ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク 半期報告書
提出書類 | 半期報告書 |
---|---|
提出日 | |
提出者 | ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク |
カテゴリ | 半期報告書 |
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
【表紙】
【提出書類】 半期報告書
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2021 年9月28日
【中間会計期間】 2021 年度中 (自 2021年1月1日 至 2021年6月30日)
【会社名】 ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク
(The Goldman Sachs Group, Inc.)
【代表者の役職氏名】 会長兼首席経営執行役員 ディビッド・M・ソロモン
(David M. Solomon, Chairman and Chief Executive Officer)
【本店の所在の場所】 アメリカ合衆国10282 ニューヨーク州ニューヨーク、
ウェスト・ストリート200
(200 West Street, New York, New York 10282, U.S.A.)
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 庭 野 議 隆
【代理人の住所又は所在地】 東京都千代田区大手町一丁目1番1号 大手町パークビルディング
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
【電話番号】 03(6775)1000
【事務連絡者氏名】 弁 護 士 福 田 淳
同 梶 谷 裕 紀
同 須 藤 綾 太
同 髙 山 大 輝
同 宮 崎 太 郎
同 垣 下 沙 織
同 原 口 恵
同 髙 橋 将 希
【連絡場所】 東京都千代田区大手町一丁目1番1号 大手町パークビルディング
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
【電話番号】 03(6775)1000
【縦覧に供する場所】 該当なし
1/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
(注1) 「当社」または「ゴールドマン・サックス」とは、デラウェア法人であるザ・ゴールドマン・サックス・グルー
プ・インク(「グループ・インク」)およびその連結子会社を指す。
(注2) 「本株式」または「普通株式」とは、ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インクの1株当たり額面0.01ドル
の普通株式を指す。
(注3) 別段の記載がある場合を除き、「ドル」または「$」表示の金額はすべて米ドル建ての金額を指すものとする。本書
において便宜上、ドルから日本円への換算は、2021年8月2日現在の株式会社三菱UFJ銀行による対顧客電信直物売
買相場の仲値である1ドル=109.65円の換算率で計算されている。
(注4) 本書中の表において計数が四捨五入されている場合、合計は計数の総和と必ずしも一致しない。
(注5) 「2021年6月」、「2020年6月」および「2019年6月」とは、それぞれ2021年6月30日、2020年6月30日および
2019年6月30日に終了した当社の各事業期間または文脈によりそれらの各決算日を指す。「2020年12月」および
「2019年12月」とは、それぞれ2020年12月31日および2019年12月31日に終了した当社の事業年度または文脈により
それらの各決算日を指す。「2021年」および「2021年度」とは、別段の記載がある場合を除き、2021年12月31日に
終了する当社の事業年度または文脈によりその決算日を指す。
2/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
第一部【企業情報】
第1【本国における法制等の概要】
2021年6月30日提出の当社の有価証券報告書の記載内容に重要な変更はない。
3/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
第2【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
2021 年6月、2020年6月および2019年6月に終了した6ヶ月間における主要な経営指標等の推移
下表のうち、2021年6月に終了した6ヶ月間および2020年6月に終了した6ヶ月間の損益計算書のデータは、
当社が2021年8月4日に米国証券取引委員会(「SEC」)に提出した様式10-Qによる2021年6月に終了した四半
期に係るクォータリー・レポート(「様式10-Q」)の抄訳であり、2019年6月に終了した6ヶ月間の損益計算書
のデータは、2020年6月に終了した四半期に係る様式10-Qの抄訳である。下記の損益計算書のデータ注記(1)で
詳細が記載されているとおり、2020年6月に終了した四半期に係る様式10-Qの抄訳である2019年6月に終了した
6ヶ月間の損益計算書のデータは、当期の表示に合わせるため一定の振替がなされている。2021年6月、2020年
6月および2019年6月に関する下記の貸借対照表のデータはそれぞれ、2021年6月に終了した四半期、2020年6
月に終了した四半期および2019年6月に終了した四半期に係る様式10-Qの抄訳である。2021年6月、2020年6月
および2019年6月に関する下記の従業員数のデータは、2021年6月に終了した四半期および2020年6月に終了し
た四半期に係る様式10-Qの抄訳である。これらの四半期に関する様式10-Qは、当社がSECに提出済のものであ
る。以下の記載については、適宜、本書第一部第6「経理の状況」および様式10-Qに記載の連結財務書類とその
注記を併読のこと。
以下で終了した6ヶ月間
損益計算書のデータ
( 単位:1株当たり数値を除き、百万ドル)
2021 年6月 2020年6月 2019年6月
収益
投資銀行業務 7,016 4,475 3,379
投資運用業務 3,701 3,403 2,956
委託手数料 1,906 1,895 1,553
マーケット・メイキング 9,167 9,469 5,202
その他の自己勘定取引 8,191 539 2,889
受取利息以外の収益合計 29,981 19,781 15,979
受取利息 5,993 7,784 11,357
支払利息 2,882 5,527 9,068
受取利息純額 3,111 2,257 2,289
純収益合計 33,092 22,038 18,268
信用損失引当金繰入額 (162) 2,527 438
4/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
以下で終了した6ヶ月間
損益計算書のデータ
( 単位:1株当たり数値を除き、百万ドル)
2021 年6月 2020年6月 2019年6月
営業費用
人件費 11,306 7,713 6,576
取引関係費(1) 2,381 2,044 1,693
市場開拓費 195 242 370
通信およびテクノロジー費用 746 666 576
減価償却費 1,018 936 767
事務所関連費用 488 471 459
専門家報酬等 704 658 600
その他費用(1) 1,239 4,142 943
営業費用合計 18,077 16,872 11,984
税引前当期純利益 15,177 2,639 5,846
法人税等 2,855 1,053 1,174
当期純利益 12,322 1,586 4,672
優先株式配当金 264 266 292
普通株主に帰属する当期純利益 12,058 1,320 4,380
普通株式1株当たり利益
( 単位:ドル)
基本 34.06 3.66 11.59
希薄化後 33.64 3.66 11.52
普通株式の期中平均株式数
( 単位:百万株)
基本 353.6 356.8 377.1
希薄化後 358.4 356.8 380.2
(1) 2020年度第4四半期より、仲介、決済、取引および販売手数料は、取引関係費という名称に変更されており、完了した取
引から生じた費用(顧客の収益に直接関係するもの)も含まれている。当該費用は、以前はその他費用に含められてい
た。過年度報告額は、当期の表示に一致するように調整されている。
2021年6月現在 2020年6月現在 2019年6月現在
貸借対照表のデータ
( 単位:百万ドル)
資産合計 1,387,922 1,141,523 944,903
株主資本合計 101,890 90,029 90,892
従業員数
期末現在の従業員数合計 40,800 39,100 35,600
5/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
2020 年12月および2019年12月に終了した最近2事業年度における主要な経営指標等の推移
下表は、当社が2021年2月22日にSECに提出した様式10-Kによる2020年度アニュアル・レポートの抄訳であ
る。
2020年12月に終了した 2019年12月に終了した
事業年度または 事業年度または
事業年度末現在 事業年度末現在
( 単位:1株当たり数値を除き、百万ドル/百万株)
損益計算書のデータ
受取利息以外の収益 39,809 32,184
受取利息 13,689 21,738
支払利息 8,938 17,376
受取利息純額 4,751 4,362
純収益合計 44,560 36,546
信用損失引当金繰入額 3,098 1,065
営業費用 28,983 24,898
税引前当期純利益 12,479 10,583
貸借対照表のデータ
資産合計 1,163,028 992,968
預金 259,962 190,019
その他担保付借入金(長期) 12,537 11,953
無担保長期借入金 213,481 207,076
負債合計 1,067,096 902,703
株主資本合計 95,932 90,265
普通株式のデータ
1株当たり価額 -基本利益 (単位:ドル) 24.94 21.18
1株当たり価額 -希薄化後利益 (単位:ドル) 24.74 21.03
1株当たり価額 -配当金宣言額 (単位:ドル) 5.00 4.15
1株当たり価額 -帳簿価額 (単位:ドル) 236.15 218.52
基本株式数 358.8 361.8
平均普通株式数 -基本 356.4 371.6
平均普通株式数 -希薄化後 360.3 375.5
抜粋データ(未監査)
平均普通株主資本利益率 11.1% 10.0%
従業員数合計 40,500 38,300
資産クラス別の管理資産(「AUS」) (単位:十億ドル)
オルタナティブ投資 191 185
株式 475 423
債券 896 789
長期AUS 1,562 1,397
流動性商品 583 462
AUS合計 2,145 1,859
上表において、基本株式数は、流通普通株式ならびに将来の役務提供および業績を要件として課すことなく社員に付与した
制限付株式ユニットの数を表している。
6/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
2【事業の内容】
本書第一部第3「事業の状況」および第6「経理の状況」参照。2021年6月に終了した6ヶ月間において、
2021年6月30日提出の有価証券報告書に記載の当社の事業の内容に重要な変更はなかった。
3【関係会社の状況】
2021年6月に終了した6ヶ月間において、2021年6月30日提出の有価証券報告書に記載の当社の関係会社の状
況に重要な変更はなかった。
4【従業員の状況】
2021年6月現在の当社の従業員数合計は40,800名であった。
当社はセグメント別従業員数を開示していない。
7/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
第3【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
本書第一部第2 2「事業の内容」、下記2「事業等のリスク」および下記3(3)「財政状態、経営成績及
びキャッシュ・フローの状況の分析」参照。
2【事業等のリスク】
本書に係る期間中、2021年6月30日提出の有価証券報告書第一部第3 2「事業等のリスク」の項に記載され
た事項に重要な変更は生じていない。
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)業績等の概要
下記(3)「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」参照。
(2)生産、受注及び販売の状況
下記(3)「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」参照。
(3)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
以下は、当社が2021年8月4日に米国証券取引委員会(「SEC」)に提出した様式10-Qによる2021年6月に終
了した四半期に係るクォータリー・レポートの抄訳である。
はじめに
デラウェア法人であるザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(「グループ・インク」または「親会
社」)は、その連結子会社と共に、法人、金融機関、政府および個人を含む大規模かつ多様な顧客基盤に対し、
投資銀行業務、証券業務、投資運用業務および消費者向け銀行業務にわたる幅広い金融サービスを提供している
一流のグローバル金融機関である。当社は1869年に設立され、本社をニューヨークに置き、営業所を世界中のあ
らゆる主要な金融中心地区に有している。当社は、その事業活動を4つの事業セグメントにより報告している。
それらの事業セグメントは、投資銀行業務、グローバル・マーケッツ業務、アセット・マネジメント業務、なら
びに個人および富裕層向け金融業務である。当社の事業セグメントに関する詳細については、下記「業績」参
照。
「当社」とは、グループ・インクおよびその連結子会社を意味する。「当社子会社」とは、グループ・インク
の連結子会社を意味する。
8/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
本項は、当社の2020年12月31日に終了した事業年度についての様式10-Kによるアニュアル・レポートと併読す
べきものである。当該年度に関する2021年6月30日提出の当社の有価証券報告書を以下、「有価証券報告書」と
いう。「様式10-Q」への参照は、当社の2021年6月30日に終了した四半期についての様式10-Qによるクォータ
リー・レポートへの参照を意味する。「連結財務書類」への参照はいずれも、本書第一部第6 1「中間財務書
類」への参照を意味する。連結財務書類は未監査である。「2021年6月」、「2021年3月」および「2020年6
月」とはいずれも、それぞれ2021年6月30日、2021年3月31日および2020年6月30日に終了した当社の各事業期
間または文脈によりそれらの各決算日を指す。「2020年12月」とは、2020年12月31日を指す。これより後のいず
れかの年への言及は、同年の12月31日に終了する事業年度を指す。従前の報告値は、当期の表示に合わせて一定
程度振り替えられている。
概況
2021年6月に終了した3ヶ月間と2020年6月に終了した3ヶ月間の比較
2021年度第2四半期の当社の当期純利益は、2020年度第2四半期の373百万ドルから大幅に増加し、54.9億
ドルとなった。2021年度第2四半期の希薄化後普通株式1株当たり利益(「EPS」)は、2020年度第2四半期
の0.53ドルから大幅に増加し、15.02ドルとなった。2021年度第2四半期の年間ベース平均普通株主資本利益
率(「ROE」)は、2020年度第2四半期の1.0パーセントに対し、23.7パーセントであった。2021年6月現在の
普通株式1株当たり帳簿価額は264.90ドルであり、2021年3月現在からは5.6パーセント、2020年12月現在か
らは12.2パーセント増加した。
2020年度第2四半期中、訴訟および規制当局による手続に対する正味引当金により、希薄化後EPSが8.23ド
ル減少し、年間ベースROEが14.5ポイント低下した。
2021年度第2四半期の純収益は153.9億ドルで、2020年度第2四半期と比較して16パーセント増加した。こ
れは、(堅調な持分投資関連業務の純収益を反映した)アセット・マネジメント業務における純収益、(主と
して、堅調なファイナンシャル・アドバイザリー業務および引受業務の純収益を反映した)投資銀行業務にお
ける純収益、ならびに(富裕層向け金融業務と個人向け銀行業務の双方の純収益の増大を反映した)個人およ
び富裕層向け金融業務における純収益が大幅に増加したことによる。これらの増加は、とても堅調であった
2020年度第2四半期(ボラティリティの上昇および市場の大幅な混乱の最中においても堅調であった取引水準
を含んでいた)と比較してグローバル・マーケッツ業務における純収益が大幅に減少したことにより、部分的
に相殺された。グローバル・マーケッツ業務における減少は、債券・為替・コモディティ(「FICC」)業務に
おける純収益が大幅に減少したことおよび株式関連業務における純収益が減少したことを反映していた。
信用損失引当金繰入額は、2020年度第2四半期は15.9億ドルの引当金純額を計上したのに対し、2021年度第
2四半期は92百万ドルの正味利益を計上した。2021年度第2四半期には、ホールセール向けローンおよび消費
者向けローンに対する準備金の減少が含まれていた。これは、新型コロナウイルス感染症(「COVID-19」)パ
ンデミックの結果として2020年度上半期に厳しい状況が発生した後に、より広範な経済環境が継続的に改善し
たことを反映したものであったが、ポートフォリオの成長(主としてクレジットカードにおけるもの)に関連
する引当金により部分的に相殺された。
9/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
2021年度第2四半期の営業費用は86.4億ドルで、2020年度第2四半期と比較して17パーセント減少した。こ
れは、訴訟および規制当局による手続に対する正味引当金が大幅に減少したことによるものであったが、人件
費が(堅調な業績を反映して)増加したことにより部分的に相殺された。また、取引関係費およびテクノロ
ジー費用が増加した。当社の2021年度第2四半期の効率性比率(営業費用合計を純収益合計で除したもの)
は、2020年度第2四半期の78.3パーセントに対し、56.1パーセントであった。2020年度第2四半期中、訴訟お
よび規制当局による手続に対する正味引当金により、当社の効率性比率が22.2ポイント上昇した。
当社は、14.4億ドルの資本を普通株主に還元したが、これには、株式の買戻し10.0億ドルおよび普通株式配
当金441百万ドルが含まれていた。2021年6月現在で、当社の普通株式等Tier1(「CET1」)資本比率は、標準
的自己資本規則に基づくと14.4パーセントであり、先進的自己資本規則に基づくと13.4パーセントであった。
当社の自己資本比率に関する詳細については、連結財務書類注記20参照。
当社は、2022年度末までに13億ドルの年間ランレート費用効率性目標を達成するという当社の戦略的取組に
引き続き注力している。また、当社は、2022年度末以降に当社が追加で400百万ドルの費用効率性を達成する
ものと見込んでいる。
2021年6月に終了した6ヶ月間と2020年6月に終了した6ヶ月間の比較
2021年度上半期の当社の当期純利益は、2020年度上半期の15.9億ドルから大幅に増加し、123.2億ドルと
なった。2021年度上半期の希薄化後EPSは、2020年度上半期の3.66ドルから大幅に増加し、33.64ドルとなっ
た。2021年度上半期の年間ベースROEは、2020年度上半期の3.3パーセントに対し、27.3パーセントであった。
2020年度上半期中、訴訟および規制当局による手続に対する正味引当金により、希薄化後EPSが8.76ドル減
少し、年間ベースROEが7.8ポイント低下した。
2021年度上半期の純収益は330.9億ドルで、2020年度上半期と比較して50パーセント増加した。これは、
(主として、堅調な持分投資関連業務の純収益を反映した)アセット・マネジメント業務における純収益、
(主として、堅調な引受業務およびファイナンシャル・アドバイザリー業務の純収益を反映した)投資銀行業
務における純収益、ならびに(富裕層向け金融業務と個人向け銀行業務の双方の純収益の増大を反映した)個
人および富裕層向け金融業務における純収益が大幅に増加したことによる。グローバル・マーケッツ業務にお
ける純収益は、FICC業務と株式関連業務の双方にわたり堅調であったが、2020年度上半期と比較して実質的に
増減なしであった。
信用損失引当金繰入額は、2020年度上半期は25.3億ドルの引当金純額を計上したのに対し、2021年度上半期
は162百万ドルの正味利益を計上した。2021年度上半期には、ホールセール向けローンおよび消費者向けロー
ンに対する準備金の減少が含まれていた。これは、COVID-19パンデミックの結果として2020年度上半期に厳し
い状況が発生した後に、より広範な経済環境が継続的に改善したことを反映したものであったが、ポートフォ
リオの成長(主としてクレジットカードにおけるもの。進行中のゼネラル・モーターズとの提携クレジット
カード・ポートフォリオの取得に関連する引当金を含む)に関連する引当金により部分的に相殺された。
10/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
2021年度上半期の営業費用は180.8億ドルで、2020年度上半期と比較して7パーセント増加した。これは、
人件費が(堅調な業績を反映して)大幅に増加したことを反映しているが、人件費以外の費用が大幅に減少し
たことにより部分的に相殺された。人件費以外の費用のうち、訴訟および規制当局による手続に対する正味引
当金は大幅に減少したが、取引関係費およびテクノロジー費用が増加したことにより部分的に相殺された。当
社の2021年度上半期の効率性比率(営業費用合計を純収益合計で除したもの)は、2020年度上半期の76.6パー
セントに対し、54.6パーセントであった。2020年度上半期中、訴訟および規制当局による手続に対する正味引
当金により、当社の効率性比率が14.3ポイント上昇した。
2021年度上半期中、当社は、45.9億ドルの資本を普通株主に還元したが、これには、普通株式の買戻し37.0
億ドルおよび普通株式配当金889百万ドルが含まれていた。
事業環境
2021年度第2四半期中、世界各地でワクチンが配布される中で健康および安全に関する制限が解除されたこと
により世界各国の経済活動の増加が促進されたため、グローバル経済は、COVID-19パンデミックからの回復を継
続した。より広範な経済の改善もまた、パンデミックに対応した世界各国の中央銀行による(政策金利の引下げ
および大規模資産買入れを通じた)緩和的な金融政策によって、また、米国においてはインフラ支出の形による
さらなる財政刺激策の見通しによって、促進された。経済活動の増大ならびに物品およびサービスに対する需要
の増加は、労働力の不足およびサプライチェーンの複雑化と共に、インフレ圧力増大の一因となった。しかしな
がら、投資家は、上昇していたボラティリティが引き続き緩和された一方で、当四半期中に世界的な株価が全般
的に上昇したため、経済回復の継続の見通しについて引き続き楽観的であった。また、長期国債の利回りは、総
じて低下した。
パンデミックの初期の影響を受けた後、経済全般が幅広く改善したにもかかわらず、引き続き、デルタ株およ
びその他のウイルス変異によるウイルスの再流行、ワクチン配布およびワクチン忌避、インフレならびに地政学
的リスクに対する懸念を反映した、経済回復の継続の見通しに関する不確実性が存在している。当社の各事業セ
グメントの営業環境に関する詳細については、下記「業績-セグメント別の資産および業績-セグメント別の業
績」参照。
11/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
重要な会計方針
公正価値
公正価値の階層
トレーディング資産および負債、一定の投資およびローン、ならびにその他の一定の金融資産および負債
は、公正価値にて当社の連結貸借対照表に含まれており(すなわち、値洗いされており)、関連する損益は
通常当社の連結損益計算書上にて認識されている。金融商品の測定に公正価値を用いることは、当社のリス
ク管理実務上の基本的な要素であると共に、当社の最も重要な会計方針である。
金融商品の公正価値とは、測定日における市場参加者間の秩序ある取引で、資産の売却により受け取る、
または負債の移転により支払われると考えられる金額である。当社は、一定の金融資産および負債をポート
フォリオ単位で(すなわち、市場および/または信用リスクに対するポートフォリオの正味エクスポー
ジャーに基づいて)測定している。公正価値の算定上、米国において一般に公正妥当と認められている会計
原則(「米国会計基準」)に基づく階層によれば、(ⅰ)同一の非制限資産または負債を対象とする活発な
市場における無調整の市場価格は最も優先順位が高く(レベル1のインプット)、(ⅱ)レベル1のイン
プット以外のインプットのうち直接または間接的に観察可能であるものは次に優先順位が高く(レベル2の
インプット)、(ⅲ)市場活動において観察不能なインプットは優先順位が最も低い(レベル3のインプッ
ト)。評価におけるインプットの重要性を判断するに際し、当社は、とりわけ、当該インプットに対する
ポートフォリオの正味リスク・エクスポージャーを考慮している。資産および負債の分類は全体的に、公正
価値の測定に重要な意味を持つ優先順位の最も低いインプットに基づいている。
当社の実質的にすべての金融資産および負債の公正価値は、観察可能な価格およびインプットを基礎とし
ており、公正価値の階層のレベル1およびレベル2に分類される。一定のレベル2およびレベル3の金融資
産および負債については、取引相手先および当社の信用度、資金調達リスク、譲渡制限、流動性およびビッ
ド/オファーのスプレッド等の要素に関して、市場参加者が公正価値を算定するのに必要と考えられる適切
な評価調整が必要となる可能性がある。
12/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
公正価値の階層でレベル3に分類される商品は、1つ以上の観察不能な重要なインプットを要する商品で
ある。レベル3の金融資産は、2021年6月現在、2021年3月現在および2020年12月現在、当社の資産合計の
1.8パーセント、2.1パーセントおよび2.3パーセントをそれぞれ占めていた。レベル3の金融資産に関する
詳細(レベル3の金融資産の変動および関連する公正価値の測定を含む)については、連結財務書類注記4
から10参照。相反する証拠が存在する場合を除き、公正価値の階層でレベル3に分類される商品は、当初は
取引価格で評価される。これは、公正価値の当初見積りの最善のものと考えられている。取引日以降、当社
は、公正価値を決定するためにその他の方法を使用する。これらの方法は、商品の種類によって異なる。レ
ベル3の金融商品の公正価値の見積りには、以下を含む判断を行う必要がある。
・各種のレベル3の金融商品についての適切な評価方法および/またはモデルの決定
・すべての関連する経験的市場データ(市場取引から明らかな価格、金利、クレジット・スプレッド、ボ
ラティリティおよびコリレーションを含む)の評価に基づくモデルのインプットの決定
・適切な評価調整(非流動性または取引相手先の信用度に関するものを含む)の決定
いずれの方法においても、評価のためのインプットおよび仮定は、実質的な証拠に裏付けられている場合
にのみ変更される。
金融商品評価の管理
当社の収益創出部門のマーケット・メイカーおよび投資専門家職員は、当社の金融商品の価格決定につき
責任を負っている。当社の管理体制は、収益創出部門から独立しており、当社のすべての金融商品が市場清
算水準で適切に評価されることを確保するための基礎となっている。金融商品の公正価値の見積りに判断を
要する状況(たとえば、後述の比較可能な市場取引に基づく調整、または取引の比較)において意見の相違
があった場合、最終的な評価の決定は、独立したリスク監督・統制部門を担当するシニア・マネージャーに
より行われる。この独立した価格検証は、当社の金融商品の適正な評価を確保するために非常に重要であ
る。
価格検証
公正価値で測定され、公正価値の階層でレベル1、レベル2およびレベル3に分類されるすべての金融商
品は、当社の独立した価格検証プロセスを経ることとなる。価格検証の目的は、検討対象となる金融商品の
評価について豊富な情報に基づく独立した意見を得ることである。外部の市場データによる裏付けを得るこ
とができない1つ以上の重要なインプットを有する商品は、公正価値の階層でレベル3に分類される。当社
の独立したリスク監督・統制部門が価格検証のために用いる戦略には、以下が含まれる。
13/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
・取引の比較
最適な価格のインプットおよび評価を決定するために取引データ(入手可能な場合は内部・外部双方の
データ)の分析を行う。
・外部価格との比較
評価結果および価格を第三者(たとえば、ブローカーまたはディーラー、IHSマークイット、ブルーム
バーグ、IDC、TRACE)から入手した価格決定データと比較する。一貫性および有効性を確保するために、
様々な入手元からのデータを比較する。ブローカーもしくはディーラーの呼び値または第三者の価格決定
ベンダーが評価または価格検証に利用された場合、通常、実行可能な呼び値に対して高い優先順位が与え
られる。
・比較可能な市場取引に基づく調整
類似の性質、リスクおよび構成要素を有するポジションの評価を裏付けるために市場ベースの取引が利
用される。
・相対価値分析
リスク・流動性・利益率の観点から、または1つの商品と別の商品とを比較して、または1つの商品に
つきその満期別に比較して測定される類似性を判断するために市場ベースの取引が分析される。
・担保の分析
内在価値を判断するためにデリバティブに係る追加証拠金請求を分析し、これを当社の評価を裏付ける
ために用いる。
・取引の実行
マーケット・メイキング・デスクは、適切な場合に、市場清算水準に対する証拠を提供するために取引
を実行するよう指示を受ける。
・バックテスト
売却による実現利益と比較することにより、評価を裏付ける。
公正価値の測定に関する詳細については、連結財務書類注記4参照。
14/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
純収益の検討
独立したリスク監督・統制部門は、日常業務手続の組合せを通じて当社の価格決定方針の遵守を確保す
る。これらの日常業務手続には、その基礎となる要因を基にした、純収益の説明と帰属が含まれる。このプ
ロセスを通じて、当社は、純収益を独自に検証し、公正価値または取引ブッキングに関する潜在的な問題を
適時に特定および解決し、さらにリスクが適切にカテゴライズおよび定量化されていることを確保するよう
努めている。
評価モデルの検討
モデル開発者とは別の定量化業務の専門家職員で構成される当社の独立したモデルリスク管理グループ
(「モデルリスク部門」)は、当社の評価モデルに対する独自のモデル検討・検証プロセスを行う。新規モ
デルまたは改訂モデルは、実施される前に検討の上承認される。商品の変更または市場の変動による影響お
よび価格決定理論における市場の動向による影響を査定するために、モデルは毎年検討される。当社の評価
モデルの検討および検証に関する詳細については、下記「リスク管理-モデルリスク管理」参照。
信用損失引当金
当社は、償却原価で会計処理される投資目的保有の当社のローンに関連し、信用損失引当金を見積もり、計
上している。信用損失引当金を算定するため、当社は、償却原価で会計処理される当社のローンをホールセー
ル向けポートフォリオと消費者向けポートフォリオに分類している。これらのポートフォリオは、当社が信用
損失引当金を算定するための方法を策定し、文書化した水準を表している。信用損失引当金は、モデル化され
たアプローチを用いることにより類似のリスク特性を示すローンについて一括して、また類似のリスク特性を
示していないローンについては資産別に計測される。信用損失引当金には、経営陣が経済予測の不確実性を反
映すること、モデルのインプットに関する不確実性を把握すること、そしてモデルの不正確さおよび集中リス
クを考慮に入れることを可能とする定性的要素も含まれている。信用損失引当金の算定には、様々なリスク要
因についての重要な判断が必然的に伴う。ホールセール向けローンのリスク要因には、内部信用格付、業界の
債務不履行や損失に関するデータ、予想残存期間、マクロ経済指標(失業率およびGDP等)、借主の金融債務
履行能力、借主のカントリーリスクおよび業界、ローンの優先順位ならびに担保の種類等がある。また、不動
産を担保とするローンのリスク要因には、ローン・トゥ・バリュー・レシオ、債務返済比率、住宅価格指数等
がある。割賦払いローンおよびクレジットカード・ローンのリスク要因には、フェア・アイザック・コーポ
レーション(「FICO」)信用スコア、延滞状況、ローンの組成年度およびマクロ経済指標等がある。
15/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
信用損失に関する当社の見積りは、報告日現在の回収可能性についての判断が必然的に伴い、これらの判断
には固有の不確実性が存在する。信用損失引当金は、当社の独立したリスク監督・統制部門内において幹部経
営陣による審査および承認を伴うガバナンス・プロセスの対象となっている。当社の独立したリスク監督・統
制部門のスタッフは、予想信用損失のモデル化において使用される経済シナリオの基礎となる経済変数を予測
する責任を負っている。当社はこの見積りを算出するにあたり入手可能な最善の情報を利用しているが、特に
経済環境の変化や、実際の結果と使用した当初の仮定との相違等により、将来において引当金の調整が必要と
なる可能性がある。ローンは、回収不能とみなされた時点でローン貸倒引当金から取り崩される。
当社は、償却原価で会計処理される投資目的保有貸付コミットメントに対しても信用損失引当金を計上して
いる。当該引当金はローン貸倒引当金と同じ手法を用いて算定されるが、引出しや資金調達の可能性、および
当該コミットメントの当社による取消の可否も考慮される。信用損失引当金に関する詳細については、連結財
務書類注記9参照。
見積りの活用
米国会計基準に基づき、当社による一定の見積りおよび仮定が必要となる。当社が公正価値の測定、ならびに
償却原価で会計処理される投資目的保有のローンおよび貸付コミットメントに係る信用損失引当金に関連して用
いる見積りに加え、未払裁量報酬、のれんおよび識別可能無形資産の会計処理、訴訟および規制当局による手続
(政府による調査を含む)から生じる可能性のある損失に対する引当金、ならびに税務監査から生じる可能性の
ある損失に対する引当金の額を決定する際にも、見積りおよび仮定の活用が重要となる。
当社の人件費のかなりの部分が裁量報酬に相当し、これは年度末に確定される。当社は、各中間会計期間にお
ける年度末裁量報酬の見積りの最適な割当方法は、当該期間において稼得した純収益に比例させることであると
考えている。純収益の水準に加えて、任意の年度における当社の人件費全体は、とりわけ、財務成績全般、労働
市場の実勢、事業構成、当社の株式報酬制度の内容および外部環境等によっても影響を受ける。
のれんの減損の有無は、年に1度第4四半期において、または減損が存在する可能性を示す事象もしくは状況
の変化がある場合にはそれより多い頻度で評価される。のれんの減損の有無を評価する場合、第一に報告対象部
門の見積公正価値がその見積帳簿価額を下回っている可能性が比較的高いかどうかを判断するために、定性的評
価を行うことができる。定性的評価の結果だけで最終的な判断を下せない場合には、定量的なのれんのテストが
実施される。あるいは、定性的評価を実施せずに定量的評価を行うことができる。
当社の報告対象部門の公正価値の見積りのためには、判断が必要となる。公正価値の見積りのための重要なイ
ンプットには、予想利益および割当株主資本が含まれる。予想利益には不確実性が内在する。各報告対象部門の
見積帳簿価額は、株主資本合計の割当てを反映しており、現在適用ある規制上の自己資本要件に基づき報告対象
部門の活動を支えるために必要とされる株主資本合計の見積額を示している。のれんに関する詳細については、
連結財務書類注記12参照。
16/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
事業環境、金融市場、当社の業績もしくは当社の普通株式の価格の低迷が長期化もしくは深刻化した場合、ま
たは自己資本要件がさらに引き上げられた場合、将来的に当社にのれんの減損が発生する可能性がある。
資産または資産グループの帳簿価額を全額回収できない可能性を示す事象または状況の変化がある場合、識別
可能無形資産の減損テストが行われる。潜在的な減損が生じている兆候の有無の評価、および必要な場合に無形
資産の減損テストを行うためには、判断が必要となる。減損は、当該資産または資産グループに関する割引前の
見積キャッシュ・フローがその帳簿価額を下回る場合に計上される。識別可能無形資産に関する詳細について
は、連結財務書類注記12参照。
当社はまた、訴訟および規制当局による手続から生じる可能性のある潜在的損失に対する引当金を、かかる損
失の発生が予想され、かつその金額を合理的に見積もることができる限りにおいて、見積りの上、計上する。ま
た、当社は、損失のリスクが少なくないと考える場合の、訴訟および規制当局による手続に対する関連引当金を
超える合理的な可能性がある損失総額の範囲の上限を見積もっている。一定の司法上、訴訟上および規制上の手
続に関する情報については、連結財務書類注記18および27参照。これらの見積りは相当の判断を要するものであ
り、当社の最終的な負債額との間には大幅な差異が最終的に生じる場合がある。訴訟および規制当局による手続
に関連する当社の見積負債総額は、個々の事例単位で決定され、とりわけ、個々の事例、手続または調査の進捗
状況、類似の事例、手続または調査における当社および第三者の経験、ならびに法律顧問の意見および見解等を
考慮した上での、発生する可能性のある損失の見積りを示している。
法人税等の会計処理上、当社は、税務当局による調査においてテクニカル・メリットに基づき税務ポジション
が認容される可能性が比較的高い場合のみ、当該ポジションを財務書類上で認識する。法人税等に関する詳細に
ついては、連結財務書類注記24参照。
最近公表された会計基準
最近公表された会計基準に関する情報については、連結財務書類注記3参照。
業績
当社の純収益の構成は、長期的に見ると金融市場の推移および当社の営業活動の範囲の変更に伴い変化してい
る。米国内外の経済情勢および市況の変動により、純収益の構成に短期的な変化が生じる場合もある。経済情勢
および市況による当社の業績への影響に関する詳細については、有価証券報告書第一部第3 2「事業等のリス
ク」参照。
17/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
財務の概況
下表は、当社の財務業績および一定の財務比率の概要である。
6月に終了した3ヶ月間 6月に終了した6ヶ月間
(単位:1株当たり数値を除き、百万ドル)
2021年 2020年 2021年 2020年
純収益 15,388 13,295 33,092 22,038
税引前当期純利益 6,840 1,291 15,177 2,639
当期純利益 5,486 373 12,322 1,586
普通株式に係る当期純利益 5,347 197 12,058 1,320
希薄化後EPS 15.02 0.53 33.64 3.66
ROE 23.7 % 1.0 % 27.3 % 3.3 %
ROTE 25.1 % 1.0 % 28.9 % 3.5 %
平均資産に対する当期純利益の割合 1.6 % 0.1 % 1.9 % 0.3 %
平均株主資本利益率 22.1 % 1.6 % 25.2 % 3.5 %
平均資産に対する平均株式資本の割合 7.3 % 8.1 % 7.5 % 8.3 %
配当性向 8.3 % 235.8 % 7.4 % 68.3 %
上表において、
・普通株式に係る当期純利益は、普通株主に帰属する当期純利益を示しており、当期純利益から優先株式配
当金を控除して算定したものである。
・ROE、平均有形普通株主資本利益率(「ROTE」)、平均資産に対する当期純利益の割合および平均株主資
本利益率は、年間ベースの数値である。
・平均資産に対する平均株式資本の割合は、平均株主資本合計を平均資産合計で除して算定したものであ
る。
・配当性向は、普通株式1株当たり配当金宣言額を希薄化後EPSで除して算定したものである。
・年間ベースROEは、普通株式に係る年間ベース当期純利益を普通株主資本の月平均で除して算定したもの
である。有形普通株主資本は、株主資本合計から優先株式、のれんおよび識別可能無形資産を控除して算
定したものである。年間ベースROTEは、普通株式に係る年間ベース当期純利益を有形普通株主資本の月平
均で除して算定したものである。有形普通株主資本は、当社および投資家が自己資本比率を評価するため
に用いる指標の1つであるため重要であり、ROTEは、(買収されたか内部で進展したかの別を問わず)事
業の業績を一貫して測定するものであるため重要であると、当社は考えている。有形普通株主資本および
ROTEは、会計基準による定めがない指標であり、他社が用いる会計基準による定めがない類似の指標とは
対比することができない可能性がある。年間ベース平均株主資本利益率は、年間ベース当期純利益を株主
資本の月平均で除して算定したものである。
18/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
下表は、当社の平均株式資本および平均普通株主資本から平均有形普通株主資本への調整の過程を示したも
のである。
平均値
6月に終了した3ヶ月間 6月に終了した6ヶ月間
(単位:百万ドル)
2021年 2020年 2021年 2020年
株主資本合計 99,294 91,802 97,735 90,956
優先株式 (9,203 ) (11,203 ) (9,489 ) (11,203 )
普通株主資本 90,091 80,599 88,246 79,753
のれん (4,332 ) (4,196 ) (4,332 ) (4,196 )
識別可能無形資産 (552 ) (610 ) (581 ) (618 )
有形普通株主資本 85,207 75,793 83,333 74,939
純収益
下表は、当社の純収益を項目別に示したものである。
6月に終了した3ヶ月間 6月に終了した6ヶ月間
2021 年 2020 年 2021年 2020 年
(単位:百万ドル)
投資銀行業務 3,450 2,733 7,016 4,475
投資運用業務 1,905 1,635 3,701 3,403
委託手数料 833 875 1,906 1,895
マーケット・メイキング 3,274 5,787 9,167 9,469
その他の自己勘定取引 4,297 1,321 8,191 539
受取利息以外の収益合計 13,759 12,351 29,981 19,781
受取利息 2,939 3,034 5,993 7,784
支払利息 1,310 2,090 2,882 5,527
受取利息純額 1,629 944 3,111 2,257
純収益合計 15,388 13,295 33,092 22,038
上表において、
・投資銀行業務は、ファイナンシャル・アドバイザリー業務および引受業務による収益(純利息を除く)か
ら成る。これらの活動は、当社の投資銀行業務セグメントに含まれている。
・投資運用業務は、アセット・マネジメント業務の多様な顧客層を対象としたすべての主要な資産クラスに
わたる資産運用サービス(当社のアセット・マネジメント業務セグメントに含まれている)、ならびに富
裕層向け金融業務の顧客を対象とした資産運用サービス、ウェルス・アドバイザリー・サービスおよび一
定の取引サービス(当社の個人および富裕層向け金融業務セグメントに含まれている)の提供による収益
(純利息を除く)から成る。
・委託手数料は、世界中の主要な株式、オプションおよび先物取引所で顧客の取引を執行・清算すること、
ならびに店頭取引による収益から成る。これらの活動は、当社のグローバル・マーケッツ業務ならびに個
人および富裕層向け金融業務セグメントに含まれている。
19/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
・マーケット・メイキングは、金利商品、クレジット商品、モーゲージ、為替、コモディティおよび株式商
品を対象とするマーケット・メイキングに関連した顧客取引執行による収益(純利息を除く)から成る。
これらの活動は、当社のグローバル・マーケッツ業務セグメントに含まれている。
・その他の自己勘定取引は、当社の連結投資(当社のアセット・マネジメント業務セグメントに含まれてい
る)および貸付活動(当社の4つのセグメント全体にわたり含まれている)に関連した収益を含む、当社
の株式投資活動による収益(純利息を除く)から成る。
営業環境
2021年度第2四半期中、経済の回復、ワクチン配布の最中にある世界各地における健康および安全に関す
る制限の解除、ならびに中央銀行および政府からの継続的金融・財政支援により、市場が好転した。これら
の要因は、2021年度第1四半期と比較した世界的な株価の全般的上昇、オルタナティブ投資の支援的環境、
投資銀行取引水準の上昇、および、より控えめではあるが、堅調なマーケット・メイキング活動の水準に寄
与した。
経済見通しに対する楽観性が後退した場合、またはCOVID-19パンデミックによる影響を緩和するために現
在続けられている取組が効果的でない場合(新たな変異株またはワクチン配布に伴う複雑な状況による場合
を含む)、オルタナティブ投資に係る経済情勢の悪化、マーケット・メイキング活動のさらなる水準低下、
投資銀行取引水準の低下、および世界各国の株式市場の下落つながる可能性があり、純収益および信用損失
引当金が悪影響を受ける可能性がある。営業環境ならびに当社の業績に影響を及ぼす可能性がある重要な傾
向および不確実性に関する情報については、下記「セグメント別の資産および業績-セグメント別の業績」
参照。
2021年6月に終了した3ヶ月間と2020年6月に終了した3ヶ月間の比較
2021年度第2四半期の連結損益計算書上の純収益は153.9億ドルで、2020年度第2四半期と比較して16
パーセント増加した。これは、その他の自己勘定取引、投資銀行業務収益および受取利息純額が大幅に増加
したこと、ならびに投資運用業務収益が増加したことを反映しているが、マーケット・メイキング収益が大
幅に減少したことにより部分的に相殺された。
20/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
受取利息以外の収益
2021年度第2四半期の連結損益計算書上の投資銀行業務収益は34.5億ドルで、2020年度第2四半期と比較
して26パーセント増加した。これは、ファイナンシャル・アドバイザリー業務の収益が(M&A取引完了案件
の増加を反映して)大幅に増加したこと、および株式引受業務の収益が(主として、業界全体の新規株式公
開取引が堅調であったことにより牽引されて)増加したことを反映しているが、業界全体の売出しの大幅な
減少により部分的に相殺された。これらの増加は、債券引受業務の収益が(主として、業界全体の投資適格
取引高が大幅に減少したことを反映して)わずかに減少したこと(これは、業界全体のレバレッジド・ファ
イナンスの取引高が上昇したことにより部分的に相殺された)により部分的に相殺された。
2021年度第2四半期の連結損益計算書上の投資運用業務収益は19.1億ドルで、2020年度第2四半期と比較
して17パーセント増加した。これは、主として、資産運用報酬等が(平均管理資産(「管理資産」または
「AUS」)が増加したことによる影響を反映して)増加したことによるものであったが、マネー・マーケッ
ト・ファンドに対する手数料の免除により部分的に相殺された。
2021年度第2四半期の連結損益計算書上の委託手数料は833百万ドルで、2020年度第2四半期と比較して
わずかに減少した。
2021年度第2四半期の連結損益計算書上のマーケット・メイキング収益は32.7億ドルで、2020年度第2四
半期と比較して43パーセント減少した。これは、主として、金利商品、クレジット商品、株式商品(主とし
て現金性商品)、コモディティおよび為替における収益が大幅に減少したことによるものであった。
2021年度第2四半期の連結損益計算書上のその他の自己勘定取引の収益は、2020年度第2四半期の13.2億
ドルに対し、43.0億ドルであった。これは、主として、非公開持分証券投資からの純利益が、会社固有の事
象(資本調達および売却を含む)により牽引されて大幅に増加したこと、および厳しかった2020年度第2四
半期と比較して企業業績が改善したことを反映している。
受取利息純額
2021年度第2四半期の連結損益計算書上の受取利息純額は16.3億ドルで、2020年度第2四半期と比較して
73パーセント増加した。これは、それぞれ金利が低下したことによる影響を反映した長期借入金および預金
に主に関連する支払利息の減少を反映したものであった。支払利息の減少は、それぞれ金利が低下したこと
による影響(これは、その他の利付資産の平均残高が増加したことによる影響により部分的に相殺された)
を反映した担保付契約およびトレーディング資産に主に関連する受取利息の減少により部分的に相殺され
た。
21/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
2021年6月に終了した6ヶ月間と2020年6月に終了した6ヶ月間の比較
2021年度上半期の連結損益計算書上の純収益は330.9億ドルで、2020年度上半期と比較して50パーセント
増加した。これは、その他の自己勘定取引および投資銀行業務収益、ならびに(これらよりは影響が少な
かったものの)受取利息純額が大幅に増加したことによるものであった。
受取利息以外の収益
2021年度上半期の連結損益計算書上の投資銀行業務収益は70.2億ドルで、2020年度上半期と比較して57
パーセント増加した。これは、株式引受業務の収益が(主として、業界全体の新規株式公開取引が堅調で
あったことにより牽引されて)大幅に増加したこと、およびファイナンシャル・アドバイザリー業務の収益
が(M&A取引完了案件の大幅な増加を反映して)大幅に増加したこと、ならびに債券引受業務の収益が(業
界全体のレバレッジド・ファイナンス活動が上昇したことを反映して)増加したことを反映している。
2021年度上半期の連結損益計算書上の投資運用業務収益は37.0億ドルで、2020年度上半期と比較して9
パーセント増加した。これは、資産運用報酬等が(平均管理資産が増加したことによる影響を反映して)増
加したことによるものであったが、マネー・マーケット・ファンドに対する手数料の免除により部分的に相
殺された。
2021年度上半期の連結損益計算書上の委託手数料は19.1億ドルで、2020年度上半期と比較して実質的に増
減なしであった。
2021年度上半期の連結損益計算書上のマーケット・メイキング収益は91.7億ドルで、堅調であった2020年
度上半期と比較してわずかに減少した。これは、金利商品およびクレジット商品の収益が大幅に減少したこ
とが、株式商品(主としてデリバティブ)およびモーゲージにおける収益が大幅に増加したことにより大き
く相殺されたためであった。
2021年度上半期の連結損益計算書上のその他の自己勘定取引の収益は、2020年度上半期の539百万ドルに
対し、81.9億ドルであった。これは、主として、非公開持分証券投資からの純利益が、会社固有の事象(資
本調達および売却を含む)により牽引されて大幅に増加したこと、および厳しかった2020年度上半期と比較
して企業業績が改善したことを反映している。また、公開持分証券投資および債券投資からの純利益が大幅
に増加した。
受取利息純額
2021年度上半期の連結損益計算書上の受取利息純額は31.1億ドルで、2020年度上半期と比較して38パーセ
ント増加した。これは、それぞれ金利が低下したことによる影響を反映したその他有利子負債、預金、長期
借入金および担保付借入金に関連する支払利息の減少を反映したものであったが、トレーディング負債の平
均残高が増加したことによる影響により部分的に相殺された。支払利息の減少は、それぞれ金利が低下した
ことによる影響を反映した担保付契約、トレーディング資産および銀行預金に主に関連する受取利息の減少
により部分的に相殺された。
22/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
信用損失引当金繰入額
信用損失引当金繰入額は、償却原価で会計処理される投資目的保有のローンおよび貸付コミットメントに係
る信用損失引当金から成る。信用損失引当金繰入額に関する詳細については、連結財務書類注記9参照。
下表は、当社の信用損失引当金繰入額を示したものである。
6月に終了した3ヶ月間 6月に終了した6ヶ月間
(単位:百万ドル)
2021年 2020年 2021年 2020年
信用損失引当金繰入額 (92) 1,590 (162) 2,527
2021年6月に終了した3ヶ月間と2020年6月に終了した3ヶ月間の比較
連結損益計算書上の信用損失引当金繰入額は、2020年度第2四半期は15.9億ドルの引当金純額を計上した
のに対し、2021年度第2四半期は92百万ドルの正味利益を計上した。2021年度第2四半期には、ホールセー
ル向けローンおよび消費者向けローンに対する準備金の減少が含まれていた。これは、COVID-19パンデミッ
クの結果として2020年度上半期に厳しい状況が発生した後に、より広範な経済環境が継続的に改善したこと
を反映したものであったが、ポートフォリオの成長(主としてクレジットカードにおけるもの)に関連する
引当金により部分的に相殺された。
2021年6月に終了した6ヶ月間と2020年6月に終了した6ヶ月間の比較
連結損益計算書上の信用損失引当金繰入額は、2020年度上半期は25.3億ドルの引当金純額を計上したのに
対し、2021年度上半期は162百万ドルの正味利益を計上した。2021年度上半期には、ホールセール向けロー
ンおよび消費者向けローンに対する準備金の減少が含まれていた。これは、COVID-19パンデミックの結果と
して2020年度上半期に厳しい状況が発生した後に、より広範な経済環境が継続的に改善したことを反映した
ものであったが、ポートフォリオの成長(主としてクレジットカードにおけるもの。進行中のゼネラル・
モーターズとの提携クレジットカード・ポートフォリオに関連する引当金185百万ドルを含む)に関連する
引当金により部分的に相殺された。
営業費用
当社の営業費用は、主に人件費、従業員数および事業活動の水準の影響を受ける。人件費には、給与、年度
末裁量報酬の見積り、株式報奨の償却、および手当等のその他の項目が含まれる。裁量報酬は、とりわけ純収
益の水準、財務成績全般、労働市場の実勢、事業構成、当社の株式報酬制度の内容および外部環境等により著
しい影響を受ける。
23/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
下表は、当社の項目別の営業費用および従業員数合計を示したものである。
6月に終了した3ヶ月間 6月に終了した6ヶ月間
(単位:百万ドル)
2021年 2020年 2021年 2020年
人件費 5,263 4,478 11,306 7,713
取引関係費 1,125 1,014 2,381 2,044
市場開拓費 115 89 195 242
通信およびテクノロジー費用 371 345 746 666
減価償却費 520 499 1,018 936
事務所関連費用 241 233 488 471
専門家報酬等 344 311 704 658
その他費用 661 3,445 1,239 4,142
営業費用合計 8,640 10,414 18,077 16,872
期末現在の従業員数合計 40,800 39,100
上表において、仲介、決済、取引および販売手数料は、(2020年度第4四半期より)取引関係費という名称
に変更されており、完了した取引から生じた費用(顧客の収益に直接関係するもの)も含まれている。当該費
用は、以前はその他費用に含められていた。過年度報告額は、当期の表示に一致するように調整されている。
2021年6月に終了した3ヶ月間と2020年6月に終了した3ヶ月間の比較
2021年度第2四半期の連結損益計算書上の営業費用は86.4億ドルで、2020年度第2四半期と比較して17
パーセント減少した。当社の2021年度第2四半期の効率性比率(営業費用合計を純収益合計で除したもの)
は、2020年度第2四半期の78.3パーセントに対し、56.1パーセントであった。2020年度第2四半期中、訴訟
および規制当局による手続に対する正味引当金により、当社の効率性比率が22.2ポイント上昇した。
2020年度第2四半期と比較した営業費用の減少は、人件費以外の費用が大幅に減少したことによるもので
あったが、人件費が(堅調な業績を反映して)増加したことにより部分的に相殺された。人件費以外の費用
のうち、訴訟および規制当局による手続に対する正味引当金は大幅に減少したが、取引関係費が増加したこ
と、および(通信およびテクノロジー費用ならびに減価償却費に含まれる)テクノロジー費用が増加したこ
とにより部分的に相殺された。
2021年度第2四半期の訴訟および規制当局による手続に対する正味引当金は、2020年度第2四半期の29.6
億ドルに対し、226百万ドルであった。
2021年6月現在、従業員数合計は、2021年3月現在と比較して実質的に増減なしであった。
24/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
2021年6月に終了した6ヶ月間と2020年6月に終了した6ヶ月間の比較
2021年度上半期の連結損益計算書上の営業費用は180.8億ドルで、2020年度上半期と比較して7パーセン
ト増加した。当社の2021年度上半期の効率性比率(営業費用合計を純収益合計で除したもの)は、2020年度
上半期の76.6パーセントに対し、54.6パーセントであった。2020年度上半期中、訴訟および規制当局による
手続に対する正味引当金により、当社の効率性比率が14.3ポイント上昇した。
2020年度上半期と比較した営業費用の増加は、人件費が(堅調な業績を反映して)大幅に増加したことに
よるものであったが、人件費以外の費用が大幅に減少したことにより部分的に相殺された。人件費以外の費
用のうち、訴訟および規制当局による手続に対する正味引当金は大幅に減少したが、取引関係費が増加した
こと、および(通信およびテクノロジー費用ならびに減価償却費に含まれる)テクノロジー費用が増加した
ことにより部分的に相殺された。
2021年度上半期の訴訟および規制当局による手続に対する正味引当金は、2020年度上半期の31.4億ドルに
対し、300百万ドルであった。
2021年6月現在、従業員数合計は、2020年12月現在と比較して実質的に増減なしであった。
法人税等
2021年度上半期の法人税実効税率は18.8パーセントで、2020年度通年の法人税率24.2パーセントから低下し
た。これは、主として、2021年度上半期における控除不可能な訴訟引当金が2020年度と比較して減少したこと
によるものであった。2021年度第1四半期の18.0パーセントと比較した上昇は、主として、2021年度上半期に
おける株式報奨の決済に係る税務上の効果による影響が2021年度第1四半期と比較して減少したことによるも
のであった。
2021年3月、2021年米国救済計画法(「救済計画」)が成立した。救済計画は、COVID-19パンデミックによ
る経済的および健康上の影響への対応を支援するために制定された、1.9兆ドルの緊急経済対策である。救済
計画には、2021年1月に開始する1年間について、外国税額控除を制限する目的で、米国の関連会社グループ
が世界中での支払利息配賦を選択することができた規定を廃止することが含まれる。さらに、2027年度以降、
CEO、CFOおよび報酬額が最も高い上位3名の社員に対して支払われる報酬に係る法人税控除の制限は、上記に
続き報酬額が最も高い上位5名の社員を含むものに拡大される予定である。同法は、当社の2021年度の年間実
効税率に重大な影響を及ぼさない見込みである。
2021年4月、ニューヨーク州(「NY州」)2022年度予算が成立した。同法により、暦年の2021年から2023年
末までの間、NY州法人税率が一時的に6.5パーセントから7.25パーセントに引き上げられた。同法は、当社の
2021年度の年間実効税率に重大な影響を及ぼさない見込みである。
25/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
2021年英国金融法が2021年6月に制定された。同法には、2023年4月から法人税率を6パーセント引き上げ
る旨の規定が含まれている。2021年度第2四半期中、英国の繰延税金資産および負債が再計算され、約100百
万ドルの繰延税金効果が認識された。英国の法人税率の引上げを受けて、英国政府は、銀行に課される税負担
の合計が実質的に増加しないことを確保するために、8パーセントの銀行サーチャージについて見直しを行う
予定であると示した。かかる見直し(銀行サーチャージの変更を含む)の結果は、2021年度下半期中に発表さ
れ、金融法案2021-22として法制化される予定である。銀行サーチャージは、現在は、ゴールドマン・サック
ス・インターナショナル(「GSI」)およびゴールドマン・サックス・インターナショナル・バンク
(「GSIB」)を含む当社の一定の英国子会社および支店に適用されている。女王の裁可を受けた後の、銀行
サーチャージの変更に伴う英国繰延税金資産および負債への影響は、同法が制定された四半期中の業績次第で
は、当社の実効税率に対して重大な影響を及ぼすおそれがある。
当社は、現在の法人税率の変更の可能性による影響を除くと、当社の2021年度の残りの期間における法人税
率は約21パーセントになるものと見込んでいる。
セグメント別の資産および業績
セグメント別の資産
下表は、資産をセグメント別に示したものである。
(単位:百万ドル) 2021年6月現在 2020年12月現在
投資銀行業務 145,836 116,242
グローバル・マーケッツ業務 1,025,631 844,606
アセット・マネジメント業務 96,605 95,751
個人および富裕層向け金融業務 119,850 106,429
合計 1,387,922 1,163,028
セグメント別の資産の配分プロセスは、これらのセグメントの業務に基づいている。資産の配分には、グ
ローバル・コア流動資産(「GCLA」)(非担保対象であり流動性の高い有価証券および現金から成る)の配
分が含まれるが、これは、概して、当社の貸借対照表上の現金および現金同等物、担保付契約ならびにト
レーディング資産に含まれるものである。事業セグメントの統合的な性質上、これらの資産を配分する際に
見積りや判断が行われる。当社のGCLAに関する詳細については、下記「リスク管理-流動性リスク管理」参
照。
26/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
セグメント別の業績
下表は、当社のセグメント別の業績を示したものである。
6月に終了した3ヶ月間 6月に終了した6ヶ月間
(単位:百万ドル)
2021年 2020年 2021年 2020年
投資銀行業務
純収益 3,609 2,657 7,380 4,841
信用損失引当金繰入額 (107 ) 819 (270 ) 1,441
営業費用 1,955 2,704 3,818 3,873
税引前当期純利益/(損失) 1,761 (866 ) 3,832 (473 )
普通株式に係る当期純利益/(損失) 1,393 (662 ) 3,072 (319 )
平均普通株式 9,792 11,070 10,078 11,141
平均普通株主資本利益率 56.9 % (23.9) % 61.0 % (5.7) %
グローバル・マーケッツ業務
純収益 4,900 7,176 12,481 12,339
信用損失引当金繰入額 14 183 (6 ) 251
営業費用 3,373 5,179 7,558 8,026
税引前当期純利益 1,513 1,814 4,929 4,062
普通株式に係る当期純利益 1,121 305 3,851 2,269
平均普通株式 44,430 42,702 42,741 40,970
平均普通株主資本利益率 10.1 % 2.9 % 18.0 % 11.1 %
アセット・マネジメント業務
純収益 5,132 2,101 9,746 2,005
信用損失引当金繰入額 (65 ) 271 (12 ) 350
営業費用 1,943 1,332 3,833 2,530
税引前当期純利益/(損失) 3,254 498 5,925 (875 )
普通株式に係る当期純利益/(損失) 2,592 684 4,757 (566 )
平均普通株式 25,410 19,322 25,092 20,371
平均普通株主資本利益率 40.8 % 14.2 % 37.9 % (5.6) %
個人および富裕層向け金融業務
純収益 1,747 1,361 3,485 2,853
信用損失引当金繰入額 66 317 126 485
営業費用 1,369 1,199 2,868 2,443
税引前当期純利益/(損失) 312 (155 ) 491 (75 )
普通株式に係る当期純利益/(損失) 241 (130 ) 378 (64 )
平均普通株式 10,459 7,505 10,335 7,271
平均普通株主資本利益率 9.2 % (6.9) % 7.3 % (1.8) %
純収益合計 15,388 13,295 33,092 22,038
信用損失引当金繰入額合計 (92 ) 1,590 (162 ) 2,527
営業費用合計 8,640 10,414 18,077 16,872
税引前当期純利益合計 6,840 1,291 15,177 2,639
普通株式に係る当期純利益 5,347 197 12,058 1,320
平均普通株式 90,091 80,599 88,246 79,753
平均普通株主資本利益率 23.7 % 1.0 % 27.3 % 3.3 %
27/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社のセグメントの純収益には、原資産から生じた現金または資金需要に関連する特定のポジションに係
る受取利息および支払利息の配分が含まれる。当社の各事業セグメントに関する詳細については、連結財務
書類注記25参照。
普通株主資本および優先株式の配当は、関連する規制上の自己資本要件に従ってセグメントの活動を支え
るために必要な資本の見積額に基づいて各セグメントに配分される。各セグメントの当期純利益は、各セグ
メントの税引前利益にファームワイドな税率を適用して算定している。
2021年度第2四半期および上半期における当社のセグメント間の普通株式の配分は、ストレス資本バッ
ファー(「SCB」)規則の影響および当社のSCBの6.6パーセント(標準的手法に基づき2020年10月1日発
効)を組み込むように当社の帰属株主資本の枠組(2021年1月1日発効)の更新を反映したものである。か
かる更新による、2021年度第1四半期開始時点における当社の各セグメントへの帰属株主資本の配分への影
響に関する情報については、下記「自己資本管理および規制上の自己資本-自己資本管理」参照。上記の平
均普通株式残高には、かかる影響のほか、2021年度第2四半期および上半期中に生じた、当社の各セグメン
トにおける保有資産の規模および構成の変化が組み込まれている。2021年10月1日に発効する当社のSCBの
更新に関する情報については、下記「自己資本管理および規制上の自己資本-自己資本管理」参照。
当社のセグメント内の人件費は、特に当社全体の業績のほか、各事業の業績を反映している。そのため、
当社の事業の1セグメントにおける税引前の利幅は、当社の他の事業セグメントの業績によって重大な影響
を受ける可能性がある。各セグメントの業績について、以下に記載する。
投資銀行業務
投資銀行業務は、以下の業務から収益を生み出している。
・ファイナンシャル・アドバイザリー業務
M&A、事業部門の売却、企業防衛、リストラクチャリングおよびスピンオフに関する戦略的アドバイザ
リー案件を含む。
・引受業務
幅広い有価証券およびその他の金融商品(ローンを含む)の公募・私募(国内・国外取引および買収資金
貸付を含む)を含む。
・企業向け貸付業務
リレーションシップに基づく貸付、中小企業向け貸付および買収資金貸付を通じたものを含む法人顧客向
け貸付を含む。当社は、当社の一定の法人顧客に対してトランザクション・バンキング・サービスも提供し
ている。
28/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
下表は、当社の投資銀行業務セグメントの資産を示したものである。
(単位:百万ドル) 2021年6月現在 2020年12月現在
現金および現金同等物 63,903 34,730
担保付契約 18,795 20,242
顧客およびその他に対する受取債権 9,762 2,465
トレーディング資産 25,879 29,493
投資 1,441 1,078
ローン 24,136 26,544
その他資産 1,920 1,690
合計 145,836 116,242
下表は、当社の投資銀行業務セグメントの業績を示したものである。
6月に終了した3ヶ月間 6月に終了した6ヶ月間
(単位:百万ドル)
2021年 2020年 2021年 2020年
ファイナンシャル・アドバイザリー業務 1,257 686 2,374 1,467
株式引受業務 1,243 1,057 2,812 1,435
債券引受業務 950 990 1,830 1,573
引受業務 2,193 2,047 4,642 3,008
企業向け貸付業務 159 (76 ) 364 366
純収益 3,609 2,657 7,380 4,841
信用損失引当金繰入額 (107 ) 819 (270 ) 1,441
営業費用 1,955 2,704 3,818 3,873
税引前当期純利益/(損失) 1,761 (866 ) 3,832 (473 )
法人税等/(税務上の効果) 348 (227 ) 721 (188 )
当期純利益/(損失) 1,413 (639 ) 3,111 (285 )
優先株式配当金 20 23 39 34
普通株式に係る当期純利益/(損失) 1,393 (662 ) 3,072 (319 )
平均普通株式 9,792 11,070 10,078 11,141
平均普通株主資本利益率 56.9 % (23.9) % 61.0 % (5.7) %
下表は、当社のファイナンシャル・アドバイザリー業務および引受業務の取引高を示したものである。
6月に終了した3ヶ月間 6月に終了した6ヶ月間
(単位:十億ドル)
2021年 2020年 2021年 2020年
M&A発表案件 607 61 975 282
M&A完了案件 296 412 609 610
株式および株式関連商品の募集・売出し 35 40 85 52
債券の募集・売出し 89 115 182 208
29/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
上表において、
・取引高はディーロジックによるものである。
・M&A発表案件およびM&A完了案件の取引高は、個々の取引に関与した各アドバイザーに帰属する総額に基づ
いている。株式および株式関連商品の募集・売出しならびに債券の募集・売出しの取引高は、単独のブッ
クマネージャーの場合は総額、共同ブックマネージャーの場合は各々同額としている。これらの取引高
は、一定期間の純収益を示していない可能性がある。また、過去の期間における取引高は、その後の撤回
や取引額の変更により、従前の報告値と異なる可能性がある。
・株式および株式関連商品の募集・売出しは、規則144Aに基づく募集・売出しおよび普通株式の公募、転換
可能証券の募集・売出し、ならびにライツ・オファリングを含む。
・債券の募集・売出しは、非転換優先株式、モーゲージ担保証券、資産担保証券および課税対象の地方債を
含む。また、登録された募集銘柄および規則144Aに基づく募集銘柄を含み、レバレッジド・ローンを除
く。
営業環境
2021年度第2四半期中、投資銀行業務の営業活動は、グローバル経済が引き続き回復したため、M&Aおよ
び引受業務にわたり業界全体の活動が堅調なことを特徴とする環境において行われた。M&A分野において
は、業界全体の取引完了案件および取引発表案件は、市況が支えとなったことおよびCEOの信頼感を反映し
て高水準に留まった。引受業務においては、業界全体の取引水準は、(とりわけ新規株式公開において)株
式引受業務および(レバレッジド・ファイナンスの取引高が上昇したことを反映して)債券引受業務が引き
続き堅調であったことを反映していた。
今後、市況および経済情勢が悪化し、業界全体のM&A取引高が減少した場合、または業界全体の株式およ
び債券引受取引高が減少し、もしくは当社のリレーションシップに基づく貸付ポートフォリオに対するヘッ
ジに関連するクレジット・スプレッドが縮小した場合、投資銀行業務の純収益が悪影響を受ける可能性があ
る。また、借主の信用力が悪化した場合、信用損失引当金に悪影響が及ぶだろう。
30/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
2021年6月に終了した3ヶ月間と2020年6月に終了した3ヶ月間の比較
2021年度第2四半期の投資銀行業務の純収益は36.1億ドルで、2020年度第2四半期と比較して36パーセン
ト増加した。これは、ファイナンシャル・アドバイザリー業務および企業向け貸付業務の純収益が大幅に増
加したこと、ならびに引受業務の純収益が増加したことを反映している。
ファイナンシャル・アドバイザリー業務の純収益の増加は、M&A取引完了案件の増加を反映していた。企
業向け貸付業務の純収益の増加は、主として、受取利息純額が増加したことを反映していた。引受業務の純
収益の増加は、主として業界全体の堅調な新規株式公開取引に牽引されて、株式引受業務の純収益が増加し
たことによるものであったが、業界全体の売出しの大幅な減少により部分的に相殺された。債券引受業務の
純収益は、主として業界全体の投資適格取引高が大幅に減少したことを反映してわずかに減少したが、業界
全体のレバレッジド・ファイナンス取引高が上昇したことにより部分的に相殺された。
信用損失引当金繰入額は、2020年度第2四半期は819百万ドルの引当金純額を計上したのに対し、2021年
度第2四半期は107百万ドルの正味利益を計上した。これは、主として、2020年度上半期に厳しい状況が発
生した後に、より広範な経済環境が継続的に改善したことを反映した準備金の減少によるものであった。
2021年度第2四半期の営業費用は19.6億ドルで、2020年度第2四半期と比較して28パーセント減少した。
これは、訴訟および規制当局による手続に対する正味引当金が大幅に減少したことを反映しているが、人件
費が(堅調な業績を反映して)大幅に増加したことにより部分的に相殺された。2020年度第2四半期は866
百万ドルの税引前当期純損失を計上したのに対し、2021年度第2四半期は17.6億ドルの税引前当期純利益を
計上した。2021年度第2四半期の年間ベースROEは、2020年度第2四半期のマイナス23.9パーセント(これ
には年間ベースROEを38.5ポイント引き下げた訴訟および規制当局による手続に対する正味引当金による影
響が含まれていた)に対し、56.9パーセントであった。
2021年6月現在の当社の投資銀行取引の受注残高は、2021年3月現在と比較して増加した。これは、潜在
的なファイナンシャル・アドバイザリー取引、潜在的な株式引受取引(とりわけ新規株式公開によるもの)
および潜在的な債券引受取引(とりわけレバレッジド・ファイナンスおよび投資適格取引によるもの)にわ
たり純収益の見積りが増加したことによるものであった。
当社の受注残高は、将来の収益が実現する可能性が比較的高いと当社が考える将来の取引による当社の純
収益の見積りを示している。当社の受注残高の変動は、当社の純収益に対して長期にわたって影響を及ぼす
顧客取引水準についての有益な指標になる可能性があると、当社は考えている。しかしながら、当社の受注
残高に係る取引の完結および対応する収益の認識までの概算時間は、一定の取引が長期にわたり当社の受注
残高に留まる可能性があるため、案件の性質によって異なる。また、当社の受注残高は、将来において個々
の顧客の取引が生じる可能性についての仮定等の一定の制限に服している。取引は、中止または修正される
可能性があり、また見積りに含まれていない取引(現在の環境においては協議から完了までの概算時間が短
縮されている引受取引を含む)が生じる可能性もある。
31/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
2021年6月に終了した6ヶ月間と2020年6月に終了した6ヶ月間の比較
2021年度上半期の投資銀行業務の純収益は73.8億ドルで、2020年度上半期と比較して52パーセント増加し
た。これは、引受業務およびファイナンシャル・アドバイザリー業務の純収益が大幅に増加したことによる
ものであった。企業向け貸付業務の純収益は、実質的に増減なしであった。
引受業務の純収益の増加は、株式引受業務の純収益が(主として業界全体の堅調な新規株式公開取引に牽
引されて)大幅に増加したこと、および債券引受業務の純収益が(業界全体のレバレッジド・ファイナンス
取引高が上昇したことを反映して)増加したことによるものであった。ファイナンシャル・アドバイザリー
業務の純収益の増加は、M&A取引完了案件の大幅な増加を反映していた。
信用損失引当金繰入額は、2020年度上半期は14.4億ドルの引当金純額を計上したのに対し、2021年度上半
期は270百万ドルの正味利益を計上した。これは、主として、2020年度上半期に厳しい状況が発生した後
に、より広範な経済環境が継続的に改善したことを反映した準備金の減少によるものであった。
2021年度上半期の営業費用は38.2億ドルで、2020年度上半期と比較して実質的に増減なしであった。これ
は、訴訟および規制当局による手続に対する正味引当金が大幅に減少したことが、人件費が(堅調な業績を
反映して)大幅に増加したことにより相殺されたためであった。2020年度上半期は473百万ドルの税引前当
期純損失を計上したのに対し、2021年度上半期は38.3億ドルの税引前当期純利益を計上した。2021年度上半
期の年間ベースROEは、2020年度上半期のマイナス5.7パーセント(これには年間ベースROEを21.0ポイント
引き下げた訴訟および規制当局による手続に対する正味引当金による影響が含まれていた)に対し、61.0
パーセントであった。
2021年6月現在の当社の投資銀行取引の受注残高は、2020年12月現在と比較して大幅に増加した。これ
は、潜在的なファイナンシャル・アドバイザリー取引、潜在的な引受取引(特にレバレッジド・ファイナン
スおよび投資適格取引によるもの)および潜在的な株式引受取引(主として新規株式公開によるもの)にわ
たり純収益の見積りが大幅に増加したことによるものであった。
32/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
グローバル・マーケッツ業務
当社のグローバル・マーケッツ業務セグメントは、以下の業務から成る。
FICC業務
FICC業務は、仲介業務および資金調達業務から収益を生み出している。
・FICC仲介業務
下記で詳述するとおり、現物商品とデリバティブ商品の双方によるマーケット・メイキングに関連する
顧客取引執行業務を含む。
金利商品
様々な満期の国債(インフレ連動証券を含む)、その他の政府保証証券、ならびに金利スワップ、オ
プションおよびその他のデリバティブ
クレジット商品
投資適格およびハイイールド社債、信用デリバティブ、上場ファンド(「ETF」)、銀行ローンおよ
びブリッジ・ローン、地方自治体証券、新興市場債および不良債権、ならびに倒産企業に対する債権
モーゲージ
商業用モーゲージ関連証券、ローンおよびデリバティブ、住宅用モーゲージ関連証券、ローンおよび
デリバティブ(米国政府機関発行不動産抵当証書担保債券ならびにその他の証券およびローンを含
む)、ならびにその他の資産担保証券、ローンおよびデリバティブ
為替
G10通貨および新興市場商品に対する通貨オプション、直物・先物、ならびにその他のデリバティブ
コモディティ
コモディティ・デリバティブ、ならびに(これよりは影響が少ないものの)原油および石油製品、天
然ガス、卑金属、貴金属およびその他の金属、電力、石炭、農産物ならびにその他のコモディティ商品
を含む現物コモディティ
マーケット・メイキング活動に関する詳細については、下記「マーケット・メイキング活動」参照。
33/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
・FICC資金調達業務
売戻条件付有価証券(「売戻条件付契約」)、ならびにストラクチャード・クレジット貸付、ウェアハ
ウス貸付(住宅用および商業用モーゲージ貸付を含む)および資産担保貸付を通じた当社の顧客への資金
の提供を含む。これらは、一般的に長期の特性を有する商品である。
株式関連業務
株式関連業務は、仲介業務および資金調達業務から収益を生み出している。
・株式関連仲介業務
当社は、株式および株式関連商品(ETF、株式転換型証券、オプション、先物および店頭デリバティブ
商品を含む)のマーケット・メイキングを行っている。当社はまた、指数、業種、財務指標および個々の
会社の株式に関するデリバティブ取引の組成およびマーケット・メイキングを行っている。当社の取引所
におけるマーケット・メイキング活動には、世界中の主要な取引所における株式およびETF、先物取引な
らびにオプションに関するマーケット・メイキングが含まれる。また、当社は、世界中の主要な株式、オ
プションおよび先物取引所で機関投資家顧客の取引を執行・清算することによる委託手数料のほか、店頭
取引からの委託手数料を生み出している。マーケット・メイキング活動に関する詳細については、下記
「マーケット・メイキング活動」参照。
・株式関連資金調達業務
プライム・ブローカレッジおよびその他の株式関連資金調達業務(証券貸借、信用貸借およびスワップ
を含む)を含む。当社は、清算、決済および保管サービスを世界各国で提供することにより手数料を得て
いる。当社は、主として、機関投資家である顧客の空売りを補填するための証券借入および貸付、ならび
に当社の空売りを補填するためおよび市場での引渡しのための証券借入に関するサービスを提供してい
る。また、当社はブローカー間での証券貸借および第三者機関への貸付活動も活発に行っている。当社
は、証券、現金またはその他の許容される担保に裏付けられた信用貸を通じて顧客の証券取引活動に対し
て融資を行っている。また、当社は、有価証券および指標へのエクスポージャーを顧客に対して提供する
ために、スワップ取引を執行している。
34/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
マーケット・メイキング活動
当社はマーケット・メイカーとして、主として法人、金融機関、投資ファンドおよび政府等の機関投資家顧
客向けに、顧客がその投資目的を達成し、またリスクを管理することを支援するために、流動性の高い市場と
低い市場の双方において取引を促進している。かかる役割において、当社は、ある市場参加者が希望する当社
への商品売却価格と別の市場参加者が希望する当社からの商品購入価格との差およびその逆の場合の差(すな
わち、ビッド/オファーのスプレッド)を生み出すべく努めている。また、当社は、(ⅰ)顧客の要望に応え
て、または顧客の要望を見込んで、通常は短期間にわたりマーケット・メイキング・ポジションを維持し、
(ⅱ)これらのマーケット・メイキング活動により生じる当社のリスク・エクスポージャーを積極的に管理す
るためのポジション(総称して「トレーディング商品」)を維持している。当社のトレーディング商品は、当
社の連結貸借対照表上のトレーディング資産(ロングポジション)またはトレーディング負債(ショートポジ
ション)に計上される。
当社の業績は、(ⅰ)顧客取引水準および取引上のビッド/オファーのスプレッド(総称して「顧客取
引」)、ならびに(ⅱ)当社のトレーディング商品の公正価値の変動、ならびに当社のトレーディング商品の
保有、ヘッジおよび資金調達に関連する受取利息および支払利息(総称して「マーケット・メイキング上のト
レーディング商品の変動」)を含む、互いに関連し合う様々な要因の組合せによる影響を受ける。当社のマー
ケット・メイキング活動の性質が統合的なものであることにより、純収益を顧客取引とマーケット・メイキン
グ上のトレーディング商品の変動とに分割することは判断を要するものであり、固有の複雑性および制限を伴
うものである。
当社の純収益の額および構成は、これらが経済状況および市況に影響を及ぼす、相互に関連する様々な要因
による影響を受けるものであるため、徐々に変化する。これらの要因には、市場におけるボラティリティおよ
び流動性、金利、為替レート、クレジット・スプレッド、株価およびコモディティ価格の変動、投資家の信頼
感、ならびにその他のマクロ経済的懸念および不確実性が含まれる。
一般に、その他すべてのマーケット・メイキングの条件が一定のままであると仮定すると、顧客取引水準が
上昇し、またはビッド/オファーのスプレッドが拡大した場合、純収益が増加する傾向にあり、また当該取引
水準が下落し、またはスプレッドが縮小した場合は、純収益が減少する傾向にある。しかし、マーケット・メ
