株式会社日本M&Aセンターホールディングス 内部統制報告書 第31期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
提出書類 | 内部統制報告書-第31期(令和3年4月1日-令和4年3月31日) |
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提出者 | 株式会社日本M&Aセンターホールディングス |
カテゴリ | 内部統制報告書 |
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株式会社日本M&Aセンターホールディングス(E05629)
内部統制報告書
【表紙】
【提出書類】 内部統制報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条の4の4第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2022年6月24日
【会社名】 株式会社日本M&Aセンターホールディングス
(旧会社名 株式会社日本M&Aセンター)
【英訳名】 Nihon M&A Center Holdings Inc.
(旧英訳名 Nihon M&A Center Inc.)
(注)2021年6月24日開催の第30期定時株主総会の決議により、2021
年10月1日から会社名及び英訳名を上記のとおり変更いたしました。
【代表者の役職氏名】 代表取締役社長 三 宅 卓
【最高財務責任者の役職氏名】 該当事項はありません。
【本店の所在の場所】 東京都千代田区丸の内一丁目8番2号
【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
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1 【財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項】
代表取締役社長三宅卓は、当社の財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任を有しており、企業会計審議会の
公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実
施基準の設定について(意見書)」に示されている内部統制の基本的な枠組みに準拠して財務報告に係る内部統制を
整備及び運用しています。
なお、内部統制は、内部統制の各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理
的な範囲で達成しようとするものであります。このため、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完
全には防止又は発見することができない可能性があります 。
2 【評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項】
財務報告に係る内部統制の評価は、当事業年度の末日である2022年3月31日を基準日として行われており、評価に
当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しました。本評価において
は、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(全社的な内部統制)の評価を行った上で、その結
果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定しています。当該業務プロセスの評価においては、選定された業
務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制上の要点につ
いて整備及び運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行いました。
財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、当社及び連結子会社について、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性
の観点から必要な範囲を決定しました。財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、金額的及び質的影響の重要性を
考慮して決定しており、対象として選定された当社及び連結子会社である株式会社日本M&Aセンターを対象として
行った全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定しました。な
お、その他の連結子会社9社については、金額的及び質的重要性の観点から僅少であると判断し、全社的な内部統制
の評価範囲に含めておりません。業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、事業拠点の前連結会計年度の
売上高の金額が高い拠点から合算していき、前連結会計年度の連結売上高の概ね2/3に達している事業拠点を「重
要な事業拠点」としました。選定した重要な事業拠点においては、企業の事業目的に大きく関わる勘定科目として売
上高及び売掛金に係る業務プロセスを評価の対象としました。
3 【評価結果に関する事項】
下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすものであり、開示すべき重要な
不備に該当すると判断いたしました。従って、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統
