ドイツ復興金融公庫 有価証券報告書
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ドイツ復興金融公庫(E06047)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2022 年6月23日
【会計年度】 自 2021年 1 月 1 日 至 2021年12月31日
【発行者の名称】 ドイツ復興金融公庫
(KfW)
【代表者の役職氏名】 シニア・ヴァイス・プレジデント、トレジャラー
ティム・アームブラスター
(Tim Armbruster, Senior Vice President and Treasurer)
ヴァイス・プレジデント
ヨッヒェン・ロイブナー
(Jochen Leubner, Vice President)
【事務連絡者氏名】 弁護士 柴 田 弘 典
弁護士 白 川 も え ぎ
弁護士 上 山 紗 穂
弁護士 杉 秋 甫
【住所】 東京都千代田区大手町一丁目1番1号
大手町パークビルディング
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
【電話番号】 03-6775-1119
【縦覧に供する場所】 該当なし
注(1) 本書中「KfW」はドイツ復興金融公庫を、「連邦共和国」および「ドイツ」はドイツ連邦共和国を、
「連邦政府」はドイツ連邦共和国政府を指す。また「KfWグループ」および「当グループ」はドイツ復
興金融公庫(KfW)およびその連結子会社を指す。
注(2) 株式会社三菱UFJ銀行が発表した2022年6月1日現在の対顧客電信直物売買相場の仲値は、1ユーロ
=138.29円であった。
注(3) ドイツ復興金融公庫(KfW)の会計年度は、1月1日から12月31日までである。
注(4) 本書中の表に記載されている数値が四捨五入されたものである場合には、その合計額は合計欄記載の数
値と必ずしも一致するものではない。
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第1【募集(売出)債券の状況】
売出債券
上場金融商品
取引所名
会計年度末
債券の名称 発行年月 券面総額 償還額
又は登録認可
の未償還額
金融商品取引
業協会名
ドイツ復興金融公庫 2021年2月10日
満期 期限前償還条項・円償還条項付
2016 年2月 14 億4,100万円 14 億4,100万円 0円 なし
円/米ドル デュアル・カレンシー債
券
ドイツ復興金融公庫 2023年1月10日
満期 期限前償還条項付 日経平均株
2018 年1月 8,181 万米ドル 8,181 万米ドル 0米ドル なし
価連動デジタルクーポン 米ドル建債
券
ドイツ復興金融公庫 2021年1月13日
満期 期限前償還条項付 ユーロ・ス
2018 年1月 118 億8,600万円 118 億8,600万円 0円 なし
トックス50 Ⓡ 連動 円建債券
ドイツ復興金融公庫 2021年2月12日
満期 期限前償還条項・円償還条項付
2020 年2月 27 億4,400万円 27 億4,400万円 0円 なし
円/米ドル デュアル・カレンシー債
券
ドイツ復興金融公庫 2021年2月12日
満期 期限前償還条項・円償還条項付
2020 年2月 67 億3,900万円 67 億3,900万円 0円 なし
円/豪ドル デュアル・カレンシー債
券
ドイツ復興金融公庫 2025年2月12日
満期 期限前償還条項付 日経平均株
2020 年2月 757 万米ドル 757 万米ドル 0米ドル なし
価連動デジタルクーポン 米ドル建債
券
ドイツ復興金融公庫 2025年8月27日
満期 円建 早期償還条項付 日経平均
2020 年8月 60 億9,300万円 60 億9,300万円 0円 なし
株価連動債券(ドイツ復興金融公庫
法に基づくドイツ連邦共和国保証)
ドイツ復興金融公庫 2021年9月10日
満期 期限前償還条項・円償還条項付
2020 年9月 47 億2,300万円 47 億2,300万円 0円 なし
円/豪ドル デュアル・カレンシー債
券
ドイツ復興金融公庫 2025年9月9日満
期 期限前償還条項付 ユーロ・ス
2020 年9月 89 億9,100万円 89 億9,100万円 0円 なし
トックス50 Ⓡ 連動デジタルクーポン
円建債券
ドイツ復興金融公庫2022年3月満期
円/豪ドル・デュアル・カレンシー
2020 年9月 24 億500万円 24 億500万円 0円 なし
債券(円貨償還条件付)(任意繰上
償還条項付)
ドイツ復興金融公庫2022年4月満期
円/豪ドル・デュアル・カレンシー
2020 年10月 22 億900万円 - 22 億900万円 なし
債券(円貨償還条件付)(任意繰上
償還条項付)(1)
ドイツ復興金融公庫 2021年12月10日
満期 期限前償還条項・円償還条項付
2020 年12月 43 億7,100万円 43 億7,100万円 0円 なし
円/豪ドル デュアル・カレンシー債
券
ドイツ復興金融公庫 2026年2月10日
満期 期限前償還条項付 ユーロ・ス
2021 年2月 100 億2,400万円 100 億2,400万円 0円 なし
トックス50 Ⓡ 連動デジタルクーポン
円建債券
ドイツ復興金融公庫 2024年3月4日満
期 円建 早期償還条項付 日経平均株
2021 年3月 179 億1,400万円 - 179 億1,400万円 なし
価連動債券(ドイツ復興金融公庫法
に基づくドイツ連邦共和国保証)
ドイツ復興金融公庫 2024年7月12日
満期 期限前償還条項付 ユーロ・ス
2021 年7月 71 億5,300万円 - 71 億5,300万円 なし
トックス50 Ⓡ 連動 円建債券
ドイツ復興金融公庫 2024年8月1日満
期 円建 判定価格逓減型期限前償還
条項付 日経平均株価連動デジタル・
2021 年7月 11 億6,600万円 - 11 億6,600万円 なし
クーポン債券(ノックイン条項付 満
期償還金額日経平均株価連動型)
(ドイツ復興金融公庫法に基づくド
イツ連邦共和国保証)
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ドイツ復興金融公庫 2026年8月10日
満期 期限前償還条項付 ユーロ・ス
2021 年8月 59 億8,700万円 - 59 億8,700万円 なし
トックス50 Ⓡ 連動デジタルクーポン
円建債券
ドイツ復興金融公庫 2026年9月14日
満期 期限前償還条項付 ユーロ・ス
2021 年9月 60 億9,900万円 - 60 億9,900万円 なし
トックス50 Ⓡ 連動デジタルクーポン
円建債券
* 当会計年度中、本債券の所有者の権利等に重要かつ不利な影響を与える事象は発生していない。
(1) 当該各債券は、2022年1月1日以降本書提出日までに全額償還されている。
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第2【外国為替相場の推移】
(1)【最近5年間の会計年度(又は事業年度)別為替相場の推移】
米ドルと本邦通貨との間の為替相場は、日本国内において時事に関する事項を掲載する2以上の日刊新聞紙に
最近5年間の事業年度において掲載されているため、記載を省略する。
(2)【当会計年度(又は事業年度)中最近6月間の月別為替相場の推移】
同上
(3)【最近日の為替相場】
同上
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第3【発行者の概況】
1【発行者が国である場合】
該当事項なし
2【発行者が地方公共団体である場合】
該当事項なし
3【発行者が国際機関又は政府関係機関等である場合】
(1) 【設立】
1) 設立の目的および根拠、法的地位および特権等の概要、設立年月日ならびに沿革
KfW は、ドイツ復興金融公庫法( Gesetz über die Kreditanstalt für Wiederaufbau )(以下「KfW法」とい
う。)に基づき、ドイツ連邦共和国(以下「連邦共和国」という。)の連邦政府(以下「連邦政府」という。)の
国内・国際公共政策目標を遂行する無期限の公法機関( Anstalt des öffentlichen Rechts )として設立された。
KfW 法に基づいて、
1.KfWは以下の機能を有する。
(1)以下に列挙する分野について、連邦政府からの委任により、特に融資による助成の任務を遂行するこ
と。
(a)中小企業、自由業およびスタートアップ企業
(b)ベンチャー・キャピタル(以下「VC」という。)
(c)住宅供給
(d)環境保護
(e)インフラ整備
(f)技術進歩および技術革新
(g)国際的合意に基づく助成事業
(h)開発協力
(i)法律、規則または公共経済政策に関する公表されているガイドラインに明記されているその他の助
成分野であって、連邦共和国または連邦州によってKfWに割り当てられているもの
各助成の任務は規則の本文中に明記されなければならない。
(2)公法( öffentlich-rechtliche Zweckverbände )に基づき、地方機関( Gebietskörperschaften )および
特定目的組合への貸出およびその他の形式の融資を行うこと。
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(3)純粋な社会的目的を持つ施策および教育の推進のための施策に融資を行うこと。
(4)その他、ドイツ経済および欧州経済の利益促進のために、下記の分野でその他の融資を行うこと。
(a)欧州投資銀行(European Investment Bank)(以下「EIB」という。)または類似の欧州の金融機
関によって共同融資される、欧州共同体の利益促進のためのプロジェクト。
(b)欧州連合(European Union)(以下「EU」という。)の加盟国、欧州経済地域間合意の当事国、お
よびEU加盟国候補としての公式な地位を持つ国以外における、(aa)シンジケートによる、または
(bb)融資提供が不十分な国に対して提供される輸出金融。
ドイツ経済および欧州経済の利益促進のためになされるその他すべての融資は、公的支援なしで、KfWが
過半数を保有する他の法人によって行われる。定款にはより具体的な規定が含まれる。
2.上記第1項第(1)号(a)および(b)に記載される任務は、中小企業銀行( Mittelstandsbank )(以下「中
小企業銀行」という。)の名称の下、KfWにおける助成担当部門によって遂行される。これらの任務には、特
に、技術進歩および技術革新の分野におけるアドバイザリー・サービスおよび助成的な施策の実施が含まれ
る。
3.KfWは、上記第1項に記載される機能の遂行との間に直接的関連が存在する場合に限り、特に下記の事業を含
むその他の事業を遂行することができる。
(1)債権および有価証券を購入または売却すること。為替手形および約束手形の形態による債務を負うこ
と。
(2)金融の流動性を管理および保護するために、事業を遂行することおよび施策を講じること(財務管
理)。
(3)リスク管理に必要な事業すべてを実行すること。
(4)上記第1項第(4)号に記載されている任務に直接的に関連して設立された子会社に、市況に応じて、必
要な借換資金および他のサービスを提供すること。
KfWは、預金の受入れおよび取次業務を行ってはならない。これは、KfWが直接または間接的な持分を有する
会社、KfWによって設立された財団、ドイツの地方機関、ドイツのその他の行政機関、EU、その他の国際機
関、経済協力開発機構(Organization for Economic Cooperation and Development)(以下「OECD」とい
う。)の加盟国またはそれらの国家開発援助機関との取引には適用されない。
4.上記第3項の制約は、連邦共和国の国益となる事業および連邦政府( Bundesregierung )がKfWに個別に委託し
た事業には適用されない。
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法的地位
KfW は、KfW法に基づき、無期限の公法機関として設立された。連邦政府の公共政策目標を遂行する公法機関とし
て、KfW自体は法人税を課税されず(ただし一部の子会社は課税される。)、また、助成銀行として、利益を最大
限にすることを追求していない。ただし、KfWは、助成活動を支えるため、自己資本基盤の強化を可能とする全体
的な収益水準の維持を追求している。KfWは、KfW法により利益の分配を禁じられており、代わりにこれを法定準備
金および別途報告を行う準備金に計上している。またKfWは、KfW法により、通常、預金の受入れや取次業務を行う
ことも禁じられている。
沿革
KfW は、1948年に連邦共和国の前身である統合経済地域本部によって設立された。KfWの当初の目的は、マーシャ
ル・プランとしても知られる欧州復興計画(以下「ERP」という。)の資金を配分し、貸し出すことであった。今
日でも、ドイツ経済および欧州経済の振興を目的とするKfWのプログラムのうちいくつかは、いわゆる「ERP特別基
金」から金利補助を行う資金を使って支援されている。KfWは、過去数十年間にわたって事業の拡大と国際化を進
めてきた。1994年に連邦共和国と旧ドイツ民主共和国(以下「旧GDR」という。)が再統一された後、KfWは、ドイ
ツのベルリンにあった旧GDRの旧中央銀行( Staatsbank )の業務を引き継いだ。
2001 年9月、KfWは連邦共和国からドイツ投資開発会社(DEG- Deutsche Investitions-und
Entwicklungsgesellschaft mbH )(以下「DEG」という。)を買収した。DEGは、発展途上国および新興経済国の民
間企業を支援するドイツの開発金融機関としての役割を果たす有限責任会社である。DEGの詳細については、「(4)
業務の概況―2) 当年度の事業の状況 ― 発展途上国および新興経済国支援 ― DEG (ドイツ投資開発会社)」を参照の
こと。
2003 年、ドイツのボンに本拠のあったドイツ調整銀行( Deutsche Ausgleichsbank )(以下「DtA」という。)
が、KfWに吸収合併された。DtAは、1950年に公法機関および助成銀行として設立され、また、特に中小企業および
新規事業への貸出の分野で活動していた。かかる合併は、助成金融機関の新構築に関する法律
( Förderbankenneustrukturierungsgesetz )に基づいて行われ、連邦共和国における助成銀行業務の再編および簡
素化と、欧州委員会との合意の調和を目指したものであった。
持続可能な助成
KfW グループは、「持続可能な助成」を主な戦略的目的に設定しており、ドイツ経済の振興に重点を置いて世界
の経済、社会および環境の改善を目指している。KfWの戦略的目的の詳細については、「(5) 経理の状況―1) KfW
グループの基本情報―2026年戦略的目的」を参照のこと。これを背景に、KfWは、連邦共和国、EUおよび国際社会
の持続可能性に関する目標を後押しし、連邦政府による持続可能な国家的開発戦略の実施、国連の2030アジェンダ
の目標および持続可能な開発目標(以下「SDGs」という。)の達成、またパリ協定の実施を促進するための措置を
講じている。さらに、「KfWグループの事業活動における人権への配慮に関する宣言」は、KfWのすべての活動に
とって人権が極めて重要であることを反映している。持続可能な経済のための投資への資金提供とは別に、KfWは
自らの発案により、金融市場の他の参加者と協力して、信用市場と資本市場のベンチマークおよび基準を設定する
よう努め、国内および国際的なイニシアチブの推進力としての役割を果たし、その専門知識をドイツ、欧州および
全世界の政治的意思決定者に提供している。
持続可能な社会への移行という課題に取り組むための包括的アプローチを反映した、KfWの持続可能性に関する
ミッションステートメントは、銀行業務、銀行運営、持続可能性管理、持続可能性に関する伝達および従業員との
関係というKfWの5つの持続可能性に関する活動分野の枠組みを提示している。KfWの従業員との関係に関する取組
みの詳細については、「(3) 組織―3) 従業員」を参照のこと。
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銀行業務
金融活動においてKfWは、「気候変動および環境」、「グローバル化」、「社会変革」および「デジタル化およ
び技術革新」といった社会的および経済的なメガトレンドにも焦点を当てている。「気候変動および環境」のメガ
トレンドは特に重要なため、KfWは戦略的な経営管理システムの一環として、2020年以降、新規コミットメントに
ついて、環境分野の比率を38%以上に維持することを目標としている。2021年の環境分野の比率は、53%(2020年
は33%)であり、新型コロナウイルス(以下「COVID-19」という。)関連の融資を除くと58%(2020年は50%)で
あった。環境分野の比率の増加の主な要因は、COVID-19関連の融資の下のコミットメントの減少および2021年7月
にKfWのベンチマーク・プログラムであるエネルギー効率の高い建物に対する連邦資金供給( Bundesförderung für
effiziente Gebäude )(以下「BEG」という。)に引き継がれたKfWの省エネ建築および改修プログラムに基づく高
いコミットメントであった。かかるプログラムの詳細については、「(4) 業務の概況―2) 当年度の事業の状況―
中小企業銀行および民間顧客」を参照のこと。KfWの環境分野の比率は、KfWの一定期間の新規貸出コミットメント
全体に占める、気候保護(再生可能エネルギー、省エネ事業、持続可能な車社会、気候変動への適応等)および資
源・環境保護(廃棄物回避、排水処理、大気汚染防止、騒音防止等)の分野における活動に対する貸出コミットメ
ントの割合を表している。環境分野の比率の算定にあたり算入される貸出コミットメントは、一定の最低要件を満
たさなければならず、それは例えば、これらのコミットメントにより資金提供されたプロジェクトによって達成さ
れる二酸化炭素やエネルギーの削減に関する要件である。
さらにKfWは、その助成および資金提供のマンデートに基づき、国連の持続可能な開発のための2030アジェンダ
の一部である、17のSDGsそれぞれの達成に貢献するよう取り組んでいる。KfWは、透明性を高めるため、グループ
全体の報告方法を構築し、SDGsへの新規コミットメントを解析するようにした。2021年の新規コミットメントは、
17のSDGsすべてに貢献したが、最も大きく貢献したのは、SDG 7「低コストでクリーンなエネルギー」、SDG 11
「持続可能な都市とコミュニティ」およびSDG 13「気候変動対策」に対してであった。
顧客に関しては、ドイツの中小企業、一般世帯、地方自治体、発展途上国、輸出金融およびプロジェクト・ファ
イナンスの借入人等がKfWの活動の重要な対象グループとなっている。KfWは、すべての事業部門に適用される特定
の持続可能性に関するガイドラインに基づき、すべての資金調達の決定において、環境的および社会的要因を考慮
している。KfWは、発展途上国および新興経済国における支援およびプロジェクト・ファイナンスならびに世界に
おけるすべての輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス活動において、国際的に認められた環境基準および社
会基準(環境・社会影響評価)を定期的に適用している。KfWは、容認できない環境的または社会的な損害を引き
起こす可能性のあるプロジェクトへの資金提供を拒否しており、グループ全体に関する「KfWグループの除外リス
ト」は、すべての新規資金提供および助成活動に適用される。2021年、KfWは、パリ協定の目標に従い、特に温室
効果ガスが集中する部門におけるKfWの新たな融資活動を導くための追加的要素としての科学的根拠に基づく部門
別ガイドラインを導入した。
持続可能性はまた、KfWのグリーンボンドの発行者および投資家としての役割において、または流動性ポート
フォリオの持続可能な管理に関して等、KfWの資本市場における様々な活動において、重要な役割を果たしてい
る。詳細については、「(4) 業務の概況―2) 当年度の事業の状況―金融市場」を参照のこと。
KfW は、環境および気候リスクならびにガバナンスの不備および不十分な社会的配慮から生じるリスクが、自身
の信用リスク・ポジションならびに経済および金融システム全般に重大な影響を及ぼしうるという事実を認識して
いる。したがって、KfWは、リスク要因としての環境、気候、ガバナンスおよび社会的側面の重要性を明確に把握
するため、リスク・ポジションの評価を継続的に改善するよう努めている。
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2022 年4月に公表されたKfWの2021年持続可能性報告書は、グローバル・レポーティング・イニシアチブ(GRI)
の中核オプションに従っており、またドイツ商法( Handelsgesetzbuch )に基づくKfWグループの非財務報告書を含
んでいる。気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づき、報告書には、透明性の高い方法で
KfWの気候関連リスクおよび関連プロセスの概要を説明する特別な章が含まれている。
銀行運営
KfW の活動に適用される規制の枠組みには、環境、社会および経済の問題に関連する法規制の遵守のみならず、
マネー・ロンダリング、テロ資金、汚職、詐欺、データ保護違反、インサイダー取引および禁輸措置の防止が明示
的に含まれている。また、KfWは、公法機関として、連邦 パブリック・コーポレート・ガバナンス・コード (PCGK-
Public Corporate Governance Kodex des Bundes )(以下「PCGK」という。)の原則を遵守している。さらに、
KfWは、トランスペアレンシー・インターナショナルの法人会員であり、DEGは、採取産業透明性イニシアチブのサ
ポート・メンバーとしてKfWグループを代表している。KfWの銀行運営による環境への悪影響は限定的であるが、
KfWは、気候変動に左右されない運営の実現を目指すことを含む、銀行運営のエコロジカル・フットプリントの削
減に努めている。特に、KfWの調達ガイドラインは、供給業者および潜在的な下請け業者が、児童労働および強制
労働の禁止を遵守し、非人道的な労働条件からの保護を提供することを求めている。KfWは、一般的な調達法によ
り可能な範囲で、欧州全域における入札の契約条件に社会的および環境的要件を含めている。
持続可能性管理システムおよび持続可能性に関する伝達
KfW の持続可能性管理システムは、KfWグループ内で持続可能性に関する問題をさらに進展させるための責任およ
び手順を定めている。グループの持続可能性に関する戦略および伝達に対する全体的な責任は、KfWの最高経営責
任者である最高持続可能性責任者にある。最高持続可能性責任者は、グループ、事業部門、中心的な部会および現
場レベルの持続可能性に関する責任者およびマネージャーによって支えられている。事業部門および関連する中心
的な部会のための具体的な持続可能性ガイドラインは、詳細な規則を定めている。KfWの戦略的目的は、グループ
全体で持続可能性に関する取組みを継続的に推進していくために、関連する持続可能性に係る格付のランキングに
おいて、KfWを国内外の助成銀行の上位5行の1つにすることを主要目標の1つとしている。KfWは、自身の持続可能
性目標を向上させ、利害関係者が関連事項に取り組めるようにするため、自身の持続可能性に関連する事業活動の
状況について、利害関係者と定期的にオープンな対話を行っている。これに関連して、KfWの持続可能性報告書は
法定要件を満たしており、KfWの持続可能性報告書および持続可能性ポータルは重要な伝達手段となっている。
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2) 連邦共和国との関係
所有関係
連邦共和国は、KfWの引受済資本の80%を所有し、ドイツ連邦諸州(以下、それぞれを「連邦州」( Land )、全
部の州を「連邦諸州」( Länder )という。)が残りの20%を所有している。KfW法は、株主総会について規定して
いないが、代わりに、監事会( Verwaltungsrat )が株主総会の責任を負う。監事会の詳細については、「(3) 組織
―2) 監事会」を参照のこと。
KfW に対する資本持分は、担保に入れることはできず、また、連邦共和国または連邦諸州以外の主体に対して譲
渡することもできない。KfWに対する資本拠出は、連邦共和国と連邦諸州による所有割合が維持されるような形で
行われており、今後も引き続きそのように行われるものと予測される。
連邦共和国の保証者責任
KfW 法は、KfWの借入金、発行債券および手形ならびにデリバティブ取引に関するKfWのすべての既存債務および
将来債務、ならびにKfWが明示的に保証を与えている第三者の債務を連邦共和国が保証することを明示的に規定し
ている(KfW法第1a条)。この法定保証(以下「連邦共和国の保証者責任」という。)に基づき、KfWがその発行し
た有価証券の元利金その他の金員を支払わない場合、またはKfWによる保証に基づき行うべき支払を支払期限に行
わない場合には、連邦共和国がその支払期限に、常に当該支払を行う義務を負う。連邦共和国の保証者責任に基づ
く連邦共和国の債務は、連邦共和国の現在および将来にわたるすべてのその他の無担保および非劣後債務と同順位
であり、相互にいかなる優先関係もない。KfWが発行したかまたはKfWの保証の下で発行された有価証券の所有者
は、最初にKfWに対して法的措置を講じることなく、連邦共和国に対して直接かかる債務の履行を主張することが
できる。連邦共和国の保証者責任は、厳格な制定法上の事項であり、なんらかの契約または証書によって証せられ
るものではない。しかしながら、連邦共和国の保証者責任は、保証の対象たる債務に関し、KfWが行使できる抗弁
に服する可能性がある。
組織維持責任( Anstaltslast )
KfW は、公法機関( Anstalt des öffentlichen Rechts ) である。したがって、連邦共和国には、KfWの設立機関
として、ドイツ行政法の原則である組織維持責任( Anstaltslast ) (以下「組織維持責任」という。)に基づき、
KfWの経済基盤を保護する義務がある。連邦共和国は、組織維持責任に基づき、KfWを事業遂行可能な状態に維持
し、かつKfWに財政的困難が生じた場合には、資金の割当その他の適切な方法によりKfWがその債務を期日に履行で
きるようにしなければならない。組織維持責任は、KfWの債務に対する連邦共和国の正式な保証ではなく、KfWの債
権者は連邦共和国に対し、直接請求権を有するものではない。しかしながら、この法的原則の効果として、KfWの
債務(KfWが発行したかまたはKfWの保証の下で発行された有価証券の所有者に対するKfWの債務を含む。)は、連
邦共和国の信用により完全に担保される。連邦共和国は、組織維持責任に基づき、適法に成立した義務である国庫
負担の義務を有し、ドイツ議会による歳出配分その他の行為を必要とすることなくかかる支払を行うことができ
る。
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欧州委員会との合意
KfW の債務に対する連邦共和国の責任負担が、EU法の 国家援助 に対する禁止とこれまでも矛盾しておらず、また
現在も矛盾していないことを明確化するため、ドイツ連邦財務省(以下「BMF」という。)と欧州委員会の競争政
策担当委員は協議を重ね、2002年3月1日に正式な合意に至った。欧州委員会との当該合意において、KfWが責任を
負う助成活動については、KfWが引き続き組織維持責任と連邦共和国の保証者責任の恩恵を受けることが合意され
た。当該合意において、特に中小企業、VC、環境保護、技術/革新、インフラ整備および住宅供給に対する融資提
供におけるKfWの役割ならびにKfWの発展途上国との協力は、助成的性質のものであり、したがって、EUの規則と矛
盾しないことが確認された。
欧州委員会との当該合意により、KfWが輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスの事業部門で行っているそ
の輸出金融業務および国内・国際プロジェクト・ファイナンス事業のうち、KfWの助成活動の範囲を超えていると
欧州委員会がみなす部分を、法的に独立した子会社に対して譲渡することが要求された。当該事業の譲渡は2007年
12月31日までに行われなければならず、同日以降、KfWは当該子会社に対し市場金利以外の金利で融資を行うこと
は認められておらず、当該子会社に対して組織維持責任または連邦共和国の保証者責任の恩恵をもたらすこともで
きなくなった。
しかしながら、KfWは引き続き、以下の助成目的の輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業を直接行う
ことが認められている。
・ 金利補助のCIRR(Commercial Interest Reference Rate、市場貸出基準金利)(以下「CIRR」という。)
およびASU(Aircraft Sector Understanding、航空機部門合意計画)(これらはOECDのコンセンサスに従
い助成活動として認められる。)等の国際助成プログラムの実施
・ EU、欧州経済圏および正式なEU加盟候補国の地位を有する国々以外での協調融資への参加(ただし一定の
条件に服する。)ならびに十分な資金源のない国々への単独融資活動
・ EIBまたは類似の欧州の金融機関によって協調融資される、EUの利益となるプロジェクトへの参加
欧州委員会は当該合意を決定に変え、連邦共和国はこれを正式に受諾した。2003年8月、助成金融機関の新構築
に関する法律の一部により欧州委員会との合意が実施され、これに従いKfW法が改正された。
2008 年1月1日、KfWの完全子会社として設立された有限責任会社( Gesellschaft mit beschränkter Haftung ) で
あるKfW IPEX有限責任銀行( KfW IPEX-Bank GmbH ) (以下「KfW IPEX銀行」という。)は、法的に独立した事業体
として業務を開始し、これにより、欧州委員会との合意に規定された要件を満たした。KfW IPEX銀行は、欧州委員
会がKfWの助成活動の範囲を超えるとみなす輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業を、直接、自らのた
めに行っている。KfW IPEX銀行の詳細については、「(4) 業務の概況―2) 当年度の事業の状況―輸出金融および
プロジェクト・ファイナンス(KfW IPEX銀行)」を参照のこと。
監督
BMF は、ドイツ連邦経済・気候保護省(BMWK)(以下「ドイツ連邦経済・気候保護省」という。)と協議の上
で、KfWの法的監督( Rechtsaufsicht ) を行っている。すなわち、BMFは、KfWに適用ある法律の遵守を監督してお
り、かかる遵守を確保するために必要なすべての措置を講じることができる。法的監督とは、主にKfW法およびKfW
の定款の遵守の監督であるが、その他のすべての適用法令(ただし、次の段落において言及され、下記「規制」に
おいて説明される銀行規制法の一定の規定を除く。)の遵守の監督も含む。関係する連邦大臣は、KfWの活動全般
を監督しているKfWの監事会の構成員になっている。「(3) 組織―2) 監事会」を参照のこと。
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KfW は、当該連邦省による法的監督を受けることに加え、2013年10月に、ドイツ連邦金融監督庁( Bundesanstalt
für Finanzdienstleistungsaufsicht ) (以下「BaFin」という。)が行う銀行業に特化した監督の対象となった。
この監督は、省令( KfW-Verordnung ) (以下「KfW省令」という。)によって定められた。KfW省令は、2013年7月
に施行されたKfW法の改正を補完するものである。KfW省令は、KfWに対する銀行規制法の一般的な適用免除を継続
させる一方で、KfWに準用される銀行規制法の規定を特定し、当該規定の遵守の監督をBaFinに担当させている。
BaFinは、その監督を行うにあたり、通常の銀行監督手続に従ってドイツ中央銀行( Deutsche Bundesbank ) (以下
「ドイツ中央銀行」という。)と協力する。詳細については、下記「規制」を参照のこと。
KfW は、ドイツの銀行に一般的に適用される財務報告および監査基準の遵守に加え、KfW法に基づき、予算原則法
( Haushaltsgrundsätzegesetz ) に規定される政府所有の事業体向けの特別な監査基準に従わなければならない。
かかる特別な監査基準により、KfWの年次監査の対象に、通常の範囲に加えて、KfWの経営陣がその事業を適切に
行っているか否かを含めることが義務付けられている。その結果として作成される監査報告書は、監事会、連邦の
担当省および連邦会計検査院( Bundesrechnungshof ) が各自の意見を作成し、かつ必要な場合に対策を講じること
ができるものでなければならない。
最後に、KfWは、政府所有の事業体として、予算原則法に基づき、その資金の経済的運用について連邦会計検査
院による監査を受ける。
規制
KfW の規制状況の概要 KfWは、ドイツ銀行法(KWG- Gesetz über das Kreditwesen ) (以下「ドイツ銀行法」と
いう。)の意味における「信用機関」もしくは「金融サービス機関」またはEUの自己資本指令(Capital
Requirements Directive)(指令2013/36/EU、改正)(以下「CRD」という。)およびEUの自己資本規制(Capital
Requirements Regulation)(EU規則575/2013、改正)(以下「CRR」という。)を始めとする関連するEUの指令お
よび規制の意味における「信用機関」に該当しないため、一般的に、銀行規制法令の適用を免除される。しかしな
がら、KfW省令の施行により、ドイツ銀行法およびCRR(関連施行規則を含む。)のかなりの部分がKfWに準用され
る。銀行監督法のKfWへの準用は段階的に導入され、上記の規則、規制および執行権限の大部分が2016年1月1日か
ら適用されている。KfW省令は、通常預金の取扱いを行わず、貸出事業における低リスク特性および連邦共和国の
保証者責任による恩恵に特徴付けられる、KfWの事業体としての特別な地位に配慮している。よってKfW省令は、関
連規則の準用に関して一定の変更および特例を定めている。
KfW 省令によって課されるEUおよび国内の銀行規制法の準用は、CRR第4条第(1)項第(8)号の意味における「公共
部門事業体」としてのKfWの地位を損なうものではない。EUおよび国内の銀行規制法に基づく自己資本要件、大口
エクスポージャーに関する制限および流動性測定に関して、銀行が保有する公共部門事業体に対するエクスポー
ジャーが特別扱いされていることを考慮すると、かかる地位は、KfWのリファイナンス事業をある程度有利な立場
にする。KfWによって発行された債券等の有価証券は、2014年10月10日付の欧州委員会委任規則(Commission
Delegated Regulation)(以下「委任規則」という。)第2015/61号第10条第(1)項第(c)号(v)に従い、EUにおいて
レベル1資産として適格であり、委任規則におけるその他のすべての要件を満たしている。
準用される銀行規制 KfW省令の定めにより、ドイツ銀行法第25c条から第25d条に規定されるコーポレート・ガ
バナンスに関する銀行規制要件がKfWに準用される。これらの要件を遵守するため、2014年にKfWの監事会の委員会
構成に一定の調整がなされた。かかるKfWの監事会の委員会構成の詳細については、「(3) 組織―2) 監事会」を参
照のこと。
ドイツ銀行法第25a条において規定され、ドイツの信用機関の報酬に関する規則(IVV-
Institutsvergütungsverordnung ) においてより詳細に規定されている報酬方針に関する銀行規制要件について
は、2018年1月1日からKfWに適用されている。
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CRR 第2部第Ⅰ編から第Ⅲ編および第3部第Ⅰ編から第Ⅵ編に規定される自己資本充実度に関する規制が、規制上
の自己資本および自己資金要件の計算を含め、ほぼ全体として、2016年1月1日から、連結ベースでKfWに準用され
た。さらに、KfWは、CRDによって導入され、ドイツ銀行法第10c条から第10i条として国内法に移入された資本バッ
ファー規制の対象となっている。2017年6月、KfWは、2017年6月30日現在のKfWの大部分のポートフォリオにつき、
先進的内部格付手法(以下「IRBA」という。)に従って規制上の自己資本要件を計算することについて、BaFinの
承認を得た。KfWは、規制要件に従い、その他の副次的ポートフォリオ・セグメントおよび副次的ポートフォリ
オ・モデルについても、将来、追加承認を求める予定である。2021年12月31日現在、CRR第92条によるKfWの総自己
注1)
資本比率およびTier 1資本比率はいずれも23.9%(2021年度の中間利益を含まない。 )であり、2020年12月31
日現在の総自己資本比率およびTier 1資本比率の数値(それぞれ24.3%および24.1%)と比較して減少したが、こ
れは主に、CRRに基づく変更、(特に規制上のIRBA要件による)方法の調整および特定の組成されたファンドを証
券化対象として再分類したことに起因している。KfWが先進的IRBAの適用機関として全面的に承認されるまでの
間、未承認の副次的ポートフォリオは、一般的により資本集約的な信用リスク標準化アプローチ(CRSA)を引き続
き用いて評価される予定である。
注1)
CRR 第26条第(2)項に基づく。
自己資本充実度に関する規制の適正要件の適用に関連して、2021年12月31日現在のKfWグループの総自己資本比
率に対する自己資本要件は、全体で16.1%となったが、これは12.5%の監督上の審査および評価プロセスによる総
自己資本要件(以下「TSCR」という。)と、ドイツにおけるその他のシステム上重要な機関(O-SIIs)向けのバッ
ファー(以下「OSIIバッファー」という。)である資本保全バッファーおよび景気連動抑制的資本バッファーから
成る。KfWグループに対するTSCRには、監督上の審査および評価プロセス(以下「SREP」という。)のサーチャー
ジ2.75%が含まれる。一般的に、SREPのサーチャージには、各銀行の特定のリスク状況が反映されるようになって
いる。さらに、KfWグループに対するTSCRには、一定のIT、内部監査およびオペレーショナル・リスク管理につい
ての調査結果に係る合計1.75%の追加的なサーチャージも含まれる。かかるサーチャージは、KfWグループのTSCR
を一時的に増加させるものであり、2018年にBaFinにより課された後、下記の背景のため2020年および2021年に軽
減された。
2016 年にドイツ中央銀行およびBaFinが行ったKfWに対する通常監査の際、銀行監督機関は、KfWのITに関する調
査結果を報告した。これを受け、2017年にBaFinによりIT関連のサーチャージが課された。KfWのIT構造の近代化の
必要性は、通常監査が行われる前から指摘されており、KfWにおいて、ITのアップデートおよび改善の必要性に取
り組む大規模プロジェクトは以前から進行している。また、 銀行監督機関は、2017年にKfWの外部委託管理および
内部監査手続についての通常監査も行い、かかる監査の結果、一定の追加的な調査結果が報告された。2018年6
月、BaFinはKfWに対し、IT、内部監査およびオペレーショナル・リスク管理についての調査結果に関連し、一時的
な自己資本要件を課すと通知した。当時課された 2.75 %のサーチャージは、指摘事項が解消されるまでの間継続し
て課されることとなっていた。 2019 年、監督機関は、KfWのITについて追加監査を行い、2020年に2.25%の更新さ
れたサーチャージが課される結果となった。2020年に実施されたKfWの内部監査のさらなる追加監査の結果、監督
機関は、2021年に1.75%の更新されたサーチャージを課した。
BaFin はまた、2018年にKfWに対し、1%のOSIIバッファーを維持することが必要になると通知し、かかるOSII
バッファーは、2019年の0.33%を皮切りに、3年間で段階的に導入されることになった。2020年および2021年の
OSIIバッファーは、それぞれ0.66%および1%であった。IRBAモデル変更した監督監査により、BaFinは、2021年12
月31日から、特定のエクスポージャークラスのためにリスク加重資産(以下「RWA」という。)乗数を課した。
2020年および2021年のKfWの自己資本比率は、すでにこれらの乗数を考慮している。
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KfW は、2016年1月1日より、ドイツ銀行法および関連施行規則によって補足されたCRR第Ⅳ編の大口エクスポー
ジャー規制の準用を受けている。この規制の下では、1顧客または関係する顧客から成る1グループに対するエクス
ポージャーは、適格自己資本の25%までに制限され、適格自己資本の10%を超えるエクスポージャーは、特別な内
部モニタリング要件およびドイツの銀行監督機関に対する報告義務を課される。
さらに、KfWは、2016年1月1日から、レバレッジ比率に関する規定の準用を受けている。この規制の下では、KfW
の資産および貸借対照表外のエクスポージャーの簿価に対するTier 1資本比率は、連結ベースで計算される。レバ
レッジ比率は内部的に監視されており、2021年6月以降、健全性要件の一部となっている。
2015 年12月のBaFinの決定によれば、自己資金要件、大口エクスポージャーおよびレバレッジといったCRRの特定
の条項については、グループレベル(すなわち、連結ベース)でのみ考慮される必要があり、事業体レベルではそ
の必要はない。
KfW は、すでにドイツの反マネー・ロンダリング法( Geldwäschegesetz ) の対象となっているが、2016年1月1日
から、グループレベルおよび事業体レベルにおいて、ドイツ銀行法のマネー・ロンダリング、テロリストの資金調
達およびその他の犯罪行為に関する規定の対象ともなっている。
最後に、ドイツ銀行法およびドイツのリスク管理の最低要件( Mindestanforderungen an das
Risikomanagement ) (以下「MaRisk」という。)に規定されるリスク管理システムに関する銀行規制要件が、2016
年1月1日からKfWに準用されている。かかる銀行規制要件には、リスク戦略立案、リスク管理ならびに財務管理お
よび業務管理の実施のための健全なシステムに加え与信に関する意思決定プロセスの要件が定められている。これ
に関連して、KfW法第2条第(4)項に従ったKfWの委託業務( Zuweisungsgeschäft ) (以下「連邦政府委託業務」とい
う。)(すなわち、KfWが、連邦政府の要求に従い、通常、連邦政府による経済的リスクの負担において行う活
動)に対して一定の免除が認められている。
KfW の規制は、CRRおよびドイツ銀行法に規定される流動性規制の適用を受けていない。同じ理由で、KfWは、EU
および国内の開示要件ならびにEU銀行再建・破綻処理指令(以下「BRRD」という。)を一般的に免除されている。
監督体制および執行権限 KfWによる銀行規制法令の遵守の監督は、BaFinに任されており、BaFinはその一般的
リスクを重視したSREPに従ってドイツ中央銀行と協力してこれを行う。これに関連して、ドイツ中央銀行は、銀行
の財務の安定性ならびに内部統治およびリスク管理システムの妥当性の両方について銀行の継続的な監査および分
析を担当する。ドイツ中央銀行は、関連データを受け取りその再処理を行うが、最終的な意思決定および執行権限
の行使はBaFinが行う。
KfW 省令は、監督の目的上、2016年1月1日以降、KfWをドイツの銀行に一般的に適用される報告および情報要件
(顧客口座の詳細への自動アクセスを除く。)の準用対象としている。KfWは、これらの報告および情報要件を遵
守する制度を構築するまでの間、監督当局に対し、同当局の合意を得た形式で、関連する報告および情報を提供し
た。監督当局と合意した通り、KfWは2020年1月1日現在、本格的な規制報告制度を導入している。
さらに、KfW省令は、KfWをBaFinの一定の執行権限の準用対象としており、BaFinは、特定の状況下において規制
上の自己資本の増加および規制リスクの軽減を要求する権限またはKfWの経営幹部の変更を要求する権限等を有し
ている。
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KfW は、国内またはEUの銀行規制法上の規制対象事業体に該当しないため、近年施行された国内およびEUの銀行
監督体制における変更の影響を受けなかった。特に、KfWは、欧州単一監督制度(European Single Supervisory
Mechanism)(以下「SSM」という。)について定めたEU理事会規則第1024/2013号に基づく欧州中央銀行
(European Central Bank)(以下「ECB」という。)による監督を受けない。2014年、KfW IPEX銀行は、SSMに参
加する加盟国各国の監督当局の協力により運営される、大手銀行の総合的評価の対象に含まれた。2014年9月のECB
による決定に従い、KfW IPEX銀行は重要信用機関とはみなされず、またその後ECBにより実施されているドイツの
大手金融機関の年次評価においても、これまでに重要信用機関とみなされたことはない。よって、KfW IPEX銀行は
現在ECBの直接的な監督下には置かれていないが、引き続き、ドイツ中央銀行と連携しているBaFinの監督下に置か
れている。KfW IPEX銀行は、その事業成長次第では、今後数年以内に重要信用機関とみなされ、ECBの直接的な監
督下に置かれる可能性がある。KfW IPEX銀行の詳細については、「(4) 業務の概況―2) 当年度の事業の状況―輸
出金融およびプロジェクト・ファイナンス(KfW IPEX銀行)」を参照のこと。SSMの詳細については、「(7) 発行
者の属する国等の概況―3) 通貨・金融制度―金融制度―欧州の金融制度―欧州の金融監督制度および銀行同盟」
を参照のこと。
3) 日本との関係
KfW の設立について、日本との関係はない。
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(2) 【資本構成】
KfW グループの資本構成(2021年12月31日現在)
(単位:百万ユーロ)
借入金
短期資金 51,588
債券およびその他の確定利付証券 397,617
56,854
その他の借入金 (1)
借入金合計 506,059
株主持分
払込済資本 (2)
3,300
資本準備金 8,447
ERP特別基金からの準備金 1,191
利益剰余金 22,026
一般銀行業務上のリスクに対する積立金 200
-957
再評価準備金
34,207
株主持分合計
540,266
資本構成合計
(1) ERP 特別基金からの長期および短期の借入金138百万ユーロを含む。
(2) KfW の自己資本(そのうち80%を連邦共和国が所有し、残りの20%を連邦諸州が所有している。)は、2021年において3,750百万ユーロであった。そ
のうち、3,300百万ユーロが連邦共和国および連邦諸州の所有割合に応じて払い込まれている。
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(3) 【組織】
KfW の機関は、執行理事会( Vorstand ) および監事会である。
1) 執行理事会
執行理事会は、KfWの日常業務の遂行および資産の管理の責任を担っている。基本的に、執行理事は、監事会に
より当初の任期を最長3年間として選任される。最初の任期終了後、各執行理事は、任期を最長5年間として監事会
により複数回にわたり再任、またはその任期が延長される可能性がある。各執行理事はKfWの特定の業務に責任を
負うが、執行理事会が行う行為について責任を共有する。
以下に記載する、現在の執行理事の略歴には、構成員の2022年4月8日現在の年齢、選任された年、任期、地位お
よび担当分野が記載されている。
執行理事会の報酬については、「(5) 経理の状況―6) 連結財務書類」の連結財務書類に対する注記68を参照の
こと。
ステファン・ヴィンテルス氏
年齢:55歳
ステファン・ヴィンテルス氏は、2021年10月に共同最高経営責任者としてKfWの執行理事に参画し、2021年11月
に唯一の最高経営責任者に就任した。同氏は、事務総局、内部監査部、金融市場部、グループ開発・経済部、法務
部、国内助成事業部、セールス・デジタル開発部、新規事業信用サービスおよびKfWキャピタル有限合資会社( KfW
Capital GmbH & Co. KG ) (以下「KfWキャピタル」という。)を担当している。ヴィンテルス氏は、2025年9月ま
で任命されている。
ヴィンテルス氏は、KfWに参画する前、2001年から2021年までの20年間、シティグループ(Citi Group)にて
様々な指導的役割を務めた。直近で、同氏はグローバル共同経営者金融機関グループおよびグローバルBCMA執行委
員会のメンバーを務めた。それ以前、同氏はドイツのシティグループの副会長、シティのドイツにおける最高国家
責任者、および2020年3月までシティグループ・グローバル・マーケッツ・ヨーロッパ・エージー( Citigroup
Global Markets Europe AG ) の最高経営責任者を務めた。
ヴィンテルス氏は、1994年にドイツ銀行( Deutsche Bank AG ) にてキャリアを開始し、2001年にドイツ銀行の
コーポレート・デベロップメント/グループ戦略部門のマネージング・ディレクターとして退職した。
同氏は、ベルリン工科大学において経営学の修士号を取得し、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校において
2年間のMBAプログラムの2年目に参加した。
また、ヴィンテルス氏は、KfWキャピタル(ドイツ、フランクフルト・アム・マイン)の監事会会長を務めてい
る。
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メラニー・ケア氏
年齢:47歳
メラニー・ケア氏は、2019年3月にKfWの執行理事に就任した。同氏は、情報技術部、中央サービス部および取引
管理部を担当している。ケア氏は、2018年9月にゼネラル・マネージャーとしてKfWに参画した。ケア氏は、2022年
8月まで任命されている。
ケア氏は、ビーレフェルト大学(ドイツ)において経営管理学を学び、またパデュー大学(米国、インディア
ナ)の経済学の修士号を取得している。同氏の職歴は、1999年に、コンサルティング会社であるアンダーセン・コ
ンサルティング経営コンサルタント有限責任会社( Andersen Consulting Unternehmensberatung GmbH ) (2001年
にアクセンチュア(Accenture)に名称変更)から始まり、2012年には同社の工業金融サービス部門のマネージン
グ・ディレクターとなった。同氏は、2014年にバイエルン州立銀行( Bayerische Landesbank ) (ドイツ、ミュン
ヘン)のグループ最高情報責任者に任命され、2018年7月まで同役職を務めた。
またケア氏は、ドイツデカバンク( Deka Bank Deutsche Girozentrale ) (ドイツ、フランクフルト・アム・マ
イン)の監事である。
クリスティアーヌ・ライバッハ氏
年齢:60歳
クリスティアーヌ・ライバッハ氏は、2021年6月にKfWの執行理事に参画した。同氏は、KfW開発銀行( KfW
Entwicklungsbank ) (以下「KfW開発銀行」という。)ならびに2つの関連会社であるKfW IPEX銀行およびDEGから
成る国際的融資活動を主導している。ライバッハ氏は、2025年5月まで任命されている。
同氏は、KfWの執行理事に参画する前、DEGの取締役を6年間務め、最後の年は最高経営責任者を務めた。2008年
から2015年まで、最高リスク管理責任者(以下「CRO」という。)および財務責任者を含むKfW IPEX銀行の取締役
を務めた。1990年にKfWグループに参画して以来、7年間にわたり航空部門の国際責任者を務め、25年間にわたり指
導的立場にある。
ライバッハ氏は、マインツ大学(ドイツ)において経済学の修士号を取得し、ウォートン・ビジネス・スクール
(米国、フィラデルフィア)でエグゼクティブ・マネジメント・プログラムを修了している。
またライバッハ氏は、KfW IPEX銀行の監事会会長を務めている。
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ベルント・レーヴェン氏
年齢:56歳
ベルント・レーヴェン氏は、2009年7月にKfWの執行理事としてKfWに参画した。同氏は、財務部、人事部、ポー
トフォリオ信用サービス部および組織・コンサルティング部を担当している。レーヴェン氏は、2016年1月1日付で
CROと最高財務責任者(以下「CFO」という。)の職務が分離されるまでKfWのリスク部と財務部の両方を担当した
後、KfWのCFOを務めている。レーヴェン氏は、2024年6月まで任命されている。
同氏は、ミュンスター大学(ドイツ)において経営管理学の学位を取得して卒業した後、監査法人において専門
職としてのキャリアを開始し、そこで租税コンサルタントの試験を完了した。その後、レーヴェン氏はコメルツ銀
行(ドイツ、フランクフルト・アム・マイン)の経営企画部に入った後、エクイティ・デリバティブ取引部に異動
した。2002年以降、レーヴェン氏は、米国ニューヨークに所在するコメルツ銀行の子会社であるコメルツ・キャピ
タル・マーケッツ・コーポレーション(Commerz Capital Markets Corporation)の共同マネージング・ディレク
ターを務めた。2005年、同氏は、コメルツ銀行のポーランドの子会社であるエムバンク(mBank)(旧BRE銀行エス
エー(BRE Bank SA))の取締役に任命され、ニューヨークからポーランドのワルシャワに転勤した。
またレーヴェン氏は、通貨為替基金(TCX)(オランダ、アムステルダム)およびDEG(ドイツ、ケルン)の監事
である。
ステファン・パイス博士
年齢:52歳
ステファン・パイス博士は、2016年1月にKfWの執行理事に就任した。同博士は、信用リスク管理部、リスク制御
部およびコンプライアンス部を担当し、またKfWのCROを務めている。パイス博士は、2024年12月まで任命されてい
る。
パイス博士は、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学(ドイツ、ミュンヘン)において経営管理学を学び、また同
大学のリスク管理・保険研究所において政治学の博士号を取得した。1995年、同博士は、バイエルン州立銀行
( Bayerische Landesbank ) (ドイツ)の不動産部にて勤務を開始した。その後リスク管理部へ異動し、チームの
主任(顧客ポートフォリオおよび戦略統括)および部長(ポートフォリオ統括およびシステマティクス統括ならび
にリスク統括取引業務)として管理職を務めた。2007年、パイス博士はリスク運用部門長に就任し、2008年にグ
ループリスク制御部門長へと昇進した。パイス博士は、2009年にシニア・ヴァイス・プレジデントおよびリスク管
理・制御部長としてKfWに参画した。
パイス博士は、KfW IPEX銀行(ドイツ、フランクフルト・アム・マイン)およびKfWキャピタル(ドイツ、フラ
ンクフルト・アム・マイン)の監事である。
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2) 監事会
監事会の監事は通常37名であり、連邦財務大臣、連邦経済・気候保護大臣、連邦外務大臣、連邦食料農業大臣、
連邦デジタル運輸大臣、連邦経済協力開発大臣、連邦環境自然保護原子力安全消費者保護大臣、連邦参議院
( Bundesrat ) が選任した監事7名、連邦議会( Bundestag ) が選任した監事7名、商業銀行代表5名、工業代表2名、
地方自治体、農業、熟練手工業、通商および住宅部門の代表各1名ならびに労働組合の代表4名から構成される。商
業銀行、工業、地方自治体、農業、熟練手工業、通商および住宅の各部門ならびに労働組合の代表は、連邦政府が
関係者と協議の上選任する。
連邦財務大臣および連邦経済・気候保護大臣が、監事会の会長および副会長を務める。両者は1年毎にその役職
を交代し、2022年においては、連邦経済・気候保護大臣が会長を務める。KfWの監事会に在籍するすべての連邦大
臣の任期については、当該連邦大臣の任期に一致するが、監事会のその他の監事は、個別に任期を3年として任命
される。
監事会は、KfWの事業の遂行全般および資産の管理を監督する。監事会は、執行理事会に一般的な指示を与える
こともできる。特に、監事会は通常、とりわけ運営機関の構成員に対する融資( Organkredite ) 、短期融資、借入
人1名につき50百万ユーロを超える投資不適格または無格付の発行体への貸出コミットメント、一定の無担保貸
付、および100百万ユーロを超える投資適格発行体への貸出コミットメントにつき(そのリスク・信用委員会
( Risiko- und Kreditausschuss ) を通じて)承認せねばならない。監事会は、その他の取引または取引の種類を
承認する権利を留保することもできる。ただし、KfWを代表する権限またはKfWの代わりに融資のコミットメントを
行う権限はない。
KfW の監事会の委員会構成は、執行・指名委員会( Präsidial- und Nominierungsausschuss ) 、報酬委員会
( Vergütungskontrollausschuss ) 、リスク・信用委員会および監査委員会( Prüfungsausschuss ) である。執行・
指名委員会は、法的事項および事務的事項、基本事業や会社の方針といった事柄の取扱いについて責任を負ってい
る。緊急事案( Eilentscheidung ) につき監事会に代わって決定を行うこともある。さらに、定期的に執行理事会
および監事会の評価を行い、執行理事会に対して適切な候補者の推薦を行うほか、監事の選任に関し責任を負って
いる連邦政府関係機関の補助を行うこともある。報酬委員会は、執行理事会およびKfWの従業員の報酬制度ならび
にそれらがKfWのリスク、資本および流動性管理に与える影響の取扱いについて責任を負い、執行理事に支払われ
る報酬に関して執行・指名委員会に助言を行う。リスク・信用委員会は、特にKfWの現在および将来の全般的なリ
スク耐性および戦略につき、監事会に助言を行う。また、KfWの定款に規定された一定の閾値を超える、業務レベ
ルでの貸付および株式投資の承認や、債務証券の発行、外貨の借入れおよびスワップ取引の承認についても責任を
負う。監査委員会は特に、会計処理や、内部統制システム(以下「ICS」という。)および内部監査システムと
いったリスク管理システムの実効性を監視する。また、年次財務書類の監査の実施および監査法人によって指摘さ
れた誤りの適時の是正について監視を行う。さらに、監査委員会は、年次非連結財務書類の承認および年次連結財
務書類の採択に関し、監事会に助言を行う。執行・指名委員会および報酬委員会の委員長は、原則として監事会の
会長が務めることとされている。リスク・信用委員会および監査委員会の委員長は、原則として銀行部門の代表が
務めることとされている。
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2022 年4月8日現在の監事は、以下の通りである。
氏名 役職
アンナレーナ・ベアボック 連邦外務大臣
ダニャル・バヤズ博士 バーデン・ビュルテンベルク州の財務大臣(連邦参議院によ
る選任)
カタリーナ・ベック 国会議員(連邦議会による選任)
アンドレ・ベルクヘガー博士 国会議員(連邦議会による選任)
フォルカー・ブフィエ ヘッセン州首相(連邦参議院による選任)
アンドレアス・ドレッセル博士 ハンブルク市財務上院議員(連邦参議院による選任)
インガボルグ・エッサー ドイツ連邦住宅不動産企業(GdW)連合運営理事(住宅部門
代表)
ロバート・ファイガー ドイツ建設・農業・環境労働組合(IG Bau)委員長(労働組
合代表)
アルバート・フラッカー バイエルン州財務および地域アイデンティティ大臣(連邦参
議院による選任)
ロベルト・ハーベック博士 連邦経済・気候保護大臣(2022年の会長)
ルイス・ハーゲン博士 ミュンヘン抵当銀行最高経営責任者(抵当銀行代表)
ハンス・ギュンター・ヘネケ教授・博士 ドイツ地区連盟執行委員会常務委員(DLT)(自治体代表)
ラインホルド・ヒルバース ニーダーザクセン州財務大臣(連邦参議院による選任)
ライナー・ホーフマン ドイツ労働総同盟(DGB)会長(労働組合代表)
ブルーノ・ホリナーゲル博士 国会議員(連邦議会による選任)
ヴェレナ・フーベルツ 国会議員(連邦議会による選任)
ディルク・ジャンドュラ博士 ドイツ卸売・貿易業連合会(BGA)会長(卸売・外国貿易部
門代表)
アロイス・カール 国会議員(退任)(連邦議会による選任)
アンドレア・コクシス 統一サービス産業労働組合(ver.di)副委員長(労働組合代
表)
シュテファン・コルゼル ドイツ労働総同盟(DGB)執行委員(労働組合代表)
ヨアヒム・ラング博士 ドイツ産業連盟(BDI)最高経営責任者兼会長(工業代表)
シュテフィ・レムケ 連邦環境自然保護原子力安全消費者保護大臣
クリスチャン・リントナー 連邦財務大臣(2022年の副会長)
ライナー・ネスケ バーデン・ビュルテンベルク州立銀行運営理事会長(産業信
用分野において著名な信用機関の代表)
ジェム・オズデミル 連邦食料農業大臣
ハンス=ヴァルター・ペータース博士 ドイツ銀行連盟(BdB)会長(商業銀行代表)
ダニエル・クエンティン ドイツ協同組合銀行協会(BVR)運営理事(協同組合銀行代
表)
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アヒム・ポスト 国会議員(連邦議会による選任)
ミハエル・リヒター ザクセン・アンハルト州財務大臣(連邦参議院による選任)
ヨアヒム・ルークヴィート ドイツ農業者連盟(DBV)会長(農業部門代表)
フランク・シェフラー 国会議員(連邦議会による選任)
ヘルムット・シュリーヴァイス ドイツ貯蓄銀行協会(DSGV)会長(貯蓄銀行代表)
スヴェンニャ・シュルツ 連邦経済協力開発大臣
ホルガー・シュワネッケ ドイツ手工業および小企業中央連盟(ZDH)事務総長(熟練
手工業部門代表)
ディートマー・シュトレール ブレーメン市財務上院議員(連邦参議院による選任)
マルティン・ヴァンスレーベン博士 ドイツ商工会議所連盟(DIHK)会長(工業代表)
フォルカー・ヴィッシング博士 連邦デジタル運輸大臣
監事会の報酬については、「(5) 経理の状況―6) 連結財務書類」の連結財務書類に対する注記68を参照のこ
と。
3) 従業員
KfW グループの従業員数は、2021年は平均で7,734名(2020年は7,382名)であった(執行理事および研修員を除
き、臨時雇用者およびKfW代理店の地域雇用者を含む。)。KfWの従業員の約31.8%(KfW代理店の地域雇用者を除
く。)は団体労働協約に加入している。KfWは従業員のために年金等の給付を行っている。
KfW グループの従業員のうち、約20%はKfWの国内事業活動、28%は発展途上国および新興経済国支援(KfW開発
銀行およびDEG)、11%は輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス(KfW IPEX銀行)、残りはKfWの経理、出
納、担保、資金調達および貸出支援の各部門ならびに総務・人事部に所属している。
KfW グループは、従業員との関係を、持続可能性に関する重要な活動分野の1つと考え、敬意と感謝を持って従業
員を待遇することを非常に重視している。KfWは、自身の成功の基盤は自発性のある熟練した従業員を擁すること
であると認識しているため、主要な雇用主ランキングにおいてトップの位置を占めることを含む雇用主としての魅
力を、KfWグループの戦略的目的における主要な目標の1つであると考えている。KfWは、性別、出身、民族、宗
教、障害、年齢、性的アイデンティティまたは社会的背景を問わない、公正な報酬制度、グループ全体の多様性お
よび全従業員に対する職業能力開発の機会均等が、かかる目標を達成するための強固な基盤になると考えている。
KfWは、女性管理職比率の目標値の達成と良好なワークライフバランスの重要性を強調している。KfWは、未来指向
の組織として、様々なパートタイムの仕事やモバイルワークという選択肢ならびに職業能力開発および職業訓練の
機会を提供し、責任ある健康管理を支えている。
KfW グループの従業員についての詳細は、「(5) 経理の状況―6) 連結財務書類」の連結財務書類に対する注記67
を参照のこと。
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(4)【業務の概況】
1) 概要
KfWは、連邦共和国の連邦政府の国内・国際公共政策目標を遂行する公法機関( Anstalt des öffentlichen
Rechts )である。KfWは、KfWグループというブランド名の傘下で金融活動を助成している。
KfWは、2021年12月31日現在、5,510億ユーロの総資産(4,406億ユーロの貸出金等を含む。)を有するドイツの
最も重要な助成銀行であり、ドイツ最大手の金融機関の1つである。KfWの助成事業額は、2021年に1,070億ユーロ
にのぼった。KfWの助成事業額の詳細については、下記「2) 当年度の事業の状況」の「事業部門別助成事業額」の
表を参照のこと。
KfWの事業は以下の事業部門で行われている。
・ 中小企業銀行および民間顧客( Mittelstandsbank & Private Kunden )(以下「中小企業銀行および民間顧
客」という。)は、主に中小企業、起業家、スタートアップ企業、自営の専門家および個人に対し、高度
に標準化された商品を提供する。
・ 個別対応金融および公的顧客( Individualfinanzierung & Öffentliche Kunden )(以下「個別対応金融お
よび公的顧客」という。)は、地方自治体インフラ整備および社会インフラ整備に係る融資につき個別の
解決策を提供し、企業金融およびプロジェクト・ファイナンスを提供し、金融機関およびドイツの州立支
援財団(LFI- Landesf örderinstitute )(以下「州立支援財団」という。)に対し個別対応の融資を提供す
る。
・ KfWキャピタル:KfWキャピタルは、専門的に運用されるファンドを通じて、革新的技術を志向するドイツ
の成長企業が資本にアクセスすることを容易にするために、ドイツおよび欧州のベンチャー・キャピタ
ル・ファンドおよびベンチャー・デット・ファンドに投資する。KfWキャピタルは、KfWが完全所有する法
的に独立した事業体である。
・ 輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス:KfW IPEX銀行は、世界各地で個別対応の輸出金融、プロ
ジェクト・ファイナンスおよび企業金融を提供する。KfW IPEX銀行は、KfWが完全所有する法的に独立した
事業体である。
・ 発展途上国および新興経済国支援:KfW開発銀行は、KfWによる公共部門に対する開発援助活動について責
任を有しており、DEGは、発展途上国の民間部門投資に対する融資を行っている。DEGは、KfWが完全所有す
る法的に独立した事業体である。
・ 金融市場は、KfWの財務、資金調達、資産運用およびその他の資本市場関連の活動から成る。
KfWの事務所は、ドイツ、60325 フランクフルト・アム・マイン、パルメンガルテンシュトラーセ5-9にある。
KfWの電話番号は、+49-69-74310である。KfWはまた、ドイツのベルリンとボンに支店を、ベルギーのブリュッセル
にEU連絡事務所を有している。
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2) 当年度の事業の状況
下表は、記載された各年におけるコミットメント額に関して、各事業部門の相対的な規模を示すものである。
事業部門別助成事業額
2021年12月31日 2020年12月31日
に終了した年度 に終了した年度 前年比
(単位:百万ユーロ) (%)
中小企業銀行および民間顧客 72,980 86,274 -15
個別対応金融および公的顧客 9,465 19,213 -51
KfW キャピタル 502 871 -42
輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス
13,644 16,584 -18
(KfW IPEX銀行)
発展途上国および新興経済国支援 10,145 12,394 -18
このうちKfW開発銀行 8,611 10,983 -22
このうちDEG(ドイツ投資開発会社) 1,534 1,411 9
527 400
金融市場 32
107,050 135,269
助成 事業 額の合計 (1)(2)
-21
(1) 2021 年12月31日に終了した年度の助成事業額の合計は、輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスに関してKfW IPEX銀行が行い、かつ、中小企業
銀行の助成プログラムの一部に基づきリファイナンスされた212百万ユーロ(2020年同期は468百万ユーロ)のコミットメント額に関する調整を含
む。
(2) コミットメント額とは、各期間の貸出およびその他の取引(州立支援財団に対するグローバル融資枠およびプログラム・ベースのグローバル・ロー
ンを除く。)についてコミットされた資金額をいい、翌期以降貸し出される金額を含むが、前期までに行われたコミットメントに基づきその期間に
貸し出された金額を含まない。州立支援財団に対するグローバル融資枠およびプログラム・ベースのグローバル・ローンについては、コミットメン
ト額とは、各期間に実際に貸し出された資金額をいう。
下表は、6つの各事業部門の相対的な規模を、2021年末におけるコミットメント額残高および経済的資本の必要
額の比率で示すものである。一般に、コミットメント額残高の比率に比べて経済的資本の必要額における比率が低
いということは、それに伴うリスクが平均を下回ることを示す。金融市場事業部門の経済的資本の必要額の比率に
は、財務活動に係る経済的資本の必要額も含まれる。
各事業部門の相対的な規模
2021年12月31日現在
コミットメント額残高 経済的資本の必要額(1)
中小企業銀行および民間顧客 54% 42%
個別対応金融および公的顧客 13% 3%
KfWキャピタル 0% 1%
輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス
14% 8%
(KfW IPEX銀行)
発展途上国および新興経済国支援(KfW開発銀行およ
8% 7%
びDEG(ドイツ投資開発会社))
9% 3%
金融市場
599.4 15.3
総額(単位:10億ユーロ)
(1) 経済的資本の必要額残高は、グループ機能に関連する。経済的資本の必要額は、99.90%のソルベンシー・レベルで計算されている。KfWグループの
経済的資本の必要額についての詳細は、「(5) 経理の状況―3) リスクの報告―KfWグループのリスク管理手法(概要)―ICAAP―経済的リスク許容
能力」を参照のこと。
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国内助成事業
概括
連邦政府の経済目標および政策目標を支援するために、KfWは、ドイツ国内および欧州各地の限られた範囲内
で、広範な融資プログラムおよび国内助成目的のために連邦予算を原資とする供与を行っている。KfWの主な国内
金融活動は、中小企業銀行および民間顧客事業部門、個別対応金融および公的顧客事業部門ならびにKfWキャピタ
ル事業部門において行われている。国内市場を対象にしたさらなる助成活動の一部は、金融市場事業部門で報告さ
れている。
KfW法に基づき、KfWは通常、融資を行う場合は、銀行その他の金融機関を介在させなければならない。したがっ
て、KfWは、まず商業銀行に対して貸出を行い、商業銀行が最終借入人に対して転貸を行うという手順により、KfW
による貸出の取扱いに商業銀行を介在させている。ただし、KfWは、地方自治体への融資等、限られた範囲におい
て最終借入人に対して直接融資を行うことができる。KfWは、商業銀行に貸出を行うことによって、原則として資
金の最終借入人の信用リスクを回避し、商業銀行の顧客に関する情報ならびに管理業務および貸出業務に関する専
門的知識の恩恵を受けている。KfWは、貸出先である各銀行またはその他金融機関のリスクおよび信用状態を監視
している。2021年12月31日現在、KfWは、国内の事業部門において、約160の商業銀行に対して貸出を行っていた。
2021年のKfWの銀行間の総エクスポージャー(デフォルト時エクスポージャー(以下「EAD」という。))の61%
(2020年も61%)は、KfWの大手銀行グループ取引先の10行によるものであった。当該エクスポージャーの大部分
は、KfWの転貸事業に関係するものであるが、その他の事業取引から生じた部分(デリバティブ、有価証券、短期
金融市場およびグローバル・ローン取引等)は、これよりはるかに限定されている。
KfWは、商業銀行に貸出を行うために2つの異なるモデルを提供している。KfWの貸出事業の取扱いに関する従来
からのモデルで、最も重要なモデルは、特定貸出またはメザニン資本商品の枠組み内における各借入人の個別ロー
ン申込書に基づいている。KfWは、もう一方のモデルで、グローバル融資枠およびプログラム・ベースのグローバ
ル・ローンを州立支援財団に、また、非プログラム・ベースのグローバル・ローンをドイツおよび欧州における特
定の金融機関に提供している。
個別ローン KfWは、商業銀行に行うローン毎、および商業銀行がその各貸出プログラムに基づき最終借入人に
転貸するローン毎に、形式上の要件の詳細を定める。借入人は、一般に、KfWに直接申込まず、商業銀行を通して
のみKfWのローンに申込むことができる。かかる中間銀行は、申請者の財務状態および営業状況を評価し、ローン
の担保をとり、KfWへの返済の責任を負う。商業銀行により転貸されるKfWのローンは、通常、不動産もしくはその
他の資産上の担保権で担保されるか、または連邦共和国もしくは各連邦州によって保証される。KfWの貸出プログ
ラムにおける個別ローンの貸出プロセスは、2つの形式的に異なるローン承認(まず中間銀行による承認、その後
にKfWによる承認)によって特徴付けられる。しかし、KfWのローン承認は、ほとんどの場合、貸出プログラム毎に
定められた要件の遵守を審査するための個別のローン申請書の審査のみに依拠している。
近年、KfWは、より効率的で、自動化および加速化されたプロセスの確立を目的として、ローンの申請および承
認プロセスの近代化を行った。かかる目的のため、KfWは、標準化されたローン・プログラムのためのデジタル・
オンライン・プラットフォームを開発した。当該オンライン・プラットフォームは、KfWによるローンの承認につ
き、大部分の申請については電子認証の形式で、より複雑な商品(例えば、中小企業、地方自治体の企業、事業お
よび非営利団体向けの環境プログラム)については、KfWによる手動での処理後に電子認証の形式で、即時の
フィードバックを提供している。2020年初め以降、KfWの国内、商業および間接地方自治体向けの標準化された商
品はすべて、オンライン・プラットフォームのみを通じて提供された。すべての中間銀行がオンライン・プラット
フォームへのアクセスを有し、申請プロセスにおいてかかるオンライン・プラットフォームを利用している。
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KfWは、ローン供与に際し、定率プライシング・モデル、リスク調整後プライシング・モデルという異なったプ
ライシング・モデルを適用している。定率プライシング・モデルに基づき、KfWの貸出を受けた商業銀行は、KfWに
対して支払う適用金利に固定されたスプレッドを乗せて、当該資金の転貸を行うことが認められている。当該定率
プライシング・モデルは、住宅投資および一部の起業融資向けの貸出プログラム、さらには教育の貸出プログラム
にも適用されている。KfWはリスク調整後プライシング・モデルに基づき、借入人の信用力と貸出担保の組合せに
基づくプライシング・カテゴリーを確立している。各貸出プログラムに基づき、KfWは、プライシング・カテゴ
リー毎に最高金利を設定している。転貸を行う銀行は、最終借入人のリスク特性および貸出担保を査定し、貸出毎
に適用されるプライシング・カテゴリーおよびプライシング・カテゴリーの適用最高金利を決定する。プライシン
グの過程におけるKfWの役割は、各銀行が、最終借入人の信用力および差入担保に基づいて適切に最高金利を決定
したか否かの検証に限定されている。
KfWの従来の中小企業向け貸出プログラムにおいては、前述の通り、転貸銀行がKfWに支払責任を負うものとし、
顧客の債務不履行リスクを負担する。近年、KfWは、中小企業へのサポートを強化する中小企業向け融資プログラ
ムを頻繁に改訂および更新している。リスク調整後プライシング・モデルが適用されるかかる貸出プログラムの一
部に基づき、KfWは、転貸銀行に対し、責任を一部免除する選択権を提供している。転貸銀行が責任の免除を申請
した場合、KfWは当該銀行が負わないリスクを負担し、リスク・マージンはKfWと当該銀行間で按分して共有する。
リスク調整後プライシング・モデルは、とりわけ中小企業銀行および民間顧客において、最も規模が大きく最も重
要な貸出プログラムであるKfW企業ローン・プログラム( KfW Unternehmerkredit )に適用されている。さらに、中
小企業銀行および民間顧客が提供するメザニン資本および零細企業による投資の特別プログラムは、KfWが最終借
入人の信用リスクを直接負担するよう設計されているが、かかる信用リスクは、最終借入人に課される金利に含ま
れるリスク・プレミアム、または連邦政府もしくは欧州投資基金からの保証等の様々な方法により補填または補償
される。
グローバル・ローンおよびグローバル融資枠 グローバル・ローンおよびグローバル融資枠は、主に、手続が簡
素化している点、各個別の最終借入人につきKfWの正式なローン承認が不要である点、また、一般的に転貸を行う
州立支援財団および特定の金融機関により高い柔軟性が与えられているという点で、KfWの個別ローンとは異な
る。KfWは、かかる貸出を受領する機関が合理的な期間内に資金を転貸するよう求めている。グローバル・ローン
およびグローバル融資枠は、KfWの個別ローンとは対照的に、より柔軟な貸出形態で行われている。その結果、こ
れらの金融商品は、KfWの従来の貸出プログラムに比べ、KfWおよび転貸を行う機関の双方が負担する管理運営費が
少ない。そのため、最終借入人は一般的に有利な金利の恩恵を受ける。
KfWは、州立支援財団に対するプログラム・ベースのグローバル・ローンおよびグローバル融資枠、また、ドイ
ツおよび欧州における特定の金融機関に対する非プログラム・ベースのグローバル・ローンといった、異なる種類
のグローバル・ローンおよびグローバル融資枠を提供している。州立支援財団の多くは、それぞれの連邦州の明確
な法定保証の恩恵を受ける独立した公法機関である。各州立支援財団は、連邦州内の助成問題について責任を負
う。
州立支援財団は、州立支援財団とKfWの共同融資プログラムの枠組みの中で、それぞれの連邦州における中小企
業、住宅プロジェクトおよび地方自治体インフラ整備プロジェクトに関する特定の投資に融資するためにKfWのプ
ログラム・ベースのグローバル・ローンを利用する。各共同融資プログラムの条件は、関連するKfWプログラムの
条件に服さなければならない。州立支援財団への資金は、通常、一括貸出の形で行われ、その後分割され、個別
ローンとして最終借入人に対して提供される。
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なお、KfWは、州立支援財団独自の助成事業に対する資金を供給する目的のために、州立支援財団のみにグロー
バル融資枠を設定している。これにより、KfWの貸出プログラムと直接関わりなく、州立支援財団の助成事業に貸
し出された資金の使用について柔軟性が与えられている。
KfWはまた、ドイツ国内および欧州各地の特定の金融機関に対する非プログラム・ベースのグローバル・ローン
を行っており、かかる金融機関は、中小企業、住宅プロジェクトおよび省エネ推進プロジェクトに対し融資するた
めに、個別のローンおよびリースとして転貸を行っている。
ドイツにおけるCOVID-19のパンデミックによる経済的影響を緩和するためのKfWによる措置
KfW 特別プログラム 2020年3月、KfWは、連邦政府と緊密に連携して、COVID-19の影響を受けるドイツの企業に
流動性を提供することを主な目的として、KfW特別プログラム( KfW-Sonderprogramm 、旧 KfW-Sonderprogramm
2020 )を開始した。企業には、あらゆる規模の企業のほか、自営業者やフリーランスの専門家も含まれる。継続し
ているCOVID-19のパンデミックおよび関連する政府の措置を考慮して、連邦政府は当初、KfW特別プログラムにお
けるコミットメント期限を2020年12月31日から2021年12月31日まで延長することを決定した。2021年4月1日以降、
EUの国家援助規則に基づき、様々なカテゴリーの借入人が利用できる融資の上限額が大幅に引き上げられた。2021
年末、連邦政府は、KfW特別プログラムへの申請期限を2022年4月30日まで再び延長することを決定した。2022年1
月1日以降、EUの国家援助規則に基づき、様々なカテゴリーの借入人が利用できる融資の上限額が再び引き上げら
れた。
KfW特別プログラムは、異なる助成ローン・プログラムを通じて実施された。すなわち、(1)市場で設立されてか
ら5年を超える企業に対するKfW起業ローン( KfW-Unternehmerkredit )、(2)市場で設立されてから5年未満の企業
に対するスタートアップ企業向けERPローン( ERP-Gründerkredit – universell )、(3)大企業に対するより大規模な
融資のためのKfWシンジケートローン( Direktbeteiligung für Konsortialfinanzierung )および(4)2020年KfW即
時ローン( KfW-Schnellkredit 2020 )である。オプション(1)および(2)は、商業銀行を、KfWのローン・プログラ
ムの大部分に適用される転貸原則によるローンの取扱いに関与させている。しかしながら、ローン・プログラムの
名称に「コロナ」を追加して指定されたCOVID-19関連融資は、80%~90%の転貸銀行の責任を部分的に免除してい
る。オプション(3)により、KfWは、大企業向けの個別に組成された直接ローン・プログラムとして設計されたシン
ジケートローンの取組みを提供している。融資は、受益者の投資および運転資金需要を満たすために、民間銀行の
コンソーシアムとともにKfWにより受益者に直接提供される。これらのシンジケートローンにおけるKfWの融資シェ
アは、80%に制限されている。オプション(4)のローンである、2020年KfW即時ローン・プログラムには、通常のリ
スク評価の一般的な権利放棄および関係する転貸商業銀行または融資パートナーに対する責任の完全な免除が含ま
れており、これにより、2020年KfW即時ローン・プログラムに基づき供与された貸出のすべてに係る信用リスク全
体がKfWに残ることとなる。これらの変更は、転貸商業銀行およびその他の融資パートナーによる貸出の供与を円
滑化し、加速することを目的としている。
KfW特別プログラムにおいて、KfWはまた、州立支援財団に対するグローバル・ローンを通じた慈善団体および社
会団体への融資を促進している。
連邦共和国は、別途の保証宣言に従い、KfW特別プログラムに関連してKfWにより被るすべての財務リスクを負担
することを約束している。
特定の顧客グループを対象とした追加のサポート施策 2020年を通して、KfWおよび連邦政府は、特定の顧客グ
ループに対する融資を提供するために、現在も実施されている追加のCOVID-19支援策を策定した。
スタートアップ企業に関しては、VCは、KfWキャピタルが運営する関連施策とともに、民間のファンド・マネー
ジャーを通じて動員されている。さらに、州立支援財団へのグローバル・ローンを通じて、スタートアップ企業や
中小企業に株主資本および株主類似資本を提供している。
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KfW学生ローン・プログラムに関しては、連邦政府と緊密に連携して2つの暫定的な措置が実施された。1つ目と
して、かかるプログラムに基づく金利は、すべての新規申請を含め、支払段階にあるすべてのローンについて0%
に設定されている。この金利補助金に関連して発生する費用は、2020年5月1日から2022年9月30日までの期間中、
連邦教育研究省により負担される。2つ目として、KfW学生ローン・プログラムの申込者グループは、2020年7月1日
から2021年3月31日までの期間中、一般的な適格基準を満たしたすべての外国人に一時的に拡大された。
連邦共和国は、別途の保証宣言に従い、KfW学生ローン・プログラムの外国人申請者への一時的な拡大(300件の
ローンのポートフォリオを除く。)に関連してKfWが被る財務リスクを負担する。
中小企業銀行および民間顧客
KfWの中小企業銀行および民間顧客事業部門は、中小企業、大規模企業、起業家、スタートアップ企業および自
営の専門家に対し支援を行い、発展段階の異なる企業に多様な目的のために融資を行っている。かかる事業部門は
また、個人に対し、住宅関連のローンおよび補助金ならびに教育資金の融資を提供している。かかる融資は主に、
ローン・プログラム(2021年は618億ユーロ、2020年は818億ユーロ)、メザニン・プログラム(2021年は1億ユー
ロ、2020年も1億ユーロ)および承認ベースのプログラム(2021年は111億ユーロ、2020年は43億ユーロ)により提
供される。
2021年、社会の生活環境を改善し、ドイツの経済を支援するため、中小企業銀行および民間顧客は、730億ユー
ロ(2020年は863億ユーロ)の融資を確約した。下表は、記載された各年における助成活動の分野別のコミットメ
ント額を示すものである。
中小企業銀行および民間顧客のコミットメント額
2021年12月31日 2020年12月31日
前年比
に終了した年度 に終了した年度
(単位:10億ユーロ) (%)
29.6 48.1
中小企業銀行 -38
起業融資および一般投資 16.2 39.7 -59
技術革新 1.1 0.8 38
12.3 7.6
環境投資 62
43.4 38.2
民間顧客 14
住宅投資プログラム 6.1 8.8 -31
教育プログラム 2.0 2.5 -20
35.3 26.9
環境投資 31
73.0 86.3
コミットメント総額 (1)
-15
(1) コミットメント額とは、各年の貸出およびその他の取引についてコミットされた資金額をいい、翌年以降貸し出される金額を含むが、前年までに行
われたコミットメントに基づきその年に貸し出された金額を含まない。
2021年の中小企業銀行のコミットメント額は、2020年に比べ大幅に減少した。かかる減少は主に、「KfW特別プ
ログラム」により、コミットメント額が減少したことによるものである。
2021年7月1日以降、KfWは転貸助成事業において融資パートナーにマイナス金利を転嫁することが可能となっ
た。最終借入人の金利はプラスのままであるが、依然として大幅な金利引下げの恩恵を受ける。また、マイナス金
利の転嫁が可能になったことで、KfWはデジタル化や気候変動対策等の推進目標により、金利をより強力に差別化
することが可能となった。
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さらに、2021年7月1日に、KfWは連邦経済エネルギー省(現ドイツ連邦経済・気候保護省)の協力の下、2021年6
月30日をもって廃止された省エネ建築および改修プログラムの代わりとして設計されたベンチマーク・プログラム
であるBEGを開始した。BEGプログラムの2022年1月下旬の停止および2022年4月の再開についての詳細は、上記「国
内助成事業」を参照のこと。
中小企業銀行
KfW中小企業パネルとして知られる、ドイツ国内における中小企業部門についての代表的なKfWの調査によれば、
2020年にはドイツにおける中小企業(調査目的のため、グループの年間生産高が500百万ユーロ以下の企業として
定義される。)の数が380万社であったと見積もられた。
中小企業銀行は、主としてローン・プログラムを提供している。ローン・プログラムの一部に基づき、中小企業
銀行は、転貸銀行に対して責任の一部免除を行っている。転貸銀行が責任の免除を申請した場合、KfWは当該銀行
が負わないリスクを負担し、リスク・マージンはKfWと当該銀行間で按分して共有する。
また、中小企業銀行は、無担保劣後ローンの形式でメザニン資本の融資も行っている。これは、負債と株主資本
の特徴を組み合わせた準株式の要素を有している。これらの融資において、転貸銀行は、劣後ローンについては中
小企業銀行に対する支払義務を負わない。かかるローンの金利は、資本市場の実勢金利に加え、借入人の信用状態
およびかかるローンを保証する担保を考慮して決定される。借入人の信用力はまず転貸銀行により査定される。し
かしながら、KfWがかかるローンの信用リスクを引き受けるため、KfWは独自の格付方法を適用して転貸銀行による
査定を見直し、必要であれば改定する権利を留保している。
起業融資および一般投資プログラム
中小企業銀行は、不動産および建物、工場または機械設備に対する投資等、様々な目的のために起業融資および
一般投資向けの金融支援を提供している。この分野における2021年のコミットメント額は、2020年の397億ユーロ
と比較して、162億ユーロとなった。これは主に、KfW特別プログラムに基づき供与される融資の大幅な需要減少に
よるものであった。KfW企業ローン・コロナ( KfW-Unternehmerkredit Corona )におけるコミットメント額は、55
億ユーロへと減少(2020年は283億ユーロ)し、ERPスタートアップ企業ローン・コロナ( ERP-Gründerkredit –
Corona )におけるコミットメント額は、5億ユーロへと減少(2020年は14億ユーロ)し、2020年KfW即時ローン
( KfW-Schnellkredit 2020 )におけるコミットメント額は、30億ユーロへと減少(2020年は59億ユーロ)した。
技術革新プログラム
中小企業銀行は、融資またはメザニン資本の提供により研究開発活動およびデジタル化活動に資金を提供するこ
とによって、技術革新に対する融資を行っている。2021年の技術革新融資の分野におけるコミットメント額は、11
億ユーロへと増加(2020年は8億ユーロ)し、かかる増加の主な要因は、技術革新およびデジタル化プログラムの
ERP助成であった。
環境投資プログラム
中小企業銀行は、環境保護プロジェクト、中でも特にエネルギーおよび資源効率の向上、温室効果ガス排出削減
または再生可能エネルギー源の利用拡大を目指す措置に対する融資を行っている。中小企業銀行の環境投資プログ
ラムに基づく2021年のコミットメント額は、大幅に増加した(2020年の76億ユーロと比較して、2021年は123億
ユーロとなった。)。KfWの再生可能エネルギープログラムにおけるコミットメント額は、ほぼ前年の水準にとど
まったが(2020年の37億ユーロと比較して、2021年は39億ユーロとなった。)、他のプログラムは急増した。特
に、2021年7月1日に開始された新たなBEGプログラムは、高い需要とともに開始し、2021年のコミットメント額
は、貸出金で28億ユーロ、助成金で27億ユーロであった。
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2021年のエネルギーおよび資源効率化のための連邦資金調達プログラムにおけるコミットメント額は、380百万
ユーロであり、かかるプログラムは、産業部門における二酸化炭素排出削減のためのKfWの重要なプログラムと
なった。
2020年3月に開始された中小企業気候保護融資( KfW-Klimaschutzoffensive für den Mittelstand )は、2021年
の全体的な成長にさらに貢献した(2020年の68.3百万ユーロと比較して、2021年は296百万ユーロとなった。)。
2021年11月、連邦デジタル運輸省およびKfWは、商業ベースで使用される電気自動車の充電および従業員の電気
自動車の充電に利用可能な、新しい充電ポイントの調達および建設の促進を目的とした新たな助成プログラムを開
始した。かかるプログラムは、設置された充電地点毎に900ユーロの投資助成金を提供する。かかるプログラムに
基づく2021年のコミットメント額は、31百万ユーロであった。
民間顧客
住宅投資プログラム
民間顧客部門の住宅投資プログラムは、住宅所有の促進、ならびに現存住宅のセキュリティおよび現存住宅に対
するまたは現存住宅内の利便性の向上のために資金を提供するものである。これらのプログラムの一部は、連邦資
金より支払われる金利の引下げを通じて助成を受けている。2021年のコミットメント額は、61億ユーロへと減少
(2020年は88億ユーロ)した。このうち40億ユーロ(2020年は58億ユーロ)は、住宅所有促進プログラムに提供さ
れた。子どもがいる家庭およびひとり親の家庭による住宅所有を支援することを目的とする建築子ども手当プログ
ラムにおける2021年のコミットメント額は、18億ユーロ(2020年は26億ユーロ)であった。
教育プログラム
民間顧客部門は、直接ローンにより、学生や従業員の高等教育および高度職業訓練を支援している。これらのプ
ログラムの一部は、連邦政府および連邦諸州の信用保証を受けている。2021年のコミットメント額は、20億ユーロ
へと減少(2020年は25億ユーロ)した。2021年のKfW学生ローンのコミットメント額は、8億ユーロ(2020年は13億
ユーロ)であった。2021年の新規学生ローンのコミットメント額が2020年と比較して減少した主な理由は、すべて
の外国人に対するKfW学生ローンの一時的な拡大が、2021年3月に終了したことである。需要が減少したもう1つの
理由は、2020年と比較して2021年には学生が副業を見つけやすくなり、資金需要が減少したことである。
環境投資プログラム
省エネ投資分野は、顕著な増加を記録した。2021年7月に開始された、ベンチマーク・プログラムである民間顧
客のためのBEGプログラムにおけるコミットメント額は、貸出金で100億ユーロ、助成金で52億ユーロであった。か
かるプログラムは、新規建築の省エネ建築および既存建築の省エネ改修における投資を後押しした。その前身であ
るKfWの省エネ建築および改修プログラムは、2021年6月30日に終了した。2021年上半期のかかるプログラムにおけ
るコミットメント額は、2020年の268億ユーロ(通年)と比較して、193億ユーロとなった。BEGプログラムの2022
年1月下旬の停止および2022年4月の再開についての詳細は、上記「国内助成事業」を参照のこと。
2020年11月に開始された、住宅用建物における電気自動車用の個人向け充電ステーションの購入および設置を支
援する助成金に基づくプログラムである個人向け充電インフラ( Private Ladeinfrastruktur ) における2021年の
コミットメント額は、728百万ユーロ(2020年は149百万ユーロ)であった。かかるプログラムは、2021年10月末に
終了した。
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個別対応金融および公的顧客
KfWの個別対応金融および公的顧客事業部門は、地方自治体インフラ整備プロジェクトおよび社会インフラ整備
プロジェクトに係る融資につき個別の解決策を提供し、企業金融およびプロジェクト・ファイナンスを提供し、州
立支援財団およびその他の金融機関に対しグローバル融資商品を供与する。
下表は、記載された各年における個別対応金融および公的顧客の助成活動の分野別のコミットメント額を示すも
のである。
個別対応金融および公的顧客のコミットメント額
2021年12月31日に 2020年12月31日に
前年比
終了した年度 終了した年度
(単位:百万ユーロ) (%)
地方自治体インフラ整備プログラム 4,605 4,769 -3
企業金融およびプロジェクト・ファイナンス 323 9,323 -97
州立支援財団に対するグローバル融資枠 2,007 3,177 -37
スタートアップ企業および小規模企業を支援するグ
243 619 -61
ローバル・ローン (1)
輸出ローンのリファイナンス・プログラム 766 1,075 -29
特定の金融機関に対するグローバル・ローン
1,520 250
508
9,465 19,213
コミットメント総額 (2)
-51
(1) COVID-19 支援策の一環としての州立支援財団に対するグローバル・ローンである。
(2) コミットメント額とは、各期間の貸出およびその他の取引(州立支援財団に対するグローバル融資枠およびプログラム・ベースのグローバル・ロー
ンを除く。)についてコミットされた資金額をいい、翌期以降貸し出される金額を含むが、前期までに行われたコミットメントに基づきその期間に
貸し出された金額を含まない。州立支援財団に対するグローバル融資枠およびプログラム・ベースのグローバル・ローンについては、コミットメン
ト額とは、各期間に実際に貸し出された資金額をいう。
個別対応金融および公的顧客事業部門におけるコミットメント額は、2020年の192億ユーロから2021年の95億
ユーロへと減少した。かかる減少は主に、COVID-19支援策への需要が、2020年の95億ユーロと比較して、2021年に
は4億ユーロへと大幅に減少したことによるものである。特に、KfWシンジケートローン・プログラムへの需要は、
2020年と比較して83億ユーロ減少した。
事業部門のその他のプログラムにおける2021年のコミットメント額は、6億ユーロ減少した。かかる減少は主
に、信用需要の減少によるものであり、特に州立支援財団に対するグローバル融資枠に関するものであったが、特
定の金融機関に対するプログラム・ベースのグローバル・ローンにおけるコミットメント額の大幅な増加によりほ
ぼ相殺された。
地方自治体インフラ整備プログラム
個別対応金融および公的顧客は、地方自治体(すなわち、地方自治体当局および地方自治体の特別目的団体)に
対する直接ローンとしてか、または商業銀行が関与するKfWの通常の転貸スキームを通じて、地方自治体インフラ
整備および社会インフラ整備への投資向けに融資を行っている。後者は、地方自治体当局が過半数を保有する民間
企業によるインフラ整備への投資および非営利団体による社会投資に用いられている。地方自治体インフラ整備プ
ログラムの一部は、連邦資金より助成を受けている。2021年の地方自治体インフラ整備プログラムにおけるコミッ
トメント額は、2020年の48億ユーロから減少して合計46億ユーロとなった。かかる減少は、COVID-19支援策の一環
として慈善団体および社会団体にリファイナンスするグローバル・ローンによるものであり、2020年のコミットメ
ント額は486百万ユーロを記録したのに対し、2021年にはコミットメントがなかった。COVID-19支援策に関連する
影響を考慮に入れない場合、残りの地方自治体インフラ整備プログラムにおけるコミットメント額は、8%超の増
加を記録した。
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グローバル・ローンおよびグローバル融資枠
下表は、記載された各年における個別対応金融および公的顧客のグローバル・ローンおよびグローバル融資枠に
指定されたコミットメント額を示すものである。
2021年12月31日に 2020年12月31日に
前年比
終了した年度 終了した年度
(単位:百万ユーロ) (%)
州立支援財団に対するグローバル融資枠 2,007 3,177 -37
スタートアップ企業および小規模企業を支援するグ
243 619 -61
ローバル・ローン (1)
慈善団体および社会団体に対するリファイナンスのた
0 486 n.a.
めのグローバル・ローン (1)
州立支援財団に対するプログラム・ベースの
674 546 23
グローバル・ローン
ドイツおよび欧州の特定の金融機関に対する
1,520 250
508
非プログラム・ベースのグローバル・ローン
4,444 5,078
コミットメント総額 (2)
-12
(1) COVID-19 支援策の一環としての州立支援財団に対するグローバル・ローンである。
(2) コミットメント額とは、各期間の貸出およびその他の取引(州立支援財団に対するグローバル融資枠およびプログラム・ベースのグローバル・ロー
ンを除く。)についてコミットされた資金額をいい、翌期以降貸し出される金額を含むが、前期までに行われたコミットメントに基づきその期間に
貸し出された金額を含まない。州立支援財団に対するグローバル融資枠およびプログラム・ベースのグローバル・ローンについては、コミットメン
ト額とは、各期間に実際に貸し出された資金額をいう。
個別対応金融および公的顧客はまた、グローバル・ローンを、(ⅰ)中小企業に対するリース契約をリファイナ
ンスするためにドイツの特定の金融機関に対して供与し、また、(ⅱ)欧州の中小企業融資の分野において協働す
るために欧州の特定の金融機関に対して供与している。これらの金融機関は、このグローバル・ローンを分割し、
中小企業に対して個別のローンおよびリースとして提供している。2021年におけるドイツおよび欧州の特定の金融
機関に対するグローバル・ローンは、15億ユーロへと増加(2020年は3億ユーロ)した。これは主に、リース契約
のリファイナンスに起因している。ドイツにおけるリース契約のリファイナンス需要は、2021年に大幅に増加し、
2020年のCOVID-19関連の急激な減少を相殺した。さらに、2021年に欧州の金融機関との間で1件のグローバル・
ローン取引が完了した。これらの変化は、中小企業部門の投資意欲の増加によるものである。
州立支援財団に対するグローバル融資枠の減少は、リファイナンス需要の減少および資本市場における高い流動
性によるものであった。代替的なリファイナンス・オプション(例えば、州立支援財団の自己資本市場参入、
TLTRO(ユーロシステムの貸出条件付き長期資金供給オペ、以下に定義する。)またはECBの拡張的金融政策)も一
定の役割を果たした。
輸出ローンのリファイナンス・プログラム
個別対応金融および公的顧客は、連邦政府の公的輸出信用保証(いわゆる「ヘルメス・カバー」)によってカ
バーされている輸出ローンの長期リファイナンスを商業銀行に提供している。これらの保証は、連邦政府に代わ
り、ユーラーヘルメス合資会社(以下「HERMES」という。)によって管理されている。HERMESの詳細については、
下記「輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス(KfW IPEX銀行)―事業」を参照のこと。KfWは、2021年にこ
のプログラムに基づき8億ユーロ(2020年は11億ユーロ)のコミットメントを行っている。2021年におけるコミッ
トメント額の減少は主に、大規模な輸出プロジェクトが2020年に完了したことに起因している。
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企業金融およびプロジェクト・ファイナンス
個別対応金融および公的顧客は、企業金融、プロジェクト・ファイナンスおよび一定のエクイティ・ファイナン
スを提供する。
企業金融およびプロジェクト・ファイナンスのコミットメント総額は、正常化した信用需要によって特徴付けら
れた。したがって、2020年の93億ユーロから2021年の323百万ユーロへの減少は主に、KfWシンジケートローン・プ
ログラムにおけるCOVID-19支援プログラムに関連する、83億ユーロの大幅な減少に起因している。
KfW キャピタル
KfWのベンチャー・キャピタル子会社であるKfWキャピタルは、2018年8月31日に法的に独立した事業体として設
立された。KfWキャピタルのジェネラル・パートナーであるKfWキャピタル・マネジメント有限責任会社( KfW
Capital Verwaltungs GmbH )は、2018年8月9日に設立され、KfWキャピタルにより完全所有されている。KfWは、
KfWキャピタルの有限責任パートナーであり、究極的にはその単独の株主である。2021年の間にKfWキャピタルは、
EU投資会社指令2019/2034(IFD)および投資会社規制2019/2033(IFR)に基づくドイツ法であるドイツ証券取引所
法(WpIG- Wertpapierinstitutsgesetz )に規定されるクラス2投資会社、すなわち中規模の投資会社( Mittleres
Wertpapierinstitut )としての免許を取得した。中規模の投資会社として、KfWキャピタルは、かかる特定の規制
制度の対象となる。
KfWキャピタルの事業目標は、50百万ユーロ以上の規模の専門的に運用されるファンドを通じて、革新的技術を
志向するドイツの成長企業が資本へのアクセスを容易にするために、ドイツおよび欧州のベンチャー・キャピタ
ル・ファンドならびにベンチャー・デット・ファンドに投資することである。KfWキャピタルは、ファンドにのみ
投資し、直接企業に投資することはない。今後数年間の投資目標額は、年間平均約400百万ユーロである。KfWキャ
ピタルは、1つのファンドにつき、75百万ユーロを上限とする資本投資を、また19.99%を上限とする資本および議
決権の取得を予定している。さらに、KfWキャピタルは、連邦政府を代表して、「未来基金」( Zukunftsfonds )と
呼ばれる未来の技術の促進も委託されている。
KfWキャピタルに関連するコミットメント額は、2020年の871百万ユーロと比較して、2021年は502百万ユーロと
なった。かかる減少は主に、2021年のコロナマッチング融資におけるコミットメント額の大幅な減少およびコロナ
流動性融資における新規コミットメントがなかったことに起因し、これは両融資が終了したことによるものであっ
た。コロナマッチング融資およびコロナ流動性融資は、スタートアップ企業や小企業向けの連邦政府によるCOVID-
19支援措置の一部であった。2021年において、KfWキャピタルのコミットメント額は、主にERPベンチャー・キャピ
タル基金投資プログラムを通じた187百万ユーロのコミットメント額およびERP/Zukunftsfonds成長融資を通じた資
金調達投資の拡大による111百万ユーロの追加コミットメント額を反映している。さらに、ドイツ将来基金(GFF)
-EIF成長融資が、183百万ユーロのコミットメントの未来基金の最初のモジュールとして開始された。コロナマッ
チング融資、コロナ流動性融資および未来基金は、連邦共和国により保証されており、これらの融資を通じた資金
調達は、KfWによりリファイナンスされている。
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下表は、記載された各年におけるKfWキャピタルのコミットメント額を示すものである。
KfW キャピタルのコミットメント額 *
2021年12月31日に 2020年12月31日に
前年比
終了した年度 終了した年度
(単位:百万ユーロ) (%)
ハイテク起業基金 1 2 -43
ERPベンチャー・キャピタル基金投資 187 184 2
ERP/Zukunftsfonds成長融資 111 0 n.a.
コロナマッチング融資/コロナ流動性融資 20 685 -97
183 0
GFF-EIF成長融資 n.a.