イキングの条件が変動した場合、顧客取引水準およびビッド/オファーのスプレッド、ならびに当社のトレー
ディング商品の公正価値に重大な影響を及ぼす可能性がある。たとえば、市場の流動性が低下した場合、
(ⅰ)当社のビッド/オファーのスプレッドの拡大、(ⅱ)投資家の信頼感の低下およびそれに伴う顧客取引
水準の低下、ならびに(ⅲ)当社のトレーディング商品のポジションに対するクレジット・スプレッドの拡大
という影響が生じるおそれがある。
35/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
下表は、当社のグローバル・マーケッツ業務セグメントの資産を示したものである。
(単位:百万ドル) 2021年6月現在 2020年12月現在
現金および現金同等物 125,615 86,663
担保付契約 318,415 212,711
顧客およびその他に対する受取債権 141,769 110,473
トレーディング資産 332,140 339,349
投資 53,488 52,929
ローン 43,040 33,214
その他資産 11,164 9,267
合計 1,025,631 844,606
下表は、当社のグローバル・マーケッツ業務セグメントの業績を示したものである。
6月に終了した3ヶ月間 6月に終了した6ヶ月間
(単位:百万ドル)
2021年 2020年 2021年 2020年
FICC仲介業務 1,897 3,786 5,348 6,323
FICC資金調達業務 423 449 865 881
FICC業務 2,320 4,235 6,213 7,204
株式関連仲介業務 1,765 2,199 4,351 3,727
株式関連資金調達業務 815 742 1,917 1,408
株式関連業務 2,580 2,941 6,268 5,135
純収益 4,900 7,176 12,481 12,339
信用損失引当金繰入額 14 183 (6 ) 251
営業費用 3,373 5,179 7,558 8,026
税引前当期純利益 1,513 1,814 4,929 4,062
法人税等 312 1,395 927 1,620
当期純利益 1,201 419 4,002 2,442
優先株式配当金 80 114 151 173
普通株式に係る当期純利益 1,121 305 3,851 2,269
平均普通株式 44,430 42,702 42,741 40,970
平均普通株主資本利益率 10.1 % 2.9 % 18.0 % 11.1 %
36/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
下表は、当社のグローバル・マーケッツ業務セグメントの純収益を連結損益計算書の項目別に示したもので
ある。
グローバル
(単位:百万ドル) FICC業務 株式関連業務 ・マーケッツ業務
2021年6月に終了した3ヶ月間
マーケット・メイキング 1,499 1,775 3,274
委託手数料 - 809 809
その他の自己勘定取引 76 (1 ) 75
受取利息純額 745 (3 ) 742
合計 2,320 2,580 4,900
2020年6月に終了した3ヶ月間
マーケット・メイキング 3,566 2,221 5,787
委託手数料 - 808 808
その他の自己勘定取引 (45 ) (3 ) (48 )
受取利息純額 714 (85 ) 629
合計 4,235 2,941 7,176
2021年6月に終了した6ヶ月間
マーケット・メイキング 4,758 4,409 9,167
委託手数料 - 1,828 1,828
その他の自己勘定取引 184 (1 ) 183
受取利息純額 1,271 32 1,303
合計 6,213 6,268 12,481
2020年6月に終了した6ヶ月間
マーケット・メイキング 5,900 3,569 9,469
委託手数料 - 1,788 1,788
その他の自己勘定取引 (65 ) 7 (58 )
受取利息純額 1,369 (229 ) 1,140
合計 7,204 5,135 12,339
上表において、
・上表中と連結損益計算書上の委託手数料の差異は、当社の個人および富裕層向け金融業務セグメントに含
まれる委託手数料を示している。
・マーケット・メイキング収益、委託手数料、その他の自己勘定取引の収益および受取利息純額に関する詳
細については、上記「純収益」参照。事業セグメント別の受取利息純額については、連結財務書類注記25
参照。
・FICC仲介業務の純収益の項目の変動は、主として顧客取引によるものであった。
37/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
営業環境
2021年度第2四半期中、グローバル・マーケッツ業務の営業活動は、より不利なマーケット・メイキング
条件と、より控えめな、しかし堅調な顧客取引を特徴とする環境において行われた。経済回復の速度に関す
る景気感の向上は、世界各国の中央銀行および政府による継続的な金融・財政支援とあわせて、2021年度第
1四半期と比較して世界的な株価が全般的に上昇したことおよび金利が低下したことに寄与した。2021年度
第2四半期中、S&P500種株価指数は8パーセント上昇し、MSCIワールド・インデックスは7パーセント上昇
した。同四半期中、米国10年物国債利回りは約30ベーシス・ポイント低下し、英国債利回りは約15ベーシ
ス・ポイント低下した。1日平均VIX指数が2021年度第1四半期と比較して22パーセント下落したため、市
場のボラティリティは、前年度の水準上昇から転じて引き続き緩やかであった。マクロ経済の状態が継続的
な取引水準の下落またはボラティリティの低下につながった場合、グローバル・マーケッツ業務の純収益
は、悪影響を受ける可能性があるだろう。
2021年6月に終了した3ヶ月間と2020年6月に終了した3ヶ月間の比較
2021年度第2四半期のグローバル・マーケッツ業務の純収益は49.0億ドルで、堅調であった2020年度第2
四半期と比較して32パーセント減少した。
FICC業務の純収益は23.2億ドルで、2020年度第2四半期と比較して45パーセント減少した。これは、FICC
仲介業務の純収益が(金利商品、クレジット商品およびコモディティの純収益が大幅に減少したこと、なら
びにモーゲージおよび為替の純収益が減少したことを反映して)大幅に減少したことによる。また、FICC資
金調達業務の純収益は(売戻条件付契約の純収益が減少したことを反映して)減少したが、モーゲージ貸付
の純収益が増加したことにより部分的に相殺された。
FICC仲介業務の純収益の減少は、主として、顧客取引が、堅調ではあったものの、COVID-19パンデミック
の最中の高いボラティリティによる前年同期の力強い取引水準と比較して大幅に減少したことを反映してい
た。2020年度第2四半期の業績と比較した、当社のFICC仲介業務の事業別の純収益に関する情報を以下に記
載する。
・大部分の事業の純収益は、顧客取引の減少を反映していた。
・さらに、金利商品、コモディティおよびモーゲージの純収益は、当社のトレーディング商品のマーケッ
ト・メイキング条件がより不利になったことによる影響を反映していたのに対し、為替の純収益は、当
社のトレーディング商品のマーケット・メイキング条件が改善したことを反映していた。
38/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
株式関連業務の純収益は25.8億ドルで、2020年度第2四半期と比較して12パーセント減少した。これは、
現金性商品の純収益が大幅に減少したことおよびデリバティブの純収益が減少したことを反映して、株式関
連仲介業務の純収益が大幅に減少したことによるものであった。株式関連資金調達業務の純収益は、平均顧
客残高が増加したことを反映して増加した。
2021年度第2四半期の信用損失引当金繰入額は、2020年度第2四半期の183百万ドルに対し、14百万ドル
であった。これは、主として、2020年度上半期に厳しい状況が発生した後に、より広範な経済環境が継続的
に改善したことを反映した準備金の減少によるものであった。
2021年度第2四半期の営業費用は33.7億ドルで、2020年度第2四半期と比較して35パーセント減少した。
これは、訴訟および規制当局による手続に対する正味引当金が大幅に減少したこと、ならびに人件費が大幅
に減少したことを反映していた。2021年度第2四半期の税引前当期純利益は15.1億ドルで、2020年度第2四
半期と比較して17パーセント減少した。2021年度第2四半期の年間ベースROEは、2020年度第2四半期の2.9
パーセント(これには年間ベースROEを18.9ポイント引き下げた訴訟および規制当局による手続に対する正
味引当金による影響が含まれていた)に対し、10.1パーセントであった。
2021年6月に終了した6ヶ月間と2020年6月に終了した6ヶ月間の比較
2021年度上半期のグローバル・マーケッツ業務の純収益は124.8億ドルで、堅調であった2020年度上半期
と比較して実質的に増減なしであった。
FICC業務の純収益は62.1億ドルで、2020年度上半期と比較して14パーセント減少した。これは、FICC仲介
業務の純収益が(クレジット商品、金利商品および為替の純収益が大幅に減少したこと、ならびにコモディ
ティの純収益がわずかに減少したことを反映して)減少したことによるものであったが、モーゲージの純収
益が大幅に増加したことにより部分的に相殺された。また、FICC資金調達業務の純収益は(売戻条件付契約
の純収益が大幅に減少したことを反映して)わずかに減少したが、モーゲージ貸付の純収益が大幅に増加し
たことにより部分的に相殺された。
FICC仲介業務の純収益の減少は、顧客取引が、堅調ではあったものの、COVID-19パンデミックの最中の高
いボラティリティによる前年同期の力強い取引水準と比較して大幅に減少したことを反映していた。これ
は、当社のトレーディング商品のマーケット・メイキング条件が、厳しかった前年同期の状況と比較して改
善したことによる影響により部分的に相殺された。2020年度上半期の業績と比較した、当社のFICC仲介業務
の事業別の純収益に関する情報を以下に記載する。
・クレジット商品、金利商品、為替およびコモディティの純収益は、顧客取引の減少を反映していたが、
当社のトレーディング商品のマーケット・メイキング条件が改善したことによる影響により部分的に相
殺された。
・モーゲージの純収益は、当社のトレーディング商品のマーケット・メイキング条件が改善したことによ
る影響を反映していた。
39/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
株式関連業務の純収益は62.7億ドルで、2020年度上半期と比較して22パーセント増加した。これは、株式
関連仲介業務の純収益が(デリバティブの純収益が大幅に増加したことおよび現金性商品の純収益が増加し
たことを反映して)増加したこと、および株式関連資金調達業務の純収益が(市況が改善したことおよび活
動が増加したこと(当社のプライム事業における平均顧客残高が増加したことを含む)を反映して)大幅に
増加したことによるものであった。
信用損失引当金繰入額は、2020年度上半期は251百万ドルの引当金純額を計上したのに対し、2021年度上
半期は6百万ドルの正味利益を計上した。これは、主として、2020年度上半期に厳しい状況が発生した後
に、より広範な経済環境が継続的に改善したことを反映した準備金の減少によるものであった。
2021年度上半期の営業費用は75.6億ドルで、2020年度上半期と比較して6パーセント減少した。これは、
訴訟および規制当局による手続に対する正味引当金が大幅に減少したことを反映しているが、人件費が(堅
調な業績を反映して)大幅に増加したことにより部分的に相殺された。2021年度上半期の税引前当期純利益
は49.3億ドルで、2020年度上半期と比較して21パーセント増加した。2021年度上半期の年間ベースROEは、
2020年度上半期の11.1パーセント(これには年間ベースROEを10.5ポイント引き下げた訴訟および規制当局
による手続に対する正味引当金による影響が含まれていた)に対し、18.0パーセントであった。
アセット・マネジメント業務
当社は、株式、債券およびオルタナティブ投資を含む幅広い投資戦略および資産クラスにわたり、多様な機
関投資家顧客層および全世界の第三者販売者のネットワークのために顧客資産を運用している。当社は、当社
のポートフォリオ・マネージャーによりフィデューシャリー・ベースで運用されるもののほか、多様な第三者
であるマネージャーにより運用されるものを含む、投資ソリューションを提供している。当社は、多様な構造
の投資ソリューションを提供しており、それらには、セパレートリー・マネージド・アカウント、ミューチュ
アル・ファンド、プライベート・パートナーシップおよびその他の合同運用ビークルが含まれる。これらのソ
リューションは、顧客の目標を特定することから始まり、次にポートフォリオ構築、継続的な資産配分および
リスク管理ならびに投資の実現へと続く。
顧客資産の運用に加え、当社は、様々な資産クラスにわたる、長期の付加的かつリスク調整後利益の達成を
目指すオルタナティブ投資商品に対して投資を行う。当社の投資活動は、一般的に長期の特性を有するもので
あり、コーポレート・エクイティ、クレジット、不動産およびインフラ資産に対する投資を含む。
アセット・マネジメント業務は、以下の業務から収益を生み出している。
・資産運用報酬等関連業務
資産運用報酬等関連業務の収益の大部分は、当社が運用する顧客資産からの資産ベースの報酬から成る。
AUSに関する詳細については、下記「管理資産」参照。当社が受領する報酬は、資産クラス、販売経路およ
び提供されるサービスの種類によって異なり、投資実績のほか、資産の純増および償還による影響を受け
る。
40/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
・成功報酬関連業務
当社は、一定の状況では、ファンドもしくはセパレートリー・マネージド・アカウントの利益に対する一
定の割合を基準として、または利益が所定の基準その他の業績目標を超えた場合に、成功報酬も収受してい
る。そのような報酬には、歩合収入が含まれるが、これは、主として、当社のプライベート・エクイティ・
ファンドおよびクレジット・ファンドの運用期間中の投資利益率が一定の基準利益率を上回った場合に生じ
る持分の増加分および利益から成るものである。
・持分投資関連業務
当社のオルタナティブ投資活動は、企業、不動産およびインフラ資産への公開および非公開の持分証券投
資に関連している。当社はまた、連結投資事業体(「CIE」)を通じて投資を行っている。当該事業体のほ
ぼすべてが、不動産投資業務に従事している。
・貸付・債券投資関連業務
当社は、企業債務に対して投資を行い、不動産およびその他の資産のための融資を行っている。これらの
活動には、メザニン債券、優先債券および不良債権に対する投資が含まれる。
下表は、当社のアセット・マネジメント業務セグメントの資産を示したものである。
(単位:百万ドル) 2021年6月現在 2020年12月現在
現金および現金同等物 13,411 8,635
担保付契約 3,658 4,749
顧客およびその他に対する受取債権 923 1,261
トレーディング資産 5,033 6,819
投資 35,759 34,386
ローン 16,068 16,558
その他資産 21,753 23,343
合計 96,605 95,751
41/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
下表は、当社のアセット・マネジメント業務セグメントの業績を示したものである。
6月に終了した3ヶ月間 6月に終了した6ヶ月間
(単位:百万ドル)
2021年 2020年 2021年 2020年
資産運用報酬等関連業務 727 684 1,420 1,324
成功報酬関連業務 78 34 120 188
持分投資関連業務 3,717 924 6,837 902
貸付・債券投資関連業務 610 459 1,369 (409 )
純収益 5,132 2,101 9,746 2,005
信用損失引当金繰入額 (65 ) 271 (12 ) 350
営業費用 1,943 1,332 3,833 2,530
税引前当期純利益/(損失) 3,254 498 5,925 (875 )
法人税等/(税務上の効果) 634 (212 ) 1,115 (349 )
当期純利益/(損失) 2,620 710 4,810 (526 )
優先株式配当金 28 26 53 40
普通株式に係る当期純利益/(損失) 2,592 684 4,757 (566 )
平均普通株式 25,410 19,322 25,092 20,371
平均普通株主資本利益率 40.8 % 14.2 % 37.9 % (5.6) %
下表は、当社の持分投資関連業務の純収益を持分証券の種類および資産クラス別に示したものである。
6月に終了した3ヶ月間 6月に終了した6ヶ月間
(単位:百万ドル)
2021年 2020年 2021年 2020年
持分証券の種類
非公開持分証券 2,816 288 5,597 750
公開持分証券 901 636 1,240 152
合計 3,717 924 6,837 902
資産クラス
不動産 672 487 972 1,038
企業 3,045 437 5,865 (136 )
合計 3,717 924 6,837 902
下表は、当社の貸付・債券投資関連業務の純収益の詳細を示したものである。
6月に終了した3ヶ月間 6月に終了した6ヶ月間
(単位:百万ドル)
2021年 2020年 2021年 2020年
公正価値による純利益/(損失) 277 253 737 (858 )
受取利息純額 333 206 632 449
合計 610 459 1,369 (409 )
42/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
営業環境
2021年度第2四半期において、アセット・マネジメント業務は、世界的な株価の全般的な上昇、経済回復
についての楽観性、ならびに世界各国の中央銀行および政府からの継続的支援が資産運用業務および投資の
より有利な背景となったため、支援的な営業環境による恩恵を受けた。経済見通しに対する楽観性が後退し
た場合、またはCOVID-19パンデミックによる影響を緩和するために現在続けられている取組が効果的でない
場合、資産価格の下落、クレジット・スプレッドの拡大、また投資家が、運用報酬が一般的により低い資産
クラスに移行すること、または投資家が資産を引き上げることにつながる可能性があり、そしてアセット・
マネジメント業務の純収益は悪影響を受ける可能性がある。
2021年6月に終了した3ヶ月間と2020年6月に終了した3ヶ月間の比較
2021年度第2四半期のアセット・マネジメント業務の純収益は51.3億ドルで、2020年度第2四半期の金額
の2倍以上となった。これは、主として、持分投資関連業務の純収益が大幅に増加したことにより牽引され
たものであった。また、貸付・債券投資関連業務の純収益、成功報酬関連業務の数値および資産運用報酬等
関連業務の数値は、それぞれ増加した。
持分投資関連業務の純収益の増加は、主として、非公開持分証券投資からの純利益が(資本調達および売
却等の会社固有の事象により牽引されて)大幅に増加したこと、および厳しかった2020年度第2四半期と比
較して企業業績が改善したことを反映していた。
貸付・債券投資関連業務の純収益の増加は、主として、受取利息純額が増加したことによるものであっ
た。成功報酬関連業務の数値の増加は、投資資金回収によるものであった。
資産運用報酬等関連業務の数値には、平均管理資産が増加したことおよびその他の報酬が増加したことに
よる影響が含まれていたが、マネー・マーケット・ファンドに対する手数料の免除により部分的に相殺され
た。
信用損失引当金繰入額は、2020年度第2四半期は271百万ドルの引当金純額を計上したのに対し、2021年
度第2四半期は65百万ドルの正味利益を計上した。これは、主として、2020年度上半期に厳しい状況が発生
した後に、より広範な経済環境が継続的に改善したことによるものであった。
2021年度第2四半期の営業費用は19.4億ドルで、2020年度第2四半期と比較して46パーセント増加した。
これは、主として、人件費が(堅調な業績を反映して)大幅に増加したことによるものであった。2021年度
第2四半期の税引前当期純利益は、2020年度第2四半期の498百万ドルに対し、32.5億ドルであった。
43/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
2021年6月に終了した6ヶ月間と2020年6月に終了した6ヶ月間の比較
2021年度上半期のアセット・マネジメント業務の純収益は、2020年度上半期の20.1億ドルに対し、97.5億
ドルであった。これは、持分投資関連業務および貸付・債券投資関連業務の純収益が大幅に増加したことに
より牽引されたものであった。資産運用報酬等関連業務の数値が増加した一方で、成功報酬関連業務の数値
は減少した。
持分投資関連業務の純収益の増加は、主として、非公開持分証券投資からの純利益が(資本調達および売
却等の会社固有の事象により牽引されて)大幅に増加したこと、および厳しかった2020年度上半期と比較し
て企業業績が改善したことを反映していた。また、公開持分証券投資からの純利益は、世界的な証券価値が
全般的に上昇したことによる影響を反映して、大幅に増加した。
貸付・債券投資関連業務の純収益は、2020年度上半期には純損失が生じたのに対して企業のクレジット・
スプレッドが全般的に縮小したことを反映した、2021年度上半期における債券投資全般にわたる純利益を反
映していた。
資産運用報酬等関連業務の数値の増加は、平均管理資産が増加したことによる影響を反映していたが、マ
ネー・マーケット・ファンドに対する手数料の免除により部分的に相殺された。成功報酬等関連業務の数値
の減少は、2020年度上半期において業績が上昇したことによるものであった。
信用損失引当金繰入額は、2020年度上半期は350百万ドルの引当金純額を計上したのに対し、2021年度上
半期は12百万ドルの正味利益を計上した。これは、主として、2020年度上半期に厳しい状況が発生した後
に、より広範な経済環境が継続的に改善したことを反映した準備金の減少によるものであった。
2021年度上半期の営業費用は38.3億ドルで、2020年度上半期と比較して52パーセント増加した。これは、
主として、人件費が(堅調な業績を反映して)大幅に増加したことによるものであった。2020年度上半期は
875百万ドルの税引前当期純損失を計上したのに対し、2021年度上半期は59.3億ドルの税引前当期純利益を
計上した。
44/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
個人および富裕層向け金融業務
個人および富裕層向け金融業務は、財務計画、投資運用、預金受入および貸付を含む、幅広いウェルス・ア
ドバイザリー・サービスおよび銀行サービスを提供することにより、顧客がそれぞれの財務目標を達成するた
めの支援を行っている。これらのサービスは、当社の世界規模のアドバイザーのネットワークおよび当社のデ
ジタル・プラットフォームを通じて提供されている。
富裕層向け金融業務
富裕層向け金融業務は、個別に設定したウェルス・アドバイザリー・サービスを、ウェルススペクトル全
般にわたる顧客に提供している。当社は、個人、家族、家族経営の企業、ならびに財団および基金に対して
サービスを提供することにより、世界中で営業活動を行っている。当社とこれらの顧客との関係は、直接確
立されるか、またはその社員のために財務健全性支援プログラムを主催する企業を通じた紹介により確立さ
れている。
当社は、収入・負債管理、人件費分析、信託および財産の組成、税務の最適化、慈善的寄付ならびに資産
保護を含む、個々の顧客に合わせた財務計画を提供している。当社は、個々の顧客のために設計された投資
アドバイザリー・ソリューションも提供しており、世界中の主要な市場すべてにわたる有価証券およびデリ
バティブ商品の組成および取引執行能力も提供している。当社は、広範かつオープン・アーキテクチャの投
資プラットフォームおよび当社の世界中における取引執行能力を活用し、顧客がその投資目標を達成する支
援を行っている。また、当社は顧客に対し、あらゆる種類のプライベート・バンキング・サービスを提供し
ている。これには、当社の顧客が金融資産と非金融資産の双方に対する投資の資金調達、キャッシュ・フ
ローのタイミングのずれへの繋ぎ、またはその他の必要性に対する流動性および柔軟性の確保を目的として
使用する多様な預金の選択肢およびローンが含まれる。
富裕層向け金融業務は、以下の業務から収益を生み出している。
・資産運用報酬等関連業務
資産の運用、投資およびウェルス・アドバイザリー・ソリューションの提供、アイコ・パーソナル・
ファイナンス・マネジメントを通じた財務計画およびカウンセリング・サービスの提供、ならびに富裕層
向け金融業務の顧客のための委託売買取引の執行に関連する報酬を含む。
・成功報酬関連業務
当社は、一定の状況では、ファンドの収益に対する一定の割合を基準として、または利益が所定の基準
その他の業績目標を超えた場合に、富裕層向け金融業務の顧客から成功報酬も収受している。そのような
報酬には、歩合収入が含まれるが、これは、主として、当社のプライベート・エクイティ・ファンドおよ
びクレジット・ファンドの運用期間中の投資利益率が一定の基準利益率を上回った場合に生じる持分の増
加分および利益から成るものである。
45/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
・プライベート・バンキングおよび貸付業務
預金受入に対して配賦される受取利息純額および富裕層向け金融業務の顧客のための貸付活動によって
得た受取利息純額を含む。
個人向け銀行業務
当社の個人向け銀行業務では、無担保ローン(当社のデジタル・プラットフォームである マーカス・バ
イ・ゴールドマン・サックス (「マーカス」)を通じたもの)およびクレジットカードを発行し、物品また
はサービスの購入資金を調達している。当社は、マーカスを通じた預金の受入も、ゴールドマン・サック
ス・バンクUSA(「GSバンクUSA」)およびGSIBにおいて行っている。これらの預金には、多様な資金調達源
を当社に提供する貯蓄預金および定期預金が含まれる。さらに、当社は、 マーカス・インベスト を通じた投
資サービスを提供しており、これは、現在は米国において提供されている。
個人向け銀行業務の収益は、マーカスを通じて消費者に対し発行される無担保ローンおよびクレジット
カードの貸付活動により得た受取利息純額、ならびに消費者預金に対して配賦される受取利息純額から成
る。
下表は、当社の個人および富裕層向け金融業務セグメントの資産を示したものである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020年12月現在
現金および現金同等物 37,360 25,814
担保付契約 9,509 12,518
顧客およびその他に対する受取債権 9,640 7,132
トレーディング資産 12,865 17,969
投資 39 52
ローン 47,293 39,799
その他資産 3,144 3,145
合計 119,850 106,429
46/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
下表は、当社の個人および富裕層向け金融業務セグメントの業績を示したものである。
6月に終了した3ヶ月間 6月に終了した6ヶ月間
(単位:百万ドル)
2021年 2020年 2021年 2020年
資産運用報酬等関連業務 1,109 938 2,186 1,897
成功報酬関連業務 15 10 41 79
プライベート・バンキングおよび貸付業務 260 155 524 337
富裕層向け金融業務 1,384 1,103 2,751 2,313
個人向け銀行業務 363 258 734 540
純収益 1,747 1,361 3,485 2,853
信用損失引当金繰入額 66 317 126 485
営業費用 1,369 1,199 2,868 2,443
税引前当期純利益/(損失) 312 (155 ) 491 (75 )
法人税等/(税務上の効果) 60 (38 ) 92 (30 )
当期純利益/(損失) 252 (117 ) 399 (45 )
優先株式配当金 11 13 21 19
普通株式に係る当期純利益/(損失) 241 (130 ) 378 (64 )
平均普通株式 10,459 7,505 10,335 7,271
平均普通株主資本利益率 9.2 % (6.9) % 7.3 % (1.8) %
営業環境
2021年度第2四半期中、市況および経済情勢の改善により、個人向け銀行業務および富裕層向け金融業務
の活動の背景はより良好なものとなった。世界各国の株価が全般的に上昇し、米国では、経済回復に対する
楽観性と世界各国の中央銀行および政府による支援の継続により、2021年度第1四半期と比較して失業率が
低下し、個人消費が増加した。経済見通しに対する楽観性が後退した場合、またはCOVID-19パンデミックに
よる影響を緩和するために現在続けられている取組が効果的でない場合、資産価格が下落し、投資家が運用
報酬が一般的により低い資産クラスを好み、投資家が資産を引き上げ、そして消費者が自身の預金を引き出
し、または消費者の信用が悪化することへとつながる可能性があり、個人および富裕層向け金融業務の純収
益および信用損失引当金繰入額は悪影響を受ける可能性がある。
47/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
2021年6月に終了した3ヶ月間と2020年6月に終了した3ヶ月間の比較
2021年度第2四半期の個人および富裕層向け金融業務の純収益は17.5億ドルで、2020年度第2四半期と比
較して28パーセント増加した。
富裕層向け金融業務の純収益は13.8億ドルで、2020年度第2四半期と比較して25パーセント増加した。資
産運用報酬等は(平均管理資産が増加したことによる影響を反映して)増加し、プライベート・バンキング
および貸付業務の純収益は(主としてローン残高が増加したことを反映して)増加した。
個人向け銀行業務の純収益は363百万ドルで、2020年度第2四半期と比較して41パーセント増加した。こ
れは、預金残高およびクレジットカード残高が増加したことを反映している。
2021年度第2四半期の信用損失引当金繰入額は66百万ドルで、2020年度第2四半期と比較して79パーセン
ト減少した。2021年度第2四半期の数値には、クレジットカード・ローンの増大に関連した引当金が含まれ
ていたが、2020年度上半期に厳しい状況が発生した後に、より広範な経済環境が継続的に改善したことを反
映した準備金の減少により部分的に相殺された。
2021年度第2四半期の営業費用は13.7億ドルで、2020年度第2四半期と比較して14パーセント増加した。
これは、主として、人件費が(堅調な業績を反映して)増加したことによるものであった。2020年度第2四
半期は115百万ドルの税引前当期純損失を計上したのに対し、2021年度第2四半期は312百万ドルの税引前当
期純利益を計上した。
2021年6月に終了した6ヶ月間と2020年6月に終了した6ヶ月間の比較
2021年度上半期の個人および富裕層向け金融業務の純収益は34.9億ドルで、2020年度上半期と比較して22
パーセント増加した。
富裕層向け金融業務の純収益は27.5億ドルで、2020年度上半期と比較して19パーセント増加した。これ
は、資産運用報酬等が(主として平均管理資産が増加したことによる影響を反映して)増加したこと、なら
びに、成功報酬関連業務の数値が減少した一方で、プライベート・バンキングおよび貸付業務の純収益が
(主としてローン残高が増加したことを反映して)大幅に増加したことによるものであった。
個人向け銀行業務の純収益は734百万ドルで、2020年度上半期と比較して36パーセント増加した。これ
は、預金残高およびクレジットカード残高が増加したことを反映している。
2021年度上半期の信用損失引当金繰入額は、2020年度上半期の485百万ドルに対し、126百万ドルであっ
た。2021年度上半期の数値には、クレジットカードのポートフォリオの成長に対する引当金が含まれてお
り、これには、進行中のゼネラル・モーターズとの提携ポートフォリオに関連する引当金185百万ドルが含
まれるが、2020年度上半期に厳しい状況が発生した後に、より広範な経済環境が継続的に改善したことを反
映した準備金の減少により部分的に相殺された。
2021年度上半期の営業費用は28.7億ドルで、2020年度上半期と比較して17パーセント増加した。これは、
主として、人件費が(堅調な業績を反映して)大幅に増加したことによるものであった。2020年度上半期は
75百万ドルの税引前当期純損失を計上したのに対し、2021年度上半期は491百万ドルの税引前当期純利益を
計上した。
48/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
管理資産
AUSには、当社の機関投資家顧客の資産および第三者販売者から調達した資産(これらはいずれも当社のア
セット・マネジメント業務セグメントに含まれる)のほか、富裕層顧客の資産(個人および富裕層向け金融業
務セグメントに含まれる)が含まれており、これらについて当社は、裁量に基づく資産運用に対する手数料を
得ている。これには、当社のミューチュアル・ファンド、ヘッジファンド、クレジット・ファンド、プライ
ベート・エクイティ・ファンド、不動産ファンド、ならびに機関投資家および個人投資家のセパレートリー・
マネージド・アカウントの純資産が含まれている。AUSには、第三者であるマネージャーに投資された顧客資
産、個人の銀行預金ならびに当社がアドバイザリーおよびその他のサービスに対して手数料を得るアドバイザ
リー関係も含まれるが、投資一任はされていない。AUSには、当社の顧客の自己指図型委託売買資産は含まれ
ない。
下表は、当社の期末現在のファームワイドなAUSに関する情報を、セグメント、資産クラス、販売経路、地
域およびビークル別に示したものである。
(単位:十億ドル) 2021年6月現在 2020年6月現在
セグメント
アセット・マネジメント業務 1,633 1,499
個人および富裕層向け金融業務 672 558
AUS合計 2,305 2,057
資産クラス
オルタナティブ投資 211 179
株式 558 394
債券 914 817
長期AUS合計 1,683 1,390
流動性商品 622 667
AUS合計 2,305 2,057
販売経路
機関投資家 794 709
富裕層向け金融業務 672 558
第三者による販売 839 790
AUS合計 2,305 2,057
地域
南北アメリカ 1,794 1,596
EMEA 336 289
アジア 175 172
AUS合計 2,305 2,057
ビークル
セパレート・アカウント 1,264 1,080
公的ファンド 759 752
民間ファンドその他 282 225
AUS合計 2,305 2,057
49/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
上表において、
・流動性商品には、マネー・マーケット・ファンドおよび個人の銀行預金が含まれる。
・EMEAは、ヨーロッパ、中東およびアフリカを意味する。
オルタナティブ投資および株式資産等の資産クラスの手数料は、一般的に債券および流動性商品資産と比較
してより高くなる。当社がそのファームワイドなAUSによって得た平均実効運用報酬(非資産ベースの報酬を
除く)は、2021年6月に終了した3ヶ月間および2021年6月に終了した6ヶ月間はいずれも29ベーシス・ポイ
ントであり、2020年6月に終了した3ヶ月間は29ベーシス・ポイントであり、2020年6月に終了した6ヶ月間
は30ベーシス・ポイントであった。2020年度上半期からの減少は、2021年度上半期中のマネー・マーケット・
ファンドに対する手数料の免除による影響を反映したものであった。
当社は、当社が運用する顧客資産に対する運用報酬を収受するほか、ファンドもしくはセパレートリー・マ
ネージド・アカウントの利益に対する一定の割合を基準として、または利益が所定の基準その他の業績目標を
超えた場合に、成功報酬も収受している。この成功報酬は、当該報酬について重要な返還を求められない可能
性が高くなった時点で認識される。当社の未認識の成功報酬の見積りは、2021年6月現在で25.8億ドルであ
り、2020年12月現在で17.9億ドルであった。これらの金額は、完成済みのファンドの財務書類に基づいている
が、ファンドの財務書類は、一般に1四半期遅れて作成されている。これらの報酬は、公正価値の下落がない
と仮定した場合、当該報酬について重要な返還を求められない可能性が高くなった時点で認識されることとな
るが、これは通常、当該報酬が資産の市場価値の変動による影響を受けることがなくなった時点である。
50/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
下表は、当社のAUSの推移を示したものである。
6月に終了した3ヶ月間 6月に終了した6ヶ月間
(単位:十億ドル)
2021年 2020年 2021年 2020年
アセット・マネジメント業務
期首残高 1,567 1,309 1,530 1,298
資産の純増/(純減)
オルタナティブ投資 3 (2 ) 6 (3 )
株式 (5 ) 3 (2 ) 5
債券 12 6 28 13
長期AUSの純増/(純減)合計 10 7 32 15
流動性商品 16 121 45 187
AUSの純増/(純減)合計 26 128 77 202
市場価値の純増/(純減) 40 62 26 (1 )
期末残高 1,633 1,499 1,633 1,499
個人および富裕層向け金融業務
期首残高 637 509 615 561
資産の純増/(純減)
オルタナティブ投資 5 - 7 -
株式 8 (1 ) 19 -
債券 (1 ) - 1 (8 )
長期AUSの純増/(純減)合計 12 (1 ) 27 (8 )
流動性商品 - 12 (6 ) 18
AUSの純増/(純減)合計 12 11 21 10
市場価値の純増/(純減) 23 38 36 (13 )
期末残高 672 558 672 558
ファームワイド
期首残高 2,204 1,818 2,145 1,859
資産の純増/(純減)
オルタナティブ投資 8 (2 ) 13 (3 )
株式 3 2 17 5
債券 11 6 29 5
長期AUSの純増/(純減)合計 22 6 59 7
流動性商品 16 133 39 205
AUSの純増/(純減)合計 38 139 98 212
市場価値の純増/(純減) 63 100 62 (14 )
期末残高 2,305 2,057 2,305 2,057
51/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
下表は、当社のファームワイドな月平均AUSに関する情報を、セグメントおよび資産クラス別に示したもの
である。
平均値
6月に終了した3ヶ月間 6月に終了した6ヶ月間
(単位:十億ドル)
2021年 2020年 2021年 2020年
セグメント
アセット・マネジメント業務 1,607 1,426 1,571 1,368
個人および富裕層向け金融業務 657 536 640 546
AUS合計 2,264 1,962 2,211 1,914
資産クラス
オルタナティブ投資 203 179 199 181
株式 540 369 514 387
債券 902 793 900 799
長期AUS合計 1,645 1,341 1,613 1,367
流動性商品 619 621 598 547
AUS合計 2,264 1,962 2,211 1,914
当社のAUSに加え、当社は、現在は運用報酬を収受していないオルタナティブ投資(報酬無料代替的資産)
について投資一任をされている。
下表は、代替的資産、報酬無料代替的資産および代替的資産合計について、当社のAUSに関する情報を示し
たものである。
報酬無料
(単位:十億ドル) AUS 代替的資産 代替的資産合計
2021年6月現在
コーポレート・エクイティ 86 68 154
クレジット 21 77 98
不動産 19 44 63
ヘッジファンドおよびマルチ・アセット 85 1 86
その他 - 1 1
合計 211 191 402
2020年6月現在
コーポレート・エクイティ 79 40 119
クレジット 15 53 68
不動産 14 43 57
ヘッジファンドおよびマルチ・アセット 71 1 72
その他 - 1 1
合計 179 138 317
52/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
上表において、
・コーポレート・エクイティには、主として、プライベート・エクイティが含まれる。
・代替的資産合計には、将来の投資に利用可能な払込前資本が含まれており、その金額は2021年6月現在で
470億ドル、2020年6月現在で310億ドルであった。
・報酬無料代替的資産には、主として、当社が貸借対照表上で保有している投資、当社における資金の手当
がないコミットメント、当社の顧客における資金の手当がないコミットメント(当社がコミットメントに
対して報酬を請求していないもの)、ファンド資産を担保とするクレジット・ファシリティーおよび社員
向けファンドが含まれる。当社による報酬無料代替的資産の計算は、他社が用いる類似の計算とは対比す
ることができない可能性がある。
2020年度初めにおいて、当社は、当社の第三者代替的事業の拡大という戦略的目標を発表し、今後5年間で
代替的資産について、純増額1,000億ドル、総流入額1,500億ドルを実現するという目標を設定した。
下表は、2020年度中および2021年度第2四半期までの間に当社の代替的事業において調達された第三者コ
ミットメントに関する情報を示したものである。
(単位:十億ドル) 2021年6月現在
AUSに含まれるもの 36
報酬無料代替的資産に含まれるもの 38
調達された第三者コミットメント 74
上表において、報酬無料代替的資産に含まれるコミットメントのうち約280億ドルは、コミットメントが実
行され資産が投資された場合に報酬の稼得が開始される(そしてAUSとなる)ものである。
下表は、当社が貸借対照表上で保有しているアセット・マネジメント業務セグメントのオルタナティブ投資
に関する情報を示したものである。
CIE投資
(単位:十億ドル) ローン 債券 持分証券 その他 合計
2021年6月現在
コーポレート・エクイティ - - 17 - 17
クレジット 8 12 - - 20
不動産 8 2 4 18 32
その他 - - - 1 1
合計 16 14 21 19 70
2020年6月現在
コーポレート・エクイティ - - 16 - 16
クレジット 8 11 - - 19
不動産 8 2 4 20 34
その他 - - - 1 1
合計 16 13 20 21 70
53/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
ローンおよび債券
下表は、当社のオルタナティブ投資におけるローンおよび債券の集中度を、会計区分、地域および業界別
に示したものである。
(単位:十億ドル) 2021年6月現在 2020年6月現在
ローン 16 16
債券 14 13
合計 30 29
会計区分
債券(公正価値) 46 % 44 %
ローン(償却原価) 43 % 43 %
ローン(公正価値) 11 % 13 %
合計 100 % 100 %
地域
南北アメリカ 45 % 46 %
EMEA 34 % 32 %
アジア 21 % 22 %
合計 100 % 100 %
業界
消費財 4 % 6 %
金融機関 8 % 8 %
ヘルスケア 8 % 8 %
工業 15 % 15 %
天然資源および公益事業 3 % 4 %
不動産 36 % 34 %
テクノロジー、メディアおよび通信 15 % 13 %
その他 11 % 12 %
合計 100 % 100 %
54/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
持分証券
下表は、当社のオルタナティブ投資における持分証券の集中度を、地域および業界別に示したものであ
る。
(単位:十億ドル) 2021年6月現在 2020年6月現在
持分証券 21 20
地域
南北アメリカ 52 % 48 %
EMEA 21 % 16 %
アジア 27 % 36 %
合計 100 % 100 %
業界
金融機関 19 % 28 %
ヘルスケア 13 % 6 %
工業 7 % 7 %
天然資源および公益事業 8 % 7 %
不動産 17 % 18 %
テクノロジー、メディアおよび通信 29 % 27 %
その他 7 % 7 %
合計 100 % 100 %
下表は、当社のオルタナティブ投資における持分証券の集中度を、組成年度別に示したものである。
組成年度
2021年6月現在
2014年以前 26 %
2015年-2017年 32 %
2018年以降 42 %
合計 100 %
2020年6月現在
2013年以前 37 %
2014年-2016年 33 %
2017年以降 30 %
合計 100 %
55/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
上表において、
・持分証券には、2021年6月現在および2020年6月現在のいずれも170億ドルのプライベート・エクイ
ティのポジションと、2021年6月現在で40億ドルおよび2020年6月現在で30億ドルの、子会社の新規株
式公開をもってプライベート・エクイティから転換された公開株式のポジションが含まれている。
・不動産持分証券の集中度は、2021年6月現在で集合住宅が3パーセント(2020年6月現在では3パーセ
ント)、事務所が4パーセント(2020年6月現在では3パーセント)、多目的が5パーセント(2020年
6月現在では5パーセント)、そしてその他の不動産持分証券が5パーセント(2020年6月現在では7
パーセント)であった。
CIE投資その他
CIE投資その他には、2021年6月現在で180億ドル、2020年6月現在で200億ドルのCIEが保有する資産が含
まれており、この資産については、2021年6月現在で約100億ドル、2020年6月現在で約110億ドルの負債に
より資金調達が行われた。当該負債のほぼすべてがノン・リコースであり、これにより当社のエクイティ・
アット・リスクが軽減されている。
下表は、当社のオルタナティブ投資におけるCIE資産(融資控除後)の集中度を、地域および資産クラス
別に示したものである。
(単位:十億ドル) 2021年6月現在 2020年6月現在
CIE資産(融資控除後) 8 9
地域
南北アメリカ 63 % 61 %
EMEA 25 % 20 %
アジア 12 % 19 %
合計 100 % 100 %
資産クラス
ホスピタリティ 4 % 4 %
工業 10 % 7 %
集合住宅 25 % 25 %
事務所 24 % 29 %
小売 5 % 7 %
高齢者向け住宅 13 % 11 %
学生向け住宅 7 % 8 %
その他 12 % 9 %
合計 100 % 100 %
56/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
下表は、当社のオルタナティブ投資におけるCIE資産(融資控除後)の集中度を、組成年度別に示したも
のである。
組成年度
2021年6月現在
2014年以前 2 %
2015年-2017年 29 %
2018年以降 69 %
合計 100 %
2020年6月現在
2013年以前 2 %
2014年-2016年 36 %
2017年以降 62 %
合計 100 %
地域別データ
地域別の当社の純収益合計および税引前当期純利益の概要については、連結財務書類注記25参照。
貸借対照表および資金調達源
貸借対照表管理
当社のリスク管理上の課題の1つとして、当社の貸借対照表の規模および構成を管理できるようにすること
が挙げられる。当社の資産基盤は、顧客取引、相場の変動および事業機会によって変動するが、当社の貸借対
照表の規模および構成は、特に、(ⅰ)当社の全体的なリスク許容度、(ⅱ)当社が保有する自己資本の額、
および(ⅲ)当社の資金調達プロファイルを含む要素も反映している。当社の自己資本の管理プロセスに関す
る情報については、下記「自己資本管理および規制上の自己資本-自己資本管理」参照。
当社の貸借対照表は日々変動するが、各四半期末および年度末の当社の資産合計の数値は、一般に、報告期
間中の数値と大きく異なるものではない。
当社は、適切なリスク管理を確保するため、十分に流動性の高い貸借対照表の維持に努めており、また当社
の資産および負債の積極的な管理のため、以下を含めた手続を整備している。
(ⅰ)貸借対照表計画
(ⅱ)貸借対照表上の限度額
(ⅲ)主要指標のモニタリング
(ⅳ)シナリオ分析
57/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
貸借対照表計画
当社は、資産合計および資産構成の見積りと、3年間の計測期間において予想される資金調達源とを組み
合わせた貸借対照表計画を作成している。この計画は四半期ごとに見直され、事業上の必要性や市況の変化
に応じて調整されることがある。この計画プロセスの目的は、以下のとおりである。
・金融市場の概況および事業活動の予想される水準ならびに規制要件を考慮に入れて、当社の貸借対照表
の見積りを作成すること。
・トレジャリーおよび当社の独立したリスク監督・統制部門が、当社の全体的な貸借対照表の制約(当社
の負債プロファイルおよび自己資本の水準を含む)および主要指標に照らして、貸借対照表上の限度額
に関する当社の収益創出部門からの要請を客観的に評価できるようにすること。
・当社の見積資産および契約上の満期に基づき、目標とする資金調達の金額、期間および種類を通知する
こと。
トレジャリーおよび当社の独立したリスク監督・統制部門は、当社の貸借対照表計画を作成するため、当
社の収益創出部門と連動して、当期および前期の情報ならびに該当期間の予想について検討する。検討され
る具体的な情報には、資産および負債の規模・構成、限度額の利用状況、リスクおよび業績の指標、ならび
に資本の利用状況が含まれる。
当社の事業別の貸借対照表、資金調達の見積りおよび主要指標の見積りを含む当社の連結貸借対照表計画
は、ファームワイド資産・負債委員会およびリスク・ガバナンス委員会によって検討および承認される。当
社のリスク管理体制の概要については、下記「リスク管理-リスク管理の概要および体制」参照。
貸借対照表上の限度額
ファームワイド資産・負債委員会およびリスク・ガバナンス委員会は、貸借対照表上の限度額の検討およ
び承認を行う責任を負っている。これらの限度額は、当社の収益創出部門、トレジャリーおよび当社の独立
したリスク監督・統制部門の間の迅速な上申および協議を日常的に確保するために、当社の最大リスク選好
度を反映したレベルではなく、実際の運用レベルに近い水準に設定されている。限度額の変更要請は、当社
の主要指標に及ぼす影響を考慮して判断される。限度額の遵守状況は、当社の収益創出部門およびトレジャ
リー、ならびに当社の独立したリスク監督・統制部門によってモニターされている。
主要指標のモニタリング
当社は、資産および負債の規模・構成、限度額の利用状況ならびにリスク指標を含む主要な貸借対照表指
標を、事業別と連結ベースの双方でモニターしている。当社は、資産を各事業に配分し、新たな事業活動に
より生じた動きのほか、相場の変動を検討および分析する。
58/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
シナリオ分析
当社は、総合的な資本分析および審査(「CCAR」)ならびに米国ドッド・フランク・ウォール街改革およ
び消費者保護法に基づくストレス・テスト(「DFAST」)の一環として、ならびに当社の破綻処理・再建計
画の一環として、様々なシナリオ分析を行っている。これらのシナリオ分析に関する詳細については、下記
「自己資本管理および規制上の自己資本-自己資本管理」参照。これらのシナリオは、多岐にわたる経済シ
ナリオに基づき、様々なマクロ経済的な仮定および当社固有の仮定を用いて短期および長期の計測期間を対
象としている。当社は、資産、資金調達および自己資本の水準・構成を含む、当社の長期的な貸借対照表の
管理戦略を策定するための補助としてこれらの分析を用いている。さらに、これらの分析は、重大なストレ
ス環境下を含む様々な状況において、適切な資金調達、流動性および資本を維持するための手法を策定する
助けにもなる。
貸借対照表の分析および指標
2021年6月現在、当社の連結貸借対照表上の資産合計は1.39兆ドルで、2020年12月現在と比較して2,248.9
億ドル増となった。これは、主として、担保付契約の項目の(主として当社および当社顧客の取引による影響
を反映した)1,001.6億ドルの増加、現金および現金同等物の項目の(主として当社の取引を反映した)844.5
億ドルの増加、ならびに顧客およびその他に対する受取債権の項目の(主として顧客取引を反映した)407.6
億ドルの増加を反映している。
2021年6月現在、当社の連結貸借対照表上の負債合計は1.29兆ドルで、2020年12月現在と比較して2,189.4
億ドル増となった。これは、主として、顧客およびその他に対する支払債務の項目の(主として顧客取引を反
映した)480.4億ドルの増加、預金の項目の(主として機関投資家の預金、トランザクション・バンキングの
預金、消費者預金およびデポジット・スイープ・プログラムの預金の増加を反映した)461.8億ドルの増加、
トレーディング負債の項目の(主として当社および当社顧客による政府債および株式の取引による影響を反映
しているが、デリバティブ商品の金利および為替の変動の影響により部分的に相殺された)453.7億ドルの増
加、担保付借入金の項目の(主として当社および当社顧客の取引による影響を反映した)435.4億ドルの増
加、ならびに無担保借入金の項目の(主として新規発行に牽引されたが、満期到来分により部分的に相殺され
た)343.2億ドルの増加を反映している。
2021年6月現在および2020年12月現在、担保付借入金として会計処理される当社の買戻条件付有価証券
(「買戻条件付契約」)の総額は、それぞれ1,516.9億ドルおよび1,265.7億ドルであった。これらはそれぞ
れ、2021年6月に終了した四半期および2020年12月に終了した四半期における買戻条件付契約の平均日額と比
較して、2021年6月現在および2020年12月現在で7パーセントおよび24パーセント増加した。2021年6月現在
の当社の買戻条件付契約の、2021年6月に終了した四半期の買戻条件付契約の平均日額からの増加は、当該四
半期末における当社および当社顧客の取引水準が上昇した結果によるものであった。
59/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社の買戻条件付契約の水準は、ある期間と別の期間の間で、また期間中にも変動するが、これは主とし
て、担保付借入金取引を通じて、流動性の高い政府債および政府機関債等の流動性の高い担保へのアクセスを
顧客に対して提供しているためである。
下表は、当社の貸借対照表およびレバレッジ比率に関する情報を示したものである。
(単位:百万ドル) 2021年6月現在 2020年12月現在
資産合計 1,387,922 1,163,028
無担保長期借入金 238,930 213,481
株主資本合計 101,890 95,932
レバレッジ比率 13.6 倍 12.1 倍
負債資本比率 2.3 倍 2.2 倍
上表において、
・レバレッジ比率は、資産合計を株主資本合計で除して得られる数値であり、当社が資産を取得するために
用いた自己資本と負債の比率を計測するものである。この比率は、連結財務書類注記20に記載されている
レバレッジ比率とは異なる。
・負債資本比率は、無担保長期借入金を株主資本合計で除して得られる数値である。
下表は、普通株主資本から有形普通株主資本への調整を含む、当社の株主資本および普通株式1株当たり帳
簿価額に関する情報を示したものである。
(単位:1株当たり数値を除き、百万ドル) 2021年6月現在 2020年12月現在
株主資本合計 101,890 95,932
優先株式 (9,203 ) (11,203 )
普通株主資本 92,687 84,729
のれん (4,332 ) (4,332 )
識別可能無形資産 (523 ) (630 )
有形普通株主資本 87,832 79,767
普通株式1株当たり帳簿価額 264.90 236.15
普通株式1株当たり有形帳簿価額 251.02 222.32
60/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
上表において、
・有形普通株主資本は、株主資本合計から優先株式、のれんおよび識別可能無形資産を控除して算定され
る。有形普通株主資本は、当社および投資家が自己資本比率の評価に用いる指標であるため有意義である
と、当社は考えている。有形普通株主資本は、会計基準による定めがない指標であり、他社が用いる類似
の会計基準による定めがない指標とは対比することができない可能性がある。
・普通株式1株当たり帳簿価額および普通株式1株当たり有形帳簿価額は、流通普通株式ならびに将来の役
務提供および業績を要件として課すことなく社員に付与した制限付株式ユニット(総称して「基準株
式」)に基づいている。これは、2021年6月現在では349.9百万株、2020年12月現在では358.8百万株で
あった。普通株式1株当たり有形帳簿価額(有形普通株主資本を基準株式の数で除して算定される)は、
当社および投資家が自己資本比率の評価に用いる指標であるため有意義であると、当社は考えている。普
通株式1株当たり有形帳簿価額は、会計基準による定めがない指標であり、他社が用いる類似の会計基準
による定めがない指標とは対比することができない可能性がある。
資金調達源
当社は、預金、担保付借入金、短期および長期の無担保借入金、ならびに株主資本を主な資金調達源として
いる。当社は、資金調達源の集中を回避すべく、商品、プログラム、市場、通貨および債権者の各面にわたっ
て広範かつ多様な資金調達源を世界各国で維持するよう努めている。
下表は、当社の資金調達源に関する情報を示したものである。
(単位:百万ドル) 2021年6月現在 2020年12月現在
預金 306,142 33 % 259,962 33 %
担保付借入金 217,482 23 % 173,947 22 %
無担保短期借入金 61,740 7 % 52,870 6 %
無担保長期借入金 238,930 26 % 213,481 27 %
株主資本合計 101,890 11 % 95,932 12 %
合計 926,184 100 % 796,192 100 %
当社は、主として米ドル、ユーロ、英ポンドおよび日本円で資金を調達している。一般に当社は、南北アメ
リカ、ヨーロッパおよびアジアの様々な市場において、自社の資金調達のための商品を多数の多様な債権者の
基盤に対して、当社自身の販売員および第三者販売者を通じて販売している。当社は、債権者との関係は当社
の流動性に非常に重要な意味を持つと考えている。当社の債権者には、銀行、政府、借入有価証券の貸付人、
企業、年金ファンド、保険会社、ミューチュアル・ファンドおよび個人が含まれる。当社は、当社の資金調達
プログラム全般にわたる債権者の集中をモニターするため、様々な内部ガイドラインを設定している。
61/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
預金
当社の預金は、多様な資金調達源を当社に提供し、ホールセール資金調達への当社の依存を軽減してい
る。当社は、プライベート・バンクの顧客、消費者、トランザクション・バンキングの顧客、その他機関投
資家顧客から、また内部のおよび第三者のブローカー・ディーラーを通じて、預金(貯蓄預金、当座預金お
よび定期預金を含む)の受入を行っている。当社の預金の受入のほぼすべてが、GSバンクUSAおよびGSIBを
通じて行われている。当社の預金に関する詳細については、連結財務書類注記13参照。
担保付資金調達
当社は、トレーディング商品の相当な部分および投資の一部について必要な資金を担保付で調達してい
る。担保付資金調達には、連結貸借対照表上の担保付借入金が含まれる。当社はまた、証券貸借契約に基づ
き借り入れた有価証券の担保として、当社のトレーディング商品および投資を差し入れることがある。当社
は、当社のまたは顧客による売却済未購入の有価証券の売建て取引をカバーするためにも、自社のトレー
ディング商品および投資を用いている。担保付資金調達は、当社が貸し手に担保を提供するため、無担保資
金調達の場合より当社の信用度の変化による影響を受けにくい。とはいうものの、当社は、取引期間、満期
の構成、取引相手先の集中、担保の適格性および取引相手先のロールオーバーの可能性を考慮して、当社の
担保付資金調達活動の借換リスクを分析している。当社は、満期が分散化した期間取引、取引相手先の分散
化、余剰の担保付資金調達、および当社のGCLAを通じた残余リスクへの事前の資金調達の実施により、借換
リスクの低減に努めている。
当社は、資金調達の対象である資産の流動化のために適切な期間が設定された担保付資金調達の実行に努
めており、とりわけ市場ストレス時には担保付での資金調達がより困難となり得る資産クラスを担保とする
担保付資金調達の場合には、長めの満期を設定するよう努めている。当社の担保付資金調達は、流動性の高
い政府債および政府機関債を担保とする資金調達を除き、主として満期までの期間を1ヶ月以上に設定し、
また主として短期買戻条件付契約および貸付有価証券担保金取引を通じて実行している。
連結貸借対照表上の担保付借入金に含まれる当社の担保付資金調達(流動性の高い政府債および政府機関
債のみを担保とし得る資金調達を除く)の加重平均満期は、2021年6月現在、120日間を超えていた。
市場ストレス時に担保付での資金調達がより困難となり得る資産には、モーゲージならびにその他の資産
担保ローンおよび有価証券、非投資適格社債、株式、ならびに新興市場証券に区分される一定の金融商品が
含まれる。公正価値の階層でレベル3に分類される資産は通常、無担保ベースで資金調達が行われる。公正
価値の階層に基づく金融商品の分類に関する詳細については、連結財務書類注記4から10参照。資金調達源
としての無担保長期借入金の使用に関する詳細については、下記「無担保長期借入金」参照。
62/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社は、担保付ローンやノート等のその他の種類の担保付借入金も利用して資金を調達している。GSバン
クUSAは、連邦住宅貸付銀行から資金を調達することができる。当社の連邦住宅貸付銀行に対する借入残高
は、2021年6月現在で16.0億ドルであり、2020年12月現在ではかかる借入残高はなかった。さらに、当社
は、連邦準備銀行の特別融資枠(discount window)を通じて資金を調達することもできる。しかし、当社
は、当社の流動性計画およびストレス・テストにおいて、この資金調達方法に依存していない。
無担保短期借入金
当社の無担保短期借入金の相当部分は、本来長期債券であったもののうち報告日から1年以内に満期が到
来する予定の債券であった。当社は、流動性資産の取得資金の調達その他の現金管理目的のために無担保短
期借入金(米国内外のハイブリッド金融商品およびコマーシャル・ペーパーを含む)を利用している。規制
上の要件に従い、グループ・インクは、その子会社に発行する場合を除き、当初の満期が1年未満の債券を
発行していない。当社の無担保短期借入金に関する詳細については、連結財務書類注記14参照。
無担保長期借入金
無担保長期借入金(仕組債を含む)は、シンジケート方式による米国登録債の募集・売出し、米国登録債
および規則144Aに基づくミディアムタームノートを対象とするプログラム、国外でのミディアムタームノー
トの募集・売出しならびにその他の債券の募集・売出しを通じて調達されている。当社は、当社の投資家層
を最大限多様化させるため、多様な年限による様々な通貨建ての種々の商品を発行している。
下表は、各四半期に満期が到来する当社の無担保長期借入金を示したものである。
(単位:百万ドル) 第1四半期 第2四半期 第3四半期 第4四半期 合計
2021年6月現在
2022年度 – – 8,115 6,467 14,582
2023年度 14,459 7,121 8,476 7,511 37,567
2024年度 8,657 9,369 7,858 3,493 29,377
2025年度 7,044 9,681 5,739 5,554 28,018
2026年度 6,315 3,705 5,363 6,043 21,426
2027年度以降 107,960
合計 238,930
2021年6月現在の当社の無担保長期借入金の加重平均満期は約7年間であった。当社は、借換リスクを低
減させるため、満期がいずれかの1ヶ月間、1四半期間または1年間に到来する債務の元本金額を限定する
よう努めている。当社は、金利変動に対する当社のエクスポージャーを管理するため、当社の無担保長期借
入金の一部を変動金利の債務に転換する金利スワップを締結している。当社の無担保長期借入金に関する詳
細については、連結財務書類注記14参照。
63/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
株主資本
株主資本は、安定的かつ永続的な資金調達源である。当社の株主資本に関する詳細については、連結財務
書類注記19参照。
自己資本管理および規制上の自己資本
自己資本比率は、当社にとって非常に重要である。当社は、通常の事業状況とストレス下の状況の双方におい
て、自己資本の適切な水準および構成を維持する上で有用となる枠組を示し、目的を定め、指針を示す総合的な
資本管理方針を定めている。
自己資本管理
当社は、現在および将来における当社の規制上の自己資本要件、当社の資本計画およびストレス・テスト・
プロセスの結果、破綻処理資金モデルの結果、ならびに格付機関のガイドライン、子会社の自己資本要件、事
業環境および金融市況等のその他の要因を含む複数の要因を考慮した上で、当社の適正な自己資本の額および
構成を決定する。
当社は、主として、ファームワイドレベルと個々の事業レベルの双方で、貸借対照表上の限度額および/ま
たはリスクの限度額を設定することにより、当社の自己資本要件および資本利用水準を管理している。
当社は、主として、普通株式の発行および買戻しを通じて当社の自己資本の水準および構成を管理してい
る。
当社は、事業の状況が許す限り、当社の優先株式、信託を発行先とする下位劣後債、およびその他の劣後債
もしくはその他の形態の資本を発行し、償還し、または買い戻す可能性がある。当社は、かかる償還または買
戻しを行う前に、連邦準備制度理事会(「FRB」)から承認を受けなければならない。当社の優先株式、信託
を発行先とする下位劣後債およびその他の劣後債に関する詳細については、連結財務書類注記14および19参
照。
資本計画およびストレス・テスト・プロセス
当社は、資本計画の一環として、ストレス下の状況を含む幅広い事業環境における資本の源泉および用途
を見積もっている。当社のストレス・テスト・プロセスは、市場リスク、信用リスクおよびオペレーション
リスクを含む当社の事業活動に関連する重大なリスクのほか、当社の収益創出力を特定および計測するよう
設計されている。
当社の資本計画のプロセスには、自己資本比率内部評価が組み込まれており、これは、当社がその事業リ
スクに対して適正な自己資本比率を有している状態を確保することを目的としている。当社は、ストレス・
シナリオを当社の資本計画のプロセスに組み込んでおり、強いストレス事由が生じた後でも当社の自己資本
比率が適正な水準に保たれるように、十分な資本を維持することを目標としている。当社の自己資本比率の
評価は、流動性比率の評価と共に検討され、当社の全体的なリスク管理の体制、ガバナンスおよび方針の枠
組に統合される。
64/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社のストレス・テストには、内部で策定したストレス・シナリオ(内部で策定した深刻な悪化のシナリ
オを含む)およびFRBにより要求されるストレス・シナリオが組み込まれており、当社固有の脆弱性および
リスクを把握できるように設計されている。当社が2021年8月4日にSECに提出した様式10-Qによる2021年
度第2四半期に係るクォータリー・レポートのPart I、Item 2「Available Information」に記載のとお
り、当社は、当社のストレス・テスト・プロセスについての詳細および結果の概要を当社のウェブサイト上
に掲載している。
FRBによるCCARに関する規則の要件に従って、当社は、FRBの審査を受けるために年次資本計画を提出す
る。FRBの審査の目的は、当社が、自社に固有のリスクを考慮し、かつ経済的および財政的なストレス下に
おける営業活動の継続を可能とさせる、堅固かつフォワード・ルッキングな資本計画のプロセスを定めてい
ることを確保することである。
FRBは、その評価方法の1つとして、FRBが定めるベースラインおよび深刻な悪化のシナリオ下ならびに当
社が定めるベースラインおよび深刻な悪化のシナリオ下での営業活動の継続に必要な資本を保有しているか
否かに基づき当社を評価する。かかる評価では、当社のリスク特定プロセス、資本計画の当社による管理お
よびガバナンス、ならびに資本計画に係る意思決定に関する当社の指針も考慮される。また、FRBは、マク
ロ経済シナリオおよび当社固有の仮定の全般にわたり、当社の資本分配計画(すなわち、株式、劣後債その
他の資本証券に係る配当金支払および買戻しまたは償還)および資本発行計画を評価する。FRBは、その独
自の年次ストレス・テストに基づき、当社に適用されるSCBを決定する。標準的手法に基づくSCBは、(ⅰ)
監督上の深刻な悪化のシナリオにおける、当社の開始時の予想CET1資本比率と最小予想CET1資本比率の差お
よび(ⅱ)計画対象計測期間の第4四半期から第7四半期までの各四半期における当社の予定普通株式配当
金を、リスク・ウェイト資産(「RWA」)に対する割合でパーセント表示したもので計算される。
当社は、2021年4月に、当社の2021年度CCAR資本計画を提出し、2021年6月に、当社の年次DFASTの結果
の概要を公表した。当社が提出した2021年度CCARに基づき、FRBは、当社のSCBを6.6パーセントから6.4パー
セントに引き下げ、これにより標準的CET1資本比率の要件は13.4パーセントとなった。これは、2021年10月
1日から2022年9月30日までの期間にかけて有効となる。普通株式の買戻しおよび配当金に関する詳細につ
いては、下記「株式買戻制度」参照。
GSバンクUSAは独自の資本計画プロセスを有しており、2022年度からは、年次ストレス・テストの結果を
FRBに提出することを要求されることとなる。GSI、GSIBおよびゴールドマン・サックス・バンク・ヨーロッ
パSE(「GSBE」)も、それぞれ独自の資本計画およびストレス・テスト・プロセスを有している。これらに
は、それぞれの規制当局によるガイドラインに従い作成された、内部で策定したストレス・テストが組み込
まれている。
65/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
緊急時資本計画
当社は、当社の総合的な資本管理方針の一環として、緊急時資本計画を維持している。当社の緊急時資本
計画は、認識された、または実際の資本不足を分析し、これに対処するための枠組を定めている。これに
は、資本不足の原因を特定することのほか、その緩和策および潜在的な方策を見極めることが含まれるが、
これらに限定されない。緊急時資本計画は、危機発生期間中に従うべき適切なコミュニケーション手続(内
部の情報伝達を含む)のほか、外部の利害関係者との適時のコミュニケーションについての概要も定めてい
る。
資本の配分
当社は、当社内部のリスク評価に基づいて、当社の各事業部門における資本の利用状況を評価している
が、これには、当社の関連する規制上の自己資本要件の配分が組み込まれている。かかる規制上の自己資本
要件は、当社の最も拘束力ある資本制約を考慮した当社の帰属株主資本の枠組を用いて配分される。当社の
最も拘束力ある資本制約は、標準的手法によるリスク・ベースの自己資本比率およびレバレッジ比率を含
む、FRBの年次ストレス・テストの結果に基づいている。当社は、毎年1月に、当社の前年度の最終CCAR結
果を反映するため、当社の帰属株主資本の枠組について検討を行い、必要な調整を行っている。
当社は、提出済の2020年度CCARの結果を反映するため、2021年1月1日に帰属株主資本の枠組に対する調
整を行った。調整後の帰属株主資本の枠組では、多額のストレス損失を生み出し、標準的手法によるリス
ク・ウェイトが大きい業務に対してより重点が置かれている。この調整の結果、2020年12月現在の配分と比
較して、当年度の開始時における当社のセグメント間での帰属株主資本の配分には、次のような変更があっ
た。すなわち、帰属株主資本が、アセット・マネジメント業務では約37億ドル増加し、個人および富裕層向
け金融業務では約7億ドル増加した一方で、グローバル・マーケッツ業務の帰属株主資本は約23億ドル減少
し、投資銀行業務では約21億ドル減少した。セグメント別の当社の四半期における平均帰属株主資本につい
ては、上記「セグメント別の資産および業績-セグメント別の業績」参照。
株式買戻制度
当社は、普通株式数の適正水準の維持を目的として、当社の株式買戻制度を活用している。この買戻制度
は、主として通常の公開市場での購入(これには、規則10b5-1号に従って設計された買戻制度および加速型
自社株買いが含まれる場合がある)を通じて行われており、買戻しの金額および時期は、主として、当社の
現在および将来の資本の状況ならびにCCARの一環としてFRBに提出される当社の資本計画によって決定され
る。買戻しの金額および時期は、一般的な市況ならびに当社普通株式の相場価格および取引高により影響を
受ける可能性もある。
66/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
2021年度上半期中、大規模銀行持株会社(「BHC」)は、株式の買戻しおよび普通株式配当金の金額を当
該BHCの過去4四半期における平均純利益の額に制限し、BHCが普通株式配当金を増額することを禁止する、
FRBによるCOVID-19関連の制限の対象となった。これらの制限は、2021年7月1日付で解除された。2021年
度第2四半期中、当社は、普通株式の買戻し10億ドルおよび普通株式配当金441百万ドルを含む合計14.4億
ドルを株主に還元した。当社の資本管理理念に沿って、また、魅力的な資本投下機会を認識して、当社は、
2021年度第2四半期において、株式の買戻しを2021年度第1四半期と比較して減額した。グループ・インク
の取締役会(「取締役会」)は、2021年度第3四半期より、当社の普通株式配当金を1株当たり1.25ドルか
ら2.00ドルへ増額することを承認した。当社は引き続き、魅力的な利益を生み出す当社の事業に対して資金
を投じるつもりである。
2021年6月現在、当社の既存の買戻制度に基づき承認された株式買戻枠の残数は、38.1百万株であった。
当社の株式買戻制度に関する詳細については、連結財務書類注記19参照。また、当社の資本計画およびスト
レス・テスト・プロセスに関する情報については、上記参照。
破綻処理資金モデル
当社は、自らの破綻処理計画に関する取組に関連して、破綻処理資金の充実・調整の枠組を設定した。こ
れは、当社の主要な子会社(GSバンクUSA、ゴールドマン・サックス・アンド・カンパニー・エルエルシー
(「GS&Co.」)、GSI、GSIB、GSBE、ゴールドマン・サックス証券株式会社(「GSJCL」)、ゴールドマ
ン・サックス・アセット・マネジメント・エル・ピーおよびゴールドマン・サックス・アセット・マネジメ
ント・インターナショナル)に(株式、劣後債および優先無担保債の形で)十分な損失吸収能力を具備さ
せ、仮にグループ・インクが破産手続開始を申し立てた場合に、これらの会社が当社の優先的破綻処理戦略
に沿って段階的縮小を行うことができるようにすることを狙いとしている。
また、当社は、トリガーおよびアラートの枠組を設定した。これは、グループ・インクに係る破産手続開
始申立の是非および時期について、十分な情報に基づいた決定を行うために必要な情報を取締役会に提供す
ることを狙いとしている。
格付機関のガイドライン
信用格付機関は、グループ・インクの債券に対して信用格付を付与している。グループ・インクは、当社の
優先無担保債券のほぼすべてを直接的に発行または保証している。GS&Co.およびGSIは、一定の信用格付機関
によって長期および短期の発行体格付を付与されている。GSバンクUSA、GSIBおよびGSBEも、長期および短期
の発行体格付のほか、各々の長期および短期銀行預金の格付を付与されている。また、信用格付機関は、グ
ループ・インクの一定のその他の子会社の債券についても格付を付与している。
67/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社の信用格付の決定に際しては、当社の自己資本の水準および構成をはじめとする多数の要因が考慮され
る。各機関は、それぞれ独自の適格資本の定義および自己資本比率の判断方法を有しており、評価を実施する
際には、一般的に単一の計算方法によることなく、複数の要素を組み合わせて行う。グループ・インク、GSバ
ンクUSA、GSIB、GSBE、GS&Co.およびGSIの信用格付に関する詳細については、下記「リスク管理-流動性リ
スク管理-信用格付」参照。
連結ベースの規制上の自己資本
当社は、FRBの規制(「自己資本規制の枠組」)に従い算出される、連結ベースの規制上の自己資本要件の
対象となっている。自己資本規制の枠組に基づき、当社は、「先進的手法を採用する」金融機関とされてお
り、グローバルなシステム上重要な銀行(「G-SIB」)に指定されている。
自己資本規制の枠組に基づき算出される自己資本要件は、資本保全バッファー要件を含むものである。これ
は、2.5パーセントのバッファー(先進的自己資本規則に基づくもの)、SCB(標準的自己資本規則に基づくも
の)、カウンターシクリカル資本バッファー(上記双方の資本規則に基づくもの)およびG-SIBサーチャージ
(上記双方の資本規則に基づくもの)から成る。2021年度および2022年度における当社のG-SIBサーチャージ
は、2.5パーセントである。当社は、2023年度以降の当社のG-SIBサーチャージは3.0パーセントになると予想
している。2021年6月に終了した6ヶ月間の財務データに基づくと、当社の現在の見積りでは、当社は3.5
パーセントのG-SIBサーチャージの基準を超過している。このサーチャージが有効となるのは、最も早くて
2024年1月である。将来におけるG-SIBサーチャージおよびカウンターシクリカル資本バッファーは、当社の
規制当局からのさらなるガイダンスおよび/またはポジションの変化により、異なるものとなる可能性があ
り、当社のSCBは、監督上の年次ストレス・テストの結果に基づき年度ごとに変更される可能性が高い。当社
が以前公表した戦略的取組の実施および資本効率の実現に基づき、当社が目標とする標準的CET1資本比率は、
引き続き13.0パーセントから13.5パーセント(経営バッファーを含む)の間である。しかし、当社が提出済の
2021年度CCARに基づく当社の直近のSCBに鑑みると、2022年度末までにこの目標を達成することは困難であろ
う。
当社のリスク・ベースの自己資本比率およびレバレッジ比率、ならびに自己資本規制の枠組に関する詳細に
ついては、連結財務書類注記20参照。
総損失吸収能力(「TLAC」)
当社は、FRBによるTLACおよび関連する要件の対象にもなっている。TLACおよび関連する要件を充足するこ
とができない場合は、FRBによって制限が課されるおそれがあるほか、株式の買戻し、配当金の支払および一
定の裁量報酬の支払を行う当社の能力が制限されるおそれがある。
下表は、TLACおよび外部長期債務の要件を示したものである。
2021 年6月現在 2020年12月現在
RWAに対するTLACの割合 21.5 % 22.0 %
レバレッジ・エクスポージャーに対するTLACの割合 9.5 % 9.5 %
RWAに対する外部長期債務の割合 8.5 % 8.5 %
レバレッジ・エクスポージャーに対する外部長期債務の割合 4.5 % 4.5 %
68/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
上表において、
・2021年6月現在および2020年12月現在のいずれも、RWAに対するTLACの割合の要件には、(ⅰ)18パーセ
ントの最小要件、(ⅱ)2.5パーセントのバッファー、(ⅲ)FRBが0パーセントに設定したカウンターシ
クリカル資本バッファー、および(ⅳ)G-SIBサーチャージ(手法1)が含まれていた。G-SIBサーチャー
ジ(手法1)は、2021年6月現在で1.0パーセント、2020年12月現在で1.5パーセントであった。
・レバレッジ・エクスポージャーに対するTLACの割合の要件には、(ⅰ)7.5パーセントの最小要件、およ
び(ⅱ)2.0パーセントのレバレッジ・エクスポージャー・バッファーが含まれている。
・RWAに対する外部長期債務の割合の要件には、(ⅰ)6パーセントの最小要件、および(ⅱ)2.5パーセン
トのG-SIBサーチャージ(手法2)が含まれている。
・レバレッジ・エクスポージャー合計に対する外部長期債務の割合は、最小4.5パーセントである。
下表は、当社のTLACおよび外部長期債務の比率に関する情報を示したものである。
2021 年6月に 2020年12月に
終了した3ヶ月間 終了した3ヶ月間
または または
( 単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020年12月現在
TLAC 277,114 242,730
外部長期債務 164,500 139,200
RWA 667,143 609,750
レバレッジ・エクスポージャー 1,777,441 1,332,937
RWAに対するTLACの割合 41.5 % 39.8 %
レバレッジ・エクスポージャーに対するTLACの割合 15.6 % 18.2 %
RWAに対する外部長期債務の割合 24.7 % 22.8 %
レバレッジ・エクスポージャーに対する外部長期債務の割合 9.3 % 10.4 %
69/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
上表において、
・TLACには、グループ・インクが発行した普通株式および優先株式、ならびに適格長期債務が含まれる。適
格長期債務は、無担保債務のうち、満期までの残存期間が1年以上であり、かつ、いくつかの追加要件を
充足するものを示している。
・外部長期債務は、適格長期債務のうち、その返済期限が1年から2年の間に到来する場合にヘアカットの
対象となるもので構成される。
・RWAは、2021年6月現在および2020年12月現在のいずれも、先進的手法によるRWAを示している。TLAC規則
に従い、先進的手法によるRWAと標準的手法によるRWAのいずれか大きい方が、TLACおよび外部長期債務の
諸比率ならびに適用ある要件の計算において用いられる。
・レバレッジ・エクスポージャーは、平均調整後総資産および一定のオフバランスシート・エクスポー
ジャーで構成される。暫定的改正に基づきFRBが認めた米国財務省証券の平均保有分および連邦準備銀行
における平均預金は、レバレッジ・エクスポージャーから除外されている。この暫定的改正は、レバレッ
ジ・エクスポージャーに対するTLACの割合およびレバレッジに対する外部長期債務の割合を上昇させる効
果があった。この暫定的改正の影響により、2020年12月に終了した3ヶ月間において、レバレッジ・エク
スポージャーに対するTLACの割合が2.4ポイント、レバレッジ・エクスポージャーに対する外部長期債務
の割合が1.3ポイント上昇した。この除外を認める改正は、2021年4月1日付で失効し、その結果、2021
年6月に終了した3ヶ月間のレバレッジ・エクスポージャーに対するTLACおよび外部長期債務の割合は、
当該資産の保有分を除外するという暫定的改正の影響を反映したものではなかった。
TLACに関する詳細については、有価証券報告書第一部第2 3「事業の内容-規制」参照。
子会社に適用される自己資本要件
当社の銀行子会社やブローカー・ディーラー子会社を含む、当社子会社の多くは、当該子会社が営業活動を
行っている各法域において、別途の規制および自己資本要件の対象となっている。
銀行子会社
GSバンクUSAは、当社の米国における主要な銀行子会社であり、GSIBおよびGSBEは、当社の米国外におけ
る主要な銀行子会社である。これらの事業体は、規制上の自己資本要件の対象となっている。当社の銀行子
会社の規制上の自己資本要件に関する詳細については、連結財務書類注記20参照。
70/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
米国における規制対象ブローカー・ディーラー子会社
GS&Co.は、当社の米国における主要な規制対象ブローカー・ディーラー子会社であり、SECおよび金融取
引業規制機構により課されるものを含め、規制上の自己資本要件の対象となっている。また、GS&Co.は、
登録先物取次業者であり、CFTC(米国商品先物取引委員会)、シカゴ・マーカンタイル取引所および全米先
物協会により課される規制上の自己資本要件の対象となっている。SECの規則15c3-1号およびCFTCの規則
1.17号は、その登録業者について、それらが定義するところの統一された最小自己資本要件を定めており、
また登録業者の資産の相当部分が比較的流動性の高い形で維持されることを事実上要求している。GS&Co.