制は有効でないと判断いたしました。
記
当社は、当社取締役からの情報提供に基づき、管理担当取締役が調査を行ったところ、不適切な売上報告に基づく
売上の早期計上が行われている可能性を認識したため、その事実の解明及び原因の究明を行うべく2021年12月20日開
催の取締役会において、外部専門家を含む調査委員による調査を開始することを決定しました。
調査委員会からの調査報告書によると、2019年3月期第1四半期から2022年3月期第2四半期までの間に売掛金計
上の対象となったM&A取引の一部について、M&A取引における買い手と売り手の間で締結される株式譲渡契約書
等の最終契約書の写し等の署名押印欄を不正操作することによって、署名押印が実際には完了していないにもかかわ
らず、完了したとの外観を作出し、社内売上報告が行われていたことが判明しました。当社は、当該社内売上報告に
基づいて財務会計上の売上を計上しているため、結果として対象期間における売上及び対応する売上原価が早期計上
されており、不適切な会計処理が行われていたことを認識しました。
当社は、報告内容を検討した結果、早期計上された売上及び売上原価について、当初計上されていた期間での計上
を取消し、実際に売上計上の要件を充足したと考えられる期間に再計上すること及び経常利益の変動に伴い変動する
役員の業績連動報酬について修正することが適切であると判断しました。そこで、各期の財務諸表等への影響を検討
した上で、2021年3月期の有価証券報告書及び2021年3月期の第1四半期から2022年3月期の第2四半期までの各四
半期報告書について決算訂正を行い、2022年2月14日に訂正報告書を提出しました。
調査委員会により認定された不適切な会計処理が生じた原因として、営業部の従業員が四半期業績達成に対して強
いコミットメントを求められることにより心理的プレッシャーを受けていたこと、上級管理職へのコンプライアンス
教育及び財務的観点での内部統制に関する教育が不十分であったことによる規範意識の低下があったこと、多くの従
業員が不適切な売上報告を認識していたにもかかわらず通報制度が機能しなかったこと、内部監査やコンプライアン
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ス委員会等が売上報告に必要な最終契約書等の写しの署名押印欄の不正操作を予見・検出できなかったことといっ
た、全社的な内部統制の不備が指摘されています。また、業務プロセスにおいても、売上報告に必要な売り手・買い
手 による最終契約書等の写しについて、当該最終契約書等の真正性を確かめるための統制機能が存在していなかった
こと、営業部門による売上報告の適時性を判断し、売上計上のための要件が充足されているかを判定する管理本部に
おいて、客観的な根拠による判断ではなく、案件担当者からの申告・事情聴取に基づく判断を行っていたことといっ
た内部統制の不備が指摘されています。
当社は、当連結会計年度の末日までに当該財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備の是正を図るため、再
発防止策の策定、全社員への不正排除の啓蒙、コンプライアンス統括部の立上げ、コンプライアンス研修の実施、内
部通報制度の周知徹底や売上報告及び売上計上に関する業務フローの再構築等、不備の是正に努めてまいりました
が、当連結会計年度の末日時点において、依然として当該不備は財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に
該当すると判断いたしました。
当連結会計年度の末日までに是正できなかった理由は、調査委員会から再発防止策の提案があった2022年2月14日
から当連結会計年度の末日までに、再発防止策の整備及び運用の期間が十分確保できていないと判断したためであり
ます。
当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、開示すべき重要な不備を是正す
るために、調査報告書の提言に従って、以下9項目の再発防止策を実行し、内部統制の整備・運用を図ってまいりま
す。
1.経営陣によるコンプライアンス重視の経営理念の策定と経営方針の明確化
2.コンプライアンス所管部署及びチーフコンプライアンスオフィサー(CCO)の創設によるリスクマネジメントの
強化
3.実効性のあるコンプライアンス研修・教育の実施
4.総合的な人事評価の採用及び四半期業績達成に関する経営管理手法の見直し
5.通報窓口の充実強化、営業部門のキーパーソンとの定期的な面談の実施
6.監査・監督部門の体制強化
7.本件不適切報告に係る責任の明確化と営業組織の見直し
8.売上報告及び売上計上に関する業務フローの再構築
9.契約文書等ドキュメント管理の徹底
なお、上記9項目の現在の取組み状況は以下のとおりとなっております。
1.経営陣によるコンプライアンス重視の経営理念の策定と経営方針の明確化
2022年3月1日より、常務会を廃止し、当社及び株式会社日本M&Aセンターの常勤取締役、当社の常勤監査等
委員、チーフコンプライアンスオフィサー(CCO。2022年7月1日入社予定)及び株式会社日本M&Aセンター各事
業部長を構成員とする経営会議を新設いたしました。同月14日より毎週多岐にわたる業務執行に関する事項につい
て多角的に議論を行っております。
また、2022年4月9日開催の「経営方針発表会」において、コンプライアンスを基礎とした経営を行っていく旨
の声明を、2022年度の経営方針とともにグループ全社員に向けて発表いたしました。また、同発表会ではコンプラ
イアンス重視を織り込んだ新パーパス策定の開始も併せて宣言いたしました。全社員自らが主体性を持って議論を