502 871
コミットメント総額 (1)
-42
* 表中の数値は、四捨五入により合計が一致しない場合がある。
(1) コミットメント額とは、各年の貸出およびその他の取引についてコミットされた資金額をいい、翌年以降貸し出される金額を含むが、前年までに行
われたコミットメントに基づきその年に貸し出された金額を含まない。
輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス(KfW IPEX銀行)
沿革
KfW IPEX銀行は、輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス活動のうち、欧州委員会がKfWの助成活動の範囲
を超えるとみなす部分を、直接、自らのために行う一方で、KfW IPEX銀行の名称の下で信託に基づきKfWに代わっ
て輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスの助成事業を行っている。KfWはKfW IPEX銀行に対して、KfW IPEX
銀行が国際格付機関から付与された格付に基づいて市場金利で資金を提供している。2008年1月1日から、欧州委員
会と連邦共和国の間で成立した合意に従って、KfW IPEX銀行は、KfWが完全所有する法的に独立した事業体として
業務を開始した。詳細については、「(1) 設立―2) 連邦共和国との関係―欧州委員会との合意」を参照のこと。
2021年12月31日現在のKfW IPEX銀行の国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)に基づく総資産額(連結前)
は、289億ユーロ(2020年12月31日現在は296億ユーロ)であった。2021年12月31日現在のKfWの輸出金融およびプ
ロジェクト・ファイナンス事業部門のローンおよび保証総額残高(助成活動を含む。)は、571億ユーロ(2020年
12月31日現在は581億ユーロ)であった。KfW IPEX銀行の本部は、ドイツのフランクフルト・アム・マインにあ
り、英国のロンドンに支店と、ドイツ国外に9箇所の代理店を構えている。2021年12月31日現在、KfW IPEX銀行
は、運営理事を除き、臨時雇用者を含めると、897名(2020年12月31日現在は852名)を雇用している。
欧州委員会との合意に従い、KfW IPEX銀行は、銀行免許を取得し、ドイツ銀行法および法人税制に服している。
KfW IPEX銀行は、関係するドイツの監督機関(BaFinおよびドイツ中央銀行)によって、バーゼルⅡ規制に基づく
IRBA銀行として承認を受けている。現在KfW IPEX銀行はSSMの重要信用機関とはみなされておらず、よってECBの直
接的な監督下にも置かれていないが、ドイツ中央銀行と連携しているBaFinの監督下には引き続き置かれている。
KfW IPEX銀行は、その事業成長次第では、今後数年以内に重要信用機関とみなされ、ECBの直接的な監督下に置か
れる可能性がある。KfW IPEX銀行およびSSMに関する追加情報については、「(1) 設立―2) 連邦共和国との関係―
規制―監督体制および執行権限」を参照のこと。SSMの詳細については、「(7) 発行者の属する国等の概況―3) 通
貨・金融制度―金融制度―欧州の金融制度―欧州の金融監督制度および銀行同盟」を参照のこと。
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KfW IPEX銀行(被支配会社)は、法人所得税(以下「CIT」という。)に係る財政の統一を図るために、KfW持株
有限責任会社(支配会社)との間で利益移転契約を締結した。かかる利益移転契約に基づき、KfW IPEX銀行は、適
用されるドイツ商法に従って、2016年12月31日に終了した会計年度末から適用される年間収益の全額を、KfW持株
有限責任会社に移転しなければならない。
事業
KfW IPEX銀行は、国際的に活動するドイツおよび欧州の会社の国際化および競争力を支援することを主眼とし、
プロジェクト・ファイナンス、輸出金融および貿易金融を提供している。KfW IPEX銀行は、分割返済型ローンの形
式による中長期的な投資金融および輸出金融、保証またはリース金融ならびにプロジェクト・ファイナンス、オブ
ジェクト・ファイナンスおよびアクイジション・ファイナンスを提供する。また、KfW IPEX銀行は、その顧客が金
利および通貨リスクを回避できるよう金融派生商品および信用状のパーティシペーション等の短期貿易金融商品も
提供している。
KfWは、連邦政府の承認の下、KfW IPEX銀行に対し、船舶CIRRプログラムおよびERP輸出融資プログラムの管理権
限を委託した。これらのプログラムは、KfW IPEX銀行により、厳格な「チャイニーズ・ウォール」を適用して実施
されている。これらのプログラムは、買手に対し、OECDが競争上の中立性を確保するために公的な支援融資に対し
て規定している最低限の金利であるCIRRに基づく固定金利融資を提供する。船舶CIRRプログラムは、ドイツの造船
所で建造された船舶に対する融資を行う銀行が利用することができるものであり、KfWを通じてリファイナンス・
オプションを提供している。ERP輸出融資プログラムは、KfWを通じて、固定リファイナンスと併せてドイツから新
興国および発展途上国への輸出向けの貸出を支援している。これらの融資は、ERPを通じて支援されている。従
前、ERPプログラムにおけるCIRRに基づく融資は、いずれも登録貸主としてのKfW IPEX銀行およびAKA輸出信用有限
会社( AKA Ausfuhrkredit-Gesellschaft mit beschränkter Haftung )を通じて行われていた。2017年1月以降、バ
イヤーズ・クレジットによる保証(ヘルメス・カバー)の対象となるすべての銀行は、直接ERP輸出融資プログラ
ムに申込むことができる。
KfWは、連邦経済エネルギー省(現ドイツ連邦経済・気候保護省)を代表して、アフリカCIRR輸出融資プログラ
ム(以下「アフリカCIRR」という。)を開始した。かかるプログラムは、対アフリカの経済協力の強化を目的とす
る。具体的には、アフリカCIRRは、ドイツの大量輸出の資金調達およびアフリカの買手国の経済振興のための融資
を支援するよう設計されている。連邦共和国のバイヤー・クレジットカバー(いわゆるヘルメス・カバー)を申請
する資格のあるすべての信用機関は、アフリカCIRRの対象となる。連邦共和国は、KfWに委託し、KfWは、KfW IPEX
銀行を当該プログラムの管理者に任命した。
KfW IPEX銀行の主要顧客は、基礎産業部門および製造業部門のほか、小売、健康、通信、エネルギー/再生可能
エネルギー、水、船舶輸送、航空、鉄道、運輸および社会インフラ整備の各部門において、国際的に事業展開して
いるドイツおよび欧州の企業(およびそれらの顧客)や大きめの中規模企業である。
従来は、KfW IPEX銀行による貸出金のほとんどは、ドイツまたは欧州の輸出の買手に対する輸出金融およびプロ
ジェクト・ファイナンスに使用されていた。近年、KfW IPEX銀行は、ドイツ企業による直接投資への融資やその他
のドイツ企業の国際化に関連した企業目的のための貸出を強化してきた。また、KfW IPEX銀行は、ドイツおよび欧
州の運輸部門における大規模なインフラ整備プロジェクトおよび交通機関(例として、航空機および船舶)に対し
協調融資を行っている。KfW IPEX銀行は、その中心的事業として、環境および気候保護プロジェクトのための融資
も行っている。最後に、KfW IPEX銀行の貸出は、ドイツおよび欧州の産業向けの原材料の仕入先を確保する目的で
も行われている。
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KfW IPEX銀行の貸出は、通常、最終借入人に対して直接貸し出され、KfW IPEX銀行は、これらの貸出の大部分を
自己のリスク負担で行っている。KfW IPEX銀行は、通常、コンソーシアムやシンジケートにより他の金融機関と協
調している。KfW IPEX銀行は、時には、KfW IPEX銀行による一部貸出のリスクをリスク・パーティシペーションに
より商業銀行に引き受けさせる取決めを行うことがあり、KfW IPEX銀行はこれについてリスクを引き受ける銀行に
手数料を支払う。KfW IPEX銀行は、一定のKfWの助成プログラムに基づき、転貸銀行として機能する資格を有す
る。2021年において、KfW IPEX銀行は、KfWの助成プログラムに基づき、212百万ユーロ(2020年は468百万ユー
ロ)の輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスのための貸出コミットメントにつき、リファイナンスを行っ
た。
KfW IPEX銀行は、随時、ドイツ以外の銀行と枠組みローン契約も締結しており、これにより当該ドイツ以外の銀
行は、ドイツやその他の欧州諸国の輸出業者から機器を輸入することを目的として顧客に貸出を行うことが可能と
なる。貸出毎の金額は通常少額のため、関連取引費用は割高となる。枠組み契約は、このような取引の費用を削減
する一助となる。
KfW IPEX銀行が行った貸出には、通常、担保が差し入れられ、しばしば支払保証またはその他の担保契約により
保証される。直接投資のための資金調達に応じて行われる貸出については、投資先の国のリスクが重大であると判
断された場合には、連邦共和国が政治リスクに対する投資保証を行うことがある。
KfW IPEX銀行が行う輸出金融ローンの一部は、ドイツ公認の輸出信用保険会社であるHERMESを通じて連邦共和国
によって保証されている。HERMESの保険は、カバーされるリスクが連邦政府のリスクと同等となるように、KfW
IPEX銀行の輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業のリスクの最大95%(最大100%の場合もある。)を
カバーする。またHERMESは、輸出金融ローンの対象となる総出荷額のうち一定の割合を超えないという条件で、他
国(主に欧州諸国)からの関連出荷物への付保も行っている。さらに、KfW IPEX銀行の融資はしばしば、外国の輸
出信用機関または購入者の国の政府機関による保証の対象となる。
カントリー・リスクが高くないと考えられている他の欧州諸国およびOECD諸国の借入人について、KfW IPEX銀行
は、HERMESまたはこれと同様の保険による保証を求めることなく、通常の銀行担保(例えば、航空機または船舶の
モーゲージ)による貸出を強化している。さらに、HERMESによる保証が求められる場合であっても、KfW IPEX銀行
はしばしば、付保される部分が95%に満たない貸出も行っている。2021年12月31日現在、KfWの輸出金融およびプ
ロジェクト・ファイナンス事業部門におけるドイツ国外のローンおよび保証金残高(助成活動を含む。)は439億
ユーロであり、そのうち92億ユーロ(21%)がHERMESによって(全部または一部)保証された輸出金融ローンで
あった。
コミットメント額
下表は、記載された各年におけるKfWの輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門のコミットメント
額を示すものである。
輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスのコミットメント額
2021年12月31日 2020年12月31日
前年比
に終了した年度 に終了した年度
(単位: (単位:
総額に対する 総額に対する
割合(%) 割合(%) (%)
百万ユーロ) 百万ユーロ)
商業事業 11,457 84 13,832 83 -17
2,186 16 2,753 17
助成事業(KfWの代理として運営) -21
13,644 100 16,584 100
コミットメント総額 (1)
-18
(1) コミットメント額とは、各年の貸出およびその他の取引についてコミットされた資金額をいい、翌年以降貸し出される金額を含むが、前年までに行
われたコミットメントに基づきその年に貸し出された金額を含まない。
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2021年における輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門のコミットメント総額は、2020年の166億
ユーロから136億ユーロ(連邦予算により支援される銀行のリファイナンスに係るCIRRスキームに基づくコミット
メント額を含む。)に減少した。KfWは、連邦政府の承認を得た上で、銀行のリファイナンスに係るCIRRスキーム
についてのマンデートをKfW IPEX銀行に委託した。
2020年と比較した2021年のコミットメント総額の減少は、新規事業が、継続しているCOVID-19のパンデミックが
世界経済に及ぼす影響を依然として受けていることによる、ほぼすべての部門におけるコミットメント額の減少に
起因している。
部門別コミットメント額 下表は、記載された各年における部門別のKfW IPEX銀行のコミットメント額を示すも
のである。
2021年12月31日 2020年12月31日
前年比
に終了した年度 に終了した年度
(単位:百万ユーロ) (%)
エネルギー、再生可能エネルギーおよび水 2,664 2,808 -5
海運業 2,361 1,453 63
金融機関、貿易および商品金融 2,310 2,509 -8
工業およびサービス 1,625 2,306 -30
航空、交通および運輸 1,458 2,686 -46
インフラ整備 1,331 1,684 -21
基礎産業 1,292 2,438 -47
銀行のリファイナンスに係るCIRRスキーム(船舶、ア
-14
603 701
フリカおよびERPに係る融資) (1)
13,644 16,584
コミットメント総額 -18
(1) 2021 年以降、銀行のリファイナンスに係るCIRRスキームは、ドイツのアフリカ向けの輸出を支援し、アフリカの買手国の経済振興を目的とした新た
なアフリカCIRRスキームにおける100百万ユーロのコミットメント額を含む。
輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスにおけるコミットメント額は、継続しているCOVID-19のパンデミッ
クが世界貿易に及ぼす影響により、2020年と比較して減少した。2021年のコミットメント額(銀行のリファイナン
スに係るCIRRスキームに基づくコミットメント額を除く。)は、130億ユーロ(2020年は159億ユーロ)となった。
最も高額なコミットメント額は、エネルギー、再生可能エネルギーおよび水部門の27億ユーロ(2020年は28億ユー
ロ)であり、次に、海運業部門が24億ユーロ(2020年は15億ユーロ)であった。
2021年の銀行のリファイナンスに係るCIRRスキームに基づくコミットメント額は、継続しているCOVID-19のパン
デミックが世界貿易に及ぼす影響を依然として受けていることに起因し、2020年の7億ユーロから6億ユーロへとわ
ずかに減少した。
地域別コミットメント額 2021年のKfW IPEX銀行のコミットメントは、ドイツ、欧州(ドイツを除き、ロシア連
邦(以下「ロシア」という。)およびトルコを含む。)およびその他地域の3つの地域について報告されている。
2021年において、KfW IPEX銀行のドイツ国内におけるプロジェクト・ファイナンスおよび輸出金融(銀行のリファ
イナンスに係るCIRRスキームを除く。)のコミットメント額は、2020年の52億ユーロから39億ユーロへと減少し
た。2021年において、欧州(ドイツを除き、ロシアおよびトルコを含む。)におけるコミットメント額は、2020年
の61億ユーロから56億ユーロへと減少した。2021年のその他地域におけるKfW IPEX銀行のコミットメント額は、
2020年の46億ユーロと比較して35億ユーロへと減少した。銀行のリファイナンスに係るCIRRスキームに基づくコ
ミットメント額(2021年は6億ユーロ、2020年は7億ユーロ)は地域横断的であった。
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商品別コミットメント額 下表は、記載された各年における商品別のKfW IPEX銀行のコミットメント額を示すも
のである。
2021年12月31日 2020年12月31日
に終了した年度 に終了した年度 前年比
(単位:百万ユーロ) (%)
法人取引(対ドイツまたは欧州の輸出会社) 9,475 12,460 -24
ローン(タームローンおよび一括返済ローン) 4,934 7,049 -30
貿易金融
1,760 2,016 -13
現金引出のためのリボルビング信用枠 1,651 1,713 -4
保証
969 1,477 -34
リース金融 162 205 -21
プロジェクト・ファイナンス (1)
2,103 2,565 -18
資産ファイナンス (1)
952 275 246
アクイジション・ファイナンス (1)
511 487 5
ファンド向け融資 - 95 -100
銀行のリファイナンスに係るCIRRスキーム(船舶およ
-14
603 701
びERPに係る融資)
13,644 16,584
コミットメント総額 -18
(1) 「プロジェクト・ファイナンス」、「資産ファイナンス」および「アクイジション・ファイナンス」の商品カテゴリーには、「法人取引」内のサブ
カテゴリーのいずれにも属さないローン、保証、リース金融またはリボルビング信用枠も含まれている。
資金調達
KfW IPEX銀行によるコミットメントの資金は、主に、KfWが行う資本市場での借入れで手当されている。KfWは、
KfW IPEX銀行の国際プロジェクト・ファイナンス事業および輸出金融事業に対して、KfW IPEX銀行が国際格付機関
から付与された格付に基づいて市場金利で資金を提供している。KfWの助成活動の範囲内であると欧州委員会がみ
なした輸出金融分野については、金利を助成するためにERP特別基金からの資金を利用することもできる。2021年
には、125百万ユーロの貸出金の支払(2020年は117百万ユーロ)が、ERP特別基金から提供された。
資本市場で供給される輸出金融ローンおよびプロジェクト・ファイナンス・ローンの条件は、KfWの資金コスト
にローンの管理費、信用リスクおよび資本収益率をカバーするマージンを加算して決定される。連邦共和国はOECD
加盟国であるため、ERP特別基金の資金で賄われる貸出または船舶産業向けCIRRスキームに基づく貸出は、最低金
利および最長信用期間を定めるOECD規則を遵守しなければならない。このような貸出金のマージンは、一般には、
当該貸出のすべてのリスクならびに管理費用および資本収益率をカバーすることが想定されている。さらに、KfW
IPEX銀行は、融資の確保および提供ならびに事務処理に係る慣行上の銀行手数料も請求している。ユーロ以外の通
貨建の貸出は、同等の資金調達やその他の仕組みによってヘッジされている。
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発展途上国および新興経済国支援
KfWは、その発展途上国および新興経済国支援事業部門において、連邦共和国を代理して、KfW開発銀行(主に公
共部門の開発協力活動を支援)またはDEG(発展途上国の民間部門に対する投資を促進)を通じて、発展途上国お
よび新興経済国への金融支援を行っている。
下表は、記載された各年におけるKfWの発展途上国および新興経済国支援事業部門へのコミットメント額を示す
ものである。
発展途上国および新興経済国支援のコミットメント額
2021年12月31日 2020年12月31日
前年比
に終了した年度 に終了した年度
(単位:百万ユーロ) (%)
KfW開発銀行 8,611 10,983 -22
1,534 1,411
DEG(ドイツ投資開発会社) 9
10,145 12,394
コミットメント総額 (1)
-18
(1) コミットメント額とは、各年の貸出およびその他の取引についてコミットされた資金額をいい、翌年以降貸し出される金額を含むが、前年までに行
われたコミットメントに基づきその年に貸し出された金額を含まない。
KfW開発銀行
KfWは、KfW開発銀行のブランド・ネームの下で、主に外国の公共部門の借入人や受取人に対して貸出および供与
を行う連邦共和国の国際開発銀行としての役割を果たしている。2021年においてこのような貸出および供与の約
42%が、KfWに提供された連邦予算資金からリファイナンスされた。すべてのKfWの国際開発活動は、連邦政府の指
示に従って行われている。ただし、マンデート(すなわち、ここでは政府機関または超国家的な組織が資金を提供
し、KfWの専門知識と分配経路を利用して分配する供与をいう。)の場合は、当該資金提供者の指示に従ってい
る。マンデートならびに貸出コミットメントに含まれる連邦政府からの資金および供与金はすべて、その性質上、
KfWの連結財政状態計算書には反映されない。
KfWは以下の3つの方法で金融支援ローン(FZ- Finanzielle Zusammenarbeit )の貸出を行っている。
・ 連邦共和国のために行う従来型の金融支援ローン( FZ-Standardkredite )
・ 金融支援開発ローン( FZ-Entwicklungskredite ) :当該ローンは、KfWが独自の資金を追加の資金源として
提供している。これらのローンについては、低利の連邦予算資金または供与資金を、KfWが資本市場でリ
ファイナンスした資金と組み合わせて融資される。2021年12月31日現在、KfWの資金によってリファイナン
スされたコミットメント額残高のうち、約96%が、連邦共和国の特別保証枠または輸出信用機関により保
証されていた。金融支援開発ローンの金利その他の条件は、市場条件に比べ、借入人にとって著しく有利
なものとなっているため、公的開発支援(以下「ODA」という。)としての認定要件を満たすものである。
・ 金融支援促進ローン( FZ-F örderkredite ) :当該ローンは、KfWが資本市場で調達した資金のみで賄われて
いる。当該ローンは、借入人に提示される条件が市場条件よりも有利なものであるため、ODAとしての認定
要件を満たす可能性もある。2021年12月31日現在、金融支援促進ローンの債務残高の約86%が、連邦共和
国の特別保証枠により保証されていた。
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通常、金融支援の申請は、利害関係のある外国政府から連邦政府に提出される。これを受けた連邦政府は、提案
されたプロジェクト案の評価をKfWに委託する。金融支援促進ローンの場合は、プロジェクトの出資者がKfWに直接
プロジェクト案を提出することができる。KfWは、プロジェクトの評価および開発を補佐するエコノミスト、技術
者、その他の専門家スタッフを常駐している。KfWは、連邦予算により融資される範囲において、連邦政府のため
に実行された貸出金および供与金ならびに金融支援開発ローンにつき、貸出金残高および供与残高の一定率で計算
した手数料を連邦共和国から受け取っている。連邦共和国は、KfWの評価報告および提言に基づいて、特定のプロ
ジェクトに融資するか否かを決定する。連邦共和国が支援を決定し、融資の条件が決定された場合、KfWは、被支
援国または(該当する場合は)個々のプロジェクト担当機関と貸出契約または供与契約を締結するが、この場合
は、通常、各被支援国が貸出契約または供与契約に基づく義務を全面的に保証する。
金融支援の貸出金および供与金は、各プロジェクトの進行の度合に従って支払われ、KfWは、貸出契約または供
与契約の条項が遵守されていることを保証するために、資金の利用状況を監視する。
下表は、記載された各年におけるKfW開発銀行のコミットメント額を示すものである。
KfW 開発銀行のコミットメント額
2021年12月31日 2020年12月31日
に終了した年度 に終了した年度 前年比
(単位:百万ユーロ) (%)
貸出コミットメント額 4,777 6,677 -28
このうち連邦資金 218 218 0
このうち資本市場でリファイナンスされたKfWの
4,559 6,459 -29
資金
供与コミットメント額 3,408 3,835 -11
426 471
マンデート -9
8,611 10,983
コミットメント総額 -22
2021年のKfW開発銀行のコミットメント総額は、2020年の110億ユーロから22%減少し、86億ユーロとなった。こ
れは主に、ドイツ連邦経済協力開発省( Bundesministerium für wirtschaftliche Zusammenarbeit und
Entwicklung ) (以下「BMZ」という。)によるCOVID-19緊急支援策の貢献範囲の縮小および継続しているCOVID-19
のパンデミックによるプロジェクトの遅滞によるものである。資本市場でリファイナンスされた貸出コミットメン
ト額の相対的な割合は、2020年の97%から2021年の95%へとわずかに減少した。
2021年のKfW開発銀行のコミットメント額のうち、アジア向けは24%(2020年は26%)、サハラ以南のアフリカ
向けは25%(2020年は19%)、中東・北アフリカ向けは13%(2020年は29%)、欧州・コーカサス地方向けは11%
(2020年は10%)、中南米向けは18%(2020年は12%)、地域横断的なコミットメント額は10%(2020年は5%)
を占めた。
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下表は、記載された各年におけるKfW開発銀行の部門別コミットメント額とそのコミットメント総額に対する割
合を示すものである。
2021年12月31日 2020年12月31日
に終了した年度 に終了した年度 前年比
(単位: 総額に対する (単位: 総額に対する
百万ユーロ) 割合(%) 百万ユーロ) 割合(%) (%)
経済インフラ整備 1,642 19 1,781 16 - 8
社会インフラ整備 4,265 50 4,842 44 -12
金融部門 981 11 2,443 22 -60
生産部門 933 11 506 5 84
790 9 1,410 13
その他 (1)
-44
8,611 100 10,983 100
コミットメント総額 - 22
(1) 主に多部門のプロジェクトおよび危機的状況における緊急支援のためのコミットメント額から成る。
DEG(ドイツ投資開発会社)
ドイツの有限責任会社であるDEGは、1962年に設立された法的に独立した事業体である。DEGはドイツのケルンを
本拠地としている。2001年にKfWが連邦共和国からDEGを買収した。それ以降、KfWはDEGの単独の株主であり、DEG
は、KfWの連結財務書類に完全に連結されている。2021年12月31日現在、DEGは発展途上国または新興経済国に13箇
所の代理店を構えていた。DEGは、2021年には平均で718名(2020年は640名)を雇用していた。2021年末における
DEGのIFRSに基づく総資産額(連結前)は、73億ユーロ(2020年は63億ユーロ)であった。
DEGの活動は、アフリカ、アジア、中南米、中欧および東欧に投資する企業、プロジェクト・ファイナンス、金
融機関およびファンドに重点を置いている。DEGは、民間企業体制を支援することにより、持続可能な経済成長、
地域住民の生活環境の持続的な改善およびグローバルなSDGsに貢献している。DEGは、この目的のために、発展途
上国に投資する民間企業に対し、長期融資を提供している。DEGはさらに、環境管理、コーポレート・ガバナン
ス、資源効率、訓練および技術等の分野において、ニーズに合わせたコンサルタント・サービスを提供している。
DEGは、補完性原理に従って活動を行っており、商業銀行と競業するというよりはむしろ協力している。DEGは、
助成資金は提供せず、純粋に商業上の条件にのみ従って資金を提供する(アフリカのドイツ企業への支援の枠組み
の中での小規模な国家支援プログラムおよびCOVID対応の枠組みの中での措置は含まない。)。DEGはまた、DEGの
顧客の投資のための追加資金を集めるために、他の共同出資者も募っている。
DEGは、連邦政府の公共政策目標を遂行することにより、DEGの活動の一部にしかCITが課税されないという税法
上の優遇が認められている。DEGは利益を配分せず、かかる利益を新規投資に再充当している。
DEGの債務は、連邦共和国の保証者責任および組織維持責任の恩恵を受けない。また、DEGの債務残高はKfWの連
結財政状態計算書に反映されているが、それはDEGの債務であって、KfWのものではない。KfWとDEGはリファイナン
ス契約を締結し、同契約に従って、KfWが資本市場において単独の発行者となり、DEGの資金需要に応じてDEGに対
し中長期の資本市場資金を提供している。さらに、それぞれの事業活動分野、海外事務所の相互利用、共同の広報
活動および一部の情報技術サービスの共同利用に関して内部合意に達している。
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下表は、記載された各年におけるDEGのコミットメント額を示すものである。
DEG のコミットメント額
2021年12月31日 2020年12月31日
に終了した年度 に終了した年度 前年比
(単位:百万ユーロ) (%)
貸出金 1,035 944 10
資本参加 467 275 70
32 192
メザニン融資 -83
1,534 1,411
コミットメント総額 9
金融市場
KfWの金融市場事業部門は、融資活動および金融資産管理を含む、当グループの財務活動により構成されてい
る。さらに、この事業部門は、KfWの助成活動の一環である資産担保証券(以下「ABS」という。)およびKfWのグ
リーンボンドポートフォリオを管理し、さらに現在ドイツテレコム・エージー( Deutsche Telekom AG ) (以下
「ドイツテレコム」という。)およびドイツポスト・エージー( Deutsche Post AG ) (以下「ドイツポスト」とい
う。)に係る民営化政策で構成される、その他の資本市場関連の活動をも管理している。
資金調達
KfWの主要な資金源は、国際的な金融市場および公的資金であり、その事業部門における貸出の大部分はKfWが国
際的な金融市場で調達した資金から提供されている。2021年末現在のKfWグループの連結貸借対照表の資産合計
は、5,510億ユーロであった。このうちの91.9%にあたる5,061億ユーロは、借入金(すなわち、金融市場調達資金
や公的資金)により提供された。さらに2021年末においてKfWは、191億ユーロの債務(主に連邦政府が資金を提供
し、すべてのリスクを負う債務)を信託において保有しており、当該債務は、KfWの連結財政状態計算書には記載
されない。助成事業により生じるローン・ポートフォリオにおける中期的および長期的ローンへ重点を置く方針に
従って、2021年12月31日現在のKfWの連結借入金残高合計の69%は、1年以上の残存期間を有していた。
金融市場調達資金 KfWは、国際的な金融市場における債券および手形(コマーシャル・ペーパーを含む。)の
発行ならびに債務証書借入( Schuldscheindarlehen または「手形貸付」)によって短期的および長期的な資金を
調達している。当初満期が1年超の長期的な資金調達(以下「資本市場での資金調達」という。)は、最も重要な
資金源となっている。コマーシャル・ペーパーの形をとる当初満期が1年未満の短期的な借入れ(以下「短期金融
市場での資金調達」という。)は、主にKfWの流動性管理を目的として使用される。2021年12月31日現在、資本市
場での資金調達残高が金融市場調達資金残高の総額に占める割合は、90%であった。
KfWの資本市場および短期金融市場での資金調達取引または資金調達額に関連して記載される金額は、すべて、
別途記載のない限りKfWに対する手取金ベースであり、かかる手取金は元本金額から割引額および引受手数料(も
しあれば)を差し引いて計算される。
資本市場での資金調達 KfWの資本市場での資金調達方針は、二元的な目的を追求するものである。すなわち、
資本市場で調達する資金について可能な限り有利な条件を設定すること、ならびに主として金利および為替のリス
クヘッジ手段を通じて、ならびにより限定的には、資金調達債務と貸出資産を一致させることにより、実務上可能
な範囲で、金利および外国為替の変動の影響を最小限に抑えることである。調達する資金について望ましい条件を
獲得するため、KfWは、すべての主要な資本市場で活発な存在感を維持し、あらゆる長さの償還期間を有する、
様々な通貨建の幅広い資本調達手段を活用している。
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KfWの資本市場での資金調達は、(ⅰ)KfWのベンチマーク・プログラムに基づき発行される債券(KfWの欧州ミ
ディアム・ターム・ノート・プログラムまたは米国証券取引委員会(以下「SEC」という。)に登録される発行登
録に基づき発行する、ユーロ建または米ドル建債券)、(ⅱ)ベンチマーク・プログラム以外の公募債、(ⅲ)
「私募」(KfWが特定の投資家または限定された数の投資家に対する販売を指して商用的に使用する用語)として
販売される債券および(ⅳ)(ⅰ)から(ⅲ)のうち、その手取金につき、KfWが資金提供し、環境的利益をもた
らすことが明白な投資(現時点では、再生可能エネルギー分野および省エネ分野への投資)に結びつけられている
債券で構成される「グリーンボンド」の4つのカテゴリーで構成される。2021年において、ベンチマーク債の資金
調達額が504億ユーロ(KfWの資本市場での資金調達総額の61%)であった一方で、ベンチマーク・プログラム以外
の公募債は99億ユーロ(12%)であった。私募として販売される債券およびグリーンボンドは、それぞれ60億ユー
ロ(7%)および162億ユーロ(20%)であった。2021年の資本市場での資金調達総額は、826億ユーロ(2020年は
664億ユーロ)であった。
KfW 特別プログラムから生じるKfWの資金需要リファイナンスについて、KfWは、すでに開示されている通り、
2020年7月1日以降、経済安定化基金(WSF- Wirtschaftsstabilisierungsfonds ) (以下「WSF」という。)を通じ
て、1,000億ユーロを上限とする新たな資金調達手段を得た。2021年におけるWSFを通じたリファイナンスは、合計
30億ユーロ(2020年は390億ユーロ)であった。
2021 年において、KfWはまた、「TLTRO-Ⅲ」として知られる貸出条件付き長期資金供給オペ(targeted longer-
term refinancing operations)(以下「TLTROs」という。)の第三シリーズ(以下「TLTRO-Ⅲ」という。)を通
じたユーロシステムのTLTROsに参加した。TLTRO-Ⅲの条件は、中小企業への信用拡大を支援するため、2020年の間
にCOVID-19のパンデミックへの対応として、ECBの政策理事会により緩和された。KfWの2021年のTLTRO-Ⅲを通じた
リファイナンスは、合計14億ユーロ(2020年は134億ユーロ)となった。
KfWは、2022年の資本市場における長期資金調達額は800億ユーロから850億ユーロの範囲になると予測してお
り、そのうち少なくとも100億ユーロは、グリーンボンドになると予測している。
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2021年において、KfWは、ユーロ建のベンチマーク・プログラムにそれぞれ基づき、元本総額330億ユーロに上
る、5件の新規債券の発行および債券のリオープン12件(2021年における取引は合計17件)を実施した。KfWはま
た、2021年に、米ドル建のベンチマーク・プログラムに基づき、元本総額200億米ドルの4件の新規債券の発行を実
施した。
2021年におけるKfWのベンチマーク債券の発行
元本総額 当初償還期間 利率
(単位:10億) (年) (年率%)
KfW米ドル-ベンチマーク I/2021年
USD5.0 5 0.625
KfW米ドル-ベンチマーク II/2021年
USD5.0 3 0.250
KfW米ドル-ベンチマーク III/2021年
USD5.0 2 0.250
KfW米ドル-ベンチマーク IV/2021年
USD5.0 3 0.500
KfWユーロ-ベンチマーク I/2021年
EUR5.0 10 0.000
KfWユーロ-ベンチマーク II/2021年
EUR5.0 5 0.000
KfWユーロ-ベンチマーク III/2021年
EUR3.0 15 0.375
KfWユーロ-ベンチマーク IV/2021年
EUR5.0 7 0.000
KfWユーロ-ベンチマーク V/2021年
EUR3.0 3 0.000
KfWユーロ-ベンチマーク IV/2017年(リオープン方式)
EUR1.0 7 0.125
KfWユーロ-ベンチマーク III/2020年(リオープン方式)
EUR1.0 5 0.010
KfWユーロ-ベンチマーク IV/2020年(リオープン方式)
EUR1.0 7 0.000
KfWユーロ-ベンチマーク IV/2016年(リオープン方式)
EUR1.0 7 0.000
KfWユーロ-ベンチマーク V/2020年(リオープン方式)
EUR1.0 10 0.000
KfWユーロ-ベンチマーク I/2017年(リオープン方式)
EUR1.0 7 0.125
KfWユーロ-ベンチマーク II/2021年(リオープン方式)
EUR1.0 5 0.000
KfWユーロ-ベンチマーク I/2015年(リオープン方式)
EUR1.0 10 0.625
KfWユーロ-ベンチマーク VI/2018年(リオープン方式)
EUR1.0 10 0.750
KfWユーロ-ベンチマーク VII/2018年(リオープン方式)
EUR1.0 5 0.125
KfWユーロ-ベンチマーク V/2020年(リオープン方式)
EUR1.0 10 0.000
KfWユーロ-ベンチマーク V/2019年(リオープン方式)
EUR1.0 7 0.000
2021 年におけるKfWの新規の資本市場での資金調達総額は、15の異なる通貨および211の個別の資本市場取引で調
達された。KfWの主要な通貨はユーロおよび米ドルであり、2021年におけるKfWの新規の資本市場での資金調達総額
の81%(2020年は88%)を占めた。ユーロでの新規資金調達の割合は、2020年の64%から2021年の55%へと減少し
たが、ユーロは依然として最も多額な通貨であり、米ドルでの新規資金調達の割合は、同期間において24%から
26%に増加した。英ポンドでの新規資金調達の割合は2020年の5%から2021年の8%に増加したが、2021年のKfWの
資金調達において3番目に多額の通貨であった。
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2021 年におけるKfWの資本市場での新規資金調達の通貨別総額 *
総額に対する割合
単位:10億ユーロ
(%)
ユーロ(EUR) 45.6 55
米ドル(USD) 21.3 26
英ポンド(GBP) 6.9 8
豪ドル(AUD) 2.8 3
ノルウェークローネ(NOK) 1.7 2
日本円(JPY) 0.4 0.5
4.0 5
その他の通貨 (1)
82.6 100
合計
* 表中の数値は、四捨五入により合計が一致しない場合がある。
(1) カナダドル(CAD)、人民元(CNY)、香港ドル(HKD)、ハンガリーフォリント(HUF)、メキシコペソ(MXN)、ニュージーランドドル(NZD)、
ポーランドズウォティ(PLN)、スウェーデンクローナ(SEK)および南アフリカランド(ZAR)。
KfW は、グリーンボンドの発行に関連して、国際的なベストプラクティスを反映し、国際資本市場協会(以下
「ICMA」という。)の2021年版「グリーンボンド原則」に従ったグリーンボンド枠組みを構築し、KfWのウェブサ
イト上で公表している。KfWは、グリーンボンドの発行を通して、社会的責任のある投資家に呼びかけを行うこと
により投資家基盤を拡大すること、および温室効果ガス排出の削減を共通の目的とする環境プロジェクトへの融資
を行う資本市場のインフラを向上させることを目指している。KfWのグリーンボンドの販売による手取金および適
格な環境プロジェクトにおける支出の要請は、KfWにより適切な方法で監視される。KfWは投資家に対し、手取金の
使途のうち支出についての情報を、自身のウェブサイトにおいて定期的に提供している。別段の記載が ない限り、
KfWのウェブサイト上で入手可能な情報または当該ウェブサイトを通してアクセス可能な情報を本書に引用して組
み込むことはない。 2021 年、KfWは、13の通貨建の22件の新規グリーンボンドの発行および債券のリオープン15件
を実施した。全体では、グリーンボンドでの資金調達額は162億ユーロ(KfWの資本市場での資金調達総額の
19.6%)であった。元本総額30億米ドルの1件の米ドル建グリーンボンドおよび元本総額10億カナダドルの1件のカ
ナダドル建グリーンボンドがSECに登録されるグローバル債として発行された。
KfWにとって資本市場での資金調達における最も重要な資金源は債券および手形の発行であり、次に重要なもの
は手形貸付である。KfWが発行した債券および手形の2021年末における未償還残高は、合計3,976億ユーロであり、
2020年末の未償還残高である3,840億ユーロより136億ユーロ増加した。
借入金残高のうち、手形貸付は、引き続きKfWにとって2番目に重要な資本市場での資金調達方法であり、2021年
末現在の帳簿価格は408億ユーロであった。このうち396億ユーロは、償却原価で測定される金融負債として認識さ
れ(そのうち12億ユーロが銀行に対する債務、384億ユーロが顧客に対する債務)、13億ユーロは、公正価値で測
定される金融負債として認識された(そのうち3億ユーロが銀行に対する債務、10億ユーロが顧客に対する債
務)。手形貸付は、ドイツ資本市場の特殊な調達手段である。手形貸付において貸出機関(一般的には、銀行、保
険会社または公的年金基金である。)は、借入人に対する貸出およびかかる貸出条件を証する証書を受け取る。手
形貸付の満期は1年から30年におよび、借入人と貸主双方にとって非常に柔軟性のあるものとなっている。手形貸
付は、譲渡によってのみ移転するため、銀行間の流通市場内において限定的な流動性しか持たない。
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下表は、KfWの債券および手形の未償還残高ならびに資本市場において発行され当初満期が1年を超える手形貸付
に関する要約情報を示したものである。
KfW グループの調達負債の発行に関する情報(2021年12月31日現在)
満期到来
年間平均
までの
利率
ユーロ建での
金利の (%) 適用通貨での
平均年数
通貨 取引数 種類 (1)(2) 発行年度 満期 元本残高総額
元本残高総額(3)
(2)
AUD 14 固定 3.67 2012-2021 2022-2028 2.15 16,024,999,999.97 10,262,568,043.53
CAD 6 固定 2.86 2005-2021 2022-2037 3.20 3,457,199,999.99 2,402,000,972.69
CHF 2 固定 2.55 2005-2007 2025-2037 5.85 1,304,999,999.99 1,263,188,461.90
CNY 12 固定 2.58 2019-2021 2022-2026 1.65 7,648,000,000.13 1,063,004,711.82
DEM 1 固定 7.00 1993 2023 1.25 105,985,000.00 54,189,270.03
EUR 297 固定 0.40 1999-2021 2022-2051 4.69 281,083,491,510.42 281,083,491,510.42
EUR 21 変動 1.14 2003-2019 2022-2052 2.73 2,908,812,262.33 2,908,812,262.33
GBP 20 固定 2.05 2000-2021 2022-2037 3.90 22,426,803,000.06 26,689,678,440.59
GBP 1 変動 1.05 2021 2024 2.45 500,000,000.00 595,039,748.66
HKD 6 固定 0.43 2020-2021 2022-2024 1.11 1,599,999,999.99 181,132,758.99
HUF 2 固定 1.44 2020-2021 2022-2023 1.30 7,750,000,000.34 20,991,901.19
JPY 10 固定 2.31 2002-2021 2022-2038 7.35 146,943,000,000.10 1,127,036,355.27
JPY 209 変動 1.87 2002-2021 2022-2049 12.18 148,315,999,988.24 1,137,567,111.43
MXN 3 固定 6.26 2017-2021 2022-2025 2.01 3,249,999,999.98 140,426,377.69
NOK 14 固定 1.81 2002-2021 2022-2036 2.30 40,349,999,999.91 4,039,524,267.17
NOK 2 変動 2.24 2019 2022 0.15 5,499,999,999.96 550,616,690.69
NZD 3 固定 2.80 2018-2021 2023-2028 2.36 840,000,000.01 506,665,058.21
PLN 5 固定 1.55 2006-2021 2022-2025 1.90 1,546,764,122.16 336,479,828.18
SEK 11 固定 0.85 2011-2021 2022-2031 2.35 30,900,000,000.11 3,014,545,915.74
TRY 2 固定 12.52 2020 2023 1.18 201,999,999.94 13,260,248.79
USD 56 固定 1.70 2002-2021 2022-2046 2.83 102,617,274,115.07 90,603,279,282.24
USD 1 変動 1.05 2021 2024 2.12 1,500,000,000.00 1,324,386,367.65
20 4.17 466,989,619.38
ZAR 固定 6.80 2017-2021 2022-2031 8,435,000,000.05
718 4.13 429,784,875,204.59
合計
(1) 変動利付債券の金利は、2021年12月31日現在において適用される金利を意味している。利率が後から決定する変動利付債券については、直近の固定
利率が使用されている。ゼロクーポン債券は、平均実効金利の計算に含まれている。
(2) 平均利率は、ユーロ建での元本残高総額を考慮した、資本加重基準で計算されている。
(3) 直物レートでのユーロへの換算は、2021年12月31日のECBの参照レートを採用している。
短期金融市場での資金調達 KfWは、700億ユーロの複数通貨建のコマーシャル・ペーパー・プログラムおよび
300億米ドルのコマーシャル・ペーパー・プログラムの2つのコマーシャル・ペーパー・プログラムに基づき、コ
マーシャル・ペーパーを発行している。米ドル建コマーシャル・ペーパー(以下「USCP」という。)・プログラム
のプログラム金額は、2022年3月17日付で200億米ドルから300億米ドルに増額された。2021年12月31日現在、KfWグ
ループのコマーシャル・ペーパーの残高は、総額500億ユーロ(2020年12月31日現在は413億ユーロ)であった。
公的資金 2021年12月31日現在、KfWグループの借入金における公的資金の割合は8%であった。KfWにとって最
も重要な公的資金の資金源は、連邦共和国の予算資金である。連邦予算により供給される長期・短期借入金(信託
借入れを除く。)の総額は、2021年12月31日現在で399億ユーロ(2020年12月31日現在は433億ユーロ)であった。
ERP特別基金からのKfWグループの長期・短期借入金は、2021年12月31日現在で138百万ユーロ(2020年12月31日現
在は216百万ユーロ)であった。公的資金は、KfWの国内活動ならびに発展途上国との輸出金融およびプロジェク
ト・ファイナンス取引の特定分野で使用するために、KfWグループに対し利用可能となる。
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公的資金は、KfW開発銀行が、外国の公共部門の借入人ならびに発展途上国および新興経済国における受取人に
対して、貸付を行い、供与金を支払うにあたり、金融支援の面で特に重要である。連邦予算資金は、2021年におけ
るKfW開発銀行のコミットメント額の資金調達源の約42%を占めている。貸出コミットメントに関連するKfW連邦政
府からの資金およびKfW開発銀行の供与金は、その性質上、KfWの連結財政状態計算書には反映されない。詳細につ
いては、上記「発展途上国および新興経済国支援―KfW開発銀行」を参照のこと。
デリバティブ
KfW は、通常、その融資および資金調達活動に関連してヘッジを目的とするデリバティブ取引を行う。したがっ
て、そのデリバティブの大部分は、金利関連デリバティブおよび通貨関連デリバティブである。KfWグループは、
売買を目的としたデリバティブ取引を行わず、また、ブローカー業務またはこれに類似する代理業務を通じて当グ
ループ以外の事業体のためにデリバティブの購入を促進しない。
下表は、当グループのデリバティブ・エクスポージャーに関する詳細な情報を示したものである。
KfWグループのデリバティブ・エクスポージャー *
想定元本 公正価値 公正価値
2021 年 2020 年
2021 年 12月31日現在 2020 年 12月31日現在
12月31日 12月31日
正 負 正 負
現在 現在
(単位:百万ユーロ)
金利関連デリバティブ 584,335 540,913 6,111 4,040 10,126 5,584
通貨関連デリバティブ (1)
165,569 156,986 7,727 2,311 3,180 8,047
プロテクションの買手としてのクレジット・
0 0 0 0 0 0
デリバティブ
0 0 0 0 0 0
その他
デリバティブ合計 (2)(3)
749,904 697,898 13,838 6,351 13,306 13,631
— — 21 12 11 20
別個に会計処理される組込デリバティブ
貸借対照表における「ヘッジ会計に指定され
たデリバティブ」と「公正価値で測定される
金融資産/負債-その他のデリバティブ」の科
749,904 697,898 13,859 6,363 13,317 13,651
目の合計
* 表中の数値は、四捨五入により合計が一致しない場合がある。
(1) クロスカレンシー・スワップを含む。
(2) KfW の完全子会社であるKfW IPEX銀行がその輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス活動において融資に関連するヘッジ手段として顧客に提供
する金融派生商品を含む。KfW IPEX銀行は、かかるデリバティブ取引に起因するリスクをヘッジするために、KfWとの間でヘッジ取引を行ってい
る。一方、KfWは、グループ内における市場に直面しているヘッジ活動を親会社レベルに集中させ統合する中で、必要な限度において、市場におい
て、対応する反対取引によりヘッジを行っている。リスクを軽減するためにKfWが行うかかるヘッジ取引も開示されている。
(3) KfW 法第2条第(4)項に従って連邦政府が特別マンデートに基づき締結する、限定的リスク・ポジションにおけるデリバティブ契約を含む。
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
ネッティング前の正の公正価値の合計 13,838 13,306
ネッティング後の正の公正価値の合計 (1)
8,733 4,960
受領担保 7,882 3,419
7,882 3,419
そのうち現金担保
851 1,541
ネッティングおよび担保差引後の正の公正価値の合計
(1) IFRS に基づく相殺基準を満たさないネッティング契約の効果を示す。国際会計基準(以下「IAS」という。)第32号に定める金融商品の相殺に関す
る厳格な基準のため、KfWグループの連結財政状態計算書には、デリバティブに関するネッティング効果は反映されていない。
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KfW グループのデリバティブ活動は、連結財政状態計算書において、勘定科目の「金融資産 ― 公正価値」、「金
融負債 ― 公正価値」および「ヘッジ会計に指定されたデリバティブ」に反映されている。KfWグループのデリバ
ティブ・エクスポージャーに関する追加情報については、 「(5) 経理の状況 ― 6) 連結財務書類」の連結財務書類
に対する注記8、注記37、注記39、注記47、注記49、注記56、注記57および注記58 を参照のこと。デリバティブに
関連する金利リスクおよび通貨リスクならびに取引先の債務不履行リスクの詳細については、「(5) 経理の状況 ―
3) リスクの報告 ― リスクの種類 ― 取引先の債務不履行リスク」および「(5) 経理の状況 ― 3) リスクの報告 ― リス
クの種類 ― 市場価格リスク」を参照のこと。
資産管理
KfW グループが保有する有価証券および投資は、2021年12月31日現在は399億ユーロ(2020年12月31日現在は389
億ユーロ)であった。有価証券および投資の詳細については、「(5) 経理の状況 ― 2) 経済報告 ― 純資産の推移」
を参照のこと。すべての有価証券および投資のうち320億ユーロ(80%)は、KfWの流動性ポートフォリオにおいて
流動目的のために確定利付証券の形で保有されていた。残りの有価証券および投資は、貸出金の代用としての有価
証券、KfWグループの助成事業(例えば、KfWのABSポートフォリオまたはDEGによる直接投資)に関連して株式投資
として保有する有価証券であった。KfWが直接的または間接的に保有する株式投資は、KfWグループの有価証券およ
び投資のうちかなり限定された金額しか占めていなかった。
流動性ポートフォリオ KfWは、慎重な流動性管理戦略を進めている。このため、KfWは2021年12月31日現在、流
動性ポートフォリオにおいて320億ユーロ(2020年12月31日現在は313億ユーロ)の金融資産を保有している。この
ポートフォリオに保有されている有価証券の大部分はユーロ建である。KfWは、銀行が発行する中期有価証券(主
にカバードボンド( Pfandbriefe ) )、公共部門の発行体および国際機関等による債券ならびにABSを購入する。
2020年初め以降、ポートフォリオには、資産担保コマーシャル・ペーパー(以下「ABCP」という。)投資が含まれ
ている。KfWの流動性ポートフォリオに含まれるユーロ建債券の大部分は、ECBにおいて担保として適格であり、こ
れにより、KfWは、ドイツ中央銀行を経由する欧州中央銀行制度(European System of Central Banks)(以下
「ESCB」という。)内のリファイナンス・オペレーションにおいて買戻し条件付契約を締結することができる。財
務報告上、米ドル建または英ポンド建の有価証券は、2021年12月31日現在の為替レートでユーロに換算された。こ
れらの有価証券に加えて、KfWは、2021年12月31日現在、流動性管理目的で55億ユーロ(2020年12月31日現在は35
億ユーロ)の短期金融市場資産(オーバーナイト・ローン、タームローンおよびリバース・レポ取引)を保有して
いた。
KfW は、国連が支援する「責任投資原則(PRI)」の署名機関として、流動性ポートフォリオを持続可能な方法で
管理することに取り組んでいる。KfWにとってこれは、投資アプローチに環境・社会・ガバナンス(以下「ESG」と
いう。)の基準を導入することを意味する。2021年におけるESG基準の導入は、外部プロバイダーからの持続可能
性評価に基づき、KfWが流動性ポートフォリオにおいて、持続可能性格付が各分野の上位50%に入る発行体の債券
のみに対して投資を行うことを規定する、ベスト・イン・クラス・アプローチに基づくものであった。ソブリン債
は、関連する発行国が持続可能性格付において「最高」である場合に投資が適格である。さらに、KfWは、その流
動性ポートフォリオに、国際金融公社の除外リストおよびKfWグループの除外リストに基づく除外基準を適用して
いる。KfWはまた、発行体との間で、持続可能性に関する問題について定期的に対話を行っている。
ABS ポートフォリオ 2021 年12月31日現在、助成ABSポートフォリオ額は、全体で364百万ユーロ(2020年12月31
日現在は770百万ユーロ)であった。KfWの資本市場を基盤とした中小企業向け助成活動は、2019年12月31日に終了
した。残りのポートフォリオ残高は、償却により徐々に減少する。
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グリーンボンドポートフォリオ KfW は、自身のグリーンボンドポートフォリオにおいて、公共部門の発行体、
超国家的機関および銀行のグリーンボンド、さらにはグリーンカバードボンドやABSに投資することにより、気候
および環境保護への支援に努めている。KfWのグリーンボンドへの投資はすべて、ICMAの「グリーンボンド原則」
に従っている。2021年、KfWは、自身の助成活動の一環として、気候および環境保護の施策に融資を行うため、グ
リーンボンドへの投資を通じて527百万ユーロ(2020年は400百万ユーロ)を提供した。2021年12月31日現在、かか
るポートフォリオの額は、全体で22億ユーロであった。KfWのグリーンボンドポートフォリオは、連邦環境自然保
護原子力安全省(現連邦環境自然保護原子力安全消費者保護省)からの委託を受けて2015年に開始され、その目標
額は20億ユーロであった。グリーンボンドポートフォリオの以前の目標額は、2021年2月に達成された。KfWは、今
後もグリーンボンドへの投資を行い、ポートフォリオ額を20億ユーロから25億ユーロの範囲で維持する予定であ
る。連邦環境自然保護原子力安全消費者保護省の権限はそれに応じて拡大された。
民営化政策
連邦政府は、ドイツテレコムおよびドイツポストの民営化に関する施策を講じることをKfWに委託した。KfWは、
連邦政府による特別マンデートに基づき、KfW法第2条第(4)項(連邦政府委託業務)に従い、1997年以降様々な取
引によりドイツテレコムおよびドイツポストの株式の取得および売却を行った。KfWは、連邦政府の民営化政策を
さらに推進するため、国内外での公募、私募、大口売買および他社株転換債その他の取引等を通じて、これらの株
式を売却してきた。連邦政府との独立当事者間契約に基づき、KfWは、これらの取引の市場リスクから保護されて
いる。この契約の規定に基づき、KfWは、取得および売却する株式の市場価値が増加した場合のその増加額の一定
割合に加え、そのサービスに対する手数料を受領する。
2021年末時点で、KfWのドイツテレコムにおける持分合計は、2020年末の普通株式約829.2百万株から変化してい
ない。これはドイツテレコムにおける持分の約16.6%(2020年12月31日現在は17.4%)に相当する。KfWの知る限
りでは、連邦共和国の持分は、2021年12月31日現在で約13.8%であった。
2021年末時点で、KfWのドイツポストにおける持分合計は、2020年末の普通株式約253.9百万株から変化していな
い。これはドイツポストにおける持分の約20.5%(2020年12月31日現在も20.5%)に相当する。KfWの知る限りで
は、連邦共和国はドイツポストの株式を直接保有していない。
連邦政府との契約は上記の通りであるため、KfWが保有するドイツポストおよびドイツテレコムの株式は、「顧
客に対する貸出金等-FVM」として分類される公正価値で測定される金融資産としてKfWの連結財政状態計算書に計
上されている。
連邦政府は、将来KfWに対しドイツテレコムの持分をさらに売却する可能性がある。KfWは、ドイツテレコムおよ
びドイツポストの保有株式が中期的には減少すると予想している。
連邦政府により委託されたギリシャに対する融資制度
KfW は、EU全体によるギリシャに対する金融支援策 の実施において 連邦共和国 を支援 している。2010年に、連邦
政府は、KfW法第2条第(4)項(連邦政府委託業務)に従って、KfWに連邦共和国を代理してギリシャに対する融資制
度に参加することを委託した。この融資制度に起因するリスクはすべて、連邦共和国の保証によりカバーされてい
る。2021年12月31日現在、ギリシャに対する貸出残高総額は144億ユーロ(2020年12月31日現在は150億ユーロ)で
あった。
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戦略的な株式保有
KfWの戦略的な株式保有のうち最も重要なのは、いずれもKfWが100%を直接保有するDEGおよびKfWキャピタルな
らびにKfWがKfW持株有限責任会社( KfW Beteiligungsholding GmbH ) を通じて間接的に100%を保有するKfW IPEX
銀行である。KfWは、融資協議有限責任会社( Finanzierungs- und Beratungsgesellschaft mbH ) の100%の持分、
技術資本参加合資会社( tbg-Technologie-Beteiligungs-Gesellschaft mbH ) (以下「tbg」という。)の100%の
持分、ドイツエネルギー機構( Deutsche Energieagentur GmbH ) の26%の持分、ベルリン市エネルギーサービス社
( Berliner Energieagentur GmbH ) の25%の持分、キュアバック・エヌブイ( CureVac N.V. ) (以下「エヌブイ」
という。)の16%の持分およびヘンゾルト・エージー( HENSOLDT AG ) (以下「ヘンゾルト」という。)の25.1%
の持分を直接保有している。KfWは、エアバスSEの株式の9.19%を、様々な会社を通じて間接的に保有している。
KfWは、ユーログリッド有限責任会社( Eurogrid GmbH ) (以下「ユーログリッド」という。)の株式の20%を、
KfWの子会社を通じて間接的に保有している。さらに、KfWはトゥルー・セール・インターナショナル有限責任会社
( True Sale International GmbH ) の7.7%の持分および欧州投資基金の2.3%の持分を直接保有している。
KfWのエアバスSE、ユーログリッド、エヌブイおよびヘンゾルトに対する投資ならびにドイツテレコムおよびド
イツポストに対する投資(上記「金融市場―民営化政策」を参照のこと。)は、連邦共和国が利害関係を有する事
項に関連して施策を講じるようKfWに指示する権限を連邦政府に与えるKfW法第2条第(4)項(連邦政府委託業務)に
従い、連邦政府の特別マンデートに基づいて行われた。これらの投資においては連邦共和国が経済的リスクを負担
し、これらの投資の機会およびリスクについても連邦共和国が責任を負う。
エアバスSE
2007年に、KfWは、欧州航空宇宙防衛会社(以下「EADS」という。)の7.5%(当時)の持分を、他の14の投資家
とともに、ダイムラー・クライスラー・グループ(現在のダイムラー・グループ)から共同で取得することに同意
しており、EADSの持分のうち、経済的持分は特別目的会社であるデダルス有限合資会社( Dedalus GmbH & Co.
KGaA ) (以下「デダルス」という。)を通して保有していた。2012年12月におけるダイムラー・グループのEADSに
おける持分比率のさらなる減少に関連して、EADSの所有構造を戦略的国益事項とみなしている連邦政府は、EADS、
フランスおよびスペインとの政府株式保有協定の改定に合意し、これにより、連邦政府は、EADSにおける持分を最
高12%まで直接的または間接的に保有することが可能となった。これに関連して、連邦政府は、KfWに対して、連
邦共和国を代理してEADSにおける持分を最高12%まで直接的または間接的に取得し保有することを委託した。
2013年4月初めに、フランス、ドイツおよびスペインは、追加的株主間契約を締結した。同契約は、デダルスに
よるコンソーシアムの解散と、KfWをはじめとする投資家が、EADSにおけるそれぞれの持分を、直接およびゲゼル
シャフト・ツール・ベタイリグングスフェアヴァルトゥングGZBV mbH & Co. KG.( Gesellschaft zur
Beteiligungsverwaltung GZBV mbH & Co. KG. ) (以下「GZBV」という。)を通じて間接的に保有することを規定
している。2013年末に、GZBVは、約1.87百万株のEADSの株式を購入し、EADSにおける持分比率を増加させた。2015
年、EADSは法的形態を欧州会社( Societas Europaea ) に変更し、正式名称をエアバス・グループSEに変更した。
2017年4月、年次株主総会での承認を経て、正式名称はエアバスSEに変更された。2021年12月31日現在、KfWはGZBV
を通じて、エアバスSEの約9.19%の持分を保有していた。GZBVの他の投資家の持分も合わせると、GZBVは、エアバ
スSEの持分を合計10.90%保有していた。
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ユーログリッド・インターナショナルおよびユーログリッド
2018年7月、連邦政府は、KfW法第2条第(4)項(連邦政府委託業務)に従い、ユーログリッド・インターナショナ
ルCVBA/SCRL(Eurogrid International CVBA/SCRL)(以下「ユーログリッド・インターナショナル」という。)
の株式の20%を取得することをKfWに委託した。かかる取引は2018年8月に完了した。かかるマンデートにおいて、
KfWによる投資に起因するすべての経済的リスクは、連邦共和国の保証によりカバーされる。かかる株式の取得時
にユーログリッド・インターナショナルは、ドイツの送電システム業者である50ヘルツ・トランスミッション有限
責任会社( 50Hertz Transmission GmbH ) (以下「50ヘルツ」という。)の全株式を、完全子会社であるユーログ
リッドを通じて間接的に保有していた。
2019年6月、連邦政府によるマンデートに基づき、KfWは、ユーログリッド・インターナショナルにおける20%の
持分を、ユーログリッドにおける20%の持分に交換した。かかる株式交換は、株式保有構造を単純化するために実
施された。KfWは現在、ユーログリッドにおける持分を、KfWの完全子会社であるゼレント・ネッツベトライバー有
限責任会社( Selent Netzbetreiber GmbH ) を通じて保有している。ドイツの送電システム業者である50ヘルツ
は、ドイツのベルリンで設立されたユーログリッドの完全子会社である。
エヌブイ
2020年6月、連邦政府は、KfW法第2条第(4)項(連邦政府委託業務)に従い、バイオ医薬品会社であるキュアバッ
ク・エージー(以下「エージー」という。)の持分を取得して約300百万ユーロの投資を行うことをKfWに委託し
た。エージーは、ドイツのテュービンゲンに本社を置くドイツ法に基づくドイツの株式会社で、伝令リボ核酸
(mRNA)に基づく医薬品の研究開発を主な事業としている。当該投資は、2020年7月末に行われた。2020年8月、オ
ランダ法に基づく有限責任の未公開企業であるキュアバック・ビーブイ(CureVac B.V.)(以下「ビーブイ」とい
う。)は、新規株式公開(以下「キュアバックIPO」という。)の引受けにおいて、新規普通株式を募集および売
却し、その株式はナスダック・グローバル・マーケットに上場された。キュアバックIPOの完了にあたって、エー
ジーの全株式は、ビーブイの株式と引き換えにビーブイに出資され、ビーブイは、オランダ法に基づく公開会社に
転換され、その名称はエヌブイと変更された。その結果、KfWの投資対象は、エヌブイの株式となった。かかる委
託において、KfWは、投資により生じる経済的リスクから連邦共和国によって完全に保護されている。
ヘンゾルト・エージー(HENSOLDT AG)
2021年3月、連邦政府は、KfW法第2条第(4)項(連邦政府委託業務)に従い、ヘンゾルトの発行済株式の25.1%を
取得することをKfWに委託した。ヘンゾルトは、ドイツのタウフキルヘンに本社を置くドイツ法に基づく株式会社
で、電子センサーソリューションおよびオプトロニクスを中心に事業を展開している。この取得は、2021年5月に
完了した。かかる委託において、KfWは、ヘンゾルトに対する投資により生じる経済的リスクから連邦共和国に
よって完全に保護されている。
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3) 日本との関係
KfWは1993年に日本輸出入銀行(J-EXIM)との間に提携契約を締結した。1999年、日本輸出入銀行と海外経済協
力基金(OECF)の統合に伴い、国際協力銀行(JBIC)が設立され、日本輸出入銀行と海外経済協力基金が行ってい
た業務のすべてを引き継いだ。国際協力銀行とKfWは、2002年、日本企業とドイツ企業との間の経済、産業、財政
上の関係を強化する目的で、提携契約を更新した。両者はさらに、発展途上国支援の分野における効果、知名度お
よび効率を高め、また相互利益を促進するために協力することで合意した。
2008年10月のJBICの再編後、2002年の提携契約のうち、開発援助分野については新しい国際協力機構(JICA)に
よって、また、国際輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス分野については日本政策金融公庫(JFC)によっ
て引き継がれることが承認された。
2011年11月、KfWの完全子会社であるKfW IPEX銀行は、日本貿易保険(以下「NEXI」という。)と提携契約を締
結した。NEXIおよびKfW IPEX銀行は、日本とEU(特にドイツ)の企業間における経済、工業および金融の関係を促
進する目的で連携することに合意した。
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(5) 【経理の状況】
財務書類および監査法人
本書に含まれるKfWの連結財務書類は、EUによって採用されたIFRS、ドイツ商法第315e条第(1)項に基づくドイツ
商法の追加要件およびKfW法の補足規定に従って作成された。IFRSは、米国で一般に公正妥当と認められている会
計原則および実施されている財務報告慣行(以下「米国GAAP」という。)とはいくつかの重要な点で異なり、その
結果、本書に含まれるKfWの連結財務書類は、米国GAAPに従って作成された財務書類と大幅に異なる可能性があ
る。
KfW 法に従い、KfWの年次財務書類は、連邦財務大臣が監事会の提言により連邦会計検査院と協議の上で指名する
公認会計士( Wirtschaftsprüfer )により監査される。2021年12月31日に終了した年度のKfWの社外監査法人は、
Ernst & Young GmbH Wirtschaftsprüfungsgesellschaft(以下「EY」という。)である。
年次監査は、ドイツで一般に公正妥当と認められている監査基準に従って行われる。
2022 年3月8日付のEYによる2021年12月31日に終了した年度の監査報告書は、統合営業報告書
( zusammengefasster Lagebericht )についてのものである。ドイツで一般に公正妥当と認められている監査基準
に基づき、当該統合営業報告書の監査および当該統合営業報告書についての監査報告書が求められている。当該監
査は米国で一般に公正妥当と認められている監査基準(以下「米国GAAS」という。)または米国証明基準に従って
行われたものではない。したがって、EYは、当該監査、統合営業報告書または本書に含まれる財務書類について、
米国GAASまたは米国証明基準に従い、意見を述べない。監査報告書は、本書にも転載している。
KfW の2022年度の社外監査法人は、Deloitte GmbH Wirtschaftsprufungsgesellschaft(ドイツ、ミュンヘン)と
なる予定である。
1) KfW グループの基本情報
概要
KfW グループは、KfWと連結子会社5社から構成されている。KfWは、連邦共和国の助成銀行(連邦共和国がKfWの
80%を所有し、連邦諸州が20%を所有する。)である。助成任務における組織上の枠組み(KfWの債務に対する連
邦共和国の責任を含む。)は、KfW法に定義されている。
KfW は、世界の経済的、環境的および社会的状況の持続可能な改善を促進しており、特にドイツ経済を重視して
いる。KfWの助成活動は、KfWの戦略的目的に定着したメガトレンドに着目している。様々な異なる金融商品および
サービスは、特に気候変動および環境、グローバル化、社会変革、デジタル化および技術革新ならびにドイツの中
小企業への融資の各分野に対応している。企業および個人向け国内助成貸出事業は、転貸の戦略で特徴付けられて
いる。この転貸の戦略とは、KfWが商業銀行に貸出を行い、その商業銀行が最終借入人に対し貸し付けるというも
のである。そのため、KfWは、独自の支店ネットワークを有していない。KfWは、その事業活動の資金を、国内のお
よび国際的な金融市場および資本市場を通して調達している。当グループの主要な事業子会社は、(ⅰ)輸出金融
およびプロジェクト・ファイナンスを提供するKfW IPEX銀行、および(ⅱ)発展途上国および新興経済国における
民間部門の支援を活発に行っているDEGである。KfWキャピタルは、ドイツにおけるベンチャーおよび初期成長段階
への融資を強化するため、ドイツおよび欧州のベンチャー・キャピタル・ファンドおよびベンチャー・デット・
ファンドへ投資している。
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KfW グループの事業部門の構造に従うと、各部門ならびにその主要な商品およびサービスは、以下の通りであ
る。
- 起業融資
- 企業による投資全般への融資ならびに技術革新、エネルギーおよび環
中小企業銀行および民間顧客 境保全への投資
- 教育への融資
- 住宅の建設、改築および改修への融資
- 地方自治体インフラおよび社会インフラへの融資
- 株主資本および借入資本による企業への個別対応金融
個別対応金融および公的顧客
- 銀行および州立支援財団への個別対応金融
- ドイツおよび欧州のベンチャー・キャピタル・ファンドおよびベン
KfW キャピタル
チャー・デット・ファンドへの投資
- ドイツおよび欧州の輸出事業への融資
輸出金融およびプロジェクト・ファイ
- ドイツおよび欧州が特別の利害関係を有するプロジェクトおよび投資
ナンス
への融資
- 連邦政府を代理して、予算資金およびKfWが市場で調達した補完的な資
発展途上国および新興経済国支援 金により行う発展途上国および新興経済国支援
- DEG (ドイツ投資開発会社)が行う融資(民間部門の支援)
- 有価証券および短期金融市場への投資
- 連邦共和国のための株式保有のアレンジメント
金融市場
- 連邦政府から委託された取引(対ギリシャ融資)
- 資金調達
- 金利および為替の一括管理
本部
- 戦略的株式投資
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KfW グループの構成-IFRSに基づく総資産(連結前)
2021 年 2020 年
12月31日現在 12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
KfW 、ドイツ、フランクフルト・アム・マイン 546,648 543,099
子会社
KfW IPEX 銀行、ドイツ、フランクフルト・アム・マイン
28,860 29,617
DEG (ドイツ投資開発会社)、ドイツ、ケルン 7,310 6,286
KfW 持株有限責任会社、ドイツ、ボン 3,129 3,209
KfW キャピタル有限合資会社、ドイツ、フランクフルト・ア
754 413
ム・マイン
インターコネクター有限責任会社( Interkonnektor
357 376
GmbH )、 ドイツ、フランクフルト・アム・マイン
持分法により会計処理された投資
マイクロファイナンス・エンハンスメント・ファシリ
ティ・エスエー(Microfinance Enhancement Facility
641 575
S.A.)、ルクセンブルク、ルクセンブルク(16.5%)
DC 北海ケーブル有限責任会社( DC Nordseekabel GmbH &
895 996
Co. KG )、 ドイツ、バイロイト(50.0%)
グリーン・フォー・グロウス・ファンド、サウスイース
ト・ヨーロッパ・エスエー(Green for Growth Fund,
689 639
Southeast Europe S.A.)、ルクセンブルク、ルクセンブル
ク(10.2%)
公的ベンチャー・キャピタル共同投資基金( coparion GmbH
294 126
& Co. KG )、 ドイツ、ケルン(16.4%)
当グループの営業損益の推移は、KfWによって決まる。
2026 年戦略的目的
KfW グループは、KfWが目標とする中期的なポジションを規定する一連の 戦略的目的 を設定している。この枠組み
は、当公庫全体のレベルの中でトップレベルの目的を含むものであり、すべての事業部門における5年間の戦略的
方向性の中心となる、拘束力のある基準の役割を果たしている。2021年、「2026年戦略的目的」が採択された。
KfW の 主要な目的 は、持続可能な助成である。KfWは、世界中における経済面、環境面および社会面での生活条件
の改善のために、経済および社会の変革を目指している。かかる主要な目的は、補完性および持続可能性という2
つの助成原則によって支えられている。
補完性とは、KfWが市場の脆弱性を排除することを重視していることをいう。KfWは、この原則を実行し、継続し
て質の高い助成活動を保つよう努めている。KfWはまた、ドイツの名目国内総生産(以下「GDP」という。)の成長
に合わせて新規コミットメント額を増加させることを目指している。しかしながら、KfWが助成銀行として反循環
的措置を講じることを可能とするために、COVID-19のパンデミック等の例外的状況下においては、かかる原則が覆
されることがある。
持続可能性の原則に関して、KfWは、関連する持続可能性に係る格付(サステナリティクス、imug、ISS ESG)の
ランキングにおいて、国内外の助成銀行の上位5位に入ることを目指している。さらに、国連のSDGsおよび気候変
動に関するパリ協定と親和性のあるKfWの金融活動における拠出額は、気候に係る目標達成の一環として監視され
ている。
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これらの助成原則の枠組みの中で、KfWは、以下の現代のメガトレンドに関連するプロジェクトへの融資を行っ
ている。それは、気候変動および環境(環境面での資金調達比率は38%超)、グローバル化、社会変革ならびにデ
ジタル化および技術革新である。国内助成事業において、KfWは、ドイツの中小企業への融資について、40%超の
中小企業率を達成することを目標としている。
主要目的は、採算性および効率性、リスクおよび資本、規制、デジタル化およびプロセスの効率性、ならびに顧
客および従業員中心性の分野での 二次的目的 によって補完されている。これらの目的の達成には、機敏性が基本的
な必要条件と認識されている。
内部管理システム
KfW は、統合された戦略および計画プロセスを保持している。グループ全体の戦略プロセスとして捉えられてい
るグループ事業部門別計画は、KfWグループの中核的な計画および管理手段である。グループ事業部門別計画は、
毎年実施される目的の策定、実行および質の保証ならびに最終化という3つの連続したサブプロセスから構成され
る。戦略および計画プロセスの全般において、すべての分野における計画に責任を有する従業員の間で連携が行わ
れる。
目的:執行理事会が設定したグループ全体の戦略的目的が基礎を成している。かかる体系的な目的は、KfWが今
後5年間で進むべき方向を示す、KfWグループのロードマップとしての役割を果たしている。かかる体系は、KfWグ
ループの中期的な目標ポジションを規定し、当公庫全体におけるトップレベルの目的を設定している。目的は、関
連性、完全性および要求水準に関して毎年見直され、パラメーターの変更または新たな重点分野の設定等により、
必要に応じて調整される。ただし、例年の見直しの過程において、戦略的ロードマップに関して根本的な変更がな
されないことを確保するために、高い一貫性を維持する努力を行っている。かかる戦略的枠組みにおいて、主要な
中期戦略的イニシアチブは、事業部門および子会社により、その法定要件を考慮した基本ケースにおいて策定され
る。期待される利益(プロジェクトの効率性および費用削減の方法等)もまた、事業部門の計画において検討され
る。決定的要素の将来の進展の見積もりは、リスクおよび機会の評価に基づいて行われる。かかる分析は、外部要
因(市場動向、規制要件、競争状況および顧客行動を含む。)ならびに内部要因および内部資源(人的・技術的・
組織的な資源、助成費用、基本的な費用計画および投資資本を含む。)の両方のほか、目標収益水準を考慮に入れ
て行われる。これには、主要事業ならびに事業部門およびグループの収益源に係る評価が含まれる。事業部門はま
た、その事業モデルおよび新たな(戦略的)イニシアチブから生じるESGに係るリスクへの対処を求められる。中
央管理機能(例えば、情報技術、人事および中央サービス)は、戦略的目的を達成する上で重要な役割を果たして
いる。
かかる中央管理機能を関与させることにより、KfWグループの戦略を戦略的目的に沿うものにすることができ
る。基本ケースにおける1回目の定期的な資本予算は、かかる基本に基づいて複数年の期間にわたる予算として編
成される。これにより、戦略的検討またはパラメーターの変更から生じる資本のボトルネックを特定し、適切な措
置によって緩和することが可能になる。執行理事会が、全計画期間を通じて、グループの観点からのすべての戦略
的イニシアチブの評価および優先順位付けに基づき、各部署および事業部門のための(助成、リスクおよび融資に
関する)トップダウンの目的を定めている。グループレベルでの戦略的計画が拡充され、事業戦略シナリオ分析も
行われることとなる。シナリオ分析とは、特有かつ妥当性のあるシナリオについて、外的な影響力のある要素の相
互作用を検討し、分析結果を新規事業、収益およびリスク/資本に関する経営関連のパラメーターに変換して行う
「仮の」分析である。かかるシナリオが、助成対象に係る潜在的なリスクおよび機会ならびにKfWの収益性および
リスク許容能力を特定するプロセスを支え、必要に応じて、その後の計画プロセスにおいてこれらの要素を検討す
ることを可能にする。
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実行および質の保証:外部要因または内部要因における変化を考慮に入れ、かつ経理部と密接に協力して執行理
事会が定めるトップダウンの目的に基づき、事業部門はその新規事業、リスクおよび収益の計画を立て、また、各
部署はその予算およびフルタイム当量(以下「FTE」という。)の計画を立てることとされている。これらの計画
は、グループおよび事業部門または部署の目標との一貫性の観点からチェックされる。金利の予測は、KfWの収益
状況を形成する上で重要な役割を担う。このため、想定される基本ケースに加えて、高金利および低金利のシナリ
オも検討される。これらの計画はまた、定期的な複数年にわたる基本ケースおよびストレスケースの2回目の資本
予算の決定において、将来のリスク許容能力の観点からも評価される。
最終化:執行理事会は、これらの結果得られた予算を承認するか、または必要に応じて修正期間においてその計
画を微調整する。計画プロセスにおける主要な決定事項は、事業戦略およびリスク戦略に盛り込まれる。経営陣
は、事業戦略およびリスク戦略の策定および採用についての全責任を負う。事業戦略は、グループの主要な事業活
動のための戦略的目的ならびに戦略プロセスに含まれる重要な内部要因および外部要因で構成される。事業戦略に
は、戦略的目的に対するそれぞれの事業部門の寄与および各目的を達成するための手段も含まれる。さらに、事業
戦略は、グループレベルおよび事業部門レベルでの予算を組み込んでいる。執行理事会は、KfWグループのリスク
戦略において、事業戦略に沿ったリスク管理方針を設定する。KfWグループは、リスク許容能力および流動性等の
要素についての戦略的リスク目的を定めた。主要なリスク管理手法およびリスク許容度もまた、オペレーショナ
ル・リスク管理の基礎としてリスク戦略に盛り込まれる。事業戦略およびリスク戦略の一貫性を確保するため、リ
スク管理部門と定期的に協議している。グループの事業部門の計画プロセスは、執行理事会が全計画期間につい
て、将来の資本需要を含む最終予算を策定し、また、事業戦略およびリスク戦略も策定した時点で終了する。その
後、予算は、検討のための事業戦略およびリスク戦略と併せて監督機関(監事会)に対して提示され、承認され
る。監事会が事業戦略およびリスク戦略を決定した後、かかる予算は適切に従業員に伝達される。
グループの事業部門別計画の採択は、グループの質的および量的な目的の基礎となる。執行理事会は、目標の達
成を当会計年度を通して定期的に、また、特別な目的のためにチェックする。事業戦略を決定する際の外部要因お
よび内部要因に関する想定も、定期的なチェックの対象である。戦略的統制の一環として、関連する制御変数の変
化、その達成および未達が生じた場合には、その原因が分析される。毎年初めに、戦略上の仮定が見直され、当初
の目的および予測について体系的な差異分析が行われる。年半ばにおいて、統合的な予測プロセスは、設定された
目的を達成するための十分に根拠のある指針となる一方で、グループの戦略的目的と一致する戦略的重要性の定量
的な変数(新規事業、リスク、費用および資金調達の機会を踏まえた収益)についての暫定的な管理データの包括
的基準としても機能している。戦略に関連する特別な問題点についても、グループの各部署に相談の上で対処す
る。潜在的な戦略調整または資源利用の最適化に関する行動についての提案は、必要に応じて戦略的業績報告書を
通じて、執行理事会に提出される。かかる分析結果は、戦略に関するさらなる議論および計画プロセスに盛り込ま
れる。目的の達成については、監事会が、KfWの定款に従って提出される報告書に基づき、定期的に監視する。こ
れらの報告書に含まれる注釈は、原因の分析および潜在的な行動計画の概略を示す。運営上の統制の一環として、
詳細な報告書が毎月または四半期毎に作成される。グループ、事業部門および/または管理ポートフォリオのレベ
ルで行われるこれらの包括的かつ詳細な分析は、収益、費用およびFTEの推移により構成され、特定の部署に報告
される。さらに、グループ全体の業績に関して特に重要な分析も、執行理事会へ直接提示される。戦略的統制およ
び運営上の統制と並行してリスク統制機能も実施されている。すべての主要なリスクタイプにつき、リスク戦略に
おいて定められたリスク管理要件に沿う形で、早期警告システムが確立され、リスク軽減策が定められている。す
べての統制方法および監視方法は、リスク報告に盛り込まれる。監事会は、四半期毎にリスク報告を受けている。
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代替的な主要財務数値
KfW の 統合営業報告書には、HGBに準ずる会計規則またはIFRSには規定されていない主要財務数値が含まれる。
KfWは、その戦略的目的において、会計基準および監督規制に定める主要な指標のほか、主要な事業活動である助
成に適した主要数値を用いている。また、KfWは、業績に対する一時的な影響(IFRSに基づいて定められ、連結財
務書類において報告されているもので、KfWが典型的ではないと考えるもの)について調整された主要数値も用い
ている。
KfW は、代替的な主要財務数値について以下の通り定めている。
助成事業額
助成事業額とは、報告期間における各事業部門のコミットメント額をいう。助成事業額はまた、財政状態計算書
で表示される貸出コミットメントに加え、信託事業として会計処理される、発展途上国および新興経済国の支援を
目的とした連邦政府の資金からの借入れ、金融保証、エクイティ・ファイナンスおよび(グリーンボンドの資産ク
ラスにおける)債券の購入により構成される。助成事業額には、開発援助および国内の助成プログラムの一環とし
てコミットされた供与も含まれる。当該会計年度における助成事業額への割当は、通常、それぞれの融資、金融保
証および供与の実行日ならびにエクイティ・ファイナンスおよび証券取引の取引日を基準としている。一方で、州
立支援財団へのグローバル融資および連邦教育促進法(BAföG)に基づく政府ローンへの割当は、支払義務発生時
の契約上の総額ではなく、実際に貸し出された金額とその実行日を基準としている。外貨建の融資額は、貸出事業
においては、実行日時点の為替レートで、証券事業およびエクイティ・ファイナンス事業においては、通常取引日
時点の為替レートでユーロに変換される。
部門別の助成事業額の内訳については、「2) 経済報告―KfWグループの業績推移」の経済報告およびセグメント
報告を参照のこと。
助成費用
助成費用 とは、KfWの助成目的の達成を目的とした、中小企業銀行および民間顧客事業部門ならびに 個別対応金
融および公的顧客 事業部門の両事業部門の特定の費用を意味するものと理解されている。
現在価値で会計処理される金利引下げは、KfWの助成費用の主要な構成要素である。KfWは、(AAAの格付により
取得した)その有利な資金調達状況の還元に加えて、最初の固定金利期間における特定の新規事業への国内助成
ローンのために、かかる引下げを行う。金利が市場金利を下回るために生じる、最初の固定金利期間におけるかか
る助成ローンの公正価値と取引価額の差額は、支払利息として損益で認識され、償却原価で測定される金融資産の
項目において簿価の調整として会計処理される。さらに、固定金利期間における金利引下げの累計額は、正味受取
利息において損益を通じて認識される(「KfWの助成貸出事業」、「償却原価で測定される金融資産」および「引
当金」に関する注記を参照のこと。)。
(支払手数料のうち)追加助成に関する部分は、小規模ローンを行う際に販売パートナーに対してアップフロン
トフィーとして支払われる費用で構成されている。助成費用には、利用可能な商品関連の営業費用および販売費用
(一般管理費)、革新的なデジタル助成アプローチに係る費用(手数料および一般管理費)ならびに貸出事業の補
完として供与される助成目的の補助金(その他の営業費用)も含まれる。
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助成費用前収益費用比率
助成費用前収益費用比率は、助成費用前の正味利息および受取手数料に関する一般管理費(助成費用に係るもの
を除く。)で構成される。
収益費用比率(以下「CIR」という。)は、収益に係る費用を示しており、効率性の指標となっている。(助成
を行わない)他の機関との間でCIRを比較するため、KfWの助成業績の構成について分子(一般管理費)ならびに分
母(正味利息および受取手数料)を調整する必要がある。
IFRS の影響を受ける前の連結利益
ヘッジ取引によるIFRSの影響を受ける前の連結利益もまた、IFRSに従った連結利益に基づく重要な財務数値であ
る。デリバティブ金融商品は、ヘッジ目的で取引されている。IFRSでは、デリバティブおよびヘッジの認識および
評価の要件は、一時的な純損益を生じさせるが、これは期間中に全体的に相殺される。KfWの見解としては、この
ような業績に対する一時的な影響は、経済的に有効なヘッジ関係によってのみ引き起こされるものであり、傾向を
示すものではない。
その結果、下記の通り、損益への一時的な影響を除外する以下の調整が行われている。
・ ミクロおよびマクロのヘッジ会計による評価損益。
・ 関連ヘッジ・デリバティブを含む、資金調達における会計上のミスマッチを回避するために公正価値オプ
ションを用いた純損益。
・ 経済的有効性は高いが、ヘッジ会計の対象にならないヘッジ取引の公正価値会計による純損益。
・ 外国通貨ポジションの外貨換算による純損益は、デリバティブおよびヘッジ関係の認識および評価要件に
従う。
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2) 経済報告
一般的な経済環境
国際通貨基金(以下「IMF」という。)の見積もりによると、世界全体での実質GDPは、2021年には前年比で
5.9%増加した。GDPは、2020年のCOVID-19のパンデミックの経済的影響により減少した後、2019年の水準と比較し
て増加したものの、パンデミック前に発表されたIMFの2021年予測を下回った(実質GDPに係る表を参照のこ
と。)。IMFの2021年10月の世界経済見通しによると、各国でCOVID-19感染の波が繰り返され、サプライチェーン
のボトルネックが発生したにもかかわらず、2021年の世界全体での実質GDPはプラス成長であった。しかし、OECD
の2021年12月の経済見通しによると、2021年とパンデミック前の2019年の実質GDPの差は国によって異なる。
実質GDP
2021 年 推測値 2020 年 2019 年
世界経済 *
前年比変動率(%) 5.9 – 3.1 2.8
2022 年1月のデータに基づく指標
103 97 100
(2019年の指標を100とする。)
2020 年1月のデータに基づく指標
予測
107 103 100
(2019年の指標を100とする。)
* IMF は、世界的な実質GDPの成長率に対する世界の総計に対応した購買力平価(PPP)に基づく国固有のGDPの割合をもとに、各国の実質GDPの年間成長
率を総計した。
欧州経済通貨同盟(以下「EMU」という。) 加盟国の経済もまた、昨年はパンデミックによる景気後退から成長
に転じた。物価調整後GDPで算出されたEMU加盟国の経済生産高は、2020年にEMU発足以来最大の物価調整後GDPの減
少(-6.4%)を記録した後、2021年には前年比で5.2%増加した(実質GDP(前年比変動率)に係る表を参照のこ
と。)。欧州委員会は、2021年の増加は、COVID-19のワクチン接種キャンペーンおよびパンデミックによる規制が
徐々に緩和されたことによるものであるとしている。しかし、2021年末にかけて、世界的なサプライチェーンの混
乱、エネルギー価格の上昇および感染の再拡大がユーロ圏の経済活動の重荷となった。引き続き加盟国によって経
済回復にばらつきはあるものの、物価調整後GDPは、すべての加盟国においてもはやパンデミック前の水準を大き
く下回ってはいない。
実質GDP(前年比変動率)
2011 年 から2020年の 1999 年 から2019年の
2021 年 2020 年 平均 最低値
(%)
ユーロ圏 5.2 – 6.4 0.5 -4.5 (2009年)
ドイツ 2.8 – 4.6 1.1 -5.7 (2009年)
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世界的な原材料や中間製品のサプライチェーンのボトルネックおよびCOVID-19感染の波を背景として、ドイツに
おける物価調整後GDPは、2020年に4.6%縮小し、過去10年間(2011年から2020年(同年を含む。))の平均では年
1.1%成長した後、2021年において前年比で2.8%成長した(実質GDP(前年比変動率)に係る表を参照のこ
と。)。2021年の物価調整後GDPの変動率に関するプラスの要因は、物価調整後の政府最終消費支出(+3.4%)、
建設業における物価調整後の総固定資本形成(+0.5%)、機械・設備における物価調整後の総固定資本形成(+3.2%)
およびその他の商品における物価調整後の総資本形成(+0.7%)であった。前年と比較して、2021年の物価調整後の
最終消費支出は停滞し(+0.0%)、ドイツ国内の雇用者数は44.9百万人(+0.0%)とほぼ一定に保たれていた。
2021年において、物価調整後の国内消費は全体で1.9%増加した。2021年において、物価調整後の輸出額の増加
(+9.4%)が物価調整後の輸入額の増加(+8.6%)を上回り、純輸出高が物価調整後GDPの変動率に0.9%ポイント
貢献した。生産面では、農林水産業(-2.1%)、建設業(-0.4%)および金融・保険サービス(-0.4%)を除くほ
とんどの経済部門において、物価調整後の粗付加価値が2021年の物価調整後GDPの変動率にプラスの影響を与え
た。
2021 年の 金融市場 の状況もまた、引き続きCOVID-19のパンデミックの影響を受けた。しかし前年とは異なり、市
場は経済回復および世界的な物資やサプライチェーンのボトルネック等の関連事象、ならびにインフレに注目し
た。各中央銀行による継続的な支援の後、2021年のマクロ経済環境の変化により、パンデミック緊急購入プログラ
ム(以下「PEPP」という。)からの脱却時期に関する議論と最初の決定が行われた。例えば、米連邦準備制度理事
会は、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)において、2022年3月までに債券の純買入を終了すると発表し、また、
2022年における3回の利上げを示唆した。ECBはこれまで、2021年第2四半期および第3四半期にPEPPの下で資産買入
を「大幅に」増やしたが、主要金利を据え置いた(2021年を通して、預金金利は-0.5%に据え置かれた。)。総額
1兆8,500億ユーロのPEPPは、国債および社債の両方を含み、満期、資産クラスおよび発行国の点で非常に柔軟な購
入が可能である。ECBの政策理事会は2021年12月、PEPPによる資産買入を2022年3月末までに終了することを決議し
た。2021年、銀行は、引き続きECBのTLTRO-Ⅲの有利な条件により融資を行う意欲を示した。少なくとも適格な純
貸出を一定期間維持している銀行については、すべてのTLTRO-Ⅲ取引に適用される金利は、同期間の平均預金ファ
シリティレートより50ベーシス・ポイント低くなるが、いかなる場合も-1%を上回らない。
こうした動きから、特にユーロ圏および米国の2021年のスワップ・レートは、前年比で著しく上昇した。一方、
ユーロ圏および米国の短期金融市場金利は、前年の平均を大幅に下回った。例えば、2021年において、3ヶ月
EURIBORは平均-0.55%(2020年は-0.43%)、ユーロの5年スワップ・レートは平均-0.26%(2020年は-0.35%)、
ドイツ10年債の利回りは-0.31%(2020年は-0.47%)であった。米国においては、2021年の3ヶ月LIBORの年平均は
0.16%(前年は0.65%)であった。米ドルの5年スワップ・レートは、2021年において平均0.94%(2020年は
0.59%)であり、また米国10年債の利回りは、1.44%(2020年は0.89%)であった。10年債および2年債の利回り
の差異で算出すると、ユーロおよび米ドルのイールド・カーブは、ペースは異なるものの、同様の方向に推移し
た。2021年の平均においては、カーブの傾きは、ドイツ国債は39ベーシス・ポイント(2020年は22ベーシス・ポイ
ント)であった一方で、米国債は117ベーシス・ポイント(2020年は50ベーシス・ポイント)まで上昇した。
2021 年初めおよび秋に株価急落の時期があり、その一部は数週間にわたったものの、前年からの株価回復が継続
した。2021年に米国のS&P500指数は複数の最高値を更新し、年間平均は4,273ポイントを記録したが、これは前年
平均を33%上回るものであった。2021年末現在のドイツの主要指数であるDAX30指数は、15,884ポイントであっ
た。当該指数の2021年の平均は15,209ポイントとなり、前年平均から約23%高い数値となった。(ユーロ圏以外の
最も重要な貿易相手国18ヶ国の通貨に対する)貿易加重ユーロの2021年の平均は停滞し、対米ドルでは2021年の平
均が2020年の平均と比較して約4%上昇した。
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KfW グループの業績推移
KfW にとって2021年は異例の助成の年であった。KfWの助成事業額は、コロナウイルスに係る救済の需要減少によ
り、前年の1,353億ユーロと比較して21%減少し1,070億ユーロとなったものの、気候変動対策および環境に関する
コミットメントの増加により、再度パンデミック前の助成水準(2019年は773億ユーロ)を上回った。
連結利益は、前年にCOVID-19のパンデミックによる悪影響を受け5億ユーロとなった後、2021年には予想(8億
ユーロ)を大きく上回る22億ユーロとなり、銀行の 収益状況 が見事に回復したことを証明した。一方、評価前営業
損益(助成費用前)は、19億ユーロから減少して17億ユーロとなった。かかる変動は、一般管理費の増加ならびに
受取利息および受取手数料の全体的な微減により45.9%(2020年は41.8%)に上昇した助成費用前収益費用比率に
も反映されている。この非常に良い評価損益に起因して、連結利益は8億ユーロ増加した(2020年は – 12 億ユー
ロ)。
連結資産総額 は、2021会計年度に46億ユーロ増加して5,510億ユーロとなった。かかる変動は主に、正味貸出金
等が149億ユーロ増加して4,387億ユーロとなったことによるものであり、このうち56億ユーロは2020年KfW特別プ
ログラムに関連するものであった。マクロヘッジ会計に係る評価差額は対称的な傾向を示し、市場要因による76億
ユーロの減少を計上した。債務証書に計上される自己発行額は、4,476億ユーロ(2020年12月31日は4,253億ユー
ロ)であった。株主持分は、24億ユーロ増加して342億ユーロとなったが、その増加の要因は特に連結包括利益に
よるものであった。
2021 年の 業績は、主に以下の推移によって特徴付けられた。
A. 気候変動および環境に関するKfWの商品への高い需要
グループの2021年の助成事業額は1,070億ユーロ(2020年は1,353億ユーロ)であり、2021年はグループにとって
異例の助成の年となり、コロナウイルスに係る救済の需要減少ならびに気候変動対策および環境の分野におけるコ
ミットメントの増加により特徴付けられた。
省エネおよび再生可能エネルギーに関する助成事業額の総額は471億ユーロ(2020年は343億ユーロ)に増加した
が、これにはとりわけ省エネ住宅融資へのコミットメント193億ユーロ(2020年は268億ユーロ)およびBEGの新規
事業152億ユーロ(2020年は0億ユーロ)が含まれ、これにより国内事業の助成事業額は829億ユーロ(2020年は
1,064億ユーロ)となった。助成事業額は2020年と比較して減少したが、これは主にコロナウイルスに係る救済の
需要が軟化し101億ユーロ(2020年は469億ユーロ)となったことに起因しており、そのうち91億ユーロ(2020年は
445億ユーロ)は、2020年にKfWがCOVID-19のパンデミックに対する政府の安定化措置の一環として開始したKfW特
別プログラムに関するものであった。子会社であるKfWキャピタルは、2021年に総額5億ユーロ(2020年は9億ユー
ロ)のコミットメントを行った。
国際事業におけるコミットメントは18%減少し、助成事業額は238億ユーロ(2020年は290億ユーロ)となった。
輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスにおいては、COVID-19のパンデミックによる世界貿易および世界経済
全体の広範な分野への影響が引き続き新規事業に反映され、そのコミットメント額は、2020年が166億ユーロで
あったのに対し、136億ユーロであった。発展途上国および新興経済国支援におけるコミットメント額もまた101億
ユーロ(2020年は124億ユーロ)に減少したが、DEGのコミットメント額は15億ユーロ(2020年は14億ユーロ)であ
り、新規事業においてプラス成長を記録した。
KfW は、事業活動の資金として826億ユーロ(2020年は664億ユーロ)を資本市場から調達した。政府所有のWSFを
通じた資金調達およびTLTRO-Ⅲを通じたユーロシステムの貸出条件付きの長期資金調達は、それぞれ30億ユーロお
よび14億ユーロであり、前年(それぞれ390億ユーロおよび134億ユーロ)を下回った。
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KfW グループの助成事業額
2021 年 2020 年
(単位:10億ユーロ)
国内事業 82.9 106.4
中小企業銀行および民間顧客 73.0 86.3
個別対応金融および公的顧客 9.5 19.2
KfW キャピタル 0.5 0.9
金融市場 0.5 0.4
国際事業 23.8 29.0
輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス 13.6 16.6
発展途上国および新興経済国支援 10.1 12.4
107.0 135.3
新規コミットメント額 (1)
(1) KfW プログラム・ローンを通してリファイナンスされた輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスで調整される。
B. 予想を上回る営業損益
評価前営業損益(助成費用前)は1,712百万ユーロ(2020年は1,855百万ユーロ)となり、前年の水準を8%下回
り、目標値を5%上回った。かかる優れた業績は主に、正味受取手数料(助成費用前)が584百万ユーロから634百
万ユーロに増加し、目標値を11%上回ったことに起因していた。一般管理費(助成費用前)は1,452百万ユーロで
あり、前年の数値を122百万ユーロ上回ったものの、依然として計画より少なかった。これは国内事業および国際
事業ならびに環境変化における、雇用者の増加および外部サービス・プロバイダー費用増加等に起因している。正
味受取利息(助成費用前)は2,531百万ユーロであり、目標水準に達したが、低金利環境の継続により前年(2,601
百万ユーロ)と比較して3%減少した。それでもなお、正味受取利息は依然としてKfWの主な収益源となっている。
C. 貸出事業に係るリスク引当金は前年のマイナスの影響からプラスに転じた
貸出事業に係るリスク引当金は、2021年に196百万ユーロのプラスの収益貢献をもたらした。したがって、貸出
事業に係るリスク引当金は、COVID-19のパンデミックによるマイナスの影響を受けた前年( – 777 百万ユーロ)や予
測していた標準的リスク費用( – 550 百万ユーロ)より大幅に良好な結果となった。特に、前年に積み増されたリス
ク引当金からの戻入の効果がかかるプラスの変動に貢献した。これは、前年より良好なマクロ経済環境評価に基づ
き、ステージ1および2の潜在的なリスクに対する引当金を削減したことによるものであった。ステージ3の個別の
不良債権に対するリスク引当金の戻入や、過年度償却済み貸出金の回収による収益もまた、リスク引当金のプラス
の結果に貢献した。
さらに、デフォルト時損失率(以下「LGD」という。)の手順のさらなる発展や、主に格付手順のさらなる発展
やマクロ経済環境の改善に起因した格上げの効果もまた、プラスに作用した。これらの効果は、主に発展途上国お
よび新興経済国支援事業部門に反映されている。
D. エクイティ・ファイナンス事業における記録的な業績
株式投資ポートフォリオ全体の評価により、グループは766百万ユーロ(2020年は – 281 百万ユーロ)という目標
を何倍も上回る非常に高い業績をあげた。211百万ユーロのプラスの変動は、前年のCOVID-19のパンデミックによ
るマイナスの影響後、減損損失の戻入があったことによるものであった。そのうち197百万ユーロはDEGに起因して
いた。発展途上国および新興経済国支援事業部門は、株式投資評価による業績全体に対して最大の454百万ユーロ
の貢献をしており、そのうち424百万ユーロはDEGのポートフォリオ(そのうち140百万ユーロは外貨換算によるも
の)に起因していた。さらに、KfWキャピタルの株式投資ポートフォリオも非常に好調であり、211百万ユーロの価
格上昇となった。全体では、株式投資の業績のうち、68百万ユーロは投資売却益に、698百万ユーロは帳簿価格で
の業績に起因していた。
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E. 低金利環境が継続するものの助成費用は増加
グループの収益状況にマイナスの影響を与えるKfWの国内助成費用は、2020年が88百万ユーロであったのに対
し、2021年は188百万ユーロであったが、低金利環境により、依然として目標値(364百万ユーロ)を大幅に下回っ
た。かかる変動は主に、2021年7月1日に転貸助成事業において融資パートナーに対するマイナス調達金利が導入さ
れたことを受け、金利の引下げが144百万ユーロ(2020年は54百万ユーロ)に増加したことによるものであった。
これは、KfWと転貸機関の双方において大規模なITシステムの修正がなされたことに起因している。かかる導入に
より、KfWは、低金利環境が継続する中で大きく制限されていた金利引下げの余地を取り戻すことができる。
次の主要な数値は、2021会計年度の主要な財務数値の推移の概要を示したものである。
KfW グループの主要な財務数値
2021 年 2020 年
損益計算書における主要な数値 (単位:百万ユーロ)
評価前営業損益(助成費用前) 1,712 1,855
評価後営業損益(助成費用前) 2,575 691
助成費用 188 88
連結利益 2,215 525
CIR (助成費用前)(1) 45.9 % 41.8 %
2021 年 2020 年
主要な経済的数値 (単位:百万ユーロ)
IFRS の影響を受ける前の連結利益 2,354 633
2021 年 12月31日現在 2020 年 12月31日現在
財政状態計算書における主要な数値 (単位:10億ユーロ)
総資産 551.0 546.4
貸出額 564.2 543.1
事業額 686.9 674.1(2)
株主持分 34.2 31.8
資本比率 6.2 % 5.8 %
(1) 調整後利益に係る一般管理費(助成費用前)。調整後利益は、正味受取利息と正味受取手数料(いずれも助成費用前)から計算される。
(2) 比較数値は、すべての信託事業を完全に認識するために332百万ユーロ調整されている。
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前年の予測との比較
2020 年 における
2021 年 に係る予測値 2021 年 実際値
新規事業
助成事業額 810 億ユーロ 1,070 億ユーロ
資金調達 700 億ユーロ ―800億ユーロ 826 億ユーロ
損益
連結利益 8 億ユーロ 22 億ユーロ
正味受取利息(助成費用前) 25 億ユーロ ―26億ユーロ 25 億ユーロ
低金利環境 悪影響 悪影響
正味受取手数料(助成費用前) 6 億ユーロ 6 億ユーロ
一般管理費(助成費用前) 15 億ユーロ 15 億ユーロ
CIR (助成費用前) 48% 46%
貸出事業に係るリスク引当金 – 6 億ユーロ +2 億ユーロ
評価損益 約+1億ユーロ +6 億ユーロ
助成費用 4 億ユーロ 2 億ユーロ
2020 年度財務報告書記載の予測と2021年における実際の事業展開との間の主要な相違点は、経済報告に記載して
いる。
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収益状況の推移
2021 年における収益状況は、前年比で減少した営業損益とプラスの評価損益との組合せによって特徴付けられ
た。これにより、連結利益は22億ユーロとなり、前年の数値(5億ユーロ)および目標値(8億ユーロ)の両方を上
回った。
2021 会計年度における助成費用前の内部収益状況と助成費用後の外部収益状況の調整
調整
(単位:百万ユーロ)
正味受取利息(助成費用前) 2,531 – 144 2,386 正味受取利息
正味受取手数料(助成費用前) 634 – 12 623 正味受取手数料
1,452 14 1,466
一般管理費(助成費用前) 一般管理費
評価前営業損益
評価前営業損益
1,712 – 170 1,542
(助成費用前)
貸出事業に係るリスク引当金 196 0 196 リスク引当金による純損益
ヘッジ会計から生じる純損益 – 110 0 – 110 ヘッジ会計から生じる純損益
損益を通じて公正価値で測定さ
損益を通じて公正価値で測定
767 0 767 れるその他の金融商品から生じ
されるその他の金融商品
る純損益
償却原価で測定される金融資産
有価証券および投資 – 4 0 – 4
の処分による純損益
持分法により会計処理された 持分法により会計処理された投
14 0 14
投資からの純損益 資からの純損益
評価後営業損益
評価後営業損益
2,575 – 170 2,405
(助成費用前)
その他の正味営業収益
– 34 – 18 – 53
その他の正味営業収益/損失
(助成費用前)
営業活動による利益/損失
営業活動による利益/損失
2,541 – 188 2,353
(助成費用前)
助成費用 188 – 188 0 -
137 0 137
法人税 法人税
連結利益 連結利益
2,215 0 2,215
ヘッジ会計から生じる一時的 ヘッジ会計から生じる一時的な
– 139 – 139
な純損益 純損益
IFRS の影響を受ける前の IFRS の影響を受ける前の
2,354 0 2,354
連結利益 連結利益
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2020 会計年度における助成費用前の内部収益状況と助成費用後の外部収益状況の調整
調整
(単位:百万ユーロ)
正味受取利息(助成費用前) 2,601 – 54 2,547 正味受取利息
正味受取手数料(助成費用前) 584 – 11 573 正味受取手数料
1,330 12 1,342
一般管理費(助成費用前) 一般管理費
評価前営業損益
評価前営業損益
1,855 – 76 1,778
(助成費用前)
貸出事業に係るリスク引当金 – 777 -5 – 781 リスク引当金による純損益
ヘッジ会計から生じる純損益 16 0 16 ヘッジ会計から生じる純損益
損益を通じて公正価値で測定さ
損益を通じて公正価値で測定
– 428 0 – 428 れるその他の金融商品から生じ
されるその他の金融商品
る純損益
償却原価で測定される金融資産
有価証券および投資 – 6 5 – 1
の処分による純損益
持分法により会計処理された 持分法により会計処理された投
31 0 31
投資からの純損益 資からの純損益
評価後営業損益
評価後営業損益
691 – 76 614
(助成費用前)
その他の正味営業収益
-2 -12 -14
その他の正味営業収益/損失
(助成費用前)
営業活動による利益/損失
営業活動による利益/損失
688 – 88 600
(助成費用前)
助成費用 88 – 88 0 -
76 0 76
法人税 法人税
連結利益 連結利益
525 0 525
ヘッジ会計から生じる一時的 ヘッジ会計から生じる一時的な
– 109 0 – 109
な純損益 純損益
IFRS の影響を受ける前の IFRS の影響を受ける前の
633 0 633
連結利益 連結利益
評価前営業損益(助成費用前) は、1,712百万ユーロ(2020年は1,855百万ユーロ)となり、前年の水準を下回っ
たが、目標値(1,628百万ユーロ)は上回った。
正味受取利息(助成費用前) は、2020年の数値(2,601百万ユーロ)から減少して2,531百万ユーロとなった。利
ざやによる収益はプラス方向に変動したものの、低金利環境ならびにフラットなイールド・カーブおよびコスト・
カーブを特徴とする市況に起因して、構成比は目標に達することができなかった。
正味受取手数料(助成費用前) は、634百万ユーロとなり、2020年の数値(584百万ユーロ)および予想(571百
万ユーロ)を上回った。かかる変動の主因は、特に充電インフラを含む省エネおよび再生可能エネルギーにおい
て、連邦政府のための助成プログラムの実施に対する原価基準の報酬が362百万ユーロ(2020年は339百万ユーロ)
に増加したことであった。ドイツ金融協力(以下「FC」という。)の管理報酬も増加し、229百万ユーロ(2020年
は217百万ユーロ)となった。連邦政府からの報酬は、関連する一般管理費により相殺された。
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一般管理費(助成費用前) は、1,330百万ユーロから増加して1,452百万ユーロとなったが、予想(1,477百万
ユーロ)を下回った。人件費は、前年の数値である770百万ユーロを上回り、842百万ユーロとなった。かかる増加
は主に、FTEの増加が予想より少ないと判明したことによるものであった。人件費以外の費用(助成費用前)は、
610百万ユーロ(2020年は560百万ユーロ)に増加した。かかる変動は、KfWのデジタル化およびITに対するより厳
しい規制要件への対応等のために、前年に比べ外部サービス・プロバイダーの利用が増加したことによるもので
あった。
助成費用前収益費用比率は、45.9%(2020年は41.8%)に上昇したが、これは主に、一般管理費の増加および全
体的な営業収益の減少によるものであった。連邦政府との間で原価基準の報酬で合意した商品に係る収支の調整
後、2021年のCIRは33.3%(2020年は30.0%)となった。
KfW グループの 貸出事業に係るリスク引当金 は、前年に世界的なCOVID-19のパンデミックによる経済的影響を受
けた後、とりわけマクロ経済環境の改善および過年度償却済み貸出金の回収により、2021年には196百万ユーロの
純利益を生み出した(2020年は777百万ユーロの正味費用)。主に発展途上国および新興経済国支援事業部門の子
会社であるDEGならびに輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門がかかるプラスの業績に貢献した。
直接償却を含む差し迫った信用リスク引当金(ステージ3)への正味繰入額は、前年から395百万ユーロ減少し8
百万ユーロ(2020年は403百万ユーロ)となった。主にDEGに関連する正味繰入額は53百万ユーロ(2020年は95百万
ユーロ)、中小企業銀行および民間顧客事業部門に関連する正味繰入額は47百万ユーロ(2020年は80百万ユーロ)
であり、そのうち37百万ユーロ(2020年は67百万ユーロ)は教育への融資に起因するものであった。一方、輸出金
融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門は74百万ユーロの正味戻入額(2020年は212百万ユーロの繰入額)
を計上し、特に航空業界に影響を及ぼした。
ステージ1のリスク引当金の正味戻入額は224百万ユーロ(2020年は63百万ユーロの正味繰入額)、ステージ2の
正味繰入額は350百万ユーロ減少して82百万ユーロとなったが、これは、マクロ経済環境の改善によるデフォルト
確率(以下「PD」という。)の低下、格付手順のさらなる発展、および一部の事例についてはそれらに関連するス
テージ1への再移行の効果を反映したものであった。これらの効果は国や分野を問わず確認され、銀行部門ならび
に中小企業およびスタートアップ企業において最も多くの戻入が行われた。LGDの手順のさらなる発展もまた、リ
スク引当金の減少に寄与する効果をもたらした。その一方で、リスク引当金の増加に寄与する効果は、クルーズ船
業界における条件緩和方策の再開からもたらされており、これによりステージ2のリスク引当金へのさらなるス
テージ移行や繰入が行われた。全体として、2021年12月31日現在、各国および各分野の一般的な発展に係る既存の
リスクは個別に検討された。パンデミックの展開による報告日現在の不確実性の継続もまた、この過程で処理され
た。
すでにリスク管理部がグループのリスク戦略の一環として借入人の格付、信用評価およびポートフォリオ分析に
関しESGに係るリスクに対処しているため、ESGに係るリスクは、KfWが考慮すべき新たなリスクを示すものではな
い。したがって、かかるリスクはすでに貸出事業に係るリスク引当金に反映されており、個別リスク引当金の決定
に対し重大な影響を及ぼさなかった。
さらに、過年度償却済み貸出金の回収による収益は、前年(60百万ユーロ)を上回る83百万ユーロであった。か
かる収益のうち、40百万ユーロが中小企業銀行および民間顧客事業部門、26百万ユーロが輸出金融およびプロジェ
クト・ファイナンス事業部門によるものであった。
リスク引当金は、2021会計年度は20億ユーロ(2020年は23億ユーロ)に減少し、 そのうち14 億ユーロ(2020年は
13億ユーロ)がステージ3の差し迫ったリスク引当金に関連していた。割当不能なステージ2の個別リスク引当金
は、5億ユーロから4億ユーロに減少し、ステージ1では4億ユーロから3億ユーロに減少した。
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ヘッジ会計および損益を通じて公正価値で測定されるその他の金融商品から生じる純損益 は657百万ユーロ
(2020年は – 412 百万ユーロ)であり、2021会計年度の数値は、主に株式投資ポートフォリオからのプラスの評価効
果によるものであったが、かかる効果は、ヘッジ目的で使用されるデリバティブの測定による純粋にIFRSに関連す
る影響により一部相殺されている。
損益を通じて公正価値で測定される株式投資ポートフォリオのプラスの変動は、前年のCOVID-19のパンデミック
による評価減に関する減損損失の戻入およびさらなる評価額の上昇の両方によるものであった。かかる変動はま
た、為替レート(特に米ドル高)由来の評価額の上昇にも起因していた。全体として、752百万ユーロの収益
(2020年は312百万ユーロの費用)という評価となったが、これは主に、448百万ユーロのプラス(2020年は-380百
万ユーロ)の評価効果をもたらした発展途上国および新興経済国支援事業部門における活動に起因している。DEG
の424百万ユーロの収益のうち、140百万ユーロは為替レート由来の評価額の上昇によるものであった。また、KfW
キャピタルの株式投資ポートフォリオの評価額は、194百万ユーロ(2020年は42百万ユーロ)上昇した。
外貨換算の損益は、 – 11 百万ユーロ(2020年は – 5 百万ユーロ)であった。
ヘッジ会計および公正価値で認識される借入金(ヘッジ目的で使用されるデリバティブを含む。)により、139
百万ユーロ(2020年は109百万ユーロ)の正味費用が生じた。時価評価のデリバティブは、経済的にヘッジされた
ポジションの一部である。しかし、ヘッジ関係の他の部分が公正価値で計上できない場合、または異なる評価方法
およびパラメーターが適用される場合においては、必然的に収益に一時的な変動がもたらされるが、これは取引の
期間中に完全に相殺される。
損益を通じて公正価値で測定される有価証券の測定では、損益のバランスが取れていた(2020年は – 5 百万ユー
ロ)。
公正価値で計上されない有価証券は、金融市場の推移により簿価と公正価値との間に純額で98百万ユーロ(2020
年は48百万ユーロ)のプラス差異を生み出した。かかる成長は、カバードボンドおよび国債の価値の上昇に一部起
因するものである。
有価証券および投資ならびに持分法により会計処理された投資からの純利益 は、10百万ユーロ(2020年は30百万
ユーロ)となった。持分法により会計処理された投資は、損益に14百万ユーロ寄与した。これは主に、KfWキャピ
タル事業部門における評価額の上昇によるものであった。
その他の正味営業収益 (助成費用前)は – 34 百万ユーロ(2020年は – 2 百万ユーロ)であり、前年の数値を下回っ
た。この項目には、KfW財団( KfW Stiftung )の基金の増加による13百万ユーロの費用も含まれる。
KfW グループの 収益状況にマイナスの影響を与えるKfWの国内における2021年の 助成費用 は188百万ユーロとな
り、前年の水準(88百万ユーロ)を上回るものの予想(364百万ユーロ)を下回ったが、これは低金利環境による
ものであった。
金利引下げは、KfWの助成費用の主要な構成要素である。KfWは、AAAの格付の影響を受けるその資金調達状況の
還元に加えて、KfWの収益状況にマイナスの影響を与える最初の固定金利期間中の国内の特定の助成ローンのため
に、これを行う。金利引下げの金額は、2021会計年度において144百万ユーロとなり、前年の数値(54百万ユー
ロ)を上回ったが、予想値(330百万ユーロ)は下回った。金利引下げの増加は、2021年第3四半期以降にKfWの融
資パートナーに対してマイナス調達金利を与えたことにより、引き下げられた金利での助成ローンの需要が増加し
たことに起因している。
貸出事業に加えて、KfWは、助成目的の補助金を特に気候変動対策キャンペーンならびにERPのデジタル化および
技術革新プログラムのために提供し、2021会計年度、その総額は18百万ユーロ(2020年は12百万ユーロ)であっ
た。これは、その他の正味営業収益において助成費用として計上された。
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さらに、正味受取手数料および一般管理費に計上される助成費用が26百万ユーロ(2020年は23百万ユーロ)発生
した。かかる支出は、とりわけKfWの助成商品の売上を目的としていた。
-137 百万ユーロの純法人税(2020年は-76百万ユーロ)の影響を考慮すると、 連結利益 は、前年(525百万ユー
ロ)を上回る2,215百万ユーロとなり、予想(793百万ユーロ)を上回った。
ヘッジ取引によるIFRSの影響を受ける前の連結利益 もまた、KfWがデリバティブ金融商品をヘッジ目的でのみ使
用していることを反映する、IFRSに従った連結利益に基づく重要な財務数値である。IFRSでは、デリバティブおよ
びヘッジの認識および評価の要件は、一時的な純損益を生じさせるが、これは全期間を通じて相殺される。このよ
うな背景から、-139百万ユーロ(2020年は-109百万ユーロ)となったヘッジ関係によるIFRSの影響は相殺消去され
る。
調整済収益状況は、2,354百万ユーロ(2020年は633百万ユーロ)の利益となった。連結利益の大幅な増加は主
に、リスク引当金によるプラスの効果および株式投資ポートフォリオの評価によるものであった。それ故に、持続
可能な潜在的収益である10億ユーロを上回る業績を残した。
純資産の推移
銀行および顧客に対する貸出は、2021年12月31日現在、グループ資産のうち80%(2020年は78%)となった。
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貸出額 は、前年を上回り、5,642億ユーロとなった。
貸出額
2021 年 2020 年
12月31日現在 12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
貸出金等 440,623 425,880
– 1,943 – 2,130
貸出事業に係るリスク引当金
正味貸出金等 438,680 423,749
金融保証事業による偶発債務 3,168 2,808
取消不能貸出コミットメント 111,376 105,282
10,999 11,239
信託に保有する貸出金等
564,223 543,078
合計
貸出金等は、2021年に147億ユーロ増加し、そのうち約60億ユーロは2020年KfW特別プログラム(特にKfW企業
ローン・プログラムおよびKfW即時ローン・プログラムを含み、これらの寄与は合計で76億ユーロであり、一方で
コロナウイルス特別プログラムの「シンジケートローンへの直接参加」は25億ユーロの減少を計上した。)に起因
していた。全体として、新規貸出事業における貸出金は、予定外の償還額(142億ユーロ。2020年は115億ユーロ)
および予定償還額を上回った。正味貸出金等は4,387億ユーロとなり、引き続き貸出額の78%を構成した。
金融保証事業による偶発債務は、前年の数値(2020年は28億ユーロ)から4億ユーロ増加し、32億ユーロとなっ
た。取消不能貸出コミットメントは、61億ユーロ増加して1,114億ユーロとなったが、これは未来基金に関連した
連邦政府に対する85億ユーロの取消不能コミットメントおよびKfW特別プログラムに基づく21億ユーロのコミット
メントによるものであった。主要なけん引役は、KfW企業ローン・プログラムおよびKfW即時ローン・プログラム
(合計で50億ユーロ)であり、コロナウイルス特別プログラムの「シンジケートローンへの直接参加」は – 32 億
ユーロを計上した。全体として、2021年のコロナウイルスに係る救済プログラムの需要は減少を記録した。信託に
保有する資産のうち、信託に保有する貸出金等の額(主に連邦共和国の予算資金から提供される発展途上国および
新興経済国を支援するためのローンで構成される。)は、2億ユーロ減少し、110億ユーロとなった。
その他の銀行および顧客に対する貸出金等は84億ユーロで、前年の107億ユーロを24億ユーロ下回った。かかる
減少のうち41億ユーロは、デリバティブ事業の担保管理に関連した現金担保に係る債権に起因するものであった。
その一方で、短期金融市場取引は20億ユーロ増加した。
有価証券および投資 の総額は、前年の水準を3%上回り、399億ユーロとなった。
有価証券および投資
2021 年 2020 年
12月31日現在 12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
債券およびその他の確定利付証券 35,774 35,779
株式およびその他の不確定利付証券 0 0
株式投資 4,015 3,016
68 48
非連結子会社株式
39,856 38,844
合計
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2021 会計年度の 有価証券ポートフォリオ は、ほぼ横ばいであった 。 株式投資 および 非連結子会社株式 のポート
フォリオは 10 億ユーロ増加し、 2021 年には 41 億ユーロとなった。かかる変動はとりわけ、特に発展途上国および新
興経済国支援事業部門ならびにKfWキャピタル事業部門において、評価額が7億ユーロ上昇したことによるもので
あった。
公正価値に基づく マクロヘッジ会計に係る評価差額 は、122億ユーロから76億ユーロ減少して46億ユーロとなっ
た。主にリファイナンス取引をヘッジするために使用される正の公正価値を有する デリバティブ は、前年の133億
ユーロから139億ユーロへと増加した。これは、ミクロヘッジ処理による評価差額が79億ユーロから84億ユーロへ
増加した結果であった。
KfW は、 中央銀行残高 を17億ユーロ減の424億ユーロとした。流動性ポジションにより、期待されるコロナウイル
ス救済措置の提供が引き続き確実となり、また、市場動向への早急な対応が引き続き可能となっている。財政状態
計算書の その他の資産勘定項目 については、わずかな変動があったのみである。
財政状態の推移
KfW グループの 国内資本市場および国際資本市場における資金調達戦略は、「ユーロおよび米ドル建のベンチ
マーク・プログラム」、「グリーンボンド-KfWによる発行」、「その他の公募債」および「私募」の4つの商品カ
テゴリーに基づいている。さらに、KfWは報告年度において、KfWコロナウイルス特別プログラムの一環として、政
府保有のWSFを通じた資金調達にアクセスした。2021年、KfWは、TLTRO-Ⅲを通じたユーロシステムの貸出条件付き
の長期資金調達への参加による資金調達を大幅に削減した。これにより、債務証書の形式による調達資金が総資産
に占める割合は、全体で81%(2020年は78%)に上昇した。
借入金 は、97億ユーロ増加して5,061億ユーロになった。
借入金
2021 年 2020 年
12 月31日現在 12 月31日現在
(単位:百万ユーロ)
短期資金 51,588 43,988
債券および手形 397,617 383,975
56,854 68,394
その他の資金調達
506,059 496,357
合計
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債務証書の形式で調達した資金は、223億ユーロ増加して4,476億ユーロとなった。かかる増加のうち136億ユー
ロは、引き続きグループの主要な資金調達源となっている中長期債および手形の発行額の増加に起因している。
2021年末において、これらの資金は3,976億ユーロ(2020年12月31日現在は3,840億ユーロ)に達し、借入金の79%
を占めた。短期コマーシャル・ペーパーの発行額は、87億ユーロ増加して500億ユーロとなった。要求払預金およ
び定期預金を含む短期資金の総額は、前年が440億ユーロであったのに対し、516億ユーロとなった。2020年にKfW
コロナウイルス特別プログラムに関連して注入された新規資金源の一部は削減された。これが主因となり、その他
の資金調達は115億ユーロ減の569億ユーロ(2020年12月31日現在は684億ユーロ)となった。これはまた、銀行お
よび顧客からの手形貸付(債務証書借入: Schuldscheindarlehen )が35億ユーロ減少して408億ユーロ(この大部
分はWSFを通じた資金調達)となったことに加え、TLTRO-Ⅲオペレーション4による貸出の134億ユーロ(名目)の