は、規則15c3-1号により許容されるところに従い、「代替的自己資本規制」に基づいて自らの最小自己資本
要件を計算することを選択している。
GS&Co.は、規則15c3-1号に定義される規制上の自己資本を2021年6月現在で199.6億ドル、2020年12月現
在で223.8億ドル有していたが、これらの額は要求額を、2021年6月現在で157.6億ドル、2020年12月現在で
184.5億ドル上回っていた。GS&Co.は、その代替的最小自己資本規制に加え、規則15c3-1号の添付書類Eの
市場リスクおよび信用リスクの基準に従い、10億ドルを上回る暫定的自己資本および500百万ドルを上回る
自己資本を保有することも要求されている。GS&Co.は、その暫定的自己資本が50億ドル未満となった場合
には、SECに通知することも要求されている。GS&Co.は、2021年6月現在および2020年12月現在のいずれに
おいても、最小要件と通知要件の双方を上回る暫定的自己資本および自己資本を有していた。
米国外における規制対象ブローカー・ディーラー子会社
当社の米国外における主要な規制対象ブローカー・ディーラー子会社には、GSIおよびGSJCLが含まれる。
当社の英国におけるブローカー・ディーラーであるGSIは、健全性監督機構(「PRA」)および金融行為監
督機構(「FCA」)の規制対象となっている。GSIは、英国における自己資本規制の枠組(かかる枠組は、大
部分が、改正されたEU資本要求指令(「CRD」)およびEU自己資本規制(「CRR」)において規定されている
EUにおける自己資本規制の枠組に沿ったものである)に服している。これらの自己資本規制は、バーゼル銀
行監督委員会(「バーゼル委員会」)による国際的な自己資本比率水準を強化した自己資本規制の枠組
(「バーゼル3」)に概ね基づいている。
下表は、GSIのリスク・ベースの自己資本要件を示したものである。
2021 年6月現在 2020年12月現在
リスク・ベースの自己資本要件
CET1資本比率 8.1 % 8.1 %
Tier1資本比率 10.0 % 10.0 %
総自己資本比率 12.5 % 12.5 %
上表において、リスク・ベースの自己資本要件は、PRAから受領した資本ガイダンスを組み込んだもので
あり、将来的に変更される可能性がある。
71/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
下表は、GSIのリスク・ベースの自己資本比率に関する情報を示したものである。
( 単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020年12月現在
リスク・ベースの自己資本およびリスク・ウェイト資産
CET1資本 27,724 26,962
Tier1資本 36,024 35,262
Tier2資本 5,377 5,377
総自己資本 41,401 40,639
RWA 261,344 252,355
リスク・ベースの自己資本比率
CET1資本比率 10.6 % 10.7 %
Tier1資本比率 13.8 % 14.0 %
総自己資本比率 15.8 % 16.1 %
上表において、2021年6月現在のCET1資本、Tier1資本および総自己資本には、2021年6月に終了した
3ヶ月間における予見可能費用控除後のGSIの利益(これは、当該利益をリスク・ベースの自己資本に含め
ることにつき、GSIの外部監査人による検証およびPRAによる承認を受けて確定される)が含まれている。こ
れらの利益は、リスク・ベースの自己資本比率に対して、約17ベーシス・ポイント寄与した。
GSIは、2022年1月に発効予定であり、EUにおける自己資本規制の枠組の3パーセントの最低レバレッジ
比率要件と類似した、PRAによるレバレッジ比率の要件の対象となる予定である。GSIのレバレッジ比率は、
2021年6月現在で4.2パーセント、2020年12月現在で4.7パーセントであった。2021年6月現在のTier1資本
には、2021年6月に終了した3ヶ月間における予見可能費用控除後のGSIの利益(これは、当該利益をリス
ク・ベースの自己資本に含めることにつき、GSIの外部監査人による検証およびPRAによる承認を受けて確定
される)が含まれている。これらの利益は、レバレッジ比率に対して、約5ベーシス・ポイント寄与した。
このレバレッジ比率は、同規則についての当社の現時点における解釈および理解に基づいており、英国にお
けるレバレッジ比率規制の枠組の解釈および適用に関する当社とGSIの規制当局との協議次第で変更される
可能性がある。
GSIは、関連会社向けに発行される自己資本および適格債務の最低基準の対象にもなっている。同基準
は、2019年1月から段階的に導入が開始された移行期間を経て、2022年1月より完全に発効する予定であ
る。2021年6月現在および2020年12月現在のいずれにおいても、GSIはこの基準を満たしていた。
当社の日本におけるブローカー・ディーラーであるGSJCLは、日本の金融庁の規制対象となっている。
GSJCLおよびその他の一定の米国外子会社は、それらが営業活動を行っている国の当局が公布する自己資本
要件の対象にもなっている。これらの子会社は、2021年6月現在および2020年12月現在のいずれにおいて
も、それぞれの現地の自己資本要件を満たしていた。
72/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
規制関連事項およびその他の事項
規制関連事項
当社の事業は、世界中で広範囲にわたる規制および監督の対象となっている。各国の規制当局および政策立
案当局は、規制を導入済みまたは検討中である。新規則および規則案の多くは非常に複雑であるため、当該規
制改革の影響の全容は、規則が実施され、最終的な規制の下で市場慣行が発展するまでは不明であろう。
当社および当社の営業活動に対して適用される法律、規則および規制、ならびに法案、規則案および規制案
に関する詳細については、有価証券報告書第一部第2 3「事業の内容-規制」参照。
その他の事項
ロンドン銀行間取引金利(「LIBOR」)を含む銀行間取引金利(「IBOR」)の置換
いくつかの主要法域(たとえば、米国、英国、EU、スイスおよび日本)における中央銀行および規制当局
は、IBORに代わる適切な指標を選定し、かかる指標への移行を実施するため、ワーキング・グループを招集
している。2021年3月、FCAおよびインターコンチネンタル取引所ベンチマーク当局は、一定の日本円、英
ポンドおよび米ドルのLIBORと共にすべてのユーロおよびスイスフランのLIBORの公表を2021年12月31日を
もって停止し、最も一般的に使用されている米ドルLIBORの公表を2023年6月30日をもって停止すると発表
した。FCAは、一定期間における、一定の英ポンドおよび日本円のLIBORに係る擬似的レートの公表につい
て、引き続き市場関係者と協議している。2021年4月、ニューヨーク州は、LIBORを担保付翌日物調達金利
(「SOFR」)に基づくベンチマーク・レートへと置き換える法的枠組を定めることにより、ニューヨーク州
法に準拠する契約であって、フォールバック条項がない、またはLIBORに基づくフォールバック条項を有す
る契約に係る法的・経済的不確実性を最小化する法律の制定を承認した。米国連邦金融監督諸機関も、金融
機関に対し、可及的速やかに、ただしいかなる場合においても2021年12月31日までに、新規契約における金
利指標として米ドルLIBORを使用しないことを強く推奨するガイダンスを公表した。
国際スワップ・デリバティブ協会(「ISDA」)の2020年IBORフォールバック・プロトコル(「IBORプロト
コル」)は、2021年1月に発効しており、これは、法的または経済的不確実性を緩和するために、デリバ
ティブ市場参加者に対して旧来のおよび新規のデリバティブ契約に係る修正後のフォールバック条項を提供
するものである。デリバティブ契約において同条項を有効にするためには、双方の当事者がIBORプロトコル
を批准するか、または二者間での修正が合意されなければならない。ISDAは、FCAによる2021年3月の正式
発表によりすべてのLIBORのレートに係るスプレッド調整が確定したこと、および当該条項を組み込んだ既
存のデリバティブ契約については、フォールバック条項が自動的に適用されることを確認した。
73/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社は、当社およびその顧客のために、IBORから代替的リスクフリー指標金利への秩序ある移行を達成す
ることに焦点を当てたプログラムを策定済みであり、また引き続き当社の移行プログラムを進めている。か
かる移行の一環として、当社は引き続き規制当局および顧客と積極的に協働しているほか、中央銀行や業界
のワーキング・グループに積極的に参加している。当社のLIBORに関するリスク・エクスポージャーの大半
は、米ドルLIBORに関するものであり、これは主として、当社のデリバティブ契約ならびに(これよりは影
響が少ないものの)当社の無担保債券、優先株式およびローン・ポートフォリオに関連している。米ドル以
外のLIBORに関しては、当社のリスク・エクスポージャーの実質的にすべてがデリバティブ契約に関するも
のである。当社のデリバティブ契約は、主として、IBORプロトコルを批准する双務契約の取引相手先との
間、またはそのルールブックにIBORプロトコルと一致するフォールバック条項を組み込んでおり、LIBORの
公表停止前にすべてのLIBOR契約を代替的リスクフリー指標金利に移行する予定であることを発表した中央
清算の取引相手先との間で締結されている。当社は引き続き、無担保債券および優先株式に関連する潜在的
な立法上の進展をモニターしており、また秩序ある移行を円滑化するための措置を講じる予定である。当社
はまた、当社のローン契約を二者間での修正によって是正するために当社の顧客と協働している。当社はま
た、SOFRおよびポンド翌日物平均金利(「SONIA」)に連動する債券・預金を発行しており、そしてマー
ケット・メイキングを行い、顧客取引を円滑化するために、SOFRおよびSONIAに基づくデリバティブ契約を
締結している。当社は引き続き、当社による固定利付債券発行のヘッジから生じるLIBORに対する当社のエ
クスポージャーを軽減し、代替的指標金利に対するエクスポージャーと置き換えるための取引を市場におい
て適宜行っている。当社の移行プログラムに関する詳細については、有価証券報告書第一部第3 3(3)
「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析-規制関連事項およびその他の事項-その他の
事項」参照。
COVID-19パンデミックによる影響
2021年度第2四半期中、米国や中国等、包括的ワクチン接種プログラムにより健康および安全に関する制
限が解除された国々において経済回復が大きく勢いを増した。しかしながら、その他の国々は、ワクチンの
配布が遅れ、新たな変異株(とりわけデルタ株)が広がった結果、より厳しい状況に見舞われた。
74/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社は、COVID-19パンデミック発生への対応として当初2020年度第1四半期に事業継続計画(「BCP」)
戦略を始動して以来、引き続きこれを成功裏に実施してきている。当社の優先事項は、当社の社員を保護す
ることおよび当社の顧客のために事業運営の継続性を確保するよう努力することである。当社によるCOVID-
19パンデミックへの事業継続性関連の対応は、当社の最高総務責任者と最高医療責任者が率いる中央チーム
によって管理されている。このチームには、リスク部門の幹部経営陣ならびにすべての地域および事業の首
席業務執行役員が含まれている。COVID-19に関わる状況が地域により異なることを踏まえて、オフィス勤務
に戻るための当社のアプローチは、各拠点の状況に合わせたものとなっており、かつ、かかるアプローチは
各拠点に固有の条件や要件の変化に伴い変更される。2021年度第2四半期中、当社は、ニューヨーク、ダラ
ス、ソルトレイクシティ、香港およびその他の拠点の社員の当社オフィスにおける勤務の再開を正式に歓迎
し、これらのオフィスの社員の約50パーセントは、以降日常的にオフィスにおける勤務を行っている。今後
は、当社が営業を行っている各都市の健康および安全に関するガイドラインに沿って、当社はさらに多くの
拠点の再開を目指す予定である。
当社のシステムおよびインフラは、COVID-19パンデミックの期間を通して強固であり続け、これにより当
社はその活動を中断することなく行うことができている。当社の組織全体にわたるコミュニケーションはパ
ンデミック下においても引き続き活発に行われており、また当社のリスク管理プロセスは引き続き、厳格さ
と規律をもって運用されている。パンデミック発生当初より、当社の人員は当社の顧客とつながりを保ち続
けている。また、当社は、当社のベンダー管理プロセスの一環として、第三者サービス提供者と継続的に対
話を行っている。この対話は、事業継続性に関する当社の基準を第三者サービス提供者が引き続き満たすこ
との確保を目的としている。
2021年度第2四半期中、当社のGCLAが平均で3,290億ドルとなる等、当社は高い流動性水準を維持した。
当社は引き続き、通常はその従来からの資金調達源を利用し、当社の債務その他の義務につき適時に履行を
行っている。2021年度第2四半期中、当社の無担保長期借入金は200億ドル増加した。これは、顧客の需要
および魅力的なリターンの機会がある中、当社の資産合計の拡大を支えるため180億ドルのベンチマーク債
発行を当社が行ったことによるものであった。当社は、ノンバンクの資金調達を要する資産拡大の機会が持
続する場合、かかる発行を継続する予定である。ただし、当社は、2021年度上半期と比較した場合の当社の
発行ペースは緩やかになるものと予想している。詳細については、上記「貸借対照表および資金調達源」お
よび下記「リスク管理-流動性リスク管理」参照。
会計上の見積り(特に信用損失引当金の額および一定のレベル3の資産の公正価値の決定に関連して行わ
れるもの)は、将来の経済状況に関する仮定の影響を受けやすい。今後のパデミックの展開についての不確
実性を踏まえると、経済回復の先行きの予測には高度な判断を要する。なぜなら、かかる予測が、追加的な
ワクチン配布のスピードとその範囲およびデルタ株またはその他の変異株の発生による影響に大きく依存し
ているからである。当社の信用損失引当金に関する詳細については、連結財務書類注記9参照。また、公正
価値の測定に関する詳細については、連結財務書類注記4参照。
75/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
2021年度第2四半期中、金融市場は引き続き発展的であった。また、取引高およびボラティリティは抑え
られたものの、顧客取引は依然として堅調であった。当社は引き続き、当社の貸借対照表を中程度のリスク
に対応するよう展開し、顧客取引をサポートした。2021年度第2四半期の当社の1日の平均バリュー・アッ
ト・リスク(「VaR」)は、2021年度第1四半期と比較して実質的に増減なしであった。当社は、その市場
リスク水準を管理するための積極的なアプローチを継続したが、このアプローチには、エスクポージャーを
継続的に検討およびモニターすること、ならびにリスクの低減方法に焦点を当てることが必然的に伴う。よ
り広範な経済状況の改善の結果、ホスピタリティ業界や航空業界等、ロックダウンによる最も大きな影響を
受けた業界に関連するリスクを含めて、信用リスクは全般的に、パンデミックが最も深刻であったときより
も和らいだ。しかしながら、デルタ株またはその他の変異株がかかる回復を妨げる可能性は存在しており、
当社は、パンデミックの再燃による悪影響を最も受けるであろう業界に対する当社のエクスポージャーを引
き続き注意深くモニターしている。詳細については、下記「リスク管理-市場リスク管理」および「-信用
リスク管理」参照。
COVID-19パンデミックとの闘いは、ワクチンが最初に入手可能となって以降、様々な地域および国々にわ
たり不均衡に進展したものの、グローバル経済の継続的回復に関する楽観性は高いままとなっている。しか
しながら、パンデミックの終焉に向けた進展が失速または後退し、経済状況の低迷が長引いた場合、当社の
事業は悪影響を受けるだろう。このことは、顧客取引の水準や取引相手先および借主の信用力、ならびに当
社のAUSの額等、当社の営業成績にとって重要な要因に悪影響を及ぼすだろう。当社は、様々な地域にわた
るワクチンの接種開始状況のほか、新型コロナウイルスの新たな変異株による影響を引き続き注意深くモニ
ターし、また当社の社員、顧客および取引相手先にとって最善の利益になるよう、必要に応じて追加的な措
置を講じる予定である。COVID-19パンデミックに伴うリスクに関する詳細については、有価証券報告書第一
部第3 2「事業等のリスク」参照。
次へ
76/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
オフバランスシート取引および契約上の債務
オフバランスシート取引
当社は、通常の事業の枠内で様々なオフバランスシート取引を行っている。当社によるこの種の取引は、以
下に挙げるものを含む様々な形態で行われる。
・モーゲージ担保証券およびその他の資産担保証券の証券化ビークル等の、特別目的事業体に対する残余持
分およびその他の持分の購入または保持
・優先・劣後債、リミテッド・パートナーシップ持分およびゼネラル・パートナーシップ持分、ならびにそ
の他の非連結ビークルの優先株式および普通株式の保有
・トータルリターン・スワップを含む、金利、外国為替、株式、コモディティおよび信用デリバティブにつ
いての契約の締結
・保証債務、補償、コミットメント、信用状および表明保証の供与
当社は、証券化を含む様々な事業目的のためにこれらの取引を行っている。モーゲージ、社債およびその他
の種類の金融資産を購入する証券化ビークルは、投資家に対して証券化のプロセスから生じる特定のキャッ
シュ・フローおよびリスクへのアクセスを提供するため、モーゲージ担保証券やその他の資産担保証券の市場
をはじめとするいくつかの重要な投資家市場を機能させるために不可欠である。
当社は、顧客の証券化取引の引受、流通市場への流動性の提供、正常・不良の債権、不良貸出債権、電力関
連資産、株式、不動産およびその他の資産への投資、投資家に対するクレジットリンク債および資産リパッ
ケージ債の提供、ならびに証拠金要件の充足および清算・決済手続の円滑化のための信用状の授受を行う。
下表は、当社の様々なオフバランスシート取引に関する情報についての本書の記載箇所を示したものであ
る。また、当社の連結方針に関する情報については、連結財務書類注記3参照。
オフバランスシート取引 本書の記載箇所
非連結変動持分事業体(「VIE」)に対
する変動持分から生じる変動持分および 連結財務書類注記17
その他の債務(偶発債務を含む)
保証債務、信用状ならびに貸付およびそ
連結財務書類注記18
の他のコミットメント
下記「リスク管理-信用リスク管理-信用エクスポー
デリバティブ ジャー-店頭デリバティブ」ならびに連結財務書類注記
4、5、7および18
77/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
契約上の債務
当社は、将来的に現金の支払を要する一定の契約上の債務を有している。かかる契約上の債務には、当社の
定期預金、担保付長期借入金、無担保長期借入金、金利の支払およびオペレーティング・リース料の支払が含
まれる。
当社の将来の現金支払債務には、オフバランスシート取引に関する当社のコミットメントおよび保証債務も
含まれているが、それらは下表から除外されている。かかるコミットメントおよび保証債務に関する詳細につ
いては、連結財務書類注記18参照。
最終的に支払うべき時期およびその金額が不確定であることから、未認識の税務上の効果に対する当社の債
務は下表から除外されている。当社の未認識の税務上の効果に関する詳細については、連結財務書類注記24参
照。
下表は、当社の契約上の債務を種類別に示したものである。
(単位:百万ドル) 2021年6月現在 2020年12月現在
定期預金 22,111 26,433
借入金:
担保付長期 12,185 12,537
無担保長期 238,930 213,481
金利の支払 45,536 44,073
オペレーティング・リース料の支払 3,075 3,268
下表は、当社の契約上の債務を満期別に示したものである。
2021年6月現在
2021年度の 2022年度 2024年度
(単位:百万ドル) 残りの期間中 -2023年度 -2025年度 2026年度以降
定期預金 - 12,089 6,606 3,416
借入金:
担保付長期 - 6,405 2,531 3,249
無担保長期 - 52,149 57,395 129,386
金利の支払 2,650 10,271 7,829 24,786
オペレーティング・リース料の支払 162 605 501 1,807
78/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
上表において、
・当社決算日から1年以内に期日の到来する債務または債権者のオプションにより当社決算日から1年以内
に償還可能な債務は除外されている。これは、それらが短期債務として扱われているためである。当社の
短期借入金に関する詳細については、連結財務書類注記14参照。
・当社のオプションにより期日前に返済可能な債務は、契約上の満期日で反映されている。債権者のオプ
ションにより期日前に償還可能な債務は、かかるオプションが最も早く行使可能となる日付で反映されて
いる。
・2021年6月現在、無担保長期借入金は、満期は最長で2065年度末であり、主に優先借入金で構成され、
ヘッジ会計の適用の結果生じた一定の無担保長期借入金の帳簿価額の調整84.3億ドルを含んでいた。当社
の無担保長期借入金に関する詳細については、連結財務書類注記14参照。
・2021年6月現在、長期その他担保付借入金の契約上の元本総額と関連する公正価値(公正価値オプション
が選択されている)の差額は、重要ではなかった。
・2021年6月現在、公正価値オプションが選択された無担保長期借入金の公正価値は、関連する契約上の元
本総額を298百万ドル上回った。
・金利の支払は、2021年6月現在の適用金利に基づく無担保長期借入金、担保付長期借入金および定期預金
に関連した将来の約定金利の支払の見積りを示しており、仕組債に記載のクーポン(もしあれば)を含ん
でいる。
・オペレーティング・リース料の支払は、事務所スペースのリース契約を含んでおり、これらの期限は2069
年度末までに順次到来する。これらのリース契約の中には、固定資産税等の経費の増加に応じて定期的な
エスカレーションが行われる条項が付されているものもある。当社のオペレーティング・リース負債に関
する詳細については、連結財務書類注記15参照。
リスク管理
リスクは、当社の事業に内在するものであり、これには流動性リスク、市場リスク、信用リスク、オペレー
ションリスク、モデルリスク、法務リスク、コンプライアンスリスク、コンダクトリスク、規制上のリスクおよ
び評判リスクが含まれる。当社のリスクには、当社のリスクのカテゴリー、地域または世界中の事業全般にわた
るリスク、ならびに不確実な結果をもたらし、当社の財務成績、流動性および社会的評価に対して重大な影響を
及ぼす可能性があるリスクが含まれている。当社のリスク管理プロセスに関する詳細については、下記「リスク
管理の概要および体制」参照。また、当社のリスク分野に関する情報については、下記「流動性リスク管理」、
「市場リスク管理」、「信用リスク管理」、「オペレーションリスク管理」および「モデルリスク管理」ならび
に有価証券報告書第一部第3 2「事業等のリスク」参照。
79/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
リスク管理の概要および体制
概要
当社は、当社が成功するためには、効果的なリスク管理が非常に重要であると考えている。そのため当社
は、エンタープライズリスク管理の枠組を設定している。この枠組は、リスク管理に対し包括的かつ統合的な
アプローチを用い、また当社による業務遂行に伴う当社のリスクの特定、評価、モニタリングおよび管理を行
うための包括的なリスク管理プロセスを実現できるように設計されている。当社のリスク管理の体制は、ガバ
ナンス、プロセスおよび人員の3つの核となる要素を中心に構築されている。
ガバナンス
リスク管理ガバナンスは、取締役会を出発点としている。取締役会は、直接的に、またリスク委員会を含
む諸委員会を通じて、エンタープライズリスク管理の枠組を通じて実施される当社のリスク管理の方針およ
び実務を監督している。取締役会はまた、年に1度、当社のリスク選好度に関する記述を検討および承認す
る責任を負っている。リスク選好度に関する記述は、規制上の要件を遵守しつつその戦略的事業計画に記載
されている目標を達成するために、当社が許容することをいとわない、または回避するリスクのレベルおよ
び種類を記載している。取締役会は、当社の戦略的事業計画を検討し、かつ、当社の戦略およびリスク選好
度を監督し、それらに関する指示を与える最終的な責任を負っている。
取締役会は、首席リスク担当役員をはじめとする当社の独立したリスク監督・統制部門から流動性リス
ク、市場リスク、信用リスク、オペレーションリスクおよびモデルリスクを含むファームワイドなリスクに
関する定期的な報告を、コンプライアンス部門からコンプライアンスリスクおよびコンダクトリスクに関す
る定期的な報告を、首席法務担当役員から法的および規制上の施行関連事項に関する定期的な報告を、ま
た、当社のファームワイド顧客およびビジネス・スタンダード委員会ならびにファームワイド評判リスク委
員会の委員長から、当社の社会的評価に影響を及ぼすその他の事項に関する定期的な報告を受けている。首
席リスク担当役員は、当社の首席経営執行役員および取締役会のリスク委員会に報告を行っている。首席リ
スク担当役員は、ファームワイドなリスクポートフォリオの検討の一環として、取締役会のリスク委員会に
対して、当社のリスク選好度に関する記述に定めるリスクの限度額および基準を含む、該当するリスク測定
指標および重大なエクスポージャーについての助言を定期的に行っている。
当社のリスク・ガバナンス体制および中核的なリスク管理プロセスの実施は、エンタープライズリスク部
門により監督される。エンタープライズリスク部門は、当社の首席リスク担当役員に報告を行っており、ま
た当社のエンタープライズリスク管理の枠組によって、当社が負う様々なリスクを当社のリスク選好度と一
致した方法で管理するための一貫性のある統合的アプローチを、取締役会、当社のリスク関連の諸委員会お
よび幹部経営陣に対して確実に提供する責任を負っている。
80/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社の収益創出部門のほか、トレジャリー、エンジニアリング部門、人材管理部門、オペレーション部門
およびコーポレート・アンド・ワークプレース・ソリューション部門は、当社の第1の防衛線とみなされて
いる。これらは、当社のリスクを伴う活動の結果について、ならびに当社のリスク選好度の範囲内における
かかるリスクの評価および管理について説明責任を負っている。
当社の独立したリスク監督・統制部門は、当社の第2の防衛線とみなされ、当社の第1の防衛線が取った
リスクについての独立した評価、監督および説明要求を行うほか、リスク関連の諸委員会を率い、これらに
参画している。独立したリスク監督・統制部門には、コンプライアンス部門、利益相反解決部門、コント
ローラーズ、法務部門、リスク部門および税務部門が含まれている。
内部監査部門は当社の第3の防衛線とみなされ、当社の内部監査ディレクターは、取締役会の監査委員会
に報告を行っており、また、当社の首席経営執行役員に対して管理上の報告を行っている。内部監査部門に
は、リスク管理に関する専門性をはじめとする、広範な監査および業界における経験を有する専門家職員が
含まれている。内部監査部門は、リスク管理の枠組内のものを含む主要な統制の有効性を独自に評価および
検証し、取締役会の監査委員会、幹部経営陣および規制当局に対して適時に報告を行う責任を負っている。
3つの防衛線による体制は、第1線のリスク・テイカーの説明責任を強化し、第2線による効果的な説明
要求のための枠組を提供し、第3線による独立した審査を可能とするものである。
プロセス
当社は、(ⅰ)リスクの特定および評価、(ⅱ)リスク選好度、限度額および基準の設定、(ⅲ)リスク
の報告およびモニタリング、ならびに(ⅳ)リスクに関する意思決定を含む、当社のリスク管理の枠組に不
可欠な要素である様々なプロセスを維持している。
・リスクの特定および評価
当社は、そのリスクを特定し、評価することが、当社の取締役会および幹部経営陣に対し当社のリスク
の範囲および重要性に関する透明性や知見を与えるために不可欠な手順であると考えている。当社は、包
括的なデータ収集プロセスを備えており、これには、リスク事由を報告および上申することを全社員に対
して義務付けるファームワイドな方針および手続が含まれている。当社によるリスクの特定および評価の
手法は、包括的にあらゆるリスクの種類にわたったものであり、当社の変化し続けるリスク・プロファイ
ルおよび事業環境を反映しつつそれに適合する積極的かつフォワード・ルッキングなものであり、対象事
項に係る専門性を活用しており、かつ、当社にとって最も重要性が高いリスクの優先順位付けを可能とす
るものである。
81/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社のリスクの効果的な評価のため、当社は、当社のトレーディング商品の実質的にすべてについての
日々の値洗い作業を持続的に行っている。当社は、そのトレーディング商品を公正価値で保有しており、
その評価額の変動は、当社のリスク管理システムおよび純収益に直ちに反映される。当社では、かかる作
業がリスクの評価および管理の最も効果的な手段の1つであり、当社のトレーディング商品エクスポー
ジャーを明確かつ現実的に捉えることを可能にすると考えているために、この値洗い作業を行っている。
ファームワイドなストレス・テストは、当社のリスク管理プロセスの重要な一部である。ファームワイ
ドなストレス・テストにより、当社がテールリスクに対する当社のエクスポージャーを定量化し、潜在的
な損失の集中に着目し、リスク・リターン分析を行い、そして当社のリスク・ポジションを評価し、低減
させることが可能となる。ファームワイドなストレス・テストは、定期的に実施されており、財務および
非財務リスク(信用リスク、市場リスク、流動性リスクおよび資金調達リスク、オペレーションリスクお
よびコンプライアンスリスク、戦略的リスク、システミックリスクならびに新興リスクを含むが、これら
に限定されない)を組み合わせて1つの結合シナリオとし、当社の脆弱性および当社特有のリスクの包括
的分析を確実に行えるよう設計されている。当社はまた、市場での事象または市況を見込んで臨時のスト
レス・テストを実施している。ストレス・テストは、当社の資本計画およびストレス・テスト・プロセス
の一環として自己資本比率を評価するためにも用いられる。詳細については、上記「自己資本管理および
規制上の自己資本-自己資本管理」参照。
・リスク選好度、限度額および基準の設定
当社は、取引、商品、事業および市場全般にわたるリスクを管理およびモニターするため、厳格な限度
額および基準の枠組を適用している。取締役会は、直接的に、またはそのリスク委員会を通じて間接的
に、当社のリスク選好度に関する記述に記載されるファームワイドレベル、事業レベルおよび商品レベル
の限度額および基準を承認する。また、ファームワイド・エンタープライズリスク委員会は、取締役会の
リスク委員会により承認される全体的な限度額の範囲内で、当社のリスク限度額の枠組を承認し、かつ、
これらの限度額をモニターする責任を負っている。
リスク・ガバナンス委員会は、ファームワイドレベル、事業レベルおよび商品レベルの限度額を承認す
る責任を負っている。一定の限度額は、当社の最大リスク選好度を反映した水準ではなく、定期的な調整
を必要とする水準に設定される。これにより、当社の第1および第2の防衛線、諸委員会ならびに幹部経
営陣の間のリスクに関する進行中の協議の促進のほか、リスク関連事項についての迅速な上申の促進がな
される。さらに、市場リスク部門は、リスク・ガバナンス委員会より委譲された権限を通じて、一定の商
品およびデスクのレベルで限度額を設定し、また信用リスク部門は、個々の取引相手先、取引相手先およ
びその子会社、業界ならびに国に関する限度額を設定する。限度額は定期的に検討され、変化を続ける市
況、事業の状況またはリスク許容度を反映するため、恒久的または臨時的に改正される。
82/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
・リスクの報告およびモニタリング
リスクに関する効果的な報告および意思決定は、適時に適切な人員に適切な情報を伝達する当社の能力
に依拠している。そのため、当社は、そのリスク管理技術のシステムによって完全で正確な情報が適時に
当社に提供されることを確保することを目標に、当社のリスクシステムの厳密性および有効性に重点を置
いている。当社のリスクの報告およびモニタリングのプロセスは、既存のリスクと新興リスクの双方に関
する情報を考慮するよう設計されており、これにより当社のリスク関連の諸委員会および幹部経営陣は、
リスク・エクスポージャーに対する適切な水準の知見をもってその責務を果たすことが可能となってい
る。さらには、限度額および基準違反に関する当社のプロセスは、適時に上申を行うための手段を提供し
ている。当社は、事業構成または当社が営業活動を行う法域の変化を含む、当社のリスク・プロファイル
および当社の事業の変化を、ファームワイドレベルでリスク要因をモニターすることにより評価してい
る。
・リスクに関する意思決定
当社のガバナンス体制は、リスク管理問題に関する意思決定の手続および責任を定め、かかる決定の実
行を確実にするものである。当社は、リスク関連の諸委員会を幅広く活用しているが、これらの委員会
は、定期的に会合を開いており、リスクの管理および低減に向けて進行中の協議を推進・発展させる重要
な手段となっている。
当社は、リスクに関して連絡を密に、かつ積極的に行っており、当社の第1および第2の防衛線、諸委
員会ならびに幹部経営陣が協力して意思決定を行う文化を有している。当社の第1の防衛線は、自らのリ
スク管理について責任を負っているが、当社は、強力な監視体制および適切な職務分掌を確保するため、
当社の第2の防衛線に多大なリソースを投入している。当社は、当社のあらゆる部門にわたる上申および
説明責任の強固な文化を定期的に補強している。
人員
どんなに高度なテクノロジーも、当社が取るリスクに関して十分な情報を得た上でリアルタイムに決断を
下すための補助手段としかならない。最終的には、効果的なリスク管理のためには、当社の人員が継続的か
つ適時に当社のリスクに関するデータを解釈し、それに応じてリスク・ポジションの調整を行うことが必要
となる。当社の専門家職員の経験および各リスクの指標の微妙な差異や限界についての理解は、当社がエク
スポージャーを評価し、これを健全な水準に維持する上での指針となっている。
83/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社は、当社のリスク選好度と一致する効果的なリスク管理の文化を、当社の教育・開発プログラムのほ
か、当社が業績を査定し、そして当社の人員を評価しそれらに報奨を与える方法において強化している。当
社の最上級シニア・リーダー主導の一定のセッションを含む当社の教育・開発プログラムは、リスク管理、
顧客との関係および卓越した社会的評価の重要性に重点を置いている。当社の業績検討プロセスの一環とし
て、当社は、社員がどのように優れたリスク管理および社会的評価の判断を行い、また当社の行動規範およ
びコンプライアンス方針を厳守しているかを含む社会的評価面での卓越性を評価している。当社の検討およ
び報奨のプロセスは、振る舞いと人員がどのように評価されるかという点との関連性、当社の顧客および社
会的評価に重点を置く必要性、ならびに常に当社の最高基準に従い行動することの必要性を、当社の専門家
職員に伝え、かつこれらを強化するように設計されている。
体制
リスクの最終的な監督責任は、当社の取締役会が負っている。取締役会は、直接的に、またリスク委員会を
含む諸委員会を通じて、リスクを監督している。当社は、特定のリスク管理権限を有する一連の委員会を有し
ており、これらはリスク管理の取組について監督または意思決定を行う責任を負っている。委員会は、通常、
当社の第1と第2の双方の防衛線のシニア・マネージャーで構成される。当社は、これらの委員会が適切な情
報障壁を設置していることを確保するための手続を整備した。当社の主要なリスク関連の諸委員会については
以下に記載するが、これらの大部分が追加的な小委員会、協議会またはワーキング・グループを有している。
当社は、これらの委員会に加え、様々な事業、活動、商品、地域および事業体の監督を行うその他のリスク関
連の諸委員会を有している。当社の委員会すべてが、これらの委員会が監督している取引および活動が当社の
社会的評価に及ぼす影響を検討する責任を負っている。
当社のリスク関連の諸委員会の構成は、定期的に見直され、委員の責任の変更を反映するために更新され
る。そのため、各委員会の委員の任期は、委員会委員長の決定および委員の責任に基づいて異なる。
下図は、当社のリスク管理に関するガバナンス体制の概要を示したものである。
84/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
経営委員会
経営委員会は、当社の世界各国での活動を監督している。同委員会は、かかる監督を直接的に、また同委
員会が設立した諸委員会への権限委譲を通じて行っている。同委員会は、当社の最上級シニア・リーダーで
構成されており、その委員長は、当社の首席経営執行役員が務めている。経営委員会の委員の大部分は、他
の委員会の委員も兼務している。以下に示す委員会は、主にファームワイドなリスク管理に従事している。
ファームワイド・エンタープライズリスク委員会
ファームワイド・エンタープライズリスク委員会は、当社のあらゆる財務リスクおよび非財務リスクの監
督について責任を負っている。同委員会は、かかる監督の一環として、当社のエンタープライズリスク管理
の枠組のほか、当社のリスク限度額の枠組の継続的検討、承認およびモニタリングについて責任を負ってい
る。同委員会の委員長は、当社の首席経営執行役員により委員長に任命された、当社の首席財務執行役員お
よび当社の首席リスク担当役員が共同で務めており、同委員会は、経営委員会に報告を行っている。ファー
ムワイド・エンタープライズリスク委員会に報告を行っている主な委員会または協議会は、以下のとおりで
ある。
・ファームワイド・リスク協議会
ファームワイド・リスク協議会は、該当する財務リスクおよび関連するリスク限度額のファームワイド
レベル、事業レベルおよび商品レベルでの継続的なモニタリングについて責任を負っている。同協議会の
議長は、ファームワイド・エンタープライズリスク委員会の委員長が共同で務めている。
・ファームワイド新規業務委員会
ファームワイド新規業務委員会は、新規業務の審査を行う責任、そして過去に承認された業務で、重要
であり、かつ、その複雑性および/もしくは構造が変化し、または社会的評価や適合性に係る懸念事項が
時間の経過と共に変化したものを特定し、審査するためのプロセスを構築し、これらの業務が引き続き適
切であるか否かを検討する責任を負っている。同委員会の委員長は、ファームワイド・エンタープライズ
リスク委員会の委員長により委員長に任命された、コントローラーおよび首席財務統括役員、ならびにグ
ローバル・マーケッツ業務部門のオペレーションおよびプラットフォーム・エンジニアリングのヘッドが
共同で務めている。
85/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
・ファームワイド・オペレーションリスクおよびレジリエンス委員会
ファームワイド・オペレーションリスクおよびレジリエンス委員会は、オペレーションリスクの監督な
らびに当社のビジネスレジリエンスおよびオペレーションレジリエンスの確保について責任を負ってい
る。ファームワイド・オペレーションリスクおよびレジリエンス委員会の権限の行使を支援するため、サ
イバーセキュリティ関連事項を含む技術関連のリスクを専門に監督する他のリスク関連の諸委員会が、
ファームワイド・オペレーションリスクおよびレジリエンス委員会に報告を行っている。同委員会の委員
長は、ファームワイド・エンタープライズリスク委員会の委員長により委員長に任命された、当社の最高
総務責任者および副首席リスク担当役員が共同で務めている。
・ファームワイド・コンダクト委員会
ファームワイド・コンダクト委員会は、当社のコンダクトリスクを管理する枠組および方針の継続的な
承認およびモニタリングについて責任を負っている。コンダクトリスクとは、当社の人員が当社の経営理
念および関連する基本的価値観、方針もしくは規範、または適用ある法令と一致しない行動をとり、その
結果、当社、当社の顧客、同僚、他の市場参加者またはより広い地域社会に対する責任を果たすことがで
きなくなるリスクをいう。同委員会の委員長は、ファームワイド・エンタープライズリスク委員会の委員
長により委員長に任命された、当社の首席法務担当役員が務めている。
・リスク・ガバナンス委員会
リスク・ガバナンス委員会は(ファームワイド・エンタープライズリスク委員会より委譲された権限を
通じて)、ファームワイドレベル、事業レベルおよび商品レベルでの当社の中核的なリスク管理プロセス
に関連するリスク枠組、方針およびパラメーター、ならびに限度額の継続的な承認およびモニタリングに
ついて責任を負っている。また、同委員会は、ストレス・テストおよびシナリオ分析の結果の検討を行
う。リスク・ガバナンス委員会の権限の行使を支援するため、ストレス・テスト、モデルリスクおよびボ
ルカー・ルールの遵守を専門に監督する複数の他のリスク関連の諸委員会が、リスク・ガバナンス委員会
に報告を行っている。同委員会の委員長は、ファームワイド・エンタープライズリスク委員会の委員長に
より委員長に任命された、当社の首席リスク担当役員が務めている。
86/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
ファームワイド顧客およびビジネス・スタンダード委員会
ファームワイド顧客およびビジネス・スタンダード委員会は、当社の顧客との関係、顧客サービスおよび
顧客体験、ならびに関連する業務上の基準のほか、顧客関連の評判に係る事項の監督について責任を負って
いる。同委員会の委員長は、首席経営執行役員により委員長に任命された当社の社長兼首席業務執行役員が
務めており、同委員会は、経営委員会に報告を行っている。同委員会は、取締役会の公的責任委員会に対し
て定期的に最新情報を提供し、その指導を受けている。
以下の委員会は、ファームワイド・エンタープライズリスク委員会ならびにファームワイド顧客およびビ
ジネス・スタンダード委員会に対して共同で報告を行っている。
・ファームワイド評判リスク委員会
ファームワイド評判リスク委員会は、同委員会が策定する基準に基づき、また委員会の指導によって決
定されたところに従い、評判リスクが潜在的に高いと特定された取引により生じる評判リスクを評価する
責任を負っている。同委員会の委員長は、首席経営執行役員により委員長に任命された、当社の社長兼首
席業務執行役員が務めており、同委員会の副委員長は、ファームワイド評判リスク委員会の委員長により
副委員長に任命された、当社の首席法務担当役員および利益相反解決部門の部門長が務めている。同委員
会は、取締役会の公的責任委員会に対して定期的に最新情報を提供し、その指導を受けている。
・ファームワイド適合性委員会
ファームワイド適合性委員会は、商品、取引および顧客の適合性について基準および方針を策定し、そ
して部門間、地域間および商品間で適合性評価に関する一貫性のためのフォーラムを開催する責任を負っ
ている。同委員会は、他の委員会から上申された適合性事案についても検討を行う。同委員会の委員長
は、ファームワイド顧客およびビジネス・スタンダード委員会の委員長により委員長に任命された、当社
の首席コンプライアンス担当役員およびEMEAのFICC販売部門の共同ヘッドが共同で務めている。
・ファームワイド投資政策委員会
ファームワイド投資政策委員会は、当社の投資業務および貸付業務について、リスク管理およびリスク
統制の検討を含む、ポートフォリオベースでの定期的な検討を行い、これらの種類の投資に係る業務上の
基準および方針を策定する。同委員会の委員長は、当社の社長兼首席業務執行役員および当社の首席財務
執行役員により委員長に任命された、当社のアセット・マネジメント業務部門のヘッド、当社のグローバ
ル・マーケッツ業務部門の共同ヘッドおよび首席リスク担当役員が共同で務めている。
87/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
・ファームワイド・キャピタル委員会
ファームワイド・キャピタル委員会は、当社の主要な資本拠出を含む債券関連取引の承認および監督を
行っている。同委員会は、引受および資本拠出に関わる業務上の基準、社会的評価の基準および適合性の
基準が世界規模で維持されるよう確保することを目的としている。同委員会の委員長は、ファームワイ
ド・エンタープライズリスク委員会の委員長により委員長に任命された、市場リスク部門のヘッドおよび
ファイナンシング・グループの共同ヘッドが共同で務めている。
・ファームワイド・コミットメント委員会
ファームワイド・コミットメント委員会は、株式および株式関連商品の募集・売出しに関連する当社の
引受・販売業務の検討を行い、そして法的基準、社会的評価の基準、規制に関する基準および業務上の基
準が世界規模で維持されるよう確保するための方針および手続を策定し、維持している。同委員会は、特
定の取引の検討に加え、業界および商品ごとの全般的な戦略的検討を定期的に行い、取引実務に関する方
針を策定している。同委員会の委員長は、ファームワイド顧客およびビジネス・スタンダード委員会の委
員長により委員長に任命された、当社の投資銀行業務部門の工業グループの共同ヘッド、EMEAの首席引受
業務担当役員および当社の投資銀行業務部門のマネージング・ディレクターが共同で務めている。
ファームワイド資産・負債委員会
ファームワイド資産・負債委員会は、自己資本、流動性、資金調達および貸借対照表を含む当社の財源の
戦略的方向性について、審査および承認を行う。同委員会は、金利リスクや為替リスク、ファンド・トラン
スファー・プライシング、資本の配分およびインセンティブ、ならびに信用格付を含む資産・負債管理につ
いて監督責任を負っている。同委員会は、その時点の事象、リスク、エクスポージャーおよび規制上の要件
に照らした資産・負債管理および財源配分の調整のすべてについて提言を行い、関連する方針を承認する。
同委員会の委員長は、当社の首席経営執行役員により委員長に任命された、当社の首席財務執行役員および
当社のグローバル・トレジャラーが共同で務めており、同委員会は、経営委員会に報告を行っている。
88/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
利益相反管理
利益相反および当社の利益相反解決への取組は、当社の顧客との関係、当社の社会的評価および当社の長期
的成功に欠かせないものとなっている。「利益相反」とは、広く認められた意味を有する用語ではなく、利益
相反は、単一の事業内または複数の事業間で様々な形態で生じる可能性がある。潜在的な利益相反を特定する
責任のほか、当社の方針および手続を遵守する責任は、当社の全社員で共有されている。
当社は、利益相反を解決し、また評判リスクに対応するための多重構造アプローチを有している。当社の幹
部経営陣は、利益相反解決に関する方針を監督しており、また、利益相反解決部門、法務部門およびコンプラ
イアンス部門、ファームワイド顧客およびビジネス・スタンダード委員会、ならびにその他の内部委員会と共
に、特定の利益相反についての適切な解決法に関する方針・基準・原則を構築し、またかかる解決法に関する
判断を下すための助けとなっている。潜在的な利益相反の解決は、必然的に、特定の状況に関する事実および
状況、ならびに経験および情報に基づく判断の適用によることとなる。
一般に、利益相反解決部門は、投資銀行業務における金融およびアドバイザリー業務、ならびに当社の一定
の投資業務、貸付業務およびその他の業務の審査を行う。また、当社は、ファームワイド・キャピタル委員
会、ファームワイド・コミットメント委員会およびファームワイド適合性委員会、ならびに新規の引受、ロー
ン、投資および仕組商品の審査を行うその他の委員会等の様々な取引監視委員会も有している。これらのグ
ループおよび委員会は、内部および外部のカウンセルならびにコンプライアンス部門と連携して、実在する、
または潜在的な利益相反の評価および対応にあたっている。利益相反解決部門のヘッドは、当社の首席法務担
当役員に報告を行っており、首席法務担当役員は、当社の首席経営執行役員に報告を行っている。
当社は、最高の倫理水準に従い、また適用あるすべての法律、規則および規制を遵守して当社の事業を運営
することを目指して、利益相反に対応するための当社の方針および手続を定期的に評価している。
コンプライアンスリスク管理
コンプライアンスリスクとは、適用ある法律、規則および規制、ならびに当社の内部方針および手続の要件
を当社が遵守しないことにより生じる、法的制裁または規制上の制裁のリスク、重大な財務上の損失のリス
ク、または当社の評判の悪化のリスクをいう。コンプライアンスリスクは、当社がその事業上で行うすべての
活動に内在するものである。当社のコンプライアンスリスク管理プログラムは、コンプライアンス部門により
管理され、当社のコンプライアンス上、規制上および評判上のリスクを評価し、新しいまたは改正された法
律、規則および規制への遵守状況をモニターし、統制、方針、手続および研修を設計・実施し、独自のテスト
を実施し、コンプライアンスリスクおよびコンプライアンスの違反を調査・監視・モニターし、規制機関によ
る検査、監査および照会への当社の対応を主導するものである。当社は、商慣行が、当社が事業を行っている
市場および法域すべてにおける規制上および法律上の最低基準を満たしているか、または上回っているかどう
かの評価を行うため、これをモニターし、検討している。
89/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
流動性リスク管理
概要
流動性リスクとは、当社固有の、広く業界全体の、または市場全体の流動性ストレス事由が生じた場合に当
社が資金調達をできなくなり、または当社の流動性に対するニーズを満たすことができなくなるリスクをい
う。当社は、流動性および資金調達に関する包括的かつ保守的な一連の方針を策定している。当社の主たる目
的は、逆境下にあっても、当社の資金需要を満たすと共に、当社の中核事業が顧客にサービスを提供し続け、
収益を生み出し続けることができるようにすることにある。
トレジャリーは、当社の首席財務執行役員に報告を行っており、当社のリスク選好度の範囲内で、当社の流
動性および資金調達戦略を策定、管理および執行することについて主たる責任を負っている。
流動性リスク部門は、当社の収益創出部門およびトレジャリーから独立しており、当社の首席リスク担当役
員に報告を行っている。流動性リスク部門は、当社の世界中の事業全般にわたるファームワイドな監督ならび
にストレス・テストおよび限度額の枠組の構築を通じて、当社の流動性リスクを評価、モニターおよび管理す
ることについて主たる責任を負っている。
流動性リスク管理原則
当社は、(ⅰ)ストレス時における流出を補填するためのGCLAの形での十分な超過流動性の保持、(ⅱ)適
切な資産・負債管理の維持、および(ⅲ)実行可能な緊急時資金調達計画の維持という3つの原則に従い、流
動性リスクを管理している。
GCLA
GCLAは、ストレス環境下で現金支出および担保提供が必要となる様々な可能性に対応するために当社が維
持している流動性である。流動性の一次的原則とは、流動性危機に陥った場合に必要と予想される当社の潜
在的現金および担保提供の必要性に対して事前に資金手当を行い、その流動性を、非担保対象であり、流動
性の高い有価証券および現金の形で保持することである。当社は、買戻条件付契約の締結により、または売
戻条件付契約の満期により、流動化を通じて、当社のGCLA上で保有する有価証券を数日以内に容易に現金に
換金することができ、そして当該現金により、当座の債務履行に際し、その他の資産を売却したり、または
信用リスクに敏感な市場からの追加融資に依拠したりすることなく対応できると考えている。
90/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社のGCLAは、以下の原則を反映している。
・流動性危機に陥った場合に当社が生き延びられるか否かは、最初の数日または数週間にかかっている。
・資金調達に支障が生じた場合のみならず、発生する可能性のあるあらゆる現金支出および担保流出に留
意し続けなければならない。当社の事業は多角的であり、また当社の流動性に対するニーズは、市場の
動向、担保需要および顧客とのコミットメントを含む多くの要因によって決定され、これらの要因はい
ずれも資金調達が困難な環境下では著しく変動する場合がある。
・流動性危機に陥った場合には、無担保社債、一定の預金および一部の種類の担保付融資契約を含む、信
用リスクに敏感な資金調達手段を利用できなくなる可能性があり、またその他の種類の担保付融資契約
についても条件(たとえば、金利、担保条項および期間)が変更されたり、その利用可能度が変化した
り、一定の預金が引き出されたりする可能性がある。
・当社は、危機発生時に必要となる可能性があると判断した流動性に対し、事前に資金手当をするという
方針をとっているため、当社の事業に本来必要な水準を上回る非担保対象有価証券を保有し、資金の残
高を有している。当社は、流動性の高い非担保対象有価証券の保有残高を引き上げることにより、たと
えその結果、当社の資産合計および資金調達コストが増加したとしても、当社の流動性が強化されてい
ると考えている。
当社は、資金調達が困難な環境下でも、すべての主要な市場において適時決済を確保する上で十分な営業
上の流動性を当社に提供するために、 グループ・インク、ゴールドマン・サックス・ファンディング・エル
エルシー(「ファンディングIHC」)ならびにグループ・インクの主要なブローカー・ディーラー子会社お
よび銀行子会社 、資産の種類、ならびに清算代理機関の全般にわたり当社のGCLAを維持している。 GCLAに加
え、当社は、 親会社の流動性に直ちに当社がアクセスすることのできない特定の通貨、事業体または法域に
おいて主に使用するため、当社のその他の事業体のいくつかにおいて現金残高および有価証券を維持してい
る。
91/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
資産・負債管理
当社の流動性リスクの管理方針は、資金調達市場が長期的なストレスにさらされている場合であっても、
当社が十分な額の資金調達を確実に行えるよう構築されている。当社は、複数の市場、商品および取引相手
先にわたる当社の資金調達について、その満期および多様性を管理しており、またその資産の特徴および流
動性プロファイルを考慮して、適切な期間の多様な資金調達プロファイルを維持するよう努めている。
当社の資産・負債管理アプローチには以下が含まれる。
・当社のその時点における需要を上回る長期的で多様な資金調達源を維持することに重点を置き、当社の
資金調達のポートフォリオの全般的特徴について保守的な管理を行う。詳細については、上記「貸借対
照表および資金調達源-資金調達源」参照。
・流動性、保有期間および担保付ベースで資産を借り入れる能力に特に重点を置き、当社の資産基盤を積
極的に管理およびモニターする。当社は、当社の資金調達の必要性およびストレス環境下において適切
にリスクを管理しつつ資産を流動化する当社の能力を評価している。これにより、当社は、最も適切な
資金調達のための商品および期間を決定することができる。当社の貸借対照表管理プロセスに関する詳
細については、上記「貸借対照表および資金調達源-貸借対照表管理」参照。また、担保付ベースで資
金を調達することが難しい可能性のある資産クラスに関する詳細については、上記「貸借対照表および
資金調達源-資金調達源-担保付資金調達」参照。
・当社資産の流動性プロファイルに比して満期までの期間が長い担保付および無担保の資金調達を行う。
これにより、当社がその資産の売却から流動性を生じさせることができる前に当社の債務の償還期限が
到来するリスクを軽減させることができる。当社は流動性の高い貸借対照表を維持しているため、一定
の当社資産の保有期間は、その契約上の満期日までの期間よりも著しく短い場合がある。
当社の目標は、平常時のみならず市場ストレス時にも、当社の資産のための資金調達を行い、契約上の債
務および偶発債務を履行するための十分な流動性を維持することである。当社は、積極的な貸借対照表管理
プロセスを通じて、実際の資産残高およびその予測を用いて担保付または無担保での資金調達の必要性を判
断する。資金調達計画は、ファームワイド資産・負債委員会による検討および承認を受ける。また、当社の
連結総資本ポジション(無担保長期借入金と株主資本合計を足した値)に関しては、当社の長期的な資金調
達需要を十分に満たす水準の長期の資金調達を維持するために、当社の独立したリスク監督・統制部門が分
析し、ファームワイド資産・負債委員会が検討を行う。流動性危機が生じた場合には、資産の売却(当社の
GCLAを除く)に依存しないようにするため、当社はまずGCLAを利用する。しかしながら、当社は、流動性危
機が重大である場合または長期に及ぶ場合には、秩序ある方法で資産を売却することが賢明または必要にな
り得ると認識している。
92/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
子会社の資金調達に関する方針
当社の無担保での資金調達の大部分はグループ・インクが行っており、同社は、ファンディングIHCおよび
その他の子会社(規制対象子会社を含む)に対し、それぞれの資産担保融資需要、流動性要件および自己資本
要件を満たすために必要な資金を提供している。また、グループ・インクはその規制対象子会社に対し、各子
会社が規制上の要件を遵守するために必要とする資本を提供している。このような子会社の資金調達方法に
は、統制が強化され、当社子会社の資金需要に対してより柔軟に対応できるという利点がある。資金調達は預
金、担保付資金調達および無担保借入金を含む様々な商品を通じて子会社レベルでも行われている。
連結会社間での資金調達に関する当社の方針は、(ⅰ)法的に認められており、かつ(ⅱ)追加の規制上、
税務上またはその他の制限が課されていない場合を除き、親会社、ファンディングIHCまたはその他の子会社
に対して子会社の資金または有価証券を必ずしも自由に供給できるわけではないことを想定している。特に、
当社子会社の多くは、当該子会社からグループ・インクまたはファンディングIHCへの資金の流れを阻止また
は縮小する権限を規制機関に付与する法律の対象となっている。この種の規制措置により、グループ・インク
が債務の弁済に必要な資金を確保できなくなるおそれがある。そのため、当社は、当社の規制対象子会社に対
して提供した資本をグループ・インクまたはその他の子会社が利用できない事態、および当社の規制対象子会
社に対して提供したその他すべての資金を当該資金の満期までグループ・インクまたはファンディングIHCが
利用できない事態を想定している。
グループ・インクは、その規制対象子会社に対して直接的または間接的に、多額の株式や劣後債権を提供し
ている。たとえば、2021年6月現在、グループ・インクが株式および劣後債権として有する子会社への投資に
は、その米国の主要登録ブローカー・ディーラーであるGS&Co.に対する351.5億ドル、英国の規制対象ブロー
カー・ディーラーであるGSIに対する435.5億ドル、日本の規制対象ブローカー・ディーラーであるGSJCLに対
する28.3億ドル、ニューヨーク州の規制対象公認銀行であるGSバンクUSAに対する363.1億ドル、英国の規制対
象銀行であるGSIBに対する42.3億ドル、およびドイツの規制対象銀行であるGSBEに対する64.6億ドル等があっ
た。グループ・インクはまた、これらの事業体に対して、2021年6月現在で820.5億ドルの非劣後貸付債権
(321.2億ドルの担保付ローンを含む)および226.5億ドルの担保および現金預金により資金を直接的または間
接的に提供しており、そのほぼすべてが、GS&Co.、GSI、GSJCLおよびGSバンクUSAに対するものであった。ま
た、グループ・インクは、2021年6月現在でその他の規制対象子会社に対しても多額の資本投資や貸付を行っ
ている。
93/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
緊急時資金調達計画
当社は、流動性危機の状況や市場ストレス期間を分析し、それらに対応するための枠組を定めるために、
緊急時資金調達計画を整備している。当社の緊急時資金調達計画は、流動性危機および/または市場混乱の
深刻さの評価ならびにそれらの管理を助けるために継続的に検討される、一連の潜在的リスク要因、主要な
報告および数的指標について概説している。緊急時資金調達計画には、当社が流動性危機に直面していると
評価される場合に当社がとることのできる方策(これには、当社の潜在的現金需要および担保提供の必要性
の見積りに対する事前の資金調達、ならびに流動性の二次的源泉の利用が含まれる)についても詳細に記載
されている。当該計画には、発生する可能性のある特定のリスクに対する低減策および取組事項についても
記載され、これらの実行責任者が定められている。
緊急時資金調達計画は、人員の主要グループ、ならびに効率的な連携、統制および情報の流通の促進、流
動性維持のための取組の実施ならびに内部および外部のコミュニケーションの管理を含む、かかる人員の責
任について定めている。これらすべては、危機または市場ストレス時の管理において非常に重要である。
ストレス・テスト
当社のGCLAの適切な規模を決定するため、当社は、幅広いシナリオおよび計測期間にわたる流動性の流出に
ついてモデルを作成している。流動性流出モデルと称される当社の主要な内部的流動性リスクモデルの1つ
は、当社の流動性リスクを30日間のストレス・シナリオで数値化する。当社は、その他の要因についても検討
を行っている。これには、日中流動性モデルと称される追加の内部的流動性リスクモデルを通じた当社の日中
流動性に対する潜在的ニーズの評価、当社の長期ストレス・テスト・モデルの結果、当社の破綻処理流動性モ
デル、およびその他の適用ある規制上の要件、ならびに当社の状態のほか金融市況に対する定性的評価が含ま
れるが、これらに限定されない。流動性流出モデル、日中流動性モデル、長期ストレス・テスト・モデルおよ
び破綻処理流動性モデルの結果は、幹部経営陣に対して定期的に報告される。当社は、ファームワイドなスト
レス・テストも実施している。ファームワイドなストレス・テストに関する情報については、上記「リスク管
理の概要および体制」参照。
流動性流出モデル
当社の流動性流出モデルは、市場全体に及ぶストレスおよび当社固有のストレスの組合せを含む、複数シ
ナリオの実施に基づくものである。これらのシナリオは、以下の定性的要素を特徴としている。
・消費者および企業の景況感の冷込み、金融および政治の不安定性、ならびに市場価値の悪化(株式市場
の潜在的な落込みおよびクレジット・スプレッドの拡大を含む)をはじめとする深刻で厳しい市場環
境。
・重大な損失、評判被害、訴訟、および/または格付の引下げによってもたらされる可能性のある当社固
有の危機。
94/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
以下は、当社の流動性流出モデルにおいてモデル化された要素のうち主要なものである。
・30日間のシナリオにおける流動性に対するニーズ。
・当社の長期的な優先無担保信用格付の2段階引下げ。
・資金調達市場における市況の変化と、それによる当社の無担保資金調達および担保付資金調達の利用の
制限。
・政府の追加資金調達ファシリティーによる無支援。当社は、様々な中央銀行の資金調達プログラムを利
用することができるが、流動性危機において、追加的資金調達源に依拠することを想定しているわけで
はない。
・無担保債券の満期到来等の契約上の流出と、偶発的な流出(当社のプライム・ブローカレッジ業務にお
ける顧客預金残高の引出し、当社の上場デリバティブおよび清算対象の店頭取引デリバティブの価値が
悪化することにより必要となる変動証拠金の増額、ならびに契約上の満期を有していない預金の引出し
を含むが、これらに限定されない)の組合せ。
日中流動性モデル
当社の日中流動性モデルは、当社の流動性流出モデルと同じ定性的要素を特徴とするシナリオ分析を用い
て当社の日中流動性に対するニーズを測定している。同モデルは、日中流動性の源泉の利用が制限されると
いうシナリオにおいて増加した日中流動性要件のリスクの評価を行うものである。
長期ストレス・テスト
当社は、当社が厳しい流動性ストレスにさらされ、その後も困難な状況が継続する環境の中で回復を図る
長期ストレス期間における当社の流動性ポジションを見通すために、長期ストレス・テストを活用してい
る。当社は、潜在的な長期ストレス期間に備えるために、保守的な資産・負債管理の確保に注力しており、
当社の資産の特徴および流動性プロファイルを考慮して、適切な期間の多様な資金調達プロファイルを維持
するよう努めている。
破綻処理流動性モデル
当社の破綻処理計画に対する取組に関連して、当社は、破綻処理流動性の充実・調整の枠組を設定してお
り、かかる枠組は、ストレス環境下における主要な当社子会社の流動性に対するニーズを見積もるものであ
る。流動性に対するニーズは、当社の流動性流出モデルの仮定を用いて測定され、一定の関連会社間のさら
なるエクスポージャーを含む。当社は、破綻処理流動性執行ニーズの枠組も設定しており、かかる枠組は、
当社の優先的破綻処理戦略に基づいたグループ・インクの破産申請後、主要な当社子会社が安定化し縮小す
るために必要とする、流動性に対するニーズを測定するものである。
また、当社は、トリガーおよびアラートの枠組も設定しており、かかる枠組は、グループ・インクの破産
手続開始の是非およびその時期について詳細な情報に基づいた判断を下すために必要となる情報を取締役会
に対して提供するよう設計されている。
95/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
限度額
当社は、様々なレベルおよび各種の流動性リスクにわたり流動性リスク限度額を使用し、当社の流動性エク
スポージャーの規模を管理している。限度額は、当社の流動性リスク許容度を踏まえた許容可能なリスクのレ
ベルと比較して計測される。限度額承認プロセスに関する情報については、上記「リスク管理の概要および体
制」参照。
限度額は、トレジャリーおよび流動性リスク部門によってモニターされる。流動性リスク部門は、限度額を
超過した事象を適時に特定し、かつその旨を幹部経営陣および/または適切なリスク関連の委員会へ上申する
責任を負っている。
GCLAおよび非担保対象指標
GCLA
上記の当社の内部的流動性リスクモデルの結果のほか、当社によるその他の要因(当社の状態のほか金融
市況に対する定性的評価を含むが、これらに限定されない)の検討に基づき、当社は、2021年6月現在およ
び2020年12月現在の当社の流動性ポジションが共に適切であったと考えている。当社はごく限られた有価証
券および現金のみに当社のGCLAの範囲を限定しているが、資金調達が困難な環境下でもそれらの流動性が高
いことがその理由である。非担保対象有価証券の中でも流動性の低いものや約定済のクレジット・ファシリ
ティー等も超過流動性の源泉となり得るが、当社はこれらをGCLAに含めていない。
下表は、当社のGCLAについての情報を示したものである。
以下で終了した3ヶ月間の平均値
( 単位:百万ドル)
2021 年6月 2021年3月
通貨単位
米ドル 217,977 188,854
米ドル以外 111,427 109,788
合計 329,404 298,642
資産クラス
翌日物現金預金 171,007 132,317
米国政府債 106,708 108,339
米国政府機関債 8,227 9,295
米国以外の政府債 43,462 48,691
合計 329,404 298,642
事業体の種類
グループ・インクおよびファンディングIHC 53,327 44,300
主要なブローカー・ディーラー子会社 102,593 94,232
主要な銀行子会社 173,484 160,110
合計 329,404 298,642
96/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
上表において、
・米ドル建てのGCLAは、(ⅰ)いずれも連邦準備制度理事会による公開市場操作の担保として適格であ
る、非担保対象の米国政府債および政府機関債(流動性の高い米国政府機関モーゲージ担保証券を含
む)、ならびに(ⅱ)一定の翌日物米ドル現金預金で構成されている。
・米ドル以外の通貨建てのGCLAは、米国以外の政府債(ドイツ、フランス、日本および英国の非担保対象
政府債のみ)および流動性の高い通貨による一定の翌日物現金預金で構成されている。
当社は、親会社であるグループ・インクおよびその子会社の現在および潜在的な流動性要件を満たすこと
ができるよう、当社のGCLAを維持している。当社の流動性流出モデルおよび日中流動性モデルには、グルー
プ・インクの要件のほか、当社の主要なブローカー・ディーラー子会社および主要な銀行子会社それぞれの
単体ベースの要件が盛り込まれている。ファンディングIHCは、通常の事業の過程において、グループ・イ
ンクに対し必要な流動性を提供する義務を負う。ファンディングIHCは、当社について重大な財務上の危機
または破綻が発生した場合、主要な子会社に対し、資本および流動性のサポートを提供する義務も負う。当
社の主要なブローカー・ディーラー子会社および主要な銀行子会社それぞれが直接的に有している流動性
は、当該子会社が、その流動性要件を満たすためにのみ利用することが意図されているものであって、グ
ループ・インクまたはファンディングIHCは、(ⅰ)法的に認められており、(ⅱ)追加の規制上、税務上
またはその他の制限も課されていない場合を除き、かかる子会社の流動性を利用することができないと想定
されている。また、流動性流出モデルおよび日中流動性モデルには、その他の子会社の単体ベースの流動性
要件に関するより広範な評価も盛り込まれており、当社は、当該要件をサポートするために、グループ・イ
ンクまたはファンディングIHCにおいて当社のGCLAの一部を直接保有している。
その他の非担保対象資産
当社のGCLAに加え、当社は、その他の非担保対象である現金および金融商品も大量に保有している。これ
らの資産には、当社のGCLAに含まれていないその他の政府債、マネー・マーケット優良証券、社債、証拠金
取引可能な株式、ローンおよび現金預金が含まれる。当社の非担保対象資産の公正価値の平均値は、2021年
6月に終了した3ヶ月間において2,496.1億ドル、および2021年3月に終了した3ヶ月間において2,240.1億
ドルであった。当社は、これらの資産が、当社のGCLAに適するほどの十分な流動性を有しているとは考えて
いない。
97/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
規制上の流動性枠組
BHCである当社は、米国連邦銀行規制当局が承認した流動性カバレッジ比率(「LCR」)規則に基づく最低
LCRの対象となっている。LCR規則により組織は、適格な高品質流動性資産(「HQLA」)を、深刻な流動性スト
レスの短期シナリオ下において予想される現金支出純額に対して適切な比率で維持することを要求される。子
会社が保有する、最低要件を上回り、かつ譲渡制限が課されているHQLAは、適格HQLAに含まれない。当社は、
LCRについて、100パーセントの最低比率を維持する義務を負っている。当社は、顧客取引、事業構成および市
場環境における変動が、当社のLCRに影響を及ぼすと予想している。
下表は、当社の1日の平均LCRに関する情報を示したものである。
以下で終了した3ヶ月間の平均値
2021 年6月 2021年3月
( 単位:百万ドル)
合計HQLA 318,525 288,142
適格HQLA 238,397 210,133
現金支出純額 172,895 151,993
LCR 138 % 138 %
2020年10月、米国連邦銀行規制当局は、米国大手金融機関の安定調達比率(「NSFR」)の要件を確立する最
終的な規則を公表した。同規則は2021年7月1日に発効しており、同規則に基づき金融機関は、満期1年以上
の安定した資金調達を行うことができるようにすることを求められる。かかる規則は、2023年度からの当該比
率の半期ごとの開示および金融機関の安定した資金源に関する記載も要件としている。2021年6月現在、当社
のNSFRは、最終的な規則についての当社の解釈に基づくと、最低要件を上回っていた。
当社子会社に適用される流動性に関する規制上の要件に関する情報を、以下のとおり記載する。
・GSバンクUSA
GSバンクUSAは、米国連邦銀行規制当局が承認したLCR規則に基づき、最低100パーセントのLCRを満たす必
要がある。2021年6月現在、GSバンクUSAのLCRは最低要件を上回っていた。上記のNSFR要件も、GSバンク
USAに対して適用される。2021年6月現在、GSバンクUSAのNSFRは最低要件を上回っていた。
・GSI
GSIは、英国規制当局が承認したLCR規則に基づき、最低100パーセントのLCRを満たす必要がある。2021年
6月に終了した直近の12ヶ月間におけるGSIの平均月間LCRは、最低要件を上回っていた。GSIは、英国で導
入されたNSFRの要件の適用対象となっているが、かかる要件は、2022年1月に発効すると見込まれている。
98/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
・その他の子会社
当社は、コンプライアンスを確保するために、当社子会社の所在地における現地規制当局による流動性要
件をモニターしている。当社子会社の多くについて、バーゼル委員会による流動性リスクの指標、基準およ
びモニタリングの枠組の実施ならびにその他の規制上の進展により、当該流動性要件は変更されたか、また
は今後変更される可能性が高い。
当該規則の実施および規制当局が採択する改正は、今後、当社の流動性ならびに資金調達に係る要件および
実務に影響を及ぼすおそれがある。
信用格付
当社は、日常業務における資金需要のかなりの部分について、短期・長期の債券市場での資金調達に依拠し
ており、債券による資金調達の費用および当社がこの調達手段を利用できるか否かは、当社の信用格付による
影響を受ける。信用格付は、当社が一定の市場(店頭デリバティブ市場等)で競争する際、そして比較的長期
にわたる取引を実行しようとする場合にも重要となる。当社の信用格付が引き下げられた場合のリスクに関す
る情報については、有価証券報告書第一部第3 2「事業等のリスク」参照。
下表は、グループ・インクの無担保信用格付および今後の見通しを示したものである。
2021 年6月現在
DBRS フィッチ ムーディーズ R&I S&P
短期債務 R-1( 中) F1 P-1 a-1 A-2
長期債務 A( 高) A A2 A BBB+
劣後債 A BBB+ Baa2 A- BBB-
信託優先証券 A BBB- Baa3 該当なし BB
優先株式 BBB( 高) BBB- Ba1 該当なし BB
格付見通し 安定的 安定的 安定的 安定的 安定的
上表において、
・格付および見通しは、ディービーアールエス・インク(「DBRS」)、フィッチ・インク(「フィッ
チ」)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(「ムーディーズ」)、株式会社格付投資情報セン
ター(「R&I」)およびスタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(「S&P」)によるもので
ある。
・信託優先証券の格付は、ゴールドマン・サックス・キャピタルⅠが発行した保証付優先受益権に関するも
のである。
・DBRS、フィッチ、ムーディーズおよびS&Pによる優先株式の格付には、ゴールドマン・サックス・キャピ
タルⅡおよびゴールドマン・サックス・キャピタルⅢが発行したAPEXが含まれる。
99/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
下表は、GSバンクUSA、GSIB、GSBE、GS&Co.およびGSIの無担保信用格付および今後の見通しを示したもの
である。
2021 年6月現在
フィッチ ムーディーズ S&P
GSバンクUSA
短期債務 F1 P-1 A-1
長期債務 A+ A1 A+
短期銀行預金 F1+ P-1 該当なし
長期銀行預金 AA- A1 該当なし
格付見通し 安定的 安定的 安定的
GSIB
短期債務 F1 P-1 A-1
長期債務 A+ A1 A+
短期銀行預金 F1 P-1 該当なし
長期銀行預金 A+ A1 該当なし
格付見通し 安定的 安定的 安定的
GSBE
短期債務 F1 P-1 A-1
長期債務 A A1 A+
短期銀行預金 該当なし P-1 該当なし
長期銀行預金 該当なし A1 該当なし
格付見通し 安定的 安定的 安定的
GS&Co.
