ユニオンツール株式会社 有価証券報告書 第59期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)
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提出者 | ユニオンツール株式会社 |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
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ユニオンツール株式会社(E01505)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2020年3月27日
【事業年度】 第59期(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
【会社名】 ユニオンツール株式会社
【英訳名】 UNION TOOL CO.
【代表者の役職氏名】 代表取締役会長 片山 貴雄
【本店の所在の場所】 東京都品川区南大井六丁目17番1号
【電話番号】 03(5493)1017
【事務連絡者氏名】 執行役員 管理本部長 倉田 憲昌
【最寄りの連絡場所】 東京都品川区南大井六丁目17番1号
【電話番号】 03(5493)1017
【事務連絡者氏名】 執行役員 管理本部長 倉田 憲昌
【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
ユニオンツール株式会社 長岡工場
(新潟県長岡市攝田屋町字外川2706番地)
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第一部 【企業情報】
第1 【企業の概況】
1 【主要な経営指標等の推移】
(1) 連結経営指標等
回次 第55期 第56期 第57期 第58期 第59期
決算年月 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月
売上高 (千円) 25,212,606 20,802,253 23,265,681 24,514,771 22,877,969
経常利益 (千円) 4,278,899 2,859,526 3,718,710 4,326,838 2,963,892
親会社株主に帰属する
(千円) 3,571,798 2,136,621 2,655,614 3,228,521 2,383,733
当期純利益
包括利益 (千円) 3,695,103 789,146 4,090,157 586,356 2,610,911
純資産額 (千円) 50,277,573 49,232,283 52,440,455 51,986,851 53,556,468
総資産額 (千円) 53,923,766 52,539,370 57,067,136 56,479,309 57,418,709
1株当たり純資産額 (円) 2,860.35 2,849.55 3,035.28 3,009.08 3,100.01
1株当たり当期純利益 (円) 194.82 123.20 153.70 186.87 137.97
潜在株式調整後
(円) - - - - -
1株当たり当期純利益
自己資本比率 (%) 93.2 93.7 91.9 92.0 93.3
自己資本利益率 (%) 7.1 4.3 5.1 6.2 4.5
株価収益率 (倍) 17.07 24.67 26.93 15.65 24.64
営業活動による
(千円) 6,388,474 3,637,439 4,923,725 4,553,656 5,041,990
キャッシュ・フロー
投資活動による
(千円) △ 1,238,752 △ 3,376,276 △ 850,973 △ 3,452,173 △ 1,908,845
キャッシュ・フロー
財務活動による
(千円) △ 6,042,748 △ 1,834,193 △ 1,263,693 △ 1,037,262 △ 1,110,441
キャッシュ・フロー
現金及び現金同等物の
(千円) 7,867,465 6,007,052 8,790,908 9,042,850 10,965,068
期末残高
従業員数 1,397 1,422 1,450 1,508 1,483
(名)
( -) ( -) ( -) ( -) ( -)
(外、平均臨時従業員総数)
(注) 1 売上高には、消費税等を含んでおりません。
2 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3 従業員数は就業人員数であります。臨時従業員総数は、従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略し
ております。
4 第55期は、決算期変更により2014年12月1日から2015年12月31日までの13ヶ月間となっております。
5 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)を第59期より適用し
ており、第55期から第58期に係る主要な経営指標等については、遡及適用した数値を表示しております。
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(2) 提出会社の経営指標等
回次 第55期 第56期 第57期 第58期 第59期
決算年月 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月
売上高 (千円) 15,244,279 14,238,882 16,465,456 17,714,835 15,487,246
経常利益 (千円) 4,940,501 2,758,426 4,608,514 4,256,218 2,165,435
