ドイツポスト・アーゲー 有価証券報告書 第24期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)
提出書類 | 有価証券報告書-第24期(平成30年1月1日-平成30年12月31日) |
---|---|
提出日 | |
提出者 | ドイツポスト・アーゲー |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2019 年6月28日
【事業年度】 第24期(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
【会社名】 ドイツポスト・アーゲー
(Deutsche Post AG)
【代表者の役職氏名】 マルティン・ツィーゲンバルク エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント
(IR担当)
(Martin Ziegenbalg, EVP Investor Relations)
【本店の所在の場所】 ドイツ連邦共和国、53113 ボン、
シャルル・ド・ゴール・シュトラーセ20
(Charles-de-Gaulle-Stra ß e 20, 53113 Bonn, Deutschland)
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 後 藤 一 光
【代理人の住所又は所在地】 東京都港区六本木六丁目10番1号
六本木ヒルズ森タワー23階
TMI 総合法律事務所
【電話番号】 03 -6438-5511
【事務連絡者氏名】 弁護士 稲 田 祥 子
【連絡場所】 東京都港区六本木六丁目10番1号
六本木ヒルズ森タワー23階
TMI 総合法律事務所
【電話番号】 03 -6438-5511
【縦覧に供する場所】 該当なし
1/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
(注)
1 本書において、文脈上別異に解される場合又は別段の記載がある場合を除き、以下の語は、以下の意味を有する
ものとする。本書において別段の記載がある場合を除き、会社名が使用されるときは、その連結子会社及び関連
会社を含むものとする。
「当社」、「ドイツポス : 子会社及び関連会社を含まない株式会社としてのドイツポスト・アーゲー。ド
ト」又は「ドイツポスト・ イツポスト・アーゲーの前身であるドイツ・ブンデスポスト・ポストディーン
アーゲー」 スト(Deutsche Bundespost Postdienst)を指すこともある。
「当グループ」、「グルー : ドイツポスト・アーゲー並びにその連結子会社及び関連会社。
プ」、「ドイツポストDHL」
又は「ドイツポストDHLグ
ループ」
「ダイアログ・マーケティ : 個別具体的な形態により、ターゲットとする顧客グループに選択的にアプロー
ング」 チし、対話する直接的な通信方法を利用した市場指向型の事業活動。
「事前郵便商品」 : 50通を最小郵便数量とし、郵便料金は全て郵便法第19節に基づく承認が条件と
される。
「ドイツ連邦ネットワーク : 電気、ガス、通信、郵便及び鉄道に関するドイツの国家規制当局。
庁」( Bundesnetzagentur )
「郵便法」(Postgesetz) : 1998年1月1日に発効したドイツ郵便法の目的は、規制を通して郵便業界におけ
る競争を促進し、ドイツ全体における適切かつ十分な郵便サービスの提供を確
保することである。これには、ライセンス、価格統制及びユニバーサル・サー
ビスに関する規制が含まれている。
「パックステーション」 : 小包及び小型郵便物を1日中投函及び受取り可能な小包用機器。
「パケットボックス」 : 料金別納小包及び小型郵便物(最大容積:50x40x30cm)用の郵便ポスト。
「料金の上限設定手続」 : ドイツ連邦ネットワーク庁が一定の郵便商品の価格を承認する手続。同庁は、
これが決定する一定種類のサービスにおける平均料金変更幅を規定する前に定
められた標準料金に基づき、郵便商品の料金を承認する。
「B2C」 : 製品、サービス及び情報の企業及び消費者間のやり取り。
「ブロック・スペース契 : フレート・フォワーダー又は荷送人は、航空会社とブロック・スペース契約を
約」 締結する。当該契約により、手数料を支払うことで、定期的な航空便による確
定した輸送容量を確保することができる。
「契約ロジスティックス」 : 契約ロジスティックス・サービス・プロバイダーによるバリュー・チェーンに
沿った複雑なロジスティックス及びロジスティックス関連サービス。そのサー
ビスは特定の産業及び顧客ごとにカスタマイズされ、一般的に複数年契約に基
づき提供される。
「DHL顧客ソリューション : ドイツポストDHLの事業部門を超えた商業及びイノベーションを担う業務部。
ズ・アンド・イノベーショ
ン」(CSI)
「ゲートウェイ」 : 輸入向けの製品及び輸出後販売される製品の集荷拠点、通関拠点。
「ハブ」 : 積み替え及び貨物の流通をまとめるための集荷センター。
個別具体的な形態により、ターゲットとする顧客グループに選択的にアプロー
チし、対話する直接的な通信方法を利用した市場指向型の事業活動。
2/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
「メディカル・エキスプレ : 医療機関、病院、研究所又は研究機関等への血液や組織サンプル等緊急又は温
ス」 度に敏感な医療貨物の輸送。通常は、新薬の臨床試験に関連している。
「マルチモーダル輸送」 : 例えば、航空、海上、車両及び電車等、2つ以上の輸送方法の使用。
「サプライ・チェーン」 : 原材料の調達から製品の消費者への提供まで、一連の繋がったリソース及びプ
ロセス。
「時間指定」 : 配達日又は配達時間が指定又は保証された緊急の宅配サービス。
「第三者ロジスティック : 顧客のために物流業(倉庫保管、輸送管理等)を営むロジスティックス・プロ
ス・プロバイダー」(3PL) バイダー。
「輸送資産保全協会」 : 国際的なサプライ・チェーンにおける紛失を低減することを共通の目標とした
(TAPA) 製造業者、流通業者、貨物運搬業者、法執行機関及びその他利害関係者をまと
めるフォーラム。
「20フィートコンテナ単 : 長さ20フィート、幅8フィート(6×2.4m)の標準コンテナ単位。
位」(TEU)
3/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
2 「 € 」はユーロを指し、「¥」は日本円を指す。
3 本書において便宜上記載されている日本円への換算は、1ユーロ=123.27円(2019年5月10日現在の株式会社三菱
UFJ銀行の対顧客電信直物売買相場の仲値)の換算率により換算されている。
4 本書中の表で計数が四捨五入されている場合、合計は計数の総和と必ずしも一致しない。
5 発行者及び当グループの事業年度は暦年である。
6 本書は発行者及び当グループの事業・業績・経営成績に関する将来的な記述を含んでいる。将来的な記述は、歴
史的事実とは異なり、「信じる」、「見込む」、「予測する」、「予定する」、「企画する」、「計画する」、
「見積もる」、「意図する」、「見通す」、「予期する」、「狙う」などの用語及び類似した表現により示され
る。かかる将来的な記述は、将来の出来事に対する本書提出日現在における計画、見積もり及び見解に基づいて
おり、したがって必然的に一定のリスク及び不確実性が含まれているため、実際の業績は、将来的な記述の中で
明白に又は暗に仮定された将来の発展、成果又は業績とは実質的に大きく異なる場合がある。
本書における将来的な記述は、あくまで本書提出日現在において示されるに過ぎないため、過度な信頼を置かな
いよう留意されたい。なお、当社は、本書提出日以降に生じた出来事や事象が反映されるようにかかる将来的な
記述を更新することは意図しておらず、当該更新の義務を負うものではない。
4/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
第一部【企業情報】
第1【本国における法制等の概要】
1【会社制度等の概要】
(1)【提出会社の属する国・州等における会社制度】
(イ) 一般
ドイツ法は、各種の企業形態について規定しており、その中でも以下の企業形態が頻繁に採用される。
・合名会社(Offene Handelsgesellschaft -「OHG」)
商法第105条乃至第160条の適用を受け、組合員全員が組合の負債につき無限責任を負う。
・合資会社(Kommanditgesellschaft -「KG」)
商法第161乃至第177条aの適用を受け、最低1人の社員(無限責任社員)が無限責任を負うのに対し、他の社
員(有限責任社員)は一般的にその出資額を限度とする責任を負う。
・GmbH&Co.KG(合資会社の特殊形態)
有限会社が唯一の無限責任社員となる。この種の会社は、一般的に合資会社に適用される規定の適用を受
ける。
・有限会社(Gesellschaft mit beschränkter Haftung -「GmbH」)
有限会社法の適用を受け、法人格を有する。有限会社は、原則として、最低25,000ユーロの確定資本金を
有する。但し、2008年の有限会社法改正後、有限会社はより低額の資本金で設立することができる。当該
有限会社は、「Unternehmergesellschaft haftungsbeschränkt」又は「UG haftungsbeschränkt」を社名
に追加することにより、資本金が減額されたことを表示しなければならない。各有限会社の資本金は持分
に分割される。但し、持分は、公正証書によってのみ譲渡が可能である。
・株式会社(Aktiengesellschaft -「AG」)
株式会社法の適用を受け、有限会社と同様に法人格を有する。株主は、会社の債務について責任を負わな
い。株式会社は、最低50,000ユーロの確定資本金を有する。かかる資本金は、額面株式又は無額面株式に
分割され、記名式で発行される。又は、一定の限定的な場面においては、無記名式で発行される。株式
は、公証人の認証がなくても譲渡が可能である。一般に、株式会社法上認められた会社の構造は、有限会
社法上のそれと比べ、柔軟性に乏しい。
・欧州会社(Europäische Gesellschaft - Societas Europaea -「SE」)
欧州共同体の欧州会社規則、及びドイツに登録住所を有する欧州会社についてはドイツ欧州会社設置法の
適用を受ける。欧州会社は、株式会社であり、欧州連合のいずれの加盟国においても登記が可能である。
欧州会社は、最低120,000ユーロの発行済資本金を有さなければならない。欧州連合規則の適用に加え、
欧州会社には、登記事業所が設置されている加盟国における株式会社に適用される法令も適用される。
株式会社の特徴を以下に敷衍する。
(ロ) 設立
株式会社は、1人以上の発起人によって設立される。発起人は、現金による出資又は現物出資と引換えに全株
式を引き受ける義務を有する。設立時における株式会社の最低資本金額は、50,000ユーロである。定款は、公正
5/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
証書によって作成され、会社の法律上の所在地を管轄する地方裁判所が保管する商業登記簿に登記されなければ
ならない。定款の記載事項は以下のとおりである。
・会社の名称及び本店所在地
・会社の目的
・資本金の額
・株式の額面株式・無額面の別、額面株式の額面金額及び額面金額ごとの株式数又は無額面株式の株式数
・株式の記名式・無記名式の別、株式は、一定の限られた場合(例えば、証券取引所に上場されている場合を
含む。)には、無記名式でのみ発行することができる。
・取締役数又は取締役数決定の根拠となる規則
・会社の公告の方法に関する事項
株式会社は、商業登記簿に登記されたときに法人格を付与される。
(ハ) 会社と株主との関係
株主は、等しい状況下では平等の取扱いを受けることができる。株主は、配当可能利益を受領することができ
るが、資本準備金に組み入れることなどを理由として、法律、定款若しくは株主の決議又は (所定の金額を限
度として)取締役会及び監査役会の共同決議により配当から除外されるものについてはこの限りでない。
株式会社は、株式会社法第71条に定める非常に限られた場合で、かつ、欧州市場における不正行為規制
(Regulation (EU) No. 596/2014)第5条、第14条及び第15条に定める限られた場合にのみ自己株式を取得する
ことができる。
無記名式株式は、売主と買主の合意及び株券の交付により譲渡される。記名式株式は、売主と買主の合意及び
裏書された株券の引渡しにより譲渡される。記名式株式については、会社の株主名簿に登録されている株主のみ
が会社に対する関係で株主とみなされる。上場会社の場合、株式は一般に1枚又は数枚の包括株券により表章さ
れ、クリアストリーム・バンキング・アーゲー等の証券保険機関に預託される。株主は個別の株券を受領せず、
株式の譲渡は、売主が買主に株券を交付する代わりに、保管機関の口座振替により行われる。
ドイツ証券取引法(Wertpapierhandelsgesetz(「WpHG」))第33条第1項によれば、議決権が直接的であるか
間接的であるか(つまり、第三者が保有する議決権が株主に帰属する場合を指す。)を問わず、上場会社の議決
権の合計が3パーセント、5パーセント、10パーセント、15パーセント、20パーセント、25パーセント、30パーセ
ント、50パーセント又は75パーセントに達する場合、それを超える場合、若しくはそれを下回る場合において
は、株主は、その事実を知った後又はその状況において知り得た後遅延なく、いかなる場合であっても4営業日
(土曜日、日曜日又はドイツの最低1つの連邦州(Bundesland)における州の祝日を除く各暦日)以内に、当該
上場会社及び連邦金融監督庁(Bundesanstalt f ü • Finanzdienstleistungsaufsicht(「FFSA」))に通知しな
ければならない。なお、株主は、株式保有基準値に到達した2営業日後にはその事実を知っているとみなされる
(unwiderleglich vermutet)。株主が第三者と協力している場合は、当該第三者の議決権も株主に帰属するもの
とされる場合がある。ドイツ証券取引法第34条に基づく株主に直接的に保有されている又は帰属している株式に
関する開示要件が満たされていない限り、当該不開示により、議決権及び配請求権は失われる。貸借対照表上の
利益の分配請求権(但し、分配される範囲に限る。)及び清算による収益の分配請求権についてはその限りでは