返済により、買戻し条件付契約が113億ユーロ減の21億ユーロ(2020年12月31日現在は133億ユーロ)と小規模で
あったことにも起因している。一方、主にデリバティブ事業による取引先リスクの縮小に寄与する受領した現金担
保は、40億ユーロ増加して90億ユーロ(2020年12月31日現在は49億ユーロ)となった。
貸出金をヘッジするために主に使用された負の公正価値を有する デリバティブ の簿価は、主に市場パラメーター
の変動により137億ユーロから73億ユーロ減少して、2021年末に64億ユーロになった。
財政状態計算書の その他の負債勘定項目 については、わずかな変動があったのみである。
株主持分 は342億ユーロで、2020年12月31日現在の水準(318億ユーロ)を24億ユーロ上回った。かかる増加は、
主として連結利益(22億ユーロ)によりもたらされた。ドイツ商法第340g条に基づき準備金の一部の4億ユーロを
戻入れたことにより、IFRSに基づく株主持分の再分類が行われたが、損益への影響はなかった。資本比率は、連結
利益により前年比で5.8%から増加し、2021年12月31日現在は6.2%となった。
株主持分
2021 年 2020 年
12 月31日現在 12 月31日現在
(単位:百万ユーロ)
払込済資本 3,300 3,300
資本準備金 8,447 8,447
ERP 特別基金からの準備金 1,191 1,191
利益剰余金 22,026 19,411
一般銀行業務上のリスクに対する積立金 200 600
– 957 -1,151
再評価準備金
34,207 31,797
合計
連結利益は、利益剰余金に割り当てられた。
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3) リスクの報告
主要な指標の概要
リスクは、KfWグループの内部リスク管理に従い、グループレベルで報告されている。主要なリスク指標を以下
に示している。
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2021 会計年度において、前年までと同様に、KfWグループは、現在の銀行の規制要件を踏まえた上で、リスク管
理および制御のプロセスおよび手段を改善した。信用リスク指標を計算するための新たなシステムが第2の柱につ
いて導入されたが、これは、第1の柱については前年においてすでに適用されていたものである。また、LGDおよび
EADのリスク指標を計算するための信用リスク測定手法がさらに展開され、EBA/GL/2017/06に規定されている新た
な要件(すなわち「新IRBA」)を反映するために採用されている。格付手順(PD)もまた、特に国および企業につ
いて改訂された。その他の注力分野には、リスク統制部における報告システムの拡大、ならびにグループ全体のプ
ロジェクトの一環としての環境、社会およびガバナンス(ESG)リスクの管理のさらなる展開が含まれていた。KfW
は、2020年末からこのプロジェクトの一環として持続可能な金融のコンセプト(トランスフォーム
(tranSForm))を実施しており、それにより、経済および社会が持続可能なネット・ゼロの温室効果ガス排出量
の未来に向けて前進することを支援するため、2030年気候行動プログラムに定められたマンデートに沿って、変革
をもたらす助成銀行へと進化している。
KfW グループの 主たる目的は、「経済および社会を変革し、世界中の経済的、環境的および社会的生活条件を改
善すること」である。KfWは、これに基づき、環境、社会およびガバナンスのリスク(以下「ESGリスク」とい
う。)を今後さらに早期に特定および評価し、増大する規制要件を考慮に入れるために、ESGリスクの管理を強化
している。ESGリスクに関するプロジェクトの現在の焦点は、ESGストレス・テスト機能のさらなる開発、およびリ
スクに関連する各事業パートナーのESGリスクの評価をESGリスク・プロファイルの形で保存するためのESGリス
ク・データベースの設計である。ESGリスクは、特にリスク戦略の一環としての債務者格付、信用評価およびポー
トフォリオ分析に関連して、リスク管理においてすでに対処されている。
リスク管理の基本方針および目的
KfW グループには法で定められた助成任務がある。持続可能な助成は、KfWグループの最も重要な目的である。リ
スク管理の目的は、グループがその現在のおよび予想される利益状況ならびに資金源との関連で管理できると思わ
れる範囲でのみリスクを負うことである。KfWグループのリスク/リターン管理は、利益創出を第一の目的とせず、
トレーディング勘定を持たない助成銀行のビジネスモデルを考慮に入れたものであり、規制要件の適切な実施を
KfWグループの事業活動の基本的な必須条件としている。
助成銀行のビジネスモデルが、4つの規制に基づく要素(リーダーシップカルチャー、責務、意思疎通およびイ
ンセンティブ)を有するグループのリスクカルチャーを決定づけている。従業員のインセンティブ構造および従業
員の責務は、これに応じて設計されている。経営幹部が望ましい行動規範を規定し、実行にあたっての具体例を定
めており、関係諸機関との意思疎通または関係諸機関を通じた意思疎通により、望ましい意見交換が確立されてい
る。
最近の動向
当会計年度を通じて継続したCOVID-19のパンデミックは、引き続きKfWに様々な課題を提示し、その結果として
生じる影響について継続的な管理が必要となった。
したがって、オペレーショナル・リスクに対処し、事業運営を維持するために前年においてすでに採用されてい
た手続は、概ね継続され、パンデミックの進行状況に応じて、定期的に対策の見直しおよび調整が行われている。
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EU においてワクチンが利用可能になるとすぐに、KfWは、従業員にワクチン接種を提供するための措置を講じ、
非常に好意的に受け入れられた。ウイルスの深刻な変異種が新たに出現したことを受けて、第4四半期には、ワク
チンの追加接種を提供することにより、従業員の安全および事業運営の安全を引き続き高い水準で確保するための
措置が講じられた。
2020 年と同様に、COVID-19のパンデミックは、2021年の世界経済情勢を左右した。2020年において経済生産が著
しく落ち込んだ後、2021年にはほとんどの国において景気回復がみられたものの、その強度と速度は様々で、(新
たなウイルス変異のリスク等を理由として)安定性および継続性の面での不確実性の増大が依然として際立ってい
る。2020年にすでに大きな打撃を受けた国々(すなわち、その信用格付が危機以前からすでに低かった国、観光業
に大きく依存している国、財政の余裕のない国、ワクチン接種率が低い国、またはとりわけ対外貿易面で脆弱な
国)が、2021年においても依然としてパンデミックにより大きな影響を受けた。KfWは、パンデミックが始まって
以来、この状況を考慮し、対策を講じてきた。2020年3月以降、特に大きな打撃を受けた多くの国々において、公
共部門における新規事業に対する担保要件が(場合によっては大幅に)引き上げられた。特にサハラ以南のアフリ
カ、中東・北アフリカおよび中南米の国々について、2020年にすでにほとんどの格付変更が行われていたものの、
2021年には、特にこれらの地域の国々が再び格下げとなった。これらの格下げにより、適用される国において限度
額が潜在的に引き下げられることになる。このような信用の質の低下は、関係国における取引先の企業格付および
銀行格付にも影響を及ぼしている。さらに、長期にわたるパンデミックの影響についてシミュレーションを行うた
め、国、銀行および企業を対象にストレス・テストが実施された。
総じて、2021年において、世界中の銀行が、前年に比べて安定した発展を示した。特にトルコおよびブラジルの
銀行においては、早期警戒の兆候(主にCDSスプレッドの拡大および株価の下落)という形で異常事態が発生し
た。これは、両国が直面している多面的な問題から生じている厳しい実体経済の状況を反映している。しかしなが
ら、トルコおよびブラジルでは、状況がますます厳しくなっているものの、銀行はこれまでのところ、この状況に
対処できている。
2020 年におけるCOVID-19のパンデミックの発生を受けて、KfWのリスク管理部は、銀行市場および個々の銀行の
監視を強化した。KfWは、2021年においても各国の銀行市場および個々の銀行に関連するリスクの分析を継続し、
政府による支援策を考慮した上で、パンデミックの予想される影響を判断している(すなわち「ヒートマッ
プ」)。2021年において、銀行ポートフォリオの定期的な格付の変更は、前年に比べて大幅に少なかった。2020年
において、事業パートナー/金融機関の30%近くが格下げとなり、ポートフォリオのわずか5%が格上げとなった。
2021年の格付サイクルは、大部分が格付維持(75%)であった。格付の悪化はポートフォリオの10%強に留まり、
ほぼ15%が改善を示した。このプロセスでは、COVID-19のパンデミックにより生じた個々の銀行市場または事業モ
デルにおける危機の兆候は、まだ明らかになっていない。
これまでのところ、各国の銀行規制当局および政府による協調的な支援により、ほとんどの銀行/銀行市場にお
いてCOVID-19のパンデミックによる悪影響が軽減されている。しかしながら、KfWは、多くの国において返済猶予
の一部について期限が延長されたことが、中期的には将来における信用の質に対する潜在的なリスクとなると考え
ている。COVID-19のパンデミックにより、企業部門に対して深刻な悪影響が生じている。これらの課題に直面し、
KfWおよびその子会社は、パンデミックの発生当初から、広範なリスク/ポートフォリオおよび信用管理措置をとっ
てきた。これには、格下げのほか、より集中したモニタリング活動、有形担保価値の調整、リスク・ガイドライ
ン、リスク勧告および部門別限度額の見直しおよび(該当する場合は)調整、ならびに重要な部門における厳格な
管理およびリスク削減の実施が含まれる。2021年末の感染率の上昇(デルタ株/オミクロン株)に加え、深刻な資
材不足、サプライチェーンのボトルネックおよびインフレ率の上昇/エネルギー価格の急上昇にもかかわらず、企
業部門の状況は前年に比べて安定している。その結果、2021年に実施された格下げは、パンデミックの最初の年に
比べて、大幅に減少した。回復の過程は、依然として部門によって大きく異なり、一部の産業はパンデミックによ
りさらに大きな打撃を受けている。
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危機によるローン・ポートフォリオへの影響は、航空(空港等の関連インフラを含む。)といった、輸送に関連
し、かつサービス産業と密接に関係のある部門、およびその大部分が政府の信用保険によって担保されているク
ルーズ船ポートフォリオにおいて、依然として特に顕著である。これらのセグメントの一部においては、格付が大
幅に引き下げられ、リスク引当金の必要性が高まった。また、主に航空、交通および運輸部門、海運業部門、なら
びに資源およびリサイクル部門の顧客との間で、条件緩和方策について合意した。危機により特に打撃を受けた航
空セグメントでは、E&P事業部門の既存事業について2020年に採用したポートフォリオ戦略を継続し、重大なエク
スポージャーを削減した。
一方、2020年にパンデミックに起因する成長鈍化により特に大きな打撃を受けた基幹産業等の景気循環セクター
は、需要の力強い回復およびキャッチアップ効果による大幅な価格上昇の恩恵を享受し、このセグメントの格付は
全体的に向上した。
COVID-19 の パンデミックのピーク後、2021年において世界経済の回復は鈍化し、2022年において危機前の状況ま
で回復する見通しは薄れた。この傾向の要因は、サプライチェーンおよび輸送網の混乱(もはやパンデミックのみ
が原因ではない。)のほか、産業部門における原材料、リサイクル可能廃棄物および半製品の不足の深刻化の兆候
である。これらの不確実性は、エネルギー価格の上昇を伴う。
これは、2022年における景気回復の程度および時期の予測が依然としてかなり不安定であることを意味する。現
在のオミクロン株の出現によるパンデミックの拡大は、この不確実性をさらに増大させる。その結果、サプライ
チェーンの新たなボトルネックによりインフレが悪化し、中央銀行が金融政策の転換を加速させるリスクがある。
金利の上昇が加速するにつれて、世界の成長見通しが低下し、世界の新興経済国の通貨に大きな圧力がかかるリス
クがある。
リスク管理およびモニタリング体制
リスク管理機関および責任
KfW の 執行理事会は、その責務全般の一部として、KfWグループのリスク管理方針を定めている。監事会は、KfW
グループのリスク状況について、少なくとも四半期毎に情報提供を受けている。監事会が設置したリスク・信用委
員会は、主にKfWグループの現在および将来の全体的なリスク許容度およびリスク戦略に関する監事会への助言に
つき責任を負い、かかる戦略の実施を監視することにより監事会を支える。同委員会は、KfWの定款に基づき委員
会の許可が必要とされるローン(経営陣へのローンを含む。)の承認、事業レベルでの株式投資、資金調達および
スワップ取引に関する決定を行う。監査委員会は、とりわけ会計処理ならびにリスク管理システムおよび内部統制
の有効性の監視を行い、また、KfWの年次財務書類および連結財務書類の承認につき、監事会に提言を行う。
グループのリスク管理は、相互に連携している様々な意思決定機関によって行われる。組織の頂点に立つのが執
行理事会であり、リスク管理方針において重要な決定を行う。執行理事会の下の階層には、執行理事会のために決
定の起草を行い、またその権限の範囲内において独自の決定をも行う3つのリスク委員会(信用リスク委員会、市
場価格リスク委員会およびオペレーショナル・リスク委員会)がある。かかる委員会はKfWグループの管理機能も
果たすため、KfWの子会社の代表者も含まれる。内部監査部も、委員会にゲストとして出席する権利を有する。格
付システム作業部会、担保作業部会、ソブリン格付作業部会、部門別リスク作業部会、市場価格リスク作業部会、
ヘッジ委員会およびオペレーショナル・リスク作業部会がこれらの委員会を支えている。委員会による決議は、単
純多数により採択され、経営管理部および事務処理部( Marktfolge )ならびにリスク制御部が決定に対する拒否権
を持つ。すべての委員会は、執行理事会に上申することができる。
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信用リスク委員会
信用リスク委員会は、CROが委員長を務め、週に1回開かれる。当該委員会の議決権を持つ他の委員は、信用リス
ク管理部の部長、フロント・オフィスの責任を有する執行理事およびKfW IPEX銀行のCROである。DEGのCROは、ゲ
スト資格を有する。毎週行われる信用リスク委員会の会議は、特に、与信承認方針に合致した貸出に関する重要な
決定に関係し、そこではKfWの子会社のエクスポージャーも提示される。さらに、カントリー・リスクおよび部門
別リスクを含む現在のローン・ポートフォリオの推移については必要に応じて議論され、DEGのCROもこれらの議論
において議決権を有し、リスク問題について責任を負うKfWキャピタルのマネージング・ディレクターは、ゲスト
資格を有する。(総合)信用リスク委員会は、月に1回、各作業部会において対処した事項に関する提出物を承認
し、包括的な信用リスクの問題に関して議論し、コンピテンシー・マトリックスに基づき重要な調整事項に関して
決定を行う。これには、とりわけ、リスク状況およびリスク管理ならびに信用リスクの方法および管理方針につい
ての報告および決議案の起草が含まれる。規制要件の進展、その影響およびKfWグループにおける実施プロジェク
トの進捗状況についても報告される。このため、信用リスク委員会の委員構成は、リスク制御部の部長、DEGのCRO
およびリスク問題について責任を負うKfWキャピタルのマネージング・ディレクターを含むよう拡大された。信用
リスク委員会は、様々な作業部会により支えられている。ソブリン格付作業部会は、カントリー・リスクを評価す
る中心的な部会として役割を果たしている。担保作業部会は、担保の承認・評価に関連する方法論上および手続上
の問題ならびに決定、特に、使用する手法の(さらなる)開発、有効性評価結果の承認および担保管理手順の調整
に関して、委員会を支援する。格付システム作業部会は、信用リスク測定手段および格付手順につき責任を負う。
部門別リスク作業部会は、グループ全体の専門家委員会であり、コーポレート・セグメントにおける部門および商
品に関連する信用リスクについて分析する。各作業部会が行った決定、提出した報告書および対処したその他の重
要な議題については、各作業部会の議事録を通じて信用リスク委員会に伝達される。
市場価格リスク委員会
市場価格リスク委員会は、毎月、または必要に応じて随時開かれ、CROが委員長を務める。CROのほか、資本市場
事業および財務に責任を負う執行理事も当該委員会に参加している。当該委員会の委員には、リスク制御部、金融
市場部、経理部および取引管理部の各部長ならびにKfW IPEX銀行およびDEGのCROも含まれる。市場価格リスク委員
会は、KfWグループの市場価格および流動性のリスク・ポジションについて議論し、毎月市場価格リスク戦略を評
価する。また、当該委員会は、市場価格リスクおよび流動性リスクの管理に適用される原則および方法に関する問
題について決定し、資金調達、移転価格および商取引のための評価について決定する。市場価格リスク委員会は、
ヘッジ委員会および市場価格リスク作業部会によって支えられている。ヘッジ委員会は、主にIFRSのヘッジ会計の
利益への影響およびそのさらなる展開に対応する。市場価格リスク作業部会は、測定に関する問題のみならず市場
価格リスクおよび流動性リスクに関連する方法論的な問題についても扱う。これには、モデル策定、検証および財
務報告測定に関する事項(特に、検証報告書の承認および検証から推奨される事項に関する決定)が含まれる。対
処すべき事項に関する決定は、市場価格リスク作業部会が直接行うか、市場価格リスク委員会に付託するために準
備する。
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オペレーショナル・リスク委員会
オペレーショナル・リスク委員会は、四半期に1度開かれ、部署横断的管理ならびにオペレーショナル・リスク
および風評リスクに関して必要な決定および承認、また事業継続性管理を含むグループのセキュリティについて執
行理事会を支えている。CROがオペレーショナル・リスク委員会の委員長を務める責任を有する。原則として、銀
行のすべての分野が当該委員会に(選出される場合は代表制で)参加する。さらに、KfW IPEX銀行、DEGおよびKfW
キャピタルからマネージング・ディレクターレベルが当該委員会に参加している。当該委員会は、グループ全体の
管理方法についての決定も行う。さらに、当該委員会は、様々な方法および手段を通じて得られた結果に基づくリ
スク状況について議論し、適切なリスク管理を目指してグループ全体の措置の必要性についての評価を行う。オペ
レーショナル・リスク・モデルの検証結果が承認される。事業継続性管理の分野において、当該委員会は、年次の
ビジネス・インパクト分析の結果を用いて、危機回避および緊急計画措置を策定している。モニタリングは、計画
または実施された緊急対策および危機対応チームによるテストならびに重大な事業の混乱についての報告に基づい
て行われる。当該委員会の会議資料は、議事録ならびにこれに含まれる決議および提言とともに、執行理事会に提
出される。当該委員会は、グループのセキュリティおよび事業継続性管理に関する事項に対処するためのグルー
プ・セキュリティ理事会ならびに分権化されたオペレーショナル・リスクおよび事業継続性管理のための部門の責
任者との交渉に携わる作業部会としてオペレーショナル・リスク作業部会を組成した。
さらに、KfWグループの子会社および組織事業体は、グループ全体のリスク管理システム内でそれぞれ自己制御
機能を実行している。当グループ全体のプロジェクトや作業部会は、子会社に対する格付手段の展開や担保の管理
および評価等において、グループ全体での対処を実行するために設置されている。リスク管理およびリスク制御活
動を開発し構築する責任は、フロント・オフィス部門外の特にリスク制御および信用リスク管理の分野に含まれて
いる。
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KfW グループのリスク管理手法( 概要)
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定義されたリスク選好に沿った自己資本充実度および流動性充実度を確保するため、リスク制御部は、関連する
子会社であるKfW IPEX銀行、DEGおよびKfWキャピタルとともに、グループのリスク戦略の策定および実施にあたり
執行理事会を支えている。
リスク戦略により、KfWグループの長期目標および戦略的リスク目標がオペレーショナル・リスクの管理へと変
更された。これには、主要な事業活動に関するリスク管理目標および目的達成のための手段を設定すること、なら
びにKfWグループの主要なリスクに関するリスク選好を決定することが含まれる。
KfW グループは、その重要なリスクを決定するために、少なくとも年に1度 リスク調査 を行っている。リスク調査
は、グループに関連あるリスクタイプを特定・定義し、これらの重要性の評価をする。リスクタイプが重要である
かは、KfWグループの純資産、利益および流動性に係る潜在的危険性によって決定される。重要性の評価は、(既
存のリスク緩和措置を考慮した)定量化された正味リスクおよび総リスクの両方に着目して行われる。リスク調査
の主な結果は、KfWグループの重要なリスクタイプと重要でないリスクタイプの概要を提供する総合的なリスク・
プロファイルである。2021年の調査は、KfWグループが以下の重要なリスク、すなわち信用リスク、市場価格リス
ク、流動性リスク、オペレーショナル・リスク、株式投資リスク、規制リスク、プロジェクト・リスク、風評リス
クおよびグループ内リスクに直面することを特定した。リスク調査では、特定のリスクタイプ内または複数のリス
クタイプにまたがる重要なリスクに関連するリスクの集中度が考慮されている。加えて、リスク調査においては、
ESG(環境、社会およびガバナンス)リスクおよびCOVID-19のパンデミックが総合的なリスク・プロファイルへ及
ぼす影響についても査定された。
執行理事会は、KfWグループのリスク状況について月に1回報告を受けている。リスク報告書は、KfWグループの
監督機関宛てに四半期毎に発行される。それぞれの組織には、必要に応じて随時通知される。
グループ全体のリスク測定および管理ならびに財務報告測定に使用されるモデルは、定期的に検証され、必要に
応じて見直される。かかるモデルには、信用リスク、株式投資リスク、市場価格リスク、流動性リスクおよびオペ
レーショナル・リスクを測定および管理するモデルならびに財務報告測定に関するモデルが含まれている。「プロ
ジェクト・リスク」リスクタイプのための測定を目的とするモデルは、重要として分類されており、定期的な評価
の対象となっている。
リスク管理手法は、グループの手続規則に記載されている。手続規則は、リスクの特定、測定、制御およびモニ
タリングを目的とした、統一された方針および手順の適用のための枠組みを定めている。手続規則に記載された規
則および規制は、グループ全体を拘束し、イントラネット上で公開することで従業員が閲覧することができる。
KfWグループ全体に関する規制は、各事業部門の個別の規則により補完される。KfWグループのリスク管理手法のそ
の他の要素の詳細については、下記の項を参照のこと。
ICAAP
グループの自己資本充実度に関する評価プロセス(以下「ICAAP」という。)は、2つの観点によって特徴が分類
される。
ICAAP の規範的観点の目標は、特に、運営の継続性である。この目的を達成するため、CRRおよびドイツ銀行法に
従った第1の柱の規制上の自己資本要件および監督上の自己資本要件が、継続的かつ長期的な視点の両方で確保さ
れる(規範的自己資本計画)。総自己資本比率は、基本シナリオに加えて、悪化シナリオにおいても検討されてい
る。これは、自己資本に関するボトルネックの早期発見を可能にするためである。これはまた、第1の柱の下で、
明示的に資本による裏付けが必要とされていないリスクから生じる潜在的な効果も考慮に入れている。戦略的なリ
スク許容能力の目標の到達はまた、KfWの計画および管理プロセスにおいて監督されている。大口エクスポー
ジャー規制およびレバレッジ比率の動向は、さらなる構造的な資本要件として監視されている。
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ICAAP の 経済的観点は、金融機関の経済的実体を保護する役割を果たしている。これは、報告日現在の利用可能
な自己資本(利用可能な財源)と、同日時点で引き受けたリスク(自己資本に対するすべての重要なリスクについ
ての経済的資本要件(以下「ECAP」という。))を比較することにより達成される。自己資本およびリスクの数値
の両方が現在価値を基準としており、かつ、定点的である。すなわち、これらは、新規事業または期待される結果
を考慮していない。利用可能な財源は、減損資産および未収利益の調整後の規制資本に基づいている。経済的資本
の必要額は、リスク測定の信頼水準に大きく左右されて決定される。複数年資本計画のプロセスは、経済的リスク
許容能力の定期的な予測を含まないが、リスク許容能力に対して重大な影響を及ぼす可能性のある将来的な展開が
質問リストを通じて見つけられた場合は、必要に応じて、経済的リスク許容能力の徴候予測が作成されることがあ
る。
ICAAP は、 その適切性を確保するために毎年見直される。この見直しの結果は、リスク許容能力の評価において
考慮される。
ICAAP の 両方の観点はいずれも、困難な経済状況(景気後退およびストレス・シナリオ)をシミュレーションす
る形式で定期的に行われるストレス・テストを含んでいる。これに関連して、規範的リスク許容能力および経済的
リスク許容能力に関連する主要指標の限界値を定めた警告システムが設けられ、これは、戦略的運用管理の一環と
して危機的状況が生じた場合に行動を起こす必要性を知らせるものである。
リスク許容能力を確保するために、各事業部門/分野のCRR第92条に準拠したリスク・エクスポージャー合計に基
づく予算が考慮される。配分された予算は、様々な種類のリスクについて各事業部門/分野が既存事業および新規
事業を支援するために利用することができる。資本配分は、KfWグループの事業部門の年次計画プロセスの一環と
して実施される。各事業部門および分野の計画により生じた要件に加えて、かかるプロセスは、リスク目的および
当公庫のリスク選好も考慮に入れる。月毎に予算遵守状況が確認され、必要に応じて措置が実施される。さらに、
経済的資本予算は、その集中管理かつ限界変数として、重大なリスクタイプ毎に設定されており、毎月監視され
る。
規範的リスク許容能力
主要な規制数値
2021 年 12月31日現在 2020 年 12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
CRR 第92条に準拠したリスク・エクスポージャー合計 135,135 124,237
信用リスク 127,261 116,690
市場価格リスク 2,488 2,234
オペレーショナル・リスク 5,386 5,313
規制資本 32,335 30,129
(普通株式) Tier 1 資本
32,279 29,896
追加的 Tier 1 資本
0 0
Tier 2 資本
57 233
CET 1 比率
23.9% 24.1%
Tier 1 資本比率
23.9% 24.1%
総自己資本比率 23.9% 24.3%
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KfW は、 IRBAに基づき、重要な部分のリスク・エクスポージャーの合計を計算している。自己資本比率の低下は
主に、CRRⅡの実施、方法論的調整(特に、規制上のIBRA要件の適用)および多くのストラクチャード・ファンド
の証券化としての再分類によるものである。2021年末の総自己資本比率は23.9%であり、これは全体の自己資本要
件を引き続き上回った。2022年1月12日に発表されたマクロ・プルーデンス措置(国内の景気連動抑制的資本バッ
ファーの増加および住宅用不動産融資による特定のリスクへの対処)がKfWグループに与える影響は低いと予想さ
れる。住宅関連のプログラムは転貸事業の一部として実行され、最終借入人の譲渡により担保されるため、KfWの
ポートフォリオには、住宅用不動産により担保される重要なエクスポージャーは含まれていない。現在のインパク
ト分析によれば、ドイツの景気連動抑制的資本バッファーが0.75%ポイント引き上げられることにより、自己資本
要件が2023年2月1日から0.2%ポイント上昇することが見込まれる。
総自己 資本比率の最低要件
2021 年 12月31日現在 2020 年 12月31日現在
TSCR 12.5% 13.0%
資本保全バッファー 2.5% 2.5%
景気連動抑制的資本バッファー 0.08% 0.03%
1.0% 0.66%
その他のシステミック・バッファー
16.1% 16.2%
全体の自己資本要件(OCR)
経済的リスク許容能力
経済的リスク許容能力を評価するために、KfWグループは、重要な定量化できるリスクによる潜在的損失に係る
経済的資本要件を、利用可能な財源を伴った自己資本と比較している。利用可能な財源の基盤は、CRR第25条から
第91条(第2部)に従った規制資本であり、以前に認識されていない未収利益、有価証券の隠れ負担金、自己資本
控除項目の一部および利用可能なTier 2資本が調整されている。
KfW グループは、経済的資本要件の計算を1年の対象期間に基づき行っている。様々な種類のリスクに係る経済的
資本要件は、加算によって合計され、多様化の効果は考慮しない。
信用リスク とは、事業パートナーがKfWグループに対する支払義務を全く履行しない場合、期限までにもしくは
満額で履行しない場合(債務不履行)、または事業パートナーの信用格付が悪化した場合(マイグレーション)の
損失リスクを意味する。信用リスクは、デリバティブ取引の決済リスクおよびデリバティブ・エクスポージャーに
関連する信用評価調整(以下「CVA」という。)リスクを含む。信用リスクに係る経済的資本要件は、主に統計モ
デルを用いてリスク制御部が数値化する。取引先リスクおよびマイグレーション・リスクに関する損失可能性は、
ローン・ポートフォリオ・モデルおよびリスク尺度である「クレジット・バリュー・アット・リスク」を用いて計
算される。クレジット・バリュー・アット・リスクと予想損失との差異を経済的資本要件という。CVAリスクの経
済的資本要件は、第1の柱のCVA負荷に基づいており、経済的に関連ある側面(その他のリスク関連項目の考慮およ
び内部格付の使用を含む。)が調整されている。決済リスクについては、経済的リスク許容能力の計算に、異なる
定量化アプローチに基づいて決定された毎年見直されるバッファーが適用される。
2021 年1月以降、事業レベルでの株式投資における経済的資本要件は、ポジションの価値の起こりうる変動を考
慮し、それにより、ドイツ中央銀行のガイドライン「銀行内部の自己資本の概念およびリスク管理プロセス
(ICAAP)への統合に関する監督上の評価-アップデート版」(2018)[1]57段落に定められた対応する要件を満た
すために、新しいアプローチを用いて測定された。
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市場価格リスクの経済的資本要件は、バリュー・アット・リスク(以下「VaR」という。)の概念に基づいて計
算されている。第2の柱の経済分析は、銀行勘定における金利リスク(共同分析されるサブリスクタイプ(金利リ
スク、期間ベーシス・スプレッド・リスクおよびクロスカレンシー・ベーシス・スプレッド・リスク)から成
る。)(以下「IRRBB」という。)、外国為替リスク、有価証券の信用スプレッド・リスクおよび金利変動リスク
を考慮している。現在の価値または価格に係る損失可能性については、過去のシミュレーションに基づくVaRを用
いて市場価格リスクのタイプ毎に決定される。最終的に経済的資本要件は、様々なサブタイプの市場価格リスクの
多様化の効果 を考慮した、VaRの合計として決定される。
オペレーショナル・リスク の 経済的 資本要件は、最新の測定方法に関する規制要件に由来する内部統計モデルを
用いて計算される。内部事象や外部事象に関するデータおよびリスク・シナリオには、リスク感応度の高い方法を
用いている。自己資本要件は、グループレベルで多様化の効果を考慮して計算され、その後、各事業部門に振り分
けられる。さらに、グループ内のオペレーショナル・リスク管理の質の測定は、プレミアムを生じさせる可能性が
あり、かかるプレミアムは自己資本要件に充当される。
リスク許容能力の概念には、 プロジェクト・リスク も考慮される。プロジェクトの数値化された個別リスクやビ
ルディング・ブロック(ITのさらなる開発活動を束ねるために使用されるアジャイル導入ユニット)およびプロ
ジェクト・ポートフォリオにおける潜在的損失に関する一般的な想定の両方がリスク測定に含まれている。ビル
ディング・ブロックは、IT部門および部門スタッフの混合チームで構成される。
さらに、ICAAPの年次充実度評価の中心的な結果、モデルの脆弱性および経済的リスク許容能力における予測可
能な方法論的変更をカバーするために、 モデル・バッファー が適用された。
この方法を用いると、2021年12月31日現在の経済的リスク許容能力は、99.90%の信頼水準を満たした。2021年
12月31日現在の17,579百万ユーロのTSCR額を上回る利用可能な財源の超過分カバレッジは、2020年12月31日現在の
数値(14,523百万ユーロ)と比べて増加した。これは主に、特に2021年の未収連結包括利益により牽引された、利
用可能な財源の増加によるものである。さらに、自己資本要件は、特に信用リスクおよび市場価格リスクにおいて
低下している。信用リスクにおける自己資本要件が低下したのは、主に信用リスク測定に用いられるシステムおよ
び方法を根本的に変更したためである。市場価格リスクにおける自己資本要件の低下は、ユーロ金利勘定における
非戦略的ポジションのヘッジによる金利リスクの低下によるものである。一方で、株式投資リスクが増加したの
は、新たな価値ベースのリスク測定システムの導入の結果である。また、オペレーショナル・リスクにおける自己
資本要件が増加したのは、特にモデルに含まれるリスク・シナリオの更新によるものである。モデル・バッファー
は、信用リスク手法の強化および株式投資リスク測定の実施等の理由により、年度内に減少した。
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グループは、主に内部のリスク指標に基づき、 流動性リスク を管理している。さらに、流動性ギャップの最大限
度(月次および年次ベースでの支出)、利用可能な流動性(潜在的流動性)および流入と流出の平均残存期間の差
異(マチュリティ・ギャップ)が監視される。KfW法に基づき、KfWの流動性リスクは、KfW法第4条に従った利用閾
値により、追加的に制限されている。利用閾値は、流動負債および固定負債を比較し、10%を超えてはならない。
流動性の状態に関する内部指標は、異なる深刻さのストレス・シナリオにおける比率としての流動性要件および潜
在的流動性の比較に基づいている。リスク許容能力の計算の一環としての資本は、現在割り当てられていない。
風評リスク は、定性的基準に基づいて評価および管理される。現在、リスク許容能力の計算の一環として、自己
資本の裏付けは行われていない。風評リスクが重要であるのは、主としてKfWが政府所有の機関であること、また
このために倫理、ガバナンスおよびコンプライアンス基準といった点で相応する期待を寄せられていることによ
る。したがって、その重要性は、KfWグループの純資産、収益または流動性において確認された減少または潜在的
な減少に基づくものではない。
各リスクの認識モデルは、複雑な現実を単純化したものであり、過去に確認したリスク・パラメーターが将来の
傾向を示すものであるとみなしうるという前提に基づいている。潜在的要因とその複雑な相互作用のすべてが特定
され、ポートフォリオのリスク推移のモデルとなるわけではない。これに対処するため、モデルの設計においては
安全裕度を設定し、経済的リスク許容能力の計算においては補完的なモデル・バッファーを含めている。KfWグ
ループが信用リスク・モデルと市場価格リスク・モデルの双方でストレス・テストを実施している理由の1つはこ
こにある。グループは、現行の銀行規制に沿ったリスク・モデルおよびリスク・プロセスの改良を継続している。
ストレスおよびシナリオ計算
ICAAP において、早期発見機能を確保し予防的措置を重視するために、KfWグループは、四半期毎に多様なシナリ
オ(基礎または予測シナリオ)、下降シナリオ(軽微な景気後退)およびストレス・シナリオ(深刻な不況)、な
らびにそれぞれがリスク許容能力に与える影響を監視している。これらの分析は、これらのシナリオの1つが発生
した場合のグループの回復力および対処力を示している。基礎シナリオおよびストレス・シナリオはまた、レバ
レッジ比率を考慮している。
基礎シナリオには、規範的リスク許容能力に影響を与える業績予想、連結包括利益予想およびその他の影響(例
えば、予測可能な資本構造の変化および方法論的推移)が含まれる。また、予想される経済発展による収益状況お
よびリスクの状態への不利な影響も考慮される。
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下降シナリオおよびストレス・シナリオでは、基礎シナリオに対して、予想されるマイナスの影響だけでなく、
(貸借対照表の日付現在のリスク許容能力に直接関連する経済的観点における)予測期間中の様々な深刻度の収益
へのマイナスの影響と自己資本要件の変化について、シミュレーションを行っている。ストレス・シナリオは、長
期的かつ深刻な世界的不況を想定している。両シナリオにおいて、グループは現在、信用リスクおよび株式投資リ
スクのさらなる増加を予想している。これらのシナリオでは、ユーロおよび米ドルの金利ならびにユーロおよび米
ドルの為替レートが経済状況に応じて変動すると予想されている。同時に、市場の不確実性の高まりが、金利、通
貨および信用スプレッドの変動の増大をもたらすと予想され、その結果、類似の種類のリスクに係る経済的資本要
件も増加すると予想されている。有価証券の価格、オペレーショナル・リスクおよびプロジェクト・リスクからの
損失もストレス・シナリオにおける自己資本をさらに減少させる。
全体的にグループは、分析されたシナリオにおいて、99.90%の信頼水準を含む経済的リスク許容能力要件を満
たしている。規制上の自己資本比率およびレバレッジ比率は、リスク選好に定義された閾値を超えている。
2021 年の ストレス・テストの取組みにおいては、COVID-19のパンデミックおよびその余波の影響に係るシミュ
レーションが重視された。また、金利の急上昇がもたらす潜在的な影響も分析された。現在の潜在的なマクロ経済
的リスクによるシナリオに加えて、KfWグループの経済リスク許容能力および規範リスク許容能力の回復力ならび
に流動性資源を検証するため、さらなるストレス・テストが定期的に実施される。 感応度分析および 標準的なスト
レス・テストに加えて、コンセントレーションおよびインバース・ストレス・テストもまた、コンセントレーショ
ンリスクおよびその他の潜在的危機がどのようにKfWグループの事業モデルを脅かすかを示すために実施された。
2021年には、銀行ポートフォリオにおけるESGリスクに特に重点が置かれた。さらに、2021年に気候ストレス・テ
ストが実施され、2050年ネット・ゼロ戦略に従ってダイレクト・カーボン・プライシングに関連するポートフォリ
オの移行リスクが検証された。
実施されたシナリオ計算およびシナリオ・テストは、KfWグループのリスク許容能力および流動性資源について
重大な対策の必要性を示すものではない。バーゼルⅢの最終化による潜在的な影響については、2021年10月に公表
されたCRRⅢ草案に起因する不確実性が大幅に減少したほか、当公庫の標準的なリスク許容能力に予想されるマイ
ナスの影響(欧州委員会の提案を、EU加盟国の「中央政府」リスク・エクスポージャー区分において、連邦共和国
およびドイツの公共団体のみに適用されるゼロ加重エクスポージャーの継続を想定した標準的な規範的リスク許容
能力シナリオへ組込むこと)も減少した。グループは、規制要件の最終化に関連する変化を注視している。
KfW の ストレステスト・プログラムは、内部および規制要件を満たすため、銀行全体の経営陣による構成要素と
してのストレス・テストおよびシナリオ計算をさらに強化することを目的として、年次適切性評価の対象となって
いる。
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リスクの種類
取引先の債務不履行リスク
注1)
KfW グループは、その助成任務に関連して取引先の債務不履行リスク に直面する。国内助成貸付事業におい
て、最終借入人の債務不履行リスクの大半は転貸機関により負担される。ビジネスモデルにより、かかる負担が
ポートフォリオにおける銀行リスクの大部分を占める結果となっている。その他の主なリスクは、中小企業向けの
起業融資の分野における助成活動および株式投資により生じる。特に、これらの国内助成セグメントにおいて、
KfWグループは最終借入人から生じるリスクも負う。さらに、KfWグループは、輸出金融およびプロジェクト・ファ
イナンス事業部門ならびに発展途上国および新興経済国支援に関連するリスクにも直面する。
注1)
取引先の債務不履行リスクは、借入人または取引先が契約上の支払債務を履行しない場合に生じうる財務上の損失リスクと定義される。取引先の
債務不履行リスクには、移転リスク、換算リスクおよび政治リスクで構成されるカントリー・リスクも含まれる。
取引先の債務不履行リスクは、PD、EADおよびLGDを見積もることで測定される。上記3つの変数から算出される
ものは、統計的に予想される損失の多年にわたる平均である。予想損失は、CRR第158条における規制要件に基づ
き、利用可能な財源から予想損失を差し引くことにより、リスク許容能力を決定する際に考慮される。
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KfW グループは、銀行、国、企業、中小企業および スタートアップ企業 の PDの決定に内部格付手順を用いてい
注2)
る。この手順は採点表 に基づき、一般的には機械による格付、チェックリスト、グループロジックおよび手動
オーバーライドから構成される統一モデル構造に従ったものである。特別融資の重要部分および仕組商品について
は、シミュレーションおよびキャッシュ・フローに基づく格付方法が使用され、外部プロバイダーによりライセン
ス付与されたものもある。仕組商品については、資産プールのデフォルト・パターンおよび当該取引のウォーター
フォール構造に基づき、トランシェ格付が決定される。教育融資の分野におけるものといった、既存の小規模な小
売ポジションは、この目的のために特別に設定された自動化された手順を用いて評価される。当該格付手順は、1
年間のPDを予測することを目指している。原則として、経営管理部および事務処理部がリスク許容事業の格付を作
成する責任を負う。これらのエクスポージャーの格付は定期的に、少なくとも年に1度は更新される。コロナウイ
ルスに係る特別救済プログラムに基づく、10百万ユーロの基準値を下回る貸付には、この例外とされるものもあ
る。2021年において、大企業および国のPD格付手順を含むさらなる進展がみられた。さらに、強化された投資ファ
ンド格付の形で内部統制を目的とするリスク測定手続が開発され、将来の利益および業績が点数で評価される。当
該手順も、2021年に実施された。これらの動きに加え、2021年には銀行のPD格付手順を含む様々な新展開が開始さ
れ、これらは2022年12月31日に有効となる予定である。
注2)
採点表は、数学的・統計学的なモデルおよび/または専門家の知識に基づいたモデルである。信用格付に適切とみなされる個々のリスク要因は、そ
の普及または価値に従って点数化され、加重の上、集約される。
PD は、 異なる格付手順と事業部門の格付を比べるために、KfWグループ全体の統一マスター・スケールに割り当
てられる。マスター・スケールは、通常、投資適格、投資不適格、ウォッチ・リストおよびデフォルトの4グルー
プに分類される20の異なる等級で構成される。マスター・スケールの等級毎にPDおよび平均PDの範囲が定められて
いる。各格付手順において関連する責任、能力および統制方式を定める業務手順書がある。内部格付と外部格付機
関の格付との比較可能性を確保するために、外部格付はKfWグループのマスター・スケールに割り当てられてい
る。格付手順は、定期的に検証され、さらに改良される。
EAD と担保評価は、損失の度合いに影響を与える。担保には、LGDの計算においてリスクを緩和する効果がある。
受入可能な担保の評価において、損失(債務削減も含む。)が出た場合の担保実行による予想純収益が決定され
る。最終借入人の信用リスクを補填する債務削減は、転貸事業において融資パートナーが実施する譲渡の評価にお
ける重要な要素である。有形担保については、さらなる債務削減が、予測されるおよび予想外の価格の変動ならび
に減価償却によって生じる評価減に適用される。データの入手可能性に応じて、個々の種類の担保を評価する様々
な手順は、社内外の過去のデータや専門家の見積もりに基づいている。ローン担保のリスク管理方針は、KfWグ
ループ全体における統一的な担保の管理、評価および認識を規定する。担保売却による純収益に加えて、無担保エ
クスポージャー額に対するリカバリー・レートもまた、LGDを決定する重要な要素である。担保評価の手順ならび
にEADおよびLGDを見積もる手順についても、検証の対象となり、必要に応じてさらに改良され、新たな規制要件に
ついても対処される。
KfW グループは、新規事業から生じるリスクを限定するために、制限管理システム、リスク・ガイドラインおよ
び様々なポートフォリオ・ガイドラインを設けている。これらの一連のリスク管理手段は、貸出取引の二次決議の
基準となり、ローン承認のオリエンテーション・ガイドの役割を果たし、KfWグループのポートフォリオの適切な
品質およびリスク構造を確保する機能を有する一方で、KfWグループの助成事業の特別な性質を勘案する。KfWで
は、グループのリスク管理部が単一エクスポージャーレベルでの二次決議を行う。KfW IPEX銀行およびDEGは、そ
れぞれフロント・オフィスから独立した独自の二次決議を行う。関連するビジネス上の意思決定プロセスは、リス
クを視野に入れて構築されている。貸出取引は、取引の種類、リスク内容の範囲および取引の複雑性に応じて、二
次決議を必要とする。新規事業を承認する際の認定水準は、格付、担保化またはネット・エクスポージャーおよび
関係する顧客から成るグループへのコミットメント総額によって決定される。事前に定義された個別取引(格付お
よび商品タイプによる。)については、監事会のリスク・信用委員会にも承認される必要がある。
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ポートフォリオ・ガイドラインは、異なる種類の取引先や商品の種類を区別し、一般に行うことができるビジネ
ス取引の条件を規定する。さらに、既存のまたは潜在的なマイナスの影響に対処するため、国、部門および商品に
係るリスク・ガイドラインが定められ、貸出には特定の要件が設けられている。制限管理システムは、最終的に、
リスクの集中(集中限度)および信用格付に依存した個別取引先リスク(取引先限度)の両方を監視する。集中限
度は、ローン・ポートフォリオにおけるリスクの集中を制限し、結果として、多額の個別損失の防止に役立つ。取
引先限度は、取引先別の信用デフォルト・リスクの管理を微調整する役割を果たす。
既存の高リスク・エクスポージャーは、ウォッチ・リストと不良債権リストに分類される。ウォッチ・リスト
は、潜在的な問題債権を早期に特定し、必要に応じてかかる債権の処理を準備する役割を果たす。これは、経済状
況、特定の借入人の市場環境および差入担保の定期的な見直しおよび文書化ならびに是正措置の提案(特にリスク
注3)
を制限する措置の提案)の策定を伴う。不良債権および大部分のウォッチ・リストのエクスポージャー につい
ては、専門家の関与および問題債権の専門的な管理を確保するために、再編担当の部署が手順につき責任を負う。
このシステムの目的は、再構築、再編成および整理業務を通してローンの回収を果たすことである。事業パート
ナーに再編する能力がない、または再編するに値しないとみなされる場合、資産および関連担保を最適に実現させ
ることが優先される。再編部は、不良債権ならびにKfWのポートフォリオにおける銀行および1百万ユーロを超える
リスク額を伴う多額のローンに対し、集中的な支援を提供する責任を負う。ポートフォリオ・信用管理部は、リ
テール事業の支援について責任を負う。連邦政府保証付きのコロナウイルスに係る特別救済プログラムには、細目
が異なる規則が適用される。KfW IPEX銀行の集中的なサポートの下での不良債権およびエクスポージャーは、
KfW、DEGおよびKfWキャピタルの信託事業を含み、各子会社により直接管理される。関連する事業部門に内部連絡
規則が整備され、責任および配分の統制を確保している。再編部は、フロント・オフィス部や中央の法務部とも協
力している。
注3)
KfW IPEX 銀行におけるウォッチ・リストの事案についての責任の引受けは、リスク管理部が再編担当の部署と協議の上、事案毎に決定する。
銀行部門に危機が発生した場合は、当公庫が社内外で直ちに対応することができなければならない。この目的の
ために金融機関の危機対策も体制を整えている。かかる対策は主に、信用リスク管理部の指示の下で行われる作業
部会の創設、即時損失分析および次に必要な措置の実行を規定している。
2021 年12月31日現在の償却原価で測定される債務不履行リスクおよび債務不履行リスクの集中度
に関する情報( 簿価総額 )
銀行に対する 顧客に対する
有価証券および投資 貸借対照表外の取引
貸出金等 貸出金等 (1)
ステージ ステージ ステージ ステージ ステージ ステージ ステージ
ステージ ステージ ステージ ステージ ステージ
2 3 2 3 2
1 1 2 3 1 1 3
(単位:百万ユーロ)
投資適格 格付1-4 111,392 0 0 33,960 0 0 21,681 0 0 41,582 0 0
格付5-8 144,040 0 0 24,370 0 0 13,736 0 0 41,555 0 0
投資不適格 格付9-15 34,326 243 0 34,503 4,675 0 346 0 0 22,579 1,440 0
ウォッチ・
格付16-18 16,204 1,636 0 8,765 20,098 0 22 0 0 3,468 3,285 0
リスト
デフォルト 格付19-20 0 0 648 0 0 4,531 0 0 0 0 0 312
305,962 1,880 648 101,598 24,773 4,531 35,784 0 0 109,184 4,725 312
合計
(1) 顧客に対する貸出金等は、現在の格付に基づいてではなく、マイナスの基準と過去30日間の支払遅延状態にあるか否かに基づいてステージが決定さ
れるリテール事業も含む。マイナスの基準に達した場合または過去30日間の支払遅延状態にある場合は、リスクの集中が生じる。これらの基準の1
つが満たされた場合、顧客はウォッチ・リストに載せられる。対照的に、ステージ1のリテール事業のうち、信用リスクの重大な悪化を伴わないも
のは、大部分が「投資不適格」に割り当てられる。
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2020 年12月31日現在の償却原価で測定される債務不履行リスクおよび債務不履行リスクの集中度
に関する情報( 簿価総額 )
銀行に対する 顧客に対する
有価証券および投資 貸借対照表外の取引
貸出金等 貸出金等 (1)
ステージ ステージ ステージ ステージ ステージ ステージ ステージ
ステージ ステージ ステージ ステージ ステージ
2 3 2 3 2
1 1 2 3 1 1 3
(単位:百万ユーロ)
投資適格 格付1-4 109,584 0 0 34,580 0 0 22,612 0 0 33,210 0 0
格付5-8 135,190 53 0 24,060 40 0 12,639 0 0 34,857 353 0
投資不適格 格付9-15 33,154 582 0 33,469 5,787 0 473 0 0 28,952 3,205 0
ウォッチ・
格付16-18 16,082 887 0 7,961 6,647 0 0 0 0 5,771 1,545 0
リスト
デフォルト 格付19-20 0 0 235 0 0 18,656 0 0 65 0 0 257
294,009 1,522 235 100,069 12,474 18,656 35,725 0 65 102,790 5,103 257
合計
(1) 顧客に対する貸出金等は、現在の格付に基づいてではなく、マイナスの基準と過去30日間の支払遅延状態にあるか否かに基づいてステージが決定さ
れるリテール事業も含む。マイナスの基準に達した場合または過去30日間の支払遅延状態にある場合は、リスクの集中が生じる。これらの基準の1
つが満たされた場合、顧客はウォッチ・リストに載せられる。対照的に、ステージ1のリテール事業のうち、信用リスクの重大な悪化を伴わないも
のは、大部分が「投資不適格」に割り当てられる。
2021 年12月31日現在の償却原価で測定される金融商品の信用リスクおよび関連信用保全
ステージ3の
債務不履行時の
債務不履行時の
ステージ3の担保からのリスク緩和
最大リスク(1)
最大リスク
有形 個人
(単位:百万ユーロ)
銀行に対する貸出金等 308,251 546 13 354
顧客に対する貸出金等 129,197 3,293 118 2,132
有価証券および投資 35,774 0 0 1
114,126 297 0 3
貸借対照表外の取引
587,348 4,136 132 2,491
合計
(1) 正味簿価(担保およびその他の信用補完措置を除く。)。
2020 年12月31日現在の償却原価で測定される金融商品の信用リスクおよび関連信用保全
ステージ3の
債務不履行時の
債務不履行時の
ステージ3の担保からのリスク緩和
最大リスク(1)
最大リスク
有形 個人
(単位:百万ユーロ)
銀行に対する貸出金等 295,460 167 0 69
顧客に対する貸出金等 129,375 17,402 127 16,164
有価証券および投資 35,779 65 0 61
108,025 239 0 86
貸借対照表外の取引
568,640 17,872 127 16,381
合計
(1) 正味簿価(担保およびその他の信用補完措置を除く。)。
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ステージ3に分類される金融商品の個人向け担保の大部分は、連邦政府の保証および信用保険から成る。ギリ
シャの格付の引上げに伴い、ギリシャに対する支援策の枠組みの範囲内において負託を受けた、全額保護されてい
る約150億ユーロの委任取引に関する連邦政府の保証は、含まれなくなった。ステージ3に分類される金融商品の有
形担保は、航空機および船舶抵当権から成る。
KfW グループは、以前に有形担保として保有していた資産を、2021年には保有していない。
ポートフォリオ構成
注4)
KfW グループの ローン・ポートフォリオ における個別のエクスポージャーに関連するリスクの相互関係は、
内部ポートフォリオ・モデルに基づき評価される。個々の借入人や借入人グループが集中すると、KfWグループの
存続を脅かしかねないような大規模な損失リスクが生じる。経済的資本の概念に基づき、リスク制御部は、リスク
の集中を個々の借入人、部門および国毎に測定している。リスクの集中は、主に経済的資本要件に反映される。こ
れらの測定の結果は、ローン・ポートフォリオの管理の主要な基準となる。
注4)
ローン・ポートフォリオには、貸出金ならびに正常な事業における有価証券および投資が含まれる。不良債権ポートフォリオは、信用の質の表示
においてのみ含まれる。
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地域
2021 年12月31日現在、KfWグループの経済的資本要件に係るローン・ポートフォリオの89%は、ユーロ圏に帰属
するものであった(2020年12月31日現在は91%)。かかる減少の主要な要因は、リスク指標の算出に係る新たなシ
ステムへと移行したことである。これにより、特にドイツ、とりわけその転貸事業において経済的資本要件が減少
した。ドイツ国外においては、特に発展途上国および新興経済国支援事業部門の新規事業により、経済的資本要件
が増加した。
部門
金融部門に帰属する信用リスクに要する資本全体の大部分は、KfWグループの助成任務によるものである。KfWグ
ループの国内助成事業のうち最大部分は、商業銀行を通じて転貸する融資で構成されている。経済的資本要件に占
める金融部門の割合は、絶対値は総合的に増加したものの、相対値は79%にまで減少した(2020年12月31日現在は
86%)。経済的資本要件の減少は、「主要な指標の概要」においてすでに記載したモデル調整によるものであっ
た。民間部門の経済的資本要件の増加もまた、主にモデル調整をその要因としていた。
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信用の質
信用の質は、経済的資本要件に影響を与える重要な要因であるため、信用の質の構成を分析することには、信用
注5)
の質の分類によってネット・エクスポージャー の分布を検討することが含まれる。新規事業、特に省エネおよ
び再生可能エネルギーに関するプログラムに係る新規事業により、ネット・エクスポージャー全体での投資適格の
エクスポージャーが占める割合が増加した。ウォッチ・リストのポジションの割合は2.0%(2020年は2.9%)、デ
フォルトのポジションの割合は1.0%(2020年は2.2%)であり、いずれも減少した。
注5)
ネット・エクスポージャーは、経済的または政治的債務不履行事由が発生した際に起こりうる経済損失である。
KfW グループのポートフォリオの有価証券ベースの証券化
証券化は、2021年12月31日現在、約61億ユーロの額面価額を有していた。公正価値および減損を勘案した時価評
価で当該証券を会計処理すると、ポートフォリオはまた、約61億ユーロの簿価(比例配分金利を含む。)を保有し
ていた。下の図表は、証券化ポートフォリオの構成を、資産クラス、格付および地域的分布別に示したものであ
る。
原資産プールの地域別内訳(額面価額に基づく。)
2021 年 12月31日現在 2020 年 12月31日現在
(%)
欧州 99.9 99.8
世界 0.0 0.0
北米 0.1 0.2
アフリカ 0.0 0.0
アジア 0.0 0.0
額面価額に基づくエクスポージャー
2021 年 2020 年
自動車ABS
その他の 12 月31日現在 12 月31日現在
ABCP RMBS 証券化 合計 合計
(1)
(単位:百万ユーロ)
投資適格 2,690 1,716 950 734 6,090 6,125
投資不適格 0 0 0 0 0 98
ウォッチ・リスト 0 0 0 0 0 0
0 0 0 7 7 0
デフォルト
2,690 1,716 950 741 6,097 6,229
(1) 自動車ABSは、(2020年12月31日現在の「主要な指標の概要」に含まれる)自動車融資契約に係る債権に基づくものある。
ポートフォリオ額は、2020年12月31日現在の額と比較して、わずかに減少した(額面価額で-1億ユーロ)。かか
る減少は主に、投資適格ポートフォリオに関連するものであった。原資産プールの地域別内訳において、ポート
フォリオ全体は、その最大部分をドイツが占めているため、ほぼすべてが依然として欧州に起因している。
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市場価格リスク
KfW グループは、現在価値に基づき市場価格リスクを測定し管理する。これに関連する市場価格リスクの主要な
要因は、以下の通りである。
・ 金利リスク(共同分析されるサブリスクタイプ(金利リスク、期間ベーシス・スプレッド・リスクおよび
クロスカレンシー・ベーシス・スプレッド・リスク)から成る。)
・ 金利変動リスク
・ 外国為替リスク
・ 有価証券の発行体関連のスプレッド(信用スプレッド・リスク)
グループ内の市場価格リスクは、2021年12月31日現在、合計33.77億ユーロの経済的資本を必要とした。これ
は、前年に比べ3.12億ユーロの減少であった。かかる変動は、何よりもまず、金利リスクにおけるオプショナルリ
スク要素の削減(ローンの下限による金利リスクの減少)によるものである。KfWグループの市場価格リスクの内訳
は、以下の通りである。
市場価格リスクに対する経済的資本要件
2021 年 12月31日現在 2020 年 12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
金利リスク (1)
2,813 3,012
金利リスク 2,734 3,022
期間ベーシス・スプレッド・リスク 282 158
クロスカレンシー・ベーシス・スプレッド・リスク 631 377
金利変動リスク 384 319
通貨リスク 693 693
411 358
信用スプレッド・リスク
– 925 – 693
多様化
3,377 3,689
市場価格リスク
(1) 金利リスクにおける多様化の影響により、リスクのサブタイプは、金利リスク合計に計上しない。
VaR 手法
経済的資本要件は、統一手法を用いた様々なタイプの市場価格リスクを対象としたVaRの計算法を用いて計算さ
れる。実績シミュレーション法は、VaRモデルとして使用される。実績シミュレーション法は、過去3年(取引日数
751日)より構成される時系列の市場データに基づく。統一保有期間は12ヶ月であり、日単位の保有期間に基づく
時間拡大を伴う。さらに、実績シミュレーション法により求めた97.5%の分位数に基づいて、目標分位(99.9%)
への拡大を行う。
VaR 指標は、それぞれの市場価格リスクのサブタイプ(すなわち、金利リスク、期間ベーシス・スプレッド・リ
スク、クロスカレンシー・ベーシス・スプレッド・リスク、通貨リスク、金利変動リスクおよび信用スプレッド・
リスク)について判定される。VaR合計はまた、前述のリスクのサブタイプの間の多様化の影響を考慮して計算さ
れる。VaR合計、金利リスク、金利変動リスク、信用スプレッド・リスクおよび通貨リスクは制限される。
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金利リスク
リスク要因として定義されたイールド・カーブは、金利リスクを定量化するための実績シミュレーション法の基
盤となる。これには、黙示的に金利リスク、期間ベーシス・スプレッド・リスクおよびクロスカレンシー・ベーシ
ス・スプレッド・リスクが含まれる。これとは対照的に、金利変動リスクおよび信用スプレッド・リスクは、明示
的には金利リスクに含まれないものの、個別にモデル化され、別途主要なVaR指標を用いて報告される。2021年の
期間ベーシス・スプレッド・リスクおよびクロス・カレンシー・ベーシス・スプレッド・リスクは、ベンチマーク
改革に伴うリスク計算の調整により増加した。これには、金利リスク内での再配分が含まれる。ベーシス・スプ
レッド・リスクの増加は、ポジションが変わらないまま逆効果(多様化の影響)により相殺され、金利リスク全体
では増加していない。2021年12月31日の報告日現在、金利リスクに係る自己資本要件は、199百万ユーロ減少して
2,813百万ユーロとなった。
金利変動リスク
金利変動リスクは、モデル化された金利オプション(例えば解除権または変動金利を用いた貸出事業における下
限)の市場価値の変動に基づいている。これらのリスクに係る経済的資本要件は、実績シミュレーション法を用い
て他のリスクのサブタイプと同様の方法で計算される(VaR手法の項を参照のこと。)。金利変動リスクは、主と
して当初の貸付業務の副作用として発生し、ECAPのサブリミットにより制限される。金利変動リスクに係る自己資
本要件は、2021年12月31日現在、384百万ユーロであった。
通貨リスク
通貨ポジションに係る経済的資本要件は、実績シミュレーション法を用いて金利リスクと同様の方法で計算され
る。通貨リスクに係る自己資本要件は、2021年12月31日現在、693百万ユーロから変わらなかった。
信用スプレッド・リスク
有価証券ポートフォリオにつき、リスク測定が行われる。かかるリスクタイプに係る経済的資本要件は、実績シ
ミュレーション法を用いて他のリスクタイプと同様の方法で計算される。信用スプレッド・リスクに係る経済的資
本要件は、2021年12月31日現在、411百万ユーロであった。信用スプレッド・リスクは、前年と比較して53百万
ユーロ増加した。
ストレス・テスト
実績シミュレーション法のVaRモデルに基づくECAP要件の計算に加え、市場の極端な状況(シナリオ)が現在価
値およびVaRの目標変数に与える影響は、ストレス・テストによって判定される。現在価値のストレス・テストに
係る新たな規制要件(IRRBBにおけるEBA GL)も満たされている。
流動性リスク
流動性リスクとは、機関もしくは市場において、流動性が不足するリスクまたは比較的高額な資金調達となるリ
スクをいう。したがって、流動性リスクは、支払不能リスク、市場流動性リスクおよび資金調達リスクから成る。
・ 支払不能リスク:支払債務を履行できないか、期限通りに履行できないか、または完全には履行できない
リスク
・ 市場流動性リスク:流動性が欠如しているために、資産を市場で取引できないか、期限通りに取引できな
いか、完全にもしくは十分な量の取引ができないか、または実勢市況での取引ができない場合における
(価値)損失のリスク
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・ 資金調達リスク:借入人に転嫁できない比較的高額な資金調達(債務)による収益減少のリスク
流動性管理の主な目的は、KfWグループが常に支払債務を履行できるよう確保することである。子会社は、その
すべての商取引、特にその資金調達において、KfWを契約パートナーとして利用することができる。このため、子
会社の流動性要件は、KfWグループの資金調達計画および流動性維持の戦略の双方に組み込まれている。
流動性リスクは、経済シナリオ分析およびKfW法第4条に基づく利用基準に基づいて測定される。さらに、流動性
ギャップはすでに成立している取引、利用可能な潜在的流動性ならびに流入および流出のマチュリティ・ギャップ
により限定されている。
ILAAP
KfW グループの 流動性リスクのポジションの管理およびモニタリングは、内部流動性充実度に関するプロセス
(以下「ILAAP」という。)を原則としている。当機関が策定した手続は、流動性を特定、測定、管理およびモニ
タリングする働きをしている。ILAAPは、流動性を確保し、流動性のボトルネックを回避することを目的とするも
のである。また、ILAAPでは、内部統治および機関全体における統制の評価も行われる。
KfW グループは、支払不能リスクの管理を最優先している。市場流動性リスクおよび資金調達リスクは、毎年、
リスク調査の一環として検証されており、2021年12月31日現在、これらのリスクは重要なリスクに分類されていな
い。資金調達リスクは、マチュリティ・ギャップを制限することによって間接的に限定される。支払不能リスク
は、主に、経済的流動性リスク比率ならびに潜在的流動性および流動性のギャップの限度を通じて限定されてい
る。流動性リスク戦略は、ストレス・シナリオを含むいかなる場合においても、支払債務をその期限到来時に履行
する能力を確保することを目的としている。
流動性リスクの内部測定は、シナリオ計算に基づいている。この手法では、まず、すでに成立している取引に基
づいて今後12ヶ月間に予想される支払の流入および総流出を分析する。この基礎キャッシュ・フローは、計画支払
および見積もり支払(資本市場からの借入れ、予想流動性関連のローン・デフォルトまたは予定される新規事業
等)によって補完される。これにより、KfWグループが今後12ヶ月間に必要とする流動性の概要が導かれる。必要
な流動性は、異なるシナリオについて計算される。この点について、市場全体のリスク要因および機関に特有のリ
スク要因にストレスがかけられ、KfWグループの流動性についての影響が評価される。
上記手法と並行して、KfWグループは、利用可能な流動性潜在力(主にKfWのドイツ中央銀行における勘定、買戻
し条件付き契約資産、流動性ポートフォリオおよび定期的に市場で発行可能なコマーシャル・ペーパー額で構成さ
れている。)も定める。利用可能な流動性潜在力は、他のキャッシュ・フロー要素と同様に、ストレス分析に従
う。累積的必要流動性の累積的利用可能流動性潜在力に対する比率は、シナリオ毎に計算される。この数値は、い
かなる期間のいかなるシナリオにおいても1を超えてはならない。通常のケースのシナリオにおいて定められた期
間は12ヶ月であり、ストレスケースは6ヶ月、2つのワーストケースシナリオでは3ヶ月である。シナリオの前提
は、毎年検証されている。
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指標は、月単位で計算され、市場価格リスク委員会に報告されている。下表は、2021年12月31日現在のシナリオ
毎のリスク指標を示している。
KfW 流動性リスク指標
2021 年 12月31日現在 2020 年 12月31日現在
指標 指標
通常のケース 0.20 0.45
ストレスケース 0.28 0.49
ワーストケース(特定の機関) 0.18 0.33
ワーストケース 0.38 0.55
内部流動性リスク指標は、引き続き年間を通して内部的上限の1を下回っている。
2021 年にKfWは、連邦政府に代わって、コロナウイルスに係る特別救済プログラムに基づくさらなる拠出を行っ
た。しかし、これらの拠出額は、前年に比べて大幅に減少しており、流動性の状態や流動性リスク計測への影響は
ほとんどなかった。かかる特徴は、流動性リスク指標に反映された。COVID-19のパンデミックは、2021年において
も流動性の状態に重大な影響を及ぼさなかった。
現在の資金調達環境
KfW グループは、2021会計年度、国際資本市場において、合計826億ユーロ(2020年は664億ユーロ)の資金(手
取金)を調達した。
KfW は、 15の異なる通貨建で、合計211件の個別の取引および債券の発行を行った。長期資金調達のうち約81%
は、ユーロおよび米ドルの2大主要通貨建で行われた。2021年には、ユーロ建債券の負債に占める割合が、55%
(2020年は64%)となり、米ドル建債券の割合は26%(2020年は24%)であった。COVID-19危機におけるドイツ経
済を支援するためのKfW特別プログラムに融資するため、パンデミックの発生以降、WSFを通じて総額約420億ユー
ロの資金が調達された。融資残高は、2021年12月31日現在、364億ユーロであった。2021年12月初旬、連邦政府お
よびKfWは、KfW特別プログラムの申請期限を2022年4月30日まで延長した。
世界中の投資家に向けて設計された複数通貨建のコマーシャル・ペーパー・プログラム、すなわちユーロ建コ
マーシャル・ペーパー(ECP)プログラムの額は、合計700億ユーロであった。2021年にかかるプログラムで発行さ
れた名目上取引高は、826億ユーロと前年(966億ユーロ)を下回ったが、平均償還期間は、160日(2020年は131日)
とより長かった。2021年12月31日現在の発行残高は、374億ユーロであった。2021年のUSCPプログラムの発行額
は、200億米ドルとなった。KfWグループは、米ドルによる短期的な資金調達の需要を充足するために、米国市場特
有のものである当該プログラムを使用している。USCPプログラムで発行された名目上取引高は、前年(599億米ド
ル)より増加し、623億米ドルであった。平均償還期間は、2日短縮され66日となった。2021年12月31日現在の残高
は、103億米ドルであった。KfWは、2021年にもECBの貸出条件付きの長期資金調達(TLTRO)に参加し、2021年3月
に14億ユーロを追加的に調達した。2020年の134億ユーロのTLTRO資金は、2021年12月にECBに返済された。
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オペレーショナル・リスクおよび事業継続性管理
CRR 第4条第(1)項第52号に従い、KfWグループは、オペレーショナル・リスクを、内部処理、人員およびシステム
が不適切であったかもしくは失敗したことによる損失リスクまたは外部事象に起因する損失リスクと定義してい
る。オペレーショナル・リスクは、中央リスク統制ユニットによって監視され、測定と監視に使用されるモデルお
よび手順の背後にある方法論は、定期的に調整される。情報セキュリティリスク、コンプライアンスリスク、法的
リスク、事業中断リスク、支払取引リスク、サービス・プロバイダーリスク(外部委託リスクを含む。)、二次モ
注6)
デルリスク 、雇用者リスク、個人および物理的セキュリティリスク、遂行リスクおよび調整過程におけるオペ
レーショナル・リスクといった、サブリスクタイプのオペレーショナル・リスクも一般的に定義され、第2の専門
ディフェンスラインユニットにより監視されている。
注6)
一次モデルのリスクは、元のリスクタイプ(例えば、信用リスクや市場価格リスク)にマッピングされる。
KfW グループの 組織構成は、分権化された部門と中央集権化された部門から成る二重構造になっており、これら
はオペレーショナル・リスク委員会と連携している。リスクの管理は分権化され、事業部門および子会社におい
て、各役員または常務役員が、オペレーショナル・リスクおよび事業継続性管理の各部門責任者の支援を受けて
行っている。リスクの監視および伝達は、リスク制御部(中央オペレーショナル・リスク制御)および取引管理部
(中央事業継続性管理)により部署横断的に行われている。これらの人員は、リスクの特定および評価を行う関連
方法および手段を開発し、それらがグループ全体で統一的に適用されているか否かを監視している。オペレーショ
ナル・リスクから生じる経済リスクを測定するモデルは、リスク統制部においても検証される。
オペレーショナル・リスクおよび事業継続性管理の管理および制御の目的は、KfWグループの潜在的損失の積極
的な特定および回避である。すなわち、緊急事態および危機を管理できるようにし、主要な財源が失われた場合に
も、KfWグループが事業を継続できるよう組織能力を確保することである。
KfW グループの 損失は、オペレーショナル・リスク事象データベースに記録され、変更/進展があった際に更新さ
れる。記録された損失事象と、その結果導入された措置は、各四半期後に関連する部署に対して報告される。執行
理事会、監事会およびオペレーショナル・リスク委員会は、内部リスク報告の一環として、月毎または四半期毎に
概要の報告を受ける。損失がある一定の水準を超える場合は、特別報告も行われる。
さらに、潜在的オペレーショナル・リスクは、グループ全体で実施されるリスク評価におけるシナリオに基づき
特定される。オペレーショナル・リスクは、リスク評価において、損失の頻度および額に関する分布仮定によって
実証された専門家の見積もりおよび内部損失事象をはじめとする、その他の情報に基づき測定される。リスク評価
の結果は、オペレーショナル・リスク委員会および執行理事会に報告される。事業分野では、リスク評価の一環と
して、追加的なリスク軽減措置(例えば、ICSの一環としての調査)の実施を確認している。
測定基準を使用してオペレーショナル・リスクを十分に監視することが可能な場合には、リスク指標が使用され
る。一元的に定められたリスク軽減のための要件(例えば、研修への参加、締切期日、エスカレーション手順)の
遵守状況は、事業分野別オペレーショナル・リスク情報ダッシュボードを使用して統括制御機能により監視され
る。これにより、すべての階層における不遵守が執行理事会へ報告されることが保証される。
オペレーショナル・リスクに関連するCOVID-19のパンデミックによる損失は、銀行全体で集合的な事象として記
録される。加えて、パンデミックの潜在的な影響は、リスク評価の一部として評価され、オペレーショナル・リス
クの経済的資本要件の計算に含まれることが保証される。
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2021 年の リスク評価は、予定通りに完了した。シナリオの更新および再計算により、オペレーショナル・リスク
に対するECAPが(約55百万ユーロ)増加した。
事業継続性管理は、内外の事象により事業の中断が発生した場合に実施される。これは、4つの主要な停止およ
び損失シナリオ(すなわち、用地(建物またはインフラ)の停止、ITシステムの停止、人材の停止およびサービ
ス・プロバイダーの停止)をカバーする統合的な管理プロセスである。事業継続性管理は、予防的な要素(緊急事
態の備え)と反応的な要素(緊急事態および危機の管理)を組み入れている。
事業継続性管理の目的のため、事業プロセスは、分析され、かつどの程度重要であるかに応じて分類され、それ
に従って各事例の支援財源が検討される。重要な事業プロセスとその支援財源への依存度を特定することは、効果
的な事業継続性管理の基盤を形成する。必要な利用可能性を保証し、事業リスクを軽減できるようにするため、こ
れらの事業プロセスと、その支援財源について個別の措置が策定される。これらの措置には、緊急事態用のワーク
ステーション、緊急計画、通信手段および警告/警報が含まれる。KfWグループの危機対応チームは、必要な場合に
は、危機管理全般について責任を負う。定期的な危機対応チームのテストにおいて、緊急事態および危機時の組織
的な共同作業の訓練が行われている。
KfW は、 パンデミックに対処する措置を調整するために、コロナウイルス対策チームを創設した。KfWの事業活動
に悪影響を及ぼすような職員の機能停止に対抗する様々な措置を定義するために、定期的な会合が開催され、かか
る措置の実施後も継続的にその有効性が検討された。実施された措置には、事業運営の継続的な遂行のために、重
要な機能を分割(すなわち、同一の作業工程を確保する責任を有する個人の作業場所についての恒久的な分離)し
て運用すること、および従業員が短時間で大規模な在宅勤務を可能とするために、その過程において適用される労
働安全衛生規則を遵守しながら、必要なIT能力を向上させることを含んだ。
その他のリスク
株式投資リスク
株式投資リスクの管理において、KfWグループは、事業レベルでの株式投資からのリスクと戦略的な株式投資か
らのリスクを区別している。
株式投資(事業レベル)
事業レベルでの株式投資の実行は、グループの助成任務の一環である。したがって、国内および欧州での投資資
金融資に関連する株式投資、発展途上国および新興経済国支援における株式投資ならびに輸出金融およびプロジェ
クト・ファイナンス事業部門における株式投資が存在する。事業レベルでの株式投資に係るKfWのグループ全体の
基本的規則は、ガイドラインに定められている。株式投資の特定のセグメントのために作成された特別規則は、
ポートフォリオのガイドライン、業務指針およびリスク・ガイドラインにも規定されている。事業レベルでの株式
投資に係るリスク測定は、この目的のために指定されたモデルを使用する信用リスクと同様に、個別の貸出コミッ
トメント・レベルで行われる。株式投資ポートフォリオ・リスクは、四半期毎のリスク報告書のほか、専用の報告
書においても別途報告される。
戦略的な株式投資
戦略的な株式投資は、効率的かつ持続可能な助成業務の提供というKfWの任務を支えている。中核となる能力を
強化し、拡大することに加え、この種類の投資の焦点はKfWの事業部門の補完にある。戦略的な株式投資は通常、
保有期間が長期となる。さらにKfWは、KfW法第2条第(4)項(委任取引)に従った戦略的な株式投資も行う。連邦政
府がかかる株式投資において国益を有するため、連邦政府は、かかる株式投資をKfWに委任した。
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戦略的な株式投資については、専属の組織的な部署が株式投資マニュアル(株式投資管理の法的根拠、戦略、方
針、手続および責任について記載する。)に基づき責任を負う。戦略的な株式投資に係る取得、処分および変更
は、定められたプロセスならびに執行理事会による承認および(KfWの定款に従い)監事会による承認を条件とす
る。さらに、持分が25%を超える戦略的な株式投資の取得、かかる株式投資の創出もしくは増加または全面的な処
分は、連邦予算法(BHO- Bundeshaushaltsordnung )第65条第(3)項に従い、BMFの承認を得なければならない。戦略
的な株式投資およびその個別のリスクは、監視され、年次の株式投資に関する報告の一環として、さらに、必要な
場合には特別報告において執行理事会に提出される。株式投資について個別に定められた戦略は、毎年更新され
る。さらに、KfWグループは、通常、その戦略的な株式投資の監督機関に代表を派遣している。
グループ内リスク
KfW グループの リスクに関連性があることから、また、統一的なグループ管理という目的のために、KfW IPEX銀
行、DEGおよびKfWキャピタルのリスクは、グループのリスク管理の一部として十分に考慮される。例えば、これら
の子会社の事業活動は、ルックスルーの原則に基づき、KfWグループ全体の制限の対象となり、グループの資本配
分およびリスク許容能力計算に含められる。さらに、子会社の代表者は、グループのリスク委員会の委員である。
KfWはまた、その子会社のリスク状況につき、単体での監視も行う。各子会社の経営陣は、リスクならびに財務お
よび戦略について、執行理事会の担当者に対し定期的に報告を行う。
風評リスク
風評リスクは、関連する内外の利害関係者の観点から当グループに対する認識が長期にわたり悪化し、KfWグ
ループにマイナスの影響を与えるリスクである。このマイナスの影響は、KfWグループの純資産、収益または流動
性の減少(例えば、新規事業の減少)につながるおそれがあるほか、非金銭的な性質の影響(例えば、従業員の新
規採用難)として生じる可能性もある。風評リスクは、他の種類のリスクの結果として生じることも、単独で生じ
ることもある。
リスク管理プロセスにおいて、風評リスクは、主に分散的に管理されている。かかる目的の枠組みには、グルー
プ全体を通じた持続可能性に関するミッションステートメントによる持続可能性の管理が含まれるが、かかるス
テートメントでは、銀行業務および銀行運営における活動ならびに雇用者としての活動といった中心分野に取り組
むための多面的アプローチを用いている。さらに、NPPにおける新たな活動および外部委託管理における外注活動
についても、潜在的な風評リスクを検出するために定期的に監視が行われている。
また、リスク特定の一環として、風評リスクの中央管理機能は、定性的な風評リスク評価の取りまとめを行い、
当グループにおける最大の風評リスクをまとめたリスク・プロファイルを作成している。さらに、生じた風評リス
クの事象は、継続的に報告されている。
風評リスクに関して、現在までに、COVID-19のパンデミックに関連する重大な損失事象は発生していない。コロ
ナウイルス支援のための特別プログラムの開始によって達成された評価は、2021年を通してKfWにとって安定した
ものであった。
プロジェクト・リスク
当初のプロジェクト・リスクは、とりわけ、想定していた計画が正確でないと判明することである。プロジェク
ト・リスクは、プロジェクトまたはビルディング・ブロックの目的の達成に、費用、時間および範囲の面で影響を
及ぼす(例えば、新技術要件やプロジェクトまたはビルディング・ブロックを並行して行うことにより生じる時間
的制約等)。プロジェクト・リスクの管理は、プロジェクトまたはビルディング・ブロックの計画段階および実施
段階の双方で、プロジェクトまたはビルディング・ブロック管理の一部として行われる。
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内部の「計画、管理およびプロジェクト管理」部門は、プロジェクトおよびビルディング・ブロックがその目的
を果たし、目標を達成するための支援を行っている。「計画、管理およびプロジェクト管理」部門は、プロジェク
トおよびビルディング・ブロックの規模に応じて調整された仕様とサポート・サービスを提供する。ポートフォリ
オ全体の管理の中央権限として、グループ内のプロジェクトおよびビルディング・ブロックの実施に方法論的枠組
みを提供し、一定数のプロジェクトおよびビルディング・ブロックのポートフォリオ全体のリスク状況の評価およ
び提示につき責任を負う。前述のプロジェクトおよびビルディング・ブロックによる当該枠組みおよびこれらの要
件の遵守は、監視され、サポートも行われる。
規制リスク
KfW グループに関する規制リスクは、主に、最低自己資本比率要件の引上げにより、また、将来的な規制環境の
変化がグループの事業モデルに及ぼしうる不利な影響により生じる。これには、追加的要件の実施および継続的な
履行のほか、関連する資本提携に伴う費用が含まれる。
自己資本充実度に関するプロセスの一部として、規制リスクは、規制上の自己資本要件に関する管理および早期
警告の手段としての保守的な警告基準を通じて対応される。また、KfWグループの自己資本充実度は、資本計画の
一部として、所有者と連携して見直される。その際、特にバーゼルⅢに基づく自己資本充実度に関する要件の最終
決定に起因する潜在的に不利な影響が分析され、評価されている。
さらに、KfWは、その法的環境に関する変化の状況を積極的に注視しており、これにより、新たな規制要件を特
定し、必要な措置を決定することができる。
追加的な内部統制手続
プロセス統合ICS
KfW グループの ICSの目的は、事業活動の有効性および収益性、KfWグループに適用ある法的要件の遵守、内外の
会計の正確性および信頼性ならびに資産保護を確保するために、適切な方針、措置および手続を用いることであ
る。
グループ全体のICS規則や、グループ規模で拘束力のあるICSの最低限の要件が存在する。KfWグループのICSは、
注7)
とりわけ、ドイツ銀行法およびMaRiskならびに市場基準のCOSOモデル に規定される関連する法的(銀行規制)
注8)
要件 に基づいている。
注7)
COSO とは、トレッドウェイ委員会の組織委員会をいう。
注8)
ドイツ銀行法第25a条第(1)項第1号、MaRisk第4.3条ならびにドイツ商法第289条第(5)項、第315条第(2)項第5号、第324条および第264d条を参照の
こと。
KfW の 執行理事会は、当グループのICSについて全般的な責任を負う。KfW IPEX銀行、KfWキャピタルおよびDEGに
ついては、それぞれの会社の経営陣が全般的な責任を負う。異なる企業レベルでの設計および実施については、組
織構成に従い関係あるマネージャーが責任を負う。
COSO モデルに従って、ICSは、相互に関連のある5つの要素(統制環境、リスク評価、統制活動、情報/伝達およ
びモニタリング/監査)で構成される。これらの構成要素は、KfWグループのすべての組織的事業体、機能およびプ
ロセスにわたっている。
統制環境とは、KfWグループが規則を導入し適用する環境である。リスク評価には、企業戦略の実行から生じる
リスクの特定、分析および評価が含まれる。統制活動は、企業目標の効果的な達成およびリスクの発見または最小
化を目的としている。KfWグループの情報および伝達方針は、すべての関係者に対し、意思決定を下すために必要
な十分に詳細な情報を包括的に提供することを目的としている。ICSの機能性および有効性を決定するために、適
切なモニタリングおよび監査の仕組みが導入されている。
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手続規則がICSの基礎を構成している。手続規則は、拘束力のある政策の形式でKfWグループにおける適正な事業
組織の枠組みを構成している。
ワークフローの組織的な措置および統制は、モニタリングがプロセスに統合されることの確保を企図している。
プロセスに統合されたモニタリング措置は、プロセスにおける誤りまたは財務上の損失の回避、削減、発見およ
び/または訂正に役立つ。運用プロセスおよび構成に対する予定された変更がモニタリングのプロセスおよび強度
に及ぼす影響は、事前に分析される。
KfW グループは、単体および連結財務書類におけるエラー・リスクを最小化し、内外の財務報告の正確性および
信頼性を確保するために会計関連の統制を実施している。会計関連の統制は、ICSの一部である。
当該システムは、コンプライアンス部により補完される。コンプライアンス部は、関連する措置の関連規則およ
び基準に基づく遵守について定め、監視する。コンプライアンス機能は、ICSの関連する分野について、プロセス
に基づく、またはそれに付随する定期的な監視を行っている。追加の第2のディフェンスライン(特にオペレー
ショナル・リスク)の結果は、監視およびさらなるICSの向上に含まれる。
ICS の 適切性および有効性を確保するため、KfWは、KfWグループの基準および慣例を定期的に精査し、継続的に
発展させる。
報告書は、毎年、KfWグループの監督機関に提供される。ICSの適切性および有効性はまた、グループの手続から
独立して行われるリスク・ベースの監査に基づき、内部監査部により評価される。
コンプライアンス
執行理事会は、当グループのコンプライアンスに係る全般的な責任を負う。執行理事会は、関連する業務をコン
プライアンス部に委託している。関連する責任分野について執行理事会により任命された担当役員は、コンプライ
アンス部に配属される。かかる役員には、特に、(グループの)マネー・ロンダリング役員、不正防止役員(ドイ
ツ銀行法第25h条に基づく中心的な部会)および会社データ保護役員が含まれる。
コンプライアンス部の組織は、スリーライン・ディフェンスモデルに従って構築され、第2のディフェンスライ
ンとして、MaRiskのコンプライアンス機能に関する要件に一致している。これに関連して、当グループのコンプラ
イアンスには、データ保護規則を遵守するための措置および税務コンプライアンス措置、インサイダー取引
(WPC)、マネー・ロンダリング、テロ資金供与(TF)その他犯罪活動の防止ならびに制裁および禁輸措置の遵守
だけでなく法的要件の監視のための措置ならびに関連する実施措置も含まれてきた。よって、日々の価値および企
業文化の実行に影響を与える拘束力のある規則および手続があり、これらは現行法および市場要件を反映するよう
定期的および必要に応じて随時更新されている。その目的は、主要な指標により、オペレーショナル・リスク管理
の中心的な要件に沿って、非財務リスク(NFR)の一部であるコンプライアンスリスク(例えば、マネー・ロンダ
リング、その他犯罪活動、金融制裁、WPCおよびデータ保護)を管理および評価することである。
第2のディフェンスラインとしての責務の範囲内で、コンプライアンス部は、法令要件または規制要件および執
行理事会の決定を実行し、個々の事例/不正行為を分析し、必要な措置を調整し、該当する場合は損害を制限する
ための臨時措置を開始する責任を負い、かつ、それらの権限を与えられる。その他のすべての分野についても、コ
ンプライアンス部が自主的かつ自立的に業務を遂行し、特に分析(結果の評価を含む。)、活動の監視、規則およ
び施策の策定および実施ならびに報告については、いかなる指示も受けない。コンプライアンス部は、その職務を
遂行するために、情報、検査に対する完全かつ無制限の権利を有し、すべての施設、文書、記録、録音およびシス
テムへのアクセスを有する。
前年同様、KfW特別プログラムの一環としてのCOVID-19のパンデミックに関連するKfWの事業活動は、関連するコ
ンプライアンスリスクタイプ(マネー・ロンダリング/テロ資金供与その他犯罪活動)における全体的なリスクレ
ベルの持続的上昇にはつながらなかった。これは、既存の実施チャネル(転貸)および商品(助成ローン)の構造
的利用によるものである。
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内部監査部
内部監査部は、執行理事会の手段である。KfWグループの手続から独立して業務を行う組織として、当該部署
は、関係するリスクを特定するためにKfWグループのあらゆるプロセスと活動に関する監査および評価を行い、執
行理事会に直接報告している。
リスク管理プロセスを目的として、内部監査部は、報告年度において、当グループ全体に関連する分散型のリス
ク管理プロセスならびにリスク管理およびリスク統制の中心的側面の監査を実施した。リスク管理に関しては、監
査の重点分野に、すべてのリスクタイプのリスク管理に使用されるモデルの適用、運用およびさらなる開発が含ま
れた。2021年度の監査計画には、主要な二次ライン機能の監査、特にコンプライアンス環境の監査も含まれてい
る。内部監査部が重要と評価したリスク管理プロジェクトは、内部監査部の公平性を維持し、利益相反を回避する
ことで、内部監査部によって裏付けられた。
さらに、内部監査部は、意思決定機関の会議に(ゲストの立場で)参加することによって、2021年に進行中のリ
スク測定手続の開発を引き続き監視した。
内部監査部は、KfWグループの内部監査部としても機能する。子会社の監査の企画立案に携わるほか、グループ
全体の内部監査報告に子会社の内部監査部による監査結果を組み入れている。
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4 )業績予測および機会の報告
本項中の将来の見通しに関する記述は、2022年4月8日付で公表されたKfWの考え、展望、目的、予測および見積
もりに基づくものである。
一般的な経済環境および動向
KfW は、 IMFの推計に従い、世界的な実質GDPが2021年に5.9%増加した後、2022年には前年比で4.4%増加すると
見込んでいる。したがって、2022年における世界的な実質GDPの予想増加率は、前年を下回るものの、2011年から
2020年の平均を上回る。かかるパターンは、先進工業国ならびに発展途上国および新興経済国についての予測であ
る(実質GDP(前年比変動率)の表を参照のこと。)。KfWは、IMFと同様に、2022年の新興経済国および低所得国
の実質GDPが、2020年1月に発表された2022年の予測を下回ると想定している。KfWは、国別の見通しが、主にCOVID
のワクチンへのアクセスおよび経済政策支援の程度の両方の差異によって決定されるというIMFの評価に同意して
いる。コロナウイルス変異株であるオミクロン株の出現により、COVID-19のパンデミックの経済的および健康的影
響が、引き続き2022年の世界的なGDP成長率の要因となることが明らかとなった。
実質GDP(前年比変動率)
2021 年 推測値 2022 年 予測 2011 年 から2020年の平均
(%)
世界経済 *
5.9 4.4 2.8
先進工業国 *
5.0 3.7 1.2
発展途上国および新興経済国 *
6.5 4.8 4.1
* 対応する総計の購買力平価で評価した国固有のGDPの割合をもとに、各国のGDPの年間成長率を各国の実質値で統計したもの。IMF分類に基づき、先進
工業国と新興経済国に分類。年平均成長率の幾何平均として計算された平均。
IMF によれば、パンデミックのさらなる進展、インフレおよび世界的な金融環境に関して大きな不確実性が存在
している。下振れリスクが顕在化した場合、2022年の世界の実質GDPの成長率が予想を下回ることは明らかであ
る。かかるリスクには、(a)より感染力が強く、致死率の高いSARS-CoV-2の亜種株の出現が、パンデミックの拡
大および強度を強める可能性、(b)パンデミックによる需給ギャップが予想以上に長引くことで、先進工業国の
金融正常化が予想より早く進み、物価上昇の持続による世界の金融状況が急激にタイト化する可能性、ならびに
(c)例えば、突然かつ急速に投資家心理が変動することにより、金融市場の変動性が高まる可能性を含む。さら
に、社会不安の増大、より深刻な気候変動、重要インフラへのサイバー攻撃ならびに貿易および技術面における地
政学的緊張の高まり(特に中国・米国間)等が、さらなるマイナスのリスクとして挙げられる。世界の実質GDP
は、特にCOVID-19に対する安全かつ効果的なワクチンをより迅速に、全世界で十分な規模でより大量に製造するこ
とが可能となるか、または、パンデミックを経て多くの経済分野において、自動化および職場環境の変革に向けた
構造変化のペースが加速された後、生産性の向上が見られれば、予想よりも有利に推移する可能性がある。
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ユーロ圏 について、KfWは、2022年の物価調整後のGDP成長率を3.6%と予想している。これは、予想される成長
率が前年比で1.6%ポイント低下するものの、2011年から2020年の平均を何倍も上回ることとなる。かかる予測が
正しいと証明されれば、経済総生産高は、物価調整後のGDPがパンデミック以前の水準、すなわち、2019年の水準
を上回る水準にまで回復することになる(実質GDP(前年比変動率)の表を参照のこと。)。欧州委員会と同様
に、KfWは、COVID-19が2022年のユーロ圏の経済活動全体に大きな混乱をもたらすことは一般にないと想定してい
るが、これは、達成されたワクチン接種率ならびに家計および企業がパンデミックによる残りの制限に適応したこ
と、サプライチェーンのボトルネックが緩和すること、ならびにエネルギー価格が落ち着くことに起因する。しか
しながら、KfWは、ECBの見解と同様に、景気回復が2022年初めはオミクロン株の出現により一時的に減速するが、
その後、物価調整後のGDP成長率は、年内に再び加速する可能性が高いと見ている。2022年において、GDPのすべて
の需要面の構成要素は、物価調整後のGDP成長に寄与すると見込まれる。かかる予測は、第一に、雇用の増加およ
び可処分所得の増加を背景に、家計が接触集約型サービスへの需要を高め、第二に、需要の増加、有利な資金調達
条件、不確実性の低下およびEUの復興・回復ファシリティ(Recovery and Resilience Facility)(以下「RRF」
という。)による資金提供から投資が恩恵を受けると予測する欧州委員会の評価に基づく。重要な貿易相手国であ
る国々の成長とそれに伴う観光業の回復が見込まれるため、欧州委員会は、輸出の増加および純輸出による成長へ
のプラスの寄与(0.3%ポイント)を予想している。
KfW は、 ドイツ における2022年の物価調整後のGDPが、前年と比較して3.2%増加すると予測している。そのた
め、2021年には遅れをとっていた物価調整後のGDPが、2022年には、COVID-19のパンデミックが発生した前年の
2019年を上回る水準に回復すると予想される(実質GDP(前年比変動率)の表を参照のこと。)。上記の世界経済
の見通しならびに2022年にかけて原材料および中間商品のサプライチェーンのボトルネックが緩和されるとの想定
を踏まえ、KfWは、2022年にGDPを決定する基本要因のうち製造業の粗付加価値が成長し、2022年の物価調整後の
GDPの増加の押上げを予測している。2020年のCOVIDのパンデミック発生以降、保健政策に関連した事業活動の制約
が課せられた小売・運輸・サービス業分野およびその他のサービス業分野においても、2022年の価格調整後の粗付
加価値の増加が見込まれる。KfWは、GDPの支出項目のうち、機械・設備における総固定資本形成および民間消費支
出が、2022年に物価調整後で最大の成長率を達成すると予想している。物価調整後の民間消費支出の予測は、2022
年にドイツに所在する就業者の平均人数が前年と比較して増加し、ドイツにおける7日間のCOVID罹患率が、2021年
対2022年の冬半期と比較して2022年中に再び減少するという見積もりに基づいている。
実質GDP(前年比変動率)
2021 年 2022 年 予測 2011 年 から2020年の平均 2022 年 予測
(%) (2019年の指数を100とする。)
ユーロ圏 5.2 3.6 0.5 102
ドイツ 2.8 3.2 1.1 101
米国 5.7 3.8 1.6 106
サプライチェーンのボトルネックの緩和の見通しが実現せず、資金調達環境が予想外に改善し、コロナウイルス
の新型変異株により再び事業活動が制限された場合、ドイツは、物価調整後のGDP成長率が2022年のKfWの予測を下
回る可能性がある。2022年の物価調整後のGDP成長率がKfWの予測を上回るには、主にCOVIDの新規感染が予想外に
迅速に抑制されること、およびサプライチェーンのボトルネックが予想より早く緩和されることによるものと考え
られる。2022年2月24日のロシアによるウクライナ攻撃は、当グループの見通しの不確実性をさらに高めた。経済
的影響は、軍事衝突のさらなる深刻化または段階的緩和のステップ、最終的にロシアに対して科される制裁措置お
よび同国の対抗措置次第である。現時点で、ドイツおよび欧州の経済生産に対する影響を評価することは、非常に
困難である。景気後退の再来から本書で予測した3.2%の成長まで、あらゆる可能性が依然としてありうる。
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ユーロ圏 について、KfWは、ECBの預金金利が2022年全体で-0.50%に留まると予想している。ECBは、COVID-19危
機への対応として、主要金利をこれ以上引き下げることなく、いくつかの的を絞った措置を講じた。その最も重要
な手段には、PEPPがあり、これに基づいて18,500億ユーロの有価証券の購入が計画されている。かかるプログラム
には、国債および社債の両方が含まれており、2022年3月末までは、期間、資産クラスおよび発行国の点で非常に
柔軟に購入することが可能である。PEPP終了後の移行期間として、通常の資産買入プログラム(以下「APP」とい
う。)による有価証券の購入を、2022年10月まで段階的に拡大する予定である。PEPPに基づき購入した有価証券の
満期時の元本返済の再投資は、少なくとも2024年末まで延長された。銀行は、2022年6月まで、TLTRO-Ⅲを通じ
て、極めて安価な流動性を供給されている。少なくとも2020年10月から2022年12月までの間に適格な純貸付を維持
している銀行については、2021年6月24日から2022年6月23日までのすべてのTLTRO-Ⅲ取引に適用される金利が、同
期間の平均預金ファシリティレートを50ベーシス・ポイント下回るものとなり、いかなる場合でも-1%を上回るこ
とはない。これらの措置により良好な資金調達環境がもたらされ、ユーロ圏の経済生産は、2022年も回復を続け、
危機以前の水準を超える可能性が高い。ECBは、現在のインフレ率の上昇がほぼ一時的なものであると考えてお
り、2022年中に月次報告のインフレ率が低下すると予測している。KfWは、2022年にユーロのスワップ・レートが
引き続き徐々に上昇すると予測している。イールド・カーブ(10年債および2年債のスワップ・レートのスプレッ
ド)は、2022年には平均が上昇すると予想される。
KfW はまた、景気回復および金融引き締めが続くことから、2022年の米国の金利がさらに上昇すると予想してい
る。KfWは、2022年のイールド・カーブ(10年債および2年債の米ドルスワップ・レートのスプレッド)が、平均し
て明らかに急勾配すると予想している。米連邦準備制度理事会は、有価証券の純購入額をゼロまで縮小し、2022年
中に利上げを開始すると予想されている。
新規事業の見通し
概要
KfW グループは、純資産の中央制御変数として、2022年の新規事業額を871億ユーロと予測している。KfW開発銀
行ならびにDEGの輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門については、2021年の水準の助成事業の継
続および国内助成事業における長期的ローンに対する高い需要を反映している。これらの新規事業の見通しは、持
続的なパンデミック、その経済的影響および潜在的な政治的措置ならびにドイツの新連邦政府による優先分野の新
設または変更により、変更される可能性がある。例えば、KfWのコロナウイルス救済に係る申請オプションが急遽
2022年4月30日(従来は2021年12月31日)まで延長され、これらの資金に対する潜在的需要を予測数値で考慮する
ことが不可能となった。かかる動的進展とは、KfWが、その他の資金調達プログラムへの効果に対する代替効果を
含め、広い範囲においてのみ推定することができることを示す。このため、パンデミックのさらなる進展、その経
済的影響およびあらゆる関連する政治的措置が決定的なものとなると予測される。2022年のコロナウイルスに係る
国内のすべての救済プログラムについてのKfWの内部予測は、現在16億ユーロから145億ユーロの範囲であると予想
している。現在の状況を考慮すると、かかる予測は不確実性が高い。いずれにせよ、KfWは、その使命を果たし、
特にパンデミック中、ドイツの経済および社会を継続して支えていく。必要に応じて、実績値を調整する手続が
2021年と同様に確立されていることを考慮すると、特に支障は生じないはずである。
BEG に基づくコミットメントは、過度な申請件数により、割り当てられた予算資源が予定より早く枯渇したた
め、2022年1月23日午後12時に停止された。ドイツ連邦経済・気候保護省、ドイツ連邦住宅・都市開発・建設省お
よびBMFは、2022年2月1日、停止日までに受領した助成対象の申請書を、当該時点まで有効なプログラムの基準に
従って、順次確認し承認することに合意した。2022年2月22日以降、BEGプログラムに基づく改修助成のための新規
申請書を提出することが可能となった。一方、新築のための資金は、将来に向けて再構築される予定である。KfW
は、かかる問題に関して、ドイツ連邦経済・気候保護省と緊密な連絡を取り合っている。
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国内事業
2022 年の ドイツの経済成長を考慮すると、 中小企業銀行および民間顧客 事業部門は、高いコミットメント総額
(479億ユーロの予測)が予想される。特に、住宅融資に対する根強い需要の継続および商工業融資における長期
的ローンの活用(投資残価設定への対応)が、これを後押しすると考えられる。新たに発足した連邦政府もまた、
さらなる推進力を発揮するものと期待される。
中小企業銀行事業部門では、前年のCOVID関連の高い数値を下回るものの、商工業融資の需要は堅調に推移する
と予想される。企業は、現在の社会のメガトレンドに対応する手段として、短期的な流動性ヘッジから長期的な投
資手段へと移行することが期待される。特に助成に注力しているプログラムでは、KfWは、例えば、融資パート
ナーへのマイナスの調達金利を含めることによって、2021年半ば以降、最終借入金利を0%まで引き下げることを
可能にし(資本市場の金利に左右される。)、需要を支援している。さらに、2022年初め以降、企業向け融資およ
びスタートアップ向け融資は、当該事業部門における助成の提供をさらに簡易かつ顧客にとって便利なものにする
ため、新しいERP助成ローン・プログラムにまとめられている。
低金利が続く中、民間顧客事業部門は、特にエネルギー効率の高い住宅への投資意欲が高いという特徴が継続し
ている。連邦政府が助成するBEG関連商品に対する需要は、省エネ住宅55基準が廃止されたにもかかわらず、大幅
な減少が見込まれてはいない。新連邦政府による需要喚起のさらなる推進は、特に気候保護と関連性の高い住宅改
修において想定される。同じく民間顧客事業部門に軸足を置く教育資金については、高い需要が継続することか
ら、前年並みの水準で提供される見込みである。
個別対応金融および公的顧客 事業部門は、地方自治体の投資と、連邦州の企業、銀行および助成機関の個別対応
金融のいずれにおいても、ローンの強い需要を見込んでいる。かかる需要はまた、マイナスの調達金利を融資パー
トナーに転嫁することにより生まれる新たな柔軟性によってもたらされる。当該事業部門は、2022年に新規事業額
での92億ユーロの助成を計画している。
企業向け個別対応金融について、COVID-19のパンデミックが企業の新規投資に対する借入意思および借入能力に
与える影響は、未だ明確に予測できない。しかしながら、2022年の投資需要は、再び堅調に推移すると予想され
る。
地方自治体の投資に対する需要は、気候変動、デジタル化の必要性およびCOVID-19のパンデミック、ならびに
2021年7月の壊滅的な大洪水で明らかになった気候の回復力の重要性がもたらす課題に対処する上で、地方自治体
および地方自治体の企業が中心的役割を果たしていることを考慮すると、地方自治体インフラ整備および社会イン
フラ整備セグメントの観点から、依然として高い。しかしながら、一部の地方自治体で予算および債務が逼迫して
いることに加え、建設業の生産能力および行政の能力が限られることから、投資能力が引き続き制限される。当該
事業部門は、全体として助成資金の需要が高まると見込んでいる。ドイツおよび欧州の融資パートナーとの個別融
資ならびに州立支援財団へのグローバル融資は、ECBの拡張的な金融政策と相まって、提携銀行の堅実なリファイ
ナンス状況および現在の低金利によって引き続き特徴付けられる。リース投資を支援するグローバル・ローンに対
する需要は、パンデミックによる一時的な抑制を経て、再び高まっている。輸出ローンの融資については、現在、
需要が安定しているものの、COVID-19のパンデミック発生後の輸出経済の動向に左右される。継続的な低金利環境
は、欧州向けグローバル・ローンおよび州立支援財団へのグローバル融資ならびに個別対応の企業金融に関して、
商品の魅力を維持する上で永続的な課題となっている。
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KfW キャピタル は、2022会計年度のコミットメント額を約19億ユーロ(そのうち自己負担分は6億ユーロ)と見込
んでいる。ドイツのベンチャー・キャピタル市場は、COVIDのパンデミックから完全に回復した。2020年には、年
間ベンチャー・キャピタル投資額が21億ユーロから19億ユーロへとわずかに減少したが、2021年に入ってからは、
当該事業部門にとってかなりの追い風となった。それにもかかわらず、経済力およびベンチャー・キャピタル投資
額の観点では、ドイツは未だ欧州の平均を下回っている。KfWキャピタルは、2022年も引き続きベンチャー・キャ
ピタル市場における信頼できるパートナーとして重要な役割を果たし、2022年においてさらにベンチャー・キャピ
タル基金への投資を拡大していく。KfWキャピタルの役割は、新連邦政府の連立協定とその技術革新融資への注力
により強化された。助成およびファイナンスの焦点は、引き続きVCおよびベンチャー・デット・ファンドへの株主
投資である。既存の3つの商品およびプログラム(ハイテク起業基金-HTGF、公的ベンチャー・キャピタル共同投
資基金、ERPベンチャー・キャピタル基金投資)が、2021年に「ERP/未来基金-成長融資」プログラムにより補完
され、かかるプログラムを通して、当該事業部門は、VC、特に成長ファンドに投資する。これは、資金量を増加さ
せ、急務である成長事例に資金を供給するための、より大きなチケットを提供することが可能となった。
2030 年末までに100億ユーロを拠出する連邦政府主導の未来基金の最初の3つの構成要素は、2021年夏に発足し
た。未来基金の目的は、その様々な構成要素を利用して、特に若く革新的なテクノロジー企業の成長のために、よ
り多くの資金を提供することである。未来基金の活動により、連邦政府に対する信託基金ベースのコミットメント
額は、2021会計年度の2億ユーロから2022会計年度には13億ユーロへと大幅に増加すると見込まれている。
金融市場
金融市場 事業部門は、2022会計年度に、償還期限を迎える債券を考慮し、目標とする20億ユーロから25億ユーロ
の範囲内で債券の発行量を安定させるため、4億ユーロのグリーンボンドポートフォリオの新規投資を計画してい
る。
国際事業
世界的に景気の先行きが悪化しているものの、 輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス 事業部門が対象とす
る欧州ならびに発展途上国および新興経済国の地域の中には、引き続き成長の可能性がある地域がある。経済刺激
プログラムはまた、特にインフラ投資および気候中立経済への転換に関連するプロジェクトの分野において、資金
需要(例えば、PPP)に対する刺激を生み出すことができる。健康リスク(COVID-19)および地政学的リスクは、
依然として輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門に関連しており、現在、主に国別評価の低下に
よって明らかにされた。保護貿易主義的運動と同様、これらのリスクは世界貿易、ひいては投資および融資機会に
顕著な悪影響を及ぼす可能性がある。一方、パンデミックに対応したサプライチェーンの的を絞った地域化は、貸
付機会を拡大する可能性がある。今日の観点から、不確実性があるものの、ポストCOVID時代は、その競争力に投
資するドイツならびに欧州の輸出業者および企業には十分な潜在力があると期待されている。これを基に、輸出金
融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門について、融資アプローチを策定することが可能である。輸出金融
およびプロジェクト・ファイナンスは、2022年のコミットメント額を合計146億ユーロと予想している。
KfW は、 2022年から、KfW開発銀行およびDEGの2つの事業分野を有する従来の 発展途上国および新興経済国支援 事
業部門を、2つの事業部門に分割することを決定した。
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KfW 開発銀行 の事業部門は、力強い事業成長が引き続き数年間にわたることが予想される。KfW開発銀行は、2022
年も引き続き、連邦政府および国際機関の開発政策および国際協力に関するプロジェクトを支援する。現在進行中
のCOVID-19のパンデミックに鑑み、コロナウイルス緊急支援プログラムの迅速かつ効率的な実施を通じたパート
ナー国への支援は、2022年においても役割を果たすとされている。このような観点から、国際的な資金供給機構
は、「より良い復興(ビルド・バック・ベター)」および「グリーンで弾力性のある包括的発展(GRID)」といっ
た、概念に発展しつつある持続可能な復興にさらに注力している。加えて、アフリカとの協力、貧困の軽減、危機
および強制退去の原因の緩和ならびに気候保護およびその他の世界財の保護といった問題が、ドイツおよびEUの政
治課題として重要である。連邦政府および欧州委員会は、国際的な環境および気候保護の分野に対する責任を担っ
ており、多くの気候イニシアチブに関与している。BMZは、現在選ばれている6ヶ国との改革パートナーシップを通
じて、G20アフリカとのコンパクトのイニシアチブも支持している。2022年の連邦政府の開発協力予算の資金は、
COVIDのパンデミック前と同程度の水準になるとされている。KfW開発銀行の最も重要な契約機関であるBMZの今後
の優先事項は、2030年BMZ改革戦略および国連のSDGsに基づき、これに定義された長期的な中核分野である(ⅰ)
平和で包括的な社会、(ⅱ)飢餓のない世界-普遍的な食糧へのアクセス、(ⅲ)適切な職業のための訓練および
持続的な成長、(ⅳ)地球への責任-気候およびエネルギー、ならびに(ⅴ)我々の暮らしを守ること-環境およ
び天然資源から導き出される。欧州委員会およびその加盟国は、2021-2027年多年度財政枠組み(以下「MFF」とい
う。)の中で、欧州の開発協力のための資金調達手段をさらに発展させた。かかるイニシアチブは、とりわけ、民
間資本の移動増強、欧州開発協力の可視性の向上および欧州の助成機関間の緊密な協力に注力している。地理的拡
大および拡張された欧州持続可能開発基金プラス(EFSD+)からの保証のための融資の増加を考慮すると、EUとの
協力は、今後重要性が高まっていくと予想される。KfW開発銀行は現在、連邦政府および国際機関の計画されたプ
ロジェクトを背景に、2022年の新規事業額を116億ユーロと予想している。
子会社の DEG は、同名のDEGの事業部門に割り当てられている。活動に関係する発展途上国および新興市場におけ
る経済成長は、2022年において、COVID-19のパンデミックならびにその世界的およびDEGのパートナー地域におけ
る経済的影響により、非常に影響を受けると予測される。その目的は、危機の際に信頼できるパートナーとして既
存の顧客を継続して支援し、地域開発への貢献(労働力、地域所得および地域コミュニティへの寄付金)を確保す
ることである。DEGは、顧客への変革的な支援および影響力の大きい事業部門への投資を含む融資を通じて、正味
の影響力のある貢献を行うことを目指している。環境および社会マネジメント、気候および資源保護ならびに研修
に関する具体的な助成プログラムは、DEGが融資する企業が国際的な優良事例を実践できるよう支援している。
現在、ドイツ企業向けに提供している融資および助成金は、特にアフリカを中心とした発展途上国および新興経
済国におけるドイツ経済を支援するために拡充されている。このため、ドイツの企業は、ドイツのデスク・サービ
スだけでなく、連邦政府の開発投資基金(以下「EIF」という。)に基づきリスクの負担および魅力的な条件の提
供を通じてアフリカへの投資を促進するために設計されたアフリカ関連融資商品も利用することができる。
影響/気候に焦点を当てたビジネスモデルの発展を成功させるため、また、COVID関連の影響が残る市況を考慮し
て、DEGは、今後3年間の新しいビジネスの枠組みを中程度の水準に堅く設定し、その後は穏やかな成長への回復を
見込んでいる。DEGは、2022会計年度の新規コミットメント額を16億ユーロと予想している。
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資金調達の見通し
KfWは、助成活動に 融資する ために世界中で債券を発行している。これらの債券は、多くの通貨で異なる満期で
発行され、様々な対象グループに対応している。連邦政府の明確な直接保証によって、格付機関は、KfWの債券を
最高の信用度であるAAA格付と評価している。KfWは、多様かつ長期指向の資金調達戦略により、資本市場において
安定した地位を築き上げてきた。債券発行事業における商品の提供については、投資家の需要を引き続き重視する
予定である。KfWのユーロ建および米ドル建のベンチマーク債は、引き続き総額の中で最大の割合を占める予定で
ある。さらに、商品範囲の多様化は、市場次第である。KfWによるグリーンボンドに対する需要が高いため、発行
総額に占める割合は、引き続き重要性を増していくことが予想される。KfWは現在、2022年に少なくとも総額100億
ユーロの流動性のある大口のグリーンボンドを様々な通貨で発行することを見込んでいる。
2022会計年度における発行総額は、800億ユーロから850億ユーロと見込まれる。
収益の見通し
2022 年に関する当グループの 収益見通し において、予想されているマクロ経済的条件に基づき、KfWは、IFRSの
影響を受ける前の連結利益が約9億ユーロになると予想している。これにより、予想される収益は、戦略的目標水
準である10億ユーロをわずかに下回ることとなった。
正味受取利息(助成費用前)は、2022年において24億ユーロから25億ユーロと予想される。貸出事業における利
ざやは、前年比でわずかに減少した。2022年も継続すると考えられる低金利環境は、引き続き収益の負担になると
予測される。そのため、KfWは、株主資本利益率から生じる収益が引き続き減少すると予想している。KfWの位置付
けに関連する予測から外れた市況の変化に起因して、主に資金運用損益について、連結利益の機会およびリスクが
生じる可能性がある。
KfW は、 前年と同水準の6億ユーロの正味受取手数料を見込んでいる。これには、連邦政府を代表してドイツで実
施される助成プログラムに対する報酬および金融支援に関する一般協定に基づく報酬が含まれる。
管理費は、2022年において15億ユーロに増加すると予測される。これには、近代化、デジタル化および規制プロ
ジェクトとともに、国内事業における助成の処理および発展、輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業部
門ならびにDEG事業部門のさらなる発展といった、企業政策プロジェクトの立上げが含まれる。
全体として、評価前営業損益は、前年比で減少すると予想される。2022年の助成費用前収益費用比率は、51%と
なる見込みである。
2022 年の 予測される標準的リスク費用は、5億ユーロであり、2021年に必要とされたリスク引当金の予測費用よ
り1億ユーロ低い。しかしながら、2022年の貸出事業に係るリスク引当金は、依然としてCOVID-19のパンデミック
の今後の行方に大きく左右される。2021年の評価損益は、主に2020年のパンデミック後の経済緩和による株式投資
ポートフォリオにおける減損戻入によって特徴付けられたことから、2022年の予測は、約2億ユーロのプラスの評
価損益/その他の営業収支が安定すると想定している。COVID-19のパンデミックに起因する不透明な状況の継続
は、評価後の業績予想に重大なプラスまたはマイナスの乖離を生じさせる可能性がある。
KfW は、 助成費用が2022年に4億ユーロになると予想している。2021年の助成費用と比較して、前年比で2億ユー
ロの増加が実現するか否かは、2022年の市況に左右される。
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全体的な結論
KfW は、 景気回復および予想される需要を踏まえ、2022年の新規事業額を871億ユーロ、連結利益を9億ユーロと
予想している。
KfW は、 ロシア・ウクライナ紛争の最新動向として、2022年2月24日のロシアによるウクライナへの攻撃により、
2022年のドイツおよび世界の経済生産にマイナスの影響が及ぶと予想している。これにより、2022会計年度に設定
した当グループの目的の達成に悪影響が及ぶ可能性がある。KfWの現在の評価において、危機は特に、ウクライナ
およびロシアにおけるKfWのローンおよび株式投資のエクスポージャーに影響を及ぼしている。KfWのエクスポー
ジャーは、輸出保険および信用保険ならびに連邦共和国からの保証により大部分がカバーされている。かかる紛争
の間接的な影響は、当グループの事業とその収益状況にも及ぶと予想されうる。例えば、エネルギー市場および商
品市場へのマイナスの影響ならびに科せられた制裁措置の影響を受ける可能性もある。特に、軍事衝突のさらなる
深刻化または段階的緩和のステップの不確実性に関する動的進展を考慮すると、現時点では純資産、財政状態およ
び収益状況に与える全体的な影響について、正確な見通しを立てることはできない。KfWは、紛争の進展およびKfW
の事業への影響を引き続き注視していく。
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5 )ドイツ商法に基づき作成されたKfWの年次財務諸表への注記
KfW の全体的な活動
2021 年 2020 年
財務諸表 (単位:百万ユーロ)
事業額 667,398 643,716
総資産 562,355 543,320
発行済債券 443,617 412,754
自己資金 29,816 28,431
正味受取利息(助成費用前) 2,068 2,050
正味受取手数料(助成費用前) 493 460
管理費(助成費用前) 1,130 1,034
助成費用 188 88
当期利益 1,784 1,599
KfW の業績推移
2021 会計年度におけるKfWの収益は、前年の水準と比較して改善した。正味受取利息(助成費用前)は、低金利
が継続する中、前年と比較して増加した。正味受取手数料(助成費用前)は、需要の高い省エネ建築および改修プ
ログラムに対する報酬が増加したことにより、前年と比較して増加した。助成費用前収益費用比率は、管理費の増
加により、44.1%(2020年は41.2%)に上昇した。KfWは、1,784百万ユーロの当期利益を計上し、その収益状況に
より資本基盤を強化した。
2021 会計年度の KfWの総資産は、190億ユーロ増加して5,624億ユーロとなり、事業額は、6,437億ユーロから増加
して6,674億ユーロとなった。
KfW の 助成事業額は、総額943億ユーロとなり、当グループの助成事業額の1,070億ユーロを下回った。かかる差
額は、国際事業に関連するものであり、DEGならびにIPEXの輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスの結果に
よるものである。
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収益状況の業移
KfW の 評価および助成費用前営業損益は、1,392百万ユーロとなり、前年の数値である1,630百万ユーロを(238百
万ユーロ)下回った。
2021 会計年度における助成費用前の収益状況から
商法に基づき作成された損益計算書上の収益状況への調整
調整
収益状況 ドイツ商法の損益計算書の様式
(単位:百万ユーロ)
正味受取利息(助成費用前) 2,068 -144 1,923 経常利益を含む正味受取利息
正味受取手数料(助成費用前) 493 -12 482 正味受取手数料
有形固定資産および無形固定資
一般管理費(助成費用前) 1,130 14 1,144 産の減価償却、償却ならびに減
損を含む一般管理費
その他の営業利益および費用
-39 -18 -57
その他の営業利益および費用
(助成費用前)
営業損益
営業損益(リスク引当金/評価/
1,392 -188 1,204
助成費用前)
(リスク引当金/評価前)
株式投資、関連会社株式および
評価損益 固定資産として保有する有価証
32 -1 31
券の評価損の戻入からの利益
債権および特定の有価証券に係
貸出事業に係るリスク引当金 113 1 113 る減損損失の戻入ならびに貸倒
損失引当金の戻入からの利益
利益プール契約、損益移転およ
移転契約から生じる純損益 41 0 41 び部分的利益移転契約からの利
益
一般銀行業務上のリスクに対す 一般銀行業務上のリスクに対す
400 0 400
る積立金の取り崩し る積立金の取り崩し
営業活動による利益/損失
1,978 -188 1,790 営業活動による利益/損失
(助成費用前)
助成費用 -
188 -188 0
法人税 4 0 4 法人税
2 0 2
その他の税金 その他の税金
1,784 0 1,784
当期利益 当期利益
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2020 会計年度における助成費用前の収益状況から
商法に基づき作成された損益計算書上の収益状況への調整
調整
収益状況 ドイツ商法の損益計算書の様式
(単位:百万ユーロ)
正味受取利息(助成費用前) 2,050 -54 1,996 経常利益を含む正味受取利息
正味受取手数料(助成費用前) 460 -11 449 正味受取手数料
有形固定資産および無形固定資
一般管理費(助成費用前) 1,034 12 1,046 産の減価償却、償却ならびに減
損を含む一般管理費
その他の営業利益および費用
155 -12 143
その他の営業利益および費用
(助成費用前)
営業損益
営業損益(リスク引当金/評価/
1,630 -88 1,542
助成費用前)
(リスク引当金/評価前)
株式投資、関連会社株式および
評価損益 固定資産として保有する有価証
-10 1 -9
券の減損ならびに評価性引当金
債権および特定の有価証券に係
貸出事業に係るリスク引当金 44 -1 43 る減損損失の戻入ならびに貸倒
損失引当金の戻入からの利益
利益プール契約、損益移転およ
31 0 31
移転契約から生じる純損益 び部分的利益移転契約からの利
益
営業活動による利益/損失
1,695 -88 1,607 営業活動による利益/損失
(助成費用前)
助成費用 -
88 -88 0
法人税 6 0 6 法人税
2 0 2
その他の税金 その他の税金
1,599 0 1,599
当期利益 当期利益
正味受取利息(助成費用前) は、2,068百万ユーロとなり、前年(2,050百万ユーロ)を上回った。かかる増加
は、貸付金および短期金融市場事業における受取利息が減少したものの、支払利息の減少がそれを上回ったことに
よるものである。
正味受取手数料(助成費用前) は、493百万ユーロとなり、前年の460百万ユーロを33百万ユーロ上回った。かか
る増加は主に、省エネ建築および改修プログラムに対する報酬ならびにその後継プログラムであるBEGに対する報
酬によるものであり、合計119百万ユーロ(2020年は83百万ユーロ)となった。さらに、KfWは、電気自動車用の充
電ステーションのプログラムからの受取手数料が28百万ユーロ増加し、29百万ユーロを記録した。発展途上国およ
び新興経済国支援事業部門におけるFCの運営により発生する受取手数料は、229百万ユーロ(2020年は217百万ユー
ロ)に増加した。コロナウイルス支援のためのKfW特別プログラムからの受取手数料は、61百万ユーロ(2020年は
99百万ユーロ)に減少し、「建築こども手当( Baukindergeld )」スキームからの受取手数料は、48百万ユーロ
(2020年は67百万ユーロ)に減少した。連邦政府からの報酬は、関連する管理費により相殺された。
管理費(助成費用前) は、96百万ユーロ増加して1,130百万ユーロとなったが、これは主に、賃金および給与の
支出が増加したことに加え、変更ポートフォリオの増加による外部サービス提供の費用が増加したことによるもの
である。
その他の営業利益(助成費用前) は、ドイツ商法に基づく年金の測定に用いる金利の変更による影響(-130百万
ユーロ)に起因して、-39百万ユーロ(2020年は155百万ユーロの利益)となった。さらに、前年の数値には、損益
に計上された2009年特別プログラムの証拠金基金からの一時的な収益の回収および連邦政府に対する144百万ユー
ロの債務の認識中止が含まれていた。
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32 百万ユーロのプラス(2020年は-10百万ユーロ)の 評価損益 は、主に株式投資の結果が実現したことによるも
のであり、減損により一部相殺された。
リスク引当金 は、113百万ユーロ(2020年は44百万ユーロ)の利益を生み出した。評価性引当金の正味繰入額
は、特に教育資金および「海運業」部門において、一般評価性引当金の戻入および以前償却された貸出金の回収が
成功したことによる収益をもって相殺された。一般評価性引当金の純戻入は、マクロ経済の見通しが改善したこと
によるものである。貸出事業に対する特別評価性引当金および特別引当金は、602百万ユーロから503百万ユーロに
減少し、また、貸出事業に対する一般評価性引当金および一般引当金は、579百万ユーロから532百万ユーロに減少
した。特別評価性引当金に関連する121百万ユーロの不良債権は、2021会計年度に償却された(2020会計年度は75
百万ユーロ)。
KfW の 収益状況にマイナスの影響を与える国内における2021年の 助成費用 は、2020年の88百万ユーロと比較し
て、188百万ユーロとなった。KfWの助成費用の主要な構成要素は、良好なリファイナンス条件への転嫁に加え、最
初の固定金利期間中に付与された144百万ユーロの金利の引下げである。さらに、正味受取手数料および管理費に
計上されている助成費用が、26百万ユーロ(2020年は23百万ユーロ)発生した。これらの支出は、とりわけKfWの
助成商品の売上を目的としていた。その他の営業費用には、助成費用として貸出事業の補完として付与された助成
補助金の18百万ユーロ(2020年は12百万ユーロ)が含まれている。
利益プール契約、損益移転および部分的利益移転契約からの利益 には、KfW IPEX銀行に対する15百万ユーロの黙
示的出資の利息およびKfWキャピタルへの26百万ユーロの利益移転を含む。
一般銀行業務上のリスクに対する積立金 の400百万ユーロの一部取り崩しは、全体の業績にプラスに寄与した。
2021 会計年度は、1,784百万ユーロ(2020会計年度は1,599百万ユーロ)の 当期利益 を計上して終了し、その全額
が利益剰余金に割り当てられた。
純資産の推移
KfW は、 2021会計年度において、総資産および事業額の両方で増加が見られた。
債権残高
2021 年 2020 年
12月31日現在 12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
銀行に対する貸出金等 334,064 323,153
顧客に対する貸出金等 110,489 111,362
信託に保有する貸出 10,561 10,799
金融保証からの偶発債務 711 667
104,332 99,729
取消不能貸出コミットメント
560,157 545,711
合計