当期純利益 (千円) 4,524,579 2,301,091 3,897,446 3,444,273 1,830,868
資本金 (千円) 2,998,505 2,998,505 2,998,505 2,998,505 2,998,505
発行済株式総数 (株) 20,788,590 20,788,590 20,788,590 19,780,000 19,780,000
純資産額 (千円) 37,661,178 37,873,047 41,961,805 42,693,217 44,100,163
総資産額 (千円) 40,808,131 40,434,432 45,788,079 45,970,767 46,794,148
1株当たり純資産額 (円) 2,142.59 2,192.08 2,428.77 2,471.15 2,552.65
1株当たり配当額
55.00 50.00 56.00 60.00 60.00
(円)
( 22.00 ) ( 25.00 ) ( 26.00 ) ( 30.00 ) ( 30.00 )
(内1株当たり中間配当額)
1株当たり当期純利益 (円) 246.79 132.68 225.58 199.35 105.97
潜在株式調整後
(円) - - - - -
1株当たり当期純利益
自己資本比率 (%) 92.3 93.7 91.6 92.9 94.2
自己資本利益率 (%) 12.0 6.1 9.3 8.1 4.2
株価収益率 (倍) 13.47 22.91 18.35 14.67 32.09
配当性向 (%) 22.29 37.68 24.82 30.10 56.62
従業員数 746 770 791 813 821
(名)
( -) ( -) ( -) ( 88 )
( -)
(外、平均臨時従業員総数)
株主総利回り (%) 121.1 112.7 154.1 112.7 131.9
(比較指標: 配当込みTOPIX ) (%) ( 112.1 ) ( 112.4 ) ( 137.4 ) ( 115.5 ) ( 136.4 )
最高株価 (円) 4,380 3,340 4,500 4,590 3,620
最低株価 (円) 2,590 2,151 3,020 2,668 2,554
(注) 1 売上高には、消費税等を含んでおりません。
2 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3 従業員数は就業人員数であります。第55期から第57期、および第59期の臨時従業員総数は、従業員数の100分
の10未満であるため、記載を省略しております。
4 第55期は、決算期変更により2014年12月1日から2015年12月31日までの13ヶ月間となっております。
5 最高・最低株価は、東京証券取引所市場第1部におけるものであります。
6 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)を第59期より適用し
ており、第55期から第58期に係る主要な経営指標等については、遡及適用した数値を表示しております。
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2 【沿革】
年月 概要
1960年12月 東京都大田区に前代表取締役会長片山一郎氏が「㈱ユニオン化学研究所」を設立しドリル、エン
ドミル、ロータリーバー等工業用超硬精密工具の試作研究を開始
1970年3月 本社工場を新設し、PCBドリル(プリント配線板用超硬ドリル)の生産開始
1971年4月 工作機械製造部門を設けドリルポインター(刃先研磨機)の生産開始
1971年5月 商号を「ユニオンツール㈱」に変更し、PCBドリルの本格生産開始
1975年12月 開発中の直線運動軸受「ローラーガイド」の生産開始
1976年12月 新潟県長岡市妙見町に工場を設置し「ローラーガイド」の専用工場とする
1979年7月 新潟県長岡市攝田屋町に長岡工場を新設移転
米国カリフォルニア州に合弁会社「MEGATOOL INC.」を設立しPCBドリルの現地生産開始
1981年3月
大阪府豊中市岡町に大阪営業所開設(1998年10月 大阪市淀川区に移転)
1982年10月
1983年10月 直線運動軸受「トルーガイド」を開発し生産開始
1983年11月 新潟県長岡市十日町に関連会社「㈱大善」を設立
1985年1月 長岡市長岡南部工業団地内に長岡工場第二工場を新設
1985年3月 台湾に子会社「台湾佑能工具股份有限公司」を設立しPCBドリルの現地生産開始
1985年12月 スイスに子会社「UTEL UNION-TOOL AG.」を設立
1986年1月 スイスに子会社「UNION-TOOL(EUROPE)LTD.」を設立
1988年12月 長岡市長岡南部工業団地内に長岡工場熱処理棟を新設
1989年6月 (社)日本証券業協会に店頭登録銘柄として登録
1989年6月 スイス子会社「UTEL UNION-TOOL AG.」および「UNION-TOOL(EUROPE)LTD.」を統合し「UNION
TOOL EUROPE S.A.」と名称変更
1991年4月 長岡市長岡南部工業団地内に長岡工場第三工場を新設
関連会社「MEGATOOL INC.」の株式を取得し子会社とする
1994年10月
1994年11月 長岡工場にてPCBドリル部門に係るISO9002の認定を取得
愛知県一宮市末広(現在 新生に移転)に名古屋営業所開設
1994年12月
1995年4月 海外子会社「MEGATOOL INC.」および「UNION TOOL EUROPE S.A.」の株式を取得し100%子会社と
する
1995年12月 中国に子会社「佑能工具(上海)有限公司」を設立
東京都品川区南大井四丁目に本社事務所を移設(1996年2月 同所を本店所在地とする)