ないが、発行体に対する通知が、意図的に又は重過失により未実施という状況になっていないことを条件とす
る。意図的に又は重過失により通知がなされておらず、前述の株式保有基準値の到達、超過又は割込みが通知さ
れていない上、通知されている議決権数と実際の議決権数の間の誤差が少なくても10パーセントとなる場合、当
該株式に係る遅延通知がなされた日から6ヶ月間行使することができない。実質株主の指図を受けない代理人に
よる株式保有の効果は、かかる代理人に帰属する。当該月に現存する議決権数に変更があった場合、会社は、株
主による株式保有基準値の計算を可能にするため、またFFSAに対する通知を円滑に行うため、一般に現存議決権
6/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
総数に関する要旨を2営業日以内に公告しなければならない。但し、現存する議決権数の変更が、会社に新株を
発行させる転換権又は新株引受権が行使された範囲内でのみ実行される増資(条件付資本の増加)から生じた場
合 には、当該情報を各暦月末日に公告すればよい。また、ドイツ証券取引法第38条第1項に基づき、株式の交付
を要求する権利が付随した又は券面の交付を伴うか否かにかかわらず同様の経済的効果を持つ金融商品の保有者
(直接間接を問わない。)も、会社に対し上記と同様の通知を行わなければならないが、この場合は3パーセン
トの株式保有基準値については適用されない。かかる金融商品に関する開示を行わなければ、上述の議決権の不
開示に関する制裁が課され、それゆえ、議決権及び分配請求権が失われる。しかし、このような権利の喪失は、
開示要件に違反した関係者に(直接)保有されている株式のみに関係があり、第三者が保有する株式には関係が
ない。かかる金融商品に関連する議決権と株式保有による議決権は、通知義務が発生するか否かを決定する際に
合算される。投資家の直接的又は間接的な(つまり議決権が当該投資家に帰属する場合)株式保有基準値が10
パーセント以上となる場合、当該投資家は議決権の取得の目的及び議決権取得のため利用された資金源を、当該
株式保有基準値が達成されてから20営業日以内に株式の発行体に通知する義務を負う(ドイツ証券取引法第43条
第1項)。発行体は、受取った情報と通知義務が遵守された旨を公開する(ドイツ証券取引法第43条第1項及び第
2項)。
(ニ) 会社の組織
(a) 取締役会
取締役会の数は1人でも数人でもよく、自己の責任において会社の業務を執行するものとする。取締役の数
は、登録上の資本金が3,000,000ユーロを超える場合は、定款に1人とする旨が明記されていない限り、2人以上
でなければならない(株式会社法第76条第2項)。取締役は、自然人であり、かつ、完全な行為能力を有する者
に限られる。
取締役会は業務規程を制定することができる。但し、定款により監査役会が業務規程の制定権を与えられてい
る場合又は既に監査役会が取締役会のために業務規程を作成している場合はこの限りでない(株式会社法第77条
第2項)。
取締役会は、裁判上及び裁判外において会社を代表する。取締役会が数人から成る場合、全取締役が共同して
のみ会社を代表する。但し、定款に別段の規定がある場合はこの限りでない(かかる規定を設けるのが普通であ
る。)。定款において、取締役が単独で又は委任状を有する者と共同で代表権限を有する旨定めることができる
(かかる委任は商法の適用を受ける法定の標準的な委任状によりなされ、商業登記簿に登記される。)。共同代
表権を有する取締役は、各自の間における職務分担を定めることができる。取締役の代理人を定めることがで
き、これら代理人の代表権限は第三者に対する関係においては、正規の取締役のそれと同じである。
取締役会又は代表権限の変更は、その都度、商業登記簿に登記しなければならない(株式会社法第81条第1
項)。
取締役は、任期を最長5年として監査役会により任命される。再任又は任期の延長は、それぞれ最高5年を限度
とする(株式会社法第84条)。
上場会社であり、又は、共同決定法が適用され、労働者代表者が会社の意思決定に参加する会社(co-
determined company)は、常務取締役会における女性の代表に係る目標割合を決定しなければならない(株式会社
法第111条第5項第1文)。女性の代表者が、常務取締役会で30パーセント未満である場合、目標割合は現在の割
合に満たないものであってはならない(株式会社法第111条第5項第2文)。その他の点では、会社は、目標割合
を自由に決定する。監査役会も、目標割合を実現するための期限を決定しなければならず、当該期限は5年を超
えてはならない。さらに、常務取締役会は、常務取締役会より下位の二つの管理者レベルで女性の代表に関する
目標割合を決定しなければならない(株式会社法第76条第4項)。したがって、上記原則(期限等)が適用され
る。会社が当該目標を実現できなくても、制裁がないことは、言及に値する。しかしながら、会社は、(イ)コー
7/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
ポレート・ガバナンスに関する宣言の一部として (ドイツ商法第289条f第2項第4号)(ロ)(コーポレート・ガバ
ナンスに関する宣言を発していない場合)年次財務書類の一部を構成するマネジメント・レポート
(Lagebericht) に、又は、(ハ)(コーポレート・ガバナンスに関する宣言を発しておらず、かつ、マネジメン
ト・レポートも作成していない場合)ウェブサイト上に、女性の管理者の代表に関する目標割合を公表する義務
がある。
取締役会は、重要な事由のほか、営業方針、会社の収益性及び事業の現況について、定期的に監査役会に対し
て報告しなければならない。
(b) 監査役会
株式会社法第95条に従い、監査役会は資本金の額により3人以上21人以下の監査役から構成される。
1976年5月4日付産業共同決定法(Mitbestimmungsgesetz - 以下「共同決定法」という。)は、異なる構成に
ついて規定しており、株式会社法第95条に規定の構成に優先し、同法は、一般に雇用者数が2,000人を超える全
ての会社に適用される(以下の記載は共同決定法に従う会社についてのものである。)。
共同決定法に従い、監査役会は、以下に従って構成されなければならない。
・一般に従業員数が10,000人以下の会社の場合は、12人の監査役で構成される。その内訳は、株主の代表6人
及び従業員の代表6人(そのうち4人は会社の従業員とし、2人は労働組合の代表)とする。但し、定款で員
数を16人又は20人(株主の代表と従業員の代表を同数とする。)と定めることができる(共同決定法第7
条)。
・一般に従業員数が10,000人超20,000人以下の会社の場合は、16人の監査役で構成される。その内訳は、株主
の代表8人及び従業員の代表8人(そのうち6人は会社の従業員とし、2人は労働組合の代表)とする。但
し、定款で員数を20人と規定することができる(共同決定法第7条第2項第2号)。
・一般に従業員数が20,000人を超える会社の場合は、20人の監査役で構成される。その内訳は、株主の代表10
人及び従業員の代表10人(そのうち7人は会社の従業員とし、3人は労働組合の代表)とする(共同決定法第
7条第2項第2号)。
監査役会の構成で株主代表に関するものは共同決定法の適用を受けないが、従業員代表に関するものについて
は、共同決定法に更に詳しく規定されている。
2016年6月17日より、資本市場において活動する会社(組織的な市場において自らの株式を取引する会社又は
当該取引許可の申請を行った会社と定義される。)については、監査役会の管理取締役のうち最低1名は会計の
専門知識又は財務諸表の監査の専門知識を有する者が任命されなければならず、また、2016年6月17日以降に任
命された監査役らは全体として会社が経営されている分野について精通していなければならない(株式会社法第
100条第5項)。
株主代表は株主総会で選任される。取締役は、同時に同じ会社の監査役となってはならない(株式会社法第
105条)。また、上場会社において、取締役の任命期間終了後2年間は、25パーセント超の議決権を保有する株主
による提案に基づき選任された場合を除き(株式会社法第100条第2項第1文第4号)、同じ会社の監査役となって
はならない。従業員代表の選任については共同決定法第9条乃至第24条が適用され、共同決定法の授権に基づ
き、2002年5月27日に公布され、2015年8月26日に直近で改訂された3つの規則に更に詳しい規定がある。選任手
続は複雑で、異なる組織を有する大グループの場合は最低25週間の日数を要する。
上場会社で、 共同決定法 (原則として2000人以上の従業員で、監査役会の共同決定が50/50であることを条件
とする。)に該当する会社に対し、監査役会に関し30パーセントの性別割合を義務付けられる(株式会社法第96
条第2項)。かかる定数は、両性に適用される。原則として、かかる定数は、監査役会全般に適用される。しか
しながら、従業員代表者及び株主選任の監査役の両者は、関係の側の多数決により監査役会の各半数は、両性か
ら少なくとも30パーセントを構成するように求める権利がある(株式会社法第96条第2項第3文)。かかる定数
8/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
は、2016年1月1日以後新たに監査役を選任する際には、遵守する義務がある。新たに監査役を選任する際に、欠
員の欠如のため定数を完全に満たすことができない場合は、当該欠員について、30パーセントの法定閾値に達す
る まで、必要な数に満たない方の性の人員を配置しなければならない(株式会社法施行法第25条第2項)。性別
定数要件が監査役会の選任過程で遵守されない場合、当該選任は、原則として無効である。すなわち、30パーセ
ントの定数を実現する必要があった、監査役会における役職が、欠員のままとなる(いわゆる「空席」)(株式
会社法第96条第2項第6文)。しかし、監査役会の選任が新法違反以外の理由で裁判所により無効とされた場合
は、無効とされた選任により達していた性別定数に依拠したその後の選任の有効性に影響を与えない。2016年1
月1日以前に選任された監査役は、定期満了までその任務を果たすことができる。
監査役の任期は、当該監査役の就任後4会計年度中(なお、当該監査役が監査役に就任した当該会計年度は含
まれない。)の同監査役の免責につき決議する株主総会をもって終了する期間、すなわち約5年を超えることは
できない。株主代表であるか従業員代表であるかを問わず、個々の監査役については、かかる正規の監査役とと
もに補欠を選任することができる。かかる補欠は、正規の監査役が任期満了前に退任した場合に監査役になる。
9/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
(ⅰ) 監査役会の権限及び義務
監査役会は、取締役の任命、取締役会の監督、及び取締役会に対する助言を行う。監査役会は、会社の財産の
ほか会社の帳簿及び記録を閲覧・監査することができる。また、会社の利益のために必要な場合は、株主総会を
招集しなければならない。
業務執行の機能を監査役会に委譲することはできないが、定款又は監査役会において、一定の取引をするには
監査役会の同意を要する旨定めなければならない。
監査役の報酬は、定款又は株主総会決議により決定されなければならない。
取締役の報酬総額及び取締役会の報酬体制は、監査役会の満場一致により決定される必要があり、委員会に対
し委任することはできない(株式会社法第107条第3項第4文)。報酬総額は、各取締役の職務及び能力並びに会
社の財務状況の観点から適切なものでなければならず、正当な理由なく通例の報酬レベルを超えてはならない
(株式会社法第87条第1項第1文)。上場会社においては、報酬体制が企業の持続可能な発展に重点を置くもの
(株式会社法第87条第1項第2文)でなければならない。会社の状況が悪化した場合で、現行の報酬の支払の継続
が会社にとって不適切となる場合(株式会社法第87条第2項第1文)、監査役会は速やかに取締役の報酬を適当な
金額に減額する。会社が取締役及び役員の損害賠償保険を取得する場合、最低でも損害の10パーセントから取締
役の固定年収の1.5倍の金額を控除免責金額として合意しなければならない(株式会社法第93条第2項第3文)。
(ⅱ) 会長、決議、委員会
監査役会は、監査役の中から監査役会会長1人及び1人以上の副会長を選任しなければならない(株式会社法第
107条)。
法律に別段の定めがない限り、決議の定足数は、全監査役の半数以上である(共同決定法第28条)。他の監査
役が代理して投票することも当該決議への参加とみなされる。別段の定めがない限り、決議には投票数の過半数
が必要である。可否同数の場合は再度の投票を行うことができるが、この場合も可否同数であれば、監査役会会
長が決定権を有する。監査役会副会長には、かかる決定権はない(共同決定法第29条)。
監査役会は、委員会を設置することができ、かかる委員会に対し、株式会社法第107条第3項が規定する一定の
事項以外の事項につき、監査役会に代わって決定することを委任することができる。ドイツ・コーポレート・ガ
バナンス・コードは、監査役会が監査委員会を組織することを推奨している。
監査委員会は、通常、会計過程並びに内部統制システム、リスクマネジメントシステム、内部修正及び内部監
査システムの効率性、特に会計監査人の選任及びその独立性並びに会計監査人が提供するその他のサービスにつ
き監督する。特に資本市場において活動する会社については、株式会社法第107条第4項、第100条第5項に従い、
監査委員会のうち最低1名は会計又は財務諸表の監査の専門知識を有する監査役でなければならない。さらに、
ドイツ・コーポレート・ガバナンス・コードに従い、監査役会の監査委員会の会長は会計原則及び内部統制の適
用に関する専門知識及び経験を有する、過去2年間に会社の取締役ではなかった外部監査役でなければならな
い。特に資本市場において活動する会社の監査委員会は、監査役会に対し年次連結財務諸表の会計監査人を選出
する提案を行うものとし、監査役会は当該提案に基づき株主総会において自らの提案を行う。監査役会は、例外
的に監査委員会の推薦に反対することができるが、理由を株主総会において説明しなければならない。社会的影
響度の高い事業体の法定監査に対する要求事項についての規則(EU)№537/2014により、監査事務所(同規則第
17条)の強制ローテーション制度が導入された。当該規則によれば、ローテーションは、最長10年ごとに行われ
るが、入札手続が行われれば、当該期間は20年まで伸長され得る。また、初回のローテーション実施に関して
