(単位:百万ドル)
5,527 2,568 3,697 2,871 96 115 14,874
純利息収益
手数料およびコミッション収益(純
額) 477 404 648 428 26 (11) 1,972
保険事業収入純額 140 - - - - - 140
(1)(2)
その他収入 5 258 1,003 32 42 44 1,384
- - - - - 177 177
関連会社投資の持分利益/(損失)
622 662 1,651 460 68 210 3,673
その他営業収入
(1)(2)
営業収入 6,149 3,230 5,348 3,331 164 325 18,547
(3,397) (1,301) (2,566) (1,273) (153) (889) (9,579)
営業費用
貸倒引当金繰入および法人税控除前現
金利益 2,752 1,929 2,782 2,058 11 (564) 8,968
129 133 27 (45) 6 (18) 232
貸倒引当金(繰入)/戻入
税引前現金利益 2,881 2,062 2,809 2,013 17 (582) 9,200
(1)(2)
(872) (511) (872) (564) (8) 142 (2,685)
法人税費用および非支配持分
継続事業に係る現金利益/(損失) 2,009 1,551 1,937 1,449 9 (440) 6,515
(19)
非継続事業に係る現金利益/(損失)
6,496
現金利益/(損失)
(1)
経済ヘッジ 569
(2)
54
収益および費用ヘッジ
7,119
株主に帰属する税引後利益
以下の非現金項目を含む:
関連会社投資の持分利益/(損失) - - - - - 177 177
減価償却費および償却費 (87) (12) (158) (116) (10) (626) (1,009)
株式決済型株式費用 (5) (1) (72) (4) (1) (19) (102)
129 133 27 (45) 6 (18) 232
貸倒引当金(繰入)/戻入
オースト オースト ニュー グルー
ラリア・ ラリア商 ジーラン パシ プ・セン 当グループ
リテール 業 法人 ド フィック ター 合計
財政状態
(単位:百万ドル)
のれん 178 - 1,198 1,530 - - 2,906
関連会社に対する投資 - - - - - 2,181 2,181
外部資産合計 292,876 59,983 544,066 116,218 3,707 68,879 1,085,729
153,494 118,355 473,114 115,263 4,065 155,037 1,019,328
外部負債合計
(1) 経済ヘッジについての現金利益調整は、法人部門、ニュージーランド部門およびグループ・センター部門に適用され、802
百万ドルの利益がその他営業収入に認識され、233百万ドルの費用が法人税費用に認識されている。
(2) 経済ヘッジについての現金利益調整は、グループ・センター部門に適用され、77百万ドルの利益がその他営業収入に認識
され、23百万ドルの費用が法人税に認識されている。
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商品・サービス別のセグメント収入
いずれの部門も、主な社外収入源は受取利息およびその他営業収入であり、その他営業収入には、手数料およびコミッショ
ン(純額)、為替差益およびその他金融商品による収益(純額)が含まれる。オーストラリア・リテール部門、オーストラリ
ア商業部門、ニュージーランド部門、およびパシフィック部門の収入源は、リテール銀行業と商業銀行業の商品およびサービ
スである。法人部門の収入源は、法人向けの商品およびマーケッツ・サービスである。当グループの収入の10%超を占める単
一の顧客はいない。
地域別の情報
報告セグメントは3地域で次のとおり営業している。
・ オーストラリア・リテール部門 - オーストラリア
・ オーストラリア商業部門 - オーストラリア
・ 法人部門 – 3地域すべて
・ ニュージーランド部門 – ニュージーランド
・ パシフィック部門-その他の地域
・ グループ・センター部門 – 3地域すべて
非継続事業の実績はオーストラリア地域に含まれている。その他の地域には、アジア、パシフィック、ヨーロッパ、南北ア
メリカが含まれる。
下表は、当グループが事業を営む地域別に、非継続事業を含む営業収入合計および1年超の期間に回収される資産を示した
ものである。
オーストラリア ニュージーランド その他の地域 合計
2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
(1)
営業収入合計 12,677 12,462 4,463 4,501 3,326 2,547 20,466 19,510
1年超の期間に回収される資産
(2)
407,221 384,724 119,278 109,191 28,877 32,350 555,376 526,265
(1) 非継続事業から得た営業収入ゼロ(2022年度:84百万ドル)を含む。
(2) 正味貸付金および前渡金を契約上の満期日に基づいて示している。
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金融資産
以下は、後述の注記での開示に適用される当グループの金融資産の分類および測定方法の概説である。
分類および測定
金融資産-全般
AASB第9号においては、金融資産に関して、償却原価による測定、FVTPLによる測定、FVOCIによる測定の3つの測
定区分がある。金融資産は、以下の2つの基準に基づいて、これらの測定区分に分類される。
・ 金融資産の管理におけるビジネスモデル。
・ 金融資産の契約上のキャッシュフローの特性(具体的には、契約上のキャッシュフローが元本および利息の
返済のみを表しているかどうか。)。
金融資産の分類は結果として以下のとおりになる。
・ 償却原価:元本および利息の返済のみで構成される契約上のキャッシュフローを有する金融資産で、それら
のキャッシュフローを回収することを目的とするビジネスモデルで保有されている。
・ FVOCI:元本および利息の返済のみで構成される契約上のキャッシュフローを有する金融資産で、それらの
キャッシュフローを回収することまたは資産を売却することを目的とするビジネスモデルで保有されてい
る。
・ FVTPL:上記の区分に該当しないその他の金融資産はFVTPLで測定される。
金融資産の公正価値オプション
金融資産は、当初認識時に取消不能で以下に指定することができる。
・ FVTPLで測定:この指定により、指定しない場合に発生する会計上のミスマッチを解消または著しく減少さ
せる場合。
・ 持分証券投資についてFVOCIで測定:当該金融商品が売買目的保有でも、企業結合で取得者が認識した条件
付対価でもない場合。
8. 現金および現金同等物
現金および現金同等物は、手許現金および以下に示すその他の残高から構成されており、これらの残高は、価値の変動リス
クが少なく、売戻条件付契約を含む満期までの残存期間が3か月以内の現金化が可能なものである。
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
硬貨、紙幣および銀行預金 1,070 1,147 667 787
(1)
31,711 15,996 31,120 14,372
3か月未満売戻条件付買入証券
中央銀行預け金 105,689 127,790 94,389 118,928
29,684 23,199 28,232 21,396
3か月未満のANZの未収決済残高
168,154 168,132 154,408 155,483
現金および現金同等物
(1) 2023年度中に、当グループはマーケッツ事業のトレーディング勘定内において買戻条件付契約と売戻条件付契約を公正価
値ベースで管理することを開始した。この結果、関連する買戻条件付契約と売戻条件付契約は、FVTPLで認識および測定さ
れることとなった。
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9. 売買目的資産
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
政府債 28,074 27,291 23,144 21,881
社債および金融機関債 3,885 3,941 2,914 2,700
コモディティ 4,881 3,860 4,471 3,348
164 145 164 144
その他証券
37,004 35,237 30,693 28,073
合計
認識および測定
売買目的資産は、次のいずれかの金融商品またはその他の資産である。
・ 主に短期での売却を目的として取得する。
・ 短期での利益確定を目的に運用するポートフォリオの一部として保有する。
売買目的資産には、AASB第102号「棚卸資産」に基づくブローカー・トレーダーの適用除外に従い、売却費用控除
後の公正価値で測定されるコモディティ棚卸資産が含まれる。
売買目的資産の取得および売却は、取引日に計上される。
・ 当初は公正価値で測定する。
・ その後、貸借対照表において公正価値で測定され、公正価値の変動は損益に認識される。
売買目的資産として開示された資産は、101ページ(訳注:原文のページ番号である。)の当グループの金融資産
に関する開示の冒頭で概説されている金融資産の分類および測定についての一般方針の適用を受ける。
重要な判断および見積り
売買目的資産の公正価値の算定において、市場相場価格ではなく評価技法を用いる場合は、その適用の際に判断が
求められる。詳細については、注記18「金融資産および金融負債の公正価値」を参照のこと。
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10. デリバティブ金融商品
2023年 2022年
連結
資産 負債 資産 負債
(単位:百万ドル) (単位:百万ドル)
公正価値
デリバティブ金融商品-売買目的保有 60,059 (57,210) 89,716 (84,793)
347 (272) 458 (356)
デリバティブ金融商品-ヘッジ関係に指定
60,406 (57,482) 90,174 (85,149)
デリバティブ金融商品
2023年 2022年
当行
資産 負債 資産 負債
(単位:百万ドル) (単位:百万ドル)
公正価値
デリバティブ金融商品-売買目的保有 59,649 (57,256) 87,650 (84,200)
340 (255) 406 (300)
デリバティブ金融商品-ヘッジ関係に指定
59,989 (57,511) 88,056 (84,500)
デリバティブ金融商品
特徴
デリバティブ金融商品は、以下のような契約である。
・ その価値を、契約において定められた基礎となる価格インデックス(またはその他の変数)から求める。場合に
よっては、複数の変数から価値を求める。
・ 当初の純投資がほとんど、あるいはまったく必要とされない。
・ 将来の期日に決済される。
契約の価値の変動を引き起こす、基礎変数の価格変動は、デリバティブの公正価値に反映される。
目的
当グループのデリバティブ金融商品は、以下のように分類される。
売買目的 以下を目的として保有されるデリバティブ:
・ 顧客のリスク管理ニーズに応じるため。
・ 当グループで会計上のヘッジ関係に指定されていないリスクを管理するため(貸借対照
表管理の要素の一部)。
・ 価格またはマージンの短期変動から利益を得るために、マーケット・メーキング活動お
よびポジショニング活動を遂行するため。
ヘッジ関係に指定 以下に関連して、基礎となるポジションの変動に対応させることによって、損益の変動を最
小限に抑えるために会計上のヘッジ関係に指定されるデリバティブ:
・ 当グループの金利リスク、通貨リスクへのエクスポージャーのヘッジ。
・ トレーディング以外のポジションに関連したその他のエクスポージャーのヘッジ。
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種類
当グループは、4種類の異なるデリバティブ金融商品を提供または利用する。
先渡 将来の一定の日に、想定元本金額に対して受渡しされる利率または為替レートを定めた契約。
先物 取引所で取引される契約であり、当事者が取引日に合意した価格で資産を将来売買すること
を合意する契約で、当該将来日において当該資産の物理的な引渡しは行われずに、純額での
現金決済が行われる。
スワップ 当事者二者が一連のキャッシュフローを他のキャッシュフローと交換する契約。
オプション 契約の買い手が、資産または商品を一定価格で将来日に購入(コール・オプション)または
売却(プット・オプション)する権利(義務ではない。)を有する契約。買い手がオプショ
ンを行使した場合に、売り手はこれに応じて、当該資産または商品を売却または購入する取
引を履行する義務を負う。
管理対象リスク
当グループは、次の市場要素の変動を管理するために、上記の商品を提供し、利用する。
外国為替 実勢または所定の為替レートで換算される通貨。
金利 貸付金、預金または借入金に適用される固定金利または変動金利。
コモディティ ソフト・コモディティ(すなわち、小麦、コーヒー、ココア、砂糖等の農産物)およびハー
ド・コモディティ(すなわち、金、石油およびガス等の鉱産物)。
クレジット 顧客または第三者による債務不履行リスク。
当グループは、デリバティブ取引を清算するために、いくつかの中央清算カウンターパーティーおよび取引所を利用してい
る。これらの取引所との間では、様々な担保差入の取決めがある。
・ 一部の取引は、清算制度の対象となっており、その結果、保有される担保資産と負債は、関連する公正価値で評価
されるデリバティブ資産および負債の帳簿価額とは別に認識される。
・ その他の取引では、担保の受け払いによって法的に決済され、関連するデリバティブ金融商品の帳簿価額は担保の
受け払いの金額だけ減額される。
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デリバティブ金融商品 ― 売買目的保有
当グループのデリバティブ金融商品の大半は、売買目的で保有されている。売買目的保有デリバティブ金融商品の公正価値
は、以下のとおりである。
2023年 2022年
連結
資産 負債 資産 負債
(単位:百万ドル) (単位:百万ドル)
公正価値
金利契約
金利先渡契約 - - - (1)
先物契約 294 (37) 336 (123)
スワップ契約 10,815 (15,194) 10,421 (15,031)
1,805 (2,023) 1,698 (1,954)
オプション
12,914 (17,254) 12,455 (17,109)
合計
外国為替契約
直物および先渡契約 21,399 (19,580) 42,221 (37,426)
スワップ契約 23,230 (18,172) 32,169 (27,548)
690 (1,120) 926 (1,343)
オプション
45,319 (38,872) 75,316 (66,317)
合計
コモディティおよびその他の契約 1,812 (1,067) 1,927 (1,353)
14 (17) 18 (14)
クレジット・デフォルト・スワップ
(1)
デリバティブ金融商品 ― 売買目的保有
60,059 (57,210) 89,716 (84,793)
(1) 貸借対照表管理目的で保有され、会計上のヘッジ関係に指定されていないデリバティブを含む。
当行のデリバティブ金融商品の大半は、売買目的で保有されている。売買目的保有デリバティブ金融商品の公正価値は、以
下のとおりである。
2023年 2022年
当行
資産 負債 資産 負債
(単位:百万ドル) (単位:百万ドル)
公正価値
金利契約
金利先渡契約 2 (1) 2 (7)
先物契約 259 (30) 240 (116)
スワップ契約 11,324 (15,178) 10,778 (15,098)
1,807 (2,016) 1,684 (1,947)
オプション
13,392 (17,225) 12,704 (17,168)
合計
外国為替契約
直物および先渡契約 19,229 (17,595) 36,576 (33,376)
スワップ契約 24,493 (20,216) 35,526 (30,949)
684 (1,110) 895 (1,331)
オプション
44,406 (38,921) 72,997 (65,656)
合計
コモディティおよびその他の契約 1,823 (1,078) 1,923 (1,352)
28 (32) 26 (24)
クレジット・デフォルト・スワップ
(1)
デリバティブ金融商品 ― 売買目的保有
59,649 (57,256) 87,650 (84,200)
(1) 貸借対照表管理目的で保有され、会計上のヘッジ関係に指定されていないデリバティブを含む。
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デリバティブ金融商品-ヘッジ関係に指定
注記1において記載したとおり、当グループはAASB第9号による会計方針の選択において、当グループは、引き続きAASB第
139号のヘッジ会計要件を適用している。
当グループが使用する会計上のヘッジ関係は3種類である。
公正価値ヘッジ キャッシュフロー・ヘッジ 純投資ヘッジ
ヘッジの目的 金利または外国為替の変動か 金利、外国為替およびその他 当グループの外国事業の当該
ら生じる、認識済み資産また の価格の変動から生じる、認 事業の機能通貨から豪ドルへ
は負債もしくは未認識の確定 識済み資産もしくは負債、確 換算する際に生じる為替レー
契約の公正価値変動に対す 定契約または実行される可能 トの差に対する当行のエクス
る、当グループのエクスポー 性が高い予定取引のキャッ ポージャーをヘッジするこ
ジャーをヘッジすること。 シュフローの可変性に対する と。
当グループのエクスポー
ジャーをヘッジすること。
ヘッジの有効部分 以下のものは、損益に同時に キャッシュフロー・ヘッジと ヘッジ手段の公正価値変動の
の認識 認識される。 して指定されたデリバティブ 有効部分は、為替換算調整勘
・ ヘッジ対象リスクに関 の公正価値変動の有効部分 定(「FCTR」)で認識され
は、キャッシュフロー・ヘッ る。
連する基礎数値項目の
ジ準備金に認識される。
公正価値変動の全額、
および
・ デリバティブの公正価
値変動額。
ヘッジの非有効部 その他営業収入で直ちに認識される。
分の認識
ヘッジ手段の期限 ヘッジ対象を純損益で認識す ヘッジ対象が純損益で認識さ 為替換算調整勘定で繰り延べ
が到来した場合、 る際に、関連する未償却の公 れる場合に限り、以前に繰り られる金額は資本の部で留保
または売却、解約 正価値調整が純損益で認識さ 延べられたキャッシュフ され、外国事業の処分時また
もしくは行使され れる。これは、ヘッジ対象が ロー・ヘッジ準備金が純損益 は部分的な処分時にのみ、純
た場合、または 満期までの期間にわたって実 に振替えられる。 損益に振り替えられる。
ヘッジ会計の要件 効利回りの一部として純損益
を満たさなくなっ で償却される場合には、その
た場合 期間にわたり発生する。
ヘッジ対象が売却 未償却の公正価値調整は、直 資本の部に累積された金額 資本の部で認識された損益ま
または返済された ちに純損益で認識される。 は、直ちに純損益に振り替え たはその該当する比例部分
場合 られる。 は、外国事業の処分時または
部分的な処分時に、純損益に
振り替えられる。
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ヘッジ関係に指定されたデリバティブ金融商品の公正価値は、以下のとおりである。
2023年 2022年
連結
想定元本 資産 負債 想定元本 資産 負債
(単位:百万ドル)
公正価値ヘッジ
外国為替直物および先渡契約 607 5 - 604 - (37)
金利スワップ契約 126,881 32 (195) 106,366 79 (168)
金利先物契約 11,778 243 (9) 17,361 264 (3)
キャッシュフロー・ヘッジ
金利スワップ契約 122,704 17 (48) 125,063 33 (53)
外国為替スワップ契約 683 50 (19) 656 48 (44)
外国為替直物および先渡契約 - - - 161 - (4)
純投資ヘッジ
47 - (1) 940 34 (47)
外国為替直物および先渡契約
262,700 347 (272) 251,151 458 (356)
デリバティブ金融商品-ヘッジ関係に指定
2023年 2022年
当行
想定元本 資産 負債 想定元本 資産 負債
(単位:百万ドル)
公正価値ヘッジ
外国為替直物および先渡契約 607 5 - 604 - (37)
金利スワップ契約 101,587 32 (184) 80,185 65 (163)
金利先物契約 11,778 243 (9) 17,361 264 (3)
キャッシュフロー・ヘッジ
金利スワップ契約 89,173 10 (42) 94,928 28 (49)
外国為替スワップ契約 683 50 (19) 656 48 (44)
外国為替直物および先渡契約 - - - 161 - (4)
純投資ヘッジ
47 - (1) 146 1 -
外国為替直物および先渡契約
203,875 340 (255) 194,041 406 (300)
デリバティブ金融商品-ヘッジ関係に指定
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当グループが保有するヘッジ手段の名目金額の満期の状況は以下のとおりである。
連結
3か月
平均 3か月か 1年から
レート 未満 ら12か月 5年 5年超 合計
想定元本
2023年9月30日現在
(単位:百万ドル)
公正価値ヘッジ
金利 金利 2.38% 2,314 10,533 79,350 46,462 138,659
外国為替 HKD/AUD為替レート 5.02 607 - - - 607
キャッシュフロー・
ヘッジ
金利 金利 2.27% 7,573 37,630 76,359 1,142 122,704
(1)
AUD/USD為替レート 0.74
外国為替
- - - 683 683
USD/EUR為替レート 0.91
純投資ヘッジ
1.09 - 47 - - 47
外国為替
NZD/AUD為替レート
2022年9月30日現在
公正価値ヘッジ
金利 金利 1.65% 10,931 17,322 65,259 30,215 123,727
外国為替 HKD/AUD為替レート 5.43 604 - - - 604
キャッシュフロー・
ヘッジ
金利 金利 1.59% 3,317 32,145 88,461 1,140 125,063
(1)
AUD/USD為替レート 0.74
外国為替
40 121 - 656 817
USD/EUR為替レート 0.91
純投資ヘッジ
外国為替 TWD/AUD為替レート 20.68
794 146 - - 940
THB/AUD為替レート 25.05
(1) 外国為替リスクのヘッジは、複数の通貨ペアを対象としている。この表は金額の大きい通貨ペアのみを反映している。
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当行
平均 3か月 3か月か 1年から
レート 未満 ら12か月 5年 5年超 合計
想定元本
2023年9月30日現在
(単位:百万ドル)
公正価値ヘッジ
金利 金利 2.49% 1,910 8,025 61,644 41,786 113,365
外国為替 HKD/AUD為替レート 5.02 607 - - - 607
キャッシュフロー・
ヘッジ
金利 金利 1.78% 3,154 22,353 62,577 1,089 89,173
(1)
AUD/USD為替レート 0.74
外国為替
- - - 683 683
USD/EUR為替レート 0.91
純投資ヘッジ
外国為替 1.09 - 47 - - 47
NZD/AUD為替レート
2022年9月30日現在
公正価値ヘッジ
金利 金利 1.75% 10,931 13,466 48,011 25,138 97,546
外国為替 HKD/AUD為替レート 5.43 604 - - - 604
キャッシュフロー・
ヘッジ
金利 金利 1.37% 1,708 22,611 69,600 1,009 94,928
(1)
AUD/USD為替レート 0.74
外国為替
40 121 - 656 817
USD/EUR為替レート 0.91
純投資ヘッジ
外国為替 20.68 - 146 - - 146
TWD/AUD為替レート
(1) 外国為替リスクのヘッジは、複数の通貨ペアを対象としている。この表は金額の大きい通貨ペアのみを反映している。
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当グループの指定されたヘッジ関係の非有効部分による影響は、ヘッジ関係の種類別およびヘッジ対象リスク別に以下のと
おりである。
非有効部分
キャッシュフロー・
損益で認識され ヘッジ準備金または
ヘッジ手段の価 たヘッジの非有 FCTRから損益に再分
ヘッジ対象の価
連結
(2) (3) (4)
値の変動 値の変動 効部分 類された金額
(単位:百万ドル)
2023年9月30日現在
(1)
公正価値ヘッジ
金利 (846) 870 24 -
外国為替 (4) 4 - -
(1)
キャッシュフロー・ヘッジ
金利 280 (239) 41 (13)
外国為替 - - - 9
(1)
純投資ヘッジ
(39) 39 - 79
外国為替
2022年9月30日現在
(1)
公正価値ヘッジ
金利 697 (719) (22) -
外国為替 (55) 55 - -
(1)
キャッシュフロー・ヘッジ
金利 (3,619) 3,453 (166) (13)
外国為替 (4) 4 - 1
(1)
純投資ヘッジ
62 (62) - -
外国為替
非有効部分
キャッシュフロー・
損益で認識され ヘッジ準備金または
ヘッジ手段の価 たヘッジの非有 FCTRから損益に再分
ヘッジ対象の価
当行
(2) (3) (4)
値の変動 値の変動 効部分 類された金額
(単位:百万ドル)
2023年9月30日現在
(1)
公正価値ヘッジ
金利 (797) 814 17 -
外国為替 (4) 4 - -
(1)
キャッシュフロー・ヘッジ
金利 386 (344) 42 (15)
外国為替 - - - 9
(1)
純投資ヘッジ
(4) 4 - -
外国為替
2022年9月30日現在
(1)
公正価値ヘッジ
金利 1,570 (1,586) (16) -
外国為替 (55) 55 - -
(1)
キャッシュフロー・ヘッジ
金利 (3,643) 3,477 (166) (13)
外国為替 (4) 4 - 1
(1)
純投資ヘッジ
58 (58) - -
外国為替
(1) ヘッジ手段はすべてデリバティブ金融商品に分類されている。
(2) ヘッジ手段の価値変動は、クリアリング契約による決済評価差額(Settle to Market)に関する調整前。
(3) その他営業収入で認識される。
(4) 純利息収益およびその他営業収入で認識される。
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当グループの公正価値ヘッジに関連するヘッジ対象は以下のとおりである。
ヘッジ対象に対する
帳簿価額 公正価値ヘッジ調整累積額
資産 負債 資産 負債
貸借対照表上の ヘッジ対象
表示 リスク (単位:百万ドル)
連結
2023年9月30日現在
正味貸付金
固定金利貸付金および前
渡金 および前渡金 金利 3,472 - (139) -
固定金利発行済社債 発行済社債 金利 - (66,190) - 4,163
FVOCIで測定される固定金
(1)
利投資有価証券 投資有価証券 金利 61,082 - (5,121) -
FVOCIで測定される持分証
(1)
607 - 79 -
券 投資有価証券 外国為替
65,161 (66,190) (5,181) 4,163
合計
2022年9月30日現在
正味貸付金
固定金利貸付金および前
渡金 および前渡金 金利 10,252 - (369) -
固定金利発行済社債 発行済社債 金利 - (51,531) - 3,721
FVOCIで測定される固定金
(1)
利投資有価証券 投資有価証券 金利 53,915 - (5,349) -
FVOCIで測定される持分証
(1)
604 - 75 -
券 投資有価証券 外国為替
64,771 (51,531) (5,643) 3,721
合計
(1) FVOCIで測定する負債性金融商品および資本性金融商品の帳簿価額には、公正価値ヘッジ調整を含めていない。この公正価
値ヘッジ調整は、その他の包括利益に含めている。
中止されたヘッジ関係に関連する貸借対照表に留保された公正価値ヘッジ調整の累積金額は、-13百万ドル(2022年度:-7
百万ドル)である。
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当行の公正価値ヘッジに関連するヘッジ対象は以下のとおりである。
ヘッジ対象に対する
帳簿価額 公正価値ヘッジ調整累積額
資産 負債 資産 負債
貸借対照表上の ヘッジ対象
当行
表示 リスク (単位:百万ドル)
2023年9月30日現在
正味貸付金
固定金利貸付金および前
渡金 および前渡金 金利 3,472 - (139) -
固定金利発行済社債 発行済社債 金利 - (51,602) - 3,025
FVOCIで測定される固定金
(1)
利投資有価証券 投資有価証券 金利 52,336 - (4,342) -
FVOCIで測定される持分証
(1)
607 - 79 -
券 投資有価証券 外国為替
合計
56,415 (51,602) (4,402) 3,025
2022年9月30日現在
正味貸付金
固定金利貸付金および前
渡金 および前渡金 金利 10,252 - (369) -
固定金利発行済社債 発行済社債 金利 - (37,141) - 2,572
FVOCIで測定される固定金
(1)
利投資有価証券 投資有価証券 金利 44,038 - (4,489) -
FVOCIで測定される持分証
(1)
604 - 75 -
券 投資有価証券 外国為替
合計
54,894 (37,141) (4,783) 2,572
(1) FVOCIで測定する負債性金融商品および資本性金融商品の帳簿価額には、公正価値ヘッジ調整を含めていない。この公正価
値ヘッジ調整は、その他の包括利益に含まれている。
中止されたヘッジ関係に関連する貸借対照表に留保された公正価値ヘッジ調整の累積金額は、-13百万ドル(2022年度:-7
百万ドル)である。
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当グループおよび当行のキャッシュフロー・ヘッジおよび純投資ヘッジに関連したヘッジ対象は以下のとおりである。
キャッシュフロー・ヘッジ
準備金 為替換算調整勘定
非継続 非継続
継続ヘッジ ヘッジ 継続ヘッジ ヘッジ
連結
ヘッジ対象リスク (単位:百万ドル)
2023年9月30日現在
キャッシュフロー・ヘッジ
変動金利貸付金および前渡金 金利 (3,482) 11 - -
変動金利顧客預金 金利 794 (1) - -
外貨建て発行済社債 外国為替 - - - -
発生する可能性の高い予定取引 外国為替 - - - -
純投資ヘッジ
- - 12 49
海外事業 外国為替
2022年9月30日現在
キャッシュフロー・ヘッジ
変動金利貸付金および前渡金 金利 (4,286) 19 - -
変動金利顧客預金 金利 1,357 5 - -
外貨建て発行済社債 外国為替 (1) (1) - -
発生する可能性の高い予定取引 外国為替 (7) - - -
純投資ヘッジ
- - 43 (149)
海外事業 外国為替
キャッシュフロー・ヘッジ
準備金 為替換算調整勘定
非継続 非継続
継続ヘッジ ヘッジ 継続ヘッジ ヘッジ
ヘッジ対象リスク (単位:百万ドル)
当行
2023年9月30日現在
キャッシュフロー・ヘッジ
変動金利貸付金および前渡金 金利 (3,103) 2 - -
変動金利顧客預金 金利 495 - - -
外貨建て発行済社債 外国為替 - - - -
発生する可能性の高い予定取引 外国為替 - - - -
純投資ヘッジ
- - 12 49
海外事業 外国為替
2022年9月30日現在
キャッシュフロー・ヘッジ
変動金利貸付金および前渡金 金利 (4,005) 11 - -
変動金利顧客預金 金利 1,053 6 - -
外貨建て発行済社債 外国為替 (1) (1) - -
発生する可能性の高い予定取引 外国為替 (7) - - -
純投資ヘッジ
- - 88 (149)
海外事業 外国為替
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有価証券報告書
下表は、リスクの種類ごとに当グループのキャッシュフロー・ヘッジ準備金の調整の詳細を表示している。
金利 外貨 合計
(単位:百万ドル)
連結
2021年10月1日現在残高
398 (5) 393
公正価値評価益/(評価損) (3,453) (4) (3,457)
損益への振替 (13) 1 (12)
法人税他 1,040 - 1,040
2022年9月30日現在残高
(2,028) (8) (2,036)
公正価値評価益/(評価損) 239 - 239
損益への振替 (13) 9 (4)
法人税他 (69) (2) (71)
2023年9月30日現在残高
(1,871) (1) (1,872)
海外事業への純投資のヘッジの結果、当年度中にFCTRは40百万ドル増加した(2022年度:62百万ドル増加)。
下表は、リスクの種類ごとに当行のキャッシュフロー・ヘッジ準備金の調整の詳細を表示している。
金利 外貨 合計
(単位:百万ドル)
当行
2021年10月1日現在残高 389 (5) 384
公正価値評価益/(評価損) (3,477) (4) (3,481)
損益への振替 (13) 1 (12)
1,048 - 1,048
法人税他
2022年9月30日現在残高 (2,053) (8) (2,061)
公正価値評価益/(評価損) 344 - 344
損益への振替 (15) 9 (6)
(99) (2) (101)
法人税他
(1,823) (1) (1,824)
2023年9月30日現在残高
海外事業への純投資のヘッジの結果、当年度中にFCTRは4百万ドル減少した(2022年度:58百万ドル増加)。
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認識および測定
認識 当初および各報告日に、すべてのデリバティブは公正価値で認識される。デリバティブの公
正価値が正の値の場合、当該デリバティブは資産として計上され、公正価値が負の値の場合
は、負債として計上される。
評価調整は、デリバティブの公正価値を決定する上で不可欠なものである。評価調整には、
以下が含まれる。
・ カウンターパーティ・リスクおよび/またはデフォルトを反映するための、信用評価調
整
・ デリバティブ・ポートフォリオにおける資金調達コストと利益を考慮する資金調達評価
調整
資産および負債の デリバティブ資産は、契約が満了するか、所有に係るリスクおよび経済価値のほとんどすべ
認識の中止 てを移転した際に、貸借対照表から除外される。デリバティブ負債は、当グループの契約上
の義務が免除、取消または満了した際に、当グループの貸借対照表から除外される。
中央清算カウンターパーティーまたは取引所を通じて清算されるデリバティブについては、
デリバティブ資産または負債は各金融商品について定められている法的取決めに応じて、担
保が決済された際に上記の原則に従って認識が中止される場合がある。
損益計算書への デリバティブ金融商品に係る損益の認識は、当該デリバティブが売買目的で保有されている
か、それとも会計上のヘッジ関係に指定されているかに左右される。売買目的で保有するデ
影響
リバティブ金融商品について、公正価値の変動による利益または損失は、損益で認識され
る。
会計上のヘッジ関係に指定された商品について、利益または損失の認識は、ヘッジ対象の内
容に左右される。会計上のヘッジ関係の種類別認識アプローチの詳細については、106ページ
(訳注:原文のページ番号である。)の表を参照のこと。
会計上のヘッジの非有効部分は、金利の参照レートの差異、マージン、またはレート設定の
差異、およびヘッジ対象とヘッジ手段の間で割引による差異から発生する場合がある。
ヘッジの有効性 AASB第139号における会計上のヘッジ関係として適格であるためには、ヘッジ関係の有効性が
高いと見込まれなければならない。ヘッジ関係は、次の条件を満たした場合にのみ、有効性
が高いとされる。
・ ヘッジが指定される期間中に、ヘッジ対象リスクに起因する公正価値またはキャッシュ
フローの変動の相殺において高い有効性が見込まれる(期待有効性)
・ ヘッジの実際の結果が80%から125%の範囲内である(事後有効性)
当グループは、定期的にヘッジの有効性を監視しており、少なくとも各報告日現在において
監視を行っている。
重要な判断および見積り
デリバティブの公正価値測定に使用する評価技法の選定の際には判断が必要とされ、特に容易に観察できない評価
インプットの選定、および特定のデリバティブに対する評価調整を適用する際に判断が求められる。詳細について
は、注記18「金融資産および金融負債の公正価値」を参照のこと。
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11. 投資有価証券
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
FVOCIで測定される投資有価証券
負債証券 88,271 76,817 76,320 65,257
持分証券 946 1,353 945 1,027
償却原価で測定される投資有価証券
負債証券 7,752 7,943 5,936 6,115
FVTPLで測定される投資有価証券
- 40 - -
負債証券
合計
96,969 86,153 83,201 72,399
2023年度中に、ANZBGLは本再編の一環として、1835i信託、ティーアイエヌおよびポリネーションの資本持分を、ANZ NBH
Pty Ltdに譲渡した。
投資有価証券の満期の状況は、以下のとおりである。
連結
3か月から 1年から
3か月未満 12か月 5年 5年超 満期なし 合計
2023年9月30日現在
(単位:百万ドル)
政府債 8,807 10,233 29,482 36,081 - 84,603
社債および金融機関債 358 1,205 5,973 58 - 7,594
その他の有価証券 617 591 602 2,016 - 3,826
- - - - 946 946
持分証券
合計
9,782 12,029 36,057 38,155 946 96,969
2022年9月30日現在
政府債 6,544 14,045 29,806 21,856 - 72,251
社債および金融機関債 324 2,462 4,906 97 2 7,791
その他の有価証券 429 423 543 3,363 - 4,758
- - - - 1,353 1,353
持分証券
合計
7,297 16,930 35,255 25,316 1,355 86,153
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当事業年度中、当グループはFVOCIで測定する負債証券に関連して以前にその他の包括利益で認識されていた利益/損失のリ
サイクリングにより、9百万ドル(2022年度:28百万ドル)の純利益(税引前)を、その他営業収入に認識した。
当行
3か月から 1年から
3か月未満 12か月 5年 5年超 満期なし 合計
2023年9月30日現在
(単位:百万ドル)
政府債
7,665 8,649 23,140 33,182 - 72,636
社債および金融機関債 280 634 4,822 58 - 5,794
その他の有価証券 617 591 602 2,016 - 3,826
持分証券 - - - - 945 945
合計
8,562 9,874 28,564 35,256 945 83,201
2022年9月30日現在
政府債 5,715 11,647 23,100 19,853 - 60,315
社債および金融機関債 276 1,972 3,993 58 - 6,299
その他の有価証券 429 423 543 3,363 - 4,758
- - - - 1,027 1,027
持分証券
合計
6,420 14,042 27,636 23,274 1,027 72,399
当事業年度中、当行はFVOCIで測定する負債証券に関連して以前にその他の包括利益で認識された利益/損失のリサイクリン
グにより、6百万ドルの純損失(2022年度:1百万ドルの純利益)(税引前)を、その他営業収入に認識した。
認識および測定
投資有価証券は、売買以外の目的で保有される有価証券の形式の金融資産である(すなわち、譲渡可能な負債性金
融商品または資本性金融商品)。例外として、当グループの顧客貸付業務を円滑にするために使用される為替手形
(有価証券/譲渡性証書の一形態)は、契約内容をより的確に反映するため(投資有価証券ではなく)正味貸付金
および前渡金に分類されている。
売買目的以外で保有される持分投資は、商品毎にFVOCIで測定するものとして指定することができる。この選択が
なされる場合、当該投資の利益または損失は、売却時にその他の包括利益から純損益へ再分類されない。ただし、
利益または損失は、資本の部の中で再分類することができる。
投資有価証券として開示された資産は、101ページ(訳注:原文のページ番号である。)の当グループの金融資産
に関する開示の冒頭で概説されている金融資産の分類および測定についての一般方針の適用を受ける。また、「投
資有価証券-償却原価で測定される負債証券」および「投資有価証券-FVOCIで測定される負債証券」に伴う予想
信用損失は、注記13「予想信用損失引当金」に概説されている会計方針に従って認識および測定される。「投資有
価証券-FVOCIで測定される負債証券」について、予想信用損失(「ECL」)引当金は資本の部のFVOCI準備金に計
上され、対応する費用は損益で認識される。
重要な判断および見積り
評価に市場相場価格が使用されない資産の公正価値の算定に使用する評価技法の選定の際には判断が必要とされる
が、特に容易に観察できない評価インプットの選定の際にその判断が求められる。詳細については、注記18「金融
資産および金融負債の公正価値」を参照のこと。
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12. 正味貸付金および前渡金
下表は正味貸付金および前渡金の詳細を示したものである。
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
貸越 5,552 5,266 4,516 4,262
クレジットカード 6,805 6,755 5,630 5,664
手形融資 4,682 5,214 4,682 5,214
ターム・ローン-住宅 404,491 374,625 304,772 282,965
(1)
ターム・ローン-住宅以外 285,458 279,730 242,403 238,215
1,292 2,035 1,244 1,929
その他
708,280 673,625 563,247 538,249
小計
(2)
前受収益 (515) (518) (483) (480)
(2)
3,475 2,882 3,048 2,501
資産計上された仲介手数料およびその他の組成費用
貸付金および前渡金の総額 711,240 675,989 565,812 540,270
(3,546) (3,582) (2,795) (2,925)
予想信用損失引当金(注記13参照)
707,694 672,407 563,017 537,345
正味貸付金および前渡金
契約上の満期までの残存期間:
1年以内 152,318 146,142 128,045 121,513
555,376 526,265 434,972 415,832
1年超
707,694 672,407 563,017 537,345
正味貸付金および前渡金
貸借対照表計上基準 :
償却原価による測定 685,806 667,732 541,777 533,082
(1)
21,888 4,675 21,240 4,263
損益を通じた公正価値による測定
707,694 672,407 563,017 537,345
正味貸付金および前渡金
(1) 2023年度中に、当グループはマーケッツ事業の買戻条件付契約と売戻条件付契約をトレーディング勘定内において、公正
価値ベースで管理することを開始した。この結果、関連する買戻条件付契約と売戻条件付契約は、FVTPLで認識され測定さ
れることとなった。
(2) 貸付金の予想残存期間にわたって償却される。
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認識および測定
貸付金および前渡金は、固定された、または確定可能な支払額を伴う非デリバティブ金融資産であり、活発な市場
での相場価格がなく、当グループが顧客に直接的に、または第三者チャネルを通じて提供する与信枠である。
貸付金および前渡金は、当初公正価値に貸付金または前渡金の実行に直接起因する取引費用を加算した額で計上さ
れる。これらの取引費用は、主として仲介手数料およびその他の組成費用であり、貸付金の見積り貸付期間にわた
り償却される。貸付金および前渡金は、その後は、実効金利法を使用した償却原価から予想信用損失引当金を控除
した額で測定されるか、あるいは当初認識時にFVTPLで測定するものとして個別に指定された場合、売却目的保有
に分類された場合、もしくは売買目的保有の場合に公正価値で測定される。
詳細については、注記18「金融資産および金融負債の公正価値」を参照のこと。
資産をリースする契約および購入権付リース契約は、資産の所有に伴う実質的にすべてのリスクおよび経済価値を
顧客または当グループの関係者でない第三者に移転する場合にファイナンス・リースとして分類される。これらの
ファシリティは、上表では「その他」に含まれている。
当グループは、貸借対照表上で認識されている金融資産を譲渡する取引を行う。当グループが譲渡資産のリスクと
経済価値の実質的にすべてを留保している場合、当該譲渡された資産は当グループの貸借対照表に引き続き計上さ
れるが、実質的にすべてのリスクと経済価値が移転された場合には、当グループは当該資産の認識を中止する。リ
スクと経済価値が部分的に留保され、当該資産に対する支配を喪失した場合には、当グループは当該資産の認識を
中止する。当該資産に対する支配を喪失していない場合、当グループは継続関与の範囲で当該資産の認識を継続す
る。
資産の譲渡において権利と義務が留保、または発生した場合、権利と義務は内容に応じて別々に認識される。
正味貸付金および前渡金として開示された資産は、101ページ(訳注:原文のページ番号である。)で概説されて
いる金融資産の分類および測定についての一般方針の適用を受ける。また、償却原価で測定される正味貸付金およ
び前渡金に伴う予想信用損失は、注記13「予想信用損失引当金」に概説されている会計方針に従って認識および測
定される。
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13. 予想信用損失引当金
2023年 2022年
一括評価 個別評価 合計 一括評価 個別評価 合計
連結
(単位:百万ドル)
償却原価で測定される正味貸
付金および前渡金 3,180 366 3,546 3,049 533 3,582
帳簿外のコミットメント 817 10 827 766 9 775
投資有価証券-償却原価で測
35 - 35 38 - 38
定される負債証券
合計
4,032 376 4,408 3,853 542 4,395
その他の包括利益
投資有価証券-FVOCIで測定さ
(1)
15 - 15 10 - 10
れる負債証券
2023年 2022年
一括評価 個別評価 合計 一括評価 個別評価 合計
当行
(単位:百万ドル)
償却原価で測定される正味貸
付金および前渡金
2,516 279 2,795 2,500 425 2,925
帳簿外のコミットメント 692 5 697 668 5 673
投資有価証券-償却原価で測
1 - 1 1 - 1
定される負債証券
合計
3,209 284 3,493 3,169 430 3,599
その他の包括利益
投資有価証券-FVOCIで測定さ
(1)
12 - 12 7 - 7
れる負債証券
(1) FVOCIで測定される資産については、ECL引当金によって帳簿価額が変動することはなく、引き続き公正価値で計上され
る。その代わり、ECL引当金はその他の包括利益に認識されており、対応する費用は損益で認識される。
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下表は、当年度中のECL引当金の増減を表示している。
償却原価で測定される正味貸付金および前渡金
ECL引当金は正味貸付金および前渡金に含まれている。
(1)
ステージ3
ステージ1 ステージ2 一括評価 個別評価 合計
(単位:百万ドル)