1996年1月
1996年3月 静岡県駿東郡長泉町に三島研究所開設
1996年9月 東京証券取引所市場第二部に株式を上場
1997年8月 海外子会社「台湾佑能工具股份有限公司」の株式を取得し100%子会社とする
1997年9月 長岡工場にて切削工具部門および主要直線運動軸受製品に係るISO9001の認定を取得
1997年11月 長岡市長岡南部工業団地内に長岡工場第四工場を新設
香港に子会社「UNION TOOL HONG KONG LTD.」を設立
1998年2月
1998年5月 東京証券取引所市場第一部に株式を上場
1999年1月 三島研究所にて光学式測長器に係るISO9001の認定を取得
1999年7月 超硬エンドミル「UTドライ」を開発し生産開始
2000年3月 長岡工場にてISO14001の認定を取得
シンガポールに子会社「UNION TOOL SINGAPORE PTE LTD.」を設立
2000年5月
2001年8月 長岡市長岡南部工業団地内に長岡工場第五工場を新設
2002年11月 中国に子会社「東莞佑能工具有限公司」を設立
2003年4月 中国に子会社「優能工具(上海)有限公司」を設立
「MEGATOOL INC.」は、「U.S. UNION TOOL,INC.」に社名変更
2004年10月
「U.S. UNION TOOL,INC.」のPCBドリルの現地生産中止
2005年9月
2006年10月 新潟県中部産業団地内に見附工場開設
2008年2月 長岡工場内に子会社「ユニオンエンジニアリング株式会社」を設立
2009年6月 「ULFコートドリル」および「新接合ドリル」を開発し生産開始
2011年11月 東京都品川区南大井六丁目に本店を移転
2012年5月 ダイヤモンドコーティングエンドミル「UDCシリーズ」を開発し生産開始
2012年6月 本社内に子会社「ユニオンビジネスサービス株式会社」を設立
2016年12月 見附市中部産業団地内に見附第二工場を新設
2017年4月 長岡工場の敷地内に、地域開放型事業所内保育所「ゆにおんの杜 南陽保育園」を開設
タイ王国に子会社「UNION TOOL (THAILAND) CO., LTD.」を設立
2017年12月
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3 【事業の内容】
当社グループは、当社(ユニオンツール株式会社)および8社の連結子会社等により構成されております。当社グ
ループの事業内容および各社の当該事業における位置付けは次のとおりであります。「日本」、「アジア」、「北
米」および「欧州」の各セグメントで以下の製品の製造・販売を行なっております。
○切削工具
当社、子会社台湾佑能工具股 份 有限公司、佑能工具(上海)有限公司および東莞佑能工具有限公司が製造・販売し
ており、子会社U.S. UNION TOOL,INC.、UNION TOOL EUROPE S.A.、UNION TOOL HONG KONG LTD.、UNION TOOL
SINGAPORE PTE LTD.およびUNION TOOL (THAILAND) CO., LTD.が販売しております。
作業工程の一部については、関連会社㈱大善に委託加工させており、再研磨作業等については、子会社ユニオン
エンジニアリング㈱に委託加工させております。
○その他の製品
当社、子会社東莞佑能工具有限公司が製造・販売するほか、子会社台湾佑能工具股份有限公司、佑能工具(上海)
有限公司、U.S. UNION TOOL,INC.、UNION TOOL EUROPE S.A.、UNION TOOL HONG KONG LTD.、UNION TOOL
SINGAPORE PTE LTD.およびUNION TOOL (THAILAND) CO., LTD.が販売しております。
機械部品につきましては、関連会社㈱大善に委託加工させております。
事業系統図
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4 【関係会社の状況】
2019年12月31日現在
関係内容
議決権の
事業の
役員の兼任等
名称 住所 資本金 所有割合 資金
内容 営業上の取引 その他
当社
当社役員
援助
(%)
(名)
従業員(名)
台湾佑能工具 台湾 切削工具 当社からの製品、原材料の購入
千NT$
100.0 2 0 無 ―
110,500
股份有限公司 桃園市 その他 当社への原材料の販売
UNION TOOL スイス 切削工具
千SFr
100.0 1 1 無 当社からの製品の購入 ―
1,000
EUROPE S.A. ニューシャテル その他
U.S. UNION 米国 切削工具
千US$
100.0 2 1 無 当社からの製品の購入 ―
3,100
TOOL,INC. カリフォルニア州 その他
佑能工具(上海) 中国 切削工具 当社からの製品、原材料の購入
千US$
100.0 ▶ 0 有 ―
15,300
有限公司 上海市 その他 当社への原材料の販売
UNION TOOL
香港 切削工具
千HK$
100.0 1 2 無 当社からの製品の購入 ―
HONG KONG LTD. 1,800
九龍 その他
UNION TOOL
シンガポール 切削工具
千SG$
SINGAPORE 100.0 1 1 無 当社からの製品の購入 ―
500
ハリソンロード その他
PTE LTD.
東莞佑能工具 中国 切削工具
千US$
100.0 ▶ 1 無 当社からの製品、原材料の購入 ―
18,900
有限公司 広東省 その他
UNION TOOL
タイ王国 切削工具
千THB 99.8
(THAILAND) 1 2 無 当社からの製品の購入 ―
113,000 〔100.0〕
サムットプラカーン その他
CO., LTD.