短期債務 F1 該当なし A-1
長期債務 A+ 該当なし A+
格付見通し 安定的 該当なし 安定的
GSI
短期債務 F1 P-1 A-1
長期債務 A+ A1 A+
格付見通し 安定的 安定的 安定的
当社は、信用格付機関が当社の信用格付を決定する際には主に、以下の事項が評価されていると考えてい
る。
・当社の流動性リスク、市場リスク、信用リスクおよびオペレーションリスクの管理実務
・当社の利益の水準および可変性
・当社の資本基盤
・当社のフランチャイズ、社会的評価および経営
・当社のコーポレート・ガバナンス
・外部的な営業および経済環境(場合に応じて、予想される政府支援の水準または潜在的破綻等のその他の
システム上の理由を含む)
100/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社の一定のデリバティブは、当社の信用格付の変動に基づいて当社に担保の差入れまたは取引の終了を求
めることができる取引相手先との間の双務契約の下で取引されている。当社は、他の潜在的要求事項の中でも
とりわけ、当社の長期信用格付が2段階引き下げられた場合に要求され得る追加担保または取引終了に伴う金
銭の支払のほか、取引相手先から担保差入れを要求されていなくとも、取引相手先がその権利を有する担保を
確保できるよう、当社のGCLAを運用している。
信用関連の偶発的な特性があるデリバティブ、および当社の信用格付が1段階または2段階引き下げられた
場合に取引相手先により要求される可能性のある、双務契約における当社のデリバティブ純負債に関係した追
加担保または取引終了に伴う金銭の支払に関する詳細については、連結財務書類注記7参照。
キャッシュ・フロー
グローバル金融機関である当社のキャッシュ・フローは複雑であり、当期純利益や純資産との関連性は薄
い。そのため、当社はその流動性ポジションを評価する方法として、伝統的なキャッシュ・フロー分析は、上
記の流動性や資産・負債管理方針ほど意味のあるものではないと考えている。しかし、キャッシュ・フロー分
析は、当社事業における一定のマクロトレンドや戦略的取組を際立たせるために有用な場合もある。
2021年6月に終了した6ヶ月間
当社の2021年度第2四半期末現在の現金および現金同等物は、884.5億ドル増の2,402.9億ドルであった。
これは、財務活動および営業活動により生じた純キャッシュによるものであったが、投資活動に使用された
純キャッシュにより部分的に相殺された。財務活動により生じた純キャッシュは、主として、預金純額の増
加を反映しているが、これは、主として、機関投資家による預金、トランザクション・バンキングの預金、
消費者預金およびデポジット・スイープ・プログラムの預金、ならびに無担保長期借入金の正味発行の増加
を反映している。営業活動により生じた純キャッシュは、主として、当期純利益、トレーディング負債の増
加およびトレーディング資産の減少を反映しているが、担保付取引の増加(担保付借入金の増加により部分
的に相殺された、担保付契約の増加)により部分的に相殺された。投資活動に使用された純キャッシュは、
主として、投資の取得および貸付活動純額の増加を反映しているが、投資の売却および償還により部分的に
相殺された。
101/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
2020年6月に終了した6ヶ月間
当社の2020年度第2四半期末現在の現金および現金同等物は、947百万ドル減の1,326.0億ドルであった。
これは、営業活動および投資活動に使用された純キャッシュによるものであったが、財務活動により生じた
純キャッシュにより部分的に相殺された。営業活動に使用された純キャッシュは、主として、担保付取引の
増加(担保付契約の増加および担保付借入金の減少)およびトレーディング資産の増加を反映しているが、
当社の取引および当社の顧客の取引の結果、トレーディング負債が増加したことにより部分的に相殺され
た。投資活動に使用された純キャッシュは、主として、投資の取得純額の増加を反映しているが、これは、
売却可能として会計処理された米国政府債の増加を反映している。財務活動により生じた純キャッシュは、
主として、消費者預金、トランザクション・バンキングの預金および個人銀行預金の増加を反映した、預金
純額の増加を反映している。
市場リスク管理
概要
市場リスクとは、市況の変動により、公正価値で会計処理される当社のトレーディング商品、投資、ローン
ならびにその他の金融資産および負債の価値に損失が生じるリスクをいう。当社は、主として、当社の顧客の
ためのマーケット・メイキング、そして当社自身の投資および財務活動のために当該ポジションを保有してお
り、そのため、これらのポジションは、顧客の需要および当社の投資機会に基づき変動する。これらのポジ
ションは公正価値で会計処理されるため、日ごとに変動し、関連する利益および損失は連結損益計算書に計上
される。当社は、市場リスクをモニターするために、下記の各項に記載されている様々なリスク指標を用いて
いる。市場リスクのカテゴリーには、以下が含まれる。
・金利リスク:イールド・カーブの水準、勾配および曲率、金利のボラティリティ、期限前返済速度ならび
にクレジット・スプレッドの変動に対するエクスポージャーにより発生する。
・株価リスク:個別株式、株式バスケットおよび株式指標の価格およびボラティリティの変動に対するエク
スポージャーにより発生する。
・為替レートリスク:為替レートの直物価格、先物価格およびボラティリティの変動に対するエクスポー
ジャーにより発生する。
・コモディティ価格リスク:原油、石油製品、天然ガス、電力および貴金属・卑金属等のコモディティの直
物価格、先物価格およびボラティリティの変動に対するエクスポージャーにより発生する。
102/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
市場リスク部門は、当社の収益創出部門から独立しており、当社の首席リスク担当役員に報告を行ってい
る。市場リスク部門は、当社の世界中の事業全般にわたるファームワイドな監督を通じて、当社の市場リスク
を評価、モニターおよび管理することについて主たる責任を負っている。
収益創出部門のマネージャーおよび市場リスク部門は、市場の情報、ポジションおよび想定される損失シナ
リオについて、継続的に協議している。収益創出部門のマネージャーは、予め定められた限度額にリスクを限
定するよう管理する責任を負っている。これらのマネージャーは、各ポジション、市場および各エクスポー
ジャーのヘッジに利用できる商品について熟知している。
市場リスク管理プロセス
当社の市場リスクを管理するプロセスには、上記「リスク管理の概要および体制」に記載されている当社の
リスク管理の枠組に不可欠な要素のほか、以下が含まれる。
・設定された市場リスク限度額の遵守に対するモニタリングおよび当社のエクスポージャーの報告
・エクスポージャーの分散化
・ポジション規模の管理
・低減策(関連する有価証券またはデリバティブの経済的ヘッジ等)の評価
当社の市場リスク管理システムは、当社によるVaRおよびストレス指標の独立した算定、個々のポジショ
ン・レベルでのリスク指標の把握、各ポジションの個々のリスク要因とリスク指標の結びつけ、リスク指標に
ついての(たとえば、デスク、事業、商品の種別または事業体ごとによる)多くの異なる見解の報告、ならび
に適時のアドホックな分析の提供を可能にする。
リスク指標
当社は、リスク指標を作成し、これらを設定された市場リスク限度額に照らしてモニターしている。これら
の指標は、広範囲にわたるシナリオを反映しており、その結果は商品、事業およびファームワイドレベルで集
約される。
当社は、様々なリスク指標を使用し、緩やかな市場の変動とより急激な市場の変動の双方について、短期お
よび長期双方の計測期間における潜在的な損失の規模を見積もる。当社の主要なリスク指標は、VaR(比較的
短期間の測定に使用される)およびストレス・テストである。当社のリスク報告は、各デスクおよび事業に関
する主なリスク、その要因および変化の詳細を記載しており、当社の収益創出部門と当社の独立したリスク監
督・統制部門の双方の幹部経営陣に日々配布される。
バリュー・アット・リスク
VaRとは、特定の信頼水準の下で一定の計測期間中に市場が不利に推移した場合に生じる潜在的な価値の
損失を示すものである。VaRに含まれる資産および負債については、下記「市場リスクの指標と財務書類の
連携」参照。当社は通常、計測期間を1日とし、95パーセントの信頼水準を用いている。当社は、金利、株
価、為替レートおよびコモディティ価格を含むリスクを把握する単一のVaRモデルを使用している。そのた
め、VaRは、異なるリスクの特徴を有するポートフォリオ間の比較を容易にする。VaRは、ファームワイドレ
ベルで集約されたリスクの分散化も把握する。
103/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社は、VaRには内在する限界があることを承知しているため、当社の市場リスク管理プロセス上で、
様々なリスク指標を用いている。VaRに内在する限界には、以下が含まれる。
・VaRは、極端な変動の可能性がある比較的長期の計測期間における潜在的な損失を見積もることはでき
ない。
・VaRは、異なるリスク・ポジションの相対的な流動性は考慮しない。
・市場リスク要因のそれまでの変動によって、将来における市場のすべての変動の正確な予測ができると
は限らない。
当社のVaRの算定において、当社のエクスポージャーおよび関連するリスクを包括的に把握するため、ポ
ジション・レベルにおける市場要素を完全に評価したヒストリカル・シミュレーションを、当該ポジション
に関連した市場要素に同時にショックを与えることにより利用する。これらの市場要素には直物価格、クレ
ジット・スプレッド、資金調達スプレッド、イールド・カーブ、ボラティリティおよびコリレーションが含
まれている。また、これらの市場要素は、ポジションの構成における変化のほか、市況の変動に基づき定期
的にアップデートされる。当社は5年分のヒストリカルデータをサンプルとし、当社のVaRの算定に用いる
シナリオを作成する。ヒストリカルデータには加重値が与えられ、データの相対的な重要性が時間の経過と
共に減少するようになっている。これにより、より最近の計測がさらに重視され、現時点における資産価値
のボラティリティが反映されるようになり、当社による潜在的な損失の見積りの正確性が増す。そのため、
VaRに含まれる当社のポジションに変動がなくても、市場のボラティリティが上昇すれば当社のVaRは上昇す
る場合があり、また逆の場合もある。
ヒストリカルデータに依拠しているため、VaRは、市況に突然の根本的変化またはシフトが発生していな
い場合において、市場におけるリスク・エクスポージャーを見積もるのに最も効果的な方法である。
当社によるVaR指標には、以下は含まれない。
・感応度指標により最適な測定およびモニタリングができるポジション
・デリバティブに関する取引相手先および当社自身のクレジット・スプレッドの変動、ならびに公正価値
オプションが選択された金融負債に関する当社自身のクレジット・スプレッドの変動の影響
当社は、ファームワイドレベルで、また当社の各事業および主要な規制対象子会社について、当社のVaR
モデルのバックテスト(すなわち、VaRに含まれるポジションの1日の純収益を、その前営業日に算出され
たVaR指標と比較すること)を日々行っている。
104/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
ストレス・テスト
ストレス・テストは、様々な仮定上のストレス・シナリオが及ぼす影響を判断する手法である。当社は、
特定のポートフォリオのリスクのほか、当社の重大なリスク・エクスポージャーの潜在的な影響を検証する
ためにストレス・テストを利用している。当社は、広範にわたる市場変動による当社のポートフォリオにお
ける潜在的な損失を算出するために様々なストレス・テスト技術を利用している。これらの技術には、
ファームワイドなストレス・テスト、感応度分析およびシナリオ分析が含まれる。当社による様々なストレ
ス・テストの結果は、リスク管理のために総合して分析される。ファームワイドなストレス・テストに関す
る情報については、上記「リスク管理の概要および体制」参照。
感応度分析は、市場における1つのリスク要因の変動がすべてのポジション(たとえば、株価またはクレ
ジット・スプレッド)にわたり及ぼす影響を定量化するために用いられる。このために、計測期間を1日と
したときに予想されるものから何ヶ月もかかって発生するものにまでわたる、予め定められた様々な市場
ショックが用いられる。当社は、いずれか1つの事業体が債務不履行に陥った場合の影響を定量化するため
にも感応度分析を用いている。これにより、大規模なエクスポージャーまたはエクスポージャーの集中のリ
スクを把握することができる。
シナリオ分析は、特定の事象の影響を定量化するために用いられ、これにはかかる事象がどのように複数
のリスク要因に同時に影響を及ぼすかも含まれる。たとえば、ソブリン債に対するストレス・テストとし
て、当社は、当社のソブリン・ポジションに関連した潜在的かつ直接的なエクスポージャー、ならびにソブ
リン危機による影響を被る可能性がある当社の非ソブリン・ポジションに関連した対応する債券、株式およ
び通貨エクスポージャーを算出する。シナリオ分析を行う場合、当社はしばしば、各シナリオについて起こ
り得る複数の結果を検討するが、これには緩やかなものから非常に不利なものにわたる市場への影響が含ま
れる。また、これらのストレス・テストは、過去の事象とフォワード・ルッキングな仮説に基づいたシナリ
オの双方を用いて構築される。
特定の信頼水準で算定されるために確率の要素を含んでいるVaR指標とは異なり、当社のストレス・テス
トのシナリオには、当該シナリオに該当する事象が発生する確率の要素は含まれていない可能性がある。そ
の代わり、ストレス・テストは、市場に内在する要素の緩やかな変化とより急激な変化の双方のモデル化に
使用される。潜在的な損失を見積もるにあたり、当社は通常、(経験に基づけば当社にとって通常可能であ
るにもかかわらず)当社のポジションが削減またはヘッジできないと仮定する。
105/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
限度額
当社は、様々なレベルにおいて市場リスク限度額を使用し、当社の市場エクスポージャーの規模を管理して
いる。これらの限度額は、VaRおよび当社のエクスポージャーに関連する様々なストレス・テストに基づき定
められる。限度額承認プロセスに関する情報については、上記「リスク管理の概要および体制」参照。
市場リスク部門は、これらの限度額をモニターし、限度額を超過した事例(たとえば、ボラティリティの上
昇またはコリレーションの変化等、ポジションの変化または市況の変化によるもの)を適時に特定し、幹部経
営陣および/または適切なリスク関連の委員会に適時に上申する責任を負っている。それらの超過状況は、当
社が保有するポジションの削減、および/または限度額の一時的もしくは恒久的な引上げによって解消され
る。
指標
当社は、VaRをファームワイドレベルで分析し、また、リスクのカテゴリー、事業および地域を含む、様々
な、かつ、より詳細なレベルでも分析している。下表それぞれの分散化の影響は、VaRの合計と4つのカテゴ
リーのリスク別VaRの合計の差額を示している。この影響は、4つのカテゴリーの市場リスクが完全には相関
しないために生じるものである。
下表は、当社の1日の平均VaRを示したものである。
以下で終了した3ヶ月間 以下で終了した6ヶ月間
( 単位:百万ドル)
2021 年6月 2021年3月 2020年6月 2021 年6月 2020年6月
カテゴリー
金利 64 58 98 61 79
株価 48 51 74 50 58
為替レート 13 12 39 13 28
コモディティ価格 22 22 24 22 18
分散化の影響 (57 ) (54 ) (113 ) (56 ) (82 )
合計 90 89 122 90 101
当社の1日の平均VaRは、2021年3月に終了した3ヶ月間の89百万ドルから2021年6月に終了した3ヶ月間
には90百万ドルに増加した。これは、エクスポージャーの増加によるものであったが、ボラティリティ水準の
低下により部分的に相殺された。合計で1百万ドルの増加は、主として、金利のカテゴリーの増加によるもの
であったが、株価のカテゴリーの減少および分散化の影響の増加により部分的に相殺された。
当社の1日の平均VaRは、2020年6月に終了した3ヶ月間の122百万ドルから2021年6月に終了した3ヶ月間
には90百万ドルに減少した。これは、ボラティリティ水準の低下によるものであったが、エクスポージャーの
増加により部分的に相殺された。合計で32百万ドルの減少は、主として、金利、株価および為替レートのカテ
ゴリーの減少により牽引されたものであったが、分散化の影響の減少により部分的に相殺された。
106/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社の1日の平均VaRは、2020年6月に終了した6ヶ月間の101百万ドルから2021年6月に終了した6ヶ月間
には90百万ドルに減少した。これは、ボラティリティ水準の低下によるものであったが、エクスポージャーの
増加により部分的に相殺された。合計で11百万ドルの減少は、主として、金利、為替レートおよび株価のカテ
ゴリーの減少により牽引されたものであったが、分散化の影響の減少により部分的に相殺された。
下表は、当社の各期末現在のVaRを示したものである。
( 単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2021 年3月現在 2020 年6月現在
カテゴリー
金利 74 59 99
株価 41 54 68
為替レート 16 14 29
コモディティ価格 25 16 24
分散化の影響 (61 ) (59 ) (101 )
合計 95 84 119
当社の期末現在のVaRは、2021年3月現在の84百万ドルから2021年6月現在には95百万ドルに増加した。こ
れは、エクスポージャーの増加によるものであったが、ボラティリティ水準の低下により部分的に相殺され
た。合計で11百万ドルの増加は、主として、金利およびコモディティ価格のカテゴリーの増加によるもので
あったが、株価のカテゴリーの減少により部分的に相殺された。
当社の期末現在のVaRは、2020年6月現在の119百万ドルから2021年6月現在には95百万ドルに減少した。こ
れは、ボラティリティ水準の低下によるものであったが、エクスポージャーの増加により部分的に相殺され
た。合計で24百万ドルの減少は、主として、株価、金利および為替レートのカテゴリーの減少により牽引され
たものであったが、分散化の影響の減少により部分的に相殺された。
2021年6月に終了した6ヶ月間中、ファームワイドなVaRリスク限度額の超過、引上げまたは引下げはな
かった。また、ファームワイドなVaRリスク限度額に恒久的変更または一時的変更はなかった。2020年度中
は、ファームワイドなVaRリスク限度額の超過が16回発生した(そのすべてが2020年度上半期中に発生し
た)。これは、主として、ボラティリティ水準の上昇によるものであった。同期間中、ファームワイドなVaR
リスク限度額に恒久的変更はなかった。しかし、2020年度中、市場環境の結果、ファームワイドなVaRリスク
限度額の一時的な引上げがあった。
107/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
下表は、当社の最高・最低VaRを示したものである。
以下で終了した3ヶ月間
2021 年6月 2021年3月 2020年6月
( 単位:百万ドル)
最高 最低 最高 最低 最高 最低
カテゴリー
金利 74 58 67 50 120 80
株価 57 37 71 40 116 46
為替レート 17 10 16 9 49 27
コモディティ価格 32 15 34 14 54 15
ファームワイドレベル
VaR 101 81 105 74 158 96
以下のグラフは、2021年6月に終了した6ヶ月間における当社の1日のVaRを示したものである。
108/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
下表は、VaRに含まれるポジションについて、当社の1日の純収益の度数分布を営業日数で示したものであ
る。
以下で終了した3ヶ月間 以下で終了した6ヶ月間
(単位:百万ドル)
2021年6月 2020年6月 2021年6月 2020年6月
>100 8 26 34 40
75-100 13 13 28 21
50-75 10 8 19 13
25-50 13 10 16 22
0-25 14 3 20 17
(25)-0 5 2 7 6
(50)-(25) - 1 - 2
(75)-(50) - - - 2
(100)-(75) - - - 2
合計 63 63 124 125
VaRに含まれるポジションの1日の純収益は、その前営業日の終了時を基準として計算したVaRと比較され
る。2021年6月に終了した3ヶ月間中と2020年6月に終了した3ヶ月間中の双方において、かかるポジション
の1日の純損失が当社の1日のVaRの95パーセントを超過すること(すなわち、VaR例外値)はなかった。
当社は、プラスの純収益発生日の数が純損失発生日の数を大幅に上回る期間においては、VaR例外値の発生
頻度は下がると予想している。これは、当社の事業モデル上、通常の状況下では一般にプラスの純収益が発生
するからである。当社のフランチャイズ収益が悪影響を受ける期間においては、一般に損失発生日が増加し、
その結果VaR例外値が発生する頻度が高くなる。VaR例外値を決定する際に用いる、VaRに含まれるポジション
の1日の純収益は、売買純収益を含む日中の取引の影響を反映しており、その性質上、プラスの結果が生じる
可能性が比較的高い。
感応度指標
一定のポートフォリオおよび個別のポジションは、VaRが最適なリスク指標とはいえないため、VaRの対象外
となる。市場リスクを分析するために当社が使用するその他の感応度指標は、下記のとおりである。
10%感応度指標
下表は、公正価値で会計処理されたVaR対象外のポジションに伴う当社の市場リスクを資産のカテゴリー
別に示したものである。
(単位:百万ドル) 2021年6月現在 2021年3月現在 2020年6月現在
持分証券 2,096 1,831 1,723
債務証券 2,429 2,486 2,316
合計 4,525 4,317 4,039
109/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
上表において、
・これらのポジションの市場リスクは、当該ポジションの価値が10パーセント下落した場合に純収益が減
少する可能性を見積もる方法で判断している。
・持分証券のポジションは、プライベート・エクイティおよび制限付公開株式に関連するものであり、
コーポレート・エクイティおよび不動産に投資を行うファンドに対する持分ならびにヘッジファンドに
対する持分を含む。
・債務証券のポジションは、企業のメザニン債務商品および優先債務商品に投資を行うファンドに対する
持分、商業用および住宅用不動産によって担保されたローン、企業向け銀行融資ならびに取得した不良
貸出債権のポートフォリオ等のその他の企業債務を含む。
・資金手当のある持分証券および債務証券のポジションは、当社の連結貸借対照表上の投資およびローン
に含まれる。投資に関する詳細については、連結財務書類注記8参照、ローンに関する詳細について
は、連結財務書類注記9参照。
・これらの指標には、資産のカテゴリーまたはその他の市場リスクの指標にわたる分散化の影響は反映さ
れていない。
デリバティブおよび金融負債に対するクレジット・スプレッドおよび資金調達スプレッドの感応度
VaRは、デリバティブに関する取引相手先のクレジット・スプレッド、当社自身のクレジット・スプレッ
ドおよび無担保資金調達スプレッドの変動、ならびに公正価値オプションが選択された金融負債に関する当
社自身のクレジット・スプレッドの変動の影響を除外している(「債務評価調整」)。デリバティブ(ヘッ
ジを含む)に関するクレジット・スプレッド(取引相手先および当社自身)および無担保資金調達スプレッ
ドが1ベーシス・ポイント上昇した場合の予測感応度は、2021年6月現在および2021年3月現在の双方にお
いて、2百万ドルのマイナスとなった。また、公正価値オプションが選択された金融負債に関する当社自身
のクレジット・スプレッドが1ベーシス・ポイント上昇した場合の予測感応度は、2021年6月現在および
2021年3月現在で、それぞれ31百万ドルおよび28百万ドルのプラスとなった。しかしながら、当社自身のク
レジット・スプレッドの変動による実際の正味の影響は、公正価値オプションが選択された金融負債の流動
性、期間およびコンベクシティ(感応度が収益の変動に対して直線的ではないため)、ならびに実施された
ヘッジの相対的パフォーマンスにも左右される。
金利感応度
償却原価で会計処理されるローンは、2021年6月現在で1,160.4億ドル、2021年3月現在で1,046.0億ドル
であり、これらのほぼすべてが変動金利のものである。これらのローンの金利が100ベーシス・ポイント上
昇した場合の予測感応度は、12ヶ月間の期間中の追加の受取利息が2021年6月現在で826百万ドル、2021年
3月現在で808百万ドルであるが、これらの数値には、当該ローンの資金調達費用の増加の潜在的影響は考
慮されていない。償却原価で会計処理されるローンに関する詳細については、連結財務書類注記9参照。
110/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
市場リスクに関するその他の検討事項
当社は、売却可能、満期保有目的として会計処理されており、または持分法に基づき会計処理されている連
結貸借対照表上の投資に含まれる有価証券への投資を行っている。詳細については、連結財務書類注記8参
照。
不動産への直接投資は、原価から減価償却累計額を差し引いた残額で会計処理されている。その他の資産に
関する詳細については、連結財務書類注記12参照。
市場リスクの指標と財務書類の連携
当社は、上記の各項において記載されている様々なリスク指標を使用して、連結貸借対照表全体および連結
損益計算書全体にわたる市場リスクをモニターしている。これらのポジションにおける関連する損益は、連結
損益計算書上のマーケット・メイキング、その他の自己勘定取引、受取利息および支払利息、ならびに連結包
括利益計算書上の債務評価調整に含まれている。
下表は、当社の連結貸借対照表上の一定の資産および負債、ならびにこれらの資産および負債を評価する際
に使用される市場リスクの指標を示したものである。
資産または負債 市場リスクの指標
担保付契約(公正価値) VaR
顧客およびその他に対する受取債権(公正価値) 10%感応度指標
トレーディング資産 VaR
クレジット・スプレッド感応度
投資(公正価値) VaR
10%感応度指標
ローン VaR
10%感応度指標
金利感応度
預金(公正価値) VaR
クレジット・スプレッド感応度
担保付借入金(公正価値) VaR
トレーディング負債 VaR
クレジット・スプレッド感応度
無担保借入金(公正価値) VaR
クレジット・スプレッド感応度
111/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
信用リスク管理
概要
信用リスクは、取引相手先(たとえば、店頭デリバティブの取引相手先または借主)または当社が保有する
有価証券もしくはその他の商品の発行体が債務不履行に陥り、あるいはその信用度が悪化した場合に当社が被
るおそれのある潜在的な損失を示すものである。信用リスクに対する当社のエクスポージャーは、大部分が店
頭デリバティブにおける顧客の取引ならびにローンおよび貸付コミットメントにおいて発生する。信用リスク
は、銀行預金、証券金融取引(すなわち、売戻条件付契約・買戻条件付契約および有価証券の借入・貸付活
動)ならびに顧客およびその他に対する受取債権からも発生する。
信用リスク部門は、当社の収益創出部門から独立しており、当社の首席リスク担当役員に報告を行ってい
る。信用リスク部門は、当社の世界中の事業全般にわたるファームワイドな監督を通じて、当社の信用リスク
を評価、モニターおよび管理することについて主たる責任を負っている。また、当社は、信用リスクを発生さ
せるその他のポジション(たとえば、債券およびセカンダリーの銀行貸付)を保有している。これらの信用リ
スクは、市場リスクの指標の一部として把握され、市場リスク部門によりモニターおよび管理されている。当
社はまた、市場リスク・エクスポージャーを管理するため、デリバティブ契約を締結する。かかるデリバティ
ブも、信用リスクを発生させるが、かかるリスクは信用リスク部門によりモニターおよび管理されている。
信用リスク管理プロセス
当社の信用リスクを管理するプロセスには、上記「リスク管理の概要および体制」に記載されている当社の
リスク管理の枠組に不可欠な要素のほか、以下が含まれる。
・設定された信用リスク限度額の遵守に対するモニタリングならびに当社の信用エクスポージャーおよび信
用の集中の報告
・引受基準の設定または承認
・取引相手先がその支払義務の不履行に陥る可能性の評価
・当社の現在の信用エクスポージャーおよび潜在的信用エクスポージャーならびに取引相手先の不履行によ
り生じる損失の測定
・担保およびヘッジを含む信用リスク低減策の利用
・積極的なワークアウトおよび債権の再構成を通じた回収額の最大化
112/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社はまた、当社の取引相手先の初期分析および継続的分析を含む信用審査を行っている。当社の信用エク
スポージャーのほぼすべてについて、取引相手先についての年次信用審査が当社のプロセスの中心となる。信
用審査は、取引相手先がその金融債務を履行する能力および意欲を有しているか否かについての独自の分析で
あり、かかる分析が内部信用格付となる。内部信用格付を決定する際には、取引相手先の業界の性質および見
通し、ならびに経済的環境に関する想定も加味される。幹部スタッフは、特定の業界に関する専門知識を駆使
し、信用審査および内部信用格付を検査し、承認する。
当社のリスク評価プロセスには、適宜、延滞状況、担保の価値、FICO信用スコアおよびその他のリスク要因
を含む(ただし、これらに限定されない)、一定の主要指標の検討が含まれることもある。
当社の信用リスク管理システムは、個々の取引相手先ならびに取引相手先およびその子会社全体に対する信
用エクスポージャーを把握している。これらのシステムは、商品別、内部信用格付別、業界別、国別および地
域別の当社の総合的な信用リスクに関する包括的な情報も、経営陣に対して提供している。
リスク指標
当社は、取引相手先が支払不能に陥った場合における潜在的な損失に基づき、現在のエクスポージャーおよ
び潜在的エクスポージャーを用いて当社の信用リスクを測定している。デリバティブおよび証券金融取引につ
いて、現在のエクスポージャーとは、適用あるネッティングおよび担保に関する契約を考慮後の当社に対する
現在の債務額をいい、潜在的エクスポージャーとは、特定の信頼水準の下で市場の推移に基づき取引期間中に
発生する可能性のある、将来のエクスポージャーの当社における見積りをいう。潜在的エクスポージャーは、
ネッティングおよび担保に関する契約も考慮したものとなっている。ローンおよび貸付コミットメントに関し
ては、ポジションの想定元本の作用が主要な指標となる。
ストレス・テスト
当社は、取引相手先の信用格付または信用リスク要因(たとえば、為替レート、金利、株価)にショックを
与えることにより発生し得る潜在的集中を含む信用エクスポージャーを算定するために、定期的なストレス・
テストを行っている。かかるショックは、緩やかな市場の変動から、より急激な市場の変動までを幅広く対象
とし、市場または経済における深刻な事象の発生に合致した形での、複数のリスク要因に対するショックを含
んでいる。ソブリン債の不履行の場合については、当社は、不履行が当社のソブリン信用エクスポージャーに
及ぼす直接的影響、不履行に反応した市場の潜在的な動向から生じる当社の信用エクスポージャーの変動、な
らびにソブリン債の不履行により生じ得るクレジット市場の悪化が法人借主および取引相手先に及ぼす影響を
見積もっている。特定の信頼水準の下で算定される潜在的エクスポージャーとは異なり、ストレス・テストは
通常、かかる事象が発生する確率を想定していない。当社はまた、ファームワイドなストレス・テストを行っ
ている。ファームワイドなストレス・テストに関する情報については、上記「リスク管理の概要および体制」
参照。
113/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
上記の定期的なストレス・テストを補完するため、当社は、当社が重要とみなす特定の市場での事象に応じ
て個別に作成した臨時のストレス・テストも実施している。当社は、前述したリスク要因に与えたショックに
加え、クレジット市場の悪化が法人借主および取引相手先に及ぼす影響等、当社の国別エクスポージャーに対
する一定の仮定上の事象の間接的な影響を見積もるためにもこれらのストレス・テストを使用している。これ
らのショックのパラメーターは、各ストレス・テストに反映されているシナリオによって異なっている。当社
は、ストレス・テストにより導き出された見積損失について、その規模を理解し、潜在的な損失の集中を浮か
び上がらせ、そして必要な場合には当社のエクスポージャーを評価し、低減させるために、当該見積損失につ
いての検討を行っている。
限度額
当社は、当社の信用エクスポージャーの規模および性質を管理するため、様々なレベルで信用リスク限度額
を設定しているほか、引受基準を設けている。業界および国に関する限度額は、当社のリスク選好度に基づい
ており、信用リスク集中の定期的なモニタリング、検討、上申および管理ができるよう設定されている。限度
額承認のプロセスに関する情報については、上記「リスク管理の概要および体制」参照。
信用リスク部門は、これらの限度額をモニターし、限度額を超過した事例を適時に特定し、幹部経営陣およ
び/または適切なリスク関連の委員会に適時に上申する責任を負っている。
リスク低減策
当社は、デリバティブおよび証券金融取引に関する当社の信用エクスポージャーを軽減するため、取引相手
先との間で、当社が当該取引相手先との間の債権債務を相殺できるネッティング契約を締結することがある。
当社は、取引相手先から事前に、または条件付で担保を徴求し、かつ/または当該取引相手先の信用格付が一
定水準を下回った場合に取引を終了させることのできる契約を締結することにより、取引相手先との間で発生
する信用リスクを軽減することもある。当社は、担保の公正価値をモニターすることにより、当社の信用エク
スポージャーに対して適切な担保が付されていることを確保する。当社は、当社の取引相手先の信用力と当社
が受け取る担保の市場価値の間に顕著な正のコリレーションが存在する場合のエクスポージャーを最小化する
よう努めている。
当社は、ローンおよび貸付コミットメントに関しては、借主の信用度およびその他の取引の特性に応じて、
種々の潜在的なリスク低減策を採用している。リスク低減策には、担保提供、保証、誓約条項、銀行ローン債
権の構造上の優位性、ならびに一定の貸付コミットメントに関しては、市況の変化に応じて当社がローン金
額、価格設定、構造およびその他の条件を変更することができる旨の法律文書中の規定が含まれる。採用され
るリスク低減策の種類および構造は、ローンまたは貸付コミットメントに関する信用リスクの程度に重大な影
響を及ぼす場合がある。
当社が取引相手先の財務能力を十分に見通すことができない場合、または取引相手先が親会社からの支援を
必要としていると当社が判断する場合は、当社は当該取引相手先の債務について第三者の保証を受けることが
ある。当社は、信用デリバティブまたは参加契約を利用して当社の信用リスクを低減させることもある。
114/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
信用エクスポージャー
2021年6月現在の当社の信用エクスポージャーの総額は、2020年12月現在と比較して増加した。これは、主
として、中央銀行への現金預金ならびにローンおよび貸付コミットメントの増加を反映している。非投資適格
の取引相手先(格付機関の公表値に相当するものとして内部で判断した格付に基づく)により生じた当社の信
用エクスポージャーの割合は、主として、中央銀行への現金預金に関連する投資適格の信用エクスポージャー
の増加を反映して、2020年12月現在と比較して減少した。2021年6月に終了した6ヶ月間中に債務不履行に
陥った取引相手先に対する当社の信用エクスポージャーは、前年同期中に債務不履行に陥った取引相手先に対
する当社の信用エクスポージャーと比較して減少したが、かかるエクスポージャーは、主として、ローンおよ
び貸付コミットメントに関連するものであった。2021年6月に終了した6ヶ月間中に債務不履行に陥った取引
相手先に対する当社の信用エクスポージャーは低水準に留まり、当社の信用エクスポージャー合計の1パーセ
ント未満であった。かかる不履行に関連する見積損失は、損益認識される。当社の信用エクスポージャーにつ
いては、下記でさらに詳述する。
現金および現金同等物
現金および現金同等物による当社の信用エクスポージャーは、当社の非制限現金から生じ、利付預金と無
利息預金の双方を含む。信用損失のリスクを低減させるため、当社は、当社の預金のほぼすべてを高格付の
銀行および中央銀行に預け入れている。
下表は、非制限現金および現金同等物による当社の信用エクスポージャー、ならびに業界別、地域別およ
び格付機関の公表値に相当するものとして内部で判断した格付別の集中度を示したものである。
( 単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020年12月現在
現金および現金同等物 216,907 131,324
業界
金融機関 6 % 11 %
ソブリン 94 % 89 %
合計 100 % 100 %
地域
南北アメリカ 64 % 45 %
EMEA 28 % 41 %
アジア 8 % 14 %
合計 100 % 100 %
信用度(信用格付相当値)
AAA 69 % 44 %
AA 21 % 38 %
A 9 % 17 %
BBB 1 % 1 %
合計 100 % 100 %
115/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
上表には、2021年6月現在および2020年12月現在でそれぞれ233.8億ドルおよび245.2億ドルの規制上およ
びその他の目的で分別されている現金は含まれていない。
店頭デリバティブ
店頭デリバティブによる当社の信用エクスポージャーは、主に当社のマーケット・メイキング活動から生
じる。当社はマーケット・メイカーとして、顧客に流動性を提供し、かつ顧客のリスクの移転およびヘッジ
を促進するためにデリバティブ取引を実施している。当社は、市場リスク・エクスポージャーを管理するた
めにもデリバティブ契約を締結している。当社は、上記の信用リスク・プロセス、指標、限度額およびリス
ク低減策を用いて店頭デリバティブによる当社の信用エクスポージャーを管理している。
当社は一般に、日々の担保交換を要件とする担保に関する双務契約に基づき店頭デリバティブ取引を実施
している。信用リスクは公正価値を構成する不可欠な要素であるため、連結財務書類注記7に記載のとお
り、当社はデリバティブの公正価値に信用評価調整(「CVA」)を適用し、取引相手先の信用リスクを反映
させている。CVAは、期待エクスポージャーの現在価値、取引相手先不履行の確率および不履行時における
予想回収額の関数である。
下表は、店頭デリバティブによる当社の正味信用エクスポージャー、ならびに業界別および地域別の集中
度を示したものである。
( 単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020年12月現在
店頭デリバティブ資産 60,594 64,850
担保(米国会計基準に基づく相殺はされていない) (17,207 ) (18,990 )
正味信用エクスポージャー 43,387 45,860
業界
消費財および小売 3 % 4 %
多角事業 15 % 23 %
金融機関 12 % 12 %
ファンド 16 % 12 %
ヘルスケア 1 % 2 %
地方自治体および非営利 5 % 6 %
天然資源および公益事業 22 % 11 %
ソブリン 9 % 14 %
テクノロジー、メディアおよび通信 11 % 12 %
その他(特別目的事業体を含む) 6 % 4 %
合計 100 % 100 %
地域
南北アメリカ 59 % 62 %
EMEA 32 % 30 %
アジア 9 % 8 %
合計 100 % 100 %
116/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
上表において、
・店頭デリバティブ資産(連結貸借対照表に含まれている)は、法的強制力のあるネッティング契約に基
づく相殺の法的権利が存在する場合には、取引相手先ごとの純額ベース(すなわち、ある取引相手先に
対する債権の純額)で計上され(「取引相手先との相殺」)、法的強制力のある信用補完契約に基づき
受け取った現金担保を控除後の公正価値で会計処理される(「現金担保との相殺」)。
・担保は、信用補完契約に基づき受け取った、現金担保ならびに(主に米国政府債および政府機関債なら
びに米国以外の政府債および政府機関債等の)有価証券担保の公正価値を表す。かかる担保は、当社が
信用リスクを判断する際に考慮されるものの、米国会計基準の下ではネッティングの適格性を有してい
ない。
下表は、店頭デリバティブによる当社の正味信用エクスポージャーの分布を期間別に示したものである。
非投資適格
(単位:百万ドル) 投資適格 /格付なし 合計
2021年6月現在
1年未満 23,629 9,557 33,186
1-5年 19,284 15,555 34,839
5年超 66,299 6,811 73,110
合計 109,212 31,923 141,135
ネッティング (87,561 ) (10,187 ) (97,748 )
正味信用エクスポージャー 21,651 21,736 43,387
2020年12月現在
1年未満 22,332 12,507 34,839
1-5年 23,927 16,486 40,413
5年超 77,653 8,958 86,611
合計 123,912 37,951 161,863
ネッティング (101,691 ) (14,312 ) (116,003 )
正味信用エクスポージャー 22,221 23,639 45,860
上表において、
・期間は、契約満期までの残余期間に基づいている。
・ネッティングは、複数の期間カテゴリーにわたる取引相手先との相殺ならびに当社が信用リスクを判断
する際に考慮する担保を含む(米国会計基準の下ではネッティングの適格性を有していない担保を含
む)。同一の期間カテゴリーにおける取引相手先との相殺は、当該同一の期間カテゴリー中に含まれて
いる。
117/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
下表はそれぞれ、店頭デリバティブによる当社の正味信用エクスポージャーの分布を、期間別および格付
機関の公表値に相当するものとして内部で判断した格付別に示したものである。
投資適格
( 単位:百万ドル)
AAA AA A BBB 合計
2021 年6月現在
1年未満 850 5,073 10,369 7,337 23,629
1-5年 1,045 3,143 8,846 6,250 19,284
5年超 13,392 5,976 24,392 22,539 66,299
合計 15,287 14,192 43,607 36,126 109,212
ネッティング (12,936 ) (10,368 ) (36,466 ) (27,791 ) (87,561 )
正味信用エクスポージャー 2,351 3,824 7,141 8,335 21,651
2020 年12月現在
1年未満 532 4,146 11,440 6,214 22,332
1-5年 1,069 4,189 10,976 7,693 23,927
5年超 16,550 7,403 28,410 25,290 77,653
合計 18,151 15,738 50,826 39,197 123,912
ネッティング (14,364 ) (11,230 ) (44,529 ) (31,568 ) (101,691 )
正味信用エクスポージャー 3,787 4,508 6,297 7,629 22,221
非投資適格/格付なし
( 単位:百万ドル)
BB以下 格付なし 合計
2021 年6月現在
1年未満 8,842 715 9,557
1-5年 15,361 194 15,555
5年超 6,675 136 6,811
合計 30,878 1,045 31,923
ネッティング (10,110 ) (77 ) (10,187 )
正味信用エクスポージャー 20,768 968 21,736
2020 年12月現在
1年未満 11,541 966 12,507
1-5年 16,274 212 16,486
5年超 8,844 114 8,958
合計 36,659 1,292 37,951
ネッティング (14,114 ) (198 ) (14,312 )
正味信用エクスポージャー 22,545 1,094 23,639
118/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
貸付活動
当社は、当社の貸付活動を、上記の信用リスク・プロセス、指標、限度額およびリスク低減策を用いて管
理している。流通市場でのトレーディング・ポジションを含むその他の貸付ポジションは、市場リスクの一
部としてリスク管理されている。
下表は、当社のローンおよび貸付コミットメントを示したものである。
貸付
( 単位:百万ドル) ローン コミットメント 合計
2021 年6月現在
企業向け 47,814 164,732 212,546
富裕層向け金融業務 39,955 3,440 43,395
商業用不動産 19,468 5,133 24,601
住宅用不動産 12,218 2,605 14,823
消費者向け:
割賦払い 3,257 8 3,265
クレジットカード 5,210 28,529 33,739
その他 5,886 5,564 11,450
総計 133,808 210,011 343,819
ローン貸倒引当金 (3,271 ) (822 ) (4,093 )
合計 130,537 209,189 339,726
2020 年12月現在
企業向け 48,659 135,818 184,477
富裕層向け金融業務 33,023 3,103 36,126
商業用不動産 20,290 4,268 24,558
住宅用不動産 5,750 1,900 7,650
消費者向け:
割賦払い 3,823 4 3,827
クレジットカード 4,270 21,640 25,910
その他 4,174 4,842 9,016
総計 119,989 171,575 291,564
ローン貸倒引当金 (3,874 ) (557 ) (4,431 )
合計 116,115 171,018 287,133
119/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
企業向け
企業向けローンおよび貸付コミットメントには、ターム・ローン、リボルビングの与信枠、信用状枠およ
びブリッジ・ローンが含まれ、主に営業および一般的な事業目的または買収関連で使用される。企業向け
ローンには、その目的、借手のリスク・プロファイルおよびその他の要因により担保付のものと無担保のも
のがある。
下表は、企業向けローンおよび貸付コミットメントによる当社の信用エクスポージャー、ならびに業界
別、地域別、格付機関の公表値に相当するものとして内部で判断した格付別およびその他の信用測定基準別
の集中度を示したものである。
貸付
( 単位:百万ドル) ローン コミットメント 合計
2021 年6月現在
企業向け 47,814 164,732 212,546
業界
消費財および小売 7 % 11 % 10 %
多角事業 16 % 22 % 21 %
金融機関 6 % 7 % 7 %
ファンド 18 % 3 % 7 %
ヘルスケア 7 % 11 % 10 %
天然資源および公益事業 10 % 15 % 14 %
不動産 6 % 5 % 5 %
テクノロジー、メディアおよび通信 19 % 22 % 21 %
その他(特別目的事業体を含む) 11 % 4 % 5 %
合計 100 % 100 % 100 %
地域
南北アメリカ 57 % 74 % 70 %
EMEA 33 % 24 % 26 %
アジア 10 % 2 % 4 %
合計 100 % 100 % 100 %
信用度 ( 信用格付相当値 )
AAA - 1 % 1 %
AA 1 % 4 % 3 %
A 6 % 15 % 13 %
BBB 17 % 37 % 32 %
BB以下 75 % 42 % 50 %
その他の 測定基準 /格付なし 1 % 1 % 1 %
合計 100 % 100 % 100 %
120/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
貸付
( 単位:百万ドル) ローン コミットメント 合計
2020 年12月現在
企業向け 48,659 135,818 184,477
業界
消費財および小売 7 % 14 % 12 %
多角事業 17 % 17 % 17 %
金融機関 10 % 6 % 7 %
ファンド 13 % 3 % 6 %
ヘルスケア 7 % 12 % 11 %
天然資源および公益事業 12 % 18 % 16 %
不動産 8 % 6 % 6 %
テクノロジー、メディアおよび通信 17 % 19 % 19 %
その他(特別目的事業体を含む) 9 % 5 % 6 %
合計 100 % 100 % 100 %
地域
南北アメリカ 60 % 70 % 67 %
EMEA 31 % 28 % 29 %
アジア 9 % 2 % 4 %
合計 100 % 100 % 100 %
信用度(信用格付相当値)
AAA - 1 % 1 %
AA - 5 % 4 %
A 6 % 19 % 15 %
BBB 13 % 36 % 30 %
BB以下 80 % 38 % 49 %
その他の 測定基準 /格付なし 1 % 1 % 1 %
合計 100 % 100 % 100 %
上表において、信用エクスポージャーからは、当社の連結財務書類において保証債務に分類されている発
行済信用状に関連する32.0億ドルが、2021年6月現在および2020年12月現在の双方において除外されてい
る。保証債務に関する詳細については、連結財務書類注記18参照。
富裕層の顧客向け
富裕層の顧客向けローンおよび貸付コミットメントは、富裕層およびその他の顧客を含む、プライベー
ト・バンクの顧客向けに提供される。これらのローンは、金融資産と非金融資産の双方に対する投資の資金
調達、キャッシュ・フローのタイミングのずれへの繋ぎ、またはその他の必要性に対する流動性の確保を目
的として使用される。かかるローンのほぼすべてには、有価証券、住宅用不動産、商業用不動産またはその
他の資産による担保が付されている。
121/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
下表は、富裕層の顧客向けローンおよび貸付コミットメントによる当社の信用エクスポージャー、ならび
に地域別、格付機関の公表値に相当するものとして内部で判断した格付別およびその他の信用測定基準別の
集中度を示したものである。
貸付
(単位:百万ドル) ローン コミットメント 合計
2021年6月現在
富裕層の顧客向け 39,955 3,440 43,395
地域
南北アメリカ 86 % 97 % 87 %
EMEA 11 % 3 % 10 %
アジア 3 % - 3 %
合計 100 % 100 % 100 %
信用度(信用格付相当値)
投資適格 70 % 57 % 70 %
非投資適格 14 % 20 % 14 %
その他の 測定基準 /格付なし 16 % 23 % 16 %
合計 100 % 100 % 100 %
貸付
( 単位:百万ドル) ローン コミットメント 合計
2020年12月現在
富裕層の顧客向け 33,023 3,103 36,126
地域
南北アメリカ 88 % 99 % 89 %
EMEA 10 % 1 % 9 %
アジア 2 % - 2 %
合計 100 % 100 % 100 %
信用度(信用格付相当値)
投資適格 67 % 58 % 66 %
非投資適格 16 % 21 % 17 %
その他の 測定基準 /格付なし 17 % 21 % 17 %
合計 100 % 100 % 100 %
上表において、その他の測定基準/格付なしのローンには、主として、住宅用不動産によって担保された
ローンが含まれる。当該ローンの当社のリスク評価プロセスには、ローン・トゥ・バリュー・レシオおよび
延滞状況等、一定の主要な指標をレビューすることが含まれる。
122/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
商業用不動産
商業用不動産によって担保されたローンおよび貸付コミットメントには、(プライベート・バンクの顧客
向けに提供されたもの以外の)ホテル、小売店、集合住宅ならびに商業用および産業用不動産を直接的また
は間接的に担保として組成されたローンおよび貸付コミットメントが含まれる。商業用不動産によって担保
されたローンおよび貸付コミットメントにはまた、商業用不動産を直接的または間接的に担保とする資産を
保有する顧客に対して提供したローンおよび貸付コミットメントが含まれる。さらに、商業用不動産には当
社が購入したローンも含まれる。
下表は、商業用不動産によって担保されたローンおよび貸付コミットメントによる当社の信用エクスポー
ジャー、ならびに地域別、格付機関の公表値に相当するものとして内部で判断した格付別およびその他の信
用測定基準別の集中度を示したものである。
貸付
(単位:百万ドル) ローン コミットメント 合計
2021年6月現在
商業用不動産 19,468 5,133 24,601
地域
南北アメリカ 70 % 76 % 72 %
EMEA 22 % 10 % 19 %
アジア 8 % 14 % 9 %
合計 100 % 100 % 100 %
信用度(信用格付相当値)
投資適格 9 % 17 % 10 %
非投資適格 87 % 83 % 86 %
その他の 測定基準 /格付なし 4 % - 4 %
合計 100 % 100 % 100 %
2020年12月現在
商業用不動産 20,290 4,268 24,558
地域
南北アメリカ 71 % 65 % 70 %
EMEA 19 % 10 % 18 %
アジア 10 % 25 % 12 %
合計 100 % 100 % 100 %
信用度(信用格付相当値)
投資適格 9 % 13 % 10 %
非投資適格 86 % 87 % 86 %
その他の 測定基準 /格付なし 5 % - 4 %
合計 100 % 100 % 100 %
123/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
上表において、信用エクスポージャーには、2021年6月現在および2020年12月現在でそれぞれ75.2億ドル
および78.8億ドルのローンおよび貸付コミットメントが含まれており、これらは、商業用不動産を直接的ま
たは間接的に担保とする資産を保有する顧客に対して提供されるものである。
また、当社は、2021年6月現在および2020年12月現在でそれぞれ569百万ドルおよび503百万ドルの、証券
化目的で保有される、一定の商業用不動産によって担保されたローンに対する信用エクスポージャーも有し
ている。当該ローンは、当社の連結貸借対照表においてトレーディング資産に含まれている。
住宅用不動産
住宅用不動産によって担保されたローンおよび貸付コミットメントは、(プライベート・バンクの顧客向
けに提供されたものを除き)住宅用不動産を直接的または間接的に担保とする資産を保有する顧客に対して
提供されるものであり、これには当社が購入したローンも含まれる。
下表は、住宅用不動産によって担保されたローンおよび貸付コミットメントによる当社の信用エクスポー
ジャー、ならびに地域別、格付機関の公表値に相当するものとして内部で判断した格付別およびその他の信
用測定基準別の集中度を示したものである。
貸付
(単位:百万ドル) ローン コミットメント 合計
2021年6月現在
住宅用不動産 12,218 2,605 14,823
地域
南北アメリカ 90 % 89 % 90 %
EMEA 8 % 11 % 8 %
アジア 2 % - 2 %
合計 100 % 100 % 100 %
信用度(信用格付相当値)
投資適格 6 % 11 % 7 %
非投資適格 84 % 86 % 84 %
その他の 測定基準 /格付なし 10 % 3 % 9 %
合計 100 % 100 % 100 %
124/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
貸付
(単位:百万ドル) ローン コミットメント 合計
2020年12月現在
住宅用不動産 5,750 1,900 7,650
地域
南北アメリカ 88 % 98 % 91 %
EMEA 9 % 2 % 7 %
アジア 3 % - 2 %
合計 100 % 100 % 100 %
信用度(信用格付相当値)
投資適格 11 % 2 % 9 %
非投資適格 67 % 93 % 73 %
その他の 測定基準 /格付なし 22 % 5 % 18 %
合計 100 % 100 % 100 %
上表において、
・信用エクスポージャーには、2021年6月現在および2020年12月現在でそれぞれ127.1億ドルおよび57.1
億ドルのローンおよび貸付コミットメントが含まれており、これらは、住宅用不動産を直接的または間
接的に担保とする資産を保有する顧客に対して提供されるものである。
・その他の測定基準/格付なしには、主として、当社が購入したローンが含まれる。当該ローンの当社の
リスク評価プロセスには、ローン・トゥ・バリュー・レシオ、延滞状況、担保の価値、予想キャッ
シュ・フローおよびその他のリスク要因等、一定の主要な指標をレビューすることが含まれる。
また、当社は、2021年6月現在および2020年12月現在でそれぞれ66.9億ドルおよび55.7億ドルの、証券化
目的で保有される、住宅用不動産によって担保されたローンに対するエクスポージャーも有している。当該
ローンは、当社の連結貸借対照表においてトレーディング資産に含まれている。
125/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
割賦払い貸付およびクレジットカード貸付
当社は、南北アメリカの消費者向けに、無担保の割賦払いローンおよび(リボルビングの与信枠に基づい
た)クレジットカード・ローンの組成を行っている。クレジットカードの与信枠は、当社により解約可能で
あり、したがって、信用エクスポージャーとはならない。
下表は、組成された割賦払いローンおよびクレジットカードによる資金調達ローンによる当社の信用エク
スポージャー、ならびに最も集中している米国の5つの州別の集中度を示したものである。
( 単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020年12月現在
割賦払い 3,257 3,823
カリフォルニア州 11 % 11 %
テキサス州 9 % 9 %
ニューヨーク州 7 % 7 %
フロリダ州 7 % 7 %
イリノイ州 4 % 4 %
その他 62 % 62 %
合計 100 % 100 %
クレジットカード 5,210 4,270
カリフォルニア州 19 % 19 %
テキサス州 9 % 9 %
ニューヨーク州 8 % 8 %
フロリダ州 8 % 8 %
イリノイ州 4 % 4 %
その他 52 % 52 %
合計 100 % 100 %
割賦払いローンおよびクレジットカード・ローンの信用度の指標に関する詳細については、連結財務書類
注記9参照。
126/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
その他
その他のローンおよび貸付コミットメントは、自動車ローンや私的学資ローン等消費者向けローンおよび
その他の資産を直接的または間接的に担保とする資産を保有する顧客に対して提供される。また、その他の
ローンには、当社が購入した消費者向け無担保ローンおよびクレジットカード・ローンも含まれる。
下表は、その他のローンおよび貸付コミットメントによる当社の信用エクスポージャー、ならびに地域
別、格付機関の公表値に相当するものとして内部で判断した格付別およびその他の信用測定基準別の集中度
を示したものである。
貸付
(単位:百万ドル) ローン コミットメント 合計
2021年6月現在
その他 5,886 5,564 11,450
地域
南北アメリカ 85 % 91 % 88 %
EMEA 13 % 6 % 10 %
アジア 2 % 3 % 2 %
合計 100 % 100 % 100 %
信用度(信用格付相当値)
投資適格 32 % 86 % 58 %
非投資適格 41 % 14 % 28 %
その他の 測定基準 /格付なし 27 % - 14 %
合計 100 % 100 % 100 %
2020年12月現在
その他 4,174 4,842 9,016
地域
南北アメリカ 81 % 98 % 90 %
EMEA 17 % - 8 %
アジア 2 % 2 % 2 %
合計 100 % 100 % 100 %
信用度(信用格付相当値)
投資適格 44 % 94 % 71 %
非投資適格 23 % 6 % 14 %
その他の 測定基準 /格付なし 33 % - 15 %
合計 100 % 100 % 100 %
127/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
上表において、
・信用エクスポージャーには、2021年6月現在および2020年12月現在でそれぞれ91.7億ドルおよび72.8億
ドルの、資産を保有する顧客に対して提供したローンおよび貸付コミットメントが含まれる。
・その他の測定基準/格付なしには、主として、当社が購入した消費者向けローンおよびクレジットカー
ド・ローンが含まれる。当該ローンの当社のリスク評価プロセスには、予想キャッシュ・フロー、延滞
状況およびその他のリスク要因等、一定の主要な指標をレビューすることが含まれる。
また、当社は、2021年6月現在および2020年12月現在でそれぞれ610百万ドルおよび420百万ドルの、証券
化目的で保有されるその他のローンに対するエクスポージャーも有している。当該ローンは、当社の連結貸
借対照表においてトレーディング資産に含まれている。
信用ヘッジ
当社の貸付活動に関連する信用リスクを低減させるため、当社は、一定のローンおよび貸付コミットメント
について、個別銘柄契約と指数ベース契約の双方のクレジット・デフォルト・スワップを通じて、およびクレ
ジットリンク債の発行を通じて、信用プロテクションを得ている。また、株式会社三井住友フィナンシャルグ
ループは、当社に対し、一定の承認済貸付コミットメントに係る信用補完を提供している。
証券金融取引
当社は、とりわけ顧客取引の円滑化、余剰現金の投資、ショートポジションを補うための有価証券の取得
および一定の活動の資金調達のために、証券金融取引を実施している。当社は、取引相手先に対して前貸し
された現金、または取引相手先に対して担保権を設定し、もしくは交付した有価証券の価額が、受取担保の
価額を超える範囲内においてのみ、売戻条件付契約および借入有価証券担保金に関連する信用リスクを負っ
ている。当社は、これらの取引のために取引相手先に対して担保権を設定し、もしくは交付した有価証券の
価額が、受取現金または受取担保の価額を超える範囲内において、買戻条件付契約および貸付有価証券担保
金に対する信用エクスポージャーも有している。これらの取引に係る有価証券担保には、主として、米国政
府債および政府機関債ならびに米国以外の政府債および政府機関債が含まれる。
128/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
下表は、証券金融取引による当社の信用エクスポージャー、ならびに業界別、地域別および格付機関の公
表値に相当するものとして内部で判断した格付別の集中度を示したものである。
( 単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020年12月現在
証券金融取引 36,061 30,190
業界
金融機関 40 % 39 %
ファンド 29 % 24 %
地方自治体および非営利 5 % 5 %
ソブリン 24 % 30 %
その他(特別目的事業体を含む) 2 % 2 %
合計 100 % 100 %
地域
南北アメリカ 34 % 33 %
EMEA 47 % 46 %
アジア 19 % 21 %
合計 100 % 100 %
信用度 ( 信用格付相当値 )
AAA 11 % 15 %
AA 27 % 28 %
A 38 % 40 %
BBB 13 % 10 %
BB以下 9 % 5 %
格付なし 2 % 2 %
合計 100 % 100 %
上表は、当社が信用リスクを判断する際に考慮するネッティング契約と担保の双方を反映している。
その他の信用エクスポージャー
当社は、ブローカー、ディーラーおよび清算機関ならびに顧客および取引相手先に対する当社の受取債権
から発生する信用リスクにさらされている。ブローカー、ディーラーおよび清算機関に対する受取債権は、
主として、清算機関に預託されている当初証拠金および売買済未決済有価証券の売却に係る受取債権で構成
されている。かかる受取債権は、清算機関による債務不履行の可能性が低いこと、および有価証券の決済に
関する受取債権の性質が短期的なものであることにより、通常最低限の信用リスクに抑えられている。顧客
および取引相手先に対する受取債権は通常、顧客との有価証券取引に関する担保付債権で構成され、受取担
保の価額とかかる受取債権の短期的な性質の双方により、通常最低限の信用リスクに抑えられている。
129/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
下表は、当社のその他の信用エクスポージャー、ならびに業界別、地域別および格付機関の公表値に相当
するものとして内部で判断した格付別の集中度を示したものである。
( 単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020年12月現在
その他の信用エクスポージャー 49,695 56,429
業界
金融機関 83 % 85 %
ファンド 11 % 9 %
その他(特別目的事業体を含む) 6 % 6 %
合計 100 % 100 %
地域
南北アメリカ 54 % 54 %
EMEA 35 % 35 %
アジア 11 % 11 %
合計 100 % 100 %
信用度 ( 信用格付相当値 )
AAA 6 % 5 %
AA 46 % 48 %
A 25 % 27 %
BBB 6 % 8 %
BB以下 16 % 11 %
格付なし 1 % 1 %
合計 100 % 100 %
上表は、当社が信用リスクを判断する際に考慮する担保を反映している。
特定のエクスポージャー
当社は、以下に記載したとおりの信用エクスポージャーおよび市場エクスポージャーを有しているが、これ
らのエクスポージャーは、昨今の事象および広範囲に及ぶ市場の懸念を背景に注目度が高まっている。信用エ
クスポージャーは、取引相手先もしくは借主が債務不履行に陥る、またはその信用度が悪化することにより受
け得る潜在的な損失を表している。市場エクスポージャーは、市場価格の変動による当社のロングポジション
およびショートポジションの価値の潜在的な損失を表している。
130/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
国別エクスポージャー
外部資金調達の必要性が高まったこと、および一貫性に欠ける金融政策により、トルコリラは著しく下落
し、外貨準備高および経済の不安定性に対する懸念が生じた。2021年6月現在のトルコに対する当社の信用
エクスポージャー合計は、23.0億ドルであった。これは、非ソブリンである取引相手先または借主に対する
ものであった。かかるエクスポージャーは、店頭デリバティブに関連する15.2億ドル、ローンおよび貸付コ
ミットメントに関連する174百万ドルならびに担保付受取債権に関連する602百万ドルで構成されていた。
ヘッジならびにトルコの法人担保およびソブリン担保による利益、ならびにトルコの取引相手先により提供
されたその他のリスク低減策を考慮した場合、当社の正味信用エクスポージャーは388百万ドルであった。
また、2021年6月現在のトルコに対する当社の市場エクスポージャー合計は138百万ドルであり、主として
非ソブリンである発行体または原資産に対するものであった。かかるエクスポージャーは、債券に関連する
314百万ドル、信用デリバティブに関連するマイナス183百万ドルおよび株式に関連する7百万ドルで構成さ
れていた。
流動性圧力によって、2020年度においてアルゼンチン政府は債務不履行に陥り、内国債および外債を再編
することとなった。経済的課題が存続し、同国は依然としてIMF(国際通貨基金)との間において新たな金
銭的条件を確保する必要がある。2021年6月現在のアルゼンチンに対する当社の信用エクスポージャー合計
は、133百万ドルであった。これは、非ソブリンである取引相手先または借主に対するものであり、主とし
てローンおよび貸付コミットメントに関連していた。また、2021年6月現在のアルゼンチンに対する当社の
市場エクスポージャー合計は110百万ドルであり、主として非ソブリンである発行体または原資産に対する
ものであった。かかるエクスポージャーは、債券に関連する65百万ドル、信用デリバティブに関連するマイ
ナス2百万ドルおよび株式に関連する47百万ドルで構成されていた。
レバノンのソブリン債の再編および急激な通貨の下落は、同国の金融および政治の安定性に対する懸念に
つながった。2021年6月現在のレバノンに対する当社の信用エクスポージャー合計および市場エクスポー
ジャー合計は、重大なものではなかった。
COVID-19パンデミックにより悪化したザンビアのソブリン債の債務不履行および継続的な流動性圧力は、
ザンビアの金融の安定性に対する懸念につながった。2021年6月現在のザンビアに対する当社の信用エクス
ポージャー合計および市場エクスポージャー合計は、重大なものではなかった。
ベネズエラでは同国のソブリン債の返済に遅延が生じ、同国の政治状況は不透明なままである。2021年6
月現在のベネズエラに対する当社の信用エクスポージャー合計および市場エクスポージャー合計は、重大な
ものではなかった。
131/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社は、当社の国別エクスポージャーのモニタリング、測定および評価、ならびに当社のリスク選好度の
決定を目的とした包括的な枠組を設けている。当社は、リスクのある国を、取引相手先、発行体もしくは原
資産の所在地、収益創出場所、本店所在国、取引相手先、発行体もしくは原資産に対する請求が執行される
可能性がある法域、および/またはこれらの債務返済能力に影響を及ぼす政策を有する政府により決定す
る。当社は、ある国に対する当社の信用エクスポージャーを、個別の取引相手先レベルと当該国全体レベル
の双方でモニターしている。上記の国々に影響を及ぼす事象の直接的および間接的な影響を見積もるために
設計されたストレス・テストに関する情報については、上記「ストレス・テスト」参照。
業界別エクスポージャー
COVID-19パンデミックにより経済活動が急激に低下した結果、賭博・宿泊業界に著しい影響が及んだ。
2021年6月現在の賭博・宿泊事業者(ホテルの所有者および運営業者を含む)に対するローンおよび貸付コ
ミットメント関連の当社の信用エクスポージャーは、26.3億ドル(ローンが541百万ドル、および貸付コ
ミットメントが20.9億ドル)であった。かかるエクスポージャーには、非投資適格の取引相手先に対する
25.9億ドルのエクスポージャー(ローン関連が541百万ドル、および貸付コミットメント関連が20.5億ド
ル)が含まれており、このうち72パーセントが担保付であった。また、当社は、ホテル資産を担保とする
ローンを提供している。2021年6月現在の当該ローンおよび貸付コミットメント関連の当社のエクスポー
ジャーは、14.6億ドルであり、非投資適格の取引相手先に対するものであった。また、当社は、賭博・宿泊
業界における当社の顧客に対して、デリバティブから生じるエクスポージャーを有している。2021年6月現
在の賭博・宿泊事業者に対するデリバティブおよび受取債権関連の当社の信用エクスポージャーは、175百
万ドルであり、非投資適格の取引相手先に対するものであった。ヘッジによる80百万ドルの利益を考慮した
場合、当社の正味信用エクスポージャーは27.3億ドルであった。2021年6月現在の賭博・宿泊事業者関連の
当社の市場エクスポージャーは、4百万ドルであった。これは、主として、非投資適格の発行体または原資
産に対するものであった。かかるエクスポージャーは、債券に関連する32百万ドル、信用デリバティブに関
連するマイナス335百万ドルおよび株式に関連する307百万ドルで構成されていた。
132/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
COVID-19パンデミックをめぐる懸念により旅行が急激に減少し、航空業界に著しい影響が及んだ。2021年
6月現在の航空会社に対するローンおよび貸付コミットメント関連の当社の信用エクスポージャーは、15.0
億ドル(ローンが586百万ドル、および貸付コミットメントが915百万ドル)で、非投資適格の取引相手先に
対するものであり、このうち92パーセントが担保付であった。また、当社は、航空業界における当社の顧客
に対して、デリバティブから生じるエクスポージャーを有している。2021年6月現在の航空会社に対するデ
リバティブおよび受取債権関連の当社の信用エクスポージャーは、146百万ドル(投資適格の取引相手先に
対するものが112百万ドル、および非投資適格の取引相手先に対するものが34百万ドル)であった。ヘッジ
による274百万ドルの利益を考慮した場合、当社の正味信用エクスポージャーは13.7億ドルであった。2021
年6月現在の航空会社関連の当社の市場エクスポージャーは、46百万ドルであり、そのほぼすべてが非投資
適格の発行体または原資産に対するものであった。かかるエクスポージャーは、債券に関連する276百万ド
ル、信用デリバティブに関連するマイナス163百万ドルおよび株式に関連するマイナス67百万ドルで構成さ
れていた。
オペレーションリスク管理
概要
オペレーションリスクとは、内部の手続、人員およびシステムの不足もしくは不備または外部的事象によ
り、有害な結果が生じるリスクをいう。オペレーションリスクに対する当社のエクスポージャーは、日常的な
処理上の過誤、ならびに大規模システム障害または法的および規制に関連する事由といった非日常的な事由か
ら発生する。
内部および外部のオペレーションリスクに関連する損失を発生させ得る事由の潜在的な種類には、以下が含
まれる。
・顧客、商品および商慣行
・執行、引渡および処理の管理
・事業の混乱およびシステム障害
・雇用慣行および職場の安全
・有形資産への損害
・内部不正行為
・外部不正行為
オペレーションリスク部門は、当社の収益創出部門から独立しており、当社の首席リスク担当役員に報告を
行っている。オペレーションリスク部門は、オペレーションリスクに対する当社のエクスポージャーを当社の
リスク選好度の範囲内の水準で維持することを目標として、オペレーションリスクの評価、モニタリングおよ
び管理のための定式化された枠組を策定し、実施することについて主たる責任を負っている。
133/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
オペレーションリスク管理プロセス
当社のオペレーションリスクを管理するプロセスには、上記「リスク管理の概要および体制」に記載されて
いる当社のリスク管理の枠組に不可欠な要素が含まれる。これらの要素には、オペレーションリスク事由に関
する包括的なデータ収集プロセスならびにファームワイドな方針および手続が含まれる。
当社は、トップダウン・アプローチおよびボトムアップ・アプローチを組み合わせてオペレーションリスク
の管理および測定を行っている。トップダウンの視点からは、当社の幹部経営陣が、ファームワイドおよび事
業レベルのオペレーションリスク・プロファイルを評価している。ボトムアップの視点からは、当社の第1お
よび第2の防衛線が、オペレーションリスクの幹部経営陣への上申を含む日常的なリスク特定およびリスク管
理の責任を負っている。
当社は、オペレーションリスクを最小限に抑えるため、統制の行き届いた環境を提供すべく策定された包括
的な統制の枠組を維持している。ファームワイド・オペレーションリスクおよびレジリエンス委員会は、オペ
レーションリスクの監督ならびに当社のビジネスレジリエンスおよびオペレーションレジリエンスの確保につ
いて責任を負っている。
当社のオペレーションリスク管理の枠組は、一部が自己資本規制の枠組に基づくオペレーションリスク測定
規則を遵守すべく策定されており、常に変化している当社の事業上のニーズおよび規制上のガイダンスに応じ
て発展してきた。
当社は、オペレーションリスク事由を報告および上申することを全社員に対して義務付ける方針を定めてい
る。当社の方針では、オペレーションリスク事由が特定された場合、将来発生する事由のリスクをさらに低減
させるために当社のシステムおよび/またはプロセスを変更する必要性を判断するべく、当該事由を書面化
し、分析することが義務付けられている。
当社は、オペレーションリスク管理アプリケーションを用いて、オペレーションリスク事由データおよび主
要指標を把握し、整理している。当社の主要なリスクの特定および評価手段の1つは、当社のマネージャーに
よって実施される、オペレーションリスクおよび統制の自己評価プロセスである。かかるプロセスは、フォ
ワード・ルッキングな視点に基づくオペレーションリスクの特定および評定、ならびに関連する統制から成
る。かかるプロセスの結果は、オペレーションリスク・エクスポージャーの評価、およびオペレーションリス
クの水準が高まっている事業、業務または商品の特定を行うために分析される。
134/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
リスクの測定
当社は、当社の各事業について、内部および外部のオペレーションリスク事由データならびに内部統制に係
る要因に関する定性的評価および定量的評価を含む、統計的モデリングとシナリオ分析の双方を行い、当社の
オペレーションリスク・エクスポージャーを測定している。オペレーションリスクの測定にあたっては、以下
を含む事業環境要因の査定も実施される。
・当社の事業活動の複雑性の評価
・当社プロセスにおける自動化の度合い
・新たな活動の情報
・法的環境および規制環境
・当社の商品およびサービスに関する市場の変動(当社の顧客および取引相手先の多様性および複雑化を含
む)
かかるシナリオ分析の結果は、オペレーションリスクの変化をモニターし、オペレーションリスクに対する
エクスポージャーが高まっている可能性のある事業ラインを判断するために利用される。当該分析結果は、保
有すべきオペレーションリスク資本の適切な水準の決定に利用される。当社は、ファームワイドなストレス・
テストも実施している。ファームワイドなストレス・テストに関する情報については、上記「リスク管理の概
要および体制」参照。
オペレーションリスクの種類
技術および第三者との関係に対する依存度が高くなった結果、情報セキュリティおよびサイバーセキュリ
ティリスク、サードパーティーリスクならびにビジネスレジリエンスリスク等のオペレーションリスクが増大
している。当社は、これらのリスクを以下のとおり管理している。
情報セキュリティおよびサイバーセキュリティリスク
情報セキュリティおよびサイバーセキュリティリスクとは、当社、当社の社会的評価、当社の顧客およ
び/または、より広範囲の金融システムに悪影響を及ぼすことにつながる、当社のデータおよびシステムの
機密性、完全性または利用可能性の危殆化リスクをいう。当社は、情報および/もしくは情報システムへの
不正アクセス、不正妨害またはその不正使用の発生や、それらによる影響を最小限に抑えるよう努めてい
る。当社は、新たな、そして変化を続ける情報セキュリティおよびサイバーセキュリティに対する脅威を緩
和するため、予防的および発見的な統制ならびにプロセスの活用および運用を行っている。かかる統制およ
びプロセスには、当社のデータおよびシステムにおける既知の脆弱性ならびにそれらに対する不正アクセス
の試みの兆候について、当社のネットワークをモニターすることが含まれる。当社のデータを複数の外部
サービス提供者にわたり分散化させること(クラウドで提供またはホストされる様々なサービスおよびアプ
リケーションの使用を含む)により、情報リスクが増大している。情報セキュリティおよびサイバーセキュ
リティリスクに関する詳細については、有価証券報告書第一部第3 2「事業等のリスク」参照。
135/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
サードパーティーリスク
ベンダーリスクを含むサードパーティーリスクとは、当社に代わりサービスまたは業務を提供する第三者
への依存により悪影響が生じるリスクをいう。これらのリスクには、法務リスク、規制上のリスク、情報セ
キュリティリスク、評判リスク、オペレーションリスク、または第三者を起用することに内在するその他の
リスクが含まれる可能性がある。当社は、主要なサードパーティーリスクを特定、管理および報告し、情報
セキュリティおよびサイバーセキュリティ、レジリエンスならびにさらなる第三者への依存を含む複数のリ
スク領域にわたるデューディリジェンスを行っている。サードパーティーリスクプログラムは、サードパー
ティーリスクを継続的にモニターし、検討し、再評価する。サードパーティーリスクに関する詳細について
は、有価証券報告書第一部第3 2「事業等のリスク」参照。
ビジネスレジリエンスリスク
ビジネスレジリエンスリスクとは、当社にとって不可欠なプロセスが途絶するリスクをいう。当社は、脅
威のモニタリングおよびリスクの評価を行い、不可欠な施設、システム、第三者、データおよび/またはス
タッフ等、当社にとって不可欠な機能またはそれらに付随するものの通常のオペレーションに著しいオペ
レーション途絶が起きた場合に対して、備えができている状態を確保するよう努めている。当社のBCPへの
取組は、ビジネスレジリエンスおよびオペレーションレジリエンスの観点から行われる。レジリエンスの枠
組は、BCPおよび危機管理の基本原則を定めており、これにより、不可欠な機能の途絶があった場合にも確
実にオペレーションが継続できるようにしている。事業継続プログラムは包括的であり、ファームワイドで
一貫しており、かつ最新のものであり、新たな情報、手法および技術をそれらが入手可能となり次第組み込
んだものとなっている。また、当社のレジリエンス復旧計画は、ローカルマーケットのベストプラクティス
および規制上の要件に従った、そして、特定のシナリオに基づいた、特定の測定可能な復旧時間の目標を組
み込んでおり、かつ、それをテストするものである。COVID-19パンデミックによる影響に関する情報につい
ては、上記「規制関連事項およびその他の事項-その他の事項」参照。事業継続性に関する詳細について
は、有価証券報告書第一部第2 3「事業の内容-事業継続性および情報セキュリティ」参照。
136/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
モデルリスク管理
概要
モデルリスクとは、不正確である可能性または不適切に使用された可能性のあるモデルの出力結果に基づい
てなされた判断により、悪影響が生じる潜在的な可能性をいう。当社は、一定の金融資産および負債の査定、
当社のリスクのモニタリングおよび管理、ならびに当社の規制上の自己資本の計測およびモニタリングを主な
目的として、当社の事業活動全般にわたり定量的モデルに依拠している。
モデルリスク部門は、当社の収益創出部門、モデル開発者、モデルオーナーおよびモデルユーザーから独立
しており、当社の首席リスク担当役員に報告を行っている。モデルリスク部門は、当社の世界中の事業全般に
わたるファームワイドな監督を通じて、当社のモデルリスクを評価、モニターおよび管理することについて主
たる責任を負っており、かつ幹部経営陣、リスク関連の諸委員会および取締役会のリスク委員会に定期的に最
新情報を提供している。
当社のモデルリスク管理の枠組は、ガバナンス体制およびリスク管理統制を通じて管理されており、これ
は、リスク評価および分類、健全なモデル開発実務、独自の検討ならびにモデル別の使用統制を含む、包括的
なモデル構造を当社が維持していることを確保するために策定された基準を網羅している。ファームワイド・
モデルリスクコントロール委員会は、当社のモデルリスク管理の枠組を監督している。
モデルの検討および検証プロセス
モデルリスク部門は、当社のモデルを独自に検討、検証および承認する定量化業務の専門家職員で構成され
ている。当該検討には、モデル文書の分析、独自のテスト、使用された方法の適切性に関する評価、およびモ
デルの開発・実施基準の遵守の検証が含まれる。
当社は、市況または経済状況および当社の事業構成の変化を反映させるために、定期的にそのモデルを改良
し、強化している。すべてのモデルは年に1回検討され、新規モデルを策定する場合、または既存モデルおよ
びそれらの仮定に重要な変更を行う場合は、その実施前に承認を受けることとなっている。
モデル検証プロセスは、以下の事項を批判的観点から評価および検証するために、広範なシナリオ(極限の
状況を含む)にわたるモデルならびに取引およびリスクパラメーターの検討を組み込んだものとなっている。
・モデルの仮定事項の合理性を含むモデルの理論上の健全性、およびモデルの用途に照らした適切性
・モデルを用途どおりに確実に機能させるためにモデル開発者が使用するテスト戦略
・モデルに組み込まれている計算手法の適切性
・関連する商品の特徴およびその重大なリスクについてのモデルの反映精度
・あるモデルについて、類似の商品に対する他のモデルとの一貫性
・入力されたパラメーターおよび仮定事項に対するモデルの感応度
137/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
これらの分野における当社によるモデルの使用に関する詳細については、上記「重要な会計方針-公正価値
-評価モデルの検討」、「流動性リスク管理」、「市場リスク管理」、「信用リスク管理」および「オペレー
ションリスク管理」参照。
1995年米国私募証券訴訟改革法に基づく注意事項
当社は、本書において、1995年米国私募証券訴訟改革法の免責規定が意味するところの「将来予想に関する記
述」に該当する可能性のある記述を含めており、また当社の経営陣はそういった記述を行う可能性がある。将来
予想に関する記述は、歴史的な事実や現状についての記述ではなく、将来の事由についての当社の考えを示して
いるにすぎず、その多くは、性質上、本質的な不確実性を伴い、当社の支配が及ばないものである。
これらの記述をこのように特定することで、当社は、当社の実際の業績、財政状態、流動性および資本措置
が、これらの将来予想に関する記述における業績、財政状態および流動性の見通しと異なる可能性があり、場合
によってはその差異が重大となる可能性もあることに、本書の読者に対して注意を喚起するものである。当社の
業績、財政状態、流動性および資本措置がこれらの記述の内容と異なる結果となる重要な要因には、とりわけ、
下記ならびに有価証券報告書第一部第3 2「事業等のリスク」の記載事項が含まれる。
これらの記述は、とりわけ、(1)当社の将来の計画および業績(当社の目標ROE、ROTE、効率性比率および
CET1資本比率を含む)、ならびにそれらの達成方法、(2)当社の事業の動向または成長機会(業務上の取組お
よび戦略的取組のタイミング、コスト、収益性、効果およびその他の側面、ならびにそれらが当社の効率性比率
に及ぼす影響を含む)、(3)当社の将来における報酬費用の水準(営業費用と信用損失引当金繰入額控除後の
収益の双方に対する割合としてのものを含む)、(4)当社の投資銀行取引の受注残高、(5)当社の予想され
る受取利息および支払利息、(6)当社の費用節減の取組および戦略的立地に関する取組、(7)当社が負担す
る可能性のある費用(将来の訴訟費用、ならびに当社の消費者事業およびトランザクション・バンキング事業へ
の投資に関連するものを含む)、(8)当社の預金およびその他の資金調達、資産・負債管理および資金調達戦
略、ならびに関連する支払利息節減の増大の見通し、(9)当社の業務上の取組(トランザクション・バンキン
グおよび新たな消費者向け金融商品を含む)、(10)当社の2021年度ベンチマーク債発行計画、(11)当社が保
有すると予想されるGCLAの額、構成および配置、(12)当社の信用エクスポージャー、(13)当社の予想される
信用損失引当金繰入額(当社のゼネラル・モーターズとのクレジットカード提携関係計画に関連するものを含
む)、(14)当社の信用損失引当金の適切性、(15)当社の割賦払いローン事業およびクレジットカード事業の
成長見通し、(16)当社のBCP戦略、情報セキュリティ・プログラム、リスク管理および流動性方針の目標およ
び有効性、(17)当社の破綻処理計画および破綻処理戦略ならびに利害関係者にとってのそれらの影響、(18)
当社の破綻処理資金モデルおよび流動性モデルならびにトリガーおよびアラートの枠組の設計および有効性、
(19)ストレス・テストの結果、(20)規制の変更の影響、ならびに銀行および金融規制の下での当社の将来の
立場、活動または報告、(21)当社の予想される税率、(22)当社の流動性および規制上の自己資本比率の将来
の状態、ならびに当社の予想される資本分配(配当金および買戻しを含む)、(23)当社の予想されるSCBおよ
びG-SIBサーチャージ、(24)訴訟事件、政府による調査またはその他の偶発債務、(25)当社の1マレーシ
ア・ディベロップメント・バーハッド(「1MDB」)に係る和解に関連した資産回復の保証および当社による改
善活動、(26)IBORの置換および代替的リスクフリー指標金利への当社の移行、(27)COVID-19パンデミックが
当社の事業、業績、財務状態および流動性に及ぼす影響、(28)当社による人材管理の有効性(多様性に関する
当社の目標を含む)、(29)当社による、当社人員のオフィス勤務再開計画、ならびに(30)将来のインフレに
関連する場合がある。
当社の目標ROE、ROTE、効率性比率および費用節減に関する記述、ならびにそれらの達成方法に関する記述
は、当社の事業見通しに関する当社の現時点での予想に基づくものであり、とりわけ、当社の事業構成の変動、
新しい業務上の取組の収益性の低下、新しい業務上の取組を開始し、その規模を拡大するための技術およびその