連結
2021年10月1日現在 968 1,994 417 666 4,045
ステージ間の移動 219 (224) (95) 100 -
新規および増加した引当金(戻入控除後) (48) (202) 42 420 212
戻入 - - - (222) (222)
貸倒償却(償却債権回収額を除く。) - - - (428) (428)
(2)
2 (20) (4) (3) (25)
為替換算およびその他の増減
1,141 1,548 360 533 3,582
2022年9月30日現在
ステージ間の移動 148 (138) (94) 84 -
新規および増加した引当金(戻入控除後) (73) 202 61 388 578
戻入 - - - (212) (212)
貸倒償却(償却債権回収額を除く。) - - - (409) (409)
(2)
11 12 2 (18) 7
為替換算およびその他の増減
1,227 1,624 329 366 3,546
2023年9月30日現在
(1) 購入または組成された信用減損(「POCI」)貸付金および前渡金に係る当グループの信用エクスポージャーは重要でな
い。
(2) その他の増減には、個別評価ECL引当金に係る割引のアンワインドの影響または当該年度中に完了した売却の影響が含まれ
ている。
(1)
ステージ3
ステージ1 ステージ2 一括評価 個別評価 合計
(単位:百万ドル)
当行
2021年10月1日現在 797 1,679 348 563 3,387
ステージ間の移動 192 (201) (84) 93 -
新規および増加した引当金(戻入控除後) (59) (220) 31 354 106
戻入 - - - (193) (193)
貸倒償却(償却債権回収額を除く。) - - - (386) (386)
(2)
16 1 - (6) 11
為替換算およびその他の増減
946 1,259 295 425 2,925
2022年9月30日現在
ステージ間の移動 122 (118) (83) 79 -
新規および増加した引当金(戻入控除後) (43) 98 39 295 389
戻入 - - - (192) (192)
貸倒償却(償却債権回収額を除く。) - - - (310) (310)
(2)
1 - - (18) (17)
為替換算およびその他の増減
1,026 1,239 251 279 2,795
2023年9月30日現在
(1) POCI貸付金および前渡金に係る当行の信用エクスポージャーは重要でない。
(2) その他の増減には、個別評価ECL引当金に係る割引のアンワインドの影響が含まれている。
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帳簿外のコミットメント-未実行および条件付与信枠
ECL引当金はその他引当金に含まれている。
(1)
ステージ3
ステージ1 ステージ2 一括評価 個別評価 合計
(単位:百万ドル)
連結
2021年10月1日現在 555 211 19 21 806
ステージ間の移動 40 (34) (8) 2 -
新規および増加した引当金(戻入控除後) 7 (28) 18 (2) (5)
戻入 - - - (11) (11)
(2)
(9) (5) - (1) (15)
為替換算およびその他の増減
593 144 29 9 775
2022年9月30日現在
ステージ間の移動 31 (29) (4) 2 -
新規および増加した引当金(戻入控除後) - 46 (1) 2 47
戻入 - - - (4) (4)
(2)
6 1 1 1 9
為替換算およびその他の増減
630 162 25 10 827
2023年9月30日現在
(1) 当グループのPOCI貸付金および前渡金に係る信用エクスポージャーに重要性はない。
(2) その他の増減には、当年度中に完了した売却の影響が含まれている。
(1)
ステージ3
ステージ1 ステージ2 一括評価 個別評価 合計
(単位:百万ドル)
当行
2021年10月1日現在 484 171 12 7 674
ステージ間の移動 33 (27) (6) - -
新規および増加した引当金(戻入控除後) 17 (29) 20 - 8
戻入 - - - (2) (2)
(2)
(4) (3) - - (7)
為替換算およびその他の増減
530 112 26 5 673
2022年9月30日現在
ステージ間の移動 27 (26) (3) 2 -
新規および増加した引当金(戻入控除後) (10) 35 (2) - 23
戻入 - - - (2) (2)
3 - - - 3
為替換算
550 121 21 5 697
2023年9月30日現在
(1) 購入または組成された信用減損(「POCI」)貸付金および前渡金に係る当行の信用エクスポージャーは重要でない。
(2) その他の増減には、当年度中に完了した売却の影響が含まれている。
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投資有価証券-償却原価で測定される負債証券
ECL引当金は投資有価証券に含まれている。
ステージ3
ステージ1 ステージ2 一括評価 個別評価 合計
(単位:百万ドル)
連結
2022年9月30日現在
38 - - - 38
2023年9月30日現在 35 - - - 35
ステージ3
ステージ1 ステージ2 一括評価 個別評価 合計
(単位:百万ドル)
当行
2022年9月30日現在 1 - - - 1
1 - - - 1
2023年9月30日現在
投資有価証券-FVOCIで測定される負債証券
FVOCI資産は公正価値で測定されるため、個別のECL引当金はない。その代わり、ECL引当金はその他の包括利益に認識されて
おり、対応する費用は損益で認識される。
ステージ3
ステージ1 ステージ2 一括評価 個別評価 合計
連結
(単位:百万ドル)
2022年9月30日現在
10 - - - 10
2023年9月30日現在 15 - - - 15
ステージ3
ステージ1 ステージ2 一括評価 個別評価 合計
当行
(単位:百万ドル)
2022年9月30日現在
7 - - - 7
2023年9月30日現在 12 - - - 12
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貸倒引当金繰入-損益計算書
貸倒引当金繰入/(戻入)の内訳
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
(1)(2)
新規および増加した引当金(戻入控除後)
-一括評価 152 (311) 41 (333)
-個別評価 476 520 376 447
(3)
(216) (233) (194) (195)
戻入
(167) (208) (148) (184)
償却債権回収額
245 (232) 75 (265)
貸倒引当金繰入合計
(1) 一括評価および個別評価間の振替の影響を含む。
(2) 新規および増加した引当金(戻入控除後)の内訳は以下のとおり。
連結 当行
2023 年 2022 年 2023 年 2022 年
一括評価 個別評価 一括評価 個別評価 一括評価 個別評価 一括評価 個別評価
(百万ドル) (百万ドル) (百万ドル) (百万ドル) (百万ドル) (百万ドル) (百万ドル) (百万ドル)
償却原価で測定される正味
貸付金および前渡金 106 472 (308) 520 15 374 (341) 447
帳簿外のコミットメント 43 4 (5) - 21 2 8 -
投資有価証券-償却原価で
測定される負債証券 (1) - 3 - - - - -
投資有価証券-FVOCIで測定
される負債証券 4 - (1) - 5 - - -
合計 152 476 (311) 520 41 376 (333) 447
(3) 償却原価で測定される正味貸付金および前渡金の戻入が当グループについて212百万ドル(2022年度:222百万ドル)、当
行について192百万ドル(2022年度:193百万ドル)、帳簿外のコミットメントが当グループについて4百万ドル(2022年
度:11百万ドル)、当行について2百万ドル(2022年度:2百万ドル)含まれている。
当年度中に償却されたが、引き続き回収活動の対象となる金融資産の契約上の残高は、当グループについて147百万ドル
(2022年度:143百万ドル)、当行について133百万ドル(2022年度:128百万ドル)である。
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認識および測定
予想信用損失モデル
予想信用損失の測定は、一連のシナリオを、貨幣の時間的価値、過去の事象、現在の状況および将来の経済状況の
予想を考慮に入れる偏りのない確率加重予想を反映する。
予想信用損失は、以下の3段階のアプローチに基づいて、組成以降の信用の悪化に従って、12か月間または当該金
融資産の予想残存期間に対して測定される。
・ ステージ1:金融資産の組成時において、また組成以降信用リスクの著しい増大(「SICR」)がない場合、
報告日から12か月以内に起こりうるデフォルト事象から発生する予想信用損失を反映してECL引当金が認識
される。満期までの残存期間が12か月未満の金融商品については、予想信用損失は、満期までの残りの期間
にわたって起こりうるデフォルト事象に基づいて見積もられる。
・ ステージ2:組成以降信用リスクが著しく増大している場合、金融商品の予想残存期間にわたって起こりう
るすべてのデフォルト事象から発生する予想信用損失を反映してECL引当金が認識される。その後の期間
に、信用リスクの状況が改善され、組成以降の信用リスクの増大が著しいものとはみなされなくなった場
合、当該エクスポージャーはステージ1の区分に戻され、これに従ってECLが測定される。
・ ステージ3:減損の客観的証拠が存在する場合、全期間のECLに相当する引当金が認識される。
ステージ1およびステージ2のエクスポージャーについては、予想信用損失は集合的に見積もられ、ステージ3に
移動した場合に集合的または個別に見積もられる。
予想信用損失の測定
ECLは、与信枠レベルで以下の信用リスク要因から算出したものを、貨幣の時間的価値を組み込んで割り引いたも
のである。
・ デフォルト確率(「PD」)-借り手が所与の期間にデフォルトする確率の見積り
・ デフォルト時エクスポージャー(「EAD」)-元本および利息の返済、与信枠からの追加的な借入の実行な
らびに経過利息を考慮に入れた、デフォルト時の予想貸借対照表エクスポージャー
・ デフォルト時損失率(「LGD」)-借り手のデフォルトの際の予想損失で、直接的および間接的な回収費用
も考慮に入れられ、当該与信枠のEADに対する割合で表される。
これらの信用リスク要因は、マクロ経済的変数の使用を通じて、現在の情報および将来情報に関して調整される。
予想存続期間
ステージ2およびステージ3エクスポージャーのECLを見積もる際に、当グループは信用リスクに晒されると予想
される全期間を考慮する。
リテール以外のポートフォリオに関して、当グループはリボルビング以外の与信枠について最長の契約期間を予想
全期間として使用している。法人向け与信枠等、リテール以外のリボルビング与信枠の予想全期間には、契約で合
意された年次審査の一環として当グループが与信枠を取り消す契約上の権利を、適用される通知期間を考慮して反
映する。
リテールのポートフォリオに関して、予想残存期間は予想される期限前返済および重大な条件緩和を生じさせる事
象を考慮した行動パターンを使用して決定される。
デフォルト、信用減損および償却の定義
ECLの測定に使用されるデフォルトの定義は、全ポートフォリオにわたって、内部信用リスク管理目的に使用され
る定義に一致させている。この定義はまた、規制上のデフォルトの定義にも沿っている。デフォルトは、債務者が
当グループに対する契約上の支払義務を完全に履行する可能性が低いことを示す兆候がある、またはエクスポー
ジャーが延滞90日となった場合に発生する。
金融資産(担保が十分な金融資産を含む。)は、デフォルトした場合、財務報告目的上は信用減損が発生している
とみなされる。
回収の現実的な可能性がない場合、貸付金は、当グループの内部プロセスが完了し、合理的に予想されたすべての
回収時に、関連する貸倒引当金を充当して償却される。その後の期間における償却債権回収額は、損益計算書に貸
倒引当金繰入額の戻入として計上される。
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条件変更した金融資産
信用または商業上の理由から、金融資産の契約条件の変更、あるいは現存の金融資産が新しい金融資産に置き換え
られた場合、現存の金融資産に対する大幅な条件変更とみなされるかを判定するための評価が行われる。この評価
では、変更条件から発生するキャッシュフローの変化に加え、元本金額(与信限度額)、期間、原担保の変更な
ど、商品全体のリスク・プロファイルの変化の両方が検討される。大幅な条件変更とみなされない場合、現存の金
融商品の認識中止は行われず、SICRの判定には引き続き組成日が使用される。大幅な条件変更とみなされる場合、
現存の金融商品の認識は中止され、条件変更日に新しい金融資産が公正価値で認識され、当該条件変更日がこの新
しい資産のSICRの判定に使用される組成日となる。
信用リスクの著しい増大(「SICR」)
ステージ2の資産は、組成以降にSICRがあった資産である。SICRの構成内容の決定にあたり、当グループは定性的
情報と定量的情報の両方を考慮する。
ⅰ . 内部信用格付等級
ポートフォリオの大部分に関してSICRの主要な指標とされているのは、組成以降の与信枠に関する内部格付等
級の著しい悪化であり閾値を適用して測定される。
リテール以外のポートフォリオに関して、SICRは報告日時点で与信枠に適用される顧客信用格付(「CCR」)
と、当該与信枠の組成時のCCRを比較して判定される。CCRは、借り手のPDを反映して各借り手に割り当てら
れ、将来予測的な情報を含む、借り手固有の情報および借り手以外の固有の情報の両方が組み込まれる。CCR
は最低限1年に1度、または顧客の信用リスクに影響を及ぼすおそれのある事象が発生した場合はより頻繁に
見直しの対象となる。
リテールのポートフォリオに関して、SICRは与信枠の種類に応じて、報告日時点のシナリオ加重された全期間
にわたるPDと、組成時にシナリオ加重された全期間にわたるPDを比較して、あるいは顧客の行動スコアの閾値
を参照して判定される。シナリオ加重された全期間にわたるデフォルト確率は、以下の場合に著しい増大とな
る。
・ 経済見通しの悪化、または経済の不透明性が高まった場合
・ 顧客の信用状況全般、または支払義務の管理能力の低下があった場合
ⅱ . バックストップ基準
当グループは、リテール以外とリテールのポートフォリオの両方について、30日延滞をバックストップ基準と
して使用している。リテール・ポートフォリオに関してのみ、ステージ1への復帰前に3か月から6か月間の
良好な支払実績を示すことが要求される。
将来予測的な情報
当グループは、金融資産の組成以降にSICRが生じたか否かの評価と、ECLの見積りの両方に将来予測的な情報を組
み込んでいる。ECLの見積りにおいて将来予測的な情報を適用する際に、当グループは以下の4つの確率加重予想
経済シナリオを検討する。
ⅰ . ベースケースシナリオ
ベースケースシナリオは、将来のマクロ経済状況についてのANZの見解である。このシナリオは、戦略計画お
よび予算策定に使用された経営陣の仮定を反映し、当グループが3年の計画期間で戦略計画および資本計画に
適用するプロセスである当グループの自己資本充実度評価プロセス(「ICAAP」)における情報としても利用
される。
ⅱ . アップサイドおよび ⅲ .ダウンサイドシナリオ
アップサイドシナリオおよびダウンサイドシナリオは、平均的な景気サイクルの状況を参照して決定され(す
なわち、これらは貸借対照表日現在の実勢経済状況に基づくのではない。)、長期的計画期間にわたるより楽
観的(アップサイドシナリオの場合)またはより悲観的(ダウンサイドシナリオの場合)な経済事象および不
確実性の組合わせに基づく。
ⅳ . 深刻なダウンサイドシナリオ
当グループは、現在の経済情勢や地政学的環境をより適切に反映するために、2022年の深刻なダウンサイドシ
ナリオを、平均的な景気サイクルの状況を参照して設定したシナリオから、グループ全体でのストレステスト
に使用されたシナリオに合わせたものに変更した。
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これらの4つのシナリオは、貸出ポートフォリオおよび借り手の国別に、PD、LGDおよびEADのモデル(ECLモデル
と総称)に使用されるマクロ経済変数の観点で記述される。これらのマクロ経済変数の例は、失業率、国内総生産
(「GDP」)成長率、住宅用不動産価格指数、商業用不動産価格指数、消費者物価指数などである。
各シナリオの確率加重は、ベースケース経済シナリオを取り巻くリスクおよび不確実性、ならびに必要な場合には
個別のポートフォリオに対する検討事項を考慮して経営陣によって決定される。グループ資産負債委員会
(「GALCO」)はベースケース経済シナリオの見直しおよび承認を担当し、信用および市場リスク委員会
(「CMRC」)は、シナリオに適用される確率加重を承認する。
該当する場合、モデル化プロセスにおいて既知または予想されるリスクが適切に対処されない状況を考慮するため
の一時的な調整が行われる。CMRCは、このような調整を承認する責任を負っている。
重要な判断および見積り
一括評価される予想信用損失引当金
一括評価ECLの見積りにおいて、当グループは以下に関する判断、仮定を行っている。
・ 見積技法またはモデル化手法の選択
・ これらのモデルに対するインプットの選択、インプット間の相互依存性
下表は、モデルのインプット、ならびにインプット間の相互依存性に関する重要な判断および仮定をまとめたもの
で、当期中の重要な変更を示している。
判断および関連する仮定は、各種の要因が世界経済にどのように影響するかについての不確実性を踏まえて作成さ
れており、現状において合理的であると考えられる将来の事象の予測など、関連があるとみなされる過去の実績や
その他の要因を反映している。当グループのECLの見積りは本質的に不確実なものであり、結果として、これらの
見積りは実際の結果と異なる可能性がある。
判断/仮定 説明 2023年9月30日に終了した事業年度の検討
事項
信用リスクの著しい増 ECLの測定において、結果として貸付金がス SICRの判定は過去の期間と整合して適用さ
大の発生または解消の テージ1からステージ2へ移動することに れている。
時期の判定 なるような当初認識時以降のSICRがあるか
否かの判定には判断を伴う。ステージ1か
らステージ2への移動は、翌12か月間のデ
フォルト確率(「PD」)に基づく引当金か
ら、全期間にわたる予想信用損失引当金へ
とECLを増加させることから、重要な判断領
域である。ステージ2からステージ1への
移動をもたらすその後の信用リスクの減少
は、同様にECL引当金の大幅な変動をもたら
す。
SICRのトリガーポイントを正確に設定する
ためには、ECL引当金の額に重大な影響を及
ぼす可能性のある判断が必要とされる。当
グループは、SICR判定基準の有効性を継続
的に監視している。
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判断/仮定 説明 2023年9月30日に終了した事業年度の検討
事項
12か月間と全期間の両 ECLの決定に使用されるPD、LGD、EADの各要 PD、LGDおよびEADのモデルは、定期的なモ
方の予想信用損失の測 素は、経営陣が決定した関連する将来予測 デルのモニタリングと再検証を規定し、モ
定 的な情報を反映した一定時点での測定値で デルの重要性に応じた承認手続きと権限を
ある。どの将来予測的な情報が特定の貸付 定めた当グループのモデルリスク方針の適
ポートフォリオに関連するか、および各 用を受ける。
ポートフォリオの一時点での感応度の決定 方針に重要な変更はなかった。
に関連するかの判定には判断を伴う。
また、ECLの測定に使用する、与信枠の全期
間を見積るにあたり、行動特性を適用する
場合にも判断が必要とされる。
ベースケース経済予測 当グループは、将来のマクロ経済状況に係 モデルのインプットとして用いられている
るANZリサーチ・エコノミクス(「ANZエコ 将来情報の変数(主要経済要因)の種類に
ノミクス」)の見解を反映して将来予測的 変更はなかった。
な「ベースケース」経済シナリオを策定し 2023年9月30日現在、ベースケースの仮定
ている。 は、継続的な高金利とインフレ水準の上昇
に伴うオーストラリアとニュージーランド
の景気減速と家計消費水準の低下を反映す
るように更新されている。
2023年9月30日現在のベースケースシナリ
オについて予想される主要経済要因の結果
は、「ベースケース経済予測に関する仮
定」の項に後述されている。
各経済シナリオの確率 各経済シナリオの確率加重は、各測定日時 当期における確率加重は、当グループが営
加重(ベースケース、 点のベースケース経済シナリオを取り巻く 業する諸国において継続する高金利とイン
アップサイド、ダウン リスクおよび不確実性を考慮して経営陣に フレの影響によるダウンサイドリスクの評
サイド、深刻なダウン よって決定される。 価を反映するために調整されている。当期
サイドのシナリオ) オーストラリア、ニュージーランドおよび および過去の期間の加重は、後述の「確率
(1)
世界の他の地域で割り当てられる確率加重 加重」の項に詳述されている。
は、内在する不確実性の影響を大きく受け
るため、実際の結果が予想と大きく異なる
可能性がある。
経営陣による一時的な ECL引当金に対する経営陣による一時的な調 経営陣は、インフレと金利の上昇に伴う不
調整 整は、当グループの既存のインプット、仮 確実性に対応するための調整を引き続き適
定およびモデル技法が当グループの貸付 用している。
ポートフォリオに関連するすべてのリスク オーストラリアの住宅ローン、クレジット
要因を捕捉していないと判断された状況で カードや小規模企業を含むリテールに特有
使用される。当グループの最新のパラメー のリスク、ならびにニュージーランドの
ター、リスク格付または将来予測的な情報 モーゲージ、商業用不動産および農業につ
に組み込まれていない、発生しつつある、 いて、マネジメント・オーバーレイが行わ
地域的または世界的なマクロ経済的、ミク れた。
ロ経済的または政治的な事象、自然災害、 経営陣は検討を行い、2023年9月30日の時
ならびに自然現象は、こうした状況の例で 点では、当年度中の気候または天候に関連
ある。 した事象について、ECLの一時的調整は必要
ないと結論した。
(1) アップサイドシナリオおよびダウンサイドシナリオは、平均的な景気サイクルの状況を参照して決定され(すなわち、こ
れらは貸借対照表日現在の実勢経済状況に基づくものではない。)、より楽観的(アップサイドシナリオの場合)または
より悲観的(ダウンサイドシナリオの場合)な経済状況の組合わせに基づく。
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ベースケース経済予測に関する仮定
上記の不確実性が継続する場合、経済予測のリスクが高まり、その結果、ECL残高が過少または過大になる。
2023年9月30日現在で使用された将来のマクロ経済状況に関するANZエコノミクスの見解を反映したベースケース
経済予測の主要経済要因は次のとおりである。以下の短期予測以降の期間について、ECLモデルは全期間の損失を
算出するために経済状況については単純化された仮定を適用している。
暦年予測
2023年 2024年 2025年
オーストラリア
GDP(年間成長率) 1.5 1.3 2.2
失業率(年間平均) 3.6 4.4 4.5
住宅用不動産価格(年間上昇率) 5.9 2.8 4.3
消費者物価指数(年間平均上昇率) 5.6 3.5 2.9
ニュージーランド
GDP(年間成長率) 0.7 0.3 1.5
失業率(年間平均) 3.8 4.8 5.1
住宅用不動産価格(年間上昇率) -0.6 2.3 3.2
消費者物価指数(年間平均上昇率) 6.0 3.8 2.2
その他の地域
GDP(年間成長率) 1.8 0.9 2.0
消費者物価指数(年間平均上昇率) 3.9 2.9 2.2
オーストラリア、ニュージーランド、その他の地域のベースケース経済予測では、経済活動の減速が継続する。
オーストラリアとニュージーランドにおける高インフレの継続により、金利は高止まりし、予測期間中の成長率は
鈍化すると予想されている。
確率加重
各シナリオの確率加重は、前述の不確実性を含むベースケースの景気シナリオを取り巻くリスクおよび不確実性を
考慮して経営陣によって決定される。
ダウンサイドおよび深刻なダウンサイドシナリオが修正されたことに伴い、ベースケースの平均加重は45.9%
(2022年9月:45%)に引き上げられた。ダウンサイドケースの平均加重は41.2%(2022年9月:40%)に引き上
げられ、深刻なダウンサイドケースの平均加重は12.9%(2022年9月:15%)に引き下げられた。
オーストラリア、ニュージーランドおよび世界の他の地域で割り当てられる確率加重は、固有の不確実性の影響を
大きく受けるため、実際の結果が予想と大きく異なる可能性がある。当グループは、当グループのクレジット・
ポートフォリオにおける短期的および長期的な相互関係を考慮に入れつつ、損失の可能性の見積りを提示するため
に各地域の加重を検討している。当グループで適用される平均加重は以下のとおりである。
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
ベース
45.9% 45.0% 45.0% 45.0%
アップサイド 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
ダウンサイド 41.2% 40.0% 42.1% 40.0%
深刻なダウンサイド 12.9% 15.0% 12.9% 15.0%
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ECL - 感応度分析
足元の経済の不確実性と、将来の期間における借手の予想デフォルトを判断する際に用いられる要因に適用される
判断を踏まえると、当グループが報告する予想信用損失は、予想可能な見積り範囲内で最善の見積りと考えられ
る。
下表は、2023年9月30日現在の一括評価ECLの決定に用いられる主要要因とそれに対する感応度を示している。
連結 当行
ECL 影響 ECL 影響
(単位:百万ドル)
ステージ1与信枠の1%がステージ2に含まれている場合
4,116 84 3,283 73
ステージ2与信枠の1%がステージ1に含まれている場合 4,027 (5) 3,206 (4)
100%アップサイドシナリオ 1,274 (2,758) 1,050 (2,160)
100%ベースシナリオ 1,790 (2,242) 1,406 (1,804)
100%ダウンサイドシナリオ 3,123 (909) 2,484 (726)
100%深刻なダウンサイドシナリオ 9,251 5,219 7,457 4,247
個別に評価される予想信用損失引当金
個別に評価されるECLを見積もる際に、当グループは返済予想、担保物件の実現可能価額、顧客事業の見通し、競
合請求ならびに債権処理プロセスの予想費用および期間に関連する判断および仮定を行う。
これらの事項に関する判断と仮定は、とりわけ上記の不確実性を反映するように更新されている。
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金融負債
以下は、後述の注記での開示に適用される当グループの金融負債の分類および測定方法の概説である。
分類および測定
金融負債
金融負債は、償却原価または、売買目的で保有される場合にはFVTPLで測定される。加えて、金融負債は以下の場
合にFVTPLで測定されるものとして指定することができる。
・ この指定により、指定しない場合に発生する会計上のミスマッチを解消または著しく減少させる場合。
・ 金融負債のグループが、文書化されたリスク管理戦略に従って、公正価値で管理され、その実績が公正価値
に基づいて評価される場合。
・ 金融負債が1件またはそれ以上の組込デリバティブを含む場合。ただし、以下の場合を除く。
a) その組込デリバティブが、それがなければ契約上求められていたはずのキャッシュフローを大幅に変
更していない場合。
b) 組込デリバティブが、主契約となる金融負債と密接に関連している場合。
金融負債が公正価値で測定するものとして指定されている場合、企業の自己信用リスクの変動に係る利益および損
失は、その他の包括利益に含められるが、それにより、損益における会計上のミスマッチが生じるまたは拡大する
場合を除く。
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14. 預金およびその他の借入金
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
譲渡性預金 41,919 34,049 39,426 32,411
定期預金 247,893 200,064 196,309 157,479
要求払い預金および短期預金 356,601 369,460 297,195 310,857
無利息預金 42,906 50,906 24,456 29,416
銀行からの預り金および買戻条件付契約により売却した
(1)
有価証券 92,562 103,580 86,464 98,825
33,322 39,222 31,225 36,619
コマーシャル・ペーパーおよびその他の借入金
815,203 797,281 675,075 665,607
預金およびその他の借入金
契約上の満期までの残存期間:
1年以内 805,808 781,573 671,395 654,997
9,395 15,708 3,680 10,610
1年超
815,203 797,281 675,075 665,607
預金およびその他の借入金
貸借対照表計上基準 :
償却原価による測定 781,314 794,621 643,868 665,567
(1)
33,889 2,660 31,207 40
損益を通じた公正価値による測定
815,203 797,281 675,075 665,607
預金およびその他の借入金
(1) 2023年度中に、当グループはマーケッツ事業のトレーディング勘定内において、公正価値ベースによる買戻条件付契約と
売戻条件付契約の管理を開始した。この結果、関連する買戻条件付契約と売戻条件付契約は、FVTPLで認識され測定される
こととなった。
認識および測定
預金およびその他の借入金の認識および測定は次のとおりである
・ 当初認識時にFVTPLに指定されていないものについては、償却原価で測定され、実効金利法を用いて支払利
息を認識する。
・ 公正価値で管理され、会計上のミスマッチを低減もしくは解消する、または組込デリバティブを含むもの
は、FVTPLで測定するものとして指定する。
詳細については、注記18「金融資産および金融負債の公正価値」を参照のこと。
公正価値評価に指定された預金およびその他の借入金について、当グループの自己信用リスクの変動に起因する公
正価値損益は、利益剰余金のその他の包括利益で認識される。公正価値損益の残りの金額は、損益に直接認識され
る。その他の包括利益で認識された金額は、その後に損益に再分類されることはない。
買戻条件付契約により売却した有価証券は、所有に係るリスクおよび経済価値が当グループに留保されていること
により、当該金融資産を買い戻す負債を表しており、当グループの貸借対照表に引き続き計上されている。売却価
格と買戻価格の差額は、買戻条件付契約の期間にわたって認識され、損益計算書の支払利息に費用計上される。
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15. 支払債務およびその他の負債
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
支払債務および未払費用
5,811 2,896 4,582 2,189
(1)
公正価値で測定される負債 5,267 3,239 4,922 2,857
リース負債 1,767 1,040 1,531 1,628
トレイル・コミッション負債 1,469 1,320 1,469 1,320
その他の負債 1,618 1,340 775 568
支払債務およびその他の負債
15,932 9,835 13,279 8,562
(1) 売買目的保有に分類され、FVTPLで測定される空売り有価証券に関連する。
認識および測定
当グループは、過去の事象の結果、経済的資源を移転する現在の債務がある場合に負債を認識する。
その他の負債に区分される各項目の測定基準は以下のとおりである。
・ 支払債務、未払費用およびその他の負債は、契約上の支払額または当該支払債務の決済に必要な対価の最善
の見積りで測定される。
・ 公正価値で測定される負債は空売り有価証券に関連しているが、空売り有価証券は売買目的保有に分類さ
れ、活発な市場における相場価格に基づいてFVTPLで測定される。
・ リース負債は、将来支払リース料を、リース開始時における当グループの追加借入利子率を使用した現在価
値で当初測定される。その後、帳簿価額は、リース負債に対する利息、支払ったリース料およびリースの再
評価または条件変更を反映して調整される。
・ トレイル・コミッション負債は、行動パターンにおける平均的な貸付期間とブローカーが組成する貸付金残
高を考慮に入れた将来のトレイル・コミッションの予想支払額の現在価値に基づいて測定される。
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16. 発行済社債
当グループは、主にANZBGLまたは他の銀行子会社を通じて、各種の資金調達プログラムを利用して優先債務(カバード・ボ
ンドおよび証券化を含む。)および劣後債務を発行している。優先債務と劣後債務の違いは、当グループが発行体である優先
債務の保有者は、当該発行体の債務である劣後債務の保有者に対して優先権を有することである。当グループの発行体の清算
にあたって、劣後債務が返済されるのは、当該発行体がその預金者、その他の債権者および当該発行体の優先債務の保有者に
対する返済が行われた後となる。
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
優先債務 63,233 52,324 50,671 40,325
カバード・ボンド 18,223 12,967 15,084 9,371
880 1,115 - -
証券化
非劣後債務合計 82,336 66,406 65,755 49,696
劣後債務
-ANZBGLのその他Tier1資本 8,232 7,705 8,287 7,763
-ANZBGLのTier2資本 23,707 17,907 23,707 17,907
1,739 1,716 464 462
-その他の劣後債務証券
33,678 27,328 32,458 26,132
劣後債務合計
116,014 93,734 98,213 75,828
発行済社債合計
(1)
契約上の満期までの残存期間 :
1年以内 21,746 25,208 18,499 21,990
1年超 92,856 66,660 78,245 51,929
1,412 1,866 1,469 1,909
満期日なし(永久債)
116,014 93,734 98,213 75,828
発行済社債合計
貸借対照表計上基準 :
償却原価による測定 114,678 92,623 95,881 72,757
1,336 1,111 2,332 3,071
損益を通じた公正価値による測定
116,014 93,734 98,213 75,828
発行済社債合計
(1) 最終満期日に基づくが、その他Tier1資本証券の場合、強制転換日がある場合はその日に基づく。
発行済社債の通貨別内訳
下表は、当グループの発行済社債の通貨別内訳を示したものであり、概して社債保有者の本拠地を表している。
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
USD 米ドル
32,723 25,527 24,074 17,206
EUR ユーロ 26,990 19,923 21,356 14,049
AUD 豪ドル 47,043 36,398 46,123 35,259
NZD ニュージーランドドル 1,575 1,628 43 46
JPY 日本円 1,993 2,159 1,993 2,159
CHF スイスフラン 1,039 954 - -
GBP 英ポンド 2,230 5,261 2,230 5,261
HKD 香港ドル 1,407 771 1,407 771
その他 人民元およびシンガポールドル 1,014 1,113 987 1,077
発行済社債合計
116,014 93,734 98,213 75,828
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劣後債務
2023年9月30日現在、ANZBGLが発行したすべての劣後債務(ANZBGLの300百万米ドルの永久劣後債を除く。)は、当グループ
の規制資本として適格である。APRAの適正資本の目的上、ANZBGLが発行した劣後債務商品は、当該商品の条件に従い、当グ
ループのその他Tier1(「AT1」)資本(ANZキャピタルノート(「ANZ CN」)およびANZ資本証券(「ANZ CS」)の場合)、
または当グループのTier2資本(期限付劣後債の場合)のいずれかに分類される。
ANZバンク・ニュージーランドが外部に発行する劣後債務は、ANZバンク・ニュージーランドと当グループの両方の劣後債務
で構成される。当該劣後債務は、ニュージーランド準備銀行(「RBNZ」)の自己資本要件目的上、ANZバンク・ニュージーラン
ドのTier2資本となるが、当該劣後債務の条件がAPRAの自己資本要件を満たさないため、当グループのTier2資本とはならな
い。
AT1資本
ANZBGLが発行したすべての発行済AT1資本商品は、APRAの適正資本の目的上、バーゼル3に全面的に準拠した商品である
(バーゼル3についての詳細は、注記24「資本管理」を参照のこと。)。ANZ CNとANZ CSは、それぞれ同順位である。
AT1資本商品に係る分配は累積されず、発行体の完全裁量および一定の支払条件(規制上の要件を含む。)のもとで行われ
る。ANZ CNに係る分配は、ANZGHL普通株式に適用されるフランキングと同様のフランキングの対象となる。
発行体は、定められている場合には、AT1資本商品について特定の期日および一定の状況下(税務事由、規制事由等)にお
いて、繰上償還または転換オプションを行使することができる。この償還オプションは、APRAの書面による事前承認を条件と
する。
各AT1資本商品は、以下の場合に、不定数のANZGHL普通株式(所定の転換株数を上限に、転換直前のANZGHL普通株式の平均
市場株価から1%割引後の価格に基づく。)に直ちに転換される。
・ 当グループまたはANZBGLの普通株式等Tier1資本比率が5.125%以下となった場合(普通株式資本関連のトリガー事
由)、または
・ APRAが、特定の有価証券の転換もしくは償却、または公的資金の注入(もしくは同等の支援)がなければ、ANZBGLが存
続不能に陥ると判断していると、ANZBGLに通達した場合(存続不能のトリガー事由)
定められている場合、AT1資本商品は、以下の日に不定数のANZGHL普通株式(転換直前の平均市場株価から1%割引後の価
格に基づく。)に強制的に転換される。
・ 定められた強制転換日、または
・ 条件に定義されている一定の状況下においてそれよりも早い日。
ただし、一定の転換基準を満たさない場合、強制転換は所定の期間延期される。
AT1資本証券が転換され、保有者がANZGHL普通株式を受け取る場合、
・ AT1資本証券は額面価額でANZGHLに移管される。
・ ANZBGLは、この有価証券を償還すると同時に、親会社であるANZ BH Limitedに対して普通株式を発行する (所定の転換
株数を上限として、連結純資産を参照して算出したANZBGLの株価に基づく。)。
・ ANZ BH Limitedは、ANZGHLに対して株式を発行する(ANZ BH Limitedについて同一の基準で算出される。)。
ANZバンク・ニュージーランドが外部に発行した優先株式は、RBNZの自己資本要件の目的上、ANZバンク・ニュージーランド
のその他Tier1資本となるが、当該優先株式の条件がAPRAの自己資本の要件を満たさないため、当グループのその他Tier1資
本とはならない。当該優先株式は、注記23「株主資本」において、非支配持分に含まれている。
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下表は、当事業年度および前事業年度の9月30日現在におけるANZBGLの発行済AT1資本商品の主要な内容である。
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
(1)
ANZBGLのその他Tier1資本(永久劣後債)
ANZキャピタルノート(ANZ CN)
(2)
ANZ CN3
AUD 970百万 - 970 - 985
AUD 1,622百万 ANZ CN4 1,621 1,619 1,621 1,619
AUD 931百万 ANZ CN5 929 928 929 928
AUD 1,500百万 ANZ CN6 1,489 1,487 1,489 1,487
AUD 1,310百万 ANZ CN7 1,298 1,297 1,298 1,297
AUD 1,500百万 ANZ CN8 1,483 - 1,481 -
ANZ 資本証券 ( ANZ CS)
USD 1,000百万 ANZ資本証券 1,412 1,404 1,469 1,447
(3)
8,232 7,705 8,287 7,763
ANZBGLのその他Tier1資本合計
(1) 発行費用控除後の帳簿価額。
(2) ANZキャピタルノート3は2023年3月24日にすべて償還され、約502百万ドルの償還金は同日にANZキャピタルノート8に再
投資された。
(3) これは、当グループの適格その他Tier1資本の一部を構成する。詳細については、注記24「資本管理」を参照のこと。
ANZキャピタルノート(ANZ CN)
CN3 CN4 CN5
発行体 ANZBGL(ニュージーラン ANZBGL ANZBGL
ド支店を通じて発行)
発行日 2015年3月5日 2016年9月27日 2017年9月28日
発行額 970百万ドル 1,622百万ドル 931百万ドル
額面価額 $100 $100 $100
配当の頻度 半期毎に後払い 四半期毎に後払い 四半期毎に後払い
配当率 変動レート:(180日物銀 変動レート:(90日物銀 変動レート:(90日物銀
行手形レート+3.6%) × 行手形レート+4.7%) × 行手形レート+3.8%) ×
(1-オーストラリア法 (1-オーストラリア法 (1-オーストラリア法
人税率) 人税率) 人税率)
(1)
発行体による繰上償還または転換 2024年3月20日 2025年3月20日
2023年3月24日
オプション
(2)
強制転換日 2026年3月20日 2027年3月20日
2025年3月24日
普通株式資本関連のトリガー事由 あり あり あり
存続不能のトリガー事由 あり あり あり
帳簿価額(発行費用控除後) ゼロ 1,621百万ドル 929百万ドル
(2022年度:970百万ド (2022年度:1,619百万ド (2022年度:928百万ド
ル) ル) ル)
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CN6 CN7 CN8
発行体 ANZBGL ANZBGL ANZBGL
発行日 2021年7月8日 2022年3月24日 2023年3月24日
発行額 1,500百万ドル 1,310百万ドル 1,500百万ドル
額面価額 $100 $100 $100
配当の頻度 四半期毎に後払い 四半期毎に後払い 四半期毎に後払い
配当率 変動レート:(90日物銀 変動レート:(90日物銀 変動レート:(90日物銀
行手形レート+3.0%) × 行手形レート+2.7%) × 行手形レート+2.75%) ×
(1-オーストラリア法 (1-オーストラリア法 (1-オーストラリア法
人税率) 人税率) 人税率)
発行体による繰上償還または転換 2028年3月20日 2029年3月20日 2030年3月20日
オプション
強制転換日 2030年9月20日 2031年9月20日 2032年9月20日
普通株式資本関連のトリガー事由 あり あり あり
存続不能のトリガー事由 あり あり あり
帳簿価額(発行費用控除後) 1,489百万ドル 1,298百万ドル 1,483百万ドル
(2022年度:1,487百万ド (2022年度:1,297百万ド (2022年度:ゼロ)
ル) ル)
(1) ANZキャピタルノート3は2023年3月24日にすべて償還され、約502百万ドルの償還金は同日にANZキャピタルノート8に再
投資された。
(2) CN3は全額が償還されているため、今後強制転換日が適用されることはない。
ANZ資本証券(ANZ CS)
発行体 ANZBGL(ロンドン支店を通じて発行)
発行日 2016年6月15日
発行額 1,000百万米ドル
額面価額 最低券面単位200,000米ドルで、それを超える場合の超過額は1,000米ドル
の整数倍
利払の頻度 半期毎に後払い
金利 2026年6月15日まで年利6.75%の固定金利。2026年6月15日およびその5
年毎の応当日に、5年物米ドルスワップレート仲値+5.168%の変動金利
に再設定
発行体による繰上償還オプション 2026年6月15日およびその5年毎の応当日
普通株式資本関連のトリガー事由 あり
存続不能のトリガー事由 あり
帳簿価額(発行費用控除後) 1,412百万ドル(2022年度:1,404百万ドル)
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TIER2資本
ANZBGLが発行した転換可能期限付劣後債は、APRAの適正資本の目的上、バーゼル3に全面的に準拠した商品である。存続不
能のトリガー事由が発生した場合、各転換可能期限付劣後債は、ANZGHL普通株式に直ちに転換される(所定の転換株数を上限
として、転換直前のANZGHLの株式の平均市場価格から1%割引後の価格に基づく。)。
Tier2資本証券が転換され、保有者がANZGHLの普通株式を受領する場合、ANZBGLは親会社であるANZ BH Limitedに普通株式
を発行するものとし(所定の転換株数を上限として、連結純資産を基準として算出したANZBGLの株価に基づく。)、ANZ BH
LimitedはANZGHLに株式を発行する(同一の基準で算出される。)。
下表は、当事業年度および前事業年度の9月30日現在におけるANZBGLが発行したTier2資本劣後債務を示している。
連結 当行
次回繰上償還可能
日 ― APRAの事前承
2023年 2022年 2023年 2022年
通貨 額面価額 満期日 認を条件とする 金利
(単位:百万ドル)
ANZBGLのTier2資本(期限付劣後債)
USD 800百万 2024 該当なし 固定金利 1,220 1,189 1,220 1,189
JPY 20,000百万 2026 該当なし 固定金利 207 213 207 213
USD 1,500百万 2026 該当なし 固定金利 2,125 2,113 2,125 2,113
JPY 10,000百万 2028 2023 固定金利 - 106 - 106
AUD 225百万 2032 2027 固定金利 225 225 225 225
AUD 1,750百万 2029 2024 変動金利 1,750 1,750 1,750 1,750
EUR 1,000百万 2029 2024 固定金利 1,555 1,410 1,555 1,410
AUD 265百万 2039 該当なし 固定金利 170 179 170 179
USD 1,250百万 2030 2025 固定金利 1,808 1,785 1,808 1,785
AUD 1,250百万 2031 2026 変動金利 1,250 1,250 1,250 1,250
USD 1,500百万 2035 2030 固定金利 1,786 1,830 1,786 1,830
AUD 330百万 2040 該当なし 固定金利 202 214 202 214
AUD 195百万 2040 該当なし 固定金利 117 124 117 124
EUR 750百万 2031 2026 固定金利 1,104 1,003 1,104 1,003
GBP 500百万 2031 2026 固定金利 830 714 830 714
AUD 1,450百万 2032 2027 固定金利 1,400 1,390 1,400 1,390
AUD 300百万 2032 2027 変動金利 300 300 300 300
JPY 59,400百万 2032 2027 固定金利 606 627 606 627