は、経過規定がある。
(ⅲ) 取締役の任命
10/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
共同決定法第31条に従い、取締役選任のための監査役会決議には3分の2の多数を必要とする。かかる多数が得
られない場合、監査役4人から成る専門委員会は、1ヶ月以内にかかる選任の提案をしなければならない。その後
は、かかる提案が受諾されるか否かにかかわらず、監査役会決議を過半数で採択することができる。過半数が得
ら れない場合、3回目の採決(当該採決においても単純多数が必要となる。)を行うことができ、その場合、会
長が2議決権を有する。
(ⅳ) 企業統治
上場会社は、毎年1回、株式会社法第161条第1項第1文に基づき、ドイツ・コーポレート・ガバナンス・コード
上の勧告事項が遵守されており、今後も遵守されること、又は勧告事項が遵守されていない場合には遵守されて
いない勧告事項及び不遵守の理由が記載された、取締役会及び監査役会作成に係る宣言書を自社のウェブサイト
に公表しなければならない(「遵守又は説明」)。宣言内容がコンプライアンス実務の変更によって不正確とな
る場合、変更後の宣言を速やかに会社のウェブサイトにおいて公表しなければならない。年次コンプライアンス
報告書は、商法第289条fに従い、会社の企業統治に関する宣言も構成するものでなければならない。
ドイツ・コーポレート・ガバナンス・コードについては、後記第一部第5の5「コーポレート・ガバナンスの状
況」も参照のこと。
(c) 株主総会
株主は、株主総会でその権利を行使し、株式会社法又は定款に定められた事項について当該総会で決議する。
その主な決議事項は以下のとおりである。
・監査役会における株主代表の選任
・利益処分案
・取締役及び監査役の免責
・会計監査人の選任
・定款変更
・増資及び減資
・特別監査人の選任
・会社の解散
・組織変更、合併及び会社分割
株主総会は、取締役会からその旨請求された場合に限り、営業上の問題につき決議することができる。
定時株主総会は、営業年度終了後8ヶ月以内に開催されなければならない。当該総会は、利益処分案並びに取
締役及び監査役の免責について決議する。また当該総会は会計監査人を選任する。株主総会は、会社の利益のた
めに要求される場合、特に会社の記名式株式資本の半分が失われる事態に至った場合にも招集されなければなら
ない(株式会社法第92条第1項)。取締役会(並びに、会社の利益のために必要である場合においては、監査役
会)は株主総会を招集することができる。資本金の5パーセント以上を有する株主については、株主総会招集の
目的及び理由を記載した書面を取締役会に提出し、株主総会の招集を要求することができる。
株主総会の招集通知は、株主総会開催日の30日以上前に連邦官報(Bundesanzeiger)に公告されなければなら
ない(株式会社法第123条)。定款において出席の前提条件が定められている場合には、この締切日は、登録締
切日と同じ日数分、延長される。招集公告には、例えば、株主総会の開催日、場所、株式総数及び現存議決権総
数並びに議案等を記載しなければならない。上場会社は、とりわけ出席のための前提条件、議決権行使、又は代
理人、郵送若しくは電子通信による投票手続、又はその他株主総会に関連する株主の権利に関する追加情報を提
供しなければならない。記名式株式だけではない株式を発行し、又は、株式会社法第121条第4項第2文に従い招
集通知を直接株主に郵送しない上場会社は、招集通知を、公告のために、メディアに郵送しなければならない
(株式会社法第121条第4項a)。この公告により、会社は欧州連合全体において情報を公告したとみなされる。
11/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
連邦官報における公告の直後に、上場会社は、株主総会の招集通知、決議が予定されていない議案事項の説明、
総会において提供される予定の書類並びに招集通知日における株式総数及び議決権総数を会社のウェブサイトお
い て公表することが要請される。また、ウェブサイトにおいて、異なる種類株式の総数を、それぞれ公表される
ものとし、最後に、株主に対し直接代理投票書式又は欠席投票書式が郵送されていない場合は、当該書式を公表
する(株式会社法第124条 ▶ )。定款の変更により、株式会社は株式会社法第125条第1項の書類(株主総会の招
集、議題変更、及び代理人又は株主組合がどの様に議決権を行使することができるかについての情報に関する通
知)の送付を電子通信による送付に限定することができる(株式会社法第125条第2項第2文)。
株主の株主総会への参加を円滑にするため、株主又はその代理人が出席しない場合でも株主が株主総会に参加
し、電子通信を介し、株主がその権利の全部又は一部を完全に又は部分的に行使することが可能であることを会
社の定款において規定することができ、また、定款をもって、取締役会にかかる措置を規定する権限を付与する
ことが可能となった。さらに、定款をもって、取締役会に対し、株主又はその代理人が出席しない場合でも、株
主が書面又は電子通信により議決権を行使すること(不在投票)を認める旨規定する権限を付与することが可能
となった。
取締役会及び(又は)監査役会は、決議を要する各議案を提出しなければならない(監査役及び会計監査人の
選任決議案は、監査役会のみが提出する。)。特に商法第264条dの範囲内である資本市場において活動する会社
においては、会計監査人の選任決議案は監査委員会の推薦に基づくものでなければならない(株式会社法第124
条 第3項 第2文)。
株主は、株主総会において議事の各議案につき反対議案を提出することができる。株主が、総会前14日以内
に、株主総会招集通知に記載された住所に、取締役会及び(又は)監査役会の提案に対する反対提案をその理由
とともに通知した場合には、会社は、全株主がかかる反対議案及びそれに対する会社の意見(もしあれば)につ
いてアクセス可能なようにしなければならず、上場会社の場合には、会社のインターネットページを通じてアク
セスが提供されなければならない。各株主は、請求に係る情報が関連する議案の正当な評価に必要な場合に限
り、株主総会において、取締役会から会社の業務に関する情報の提供を求めることができる。株式会社法第131
条第3項に定める一定の事由(例えば、回答することが会社に不相当ではない不利益を与える事由)がある場
合、取締役会は、情報の提供を拒否することができる。株式会社法第131条第2項に従い、株式会社の定款におい
て、総会の会長が株主による質疑応答のための時間を、適切な範囲に制限する権限を有する旨を規定することが
できる。当社の定款には当該権限の付与が含まれている。
株式に伴う議決権は、株主が自ら行使することも又は代理人(委任状の様式は会社により提供される。)を通
じて行使することも可能である。株主が1名以上の代理人に対して授権した場合、会社は、1名又は複数の代理人
を拒否することができる。委任状は、書面において発行される必要はなく、電子署名を含まない電子メール等テ
キスト形式によることが可能である。また、上場会社の場合には、定款の規定により、委任状の形式を簡素化す
る旨を定めることができる。授権及び照合の取消についても同様である。上場会社は、株主が授権を希望してい
る場合には、第三者が株主を代理し株主の議決権を株主総会において行使する権利が与えられていることに関す
る証明を株主が提供するための電子通信方法を提供しなければならない(株式会社法第134条第3項第4文)。
一方、会社は、株主からの指示によって議決権を行使する会社指定の代理人を設置することができる。会社が
かかる委員会を設置した場合、株主は、会社指定の代理人に対して指示することにより又はインターネットを通
じて議決権を行使することができる。
貸付機関、議決権行使専門業者及び株主組合に関する詳細な手続要件及び制限が規定された。貸付機関、議決
権行使専門業者及び株主組合は、議案に対する議決権の行使に関する株主の明示的な指示が必要ではなくなっ
た。代わりに、代理人は、授権により、(i)代理人自らの議決権の行使に関する提案又は(ii)取締役会若しくは
監査役会の提案、又は異議がある場合においては監査役会の提案に従い、広い範囲で議決権を行使することがで
きることとなった(株式会社法第135条第1項第4文)。
12/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
株主総会の決議は、法令又は定款に別段の定めがある場合を除き、行使された議決権の過半数で行うことがで
きる。定款は、額面金額いくらに対し1個の議決権を付与するかを規定する。総会決議は、一定の場合(例えば
定 款変更、増資、減資、解散等の場合)、決議における株式資本の4分の3の多数でなされることが法律上要求さ
れる。但し、いくつかの例外(例えば、会社の目的の変更、増資の際の新株引受権の排除、合併の承認等)を除
き、定款をもってかかる4分の3の多数要件を過半数に軽減することができる。
上場会社における株主総会については、公証人により議事録が作成されなければならず、かかる議事録には投
票の結果が記載されなければならない。議事録は、商業登記所に提出される。
上場会社は、株主総会の後7日以内に、有効投票議決権数、これらの議決権と株式資本との対応関係、賛成議
決権数、反対議決権数、及び棄権議決権数(もしあれば)を含む、決議の結果を自社のウェブサイトで公表する
(株式会社法第130条第6項)。但し、定時株主総会において会長が結果を公表することにより、株主の反対がな
ければ、簡易方法により公表がなされたとみなすことができる(株式会社法第130条第2項第3文)。
原則として、各株主、取締役会、及び一定の事由がある場合には各取締役及び各監査役は、裁判所において株
主総会決議を争う権利を有する(株式会社法第245条)。不適切な訴訟を防ぐため、法は、裁判所において一定
の株主決議を争う場合について、いくつかの手続的要件を規定している。とりわけ、会社が株式会社法第246条a
に従い手続を開始する場合、会社の免除申立てが原告に送達された後一週間以内に、原告が、招集通知の公告か
ら最低でも1,000ユーロ相当の価値の株式を所有していることの証明が原告に義務付けられている。
13/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
(ⅰ) 計算、利益処分
取締役会は、会計年度終了後3ヶ月以内に、年次貸借対照表及び損益計算書(年次財務書類)並びに前会計年
度についての取締役会報告書を作成し、これを監査役会に提出しなければならない。年次財務書類は、適正会計
原則に従わなければならず、簡潔かつ記載漏れがなく、また会社の財務状態及び営業成績を偽りなく公正に表示
するものでなければならない(商法第264条)。株式会社は、商法第272条第2項に基づき、法定準備金及び資本
準備金を積み立てなくてはならず、その積立は下記のものなどから成る。
・前期繰越損失額を減じた当期純利益の5パーセント(当該準備金の総額が定款記載の資本の10パーセント以
上に達するまで)(株式会社法第150条第2項)。
・新株発行の際の額面超過額(いわゆる「打歩」)(株式会社法第272条第2項)。
・転換社債又は新株引受権付社債の発行価額が当該社債の償還額を上回る部分に相当する金額(株式会社法第
272条第2項)。
・新株引受権付与の対価として株主が支払ったプレミアム額(株式会社法第272条第2項)。
・その他、株主により支払われ、資本の基礎となる金額(株式会社法第272条第2項)。
法定準備金の使用は制限されており、基本的には欠損塡補の場合に限られる。
前述の法定準備金及び資本準備金のほか、他の既開示準備金を設定することができ、株式会社法及び定款の規
定の範囲内で、会社の純利益の一部又は全部をかかる既開示準備金に組入れることができる。
営業報告書には、営業状況及び会社の状態を記載するとともに、会計年度終了後に生じた事象で特に重要なも
のを報告することを要し、さらに年次財務書類について説明しなければならない。
営業報告書における報告義務は、特に、会計過程の統制及びリスクマネジメントシステムの説明に関連し認め
られる。商法第264条dの範囲内である資本市場において活動する会社は、営業報告書において、会計過程の内部
統制及びリスクマネジメントシステムの重要な機能につき説明しなければならない(商法第289条第4項)。会社
に会計過程の統制及びリスクマネジメントシステムがない場合、その旨が記載されなければならない。
上場会社は、営業報告書の独立した章において、会社の経営に関する宣言(企業統治に関する宣言)を含めな
ければならず、又は、この代替として、ウェブサイトで当該宣言を公表し、営業報告書にその言及を含めなけれ
ばならない(商法第289条f)。会社の経営に関する情報には、適用されている経営慣習、会社全体に有効で会社
全体に関係する倫理、作業及び社会性基準等の法的要請、ドイツ・コーポレート・ガバナンス・コードの遵守に
関する宣言、取締役会及び監査役会の業務手法の説明並びに取締役会及び監査役会に帰属する委員会の構成及び
業務手法、株式会社法第76条第4項及び第111条第5項により導入された規定に従って監査役会及び取締役会の
各々により決定された女性割合の目標及び期間並びにこれらの目標がこれらの期間内に達成されているかどう
か、また、目標が達成されていない場合にはその理由も含まれる。上場会社であり、かつ、共同決定法が適用さ
れ、労働者代表者が会社の意思決定に参加する会社(co-determined company)の監査役会については、会社の経
営に関する宣言において、監査役会が報告期間を通じて男性と女性各々30パーセント以上ずつで構成されている
かどうかも述べなければならならず、また、法定の最低割合を満たさない場合には、その理由も宣言で述べなけ
ればならない。商法第267条第3項第1文及び第4項乃至第5項の範囲内である大資本会社(große
Kapitalgesellschaften)である上場会社は、会社の取締役会又は監査役会の構成に関して、例えば年齢、性
別、学歴又は職歴等の面で追求される多様性コンセプト、並びに、かかる多様性コンセプトの目的、実施方法、
及び会計年度内に達成された成果(商法第289条f第2項第6号)(前出(b)監査役会(iv)企業統治を参照のこ
と。)に関する記述も追加で盛り込む必要がある。
特に商法第264条dの範囲内である資本市場において活動する会社、すなわち、大会社であり、かつ、500名以
上の従業員を雇用している会社(商法第289条b第1項)は、営業報告書において独立した章として財務以外の報