138/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
他の費用の増加、ならびに流動性要件の増大等の要因により、当社がその目標を達成できなくなる可能性がある
というリスクを含んでいる。
当社の目標ROE、ROTEおよびCET1資本比率に関する記述、ならびにそれらの達成方法に関する記述は、当社に
対して適用ある自己資本要件に関する当社の現時点での予想に基づくものであり、とりわけ、規制の変更または
現行の規制の解釈もしくは適用の変更の結果としての当社に対して適用ある規制上の自己資本要件の変動、ある
いは当社の事業活動の性質および構成の変動等の要因により、当社の実際の自己資本要件が現在予測されている
ものよりも高くなる可能性があるというリスクを含んでいる。
業務上の取組および費用節減の取組のタイミング、コスト、収益性、効果およびその他の側面、より持続性の
ある収益の水準および構成、ならびに市場シェアの増大に関する記述は、当社がこれらの取組を実施する能力に
関する当社の現時点での予想に基づくものであり、とりわけ、これらの取組のタイミングの遅延、競争の激化、
ならびに費用削減ができなくなることおよび持続性のある収益を上げながら事業を成長させることができなくな
ること等の要因により、実際の結果が現時点で予想されているものとは異なる可能性があり、場合によってはそ
の差異が重大となる可能性もある。
将来の報酬費用の水準(営業費用と信用損失引当金繰入額控除後の収益の双方に対する割合としてのものを含
む)および当社のプラットフォーム事業上の取組がその規模を拡大する中での当社の効率性比率に関する記述
は、報酬および当社の事業(プラットフォームに関する取組を含む)を運営するためのその他の費用が、現在予
想されているものよりも増大する可能性があるというリスクを含んでいる。
当社の投資銀行取引の受注残高に関する記述は、これらの取引が変更され、またはそもそも完了されない可能
性があり、関連する純収益が実現しないか、または予想された額より大幅に少ない可能性があるというリスクを
含んでいる。かかる結果につながるおそれがある重要な要因には、引受業務における取引については、全般的な
経済状態の悪化もしくは低迷、敵対行為の発生、証券市場のボラティリティまたは証券の発行体に関する状況の
悪化が含まれ、またファイナンシャル・アドバイザリー業務における取引については、証券市場の低迷、十分な
資金調達ができなくなること、当該取引の当事者に関する状況の悪化または要求される規制当局の承認を得られ
ないことが含まれる。当社の投資銀行取引に対して悪影響を及ぼすおそれのあるその他の重要な要因に関する情
報については、有価証券報告書第一部第3 2「事業等のリスク」参照。
139/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社の預金およびその他の資金調達、資産・負債管理および資金調達戦略ならびに関連する支払利息節減の増
大の見通し、ならびに当社の割賦払いローン事業およびクレジットカード事業の成長見通しに関する記述は、と
りわけ、金利の変動および他の類似の商品との競争等の要因により、実際の成長および節減が現在予測されてい
るものとは異なる可能性があり、場合によってはその差異が重大となる可能性もあるというリスクを含んでい
る。
2021年度ベンチマーク債発行計画ならびに当社が保有すると予想されるGCLAの額、構成および配置に関する記
述は、市況、事業機会または当社の資金調達および予測される流動性に対するニーズの変化により、実際の発行
内容およびGCLAの水準が現在予想されているものとは異なる可能性があり、場合によってはその差異が重大とな
る可能性もあるというリスクを含んでいる。
当社の予想される信用損失引当金繰入額(当社のゼネラル・モーターズとのクレジットカード提携関係計画に
関連するものを含む)に関する記述は、とりわけ、当社のローン・ポートフォリオの構成の変動、ならびに将来
の経済環境の変化および将来の経済環境に関する当社の予測の変化のほか、当社のモデル、方針およびその他の
経営陣の判断の変化等の要因により、実際の信用損失が現在予測されているものとは異なる可能性があり、また
当社の予想が現在予測されているものから変動する可能性があり、いずれも場合によってはその差異が重大とな
る可能性もあるというリスクを含んでいる。
当社の将来の実効法人税率に関する記述は、とりわけ、当社に対して適用ある税率の変更、当社の利益構成、
当社の収益性および当社の利益創出元となる事業体の変動、当社の予想される税率を見積もる上で当社が設定し
た仮定の変更、ならびに今後制定される可能性がある法人税法または米国内国歳入庁により公表される可能性が
あるガイダンス等の要因により、かかる税率が当該記述において表示されている予測される税率とは異なる可能
性があり、場合によってはその差異が重大となる可能性もあるというリスクを含んでいる。
当社の流動性および規制上の自己資本比率(当社のSCBおよびG-SIBサーチャージを含む)の将来の状態、なら
びに当社の予想される資本分配(配当金および買戻しを含む)に関する記述は、とりわけ、顧客支援のための資
本の利用の必要性、規制上の要件の増大、適用ある監督上のストレス・テストの結果、および当社の貸借対照表
の構成の変動等の要因により、当社の実際の流動性、規制上の自己資本比率および資本分配が現在予想されてい
るものとは異なる可能性があり、場合によってはその差異が重大となる可能性もあるというリスクにさらされて
いる。
マレーシア政府に対する資産回復の保証提供に関連するリスク・エクスポージャーに関する記述は、マレーシ
ア政府に差し押さえられ、また返還された資産の実際の資産価値および当該資産の売却手取金が、現在予測され
ているものより低いまたは少ない可能性があるというリスクにさらされている。1MDBに関連する改善活動の進
捗または現状に関する記述は、現時点の当社の改善計画に関する当社の予想に基づくものである。したがって、
改善活動を完了させる当社の能力は、現在予想されているものとは異なる可能性があり、場合によってはその差
異が重大となる可能性もある。
当社による人材管理の目的(多様性に関する当社の目標を含む)に関する記述は、当社の現時点での予想に基
づくものであり、とりわけ、多様な志望者を採用し、惹き付けるための競争、および多様な社員を確保する努力
が功を奏さないこと等の要因により、当社がこれらの目的および目標を達成できない可能性があるというリスク
にさらされている。
140/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社による、当社人員のオフィス勤務再開計画に関する記述は、当社の現時点での予想に基づくものであり、
とりわけ、予測不可能な将来の事象(COVID-19パンデミックの経過、政府当局の対応、ならびにワクチンの普
及、接種および有効性を含む)等の要因により、オフィス勤務再開が遅延する可能性がある。
将来のインフレに関する記述は、とりわけ、経済成長、失業率または消費者需要の変動等の要因により、実際
のインフレの内容が異なったものとなる可能性があり、場合によってはその差異が重大となる可能性もあるとい
うリスクにさらされている。
141/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
4【経営上の重要な契約等】
2021年6月30日提出の当社の有価証券報告書の記載内容に重要な変更はない。
5【研究開発活動】
該当なし。
142/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
第4【設備の状況】
1【主要な設備の状況】
2021年6月に終了した6ヶ月間において、2021年6月30日提出の有価証券報告書第一部第4 2「主要な設備
の状況」の項に記載の情報に重要な変更はなかった。
2【設備の新設、除却等の計画】
上記1「主要な設備の状況」参照。
143/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
第5【提出会社の状況】
1【株式等の状況】
(1)【株式の総数等】
①【株式の総数】
(2021年6月30日現在)
株式数(3)
種類
授権株数(株) 発行済株式総数(株) 未発行株式数(株)
普通株式 4,000,000,000 906,379,865 (1) 3,093,620,135
優先株式(2) 150,000,000 340,282 149,659,718
(1) 発行済株式数には自己株式も含む。
(2) 2005年4月25日にシリーズA優先株式30,000株が発行され、2005年10月31日にシリーズC優先株式8,000株が発行され、
2006年5月24日にシリーズD優先株式34,000株が、そして2006年7月24日に追加のシリーズD優先株式20,000株が発行さ
れ、2012年6月1日にシリーズE優先株式17,500株が発行され(このうち4,972株および4,861株がそれぞれ2016年3月23
日および2016年8月19日にグループ・インクにより取得および消却された)、2012年9月4日にシリーズF優先株式5,000
株が発行され(このうち1,746株および1,639株がそれぞれ2016年3月23日および2016年8月19日にグループ・インクによ
り取得および消却された)、2013年4月25日にシリーズJ優先株式40,000株が発行され、2014年4月28日にシリーズK優
先株式28,000株が発行され、2016年7月27日にシリーズO優先株式26,000株が発行され、2017年11月1日にシリーズP優
先株式60,000株が発行され、2019年6月17日にシリーズQ優先株式20,000株が発行され、2019年11月15日にシリーズR優
先株式24,000株が発行され、2020年1月28日にシリーズS優先株式14,000株が発行され、また、2021年4月26日にシリー
ズT優先株式27,000株が発行された。2021年7月28日にシリーズU優先株式30,000株が発行されたが、上表には反映され
ていない。
2021年9月28日現在の発行済優先株式は370,282株であり、これには2021年7月28日に発行されたシリーズU優先株式
30,000株が含まれる。
(3) 本表には、グループ・インクの無議決権普通株式(2021年6月現在、未発行であり、かつ一切社外流通していない)は含
まれない。
144/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
②【発行済株式】
(2021年6月30日現在)
上場金融商品取引所名又は
記名・無記名の別
種類 発行数(株) 内容
及び額面・無額面の別
登録認可金融商品取引業協会名
1株当たり0.01米ドルの
普通株式 906,379,865 (1) ニューヨーク証券取引所 (5)
記名式普通株式
1株当たり0.01米ドルの
優先株式 160,000 (2)(3) ニューヨーク証券取引所 (6)
記名式優先株式
1株当たり0.01米ドルの
優先株式 180,282 (4) なし (6)
記名式優先株式
計 - 906,720,147 - -
(1) 発行済株式数には自己株式も含む。
(2) 2005年4月25日にシリーズA優先株式30,000株が発行され、2005年10月31日にシリーズC優先株式8,000株が発行され、
2006年5月24日にシリーズD優先株式34,000株が、そして2006年7月24日に追加のシリーズD優先株式20,000株が発行さ
れ、2013年4月25日にシリーズJ優先株式40,000株が発行され、また、2014年4月28日にシリーズK優先株式28,000株が
発行された。
2021年9月28日現在、160,000株の発行済優先株式の預託株式がニューヨーク証券取引所に上場されている。
(3) それぞれがシリーズA優先株式の1,000分の1の持分を表章する預託株式は、「GS PrA」の略称で、それぞれがシリーズC
優先株式の1,000分の1の持分を表章する預託株式は、「GS PrC」の略称で、それぞれがシリーズD優先株式の1,000分の
1の持分を表章する預託株式は、「GS PrD」の略称で、それぞれがシリーズJ優先株式の1,000分の1の持分を表章する預
託株式は、「GS PrJ」の略称で、それぞれがシリーズK優先株式の1,000分の1の持分を表章する預託株式は、「GS PrK」
の略称でいずれもニューヨーク証券取引所に上場されている。
(4) 2012年6月1日にシリーズE優先株式17,500株が発行され(このうち4,972株および4,861株がそれぞれ2016年3月23日お
よび2016年8月19日にグループ・インクにより取得および消却された)、2012年9月4日にシリーズF優先株式5,000株が
発行され(このうち1,746株および1,639株がそれぞれ2016年3月23日および2016年8月19日にグループ・インクにより取
得および消却された)、2016年7月27日にシリーズO優先株式26,000株が発行され、2017年11月1日にシリーズP優先株
式60,000株が発行され、また、2019年6月17日にシリーズQ優先株式20,000株が発行された。2019年11月15日にシリーズ
R優先株式24,000株が発行された。2020年1月28日にシリーズS優先株式14,000株が発行された。2021年4月26日にシ
リーズT優先株式27,000株が発行された。また、2021年7月28日にシリーズU優先株式30,000株が発行されたが、上表に
は反映されていない。
2021年9月28日現在の証券取引所に上場されていない発行済優先株式は210,282株であり、これには2021年7月28日に発行
されたシリーズU優先株式30,000株が含まれる。
(5) 普通株式の株主は、株主の投票の対象となるすべての事項に関して、登録上所有している株式1株につき1つの議決権を
有する。累積議決権はない。したがって、取締役の選任において、選挙となった場合、議決権を行使する普通株式の多数
を有する株主は、その選択により、すべての取締役を選任することができる。その場合優先株式の株主の取締役選任にお
ける議決権に服する。取締役の選任において、信任投票となった場合には、取締役は、選任されるためには賛成または反
対に投じられた投票総数のうち過半数の賛成票を獲得しなければならない。
すべての社外流通しているシリーズの優先株式の株主すべての優先権に服するが、普通株式の株主および無議決権普通株
式の株主は、その時々になされる当社の取締役会の宣言に従い、法律で配当の許されている資金から現金またはその他の
配当および分配を受領する権利を有する。すべての社外流通しているシリーズの優先株式の株主の優先権に服するが、当
社の会社清算、解散、または企業閉鎖の際に、すべての優先する債務の支払後、普通株式の株主は、当社のすべての資産
から株式所有割合に応じて分配を受ける権利を有する(この場合、普通株式および無議決権普通株式は同一クラスとみな
す)。普通株式の所有者は償還もしくは転換の権利を付与されておらず、またグループ・インクの証券を購入もしくはこ
れに応募する新株引受権を付与されていない。
145/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
(6) 2021年6月現在、授権・発行済であり、社外に流通していた当社の永久優先株式については、当社が2021年8月4日に米
国証券取引委員会(「SEC」)に提出した様式10-Qによる2021年6月に終了した四半期に係るクォータリー・レポートの抄
訳である以下の各表を参照。
1株当たりの
シリーズ 授権株式数 発行済株式数 流通株式数
預託株式数
A 50,000株 30,000株 29,999株 1,000株
C 25,000株 8,000株 8,000株 1,000株
D 60,000株 54,000株 53,999株 1,000株
E 17,500株 7,667株 7,667株 該当なし
F 5,000株 1,615株 1,615株 該当なし
J 46,000株 40,000株 40,000株 1,000株
K 32,200株 28,000株 28,000株 1,000株
O 26,000株 26,000株 26,000株 25株
P 66,000株 60,000株 60,000株 25株
Q 20,000株 20,000株 20,000株 25株
R 24,000株 24,000株 24,000株 25株
S 14,000株 14,000株 14,000株 25株
T 27,000株 27,000株 27,000株 25株
合計 412,700株 340,282株 340,280株
146/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
償還価額
シリーズ 最も早い償還日 清算時の配当優先権
(単位:百万ドル)
A 償還可能 25,000ドル 750
C 償還可能 25,000ドル 200
D 償還可能 25,000ドル 1,350
E 償還可能 100,000ドル 767
F 償還可能 100,000ドル 161
J 2023年5月10日 25,000ドル 1,000
K 2024年5月10日 25,000ドル 700
O 2026年11月10日 25,000ドル 650
P 2022年11月10日 25,000ドル 1,500
Q 2024年8月10日 25,000ドル 500
R 2025年2月10日 25,000ドル 600
S 2025年2月10日 25,000ドル 350
T 2026年5月10日 25,000ドル 675
合計 9,203
シリーズ 年間配当率
A 3ヶ月物LIBOR+0.75%、3.75%以上、四半期毎に支払
C 3ヶ月物LIBOR+0.75%、4.00%以上、四半期毎に支払
D 3ヶ月物LIBOR+0.67%、4.00%以上、四半期毎に支払
E 3ヶ月物LIBOR+0.7675%、4.00%以上、四半期毎に支払
F 3ヶ月物LIBOR+0.77%、4.00%以上、四半期毎に支払
2023年5月10日(同日を含まない)までは5.50%、
J
その後は3ヶ月物LIBOR+3.64%、四半期毎に支払
2024年5月10日(同日を含まない)までは6.375%、
K
その後は3ヶ月物LIBOR+3.55%、四半期毎に支払
発行日から2026年11月10日(同日を含まない)までは5.30%、半期毎に支払、
O
その後は3ヶ月物LIBOR+3.834%、四半期毎に支払
発行日から2022年11月10日(同日を含まない)までは5.00%、半期毎に支払、
P
その後は3ヶ月物LIBOR+2.874%、四半期毎に支払
発行日から2024年8月10日(同日を含まない)までは5.50%、半期毎に支払、
Q
その後は5年物国債利回り+3.623%、半期毎に支払
発行日から2025年2月10日(同日を含まない)までは4.95%、半期毎に支払、
R
その後は5年物国債利回り+3.224%、半期毎に支払
発行日から2025年2月10日(同日を含まない)までは4.40%、半期毎に支払、
S
その後は5年物国債利回り+2.85%、半期毎に支払
発行日から2026年5月10日(同日を含まない)までは3.80%、半期毎に支払、
T
その後は5年物国債利回り+2.969%、半期毎に支払
147/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
(2)【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当なし。
(3)【発行済株式総数及び資本金の状況】
(イ)普通株式
普通株式額面総額 普通株式額面総額
発行済普通株式 発行済普通株式 (1株当たり額面0.01ドル) (1株当たり額面0.01ドル)
年月日 総数増減数 総数残高 および追加払込済 および追加払込済
(株) (株)(1) 資本金増減額 資本金残高
(単位:百万米ドル) (単位:百万米ドル)
2020年12月31日 - 901,692,039 - - 55,688 (61,062億円)
2021年6月30日 4,687,826 906,379,865 711 (780億円) 56,399 (61,842億円)
(1) 発行済株式数には自己株式も含む。
(ロ)優先株式
発行済優先株式 発行済優先株式 優先株式額面総額増減額 優先株式額面総額
年月日 総数増減数 総数残高 (1株当たり額面0.01ドル) (1株当たり額面0.01ドル)
(株) (株) (単位:百万米ドル) (単位:百万米ドル)
2020年12月31日 - 420,282 - - 11,203 (12,284億円)
2021年6月30日 (80,000) 340,282 (2,000) ((2,193)億円) 9,203 (10,091億円)
148/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
(4)【大株主の状況】
以下は、当社が2021年3月19日にSECに提出した2021年度プロクシーステートメントからの抜粋であり、当
社が知る限りにおいて、2021年3月1日現在で当社普通株式の5パーセント超を実質的に保有している者に関
する一定の情報である。
5パーセント超を実質的に保有している者
証券取引法第13条(d)および第13条(g)に従い提出された情報によれば、当社が知る限りにおいて、2021年3
月1日現在、下表に記載の者以外に当社普通株式の5パーセント超を実質的に保有している者は存在しない。
実質保有普通株式
氏名および住所
株式数 所有割合
ブラックロック・インク
21,081,144株(a) 6.15%
10022ニューヨーク州ニューヨーク、イースト52ndストリート55
ステート・ストリート・コーポレーション
02111マサチューセッツ州ボストン、ワン・リンカーン・ストリート 19,857,799株(b) 5.79%
ステート・ストリート・ファイナンシャル・センター
ザ・バンガード・グループ
25,649,314株(c) 7.48%
19355ペンシルベニア州マルバーン、バンガード・ブルバード100
149/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
(a) 本情報は、ブラックロック・インクおよび特定の子会社が2013年2月5日にSECに提出したスケジュール13G、2014年2月
4日にSECに提出したかかる提出書類に対する修正第1号、2015年2月9日にSECに提出したかかる提出書類に対する修正
第2号、2016年2月10日にSECに提出したかかる提出書類に対する修正第3号、2017年1月24日にSECに提出したかかる提
出書類に対する修正第4号、2018年1月25日にSECに提出したかかる提出書類に対する修正第5号、2019年2月4日にSEC
に提出したかかる提出書類に対する修正第6号、2020年2月5日にSECに提出したかかる提出書類に対する修正第7号およ
び2021年1月29日にSECに提出したかかる提出書類に対する修正第8号から得たものである。当社および当社の関連会社
は、ブラックロック・インクならびにその関連会社、関係する事業体および顧客との間で通常のトレーディング、仲介、
資産運用もしくはその他の取引・取決めを行っており、また通常の投資銀行、貸付もしくはその他の金融サービスを提供
している。これらの取引は、独立当事者間ベースで交渉が行われており、条件の内容は通常のものである。ブラックロッ
ク・インクの関連会社は、当社のザ・ゴールドマン・サックス401(k)制度(「401(k)制度」)に基づく特定の投資オプ
ションおよびザ・ゴールドマン・サックス従業員年金制度(「GS年金制度」)の一部資産の投資運用会社である。ブラッ
クロックの関連会社との関係は、ブラックロックの普通株式の所有権とは無関係である。また、これらの報酬は、独立当
事者間の交渉の結果生じており、当社は、これらは合理的な金額であり市場の条件を反映していると考える。
(b) 本情報は、ステート・ストリート・コーポレーションおよび特定の子会社が2021年2月12日にSECに提出したスケジュール
13Gから得たものである。当社および当社の関連会社は、ステート・ストリート・コーポレーションならびにその関連会
社、関係する事業体および顧客に対して通常の財務顧問、貸付、投資銀行およびその他の金融サービスを提供しており、
また通常のトレーディング、仲介、資産運用もしくはその他の取引・取決めを行っている。これらの取引は、独立当事者
間ベースで交渉が行われており、条件の内容は通常のものである。ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ
は、当社の401(k)制度に基づく特定の投資オプションの投資運用会社であり、またかつてはGS年金制度内の一部資産の投
資運用会社であった。ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズとの関係は、ステート・ストリートの普通株
式の所有権とは無関係である。これらの報酬は、独立当事者間の交渉の結果生じており、当社は、これらは合理的な金額
であり市場の条件を反映していると考える。
(c) 本情報は、ザ・バンガード・グループおよび特定の子会社が2016年2月10日にSECに提出したスケジュール13G、2017年2
月13日にSECに提出したかかる提出書類に対する修正第1号、2018年2月9日にSECに提出したかかる提出書類に対する修
正第2号、2019年2月11日にSECに提出したかかる提出書類に対する修正第3号、2020年2月12日にSECに提出したかかる
提出書類に対する修正第4号および2021年2月10日にSECに提出したかかる提出書類に対する修正第5号から得たものであ
る。当社および当社の関連会社は、ザ・バンガード・グループならびにその関連会社、関係する事業体および顧客との間
で通常のトレーディング、当社の投資ファンドの設定に関連する取決め、またはその他の取引・取決めを行っており、ま
た随時その他の通常の貸付もしくはその他の金融サービスを提供する場合がある。これらの取引は、独立当事者間ベース
で交渉が行われており、条件の内容は通常のものである。ザ・バンガード・グループは、当社の401(k)制度および当社の
特定の関連会社の社員に係る特定の税制適格制度(401(k)貯蓄制度を含む)に含まれる投資オプションであるミューチュ
アル・ファンドの投資運用会社である。それぞれの制度の投資オプションとしてのバンガード・ミューチュアル・ファン
ドの選択は、バンガードの普通株式の所有権とは無関係である。401(k)貯蓄制度の場合、GSの関連会社ではない第三者の
投資運用会社がファンドの選択に責任を負っており、バンガード・ミューチュアル・ファンドを選択した。当社は、バン
ガード・ミューチュアル・ファンドを通じてザ・バンガード・グループへ支払われた報酬は当該ファンドの同じ株式のク
ラスのその他の保持者により支払われた報酬と同じであると考える。
2【役員の状況】
当社の2020年度有価証券報告書提出日である2021年6月30日以降、本半期報告書提出日まで役員の状況に関
する変更はない。
なお、スティーブン・M・シャーは、当年度末に首席財務執行役員(「CFO」)を退任し、デニス・P・コー
ルマン3世が、2022年1月1日付でCFOに就任する予定である。
150/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
第6【経理の状況】
イ 本書記載の当社の中間連結財務書類は、米国において一般に公正妥当と認められている会計
原則に準拠して作成されている。当社の採用した会計原則、会計手続および表示方法と、日本に
おいて一般に公正妥当と認められている会計原則、会計手続および表示方法との間の主な相違
点に関しては、3 「米国と日本における会計原則及び会計慣行の主要な相違」に説明されてい
る。
ロ 本書記載の当社の中間連結財務書類は、「中間財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する
規則」(昭和 52 年大蔵省令第 38 号)第 76 条第1項の規定に従って作成されている。
ハ 本書記載の当社の中間連結財務書類は、当社が 2021 年8月4日に米国証券取引委員会 (SEC) に
提出した様式 10-Q に含まれる財務情報をもとに作成されたものである。
ニ 当社の原文の連結財務書類は米ドルで表示されている。「円」で表示されている金額は、 2021
年8月2日現在の株式会社三菱 UFJ 銀行による対顧客電信直物売買相場の仲値、1米ドル=
109.65 円の為替レートで換算された金額である。金額は百万円単位(四捨五入)で表示されて
いる。日本円に換算された金額は、四捨五入のため合計欄の数値が総数と一致しない場合があ
る。なお、円表示額は単に便宜上の表示のためであり、米ドル額が上記のレートで円に換算され
ることを意味するものではない。
ホ 本書記載の中間連結財務書類は独立登録会計事務所であるプライスウォーターハウスクー
パース エルエルピーによる監査を受けていない。
ヘ 円換算額ならびに2「その他」および3「米国と日本における会計原則及び会計慣行の主要
な相違」に関する記載は当社の原文の連結財務書類には含まれていない。
151/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
1【中間財務書類】
(1)連結損益計算書(未監査)
以下で終了した6ヵ月間
2021 年6月 2020 年6月
百万ドル 百万円 百万ドル 百万円
収益
投資銀行業務 $ 7,016 \ 769,304 $ 4,475 \ 490,684
投資運用業務
3,701 405,815 3,403 373,139
委託手数料 1,906 208,993 1,895 207,787
マーケット・メイキング 9,167 1,005,162 9,469 1,038,276
その他の自己勘定取引 8,191 898,143 539 59,101
受取利息以外の収益合計 29,981 3,287,417 19,781 2,168,987
受取利息 5,993 657,132 7,784 853,516
支払利息 2,882 316,011 5,527 606,036
受取利息純額 3,111 341,121 2,257 247,480
純収益合計 33,092 3,628,538 22,038 2,416,467
信用損失引当金繰入額 (162) (17,763) 2,527 277,086
営業費用
人件費 11,306 1,239,703 7,713 845,730
取引関係費 2,381 261,077 2,044 224,125
市場開拓費 195 21,382 242 26,535
通信およびテクノロジー費用 746 81,799 666 73,027
減価償却費 1,018 111,624 936 102,632
事務所関連費用 488 53,509 471 51,645
専門家報酬等 704 77,194 658 72,150
その他費用 1,239 135,856 4,142 454,170
営業費用合計 18,077 1,982,143 16,872 1,850,015
税引前当期純利益 15,177 1,664,158 2,639 289,366
法人税等 2,855 313,051 1,053 115,461
当期純利益 12,322 1,351,107 1,586 173,905
優先株式配当金 264 28,948 266 29,167
普通株主に帰属する当期純利益 $ 12,058 \ 1,322,160 $ 1,320 \ 144,738
ドル 円 ドル 円
普通株式1株当たり利益
基本 $ 34.06 \ 3,735 $ 3.66 \ 401
希薄化後 $ 33.64 \ 3,689 $ 3.66 \ 401
普通株式の期中平均株式数
基本 353.6 百万株 356.8 百万株
希薄化後 358.4 百万株 356.8 百万株
添付の注記は連結財務書類の一部である。
152/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
(2)連結包括利益計算書(未監査)
以下で終了した6ヵ月間
2021 年6月 2020 年6月
百万ドル 百万円 百万ドル 百万円
当期純利益 $ 12,322 \ 1,351,107 $ 1,586 \ 173,905
その他の包括利益/(損失)調整(税効果考慮後):
為替換算調整勘定 (16) (1,754) (61) (6,689)
債務評価調整 98 10,746 696 76,316
年金および退職後負債 7 768 3 329
売却可能有価証券 (544) (59,650) 505 55,373
その他の包括利益/(損失) (455) (49,891) 1,143 125,330
包括利益/(損失) $ 11,867 \ 1,301,217 $ 2,729 \ 299,235
添付の注記は連結財務書類の一部である。
153/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
(3)連結貸借対照表(未監査)
2021 年6月現在 2020 年12月現在
百万ドル 百万円 百万ドル 百万円
資産
現金および現金同等物 $ 240,289 \ 26,347,689 $ 155,842 \ 17,088,075
担保付契約:
売戻条件付有価証券 (公正価値)
154,123 16,899,587 108,060 11,848,779
借入有価証券担保金(公正価値評価された
196,254 21,519,251 142,160 15,587,844
41,076 百万ドルおよび28,898百万ドルを含む)
顧客およびその他に対する受取債権(公正価値評
162,094 17,773,607 121,331 13,303,944
価された 57 百万ドルおよび82百万ドルを含む)
トレーディング 資産(公正価値、 74,597 百万ドル
375,917 41,219,299 393,630 43,161,530
および69,031百万ドルの差入担保を含む)
投資(公正価値評価された 85,021 百万ドルおよび
82,778百万ドル、ならびに 13,266 百万ドルおよ 90,727 9,948,216 88,445 9,697,994
び13,375百万ドルの差入担保を含む)
ローン( 3,271 百万ドルおよび3,874百万ドルの引
当金控除後、ならびに公正価値評価された 130,537 14,313,382 116,115 12,732,010
12,516 百万ドルおよび13,625百万ドルを含む)
その他資産
37,981 4,164,617 37,445 4,105,844
資産合計 $ 1,387,922 \ 152,185,647 $ 1,163,028 \ 127,526,020
負債および株主資本の部
預金(公正価値評価された 33,558 百万ドルおよび
$ 306,142 \ 33,568,470 $ 259,962 \ 28,504,833
16,176百万ドルを含む)
担保付借入金:
買戻条件付有価証券(公正価値)
151,692 16,633,028 126,571 13,878,510
有価証券貸付担保金(公正価値評価された
38,157 4,183,915 21,621 2,370,743
6,301 百万ドルおよび1,053百万ドルを含む)
その他担保付借入金(公正価値評価された
27,633 3,029,958 25,755 2,824,036
26,170 百万ドルおよび24,126百万ドルを含む)
顧客およびその他に対する支払債務 238,697 26,173,126 190,658 20,905,650
トレーディング負債(公正価値) 199,093 21,830,547 153,727 16,856,166
無担保短期借入金(公正価値評価された 31,871 百
61,740 6,769,791 52,870 5,797,196
万ドルおよび26,750百万ドルを含む)
無担保長期借入金(公正価値評価された 44,396 百
238,930 26,198,675 213,481 23,408,192
万ドルおよび40,911百万ドルを含む)
その他負債(公正価値評価された 164 百万ドルお
23,948 2,625,898 22,451 2,461,752
よび263百万ドルを含む)
負債合計 1,286,032 141,013,409 1,067,096 117,007,076
コミットメント、偶発債務および保証債務
株主資本
優先株式(清算時の配当優先権総額: 9,203 百万
9,203 1,009,109 11,203 1,228,409
ドルおよび11,203百万ドル)
普通株式(発行済株式数: 906,379,865 株および
901,692,039株、流通株式数: 337,276,277 株お 9 987 9 987
よび344,088,725株)
株式報奨 3,759 412,174 3,468 380,266
無議決権普通株式(発行済流通株式数:なし) – – – –
株式払込剰余金 56,390 6,183,164 55,679 6,105,202
利益剰余金 124,051 13,602,192 112,947 12,384,639
その他の包括損失累積額 (1,889) (207,129) (1,434) (157,238)
自己株式(取得原価、 569,103,590 株および
(89,633) (9,828,258) (85,940) (9,423,321)
557,603,316株)
株主資本合計 101,890 11,172,239 95,932 10,518,944
負債および株主資本合計 $ 1,387,922 \ 152,185,647 $ 1,163,028 \ 127,526,020
添付の注記は連結財務書類の一部である。
154/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
(4)連結株主資本等変動計算書(未監査)
以下で終了した6ヵ月間
2021 年6月 2020 年6月
百万ドル 百万円 百万ドル 百万円
優先株式
期首残高 $ 11,203 \ 1,228,409 $ 11,203 \ 1,228,409
発行
675 74,014 350 38,378
償還 (2,675) (293,314) (350) (38,378)
期末残高 9,203 1,009,109 11,203 1,228,409
普通株式
期首残高 9 987 9 987
発行 – – – –
期末残高 9 987 9 987
株式報奨
期首残高 3,468 380,266 3,195 350,332
株式報奨の発行および償却 1,978 216,888 1,594 174,782
株式報奨の対象となる普通株式の交付 (1,604) (175,879) (1,564) (171,493)
株式報奨の失権 (83) (9,101) (22) (2,412)
期末残高 3,759 412,174 3,203 351,209
株式払込剰余金
期首残高 55,679 6,105,202 54,883 6,017,921
株式報奨の対象となる普通株式の交付 1,653 181,251 1,573 172,479
源泉課税要件を満たすための株式報奨の取消
(969) (106,251) (819) (89,803)
償還済優先株式の発行費用 26 2,851 – –
その他 1 110 – –
期末残高 56,390 6,183,164 55,637 6,100,597
利益剰余金
期首残高(過年度報告額) 112,947 12,384,639 106,465 11,673,887
現在予想信用損失に係る会計方針の変更による
– – (638) (69,957)
累積的影響額(税効果考慮後)
期首残高(調整後) 112,947 12,384,639 105,827 11,603,931
当期純利益
12,322 1,351,107 1,586 173,905
償還可能非支配持分の増加 (65) (7,127) – –
普通株式および株式報奨の配当金および配当相
(889) (97,479) (899) (98,575)
当金宣言額
優先株式配当金宣言額 (223) (24,452) (265) (29,057)
優先株式償還プレミアム (41) (4,496) (1) (110)
期末残高 124,051 13,602,192 106,248 11,650,093
その他の包括利益/(損失)累積額
期首残高 (1,434) (157,238) (1,484) (162,721)
その他の包括利益/(損失) (455) (49,891) 1,143 125,330
期末残高 (1,889) (207,129) (341) (37,391)
自己株式(取得原価)
期首残高 (85,940) (9,423,321) (84,006) (9,211,258)
買戻 (3,700) (405,705) (1,928) (211,405)
再発行 10 1,097 10 1,097
その他 (3) (329) (6) (658)
期末残高 (89,633) (9,828,258) (85,930) (9,422,225)
株主資本合計 $ 101,890 \ 11,172,239 $ 90,029 \ 9,871,680
添付の注記は連結財務書類の一部である。
155/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
(5)連結キャッシュ・フロー計算書(未監査)
以下で終了した6ヵ月間
2021 年6月 2020 年6月
百万ドル 百万円 百万ドル 百万円
営業活動によるキャッシュ・フロー
当期純利益 $ 12,322 \ 1,351,107 $ 1,586 \ 173,905
当期純利益から営業活動により生じた/(に使用さ
れた)純キャッシュへの調整:
減価償却費 1,018 111,624 936 102,632
株式報酬 1,961 215,024 1,580 173,247
無担保借入金の消滅に係る利益
– – (1) (110)
信用損失引当金繰入額 (162) (17,763) 2,527 277,086
営業資産負債の増減:
顧客およびその他に対する受取債権および支
7,272 797,375 (7,490) (821,279)
払債務(純額)
担保付取引(その他担保付借入金を除く)(純
(58,500) (6,414,525) (79,763) (8,746,013)
額)
トレーディング資産 17,387 1,906,485 (38,234) (4,192,358)
トレーディング負債 45,064 4,941,268 53,472 5,863,205
売却目的保有ローン(純額) 435 47,698 2,026 222,151
その他(純額) (11,513) (1,262,400) (1,317) (144,409)
営業活動により生じた/(に使用された)純キャッ
15,284 1,675,891 (64,678) (7,091,943)
シュ
投資活動によるキャッシュ・フロー
固定資産の購入 (2,665) (292,217) (3,908) (428,512)
固定資産の売却による収入 735 80,593 822 90,132
投資の取得
(19,716) (2,161,859) (28,287) (3,101,670)
投資の売却および償還による収入 23,569 2,584,341 15,643 1,715,255
ローン(売却目的保有ローンを除く)(純額) (13,631) (1,494,639) (12,699) (1,392,445)
投資活動に使用された純キャッシュ (11,708) (1,283,782) (28,429) (3,117,240)
財務活動によるキャッシュ・フロー
無担保短期借入金(純額)
7,513 823,800 5,449 597,483
その他担保付借入金(短期)(純額) 2,992 328,073 4,250 466,013
その他担保付借入金(長期)の発行による収入 2,879 315,682 3,813 418,095
その他担保付借入金(長期)返済額(1年以内に期
(1,500) (164,475) (997) (109,321)
日の到来する長期借入金を含む)
信託優先証券の購入 – – (11) (1,206)
無担保長期借入金の発行による収入 52,897 5,800,156 32,099 3,519,655
無担保長期借入金返済額(1年以内に期日の到来
(23,136) (2,536,862) (28,704) (3,147,394)
する長期借入金を含む)
資金調達としてのデリバティブ契約(純額)
302 33,114 249 27,303
預金(純額) 46,334 5,080,523 79,525 8,719,916
優先株式の償還 (2,675) (293,314) (350) (38,378)
普通株式の買戻 (3,700) (405,705) (1,928) (211,405)
源泉課税要件を満たすための株式報奨の決済 (970) (106,361) (820) (89,913)
普通株式、優先株式および株式報奨の配当金およ
(1,111) (121,821) (1,164) (127,633)
び配当相当金の支払額
優先株式の発行による収入(発行費用控除後) 675 74,014 349 38,268
その他の資金調達(純額) 371 40,680 400 43,860
財務活動により生じた純キャッシュ 80,871 8,867,505 92,160 10,105,344
現金および現金同等物増加/(減少)額(純額) 84,447 9,259,614 (947) (103,839)
現金および現金同等物期首残高 155,842 17,088,075 133,546 14,643,319
現金および現金同等物期末残高 $ 240,289 \ 26,347,689 $ 132,599 \ 14,539,480
補足的情報:
利息の現金支払額(資産計上された利息控除後) $ 3,023 \ 331,472 $ 5,855 \ 642,001
法人税の現金支払額(純額) $ 3,299 \ 361,735 $ 773 \ 84,759
現金を伴わない活動については注記12および注記16を参照のこと。
添付の注記は連結財務書類の一部である。
次へ
156/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
(6)連結財務書類に対する注記(未監査)
注記1
事業の概況
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(以下「グループ・インク」または「親会社」という。)はデラ
ウェア州の法人であり、その連結子会社とともに(以下総称して「当社」という。)、法人、金融機関、政府機関
および個人を含む大規模かつ多様な顧客層を対象として、投資銀行業務、証券関連、投資運用および個人向け金融
業務にわたる幅広い金融サービスを提供する代表的な世界的規模の金融機関である。当社は1869年に設立され、当
社の本社はニューヨークにあり、世界中のすべての主要な金融センターに事務所を展開している。
当社は当社の事業活動について4部門の事業セグメントで報告を行っている。
投資銀行業務
当社は、法人、金融機関、投資ファンドおよび政府機関などの多様なグループを対象として広範な投資銀行サービ
スを提供している。提供業務には、M&A、事業部門の売却、企業防衛、リストラクチャリングおよびスピンオフに
関する戦略的アドバイザリー案件、ならびに公募および私募による株式および債券の引受が含まれる。また、法人
顧客に対して、リレーションシップに基づく貸付、中小企業向け貸付、買収資金貸付などの貸付業務を行ってい
る。さらに、一部の法人顧客に対して、トランザクション・バンキング・サービスを提供している。
グローバル・マーケッツ業務
当社は、法人、金融機関、投資ファンドおよび政府機関などの機関投資家との取引を促進し、債券、株式、為替お
よびコモディティ商品におけるマーケット・メイキングを行っている。さらに当社は、世界中の主要な株式、オプ
ションおよび先物取引所においてマーケット・メイキングや機関投資家による取引の決済を行い、プライム・ブ
ローカレッジ・サービス、ならびに有価証券貸付、信用取引に伴う貸付およびスワップなどのエクイティ・ファイ
ナンスを提供している。当社はまた、売戻条件付有価証券売買(売戻条件付契約)、ストラクチャード・クレジッ
ト貸付、ウェアハウス貸付および資産担保貸付を通じて、クライアントに資金を提供している。
資産運用業務
当社は、機関投資家や世界中の第三者ディストリビューターなどの一連の多様な顧客に対して、資産運用サービス
ならびにあらゆる主要な種類の資産を網羅する投資商品(主としてセパレートリー・マネージド・アカウントなら
びにミューチュアル・ファンドおよびプライベート・インベストメント・ファンドなどの合同運用ファンドを通じ
て)を提供している。当社は、企業、不動産やインフラストラクチャー資産の公開および非公開の持分投資に関連
するオルタナティブ投資活動を含む株式投資、ならびに当社連結対象の投資会社(ほぼすべてが不動産投資活動を
手掛けている)を通じた投資を行っている。当社はまた、企業債務商品に投資し、不動産やその他の資産に資金提
供を行う。
個人および富裕層向け金融業務
当社は、富裕層向け金融業務の個人顧客向けに、ファイナンシャル・プランニングとカウンセリング、証券取引の
実行、資産管理などの投資および資産に関するアドバイザリー・ソリューションを提供している。当社はまた、個
人向け金融業務のデジタル・プラットフォームであるマーカス・バイ・ゴールドマン・サックス、および当社のプ
ライベート・バンクを通じて、ローンの提供、預金の受け入れ、および投資サービスの提供を行うとともに、個人
向けにクレジットカードを発行している。
注記2
表示基準
本連結財務書類は米国で一般に公正妥当と認められている会計原則(以下「米国会計基準」という。)に準拠して
作成されており、グループ・インクおよび当社が支配的財務持分を有するその他すべての事業体の財務数値を含ん
でいる。連結会社間取引および連結会社間残高は相殺消去されている。
本連結財務書類は未監査であり、2020年12月31日終了年度の当社のフォーム10-Kの年次報告書に記載されている監
査済連結財務書類とともに読まれるべきである。「当社の2020年度のフォーム10-K」とは、2020年12月31日終了年
度の当社のフォーム10-Kの年次報告書を指している。年次財務書類に含まれる一部の開示は、米国会計基準および
証券取引委員会規則に基づく中間財務書類上で開示が求められないため、この財務書類において要約または省略さ
れている。
157/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
未監査の連結財務書類は、中間会計期間にかかる経営成績の適正な表示のために経営陣が必要であると判断した調
整をすべて反映している。これらの調整は通常の調整項目であり、毎期行われる性質のものである。中間会計期間
の経営成績は、必ずしも事業年度の経営成績の予測に資するものではない。
2021 年6月および2020年6月はすべて、その文脈によって、それぞれ2021年6月30日および2020年6月30日に終了
した当社の事業期間または事業期間最終日を指している。2020年12月はすべて、2020年12月31日を指している。将
来の年度は当該年度の12月31日に終了する事業年度を指している。当期の表示と整合性をとるために、報告済の財
務書類の金額は一部組替えられている。
2020 年度第4四半期より、仲介、決済、取引および販売手数料は、取引関係費という名称に変更されており、完了
した取引から生じた費用(顧客の収益に直接関係するもの)も含まれている。当該費用は、以前はその他費用に含
められていた。過年度報告額は、当期の表示に一致するように調整されている。
注記3
重要な会計方針
当社の重要な会計方針には、資産および負債の公正価値の測定時期および測定方法、償却原価で計上されるローン
および貸付コミットメントに係る信用損失引当金の測定、ならびに事業体の連結時期が含まれる。公正価値測定の
方針については注記4、信用損失引当金に関する会計方針については注記9、また連結会計に関する方針について
は以下の記載および注記17をそれぞれ参照のこと。その他すべての重要な会計方針については以下の記載または脚
注に含まれている。
公正価値測定 注記4
トレーディング資産およびトレーディング負債 注記5
トレーディング現物商品 注記6
デリバティブおよびヘッジ取引 注記7
投資 注記8
ローン 注記9
公正価値オプション 注記10
担保付契約および担保付借入金 注記11
その他資産 注記12
預金 注記13
無担保借入金 注記14
その他負債 注記15
証券化取引 注記16
変動持分事業体 注記17
コミットメント、偶発債務および保証債務 注記18
株主資本 注記19
規制および自己資本比率 注記20
普通株式1株当たり利益 注記21
関連ファンドとの取引 注記22
受取利息および支払利息 注記23
法人税等 注記24
事業セグメント 注記25
信用の集中 注記26
158/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
訴訟事件等 注記27
連結
当社は、支配的財務持分を有する事業体を連結している。当社では、事業体に対して支配的財務持分を有するかど
うかを、まず当該事業体が議決権持分事業体か、あるいは変動持分事業体(以下「VIE」という。)なのかを評価
することにより判断する。
議決権持分事業体: 議決権持分事業体とは、(ⅰ)リスクを伴う資本投資を受けることにより、独立して十分に活
動資金を賄うことが可能な事業体であり、かつ(ⅱ)持分保有者が、当該事業体の経済的成果に最も重要な影響を
与える活動を指図する権限、当該事業体の損失を負担する義務および当該事業体の残存利益を受取る権利を有する
事業体のことである。議決権持分事業体における支配的財務持分の条件とは通常、議決権持分の過半数を所有する
ことである。議決権持分事業体において支配権を得られる議決権持分の過半数を当社が有している場合、当該事業
体は連結される。
変動持分事業体: VIE とは、議決権持分事業体の性質のうち1つ以上を欠いている事業体のことである。当社が1
つ以上の変動持分で、(ⅰ)VIEの経済的成果に最も重要な影響を与えるVIEの活動を指図する権限および(ⅱ)
VIEにとって潜在的に重要となる可能性のあるVIEの損失を負担する義務またはVIEからの利益を受ける権利を当社
にもたらすものを有する場合、当社は当該VIEにおける支配的財務持分を有している。VIEの詳細については注記17
を参照のこと。
持分法投資: 当社が事業体における支配的財務持分は有していないが、その経営および財務方針について重要な影
響力を行使できる場合、当該投資は通常、米国会計基準に基づき適用可能となる公正価値オプションの選択による
公正価値で会計処理される。当社が事業体の普通株式または実質的普通株式の20%から50%を保有する場合、通
常、重要な影響力が存在する。
当社は、当社が被投資会社のキャッシュ・フローまたは事業に深く関与しているか、あるいは費用対便益の重要性
が比較的低いと考えられる場合に、戦略的性質があるか、または当社の主要な事業活動に密接に関連している新規
投資について持分法による会計処理を適用することがある。持分法投資の詳細については注記8を参照のこと。
投資ファンド: 当社は、第三者である投資家とともに投資ファンドを設立している。これらのファンドは一般的に
リミテッド・パートナーシップまたは有限責任会社として組織されており、当社は当該ファンドのゼネラル・パー
トナーまたは管理者としての責務を果たしている。通常、当社はこれらのファンドの経済的持分の過半数を保有し
ていない。第三者である投資家がファンドを終了させる権利、あるいはゼネラル・パートナーまたは管理者として
の当社を解任する権利を有しているため、これらのファンドは通常、議決権持分事業体であり、通常は連結されな
い。当該ファンドに対する投資は、通常は純資産価額(以下「NAV」という。)で測定され、投資に含まれる。
ファンドに対する投資の詳細については、注記8、注記18および注記22を参照のこと。
見積りの使用
本連結財務書類の作成において、経営陣による見積りおよび仮定を要求されており、これらの見積りおよび仮定で
最も重要なのは、公正価値測定、償却原価で計上するローンおよび貸付コミットメントに係る信用損失引当金、未
払裁量報酬、のれんおよび識別可能無形資産の会計処理、訴訟および規制当局による手続(政府の調査を含む)か
ら生じる可能性のある損失に対する引当金、ならびに税務調査から生じる可能性のある損失に対する引当金に関す
るものである。これらの見積りおよび仮定は入手可能な最善の情報に基づいているが、実際の結果は大幅に異なる
可能性がある。
収益の認識
金融資産および金融負債(公正価値): トレーディング資産、トレーディング負債および一部の投資は、公正価値
オプションに基づき、またはその他の米国会計基準のいずれかに準拠して、公正価値で計上される。さらに当社で
は、公正価値オプションの選択により、ローンならびにその他の金融資産および金融負債の一部を公正価値で会計
処理することを選択している。金融商品の公正価値とは、測定日における市場参加者間の通常取引で、資産の売却
により受取る、または負債の移転により支払われると考えられる金額である。金融資産はビッドで評価され、金融
負債はオファーで評価される。公正価値測定において取引費用は算入されない。公正価値の利益または損失は、
マーケット・メイキングまたはその他の自己勘定取引に通常含まれる。公正価値測定の詳細については注記4を参
照のこと。
159/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
顧客との契約から生じる収益: 当社は、投資銀行業務、投資運用業務、ならびに執行および決済などのサービスに
ついて顧客と交わした契約(顧客との契約)により稼得した収益を、対象取引に関連する履行義務が完了した時点
で認識している。
顧客との契約から生じる収益は、2021年6月に終了した6ヵ月間の受取利息以外の収益合計の約40%を占め(投資
銀行業務収益の約85%、投資運用業務収益の約95%およびすべての委託手数料が含まれる)、2020年6月に終了し
た6ヵ月間の受取利息以外の収益合計の約45%を占める(投資銀行業務収益の約85%、投資運用業務収益の約95%
およびすべての委託手数料が含まれる)。事業セグメント別の純収益については、注記25を参照のこと。
投資銀行業務
アドバイザリー: ファイナンシャル・アドバイザリー案件からの報酬は、対象取引に関連するサービスが当該案件
の条件に基づき完了した時点で収益として認識される。ファイナンシャル・アドバイザリー案件に係る返金不要の
預り金およびマイルストーン・ペイメントは、対象取引が完了するか、または別の理由で案件が終了する時点で収
益として認識されている。
ファイナンシャル・アドバイザリー案件に関連する費用は、発生時に認識され、取引関係費に含められる。当該費
用の顧客からの払戻額は、投資銀行業務収益に含められる。
引受: 引受案件からの手数料は、対象取引が当該案件の条件に基づいて完了した時点で収益として認識される。
引受案件に関連した費用は、通常、関連する収益が認識されるか、または別の理由で当該案件が終了するまで繰延
べられる。当該費用は、完了した案件の取引関係費に含められる。
投資運用業務
当社は、投資運用サービスから運用報酬および成功報酬を稼得しており、これらは投資運用業務収益に含まれる。
当社は、当社の投資ファンドの募集に関連して、ブローカーおよびアドバイザーに(販売手数料の)支払を行って
おり、これらは取引関係費に含まれる。
運用報酬: ミューチュアル・ファンドの運用報酬は日次純資産価額に対する一定割合として算出され、毎月受取
る。ヘッジ・ファンドおよびセパレートリー・マネージド・アカウントの運用報酬は、月末純資産価額に対する一
定割合として算出され、通常は四半期ごとに受取る。プライベート・エクイティ・ファンドの運用報酬は、月次投
下資本または出資約束金額に対する一定割合として算出され、ファンドによって、四半期ごと、半年ごと、または
年1回受取る。運用報酬はサービスが提供される期間にわたり徐々に認識される。
当社の販売手数料の支払は、運用報酬、投資ファンドの純資産価額、または出資約束金額のいずれかに対する一定
割合として算出される。当該費用は、取引関係費に含められる。
成功報酬: 成功報酬はファンドまたはセパレートリー・マネージド・アカウントの運用益に対する一定割合、ある
いは特定のベンチマークまたはその他のパフォーマンス目標を上回る超過運用益に対する一定割合として算出され
る。成功報酬は通常、12ヵ月間またはファンドの存続期間にわたる投資パフォーマンスに基づいている。12ヵ月間
にわたるパフォーマンスに基づく報酬は、当該測定期間の終了前に調整が必要となる。ファンドの存続期間にわた
る投資パフォーマンスに基づく報酬については、今後の投資アンダーパフォームにより既に当社に分配された報酬
をファンドに返還するよう求められる可能性がある。
ファンドまたはセパレートリー・マネージド・アカウントから稼得される成功報酬は、当該報酬について重要な返
還を求められない可能性が高くなった時点で、すなわち当該報酬が一般的にファンドまたはセパレートリー・マ
ネージド・アカウントにより保有される投資の市場価値変動の影響を受けなくなった時点で認識される。したがっ
て、当期において認識された成功報酬は、過年度に充足した履行義務に関連している可能性がある。
委託手数料
当社は、株式、オプションおよび先物市場ならびに店頭取引における顧客取引の執行および決済により、委託手数
料を稼得している。委託手数料は売買の執行日に認識される。当社はまた、特定のソフト・ダラー契約に関連し
て、顧客に第三者の調査サービスを提供している。当該契約に関連して当社で発生した第三者に対する調査費用
は、委託手数料において純額で表示されている。
残存履行義務
残存履行義務とは、当社が顧客との契約に関連して将来の履行を確約したサービスである。当社の残存履行義務は
通常、ファイナンシャル・アドバイザリー案件および特定の投資運用業務に関連している。ファイナンシャル・ア
160/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
ドバイザリー案件の残存履行義務に関連する収益は、取引の成果が出るまで決定できない。当社の投資運用業務に
ついては、ファンドまたはセパレートリー・マネージド・アカウントの純資産価額に基づいて報酬が算定され、当
該 報酬はファンドまたはセパレートリー・マネージド・アカウントにより保有される投資の市場価値変動の影響を
受けるため、当該残存履行義務に関連する将来の収益を決定することはできない。
当社は、出資約束金額に基づいて計算された運用報酬については将来の収益を決定することができる。2021年6月
現在、このような残存履行義務に関連する将来の純収益の実質的にすべてが2028年までに認識される予定である。
このような履行義務に関連する年間収益は、2028年まで平均250百万ドル未満である。
金融資産の譲渡
金融資産の譲渡は、譲渡された資産に対する支配を当社が放棄した時点で売却として会計処理される。売却として
会計処理される金融資産の譲渡について、損益は純収益に認識される。譲渡された金融資産への当社の継続的な関
与から生じる資産および負債は、公正価値で当初認識される。売却として会計処理されない金融資産の譲渡につい
ては通常、当該資産はトレーディング資産に含まれ、譲渡は担保付借入金として会計処理され、関連する支払利息
が取引期間にわたり認識される。担保付借入金として会計処理される金融資産の譲渡の詳細については注記11、売
却として会計処理される金融資産の譲渡の詳細については注記16を参照のこと。
現金および現金同等物
当社は、通常の営業活動において保有する流動性の高い翌日返済預金を現金同等物と定義している。現金および現
金同等物には現金および銀行に対する預金が2021年6月現在173.4億ドル、2020年12月現在119.5億ドル含まれてい
た。現金および現金同等物にはまた、銀行に対する利付預金が2021年6月現在2,229.5億ドル、2020年12月現在
1,438.9億ドル含まれていた。
当社は、規制上および顧客の活動に関連するその他の目的で現金を分別している。規制上およびその他の目的で分
別された現金および現金同等物は、2021年6月現在233.8億ドルおよび2020年12月現在245.2億ドルであった。さら
に、当社は規制上および顧客の活動に関連するその他の目的で有価証券を分別している。分別された有価証券の詳
細については注記11を参照のこと。
顧客およびその他に対する受取債権
顧客およびその他に対する受取債権には、顧客および取引相手先に対する受取債権が2021年6月現在1,042.3億ド
ルおよび2020年12月現在823.9億ドル、ならびにブローカー、ディーラーおよび清算機関に対する受取債権が2021
年6月現在578.6億ドルおよび2020年12月現在389.4億ドル含まれていた。当該受取債権は主に、顧客信用貸、未決
済取引から生じる受取債権、および一部のデリバティブ取引に関連する差入担保から成る。
これら受取債権のほぼすべてが、信用損失引当金があればそれを控除後の償却原価で会計処理されており、これら
は通常、公正価値と近似している。これらの受取債権は公正価値で会計処理されていないため、注記4から注記10
の当社の公正価値の階層には含まれていない。当該受取債権が当社の公正価値の階層に含まれていたならば、2021
年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、ほぼすべてがレベル2に分類されることになる。公正価値オプ
ションに基づき公正価値で会計処理される顧客およびその他に対する受取債権の詳細については注記10を参照のこ
と。顧客およびその他に対する受取債権に係る利息は取引期間にわたり認識され、受取利息に含まれる。
顧客およびその他に対する受取債権には、顧客との契約から生じた受取債権および契約資産が含まれる。契約資産
は、顧客との契約に関連して提供したサービスについて受け取る対価に対する当社の権利を表すもので、対価の回
収には時の経過だけでなく、条件を伴う。顧客との契約から生じた受取債権は、2021年6月現在30.8億ドルおよび
2020年12月現在26.0億ドルであった。2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、契約資産に重要性は
なかった。
顧客およびその他に対する支払債務
顧客およびその他に対する支払債務には、顧客および取引相手先に対する支払債務が2021年6月現在2,177.4億ド
ルおよび2020年12月現在1,835.7億ドル、ならびにブローカー、ディーラーおよび清算機関に対する支払債務が
2021年6月現在209.6億ドルおよび2020年12月現在70.9億ドル含まれていた。当該支払債務は主に、当社のプライ
ム・ブローカレッジ業務に関連する顧客の預金残高から成る。顧客およびその他に対する支払債務は、取得原価に
経過利息を加算した金額で会計処理され、これは通常、公正価値に近似している。これらの支払債務は公正価値で
会計処理されていないため、注記4から注記10の当社の公正価値の階層には含まれていない。これらの支払債務が
当社の公正価値の階層に含まれていたならば、2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、ほぼすべて
がレベル2に分類されることになる。顧客およびその他に対する支払債務に係る利息は取引期間にわたり認識さ
れ、支払利息に含まれる。
161/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
資産と負債の相殺
デリバティブおよび証券金融取引に係る信用エクスポージャーを軽減するために、当社は、その取引相手先との債
権と債務の相殺を認める取引相手先と、マスター・ネッティング契約または類似契約(以下総称して「ネッティン
グ契約」という。)を締結することがある。ネッティング契約とは、その取引相手先との複数の取引を差金決済す
ることを認める取引相手先との契約であり、債務不履行のない当事者による解約権の行使時にも適用される。かか
る解約権の行使時に、ネッティング契約の対象となる取引はすべて終了し、差金決済の金額が算出される。さらに
当社はデリバティブおよび証券金融取引に関して、関連する信用補完契約または類似の契約(以下総称して「信用
補完契約」という。)の条件に従って、現金および有価証券の担保を受入れ、また、差入れている。強制力のある
信用補完契約において、解約権を行使する債務不履行のない当事者は、担保を現金化し、その収入を未払額に充当
する権利の行使が認められる。ネッティングおよび信用補完契約に基づく当社の相殺の権利の強制力を評価するた
めに、当社は契約当事者の管轄地域において適用される破産法、その地域の法律および規制上の規定を含む様々な
要素を評価する。
デリバティブは、法的効力のあるネッティング契約に基づき相殺の法的権利が存在する場合、取引相手先ごとの純
額ベース(すなわち、ある取引相手先に対するデリバティブ資産とデリバティブ負債の債務または債権の純額)で
連結貸借対照表に計上される。期間と通貨が同じ売戻条件付契約と買戻条件付有価証券(買戻条件付契約)、およ
び借入有価証券担保金と貸付有価証券担保金取引は、かかる取引が一定の決済基準を満たし、ネッティング契約の
対象である場合には、取引相手先ごとの純額ベースで連結貸借対照表に表示される。
連結貸借対照表において、デリバティブは、強制力のあるネッティング契約に基づき取引が行われた場合、強制力
のある信用補完契約に基づき受入れた、または差入れた現金担保控除後の金額で計上される。連結貸借対照表にお
いて、売戻条件付契約と買戻条件付契約、および借入有価証券担保金と貸付有価証券担保金は、担保として受入れ
た、または差入れた関連する現金および有価証券を控除後の金額で計上されることはない。担保を引渡すまたは再
担保に供する権利を含め、受入担保または差入担保の詳細については注記11を参照のこと。資産と負債の相殺の詳
細については注記7および注記11を参照のこと。
株式報酬
株式報奨に代えて提供される従業員の役務に対する費用は通常、当該報奨の付与日現在の公正価値に基づいて測定
される。将来の役務提供を必要としない株式報奨(すなわち、退職適格従業員に付与される報奨を含む確定報奨)
は即時に費用計上される。将来の役務提供を必要とする株式報奨は当該役務期間にわたり償却される。失権は発生
時に計上される。
譲渡制限付株式ユニット(以下「RSU」という。)に支払われる配当金相当額は通常、利益剰余金の減額として計
上される。将来の役務提供を必要とするRSUが失権した場合、利益剰余金の減額として当初計上されていた関連す
る配当金相当額は、失権が発生した期間の報酬費用に組替えられる。
当社は通常、株式報奨の交付時に普通株式を新規発行している。主に利害が対立している従業員(対応する報奨契
約に説明されるとおり)に関連した特別な場合において、当社は持分商品として会計処理される株式報酬を現金決
済することができる。現金決済を認める条件が付されているこれらの報奨については、現金決済時の報奨の価値と
付与日現在の価値との差額の範囲で株式払込剰余金が調整される。株式報奨の決済に係る税効果は、税務上の効果
または費用として計上される。
外貨換算
米ドル以外の通貨建の資産および負債は、連結貸借対照表日の為替レートで換算され、収益および費用は期中平均
レートで換算される。機能通貨以外の通貨建取引に係る為替換算による損益は、損益認識される。機能通貨が米ド
ル以外である米国外事業の財務書類の換算によって生じた損益は、ヘッジおよび税金考慮後の金額で連結包括利益
計算書に含まれる。
最近公表された会計基準
金融商品の信用損失の測定(ASC 326): 2016 年6月、FASBはASU No.2016-13「金融商品-信用損失(トピック
326)-金融商品の信用損失の測定」を公表した。当該ASUは、特定の金融商品の信用損失の測定の複数の側面を修
正するもので、既存の発生信用損失モデルおよびその他のモデルを現在予想信用損失(以下「CECL」という。)モ
デルに置き換えること、ならびに組成以降に信用の質が悪化した購入金融資産の会計処理の特定の側面を修正する
ことを含んでいる。
当社は、2020年1月に当該ASUを修正遡及法に基づき適用した。当該ASUの適用により、償却原価で測定される金融
資産およびコミットメントに関する当社の信用損失引当金は、経営陣が行った当該資産の予想残存期間にわたる信
162/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
用損失の見積りを反映している。新たに認識される金融資産およびコミットメントの予想信用損失、ならびに当該
期間における予想信用損失の変動は損益認識される。予想信用損失は、過去の実績、現在の状況、および報告済金
額 の回収可能性に影響を及ぼす予測に基づいて測定される。
2020 年1月1日現在、当該ASUの適用を受けてCECLによって引当金を測定したことによる累積的影響額は、信用損
失引当金の増加848百万ドルであった。この引当金の増加は、CECLにおける引当金がローン・ポートフォリオの全
予想残存期間にわたる予想信用損失を対象とすること、また将来予想される経済状況の予測についても考慮の対象
とすることによる。さらに、当社は当該ASUに従い、以前は購入時信用減損(以下「PCI」という。)として会計処
理していたローンについて公正価値オプションを選択したため、PCIローンに対する引当金が169百万ドル減少し
た。当該ASUの適用による累積的影響額は、利益剰余金の減少638百万ドル(税効果考慮後)であった。
金利指標改革が財務報告に与える影響の円滑化(ASC 848): 2020 年3月、FASBはASU No.2020-04「金利指標改革
-金利指標改革が財務報告に与える影響の円滑化」を公表した。当該ASUは、金利指標改革の影響を受ける契約、
ヘッジ関係およびその他の取引について、一般に公正妥当と認められている会計原則を適用する際の選択可能な救
済措置を提供している。さらに、2021年1月、FASBはASU No.2021-01「金利指標改革-範囲」を公表し、契約変更
に関連するASC848の範囲を明確にした。当社は、これらのASUを公表と同時に適用し、契約変更された特定のデリ
バティブに利用可能な救済措置を適用することを選択した。これらのASUの適用による当社連結財務書類に対する
影響は重要でなかった。
注記4
公正価値測定
金融商品の公正価値とは、測定日における市場参加者間の通常取引で、資産の売却により受取る、または負債の移
転により支払われると考えられる金額である。金融資産はビッドで評価され、金融負債はオファーで評価される。
公正価値測定において取引費用は算入されない。当社は、一部の金融資産および金融負債をポートフォリオ単位で
測定している(すなわち、市場および(または)信用リスクに対するポートフォリオのネットエクスポージャーに
基づいている)。
公正価値の最良の証拠は、活発な市場における市場価格である。活発な市場における市場価格を入手できない場合
には、類似商品の価格、さほど活発ではない市場における市場価格または最近の取引価格、あるいは金利、ボラ
ティリティ、株式または債券の価格、為替レート、コモディティ価格、クレジット・スプレッド、資金調達スプ
レッド(すなわち、借手が任意の金融商品のための資金調達をしようとする場合の金利とベンチマーク金利間のス
プレッド、または差異)などを含む(がこれらに限定されない)、市場に基づくまたは独立した情報源のインプッ
トを主に使用する内部開発のモデルを参照して公正価値が算定される。
米国会計基準では、公正価値測定の開示について3つのレベルの階層を設定している。この階層は、公正価値の測
定に使用される評価手法へのインプットの優先順位を定めており、レベル1のインプットを最も優先順位が高く、
レベル3のインプットを最も優先順位が低いとしている。この階層における金融商品のレベルは、公正価値測定に
重要なインプットのうち最も低いレベルに基づいている。評価におけるインプットの重要性を判断するに際し、当
社はとりわけ当該インプットに対するポートフォリオの正味リスク・エクスポージャーを考慮している。公正価値
の階層は以下のとおりである。
レベル1: インプットは、同一の非制限資産または負債について、測定日において当社がアクセスできた活発な市
場における無調整の市場価格である。
レベル2: 評価手法へのインプットは直接または間接的に観察可能である。
レベル3: 評価手法へのインプットの1つ以上が重要かつ観察不能である。
当社のほぼすべての金融資産および金融負債の公正価値は、観察可能な価格およびインプットを基礎としており、
公正価値の階層のレベル1およびレベル2に分類される。レベル2およびレベル3の金融資産および金融負債の一
部については、取引相手先および当社の信用度、資金調達リスク、譲渡制限、流動性ならびにビッド/オファーの
スプレッドなどの要素に関して、市場参加者が公正価値を算定するのに必要と考えられる評価調整を行う場合があ
る。評価調整は通常、市場のデータに基づいている。
当社の金融商品の公正価値の算定に使用される評価手法および重要なインプットの性質は以下のとおりである。レ
ベル3の金融商品の評価に使用される重要かつ観察不能なインプットの詳細については注記5から注記10を参照の
こと。
163/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
トレーディング現物商品、投資およびローンの評価手法および重要なインプット
レベル1: レベル1の商品には、米国政府債、米国以外のほとんどの政府債、一部の政府機関債、一部の企業債務
商品、一部のマネー・マーケット商品および活発に取引される上場株式が含まれる。これらの商品は、活発な市場
における同一の非制限商品の市場価格で評価される。当社は、日次平均トレーディング量(絶対量と、当該商品の
時価総額で見た相対量の両方)に基づき、持分商品の活発な市場を定義している。当社は、日次平均トレーディン
グ量と売買取引日数の両方に基づき、債務商品の活発な市場を定義している。
レベル2: レベル2の商品には、一部の米国以外の政府債、ほとんどの政府機関債、ほとんどのモーゲージ担保
ローンおよび有価証券、ほとんどの企業債務商品、ほとんどの州および地方自治体の地方債、ほとんどのマネー・
マーケット商品、ほとんどのその他の債券、制限付または流動性の低い上場株式、一部の非公開の持分証券、コモ
ディティ、ならびに一部の貸付コミットメントが含まれる。
レベル2の商品の評価額は、市場価格、同一または類似商品についての最近の売買取引、ブローカーまたはディー
ラーによる呼び値、あるいは価格の透明性が合理的な水準にある代替的な価格情報源により検証可能である。呼び
値の性質(指標的なものか、確定的なものかなど)、および最近の市場取引と代替的な価格情報源が提供した価格
との関係が考慮される。
レベル2の商品については、一般的に(ⅰ)当該商品が譲渡制限の対象である場合、および(または)(ⅱ)市場
参加者が公正価値を算定するのに必要と考えられるその他のプレミアムおよび流動性割引に関して、評価調整が行
われる。評価調整は通常、市場のデータに基づいている。
レベル3: レベル3の商品については、評価における重要なインプットでかつ観察不能なものが1つ以上含まれ
る。反証がない限り、レベル3の商品は取引価格で当初評価されるが、これは公正価値の当初見積りの最善のもの
と考えられる。その後、当社は公正価値の算定に他の方法を用いるが、これは商品の種類によって異なる。評価に
おけるインプットおよび仮定は、売却時に実現される価値を含め、実体のある観察可能な証拠に裏付けられる場合
に変更される。
レベル3の商品の評価手法は商品ごとに異なるが、通常は割引キャッシュ・フロー法に基づいている。レベル3の
商品の各タイプの公正価値の算定に使用される評価手法および重要なインプットの性質は以下のとおりである。
商業用不動産によって担保されたローンおよび有価証券
商業用不動産によって担保されたローンおよび有価証券は、単独の不動産または不動産ポートフォリオによって直
接または間接的に担保され、様々な劣後構造にトランチングされたものを含むことがある。重要なインプットは通
常、相対価値分析に基づき決定されており、以下が含まれる。
・類似または関連する資産の取引から推定される市場利回りおよび(または)CMBX(商業用モーゲージ債のパ
フォーマンスをトラッキングする指数)などの市場指数の現在のレベルおよび変動。
・裏付担保と、同一または類似する裏付担保が付されている商品の両方の取引価格。
・裏付担保の価値から推定されるデフォルト・シナリオにおける予想将来キャッシュ・フローの測定値(回収
率)。これは、主に裏付担保の現在のパフォーマンスおよび資本化率によって決定される。回収率は当該商品の
想定元本または額面価額に対する比率として表示され、一部の商品の信用補完の効果を反映している。
・予想将来キャッシュ・フローの時期(デュレーション)。これは、ローンの条件緩和およびその他の観察不能な
インプットの影響を組み込むことがある(期限前償還率など)。
住宅用不動産によって担保されたローンおよび有価証券
住宅用不動産によって担保されたローンおよび有価証券は、住宅用不動産のポートフォリオによって直接または間
接的に担保され、様々な劣後構造にトランチングされたものを含むことがある。重要なインプットは通常、相対価
値分析に基づき決定されており、担保およびリスク・プロファイルが類似する商品との比較を組み込んでいる。重
要なインプットには以下が含まれる。
・類似または関連する資産の取引から推定される市場利回り。
・裏付担保と、同一または類似する裏付担保が付されている商品の両方の取引価格。
・債務不履行率、住宅価格の予測、住宅用不動産の売却に要する時間、関連費用およびその後の回収によって決定
される累積損失の予想。
164/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
・対象となるローンの期限前償還率、および住宅用不動産の売却に要する時間によって決定されるデュレーショ
ン。
企業債務商品
企業債務商品には、企業向けローン、社債および転換社債が含まれている。企業債務商品の重要なインプットは通
常、相対価値分析に基づき決定されており、同一または類似する対象商品または企業を参照するクレジット・デ
フォルト・スワップの価格との比較と、同一または類似の発行体が発行する、観察可能な価格またはブローカーの
呼び値が入手可能なその他の債務商品との比較の両方を組み込んでいる。重要なインプットには以下が含まれる。
・類似または関連する資産の取引から推定される市場利回りおよび(または)CDX(企業の信用度のパフォーマン
スをトラッキングする指数)などの市場指数の現在のレベルおよび変動。
・現在のパフォーマンスおよび回収の仮定、ならびに関連する商品の評価にクレジット・デフォルト・スワップを
用いる場合には、対象となる参照債務の借入コスト。
・デュレーション。
・転換権または参加型オプションを有する企業債務商品の市場および取引に係る評価倍率。
持分証券
持分証券は非公開の持分証券で構成されている。最近の第三者による完了済または進行中の取引(合併の提案、債
務の再編または公開買付など)が公正価値の変動の最良の証拠とみなされる。これらが入手できない場合には、以
下の評価手法が適宜使用される。
・業界の評価倍率(主にEBITDAおよび収益倍率)および上場会社との比較。
・類似商品の取引。
・割引キャッシュ・フロー法。
・第三者による評価。
当社はまた、関連する業界の見通しの変化および予測パフォーマンスと比較した発行体の財務パフォーマンスの変
動についても考慮する。重要なインプットには以下が含まれる。
・市場および取引の評価倍率。
・割引率および資本化率。
・債券に類似した特徴を有する持分証券については、類似または関連する資産の取引から推定される市場利回り、
現在のパフォーマンスおよび回収の仮定、ならびにデュレーション。
その他のトレーディング現物商品、投資およびローン
米国以外の政府債ならびに米国および米国以外の政府機関債、州および地方自治体の地方債、ならびにその他の
ローンおよび債券など、他の金融商品の評価に対する重要なインプットは通常、相対価値分析に基づき決定されて
おり、同一または類似する対象商品または企業を参照するクレジット・デフォルト・スワップの価格との比較と、
同一の発行体が発行する、観察可能な価格またはブローカーの呼び値が入手可能なその他の債務商品との比較の両
方を組み込んでいる。重要なインプットには以下が含まれる。
・類似または関連する資産の取引から推定される市場利回りならびに(または)市場指数の現在のレベルおよび変
動。
・現在のパフォーマンスおよび回収の仮定、ならびに関連する商品の評価にクレジット・デフォルト・スワップを
用いる場合には、対象となる参照債務の借入コスト。
・デュレーション。
デリバティブの評価手法および重要なインプット
当社のレベル2およびレベル3のデリバティブは、デリバティブ価格決定モデル(割引キャッシュ・フロー・モデ
ル、コリレーション・モデル、およびモンテ・カルロ法等のオプション価格決定法を組み込むモデルなど)を用い
て評価される。デリバティブの価格の透明性は通常、下記のとおり、商品タイプ別に特徴が分類できる。
・金利: 一般的に金利デリバティブの評価に使用される主要なインプットは、長期契約であってもほとんどの場合
透明性がある。主要先進国の通貨建の金利スワップおよびオプションの特徴は、取引量が多いことおよびビッ
165/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
ド/オファーのスプレッドが小さいことである。インフレ指数などの指数またはイールド・カーブの形(10年物
スワップのレートと2年物スワップのレートの比較など)を参照する金利デリバティブはより複雑であるが、主
要 なインプットは一般的に観察可能である。
・信用: 個別銘柄とバスケット型の両方を含め、クレジット・デフォルト・スワップの価格の透明性は、市場およ
び対象となる参照企業または参照債務によりさまざまである。指数、大企業および主要ソブリンを参照するクレ
ジット・デフォルト・スワップは、一般的に最も価格の透明性が高いことを示している。それ以外の原資産を有
するクレジット・デフォルト・スワップについては、価格の透明性は信用格付、対象となる参照債務の借入コス
ト、および発行体のデフォルト時に引渡される対象となる参照債務の入手可能性に基づきさまざまである。ロー
ン、資産担保証券および新興市場の債務商品を参照するクレジット・デフォルト・スワップは、社債を参照する
クレジット・デフォルト・スワップより価格の透明性が低い傾向にある。また、複数の対象となる参照債務のコ
リレーションに感応するものなど、より複雑な信用デリバティブは一般的に価格の透明性が比較的低い。
・為替: 比較的長期間のものを含め、主要先進国の為替レートに基づく為替デリバティブは一般的に価格の透明性
が高い。先進国市場と新興市場における為替デリバティブの価格の透明性の主な相違点は、新興市場においては
比較的短期間の契約についてのみ観察可能な傾向にあるということである。
・コモディティ: コモディティ・デリバティブには、エネルギー(石油や天然ガス、電力など)、金属(貴金属や
卑金属など)およびソフト・コモディティ(農産物など)を参照する取引が含まれる。価格の透明性は、対象と
なるコモディティ、引渡しの場所、期間および商品の品質(無鉛ガソリンと比較した場合のディーゼル燃料な
ど)に基づきさまざまである。一般的に、コモディティ・デリバティブは、比較的短期間の契約ならびに主要な
コモディティ指数および(または)ベンチマークとなるコモディティ指数により密接に連動している契約の方が
価格の透明性が高い。
・株式: 株式デリバティブの価格の透明性は、市場および原資産によりさまざまである。指数および主要な株式指
数に含まれる企業の普通株式に係るオプションは、最も高い透明性を示している。長期間の契約または現在の市
場価格から大幅に異なる参照価格が付されている契約を除き、株式デリバティブには通常、観察可能な市場価格
がある。複数の個別株式銘柄のコリレーションに感応するものなど、より複雑な株式デリバティブは一般的に価
格の透明性が比較的低い。
あらゆる商品タイプの観察可能性に対して、流動性は必要不可欠である。取引量が減少した場合、以前には透明性
の高かった価格およびその他のインプットが観察不能になる可能性がある。反対に、きわめて複雑な構造の商品で
も、十分な取引量があれば、価格およびその他のインプットが観察可能となる可能性がある。
レベル1: レベル1のデリバティブには、将来において有価証券の受渡しを行う短期契約で、対象となる有価証券
がレベル1の金融商品であるもの、および活発な取引があり、市場価格で評価される上場デリバティブが含まれ
る。
レベル2: レベル2のデリバティブには、評価における重要なインプットのすべてが市場のデータによって裏付け
られる店頭デリバティブ、ならびに活発な取引のない上場デリバティブおよび(または)店頭デリバティブの市場
清算レベルまで測定するモデルで評価される上場デリバティブが含まれる。
デリバティブを評価する特定のモデルの選択は、商品の契約条件、内在する特定のリスクおよび市場における価格
決定情報の入手可能性によって異なる。流動性の高い市場で取引されているデリバティブについては、モデルから
導き出された情報が市場清算レベルまで測定できるため、モデルの選択に重要な経営陣の判断を伴わない。
評価モデルには、契約条件、市場価格、イールド・カーブ、割引率(担保付デリバティブに係る信用補完契約の規
定による受取および差入担保に係る利息によるものを含む)、クレジット・カーブ、ボラティリティ指標、期限前
償還率、損失率およびそれぞれのインプットのコリレーションなど、様々なインプットが必要である。レベル2の
デリバティブを評価するための重要なインプットは、市場取引、ブローカーまたはディーラーによる呼び値、ある
いは価格の透明性が合理的な水準にあるその他の代替的な価格情報源により検証可能である。呼び値の性質(指標
的なものか、確定的なものかなど)、および最近の市場取引と代替的な価格情報源が提供した価格との関係が考慮
される。
レベル3: レベル3のデリバティブは、観察可能なレベル1および(または)レベル2のインプット、ならびに観
察不能なレベル3のインプットを使用するモデルで評価される。当社のレベル3のデリバティブの評価に使用され
る重要かつ観察不能なインプットは下記のとおりである。
166/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
・レベル3の金利デリバティブおよび為替デリバティブについての重要かつ観察不能なインプットには、一部の為
替と金利のコリレーション(ユーロのインフレ率とユーロの金利のコリレーションなど)ならびに特定の金利お
よび為替のボラティリティが含まれる。
・レベル3の信用デリバティブについての重要かつ観察不能なインプットには、特定の参照債務および参照企業に
固有の流動性の乏しいクレジット・スプレッドとアップフロント・クレジット・ポイント、ならびに回収率が含
まれる。
・レベル3のコモディティ・デリバティブについての重要かつ観察不能なインプットには、行使価格が現在の市場
価格から大幅に異なるオプションに関するボラティリティ、およびコモディティの商品の品質または現物の所在
地がベンチマーク指数と一致しない一部の商品の価格またはスプレッドが含まれる。
・レベル3の株式デリバティブについての重要かつ観察不能なインプットには、通常、長期間のオプションおよび
(または)行使価格が現在の市場価格から大幅に異なるオプションに関する株価ボラティリティのインプットが
含まれる。また、一部の構造が複雑な取引の評価においては、複数の個別株式銘柄の価格パフォーマンスのコリ
レーション、あるいはコモディティなど別の資産クラスに対する株式バスケットの価格パフォーマンスのコリ