SGD 600百万 2032 2027 固定金利 659 618 659 618
AUD 900百万 2034 2029 固定金利 871 867 871 867
USD 1,250百万 2032 該当なし 固定金利 1,803 - 1,803 -
EUR 1,000百万 2033 2028 固定金利 1,594 - 1,594 -
AUD 1,000百万 2038 2033 固定金利 975 - 975 -
AUD 275百万 2033 2028 固定金利 275 - 275 -
AUD 875百万 2033 2028 変動金利 875 - 875 -
(1)(2)
23,707 17,907 23,707 17,907
ANZBGLのTier2資本合計
(1) 帳簿価額は発行費用控除後であり、該当する場合は公正価値ヘッジ会計調整後である。
(2) これは、当グループの適格Tier2資本の一部を構成する。詳細については、注記24「資本管理」を参照のこと。
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その他の劣後債務証券
ANZバンク・ニュージーランドが発行した期限付劣後債は、RBNZの要件の下でのTier2資本を構成する。しかし、これらの劣
後債務は(特に)存続不能のトリガー事由を含んでおらず、したがって、当グループの規制資本として適格となるためのAPRA
によるTier2資本商品の要件を充足しない。
連結 当行
次回繰上償還
(1)
2023年 2022年 2023年 2022年
通貨 額面価額 満期日 可能日 金利
(単位:百万ドル)
(2)
ANZBGLが発行したバーゼル3非適格の永久劣後債
USD 300百万 永久債 半年毎の利払日 変動金利 464 462 464 462
ANZバンク・ニュージーランド・リミテッドニュージーランド発行
の期限付劣後債
NZD 600百万 2031 2026 固定金利 555 524 - -
USD 500百万 2032 2027 固定金利 720 730 - -
その他の劣後債務
1,739 1,716 464 462
(1) APRAまたはRBNZの事前承認を条件とする(該当する場合)。
(2) 300百万米ドルの永久劣後債は、2023年10月31日にANZBGLによって償還された。
認識および測定
発行済社債は、当初公正価値で当初認識され、その後は、FVTPLで測定するものとして指定されている場合を除
き、償却原価で測定される。発行済社債に係る支払利息は、実効金利法を用いて計上される。当グループがヘッジ
関係を指定して公正価値ヘッジ会計を開始した場合、ヘッジ対象リスクに起因する公正価値評価は、当該社債の帳
簿価額を調整することで反映される。
資本に基づいた転換条項(すなわち、普通株式資本関連のトリガー事由または存続不能のトリガー事由)を持つ劣
後債務は、FVTPLで別個に会計処理される組込デリバティブを含んでいると考えられる。これらのトリガー事由を
受けた転換にあたり発行される株式の金額は、最大転換数に左右されることから組込デリバティブが生じるが、ト
リガー事由の発生可能性が低いことを鑑み、報告日現在の評価額は重要な金額ではない。
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17. 財務リスク管理
リスク管理の枠組みおよびモデル
序論
顧客にバンキングおよびその他の金融サービスを提供する当グループの事業において、金融商品の利用は必須である。これ
に伴う財務リスク(主に、信用、市場および流動性リスク)は、当グループの主要な重大リスクの重要な部分を占めている。
当グループは、当グループに影響を及ぼすすべての主要な重大リスクの詳細および当グループのリスク管理活動についての
詳細な情報を、年次報告書(英文)のガバナンスおよびリスク管理の項で開示している。
本注記では、当グループの財務リスク管理の方針、プロセスおよび主要な財務リスクと関連する定量的開示を詳述してい
る。
主な重要財務リスク 本リスクに適用される主要な項目
信用リスク ・ 信用リスクの概要、管理および統制責任
以下の結果発生する財務的損失のリスク。 ・ 信用リスクの最大エクスポージャー
・ 取引相手がその債務の履行を怠る。 ・ 信用の質
・ 取引相手の信用の質が悪化し、結果として財務 ・ 信用リスクの集中
的損失をもたらす。 ・ 担保管理
信用リスクには、当グループが、気候変動、法律、規
制もしくは政府あるいは規制当局によって採用される
その他の政策の変化から影響を受けるおそれのある顧
客への貸付に伴うリスクを取り入れている。気候変動
の影響には、物理的リスク(気候または天候関連事
象)および低排出経済への適応により生ずる移行リス
クの両方が含まれる。移行リスクには、結果として生
じる上記の法律、規制および政策の変更が含まれる。
市場リスク ・ 市場リスクの概要、管理および統制責任
以下により発生する当グループの利益に対するリス ・ 市場リスクの測定
ク。 ・ トレーディングに起因する市場リスクおよびト
・ 金利、為替レート、信用スプレッド、ボラティ レーディングに起因しない市場リスク
リティおよび相関関係の変動 ・ FVOCIで測定するものとして指定された持分証券
・ 債券価格、コモディティ価格または株価の変動 ・ 外国為替リスク ― 構造的エクスポージャー
流動性および資金調達リスク ・ 流動性リスクの概要、管理および統制責任
当グループが、期日到来時に、以下を含む支払義務を ・ 流動性リスクについての重要な測定分野
履行することができないリスク。 ・ 流動性リスクの結果
・ 預金の払戻しまたは満期を迎えるホールセール ・ 当グループの負債の契約上の期日までの残存期
債務 間別分析
・ 当グループの増加資産に対する資金調達能力の
不足
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概要
リスク管理の枠組みの概要
この概要は、財務書類利用者が、AASB第7号「金融商品:開示」に基づいて義務付けられる財務上の開示内容の理解におけ
る手助けとなることを目的としている。この概要は、年次報告書(英文)のガバナンスおよびリスク管理の項と併せて読まれ
るべきものである。
取締役会は、当グループのリスク管理の枠組み(「RMF」)を確立し、監視する責任を負う。取締役会は、取締役会のリスク
委員会(「BRC」)に、当グループのリスク管理方針の策定およびその遵守を監視する権限を委譲している。BRCは、その活動
を取締役会に定期的に報告している。
取締役会は以下を含む、当グループの戦略目的を承認する。
・ 当グループが戦略目的および事業計画の追求において、受け入れる用意があるリスクの程度に関する取締役会の期待値
を示したリスク選好度ステートメント(「RAS」)
・ 当グループのリスク管理戦略およびこの戦略を実施するRMFの主要な要素を記述した、リスク管理戦略(「RMS」)。こ
れには、重大な各リスク、ならびにRMFのそれぞれのリスクへの対応方法の概要が、関連する方針、基準および手続きを
参照して記述されている。また、当グループが重大なリスクをどのように特定、測定、評価、監視、報告および管理ま
たは低減するかも含まれている。
当グループは、研修ならびに管理基準および手続きを通じて、全従業員がその役割および義務を理解しており、規律があり
信頼性の高い統制環境の維持を目指している。ANZにおいては、リスクは各従業員が責任を担う。
当グループは、以下の職務を担うチーフ・リスク・オフィサーが率いる独立したリスク管理機能部門を有している。
・ リスク・プロファイルおよびリスク管理の枠組みを監視する責任を負う。
・ 当グループのリスク・プロファイルに重大な影響を及ぼす業務活動および決定に対して実効性のある異議を唱えること
ができる。
・ 懸念事項の適切な上申を可能にするために、独立したBRCへの報告経路を持つ。
内部監査機能部門は、取締役会監査委員会(「BAC」)に直属している。内部監査は以下を行う。
・ リスク管理の枠組みへの遵守とリスク管理の枠組みの有効性を確保することを目的とした、当グループのRMFの年次評価
を独立した立場から行う。
・ リスク管理の枠組みの適切性、有効性および十分性を確保することを目的とした、3年ごとの包括的なレビューを実施
する。
・ 日常業務の有効性の強化を目的として、枠組みおよび/または実務慣行を改善するための勧告を行う。
信用リスク
信用リスクの概要、管理および統制責任
顧客に対する信用供与は、当グループの利益の主要源泉の一つである。この活動は主要リスクでもあるため、当グループは
その管理に多大な資源を振り向けている。当グループは、多様な市場および多くの法域において、広範囲の貸出およびその他
の活動に伴う信用リスクを負っている。信用リスクは伝統的な顧客への貸出に加えて、銀行間取引、トレジャリー、貿易金融
および世界中の資本市場での活動からも生じる。
当グループの信用リスク管理の枠組みは、取締役会により設定される信用リスク選好度の測定、監視および管理について、
一貫性のある取組みが当グループ全体に適用されることを確実にしている。信用リスクの監視という職務を果たす際、取締役
会は、BRCによる支援および助言を受ける。BRCは、以下を行う。
・ 信用リスク選好度および与信戦略の設定
・ 経営執行陣の裁量を超える与信取引の承認
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当グループは、エクスポージャーの種類全体にわたっての一貫性を確保し、報告および分析目的で一貫性のある枠組みを提
供するために、信用リスクを内部格付システム(統一測定基準)を通じて定量化している。このシステムでは、顧客エクス
ポージャーについて次の項目を測定するためにモデルおよびその他のツールが使用される。
デフォルト確率(「PD」) 顧客の借入金の元利払いおよび返済能力に対する当グループの評価を反映
した顧客の信用格付け(「CCR」)で表される。
デフォルト時エクスポージャー 元本および利息の返済、予想される与信枠からの追加的な借入の実行なら
(「EAD」) びに経過利息を考慮に入れた、デフォルト時での予想貸借対照表エクス
ポージャー。
デフォルト時損失率(「LGD」) AからGまでの担保指標(「SI」)は、顧客のデフォルト時に当グループが
現金化することができる担保で貸付金がカバーされている割合を参照して
計算される。AからGまでの指標は、預金額やソブリン支援等の要素を取り
扱う一連のその他のSIで補完される。リテールおよび一部の小規模企業向
け貸付については、エクスポージャーは大きな同質的なプールにグループ
分けされ、LGDはプールのレベルで指定される。
当グループの信用リスク専門家のチームは、当グループのPDおよびLGD格付モデルを策定し、検証する。これら
のモデルから得られたアウトプットにより、組成、価格設定、承認レベル、自己資本比率規制、経済的資本配分
および信用供与などに関して当グループの日々の信用リスク管理上の決定が行われている。
当グループが与信関係を有するすべての顧客には、次の評価手法のいずれかを通じて、組成時にCCRが割り当てられる。
大口かつ複雑な貸付 リテールおよび一部の小規模企業向け貸付
格付モデルにより一貫性のある体系的な評価が提供で スコアリング(アプリケーション上および行動パター
きるが、モデルで想定されていない要因に関しては判 ンの)、ポリシー・ルールおよび外部の信用報告の情
断が求められる。与信承認は、事業部門の引受担当者 報を組み合わせたものを使用する、与信申請の自動評
と独立したクレジット・オフィサーが共同で承認する 価。与信申請が、自動評価の基準を満たさない場合、
二重承認基準で行われている。 マニュアル評価の対象となる。
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当グループでは、金融資産の信用度を管理するために、当グループの内部CCRを使用している。広範な比較を可能にするため
に、当グループのCCRは、以下のように外部の格付機関の測定基準に合わせて作成されている。
ムーディーズ S&Pグローバル
信用の質の説明 内部CCR ANZ顧客要件 格付け 格付け
信用度が高い CCR 0+から4- 長期にわたる営業活動および財務成績に Aaa – Baa3 AAA – BBB-
おいて優れた安定性を示し、収益力が予
測可能な事象に対してそれほど脆弱では
ない。
受入れ可能 CCR 5+から6- 中には景気循環傾向および利益の変動性 Ba1 – B1 BB+ – B+
の影響を受けやすい顧客が存在する可能
性があるものの、中期から長期にわたり
適切な営業上および財政上の安定性を示
している。
信用度が低い CCR 7+から8= 短期および場合によっては中期にわたり B2 - Caa B - CCC
収益性および流動性の変動および不確実
性が予想されることから、いくらかの営
業上および財政上の不安定性を示してい
る。
デフォルト CCR 8-から10 与信枠の回収可能性に関して疑いが生じ 該当なし 該当なし
た場合、当該金融商品(または「当該与
信枠」)はデフォルトに分類される。
信用リスクの最大エクスポージャー
貸借対照表上で認識されている金融資産の場合、信用リスクの最大エクスポージャーは、帳簿価額である。一定の状況にお
いて、貸借対照表上の帳簿価額と以下の表において公表される額には差異がある場合がある。これらの差異は主に、市場リス
クにさらされる持分商品または紙幣および硬貨など、信用リスク以外のリスクにさらされる金融資産について生じる。
未実行の与信枠について、信用リスクの最大エクスポージャーは、与信枠の総額である。偶発的なエクスポージャーについ
て、信用リスクの最大エクスポージャーは、かかる請求が行われた場合に当グループが支払わなければならない最大額であ
る。
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下表は、担保またはその他の信用補完を考慮前の当グループの帳簿上および帳簿外の信用リスクの最大エクスポージャーを
示したものである。
信用リスクの
(1)
報告金額 除外金額 最大エクスポージャー
2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
連結
貸借対照表勘定
正味貸付金および前渡金 707,694 672,407 - - 707,694 672,407
その他金融資産:
現金および現金同等物 168,154 168,132 1,070 1,147 167,084 166,985
ANZの未収決済残高 9,349 4,762 9,349 4,762 - -
支払担保 8,558 12,700 - - 8,558 12,700
売買目的資産 37,004 35,237 4,881 3,860 32,123 31,377
デリバティブ金融商品 60,406 90,174 - - 60,406 90,174
投資有価証券
-償却原価で測定される
負債証券 7,752 7,943 - - 7,752 7,943
-FVOCIで測定される負債
証券 88,271 76,817 - - 88,271 76,817
-FVOCIで測定される持分
証券 946 1,353 946 1,353 - -
-FVTPLで測定される負債
証券 - 40 - - - 40
規制上の預け金 646 632 - - 646 632
(2)
4,378 2,943 - - 4,378 2,943
その他金融資産
385,464 400,733 16,246 11,122 369,218 389,611
その他金融資産合計
1,093,158 1,073,140 16,246 11,122 1,076,912 1,062,018
小計
帳簿外のポジション
(3)
290,055 285,041 - - 290,055 285,041
未実行および条件付与信枠
合計
1,383,213 1,358,181 16,246 11,122 1,366,967 1,347,059
(1) 現金および現金同等物のうちの硬貨、紙幣および銀行預金、ANZの未収決済残高のうちの約定日基準の資産、売買目的資産
のうちの貴金属のエクスポージャーおよびカーボンクレジット、ならびに投資有価証券のうちの持分証券は、信用リス
ク・エクスポージャーを伴わないため、除外されている。
(2) その他金融資産は、主に未収利息および引受手形で構成されている。
(3) 未実行および条件付与信枠には、保証、信用状、履行関連の偶発債務を、一括評価および個別評価される予想信用損失引
当金を控除したうえで含めている。
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信用リスクの
(1)
報告金額 除外金額 最大エクスポージャー
2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
当行
貸借対照表勘定
正味貸付金および前渡金 563,017 537,345 - - 563,017 537,345
その他金融資産:
現金および現金同等物 154,408 155,483 667 787 153,741 154,696
ANZの未収決済残高 8,935 4,024 8,935 4,024 - -
支払担保 7,717 11,368 - - 7,717 11,368
売買目的資産 30,693 28,073 4,472 3,348 26,221 24,725
デリバティブ金融商品 59,989 88,056 - - 59,989 88,056
投資有価証券
-償却原価で測定される
負債証券 5,936 6,115 - - 5,936 6,115
-FVOCIで測定される負債
証券 76,320 65,257 - - 76,320 65,257
-FVOCIで測定される持分
証券 945 1,027 945 1,027 - -
規制上の預け金 284 249 - - 284 249
被支配法人に対する債権 26,067 22,860 - - 26,067 22,860
(2)
3,024 1,882 - - 3,024 1,882
その他金融資産
374,318 384,394 15,019 9,186 359,299 375,208
その他金融資産合計
937,335 921,739 15,019 9,186 922,316 912,553
小計
帳簿外のポジション
(3)
252,415 246,722 - - 252,415 246,722
未実行および条件付与信枠
合計
1,189,750 1,168,461 15,019 9,186 1,174,731 1,159,275
(1) 現金および現金同等物のうちの硬貨、紙幣および銀行預金、ANZの未収決済残高のうちの約定日基準の資産、売買目的資産
のうちの貴金属のエクスポージャーおよびカーボンクレジット、ならびに投資有価証券のうちの持分証券は、信用リス
ク・エクスポージャーを伴わないため、除外されている。
(2) その他金融資産は、主に未収利息および引受手形で構成されている。
(3) 未実行および条件付与信枠には、保証、信用状、履行関連の偶発債務を、一括評価および個別評価される予想信用損失引
当金を控除したうえで含めている。
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信用の質
下表は、担保またはその他の信用補完の影響を考慮しないステージごとの当グループの内部信用度格付に基づいて、当グ
ループの信用リスク・エクスポージャーの内訳を示したものである。
正味貸付金および前渡金
ステージ3
ステージ1 ステージ2 一括評価 個別評価 合計
(単位:百万ドル)
連結
2023年9月30日現在
信用度が高い 411,583 17,063 - - 428,646
受入れ可能 193,170 37,977 - - 231,147
信用度が低い 11,306 10,398 - - 21,704
- - 3,858 1,037 4,895
デフォルト
償却原価で測定される貸付金および前渡
金、総額 616,059 65,438 3,858 1,037 686,392
(1,227) (1,624) (329) (366) (3,546)
ECL引当金
償却原価で測定される貸付金および前渡
614,832 63,814 3,529 671 682,846
金、純額
0.20% 2.48% 8.53% 35.29% 0.52%
引当率
FVTPLで測定される貸付金および前渡金 21,888
前受収益 (515)
資産計上された仲介手数料およびその他の
3,475
組成費用
707,694
正味帳簿価額
2022年9月30日現在
信用度が高い 443,571 15,880 - - 459,451
受入れ可能 154,823 31,864 - - 186,687
信用度が低い 9,197 9,244 - - 18,441
- - 3,328 1,043 4,371
デフォルト
償却原価で測定される貸付金および前渡
金、総額 607,591 56,988 3,328 1,043 668,950
(1,141) (1,548) (360) (533) (3,582)
ECL引当金
償却原価で測定される貸付金および前渡
606,450 55,440 2,968 510 665,368
金、純額
0.19% 2.72% 10.82% 51.10% 0.54%
引当率
FVTPLで測定される貸付金および前渡金 4,675
前受収益 (518)
資産計上された仲介手数料およびその他の
2,882
組成費用
672,407
正味帳簿価額
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正味貸付金および前渡金
ステージ3
ステージ1 ステージ2 一括評価 個別評価 合計
(単位:百万ドル)
当行
2023年9月30日現在
信用度が高い 315,206 11,682 - - 326,888
受入れ可能 160,357 31,769 - - 192,126
信用度が低い 10,906 8,362 - - 19,268
- - 2,994 731 3,725
デフォルト
償却原価で測定される貸付金および前渡
金、総額 486,469 51,813 2,994 731 542,007
(1,026) (1,239) (251) (279) (2,795)
ECL引当金
償却原価で測定される貸付金および前渡
485,443 50,574 2,743 452 539,212
金、純額
0.21% 2.39% 8.38% 38.17% 0.52%
引当率
FVTPLで測定される貸付金および前渡金 21,240
前受収益 (483)
資産計上された仲介手数料およびその他の
3,048
組成費用
563,017
正味帳簿価額
2022年9月30日現在
信用度が高い 334,850 9,641 - - 344,491
受入れ可能 142,772 26,186 - - 168,958
信用度が低い 9,181 7,759 - - 16,940
- - 2,744 853 3,597
デフォルト
償却原価で測定される貸付金および前渡
金、総額 486,803 43,586 2,744 853 533,986
(946) (1,259) (295) (425) (2,925)
ECL引当金
償却原価で測定される貸付金および前渡
485,857 42,327 2,449 428 531,061
金、純額
0.19% 2.89% 10.75% 49.82% 0.55%
引当率
FVTPLで測定される貸付金および前渡金 4,263
前受収益 (480)
資産計上された仲介手数料およびその他の
2,501
組成費用
537,345
正味帳簿価額
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帳簿外のコミットメント-未実行および条件付与信枠
ステージ3
ステージ1 ステージ2 一括評価 個別評価 合計
(単位:百万ドル)
連結
2023年9月30日現在
信用度が高い 189,980 1,234 - - 191,214
受入れ可能 30,007 4,276 - - 34,283
信用度が低い 975 746 - - 1,721
- - 79 47 126
デフォルト
ECLの対象の未実行および条件付与信枠、総額 220,962 6,256 79 47 227,344
その他引当金に含まれるECL引当金
(630) (162) (25) (10) (827)
(注記22参照)
220,332 6,094 54 37 226,517
ECLの対象の未実行および条件付与信枠、純額
0.29% 2.59% 31.65% 21.28% 0.36%
引当率
(1)
63,538
ECLの対象外の未実行および条件付与信枠
290,055
未実行および条件付与信枠、純額
2022年9月30日現在
信用度が高い 191,363 1,703 - - 193,066
受入れ可能 18,583 3,078 - - 21,661
信用度が低い 774 706 - - 1,480
- - 113 19 132
デフォルト
ECLの対象の未実行および条件付与信枠、総額 210,720 5,487 113 19 216,339
その他引当金に含まれるECL引当金
(593) (144) (29) (9) (775)
(注記22参照)
210,127 5,343 84 10 215,564
ECLの対象の未実行および条件付与信枠、純額
0.28% 2.62% 25.66% 47.37% 0.36%
引当率
(1)
69,477
ECLの対象外の未実行および条件付与信枠
285,041
未実行および条件付与信枠、純額
(1) 通知をすることなく、無条件で随時取消可能なコミットメント。
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帳簿外のコミットメント-未実行および条件付与信枠
ステージ3
ステージ1 ステージ2 一括評価 個別評価 合計
当行
(単位:百万ドル)
2023年9月30日現在
信用度が高い 167,251 1,065 - - 168,316
受入れ可能 25,966 3,554 - - 29,520
信用度が低い 753 466 - - 1,219
- - 64 35 99
デフォルト
ECLの対象の未実行および条件付与信枠、総額 193,970 5,085 64 35 199,154
その他引当金に含まれるECL引当金(注記22参
(550) (121) (21) (5) (697)
照)
193,420 4,964 43 30 198,457
ECLの対象の未実行および条件付与信枠、純額
0.28% 2.38% 32.81% 14.29% 0.35%
引当率
(1)
53,958
ECLの対象外の未実行および条件付与信枠
252,415
未実行および条件付与信枠、純額
2022年9月30日現在
信用度が高い 185,979 1,725 - - 187,704
受入れ可能 15,496 2,306 - - 17,802
信用度が低い 711 463 - - 1,174
- - 97 13 110
デフォルト
ECLの対象の未実行および条件付与信枠、総額 202,186 4,494 97 13 206,790
その他引当金に含まれるECL引当金
(530) (112) (26) (5) (673)
(注記22参照)
201,656 4,382 71 8 206,117
ECLの対象の未実行および条件付与信枠、純額
0.26% 2.49% 26.80% 38.46% 0.33%
引当率
(1)
40,605
ECLの対象外の未実行および条件付与信枠
246,722
未実行および条件付与信枠、純額
(1) 通知をすることなく、無条件で随時取消可能なコミットメント。
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投資有価証券-償却原価で測定される負債証券
ステージ3
ステージ1 ステージ2 一括評価 個別評価 合計
(単位:百万ドル)
連結
2023年9月30日現在
信用度が高い 6,117 - - - 6,117
受入れ可能 112 - - - 112
1,558 - - - 1,558
信用度が低い
償却原価で測定される投資有価証券
-負債証券、総額 7,787 - - - 7,787
(35) - - - (35)
ECL引当金
償却原価で測定される投資有価証券
7,752 - - - 7,752
-負債証券、純額
0.45% - - - 0.45%
引当率
2022年9月30日現在
信用度が高い 6,279 - - - 6,279
受入れ可能 113 - - - 113
1,589 - - - 1,589
信用度が低い
償却原価で測定される投資有価証券
-負債証券、総額 7,981 - - - 7,981
(38) - - - (38)
ECL引当金
償却原価で測定される投資有価証券
7,943 - - - 7,943
-負債証券、純額
0.48% - - - 0.48%
引当率
ステージ3
ステージ1 ステージ2 一括評価 個別評価 合計
(単位:百万ドル)
当行
2023年9月30日現在
信用度が高い 5,796 - - - 5,796
受入れ可能 97 - - - 97
44 - - - 44
信用度が低い
償却原価で測定される投資有価証券
-負債証券、総額 5,937 - - - 5,937
(1) - - - (1)
ECL引当金
償却原価で測定される投資有価証券
5,936 - - - 5,936
-負債証券、純額
0.02% - - - 0.02%
引当率
2022年9月30日現在
信用度が高い 6,032 - - - 6,032
84 - - - 84
受入れ可能
償却原価で測定される投資有価証券
-負債証券、総額 6,116 - - - 6,116
(1) - - - (1)
ECL引当金
償却原価で測定される投資有価証券
6,115 - - - 6,115
-負債証券、純額
0.02% - - - 0.02%
引当率
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投資有価証券-FVOCIで測定される負債証券
ステージ3
ステージ1 ステージ2 一括評価 個別評価 合計
(単位:百万ドル)
連結
2023年9月30日現在
信用度が高い 88,271 - - - 88,271
- - - - -
受入れ可能
投資有価証券-FVOCIで測定される負債証券 88,271 - - - 88,271
(15) - - - (15)
その他の包括利益に認識されているECL引当金
0.02% - - - 0.02%
引当率
2022年9月30日現在
信用度が高い 76,668 - - - 76,668
149 - - - 149
受入れ可能
投資有価証券-FVOCIで測定される負債証券 76,817 - - - 76,817
(10) - - - (10)
その他の包括利益に認識されているECL引当金
0.01% - - - 0.01%
引当率
ステージ3
ステージ1 ステージ2 一括評価 個別評価 合計
(単位:百万ドル)
当行
2023年9月30日現在
信用度が高い 76,320 - - - 76,320
- - - - -
受入れ可能
投資有価証券-FVOCIで測定される負債証券 76,320 - - - 76,320
(12) (12)
その他の包括利益に認識されているECL引当金
0.02% - - - 0.02%
引当率
2022年9月30日現在
信用度が高い 65,257 - - - 65,257
- - - - -
受入れ可能
投資有価証券-FVOCIで測定される負債証券 65,257 - - - 65,257
(7) - - - (7)
その他の包括利益に認識されているECL引当金
0.01% - - - 0.01%
引当率
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有価証券報告書
その他金融資産
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
信用度が高い 270,012 301,735 274,741 301,771
(1)
2,579 2,164 2,022 1,707
受入れ可能
信用度が低い 604 945 280 351
- 7 - 7
デフォルト
273,195 304,851 277,043 303,836
帳簿価額合計
(1) 投資有価証券-FVTPLで測定される負債証券が、当グループについてゼロ(2022年度:40百万ドル)含まれ、当行について
は、ゼロ(2022年度:ゼロ)含まれている。
信用リスクの集中
信用リスクの集中は、多くの顧客が、類似した活動に従事している、類似した経済的特性を有している、または同一の地域
で類似した活動を行っており、そのため経済またはその他の状況の変化から同様の影響を受ける可能性がある場合に生じる。
当グループは、リスクの集中を管理するために与信ポートフォリオの監視および再調整を行っている。当グループはまた、単
一顧客への許容できない大規模エクスポージャーを回避するために、個別顧客限度額を設定している。
信用リスクが生じる金融商品の産業別内訳は以下のとおりである。
簿外信用関連の
貸付金および前渡金 その他金融資産 コミットメント 合計
2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
連結
農業、林業、漁業
および鉱業 35,797 33,668 612 781 16,707 17,694 53,116 52,143
ビジネスサービス 8,138 9,252 207 242 7,003 6,245 15,348 15,739
建設 5,506 6,155 36 48 7,212 6,594 12,754 12,797
電力、ガス、水道供給 8,626 9,650 463 790 11,837 9,865 20,926 20,305
娯楽、レジャー
および観光 13,486 12,886 78 89 3,889 3,691 17,453 16,666
金融、投資および保険 77,454 75,118 278,218 305,148 62,409 58,075 418,081 438,341
政府および公的機関 8,300 7,280 80,544 71,139 1,075 1,592 89,919 80,011
製造業 30,261 28,072 1,287 1,279 47,302 46,701 78,850 76,052
個人ローン 392,702 363,539 1,394 955 59,185 57,989 453,281 422,483
不動産業 58,064 55,203 439 606 17,503 17,862 76,006 73,671
小売業 12,900 11,648 113 98 8,131 7,076 21,144 18,822
運輸および倉庫 12,110 12,311 369 327 9,215 8,423 21,694 21,061
卸売業 12,538 15,215 660 1,235 25,783 28,042 38,981 44,492
32,398 33,628 4,833 6,912 13,631 15,967 50,862 56,507
その他
708,280 673,625 369,253 389,649 290,882 285,816 1,368,415 1,349,090
総計
(3,546) (3,582) (35) (38) (827) (775) (4,408) (4,395)
ECL引当金
704,734 670,043 369,218 389,611 290,055 285,041 1,364,007 1,344,695
小計
前受収益 (515) (518) - - - - (515) (518)
資産計上された仲介手
数料およびその他の組
3,475 2,882 - - - - 3,475 2,882
成費用
信用リスクの最大
707,694 672,407 369,218 389,611 290,055 285,041 1,366,967 1,347,059
エクスポージャー
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信用リスクが生じる金融商品の産業別内訳は以下のとおりである。
簿外信用関連の
貸付金および前渡金 その他金融資産 コミットメント 合計
2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
当行
農業、林業、漁業
および鉱業 20,622 19,065 586 751 15,198 16,304 36,406 36,120
ビジネスサービス 7,165 8,382 183 202 6,237 5,517 13,585 14,101
建設 4,545 5,004 30 42 6,038 5,376 10,613 10,422
電力、ガス、水道供給 7,956 8,820 302 533 10,409 8,526 18,667 17,879
娯楽、レジャー
および観光 11,721 11,267 67 58 3,390 3,192 15,178 14,517
金融、投資および保険 74,836 71,889 282,701 306,318 58,806 53,970 416,343 432,177
政府および公的機関 8,294 7,272 68,361 58,342 384 910 77,039 66,524
製造業 26,394 24,645 935 664 40,027 39,279 67,356 64,588
個人ローン 303,801 282,095 1,347 912 47,961 47,596 353,109 330,603
不動産業 44,903 42,592 368 531 15,794 15,640 61,065 58,763
小売業 11,099 10,048 85 74 7,342 6,279 18,526 16,401
運輸および倉庫 10,968 11,231 288 270 8,331 7,252 19,587 18,753
卸売業 10,320 13,055 480 791 22,385 24,185 33,185 38,031
20,623 22,884 3,567 5,721 10,810 13,369 35,000 41,974
その他
563,247 538,249 359,300 375,209 253,112 247,395 1,175,659 1,160,853
総計
(2,795) (2,925) (1) (1) (697) (673) (3,493) (3,599)
ECL引当金
560,452 535,324 359,299 375,208 252,415 246,722 1,172,166 1,157,254
小計
前受収益 (483) (480) - - - - (483) (480)
資産計上された仲介
手数料およびその他の
3,048 2,501 - - - - 3,048 2,501
組成費用
信用リスクの最大
563,017 537,345 359,299 375,208 252,415 246,722 1,174,731 1,159,275
エクスポージャー
担保管理
当行は、帳簿上および帳簿外のエクスポージャーについて、取引相手が返済義務を履行することができない場合の信用リス
クを低減するために担保を利用している。十分な担保が設定されている場合は、予想信用損失は認識されない。これは主に、
貸付けた資金を使用して購入した有価証券が担保に供されているマージンローンや売戻条件付契約などの特定の貸付商品の場
合である。一部の商品については、顧客が差し入れる担保は当該商品の組成に不可欠であり、そのため担保は厳密には返済の
ための二次的な資金源にならない。例えば、売掛金で担保されている貸付は一般的には売掛金を回収することによって返済さ
れる。当期中に、当グループの担保方針に変更はなかった。
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関連する金融資産の種類について保有する担保および保証の内容は次のとおりである。
正味貸付金および前渡金
貸付金 ― 住宅ローンおよび個人 住宅ローンは、不動産に対する抵当権によって担保されており、追加担保
は保証または預り金の形態をとる場合もある。
ローン
個人ローン(クレジットカードおよび当座貸越を含む。)は、大半が無担
保である。担保を設定する場合は、適格な車両、モーターホームおよびそ
の他の資産に限定される。
貸付金 ― 企業向け貸付金 企業向け貸付金は、担保付、部分担保付または無担保のいずれかである。
通常、不動産に対する抵当権および/または事業資産またはその他の資産
に対する担保権により担保を設定する。
適切な場合は、信用リスクを低減するために、保証、スタンドバイ信用状
またはデリバティブによるプロテクション等のその他の担保措置をとる場
合がある。
その他金融資産
売買目的資産、投資有価証券、デ 売買目的資産については、当行は発行体または取引相手からの直接的な担
リバティブおよびその他金融資産 保は求めない。ただし、商品の条件において担保が含まれている場合があ
る(例えば、資産担保証券)。債券の条件には、担保が含まれている場合
がある。
デリバティブに関する取引相手のデフォルトの際に、当行は通常、国際ス
ワップ・デリバティブ協会(「ISDA」)のマスター契約に基づいて、当該
取引相手とのすべての契約を解約し、デフォルト発生時点の市場水準で純
額決済する。
当行は、また、取引相手との未決済デリバティブ・ポジションが集計さ
れ、日次で現金担保(またはその他の形態の適格担保)を交換するISDAマ
スター契約のクレジット・サポート・アネックス(「CSA」)の利用を優先
的な慣行としている。担保は、取引相手のポジションがアウト・オブ・
ザ・マネーとなった際に取引相手から提供される(または、ANZのポジショ
ンがアウト・オブ・ザ・マネーとなった際に取引相手に提供される。)。
帳簿外のポジション
未実行および条件付与信枠 帳簿外のポジションの担保は、主に未実行の与信枠に対して保有され、通
常は契約履行保証または保証である。未実行の与信枠には、住宅用不動産
の抵当付住宅ローン、商用不動産および/または事業資産を担保にした事
業融資などがある。
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下表は、当グループが保有する担保の見積価値および信用エクスポージャーの正味無担保部分を表示している。
信用リスクの 信用エクスポージャー
最大エクスポージャー 担保の価値総額 の無担保分
2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
連結
正味貸付金および前渡金 707,694 672,407 569,283 531,815 138,411 140,592
その他金融資産 369,218 389,611 38,612 24,758 330,606 364,853
290,055 285,041 65,723 60,544 224,332 224,497
帳簿外のポジション
1,366,967 1,347,059 673,618 617,117 693,349 729,942
合計
信用リスクの 信用エクスポージャー
最大エクスポージャー 担保の価値総額 の無担保分
2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
当行
正味貸付金および前渡金 563,017 537,345 436,544 407,610 126,473 129,735
その他金融資産 359,299 375,208 35,542 19,492 323,757 355,716
252,415 246,722 50,880 38,618 201,535 208,104
帳簿外のポジション
1,174,731 1,159,275 522,966 465,720 651,765 693,555
合計
市場リスク
市場リスクの概要、管理および統制責任
市場リスクは当グループのトレーディング活動、貸借対照表管理活動ならびに金利、外国為替相場、信用スプレッド、コモ
ディティ、株式およびこれらの資産クラスのボラティリティの変動および相関の影響から生じる。
BRCは、市場リスクおよび市場リスク方針の遵守状況に関する日々の統制責任を、信用および市場リスク委員会(「CMRC」)
ならびにグループ資産負債委員会(「GALCO」)へ委譲している。
BRCが定めた全体的な戦略および方針の範囲内で、事業部門およびリスク管理は、グループレベルでの市場リスクの統制に対
して共同で責任を負う。市場リスク・チーム(事業部門から独立した専門家で構成されるリスク管理部門)は、市場リスク限
度額を様々なレベルで配分し、これらを日次で監視および報告する。この詳細な枠組みにより、リスク要因と損益限度額を使
用して、エクスポージャーを管理および統制するための個別の限度額が配分される。
市場リスクの管理、測定および報告は、大まかに2つの区分で行われている。
トレーディングに起因する市場リスク トレーディングに起因しない市場リスク
現物のトレーディング・ポジションとデリバティブのトレー トレーディングに起因しない金利リスク、流動
ディング・ポジションの双方の価格要素の変動に起因する金融 性リスクおよび外国為替エクスポージャーの管
商品の価値変動による損失リスク。監視される主なリスクの種 理に伴う損失リスク。これには、銀行勘定にお
類は以下のとおりである。 ける金利リスクが含まれる。損失リスクは、金
1. 通貨リスク ― 外国為替相場またはその予想ボラティリティ 利の全体的な水準および異なった期間の相対的
水準における不利な変動、金利マージンの実際
の変動から発生する潜在的損失。
と予想の差異、ならびに、金融商品および銀行
2. 金利リスク ― 市場金利またはその予想ボラティリティの変
商品における組込オプションに伴う潜在的な評
動による潜在的損失。
価リスクから発生する。
3. 信用スプレッド・リスク ― ベンチマークに対するマージン
またはスプレッドの変動から発生する潜在的損失。
4. コモディティ・リスク ― コモディティ価格またはその予想
ボラティリティの変動から発生する潜在的損失。
5. 株式リスク ― 株価の変動から発生する潜在的損失。
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市場リスクの測定
当グループは、主にバリュー・アット・リスク(「VaR」)、感応度分析およびストレステストを使用して、市場リスクを管
理および統制している。
VaRは、過去の市場の動きに基づいて、当グループの潜在的な1日の損失を測定する。当グループでは、トレーディングおよ
び非トレーディング・リスクの双方に関して、過去のデータに基づくシミュレーションを行うことでVaRを測定している。当グ
ループは、保有期間1日を用いた500営業日の期間にわたる過去の市場レート、価格およびボラティリティの変動を使用する。
当グループのVaRモデルが正確性を維持していることを確保するために、バックテストが用いられる。
ANZはVaRを99%の信頼区間で測定しているが、このことは、保有期間に損失がVaRを上回らない確率が99%ということを意味
する。
トレーディングに起因する市場リスクおよびトレーディングに起因しない市場リスク
トレーディングに起因する市場リスク
下表は、リスク・カテゴリー別に分散化された基準でトレーディングに起因する市場リスクを示している。
2023年 2022年
当該日 年度最高 年度最低 年度平均 当該日 年度最高 年度最低 年度平均
(単位:百万ドル)
連結
信頼水準99%の
トレーディングに
起因するVaR
外国為替 2.8 6.2 1.6 3.0 1.8 4.8 1.1 2.4
金利 6.7 18.3 5.1 8.5 7.9 22.7 5.0 9.5
クレジット 5.9 7.7 2.5 4.5 2.6 11.8 1.6 4.9
コモディティ 4.0 6.6 1.8 3.0 4.3 7.0 1.4 2.9
株式 - - - - - - - -
(1)
(9.7) 該当なし 該当なし (8.1) (7.2) 該当なし 該当なし (7.1)
分散効果
9.7 18.2 7.2 10.9 9.4 26.9 5.6 12.6
VaR合計
2023年 2022年
当該日 年度最高 年度最低 年度平均 当該日 年度最高 年度最低 年度平均
(単位:百万ドル)
当行
信頼水準99%の
トレーディングに
起因するVaR
外国為替 2.6 6.0 1.5 2.8 2.0 5.1 0.9 2.4
金利 6.3 15.5 4.8 8.0 6.7 18.6 4.9 8.8
クレジット 5.6 7.1 1.9 4.3 2.0 11.9 1.3 4.7
コモディティ 2.1 4.5 1.1 2.7 1.4 7.2 0.9 2.8
株式 - - - - - - - -
(1)
(8.6) 該当なし 該当なし (7.8) (4.2) 該当なし 該当なし (7.4)
分散効果
8.0 16.2 6.7 10.0 7.9 23.4 5.4 11.3
VaR合計
(1) 分散効果は、リスク・カテゴリー全体にわたって相殺されたリスクを反映している。VaR値の最高および最低はグループ全
体として報告されているため、各要素について報告されたVaR値の最高および最低は、必ずしも同日に発生したわけではな
い。そのため、最高および最低についての分散効果は重要なものではなく、したがって、表からは省略されている。