14/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
告を記載することも求められる(商法第289条b-第289条e)。しかし、財務以外の報告は、営業報告書とは分離
して、当社のウェブサイト又は営業報告書とともに行われる連邦官報のいずれかで実施することができる。財務
以 外の報告において提供されるべき情報には、会社のビジネスモデルの概要、並びに、(i)環境問題、(ii)労働
者問題、(iii)社会問題、(iv)人権の尊重、及び(v)腐敗や贈収賄との闘い、又は、事業開発、会社の成果及び置
かれた状況、並びに関係する点における会社活動の効用を理解することに関連する限りにおいて、これらと類似
する事項といった点が含まれる(商法第289条b、第289条c)。当該報告においては、当該会社が営む事業に関す
る財務以外の主要な評価指標が提供されなければならない。分析の提供に当たり、財務以外の報告書において
は、必要に応じて、年次財務諸表において報告された数値が参照され、又はさらなる補充がされなければならな
い。
財務書類又は半期財務書類に関し、取締役会のメンバーは、これらが知りうる限りにおいて、商法第264条第2
項第3文の意義の範囲内で、かかる財務書類が真実かつ公正であると考えられる旨を書面にて承認しなくてはな
らない(Bilanzeid)。
貸借対照表及び損益計算書を含む年次財務書類並びに営業報告書は、監査役会の提案に基づき株主総会で選任
された会計監査人の監査を受けなければならない。当該会計監査人は、監査の結果を、監査役会に対して、直
接、書面で報告しなければならない。会計監査人は、特に会計過程の内部統制及びリスクマネジメントシステム
における重要な脆弱性につき、監査役会に報告を行わなければならない。また、会計監査人は、不公平な状態に
なり得る状況及び監査人が監査役務に加え提供した役務につき報告しなければならない(株式会社法第171条第1
項第2文及び第3文)。かかる監査の最終結果に対して異議のない場合、当該会計監査人は、当該年次財務書類に
承認の付記をすることにより、その旨確認する。承認の付記については、その文言が法律に規定されている。
監査役会は、年次財務書類、営業報告書、取締役会の利益処分案及び会計監査人の監査報告書を監査する。監
査役会は、財務以外の報告(商法第289条b)とグループの財務以外の報告(商法第315条b)とが分離して作成さ
れている場合には、分離された当該各報告も監査する。監査役会は、これらの報告に係る外部監査の実施を決定
することもできる(株式会社法第111条第2項第3文)。監査役会は、監査の結果を書面で株主総会に報告しなけ
ればならない。さらに、監査役会は、会計監査人による年次財務書類の監査結果について意見を述べなければな
らない。監査役会は、上記報告書の末尾に、その監査の最終結果に対して異議を申し立てるべきか否か、取締役
会の作成した年次財務書類を承認するか否かを記載することを要する。監査役会が年次財務書類を承認すれば、
当該年次財務書類は確定する。但し、取締役会及び監査役会が、かかる確定を株主総会に委ねる旨決定した場合
はこの限りでない。通常は、取締役会及び監査役会は、かかる確定を株主総会に対し委ねない。
会社が他の会社に対し支配的な影響を及ぼす場合に作成を義務付けられる可能性がある連結財務諸表について
も、類似の規定が適用される。
(ⅱ) 利益処分案
株主総会は、利益処分案について決議しなければならないが、この場合、確定された年次(非連結)財務書類
に拘束される。
(ⅲ) 公告
年次財務書類、連結財務書類、会社及びグループに関する営業報告書、監査役会の報告書並びに取締役会の利
益処分案は、株主総会招集日以降、会社の本店内で株主の閲覧に供せられる。株主の要求に応じて、かかる書類
の写しが株主に送付される。上記規定の義務は、当該書類が会社のウェブサイトを通じて提供される場合には適
用されないものとする。同様に、上場会社の場合は、商法第289条a第1項及び第315条a第1項に基づく情報説明報
告書が会社のウェブサイトから提供されなければならない。通常は、全てのこれらの書類は会社の年次報告書に
含まれ、かかる報告書は株主その他の利害関係者に会社のウェブサイトから提供される。
15/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
取締役会は、会計監査人の監査証明書が付された年次財務書類を、営業報告書及び監査役会の報告書ととも
に、ドイツ連邦官報において公表し、かつこれらを、そのインターネットサイト(www. bundesanzeiger.de)に
お いて関連書類の閲覧を可能にするドイツ連邦官報出版局(Bundesanzeiger Verlagsgesellschaft mbH)に届出
なければならない。資本市場において活動する会社の場合は、公告は、報告期間後4ヶ月以内に行わなければな
らない。ドイツ連邦官報出版局は、当該年次財務書類が明らかに無効でないか否かを審査する。この点を除け
ば、一定の形式上の要件を除き、当該年次財務書類及び営業報告書が、適用のある強行規定に従っているか否か
を審査する義務はない。
ドイツ証券取引法(Wertpapierhandelsgesetz)第114条以下に基づき、ドイツ証券取引法第2条第14項に含ま
れる内国発行者である会社及びその親会社は、証券、債券又は株式を発行する場合、「年次財務報告書
(Jahresfinanzbericht)」及び「半期財務報告書(Halbjahresfinanzbericht)」の連結基準での公表を義務付
けられた。
フランクフルト証券取引所の証券取引所規則 第53条 によれば、主要銘柄部門の全ての発行者は、各報告期限
(=各報告期間の末日)現在の各会計年度の第1及び第3四半期の四半期財務書類を作成し、また、その四半期財
務書類を証券取引所の取締役会まで郵送しなければならない。フランクフルト証券取引所の証券取引所規則第53
条第6項に基づき、四半期財務書類に代えて、主要銘柄部門の発行者は、半期財務報告書
(Halbjahresfinanzbericht)に関するドイツ証券取引法第115条第2項第1号及び第2号、第3項並びに第4項、又
は、連結基準での報告の要件に関するドイツ証券取引法第117条第2号に定める要件を各々満たしている四半期財
務報告書を、任意に作成し郵送することを選択することができる。四半期財務書類には、その対象期間において
発行者の事業活動がどのように発展してきたかにつき評価できるような当該期間の情報が記載されなければなら
ない。さらに、当年度において発行者に期待される発展について作成された予測その他の声明に生じた全ての重
要な変更は、報告されなければならない。
取引所にその有価証券が上場されている株式会社は議決権の数に変更が生じた場合、一般に、現存する議決権
総数を2営業日以内に同様に公告しなければならない。但し、現存する議決権数の変更が、会社に新株を発行さ
せる転換権又は新株引受権が行使された範囲内でのみ実行される増資(条件付資本の増加)から生じた場合に
は、各暦月末日に当該情報を公告すればよい。
欧州市場における不正行為防止制度の下では、上場会社は、内部情報をできるだけ早く公告しなければなら
ず、次いで、内部情報をFFSA、ドイツの電子会社登記所(Unternehmensregister)及び証券取引所に提出しなけ
ればならない。さらに、規制対象となる取締役の取引は、発行者の株式及び債券に関する取引の双方に及ぶ。取
締役は、かかる取引をFFSAと発行者に通知しなければならず、取引の後、速やかにかつ3営業日以内に当該通知
を公告することを要求されるとともに、この情報をFFSAとドイツ及び電子会社登記所に提出することも要求され
ている。加えて、インサイダーのリストを作成し維持すること並びにインサイダー取引及び市場操作を防ぐため
の防止措置を整備することも必要とされる。
ドイツ連邦法務省は、明確な不正があった場合に連邦金融監督庁の要請に基づき、抜打ち検査により、ドイツ
国内の証券取引所上場企業の年次決算を調査する権利を民間組織である財務報告執行委員会(Deutsche
Pr ü fstelle f ü • Rechnungslegung DRP e.V.)(以下「財務報告執行委員会」という。)に授権した。一切の調
査結果は財務報告執行委員会により連邦金融監督庁に開示され、同庁によりさらなる処置がとられることがあ
る。
ドイツの電子会社登記簿は、インターネット(www.unternehmensregister.de)により閲覧が可能であり、と
りわけ、(イ)登記書類を含む商業登記簿登記事項、(ロ)開示済み会計書類及び報告書、(ハ)連邦官報に掲載され
た公告、(ニ)連邦金融監督庁に対する通知、並びに(ホ)株主への情報提供事項として入力された事項に関する情
報を提供する。
16/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
(2)【提出会社の定款等に規定する制度】
以下は、2018年5月7日付の当社の定款に記載された制度に関する一部の規定の要約である。
(イ) 株主
(a) 株主総会
株主総会招集日の株主名簿に記載されており、期限内に株主総会への参加の登録を行った株主は、株主総会に
出席することができ、株主総会は、取締役会又は監査役会が招集する。招集公告は、議事日程を付して、株主総
会の開催日の30日以上前に行われなければならない。この締切日は、登録締切日と同じ日数分、延長される。
株主総会は、当社の本店若しくはドイツの証券取引所の所在地又は人口20万人超のドイツ国内の都市で開催さ
れる。
総会の議長は、監査役会会長、又は株主代表の監査役でかつ監査役会会長により指名された他の監査役が務め
る。いずれの者も議長を務めない場合は、議長は株主総会において選任される。
(b) 議決権
株主総会において、議決権は、株式1株につき1個の割合で行使される。
株主は当社株主名簿に登録されていなくてはならず、かつ総会の6日前までに、当社に対し総会への出席に関
する登録をなさなければならない。取締役は、定款が定める6日間より短期間の登録期間を定めることができ
る。
定款により、取締役会は、株主が株主総会に出席しない場合でも、書面による投票又は電子的な投票(郵送に
よる投票)を株主に許可する権限を付与されている。
議決権は代理人により行使することができる。定款の定めにより、委任は、テキスト形式で、授権、取消し、
及び会社に対する証明がなされなければならない。すなわち、書面による署名は不要であり、電子メール等の形
式によればよいこととなる。株主総会の招集通知は、委任の授権、取消し及び証明の簡易な手続を規定すること
ができる。金融機関、株主組合又は株式会社法第135条に定めるこれらに類する者若しくは機関を代理人として
任命するには、強行規定、特に株式会社法第135条の適用を受ける。
(c) 決議
法令の強行規定に別段の定めのない限り、総会の決議は、議決権の過半数、及び法令において株式資本の過半
数によることが必要とされる場合には、議決権の対象となる株式資本の過半数で採択される。
(ロ) 機関
(a) 取締役会
取締役会は、2人以上の取締役から成り、その数は監査役会が定める。
取締役会は、法律及び定款に従って当社の業務を執行する。
当社は、定款に従い、取締役2人又は署名権者(商法に基づき、当社のために署名する権限が当社の法律上の
所在地にある地方裁判所が保持する商業登記簿に登記された従業員である授権代理人。)と共同して行為する取
締役1人により適法に代表されることができる。ドイツポスト・アーゲーは、署名権者2人により共同して適法に
代表されることもできる。署名権者全員の名簿は、変更が生じる度にいつも更新されるものであるが、ドイツポ
スト・アーゲーの商業登記事項において閲覧可能である。
(b) 監査役会
監査役会は、20人の監査役から成り、その義務及び機能については株式会社法及び共同決定法に定められてい
る。
17/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
2【外国為替管理制度】
ドイツの外国為替管理制度は、随時改正される1961年外国貿易法(Aussenwirtschaftsgesetz) (以下「貿易
法」という。)、及び貿易法の下で公布された現行の外国貿易省令(Aussenwirtschaftsverordnung)(以下
「貿易省令」という。)に基づいている。
貿易省令は、ドイツ連邦共和国に所在する会社に対し、特定の事例において、ドイツ非居住者による対内投資
について報告を要求している。これに関し、特定の基準値を条件とし、貿易省令第65条は、長期にわたる経営参
加、支店の設立又は企業の持分の取得を意図してなされた投資及びかかる投資の処分について、報告義務を定め
ている。これに対し、ドイツ企業の株式の単なる購入又は売却について、外国人株主の持分が資本金又は議決権
の10パーセントにとどまる限り、かかる報告義務は課されない。
ドイツ非居住者である株主への配当の支払についても、何ら制限は実施されていない。
3【課税上の取扱い】
以下の説明は、(イ)日本国とドイツとの間の租税条約(以下「租税条約」という。)に定義する税法上の日本
国居住者である場合、(ロ)租税条約の利益を享受する権利を有し、とりわけドイツの条約の適用を回避すること
を防止するための規定により租税条約上の税額控除請求権を排除されていない者であって、個人に当たらない場
合、及び(ハ)株式がドイツ国内の恒久的施設(ドイツの常任代理人を含む。)又は確立された事業基盤の営業財
産の一部を構成しない場合における、株式の実質的所有者のためのドイツの一定の重要な税額控除の要約であ
る。本項においてかかる実質的所有者を「日本の株主」という。
かかる要約は、本書の日付現在において効力を有し、ドイツ税務当局及び租税裁判所により適用されているド
イツ租税法及び租税条約に基づくものであり、遡及的効果を有すると考えられるドイツ租税法又は租税条約の改
正に従う。
以下の説明は、日本の株主に関連するあらゆるドイツの租税に関する要点及び検討事項の包括的な説明を企図
するものではない。株式の購入、所有及び処分並びにドイツにおける配当金の源泉徴収税の還付手続に係るドイ
ツの連邦税、州税及び地方税に関しては、自身の税務顧問に相談されたい。
(1)【ドイツの課税上の取扱い】
ドイツの法人は、原則として、15パーセントの法人所得税を負担する。さらに、査定された法人所得税額に対
して、5.5パーセントの統一割増税が課される。法人所得税及び統一割増税は、合計で15.825パーセントにな
る。
個々の事案によっては実効税率の引上げにつながる一定の所得引上げ要因が含まれている。特に、利払いに係