債権残高(取消不能貸出コミットメント、信託に保有する貸出ならびに保証を含む、銀行および顧客に対する貸
出金等)は、5,457億ユーロから増加して5,602億ユーロとなったが、これは、エネルギーおよび気候プログラム
(127億ユーロ)によるものである。全体として、新規貸出事業における支払額が、返済額を上回った。
2021 年の 信託に保有する貸出額は、主に連邦共和国により提供される予算資金を財源とする発展途上国支援のた
めの融資であるが、106億ユーロ(2020年は108億ユーロ)に減少した。
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金融保証からの偶発債務は、7億ユーロと横ばいであった一方、取消不能貸出コミットメントは、46億ユーロ増
加して1,043億ユーロとなった。取消不能貸出コミットメントの増加は、未来基金に関連した連邦政府に対する85
億ユーロの取消不能貸出コミットメントによるものである。
債券およびその他の確定利付証券の合計は、13億ユーロ増加して399億ユーロ(2020年は386億ユーロ)となっ
た。買い戻された自己発行証券の保有額はまた、2020年の37億ユーロから39億ユーロに上昇した。これは、発行済
債券の1.0%に相当する。
債券およびその他の確定利付証券の総保有額の90.2%を占める、その他の発行体の保有有価証券の総額は、360
億ユーロとなり、前年の349億ユーロを11億ユーロわずかに上回った。その他の発行体からの有価証券のうち、
76.4%はECBに対する資金調達オペレーションの担保として適格である。
財務省証券ポートフォリオに加え、KfWは、証券化および中小企業金融活動に関連する簿価61億ユーロ(2020年
は63億ユーロ)のABSを保有している。潜在的なリスクは、適切なリスク引当金により十分に対処される。
関連会社株式の価値は、38億ユーロ(2020年は37億ユーロ)であった。KfWの信託に保有する資産は、11億ユー
ロ増加して183億ユーロ(2020年は172億ユーロ)となった。
財政状態の推移
2021 年、KfWは、事業活動の資金として、826億ユーロ(2020年は664億ユーロ)を資本市場から調達した。合計
211件の債券が15通貨で発行された。37件のグリーンボンド取引(15件の追加分を含む。)は162億ユーロ規模とな
り、資金調達への寄与度が19.6%となった。
借入金 は、191億ユーロ増加して5,028億ユーロとなった。
借入金
2021 年 2020 年
12月31日現在 12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
連邦共和国
-ERP特別基金 138 216
-連邦予算 4,343 5,077
35,400 38,000
-WSF
39,881 43,294
4,006 3,681
その他の借入先
43,886 46,974
顧客に対する債務
15,271 23,941
銀行に対する債務
発行済債券 5,553 16,825
無記名証券(コマーシャル・ペーパーを含む。) 436,525 393,925
未払利息および支払利息 1,539 2,004
443,617 412,754
発行済債券および手形
502,774 483,669
合計
2021 年12月31日現在の発行済債券は、前年比で309億ユーロ増加して、合計4,436億ユーロとなった。特に米ドル
に対する外国為替相場の変動は、新規発行および満期償還と同様、ポートフォリオの展開に影響を及ぼした。
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借入金の88.2%は発行済債券および手形が占めており、前年の水準(85.3%)を上回った。したがって、これら
は依然としてKfWの最大の資金源である。2021年のユーロ建債券の割合は、55%(2020年は64%)、米ドル建債券
は26%(2020年は24%)であった。ポンド建債券の割合は、8%(2020年は5%)であった。
2021 年12月31日現在、KfWがWSFを通じて債務証書借入により調達した資金は、380億ユーロから26億ユーロ減少
して、354億ユーロとなった。
銀行および顧客からの資金(連邦予算資金を除く。)の割合は、前年からわずかに減少して3.8%(2020年は
5.7%)となった。これには、デリバティブ事業からの取引先リスクの縮小を主な目的として受領した現金担保88
億ユーロ(2020年は48億ユーロ)が含まれている。銀行に対する債務には、TLTRO-Ⅲ取引の14億ユーロ(2020年は
134億ユーロ)が含まれている。
中央銀行に対する残高は、17億ユーロわずかに減少して424億ユーロ(2020年は442億ユーロ)となった。
2021 年12月31日現在のKfWの 自己資金 は、前年と比較して4.9%上昇して298億ユーロであった。かかる増加は主
に、利益剰余金に割り当てられた1,784百万ユーロの純利益によるものである。一般銀行業務上のリスクに対する
積立金の一部が取り崩され、現在では2億ユーロ(2020年は6億ユーロ)となった。
自己資金
2021 年 2020 年
12月31日現在 12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
引受済資本 3,750 3,750
未請求の未払込資本 -450 -450
資本準備金 8,447 8,447
ERP 特別基金からの準備金 1,191 1,191
利益剰余金
a)KfW 法第10条第(2)項による法定準備金 1,875 1,875
b)KfW 法第10条第(3)項による特別準備金 14,755 12,971
c) ドイツマルク貸借対照表法第17条第(4)項による法定準備
48 48
金 (1)
ドイツ商法第340g条による一般銀行業務上のリスクに対する積
200 600
立金
29,816 28,431
合計
(1) ドイツマルク貸借対照表法第17条第(4)項に従い、資産側に表示される特別損失勘定により調整される(26百万ユーロ)。
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6) 連結財務書類
連結包括利益計算書
損益計算書
注記 2021 年 2020 年
(単位:百万ユーロ)
実効金利法による受取利息 615 1,876
446 609
その他の受取利息
受取利息合計 (21)
1,061 2,485
–1,325 –62
支払利息 (21)
正味受取利息
2,386 2,547
リスク引当金による純損益 (1) 196 –781
(7)(22)
正味受取利息(リスク引当金控除後)
2,582 1,766
受取手数料 (10)(23) 647 599
24 26
支払手数料 (23)
正味受取手数料
623 573
ヘッジ会計から生じる純損益 (8)(24)(56)(57) –110 16
損益を通じて公正価値で測定されるその他の金融商
(25) 767 –428
品から生じる純損益
償却原価で測定される金融資産の処分による純損益 (26) –4 –1
持分法により会計処理された投資からの 純損益 (6)(27) 14 31
一般管理費 (28) 1,466 1,342
–53 –14
その他の正味営業収益または損失 (29)
営業活動による損益
2,353 600
137 76
法人税 (30)
連結利益 2,215 525
(1) 重要でない契約上の変更から生じる純損益は、リスク引当金による純損益に計上される。
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連結包括利益計算書
2021 年 2020 年
(単位:百万ユーロ)
2,215 525
連結利益
その他の包括利益 195 –233
損益を通じて公正価値で測定することが指定された負債に係る
23 –114
自己信用リスクの増減
確定給付債務(税引前) 182 –126
–10 6
確定給付債務に係る繰延税金
連結包括利益 2,410 292
その他の包括利益(以下「OCI」という。)は、株主持分の再評価準備金に直接認識された金額から成る。これ
らの金額は、損益を通じて公正価値で測定することが指定された負債に係る自己信用リスクの増減からの利益およ
び費用、確定給付債務に係る数理計算上の損益の変動ならびに元となる取引により計上される繰延税金の変更を含
む。
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連結財政状態計算書
資産の部
2021 年 2020 年
12 月31日 12 月31日
注記 現在 現在
(単位:百万ユーロ)
現金準備高 (33) 42,439 44,178
(7)(11)(34)(35)(36)
償却原価で測定される金融資産 473,221 460,615
(56)(57)
公正価値で測定される金融資産 (7)(37)(58) 19,085 18,077
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計に係る
(8)(38)(58) 4,609 12,220
評価差額
ヘッジ会計に指定されたデリバティブ (8)(39)(56)(57)(58) 8,478 7,958
持分法により会計処理された投資 (6)(40) 597 613
売却目的で保有する非流動資産 (12)(41) 119 81
有形固定資産 (15)(42) 971 999
無形固定資産 (17)(43) 144 172
税金資産 (44) 506 714
794 758
その他の資産 (10)(45)
合計 550,962 546,384
負債および資本の部
2021 年 2020 年
12 月31日 12 月31日
注記 現在 現在
(単位:百万ユーロ)
償却原価で測定される金融 負債 (7)(46)(56)(57) 496,385 483,867
公正価値で測定される金融 負債 (7)(47)(58)(60) 11,484 16,231
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計に係る
(8)(48)(58) 37 57
評価差額
ヘッジ会計に指定されたデリバティブ (8)(49)(56)(57)(58) 4,554 9,910
引当金 (7)(18)(50) 3,576 3,543
税金負債 (51) 337 450
その他の負債 (10)(52) 382 529
株主持分 (19)(53) 34,207 31,797
払込済資本 3,300 3,300
資本準備金 8,447 8,447
ERP 特別基金からの準備金 1,191 1,191
利益剰余金 22,026 19,411
一般銀行業務上のリスクに対する積立金 200 600
–957 –1,151
再評価準備金 (7)(19)
合計 550,962 546,384
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連結持分変動計算書
連結持分変動計算書
一般銀行
ERP 特別 業務上の
基金
リスクに
引受済 資本 からの 利益 対する 再評価
資本 準備金 準備金 剰余金 積立金 準備金 合計
(単位:百万ユーロ)
3,300 8,447 1,191 18,742 600 –918 31,362
2020 年1月1日現在
連結包括利益 0 0 0 525 0 –233 292
連結利益 0 0 0 525 0 0 525
その他の包括利益 0 0 0 0 0 –233 –233
持分内の組替 0 0 0 0 0 0 0
0 0 0 0 0 0 0
連結 グループ の変更
0 0 0 144 0 0 144
株式資本のその他の変動
3,300 8,447 1,191 19,411 600 –1,151 31,797
2020 年12月31日現在
0 0 0 0 0 0 0
遡及調整による変更
連結包括利益 0 0 0 2,215 0 195 2,410
連結利益 0 0 0 2,215 0 0 2,215
195 195
その他の包括利益 0 0 0 0 0
持分内の組替 0 0 0 400 – 400 0 0
0 0 0 0 0 0 0
連結グループの変更
0 0 0 0 0 0 0
株式資本のその他の変動
3,300 8,447 1,191 22,026 200 –957 34,207
2021 年12月31日現在
持分内の組替は、ドイツ商法(HGB)の規定に従って、KfWの財務書類に計上された400百万ユーロの一般銀行業
務上のリスクに対する積立金を一部取崩したことによるものであり、これにより、利益剰余金が増加する結果と
なった。前年の利益剰余金のうち144百万ユーロの株式資本のその他の変動は、株主持分において直接認識された
連邦政府債務の償却に関連している。
連結包括利益の差分は、その他の利益剰余金、または株主持分に直接認識されている場合は、再評価準備金に割
り当てられる。
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以下の表および注記53は、連結持分変動計算書の詳細を示している。
再評価準備金の増減
損益を通じて
公正価値で
測定することが 確定給付
指定された 債務に
負債に係る 係る
自己信用リスクの 数理
増滅からの 計算上の
評価損益 損益 税効果 合計
(単位:百万ユーロ)
–40 –926 47 –918
2020 年1月1日現在
連結包括利益 –114 –126 6 –233
その他の包括利益 –114 –126 6 –233
0 0 0 0
持分内の組替
–153 –1,052 54 –1,151
2020 年12月31日現在
連結包括利益 23 182 – 10 195
その他の包括利益 23 182 –10 195
0 0 0 0
持分内の組替
–131 –870 44 –957
2021 年12月31日現在
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連結キャッシュ・フロー計算書
2021 年 2020 年
(単位:百万ユーロ)
連結利益 2,215 525
連結利益に含まれる非現金項目および営業活動
によるキャッシュ・フローに一致させるための調整:
減価償却費、償却費、減損および減損損失戻入(資産)なら
42 990
びに貸出事業に係るリスク引当金の増減
年金および類似の約定に対する引当金およびその他の引当金
359 143
の増減
その他の非現金費用および収益 88 59
資産の売却損益 0 0
–2,337 –2,531
その他の調整
小計
368 –814
非現金項目修正後の営業活動による資産および負債の増減:
償却原価で測定される金融資産 –12,555 –26,879
公正価値で測定される金融資産 –955 201
営業活動に係るその他の資産 7,227 1,454
償却原価で測定される金融負債 12,519 35,659
公正価値で測定される金融負債 –2,794 –636
営業活動に係るその他の負債 –7,801 4,428
利息および配当金受取額 1,061 2,485
利息支払額 1,325 62
–49 –16
法人税支払額
営業活動によるキャッシュ・フロー
–1,655 15,943
有形固定資産:
売却による収入 3 2
取得による支出 –72 –95
有価証券および投資(株式投資):
–15 –12
売却による収入/取得による支出
投資活動によるキャッシュ・フロー
–84 –105
増資/減資による収入/支出 0 0
0 144
その他財務活動による増減
財務活動によるキャッシュ・フロー 0 144
前期末現在の現金および現金同等物
44,178 28,195
営業活動によるキャッシュ・フロー –1,655 15,943
投資活動によるキャッシュ・フロー –84 –105
0 144
財務活動によるキャッシュ・フロー
当期末現在の現金および現金同等物 42,439 44,178
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IAS 第7号に従って、キャッシュ・フロー計算書に計上される現金および現金同等物の残高は、財政状態計算書項
目の「現金準備高」と同一であり、手許現金および中央銀行残高から成る。
キャッシュ・フロー計算書は、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フローおよび
財務活動によるキャッシュ・フローに分類され、会計年度における現金および現金同等物の増減を示している。そ
の他の調整の項目は、主に、- 2,386 百万ユーロ(2020年は-2,547百万ユーロ)の正味受取利息の調整から成る。営
業活動によるキャッシュ・フローに含まれるリース債務の返済による支出は、2021会計年度に13百万ユーロ(2020
年は11百万ユーロ)に達した。リース債務の利息部分ついての支出は、利息支払額に計上されている。
KfW グループの流動性リスク管理の詳しい情報については、「3) リスクの報告―リスクの種類―流動性リスク」
を参照のこと。
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注記
会計方針
(1) 表示の基礎
KfW は、連邦共和国の助成銀行であり、フランクフルト・アム・マインに拠点を置く公法に則った機関として
1948年に設立された。KfWは、ドイツ経済に重点を置きつつ、世界中の経済、環境および社会の状況の持続的な改
善を推進している。
KfW の執行理事会は、連結財務書類および統合営業報告書の作成について責任を負っている。連結財務書類およ
び統合営業報告書は、監査委員会による勧告後、KfWの監事会に提出され、承認を受ける。
報告日現在、KfWグループは、KfWおよび完全に連結されている子会社5社で構成されている。ジョイント・ベン
チャー1社と関連会社3社は、持分法により会計処理されている。
2021 年12月31日現在の連結財務書類は、ドイツ商法第315e条第(1)項に従い、EUにより採用されたIFRS、および
IFRS解釈指針委員会(IFRS IC)により定められた解釈指針に準拠して作成されている。これは、特定のIASを適用
した諸規則はもとより、2002年7月19日付欧州議会および欧州理事会の規則(EC)第1606/2002号(IAS規則)の第4
条に準拠した、必須の連結会計として適用されている。適用されている基準および解釈指針は、報告日現在EUが公
表および承認したものである。
IFRS による連結財務書類にも適用されるドイツ商法の補足規定が考慮されている。ドイツ商法第315条に準拠し
て作成された統合営業報告書には、IFRS第7号に規定される金融商品のリスク情報を含むリスク報告書のほかに、
IAS第1号第134項に規定される資本および資本管理に係る情報も含まれている。
連結財務書類は、KfWグループ内で一貫した会計方針に準拠して作成され、継続企業の前提に基づいて作成され
ている。連結財務書類に含まれる企業は、2021年9月30日現在の財務書類が使用された持分法により会計処理をし
ているいくつかの関連会社を除いて、2021年12月31日現在の年次財務書類を作成している。報告日現在におけるか
かる関連会社についての重要な事象も考慮されている。
連結財務書類における会計方針は、注記3に挙げられる項目を除き、一貫して適用されている。
報告通貨は、ユーロである。特に記載のない限り、すべての金額は百万ユーロで記載されている(単位:百万
ユーロ)。
(2) 新しい会計基準、改訂される会計基準または初めて採用される会計基準
A. 2021 会計年度に初めて採用されるIFRS/IFRIC新解釈指針または改訂解釈指針による影響
ベンチマーク改革の過程における参照レートの変更を受け、IASBは、銀行の財務書類への想定外の影響を抑制す
るため、IFRS第9号、IAS第39号およびIFRS第7号を含むいくつかの基準を改訂した。IASBの基準設定プログラム
は、2段階に分けられる。第1段階は、2020会計年度においてすでに適用されており、現行の金利ベンチマークが代
替レートに置き換えられる前の期間における財務報告に影響する問題を取り扱う。第2段階では、現行の金利ベン
チマークが代替レートに置き換えられた時点の財務報告に影響する問題を取り扱う。
両段階はすでにEUによって採用され、欧州法に組み込まれている。これらは現在の報告期間に適用される。
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ベンチマーク改革は、市場の慣習の根本的な変化を伴うものであり、すべての市場参加者に同程度の影響を及ぼ
す。関係するすべての金融商品に係る参照レートの移行スケジュールは、金融行動監視機構(FCA)が2021年3月に
おいてLIBORレートがもはや指標性を有しないと判断した後に設定された。また、デリバティブに関するフォール
バック・レートは、国際スワップ・デリバティブ協会(以下「ISDA」という。)のプロトコルによってすでに定義
されている。かかる動向を考慮すると、ヘッジ対象リスクの測定に関する不確実性はもはや存在しない。したがっ
て、第1段階の改訂を適用する必要はない。
KfW は、取引相手との間で経済的に同等な契約への移行が生じると想定している。このことは、現在進行中のデ
リバティブ・ポートフォリオの活発な移行においても確認されている。参照レートの移行の大部分が現在価値中立
であるため、ベンチマーク改革による損益計算書への影響は軽微である。KfWは、第2段階からの契約の変更に関す
る簡素化の適用を求める事例を確認していない。
ベンチマーク改革の一環である参照レートの移行は、すべての銀行のコア・プロセスの変更を伴うものである。
会計に対する影響は、ヘッジ会計および会計の測定において特に顕著に表れる。新しい参照レートへのデリバティ
ブの移行という状況下において、ヘッジが正式に解消され、再指定された場合の業績への影響は軽微である。ヘッ
ジ関係が継続する場合、ヘッジ手段を新しい参照レートに調整する際も同様である。償却方法により、移行までに
生じたヘッジ対象リスクに係る評価差額が、残存期間にわたって確実に解消されることとなる。ヘッジ対象リスク
は、引き続き翌日物金利により表されるため、当該移行による変更は生じない。
KfW は、参照レートの移行についての多様かつ複雑な手法、手続およびITに対する影響を特に考慮し、部門横断
的なプロジェクト体制を構築した。参照レートの移行に先立って影響分析が行われ、その結果、必要な手続上およ
びシステム関連の調整が大部分実施されていた。
2020 年6月、IASBは、IFRS第4号「保険契約」の改訂を公表し、当該改訂において、IFRS第4号におけるIFRS第9号
の適用に係る一時的な免除期間の終了が、2023年1月1日以降に開始する会計年度まで延期された。この改訂は、
2020年12月中旬に欧州法に組み込まれ、2021年1月1日以降に開始する会計年度について有効となる。この改訂は、
KfWグループの純資産、財政状態および収益状況に影響を及ぼさない。
2020 年5月末、IASBは、COVID-19に関連する賃料減免につきIFRS第16号の改訂を公表した。借り手は、コロナウ
イルス危機により認められた賃料減免がリースの条件変更を構成するかの判断を免除される。かかる改訂は、2021
年6月30日以前に支払期日が到来する賃料の減額について適用される。かかる基準は、2020年6月1日以降に開始す
る報告期間について遡及的に適用される。2021年3月末、IASBはもう1つ改訂を公表し、IFRS16号に係る2020年5月
改訂の適用期間を1年延長し、2022年6月30日までとした。この改訂は、2021年4月1日以降に開始する会計年度につ
いて適用される。かかる改訂は、8月末に欧州法に組み込まれ、直ちに発効したが、当グループはCOVID-19に関連
する賃料減免を利用していないため、KfWグループの純資産、財政状態および収益状況に影響を及ぼさなかった。
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B. 報告日前にEUにより承認され、欧州法に組み込まれた将来的に採用となるIFRS/IFRIC新解釈指針または改訂
解釈指針による影響
強制適用される会計年度
関係基準 詳細
の開始日
IFRS 第3号の更新は、主に修正された概念フレームワークへの参照に関
するものである。また、IFRS第3号は、取得企業に対し、IAS第37号ま
たはIFRIC第21号の範囲内と想定される債務を特定するために、概念フ
IFRS 第3号 2022 年1月1日
レームワークに代わりIAS第37号またはIFRIC第21号を適用することを
要求するよう改訂された。さらに、IFRS第3号に、取得した偶発資産の
認識を明確に禁止することが追加された。
IAS 第37号の改訂により、不利な契約かを決定する際に、増分費用に加
IAS 第37号 2022 年1月1日
え直接関連する費用も考慮することが明確化された。
IAS 第16号の改訂により、有形固定資産を使用可能にする間に生産した
物品の販売により得た代金は、将来的に直接損益において認識される
IAS 第16号 2022 年1月1日
必要があることが明確化された。かかる代金は、有形固定資産のコス
トから控除することはできない。
IFRS の年次改善(2018-2020サイクル)の一環として、2020年5月に、
IFRS第1号、IAS第41号、IFRS第9号およびIFRS第16号について改訂が行
年次改善(2018-2020) 2022 年1月1日
われた。年次改善の目的は、要件または文言を明確化することによ
り、基準の質を向上させることである。
IFRS 第17号「保険契約」が2017年5月に公表された。この基準は、将
来、IFRS第4号「保険契約」に取って代わる予定である。IFRS第17号
は、基準の範囲内にある保険契約の認識、測定、表示および開示に関
IFRS 第17号 2023 年1月1日
する原則を定めている。IASBは、2020年6月末にIFRS第17号の改訂およ
び明確化を採択し、IFRS第17号の初回強制適用日を2年遅らせ、2023年
1月1日とした。
KfW は、基準改訂の早期適用に関して認められたオプションを利用していない。現時点で、上記の基準の更新は
KfWグループの純資産、財政状態および収益状況に重大な影響を及ぼすものではない。
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C. 報告日前にEUにより公表されたがまだ承認され欧州法に組み込まれていない将来的に適用となるIFRS/IFRIC
新解釈指針または改訂解釈指針
強制適用される会計年度
関係基準 詳細
の開始日
2020 年1月の改訂により、流動負債か固定負債か分類する基準が明確化
された。将来的に、流動負債か固定負債かの分類は、報告日現在に企
業が保有する権利に基づき行われることとなる。報告期間末時点にお
いて、企業が、報告日後少なくとも12ヶ月間負債の決済を延期する実
質的な権利を有している場合、固定負債に分類される。さらに、具体
的な基準および注記の解釈指針も含まれている。
2021 年2月のIAS第1号およびIFRS実務記述書第2号の改訂により、IFRS
に基づく財務書類(注記)において開示されるべき会計方針情報の範
IAS 第1号 2023 年1月1日 囲が規定された。これは、標準化された情報に代わり企業特有の情報
に焦点を移すものであり、IAS第1号第117項に定められる開示要件に主
に影響を与えるものである。将来的に、企業は重要な会計方針ではな
く、重要性がある会計方針情報の開示が要求され、重要性がない取
引、その他の事象または状況については開示する必要はない。
「重要性」の概念の適用において、絶対的な金額に加え、関連する取
引の種類、その他の事象および状況を考慮しなければならない。かか
る改訂は、会計方針が重要であるとみなされる場合についても説明し
ている。
IAS 第8号の変更は会計上の見積もりのみに着目し、会計方針と会計上
の見積もりの区別を容易にすることを意図している。この改訂では、
IAS 第8号 2023 年1月1日 初めて「会計上の見積もり」の定義が盛り込まれた。さらに、変化お
よび新しい展開または状況に基づく会計上の見積もりは、訂正が必要
な誤謬に該当しないこととなる。
IAS 第12号の改訂により、当初認識の免除範囲が限定され、これに従
い、資産または負債の取得時には繰延税金資産または負債は認識され
IAS 第12号 2023 年1月1日 ない。今後は、同額の将来加算一時差異および将来減算一時差異が生
じる取引において繰延税金が認識される。かかる改訂は特にIFRS第16
号の適用に関連する。
かかる改訂は、会計処理において初めてIFRS第17号およびIFRS第9号を
適用し、IFRS第9号に関して修正再表示されていない比較情報を提示し
ている企業の金融資産に関連している。企業は、金融資産に関する比
IFRS 第17号 2023 年1月1日
較情報を、IFRS第9号の分類および測定の要件を以前から当該金融資産
に対して適用していたかのように表示する選択権を有している。
かかる選択権は、各商品に適用することができる。
KfW は、基準改訂の早期適用に関して認められたオプションを利用する予定はない。当該改訂によるKfWグループ
の純資産、財政状態および収益状況に対する影響は、仮にあったとしても軽微なものと予想される。
(3) 重要性がある会計方針の変更
KfW グループは、2021会計年度において、グループの事業部門計画における方針変更に基づき、セグメント報告
の変更を行い、その主な結果として、本部からその他の事業部門への正味受取利息および助成費用の組替が生じ
た。
具体的には、2021年において、正味受取利息に含まれる株主資本利益率は、事業部門の経済的資本として利用さ
れる総額に基づいてではなく、予定される規制目的上の自己資本に基づき事業部門に配分される。これにより、
2020年との比較数値において、本部に-97百万ユーロの影響が生じた。
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また、現在価値で会計処理される金利の引下げによる戻入および償却益ならびに現在の金利の引下げによる逆ざ
やは、過去には本部の資金運用損益に配分されていたが、中小企業銀行および民間顧客ならびに個別対応金融およ
び公的顧客の各事業部門の正味受取利息に配分された。これにより、2020年との比較数値において、本部に-36百
万ユーロの影響が生じた。
支払利息に含まれる金利引下げの現在価値に対する複利効果についても同様であり、従前は単純化するために本
部の助成費用に配分されていたが、今後は、中小企業銀行および民間顧客ならびに個別対応金融および公的顧客の
各事業部門の助成費用に配分される。
事業部門の経済的資本(ECAP)に係るセグメント報告は、事業部門レベルでのグループ事業部門別計画との関連
で予定されなくなり、株主資本利益率の配分の基礎として機能しないことから、2021年については行わない。
変更は、連結利益合計または連結包括利益合計に影響を及ぼさなかった。2020年12月31日現在の比較数値は適宜
調整されている。
下表は、2020年1月1日から2020年12月31日までの期間において実施された組替を示すものである。
2020 年1月1日から2020年12月31日までの期間における事業部門別セグメント報告
中小企業銀行 個別対応金融
輸出金融および
および および
プロジェクト・
民間顧客 公的顧客 KfWキャピタル ファイナンス
(単位:百万ユーロ)
372 94 – 1 767
正味受取利息(助成費用前)
組替
55 6 1 43
427 100 – 1 811
調整後正味受取利息(助成費用前)
評価前営業損益(助成費用前) 232 50 -9 540
組替
55 6 1 43
調整後評価前営業損益(助成費用
287 56 – 8 583
前)
営業活動による損益(助成費用前) 123 55 40 107
組替
55 6 1 43
調整後営業活動による損益(助成費
178 61 41 150
用前)
助成費用 78 4 0 0
組替
5 1 0 0
83 5 0 0
調整後助成費用
連結利益 45 52 40 99
組替
50 4 1 43
95 56 41 142
調整後連結利益
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発展途上国
および
新興経済国
支援 金融市場 本部 調整/連結 KfWグループ
(単位:百万ユーロ)
402 356 610 1 2,601
正味受取利息(助成費用前)
組替
21 8 – 133 0 0
423 364 477 1 2,601
調整後正味受取利息(助成費用前)
評価前営業損益(助成費用前) 194 261 586 1 1,855
組替
21 8 – 133 0 0
調整後評価前営業損益(助成費用
214 269 453 1 1,855
前)
営業活動による損益(助成費用前) – 423 270 516 – 1 688
組替
21 8 – 133 0 0
調整後営業活動による損益(助成費
– 402 278 383 – 1 688
用前)
助成費用 0 0 6 0 88
組替
0 0 – 6 0 0
0 0 0 0 88
調整後助成費用
連結利益 – 425 270 444 – 1 525
組替
21 8 – 127 0 0
– 404 278 318 – 1 525
調整後連結利益
KfW グループは、当該年度の簿価総額の概要における「追加」の表示を変更した。これらの項目に関して、当公
庫は「うち最近取得または発行された金融資産」と「うち最近の事業」に分けて開示を行わない。その代わり、か
かる2つの項目は「新規事業および増加使用額」に統合される。この表示は、類似の信用機関による報告に基づい
ており、KfWグループは、これにより読者にとっての明確性および情報価値が向上すると考えている。かかる表示
の調整は、連結利益、連結包括利益および株主持分に影響を及ぼさなかった。
2021 会計年度から、持分法により会計処理された投資に係る信託事業は、信託に保有する資産/負債に含まれ
る。2021年からすべての信託事業を完全に認識するため、かかる事業の負担分が含まれる。有価証券および投資の
前年の数値は、332百万ユーロ増加して6,576百万ユーロとなった。信託に保有する負債も同額分増加した。かかる
調整は連結利益、連結包括利益および株主持分に影響を及ぼさなかった。
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(4) 判断および会計上の見積もり
連結財務書類には、適用される会計基準に従い、最善を尽くして決定される経営陣の判断および/または見積も
りならびに仮定に基づく金額が含まれている。なお、将来において実現する実際の損益は、これらの見積もりと異
なることがある。特に、リスク引当金(貸出事業に係るリスク引当金を含む。)の算定、(主に年金債務および法
的リスクに対する)引当金の認識および測定、評価モデルに基づく金融商品についての公正価値の測定(活発な市
場が存在するか否かの決定を含む。)、リースの残存期間の決定、資産の減損についての評価および測定、ならび
に繰延税金資産の利用の評価に際して、重要な判断、見積もりおよび仮定が必要となる。見積もりおよびその基礎
となる仮定は、特に、過去の経験、または特定の状況下で起こることが見込まれる将来の事象を基に継続的に見直
されている。判断ならびに見積もりおよびその基礎となる仮定が必要となる場合、なされた仮定は関連する注記に
おいて説明される。
KfW は、翌会計年度内に関連資産および負債へ重大な調整をもたらしうる、仮定からの逸脱および見積もりの不
確実性を見込んでいない。しかし、そのような逸脱または不確実性が生じるかは、経済および各金融市場の動向に
大きく左右されるため、これらを完全に排除することはできない。とはいうものの、当該リスクは低い。これは、
評価モデル、特に観察可能な市場データに基づかないデータの使用を含むものが、一方では公正価値で測定される
債権、有価証券、投資および借入金のごく一部のみを測定しており、他方ではリスクを経済的にヘッジするために
使用されている金融デリバティブのごく一部のみを測定するために適用されているにすぎないためである。
リスク引当金および株式投資の公正価値は、確立された会計方針の枠組みの中で、COVID-19のパンデミックの予
想される影響を考慮して算出された。手順および微調整は、以下の通りである。
正常債権(ステージ1およびステージ2)に対するリスク引当金およびリテール事業における不良債権(ステージ
3)に対するリスク引当金は、PD、LGDおよびEADのパラメーター表示のための規制当局および内部の信用リスク・
モデルに即したリスク・パラメーターを用いて計算されている。
前年同様、2021年12月31日現在、PDの調整および損失率のより保守的な処理の適用(景気後退要因を含む。)に
より、COVID-19のパンデミックによる経済的影響を考慮した。前年と比較したマクロ経済予測の改善は、主にPDの
ポイント・イン・タイムの調整に反映され、その結果、COVID-19に起因して前年に増加した正常債権に係るリスク
引当金が一部戻し入れられた。
その後の株式投資の公正価値評価は、通常、割引キャッシュ・フロー(以下「DCF」という。)または純資産価
値(以下「NAV」という。)等の認識されている標準的な評価手法に基づいている。COVID-19の拡大による経済的
影響は、かかる評価において引き続き考慮されている。
(5) 連結会社グループ
重要な子会社、ジョイント・ベンチャーおよび関連会社はすべて、連結財務書類に含まれている。
子会社とは、当グループが支配権を行使するすべての事業単位(組成された企業を含む。)をいう。グループが
その関係を通じて、変動キャッシュ・フローにさらされる場合または変動キャッシュ・フローに対する権利を有す
る場合およびかかるキャッシュ・フローの金額に影響を与える処分権を行使する機会を有する場合、支配権が存在
する。子会社は、支配権が当グループに移転した時点から、連結財務書類(完全連結)に含まれる。支配権が消滅
した場合、子会社は連結から除外される。
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ジョイント・ベンチャーおよび関連会社は、共同協定が実施されている場合または当グループが強い影響力を持
つ場合、IFRS第11号/IAS第28号に従って連結財務書類に含まれる。KfWが単独支配権または共同支配権を有しない
場合であっても、関連会社に関する財務上および事業上の方針決定に加わることができるときは、強い影響力が存
在する。
連結グループの構成は、本注記の「KfWグループの持分の一覧」に表示されている。
(6) 連結の基礎
連結には、保有する持分にかかわらず、取得日現在における子会社の総資産および総負債の再評価を行い、か
つ、連結財政状態計算書にそれらを盛り込むことが含まれる。隠れ準備金および債務による調整は、適用されてい
る基準に準拠して処理される。再評価調整の結果、取得価額に対して超過している場合には、当該超過額はのれん
として資産計上される。現在、認識されているのれんはない。
グループ内の資産および負債、ならびに連結されたグループ会社間での取引に伴う費用および収益は、相殺消去
される。完全連結会社間でのグループ内利益も相殺消去される。
関連会社およびジョイント・ベンチャーへの投資は、持分法により会計処理される。関連会社およびジョイン
ト・ベンチャーの損益についての当グループの持分は、損益計算書上で別個の勘定科目として認識される。
KfW グループにおいて少数株主持分はない。
(7) 金融商品
A. 分類および測定
金融商品は、一方の会社に金融資産を生じさせ、もう一方の会社に金融負債または資本性金融商品を生じさせる
契約である。IFRS第9号「金融商品」のルールは、金融商品の認識および測定の基礎となる。
当初認識時の金融資産の分類により、以後の測定が決定される。負債性金融商品の分類および以後の測定は、ビ
ジネスモデルおよび契約上のキャッシュ・フローの特性(元本および利息の支払のみ、すなわちSPPI要件)に基づ
く。一方、資本性金融商品は、常に公正価値で測定しなければならない。
IFRS 第9号は、金融資産に関して4つの測定区分に区別している。
1 .償却原価で測定するもの
2 .損益を通じて公正価値で測定するもの(以下「FVTPL」という。)。強制および指定という2つの下位区分が
ある。
3 .OCIを通じて公正価値で測定するもの(以下「FVTOCI」という。)であって損益への振替が行われないもの
(KfWでは不使用。)
4 .FVTOCIであって損益への振替が行われるもの(KfWでは不使用。)
金融商品は、ポートフォリオ単位で各ビジネスモデルに割り当てられる。IFRS第9号は、金融資産を管理するた
めの3つのビジネスモデルを規定している。
1 .回収のための保有-金融資産は契約上のキャッシュ・フローを回収するために保有される。
2 .回収および売却のための保有-金融資産は契約上のキャッシュ・フローを回収するとともに当該金融資産を
売却するために保有される(KfWでは不使用。)。
3 .売却のための保有-売却するために保有されるか、または「回収のための保有」要件および「回収および売
却のための保有」要件を満たさない金融資産
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第2段階として、キャッシュ・フロー要件は、個々の金融資産毎に評価される。金融商品のキャッシュ・フロー
は、その後、基本的な貸付契約と整合しており、未返済の貸付残高についてSPPIで構成されているか否かについて
評価されることとなる。支払にSPPI以外の支払が含まれる場合には、公正価値で測定しなければならない。IFRS第
9号は、利息を貨幣の時間価値および引き受けた信用リスクの対価と定義しているが、流動性リスクに対するプレ
ミアムも含む可能性がある。この領域では一般的であるが、対価(例えば、資本コストまたは管理コストに対する
もの)および利ざやも含まれる場合がある。かかる要件は、その金融資産の契約上のキャッシュ・フローに対する
影響が僅少である場合、分類に影響を及ぼさない。KfWは、SPPI要件について評価するにあたり、付随契約に関す
るグループ全体のルールおよび一貫した分類を採用している。閾値は僅少性の評価のために定義される。
償却原価で測定するためには、金融資産が「回収のための保有」ビジネスモデルを有するポートフォリオに割り
当てられていなければならず、また、キャッシュ・フロー要件を満たさなければならない。KfWのビジネスモデル
は、長期的な持続可能性アプローチに重点が置かれている。KfWは、短期的利益を上げることを意図して取引を行
わないため、執行理事会は、(下記の2例を除き)すべての信用ポートフォリオについて「回収のための保有」ビ
ジネスモデルに決定した。また、当グループの貸出事業は、基本的な貸付契約の定義と概ね整合しており、それゆ
えSPPI要件を満たしている。貸出事業における「回収のための保有」ビジネスモデルの2つの例外とは、以下の通
りである。
- 連邦共和国のための株式保有のアレンジメント:連邦共和国からの委任によりKfWが維持する持分は、KfWの
管理下にない。売却は、連邦政府の指示により行われることとなる。こうしたポジションがポートフォリオ
内に長期間残ることは想定できないため、KfWは「回収のための保有」という意向を有することができな
い。
- KfW IPEX銀行のシンジケート事業:この事業は短期の募集を重視しており、資産の保有および売却を同程度
とするという目的を重視しない。
両例外事例は、「売却のための保有」ビジネスモデルに割り当てられる。持分は、FVTPLで測定される。
有価証券ポートフォリオも「回収のための保有」ビジネスモデルに割り当てられる。これは、KfWの流動性ポー
トフォリオにも当てはまる。KfWは流動性ポートフォリオについてECBの有価証券の適格性に関する最低要件を課し
ているため、流動性はレポ取引により担保される。したがって、流動性ポートフォリオの売却は不要ということに
なる。付随契約は、SPPI要件を確認するためにシステムに記録され、評価を受ける。証券化は、「契約上関連して
いる商品」に関する特別ルールに対応するために事案毎にチェックされる。その結果、貸出事業と同様に、KfWの
有価証券ポートフォリオは実効金利法を用いて概ね償却原価で測定される。
エクイティ・ファイナンスによるKfWの投資は、確定した元利払いのない資本性金融商品または負債性金融商品
のいずれかであるため、損益を通じて公正価値で会計処理される。KfWは、資本性金融商品についてはFVTOCIを用
いる選択権を行使しない。
その結果、KfWでは、金融資産について償却原価およびFVTPLという最初の2つの区分のみを適用している。
IFRS 第9号は、金融負債については償却原価およびFVTPLという2つの区分のみを規定している。金融負債は、ト
レーディング目的での保有に分類される(強制公正価値)か、または公正価値オプションの適用により当初認識時
点においてFVTPLという測定区分に割り当てられる(指定公正価値)場合にはFVTPLで会計処理され、それ以外の場
合には償却原価で会計処理される。分類は、当初認識時点において取消不能の形で決定しなければならない。再分
類は認められない。
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KfW では、デリバティブ以外のすべての金融負債はトレーディング目的以外で保有される。公正価値オプション
が行使されていないデリバティブ以外のすべての金融負債は、償却原価で測定される負債として分類される。した
がって、これらは実効金利法を用いて償却原価で測定される。グループにおいてこの区分の適用範囲は、銀行に対
する債務、顧客に対する債務および債務証書において報告される資金調達について及ぶ。手形貸付
( Schuldscheindarlehen )および債務証書等の一部の仕組債には、公正価値オプションを適用している。これは、
区分処理構造を有する債務およびヘッジ会計の適用に関する要件を満たさない限り、会計上のミスマッチが存在す
る区分処理構造を有しない債務に関係する。公正価値オプションを適用するにあたり、自己信用リスクの増減によ
る評価への影響は、株主持分の再評価準備金において直接認識される。
デリバティブは、KfWにおいては専らヘッジ目的で締結され、FVTPLで測定される。
デリバティブは取引日に、その他すべての金融資産は決済日に認識される。資産に係る契約上の権利が失効し、
処分権または支配権が移転し、あるいはリスクおよび便益の大部分がKfWグループに関係のない第三者に移転され
たときに、それらは認識を中止する。金融負債は、契約に規定された債務が免除もしくは取消または失効したとき
に、認識を中止する。
KfW 法第2条第(4)項に従い連邦政府がKfWに委任する取引については、関連金融商品に関する当グループの一般的
な認識手続が適用される。測定は、リスク配分に関する関連する各契約の規定および条件に基づいている。
金融商品は、当初は公正価値で認識される。
償却原価で以後測定される金融商品は、当初認識時点の公正価値を基礎として、元本の返済、減損および該当す
る場合には契約の変更を考慮して測定される。プレミアム、ディスカウント、取引費用および手数料の償却は、契
約上のキャッシュ・フローに基づき、実効金利法に従って行われる。助成貸出事業においては、最初の固定金利期
間末までに(通常5年から10年)、ディスカウントが償却される。
財務書類上の認識または本注記における金融商品の開示のための公正価値による以後の測定については、下記
「D. 公正価値」に記載している。
B. 減損
KfW グループでは、貸倒損失引当金はIFRS第9号の要件に基づき会計処理され、以下の金融商品に充当される。
- 償却原価で測定される貸出金および債権ならびに第三者の有価証券
- 損益を通じて公正価値で測定されない貸出コミットメント
- 損益を通じて公正価値で測定されない金融保証
減損は、3段階のモデルに基づき算出される。すべての資産が当初認識時点においてステージ1に割り当てられ、
12ヶ月の予想信用損失(以下「ECL」という。)に相当する減損が算出される。
その後は、当初認識以降の金融商品の信用リスクの増減に基づきECLが算出される。信用リスクの著しい悪化が
あった場合(ステージ2)または減損の客観的証拠が確認された場合(ステージ3)には、残りの残存期間にわたる
ECL(残存期間ECL)が算出されることとなる。これとは対照的に、信用リスクの著しい増加がなかった場合には、
金融商品は従前の通りステージ1に割り当てられ、潜在的な損失事象により翌12ヶ月以内に生じる当該商品の存続
期間にわたるECLのみが考慮される。
残存期間ECLは、ステージ2の金融商品についてはリスクへの引当てとして認識される。これは、PD、LGDおよび
EADのパラメーター表示のための規制当局および内部の信用リスク・モデルに則したリスク・パラメーターに基づ
く。ステージ2の金融商品に係る受取利息は、引き続き簿価総額に基づき実効金利法を用いて計上される。
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残存期間ECLは、ステージ3の金融商品についてもリスクへの引当てとして認識される。ステージ3への割当、し
たがって減損としての分類は、CRR第178条に基づく「債務者のデフォルト」の定義を反映するグループ全体のデ
フォルトの定義に従って行われる。この定義は、90日の支払遅延という基準と返済見込みなしという基準を区別す
る。ステージ3の減損の算出にあたっては、重要な(リテール以外の)金融商品と重要でない(リテールの)金融
商品が区別される。ステージ3のリテール事業に係る減損は、リスク・パラメーターに基づき、PDを1として算出さ
れる。 個別の減損は、発生損失に認識され、貸出事業における重要なポートフォリオについて個別の貸出金に基づ
いて算出される。減損損失額は、貸出金の簿価と、金利や元本返済および担保からのキャッシュ・フローによる将
来の予測DCFの現在価値との差額に等しい。個別の減損損失の戻入は、損益を通じて会計処理される。これらの金
融商品に係る受取利息は、正味簿価に基づき認識される。
貸出事業とは対照的に、デフォルトとなった有価証券の予想損失はキャッシュ・フローに基づき算出されず、そ
の代わりにステージ3の市場価値に基づき算出される。これは、減損の場合の市場価値は主として信用格付要因に
よる影響を受けるという前提による。
購入またはオリジネートした信用毀損金融資産(以下「POCI」という。)は、KfWのビジネスモデル上重要では
ない。そのため、当公庫は、そうした特殊な要件については別途開示しないことを決定した。POCIの定義を満たす
個々の事例が存在する場合、当該資産は、購入時にデフォルト格付に基づきステージ3に割り当てられる。
KfW は、各ステージへの割当について、格付と定性的情報の双方を考慮するきめ細かなアプローチを採ってい
る。
当公庫は、ある取引がステージ1からステージ2に推移しうるか否かを評価するために、測定時までの間に予想さ
れる推移を勘案した当初認識時点の格付(当初予想格付)を利用する。プライシングに関係するこの格付は、測定
時の格付と比較される。これにより、当初予想した推移からの大幅な乖離がある取引のみがステージ2に移行され
るようになる。経済的または法的な理由(条件緩和)により債務者に対して行われた譲歩(契約の変更)も、次の
ステージへの移行に際して一要素として考慮される。
リテール事業では、債務者独自の個別格付が存在しないため、ステージ1からステージ2への移行は、マイナス要
因や30日の支払遅 延 という状態等の信用の悪化に関するその他の指標に基づく。
報告日において金融商品が「低い信用リスク」を有すると判断された場合であっても、KfWは、信用リスクの著
しい増加があったか否かに関する評価を免除する選択権(低信用リスクによる免除)を行使しない。
IFRS 第9号の減損モデルは、推移に対して釣合のとれたアプローチ(つまり、ステージ2またはステージ3への順
方向の推移ならびにステージ2およびステージ3からの逆戻りが起こりうることを意味する。)を採っている。逆方
向への推移については、適切に管理されていた期間が考慮される。適切に管理されていた期間は、通常、規制要件
(例えばデフォルトの定義等)に基づいている。適切に管理されていた追加の期間もまた、以前の支払遅延状態
(30日超)やデフォルトに基づき、リテール事業に応じた定義がなされる。かかる期間は、その状況の特性によ
り、90日から2年の間で変動する。
ステージ1およびステージ2に係る ECL ならびにステージ3のリテール事業に係る ECL は、統計上のリスク・パラ
メーターを用いて個々の取引に基づき算出される。KfWがリスク管理上使用するPD、EADおよびLGDのパラメーター
表示のための規制当局および内部の信用リスク・モデルは、かかる算出の基礎となる。これらのパラメーターは、
IFRS第9号に基づく ECL を決定するために適切に調整される。これにより、範囲がそれぞれ若干異なる可能性がある
ものの監督法、リスク管理およびIFRSの要件に従った概ね統一的な信用リスク・モデリングが可能になる。
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1 年PDの算出は、デフォルトとなっていない取引(正常債権(PL))については18段階の格付等級、またデフォ
ルトとなった取引(不良債権)については2段階の格付等級に対応するPDスコアをすべてのエクスポージャーに割
り当てる内部格付システムに基づく。残存期間PDは、推移マトリックスによる1年PDから導き出される。IFRS第9号
に準拠したPDモデリングについては、ポイント・イン・タイム(PIT)の観点からマクロ経済要因を一層重視する
ことにより、内部の信用リスク・パラメーターが調整される。かかる調整は、規制当局によるPD(スルー・ザ・サ
イクルPD)に係るPDのプレミアムおよびディスカウントのセグメント別および格付別のモデリングを通じて行われ
る。これは、将来の見通しに関する情報を考慮した、各セクターおよび各国の経済状況に関する専門家の見積もり
(予想される影響に関する評価を含む。)に基づく。このアプローチは、計量経済学的要因に基づく専門家のモデ
ルを適用してプレミアムおよびディスカウントが算出されるリテール事業については異なる。
LGD とは、担保を考慮してもデフォルト時に生じる損失率である。IFRS第9号の減損要件に基づき、内部コストを
考慮しない複数年の視点が一般に必要とされる。規制に基づくLGDパラメーターは、IFRS第9号の内部コストがECL
の算定に含まれないよう適宜調整される。
タイムバケット当たりのEADとは、未使用の信用供与枠に係る追加引出額を考慮した、デフォルト時に予想され
るローンの貸出額に相当する。貸借対照表外部分については、クレジット・コンバージョン・ファクター(CCF)
に基づき予想貸出額が算出される。
貸借対照表上の貸出事業および証券事業に係るリスク引当金は、財政状態計算書の項目である償却原価で測定さ
れる金融資産から直接控除される。貸借対照表外の貸出事業に係るリスク引当金は、負債の部に引当金(下位項目
の信用リスクに対する引当金)として会計処理されている。
貸借対照表上および貸借対照表外の貸出事業ならびに償却原価で測定される金融資産から生じる信用リスクは、
1年のECL(ステージ1)または残存期間のECL(ステージ2およびステージ3)の額により損益において認識される減
損を通じて会計処理される。リスク引当金の繰入額および戻入額は、損益計算書上でリスク引当金による純損益と
して認識される。
資産は、当該資産またはその一部が回収不能と見積もられた場合に償却される(償却)。リテール以外の事業で
は、例えば、すべての担保が換価された、または倒産にあたり債権者への配分金額が分配されたか資産不足で倒産
手続が中断されたために回収見込みがなくなるまでかかる償却は行われない。リテール事業における償却は、倒産
や一定のデフォルト期間(両方ともローンの終了に関係する。)等の所定の基準に基づき実施される。回収は、経
済的に実施可能である限り続けられる。
償却の場合、簿価総額は償却額だけ減少する。現在ある貸倒損失引当金が先に充当され、残額は直接償却され
る。すでに償却済みの貸出金の回収額と同様、この直接償却額は、リスク引当金による純損益の項目における損益
を通じて報告される。
C. 契約の変更
IFRS 第9号は、契約の変更を、契約上のキャッシュ・フローの変更と定義している。これらは信用格付または市
場により引き起こされる可能性がある。これとは対照的に、契約時に合意された契約上の支払の調整は、決定済み
であり、契約に本来規定されているものとして契約の変更とはみなされない。
償却原価で測定される金融資産の契約上の支払の変更の場合は、当該資産が部分的または全面的な認識の中止の
対象となるか否かに関する評価が最初に行われる。部分的な認識の中止とは、(一部)免除や予定外の(一部)元
本返済等、特に金融資産の名目金額に影響を及ぼす事象によるものとして定義される。以下のルールは、その他す
べての契約の変更に適用される。
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同一の契約または変更後の契約が法的に有効に存続する場合であっても、大幅な契約の変更により金融資産の認
識の中止が生じる。変更後の金融商品は、IFRS第9号に基づき新たな契約として取り扱われ、一般的なIFRS第9号の
分類基準に基づき再分類される。大幅な変更による認識の中止は、「回収のための保有」ビジネスモデルには当て
はまらない。POCI(不良債権)の大幅な変更の場合、減損損失は、認識中止時点において調整される。調整額は、
認識が中止された資産の従前の正味簿価と新たに計上された資産の公正価値との差額である。貸倒損失引当金の減
少は、認識中止時点で充当されたものとして以後記録される。認識の中止に伴う追加損益はない。
(一部)認識中止につながらない大幅でない契約の変更について償却はなく、その代わりに変更後の金融商品の
簿価総額の再評価が行われる。再評価に伴う評価差額は、変更損益として損益において認識される。変更損益は、
契約上合意されたキャッシュ・フローの変動が正味現在価値に及ぼす影響を反映するものとなる。キャッシュ・フ
ローを割り引く際には、当初実効金利が適用される。そして以後の報告日に、その時点で最新の(変更後)キャッ
シュ・フローとされるものに当初実効金利が適用され、割り引かれる。償却の結果は、この手法を用いて算出され
る償却原価を基に、前報告日の償却原価に対する増加分として算出される。かかる結果は、正味受取利息の一構成
要素として報告される。したがって、当初のプレミアム/ディスカウントを一部表示する一方で変更損益の償却も
含む償却額が生じる。
変更リストは、契約の変更を特定するためのグループ全体の基礎となる。大幅な変更と大幅でない変更の区別
は、キャッシュ・フロー基準に基づく定性分析により行われる。
- 契約の変更がキャッシュ・フロー基準を満たさない場合には、大幅な変更として分類される。これには、実
績に基づく利息の支払やリストラクチャリングの実施後における支払に関する合意等の契約の変更が含まれ
る。かかる契約の変更は、一般に、複雑な条件変更の一環として、集約的および問題のあるローン管理に関
連して行われる。
- 借入人の変更および契約上の通貨変更オプションがない場合における通貨の変更も大幅な変更とみなされ
る。
- キャッシュ・フロー基準を満たすその他の契約の変更は、大幅な変更とはみなされない。これには、金利調
整、元本返済の繰延、利息および返済に関する条件緩和(金利が変更されないもの)等の複雑でない契約の
変更が含まれる。
大幅な変更は、キャッシュ・フロー基準を満たさないことを一般に意味するため、新たに計上される金融資産は
以後公正価値で測定され、財政状態計算書上の公正価値で測定される金融資産の項目において報告される。
大幅でない変更の場合には、信用リスクが著しく増加したか否か、またステージの移行が結果的に必要となりう
るか否かに関する評価を行わなければならない。信用リスクに関連する契約の変更により、早期の警告シグナルと
しての特別な格付、または少なくともリスクの早期発見に関する要件に基づく特別な格付の必要性についての文書
による検討が生じる。
KfW グループでは、関連する認識の中止のない変更損益は、「リスク引当金による純損益」項目の独立した下位
項目において純額で報告される。
D. 公正価値
測定区分に応じて財政状態計算書上の認識または本注記における金融商品の開示のために定期的に決定される公
正価値による事後の測定は、KfWグループにおける以下の階層に基づいている。
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活発な市場―レベル1(取引市場価格)に配分
公正価値の最適な客観的証拠は、活発な市場において公表された市場価格によって示される。市場価格が容易に
かつ定期的に入手可能であり、これらの価格が直近(すなわち、報告日またはその直前に取引が行われている場
合)、かつ独立当事者間の定期的な市場取引を表している場合、金融商品は活発な市場において取引されていると
みなされる。名目上取引高、契約規模および契約数とともに、この評価は、特に観察された売手と買手の希望する
価格差を考慮に入れる。当該価格差に大幅な拡大がみられる場合、それは活発な市場がないことを示す。
活発でない市場―レベル2(観察可能な市場データに基づく評価技法(モデル)またはレベル3(一部が市場にて
観察不能なデータに基づく評価技法)に配分
活発な市場において市場価格を入手できない金融商品の場合、評価技法が使用される。適用される評価技法に
は、類似の特性を持つ金融商品の公正価値との比較(乗数基準モデル等)をはじめ、特にDCF法やオプション・プ
ライシング・モデルが含まれる。評価技法は、市場金利、無リスク金利、信用スプレッドおよびスワップ・カーブ
等、市場参加者が当該金融商品の値付けで用いるすべての入力パラメーターを考慮している。これらの入力パラ
メーターは、一般に市場で観察可能であり、通常、評価技法を用いて行う金融商品の測定に唯一重要なパラメー
ターであるため、評価技法を用いて公正価値で測定する金融商品のレベルは、通常、レベル2である。この配分
は、通常、価格サービス機関が公表する活発でない市場における取引価格についても適用される。
期待無リスク顧客マージンまたは資本コスト等、市場で観察不能な重要な入力パラメーターが評価技法に使用さ
れている場合、当該金融商品は、レベル3に含まれる。
当初認識日において、市場に基づく取引価格と、観察不能なパラメーターを相当程度用いる評価技法によるモデ
ル価格との間に差額がある場合、この当初の差額に経済的理由(当該取引の主要な市場ではない市場における取引
の締結等)があるか否かを判断するために分析が行われる。かかる経済的理由は、輸出金融およびプロジェクト・
ファイナンス事業に係る顧客に対するヘッジ手段を構成するKfWグループのデリバティブ・ポートフォリオのごく
一部のみに当てはまる。これに関して、当該市場に沿ったOTC(店頭)デリバティブは、評価に関連する主要な市
場(OTCインターバンク市場)において締結されていない。当該市場において観察不能な評価パラメーターは評価
手続に関連するため、かかるデリバティブの締結時に決定された当初の差額は、当該金融商品の期間にわたって損
益を通じて償却される。この評価技法の信頼性は、定期的なモデル評価を通じて確保される。
この(評価)階層は、下記の通り、当グループにおいて適用される。
特に債券およびその他の確定利付証券(活発でない市場があるため評価技法または価格サービス機関が公表する
活発でない市場における取引価格が使用されるものを除く。)ならびに負債の部に計上される自己発行証券につい
ては、公正価値は活発な市場から算出される。非デリバティブ金融商品に係る評価技法は、主に公正価値で測定さ
れる金融資産において報告される商品(銀行に対する貸出金等、顧客に対する貸出金等および株式投資)ならびに
公正価値で測定される金融負債において報告される商品(銀行に対する債務、顧客に対する債務および債務証書)
について使用される。また、OTCデリバティブについても評価技法が使用される。
特定の商品グループについては、以下に詳述される方法が取られる。
当グループでは、有価証券および投資の勘定科目における有価証券について、同種のポートフォリオに基づき、
金融商品に活発な市場での取引価格が存在するかを検証している。市場の活発性は、以下の基準に基づき評価され
る。
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- 複数のマーケット・メーカーが存在する。
- 価格が定期的に設定される。
- マーケット・メーカー間の価格差がわずかである。
- 売手と買手の希望する価格差がわずかである。
報告日現在の当グループの資産に含まれる有価証券の公正価値を決定するためには、活発な市場における価格が
使用される。また、ポートフォリオの一部について、価格サービス機関が提供する価格が使用されるが、かかる価
格は活発な市場における取引価格として適格でない。個別の場合においてかかる価格が入手できない場合には、観
察可能な市場パラメーターを考慮して、公正価値を決定するために評価技法が使用されている。入力パラメーター
は、特に信用力や無リスク金利の変動を考慮しているが、流動性の低下に伴う全般的および金融商品に固有の市場
の緊縮も考慮に入れている。
KfW は、OTCデリバティブの測定において、取引先リスクに関する評価調整(CVA)、自己の債務不履行リスクに
関する評価調整(負債評価調整(DVA))、クレジット・サポート・アネックス(CSA)に基づく担保費用に関する
評価調整(担保評価調整(ColVa))および資金調達費用調整(以下「FCA」という。)に関する評価調整を決定す
る。FCAの計算には、KfWの機関別資金調達費用が用いられる。評価調整は、取引毎に個別にではなく、枠組み契約
が基づいている取引のポートフォリオについて算定される。個々の取引への配分は、相対的信用調整アプローチに
基づいている。KfWは、通常、標準的市場担保契約に従ってプラスの市場価値に対する担保を差し入れるため、当
該算定の結果生じる調整額は非常に少ない。市場の慣習に従って、デリバティブ・ポートフォリオの評価に無リス
ク翌日物金利が使用される。
銀行および顧客に対する貸出金等の公正価値は、リスク調整後のキャッシュ・フローを割り引くことによるDCF
法を使用して算定される。各報告日に算定された予想損失は、契約上のキャッシュ・フローを修正するために使用
される。
連邦共和国のための株式保有のアレンジメントは、連邦政府に対する債権として会計処理される。この債権は、
KfWが資金を提供した連邦共和国のために保有する銘柄の購入代金および当該銘柄の売却代金からの追加的利益で
構成される。この債権は公正価値で測定され、追加的利益は、重要なバリュードライバーとして、保有する銘柄の
現在の市場価格を用いて会計処理される。
株式投資の評価については、DCF法に加えて、NAVに基づく評価手法も用いられる。
KfW 法第1a条に従って連邦共和国が特定のKfWの債務に対して負う責任は、KfWの自己資金調達能力に有利な影響
を与えている。KfWの債務の公正価値を決定する際にも、この明示的な直接の政府保証の影響が考慮される。当該
政府保証は、独立した勘定単位を構成しない。
要求払いの現金準備高または債権および負債等の要求払いの金融商品の公正価値は、その簿価としている。
流動性のある市場における価格が入手できず、かつ、活発でない市場における価格を価格サービス機関が提供で
きない場合には、広く認められた評価モデルや手法が使用される。DCF法は有価証券、スワップ、ならびに組込オ
プションや複雑な利払いのない為替および短期金融市場取引に使用される。独立したオプションのほか、オプショ
ンやトリガー、金利保証および/または複雑な利払いの契約が組み込まれたデリバティブについても、証券取引所
に上場されていない限り、広く認められたモデル(ハル・ホワイト・モデル等)を使用して測定される。
上記モデルは、可能な限り、取引の種類、満期、および信用の質の観点から類似している金融商品の観察可能な
市場情報を用いて調整される。
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E. 金融保証契約
金融保証契約は、一定の債務者が契約上の支払義務を履行しないために、保有者が被る損失について保有者を補
償する一定の支払を行うよう保証人に求める契約である。当初認識時点の金融保証契約は、公正価値(公正価値契
約に係るプレミアムの評価額は保証債務の評価額と同額であるため、契約締結時点ではゼロである。)で測定する
こととなっている。金融保証契約が当初認識時点で公正価値測定区分に指定されなかった場合には、IFRS第9号の
リスク引当てについての規則を適用し、以後の評価の一環として金融保証から生じる予想損失について引当金が認
識される。KfWグループは、公正価値による測定について自ら金融保証契約を指定していない。
金融保証から生じる予想損失についての引当金は、信用リスクに対する引当金において報告される。
F. 報告および注記
当期の利息および金融資産からの類似の収益は一般に、受取利息に計上される。低金利環境に伴い、金融資産か
らマイナス金利が生じた場合、これらもマイナス記号を付けて受取利息に計上される。プレミアム、ディスカウン
ト、手数料および費用は、実効金利法を用いて受取利息で償却される。実効金利法に基づき償却されない手数料
は、受取手数料に認識される。
損益を通じて公正価値で測定される金融資産の公正価値の変動は、損益を通じて公正価値で測定されるその他の
金融商品から生じる純損益に認識される。
金融負債から生じる当期の利息は、支払利息に計上される。これは、低金利環境から生じるマイナス利息につい
ても当てはまる。プレミアムおよびディスカウントは、見積期間にわたり実効金利法を用いて支払利息において償
却される。
償却原価で測定される負債に区分される自己発行証券の買戻しにより生じる損益は、買戻日に、その他の正味営
業収益に認識される。
金融商品の分類は、貸出事業を中心とする当グループのビジネスモデルに沿って定義されている。かかる定義
は、特に、銀行および金融サービス機関の貸借対照表の分類に関する国内要件に基づいている。金融資産および金
融負債について、下記の勘定科目(および下位勘定科目)が定義された。
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IFRS 第7号第6項に基づく金融商品に関する財政状態計算書項目の分類
財政状態計算書項目 勘定科目 下位勘定科目
短期金融市場取引
貸出金等
銀行に対する貸出金等
手形貸付
その他の債権
償却原価で測定される金融資産
短期金融市場取引
貸出金等
顧客に対する貸出金等
手形貸付
その他の債権
有価証券および投資 債券およびその他の確定利付証券
短期金融市場取引
貸出金等
銀行に対する貸出金等
手形貸付
その他の債権
短期金融市場取引
貸出金等
顧客に対する貸出金等
手形貸付
公正価値で測定される金融資産
その他の債権
債券およびその他の確定利付証券
株式およびその他の不確定利付証券
有価証券および投資
株式投資
非連結子会社株式
金利関連デリバティブ
その他のデリバティブ
クロスカレンシー・デリバティブ
その他のデリバティブ
短期金融市場取引
銀行に対する債務
手形貸付
その他の金融負債
短期金融市場取引
償却原価で測定される金融負債
顧客に対する債務
手形貸付
その他の金融負債
短期金融市場での発行
債務証書
債券および手形
短期金融市場取引
銀行に対する債務
手形貸付
その他の金融負債
短期金融市場取引
顧客に対する債務
手形貸付
公正価値で測定される金融負債
その他の金融負債
短期金融市場での発行
債務証書
債券および手形
金利関連デリバティブ
その他のデリバティブ
クロスカレンシー・デリバティブ
その他のデリバティブ
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また、財政状態計算書の資産の部および負債の部の項目、マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計に係る評価差
額、ヘッジ会計に指定されたデリバティブならびに貸借対照表外の取引は、それぞれ別の勘定科目を構成してい
る。
銀行に対する貸出金等の勘定科目は、主として助成貸出事業から構成され、通常、認定商業銀行を通じて最終借
入人に貸出金が提供される。これらの資産は、当該商業銀行が債務の一部を引き受けるときに、この勘定科目に表
示される。商業銀行が債務を引き受けずに転貸する助成ローンは、顧客に対する貸出金等の勘定科目に認識され
る。
銀行に対する貸出金等および顧客に対する貸出金等の勘定科目は、ERPの経済的助成プログラムの下でKfWが供与
する補助金(金利の引下げ)の恩恵を受けた貸出金も含んでいる。ERPの経済的助成プログラムを実行するため
に、ERP経済計画法( ERP-Wirtschaftsplangesetz )に基づきERP特別基金を通じて毎年KfWに供与される助成目的の
補助金は、繰延収益としてその他の負債に認識され、基礎となる資金調達費用が発生した時点で、損益において受
取利息として償却される。
有価証券および投資の勘定科目には、主に、株式投資とともにKfWおよびその子会社が所有する有価証券ポート
フォリオに保有する債券およびその他の確定利付証券が含まれる。
有価証券ポートフォリオは、主に、KfWの流動性の状態を支え、また、当グループの長期的な助成能力を安定さ
せ、保全するために使用されている。
重要な影響を有する株式投資と重要な影響のない株式投資について会計上同一の取扱いにするため、助成任務の
一環としてエクイティ・ファイナンスを提供する個々のグループの事業分野は、関連する要件を満たす限り、会計
上、ベンチャー・キャピタル組織とみなされる。他の株式投資と同じく、これらの株式投資は、有価証券および投
資の勘定科目に割り当てられる。
銀行に対する債務および顧客に対する債務の勘定科目は、KfWグループの借入金および短期金融市場取引が大部
分を構成している。
発行済みの債券、手形および短期金融市場証券は、債務証書の勘定科目に割り当てられる。公開市場における自
己発行証券の買戻しは、買戻日に負債から控除される。
本注記の一部の記載において、これらの勘定科目は、主に商品(例えば、銀行に対する貸出金等は、短期金融市
場取引と貸出金等に分けて報告されている。)に関連するさらなる下位勘定科目を内訳とする。
金融商品に関連するリスクの種類および程度に関する情報は、「(5) 経理の状況―3) リスクの報告」も参照の
こと。
(8) デリバティブおよびヘッジ関係
A. ヘッジ取引/ヘッジ会計
KfW グループは、金利変動リスクおよび通貨リスク(とりわけ、資金調達、貸出および有価証券業務に関するも
の)を経済的にヘッジするために金融デリバティブを締結している。金利スワップ、金利通貨スワップおよび基準
通貨スワップは、主としてこうした目的のために利用される。金利スワップは、発行または貸出取引に係る固定金
利による利息の支払を変動金利による支払に転換するために利用される。外国通貨建のリファイナンシングの場
合、支払は機能通貨(ユーロ)にも転換される。発行に係るヘッジ比率は通常1:1である。そのため、専ら取引先
リスク、期間リスクやベーシス・スプレッド・リスク等のヘッジされていないリスクから非効率性が生じる。
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経済的ヘッジ関係は、ヘッジ会計関係として指定されるか、またはIFRSの要件が満たされたときに公正価値オプ
ションを利用して損益を通じて公正価値で指定される。経済的ヘッジ関係はまた、損益を通じて会計処理され、負
債の部の分離可能な組込デリバティブの区分処理を通して、財務書類に認識される。このような場合、ヘッジが経
済的に有効であれば、ヘッジ対象リスクに関して、ヘッジ目的で適用される手段による財務書類への影響とヘッジ
対象取引はそれぞれ実質的に相殺されるため、当グループの損益計算書は、これらヘッジ関係のリスク緩和の影響
を実質的に反映している。
しかし、すべての経済的ヘッジ関係がヘッジ会計または公正価値オプションとして適格であるわけではない。こ
うした場合、ヘッジ目的で使用されるデリバティブのリスク緩和の影響は、原取引に伴うヘッジ対象リスクがIFRS
に基づき損益に認識されないため、財務書類に反映されない。したがって、経済的に有効なヘッジ関係であるにも
かかわらず、かかる場合に認識を要求することは、当グループの損益計算書においてヘッジ目的で使用されるデリ
バティブにより一方的な評価損益(および損益の変動)をもたらす可能性がある。
当グループでは、ヘッジ会計は、経済的ヘッジ関係を認識するために、公正価値ヘッジの形でのみ使用される。
初めに、個々の取引およびグループレベルではミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計の形で、また、次に、ポー
トフォリオ・レベルではマクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計の形で、ヘッジ関係が指定される。KfWは、ヘッ
ジ会計に関するIAS第39号のルールを適用するという選択権を行使した。デリバティブの評価に無リスク翌日物金
利が使用される場合、ヘッジ対象に関連するヘッジ対象リスクを測定する際には、当該市場の慣習がミクロヘッジ
による公正価値ヘッジ会計に使用される。マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計におけるヘッジ対象リスクは、
デリバティブ・ポートフォリオの変動金利に関係する。ヘッジ関係の有効性は、ドル・オフセット法および回帰分
析(有効性の評価については80%から125%の範囲)を用いて評価される。
ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計において、有価証券および投資(償却原価で測定される金融資産の項
目)に含まれる債券や、とりわけ借入金(償却原価で測定される金融負債の項目)から生じる金利リスクおよび通
貨リスクは、ヘッジされる。個々の取引レベルでのミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計において、ヘッジ対象
リスクに起因する公正価値の変動は、ヘッジ対象の簿価の調整として計上され、これに対応する損益は、ヘッジ会
計から生じる純損益に認識される。この目的で適用されるヘッジ手段は、ヘッジ会計に指定されたデリバティブに
公正価値で認識される。ヘッジ手段の価値変動もヘッジ会計から生じる純損益に認識され、ヘッジ対象の損益への
影響の大部分を補っている。
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計は、主に貸付債権(償却原価で測定される金融資産の項目)および将来
の固定金利借入による確定債務からの金利リスクをヘッジするために用いられ、グループ内の資産負債の動的な管
理の一環として金利リスクに対してヘッジされる。償却原価の区分(貸出金等/債務)のヘッジ対象ポートフォリ
オにおけるヘッジ対象リスクに起因する公正価値の変動は、資産の部または負債の部のマクロヘッジによる公正価
値ヘッジ会計に係る評価差額に計上される。ヘッジ対象ポートフォリオから生じる、ヘッジ対象リスクに起因する
公正価値の変動は、ヘッジ会計から生じる純損益に報告される。
ヘッジ手段は、ヘッジ会計に指定されたデリバティブに公正価値で計上される。ヘッジ対象ポートフォリオの評
価による損益効果をほぼすべて相殺する影響を伴って、これらヘッジ手段の価値変動もまたヘッジ会計から生じる
純損益として認識される。
ヘッジ対象のポートフォリオは、ダイナミック・ヘッジの指定解除および指定の過程で毎月更新される。結果と
して生じる公正価値の調整は、満期までの残余期間にわたりヘッジ会計から生じる純損益において償却される。
ヘッジ対象ポートフォリオからの処分は、ヘッジ会計から生じる純損益における関連する公正価値の調整の比例償
却をもたらす。非デリバティブ金融商品から生じる経済的ヘッジが維持されている間にヘッジ手段からのキャッ
シュ・フローの認識が中止された場合、ヘッジ対象ポートフォリオに関連する公正価値の調整は、正味受取利息に
おいて償却される。
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デリバティブと金融資産/負債とのヘッジ関係の指定に関する厳密なヘッジ会計の要件がKfWグループにおいて満
たされない場合、公正価値オプションが特定の状況下で使用される。対応するヘッジ手段の公正価値は、公正価値
で測定される金融資産または公正価値で測定される金融負債に表示され、変動(KfWの自己信用リスクの増減によ
らない場合)は、損益を通じて公正価値で測定されるその他の金融商品から生じる純損益に表示される。これらは
ヘッジ対象取引による評価の影響により大部分が相殺されている。KfWの自己信用リスクの増減から生じる債務に
おける公正価値の変動は、OCIにおいて直接認識される。
さらに、デリバティブ金融商品もリスクをヘッジするために使用されるが、その経済的ヘッジ関係は、財務書類
に反映されない。かかるヘッジ手段の公正価値は、公正価値で測定される金融資産または公正価値で測定される金
融負債にも表示され、変動は、損益を通じて公正価値で測定されるその他の金融商品から生じる純損益に表示され
る。
KfW グループは、トレーディング目的でデリバティブを使用することはなく、また、第三者のためにブローカー
または仲介者として行為してデリバティブを締結することもない。
B. 組込デリバティブ
デリバティブ金融商品は、組込デリバティブとして複合(結合)金融負債の一部を構成することがある。特定の
条件下では、これらは独立したデリバティブと同様に、主契約から分離して会計処理される。組込デリバティブの
経済的特徴およびリスクが主契約の経済的特徴およびリスクに密接に関連していない場合、これらは区分処理され
なければならない。主契約は、開始時の区分に従って会計処理される。
KfW グループは、特に自身の資金調達に関して、分離可能な組込デリバティブを契約している。これらの商品に
ついては、組込デリバティブを区分処理しなければならない。公正価値の変動は、その後、損益を通じて公正価値
で測定されるその他の金融商品から生じる純損益の下位勘定科目であるヘッジ会計に非適格な金融デリバティブに
認識され、それらは経済的ヘッジ目的のデリバティブの評価を補う効果を持つ。
債務証書については公正価値オプションが選択され、区分処理される(組込)デリバティブが区分処理前に計上
された。
(9) 外貨換算
KfW およびその連結 子会社 の機能通貨は、ユーロである。外貨建 金融 資産 および金融 負債は、報告日現在の直物
レートで換算される。
外貨建非金融資産および非金融負債は、( 償却 ) 原価で測定される場合、通常、ヒストリカル・レートで換算さ
れる。 換算は、ECBの参照レートを使用して行われる。
外貨換算に伴う評価額の変動は、損益計算書上の損益を通じて公正価値で測定されるその他の金融商品から生じ
る純損益に計上される。
(10) 顧客との契約から生じる収益
IFRS 第15号は、顧客との契約からの収益の性質、金額および時期を定めている。かかる収益は、実効金利の不可
分な一部ではなく、かつ受取手数料に計上される手数料を含む。この関係において、5つのステップから構成され
る収益認識モデルが関連する顧客との契約に適用される。さらに、本注記に包括的かつ詳細な定量的情報および定
性的情報を含める。IFRS第15号は、IFRS第9号の範囲に含まれる実効金利の不可分の一部である手数料および賦課
金には適用されない。
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まず、IFRS第15号にいう発注当局としての連邦政府との委任契約上の取決めが存在する。これには、発展途上国
および新興経済国を支援するドイツの金融支援の管理のための手数料、連邦政府が補助金を支給する一定のプログ
ラムの管理のための手数料ならびに一定の貸出金に係る債権回収のための手数料が含まれる。 KfW は、その他の委
任契約に関する管理業務、処理業務ならびに限られた範囲で貸出事業および信託事業に関する業務のための手数料
も請求する。個々の業務は、IFRS第15号にいう独立した履行義務として適格である各種業務にまとめられる場合が
ある。したがって、取引の評価額は分析されない。
履行義務は、ほとんどが一定期間にわたり充足されるため、顧客との契約から生じる収益は進捗度の測定値に応
じて認識される。そのため、かかる収益は、通常は一定期間にわたり認識される。
KfW グループには、資産として顧客獲得コストまたは契約履行コストを認識する必要のある項目はない。配分さ
れる一時的な前払額は繰り延べられ、財政状態計算書上のその他の負債において契約負債として認識される。
サービスがすでに実施されたが手数料がまだ支払われていない場合、または支払の請求がまだない場合、契約資
産は、財政状態計算書上のその他の資産において認識されることとなる。請求が無条件である場合、契約資産は、
売掛債権として再分類され、該当する場合には簿価が調整されることとなる。このルールは、連邦政府が補助金を
支給する一定のプログラムの管理のための手数料に適用される。
ECL は、信用格付および短い残存期間に基づき算出されない。
(11)KfW の助成貸出事業
一般助成ローン市場は、一般的な貸出事業の市場と区別されており、KfWがその法定助成任務の一環として行う
助成貸出事業に関連する市場である。この市場の特徴は、助成銀行が、その法定任務の一環として、助成対象とな
る融資プロジェクトのすべての資金調達上の利益を、最終借入人に還元することである。該当する助成ローンの条
件設定において、KfWは現行の期間別リファイナンス金利を利用する。
したがって、かかるローンの当初認識において、公正価値は取引価額に等しい。
また、KfWは、KfWの収益状況に影響を与える金利引下げの形で最初の固定金利期間中に供与する追加補助金を含
む助成ローンも供与している。したがって、この場合、金利が市場金利を下回るため、かかる助成ローンの公正価
値(一般助成ローン市場のパラメーターを用いて測定される。)は当初認識における取引価額と等しくならない。
かかる貸出コミットメントにより通常生じる差額(最初の固定金利期間中の名目上の予定金利引下げ額の現在価
値)は、支払利息として損益で認識され、償却原価で測定される金融資産の項目の貸出金等において簿価の調整と
して会計処理される。この簿価の調整は、実効金利法を用いて正味受取利息において償却される。予定外の全額返
済が行われた場合には、これは受取利息において損益で認識される。
取消不能貸出コミットメントに関連する差額は、引当金に計上される。ポートフォリオの変動は、資産の部に認
識されるすでに実行済みの助成ローンの簿価の調整を通じて相殺される。
(12) 売却目的で保有する非流動資産
IFRS 第5号では、売却目的で保有する非流動資産について、直ちに売却可能であり、かかる売却の可能性が高い
場合には、個別の表示および測定規定が適用される。IFRS第5号の基準を満たす資産は、財政状態計算書の個別の
項目の「売却目的で保有する非流動資産」に報告される。IFRS第5号の測定規定は、金融資産に関連する場合には
適用されない。その場合、代わりにIFRS第9号の測定規定が引き続き適用される。
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(13) 買戻し条件付契約
KfW グループは、定型化されたレポ取引またはリバース・レポ取引として買戻し条件付契約を締結している。こ
れらは同じ取引相手に対する利付証券の直物・先渡取引を組合せたものである。担保に関する条件や方法およびそ
の使用は、一般的な市場の慣習に従っている。信用債権も公開市場取引における担保として適格である。
レポ取引(直物売り)による売却利付証券は、引き続き償却原価で測定される金融資産に認識され測定される。
取引相手に対する返済義務は、受領した現金対価額で、償却原価で測定される金融負債に計上される。利息は、買
戻し条件付契約の該当条件に従い、支払利息に計上される。
返済請求権は、リバース・レポ取引から発生するキャッシュ・アウトフローの金額で、償却原価で測定される金
融資産に認識され測定される。受取有価証券(直物買い)は、認識されず測定もされない。利息は、リバース・レ
ポ取引の該当条件に従い、受取利息に計上される。
(14) 政府補助金
パンデミックに起因する特別プログラムに関して、KfWは、その活動資金を、特にECBのTLTROを通じて調達して
いる。KfWは、TLTRO-Ⅲオペレーション4を通じて2020年6月に134億ユーロを、TLTRO-Ⅲオペレーション7を通じて
2021年3月に14億ユーロを調達した。TLTRO-Ⅲの実施期間は、最長で3年である。所定の報告期間における適格純貸
付額が個別のベンチマークと同額以上の参加者は、一定期間、金利が50ベーシス・ポイント引き下げられる(全体
では-1%の融資)。
これらの追加的な金利引下げによる補助金は、IAS第20号「政府補助金の会計処理および政府援助の開示」の会
計方針に従って会計処理されなければならない。かかる補助金によるマイナス金利の差益は、KfWが関連する要件
を満たし、補助金が支給される見込みであるという合理的な保証が得られるまでは認識されない可能性がある。
2020年3月から2021年3月までの報告期間の目標は達成され、2020年6月から2021年6月までの利息期間の金利引下げ
も考慮された。KfWグループは、2021年にIAS第20号に基づいて、合計34百万ユーロの金利引下げによる補助金を受
けた。したがって、金利引下げによる補助金は、かかる補助金によって補填の対象となる資金調達費用が計上され
た期間にわたって、発生主義に基づき正味受取利息に認識された。そのため、KfWグループは総額法を採用した。
当公庫は、2021年12月にTLTRO-Ⅲに基づくトランシェ4を返済した。
TLTRO トランシェを通じた資金調達により、2021会計年度には合計109百万ユーロの支払利息のプラス効果があっ
た。
(15) 有形固定資産
KfW グループにより報告される土地、建物、設備、および備品は、定額法による減価償却費および減損控除後の
取得原価で計上され、減価償却費および減損はいずれも一般管理費に認識される。IAS第36号の要件に従って、減
損の兆候があり、資産の簿価が回収可能額(すなわち、処分費用控除後の公正価値または使用価値のどちらか低い
額)を上回る場合、減損が認識される。耐用年数は、予想される減耗に基づき決定される。KfWグループでは見積
耐用年数を、建物については40年から50年、ワークステーション・コンピュータ装置については4年、その他の有
形固定資産については5年から15年としている。有形固定資産の売却損益は、その他の正味営業収益に認識され
る。
前渡金および建設仮勘定は、その他の有形固定資産に認識されており、減価償却の対象外である。
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(16) リース
IFRS 第16号「リース」に従って、借り手としてのKfWは、各使用権を有形固定資産において、また関連リース債
務をその他の負債において報告する。借り手は、リース債務を、その時点で未払いのリース料の現在価値から借り
手の追加借入利子率を割り引いて測定する。追加借入利子率とは、借り手が、同様の期間にわたり、同様の保証の
下、使用権資産と同様の価値を有する資産を同様の経済環境において獲得するのに必要な資金を借り入れるために
支払わなければならないであろう利率をいう。したがって、KfWは、自己発行証券に使用するリファイナンス金利
を基礎として追加借入利子率を決定する。
KfW は、使用権についてIAS第36号「資産の減損」を適用し、使用権の減損の有無を判断し、識別された減損損失
を認識している。使用権の減価償却、償却および減損は、一般管理費において報告される。使用権の割引による支
払利息およびリース債務に係る複利利息は、その他の支払利息に含まれる。
純資産、財政状態および収益状況への軽微な影響は、「建物の賃貸借」のみから生じる。
最長12ヶ月間の短期リースについては、KfWはIFRS第16号第18項に規定される救済措置を利用し、これらは認識
されていない。
KfW グループが貸し手となっている少数のリース契約は、オペレーティング・リースに分類されている。リース
資産は有形固定資産に、対応する賃料収入はその他の営業収益に認識されている。
(17) 無形固定資産
KfW グループは、購入または自社開発したソフトウェアの原価から定額法による償却費および減損を控除した金
額を無形固定資産に計上し、償却費および減損はいずれも一般管理費に認識される。耐用年数は、予想される減耗
を基に決定される。KfWグループは耐用年数を5年と見積もっている。
資産の簿価が回収可能価額を超過している資産については減損が認識される。減損は、今後の経済的便益が確認
できない場合に計上される。
自社開発中のソフトウェアはその他の無形固定資産に計上され、償却の対象外である。
(18) 引当金
引当金には、年金および類似の約定の引当金、信用リスクに対する引当金、KfWが助成貸出事業において行い、
KfWの収益状況にマイナスの影響を与える取消不能貸出コミットメントに係る金利の引下げに対する引当金に加え
て、発生可能性の高い資金の流出に係る金額や時期が不確実なその他の債務に対する引当金も含まれる。
KfW グループの従業員は、退職金、長期障害休業手当および遺族給付を支給する企業年金制度に加入している。
KfWグループは、様々な年金制度を有しており、確定給付型年金制度のみで構成されている。給付額は、主に会社
勤務期間と給与により変動する。1985年まで新規雇用に適用されていた年金制度においては、完全年金
( Gesamtversorgung )(以下「完全年金」という。)が支給され、その中では、年金支給開始年齢前に支払われた
所得の一定部分が給付金(公的年金控除後)として配分された。事業主が資金を出す年金制度とは別に、従業員が
拠出する制度も整備されている。
KfW グループの年金制度は、特に、長寿リスク、金利変動リスク、年金調整リスクおよび将来査定基準が変更さ
れるリスクにさらされている。
長寿リスクは、年金受給者が予想より長生きした場合に企業年金制度に係る費用が増加するリスクである。一般
に、このリスクは、年金受給者全体で相殺され、将来予想よりも速いペースで平均余命が伸長した場合にのみ影響
がある。
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企業年金制度は、長期間にわたる制度であるため、年金債務引当金は、一般的な金利変動リスクにさらされてい
る。
年金調整リスクは、主に、完全年金を支給する年金制度に関係している。かかる制度において、給付金は、年金
支給対象となる基準所得または相殺される公的年金に変動が生じるとすぐに給付金が算定し直される。定期的に、
予測および実際の年金調整の観点から別の年金制度を検討し、必要に応じてかかる調整を行う。
KfW グループの既存の年金制度の下で約束される給付金の金額は、特に、受給対象所得および社会保険の保険料
算定限度額( Beitragsbemessungsgrenze )の変動に左右される。査定基準が想定されたものと異なるものになるリ
スクがある。
年金債務は、年齢、会社勤務期間および給与といったグループ全体で統一したパラメーターに基づく予測単位積
増方式に従い、独立した適格年金数理人により算定される。年金引当金は、報告日現在の確定給付債務の現在価値
で認識される。割引率は、年金債務と同等の満期日を有する優良社債/国際機関債のポートフォリオの市場利子率
による割引率である。ポートフォリオの定義は、現在の市況を勘案する。追加的な人口統計学的要因(ホイベック
の2018年版G数理計算表を含む。)および数理計算上の仮定(昇給率、年金増加率、離職率等)も考慮される。
KfW グループの年金債務に対する年金資産は存在しないため、関連する特別な会計規則は適用されていない。年
金および類似の債務に対する引当金は、対応する満期を有する十分な資産により内部で賄われる。
数理計算上の損益は、発生した時点で直ちに認識される。かかる損益は、期首に予測された数値と比較して報告
日現在の年金債務を再測定した結果として発生する。
年金引当金への追加は、勤務費用と支払利息とを区別している。勤務費用は一般管理費に計上され、支払利息は
その他の支払利息に計上される。株主持分に直接認識される年金引当金の変動は、再評価準備金に計上される数理
計算上の損益から成り、その他のOCIに計上されている。
年金に類似した債務には、繰延報酬、早期退職および一時退職に対するコミットメントが含まれる。数理計算の
報告書が作成され、このような種類のコミットメントに対しても引当金が認識される。数理計算上の損益は発生し
ていない。
従業員に対する債務ならびに監査およびコンサルタント・サービスに係る引当金を含むその他の引当金は、予想
支出額で認識されている。長期引当金は、その影響が大きい場合に割り引かれる。この引当金には、公法に基づく
機関である、清算中の旧GDRの国営保険会社(SinA- Staatliche Versicherung der Deutschen Demokratischen
Republik in Abwicklung )(以下「SinA」という。)の業務引受に伴う債務も含まれており、当該債務は、その他
の資産に計上されている東西ドイツ統一による特別業務に係る連邦政府機関(BvS- Bundesanstalt für
vereinigungsbedingte Sonderaufgaben )(以下「BvS」という。)の同額債権により相殺されている。引当金の全
額が必要とされない場合、または引当金を設定した理由が適用外となった場合は、引当金の戻入は、引当金を設定
する際に使用した項目と同じ損益計算書項目を通じて行われる。
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(19) 株主持分
株主持分の構成は、特に、KfW法およびIFRSの要件により決定される。
KfW 法第10条第(2)項および第(3)項に従い、ドイツ商法に従って決定されたKfWの当期純利益は、準備金に振り替
えられ、IFRSに基づき株主持分に含まれる。
KfW グループは一般銀行業務上のリスクに対する積立金を設定した。この積立金の追加あるいは減少は、IFRSに
基づき連結損益の処分・充当として表示される。
IFRS に基づき、残余連結純利益は、同期間に係るその他の利益剰余金に配分される。
再評価準備金は、IFRSに従って株主持分に直接認識される取引から成る。再評価準備金には、損益を通じて公正
価値で測定される負債の自己信用リスクの増減からの評価損益および確定給付債務からの評価損益が含まれる。原
取引に応じて、繰延税金も含まれうる。
(20) 信託事業
第三者のためにKfWグループ名義で保有する資産および負債は、信託受託者がすべてのリスクおよび成果を保有
する場合には認識されていない。KfWでは、これは、特にドイツの金融支援の下での発展途上国の支援のための貸
出および株式投資、また、未来基金( Zukunftsfonds )の下での未来の技術促進のための施策に関連している。連
邦政府が必要な資金を提供し、施策の実施はドイツ連邦予算で賄われている。
信託事業からの手数料は、受取手数料として認識される。
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包括利益計算書に対する注記
(21) 正味受取 利息
正味受取利息の内訳
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
銀行および顧客に対する貸出金等からの受取利息
4,092 5,186
および 類似の収益
貸借対照表外の取引からの類似の収益 25 28
有価証券および投資からの受取利息 58 110
財政状態計算書に認識されるヘッジからの受取利息 -3,350 -3,304
-210 -143
その他の受取利息
実効金利法による受取利息 615 1,876
銀行および顧客に対する貸出金等からの受取利息
-40 -25
および 類似の収益
有価証券および投資からの受取利息 73 58
412 576
その他のデリバティブからの受取利息
その他の受取利息 446 609
受取利息合計 1,061 2,485
銀行および顧客に対する債務に係る支払利息および
-200 15
類似の費用
債務証書に係る支払利息 3,652 5,228
財政状態計算書に認識されるヘッジからの支払利息 -4,761 -5,171
その他のデリバティブからの支払利息 -180 -229
164 95
その他の支払利息
支払利息合計 -1,325 -62
正味受取利息 2,386 2,547
(KfWの収益 状況 に影響を与える金利引下げの形での追加助成資金により)市場金利を下回る助成ローンを供与
するための費用は144百万ユーロ(2020年は54百万ユーロ)となり、その他の支払利息に計上されている。その他
の支払利息項目は、新規貸出事業における名目上の予定金利引下げ額の現在価値に起因する費用に 加えて 、一定の
実効金利による償却から生じた費用も含む。また、銀行および顧客に対する貸出金等からの受取利息および類似の
収益は、かかる助成ローンに関する名目上の予定金利引下げ額を比例配分した金額で発生主義に基づき償却するこ
とによる収益である200百万ユーロ(2020年は243百万ユーロ)を含む。
ステージ3の貸付債権からの受取利息33百万ユーロ(2020年は37百万ユーロ)は、 銀行および顧客に対する貸出
金等からの受取利息および類似の収益に計上されている。
財政状態計算書に認識されるヘッジからの受取利息は、ヘッジ会計に指定されたデリバティブからの受取利息に
加えて、ヘッジ会計による評価差額の償却からの受取利息から成る。ヘッジ会計に指定されたデリバティブからの
受取利息または支払利息は、関連するヘッジ対象に応じて、関連金融資産または関連金融負債について財政状態計
算書に認識されるヘッジからの受取利息または支払利息に認識される。
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当グループは、負債ヘッジ(変動利付負債)により非典型的な支払利息を計上しており、その大部分は対応する
スワップ取引を伴う債務証書から構成されている。この非典型的な支払利息は、ヘッジ対象が非典型的な支払利息
に寄与しているため、別途計上するマイナス金利には配分されていない。低金利環境の継続により、ヘッジ対象の
支払利息は対応するヘッジ手段からの受取利息によって過大に補填され、その結果、2021会計年度の支払利息合計
は非典型的なものとなっている。
ヘッジ 対象 およびデリバティブからの受取利息または支払利息がヘッジ会計に含まれる(ことを意味する)場
合、 ヘッジ対象金融資産(変動利付金融資産)またはヘッジ対象金融負債(変動利付金融負債)の経済的な実体に
基づいて表示されている。
マイナス金利寄与に関する総分析
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
受取利息(総額) 1,421 2,758
金融資産から生じるマイナス金利 -360 -273
支払利息(総額) -679 326
-647 -389
金融負債から生じるマイナス金利
正味受取利息 2,386 2,547
受取利息に含まれるマイナス金利の寄与は、中央銀行残高、 銀行に対する貸出金等および顧客に対する貸出金等
ならびに有価証券および投資 によるもの である。
支払利息におけるプラス金利の寄与は、主に銀行に対する債務および顧客に対する債務ならびに債務証書による
ものである。
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(22) リスク引当金による純損益
リスク引当金の取引別内訳
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
貸出事業に係るリスク引当金への繰入額
(銀行/顧客に対する貸出金等および貸借対照表外 898 1,610
の貸出取引)
リスク引当金への追加繰入額 865 1,581
直接償却 33 29
有価証券および投資に係るリスク引当金への繰入額 12 12
リスク引当金への追加繰入額 12 12
0 0
直接償却
リスク引当金への繰入額 910 1,622
貸出事業に係るリスク引当金からの収益
(銀行/顧客に対する貸出金等および貸借対照表外
1,143 811
の貸出取引)
リスク引当金の戻入による収益 1,060 751
過年度償却額の回収による収益 83 60
有価証券および投資に係るリスク引当金からの収益 13 7
リスク引当金の戻入による収益 13 7
過年度償却済み有価証券および投資の回収による
0 0
収益
リスク引当金からの収益 1,155 819
重要でない契約上の変更から生じる純損益 -22 -22
貸出事業に係るその他のリスク引当金 -27 44
合計 196 -781
(23) 正味 受取 手数料
受取手数料の内訳
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
637 589
顧客との契約から生じる収益
うち連邦政府との委任契約上の取決めから生じる収益 (1)
582 540
委任契約、処理事業およびサービスからの手数料収益 16 14
39 36
貸出事業からの手数料収益
その他の受取手数料 10 10
金融保証契約
0 0
10 9
その他
受取手数料合計 647 599
(1) 信託事業における連邦政府との委任契約上の取決めから生じる74百万ユーロ(2020年は68百万ユーロ)の受取手数料を含む。
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2021 会計年度中のセグメント別受取手数料
輸出金融
個別対応 発展途上国
および
中小企業銀行
金融 および
プロジェク
および KfW
および 公的 ト・ファイ 新興経済国 KfW
民間顧客 顧客 キャピタル ナンス 支援 金融市場 本部 グループ
2021 年
(単位:百万ユーロ)
310 36 6 33 259 0 3 647
受取手数料
うち連邦政府のもの
307 33 6 0 236 0 0 582
割合(%) 99% 92% 100% 0% 91% 0% 0% 90%
2020 会計年度中のセグメント別受取手数料
輸出金融
個別対応 発展途上国
および
中小企業銀行
金融 および
プロジェク
および KfW
および 公的 ト・ファイ 新興経済国 KfW
民間顧客 顧客 キャピタル ナンス 支援 金融市場 本部 グループ
2020 年
(単位:百万ユーロ)
281 42 0 28 244 0 2 599
受取手数料
うち連邦政府のもの
278 38 0 0 224 0 0 540
割合(%) 99% 89% 0% 0% 91% 0% 0% 90%
期間外の収益
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
前期になされたサービスに起因する当期の収益 31 17
支払手数料の内訳
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
貸出事業に係る支払手数料 10 10
クレジット・デリバティブに係る支払手数料 0 0
14 16
その他の支払手数料
支払手数料 24 26
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(24) ヘッジ会計から生じる純損益
ヘッジ会計から生じる純損益に関するヘッジ関係の種類別内訳
ヘッジの無効性
ヘッジの無効性
の事例を含む損
2021年 2020年
益計算書の項目
(単位:百万ユーロ)
ヘッジ会計から
-5 -25
ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ
生じる純損益
金利リスク
14 -27 -
-19 2 -
金利-通貨リスク
ヘッジ会計から
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ -105 41
生じる純損益
金利リスク -105 41 -
ヘッジ会計から
合計 -110 16
生じる純損益
ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計から生じる純損益に関するヘッジ対象別内訳
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
有価証券および投資のヘッジ 4 5
銀行および顧客に対する債務のヘッジ -1 -29
-8 -1
債務証書のヘッジ
小計:ヘッジの有効性 -5 -25
評価差額の償却 0 0
合計 -5 -25
ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計からの損益の評価に関する総分析:
2021 会計年度におけるヘッジ対象およびヘッジ手段の比較
ヘッジ対象 ヘッジ手段 ヘッジの有効性
(単位:百万ユーロ)
有価証券および投資のヘッジ -510 514 4
銀行および顧客に対する債務のヘッジ 481 -482 -1
8,628 -8,637 -8
債務証書のヘッジ
合計 8,600 -8,605 -5
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ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計からの損益の評価に関する総分析:
2020 会計年度におけるヘッジ対象およびヘッジ手段の比較
ヘッジ対象 ヘッジ手段 ヘッジの有効性
(単位:百万ユーロ)
有価証券および投資のヘッジ 180 -175 5
銀行および顧客に対する債務のヘッジ -88 59 -29
-4,412 4,411 -1
債務証書のヘッジ
合計 -4,320 4,295 -25
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計から生じる純損益に関する総分析:
2021 会計年度におけるヘッジ対象およびヘッジ手段の比較
ヘッジ対象 ヘッジ手段 ヘッジの有効性
(単位:百万ユーロ)
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計から生じる純損
-7,412 7,307 -105
益
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計から生じる純損益に関する総分析:
2020 会計年度におけるヘッジ対象およびヘッジ手段の比較
ヘッジ対象 ヘッジ手段 ヘッジの有効性
(単位:百万ユーロ)
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計から生じる純損
1,797 -1,756 41
益
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計から生じる純損益は、ヘッジ手段の評価とヘッジ対象のポートフォリオ
からのヘッジされたリスクの評価から成る。これには、ダイナミック・ヘッジの指定および指定の解除から生じる
評価差額の償却ならびに対象となるポートフォリオからの金融商品の認識の中止やヘッジ手段のデリバティブのプ
ル・トゥ・パー効果による評価差額の按分された戻入も含まれる。
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(25) 損益を通じて公正価値で測定されるその他の金融商品から生じる純損益
損益を通じて公正価値で測定されるその他の金融商品から生じる純損益の内訳
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
銀行/顧客に対する貸出金等 28 2
貸出金等 28 2
その他の債権(短期金融市場取引、手形貸付およ
0 0
びその他の債権)
有価証券および投資 752 -312
債券およびその他の確定利付証券 0 0
株式およびその他の不確定利付証券 0 0
株式投資 752 -312
銀行および顧客に対する債務 78 8
債務証書 536 -238
その他のデリバティブ -620 112
ヘッジ会計に非適格な金融デリバティブ -620 112
クレジット・デリバティブ 0 0
-7 0
外貨換算
合計 767 - 428
資産からの純損益は、連邦共和国のための株式保有のアレンジメントからの純損益を含み、(KfWに起因するも
のである場合は)短期の募集、SPPI要件を満たさない貸出金(銀行に対する貸出金等および顧客に対する貸出金
等)ならびに株式投資(有価証券および投資)に焦点を置いたKfW IPEX銀行のシンジケート事業も含む。
有価証券および投資からの純損益に含まれる売却目的で保有する非流動資産の処分により実現した利益は、2021
会計年度に1百万ユーロ(2020年は18百万ユーロ)となった。
公正価値で測定される負債からの純損益は、手形貸付(銀行に対する債務/顧客に対する債務)ならびに債券お
よび手形(債務証書)を含む。
ヘッジ会計に非適格な金融デリバティブからの純損益は、主に経済的ヘッジのデリバティブに起因する。経済的
ヘッジは、ヘッジ対象の公正価値オプションを適用して認識される。このヘッジ対象には、とりわけ、債務証書の
形態での借入金ならびに銀行に対する債務および顧客に対する債務が含まれる。
さらに、当該勘定科目には、金融負債に伴う区分処理された組込デリバティブからの損益が含まれるため、関連
するヘッジ手段のデリバティブの評価による純損益は相殺される。
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経済的にヘッジされた借入金からの損益の総分析:ヘッジ対象およびヘッジ手段の比較
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
借入金 614 -230
-716 294
ヘッジ手段
合計(経済的ヘッジの有効性) -102 63
(26) 償却原価で測定される金融資産の処分による純損益
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
償却原価で測定される金融資産の処分による利益 0 0
4 1
償却原価で測定される金融資産の処分による費用
合計 -4 -1
償却原価で測定される金融資産の処分による利益および費用は、流通市場におけるローン債権の売却に起因する
ものであった。
(27) 持分法により会計処理された投資からの純損益
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
持分法により会計処理された投資からの純損益 14 31
(28) 一般 管理費
一般管理費 の内訳
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
賃金および給与 657 591
社会保険料負担額 98 94
88 85
年金引当金繰入額およびその他の従業員給付
人件費 842 770
その他の一般管理費
499 440
有形固定資産および無形固定資産の減価償却、償却
125 131
および減損
10 22
うちリース使用権の減損
人件費以外の費用 624 572
合計 1,466 1,342
当期 のリース使用権の減損には、使用権の減損0百万ユーロ( 2020 年は10百万ユーロ )が含まれる。
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(29) その他の 正味 営業収益または損失
その他の正味営業収益または損失の内訳
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
その他の営業収益 34 26
86 41
その他の営業費用
合計 -53 -14
その他の営業収益には、主にその他の引当金の戻入による収益12百万ユーロ(2020年は10百万ユーロ)が含まれ
る。
その他の営業費用の項目には、KfW IPEX銀行が銀行の再編基金に支払うべき拠出金14百万ユーロ(2020年も14百
万ユーロ)が含まれる。KfWは、銀行再編基金法(RstrukFG- Restrukturierungsfondsgesetz )第2条に従って当該
基金に拠出する義務を負わない。この項目には、KfW財団資本の増加による費用13百万ユーロ(2020年は0百万ユー
ロ)も含まれる。
(30) 法人税
法人税の構成要素別内訳
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
当期法人税 49 16
88 59
繰延税金
合計 137 76
当期法人税には、グループ会社の法人税およびKfWレベルで計上された控除不能投資収益課税が含まれる。
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有価証券報告書
調整表は、当会計年度の算定上の法人税費用と報告上の法人税との関係を示している。
法人税額の調整表
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
営業活動による損益(税引前) 2,353 600
0% 0%
当グループの法人税率
会計年度中の算定上の法人税費用 0 0
当グループの税率差異による影響
129 -131
税率変更の影響 0 0
当報告年度における前年度法人税の影響 6 -9
控除不能法人税の影響 2 3
控除不能事業費用の影響 4 3
非課税所得の影響 -67 1
取引付加税/減税 1 1
永久差異 111 30
-49 178
認識された繰延税金資産の変動の影響
報告上の法人税 137 76
KfW の適用法人税率0%は、調整額の基礎となり、非課税の公法機関であるKfWの課税状況および当該課税状況が
営業活動による損益を主に決定するという事実を考慮している。
税率差異による影響は、個別のグループ会社が課税対象となり、それに関連して税率が異なることにより生じて
いる。税率の 範囲 は引き続き0%から32%である。
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有価証券報告書
セグメント報告
(31) 事業部門別セグメント報告
IFRS第8号の規定に従い、セグメント報告は、内部管理報告体系に従って行われている。内部管理報告体系は、
当グループ内の主要な意思決定者が、各セグメントの業績を評価し、資源を各セグメントへ配分する目的で使用さ
れている。
KfWグループの事業部門の構成に沿ったセグメントならびにその商品およびサービスは、以下の通りである。
-起業融資
-企業による投資全般への融資ならびに技術革新、エネルギーお
中小企業銀行および民間顧客 よび環境保全への投資
-教育への融資
-住宅の建設、改築および改修への融資
-地方自治体インフラおよび社会インフラへの融資
個別対応金融および公的顧客 -株主資本および借入資本による企業への個別対応金融
-銀行および州立支援財団への個別対応金融
-ドイツおよび欧州のベンチャー・キャピタル・ファンドおよび
KfWキャピタル
ベンチャー・デット・ファンドへの投資
-ドイツおよび欧州の輸出事業への融資
輸出金融およびプロジェクト・
-ドイツおよび欧州が特別の利害関係を有するプロジェクトおよ
ファイナンス
び投資への融資
-連邦政府を代理して、予算資金およびKfWが市場で調達した補完
発展途上国および新興経済国支援 的な資金により行う発展途上国および新興経済国支援
-DEG(ドイツ投資開発会社)が行う融資(民間部門の助成)
-有価証券および短期金融市場への投資
-連邦共和国のための株式保有のアレンジメント
金融市場
-連邦政府から委任された取引(対ギリシャ融資)
-資金調達
-金利および為替の一括管理
本部
-戦略的株式投資
各事業部門の業績は、連結利益への貢献額を基に測定される。各勘定科目は、以下の方法に基づいている。
注1)
- 正味受取利息(助成費用前)は、市場金利法 に基づき算定される貸出事業から生じる純利息を含んでい
る。この項目には、事業部門の予定される規制目的上の自己資本に従って割り当てられた株主資本利益率も
含まれている。本部には資金運用損益も含まれており、これは主に金利およびスプレッド管理に伴う損益か
注2)
ら成る。KfWの資金調達からの利益貢献額 は、金融市場事業部門に含まれている。
- 損益計算書上の利息、手数料および一般管理費ならびにその他の営業費用に含まれる助成費用は、助成費用
が管理上の変数として特に重要であるため、内部管理報告書に従って別途計上されている。
注1)
KfW の内部リファイナンス・カーブを用いて同一の満期で行われる融資は、この方法による正味受取利息の算定の前提である。
注2)
実際のリファイナンス金利と、内部で算定した満期が同一のリファイナンス金利の差異。
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有価証券報告書
助成費用とは、KfWの助成目的の達成にプラスの影響を与える、中小企業銀行および民間顧客事業部門ならびに
個別対応金融および公的顧客事業部門の両事業部門の特定の費用を意味するものと理解されている。助成費用は、
注3)
主に、現在価値 で会計処理される金利の引下げについて新規コミットメントおよび複利計算の影響による追加
額から成る。追加される助成構成要素は、小規模ローンを行う際に販売パートナーに対してアップフロントフィー
として支払われる費用(支払手数料に含まれる。)、革新的なデジタル助成アプローチ(手数料および一般管理費
に含まれる。)、利用可能な商品関連の営業および販売手段に係る費用(一般管理費に含まれる。)、ならびに貸
出事業の補完として供与される助成目的の補助金(その他の営業費用に含まれる。)である。
注4)
- 一般管理費(助成費用前)の配分は、コストセンターによる活動基準会計の結果に基づく 。一般管理費
(助成費用前)には有形固定資産の減価償却費および無形固定資産の償却が含まれる。
- 貸出事業項目に係るリスク引当金において、正味減損費用、直接償却額、償却済み貸出金の回収額および重
要でない契約上の変更から生じる純損益は、対象となる貸出金に応じて各セグメント間で配分されている。
- 評価損益(助成費用前)は、ヘッジ会計から生じる純損益、公正価値で測定されるその他の金融商品から生
じる純損益、証券事業に係るリスク引当金による純損益、償却原価で測定される金融商品の処分による純損
益、持分法により会計処理された投資からの純損益ならびにその他の正味営業収益(助成費用前)から成
る。
- 各事業部門(本部を除く。)への法人税の配賦時には、当期法人税のみが考慮される。繰延税金は本部へ配
分される。
- 内部管理報告体系に従い、セグメント資産は、各セグメントの業績評価または各セグメントへの資源配分の
いずれにも用いられていないため、計上されていない。
- セグメントの収益および費用の表示は、連結上の数値に基づく。一般管理費や支払手数料、またKfWグルー
プ内でのサービス取引による受取手数料やその他の営業収益は、セグメント報告において調整されている。
連結へほとんど影響を及ぼさない残りの金額は、調整/連結欄に計上されている。
注3)
KfW の助成貸出事業における金利の引下げに関する詳細については、注記11を参照のこと。
注4)
組織単位で発生した費用は、中核サービスにより商品に主として配分される。
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2021 会計年度における事業部門別セグメント報告
中小企業銀行 個別対応金融
輸出金融および
および および
プロジェクト・
民間顧客 公的顧客 KfWキャピタル(1) ファイナンス(1)
(単位:百万ユーロ)
72,980 9,465 502 13,644
新規コミットメント額
正味受取利息(助成費用前)
463 107 0 797
正味受取手数料(助成費用前) 309 35 6 33
430 77 11 289
一般管理費(助成費用前)
評価前営業損益(助成費用前) 342 65 –6 540
貸出事業に係るリスク引当金
–2 5 0 94
1 63 211 29
評価損益(助成費用前)
営業活動による損益(助成費用前) 341 133 205 663
助成費用
182 6 0 0
0 0 0 40
法人税
連結利益 159 127 205 622
発展途上国
および
新興経済国
支援(1) 金融市場 本部 調整/連結 KfWグループ
(単位:百万ユーロ)
10,145 527 0 –212 107,050
新規コミットメント額
正味受取利息(助成費用前)
413 347 405 0 2,531
正味受取手数料(助成費用前) 253 –4 2 0 634
497 97 50 0 1,452
一般管理費(助成費用前)
評価前営業損益(助成費用前) 169 246 357 0 1,712
貸出事業に係るリスク引当金
102 –4 0 0 196
471 21 –163 0 633
評価損益(助成費用前)
営業活動による損益(助成費用前) 742 263 194 -1 2,541
助成費用
0 0 0 0 188
5 0 92 0 137
法人税
連結利益 737 263 102 -1 2,215
(1) 事業部門の評価損益は、持分法により会計処理された投資からの純損益を以下の通り含んでいる。KfWキャピタルは16.4百万ユーロ、輸出金融およ
びプロジェクト・ファイナンスは-8.3百万ユーロ、ならびに発展途上国および新興経済国支援は6.1百万ユーロ。
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有価証券報告書
2020 会計年度における事業部門別セグメント報告
輸出金融および
中小企業銀行 個別対応金融
プロジェクト・
および および KfWキャピタル ファイナンス
民間顧客 公的顧客 (1)(2) (1)(2) (1)(2)
(単位:百万ユーロ)
86,274 19,213 871 16,584
新規コミットメント額
正味受取利息(助成費用前)(1)
427 100 -1 811
正味受取手数料(助成費用前) 281 41 0 27
422 85 8 255
一般管理費(助成費用前)
評価前営業損益(助成費用前)(1) 287 56 –8 583
貸出事業に係るリスク引当金
-109 -26 0 -414
0 31 49 -19
評価損益(助成費用前)
営業活動による損益(助成費用前)
178 61 41 150
(1)
助成費用 (1)
83 5 0 0
0 0 0 8
法人税
連結利益 (1)
95 56 41 142
発展途上国
および
新興経済国
支援(1)(2) 金融市場(1) 本部(1) 調整/連結 KfWグループ
(単位:百万ユーロ)
12,394 400 0 -468 135,269
新規コミットメント額
正味受取利息(助成費用前)(1)
423 364 477 1 2,601
正味受取手数料(助成費用前) 236 -5 2 0 584
444 91 26 0 1,330
一般管理費(助成費用前)
評価前営業損益(助成費用前) (1) 214 269 453 1 1,855
貸出事業に係るリスク引当金
-233 5 0 0 -777
-383 4 -70 -1 -390
評価損益(助成費用前)
営業活動による損益(助成費用前)
–402 278 383 -1 688
(1)
助成費用 (1)
0 0 0 0 88
2 0 65 0 76
法人税
連結利益 (1)
–404 278 318 -1 525
(1) 内部報告の変更による調整後の前年の数値(注記3を参照のこと。)。
(2) 事業部門の評価損益は、持分法により会計処理された投資からの純損益を以下の通り含んでいる。個別対応金融および公的顧客は-9.8百万ユーロ、
KfWキャピタルは1.0百万ユーロ、輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスは31.3百万ユーロ、ならびに発展途上国および新興経済国支援は8.3
百万ユーロ。
調整/連結欄には、セグメント情報をKfWグループの合算情報へ調整するために必要なすべての調整が含まれる。
「新規コミットメント額」に計上される連結上の影響額は、KfW IPEX銀行が転貸銀行として機能する中小企業銀行
および民間顧客ならびに個別対応金融および公的顧客の貸出プログラムのコミットメントに係るものである。この
欄のその他の金額は、連結上最低限の影響を及ぼす金額に基づくものである。
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(32) 地域別セグメント報告
正味受取利息および受取手数料は、顧客の地域に基づき配分される。正味受取利息に含まれる株主資本利益率、
KfWの融資からの利益への貢献額および資金運用損益は、ドイツに配分される。KfWは、連邦政府の予算資金を用い
て行う発展途上国および新興経済国支援の対価として連邦政府から手数料を受け取っている。これらの資金は、投
資が行われる国が属する地域別に配分される。
有形固定資産と無形固定資産は、その額が僅少なものを除き、ドイツと関係のあるもののため、地域別に報告し
ていない。
2021 会計年度における地域別セグメント報告
欧州
(ドイツを
ドイツ その他の国々 調整/連結 KfWグループ
除く。)
(単位:百万ユーロ)
正味受取利息 1,343 423 620 0 2,386
343 32 247 0 623
正味受取手数料
セグメント収益 1,687 455 867 0 3,009
2020 会計年度における地域別セグメント報告
欧州
(ドイツを
ドイツ その他の国々 調整/連結 KfWグループ
除く。)
(単位:百万ユーロ)
正味受取利息 1,472 419 656 1 2,547
319 30 224 0 573
正味受取手数料
セグメント収益 1,791 449 880 1 3,120
調整/連結欄には、セグメント情報をKfWグループの合算情報へ調整するために必要なすべての調整が含まれる。
この欄の金額は、連結上最低限の影響を及ぼす金額のみに基づくものである。
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財政状態計算書に対する注記
(33) 現金準備 高
現金準備高の内訳
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
現金 0 0
42,439 44,178
中央銀行残高
合計 42,439 44,178
(34) 償却原価で測定される金融資産
償却原価で測定される金融資産 の科目別内訳
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
銀行に対する貸出金等
短期金融市場取引 5,510 2,782
貸出金等 301,759 287,687
手形貸付 22 21
その他の債権 1,197 5,277
顧客に対する貸出金等
短期金融市場取引 0 680
貸出金等 129,278 128,539
手形貸付 1,205 1,616
その他の債権 420 364
有価証券および投資
35,784 35,790
債券およびその他の確定利付証券
合計
475,175 462,756
控除:リスク引当金
銀行に対する貸出金等 – 238 -306
顧客に対する貸出金等 – 1,705 -1,824
– 10 -11
有価証券および投資
純額合計 473,221 460,615
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リバース・レポ取引および差し入れられた現金担保に係る債権は、銀行に対する貸出金等-その他の債権に含ま
れる。
貸出金等の引受債務の種類別内訳
銀行に対する貸出金等 顧客に対する貸出金等
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在 2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
直接貸出金 73,170 72,833 118,608 120,533
転貸商業銀行が全面的に負
債負担を引受ける、転貸方
201,027 193,036 0 0
式による顧客に対する貸出
金
転貸商業銀行が部分的に負
債負担を引受ける、転貸方
27,894 22,289 0 0
式による顧客に対する貸出
金
転貸商業銀行が負債負担を
引受けない、転貸方式によ 0 0 8,205 5,736
る顧客に対する貸出金
転貸保険会社が全面的に負
債負担を引受ける、保険会
0 0 1,210 888
社を通じて転貸された顧客
に対する貸出金
直接転貸劣後ローン 279 266 1,287 1,428
KfWの収益状況に影響を与え
る金利引下げの形での追加
助成資金により支払われた
-610 -737 -32 -46
助成ローンの金利が市場金
利を下回ることによる簿価
の調整
合計 301,759 287,687 129,278 128,539
銀行に対する直接貸出金には、特に国内の住宅建設および中小企業への融資の一環として供与されたグローバ
ル・ローンが含まれる。
顧客に対する直接貸出金には、特に輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス、地方自治体融資ならびに教育
関連融資に基づき供与された貸出金が含まれる。当該項目には、KfW法に従って連邦政府から委任された特定の取
引に関連する貸出金も含まれる。
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(35) 簿価総額
償却原価で測定される金融資産に係る簿価総額の増減-銀行に対する貸出金等
2021 会計年度 2020 会計年度
ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 合計 ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 合計
(単位:百万ユーロ)
1月1日現在 294,009 1,522 235 295,766 281,429 265 209 281,902
ステージ2および3から
544 –544 0 0 -2 2 0 0
ステージ1への移行
ステージ1および3から
–843 849 –5 0 -1,153 1,168 -15 0
ステージ2への移行