(注) 1 上記関係会社8社は全て連結子会社であります。
2 「議決権の所有(又は被所有)割合」欄の 〔 内書 〕 は間接所有であります。
3 台湾佑能工具股 份 有限公司、U.S. UNION TOOL,INC.、佑能工具(上海)有限公司、東莞佑能工具有限公司およ
びUNION TOOL (THAILAND) CO., LTD.は特定子会社であります。
4 上記子会社はいずれも有価証券届出書または有価証券報告書を提出しておりません。
5 売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超える連結子会社は次のと
おりであります。
佑能工具(上海)有限公司 東莞佑能工具有限公司 台湾佑能工具股份有限公司
(千円) (千円) (千円)
売上高 3,962,304 2,879,062 2,734,374
経常利益 297,003 222,785 320,886
当期純利益 198,748 166,880 264,143
純資産額 3,651,939 4,357,936 3,673,874
総資産額 5,013,576 4,918,121 4,246,380
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2019年12月31日現在
セグメントの名称 従業員数(名)
日本 821
アジア 610
北米 40
欧州 12
合計 1,483
(注) 1 従業員数は就業人員数であります。
2 臨時従業員総数は従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しております。
(2) 提出会社の状況
2019年12月31日現在
従業員数(名) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(円)
821 39.7 17.2 5,127,863
(注) 1 従業員数は就業人員数であり、関係会社への出向者15名を除いております。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3 臨時従業員総数は従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しております。
4 当社は「日本」の単一セグメントであるため、セグメント別の従業員の状況の記載を省略しております。
(3) 労働組合の状況
当社グループには労働組合は結成されておりません。
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第2 【事業の状況】
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社の経営方針は、当社グループは「優れた製品を供給して社会に貢献する」を社是とし、「会社と社員の永遠の繁
栄をはかる」ことを行動の基本方針とすることであります。このような考え方を大切にしつつ、主に産業用切削工具の
分野で地道な努力を続けてまいりました。今日では、プリント配線板用超硬ドリル(PCBドリル)分野において世界
のリーディングカンパニーとなっております。
今後とも「モノ造り」に専心し、高品質、高レベルな製品・サービスを柔軟に適時に提供することで、グローバルな
市場の中、価値ある企業であり続けたいと願っております。
当社グループをとりまく事業環境は強弱感が混然としており、先行きを見通しにくい状況が続いています。強い動き
としては、半導体など電子部品の生産拡大と電子機器製品の高度化に伴う技術革新があげられます。これらは、第5世
代通信網の整備・普及や自動車の電子化・電装化の進展および人工知能や IoT の活用による社会効率の向上など大きな期
待に支えられた新しい動きであり、その成功に万全を期す取組みが進んでいます。一方、弱い点では、設備投資や消費
の意欲減退があげられます。対立路線を深める国際情勢の変化が、世界経済全般の停滞感・閉塞感を助長しており、こ
れらに備える保守的思考が台頭しつつあります。どちらも事業運営にあたって参考となる前例がなく、柔軟性、迅速性
という新たな強みも発揮できるようにしなければならない状況です。
このような状況の下、当社グループが対処すべき長期的な課題は、主に下記の点です。
A. 製品の付加価値向上と生産能力の増強
電子部品や電子機器向けの技術進化は耐熱性と供給量の向上を求めています。耐熱性強化の動きはプリント配
線板などを硬くし厚くする傾向にあり、当社切削工具に対しては、切れ味の鋭さと高寿命を求めています。この
課題に対処するため、当社は業界に先駆けてコーティング製品の開発投入を進めており、これらの更なる開発と
生産量の拡大を果たしていきたいと思っております。具体的には、当社の真の強みである生産設備の内製化と研
究開発の集中投入を強化してまいります。
B. 多方面にわたる情報収集力(営業力)の強化
前述のように電子機器製品の進化が期待されていますが、いずれも新たな動きであり標準も十分に確立してい
ないことから技術革新が乱立して起きています。これにより当社グループに対する要求品質もめまぐるしく変化
しており、従来の定型的発想では乗り切れなくなる可能性がでてきています。技術動向、需要動向など今後を見
通すために必要な情報を正確に十分に収集することが必要で、グループ総力をあげた営業力の強化を果たしてい
く所存であります。
C. 環境変化への柔軟な対応
製品の変化もさることながら従来の世界経済の前提を揺るがすような動きが見られるようになっています。一
企業としてできることに限界がありますが、想定される商流の変化、ブランド力の強化および素早い経営判断が
必要になっています。当社グループは製造拠点の生産品目・在庫の適正化、原価低減の強化などを進めていく所
存であります。