る税額控除の対象が通常限定される利息除外規則(Zinsschranke)は、会社の税負担全体に悪影響を及ぼす可能
性がある。
さらに、ドイツの法人は、法人所得税及び統一割増税のみならず営業税も負担する。営業税の税率は、法人が
営業施設を維持している自治体によって異なる。営業税率の計算基準は、特定の加算及び控除を除き法人所得税
の計算と同じである。
(イ) 日本の株主に課される所得税
現行のドイツ国税法では、2008年12月31日後に受領するドイツの法人による配当金の分配に対しては、一般的
に25パーセントの源泉徴収税及びこれに対する5.5パーセントの統一割増税が課される。そのため、配当金に対
する源泉徴収税の合計は、現在は26.375パーセントとなっている。
日本の株主の場合租税条約に基づき、源泉徴収税率は以下のとおり引き下げられる。
18/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
・配当金の実質的所有者が、配当金の支払が決定された日に終了する18ヶ月間において当該会社の議決権株式
の25パーセント以上を直接所有する他の締約国の居住者及び会社(組合を除く。)である場合には、配当金
へ の課税は行われない。
・配当金の実質的所有者が、配当金の支払が決定された日に終了する6ヶ月間において当該会社の議決権株式
の10パーセント以上を直接所有する会社(組合を除く。)である場合には、配当金の総額の5パーセントに
引き下げられる。
・その他の場合には全て、配当金の総額の15パーセントに引き下げられる。
日本の株主は、ドイツ中央税務局(ドイツ、53225 ボン、アン・ダー・クッペ1 ブンデスアムト・フューア・
フィナンツェン)に対して、上述の租税条約適用税率を超過して課せられた部分の源泉徴収税を還付するよう申
請することができる。代わりに、他の要件を充足している限り、配当支払の時点における一定の法人株主に支払
われた配当金について、請求に応じて、減額された源泉課税率が適用され得る。申請用紙は、ドイツ中央税務
局、東京のドイツ大使館、日本国内のドイツ領事館又はウェブサイト(www.bzst.de)から入手することができ
る。日本の株主は本国の税法に従いドイツの源泉徴収税に対する税金還付金(又はその一部)を受領することが
できる(後記(2)も参照のこと)。しかし、上述の源泉徴収税の減額(又は免除)は、(i)租税条約により結果と
して適用税率15パーセント以下となる減税が行われる場合、及び、(ii)日本の株主が、(a)ドイツポスト・アー
ゲーの株式資本の10パーセント以上を直接所有する会社であり、かつ(b)日本において所得及び利益に対する課
税の免除を受けられない会社ではない場合には、制限される。この場合、源泉徴収税の減額(又は免除)には3
つの追加的要件がある。それは、(i)日本の株主が、配当期日の45日前から45日後までの間における連続した45
日間の最低保有期間にわたりドイツポスト・アーゲー株式の経済的所有者の適格を有すること、(ii)日本の株主
が、最低保有期間において、直接又は間接にヘッジされることなく、ドイツポスト・アーゲー株式に係る価値変
動リスクの70パーセント以上を負担しなければならないこと、及び(iii)日本の株主が、配当金の全部又は大部
分について第三者に対し直接又は間接に補填することを要請されないことである。しかし、これらの追加的要件
は、日本の株主が、配当金の受領時において、連続して、過去1年以上にわたりドイツポスト・アーゲー株式の
経済的所有者であった場合には、適用されない。
租税条約第13条の関連規定は日本の株主が保有するドイツポスト・アーゲーの株式について日本に排他的な課
税権を付与しているため、租税条約の保護を受ける日本の株主は、当社株式の処分によるキャピタル・ゲインに
つきドイツの税金が課されることはない。
(ロ) 2019年 において支払われたドイツポスト・アーゲーによる 2018年度 配当の取扱い
ドイツ法人所得税法(Körperschaftsteuergesetz)第27条において定義された租税特定資本拠出口座
(steuerliches Einlagekonto)から配当が満額支払われているため(名目費本へと支払われていない拠出)、
当該支払は、源泉徴収税及び連帯責任に関する課徴金(solidarity surcharge)が控除されることなく行われて
いる。その結果、控除されるドイツの税金がないため、配当の受領者は、ドイツ税務当局から税金還付を受ける
権利を有しない。
(ハ) 相続税及び贈与税
現行のドイツ税法上、ドイツの贈与税又は相続税は、一般的に、以下いずれかの場合において、日本の株主が
死亡又は贈与により株式を譲渡した場合に課される。
・被相続人若しくは贈与者又は相続人、受贈者若しくはその他の譲受人が、譲渡時において、ドイツ国内に住
所若しくは生活拠点又は実質的な経営拠点を有する場合又はドイツ国内に住所を有さずにドイツ国外にて連
続5年以上居住したことのないドイツ市民である場合。
19/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
・当該株式が、恒久的施設を伴うか、又はドイツにおいて常任代理人が置かれた事業資産として、被相続人又
は贈与者により保有されていた場合。又は、
・相続開始時における被相続人又は贈与時における贈与人が、単独で又は関係当事者と共同で、直接的又は間
接的に、会社の記名式株式資本の最低10パーセントを保有していた場合。
(ニ) その他の租税
ドイツの有価証券取引税、印紙税又は類似の租税は、日本の株主による株式の購入、売却又はその他の処分に
は適用されない。現在、ドイツでは純資産税及び金融取引税は課されない。
(2)【日本の課税上の取扱い】
所得税法、法人税法、相続税法及びその他の関連法令に従い、かつ、その制限の下、日本国の居住者又は法人
は、適用租税条約に従い、上記で述べたところに従って、個人又は法人の各所得について(また、個人について
は相続についても)支払ったドイツ税額につき、日本の税務当局に対して税額控除を請求することができる。
4【法律意見】
ドイツにおける当社の法律顧問であるヘンゲラー・ミュラー・パルトナーシャフト・フォン・レクツァンフォ
ルテンmbB法律事務所は、本書の「第一部 第1 本国における法制等の概要」のうち、「1-(3)課税上の取扱
い」を除く部分の英語訳(以下「精査済有価証券報告書」という。) を精査し、次の趣旨の法律意見書を提出
している。
(イ) ドイツポスト・アーゲーは、ドイツ法に基づく法人として、適法に設立され、有効に存続しており、
本書に記載されている事業を営み、財産を所有し管理する完全な権能及び権限を有する。
(ロ) 当職らの知る限り、精査済有価証券報告書に記載されているドイツ連邦共和国の法律に関する記述及
び情報は、全ての重要な点において、真実かつ正確である。
20/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
第2【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
以下の表は、2018年12月31日までの5会計年度の及び当該各会計年度末日現在の当グループ(非継続事業を除
く。)の主要な連結業績データを表示している。
2014年 2016年
2015年 2017年 2018年
(調整済み) (調整済み)
百万ユーロ 百万ユーロ 百万ユーロ 百万ユーロ 百万ユーロ
売上高 56,630 59,230 57,334 60,444 61,550
69,808(億円) 73,013(億円) 70,676(億円) 74,509(億円) 75,873(億円)
利息支払前税引前損益(EBIT) 2,965 2,411 3,491 3,741 3,162
3,655(億円) 2,972(億円) 4,303(億円) 4,612(億円) 3,898(億円)
(1)
売上高当期純利益率
5.2% 4.1% 6.1% 6.2% 5.1%
資産に関する費用を計上後の
1,551 877 1,963 2,175 716
EBIT(EAC)
1,912(億円) 1,081(億円) 2,420(億円) 2,681(億円) 883(億円)
(2)
連結当期純損益
2,177 1,719 2,781 2,713 2,075
2,684(億円) 2,119(億円) 3,428(億円) 3,344(億円) 2,558(億円)
フリー・キャッシュ・フロー 1,345 1,724 444 1,432 1,059
1,658(億円) 2,125(億円) 547(億円) 1,765(億円) 1,305(億円)
(3)
純負債(+)/純流動性(-)
1,499 1,093 2,261 1,938 12,303
1,848(億円) 1,347(億円) 2,787(億円) 2,389(億円) 15,166(億円)
(4)
税引前自己資本利益率
26.3% 19.7% 27.7% 27.5% 19.3%
(5)
一株当たり利益
1.71ユーロ 1.27ユーロ 2.19ユーロ 2.24ユーロ 1.69ユーロ
210.79(円) 156.55(円) 269.96(円) 276.12(円) 208.33(円)
(6)
1.15 ユーロ
一株当たり配当 0.85ユーロ 0.85ユーロ 1.05ユーロ 1.15ユーロ
104.78(円) 104.78(円) 129.43(円) 141.76(円) 141.76(円)
(7)
従業員数
488,824人 497,745人 508,036人 519,544人 547,459人
(1)
EBIT/売上高。
(2)
非支配株主持分の控除後。
(3)
計算については、後記「3 事業の内容」の「(1) 一般情報」における「純資産」を参照。
(4)
税引前利益/平均自己資本(非支配株主持分を含む。)。
(5)
基本的一株当たり利益。算出には加重平均発行済株式数が使用されている。
(6)
提案。
(7)
年度末の従業員数で研修生を含む。
21/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
以下の表は、2018年12月31日までの5会計年度の及び当該各会計年度末日現在のドイツポスト・アーゲーの主
要な個別業績データを表示している。
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
百万ユーロ 百万ユーロ 百万ユーロ 百万ユーロ 百万ユーロ
売上高 13,308 13,190 14,080 14,333 14,353
16,405(億円) 16,259(億円) 17,356(億円) 17,668(億円) 17,693(億円)
当期純利益 887 4,407 1,492 1,886 959
1,093(億円) 5,433(億円) 1,839(億円) 2,325(億円) 1,182(億円)
資本
11,558 14,979 15,239 16,143 15,893
14,248(億円) 18,465(億円) 18,785(億円) 19,899(億円) 19,591(億円)
資産合計 29,104 34,053 34,081 35,662 36,864
35,877(億円) 41,977(億円) 42,012(億円) 43,961(億円) 45,442(億円)
現金及び現金同等物 1,795 2,419 1,786 1,756 1,601
2,213(億円) 2,982(億円) 2,202(億円) 2,165(億円) 1,974(億円)
2【沿革】
(1)【当社の沿革】
当グループは、当初、連邦特別資産であるブンデスポスト(ドイツ連邦郵便局)の一部であった。ブンデスポ
ストは、1989年、ブンデスポスト・ポストディーンスト(Deutsche Bundespost POSTDIENST)、ブンデスポス
ト・ポストバンク(Deutsche Bundespost POSTBANK)及びブンデスポスト・テレコム(Deutsche Bundespost
TELEKOM)の3社に分割された。1994年9月14日のブンデスポストの株式会社への転換に関する法律(Gesetz zur
Umwandlung der Unternehmen der Deutschen Bundespost in die Rechtsform der Aktiengesellschaft)に基づ
き、ブンデスポスト・ポストディーンストは、株式会社へ再編成され、1994年12月20日にドイツポスト・アー
ゲーと改名し、1995年1月2日に登録番号HRB6792に基づき、ボン地方裁判所にて商業登記を行った。当グループ
の国際化は、ダンツァス・ホールディングAG(スイス)の買収(1999年)及びDHL(バミューダ)の段階的株式
取得(1998年開始)とともに明らかに進展した。
当グループの経営成績及び財政状態は、1999年及び2000年に行われた買収による強い影響を受けている。これ
らの買収により、当グループの売上高が著しく増加し、かつ、銀行業務による収益がもたらされた。そのうち最
も重要な買収は、それぞれポストバンク及びダンツァスの買収(1999年1月1日)、DSLバンクの買収(2000年1月
1日)並びにAEIの買収(2000年3月1日)である。これらの買収は、当グループの貸借対照表に報告される有利子
資産及び有利子負債の水準を顕著に増大させることになった。ポストバンク及びDSLバンクは、現在、当グルー
プには属しない。
22/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
(2)【当グループの沿革】
年月 出来事
1989年 ブンデスポスト・ポストディーンスト、ブンデスポスト・ポストバンク及びブンデスポスト・テレコム
の3社に分割された。
1994年
12月20日 ブンデスポスト・ポストディーンストは、株式会社へ再編成され、1994年12月20日にドイツポスト・
アーゲーと社名変更した。
1998年
1月 マク・ペーパー AG(McPaper AG)を買収した。
7月
DHL株式の25.002パーセント(対価総額425百万ユーロ)を段階的に取得した。かかる投資額は持分法に基
づき計算されている。
10月
グローバル・メール Ltd(Global Mail Ltd.)(米国)を買収した。
1999年
1月 デュクロ(Ducros)(フランス)を買収した。
MITサン・ジュリアーノ・ミラネーゼ(MIT, San Giuliano Milanese)(イタリア)を買収した。
ダンツァスを買収した。
ITG GmbHインターナショナル・スペディション(ITG GmbH Internationale Spedition) (ドイツ)の80.2
パーセント及びITG GmbHロギスティック・ウント・ディストリブーション(ITG GmbH Logistik und