ステージ1および2から
–464 –72 536 0 -165 -18 183 0
ステージ3への移行
追加-新規事業および増加使
101,850 397 23 102,270 320,273 284 33 320,590
用額 (1)
処分 –90,135 –281 –168 –90,584 -305,292 -160 -170 -305,623
うち償却された金融資産 –90,135 –281 –160 –90,576 -305,292 -160 -160 -305,613
うち受取勘定の不履行 0 0 –8 –8 0 0 -10 -10
重要でない契約上の変更 –13 0 2 –11 -8 0 -1 -10
1,013 8 26 1,047 -1,073 -17 -4 -1,094
為替およびその他の変動
12月31日現在 305,962 1,880 648 308,489 294,009 1,522 235 295,766
(1) 最近取得または発行された金融資産および最近の事業の追加分は、2021会計年度以降、まとめて開示される予定である(注記3を参照のこと。)。
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償却原価で測定される金融資産に係る簿価総額の増減-顧客に対する貸出金等
2021 会計年度 2020 会計年度
ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 合計 ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 合計
(単位:百万ユーロ)
1月1日現在 100,069 12,474 18,656 131,199 97,755 4,708 17,335 119,798
ステージ2および3から
2,041 –2,015 –26 0 679 -678 -1 0
ステージ1への移行
ステージ1および3から –14,846
–5,123 19,969 0 -10,845 10,878 -33 0
ステージ2への移行 (2)
ステージ1および2から
–953 –813 1,766 0 -1,742 -651 2,393 0
ステージ3への移行
追加-新規事業および増加使
26,151 714 117 26,982 32,149 1,103 269 33,522
用額 (1)
処分 –22,383 –6,070 –1,253 –29,707 -16,236 -2,155 -1,149 -19,541
うち償却された金融資産 –22,379 –6,070 –1,123 –29,571 -16,234 -2,153 -955 -19,342
うち受取勘定の不履行 –4 –1 –131 –136 –2 –2 -194 -198
重要でない契約上の変更 0 –13 0 –13 –10 –3 1 -12
1,796 528 116 2,440 -1,681 -729 -158 -2,567
為替およびその他の変動
12月31日現在 101,598 24,773 4,531 130,902 100,069 12,474 18,656 131,199
(1) 最近取得または発行された金融資産および最近の事業の追加分は、2021会計年度以降、まとめて開示される予定である(注記3を参照のこと。)。
(2) ステージ3からステージ2への移行は、主に連邦政府による保証付貸出金によるものである。
償却原価で測定 される 金融資産に係る簿価総額の増減-有価証券および投資
2021 会計年度 2020 会計年度
ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 合計 ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 合計
(単位:百万ユーロ)
1月1日現在 35,725 0 65 35,790 34,440 0 77 34,517
追加-新規事業および増加使
23,330 0 0 23,330 19,874 0 0 19,874
用額 (1)
処分 –22,866 0 –65 –22,931 -18,617 0 -12 -18,629
うち償却された金融資産 –22,866 0 –65 –22,931 -18,617 0 -12 -18,629
–405 0 0 –406 28 0 0 28
為替およびその他の変動
12月31日現在 35,784 0 0 35,784 35,725 0 65 35,790
(1) 最近取得または発行された金融資産および最近の事業の追加分は、2021会計年度以降、まとめて開示される予定である(注記3を参照のこと。)。
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貸借対照表外の貸出取引に係る簿価総額の増減
2021 会計年度 2020 会計年度
ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 合計 ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 合計
(単位:百万ユーロ)
1月1日現在 102,790 5,103 257 108,151 84,151 667 310 85,128
ステージ2および3から
253 –225 –28 0 71 -71 0 0
ステージ1への移行
ステージ1および3から
–86 86 0 0 -448 448 0 0
ステージ2への移行
ステージ1および2から
–19 –35 53 0 -58 -9 68 0
ステージ3への移行
追加-新規事業および増加使
1,233 51 3 1,287 1,180 54 5 1,239
用額 (1)
処分 –718 –120 –18 –857 -826 -77 -36 -940
うち償却された金融資産 –718 –120 –18 –857 -826 -77 -36 -940
5,730 –136 45 5,640 18,721 4,092 -89 22,723
為替およびその他の変動
12月31日現在 109,184 4,725 312 114,220 102,790 5,103 257 108,151
(1) 最近取得または発行された金融資産および最近の事業の追加分は、2021会計年度以降、まとめて開示される予定である(注記3を参照のこと。)。
リスク引当金が条件変更時にステージ2または3に分類され、報告期間中に再びステージ1に移行された金融資産
の簿価総額は、報告日現在253百万ユーロ(2020年12月31日現在は14百万ユーロ)であった。
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(36) リスク引当金
償却原価で測定される金融資産に係るリスク引当金の増減-銀行に対する貸出金等
2021 会計年度 2020 会計年度
ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 合計 ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 合計
(単位:百万ユーロ)
1月1日現在 143 95 68 306 124 24 93 242
ステージ2および3から
27 –27 0 0 7 -7 0 0
ステージ1への移行
ステージ1および3から
–4 4 0 0 -24 24 0 0
ステージ2への移行
ステージ1および2から
–1 –6 7 0 -3 -3 6 0
ステージ3への移行
追加 46 16 38 99 99 71 39 208
使用額 0 0 –7 –7 0 0 -48 -48
戻入 –111 –50 –11 –172 -56 -10 -23 -89
正味現在価値に対する影響 0 0 3 3 0 0 2 2
3 2 3 9 -4 -5 1 -8
為替およびその他の変動
12月31日現在 104 33 101 238 143 95 68 306
償却原価で測定される金融資産に係るリスク引当金の増減-顧客に対する貸出金等
2021 会計年度 2020 会計年度
ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 合計 ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 合計
(単位:百万ユーロ)
1月1日現在 243 326 1,255 1,824 184 186 1,058 1,428
ステージ2および3から
88 –89 1 0 96 -96 0 0
ステージ1への移行
ステージ1および3から
–3 25 –21 0 -45 60 -15 0
ステージ2への移行
ステージ1および2から
–10 –78 88 0 -20 -67 87 0
ステージ3への移行
追加 149 249 242 641 257 406 521 1,184
使用額 –1 0 –171 –172 0 0 -238 -239
戻入 –283 –169 –276 –727 -220 -141 -169 -530
正味現在価値に対する影響 0 0 82 82 0 0 67 67
8 11 39 57 -9 -23 -54 -86
為替およびその他の変動
12月31日現在 192 275 1,238 1,705 243 326 1,255 1,824
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償却原価で測定される金融資産に係るリスク引当金の増減-有価証券および投資
2021 会計年度 2020 会計年度
ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 合計 ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 合計
(単位:百万ユーロ)
1月1日現在 11 0 0 11 6 0 0 6
追加 12 0 0 12 12 0 0 12
–13 0 0 –13 -8 0 0 -8
戻入
12月31日現在 10 0 0 10 11 0 0 11
貸出事業に係るリスク引当金の増減(貸借対照表外の貸出取引)
2021 会計年度 2020 会計年度
ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 合計 ステージ 1 ステージ 2 ステージ 3 合計
(単位:百万ユーロ)
1月1日現在 49 58 19 126 36 28 10 73
ステージ2および3から
21 –21 0 0 22 -22 0 0
ステージ1への移行
ステージ1および3から
–2 2 0 0 -3 3 0 0
ステージ2への移行
ステージ1および2から
0 –13 13 0 -1 -2 3 0
ステージ3への移行
追加 60 59 5 125 87 83 18 188
戻入 –98 –39 –23 –160 -90 -31 -12 -132
1 2 0 3 -1 -2 0 -3
為替およびその他の変動
12月31日現在 32 48 15 94 49 58 19 126
貸出金等に対する貸倒引当金には、短期金融市場への投資およびリバース・レポ取引に対するものも含まれてい
る。
報告年度において、不良債権および借入金に対する86百万ユーロ(2020年は69百万ユーロ)の受取利息は、回収
されなかった。
報告期間中に償却され、なお施行措置の対象となっている金融資産の契約上の貸付残高は、報告日現在、総額62
百万ユーロ(2020年12月31日現在は61百万ユーロ)であった。
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(37) 公正価値で測定される金融資産
公正価値で測定される金融資産の種類別内訳の分析
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
銀行に対する貸出金等-FVM
貸出金等 14 38
その他の債権 35 0
顧客に対する貸出金等-FVM
貸出金等 9,572 9,616
有価証券および投資-FVM
株式投資 4,015 3,016
非連結子会社株式 68 48
その他のデリバティブ資産-FVM
金利関連デリバティブ 3,122 4,751
2,259 607
クロスカレンシー・デリバティブ
合計 19,085 18,077
クロスカレンシー・スワップは、クロスカレンシー・デリバティブに表示されている。
その他のデリバティブには、区分処理された組み込みデリバティブによる21百万ユーロ(2020年12月31日現在は
11百万ユーロ)の正の公正価値を有するデリバティブが含まれる。
(38) マクロヘッジ による公正価値ヘッジ会計に係る評価差額
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計に指定され
4,609 12,220
ている資産の評価差額
償却原価測定区分に含まれるヘッジ対象ポートフォリオのヘッジ対象リスクに起因する公正価値は、この項目に
含まれる。
(39) ヘッジ会計 に指定されたデリバティブ資産
ヘッジ会計に指定 された 正の公正価値を有するデリバティブのヘッジ関係別内訳
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計 8,449 7,934
29 24
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計
合計 8,478 7,958
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ヘッジ会計に指定された正の公正価値を有するデリバティブのヘッジ手段別内訳
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
金利関連デリバティブ 2,990 5,374
5,488 2,584
クロスカレンシー・デリバティブ
合計 8,478 7,958
金利関連デリバティブのみがマクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計に指定されている。クロスカレンシー・ス
ワップは、クロスカレンシー・デリバティブに表示されている。
(40) 持分法により会計処理された投資
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
597 613
持分法により会計処理された投資
合計 597 613
「持分の開示」に関する注記に、持分法により会計処理された投資の一覧が含まれている。
(41) 売却目的で保有する非流動資産
財政状態計算書の本項目には、銀行および企業の分野ならびに当会計年度におけるアジア、アフリカ、および北
アメリカならびに前会計年度におけるアジアおよびラテンアメリカの地域における公正価値119百万ユーロ(2020
年12月31日現在は81百万ユーロ)のDEGの株式投資が含まれており、これらは、IFRS第5号における「売却目的で保
有する非流動資産」の基準を満たすため、個別に報告される。これらの株式投資は、「発展途上国および新興経済
国支援事業部門」に認識されている。また、これらの株式投資は、今後12ヶ月以内に売却される予定である。
2020年12月31日現在の連結財務書類で、売却目的で保有する非流動資産として認識されていた2つの株式投資を
2021年に予定通り売却することは不可能であった。これは主に、COVID-19のパンデミックの影響によるものであ
る。この売却可能性の低下により、会計上の再分類が行われたが、収益状況には影響を与えなかった。
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(42) 有形 固定資産
有形固定資産の科目別内訳
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
土地および建物 839 857
設備および備品 80 81
リース使用権 50 60
2 1
その他の有形固定資産
合計 971 999
リース使用権への追加は、0百万ユーロ(2020年は15百万ユーロ)であった。前渡金および建設仮勘定は、その
他の有形固定資産に計上されている。
2021 会計年度における有形固定資産の増減
減価償却
累計額、減損、
および
取得/製造原価 正味簿価
減損損失の戻入
(単位:百万ユーロ)
2021 年1月1日現在の簿価 1,527 – 528 999
追加/減損損失の戻入 37 0 37
売却 – 51 50 – 1
減価償却費 0 – 63 – 63
0 0 0
減損損失
2021 年12月31日現在の簿価 1,513 – 541 971
2020 会計年度における有形固定資産の増減
減価償却
累計額、減損、
および
取得/製造原価 正味簿価
減損損失の戻入
(単位:百万ユーロ)
2020 年1月1日現在の簿価 1,487 -466 1,021
追加/減損損失の戻入 57 0 57
売却 -17 15 -2
減価償却費 0 -67 -67
0 -10 -10
減損損失
2020 年12月31日現在の簿価 1,527 -528 999
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(43) 無形 固定 資産
無形固定資産の種類別内訳
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
ソフトウェア 135 122
購入ソフトウェア 66 72
自社開発ソフトウェア 69 50
9 50
その他の無形固定資産
合計 144 172
その他の無形固定資産には、特に開発中のソフトウェアが含まれる。
2021 会計年度における無形固定資産の増減
減価償却
累計額、減損、
および
取得/製造原価 正味簿価
減損損失の戻入
(単位:百万ユーロ)
2021 年1月1日現在の簿価 498 – 326 172
追加/減損損失の戻入 35 0 35
売却 – 87 85 – 2
償却 0 – 60 – 60
0 – 2 – 2
減損損失
2021 年12月31日現在の簿価 446 – 302 144
2020 会計年度における無形固定資産の増減
減価償却
累計額、減損、
および
取得/製造原価 正味簿価
減損損失の戻入
(単位:百万ユーロ)
2020 年1月1日現在の簿価 466 -277 188
追加/減損損失の戻入 38 0 38
売却 -5 5 0
償却 0 -54 -54
0 0 0
減損損失
2020 年12月31日現在の簿価 498 -326 172
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(44) 税金資産
税金資産の内訳
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
未収法人税 16 15
490 698
繰延税金資産
合計 506 714
未収法人税は、控除可能税(投資収益課税/連帯付加税)および2021会計年度における税金の前払いに係る未収
税金によるものである。
繰延税金資産の大部分は、以下に挙げられる連結財政状態計算書項目に係る評価差額によるものである。繰越欠
損金に関する繰延税金資産は、2022-2025年の事業計画に基づく。2021年12月31日現在、認識されていない繰延税
金資産の金額は、繰越欠損金に関するものが111百万ユーロ(2020年12月31日現在は45百万ユーロ)、会計上の問
題に関するものが22百万ユーロ(2020年12月31日現在は133百万ユーロ)であった。
繰延税金資産の連結財政状態計算書項目別内訳
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
金融資産(償却原価および公正価値) 105 91
無形固定資産 5 10
公正価値で測定される金融負債-その他のデリバ
270 425
ティブ
引当金 77 75
その他の連結財政状態計算書項目 17 9
16 88
繰越欠損金
小計
490 698
0 0
繰延税金負債との相殺
合計 490 698
(45) その他 の資産
その他の資産の科目別内訳
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
その他の資産および債権 725 720
69 38
前払費用および繰延費用
合計 794 758
その他の資産および債権には、主にBvSに対する債権が含まれ、当該債権は、SInAの業務引受に伴う引当金と同
額で相殺されている。
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前払費用および繰延費用は、契約上の権利から生じる金融資産(IFRS第15号に従うと「契約資産」)を含む。か
かる資産は、以下の通り推移した。
契約上の権利から生じる資産の増減
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
1 月1日現在 1 7
追加 2 1
-1 -7
処分
12 月31日現在 2 1
(46) 償却原価で測定される金融負債
償却原価で測定される金融負債の科目別内訳
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
銀行に対する債務
短期金融市場取引 1,327 2,477
手形貸付 1,203 1,682
その他の金融負債 10,968 18,145
顧客に対する債務
短期金融市場取引 269 218
手形貸付 38,372 41,129
その他の金融負債 5,053 5,872
債務証書
短期金融市場での発行 49,992 41,293
389,202 373,051
債券および手形
合計 496,385 483,867
受領した現金担保に係る負債は、その他の金融負債に含まれる。
報告期間中、2,175億ユーロ(2020年は2,150億ユーロ)の名目取引量を有する償却原価で測定される短期金融市
場証券を含む新規有価証券が発行された。報告期間中の満期償還額は1,945億ユーロ(名目)(2020年は2,154億
ユーロ)であり、早期償還額は7億ユーロ(名目)(2020年は1億ユーロ)であった。
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(47) 公正価値で測定される金融負債
公正価値で測定される金融負債の科目別内訳
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
銀行に対する債務-FVD
手形貸付 255 266
顧客に対する債務-FVD
手形貸付 1,003 1,300
債務証書-FVD
債券および手形 8,416 10,924
その他のデリバティブ負債-FVM
金利関連デリバティブ 877 1,271
933 2,470
クロスカレンシー・デリバティブ
合計 11,484 16,231
前年度同様、当報告年度において、公正価値で測定される新規有価証券の発行は無かった。報告期間中の満期償
還額は26億ユーロ(名目)(2020年は2億ユーロ)であり、早期償還額は0億ユーロ(名目)(2020年は0億ユー
ロ)であった。
クロスカレンシー・スワップは、クロスカレンシー・デリバティブに表示されている。
その他のデリバティブ負債は、区分処理された組込デリバティブによる12百万ユーロ(2020年12月31日現在は20
百万ユーロ)の負の公正価値を有するデリバティブを含む。
(48) マクロヘッジ による公正価値ヘッジ会計に係る評価差額
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計による負債
37 57
に係る評価差額
償却原価測定区分におけるヘッジ対象ポートフォリオのヘッジ対象リスクに起因する公正価値は、この項目に含
まれる。
(49) ヘッジ 会計 に指定されたデリバティブ負債
ヘッジ会計に指定された負の公正価値を有するデリバティブのヘッジ関係別内訳
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計 2,181 5,750
2,373 4,160
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計
合計 4,554 9,910
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ヘッジ会計に指定された負の公正価値を有するデリバティブのヘッジ手段別内訳
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
金利関連デリバティブ 3,163 4,317
1,390 5,594
クロスカレンシー・デリバティブ
合計 4,554 9,910
(50) リスク 引当金
引当金の種類別内訳
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
年金および類似の約定に対する引当金 2,556 2,687
信用リスクに対する引当金 94 126
926 731
その他の引当金
合計 3,576 3,543
2021 会計年度における年金および類似の約定に対する引当金の増減
確定給付債務 早期退職 部分退職 合計
(単位:百万ユーロ)
2021 年1月1日現在 2,616 60 11 2,687
追加 113 0 1 114
当期勤務費用 86 0 1 87
利息費用 27 0 0 27
数理計算上の損益 – 182 0 0 – 182
人口統計上の仮定の変動 0 0 0 0
財務上の仮定の変動 – 155 0 0 – 155
実績による修正の変動 – 27 0 0 – 27
使用額 – 55 – 8 – 5 – 68
戻入 0 0 0 0
制度加入者による拠出
5 0 0 5
(株主持分に認識される)
2021 年12月31日現在 2,496 53 7 2,556
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確定給付債務の平均予想残余期間は、2021年12月31日現在、20.3年(2020年12月31日現在は21.1年)である。
2020 会計年度における年金および類似の約定に対する引当金の増減
確定給付債務 早期退職 部分退職 合計
(単位:百万ユーロ)
2020 年1月1日現在 2,424 84 14 2,523
追加 113 0 1 114
当期勤務費用 80 0 1 81
過去勤務費用 0 0 0 0
利息費用 33 0 0 33
その他の追加 0 0 0 0
数理計算上の損益 126 0 0 126
人口統計上の仮定の変動 -1 0 0 -1
財務上の仮定の変動 168 0 0 168
実績による修正の変動 -41 0 0 -41
使用額 -52 -9 -5 -66
戻入 0 -14 0 -14
振替 0 0 0 0
制度加入者による拠出
6 0 0 6
(株主持分に認識される)
0 0 0 0
連結グループの変更
2020 年12月31日現在 2,616 60 11 2,687
年金および類似 の約定 に対する引当金は、ホイベックの2018年版G数理計算表および以下のその他の数理計算上
の仮定に基づいて算定されている。
数理計算上の仮定(年率)
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
技術的割引率
1.32% 1.02%
昇給率 2.20% 2.20%
年金増加率 2.50% 2.50%
離職率 2.29% 2.30%
技術的割引率は、2021年12月31日現在、確定給付債務の平均残余期間に対する調整を反映しており、これは平均
自己資本コミットメント使用期間に対する調整に反映される。
2021 年12月31日現在の確定給付債務の感応度
差異 確定給付債務の変動 差異 確定給付債務の変動
(単位:百万ユーロ) (単位:百万ユーロ)
平均余命 +1年 120 -1年 – 120
技術的割引率 +0.25% – 121 -0.25% 130
昇給率 +0.50% 15 -0.50% – 14
年金増加率 +0.50% 176 -0.50% – 94
離職率 +1.00% – 2 -1.00% 3
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2020 年12月31日現在の確定給付債務の感応度
差異 確定給付債務の変動 差異 確定給付債務の変動
(単位:百万ユーロ) (単位:百万ユーロ)
平均余命 +1年 118 -1年 – 117
技術的割引率 +0.25% – 133 -0.25% 144
昇給率 +0.50% 18 -0.50% – 17
年金増加率 +0.50% 185 -0.50% – 100
離職率 +1.00% – 3 -1.00% 3
貸出事業に係るリスク引当金の増減
貸出事業に係るリスク引当金の増減(貸借対照表外の取引)については、「リスク引当金」に関する注記を参照
のこと。
2021 会計年度におけるその他の引当金の増減
従業員に対する
債務 その他の引当金 合計
(単位:百万ユーロ)
2021 年1月1日現在 37 694 731
追加 4 254 258
その他の追加 4 253 257
使用額 – 4 – 46 – 50
0 – 12 – 12
戻入
2021 年12月31日現在 36 890 926
従業員に対する債務は、勤務年数に対する引当金を含む、その他の長期従業員給付を示している。これらの債務
について対応する数理計算上の報告書が作成されている。
KfW の収益状況に影響を与える金利引下げの形での追加助成資金により、取消不能の助成貸出コミットメントの
金利が市場金利を下回るため、その他の引当金の1項目として合計69百万ユーロ(2020年12月31日現在は10百万
ユーロ)が計上されている。既存の引当金の変動は、純繰入として、または、減少の場合には、資産の部において
償却原価で測定される金融資産 - 銀行または顧客に対する貸出金等として認識される、実行済み助成ローンの簿価
の調整を通じて振替として表示されている。
また、その他の引当金には、SinA の業務引受に伴う債務も含まれ、当該債務は、その他の資産に認識されている
BvSに対して有する同額債権により相殺されている。その他の引当金には、連邦政府の同額債権による相殺の法的
リスクに対する引当金も含まれる。
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2020 会計年度におけるその他の引当金の増減
従業員に対する
債務 その他の引当金 合計
(単位:百万ユーロ)
2020 年1月1日現在 37 702 739
追加 3 53 57
金利費用 0 0 0
その他の追加 3 53 56
使用額 – 3 – 48 – 52
0 – 13 – 13
戻入
2020 年12月31日現在 37 694 731
(51) 税金負債
税金負債の種類別内訳
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
未払法人税 29 31
308 418
繰延税金負債
合計 337 450
未払法人税は、2021年12月31日現在、主にKfWグループ内の課税対象会社における税金引当金から成る。
繰延税金 負債 の大部分は、以下に挙げられる連結財政状態計算書に関する評価差額によるものであった。
繰延税金負債の連結財政状態計算書項目別内訳
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
公正価値で測定される金融資産-その他のデリバ
275 404
ティブ
33 14
その他の連結財政状態計算書項目
合計 308 418
(52) その他の負債
その他の負債の内訳
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
その他の金融負債 273 401
繰延収益 50 57
59 72
リース債務
合計 382 529
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繰延収益は、契約上の義務から生じる負債(IFRS第15号に従うと「契約負債」)を含む。かかる負債は、以下の
通り推移した。
契約上の義務から生じる負債の増減
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
1 月1日現在 38 37
追加 17 8
-15 -11
処分
12 月31日現在 41 34
(53) 株主 持分
株主持分の内訳
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
引受済資本 3,750 3,750
-450 -450
控除:未請求の未払込資本
払込済資本 3,300 3,300
資本準備金
8,447 8,447
ERP特別基金からの準備金 1,191 1,191
利益剰余金 22,026 19,411
KfW 法第10条第(2)項に基づく法定準備金 1,875 1,875
KfW 法第10条第(3)項に基づく特別準備金 14,755 12,971
特別準備金
(ドイツマルク貸借対照表法第17条第(4)項に基 21 21
づく引当による特別損失控除後)
その他の利益剰余金 5,374 4,544
一般銀行業務上のリスクに対する積立金 200 600
再評価準備金 – 957 -1,151
損益を通じて公正価値で測定することが指定され
た負債に係る自己信用リスクの増減からの評価損 – 131 -153
益
– 826 -998
確定給付債務に係る数理計算上の損益(税引後)
合計 34,207 31,797
株主持分は、リスクをカバーするために利用可能な資本の基礎を成すものであり、内部管理の観点から必要な資
本の額に一致する。
リスク許容能力に係る株主持分に関する詳細については、「(5) 経理の状況―3) リスクの報告」を参照のこ
と。
KfW の当期純利益のうち1,784百万ユーロは、KfW法第10条第(3)項による特別準備金を増加させるために充当され
た。
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金融商品に対する注記
金融商品に対する注記において、IFRS第9号に基づく異なる測定区分は、下記の通り省略される。
ACO =償却原価で測定される金融商品
FVM =公正価値で測定される金融商品
FVD =公正価値で測定することが指定された金融商品
(54) 測定区分別金融商品からの損益
以下の表は、包括利益計算書の異なる各項目に含まれる金融商品からの損益を測定区分別に示したものである。
為替換算からの損益は含まれない。
2021 会計年度における 測定区分別金融商品からの損益
公正価値で測定される
ヘッジ会計に
償却原価で測 償却原価で測 公正価値で測
金融負債
指定された
定される金融 定される金融 定される金融
FVM FVD
資産 負債 資産-FVM デリバティブ 合計
(単位:百万ユーロ)
受取利息 3,764(1) 0 326 120 0 -3,149 1,061
支払利息 -145 -2,877 382 -203 -386 4,582 1,354
リスク引当金による純
196 0 0 0 0 0 196
損益
受取手数料 8 0 0 0 0 0 8
支払手数料 –10 -4 -1 0 0 0 -15
ヘッジ会計から生じる
-7,940 9,128 0 0 0 -1,297 -110
純損益
損益を通じて公正価値
で測定されるその他の
0 0 -389 549 614 0 774
金融商品から生じる
純損益
償却原価で測定される
-4 0 0 0 0 0 -4
金融資産の処分による
純損益
その他の正味営業収益 0 0 0 0 0 0 0
再評価準備金の増減 0 0 0 0 23 0 23
合計 -4,131 6,247 318 465 251 137 3,286
(1) 金融保証からの受取利息25百万ユーロを含む。
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2020 会計年度における 測定区分別金融商品からの損益
公正価値で測定される
ヘッジ会計に
償却原価で測 償却原価で測 公正価値で測
金融負債
指定された
定される金融 定される金融 定される金融
FVM FVD
資産 負債 資産-FVM デリバティブ 合計
(単位:百万ユーロ)
受取利息 4,799 (1) 0 186 423 0 –2,923 2,485
支払利息 –54 –4,408 428 –200 –462 4,793 96
リスク引当金による純
–781 0 0 0 0 0 –781
損益
受取手数料 8 0 0 0 0 0 8
支払手数料 –10 –5 –2 0 0 0 –17
ヘッジ会計から生じる
1,959 –4,482 0 0 0 2,539 16
純損益
損益を通じて公正価値
で測定されるその他の
0 0 460 –658 –230 0 –428
金融商品から生じる
純損益
償却原価で測定される
–1 0 0 0 0 0 –1
金融資産の処分による
純損益
その他の正味営業収益 0 0 0 0 0 0 0
再評価準備金の増減 0 0 0 0 –114 0 –114
合計 5,920 –8,896 1,072 –435 –806 4,409 1,263
(1) 金融保証からの受取利息28百万ユーロを含む。
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(55) 公正価値における開示
以下の表は、使用された評価技法に応じて、公正価値で測定される金融商品またはその公正価値が注記に記載さ
れている金融商品を示している。公正価値および簿価の比較も示している。
現金準備高に認識される中央銀行における追加残高の公正価値は、その簿価である。
評価技法による 金融商品の公正価値(2021年12月31日現在)
公正価値
簿価 簿価から
合計
レベル1 レベル2 レベル3
(財政状態計算書) の差異
(単位:百万ユーロ)
資産
償却原価で測定される金融資産
銀行に対する貸出金等 308,251 0 6,270 305,404 311,675 3,424
顧客に対する貸出金等 129,197 0 0 133,323 133,323 4,126
有価証券および投資 35,774 28,578 3,485 3,809 35,872 98
公正価値で測定される金融資産
銀行に対する貸出金等–FVM 49 0 0 49 49 0
顧客に対する貸出金等–FVM 9,572 0 9,437 135 9,572 0
有価証券および投資–FVM 4,083 111 3,352 619 4,083 0
その他のデリバティブ資産–
5,381 0 4,765 616 5,381 0
FVM
マクロヘッジによる公正価値
4,609 n.a. n.a. n.a. n.a. -4,609
ヘッジ会計に係る評価差額
ヘッジ会計に指定された
8,478 0 8,478 0 8,478 0
デリバティブ
119 0 68 51 119 0
売却目的で保有する非流動資産
合計 505,512 28,690 35,855 444,007 508,552 3,040
負債および株式
償却原価で測定される金融負債
銀行に対する債務 13,498 0 13,537 2 13,539 41
顧客に対する債務 43,694 0 43,694 42 43,736 43
債務証書 439,194 378,227 62,389 0 440,616 1,422
公正価値で測定される金融負債
銀行に対する債務–FVD 255 0 255 0 255 0
顧客に対する債務–FVD 1,003 0 1,003 0 1,003 0
債務証書–FVD 8,416 5,223 3,193 0 8,416 0
その他のデリバティブ負債–
1,810 0 1,723 86 1,810 0
FVM
マクロヘッジによる公正価値
37 n.a. n.a. n.a. n.a. -37
ヘッジ会計に係る評価差額
ヘッジ会計に指定された
4,554 0 4,554 0 4,554 0
デリバティブ
合計 512,459 383,449 130,349 130 513,928 1,469
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評価技法による 金融商品の公正価値(2020年12月31日現在)
公正価値
簿価 簿価から
合計
レベル1 レベル2 レベル3
(財政状態計算書) の差異
(単位:百万ユーロ)
資産
償却原価で測定される金融資産
銀行に対する貸出金等 295,460 0 7,654 298,567 306,221 10,760
顧客に対する貸出金等 129,375 0 680 134,465 135,145 5,770
有価証券および投資 35,779 27,955 2,135 5,737 35,827 48
公正価値で測定される金融資産
銀行に対する貸出金等–FVM 38 0 0 38 38 0
顧客に対する貸出金等–FVM 9,616 0 9,425 191 9,616 0
有価証券および投資–FVM 3,064 39 2,315 710 3,064 0
その他のデリバティブ資産–
5,359 0 4,182 1,177 5,359 0
FVM
マクロヘッジによる公正価値
12,220 n.a. n.a. n.a. n.a. – 12,220
ヘッジ会計に係る評価差額
ヘッジ会計に指定された
7,958 0 7,958 0 7,958 0
デリバティブ
81 0 23 59 81 0
売却目的で保有する非流動資産
合計 498,951 27,995 34,372 440,943 503,309 4,358
負債および株式
償却原価で測定される金融負債
銀行に対する債務 22,304 0 22,359 1 22,361 57
顧客に対する債務 47,219 0 47,289 35 47,323 104
債務証書 414,344 366,706 49,616 0 416,322 1,978
公正価値で測定される金融負債
銀行に対する債務–FVD 266 0 266 0 266 0
顧客に対する債務–FVD 1,300 0 1,300 0 1,300 0
債務証書–FVD 10,924 7,690 3,231 3 10,924 0
その他のデリバティブ負債–
3,741 0 3,722 18 3,741 0
FVM
マクロヘッジによる公正価値
57 n.a. n.a. n.a. n.a. – 57
ヘッジ会計に係る評価差額
ヘッジ会計に指定された
9,910 0 9,910 0 9,910 0
デリバティブ
合計 510,065 374,396 137,694 57 512,147 2,083
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利息関連の価値変動についても、金融商品の公正価値の測定時に考慮される。したがって、簿価との比較に際し
ては、マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計における貸出金等および借入金の認識から生じる(利息関連の)価
値の変動を考慮する必要がある。
2021 会計年度における レベル1とレベル2の間の振替による、
公正価値で測定される金融商品に使用された評価技法に伴う増減
レベル1からレベル2への振替 レベル2からレベル1への振替
(単位:百万ユーロ)
資産
公正価値で測定される金融資産
銀行に対する貸出金等–FVM 0 0
顧客に対する貸出金等–FVM 0 0
有価証券および投資–FVM 0 0
その他のデリバティブ資産–FVM 0 0
ヘッジ会計に指定された
0 0
デリバティブ
0 0
売却目的で保有する非流動資産
0 0
合計
負債および資本
公正価値で測定される金融負債
銀行に対する債務–FVD 0 0
顧客に対する債務–FVD 0 0
債務証書–FVD 38 0
その他のデリバティブ負債–FVM 0 0
ヘッジ会計に指定された
0 0
デリバティブ
38 0
合計
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有価証券報告書
38百万ユーロの債務証書(2020年は229百万ユーロ)は、市場流動性が低下したことにより、報告期間において
レベル2に推移した。
2020 会計年度における レベル1とレベル2の間の振替による、
公正価値で測定される金融商品に使用された評価技法に伴う増減
レベル1からレベル2への振替 レベル2からレベル1への振替
(単位:百万ユーロ)
資産
公正価値で測定される金融資産
銀行に対する貸出金等–FVM 0 0
顧客に対する貸出金等–FVM 0 0
有価証券および投資–FVM 352 0
その他のデリバティブ資産–FVM 0 0
ヘッジ会計に指定された
0 0
デリバティブ
0 0
売却目的で保有する 非流動 資産
352 0
合計
負債および資本
公正価値で測定される金融負債
銀行に対する債務–FVD 0 0
顧客に対する債務–FVD 0 0
債務証書–FVD 229 9
その他のデリバティブ負債–FVM 0 0
ヘッジ会計に指定された
0 0
デリバティブ
229 9
合計
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2021 会計年度における レベル3に割り当てられた公正価値で測定される金融資産の増減
公正価値で測定される金融資産
その他の
銀行に
顧客に
有価証券 売却目的
デリバ
対する および で保有す
対する
ティブ
合計
投資 る非流動
貸出金等
貸出金等
資産
資産
-FVM
-FVM
-FVM
-FVM
(単位:百万ユーロ)
2021 年1月1日現在 38 191 710 1,177 59 2,174
A. 損益計算書において認識された
増減
正味受取利息および受取手数料 0 -1 0 10 0 9
年度末現在有効な契約 0 -1 0 10 0 9
ヘッジ会計から生じる純損益 0 0 0 0 0 0
年度末現在有効な契約 0 0 0 0 0 0
損益を通じて公正価値で測定され
るその他の金融商品から生じる純 8 -5 53 -648 11 -581
損益
8 -8 39 -573 11 -523
年度末現在有効な契約
損益計算書において認識された
8 -6 53 -639 11 -573
増減合計
B. 株主持分において直接認識され
た増減
使用された評価技法に伴う増減 0 0 -149 0 -27 -177
レベル1およびレベル2からの振替 0 0 64 0 8 72
レベル1およびレベル2への振替 0 0 -213 0 -36 -249
追加 9 49 55 0 0 113
-8 -104 -60 0 -7 -179
売却
株主持分において直接認識された
0 -55 -155 0 -35 -243
増減合計
連結グループにおける変動
0 0 0 0 0 0
為替の変動 3 5 24 45 3 80
0 0 -14 33 14 33
その他の増減
1,471
2021 年12月31日現在 49 135 619 616 51
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2021 会計年度における レベル3に割り当てられた公正価値で測定される金融負債の増減
公正価値で測定される金融負債
その他の
銀行に 顧客に
債務証書 デリバティ
合計
対する 債務 対する 債務
ブ負債
-FVD
-FVD -FVD
-FVM
(単位:百万ユーロ)
2021 年1月1日現在 0 0 3 18 21
A. 損益計算書において認識された増減
正味受取利息および受取手数料 0 0 0 -1 -1
年度末現在有効な契約 0 0 0 -4 -4
ヘッジ会計から生じる純損益 0 0 0 0 0
年度末現在有効な契約 0 0 0 0 0
損益を通じて公正価値で測定されるその
0 0 0 36 36
他の金融商品から生じる純損益
0 0 0 6 6
年度末現在有効な契約
損益計算書において認識された増減合計 0 0 0 35 35
B. 株主持分において直接認識された増減
再評価準備金における増減 0 0 0 0 0
年度末現在有効な契約 0 0 0 0 0
使用された評価技法に伴う増減 0 0 -4 0 -4
レベル1およびレベル2からの振替 0 0 0 0 0
レベル1およびレベル2への振替 0 0 -4 0 -4
追加 0 0 0 2 2
0 0 0 -3 -3
売却
株主持分において直接認識された
0 0 -3 -1 -4
増減合計
為替の変動
0 0 0 1 1
0 0 0 33 33
その他の増減
2021 年12月31日現在 0 0 0 86 86
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有価証券報告書
2020 会計年度における レベル3に割り当てられた公正価値で測定される金融資産の増減
公正価値で測定される金融資産
その他の
銀行に
顧客に
有価証券 売却目的
デリバ
対する および で保有す
対する
ティブ
合計
投資 る非流動
貸出金等
貸出金等
資産
資産
-FVM
-FVM
-FVM
-FVM
(単位:百万ユーロ)
2020 年1月1日現在 9 185 842 837 0 1,874
A. 損益計算書において認識された
増減
正味受取利息および受取手数料 0 – 3 0 20 0 18
年度末現在有効な契約 0 – 3 0 21 0 18
ヘッジ会計から生じる純損益 0 0 0 0 0 0
年度末現在有効な契約 0 0 0 0 0 0
損益を通じて公正価値で測定され
るその他の金融商品から生じる純 3 – 3 – 162 360 12 210
損益
3 – 3 – 138 366 2 229
年度末現在有効な契約
損益計算書において認識された
3 – 5 – 162 380 12 228
増減合計
B. 株主持分において直接認識され
た増減
使用された評価技法に伴う増減 0 0 179 0 – 24 155
レベル1およびレベル2からの振替 0 0 200 0 0 200
レベル1およびレベル2への振替 0 0 – 21 0 – 24 – 45
追加 30 74 9 0 0 113
– 4 – 58 – 36 0 – 14 – 112
売却
株主持分において直接認識された
27 16 151 0 – 38 156
増減合計
連結グループにおける変動
0 0 0 0 0 0
為替の変動 – 1 – 5 – 35 – 62 – 2 – 105
0 0 – 87 21 87 21
その他の増減
2,174
2020 年12月31日現在 38 191 710 1,177 59
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有価証券報告書
2020 会計年度における レベル3に割り当てられた公正価値で測定される金融負債の増減
公正価値で測定される金融負債
その他の
銀行に 顧客に
債務証書 デリバティ
合計
対する 債務 対する 債務
ブ負債
-FVD
-FVD -FVD
-FVM
(単位:百万ユーロ)
2020 年1月1日現在 0 0 16 49 66
A. 損益計算書において認識された増減
正味受取利息および受取手数料 0 0 0 0 0
年度末現在有効な契約 0 0 0 0 0
ヘッジ会計から生じる純損益 0 0 0 0 0
年度末現在有効な契約 0 0 0 0 0
損益を通じて公正価値で測定されるその
0 0 3 – 34 – 31
他の金融商品から生じる純損益
0 0 0 – 40 – 39
年度末現在有効な契約
損益計算書において認識された増減合計 0 0 3 – 34 – 31
B. 株主持分において直接認識された増減
再評価準備金における増減 0 0 0 0 0
年度末現在有効な契約 0 0 0 0 0
使用された評価技法に伴う増減 0 0 – 16 – 17 – 33
レベル1およびレベル2からの振替 0 0 0 0 0
レベル1およびレベル2への振替 0 0 – 16 – 17 – 33
追加 0 0 0 – 3 – 3
0 0 0 2 2
売却
株主持分において直接認識された
0 0 – 16 – 18 – 34
増減合計
為替の変動
0 0 0 0 0
0 0 0 21 21
その他の増減
2020 年12月31日現在 0 0 3 18 21
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有価証券報告書
以下の表は、観察不能な関連データを別の算定値(すなわち、最善のシナリオおよび最悪のシナリオに従った場
合の価値)とする場合、このレベルに含まれる重要な金融商品の公正価値にどのような影響を与えるかを示したも
のである。
2021 年12月31日現在における観察不能なデータに関する情報
観察不能な関連データを
主要な商品 使用された評価技法 別の算定値とする場合 変動幅
– 600 ベーシス・
ポイントから
信用スプレッド
+2,600 ベ ー シ
ス・ポイント
銀行および顧客に対する貸出金
– 11 ベーシス・ポ
DCF 法 (1)
等 – FVM
イントから+11
内部スプレッド
ベーシス・ポイ
ント
リスク費用 +/-10%
0.5% から1.5%
資本コスト
(絶対的変動)
エクイティ・ファイナンス事業 5%
DCF 法 (2)
長期的な結果
からの有価証券および投資 – FVM (相対的変動)
リスク費用 +/-10%
0.5% から1.5%
資本コスト
(絶対的変動)
売却目的で保有する非流動資産 DCF 法
5%
長期的な結果
(相対的変動)
その他のデリバティブ-正また
は負の公正価値を有するデリバ
ティブで、輸出金融およびプロ
DCF 法 期待無リスク顧客マージン 7% から13%
ジェクト・ファイナンスに係る
顧客のヘッジ手段を構成するも
の – FVM
(1) 信用スプレッドおよび内部スプレッドが評価目的で使用できない場合、感応度はリスク費用に基づいて算定される。
(2) 資本コストおよび長期的な結果が評価に使用できない場合、感応度はリスク費用に基づいて算定される。
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有価証券報告書
2020 年12月31日現在における観察不能なデータに関する情報
観察不能な関連データを
主要な商品 使用された評価技法 別の算定値とする場合 変動幅
– 800 ベーシス・
ポイントから
信用スプレッド
+5,200 ベ ー シ
ス・ポイント
銀行および顧客に対する貸出金
– 8 ベーシス・ポ
DCF 法 (1)
等 – FVM
イントから+43
内部スプレッド
ベーシス・ポイ
ント
リスク費用 +/-10%
0.5% から1.5%
資本コスト
(絶対的変動)
エクイティ・ファイナンス事業 5%
DCF 法 (2)
長期的な結果
からの有価証券および投資 – FVM (相対的変動)
リスク費用 +/-10%
0.5% から1.5%
資本コスト
(絶対的変動)
売却目的で保有する非流動資産 DCF 法
5%
長期的な結果
(相対的変動)
その他のデリバティブ-正また
は負の公正価値を有するデリバ
ティブで、輸出金融およびプロ
DCF 法 期待無リスク顧客マージン 7% から13%
ジェクト・ファイナンスに係る
顧客のヘッジ手段を構成するも
の – FVM
オプション・プライシング・ +/-500 ベ ー シ
債務証書 – FVD 相関関係
モデル ス・ポイント
(1) 信用スプレッドおよび内部スプレッドが評価目的で使用できない場合、感応度はリスク費用に基づいて算定される。
(2) 資本コストおよび長期的な結果が評価に使用できない場合、感応度はリスク費用に基づいて算定される。
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有価証券報告書
レベル3に割り当てられた公正価値で測定される金融資産の、
2021年12月31日現在における公正価値の感応度分析
最善のシナリオ 計上値 最悪のシナリオ
(単位:百万ユーロ)
公正価値で測定される金融資産
銀行に対する貸出金等-FVM 52 49 47
顧客に対する貸出金等-FVM 146 135 123
有価証券および投資-FVM 704 619 548
その他のデリバティブ-FVM 622 616 610
61 51 44
売却目的で保有する非流動資産
合計 1,585 1,471 1,372
レベル3に割り当てられた公正価値で測定される金融負債の、
2021年12月31日現在における公正価値の感応度分析
最善のシナリオ 計上値 最悪のシナリオ
(単位:百万ユーロ)
公正価値で測定される金融負債
債務証書-FVD 0 0 0
86 86 87
その他のデリバティブ-FVM
合計 86 86 87
レベル3に割り当てられた公正価値で測定される金融資産の、
2020年12月31日現在における公正価値の感応度分析
最善のシナリオ 計上値 最悪のシナリオ
(単位:百万ユーロ)
公正価値で測定される金融資産
銀行に対する貸出金等-FVM 39 38 37
顧客に対する貸出金等-FVM 209 191 167
有価証券および投資-FVM 795 710 637
その他のデリバティブ-FVM 1,184 1,177 1,169
74 59 47
売却目的で保有する非流動資産
合計 2,302 2,174 2,057
レベル3に割り当てられた公正価値で測定される金融負債の、
2020年12月31日現在における公正価値の感応度分析
最善のシナリオ 計上値 最悪のシナリオ
(単位:百万ユーロ)
公正価値で測定される金融負債
債務証書-FVD 3 3 3
18 18 18
その他のデリバティブ-FVM
合計 21 21 22
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有価証券報告書
(56) ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計の 開示
ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計 におけるヘッジ対象に関する リスクタイプ別の 開示-2021年
ヘッジの無効性
を決定する
ヘッジ対象に
公正価値ヘッジ
おける
償却される
会計に係る
公正価値の変動
差額累計 公正価値ヘッジ ヘッジ対象が
(損益計算書
(ヘッジ対象の 会計に係る差額 計上される
ヘッジ対象の への影響-
ヘッジ対象リス (ヘッジ関係の 財政状態計算書
簿価 クの公正価値) 中止) の項目 ヘッジ対象)
(単位:
(単位:百万ユーロ)
百万ユーロ)
資産
金利リスク
有価証券および投資- 償却原価で
債券およびその他の 28,636 94 1 測定される – 508
確定利付証券 金融資産
金利-通貨リスク
有価証券および投資- 償却原価で
債券およびその他の 116 1 0 測定される -3
確定利付証券 金融資産
負債および資本
金利リスク
償却原価で
銀行/顧客に対する債
30,537 18 2 測定される 481
務-手形貸付
金融負債
償却原価で
債務証書 183,746 1,799 261 測定される 5,053
金融負債
金利-通貨リスク
償却原価で
銀行/顧客に対する債
0 0 0 測定される 0
務-手形貸付
金融負債
償却原価で
債務証書 120,051 939 1,309 測定される 3,576
金融負債
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有価証券報告書
ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計 におけるヘッジ対象に関する リスクタイプ別の 開示-2020年
ヘッジの無効性
を決定する
ヘッジ対象に
公正価値ヘッジ
おける
償却される
会計に係る
公正価値の変動
ヘッジ対象が
差額累計 公正価値ヘッジ
(損益計算書
(ヘッジ対象の 会計に係る差額 計上される
ヘッジ対象の への影響-
ヘッジ対象リス (ヘッジ関係の 財政状態計算書
簿価 クの公正価値) 中止) の項目 ヘッジ対象)
(単位:
(単位:百万ユーロ)
百万ユーロ)
資産
金利リスク
有価証券および投資- 償却原価で
債券およびその他の 28,007 601 0 測定される 177
確定利付証券 金融資産
金利-通貨リスク
有価証券および投資- 償却原価で
債券およびその他の 194 4 0 測定される 2
確定利付証券 金融資産
負債および資本
金利リスク
償却原価で
銀行/顧客に対する債
30,717 500 3 測定される – 88
務-手形貸付
金融負債
償却原価で
債務証書 180,822 6,966 271 測定される – 2,415
金融負債
金利-通貨リスク
償却原価で
銀行/顧客に対する債
0 0 0 測定される 0
務-手形貸付
金融負債
償却原価で
債務証書 104,712 5,594 – 1 測定される – 1,997
金融負債
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有価証券報告書
ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計 におけるヘッジ手段に関する リスクタイプ別の 開示-2021年
ヘッジの無効性を
決定するヘッジ
ヘッジ手段が
手段における
計上される 公正価値の変動
ヘッジ手段 ヘッジ手段 財政状態計算書 (損益計算書への ヘッジ手段の
の額面価額 の簿価 の項目 影響-ヘッジ手段) 平均利率( 1)
(単位:
(単位:百万ユーロ) (%)
百万ユーロ)
資産
金利リスク
ヘッジ会計に指
金利関連取引:
定された
183,537 2,961 512 0.1
金利スワップ
デリバティブ
金利-通貨リスク
通貨関連取引: ヘッジ会計に指
定された
134,963 5,488 3 0.2 (2 )
クロスカレンシー
デリバティブ
金利スワップ
負債および資本
金利リスク
ヘッジ会計に指
金利関連取引:
定された
54,655 790 – 5,524 0.7
金利スワップ
デリバティブ
金利-通貨リスク
通貨関連取引: ヘッジ会計に指
定された
54,166 1,390 – 3,594 0.3 ( 2)
クロスカレンシー
デリバティブ
金利スワップ
(1) 名目上取引高で加重したデリバティブの固定レグの利払いに基づく平均利率。
(2) クロスカレンシー金利スワップは、主として金利リスクをヘッジするために使用されるが、外国為替リスクをヘッジするためにも使用される。金利
スワップとクロスカレンシー金利スワップの平均利率の差は、各要素の中でもとりわけ、ヘッジされた通貨の金利の差によるものである。
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有価証券報告書
ミクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計 におけるヘッジ手段に関する リスクタイプ別の 開示-2020年
ヘッジの無効性を
決定するヘッジ
ヘッジ手段が
手段における
計上される 公正価値の変動
ヘッジ手段 ヘッジ手段 財政状態計算書 (損益計算書への ヘッジ手段の
の額面価額 の簿価 の項目 影響-ヘッジ手段) 平均利率( 1)
(単位:
(単位:百万ユーロ) (%)
百万ユーロ)
資産
金利リスク
ヘッジ会計に指
金利関連取引:
定された
191,649 5,350 – 173 0.9
金利スワップ
デリバティブ
金利-通貨リスク
通貨関連取引: ヘッジ会計に指
定された
97,459 2,584 – 2 2.2(2)
クロスカレンシー
デリバティブ
金利スワップ
負債および資本
金利リスク
ヘッジ会計に指
金利関連取引:
定された
27,990 156 2,471 0.6
金利スワップ
デリバティブ
金利-通貨リスク
通貨関連取引: ヘッジ会計に指
定された
76,933 5,594 1,998 2.1(2)
クロスカレンシー
デリバティブ
金利スワップ
(1) 名目上取引高で加重したデリバティブの固定レグの利払いに基づく平均利率。
(2) クロスカレンシー金利スワップは、主として金利リスクをヘッジするために使用されるが、外国為替リスクをヘッジするためにも使用される。金利
スワップとクロスカレンシー金利スワップの平均利率の差は、各要素の中でもとりわけ、ヘッジされた通貨の金利の差によるものである。
ヘッジ手段の額面価額の2021年12月31日現在における残存期間に応じたヘッジ関係別内訳
1ヶ月超 3ヶ月超 1年超
期限 1ヶ月以内 3ヶ月以内 1年以内 5年以内 5年超
(単位:百万ユーロ)
資産
金利リスク
金利関連取引:
177 3,075 31,063 88,042 61,180
金利スワップ
金利-通貨リスク
通貨関連取引:
5,336 11,898 22,248 81,928 13,553
クロスカレンシー
金利スワップ
負債および資本
金利リスク
金利関連取引:
576 765 3,323 25,216 24,774
金利スワップ
金利-通貨リスク
通貨関連取引:
730 5,464 6,760 34,848 6,365
クロスカレンシー
金利スワップ
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ヘッジ手段の額面価額の2020年12月31日現在における残存期間に応じたヘッジ関係別内訳
1ヶ月超 3ヶ月超 1年超
期限 1ヶ月以内 3ヶ月以内 1年以内 5年以内 5年超
(単位:百万ユーロ)
資産
金利リスク
金利関連取引:
0 1,849 11,251 114,200 64,349
金利スワップ
金利-通貨リスク
通貨関連取引:
0 5,533 16,336 63,407 12,183
クロスカレンシー
金利スワップ
負債および資本
金利リスク
金利関連取引:
556 880 2,818 17,668 6,067
金利スワップ
金利-通貨リスク
通貨関連取引:
1,020 9,292 11,120 48,232 7,269
クロスカレンシー
金利スワップ
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(57) マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計 の開示
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計におけるヘッジ対象 に関する リスクタイプ別の 開示-2021年
償却される
ヘッジ対象が計上される
マクロヘッジ
ヘッジの無効
財政状態計算書の項目
による
性を決定する
マクロヘッジ
公正価値 マクロヘッジ マクロヘッジ ヘッジ対象に
による
による公正価 による おける公正
ヘッジ会計に
公正価値 値ヘッジ会計
係る 公正価値 価値の変動
に係る評価
ヘッジ会計に (損益計算書
評価差額 ヘッジ会計に
係る 差額計上前の への影響-
ヘッジ対象 (ヘッジ関係 係る
の簿価 評価差額 の中止) 簿価 評価差額 ヘッジ対象)
(単位:
(単位:百万ユーロ)
百万ユーロ)
金利リスク
マクロヘッジ
による公正価
償却原価で
値ヘッジ会計
資産 222,782 4,609 195 測定される – 7,430
に係る
金融資産
評価差額
マクロヘッジ
による公正価
償却原価で
値ヘッジ会計
負債および資本 0 37 37 測定される 18
に係る
金融負債
評価差額
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計におけるヘッジ対象 に関する リスクタイプ別の 開示-2020年
ヘッジ対象が計上される
償却される ヘッジの無効
財政状態計算書の項目
マクロヘッジ 性を決定する
マクロヘッジ
による マクロヘッジ ヘッジ対象に
による
による公正価 マクロヘッジ おける公正
公正価値
公正価値 値ヘッジ会計 による
価値の変動
ヘッジ会計に
に係る評価
ヘッジ会計に 公正価値 (損益計算書
係る評価差額
係る 差額計上前の への影響-
ヘッジ対象 (ヘッジ関係 ヘッジ会計に
の簿価 評価差額 の中止) 簿価 係る評価差額 ヘッジ対象)
(単位:
(単位:百万ユーロ)
百万ユーロ)
金利リスク
マクロヘッジ
による公正価
償却原価で
値ヘッジ会計
資産 214,054 12,220 382 測定される 1,779
に係る
金融資産
評価差額
マクロヘッジ
による公正価
償却原価で
値ヘッジ会計
負債および資本 0 57 57 測定される 18
に係る
金融負債
評価差額
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マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計 におけるヘッジ手段に関する リスクタイプ別の 開示-2021年
ヘッジの無効性を
決定するヘッジ手段
における公正価値の
ヘッジ手段が
変動
計上される
財政状態計算書の (損益計算書への
ヘッジ手段 ヘッジ手段
の額面価額 の簿価 項目 影響-ヘッジ手段)
(単位:
(単位:百万ユーロ)
百万ユーロ)
資産
金利リスク
ヘッジ会計に
金利関連取引:
77,829 29 指定された 2,003
金利スワップ
デリバティブ
負債および資本
金利リスク
ヘッジ会計に
金利関連取引:
151,426 2,373 指定された 5,304
金利スワップ
デリバティブ
マクロヘッジによる公正価値ヘッジ会計 におけるヘッジ手段に関する リスクタイプ別の 開示-2020年
ヘッジの無効性を
決定するヘッジ手段
における公正価値の
ヘッジ手段が
変動
計上される
財政状態計算書の (損益計算書への
ヘッジ手段 ヘッジ手段
の額面価額 の簿価 項目 影響-ヘッジ手段)
(単位:
(単位:百万ユーロ)
百万ユーロ)
資産
金利リスク
ヘッジ会計に
金利関連取引:
7,970 24 指定された – 178
金利スワップ
デリバティブ
負債および資本
金利リスク
ヘッジ会計に
金利関連取引:
205,883 4,160 指定された – 1,578
金利スワップ
デリバティブ
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ヘッジ手段の額面価額の2021年12月31日現在における残存期間別内訳
1ヶ月超 3ヶ月超 1年超
期限 1ヶ月以内 3ヶ月以内 1年以内 5年以内 5年超
(単位:百万ユーロ)
資産
金利リスク
金利関連取引:
0 0 1,838 17,610 58,381
金利スワップ
負債および資本
金利リスク
金利関連取引:
6,782 4,100 16,406 81,116 43,022
金利スワップ
ヘッジ手段の額面価額の2020年12月31日現在における残存期間別内訳
1ヶ月超 3ヶ月超 1年超
期限 1ヶ月以内 3ヶ月以内 1年以内 5年以内 5年超
(単位:百万ユーロ)
資産
金利リスク
金利関連取引:
400 0 4,550 2,039 982
金利スワップ
負債および資本
金利リスク
金利関連取引:
721 1,621 14,547 99,339 89,655
金利スワップ
(58 ) デリバティブ に関する追加開示
デリバティブのヘッジ種類別内訳
公正価値 公正価値
額面価額 2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
2021年 2020年
12月31日 12月31日
正 負 正 負
現在 現在
(単位:百万ユーロ)
金利関連デリバティブ 584,335 540,913 6,111 4,040 10,126 5,584
クロスカレンシー・デ
165,569 156,986 7,727 2,311 3,180 8,047
リバティブ
クレジット・
0 0 0 0 0 0
デリバティブ
合計 749,904 697,898 13,838 6,351 13,306 13,631
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クロスカレンシー・スワップは、クロスカレンシー・デリバティブに表示されている。
デリバティブの取引相手別内訳
公正価値 公正価値
額面価額 2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
2021年 2020年
12月31日 12月31日
正 負 正 負
現在 現在
(単位:百万ユーロ)
OECD銀行 737,960 685,952 13,222 6,261 12,125 13,580
非OECD銀行 161 165 0 3 4 6
その他の取引相手 11,676 10,824 598 85 1,149 18
107 957 18 2 27 27
公共機関
合計 749,904 697,898 13,838 6,351 13,306 13,631
内訳には、金融デリバティブおよびクレジット・デリバティブが含まれ、これらはヘッジ会計に指定 された デリ
バティブ項目およびその他のデリバティブ項目に表示されている。区分処理されるべき組込デリバティブは含まれ
ていない。
元本総額が6,692億ユーロ(2020年12月31日現在は6,273億ユーロ)の金融デリバティブを用いた経済的ヘッジの
効果は、財務書類に反映されており、残りの金融デリバティブのリスク軽減効果は、財務書類に反映すること
(ヘッジ会計)が不可能であった。
2020 年12月31日現在同様、KfWグループは、デリバティブ取引において、支払期限が過ぎていなくても随時転売
または再担保に供することが可能な担保(有価証券として)を差し入れていない。
ただし、合計829百万ユーロ(2020年12月31日現在は4,909百万ユーロ)の流動性のある担保を提供しており、こ
れは償却原価で測定される金融資産-銀行または顧客に対する貸出金等において認識されている。
2020 年12月31日現在同様、KfWグループは、デリバティブ取引において、プロテクションの売り手による支払期
限が過ぎていなくても随時転売または再担保に供することが可能な担保(有価証券として)を受け取っていない。
ただし、合計7,717百万ユーロ(2020年12月31日現在は3,446百万ユーロ)の流動性のある担保を受け取ってお
り、これは償却原価で測定される金融負債-銀行に対する債務または顧客に対する債務において報告されている。
取引価格と、観察不能なデータを相当程度用いる評価技法を用いて算定した公正価値の当初の差額のうち、該当
金融商品の期間にわたる今後の償却予定額は、報告期間において以下の通り推移した。
初日利得または損失
2021年 2020年
(単位:百万ユーロ)
1 月1日現在 -101 -104
追加 -20 -13
戻入 18 11
-5 5
為替の変動
12 月31日現在 -108 -101
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ヘッジ会計に非適格な金融デリバティブの純損益は、償却の影響額である10百万ユーロ(2020年は9百万ユー
ロ)を含んでいる。
(59) 新たな参照レートへの移行の管理
新たな代替的な無リスク参照レートへの移行に関して、KfWは、初期段階で設定され、主要な重点分野をカバー
しているグループ全体のプロジェクト構造に依拠している。規制要件に従った移行戦略の策定に加え、デリバティ
ブ取引およびスポット取引の移行に関する複雑な要件を広く満たすため、手続上の条件およびIT上の条件が定めら
れた。これらの包括的な調整措置は、評価モデル、リスク管理および会計に関する複雑な要件から生じる。
GBP LIBOR 、CHF LIBORおよびJPY LIBORを参照するデリバティブの大部分は、2021年下半期において予定通り積
極的に転換された。2021年末までに積極的に移行されなかった上記の参照レートに連動したデリバティブ商品は、
ISDAフォールバック・プロトコルを通じて新たな金利環境へ受動的に移行された。ただし、ISDAフォールバック
は、積極的な転換が不可能である場合においてのみ適用される。
貸出金の代替的な参照レートへの転換は、業務環境において試験済みであり、2022年においても継続される。こ
れは、翌日物複利レート(後決め)およびフォワードルッキングなターム物金利への移行に適用される。
基準改革に関する主要な想定
- KfW は、EURIBORに基づく参照レートが近い将来許容されることを想定している。
したがって、中期的にはこれらの手段の移行は必要ない。
- KfW の金融商品に関連する移行による影響を受ける主要な参照レートは、以下の通りである。
- USD LIBOR :SOFRへの移行
- GBP LIBOR :SONIAへの移行
- CHF LIBOR :SARONへの移行
- JPY LIBOR :TONAへの移行
USD LIBOR およびGBP LIBORの参照レートについては、2021年12月31日付でデリバティブがヘッジ会計にも指定さ
れた。
基準改革による影響を受ける保有は、以下の通りである。
リスク・エクスポージャー/簿価および額面金額
ヘッジ会計に指定さ
ヘッジ会計に指定さ
非デリバティブ 非デリバティブ
れたデリバティブ
れていないデリバ
金融資産 金融負債
ティブ金融商品
金融商品
名目上取引高 名目上取引高
簿価 簿価
(総額) (総額)
参照レート
(変動レグ)
2021年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
USD LIBOR
15,214 0 152,548 7,534
GBP LIBOR
2,316 0 1,837 2,009
CHF LIBOR
0 0 96 0
JPY LIBOR
39 31 0 31
EUR LIBOR
29 0 0 0
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(60) 公正価値で測定される金融負債に関する追加開示
2021 年12月31日現在における公正価値で測定される金融負債の開示
公正価値で測定される金融負債
銀行に 顧客に
対する債務 対する債務 債務証書
合計
(単位:百万ユーロ)
簿価 255 1,003 8,416 9,674
満期における返済額 245 1,187 9,330 10,762
差異 -10 184 915 1,088
そのうち期限を徒過した利息が
資産計上される結果、返済金額 0 185 1,735 1,919
が増加する借入金
2020 年12月31日現在における公正価値で測定される金融負債の開示
公正価値で測定される金融負債
銀行に 顧客に
対する債務 対する債務 債務証書
合計
(単位:百万ユーロ)
簿価 266 1,300 10,924 12,490
満期における返済額 245 1,584 11,359 13,188
差異 -21 284 434 698
そのうち期限を徒過した利息が
資産計上される結果、返済金額 0 287 1,608 1,895
が増加する借入金
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(61) 金融商品から生じる契約上の支払債務
2021 年12月31日現在の支払債務の内訳(満期期間別) (1)
1ヶ月超 3ヶ月超 1年超
1ヶ月以内 5年超 合計
3ヶ月以内 1年以内 5年以内
(単位:百万ユーロ)
償却原価で測定される
金融負債
銀行に対する債務 9,614 1,332 40 1,876 709 13,572
顧客に対する債務 3,434 2,706 15,442 13,496 8,739 43,817
債務証書 17,813 33,326 69,178 215,374 109,035 444,726
公正価値で測定される
金融負債
銀行に対する債務 0 0 1 5 249 255
顧客に対する債務 0 3 6 121 1,209 1,339
債務証書 38 8 203 1,122 10,054 11,425
デリバティブ金融商品
-621 -817 -2,819 -7,099 -5,979 -17,335
から生じる純債務
そのうちデリバティ
11,116 26,219 34,170 75,345 21,312 168,163
ブ金融商品から生じ
る総債務
貸借対照表上の金融商
30,278 36,558 82,051 224,896 124,015 497,798
品から生じる債務
貸借対照表外の取引
116,290 0 0 0 0 116,290
から生じる債務
合計 146,568 36,558 82,051 224,896 124,015 614,088
(1) デリバティブ金融商品から生じる純債務は、デリバティブ契約上の対応する債権と相殺される支払債務で構成される。総債務は、デリバティブ金融
商品から生じる債務として計上されている。貸借対照表外の取引は、通常、最初の満期期間に割り当てられる。
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2020 年12月31日現在の支払債務の内訳(満期期間別) (1)
1ヶ月超 3ヶ月超 1年超
1ヶ月以内 5年超 合計
3ヶ月以内 1年以内 5年以内
(単位:百万ユーロ)
償却原価で測定される
金融負債
銀行に対する債務 4,854 2,498 135 13,156 1,467 22,110
顧客に対する債務 2,037 2,837 5,989 27,374 8,394 46,632
債務証書 26,755 30,277 49,606 214,226 92,694 413,557
公正価値で測定される
金融負債
銀行に対する債務 0 0 1 5 250 256
顧客に対する債務 149 3 6 83 1,505 1,746
債務証書 14 6 2,604 973 10,112 13,709
デリバティブ金融商品
275 590 -571 -1,300 -5,333 -6,338
から生じる純債務
そのうちデリバティ
14,541 25,387 31,084 78,092 22,360 171,465
ブ金融商品から生じ
る総債務
貸借対照表上の金融商
34,084 36,211 57,771 254,516 109,090 491,672
品から生じる債務
貸借対照表外の取引
108,535 0 0 0 0 108,535
から生じる債務
合計 142,618 36,211 57,771 254,516 109,090 600,207
(1) デリバティブ金融商品から生じる純債務は、デリバティブ契約上の対応する債権と相殺される支払債務で構成される。総債務は、デリバティブ金融
商品から生じる債務として計上されている。貸借対照表外の取引は、通常、最初の満期期間に割り当てられる。
借り手としてのリース債務の満期分析は、その他の注記(「借り手としてのリース取引」の項)に記載されてい
る。
(62) 買戻し条件付契約の開示
レポ取引の開示
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
償却原価で測定される金融資産において継続して
認識されるレポ取引に基づく売却有価証券の簿価- 2,086 13,913
有価証券および投資
償却原価で測定される金融負債-銀行に対する債務
2,052 13,324
(カウンターバリュー)
有価証券および投資において継続して認識されるレポ取引に基づく売却利付証券の公正価値は、合計2,088百万
ユーロ(2020年12月31日現在は13,905百万ユーロ)であった。これに対応する払戻義務の公正価値は、2,052百万
ユーロ(2020年12月31日現在は13,324百万ユーロ)であった。
さらに、2020年同様、KfWグループは、レポ取引において、支払期限が過ぎていなくても随時転売または再担保
に供することが可能な担保(有価証券として)を差し入れていない。
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有価証券報告書
2020 年同様、KfWグループは、レポ取引において、支払期限が過ぎていなくても随時転売または再担保に供する
ことが可能な担保(有価証券として)を受け取っていない。
2020 年同様、KfWグループは、流動性のある担保の差入れおよび受取りをしていない。
リバース・レポ取引の開示
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
償却原価で測定される金融資産-銀行に対する貸出
0 50
金等(カウンターバリュー)
償却原価で測定される金融資産-顧客に対する貸出
0 0
金等(カウンターバリュー)
合計 0 50
認識されていないリバース・レポ取引による取得利付証券の公正価値は、0百万ユーロ(2020年12月31日現在は
54百万ユーロ)であった。
さらに、2020年同様、KfWグループは、リバース・レポ取引において、プロテクションの売り手による支払期限
が過ぎていなくても随時転売または再担保に供することが可能な担保(有価証券として)を受け取っていない。
2020 年同様、KfWグループは、リバース・レポ取引において、支払期限が過ぎていなくても随時転売または再担
保に供することが可能な担保(有価証券として)を差し入れていない。
2020 年同様、KfWグループは、流動性のある担保の差入れおよび受取りをしていない。
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(63) 金融商品の相殺の開示
KfW は、EUREX中央清算システムをデリバティブ取引の一部の決済に使用している。デリバティブ取引の決済方法
において、EUREXが中央清算機関として関与することは、IFRSに規定される相殺要件のすべてを満たすため、影響
を受けた取引については、財政状態計算書上で純額が認識される。これは、EUREXが中央清算機関を務めるデリバ
ティブの正および負の公正価値が対応する担保と相殺され、財政状態計算書において純額項目に計上されることを
意味する。
関連するIFRSの要件が充足される場合、EUREXが中央清算機関を務める債券レポ取引(リバース・レポ取引およ
びレポ取引)については、債権および負債が相殺される。
さらに、OTCデリバティブおよび債券レポ取引のためのネッティング契約を盛り込んだ枠組み契約が、KfWとその
事業パートナーとの間で締結されている。
ネッティングの1つの形態として、クローズアウト・ネッティングがある。クローズアウト・ネッティングにお
いては、枠組み契約が契約パートナーにより解除された場合、または契約パートナーが倒産した場合、当該枠組み
契約に基づく個別取引に関するすべての権利および義務は、解除された個別取引の正味再調達原価をその金額とす
る単一の補償債権(または債務)に置き換えられることにより消滅する。これは、現時点において法的強制力のあ
る相殺権に相当しない。
クローズアウト・ネッティングを、通常の営業過程における支払の相殺と混同してはならない。当該枠組み契約
には、後者、すなわち、同一の期日に同一の通貨で行われるべき支払を相殺し、各個別の決済の代わりに差額の決
済を行うことができること(ペイメント・ネッティング)が定められている。これは、現時点において法的強制力
のある相殺権に相当する。
二当事者間OTCデリバティブ(中央清算されるものを除く。)に関するKfWの枠組み契約にはすべて、事業パート
ナーとの間のクローズアウト・ネッティング契約が含まれている。ペイメント・ネッティングは、当該契約におい
て関連する個別取引に限定されており、そのため、複数の取引に関するペイメント・ネッティングは行われていな
い。したがって、かかる種類のKfWのOTCデリバティブについて、金融資産および金融負債の相殺要件は充足されて
いない。
レポ取引に関するKfWの枠組み契約には、クローズアウト・ネッティング契約が含まれており、また、事業パー
トナーとのペイメント・ネッティング契約が含まれている場合もある。しかし、KfWは、原則として、レポ取引に
ついても複数の取引に関するペイメント・ネッティングを行わないため、かかるKfWのレポ取引について、金融資
産および金融負債の相殺要件は充足されていない。
OTC デリバティブおよびレポ取引のために締結された担保契約に従い、クローズアウト・ネッティングにおける
単一の補償債権(または債務)の決定において、利用可能な担保の価値が使用される。現金および有価証券の両方
とも、KfWとその事業パートナーとの間の既存の担保契約の下で許可された担保の形態である。担保契約には、有
価証券が担保である場合には所有権が移転することが規定されている。その結果として、譲渡された有価証券は、
売却または担保差入れの制限を受けない。
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ネッティング契約の対象となっている金融資産の開示(2021年12月31日現在)
相殺前の
相殺された
金融資産の 相殺不能な
金融負債 の
計上された
簿価 金融負債 の
簿価 の数値 金融資産 受入担保の
(総額) (総額) (純額) 簿価 公正価値 純額合計
(単位:百万ユーロ)
OTCデリバティブ 19,127 5,899(1) 13,228 5,417 7,644 168
0 0 0 0 0 0
リバース・レポ取引
合計 19,127 5,899 13,228 5,417 7,644 168
(1) 中央清算機関としてのEUREXにおけるOTCデリバティブの現金担保からの債権は、総額282百万ユーロである。
ネッティング契約の対象となっている金融負債の開示(2021年12月31日現在)
相殺前の
相殺された
金融負債 の 相殺不能な
金融資産の
計上された
簿価 金融資産の
簿価 の数値 金融負債 差入担保の
(総額) (総額) (純額) 簿価 公正価値 純額合計
(単位:百万ユーロ)
OTCデリバティブ 11,932 5,617 6,315 5,417 790 108
698 0 698 0 698 0
レポ取引
合計 12,630 5,617 7,013 5,417 1,488 108
ネッティング契約の対象となっている金融商品の開示には、ネッティング契約の対象となっている金融資産およ
び金融負債の総額ならびに純額のみ含まれる。2021年12月31日現在、ヘッジ会計に指定 された デリバティブおよび
その他のデリバティブの2項目に関する注記には、簿価631百万ユーロ(2020年12月31日現在は1,180百万ユーロ)
の金融資産および簿価49百万ユーロ(2020年12月31日現在は53百万ユーロ)の金融負債、とりわけ区分処理された
組込デリバティブのうちネッティング契約の対象となっていないものも含まれる。
注記「買戻し条件付契約の開示」には、ネッティング契約の対象となっていないTLTRO-Ⅲを通じた資金調達から
の簿価1,354百万ユーロ(2020年12月31日現在は13,290百万ユーロ)の金融負債も含まれる。リバース・レポ取引
に係る債権は、償却原価で測定される金融資産-銀行に対する貸出金等および顧客に対する貸出金等に計上されて
いる。
ネッティング契約の対象となっている金融資産の開示(2020年12月31日現在)
相殺前の
相殺された
金融資産の 相殺不能な
金融負債 の
計上された
簿価 金融負債 の
簿価 の数値 金融資産 受入担保の
(総額) (総額) (純額) 簿価 公正価値 純額合計
(単位:百万ユーロ)
OTCデリバティブ 21,008 8,871 12,137 8,500 3,417 220
50 0 50 9 41 0
リバース・レポ取引
合計 21,058 8,871 12,187 8,509 3,458 220
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ネッティング契約の対象となっている金融負債の開示(2020年12月31日現在)
相殺前の
相殺された
金融負債 の 相殺不能な
金融資産の
計上された
簿価 金融資産の
簿価 の数値 金融負債 差入担保の
(総額) (総額) (純額) 簿価 公正価値 純額合計
(単位:百万ユーロ)
OTCデリバティブ 23,768 10,170(1) 13,598 8,500 4,822 276
34 0 34 9 26 0
レポ取引
合計 23,802 10,170 13,632 8,509 4,848 276
(1) 中央清算機関としてのEUREXにおけるOTCデリバティブの現金担保からの債権は、総額1,299百万ユーロである。
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その他の注記
(64 ) 貸借対照表外の取引
科目別内訳
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
取消不能貸出コミットメント 111,640 105,282
金融保証契約 1,737 1,347
金融保証からの偶発債務 1,441 1,474
2,065 1,843
その他の偶発債務
合計 116,883 109,945
貸借対照表外の取引はすべて、関連する引当金控除後の額面価額で本注記に開示されている。
その他の偶発債務には、全額払込済となっていない、連結対象外の株式投資に帰属する支払債務が含まれる。
KfWは、2008年のIKBにおける持分の売却の一環として、特定の法的リスクに伴う損失を、IKBの超過後、一定額
までIKBに補填することで合意した。報告期間末現在、これに関連してIKBに対する係争中の訴訟はない。
IAS第37号第92項に従い、偶発債務についてのさらなる開示は行われなかった。
(65 ) 信託事業および管理融資
信託事業の内訳(第三者勘定・KfW名義の取引)
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
銀行に対する貸出金等 761 797
顧客に対する貸出金等 10,239 10,442
8,056 6,576(1)
有価証券および投資
信託に保有する資産 19,056 17,815
銀行に対する債務
0 0
19,056 17,815(1)
顧客に対する債務
信託に保有する負債 19,056 17,815
(1) 比較数値は332百万ユーロ調整された(注記3を参照のこと。)。
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信託に保有する資産のうち、13,337百万ユーロ(2020年12月31日現在は12,551百万ユーロ)は、発展途上国およ
び新興経済国支援事業部門に帰属するものである。それ以外に、連邦政府を信託設定者とする取引4,302百万ユー
ロ(2020年12月31日現在は3,852百万ユーロ)があり、これはKfW法第2条第(4)項に従って連邦政府により委任され
たもので、有価証券および投資に含まれる。
さらにKfWは、EUのために80百ユーロ(2020年12月31日現在は30百万ユーロ)の債務保証を信託として保有して
おり、これは欧州持続可能開発基金(EFSD)の下で発行されている。
管理融資額(第三者勘定・第三者名義の貸出)
2021年12月31日現在 2020年12月31日現在
(単位:百万ユーロ)
管理融資 20,189 18,383
(66) 借り手としてのリース取引
リース契約の開示(2021年12月31日現在)
1年超
1年以内 5年以内 5年超 合計
(単位:百万ユーロ)
リース債務(割引なし) 13 33 13 59
リース契約の開示(2020年12月31日現在)
1年超
1年以内 5年以内 5年超 合計
(単位:百万ユーロ)
リース債務(割引なし) 13 42 17 73
(67) 当会計年度 平均 従業員数
2021年 2020年
女性従業員
3,740 3,578
3,994 3,804
男性従業員
合計 7,734 7,382
団体賃金契約に非加盟の従業員
5,047 4,795
団体賃金契約に加盟の従業員 2,276 2,146
外部事務所の従業員 411 442
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(68) 報酬に関する報告
報酬に関する報告においては、執行理事会および監事会を対象とする報酬制度の基本構造について記載されてお
り、各構成員の報酬も開示されている。報酬に関する報告は、連結財務書類の注記の重要な一部である。
執行理事会および監事会への報酬合計の概要 (1)
2021年 2020年
(単位:千ユーロ)
執行理事 3,651.0(2) 3,693.1(3)
旧執行理事およびその生存扶養家族 4,474.5 4,540.1
197.4 204.1
監事
合計 8,322.9 8,437.3
(1) 表中の数値に端数処理の差異がある可能性がある。
(2) 当報告年度において、執行理事会の構成に以下の変更があった。
-ギュンター・ブロイニヒ博士は、2021年10月31日付でKfWの執行理事を退任した。
-ステファン・ヴィンテルス氏は、2021年10月1日付でKfWの執行理事に任命された。
-クリスティアーヌ・ライバッハ氏は、2021年6月1日付でKfWの執行理事に任命された。
(3) ヨアヒム・ナーゲル教授/博士は、2020年10月31日付でKfWの執行理事を退任した。
執行理事会への報酬
KfWの執行理事会を対象とする報酬制度は、執行理事に対しその責務や責任について適切な報酬を支給すること
を目的としている。執行理事会との契約は、1992年度版の金融機関の執行理事の雇用に関する連邦政府の方針
( Grundsätze für die Anstellung der Vorstandsmitglieder bei den Kreditinstituten des Bundes )をもとに
起草されている。これらの契約が起草される際は、PCGKが考慮されている。各契約は、これを踏まえ、適切に個別
に作成されている。
報酬内容
執行理事は、定額の報酬を毎月均等払いで受給する。
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以下の表は、報酬合計における、各執行理事の報酬部分およびその他の形態の報酬ならびに年金引当金への繰入
額部分の内訳を示したものである。
2021 会計年度および2020会計年度の執行理事会の年次報酬および年金引当金への繰入額 (1)
年金引当金への
固定報酬 その他の報酬 合計 繰入額(2)
(単位:千ユーロ)
ギュンター・ブロイニヒ博士 2021 665.3 22.3 687.6 1,311.7
(最高経営責任者)(3) 2020 785.3 28.3 813.6 291.5
ステファン・ヴィンテルス 2021 199.6 3.4 203.0 259.0
(最高経営責任者)(4) 2020 - - - -
イングリッド・ヘングスター 2021 574.3 39.5 613.8 305.2
博士 2020 564.9 37.8 602.7 774.8
メラニー・ケア 2021 541.0 14.4 555.4 297.5
2020 532.2 28.6 560.8 530.9
クリスティアーヌ・ライバッハ (5)
2021 315.6 19.9 335.5 204.2
2020 - - - -
ベルント・レーヴェン 2021 640.0 25.7 665.7 – 123.0
2020 629.5 36.1 665.6 854.4
ヨアヒム・ナーゲル教授/博士 (6)
2021 - - - -
2020 451.8 15.5 467.3 -1,314.0(7)
ステファン・パイス博士 2021 574.3 15.7 590.0 – 133.3
2020 564.9 18.2 583.1 729.5
合計 2021 3,510.1 140.9 3,651.0 2,121.3
2020 3,528.6 164.5 3,693.1 1,867.1
(1) 表中の数値に端数処理の差異がある可能性がある。
(2) 2021 年における年金債務の割引率は、長期の資本市場金利の変化を受けて、1.02%(2020年12月31日)から1.32%(2021年12月31日)に上昇した。
(3) ギュンター・ブロイニヒ博士は、2021年10月31日付でKfWの執行理事を退任した。
(4) ステファン・ヴィンテルス氏は、2021年10月1日付でKfWの執行理事に任命された。 ステファン・ヴィンテルス氏は、2021年10月1日から2021年10月
31日までギュンター・ブロイニヒ博士と共同最高経営責任者を務めた。ステファン・ヴィンテルス氏は、2021年11月1日以降、単独で最高経営責任
者を務めている。
(5) クリスティアーヌ・ライバッハ氏は、2021年6月1日付でKfWの執行理事に任命された。
(6) ヨアヒム・ナーゲル教授/博士は、2020年10月31日付でKfWの執行理事を退任した。
(7) プラス/マイナス記号の調整。
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2021 会計年度の執行理事会のその他の年次報酬の内訳 (1)
団体傷害
社用車 保険 健康保険 介護保険 別宅維持費 合計
(単位:千ユーロ)
ギュンター・ブロイニヒ博士
(最高経営責任者)(2) 14.9 0.5 6.2 0.7 0.0 22.3
ステファン・ヴィンテルス
(最高経営責任者)(3) 1.9 0.1 1.2 0.2 0.0 3.4
イングリッド・ヘングスター博士 26.3 0.4 12.0 0.8 0.0 39.5
メラニー・ケア 9.3 0.4 4.2 0.5 0.0 14.4
クリスティアーヌ・ライバッハ (4)
6.9 0.2 2.6 0.2 10.0 19.9
ベルント・レーヴェン 11.4 0.5 13.0 0.8 0.0 25.7
ステファン・パイス博士 7.6 0.4 6.8 0.9 0.0 15.7
合計 78.3 2.5 46.0 4.1 10.0 140.9
(1) 表中の数値に端数処理の差異がある可能性がある。
(2) ギュンター・ブロイニヒ博士は、2021年10月31日付でKfWの執行理事を退任した。
(3) ステファン・ヴィンテルス氏は、2021年10月1日付でKfWの執行理事に任命された。 ステファン・ヴィンテルス氏は、2021年10月1日から2021年10月
31日までギュンター・ブロイニヒ博士と共同最高経営責任者を務めた。ステファン・ヴィンテルス氏は、2021年11月1日以降、単独で最高経営責任
者を務めている。
(4) クリスティアーヌ・ライバッハ氏は、2021年6月1日付でKfWの執行理事に任命された。
2020 会計年度の執行理事会のその他の年次報酬の内訳 (1)
団体傷害
社用車 保険 健康保険 介護保険 別宅維持費 合計
(単位:千ユーロ)
ギュンター・ブロイニヒ博士
(最高経営責任者) 19.6 0.6 7.3 0.9 0.0 28.3
イングリッド・ヘングスター博士 24.4 1.5 11.1 0.8 0.0 37.8
メラニー・ケア 11.0 0.4 3.8 0.1 13.3 28.6
ベルント・レーヴェン 22.0 1.5 11.9 0.8 0.0 36.1
ヨアヒム・ナーゲル教授/博士 (2)
12.7 0.0 2.6 0.2 0.0 15.5
ステファン・パイス博士 10.3 0.4 6.6 0.9 0.0 18.2
合計 100.0 4.4 43.3 3.7 13.3 164.5
(1) 表中の数値に端数処理の差異がある可能性がある。
(2) ヨアヒム・ナーゲル教授/博士は、2020年10月31日付でKfWの執行理事を退任した。
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2021 会計年度および2020会計年度の二次雇用の執行理事会の年次報酬の内訳
2021年 2020年
(単位:千ユーロ)
ギュンター・ブロイニヒ博士
(最高経営責任者)(1) 306.6 423.8
ステファン・ヴィンテルス
(最高経営責任者)(2) 0.0 -
イングリッド・ヘングスター博士 21.5 83.3
メラニー・ケア 30.6 0.0
クリスティアーヌ・ライバッハ (3)
0.0 -
ベルント・レーヴェン 40.0 37.0
ステファン・パイス博士 0.0 0.0
(1) ギュンター・ブロイニヒ博士は、2021年10月31日付でKfWの執行理事を退任した。
(2) ステファン・ヴィンテルス氏は、2021年10月1日付でKfWの執行理事に任命された。ステファン・ヴィンテルス氏は、2021年10月1日から
2021年10月31日までギュンター・ブロイニヒ博士と共同最高経営責任者を務めた。ステファン・ヴィンテルス氏は、2021年11月1日以
降、単独で最高経営責任者を務めている。
(3) クリスティアーヌ・ライバッハ氏は、2021年6月1日付でKfWの執行理事に任命された。
責任
執行・指名委員会では、ドイツ銀行法第25d条の適用により当該委員会の構造が変化したため、執行理事会の報
酬制度について、契約内容を含めて協議し、当該報酬制度を承認し、かつ定期的に見直している。執行・指名委員
会は、当該事項について報酬委員会の提言を受けており、報酬委員会は、その職務を遂行するためにリスク・信用
委員会と連携している。これと同様に、監事会は、報酬委員会と当該事項について相談した後、執行理事会の報酬
制度の基本構造を決定している。
執行・指名委員会では、直近では2021年12月16日に、報酬について議論を行った。
現物給付
その他の報酬は、主に契約上の現物給付から成る。執行理事は、運転手サービス付社用車を業務用および私用で
使用する権利を有する。執行理事は、運転手付社用車を私用目的で使用した場合、適用される税法に従ってKfWに
払戻しを行う。執行理事は、業務上必要な別宅維持費を税法に基づき払い戻される。
執行理事は、団体傷害保険の被保険者である。健康保険および介護保険の給付金が支給されている。執行理事
は、会社役員賠償責任保険(執行理事としてその職務の範囲内で従事した活動に伴う金銭的な損失を補償する保
険)および追加の法務費用補償保険の被保険者である。その職務権限内で行為する限りにおいて、KfWの執行理事
は、刑事訴訟を対象とする従業員向け特別法務費用補償団体保険による保護の対象にもなっている。
執行理事に対し、グループ会社における執行機関の役割を担うことによる報酬は支払われていない。
その他の経営幹部と同様に、執行理事も、繰延報酬制度(給与からの非課税拠出を原資とする補完的企業年金制
度)への参加を選択できる。また、執行理事は、KfWの一般的な企業方針に従い、特別賞与を受領する権利を有す
る。
さらに、現物給付には、執行理事の住宅におけるセキュリティシステムの費用が含まれる。これらの手当は、そ
の他の報酬としてではなく、人件費以外の費用として認識されている。
契約上の現物給付は、非課税扱いを受けることができない場合または課税扱いが約定されている場合には、執行
理事に対する金銭等価物による給付として課税対象となる。
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いかなる執行理事も、過年度においてKfWの執行理事としての地位を勘案して、第三者から手当を提供されてお
らず、またその約束もされていない。
年金給付および早期退職の場合のその他の給付
KfWの定款第1条第(3)項に従って、執行理事の任命は、通常、法定退職年齢を超えて延長されない。満65歳また
は法定退職年齢に達し、かつ執行理事契約が終了すると、執行理事は年金の支払請求を行う権利を有し、また雇用
関係が恒久的な身体障害により終了した場合、年金給付を受ける権利を有する。
執行理事およびその生存扶養家族の年金契約は、1992年度版の金融機関の執行理事の雇用に関する連邦政府の方
針に基づくものである。執行理事契約を起草する際は、PCGKが考慮された。
PCGKの勧告に従い、執行理事の契約には退職金の支払の上限額が設けられている。つまり、ドイツ民法(BGB-
Bürgerliches Gesetzbuch )第626条の規定に従って、正当な理由なく執行理事の役割を早期終了する場合の当該執
行理事への支払は、2年分の給与に相当する額または契約の残余期間における報酬(現物給付を含む。)のいずれ
か少ない方の額を超えないものとする。
給付金の全額は、様々な契約の取決めがあるものの、報告年度の最終報酬の49%である。退職給付金は、最初の
任命で受給できる全額の70%になり、任務が終了する1年毎に契約に応じて0.98%ポイントから1.53%ポイントず
つ増加する(最初の34.3%から最高は最終報酬の49%まで。)。
執行理事契約には、個別の追加規定、とりわけ年金給付の受給権の権利確定についての規定が含まれている。新
しい契約には年金給付が未だ権利確定しておらず、当該執行理事が未だ再任されていない段階での遡及的年金拠出
に関する条項も含まれている。
2021年および2020年における旧執行理事およびその生存扶養家族への年金支給額は、以下の通りであった。
旧執行理事およびその生存扶養家族への年金支給額
2021年 2020年
人数 支給額 人数 支給額
(単位: (単位:
千ユーロ) 千ユーロ)
旧執行理事 19 3,673.3 18 3,549.4
8 801.2 8 990.7
生存扶養家族
合計 27 4,474.5 26 4,540.1
2021会計年度末において、旧執行理事およびその生存扶養家族への年金債務引当金74,578千ユーロ(2020年12月
31日現在は69,287千ユーロ)が設定されている。
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監事への報酬
監事への報酬額は、KfWの定款第7条第(10)項に従い、監督官庁が決定する。2010年5月に実施された直近の改定
により、KfW法第7条第(1)項第1号および第2号に従い、KfWの監事を務める連邦政府構成員に対して支給される報酬
額は、0ユーロに設定された。
当報告年度において、KfW法第7条第(1)項第3号から第7号に基づくその他の監事の報酬額は、年間5,100ユーロで
あり、監事会の委員の報酬額は、標準額である1人当たり年間600ユーロであった。各委員長は、特別報酬を受給し
なかった。
年度途中に就任する監事は、比例配分により報酬を受領する。
また、日当(会議日1日当たり200ユーロ)を受給できるほか、請求により、旅費および適用のある付加価値税
(以下「VAT」という。)の払戻しも受けられる。
以下の表は、2021会計年度に監事へ支払われた報酬の詳細を示している。すべての金額は、千ユーロ単位の純額
である。旅費は、領収書の提出により払い戻され、この表には含まれない。
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2021 会計年度に監事へ支払われた報酬 (1)
監事会 委員会
番 2021年における
号 氏名 在任期間 構成員(2) 構成員(2) 日当(4) 合計
(単位:千ユーロ)
1 オラフ・ショルツ 1月1日-12月8日 0.0 0.0 0.0 0.0
2 クリスチャン・リンドナー 12月8日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
3 ペーター・アルトマイヤー 1月1日-12月8日 0.0 0.0 0.0 0.0
4 ロバート・ハベック博士 12月8日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
ドーリス・アーネン (3)
5 1月1日-12月31日 5.1 0.6 0.2 5.9
アナリーナ・バールボック
6 12月8日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
7 ゼーレン・バルトール 1月1日-12月13日 5.1 1.8 0.8 7.8
8 ダニール・バヤズ博士 10月8日-12月31日 1.3 0.0 0.0 1.3
9 アンドレ・ベルクヘガー博士 1月1日-12月31日 5.1 1.8 0.8 7.8
ホルガー・ビングマン博士 (5)
10 1月1日-12月31日 5.1 0.6 1.4 7.1
フォルカー・ブフィエ (3)
11 1月1日-12月31日 5.1 1.2 0.4 6.7
インガボルグ・エッサー (5)
12 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.8 5.9
13 ロベルト・フェイガー 1月6日-12月31日 5.1 0.6 0.4 6.1
アルバート・フラッカー (3)
14 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.2 5.3
15 ヴェレナ・ゲパット 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.4 5.5
16 オラフ・グッティン 1月1日-12月31日 5.1 0.6 0.8 6.5
17 ルイス・ハーゲン博士 1月1日-12月31日 5.1 1.2 1.4 7.7
ラインホルド・ヒルバース (3)
18 1月1日-12月31日 5.1 1.8 1.0 8.0
19 ライナー・ホーフマン 1月6日-12月31日 5.1 1.0 0.4 6.5
20 ゲルハルト・ホーフマン 1月1日-12月31日 5.1 1.2 1.2 7.5
21 ブルーノ・ホリナーゲル博士 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.6 5.7
22 ヨハネス・カース 1月1日-11月19日 4.7 1.1 0.0 5.8
アロイス・カール (5)
23 1月1日-12月31日 5.1 0.6 1.4 7.1
24 ユリア・クロックナー 1月1日-12月8日 0.0 0.0 0.0 0.0
アンドレア・コクシス (5)
25 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.6 5.7
26 シュテファン・コルゼル 1月6日-12月31日 5.1 1.0 0.6 6.7
27 ヨアヒム・ラング博士 1月6日-12月31日 5.1 1.0 0.2 6.3
28 ステフィー・レムケ 12月8日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
29 ハイコ・マース 1月1日-12月8日 0.0 0.0 0.0 0.0
30 ゲルト・ミュラー博士 1月1日-12月8日 0.0 0.0 0.0 0.0
31 ライナー・ネスケ 1月6日-12月31日 5.1 0.6 1.2 6.9
32 ジェム・オズデミル 12月8日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
33 ハンス=ヴァルター・ペータース博士 1月6日-12月31日 5.1 2.2 1.2 8.5
ヨアヒム・ルークヴィート (5)
34 1月1日-12月31日 5.1 0.6 0.6 6.3
35 アンドレアス・ショイアー 1月1日-12月8日 0.0 0.0 0.0 0.0
36 ヘルムット・シュリーヴァイス 1月6日-12月31日 5.1 2.2 0.0 7.3
スヴェンニャ・シュルツ(12月8日まで
37 1月1日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
BMU、12月8日以降はBMZ)
38 ホルガー・シュワネッケ 1月1日-12月31日 5.1 1.8 0.4 7.4
エーディト・シーツマン (3)
39 1月1日-5月11日 2.1 0.0 0.0 2.1
ペーター・シュトローベル (3)
40 1月1日-12月31日 5.1 1.2 1.0 7.3
ハイケ・タウバート (3)
41 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.4 5.5
ミハエル・トイラー (5)
42 1月1日-12月15日 5.1 1.1 0.2 6.4
43 マルティン・ヴァンスレーベン博士 1月1日-12月31日 5.1 0.6 0.8 6.5
フォルカー・ウィッシング博士 12月8日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
44
合計 151.3 26.7 19.4 197.4
(1) 表中の数値に端数処理の差異がある可能性がある。
(2) 2021 年12月31日の報告日現在、まだ支払われていない。
(3) 州法に基づく金額。
(4) 2021 会計年度の評価日までの金額。その後の請求は次の報告書に含まれる。
(5) 日当は2020年の支払を含む。
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2020 会計年度に監事へ支払われた報酬 (1)
監事会 委員会
番
号 氏名 在任期間 構成員(2) 構成員(2) 日当(4) 合計
(単位:千ユーロ)
1 ペーター・アルトマイヤー 1月1日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
1月1日-12月31日
2 オラフ・ショルツ 0.0 0.0 0.0 0.0
1月1日-12月31日
ドーリス・アーネン (3)
3 5.1 0.6 0.4 6.1
1月1日-12月31日
4 ゼーレン・バルトール 5.1 1.8 1.4 8.3
5 アンドレ・ベルクヘガー博士 1月1日-12月31日 5.1 1.7 0.6 7.4
6 ホルガー・ビングマン博士 1月1日-12月31日 5.1 0.6 1.0 6.7
フォルカー・ブフィエ (3)
7 1月1日-12月31日 5.1 1.1 0.6 6.8
8 インガボルグ・エッサー 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.4 5.5
9 ロベルト・フェイガー 1月1日-12月31日 5.1 0.6 0.6 6.3
アルバート・フラッカー (3)
10 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.4 5.5
11 ヴェレナ・ゲパット 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.2 5.3
12 オラフ・グッティン 1月1日-12月31日 5.1 0.6 1.2 6.9
13 ルイス・ハーゲン博士 1月1日-12月31日 5.1 1.1 1.8 8.0
ラインホルド・ヒルバース (3)
14 1月1日-12月31日 5.1 1.7 1.4 8.2
15 ライナー・ホーフマン 1月1日-12月31日 5.1 1.2 0.6 6.9
16 ゲルハルト・ホーフマン 1月1日-12月31日 5.1 1.1 1.8 8.0
17 ブルーノ・ホリナーゲル博士 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.2 5.3
18 ヨハネス・カース 1月1日-12月31日 5.1 1.1 0.4 6.6
19 アロイス・カール 1月1日-12月31日 5.1 0.6 1.0 6.7
20 ユリア・クロックナー 1月1日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
21 アンドレア・コクシス 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.0 5.1
22 シュテファン・コルゼル 1月1日-12月31日 5.1 1.2 0.6 6.9
23 ヨアヒム・ラング博士 1月1日-12月31日 5.1 1.2 0.0 6.3
24 ハイコ・マース 1月1日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
25 ゲルト・ミュラー博士 1月1日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
ハンス=ヴァルター・ペータース博士
26 1月1日-12月31日 5.1 2.5 1.6 9.2
(5)
エックハルト・レーベルク (6)
27 0.0 0.0 1.4 1.4
28 ヨハネス=ヨルグ・リーグラー博士 1月1日-12月31日 5.1 0.6 2.0 7.7
29 ヨアヒム・ルークヴィート 1月1日-12月31日 5.1 0.6 0.4 6.1
30 アンドレアス・ショイアー 1月1日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
31 ヘルムット・シュリーヴァイス 1月1日-12月31日 5.1 2.5 0.0 7.6
32 スヴェンニャ・シュルツ 1月1日-12月31日 0.0 0.0 0.0 0.0
33 ホルガー・シュワネッケ 1月1日-12月31日 5.1 1.8 0.6 7.5
エーディト・シーツマン (3)
34 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.4 5.5
ペーター・シュトローベル (3)
35 1月1日-12月31日 5.1 1.1 1.0 7.2
ハイケ・タウバート (3)
36 1月1日-12月31日 5.1 0.0 0.2 5.3
37 ミハエル・トイラー 1月1日-12月31日 3.8 0.9 0.4 5.1
38 フローリアン・トンカー博士 1月1日-12月31日 1.3 0.3 0.0 1.6
マルティン・ヴァンスレーベン博士 1月1日-12月31日 5.1 0.6 1.2 6.9
39
合計 153.0 27.1 23.8 204.1
(1) 表中の数値に端数処理の差異がある可能性がある。
(2) 2020 年12月31日の報告日現在、まだ支払われていない。
(3) 州法に基づく金額。
(4) 2020 会計年度の評価日までの金額。その後の請求は次の報告書に含まれる。
(5) 日当は2019年の支払を含む。
(6) 2016 年から2018年までの会議出席に対する支払。
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監事に対する年金債務はない。
監事は、当報告年度において個人的な役務提供に対する対価は受け取っていない。
監事もまた、会社役員賠償責任保険(監事としてその職務の範囲内で従事した活動に伴う金銭的な損失を補償す
る保険)および追加の法務費用補償保険の被保険者である。控除免責額は現在合意されていない。その職務権限内
で行為する限りにおいて、KfWの監事は、監事に対して提起された刑事訴訟を対象とする従業員向け特別法務費用
補償団体保険および団体傷害保険による保護の対象にもなっている。
(69 ) 関連当事者情報の開示
関連当事者とKfWグループ間の取引は、IAS第24号に従い開示されなければならない。KfWグループの関連当事者
には、重要でないために非連結である子会社、ジョイント・ベンチャー、関連会社、KfWの株主、KfWが直接的に重
大な影響を及ぼす連邦政府の保有持分、主要な経営幹部およびその家族が含まれる。IAS第24号に従い、関連当事
者とみなされる主要な管理職の地位にある自然人には、執行理事、KfWの取締役および監事、ならびにすべての連
結子会社の運営委員会のメンバーおよび(該当する場合)監事、さらにはそれらの近親者が含まれる。関連当事者
との取引は、営業活動の一環として、独立当事者間取引の条件で行われる。
KfWは、IAS第24号第25項に従い、政府関連企業に対し救済措置オプションを行使した。
株主との取引
KfWは、連邦共和国(連邦政府)が80%を、連邦諸州が20%を所有する公法機関である。2021会計年度における
連邦政府および連邦諸州との取引は、KfW法に規定された規則および規制により取り扱われる。この取引には、連
邦共和国が国益を有し、連邦政府がKfWに委任した取引(KfW法第2条第(4)項に準拠する委任取引)に対する保証も
含まれる。連邦政府との取引は、原則として、第三者とのカウンター・トレード取引によって相殺される。これら
の取引は、IAS第24号に規定される取引に該当しない。このため、IAS第24号に基づく処理は、連邦政府との事業上
の関係のみに限定される。
2021年12月31日現在、KfWグループは、特に助成任務に起因する、株主との事業上の関係から生じた債権199億
ユーロ(2020年12月31日現在は205億ユーロ)を計上している。これは、例として、株式保有のアレンジメントお
よび連邦教育促進法に基づく政府ローンを含む。39億ユーロの有価証券および投資(2020年12月31日現在は35億
ユーロ)は、流動性ポートフォリオからの手形を含む。その他の資産において、KfWは、主に連邦政府への償還請
求額643百万ユーロ(2020年12月31日現在は641百万ユーロ)を計上したが、これは代理契約に関連する債務によ
り、同額で相殺された。資産は、45億ユーロ(2020年12月31日現在は54億ユーロ)の債務により相殺された。これ
らは、連邦政府へ支払われる受取配当金に係る債務を含んでいた。また、金利リスク・ポジションをヘッジするた
めに、連邦政府との間で金利スワップについての契約が締結されている。この結果、2020年において、ヘッジ手段
の公正価値は-27百万ユーロとなった。
2021年12月31日現在、連邦教育促進法に基づく政府ローンに基づき、約124億ユーロ(2020年12月31日現在は128
億ユーロ)の取消不能貸出コミットメントが供与された。一方、当グループは、COVID-19のパンデミックの中、事
業に対する流動性の高い支援を通じた安定化措置、発展途上国および新興経済国支援事業部門の市場資金事業、プ
ロジェクト・ファイナンスおよび不動産金融等ならびに追加的な委任取引のために、2021年12月31日現在、株主か
らの貸出コミットメントおよび保証1,183億ユーロ(2020年12月31日現在は1,125億ユーロ)を受領している。
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株主との取引は、結果として2021年12月31日現在、19百万ユーロ(2020年12月31日現在は32百万ユーロ)の正味
受取利息をもたらした。これはまた、COVID-19のパンデミックにより学生ローンの最終借入人に請求されなかった
利息について、連邦政府が償還した30百万ユーロ(2020年12月31日現在は20百万ユーロ)が含まれる。連邦政府
は、2022年9月30日までその償還を継続する。また、連邦政府とKfW間の代理契約も存在しており、特に正味受取手
数料に計上された。「顧客との契約から生じる収益」(注記10)、「正味受取手数料」(注記23)ならびに「信託事
業」(注記20および注記65)に記載の情報を参照のこと。
連邦政府の保有持分との取引
2021年12月31日現在、KfWは、ドイツ中央銀行において貸方残高424億ユーロ(2020年12月31日現在は442億ユー
ロ)を維持している。これは、結果として-210百万ユーロの受取利息(2020年現在は-145百万ユーロの受取利息)
をもたらした。ドイツ中央銀行に対する債務の下で、当グループは、TLTRO-Ⅲに関するレポ取引14億ユーロ(2020
年12月31日現在は133億ユーロ)を計上した(注記14「政府補助金」も参照のこと。)。
COVID-19危機の中でドイツ経済を支援するために、KfWが連邦政府に委任された2020年KfW特別プログラムへの資
金調達は、WSFを通じて行われた。WSFは、ドイツ国債会社( Bundesrepublik Deutschland – Finanzagentur
GmbH )(以下「国債会社」という。)によって管理されており、国債会社も独自の名前で業務を行っている。KfW
は、これに関連して、357億ユーロ(2020年12月31日現在は389億ユーロ)のコロナウイルスの手形貸付を債務に計
上した。KfWのファンディングスプレッドと比較したコロナウイルスの手形貸付の資金調達上の利益は、コロナウ
イルス特別プログラムの設置を通じて連邦政府に恩恵をもたらしている。
その他の連邦政府の保有持分との取引には、主に、企業金融における貸出金638百万ユーロ(2020年12月31日現
在は658百万ユーロ)、流動性ポートフォリオからの手形の形式での有価証券および投資0百万ユーロ(2020年12月
31日現在は26百万ユーロ)ならびに供与された貸出コミットメントおよび保証0百万ユーロ(2020年12月31日現在
は29百万ユーロ)が含まれる。これは結果として、特に6百万ユーロ(2020年現在は6百万ユーロ)の正味受取利息
をもたらした。
グループ会社との取引
2021年12月31日現在、グループ会社との取引は、貸出金0百万ユーロ(2020年12月31日現在は1百万ユーロ)と
なった。これらは、tbgに対するその他の債務57百万ユーロ(2020年12月31日現在は44百万ユーロ)により相殺さ
れた。0百万ユーロ(2020年現在は0百万ユーロ)の正味受取利息は、グループ会社との取引から計上された。
重要人物との取引
KfWと、関連当事者とみなされる自然人との事業上の関係については、主にKfWの定款およびPCGKの原則を適用し
て判断される。KfWグループの助成任務に基づき、KfWは主に53千ユーロ(2020年12月31日現在は56千ユーロ)の電
気自動車用充電スタンドへの融資の供与および教育関連資金に対する直接ローンを拠出した。条件および価格は、
市況を反映しているか、または一般向けローン・プログラムのためのKfWの一般的条件に従って締結される。
執行理事会および監事会の報酬の詳細については、「報酬に関する報告」に関する注記を参照のこと。
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(70 ) 監査報酬
2021年 2020年
(単位:千ユーロ)
監査業務 6,027 4,462
その他の証明業務 1,067 973
税務アドバイザリー・サービス 0 0
0 0
その他のサービス
合計 7,095 5,435
(71) 非連結の組成された企業情報の開示
KfWグループの非連結の組成された企業は、IFRS第12号に規定される範囲において、以下の事業部門に関与して
いる。
金融市場事業部門における組成された企業
KfWは、流動性の管理の一環として、ならびに気候および環境保護プロジェクトへの融資を助成する目的で、ABS
およびABCPの取引に投資している。さらに、金融市場事業部門では、既存ポートフォリオも運用されており、かか
るポートフォリオに追加の投資を行わない。当該ポートフォリオは、現在、2004年以降に発行された有価証券で構
成されている。
保有の簿価は、2021年12月31日現在、合計58億ユーロ(2020年12月31日現在は60億ユーロ)であった。
輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門における組成された企業
テイラード・リーシング/ファイナンシングの概念は、主に「航空および鉄道」ならびに「海運業」の輸出部門
における不動産賃貸事業の企業において形成される概念である。取引毎に個別の企業が設立され、KfWグループは
融資者として参加する。これらの事業パートナーのうち、中には出資者である銀行が信託会社の管理者を務める場
合もあるが、ほとんどの場合、これらの事業パートナーは個別の法的主体として設立される。KfWグループは、通
常はその他の金融機関と合同でこれらの企業に貸付を行っている。KfWはまた、商品金融事業の市場参加者である
複数の組成された企業と信用を提供する関係を築いており、KfWグループは、これらの顧客に対して輸出前貸融資
ストラクチャーによる支援を行っている。
保有の簿価は、2021年12月31日現在、合計24億ユーロ(2020年12月31日現在は29億ユーロ)であった。
発展途上国および新興経済国支援事業部門における組成された企業
金融機関およびアドバイザリー機関として、DEGは、開発マンデートの範囲内において、その事業活動指針に
沿って支援を行っている。DEGのマンデートは、a)発展途上国、b)中欧および東欧諸国と新独立国家(NIS)なら
びにc)その他諸国における民間部門の発展を、その株主であるKfWの承認を得た上で連邦政府との合意に基づき推
進することである。特定の個別の件では、組成された企業への株式投資および貸付という形態の出資を通して実施
される。適用されるリスク指針に従い、損失リスクはその投資額またはコミットメント額に限定される。
保有の簿価は、2021年12月31日現在、合計2億ユーロ(2020年12月31日現在も2億ユーロ)であった。
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有価証券報告書
以下の表は、非連結の組成された企業に関連する資産の簿価およびそのエクスポージャーの結果生じる可能性の
ある最大損失予想額を示したものである。
2021 年12月31日現在の最大損失リスク
偶発債務および
顧客に対する 有価証券および 取消不能貸出
貸出金等 投資 その他の資産 コミットメント
(単位:百万ユーロ)
簿価 2,378 5,846 9 139
46 1 0 0
リスクおよびその他の引当金
最大損失リスク 2,332 5,845 9 139
2020 年12月31日現在の最大損失リスク
偶発債務および
顧客に対する 有価証券および 取消不能貸出
貸出金等 投資 その他の資産 コミットメント
(単位:百万ユーロ)
簿価 2,922 6,009 14 168
117 1 0 1
リスクおよびその他の引当金
最大損失リスク 2,805 6,008 14 167
最大損失リスクは、信用供与枠、(金融)保証およびその他の流動性ファシリティから財政状態計算書に認識さ
れる信用リスクに対する引当金を控除した額に相当する。KfWグループの出資に係る最大損失リスクは、簿価(純
額)である。最大損失リスクには、最大損失リスクを軽減するためにKfWグループが行うヘッジ手段の影響は含ま
れない。
KfWグループの組成された企業に対する支援は、各金融支援の枠を超えるものではない。
例外として、KfWグループは、持分を保有する組成された企業に対して、連邦政府との完全な信頼関係に基づ
き、連邦政府を代理して出資者を務めることがある。これらの組成された企業に対するリスクは、連邦政府が完全
に負うものである。このような場合において、KfWグループが連邦政府の代わりに事業体の立上げまたは組成を行
うことにより、KfWグループが当該組成された企業の出資者とみなされることとなる。
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(72 ) 持分の開示
連結財務書類に含まれる子会社
IFRSに基づく持分 IFRSに基づく持分
2021年12月31日 2020年12月31日
商号/登録地 持分比率 現在 現在
(%) (単位:百万ユーロ)
KfW IPEX銀行(フランクフルト・アム・マイン、ドイ
100.0 3,881 3,463
ツ)
DEG(ドイツ投資開発会社)(ケルン、ドイツ) 100.0 2,987 2,351
KfW持株有限責任会社(ボン、ドイツ) 100.0 3,082 3,177
インターコネクター有限責任会社( Interkonnektor
100.0 95 76
GmbH )(フランクフルト・アム・マイン、ドイツ)
KfWキャピタル有限合資会社( KfW Capital GmbH & Co.