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トレーディングに起因しない市場リスク
貸借対照表リスク管理
貸借対照表リスク管理の主な目的は、金利リスクや流動性リスクを許容可能な水準に保ち、金利動向が収益や当グループの
銀行勘定の時価にもたらす負の影響を軽減する一方、当グループが十分な流動性を確保し、期日の到来する債務の履行を可能
にすることである。
金利リスク管理
トレーディングに起因しない金利リスクとは、市場における金利変動が当グループの将来の純利息収益に及ぼす潜在的に不
利な影響に関連するものである。このリスクは、主に2つの原因から生じる。すなわち、利付資産と利付負債の間の金利更改
時期のミスマッチ、そして資本やその他の無利息の負債および資産の投資である。金利リスクは、VaRおよびシナリオ分析
(1%変動の影響の分析)を用いて報告される。以下の表は、グループ合算に加えて、オーストラリア、ニュージーランドお
よびその他の地域について、トレーディングに起因しない金利リスクのVaR値を別々に計算して示している。
2023年 2022年
当該日 年度最高 年度最低 年度平均 当該日 年度最高 年度最低 年度平均
(単位:百万ドル)
連結
信頼水準99%の
トレーディングに
起因しないVaR
オーストラリア 81.2 93.2 72.0 82.2 78.5 93.4 63.0 76.1
ニュージーランド 35.3 35.3 26.1 31.1 25.4 27.1 20.2 23.9
その他の地域 32.2 32.8 23.2 27.9 21.7 38.0 16.8 25.8
(1)
(52.6) 該当なし 該当なし (45.6) (38.1) 該当なし 該当なし (33.7)
分散効果
96.1 101.5 86.4 95.6 87.5 104.9 66.8 92.1
VaR合計
2023年 2022年
当該日 年度最高 年度最低 年度平均 当該日 年度最高 年度最低 年度平均
(単位:百万ドル)
当行
信頼水準99%の
トレーディングに
起因しないVaR
オーストラリア 81.2 93.2 72.0 82.2 78.5 93.4 63.0 76.1
ニュージーランド - 0.1 - - 0.0 0.1 0.0 0.0
その他の地域 34.0 34.5 23.7 28.4 22.1 37.7 16.7 25.6
(1)
(30.5) 該当なし 該当なし (26.6) (17.1) 該当なし 該当なし (20.2)
分散効果
84.7 92.4 76.4 84.0 83.5 94.5 62.9 81.5
VaR合計
(1) 分散効果は、リスク・カテゴリー全体にわたって相殺されたリスクを反映している。VaR値の最高および最低はグループ全
体として報告されているため、各要素について報告されたVaR値の最高および最低は、必ずしも同日に発生したわけではな
い。そのため、最高および最低についての分散効果は重要なものではなく、したがって、表からは省略されている。
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当グループは、例外的な事象が当グループの市場リスク・エクスポージャーに与える影響のストレステストを行うために、
シナリオ分析を実施する。イールド・カーブが一晩でプラス方向に1%平行移動する変化が生じた場合をモデル化して、向こ
う12か月間の純利息収益に与える潜在的影響を判定している。これは標準的なリスク測定であり、かかる平行移動がすべての
ホールセール向けの利率と顧客向けの利率に反映されると仮定している。
下表は、当事業年度および前事業年度のリスク測定の結果を、財務書類上の純利息収益に対する割合をもって示したもので
ある。
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
1%の金利変動が翌12か月間の純利息収益に与え
る影響
期末現在 0.96% 1.29% 0.73% 0.90%
最大エクスポージャー 1.17% 2.08% 0.90% 1.65%
最低エクスポージャー 0.38% 1.15% 0.02% 0.71%
0.80% 1.56% 0.56% 1.11%
平均エクスポージャー(絶対値)
FVOCIで測定するものとして指定された持分証券
当グループの投資有価証券には、主に天津銀行で構成される持分投資が含まれている。当該持分投資に対する市場リスクの
影響は、トレーディングに起因する市場リスクとトレーディングに起因しない市場リスクに対する当グループのVaRプロセスで
測定することはできない。したがって、当グループは定期的にポートフォリオ内の投資の評価額を見直し、当該投資が注記11
「投資有価証券」で記述している認識および測定の方針に基づいて適切に測定されているかを評価している。
外国為替リスク ― 構造的エクスポージャー
豪ドル以外の機能通貨を用いる支店、子会社および関連会社などの海外事業への資本投資により、当グループは外国為替相
場の変動リスクにさらされている。為替差額によって生じる海外事業の価値の変動は、資本における為替換算調整勘定に反映
される。当グループは、適切であると考えられる場合、海外事業の外国為替エクスポージャーのヘッジを行っている。
同様に、当グループは大口の外貨建て収益源(主としてニュージーランドドル、米ドルおよび米ドル連動)に対して経済的
ヘッジを行う場合がある。ヘッジの主な目的は、実務的に可能であれば、連結自己資本比率に対する為替相場変動の影響が最
小化されることを確保することである。
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流動性および資金調達リスク
流動性リスクの概要、管理および統制責任
流動性リスクは、以下のいずれかのリスクである。
・ 当グループが、支払義務の期日が到来した際に、当該義務を履行することができない(預金の払戻しまたはホールセー
ル債務の満期を含む。)。
・ 当グループの資産の増加に対応するための適切な金額、期間および構成の資金調達および流動性を有していない。
流動性および資金調達リスクの管理は、GALCOによって監視されている。当グループの流動性および資金調達リスクは、BRC
により承認された一連の原則により管理され、当該原則には以下が含まれている。
・ すべての支払債務を短期に履行する能力を維持すること。
・ 短期から中期にわたって金銭的債務を履行するため、各国とグループ全体の双方で、一連のANZ固有の流動性ストレス・
シナリオと一般的な市場流動性ストレス・シナリオ下の「サバイバル期間」基準を確実に満たすこと。
・ 流動性リスクおよび資金調達リスク・プロファイルに対して長期的な耐性を確保するために、当グループの貸借対照表
構造の健全性を維持すること。
・ 各国の規制要件に準拠した流動性管理の枠組みを確保すること。
・ 当グループのポジションを数値化するために、日次の流動性報告書とシナリオ分析を作成すること。
・ 投資家の種類、満期、資金源および通貨による過度の集中を避けるために多様な資金調達基盤を対象とすること。
・ 資金調達状況の悪化に対処し、日々の業務を支えるために、質の高い流動資産を組み入れたポートフォリオを保有する
こと。
・ 様々な流動性に関する危機的事象に備えるための詳細な危機管理計画を策定すること。
当グループは、2023年1月3日の本再編以降、以下のような純粋持株会社体制で運営されている。
・ ANZBGLの流動性リスク管理の枠組みは変更されておらず、認定預金受入機関(「ADI」)の業務を反映した独自の流動
性・資金調達プログラム、ガバナンスの枠組み、報告制度を継続して運用している。
・ ANZGHL(親会社)には、貸借対照表の構造および性質に照らし、重要な流動性リスクはない。
・ ANZ非銀行グループは、個別に資金を調達することは想定されておらず、資金調達はANZGHLに依存する。
ANZGHLおよびANZ銀行グループは、それぞれのビジネスモデルに固有の流動性リスクの性質の違いを反映して、個別の流動性
方針を設定している。ANZGHLは、親会社およびANZ非銀行グループが営業および財務要件を十分に満たすよう現金準備金を確実
に保有するようにする。
流動性リスクについての重要な測定分野
資金調達源のシナリオのモデル化
当グループの流動性リスク選好度は、一連の規制およびANZBGLの取締役会が義務付ける内部流動性測定基準で定められる。
この測定基準は、異なった期間および深刻度に関する一連のシナリオを扱っている。
この枠組みの目的は次のとおりである。
・ 短期的な極端な市場の混乱とストレスに対する保護を提供すること。
・ 適切な金額の長期資産を長期資金調達によって確実に調達することで、貸借対照表の構造的強度を維持する。
・ 当グループの資金調達プロファイルにおいて過度な時期の集中を生じさせないようにすること。
この枠組みの主要な要素は、深刻な短期の流動性ストレス・シナリオである流動性カバレッジレシオ(「LCR」)および長期
の流動性構造の指標である正味安定資金調達比率(「NSFR」)であり、いずれもAPRAを含む銀行規制当局によって義務付けら
れている。
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流動資産
過酷なストレス環境において当グループの流動性ポジションを保護し、また、規制要件を遵守するために、当グループは高
品質で処分制約のない流動性資産ポートフォリオを保有している。質の高い流動資産は、バーゼル3のLCR要件と一致して、3
つのカテゴリーで構成されている。
・ 最も質の高い流動資産:現金、および信用度が最も高い政府、中央銀行または公的部門の証券で中央銀行による日中流
動性を供給するためのレポに適格とされるもの
・ 質の高い流動資産:信用度の高い政府、中央銀行または公的部門の証券、質の高い社債および質の高いカバード・ボン
ドで、中央銀行による日中流動性を供給するためのレポに適格とされるもの
・ 代替的流動資産(「ALA」):RBNZが国内市場の操作に使用できる適格証券およびCLFの担保として適格な資産
当グループは、規制要件およびANZBGLの取締役会によって設定されたリスク選好度に沿って、流動資産ポートフォリオの規
模および構成を継続的に監視および管理している。
(1)
流動性リスクの結果
流動性カバレッジレシオ -2023年度のANZBGLの流動性カバレッジレシオ(「LCR」)の平均は、130%(2022年度:131%)と
なり規制の最低要件である100%を上回っている。
正味安定資金調達比率 -2023年9月30日現在のANZBGLの正味安定資金調達比率(「NSFR」)は116%(2022年:119%)で、
規制の最低要件である100%を上回っている。
(1) この情報は、当グループの外部監査人であるKPMGによる当グループの財務報告書の外部監査の範囲に含まれていない。流
動性カバレッジレシオおよび正味安定資金調達比率は、IFRSで求められる開示に含まれておらず、当グループのAPS第330
号「開示」の一部として開示され、オーストラリア基準(「ASRS」)第4400号「合意された手続 ‐ 発見事項の報告業務」
に準拠する特定のレビュー手続の対象となっている。
流動性危機管理計画
当グループは、ひとつの国およびグループ全体を対象とした流動性を脅かす事態の分析および対処のための、APRA承認の流
動性危機管理計画を整備している。主要な流動性危機管理計画の要件およびガイドラインは以下のとおりである。
事業継続の管理 早期の兆候/軽度のストレス 深刻なストレス
・ 危機/深刻度の度合いの設定 ・ 監視およびレビュー ・ 能動的臨時資金調達計画
・ 流動性限度額 ・ 事業の合理化を必要としない経 ・ 資産および負債の動きを変更す
・ 早期警告指標 営措置 る経営措置
内外向けコミュニケーション担当の割当ておよびコミュニケーションの適切な時期
ストレス事象の正確な内容を事前に知ることはできないため、当グループはストレス事象の内容および深刻度に応じて柔軟
性を持たせた計画を設計しており、複数の代替によりいかなる計画にも適応可能にしている。
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当グループの資金調達
当グループは、資金調達の構成と安定性が、当グループの資金調達リスク選好度の範囲内にとどまるよう監視している。こ
の手法は、当グループ資産の適切な割合が、顧客預金、長期ホールセール資金調達(残存期間が1年を超えるもの)、および
資本等の安定した資金源で確実に調達されるようにしている。
作成された資金調達計画 資金調達計画作成における検討事項
・ 年次で作成される3か年戦略計画 ・ 顧客の貸借対照表の成長
・ 当グループの計画プロセスの一環としての年次資金 ・ ホールセール資金調達(優先債、担保付債券、劣後
調達計画 債、およびハイブリッド証券の取引に関して目標と
・ 年次計画の調整としての、実績を考慮した予測 される資金調達額、市場、投資家、期間および通貨
を含む。)ならびに市場の状況の変化
RBAのターム資金供給ファシリティ
2020年3月、RBAは、新たな資金源としてオーストラリアの企業部門への貸付を支援するための銀行システム向けターム資金
供給ファシリティ(「TFF」)を発表した。TFFは、2020年11月4日までの実行に対して0.25%、2020年11月4日以降の新規実
行に対しては0.10%に引き下げた固定金利でADIに資金を3年間供給する有担保ファシリティである。TFFは、2021年6月30日
にその実行が終了した。
2023年9月30日現在、RBAのTFFに基づく調達額は81億ドル(2022年:201億ドル)である。
RBNZの貸出資金供給プログラムおよびターム貸付ファシリティ
2020年5月から2021年7月の間、RBNZは企業への貸出を促進させるために、ターム貸付ファシリティ(「TLF」)の下で資金
供給を行った。TLFは、5年の0.25%の固定金利でニュージーランドの銀行向けの有担保資金供給ファシリティである。
2020年11月、RBNZはニュージーランドの企業および一般家庭の借入コストの引下げを目的とした融資資金提供プログラム
(「FLP」)を発表した。FLPは、ニュージーランドの政策金利(「OCR」)による変動金利でのニュージーランドの銀行向けの
3年の有担保資金供給ファシリティである。ニュージーランドの銀行は、2020年10月31日時点でニュージーランドの居住者世
帯、一般世帯にサービスを提供する非金融企業および非営利団体に対する貸付(適格ローン)の4%を上限に初回の資金供給
を受けることができた。当初の供給は、2022年6月6日に終了した。一定の条件を満たすことを条件に、適格ローンの2%を
上限とした追加の供給を2022年12月6日まで利用することができた。
2023年9月30日現在、ANZバンク・ニュージーランドはTLFに基づき3億ドル(2022年:3億ドル)、FLPに基づき32億ドル
(2022年:23億ドル)を調達した。
当グループの負債の契約上の期日までの残存期間別分析
下表は、9月30日現在の金融負債の契約上の期日までの期間別分析を、関連する期日のグループごとに示している。すべて
の発行済社債および劣後債の期日は、当グループが支払を求められる可能性がある最も早い日に基づいている。すべての要求
払い負債は、最低通知期間が3か月以上の場合を除き、「3か月未満」の区分で報告されている。これらの金額は、元本およ
び利息のキャッシュフローを示しており、相当する貸借対照表に報告された金額とは異なる可能性がある。
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これは当グループがどのように流動性リスクを管理しているかを示すものではないことに注意しなければならない。このリ
スクの管理については155ページ(訳注:原文のページ番号である。)で詳述している。
1年から
3か月から
3か月未満 12か月 5年 5年超 合計
連結
(単位:百万ドル)
2023年9月30日現在
ANZの未払決済残高 19,267 - - - 19,267
受取担保 10,382 - - - 10,382
預金およびその他の借入金 674,762 137,488 9,762 241 822,253
支払承諾 646 - - - 646
(1)
4,738 23,908 88,270 16,017 132,933
発行済社債
デリバティブ負債 48,150 - - - 48,150
(2)
(貸借対照表管理目的保有を除く)
リース負債 100 264 872 743 1,979
デリバティブ資産および負債
(3)
(貸借対照表管理)
-資金調達
流入 (29,459) (40,907) (90,906) (14,001) (175,273)
流出 28,852 41,385 90,230 13,986 174,453
-その他貸借対照表管理
流入 (142,289) (44,586) (35,720) (19,866) (242,461)
138,899 42,867 34,198 19,872 235,836
流出
2022年9月30日現在
ANZの未払決済残高 13,766 - - - 13,766
受取担保 16,230 - - - 16,230
預金およびその他の借入金 667,568 117,166 15,960 160 800,854
支払承諾 352 - - - 352
(1)
7,591 22,315 60,716 13,667 104,289
発行済社債
デリバティブ負債 71,073 - - - 71,073
(2)
(貸借対照表管理目的保有を除く)
リース負債 81 210 654 168 1,113
デリバティブ資産および負債
(3)
(貸借対照表管理)
-資金調達
流入 (33,155) (49,030) (66,661) (12,851) (161,697)
流出 30,845 49,191 68,211 12,913 161,160
-その他貸借対照表管理
流入 (125,122) (44,835) (29,188) (10,063) (209,208)
120,959 44,126 31,026 15,170 211,281
流出
(1) 繰上償還可能なホールセール債務商品の満期は次の繰上償還日としている。残高には、当グループの選択により、現金ま
たは株式で決済することができる劣後債務商品、およびANZニュージーランドにより発行され、RBNZの要件の下ではTier2
資本を構成するが、APRAのTier2資本要件に非適格な劣後債務が含まれている。
(2) デリバティブ負債(貸借対照表管理目的保有を除く)の決済評価差額(Settle to Market)に関する調整後の時価は、す
べて「3か月未満」の区分に含まれている。
(3) ヘッジ関係に指定された272百万ドル(2022年度:356百万ドル)および売買目的保有に分類されているが当グループの貸
借対照表管理活動の一部を成す9,060百万ドル(2022年度:13,720百万ドル)のデリバティブを含む。
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2023年9月30日現在、当グループが支払を求められる可能性のある最も早い日に基づくと、240,711百万ドル(2022年度:
236,051百万ドル)の当グループの未実行与信枠および50,171百万ドル(2022年度:49,765百万ドル)の発行済保証が1年以内
に期日を迎える。
1年から
3か月から
3か月未満 12か月 5年 5年超 合計
当行
(単位:百万ドル)
2023年9月30日現在
ANZの未払決済残高 16,574 - - - 16,574
受取担保 9,452 - - - 9,452
預金およびその他の借入金 567,239 109,010 3,718 232 680,199
支払承諾 391 - - - 391
(1)
4,321 20,669 75,192 13,297 113,479
発行済社債
デリバティブ負債 53,111 - - - 53,111
(2)
(貸借対照表管理目的保有を除く)
リース負債 80 207 715 725 1,727
デリバティブ資産および負債
(3)
(貸借対照表管理)
-資金調達
流入 (26,321) (31,549) (70,627) (10,871) (139,368)
流出 25,602 31,952 69,816 10,860 138,230
-その他貸借対照表管理
流入 (136,668) (38,700) (27,047) (18,876) (221,291)
133,496 37,540 26,247 18,914 216,197
流出
2022年9月30日現在
ANZの未払決済残高 10,224 - - - 10,224
受取担保 14,425 - - - 14,425
預金およびその他の借入金 564,147 93,197 10,639 157 668,140
支払承諾 144 - - - 144
(1)
7,648 18,951 48,323 9,970 84,892
発行済社債
デリバティブ負債 75,810 - - - 75,810
(2)
(貸借対照表管理目的保有を除く)
リース負債 76 202 744 826 1,848
デリバティブ資産および負債
(3)
(貸借対照表管理)
-資金調達
流入 (29,397) (39,350) (46,997) (8,857) (124,601)
流出 27,413 40,237 48,281 9,064 124,995
-その他貸借対照表管理
流入 (121,112) (40,061) (21,417) (9,498) (192,088)
116,992 39,921 24,081 14,666 195,660
流出
(1) 繰上償還可能なホールセール債務商品の満期は次の繰上償還日としている。残高には、当行の選択により、現金または株
式で決済することができる劣後債務商品が含まれている。
(2) デリバティブ負債(貸借対照表管理目的保有を除く)の決済評価差額(Settle to Market)に関する調整後の時価は、す
べて「3か月未満」の区分に含まれている。
(3) ヘッジ関係に指定された255百万ドル(2022年度:300百万ドル)および売買目的保有に分類されているが当行の貸借対照
表管理活動の一部を成す4,145百万ドル(2022年度:8,390百万ドル)のデリバティブを含む。
2023年9月30日現在、当行が支払を求められる可能性のある最も早い日に基づくと、206,405百万ドル(2022年度:201,204
百万ドル)の当行の未実行与信枠および46,707百万ドル(2022年度:46,191百万ドル)の発行済保証が1年以内に期日を迎え
る。
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18. 金融資産および金融負債の公正価値
金融資産および金融負債の分類
当グループは、金融商品を公正価値または償却原価のいずれかで認識および測定しており、貸借対照表上、多数の金融商品
が公正価値で計上されている。
公正価値とは、測定日における市場参加者間の秩序ある取引において、資産を売却するために受け取るであろう価格、また
は負債を移転するために支払われるであろう価格の最善の見積りである。
下表は、金融資産および金融負債の測定基準による分類を、貸借対照表上で認識されている帳簿価額とともに記載している
2023年 2022年
注記 償却原価 公正価値 合計 償却原価 公正価値 合計
(単位:百万ドル)
連結
金融資産
(1)
8
現金および現金同等物 140,588 27,566 168,154 168,132 - 168,132
ANZの未収決済残高 9,349 - 9,349 4,762 - 4,762
支払担保 8,558 - 8,558 12,700 - 12,700
売買目的資産 9 - 37,004 37,004 - 35,237 35,237
デリバティブ金融商品 10 - 60,406 60,406 - 90,174 90,174
投資有価証券 11 7,752 89,217 96,969 7,943 78,210 86,153
(1)
12
正味貸付金および前渡金 685,806 21,888 707,694 667,732 4,675 672,407
規制上の預け金 646 - 646 632 - 632
4,378 - 4,378 2,943 - 2,943
その他金融資産
857,077 236,081 1,093,158 864,844 208,296 1,073,140
合計
金融負債
ANZの未払決済残高 19,267 - 19,267 13,766 - 13,766
受取担保 10,382 - 10,382 16,230 - 16,230
(1)
預金およびその他の借入金 14 781,314 33,889 815,203 794,621 2,660 797,281
デリバティブ金融商品 10 - 57,482 57,482 - 85,149 85,149
支払債務およびその他の負債 15 10,665 5,267 15,932 6,596 3,239 9,835
16 114,678 1,336 116,014 92,623 1,111 93,734
発行済社債
936,306 97,974 1,034,280 923,836 92,159 1,015,995
合計
(1) 2023年度中に、当グループはマーケッツ事業のトレーディング勘定内において、公正価値ベースによる買戻条件付契約と
売戻条件付契約の管理を開始した。この結果、関連する買戻条件付契約と売戻条件付契約は、FVTPLで認識され測定される
こととなった。
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2023年 2022年
注記 償却原価 公正価値 合計 償却原価 公正価値 合計
(単位:百万ドル)
当行
金融資産
(1)
8 127,309 27,099 154,408 155,483 - 155,483
現金および現金同等物
ANZの未収決済残高 8,935 - 8,935 4,024 - 4,024
支払担保 7,717 - 7,717 11,368 - 11,368
売買目的資産 9 - 30,693 30,693 - 28,073 28,073
デリバティブ金融商品 10 - 59,989 59,989 - 88,056 88,056
投資有価証券 11 5,936 77,265 83,201 6,115 66,284 72,399
(1)
12 541,777 21,240 563,017 533,082 4,263 537,345
正味貸付金および前渡金
規制上の預け金 284 - 284 249 - 249
被支配法人に対する債権 24,173 1,894 26,067 20,360 2,500 22,860
3,024 - 3,024 1,882 - 1,882
その他金融資産
合計
719,155 218,180 937,335 732,563 189,176 921,739
金融負債
ANZの未払決済残高 16,574 - 16,574 10,224 - 10,224
受取担保 9,452 - 9,452 14,425 - 14,425
(1)
14 643,868 31,207 675,075 665,567 40 665,607
預金およびその他の借入金
デリバティブ金融商品 10 - 57,511 57,511 - 84,500 84,500
被支配法人に対する債務 26,737 157 26,894 25,305 - 25,305
支払債務およびその他の負債 15 8,357 4,922 13,279 5,705 2,857 8,562
16 95,881 2,332 98,213 72,757 3,071 75,828
発行済社債
合計
800,869 96,129 896,998 793,983 90,468 884,451
(1) 2023年度中に、当行はマーケッツ事業のトレーディング勘定内において、公正価値ベースによる買戻条件付契約と関連す
る売戻条件付契約の管理を開始した。この結果、買戻条件付契約と関連する売戻条件付契約は、FVTPLで認識され測定され
ることとなった。
公正価値で測定される金融資産および金融負債
金融資産および金融負債の公正価値評価は、一般的に個別商品のレベルで算定される。
当グループが相殺されるリスク・ポジションを保有する場合、当グループはAASB第13号「公正価値測定」(AASB第13号)の
ポートフォリオの例外措置を利用して、かかる金融資産および金融負債グループの公正価値を測定する。当グループは、特定
のリスク・エクスポージャーについての正味ロング・ポジション(資産)の売却で受け取るであろう価格、または特定のリス
ク・エクスポージャーについての正味ショート・ポジション(負債)を移転するための価格に基づいてポートフォリオを測定
している。
公正価値指定
当グループは、以下のように、一部の貸付金および前渡金、一部の預金およびその他の借入金ならびに発行済社債を、損益
を通じて公正価値評価するものとして指定している。
・ 当該商品のキャッシュフローを著しく変更する可能性がある、分離可能な組込デリバティブを含んでいる場合、当該資
産または負債の公正価値の変動を、関連するヘッジ手段の公正価値の変動と同一期間に損益に確実に認識されるように
するため。
・ 資産または負債が償却原価で計上された場合に発生する可能性のある会計上のミスマッチを解消するため。このミス
マッチは、デリバティブ金融商品(当該資産または負債の金利リスクを緩和するために使用するもの)を、損益を通じ
て公正価値で測定することによる。
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当グループのアプローチは、当該資産または負債の公正価値の変動が、関連するデリバティブに係る変動と同一期間に損益
に確実に認識されるようにしている。
また当グループは、一部の貸付金および前渡金、一部の預金およびその他の借入金ならびに発行済社債についても、商品の
管理方法と測定方法を合わせるために公正価値で管理している場合には、損益を通じて公正価値で評価するものとして指定す
ることがある。
公正価値に関するアプローチおよび評価技法
当グループは、資産および負債の認識、測定および開示の目的で公正価値を見積もる際に、その資産または負債の活発な市
場における市場相場価格が存在しない場合には評価技法を使用する。これには以下が含まれる。
資産または負債 公正価値アプローチ
以下に分類される金融商品: 商品の契約上の将来キャッシュフローが、ホールセール市場金利、または
- デリバティブ金融資産および金融 満期が類似する、もしくは残存期間についてのイールド・カーブが適切な
債務もしくは貸付金の市場金利を用いて割り引かれる場合に使用される割
負債(売買目的保有および売買
引キャッシュフロー法。
目的保有以外を含む。)
- 買戻条件付契約(90日未満)
- 正味貸付金および前渡金
- 預金およびその他の借入金
- 発行済社債
その他の売買目的保有金融商品: 信用リスク、満期および利回り特性が類似した金融商品についての観察可
- 空売り有価証券 能な市場インプットを組み込む形にモデル化された評価技法が使用され
る。
- 負債証券および持分証券
活発な市場が存在しない持分証券については、比較可能な会社の評価倍率
(株価純資産倍率など)を用いて測定される。
以下に分類される金融商品: 評価技法には、類似した特性を持つ金融商品からの観察可能なインプット
- 投資有価証券-負債証券または持 を可能な限り組み込んだ、比較可能な倍率(株価純資産倍率など)または
割引キャッシュフロー(「DCF」)技法が使用される。
分証券
当期または前期において、評価手法に重要な変更はなかった。
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公正価値ヒエラルキー
当グループは、公正価値で計上される資産および負債を、AASB第13号に従い、公正価値を測定するために用いられるイン
プットの観察可能性に基づいて公正価値ヒエラルキーに区分している。
・ レベル1 ― 同一の資産または負債の活発な市場における相場価格(無調整)に基づく評価
・ レベル2 ― 類似の資産または負債について直接的または間接的に観察可能な、レベル1に含まれる相場価格以外のイン
プットを用いた評価
・ レベル3 ― 資産または負債の公正価値を測定するために重要な観察不能なインプットが用いられる評価
下表は、公正価値ヒエラルキーに基づいた公正価値で測定される資産および負債を示したものである。
公正価値測定
活発な市場に 観察可能な 観察不能な
おける相場価格 インプットを使用 インプットを使用
(レベル1) (レベル2) (レベル3) 合計
2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
連結
資産
現金および現金同等物
(1)
(公正価値で測定) - - 27,566 - - - 27,566 -
(2)
売買目的資産 26,388 28,455 10,614 6,782 2 - 37,004 35,237
デリバティブ金融商品 935 944 59,448 89,185 23 45 60,406 90,174
(2)(3)
投資有価証券 71,355 68,211 16,924 8,614 938 1,385 89,217 78,210
(1)
- - 21,159 4,272 729 403 21,888 4,675
正味貸付金および前渡金
合計
98,678 97,610 135,711 108,853 1,692 1,833 236,081 208,296
負債
預金およびその他の借入金
(公正価値で測定に指定)
(1)
- - 33,889 2,660 - - 33,889 2,660
デリバティブ金融商品 218 309 57,241 84,809 23 31 57,482 85,149
支払債務および
その他の負債 4,841 2,842 426 397 - - 5,267 3,239
発行済社債
- - 1,336 1,111 - - 1,336 1,111
(公正価値で測定に指定)
合計
5,059 3,151 92,892 88,977 23 31 97,974 92,159
(1) 2023年度中に、当グループはマーケッツ事業のトレーディング勘定内において、公正価値ベースによる買戻条件付契約と
売戻条件付契約の管理を開始した。この結果、関連する買戻条件付契約と売戻条件付契約は、FVTPLで認識され測定される
こととなった。
(2) 2023年度中に、評価インプットの観察可能性の変化により、3,624百万ドルの資産がレベル1からレベル2に振り替えられ
(2022年度:1,043百万ドルがレベル1からレベル2に振替)、1,452百万ドルの資産がレベル2からレベル1に振り替え
られた(2022年度:1,677百万ドルの資産がレベル2からレベル1に振替)。当年度中のその他の重要なレベル1とレベル
2の間の振替はなかった。レベル間の振替は、当該振替が発生した報告期間の期首現在で測定されている。
(3) 2023年度中に、ANZBGLは本再編の一環として、1835i信託、ティーアイエヌおよびポリネーションのエクイティ持分を、
ANZ NBH Pty Ltdに売却した。これらの投資は2022年9月に公正価値ヒエラルキーのレベル3資産に分類され、公正価値評
価額は402百万ドルであった。
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公正価値測定
活発な市場におけ 観察可能なインプッ 観察不能なイン
る相場価格 トを使用 プットを使用
(レベル1) (レベル2) (レベル3) 合計
2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
当行
資産
現金および現金同等物
(1)
(公正価値で測定) - - 27,099 - - - 27,099 -
(2)
売買目的資産 22,264 23,037 8,427 5,036 2 - 30,693 28,073
デリバティブ金融商品 900 848 59,066 87,181 23 27 59,989 88,056
(2)(3)
投資有価証券 63,879 58,259 12,449 7,006 937 1,019 77,265 66,284
(1)
正味貸付金および前渡金 - - 20,511 3,860 729 403 21,240 4,263
- - 1,894 2,500 - - 1,894 2,500
被支配法人に対する債権
合計
87,043 82,144 129,446 105,583 1,691 1,449 218,180 189,176
負債
預金およびその他の借入金
(公正価値で測定に指定)
(1)
- - 31,207 40 - - 31,207 40
デリバティブ金融商品 210 301 57,287 84,179 14 20 57,511 84,500
支払債務およびその他の
負債 4,500 2,510 422 347 - - 4,922 2,857
発行済社債
(公正価値で測定に指定) - 985 2,332 2,086 - - 2,332 3,071
被支配法人に対する債務 - - 157 - - - 157 -
合計
4,710 3,796 91,405 86,652 14 20 96,129 90,468
(1) 2023年度中に、当行はマーケッツ事業のトレーディング勘定内において、公正価値ベースによる買戻条件付契約と関連す
る売戻条件付契約の管理を開始した。この結果、買戻条件付契約と関連する売戻条件付契約は、FVTPLで認識され測定され
ることとなった。
(2) 2023年度中に、評価インプットの観察可能性の変化により、2,139百万ドルの資産がレベル1からレベル2に振り替えられ
(2022年度:1,043百万ドルがレベル1からレベル2に振替)、1,155百万ドルの資産がレベル2からレベル1に振り替え
られた(2022年度:1,677百万ドルの資産がレベル2からレベル1に振替)。当年度中のその他の重要な振替はなかった。
レベル間の振替は、当該振替が発生した報告期間の期首現在で測定されている。
(3) 2023年度中に、ANZBGLは本再編の一環として、1835i信託、ティーアイエヌおよびポリネーションのエクイティ持分を、
ANZ NBH Pty Ltdに売却した。これらの投資は、2022年9月に公正価値ヒエラルキーのレベル3資産に分類され、公正価値
評価額は402百万ドルであった。
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観察不能な市場データを組み込んだ公正価値測定
レベル3の公正価値測定
当グループのレベル3金融商品の純資産は、1,669百万ドル(2022年度:1,802百万ドル)、当行は1,676百万ドル(2022年
度:1,429百万ドル)である。
重要な観察不能なインプットが組み込まれている資産および負債は、以下のとおりである。
・ 活発な市場がない、または取引価格が観察不能な持分証券および負債証券
・ 公正価値で測定され、観察可能な市場データが存在しない貸付金および前渡金
・ 主に市場活動がないために観察不能となっている市場レートを参照するデリバティブ
レベル3の振替
当年度中に評価パラメーターが観察不能となった結果、当グループおよび当行は、当年度において公正価値で測定される貸
付金および前渡金218百万ドル(2022年度:312百万ドル)をレベル2からレベル3に振り替えた。当期中、レベル3への振替
やレベル3からの振替で重要なものは他になかった。
2023年9月30日現在の重要なレベル3の金融商品は以下のとおりである。
i) 投資有価証券-FVOCIに分類される株式保有
天津銀行(「BoT」)
当グループは天津銀行に投資している。当該投資は、比較可能な株価純資産(「P/B」)倍率に基づいて評価されている
(P/B倍率は、株式の市場価格と帳簿価額の比率である。)。適切な倍率を決定するに当たって適用される判断の範囲および倍
率が導き出される際に用いられる比較対象グループは、結果的にレベル3に分類される。2023年9月現在、BoT株式保有の残高
は849百万ドル(2022年:854百万ドル)であった。BoTの公正価値評価額の減少は、評価に用いたP/B倍率の低下による。
その他の持分投資
当グループは89百万ドル(2022年度:491百万ドル)、当行は87百万ドル(2022年度:165百万ドル)のFVOCIに分類される非
上場株式を保有しており、これらは活発な市場も利用可能な取引価格も存在しないため、レベル3に分類される。非上場株式
保有残高の減少は、新しいグループ組織構造の設立に伴い、ANZ非銀行グループに持分証券を売却したことによる。
ii) 正味貸付金および前渡金-FVTPLに分類
シンジケート・ローン
当グループは、評価のために利用可能な観察可能市場データがないFVTPLで測定される売買目的のシンジケート・ローンを
729百万ドル(2022年度:403百万ドル)保有している。当会計年度におけるレベル3ローン残高の増加は主に、報告日現在の
売買目的シンジケート・ローンの増加、ならびにレベル2からレベル3に振替えられた貸付金および前渡金による。
レベル3インプットの感応度
評価に重要なインプットが直接的に観察できない(レベル3インプット)ことにより、当グループが仮定を使用する場合、
こうした仮定を変更することにより、商品の公正価値の見積額は変動する。有利な変動および不利な変動は、主として公正価
値評価を導き出すために使用される観察不能なパラメーターを変更することによって算定される。
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投資有価証券 - 株式保有
持分投資の評価は、P/B倍率や割引キャッシュフロー技法を含む使用した評価技法と、選択した観察不能なインプッにおける
変動に対する感応度が高い。例えば、評価への主たるインプットの10%の増加または減少が生じた場合(P/B倍率など。)、結
果として、ポートフォリオの公正価値は94百万ドル増加または減少し、その変動は純損益に影響を与えることなく当グループ
の株主資本に認識される(当行については93百万ドル)。
正味貸付金および前渡金
シンジケート・ローンの評価では、公正価値評価額の算定における信用スプレッドに対する感応度が高い。しかし、これら
は主として投資適格ローンであるため、信用スプレッドや利回りの増減が当グループの純利益や純資産に与える影響は重要で
はない。
その他
残りのレベル3の残高は重要ではなく、インプットの変動による当グループの純利益および純資産への影響は軽微である。
公正価値の繰延損益
金融商品の公正価値に重要な影響を与える観察不能なインプットを用いて公正価値が決定される場合、当グループは、取引
価格と評価技法に基づく算定額との差額(取引日における損益)を純損益として直ちに認識することはない。当初認識後、繰
延額は、取引残存期間にわたり定額法によって、またはすべてのインプットが観察可能になった際に、純損益に認識される。
繰り延べられている取引日損益は重要ではない。
公正価値で測定されない金融資産および金融負債
以下に示した金融資産および金融負債は当グループの貸借対照表において償却原価で計上されている。これは資産が現金化
され、負債が決済されると予想される価値であるが、当グループは下表において貸借対照表日における金融資産および金融負
債の公正価値の見積りを示している。
下表に含まれていない償却原価で計上された金融資産および負債の公正価額は、帳簿価額に近似している。これらの金融資
産および負債は短期のものか、または報告期間末頃に市場金利に再設定される変動金利商品のいずれかである。
公正価値ヒエラルキーでの区分
活発な市場における 観察可能な
相場価格 インプットを使用
償却原価 (レベル1) (レベル2)
2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
連結
金融資産
(1)
7,752 7,943 - - 7,712 7,918
投資有価証券
正味貸付金および前渡金 685,806 667,732 - - 19,619 29,460
合計
693,558 675,675 - - 27,331 37,378
金融負債
預金およびその他の借入金 781,314 794,621 - - 781,106 794,124
発行済社債 114,678 92,623 30,786 22,982 83,867 69,028
合計
895,992 887,244 30,786 22,982 864,973 863,152
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公正価値ヒエラルキー
での区分
重要な観察不能な
インプットを使用
(レベル3) 公正価値(合計)
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
連結
金融資産
(1)
投資有価証券 - - 7,712 7,918
正味貸付金および前渡金 664,120 634,272 683,739 663,732
合計
664,120 634,272 691,451 671,650
金融負債
預金およびその他の借入金 - - 781,106 794,124
発行済社債 - - 114,653 92,010
合計
- - 895,759 886,134
公正価値ヒエラルキーでの区分
活発な市場における 観察可能な
相場価格 インプットを使用
償却原価 (レベル1) (レベル2)
2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
当行
金融資産
(1)
投資有価証券 5,936 6,115 - - 5,896 6,092
正味貸付金および前渡金 541,777 533,082 - - 19,224 28,708
合計
547,713 539,197 - - 25,120 34,800
金融負債
預金およびその他の借入金 643,868 665,567 - - 643,755 665,242
発行済社債 95,881 72,757 28,496 19,741 67,309 52,453
合計
739,749 738,324 28,496 19,741 711,064 717,695
公正価値ヒエラルキー
での区分
重要な観察不能な
インプットを使用
(レベル3) 公正価値(合計)
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
当行
金融資産
(1)
投資有価証券 - - 5,896 6,092
正味貸付金および前渡金 521,474 501,795 540,698 530,503
合計
521,474 501,795 546,594 536,595
金融負債
預金およびその他の借入金 - - 643,755 665,242
発行済社債 - - 95,805 72,194
合計
- - 739,560 737,436
(1) 償却原価で測定される投資有価証券には、当グループについては当グループの流動性ポートフォリオの一部である資産
4,558百万ドル(2022年:3,976百万ドル)が含まれ、当行については、当グループおよび当行の流動性ポートフォリオの
一部である資産2,917百万ドル(2022年:2,304百万ドル)が含まれる。これらはすべて、主として当グループのその他の
地域における短期 (1年未満)商品であり、2023年9月30日現在、当グループの流動資産合計に占める割合は2%未満で
ある。
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次表は、当グループにおいて償却原価で計上される金融資産および金融負債について、帳簿価額が公正価値の合理的な近似
値とならないことが一般的である場合における、公正価値を見積もる際の基準について記載している。
金融資産および金融負債 公正価値アプローチ
投資有価証券-償却原価で測 市場相場価格または該当する場合は観察可能なインプットに基づいた計算。市場
定される負債証券 相場価格が入手不能な場合には、債務商品の満期までの残存期間に関して適切な
イールド・カーブを用いた割引キャッシュフロー・モデルを使用する。公正価値
はその金融商品に関して適用される信用スプレッドに対する調整を反映してい
る。
銀行に対する正味貸付金およ 信用の質が類似する貸付に適用される一般的な市場金利を用いて割引いたキャッ
び前渡金 シュフロー。
顧客に対する正味貸付金およ 将来キャッシュフローをホールセール市場金利の変動、当グループのホールセー
び前渡金 ル資金調達コストおよび顧客マージンを必要に応じて組み込んだイールド・カー
ブを使用して割引いた現在価値。
満期の定めのない預金負債ま 報告日現在の要求払いの金額。預金を将来期間に継続することにより当グループ
たは要求払い預金負債 が得ることが予想される価値に関しては公正価値を調整していない。
満期が定められている利付預 満期が類似する債務に係る市場借入金利を用いて割り引いた契約上のキャッシュ
金ならびに市場相場金利のあ フロー。
るその他の借入金および支払
承諾
発行済社債 市場相場価格または該当する場合は観察可能なインプットに基づいた計算。市場
相場価格が入手不能な場合には、債務商品の満期までの残存期間に関して適切な
イールド・カーブを用いた割引キャッシュフロー・モデルを使用する。公正価値
にはその金融商品に関してANZに適用される信用スプレッドに対する調整を反映し