Distribution)(ドイツ)の82.0パーセントを取得した。
当社が保有していないドイツ・ポストバンク AGの株式82.5パーセントを対価総額2,211百万ユーロで取
得した。
4月 セキュリコール・オメガ・ホールディングスLtd.(Securicor Omega Holdings Ltd.)(英国)の株式25
パーセントを対価総額303百万ユーロで取得した。かかる投資額は当グループの利益参加49.99パーセン
トを基準に比例配分による連結法に基づき計算されている。当社は、同社の議決権付株式の50パーセン
トを保有している。
7月 ファンゲェント&ロース(Van Gend & Loos)(オランダ)を買収した。
セレクトブラハト(Selektvacht)(オランダ)を買収した。
ネドロイド(Nedlloyd)を買収(この中には、エクスプレス事業部に移されたファンゲェント&ロースとセ
レクトブラハトの事業持分の割合が含まれている。)(オランダ及び世界規模)した。
9月 ASGを買収(スウェーデン及び世界規模)した。
10月 グイプズコアナ(Guipuzcoana)を買収した。(ナーロンド・デサローロSL(Narrondo Desarollo S.L.)(ス
ペイン及びポルトガル)の株式49パーセントを取得した。かかる投資額は比例配分による連結法に基づき
計算されている。)。
12月 DSLホールディングAGの株式81.2パーセントを対価総額272百万ユーロで取得した。そのうち30百万ユー
ロを、ポストバンクが1998年に支払済である。DSLホールディングAGは以前には旧DSLバンクの匿名組合
出資持分48パーセントを保有していた。旧DSLバンクは現在ポストバンクと合併済である。旧DSLバンク
の既存の持分がポストバンクの匿名組合出資持分に転換される額は未定である。DSLホールディングAGの
経営取締役会及び監査役会は、株主総会において、2000年12月31日にDSLホールディングAGを解散し、匿
名組合出資持分の基礎となる契約上の合意を解消した。
2000年
1月 トランス・オ・フレックス(trans-o-flex)の子会社数社(オーストリア、ベルギー、デンマーク、ハンガ
リー及びオランダの事業を含む。) を買収した。
DSLバンクを買収した。DSLホールディングは、以前からDSLバンクの匿名組合出資持分を旧DSLバンクと
ポストバンクの合併後も継続して保有している。匿名組合出資持分をポストバンクに転換する額は未定
である。経営取締役会及び監査役会は、匿名組合出資持分の基礎となる契約上の合意を解消した。
3月 エア・エクスプレス・インターナショナルLtd.(Air Express International Ltd.)を買収(米国及び世界
規模)した。
7月 インターナショナル・ポスタル・コンサルタンツ(米国)を買収した。
23/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
11月 当社株式319.9百万株の世界規模での募集を行った。
2001年
1月 イタリアにおけるユーロエクスプレスのネットワークを完成させるため、SAV S.p.A.(イタリア)を100
パーセント買収した。
DHLインターナショナルLtd.(バミューダ)の株式の21.383パーセントを追加取得(総保有割合46.386パー
セント)した。
3月 ルフトハンザAGとのジョイント・ベンチャーによるエアロロジックGmbH(Aerologic GmbH)(ドイツ)を設
立(当グループ50.1パーセント、ルフトハンザ49.9パーセント)した。
6月 株式会社日本航空からDHLインターナショナル株式の4.256パーセントを追加取得するオプションを取得
した。
BHF(米国)ホールディングInc.(米国の信用機関)を買収(100パーセント)した。
11月 キャンドゥ/カーゴライン・グループ(Candoo/Cargoline Group)(オーストリア及び東欧諸国)のオプ
ションを100パーセント取得した。
2002年
3月 DHLインターナショナル株式の4.256パーセントを追加取得した。取得の効力は2002年1月1日に遡及する
(取得後保有割合50.642パーセント)。
ダンツァスが、オーストリアの主要なロジスティックスサービス提供者となり、また、東欧・中欧にお
ける存在を強化するために、ウィーンに本部を置くカーゴプラン/カーゴライン・グループ
(Cargoplan/Cargoline group)を買収した。
4月 セルヴィスコSP zoo(Servisco Sp zoo)(ポーランド)の株式の40パーセントを追加取得(取得後保有割合
100パーセント)した。
12月 ポストバンクがクレディスイスAGの子会社2社を買収した。ポストバンク・フェルメゲンズベラツンAG
(Postbank Vermogensberatung AG)を新たに設立し、ポストバンクは、サービスのモバイル端末での販売
により、店舗及びオンラインでの販売活動を補完する。
ドイツポスト・ワールドネットが残り24.4パーセントのDHLインターナショナルLtd.(バミューダ)に対す
る持分を取得した。これにより、ドイツポスト・ワールドネットは、当該会社を完全に所有することに
なった。
2003年
1月 ドイツポスト・ワールドネットは、イタリアの小包会社カサ・ディ・スペディツィオーニ・アスコリ
S.p.A(Casa di Spedizioni Ascoli S.p.A.)を買収し、DHLブランド傘下のヨーロッパ小包ネットワーク
に統合した。
2月 カナダの反トラスト当局がDHLによるルーミス(Loomis)の買収を承認した。これにより、カナダ市場にお
ける陸上輸送ベースのエクスプレス輸送に関するDHLの地位が強化された。
ドイツポスト・ワールドネットは、中国の輸送・ロジスティックス最大手シノトランス(Sinotrans
Ltd.)の国際株式公開に際し、その持分の4.75パーセントを取得することにより、主要な中国成長市場に
おける地位を強化した。シノトランスは、中国におけるDHLの折半出資のジョイント・ベンチャーの相手
方である。
6月 欧州委員会は、ドイツポスト・ワールドネットに対し、1999年に英国に設立したジョイント・ベン
チャーであるセキュリコール・オメガ・ホールディングスLtd.の100パーセント持分取得を承認した。こ
れにより、同社をDHLのヨーロッパにおけるネットワークに完全に統合することができるようになった。
7月 DHLエアウェイズは、運送会社の社長兼最高経営責任者である、ジョン・ダズバーグ(John Dasburg)氏率
いる米国投資家グループに売却され、その後、当該運送会社はアスター・エア・カーゴ(ASTAR Air
Cargo)に社名変更した。
DHLダンツァス・エアー・アンド・オーシャン(DHL Danzas Air & Ocean)は、地域を越えた事業展開を行
いDHLグループのシナジー効果を達成するため、コーポレーション・コーマーS.A.(CorporacionCormar
Sociedad Anonima)(中米)に対する100パーセントの持分を取得した。
8月 DHLによる、アメリカのエクスプレス・サービス業者エアボーンInc.(Airborne, Inc.)(米国)の買収が完
了した。米国反トラスト当局及びエアボーンInc.の株主はともに買収を承認しており、これによりドイ
ツポスト・ワールドネットは米国第3位の規模のエクスプレス・サービス業者となり、米国内のネット
ワークの最後の隙間を埋めることとなった。
24/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
10月 ポストバンクは、ドイツ・バンク・アーゲー(ドイツ)及びドレスナーバンクAG(Dresdner Bank AG)(ドイ
ツ)に対し、支払決済業務を代行することを企図し、当時銀行らは、提携に関する適法な趣意書に署名し
た。
12月 ドイツ復興金融公庫(KfW バンケングルッペ(旧Kreditanstalt fur Wiederaufbau))は、ドイツポストに
対する持分の一部を売却し、同時にドイツポスト株式への転換社債を発行した。浮動株は、5.7パーセン
ト増加し37.4パーセントとなった。
2004年
1月 ドイツポスト・グローバル・メールは、英国企業スピードメール・インターナショナル(Speedmail
International)を買収した。同社は、英国国内郵便市場で活躍し、英国向け及び同国発の国際事業用郵
便の輸送を行う、数少ない認可を受けた郵便事業会社である。
4月 オランダにおいて、ドイツポスト・グローバル・メールは、ジョイント・ベンチャーであり、以前ウェ
ゲナー(Wegener)・グループが保有していたインターランデンB.V.(Interlanden B.V.)の30パーセントの
持分を取得し、現在オランダにおける主要な宛先無指定広告郵便サービス業者として、その100パーセン
トを保有している。
5月 ドイツポスト・グローバル・メールは、米国の郵便サービス業者2社、スマートメール(SmartMail)及び
クイックパック(QuikPak)の買収を発表した。米国の顧客は、これ以後、ワンストップの国内及びクロス
ボーダー郵便サービスの提供を受ける予定である。
6月 ポストバンクの新規株式公開が成功裡に完了した。一株当たり発行価格は28.50ユーロであった。ドイツ
ポストは、困難な市況下において、その子会社の新規株式公開に対処するため、株式公募とポストバン
ク株対象交換社債を組み合わせた革新的な取引手段を採用し、合計約26億ユーロの収益を上げた。新規
株式公開後、ドイツポストによるドイツ・ポストバンク AG株式保有比率は66.67パーセントであった。
10月 ドイツポスト・ワールドネットグループは、グループの国際郵便サービスを新しいブランドの下に統合
し、ドイツポスト・グローバル・メールは、DHLグローバル・メールになった。
11月 ドイツポスト・グローバル・メールは、スペイン企業ユニポスト(Unipost)の約38パーセントの株式を取
得することにより、海外の国内郵便市場に参入する戦略を続けている。同社は、スペインにおいて最大
の民間郵便サービス業者であり、自社拠点及び提携者の拠点を通じ、同国の人口の少なくとも70パーセ
ントに対し営業活動を行っている。
DHLは、インドのエクスプレス会社ブルー・ダート(Blue Dart)の68パーセントの株式を初めて取得し
た。DHLは、中国及びインドにおいて顧客に自社の国内及び国際サービスを提供する初めての国際エクス
プレス・ロジスティックス業者となった。
2004年11月29日、ドイツ復興金融公庫(KfW バンケングルッペ)は、約12億ユーロ相当のドイツポスト株
を売却した。その結果、超過引受オプション行使後のドイツポストの浮動株は37.4パーセントから44
パーセントに増加した。
12月 DHLグローバル・メールは、フランスの郵便サービス業者KOBAの過半数の株式を取得した。同社は、フラ
ンスにおけるダイレクト・マーケティング及び郵便通信の専門業者の一つであり、国内配達に関してフ
ランス郵政公社と業務協力している。ドイツポスト・ワールドネットグループは、現在フランスにおい
て高水準の郵便サービスを顧客に提供することができる。
2005年
3月 インドのエクスプレス会社ブルー・ダートの合計81パーセントの株式取得が法的に有効となった。当グ
ループは、中国及びインドといったアジアの主要市場において顧客にその国内及び国際エクスプレス・
サービスを提供する最初の国際事業者となった。
7月 DHLは、カールシュタットクヴェレAG(KarstadtQuelle AG)の大型商品及び混載貨物の配送ロジスティッ
クス事業を承継した。その主たる事業内容は、クヴェレ・アンド・ネッケルマン(Qelle and
Neckermann)のメール・オーダー事業における大型商品及び混載貨物の倉庫保管並びに配送の運営・実施
である。DHLは4月にロジスティックス事業部全体を承継していた。
10月 ドイツポストはオランダの郵便会社メールマージ(MailMerge)の過半数持分を取得する。これにより、既
に当グループに属するセレクト・メール・ネーデルランド(Selekt Mail Nederland)、インターランデ
ン、セレクトブラハト及びDHLグローバル・メールと合わせ、当社はオランダにおける最大の民間郵便事
業会社となった。
ドイツ・ポストバンク AGは、財務・退職制度企画の専門会社であるBHWホールディングAGの76.4パーセ
ントの株式を取得し、これによりBHW株式に対する支配が90パーセントを超えたことを発表した。両社と
も、住宅貸付、貯蓄、住宅貯蓄及び普通預金の分野におけるマーケット・リーダーとなる予定である。
25/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
12月 ドイツポストは英国企業エクセル(Exel)を買収した。契約ロジスティックスの世界的マーケット・リー
ダーは、ヨーロッパにおけるDHLの勢力を理想的に補完し、当該買収により当社は世界的ロジスティック
ス企業となった。
2006年
1月 ポストバンクは、住宅ローン専門会社のBHWを買収し、ドイツにおいて主力的な個人顧客向け金融サービ
ス事業者となった。
3月 ドイツポスト・ワールドネットは、クーリエ会社のマルケン(Marken)を金融投資家3iに売却した。
ドイツポストは、企業情報ソリューション事業世界最大手の英国企業ウィリアムズ・リー(Williams
Lea)の過半数持分を取得した。
8月 DHLは、インドのエクスプレス・サービス事業者ブルー・ダート・エクスプレスの株式を完全取得するた
め、残り19パーセントの株式に係る公開買付を実施した。
10月 DHLは、ポーラー・エア・カーゴ・ワールドワイド(Polar Air Cargo Worldwide)の49パーセントの株式
を取得した。締結された契約の期間は20年であり、これによりDHLは長期的な太平洋ルートの航空貨物輸
送力を確保した。
11月 ウィリアムズ・リーは、英国の公共部門関連の印刷サービス及び文書管理事業の大手であるザ・ステー
ショナリー・オフィス(The Stationery Office)の支配権を得た。
2007年
1月 ウィリアムズ・リーは、英国の公共部門関連の印刷サービス及び文書管理事業の大手であるザ・ステー
ショナリー・オフィス(The Stationery Office)を買収した。
5月 DHLは、インドのレミュイール・グループ(Lemuir Group)とのジョイント・ベンチャーを拡大し、それに
よって、インドの物流市場における主導的立場を強化した。
6月 ドイツポスト・ワールドネットは、米国空輸会社アスター・エア・カーゴの株式のうち49パーセントを