100.0 665 383
KG )(フランクフルト・アム・マイン、ドイツ)
連結財務書類に含まれる持分法により会計処理された関連会社
持分 持分
2021年9月30日 2020年9月30日
商号/登録地 持分比率 現在 現在
(%) (単位:百万ユーロ)
マイクロファイナンス・エンハンスメント・ファシリ
ティ・エスエー(Microfinance Enhancement Facility
16.5 472 431
S.A.)(ルクセンブルク)
グリーン・フォー・グロウス・ファンド、サウスイー
スト・ヨーロッパ・エスエー(Green for Growth
10.2 524 480
Fund, Southeast Europe S.A.)(ルクセンブルク)
公的ベンチャー・キャピタル共同投資基金( coparion
16.4 284 126
GmbH & Co. KG )(ケルン、ドイツ)
持分 持分
2021年12月31日 2020年12月31日
商号/登録地 持分比率 現在 現在
(%) (単位:百万ユーロ)
DC北海ケーブル有限合資会社( DC Nordseekabel GmbH
50.0 839 901
und Co. KG )(バイロイト、ドイツ)
マイクロファイナンス・エンハンスメント・ファシリティ・エスエー(以下「MEF」という。)は、2009年より
持分法により会計処理されている。KfWのマイクロファイナンス機関向けのリファイナンス・ファシリティへの投
資であるMEFは、発展途上国および新興経済国支援事業部門の一部である。
グリーン・フォー・グロウス・ファンド、サウスイースト・ヨーロッパ・エスエー(以下「GGF」という。)
は、2010年より持分法により連結財務書類に含まれている。GGFは、中小企業および一般世帯によるバルカン半島
西部地域およびトルコにおける、省エネおよび再生可能エネルギー事業への投資を促進するためのファンドである
(KfWのGGFに対する投資は、発展途上国および新興経済国支援事業部門の一部でもある。)。
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DC北海ケーブル有限合資会社(以下「DC北海ケーブル」という。)は、インターコネクター有限責任会社(輸出
金融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門内の北海ケーブル・プロジェクト、ノードリンク)のジョイン
ト・ベンチャーとして2015会計年度、初めて持分法により会計処理された。ノードリンク・プロジェクトは、欧州
のエネルギー部門における主要なプロジェクトの1つであり、約15億ユーロから20億ユーロの投資額から成る。主
に再生可能エネルギーの導管として機能するため、DC北海ケーブルは、ドイツにおけるエネルギー転換の成功にお
いて重要な役割を果たす。ノルウェー国有の送電網運営会社であるスタットネット(Statnett)、KfWおよび送電
システム会社であるテンネット(TenneT)は、2015年2月にドイツとノルウェー間に海底ケーブルを敷設する協力
協定を結んだ。テンネットは、北海のドイツ領海について責任を負う。ノードリンク・プロジェクトは、スタット
ネットおよびDC北海ケーブルがそれぞれ50%の株式を保有するシンジケートによって実現される。KfW(子会社で
あるインターコネクター有限責任会社を通じて保有する。)とテンネットは、それぞれDC北海ケーブルの株式を
50%保有しており、DC北海ケーブルは、建設およびドイツの認可取得につき責任を負う。
公的ベンチャー・キャピタル共同投資基金(KfWキャピタル事業部門)は、2016会計年度、初めて持分法により
会計処理される関連会社となった。かかるKfWおよびドイツ連邦経済エネルギー省による共同投資基金は、VCを提
供することにより、民間リード投資家とともに、新しいテクノロジー企業に関与している。
連結財務書類に含まれない会社
KfWグループの純資産、財政状態および経営成績の表示において重要性の低い、子会社6社、ジョイント・ベン
チャー2社、関連会社6社および特別目的会社7社(組成された企業を含む。)は、連結対象外であるが、代わりに
これらは、財政状態計算書上の有価証券および投資または貸出金等に表示されている。これらの会社は、KfWグ
ループの総資産の約0.04%に相当する。
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2021 年12月31日現在のKfWグループの持分の一覧
為替レート
1.00ユーロ
= CU(2)
(2021年
12月31日
持分 持分 当期純利益
番号 名称 所在地 比率 CC(1) 現在 ) (2)(3) (2)(3)
(%) (単位:TCU)
KfW の持分
A. 連結財務書類に含まれる完全連結子会社
1 DEG(ドイツ投資開発会社)(5) ケルン 100.0 EUR 1.0000 2,506,622 215,585
Interkonnektor GmbH(インター
フランクフルト・
2 100.0 EUR 1.0000 88,866 20,201
アム・マイン
コネクター有限責任会社)(5)
KfW Beteiligungsholding GmbH
3 ボン 100.0 EUR 1.0000 1,651,613 72,243
(KfW持株有限責任会社)(5)
KfW Capital GmbH & Co. KG
フランクフルト・
4 100.0 EUR 1.0000 487,101 0
(KfWキャピタル有限合資会社)
アム・マイン
(5)
B. 連結財務書類に含まれない子会社
Finanzierungs-und
5 Beratungsgesellschaft mbH ベルリン 100.0 EUR 1.0000 5,654 612
(融資協議有限責任会社)(5)
tbg Technologie-
6 Beteiligungsgesellschaft mbH ボン 100.0 EUR 1.0000 67,173 13,013
(技術資本参加合資会社)(5)
C. 連結財務書類に含まれないジョイント・ベンチャー
Deutsche Energie-Agentur GmbH
7 ベルリン 26.0 EUR 1.0000 6,072 499
(dena)(4)
D. 持分を有するその他の会社(持分比率が少なくとも20%の会社のみ)
Berliner Energieagentur GmbH
8 ベルリン 25.0 EUR 1.0000 7,543 556
(4)
eCapital Technologies Fonds
9 ミュンスター 24.8 EUR 1.0000 13,044 – 24
II GmbH & Co. KG (4)
KfW IPEX 銀行が持分を有する会社
A. 連結財務書類に含まれない子会社
Bussard Air Leasing Ltd.i.L.
ダブリン、アイル
1 100.0 USD 1.1326 -2,152 165
ランド
(4)
シンガポール、シ
KfW IPEX ‑Bank Asia Ltd. (5)
2 100.0 SGD 1.5279 1,465 27
ンガポール
Sperber Rail Holdings Inc.
ウィルミントン、
3 100.0 SGD 1.1326 69 – 7
米国
(4)
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為替レート
1.00ユーロ
= CU(2)
(2021年
12月31日
持分 持分 当期純利益
番号 名称 所在地 比率 CC(1) 現在 ) (2)(3) (2)(3)
(%) (単位:TCU)
KfW 持株有限責任会社が持分を有する会社
A. 連結財務書類に含まれる完全連結子会社
KfW IPEX-Bank GmbH
フランクフルト・
1 100.0 EUR 1.0000 3,179,587 0
(KfW IPEX銀行)(5) アム・マイン
DEG (ドイツ投資開発会社)が持分を有する会社
A. 連結財務書類に含まれない子会社
DEG Impact GmbH
1 ケルン 100.0 EUR 1.0000 (4) (4)
B. 持分を有するその他の会社(持分比率が少なくとも20%の会社のみ)
Aavishkaar Frontier Fund
2 ムンバイ、インド 20.8 USD 1.1326 36,928 3,867
Ace Power Embilipitiya Pvt
コロンボ、スリラ
3 26.0 LKR 230.7705 5,853,746 1,275,473
ンカ
Ltd.
ACON Latin America
4 ワシントン、米国 39.9 USD 1.1326 50,197 – 406
Opportunities Fund IV-A, L.P.
Acon Latin America
5 ワシントン、米国 40.0 USD 1.1326 18,930 – 16
Opportunities Fund-A, L.P.
ACON Retail MXD, L.P.
6 トロント、カナダ 100.0 USD 1.1326 9,647 – 26
Adobe Social Mezzanine Fund
メキシコシティ、
7 32.9 USD 1.1326 6,584 – 4,837
I, L.P. メキシコ
マナマ、バーレー
ADP Enterprises W.L.L.
8 23.3 EUR 1.0000 232,858 – 10,274
ン
マンスバッハ、ル
ADP II Holding 11 S.A.R.L.
9 33.3 USD 1.1326 30,497 – 170
クセンブルク
Advent Latin American Private
ウィルミントン、
10 100.0 USD 1.1326 819 – 197
Equity Fund III-B, L.P. 米国
エベネ サイバーシ
AEP China Hydro Ltd.
11 30.2 USD 1.1326 (4) (4)
ティ、モーリシャ
ス
ポートルイス、
AfricInvest III – SPV 1
12 21.8 EUR 1.0000 (4) (4)
モーリシャス
Agrofundo Brasil VI Fundo de
サンパウロ、ブラ
13 Investimento em Participações 29.9 BRL 6.3101 (4) (4)
ジル
Multiestratégia
カガン、ウズベキ
AO Bucharagips
14 24.9 UZS 12,252.8300 (4) (4)
スタン
エベネ サイバーシ
Apis Growth 2 Ltd.
15 25.6 USD 1.1326 39,133 – 4,361
ティ、モーリシャ
ス
Banque Nationale de
16 バマコ、マリ 21.4 XOF 655.9570 64,230,493 8,197,166
Développement Agricole S.A.
エベネ サイバーシ
Banyan Tree Growth Capital,
17 27.0 USD 1.1326 29,317 – 281
ティ、モーリシャ
LLC
ス
ダッカ、バングラ
Benetex Industries Ltd.
18 28.3 BDT 97.5065 (4) (4)
デシュ
エベネ サイバーシ
Berkeley Energy Wind
19 25.8 EUR 1.0000 12,232 – 36,352
ティ、モーリシャ
Mauritius Ltd.
ス
CGFT Capital Pooling GmbH &
20 ベルリン、ドイツ 40.0 EUR 1.0000 6,044 – 754
Co. KG
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為替レート
1.00ユーロ
= CU(2)
(2021年
12月31日
持分 持分 当期純利益
番号 名称 所在地 比率 CC(1) 現在 ) (2)(3) (2)(3)
(%) (単位:TCU)
CoreCo Central America Fund
ウィルミントン、
21 22.0 USD 1.1326 19,318 – 7,542
I, L.P. 米国
Crescera Investimentos Growth
ウィルミントン、
22 20.0 USD 1.1326 41,109 – 5,035
Capital Fund I-B, L.P. 米国
Da Vinci Emerging
セント・ピー
23 Technologies ター、ガーンジー 20.0 USD 1.1326 (4) (4)
Fund III L.P. 島
Darby Latin American Private
24 トロント、カナダ 37.6 USD 1.1326 19,918 981
Debt Fund IIIA, L.P.
エベネ サイバーシ
ECP Africa Fund IV LLC
25 34.6 USD 1.1326 57,280 – 1,199
ティ、モーリシャ
ス
Elbrus Capital Fund III B
ルクセンブルク、
26 23.8 USD 1.1326 (4) (4)
S.C.Sp. ルクセンブルク
エベネ サイバーシ
Emerald Sri Lanka Fund I Ltd.
27 23.5 USD 1.1326 17,478 – 910
ティ、モーリシャ
ス
EMF NEIF I (A), L.P.
28 フェアラム、英国 28.1 USD 1.1326 28,349 – 926
メキシコシティ、
EMX Capital Partners, L.P.
29 20.1 USD 1.1326 60,724 – 7,614
メキシコ
Evonik Lanxing (Rizhao)
30 Chemical リーザオ、中国 41.0 CNY 7.1947 127,435 239
Industrial Co. Ltd.
ジョージタウン、
Fortio Co. Ltd.
31 46.2 USD 1.1326 3,000 0
ケイマン諸島
ジョージタウン、
Frontier Bangladesh II, L.P.
32 20.0 USD 1.1326 18,844 3,742
ケイマン諸島
シンガポール、シ
Grand Bremner Corp Pte. Ltd.
33 24.7 USD 1.1326 54,910 – 1
ンガポール
Grassland Finance Ltd.
34 香港、香港 24.9 CNY 7.1947 435,437 2,537
ICS OCN Total Leasing &
アムステルダム、
35 Finance 25.0 EUR 1.0000 3,866 – 41
オランダ
SA (TLF)
ボゴタ、コロンビ
Kandeo Fund II (A), L.P.
36 53.1 USD 1.1326 39,610 – 3,107
ア
ブハラ、ウズベキ
Knauf Gips Buchara OOO
37 25.0 USD 1.1326 (4) (4)
スタン
Knauf Gypsum Philippines
マカティ、フィリ
38 25.0 PHP 57.7630 1,405,610 – 141,499
ピン
Inc.
バルセロナ、スペ
Landsberg Investments S.L.
39 49.8 EUR 1.0000 11,450 – 1,689
イン
Leiden PE II L.P.
40 トロント、カナダ 26.6 USD 1.1326 84,681 – 2,635
Lereko Metier REIPPP Fund
ダンケルド、南ア
41 32.3 ZAR 18.0625 968,793 78,491
フリカ
Trust
Lereko Metier Solafrica Fund
ヨハネスブルグ、
42 47.5 ZAR 18.0625 153,267 24,163
I Trust 南アフリカ
ジョージタウン、
Lombard Asia V L.P.
43 21.1 USD 1.1326 (4) (4)
ケイマン諸島
ポドゴリツァ、モ
Lovcen Banka AD
44 25.1 EUR 1.0000 22,820 1,504
ンテネグロ
MC II Pasta Ltd.
45 コルミ、マルタ 32.2 EUR 1.0000 17,996 – 11
Metier Retailability en
サンドハースト、
46 22.1 ZAR 18.0625 935,689 227,996
Commandite Partnership 南アフリカ
Navegar II (Netherlands)
アムステルダム、
47 29.2 USD 1.1326 (4) (4)
オランダ
B.V.
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為替レート
1.00ユーロ
= CU(2)
(2021年
12月31日
持分 持分 当期純利益
番号 名称 所在地 比率 CC(1) 現在 ) (2)(3) (2)(3)
(%) (単位:TCU)
ロードタウン、英
Novel Sky Global Limited
48 国領ヴァージン諸 25.0 USD 1.1326 (4) (4)
島
ミンスク、ベラ
OAO Belgips
49 50.0 BYN 2.9013 (4) (4)
ルーシ
シンガポール、シ
Onstar Galaxy SPV Pte. Ltd.
50 34.0 USD 1.1326 (4) (4)
ンガポール
Operadora de Servicios Mega,
サポパン、メキシ
51 21.9 MXN 23.1438 1,495,652 600,220
S.A. de C.V., SOFOM E.R. コ
Orilus Investment Holdings
シンガポール、シ
52 33.0 USD 1.1326 61,420 – 22,269
Pte. Ltd. ンガポール
シンガポール、シ
Rent 2 Own Holdings Pte Ltd
53 21.2 USD 1.1326 (4) (4)
ンガポール
Russia Partners Technology
ジョージタウン、
54 21.6 USD 1.1326 170,176 – 2,631
Fund, L.P. ケイマン諸島
SEAF Central and Eastern
ウィルミントン、
55 23.9 USD 1.1326 (4) (4)
Europe Growth Fund LLC 米国
Sierra Madre Philippines I,
ジョージタウン、
56 20.0 USD 1.1326 35,592 8,915
ケイマン諸島
L.P.
Siguler Guff Global Emerging
Markets Co-Investment
57 ロンドン、英国 99.9 USD 1.1326 11,649 – 667
Opportunities (AIF), LP
Stratus SCP Fleet Fundo de
Investimento em Participações サンパウロ、ブラ
58 39.7 BRL 6.3101 49,195 8,418
ジル
–
Multiestratégia
Stratus SCP II Investors – B
エディンバラ、英
59 75.0 USD 1.1326 17,864 – 3,020
国
LP
Takura II Feeder Fund
ケープタウン、南
60 25.0 USD 1.1326 46,407 – 527
アフリカ
Partnership
サンパウロ、ブラ
Tolstoi Investimentos S.A.
61 31.1 BRL 6.3101 (4) (4)
ジル
インデルボルス
TOO Isi Gips Inder
62 キィ、カザフスタ 40.0 KZT 494.1200 (4) (4)
ン
カプチャガイ、カ
TOO Knauf Gips Kaptschagaj.
63 40.0 KZT 494.1200 (4) (4)
ザフスタン
Triple P SEA Financial シンガポール、シ
64 25.2 USD 1.1326 41,970 5,515
ンガポール
Inclusion Fund LP
Vietnam Opportunity Fund II シンガポール、シ
65 32.0 USD 1.1326 (4) (4)
ンガポール
PTE. LTD.
Vinci Impact and Return IV A
66 トロント、カナダ 56.7 USD 1.1326 (4) (4)
LP
シンガポール、シ
Whitlam Holding PTE. Ltd.
67 38.7 USD 1.1326 56,324 5,361
ンガポール
チャールスタウ
ン、セントクリス
Worldwide Group, Inc
68 33.4 USD 1.1326 26,996 1,959
トファー・ネイビ
ス
サンティアゴ・
wpd Duqueco S.p.A.
69 24.5 USD 1.1326 17,545 – 586
デ・チレ、チリ
サンティアゴ・プ
wpd Malleco S.p.A.
70 ロビデンシア、チ 24.5 USD 1.1326 80,046 – 8,381
リ
サンティアゴ・プ
wpd Negrete S.p.A.
71 ロビデンシア、チ 24.5 USD 1.1326 10,954 – 1,520
リ
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Interkonnektor GmbH (インターコネクター有限責任会社)が持分を有する会社
A. 連結財務書類に含まれるジョイント・ベンチャー
DC Nordseekabel GmbH & Co. KG
1 バイロイト 50.0 EUR 1.0000 419,593 12,275
(DC北海ケーブル有限合資会
社)
B. 連結財務書類に含まれないジョイント・ベンチャー
DC Nordseekabel Beteiligungs
2 バイロイト 50.0 EUR 1.0000 33 1
GmbH
KfW キャピタル有限合資会社が持分を有する会社
A. 連結財務書類に含まれない子会社
KfW Capital Verwaltungs GmbH
1 フランクフルト 100.0 EUR 1.0000 39 1
(1) ISO 通貨コード。
(2) CU= 各国の通貨単位、TCU=各国の通貨の千単位。
(3) 財務書類は、各国の会計基準に従って作成されている。
(4) 現在、入手可能な年次財務書類はない。
(5) 2021 年12月31日現在の速報値が入手可能である。
当該データは、被投資会社の直近の年次財務書類(入手可能な場合)に基づいている。
(73) 貸借対照表の日付後の事象
KfWは、ロシア・ウクライナ紛争の最新動向として、2022年2月24日のロシアによるウクライナへの攻撃により、
2022年のドイツおよび世界の経済生産にマイナスの影響が及ぶと予想している。これにより、2022会計年度に設定
した当グループの目的の達成に悪影響が及ぶ可能性がある。KfWの現在の評価において、危機は特に、ウクライナ
およびロシアにおけるKfWのローンおよび株式投資のエクスポージャーに影響を及ぼしている。KfWのロシアにおけ
る直接エクスポージャーは、2014年以降減少しており、2022年1月31日現在は457百万ユーロであった。これは、輸
出および信用保険によって部分的に確保されており、純額で153百万ユーロである。KfWのウクライナにおける直接
エクスポージャーは、470百万ユーロであり、その大部分が連邦共和国の保証により担保されており、ネット・エ
クスポージャー額は48百万ユーロである。戦争の間接的な影響はまた、KfWの融資および株式投資のエクスポー
ジャー、ひいてはKfWグループの業績と収益状況にも及ぶと予想される。例えば、エネルギー市場および商品市場
へのマイナスの影響ならびに科せられた制裁措置の影響を受ける可能性もある。特に、さらなる深刻化または段階
的緩和のステップの不確実性に関する軍事衝突の動的進展を考慮すると、現時点ではKfWの純資産、財政状態およ
び収益状況に与える全体的な影響について、正確な見通しを立てることはできない。KfWは、紛争の進展およびKfW
の事業への影響を引き続き注視していく。
会計年度末以降にKfWの純資産、財政状態および収益状況に特に影響を与えるさらなる事象は発生していない
注5)
(2022年3月8日現在) 。
注5)
執行理事会による公表の承認日。
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(1)
監 査 報 告 書
KfW 御中
連結財務書類およびグループ営業報告書に対する監査に関する報告書
意見
私共は、2021年1月1日から2021年12月31日までの年度の連結包括利益計算書、2021年12月31日現在の連結財政状
態計算書、2021年1月1日から2021年12月31日までの年度の連結持分変動計算書および連結キャッシュ・フロー計算
書、ならびに重要な会計方針の要約を含む財務諸表注記から成る、KfW(フランクフルト・アム・マイン)および
その子会社(当グループ)の連結財務書類を監査した。さらに、KfWの営業報告書と統合された、2021年1月1日か
ら2021年12月31日までの年度のKfWのグループ営業報告書を監査した。ドイツの法定要件に従い、グループ営業報
告書のうち、「コンプライアンスの公表」の項および「非財務書類」の項の内容は監査していない。
私共の監査結果に基づく意見は以下の通りである。
・ 添付の連結財務書類は、すべての重要な点において、EUで採用されたIFRSおよびドイツ商法第315e条に基
づくドイツ商法の追加要件に準拠し作成されており、またかかる要件に基づき、2021年12月31日現在の当
グループの資産、負債および財政状態、ならびに2021年1月1日から2021年12月31日までの年度の財務成績
を真実かつ公正に表示している。
・ 添付のグループ営業報告書は、その全体を通して、当グループの状態に関する適切な見解を提供してい
る。グループ営業報告書は、すべての重要な点において、連結財務書類と一貫してドイツの法定要件を遵
守しており、将来の展開における機会およびリスクを適切に表示している。グループ営業報告書について
の私共の意見は、グループ営業報告書中の「コンプライアンスの公表」の項および「非財務書類」の項を
対象範囲としていない。
私共の監査において、連結財務書類およびグループ営業報告書の法令遵守に関して、ドイツ商法第322条第(3)項
第1号に準じ、いかなる問題もないことを断言する。
意見の根拠
私共は、ドイツ商法第317条およびドイツ経済監査士協会(IDW- Institut der Wirtschaftsprüfer )(以下
「IDW」という。)により公表されたドイツで一般に採用されている財務諸表監査基準に従い、連結財務書類およ
びグループ営業報告書の監査を行った。これらの要件および基準に基づく私共の責任についての詳細は、本監査報
告書の「連結財務書類およびグループ営業報告書に対する監査に関する監査法人の責任」の項に記載されている。
私共は、ドイツ商法および専門法の要件に従い、グループ事業体から独立しており、これらの要件に従って自身の
その他のドイツ専門家義務を遵守している。私共は、自身の入手した監査証拠が、連結財務書類およびグループ営
業報告書に対する本意見の根拠として十分かつ適切であると考えている。
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その他の情報
KfW の定款第8条によると、監事会は、監事会の年次報告書を作成する責任がある。KfWの定款第19条によると、
執行理事会および監事会は、毎年、パブリック・コーポレート・ガバナンス法の認識の公表を行うことおよびコー
ポレート・ガバナンスに関する報告書の一部としてコンプライアンスの公表を行うことを義務付けられている。そ
の他のあらゆる点において、執行理事会は、その他の情報に対して責任がある。その他の情報は、私共が報告日以
前に入手したグループ営業報告書の「コンプライアンスの公表」および「非財務書類」の項ならびに報告日以前に
提供されることが見込まれるコーポレート・ガバナンスに関する報告書、責任に関する書類および年次報告書の
「KfWグループの主要数値」セクション、さらに報告日以降に提供されることが見込まれる執行理事会の書簡、監
事会の報告書、ならびに年次報告書の「KfWグループの執行理事会、取締役および運営理事」および「監事会の構
成員およびその職務」の項に記載される情報を含む。
連結財務書類およびグループ営業報告書に対する私共の意見は、かかるその他の情報を網羅しておらず、その結
果として、私共はそれらについていかなる意見その他の確証も表明していない。私共の監査に関する私共の責任
は、かかるその他の情報を精読し、その際に、以下について検討することである。
・ かかるその他の情報が連結財務書類およびグループ営業報告書または監査により取得された私共の知識と
著しく矛盾していないか。
・ その他の点において、かかるその他の情報が重大な虚偽記載であると考えられないか。
連結財務書類およびグループ営業報告書に対する執行理事会、ならびに監事会の責任
執行理事会は、EUが採用したIFRSおよびドイツ商法第315e条第(1)項に基づくドイツ商法の追加要件に、すべて
の重要な点において従う連結財務書類の作成、ならびにこれらの要件に従った連結財務書類が、当グループの資
産、負債、財政状態および財務成績を真実かつ公正に示すことに対して責任がある。さらに、不正または過失によ
る重大な虚偽記載のない連結財務書類を作成するために必要であると判断した、内部統制に対して責任がある。
執行理事会は、連結財務書類の作成において、当グループの継続企業の前提に関する評価に対して責任がある。
また、執行理事会は、適用ある場合、継続企業に関する事項を開示する責任がある。さらに、当グループを清算す
るか、もしくは業務を停止する意図がある場合でない限り、またはそれら以外の現実的な代替案が存在しない場合
でない限り、執行理事会は、継続企業の前提による会計基準を使用した財務報告書作成に対して責任がある。
加えて、執行理事会は、その全体を通して当グループの状態に関する適切な見解を提供し、すべての重要な点に
おいて、連結財務書類と一貫してドイツの法定要件を遵守しており、将来の展開における機会およびリスクを適切
に表示するグループ営業報告書の作成に対して責任がある。その上、執行理事会は、適用あるドイツの法定要件に
準拠したグループ営業報告書の作成に必要であると判断した準備および方策(システム)、ならびに当該グループ
営業報告書の主張のための十分かつ適切な証拠提供を実現することに対して責任がある。
監事会は、連結財務書類およびグループ営業報告書作成のための、当グループの財務報告書作成行程に対する監
督責任がある。
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連結財務書類およびグループ営業報告書に対する監査に関する監査法人の責任
私共の目的は、不正または過失によるものかを問わず、連結財務書類全体に重大な虚偽記載がないこと、ならび
にグループ営業報告書全体を通して当グループの状態に関する適切な見解を提供し、すべての重要な点において、
連結財務書類および監査で得た情報と一貫してドイツの法定要件を遵守していること、また将来の展開における機
会およびリスクを適切に表示することについて合理的な確証を得て、連結財務書類およびグループ営業報告書に対
する私共の意見を含む監査報告書を発行することである。
合理的な確証とは、高い水準の確証であるが、ドイツ商法第317条およびIDWにより公表されたドイツで一般に採
用されている財務諸表監査基準に従い実施されている監査が、重大な虚偽記載を常に検知することを保証するもの
ではない。虚偽記載は、不正または過失により生じることがあり、かかる連結財務書類およびグループ営業報告書
に基づくユーザーの経済的意思決定に個別にまたは全体的に影響を及ぼすと合理的に予測される場合、重大である
と考えられる。
私共は、監査全体にわたり専門的な判断を行い、職業的懐疑心を維持している。私共はまた、以下を行ってい
る。
・ 不正または過失によるものかを問わず、連結財務書類およびグループ営業報告書の重大な虚偽記載に関す
るリスクの特定および評価、かかるリスクに対応する監査手続の策定および実施、ならびに私共の意見の
根拠を提供するのに十分かつ適切な監査証拠を得ること。不正は、談合、偽造、意図的な不作為、虚偽表
示または内部統制の無効化を含むことがあるため、不正により生じた重大な虚偽記載を検知できないリス
クは、過失により生じたかかる記載を検知できないリスクよりも高い。
・ 状況に応じて適切な監査手続を策定するために、連結財務書類の監査に関連する内部統制、ならびにグ
ループ営業報告書の監査に関連する準備および方策(システム)の理解を得ること。ただし、これらのシ
ステムの有効性に対し意見を表明することが目的ではない。
・ 執行理事会に採用された会計方針の適切性、ならびに執行理事会が行った見積もりおよび関連する開示の
妥当性を評価すること。
・ 執行理事会による継続企業の会計基準の使用の適切性について結論を下し、当グループの継続企業の前提
に重要な疑いを掛ける可能性のある事象または状況に関して重大な不確実性が存在するかについて、得た
監査証拠に基づき結論を下すこと。私共が重大な不確実性が存在すると結論を下した場合、私共は、本監
査報告書において関連する連結財務書類およびグループ営業報告書の開示について注意を促し、またかか
る開示が不十分である場合、私共の各意見を修正する義務を負う。私共の結論は、本監査報告書の日付ま
でに得られた監査証拠に基づいている。しかし、将来の事象または状況により、当グループが継続企業で
あり続けることができなくなる可能性がある。
・ 開示書類を含む連結財務書類の全体の表示、構造および内容、ならびに連結財務書類が、EUで採用された
IFRS、およびドイツ商法第315e条第(1)項に基づくドイツ商法の追加要件に準拠し、当グループの資産、負
債、財政状態および財務成績の真実かつ公正な表示を達成する方法で、基本的な取引および事象を表示し
ているか否かについて評価すること。
・ 連結財務書類およびグループ営業報告書に対して意見を述べるために、当グループ内の事業体および事業
活動の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を得ること。私共は、グループ監査において指示、監督
および実行に対して責任がある。私共の責任は、私共の意見に対してのみに留まる。
・ グループ営業報告書の連結財務書類、およびドイツの法定要件との一貫性、ならびにかかる報告書が報告
する当グループの財政状態について評価すること。
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・ グループ営業報告書に、執行理事会によって提供された将来予測に関する情報をもとに監査手続を行うこ
と。私共は、十分かつ適切な監査証拠に基づいて、特に、将来予測に関する情報の根拠として執行理事会
に使用された重要な仮定、およびこれらの仮定からの将来予測に関する情報の正確な導出を評価する。私
共は、将来予測に関する情報および根拠として使用された仮定に対し、独立した意見を述べない。将来の
事象が将来予測に関する情報と著しく異なるという、相当な回避不能リスクが存在する。
私共は、数ある事項の中で、監査の計画範囲および実施時期、ならびに私共が監査の中で特定した内部統制にお
ける重大な欠陥を含む監査上の重大な発見事項に関して責任を負う者に対し、意見を伝えている。
その他の法定および規制要件
ドイツ商法第317条第(3a)項に従い、公表のために作成された 連結財務書類およびグループ営業報告書の電子複製
された 確証の報告書
合理的で確証的な意見
私 共 は 、 添 付 の 電 子 フ ァ イ ル 「 KfW_KA_ZusLB_ESEF-2021-12-31.zip 」 [Hash:sha256:
77e1ce0e271f8d342f9983ad5c3c7924e9675eed27a808026118881d372718b8] に記載され、公表のために作成された連
結財務 書類 および グループ営業報告書(以下「 ESEF 文書」という。)の複製が、電子報告フォーマット(以下
「 ESEF フォーマット」という。)に関す るドイツ商法第328条第(1)項の要件をすべての重要な点で遵守しているか
否かについて合理的な確証を得るために、ドイツ商法第317条第(3a)項 に従い、 保証 業務を行っている。ドイツの
法定要件に従い、この確証は、連結財務諸表およびグループ営業報告書に含まれる情報 のESEFフォーマット への変
換にのみ適用され、この複製に含まれる情報にも、上記の電子ファイルに含まれるその他の情報にも関係しない。
私共は、上記添付の電子ファイルに含まれる公表のために作成された連結財務書類およびグループ営業報告書
で、発行のために作成されたものの複製は、すべての重要な点においてドイツ商法第328条第(1)項の要件を遵守し
ていると考えている。私共は、上記「連結財務書類およびグループ営業報告書に対する監査に関する報告書」に記
載された、2021年1月1日から2021年12月31日までの会計年度の連結財務書類およびグループ営業報告書に対する監
査報告書をもとに、本書に含まれた情報および上記ファイルに含まれたその他の情報について、合理的な確証に関
する意見を表明するものではない。
合理的で確証的な意見の根拠
私共は、上記添付の電子ファイルに含まれる連結財務諸表およびグループ営業報告書の複製については、ドイツ
商法第317条第(3a)項およびIDW保証基準「財務諸表および公表のために作成された経営報告書の電子的複製に関す
るドイツ商法第317条第(3a)項に準拠した確証(IDW AsS 410)(10.2021)」に従って保証業務を行った。した
がって、私共の責任については、以下の「ESEF文書の保証業務に対するグループ監査法人の責任」の項でさらに詳
しく説明する。私共の監査法人は、品質マネジメントに関するIDW基準1:監査法人における品質マネジメントの要
件事項(IDW QS 1)を適用している。
ESEF 文書に関する執行理事会および監事会の責任
執行理事会は、ドイツ商法第328条第(1)項第4号1番に従い、 連結財務諸表およびグループ営業報告書の 電子複製
を含む、ESEF文書の作成、またドイツ商法第328条第(1)項第4号2番に従い、 連結財務諸表を取り付ける責任があ
る。
さらに、執行理事会は、電子報告フォーマット用のドイツ商法第328条第(1)項の要件に従って、重要な計画的ま
たは計画的でない違反のないESEF文書を作成するために必要があると判断した、内部統制を行う責任がある。
監事会は、金融報告プロセスの一環として、ESEF文書の作成を監視する責任がある。
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ESEF 文書の保証業務に対するグループ監査法人の責任
私共の目的は、ESEF文書がドイツ商法第328条第(1)項に基づき、重要な計画的または計画的でない違反を含まな
いかの合理的な確証を得ることである。私共は、保証業務全体にわたり専門的な判断を行い、職業的懐疑心を維持
している。私共はまた、以下を行っている。
・ ドイツ商法第328条(1)項の要件に基づき、重要な計画的または計画的でない違反のリスクの特定および評
価、かかるリスクに対応する確証的手続の策定および実施、ならびに私共の確証的な意見の根拠を提供す
るのに十分かつ適切な確証的な証拠を得ること。
・ 状況に応じ適切な確証的な手続を策定するために、ESEF文書の確証性に関連する内部統制の理解を得るこ
と。ただし、かかる統制の有効性に対し確証的な意見を表明することが目的ではない。
・ ESEF文書における技術的正当性、例えば、ESEF文書に含まれる電子ファイルが委任規制(EU)2019/815の
かかる電子ファイルにおける技術仕様書の要件を満たすかを評価すること。
・ ESEF 文書 が、監査された連結財務書類および監査されたグループ営業報告書と同等の内容でXHTML形式での
複製を可能とするものかを評価すること。
・ ESEF文書にInline XBRLテクノロジー(iXBRL)を取り付けることで、適切かつ完成された機械可読なXHTML
複製のXBRLコピーの作成を可能とするものかを評価すること。
その他の事項-監査報告書の使用
当監査法人の監査報告書は、常に、監査された連結財務書類、監査されたグループ営業報告書および保証された
ESEF文書とともに読まれなければならない。ESEF形式に変換された連結財務書類およびグループ営業報告書(連邦
政府広報に掲載されるバージョンを含む。)は、監査された連結財務書類および監査されたグループ営業報告書の
単なる電子表示であり、それらに代わるものではない。特に、それらに含まれるESEF報告書および当事務所の保証
意見書は、電子フォームで提供される保証されたESEF文書と併せてのみ使用されるものとする。
注1)
KfW (フランクフルト・アム・マイン)の執行理事会によりドイツ語で作成された連結財務書類に対する、ドイツ語で発行された独立監査人による
監査報告書の翻訳。ドイツ語の書類が決定力を有する。
エシュボルン/フランクフルト・アム・マイン
2022 年3月8日
Ernst & Young GmbH
Wirtschaftsprüfungsgesellschaft
ドイツ経済監査士( Wirtschaftsprüfer ) ドイツ経済監査士( Wirtschaftsprüfer )
コッホ ヘルシャー
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(6) 【その他】
2022 年3月31日に終了した3ヶ月間の業績
EU により採用され、中間財務報告に適用される IFRS に準拠して中間財務書類を作成し、公表することを KfW に対
して 義務付ける法律はない。したがって、KfWは、完全な中間財務書類ではなく、要約した中間財務書類のみを作
成している。 以下の情報は、中間財務報告に適用されるIFRSの認識および測定の原則に基づいて、KfWにより作成
された、当該要約中間財務書類(未監査)に基づいている。かかる情報は、KfWグループの2022年12月31日に終了
する1年間の数値を必ずしも示唆するものではない。
2022 年3月31日現在のKfWグループの総資産は、2021年12月31日現在の5,510億ユーロから0.7%(38億ユーロ)増
加して、5,547億ユーロとなった。2022年3月31日に終了した3ヶ月間のKfWグループの評価および助成活動前営業損
益は、2021年同期の468百万ユーロに対し、442百万ユーロであった。2022年3月31日に終了した3ヶ月間のKfWグ
ループの評価および助成活動前営業損益の主な要因は、正味受取利息であった。KfWグループの評価および助成活
動前営業損益は、(ⅰ)貸出事業に係るリスク引当金、(ⅱ)有価証券および投資から生じる純損益、(ⅲ)ヘッ
ジ会計および損益を通じて公正価値で測定されるその他の金融商品から生じる純損益、ならびに(ⅳ)助成活動に
係る費用を控除する前の営業損益である。かかる評価の影響は、主に以下で構成される。
・ 2022年 3 月31日 に終了した3ヶ月間における、リスク引当金に係る188百万ユーロの費用(2021 年同期 は、60
百万ユーロの収益)
・ 2022年 3 月31日 に終了した 3 ヶ月間における、有価証券および株式投資の市場価格が下落したことによる135
百万ユーロのマイナスの影響(2021 年同期 は、178百万ユーロのプラスの影響)
・ 2022年 3 月31日 に終了した 3 ヶ月間における、限定的リスク・ポジションにおけるヘッジ目的でのみ使用され
るデリバティブの公正価値の変化による88百万ユーロの純利益(2021 年同期 は、75百万ユーロの正味費用)
注1)
・ 2022年 3 月31日 に終了した 3 ヶ月間における、100百万ユーロの助成活動に係る費用(2021 年同期 は、22百万
ユーロの費用)
注1)
KfW は通常、その融資および資金調達に関連して金利および通貨リスクを経済的にヘッジするためにデリバティブ取引を行う。経済的ヘッジ関係の
中には、IFRSに基づくヘッジ会計または公正価値オプションとして適格ではないものもある。こうした場合、ヘッジ手段における公正価値の変動の
みが、連結損益計算書において、損益を通じて公正価値で測定されるその他の金融商品から生じる純損益として認識され、ヘッジ対象における公正
価値の変動についてはかかる認識はなされない。その結果、かかるヘッジ関係がもたらす経済リスク軽減効果は、連結損益計算書には反映されてい
ない。
2022 年 3 月31日に終了した3ヶ月間のKfWグループの連結損益は、2021年同期が 569 百万ユーロのプラスであったの
に対し、60百万ユーロのプラスであった。
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助成事業額
下表は、2021年3月31日に終了した3ヶ月間と比較した2022年同期の事業部門別コミットメント額の内訳である。
KfWは、2022年以降、旧事業部門である発展途上国および新興経済国支援事業部門を、KfW開発銀行およびDEGの2つ
の事業部門に分割することを決定した。
事業部門別助成事業額
2022年3月31日に 2021年3月31日に
前年比
終了した3ヶ月間 終了した3ヶ月間
(単位:百万ユーロ) (%)
中小企業銀行および民間顧客 26,164 16,992 54
個別対応金融および公的顧客 10,595 2,670 >100
KfW キャピタル 43 74 -42
輸出金融およびプロジェクト・
3,310 3,363 -2
ファイナンス (KfW IPEX銀行)
KfW 開発銀行 608 925 -34
DEG (ドイツ投資開発会社) 139 249 -44
126 240 -48
金融市場
40,985 24,513 67
助成事業額の合計 (1)
(1) コミットメント額とは、各期間の貸出およびその他の取引(州立支援財団に対するグローバル融資枠およびプログラム・ベースのグローバ
ル・ローンを除く。)についてコミットされた資金額をいい、翌期以降貸し出される金額を含むが、前期までに行われたコミットメントに基
づきその期間に貸し出された金額を含まない。州立支援財団に対するグローバル融資枠およびプログラム・ベースのグローバル・ローンにつ
いては、コミットメント額とは、各期間に実際に貸し出された資金額をいう。
2022 年3月31日に終了した3ヶ月間のKfWの助成事業額は、2021年同期の245億ユーロから410億ユーロへと増加し
た。KfWの事業部門である中小企業銀行および民間顧客ならびに 個別対応金融および公的顧客 におけるコミットメ
ント額は大幅に増加したが、かかる増加は、KfW開発銀行、DEGおよび金融市場の事業部門におけるコミットメント
額の大幅な減少、ならびに輸出金融およびプロジェクト・ファイナンスのわずかな減少により、一部相殺された。
2022 年3月31日に終了した3ヶ月間の中小企業銀行および民間顧客事業部門におけるコミットメント額は、2021年
同期の170億ユーロと比較して、262億ユーロであった。かかる大幅な増加は主に、KfWの再生可能エネルギープロ
グラムおよびBEG プログラムに基づく 中小企業銀行のコミットメント額の増加によるものである。2022年3月31日に
終了した3ヶ月間のKfWの再生可能エネルギープログラムに基づく中小企業銀行のコミットメント額は21億ユーロで
あり、2022年3月31日に終了した3ヶ月間のBEGプログラムに基づくコミットメント額は50億ユーロであった。さら
に、2022年3月31日に終了した3ヶ月間の民間顧客におけるコミットメント額は、2021年同期の109億ユーロと比較
して、134億ユーロへと増加した。かかる増加も主にBEGプログラムによるものであった。BEGプログラムの2022年1
月下旬の停止および2022年4月の再開についての詳細は、下記「その他の最近の動向 ― 国内事業」を参照のこと。
2022 年3月31日に終了した3ヶ月間のKfWの 個別対応金融および公的顧客 事業部門におけるコミットメント額は、
2021年同期の27億ユーロと比較して、106億ユーロであった。かかる増加は主に、2022年3月31日現在のクレジッ
ト・ファシリティ契約における75億ユーロのコミットメント額を有するエネルギー企業に対する貸出コミットメン
トの増加によるものである。かかる貸出コミットメントは、KfW法第2条第(4)項に従い、KfWの完全な政府保護下に
ある特別委託に基づいて行われた。詳細については、下記「その他の最近の動向― ロシアのウクライナ侵攻がKfW
に及ぼす影響― 連邦政府の特別委託」を参照のこと。
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2022 年3月31日に終了した3ヶ月間のKfWキャピタルに関するコミットメント額は、2021年同期の 74 百万 ユーロと
比較して、43百万ユーロへと減少した。
2022 年3月31日に終了した3ヶ月間のKfWの 輸出金融およびプロジェクト・ファイナンス事業部門におけるコミッ
トメント額は、2021年同期におけるコミットメント額の34億ユーロと比較して、33億ユーロとなった。かかるわず
かな減少は主に、KfW IPEX銀行によるインフラおよび海運業部門におけるコミットメント額が減少したことによる
ものである。
2022 年3月31日に終了した3ヶ月間におけるKfW開発銀行に関するコミットメント額は、2021年同期の925百万ユー
ロと比較して、608百万ユーロとなった。かかる大幅な減少は主に、金融支援開発ローン、金融支援促進ローンお
よびマンデート( FZ-Mandatarverträge )に関するコミットメント額の減少によるものである。
2022 年3月31日現在のDEGにおけるコミットメント額は、2021年3月31日現在の249百万ユーロと比較して、139百
万ユーロへと減少した。これは、前年同期比では減少しているが、ディール・オリジネーションの強度は通常、1
年の間に変化し、増加する可能性があることに留意すべきである。
2022 年3月31日に終了した3ヶ月間のKfWの 金融市場事業部門におけるコミットメント額は、2021年同期の240百万
ユーロと比較して、126百万ユーロへと減少した。KfWの資本市場におけるすべてのコミットメント額は、KfWのグ
リーンボンドポートフォリオにおいて行われた。
資金源
2022 年 3 月31日 に終了した3ヶ月間 において、 資本市場から調達した資金額は、合計375億ユーロであり、このう
ち67%はユーロ建、14%は米ドル建、残りはその他の14通貨で調達された。
KfW グループの資本および債務構成(2022年3月31日現在)
(単位:百万ユーロ)
借入金
56,611
短期資金
401,596
債券およびその他の確定利付証券
50,873
その他の借入金
509,080
借入金合計
株主持分
3,300
払込済資本 (1)
8,447
資本準備金
1,191
ERP特別基金からの準備金
22,086
利益剰余金
200
一般銀行業務上のリスクに対する積立金
-658
再評価準備金
34,566
株主持分合計
543,646
資本構成合計
(1) KfW の自己資本(そのうち80%を連邦政府が所有し、残りの20%を連邦諸州が所有している。)は、2022年3月31日現在、3,750百万ユーロで
あった。そのうち、3,300百万ユーロが連邦政府および連邦諸州の所有割合に応じて払い込まれている。
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2022 年 3月31日 現在のKfWグループの資本構成は、2022年12月31日現在に計上される資本構成を必ずしも示唆する
ものではない。
KfW グループの株主持分合計は、2021年12月31日現在の 34,207 百万 ユーロと比較して、 2022 年 3 月31日 現在 34,566
百万ユーロであった。株主持分合計の 358 百万 ユーロの増加は、以下を反映したものである。
(ⅰ) 2022 年 3 月31日 に終了した 3 ヶ月間における 60 百万ユーロのKfWグループの連結利益
(ⅱ)年金および自己信用リスクに関して評価損益が株主持分に直接認識されたことによる再評価準備金の299
百万ユーロの増加
銀行監督法を段階的にKfWに準用させることに関連して、銀行がその業務を行う上で十分な自己資金
( Eigenmittel )を有することを求めるCRR(EU規則575/2013)、ドイツ銀行法およびドイツ支払能力規制
( Solvabilitätsverordnung )の規定は、2016年1月1日よりKfWにも準用されている。2017年6月、KfWは、2017年6
月30日現在のKfWの大部分のポートフォリオにつき、IRBAに従って規制上の自己資本要件を計算することについ
て、BaFinの承認を得た。KfWは、規制要件に従い、その他の副次的ポートフォリオ・セグメントおよびモデルにつ
いても今後、追加承認を得る予定である。
2022 年3月31日に終了した3ヶ月間の業績の結果、2022年3月31日現在のCRR第92条によるKfWの総自己資本比率は
注1)
25.0 %、Tier 1資本比率は 24.9 %であった(年度期首から同日までの中間利益を除く。) 。総自己資本比率お
よびTier 1資本比率がいずれも 23.9 %であった2021年12月31日現在と比較して、総自己資本比率およびTier 1資本
比率の増加は主に、2021年下半期の利益計上によるものであった。
注1)
CRR 第26条第(2)項に基づく。
その他の最近の動向
国内事業
2022 年1月24日、KfWは、ドイツ連邦経済・気候保護省との協議を経て、BEGプログラムを直ちに停止した。この
プログラムは、エネルギー効率の高い新しい建物の建設および既存の建物のエネルギー効率の高い改修に対する投
資を支援するものであり、2021年のKfWの国内助成事業へのコミットメント総額は、212億ユーロ(2021年の民間顧
客へのコミットメント額は152億ユーロ、中小企業銀行へのコミットメント額は55億ユーロおよび公的顧客へのコ
ミットメント額は5億ユーロ)であった。2021年11月以降、総額200億ユーロを超える多数の申請がなされた結果、
予算計上されていたプログラムに関連する連邦資金が枯渇したため、停止が必要となった。2022年2月1日、ドイツ
連邦経済・気候保護省は、2022年1月24日のプログラム停止前に申し込み、まだ承認されていない約24,000件の申
請について、従前実施されていたプログラム基準に基づきKfWが審査することを発表した。支援対象となる場合
は、これらの申請は承認される。2022年4月5日、ドイツ連邦経済・気候保護省は、このプログラムを3段階で再開
すると発表した。10億ユーロの予算および若干のプログラム条件の変更を伴う第1段階は、非常に多くの申請が
あったため、開始日の2022年4月20日にすでに終了した。より厳しい持続可能性基準を持つプログラムの第2段階は
2022年4月21日に開始され、2022年12月31日まで延長された。2023年1月に開始する第3段階は、「気候に配慮した
建築」( Klimafreundliches Bauen )と名付けられた新しい包括的なプログラムである。このプログラムは、建物
のライフサイクルにおける温室効果ガス排出に重点を置くことが期待されており、現在、ドイツ連邦経済・気候保
護省およびドイツ連邦住宅・都市開発・建設省によって開発されている。
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ロシアのウクライナ侵攻がKfWに及ぼす影響
ロシアのウクライナ侵攻がKfWの業績に及ぼすと予想される影響 ウクライナおよびロシアにおけるKfWの直接エ
クスポージャーは、限定され厳重に管理されているが、KfWは、ロシアのウクライナ侵攻に関連する現在の動向が
KfWの事業および収益 状況 に影響を及ぼすと予想している。ロシアのウクライナ侵攻がKfWの純資産、財政状態およ
び収益状況に及ぼす影響に関するKfWの予想の詳細については、「(5) 経理の状況―6) 連結財務書類」の連結財務
書類に対する注記73を参照のこと。
連邦政府の特別委託 エネルギー価格の上昇およびドイツが現在ロシアからのエネルギー輸入に依存している
ことを背景に(「(7) 発行者の属する国等の概況―6) その他―その他の最近の動向―ロシアのウクライナ侵攻に
対するドイツの対応」も参照のこと。)、連邦政府は最近、KfW法第2条第(4)項に従い、KfWを完全に保護した上
で、KfWが特別委託の下で複数の活動に従事することを要請した。これらの活動は、連邦共和国の経済的リスクに
おいて実施されているか、または実施される予定であり、現在までに以下が含まれる。
・ 2022年3月初めに、KfWは、エネルギー会社であるLausitz Energie Kraftwerke AGと、2022年12月31日まで
有効な55億ユーロを上限とするクレジット・ファシリティ契約を締結した。
・ 2022年1月4日、KfWは、国際的なエネルギー会社であるUniper SE(以下「Uniper」という。)と、2022年4
月30日に終了する予定で、20億ユーロを上限とするクレジット・ファシリティ契約を締結した。2022年3月
末、KfWおよびUniperは、進行中のロシアのウクライナ侵攻およびそれに伴う商品市場の変動を考慮し、予
防措置として2023年4月30日までファシリティを延長することに合意した。
・ 2022年4月5日、KfWは、ガスおよびインフラ整備会社であるVNG AGと、2023年4月30日まで有効な660百万
ユーロを上限とするクレジット・ファシリティ契約を締結した。
・ 2022年4月8日、KfWは、エネルギー会社であるSTEAG GmbHと、2022年10月31日まで有効な400百万ユーロを
上限とするクレジット・ファシリティ契約を締結した。
・ 2022年3月、KfWは、Gasunie LNG Holding B.V.およびRWE Supply & Trading GmbHと、German LNG
Terminal GmbHへのKfWの潜在的な50%の出資およびその後の資金調達に関する覚書を締結した。German
LNG Terminal GmbHは、ドイツのブルンスビュッテルでLNG輸入施設の開発を行うプロジェクト会社であ
る。KfWの潜在的な出資およびその後の資金調達は、特に、連邦政府による必要な承認および認可ならびに
特別委託の発行を条件としている。
ロシアのウクライナ侵攻に関する今後の進展に応じて、連邦政府は、原則として、随時KfWに特別委託に基づき
さらなる活動を行うよう要請することができる。
2022 年KfW特別プログラムUBR 2022 年 4月、連邦政府は、ロシアのウクライナ侵攻および関連する制裁の影響を
受けた企業を支援すると発表した。2022年5月9日、KfWは、ウクライナにおける戦争の影響を受けたことが明らか
な特定の会社の流動性を迅速に保護するために、2022年KfW特別プログラムUBR( KFW-Sonderprogramm UBR 2022 )
(なお、「UBR」は「ウクライナ、ベラルーシおよびロシア」の略である。)として知られる総額70億ユーロを上
限とする新たなローン・プログラムを開始した。主にあらゆる規模および様々な部門の民間企業が、100百万ユー
ロを上限とする低金利ローンを受けることができ、通常の銀行の責任は大幅に免除される。実質的なリスクを想定
したシンジケートローンの代替案も提供されている。ロシアのウクライナ侵攻および関連する制裁の影響を受けた
企業に対する連邦政府の支援、ならびにロシアのウクライナ侵攻への対応として講じられたその他の措置の詳細に
ついては、「(7) 発行者の属する国等の概況―6) その他―その他の最近の動向―ロシアのウクライナ侵攻に対す
るドイツの対応」を参照のこと。
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(7) 【発行者の属する国等の概況】
ドイツ連邦共和国
1) 概括
面積、位置および人口
BERLIN :ベルリン
Hamburg :ハンブルク
Munich :ミュンヘン
Cologne :ケルン
Frankfurt :フランクフルト
Stuttgart :シュトゥットガルト
Düsseldorf :デュッセルドルフ
Essen :エッセン
Bremen :ブレーメン
Hannover :ハノーファー
Leipzig :ライプチヒ
Dresden :ドレスデン
Nürnberg :ニュルンベルク
Duisburg :デュイスブルク
Bonn :ボン
Mannheim :マンハイム
Karlsruhe :カールスルーエ
Wiesbaden :ヴィースバーデン
連邦共和国は、中央ヨーロッパに位置し、面積は約358,000k ㎡ (約138,000平方マイル)である。ドイツ連邦統
計局 ( Statistisches Bundesamt )の一次推計によると、2021年末現在のドイツの居住者数は 8,320 万人であり、
2020年末現在および2019年末現在の両方とほぼ同数であった。2021年は、死亡数が増加し出生数を明らかに上回っ
たことにより、人口が低迷した。しかし、出生数と死亡数の差は純入移民数の増加により解消された。2021年のド
イツ連邦統計局の暫定データによると、出生数は77万5,000人から79万5,000人の間(2020年は77万3,144人)、死
亡数は約102万人(2020年は98万5,572人)、純入移民数は27万人から32万人の間(2020年は22万251人)であっ
た。2020年において、総人口のうち約16.9%は、(人口の多い順に)ベルリン、ハンブルク、ミュンヘン、ケルン
およびフランクフルト・アム・マイン等の人口50万人超の都市部に集中していた。
(出典:Statistisches Bundesamt, Bundesländer mit Hauptstädten nach Fläche, Bevölkerung und Bevölkerungsdichte am
31.12.2020 (September 2021) (https://www.destatis.de/DE/Themen/Laender-
Regionen/Regionales/Gemeindeverzeichnis/Administrativ/02-bundeslaender.html); Statistisches Bundesamt, Once again
no population growth expected for 2021, press release of January 20, 2022
(https://www.destatis.de/EN/Press/2022/01/PE22_027_124.html; German version:
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2022/01/PD22_027_124.html); Statistisches Bundesamt, Daten
aus dem Gemeindeverzeichnis, Städte nach Fläche, Bevölkerung und Bevölkerungsdichte am 31.12.2020 (September
2021) (https://www.destatis.de/DE/Themen/Laender-Regionen/Regionales/Gemeindeverzeichnis/Administrativ/05-
staedte.html))
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下表は、連邦共和国の各年の主要な人口統計指標を示したものである。
人口
2020年 2019年 2018年 2017年(1) 2016年(1)
(単位:人)
総人口 83,155,031 83,166,711 83,019,213 82,792,351 82,521,653
年齢分布 (総人口に占める割合)(%)
20歳未満 18.4 18.4 18.4 18.4 18.4
20歳-40歳 24.5 24.6 24.6 24.6 24.5
40歳-60歳 28.1 28.4 28.8 29.1 29.4
60歳-80歳 21.8 21.7 21.7 21.7 21.6
80歳以上 7.1 6.8 6.5 6.2 6.0
増加率 (前年からの変動率)(%)
総人口 0.0 0.2 0.3 0.3 0.4
20歳未満 0.0 0.2 0.3 0.2 1.0
20歳-40歳 -0.5 0.1 0.5 0.7 0.6
40歳-60歳 -1.1 -1.1 -0.8 -0.8 -0.9
60歳-80歳 0.5 0.4 0.3 0.5 0.4
80歳以上 4.5 5.4 4.6 4.2 4.5
(1) 方法論の変更およびさらなる技術的な発展により、2017報告年度および2016報告年度の結果は、過去の報告年度の数値とある程度までしか比較でき
ない。特に2016年の結果の正確性が限定的な理由は、特に移民の増加および保護を求める人々についての報告に関する法律に基づいた登録に問題が
生じていることに関連する不整合性である。
(出典:Statistisches Bundesamt, Bevölkerung, Bevölkerungsstand, Bevölkerung nach Altersgruppen (ab 2011)
(https://www.destatis.de/DE/Themen/Gesellschaft-Umwelt/Bevoelkerung/Bevoelkerungsstand/Tabellen/liste-
altersgruppen.html))
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毎年死亡者数が出生者数を上回っていたことから、純入移民数に起因する超過がなければ、総人口は、1972年以
降、毎年減少していたはずである。かかる状況は、人口高齢化の継続に伴い、今後も続くと予想される。2060年ま
での期間を対象としたドイツ連邦統計局の2019年6月公表の第14次調整人口予測によると、出生率の上昇および継
続して高い純入移民数でさえ、高齢化を遅らせることはできるものの、その傾向を変えることはできない。20歳か
ら66歳までの労働年齢人口は、2035年までに400万人から600万人減少すると予想されており、長期的にドイツの潜
在成長力が低下するおそれがある。ドイツ連邦統計局は、COVID-19のパンデミック関連の人口動態を明確に考慮に
入れた、2035年までの期間を対象とした2021年9月公表の最初の中期人口予測において、労働年齢人口の大幅な減
少が予測されることと高齢化の傾向が継続していることを実質的に認めた。しかしながら、総人口については、よ
り広範な将来の推移が予想される。少なくとも2024年までは増加すると予想されている一方で、出生率および平均
寿命が緩やかに推移すると仮定すると、たとえ純入移民数が恒常的に高いままであっても、総人口は、遅くとも
2040年以降には減少すると予測される。しかしながら、恒常的に高い純入移民数に加えて、出生率が継続的に上昇
する場合、総人口は、予想される少なくとも2024年までの増加後に安定すると予想される。そのため、前述の人口
統計上の要因の推移によるものの、2060年のドイツの総人口は、7,400万人から8,400万人の範囲内になると予測さ
れる。
(出典:Statistisches Bundesamt, Once again no population growth expected for 2021, press release of January 20,
2022 (https://www.destatis.de/EN/Press/2022/01/PE22_027_124.html; German version:
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2022/01/PD22_027_124.html); Statistisches Bundesamt,
Working-age population expected to decrease by 4 to 6 million by 2035, press release of June 27, 2019
(https://www.destatis.de/EN/Press/2019/06/PE19_242_12411.html); Statistisches Bundesamt,
Bevökerungsvorausberechnung, 14. koordinierte Bevölkerungsvorausberechnung – Basis 2018
(https://www.destatis.de/DE/Themen/Gesellschaft-Umwelt/Bevoelkerung/Bevoelkerungsvorausberechnung/aktualisierung-
bevoelkerungsvorausberechnung.html); Statistisches Bundesamt, Number of people aged 67 or over will grow 22% by
2035, press release of September 30, 2021 (https://www.destatis.de/EN/Press/2021/09/PE21_459_12411.html; German
version: https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2021/09/PD21_459_12411.html))
政府
連邦共和国は、1949年憲法( Grundgesetz )でその形成が成文化された連邦制の共和国である。首都はベルリン
であり、16の連邦諸州( Länder )から成る。連邦諸州は、連邦共和国の立法、行政および司法機関に明示的に留保
されていない事項につき立法権を有する。
憲法は、連邦大統領( Bundespräsident )、二院制の国会(連邦議会( Bundestag )および16の連邦諸州政府の代
表から成る連邦参議院( Bundesrat ))、連邦首相( Bundeskanzler )、および連邦憲法裁判所
( Bundesverfassungsgericht )について各々定めている。首相は、首相と連邦大臣から成る連邦政府
( Bundesregierung )の首長である。連邦大統領は、国家元首として行為する。
連邦議会( Bundestag )の総選挙は比例代表制により、通常4年毎に行われる。直近の総選挙は2021年9月26日に
行われた。
政党は、総選挙で少なくとも投票総数の5%を獲得するかまたは最も多く得票した候補者が当選する小選挙区で3
名の当選議員を出さなければ、連邦議会( Bundestag )における議席を配分されない。首相は、連邦大統領の提案
により連邦議会( Bundestag )によって選出され、連邦議会( Bundestag )に対し責任を負う。
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政党
連邦議会( Bundestag )の現政党は、社会民主党(SPD)、キリスト教民主同盟(CDU)およびそのバイエルンに
おける姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)、90年同盟/緑の党( Bündnis 90/Die Grünen )、自由民主党
(FDP)、ドイツのための選択肢(AfD)、左翼党( Die Linke )ならびに南シュレスウィヒ選挙人同盟
( Südschleswigscher Wählerverband )(SSW)である。南シュレスウィヒ選挙人同盟( Südschleswigscher
Wählerverband )(SSW)は、シュレスウィヒ=ホルシュタイン連邦州のデンマーク系少数民族を代表する政党とし
て連邦議会( Bundestag )の議席を配分されており、連邦議会( Bundestag )への参加に関する投票総数の5%や小
選挙区で3名の当選議員という基準値は適用されない。
1949 年以降、連邦共和国では20回の任期を9人の首相が務めてきた。2021年9月に行われた直近の総選挙では、社
会民主党(SPD)、90年同盟/緑の党( B ü ndnis 90/Die Grünen )および自由民主党(FDP)による連立政権となっ
た。2021年12月8日、連邦議会( Bundestag )は、前連邦政府で財務大臣を務めたオラフ・ショルツ(SPD)を首相
に初選出した。
(出典:The Federal Returning Officer, 2021 Bundestag Election: final result, press release of October 15, 2021
(https://www.bundeswahlleiter.de/info/presse/mitteilungen/bundestagswahl-2021/52_21_endgueltiges-
ergebnis.html); Deutscher Bundestag, Election of Members and the allocation of seats, October 18, 2021
(https://www.bundestag.de/en/parliament/elections/arithmetic); The Federal Government, New Federal Government in
office, December 8, 2021 (https://www.bundesregierung.de/breg-en/news/federal-chancellor-election-1989862);
Bundesregierung, Koalitionsvertrag
(https://www.bundesregierung.de/resource/blob/974430/1990812/04221173eef9a6720059cc353d759a2b/2021-12-10-
koav2021-data.pdf?download=1))
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下表は、最近5回の連邦議会( Bundestag )の総選挙の結果である。
ドイツ連邦議会選挙結果
2021 年選挙 2017 年選挙 2013 年選挙 2009 年選挙 2005 年選挙
投票 投票 投票 投票 投票
総数に 総数に 総数に 総数に 総数に
占める 占める 占める 占める 占める
割合 割合 割合 割合 割合
(%) 議席 (%) 議席 (%) 議席 (%) 議席 (%) 議席
SPD …………… ………
25.7 206 20.5 153 25.7 193 23.0 146 34.2 222
CDU/CSU ……… ……… 24.1 197 33.0 246 41.5 311 33.8 239 35.2 226
90 年同盟/緑の党 …… 14.8 118 8.9 67 8.4 63 10.7 68 8.1 51
FDP …………………… 11.5 92 10.7 80 4.8 ― 14.6 93 9.8 61
AfD ……… …………… 10.3 83 12.6 94 4.7 ― ― ― ― ―
左翼党 … ……… ……… 4.9 39 9.2 69 8.6 64 11.9 76 8.7 54
SSW (1) ………… ……
0.1 1 ― ― ― ― ― ― ― ―
― ― ― ― ―
その他 ……………… … 8.6 5.0 6.2 6.0 3.9
736 709 631 622 614
合計
(1) シュレスウィヒ=ホルシュタイン連邦州のデンマーク系少数民族を代表する南シュレスウィヒ選挙人同盟( Südschleswigscher Wählerverband )
(SSW)には、連邦議会(Bundestag)の代表権に関する投票総数の5%や小選挙区で3名の当選議員という基準値は適用されない。
(出典:The Federal Returning Officer, 2021 Bundestag Election: final result, press release of October 15, 2021
(https://www.bundeswahlleiter.de/en/info/presse/mitteilungen/bundestagswahl-2021/52_21_endgueltiges-
ergebnis.html); The Federal Returning Officer, Bundestag election 2017
(https://www.bundeswahlleiter.de/en/bundestagswahlen/2017/ergebnisse/bund-99.html), Statistisches Bundesamt,
Statistisches Jahrbuch 2016, Tables 10.1.1 and 10.1.2; Statistisches Bundesamt, Statistisches Jahrbuch 2011,
Tables 4.3.1, 4.3.2 and 4.6)
国際機関
連邦共和国は、 EU に加え、国連、 IMF 、国際復興開発銀行 ( 以下「 IBRD 」という。)、国際開発協会 ( 以下
「 IDA 」という。)、欧州理事会、OECD、および北大西洋条約機構等の様々な主要国際機関の加盟国である。ま
た、連邦共和国は関税および通商に関する一般協定の批准国であり、世界貿易機関(World Trade Organization)
(以下「WTO」という。)の加盟国でもある。さらに、EIB、欧州復興開発銀行(以下「EBRD」という。)、アジア
インフラ投資銀行(以下「AIIB」という。)および欧州原子力機構の出資者でもある。
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EU と欧 州統合
連邦共和国は、1951年に設立され、その後EUに発展した欧州石炭鉄鋼共同体の設立メンバー6ヶ国のうちの1つで
あった。その設立以来、EUは、大きく成長している。2020年1月31日に英国がEUを離脱した後、現在27ヶ国がEUを
構成している。それは、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、キプロス、チェコ共和国、デンマー
ク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ラトビ
ア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア共和
国、スロベニア、スペインおよびスウェーデンである(以下総称して「EU加盟国」または「EU加盟諸国」とい
う。)。暫定データによると、2021年1月1日現在の27のEU加盟諸国の総人口は、約4億4,700万人であった。モンテ
ネグロ、セルビアおよびトルコとは現在正式な加盟交渉が行われている。トルコは移民、安全保障、テロ対策およ
び経済等の問題においてEUの重要な戦略的パートナーであるが、近年トルコとの加盟交渉は進展していない。2020
年3月、EUはアルバニアおよび北マケドニアとの加盟交渉開始を決定したが、交渉はまだ開始されていない。ボス
ニア・ヘルツェゴビナおよびコソボは潜在的加盟候補国であるが、両国は、EUが加盟交渉開始の決定を下す前にEU
関連の改革に取り組まなければならない。2022年2月のロシアのウクライナ侵攻後、ウクライナ、ジョージアおよ
びモルドバ共和国が正式にEUへの加盟申請をしている。
(出典:European Union, The history of the European Union (https://europa.eu/about-eu/eu-history/index_en.htm);
European Union, The history of the European Union: 1945-1959 (https://europa.eu/european-union/about-
eu/history/1945-1959_en); European Union, About the EU (https://europa.eu/european-union/about-
eu/countries_en#the-27-member-countries-of-the-eu); Statistical Office of the European Communities, Total
population (https://ec.europa.eu/eurostat/databrowser/view/tps00001/default/table?lang=en); European Commission,
Enlargement, Countries, Check current status (https://ec.europa.eu/neighbourhood-enlargement/countries/check-
current-status_en); European Council, Versailles Declaration, March 11, 2022
(https://www.consilium.europa.eu/media/54773/20220311-versailles-declaration-en.pdf))
政治的統合
EU は、EU加盟国間の拘束力のある条約に基づいており、かかる条約はすべてのEU加盟国によって自主的かつ民主
的に承認されている。条約は、EUの目的、EU機関を管理する規則、決定を下す方法およびEUとEU加盟国との関係に
ついて定めている。条約は、EUをより効率的で透明性のあるものにし、新規EU加盟候補国の加盟に備え、新たな協
力分野を導入するために修正される。条約に基づき、EU機関は法律を採択することができ、かかる法律は、主題に
より、直接適用される法律となるか、またはEU加盟国によるさらなる法律の施行を必要とする。
EU の主要機関は、EUの理事会(EU加盟国の政府を代表する。)(以下「欧州理事会」という。)、欧州議会(EU
加盟国の市民により選出され、当該市民を代表する。)および欧州委員会(EUの執行機関)の3つである。さら
に、欧州理事会は、EU加盟国の国家元首または政府の長、欧州理事会議長および欧州委員会委員長で構成され、EU
全体の政治的方向性および優先事項を定める。欧州理事会は、EUの立法機関の1つではないが、従来、懸念事項お
よび取るべき措置を特定する会合において結論を採択することで、EUの政策課題を定めている。
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欧州連合条約第50条は、EU加盟国の自発的かつ一方的なEUからの離脱の仕組みを規定している。欧州連合条約第
50条に従い、離脱手続は、離脱を希望するEU加盟国からの欧州理事会への通告により開始される。EU加盟国の離脱
に係る手配について定める合意の発効日、または離脱意思の通知から2年以内のどちらか遅い日から、EU条約は、
離脱するEU加盟国に適用されなくなる。欧州理事会は、関連するEU加盟国との合意に基づき、かかる期間を2年を
超えて延長することを全会一致により決定することができる。
(出典:European Commission, Europe in 12 lessons by Pascal Fontaine
(https://publications.europa.eu/en/publication-detail/-/publication/a5ba73c6-3c6a-11e8-b5fe-01aa75ed71a1);
Europa.eu, Treaties currently in force (https://eur-lex.europa.eu/collection/eu-law/treaties/treaties-
force.html); European Council, Council of the European Union, The European Council
(https://www.consilium.europa.eu/en/european-council/); Europa.eu, Consolidated versions of the Treaty on
European Union, Article 50 (https://eur-lex.europa.eu/eli/treaty/teu_2016/art_50/oj))
経済統合
EU は創設当初から、その前身諸機関と同様に、EU加盟諸国の経済的な統合を基本的な目的としていた。長い統合
プロセスの後、1993年1月1日にEU加盟諸国間の財およびサービス、人、ならびに資本の自由な移動を可能にする単
一市場が誕生した。EU加盟諸国の企業に平等な競争の場を与え、それにより経済効率を高めることを目指す欧州の
競争政策および欧州消費者政策は、EU加盟諸国の経済統合および単一市場の完成を促進している。これに加えて、
通信・エネルギー部門等で自由化と調和化に向けた様々な方策も実施されている。金融部門では、資本の移動が自
由化されたことと、「単一パスポート」(これにより、金融機関は、あるEU加盟国で取得した単一のライセンスに
基づき、EU全域で金融サービスを提供することができる。)の下にEU全域で銀行業務を営むことが自由化されたこ
とにより、単一市場が促進されている。EUの経済統合を進めるため、地域支援策が講じられている。これは、EUの
全人口の中で不利な条件に置かれた一定の地域および区域に開発努力を集中する政策である。EUにとってもう1つ
の重要な課題は、農業および水産業政策である。
EU 予算 EUの支出は、MFFと呼ばれる長期予算によって管理されている。MFFは、EUの支出が秩序ある方法で、EU
自身の財源の範囲内で展開することを保証することを目的としている。これは、支出を政策上の優先事項に沿った
ものにすること、共同出資者および受益者に対するEU融資の予測可能性を高めること、EUの予算規律を確保するこ
と、ならびにEUの年次予算の採択を容易にすることを目的としている。MFFは、コミットメント額の割当および支
払の割当について年間上限額を決定することにより、全体の支出限度額を定めており、コミットメント額の割当の
当該上限額は、一定の支出項目に1年以上にわたって資金を投入するために提供されるコミットメント額を補うに
足るものである。
2021 年から2027年までのEUのMFFを規定した規則は、2020年12月に正式に採択された。かかる規則により、コ
ミットメント額の割当について1兆2,109億ユーロ(現在価格。欧州開発基金の適用地域分を含む。)の長期EU予算
が提供される。かかる規則は、とりわけCOVID-19のパンデミックの社会経済的影響に対処することを目的とした、
8,069億ユーロ(現在価格)を上限とする新たな暫定的次世代EU復興基金(以下「EU復興基金」という。)と併せ
て、EUによる約2兆ユーロという異例の額の資金提供を認めた。かかる資金提供は、欧州におけるCOVID-19のパン
デミックからの復興ならびにグリーンおよびデジタルへの移行を含む、強化された新たな優先事項とともに、様々
な政策分野にわたるEUの長期優先事項をより一層支援することを目的とする。COVID-19のパンデミックに対するEU
の対応についてのさらなる詳細は、下記「金融統合―COVID-19のパンデミックに対するEUの対応」を参照のこと。
欧州理事会および欧州議会によって2021年11月に採択された2022年EU予算では、コミットメント額の割当分は
1,695億ユーロ、支払の割当分は1,706億ユーロとなっている。
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(出典:European Commission, Europe in 12 lessons by Pascal Fontaine
(https://publications.europa.eu/en/publication-detail/-/publication/a5ba73c6-3c6a-11e8-b5fe-01aa75ed71a1);
European Banking Authority, Topics, Passporting and supervision of branches (https://eba.europa.eu/regulation-
and-policy/passporting-and-supervision-branches); European Council, Policies, EU budget
(https://www.consilium.europa.eu/en/policies/the-eu-budget/); European Council, Policies, Long-term EU budget
2021-2027 and recovery package (https://www.consilium.europa.eu/en/policies/the-eu-budget/long-term-eu-budget-
2021-2027/); European Parliament, EU Budget 2022 approved: investing more for a strong recovery, press release of
November 24, 2021 (https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20211118IPR17624/eu-budget-2022-approved-
investing-more-for-a-strong-recovery); Publications Office of the European Union, The EU’s 2021-2027 long-term
budget and NextGenerationEU, Facts and Figures (https://op.europa.eu/en/publication-
detail/-/publication/d3e77637-a963-11eb-9585-01aa75ed71a1/language-en); Official Journal of the European Union,
DEFINITIVE ADOPTION (EU, Euratom) 2022/182 of the European Union’s general budget for the financial year 2022,
February 24, 2022 (https://eur-lex.europa.eu/budget/data/General/2022/en/GenExp.pdf))
貿易 EUは、第三国との貿易問題について責任を負う。財の取引分野においては、EUは独占的な権限を有してい
る。さらに、EUの責任範囲は、サービス貿易、知的財産(特許等)の商業的側面、公的調達および外国直接投資も
含むが、ポートフォリオ投資、投資保護および投資紛争解決については、EUとEU加盟国との間で権限が共有され
る。特に、EUは、国際貿易協定の交渉および締結、貿易障害および貿易相手国による不公平な取引慣行の特定なら
びに適切な対応策の導入について責任を負う。貿易協定は、欧州理事会の承認を受けて、欧州委員会により交渉さ
れる。欧州委員会が交渉を完了すると、欧州理事会および欧州議会は、最終的な交渉による合意を検討し、それを
承認するか否かを決定する。EUおよびEU加盟国間の責任が混在している分野を規制する貿易協定については、すべ
てのEU加盟国による批准後にのみ締結することができる。EUは、ロシアのウクライナ侵攻に対するEUの対応の一環
として、貿易制限を含む包括的な経済制裁を科している。ロシアのウクライナ侵攻に対するEUの対応についての詳
細は、 「 6) その他― その他の最近の動向 ―ロシアのウクライナ侵攻に対するEUの対応 」を参照のこと。
(出典:European Commission, Business, Economy, Euro, Trade with non-EU countries, EU trade policy-making
(https://ec.europa.eu/trade/policy/policy-making); Federal Ministry for Economic Affairs and Energy, Topics,
Trade Policy, European Trade Policy (https://www.bmwi.de/Redaktion/EN/Dossier/trade-policy.html))
金融統合
連邦共和国は、1992年2月の欧州連合条約(別名「マーストリヒト条約」)の調印国であり、これを批准してい
る。マーストリヒト条約は、EMUの設立の基礎となった。そして、EMUは、1998年12月31日に、ユーロと当初のEU加
盟諸国の通貨との永久固定レートを採用し、1999年1月1日に、ユーロ圏内の単一欧州通貨としてユーロを導入し
た。2002年1月1日、当時ユーロ圏を構成していた12のEU加盟諸国(オーストリア、ベルギー、フィンランド、フラ
ンス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガルおよびスペイン)
で、各国通貨に代わり、ユーロ建紙幣および硬貨が法定通貨として導入された。スロベニア、マルタ、キプロス、
スロバキア、エストニア、ラトビアおよびリトアニアが、その後にユーロ圏に加わった。
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ECB は、 1998 年 6 月 1 日、 ESCB の一部として設立された。マーストリヒト条約に従い、ESCBは、物価水準を一定に
保つことを主たる目的としている。物価を安定させるという目的を侵害することなく、ESCBはEU内の総合的な経済
政策を支援している。ECB、ESCBおよび欧州の金融制度についての詳細は、「3) 通貨・金融制度」を参照のこと。
ECBとユーロ通貨を使用するEU加盟国(以下「ユーロ圏加盟国」という。)の中央銀行から成るユーロシステム
は、1999年1月1日にユーロ圏の金融政策に関する責任を単独で担うこととなった。
(出典:European Union, Founding agreements, Treaty on European Union – Maastricht Treaty
(https://europa.eu/european-union/law/treaties_en); European Central Bank, Economic and Monetary Union (EMU)
(https://www.ecb.int/ecb/history/emu/html/index.en.html); European Central Bank, Use of the euro
(https://www.ecb.europa.eu/euro/intro/html/index.en.html); European Central Bank, Monthly Bulletin, 10th
Anniversary of the ECB (https://www.ecb.europa.eu/pub/pdf/other/10thanniversaryoftheecbmb200806en.pdf))
EU 経済ガバナンス
EU 経済ガバナンス構想は、過剰な財政赤字または国債といった経済成長を妨げ、経済をリスクにさらすような問
題のある経済動向の察知、阻止および是正を目的としている。かかる構想は、以下の主要な項目により構成され
る。
SGP 国家 財政 ・経済政策 の 監視および協調を強化する ため、EU加盟国は、 1997 年に安定成長協定(Stability
and Growth Pact)(以下「SGP」という。)を制定した。 EU 加盟国は毎年4月、SGPに定められた経済ガバナンス規
則に基づき、年度の財政計画を策定することを義務付けられている。ユーロ圏加盟国は、「安定プログラム
(Stability Programs)」として知られる文書によりこれを行い、その通貨がユーロではないEU加盟国は、金融政
策に関する追加情報を記載した「収斂プログラム(Convergence Programs)」を提出する。加えて、ユーロ圏加盟
国間の財政政策の協調を図るため、各国政府 は欧州 の経済ガバナンス規則により、毎年10月15日までに翌年度の予
算案を欧州 委員会に 提出しなければならない 。
SGP が持つ予防的側面は、 EU 加盟国に 健全な 財政 政策へ の コミットメントと 、各EU加盟国の中期的な歳出目標を
定めることによる協調を義務付けている。これらの予算赤字(または黒字) 目標 は、 景気循環を考慮して 単発およ
び暫定的施策の 影響を除外した構造的財政収支により決定される。 SGP の 是正的側面は、過剰財政赤字手続
(excessive deficit procedure)(以下「EDP」という。)により構成される。 EDP は、過剰財政赤字(GDPの3%
を超える赤字と定義される。)または過剰公的債務水準(債務比率が十分な下降傾向もなく、GDPの60%を超過し
ている状態と定義される。)の是正を保証する。SGPの予防または是正 規則 を尊重しないEU 加盟国は、 最終的に制
裁を科される場合がある。 ユーロ圏加盟国 の場合、これらは、制裁金を含め、警告や金銭的制裁という形で実行さ
れる可能性がある。加えて、すべてのEU加盟国は、是正規則に従わなかった場合、EUの構造的投資ファンドからの
出資確定または支払実行を停止される 可能性がある。SGPには、例外的な状況に関する規則が含まれている。特
に、一般政府の財政状態に重大な影響を及ぼす、関連するEU加盟国の管理の及ばない異常な事態が発生した場合、
またはユーロ圏もしくはEU全体の深刻な景気後退時において、EU加盟国は、欧州委員会の提案および欧州理事会の
承認に基づき、中期的な財政の持続可能性を損なわないことを条件として、通常適用される予算要件から逸脱する
ことが認められる。この規則は、ユーロ圏またはEU全体の深刻な景気後退時に適用される場合、「一般的免責条
項」と呼ばれる。
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欧州委員会の提案により、COVID-19のパンデミックに対するEUの対応の一環として、SGPに基づく「一般的免責
条項」が2020年3月に発動された。かかる条項を使用することにより、EU加盟諸国がパンデミックの影響に適切に
対処することを可能にし、EU加盟諸国の健康および市民保護システムを支援し、欧州経済を保護するために必要な
措置をとるために必要とされる柔軟性をもたらした。一般的免責条項は2022年においても引き続き適用される。
2023年におけるかかる条項の無効化の可能性についての最終決定はまだなされていない。欧州委員会は、ロシアの
ウクライナ侵攻による高い不確実性と経済活動のダウンサイドリスクを考慮し、5月に予定されている春期予測を
基に再評価を行うことを発表した。「 4) 国家財政―ドイツの一般財政赤字/黒字および一般政府総債務 」も参照の
こと。 COVID-19 のパンデミックに対するEUの対応についての詳細は、下記「COVID-19のパンデミックに対するEUの
対応」を参照のこと。ロシアのウクライナ侵攻に対するEUの対応についての詳細は、 「 6) その他― その他の最近
の動向 ―ロシアのウクライナ侵攻に対するEUの対応 」を参照のこと。
(出典:European Commission, Business, Economy, Euro, Economic and fiscal policy coordination, EU economic
governance: monitoring, prevention, correction (https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-
fiscal-policy-coordination/eu-economic-governance-monitoring-prevention-correction_en); European Commission,
Business, Economy, Euro, Economic and fiscal policy coordination, EU economic governance, Stability and Growth
Pact, Annual draft budgetary plans (DBPs) of euro area countries (https://ec.europa.eu/info/business-economy-
euro/economic-and-fiscal-policy-coordination/eu-economic-governance-monitoring-prevention-correction/stability-
and-growth-pact/annual-draft-budgetary-plans-dbps-euro-area-countries_en); European Commission, Business,
Economy, Euro, Economic and fiscal policy coordination, EU economic governance, Stability and Growth Pact
(https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-fiscal-policy-coordination/eu-economic-governance-
monitoring-prevention-correction/stability-and-growth-pact_en); European Commission, Business, Economy, Euro,
Economic and fiscal policy coordination, EU economic governance, Stability and Growth Pact, Stability and
convergence programmes (https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-fiscal-policy-
coordination/eu-economic-governance-monitoring-prevention-correction/stability-and-growth-pact/stability-and-
convergence-programmes_en); European Commission, Vade Mecum on the Stability & Growth Pact 2019 edition, page 25
(https://ec.europa.eu/info/sites/info/files/economy-finance/ip101_en.pdf); Council of the European Union,
Statement of EU ministers of finance on the Stability and Growth Pact in light of the COVID-19 crisis, press
release of March 23, 2020 (https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2020/03/23/statement-of-eu-
ministers-of-finance-on-the-stability-and-growth-pact-in-light-of-the-covid-19-crisis/); European Commission,
Fiscal policy guidance for 2023, Communication from the Commission to the Council of March 2, 2022
(https://ec.europa.eu/info/sites/default/files/economy-finance/com_2022_85_1_en_act_en.pdf))
MIP 2011 年 に制定されたマクロ経済不均衡手続 ( macroeconomic imbalance procedure)( 以下「 MIP 」とい
う。 ) は、早期の段階で経済の潜在的なリスクを特定し、悪質なマクロ経済不均衡の発生を防ぎ、既存の過剰な不
均衡を是正することを目的とする、 EU および EU 加盟諸国を対象とした調査の仕組みである。 MIP の予防的側面は、
指標のスコアボードおよび徹底的な国別調査を駆使した早期警告システムに依拠している。この予防的側面によ
り、欧州委員会および欧州理事会は、各 EU 加盟国に対し、早期に予防的勧告を提案することができる。 EU 加盟国に
おいて過剰なマクロ経済不均衡が発生している場合、是正的側面により過剰不均衡手続が開始される場合がある。
この場合、対象となった EU 加盟国は、是正措置計画および定期経過報告書を提出しなければならない。是正措置に
おける施行制度は、再三にわたり義務を履行しないユーロ圏加盟国に対する当該ユーロ圏加盟国 GDP 比 0.1 %を上限
とする 制裁金を含む金銭的制裁を決定するオプションから構成されている。
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2021 年の一連の調査では、ドイツを含む12のEU加盟諸国が MIP に関連した徹底的な調査の対象となった。これら
の12のEU加盟諸国のうち9ヶ国においてマクロ経済不均衡が、3ヶ国において過剰な不均衡が生じていることが判明
した。欧州委員会の評価によると、ドイツではマクロ経済不均衡が生じており、2022年においてさらなる徹底的な
調査が必要とされる(「 2) 経済 ― 国際的経済関係 ― ドイツの経常黒字および MIP 」を参照のこと。 )。
(出典:European Commission, Business, Economy, Euro, Economic and fiscal policy coordination, EU economic
governance, Macroeconomic imbalance procedure, Dealing with macroeconomic imbalances
(https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-fiscal-policy-coordination/eu-economic-governance-
monitoring-prevention-correction/macroeconomic-imbalance-procedure/dealing-macroeconomic-imbalances_en);
European Commission, European Commission, Alert Mechanism Report 2022,
(https://ec.europa.eu/info/sites/default/files/economy-
finance/2022_european_semester_alert_mechanism_report.pdf))
EMU における TSCG 2012 年 3 月に調印され、 2013 年 1 月 1 日より施行された EMU における安定、調整およびガバナン
スに関する条約 ( Treaty on Stability, Coordination and Governance)( 以下「 TSCG 」という。 ) は、財政協定
を通じた参加 EU 加盟国の財政規律の促進を目的とするものである。ユーロ圏加盟国は、かかる財政協定の規定に拘
束されることになるが、一方でその他の参加 EU 加盟国は、ユーロを採用した場合にのみ拘束され、当該条約の特定
の規定に拘束される意思を事前に表明しない限り拘束されない。TSCGは参加各国に対し、国別の中期財政目標
(SGPにおいて定められる。)に向けた収束を確保し、構造的赤字の下限を当該参加 EU 加盟国GDP比0.5%(また
は、当該参加国の債務の対GDP比が60%を大きく下回る場合は、GDP比1%)とするよう求めている。この要件から
逸脱した場合は、自動是正メカニズムが働く。ただし、例外的な状況のための適用除外も設けている。この財政に
係る規則は、同条約の施行から1年以内、すなわち遅くとも2014年1月1日までに、「法的拘束力があり恒久的な性
質(望ましくは憲法的性質)を有する」規則を通じて、国内法的効力を有するとされた。
(出典:European Council, Fiscal compact signed: Strengthened fiscal discipline and convergence in the euro area,
press release of March 2, 2012
(https://www.consilium.europa.eu/uedocs/cms_Data/docs/pressdata/en/ec/128454.pdf); Deutsche Bundesbank,
Glossary: Treaty on Stability, Coordination and Governance in the EMU (TSCG)
(https://www.bundesbank.de/dynamic/action/en/homepage/glossary/729724/glossary?