レーションといったコリレーションに関するレベル3のインプットの使用が求められる。
レベル3のデリバティブの当初の評価後、当社は、観察可能な市場の変動を反映させるようにレベル1およびレベ
ル2のインプットをアップデートし、その結果生じる損益はレベル3に分類される。レベル3のインプットは、類
似する市場取引、第三者の価格提供サービスおよび(または)ブローカーやディーラーによる呼び値、あるいはそ
の他の過去の市場データなどの証拠に裏付けられる場合に変更される。当社が市場取引を参照してモデルの評価額
を検証できない場合には、別の評価モデルによって大幅に異なる公正価値の見積りが算出される可能性がある。レ
ベル3のデリバティブの評価に使用される重要かつ観察不能なインプットの詳細については、注記7を参照のこ
と。
評価調整: 評価調整は、デリバティブ・ポートフォリオの公正価値の算定に必要不可欠なものであり、デリバティ
ブ価格決定モデルによって算出された中間市場の評価額を出口価格の評価額に調整するために用いられる。これら
の調整には、ビッド/オファーのスプレッド、流動性コスト、ならびに信用および資金調達の評価調整が組み込ま
れており、デリバティブ・ポートフォリオの担保が付されない部分に固有の信用リスクおよび資金調達リスクを会
計処理している。当社はまた、契約条件により当社が受取担保を引渡すまたは再担保に供することができない場合
の担保付デリバティブの資金調達の評価調整も行っている。市場に基づくインプットは通常、評価調整を市場清算
レベルまで測定する場合に使用される。
さらに、重要かつ観察不能なインプットを含むデリバティブについては、当社は取引に含まれる評価の不確実性を
会計処理するためにモデルまたは出口価格の調整を行っている。
公正価値で測定されるその他の金融商品の評価手法および重要なインプット
当社では、トレーディング現物商品、デリバティブならびに一部の投資およびローンに加え、その他の金融資産お
よび金融負債の一部も公正価値オプションに基づき公正価値で会計処理している。そのような金融商品には、売戻
条件付契約および買戻条件付契約、一部の借入有価証券担保金取引および貸付有価証券担保金取引、一部の顧客お
よびその他に対する受取債権(一部の信用貸付を含む)、一部の定期預金(ハイブリッド金融商品である仕組譲渡
性預金を含む)、ほぼすべてのその他担保付借入金(借入として会計処理される資産の譲渡を含む)、一部の無担
保短期借入金および無担保長期借入金(ほぼすべてがハイブリッド金融商品である)、ならびに一部のその他の負
債が含まれる。これらの金融商品は通常、割引キャッシュ・フロー法に基づき評価され、価格の透明性が合理的な
水準にあるインプットを組み込んでおり、インプットが観察可能なため、通常、レベル2に分類される。流動性な
らびに取引相手先および当社の信用度について評価調整が行われることがある。当社のその他の金融商品の評価に
使用される重要なインプットは下記のとおりである。
売戻条件付契約および買戻条件付契約ならびに借入有価証券担保金および貸付有価証券担保金: 売戻条件付契約お
よび買戻条件付契約ならびに借入有価証券担保金および貸付有価証券担保金の評価において重要なインプットは、
資金調達スプレッド、予想将来キャッシュ・フローの金額および時期、ならびに金利である。
顧客およびその他に対する受取債権: 受取債権の評価における重要なインプットは、金利、予想将来キャッシュ・
フローの金額および時期、ならびに資金調達スプレッドである。
167/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
預金: 定期預金の評価における重要なインプットは金利ならびに将来キャッシュ・フローの金額および時期であ
る。ハイブリッド金融商品に組込まれたデリバティブの評価に使用されたインプットは、上述した当社のその他の
デリバティブの評価に使用されたインプットと整合性がある。デリバティブの詳細については注記7を、預金の詳
細 については注記13を参照のこと。
その他担保付借入金: その他担保付借入金の評価における重要なインプットは、予想将来キャッシュ・フローの金
額および時期、金利、資金調達スプレッド、ならびに当社が差入れた担保の公正価値(予想将来キャッシュ・フ
ローの金額および時期、市場価格、市場利回りおよび回収の仮定を用いて算定される)である。その他担保付借入
金の詳細については注記11を参照のこと。
無担保短期借入金および無担保長期借入金: 無担保短期借入金および無担保長期借入金の評価における重要なイン
プットは、予想将来キャッシュ・フローの金額および時期、金利、当社のクレジット・スプレッド、ならびに前払
コモディティ取引の場合にはコモディティ価格である。ハイブリッド金融商品に組込まれたデリバティブの評価に
使用されたインプットは、上述した当社のその他のデリバティブの評価に使用されたインプットと整合性がある。
デリバティブの詳細については注記7を、借入金の詳細については注記14を参照のこと。
その他負債: その他の負債の評価における重要なインプットは、予想将来キャッシュ・フローの金額および時期、
ならびに株価ボラティリティおよびコリレーションに関するインプットである。ハイブリッド金融商品に組込まれ
たデリバティブの評価に使用されたインプットは、上述した当社のその他のデリバティブの評価に使用されたイン
プットと整合性がある。デリバティブの詳細については注記7を参照のこと。
金融資産および金融負債(公正価値)
以下の表は、公正価値で計上される金融資産および金融負債を示したものである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
レベル1金融資産合計 $ 256,699 $ 263,999
レベル2金融資産合計 446,055 410,275
レベル3金融資産合計 25,623 26,305
NAV で測定されるファンドに対する投資 3,988 3,664
取引相手先および現金担保の相殺 (63,655) (77,170)
金融資産(公正価値)合計 $ 668,710 $ 627,073
資産合計 $ 1,387,922 $ 1,163,028
以下でレベル3金融資産合計を除した結果:
資産合計 1.8 % 2.3 %
金融資産(公正価値)合計 3.8 % 4.2 %
レベル1金融負債合計 $ 133,781 $ 85,120
レベル2金融負債合計 378,188 331,824
レベル3金融負債合計 33,405 32,930
取引相手先および現金担保の相殺 (52,129) (60,297)
金融負債(公正価値)合計 $ 493,245 $ 389,577
負債合計 $ 1,286,032 $ 1,067,096
以下でレベル3金融負債合計を除した結果:
負債合計 2.6 % 3.1 %
金融負債(公正価値)合計 6.8 % 8.5 %
上記の表において、
・同一のレベルに分類されるポジション間の取引相手先との相殺は当該レベルに含まれている。
・取引相手先および現金担保の相殺は、異なるレベルにまたがる相殺のデリバティブに対する影響を表している。
以下の表は、レベル3金融資産の概要を示したものである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
トレーディング資産:
トレーディング現物商品 $ 1,304 $ 1,237
デリバティブ 5,758 5,967
投資 16,332 16,423
ローン 2,229 2,678
合計 $ 25,623 $ 26,305
2021 年6月現在のレベル3金融資産は、2020年12月現在と比較して、主にレベル3のローンおよびデリバティブの
減少を反映して減少している。レベル3金融資産の詳細(レベル3の金融資産に係る未実現損益、ならびにレベル
3への、およびレベル3からの振替に関する情報を含む)については、注記5から注記10を参照のこと。
168/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
注記5
トレーディング資産およびトレーディング負債
トレーディング資産およびトレーディング負債には、当社のマーケット・メイキング活動またはリスク管理活動に
関連して保有されるトレーディング現物商品およびデリバティブが含まれる。これらの資産および負債は、公正価
値オプションに基づき、またはその他の米国会計基準に準拠して、公正価値で会計処理され、これに関連した公正
価値の利益および損失は通常、連結損益計算書に計上される。
以下の表は、トレーディング資産およびトレーディング負債の概要を示したものである。
(単位:百万ドル) トレーディング資産 トレーディング負債
2021 年6月現在
トレーディング現物商品 $ 309,565 $ 150,399
デリバティブ 66,352 48,694
合計 $ 375,917 $ 199,093
2020 年12月現在
トレーディング現物商品 $ 324,049 $ 95,136
デリバティブ 69,581 58,591
合計 $ 393,630 $ 153,727
トレーディング現物商品の詳細については注記6を、デリバティブの詳細については注記7を参照のこと。
マーケット・メイキングによる損益
主要な商品タイプ別のマーケット・メイキング収益の内訳は、以下の表のとおりである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
金利 $ (323) $ 2,052
信用 1,162 2,993
為替
2,742 (693)
株式 4,318 3,631
コモディティ 1,268 1,486
合計 $ 9,167 $ 9,469
上記の表において、
・利益/(損失)は実現および未実現損益の両方を含む。利益/(損失)には、関連する受取利息および支払利息は
含まれない。受取利息および支払利息の詳細については注記23を参照のこと。
・マーケット・メイキングに含まれる損益は、主にデリバティブとデリバティブ以外の金融商品の両方を含む当社
のトレーディング資産およびトレーディング負債に関連している。
・当社のマーケット・メイキングおよび顧客取引の円滑化の戦略の多くでは、様々な商品タイプにわたる金融商品
を利用しているため、利益/(損失)は当社の事業活動の管理方法を表すものではない。したがって、1つの商
品タイプの損益が他の商品タイプの損益を相殺することが多い。例えば、当社の複数の商品タイプの長期デリバ
ティブのほとんどは金利の変動に対する感応度が高く、金利スワップで経済的にヘッジされる可能性がある。同
様に、当社の複数の商品タイプのトレーディング現物商品およびデリバティブの大部分は為替に対するエクス
ポージャーを有しており、為替契約で経済的にヘッジされる可能性がある。
注記6
トレーディング現物商品
トレーディング現物商品は、当社のマーケット・メイキング活動またはリスク管理活動に関連して保有される金融
商品で構成される。これらの金融商品は公正価値で計上され、関連する公正価値の利益および損失は連結損益計算
書に計上される。
169/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
トレーディング現物商品の公正価値のレベル別内訳
トレーディング現物商品についての公正価値の階層のレベル別内訳は、以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) レベル1 レベル2 レベル3 合計
2021 年6月現在
資産
政府債および政府機関債:
米国 $ 69,578 $ 25,725 $ 51 $ 95,354
米国以外 52,410 15,859 5 68,274
以下によって担保されたローンおよび有価証券:
商業用不動産 – 1,145 96 1,241
住宅用不動産 – 7,525 130 7,655
企業債務商品 572 36,348 891 37,811
州および地方自治体の地方債 – 238 – 238
その他の債券 258 2,206 53 2,517
持分証券 85,859 2,542 78 88,479
コモディティ – 7,996 – 7,996
合計 $ 208,677 $ 99,584 $ 1,304 $ 309,565
負債
政府債および政府機関債:
米国 $ (29,090) $ (65) $ – $ (29,155)
米国以外 (36,951) (3,092) – (40,043)
以下によって担保されたローンおよび有価証券:
商業用不動産 – (40) – (40)
住宅用不動産 – (3) – (3)
企業債務商品 (57) (12,663) (47) (12,767)
その他の債券 – – (1) (1)
持分証券 (67,612) (722) (30) (68,364)
コモディティ – (26) – (26)
合計 $ (133,710) $ (16,611) $ (78) $ (150,399)
2020 年12月現在
資産
政府債および政府機関債:
米国 $ 93,670 $ 44,863 $ – $ 138,533
米国以外 46,147 11,261 15 57,423
以下によって担保されたローンおよび有価証券:
商業用不動産 – 597 203 800
住宅用不動産 – 6,948 131 7,079
企業債務商品 915 29,639 797 31,351
州および地方自治体の地方債 – 200 – 200
その他の債券 338 1,055 19 1,412
持分証券 75,300 2,505 72 77,877
コモディティ – 9,374 – 9,374
合計 $ 216,370 $ 106,442 $ 1,237 $ 324,049
負債
政府債および政府機関債:
米国 $ (16,880) $ (13) $ – $ (16,893)
米国以外 (22,092) (1,792) – (23,884)
以下によって担保されたローンおよび有価証券:
商業用不動産 – (17) (1) (18)
住宅用不動産 – (1) – (1)
企業債務商品 (2) (7,970) (50) (8,022)
州および地方自治体の地方債 – (5) – (5)
その他の債券 – – (2) (2)
持分証券 (45,734) (550) (27) (46,311)
合計 $ (84,708) $ (10,348) $ (80) $ (95,136)
上記の表において、
・トレーディング現物商品資産はプラスの金額で、トレーディング現物商品負債はマイナスの金額で表示されてい
る。
・企業債務商品には、企業向けローン、社債、転換社債、前払コモディティ取引、および売買ではなく担保付ロー
ンとして会計処理される資産の譲渡が含まれる。
・その他の債券には、その他の資産担保証券およびマネー・マーケット商品が含まれる。
・持分証券には、公開の持分証券および上場ファンドが含まれている。
当社の公正価値測定方針の概要、ならびにトレーディング現物商品の公正価値の決定に使用された評価手法および
重要なインプットについては、注記4を参照のこと。コモディティに含まれ、原価と正味実現可能価額のいずれか
170/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
低い方の金額で会計処理される貴金属のヘッジ取引の情報については注記7を参照のこと。これらの貴金属は、公
正価値ヘッジのヘッジ関係に指定されているため、その帳簿価額は公正価値に等しくなる。
重要かつ観察不能なインプット
レベル3資産の金額ならびにレベル3のトレーディング現物商品の評価に使用される重要かつ観察不能なインプッ
トの範囲および加重平均は以下の表のとおりである。
2021 年6月現在 2020 年12月現在
(単位:百万ドル)
金額または範囲 加重平均 金額または範囲 加重平均
商業用不動産によって担保されたローンおよび有価証券
$96
レベル3資産 $203
利回り 6.7 %から24.6% 17 % 1.7 %から22.0% 9.0 %
回収率 11.8 %から92.3% 54 % 5.1 %から94.9% 57.7 %
デュレーション(年) 0.2 から4.2 2.3 1.1 から9.1 5.0
住宅用不動産によって担保されたローンおよび有価証券
レベル3資産 $130 $131
利回り 1.0 %から36.5% 9.6 % 0.6 %から15.7% 6.3 %
累積損失率 1.2 %から40.0% 18.1 % 3.4 %から45.6% 20.8 %
デュレーション(年) 0.5 から11.9 6.0 0.9 から16.1 6.5
企業債務商品
レベル3資産 $891 $797
利回り 1.9 %から25.5% 9.8 % 0.6 %から30.6% 9.5 %
回収率 0.0 %から69.8% 56.5 % 0.0 %から73.6% 58.7 %
デュレーション(年) 1.6 から13.8 4.3 0.3 から25.5 4.0
レベル3の政府債および政府機関債、その他の債券、ならびに持分証券は、2021年6月および2020年12月現在にお
いて重要ではなかったため、上記の表には含まれていない。
上記の表において、
・範囲は、トレーディング現物商品の各タイプの評価に使用された重要かつ観察不能なインプットの範囲を表して
いる。
・加重平均は、各インプットをトレーディング現物商品の相対的公正価値で加重することにより算定される。
・これらのインプットの範囲および加重平均は、あるトレーディング現物商品の公正価値を算定する際に使用され
る適切なインプットの代表的なものということではない。例えば、企業債務商品の回収率の最大値は、特定の企
業債務商品の評価に適切であるが、他の企業債務商品の評価には適切でない可能性がある。したがって、イン
プットの範囲は、レベル3のトレーディング現物商品の公正価値測定における不確実性または公正価値測定の可
能な範囲を表すものではない。
・2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、レベル3のトレーディング現物商品の評価に使用される
利回り、デュレーションまたは累積損失率が上昇すると、公正価値測定の結果は低下し、回収率が上昇すると、
公正価値測定の結果は上昇した。レベル3のトレーディング現物商品はそれぞれ特徴ある性質のため、インプッ
トの相互関係は各商品タイプ内で必ずしも同じではない。
・トレーディング現物商品は、割引キャッシュ・フローを使用して評価される。
171/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
レベル3の推移
レベル3のトレーディング現物商品の公正価値の変動の要約は、以下の表のとおりである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
トレーディング現物商品資産合計
期首残高 $ 1,237 $ 1,242
正味実現利益/(損失) 42 68
正味未実現利益/(損失) 16 (190)
購入 647 609
売却 (401) (320)
決済 (208) (183)
レベル3への振替 181 761
レベル3からの振替 (210) (183)
期末残高 $ 1,304 $ 1,804
トレーディング現物商品負債合計
期首残高 $ (80) $ (273)
正味実現利益/(損失) 4 –
正味未実現利益/(損失) – 105
購入 28 40
売却 (39) (22)
決済 10 1
レベル3への振替 (4) (10)
レベル3からの振替 3 3
期末残高 $ (78) $ (156)
上記の表において、
・公正価値の変動は、期末日現在でレベル3に分類されていたすべてのトレーディング現物商品について表示され
ている。
・正味未実現利益/(損失)は期末日現在で保有しているトレーディング現物商品に関するものである。
・公正価値の階層の異なるレベル間での振替は発生した報告期間の期首に計上される。トレーディング現物商品が
報告期間中にレベル3に振替えられた場合、当該期間における損益は全額レベル3に分類される。
・レベル3のトレーディング現物商品資産について、増加はプラスの金額で表示され、減少はマイナスの金額で表
示されている。レベル3のトレーディング現物商品負債について、増加はマイナスの金額で表示され、減少はプ
ラスの金額で表示されている。
・レベル3のトレーディング現物商品は、レベル1およびレベル2のトレーディング現物商品ならびに(あるい
は)レベル1、レベル2またはレベル3のデリバティブで経済的にヘッジされることが多い。このため、レベル
3に分類されている損益は、レベル1またはレベル2のトレーディング現物商品ならびに(あるいは)レベル
1、レベル2またはレベル3のデリバティブに帰属する損益で一部相殺することができる。その結果、以下のレ
ベル3の推移に含まれる損益は、必ずしも当社の経営成績、流動性または資金源に対する全体的な影響を表すも
のではない。
172/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
以下の表は、上記の要約表に含まれている資産の情報を商品タイプ別に示したものである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
商業用不動産によって担保されたローンおよび有価証券
期首残高 $ 203 $ 191
正味実現利益/(損失) 5 13
正味未実現利益/(損失) (9) (33)
購入 7 79
売却 (37) (13)
決済 (13) (57)
レベル3への振替 19 255
レベル3からの振替 (79) (5)
期末残高 $ 96 $ 430
住宅用不動産によって担保されたローンおよび有価証券
期首残高 $ 131 $ 231
正味実現利益/(損失) 8 7
正味未実現利益/(損失) 10 11
購入 21 41
売却 (42) (68)
決済 (9) (24)
レベル3への振替 31 178
レベル3からの振替 (20) (69)
期末残高 $ 130 $ 307
企業債務商品
期首残高 $ 797 $ 692
正味実現利益/(損失) 26 35
正味未実現利益/(損失) 20 (137)
購入 554 303
売却 (287) (175)
決済 (151) (85)
レベル3への振替 35 235
レベル3からの振替 (103) (104)
期末残高 $ 891 $ 764
その他
期首残高 $ 106 $ 128
正味実現利益/(損失) 3 13
正味未実現利益/(損失) (5) (31)
購入 65 186
売却 (35) (64)
決済 (35) (17)
レベル3への振替 96 93
レベル3からの振替 (8) (5)
期末残高 $ 187 $ 303
上記の表の「その他」には、米国および米国以外の政府債および政府機関債、その他の債券ならびに持分証券が含
まれる。
レベル3の推移に関する説明
2021 年6月に終了した6ヵ月間: 2021 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3のトレーディング現物商品資産
に係る正味実現および未実現利益58百万ドル(正味実現利益42百万ドルおよび正味未実現利益16百万ドルを反映し
ている)には、マーケット・メイキングに計上された(10)百万ドルおよび受取利息に計上された68百万ドルの利
益/(損失)が含まれていた。
2021 年6月に終了した6ヵ月間において、レベル3のトレーディング現物商品資産の正味未実現利益の要因に重要
なものはなかった。
2021 年6月に終了した6ヵ月間において、レベル3のトレーディング現物商品資産への振替の要因に重要なものは
なかった。
2021 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3のトレーディング現物商品資産からの振替は、主に一部の企業債
務商品ならびに商業用不動産によって担保されたローンおよび有価証券のレベル2への振替(いずれの場合も、主
に、これらの商品の市場取引など市場データにより、市場価格の透明性が向上したことに起因)を反映している。
2020 年6月に終了した6ヵ月間: 2020 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3のトレーディング現物商品資産
に係る正味実現および未実現損失122百万ドル(正味実現利益68百万ドルおよび正味未実現損失190百万ドルを反映
173/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
している)には、マーケット・メイキングに計上された(194)百万ドルおよび受取利息に計上された72百万ドルの
利益/(損失)が含まれていた。
2020 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3のトレーディング現物商品資産の正味未実現損失は、企業債務商
品の損失(主にクレジット・スプレッドの拡大の影響による)を主として反映している。
2020 年6月に終了した6カ月間におけるレベル3のトレーディング現物商品資産への振替は、主に一部の商業用不
動産および住宅用不動産によって担保されたローンおよび有価証券ならびに企業債務商品のレベル2からの振替
(いずれの場合も、主に、これらの商品の市場取引の減少など、市場データの不足により市場価格の透明性が低下
したことに起因)を反映している。
2020 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3のトレーディング現物商品資産からの振替は、主に一部の企業債
務商品のレベル2への振替(主に一部の観察不能な利回りおよびデュレーションに関するインプットがこれら商品
の評価において重要でなくなったこと、また商品の市場取引など市場データにより、市場価格の透明性が向上した
ことに起因)を主として反映している。
注記7
デリバティブおよびヘッジ取引
デリバティブ取引
デリバティブは、原資産の価格、指数、指標金利およびその他のインプット、またはそれらの要素の組み合わせか
らその価値が導き出される商品である。デリバティブは、取引所で取引される(上場)場合もあれば、店頭デリバ
ティブとして相対取引により契約が締結される場合もある。当社の店頭デリバティブの一部は、中央清算機関を通
じて清算および決済される(以下「清算対象の店頭取引」という。)が、一部は両取引相手間の双務契約(以下
「二者間の店頭取引」という。)となっている。
マーケット・メイキング: マーケット・メイカーとして、当社は、顧客に流動性を提供し、リスクの移転および
ヘッジを促進させるために、デリバティブ取引を契約している。この役割において、当社は通常、本人として行動
し、執行資金をコミットすることが求められており、顧客の需要に応じてまたはこれを見越してマーケット・メイ
キングのポジションを維持している。
リスク管理: 当社はまた、マーケット・メイキングならびに投資および資金調達活動から生じるリスク・エクス
ポージャーを積極的に管理するために、デリバティブ契約を締結している。当社の保有資産およびエクスポー
ジャーは、多くの場合、商品ごとではなくポートフォリオごとまたはリスクごとにヘッジされている。この経済的
ヘッジによる相殺の影響は、関連する収益と同じ事業セグメントに反映されている。さらに、当社は米国会計基準
に基づきヘッジに指定されるデリバティブ契約を締結することもある。これらのデリバティブの利用目的は、一部
の固定金利が付された無担保借入金および預金の金利エクスポージャー、一部の売却可能有価証券および一部の米
国外事業に対する純投資に係る為替リスク、ならびに一部のコモディティの価格変動リスクを管理することであ
る。
当社が締結している様々な種類のデリバティブ契約には、以下が含まれる。
・先物および先渡: 金融商品、コモディティまたは為替の将来における売買を取引相手先にコミットさせる契約。
・スワップ: 為替または金利の支払などのキャッシュ・フローの交換を取引相手先に求める契約。交換される金額
は、特定のレート、金融商品、コモディティ、為替または指数を参照し、特定の契約条件に基づいている。
・オプション: オプションの買い手が、定義された期間内に特定の価格で金融商品、コモディティまたは為替をオ
プションの売り手から買う、またはオプションの売り手に売る権利を得る(義務を負うのではない)契約。
デリバティブは、法的効力のあるネッティング契約に基づき相殺の法的権利が存在する場合には、取引相手先ごと
の純額ベース(すなわち、ある取引相手先に対するデリバティブ資産およびデリバティブ負債についての債権また
は債務の純額)で計上される(取引相手先との相殺)。デリバティブは、法的効力のある信用補完契約に基づき受
取った、または差入れた現金担保を控除後の公正価値で会計処理される(現金担保との相殺)。デリバティブ資産
はトレーディング資産に含まれ、デリバティブ負債はトレーディング負債に含まれている。ヘッジに指定されてい
ないデリバティブに係る実現および未実現損益は、連結損益計算書のマーケット・メイキング(グローバル・マー
ケッツ業務のセグメントに含まれるデリバティブの場合)およびその他の自己勘定取引(それ以外の事業セグメン
トに含まれるデリバティブの場合)に含まれる。2021年6月および2020年6月に終了した6ヵ月間において、当社
のデリバティブのほぼすべてはグローバル・マーケッツ業務のセグメントに含まれていた。
174/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
デリバティブ契約の総額ベースの公正価値および想定元本の主要な商品タイプ別内訳、連結貸借対照表における取
引相手先および現金担保との相殺、ならびに米国会計基準では相殺の基準を満たさない法的効力のある信用補完契
約 に基づき差入れた、または受取った現金および有価証券担保は、以下の表のとおりである。
2021 年6月現在 2020 年12月現在
(単位:百万ドル)
デリバティブ資産 デリバティブ負債 デリバティブ資産 デリバティブ負債
ヘッジとして会計処理されないもの
上場 $ 424 $ 471 $ 665 $ 660
清算対象の店頭取引 14,991 13,594 18,832 16,809
二者間の店頭取引 257,863 229,507 337,998 304,370
金利合計 273,278 243,572 357,495 321,839
清算対象の店頭取引 5,317 5,745 4,137 4,517
二者間の店頭取引 12,108 11,159 12,418 11,551
信用合計 17,425 16,904 16,555 16,068
上場 592 30 133 22
清算対象の店頭取引 329 371 401 631
二者間の店頭取引 79,205 76,417 101,830 102,676
為替合計 80,126 76,818 102,364 103,329
上場 6,554 6,836 4,476 4,177
清算対象の店頭取引 367 313 195 187
二者間の店頭取引 18,084 18,975 9,320 13,691
コモディティ合計 25,005 26,124 13,991 18,055
上場 34,480 35,011 29,006 31,944
清算対象の店頭取引 7 5 – –
二者間の店頭取引 43,939 47,550 47,867 49,072
株式合計 78,426 82,566 76,873 81,016
小計 474,260 445,984 567,278 540,307
ヘッジとして会計処理されるもの
清算対象の店頭取引 – – 1 –
二者間の店頭取引 1,098 – 1,346 –
金利合計 1,098 – 1,347 –
清算対象の店頭取引 11 21 – 87
二者間の店頭取引 110 290 4 372
為替合計 121 311 4 459
小計 1,219 311 1,351 459
公正価値(総額)合計 $ 475,479 $ 446,295 $ 568,629 $ 540,766
連結貸借対照表上で相殺されるもの
上場 $ (36,292) $ (36,292) $ (29,549) $ (29,549)
清算対象の店頭取引 (19,452) (19,452) (21,315) (21,315)
二者間の店頭取引 (291,186) (291,186) (372,142) (372,142)
取引相手先との相殺 (346,930) (346,930) (423,006) (423,006)
清算対象の店頭取引 (1,321) (486) (1,926) (720)
二者間の店頭取引 (60,876) (50,185) (74,116) (58,449)
現金担保との相殺 (62,197) (50,671) (76,042) (59,169)
相殺額合計 $ (409,127) $ (397,601) $ (499,048) $ (482,175)
連結貸借対照表計上額
上場 $ 5,758 $ 6,056 $ 4,731 $ 7,254
清算対象の店頭取引 249 111 325 196
二者間の店頭取引 60,345 42,527 64,525 51,141
合計 $ 66,352 $ 48,694 $ 69,581 $ 58,591
連結貸借対照表上で相殺されないもの
現金担保 $ (614) $ (1,501) $ (979) $ (2,427)
有価証券担保 (16,249) (7,510) (17,297) (9,943)
合計 $ 49,489 $ 39,683 $ 51,305 $ 46,221
175/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
想定元本
(単位:百万ドル)
2021 年6月現在 2020 年12月現在
ヘッジとして会計処理されないもの
上場 $ 3,580,979 $ 3,722,558
清算対象の店頭取引 16,456,302 13,789,571
二者間の店頭取引 12,395,407 11,076,460
金利合計 32,432,688 28,588,589
上場 43 –
清算対象の店頭取引 584,383 515,197
二者間の店頭取引 565,326 558,813
信用合計 1,149,752 1,074,010
上場 17,881 7,413
清算対象の店頭取引 177,166 157,687
二者間の店頭取引 6,538,109 6,041,663
為替合計 6,733,156 6,206,763
上場 308,636 242,193
清算対象の店頭取引 2,010 2,315
二者間の店頭取引 224,315 206,253
コモディティ合計 534,961 450,761
上場 1,204,111 948,937
清算対象の店頭取引 179 –
二者間の店頭取引 1,312,771 1,126,572
株式合計 2,517,061 2,075,509
小計 43,367,618 38,395,632
ヘッジとして会計処理されるもの
清算対象の店頭取引 203,427 182,311
二者間の店頭取引 5,507 6,641
金利合計 208,934 188,952
清算対象の店頭取引 2,164 1,767
二者間の店頭取引 18,242 14,055
為替合計 20,406 15,822
上場 2,086 –
コモディティ合計 2,086 –
小計 231,426 204,774
想定元本合計 $ 43,599,044 $ 38,600,406
上記の表において、
・総額ベースの公正価値は、取引相手先との相殺および担保の影響をいずれも含んでいないため、当社のエクス
ポージャーを表すものではない。
・当社が信用補完契約に基づき担保を受入れた、または差入れたが、かかる契約に強制力があるかどうかの判断を
まだ行っていない場合、関連する担保はネッティングされていない。
・長期および短期のデリバティブ契約の総額を表す想定元本は、当社のデリバティブ取引量の指標であって、予測
損失を表すものではない。
・デリバティブの公正価値(総額)合計は、法的効力のあるネッティング契約の対象ではないか、または法的効力
の有無について当社がまだ判断していないネッティング契約の対象であるデリバティブ資産を2021年6月現在
180.4億ドルおよび2020年12月現在206.0億ドル、ならびにデリバティブ負債を2021年6月現在174.9億ドルおよ
び2020年12月現在229.8億ドル含んでいた。
176/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
デリバティブの公正価値のレベル別内訳
総額ベースのデリバティブのレベル別および商品タイプ別内訳ならびに相殺による影響は、以下の表のとおりであ
る。
(単位:百万ドル) レベル1 レベル2 レベル3 合計
2021 年6月現在
資産
金利 $ 177 $ 273,265 $ 934 $ 274,376
信用 1 14,210 3,214 17,425
為替 – 80,033 214 80,247
コモディティ – 24,265 740 25,005
株式 17 76,931 1,478 78,426
公正価値(総額) 195 468,704 6,580 475,479
同一レベル内の取引相手先との相殺 – (344,650) (822) (345,472)
小計 $ 195 $ 124,054 $ 5,758 $ 130,007
異なるレベルの取引相手先との相殺 (1,458)
現金担保との相殺 (62,197)
公正価値(純額)
$ 66,352
負債
金利 $ (6) $ (242,940) $ (626) $ (243,572)
信用 – (15,440) (1,464) (16,904)
為替 – (76,681) (448) (77,129)
コモディティ – (25,650) (474) (26,124)
株式 (65) (79,500) (3,001) (82,566)
公正価値(総額) (71) (440,211) (6,013) (446,295)
同一レベル内の取引相手先との相殺 – 344,650 822 345,472
小計 $ (71) $ (95,561) $ (5,191) $ (100,823)
異なるレベルの取引相手先との相殺 1,458
現金担保との相殺 50,671
公正価値(純額)
$ (48,694)
2020 年12月現在
資産
金利 $ 297 $ 357,568 $ 977 $ 358,842
信用 – 13,104 3,451 16,555
為替 – 102,221 147 102,368
コモディティ – 13,285 706 13,991
株式 75 75,054 1,744 76,873
公正価値(総額) 372 561,232 7,025 568,629
同一レベル内の取引相手先との相殺 (135) (420,685) (1,058) (421,878)
小計 $ 237 $ 140,547 $ 5,967 $ 146,751
異なるレベルの取引相手先との相殺 (1,128)
現金担保との相殺 (76,042)
公正価値(純額)
$ 69,581
負債
金利 $ (229) $ (320,900) $ (710) $ (321,839)
信用 – (14,395) (1,673) (16,068)
為替 – (103,303) (485) (103,788)
コモディティ – (17,649) (406) (18,055)
株式 (318) (78,122) (2,576) (81,016)
公正価値(総額) (547) (534,369) (5,850) (540,766)
同一レベル内の取引相手先との相殺 135 420,685 1,058 421,878
小計 $ (412) $ (113,684) $ (4,792) $ (118,888)
異なるレベルの取引相手先との相殺 1,128
現金担保との相殺 59,169
公正価値(純額)
$ (58,591)
上記の表において、
・総額ベースの公正価値は、取引相手先との相殺および担保との相殺のどちらの影響も含んでいないため、当社の
エクスポージャーを表すものではない。
・取引相手先との相殺は、受取債権と支払債務の残高が同一レベル内で相殺される場合は各レベルに反映されてお
り、「同一レベル内の取引相手先との相殺」に含まれている。取引相手先との相殺がレベルをまたいで行われる
場合、相殺は、「異なるレベルの取引相手先との相殺」に含まれている。
・デリバティブ資産はプラスの金額で、デリバティブ負債はマイナスの金額で表示されている。
当社の公正価値測定方針の概要、ならびにデリバティブの公正価値の決定に使用された評価手法および重要なイン
プットについては、注記4を参照のこと。
177/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
重要かつ観察不能なインプット
レベル3のデリバティブ資産(負債)の額ならびにレベル3のデリバティブの評価に使用される重要かつ観察不能
なインプットの範囲、平均値および中央値は以下の表のとおりである。
2021 年6月現在 2020 年12月現在
(単位:インプットを除き、百万ドル)
金額または範囲 平均値/中央値 金額または範囲 平均値/中央値
金利(純額) $308 $267
コリレーション 22 %から81% 62 %/60% (8) %から81% 56 %/60%
ボラティリティ(ベーシス・ポイント) 31 から150 64/54 31 から150 65/53
信用(純額) $1,750 $1,778
クレジット・スプレッド(ベーシス・ポイント) 2から568 100/78 2から699 109/74
アップフロント・クレジット・ポイント 6から100 44/30 7から90 40/30
回収率 20 %から90% 53 %/40% 25 %から90% 46 %/40%
為替(純額) $(234) $(338)
コリレーション 20 %から70% 39 %/41% 20 %から70% 39 %/41%
ボラティリティ 18 %から19% 18 %/18% 18 %から18% 18 %/18%
コモディティ(純額) $266 $300
ボラティリティ 15 %から75% 32 %/31% 15 %から87% 32 %/30%
天然ガススプレッド $(1.59) から$3.92 $(0.12)/$(0.07) $(1.00) から$2.13 $(0.13)/$(0.09)
原油スプレッド $7.62 から$12.53 $9.55/$9.13 $8.30 から$11.20 $9.73/$9.55
電力価格 $15.37 から$67.44 $33.55/$33.16 該当なし 該当なし
株式(純額) $(1,523) $(832)
コリレーション (70) %から100% 54 %/58% (70) %から100% 52 %/55%
ボラティリティ 3%から154% 18 %/16% 3%から129% 14 %/7%
上記の表において、
・デリバティブ資産はプラスの金額で、デリバティブ負債はマイナスの金額で表示されている。
・範囲は、デリバティブの各タイプの評価に使用された重要かつ観察不能なインプットの範囲を表している。
・平均値はインプットの算術平均を表しており、各金融商品の相対的公正価値または想定元本により加重計算され
ていない。中央値を上回る平均値は、インプットの大部分が平均値を下回っていることを示している。例えば、
クレジット・スプレッドの平均値と中央値の差異は、インプットの大部分が当該範囲の下半分に該当しているこ
とを示している。
・これらのインプットの範囲、平均値および中央値は、あるデリバティブの公正価値の算定に使用する適切なイン
プットの代表的なものということではない。例えば、金利デリバティブのコリレーションの最大値は、特定の金
利デリバティブの評価に適切であるが、他の金利デリバティブの評価には適切でない可能性がある。したがっ
て、インプットの範囲は、レベル3のデリバティブの公正価値測定における不確実性または公正価値測定の可能
な範囲を表すものではない。
・金利、為替および株式デリバティブはオプション価格決定モデル、信用デリバティブはオプション価格決定モデ
ル、コリレーション・モデルおよび割引キャッシュ・フロー・モデル、また、コモディティ・デリバティブはオ
プション価格決定モデルおよび割引キャッシュ・フロー・モデルを使用して評価される。
・どの金融商品の公正価値も複数の評価手法を用いて決定されることがある。例えば、公正価値を決定するために
オプション価格決定モデルと割引キャッシュ・フロー・モデルは通常、合わせて用いられる。したがって、レベ
ル3の残高はこの両方の手法を含んでいる。
・為替および株式内のコリレーションは、クロスプロダクト・タイプ・コリレーションを含んでいる。
・天然ガスのスプレッドは、天然ガスの百万英熱量当たりのスプレッドを表している。
・原油のスプレッドは、石油および精製品の1バレル当たりのスプレッドを表している。
・電力価格は、電力1メガワット時当たりの価格を表している。
178/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
重要かつ観察不能なインプットの範囲
当社のレベル3のデリバティブ商品の評価に使用される重要かつ観察不能なインプットの範囲に関する情報は、以
下のとおりである。
・コリレーション: コリレーションの範囲は、1つの商品タイプ内(株価指数や個別株式銘柄など)だけでなく複
数の商品タイプ間(金利と為替のコリレーションなど)や地域間などにおける様々な原資産をカバーしている。
一般的に、クロスプロダクト・タイプ・コリレーションのインプットは、より複雑な商品の評価に使用され、同
一のデリバティブ商品タイプ内の資産に係るコリレーションのインプットを下回る。
・ボラティリティ: ボラティリティの範囲は、様々な市場、満期および行使価格にわたる多数の原資産をカバーし
ている。例えば、株価指数のボラティリティは一般的に個別株式のボラティリティを下回る。
・クレジット・スプレッド、アップフロント・クレジット・ポイントおよび回収率: クレジット・スプレッド、
アップフロント・クレジット・ポイントおよび回収率の範囲は、様々な原資産(指数および個別銘柄)、地域、
部門、満期および信用度(高利回りおよび投資適格)をカバーしている。この幅広い母集団により、重要かつ観
察不能なインプットの範囲に幅が生じる。
・コモディティ価格およびスプレッド: コモディティ価格およびスプレッドの範囲は、商品、満期および引渡場所
の多様性をカバーしている。
重要かつ観察不能なインプットの変動に対する公正価値測定の感応度
各期末現在における、重要かつ観察不能なインプットの個別の変動に対する当社のレベル3公正価値測定の方向感
応度の詳細は、以下のとおりである。
・コリレーション: 一般的に保有者が対象となる資産または指数の価格(金利、クレジット・スプレッド、為替
レート、インフレ率および株価など)のコンバージェンスから利益を得る契約については、コリレーションが増
大すると公正価値測定の結果が上昇する。
・ボラティリティ: 一般的に買建オプションについては、ボラティリティが増大すると公正価値測定の結果が上昇
する。
・クレジット・スプレッド、アップフロント・クレジット・ポイントおよび回収率: 一般的にクレジット・スプ
レッドまたはアップフロント・クレジット・ポイントの増加または回収率の低下により、買建信用プロテクショ
ンの公正価値が増加する。クレジット・スプレッド、アップフロント・クレジット・ポイントおよび回収率は、
対象となる参照債務の特徴的なリスク要因と強い関連性がある。これらのリスク要因には、レバレッジ、ボラ
ティリティおよび業界などの参照企業に固有の要因、対象となる参照債務の借入コストまたは流動性などの市場
ベースのリスク要因、ならびにマクロ経済の状況が含まれる。
・コモディティ価格およびスプレッド: 一般的に保有者がコモディティを受取る契約の場合、スプレッド(品質ま
たは受渡場所の相違に起因するベンチマーク指数との価格差異)の拡大または価格の上昇により、公正価値測定
の結果が上昇する。
当社のレベル3のデリバティブはそれぞれ特徴があるため、各商品タイプ内でのインプットのコリレーションは必
ずしも同じではない。
179/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
レベル3の推移
レベル3のデリバティブの公正価値の変動の要約は、以下の表のとおりである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
レベル3のデリバティブ合計(純額)
期首残高 $ 1,175 $ 25
正味実現利益/(損失) 73 136
正味未実現利益/(損失) (458) 2,110
購入 134 326
売却 (756) (516)
決済 509 945
レベル3への振替 (181) (36)
レベル3からの振替 71 70
期末残高 $ 567 $ 3,060
上記の表において、
・公正価値の変動は、期末日現在でレベル3に分類されているすべてのデリバティブ資産および負債について表示
されている。
・正味未実現利益/(損失)は期末日現在で保有している商品に関するものである。
・公正価値の階層の異なるレベル間での振替は発生した報告期間の期首に計上される。デリバティブが報告期間中
にレベル3へ振替えられた場合、当該期間における損益は全額レベル3に分類される。
・レベル3への振替におけるプラスの金額およびレベル3からの振替におけるマイナスの金額はデリバティブ資産
の正味の振替額を示している。レベル3への振替におけるマイナスの金額およびレベル3からの振替におけるプ
ラスの金額はデリバティブ負債の正味の振替額を示している。
・レベル1および(または)レベル2のインプットのあるデリバティブであっても、重要なレベル3のインプット
が少なくとも1件あれば、全体としてレベル3に分類される。
・重要なレベル3のインプットが1件ある場合、観察可能なインプット(すなわちレベル1およびレベル2のイン
プット)のみの調整から生じる損益であっても、全体としてレベル3に分類される。
・レベル1またはレベル2のインプットの変更により生じ、レベル3に分類されている損益は、レベル1またはレ
ベル2のデリバティブならびに(あるいは)レベル1、レベル2およびレベル3のトレーディング現物商品に帰
属する損益で相殺されることが多い。その結果、以下のレベル3の推移に含まれる利益/(損失)は、必ずしも
当社の経営成績、流動性または資金源に対する全体的な影響を表すものではない。
180/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
以下の表は、上記の要約表に含まれているデリバティブの情報を商品タイプ別に示したものである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
金利(純額)
期首残高 $ 267 $ 89
正味実現利益/(損失) 56 15
正味未実現利益/(損失) 97 170
購入 2 21
売却 (55) (17)
決済 6 23
レベル3への振替 2 8
レベル3からの振替 (67) 2
期末残高 $ 308 $ 311
信用(純額)
期首残高 $ 1,778 $ 1,877
正味実現利益/(損失) (14) (1)
正味未実現利益/(損失) 29 366
購入 8 75
売却 (28) (52)
決済 49 41
レベル3への振替 (36) 10
レベル3からの振替 (36) 11
期末残高 $ 1,750 $ 2,327
為替(純額)
期首残高 $ (338) $ (211)
正味実現利益/(損失) 28 (4)
正味未実現利益/(損失) (90) 17
購入 4 9
売却 (36) (5)
決済 245 105
レベル3への振替 (70) (3)
レベル3からの振替 23 (2)
期末残高 $ (234) $ (94)
コモディティ(純額)
期首残高 $ 300 $ 247
正味実現利益/(損失) (59) 7
正味未実現利益/(損失) 129 154
購入 16 32
売却 (8) (5)
決済 (84) (57)
レベル3への振替 (17) (30)
レベル3からの振替 (11) (17)
期末残高 $ 266 $ 331
株式(純額)
期首残高 $ (832) $ (1,977)
正味実現利益/(損失) 62 119
正味未実現利益/(損失) (623) 1,403
購入 104 189
売却 (629) (437)
決済 293 833
レベル3への振替 (60) (21)
レベル3からの振替 162 76
期末残高 $ (1,523) $ 185
レベル3の推移に関する説明
2021 年6月に終了した6ヵ月間: 2021 年6月に終了した6ヵ月間において、レベル3のデリバティブに係る正味実
現および未実現損失385百万ドル(正味実現利益73百万ドルおよび正味未実現損失458百万ドルを反映している)に
は、マーケット・メイキングに計上された(407)百万ドルおよびその他の自己勘定取引に計上された22百万ドルの
利益/(損失)が含まれている。
2021 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3のデリバティブに係る正味未実現損失は主として、一部の株式デ
リバティブに係る損失(主に株価の上昇の影響を反映している)に起因しているが、一部のコモディティ・デリバ
ティブに係る利益(主にコモディティ価格の上昇の影響を反映している)により部分的に相殺された。
2021 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3のデリバティブへの振替の要因に重要なものはなかった。
2021 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3のデリバティブからの振替は、主として、一部の株式デリバティ
ブ負債のレベル2への振替(主にこれらのデリバティブの評価に使用されるボラティリティのインプットの一部に
181/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
ついて、透明性が向上したことに起因)を反映しているが、一部の金利デリバティブ資産のレベル2への振替(主
に一部の観察不能なインプットがこれらのデリバティブの評価にとって重要でなくなったことに起因)により部分
的 に相殺された。
2020 年6月に終了した6ヵ月間: 2020 年6月に終了した6ヵ月間において、レベル3のデリバティブに係る正味実
現および未実現利益22.5億ドル(正味実現利益136百万ドルおよび正味未実現利益21.1億ドルを反映している)に
は、マーケット・メイキングに計上された22.9億ドルおよびその他の自己勘定取引に計上された(45)百万ドルの利
益/(損失)が含まれている。
2020 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3のデリバティブに係る正味未実現利益は主として、一部の株式デ
リバティブに係る利益(主に原資産の株価の低下の影響を反映している)、および一部の信用デリバティブに係る
利益(主に金利低下の影響を反映している)に起因している。
2020 年6月に終了した6ヵ月間においてレベル3のデリバティブへの、およびレベル3のデリバティブからの振替
の要因はいずれも重要ではなかった。
店頭デリバティブ
店頭デリバティブ資産および負債の期間および主要な商品タイプ別内訳は、以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 1年未満 1-5年未満 5年超 合計
2021 年6月現在
資産
金利 $ 6,045 $ 14,080 $ 62,553 $ 82,678
信用 1,645 2,376 3,046 7,067
為替 13,930 6,595 6,832 27,357
コモディティ 7,222 4,150 459 11,831
株式 8,111 11,005 2,833 21,949
同一期間内の取引相手先との相殺 (3,767) (3,367) (2,613) (9,747)
小計 $ 33,186 $ 34,839 $ 73,110 $ 141,135
異なる期間の取引相手先との相殺 (18,344)
現金担保との相殺 (62,197)
店頭取引デリバティブ資産合計 $ 60,594
負債
金利 $ 4,624 $ 10,615 $ 36,588 $ 51,827
信用 1,513 3,262 1,771 6,546
為替 14,269 5,522 5,010 24,801
コモディティ 5,989 3,426 3,253 12,668
株式 8,384 13,621 3,553 25,558
同一期間内の取引相手先との相殺 (3,767) (3,367) (2,613) (9,747)
小計 $ 31,012 $ 33,079 $ 47,562 $ 111,653
異なる期間の取引相手先との相殺 (18,344)
現金担保との相殺 (50,671)
店頭取引デリバティブ負債合計 $ 42,638
2020 年12月現在
資産
金利 $ 8,913 $ 20,145 $ 74,893 $ 103,951
信用 822 3,270 3,302 7,394
為替 13,887 7,400 9,303 30,590
コモディティ 2,998 1,466 488 4,952
株式 12,182 12,590 1,807 26,579
同一期間内の取引相手先との相殺 (3,963) (4,458) (3,182) (11,603)
小計 $ 34,839 $ 40,413 $ 86,611 $ 161,863
異なる期間の取引相手先との相殺 (20,971)
現金担保との相殺 (76,042)
店頭取引デリバティブ資産合計 $ 64,850
負債
金利 $ 5,687 $ 11,967 $ 49,301 $ 66,955
信用 1,268 3,462 2,177 6,907
為替 18,770 7,575 5,775 32,120
コモディティ 3,455 1,545 4,315 9,315
株式 9,702 14,095 3,986 27,783
同一期間内の取引相手先との相殺 (3,963) (4,458) (3,182) (11,603)
小計 $ 34,919 $ 34,186 $ 62,372 $ 131,477
異なる期間の取引相手先との相殺 (20,971)
現金担保との相殺 (59,169)
店頭取引デリバティブ負債合計 $ 51,337
182/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
上記の表において、
・期間は、契約上の満期までの残存期間に基づいている。
・同一の商品タイプおよび期間区分内での取引相手先との相殺はかかる商品タイプおよび期間区分に含まれてい
る。
・異なる商品タイプ間で同一の期間区分内での取引相手先との相殺は、「同一期間内の取引相手先との相殺」に反
映されている。取引相手先との相殺が異なる期間区分である場合は、「異なる期間の取引相手先との相殺」に含
まれている。
信用デリバティブ
当社は、顧客取引の円滑化のため、またマーケット・メイキングならびに投資および資金調達活動に関連する信用
リスクの管理のために、幅広い種類の信用デリバティブ契約を締結している。信用デリバティブは、当社の正味リ
スク・ポジションに基づき積極的に管理されている。信用デリバティブは一般的に個別交渉による契約であり、決
済条項および支払条項はさまざまである。信用事由には、参照企業の支払不履行、倒産、債務増加、事業再編、履
行拒否および解散が含まれる。
当社は、以下のタイプの信用デリバティブ取引を行っている。
・クレジット・デフォルト・スワップ: 個別銘柄のクレジット・デフォルト・スワップは、1つ以上の社債、ロー
ンまたはモーゲージ(以下「参照債務」という。)の発行体に信用事由が発生した場合に、当該参照債務の元本
の損失に対して買い手に保証を提供するものである。プロテクションの買い手は契約時または定期的に売り手に
プレミアムを支払い、契約期間中の保証を受ける。契約に定義されている信用事由が発生しなかった場合には、
プロテクションの売り手から買い手に対する支払は生じない。しかし信用事由が発生した場合、プロテクション
の売り手は買い手に対する支払を要求され、その支払額は契約条件に従って計算される。
・信用オプション: 信用オプションでは、オプションの売り手は参照債務を特定の価格またはクレジット・スプ
レッドで購入または売却する義務を引受ける。オプションの買い手は、参照債務をオプションの売り手に売却す
るまたはオプションの売り手から購入する権利を購入するが、売却または購入する義務を引受けるのではない。
信用オプションに係る支払額は、特定のクレジット・スプレッドまたは参照債務の価格によって異なる。
・クレジット・インデックス、バスケットおよびトランシェ: 信用デリバティブは、個別銘柄のクレジット・デ
フォルト・スワップのバスケットまたは包括的インデックスを参照する場合がある。対象となる参照債務の1つ
に信用事由が発生した場合、プロテクションの売り手はプロテクションの買い手に支払を行う。支払額は通常、
デフォルトとなった対象の参照債務に基づき取引の想定元本合計を比例配分した金額である。一部の取引では、
バスケットまたはインデックスの信用リスクは、劣後レベルがそれぞれに異なる様々な部分(トランシェ)に分
けられる。最も下位のトランシェが当初のデフォルトを補填し、損失がこれらの下位トランシェの想定元本を超
えた場合には、次に上位にあるトランシェが超過部分を補填する。
・トータル・リターン・スワップ: トータル・リターン・スワップは、参照債務の経済的成果に関連するリスクを
プロテクションの買い手からプロテクションの売り手に移転するものである。通常、プロテクションの買い手
は、変動金利による利息および参照債務の公正価値の減少に対するプロテクションを受取り、プロテクションの
売り手は、参照債務に関連するキャッシュ・フローに参照債務の公正価値の増加分を加えた金額を受取る。
当社は、主に原資産が同一で、相殺される買建信用デリバティブ契約を締結することにより、売建信用デリバティ
ブに対するエクスポージャーを経済的にヘッジしている。当社の買建信用デリバティブ取引のほぼすべてが金融機
関との取引であり、担保に関する厳格な基準値が設定されている。また、特定のトリガー事象の発生時に、当社は
特定の売建信用デリバティブが対象とする参照債務を占有することができ、それにより、デフォルトの場合には、
当該参照債務の清算時に参照債務の金額を回収することができる。
2021 年6月現在、買建プロテクションの想定元本純額447.4億ドルに対して、売建信用デリバティブの想定元本総
額は5,530.9億ドル、買建信用デリバティブの想定元本総額は5,978.3億ドルであった。2020年12月現在、買建プロ
テクションの想定元本純額423.3億ドルに対して、売建信用デリバティブの想定元本総額は5,158.5億ドル、買建信
用デリバティブの想定元本総額は5,581.8億ドルであった。当社の売建および買建信用デリバティブは、主にクレ
ジット・デフォルト・スワップから構成される。
信用デリバティブに関する情報は以下の表のとおりである。
183/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
原資産のクレジット・スプレッド(ベーシス・ポイント)
(単位:百万ドル) 0 - 250 251 - 500 501 - 1,000
1,000 超 合計
2021 年6月現在
売建信用デリバティブの契約期間別最大支払額/想定元本
1年未満 $ 105,146 $ 9,126 $ 1,600 $ 4,052 $ 119,924
1-5年 355,832 20,831 5,693 2,531 384,887
5年超 42,588 5,391 234 67 48,280
合計 $ 503,566 $ 35,348 $ 7,527 $ 6,650 $ 553,091
買建信用デリバティブの最大支払額/想定元本
相殺 $ 439,352 $ 24,603 $ 6,772 $ 5,637 $ 476,364
その他 $ 107,788 $ 10,195 $ 2,859 $ 628 $ 121,470
売建信用デリバティブの公正価値
資産 $ 11,557 $ 966 $ 262 $ 39 $ 12,824
負債 925 1,161 307 1,825 4,218
純資産/(負債) $ 10,632 $ (195) $ (45) $ (1,786) $ 8,606
2020 年12月現在
売建信用デリバティブの契約期間別最大支払額/想定元本
1年未満 $ 96,049 $ 5,826 $ 450 $ 2,403 $ 104,728
1-5年 331,145 17,913 8,801 4,932 362,791
5年超 44,132 3,839 272 88 48,331
合計 $ 471,326 $ 27,578 $ 9,523 $ 7,423 $ 515,850
買建信用デリバティブの最大支払額/想定元本
相殺 $ 407,315 $ 19,822 $ 8,679 $ 7,091 $ 442,907
その他 $ 103,604 $ 7,272 $ 3,619 $ 776 $ 115,271
売建信用デリバティブの公正価値
資産 $ 10,302 $ 638 $ 256 $ 118 $ 11,314
負債 1,112 1,119 387 2,001 4,619
純資産/(負債) $ 9,190 $ (481) $ (131) $ (1,883) $ 6,695
上記の表において、
・公正価値には、法的効力のあるネッティング契約に基づく受取債権と支払債務の残高の相殺の影響も、法的効力
のある信用補完契約に基づき受取った、または差入れた現金との相殺の影響も含まれていないため、当社のクレ
ジット・エクスポージャーを表すものではない。
・期間は、契約上の満期までの残存期間に基づいている。
・原資産のクレジット・スプレッドおよび契約期間は、支払/履行リスクの指標となる。クレジット・スプレッド
が低く、期間が短い場合には、当社が支払を行う、または履行を要求される可能性は比較的低い。
・相殺される買建信用デリバティブは、原資産が同一の売建信用デリバティブを経済的にヘッジする買建信用デリ
バティブの想定元本を表す。
・その他の買建信用デリバティブは、「相殺」に含まれていないすべての他の買建信用デリバティブの想定元本を
表す。
184/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
デリバティブに係るクレジット・スプレッドおよび資金調達スプレッドの影響
当社は、デリバティブ契約からの損益を認識している。これらの損益には、無担保のデリバティブ資産および負債
に関連する信用評価調整(以下「CVA」という。)が含まれる。CVAは、信用エクスポージャー、取引相手先の信用
スプレッド、負債の資金調達スプレッド(当社自身の信用を含む)、デフォルト確率および予想回収額の変動によ
る影響に起因する損益(ヘッジを含む)を表している。また、これらの損益には、無担保デリバティブ資産に係る
資金調達の評価調整(以下「FVA」という。)も含まれる。FVAは、予想される資金調達エクスポージャーや資金調
達スプレッドの変動による影響に起因する損益(ヘッジを含む)を表している。
CVA およびFVAに関する情報は以下のとおりである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
CVA (ヘッジ考慮後) $ (63) $ (51)
FVA (ヘッジ考慮後) 37 (179)
合計
$ (26) $ (230)
組込デリバティブの区分処理
関連する借入金から区分処理されたデリバティブの公正価値および想定元本は、以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
資産の公正価値 $ 1,061 $ 1,450
負債の公正価値 (1,285) (1,220)
純資産/(負債) $ (224) $ 230
想定元本 $ 11,856 $ 12,548
上記の表において、関連する借入金から区分処理されたデリバティブは公正価値で計上され、主に金利、株式およ
びコモディティ商品から成る。これらのデリバティブは、関連する借入金とともに無担保短期借入金および無担保
長期借入金、ならびにその他担保付借入金に含まれる。
信用関連の偶発的な特性があるデリバティブ
当社のデリバティブの一部は、当社の信用格付の変動に基づき担保の差入れまたは取引の終了を当社に求めること
ができる取引相手先との双務契約に従い取引が行われている。当社はすべての格付機関が格付を引下げたと仮定し
た場合に発生すると考えられる担保または取引終了に伴う支払額を算定することにより、これらの双務契約の影響
を評価している。1格付機関が格付を引下げた場合でも、引下時の当該格付機関による当社の相対的な格付によっ
ては、すべての格付機関が格付を引下げた場合に匹敵する影響を与える可能性がある。
かかる双務契約におけるデリバティブ純負債の情報(差入れた担保の適用を除く)、関連する差入担保の公正価
値、ならびに当社の信用格付が1段階および2段階引下げられた場合に取引相手先が要求したと考えられる追加担
保または取引終了に伴う支払額は、以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
双務契約におけるデリバティブ純負債 $ 33,896 $ 43,368
差入担保 $ 27,986 $ 35,296
追加担保または取引終了に伴う支払額:
格付の1段階引下げ $ 283 $ 481
格付の2段階引下げ $ 1,074 $ 1,388
ヘッジ会計
当社は、(ⅰ)一部の固定利付の長期および短期借入金、ならびに一部の固定利付譲渡性預金証書の金利エクス
ポージャーを管理するために用いられる金利スワップ、(ⅱ)一部の売却可能有価証券の為替リスクを管理するた
めに用いられる為替先渡契約、(ⅲ)一部の米国外事業に対する当社の純投資に係る為替エクスポージャーを管理
するために用いられる為替先渡契約および外貨建債務、ならびに(ⅳ)一部のコモディティの価格変動リスクを管
理するために用いられるコモディティ先物契約について、ヘッジ会計を適用している。
ヘッジ会計の要件を満たすために、ヘッジ手段は、ヘッジ対象のエクスポージャーから生じるリスクを非常に効果
的に軽減しなければならない。また当社は、契約開始時にヘッジ関係に関して正式に文書化し、ヘッジ手段がヘッ
ジ関係の期間にわたり継続的に非常に有効であることを確認するために、少なくとも四半期ごとにヘッジ関係の評
価を行わなければならない。
公正価値ヘッジ
当社は、金利スワップを、一部の固定利付の無担保長期および短期借入金、ならびに固定利付譲渡性預金証書の公
正価値ヘッジに指定している。これらの金利スワップは、指定されたベンチマーク金利(ロンドン銀行間取引金利
185/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
(以下「LIBOR」という。)、担保付翌日物調達金利またはオーバーナイト・インデックス・スワップ・レートな
ど)の公正価値の変動をヘッジし、固定利付債務の相当部分を変動利付債務に効果的に転換している。
当社は、ヘッジ手段の公正価値およびヘッジ対象リスク(すなわち金利リスク)の変動を相殺するこれらヘッジ関
係の有効性を評価するにあたり、回帰分析を用いる統計的手法を適用している。回帰分析の結果、決定係数が80%
以上、傾きが80%から125%の範囲の場合、金利スワップはヘッジ対象リスクの変動に起因する公正価値の変動の
相殺に非常に有効とみなされる。
適格金利公正価値ヘッジについては、デリバティブに係る損益は支払利息に含まれる。ヘッジ対象リスクに起因す
るヘッジ対象項目の公正価値の変動はその帳簿価額の調整(ヘッジ調整)として計上され、支払利息に含まれる。
デリバティブがヘッジに指定されなくなった場合、ヘッジ対象項目の帳簿価額と額面価額との差額は、実効金利法
でヘッジ対象項目の残存期間にわたり償却され、支払利息に計上される。受取利息および支払利息の詳細について
は注記23を参照のこと。
ヘッジとして会計処理された金利デリバティブから生じた利益/(損失)、関連するヘッジ対象の借入金および預
金、ならびに支払利息総額は、以下の表のとおりである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
金利ヘッジ $ (3,930) $ 6,939
ヘッジ対象の借入金および預金 $ 3,626 $ (7,243)
支払利息 $ 2,882 $ 5,527
以下の表は、ヘッジ関係に指定されている預金および無担保借入金の帳簿価額、ならびに当該帳簿価額に含まれる
現在および過去のヘッジ関係からの関連ヘッジ調整累積額(増加/(減少))を示している。
(単位:百万ドル) 帳簿価額 ヘッジ調整累積額
2021 年6月現在
預金 $ 15,707 $ 456
無担保短期借入金 $ 2,474 $ 21
無担保長期借入金 $ 134,135 $ 8,217
2020 年12月現在
預金 $ 17,303 $ 649
無担保短期借入金 $ 5,976 $ 53
無担保長期借入金 $ 115,242 $ 11,624
上記の表において、ヘッジ調整累積額には、過去のヘッジ関係でヘッジ指定が解除されたものによるヘッジ調整額
が2021年6月現在および2020年12月現在の両方において63.4億ドル含まれ、これらのほぼすべてが無担保長期借入
金に関連するものであった。
さらに、ヘッジ関係に指定されなくなった項目に関するヘッジ調整累積額は、2021年6月現在221百万ドルおよび
2020年12月現在489百万ドルであり、これらのほぼすべてが無担保長期借入金に関連するものである。
2020 年度第3四半期において、当社は、為替先渡契約を、売却可能有価証券に分類される米国以外の政府債の為替
リスクをヘッジする公正価値ヘッジのヘッジ手段として指定した。当該有価証券の償却原価および公正価値の情報
については注記8を参照のこと。当該ヘッジの有効性は、直物レートの変動に基づき評価される。(直先スプレッ
ドに関連する)ヘッジに係る損失および関連する売却可能証券の為替差益はマーケット・メイキングに含まれてお
り、2021年6月に終了した6ヵ月間において重要性はなかった。
2021 年度第2四半期において、当社は、コモディティ先物契約の一部を、トレーディング資産内のコモディティに
含まれる一部の貴金属の価格変動リスクをヘッジする公正価値ヘッジとして指定した。2021年6月現在、当該コモ
ディティの帳簿価額は20.3億ドル、償却原価は20.9億ドルであった。当該コモディティの直物レートの変動は、そ
れらの帳簿価額の調整として反映され、当該コモディティおよび指定された先物契約に係る利益/(損失)はいず
れもマーケット・メイキングに含まれている。指定された先物契約に係る契約上の直先差額は、契約期間にわたり
比例的に損益に償却され、直先差額の変動から生じたその他の利益/(損失)は、その他の包括利益/(損失)に含
まれる。2021年6月現在、ヘッジ調整累積額は、重要ではなかった。
純投資ヘッジ
当社は、為替先渡契約および外貨建債務の利用により、一部の米国外事業に対する純投資に係る為替レートの変動
の影響を軽減するよう努めている。ヘッジに指定されている為替先渡契約については、ヘッジの有効性は、先渡契
約の公正価値の全体的な変動に基づき(すなわち、先渡レートの変動に基づき)評価される。ヘッジに指定されて
いる外貨建債務については、ヘッジの有効性は直物レートの変動に基づき評価される。適格純投資ヘッジについて
は、ヘッジ手段に係る損益はすべて、為替換算調整勘定に含まれる。
186/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
純投資ヘッジからの利益/(損失)は以下の表のとおりである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
ヘッジ:
為替先渡契約 $ 227 $ 642
外貨建債務 $ 259 $ (30)
米国外事業に対する個々の純投資に係る損益は、純投資が売却または実質的に清算された時点でその他の包括利
益/(損失)累積額から損益に振替えられる。その他の包括利益累積額から損益に振替えられた、ヘッジおよび関
連する米国外事業に対する純投資に係る損益の総額および純額は、2021年6月に終了した6ヵ月間において重要で
はなかった。その他の包括利益/(損失)累積額から損益に振替えられた、利益純額は、2020年6月に終了した
6ヵ月間において(ヘッジに関する208百万ドルの利益および関連する米国外事業に対する純投資における151百万
ドルの損失を反映して)57百万ドルであった。
当社は、2021年6月現在において52.5億ドル、2020年12月現在において49.7億ドルの無担保長期借入金および無担
保短期借入金に含まれていた外貨建債務を米国外子会社に対する純投資のヘッジとして指定していた。
注記8
投資
投資には、公正価値で会計処理され、通常は当社の長期投資活動に関連して保有される債務商品および持分証券が
含まれる。さらに、投資には、売却可能有価証券および満期保有目的有価証券に分類される債券が含まれ、これら
は通常、当社の資産・負債管理活動に関連して保有される。投資には、持分法で会計処理される持分証券も含まれ
る。
投資に関する情報は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
持分証券(公正価値) $ 21,045 $ 19,781
債務商品(公正価値) 17,407 16,981
売却可能有価証券(公正価値) 46,569 46,016
投資(公正価値) 85,021 82,778
満期保有目的証券 5,260 5,301
持分法投資 446 366
投資合計 $ 90,727 $ 88,445
持分証券および債務商品(公正価値)
持分証券および債務商品(公正価値)は、公正価値オプションに基づき、またはその他の米国会計基準に準拠し
て、公正価値で会計処理され、これに関連した公正価値の利益および損失は連結損益計算書に認識される。
持分証券(公正価値): 持分証券(公正価値)は、企業および不動産事業体に対する当社の公開および非公開の持分
投資で構成される。
187/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
持分証券(公正価値)に関する情報は以下のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
持分証券(公正価値) $ 21,045 $ 19,781
持分証券の種類
公開持分証券 17 % 15 %
非公開持分証券 83 % 85 %
合計 100 % 100 %
資産クラス
企業向け 83 % 83 %
不動産 17 % 17 %
合計 100 % 100 %
上記の表において、
・持分証券(公正価値)には、公正価値オプションに基づき公正価値で会計処理される投資が2021年6月現在62.3
億ドルおよび2020年12月現在71.4億ドル含まれており、これはこの会計処理を取らない場合には持分法が適用さ
れるものである。公正価値オプションが選択された持分証券の公正価値の変動により認識した利益は、2021年6
月に終了した6ヵ月間において16.4億ドルおよび2020年6月に終了した6ヵ月間において176百万ドルであっ
た。これらの利益は、その他の自己勘定取引に含まれている。
・持分証券(公正価値)には、NAVで測定されるファンドに対する投資が2021年6月現在25.0億ドルおよび2020年
12月現在23.5億ドル含まれている。
債務商品(公正価値): 債務商品(公正価値)は、主としてメザニン債、シニア債および不良債権を含んでいる。
債務商品(公正価値)に関する情報は以下のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
企業向け社債 $ 11,217 $ 10,991
不動産によって担保された有価証券 2,213 1,940
マネー・マーケット商品 1,927 2,185
その他 2,050 1,865
合計 $ 17,407 $ 16,981
上記の表において、
・マネー・マーケット商品には、主として定期預金およびマネーマーケット・ファンドへの投資が含まれる。
・その他には、NAVで測定されるクレジット・ファンドに対する投資が2021年6月現在14.9億ドルおよび2020年12
月現在13.1億ドルが含まれる。
1口当たり純資産価額で測定されるファンドに対する投資: 持分証券および債務商品(公正価値)には、NAVで測
定されるファンドに対する投資が含まれる。当社は、(ⅰ)ファンド投資が容易に算定できる公正価値を有してい
ない場合、および(ⅱ)投資の公正価値での測定を含め、投資ファンドのNAVが投資会社の会計処理の測定原則と
一致する方法で計算される場合、ファンド投資の公正価値の測定にNAVを用いる。
NAV で測定されるファンドに対する当社の投資のほぼすべては、当社が第三者である投資家と共同投資を行ってい
るファームスポンサードのプライベート・エクイティ、クレジット、不動産およびヘッジ・ファンドへの投資から
成る。
プライベート・エクイティ・ファンドは主に、レバレッジド・バイアウト、資本再構成、グロース投資および不良
貸出債権投資を含む、世界中の幅広い業界に対して投資を行っている。クレジット・ファンドは通常、ローンおよ
びその他の債券に投資し、プライベート・エクイティ企業、プライベート・ファミリー企業および発行体企業につ
いてのレバレッジド・バイアウトおよびマネジメント・バイアウト取引、資本再構成、資金調達、借り換え、買収
ならびに再構築に対して高利回りのプライベート・キャピタルを提供することに注力している。不動産ファンドは
世界中で、主に不動産企業、ローン・ポートフォリオ、債券による資本再構成および不動産に投資している。プラ
イベート・エクイティ・ファンド、クレジット・ファンドおよび不動産ファンドはクローズドエンド型ファンドで
あり、これらへの当社の投資は通常、償還を認められていない。当社は、原資産が清算または分配されると、これ
らのファンドから分配を受ける予定であり、その受取時期は未定である。
当社はヘッジ・ファンドへの投資も行っており、これらは主に、様々な資産クラスおよび戦略にわたるファンダメ
ンタル・ボトム・アップ投資手法を用いる、総合ヘッジ・ファンドである。ヘッジ・ファンドへの当社の投資に
188/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
は、主として原資産の流動性が本質的に低く、原資産の清算または分配まで償還による収入を受取れない持分も含
まれており、その受取時期は未定である。
上記のプライベート・エクイティ・ファンドおよびヘッジ・ファンドは、主に米国のドッド・フランク金融制度改
革・消費者保護法(以下「ドッド・フランク法」という。)のボルカー・ルールで定められている「カバード・
ファンド」である。上記のクレジット・ファンドおよび不動産ファンドのほぼすべては、カバード・ファンドでは
ない。連邦準備制度理事会(以下「FRB」という。)は、2013年12月より前に設定されていた一部の(ボルカー・
ルールで定義されている)従来の「非流動性ファンド」への当社の投資および関与について、当該ルールの経過期
間を2022年7月までに延長した。この延長は、当該カバード・ファンドへの当社の残存している投資および関与の
ほぼすべてについて適用される。2021年6月現在、NAVで測定されるファンドへの当社の投資総額39.9億ドルに
は、カバード・ファンドへの投資16.5億ドルが含まれている。
当社は、これらのカバード・ファンドについて、通常の、またはファンドの構造的な修正を通じて原ファンド投資
の回収を継続することで、コンプライアンスを満たすことができると見込んでいる。当社がこれらの方策を通じて
コンプライアンスを達成できない場合、当社は2022年7月までに当該ファンドにおける当社の持分を売却すること
を要求される。その場合、これらの投資の流通市場は限定的である可能性があり、通常の取引では売却できない可
能性もあるため、当社が当社の持分に対して得られる価額は、その時点の帳簿価額よりも低くなることがある。
NAV で測定されるファンドへの投資の公正価値および関連する未実施の資金供与に対するコミットメントは、以下
の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 投資の公正価値 未実施の資金供与
2021 年6月現在
プライベート・エクイティ・ファンド
$ 2,137 $ 625
クレジット・ファンド
1,490 685
ヘッジ・ファンド
83 –
不動産ファンド
278 206
合計 $ 3,988 $ 1,516
2020 年12月現在
プライベート・エクイティ・ファンド
$ 2,042 $ 557
クレジット・ファンド
1,312 680
ヘッジ・ファンド
102 –
不動産ファンド
208 213
合計 $ 3,664 $ 1,450
売却可能有価証券
売却可能有価証券は公正価値で会計処理され、関連する公正価値の未実現損益はその他の包括利益/(損失)累積
額に含まれる。ただし、公正価値ヘッジのヘッジ関係に指定されている場合を除く。ヘッジ関係に指定された売却
可能有価証券の情報については注記7を参照のこと。
189/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
売却可能有価証券の期間別内訳に関する情報は、以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 償却原価 公正価値 加重平均利回り
2021 年6月現在
1年未満 $ 25 $ 25 0.03 %
1年から5年 37,089 37,003 0.51 %
5年から10年 7,453 7,503 1.18 %
米国政府債合計 44,567 44,531 0.62 %
5年から10年 1,759 1,710 0.10 %
10 年超 357 328 0.74 %
米国以外の政府債合計 2,116 2,038 0.21 %
売却可能有価証券合計 $ 46,683 $ 46,569 0.61 %
2020 年12月現在
1年未満 $ 25 $ 25 0.08 %
1年から5年 35,831 36,158 0.70 %
5年から10年 7,454 7,732 1.19 %
米国政府債合計 43,310 43,915 0.78 %
5年から10年 1,739 1,744 0.10 %
10 年超 353 357 0.74 %
米国以外の政府債合計 2,092 2,101 0.21 %
売却可能有価証券合計 $ 45,402 $ 46,016 0.76 %
上記の表において、
・売却可能有価証券は、2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、公正価値の階層のレベル1に分類
されている。
・当社は、売却可能有価証券を2021年6月に終了した6ヵ月間において134.2億ドル(実現利益133百万ドル)およ
び2020年6月に終了した6ヵ月間において34.9億ドル(実現利益319百万ドル)売却した。当該利益は連結損益
計算書に計上されている。
・2021年6月現在、その他の包括利益/(損失)累積額に含まれる未実現利益の総額は273百万ドル、その他の包括
利益/(損失)累積額に含まれる未実現損失の総額は387百万ドルであった。2020年12月現在、その他の包括利
益/(損失)累積額に含まれる未実現利益の総額は631百万ドル、その他の包括利益/(損失)累積額に含まれる
未実現損失の総額には重要性はなかった。
・売却可能有価証券は、連結損益計算書に信用損失引当金を計上する必要があるか判断するための検討が行われ
る。当社はそのような判断において、市況、発行体の信用格付の変更、未実現損失の深刻度、ならびに回復まで
有価証券を保有する意図および能力を含む様々な要因を検討する。当社は、2021年6月または2020年6月に終了
した6ヵ月間のいずれにおいても、当該有価証券に関する信用損失引当金繰入額を計上しなかった。
190/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
投資の公正価値のレベル別内訳
公正価値で会計処理される投資についての公正価値の階層のレベル別内訳は、以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) レベル1 レベル2 レベル3 合計
2021 年6月現在
政府債および政府機関債:
米国
$ 44,531 $ – $ – $ 44,531
米国以外
2,041 55 – 2,096
企業向け社債 83 6,176 4,958 11,217
不動産によって担保された有価証券 – 1,096 1,117 2,213
マネー・マーケット商品 766 1,161 – 1,927
その他の債券
– – 502 502
持分証券 406 8,386 9, 755 18,547
小計 $ 47,827 $ 16,874 $ 16,332 $ 81,033
NAV で測定されるファンドに対する投資 3,988
投資合計 $ 85,021
2020 年12月現在
政府債および政府機関債:
米国
$ 43,915 $ – $ – $ 43,915
米国以外
2,109 48 – 2,157
企業向け社債 70 5,635 5,286 10,991
不動産によって担保された有価証券 – 942 998 1,940
マネー・マーケット商品 781 1,404 – 2,185
その他の債券
– – 497 497
持分証券 517 7,270 9,642 17,429
小計 $ 47,392 $ 15,299 $ 16,423 $ 79,114
NAV で測定されるファンドに対する投資 3,664
投資合計 $ 82,778
当社の公正価値測定の方針ならびに投資の公正価値の算定に使用される評価手法および重要なインプットの概要に
ついては注記4を参照のこと。
重要かつ観察不能なインプット
レベル3の投資の金額ならびに当該投資の評価に使用される重要かつ観察不能なインプットの範囲および加重平均
は以下の表のとおりである。
2021 年6月現在 2020 年12月現在
金額または範囲 加重平均 金額または範囲 加重平均
(単位:百万ドル)
企業向け社債
レベル3資産 $4,958 $5,286
利回り 7.0 %から14.6% 9.4 % 4.5 %から19.5% 10.2 %
回収率 9.1 %から76.0% 59.9 % 10.0 %から70.0% 50.7 %
デュレーション(年) 2.6 から7.3 4.4 3.0 から7.7 4.2
評価倍率 0.5 倍から20.9倍 7.6 倍 0.6 倍から29.3倍 6.9 倍
不動産によって担保された有価証券
レベル3資産 $1,117 $998
利回り 8.3 %から28.2% 16.8 % 8.2 %から52.4% 17.5 %
回収率 20.9 %から57.8% 32.9 % 21.6 %から57.8% 33.7 %
デュレーション(年) 0.5 から3.2 3.1 0.4 から3.6 2.7
その他の債券
レベル3資産 $502 $497
利回り 2.4 %から9.6% 4.3 % 1.7 %から6.2% 3.5 %
デュレーション(年) 1.3 から9.5 5.6 0.2 から10.3 6.4
持分証券
レベル3資産 $9,755 $9,642
評価倍率 0.5 倍から33.8倍 12.1 倍 0.6 倍から27.9倍 9.0 倍
割引率/利回り 4.8 %から50.1% 15.4 % 4.0 %から38.5% 13.5 %
資本化率 3.8 %から13.1% 6.2 % 3.7 %から14.1% 6.3 %
上記の表において、
・範囲は、投資の各タイプの評価に使用された重要かつ観察不能なインプットの範囲を表している。
・加重平均は、各インプットを投資の相対的公正価値で加重することにより算定される。
・これらのインプットの範囲および加重平均は、ある投資の公正価値を算定する際に使用する適切なインプットの
代表的なものということではない。例えば、非公開の持分証券の評価倍率の最大値は、特定の非公開の持分証券
の評価に適切であるが、他の非公開の持分証券の評価には適切でない可能性がある。したがって、インプットの