取得した。
ドイツポスト・ワールドネットは、米国会社ポーラー・エア・カーゴの株式のうち49パーセントを取得
した。
9月 ポストバンクは、BHWレーベンスフェーズィッヒェルングAG(BHW Lebensversicherung AG)、PBフェル
ズィッヒェルング(PB Versicherung AG)及びPB レーベンスフェルズィッヒェルングAG(PB
Lebensversicherung AG)の持株をタランクスAG(Talanx AG)に売却した。
DHLエクスプレス及びルフトハンザ・カーゴは、航空貨物会社であるエアロロジック(AeroLogic)を共同
設立し、2009年4月より就航を始める予定である。
12月 DHLエクセル・サプライ・チェーンは、英国の家具及び調度品の小売業者であるMFIと200百万ユーロ超の
5年契約を締結した。
2008年
1月 ドイツポスト・ワールドネットは、米国最大の薬局チェーンであるウォルグリーンズ(Walgreens)との戦
略的な合意を行う旨発表した。
ドイツポスト・ワールドネットは、全世界においてIMGのファッション・ウィークの公式エクスプレス及
びロジスティックス・パートナーとなった。
1~3月 FC(フライング・カーゴ)インターナショナルLtd.の買収に伴い、イスラエル・ドイツポスト・ワールド
ネットは、従前の株主に対し、購入価額総額85百万ユーロのうち65百万ユーロを支払った。
2~7月 ドイツポスト・ワールドネットは、ニュージーランドのニュージーランド・ポストとジョイント・ベン
チャーを立ち上げた。
3月 ドイツポスト・ワールドネットは、ジャガー(Jaguar)及びロンド・ローバー(Land Rover)との間で、1年
あたり100百万ポンド超(130百万ユーロ超)に相当する3年契約を締結した。
4月 ドイツポスト・ワールドネットは、企業情報ソリューション事業の世界最大手であるウィリアムズ・
リーの株式持分を66パーセントから96パーセントに増加させた。
ドイツポスト・ワールドネットは、主にドイツに所在する約1,300物件からなる不動産ポートフォリオ
を、米国投資家であるローン・スター(Lone Star)に10億ユーロ相当の現金にて売却することで合意に達
したと発表した。
26/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
ドイツポスト・ワールドネットは、ジョイント・ベンチャーであるエクセル-シノトランス・フレート・
フォワーディングCo.Ltd.(Exel-Sinotrans Freight Forwarding Co.,Ltd)の残りの50パーセントの株式
を取得し、完全子会社化した。
7月 ドイツポスト・ワールドネットは、世界的航空機メーカーの一つであるエアバス(Airbus)との間で新た
に5年契約を締結したと発表した。
9月 ドイツポスト・ワールドネット及びドイツ・バンクは、ポストバンクに対する少数持分29.75パーセント
を、総額27.9億ユーロ又は一株当たり57.25ユーロで売却し、ポストバンクに対するドイツポストDHLの
残りの株式持分については、追加オプションを付与して売却することで合意した。
10月 ドイツポスト・ワールドネットは、ドイツ・ポストバンク AGの株式54.8百万株を引き受け、ドイツ・ポ
ストバンク AGの増資に参加した。増資後において、ドイツポスト AGのドイツ・ポストバンク AGに対す
る株式持分は62.35パーセントへと増加した。
12月 ドイツポスト・ワールドネットは、サンドヴィック・マイニング&コンストラクション(Sandvik Mining
& Construction)との間で300百万ユーロ相当の世界的な合意を締結したと発表した。
2009年
2月 ドイツポスト・ワールドネットは、国内の米国事業から撤退した。
ポストバンク株式のドイツ・バンクへの売却は計画通り終了し、ドイツ・バンクは、増資を行い、ドイ
ツ・バンク株式50百万株(約8パーセントの保有持分)をドイツポスト・ワールドネットに譲渡する代わり
に、同グループからポストバンク株式22.9パーセントを取得した(第1段階)。
ドイツポスト・ワールドネットは、オランダ企業であるセレクト・メール・ネーデルランドC.V.の持分
を51パーセントから100パーセントに増加させた。
3月 ドイツポスト・ワールドネットは、グループ名をドイツポストDHLに変更した。
5月 ドイツポストDHLは、計画どおり、ドイツ・バンク・アーゲー株式の半分を売却した。その結果、ドイツ
ポストDHLの保有株式は、4パーセントに減少した。
6月 ドイツポストDHLは、フランス企業であるDHLグローバル・メール・サービスSASを売却した。
7月 ドイツポストDHLは、計画どおり、残りのドイツ・バンク・アーゲー株式を売却した。その結果、ドイツ
ポストDHLは、ドイツ・バンク・アーゲーの保有株式はなくなった。
ドイツポストDHLが株式の51パーセントを保有するDHLシノトランス・インターナショナル・エア・クー
リエLtd.は、上海チュアンイー・エクスプレスCo. Ltd.(Shanghai Wuanyi Express Co. Ltd)の株式を取
得し、同社を完全子会社化した。
12月 ドイツポストDHLは、DHLコンテナ・ロジスティックスUK Ltd.(DHL Container Logistics UK Ltd.)を売
却した。
2010年
3月 DHLエクスプレス(英国) Ltd.は、国内期日指定事業を売却した。12百万ユーロの費用が外国為替換算調
整勘定から按分でDHLにより認識された。
4月 DHLサプライ・チェーン・オーストリアは、契約ロジスティック事業の一部(冷凍及びチルド食品)を売却
した。
6月 DHLエクスプレス(フランス)SASの国内期日指定事業及びDHLフレート・フランスのシャンパン事業の売却
が完了した。
8月 ドイツポストは、オンライン広告市場への関与を集約し、nugg.ad AGを買収し、同社はドイツポスト・
アーゲーの子会社となった。なお、同社は、独立したターゲット・サービス・プロバイダーとして業務
を継続する。
2011年
4月 当グループは、アメリカとカナダにおいて積荷仲介及び共同一貫輸送業務を行う、エクセル・トランス
ポーテーション・サービシズ・グループ(ETS)を売却した。
当グループは、ドイツのケルンにある、アドクラウド・GmbH(Adcloud GmbH)の全株式を買収することに
より、郵便事業部にインターネット広告サービスの専門的なプロバイダーを組み込んだ。
5月 イタリアのロディにある、ユーロディファームsrl.(Eurodifarm srl.)の全株式買収が完了した。
6月 当グループは、アメリカのイーストモリーンにある、スタンダード・フォワードリングLLCの全株式を買
収した。
27/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
7月 当グループは、ケイマン諸島にあるタグ・エクイティーCo.Lmited(Tag EquityCo Limited)及びその子会
社を買収した。
7月~9月 中国の法的枠組みの改正により、当社は、第3四半期に当社の国内運送業を中国のユニトップ・インダス
トリー(深圳市)に売却した。
2012年
2月 ドイツ・ポストバンク株式の売却の一環として、強制転換社債が満期になる2012年2月の下旬に、ドイ
ツ・ポストバンク株式27.4パーセントがドイツ・バンク・アーゲーへ移転された。
なお、ドイツポスト・アーゲーは、残りのポストバンク株式12.1パーセントのプットオプションを行使
した。
コミュニケーションズ部門において活躍し、プリントメディアのデザイン、制作及び現地化を専門とし
ているタグ・ベルギー(Tag Belgium)の全株式を買収した。
2012年の第1四半期、連結の関係が解消されたため、DHLグローバル・フォワーディング(DHL Oman)(オ
マーン)は、非連結化された。2012年2月より持分法を利用して会計された。
6月 2012年6月下旬において、エクスプレス・クリアーズ・リミテッド(ECL)(ニュージーランド)及びパーセ
ル・ダイレクト・グループPtyリミテッド(PDG)(オーストラリア)のジョイント・ベンチャーの売却は完
了した。買主は元ジョイント・ベンチャー・パートナーのニュージーランド・ポストである。
7月 当グループは、検索エンジン広告の分野において活動している入札管理技術提供者のintelliAd Mediaの
全株式を買収した。
当グループはまた、航空ケイタリングの分野において活動している2 Sisters Food Group(2SFG)(ヒース
ロー)の全株式を買収した。
8月 ドイツポストDHLは、LuftfrachtsicherheitサービスGmbHの株式50パーセントを買収した。同社は、契約
内容に従い、完全連結化されている。
10月 ドイツポストDHLは、モバイル商取引のスーパーマーケットのオール・ユー・ニード GmbH (All you
need GmbH)の持分を33パーセントから82パーセントに増加させた。不均衡な増資によって、持分は、さ
らに90.25パーセントまで引き上げられた。ドイツポストDHLは、物流インフラを取得及び強化するため
に、リセールを視野に入れて株式が取得された。
2013年
1月 ドイツポストDHLは、コンパドール・テクノロジーズGmbH (Compador Technologies GmbH)(ベルリン)の
株式49パーセントを買収した。同社は、郵便サービスの提供業者及び企業が処理する郵便物に網羅的に
対応する仕分け機器及びソフトウェア・ソリューションの開発及び製造を専門としている。同社は、既
存の潜在的議決権を理由に連結化された。
3月 ルーマニアで国内エクスプレス事業を行うカルガス・インターナショナルS.R.L. (Cargus
International S.R.L.)の売却が完了した。
4月 ドイツポストDHLは、DHLファッション(フランス)SASのファッション流通事業の売却を完了した。
5月 米国企業であるエクセル・ディレクトInc. (Exel Direct Inc.)のカナダ支店を含めた売却が完了した。
6月 オプティーヴォGmbH (Optivo GmbH) (ベルリン)を買収した。同社は、ドイツ語圏の国において、技術的
な電子メールによるマーケティング・サービスを提供している。
ITG GmbHインターナショナル・スペディション・ウント・ロギスティック(ITG GmbH Internationale
Spedition und Logistik)(ドイツ)は、その子会社と共に売却された。
7月 ライザーIDサービスGmbH (RISER ID Services GmbH)(ベルリン)の全株式は、ドイツポストDHLが51パー
セントの株式を有する子会社を通して買収された。同社は、公共の住民登録から電子的な住所情報を提
供するサービス提供業者である。
10月 DHLエクスプレスUKリミテッドのドメスティック・セイム・デイ事業の売却がクローズした。
2014年
5月 貨物運送業者、輸送及び物流サービス業者であるDHLグローバル・フォワーディング(DHL Oman)(オマー
ン)は、従前持分法を利用して会計されていたが、契約内容の変更に伴い2014年5月以降連結化された。
7月 ハル・ブライス(アンゴラ)Ltd.(アンゴラ)の本業に関連しない活動(関連する非流動資産を含む。)及び
ハル・ブライス・アンゴラ・ヴィアジェンス・エ・トゥーリスモLda. (Hull Blyth Angola Viagens e
Turismo Lda.)(アンゴラ)を売却した。
28/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
12月 ドイツポストDHLは、ストリートスクーターGmbHを買収した。電気自動車を開発している企業である。買
収の結果、ドイツポストDHLは、自動車の開発権及び製造権を取得した。
コンパドール・テクノロジーズ (ベルリン)を売却し、連結の関係が解消された。
DHLサプライ・チェーン・リミテッド(英国)は、デジタル・ソリューションズ・ビジネスを資産取引によ
り売却した。
2015年
1月~6月 2015年上半期には、中国のシノトランス Ltd.の株式の4.16パーセント、イギリスの不動産開発会社のキ
ングス・クロス・セントラル・プロパティ・トラスト及びキングス・クロス・セントラル・ゼネラル・
パートナー・リミテッド(キングズクロス社)(英国)の株式を売却した。
5月 グローバル・フォワーディング/フレート事業部により保有されていた中国のシノトランス Ltd.の株式の
4.16パーセントを売却した。
12月 2015年12月にDHLサプライ・チェーン・リミテッド(DHL SC Ltd.)(英国)は、その食材調達ビジネスを売
却した。
2015年12月にDHLグローバル・フォワーディング(デンマーク) A/S(デンマーク)のファインアート輸送
ビジネスを売却した。
2016年
1月 当グループは、フランスにおけるe-コマース・ロジスティクス・スペシャリストであるルレ・コリSA
(Relais Colis SA)の非支配持分27.5パーセントを取得した。この非支配持分は、連結財務書類において
持分法を用いて会計される。
e-コマース企業であるドイツのnugg.ad GmbHは売却された。
1~3月 2016年の第1四半期に、英国の不動産開発会社であるキングス・クロス・セントラル・プロパティ・トラ
スト及びキングス・クロス・セントラル・ゼネラル・パートナー・リミテッド(キングズクロス社)の残
りの株式は売却された。
7~9月 2016年の第3四半期に、DHL e-コマース(マレーシア)Sdn. Bhd.の残り51パーセントの株式を取得し、連
結された。
また、持分法が適用されていたサーチエンジン広告の分野で活動する企業であるドイツのIntelliAd
Media GmbH、ジョイント・ベンチャーであるドイツのGüll GmbH及びスイスのプレッセ・サービスGüll
GmbH (Presse-Service Güll GmbH)は、2016年6月に売却が完了した。テクニカル・e-メール・マーケ
ティング・サービスのプロバイダーであるドイツのオプティーヴォ(optivo GmbH)の全ての株式は、2016
年9月末に売却された。これらの売却及び連結の解消の効果は、ポスト-e-コマース–パーセル事業部に関
連している。
9月 DHLサプライ・チェーン(DHL Supply Chain)(イタリア) S.p.A. は、イタリアにおけるテクノロジー、製
薬及びハイテク分野のためのロジスティクス・サービスを提供するイタリア企業のMitsafetrans S.r.l.