firstLetter=T&contentId=653696#panel-653696); European Commission, The EU’s economic governance explained, press
release of November 26, 2015 (https://europa.eu/rapid/press-release_MEMO-15-6071_en.htm))
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EU における 金融支援
財政難に陥っているか、またはそのおそれがあるEU諸国は、いくつかの金融支援メカニズムの利用を要請するこ
とができる。主要なものは、以下の通りである。
暫定的金融安定メカニズム EU および ユーロ圏 加盟国は、ユーロ圏の ソブリン債市場が深刻な緊張状態にある中
で金融情勢 の 安定を 維持 する ため、2010年5月、欧州金融安定化機構(European Financial Stabilization
Mechanism)(以下「EFSM」という。) および 欧州金融安定化ファシリティ(European Financial Stability
Facility)(以下「EFSF」という。) で構成される暫定的安定メカニズムを設置した。EFSMを通じて、欧州委員会
は、黙示のEU予算による保証の下、EUに代わって最高600億ユーロまで借り入れることが許可されている。EFSF
は、暫定的な機関として設置され、2013年7月1日以降は新規の融資プログラムを行っていない。2021年12月 現在、
EFSFのアイルランド、ポルトガルおよびギリシャ向け融資残高は約 1,730 億ユーロであり、これはユーロ圏 加盟国
による総額3,070億ユーロの実質的な保証により裏付けられている。2021年12月31日現在、連邦共和国は、2021年
12月31日現在のECBの払込済資本における自国の払込金に基づき、EFSFに約890億ユーロの保証を確約しており、こ
れは有効保証額の総額の約29%を占める。 EFSF は、ユーロ圏加盟国に提供したすべての金融支援およびEFSFが発行
したすべての資金調達商品が全額返済され次第、解散し清算する予定である。
(出典:European Commission, Business, Economy, Euro, Economic and fiscal policy coordination, EU financial
assistance, How is financial assistance given to EU countries? (https://ec.europa.eu/info/business-economy-
euro/economic-and-fiscal-policy-coordination/eu-financial-assistance/how-financial-assistance-given-eu-
countries_en); European Commission, Business, Economy, Euro, Economic and fiscal policy coordination, EU
financial assistance, Loan programmes, European Financial Stabilisation Mechanism (EFSM)
(https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-fiscal-policy-coordination/eu-financial-
assistance/loan-programmes/european-financial-stabilisation-mechanism-efsm_en#support); European Stability
Mechanism, Publications, Investor Presentation (https://www.esm.europa.eu/system/files/document/2022-
01/20220126_EFSF_ESM_InvestorPresentation.pdf))
ESM 2012 年 10 月 より、国際公法の下で政府間機関として設立された欧州安定メカニズム ( European Stability
Mechanism)( 以下「 ESM 」という。)は、EMUの金融安定性の保護を支援してきた。ESMは2013年7月1日付で、EFSF
およびEFSMが遂行していた任務を引き継ぎ、現在は、深刻な金融危機に脅かされているか、またはかかる危機に直
面しているユーロ圏加盟国に金融支援を提供することが、ユーロ圏全体の金融安定の保護のために極めて重要とみ
なされた場合に、当該加盟国に対する主要な支援機関として機能している。ESMは、金融市場で公社債または その
他の債券を発行し、 一定の条件下で ユーロ圏 加盟国に支援を提供するための資金を調達する。ユーロ圏加盟国から
の 保証に基づく EFSF とは異なり、ESMは、ユーロ圏加盟国 により 提供される 7,050 億ユーロの引受済資本を有し、こ
れが5,000億ユーロの有効貸出可能枠の元になっている。引受済資本のうち810億ユーロは、ユーロ圏加盟国により
提供される払込済資本の形式をとり、残りの6,240億ユーロは請求払資本の形式をとる。各ユーロ圏加盟国の拠出
額は、ECBへの払込済資本の金額に基づく。これに基づき、連邦共和国の拠出金額は、ESMへの拠出金総額の約27%
となる。連邦共和国はESMに対し、約220億ユーロの払込済資本を拠出した。
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ESM の 金融支援 は、 ユーロ圏加盟国から ESM 理事会の議長への要請に応じて発動され、選択される手段に適した厳
格な条件に従って実行される。ESMが最初に講じることのできる手段は、EFSFが実行可能な手段に基づきモデル化
されており、具体的 には、財政難にあるユーロ圏加盟国に対する融資、債券の発行市場および流通市場への介入、
予防プログラムに 基づく措置、ならび に政府 への 融資 、または 2014 年12月以降については、 影響を受けた金融機関
への資本再構成を目的と した 直接融資等が含まれる。各手段は、覚書と結びつけられ、覚書には、 ユーロ圏加盟国
がECB と の連携の下で欧州委員会と協議してきた 金融支援 の条件、ならびに ユーロ圏加盟国 が金融安定に向けて確
実に進展できるよう定められた監視および監督の手続が規定されている。原則として、ESMの下で行われる決定
は、相互合意によってなされる。しかし、欧州委員会およびECBが、ユーロ圏の財政および経済の安定性が脅かさ
れ、金融支援に関して緊急の決定が必要であると判断した際は、相互合意の規則は85%の特定過半数に置き換えら
れる。連邦共和国の議決権が約27%であることを考慮すると、連邦共和国は、緊急時の投票規則の下においても、
決定に対して拒否権を行使することができる。2022年1月現在、ESMのスペイン、キプロスおよびギリシャに対する
貸出金総額の残高は、約900億ユーロであった。
(出典:European Stability Mechanism, History (https://www.esm.europa.eu/about-us/history); European Commission,
Business, Economy, Euro, Economic and fiscal policy coordination, EU financial assistance, How is financial
assistance given to EU countries? (https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-fiscal-policy-
coordination/eu-financial-assistance/how-financial-assistance-given-eu-countries_en); European Stability
Mechanism, How we decide (https://www.esm.europa.eu/esm-governance#anc_shareholders); European Stability
Mechanism, How we work (https://www.esm.europa.eu/about-us/how-we-work#overview); European Stability Mechanism,
Financial Assistance, Lending toolkit (https://www.esm.europa.eu/financial-assistance/lending-toolkit#headline-
lending__toolkit); European Stability Mechanism, Explainers, The ESM, ESM decision making
(https://www.esm.europa.eu/explainers); European Stability Mechanism, Publications, Investor Presentation
(https://www.esm.europa.eu/system/files/document/2022-01/20220126_EFSF_ESM_InvestorPresentation.pdf))
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2021 年 1月27日および2021年2月8日に、ユーロ圏加盟国は、ESM設立条約を改正する協定に調印した。かかる改正
は、金融機関に対する直接資本注入策に代えて、ESMからの信用供与枠の形で単一破綻処理基金(Single
Resolution Fund)(以下「SRF」という。)に共通の緊急対策を設定するものであるが、これにより欧州銀行同盟
(以下「銀行同盟」という。)内の銀行の破綻処理における金融セーフティ・ネットが提供され、金融安定性の保
護が図られる(銀行同盟およびSRFについての詳細は、「 3) 通貨・金融制度 ― 金融制度― 欧州の金融制度 ― 欧州の
金融監督制度 および銀行同盟」を参照のこと。)。SRFへのESM融資の上限額は、680億ユーロに設定されている。
信用供与枠は、最終手段としてのみ、中期的に財政的に中立である範囲内で使用することができる(すなわち、か
かる信用供与枠は、銀行による事後的な拠出により3年から5年の期間で返済される。)。さらに、改正されたESM
条約には、ユーロ圏加盟国の政府が発行する満期が1年を超える債券について、一元的かつ集団的な対応に関する
条項の導入が盛り込まれている。これは、必要に応じて、発行者が同意し、(総計される)すべての関連するシ
2
リーズの債務証券残高の発行元本総額の66 / %以上の保有者の賛成票または書面による決議があれば、債券の条
3
件について一定のシリーズをまたいだ変更を認めることで、秩序的かつ予測可能なソブリン債務のリストラクチャ
リングを容易にする。さらに、改正されたESM条約は、ESMが将来の経済調整プログラムおよび危機予防において、
より強力な役割を果たすことを可能とする。かかる改正は、ユーロ圏全体の金融安定を守るために、自国では制御
不能な悪影響を受ける可能性がある堅固な基盤を有するユーロ圏加盟国に対し、ESMの予防的手段による支援が提
供されることを明確にした。これに伴い、予防的信用供与枠付与のための適格基準は厳格化された。ユーロ圏加盟
国が一定の量的基準を満たし、EUの監督に関連する質的条件を満たしている場合、覚書に基づき予防的信用供与枠
を要請することができる。ただし、受益加盟国(以下「BMS」という。)が適格基準を尊重しなくなった場合、信
用供与枠へのアクセスは停止される。基準を満たさないBMSが信用供与枠から資金を引き出した場合、追加マージ
ンが課される。改正されたESM条約は、すべてのユーロ圏加盟国の議会によって批准された際に発効する。かかる
批准については、ドイツ連邦憲法裁判所( Bundesverfassungsgericht )で争われている。裁判所の判断は2022年第
2四半期に出される予定である。
COVID-19 のパンデミックに対するEUの対応に関連したESMの役割についての詳細は、下記「COVID-19のパンデ
ミックに対するEUの対応 ―労働者、企業およびソブリンのためのセーフティ・ネット 」を参照のこと。
(出典:ESM, ESM Reform (https://www.esm.europa.eu/about-esm/esm-reform); ESM, ESM Treaty Reform - Explainer
(https://www.esm.europa.eu/about-esm/esm-treaty-reform-explainer#ui-id-5); European Union, Economic and Financial
Committee, Collective Action Clauses in the Euro area, “Single-limb” CAC (the “2022 CAC”)
(https://europa.eu/efc/efc-sub-committee-eu-sovereign-debt-markets/collective-action-clauses-euro-area_de);
Terms of Reference of the 2022 CAC (https://europa.eu/efc/system/files/2021-
04/EA%20Model%20CAC%20-%20Draft%20Terms%20of%20Reference.pdf); Council of the European Union, Infographic -
Reform of the European Stability Mechanism (ESM) (https://www.consilium.europa.eu/en/infographics/reform-of-the-
european-stability-mechanism-esm/))
COVID-19 のパンデミックに対するEUの対応
EU は、 COVID-19のパンデミックに対応して、パンデミック後の復興を目的とした広範な経済対策を通じて経済的
悪影響の低減および雇用支援に焦点を当てただけでなく、EUのワクチン戦略の策定、緊急時の資源、国家措置およ
び旅行制限の調整、ならびに検査および検疫の勧告の作成といった、EU加盟国を支援するための多くの措置を講じ
てきた。COVID-19のパンデミックに対するECBによる措置については、「3) 通貨・金融制度―金融政策―COVID-19
のパンデミックへの金融政策対応」を参照のこと。疫学的状況に関する最近の動向については、 「 6) その他― そ
の他の最近の動向 ― COVID-19 のパンデミックに対する全般的な考察」を参照のこと。
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EU 加盟国の柔軟性を高めるための措置 COVID-19のパンデミックに関連して、さらなる債務負担を含め、EU加盟
国が自国の国民および企業に対して必要な金融支援を拡大して最大限柔軟に行えるようにするため、2020年3月
に、EUは、上記「EU経済ガバナンス―SGP」および「4) 国家財政―ドイツの一般財政赤字/黒字および一般政府総
債務」において議論したように、SGPに基づく一般的免責条項を発動した。また、EU加盟国は一般にEUの国家援助
規則および手続の狭い枠組みの範囲内でのみ国家援助を行うことができるため、2020年3月に、欧州委員会は、
COVID-19のパンデミックに関連して経済を支援するための国家援助措置の暫定枠組み(以下「暫定枠組み」とい
う。)を採択し、COVID-19のパンデミックの影響を受けた企業および小規模企業に対し、EU加盟国が通常適用され
るものより緩和された条件で特定の種類の直接的な支援を提供することを認めた。暫定枠組みの対象となる支援の
種類には、直接的な補助金(または税制上の優遇)、銀行融資に対する国家保証の補助、金利補助を伴う公的およ
び民間の融資、企業(特に中小企業)への支援手段としての銀行の既存の融資能力の活用、必要に応じて短期輸出
信用保険を政府が提供することを可能にする追加的な柔軟性、ならびに株式およびハイブリッド資本商品の形での
援助を含む。これらの措置の目的は、長期的な成長見通しを妨げることなく事業を継続するか、または活動を一時
的に凍結する手段を企業が保持できるよう確保することである。現在、暫定枠組みは、何度か修正および延長さ
れ、2022年6月30日まで延長された。暫定枠組みは、国家援助規則に関して、つなぎ支援策および多様なKfWローン
等を含む、COVID-19のパンデミックに関連した数々の連邦および地域(連邦諸州)レベルでのドイツの政府支援策
の基盤を規定している。
労働者、企業およびソブリンのためのセーフティ・ネット 2020年4月9日、「ユーログループ」と呼ばれるユー
ロ圏加盟国の財務大臣らは、COVID-19のパンデミックに対する包括的な経済政策を採択し、これには、労働者、企
業およびソブリンのための3つの重要なセーフティ・ネットが含まれ、その複合的政策は5,400億ユーロを上限とし
た。労働者のセーフティ・ネットは、2020年5月に欧州理事会によって実施された一時的な「緊急時の失業リスク
緩和のための支援」(Support to mitigate Unemployment Risks in an Emergency )(以下「SURE」という。)の
ための欧州の制度に代表される。SUREは、EU加盟国の自発的保証制度を背景に、影響を受けるEU加盟国に対して、
EUからの融資の形で1,000億ユーロを上限とする金融支援を2022年末まで行う。SUREは、特に自営業者を対象とし
たCOVID-19のパンデミックに応じた短時間労働制度およびその他の同様の措置といった、雇用維持のための公的支
出の急増へ対応しようとしている。2022年3月末現在、総額944億ユーロの融資が承認され、総額918億ユーロの融
資がSUREに基づき実行されている。SUREの資金調達のために、欧州委員会は、2020年10月以降、ソーシャルボンド
を発行しており、2022年3月23日現在、総額918億ユーロが発行された。
EIB は、 250億ユーロの汎欧州保証基金に基づき、2,000億ユーロを上限とする投資に対する緊急支援策により、
EU全域の深刻な打撃を受けた中小企業を支援する流動性支援を提供することにより、企業に対するセーフティ・
ネットを提供している。ESMは、パンデミック危機支援(Pandemic Crisis Support)(以下「PCS」という。)と
呼ばれるソブリンのためのセーフティ・ネットとなり、ユーロ圏加盟国に信用供与枠を提供している。2020年5月
中旬に運用が開始されたPCSの下では、ユーロ圏加盟国に対して総額2,400億ユーロを上限とする資金を提供するこ
とができる。欧州委員会による予備評価では、金融安定性リスク、銀行の支払能力、債務持続可能性、およびPCS
へのアクセスのための適格基準に関して、すべてのユーロ圏加盟国が支援を受ける資格があることを確認した。こ
れまでに、支援要請はなかった。信用供与枠は2022年末まで使用可能となる予定である。かかる期限はCOVID-19の
パンデミックのさらなる展開により、必要に応じて調整される可能性がある。
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EU 復興基金 COVID-19のパンデミックによる経済的および社会的損害からの回復を支援するため、EUは2020年12
月に、COVID-19のパンデミックの影響を軽減し、グリーンおよびデジタルへの移行の課題および機会により上手く
対応した近代的かつより持続可能な欧州の基盤を築くための復興基金に関する法的措置を採択した。EUの長期予算
であるMFFおよび8,070億ユーロ(現在価格)を上限とするEU復興基金(「次世代EU」とも呼ばれる。)は、併せ
て、合計約2兆ユーロ(現在価格)の回復を促進することを企図している。MFFの詳細については、上記「EUと欧州
統合―経済統合―EU予算」も参照のこと。EU復興基金の最も重要な構成要素は、RRFであり、EU加盟国による改革
および投資を支援するために、7,240億ユーロ(現在価格)を上限とする融資および供与が利用可能である。RRFに
アクセスするためには、EU加盟国は、欧州委員会によって評価され、その後ケースバイケースで欧州理事会によっ
て承認される国家の復興・回復計画を提出することが求められる。当該EU加盟国に対する利用可能な支援総額の
13%の事前融資の後、EU加盟国は、一定の合意された節目および目標に達した時点で、年に2回まで追加の拠出を
要求することができる。2021年12月31日現在、欧州委員会はRRFに基づき20の加盟国に対し643億ユーロを拠出して
おり、そのうち464億ユーロは供与の形で、180億ユーロは融資の形で拠出されている。EU復興基金に基づく資金の
残高は、EUの既存の制度および支援プログラムを通じて利用されている。
EU 復興基金を実行するために、EUの独自財源決定が、すべてのEU加盟国により、それぞれの憲法上の要請に従っ
て批准された。かかる決定は、EU予算の資金調達の方法を定めるもので、2020年12月14日に、EU予算に適用される
特別な法的手続に従って、欧州理事会により採択されたものである。欧州委員会は、独自財源決定に基づき、
COVID-19のパンデミックによる経済的低迷からの回復を支援するために、EU復興基金のために資本市場から最大
8,069億ユーロ(現在価格)を一時的に借り入れる権限を例外的に与えられた。欧州委員会は、2021年6月から12月
にかけて、長期EU債を通じて次世代EUのために710億ユーロを調達し、そのうち120億ユーロはグリーンボンドを通
じて調達した。また、2021年12月31日現在、EU手形による短期債が約200億ユーロ発行されている。欧州委員会
は、2022年1月から6月の間に500億ユーロの長期EU債を発行し、短期EU手形で補完する計画を発表した。
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(出典:European Commission, Overview of the Commission’s response, accessed on March 23, 2022
(https://ec.europa.eu/info/live-work-travel-eu/coronavirus-response/overview-commissions-response_en); European
Commission, State Aid Cases – State Aid Actions, accessed on March 23, 2022 (https://ec.europa.eu/info/live-work-
travel-eu/coronavirus-response/jobs-and-economy-during-coronavirus-pandemic/state-aid-cases_en); Council of the
European Union, COVID-19: the EU’s response to the Economic Fallout, accessed on March 23, 2022
(https://www.consilium.europa.eu/en/policies/coronavirus/covid-19-economy/); European Commission, SURE, accessed
on March 23, 2021 (https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/economic-and-fiscal-policy-
coordination/financial-assistance-eu/funding-mechanisms-and-facilities/sure_en); European Stability Mechanism,
ESM Pandemic Crisis Support – Explainer, Timeline and Documents, accessed on March 23, 2022
(https://www.esm.europa.eu/content/europe-response-corona-crisis); European Commission, Recovery Plan for Europe,
accessed on March 23, 2022 (https://ec.europa.eu/info/strategy/recovery-plan-europe_en); Council of the EU,
Multiannual financial framework for 2021-2027 adopted, press release of December 17, 2020
(https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2020/12/17/multiannual-financial-framework-for-2021-
2027-adopted/); European Commission, Recovery and Resilience Facility, accessed on March 23, 2022
(https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/recovery-coronavirus/recovery-and-resilience-facility_en);
European Commission, Semi-annual report on the execution of the NextGenerationEU funding operations pursuant to
Article 12 of Commission Implementing Decision C(2021)2502 June - December 2021, February 17, 2022
(https://ec.europa.eu/info/sites/default/files/about_the_european_commission/eu_budget/
com_2022_43_1_en_act_part1_v6.pdf); Council of the European Union, Green light from all member states for
EU recovery spending, press release of May 31, 2022 (https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-
releases/2021/05/31/green-light-from-all-member-states-for-eu-recovery-spending/))
統計基準
国民経済計算に関する統計基準
2014 年 8 月 以降、ドイツ連邦統計局は、国連の国民経済計算 ( SNA 2008) に基づく 2010 年 欧州国民および地域経
済計算 ( European System of National and Regional Accounts 2010)( 以下「 ESA 2010 」という。 ) に準拠して
ドイツ国民経済計算を作成している。 1991 年 以降のすべての期間について再計算を実施している。
国際収支に関する統計基準
2014 年 7 月 以降、ドイツの国際収支統計に関する方法論的概念は、 IMF の基準を改訂した国際収支・国際投資ポジ
ションマニュアル第 6 版 ( sixth edition of the Balance of Payments and International Investment Position
Manual)( 以下「 BPM6 」という。 ) に従う。 EU 加盟国は、欧州委員会が採用する規則に基づき、 BPM6 の適用を義務
付けられている。 1971 年 以降の国際収支データは、 BPM6 に従って計算し直された。
(出典:Bundesbank, Statistics, Methodological notes (https://www.bundesbank.de/en/statistics/external-
sector/balance-of-payments/methodological-notes-794532))
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IMF の統計開示基準
2015 年 2 月 以降、連邦共和国は、経済に関するデータの範囲、定期性、発表の時期に関する IMF の特別データ開示
基準プラス ( Special Data Dissemination Standard Plus)( 以下「 SDDS プラス」という。 ) を満たしている。
SDDS プラスは、既存の特別データ開示基準 ( Special Data Dissemination Standard) の拡張版として 2012 年 に作
成された。 SDDS プラスは、経済および財政に関する比較可能なデータを提供することで、金融部門の透明性および
相互依存性を改善し、ひいては早期段階におけるリスクの特定に寄与するよう設計されている。加盟国による SDDS
プラスの遵守は任意だが、これを適用すると、加盟国には、経済および財政に関するデータ開示の慣行について当
該基準を守り、 IMF に一定の情報を提供することが義務付けられる。
(出典:Bundesbank, Statistics, IMF related Data, SDDS Plus (Special Data Dissemination Standard)
(https://www.bundesbank.de/en/statistics/sets-of-indicators/sdds-plus/sdds-plus-795798))
2) 経済
概要
連邦共和国の経済システムは、1945年以来、個人の自由な活動と進歩的な社会主義を結合させた社会的市場経済
へと発展してきた。民間企業の自由および私有財産について、ドイツ憲法は、かかる基本的権利が公益に反して行
使された場合を除き、これらを保証する。市場経済において国家が果たす主な規制的機能は、市場の営みの場とな
る一般的条件の枠組みを設定することである。
主要な経済指標
ドイツ経済の規模は世界でも最大の部類に属し、2021年の年間GDPは3兆5,706.2億ユーロであった。物価調整後
のGDPは、2020年にCOVID-19のパンデミックによって4.6%減少した後、2021年に2.9%増加した。ドイツ経済は、
パンデミックの初年度の急激な落ち込みからなんとか回復したものの、景気は依然として危機前の水準には達して
おらず、COVID-19のパンデミックが始まる前年である2019年に比べて未だ1.8%下回っていた。1990年10月3日のド
イツ再統一後の初年度である1991年の水準と比較して、物価調整後のGDPは、43.6%増加した。就労者1人当たりの
物価調整後のGDPが1991年から24.3%増加し、生産性が向上したことが主因となって1991年以降のこのようなGDPの
成長につながった。ドイツ連邦統計局は、物価調整後のGDP算出に当たって、前年度の物価に基づく連鎖指数を使
用している。2021年の1人当たりGDP(現在価格)は42,918ユーロであり、就労者1人当たりGDP(現在価格)は
79,488ユーロであった。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 – 2021 (March 2022), Table 2.1.4)
連邦共和国では、他の多くの先進国の経済と同様、サービス部門がGDP中(粗付加価値に関して)最大の割合を
占めている。現在価格で測定した粗付加価値のうちサービスは、1991年に61.9%を占めたのに対し、2021年は
69.7%であった。最も重要な2つのサブセクターは、「流通・運送・宿泊・飲食サービス」と「公共サービス・教
育・健康」であり、「流通・運送・宿泊・飲食サービス」は、2021年に粗付加価値の16.1%(1991年は16.1%)を
占め、「公共サービス・教育・健康」は、2021年に粗付加価値の19.2%(1991年は15.9%)を占めた。生産部門
(建設業を除く。)が粗付加価値に占める割合は、1991年の30.8%に対し、23.5%であった。また建設業が粗付加
価値に占める割合は、1991年の6.0%に対し、2021年は5.9%、農林水産業が粗付加価値に占める割合は、1991年の
1.2%に対し、2021年は0.9%であった。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 – 2021 (March 2022), Table 2.2.1)
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2021 年 、GDP(現在価格)のうち民間最終消費支出は49.4%、総資本形成は22.0%、政府最終消費支出は22.4%
を占めた。財およびサービスの輸出および輸入がGDP(現在価格)に占める割合はそれぞれ47.5%および41.9%で
あり、2021年の貿易収支(国民経済計算に準ずる。)は、GDPの5.5%(2020年はGDPの5.7%)に相当する黒字と
なった。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 – 2021 (March 2022), Table 2.3.1)
2021 年 のドイツの経済状況は、COVID-19のパンデミックおよび関連する感染拡大防止措置ならびに世界的なサプ
ライチェーンの分断により引き続き影響を受けた。それにもかかわらず、2021年の夏にかけて、ドイツは、2020年
第3四半期から回復をし続けた。しかし、2021年第4四半期には、別の感染拡大によって、サービス部門の特定の領
域が制限され、かかる成長は再び減速した。全体として、2021年の物価調整後の年間GDPは、2020年と比べて2.9%
増加した。物価と営業日数の両方による影響を調整した後のGDPもまた、2.9%増加した。家計最終消費支出は、物
価調整後、前年比で0.1%増加した。輸出高は9.9%増加し、輸入高は9.3%増加した(すべて物価調整後)。純輸
出高の経済成長寄与率は、0.8%であった。総固定資本形成は、物価調整後で1.5%増加した。政府最終消費支出
は、物価調整後で3.1%増加した。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 – 2021 (March 2022), Tables 2.1.1 and 2.3.2)
年間平均登録失業率 ( 連邦雇用庁 ( Bundesagentur für Arbeit ) の「国内定義」に基づいて計算したもの ) は、
2020 年 の5.9%から減少して2021年は5.7%であった。国際労働機関(International Labour Organization)(以
下「ILO」という。)が設定した国際比較が可能な計算方法(以下「ILO定義」という。)によれば、年間平均失業
率は、2020年の3.6%から2021年は3.3%に減少した。国内定義とILO定義との差異については、下記「雇用および
労働力」を参照のこと。2021年のインフレ率(全国消費者物価指数(以下「CPI」という。)の上昇率で測定され
る。)は、2020年の0.5%に対し、3.1%に上昇した。2021年のエネルギー価格を除く年間インフレ率は2.3%で
あった。一般政府総債務は、2020年末の2兆3,141億ユーロに対し、2021年末は2兆4,758億ユーロであった。
( 出 典 :Bundesagentur für Arbeit, Monatsbericht Februar 2021, Table 6.1
(https://www.arbeitsagentur.de/datei/arbeitsmarktbericht-februar-2021-_ba146877.pdf); Statistisches Bundesamt,
Fachserie 18, Reihe 1.4 – 2021 (March 2022), Table 2.1.10 and 2.1.13; Statistisches Bundesamt, Fachserie 17,
Reihe 7 (February 2022), Table 1.1 and 1.2; Deutsche Bundesbank, Time series BBK01.BJ9059: General government
debt as defined in the Maastricht Treaty — Germany — overall
(https://www.bundesbank.de/dynamic/action/en/statistics/time-series-databases/time-series-
databases/745582/745582?listId=www_v27_web011_21a&tsId=BBK01.BJ9059))
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下表は、連邦共和国の各年の主要な経済指標を示したものである。
主要な経済指標
2021年 2020年 2019年 2018年 2017年
(単位:10億ユーロ、別途記載がある場合を除く。)
GDP-現在価格 3,570.6 3,367.6 3,473.4 3,367.9 3,267.2
(前年からの変動率)(%) 6.0 -3.0 3.1 3.1 4.2
GDP-物価調整後、連鎖指数(2015年=100)、
105.3 102.3 107.2 106.1 105.0
営業日数による影響調整前
(前年からの変動率)(%) 2.9 -4.6 1.1 1.1 2.7
GDP-物価調整後、連鎖指数(2015年=100)、
105.1 102.1 107.4 106.3 105.1
営業日数による影響調整後
(前年からの変動率)(%) 2.9 -4.9 1.1 1.1 3.0
失業率(ILO定義)(%)(1) 3.3 3.6 3.0 3.2 3.5
インフレ率(CPIの対前年比変動率)(%) 3.1 0.5 1.4 1.8 1.5
経常収支 265.3 238.7 262.9 267.7 255.8
一般政府総債務 (2)
2,475.8 2,314.1 2,045.7 2,062.6 2,111.4
(1) 就業可能で求職中の失業者。
(2) マーストリヒト条約の定義による。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.2 - 4. Vierteljahr 2021 (February 2022), Tables 1.1 and
1.11; Statistisches Bundesamt, Preise, Verbraucherpreisindizes, Gesamtindex und 12 Abteilungen,
Jahresdurchschnitte, Veränderung zum Vorjahr
(https://www.destatis.de/DE/Themen/Wirtschaft/Preise/Verbraucherpreisindex/Tabellen/Verbraucherpreise-
12Kategorien.html); Deutsche Bundesbank, Monatsbericht März 2022, Table XII.2; Deutsche Bundesbank, Time series
BBK01.BJ9059: General government debt as defined in the Maastricht Treaty - Germany - overall
(https://www.bundesbank.de/Navigation/EN/Statistics/Time_series_databases/Macro_economic_time_series/
its_details_value_node.html?tsId=BBK01.BJ9059&listId=www_v27_web001_02a))
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経済見通し
2022 年 4月27日に発表された連邦政府の予測では、ドイツの物価調整後のGDPは、2022年に2.2%上昇すると見込
まれている。ドイツ経済は、パンデミック後の回復軌道が続いているが、ロシアのウクライナ侵攻により、サプラ
イチェーンの混乱およびエネルギー価格の急騰が加わり、経済生産の重荷になっている。2022年後半には経済活動
は再び持ち直し、2023年の実質GDP成長率は2.5%と回復が続くと予測される。
2022 年 2月24日にロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、エネルギー市場の価格は急激に上昇した。このよう
な背景から、2022年のインフレ率は6.1%と予測されている。連邦政府は、2023年にはインフレ率が2.8%に低下す
ると予想している。民間消費は、高いインフレ率にもかかわらず、可処分所得の増加およびCOVID-19のパンデミッ
ク抑制策の解除により、2022年は3.7%の増加(2023年は2.3%の増加)と実質的に回復すると見込まれる。機械・
設備に対する公共部門投資の急増に支えられ、総固定資本形成合計は、2022年において3.4%および2023年におい
て4.6%の成長が見込まれる。建設投資は、引き続き高い住宅需要に後押しされ、2022年において1.7%および2023
年において2.2%の成長率が見込まれる。輸入は、旅行および観光の再開に支えられ、2022年において5.5%と大幅
に増加(2023年においては5.3%増加)すると予測されている。業界における供給面でのボトルネックが緩和され
れば、2022年から2023年にかけて、完全受注生産を視野に入れた輸出勢力も大幅に強化(2022は4.2%増加、2023
年は5.9%増加)されるはずである。経常黒字は、2022年においてGDPの5.7%まで減少し、2023年には6.6%まで増
加すると予測されている。
労働市場の回復は、継続すると思われる。短時間労働制度( Kurzarbeit ) の利用は、2022年において著しく減少
して年間平均50万人となり、2023年には危機前の水準である10万人にまで戻ると予想される。雇用は2022年初頭に
は大幅に持ち直しているが、雇用のさらなる増加は、人口動態の変化によって鈍化すると予想されている。連邦政
府の予測によると、雇用が2022年において1.0%および2023年において0.3%増加する見込みである。失業率(国内
定義に基づく。)は、2022年にパンデミック前の水準である5.0%まで低下し、2023年にはかかる水準を維持する
と予測されている。
(出典:Bundesministerium für Wirtschaft und Klimaschutz, Frühjahrsprojektion 2022, April 27, 2022
(https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Artikel/Wirtschaft/Projektionen-der-Bundesregierung/projektionen-der-
bundesregierung-fruehjahr-2022.html))
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一般的な経済政策
COVID-19 のパンデミックの経済的影響への対処が、引き続き2021年の経済政策の中心課題であった。2021年春ま
で、経済成長は、COVID-19のパンデミックおよび関連する感染拡大防止措置の影響を大きく受けた。サービス部門
のいくつかの分野の閉鎖に直面し、連邦政府は、その市民および企業に対し、迅速かつ的を絞った支援を提供し
た。COVID-19のパンデミックにより損失を被った企業を救済するため、様々な支援策およびローン・プログラムが
用意された。流動性を高めるため、ローンはKfW特別プログラムを通じて提供される。詳細については、「(4) 業
務の概況―2) 当年度の事業の状況―国内助成事業―ドイツにおけるCOVID-19のパンデミックによる経済的影響を
緩和するためのKfWによる措置」を参照のこと。保証銀行( Bürgschaftsbanken ) の保証プログラムおよび連邦政府
の大規模な保証プログラム( Großbürgschaften ) は、企業による借入れを行いやすくし、中小企業の資本基盤を強
化するために拡大された。WSFによって、連邦政府は、流動性の障害に対処し、大企業の資本基盤を強化するため
の手段を創出した。パンデミックにより特に影響を受けている企業および自営業者はまた、様々な供与、特につな
ぎ支援策( Überbrückungshilfe ) により支援された。企業の流動性を高め、それにより企業の強靭性を高めること
を目的として連邦政府により採択された追加の措置には、短時間労働に従事する従業員に対する社会保険料の還付
ならびに税金および社会保険料の簡素化された繰延べに係る一時的な選択肢を含む。COVID-19のパンデミックによ
り債務超過に陥った企業の破産申請義務を2021年4月末まで一時的に停止することで、企業に危機に対応する時間
を与え、政府の救済策が効力を発揮する機会をもたらすことが意図されている。
COVID-19 のパンデミックにより、利益および労働所得が大幅に減少した事例もある。数ある措置の中で特に、連
邦政府は、かかる損失を補償するため、基礎的給付の利用を一時的に簡素化した。自営業者も、他に生活手段が
(例えば、家賃所得を通して)確保されている場合を除き、これらの措置により給付を受けることができる。さら
に、従業員に関する損失を削減し、失業率の大幅な上昇を防ぐため、連邦政府は、短時間労働手当
( Kurzarbeitergeld ) の利用を容易にした。
つなぎ支援策、再就職支援( Neustarthilfe )、生活困難時支援( Härtefallhilfen )および短時間労働手当
( Kurzarbeitergeld ) の利用促進に関するパンデミック関連の規則の大半が、2022年6月末まで延長された。KfW特
別プログラムならびにWSFおよび保証プログラムは、2022年4月30日まで募集が行われた。さらに、多くの税金関連
のCOVID-19措置が企業および納税者に有利となるよう延長された。これらの措置には、簡素化された手続による納
税猶予の延長、在宅勤務に対する税額控除の延長、2020年、2021年および2022年の確定申告の届出期限の延長、 損
失相殺オプションの延長 、動産固定資産の早期償却オプションの延長、課税控除対象投資の投資期限の延長ならび
に短時間労働手当の非課税補助金が含まれる。
(出典:Bundesministerium der Finanzen, Viertes Gesetz zur Umsetzung steuerlicher Hilfsmaßnahmen zur Bewältigung
der Corona-Krise (Viertes Corona-Steuerhilfegesetz)
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Gesetzestexte/Gesetze_Gesetzesvorhaben/Abteilungen/
Abteilung_IV/20_Legislaturperiode/2022-02-25-Viertes-Corona-Steuerhilfegesetz/0-Gesetz.html); Bundesministerium
der Finanzen, BMF-Schreiben vom 31. Januar 2022,
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Downloads/BMF_Schreiben/Weitere_Steuerthemen/
Abgabenordnung/2022-01-31-steuerliche-massnahmen-zur-beruecksichtigung-der-
auswirkungen-des-coronavirus.pdf?__blob=publicationFile&v=1))
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連邦政府は、COVID-19のパンデミックが始まって以来、合計1,700億ユーロ超を企業、自営業者および従業員に
支援してきた。かかる支援には、約600億のユーロの補助金、550億ユーロ弱の融資、約246億ユーロの2020年およ
び2021年の 短時間労働手当 関連の支出、ならびに約176億ユーロの雇用主への 社会保障制度拠出金 関連の支出が含
まれる。
2020 年 春にCOVID-19のパンデミックの第一波が終息したことを受けて、連邦政府は、2020年6月に、その後の景
気回復の支援に焦点を当てた措置を採択し、2020年および2021年に合計約1,800億ユーロの予算を計上した景気刺
激策をとりまとめた。景気刺激策の最優先事項は、雇用を守り、経済を安定させることであった。この目的のた
め、連邦政府は、企業および一般世帯の財政状態を支援するための様々な措置を講じた。さらに、景気刺激策に
は、気候変動、デジタル化および人口動態の変化等の今後の課題に対処することを目的とした、将来への投資を強
化するための措置も含まれた。景気刺激策の一環として、約500億ユーロ規模の「将来に向けた政策」は、近い将
来、主要な課題になると予想される気候の保護、エネルギー転換、交通およびデジタル化等の分野における財政上
のインセンティブを提供している。さらに、連邦政府は、インフラ拡張のための資金も提供している。「将来に向
けた政策」により、連邦政府は、主に既存の措置に基づきながら、デジタル化および気候の保護に関連する課題に
具体的に取り組む方針を継続している。
ドイツは、世界的なバリューチェーンに完全に統合された先進工業国として、環境保護の責任を担ってきた。
2015年にパリで行われた世界気候会議において、ドイツを含む197ヶ国が、気候保護を世界規模の根本的な課題と
して認識し、地球温暖化を2℃よりかなり低く、可能であれば1.5℃に抑えること、および今世紀後半までに世界全
体で温室効果ガスニュートラルを達成することを公約した。国家レベルでは、連邦気候保護法( Bundes-
Klimaschutzgesetz ) (以下「KSG」という。)が、ドイツにおける気候保護政策の中心的な法的枠組みを定めてい
る。特に2021年8月のKSG改正は、気候変動への対処に関する政府の憲法上の義務を明確にした2021年3月24日の連
邦憲法裁判所の著名な判決を考慮し、また、EUの新しい2030年の気候目標の最初の実施として機能している。改正
KSGでは、2030年の削減目標を1990年比で65%(従来は55%)以上、2040年の新たな中間削減目標を88%以上およ
び2045年まで(従来は2050年まで)に温室効果ガスニュートラルを目標とし、2050年以降は、全分野においてネガ
ティブエミッションを達成することを規定している。この目的のため、連邦政府は、2030年までの期間の気候保護
プログラム(以下「2030年気候保護プログラム」という。)を策定した。かかるプログラムは、全分野における施
策を提示し、より包括的な二酸化炭素の価格設定、二酸化炭素削減のためのサポート・プログラムおよび追加的な
インセンティブ、国民および経済の救済措置ならびに遅くとも2030年までにその効果が発揮される規制措置という
4つの要素で構成されている。2030年気候保護プログラムに基づき、2019年に連邦政府は、2020年から2023年まで
の期間につき約540億ユーロの気候保護関連措置のための資金を確保した。景気刺激策に含まれる将来に向けた政
策において、同じ目的のため追加で150億ユーロを提供した。とりわけ、国家水素戦略の実施のための追加資金が
利用可能となり、二酸化炭素排出建造物の改築プログラムに利用できる金額が増額した。2021年12月13日に、連邦
政府は、2021年度第二次補正予算案を承認した。これは、COVID-19のパンデミックの影響に対処するために、すで
に予算化された未使用の信用割当から600億ユーロをエネルギー・気候基金に再配分するものである。とりわけ、
かかる基金は、建物、二酸化炭素ニュートラルな交通、排出量が集中するプロセスを有する産業における新しい生
産設備および二酸化炭素ニュートラルなエネルギー供給のためのインフラの拡大への投資を支援することを目的と
している。
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連邦政府は、野心的な気候政策目標および急速な技術変化に鑑み、民間投資のための枠組み条件を改善し、デジ
タル化および持続可能性の要件を視野に入れて洗練させていく意向である。この目的のため、連邦政府は、行政手
続、計画手続および承認手続ならびに行政裁判手続を加速させ、不必要な官僚主義を削減し、租税政策に的を絞っ
た推進力を与えるよう努めている。競争法は、データおよびプラットフォーム経済の要件にさらに適応させること
を意図している一方で、公的調達に関する規則は、持続可能性の目標に沿って最適化され、近代化される予定であ
る。さらに、ドイツ政府は、経済の回復力を強化し、保護主義を排除するために、多国間主義に基づき、公正な社
会的基準および生態学的基準に基づいた、規則および価値を基準とした貿易政策を追求している。
連邦政府は、ブロードバンドの拡大、鉄道網におけるモバイル通信およびサービスが行き届いていない地域にお
ける高性能モバイル通信ネットワークのための追加資金を提供することにより、特に地方におけるデジタルインフ
ラの改善を推進することを目指している。これに関連して、連邦政府は、最近の方針を踏まえ、2025年までに全国
的にモバイル通信のサービス提供を可能にし、ギガビット対応の固定ネットワークを普及させることを目指してい
る。連邦政府はまた、行政および民間事業者のデジタル化を推進している。
連邦政府は、社会参加および社会的受容が構造改革を成功させるための基本的な前提条件であると考えている。
その中で、労働市場は、雇用の増加、能力の向上および公正な賃金の確保のための鍵となる。特に、連邦政府は、
2022年10月の1回限りの調整で、法定最低賃金を時給12.00ユーロに引き上げる予定である。その後、独立した最低
賃金委員会がさらなる引上げを再び決定することとなる。連邦政府は、技能労働戦略および国家継続教育戦略を引
き続き発展させる見込みである。これには、女性および高齢の労働者の労働力参加の増加、職業訓練の新たな促
進、教育および専門能力開発の継続、労働力移民の増加、ならびに技能労働者が不足しているかまたは不足する可
能性がある地域におけるより魅力的な労働条件の創出が含まれる。連邦政府はまた、教育および芸術に対する諸州
の主権を認識しつつ、連邦諸州と協働して教育への公的支出を大幅に増加することを意図しており、すべての連邦
レベル間のより緊密かつより的を絞った、拘束力のある協力(協力要件)を目指している。
連邦共和国の財政状況および見通しの詳細については、「4) 国家財政―ドイツの一般財政赤字/黒字および一般
政府総債務」および「4) 国家財政―財政見通し」を参照のこと。ドイツの金融制度を安定化させるための政府の
施策については、「3) 通貨・金融制度―金融制度―ドイツの金融制度」を参照のこと。政府予算については、
「4) 国家財政」を参照のこと。ロシアによるウクライナ侵攻への対応を含む、2022年までに採択された財政措置
の現状および懸案事項に関する詳細については、「 6) その他― その他の最近の動向 ― ロシアのウクライナ侵攻に
対するドイツの対応」を参照のこと。
(出典:Bundesministerium für Wirtschaft und Energie, Jahreswirtschaftsbericht 2021
(https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Publikationen/Wirtschaft/jahreswirtschaftsbericht-2021.pdf?
__blob=publicationFile&v=16); Bundesministerium für Wirtschaft und Klima, Jahreswirtschaftsbericht 2022
(https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Publikationen/Wirtschaft/jahreswirtschaftsbericht-2022.pdf?
__blob=publicationFile&v=18); Bundesministerium für Arbeit und Soziales, Mit Kurzarbeit weiter Arbeitsplätze
sichern, press release of February 9, 2022 (https://www.bmas.de/DE/Service/Presse/Pressemitteilungen/2022/mit-
kurzarbeit-weiter-arbeitsplaetze-sichern.html))
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GDP
下表は、連邦共和国の現在価格に基づく GDP の構成を、各年の用途および源泉により、前年からの変化とともに
示したものである。
GDP の構成 ― 用途
2021 年 2020 年 2019 年 2018 年 2017 年 2021 年 2020 年 2019 年 2018 年
( 単位 :10 億ユーロ ) ( 変動率 )(%)
国内使用 3,373.1 3,174.8 3,277.1 3,160.1 3,035.6 6.2 -3.1 3.7 4.1
最終民間消費 1,763.0 1,708.0 1,802.9 1,752.1 1,702.5 3.2 -5.3 2.9 2.9
最終政府消費 801.3 754.6 705.2 670.4 648.2 6.2 7.0 5.2 3.4
総固定資本形成 783.9 735.9 742.2 709.2 666.9 6.5 -0.9 4.7 6.3
機械・設備 228.2 216.9 241.1 235.5 224.4 5.2 -10.0 2.4 4.9
建設 414.3 380.1 364.1 345.5 321.7 9.0 4.4 5.4 7.4
その他の製品 141.5 138.9 137.0 128.2 120.7 1.8 1.4 6.9 6.2
在庫の変動 (1)
24.9 -23.7 26.8 28.5 18.0 — — — —
輸出純額 (1)
197.5 192.8 196.2 207.7 231.6 — — — —
輸出 1,694.6 1,462.1 1,619.4 1,593.0 1,540.9 15.9 -9.7 1.7 3.4
1,497.0 1,269.3 1,423.2 1,385.3 1,309.3 17.9 -10.8 2.7 5.8
輸入
3,570.6 3,367.6 3,473.4 3,367.9 3,267.2 6.0 -3.0 3.1 3.1
GDP
(1) 純持高は潜在的に変化する可能性があるため、変動率 (%) は表示しない。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.2 – 4. Vierteljahr 2021 (February 2022), Tables 3.1 and
3.9)
GDP の構成―源泉
2021 年 2020 年 2019 年 2018 年 2017 年 2021 年 2020 年 2019 年 2018 年
(単位:10億ユーロ) (変動率)(%)
粗付加価値
3,228.9 3,050.3 3,130.7 3,035.2 2,944.1 5.9 -2.6 3.1 3.1
(全経済部門)
農林水産業 28.6 24.8 27.1 23.2 27.8 15.4 -8.5 16.6 -16.6
生産部門(建設業
758.2 715.8 777.6 771.4 759.2 5.9 -7.9 0.8 1.6
を除く。)
建設業 191.9 177.6 160.5 148.2 138.0 8.0 10.7 8.3 7.4
流通・運送・宿
518 .4 479 .5 501 .0 483.1 469.1 8.1 -4.3 3.7 3.0
泊・飲食サービス
情報・通信 161.8 153.3 151.7 145.9 135.5 5.5 1.1 4.0 7.7
金融・
122.1 122.8 121.4 118.4 118.4 0.3 0.3 2.6 0.0
保険サービス
不動産業 346.3 336.7 329.2 320.5 313.2 2.8 2.3 2.7 2.3
企業向けサービス 366.8 337.1 358.5 353.6 336.8 8.8 -6.0 1.4 5.0
公共サービス・
620.2 592.5 583.4 555.2 534.0 4.7 1.6 5.1 4.0
教育・健康
その他のサービス 114.6 111.0 120.3 115.6 112.0 3.2 -7.7 4.1 3.2
商品助成金との間で
341.7 317.2 342.7 332.7 323.1 7.7 -7.4 3.0 3.0
相殺される商品課税
3,570.6 3,367.6 3,473.1 3,367.9 3,267.2 6.0 -3.0 3.1 3.1
GDP
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.2 – 4. Vierteljahr 2021 (February 2022), Tables 1.14 and
2.1)
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経済部門
生産部門
1990 年 のドイツ再統一後、東部の連邦諸州(すなわち、旧GDRの領地)の産業は再編の過程を経てきた。現在、
ドイツの生産部門は、小・中・大規模企業がバランスよく混在していることを特徴としており、そのほとんどすべ
てが民間企業である。付加価値に占める比率により測定すると、生産部門の約59%は、地域でいえば、ドイツ西部
のバイエルン、バーデン-ビュルテンベルクおよびノルトライン-ヴェストファーレンの各連邦州に集中してい
る。生産部門の主要セグメントは、自動車製造、機械・設備、電気・光学機器、卑金属および組立金属製品、なら
びに化学品および化学製品である。粗付加価値(現在価格)に占める生産部門全体の割合は、2021年は23.5%(建
設業を除く。)および29.4%(建設業を含む。)であった。当該部門の物価調整後の粗付加価値(建設業を除
く。)は、2021年において前年比で4.1 %増加した 。
(出典:Volkswirtschaftliche Gesamtrechnungen der Länder, Reihe 1, Länderergebnisse Band 1 (March 2022), Table
2.3; Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 – 2021 (March 2022), Tables 2.2.1 and 2.2.2)
生産部門の生産高 (1)
(2015年=100)
2021年 2020年 2019年 2018年
生産部門合計
97.0 94.1 102.5 105.8
工業 (2)
94.8 91.0 101.6 106.0
内訳:
中間財 (3)
102.2 94.9 101.8 105.5
資本財 (4)
87.2 85.7 101.4 106.0
耐久消費財 (5)
103.7 97.6 106.2 106.2
非耐久消費財 (6)
99.0 97.2 101.0 106.9
エネルギー (7)
86.9 84.4 90.4 97.4
建設業 (8)
114.2 116.1 112.8 109.1
(1) 営業日数の差異を考慮した調整後。
(2) 製造業(エネルギーの項に割り当てられたもの、鉱業および採石業を除く。)。
(3) エネルギー生産品以外の鉱業および採石業を含む。
(4) 自動車・部品製造を含む。
(5) 消費財のうち、家具等、耐用期間が長いもの。
(6) 消費財のうち、食品等、耐用期間が短いもの。印刷業および印刷関連サービス業を含む。
(7) 電力、ガス、蒸気および温水の供給、エネルギー生産品の鉱業および採石業、ならびに特に石油精製品の製造。
(8) 経済分類上の「敷地造成」および「完全または部分建設および土木工学作業」から成る。
(出典:Deutsche Bundesbank, Monatsbericht März 2022, Table XI.2)
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サービス部門
他のほとんどの工業国と同様、「流通・運送・宿泊・飲食サービス」、「情報・通信」、「金融・保険サービ
ス」、「不動産業」、「企業向けサービス」、「公共サービス・教育・健康」および「その他のサービス」から成
るサービス部門は、近年急速に拡大しており、現在では粗付加価値に占める割合は最大となっている。サービス部
門が粗付加価値(現在価格)に占める割合は、1991年にはわずか61.9%であったのに対し、2021年は69.7%であっ
た。サービス部門の中でも「公共サービス・教育・健康」が粗付加価値(現在価値)の合計に占める割合は最も大
きく、1991年の15.9%を経て2021年は19.2%であった。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 – 2021 (March 2022), Table 2.2.1)
雇用および労働力
2021 年 に経済生産高が増加し、労働市場環境は改善した。2021年の国内定義による平均失業率は、2020年の
5.9%に対して、5.7%であった。ILO定義による平均失業率は、2020年の3.6%に対して、2021年は3.3%であっ
た。2021年のドイツ国内に居住する従業員および自営業者の総数は4,480万人で、2020年と比べてほぼ横ばいで
あった。
(出典:Bundesagentur für Arbeit, Monatsbericht Februar 2022, Table 6.1
(https://www.arbeitsagentur.de/datei/arbeitsmarktbericht-februar-2022_ba147381.pdf); Statistisches Bundesamt,
Fachserie 18, Reihe 1.4 – 2021 (March 2022), Table 2.1.13)
下表は、各年の雇用および失業に関する情報を示すものである。失業についてのILO定義および国内定義は、
様々な点で異なっている。さらに、失業の国内定義は、行政データに適用されているのに対し、ILO定義による失
業は、調査を用いて測定されている。
雇用および失業の状況
2021年 2020年 2019年 2018年 2017年
従業員数(ILO定義)(単位:千人)
44,804 44,803 45,125 44,719 44,131
失業者数(ILO定義)(1)(単位:千人) 1,506 1,664 1,374 1,468 1,621
失業率(ILO定義)(%) 3.3 3.6 3.0 3.2 3.5
失業者数(国内定義)(2)(単位:千人) 2,613 2,695 2,267 2,340 2,533
失業率(国内定義)(3)(%) 5.7 5.9 5.0 5.2 5.7
(1) 就業可能で求職中の失業者。
(2) 就業可能で求職中の登録失業者(週15時間までの労働者を含む。)。
(3) 総労働人口(軍隊を除く。)に対する割合(%)。
(出典:Bundesagentur für Arbeit, Monatsbericht zum Arbeits- und Ausbildungsmarkt: Dezember und das Jahr 2021,
Table 10.1; Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.2 – 4. Vierteljahr 2021 (February 2022), Table 1.11)
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下表は、 2021 年 の性別および年齢別の雇用率に関する情報を示すものである。
雇用率―性別・年齢別
2021年
(年齢) 合計 男性 女性
(同年代・同性の総人口に対する従業員の割合(%))
15歳-19歳 26.8 29.4 24.0
20歳-24歳 67.0 69.0 64.8
25歳-29歳 80.1 82.7 77.4
30歳-34歳 83.4 88.2 78.3
35歳-39歳 84.4 89.8 78.9
40歳-44歳 85.8 89.6 82.0
45歳-49歳 86.5 89.7 83.3
50歳-54歳 85.7 89.0 82.4
55歳-59歳 81.1 84.8 77.5
60歳-64歳 61.4 65.8 57.2
65歳-69歳 17.2 20.7 14.1
15歳-64歳 75.8 79.4 72.1
7.5 10.0 5.4
65歳以上
58.9 63.7 54.2
合計
(出典:Statistisches Bundesamt, Erwerbsbeteiligung, Erwerbstätige und Erwerbstätigenquote nach Geschlecht und
Alter, Ergebnis des Mikrozensus 2021
(https://www.destatis.de/DE/Themen/Arbeit/Arbeitsmarkt/Erwerbstaetigkeit/Tabellen/erwerbstaetige-
erwerbstaetigenquote.html))
下表は、2021年および2011年の経済部門別の雇用形態に関する情報を示すものである。
雇用形態―経済部門別
2021年 2011年
(全体に対する割合(%))
農林水産業 1.3 1.6
生産部門(建設業を除く。) 18.0 18.9
内訳:製造業 16.6 17.5
建設業 5.8 5.7
流通・運送・宿泊・飲食サービス 22.0 23.1
情報・通信 3.2 2.8
金融・保険サービス 2.4 2.9
不動産業 1.1 1.1
企業向けサービス 13.6 13.0
公共サービス・教育・健康 26.1 23.8
6.6 7.1
その他のサービス
合計 (1)
100.0 100.0
(1) 四捨五入により合計が一致しない場合がある。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 – 2021 (March 2022), Table 2.2.9)
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下表は、各年の従業員 1 人当たりの年間賃金水準および実働 1 時間当たりの単位労働コストの変化を示したもので
ある。
賃金動向および労働コスト
2021年 2020年 2019年 2018年 2017年
従業員1人当たりの総賃金および給与
38,241 36,951 36,995 35,929 34,822
(ユーロ)
前年からの変動率(%) 3.5 -0.1 3.0 3.2 2.6
実働1時間当たり単位労働コスト
指数(2015年=100) 113.1 112.2 108.5 105.3 102.2
前年からの変動率(%) 0.8 3.4 3.1 3.0 1.0
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.2 – 4. Vierteljahr 2021 (February 2022), Tables 2.17 and
2.20)
ドイツの労働者の約 6 分の 1 は労働組合に加入しており、ドイツ労働組合同盟 ( Deutscher Gewerkschaftsbund )
が 8 つの労働組合を統括している。2021年には、約570万人がドイツ労働組合同盟の傘下の組合に加入しており、こ
れはドイツ再統一後の初年度であった1991年の1,180万人と比較すると、大幅に少ない。かかる1991年以来の大幅
な減少は主に、再統一後、東部の連邦諸州における製造業の雇用が著しく減少したことによるものである。
各労働組合には通常、個人の職種に関係なく、ある産業の全労働者が加入している(「一業種一組合」の原
則)。その結果、雇用者側は通常、各特定産業の労働者側を代表する単一の交渉相手と交渉を行うこととなる。各
特定産業の労働組合と雇用者側は、政府の干渉を受けずに、労働協約( Tarifverträge ) を締結する。雇用者がそ
の産業の雇用者協会の会員であれば(ほとんどの場合がこれに該当する。)、従業員が労働組合に加入しているか
否かを問わず、大抵は当該産業の全労働者に労働協約が適用される。その拘束力にもかかわらず、労働協約には多
くの場合、オプトアウト条項( Öffnungsklauseln ) が含まれ、雇用者と労使協議会間で会社独自の調整を協議する
ことが認められている。さらに、労働協約の条項から逸脱するさらなる可能性が広く認められている。また東部の
連邦諸州では多くの雇用者が雇用者協会の会員ではなく、賃金は個別交渉に委ねられるため、労働協約で定められ
ているよりも賃金水準が低くなるのが通常である。
(出典:Deutscher Gewerkschaftsbund, DGB-Mitgliederzahlen ab 2010 (https://www.dgb.de/uber-uns/dgb-
heute/mitgliederzahlen/2010); Deutscher Gewerkschaftsbund, Mitgliederzahlen 1950-1993 (https://www.dgb.de/uber-
uns/dgb-heute/mitgliederzahlen/1950-1993); European Trade Union Institute, National Industrial Relations,
Countries, Germany, Trade Unions (https://www.worker-participation.eu/National-Industrial-
Relations/Countries/Germany); Bundeszentrale für politische Bildung, Tarifautonomie
(https://www.bpb.de/nachschlagen/lexika/handwoerterbuch-politisches-system/202193/tarifautonomie))
社会保障、社会的保護および社会政策
連邦共和国で現在実施されている社会保障および社会的保護の総合的制度には、特に、健康保険、長期介護保
険、退職・高度障害年金、参加給付および医学的リハビリテーションのための給付、強制的労働災害保険による労
働災害および疾病の影響に対する保護、失業手当、短時間労働制度における労働者への補償、家族給付、障害者の
ための給付およびリハビリテーション、孤児手当、扶養独身者手当ならびに貧困者に対する一般公的補助が含まれ
ている。ドイツの人口の大半は、強制的法定年金および健康保険の対象者となっている。児童や障害者向けの病院
および施設は、地方自治体、教会、慈善団体および民間業者によって運営されている。
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これらの社会サービスの大部分に必要な資金は、主に雇用者および従業員からの社会保障制度拠出金で賄われ、
一部は連邦共和国、連邦諸州、地方自治体、その他の公的機関からの直接拠出金によって賄われている。これは、
特に、各社会サービスが、拠出金を財源とする保険に基づく制度により提供されているか、または税金を財源とす
る社会扶助類似のプログラムにより提供されているかに依存する。
連邦共和国の法定年金保険制度は賦課方式で実施されており、現役の雇用者と従業員からの拠出金をすでに退職
した者への支払に充てている。一般に、大半の従業員ならびに一部の自営業者およびその他の者は、法定退職制度
における強制保険の対象である。特定の専門職(一部の自由契約の専門職を含む。)の従業員等の一部の者は、法
定年金保険制度の強制加入に対する免除申請を行うことができる一方、その他の者は、公務員の場合と同様に、自
動的に当該強制加入を免除される。免除された者達は、代わりに、職種別年金制度または公的年金制度に拠出しな
ければならず、公務員およびこれに類似するグループについては、公務員向け特別年金制度から給付を受ける。さ
らに、退職基金法( Altersvermögensgesetz ) は、法定年金保険からの支払を削減するとともに、一定の特別な支
払や税制上の優遇措置を受けられる、指定された個人積立年金制度または職域年金制度にも登録するように被保険
者に推奨することで、法定年金保険制度の長期にわたる存続可能性の確保を目指している。
法定健康保険による補償は、適用される適格基準を満たした者すべてに対して引き続き提供されなければならな
い。法定健康保険制度においては、被保険者は長年事業を展開してきた数多くの法定健康保険基金の中から、加入
先を選択することができる。総所得が一定の基準値を上回る者や、公務員、自営業者および一定の専門職に該当す
る者は、法定制度に加入せず、民間健康保険を選択することができる(法定制度に加入しない場合には、民間健康
保険への加入が義務付けられている。)。法定健康保険制度への拠出金は、被保険者の所得状況のみに基づいて決
定され、被保険者の性別、年齢および健康上のリスクとは無関係であるが、これに対して、民間健康保険に対する
拠出金は、主に年齢、健康上のリスクおよび希望する補償範囲を基に計算されている。
2021 年 の国民経済計算に示される社会保障収入の総額は7,827億ユーロ、支出は7,783億ユーロであった。した
がって、2021年の社会保障予算は、2020年の350億ユーロの赤字の後、44億ユーロの黒字であった。2020年の赤字
は、COVID-19のパンデミックにより、失業手当の増加、短時間労働手当の大規模な支給ならびに年金および児童手
当の支払の増加に起因する社会給付金の著しい増加によるものである。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 – 2021 (March 2022), Table 3.4.3.7; Statistisches
Bundesamt, Negative government finance in 2020: deficit of 139.6 billion euros, press release of February 24,
2021 (https://www.destatis.de/EN/Press/2021/02/PE21_082_81.html))
人口構成の変化に照らして、連邦政府は、長期にわたる年金制度の持続可能性を確保するために法定年金制度の
構造改革をすでに実行している。さらに、連邦共和国においては、法定年金保険の改革が実施され、2012年から定
年を段階的に2歳引き上げて67歳とすることになった。例えば、1964年に出生した集団は、2031年に通常の定年で
ある67歳を迎えることになる。
健康保険制度の持続可能性を高めるために、連邦共和国においては、医療サービスの効率性および質を改善する
ことを目的として、医療提供者間の競争を強化するための複数の構造改革策が実施されている。
(出典:Bundesministerium der Gesundheit, Gesundheitsfonds
(https://www.bundesgesundheitsministerium.de/gesundheitsfonds.html); European Commission, Employment, Social
Affairs & Inclusion, Germany - Pensions and other old age benefits (https://ec.europa.eu/social/main.jsp?
catId=1111&intPageId=4554&langId=en [ec.europa.eu]))
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国際的経済関係
国際的経済関係は、ドイツ経済にとって極めて重要である。2021年の財およびサービスの輸出および輸入は、現
在価格に基づくGDPのそれぞれ47.5%および41.9%を構成している。連邦共和国は、EUが関税その他の貿易障壁を
取り除くことを目的とした自由貿易政策を推進できるよう支援している。EUにおける貿易問題(特にWTOおよび自
由貿易協定)の責任は、欧州委員会にある。貿易問題に関するEUの責任の詳細については、「1) 概括―EUと欧州
統合―経済統合」を参照のこと。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 – 2021 (March 2022), Table 2.3.1)
連邦共和国の経済の開放性のため、ドイツの成長および雇用は、特に公開市場および外国貿易に依存している。
したがって、連邦政府は、貿易障壁を取り除くための取組みを支援している。WTOを中心とした多角的貿易体制の
強化は、ドイツにとっても、またEUにとっても優先事項である。連邦政府および欧州委員会の双方は、欧州経済の
国際競争力を高め、ひいては欧州の成長および雇用を促進するとともに、持続可能な開発にも貢献するため、野心
的かつバランスの取れた包括的な自由貿易協定を推進している。これらの協定の例が、EUとカナダとの間で締結さ
れた包括的経済貿易協定(以下「CETA」という。)であり、2017年2月に欧州議会に承認された。2017年9月21日、
CETAが暫定的に発効した。すなわち、投資保護、ポートフォリオ投資のための投資市場へのアクセスおよび投資裁
判所制度を除く大半の合意は、すでに発効済みである。CETAは、すべてのEU加盟国による批准後、完全に発効す
る。同様に、2019年2月、EUおよび日本の間での自由貿易合意(経済連携協定)が発効したが、これにより大半の
義務および規制による障害が解消することが見込まれる。
(出典:Bundesministerium für Wirtschaft und Energie, Current free trade agreements
(https://www.bmwi.de/Redaktion/EN/Artikel/Foreign-Trade/ongoing-negotiations-on-free-trade-agreements.html);
Bundesministerium für Wirtschaft und Energie, WTO-Welthandelsrunde “Doha Development Agenda”
(https://www.bmwi.de/Redaktion/DE/Artikel/Aussenwirtschaft/wto-doha.html); Bundesministerium für Wirtschaft und
Energie, CETA – Das europäisch-kanadische Wirtschafts- und Handelsabkommen
(https://www.bmwi.de/Redaktion/DE/Dossier/ceta.html); Bundesministerium für Wirtschaft und Energie, Europäisches
Parlament stimmt CETA zu, press release of February 15, 2017
(https://www.bmwi.de/Redaktion/DE/Pressemitteilungen/2017/20170215-europaeisches-parlament-stimmt-ceta-zu.html);
European Commission, EU-Canada agreement (https://policy.trade.ec.europa.eu/eu-trade-relationships-country-and-
region/countries-and-regions/canada/eu-canada-agreement_en); Bundesministerium für Wirtschaft und Energie, EU-
Japan Free Trade Agreement (https://www.bmwi.de/Redaktion/EN/Artikel/Foreign-Trade/free-trade-agreement-
japan.html))
国際収支
連邦共和国は、財の貿易について概ね黒字を達成している。かかる黒字は従来、サービスおよび第二次所得等の
その他の分野の赤字により一部相殺されてきた。2021年の経常黒字の総額は、2020年の2,387億ユーロに対して266
億ユーロ増加し、2,653億ユーロであった。これにより、経常黒字は、2021年において名目GDPの½%ポイント増加
して7½%となった。黒字は、2020年に一時的に減少した後、ほぼCOVID-19のパンデミックが発生する前の水準に
戻った。特に、第一次所得における黒字が増加したが、財の貿易、サービス貿易および第二次所得は、ほぼ横ばい
であった。
(出典:Deutsche Bundesbank, Monatsbericht März 2022, Table XII.2, and Chapter Die deutsche Zahlungsbilanz für das
Jahr 2021, pp. 39-60)
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ドイツ中央銀行が作成したデータによれば、消費者物価指数に基づき、60の貿易相手国と比較したドイツの価格
競争力の一般的な月別指標の年間平均を適用すると、ドイツの価格競争力は、1999年以降比較的安定しており、
1999年から2020年の間では平均指標値の約10%の範囲内で推移している。2020年の価格競争力は主に、米ドル、英
ポンドおよび中国人民元を含む複数通貨に対するユーロ高により、2019年と比較して1.0%悪化した。しかし、為
替レートの変動の影響を検討する際には、ユーロ圏加盟国がドイツの輸出の大部分(2020年は36.6%)を占めると
いう事実を考慮に入れなければならない。
2020 年 は、主として米国の金利低下幅が比較的大きかったことにより、米ドルに対してユーロは1.8%高かっ
た。2021年後半は、米ドルに対してユーロが低かったが、2021年のユーロの平均為替レートは、2020年より3.5%
高かった。2022年最初の4ヶ月間は、ロシアのウクライナ侵攻を背景に米ドルに対するユーロ安が継続した。
(出典:Deutsche Bundesbank, Monatsbericht März 2022, Tables XII.3, XII.9 XII.11)
下表は、各年の連邦共和国の国際収支を示したものである。
国際収支
2021年 2020年 2019年 2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
経常収支
財の貿易 (1)
192,442 189,963 215,456 221,983 255,077
サービス (2)
314 2,725 -18,100 -15,806 -23,994
第一次所得 126,606 98,780 115,359 111,890 76,404
-54,090 -52,727 -49,811 -50,338 -51,673
第二次所得
経常収支合計
265,272 238,741 262,903 267,729 255,814
資本収支 (3)
-1,376 -5,829 -887 580 -2,936
金融収支
ドイツの海外投資純額(増加をプラス値
844,810 739,081 251,072 411,358 397,038
で表す。)
他国のドイツへの投資純額(増加をプラ
530,060 522,566 64,756 164,430 120,341
ス値で表す。)
金融収支 純額
314,750 216,515 186,317 246,928 276,697
(純貸出(+)/純借入(-))
誤差脱漏 (4)
50,854 -16,397 -75,700 -21,381 23,819
(1) 補足的貿易品目を含む。
(2) 外国貿易に関する運賃および保険料を含む。
(3) 非生産非金融資産の取得・処分を含む。
(4) 金融収支の残高と、経常収支および資本収支の残高との差額により生じる統計的な誤差脱漏。
(出典:Deutsche Bundesbank, Zahlungsbilanzstatistik, Stand vom 15.3.2022, Table I. Wichtige Posten der
Zahlungsbilanz (https://www.bundesbank.de/resource/blob/805258/8a20015437a2b74e29df58f1cfcc4bd9/mL/i-wichtige-
posten-data.pdf); Deutsche Bundesbank, Zahlungsbilanzstatistik, Stand vom 15.3.2022, Table IV. Kapitalbilanz 1.
Übersicht a) Insgesamt (https://www.bundesbank.de/resource/blob/805274/4e758d080ea205b7f4ed1d4683563459/mL/iv-
kapitalbilanz-data.pdf))
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貿易収支
下表は、連邦共和国の各年の外国貿易に関する情報を示したものである。
財の貿易 (1)
2021年 2020年 2019年 2018年 2017年
(単位:百万ユーロ)
財の輸出 1,367,418 1,186,834 1,303,728 1,290,468 1,256,858
1,174,976 996,871 1,088,272 1,068,485 1,001,782
財の輸入
192,442 189,963 215,456 221,983 255,077
貿易黒字
(1) 補足的貿易品目を含む。
(出典:Deutsche Bundesbank, Zahlungsbilanzstatistik, Stand vom 15.3.2022, Table I. Wichtige Posten der
Zahlungsbilanz (https://www.bundesbank.de/resource/blob/805258/8a20015437a2b74e29df58f1cfcc4bd9/mL/i-wichtige-
posten-data.pdf))
連邦共和国の主たる輸出品は、自動車、あらゆる種類の機械、および化学製品である。主たる輸入品は、コン
ピューター、電子光学製品、自動車および化学製品である。連邦共和国は、比較的工業製品の原料資源に乏しい。
その結果、原料の需要についてはほとんど輸入に頼らざるを得ず、特に銅、タングステン、ニオブ、レアアース
(希土類)、リン鉱石、炭酸リチウム、ボーキサイト、マンガン、チタンおよびスズ等の鉱物については外国から
の供給に大きく依存している。連邦共和国は、現在、原油の98%および天然ガスの95%を含むエネルギー需要の約
72%を輸入しており、原子力発電に必要な濃縮ウランも全量輸入に頼っている。
(出典:Statistisches Bundesamt, Genesis Online, Tabelle 51000-0005, Werte nach Güterabteilungen des
Güterverzeichnisses für Produktionsstatistiken (GP 2019), 2021, database evaluation by 21.3.2022; Bundesanstalt
für Geowissenschaften und Rohstoffe, Deutschland – Rohstoffsituation 2020 (https://www.deutsche-
rohstoffagentur.de/DE/Themen/Min_rohstoffe/Downloads/rohsit-
2020.pdf;jsessionid=2162F810D51140AE17E58660F0BF6F76.2_cid292?__blob=publicationFile&v=4))
ドイツの経常黒字およびMIP
欧州委員会は、MIPの枠組みの中で、2021年11月24日に2022年警戒メカニズム報告書を公表した。この報告書で
は、前年の報告書と同様、ドイツにおいて観察された経常黒字が注目されていた。連邦共和国は、主に民間および
政府の純貯蓄に支えられた大きな国内貯蓄余剰をもって、COVID-19のパンデミックを迎えた。経常黒字は、2015年
以降徐々に縮小しているが、COVID-19における政策支援にもかかわらず民間投資が依然として低調であるものの、
公共投資が長年の投資ギャップを未だ埋めていないことから、高水準で推移している。住宅価格は、大幅に上昇し
た。COVID-19のパンデミック中の例外的な状況により、欧州委員会は、今後の徹底的な調査における不均衡の確認
も考慮して、2022年半ばに不均衡の持続または解消についてさらに検討する。
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連邦政府は、MIPの実施について、欧州委員会を支援している。連邦政府は、欧州のパートナーとともに、改定
されたSGPの規則を遵守しつつ、経済的不均衡を削減することを目指している。ただし、連邦政府は、ドイツの国
外に対する海外直接投資が経常収支を増加させ、過去の海外直接投資から生じる利息および資本所得も増加させる
ことを指摘している。さらに、経常黒字は、企業および個人が需要と供給を決定する市場原理に基づく意思決定の
結果である。ドイツ経済が資本財の輸出に特化していることもまた、黒字拡大に重要な役割を果たしている。連邦
政府は、内需を強化し、公共および民間の投資活動を活発化させるために幅広い措置を講じてきたが、これらは、
経常収支に間接的な減退効果をもたらすと予想される。これらの措置には、国内経済を強化し、COVID-19のパンデ
ミックがもたらす経済的および社会的影響に対処するために立ち上げられたグリーンおよびデジタル変革への投資
のための約500億ユーロの「将来に向けた政策」を含む包括的な景気刺激策、ならびにEU復興支援策の下で開始さ
れた連邦政府によるさらなるプロジェクトが含まれる。連邦政府はまた、団体交渉の自主性を尊重しつつ、団体交
渉の適用範囲を拡大するための枠組み条件を作成し、雇用の獲得条件の改善に努めている。さらに、最低賃金を
9.82ユーロから12.00ユーロに1度だけ引き上げることが予定されている。これらの措置は、消費、ひいては輸入に
もプラスの効果をもたらすと予想される。ロシアのウクライナ侵攻がドイツの経常黒字に与える全体的な影響を評
価することは依然として困難であるが、軍事支出の増加が予定されていることから、内需および輸入需要の両方が
増加することが予想される。したがって、これらの措置は、経常黒字を減少させる効果を有する可能性がある。さ
らに、持続可能な変革に向けた大規模な投資、人口の高齢化、サプライチェーンの再編等の構造改革も、中長期的
に経常黒字を減退させる可能性がある。
MIP の一般的な詳細については、「1) 概括―EUと欧州統合―金融統合―EU経済ガバナンス―MIP」を参照のこ
と。
(出典:European Commission, Report from the Commission to the European Parliament, the Council, the European
Central Bank and the European Economic and Social Committee, Alert Mechanism Report 2022, dated November 24, 2021
(https://ec.europa.eu/info/sites/default/files/economy-
finance/2022_european_semester_alert_mechanism_report.pdf); European Commission, Economic and Financial
Affairs, EU Economic governance: monitoring, prevention, correction, Macroeconomic imbalance procedure
(https://ec.europa.eu/economy_finance/economic_governance/macroeconomic_imbalance_procedure/
mip_reports/index_en.htm); Bundesministerium für Wirtschaft und Klimaschutz, Nationales Reformprogramm 2022
(https://www.bmwi.de/Redaktion/DE/Publikationen/Europa/nationales-reformprogramm-2022.pdf?
__blob=publicationFile&v=10); Bundesministerium der Finanzen, Monatsbericht des BMF März 2017, Analysen und
Berichte, Der deutsche Leistungsbilanzsaldo – Entwicklung und wirtschaftspolitische Implikationen
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Monatsberichte/2017/03/Inhalte/Kapitel-3-Analysen/3-2-Der-deutsche-
Leistungsbilanzsaldo.html))
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輸出入品目の構成
2021年(1)
輸入 輸出
(全体に対する割合(%))
農業および狩猟製品 2.6 0.7
林業製品 0.1 0.1
魚介および水産物 0.1 0.0
石炭および褐炭 0.4 0.0
原油および天然ガス 6.1 0.9
金属鉱石 1.0 0.0
その他の鉱産物および採石物 0.1 0.1
食品 4.3 4.3
飲料 0.6 0.4
たばこ製品 0.2 0.2
繊維 1.1 0.9
衣服 2.9 1.6
革製品類 1.2 0.7
木材ならびに木製品およびコルク製品(家具を除く。)、わら製品および編
0.8 0.7
み物
紙および紙製品 1.2 1.5
コークスおよび石油精製品 1.8 1.1
薬品および化学製品 7.8 9.9
基礎製薬および医薬品 6.0 7.4
ゴムおよびプラスチック製品 3.0 3.7
その他の非金属鉱産物 1.0 1.2
卑金属 6.3 4.9
金属製品(機械・設備を除く。) 2.8 3.4
コンピューター、電子製品および光学機器 10.6 8.7
電気設備 6.8 7.1
機械・設備(別項にないもの) 7.5 14.1
自動車、ハウストレーラーおよびセミトレーラー 9.5 15.2
その他の輸送機器 2.5 3.1
家具 1.2 0.8
エネルギー 0.2 0.5
10.4 6.7
その他の財
100.0 100.0
合計
(1) 速報値。
(出典:Statistische Ämter des Bundes und der Länder, Statistische Bibliothek, Statistischer Bericht Außenhandel –
Dezember 2021 (February 2022), Tables 51000-05 and 51000-06
(https://www.statistischebibliothek.de/mir/receive/DEHeft_mods_00139248); KfWによる割合の算出は、それぞれ千ユー
ロ単位での輸入額および輸出額に基づいている。四捨五入により合計が一致しない場合がある。)
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国グループ別および国別外国貿易(特別貿易) (1)
2021年 2020年 2019年
(単位:百万ユーロ)
輸出先:
合計 1,375,415 1,206,928 1,328,152
内訳:
米国 121,997 103,476 118,680
中国 (2)
103,643 95,840 95,984
フランス 102,329 90,910 106,564
オランダ 100,360 84,579 91,528
イタリア 75,361 60,634 67,887
オーストリア 71,914 60,118 66,076
英国 65,363 67,086 79,166
スイス 60,621 56,265 56,345
ベルギー/ルクセンブルク 57,298 48,824 52,006
アジアにおける新工業国および新興市場 (3)
55,233 50,590 54,164
スペイン 43,607 37,618 44,218
日本 18,238 17,396 20,662
輸入元:
合計 1,202,640 1,026,502 1,104,141
内訳:
中国 (2)
141,794 117,373 110,054
オランダ 105,916 87,024 97,816
米国 72,011 67,694 71,334
イタリア 65,298 53,906 57,100
フランス 62,225 56,364 66,199
アジアにおける新工業国および新興市場 (3)
55,372 48,222 51,748
ベルギー/ルクセンブルク 54,956 39,584 46,322
スイス 48,842 45,556 45,824
オーストリア 47,642 40,454 44,059
スペイン 34,343 31,281 33,126
英国 32,061 35,018 38,397
日本 23,460 21,427 23,904
(1) 輸出(FOB)は仕向地別、輸入(CIF)は出荷地別。特別貿易は主に連邦共和国内での使用、消費、改造または加工の目的で輸入される財および連邦
共和国内で生産、製造、改造または加工された後、輸出される財から成る。
(2) 香港を除く。
(3) ブルネイ・ダルサラーム、香港、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、韓国、台湾およびタイを含む。
(出典:Deutsche Bundesbank, Monatsbericht März 2022, Table XII.3)
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海外直接投資
下表は、 2019 年 末における海外直接株式投資を示したものである。
2019 年末における海外直接株式投資
対外(1) 対内(2)
(単位:10億ユーロ)
合計 (3)
1,371.6 556.1
主要な国および地域
EU 578.3 384.8
そのうち、欧州通貨同盟 310.1 330.1
そのうち、英国 (4)
136.4 35.5
スイス 44.5 47.0
ロシア 23.7 2.6
米国 391.2 56.7
カナダ 21.1 1.6
中央アメリカ 27.7 2.0
南アメリカ 32.7 1.6
アジア圏 192.3 43.5
そのうち、中国 89.5 3.7
そのうち、インド 18.6 0.4
そのうち、日本 15.7 24.8
オーストラリア 18.6 2.6
アフリカ 12.1 0.7
投資対象の主要な経済部門
製造業 450.2 134.5
そのうち、化学品および化学製品 94.3 21.4
そのうち、医薬品 37.0 17.1
そのうち、機械・設備 45.5 16.8
そのうち、自動車・トレーラー・セミトレーラー 108.2 2.5
電力、ガス、蒸気および空調の供給 34.5 25.2
卸売業、小売業ならびに自動車およびバイク修理 215.6 62.8
情報・通信 85.9 36.4
金融業・保険業 361.3 188.5
不動産業 51.4 30.6
専門的な科学技術活動 73.9 38.0
(1) ドイツの国外に対する海外直接投資。
(2) 海外によるドイツ国内に対する海外直接投資。
(3) 第一次直接投資および第二次直接投資(合計)。
(4) 英国は、2020年1月31日にEUを離脱した。
(出典:Deutsche Bundesbank, Direktinvestitionsstatistiken, II. Bestandsangaben über Direktinvestitionen (nach dem
Erweiterten Richtungsprinzip), Tables 1I.1.b, II.2.b.
(https://www.bundesbank.de/de/statistiken/aussenwirtschaft/direktinvestitionen/direktinvestitionsstatistiken-
804078))
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3) 通貨・金融制度
ESCB およびユーロシステム
ESCB は、ECBおよびすべてのEU加盟諸国の中央銀行で構成されている。一方、ユーロシステムは、ECBおよびユー
ロ圏加盟国の中央銀行のみで構成されている。
ユーロシステムは、ユーロ圏内の単一金融政策に関する責任を負っている。ユーロシステムの意思決定機関は、
ECBの政策理事会および役員会である。ユーロシステムに参加していないEU加盟諸国の中央銀行は、ECBの一般理事
会のメンバーではあるが、意思決定プロセス、特に金融政策に関しては議決権がない。ESCBの第一の目的は、物価
の安定を維持することである。この目的を損なうことなく、ESCBはEUの一般的経済政策を支援している。
ドイツ中央銀行は、ESCBに参画するドイツの国立中央銀行であり、ドイツ国内における単一金融政策の実施に関
する責任を負っている。同行は、現金不要の支払システムの運営や出納管理を行い、銀行業および金融市場の監督
において重要な役割を担う等、その他様々な任務を遂行している。詳細については、下記「金融制度」を参照のこ
と。
(出典:European Central Bank, Annual Report 2016, pages 101-107
(https://www.ecb.europa.eu/pub/pdf/annrep/ar2016en.pdf); European Central Bank, About, Organisation: ECB, ESCB
and the Eurosystem (https://www.ecb.europa.eu/ecb/orga/escb/html/index.en.html); Deutsche Bundesbank, Tasks
(https://www.bundesbank.de/en/tasks))
金融政策
ESCB およびECBの金融 政策手段
ESCB は、その運営上の目標を達成するために、公開市場操作を行い、スタンディング・ファシリティを提供し、
また、ESCBの口座に最低限の準備金を留保することを信用機関に義務付けている。公開市場操作は、金利を調整
し、市場の流動性を管理する目的で、ESCBの金融政策上重要な役割を果たしている。公開市場操作では、リバース
取引、アウトライト取引、債務証書の発行または為替スワップ、および定期預金の回収を行うことができる。スタ
ンディング・ファシリティは、翌日物の流動性を確保および制限するものである。最低準備預金制度により、ESCB
は、短期金融市場金利の安定化、構造的な流動性不足の創出(または拡大)、および 場合によっては 資金量拡大の
抑制への貢献をもたらすことができる。加えて、ECBは、物価安定の見通しの評価に基づいて、将来の金融政策の
意図に関する情報を提供するフォワード・ガイダンスも提供している。さらに、ESCBは、世界的経済金融危機、欧
州ソブリン債務危機およびCOVID-19のパンデミックに対応して様々な非標準的政策手段を採用した。詳細について
は、下記「金融制度―欧州の金融制度―世界的金融経済危機および COVID-19 のパンデミック に対する政策対応」を
参照のこと。ESCBはまた、COVID-19のパンデミックに関しても、かかる手段を利用している。下記「 COVID-19 のパ
ンデミック への金融政策対応 」を参照のこと。
(出典:European Central Bank, Monetary Policy: The Eurosystem’s instruments
(https://www.ecb.europa.eu/mopo/implement/html/index.en.html))
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金融政策戦略と物価
ECB は、2021年7月、2003年以来初となる金融戦略の改訂版を発表した。ECBは、物価安定の中期的な維持を主要
目標としている。物価安定とは、ユーロ圏の総合消費者物価指数の上昇率を前年同期比2%に維持することと定義
されている。2%の目標は対称的である。これは、ECBが、目標からのマイナスの乖離およびプラスの乖離を等しく
望ましくないと考えることを意味する。経済が名目金利の下限近くで動いている場合、インフレ目標からのマイナ
スの乖離が固定化することを防ぐために、特に強力または持続的な金融政策措置が必要となることがある。新戦略
では、APPのような従来とは異なる手段を、これらの目的のための金融ツールキットの一部とみなしている。ECBの
政策理事会は、中期的な物価安定を目指している。これは、インフレ目標からの短期的な乖離を許容し、必要な柔
軟性を提供し、他の検討事項を考慮することを可能とする。中期指向は、デフレの危険を回避するために十分な余
裕を持たせるコミットメントの表れである。ECBが当該目標を達成するために使用する、ユーロシステムの安定を
志向した金融政策戦略は、次の2つの独立分析に基づいている。すなわち、(1)物価安定に対する短・中期のリス
クの分析および査定(経済分析)ならびに(2)中・長期の金融動向および財務動向の査定(金融分析および財務
分析)である。
(出典:European Central Bank, Monetary Policy: Strategy
(https://www.ecb.europa.eu/mopo/strategy/html/index.en.html))
下表は、ドイツにおける各年の物価動向を示している。
物価動向
2021年 2020年 2019年 2018年 2017年
(前年からの変動率)(%)
総合消費者物価指数(HICP)(1) 3.2 0.4 1.4 1.9 1.7
CPI (1)
3.1 0.5 1.4 1.8 1.5
国内市場で販売される工業製品の
10.5 -1.0 1.1 2.6 2.7
生産者物価指数 (2)
(1) 2020 年および2021年の業績は、2020年下半期の一時的なVAT税率引下げの影響を受けた。
(2) VAT を除く。
(出典:Statistisches Bundesamt, Preise, Verbraucherpreisindizes, Harmonisierter Verbraucherpreisindex,
Jahresdurchschnitte, Veränderung zum Vorjahr
(https://www.destatis.de/DE/Themen/Wirtschaft/Preise/Verbraucherpreisindex/Tabellen/Harmonisierter-
Verbraucherpreisindex.html); Statistisches Bundesamt, Preise, Verbraucherpreisindex und Inflationsrate,
Verbraucherindizes, Gesamtindex und 12 Abteilungen
(https://www.destatis.de/DE/Themen/Wirtschaft/Preise/Verbraucherpreisindex/Tabellen/Verbraucherpreise-
12Kategorien.html); Deutsche Bundesbank, Monatsbericht Dezember 2021, Table XI.7; Deutsche Bundesbank,
Monatsbericht Februar 2022, Table XI.7)
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COVID-19 の パンデミックへの金融政策対応
COVID-19 のパンデミックへのECBの金融政策対応は、3部構成となっている。(1)APPおよびPEPPによるソブリン
債や社債の既存のおよびパンデミックに特化した購入を通じて、金融緩和をさらに拡大すること。(2)TLTROsお
よびパンデミック緊急長期資金供給オペ(PELTROs)を通じて、特にユーロ圏の中小企業に対して、金融機関が良
好な流動性を供給することを支援する施策を継続すること。(3)TLTROs等の流動性供給オペに参加するユーロシ
ステムの相手方当事者のための適格担保の利用可能性を促進する一連の一時的な担保緩和策を行うこと。ECBの金
融政策対応を定義するパラメーターは、COVID-19のパンデミックが始まって以来、度々調整または拡張され、現時
点では2022年から2023年の間に終了する予定である。追加情報については、下記「 金融制度 ― 欧州の金融制度 ― 世
界的金融経済危機およびCOVID-19のパンデミックに対する政策対応 」を参照のこと。
(出典:European Central Bank, Our response to the coronavirus pandemic
(https://www.ecb.europa.eu/home/search/coronavirus/html/index.en.html))
外貨準備高
下表は、各年の年末現在における連邦共和国の外貨準備高の内訳である。
連邦共和国の外貨準備高 (1)
2020年 2019年 2018年 2017年
2021年
12月31日 12月31日 12月31日 12月31日
12月31日
現在
現在 現在 現在 現在
(単位:百万ユーロ)
金 173,821 166,904 146,562 121,445 117,347
SDR 46,491 14,014 14,642 14,378 13,987
外貨残高 32,649 30,066 32,039 31,796 31,215
8,426 8,143 6,051 5,518 4,294
IMF外貨準備持高
合計 261,387 219,127 199,295 173,138 166,842
(1) EMU 内のドイツ中央銀行の対外ポジション。すべてのEMU加盟国およびEMU非加盟国に対する資産および負債。
(出典:Deutsche Bundesbank, Monatsbericht Februar 2022, Table XII.7)
連邦共和国の外貨準備資産は、ドイツ中央銀行によって管理されている。ユーロ圏加盟国は、ECBに対して、手
持ち外貨および金から成る総額約403億ユーロ相当の外貨準備資産を譲渡しており、ECBがこれを管理している。
ECBに譲渡されなかった外貨準備資産は、ユーロ圏加盟国の中央銀行が引き続き保有し、管理している。EMU内の単
一金融政策および為替政策の一貫性を確かなものにするため、ECBは、当該資産に関して行われる市場取引を監視
し、調整している。
(出典:European Central Bank, Annual Report 1998, page 74 (https://www.ecb.int/pub/pdf/annrep/ar1998en.pdf);
European Central Bank, Annual Accounts 2021, 2.1 Balance Sheet as at 31 December 2021
(https://www.ecb.europa.eu/pub/annual/annual-accounts/html/ecb.annualaccounts2021~5130ce3be2.en.html#toc14))
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銀行の対外ポジション
下表は、各年の年末現在における、ドイツ中央銀行および連邦共和国の銀行(通貨金融機関)が有する対外資産
および対外負債を示す。
部門別対外金融資産・負債
2021年 2020年 2019年 2018年 2017年
(単位:10億ユーロ)
ドイツ中央銀行
資産 1,592.8 1,429.2 1,161.0 1,210.0 1,142.8
そのうち、ESCBの交換勘定内 (1)
1,260.7 1,136.0 895.2 966.2 906 .9
1,009.5 781.3 663.3 770.5 668.5
負債 (2)
純持高
583.3 647.9 497.7 439.5 474.3
銀行
外国銀行に対する貸出 1,100.7 1,024.3 1,064.2 1,014.1 963.8
外国ノンバンクに対する貸出 871.2 822.8 795.3 762.0 723.9
外国銀行からの借入れ 914.6 761.2 680.6 643.1 659.0
外国ノンバンクからの借入れ 288.2 258.5 229.8 231.5 241.2
(1) 主に、EMU全体における国外送金の即時処理のための銀行間決済システム(TARGET2)に対する正味債権から成る。
(2) 国外の流通通貨の推測値を含む。
(出典:Deutsche Bundesbank, Monatsbericht März 2022, Tables IV.4 and XII.7)
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外国為替相場および外国為替管理
ユーロは、自由交換可能通貨である。1999年の導入以来、ユーロは、世界で2番目に広く使用される国際通貨と
なっている。通貨取引は、免許またはその他の許可を要しない。資本市場取引も、免許または同様の要件に服する
ことなしに行うことができる。金の輸出入も自由に行うことができるが、一定の取引においてはVATが課される。
(出典:International Monetary Fund, Selected Decisions and Selected Documents of the IMF, Forty-First Issue -
Freely Usable Currencies, Prepared by the Legal Department of the IMF, as updated July 31, 2020
(https://www.imf.org/external/pubs/ft/sd/2021/41st_Sel_Dec_EN_Web_FINAL.pdf); Bank for International
Settlements, Triennial Central Bank Survey, Foreign exchange turnover in April 2019, September 2019, Table
“Currency distribution of OTC foreign exchange turnover”, p. 10
(https://www.bis.org/statistics/rpfx19_fx.pdf))
下表は、主要通貨の各年における対ユーロ年平均為替相場を示したものである。
ユーロの年平均為替相場 (1)
2021年 2020年 2019年 2018年 2017年
1ユーロ当たり米ドル 1.1827 1.1422 1.1195 1.1810 1.1297
1ユーロ当たり英ポンド 0.85960 0.88970 0.87777 0.88471 0.87667
1ユーロ当たり日本円 129.88 121.85 122.01 130.40 126.71
1ユーロ当たりスイスフラン 1.0811 1.0705 1.1124 1.1550 1.1117
1ユーロ当たり人民元 7.6282 7.8747 7.7355 7.8081 7.6290
(1) 日々の相場より算出。
(出典:Deutsche Bundesbank, Monatsbericht Februar 2022, Table XII.9)
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金融制度
ドイツの金融制度
概要 ドイツの1,442の通貨金融機関がドイツ中央銀行に対して報告した貸借対照表の合計額は、2022年1月31日
現在、9兆7,794億ユーロであった。ドイツ中央銀行の分類によると、これらには以下の機関が含まれる。
・ 250の商業銀行(貸借対照表合計額:4兆2,410億ユーロ)
・ 368の貯蓄銀行(同1兆5,464億ユーロ)
・ 貯蓄銀行のうち、6の地方機関(デカバンク・ドイッチェ・ジロツェントラーレ( DekaBank Deutsche
Girozentrale ;ドイツの貯蓄銀行の中央資産運用機関)および5の州立銀行( Landesbanken ;ドイツ公法に
基づく金融機関であり、従来、営業区である連邦州のために、またかかる連邦州において銀行業務を行う
ことを職務の主眼としている。)を含む。同8,807億ユーロ)
・ 18の特定目的信用機関(KfW、KfW IPEX銀行および州立支援財団を含み、2016年7月以降は、ドイツの信用
共同組合のうち唯一残存する中央機関であるドイツ信用協同組合中央金庫( DZ BANK AG Deutsche
Zentral-Genossenschaftsbank )(フランクフルト・アム・マイン)も含む。同1兆4,868億ユーロ)
・ 773の信用共同組合(同1兆1,391億ユーロ)
・ 9の抵当銀行(同2,319億ユーロ)
・ 18の住宅建設貸出銀行(同2,534億ユーロ)
・ 連邦共和国所在の141の外国銀行の子会社および支店(同1兆9,110億ユーロ)。かかる機関は、外国銀行が
過半数を所有し、上記銀行のその他のカテゴリー合計にも含まれる。
(出典:Deutsche Bundesbank, Monatsbericht März 2022, Table IV.2)
ドイツ銀行法は、現在、ドイツ中央銀行とKfWを除くすべての銀行を規制している(ただし、同法はKfW IPEX銀
行は規制する。)。ドイツ銀行法の重要な規定は、2016年1月1日からKfWにも準用されている。ドイツ銀行法のKfW
への適用についての詳細は、「(1) 設立 ― 2) 連邦共和国との関係 ― 規制」を参照のこと。ドイツの商業銀行は、
いわゆる総合銀行であり、あらゆる種類の多様な金融サービスを提供することにつき、法律その他の規制を受けな
い。
監督 BaFinは、一元化された金融サービスの監督を行う責任を負っている。その第一の目的は、欧州統合およ
び国際協力という面において、ドイツが金融の中心地として適切に機能し、安定性および統合性が保証されるこ
と、また、規制措置を通じて集団消費者保護を強化することである。BaFinは、ドイツ連邦財務省の法的・技術的
監督下にあり、専ら公益のために運営されている。同庁は、銀行や金融サービス機関および保険会社がその支払義
務を果たす能力を確保することを 目指して おり(支払能力の監督)、また、投資家の金融市場に対する信頼を保つ
ために、職業上の行動基準を実施している(市場の監督)。加えて、BaFinは、投資家保護の役割も担っており、
未許可金融業の実施を禁止している。
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ドイツ中央銀行は、BaFinと密接に連携して信用機関を継続的に監督しており、相当数の継続中の銀行監督業務
上の任務を割り当てられている。さらに、 ドイツ連邦金融市場安定化機構( Bundesanstalt für
Finanzmarktstabilisierung )(以下「FMSA」という。)は、 エルステ・アプヴィッケルングスアンシュタルト
( Erste Abwicklungsanstalt )およびFMSウェルトマネジメント( FMS Wertmanagement )の 2 つの清算機関、ならび
に清算過程にある旧州立銀行ウェストLB( Landesbank WestLB )の法定継承者であるポーティゴン・エージ―
( Portigon AG )を監督する。これらすべての機関は、金融市場の安定化を目的として、FMSAの援助を受けて設立
された(下記「清算機関」を参照のこと。)。
2014 年11月に、銀行同盟の柱の1つであるSSMが運用を開始した。SSMの下で、ECBは、ユーロ圏の金融機関および
SSMへの参加を選択した非ユーロ圏のEU加盟国の金融機関に対して、中心的かつ堅実に監督を行う。ECBが主要銀行
を直接監督する一方で、各国の監督機関は、その他の銀行の監視を続ける。ECBおよび各国の監督機関は、銀行に
よるEUの銀行規制の遵守を確実とし、早い段階で問題に取り組むことができるようにするため、密接に連携する。
金融の安定を脅かすリスクの適時の識別を促進するために、 2013 年 3 月に、金融安定化法 ( Gesetz zur
Überwachung der Finanzstabilität, Finanzstabilitätsgesetz )に基づき、 連邦財務省、ドイツ中央銀行および
BaFin の代表によって構成される金融安定委員会 ( Ausschuss für Finanzstabilität ) が創設された。ドイツ中央
銀行は、マクロ経済および金融市場に関する専門知識を有することから、金融安定化法に基づき、金融の安定確保
に向けて貢献する責任を負い、金融の安定を脅かすものを特定するためにすべての関連する要因を分析する任務を
負う。適切な場合、ドイツ中央銀行は、警告または改善策の勧告を金融安定委員会に対して提案および提出するこ
とができ、金融安定委員会は、これに関して決議を行い適切な場合には公表することができる。かかる警告または
勧告を受けた者は、改善策の実施について報告しなければならない。さらに、金融安定委員会は、金融の安定に関
する問題について議論し、危機の際には、委員会の構成員の連携をまとめかつ強化し、 欧州システミック・リスク
理事会(European Systemic Risk Board)(以下「ESRB」という。)により発せられた 警告および勧告への対応策
を議論し、毎年、ドイツ連邦下院に報告する任務を負う。
(出典:Bundesministerium der Justiz, Gesetz über das Kreditwesen (https://www.gesetze-im-
internet.de/kredwg/index.html); Bundesanstalt für Finanzdienstleistungsaufsicht, BaFin, Functions & history
(https://www.bafin.de/EN/DieBaFin/AufgabenGeschichte/aufgabengeschichte_node_en.html); Deutsche Bundesbank,
Tasks, Banking supervision (https://www.bundesbank.de/en/tasks/banking-supervision); Bundesanstalt für
Finanzdienstleistungsaufsicht, Aufsichtsrichtlinie — Richtlinie zur Durchführung und Qualitätssicherung der
laufenden Überwachung der Kredit- und Finanzdienstleistungsinstitute durch die Deutsche Bundesbank
(Aufsichtsrichtlinie), May 21, 2013, revised on December 19, 2016
(https://www.bafin.de/SharedDocs/Veroeffentlichungen/DE/Aufsichtsrecht/Richtlinie/
rl_130521_aufsichtsrichtlinie.html); Bundesanstalt für Finanzdienstleistungsaufsicht, Act on the Strengthening
of German Financial Supervision, January 18, 2013
(https://www.bafin.de/SharedDocs/Veroeffentlichungen/EN/Fachartikel/2013/fa_bj_2013_01_finstabg_en.html);
Bundesanstalt für Finanzmarktstabilisierung (FMSA): Federal Agency for Financial Market Stabilisation
(https://www.fmsa.de/en/); Portigon AG: Unternehmensinformationen (https://www.portigon-
ag.de/acm/cm/content/portigon/i/de/portigon-ag/unternehmensinformationen.html); Deutsche Bundesbank,
Macroprudential surveillance by the G-FSC (https://www.bundesbank.de/en/tasks/financial-and-monetary-
system/financial-and-monetary-stability/macroprudential-surveillance-g-fsc-/macroprudential-surveillance-by-the-
g-fsc-625732); European Commission: Single supervisory mechanism (https://ec.europa.eu/info/business-economy-
euro/banking-and-finance/banking-union/single-supervisory-mechanism_en))
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銀行再建および破綻処理 2015 年 1月1日から2017年12月31日まで、FMSA ( 上記「監督」を参照のこと。 ) は、銀
行を対象としたドイツの国家破綻処理機構として機能した。したがって、FMSAは、欧州のBRRDに基づき、SSMの枠
組み内でECBの直接監督下になかったドイツのすべての銀行の再建および破綻処理につき責任を負っていた ( 下記
「欧州の金融制度 ― 欧州の金融監督制度および銀行同盟」を参照のこと。 ) 。BRRDは、国家レベルで破綻銀行に対
応するための包括的かつ効果的な取決めおよび国境を越えた銀行破綻に取り組むための協力合意を当局に提供する
ため、2014年5月に採択された。BRRDは、各EU加盟国により設立される国家破綻処理基金の創設に関する規則を含
み、またBRRDにより、銀行は、財政難を打開するための再建計画の作成が義務付けられる。
2018 年 1月1日、FMSAの国家破綻処理機構としての役割から生じる責務は、新しく独立した事業部門としてBaFin
に統合された。同時に、金融市場安定化基金( Sondervermögen Finanzmarktstabilisierungsfonds ) (以下
「FMS」という。)の管理および運営に関するFMSAの責任は、国債会社 に組み込まれた 。 FMS は、2008年10月17日、
金融危機の最中に当初創設された。 単一破綻処理メカニズム ( Single Resolution Mechanism) ( 以下「SRM」とい
う。)が2016年1月1日に本格的に稼働し、FMSの機能を継ぐまで、FMSは、銀行の証券に保証を供与し、銀行に対し
て貸出を行うことによって、ドイツの銀行の安定化について責任を負った。 FMS による安定化施策は、資本注入が
146 億ユーロに上る一方、 FMS ウェルトマネジメントに対して行われた損失補填の支払総額は 93 億ユーロであった。
SRM についての詳細は、下記「欧州の金融制度 ― 欧州の金融監督制度および銀行同盟」を参照のこと。
(出典:Deutsche Bundesbank, Glossary: Restructuring Act
(https://www.bundesbank.de/dynamic/action/en/homepage/glossary/729724/glossary?
firstLetter=R&contentId=653352#anchor-653352); European Commission: Bank recovery and resolution
(https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/banking-and-finance/financial-supervision-and-risk-
management/managing-risks-banks-and-financial-institutions/bank-recovery-and-resolution_en); Bundesministerium
der Finanzen, Verordnung über die Erhebung der Beiträge zum Restrukturierungsfonds für Kreditinstitute
(Restrukturierungsfonds-Verordnung — RStruktFV)
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Gesetzestexte/Gesetze_Verordnungen/2015-07-22-
RStruktFV.html); Gesetz zur Neuordnung der Aufgaben der Bundesanstalt für Finanzmarktstabilisierung (FMSA-
Neuordnungsgesetz — FMSANeuOG)
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Gesetzestexte/Gesetze_Gesetzesvorhaben/
Abteilungen/Abteilung_VII/18_Legislaturperiode/2016-12-28-FMSA-Neuordnungsgesetz/3-Verkuendetes-Gesetz.pdf?