ている。
重要な判断および見積り
金融商品のかなりの部分は、貸借対照表に公正価値で計上されている。したがって、当グループは財務書類に組み
込まれる金融商品の公正価値評価額の算定に使用する重要な評価上の仮定を定期的に評価している。これは、貸借
対照表日現在の帳簿価額の算定には、高度の判断および見積が伴う可能性があるためである。
金融商品の公正価値評価額の算定にあたって、当グループは、公正価値測定の仮定における経済および市場の状況
による影響およびこれらの見積における評価インプット、特に評価調整の適切性、ならびに、公正価値ヒエラル
キーにおける金融商品の分類に対するこれらの事項の影響を考慮している。
当グループが用いる評価モデルの大部分は観察可能な市場データのみをインプットとして使用している。特定の金
融商品については、現在の市場では容易に観察できないデータを使用することもある。観察不能な市場データを使
用する場合には、評価全体に対する観察不能なインプットの重要性に応じて、公正価値を算定するための判断の行
使がより求められる。一般には、観察不能なインプットを他の関連市場データから取得し、それらを入手可能な場
合には観察された取引価格と比較している。評価技法を用いて金融商品の公正価値を評価するにあたって、当グ
ループは公正価値の算定に求められる評価調整も考慮している。当グループは市場参加者が特定の金融商品の公正
価値の算定にあたり考慮するであろう要素を当グループの評価に反映するため、調整(信用評価調整および資金調
達評価調整など。注記10「デリバティブ金融商品」を参照のこと。)を適用することがある。
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19. 担保に供している資産および受け入れている担保物件
以下の開示からは、デリバティブ負債およびデリバティブ資産に関連するものとして貸借対照表に表示されている支払担保
および受取担保の金額が除かれている。それらの担保契約の条件は、国際スワップ・デリバティブ協会のマスター契約の一部
を構成する標準クレジット・サポート・アネックスに記載されており、当グループの大部分のデリバティブはこれに従って実
行されている。
担保に供している資産
担保に供している資産には、以下の種類の商品が含まれる。
・ 買戻条件付取引の担保に供されている有価証券。これらの取引は業界の標準的な契約に準拠している。
・ ANZのカバード・ボンド・プログラムの一環として、投資家に発行した債券および社債の担保に供された特定の住宅モー
ゲージ。
・ 中央銀行に差し入れている担保。
・ 清算機関に差し入れている担保。
担保として差し入れられている資産の帳簿価額は、以下のとおりである。
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
(1)
買戻条件付売却証券 47,552 52,757 42,002 47,846
カバード・ボンドの担保として差し入れられた
住宅抵当証券 31,188 27,575 21,017 17,953
6,152 5,601 6,077 5,527
その他
(1) 買戻条件付売却証券として開示されている金額には下記の両方が含まれる。
・ 担保として差し入れられている資産で当グループの貸借対照表に引き続き認識されるもの
・ 以下の開示に含まれる転質された資産
受け入れ担保物件
ANZは様々な財務取引に関連して担保を受け入れている。特定の取決めに基づき、ANZは受け取った担保を売却または転質す
る権利を有している。これらの取決めは業界の標準的な契約に準拠している。
受入担保および売却または転質した担保の公正価値は以下のとおりである。
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
売却または転質可能な資産の公正価値
52,184 32,389 51,519 30,647
売却または転質された資産の公正価値 33,493 21,269 33,218 20,359
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20. 相殺
下記の両方の条件を満たしている場合、当グループは(AASB第132号「金融商品:表示」に準拠して)貸借対照表において金
融資産および金融負債を相殺している。
・ すべての状況において認識された金額を相殺する法的に強制可能な権利を現在有している。
・ 資産および負債を純額で決済するか、または資産の実現と負債の決済を同時に行う意図がある。
下表は、相殺されていないものの、強制力のあるマスター・ネッティング契約(または類似する契約)の対象となっている
金融資産および金融負債ならびに関連する貸借対照表において相殺されていない金額を示したものである。超過担保の影響は
考慮していない。
マスター・ネッティング契約または類似
する契約の対象となる金額
マスター・
ネッティング契約
(受入)/
または類似する
貸借対照表
差入金融
金融商品
契約の対象と
に計上され
(5)
(5)
た合計額 ならない金額 合計 担保 純額
(単位:百万ドル)
連結
2023年9月30日現在
(1)
デリバティブ金融資産 60,406 (3,290) 57,116 (38,070) (13,049) 5,997
売戻条件付契約、有価証券借入
(2)
契約、および類似する契約
- 償却原価で測定
4,145 (124) 4,021 - (4,021) -
- 損益を通じた公正価値によ
(3)
44,088 (10,505) 33,583 (2,401) (31,182) -
る測定
108,639 (13,919) 94,720 (40,471) (48,252) 5,997
金融資産合計
(1)
デリバティブ金融負債 (57,482) 5,096 (52,386) 38,070 6,547 (7,769)
買戻条件付契約、有価証券貸付
(4)
契約、および類似する契約
- 償却原価で測定
(12,744) 1,117 (11,627) - 11,627 -
- 損益を通じた公正価値によ
(3)
(31,710) 13,304 (18,406) 2,401 16,005 -
る測定
(101,936) 19,517 (82,419) 40,471 34,179 (7,769)
金融負債合計
2022年9月30日現在
(1)
デリバティブ金融資産 90,174 (6,983) 83,191 (56,491) (16,951) 9,749
売戻条件付契約、有価証券借入
(2)
契約、および類似する契約
29,776 (6,697) 23,079 (1,985) (21,094) -
- 償却原価で測定
119,950 (13,680) 106,270 (58,476) (38,045) 9,749
金融資産合計
(1)
(85,149) 9,936 (75,213) 56,491 9,964 (8,758)
デリバティブ金融負債
買戻条件付契約、有価証券貸付
(4)
契約、および類似する契約
- 償却原価で測定 (47,229) 12,497 (34,732) 1,985 32,747 -
(132,378) 22,433 (109,945) 58,476 42,711 (8,758)
金融負債合計
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(1) 貸借対照表で認識されているデリバティブ資産および負債は、中央清算の担保に関する一部の取決めの影響を反映してお
り、これに伴い、関連するデリバティブ残高の帳簿価額が法的決済として適格な担保に応じて減額されている。
(2) 売戻条件付契約
・ 満期までの期間が90日未満のものは貸借対照表において現金および現金同等物に計上されている。
・ 満期までの期間が90日以上のものは貸借対照表において正味貸付金および前渡金に計上されている。
(3) 2023年度中に、当グループは、買戻条件付契約と売戻条件付契約をマーケッツ事業のトレーディング勘定内において公正
価値ベースで管理することを開始した。この結果、関連する買戻条件付契約と売戻条件付契約は、FVTPLで認識され測定さ
れることとなった。
(4) 買戻条件付契約は、貸借対照表の預金およびその他の借入金に計上されている。
(5) 開示されている金融商品および金融担保の金額は、当該金融資産または金融負債の貸借対照表上の正味エクスポージャー
に限定され、超過担保は表から除外されている。
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マスター・ネッティング契約または類似する
契約の対象と なる金額
マスター・
ネッティング契約
(受入)/
または類似する
貸借対照表
差入金融
金融商品
契約の対象と
に計上され
(5)
(5)
た合計額 ならない金額 合計 担保 純額
(単位:百万ドル)
当行
2023年9月30日現在
(1)
デリバティブ金融資産 59,989 (1,096) 58,893 (41,574) (11,716) 5,603
売戻条件付契約、有価証券借入
(2)
契約、および類似する契約
- 償却原価で測定
4,021 - 4,021 - (4,021) -
- 損益を通じた公正価値によ
(3)
43,553 (10,143) 33,410 (2,248) (31,162) -
る測定
107,563 (11,239) 96,324 (43,822) (46,899) 5,603
金融資産合計
(1)
デリバティブ金融負債 (57,511) 2,760 (54,751) 41,574 6,356 (6,821)
買戻条件付契約、有価証券貸付
(4)
契約、および類似する契約
- 償却原価で測定
(8,955) 865 (8,090) - 8,090 -
- 損益を通じた公正価値によ
(3)
(31,125) 12,872 (18,253) 2,248 16,005 -
る測定
(97,591) 16,497 (81,094) 43,822 30,451 (6,821)
金融負債合計
2022年9月30日現在
(1)
デリバティブ金融資産 88,056 (4,242) 83,814 (61,038) (14,876) 7,900
売戻条件付契約、有価証券借入
(2)
契約、および類似する契約
- 償却原価で測定 28,045 (5,323) 22,722 (1,629) (21,093) -
116,101 (9,565) 106,536 (62,667) (35,969) 7,900
金融資産合計
(1)
デリバティブ金融負債 (84,500) 6,839 (77,661) 61,038 8,548 (8,075)
買戻条件付契約、有価証券貸付
(4)
契約、および類似する契約
(42,940) 11,021 (31,919) 1,629 30,290 -
- 償却原価で測定
(127,440) 17,860 (109,580) 62,667 38,838 (8,075)
金融負債合計
(1) 貸借対照表で認識されているデリバティブ資産および負債は、中央清算の担保に関する一部の取決めの影響を反映してお
り、これに伴い、関連するデリバティブ残高の帳簿価額が法的決済として適格な担保に応じて減額されている。
(2) 売戻条件付契約
・ 満期までの期間が90日未満のものは貸借対照表において現金および現金同等物に計上されている。
・ 満期までの期間が90日以上のものは貸借対照表において正味貸付金および前渡金に計上されている。
(3) 2023年度中に、当グループは買戻条件付契約と売戻条件付契約をマーケッツ事業のトレーディング勘定内において公正価
値ベースで管理することを開始した。この結果、関連する買戻条件付契約と売戻条件付契約は、FVTPLで認識され測定され
ることとなった。
(4) 買戻条件付契約は、貸借対照表の預金およびその他の借入金に計上されている。
(5) 開示されている金融商品および金融担保の金額は、当該金融資産または金融負債の貸借対照表上の正味エクスポージャー
に限定され、超過担保は表から除外されている。
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21. のれんおよびその他の無形資産
(1)
のれん ソフトウェア その他の無形資産 合計
2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
連結
期首残高 2,906 3,089 896 960 75 75 3,877 4,124
(2)
増加 - 78 332 315 - 10 332 403
償却費用 - - (316) (375) (2) (4) (318) (379)
減損費用 - - - (3) - - - (3)
処分/撤退に基づく償却
(3)
(78) (40) - - (7) - (85) (40)
150 (221) 1 (1) 4 (6) 155 (228)
換算差額
2,978 2,906 913 896 70 75 3,961 3,877
期末残高
(4)
取得原価 2,978 2,906 8,127 7,843 78 83 11,183 10,832
該当 該当
なし なし (7,214) (6,947) (8) (8) (7,222) (6,955)
償却累計額
2,978 2,906 913 896 70 75 3,961 3,877
帳簿価額
(1)
のれん ソフトウェア その他の無形資産 合計
2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
当行
期首残高 62 62 872 952 1 3 935 1,017
増加 - - 310 287 - - 310 287
償却費用 - - (310) (363) (1) (3) (311) (366)
減損費用 - - - (3) - - - (3)
- - 1 (1) - 1 1 -
換算差額
62 62 873 872 - 1 935 935
期末残高
(4)
取得原価 62 62 7,800 7,544 7 7 7,869 7,613
該当 該当
なし なし (6,927) (6,672) (7) (6) (6,934) (6,678)
償却累計額
62 62 873 872 - 1 935 935
帳簿価額
(1) のれんは、持分法適用投資の投資調整勘定を除外している。
(2) 2022年度ののれんの増加はキャッシュリワーズの取得に関連している。
(3) 2023年度の処分/撤退に基づくのれんの償却は、ANZ NBH Pty Ltdへのキャッシュリワーズの売却に関連している。2022年
度の処分/撤退に基づくのれんの償却は、ファイナンシャル・プランニング・アドバイス事業からの撤退に関連してい
る。
(4) 為替換算差額の影響を含む。
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のれんを伴う資金生成単位の減損テスト
企業結合により取得したのれんの減損テストは、毎年および減損の兆候がある場合に実施している。のれんは取得日時点
で、関連する企業結合のシナジー効果の恩恵を受けると予想される資金生成単位(「CGU」)またはCGUのグループに割り当て
られる。
該当CGUの帳簿価額が、回収可能価額を超過している場合、のれんは減損しているとみなされる。当グループは、のれんが割
り当てられた各CGUの回収可能価額を見積もるために、売却コスト控除後の公正価値(「FVLCOD」)アプローチを使用し、
FVLCODが帳簿価額を下回る場合には使用価値(「VIU」)の評価を実施する。
のれんは、のれんが監視される最小組織レベルに基づいて、以下のCGUに配分されている。
2023年 2022年
資金生成単位
(単位:百万ドル)
オーストラリア・リテール 100 178
ニュージーランド 1,617 1,530
法人 1,261 1,198
のれんの配分先である各CGUのFVLCODは、維持可能な将来収益の見積額に比較対象企業の観察可能な収益倍率を適用すること
によって見積もられる。その後、処分費用の見積額を控除する。評価額は、評価において使用される観察不能なインプットの
ために、公正価値ヒエラルキーのレベル3とみなされる。
FVLCODの決定に使用された経営陣のアプローチおよび重要な仮定は以下のとおりである。
重要な仮定 それぞれの重要な仮定の値(または複数の値)の決定のアプローチ
維持可能な将来収益 各CGUの維持可能な将来収益は、以下の金額の合計として見積もられる。
・ 当グループの各CGUの2024会計年度の財務計画
・ のれんが割当てられたCGUの範囲外で計上された中央部門の費用配分
関連がある場合、当グループの財務計画は、予想信用損失や投資支出などの項目の長期予
測を反映して修正される。
収益倍率(P/E) 各CGUに適用される収益倍率は、上場企業の比較対象グループから導出されたものであ
り、後述する30%の支配プレミアムを含んでいる。
ニュージーランド部門CGUおよび法人部門CGUの場合には、経営陣は、これらのCGUとの関
連性がある固有の要因に対処するためにP/E倍率の下方修正を行った。
支配プレミアムが適用されているが、これは、取得希望者がCGUの関連活動に対する支配
の獲得に十分な所有権を得るために支払うであろうと考えられる対価の上乗せ分の認識で
ある。各CGUに関する支配プレミアムは、過去の取引に基づいて比較対象グループのP/E倍
率の30%と見積もられた。
処分費用 処分費用は、過去および最近の取引から観察に基づいて、CGUの公正価値の2%と見積も
られた。
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上記のとおり、減損テストの結果、2023年9月30日現在においてのれんの重要な減損は特定されなかった。
各CGUのFVLCODの見積りは、P/E倍率、将来の維持可能な収益および支配プレミアム(30%)に関する仮定に影響される。し
かし、各CGUは、他の合理的に代替可能な見積りを用いた場合であっても、引き続き帳簿価額に対して回収可能価額が超過す
る。
認識および測定
下表は無形資産別に認識および測定方法の詳細を示している。
のれん ソフトウェア その他の無形資産
定義 当グループが企業を取得する 当グループが保有する購入済 資産運用事業の取得から生じ
にあたり支払った金額が、取 みソフトウェアは資産計上さ た運用手数料の権利および契
得した識別可能な資産および れる。 約上の権利から生じたその他
負債の公正価値を超過した金 ソフトウェアおよびコン の無形資産。
額。 ピューター・システムの構築
にあたり発生した20百万ドル
を超過する内部および外部費
用は、資産計上される。20百
万ドル未満の費用は発生年度
に費用計上される。
ソフトウェア案の企画もしく
は評価に要した費用またはシ
ステム設置後の維持費用は資
産計上されない。
帳簿価額 取得原価から減損損失累計額 当初は取得原価で測定され 当初は取得時の公正価値で測
を控除した金額。 る。 定される。
取得に関係する資金生成単位 その後、取得原価から償却費 その後、取得原価から償却費
に割当てられる。 および減損損失累計額を控除 および減損損失累計額を控除
した金額で計上される。 した金額で計上される。
耐用年数 確定できない。 主要な基幹インフラストラク 耐用年数が確定できない運用
のれんについては、少なくと チャーを除き、2年から5年 手数料の権利については、少
も年次で、または減損の兆候 の期間にわたり償却される。 なくとも年次で、または減損
が見られる際に減損の有無が ただし、主要な基幹インフラ の兆候のある場合は減損の有
見直される。 ストラクチャーは、監査委員 無について見直される。
会の承認を前提として7年の その他の無形資産は3年の期
期間にわたり償却することが 間にわたり償却される。
できる。
購入したソフトウェアは、よ
り長い耐用年数を有する他の
資産と一体とみなされる場合
を除き、2年で償却される。
減価償却法 該当なし。 定額法。 耐用年数を確定できない無形
資産には適用されない。耐用
年数を確定できる資産につい
ては定額法。
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重要な判断および見積り
のれんおよびその他の無形資産の回収可能価額ならびに資産の経済的耐用年数(または資産の耐用年数が無限であ
るか)を評価するために、経営陣の判断が利用されている。当グループは各報告日に帳簿価額の回収可能性を再評
価している。
のれん
のれんの残高に減損が生じているかどうかの決定においては、以下の多数の重要な判断が求められる。
・ のれんが割当てられるレベル – 過去の期間と同様に、のれんが割り当てられたCGUは、のれんが発生した過
去の企業結合から関連する便益を享受する、当グループの収益生成セグメントである。
・ 各CGUの帳簿価額の決定。これには、のれんが割り当てられたCGUに直接帰属しない全社資産および負債の
合理的かつ一貫した配分が含まれる。
・ 各CGUの回収可能価額の評価は、以下を含む。
・ 公正価値を決定するために使用されるモデルの選択 – 当グループは、市場倍率アプローチを使用して公
正価値を見積もった。
・ 上記の適切な比較対象グループの選択ならびに適切な支配プレミアムおよび処分費用の決定を含む、維
持可能な将来収益、適用されるP/E倍率に関する重要な仮定の選択
ソフトウェアおよびその他の無形資産
各報告日に、ソフトウェアおよびその他の無形資産は減損の兆候に関して評価され、その兆候が特定された場合に
は減損評価が実施される。資産の帳簿価額が回収可能価額を超過していると判断された場合、直ちに当該資産の帳
簿価額が減額される。まだ使用可能になっていない資産の減損テストは毎年行われる。
また、無形資産の予想される耐用年数は、各報告日に評価される。評価には、経営陣の判断が求められ、ソフト
ウェア資産に関しては、数多くの要因が予想される耐用年数に影響を及ぼす。これらの要因には、事業戦略の変
更、重要な売却および技術的な変化のペースが含まれる。
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22. その他引当金
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
(1)
827 775 697 673
未実行および条件付与信枠のECL引当金
顧客救済措置 459 662 425 600
組織再編費用 98 68 83 47
非貸付損失、不正および偽造 73 105 62 93
257 262 232 235
その他
1,714 1,872 1,499 1,648
その他引当金合計
非貸付損失、
顧客救済措置 組織再編費用 不正および偽造 その他
(単位:百万ドル)
連結
2022年10月1日現在残高 662 68 105 262
新規および当期中に増加した引当金 147 91 11 66
当期中に使用された引当金 (321) (40) (32) (61)
(29) (21) (11) (10)
当期中に戻入された未使用金額
459 98 73 257
2023年9月30日現在残高
非貸付損失、
顧客救済措置 組織再編費用 不正および偽造 その他
(単位:百万ドル)
当行
2022年10月1日現在残高 600 47 93 235
新規および当期中に増加した引当金 146 83 9 63
当期中に使用された引当金 (295) (27) (29) (59)
(26) (20) (11) (7)
当期中に戻入された未使用金額
425 83 62 232
2023年9月30日現在残高
(1) 増減分析については、注記13「予想信用損失引当金」を参照のこと。
顧客救済措置
顧客救済措置には、顧客への返金見込額に関する引当金、救済プロジェクト費用ならびに関連する顧客および規制当局から
の請求、罰金ならびに訴訟の費用および結果が含まれる。
組織再編費用
組織再編費用に関する引当金は、当グループの業務範囲、または業務方法の重大な変更に関する活動から生じるもので、従
業員退職手当が含まれる。継続活動に関する費用は引き当てられず、発生時に費用計上される。
非貸付損失、不正および偽造
非貸付損失には、貸付金および前渡金の元本残高に直接関連しない特定の法的措置によって生じた損失ならびに偽造、不正
および業務に関する是正措置によって生じた損失が含まれる。認識された金額は、報告日現在の債務を決済するために必要な
対価の最善の見積りであり、引当金に影響を及ぼす事象および状況に関わるリスクおよび不確実性を考慮している。
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その他
その他引当金は、従業員報酬、賃貸借物件に関連した補償引当金、様々な事業および資産の売却に関連した保証および補
償、ならびに企業結合の一部として認識された偶発債務を含む、様々なその他の引当金で構成される。
認識および測定
当グループは、過去の事象から生じる現在の債務が存在し、経済的資源の流出の可能性が高く、信頼性のある測定
が可能な場合に引当金を認識する。
認識された金額は、報告日現在の債務を決済するために必要な対価の最善の見積りであり、債務の時期および金額
に関するリスクおよび不確実性を考慮している。現在の債務を決済するために必要なキャッシュフローの見積りを
用いて引当金を測定する場合、その帳簿価額は当該キャッシュフローの現在価値である。
重要な判断および見積り
当グループは、顧客救済措置、組織再編費用、非貸付損失、不正および偽造ならびに訴訟に関連する請求を含む
様々な債務に対して引当金を計上している。これらの引当金は、それらの債務を支払うために必要な支出の見積り
を含む将来の事象の時期および結果に関する判断を伴う。必要に応じて、専門家の法的助言が取り入れられ、それ
らの助言に鑑み、適切とみなされる引当金の計上および/または開示が行われる。
顧客救済に関連する引当金は、特定された案件の解決費用に係る経営陣の最善の見積りを表すものであり、その金
額の決定には重要な判断の行使が求められる。判断は、影響を受けた顧客数、顧客1人当たりの平均返金額、関連
する救済プロジェクト費用、個別の事実や状況に関する規制上のエクスポージャーおよび顧客の請求による影響を
含む、異なる仮定に対する見解を形成するために必要とされる場合が多い。顧客救済引当金が訴訟または法的事項
に関連する場合、見積りの不確実性の水準が高くなる。根拠となる仮定の適切性を実績および法律専門家の助言を
含むその他の関連する証拠と照らして定期的に検証し、必要に応じて、引当金を調整する。
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23. 株主資本
株主資本
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
普通株式資本 29,082 28,797 29,005 28,720
準備金
(1)
570 (148) 58 (6)
為替換算調整勘定
株式オプション準備金 82 78 82 78
FVOCI準備金 (554) (478) (538) (557)
キャッシュフロー・ヘッジ準備金 (1,872) (2,036) (1,824) (2,061)
(22) (22) - -
非支配持分株主間取引準備金
準備金合計 (1,796) (2,606) (2,222) (2,546)
41,306 39,716 34,195 32,859
利益剰余金
当行株主に帰属する株式資本および準備金 68,592 65,907 60,978 59,033
(2)
522 494 - -
非支配持分
69,114 66,401 60,978 59,033
株主資本合計
(1) ANZ(タイ)パブリック・カンパニー・リミテッド、ANZインターナショナル(香港)リミテッドおよびANZシンガポール・
リミテッドが閉鎖された結果、関連する為替換算調整勘定はその他の包括利益から純損益にリサイクルされ、2023年度に
その他営業収入に43百万ドルの利益を認識した(2022年度:ミネルヴァ・ホールディングス・リミテッドおよびANZアジ
ア・リミテッドの解散の結果による65百万ドルの損失)。
(2) ANZバンク・ニュージーランドは、2022年度に当グループの非支配持分とみなされる484百万ドルの永久優先株を発行し
た。
普通株式資本
下表は当年度における普通株式および株式資本の変動の詳細を示したものである。
2023年 2022年
株式数 (百万ドル) 株式数 (百万ドル)
連結
期首残高 2,989,923,751 28,797 2,823,563,652 25,984
配当金再投資制度に基づく発行 8,406,978 206 7,195,108 183
ボーナス・オプション制度 1,657,422 - 2,890,268 -
従業員持株およびオプション制度 3,378,631 79 - (21)
(1)
株式買戻し - - (30,831,227) (846)
シェア・エンタイトルメントに基
(2)
- - 187,105,950 3,497
づく発行
3,003,366,782 29,082 2,989,923,751 28,797
期末残高
- - (4,209,150) -
減算:自己株式
3,003,366,782 29,082 2,985,714,601 28,797
期末残高
347/546
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オーストラリア・ニュージーランド銀行(E05961)
有価証券報告書
2023年 2022年
株式数 (百万ドル) 株式数 (百万ドル)
当行
期首残高 2,989,923,751 28,720 2,823,563,652 25,907
配当金再投資制度に基づく発行 8,406,978 206 7,195,108 183
ボーナス・オプション制度 1,657,422 - 2,890,268 -
従業員持株およびオプション制度 3,378,631 79 - (21)
(1)
株式買戻し - - (30,831,227) (846)
シェア・エンタイトルメントに基
(2)
- - 187,105,950 3,497
づく発行
3,003,366,782 29,005 2,989,923,751 28,720
期末残高
(1) 当グループは、2022年度に846百万ドル相当の株式を買い戻し、15億ドルのANZ普通株式の市場での買戻しを完了し、その
結果、2022年度に31百万株が消却された。
(2) 2022年7月18日、当グループは、予定されているサンコープ・バンクの買収のための資金調達に活用するため、ANZの新規
普通株式につき、全額引受済のプロラタ・アクセラレイテッド・リナウンサブル・エンタイトルメント・オファー(比例
按分方式・機関株主部分先行・放棄可能・権利付与型の募集)を発表した。すべての適格株主に対して、2022年7月21日
現在の保有株式15株につき新株1株を1株当たり18.90ドルの発行価格で購入する内容で勧誘が行われた。当グループはこ
のオファーに基づき、合計187.1百万株の普通株式を発行し、3,497百万ドル(発行費用控除後)の新規株式資本を調達し
た。
非支配持分
非支配持分に帰属する 非支配持分への
非支配持分に帰属する
利益 資本 配当金の支払額
2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
連結
ANZバンク・ニュージーランドPPS 26 - 512 484 26 -
2 1 10 10 1 2
その他
28 1 522 494 27 2
合計
ANZバンク・ニュージーランド優先株式
当グループのグループ会社であるANZバンク・ニュージーランド・リミテッド(「ANZバンク・ニュージーランド」)は2022
年7月18日に、484百万ドル(550百万ニュージーランドドル)の永久優先株式(「PPS」)を発行した。これらは当グループの
非支配持分とみなされる。
PPSの主な条件は以下のとおりである。
PPS配当金
PPS配当金は、ANZバンク・ニュージーランドの取締役の裁量により支払われ、累積しない。PPS配当金の支払が行われない場
合、ANZバンク・ニュージーランドは、次回のPPS配当金支払日まで、普通株式に対する配当金の承認もしくは支払、普通株式
の取得、または他の方法による普通株式に関する減資を行ってはならない。
ANZバンク・ニュージーランドがPPS配当金を支払う選択をする場合、PPS配当金は、2028年7月18日まで年率6.95%とし、そ
の後は変動利率となり、その利率は(PPS配当金が全額インピュテーション方式の税額控除対象の場合で)3か月物ニュージー
ランド銀行間取引金利に3.25%を上乗せした合算値に1からニュージーランド法人税率を差し引いたものを乗じたものとし、
支払予定日は毎年1月18日、4月18日、7月18日、および10月18日とする。
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償還に係る個別条項
PPSの所有者は、PPSの償還請求権を有していない。ANZバンク・ニュージーランドは、任意の償還日(2028年7月18日以降の
各PPS配当日)、または税務事由もしくは規制事由の発生後の任意の時点において、すべてのPPSの償還を選択することができ
るが、いずれの場合もRBNZの書面による事前の承認およびその他の条件を満たすことを条件とする。
認識および測定
普通株式 普通株式は無額面である。普通株式の株主には全額払込済普通株式保有数に応じ
て、配当金を受け取る権利、または当行の清算時に残余財産を受け取る権利が付与
される。これらは発行に直接帰属する費用を控除後の普通株式1株当たりの払込額
で計上される。当行の株主総会に自らまたは代理人が出席している全額払込済普通
株式の各保有者は下記の議決権を有する。
・ 挙手の場合は各人。
・ 投票の場合は各保有株式につき。
自己株式 自己株式は当行において、次のいずれかに該当するものである。
・ ANZ従業員株式取得制度のために市場で購入され、未だ分配されていないもの。
・ 当行がANZ従業員株式取得制度のために発行し、未だ分配されていないもの。
自己株式は株式資本から控除され、1株当たり利益の計算に用いる加重平均発行済
普通株式数から除外される。
準備金:
為替換算調整勘定 海外事業(子会社および支店を含む。)の機能通貨が豪ドルではない場合、資産お
よび負債の豪ドルへの換算の際に発生する差額が含まれる。本準備金において、当
該エクスポージャーのヘッジにより相殺する損益を、税効果と共に反映している。
キャッシュフロー・ヘッジ準 キャッシュフロー・ヘッジ手段として指定された商品に関連して有効部分とされる
備金 公正価値損益が税効果と共に含まれている。
FVOCI準備金 投資有価証券に含まれている特定の負債証券および持分証券の公正価値の変動が税
効果と共に含まれている。
FVOCI測定に分類される負債証券に関して、FVOCI準備金は、当初の認識後に生じた
公正価値の変動累計額を、損益計算書に計上された予想信用損失引当金、受取利
息、為替換算損益に関連するものを除外して計上している。FVOCIに分類される負債
証券は公正価値で計上されるため、FVOCI準備金残高は、当該資産に関するECL引当
金を控除したものである。FVOCIで測定される負債証券の認識が中止される場合、当
該証券に関してFVOCI準備金に計上されている損益累計額は、損益に再分類されその
他営業収入に表示される。
FVOCIで測定される持分証券に関して、FVOCI準備金には、当初認識後の公正価値変
動累計額が計上される(関連する為替換算損益を含む。)。FVOCIで測定される持分
証券の認識が中止される場合、当該証券に関してFVOCI準備金に計上されている損益
累計額の損益への組替えは行われない。
株式オプション準備金 株式報酬費用の認識時に生じる金額が含まれている。
非支配持分株主間取引準備金 株主権に基づく非支配株主との取引の影響が含まれている。
非支配持分 当グループが直接または間接的に所有していない株式持分に帰属する被支配法人の
純資産部分。
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24. 資本管理
資本管理の枠組み
ANZの資本管理の枠組みには、レベル1とレベル2の資本の管理が含まれる。
ANZの枠組みには、取締役会が承認したリスク選好度設定の管理、およびすべての規制要件の維持が含まれる。レベル1およ
びレベル2に関するAPRAの要件には、2023年1月に発効したAPRAの自己資本改革の実施を受けてAPRAが国内のシステム上重要
な銀行(「D-SIB」)に期待する水準以上でのANZの運営が含まれる。
2023年9月30日現在、すべての要件は充足されていた。
資本管理戦略
ANZの資本管理戦略は預金者、債権者および株主の利益を保護することを目標としている。当グループは3年間にわたる詳細
な戦略計画および資本計画を策定するための自己資本評価プロセス(「ICAAP」)を通じてその目標を達成している。
プロセスとしては次のものが含まれる。
・ 経済的変化、ANZ各部門の財務成績および計画期間中に実施される新たな戦略的イニシアチブの財務上の影響を予測する
こと。
・ 異なる経済シナリオのもとでストレステストを実施し、景気低迷時に発生する可能性のある損失を吸収するために必要
な追加資本(「ストレス資本バッファー」)の水準を決定すること。
・ ANZのリスク・プロファイルに照らし、自己資本比率およびさまざまな資本クラスの目標を見直すこと。
・ 目標とする自己資本比率、現在および将来の資本発行要件ならびに異なる市場や経済の状況下で資本計画を実行するた
めの資本商品、時期および市場に関する選択肢を考慮し、資本計画を策定すること。
資本計画は取締役会によって承認され、必要に応じて更新される。取締役会および上級経営陣には、ANZの資本ポジションの
最新情報が定期的に報告される。現在の適正資本管理を維持するために必要な重大な措置はすべて、取締役会に報告され、承
認を受ける。当年度を通じて、当グループは営業している各法域における自己資本比率に関するすべての規制要件を遵守して
いた。
規制環境
オーストラリア
ANZ銀行グループはオーストラリアにおける認定預金受入機関(「ADI」)であるため、1959年銀行法(オーストラリア連
邦)のもとで主としてAPRAによる規制を受ける。ANZ銀行グループはAPRAが定め、国際バーゼル3の自己資本規制枠組みに準拠
した最低規制資本要件、健全資本比率および特定の報告水準を遵守しなければならない。これはバーゼル銀行監督委員会に
よって設定される銀行規制資本の適正水準を決定するための一般的な枠組みである。APRAの最低要件は、以下に要約されてい
る。
規制資本の定義
普通株式等 Tier 1(CET1)
資本 Tier1資本 Tier2資本 資本合計
特定の項目について調整され CET1資本とその他Tier 発行日現在において償還 Tier1資本とTier2資本
た株主資本 1資本と呼ばれる適合損 期限まで最低5年の劣後 の合計
失吸収力を備えた特定の 債務商品
有価証券の合計
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最低適正資本比率 (PCR)
CET1比率 Tier1比率 合計自己資本比率
CET1資本のリスク加重資産に Tier1資本のリスク加重資産に対する 資本合計のリスク加重資産に対する
対する比率は、最低で4.5%で 比率は、最低で6.0%でなければなら 比率は、最低で8.0%でなければなら
なければならない。 ない。 ない。D-SIBについては、2024年1月
1日以降、合計自己資本比率が11%
以上でなければならない。詳細は以
下を参照のこと。
報告レベル
レベル1 レベル2 レベル3
ADI単体(すなわち、ANZBGLおよ 連結グループから、健全性基準の下で 最も広範囲なANZGHLのコングロマ
びADIの拡大認定法人を構成する 除外される特定の子会社および関連会 リット・グループ。
ために連結することが特定され 社を除外したもの。
ている子会社)。
2023年9月30日現在、APRAはまた、ADIに対し、以下の追加CET1バッファーの保有を義務付けている。
・ 国内のシステム上重要な銀行(「D-SIB」)に対する1%の追加分を含む、4.75%の資本保全バッファー(「CCB」)。
APRAは、ANZはD-SIBであると判断している。
・ 法域に基づいて設定されるカウンターシクリカル資本バッファー。オーストラリアに関しては、この要件は現在1%に
設定されている。
さらに2021年12月、APRAはANZを含むすべてのD-SIBに最低総資本比率の引上げを求めると発表し、引上げ幅は2024年1月ま
でにRWAの3%、および2026年1月までにRWAのさらに1.5%(合計4.5%)である。APRAの想定では、この要件はほぼTier2資
本のみで充足され、同等額の優先資金が減少する。報告日現在、ANZはこれらの要件の充足に向けて順調に準備を進めている。
保険および資産運用
APRAの健全性基準で要求されているように、保険および資産運用業務は、以下のように扱われている。
・ 自己資本比率の計算目的では連結から除外されている。
・ リスク・ベースの自己資本比率の枠組みからは除外されている。
当グループは、これらの被支配法人に対する投資の100%をCET1資本から控除し、これらの業務からの利益がANZ銀行グルー
プ業績に含まれている場合、当該利益の未送金額をCET1資本の算定から除外している。
オーストラリア以外
APRAに加え、ANZの支店および主要銀行子会社の運営は、ニュージーランド準備銀行、米国連邦準備制度理事会、英国健全性
規制機構、シンガポール通貨監督庁、香港金融管理局および中国銀行保険業監督管理委員会など、現地の規制当局の監督も受
ける。これらの規制当局は、各法域におけるそれぞれの事業活動に対して最低自己資本比率を課すことができる。
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APRAの自己資本改革
APRAは、オーストラリアで設立された登録銀行に適用される新たな銀行自己資本要件を公表した。これは、APRAの銀行健全
性基準に関する文書に記載されている。ANZは2023年1月1日からこれらの新しい要件を実施した。
新しい自己資本充実度の重要な要件には、以下を含む改革の主な特徴を有する、APS第110号「自己資本比率」(「APS第110
号」)、APS第112号「自己資本充実:信用リスクに対する標準的手法」(「APS第112号」)およびAPS第113号「自己資本充
実:信用リスクに対する内部格付手法(「APS第113号」)の変更が含まれる。
・ ストレス期間中の融資を支援するために銀行が使用できるより高い資本バッファーを通じて、自己資本フレームワーク
の柔軟性を向上させる。
・ 高リスクの融資に対しては自己資本要件を引き上げ、低リスクの融資についてはそれを引き下げることにより、よりリ
スク感応度の高いリスク加重を通じてリスク加重資産(「RWA」)を変更する。
・ モーゲージ・ポートフォリオについて、内部格付手法(「IRB」)の適用が認められたLGDモデルの使用の承認を含み、
デフォルト時損失率(「LGD」)を変更する。
・ IRBスケーリング係数を引き上げる(1.06倍から1.1倍)。
・ IRBを用いるADIに対して標準アプローチに基づくRWAの計算および開示を義務付け、標準的RWAの72.5%の自己資本最低
水準を導入する。
・ レベル2の所要自己資本の計算目的のため、ニュージーランド当局の同等の健全性規則を使用する。
加えて、オペレーショナルRWAは現在、2022年12月から従前の先進的手法に代わるAPS第115号「自己資本充実:オペレーショ
ナル・リスクに対する標準的測定手法」(「APS第115号」)に基づいて計算されている。
2023年1月のAPRAの自己資本改革が適用されることにより、RWAは345億ドル減少し、この減少はCET1比率においては100
ベーシスポイントの便益に相当する。これは、「問題なく強固」の水準を維持するためにより高い自己資本比率でADIを運営す
ることをAPRAが期待したことにより一部相殺された。
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(1)
ANZ銀行グループ
下表は、ANZ銀行グループの9月30日現在の自己資本比率の詳細を示したものである。
連結
2023年 2022年
(単位:百万ドル)
適格資本
Tier1
株主資本および非支配持分 69,114 66,401
(425) (175)
株主資本への適正資本調整
普通株式等Tier1総資本 68,689 66,226
(10,895) (10,354)
控除
普通株式等 Tier 1 資本 57,794 55,872
(2)
8,232 7,686
その他Tier1資本
Tier1資本 66,026 63,558
(3)
24,959 19,277
Tier2資本
90,985 82,835
適格資本合計
自己資本比率(レベル2)
普通株式等Tier1 13.3% 12.3%
Tier1 15.2% 14.0%
Tier2 5.8% 4.2%
自己資本比率合計 21.0% 18.2%
リスク加重資産
433,327 454,718
(1) この情報は、当グループの外部監査人であるKPMGによる当グループの財務報告書の外部監査の範囲に含まれていない。本
表に表示された情報は、APRA報告書式(「ARF」)第110号「自己資本比率」のパートAで開示されている規制当局の要件で
あり、健全性基準APS第310号「監査および関連事項」に基づいた監査の対象となる。
(2) これには、その他Tier1資本8,232百万ドル(2022年度:7,705百万ドル)(注記16「発行済社債」を参照のこと。)、な
らびに規制上の調整および控除額ゼロ(2022年度:-19百万ドル)が含まれる。
(3) これには、Tier2資本23,707百万ドル(2022年度:17,907百万ドル)(注記16「発行済社債」を参照のこと。)、金融資
産の減損に関する一般貸倒引当金1,776百万ドル(2022年度:1,233百万ドル)ならびに規制上の調整および控除額-525百
万ドル(2022年度:137百万ドル)が含まれる。
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25. 被支配法人
設立地 事業の内容
当グループの最終親会社はANZグループ・ホールディングス・リミテッドであ
る。 オーストラリア 銀行業
当グループは、別途注記されているものを除き、すべての被支配法人の議決権の
100%を保有している。
当グループの重要な被支配法人は以下のとおりである。
(1)
ベトナム 銀行業
ANZバンク(ベトナム)リミテッド
ANZファンズPty.Ltd オーストラリア 持株会社
(1)
キリバス 銀行業
ANZバンク(キリバス)リミテッド (持分比率は75%)
(1)
サモア 銀行業
ANZバンク(サモア)リミテッド
(2)
バヌアツ 銀行業
ANZバンク(バヌアツ)リミテッド
(1)
ニュージーランド 持株会社
ANZホールディングス(ニュージーランド)リミテッド
(1)
ニュージーランド 銀行業
ANZバンク・ニュージーランド・リミテッド
(1)
ニュージーランド 資産運用
ANZインベストメント・サービシズ(ニュージーランド)リミテッド
(1)
ニュージーランド ファイナンス
ANZニュージーランド(インターナショナル)リミテッド
ANZニュージーランド・インベストメンツ・ホールディングス・リミ ニュージーランド 持株会社
(1)
テッド
(1)
ニュージーランド 資産運用
ANZニュージーランド・インベストメンツ・リミテッド
(1)(4)
ニュージーランド ファイナンス
ANZニュージーランド・カバード・ボンド・トラスト
(1)
シンガポール 持株会社
ANZインターナショナル・プライベート・リミテッド
(1)
シンガポール 自家保険
ANZカバー・インシュアランス・プライベート・リミテッド
ANZレンダーズ・モーゲージ・インシュアランスPtyリミテッド オーストラリア 抵当保険
(4)
オーストラリア ファイナンス
ANZレジデンシャル・カバード・ボンド・トラスト
オーストラリア・アンド・ニュージーランド・バンク(チャイナ)カンパニー・ 中国 銀行業
(1)
リミテッド
オーストラリア・アンド・ニュージーランド・バンキング・グループ パプアニューギニア 銀行業
(1)
(PNG)リミテッド
(3)
グアム 持株会社
シティズンズ・バンコープ
(3)
グアム 銀行業
ANZグアム・インク
インスティテューショナル・セキュリタイゼーション・サービシズ・ オーストラリア 証券化マネ
ジャー
リミテッド
(1)
インドネシア 銀行業
PTバンクANZインドネシア (持分比率は99%)
(1) 海外のKPMGによる監査(必要に応じて当グループ監査の一環としてもしくは個別財務書類について)を受けている。
(2) ロー・パートナーズによる監査を受けている。
(3) デロイト・グアムによる監査を受けている。
(4) 当グループは所有していない。当グループが事業のほぼすべてのリスクおよび経済価値を留保しているため、支配が存在
する。
重要な被支配法人の変動
ANZシンガポール・リミテッドは2023年8月18日に登録を抹消された。ANZインターナショナル(香港)リミテッド、ANZ(タ
イ)パブリック・カンパニー・リミテッド(旧ANZバンク(タイ)パブリック・カンパニー・リミテッド)、および重慶市梁平
ANZ農村銀行は、2023年9月30日現在、清算中である。