重ねて全社員でパーパスを作り上げていくことで、コンプライアンス意識の醸成・組織文化への定着を図ってまい
ります。具体的には、アンケートフォームによるキーワード募集や社長面談時の対話などを通じて集まった社員の
声を参考に役員合宿にて素案を作成し、経営会議にて討議した後、確定させる予定です。
2.コンプライアンス所管部署及びチーフコンプライアンスオフィサー(CCO)の創設によるリスクマネジメント
の
強化
2022年3月1日付で当社及び株式会社日本M&Aセンターにおいて「コンプライアンス統括部(立上準備室)」
を新設し、内部通報制度の再整備・法改正対応の準備などを進めております。また、チーフコンプライアンスオ
フィサー(CCO)の着任後は当社のコンプライアンス体制を更に見直し、ブラッシュアップを行うことで更なるリス
クマネジメントの強化を図ってまいります。
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3.実効性のあるコンプライアンス研修・教育の実施
本件不適切報告においては、上長からの指示等によるものが含まれていたことから、管理職の意識改革を急務と
とらえ、2022年3月に外部講師による株式会社日本M&Aセンターの管理職向けのコンプライアンス研修を実施
し、社内役員も受講いたしました。2022年度より、新たなコンプライアンス教育体制を整備し、引き続き管理職の
意識を変える研修や合宿などを積極的に行ってまいります。また、全社員向けのコンプライアンスプログラムにつ
いては、全社員参加の会議のタイミングを活用して定期的に実施してまいります。
また、当社グループ社員としての日常の行動規範の指針となる「コンプライアンスブック」を全社員に配布して
おります。
なお、本件不適切報告において処分された者(諭旨解雇者を除く)につきましては、特別コンプライアンスプロ
グラムを実施しており、再発防止と対象者の更生を継続して行ってまいります。
4.総合的な人事評価の採用及び四半期業績達成に関する経営管理手法の見直し
株式会社日本M&Aセンターの人事評価につきましては、2022年度から等級要件に「倫理観」の項目を盛り込
み、多面的かつ定性的な評価を実現する新人事制度を策定し、運用しております。
また、個人別の予算の設定基準を低くし、更に経験や能力などの個別事情を考慮して高すぎる目標とならないよ
うに今まで以上に検討を加えることといたしました。併せて営業人員へのプレッシャーの一要因と考えられていた
「コミットメント制度」を廃止いたしました。なお、ラップ制度は理想的な目標進捗指標として維持しておりま
す。
5.通報窓口の充実強化、営業部門のキーパーソンとの定期的な面談の実施
2022年3月に当社グループの内部通報窓口をより分かりやすくするため、社内ポータルサイトのトップページに
表示し、全社員に周知しております。
加えて、2022年度より株式会社日本M&Aセンターの営業部門のグループリーダー職以上のキーパーソンとCCOは
当社の社外取締役との定期的な面談を年2回以上目途に実施する予定です。これまで交流のなかった営業部門とコ
ンプライアンス部門等との間に定期的にコミュニケーションの機会を設けることで、信頼関係を構築し、不正の未
然防止・早期発見に役立ててまいります。また、代表取締役社長三宅が全社員と複数回に分けてグループ面談を実
施し、全社員からの様々な質問に答える機会を設けて相互にコミュニケーションを取ることで、経営層に対しても
意見の言いやすい環境を整備しました。
6.監査・監督部門の体制強化
監査体制強化の柱として、内部監査部門の専担者を採用(2022年7月1日入社予定)し、内部監査体制の一層の
強化を図ってまいります。
7.本件不適切報告に係る責任の明確化と営業組織の見直し
本件不適切報告の関与者に対する経営責任については、2022年2月14日付「調査委員会からの調査報告書の受領
及び公表に関するお知らせ」にて公表しましたとおり、同日付で当社取締役の処分を実施済です。
また、本件不適切報告に関わった株式会社日本M&Aセンターの社員の処分につきましては、管理監督責任も含
めて2022年3月11日付で次のとおり実施いたしました。
・諭旨解雇 5名(上席執行役員1名、執行役員1名含む)
・降格 35名
・出勤停止 33名
・訓戒 20名
加えて同社の営業組織につきましても2022年4月1日より営業部門のトップ及び傘下の事業部長・部長陣を大幅
に刷新(非関与者から登用)し、組織の浄化を図っております。
8.売上報告及び売上計上に関する業務フローの再構築
従来のフローでは案件担当者が株式譲渡契約書・基本合意書のコピーを入手し、それを証憑として売上を計上し
ていたため、そのコピーを改竄することで不適切な報告をする余地がありました。
この度の変更で、売り手と買い手それぞれから株式譲渡契約書・基本合意書のコピーを入手し、かつ双方から当
該契約が締結されたこと等を明記した確認書の原本を入手することにより、各契約を締結した事実を確認するフ
ローを構築いたしました。当該フローによる売上報告及び売上計上は2022年3月より実施しております。
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内部統制報告書
9.契約文書等ドキュメント管理の徹底
2022年3月1日付で文書管理課を新設し、2022年度より新業務フローの構築及び標準化、文書管理ルールの策
定、セールスフォースのシステム改修の要求事項の整理等に順次に着手しております。
4 【付記事項】
該当事項はありません。
5 【特記事項】
該当事項はありません。
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