範囲は、レベル3の投資の公正価値測定における不確実性または公正価値測定の可能な範囲を表すものではな
い。
191/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
・2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、レベル3の投資の評価に使用される利回り、割引率、資
本化率またはデュレーションが上昇すると、公正価値測定の結果が低下し、回収率または評価倍率が上昇する
と、 公正価値測定の結果が上昇した。レベル3の投資はそれぞれ特徴ある性質のため、インプットの相互関係は
各商品タイプ内で必ずしも同じではない。
・企業向け社債、不動産によって担保された有価証券およびその他の債券は割引キャッシュ・フローを使用して評
価され、持分証券は類似市場取引および割引キャッシュ・フローを使用して評価される。
・どの金融商品の公正価値も複数の評価手法を用いて決定されることがある。例えば、類似市場取引および割引
キャッシュ・フローが同時に公正価値の算定に使用されることがある。したがって、レベル3の残高はこの両方
の手法を含んでいる。
レベル3の推移
レベル3の投資の公正価値の変動の要約は、以下の表のとおりである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
期首残高 $ 16,423 $ 15,282
正味実現利益/(損失) 245 121
正味未実現利益/(損失) 1,894 (1,395)
購入 971 811
売却 (778) (1,186)
決済 (1,734) (504)
レベル3への振替 1,522 5,937
レベル3からの振替 (2,211) (1,150)
期末残高 $ 16,332 $ 17,916
上記の表において、
・公正価値の変動は、期末日現在でレベル3に分類されていたすべての投資について表示されている。
・正味未実現利益/(損失)は期末日現在で保有している投資に関するものである。
・公正価値の階層の異なるレベル間での振替は発生した報告期間の期首に計上される。投資が報告期間中にレベル
3に振替えられた場合、当該期間における損益は全額レベル3に分類される。
・レベル3の投資について、増加はプラスの金額で表示され、減少はマイナスの金額で表示されている。
192/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
以下の表は、上記の要約表に含まれている投資の情報の内訳を商品タイプ別に示したものである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
企業向け社債
期首残高 $ 5,286 $ 3,465
正味実現利益/(損失) 127 78
正味未実現利益/(損失) 295 (406)
購入 215 244
売却 (281) (209)
決済 (678) (226)
レベル3への振替 844 3,800
レベル3からの振替 (850) (174)
期末残高 $ 4,958 $ 6,572
不動産によって担保された有価証券
期首残高 $ 998 $ 595
正味実現利益/(損失) 27 17
正味未実現利益/(損失) 36 (104)
購入 208 94
決済 (211) (43)
レベル3への振替 87 321
レベル3からの振替 (28) –
期末残高 $ 1,117 $ 880
その他の債券
期首残高 $ 497 $ 319
正味実現利益/(損失) 8 7
正味未実現利益/(損失) 2 17
購入 39 4
売却 (12) –
決済 (32) (9)
レベル3への振替 – 91
期末残高 $ 502 $ 429
持分証券
期首残高 $ 9,642 $ 10,903
正味実現利益/(損失) 83 19
正味未実現利益/(損失) 1,561 (902)
購入 509 469
売却 (485) (977)
決済 (813) (226)
レベル3への振替 591 1,725
レベル3からの振替 (1,333) (976)
期末残高 $ 9,755 $ 10,035
レベル3の推移に関する説明
2021 年6月に終了した6ヵ月間: 2021 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3の投資に係る正味実現および未
実現利益21.4億ドル(正味実現利益245百万ドルおよび正味未実現利益18.9億ドルを反映している)には、その他
の自己勘定取引に計上された20.2億ドルおよび受取利息に計上された116百万ドルの利益が含まれていた。
2021 年6月に終了した6ヵ月間のレベル3の投資の正味未実現利益は、一部の非公開の持分証券および企業向け社
債からの利益(いずれの場合も、主に企業業績および会社固有の事象に起因)を主として反映している。
2021 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3の投資への振替は、主に、一部の企業向け社債および非公開の持
分証券のレベル2からの振替(いずれの場合も、主に、これらの商品の市場取引の減少など、市場データの不足に
より市場価格の透明性が低下したことに起因)を反映している。
2021 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3の投資からの振替は、一部の非公開の持分証券のレベル2への振
替(主に、これらの商品の市場取引など市場データにより、市場価格の透明性が向上したことに起因)および一部
の企業向け社債のレベル2への振替(主に一部の観察不能な利回りおよびデュレーションに関するインプットがこ
れら商品の評価において重要でなくなったこと、また商品の市場取引など市場データにより、市場価格の透明性が
向上したことに起因)を主として反映している。
2020 年6月に終了した6ヵ月間: 2020 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3の投資に係る正味実現および未
実現損失12.7億ドル(正味実現利益121百万ドルおよび正味未実現損失14.0億ドルを反映している)には、その他
の自己勘定取引に計上された(14.1)億ドルおよび受取利息に計上された132百万ドルの利益/(損失)が含まれてい
た。
193/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
2020 年6月に終了した6ヵ月間のレベル3の投資の正味未実現損失は、特定の非公開の持分証券からの損失(主に
企業業績による)、ならびに企業向け社債からの損失(主にクレジット・スプレッドの拡大および企業業績の影響
による)を反映していた。
2020 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3の投資への振替は、一部の企業向け社債のレベル2からの振替
(主に一部の観察不能な利回りおよびデュレーションに関するインプットがこれら商品の評価において重要になっ
たことに起因)および非公開の持分証券のレベル2からの振替(主にこれらの商品の取引の減少など、市場データ
の不足により市場価格の透明性が低下したことに起因)を主として反映している。
2020 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3の投資からの振替は、主に一部の非公開の持分証券および企業向
け社債のレベル2への振替(いずれの場合も、これらの商品の市場取引など市場データにより、市場価格の透明性
が向上したことに起因)を主として反映している。
満期保有目的証券
満期保有目的証券は、償却原価で会計処理される。
満期保有目的証券のタイプ別および期間別内訳に関する情報は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 償却原価 公正価値 加重平均利回り
2021 年6月現在
1年未満 $ 501 $ 506 2.53 %
1年から5年 4,057 4,283 2.30 %
米国政府債合計 4,558 4,789 2.33 %
5年から10年 3 3 2.65 %
10 年超 699 724 1.11 %
不動産によって担保された有価証券合計 702 727 1.12 %
満期保有目的証券合計 $ 5,260 $ 5,516 2.17 %
2020 年12月現在
1年未満 $ 501 $ 513 2.53 %
1年から5年 2,529 2,695 2.34 %
5年から10年 1,531 1,675 2.25 %
米国政府債合計 4,561 4,883 2.33 %
5年から10年 4 3 2.56 %
10 年超 736 751 1.08 %
不動産によって担保された有価証券合計 740 754 1.08 %
満期保有目的証券合計 $ 5,301 $ 5,637 2.15 %
上記の表において、
・不動産によって担保された有価証券のほぼすべては、住宅用不動産によって担保された有価証券で構成されてい
る。
・これらの有価証券は公正価値で会計処理されていないため、注記4から注記10の当社の公正価値の各階層には含
まれていない。これらの有価証券が当社の公正価値の各階層に含まれていたならば、2021年6月および2020年12
月現在のいずれにおいても、米国政府債は公正価値の階層のレベル1に分類され、不動産によって担保された有
価証券は公正価値の階層のレベル2に主に分類されることになる。
・未実現利益の総額は、2021年6月現在257百万ドルおよび2020年12月現在340百万ドルであった。2021年6月およ
び2020年12月現在のいずれにおいても、未実現損失の総額に重要性はなかった。
・満期保有目的証券は、連結損益計算書に信用損失引当金を計上する必要があるか判断するための検討が行われ
る。当社はそのような判断において、市況、発行体の信用格付の変更、過去の信用損失実績および政府保証の有
無を含む様々な要因を検討する。2021年6月または2020年6月に終了した6ヵ月間のいずれにおいても、当該有
価証券の信用損失引当金繰入額に重要性はなかった。
次へ
194/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
注記9
ローン
ローンには、(ⅰ)償却原価からローン貸倒引当金を控除した金額で会計処理される、または公正価値オプション
に基づき公正価値で会計処理される投資目的保有のローン、および(ⅱ)原価と公正価値のいずれか低い方の金額
で会計処理される売却目的保有のローンが含まれる。ローンに対する利息は、貸付期間にわたり認識され、発生主
義で計上される。
ローンの情報は、以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 償却原価 公正価値 売却目的保有 合計
2021 年6月現在
ローンの種類
企業向け
$ 44,153 $ 2,786 $ 875 $ 47,814
富裕層向け金融業務
32,833 7,122 – 39,955
商業用不動産
17,321 1,677 470 19,468
住宅用不動産
11,696 417 105 12,218
消費者向け:
割賦払い 3,257 – – 3,257
クレジットカード 5,210 – – 5,210
その他
4,841 514 531 5,886
総ローン合計 119,311 12,516 1,981 133,808
ローン貸倒引当金 (3,271) – – (3,271)
ローン合計 $ 116,040 $ 12,516 $ 1,981 $ 130,537
2020 年12月現在
ローンの種類
企業向け $ 44,778 $ 2,751 $ 1,130 $ 48,659
富裕層向け金融業務
25,151 7,872 – 33,023
商業用不動産
17,096 1,961 1,233 20,290
住宅用不動産 5,236 494 20 5,750
消費者向け:
割賦払い 3,823 – – 3,823
クレジットカード 4,270 – – 4,270
その他 3,211 547 416 4,174
総ローン合計 103,565 13,625 2,799 119,989
ローン貸倒引当金 (3,874) – – (3, 874 )
ローン合計 $ 99,691 $ 13,625 $ 2,799 $ 116,115
上表のローンの種類についての詳細は、以下のとおりである。
・企業向け: 企業向けローンには、ターム・ローン、リボルビング与信枠、信用状枠およびブリッジ・ローンが含
まれ、主に営業および一般的な事業目的または買収関連で使用される。企業向けローンには、その目的、借手の
リスク・プロファイルおよびその他の要因により担保付のものと無担保のものがある。
・富裕層向け金融業務: 富裕層の顧客向けローンには、富裕層およびその他の顧客を含む、プライベート・バンク
の顧客向けに提供したローンが含まれる。これらのローンには、金融資産と非金融資産の両方に対する投資資金
に使用する、キャッシュ・フローのタイミングのずれの繋ぎに使用する、またはその他の必要性に対する流動性
の確保を目的として使用する。かかるローンのほぼすべては、有価証券、住宅用不動産、商業用不動産またはそ
の他の資産による担保が付されている。
・商業用不動産: 商業用不動産によって担保されたローンには、(プライベート・バンクの顧客向けに提供した
ローン以外の)ホテル、小売店、集合住宅ならびに商業用および産業用不動産を直接的または間接的に担保とし
て組成されたローンが含まれる。商業用不動産によって担保されたローンにはまた、商業用不動産を直接的また
は間接的に担保とする資産を保有する顧客に対して提供したローンが含まれる。さらに、商業用不動産には当社
が購入したローンも含まれる。
・住宅用不動産: 住宅用不動産によって担保されたローンには主に、(プライベート・バンクの顧客向けに提供し
たローン以外の)住宅用不動産を直接的または間接的に担保とする資産を保有する顧客に対して当社が提供した
ローン、および当社が購入したローンが含まれる。
・割賦払い: 割賦払いローンは、無担保で、当社が組成したローンである。
・クレジットカード: クレジットカード・ローンとは、消費者のリボルビング与信枠に基づいて当社が提供した
ローンである。
195/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
・その他: その他のローンには主に、自動車ローンや私的学資ローンなど消費者向けローンを直接的または間接的
に担保とする資産およびその他の資産を保有する顧客に対して提供したローンが含まれる。また、その他のロー
ン には、当社が購入した消費者向け無担保ローンおよびクレジットカード・ローンも含まれる。
信用度
リスク評価: 当社のリスク評価プロセスには、ローンの信用度の評価が含まれる。企業向けローン、ならびに大部
分の富裕層向け金融業務、住宅用不動産を担保とするローンおよびその他のローンに関して、当社は、借手を開始
時および継続的に分析するなどの信用審査を行っており、これが内部信用格付となる。信用審査は、借手に金融債
務を果たす能力および意思があるかについての独自の分析であり、年に一度、または審査が必要であることを示す
状況の変化があった場合はより頻繁に行われる。内部信用格付の決定には、借手の業界の性質および見通しならび
に経済環境に関する仮定も含まれる。
以下の表は、ローン総額について、格付機関の公表値に相当するものとして内部で判断した格付またはその他の信
用測定基準ごとに示したもの、ならびに担保ローンおよび無担保ローンの集中度を示したものである。
(単位:百万ドル) 投資適格 非投資適格 その他/格付なし 合計
2021 年6月現在
会計処理の方法
償却原価 $ 41,387 $ 64,523 $ 13,401 $ 119,311
公正価値 2,323 5,306 4,887 12,516
売却目的保有 110 1,263 608 1,981
合計 $ 43,820 $ 71,092 $ 18,896 $ 133,808
ローンの種類
企業向け $ 11,370 $ 35,980 $ 464 $ 47,814
富裕層向け金融業務 28,195 5,477 6,283 39,955
不動産:
商業用 1,668 16,970 830 19,468
住宅用 687 10,234 1,297 12,218
消費者向け:
割賦払い – – 3,257 3,257
クレジットカード – – 5,210 5,210
その他 1,900 2,431 1,555 5,886
合計 $ 43,820 $ 71,092 $ 18,896 $ 133,808
担保付 86 % 93 % 47 % 84 %
無担保 14 % 7% 53 % 16 %
合計 100 % 100 % 100 % 100 %
2020 年12月現在
会計処理の方法
償却原価 $ 33,532 $ 58,250 $ 11,783 $ 103,565
公正価値 2,084 5,925 5,616 13,625
売却目的保有 224 2,152 423 2,799
合計 $ 35,840 $ 66,327 $ 17,822 $ 119,989
ローンの種類
企業向け $ 9,478 $ 38,704 $ 477 $ 48,659
富裕層向け金融業務 22,098 5,331 5,594 33,023
不動産:
商業用 1,792 17,480 1,018 20,290
住宅用 636 3,852 1,262 5,750
消費者向け:
割賦払い – – 3,823 3,823
クレジットカード – – 4,270 4,270
その他 1,836 960 1,378 4,174
合計 $ 35,840 $ 66,327 $ 17,822 $ 119,989
担保付 83 % 90 % 46 % 82 %
無担保 17 % 10 % 54 % 18 %
合計 100 % 100 % 100 % 100 %
196/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
上記の表において、
・その他/格付なしのカテゴリーに含まれる富裕層の顧客向けローンは主に住宅用不動産および有価証券によって
担保されたローンから構成され、その他/格付なしのカテゴリーに含まれる不動産ローンは主に購入したローン
から構成されている。これらのローンについての当社のリスク評価プロセスには、ローン・トゥ・バリュー・レ
シオ、延滞状況、担保の価値、予想キャッシュ・フロー、フェア・アイザック・コーポレーション(以下
「FICO」という。)信用スコア(支払履歴や与信履歴などの要因を検討して借手の信用力を測定する)およびそ
の他のリスク要因等、一定の主要な指標をレビューすることが含まれる。
・その他/格付なしのカテゴリーに含まれる割賦払いローンおよびクレジットカード・ローンについては、信用力
の評価に借手のFICO信用スコアを組み込んでいる。FICO信用スコアは、借手の最新の信用力を評価するために、
当社によって定期的に更新される。FICO信用スコアによる割賦払いローンおよびクレジットカード・ローンの情
報については、以下の「組成年度」を参照のこと。
当社はまた、米国の連邦銀行監督機関が提供する定義に基づいて当該ローンに対する規制上のリスク格付も行って
いる。ローン総額のうち、2021年6月現在は89%のローン、2020年12月現在は85%のローンが、パス/問題なしの
格付であった。
組成年度: 以下の表は、償却原価で会計処理されるローン(割賦払いローンおよびクレジットカード・ローンを除
く)の総額について、格付機関の公表値に相当するものとして内部で判断した格付またはその他の信用測定基準ご
とに示したもの、およびターム・ローンの組成年度を示したものである。
2021 年6月現在
(単位:百万ドル)
投資適格 非投資適格 その他/格付なし 合計
2021 年 $ 2,357 $ 3,683 $ 126 $ 6,166
2020 年 1,466 5,887 – 7,353
2019 年 601 5,022 – 5,623
2018 年 1,864 3,006 – 4,870
2017 年 803 2,324 – 3,127
2016 年以前 369 2,646 45 3,060
リボルビング 3,316 10,562 76 13,954
企業向け 10,776 33,130 247 44,153
2021 年 454 326 534 1,314
2020 年 551 247 – 798
2019 年 725 380 – 1,105
2018 年 270 130 – 400
2017 年 373 30 – 403
2016 年以前 585 251 – 836
リボルビング 23,828 2,214 1,935 27,977
富裕層向け金融業務 26,786 3,578 2,469 32,833
2021 年 191 2,129 82 2,402
2020 年 580 2,965 14 3,559
2019 年 70 1,818 – 1,888
2018 年 134 1,675 7 1,816
2017 年 26 1,458 10 1,494
2016 年以前 – 782 465 1,247
リボルビング 404 4,499 12 4,915
商業用不動産 1,405 15,326 590 17,321
2021 年 413 309 116 838
2020 年 – 986 116 1,102
2019 年 – 34 223 257
2018 年 – 104 190 294
2017 年 8 55 136 199
2016 年以前 – 1 62 63
リボルビング 175 8,656 112 8,943
住宅用不動産 596 10,145 955 11,696
2021 年 243 377 101 721
2020 年 – 64 421 485
2019 年 – 29 24 53
2018 年 – 183 32 215
2017 年 – 6 8 14
リボルビング 1,581 1,685 87 3,353
その他 1,824 2,344 673 4,841
合計 $ 41,387 $ 64,523 $ 4,934 $ 110,844
合計に占める割合 37 % 58 % 5% 100 %
197/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
2020 年12月現在
(単位:百万ドル)
投資適格 非投資適格 その他/格付なし 合計
2020 年 $ 1,978 $ 7,545 $ 140 $ 9,663
2019 年 889 6,106 – 6,995
2018 年 2,076 3,555 – 5,631
2017 年 851 3,083 – 3,934
2016 年 268 1,262 – 1,530
2015 年以前 351 2,073 – 2,424
リボルビング 2,662 11,891 48 14,601
企業向け 9,075 35,515 188 44,778
2020 年 497 313 – 810
2019 年 723 403 – 1,126
2018 年 298 87 – 385
2017 年 377 30 – 407
2016 年 22 20 – 42
2015 年以前 531 264 – 795
リボルビング 18,077 2,085 1,424 21,586
富裕層向け金融業務 20,525 3,202 1,424 25,151
2020 年 848 3,071 55 3,974
2019 年 76 1,965 – 2,041
2018 年 137 2,164 25 2,326
2017 年 26 1,734 12 1,772
2016 年 – 165 9 174
2015 年以前 – 775 526 1,301
リボルビング 461 5,047 – 5,508
商業用不動産 1,548 14,921 627 17,096
2020 年 402 976 115 1,493
2019 年 – 90 271 361
2018 年 – 123 249 372
2017 年 9 83 152 244
2016 年 – 1 – 1
2015 年以前 – – 70 70
リボルビング 225 2,470 – 2,695
住宅用不動産 636 3,743 857 5,236
2020 年 242 84 466 792
2019 年 – 67 29 96
2018 年 – 46 – 46
2017 年 – 8 – 8
リボルビング 1,506 664 99 2,269
その他 1,748 869 594 3,211
合計 $ 33,532 $ 58,250 $ 3,690 $ 95,472
合計に占める割合 35 % 61 % 4% 100 %
上記の表において、ターム・ローンに変更されたリボルビング・ローンは、2021年6月および2020年12月現在のい
ずれにおいても重要ではなかった。
198/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
以下の表は、更新されたFICO信用スコアおよび組成年度ごとの割賦払いローン(総額)および更新されたFICO信用
スコアごとのクレジットカード・ローン(総額)である。
(単位:百万ドル) 660 以上 660 未満 合計
2021 年6月現在
2021 年 $ 674 $ 5 $ 679
2020 年 988 38 1,026
2019 年 837 84 921
2018 年 471 74 545
2017 年 69 13 82
2016 年 3 1 4
割賦払い 3,042 215 3,257
クレジットカード 4,077 1,133 5,210
合計 $ 7,119 $ 1,348 $ 8,467
合計に占める割合:
割賦払い 93 % 7% 100 %
クレジットカード 78 % 22 % 100 %
合計 84 % 16 % 100 %
2020 年12月現在
2020 年 $ 1,321 $ 38 $ 1,359
2019 年 1,225 132 1,357
2018 年 792 150 942
2017 年 128 30 158
2016 年 6 1 7
割賦払い 3,472 351 3,823
クレジットカード 3,398 872 4,270
合計 $ 6,870 $ 1,223 $ 8,093
合計に占める割合:
割賦払い 91 % 9% 100 %
クレジットカード 80 % 20 % 100 %
合計 85 % 15 % 100 %
上記の表において、クレジットカード・ローンはリボルビング与信枠で構成されている。
信用の集中: 以下の表は、ローン総額の集中を地域別に示したものである。
(単位:百万ドル) 帳簿価額 南北アメリカ EMEA アジア 合計
2021 年6月現在
企業向け $ 47,814 57 % 33 % 10 % 100 %
富裕層向け金融業務 39,955 86 % 11 % 3% 100 %
商業用不動産 19,468 70 % 22 % 8% 100 %
住宅用不動産 12,218 90 % 8% 2% 100 %
消費者向け:
割賦払い 3,257 100 % – – 100 %
クレジットカード 5,210 100 % – – 100 %
その他 5,886 85 % 13 % 2% 100 %
合計 $ 133,808 75 % 19 % 6% 100 %
2020 年12月現在
企業向け $ 48,659 60 % 31 % 9% 100 %
富裕層向け金融業務 33,023 88 % 10 % 2% 100 %
商業用不動産 20,290 71 % 19 % 10 % 100 %
住宅用不動産 5,750 88 % 9% 3% 100 %
消費者向け:
割賦払い 3,823 100 % – – 100 %
クレジットカード 4,270 100 % – – 100 %
その他 4,174 81 % 17 % 2% 100 %
合計 $ 119,989 75 % 19 % 6% 100 %
上記の表において、
・EMEAはヨーロッパ、中東およびアフリカを表す。
・2021年6月現在において、企業向けローンの与信集中がある産業の上位5位は、テクノロジー・メディアおよび
電気通信19%(2020年12月現在17%)、ファンド18%(2020年12月現在13%)、その他製造業16%(2020年12月
現在17%)、天然資源および公益事業10%(2020年12月現在12%)、ならびにヘルスケア7%(2020年12月現在
7%)であった。
199/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
利息不計上および延滞ローン: 償却原価で会計処理されるローン(クレジットカード・ローンを除く)は、延滞状
況やローンが90日以上延滞しているかにかかわらず、契約条件に基づく元利全額を当社が回収できない可能性が高
い 場合に、利息不計上のステータスになる(ただし、ローンの担保が十分で、かつ回収の過程にある場合を除
く)。この場合、計上されていた未収利息は受取利息から控除され、また、その後に回収される利息はローン残高
が回収可能とみなされるまで現金主義で認識される。回収可能でない場合は、回収した現金はすべてローン残高に
充当される。ローンは、その元本または利息が契約条件どおりに支払われない場合において延滞しているとみなさ
れる。クレジットカード・ローンは、利息不計上のステータスにはならず、ローンが全額支払われるかまたは償却
されるまで未収利息を計上する。
ある一定の状況において、当社は、財政難に陥っている借手に対して譲歩措置をとることで、ローン契約の当初の
契約条件を変更する可能性がある。これは通常、ローンの契約条項の条件変更の形で行われるが、利息または元本
の条件変更、支払期限の延長または金利の減免を含むこともある。これらの条件変更は、変更の程度が重要な場
合、不良債権の再編(以下「TDR」という。)とみなされる。ローンの支払期限の延長が90日未満の条件変更は、
通常は重要な変更でないとみなされるため、TDRとしては報告されない。
当社は新型コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法(その後の改正を含む。)に基づく救済措置、および本来
であればTDRの定義を満たす条件変更された特定のローンについてTDRに分類しないとする米国の金融機関の特定の
解釈指針を採用した。この救済措置および解釈指針によりTDRに分類されなかった、償却原価で会計処理される
ローンは、2021年6月現在133百万ドルおよび2020年12月現在184百万ドルであった。
延滞ローンに関する情報は以下のとおりである。
(単位:百万ドル) 30 日-89日 90 日以上 合計
2021 年6月現在
企業向け $ – $ 80 $ 80
富裕層向け金融業務 – 39 39
商業用不動産 14 190 204
住宅用不動産
1 17 18
消費者向け:
割賦払い 21 7 28
クレジットカード 49 36 85
その他 15 5 20
合計 $ 100 $ 374 $ 474
償却原価で測定されるローン総額の合計に占める割合 0.4 %
2020 年12月現在
企業向け $ – $ 294 $ 294
富裕層向け金融業務 58 34 92
商業用不動産 49 183 232
住宅用不動産
4 23 27
消費者向け:
割賦払い 42 16 58
クレジットカード 46 31 77
その他 20 4 24
合計 $ 219 $ 585 $ 804
償却原価で測定されるローン総額の合計に占める割合 0.8 %
利息不計上のローンに関する情報は以下のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
企業向け $ 2,074 $ 2,651
富裕層向け金融業務 59 61
商業用不動産 689 649
住宅用不動産
18 25
割賦払い 43 44
その他 – 122
合計 $ 2,883 $ 3,552
償却原価で測定されるローン総額の合計に占める割合 2.4 % 3.4 %
上記の表において、
・利息不計上のローンには、2021年6月現在286百万ドルおよび2020年12月現在533百万ドルの30日以上延滞してい
るローンが含まれていた。
・2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、90日以上延滞しかつ未収利息を計上しているローンに重
要性はなかった。
・利息不計上のローンには、2021年6月現在234百万ドルおよび2020年12月現在315百万ドルの不良債権の再編によ
り条件変更された企業向けローンおよび商業用不動産によって担保されたローンが含まれていた。2021年6月お
200/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
よび2020年12月現在のいずれにおいても、これらのローンに関連した当社の貸付コミットメントに重要性はな
かった。2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、不良債権の再編により条件変更された割賦払い
ロー ンに重要性はなかった。
信用損失引当金
当社の信用損失引当金は、償却原価で会計処理されるローンおよび貸付コミットメントの貸倒引当金から成る。公
正価値で会計処理されるローンおよび貸付コミットメント、または原価と公正価値のいずれか低い方の金額で会計
処理されるローンおよび貸付コミットメントは、信用損失引当金の対象ではない。
信用損失引当金を算定するにあたり、当社は償却原価で会計処理されるローンおよび貸付コミットメントをホール
セール向けポートフォリオおよび消費者向けポートフォリオに分類している。これらのポートフォリオは、当社が
信用損失引当金を算定するために開発し、文書化した手法におけるレベルを表している。信用損失引当金は、類似
したリスク特性を有するローンについてはモデル化されたアプローチを用いて集合的に、一方、類似したリスク特
性を有しないローンについては個別の資産ベースで測定している。
信用損失引当金は、ローンおよび貸付コミットメントの予想残存期間にわたる将来の経済状況に関する複数の予測
レンジの加重平均を考慮している。ローンおよび貸付コミットメントごとの予想残存期間は、延長オプションまた
は要求払い特性を考慮して調整した上で、契約期間に基づいて算定されている。予測は、3年間にわたる基本経済
シナリオ、有利な経済シナリオ、不利な経済シナリオからなる。予想残存期間が3年間を超えるローンについて
は、モデルは、非線形のモデル化されたアプローチに基づく過去の損失情報に回帰する。予測される経済シナリオ
では、以下のホールセール向けポートフォリオおよび消費者向けポートフォリオに関連するいくつかのリスク要因
を考慮している。当社が各四半期において個々のシナリオの実現可能性についてウェイト付けを行う際には、当社
内で策定した経済見通し、市場予測、最近のマクロ経済の状況および業界動向などを含む様々な要因に基づく判断
を用いている。
信用損失引当金には、経営陣が経済予測の不確実性を反映し、モデルのインプットに関する不確実性を捕捉し、モ
デルの精度不足や集中リスクを勘案し会計処理できるように、定性的な構成要素も含まれている。
信用損失に関する経営陣の見積りは、報告日現在のローンの回収可能性についての判断によるものであり、これら
の判断には固有の不確実性が伴う。信用損失引当金は、当社の独立したリスク監督および統制機能の中で、上級管
理職のレビューおよび承認を含むガバナンス・プロセスの対象となっている。当社の独立したリスク監督および統
制機能の中で担当者は、予想信用損失のモデルにおいて使用される経済シナリオの基礎となる経済変数の予測につ
いて責任を有している。経営陣は見積りを算出するにあたり入手可能な最善の情報を利用しているが、特に経済環
境の変化や、実際の結果と使用した当初の仮定との相違などにより、将来において引当金の調整が必要となる可能
性がある。
以下の表は、償却原価で会計処理されるローンおよび貸付コミットメントの総額をポートフォリオごとに示したも
のである。
2021 年6月現在 2020 年12月現在
(単位:百万ドル)
ローン 貸付コミットメント ローン 貸付コミットメント
ホールセール
企業向け $ 44,153 $ 148,973 $ 44,778 $ 127,756
富裕層向け金融業務 32,833 3,382 25,151 2,314
商業用不動産 17,321 4,151 17,096 4,154
住宅用不動産
11,696 2,410 5,236 1,804
その他
4,841 5,461 3,211 4,841
消費者向け
割賦払い 3,257 8 3,823 4
クレジットカード 5,210 28,529 4,270 21,640
合計 $ 119,311 $ 192,914 $ 103,565 $ 162,513
上記の表において、
・ホールセール向けローンには利息不計上のローンが2021年6月現在28.4億ドルおよび2020年12月現在35.1億ドル
含まれており、これらのローンの信用損失引当金は個別の資産ベースで測定されている。これらのローンの信用
損失引当金は、2021年6月現在557百万ドルおよび2020年12月現在649百万ドルであった。これらのローンのう
ち、2021年6月現在317百万ドルおよび2020年12月現在584百万ドルについては、ローンが回収可能とみなされた
ため引当金が必要ではなかった。
201/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
・クレジットカードの貸付コミットメントには、当社が顧客に供与したクレジットカードの与信枠に関連したもの
が2021年6月現在265.7億ドルおよび2020年12月現在216.4億ドル含まれていた。これらのクレジットカードの与
信枠は、当社により解約可能である。クレジットカードの貸付コミットメントには、ゼネラル・モーターズとの
提 携クレジットカードのポートフォリオの取得に関連したものも、2021年6月現在約20億ドル含まれていた。
貸付コミットメントの詳細については注記18を参照のこと。
信用損失引当金の算定に用いた技法の詳細は、以下のとおりである。
ホールセール: リスク特性が類似しているホールセール向けのローンおよび貸付コミットメントは、モデル化され
たアプローチを用いて信用損失引当金を測定している。これらのモデルでは、内部信用格付、業界の債務不履行や
損失に関するデータ、予想残存期間、マクロ経済指標、借手の金融債務履行能力、借手のカントリーリスクおよび
業種、ローンの優先順位および担保の種類といった様々なリスク要因に基づいてデフォルト確率および債務不履行
時損失率を算定している。貸付コミットメントについては、引出しまたは実行の確率も考慮している。また、不動
産を担保とするローンのリスク要因には、ローン・トゥ・バリュー・レシオ、債務返済比率、住宅価格指数などが
ある。ホールセール向けのローンおよび貸付コミットメントの予測モデルに使用する最も重要なインプットには、
失業率、GDP、信用スプレッド、商工業ローンの延滞率、長短金利、原油価格が含まれる。
利息不計上のローンや不良債権の再編を行ったローンなどリスク特性が類似していないホールセール向けローンに
ついて、ローン貸倒引当金は、予想将来キャッシュ・フローをローンの当初の実効金利で割り引いた現在価値、
ローンの観察可能な市場価格または担保の公正価値を用いて算定される。
ホールセール向けローンは回収不能とみなされた時点でローン貸倒引当金から償却される。
消費者向け: リスク特性が類似している消費者向けローンは、モデル化されたアプローチを用いて信用損失引当金
を算定している。このアプローチでは、消費者向けローンを、借手に関連した特性とエクスポージャーに関連した
特性に基づいてプールに分類し、各プールのリスク特性は他のプールとは区別される。プールを決定する際に考慮
される要因は、通常、内部の信用リスクの測定と管理に用いられるリスク特性と整合的であり、FICO信用スコア、
延滞状況、ローンの組成年度およびマクロ経済指標などの主要な指標が含まれる。消費者向けローンの予測モデル
に使用する最も重要なインプットには、失業率と延滞率が含まれる。リボルビング型のクレジットカード・ローン
の予想残存期間は、予想される将来の引出額と引出残高に対する返済の時期および金額をモデル化して決定され
る。当社は、ローン取得コミットメントの信用損失引当金も認識している。しかし、クレジットカードの貸付コ
ミットメントは当社によって取消可能であることから、当該コミットメントについて信用損失引当金は認識されて
いない。
不良債権の再編を行ったローンなどリスク特性が類似していない消費者向けローンの信用損失引当金は、予想将来
キャッシュ・フローをローンの当初の実効金利で割り引いた現在価値を用いて算定される。
割賦払いローンは、120日延滞した時点で償却される。クレジットカード・ローンは、180日延滞した時点で償却さ
れる。
202/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
信用損失引当金の推移
信用損失引当金に関する情報は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) ホールセール向け 消費者向け 合計
2021 年6月に終了した6ヵ月間
ローン貸倒引当金
期首残高 $ 2,584 $ 1,290 $ 3,874
(償却額)/回収額(純額) (9) (117) (126)
繰入額 (370) (75) (445)
その他 (32) – (32)
期末残高 $ 2,173 $ 1,098 $ 3,271
引当率 2.0 % 13.0 % 2.7 %
償却額(純額)比率 0.0 % 2.9 % 0.2 %
貸付コミットメントに係る信用損失引当金
期首残高 $ 557 $ – $ 557
繰入額 97 186 283
その他 (18) – (18)
期末残高 $ 636 $ 186 $ 822
2020 年6月に終了した6ヵ月間
ローン貸倒引当金
期首残高 $ 1,331 $ 837 $ 2,168
(償却額)/回収額(純額) (224) (167) (391)
繰入額 1,875 474 2,349
その他 (225) – (225)
期末残高 $ 2,757 $ 1,144 $ 3,901
引当率 2.8 % 17.0 % 3.7 %
償却額(純額)比率 0.5 % 5.0 % 0.8 %
貸付コミットメントに係る信用損失引当金
期首残高 $ 313 $ – $ 313
繰入額 177 – 177
期末残高 $ 490 $ – $ 490
上記の表において、
・その他は、売却目的保有に振替えられたローンおよび貸付コミットメントに関連する引当金の減額を示してい
る。
・引当率は、ローン貸倒引当金を、償却原価で会計処理されるローン総額で除すことにより算出される。
・償却額(純額)比率は、年率換算した純(償却額)/回収額を償却原価で会計処理されるローン総額の平均で除
すことにより算定される。
・ローン貸倒引当金および貸付コミットメントに係る信用損失引当金の2020年6月に終了した6ヵ月間の期首残高
は、2020年1月1日現在のCECL基準に基づく引当金測定の累積的影響を反映している。累積的影響は、信用損失
引当金の679百万ドルの増加であり、その内訳は、(ⅰ)ローン貸倒引当金の増加727百万ドル(ホールセール向
けローンの引当金の増加452百万ドル、消費者向けローンの引当金の増加444百万ドル、PCIローンの引当金の減
少169百万ドル)、および(ⅱ)貸付コミットメントに係る信用損失引当金の減少48百万ドルであった。
2020 年12月現在、引当率は、ホールセール向けが2.7%、消費者向けが15.9%で、ローン合計が3.7%であった。
2020年12月終了年度の償却額(純額)比率は、ホールセール向けが0.6%、消費者向けが4.2%で、ローン合計が
0.9%であった。
信用損失引当金の推移
2021 年6月に終了した6ヵ月間: 2021 年6月に終了した6ヵ月間において、信用損失引当金は338百万ドル減少し
た。
ホールセール向けおよび消費者向けのローンおよび貸付コミットメントに係る信用損失引当金は、広範な経済状況
の改善および信用損失予想の低下に起因する引当金の減額が、進行中のゼネラル・モーターズの提携クレジット
カード・ポートフォリオの取得に関連する185百万ドルの信用損失引当金を含む、当社のホールセール向けおよび
消費者向けの貸付ポートフォリオの成長によって一部相殺されたことを反映している。
2021 年6月に終了した6ヵ月間において、ホールセール向けローンの(償却額)/回収額(純額)に重要性はな
く、消費者向けローンの(償却額)/回収額(純額)は主にクレジットカードに関連していた。
203/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
2021 年6月現在の予測モデルのインプット: モデルにより予想信用損失を算定する際、当社は基本経済シナリオ、
不利な経済シナリオ、有利な経済シナリオを含むウェイト付けされた多変数の予測を使用している。2021年6月現
在、 予測経済シナリオで最もウェイト付けを重くしたのは、基本シナリオと不利なシナリオであった。予測モデル
では、各国政府が提供する新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミック関連の経済支援プログラムの影響を反映
するための調整が織り込まれている。
以下の表は、2021年6月現在の予測モデルに用いられた米国の失業率と米国のGDP成長率の予測範囲(基本シナリ
オ、不利なシナリオ、有利なシナリオ)を示したものである。
米国失業率 米国GDPの成長率/(マイナス成長率)
以下で終了する四半期末時点での予測:
2021 年12月 4.6 %から9.5% 5.3 %から(2.4)%
2022 年6月 4.2 %から9.7% 7.2 %から(2.4)%
2022 年12月 3.9 %から8.0% 8.8 %から(0.5)%
上記の表において、
・米国の失業率は、各四半期末現在における予測失業率である。
・米国のGDPの成長率/(マイナス成長率)は、米国の四半期GDPの変化を2019年度第4四半期の米国のGDP(パンデ
ミック前の水準)と比較して示したものである。
・米国の失業率および米国のGDPの成長率は予測モデルの重要なインプットであるが、モデルは、将来の経済状況
の予測を提供するために、その他の様々なインプットについてもシナリオの範囲にわたって考慮している。予測
プロセスの複雑な性質から、いずれの経済変数も、他のインプットから独立した単独のものとみなすことはでき
ない。
2020 年6月に終了した6ヵ月間: 2020 年6月に終了した6ヵ月間において、CECL採用の影響に関連する679百万ド
ルおよび同期間の活動からの19.1億ドルを反映して、信用損失引当金は25.9億ドル増加した。
ホールセール向けローンおよび消費者向けローンの信用損失引当金繰入額は、COVID-19のパンデミックによる経済
状況への影響を反映しており、モデルにより算定された予想損失は増加し、回収額は減少する結果となった。ま
た、ホールセール向けローンの信用損失引当金繰入額は、主にテクノロジー・メディアおよび電気通信、その他製
造業、ならびに石油およびガス産業に関連した、借手の格付の引下げおよび資産の個別引当の影響を受けた。2020
年6月に終了した6ヵ月間の消費者向けローンの信用損失引当金繰入額は、COVID-19のパンデミックに関連して経
済見通しが脆弱化したことに加え、クレジットカード・ポートフォリオについて継続的に行った調整の影響も受け
た。
2020 年6月に終了した6ヵ月間において、ホールセール向けローンの(償却額)/回収額(純額)のほぼすべては
企業向けローンに関連しており、消費者向けローンの(償却額)/回収額(純額)は主に割賦払いローンに関連し
ていた。
ローンの公正価値のレベル別内訳
公正価値オプションに基づき公正価値で会計処理される投資目的保有のローンについての、公正価値の階層のレベ
ル別内訳は、以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) レベル1 レベル2 レベル3 合計
2021 年6月現在
ローンの種類
企業向け $ – $ 1,934 $ 852 $ 2,786
富裕層向け金融業務 – 7,059 63 7,122
商業用不動産 – 757 920 1,677
住宅用不動産 – 299 118 417
その他 – 238 276 514
合計 $ – $ 10,287 $ 2,229 $ 12,516
2020 年12月現在
ローンの種類
企業向け $ – $ 1,822 $ 929 $ 2,751
富裕層向け金融業務 – 7,809 63 7,872
商業用不動産 – 857 1,104 1,961
住宅用不動産 – 234 260 494
その他 – 225 322 547
合計 $ – $ 10,947 $ 2,678 $ 13,625
204/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
公正価値オプションが選択された投資目的保有のローンの公正価値の変動により認識した利益/(損失)は、2021
年6月に終了した6ヵ月間において193百万ドルおよび2020年6月に終了した6ヵ月間において(15)百万ドルで
あった。これらの利益/(損失)は、その他の自己勘定取引に含まれている。
当社の公正価値測定の方針ならびにローンの公正価値の算定に使用される評価手法および重要なインプットの概要
については注記4を参照のこと。
重要かつ観察不能なインプット
レベル3のローンの金額ならびに当該ローンの評価に使用される重要かつ観察不能なインプットの範囲および加重
平均は以下の表のとおりである。
2021 年6月現在 2020 年12月現在
(単位:百万ドル)
金額または範囲 加重平均 金額または範囲 加重平均
企業向け
レベル3資産 $852 $929
利回り 2.0 %から37.2% 11.5 % 1.1 %から45.2% 12.4 %
回収率 15.0 %から98.6% 51.1 % 15.0 %から58.0% 31.0 %
デュレーション(年) 2.0 から5.0 3.4 1.5 から5.3 3.4
商業用不動産
レベル3資産 $920 $1,104
11.0 %
利回り 1.0 %から19.7% 13.4 % 4.5 %から19.3%
9.1 % から 99.5%
回収率 54.3 % 3.0 %から99.8% 66.5 %
デュレーション(年) 0.3 から4.3 1.6 0.3 から4.8 2.6
住宅用不動産
レベル3資産 $118 $260
利回り 1.5 %から13.5% 10.7 % 2.0 %から14.0% 12.1 %
デュレーション(年) 0.4 から2.4 0.9 0.6 から2.6 1.7
富裕層の顧客向けおよびその他
レベル3資産 $339 $385
利回り 3.5 %から18.7% 9.7 % 2.8 %から18.7% 8.0 %
デュレーション(年) 3.7 から5.0 4.0 0.9 から5.5 4.1
上記の表において、
・範囲は、ローンの各タイプの評価に使用された重要かつ観察不能なインプットの範囲を表している。
・加重平均は、各インプットをローンの相対的公正価値で加重することにより算定される。
・これらのインプットの範囲および加重平均は、あるローンの公正価値を算定する際に使用する適切なインプット
の代表的なものということではない。例えば、住宅用不動産によって担保されたローンの最も高い利回りは、特
定の住宅用不動産によって担保されたローンの評価に適切であるが、他の住宅用不動産によって担保されたロー
ンの評価には適切でない可能性がある。したがって、インプットの範囲は、レベル3のローンの公正価値測定に
おける不確実性または公正価値測定の可能な範囲を表すものではない。
・2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、レベル3のローンの評価に使用される利回りまたはデュ
レーションが上昇すると、公正価値測定の結果が低下し、回収率が上昇すると、公正価値測定の結果が上昇し
た。レベル3のローンはそれぞれ特徴ある性質のため、インプットの相互関係は各商品タイプ内で必ずしも同じ
ではない。
・ローンは割引キャッシュ・フローを使用して評価する。
レベル3の推移
レベル3のローンの公正価値の変動の要約は、以下の表のとおりである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
期首残高 $ 2,678 $ 1,890
正味実現利益/(損失) 47 37
正味未実現利益/(損失) (11) (53)
購入 68 397
売却 – (7)
決済 (377) (379)
レベル3への振替 94 787
レベル3からの振替 (270) (13)
期末残高 $ 2,229 $ 2,659
上記の表において、
205/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
・公正価値の変動は、期末日現在でレベル3に分類されているローンについて表示されている。
・正味未実現利益/(損失)は期末日現在で保有しているローンに関するものである。
・購入には、発行と流通市場での購入の両方が含まれている。
・公正価値の階層の異なるレベル間での振替は発生した報告期間の期首に計上される。ローンが報告期間中にレベ
ル3へ振替えられた場合、当該期間における損益は全額レベル3に分類される。
以下の表は、上記の要約表に含まれているローンの情報の内訳をローンの種類別に示したものである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
企業向け
期首残高 $ 929 $ 752
正味実現利益/(損失) 16 10
正味未実現利益/(損失) (8) (17)
購入 51 64
売却 – (7)
決済 (133) (79)
レベル3への振替 94 229
レベル3からの振替 (97) (13)
期末残高 $ 852 $ 939
商業用不動産
期首残高 $ 1,104 $ 591
正味実現利益/(損失) 13 16
正味未実現利益/(損失) (18) (37)
購入 17 285
決済 (148) (171)
レベル3への振替 – 400
レベル3からの振替 (48) –
期末残高 $ 920 $ 1,084
住宅用不動産
期首残高 $ 260 $ 221
正味実現利益/(損失) 6 1
正味未実現利益/(損失) (24) 1
購入 – 42
決済 (28) (39)
レベル3への振替 – 42
レベル3からの振替 (96) –
期末残高 $ 118 $ 268
富裕層の顧客向けおよびその他
期首残高 $ 385 $ 326
正味実現利益/(損失) 12 10
正味未実現利益/(損失) 39 –
購入 – 6
決済 (68) (90)
レベル3への振替 – 116
レベル3からの振替 (29) –
期末残高 $ 339 $ 368
レベル3の推移に関する説明
2021 年6月に終了した6ヵ月間: 2021 年6月に終了した6ヵ月間において、レベル3のローンに係る正味実現およ
び未実現利益36百万ドル(正味実現利益47百万ドルおよび正味未実現損失11百万ドルを反映)には、その他の自己
勘定取引に計上された19百万ドルおよび受取利息に計上された17百万ドルの利益が含まれていた。
2021 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3のローンに係る正味未実現損失の発生要因に重要なものはなかっ
た。
2021 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3のローンへの振替の発生要因は、一部の企業向けローンのレベル
2からの振替(主にこれらの商品の市場取引の減少を含め、市場データの不足により、価格の透明性が低下したこ
とに起因)を反映している。
2021 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3のローンからの振替は、主として一部の企業向けローンおよび住
宅用不動産のレベル2への振替(いずれも、主にこれらの商品の市場取引など市場データにより、価格の透明性が
向上したことに起因)を反映している。
206/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
2020 年6月に終了した6ヵ月間: 2020 年6月に終了した6ヵ月間において、レベル3のローンに係る正味実現およ
び未実現損失16百万ドル(正味実現利益37百万ドルおよび正味未実現損失53百万ドルを反映)には、その他の自己
勘定取引に計上された(35)百万ドルおよび受取利息に計上された19百万ドルの利益/(損失)が含まれていた。
2020 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3のローンの正味未実現損失の発生要因に重要なものはなかった。
2020 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3のローンへの振替は、主として一部の商業用不動産によって担保
されたローンおよび企業向けローンのレベル2からの振替(いずれも、主にこれらの商品の市場取引の減少を含
め、市場のデータの不足により、価格の透明性が低下したことに起因)を反映している。
2020 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3のローンからの振替の発生要因に重要なものはなかった。
見積公正価値
以下の表は、公正価値で会計処理されないローンの見積公正価値を、それらが当社の公正価値の階層に含まれてい
たならば分類されることになるレベルで示したものである。
見積公正価値
(単位:百万ドル) 帳簿価額
レベル2 レベル3 合計
2021 年6月現在
償却原価 $ 116,040 $ 70,217 $ 46,798 $ 117,015
売却目的保有 $ 1,981 $ 1,475 $ 515 $ 1,990
2020 年12月現在
償却原価 $ 99,691 $ 52,793 $ 48,512 $ 101,305
売却目的保有 $ 2,799 $ 1,541 $ 1,271 $ 2,812
注記10
公正価値オプション
公正価値で測定されるその他の金融資産および金融負債
トレーディング資産、トレーディング負債、一部の投資およびローンの他に、当社は、その他の金融資産および金
融負債の一部を公正価値で会計処理しており、そのほぼすべては公正価値オプションに基づいている。公正価値オ
プションを選択した主な理由は以下のとおりである。
・経済的事象を適時に損益に反映する。
・異なる測定属性を用いることにより生じる損益のボラティリティを軽減する(借入として会計処理される金融資
産の譲渡は公正価値で計上される一方、関連する担保付借入金は、公正価値オプションを選択しなければ発生主
義で計上されることになる、など)。
・簡素化および費用対便益の検討に対応する(ハイブリッド金融商品が全体としての公正価値で会計処理されるの
に対して、組込デリバティブの区分処理および原契約債務のヘッジ会計処理など)。
ハイブリッド金融商品とは、区分処理可能な組込デリバティブを含み、金融商品以外の資産(コモディティの現物
など)の実際の引渡しによる決済を必要としない商品である。当社が組込デリバティブを関連する債務から区分処
理することを選択した場合、デリバティブは公正価値で会計処理され、原契約は公正価値ヘッジの有効部分につい
て調整後の償却原価で会計処理される。当社が区分処理を選択しない場合、ハイブリッド金融商品全体が公正価値
オプションに基づき公正価値で会計処理される。
公正価値オプションに基づき公正価値で会計処理されるその他の金融資産および金融負債には、以下が含まれる。
・売戻条件付契約および買戻条件付契約
・一部の借入有価証券担保金取引および貸付有価証券担保金取引
・一部の顧客およびその他に対する受取債権、ならびに一部のその他負債
・ハイブリッド金融商品である仕組譲渡性預金を含む、一部の定期預金(満期日が定められていない預金は、公正
価値オプションの選択を認められていない)
・借入として会計処理される資産の譲渡を含む、ほぼすべてのその他担保付借入金
・ほぼすべてがハイブリッド金融商品である、一部の無担保短期借入金および無担保長期借入金
207/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
その他の金融資産および金融負債の公正価値のレベル別内訳
公正価値で会計処理されるその他の金融資産および金融負債のほぼすべては公正価値オプションに基づき公正価値
で会計処理されており、その公正価値の階層のレベル別内訳は、以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) レベル1 レベル2 レベル3 合計
2021 年6月現在
資産
売戻条件付契約 $ – $ 154,123 $ – $ 154,123
借入有価証券担保金 – 41,076 – 41,076
顧客およびその他に対する受取債権 – 57 – 57
合計
$ – $ 195,256 $ – $ 195,256
負債
預金 $ – $ (29,650) $ (3,908) $ (33,558)
買戻条件付契約 – (151,692) – (151,692)
貸付有価証券担保金 – (6,301) – (6,301)
その他担保付借入金 – (23,279) (2,891) (26,170)
無担保借入金:
短期 – (20,410) (11,461) (31,871)
長期 – (34,682) (9,714) (44,396)
その他負債 – (2) (162) (164)
合計
$ – $ (266,016) $ (28,136) $ (294,152)
2020 年12月現在
資産
売戻条件付契約 $ – $ 108,060 $ – $ 108,060
借入有価証券担保金 – 28,898 – 28,898
顧客およびその他に対する受取債権 – 82 – 82
合計
$ – $ 137,040 $ – $ 137,040
負債
預金 $ – $ (11,955) $ (4,221) $ (16,176)
買戻条件付契約 – (126,569) (2) (126,571)
貸付有価証券担保金 – (1,053) – (1,053)
その他担保付借入金 – (20,652) (3,474) (24,126)
無担保借入金:
短期 – (19,227) (7,523) (26,750)
長期 – (28,335) (12,576) (40,911)
その他負債 – (1) (262) (263)
合計
$ – $ (207,792) $ (28,058) $ (235,850)
上記の表において、その他の金融資産はプラスの額で、その他の金融負債はマイナスの額で表示されている。
当社の公正価値測定の方針ならびにその他の金融資産および金融負債の公正価値の算定に使用される評価手法およ
び重要なインプットの概要については注記4を参照のこと。
重要かつ観察不能なインプット
2021 年6月および2020年12月現在、公正価値で測定されるレベル3のその他の金融資産および金融負債の評価に使
用された重要かつ観察不能なインプットの詳細は、以下を参照のこと。
その他担保付借入金: レベル3のその他担保付借入金の評価に使用された重要かつ観察不能なインプットの範囲お
よび加重平均は以下のとおりである。これらのインプットの範囲および加重平均には、一つの商品にしか関連せ
ず、そのために重要ではない観察不能なインプットは含まれていない。
2021 年6月現在:
・利回り:1.4%から7.1%(加重平均:2.4%)
・デュレーション:1.1年から7.5年(加重平均:4.1年)
2020 年12月現在:
・利回り:1.4%から7.1%(加重平均:2.7%)
・デュレーション:1.4年から8.0年(加重平均:4.0年)
一般的に、個別の利回りまたはデュレーションの増加により、期末日現在における公正価値測定の結果が低下し
た。レベル3のその他担保付借入金はそれぞれ特徴ある性質のため、インプットの相互関係はかかる借入金間で必
ずしも同じではない。その他担保付借入金の詳細については注記11を参照のこと。
208/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
預金、無担保借入金およびその他負債: 当社のレベル3に分類されるほぼすべての預金、無担保短期借入金および
無担保長期借入金ならびにその他負債は、ハイブリッド金融商品である。ハイブリッド金融商品の評価に使用され
た重要かつ観察不能なインプットは、主にこれらの預金、無担保借入金およびその他負債の組込デリバティブの部
分 に関連しているため、これらの観察不能なインプットは、注記7の当社のデリバティブの開示に含まれている。
預金の詳細については注記13を、無担保借入金の詳細については注記14を、その他負債の詳細については注記15を
参照のこと。
買戻条件付契約: 2021 年6月現在において、当社はレベル3の買戻し条件付契約を締結していなかった。2020年12
月現在において、当社のレベル3の買戻条件付契約に重要性はなかった。
レベル3の推移
公正価値で会計処理されるレベル3のその他の金融負債の公正価値の変動の要約は、以下の表のとおりである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
期首残高 $ (28,058) $ (21,036)
正味実現利益/(損失) (294) (203)
正味未実現利益/(損失) (49) 777
発行 (12,334) (15,206)
決済 10,844 11,132
レベル3への振替 (980) (1,622)
レベル3からの振替 2,735 195
期末残高 $ (28,136) $ (25,963)
上記の表において、
・公正価値の変動は、期末日現在でレベル3に分類されているすべてのその他の金融負債について表示されてい
る。
・正味未実現利益/(損失)は期末日現在で保有しているその他の金融負債に関するものである。
・公正価値の階層の異なるレベル間での振替は発生した報告期間の期首に計上される。金融負債が報告期間中にレ
ベル3へ振替えられた場合、当該期間における損益は全額レベル3に分類される。
・レベル3のその他の金融負債の増加はマイナスの額で、減少はプラスの額で表示されている。
・レベル3のその他の金融負債は、トレーディング資産およびトレーディング負債で経済的にヘッジされることが
多い。このため、レベル3に分類されている損益は、レベル1、レベル2またはレベル3のトレーディング資産
およびトレーディング負債に帰属する損益で一部相殺することができる。その結果、以下のレベル3の推移に含
まれる損益は、必ずしも当社の経営成績、流動性または資金源に対する全体的な影響を表すものではない。
209/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
以下の表は、上記の要約表に含まれる負債の情報の内訳を連結貸借対照表の勘定科目別に示したものである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
預金
期首残高 $ (4,221) $ (4,023)
正味実現利益/(損失) (16) 4
正味未実現利益/(損失) (111) (75)
発行 (215) (4,025)
決済 625 3,919
レベル3への振替 (28) (66)
レベル3からの振替 58 49
期末残高 $ (3,908) $ (4,217)
買戻条件付契約
期首残高 $ (2) $ (30)
正味未実現利益/(損失) – (1)
決済 2 21
期末残高 $ – $ (10)
その他担保付借入金
期首残高 $ (3,474) $ (386)
正味実現利益/(損失) (6) 5
正味未実現利益/(損失) 35 26
発行 (62) (806)
決済 323 373
レベル3への振替 (304) (985)
レベル3からの振替 597 –
期末残高 $ (2,891) $ (1,773)
無担保短期借入金
期首残高 $ (7,523) $ (5,707)
正味実現利益/(損失) (130) (81)
正味未実現利益/(損失) (135) 605
発行 (9,480) (5,339)
決済 5,303 4,008
レベル3への振替 (218) (353)
レベル3からの振替 722 61
期末残高 $ (11,461) $ (6,806)
無担保長期借入金
期首残高 $ (12,576) $ (10,741)
正味実現利益/(損失) (142) (146)
正味未実現利益/(損失) 62 393
発行 (2,577) (5,021)
決済 4,591 2,811
レベル3への振替 (430) (218)
レベル3からの振替 1,358 85
期末残高 $ (9,714) $ (12,837)
その他負債
期首残高 $ (262) $ (149)
正味実現利益/(損失) – 15
正味未実現利益/(損失) 100 (171)
発行 – (15)
期末残高 $ (162) $ (320)
レベル3の推移に関する説明
2021 年6月に終了した6ヵ月間: 2021 年6月に終了した6ヵ月間において、レベル3のその他の金融負債に係る正
味実現および未実現損失343百万ドル(正味実現損失294百万ドルおよび正味未実現損失49百万ドルを反映)には、
連結損益計算書のマーケット・メイキングに計上された(428)百万ドル、その他の自己勘定取引に計上された29百
万ドルおよび支払利息に計上された(7)百万ドル、ならびに連結包括利益計算書の債務評価調整に計上された63百
万ドルの利益/(損失)が含まれていた。
2021 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3のその他の金融負債に係る正味未実現損失は、主として無担保短
期借入金および預金に含まれる一部のハイブリッド金融商品に係る損失(いずれも、主に世界的な株価の上昇に起
因)が、その他負債に係る利益(主に原資産の市場価値の上昇に起因)および無担保長期借入金に含まれる一部の
ハイブリッド金融商品に係る利益(主に金利の上昇に起因)によって一部相殺されたことを反映している。
2021 年6月に終了した6ヵ月間におけるその他の金融負債のレベル3への振替は、主として無担保長期借入金およ
び無担保短期借入金に含まれる一部のハイブリッド金融商品のレベル2からの振替(主に当該商品の評価に使用さ
れるボラティリティおよびコリレーションに関する一部のインプットの透明性が低下したことに起因)、ならびに
210/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
一部のその他担保付借入金のレベル2からの振替(主に当該商品の評価に使用される利回りおよびデュレーション
に関する一部のインプットの価格透明性が低下したことに起因)を反映している。
2021 年6月に終了した6ヵ月間におけるその他の金融負債のレベル3からの振替は、主として無担保長期借入金お
よび無担保短期借入金に含まれる一部のハイブリッド金融商品のレベル2への振替(主に当該商品の評価に使用さ
れるボラティリティおよびコリレーションに関する一部のインプットの価格透明性が上昇したことに起因)、なら
びに一部のその他担保付借入金のレベル2への振替(主に当該商品の評価に使用される利回りおよびデュレーショ
ンに関する一部のインプットの価格透明性が上昇したことに起因)を反映している。
2020 年6月に終了した6ヵ月間: 2020 年6月に終了した6ヵ月間において、レベル3のその他の金融負債に係る正
味実現および未実現利益574百万ドル(正味実現損失203百万ドルおよび正味未実現利益777百万ドルを反映)に
は、連結損益計算書のマーケット・メイキング計上された247百万ドル、その他の自己勘定取引に計上された55百
万ドルおよび支払利息に計上された(5)百万ドル、ならびに連結包括利益計算書の債務評価調整に計上された277
百万ドルの利益/(損失)が含まれていた。
2020 年6月に終了した6ヵ月間におけるレベル3のその他の金融負債に係る正味未実現利益は、無担保短期借入金
および無担保長期借入金に含まれる一部のハイブリッド金融商品に係る利益(主に世界的な株価の下落および金利
の低下に起因)が、その他負債および預金に係る損失(いずれも、主に原資産の市場価値の変動に起因)によって
一部相殺されたことを反映している。
2020 年6月に終了した6ヵ月間におけるその他の金融負債のレベル3への振替は、主として一部のその他担保借入
金ならびに無担保短期借入金および無担保長期借入金に含まれるハイブリッド金融商品のレベル2からの振替(い
ずれも、当該商品の評価に使用されるボラティリティおよびコリレーションに関する一部のインプットの透明性の
低下に起因)を反映している。
2020 年6月に終了した6ヵ月間におけるその他の金融負債のレベル3からの振替は、主として無担保長期借入金お
よび無担保短期借入金に含まれる一部のハイブリッド金融商品のレベル2への振替(主に当該商品の評価に使用さ
れるボラティリティおよびコリレーションに関する一部のインプットの価格透明性が向上したことに起因)を反映
している。
公正価値オプションに基づき公正価値で会計処理されるその他の金融資産および金融負債に係る損益
一部の金融資産および金融負債に公正価値オプションの適用を選択した結果、損益計上された損益は、以下の表の
とおりである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
無担保短期借入金
$ (1,810) $ 2,129
無担保長期借入金
(1,702) (1,023)
その他
(71) (94)
合計 $ (3,583) $ 1,012
上記の表において、
・利益/(損失)は、ほぼすべてマーケット・メイキングに含まれる。
・利益/(損失)には、契約上の利息は含まれておらず、かかる利息は、ハイブリッド金融商品以外のすべての商
品について、受取利息および支払利息に含まれる。受取利息および支払利息の詳細については注記23を参照のこ
と。
・2021年6月および2020年6月に終了した6ヵ月間において、無担保短期借入金および無担保長期借入金に含まれ
ている利益/(損失)のほぼすべてはハイブリッド金融商品の組込デリバティブ部分に関連している。これらの
損益は、当社が当該ハイブリッド金融商品全体を公正価値で会計処理することを選択しなかった場合でも、その
他の米国会計基準に従って認識されていたと考えられるものである。
・その他は、主に顧客およびその他に対する受取債権、預金、その他担保付借入金ならびにその他負債に係る利
益/(損失)から成る。
・公正価値で測定されるその他の金融資産および金融負債は、トレーディング資産およびトレーディング負債で経
済的にヘッジされることが多い。このため、かかるその他の金融資産および金融負債に係る損益は、トレーディ
ング資産およびトレーディング負債に係る損益で一部相殺することができる。その結果、その他の金融資産およ
び金融負債に係る損益は、必ずしも当社の経営成績、流動性または資金源に対する全体的な影響を表すものでは
ない。
211/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
持分証券に係る利益/(損失)の情報については注記8を参照のこと。公正価値オプションに基づき公正価値で会
計処理されるローンに係る利益/(損失)の情報については注記9を参照のこと。公正価値オプションに基づき公
正 価値で会計処理されるトレーディング資産およびトレーディング負債に係る利益/(損失)は、マーケット・メ
イキングに含まれる。マーケット・メイキングから生じる利益/(損失)の詳細については注記5を参照のこと。
長期債務商品
2021 年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、公正価値オプションが選択された長期のその他担保付借入
金の契約上の元本総額と関連する公正価値の差額は重要ではなかった。
公正価値オプションが選択された無担保長期借入金の公正価値は、関連する契約上の元本総額を2021年6月現在
298百万ドル、2020年12月現在445百万ドル上回っていた。上記の金額には、元本保証と非元本保証の両方の長期借
入金が含まれている。
債務評価調整
当社は、当社のクレジット・スプレッドを考慮した率で将来キャッシュ・フローを割引くことにより、公正価値オ
プションが選択された金融負債の公正価値を算定している。
公正価値オプションが選択された金融負債に係る債務評価調整(以下「DVA」という。)利益/(損失)純額の情報
は、以下の表のとおりである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
DVA( 税効果考慮前) $ 130 $ 933
DVA( 税効果考慮後) $ 98 $ 696
上記の表において、
・DVA(税効果考慮後)は、連結包括利益計算書の債務評価調整に含まれている。
・当該金融負債の消滅により、その他の包括利益/(損失)累積額から損益に振替えられた利益/(損失)は、2021
年6月および2020年6月に終了した6ヵ月間において重要ではなかった。
ローンおよび貸付コミットメント
公正価値オプションが選択されたローン(連結貸借対照表上のトレーディング資産およびローンに含まれるもの)
の公正価値総額と約定元本総額との差額は、以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
パフォーミングローン
約定元本総額が公正価値を超過する額 $ 1,398 $ 958
利息不計上状態にあるローンおよび(または)90日超延滞ローン
約定元本総額が公正価値を超過する額 $ 11,120 $ 10,526
公正価値総額 $ 3,498 $ 3,519
主に当社が約定元本を大幅に下回る価額で不良貸出債権等のローンを定期的に購入していることから、上記の表に
おいて、利息不計上状態にあるローンおよび(または)90日超延滞ローン(公正価値がゼロで計上され回収不能と
みなされているローンを除く)の約定元本総額は関連する公正価値を超過している。
2021 年6月および2020年12月現在、公正価値オプションが選択された未実施の貸付コミットメントの公正価値はそ
れぞれ7百万ドルおよび25百万ドルの負債であり、当該貸付コミットメントの関連する約定金額合計はそれぞれ
808百万ドルおよび16.4億ドルであった。貸付コミットメントの詳細については注記18を参照のこと。
ローンおよび貸付コミットメントに係るクレジット・スプレッドの影響
公正価値オプションが選択されたローンおよび貸付コミットメントに係る商品特有のクレジット・スプレッドの変
動に起因する見積純利益/(損失)は、2021年6月に終了した6ヵ月間において203百万ドルおよび2020年6月に終
了した6ヵ月間において(224)百万ドルであった。当社は通常、商品特有のクレジット・スプレッドを考慮した率
で将来キャッシュ・フローを割引くことにより、公正価値オプションが選択されたローンおよび貸付コミットメン
トの公正価値を算定している。変動金利のローンおよび貸付コミットメントについては、公正価値の変動のほぼす
べてが商品特有のクレジット・スプレッドの変動に起因しており、固定金利のローンおよび貸付コミットメントに
ついては、公正価値の変動は金利の変動にも起因している。
次へ
212/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
注記11
担保付契約および担保付借入金
担保付契約とは、売戻条件付契約および借入有価証券担保金である。担保付借入金とは、買戻条件付契約、貸付有
価証券担保金、およびその他担保付借入金である。当社は、特に顧客取引の円滑化、余剰現金の投資、ショートポ
ジションを補うための有価証券の取得および一部の当社の事業活動の資金調達のために、これらの取引を締結して
いる。
担保付契約および担保付借入金は、相殺の法的効力が存在する場合には、取引相手先ごとの純額ベースで表示され
る。担保付契約に係る利息は受取利息に、担保付借入金に係る利息は支払利息に、取引期間にわたり認識される。
受取利息および支払利息の詳細については注記23を参照のこと。
売戻条件付契約および買戻条件付契約
売戻条件付契約とは、当社が、通常現金と引き換えに売り手から金融商品を購入し、同時に、同一またはほぼ同じ
金融商品を将来の日付において定められた価額に経過利息を加算した金額で売り手に売戻す契約を締結する取引で
ある。
買戻条件付契約とは、当社が、通常現金と引き換えに買い手に金融商品を売却し、同時に、同一またはほぼ同じ金
融商品を将来の日付において定められた価額に経過利息を加算した金額で買い手から買戻す契約を締結する取引で
ある。
買戻条件付契約および売戻条件付契約(「満期日を期限とする買戻条件付契約および売戻条件付契約」を含む)が
金融商品の所有権の法的譲渡を伴うものであっても、これらの金融商品は契約満期到来前もしくは満期時に買戻し
または売戻しが求められるため、融資契約として会計処理される。売戻条件付契約および買戻条件付契約に基づき
購入または売却される金融商品には通常、米国政府債および政府機関債、ならびに投資適格ソブリン債が含まれ
る。
当社は売戻条件付契約に基づき購入した金融商品を受取り、買戻条件付契約に基づき売却した金融商品の引渡しを
行う。信用エクスポージャーを軽減するため、当社は、これらの金融商品の市場価額を日次ベースでモニターし、
当該金融商品の市場価額の変動により、必要に応じて追加担保の引渡しまたは受入れを行っている。売戻条件付契
約について、当社は通常、関連する資産の連結貸借対照表上の帳簿価額とほぼ同額の公正価値の担保を求めてい
る。
借入有価証券担保金取引および貸付有価証券担保金取引
借入有価証券担保金取引において、当社は現金または有価証券と引き換えに取引相手先から有価証券を借入れる。
当社が当該有価証券を返却する時点で、取引相手先は現金または有価証券を返却する。利息は通常、取引期間にわ
たり定期的に支払われる。
貸付有価証券担保金取引において、当社は現金または有価証券と引き換えに、取引相手先に有価証券を貸付ける。
取引相手先が有価証券を返却する時点で、当社は担保として差入れられた現金または有価証券を返却する。利息は
通常、取引期間にわたり定期的に支払われる。
当社は借入有価証券を受取り、貸付有価証券の引渡しを行う。信用エクスポージャーを軽減するため、当社は、こ
れらの有価証券の市場価額を日次ベースでモニターし、当該有価証券の市場価額の変動により、必要に応じて追加
担保の引渡しまたは受入れを行っている。借入有価証券担保金取引について、当社は通常、借入有価証券担保金取
引の帳簿価額とほぼ同額の公正価値の担保を求めている。
債券・為替・コモディティ(以下「FICC」という。)による資金調達に含まれる借入有価証券担保金および貸付有
価証券担保金は、公正価値オプションに基づき公正価値で計上される。公正価値で会計処理される借入有価証券担
保金および貸付有価証券担保金の詳細については、注記10を参照のこと。
株式による資金調達に含まれる借入有価証券担保金および貸付有価証券担保金のほぼすべては、現金担保の前払額
または受入額に経過利息を加算した金額に基づき計上される。当社はまた、受入担保の公正価値を考慮しつつ、信
用損失引当金を計上する必要があるか判断するために、当該借入有価証券担保金のレビューも行っている。これら
の契約は通常、要求により終了可能なため、金利の変動の影響をほとんど受けない。そのため、これらの契約の帳
簿価額は公正価値に近似している。これらの契約は公正価値で会計処理されていないため、注記4から注記10の当
213/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
社の公正価値の階層には含まれていない。これらの契約が当社の公正価値の階層に含まれていたならば、2021年6
月および2020年12月現在、レベル2に分類されることになる。
相殺契約
連結貸借対照表に含まれている売戻条件付契約および買戻条件付契約、ならびに借入有価証券担保金取引および貸
付有価証券担保金取引と、連結貸借対照表において相殺されていない金額は、以下の表のとおりである。
資産 負債
(単位:百万ドル)
売戻条件付契約 借入有価証券担保金 買戻条件付契約 貸付有価証券担保金
2021 年6月現在
連結貸借対照表計上額
帳簿価額総額
$ 267,924 $ 200,633 $ 265,493 $ 42,536
取引相手先との相殺 (113,801) (4,379) (113,801) (4,379)
合計 154,123 196,254 151,692 38,157
相殺されていない金額
取引相手先との相殺
(28,495) (11,866) (28,495) (11,866)
担保 (120,865) (176,921) (119,180) (23,138)
合計 $ 4,763 $ 7,467 $ 4,017 $ 3,153
2020 年12月現在
連結貸借対照表計上額
帳簿価額総額
$ 205,817 $ 147,593 $ 224,328 $ 27,054
取引相手先との相殺 (97,757) (5,433) (97,757) (5,433)
合計 108,060 142,160 126,571 21,621
相殺されていない金額
取引相手先との相殺
(8,920) (3,525) (8,920) (3,525)
担保 (96,140) (132,893) (116,819) (17,693)
合計 $ 3,000 $ 5,742 $ 832 $ 403
上記の表において、
・これらの契約の帳簿価額総額のほぼすべてが強制力のあるネッティング契約の対象である。
・当社が信用補完契約に基づき担保を受入れた、または差入れたが、かかる契約に強制力があるかどうかの判断を
まだ行っていない場合、関連する担保はネッティングされていない。
・相殺されていない金額は、米国会計基準におけるネッティングの基準を満たさない取引相手先との相殺、および
強制力のある信用補完契約に従って受入れた、または差入れた担保の公正価値を含んでいる。
・売戻条件付契約および買戻条件付契約は、公正価値オプションに基づき公正価値で計上される。公正価値の算定
に使用される評価手法および重要なインプットの詳細については、注記4を参照のこと。
・2021年6月および2020年12月現在、連結貸借対照表に含まれる借入有価証券担保金のうち410.8億ドルおよび
289.0億ドル、貸付有価証券担保金のうち63.0億ドルおよび10.5億ドルがそれぞれ公正価値オプションに基づき
公正価値で計上されていた。公正価値で会計処理される借入有価証券担保金および貸付有価証券担保金の詳細に
ついては、注記10を参照のこと。
214/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
買戻条件付契約および貸付有価証券担保金の帳簿価額総額
買戻条件付契約および貸付有価証券担保金の帳簿価額総額の、差入担保種類別の内訳は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 買戻条件付契約 貸付有価証券担保金
2021 年6月現在
マネー・マーケット商品 $ 928 $ 9
米国政府債および政府機関債 113,578 64
米国以外の政府債および政府機関債 119,760 1,572
商業用不動産によって担保された有価証券 26 –
住宅用不動産によって担保された有価証券 218 –
企業向け社債 11,007 297
州および地方自治体の地方債
92 –
その他の債券 55 –
持分証券 19,829 40,594
合計 $ 265,493 $ 42,536
2020 年12月現在
マネー・マーケット商品 $ 88 $ –
米国政府債および政府機関債 121,751 –
米国以外の政府債および政府機関債 79,159 1,634
商業用不動産によって担保された有価証券 65 –
住宅用不動産によって担保された有価証券 121 –
企業向け社債 6,364 46
州および地方自治体の地方債 92 –
その他の債券 20 –
持分証券 16,668 25,374
合計 $ 224,328 $ 27,054
買戻条件付契約および貸付有価証券担保金の帳簿価額総額の満期別内訳は以下の表のとおりである。
2021 年6月現在
(単位:百万ドル)
買戻条件付契約 貸付有価証券担保金
満期日が定められていないものおよび翌日物 $ 102,727 $ 25,544
2日-30日 66,897 90
31 日-90日 28,944 109
91 日-1年 57,363 15,490
1年超 9,562 1,303
合計 $ 265,493 $ 42,536
上記の表において、
・当社のオプションにより期日前に返済可能な買戻条件付契約および貸付有価証券担保金は、契約上の満期日で反
映される。
・保有者のオプションにより期日前に償還可能な買戻条件付契約および貸付有価証券担保金は、当該オプションが
最も早く行使可能となる日で反映される。
その他担保付借入金
買戻条件付契約および貸付有価証券担保金取引の他に、当社はその他担保付借入金の利用により一部の資産の資金
を調達し、当該取引において金融商品およびその他資産を担保として差入れている。これらのその他担保付借入金
には以下が含まれる。
・連結VIEの負債
・売却ではなく借入として会計処理される資産の譲渡(差入コモディティ、銀行ローンおよびモーゲージ・ホー
ル・ローンなど)
・その他のストラクチャード・ファイナンス契約
その他担保付借入金にはノン・リコース契約が含まれる。2021年6月および2020年12月現在、ノン・リコースのそ
の他担保付借入金はそれぞれ107.9億ドルおよび123.1億ドルであった。
公正価値の使用により、異なる測定属性を用いることにより生じると考えられる損益における非経済的ボラティリ
ティが解消されるため、当社はその他担保付借入金のほぼすべてに公正価値オプションの適用を選択している。公
正価値で会計処理されるその他担保付借入金の詳細については、注記10を参照のこと。
215/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
公正価値で計上されないその他担保付借入金は、現金受取額に経過利息を加算した金額に基づき計上されるが、こ
れは通常、公正価値に近似している。これらの借入金は公正価値で会計処理されていないため、注記4から注記10
の当社の公正価値の階層には含まれていない。これらの借入金が当社の公正価値の階層に含まれていたならば、
2021 年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、主にレベル3に分類されることになる。
その他担保付借入金に関する情報は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 米ドル 米ドル以外 合計
2021 年6月現在
その他担保付借入金(短期):
公正価値評価 $ 7,523 $ 7,786 $ 15,309
償却原価評価 139 – 139
その他担保付借入金(長期):
公正価値評価 5,563 5,298 10,861
償却原価評価 659 665 1,324
その他担保付借入金合計 $ 13,884 $ 13,749 $ 27,633
その他担保付借入金の担保種類別内訳:
金融商品 $ 7,756 $ 12,052 $ 19,808
その他資産 $ 6,128 $ 1,697 $ 7,825
2020 年12月現在
その他担保付借入金(短期):
公正価値評価 $ 6,371 $ 6,847 $ 13,218
償却原価評価 – – –
その他担保付借入金(長期):
公正価値評価 6, 632 4,276 10,908
償却原価評価 914 715 1,629
その他担保付借入金合計 $ 13,917 $ 11,838 $ 25,755
その他担保付借入金の担保種類別内訳:
金融商品 $ 6,841 $ 10,068 $ 16,909
その他資産 $ 7,076 $ 1,770 $ 8,846
上記の表において、