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重大な制約
健全性規制の対象となる被支配法人は、最低資本またはその他の規制要件を維持することを要求される場合があり、このこ
とは、当該事業体が、親会社または当グループ内の他の事業体への資産の移転、配当金の支払またはその他の資本分配を行う
際の能力を制限する場合がある。当グループは、このような制約を注記17「財務リスク管理」で概説されるリスク管理の枠組
み、および注記24「資本管理」で概説される当グループの資本管理戦略の中で管理している。
2023年9月30日現在、当グループ内の事業体が当グループ内の他の事業体に対して資産の譲渡、配当金の支払またはその他
の資本分配を行う能力についての制約は、当グループの流動性および資本管理のいずれに対しても重要ではなかった。
認識および測定
当グループの子会社とは、次により当グループが支配する法人を指す。
・ 当該事業体から生じる変動リターンに対するエクスポージャーまたは権利を有していること
・ 当該事業体に対するパワーを通じて当該リターンに影響を与えることが可能であること
当グループは、事業体に対する当グループのパワーの有無を、当該事業体の関連活動を指揮する既存の権利を吟味
することにより評価している。
当グループが当事業年度中に子会社を処分または取得した場合、子会社の処分日まで、または取得日以降の営業成
績が当グループの業績に含まれる。当グループの支配が停止した場合、子会社の資産および負債、関連する一切の
非支配持分ならびにその他の資本構成部分について認識を中止する。
子会社における当グループの所有持分が変動しても支配の喪失にはならない場合、当グループは、株主権に基づく
株主との取引として会計処理する。
当グループ法人間の取引は、すべて連結時に消去される。
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26. 関連会社に対する投資
当グループの重要な関連会社は以下のとおりである。
帳簿価額
普通株式における持分 (単位:百万ドル)
会社名 主要業務 2023年 2022年 2023年 2022年
AMMBホールディングスBerhad 銀行業務および保険
(「AmBank」) 22% 22% 881 790
PTバンク・パン・インドネシア 個人および
(「PT Panin」)
企業向け銀行 39% 39% 1,440 1,318
ワールドライン・オーストラリ 決済・取引サービス
アPtyリミテッド(「ワールド
(1)
ライン」) - 49% - 47
その他の個別に重要でない
- 該当なし - 26
関連会社の合計
(2)
2,321 2,181
関連会社帳簿価額合計
(1) 本再編の一環として、ANZBGLのワールドライン・オーストラリアPtyリミテッドへの投資はANZ NBH Pty Ltdに譲渡され
た。
(2) 為替換算調整勘定に認識されている為替換算による影響を含む。
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重要な関連会社の財務情報
当グループの重要な関連会社各社の要約財務情報は、以下のとおりである。これらの要約財務情報は、当該関連会社の国際
財務報告基準(「IFRS」)に準拠した財務情報に基づいているが、各関連会社の会計年度が当グループと異なる(PT Paninは
12月31日、AmBankは3月31日、ワールドラインは12月31日)ため、未監査財務情報の使用が必要となる場合がある。
ワールドライン・オー
ストラリアPtyリミテッ
AMMBホールディングス PTバンク・パン・イン
(1)
Berhad ドネシア ド
主たる事業所の所在地および設立国
マレーシア インドネシア オーストラリア
2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
要約業績
1,517 1,511 1,273 1,206 - 57
営業収入
当期利益/(損失) 545 529 372 198 - (21)
87 (128) 24 6 - -
その他の包括利益/(損失)
包括利益/(損失)合計 632 401 396 204 - (21)
減算:非支配持分に帰属する包括(利
(8) (18) (69) 25 - -
益)/損失合計
関連会社株主に帰属する包括利益/
624 383 327 229 - (21)
(損失)合計
要約財政状態
(2)
資産合計 62,057 57,220 20,498 20,537 - 203
(2)
58,015 53,234 16,928 17,234 - 90
負債合計
(2)
純資産合計 4,042 3,986 3,570 3,303 - 113
(301) (402) (348) (315) - -
減算:関連会社における非支配持分
関連会社株主に帰属する純資産
3,741 3,584 3,222 2,988 - 113
関連会社における当グループ持分の
帳簿価額に対する調整
期首現在の帳簿価額 790 719 1,318 1,210 - -
取得 - - - 57
包括利益/(損失)合計における
当グループの持分 138 81 138 71 - (10)
関連会社から受け取った配当金 (42) (12) - (18) - -
(5) 2 (16) 55 - -
為替換算調整勘定の調整
881 790 1,440 1,318 - 47
期末現在の帳簿価額
当グループによる関連会社に対する
(3)
875 929 1,167 2,016 該当なし 該当なし
投資の市場価値
(1) 本再編の一環として、ANZBGLのワールドライン・オーストラリアPtyリミテッドへの投資はANZ NBH Pty Ltdに譲渡され
た。
(2) 買収時に当グループが行った(のれんなどの)市場価値の調整(および会計方針の差異に関する調整)が含まれる。
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減損評価
当グループは、減損の兆候について、関連会社への投資の帳簿価額を評価する。
2023年9月30日現在、非貸付資産の減損評価により、当グループの関連会社投資先の一つであるPT Paninに減損の兆候があ
ることが識別された。この帳簿価額はVIU計算により裏付けられたため、減損は認識されなかった。
認識および測定
関連会社とは、当グループがその営業方針や財務方針に重大な影響力を行使するものの支配していない法人であ
る。当グループは持分法で関連会社を会計処理している。関連会社に対する投資は、取得原価に取得後の関連会社
の純資産変動額の持分を加えたものから、減損損失累計額を差し引いた額で計上される。当グループが関連会社か
ら受け取る配当金は、当該投資の帳簿価額の減算として認識される。当グループは、関連会社によって認識されて
いるのれんを投資の帳簿価額に算入している。関連会社の帳簿価額に算入されているのれんについては、個別に減
損判定を実施していない。
当グループは、少なくとも報告日において関連会社に対する投資の減損の兆候について検討する。減損の兆候が存
在する場合、当グループは、次のいずれか高い方を用いて関連会社の回収可能価額を算定する。
・ 関連会社の処分費用控除後の公正価値
・ 使用価値
当グループは、VIU算定時の回収可能価額の算定に、割引キャッシュフロー法や該当する場合にはその他の方法
(収益還元法など)を用いる。
重要な判断および見積り
関連会社およびジョイント・ベンチャーに対する投資は、各報告日に評価され、投資が減損している可能性を示す
兆候がある場合に減損テストが行われる。また、当グループは、各報告日において、過去の期間の減損の戻入れを
正当付ける水準まで当グループの投資の回収可能価額が増加しているかを評価することが義務付けられている。
VIU計算の基礎となる主要な仮定を決定するためには、経営陣の重要な判断が求められる。事後期間に変化し将来
減損をもたらす可能性のある要因には、短期的な予測利益水準の未達、および/または長期的な成長予測の低下、
規制資本の要求水準の引上げ、ならびにリスクプレミアムまたは無リスク金利の引上げに伴う税引後割引率の上昇
が含まれる。
VIU計算に使用された主な仮定の概要は以下のとおりである。
2023年9月30日現在 PT Panin
税引後割引率 12.2%
永久成長率 5.0%
予想利益成長率(年平均成長率-5年) 5.4%
普通株式等Tier1比率(5年平均) 12.8%
VIU計算は、基礎となる仮定の変動の影響を受けやすく、主要な仮定の合理的に生じうる変動がVIUの計算結果にプ
ラスまたはマイナスの影響を及ぼし、その結果として投資の回収可能価額に影響を及ぼす。
・ 2023年9月における税引後割引率の+/-50ベーシスポイントの増減により、PT PaninのVIUの計算結果は-91
百万ドル/+105百万ドルの影響を受ける可能性がある。
・ 2023年9月における永久成長率の+/-25ベーシスポイントの増減により、PT PaninのVIUの計算結果は+55百
万ドル/-51百万ドルの影響を受ける可能性がある。
上記の合理的に生じうる変動により、割引率が上昇または永久成長率が低下しても、当該投資は減損しない可能性
がある。
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27. 組成された事業体
組成された事業体(ストラクチャード・エンティティ)(「SE」)とは、どの当事者が事業体を支配しているかを判断する
際に、議決権または類似の権利が決定要因にならないように設計された事業体である。SEは通常、狭義かつ十分に明確化され
た目的を達成するために、継続中の活動を制限するように設定されている。
支配関係が存在する場合、SEは子会社に分類の上で連結される。当グループがSEを支配していない場合、SEは連結されな
い。本注記では連結SEと非連結SE両方の情報を示している。
当グループによるSEへの関与は、次のとおりである。
種類 詳細
証券化 当グループは、流動性を管理する上で資金調達源を分散するため、当グループが行った
顧客貸付金および前渡金を証券化するためにSEを設立している。証券化プログラムに
は、SEが外部投資家に発行したノートに係る返済債務の担保を提供するか、または該当
する中央銀行との買戻条件付契約に適格な当グループ保有の資産を創出するために、倒
産隔離構造を持つSEに割り当てられた顧客貸付金および前渡金が含まれる。
当グループはSEの支配を留保しているため、これらのSEは連結されている。詳細は、注
記28「金融資産の譲渡」を参照のこと。
当グループは、顧客に代わって顧客の貸付金または債権を証券化するためにSEを設立す
ることもある。当グループは、これらの証券化事業体の運営、または流動性の提供もし
くは他の支援を行う場合がある。さらに、証券化事業体が発行した有価証券の保有を通
じて、第三者が設立した証券化事業体の持分を取得することもある。限定的ではあるが
支配関係が存在する場合、当グループはSEを連結する。
カバード・ボンドの 当グループによる発行済社債の担保を提供するため、特定の貸付金および前渡金は倒産
隔離SEに譲渡されている。当グループはSEの支配を留保しているため、これらのSEは連
発行
結されている。詳細は、注記28「金融資産の譲渡」を参照のこと。
ストラクチャード・ 当グループは次のようなSEに関与している。
ファイナンス契約 ・ 債務シンジケーションの組成および/または担保資産を分別管理するためのスト
ラクチャード貸付取引に関連して設立されたSE
・ ストラクチャード・リース取引において顧客にリースされた資産を所有するため
に設立されたSE
当グループは、SEを管理し、SEの資本に少額を出資、またはリスク管理商品(デリバ
ティブ)をSEに提供する場合もある。大半の場合、当グループはこれらのSEを支配して
いない。限定的ではあるが支配関係が存在する場合、当グループはSEを連結する。
資産運用業務 当グループは、ニュージーランドにおける多数の管理投資スキーム(「MIS」)のス
キーム・マネジャーである。これらのMISは、投資家に対する受益証券の発行を通じて
資金を調達しており、当グループはそれらをSEとみなしている。これらのMISに対する
当グループの持分は、サービスに係る手数料の受領またはリスク管理商品(デリバティ
ブ)の提供に限定される。これらの持分は、当グループがファンドを支配するような重
要なエクスポージャーを生じさせるものではない。したがって、これらのMISは連結さ
れていない。
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連結対象となる組成された事業体
連結対象となる組成された事業体に対する財政支援またはその他の支援
当グループは、連結SEに以下の財政支援を提供している。
証券化およびカバード・ 当グループは、SEに貸付枠、デリバティブ、コミットメントを提供する、および/また
ボンドの発行 はSEが発行した負債性金融商品を保有する。
ストラクチャード・ファ これらのSEが保有する資産は、通常、提供された資金の担保として差し入れられる。一
イナンス契約 部の連結SEは、資金全額が当グループにより提供されているが、その他には当グループ
も参加するシンジケート・ローンにより資金調達されるSEもある。当グループによる資
金提供は、当グループのエクスポージャーが貸付額および残りの未使用枠に制限される
貸付枠も含まれている。さらに、当グループは、提供した資金の返済を向こう12か月間
要求しない旨を確認するサポートレターをこれらの連結SEに提供している。
当事業年度において、当グループは連結SEに対して契約外の支援を提供しなかった(2022年度:なし)。現在、当グループ
は、上記以外の財政支援やその他の支援を連結SEに提供する意思はない。
連結対象外の組成された事業体
連結対象外の組成された事業体における当グループの持分
連結対象外のSEにおける「持分」は、契約または契約外の形式によるSEへの関与で、当グループをその業績による変動リ
ターンにさらすものである。当該持分には、債券および持分証券の保有、SEの業績に特有のリスクを移転するデリバティブの
保有、貸付、貸付コミットメント、金融保証および資産運用業務からの手数料が含まれるが、これらに限定されない。
連結対象外のSEにおける持分を開示するにあたり、
・ 例えば当グループの関与が、典型的な顧客と業者の関係である場合など、パッシブ持分の関係以上のものにはならない
場合には開示していない。この考え方に基づき、貸付業務、トレーディング業務および投資活動から生じる連結対象外
のSEに対するエクスポージャーは開示対象の持分とみなしていない。ただし、SEの設定により、当グループが関連性の
ある活動(SEのリターンに重要な影響を及ぼす活動)に関する意思決定に参加可能である場合を除く。
・ 「持分」には、当グループを(そのSE特有のパフォーマンス・リスクではなく)市場リスクにさらすことを意図したデ
リバティブ、または、当グループが連結対象外のSEの変動性を吸収するのではなく、変動性を生じさせるデリバティブ
(例として、クレジット・デフォルト・スワップにおける信用プロテクションの購入)は含まれない。
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下表は、連結対象外のSEにおける当グループの持分を、これらの持分から生じる可能性のある損失に対する最大エクスポー
ジャーと併せて記載したものである。
証券化 ストラクチャード・ 合計
ファイナンス
2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
帳簿上の持分
投資有価証券 2,070 3,352 - - 2,070 3,352
貸付金および前渡金の総額 10,367 9,433 24 43 10,391 9,476
貸借対照表合計
12,437 12,785 24 43 12,461 12,828
簿外の持分
コミットメント(未実行の与信枠) 3,270 2,078 - - 3,270 2,078
保証 50 50 - - 50 50
簿外合計
3,320 2,128 - - 3,320 2,128
損失に対する最大エクスポージャー
15,757 14,913 24 43 15,781 14,956
上記の持分の他に、当事業年度において当グループは連結対象外の投資ファンドから177百万ドル(2022年度:181百万ド
ル)の資産運用手数料を稼得した。
当グループの損失に対する最大エクスポージャーとは、損失事由が発生した場合にその発生可能性にかかわらず、連結対象
外のSEへの関与により当グループに生じ得る損失の最大額である。ただし、これは、被ると予想される実際の損失を示すもの
ではない。損失に対する最大エクスポージャーは、損失に対するANZのエクスポージャーを軽減するために締結したヘッジ取引
や担保契約の効果を控除する前の総額で表示されている。
損失に対する最大エクスポージャーは、次のように算定された。
・ 償却原価で測定される投資有価証券の帳簿価額
・ 帳簿価額に未実行の貸付金および前渡金を加算した額
連結対象外のSEの規模は資産合計で示されるが、これはSEによって異なり、最大の単一のSEの資産は約43億ドルである。
当事業年度に、当グループは連結対象外のSEに契約外の支援を提供しなかった(2022年度:なし)。また、現在、連結対象
外のSEに財政支援やその他の支援を提供する意思はない。
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スポンサーになっている連結対象外の組成された事業体
当グループは、連結対象外のSEのスポンサーになることができるが、開示対象となる持分はなかった。
この開示において、当グループが当該SEの設計および設立に関与する主たる当事者で、かつ以下の場合には、当グループ自
らが連結対象外のSEの「スポンサー」であると考えている。
・ 当グループが当該SEの主な利用者である場合、または
・ 当該SEの名称または商品に当グループの名称が用いられている場合、または
・ 当グループが当該SEの業績について黙示的もしくは明示的な保証を供与している場合
当グループは、投資がANZバンク・ニュージーランドへの預金に限定されているニュージーランドのANZ PIEファンドのスポ
ンサーになっている。当グループはANZ PIEファンドの資本価値および投資パフォーマンスについて、黙示的にも明示的にも保
証していない。当事業年度において、当該SEから受領した収益または当該SEへの資産の移転はなかった。
重要な判断および見積り
当グループが組成された事業体に対する支配を有するか否かの評価においては重要な判断が求められる。支配の有
無を決定する際に、判断が要求される。
・ 関連性のある活動(当該事業体のリターンに重要な影響を及ぼす活動)に対するパワー
・ 当該事業体の変動リターンに対するエクスポージャー
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28. 金融資産の譲渡
当グループは、通常の事業活動において、金融資産を第三者またはSEに直接譲渡する取引を行っている。これらの譲渡の結
果、当グループは、譲渡資産に係る当グループのリスクおよび経済価値へのエクスポージャーまたは支配によっては、それら
の金融資産の全部または一部の認識を中止する場合がある。当グループが譲渡資産に係るリスクおよび経済価値をほぼすべて
留保している場合、認識中止に適格な譲渡とは認められず、当該資産は当グループの貸借対照表に引き続き全額計上される。
証券化
正味貸付金および前渡金には、当グループの証券化プログラムに基づいて証券化され、倒産隔離構造を持つSEに譲渡された
住宅モーゲージが含まれている。それらの住宅モーゲージは、SEが発行するノートに係る返済債務の担保とするために譲渡さ
れたものである。発行済ノート保有者は、証券化された住宅モーゲージ・プールに対して完全遡及権を有し、当グループは、
かかる譲渡資産を担保に差し入れることや処分することはできない。
場合によっては、当グループは、SEが発行する証券化されたノートの保有者でもある。さらに当グループは、SEの残存収益
に対する権利も有しており、SEとデリバティブ契約を結ぶこともある。したがって、当グループは住宅モーゲージのリスクお
よび経済価値を留保しているため、引き続き当該住宅モーゲージを金融資産として認識する。
当グループはこれら証券化SEへの関与により変動リターンにさらされており、またSEの活動に対するパワーを通じてこれら
のリターンに影響を及ぼす能力を有する。したがってこれらのSEは当グループに連結されている。
カバード・ボンド
当グループは、発行市場で資金を調達するため、様々なグローバル・カバード・ボンド・プログラムを運用している。正味
貸付金および前渡金には、これらのカバード・ボンド・プログラムに基づいて倒産隔離構造を持つSEに譲渡された住宅モー
ゲージが含まれている。各プログラムに関して、カバード・ボンド保証人がその資産(これらの住宅モーゲージを含む。)を
担保とする保証に基づき利息と元本の支払を保証する。各カバード・ボンド保証人の実質的にすべての資産は、住宅ローン
(住宅不動産により担保される。)に対する当該カバード・ボンド保証人の衡平法上の持分で構成される。
カバード・ボンド保有者は、発行体とカバー・プール資産に対して二重の遡及権を有する。発行体は、かかる譲渡資産を担
保に差し入れること、あるいは処分することはできないが、必要な補償が維持されている限り、法的手続きを条件に資産の買
戻しおよび代用ができる。
当グループは、カバー・プールを、当該カバード・ボンド債務を十分に補償できる水準に維持しなければならない。さらに
当グループは、カバード・ボンドSEの残存収益(カバード・ボンド保有者と外部当事者に完済後の)に対する権利も有してお
り、SEとデリバティブ契約を結んでいる。したがって、当グループは住宅モーゲージのリスクおよび経済価値の大半を留保し
ているため、引き続き当該住宅モーゲージを金融資産として認識する。
当グループはカバード・ボンドSEへの関与により変動リターンにさらされており、またSEの活動に対するパワーを通じてそ
のリターンに影響を及ぼす能力を有している。したがってこれらのSEは当グループに連結されている。これらの発行済外部向
けカバード・ボンドは、発行済社債に含まれている。
買戻条件付契約
当グループが、所有に伴う実質的にすべてのリスクおよび経済価値を留保する買戻条件付契約により有価証券を売却する場
合、それらは認識の中止に適格な資産とみなされない。取引相手から受領した対価について関連負債が認識される。
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ストラクチャード・ファイナンス契約
当グループは、ストラクチャード・リースを通じて、特定の顧客取引の資金提供を行っている。これらの取引は、当グルー
プの貸借対照表においてリース債権あるいは貸付金として認識される。他の金融機関も当該契約の資金提供に参加することも
ある。その場合には、当グループにより認識された当該資産に対する権利が割合に応じて譲渡される。参加銀行は、リース資
産および関連収入に対して限定的な遡及権を有する。当グループが、デリバティブまたはその他の継続的関与を通じて、当グ
ループが譲渡した資産のリスクの一部に引き続きさらされる場合、当グループはリース債権または貸付金の認識を中止しな
い。その代わりに、参加金融機関に対する債務を表す関連負債を認識する。
下表は、認識の中止に不適格な譲渡資産の残高と関連負債を示したものである。
ストラクチャード・
(1)(2)
証券化 カバード・ボンド 買戻条件付契約 ファイナンス契約
2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
連結
譲渡済資産の当期帳簿価額 886 1,121 31,188 27,575 47,552 52,757 27 36
880 1,115 18,223 12,967 44,454 47,229 27 36
関連負債の帳簿価額
ストラクチャード・
(1)(2)
証券化 カバード・ボンド 買戻条件付契約 ファイナンス契約
2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
当行
譲渡済資産の当期帳簿価額 886 1,121 21,017 17,953 42,002 47,846 - -
886 1,121 21,017 17,953 40,080 42,940 - -
関連負債の帳簿価額
(1) 外部投資家のいない内部の組成された事業体への譲渡は含まない。
(2) 証券化されたノートの保有者は、証券化された住宅モーゲージ・プールのみに対して遡及権を有する。証券化資産と関連
負債の帳簿価額は、公正価値の近似値である。
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29. 退職年金および退職後給付債務
下表は、確定給付型退職年金制度に関して貸借対照表に計上された金額を要約したものである。
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
確定給付債務および制度資産
積立済確定給付債務の現在価値 (959) (930) (839) (809)
制度資産の公正価値 1,131 1,123 991 988
正味確定給付資産
172 193 152 179
貸借対照表に計上された金額
支払債務およびその他の負債に含まれる
確定給付債務から生じた純負債 (4) (6) (4) (6)
その他資産に含まれる確定給付債務から
176 199 156 185
生じた純資産
正味確定給付資産
172 193 152 179
確定給付債務に反映された給付金の支払の加
11.4 14.8 10.9 14.9
重平均期間(年)
制度の直近の報告日時点において、未払給付額に対する資産の市場価値(純額)は、積立ベースで合計53百万ドルの超過
(2022年度:69百万ドルの超過)であった。当グループは、2023年度に確定給付制度へ合計2百万ドル(2022年度:2百万ド
ル)を拠出した。来年度には、約2百万ドルを拠出する見込みである。
制度のガバナンスおよび確定給付制度の積立て
当グループが加入している主な確定給付型退職年金制度は信託法の下で運営され、関連する信託証書の条項、規則およびす
べての関連する法律に従い、加入者に代わって運用および管理される。これらの制度は、当グループの完全子会社を受託会社
としている。受託会社は制度資産の法的な所有者であり、これらは当グループの資産とは分別して保管されている。また、受
託会社の責任は、運用方針の設定、および3年ごとの年金数理評価プロセスを通じて雇用主と所要積立額について合意するこ
とである。
当グループは、オーストラリア、日本、ニュージーランド、フィリピン、台湾、英国で確定給付制度を設けている。3大制
度は、ANZオーストラリア職員退職年金制度、ANZ英国職員年金制度、ニュージーランドのANZ全国退職金制度の確定給付制度で
ある。これらの制度は閉鎖されており、1987年、2004年、1991年以降、それぞれ新規加入者はいない。どの制度も、直近の積
立評価時現在、不足額も余剰金もそれほど多くはなかった。当グループは、いかなる制度の信託契約上も、不足額(積立ベー
スに基づいて測定)を補てんする義務を負っていない。これらの制度のいずれかを解散した場合、当グループに偶発債務が発
生する可能性がある。
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認識および測定
確定給付退職年金制度
当グループは、少数の確定給付制度も運営している。各確定給付制度に基づく従業員への給付に関連する負債およ
び費用は独立年金数理士が計算する。年金数理士は予測単位積増方式を用いて、負債を評価する。貸借対照表に
は、次のものが計上される。
・ 債務が制度資産の公正価値を上回る場合は、確定給付負債
・ 資産の公正価値が債務を上回る場合は、資産(回収可能価額を上限とする。)
各報告期間において、正味確定給付債務の変動は、以下のように認識される。
・ 当期勤務費用、確定給付債務の利息純額、過去勤務費用、およびその他の費用(例えば縮小や清算の影響な
ど)に関連する純変動は、営業費用として認識される。
・ 正味確定給付負債のうちの数理計算上の差異および制度資産からの収益(利息純額に含まれる受取利息を除
く。)を構成する部分の再測定は、その他の包括利益を通じて利益剰余金に直接計上される。
・ 当グループの拠出額は正味確定給付残高に直接計上される。
確定拠出退職年金制度
当グループは、多数の確定拠出制度も運営しており、事業を行っている様々な国における法律に従い、確定拠出制
度の性質を有する政府およびその他の制度にも拠出を行っている。当グループのこれら制度への拠出は、発生時に
人件費として認識される。
重要な判断および見積り
確定給付債務の評価時に当グループが使用する主な仮定は、次のとおりである。仮定の変更、または異なる仮定の
適用は、その他の包括利益計算書および貸借対照表に影響を及ぼす可能性がある。
確定給付債務の増加/
(減少)
2023年 2022年
重要な仮定の変更に
連結 2023年 2022年 関する感応度分析 (単位:百万ドル)
割引率(年率%) 1.15-5.6 1.35-5.45 0.5%の上昇 (43) (49)
将来の昇給率(年率%) 2.0-3.5 1.5-3.8
将来の年金給付の物価スライド
支払(年率%)/繰延年金(年率%) 2.9-3.4 3.1-3.5/3.0 0.5%の上昇 34 32
現在の加入者の60歳時点での余命 1年長期化 33 40
-男性(年数) 26.3-28.3 26.2-28.3
-女性(年数) 29.2-30.2 29.1-30.2
確定給付債務の増加/
(減少)
2023年 2022年
重要な仮定の変更に
当行 2023年 2022年 関する感応度分析 (単位:百万ドル)
割引率(年率%) 5.5-5.6 5.1-5.45 0.5%の上昇 (38) (43)
将来の昇給率(年率%) 3.5 3.8
将来の年金給付の物価スライド
支払(年率%)/繰延年金(年率%) 2.9-3.3/2.8 3.1-3.5/3.0 0.5%の上昇 29 26
現在の加入者の60歳時点での余命 1年長期化 29 35
-男性(年数) 26.3-28.3 26.2-28.3
-女性(年数) 29.2-30.2 29.1-30.2
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30. 従業員持株およびオプション制度
2023年1月3日、ANZBGLは、スキーム・オブ・アレンジメントによってANZグループの新たな上場持株親会社として、純粋持
株会社であるANZGHLを設立した。本再編の結果としての従業員の持分(後渡し株式、後渡し株式の権利、制限付き権利および
業績に基づく権利)への影響はない。
ANZは、当行の最終的な親会社であるANZGHLによって運営されているANZ従業員株式取得制度およびANZ株式オプション制度に
基づき多数の従業員持株およびオプション制度を運営している。これらの制度は当グループの株式に基づいた報酬の取決めで
あり、これらの制度の下で、ANZGHLの株式(ANZ株式)が当グループの従業員に割当または付与される。
ANZ 従業員株式取得制度
2023年度および2022年度に運営されたANZ従業員株式取得制度は、株式後渡し制度および変額株式報酬 (「VPS」)オファー
であった。ANZインセンティブ制度(「ANZIP」)(ANZ全体で運用されている変動報酬制度)には、適格従業員に対して、株式
後渡し制度またはANZ株式オプション制度に基づいて支給される短期変動報酬または変動報酬がある。
株式後渡し制度
i) ANZインセンティブ制度(「ANZIP」)-短期変動報酬(「STVR」)および変動報酬(「VR」)-後渡し株式
報奨の種類 STVR(後渡し株式) STVR/VR過去分(後渡し株 VR(後渡し株式)
式)
資格 最高経営責任者(「CEO」)、グループ経営委員会 その他のすべての従業員
(「ExCo」)および内部監査担当グループ・ジェネラ (英国(「UK」)/中国の
(1) (2)
ル・マネージャー(「GGM IA」) 一部の役職を除く 。)
付与した会計年度 2022年度の業績および報酬 2021年度PRR:FY2022に付 2022年度および2021年度
(「FY」) レビュー(「PRR」): 与。 PRR:FY2023およびFY2022
FY2023に付与。 過去分の付与:FY2023およ に付与。
びFY2022中に開始。 過去分の付与:FY2023およ
びFY2022中に実施。
付与方法 CEO、ExCoおよびGGM IAの CEOのSTVRの50%、ExCo VRが100,000豪ドルまたは
(最高リスク責任者 それを上回る場合、VR金額
短期変動報酬
(「CRO」)を除く。)の 合計の60%を後渡し株式と
(「STVR」)の50%を後渡
変動報酬(「VR」)の して付与。
し株式として付与。
25%、ならびにCROおよび
GGMIAのVRの33%を後渡し
株式として付与。
条件 1年目が業績期間(すなわち、10月1日から9月30日) 1年目が業績期間を含む場
を含む場合、2年目および3年目に繰り延べられる。11 合、2年目、3年目および
月下旬に付与。 4年目に繰り延べられる。
11月下旬に付与。
割当額 10月1日までの5営業日 後渡し株式は、付与日までの5営業日(付与日を含
(10月1日を含む。)に む。)にASXで取引されたANZ株式のVWAPに基づいて付
ASXで取引されたANZ株式の 与。
出来高加重平均価格
(「VWAP」)に基づいて後
渡し株式を付与。
(1) 銀行役員説明責任体制(「BEAR」)の適用を受けるすべての執行役員。
(2) ANZIPの下において、現地の規制要件に従って、英国の重要リスクテイカー(「MRT」)および中国のMRTとして定義される
役割に対する特定の繰延べの取決めも存在する。
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ii) 例外的な場合
放棄された報酬 例外的に、当グループは、特定の従業員が前の雇用主に対して放棄した報酬を補償する
ため、ANZ入社時に後渡し株式を付与する。権利確定期間は一般的に、当該従業員が放
棄した報酬の残存権利確定期間で調整されるため、付与によって異なる。
人材確保 ANZにとって人材喪失リスクが大きいとみなされる業績の良い従業員に対して、後渡し
株式が付与されることがある。
iii) 追加情報
(1)
中止
取締役会 が別段の決定を下さない限り、従業員が辞職した場合、通知により契約が終
了した場合、または重大な不正行為により解雇された場合、権利未確定の後渡し株式は
失効する。後渡し株式は繰り延べ期間以降は信託で保有可能である。
配当金 配当金は配当金再投資制度に再投資される。
金融商品 一部の国においては、現地に合わせて後渡し株式の代わりに後渡し株式の権利を付与す
ることができる(「後渡し株式の権利」の項を参照のこと。)。
費用計上額 当グループは、関連する権利確定期間を通じて、定額法で後渡し株式の公正価値を費用
計上する。この費用を株式報酬費用として計上し、資本が同額増加する。後渡し株式
( 公正価値 )
は、付与日の1日VWAPに基づいて費用処理される。
2023年度および 2023年度に、2,244,181株(2022年度:1,971,715株)の後渡し株式が付与され、加重平
均付与価格は24.37ドル(2022年度:27.52ドル)であった。
2022年度付与
下方修正 株式後渡しは依然としてリスクにさらされており、取締役会は後渡し株式数を権利確定
日前であればいつでも下方修正(ゼロまでの修正を含む。)し(マルス)、一部の従業
(2)
員 に限定して、権利確定後に返還させる(すなわち、クローバック)裁量を有する。
ANZの下方修正規定については、2023年度報酬報告書のセクション7.3を参照のこと。
2023年度には、後渡し株式にマルスまたはクローバックを適用する取締役会の裁量権は
行使されなかった(2022年度:なし)。
(1) 本注記を通じて、「取締役会」 とは、ANZGHLおよびANZBGLの取締役会をいう。
(2) クローバックは、CEO、ExCo、GGM IA(2023会計年度に付与された報奨)、およびクローバック規制が適用される法域の上
級従業員に適用される。
変額株式報酬(「VPS」)オファー
資格、付与方法および VPSはオーストラリアの従業員に優遇税制措置を適用して、最大1,000ドル相当のANZ株
条件 式を受け取る機会を提供する(条件が満たされている場合)。すべてのANZ株式は、カ
ストディアンまたは受託者が指名したノミニーによって受託者に代わって保有され、3
年間にわたって制限される。この期間、従業員は議決権を有し、配当金支払の恩恵を受
け、この配当金は配当金再投資制度(「DRP」)を通じて再投資される。制限期間終了
後は、株式の売却または譲渡が可能である。
割当額 付与日までの5営業日(付与日を含む。)にASXで取引されたANZ株式のVWAPに基づいて
付与される。
費用計上額 付与日の1日VWAPに基づいて費用処理される。
( 公正価値 )
2023年度付与 2023年度においては、当グループは2022年11月22日に55,600株を発行価格24.46ドルで
付与した(2022年度にはVPSオファーに関する付与はなかった。)。
ANZ従業員株式取得制度の費用計上
費用計上額 2023年度に後渡し株式制度およびVPSオファーにより当グループが付与した株式の付与
日に測定した公正価値は、56.5百万ドル(2022年度:52.6百万ドル。後渡し株式制度の
( 公正価値 )
み)で株式数2,299,781株(2022年度:1,971,715株。後渡し株式制度のみ)と
VWAP24.57ドル(2022年度:VWAP26.69ドル)に基づいている。
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ANZ株式オプション制度
割当 当グループは、選ばれた従業員に、ANZの全額払込済普通株式をオプションまたは権利
の確定時に所定の価格で取得する権利を表象するオプションまたは権利を付与すること
がある。オプションまたは権利を行使して普通株式が割り当てられると、議決権と配当
請求権も付随して割り当てられる。
各オプションまたは権利により、その所有者は付与時に課せられた条件に従い普通株式
1株を与えられる。オプションの行使価格は、制度の規則に従い、一般には付与日まで
の1週間(付与日を含む。)にASXで取引された株式のVWAPを基準に決定される。権利
については、行使価格はゼロである。
規則 オプションまたは権利の行使前に、株式無償割当、株主割当発行、または再編により
ANZが株式資本を変更した場合、次の調整が求められる。
・ 株式無償割当-所有者のオプション行使時において、対象株式の割当時に保有して
いたならば受領資格のあった無償株式の割当数に対する権利が同時に与えられる。
・ 株主割当発行-当グループは、ASX上場規則で定められている方法で、オプション
行使価格を調整する。
・ 再編-権利に関して、株式無償割当またはANZの株式資本再編が行われた場合、取
締役会は、権利所有者に損得が生じないよう、権利の個数または対象株式数を調整
できる。
所有者には上記以外に参加する権利はない。
・ オプションまたは権利の行使前におけるANZの有価証券の新規発行
・ ANZ以外の法人(子会社など)の株式発行
取締役会の裁量により、報奨の権利確定部分を株式ではなく現金同等物で支給できる。
費用計上額 当グループは、関連する権利確定期間を通じて、定額法でオプションまたは権利の公正
価値を費用計上する。この費用を株式報酬費用として計上し、資本が同額増加する。公
( 公正価値 )
正価値を決定する際に考慮される要素には、市場パフォーマンス条件、株価のボラティ
リティ、金融商品の残存期間、配当利回り、および付与日の株価が含まれる。
権利確定 オプション/権利(適用される期間および業績条件を満たしている。)の報奨の一部
は、取締役会の裁量により株式ではなく現金同等物で支給できる。
2023会計年度には、現金による支払が行われた後渡し株式の権利70,231個(2022年度:
55,977個)を除いて、すべての後渡し株式の権利は株式の割当により支給された。
2023会計年度は、業績期間が3年から4年に変更された結果、権利確定すべき業績に基
づく権利(「PR」)はなかった。2022年会計年度には、権利が確定したPR(前回は2018
年11月/12月に付与)は、現金による支払が行われた24,011個のPRを除いて、株式の割
当により支給された。
中止 当該従業員の雇用が終了した場合に適用される規定については、2023年度報酬報告書の
セクション10.2.3を参照のこと。
下方修正 後渡し株式制度に従う。
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2023年度および2022年度のオプション制度
i) 長期変動報酬(「LTVR」)および変動報酬 (「VR」)-制限付き権利(「RR」)、業績に基づく権利
(「PR」)および後渡し株式の権利(「DSR」)
報奨の種類 LTVR(RRおよびPR) LTVR/VR過去の付与分 ANZIPのVR(DSR)
(PR)
(1) (1)
資格 後渡し株式の代わりにDSR
CEO、ExCoおよびGGM IA CEOおよびExCo
が付与される可能性のある
国の他のすべての従業員
(英国/中国の一部の役職
(2)
を除く 。)
付与の会計年度 2022年度PRR:FY2023に付 2021年度PRR:FY2022に付 2022年度および2021年度
与。 与。 PRR:FY2023およびFY2022
過去分の付与:FY2023およ に付与。
びFY2022中に実施。
過去分の付与:FY2023およ
びFY2022中に実施。
付与方法 CEOとExCo(CROを除く。)の CEOのLVTRの100%および VRが100,000豪ドルまたは
LTVRの50%はRRとして、50% ExCoのVRの50%はPRとして それを上回る場合、VR金額
はPRとして付与。CROとGGM 付与(VRの50%を代わりに 合計の60%を後渡しとして
DSRで付与したCROを除 付与。
IAのLTVRの100%はRRとして
く。)。
付与。
条件 RRとPRは、期間および業績の CEOへの報奨については、 DSRは、規定された権利確
充足を条件に、ANZ普通株式 AGMにおける株主の承認を 定期間後にANZ普通株式1
1株を無償で取得する権利を 条件に、年度末に付与され 株を無償で取得する権利を
提供する。 る。 提供する。
付与の条件: 4年の業績期間の終了時に
1年目が業績期間を含む場
・ RR:付与前評価(リスク PR業績条件(相対および絶
合、2年目、3年目および
ベースの測定) 対TSR要件)が判定され
4年目に繰り延べられる。
る。
・ RRおよびPR:CEO報奨に
ついては、年次株主総会 4年の業績期間は11月22日
(「AGM」)における株 に開始され、4年後の11月
主による承認 21日に終了する。
4年の業績期間終了後に判定
繰延期間は4年である。
される業績条件:
詳細については、2021年度
・ RR:権利確定前評価(リ
報酬報告書のセクション
スクベースの測定)
5.2.3aに記載されている。
・ PR:相対および絶対総株
主利回り (「TSR」)要
件
(3)
繰延期間 =4年の業績期
間(10月1日に開始)+保有
期間(業績期間終了日の翌日
から開始し、付与日の4年
目、5年目または6年目の応
当日に終了(CEOのみ6年
目))。
詳細については、2023年度報
酬報告書のセクション7.2に
記載されている。
割当額 10月1日(会計年度の初日)までの5営業日(10月1日を 付与日現在の公正価値は、
含む。)にASXで取引されたANZ株式の額面価額 割り当てられるDSRの数を
決定するために使用され、
費用計上目的にも使用され
る。公正価値は、権利確定
期間中に行われなかった配
当について調整される。
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(1) BEARの適用を受けるすべての執行役員
(2) 英国のMRTおよび中国のMRTとして定義される役割については、現地の規制要件に従って、ANZIPの下での特定の繰延べに関
する取決めも存在する。
(3) 配当相当支払金(「DEP」)は、当該繰延期間の末日に現金で支払われるが、基礎となる権利の全部または一部が当該業績
条件を満たし、かつ、当該個人に帰属する範囲においてのみ支払が行われる。配当相当支払金は、RRについては繰延期間
全体にわたって発生し、PRについては保有期間にのみに発生する。
報奨の種類 LTVR(RRおよびPR) LTVR / VR過去の付与分 ANZIPのVR(DSR)
(PR)
割当時期 LTVRは11月下旬/12月頃に付与される(CEOについては株 11月下旬に付与。
主承認を条件とする。)。
会計年度初日 会計年度末日
2023年度付与 2023年度に、当グループは 2023年度に、2,386,278個
393,419個のRRおよび のDSR(業績要件なし)を
325,880個のPRを付与した 付与した(2022年度:
(2022年度:542,747個の 2,576,907個)。
PR)。
下方修正 2023年度において、RRまたはPRにマルスまたはクロー 2023年度において、後渡し
バックを適用する取締役会の裁量権は行使されなかった 株式の権利にマルスまたは
(2022年度:PRなし)。 クローバックを適用する取
締役会の裁量権は行使され
なかった(2022年度:な
し)。
ii) 例外的な場合
放棄された報酬
後渡し株式の代わりにDSRが付与される可能性のある国では後渡し株式制度に従う。
人材確保
発行済のオプション、後渡し株式の権利、制限付き権利および業績に基づく権利
2023年11月10日現在、4,839,042個のDSRが発行済でその保有者は396人、362,991個のRRが発行済でその保有者は10人、
1,510,080個のPRが発行済でその保有者は10人であった。
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オプション/権利の変動
2023年度期首および期末における未発行ANZ株式に係るオプション/権利およびそれらの関連する加重平均(「WA」)行使価
格、ならびに2023年度の変動の詳細は、下表に示すとおりである。
期首残高
期末残高
2022年10月 2023年9月
(1)
1日現在 付与 失効 満了 行使 30日現在
オプション/権利数 6,209,040 3,105,577 (428,483) 0 (2,166,618) 6,719,516
WA行使価格(ドル) 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00
WA株価終値(ドル) 24.30
WA残存契約期間 1.9年
行使可能な全発行済オ
プション/権利のWA行
使価格(ドル) 0.00
行使可能な発行済オプ
124,377
ション/権利数
2022年度期首および期末における未発行ANZ株式に係るオプション/権利およびそれらの関連する加重平均行使価格、ならび
に2022年度の変動の詳細は、下表に示すとおりである。
期首残高
期末残高
2021年10月 2022年9月
(1)
1日現在 付与 失効 満了 行使 30日現在
オプション/権利数
6,307,778 3,119,654 (747,744) 0 (2,470,648) 6,209,040
WA行使価格(ドル) 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00
WA株価終値(ドル) 25.56
WA残存契約期間 1.9年
行使可能な全発行済オ
プション/権利のWA行
使価格(ドル) 0.00
行使可能な発行済オプ
141,633
ション/権利数
(1) 権利が失効するような状況(例えば中止、下方修正、業績面の条件を満たしていないなど)を指す。
2023年度および2022年度のオプション/権利の行使の結果発行されたすべての株式の権利行使価格はゼロであった。
取締役会報告書の署名日である2023年11月10日現在、
・ 2023年度末以降に付与された普通株式に対するオプション/権利はなかった。
・ 2023年度末以降のオプション/権利の行使の結果発行された株式はなかった。
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公正価値の仮定
公正価値算定時、当グループは、AASB第2号「株式報酬」の要件に従って、モンテ・カルロ価格モデルおよび/またはブ
ラック・ショールズ価格モデルなど、市場における標準的な評価技法を適用している。これらのモデルは、権利が確定した持
分の早期行使、譲渡不能、および(要件が設けられている場合は)社内外の業績要件を考慮している。
下表は、期中に付与された金融商品の公正価値の計算へのインプットとして使用した重要な仮定である。値は加重平均値で
表示しているが、各配分で用いる具体的な値は、公正価値の計算に用いている値である。
2023年 2022年
後渡し株式の 業績に基づく 後渡し株式の 業績に基づく
権利 制限付き権利 権利 権利 権利
行使価格(ドル)
0.00 0.00 0.00 0.00 0.00