を、その子会社Mitradiopharma S.r.l.を含め、買収した。
12月 当グループは、小包及び郵便物を処理するための英国における最大の統合ネットワークの一つを運営す
る、英国のUKメール・グループplc(UK mail Group plc)及びUK・メール・リミテッド(UK Mail Limited)
を買収した。
2017年
7月 当グループは、ブラジルに拠点を置くOlimpo Holding S.A. (Olimpo)(子会社のPolar Transportes
Ltda.及びRio Lopes Transportes Ltda.を含む。)の持分の80パーセントを取得した。同社は、ライフ
サイエンス・ヘルスケア・セクターにおいて輸送サービスを提供し、温度制御輸送を専門にしている。
11月 当グループは、管轄権を有する競争規制当局の承認を受けた後、アドベント・インターナショナルに対
するウィリアムズ・リー・タグ・グループの売却を完了した。同社は、マーケティング及びコミュニ
ケーション・ソリューションを専門としている。
2018年
4月 当グループは、コロンビアの会社であるサプラ・カーゴ S.A.S.(Suppla Cargo S.A.S.)、サービス
ティコス Ltda.(Serviceuticos Ltda.)、アヘンシア・デ・アドゥアナス・サプラ S.A.S.(Agencia
de Aduanas Suppla S.A.S.)及びサプラ S.A.(Suppla S.A.)を買収した。当該買収により、DHLサプラ
イ・チェーンは、ラテンアメリカにおいて事業を拡大することができる。これらの会社は、輸送、倉庫
保管及び包装サービスを提供する。
29/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
10月 当グループは、ロジスティックス・プロバイダーであるS.F.ホールディング(中国)との間で、戦略的
パートナーシップの一環として、中国、香港及びマカオにおけるサプライ・チェーン事業をS.F.ホール
ディングに売却する旨の契約を締結した。
30/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
3【事業の内容】
(1)【一般情報】
事業活動
国際的なサービスのポートフォリオ
ドイツポスト・アーゲーは、ドイツのボンに所在する上場企業である。当グループは、ドイツポスト及びDHL
ブランドの下、郵便及び宅配便、エクスプレス輸送、フレート、サプライ・チェーン管理、そしてe-コマース・
ソリューションから成る、国際的なサービスのポートフォリオを提供している。2018年12月31日現在、当グルー
プは、ポスト-e-コマース–パーセル事業部、エクスプレス事業部、サプライ・チェーン事業部、グローバル・
フォワーディング/フレート事業部の4つの事業部により構成されている。これらのサービスは、後記「各業務
部」で詳述される。各事業部は、当該各事業部の本部に管理され、また、各事業部は、報告の効率化の観点か
ら、各機能、各業務部、各地域へとさらに細分化されている。
当グループ全体をサポートする内部サービスは、国際事業サービス部に統合された。当グループの経営は、
コーポレート・ファンクションが集中して行っている。
31/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
2018 年12月31日現在の組織構造
ドイツポストDHL グループ
コーポレート・ファンクション
人事、コーポレート・インキュベー
CEO、国際事業サービス 財務
ション
取締役 取締役 取締役
● フランク・アペル ● メラニー・クライス ● トーマス・オギルヴィー
役割 役割 役割
● 取締役会サービス ● コーポレート・会計及び管理 ● コーポレートHRドイツ及び国際的
● コーポレート・法務 ● インベスター・リレーションズ な従業員リレーションズ
● コーポレート・オフィス ● コーポレート・ファイナンス ● コーポレートHR基準及び手続
● コーポレート・開発及びファース ● コーポレート・監査及び機密保持 ● グローバル機能のHR
ト・チョイス ● 租税 ● 事業部制HR組織
● コーポレート・エグゼキュティブ ● 事業部制ファイナンス組織
● コーポレート・コミュニケーショ ● 法務サービス 業務部
ンズ及び責任 ● コーポレート・インキュベーショ
● コーポレート・公共政策及び規則 ン
管理
● 国際事業サービス(コーポレー
ト・調達、コーポレート・不動
産、ITサービス、保険及びリスク
マネジメント等)
事業部
ポスト- e-コマース-パー
グローバル・フォワーディン
エクスプレス サプライ・チェーン
グ/フレート
セル
取締役
取締役 取締役 取締役
● ティム・シャールヴァー
● フランク・アペル ● ケン・アレン ● ジョン・ギルバート
ト
業務部 地域 業務部 地域
● 郵便 ● ヨーロッパ ● グローバル・フォワー ● EMEA(ヨーロッパ、中東及び
● e-コマース-パーセル ● アメリカ大陸 ディング アフリカ)
● アジア太平洋 ● フレート ● アメリカ大陸
● MEA (中東及びアフリ ● アジア太平洋
カ)
役割
● 顧客ソリューション
ズ及びイノベーショ
ン
組織の変更
2018 年2月1日、取締役会における顧客ソリューションズ・イノベーション(CSI)の責任者は、ケン・アレン
へと引き継がれた。
2018 年4月4日、最高経営責任者であるフランク・アペルが、その最高経営責任者としての職務に加え、ポスト
-eコマース-パーセル事業部の責任者となった。
さらに、2018年4月にコーポレート・インキュベーション取締役会部会が新たに創設された。トーマス・オギ
ルヴィーが、人事・労務担当の取締役としての責務に加え、その新たな部会を統率している。
ユルゲン・ゲルデスは、2018年6月12日に、取締役会における役職を辞した。
2018 年9月、ケン・アレンの取締役としての任務及び契約が2022年7月まで更新された。加えて、監査役会は、
2019年1月1日を効力発生日として、以下の変更を承認した。まず、ポスト-eコマース-パーセル(PeP)事業部
は、国内事業部と国際事業部とに分離され、それぞれ別の取締役が指揮を執ることとなった。国内事業は、ポス
32/385
EDINET提出書類
ドイツポスト・アーゲー(E05889)
有価証券報告書
ト・アンド・パケット・ドイツランドに改名され、当グループの最高経営責任者の暫定的な指揮の下に留まっ
た。新しいDHL eコマース・ソリューション事業部も、当グループをグローバルなeコマース市場に最適な形で連
携 させるために創設された。ケン・アレンは、そのCSIの主任としての職務に加え、この新たな事業部の担当者
として責任を負っている。ジョン・ピアソンは、2019年1月1日からエクスプレス事業部の指揮を執っている。
2019年3月、監査役会は、2019年4月1日を効力発生日として、トビアス・メイヤーを取締役に任命した。トビア
ス・メイヤーは、最高経営責任者としての職務に加えてポスト・アンド・パケット・ドイツランド事業部を管理
していたフランク・アペルから、当該事業部の担当取締役としての責務を引き継いだ。
世界を結ぶ存在
ドイツポストDHLグループの拠点は、個別財務諸表の別紙「株式保有リスト」に示されている。下記表は、主
要地域における市場ボリュームの概要を示している。当グループの市場シェアは、後記「各業務部」で詳述され
る。
(1)
市場ボリューム
グローバル ドイツ アメリカ大陸
(2)
航空貨物輸送(2017):24百万トン メール・コミュニケーション(2018): 航空貨物輸送(2017):5.1百万
(6) (2)
43億ユーロ トン
海上貨物輸送(2017): 55百万TEUs
(3)
(7)
広告市場(2018):273億ユーロ 海上貨物輸送(2017): 8.8百万
(3) (3)
(6)
契約ロジスティックス(2017): TEUs
小包(2018):116億ユーロ
(4)
2,159 億ユーロ
契約ロジスティックス(2017):
(4)
国際エクスプレス市場(2016):240
644 億ユーロ
(5)
億ユーロ
国際エクスプレス市場(2016):
(5)
82億ユーロ
ヨーロッパ 中東・アフリカ アジア・太平洋
(2)
航空貨物輸送(2017):6.3百万トン 航空貨物輸送(2017):1.4百万トン 航空貨物輸送(2017):11.0
(2)
(2)
(3)
百万トン
海上貨物輸送(2017): 5.5百万TEUs
海上貨物輸送(2017):8.4百万TEUs
海上貨物輸送(2017): 32.8百万
契約ロジスティックス(2017):
(3)
(3) (3)
(4)
TEUs
80 億ユーロ
契約ロジスティックス(2016):
契約ロジスティックス(2017):
(4)
709 億ユーロ
(4)
726 億ユーロ
国際エクスプレス市場(2016):71億
国際エクスプレス市場(2016):
(5)
ユーロ
(5)
80億ユーロ
(8)
道路運送(2017):1,970億ユーロ
(1 )
地域ごとのボリュームは、四捨五入されているため、合計してもグローバルボリュームにならない。
(2 )
輸出貨物(トン)のみに基づいたデータ。参考文献:Seabury Consulting 。
(3 )
20フィートコンテナ換算、市場全体の推計は、運送業者により管理されている。輸出貨物(トン)のみに基づいたデー
タ。参考文献:当社推定、Seabury Consulting。
(4 )
Transport Intelligence及び当社推定に基づく。
(5 )
国際時間指定エクスプレス商品を含む。基準国:アメリカ大陸、ヨーロッパ、アジア・太平洋、AE、SA、ZA(グローバ
ル);AR、BR、CA、CL、CO、MX、PA、US(アメリカ大陸);AT、CZ、DE、ES、FR 、IT、NL、PL、RO、RU、SE、TR、UK
(ヨーロッパ);AU、CN、HK、IN、JP、KR、SG、TW(アジア・太平洋)。参考文献:マーケット・インテリジェンスの
2017年度年次報告書及びデスクリサーチ。
(6 )
ドイツのみ。参考文献:当社推定。
(7 )
外部販売費を伴う全ての広告媒体を含む。参考文献:当社推定。
(8 )
ヨーロッパ25ヶ国を含む市場規模(大型及び特殊な輸送を除く)。参考文献:DHL Market Liteligence Study 2018
(当社計算、IHSマークイットグループ提供の内容