__blob=publicationFile&v=3); Federal Agency for Financial Market Stabilisation: History
(https://www.fmsa.de/en/history/); Bundesrepublik Deutschland – Finanzagentur GmbH, Financial Market
Stabilisation, Financial Market Stabilisation Fund (FMS) (https://www.deutsche-
finanzagentur.de/en/financialmarketstabilisation/); Bundesanstalt für Finanzdienstleistungsaufsicht, Recovery and
resolution (https://www.bafin.de/EN/Aufsicht/BankenFinanzdienstleister/Massnahmen/SanierungAbwicklung/
sanierung_abwicklung_node_en.html))
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清算 機関 世界的金融危機の余波の中で、経営難となったドイツの銀行のために、 2 つの清算機関
( Abwicklungsanstalten ) が設置された。 1 つ目の清算機関であるエルステ・アプヴィッケルングスアンシュタル
ト ( Erste Abwicklungsanstalt ) は、ウェスト LB ( WestLB ) から譲り受けた 775 億ユーロのポートフォリオを清算
するために、 2009 年 12 月に設置された。同清算機関は、ウェスト LB の再建後、 723 億ユーロ相当の資産ポートフォ
リオおよび約 521 億ユーロの市場価値を有する取引ポートフォリオから成る 2 つ目のポートフォリオを譲り受けた。
2021 年 12 月 31 日現在、その資産ポートフォリオの合計は、約181億ユーロに減少した。
2 つ目の清算機関である FMS ウェルトマネジメント ( FMS Wertmanagement ) は、再建の取組みを支援するために、
2010 年 10 月 にハイポ・リアル・エステート・グループ ( Hypo Real Estate Group) から 1,757 億ユーロのポート
フォリオを譲り受けた。また 2014 年 12 月 、 FMS ウェルトマネジメントは、 2013 年 12 月 31 日現在、総額 491 億ユーロの
連結資産を有していた DEPFA 銀行ピーエルシー ( DEPFA Bank plc.)( 以下「 DEPFA 」という。) を、ハイポ・リア
ル・エステート・ホールディング・エージー ( Hydro Real Estate Holding AG ) から買い取った。2021年2月、 FMS
ウェルトマネジメントは、 完全子会社である DEPFA を オーストリア労働経済郵便銀行 ( BAWAG P.S.K. AG )に売却す
ることを発表した。かかる取引は、2021年11月に完了した。2021 年 12 月 31 日現在、 FMS ウェルトマネジメント の
ポートフォリオは、額面金額541億ユーロであった。
(出典:Erste Abwicklungsanstalt, Annual Report 2021 (https://www.aa1.de/wp-content/uploads/2022/04/GB-
2021_de.pdf); FMS Wertmanagement AöR, Investor Präsentation Nov. 2021 (https://www.fms-wm.de/de/downloadcenter-
de/investoren/praesentationen/149-investorenpraesentation/file); FMS Wertmanagement AöR, Geschäftsbericht 2020
(https://www.fms-wm.de/de/downloadcenter-de/investoren/berichte/210-geschaeftsbericht-2020-1/file); FMS
Wertmanagement AöR, FMS Wertmanagement sells DEPFA Bank plc to Autria’s BAWAG P.S.K. AG (https://www.fms-
wm.de/en/press/514-fms-wertmanagement-sells-depfa-bank-plc-to-austria-s-bawag-p-s-k-ag); FMS Wertmanagement sells
all of its shares in DEPFA BANK plc (https://www.fms-wm.de/en/press/531-fms-wertmanagement-sells-all-of-its-
shares-in-depfa-bank-plc); Bundesanstalt für Finanzmarktstabilisierung, Gemeinsame Pressemitteilung von FMSA und
HRE, press release of May 13, 2014
(https://www.fmsa.de/fileadmin/user_upload_fmsa/Pressemitteilungen/deutsch/20140513_FMS-WM.pdf); FMS
Wertmanagement, Joint Press Release of FMS- WM and HRE: FMS Wertmanagement closes acquisition of DEPFA Bank plc
from HRE, press release of December 19, 2014 (https://www.fms-wm.de/en/press/245-joint-press- release-of-fms-wm-
and-hre-fms-wertmanagement-closes-acquisition-of-depfa-bank-plc-from-hre); European Commission, Commission
Decision of 18 July 2011 on State Aid C 15/2009 (ex N 196/2009), which Germany implemented and is planning to
implement for Hypo Real Estate (https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?
qid=1490275422217&uri=CELEX:32012D0118); FMS Wertmanagement, FMS Wertmanagement fulfils wind-up task for the
DEPFA Group and meets wind-up target for 2021, press release of April 26, 2022 (https://www.fms-
wm.de/en/press/538-fms-wertmanagement-fulfils-wind-up-task-for-the-depfa-group-and-meets-wind-up-target-for-
2021))
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欧州の金融制度
欧州の金融監督制度および銀行同盟 欧州の金融監督制度は、2011年1月1日より運用された。マクロ金融レベル
において、金融制度の幅広い堅実な監督を行うESRBが設置された。ESRBの役割は、金融制度の安定に対する潜在的
なリスクを監視し評価することである。必要に応じて、リスク警告や是正措置のための勧告を行い、その実施状況
を監視する。現在、ECBの総裁がESRBの理事長を務めている。
ミクロ金融レベルにおいて、以下の新しい3つの監督機関が設立された。
・ 欧州銀行監督局(以下「EBA」という。)
・ 欧州保険・年金監督機構
・ 欧州証券監督機構
当該3つの欧州監督機関(European Supervisory Authorities)(以下「ESAs」という。)は、EU加盟諸国の監
督当局と協働する。ESAsが、EU加盟諸国の監督当局により一連の統一規則 および 一貫した監督業務が適用されてい
ることを確保することにつき責任を負う一方、国内当局は、個々の金融機関の日々の監督業務を担っている。ESAs
は、例えば、法的拘束力を 有する 調停を行うことで各国の金融監督機関間の紛争を解決する権限、ならびにリスク
が高い金融商品および金融活動を一時的に禁止する権限を 有する 。
欧州のソブリン債務危機を機に創設された銀行同盟の重要な要素の1つが、ECBおよび参加EU加盟諸国の監督当局
で構成されるSSMである。SSMの主な目的は、信用機関の安全性および健全性ならびに欧州の金融制度の安定に寄与
し、整合的な監督を確実に実施していくことにある。SSMは、2014年11月にその運用が開始された。SSMにおける役
割の1つとして、ECBは、その監督下にある全信用機関の貸借対照表上の総資産合計の約82%を占める115行の重要
な銀行および銀行グループを直接監督する。また、ECBは、残りの銀行に関して、監督基準の設定およびその監視
を行い、当該銀行の監督において各国の所轄と密接に連携する。
銀行同盟のもう1つの重要な要素には、破綻銀行の秩序正しい破綻処理の保証を目的に2014年7月に採択された規
制の下で創設され、2016年1月1日から本格的に稼動したSRMが挙げられる。SRMは、銀行の破綻処理に関し幅広い権
限を有する単一破綻処理委員会(single resolution board)(以下「SRB」という。)およびSRFで構成される。
SRBが国境を越えて営業を行う銀行およびECBの直接監督下にある銀行の破綻処理の立案および実行につき責任を負
う一方、2015年1月1日から、各国の破綻処理当局は、BRRDの対象となるその他のすべての銀行につき責任を負う。
しかし、銀行の破綻処理でSRFの活用が求められる場合、SRBが常にその責任を負うことになる。SRFは、参加EU加
盟諸国のすべてに承認されている全信用機関の保護預金額の少なくとも1%を目標水準とし、2016年から2023年ま
での8年間をかけて積み立てられている。銀行は、SRFに対し、自己資本および保護預金額を除いたリスク調整後の
負債を基に算出される拠出金を毎年支払う必要がある。KfWをはじめ、自己資本指令Ⅳ(以下「CRD Ⅳ」とい
う。)の第2条第(5)項に定義される企業は、再編基金への資金の拠出を要求されることはない。移行期間中、各参
加EU加盟諸国は、国内銀行の破綻処理後に想定される資金不足に備えて、銀行によるSRFへの拠出の裏付けとして
SRBへの個別信用供与枠を提供する。これまでに19の参加EU加盟諸国すべてが、SRBへの信用供与枠を利用したつな
ぎ融資の根拠となる融資支援契約をSRBとの間で締結した。参加EU加盟諸国の信用供与枠の総額は、600億ユーロ強
に上る予定である。EU加盟諸国間の再配分比率は、各EU加盟国の銀行が2023年までに実行するSRFへの拠出と一致
している。2021年7月、SRFは約520億ユーロに成長し、その時点で2023年の目標規模は、700億ユーロから750億
ユーロの範囲内となると予想されている。2021年のドイツの銀行の拠出金総額は、拠出金全体の26.2%であった。
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欧州委員会は、2015年11月に銀行同盟の追加要素として欧州預金保険制度(European Deposit Insurance
Scheme)(以下「EDIS」という。)を提案し、2017年10月11日にかかる提案を修正した。それ以来、技術的レベル
での取組みが続いている。2018年12月、ユーロ圏加盟国または政府の代表の会議形式であるユーロサミットは、
EDISに関する政治交渉開始のロードマップに取り組む、ハイレベルな作業グループを設置した。2020年12月、ユー
ロサミットは、預金保険を含む銀行同盟の完成に必要なすべての未処理要素につき、合意に基づき、段階的かつ期
限を定めた作業計画を包括的な形で作成するようユーログループに求め、2021年12月に要望を再確認した。EUは、
各国の預金保険制度の調和を図るための共通規則について合意した。
世界的経済金融危機に対応し、規制当局および中央銀行は、包括的な規制改革プログラムに乗り出した。その結
果、2010年12月、バーゼル銀行監督委員会は、銀行規制の枠組みを強化するために、銀行の自己資本充実度および
流動性に係る最初の一連の新しい基準( 一般に「バーゼルⅢ」と呼ばれる 。 )を開始した。 バーゼルⅢをEU法に組
み込むため、従前のCRRを、金融機関の健全性要件を定めた規制であるCRRおよび預金取扱活動へのアクセスに関す
る指令であるCRD Ⅳに置き換えた。どちらも2014年1月1日より発効し、EU加盟諸国に対して徐々に施行されてい
る。2019年にEUの立法機関がCRRおよびCRDへの変更を採択したことにより、後述の追加的な措置が講じられた。
2017年12月、金融危機後の改革を完了させるため、バーゼル銀行監督委員会により第2の一連の改革が承認され
た。かかる改革は、RWAの計算における過度なばらつきを抑えることを目的としている。一般に「バーゼルⅢ最終
化」または「バーゼルⅣ」と呼ばれるかかる新たなバーゼル規制は、 COVID-19 のパンデミックのために、2020年3
月27日にバーゼル委員会により施行が1年延期されたため、 2023 年 1月1日より段階的に発効し、2028年1月に完全に
施行される予定である。
2019 年 5月、欧州理事会は、EUの銀行部門におけるリスクを削減することを目的とした、改定された規則のパッ
ケージを採択した。新たな規則の大半は、 2021 年半ばに発効した。 当該パッケージは、銀行の自己資本要件(CRR
(CRRⅡ)およびCRD(CRDⅤ)の改正)ならびに経営難の銀行の再建および破綻処理(BRRDおよび単一破綻処理メ
カニズム規則(SRMR)の改正)に関する2つの規則および2つの指令から成り、2007年-2008年の金融危機後、銀行
部門を強化し、金融安定化における未解決の課題に対処するために国際レベルで合意された改革を実施した。 銀行
システムにおけるリスクを 削減 することで合意された中核的措置の中で、当該パッケージは、銀行の破綻処理に係
る枠組みを強化している。グローバルなシステム上重要な機関(G-SIIs)に対して、自己資本および適格債務の量
および質に係る最低要件(MREL)を設定することで、より高い損失吸収力および資本再構築力を有し、効果的かつ
秩序的なベイルイン・プロセスを確保することを求めている。また、同時に、破綻処理機構に対して暫定的な保護
手段および追加的な措置を提供する。さらに、拘束力のあるレバレッジ比率および安定調達比率を導入し、有価証
券およびデリバティブ取引に係るリスクを考慮した規則を設定することにより、当該パッケージは、過剰にリスク
を取ることを抑制し、銀行の自己資本要件を強化する。当該パッケージには、特に報告および開示要件につき、小
規模でシンプルな銀行の経営上の負担を軽減する等、銀行の貸出可能枠を広げ、資本市場における銀行の役割を拡
大するための措置が含まれる。これにより、銀行の中小企業およびインフラ整備プロジェクトに対する融資枠が拡
大する。当該パッケージにはまた、クロスボーダー銀行グループの監督および破綻処理に関わる複数の機関におけ
る協力および情報共有に関する枠組みが含まれる。合意された措置は、預金者および債権者に対する適切な水準の
保護を目的とし、EU加盟諸国の金融安定性を確保しつつ、資本および流動性の国境を越えた流れを促進するため
に、 欧州 理事会が達成した母国当局およびホスト国当局間のバランスを維持する。さらに、改正は、マネーロンダ
リング防止活動の監督関連事項につき、担当当局間の協力体制を改善する。
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2020 年春、COVID - 19 のパンデミックにより、 ECB は、銀行が当該要件の監査的要素を調整することを許可する、
市場リスクに関する枠組み内における一時的な変更を発表した。EBAの勧告を受け、BaFinは、これらの救済措置を
ECBが直接監督していないドイツの中小銀行にも拡大した。また、2020年9月、ECBは、ECBの直接監督下にあるユー
ロ圏の銀行が、特定の中央銀行のエクスポージャーをレバレッジ比率の対象外とすることができると発表した。か
かる措置は、BaFinによりドイツの中小銀行にも拡大された。2022年2月10日、ECBは、銀行に対する資本・レバ
レッジ救済措置を2022年12月以降に延長しないと発表した。さらに、ECBは、一部の中央銀行エクスポージャーを
レバレッジ比率の対象外とする銀行の権限を、2022年3月以降に延長しないと発表した。
ドイツの信用市場におけるリスク状況の評価や、信用/GDPギャップ等の支援指標の発展を踏まえ、BaFinは、
2022年2月1日以降、国の反循環的資本バッファーの比率を0.75%に引き上げることを決定した。したがって、ハー
ドエクイティの関連要件は、2023年2月1日以降に満たされなければならない。
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(出典:European Commission, European system of financial supervision (https://ec.europa.eu/info/business-economy-
euro/banking-and-finance/financial-supervision-and-risk-management/european-system-financial-supervision_en);
European Commission, Banking Union (https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/banking-and-finance/banking-
union_en); Council of the European Union, Banking Union (https://www.consilium.europa.eu/en/policies/banking-
union/); European Central Bank, ECB assumes responsibility for euro area banking supervision, press release of
November 4, 2014 (https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2014/html/pr141104.en.html); European Central Bank -
Banking Supervision, Single Supervisory Mechanism
(https://www.bankingsupervision.europa.eu/about/thessm/html/index.en.html); European Central Bank - Banking
Supervision, List of supervised entities
(https://www.bankingsupervision.europa.eu/ecb/pub/pdf/ssm.listofsupervisedentities202102.en.pdf?
f532b1d8606bfdbb1cc4a5adcd66934f); European Commission, Single Resolution Mechanism to come into effect for the
Banking Union, press release of December 31, 2015 (https://europa.eu/rapid/press-release_IP-15-6397_en.htm);
Single Resolution Board, Single Resolution Fund (https://www.srb.europa.eu/en/content/single-resolution-
fund#:~:text=The%20SRF%20is%20being%20built,at%20approximately%20%E2%82%AC52%20billion.); Single Resolution
Board, Annual SRF levies (ex-ante contributions), National Compartment Table 2021
(https://www.srb.europa.eu/system/files/media/document/National%20Compartment%20Table%202021.pdf); Single
Resolution Board, The Single Resolution Fund (https://srb.europa.eu/en/content/single-resolution-fund); Single
Resolution Board, Banking Union – Single Resolution Board completes signature of Loan Facility Agreements with
all 19 participating Member States, February 8, 2017 (https://srb.europa.eu/en/file/pr-banking-union-single-
resolution-board-completes-signature-loan-facility-agreements-all-19); Single Resolution Fund (SRF) Fact Sheet
(https://www.srb.europa.eu/en/system/files?file=media/document/2020_fact_sheet.pdf); European Banking
Authority, Implementing Basel III in Europe: CRD IV Package (https://www.eba.europa.eu/regulation-and-
policy/implementing-basel-iii-europe); Bank for International Settlements, Basel Committee on Banking
Supervision, Basel III: Finalising Post-Crisis Reforms (https://www.bis.org/bcbs/publ/d424.htm); European
Commission, Communication from the Commission: Completing the banking union, first published on October 11, 2017
(https://ec.europa.eu/info/publications/171011-communication-banking-union_en); Council of the European Union,
Banking Union, Amendments to the banking union rules (https://www.consilium.europa.eu/en/policies/banking-
union/2016-amendments); European Council, Banking Union: Council adopts measures to reduce risk in the banking
system (https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2019/05/14/banking-union-council-adopts-measures-
to-reduce-risk-in-the-banking-system/); European Council, Euro Summit, 14/12/2018
(https://www.consilium.europa.eu/en/meetings/euro-summit/2018/12/14/); Single Resolution Board, Single Resolution
Fund, SRF grows to EUR 33 billion after latest round of transfers, press release of July 17, 2019
(https://srb.europa.eu/en/node/804); Single Resolution Board, Single Resolution Fund: Statistical Overview of the
funds collected by the SRB (https://srb.europa.eu/sites/srbsite/files/additional_statistics.pdf); European
Central Bank – Banking Supervision, ECB Banking Supervision provides temporary relief for capital requirements
for market risk, press release of April 16, 2020
(https://www.bankingsupervision.europa.eu/press/pr/date/2020/html/ssm.pr200416~ecf270bca8.en.html); European
Central Bank – Banking Supervision, ECB Banking Supervision provides temporary capital and operational relief in
reaction to coronavirus, press release of March 12, 2020
(https://www.bankingsupervision.europa.eu/press/pr/date/2020/html/ssm.pr200312~43351ac3ac.en.html); Bundesanstalt
für Finanzdienstleistungsaufsicht, General Administrative Act regarding a decrease in the domestic
countercyclical capital buffer rate of March 31, 2020, updated on April 23, 2020
(https://www.bafin.de/SharedDocs/Veroeffentlichungen/EN/Aufsichtsrecht/Verfuegung/
vf_200331_allgvfg_antizykl_kapitalpuffer_en.html); European Central Bank - Banking Supervision, ECB will not
extend capital and leverage relief for banks, press release of February 10, 2022
(https://www.bankingsupervision.europa.eu/press/pr/date/2022/html/ssm.pr220210_1~ea3dd0cd51.en.html))
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世界的金融経済危機およびCOVID-19のパンデミックに対する政策対応 世界的金融経済危機を受けて金融市場に
生じた緊張および金融部門に対する信用の喪失に対し、金融部門の信用を回復し、市場の混乱を防ぐため、数多く
の措置がEUレベルで近年講じられている。これらの措置は主に、金融機関の適切な資本構成の確保、ユーロ圏の短
期金融市場における銀行貸付および流動性の改善に向けた信用補完措置の向上、金融機関から実体経済への与信の
流れの保護、ならびに低調なインフレが長期化するリスクへの対応等に向けられており、今後も継続される予定で
ある。数ある措置の中でも特にAPP、長期リファイナンス・オペレーションおよび担保の有効性を高める措置を含
む多数の非標準的な金融政策を導入したECBが中心的な役割を果たし、今後も引き続き果たしていくと考えられ
る。これらの措置は、その本質、適用範囲および規模において前例のないものであり、物価安定の主目的を守り、
また、適正な金融政策伝達メカニズムを確保する。
2012 年 9月、ECBは、ユーロ圏におけるユーロ建のソブリン債の流通市場において、国債市場における重大な歪み
に対処できるようにすることを目的とするアウトライト・マネタリー・トランザクションを発表した。2014年6
月、ECBは、実体経済への貸付を支援することにより、金融政策伝達メカニズムの機能を強化するために策定され
た複数の政策措置を公表した。中でも、ECBは、2014年9月から2016年6月の間に8つの一連のTLTROsを実施すること
を決定した。一連のTLTROsは、2018年9月に完了した。 さらに、ECBは、2016年6月から2017年3月まで四半期毎に4
年にわたる期間の追加的TLTROs(以下「TLTRO-Ⅱ」という。)を計4回実施した。2018年1月までの間、ECBが定め
た貸付の基準を上回る相手方は、貸付の実施時点の預金ファシリティ金利と同程度に低水準の金利で資金を借り入
れる権利を有していた。すべてのTLTRO-Ⅱの実施時点において預金ファシリティ金利はゼロを下回っていたため、
かかる相手方が基準値を超えていた場合には、貸付行為に対して利息を受け取っていた。従来のTLTROsと同様、
TLTRO-Ⅱは、住宅購入に関する家計向け貸付を除き、ユーロ圏の非金融民間部門(ユーロ圏の家計および非金融企
業と定義される。)に対する銀行貸付を改善することを目標としていた。銀行は、TLTRO-Ⅱを通じて、従来の
TLTROsよりも多額の資金を借り入れることができた。一連のTLTRO-Ⅱのうち最後のオペレーションは、2021年3月
に完了した。2019年3月、ECBは、2019年9月から開始し、当初は2021年3月まで継続する予定であった四半期毎の追
加的な一連のTLTROsであるTLTRO-Ⅲを実施することを発表した。ECBは、2019年9月にTLTRO-Ⅲに係る当初予定され
ていた条件を修正し、オペレーション金利を引き下げ、期間を2年から3年に延長した。 さらに、COVID-19のパンデ
ミックへの対応として、ECBは、 TLTRO- Ⅲの条件を預金ファシリティレートより50ベーシス・ポイント低い水準に
緩和し、2020年12月には、TLTRO-Ⅲを2022年6月まで延長し、2021年6月から2021年12月の間に3回の追加オペを実
施することを発表した。また、パンデミック中の十分な流動性および円滑な短期金融市場環境を確保するため、
ECBは、パンデミック緊急長期資金供給オペ(PELTROs)を導入し、2021年末まで流動性に関する緊急対策を提供し
た。
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さらに、ECBは、過去数年にわたり、2014年10月に始まり2015年3月に大幅に拡大したAPPを通じて、欧州経済に
金融刺激効果をもたらすよう努めていた。APPは、ECBの主要政策金利が実効的な下限に達している状況下で、金融
および財政の状態をさらに緩和するために行われていた。2016年半ば以降、かかるプログラムは、 カバードボンド
買入プログラム、ABS買入プログラム、公共部門の資産買入プログラム(とりわけKfWの債務証券を含む。)
(PSPP)および企業部門の買入プログラム の4つの要素 で構成されていた。 証券の買入額は、その時々において変
動した。ECBは、APPを通じ、 2014 年 10月から2018年12月の間に 総額約2兆5,700億ユーロに上る証券を購入した。か
かる買入れは、2018年12月に終了したが、ECBは、APPに基づき購入し、満期を迎えた証券の元本を引き続き再投資
した。2019年9月、ECBは、かかる買入れがECBのAPPの政策理事会により、2019年11月1日以降、毎月200億ユーロの
ペースで再開され、また、ECBの政策金利の緩和の影響を強化するために必要な限り継続される見込みであること
を発表した。2022年2月、APPに基づくユーロシステムの保有額は、3兆1,630億ユーロであった。さらに、2020年3
月以降、ECBは何度か延長され、現在ではプログラム総額が1兆8,500億ユーロとなっている PEPP を 導入した。2022
年2月現在、ECBは1兆6,879億ユーロの資産を購入している。既存のAPPで対象となるすべての資産カテゴリーは、
PEPPにおいても対象となる。加えて、ECBは、資産クラスや法域を問わず、その時々において柔軟に証券を購入し
ている。2021年12月の会合において、ECBは、2022年3月末にPEPPを終了し、APP内の買入額を毎月400億ユーロに増
額し、その後2022年10月末に200億ユーロに減額すると発表した。2022年の最初の2ヶ月間、インフレ率がECBの目
標である2%を大幅に上回って推移し、また2022年には、ユーロ圏のインフレ率が2%を大幅に上回るとのECBの見
解を裏付けるデータが得られていることから、ECBは、2022年3月、APPの月次買入れを2022年6月末までに200億
ユーロに減額することをすでに決定している。さらに、ECBは、その時点で入手可能なインフレ率に関するデータ
が見解の変更を必要としない限り、2022年第3四半期初めに純資産の購入を終了する予定である。
2019 年9月、ECBは、預金ファシリティ金利を10ベーシス・ポイント減の-0.50%に引き下げ、一方で主要 リファ
イナンス・オペレーション金利および限界貸付ファシリティ金利を、それぞれ0.00%および0.25%に据え置くこと
を決定した。同時に、ECBの政策理事会は、準備金報酬について二重構造を導入したが、これは金融機関の流動性
保有の超過分(すなわち、最低流動性要件を超過する流動性保有)の一部を、預金ファシリティに適用されるマイ
ナス金利報酬から解放するものであった。かかる措置は、金融政策の銀行を通じた伝達を支えることを目的として
いる。ECBの預金ファシリティ金利は、2014年6月以降マイナスであった。ECBは、純資産購入終了後にのみ金利を
引き上げると繰り返し強調してきた。
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(出典:European Central Bank, The Eurosystem’s instruments
(https://www.ecb.europa.eu/mopo/implement/html/index.en.html); European Central Bank, Monetary policy decisions
(https://www.ecb.europa.eu/mopo/decisions/html/index.en.html); European Central Bank, Technical features of
Outright Monetary Transactions, press release of September 6, 2012
(https://www.ecb.int/press/pr/date/2012/html/pr120906_1.en.html); European Central Bank, ECB introduces a
negative deposit facility interest rate, press release of June 5, 2014
(https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2014/html/pr140605_3.en.html); European Central Bank, ECB announces
further details of the targeted long-term refinancing operations, press release of July 3, 2014
(https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2014/html/pr140703_2.en.html); European Central Bank, ECB announces new
series of targeted longer-term refinancing operations (TLTRO II), press release of March 10, 2016
(https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2016/html/pr160310_1.en.html); European Central Bank, Asset purchase
programmes (https://www.ecb.europa.eu/mopo/implement/omt/html/index.en.html); European Central Bank, ECB
announces expanded asset purchase programme, press release of January 22, 2015
(https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2015/html/pr150122_1.en.html); European Central Bank, ECB adds
corporate sector purchase programme (CSPP) to the asset purchase programme (APP) and announces changes to APP,
press release of March 10, 2016 (https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2016/html/pr160310_2.en.html); European
Central Bank, Monetary policy decisions, press release of March 7, 2019
(https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2019/html/ecb.mp190307~7d8a9d2665.en.html); European Central Bank,
Monetary policy decisions, press release of September 12, 2019
(https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2019/html/ecb.mp190912~08de50b4d2.en.html); European Central Bank, ECB
announces changes to new targeted longer-term refinancing operations (TLTRO III), press release of September 12,
2019 (https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2019/html/ecb.pr190912~19ac2682ff.en.html); European Central Bank,
ECB introduces two-tier system for remunerating excess liquidity holdings, press release of September 12, 2019
(https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2019/html/ecb.pr190912_2~a0b47cd62a.en.html); European Central Bank,
Pandemic emergency purchase programme (PEPP) (https://www.ecb.europa.eu/mopo/implement/pepp/html/index.en.html);
European Central Bank – Banking Supervision, ECB Banking Supervision provides temporary capital and operational
relief in reaction to coronavirus, press release of March 12, 2020
(https://www.bankingsupervision.europa.eu/press/pr/date/2020/html/ssm.pr200312~43351ac3ac.en.html); European
Central Bank, Monetary policy decisions, press release of March 10, 2022
(https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2022/html/ecb.mp220310~2d19f8ba60.en.html))
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証券市場
連邦共和国の証券市場は、欧州でも最大級である。上場証券の取引は、法的にもその他によっても、証券取引所
取引だけに限られていない。しかしながら、ほとんどの株式取引は、証券取引所を通して行われているとみられて
いる。これとは対照的に、債務証券は、一般に上場されてはいるが、主に店頭で取引されている。
高度に発達した流通市場は、金融機関の大規模ネットワークによる販売能力と結びついて、世界の資本市場にお
ける連邦共和国の地位の基盤となっている。株式および債券は、通常、銀行シンジケート団を通じて引受と販売が
行われている。シンジケート団には、商業銀行や一定の地方機関および専門機関等が含まれるのが常である。ベル
リン、デュッセルドルフ、フランクフルト・アム・マイン、ハンブルク、ハノーファー、ミュンヘンおよびシュ
トゥットガルトの規制証券市場、ならびに欧州エネルギー取引所は、金融商品市場に関する指令(指令
2014/65/EU)第56条に従い、EU統制市場として認められており、世界的に認められた規制基準に従っている。
ドイツの証券取引所の総取引高に基づき、ドイツ証券取引所エージーが運営するフランクフルト証券取引所は、
連邦共和国において圧倒的に最も重要な証券取引所である。
2013 年 1月、EUの国家元首または政府首脳は、多くのEU加盟諸国に対して、「強化された協力(enhanced
cooperation)」を通じて金融取引税(financial transaction tax、FTT)の導入を進めることを許可する決定を
採択した。交渉は現在行われていない。
(出典:Bundesanstalt für Finanzdienstleistungsaufsicht, Notice on the granting of authorization to provide
financial services pursuant to section 32 (1) of the German Banking Act
(https://www.bafin.de/SharedDocs/Downloads/EN/Merkblatt/WA/dl_fidierlaubnis_buba_en.html); Bundesanstalt für
Finanzdienstleistungsaufsicht, Issuer Guidelines published by the Federal Financial Supervisory Authority
(https://www.bafin.de/SharedDocs/Downloads/EN/Leitfaden/WA/dl_emittentenleitfaden_einleitung_en.html?
nn=12655158); Bundesanstalt für Finanzdienstleistungsaufsicht, Stock exchanges & markets
(https://www.bafin.de/EN/Aufsicht/BoersenMaerkte/boersenmaerkte_node_en.html); Deutsche Börse Group, The
Frankfurt Stock Exchange (https://www.deutsche-boerse.com/dbg-en/our-company/frankfurt-stock-exchange); Council
of the European Union, Financial transaction tax: Council agrees to enhanced cooperation, press release of
January 22, 2013 (https://www.consilium.europa.eu/uedocs/cms_data/docs/pressdata/en/ecofin/134949.pdf))
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4) 国家財政
歳入および歳出
連邦政府、各連邦州政府および各地方自治体( Gemeinden ) は、予算を別にしている。連邦予算は、最大の単一
公共予算である。
連邦共和国の会計年度は、暦年である。年間の連邦予算は、国会の決議により承認される。連邦政府は、連邦財
務省の予算案を基に、通常毎年夏に連邦予算案を国会に提出する。予算案は、連邦議会(3回の審議)、連邦議会
予算委員会および連邦参議院(2回の審議)を通過しなければならない。最終決議は、連邦議会の3回目の審議にお
いて行われる。
連邦予算、各連邦州予算および地方自治体予算のほかに、社会保障基金ならびに特定の公共目的のために創設さ
れている連邦行政および各連邦州ならびに政府のすべてのレベルにおける他の予算外事業体の各種特別基金
( Sondervermögen ) に対する個別予算がある。一般政府(国民経済計算に定義される。)には、このような様々な
レベルの政府活動すべてが含まれる。
COVID-19 のパンデミック により、2021年の国家財政は、引き続き大きく圧迫された。2021年の国民経済計算にお
ける一般政府(連結)の歳入総額は1兆7,058億ユーロであり、税収は8,729億ユーロ、純社会負担額は6,328億ユー
ロであった。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 – 2021 (March 2022), Table 3.4.3.2)
2021 年 の国民経済計算におけるVATならびに所得税および富裕税は、それぞれ2,580億ユーロおよび4,812億ユー
ロであった。これらの共同税は、連邦政府、各連邦州政府および地方自治体の間で事前に定められた方式に従って
配分される。また、共同税のほかに、連邦政府、各連邦州政府および地方 自治体 は、それぞれ、タバコやビール等
に特別税を賦課している。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 – 2021 (March 2022), Table 3.4.3.16)
国民 経済 計算上の2021年の一般政府(連結)歳出は、総額1兆8,382億ユーロであった。一般政府(連結)最大の
歳出は社会給付金(6,090億ユーロ)、現物社会給付(3,275億ユーロ)および従業員報酬(2,941億ユーロ)で
あった。このほかに一般政府(連結)の多額の歳出項目としては、中間消費(2,325億ユーロ)、総資本形成(917
億ユーロ)、助成金(1,050億ユーロ)および公債利息(210億ユーロ)がある。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 – 2021 (March 2022), Table 3.4.3.2)
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一般政府会計 (1)
2021年 2020年 2019年 2018年 2017年
(単位:10億ユーロ)
連邦政府、連邦州政府および
地方自治体
歳入 1,110.9 1,001.9 1,047.0 1,014.8 966.4
そのうち、当期税額 (2)
872.9 773 .4 827.4 801.4 767 .2
1,247.8 1,112.1 1,005.0 966.3 933.9
歳出
収支
-136.9 -110.2 42.0 48.4 32.5
社会保障基金
歳入 782.7 717.8 690.7 662.0 636.9
778.3 752.8 681.6 646.0 625.8
歳出
収支
4.4 -35.0 9.1 16.0 11.1
一般政府
歳入 1,705.8 1,566.9 1,613.8 1,557.3 1,486.9
1,838.2 1,712.1 1,562.7 1,492.8 1,443.3
歳出
収支 -132.5 -145.2 51.1 64.4 43.7
(1) 国民経済計算による定義。
(2) 国内部門がEUに納付した税金を除く。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 - 2021 (March 2022), Tables 3.4.3.2, 3.4.3.3 and 3.4.3.7)
連邦政府会計 (1)
2021年 2020年 2019年 2018年 2017年
(単位:10億ユーロ)
歳入 470.9 421.7 457.2 422.3 422.8
そのうち、当期税額 (2)
404.4 359.2 396.3 385.6 373.1
614.4 508.2 435.2 421.2 414.8
歳出
143.4 86.4 22.0 21.1 7.9
収支
(1) 国民経済計算による定義。
(2) 国内部門がEUに納付した税金を除く。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 - 2021 (March 2022), Table 3.4.3.4)
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部門別一般政府歳出 (1)
2021年 2020年 2019年 2018年 2017年
(単位:10億ユーロ)
一般公共サービス 222.1 205.3 200.5 191.7 187.4
防衛 38.7 37.2 36.7 35.2 33.2
社会的秩序および公衆安全 60.3 57.8 55.4 53.2 50.9
経済事象 211.0 155.8 112.9 111.1 103.7
環境保護 21.0 23.0 20.9 19.4 17.9
住宅および公共施設 16.3 16.2 14.7 13.2 12.2
健康 311.6 286.7 253.7 241.6 232.7
娯楽、文化および宗教 39.2 38.3 35.8 34.9 33.5
教育 162.8 157.1 150.7 143.6 136.6
755.2 734.8 681.5 648.8 635.0
社会的保護
1,838.2 1,712.1 1,562.7 1,492.8 1,443.3
歳出総額
(1) 国民経済計算による定義。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 - 2021 (March 2022), Table 3.4.3.11)
ドイツの一般財政赤字/黒字および一般政府総債務
EDP の下でEU加盟諸国が欧州委員会に提出する報告書において、一般財政、つまり「マーストリヒト」赤字/黒字
とは、公共部門の歳入(連結)と歳出(連結)の差額であり、ESA 2010に規定される一般政府(中央政府、州政
府、地方政府および社会保障基金)の「純借入/純貸出残高」をいう。8年連続の黒字の後、COVID-19のパンデミッ
クの影響により、ドイツの一般政府予算収支は、2020年にマイナスに転じた。2020年の4.3%の一般財政赤字に続
き、ドイツの一般財政赤字は、2021年に1,325億ユーロ(名目GDPの3.7%)となり、引き続きEUの基準値である3%
を上回っている。ドイツの一般政府総債務の対GDP比は、2020年の68.7%から2021年は69.3%に増加し、EUの基準
値である60%を上回っている。
しかし、2020年3月23日、EU加盟諸国の各財務大臣は、SGPに基づく一般的免責条項の使用条件(ユーロ圏または
EU全体の深刻な景気後退)が満たされているとの欧州委員会の評価に同意した。有効化された一般的免責条項は、
ドイツおよびその他のEU加盟諸国が、COVID-19のパンデミックの経済的影響に取り組むために、欧州の財政枠組み
の下で通常適用される予算要件から逸脱することを認める。欧州委員会の2022年3月2日に公表された2023年の財政
政策指針によると、一般的免責条項は、2022年には引き続き適用され、2023年には無効となる予定である。しか
し、2023年以降の無効化の予定は、ロシアのウクライナ侵攻前に完了した経済予測に基づくものであることから、
欧州委員会は、情勢の変化や経済発展に対する反応の不確実性が高いことを鑑み、調整が可能であることも示唆し
た。詳細については、「1) 概括 ― 金融統合 ―EU経済ガバナンス― SGP 」も参照のこと。国家レベルでは、通常適用
される憲法上の予算要件に違反することなく、COVID-19のパンデミックに関連して取られた政府の措置への融資を
可能にするために、連邦レベルにおけるGDPの0.35%以下の構造的な財政赤字および構造的に均衡のとれた連邦諸
州予算を規定するドイツの憲法上の 財政均衡化規則 である 「債務抑制」( Schuldenbremse ) が、2020年および2021
年については停止された。2022年連邦予算の第二次政府草案( Zweiter Regierungsentwurf für den Bundeshaushalt
2022 )によると、「債務抑制」の停止は2022会計年度についても更新される予定であり、2023年度から2026年度の
ベンチマーク数値( Eckwerte ) に反映されているように、2023年以降の通常の債務上限への復帰を目指している。
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(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.2 – 4. Vierteljahr 2021 (February 2022), Table 1.10; EUR-
lex, Consolidated Version of the Treaty on the Functioning of the European Union (https://eur-
lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:02016E/TXT-20200301&from=EN); Deutsche Bundesbank, General
government debt as defined in the Maastricht Treaty as a percentage of GDP — Germany — overall
(https://www.bundesbank.de/dynamic/action/en/statistics/time-series-databases/time-series-
databases/745582/745582?
listId=www_v27_web011_21a&treeAnchor=FINANZEN&statisticType=BBK_ITS&tsId=BBK01.BJ9959); Council of the
European Union, Statement of EU ministers of finance on the Stability and Growth Pact in light of the COVID-19
crisis, press release of March 23, 2020 (https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-
releases/2020/03/23/statement-of-eu-ministers-of-finance-on-the-stability-and-growth-pact-in-light-of-the-covid-
19-crisis/); Bundestag, Bundestag billigt mit breiter Mehrheit Nachtragshaushalt für 2020
(https://www.bundestag.de/dokumente/textarchiv/2020/kw13-de-corona-schuldenbremse-688956); Bundestag,
Finanzministerium-Etat beschlossen – Schuldenbremse bleibt ausgesetzt
(https://www.bundestag.de/dokumente/textarchiv/2020/kw50-de-finanzministerium-bundesrechnungshof-810030);
Bundesministerium der Finanzen, Fiskalregeln
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Web/DE/Themen/Oeffentliche_Finanzen/Stabilitaetspolitik/
Fiskalregeln/fiskalregeln.html); Bundesministerium der Finanzen, Kompendium zur Schuldenregel des Bundes
(Schuldenbremse), February 25, 2022
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Standardartikel/Themen/Oeffentliche_Finanzen/
Schuldenbremse/kompendium-zur-schuldenbremse-des-bundes.pdf?__blob=publicationFile&v=9
[bundesfinanzministerium.de]); European Commission, Commission presents fiscal policy guidance for 2023, press
release of March 2, 2022 (https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_22_1476); European
Commission, Questions and answers: Commission Communication on fiscal policy guidance for 2023, March 2, 2022
(https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/qanda_22_1477); Bundesministerium der Finanzen,
Stabilität sichern, Gestaltungsspielraum bewahren, Zweiter Regierungsentwurf für den Bundeshaushalt 2022,
Eckwerte 2023 und Finanzplan bis 2026, press release of March 16, 2022
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Pressemitteilungen/Finanzpolitik/2022/03/2022-03-16-
bundeshaushalte-2022-2023.html))
下表は、過去の連邦共和国の一般財政赤字/黒字および債務がGDPに占める割合(%)を示したものである。
連邦共和国の年度別マーストリヒト基準
2021年 2020年 2019年 2018年 2017年
(GDPに占める割合(%))
一般財政赤字(-)/黒字(+) -3.7 -4.3 1.5 1.9 1.3
一般政府総債務 69.3 68.7 58.9 61.2 64.6
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.2 –4. Vierteljahr 2021 (February 2022), Table 1.10;
Deutsche Bundesbank, General government debt as defined in the Maastricht Treaty as a percentage of GDP - Germany
- overall (https://www.bundesbank.de/dynamic/action/en/statistics/time-series-databases/time-series-
databases/745582/745582?
listId=www_v27_web011_21a&treeAnchor=FINANZEN&statisticType=BBK_ITS&tsId=BBK01.BJ9959))
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財政見通し
2022 年 4月27日、連邦政府は、SGPの規則に従って、2022年ドイツ安定プログラムを発表した。2022年ドイツ安定
プログラムには、すべての政府レベル(連邦、連邦諸州、地方自治体および社会保障基金)における2022年から
2026年までの予算予測が含まれる。この予測は、( ⅰ ) 2022年1月26日付の連邦政府によるマクロ経済動向の年次
予測、( ⅱ )2021年11月11日付の税収推定に関するワーキング・パーティーの結果(その後、連邦政府の年次予測
を考慮して更新されたもの。)、( ⅲ ) かかる予測に基づいて作成され、2022年3月16日に連邦政府によって採択
された2022年連邦予算の第二次政府草案、ならびに( ⅳ ) 2023年の連邦予算の政府草案および2026年までの財政計
画の政府草案に関するベンチマーク数値に基づいている。予定されている連邦政府特別基金および2022年3月23日
の与党による「高エネルギーコストを管理するための連邦政府措置のパッケージ」に関する決定も考慮された。
以下の表は、2022年ドイツ安定プログラムに記載された、2022年から2026年の重要な財政上の指標についての連
邦政府の予測と、2021年の重要な財政上の指標の確定値の比較を示している。
一般政府予算の見通し (1)
2026年 2025年 2024年 2023年 2022年 2021年
(GDPに占める割合(%))
歳入 47¼ 47 46¼ 46 45½ 47.8
税収総額 24½ 24¼ 24 23¾ 23¼ 24.7
社会負担 18¼ 18 17½ 17½ 17¼ 17.7
財産所得 ½ ½ ½ ½ ½ 0.4
その他 4 4¼ 4¼ 4¼ 4½ 4.9
歳出 (2)
47¾ 47¾ 48 47¾ 49¼ 51.5
従業員報酬および中間消費 13¼ 13¼ 13¼ 13½ 14½ 14.7
社会的支払 25½ 25½ 25¼ 25 25¼ 26.2
利子支出 ½ ½ ½ ½ ½ 0.6
助成金 1¾ 1¾ 1¾ 1½ 2 2.9
総固定資本形成 2¾ 2¾ 3 3 3 2.5
資本移動 1¾ 1¾ 1¾ 1¾ 1¾ 1.9
2¼ 2¼ 2¼ 2½ 2½ 2.5
その他
一般財政赤字(-) / 黒字(+)
-½ -1 -1¾ -2 -3¾ -3.7
連邦政府 -1 -1 -1½ -1½ -3 -4.0
連邦州政府 ¼ ¼ 0 0 -¼ 0.1
地方自治体 ¼ 0 0 0 0 0.0
社会保障基金 -¼ -¼ -½ -½ -¼ 0.1
一般政府総債務 64½ 65 65¾ 65¾ 66 ¾ 69.3
(1) 予測数値は、GDPに占める割合の4分の1まで四捨五入されている。
(2) スワップに関連して支払の正味金額により調整される。
(出典: Bundesministerium der Finanzen, Deutsches Stabilitätsprogramm 2022, Tables 10 and 15
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Downloads/Broschueren_Bestellservice/stabilitaetsprogramm-
2022.pdf?__blob=publicationFile&v=5))
ロシアによるウクライナ侵攻への対応を含む、 2022 年 までに採択された財政措置の現状および懸案事項に関する
詳細については、「6) その他 ― その他の最近の動向 ― ロシアのウクライナ侵攻に対するドイツの対応」を参照の
こと。
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租税構造
所得税
一般政府の重要な財源は、様々な種類の所得税である。従業員および自営業者の所得税は、課税所得金額に応じ
た、限界税率14%から45%までの累進税区分に基づいている。従業員は、賃金税の形で雇用から生じる所得に関す
る税金を支払う。自営業者は通常、年度内に見積もりによる税額を支払った後、確定申告を行う。パートナーシッ
プの所得( Personengesellschaften ) は、パートナーシップのレベルでは課税対象とはならず、共同出資者のレベ
ルで 課税 対象となる。共同出資者は、個人の所得税区分に応じてその所得に対する税金を支払う。
法人所得には、一律15%のCIT( K ö rperschaftsteuer )が課せられている。
国内納税者が受け取る資本所得(あらゆる種類の資本所得および個人株主の法人株式売却純利益)は、 801 ユー
ロ(夫婦については1,602ユーロ)の控除( Sparerpauschbetrag ) 後、25%の最終一律税率( Abgeltungsteuer ) が
課せられている。
様々な種類の所得税のほか、5.5%の統一追加税が、適用ある所得税負債に対して課せられている。2021年1月1
日以降、低・中所得者層の利益のため、かかる統一追加税により生じる追加の税負担は所得税納税者の約90%で廃
止され、約6.5%で軽減された。
(出典:Bundesministerium der Justiz und für Verbraucherschutz, Einkommensteuergesetz (https://www.gesetze-im-
internet.de/estg/index.html); Bundesministerium der Justiz und für Verbraucherschutz, Solidaritätszuschlaggesetz
1995, § 4 Zuschlagssatz (https://www.gesetze-im-internet.de/solzg_1995/__4.html); Bundesministerium der
Justiz und für Verbraucherschutz, Körperschaftsteuergesetz (https://www.gesetze-im-
internet.de/kstg_1977/index.html); Bundesministerium der Finanzen, Fragen und Antworten zur weitgehenden
Abschaffung des Solidaritätszuschlags, Was ist ab 2021 neu?
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/FAQ/2019-08-21-faq-solidaritaetszuschlag.html))
VAT および消費税
VAT は、重要な財源の役割を果たしている。VATは、ほとんどの財およびサービスの価値に対して課される一般消
費税である。ほとんどの財およびサービスに課せられる標準税率は19%である。食品(レストランの食品および飲
料を除く。)や書籍等の必需品に区分される品目には、軽減税率7%が適用されている。
VAT のほかに、特別消費税も設けられている。特別消費税のうち最も重要なものは、エネルギーとタバコに関す
る税金である。
(出典:Bundesministerium der Justiz und für Verbraucherschutz, Umsatzsteuergesetz (https://www.gesetze-im-
internet.de/ustg_1980/index.html); Bundesministerium der Justiz und für Verbraucherschutz, Umsatzsteuergesetz,
§ 12 Steuersätze (https://www.gesetze-im-internet.de/ustg_1980/__12.html); Bundesministerium der Justiz und
für Verbraucherschutz, Energiesteuergesetz (https://www.gesetze-im-internet.de/energiestg/); Bundesministerium
der Justiz und für Verbraucherschutz, Tabaksteuergesetz (https://www.gesetze-im-
internet.de/tabstg_2009/index.html))
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環境税および排出権取引
環境税制は、省エネを促進し、炭素排出量の削減にインセンティブを与えることで気候変動を緩和することを目
的としている。さらに、租税や拠出金の負担を、労働者、資本および天然資源の間でより均一に配分することを目
的としている。環境税制の主要な要素は、電気税および化石燃料エネルギー税である。電気税率は、1メガワット
時当たり20.50ユーロであり、エネルギー税率は一定の環境基準に従って査定される。
製造業やエネルギー産業に適用された炭素排出量に関する欧州連合域内排出量取引制度(Emissions Trading
System)(以下「ETS」という。)に加え、ドイツでは、2021年以降に運輸分野および建築分野の炭素排出量に関
する国内ETSが導入され、炭素排出量の設定価格は、2021年当初は1トン当たり25ユーロ、2022年は1トン当たり30
ユーロで開始し、2025年には1トン当たり55ユーロまで段階的に引き上げられる。2026年には、炭素排出量1トン当
たり55ユーロ(最低額)から65ユーロ(最高額)の価格帯で排出枠のオークションが行われる。
(出典:Bundesministerium der Justiz und für Verbraucherschutz, Stromsteuergesetz (https://www.gesetze-im-
internet.de/stromstg/index.html); Bundesministerium der Justiz und für Verbraucherschutz, Stromsteuergesetz, § 3
Steuertarif (https://www.gesetze-im-internet.de/stromstg/__3.html); The Federal Government, Incentives for
fewer CO2 - carbon dioxide emissions (https://www.bundesregierung.de/breg-en/issues/climate-action/fewer-co2-
emissions-1797122.)
営業税
営業税( Gewerbesteuer ) は、地方自治体レベルで事業およびその実際の収益力に対して課税される。営業税率
は、課税する地方自治体により異なる。課税基準は、所得税法または法人税法に基づき定められる事業収益であ
り、特定の調整により増額または減額される。その結果には、営業税額算出中間金額( Steuermessbetrag ) を算出
するために営業税基礎税率( Gewerbesteuermesszahl ) が乗じられ、その後、さらに地方自治体の賦課率
( Hebesatz ) が乗じられる。各地方自治体は、地方自治体の賦課率として定められた最低税率(200%)を超える
賦課率については独自の裁量で決定できる。2020年の加重平均された地方自治体の賦課率400.2%に基づく2021年
の平均営業税率は、14.01%となった。
(出典:Bundesministerium der Justiz und für Verbraucherschutz, Gewerbesteuergesetz (https://www.gesetze-im-
internet.de/gewstg/index.html); Bundesministerium der Finanzen, Die wichtigsten Steuern im internationalen
Vergleich 2020, Overview 4, page 14
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Downloads/Broschueren_Bestellservice/2021-06-21-die-
wichtigsten-steuern-im-internationalen-vergleich-2020.pdf?__blob=publicationFile&v=9); Statistisches Bundesamt,
Fachserie 14, Reihe 10.1 Realsteuervergleich 2020, table 6.1.
(https://www.destatis.de/DE/Service/Bibliothek/_publikationen-fachserienliste-14.html?nn=206136))
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下表は、国民経済計算に示される各年の一般政府の年別税収(種別毎)の概要である。
税収 (1)
2021年 2020年 2019年 2018年 2017年
(単位:10億ユーロ)
当期税額 872.9 773.4 827.4 801.4 767.2
生産税および輸入税 391.7 345.9 369.7 356.6 345.8
そのうち、VAT 258.0 221.6 244.1 235.1 226 .6
当期所得税および富裕税 481.2 427.6 457.7 444.8 421.4
そのうち、賃金税 256.4 254.0 260.5 248.2 234.7
査定所得税 69.4 57.3 61.9 58.8 57.7
未査定所得税 39.3 29.8 30.5 31.0 29.8
法人税 44.3 25.8 34.1 36.0 31.6
営業税(Gewerbesteuer) 56.5 45.4 55.6 56.0 52.9
9.8 8.7 7.0 6.8 6.1
資本税
一般政府の税収
882.6 782.1 834.4 808.2 773.3
4.9 4.7 5.1 5.0 5.1
国内部門がEUに納付した税金
887.6 786.8 839.5 813.2 778.3
税収
(1) 国民経済計算による定義。
(出典:Statistisches Bundesamt, Fachserie 18, Reihe 1.4 - 2021 (March 2022), Table 3.4.3.16)
COVID-19 のパンデミックに関連した減税措置
2020 年 7月1日から2020年12月31日まで、COVID-19のパンデミックによる経済的悪影響の軽減措置の一環として、
VAT税率は一時的に16%に、軽減税率は5%に引き下げられた。減税措置に基づき、標準VAT税率で課税されるレス
トランでの食事提供サービスは、2020年7月1日から2022年12月31日までは軽減VAT税率で課税される。
企業、自営業者および従業員は、COVID-19のパンデミックに関連する幅広い税制上の措置の恩恵を受け続けてい
る。それらの措置には、例えば、2022年12月31日までの在宅勤務に対する税額控除、確定申告の届出期限の延長、
損失相殺オプションの延長、動産の早期償却オプションおよび 課税 控除対象投資 の投資期限の延長が含まれる。
(出典:Bundesministerium der Finanzen, FAQ „Anstehende Umsatzsteuersenkung“
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Standardartikel/Themen/Steuern/2020-06-25-
FAQ_Corona_Umsatzsteuer.html); Bundesministerium der Finanzen, Entlastungen für Bürgerinnen und Bürger sowie
Unternehmen: Weitere steuerliche Erleichterungen zur Bekämpfung der Corona-Pandemie, February 16, 2022
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Pressemitteilungen/Finanzpolitik/2022/02/2022-02-16-weitere-
steuerliche-erleichterungen-corona-pandemie.html); Das Parlament Nr. 9 (March 1, 2021), Drittes Steuer-Paket –
Hilfe für Familien, Gastronomen und Firmen (https://www.das-parlament.de/2021/9/wirtschaft_und_finanzen/825228-
825228))
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政府の出資事業
2020 年 12月31日現在、連邦共和国とその各種の特別基金は、116の公共企業および民間企業に直接出資してい
る。
下表は、2020年12月31日現在の、連邦共和国の重要な直接出資先(特別基金による保有を含む。)についての情
報を示したものである。
連邦共和国の出資事業
企業名 企業の名目資本合計 連邦共和国の出資比率
(単位:百万ユーロ) (%)
重要な過半数出資企業
ドイツ鉄道エージー( Deutsche Bahn AG )
2,150 100.0
KfW 3,750 80.0
ハイポ・リアル・エステート・ホールディング有限責任会
909 100.0
社( Hypo Real Estate Holding GmbH ) (1)
重要な少数(25%超)出資企業
フルークハーフェン・ミュンヘン有限責任会社
307 26.0
( Flughafen München GmbH )
(1) 特別基金による保有。
(出典:Bundesministerium der Finanzen, Beteiligungsbericht des Bundes 2021
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Downloads/Broschueren_Bestellservice/beteiligungsbericht-des-
bundes-2021.pdf?__blob=publicationFile&v=3) )
連邦政府の直接債務
2021 年 12月31日現在の連邦政府の直接債務の元本総額は、1兆4,374億ユーロであった。直接債務の元本残高に関
するさらなる情報については、「 5) 表および補足情報 ― Ⅰ.連邦政府の直接債務―連邦政府の直接債務 に係る元
本残高の概要 」を参照のこと。
連邦政府は、主に債券および手形の発行により資金調達を行っている。連邦共和国によるユーロ建債券および手
形の発行は、債券振替決済制度で行われており、券面は発行されない。
連邦政府およびその特別基金は、直接負担債務のほかに、2020年12月31日現在、総額6,676億ユーロの保証残高
を抱えている。そのうち1,253億ユーロは、HERMESが連邦政府を代理して連邦政府の勘定で取り扱う輸出信用保険
という形であった。さらに、総額のうち224億ユーロは、ドイツ金融安定化法に基づくギリシャに対する貸出金に
係る保証という形であり、総額のうち915億ユーロは、EFSFに係る保証という形であった。
(出典:Bundesministerium der Finanzen, Finanzbericht 2022, Overview 3, page 294
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Downloads/Broschueren_Bestellservice/finanzbericht-2022.pdf?
__blob=publicationFile&v=5))
連邦 政府の債務および保証に関する詳細な情報については、「5) 表および補足情報」を参照のこと。
各種国際金融機関への出資に関する2021年12月31日現在の連邦政府の債務に関する詳細については、「5) 表お
よび補足情報 ― Ⅲ .国際金融機関に対する債務」の表を参照のこと。
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5) 表および補足情報
Ⅰ.連邦政府の直接債務
連邦政府の直接債務に係る元本残高の概要
2021年12月31日現在
元本残高
(単位:百万ユーロ)
国債 ( Bundesanleihen )
1,008,500
国債 ( Bundesobligationen )
217,000
中期国債 ( Bundesschatzanweisungen )
116,000
短期割引国債( Unverzinsliche Schatzanweisungen )
154,500
インフレ連動証券 ( Inflationsindexierte Bundeswertpapiere )
69,900
グリーン国債 ( Grüne Bundesanleihen )
19,000
グリーン5年物国債 ( Grüne Bundesobligationen )
5,000
債務証書借入 ( Schuldscheindarlehen )
5,695
旧債務 (1)
4,474
-162,662
買戻債務
合計 (2)
1,437,407
(1) 主に、1948年の通貨改革に関連するドイツ中央銀行、その他の銀行および保険会社の平衡化請求権および買戻し請求権。
(2) 上記の情報の出典である連邦財務省月報2022年1月号と比較すると、短期割引国債は(債務額ではなく)残高で表示されている。
(出典:Monthly Report of the Federal Ministry of Finance, January 2022, Table “Entwicklung der Kreditaufnahme
des Bundes im Dezember 2021”, page 74, and table “Entwicklung von Umlaufvolumen und Eigenbestände an
Bundeswertpapieren im Dezember 2021”, page 76
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Monatsberichte/2022/01/Inhalte/Kapitel-4-Wirtschafts-und-Finanzlage/4-4-
kreditaufnahme-des-bundes-und-seiner-sondervermoegen_pdf.pdf?__blob=publicationFile&v=6))
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債務一覧表
1. 国債 ( Bundesanleihen ) (1)
2021 年 12 月 31 日現在
名称 利率 発行年 満期 元本残高総額
(年率%) ( 単位 : 百万ユーロ )
1994 年 連邦共和国6.25%国債 6.25 1994 2024 12,750
1997 年 連邦共和国6.5%国債 6.50 1997 2027 13,750
1998 年 連邦共和国5.625%国債 5.625 1998 2028
17,000
1998 年 連邦共和国4.75%国債 4.75 1998 2028
13,750
2000 年 連邦共和国6.25%国債 6.25 2000 2030
11,750
2000 年 連邦共和国5.5%国債 5.50 2000 2031
21,500
2003 年 連邦共和国4.75%国債 4.75 2003 2034
24,500
2005 年 連邦共和国4%国債 4.00 2005 2037
27,500
2007 年 連邦共和国4.25%国債 4.25 2007 2039
18,500
2008 年 連邦共和国4.75%国債 4.75 2008 2040
20,500
2010 年 連邦共和国3.25%国債 3.25 2010 2042
19,500
2011 年 連邦共和国2%国債 2.00 2011 2022
22,500
2012 年 連邦共和国1.75%国債 1.75 2012 2022
26,500
2012 年 連邦共和国1.5%国債 1.50 2012 2022
20,500
2012 年 連邦共和国2.5%国債 2.50 2012 2044
28,500
2013 年 連邦共和国1.5%国債 1.50 2013 2023
20,500
2013 年 連邦共和国1.5%国債 1.50 2013 2023
22,500
2013 年 連邦共和国2%国債 2.00 2013 2023
22,500
2014 年 連邦共和国1.75%国債 1.75 2014 2024
22,500
2014 年 連邦共和国2.5%国債 2.50 2014 2046
30,500
2014 年 連邦共和国1.5%国債 1.50 2014 2024
22,500
2014 年 連邦共和国1%国債 1.00 2014 2024
22,500
2015 年 連邦共和国0.5%国債 0.50 2015 2025
27,500
2015 年 連邦共和国1%国債 1.00 2015 2025
27,500
2016 年 連邦共和国0.5%国債 0.50 2016 2026
30,500
2016 年 連邦共和国0%国債 0.00 2016 2026
29,500
2017 年 連邦共和国0.25%国債 0.25 2017 2027
30,500
2017 年 連邦共和国0.5%国債 0.50 2017 2027
29,500
2017 年 連邦共和国1.25%国債 1.25 2017 2048
30,000
2018 年 連邦共和国0.5%国債 0.50 2018 2028
25,500
2018 年 連邦共和国0.25%国債 0.25 2018 2028
25,500
2019 年 連邦共和国0.25%国債 0.25 2019 2029
26,500
2019 年 連邦共和国0.00%国債 0.00 2019 2029
26,500
2019 年 連邦共和国0.00%国債 0.00 2019 2050
29,000
2020 年 連邦共和国0.00%国債 0.00 2020 2030
25,000
2020 年 連邦共和国0.00%国債 0.00 2020 2035
22,500
2020 年 連邦共和国0.00%国債 0.00 2020 2027
22,000
2020 年 連邦共和国0.00%国債 0.00 2020 2030
30,500
2021 年 連邦共和国0.00%国債 0.00 2021 2028
24,000
2021 年 連邦共和国0.00%国債 0.00 2021 2031
25,000
2021 年 連邦共和国0.00%国債 0.00 2021 2031
29,500
2021 年 連邦共和国0.00%国債 0.00 2021 2036
22,000
2021 年 連邦共和国0.00%国債 0.00 2021 2052
7,500
1,008,500
国債合計
(1) 国債( Bundesanleihen ) は債券振替決済制度で取引され、券面の発行は行わない。満期は10年から30年である。元本ストリップス債を含み、
満期前償還は行わない。
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2. グリーン国債 (1)
2021 年12月31日現在
名称 利 率 発行年 満期 元本残高総額
(年率%) (単位:百万ユーロ)
2020 年 連邦共和国0.00%グリーンボンド 0.00 2020 2030 6,500
2021 年 連邦共和国0.00%グリーンボンド 0.00 2021 2031 6,500
6,000
2021 年 連邦共和国0.00%グリーンボンド 0.00 2021 2050
19,000
グリーン国債 合計
(1) 国債( Bundesanleihen ) は債券振替決済制度で取引され、券面の発行は行わない。満期は10年から30年である。元本ストリップス債を含み、
満期前償還は行わない。
3. インフレ連動証券 (1)
2021 年12月31日現在
名称 利 率 発行年 満期 元本残高総額
(年率%) (単位:百万ユーロ)
2012 年 連邦共和国0.10%インフレ連動債 0.10 2012 2023 16,500
2014 年 連邦共和国0.50%インフレ連動債 0.50 2014 2030 21,300
2015 年 連邦共和国0.10%インフレ連動債 0.10 2015 2026 17,300
2015 年 連邦共和国0.10%インフレ連動債 0.10 2015 2046 10,900
3,900
2021 年 連邦共和国0.10%インフレ連動債 0.10 2021 2033
69,900
インフレ連動証券 合計
(1) インフレ連動証券( Inflationsindexierte Bundeswertpapiere ) は債券振替決済制度で取引され、券面の発行は行わない。満期は5年から10
年であり、満期前償還は行わない。
4. 国債( Bundesobligationen ) (1)
2021 年 12月31日現在
名称 利率 発行年 満期 元本残高総額
(年率%) (単位:百万ユーロ)
2017 年0.00%国債―シリーズ175 0.00 2017 2022 20,500
2017 年0.00%国債―シリーズ176 0.00 2017 2022 19,500
2018 年0.00%国債―シリーズ177 0.00 2018 2023 18,500
2018 年0.00%国債―シリーズ178 0.00 2018 2023 18,500
2019 年0.00%国債―シリーズ179 0.00 2019 2024 23,500
2019 年0.00%国債―シリーズ180 0.00 2019 2024 22,500
2020 年0.00%国債―シリーズ181 0.00 2020 2025 20,000
2020 年0.00%国債―シリーズ182 0.00 2020 2025 25,000
2021 年0.00%国債―シリーズ183 0.00 2021 2026 25,000
24,000
2021 年0.00%国債―シリーズ184 0.00 2021 2026
国債合計 217,000
(1) 国債( Bundesobligationen ) は債券振替決済制度で取引され、券面の発行は行わない。満期は約5年であり、満期前償還は行わない。
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5. グリーン国債 (1)
2021 年12月31日現在
名称 利 率 発行年 満期 元本残高総額
(年率%) (単位:百万ユーロ)
5,000
2020 年 0.00%グリーンボンド 0.00 2020 2025
国債 合計 5,000
(1) 国債( Bundesobligationen ) は債券振替決済制度で取引され、券面の発行は行わない。満期は約5年であり、満期前償還は行わない。
6. 中期国債 (1)
2021 年 12月31日現在
名称 利率 発行年 満期 元本残高総額
(年率%) (単位:百万ユーロ)
2020 年0.00%中期国債 0.00 2020 2022 14,000
2020 年0.00%中期国債 (Ⅱ) 0.00 2020 2022 15,000
2020 年0.00%中期国債 (Ⅲ) 0.00 2020 2022 15,000
2020 年0.00%中期国債 (Ⅳ) 0.00 2020 2022 14,000
2021 年0.00%中期国債 0.00 2021 2023 16,000
2021 年0.00%中期国債 (Ⅱ) 0.00 2021 2023 16,000
2021 年0.00%中期国債 (Ⅲ) 0.00 2021 2023 16,000
10,000
2021 年0.00%中期国債 (Ⅳ) 0.00 2021 2023
116,000
中期国債合計
(1) 中期国債( Bundesschatzanweisungen ) は債券振替決済制度で取引され、券面の発行は行わない。満期は2年であり、満期前償還は行わない。
7. 短期割引国債 (1)
2021 年 12月31日現在
利率(2) 発行年 満期 元本残高総額
(年率%) (単位:百万ユーロ)
2020 ― 2021 ―
-0.76 ― -0.63
短期割引国債 154,500
2021 2022
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8. 債務証書借入 (3)
2021 年 12月31日現在
利率 発行年 満期 元本残高総額
(年率%) (単位:百万ユーロ)
債務証書借入 2003 ― 2021 ―
3.46 ―5.05 5,695
( Schuldscheindarlehen ) 2007 2037
(1) 短期割引国債( Unverzinsliche Schatzanweisungen ) は額面金額より割り引かれた金額で発行され、満期日に額面金額で払い戻される。その
期間中に利息の支払はない。短期割引国債は、機関投資家を対象に、入札で発行される。満期は6ヶ月から12ヶ月の間である。満期前償還は
認められていない。
(2) 発行時割引の形で所持人に支払われる年間利率を表す。満期前償還は認められていない。
(3) 債務証書借入( Schuldscheindarlehen ) は、ドイツ資本市場での調達手段である。一般的には機関投資家である貸付人が、借入人に対する貸
出およびかかる貸出の条件を証する証書を受け取る。かかる証書は原則として少なくとも3回の譲渡が認められている。満期前償還は認めら
れていない。
(債務一覧表1から8の出典:Federal Republic of Germany – Finance Agency, “Einzelaufstellung der ausstehenden
Bundeswertpapiere und Kreditmarktmittel“ (https://www.deutsche-
finanzagentur.de/fileadmin/user_upload/institutionelle-
investoren/pdf/Einzelaufstellung_Bundeswertpapiere_dt.pdf))
9 .その他の債務
2021 年 12月31日現在
種類 利率 発行年 満期 元本残高総額
(年率%) (単位:百万ユーロ)
旧債務 (1)
0.00 ―3.00 各種 各種 4,474
(1) 主に、1948年の通貨改革に関連するドイツ中央銀行、その他の銀行および保険会社の平衡化請求権および買戻し請求権、ならびに投資援助税
( Investitionshilfeabgabe ) (所得に課税される特別税であり、その収益は投資促進に使用することができた。)から受領した額を返済す
るための連邦政府の債務を含む。
(出典:Monthly Report of the Federal Ministry of Finance, January 2022, Table “Entwicklung der Kreditaufnahme
des Bundes im Dezember 2021”, page 74,
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Monatsberichte/2022/01/Inhalte/Kapitel-4-Wirtschafts-und-Finanzlage/4-4-
kreditaufnahme-des-bundes-und-seiner-sondervermoegen_pdf.pdf?__blob=publicationFile&v=6))
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Ⅱ.連邦政府による保証 (1)
元本残高総額
2020 年 2019 年
保証目的
12 月31日現在 12 月31日現在
(単位:百万ユーロ)
輸出金融ローン(返済を繰り延べた貸出を含む。)(2) 125,328 125,172
アンタイド・ローン、ドイツ企業による対外直接投資、
37,027 42,818
EIBによるEU外の借入人に対する貸出
市場組織および仕入措置に関連する貸出 0 0
農業、漁業および住宅建設分野の国内企業および
269,036 110,588
プロジェクトに対する貸出
国際金融機関に対する拠出 68,637 60,067
ドイツの金融支援に関する二国間プロジェクトの協調融資 29,977 25,555
信託公社( Treuhandanstalt )の承継機関 1,009 1,009
15,000 15,000
金利補填保証
546,014 380,210
2020 年ドイツ予算法に基づく保証総額
ドイツ金融安定化法に基づくギリシャに対する貸出金に係る保証
22,400 22,400
EFSF に伴う保証に関する法律に基づく貸出保証 91,526 93,341
2020 年 7月10日現在のSURE-Warranty Actに関連する保証 6,384 0
666,324 495,950
保証合計
(1) 借入金、発行された国債およびKfWが締結したデリバティブ取引については、KfW法に基づく保証を含まない。KfWの借入れに関する詳細に
ついては、「(4) 業務の概況―2) 当年度の事業の状況―金融市場―資金調達」を参照のこと。
(2) HERMES を通じて連邦共和国により保証されているKfW IPEX銀行が融資した輸出金融ローンを含む。HERMESの補償により恩恵を受けている
KfW IPEX銀行が融資したローンに関する詳細については、「(4) 業務の概況―2) 当年度の事業の状況―輸出金融およびプロジェクト・
ファイナンス(KfW IPEX銀行)―事業」を参照のこと。
(出典:Bundesministerium der Finanzen, Finanzbericht 2022, Overview 3, page 294
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Downloads/Broschueren_Bestellservice/finanzbericht-2022.pdf?
__blob=publicationFile&v=5))
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Ⅲ.国際金融機関に対する債務
連邦共和国は、各会員資格要件に従って出資を行い、また、場合によっては、追加拠出する義務を負っている。
かかる拠出は多くの場合、当初1944年に1米ドルが0.888671グラムの金と等価とされ、その後、SDRの創設に伴い、
1米ドルが上記金と同価値のSDRと等価として提示されていた。SDRの価値、バスケットに新たな通貨を加える可能
性、バスケットに占める当該各通貨の比重、およびSDRの金利決定に使用される金融商品は、5年毎に見直される。
2016年10月1日以降、SDRバスケットは5種類の通貨により構成され、通貨比重は、米ドル(42%)、ユーロ
(31%)、中国人民元(11%)、日本円(8%)、英ポンド(8%)となっている。
国際機関に対する連邦共和国の出資またはコミットメント
(2021年12月末現在)
連邦共和国の出資または
機関名 コミットメント(1) 払込金額
(単位:百万米ドル)
IMF (2)
37,277.2 37,277.2
IBRD (3)
13,242.8 913.3
IDA (3)(4)
29,272.8 29,060.8
国際金融公社(IFC)(3)(4) 1,094.4 1,094.4
EIB (5)
52,917.8 4,719.9
アフリカ開発銀行(AfDB)(3) 8,269.1 348.8
アフリカ開発基金(AfDF)(3) 4,980.3 4,753.6
アジア開発銀行(AsDB)(3) 6,429.9 321.4
アジア開発基金(AsDF)(3) 2,002.0 1,859.0
米州開発銀行(IDB)(3) 3,368.7 242.3
米州投資公社(IIC)(3) 20.2 20.2
特別事業基金(FSO)(3) - -
国際農業開発基金(IFAD)(3) 714.1 621.9
カリブ開発銀行(CDB)(3) 106.6 23.6
カリブ開発銀行特別開発基金(SDF)(3) 126.1 114.0
EBRD (5)
2,895.5 603.9
欧州開発銀行理事会(CEB)(5) 1,037.2 115.1
AIIB (3)
4,484.2 896.8
(1) 出資は、一部、米ドル、SDRまたはユーロにてコミットメントが行われる。SDRまたはユーロによるコミットメント額は、SDRによる一定のコ
ミットメント額が1SDR=1.39959米ドルの固定換算率で換算される場合を除き、年末為替相場により米ドルに換算される。
(2) 出資割当額(クォータ)は、26,634.4百万SDRである。2021年末値は、1SDR=1.399590米ドルである。出典:IMFのデータに基づき、連邦財務
省が算出。出資割当額(クォータ)は、全額、ドイツ中央銀行が支払っている。クォータのうち外国通貨部分(出資割当額の25%)および
IMFの融資に対するドイツ中央銀行の追加出資は、ドイツ中央銀行の手持ち外貨の一部で支払われる。政府は、IMFの貸出に伴うリスクについ
て保証または引当金を提供していない。
(3) 出典:連邦財務省およびBMZ算出。
(4) 出典:IFCとIDAについては世界銀行秘書室(2022年4月)。
(5) 出典:ECBによる2021年12月31日現在の1ユーロ=1.1326米ドルの換算率に基づき連邦財務省が算出。
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6) その他
以下の情報は、連邦共和国に関する上記以外の情報であり、本有価証券報告書提出日において入手可能なもので
ある。
主要な経済指標の概要
連邦共和国に関する以下の経済情報は、下記に言及した公文書から引用したものである。一部の情報は暫定のも
のである。
国内総生産 (GDP)
国内総生産
(物価、季節要因および営業日数による影響の調整後) (1)
対象期間 前四半期比 前年同期比
2021 年第1四半期 -1.7% -2.7%
2021 年第2四半期 2.2% 10.4%
2021 年第3四半期 1.7% 2.9%
2021 年第4四半期 -0.3% 1.8%
2022 年第1四半期 0.2% 3.7%
(1) センサス局法X-13に従った、季節要因および営業日数による影響の調整。
2022 年第1四半期の物価、季節要因および営業日数調整後のドイツのGDPは、2021年第4四半期と比較して 0.2 %増
加した。2021年夏のドイツ経済の回復および2021年末の衰退を経て、2022年第1四半期の経済実績はわずかに上昇
した。この展開は主に資本形成の増加に起因するもので、一方、輸出入の均衡は経済成長率に下方効果を及ぼし
た。ロシアのウクライナ侵攻による経済的影響は、2022年2月下旬以降、短期的な経済発展への影響を強めてい
る。
ドイツ経済がCOVID-19のパンデミックの第二波による影響を受けていた2021年第1四半期と比較して、2022年第1
四半期における物価および営業日数調整後のGDPは、 3.7 %増加した。COVID-19のパンデミック発生前の最後の四半
期にあたる2019年第4四半期のGDPと比較して、2022年第1四半期における物価および営業日数調整後のGDPは、
0.9 %減少した。
COVID-19 のパンデミックの継続およびウクライナにおける戦争により、これらの業績は通常よりも大きな不確実
性に晒されている。
(出典:Federal Statistical Office, Gross domestic product in the 1st quarter of 2022 up 0.2% on the previous
quarter, press release of April 29, 2022 (https://www.destatis.de/EN/Press/2022/04/PE22_184_811.html))
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インフレ率
インフレ率
(総合CPIに基づく。)
対象期間 前月比 前年同月比
2021年4月 0.7% 2.0%
2021年5月 0.5% 2.5%
2021年6月 0.4% 2.3%
2021年7月 0.9% 3.8%
2021年8月 0.0% 3.9%
2021年9月 0.0% 4.1%
2021年10月 0.5% 4.5%
2021年11月 -0.2% 5.2%
2021年12月 0.5% 5.3%
2022年1月 0.4% 4.9%
2022年2月 0.9% 5.1%
2022年3月 2.5% 7.3%
2022年4月 0.8% 7.4%
CPI の前年同月比で測定されるドイツのインフレ率は、2022年4月に7.4%となったため、主にエネルギー価格の
動向により2022年3月にインフレ率が7.3%に上昇して以来、2ヶ月連続でドイツ再統一後の過去最高を更新した。
特にエネルギー価格は、ロシアのウクライナ侵攻以降、大幅に上昇し、インフレ率に大きな影響を与えている。連
邦共和国(再統一前)でも、1981年秋にイラクおよびイランの湾岸戦争の影響で石油価格が高騰し、同様のインフ
レ率が記録されたことがある。さらに、COVID-19のパンデミックによるサプライチェーンの寸断による配送のボト
ルネックや経済プロセスの上流段階での顕著な価格上昇等も要因として挙げられる。これらの要因は、エネルギー
だけでなく、食品等他の製品群についても、消費者価格の上昇を加速させた。
財の価格(合計)は、2021年4月から2022年4月にかけて12.2%上昇した。エネルギー価格は、2022年3月に2021
年3月と比較して39.5%上昇した後、2022年4月に2021年4月と比較して35.3%上昇した。灯油価格 (+98.6%)は、
2021年4月と比較して、2022年4月にほぼ倍増し、自動車燃料(+38.5%)および天然ガス(+47.5%)も大幅な価格
上昇を記録した。その他のエネルギー製品の価格上昇もまた、全体のインフレ率を大幅に上回った(固形燃料
(+23.9%)および電気(+19.3%)等の価格) 。エネルギー価格の上昇は、ロシアのウクライナ侵攻、COVID-19の
パンデミックおよび二酸化炭素価格の引上げ(1トン当たり25ユーロから30ユーロ)に関連する影響を含む、複数
の要因の影響を受けた。2022年4月の食品価格は、2021年4月と比較して、8.6%と大幅に上昇し、2022年3月
(+6.2%)と比較して、大幅に加速している。食用油脂(+27.3%)、肉および肉製品(+11.8%)、乳製品および
卵(+9.4%)ならびに生鮮野菜(+9.3%)について、大幅な価格上昇が記録された。エネルギーおよび食品だけで
なく、自動車(+8.9%)、情報処理機器(+8.0%)等のその他の製品の価格も上昇している。2021年4月、非耐久
消費財(合計)の価格が16.0%、耐久消費財の価格が5.2%上昇した。2022年4月のインフレ率はエネルギー価格を
除くと4.3%、エネルギー価格および食品価格を除くと3.8%とされている。
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2022 年4月のサービスの価格(合計)は、2021年4月と比較して、3.2%上昇した。光熱費を除いた正味賃料は、
家計消費支出の大部分を占めるため重要であり、1.6%上昇したため、インフレ率全体に下方効果を及ぼした。さ
らに、電気通信(-1.1%)および社会施設サービス(-2.6%)において価格の下落が見られたが、後者については
2021年6月に採択された長期的な介護改革の実施に起因するものであった。しかし、住居および住宅の維持および
修繕(+12.2%)ならびに自動車(+6.1%)を含む一部のサービスの価格は、顕著に上昇した。
CPI は、2022年3月と比較して、2022年4月に0.8%上昇した。パッケージツアーの季節的な値上げ(+17.6%)に
加え、特に食品価格の上昇(+3.6%)が目立った。消費者の食料品、特に食用油脂(+10.2%)ならびに肉および
肉製品(+7.1%)に対する支出が増加した。これらの価格上昇は、エネルギー価格の下落により一部相殺された。
エネルギー価格は前月から3.1%下落し、灯油(-20.3%)および自動車燃料(-5.7%)について大幅な価格の下落
が見られた。
(出典:Federal Statistical Office, Short-term indicators: Price indices at a glance (consumer prices, retail
prices, producer prices, selling prices in wholesale trade, import prices, export prices). Tables with values and
rates of change (https://www.destatis.de/EN/Themes/Economy/Short-Term-Indicators/Prices/pre110.html); Federal
Statistical Office, Inflation rate at +7.4% in April 2022, press release of May 11, 2022
(https://www.destatis.de/EN/Press/2022/05/PE22_196_611.html))
失業率
失業率
(国際労働機関(ILO)定義による総労働人口に占める失業者の割合) (1)
調整後 (2)
対象期間 調整前
2021年3月 4.0% 3.9%
2021年4月 3.9% 3.8%
2021年5月 3.7% 3.7%
2021年6月 3.6% 3.6%
2021年7月 3.4% 3.5%
2021年8月 3.4% 3.5%
2021年9月 3.3% 3.4%
2021年10月 3.1% 3.3%
2021年11月 3.2% 3.2%
2021年12月 3.0% 3.2%
2022年1月 3.3% 3.1%
2022年2月 3.0% 3.0%
2022年3月 2.9% 2.9%
(1) 失業率の時系列データは、ドイツ労働力調査に基づいている。
(2) トレンド・サイクル要素の影響の調整(ユーロスタットがJDemetra+を用いてセンサス局法X-13-ARIMAに従って調整。)。
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2022 年3月の従業員数は、2021年3月と比較して、約725,000人(1.6%)増加した。2022年2月と比較した場合、
季節変動調整後の2022年3月の従業員数は、約85,000人(0.2%)増加した。季節変動調整後の2022年3月の従業員
数は、ドイツにおけるCOVID-19のパンデミックが発生する前の月である2020年2月と比較して、41,000人(0.1%)
増加した。
2022 年3月の失業者数は、2021年3月と比較して、約435,000人(25.7%)減少した。季節要因および不規則変動
要因の影響を調整した後の2022年3月の失業者数は、2022年2月と比較して、2.0%の減少を示し、1.28百万人で
あった。
雇用統計および労働力調査の概念によると、短時間労働制度( Kurzarbeit ) による労働者は、失業者としてでは
なく、従業員として計算されることに留意すべきである。
(出典:Federal Statistical Office, Employment exceeds pre-crisis level in March 2022, press release of May 3,
2022 (https://www.destatis.de/EN/Press/2022/05/PE22_186_132.html); Federal Statistical Office, Genesis-Online
Datenbank, Result 13231-0001, Unemployed persons, persons in employment, economically active population,
unemployment rate: Germany, months, original and adjusted data (https://www-genesis.destatis.de/genesis/online?
sequenz=tabelleErgebnis&selectionname=13231-0001&zeitscheiben=2&leerzeilen=false&language=en#abreadcrumb))
経常収支および外国貿易
経常収支および外国貿易
項目 2022年1月から2月の収支 2021年1月から2月の収支
(単位:10億ユーロ)(1)
財
20.9 33.0
サービス
0.2 2.1
第一次所得
23.8 20.0
第二次所得
-11.5 -13.8
経常収支
33.3 37.1
(1) 四捨五入により合計が一致しない場合がある。月次の数値をベースにKfWが算出した年度累計の数値である。
(出典:Deutsche Bundesbank, Balance of payments statistics, 12-04-2022, I. Major items of the balance of payments
(https://www.bundesbank.de/resource/blob/810958/623451630dbc657c8d274cc0ba935348/mL/i-wichtige-posten-data.pdf))
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その他の最近の動向
ロシアのウクライナ侵攻に対するドイツの対応
エネルギー価格の上昇に関連する救済措置 エネルギー市場の不確実性およびロシアのウクライナ侵攻以前の天
然ガスの供給逼迫は、すでに過去数ヶ月にわたるエネルギー価格の大幅な上昇に寄与している。連邦統計局による
と、2022年2月のエネルギー価格、特に輸入エネルギー(+129.5%)は、2021年2月と比較して、経済プロセスの全
段階において著しく上昇した。このような背景から、連邦政府は、特に弱者グループを含む消費者に恩恵を与える
救済措置パッケージを短期間のうちに開始することについて、2022年2月にすでに合意していた。これらの措置に
は、再生可能エネルギー源の使用を推奨するために電気料金に含まれていた再生可能エネルギー源法課税(EEG-
Umlage)を廃止し、代わりに2022年7月1日付の連邦予算を通じて再生可能エネルギー源からエネルギーを調達する
こと、所得税に適用される2022年1月1日付の一定の税制上の措置、およびドイツ国民の特定の弱者(給付金受給者
および貧困に苦しむ子ども等)に対する無償給付金が含まれる。さらに、2022年4月27日、連邦政府は、特にロシ
アのウクライナ侵攻が消費者のエネルギー価格に及ぼす影響を緩和するための広範な追加措置の財源として、2022
会計年度の補正予算案を採択した。主要な要素は、2022年3月23日に政権党の連立委員会で合意され、給与の上乗
せとしてのエネルギー価格手当の1度限りの導入、子ども1人当たりの家族手当、社会給付金受給者への1度限りの
上乗せ、燃料に対するエネルギー税の欧州最低税率への3ヶ月間の一時的引下げ、90日間の公共交通機関の使用料
減額等が含まれている。
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(出典:Federal Statistical Office, Energy prices: high increases at all stages in the economic process, press
release of March 29, 2022 (https://www.destatis.de/EN/Press/2022/03/PE22_N016_61.html); Bundesministerium der
Finanzen, 10 Entlastungschritte für unser Land, Ergebnis des Koalitionsausausschusses vom 23. Februar 2022
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Downloads/Oeffentliche-Finanzen/10-entlastungsschritte-fuer-
unser-land.pdf?__blob=publicationFile&v=4); Bundesministerium für Wirtschaft und Klimaschutz, Kabinett bringt
Abschaffung der EEG-Umlage auf den Weg, press release of March 9, 2022
(https://www.bmwi.de/Redaktion/DE/Pressemitteilungen/2022/03/20220309-kabinett-bringt-abschaffung-der-eeg-umlage-
auf-den-weg.html); Bundesministerium der Finanzen, Steuerentlastungen unterstützen Bürger:innen, press release of
March 16, 2022 (https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Pressemitteilungen/Finanzpolitik/2022/03/
2022-03-16-steuerentlastungen-unterstuetzen-
buergerinnen.html#:~:text=Arbeitnehmer*innen%20werden%20unmittelbar%20und,Januar%202022); Bundesministerium der
Finanzen, Schnelle und spürbare Entlastungen, dated March 16, 2022
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Standardartikel/Themen/Schlaglichter/Entlastungen/
schnelle-spuerbare-entlastungen.html); Bundesministerium der Finanzen, Stabilität sichern, Gestaltungsspielraum
bewahren, Zweiter Regierungsentwurf für den Bundeshaushalt 2022, Eckwerte 2023 und Finanzplan bis 2026, press
release of March 16, 2022
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Pressemitteilungen/Finanzpolitik/2022/03/2022-03-16-
bundeshaushalte-2022-2023.html); Bundesministerium für Wirtschaft und Klimaschutz, Ergebnis des
Koalitionsausschusses vom 23. März 2022, Maßnahmenpaket des Bundes zum Umgang mit den hohen Energiekosten
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Downloads/2022-03-23-massnahmenpaket-bund-hohe-
energiekosten.pdf?__blob=publicationFile&v=6); Bundesministerium der Finanzen, Bundesregierung bringt zweites
Entlastungspaket auf den Weg, press release of April 27, 2022
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Pressemitteilungen/Finanzpolitik/2022/04/2022-04-27-zweites-
entlastungspaket.html?
cms_pk_kwd=27.04.2022_Bundesregierung+bringt+zweites+Entlastungspaket+auf+den+Weg&cms_pk_campaign=Newsletter-
27.04.2022); Bundesministerium der Finanzen, Ergänzungshaushalt 2022: Auswirkungen des russischen Angriffskrieges
wirksam entgegentreten, press release of April 27, 2022
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Pressemitteilungen/Finanzpolitik/2022/04/2022-04-27-
ergaenzungshaushalt-2022.html?cms_pk_kwd=27.04.2022_Erg%C3%A4nzungshaushalt+2022+Auswirkungen+des+russischen+
Angriffskrieges+wirksam+entgegentreten&cms_pk_campaign=Newsletter-27.04.2022))
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ロシアからのエネルギー輸入に対するドイツの依存度を下げるための措置 ドイツは、ロシアからのエネルギー
輸入に非常に依存している。ドイツは、2021年の石油消費量の約35%をロシアからの輸入で賄い、石炭消費量の約
50%をロシアの石炭によって賄っていた。ドイツのガス消費量に占めるロシア産ガスの割合は、以前は平均で約
55%に達していた。ロシアのウクライナ侵攻以来、ロシアの石油、石炭およびガスの輸入削減が大きく進み、2022
年5月1日現在でそれぞれ12%、8%および35%に達した。連邦政府は、年内にロシアの石油供給から事実上独立す
ることを目指すと発表した。EUは2022年4月8日、ロシアからの石炭およびその他の固形化石燃料の輸入を2022年8
月以降禁止することを盛り込んだ、追加の制裁パッケージを採択し、連邦政府のロシア産石炭からの独立計画を加
速させた。連邦政府はさらに、2024年夏までにロシアのガスから独立することを目標に掲げた。ガス供給システム
の変更も進んでいるが、これは困難かつ時間のかかるプロセスであり、液体天然ガス用のターミナルの建設等、多
額の投資が必要となる。連邦政府は関連インフラを拡大するために意欲的に行動しており、大規模な省エネプログ
ラムを立ち上げている最中である。現時点では、ロシアからのエネルギー輸入、特にガスが途絶えた場合、経済的
および社会的に深刻な影響を受ける可能性が高いと連邦政府は予測している。したがって、連邦政府は、ロシアを
含む供給状況の悪化に対処できるよう、ドイツのすべてのガス消費者へのガス供給を確保するための予防措置にも
取り組んでいる。さらに、再生可能エネルギーへの移行を加速させるため、エネルギー政策の大幅な改正が現在進
行中である。2022年4月末にロシアがポーランドとブルガリアに課したガス供給の禁輸措置は、現在までのとこ
ろ、ドイツへの確実なガス供給には影響を与えていない。
連邦政府の取組みに対するKfWの関与については、「( 6) その他― その他の最近の動向 ―ロシアのウクライナ侵
攻がKfWに及ぼす影響― 連邦政府の特別委託」を参照のこと。
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(出典:Bundesministerium für Wirtschaft und Klimaschutz, Fortschrittsbericht Energiesicherheit, dated March 25,
2022 (https://www.bmwi.de/Redaktion/DE/Downloads/Energie/0325_fortschrittsbericht_energiesicherheit.pdf?
__blob=publicationFile&v=10); Federal Ministry for Economic Affairs and Climate Action, Minister Habeck:
„Germany is quickly cutting its dependence on Russian energy. But we still need to act prudently”, press release
of March 25, 2022 (https://www.bmwi.de/Redaktion/EN/Pressemitteilungen/2022/03/20220325-minister-habeck-germany-
is-quickly-cutting-its-dependence-on-russian-energy-but-we-still-need-to-act-prudently.html); Council of the EU,
EU adopts fifth round of sanctions against Russia over its military aggression against Ukraine, press release of
April 8, 2022 (https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2022/04/08/eu-adopts-fifth-round-of-
sanctions-against-russia-over-its-military-aggression-against-ukraine/); Federal Ministry for Economic Affairs
and Climate Action, Federal Ministry and Climate Action announces early warning level of the Emergency Plan for
Gas – security of supply still ensured, press release of March 30, 2022
(https://www.bmwi.de/Redaktion/EN/Pressemitteilungen/2022/03/20220330-bmwk-announces-early-warning-level-of-the-
emergency-plan-for-gas-security-of-supply-still-ensured.html). Federal Ministry for Economic Affairs and Climate
Action appoints Bundesnetzagentur as fiduciary for Gazprom Germania - Acquisition of Gazprom Germania GmbH by JSC
Palmary provisionally invalid, press release of April 4, 2022
(https://www.bmwi.de/Redaktion/EN/Pressemitteilungen/2022/03/20220404-bmwk-appoints-bundesnetzagentur-as-
fiduciary-for-gazprom-germania.html); Bundesministerium für Wirtschaft und Klimaschutz, Habeck: „Das Osterpaket
ist der Beschleuniger für die erneuerbaren Energien“, press release of April 6, 2022
(https://www.bmwi.de/Redaktion/DE/Pressemitteilungen/2022/04/20220406-habeck-das-osterpaket-ist-der-
beschleuniger-fur-die-erneuerbaren-energien.html); Bundesministerium für Wirtschaft und Klimaschutz, Habeck legt
zweiten Fortschrittsbericht Energiesicherheit vor – Abhängigkeit von russischen Energieimporten weiter reduziert,
press release of May 1, 2022 (https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Pressemitteilungen/2022/05/20220501-habeck-legt-
zweiten-fortschrittsbericht-energiesicherheit-vor.html); Bundesministerium für Wirtschaft und Klimaschutz,
Versorgungssicherheit in Deutschland gewährleistet – Lage wird aber genau beobachtet – Enge Abstimmung innerhalb
der EU erfolgt, press release of April 27, 2022
(https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Pressemitteilungen/2022/04/20220427-versorgungssicherheit-in-deutschland-
gewaehrleistet.html))
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ロシアのウクライナ侵攻および関連する制裁により影響を受けた企業への支援 2022 年 4月8日、連邦政府は、ロ
シアのウクライナ侵攻および関連する制裁により影響を受けた企業に対する包括的な支援措置パッケージを採択し
た。下記「ロシアのウクライナ侵攻に対するEUの対応」に記載されているEUの一時的な危機管理枠組みは、必要な
国家補助の承認を条件として、影響を受けた企業を支援するための国家支援に必要な基礎を提供する。現時点で
は、影響を受けた企業の流動性を短期的に確保することが主な目標であり、それゆえ、連邦政府は主に流動性支援
策を企業に提供する予定である。これらの措置には、2022年5月9日に開始した、「(6) その他―その他の最近の動
向―ロシアのウクライナ侵攻がKfWに及ぼす影響―2022年KfW特別プログラムUBR」に記載のKfWの特別プログラムで
ある「UBR2022」が含まれる。また、COVID-19のパンデミック中に導入された連邦-連邦州保証プログラム( Bund-
Länder-Bürgschaftsprogramme ) の一部拡大が、ロシアのウクライナ侵攻により明らかに影響を受けた企業に対し
て継続されている。さらに、企業の経済状況が悪化した場合に備えて、連邦政府は補完的な措置を準備している。
このような補完的措置の計画には、特に影響を受ける企業のガスおよびエネルギー価格の上昇の影響を一時的に緩
和するための、時間と範囲を限定した費用手当、標準化された基準に基づいてKfWが供与する連邦共和国の保証に
裏付けられた信用枠で構成される、高額の証拠金要求によりリスクを抱える企業に対する、1,000億ユーロを上限
とする資金提供プログラムならびにシステム上特に重要な企業を安定させるための対象を絞り込んだ株式およびハ
イブリッド資本支援措置を、まず個別のケースに対してKfWの特別委任により拡張できるオプションが含まれてい
る。
(出典:Bundesministerium für Wirtschaft und Klimaschutz, Bundesregierung beschließt Schutzschild für vom Krieg
betroffene Unternehmen, press release of April 8, 2022
(https://www.bmwi.de/Redaktion/DE/Pressemitteilungen/2022/04/20220408-bundesregierung-beschliesst-
schutzschild.html); Bundesministerium für Wirtschaft und Klimaschutz/Bundesministerium der Finanzen/KfW,
Schutzschild der Bundesregierung für von Kriegsfolgen betroffene Unternehmen startet Schritt für Schritt, joint
press release dated May 3, 2022 (https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Pressemitteilungen/2022/05/20220503-
schutzschild-der-bundesregierung-fur-von-kriegsfolgen-betroffene.html))
連邦軍のための特別基金 ロシアのウクライナ侵攻を受け、連邦政府は連邦軍のための特別基金
( Sondervermögen Bundeswehr ) の設立を計画しており、その独自の信用枠として最大1,000億ユーロを1度限りで
設定する。この1度限りの信用供与は、「債務抑制」の債務上限の遵守を免除される。特別基金は、北大西洋条約
機構(NATO)の毎年GDPの2%以上を防衛費として支出するという目標を達成するために、連邦予算の防衛部門を補
完することを目的としている。
(出典:Bundesministerium der Finanzen, Sondervermögen Bundeswehr: Investitionen in unsere Freiheit, press release
of March 16, 2022
(https://www.bundesfinanzministerium.de/Content/DE/Pressemitteilungen/Finanzpolitik/2022/03/2022-03-16-
sondervermoegen-bundeswehr.html?
cms_pk_kwd=16.03.2022_Sonderverm%C3%B6gen+Bundeswehr+Investitionen+in+unsere+Freiheit&cms_pk_campaign=Newsletter-
16.03.2022))
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ロシアのウクライナ侵攻に対するEUの対応
ロシアのウクライナ侵攻を受けて、EUは、難民の受入れ、人道支援、市民保護支援、ウクライナ連帯基金設立の
合意、難民を受け入れているEU加盟国に対する170億ユーロの支援、ウクライナの安定のための12億ユーロの緊急
マクロ金融支援活動および、2021年3月に設立され、2021年から2027年の期間につき2018年時点の価格で50億ユー
ロの資金上限を有するEU予算外の資金調達手段である欧州平和ファシリティに基づく10億ユーロのウクライナ軍支
援を含む、ウクライナおよびウクライナ国民を支援する包括的な措置を講じた。
さらに、EUは、2014年のクリミア不法併合後に段階的に科された制裁措置に加え、ロシアに対する広範な制限的
措置を採択した。ウクライナの領土保全、主権および独立を損ねたとみなされる行為を理由とした、資産凍結およ
び渡航禁止を含む個別制裁が特定の人物および事業体に科された。特定の経済分野におけるロシアとの交流を対象
とした経済制裁には、特定のロシアの銀行や企業に対するEU資本市場へのアクセス制限、ロシア中央銀行およびベ
ラルーシ中央銀行との取引禁止、多数のロシアおよびベラルーシの銀行のSWIFTからの排除、ロシアとベラルーシ
へのユーロ紙幣の提供禁止、ロシアのあらゆる航空会社によるEU空域の飛行およびEU空港への乗入れ禁止、様々な
分野の商品および技術のロシアへの輸出禁止、軍事用デュアルユース商品のロシアへの輸出禁止ならびに武器の輸
出入禁止が含まれる。2022年4月8日、EUは、2022年8月以降ロシアからの石炭およびその他の固形化石燃料の輸入
禁止、ロシア船籍の船舶のEU港への入港禁止、ロシアの銀行部門の23%のシェアを占める主要4銀行に対する全面
的な取引禁止の発動を含む、さらなる制裁措置を採択した。EUは現在、ロシアからの石油輸入禁止を含む、追加の
制裁措置パッケージの採択を検討している。
EU 加盟国における戦争による経済的影響を軽減するため、EU委員会はまた、2022年3月にロシアのウクライナ侵
攻に伴う経済支援のための国家支援措置の臨時危機対応枠組み(以下「臨時危機対応枠組み」という。)を採択し
た。危機により影響を受けた企業に対する助成金制度の設定を認めるほか、EU加盟国は投資および運転資金需要の
ために、国家保証および補助金付融資の形式での流動性支援の提供を許可されている。さらに、EU加盟国は、特に
集約的なエネルギー利用企業に対し、現在の異例のガス・電気料金の値上げに起因する追加コストを、直接補助金
を含め、部分的に補償することができる。延長される措置には一定の限度が設けられる。臨時危機対応枠組みは、
2022年12月31日まで実施され、欧州委員会が必要と判断した場合には延長される可能性がある。
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ドイツ復興金融公庫(E06047)
有価証券報告書
(出典:Council of the EU, EU response to Russia’s invasion of Ukraine, accessed on April 8, 2022
(https://www.consilium.europa.eu/en/policies/eu-response-ukraine-invasion/); Council of the EU, EU support to
Ukraine: Council doubles funding under the European Peace Facility, press release of March 23, 2022
(https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2022/03/23/eu-support-to-ukraine-council-doubles-
funding-under-the-european-peace-facility/?utm_source=dsms-
auto&utm_medium=email&utm_campaign=EU+support+to+Ukraine%3a+Council+doubles+funding+under+the+European+Peace+Facility);
Council of the EU, European Peace Facility, accessed on April 8, 2022
(https://www.consilium.europa.eu/en/policies/european-peace-facility/); Council of the EU, EU restrictive
measures in response to the crisis in Ukraine, accessed on April 8, 2022
(https://www.consilium.europa.eu/en/policies/sanctions/restrictive-measures-against-russia-over-ukraine/);
Council of the EU, EU adopts fifth round of sanctions against Russia over its military aggression against
Ukraine, press release of April 8, 2022 (https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2022/04/08/eu-
adopts-fifth-round-of-sanctions-against-russia-over-its-military-aggression-against-ukraine/); European
Commission, Speech by President von der Leyen at the EP Plenary on the social and economic consequences for the
EU of the Russian war in Ukraine – reinforcing the EU's capacity to act, May 4, 2022
(https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/speech_22_2785); European Commission, State aid:
Commission adopts Temporary Crisis Framework to support the economy in context of Russia’s invasion of Ukraine,
press release of March 23, 2022 (https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/statement_22_1949))
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ドイツ復興金融公庫(E06047)
有価証券報告書
COVID-19 のパンデミックに対する全般的な考察
欧州疾病予防管理センターよれば、2022年5月1日に終了した週(以下「第17週」という。)末現在で、EU諸国お
よび欧州経済地域(以下「EU/EEA」という。)のほとんどの国々において全体的な感染率が低下しており、これは
全体の感染報告率および65歳以上の感染率の双方で証明されている。全体として減少している一方で、65歳以上の
年齢層における感染率は依然として高い(EU/EEAのパンデミック時の最大の64%)。したがって、高齢者層におけ
る疾病負荷を引き続き監視することが重要である。14日間のCOVID-19の死亡率は3週間にわたって低下している。
第17週末現在、EU/EEA諸国の総人口のうち、72.6%がワクチンの完全接種を完了しており(すなわち、初回のワク
チン接種コースが完了)、51.6%が追加のブースター接種を受けたが、75.4%は少なくとも1回のワクチン接種を
完了している。
ドイツでは、COVID-19のパンデミックの現在の波は明らかに過ぎ去っており、多くの入院指数および死亡者数は
減少しているが、感染圧力は依然として高い。オミクロン株は引き続き支配的な亜種であり、感染者の99%超を占
めている。これまでの波と比較すると、現在の波におけるCOVID-19の重症患者数は大幅に減少している。感染症に
よる欠勤で医療従事者が制限されることによる公的医療システムの能力への負荷は、特に入院患者や集中治療の分
野で減少している。特に非常に有効なワクチン接種によりドイツ国民の免疫力が向上し、オミクロン株に関連する
重症感染症の割合が基本的に低下していることが相まって、オミクロン株の新規感染に関する死亡者数がこれまで
の波よりも少なくなっている。ドイツ国民のワクチン接種率は、過去数週間ほぼ横ばいで、主に2回目のブース
ター接種が行われている。ドイツの全人口のうち、75.8%が完全接種、59.5%が1回目のブースター接種、5.3%が
2回目のブースター接種を受けたが、2022年5月10日現在で77.6%が少なくとも1回のワクチン接種を受けた。2022
年4月2日現在、COVID-19のパンデミックに関する封じ込め措置はほとんど解除されているが、病院や介護施設での
マスク着用等の基本的な防護措置は継続されている。同時に、地域の感染状況によって必要とされ、関連する連邦
州の議会で決議されれば、より厳格な地域限定の規則が課される可能性がある。
(出典:European Centre for Disease Prevention and Control, Country overview report: week 17 2022, produced on May
6, 2022 (https://www.ecdc.europa.eu/en/covid-19/country-overviews); Robert Koch Institut, Wöchentlicher
Lagebericht des RKI zur Coronavirus-Krankheit-2019 (COVID-19), May 5, 2022
(https://www.rki.de/DE/Content/InfAZ/N/Neuartiges_Coronavirus/Situationsberichte/Wochenbericht/
Wochenbericht_2022-05-05.pdf?__blob=publicationFile); Bundesministerium für Gesundheit, Impf-Dashboard, as of
May 11, 2022 (https://impfdashboard.de/); Bundesregierung, Mehr Normalität im Alltag, March 30, 2022
(https://www.bundesregierung.de/breg-de/aktuelles/infektionsschutzgesetz-2013038))
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