付与日の株価終値(ドル) 24.67 24.54 24.51 26.62 26.92
ANZ株価の予想ボラティリティ
(1)
(%) 20.0 20.0 20.0 20.0 20.0
権利の期間(年) 2.1 6.6 6.6 2.2 6.0
権利確定期間(年) 2.0 4.6 4.6 2.1 4.0
予定残存期間(年) 2.0 4.6 4.6 2.1 4.0
予定配当利回り(%) 6.25 6.25 6.25 5.50 5.50
無リスク金利(%) 3.20 3.36 3.36 0.80 1.25
公正価値(ドル) 21.81 18.61 9.85 23.71 10.38
(1) 予想ボラティリティとは、ANZの株価が権利の有効期間中において変動すると予想される金額の割合である。価格モデルで
用いる変動率の測定の基準となるのは、付与日に先立つ一定の期間における株価実績について、連続複利による収益率の
標準偏差を年換算したものである。この年率換算した変動実績率の平均は、権利の予定期間における合理的な予想変動率
を見積もるために利用される。
株式報酬の支給
株式報酬に用いられるすべての株式は、市場からの買戻し、再割当、新規発行、またはこれらの組み合わせにより調達され
る。
2023会計年度に当グループが全従業員のために市場で買い付けた株式数は(ANZ従業員株式取得制度およびANZ株式オプショ
ン制度に基づき、あるいはオプションまたは権利に対応するため)は816,023株、1株当たり平均株価は24.35ドル(2022年
度:4,230,962株、1株当たり平均株価は27.57ドル)であった。
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31. 関係当事者の開示
主要経営陣の報酬
主要経営陣(「KMP」)とは、ANZBGLの取締役(執行取締役かそれ以外かを問わない。)、ならびに当グループの戦略的方向
性および経営に対して重要な責任を有する人員(すなわち、グループ経営委員会(「ExCo」)のメンバー)のうち、銀行役員
説明責任体制(「BEAR」)の説明責任を有し、最高経営責任者(「CEO」)に報告する人員をいう。注記4「営業費用」で人件
費合計に算入されているKMPの報酬は、以下のとおりである。
連結
(1)
2023年 2022年
(単位:千ドル) (単位:千ドル)
短期給付
21,072 18,294
退職後給付 483 394
その他長期給付 212 160
退職給付 31 -
株式報酬 8,303 7,368
合計
30,101 26,216
(1) 雇用期間が終了するまでは、開示された旧KMPを含めている。
主要経営陣のローン取引
KMPに融資されたローンは、他の従業員や一般顧客に適用される条件よりも有利にならない通常の商業的条件(融資期間、所
要担保、金利など)に基づき、通常の事業過程で行われたものである。当期中に償却はなく、これらの残高に関して計上され
た個別引当金もなかった。ローン商品の条件の詳細は、anz.comに掲載されている。KMP(その関係当事者を含む。)に対して
実行したローン残高(クレジットカード残高を含む。)、保証付または担保付、および未実行の与信枠の残高総額は、以下の
とおりであった。
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:千ドル)
(1)
31,068 30,679 21,824 17,610
ローン
(1)
1,582 2,020 1,373 1,822
未実行の与信枠
(2)
1,346 790 523 293
利息費用
(1) 残高は貸借対照表日現在(貸借対照表日現在に在職していたKMP)、あるいは旧KMPの退任日現在のものである。比較情報
は、当期の新KMPに係る期首残高(就任日時点)を含むよう修正されている。
(2) 利息費用は当期中のすべてのKMPに関するものである。
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主要経営陣によるANZ証券の保有高
KMP(KMPの関係当事者を含む。)が直接的、間接的、または実質的に保有する当行の劣後債務、ならびに本再編後の最終的
な支配会社であるANZグループ・ホールディングス・リミテッドの株式、株式の権利および株式オプションの詳細は以下のとお
りである。
連結
2023年 2022年
株数または個数 株数または個数
(1)
3,478,840 2,842,789
株式、オプションおよび権利
(1)
26,140 26,140
劣後債務
(1) 残高は貸借対照表日現在(貸借対照表日現在に在職していたKMP)、あるいは旧KMPの退任日現在のものである。比較情報
は、当期の新KMPに係る期首残高(就任日時点)を含むよう修正されている。
主要経営陣およびその関係当事者とのその他の取引
KMPおよびその関係当事者の当グループへの預金総額は41百万ドル(2022年度:30百万ドル)、当行への預金総額は27百万ド
ル(2022年度:21百万ドル)であった。
KMPおよびその関係当事者とのその他の取引には、投資運用サービス手数料、ブローカーおよび銀行手数料に関して当グルー
プに支払われた金額が含まれている。当グループは、KMPの職務の遂行に関連したセキュリティおよび事務サービスの費用を払
い戻している。これらの取引は、通常の商業条件で行われており、他の従業員や顧客の場合と比べて有利なものではない。当
年度において、退職するKMPに2,476ドル(2022年度:4,944ドル)相当の贈与が行われた。
関連会社
重要な関連会社については、注記26「関連会社に対する投資」で開示している。当年度中、全関連会社との間で実行された
取引は、通常の商業的条件と同等の条件で行われた。
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:千ドル)
関連会社からの未収金
13 86,469 - 18,572
関連会社への未払金 990 102,042 - 101,198
関連会社からの受取利息 9,391 5,570 7,860 4,477
関連会社への支払利息 353 34 307 26
関連会社からのその他の収入 5,816 14,296 5,816 14,296
関連会社に支払ったその他の費用 3,088 11,159 704 8,592
関連会社への保証 - 72 - 72
関連会社からの受取配当金 42,316 38,692 - -
未実行の与信枠 - 94,097 - 94,097
関連会社に重要な保証を与えたことはなく、また関連会社から重要な保証を受けたこともなかった。当期中に関連会社から
の未収金の償却はなく、これらの残高に関して計上された個別引当金もなかった。
子会社
重要な被支配法人については、注記25「被支配法人」において開示している。当会計年度中、子会社は子会社間および関連
会社との間で、独立第三者間取引と同等の条件で取引を行った。2023年9月30日現在、当行はこれらすべての取引に関わる残
高が全額回収可能とみなしている。
その他のグループ内取引には、運用および管理サービスの提供、職員の研修、データ処理設備、税務上の欠損金の移転なら
びに土地建物および設備機器のリースが含まれる。当行は、通常の事業過程において、特定の子会社に関する援助の念書
(「レター・オブ・コンフォート」)および保証書も発行した。
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関係会社
2023年1月3日の当グループの本再編の結果、ANZグループ・ホールディングス・リミテッドは当グループの最終的な支配会
社となり、ANZ銀行持株会社がANZBGLの直接親会社となった。本再編後、当グループとANZグループ内の関係当事者の間で数多
くの取引が行われた。これらの取引には、リースの取決め、資金調達活動、預金および納税資金調達の取決めが含まれる。
また、本再編の一環として、当グループの一部の関連会社がANZ NBH Pty Ltdに譲渡された。この譲渡後、これらの投資は当
グループの関連会社ではなくなり、当グループのその他の関係当事者となった。
これらの取引は、独立第三者間基準と同等の条件で行われている。2023年9月30日現在、当行はこれらすべての取引に関わ
る残高が全額回収可能とみなしている。
2023年9月30日現在、ANZグループ内の関係会社との残高は以下のとおりである。
2023年
(単位:百万ドル)
最終的な支配会社に対する債権
85
その他の関係会社に対する債権 696
最終的な支配会社に対する債務 1
その他の関係会社に対する債務 270
最終的な支配会社からの預金 183
その他の関係会社からの預金 111
その他の関係会社の未実行の与信枠 31
2023年度に、ANZグループ内の関係会社との間で発生した取引は次のとおりである。
2023年
(単位:百万ドル)
親会社への配当金支払額
4,387
最終的な支配会社への利息支払額 6
その他の関係会社への利息支払額 26
その他の関係会社からの利息受取額 42
その他の関係会社からのその他の収益受取額 18
また、2023年9月30日現在、ANZBGLはANZ Group Services Pty Ltdとの間で689百万ドルの使用権資産と815百万ドルのリー
ス負債を有している。2023年9月30日終了事業年度の、関連する使用権資産の減価償却費は36百万ドル、リース負債の支払利
息は15百万ドルであった(リース負債の支払利息は、上表でその他の関係会社への利息支払額に含まれている。)。
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32. コミットメント、偶発債務および偶発資産
信用関連のコミットメントおよび偶発債務
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:百万ドル)
契約額
未実行の与信枠 240,711 236,051 206,405 201,204
保証および信用状 23,556 23,729 20,816 21,557
26,615 26,036 25,891 24,634
履行保証関連偶発債務
合計
290,882 285,816 253,112 247,395
未実行の与信枠
未実行の与信枠の大半は、顧客の特定の信用およびその他要件もしくは条件の維持が前提となる。これら与信枠の多くは、
部分的な使用にとどまると予想されるが、その他は全く使用されない可能性もある。したがって、額面金額の総額は、将来の
流動性リスクまたは将来の現金の必要額を必ずしも示していない。当グループまたは当行が支払を求められうる最短日に基づ
くと、当グループおよび当行の未実行の与信枠の全額が向こう12か月以内に満期を迎える。
保証、信用状および履行保証関連偶発債務
保証、信用状および履行保証関連偶発債務は、保証、スタンドバイ信用状、荷為替信用状など当グループが自己勘定におい
て実行した取引に関するものである。
荷為替信用状では、輸出業者に対する代金支払を保証する信用状を当グループが発行する。これらは、関係する積荷商品を
担保としているか、または他の銀行の確認信用状の発行を条件にしている。
履行保証関連偶発債務は、顧客が契約に基づく非金銭的な債務の履行を怠った場合に第三者に支払を行う義務を当グループ
に負わせる負債である。
これらの取引に関連するリスクを反映するため、当グループは、融資申請と同じ与信審査、ポートフォリオ管理および担保
要件を適用している。契約額は、契約相手が金銭上の債務を履行できなかった場合に当グループが被りうる最大損失額を表し
ている。与信枠は、実行されずに期間が終了する可能性もあるため、名目上の金額は必ずしも将来必要となる現金額を表すわ
けではない。当グループまたは当行が支払を求められうる最短日に基づくと、当グループおよび当行の保証および信用状なら
びに履行保証関連偶発債務の全額が向こう12か月以内に満期を迎える。
その他の偶発債務
当グループに対する未解決の訴訟、請求および起こり得る請求がある。該当する場合には、法律専門家の助言に照らして適
切と考えられる引当金の計上(注記22「その他引当金」を参照のこと。)および開示が行われている。場合によっては、開示
が実務的でないこと、または開示により当グループの利益を毀損するおそれがあるため、個別項目が財務に及ぼす影響の見積
額を開示していない。
2023年9月30日現在の偶発債務および偶発資産について、以下のとおり記載している。
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規制上および顧客関連のエクスポージャー
当グループは、オーストラリアおよび世界各国において、規制当局による調査、監視および検査、報告すべき状況、民事執
行措置(訴訟によるものであるか否かを問わない。)、公式および非公式の調査、ならびに規制当局による監督活動に関連し
て、定期的にその規制当局とやり取りしている。当グループは、業界全体および当グループに限定した検査の一環として、規
制当局から様々な通知および情報提供の要請を受けた。また、規制当局に対して当グループ自ら進んで開示を行った。これら
の関与は広範囲に及ぶ可能性があり、例えば、近年は担当する融資実務、規制されている貸付の要件、商品の適合性および販
売、これらに課される利子および手数料や受給権、顧客救済措置、富裕層への助言、保険の販売、価格設定、競争、金融市場
および金融取引における行為、資本市場取引、マネーロンダリング対策およびテロ資金対策の義務、個人情報保護義務および
情報セキュリティ、事業継続管理、報告および開示の義務ならびに商品開示に関する文書などの多岐にわたる事項が含まれる
か、または含まれてきた。これらは、規制に対するエクスポージャーに加えて顧客に対するエクスポージャーが生じる可能性
がある。これらのエクスポージャーとしては、集団訴訟、個別請求、または顧客救済や補償措置が含まれるおそれがある。こ
れらの検査の結果および潜在的なエクスポージャーに関連する費用の合計は依然として不確定である。
南アフリカの金利訴訟
2017年2月、南アフリカ競争委員会は南アフリカランド建て取引において南アフリカ競争法のカルテル禁止規定に違反した
として、当行を含めた国内外の銀行を相手取った訴訟を開始した。民事罰の見込みあるいはその他の財務的な影響は判明して
いない。
資金調達を巡る訴訟
2018年9月に、オーストラリア証券投資委員会(「ASIC」)は、当行が、2015年8月の機関投資家向けの株式売出しに関連
する継続開示義務を遵守していないという主張に対する民事訴訟に取り掛かった。2023年10月、オーストラリア連邦裁判所
は、売り出された株式の共同主幹事による引受けについて、当行はASXに通知しておくべきであったと判断した。訴訟費用の支
払や民事制裁金の金額に関して、まだ命令は出されていない。民事制裁金の上限は1百万ドルである。
ESANDAのディーラー自動車ローンに関する訴訟
2020年8月に、ディーラーが手配したEsanda自動車ローンにおけるフレックス・コミッションの利用に関する不公正行為、
誤解を招くまたは欺瞞的な行為および衡平法上の錯誤を主張する集団訴訟が、当行に対して申し立てられた。当行は、この申
し立てに対し争っている。
OnePathの退職年金に関する訴訟
2020年12月、OnePathカストディアンズが、退職年金に係る投資および手数料に関して、退職年金法に基づく義務および受託
会社としての義務に違反したと主張する集団訴訟が、OnePathカストディアンズ、OnePathライフおよび当行に対して申し立て
られた。またこの請求は、当行がOnePathカストディアンズの投資違反の一部に関与したと主張している。当行は、この申し立
てに対し争っている。
ニュージーランドのローン情報に関する訴訟
2021年9月、特定のローン顧客に送付された変更通知に関して、消費者信用法に基づく開示要件違反を主張する集団訴訟
が、当行に対して申し立てられた。ANZバンク・ニュージーランド・リミテッドは、この申し立てに対し争っている。
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クレジットカード訴訟
2021年11月、クレジットカード契約における特定の金利に関する条項は不公正な契約条項であり、当行が当該条項に依拠す
ることは不当である旨を申し立てた集団訴訟が当行に対して提起された。当行は、この申し立てに対し争っている。
王立委員会
2019年2月4日に、銀行業、退職年金および金融サービス業における違反行為を監視するための王立委員会が最終報告書を
公表した。王立委員会によると、追加費用および更なるエクスポージャー(更なる規制措置に関連するエクスポージャーまた
は、集団訴訟、個人請求もしくは顧客救済または補償措置などの顧客関連の潜在的エクスポージャーを含む。)が発生してお
り、また発生し続けている。これらの潜在的なエクスポージャーに関連する結果および費用の合計は依然として不確定であ
る。
担保回収を巡る訴訟
減損資産の問題解決を目的として担保回収措置が講じられたことにより、様々な損害賠償請求が発生しており、または発生
する見込みである。これらの請求については防御が見込まれている。
保証、補償および運用報酬
当グループは、様々な事業および資産の売却やその他の取引に関連する事項およびリスクを網羅して、購入者およびその他
の人物の利益となる保証、補償およびその他のコミットメントを提供している。当グループは、それらの保証、補償およびコ
ミットメントに基づく請求に晒されており、これらの一部は現在も進行中である。これらのエクスポージャーに関連する結果
および費用の合計は依然として不確定である。
当グループは、当グループの一部の投資に関連して、所定の運用成績の基準値が達成された場合に、外部のファンド・マ
ネージャーに運用成功報酬を支払う取決めを締結している。運用成績の基準値の達成およびそれに伴う運用成功報酬は依然と
して不確定である。
精算および決済義務
特定のグループ会社は、様々な精算および決済の取決めを規定する規則を遵守する義務があるが、これにより他の会員金融
機関がその支払を怠った場合、信用リスク・エクスポージャーおよび損失が生じる可能性がある。これらの取決めに起因する
当グループの潜在的エクスポージャーは、事前に数値化できない。
特定のグループ会社は、ASXクリア(「フューチャーズ」)、ロンドン・クリアリング・ハウス(「LCH」)・スワップクリ
アおよびレポクリア、韓国取引所(「KRX」)、香港取引所(「HKEX」)、クリアリング・コーポレーション・オブ・インド、
上海清算所など、中央清算機関の会員である。会員である関連グループ会社は、国際的な規制要件に沿って中央清算機関でデ
リバティブ商品を清算できる。これらすべての会員制に共通する点は、関連グループ会社がデフォルト基金に拠出する必要が
あることである。他の会員が債務履行を怠った場合、関連グループ会社はデフォルト基金への追加拠出義務を請け負うよう求
められるおそれがあるものの、その額を事前に数値化することはできない。
親会社の保証
一部のグループ会社は、通常の事業過程において、特定の子会社に関する援助の念書(「レター・オブ・コンフォート」)
および保証書を発行している。これらの念書および保証書に基づき、発行会社は、当該子会社が引き続き被支配法人であるこ
と等、一定の条件に該当する場合、それらの子会社が各自の金融上の義務を引き続き果たせるようにすることを保証する。
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グリンドレイズの事業の売却
2000年7月31日、当行は、ANZグリンドレイズ・バンク・リミテッド(「グリンドレイズ」)およびその他の特定の事業のス
タンダード・チャータード・バンク(「SCB」)に対する売却を完了した。当行はこれらの事業に関する保証および補償を提供
した。
補償対象事項には、1973年外国為替規制法に違反したと主張される1991年に実行された特定の取引に関して、インドの当局
がグリンドレイズおよびその特定の役員に対して提起した民事罰手続きおよび刑事訴追が含まれている。2007年に民事罰が課
されたが、上訴の対象となっている。刑事訴追は現在防御の過程にある。
偶発資産
ナショナル・ハウジング・バンク
当行は、問題のある小切手により1990年代初頭に旧グリンドレイズの顧客口座に入金された受取金の回収を継続している。
問題の小切手は、インドのナショナル・ハウジング・バンク(「NHB」)から振り出されていた。小切手の受取金に関するグ
リンドレイズとNHBの訴訟は2002年初頭に解決した。
回収は、小切手の受取金を受領したグリンドレイズの顧客財産に対して行われている。回収額は、当行とNHBの間で分配され
ることになっている。
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33. 監査人報酬
連結 当行
2023年 2022年 2023年 2022年
(単位:千ドル)
KPMGオーストラリア
(1)
9,567 8,217 9,134 7,726
財務報告書の監査またはレビュー
(2)
3,882 6,037 3,808 5,956
監査関連業務
(3)
10 8 10 8
非監査業務
(4)
13,459 14,262 12,952 13,690
合計
KPMGオーストラリアの海外提携事務所
財務報告書の監査またはレビュー 6,157 5,808 1,994 2,033
(2)
1,933 1,459 911 831
監査関連業務
(3)
95 - - -
非監査業務
合計
8,185 7,267 2,905 2,864
監査人報酬合計
21,644 21,529 15,857 16,554
(1) グループ外の他の事業体のために支払った監査報酬を含む。
(2) 当グループの監査関連業務の内訳は、健全性および規制に関する業務が4.11百万ドル(2022年度:6.26百万ドル)、コン
フォート・レターが0.57百万ドル(2022年度:0.52百万ドル)、その他の業務が1.14百万ドル(2022年度:0.71百万ド
ル)である。当行の監査関連業務の内訳は、健全性および規制に関する業務が3.69百万ドル(2022年度:5.90百万ド
ル)、コンフォート・レターが0.53百万ドル(2022年度:0.48百万ドル)、その他の業務が0.50百万ドル(2022年度:
0.41百万ドル)である。
(3) 当グループおよび当行の非監査業務の内容は、方法、手続および管理のレビューなどである。詳細は取締役会報告書に記
載している。
(4) 物品・サービス税を含む。
当グループの方針は、KPMGオーストラリアまたはその提携事務所が法定の監査業務の範囲外であっても外部監査人の役割と
矛盾しない保証およびその他の監査関連業務を認めている。この中には、APRAなどの監督機関の要請による規制遵守や健全性
に関するレビューが含まれる。監査や監査関連業務に当てはまらないその他の業務は、非監査業務とされる。当該方針では、
監査人の独立要件に反しない限り、特定の非監査業務の提供を受けることを認めている。KPMGオーストラリアまたはその提携
事務所は、外部監査人としての役割と矛盾する、または監査人の独立性に違反するとされる業務を行ってはならない。これに
は、通常経営陣が行う経営活動に関する助言および下請け、ならびに外部監査人が自己の業務に対して意見を述べることを最
終的に求められうる契約が含まれる。
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34. 将来の報告期間に影響を与える保留中の組織変更
サンコープ・バンクの買収
2022年7月18日、ANZグループは、サンコープ・バンクの直接純粋持株会社であるSBGHリミテッドの全株式を取得することに
合意した旨を発表した。この買収は、オーストラリア競争・消費者委員会(「ACCC」)の認可または承認を条件としていた。
ACCCは2023年8月にこの買収に対して承認を与えることを拒否し、この決定は現在オーストラリア競争審判所で審査の対象と
なっている。さらに、この買収には、連邦財務官の承認や1996年州金融機関およびメットウェイ合併法(QLD)の一部改正など
特定の条件の充足が引き続き条件となる。また、APRAがAPS第222号「関係会社の関与」に基づきまたは関連して、ANZBGLに対
し、ANZBGLが買収の完了を進めてはならない旨の書面による通知を発行した場合、ANZBGLはサンコープ・バンク売買契約に基
づく解除権を有することになる。これらの条件が充足され、合併が承認されると仮定すると、買収の完了は暦年の2024年半ば
になると見込まれる。
35. 事業年度末以後の後発事象
2023年9月30日から本報告書署名日までの間に発生した重要な事象はない。
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取締役の宣言
オーストラリア・ニュージーランド銀行の取締役は以下のことを宣言する:
a) 取締役の意見において、当行および連結会社の財務書類および注記は、以下を含む2001年会社法に準拠している。
ⅰ) 第296条、オーストラリア会計基準および2001年会社規則により追加される要件に準拠している。
ⅱ) 第297条、2023年9月30日現在の当行および連結会社の財務状態および同日に終了した事業年度における当行および連
結会社の業績について真実かつ公正に表示している。
b) 当行および連結会社の財務書類の注記には、当行および連結会社の財務書類ならびに注記が国際財務報告基準に準拠してい
るという記載が含まれている。
c) 取締役は、2001年会社法第295条Aで要求される宣言を与えられた。
d) 取締役の意見では、支払期日到来時において当行に債務の支払能力があると信ずるに足る合理的な根拠がある。
取締役の決議に従って署名されている。
ポール・D・オサリバン シェイン・C・エリオット
会長 マネジング・ディレクター
2023年11月10日
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2【主な資産・負債及び収支の内容】
上記「1 財務書類」中の財務書類および注記を参照のこと。
3【その他】
(1) 事業年度末以降に生じた重要事象
2023年9月30日以降本書提出日現在まで、当グループにとり重要な後発事象は生じていない。
(2) 訴訟等
当グループに対する係属中の裁判、請求および請求の可能性がある。必要ある場合、専門家による法律上の助言を得て、か
かる助言に照らして、適切とみなされる引当金の引当て(「1 財務書類-注記22(その他引当金)」)および/または開示が
行われている。場合により、実際的ではないため、またはかかる開示が当グループの利益を害する可能性があるため、当グ
ループは個別事項の財務上の予想影響額を開示していないことがある。
詳細については、上記「1 財務書類-注記32(コミットメント、偶発債務および偶発資産)」を参照のこと。さらに完全
を期すため、上記「第3 事業の状況-3 事業等のリスク-(2)主なリスクおよび不確実性」中の「17.訴訟および偶発債務
は当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。」という項目名のリスク要因の開示も参照のこと。
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4【日本とオーストラリアとの会計原則の相違】
本書記載の当グループおよび当行の財務書類(連結財務書類および個別財務書類)(「財務書類」)は、オーストラリア会
計基準(AAS)およびオーストラリア会計基準審議会(AASB)が発行したその他の権威ある公表文書(「AGAAP」と総称す
る。)に準拠して作成されている。国際財務報告基準(IFRS)はAGAAPの基礎を成している。
以下の記述は、当グループが適用するAGAAPと日本基準の重要な差異を概説したものである。当グループは、財務書類および
関連注記の開示に関して、AGAAPと日本基準との間の比較表を作成しておらず、かかる差異を定量化していない。したがって、
以下のAGAAPと日本基準の差異の概説が完全であるという保証はない。
投資の決定にあたって、投資家は当グループ、申込の条件および財務情報に関する自らの検証に依拠しなければならない。
投資家はAGAAPと日本基準の差異、およびそれらの差異がどのように本書の財務情報に影響を与えるかを理解するために、自身
の専門アドバイザーに相談すべきである。
AGAAP、AGAAPの基礎となるIFRSおよび日本基準を公表する組織は、比較に将来重要な影響を与えうる継続中のプロジェクト
を複数抱えている。さらに、所定の会計基準の変更の結果生じるAGAAPおよび日本基準の今後の差異を特定することは行ってい
ない。
投資家は、投資を行うかどうかの決定にあたって、AGAAPと日本基準とでは結果が大きく異なりうることを前提とすべきであ
る。当グループの連結当期純利益、資産および株主持分の決定に影響を与える可能性がある、AGAAPおよび日本基準の間の重要
な差異は、以下のとおりである。
(a) 連結
被支配法人の識別
AGAAP において、グループの連結財務諸表には、親会社および親会社が支配するすべての会社(すなわち子会社。組成された
事業体を含む。)の財務諸表が含まれている。「支配」は、当グループが事業体に関与することで変動するリターンに対する
エクスポージャーまたは権利を有し、かつ事業体に対するパワーを通じてそのリターンに影響を及ぼす能力を有する場合に存
在するとみなされる。パワーは、当グループに当該事業体の関連活動を指示する現在の能力を与える既存の権利を検討するこ
とで評価される。場合により、支配の決定には判断を伴う。
日本基準においても、親会社は支配しているすべての会社等を連結することが求められている。日本基準において、会社
(親会社)は他の会社の意思決定機関を支配している場合、支配が存在するとみなされる。
ただし、一定の要件を満たす特別目的会社(SPE)については、子会社の定義に該当しないものと推定され、連結しないこと
ができる。
連結事業体の会計方針の統一
AGAAP において、財務諸表は統一した会計方針を使用して作成される。
日本基準においては、親会社および子会社が連結財務諸表を作成するために採用する会計原則は、原則として統一されてい
なければならない。「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」によれば、在外子会社の所在
地国の会計原則に準拠して作成された財務諸表は原則として親会社の会計方針(日本基準)に修正する必要があるが、在外子
会社の財務諸表がIFRSまたは米国会計基準に準拠して作成されている場合は、のれんの償却および退職給付会計における数理
計算上の差異の費用処理等の一定の項目を修正した上で、これを連結決算上利用できることと規定されている。
(b) 売却目的で保有する非流動資産および非継続事業
AGAAP においては、売却目的保有に分類される要件を満たす資産は、帳簿価額又は売却コスト控除後の公正価値のいずれか低
い方の金額で測定され、財政状態計算書(貸借対照表)において区分表示が求められる。非継続事業への区分が求められる構
成単位の経営成績は、包括利益計算書において区分表示される
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日本基準においては、売却目的で保有する非流動資産および非継続事業を扱う基準はないため、区分開示は求められない。
(c) 株式報酬
AGAAP においては、株式報酬の付与後に株価に関する条件が充たされずに報酬の確定後に失効が生じた場合、損益計算書への
調整は行わない。
日本基準においては、権利の確定後に失効が生じた場合、以前に計上された株式報酬費用は戻し入れられ、損益計算書に戻
入益を計上する。
(d) のれん
AGAAP においては、企業結合で取得したのれんは償却される代わりに毎年減損についてテストし、また事象や状況の変化が減
損の可能性を示している場合は、より頻繁に減損テストを実施する。減損損失をその後戻し入れることは認められていない。
日本基準においては、企業結合により発生するのれんの償却は20年以内の期間にわたって規則的に償却される。減損の兆候
がある場合、のれんの未償却簿価は減損テストが行われる。
(e) 資産の減損
AGAAPのもとでは、以下の減損テストが求められる。
・各報告日において、有形固定資産または耐用年数を確定できる無形資産(または無形資産が配分された資金生成単位
(「CGU」))に減損の兆候があるかどうかを判断する。
・耐用年数が確定できないまたは使用可能になっていない無形資産およびのれんについては、減損の兆候の有無にかかわら
ず年次で減損テストを実施する。
減損テストにあたり、資産またはCGUの帳簿価格はその回収可能価額と比較される。当該回収可能価額が資産またはCGUの簿
価より小さい場合には、当該差額を減損として認識する。回収可能価額は、資産またはCGUの公正価値から売却費用を控除した
金額と、将来のキャッシュフローを現在価値に割引いて算出した使用価値のいずれか高い方の額である。
無形資産(のれんを除く)または有形固定資産について以前認識された減損損失は、減損損失がその後減少したか、もはや
存在しなくなった場合には損益計算書に戻し入れられる。ただし、増加する資産額は、過年度において当該資産について減損
損失が認識されていなかった場合に決定されたであろう帳簿価格(減価償却費を控除後)を超えてはならない。のれんに対す
る減損損失を、その後戻入れることは認められていない。
日本基準においても、減損会計は基本的にAGAAPと同様である。しかしながら、日本基準の場合、減損テストは減損の兆候が
ある場合にのみに行われ、簿価と割引前見積将来キャッシュフローとを比較し、簿価が高い場合に限り、資産の公正価値(売
却費用控除後)および使用価値を考慮して減損損失を算定する。減損損失を、その後戻入れることは認められていない。
(f) 金融資産の分類および測定
AGAAPのもとでは、金融資産は、管理におけるビジネスモデルおよび契約上のキャッシュフローの特性(契約上のキャッシュ
フローが元本および利息の返済のみを表しているかどうか)に基づいて、「償却原価による測定」、「損益を通じた公正価値
による測定(FVTPL)」、「その他の包括利益を通じた公正価値による測定(FVOCI)」の3つに分類される。金融資産は、
FVTPLで測定するものとして指定することによって、指定しない場合に発生するであろう会計上のミスマッチを消去または大幅
に低減する場合に、FVTPLで測定するものとして取消不能の指定をすることができる。
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金融負債は、「償却原価」または、売買目的で保有される場合は「損益を通じた公正価値による測定(FVTPL)」で測定され
る。加えて、金融負債は以下の場合にFVTPLで測定するものとして指定することができる。
・この指定により、指定しない場合に発生する会計上のミスマッチを解消または著しく減少させる場合。
・金融負債グループが、文書化されたリスク管理戦略に従って、公正価値で管理され、その実績が公正価値に基づいて評価
される場合。
・金融負債が1以上の組込デリバティブを含む場合で以下の場合を除く。
a) 組込デリバティブが、組込デリバティブがない場合には契約によって要求されるキャッシュフローを著しく変更しな
い。
b) 組込デリバティブが、主契約となる金融負債と密接に関連している。
金融負債が公正価値で測定するものとして指定されている場合、企業自身の信用リスク変動に係る利益および損失は、その
他の包括利益に含められるが、それにより、損益における会計上のミスマッチが生じるまたは拡大する場合を除く。
日本基準においては、金融資産は金銭債権、有価証券、デリバティブおよび金銭債務といった種類別に計上される。有価証
券はさらに保有目的別に「売買目的有価証券」「満期保有目的の債券」「子会社および関連会社株式」、「その他有価証券」
に分類される。「金銭債権」、「子会社および関連会社株式」は取得額で計上される。「満期保有目的の債券」は取得原価
(債券を債券金額で取得した場合)または償却原価(債券を債券金額と異なる価額で取得した場合)のいずれかで計上され
る。「売買目的有価証券」および「デリバティブ取引から生じる正味の資産」は時価で計上され、評価差額は当期の損益とし
て処理される。「その他有価証券」は、時価で計上され、評価差額は純資産の部に計上される。
金融負債は、「金銭債務」および「デリバティブ取引から生じる正味の負債」に区分される。金銭債務は債務額をもって計
上される。「デリバティブ取引から生じる正味の負債」は時価で計上され、評価差額は当期の損益として処理される。
日本基準においては、金融商品の公正価値オプションは認められていない。
(g) 金融資産の減損
AGAAPのもとでは、償却原価またはFVOCIに分類される負債性金融商品、リース債権、契約資産、またはAASB第9号の減損規
定が適用されるFVTPL以外のローン・コミットメントおよび金融保証契約について予想信用損失に対する損失評価引当金が認識
される。減損は、当初認識以降の信用悪化の程度に基づき3つのステージを用いたアプローチ(予想信用損失モデル)により
損失評価引当金が認識される。
日本基準において、債権は債務者の状況に応じた3つの区分に分類され、区分ごとに算定された貸倒見積高に基づいて貸倒
引当金が計上される。「満期保有目的の債券」、「子会社株式及び関連会社株式」ならびに「その他有価証券」の時価が著し
く下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損
失として処理しなければならない。
(h) 金融資産の譲渡による認識の中止
AGAAPのもとでは、金融資産の譲渡による認識の中止は、譲渡企業の譲渡資産に対する支配およびリスク/経済価値のエクス
ポージャーをどの程度留保しているかに基づいて行われる。所有に伴うすべてのリスクおよび経済価値が実質的には留保も移
転もされない取引において、当該資産に対する支配権が失われた場合に当該資産の認識は中止される。一方、金融資産に対す
る支配の一部が留保される譲渡取引において、企業は継続的関与の範囲内(企業が譲渡資産の価値変動にさらされる範囲)に
ついて引き続き認識を継続する。
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日本基準においては、財務構成要素アプローチに基づき、金融資産の契約上の権利に対する支配が他に移転した場合に、金
融資産の譲渡による認識の中止を行う。金融資産の契約上の権利に対する支配が他に移転するのは、(a) 譲渡された金融資産
に対する譲受人の契約上の権利が譲渡人およびその債権者から法的に保全され、(b) 譲受人が譲渡された金融資産の契約上の
権利を直接または間接に通常の方法で享受でき、(c) 譲渡人が譲渡した金融資産を当該金融資産の満期前に買戻すまたは償還
する権利および義務を実質的に有していない場合である。
(i) ヘッジ会計
AGAAPのもとでは、公正価値ヘッジ、キャッシュフロー・ヘッジ、海外事業に対する純投資ヘッジが認められている。公正価
値ヘッジの場合、ヘッジされたリスクに起因するヘッジ対象の公正価値の変動とヘッジ手段の公正価値の変動は、ともに損益
計算書に計上される。キャッシュフロー・ヘッジおよび海外事業に対する純投資ヘッジの場合、ヘッジ手段の公正価値の変動
のうち有効部分は資本の部に計上され、非有効部分は直ちに損益計算書に計上される。キャッシュフロー・ヘッジに関連し
て、
・ヘッジ手段が消滅、売却、解除された、またはもはやヘッジ会計の要件を満たさなくなった場合、資本の部に繰延べられ
た累積額はキャッシュフロー・ヘッジ準備金に留保され、その後ヘッジ対象が損益計算書に計上される際に損益計算書に振替
えられる。
・予定取引がもう発生しないと予想される場合、資本の部に繰延べられた金額は直ちに損益計算書に計上される。
海外事業に対する純投資ヘッジに関連し、資本の部に認識された累積損益は、海外事業の処分または一部処分の際に損益計
算書に認識される。
日本基準においては、ヘッジに有効性がある場合は原則として「繰延ヘッジ」が適用される。「繰延ヘッジ」とは、ヘッジ
手段の公正価値の変動を、対応するヘッジ対象の損益が認識されるまで資本の部に計上する方法である。この例外として、売
却可能有価証券(いわゆる「その他有価証券」)の価格変動リスクをヘッジする際には、「時価ヘッジ」を適用することがで
きる。「時価ヘッジ」では、上記AGAAPの公正価値ヘッジと同様に、ヘッジ対象およびヘッジ手段の両方の公正価値の変動を同
時に損益計算書に認識する。
(j) 確定給付制度
AGAAPのもとでは、各確定給付制度の確定給付債務の現在価値(予測単位積増方式を用いて計算される)が各制度の資産の公
正価値より大きい場合には確定給付負債が認識される。また、この計算によって資産が生じる場合、回収可能な額を上限とす
る確定給付資産が認識される。各報告期間において、正味確定給付負債(資産)の増減は、以下のように取扱われる。
・当期の勤務費用、正味確定給付負債の利息純額、過去勤務費用およびその他の費用(例えば、縮小および清算の影響な
ど)に関する増減(純額)は、損益計算書の営業費用に計上される。
・正味確定給付負債(資産)のうち数理計算上の差異および制度資産からの収益(利息純額に含まれる受取利息を除く)を
構成する部分の再測定は、その他包括利益を通じて利益剰余金に直接計上される。
・雇用者の拠出額は正味確定給付負債(資産)に直接認識される。
日本基準においては、退職給付債務額は「給付算定基準」または「期間定額基準」のいずれかを用いて計算される。
利息費用は退職給付債務に割引率を乗じて算定される。各報告期間において、勤務費用、利息費用、制度資産の期待収益、
過去勤務費用および数理計算上の差異の当期の費用処理額(その他包括利益からリサイクリング)は、退職給付費用の一部と
して損益計算書に含まれる。
未認識の過去勤務費用および数理計算上の差異については、その他包括利益を通じて貸借対照表の資本の部に認識される。
過去勤務費用および数理計算上の差異については、従業員の平均残存勤務期間の範囲内の一定の年数で、営業費用として損益
計算書に計上することとされており、また発生時に費用処理する方法も認められている。
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(k) 個別財務諸表における持分法
AGAAPのもとで、当行はAASB第2014-9号を適用しており親会社の個別財務諸表において関連会社に対する投資に持分法が適用
されている。日本基準においては、関連会社に対する投資は個別財務諸表において取得原価で計上される。
(l) リース(借手の会計処理)
AGAAP のもとでは、借手は単一の会計モデルに基づき、すべてのリース(少額資産および短期のリースを除く)を貸借対照表
に認識しなければならない。その結果、借手は対象リース資産をリース期間にわたって使用する権利を使用権(ROU)資産とし
て認識し、リース料の支払義務をリース負債として認識する。また、損益計算書において、借手はROU資産に関する減価償却費
とリース負債に対する支払利息を認識する。
日本の基準において、リース取引は、ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引に分類される。基本的
に、資産の所有に伴うリスクと経済的便益のほとんどすべてが実質的に借手に移転している場合には、ファイナンス・リース
取引、それ以外をオペレーティング・リース取引とする。原則として、ファイナンス・リース取引については売買と同様の会
計処理を行い、オペレーティング・リース取引については賃貸借と同様の会計処理を行う。
(m) 共同支配下の企業結合
AGAAPのもとでは、共同支配下の企業または事業の結合は、AASB第3号企業結合の範囲から除外されており、明示された規定
はない。
日本基準において、共同支配下の企業または事業間の結合について企業会計基準等で規定されている。共同支配下の取引
は、原則として、移転直前に付されていた適正な帳簿価額を引き継ぐ。
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第7【外国為替相場の推移】
当行の財務書類の表示に用いられた豪ドルと日本円との間の為替相場が、国内において時事に関する事項を掲載する2以上
の日刊新聞紙に最近5年間の事業年度において掲載されているので、記載を省略する。
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第8【本邦における提出会社の株式事務等の概要】
該当事項なし。
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第9【提出会社の参考情報】
1【提出会社の親会社等の情報】
該当事項なし。
2【その他の参考情報】
(1) 有価証券報告書及びその添付書類
事業年度 (自 令和3年10月1日 至 令和4年9月30日) 令和4年12月20日に関東財務局長に提出
(2) 四半期報告書又は半期報告書
半期報告書 事業年度中 (自 令和4年10月1日 至 令和5年3月31日) 令和5年6月29日に関東財務局長に提出
(3) 臨時報告書
1. 企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第1号の規定に基づき臨時報告書を令和4年10月7日に関東財務局
長に提出
2. 企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第6号の3の規定に基づき臨時報告書を令和5年2月13日に関東財
務局長に提出
3. 企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第3号および第4号の規定に基づき臨時報告書を令和5年2月13日
に関東財務局長に提出
(4) 訂正報告書
1. 上記(3)2.の臨時報告書の訂正報告書を令和5年2月27日に関東財務局長に提出
2. 上記(3)3.の臨時報告書の訂正報告書を令和5年2月27日に関東財務局長に提出
(5) 発行登録書(募集)
令和5年3月2日に関東財務局長に提出
(6) 発行登録書(売出)
令和5年3月2日に関東財務局長に提出
(7) 訂正発行登録書(募集)
令和4年10月7日に関東財務局長に提出
(8) 訂正発行登録書(売出)
令和4年10月7日に関東財務局長に提出
(9) 発行登録追補書類(募集)
該当事項なし
(10) 発行登録追補書類(売出)
該当事項なし
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第二部【提出会社の保証会社等の情報】
第1【保証会社情報】
1【保証の対象となっている社債】
該当事項なし。
2【継続開示会社たる保証会社に関する事項】
該当事項なし。
3【継続開示会社に該当しない保証会社に関する事項】
該当事項なし。
第2【保証会社以外の会社の情報】
該当事項なし。
第3【指数等の情報】
該当事項なし。
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( 訳文)
独立監査人の同意書
オーストラリア・ニュージーランド銀行
取締役会 御中
私たちは、2023年9月30日終了事業年度に係るオーストラリア・ニュージーランド銀行の年次報告書に
含まれるオーストラリア・ニュージーランド銀行の財務報告書に関連した2023年11月10日付のオースト
ラリア・ニュージーランド銀行の独立監査人の監査報告書が、金融商品取引法に従って2024年2月1日
またはその前後に関東財務局長に提出される有価証券報告書の中に含まれることに同意する。
ケーピーエムジー(署名)
マリア・トリンチ(署名)
パートナー
オーストラリア、メルボルン市
2024 年2月1日
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CONSENT OF THE INDEPENDENT AUDITOR
To the Board of Directors
Australia and New Zealand Banking Group Limited
We hereby consent to the use of our Independent Auditor’s Report to the Shareholders of Australia and New
Zealand Banking Group Limited dated 10 November 2023 with respect to the financial report of Australia and New
Zealand Banking Group Limited appearing in Australia and New Zealand Banking Group Limited’s Annual Report
for the year ended 30 September 2023 in the Annual Securities Report lodged with Director General of the Kanto
Local Finance Bureau of Japan on or around 1 February 2024 for the purposes of satisfying the filing requirements
of the Financial Instruments and Exchange Law in Japan.
KPMG
Maria Trinci
Partner
Melbourne, Australia
1 February 2024
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独立監査人の監査報 告書
(翻訳)
オーストラリア・ニュージーランド銀行株主各位
財務書類監査に関する報告書
監査意見
私たちは、オーストラリア・ニュージーランド銀行の連結財務書類(以下、「グループの財務書類」という。)
について監査を行った。私たちはまた、オーストラリア・ニュージーランド銀行の財務書類(以下、「銀行の財務
書類」という。)についても監査を行った。
私たちは、添付のグループの財務書類および銀行の財務書類が、それぞれ2001年会社法に基づき、以下のとおり
であるものと認める。
・グループおよび銀行の2023年9月30日現在の財政状態および同日に終了した事業年度における財務成績を真実
かつ公正に表示している。
・オーストラリア会計基準および2001年会社法規則に準拠している。
各 財務書類 は、以下より構成されている。
・2023年9月30日現在の貸借対照表、
・同日に終了した事業年度の損益計算書、包括利益計算書、持分変動計算書およびキャッシュフロー計算書、
・重要な会計方針の要約を含む注記、
・取締役の宣言
グループは、オーストラリア・ニュージーランド銀行の事業年度末現在、あるいは当事業年度中における被支配
法人で構成される。
監査意見の根拠
私たちは、オーストラリア監査基準に準拠して監査を行った。私たちは、意見表明の基礎となる十分かつ適切な
監査証拠を入手したと判断している。
監査の基準における私たちの責任は、本報告書の「財務書類監査に関する監査人の責任」に記載されている。
私たちは、オーストラリアにおける財務書類監査に関する2001年会社法 および職業的監査人倫理基準審議会の
APES110「職業的監査人の倫理規範(独立性基準を含む。)」(以下、「規範」という。)における職業倫理に関
する規範に従って、グループおよび銀行から独立しており、また、これらの要件に準拠して監査人のその他の倫理
上の責任を果たしている。
監査上の主要な事項
私たちが識別したグループおよび銀行に関する監査上の主要な事項は以下のとおりである。
・予想信用損失引当金
・公正価値で保有する金融商品の主観的かつ複雑な評価
・組織再編
・ITシステムおよび統制
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加えて、私たちが識別したグループに関する 監査上の主要な事項 は以下のとおりである。
・PTバンク・パン・インドネシア(以下、「PT Panin」という。)への投資の帳簿価額
監査上の主要な事項 とは、当事業年度のそれぞれの財務書類監査において、監査人が職業的専門家として特に重
要であると判断した事項である。
監査上の主要な事項は、各財務書類全体に対する監査の実施過程および監査意見の形成において対応した事項で
あり、私たちは当該項目に対して個別に意見を表明するものではない。
予想信用損失引当金(グループ4,408百万ドル、銀行3,493百万ドル)
予想信用損失引当金に関する重要な会計上の見積りおよび判断ならびに開示については、グループおよび銀行の
財務書類注記13に記載されている。
監査上の主要な事項
予想信用損失(以下、「ECL」という。)引当金は、財務書類における貸付金および前渡金残高の重要性および
ECL引当金の測定に用いられる予想信用損失モデル(以下、「ECLモデル」という。)特有の複雑性により、監査上
の主要な事項とされている。これらのモデルは、データならびに複数の経済シナリオおよび主要な仮定(信用リス
クの著しい増大(以下、「SICR」という。)の定義等)を含む見積りに依拠する。
AASB 第9号「金融商品」は、経済状況のレンジを反映した将来予測に基づいてECLを測定するようグループおよ
び銀行に要求している。既知のECLモデルの限界またはローン・ポートフォリオの最新傾向に対応するために、モ
デルによるECLの算定後調整が検討される。私たちは、経済シナリオならびにECLの算定後調整の判断に対する批判
的な検討において重要な判断を行う。
経済見通しの影響およびその顧客に及ぼす影響に関連した不確実性の高まりにより、さらなる主観性および判断
が要求され、それらに対する監査も増加している。
顧客の信用格付(以下、「CCR」という。)の低下等のSICRの識別は、これらの基準により将来予測的な12か月
の引当金計上、または全期間の引当金計上となるかを決定づけるため、ECL手法における主要な判断となる。
さらに、特定の閾値を超える個別に評価されたホールセール貸付金に対する引当金が評価される。私たちは、予
想される将来の現金返済額およびその貸付金に関する担保価値からの予想収入に基づいて、特定の引当金の評価に
対する批判的な検討において重要な判断を行う。
当該事項に対する監査上の対応
ECL 引当金に関する私たちの監査手続は、当該会計基準の要件に照らした重要な会計方針の評価を含んでいた。
さらに、私たちの手続きには以下に関する主要な統制のテストが含まれていた。
・モデルのパフォーマンス評価を含むECLモデルのガバナンスおよび検証プロセス
・将来予測的なマクロ経済の仮定およびシナリオ加重についての内部ガバナンス・プロセスによる批判的な検討
を通じた評価および承認
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・ECL算定プロセスで使用されたデータと総勘定元帳ならびにソース・システム内に記録されている総残高との
調整
・ホールセール貸付金(大規模顧客へのエクスポージャーは個別に監視される)の顧客の信用格付け(以下、
「CCR」という。) これは、貸付方針に基づく新規貸付枠の承認、取引先固有の内部的要因または外部のマクロ
経済的要因に関するエクスポージャー基準に基づく取引先の信用状況の監視、ならびに貸付方針ならびに規制要件
に基づくCCRおよび担保指標(以下、「SI」という。)の評価における正確性および適時性との比較等の項目を網
羅した。
・個人向け貸付金の貸付延滞や、支払延滞区分別のエクスポージャーを記録し、個別引当金を再計算するITシス
テムに関する統制 私たちは、自動計算および変更管理統制について検証し、延滞の監視に関する統制に焦点を
当て、ポートフォリオの監視状況について評価した。
私たちは、以下の監査上の主要な事項のITシステムおよび統制に詳述されているとおり、ECL引当金の測定にお
いて使用された主要なITアプリケーションに関して、関連する情報処理全般統制(以下、「GITC」という。)をテ
ストした。
統制のテストに加えて、私たちの手続きには以下が含まれていた。
・処理および回収チームにより管理され、リスクがより高いまたは減損していると査定されたホールセール貸付
金のサンプル、ならびにその他の貸付金に関する信用評価のサンプルの再実施 ここでは、減損の兆候を示してい
るとグループおよび銀行が査定した、より大規模なエクスポージャー、または新たに生じたリスク領域に焦点を当
てている。
・サンプルとなった各貸付金について、顧客の財政状態、担保評価および関連がある場合には座礁資産のリスク
を用いて、貸付金の回収可能性の全般的な評価および引当金への影響を把握するためにグループおよび銀行による
CCRおよびSIの評価を批判的に検討した。これに当たって、私たちは、グループおよび銀行のローン・ファイルに
含まれる情報を用いて貸付担当者とともに事例にまつわる事実および状況を議論した。
・私たちの判断および手続きの実施には、関連産業およびマクロ経済環境に関して私たちが把握している内容を
利用して、グループおよび銀行が回収可能性の評価において使用したデータおよび仮定と外部から入手した証拠
(商品価格、一般に入手可能な監査済財務書類および保有する担保についての比較可能な外部評価等)を比較する
ことが含まれる。関連がある場合、私たちは、評価および事業計画の承認を裏付けるという観点から将来キャッ
シュフローの予想時期を評価し、評価における主要な仮定について批判的に検討した。
・ECL引当金を計算するためにグループおよび銀行のプロセスを把握し、確立された市場慣行および会計基準に
おける要件に照らしてECLモデル手法を評価した。
・私たちは、私たちの信用リスクの専門家と協力して、私たちが独立して入手した計算ツールを用いて、貸付金
サンプルのECL引当金を再計算し、これとグループが計上した金額を比較することによって、ECLモデルによる見積
りの正確性を評価した。
・私たちは、私たちの経済専門家と協力して、ECLモデルに織り込まれた将来予測的なマクロ経済の仮定および
シナリオを批判的に検討した。私たちは、予想GDP、失業率、消費者物価指数および不動産価格指標と関連性のあ
る一般に入手可能なマクロ経済情報を比較した。また、矛盾した指標を識別するためにその他の既知の変数および
私たちの他の監査手続きを通じて入手した情報を検討した。
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・貸付金組成時からのCCRの変動を考慮に入れて、貸付金のサンプルのステージング計算を再実施し、ECLモデル
において個別勘定レベルで適用される実際のステージングと私たちの結果を比較することによって、SICR手法の実
施を検証した。
・勘定残高およびCCR等データ・フィールドのサンプルと関連するソース・システムと照合することによってECL
モデルに用いられたデータの正確性を評価した。
私たちは、モデル算定後調整に用いられた主要な仮定について批判的に検討した。これには以下が含まれる。
・特に経済シナリオにおける著しいボラティリティを考慮して、ECLモデルならびにECLモデル検証プロセスで特
定されたデータの不備に対するモデル適用後調整を評価した。
・集中リスクおよび景気循環引当金に使用された基礎データと、ローン・ポートフォリオにおける最近の損失実
績、最新の市況およびローン・ポートフォリオにおける特徴的なリスクと比較した。
・識別された特定のモデル適用後調整を内部および外部情報に照らして評価した。
・グループおよび銀行の評価に対してローン・ポートフォリオで特定されたリスクとの整合性をチェックするこ
とによって、モデル適用後調整の網羅性を評価した。
・私たちがテストで得た理解を用いて、また会計基準要件に照らして、財務書類におけるグループおよび銀行の
開示の適切性を評価した。
公正価値で保有する金融商品の主観的かつ複雑な評価
グループ
-レベル3資産の公正価値(1,692百万ドル)
-レベル2資産の公正価値(135,711百万ドル)
-レベル3負債の公正価値(23百万ドル)
-レベル2負債の公正価値(92,892百万ドル)
銀行
-レベル3資産の公正価値(1,691百万ドル)
-レベル2資産の公正価値(129,446百万ドル)
-レベル3負債の公正価値(14百万ドル)
-レベル2負債の公正価値(91,405百万ドル)
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公正価値に関する重要な会計上の見積りおよび判断ならびに開示についてはグループおよび銀行の財務書類注記
18に記載されている。
監査上の主要な事項
グループおよび銀行のレベル3およびレベル2の金融商品の公正価値は、評価技法を適用することによって決定
される。これには、判断の行使および仮定や見積りの使用を伴う場合がある。
監査上の主要な事項を評価するにあたって、私たちは、上級チームメンバーを補完するために、金融商品の評価
に関連した手法、仮定およびデータを理解している私たちの評価専門家を関与させた。
公正価値で保有するレベル3およびレベル2金融商品の評価は、以下の要因により監査上の主要な事項とされ
た。
・見積りの高度な不確実性、および評価手法ならびにモデルで用いられる価格設定の重要なインプットが観察不
能なレベル3に分類される金融商品の評価に関連して合理的に起こり得る結果のレンジが潜在的に重要なものとな
る可能性。
・主観性および見積りの不確実性の増大につながる、信用評価調整(以下、「CVA」という。)および資金調達
評価調整(以下、「FVA」という。)を含む、特定のより複雑なレベル2金融商品の評価手法およびモデルに関連
した複雑性。
これらの要因により、私たちが適用した判断のレベルおよび私たちの監査業務が増大した。
当該事項に対する監査上の対応
公正価値で保有する金融商品の評価に関する私たちの監査手続には、以下が含まれる。
・観察不能なインプットまたはモデルの複雑性により、評価における重要な判断から生じる虚偽記載リスクがよ
り高いポートフォリオを識別するため、グループおよび銀行が公正価値で保有する金融商品の母集団の評価を行っ
た。
・特にこれらの金融商品に関する主要な統制の整備状況および運用状況の有効性のテストを行った。これらには
以下に関するものが含まれる。
・独立した価格評価(以下、「IPV」という。)。ポートフォリオおよびIPVの対象となる評価インプットの網
羅性を含む。
・当初および定期的なモデル検証。モデルの限界および仮定の評価を含む。
・管理機能による日次損益のレビュー、承認および批判的な検討。
・担保管理プロセス。清算機関に対するマージン調整のレビューおよび承認を含む。
・CVAおよびFVAのレビューおよび承認。出口価格およびポートフォリオ・レベルの調整を含む。
・複雑なレベル2およびレベル3金融商品の主観的な評価に関連して、私たちの評価専門家と共に以下を実施し
た。
・市場における比較可能なデータおよび入手可能な代替値を用いて、主要なインプットおよび仮定の妥当性を
評価した。
・グループおよび銀行の評価手法と業界慣行および会計基準における要件と比較した。
・選択した金融商品およびCVA/FVAの独立した再評価。これには、比較可能な市場データおよび入手可能な代
替データからインプットを独自に入手することが含まれた。私たちは、乖離がある場合に批判的に検討し、評価を
行った。
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・私たちのテストで得た理解を用いて、また会計基準の要件に照らして、財務書類におけるグループおよび銀行
の開示の適切性を評価した。
PT PANIN への投資の帳簿価額(1,440百万ドル)
重要な会計上の見積りおよび判断ならびに開示についてはグループの財務書類注記26に記載されている。
監査上の主要な事項
PT Panin へのグループの投資の帳簿価額は、報告日現在において識別された減損の兆候、および過去の市場にお
ける株価ボラティリティを鑑みると投資の回収可能価額に判断や評価モデルの検討を伴うことから監査上の主要な
事項とされている。過年度には、減損が認識されている。私たちは、監査上の主要な事項の評価において、チーム
のシニアメンバーを補充するために私たちの評価専門家の協力を得た。
当該事項に対する監査上の対応
評価専門家と共に作業した私たちの監査手続には、以下が含まれる。
・投資の帳簿価額が裏付けられていると結論付けるために使用した回収可能価額の評価の適切性について検討し
た。
・適用した使用価値の評価手法の適切性を会計基準の要件に照らして検討した。
これには以下が含まれる。
・使用されたモデルの整合性(基礎となる計算式の正確性を含む)について評価した。
・割引率、予測収益および永久成長率等、当該モデルで使用された主要な仮定を外部で観察可能な測定基準、
過去の実績、市場に関する私たちの知識および現在の市場慣行と比較することによって評価した。
・比較可能な企業の一般に入手可能な市場テータを利用して、割引率の範囲を独自に設定し、当該投資ならび
にその市場および事業を行っている業界に特有の要因について調整を行った。
・当該モデルに含まれている予測収益とブローカーのコンセンサス・レポートおよび公表されている財務成績
を比較した。
・モデルに組み込まれた現在の予測についての私たちの評価を形成するために過去の予測の正確性を評価し
た。
・割引率、予想キャッシュ・フローおよび永久成長率等、主要な仮定を合理的に起こり得る範囲内で変動させ
ることによって当該モデルの感応度を検討した。私たちは、偏向リスクの高い、あるいは適用に統一性のない仮定
を識別するため、またその後の手続きを絞り込むためにこれを実施した。
・過去の減損損失の戻入れの可能性を批判的に評価するため、報告日現在の回収可能価額を直近の減損評価時点
における当該投資の回収可能価額に照らして評価した。
・私たちがテストで得た理解を用いて、また、会計基準の規定に照らして財務書類におけるグループの開示を評
価した。
組織再編
詳細は、グループおよび銀行の財務書類注記1に記載されている。
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監査上の主要な事項
2023 年1月にオーストラリア・ニュージーランド銀行(以下、「ANZBGL」という。)は、純粋持株会社である
ANZグループ・ホールディングス・リミテッド(以下「ANZGHL」という。)を設立した。ANZGHLは、グループの新
たな上場親会社となった。グループはまた、銀行業務と特定の非銀行業務を分離するため、ANZ銀行グループとANZ
非銀行グループの2つの区分する再編を実施した。
組織再編は、以下により、監査上の主要な事項とされる。
・再編証書に概要が示されているとおり、再編計画の各段階の実施に伴う複雑性
・新たな上場親会であるANZGHLの設立について、AASB第3号「企業結合」に準拠した会計上の取扱いの評価
・ANZ銀行グループからの資産の移転ならびにANZ非銀行グループおよびサービス会社への資産の移転によって生
じる様々な検討および影響。これには、共通支配下における取引で利用可能な会計方針の選択の評価が含まれる。
当該事項に対する監査上の対応
組織再編に関する私たちの監査手続には、以下が含まれる。
・AASB第3号「企業結合」に準拠して、ANZGHLの設立および新しく上場した親会社を創設するにあたっての既存
の株主からのANZBGLの株式の取得に伴う会計上の検討について評価した。
・私たちの取引サービスの専門家の協力を得て、再編証書を評価し、各再編段階に特有の会計上の影響について
識別および評価した。
・ANZ銀行グループからANZ非銀行グループおよび別のサービス会社への事業資産の移転について、移転を再編証
書と比較することによって、網羅性および正確性を検証した。これには、選択された会計方針に従って認識および
測定基準を批判的に検討し評価することが含まれた。
・移転に係る利益または損失および表示の基礎について、グループが選定した会計方針の選択に照らして確認し
た。
・私たちの税務の専門家の協力を得て、新しい連結納税グループの形成および再編段階における潜在的な印紙税
の影響についての税制上の検討について評価した。
・私たちがテストで得た理解を用いて、また会計基準要件に照らして、財務書類におけるグループの開示の適切
性を評価した。
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IT システムおよび統制
監査上の主要な事項
オーストラリアの大手銀行として、事業において大量の取引を処理し、記録するために数多くの複雑かつ相互依
存型の情報技術(以下、「IT」という。)システムを活用している。ITシステムへのアクセス、変更および運用に
係る統制は、財務情報を記録する上で重要であり、グループおよび銀行の財政状態および経営成績を真実かつ公正
に表示する財務書類の作成において重要である。
IT システムおよび統制は、財務記録および取引報告に影響を与えるため、IT統制の運用状況の有効性に応じて私
たちの監査手続が大きく変わる可能性があることから監査上の主要な事項とされている。私たちは、私たちの監査
チームの中核である私たちのIT専門家と共に作業している。
当該事項に対する監査上の対応
私たちのテストは、重要な取引を処理し、総勘定元帳に残高を記録するために用いる主要なITアプリケーション
(システム)に関するテクノロジー統制環境およびテクノロジーによって可能になるビジネス・プロセスと連携し
た、これらのシステムの中に組み込まれている自動化された統制に焦点を当てた。私たちの監査手続には以下が含
まれていた。
・IT環境全般(方針の整備、方針のレビューおよび認識、ならびにITリスクおよびサイバー・セキュリティ管理
業務に関するものを含む)を通じたガバナンスおよび全般的な統制について評価した。
・ユーザ・アクセス・マネジメント・ライフサイクル全般に係る主要な統制の整備および運用状況の有効性のテ
スト。これには、重要なITアプリケーションおよびそのサポート基盤におけるユーザーアクセス権の付与、割り当
てられたアクセス・レベルのレビューおよび削除が適時にどのように行われるかが含まれる。私たちはまた、関連
するITアプリケーションおよびそのサポート基盤全般につき、特別な権限および機能の管理についても検証した。
・ITの変更管理を可能にするための主要な統制の整備および運用状況の有効性のテスト。これには、開発前の変
更承認、テストの実施および主要なITアプリケーションの本番環境移行前の承認が含まれる。私たちは、ITアプリ
ケーションの本番環境に変更を加える際のユーザーアクセスの適切性について評価し、職責に見合っていたかどう
かについて評価した。
・テクノロジー・チームが、システムのバッチ・ジョブへのアクセスを制限し、そのスケジュールをモニターす
るために使用する主要な統制の整備および運用状況の有効性のテスト。
・自動化された主要なビジネス・プロセスの統制の整備および運用状況の有効性のテスト。これには、ITアプリ
ケーション内の不適切な役割の組み合わせから生じる対立を回避するための職務分掌の強化に関連するものが含ま
れる。私たちのテストには、以下が含まれていた。
・計算、マッピングおよび金融取引のフラグを立てることを実行するためのコンフィギュレーション、ならび
に自動照合統制(システム間とシステム内の両方)
・私たちの監査においてサンプルの選定に使用した主要なレポート・システムならびに財務報告の作成に使用
した分析データの完全性
・私たちのテストにおいて、私たちの監査に関連したITシステムまたはアプリケーション統制に関する整備状況
および運用状況の有効性に関する事項が特定された場合、私たちは、軽減的統制の検討を含む、代替的な監査手続
きを実施した。
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その他の記載内容
その他の記載内容とは、財務書類および監査報告書に加えて提供されている、オーストラリア・ニュージーラン
ド銀行の年次報告書の財務情報および非財務情報である。その他の記載内容に対する責任は取締役にある。
財務書類に関する私たちの意見は、その他の記載内容を対象としていないため、私たちは、報酬報告書およびそ
れに対する私たちの保証意見を除き、当該その他の記載内容に対して監査意見を表明しないし、またいかなる形式
の保証の結論も表明しない。
財務書類の監査に関連して、私たちの責任は、その他の記載内容を通読し、その過程で、当該その他の記載内容
が財務書類または私たちが監査上入手した知識と重要な相違があり、そのため重要な虚偽記載があるかどうかを検
討することである。
実施した手続きに基づき、監査報告書の日付よりも前に、当該その他の情報に重要な虚偽記載があるとの結論に
至った場合、私たちは当該事実を報告する義務がある。この点に関して、私たちが報告すべきことはない。
財務書類に関する取締役の責任
取締役の責任は以下のとおりである。
・オーストラリア会計基準および2001年会社法に準拠した真実かつ公正な財務書類を作成すること。
・不正または誤謬による重要な虚偽記載のない財務書類を作成し、真実かつ公正に表示するために取締役が必要
と判断した内部統制を整備および運用すること。
・継続企業の前提に基づきグループおよび銀行の財務書類を作成すること、および継続企業の会計基準を使用す
ることが適切かどうかを評価すること。これには、取締役がグループおよび銀行を清算もしくは事業を停止する意
図があるか、またはそれ以外に現実的な代替案がない場合を除き、継続企業を前提として財務書類を作成し、財務
報告の枠組みおよび開示規則に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する
ことが含まれる。
財務書類監査に関する監査人の責任
監査の目的は以下のとおりである。
・全体としての財務書類のそれぞれについて、不正または誤謬による重要な虚偽記載がないかどうかに関する合
理的な保証を得ること
・監査報告書において監査意見を表明すること
合理的な保証は、高い水準の保証である。しかしながら、オーストラリア監査基準に準拠して行った監査が、す
べての重要な虚偽表示を常に発見することを保証するものではない。虚偽表示は、不正または誤謬により発生する
可能性があり、個別にまたは集計すると、財務書類の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合
に、重要性があると判断される。
財務書類監査に関する監査人の責任のより詳細な記載は、監査および保証基準審議会のウェブサイト
http://www.auasb.gov.au/admin/file/content102/c3/arl_2020.pdf.に掲載されている。当該記載は、監査報告書
の一部である。
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<報酬報告書に関する報告>
監査意見
私たちは、オーストラリア・ニュージーランド銀行の2023年9月30日に終了した事業年度の報酬報告書が、2001
年会社法第300A条に準拠しているものと認める。
取締役の責任
取締役の責任は、2001年会社法の第300A条に準拠して報酬報告書を作成し、開示することにある。
監査人の責任
私たちは、2023年9月30日に終了した事業年度の取締役報告書に記載された報酬報告書について監査を行った。
監査人の責任は、オーストラリア監査基準に準拠して行った監査に基づいて、報酬報告書について意見を表明す
ることである。
ケーピーエムジー(署名)
マーティン・マクグラス(署名) マリア・トリンチ(署名)
パートナー パートナー
メルボルン市
2023 年 11 月 10 日
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Independent Auditor’s Report
TO THE SHAREHOLDER OF AUSTRALIA AND NEW ZEALAND BANKING
GROUP LIMITED REPORT ON THE AUDITS OF THE FINANCIAL REPORTS
OPINIONS
We have audited the consolidated Financial Report of Australia and New Zealand Banking Group Limited (the
Group Financial Report). We have also audited the Financial Report of Australia and New Zealand Banking Group
Limited (the Company Financial Report).
In our opinion, each of the accompanying Group Financial Report and Company Financial Report are in accordance
with the Corporations Act 2001 , including:
・ giving a true and fair view of the Group’s and of the Company’s financial position as at 30 September 2023
and of their financial performance for the year ended on that date; and
・ complying with Australian Accounting Standards and the Corporations Regulations 2001.
The respective Financial Report comprises:
・ Balance sheets as at 30 September 2023
・ Income statements, statements of comprehensive income, statements of changes in equity, and cash flow
statements for the year then ended
・ Notes including a summary of significant accounting policies
・ Directors’ Declaration.
The Group consists of Australia and New Zealand Banking Group Limited and the entities it controlled at the year-
end or from time to time during the financial year.
BASIS FOR OPINIONS
We conducted our audits in accordance with Australian Auditing Standards . We believe that the audit evidence we
have obtained is sufficient and appropriate to provide a basis for our opinion.
Our responsibilities under those standards are further described in the Auditor’s responsibilities for the audits of the
Financial Reports section of our report.
We are independent of the Group and Company in accordance with the Corporations Act 2001 and the ethical
requirements of the Accounting Professional and Ethical Standards Board’s APES 110 Code of Ethics for
Professional Accountants ((including Independence Standards) (the Code) that are relevant to our audits of the
Financial Reports in Australia. We have fulfilled our other ethical responsibilities in accordance with these
requirements.
KEY AUDIT MATTERS
The Key Audit Matters we identified for the Group and Company are:
・ Allowance for expected credit losses;
・ Subjective and complex valuation of financial instruments held at fair value;
・ Organisational restructure
・ IT systems and controls.
The additional Key Audit Matter we identified for the Group is:
・ Carrying value of investment in PT Bank Pan Indonesia (PT Panin).
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Key Audit Matters are those matters that, in our professional judgement, were of most significance in our
respective audits of the Financial Reports of the current period.
These matters were addressed in the context of our audits of each of the Financial Reports as a whole, and in
forming our opinions thereon, and we do not provide a separate opinion on these matters.
ALLOWANCE FOR EXPECTED CREDIT LOSSES (Group $4,408m; Company $3,493m)
Refer to the critical accounting estimates and judgements disclosures in relation to the allowance for expected
credit losses in Note 13 to the Group and Company Financial Reports.
The key audit matter
Allowance for expected credit losses (ECL) is a key audit matter due to the significance of the loans and advances
balances to the financial statements and the inherent complexity of the expected credit loss models (ECL models)
used to measure ECL allowances. These models are reliant on data and estimates including multiple economic
scenarios and key assumptions such as defining a significant increase in credit risk (SICR).
AASB 9 Financial Instruments requires the Group and Company to measure ECLs on a forward-looking basis
reflecting a range of economic conditions. Post-model adjustments are considered to address known ECL model
limitations or emerging trends in the loan portfolios. We exercise significant judgement in challenging the
economic scenarios and the judgmental post-model adjustments.
Additional subjectivity and judgement is required due to the heightened uncertainty associated with the impact of
the economic outlook and its impact on customers, increasing our audit effort thereon.
SICR identification, such as a decrease in customer credit rating (CCR), is a key judgement within the ECL
methodology, as this criterion determines if a forward-looking 12 month or lifetime allowance is recorded.
Additionally, allowances for individually assessed wholesale loans exceeding specific thresholds are assessed. We
exercise significant judgement in challenging the assessment of specific allowances based on the expected future
cash repayments and estimated proceeds from the value of the collateral held in respect of the loans.
How the matter was addressed in our audits
Our audit procedures for the allowance for ECL included assessing significant accounting policies against the
requirements of the accounting standard. Additionally, our procedures included testing key controls in relation to:
・ The ECL model governance and validation processes which involved assessment of model performance;
・ The assessment and approval of the forward-looking macroeconomic assumptions and scenario weightings
through challenge applied by internal governance processes;
・ Reconciliation of the data used in the ECL calculation process to gross balances recorded within the general
ledger as well as source systems;
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・ Customer credit rating (CCR) for wholesale loans (larger customer exposures are monitored individually).
This covered elements such as: approval of new lending facilities against lending policies, monitoring of
counterparty credit quality against exposure criteria for internal factors specific to the counterparty or external
macroeconomic factors, and accuracy and timeliness of CCR and security indicator (SI) assessments against
lending policies and regulatory requirements;
・ IT system controls which record retail loans lending arrears, group exposures into delinquency buckets, and re-
calculate individual allowances. We tested automated calculation and change management controls and
evaluated the oversight of the portfolios, with a focus on controls over delinquency monitoring.
We tested relevant General Information Technology Controls (GITCs) in relation to the key IT applications used in
measuring ECL allowances as detailed in the IT Systems and Controls key audit matter below.
In addition to controls testing, our procedures included:
・ Reperforming a sample of credit assessments for wholesale loans controlled by workout and recovery teams
assessed as higher risk or impaired, and a sample of other loans, focusing on larger exposures assessed by the
Group and Company as showing signs of deterioration, or in areas of emerging risk.
・ For each loan sampled, we challenged the Group and Company’s assessment of CCR and SI using the
customer’s financial position, the valuation of security, and, where relevant, the risk of stranded assets, to
inform our overall assessment of loan recoverability and the impact on the credit allowance. To do this, we
used the information on the Group and Company’s loan file and discussed the facts and circumstances of the
case with the loan officer.
・ Exercising our judgement, our procedures included using our understanding of relevant industries and the
macroeconomic environment and comparing data and assumptions used by the Group and Company in
recoverability assessments to externally sourced evidence, such as commodity prices, publicly available
audited financial statements and comparable external valuations of collateral held. Where relevant, we
assessed the forecast timing of future cash flows in the context of underlying valuations and approved business
plans and challenged key assumptions in the valuations;
・ Obtaining an understanding of the Group and Company’s processes to determine ECL allowances,
evaluating the ECL model methodologies against established market practices and criteria in the accounting
standards;
・ Working with our credit risk specialists, we assessed the accuracy of the ECL model estimates by re-
performing, for a sample of loans, the calculation of the ECL allowance using our independently derived
calculation tools and comparing this to the amount recorded by the Group and Company;
・ Working with our economic specialists, we challenged the forward-looking macroeconomic assumptions and
scenarios incorporated in the ECL models. We compared the forecast GDP, unemployment rates, CPI and
property price indices to relevant publicly available macroeconomic information, and considered other known
variables and information obtained through our other audit procedures to identify contradictory indicators;
・ Testing the implementation of SICR methodology by re-performing the staging calculation for a sample of
loans taking into consideration movements in the CCR from loan origination and comparing our result to
actual staging applied on an individual account level in the ECL model;
・ Assessing the accuracy of the data used in the ECL models by checking a sample of data fields such as
account balance and CCR to relevant source systems.
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We challenged key assumptions used in post-model adjustments. This included:
・ Assessing post-model adjustments against ECL model and data deficiencies identified in model validation
processes, particularly in light of the significant volatility in economic scenarios;
・ Comparing underlying data used in concentration risk and economic cycle allowances to underlying loan
portfolio characteristics of recent loss experience, current market conditions and specific risks in the loan
portfolios;
・ Assessing certain post-model adjustments identified against internal and external information;
・ Assessing the completeness of post-model adjustments by checking the consistency of risks we identified in
the loan portfolios against the Group and Company’s assessment.
・ Assessing the appropriateness of the Group and Company’s disclosures in the Financial Reports using our
understanding obtained from our testing and against the requirements of the accounting standards.
SUBJECTIVE AND COMPLEX VALUATION OF FINANCIAL INSTRUMENTS HELD AT FAIR VALUE:
GROUP
- FAIR VALUE OF LEVEL 3 ASSET POSITIONS $1,692m
- FAIR VALUE OF LEVEL 2 ASSET POSITIONS $135,711m
- FAIR VALUE OF LEVEL 3 LIABILITY POSITIONS $23m
- FAIR VALUE OF LEVEL 2 LIABILITY POSITIONS $92,892m
COMPANY
- FAIR VALUE OF LEVEL 3 ASSET POSITIONS $1,691m
- FAIR VALUE OF LEVEL 2 ASSET POSITIONS $129,446m
- FAIR VALUE OF LEVEL 3 LIABILITY POSITIONS $14m
- FAIR VALUE OF LEVEL 2 LIABILITY POSITIONS $91,405m
Refer to the critical accounting estimates, judgements and disclosures of fair values in Note 18 to the Group and
Company Financial Reports.
The key audit matter
The fair value of the Group and Company’s Level 3 and 2 financial instruments is determined by the application of
valuation techniques which often involve the exercise of judgement and the use of assumptions and estimates.
In assessing this Key Audit Matter, we involved our valuation specialists to supplement our senior team members
who understand the methods, assumptions and data relevant to their valuation of Financial Instruments.
The valuation of Level 3 and Level 2 financial instruments held at fair value is a Key Audit Matter due to:
・ The high degree of estimation uncertainty and potentially significant range of reasonable outcomes associated
with the valuation of financial instruments classified as Level 3 where significant pricing inputs used in the
valuation methodology and models are not observable.
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・ The complexity associated with the valuation methodology and models of certain more complex Level 2
financial instruments including credit valuation adjustment (CVA) and funding valuation adjustment (FVA)
leading to an increase in subjectivity and estimation uncertainty.
These factors increased the level of judgement applied by us and our audit effort thereon.
How the matter was addressed in our audits
Our audit procedures in relation to the valuation of financial instruments held at fair value included:
・ Performing an assessment of the population of financial instruments held at fair value by the Group and
Company to identify portfolios with a higher risk of misstatement arising from significant judgements over
valuation either due to unobservable inputs or complex models.
・ Testing the design and operating effectiveness of key controls relating specifically to these financial
instruments, including those in relation to:
・ Independent Price Verification (IPV), including completeness of portfolios and valuation inputs subject to
IPV;
・ model validation at inception and periodically, including assessment of model limitation and assumptions;
・ review, approval and challenge of daily profit and loss by a control function;
・ collateral management process, including review and approval of margin reconciliations with clearing
houses; and
・ review and approval of CVA and FVA, including exit price and portfolio level adjustments.
・ In relation to the subjective valuation of complex Level 2 and Level 3 financial instruments, with our
valuation specialists:
・ Assessing the reasonableness of key inputs and assumptions using comparable data in the market and
available alternatives;
・ Comparing the Group and Company’s valuation methodology to industry practice and the criteria in the
accounting standards, and
・ Independently revaluing selection of financial instruments and CVA/FVA. This involved sourcing
independent inputs from comparable data in the market and available alternatives. We challenged and
assessed any differences.
・ Assessing the appropriateness of the Group and Company’s disclosures in the Financial Reports using our
understanding obtained from our testing and against the requirements of the accounting standards.
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CARRYING VALUE OF INVESTMENT IN PT PANIN ($1,440m)
Refer to the critical accounting estimates, judgements and disclosures in Note 26 to the Group Financial Report.
The key audit matter
The carrying value of the Group’s investment in PT Panin is a key audit matter due to the impairment indicators
identified at the reporting date and the assessment of the investment’s recoverable amount involving judgement and
the consideration of valuation models given historical volatility in the market price of the shares. Impairment has
been recognised in prior periods. We involved our valuation specialists to supplement our senior team members in
assessing this key audit matter.
How the matter was addressed in our audit
Working with our valuation specialists, our procedures included:
・ Considering the appropriateness of the recoverable amount assessment used to conclude the carrying value of
the investment is supportable;
・ Considering the appropriateness of the value in use valuation method applied against the requirements of the
accounting standards. This included:
・ Assessing the integrity of the models used, including the accuracy of the underlying calculation formulas;
・ Assessing the key assumptions used in the models, such as, discount rates, forecast earnings and terminal
growth rates by comparing to external observable metrics, historical experience, our knowledge of the
markets and current market practice;
・ Independently developing discount rates range considered comparable using publicly available market data
for comparable entities, adjusted for factors specific to the investments and the markets and industry they
operate in;
・ Comparing the forecast earnings contained in the model to broker consensus reports, and released financial
results;
・ Assessing the accuracy of previous forecasts to inform our evaluation of current forecasts incorporated in
the model;
・ Considering the sensitivity of the models by varying key assumptions, such as, discount rates, forecast cash
flows and terminal growth rates, within a reasonable possible range. We did this to identify those
assumptions at higher risk of bias or inconsistency in application and to focus our further procedures.
・ Assessing the recoverable amount at the reporting date against the recoverable amount of the investment when
it was last impaired to critically assess potential reversal of previous impairment losses;
・ Assessing the Group’s disclosures in the Financial Report using our understanding obtained from our testing
and against the requirements of the accounting standards.
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ORGANISATIONAL RESTRUCTURE
Refer to Note 1 to the Group and Company Financial Reports.
The key audit matter
On 3 January 2023, Australia and New Zealand Banking Group Limited (ANZBGL) established a non-operating
holding company, ANZ Group Holdings Limited (ANZGHL). ANZGHL became the newly listed parent company
of the Group. The Group also implemented a restructure to separate the banking and certain non-banking businesses
into two distinct groups: ANZ Bank Group and ANZ Non-Bank Group.
The organisational restructure is a key audit matter due to:
・ The complexities involved in the implementation of the restructure steps plan as outlined in the Restructure
Deed;
・ Evaluating the accounting treatment associated with the establishment of ANZGHL as the newly listed parent
entity in accordance with AASB 3 Business Combinations; and
・ The various considerations and implications arising from the transfer of assets out of ANZ Bank Group and
into ANZ Non-Bank Group and the service company, including the evaluation of the accounting policy choice
available under common control transactions.
How the matter was addressed in our audits
Our audit procedures in relation to the organisational restructure included:
・ Assessing the accounting considerations involved in the establishment of ANZGHL and the acquisition of
ANZBGL shares from existing shareholders to create the newly listed parent entity, in accordance with AASB
3 Business Combinations;
・ Evaluating, with the assistance of our transaction services specialists, the Restructure Deed and identifying and
assessing the accounting implications inherent in each restructure step;
・ Testing the transfer of business assets from ANZ Bank Group to ANZ Non-Bank Group and the separate
service company for completeness and accuracy by comparing transfers to the Restructure Deed. This included
challenging and evaluating recognition and measurement criteria in accordance with accounting policies
selected;
・ Checking the gain or loss on transfer and its basis of presentation against the Group’s selected accounting
policy choice;
・ Working with our tax specialists to evaluate the taxation considerations of the formation of a new tax
consolidated group and potential stamp duty implications of the restructure steps; and
・ Assessing the appropriateness of the Group’s disclosures in the Financial Report using our understanding
obtained from our testing and against the requirements of the accounting standards.
IT SYSTEMS AND CONTROLS
The key audit matter
As a major Australian bank, the businesses utilise many complex, interdependent Information Technology (IT)
systems to process and record a high volume of transactions. The controls over access, changes to and operation of
IT systems are key to the recording of financial information and the preparation of financial reports which provide a
true and fair view of the Group and Company’s financial positions and performance.
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The IT systems and controls, as they impact the financial recording and reporting of transactions, is a key audit
matter as our audit approaches could significantly differ depending on the effective operation of the IT controls.
We work with our IT specialists as a core part of our audit team.
How the matter was addressed in our audits
Our testing focused on the technology control environments for key IT applications (systems) used in processing
significant transactions and recording balances in the general ledgers, and the automated controls embedded within
these systems which link the technology-enabled business processes. Our audit procedures included:
・ Assessing the governance and higher-level controls across the IT environments, including those regarding
policy design, policy review and awareness, and IT Risk and cyber security management practices;
・ Design and operating effectiveness testing of key controls across the user access management lifecycle,
including how users are on-boarded, reviewed for access levels assigned, and removed on a timely basis from
key IT applications and supporting infrastructure. We also examined the management of privileged roles and
functions across relevant IT application and the supporting infrastructure;
・ Design and operating effectiveness testing of key controls for IT change management including authorisation
of changes prior to development, testing performed and approvals prior to migration into the production
environment of key IT applications. We assessed user access to release changes to IT application production
environments and whether access was commensurate with their job responsibilities;
・ Design and operating effectiveness testing of key controls used by the technology teams to restrict access to
and monitor system batch job schedules;
・ Design and operating effectiveness testing of key automated business process controls including those relating
to enforcing segregation of duties to avoid conflicts from inappropriate role combinations within IT
applications. Our testing included:
・ Configurations to perform calculations, mappings and flagging of financial transactions, and automated
reconciliation controls (both between systems and intra-system); and
・ Data integrity of key system reporting used by us in our audit to select samples and analyse data used to
generate financial reporting.
・ Where our testing identified design and operating effectiveness matters relating to IT systems or application
controls relevant to our audits, we performed alternative audit procedures, including consideration of
mitigating controls.
OTHER INFORMATION
Other Information is financial and non-financial information in Australia and New Zealand Banking Group Limited
’s annual reporting which is provided in addition to the Financial Reports and the Auditor's Report. The Directors
are responsible for the Other Information.
Our opinions on the Financial Reports do not cover the Other Information and, accordingly, we do not express an
audit opinion or any form of assurance conclusion thereon, with the exception of the Remuneration Report and our
related assurance opinion.
In connection with our audits of the Financial Reports, our responsibility is to read the Other Information. In doing
so, we consider whether the Other Information is materially inconsistent with the Financial Reports or our
knowledge obtained in the audit, or otherwise appears to be materially misstated.
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We are required to report if we conclude that there is a material misstatement of this Other Information, and based
on the work we have performed on the Other Information that we obtained prior to the date of this Auditor’s
Report, we have nothing to report.
RESPONSIBILITIES OF THE DIRECTORS FOR THE FINANCIAL REPORTS
The Directors are responsible for:
・ preparing the Financial Reports that give a true and fair view in accordance with Australian Accounting
Standards and the Corporations Act 2001
・ implementing necessary internal controls to enable the preparation of a Financial Reports that gives a true and
fair view and is free from material misstatement, whether due to fraud or error
・ assessing the Group and Company’s ability to continue as a going concern and whether the use of the going
concern basis of accounting is appropriate. This includes disclosing, as applicable, matters related to going
concern and using the going concern basis of accounting unless they either intend to liquidate the Group and
Company or to cease operations or have no realistic alternative but to do so.
AUDITOR’S RESPONSIBILITIES FOR THE AUDITS OF THE FINANCIAL REPORTS
Our objective is:
・ to obtain reasonable assurance about whether each of the Financial Reports as a whole are free from material
misstatement, whether due to fraud or error; and
・ to issue an Auditor’s Report that includes our opinions.
Reasonable assurance is a high level of assurance but is not a guarantee that an audit conducted in accordance with
Australian Auditing Standards will always detect a material misstatement when it exists. Misstatements can arise
from fraud or error. They are considered material if, individually or in the aggregate, they could reasonably be
expected to influence the economic decisions of users taken on the basis of the Financial Reports.
A further description of our responsibilities for the audits of the Financial Reports is located at the Auditing and
Assurance Standards Board website at: https://www.auasb.gov.au/admin/file/content102/c3/ar1_2020.pdf . This
description forms part of our Auditor’s Report.
REPORT ON THE REMUNERATION REPORT
OPINION
In our opinion, the Remuneration Report of Australia and New Zealand Banking Group Limited for the year ended
30 September 2023 complies with
Section 300A of the Corporations Act 2001 .
DIRECTORS’ RESPONSIBILITIES
The Directors of the Company are responsible for the preparation and presentation of the Remuneration Report in
accordance with Section 300A of the Corporations Act 2001 .
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OUR RESPONSIBILITIES
We have audited the Remuneration Report included in the Directors’ report for the year ended 30 September 2023.
Our responsibility is to express an opinion on the Remuneration Report, based on our audit conducted in
accordance with Australian Auditing Standards .
/s/KPMG
/s/Martin McGrath /s/Maria Trinci
Partner Partner
Melbourne
10 November 2023
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