・短期その他担保付借入金には、決算日から1年以内に期日の到来する借入金および保有者のオプションにより決
算日から1年以内に償還可能な借入金が含まれている。
・2021年6月現在、償却原価で測定される米ドル建の短期その他担保付借入金の加重平均利率は2.54%であった。
これらの利率にはヘッジ取引の影響が含まれている。
・2021年6月および2020年12月現在、償却原価で測定される米ドル建の長期その他担保付借入金の加重平均利率は
それぞれ0.59%および1.27%であった。これらの利率にはヘッジ取引の影響が含まれている。
・2021年6月および2020年12月現在、償却原価で測定される米ドル以外の通貨建の長期その他担保付借入金の加重
平均利率はそれぞれ0.39%および0.40%であった。これらの利率にはヘッジ取引の影響が含まれている。
・その他担保付借入金合計には、2021年6月および2020年12月現在、売却ではなく借入として会計処理される金融
資産の譲渡に関連する17.3億ドルおよび20.5億ドルがそれぞれ含まれていた。かかる借入金は、2021年6月およ
び2020年12月現在、主にトレーディング資産に含まれている金融資産それぞれ18.1億ドルおよび22.6億ドルに
よって担保されていた。
・金融商品によって担保されたその他担保付借入金には、トレーディング資産、投資およびローンによって担保さ
れたその他担保付借入金が、2021年6月および2020年12月現在、それぞれ141.9億ドルおよび112.8億ドル、ま
た、担保として受入れ、再担保に供された金融商品によって担保されたその他担保付借入金が、2021年6月およ
び2020年12月現在、それぞれ56.2億ドルおよび56.3億ドル含まれていた。
その他担保付借入金の満期別内訳は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在
その他担保付借入金(短期) $ 15,448
その他担保付借入金(長期):
2022 年 3,389
2023 年 3,016
2024 年 1,559
2025 年 972
2026 年 1,236
2027 年以降 2,013
その他担保付借入金(長期)合計
12,185
216/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
その他担保付借入金合計 $ 27,633
上記の表において、
・当社のオプションにより期日前に返済可能な長期その他担保付借入金は、契約上の満期日で反映される。
・保有者のオプションにより期日前に償還可能な長期その他担保付借入金は、当該オプションが最も早く行使可能
となる日付で反映される。
担保の受入れおよび差入れ
当社は、主に売戻条件付契約、借入有価証券担保金、デリバティブ取引および顧客信用貸に関連して、現金および
有価証券(米国政府債および政府機関債、その他のソブリン債および社債、ならびに持分証券など)を担保として
受入れている。当社は、個別の取引相手先に対する信用エクスポージャーを軽減するために、デリバティブおよび
担保付契約について、前払いで、または条件付で、現金および有価証券を担保として受入れている。
多くの場合、当社は、主にクライアントの担保付借入取引に関連して買戻条件付契約および貸付有価証券担保金取
引をする際に、担保として受入れた金融商品を引渡しまたは再担保に供することを認められている。当社はまた、
その他担保付借入金、デリバティブ契約の担保差入れ、および当社または顧客の決済需要に関連して、これらの金
融商品を引渡しまたは再担保に供することを認められている。
当社はまた、買戻条件付契約、貸付有価証券担保金取引およびその他担保付借入金に関連して一部のトレーディン
グ資産を、その他担保付借入金に関連してその他資産(ほぼすべてが不動産および現金)を、取引相手先に差入れ
ているが、当該資産を引渡しまたは再担保に供する権利が取引相手先にある場合とない場合がある。
担保として受入れた公正価値で測定される金融商品のうち、引渡しまたは再担保に利用可能なもの、および引渡し
または再担保に供したものは、以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
引渡しまたは再担保に利用可能な担保
$ 1,010,547 $ 864,494
引渡しまたは再担保に供された担保
$ 853,216 $ 723,409
差入れた資産に関する情報は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
引渡しまたは再担保に供する権利を有する取引相手先に差入れた資産
トレーディング資産 $ 74,597 $ 69,031
投資 $ 13,266 $ 13,375
引渡しまたは再担保に供する権利がない取引相手先に差し入れられた資産
トレーディング資産 $ 99,640 $ 99,142
投資 $ 4,020 $ 2,331
ローン $ 8,234 $ 8,320
その他資産 $ 12,246 $ 14,144
当社はまた、規制上および顧客の活動に関連するその他の目的で有価証券を分別している。当該有価証券は、ト
レーディング資産および投資、ならびに売戻条件付契約の担保として受領した有価証券および借入有価証券とは分
別管理されている。当社が分別管理した有価証券は、2021年6月および2020年12月現在、それぞれ238.7億ドルお
よび329.7億ドルであった。
注記12
その他資産
その他資産の種類別内訳は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
固定資産 $ 20,840 $ 23,147
のれん 4,332 4,332
識別可能無形資産
523 630
オペレーティング・リースの使用権資産 2,300 2,280
法人税等関連資産
3,755 2,960
他の受取債権およびその他
6,231 4,096
合計 $ 37,981 $ 37,445
固定資産
217/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
固定資産は、2021年6月および2020年12月現在の減価償却累計額、それぞれ105.8億ドルおよび101.2億ドルを控除
後の金額で表示されている。固定資産には、当社が事業に関連して使用する固定資産が2021年6月および2020年12
月現在、それぞれ65.9億ドルおよび65.4億ドル含まれており、また、主に当社が購入した不良貸付債権に関連する
担 保権実行不動産が2021年6月および2020年12月現在、それぞれ219百万ドルおよび318百万ドル含まれていた。残
額は、当社が連結する投資事業体(VIEを含む)によって保有されている。ほぼすべての建物および器具備品は、
資産の耐用年数にわたり定額法で償却される。賃借物件附属設備は、各設備の耐用年数またはリース期間のいずれ
か短い期間にわたり定額法で償却される。社内利用のために開発または取得したソフトウェアの資産計上された原
価は、3年間にわたり定額法で償却される。
当社は、資産または資産グループの帳簿価額を全額回収できない可能性を示す事象または状況の変化がある場合、
固定資産の減損テストを行っている。資産または資産グループの帳簿価額が資産または資産グループの使用および
最終的な処分から見込まれる割引前の予想キャッシュ・フローを上回る範囲で、当社は当該資産または資産グルー
プが減損していると判断し、資産または資産グループの見積公正価値と帳簿価額との差額に等しい額の減損を計上
する。また、当社は資産または資産グループの売却前に当該資産または資産グループの帳簿価額がその見積公正価
値を上回る場合、減損を認識する。
2021 年6月に終了した6ヵ月間においては、重要な減損はなかった。2020年6月に終了した6ヵ月間においては、
129百万ドルの減損があった。
のれん
のれんとは、被取得企業の取得原価が買収時における識別可能無形資産を含む純資産の公正価値を超過する額のこ
とである。
報告単位セグメント別ののれんの帳簿価額は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
投資銀行業務 $ 281 $ 281
グローバル・マーケッツ業務:
FICC
269 269
株式
2,644 2,644
資産運用業務 390 390
個人および富裕層向け金融業務:
個人向け金融業務 48 48
富裕層向け金融業務 700 700
合計 $ 4,332 $ 4,332
のれんの減損の有無は、年に一度第4四半期において、または減損が存在する可能性を示す事象または状況の変化
がある場合にはそれより多い頻度で検討される。減損のためにのれんを評価する場合、第一に報告単位の見積公正
価値がその見積帳簿価額を下回っている可能性が比較的高いかどうかを判断するために、定性的評価を行うことが
できる。定性的評価の結果だけで最終的な判断を下せない場合には、定量的なのれんのテストが実施される。代替
として、定性的評価を行わずに定量的なのれんのテストを実施することもできる。
定量的なのれんのテストは、各報告単位の見積公正価値をその見積帳簿価額純額(のれんおよび識別可能無形資産
を含む)と比較する。報告単位の見積公正価値が見積帳簿価額純額を上回る場合、のれんは減損していない。報告
単位の見積公正価値が見積帳簿価額純額を下回る場合、減損が認識される。
個人向け金融業務を除き、各報告単位の公正価値の見積りには相対価値法が用いられるが、これは、市場参加者が
これらの報告単位を評価する際にこの手法を用いるであろうと当社が考えているためである。相対価値法は、同業
他社の観測可能な株価収益率または株価純資産倍率を報告単位の純利益または帳簿価額純額に適用するものであ
る。個人向け金融業務の公正価値の見積りには割引キャッシュ・フロー評価アプローチを用いるが、これは、事業
展開の初期段階であることを踏まえ、市場参加者が当該報告単位を評価する際にこの手法を用いるであろうと当社
が考えているためである。各報告単位の見積帳簿価額純額は、株主資本合計の配分額を反映しており、また現在適
用される自己資本規制に基づき報告単位の活動を支えるのに必要とされる株主資本合計の見積額を反映している。
当社は、2020年度第4四半期において、各報告単位について、定性的評価による年次ののれんの減損評価を実施し
た。報告単位の公正価値がその見積帳簿価額を下回る可能性が比較的高いかどうかを判断するため、当社の各報告
単位に関して複数の要素(業績指標、マクロ経済指標、当社および業界に関連する事象ならびに公正価値に関する
指標を含む)が評価された。定性的評価では、2019年度第4四半期に実施された定量的テスト以降の変更点も考慮
した。
218/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
定性的評価の結果、当社は、各報告単位の見積公正価値はそれぞれの見積帳簿価額を上回る可能性が比較的高いと
判断した。したがって、当社は、各報告単位ののれんは減損しておらず、定量的なのれんのテストは不要と判断し
た。
2021 年6月に終了した6ヵ月間において、各報告単位の見積公正価値が、2021年6月現在のそれぞれの見積帳簿価
額を超えていない可能性が比較的高いことを示す事象または状況の変化はなかった。
識別可能無形資産
報告単位別および種類別の識別可能無形資産の帳簿価額は、以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
報告単位別
グローバル・マーケッツ業務:
FICC $ 2 $ 2
株式 44 45
資産運用業務 194 274
個人および富裕層向け金融業務:
個人向け金融業務 – 6
富裕層向け金融業務 283 303
合計 $ 523 $ 630
種類別
顧客リスト
帳簿価額総額 $ 1,472 $ 1,478
償却累計額 (1,112) (1,089)
帳簿価額純額 360 389
取得リースおよびその他
帳簿価額総額 600 710
償却累計額 (437) (469)
帳簿価額純額 163 241
帳簿価額総額合計 2,072 2,188
償却累計額合計 (1,549) (1,558)
帳簿価額純額合計 $ 523 $ 630
2021 年6月に終了した6ヵ月間において、当社が取得した無形資産の金額に重要性はなかった。当社は、2020年度
において、加重平均償却期間が10年の無形資産(主に取得リースおよび顧客リストに関連する)155百万ドルを取
得した。
当社の識別可能無形資産のほぼすべてに耐用年数があり、通常、定額法を使用して見積耐用年数にわたり償却され
る。
219/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
識別可能無形資産の償却費に関する詳細は以下の表のとおりである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
償却費 $ 67 $ 77
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在
見積償却費
2021 年の残りの期間 $ 46
2022 年 $ 82
2023 年 $ 76
2024 年 $ 62
2025 年 $ 44
2026 年 $ 33
当社は、無形資産について、資産または資産グループの帳簿価額を全額回収できない可能性を示す事象または状況
の変化がある場合、減損テストを行っている。資産または資産グループの帳簿価額が資産または資産グループの使
用および最終的な処分から見込まれる割引前の予想キャッシュ・フローを上回る範囲で、当社は当該資産または資
産グループが減損していると判断し、資産または資産グループの見積公正価値と帳簿価額との差額に等しい額の減
損を計上する。また、当社は資産または資産グループの売却前に当該資産または資産グループの帳簿価額がその見
積公正価値を上回る場合、減損を認識する。2021年6月および2020年6月に終了した6ヵ月間のいずれにおいて
も、重要な減損はなかった。
オペレーティング・リースの使用権資産
当社は、ほぼすべてが当社の事業に関連して使用される不動産、オフィス機器およびその他資産についてオペレー
ティング・リース取引の契約を締結している。当社は、リース期間が1年超のリースについて、原資産をリース期
間にわたり使用する権利を表す使用権資産およびリース料の支払債務を表すリース負債を認識している。リース期
間は通常、リースの契約上の満期に基づいて決定される。当社がリースを早期解約または延長するオプションを有
するリースの場合、リース期間の決定にはオプションを行使する可能性の評価が組み込まれる。このような評価
は、リースの開始日に当初行われ、当初の評価に影響を与える事象が発生した場合は更新される。
オペレーティング・リースの使用権資産はリース負債に基づいて当初決定され、当初直接費用、リース・インセン
ティブおよびリース開始日または開始前に支払われる金額について調整される。当該金額は、その後、リース期間
にわたって償却される。当社は、非資金取引で締結したまたは引き受けたリースについて、2021年6月に終了した
6ヵ月間において144百万ドルおよび2020年6月に終了した6ヵ月間において147百万ドルの使用権資産とオペレー
ティング・リース負債を認識した。オペレーティング・リース負債の詳細については注記15を参照のこと。
当社は、使用を中止したスペースから経済的便益を得られない場合、またはスペースが不要となりリース期間を短
縮した場合、当該リースについて、使用権資産の減損を計上するか、加速償却を行う。2021年6月および2020年6
月に終了した6ヵ月間のいずれにおいても、重要な減損または加速償却はなかった。
他の受取債権およびその他
他の受取債権およびその他には、
・2021年6月および2020年12月現在、適格低所得者向け住宅プロジェクト(qualified affordable housing
projects) に対する投資がそれぞれ682百万ドルおよび678百万ドル含まれる。
・2021年6月および2020年12月現在、「資産運用業務」セグメントの当社の連結対象投資に関連して、売却目的保
有に分類される資産がそれぞれ22.2億ドルおよび437百万ドル含まれるが、そのほぼすべてが建物および器具備
品で構成される。
220/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
注記13
預金
預金の種類および源泉は、以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 貯蓄および要求払預金 定期預金 合計
2021 年6月現在
消費者預金 $ 79,305 $ 23,201 $ 102,506
個人銀行預金 67,398 2,546 69,944
ブローカーによって仲介される譲渡性預金証書 – 31,866 31,866
デポジット・スイープ・プログラム 28,491 – 28,491
トランザクション・バンキング 39,330 4,516 43,846
その他の預金 – 29,489 29,489
合計 $ 214,524 $ 91,618 $ 306,142
2020 年12月現在
消費者預金 $ 67,395 $ 29,530 $ 96,925
個人銀行預金 67,185 1,183 68,368
ブローカーによって仲介される譲渡性預金証書 – 30,060 30,060
デポジット・スイープ・プログラム 22,987 – 22,987
トランザクション・バンキング 28,852 – 28,852
その他の預金 – 12,770 12,770
合計 $ 186,419 $ 73,543 $ 259,962
上記の表において、
・預金のほぼすべてが、利付預金である。
・貯蓄および要求払預金は、満期日または消滅日が定められていない、マネー・マーケット預金口座、譲渡性払戻
指図書口座および要求払預金口座から成る。
・定期預金は、2021年6月および2020年12月現在、公正価値オプションに基づき公正価値で会計処理される預金を
335.6億ドルおよび161.8億ドル含んでいる。公正価値で会計処理される預金の詳細については注記10を参照のこ
と。
・定期預金の満期は、2021年6月および2020年12月現在、加重平均で約1.0年および1.3年であった。
・デポジット・スイープ・プログラムは、FDIC保証預金に顧客の現金をスイープする米国のブローカー・ディー
ラーとの長期契約を含んでいる。2021年6月現在において、当社は12件のデポジット・スイープ・プログラム契
約を締結している。
・トランザクション・バンキングの預金は、企業およびその他の機関投資家向けキャッシュ・マネジメント・サー
ビスの事業を通じて当社が調達した預金から構成される。
・その他の預金は、機関投資家からの預金である。
・FDIC保証預金は、2021年6月および2020年12月現在、1,367.2億ドルおよび1,230.3億ドルであった。
・米国以外の補償プログラムによって保証されている預金は、2021年6月および2020年12月現在、293.5億ドルお
よび275.2億ドルであった。
預金の所在地は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
米国内の事務所
$ 231,734 $ 206,356
米国外の事務所
74,408 53,606
合計 $ 306,142 $ 259,962
上記の表において、米国内の預金はゴールドマン・サックス・バンクUSA(以下「GSバンクUSA」という。)で保有
されており、米国外の預金のほぼすべてはゴールドマン・サックス・インターナショナル・バンク(以下「GSIB」
という。)で保有されていた。
221/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
米国内および米国外の事務所で保有されている定期預金の満期は、以下の表のとおりである。
2021 年6月現在
(単位:百万ドル)
米国 米国外 合計
2021 年の残りの期間 $ 22,209 $ 18,345 $ 40,554
2022 年 23,219 11,209 34,428
2023 年 6,489 125 6,614
2024 年 4,151 134 4,285
2025 年 2,054 267 2,321
2026 年 1,489 251 1,740
2027 年以降 959 717 1,676
合計 $ 60,570 $ 31,048 $ 91,618
2021 年6月現在、米国内の事務所における預金には140.3億ドルの、米国外の事務所における預金には305.2億ドル
の、適用保険限度を満たすか超過した、またはその他の方法で保険の対象とされなかった定期預金の額面金額が含
まれていた。
当社の貯蓄および要求払預金は、現金受取額に経過利息を加算した金額に基づき計上されており、公正価値に近似
している。さらに、当社は、公正価値で会計処理されていない定期預金の一部を固定金利債務から変動金利債務に
転換するために、一部のデリバティブ契約を公正価値ヘッジに指定している。2021年6月および2020年12月現在の
いずれにおいても、公正価値で会計処理されない定期預金の帳簿価額は公正価値に近似していた。これらの貯蓄お
よび要求払預金ならびに定期預金は公正価値で会計処理されていないため、注記4から注記10の当社の公正価値の
階層には含まれていない。これらの預金が当社の公正価値の階層に含まれていたならば、2021年6月および2020年
12月現在のいずれにおいても、レベル2に分類されることになる。
注記14
無担保借入金
無担保借入金に関する情報は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
無担保短期借入金 $ 61,740 $ 52,870
無担保長期借入金 238,930 213,481
合計 $ 300,670 $ 266,351
無担保短期借入金
無担保短期借入金には決算日から1年以内に期日の到来する無担保長期借入金および債権者のオプションにより決
算日から1年以内に償還可能な無担保長期借入金が含まれる。
当社は、一部のハイブリッド金融商品を公正価値オプションに基づき公正価値で会計処理している。公正価値で会
計処理される無担保短期借入金の詳細については注記10を参照のこと。さらに当社は、公正価値で会計処理されな
い無担保短期借入金の一部を固定利付債務から変動利付債務に転換するために、一部のデリバティブ契約を公正価
値ヘッジに指定している。公正価値で計上されない無担保短期借入金の帳簿価額は、当該債務の短期的な性質のた
め、通常は公正価値に近似している。これらの無担保短期借入金は公正価値で会計処理されていないため、注記4
から注記10の当社の公正価値の階層には含まれていない。当該借入金が当社の公正価値の階層に含まれていたなら
ば、2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、ほぼすべてがレベル2に分類されることになる。
無担保短期借入金に関する情報は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
1年以内に期日の到来する無担保長期借入金
$ 26,077 $ 25,914
ハイブリッド金融商品
22,850 18,823
コマーシャル・ペーパー 10,710 6,085
その他無担保短期借入金
2,103 2,048
無担保短期借入金合計 $ 61,740 $ 52,870
加重平均利率
1.98 % 1.84 %
上記の表において、これらの借入金の加重平均利率はヘッジ取引による影響を考慮しているが、公正価値オプショ
ンに基づき公正価値で会計処理される無担保短期借入金は含まれていない。ヘッジ取引の詳細については注記7を
参照のこと。
222/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
無担保長期借入金
無担保長期借入金に関する情報は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 米ドル 米ドル以外 合計
2021 年6月現在
固定利付債務
$ 111,944 $ 46,475 $ 158,419
変動利付債務 46,692 33,819 80,511
合計
$ 158,636 $ 80,294 $ 238,930
2020 年12月現在
固定利付債務
$ 100,558 $ 38,759 $ 139,317
変動利付債務 42,019 32,145 74,164
合計
$ 142,577 $ 70,904 $ 213,481
上記の表において、
・無担保長期借入金は、主に上位借入金で構成され、これらは2065年までに期日が到来する。
・変動利付債務には株式リンク商品、クレジット・リンク商品およびインデックス関連商品が含まれる。変動金利
は通常、LIBORまたは欧州銀行間取引金利に基づいている。
・米ドル建債務の金利は、2021年6月および2020年12月現在、それぞれ0.48%から7.68%(加重平均利率3.53%)
および0.63%から9.30%(加重平均利率4.07%)であった。当該利率には、公正価値オプションに基づき公正価
値で会計処理される無担保長期借入金は含まれていない。
・米ドル以外の通貨建債務の金利は、2021年6月および2020年12月現在、それぞれ0.13%から13.00%(加重平均
利率1.89%)および0.13%から13.00%(加重平均利率2.20%)であった。当該利率には、公正価値オプション
に基づき公正価値で会計処理される無担保長期借入金は含まれていない。
無担保長期借入金の返済期限別内訳は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在
2022 年 $ 14,582
2023 年 37,567
2024 年 29,377
2025 年 28,018
2026 年 21,426
2027 年以降
107,960
合計
$ 238,930
上記の表において、
・決算日から1年以内に期日の到来する無担保長期借入金および債権者のオプションにより決算日から1年以内に
償還可能な無担保長期借入金は除外されており、無担保短期借入金に含まれる。
・当社のオプションにより期日前に返済可能な無担保長期借入金は、契約上の満期日で反映される。
・債権者のオプションにより期日前に償還可能な無担保長期借入金は、かかるオプションが最も早く行使可能とな
る日付で反映される。
・無担保長期借入金には、ヘッジ会計の適用により生じた一部の無担保長期借入金の帳簿価額に対する調整84.3億
ドルが含まれており、返済期日別内訳は、2022年度に6百万ドル、2023年度に159百万ドル、2024年度に505百万
ドル、2025年度に583百万ドル、2026年度に422百万ドル、および2027年度以降に67.5億ドルである。
当社は、公正価値で会計処理されない固定利付無担保長期借入金の一部を変動利付債務に転換するために、一部の
デリバティブ契約を公正価値ヘッジに指定している。ヘッジ取引の詳細については注記7を参照のこと。
223/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
ヘッジ取引による影響考慮後の無担保長期借入金は、以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
固定利付債務:
公正価値評価 $ 2,469 $ 1,521
償却原価評価
29,598 30,827
変動利付債務:
公正価値評価 41,927 39,390
償却原価評価 164,936 141,743
合計 $ 238,930 $ 213,481
上記の表において、2021年6月および2020年12月現在、無担保長期借入金合計額の加重平均利率はそれぞれ1.60%
(固定利付債務2.32%および変動利付債務1.47%)および2.01%(固定利付債務3.34%および変動利付債務1.70%)で
あった。当該利率には、公正価値オプションに基づき公正価値で会計処理される無担保長期借入金は含まれていな
い。
当社が公正価値オプションを選択しなかった無担保長期借入金の帳簿価額は、2021年6月現在1,945.3億ドルおよ
び2020年12月現在1,725.7億ドルであった。当該無担保長期借入金の見積公正価値は、2021年6月現在2,038.5億ド
ルおよび2020年12月現在1,832.9億ドルであった。当該借入金は公正価値で会計処理されていないため、注記4か
ら注記10の当社の公正価値の階層には含まれていない。当該借入金が当社の公正価値の階層に含まれていたなら
ば、2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、ほぼすべてがレベル2に分類されることになる。
劣後借入金
無担保長期借入金は劣後債および下位劣後債を含む。1年以内に期日が到来する劣後債は、無担保短期借入金に含
まれる。下位劣後債はその他の劣後借入金への支払に劣後し、その他の劣後借入金は上位借入金に劣後する。長期
劣後債の期日は、2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても2025年から2045年であった。
劣後借入金に関する情報は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 額面価額 帳簿価額 利率
2021 年6月現在
劣後債 $ 13,959 $ 17,368 1.57 %
下位劣後債 968 1,350 1.19 %
合計 $ 14,927 $ 18,718 1.55 %
2020 年12月現在
劣後債 $ 14,136 $ 18,529 1.83 %
下位劣後債 968 1,430 1.32 %
合計 $ 15,104 $ 19,959 1.80 %
上記の表において、利率は、固定利付債務を変動利付債務に転換するために利用される公正価値ヘッジによる影響
を考慮したこれらの借入金(公正価値オプションに基づき公正価値で会計処理される借入金は含まれていない)の
加重平均利率である。ヘッジ取引の詳細については注記7を参照のこと。
下位劣後債
グループ・インクは2004年度に、デラウェア州の法定信託であるゴールドマン・サックス・キャピタルI(以下
「トラスト」という。)に対して28.4億ドルの下位劣後債を発行した。トラストは、保証付優先受益持分(以下
「信託優先証券」という。)27.5億ドルを第三者に、普通受益持分85百万ドルをグループ・インクに発行した。
2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、トラストが保有する下位劣後債の額面価格残高は968百万
ドルであり、トラストが発行した信託優先証券および普通受益持分の額面価格残高はそれぞれ939百万ドルおよび
29百万ドルであった。トラストは、規制上および法律上は、当社の完全所有金融子会社であるが、会計上は連結対
象ではない。
当社は当該下位劣後債に係る年率6.345%の利息を半期ごとに支払い、当該下位劣後債の満期は2034年2月15日で
ある。受益持分に適用されるクーポン利率および支払日は、下位劣後債に適用される利率および支払日と同じであ
る。当社は、下位劣後債に係る利息の支払を適宜延期する権利を有しており、これによりトラストの優先受益持分
に係る支払は延期されることになる。いずれについても、延期可能な期間は最長でも連続する10半期である。かか
る延期期間中、当社は特に、普通株式の配当金の支払または買戻しを行うことが認められない。優先受益持分に係
る配当金が全額支払われない限り、トラストは、グループ・インクが保有する普通受益持分に係る配当金を支払う
ことが認められない。
224/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社は2034年2月15日に満期を迎えるグループ・インクの年率6.345%の下位劣後債の債権者にとって有利な契約
条項を含めた。これは、一部の例外条件はあるが、償還または購入により清算時のシリーズの配当優先権の合計残
高 が253百万ドルを下回る場合、ゴールドマン・サックス・キャピタルIIおよびゴールドマン・サックス・キャピ
タルIII(以下「APEXトラスト」という。)が発行した資本証券またはグループ・インクの非累積型永久優先株式
シリーズE(以下「シリーズE優先株式」という。)、非累積型永久優先株式シリーズF(以下「シリーズF優先
株式」という。)もしくは非累積型永久優先株式シリーズOを、2022年度における特定の日より前に適格証券の売
却により当社が得た正味現金収入の総額を参照して決定された最高額を超えた金額で当社が償還または購入しない
ことを定めるものである。
APEX トラストは、グループ・インクのシリーズE優先株式およびシリーズF優先株式を保有する。これらのトラス
トは当社をスポンサーとするデラウェア州の法定信託であり、規制上および法律上は当社の完全所有金融子会社で
あるが、会計上は連結対象ではない。
注記15
その他負債
その他負債の種類別内訳は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
人件費 $ 9,260 $ 7,896
法人税等関連負債 3,166 3,155
オペレーティング・リース負債 2,291 2,283
非支配持分 1,631 1,640
連結ファンドにおける従業員持分 27 34
未払費用およびその他 7,573 7,443
合計 $ 23,948 $ 22,451
上記の表において、未払費用およびその他には契約負債が含まれ、これは顧客との契約に関連して、サービスの提
供前に当社が受領した対価を表す。2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、当社の契約負債に重要
性はなかった。
オペレーティング・リース負債
当社は、リース期間が1年超のリースについて、原資産をリース期間にわたり使用する権利を表す使用権資産およ
びリース料の支払債務を表すリース負債を認識している。オペレーティング・リースの使用権資産の情報について
は注記12を参照のこと。
225/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
オペレーティング・リース負債に関する情報は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) オペレーティング・リース負債
2021 年6月現在
2021 年の残りの期間 $ 162
2022 年 323
2023 年 282
2024 年 266
2025 年 235
2026 年以降
1,807
割引前リース料合計 3,075
みなし金利 (784)
オペレーティング・リース負債合計 $ 2,291
加重平均残存リース期間 15 年
加重平均割引率 3.72 %
2020 年12月現在
2021 年 $ 342
2022 年 301
2023 年 264
2024 年 247
2025 年 215
2026 年以降
1,899
割引前リース料合計 3,268
みなし金利 (985)
オペレーティング・リース負債合計 $ 2,283
加重平均残存リース期間 16 年
加重平均割引率 4.02 %
上記の表において、加重平均割引率は、ASU No.2016-02「リース(トピック842)」の適用開始日に存在していた
オペレーティング・リースについては2019年1月現在の当社の追加借入利子率を、またASU適用後に締結したリー
ス契約についてはリース開始日現在の当社の追加借入利子率を表している。
オペレーティング・リース費用は、2021年6月および2020年6月に終了した6ヵ月間においてそれぞれ230百万ド
ルおよび223百万ドルであった。オペレーティング・リース費用に含まれる変動リース料は、2021年6月および
2020年6月に終了した6ヵ月間において重要ではなかった。当社の現在の必要量を超えて保有しているスペースに
ついての事務所関連費用の合計は、2021年6月および2020年6月に終了した6ヵ月間のいずれにおいても重要では
なかった。
2021 年6月現在、契約は締結しているがまだ開始していないオペレーティング・リースに関連するリース料は441
百万ドルであった。
注記16
証券化取引
当社は、住宅用および商業用モーゲージ、社債、ローンならびにその他の種類の金融資産を証券化ビークル(信
託、企業および有限責任会社など)に売却することにより、または再証券化を通じて、これらの資産を証券化して
いる。当社は投資家に販売される受益持分の引受を行っている。当社の住宅用モーゲージの証券化は、主に政府機
関債の証券化に関連している。
当社は、譲渡された金融資産に対する支配を放棄している場合に証券化を売却として会計処理している。証券化以
前には、当社は通常、譲渡前の資産を公正価値で会計処理しているため、一般的に資産の譲渡時に重要な損益を認
識しない。引受業務による純収益は、対象となる受益持分の投資家への販売に関連して認識される。
当社は通常、譲渡された資産と引き換えに現金を受取るが、主に債務商品の形で、証券化された金融資産における
受益持分の所有権を含め、譲渡された金融資産に継続的に関与する場合もある。当社はまた、流通市場における
マーケット・メイキング取引に関連して、証券化ビークル(通常はVIE)が発行した優先証券または劣後証券を購
入する可能性がある。
受益持分および証券化ビークルへの当社の継続的関与によるその他の持分に伴う主なリスクは、裏付担保のパ
フォーマンス、証券化ビークルの資本構造に対する当社の投資のポジションおよび当該証券の市場利回りである。
公正価値で会計処理される持分は、主に公正価値の階層のレベル2に分類される。公正価値で会計処理されない持
分は、公正価値に近似する額で計上される。公正価値測定の詳細については、注記4から注記10を参照のこと。
226/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
証券化された金融資産の金額および期末日現在において当社が継続的に関与している証券化事業体における留保持
分に対して受取ったキャッシュ・フローは、以下の表のとおりである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
住宅用モーゲージ $ 9,751 $ 8,404
商業用モーゲージ 11,209 7,453
その他の金融資産 2,225 1,227
証券化された金融資産合計 $ 23,185 $ 17,084
留保持分に係るキャッシュ・フロー $ 412 $ 184
上記の表において、証券化された金融資産には、ローンおよび投資との非資金取引による交換で証券化された資産
が2021年6月に終了した6ヵ月間において413百万ドルおよび2020年6月に終了した6ヵ月間において303百万ドル
含まれている。
当社が資産を売却し、期末日現在継続的関与を有する連結対象外の証券化事業体に関する情報は、以下の表のとお
りである。
(単位:百万ドル) 発行済元本額 留保持分 購入持分
2021 年6月現在
米国政府機関が発行したCMO $ 25,675 $ 1,487 $ –
その他の住宅用モーゲージ担保証券 23,320 1,053 21
その他の商業用モーゲージ担保証券 45,735 1,078 28
社債およびその他の資産担保 5,783 252 –
合計 $ 100,513 $ 3,870 $ 49
2020 年12月現在
米国政府機関が発行したCMO $ 20,841 $ 906 $ 4
その他の住宅用モーゲージ担保証券 24,262 1,170 23
その他の商業用モーゲージ担保証券 38,340 914 39
社債およびその他の資産担保 4,299 192 –
合計
$ 87,742 $ 3,182 $ 66
上記の表において、
・CMOはモーゲージ担保債を表している。
・発行済元本額は、証券化事業体の規模に関する情報提供を目的として表示されており、当社の損失リスクを表す
ものではない。
・留保持分または購入持分から生じる当社の損失リスクはこれら持分の帳簿価額までに限定されている。
・購入持分とは、流通市場におけるマーケット・メイキング取引に関連して購入した、当社が留保持分も保有して
いる証券化事業体における優先持分および劣後持分を表す。
・発行済元本合計額および留保持分合計額のほぼすべては、2015年度以降における証券化に関連している。
・2021年6月および2020年12月現在における留保持分の公正価値は、それぞれ38.8億ドルおよび31.9億ドルであっ
た。
上記の表の持分の他に、当社はデリバティブ取引およびコミットメントの形で一部の非連結VIEに継続的に関与し
ている。これらのデリバティブおよびコミットメントの帳簿価額は、2021年6月および2020年12月現在においてそ
れぞれ97百万ドルおよび52百万ドルの純資産であり、これらのデリバティブおよびコミットメントの想定元本は、
2021年6月および2020年12月現在においてそれぞれ19.9億ドルおよび14.3億ドルであった。これらのデリバティブ
およびコミットメントの想定元本は、注記17の非連結VIEの表における最大損失リスクに含まれている。
モーゲージを担保とする留保持分の公正価値の測定に使用される加重平均による主要な経済的仮定の情報は、以下
の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
留保持分の公正価値 $ 3,632 $ 2,993
加重平均残存年数 5.3 4.7
期限前償還率 13.0 % 15.0 %
10 %の不利な変動による影響 $ (28) $ (25)
20 %の不利な変動による影響 $ (51) $ (50)
割引率 7.4 % 6.1 %
10 %の不利な変動による影響 $ (54) $ (42)
20 %の不利な変動による影響 $ (105) $ (82)
227/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
上記の表において、
・これらの留保持分に内在するリスクを軽減するために保有しているその他の金融商品による利益は反映されてい
ない。
・仮定の変動と公正価値の変動との関係は通常は比例しないため、一般的に仮定の不利な変動に基づき公正価値の
変動を推定することはできない。
・特定の仮定の変動による影響は、他の仮定の変動からは独立して計算される。実際には、複数の仮定の変動が同
時に発生し得るため、上記の感応度は拡大または緩和される可能性がある。
・公正価値の算定において期限前償還率が重要な仮定であるポジションに関してのみ、期限前償還率が含まれてい
る。
・米国政府機関が発行したCMOの留保持分の割引率には、信用損失は含まれていない。予想信用損失の仮定は、そ
の他の留保持分の割引率に反映される。
上表に反映されていない当社の有するその他の留保持分は、2021年6月現在において公正価値が252百万ドルで加
重平均残存年数は3.1年であり、2020年12月現在において公正価値が192百万ドルで加重平均残存年数は3.9年であ
る。これらの一部の留保持分の性質および公正価値のため、期限前償還率、割引率および関連する不利な変動に対
する感応度の加重平均仮定値は、2021年6月および2020年12月現在、重要でなかった。これらの持分の評価額の不
利な変動に対する当社の最大エクスポージャーは、2021年6月および2020年12月現在、それぞれ帳簿価額の252百
万ドルおよび192百万ドルである。
注記17
変動持分事業体
VIE における変動持分は、投資(債券または株式など)またはその他の持分(デリバティブまたはローンおよび貸付コ
ミットメントなど)であり、VIEの予想損失の一部を負担し、および(または)VIEの予想残存利益の一部を受取る。
VIE における当社の変動持分には、シニア債および劣後債、ローンおよび貸付コミットメント、リミテッド・パー
トナーシップおよびゼネラル・パートナーシップの持分、優先株式および普通株式、為替、株式および(または)
信用リスクを含む可能性のあるデリバティブ、保証ならびに当社が投資ファンドから受取る手数料の一部が含まれ
る。当社がVIEと締結している金利、為替および信用デリバティブの一部は、リスクを負担するのではなくリスク
を生じさせるため、変動持分ではない。
VIE は通常、VIEが保有する資産を担保とする、または当該資産に連動する債券および持分証券の発行により、資産
の購入資金を調達する。VIEが発行する債券および持分証券には、様々な劣後レベルのトランシェが含まれること
がある。当社のVIEへの関与には、注記16に記載のとおり、金融資産の証券化、ならびに以下に記載のとおり、他
のタイプのVIEに対する投資およびローンが含まれる。VIEの定義を含む当社の連結方針については注記3を参照の
こと。
VIE 連結の分析
VIE において支配的財務持分を有する企業は、主たる受益者と呼ばれ、当該VIEを連結する。当社は、主に以下の項
目を検討する分析を実施して、当社がVIEの主たる受益者であるかどうかを判断する。
・どの変動持分保有者がVIEの経済的成果に最も重要な影響を与えるVIEの活動を指図する権限を有しているか。
・どの変動持分保有者がVIEにとって潜在的に重要となりうるVIEの損失を負担する義務またはVIEの利益を受取る
権利を有しているか。
・VIEが生み出し、その変動持分保有者に負わせるように設計されたリスクを含む、VIEの目的および設計。
・VIEの資本構造。
・VIEとその変動持分保有者およびVIEに関与するその他の当事者との間の契約条件。
・関連当事者との関係。
当社は、再検討を必要とする特定の事象が発生した時点で、事業体がVIEであるかどうかについての評価を再評価
する。当社は、現在の事実および状況に基づき、当社がVIEの主たる受益者であるかどうかについての判断を継続
的に再評価する。
228/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
VIE の活動
当社は主に以下の事業活動を通じてVIEに関与している。
モーゲージ担保VIE: 当社は、住宅用および商業用モーゲージ・ローンおよび有価証券をモーゲージ担保VIEに売却
し、これらのVIEに売却した資産における受益持分を保有する場合がある。当社は、マーケット・メイキング取引
に関連して、モーゲージ担保VIEが発行した受益持分を売買する。さらに、当社はこれらのVIEの一部と、主に金利
スワップなどのデリバティブ契約を締結することがあり、これらのデリバティブは一般的に変動持分ではない。当
社は通常、そのリスクを軽減するために、他の取引相手先とデリバティブ契約を締結している。
不動産、クレジット関連、電力関連およびその他投資VIE: 当社は、不動産、パフォーミング債権、ノンパフォー
ミング債権、不良貸付債権、電力関連資産および持分証券を保有するVIEが発行した持分証券および債券を購入
し、当該VIEに貸付を行っている。当社は通常、これらのVIEに資産を売却せず、当該VIEとデリバティブ契約を締
結しない。
社債およびその他の資産担保VIE: 当社は、顧客に債券を発行するVIEを組成し、マーケット・メイキング取引に関
連して、社債およびその他の資産担保VIEが発行した受益持分を売買し、社債を保有するVIEに貸付を行っている。
これらのVIEの一部は、原資産の購入ではなく信用デリバティブ契約を当社と締結することにより当該VIEが発行す
る受益持分に対するエクスポージャーを合成して作り出す。さらに、当社は一部の社債およびその他の資産担保
VIEと、トータル・リターン・スワップなどのデリバティブ契約を締結する場合があり、これらの契約において、
当社は受益持分保有者に支払われる予定の投資収益をVIEに支払い、VIEが所有する担保に係る投資収益を受取る。
当該VIEが所有する担保は主にその他の資産担保ローンおよび有価証券である。当社のトータル・リターン・ス
ワップの取引相手先としての立場は解消される場合があり、当該スワップに関連するリスクを軽減するために、他
の取引相手先とデリバティブ契約を締結する場合がある。社債および当社が組成したその他の資産担保VIEに当社
が資産を売却する場合がある。
元本保証債VIE: 当社は顧客に元本保証債を発行するVIEを組成している。これらのVIEは、主にヘッジ・ファンド
に対するエクスポージャーのある資産のポートフォリオを所有している。これらのVIEが発行した債券に対する元
本保証のほぼすべては、当該債券の条件に基づき要求される資産ポートフォリオのリバランスによって提供され
る。当社はこれらのVIEとトータル・リターン・スワップを締結しており、これらの契約において、当社は元本保
証債保有者に支払われる予定の投資収益をVIEに支払い、VIEが所有する資産に係る投資収益を受取る。当社は、そ
のリスクを軽減するために、他の取引相手先とデリバティブ契約を締結する場合もある。当社はまた、これらの
VIEを通じて資金を調達している。
ファンドに対する投資: 当社は、当社が運用する投資ファンドVIEの一部に持分投資を行い、当該VIEから手数料を
受取る権利を有している。当社は通常、これらのVIEに資産を売却せず、当該VIEとデリバティブ契約も締結してい
ない。
非連結VIE
当社が変動持分を有している非連結VIEに関する情報は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
非連結VIE合計
VIE 資産 $ 159,629 $ 148,665
変動持分の帳簿価額-資産 $ 9,846 $ 8,624
変動持分の帳簿価額-負債 $ 755 $ 888
最大損失リスク:
留保持分 $ 3,870 $ 3,182
購入持分 813 1,041
コミットメントおよび保証
2,168 2,455
デリバティブ
8,792 8,343
債券および株式 4,789 4,020
合計
$ 20,432 $ 19,041
上記の表において、
・当社の変動持分の性質は、最大損失リスクの下の欄に記載している。
・VIEの債務に対する当社のエクスポージャーは通常、これらの事業体における当社の持分に限定されている。一
部のケースでは、当社はVIEまたはVIEの変動持分の保有者に保証(デリバティブに関する保証を含む)を提供し
ている。
229/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
・最大損失リスクには、これらの変動持分に関連するリスクを軽減するために保有している金融商品との相殺によ
る影響は含まれない。
・留保持分、購入持分ならびに債券および株式の最大損失リスクは、これらの持分の帳簿価額である。
・コミットメントおよび保証ならびにデリバティブの最大損失リスクは、想定元本額であり、予測損失を表すもの
ではなく、また未実現損失によって減額されない。その結果、最大損失リスクはコミットメントおよび保証なら
びにデリバティブについて計上された負債を超過する。
以下の表は、上記の要約表に含まれる非連結VIEの情報を、主要な事業活動別に示したものである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
モーゲージ担保
VIE 資産 $ 107,729 $ 99,353
変動持分の帳簿価額-資産 $ 4,399 $ 4,014
最大損失リスク:
留保持分 $ 3,618 $ 2,990
購入持分 781 1,024
コミットメントおよび保証 41 47
デリバティブ 394 394
合計 $ 4,834 $ 4,455
不動産、クレジット関連、電力関連およびその他投資
VIE 資産 $ 23,046 $ 20,934
変動持分の帳簿価額-資産 $ 3,566 $ 3,288
変動持分の帳簿価額-負債 $ 10 $ 14
最大損失リスク:
コミットメントおよび保証 $ 1,426 $ 1,374
デリバティブ 70 84
債券および株式 3,566 3,288
合計 $ 5,062 $ 4,746
社債およびその他の資産担保
VIE 資産 $ 16,635 $ 14,077
変動持分の帳簿価額-資産 $ 1,452 $ 913
変動持分の帳簿価額-負債 $ 745 $ 874
最大損失リスク:
留保持分 $ 252 $ 192
購入持分 32 17
コミットメントおよび保証 667 989
デリバティブ 8,325 7,862
債券および株式 794 323
合計 $ 10,070 $ 9,383
ファンドに対する投資
VIE 資産 $ 12,219 $ 14,301
変動持分の帳簿価額-資産 $ 429 $ 409
最大損失リスク:
コミットメントおよび保証 $ 34 $ 45
デリバティブ 3 3
債券および株式 429 409
合計 $ 466 $ 457
2021 年6月および2020年12月現在、非連結VIEにおける当社の変動持分の帳簿価額は、連結貸借対照表には、以下
のとおりに含まれる。
・モーゲージ担保:資産は主に、トレーディング資産およびローンに含まれる。
・不動産、クレジット関連、電力関連およびその他投資:資産は主に、投資およびローンに含まれ、負債はトレー
ディング負債およびその他負債に含まれる。
・社債およびその他の資産担保:資産は主に、ローンおよびトレーディング資産に含まれ、負債はトレーディング
負債に含まれる。
・ファンドに対する投資:資産は投資に含まれる。
連結VIE
連結VIEの資産および負債の帳簿価額および区分の要約は、以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
連結VIE合計
230/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
資産
現金および現金同等物 $ 215 $ 312
トレーディング資産 155 96
投資 867 880
ローン
1,738 2,099
その他資産 575 989
合計 $ 3,550 $ 4,376
負債
その他担保付借入金 $ 1,348 $ 1,891
顧客およびその他に対する支払債務 5 28
トレーディング負債 54 296
無担保短期借入金 40 43
無担保長期借入金 207 226
その他負債 946 948
合計
$ 2,600 $ 3,432
上記の表において、
・資産および負債は、連結会社間の相殺消去後の金額で表示されており、当社の変動持分に関連するリスクを軽減
するために保有している金融商品との相殺による影響は含まれていない。
・当社が議決権持分の過半数を保有するVIEは、(ⅰ)VIEが事業の定義に該当し、(ii)VIEの資産が債務の決済
以外の目的に利用可能な場合には、含まれていない。
・資産のほぼすべてがVIEの債務の決済にのみ利用可能である。
231/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
以下の表は、上記の要約表に含まれる連結VIEの情報を、主要な事業活動別に示したものである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
不動産、クレジット関連およびその他投資
資産
現金および現金同等物 $ 129 $ 229
トレーディング資産 38 8
投資 867 880
ローン
1,738 2,099
その他資産 575 989
合計 $ 3,347 $ 4,205
負債
その他担保付借入金 $ 312 $ 649
顧客およびその他に対する支払債務 5 28
トレーディング負債 54 46
その他負債 946 948
合計 $ 1,317 $ 1,671
社債およびその他の資産担保
資産
現金および現金同等物 $ 86 $ 83
合計 $ 86 $ 83
負債
その他担保付借入金 $ 627 $ 679
合計 $ 627 $ 679
元本保証債
資産
トレーディング資産 $ 117 $ 88
合計 $ 117 $ 88
負債
その他担保付借入金 $ 409 $ 563
トレーディング負債 – 250
無担保短期借入金 40 43
無担保長期借入金 207 226
合計 $ 656 $ 1,082
上記の表において、
・元本保証債VIEの資産の大部分は連結会社間残高であり、連結上相殺消去される。
・不動産、クレジット関連およびその他投資のVIEの債権者および受益持分保有者は、当社全般の信用に遡及する
ものではない。
232/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
注記18
コミットメント、偶発債務および保証債務
貸付コミットメント
コミットメントの内訳は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
コミットメントの種類
商業用貸付:
投資適格 $ 95,800 $ 83,801
非投資適格 75,062 56,757
ウェアハウス・ファイナンス 10,620 9,377
クレジットカード 28,529 21,640
貸付合計
210,011 171,575
リスク・パーティシペーション 10,126 8,054
担保付契約 110,120 55,278
担保付借入金 34,584 35,402
信用状 369 367
投資 8,067 6,456
その他 9,608 7,836
コミットメント合計 $ 382,885 $ 284,968
終了日別のコミットメントの内訳は以下の表のとおりである。
2021 年6月現在
(単位:百万ドル)
2021 年の残りの期間 2022 年-2023年 2024 年-2025年 2026 年以降
コミットメントの種類
商業用貸付:
投資適格 $ 6,015 $ 36,934 $ 34,405 $ 18,446
非投資適格 2,280 21,397 23,687 27,698
ウェアハウス・ファイナンス 22 5,285 4,203 1,110
クレジットカード 28,529 – – –
貸付合計 36,846 63,616 62,295 47,254
リスク・パーティシペーション 536 5,237 3,093 1,260
担保付契約 106,401 3,719 – –
担保付借入金 34,584 – – –
信用状 205 123 – 41
投資 3,193 1,890 1,586 1,398
その他 9,092 432 50 34
コミットメント合計 $ 190,857 $ 75,017 $ 67,024 $ 49,987
貸付コミットメント
当社の商業用貸付およびウェアハウス・ファイナンスのコミットメントは期限付の融資契約であり、契約上の借入
条件すべてを満たしていることを前提として実行される。これらのコミットメントは、第三者との協調融資とした
額を控除後の額で表示される。当社はこれらのコミットメントを協調融資とする可能性があるため、契約残高は必
ずしも実際の将来キャッシュ・フローを反映しているとは限らない。また、実行されないままコミットメントが満
期を迎える、あるいは契約相手の要求によりコミットメントが減額または解約される可能性もある。当社はまた、
クレジットカードの与信枠設定により、消費者に信用供与を行っている。
貸付コミットメントに関する情報は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
投資目的保有 $ 192,914 $ 162,513
売却目的保有 15,458 6,594
公正価値評価 1,639 2,468
合計 $ 210,011 $ 171,575
上記の表において、
・投資目的保有の貸付コミットメントは、償却原価により会計処理される。2021年6月および2020年12月現在にお
ける貸付コミットメントの帳簿価額は、それぞれ10.6億ドルの負債(信用損失引当金822百万ドルを含む)およ
び775百万ドルの負債(信用損失引当金557百万ドルを含む)であった。2021年6月および2020年12月現在におけ
る当該貸付コミットメントの見積公正価値は、それぞれ39.8億ドルの負債および40.5億ドルの負債であった。仮
に当該貸付コミットメントが公正価値で計上され公正価値の階層に含まれていれば、2021年6月および2020年12
月現在、23.7億ドルおよび24.3億ドルがそれぞれレベル2に分類され、16.1億ドルおよび16.2億ドルがそれぞれ
レベル3に分類されていた。
233/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
・売却目的保有の貸付コミットメントは、原価と公正価値のいずれか低い方の金額で会計処理される。2021年6月
および2020年12月現在における売却目的保有の貸付コミットメントの帳簿価額は、それぞれ75百万ドルの負債お
よ び68百万ドルの負債であった。当該貸出コミットメントの見積公正価値は、帳簿価額と近似している。これら
の貸付コミットメントが当社の公正価値の階層に含まれていたならば、2021年6月および2020年12月現在、それ
ぞれ主にレベル3に分類されることになる。
・公正価値で測定される貸付コミットメントに関連する損益がある場合には、通常、関連手数料を控除後の金額で
その他の自己勘定取引に計上する。
商業用貸付: 当社は、主に投資適格な法人借主向けに商業用貸付コミットメントを供与している。かかるコミット
メントには主に、リレーションシップ貸付活動(主に営業および一般的な事業目的で使用される)に関連する、
2021年6月および2020年12月現在、それぞれ1,174.2億ドルおよび1,103.1億ドル、ならびにその他の投資銀行業務
(通常、条件付買収資金調達のために供与され、借手がその他の資金調達源への借替えを行うことが多いため、短
期的性質とされているものが多い)に関連する、2021年6月および2020年12月現在、それぞれ352.9億ドルおよび
158.1億ドルが含まれている。当社はまた、その他のタイプの企業向け融資、ならびに商業用不動産ファイナンス
に関連して貸付コミットメントを供与している。資金調達ローンの詳細については注記9を参照のこと。
当社の商業用貸付活動に関連する信用リスクを軽減するために、当社は、一部のローンおよび貸付コミットメント
に対して、クレジット・デフォルト・スワップ(個別銘柄契約およびインデックスに基づく契約の両方)を通じ
て、およびクレジット・リンク債の発行を通じて、信用補完を得ている。また、株式会社三井住友フィナンシャル
グループは、当社に一部の承認済貸付コミットメントに係る信用補完契約を提供している。
ウェアハウス・ファイナンス: 当社は金融資産を保有する顧客に対して資金融資を行っている。これらの融資には
主に住宅用不動産ローン、消費者向けローンおよび企業向けローンから成る保管資産の担保が供されている。
クレジットカード: 当社のクレジットカードの貸付コミットメントには、2021年6月および2020年12月現在、それ
ぞれ265.7億ドルおよび216.4億ドルが含まれており、当社が消費者向けに設定しているクレジットカードの与信枠
に関連している。これらのクレジットカードの与信枠は、当社により解約可能である。また、クレジットカードの
コミットメントには、ゼネラルモーターズと共同ブランドによるクレジットカード・リレーションシップを構築す
るという2021年1月の合意に関連して、クレジットカード・ポートフォリオを取得する当社のコミットメントに関
連する約20億ドルも含まれている。この金額は、2021年6月現在のポートフォリオのクレジットカード・ローン残
高を表している。ただし、最終的な金額は、取得完了時のクレジットカード・ローン残高によって決まり、取得完
了は2022年度第1四半期になると見込まれている。
リスク・パーティシペーション
当社はまた、他の金融機関に対する一部の商業用貸付コミットメントについて、リスク・パーティシペーションを
行っている。リスク参加者が債務不履行に陥った場合、当社は、借手への融資責任を有する。
担保付契約コミットメント/担保付借入金コミットメント
担保付契約コミットメントには、取引開始日が将来の売戻条件付契約および有価証券借入契約が含まれている。ま
た、担保付借入金コミットメントには、取引開始日が将来の買戻条件付契約および担保付貸付契約が含まれてお
り、これらの契約は将来の日付(通常は3営業日以内)において決済される。担保付契約コミットメントには、当
社が売戻条件付契約を通じて顧客および取引相手先に条件付融資を行うコミットメントを締結した取引も含まれ
る。これらのコミットメントに基づく当社の融資は、売戻条件付契約のすべての条件を満たすことが前提となって
おり、実行されないままコミットメントが満期を迎える可能性もある。
信用状
当社は様々な銀行が発行する信用状に基づきコミットメントを有しており、当社は、様々な担保および証拠金の要
求を充足するための有価証券または現金の代替として、当該信用状を取引相手先に提供している。
投資コミットメント
投資コミットメントには、直接または当社が組成し運用するファンドを通じて、プライベート・エクイティ、不動
産およびその他資産に投資するコミットメントが含まれている。投資コミットメントには、2021年6月および2020
年12月現在、それぞれ17.3億ドルおよび16.9億ドルが含まれており、当社が運用するファンドに投資するコミット
メントに関連している。これらのコミットメントが要求された場合、投資日現在の市場価額で融資される。
偶発債務
訴訟: 一部のモーゲージ関連事項を含む訴訟については、注記27を参照のこと。
234/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
その他の偶発債務: 米国金融詐欺対策タスクフォースの住宅モーゲージ用担保証券作業部会との和解合意に関連し
て、当社は、18.0億ドルの消費者救済を行うことに合意し、当社の消費者救済義務の遵守を監督する独立モニタリ
ン グ機関は、当社が当該義務を満たしていることを検証した。この救済は、市場価値が住宅ローンを下回る住宅の
所有者および財政難の借手に対する元本放棄、中低所得者向け住宅の建設・修繕および保全に関する資金供与、債
務再編・差押回避および住宅品質改善プログラム、ならびに不動産銀行に関する支援の形で提供された。
保証債務
以下の表は、保証の定義に合致するデリバティブ、有価証券の貸付および決済に対する保証、ならびに特定のその
他の財務保証を示している。
(単位:百万ドル) デリバティブ 有価証券の貸付および決済 その他の財務保証
2021 年6月現在
純負債の帳簿価額 $ 3,368 $ – $ 227
期日別最大支払額/想定元本
2021 年の残りの期間 $ 64,573 $ 17,861 $ 934
2022 年-2023年 67,567 – 2,661
2024 年-2025年 26,912 – 2,337
2026 年以降 33,403 – 363
合計 $ 192,455 $ 17,861 $ 6,295
2020 年12月現在
純負債の帳簿価額 $ 4,357 $ – $ 253
期日別最大支払額/想定元本
2021 年 $ 89,202 $ 21,352 $ 1,263
2022 年-2023年 56,204 – 3,304
2024 年-2025年 23,389 – 2,787
2026 年以降 32,244 – 268
合計 $ 201,039 $ 21,352 $ 7,622
上記の表において、
・最大支払額は契約の想定元本に基づくものであり、予想損失を示すものではない。
・金額には、貸付コミットメントに含まれるスタンドバイ信用状を発行する特定のコミットメントが含まれていな
い。当社のコミットメントの概要については、上記「コミットメント」の表を参照のこと。
・デリバティブの帳簿価額には、2021年6月および2020年12月現在、それぞれ15.2億ドルおよび16.6億ドルのデリ
バティブ資産ならびに2021年6月および2020年12月現在、それぞれ48.9億ドルおよび60.2億ドルのデリバティブ
負債が含まれていた。
デリバティブ保証: 当社は、米国会計基準における保証の定義に合致する様々なデリバティブを締結しており、こ
れには株式およびコモディティの売建プット・オプション、売建為替契約ならびに金利キャップ、フロアおよびス
ワップションが含まれる。これらのデリバティブは保証の定義に合致しないデリバティブとともにリスク管理され
ているため、上記の表にある金額は当社のデリバティブ取引に関する全体的なリスクを反映していない。デリバ
ティブが現金決済され、取引相手先がデリバティブの対象となる商品を契約開始日に保有していた可能性が高いと
結論づける根拠が当社にない場合には、当該デリバティブに関する開示は要求されない。当社は、国際的に活動し
ている一部の大手商業銀行および投資銀行の取引相手先、中央清算機関、ヘッジ・ファンドならびに一部のその他
の取引相手先について、これらの条件は満たされていると結論づけている。従って当社は、かかる契約を上記の表
に含めていない。上記の表に含まれていない、保証の定義に合致する信用デリバティブに関する情報は、注記7を
参照のこと。
デリバティブは公正価値で会計処理されるため、帳簿価額は各契約の支払/履行リスクを最も適切に表していると
見なされる。しかし、上記の表にある帳簿価額には、取引相手先および現金担保のネッティングによる影響が含ま
れていない。
有価証券の貸付および決済に対する保証: 有価証券の貸付および決済に対する保証には、当社が貸付仲介業務とし
て、および証券取引清算機関のスポンサリング・メンバーとして提供する補償および保証が含まれる。
235/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社は、貸付仲介業務として、借手が有価証券を返却せず、借入有価証券の市場価額に対して保有担保が不十分な
場合に発生する損失について、有価証券貸付を行う顧客のほとんどに対して補償を行う。当該補償の最大支払額
は、 2021年6月および2020年12月現在、それぞれ178.6億ドルおよび198.6億ドルであった。有価証券貸付に対する
補償に関連して貸手が保有している担保は、2021年6月および2020年12月現在、それぞれ183.4億ドルおよび203.9
億ドルであった。これらの契約上の性質により、当社は借手に貸付けた有価証券の価値を上回る市場価額の担保を
借手から受取ることが要求されているため、当該補償に関連する履行リスクは僅少である。
米国債部門および証券取引清算機関のスポンサリング・メンバーとして、当社は、一部の売戻条件付契約および買
戻条件付契約に関連して、スポンサード・メンバー顧客の履行を、証券取引清算機関に保証する。当該保証に係る
潜在的損失を最小限に抑えるため、当社は、スポンサリングを受ける顧客が証券取引清算機関に供した担保の担保
権を得ている。したがって、当該保証に係る損失リスクは僅少である。2021年6月現在、当該保証に基づく残高は
なかった。2020年12月現在、この保証に係る最大支払額は14.9億ドルであり、保有する関連担保は15.0億ドルで
あった。
その他の財務保証: 通常の営業活動において、当社は第三者の債務についてその他の財務保証(スタンドバイ信用
状、ならびに顧客が取引を完了することができるその他の保証およびファンド関連の保証など)を提供する。当該
保証は、被保証者が受益者との契約に基づく債務を履行することができなかった場合に受益者に対して支払を行う
義務を表している。その他の財務保証には、当社がマレーシア政府に提供した保証が含まれており、当社は、マ
レーシアの政府系投資ファンドである1マレーシア・ディベロップメント・バーハッド(以下「1MDB」とい
う。)に関連して、世界中の政府当局が差し押さえた資産からマレーシア政府が少なくとも14億ドルの資産と収入
を受け取ることを保証している。当社は、半年ごと(2月と8月を予定)に受領する報告書に基づき、当該履行義
務の進捗状況を評価する。2021年2月現在の最新の報告書によると、この保証に関連して、資産または資産からの
収入約220百万ドルがマレーシア政府に返還されており、この保証は2025年8月18日までに履行する必要がある。
この保証に基づいて当社が支払った金額は、2028年8月18日までにマレーシア政府が受領した資産または収入が14
億ドルを超えた場合に、払戻しの対象となる。1MDBに関連する事項の詳細については注記27を参照のこと。
トラストが発行した証券の保証: 当社は、第三者への有価証券の発行、発行による受取額の当社への貸付、当該目
的に関連する当社と第三者との契約の締結などの限定した目的のために、ゴールドマン・サックス・キャピタル
I、APEXトラストおよびその他の事業体を設定している。当社はこれらの事業体を連結していない。ゴールドマ
ン・サックス・キャピタルIおよびAPEXトラストが関与する取引の詳細については、注記14を参照のこと。
当社は、これらの事業体が発行した有価証券に対して完全かつ無条件の保証を有効に提供している。保証、借入
金、優先株式および関連する契約に基づくこれら事業体への当社による適時の支払は、当該事業体が発行した有価
証券に係る支払を十分にカバーするものである。グループ・インクの子会社は、ゴールドマン・サックス・キャピ
タルIまたはAPEXトラストの有価証券を保証していない。
経営陣は、保証、借入金、優先株式および関連する契約に基づき要求される支払、ならびに当該事業体により生じ
る一部の費用に関連して要求される支払以外に、支払代理人またはその他のサービス提供者による不履行等、これ
ら事業体に関連して当社が支払を求められるような状況が起こる可能性は低いと考えている。
サービス提供者の補償および保証: 通常の営業活動において、当社は、清算・カストディ機関、受託会社および管
理会社などの一部のサービス提供者に対して、当社またはその関連会社の代理人としての業務または当該サービス
の提供に関連して発生する特定の潜在的損失について補償および保証している。
当社はまた、一部の顧客およびその他の当事者に対しても、カストディアンとしての役割から生じる損失ならびに
サブカストディアンおよび第三者ブローカーを含む第三者サービス提供者の行為または不作為により生じる損失に
ついて、責任が発生する可能性がある。ある特定の状況においては、当社はこれらの第三者サービス提供者から、
当社に発生した関連損失のうち一部の補填を求める権利を有する。さらに当社は、世界中の支払、決済および清算
ネットワークならびに証券取引所のメンバーであるため、他のメンバーの債務不履行が生じた場合および損失が生
じるその他の状況では、かかるネットワークおよび取引所の債務履行を要求されることもある。
当社のプライム・ブローカレッジ業務および決済業務に関連して、当社は顧客がその他のブローカーと行った取引
について顧客に代わって決済および清算することに同意している。かかる取引に関連する当社の債務は、顧客口座
の資産ならびに顧客に代わって当社が決済および清算した取引により受取った収入により担保されている。ジョイ
ント・ベンチャー投資に関連して、当社は借入保証を行うことがあり、当該保証に基づき、当社は、詐欺、横領、
環境負債および借手が関与する特定のその他の事象が発生した場合、責任を負う可能性がある。
236/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社がこれらの保証および補償に基づく最大支払額を見積ることは不可能である。しかし経営陣は、当社がこれら
の保証および補償に基づいて重要な金額の支払を行わなくてはならなくなる可能性は低いと考えており、これらの
保 証および補償に関連する重要な負債は、2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、連結貸借対照表
には認識されていない。
その他の表明、保証および補償: 当社は様々な商取引に関連して取引相手先に表明および保証を行っており、これ
らの表明および保証の違反により生じる潜在的損失について、補償を行うことがある。当社はまた、有価証券発
行、借入またはデリバティブなどの通常の取引に関連して、米国税法の改定または不利な適用に対する補償を提供
することがある。
さらに当社は、米国以外の税法の改定または不利な適用により追加で課税される場合または支払が源泉徴収される
場合にも、一部の取引相手先に対して補償を提供することがある。
これらの補償は一般的に標準契約条項であり、通常の営業活動において締結される。通常、これらの補償には表示
価額または想定元本はなく、補償義務を生じさせる偶発事象は発生しないものと予想されている。当社がこれらの
保証および補償に基づく最大支払額を見積ることは不可能である。しかし経営陣は、当社がこれらの保証および補
償に基づいて重要な金額の支払を行わなくてはならなくなる可能性は低いと考えており、これらの取決めに関連す
る重要な負債は、2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、連結貸借対照表には認識されていない。
子会社の保証: グループ・インクは、当社の完全所有金融子会社であるGSファイナンス・コープが発行した有価証
券に対して完全かつ無条件の保証を提供する事業体である。グループ・インクは、ゴールドマン・サックス・アン
ド・カンパニー・エルエルシー(以下「GS&Co.」という。)、GSバンクUSAおよびゴールドマン・サックス・パ
リ・インク et Cieの支払債務について、一部の例外事項を除き、保証している。さらに、グループ・インクは
ゴールドマン・サックス・インターナショナル(以下「GSI」という。)およびゴールドマン・サックス・バン
ク・ヨーロッパSE(以下「GSBE」という。)に対して、それぞれが取引相手先と締結した契約について保証を提供
している。さらに、グループ・インクは、GSバンクUSAがグループ・インクの特定の関連ファンドから取得した有
価証券ならびにGSバンクUSAがグループ・インクの特定の子会社から取得したローンおよび貸付コミットメントに
関連して、2020年度にGSバンクUSAに保証を提供した。2021年6月現在、関連ファンドから取得した有価証券の残
高はなかった。
グループ・インクは、その他の連結子会社の債務の多くを、取引相手先と交渉の上、取引ごとに保証している。グ
ループ・インクは子会社の保証に基づく最大支払額を見積もることは不可能である。ただし、当該債務は連結子会
社の債務でもあるため、保証人としてのグループ・インクの債務を個別には開示していない。
注記19
株主資本
普通株式
2021 年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、当社は授権普通株式40.0億株および授権無議決権普通株式
200百万株を有しており、額面価額はそれぞれ1株当たり0.01ドルである。
当社の株式買戻制度は、普通株式の適正水準の維持を目的としている。株式買戻制度は主として通常の公開市場で
の購入を通じて行われており(規則10b5-1号に従って設計された買戻制度および早期株式買戻しを含む可能性があ
る)、買戻しの金額および時期は、主に当社の現在および将来の資本の状況ならびに資本配分の機会によって決定
されるが、一般的な市況、当社普通株式の相場価格および取引高により影響を受けることもある。当社は2020年度
第1四半期において株式の買戻しを一時的に停止し、FRBのすべての大手銀行の持株会社(以下「BHC」という。)
に対する要請に沿って、2020年度第4四半期も引き続き株式の買戻しを一時的に停止した。当社は2021年度第1四
半期に株式の買戻しを再開した。
普通株式の買戻しに関する情報は以下の表のとおりである。
以下で終了した6ヵ月間
百万ドル(1株当たり金額を除く)
2021 年6月 2020 年6月
買い戻した普通株式数(単位:百万株) 11.6 8.2
1株当たりの平均費用(単位:ドル) $ 320.12 $ 236.35
普通株式の買戻し費用合計(単位:百万ドル) $ 3,700 $ 1,928
一部の株式報酬制度の条件に従って、従業員が当社に株式を付託すること、または当社が従業員の源泉徴収に関す
る法定要件を満たすために、株式報奨の取消しを行うことが可能である。これらの制度に基づき、2021年6月に終
237/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
了した6ヵ月間において、1,830株、総額0.5百万ドルが付託され、当社は3.3百万株式報奨、総額969百万ドルの取
消しを行った。
宣言された普通株式配当金は以下の表のとおりである。
以下で終了した6ヵ月間
2021 年6月 2020 年6月
普通株式1株当たり配当金宣言額 $ 2.50 $ 2.50
2021 年7月12日、グループ・インクの取締役会(以下「取締役会」という。)は、四半期配当金を、普通株式1株
当たり1.25ドルから普通株式1株当たり2.00ドルに引き上げた。配当金は、2021年9月1日現在の株主名簿上の普
通株式に2021年9月29日に支払われる予定である。
優先株式
2021 年6月現在、発行済で流通している永久優先株式に関する情報は、以下の表のとおりである。
シリーズ 授権株式数 発行済株式数 流通株式数 1株当たりの預託株式数
A 50,000 30,000 29,999 1,000
C 25,000 8,000 8,000 1,000
D 60,000 54,000 53,999 1,000
E 17,500 7,667 7,667 該当なし
F 5,000 1,615 1,615 該当なし
J 46,000 40,000 40,000 1,000
K
32,200 28,000 28,000 1,000
O
26,000 26,000 26,000 25
P 66,000 60,000 60,000 25
Q 20,000 20,000 20,000 25
R 24,000 24,000 24,000 25
S 14,000 14,000 14,000 25
T 27,000 27,000 27,000 25
合計 412,700 340,282 340,280
238/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
償還価額
シリーズ 最も早い償還日 清算時の配当優先権 (単位:百万ドル)
A 償還可能 $ 25,000 $ 750
C 償還可能 $ 25,000 200
D 償還可能 $ 25,000 1,350
E 償還可能 $ 100,000 767
F 償還可能 $ 100,000 161
J 2023 年5月10日 $ 25,000 1,000
K 2024 年5月10日 $ 25,000 700
O 2026 年11月10日 $ 25,000 650
P 2022 年11月10日 $ 25,000 1,500
Q 2024 年8月10日 $ 25,000 500
R 2025 年2月10日 $ 25,000 600
S 2025 年2月10日 $ 25,000 350
T 2026 年5月10日 $ 25,000 675
合計 $ 9,203
上記の表において、
・株式はすべて、1株の額面が0.01ドルであり、各株式は適宜、特定数の預託株式で表章されている。
・最も早い償還日は、各非累積型優先株式が当社の裁量で償還可能となる日を表す。
・優先株式を償還する前に、当社はFRBから承認を受けなければならない。
・2021年4月、当社は、シリーズT3.80%固定非累積型(リセット条項付)優先株式(以下「シリーズT優先株
式」という。)を27,000株発行した。
・優先株式シリーズAからFならびにシリーズQからTの1株当たりの償還価格は、清算時の配当優先権に未払配
当金(宣言済)を加算した金額である。優先株式シリーズJからPの1株当たりの償還価格は、清算時の配当優
先権に未払配当金(発生済)を加算した金額である。優先株式シリーズEおよびシリーズFの各株式は、当社の
裁量で償還可能である。ただしこの償還は、普通株式または株式と同じ性質のその他の商品を発行することなく
当該優先株式を償還する当社の能力に影響を与える特定の制限条項を条件としている。シリーズEおよびシリー
ズF優先株式に適用されるリプレイスメント・キャピタル条項については注記14を参照のこと。
・全シリーズの優先株式は同順位であり、清算時においては当社普通株式に対して優先権を有している。
・当社が普通株式の配当宣言もしくは配当金支払、または普通株式の購入、償還もしくはその他の取得を行う能力
は、当社が直近の終了した配当期間における優先株式に対する配当金を全額支払うことができない、または配当
金を全額引当てることができない場合には、一定の制限を受ける可能性がある。
2021 年7月、当社は、シリーズU 3.65%固定非累積型(リセット条項付)優先株式(以下「シリーズU優先株
式」という。)を30,000株発行した。発行済で流通している各シリーズU優先株式には、25,000ドルの清算時の配
当優先権があり、預託株式25株で表され、2026年8月10日以降、25,000ドルに未払配当金(宣言済)を加算した償
還価格で当社の裁量で償還可能である。シリーズU優先株式の配当金は、宣言されている場合、(i) 発行日から
2026年8月10日まで(同日を含まない)は年率3.65%、その後は(ii)年率2.915%に5年物国債利回りを加算した金
額で半年ごとに支払われる。
2021 年度第2四半期に、当社は発行済株式でシリーズN 6.30%非累積型優先株式(以下「シリーズN優先株式」と
いう。)のすべてを償還価額675百万ドル(1株当たり25,000ドル)に2021年5月19日の未払配当金(発生済)を加算
した金額で償還した。償還価額と帳簿価額純額との差額は20百万ドルであり、2021年度第2四半期に優先株式配当
金の追加として処理される。
2021 年度第1四半期に、当社はシリーズM 5.375%固定・変動非累積型優先株式(以下「シリーズM優先株式」と
いう。)の全発行済株式を償還価額20億ドル(1株当たり25,000ドル)に未払配当金(発生済)を加算した金額で償還
した。償還価額と帳簿価額純額との差額は21百万ドルであり、2021年度第1四半期に優先株式配当金の追加として
計上される。
2020 年度に、当社は発行済株式で残りのシリーズL 5.70%非累積型優先株式(以下「シリーズL優先株式」とい
う。)14,000株を償還価額350百万ドル(1株当たり25,000ドル)に未払配当金(発生済)を加算した金額で償還
した。償還価額と帳簿価額純額との差額は1百万ドルであり、2020年度に優先株式配当金の追加として計上され
た。
2021 年6月現在、永久優先株式の配当率は、以下の表のとおりである。
239/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
シリーズ 年間配当率
A 3ヵ月物LIBOR+0.75%、3.75%以上、四半期ごとに支払
C 3ヵ月物LIBOR+0.75%、4.00%以上、四半期ごとに支払
D 3ヵ月物LIBOR+0.67%、4.00%以上、四半期ごとに支払
E 3ヵ月物LIBOR+0.7675%、4.00%以上、四半期ごとに支払
F 3ヵ月物LIBOR+0.77%、4.00%以上、四半期ごとに支払
J 2023 年5月10日まで(同日を含まない)は5.50%、その後は3ヵ月物LIBOR+3.64%、四半期ごとに支払
K 2024 年5月10日まで(同日を含まない)は6.375%、その後は3ヵ月物LIBOR+3.55%、四半期ごとに支払
O 発行日から2026年11月10日まで(同日を含まない)は5.30%、半年ごとに支払、その後は3ヵ月物LIBOR+3.834%、四半期ごとに支払
P 発行日から2022年11月10日まで(同日を含まない)は5.00%、半年ごとに支払、その後は3ヵ月物LIBOR+2.874%、四半期ごとに支払
Q 発行日から2024年8月10日まで(同日を含まない)は5.50%、半年ごとに支払、その後は5年物国債利回り+3.623%、半年ごとに支払
R 発行日から2025年2月10日まで(同日を含まない)は4.95%、半年ごとに支払、その後は5年物国債利回り+3.224%、半年ごとに支払
S 発行日から2025年2月10日まで(同日を含まない)は4.40%、半年ごとに支払、その後は5年物国債利回り+2.85%、半年ごとに支払
T 発行日から2026年5月10日まで(同日を含まない)は3.80%、半年ごとに支払、その後は5年物国債利回り+2.969%、半年ごとに支払
上記の表において、優先株式の各シリーズの配当金は、特定の期間について後払いで支払われる。
宣言された優先株式配当金は以下の表のとおりである。
2021 年6月に終了した6ヵ月間 2020 年6月に終了した6ヵ月間
シリーズ
1株当たり(ドル) (単位:百万ドル) 1株当たり(ドル) (単位:百万ドル)
A $ 471.35 $ 14 $ 471.36 $ 14
C
$ 502.78 4 $ 502.78 4
D $ 502.78 27 $ 502.78 27
E $ 2,022.22 15 $ 2,022.22 15
F $ 2,022.22 3 $ 2,022.22 3
J $ 687.50 27 $ 687.50 28
K $ 796.88 22 $ 796.88 22
L $ – – $ 361.54 4
M $ – – $ 671.88 54
N $ 787.50 19 $ 787.50 21
O $ 662.50 17 $ 662.50 17
P $ 625.00 38 $ 625.00 38
Q $ 687.50 14 $ 889.93 18
R $ 618.75 15 $ – –
S $ 550.00 8 $ – –
合計 $ 223 $ 265
2021 年7月7日、グループ・インクは、2021年7月26日現在の株主名簿上の優先株主に対し、シリーズA優先株式
1株当たり239.58ドル、シリーズC優先株式1株当たり255.56ドル、シリーズD優先株式1株当たり255.56ドル、
シリーズJ優先株式1株当たり343.75ドル、シリーズK優先株式1株当たり398.44ドル、シリーズQ優先株式1株
当たり687.50ドル、シリーズR優先株式1株当たり618.75ドルおよびシリーズS優先株式1株当たり550.00ドルの
配当金を2021年8月10日に支払うことを宣言した。さらに、当社は、2021年8月17日現在の株主名簿上の優先株主
に対し、シリーズE優先株式1株当たり1,022.22ドルおよびシリーズF優先株式1株当たり1,022.22ドルの配当金
を2021年9月1日に支払うことを宣言した。
240/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
その他の包括利益/(損失)累積額
その他の包括利益/(損失)累積額(税効果考慮後)の変動の内訳は以下の表のとおりである。
その他の包括利益/(損失)調整
期首残高
(単位:百万ドル) (税効果考慮後) 期末残高
2021 年6月に終了した6ヵ月間
為替換算調整勘定 $ (696) $ (16) $ (712)
債務評価調整 (833) 98 (735)
年金および退職後負債 (368) 7 (361)
売却可能有価証券 463 (544) (81)
合計
$ (1,434) $ (455) $ (1,889)
2020 年6月に終了した6ヵ月間
為替換算調整勘定 $ (616) $ (61) $ (677)
債務評価調整 (572) 696 124
年金および退職後負債 (342) 3 (339)
売却可能有価証券 46 505 551
合計 $ (1,484) $ 1,143 $ (341)
次へ
241/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
注記20
規制および自己資本比率
FRB は、グループ・インクの主要監督機関である。グループ・インクは、1956年米国銀行持株会社法に基づくBHCで
あり、当該法の改正に基づく金融持株会社でもある。当社は、FRBの規制に準拠して計算される連結自己資本規制
(以下「自己資本規制の枠組」という。)の対象となっている。
自己資本規制は、リスク・ウェイト資産(以下「RWA」という。)、平均資産およびオフバランスシート・エクス
ポージャーに対する規制自己資本測定値の比率であるリスク・ベースの自己資本比率およびレバレッジ比率として
表されている。これらの自己資本規制を遵守できない場合、当社は規制当局から制限が課される可能性があり、自
社株の買い戻し、配当の支払い、および特定の裁量報酬の支払いを行う当社の能力に制限が生じる可能性がある。
また、当社の資本水準は自己資本の構成要素、リスク・ウェイトおよびその他の要素に関する監督機関による定性
的判断の対象となっている。さらに、当社の特定の子会社は個別の規制および自己資本規制の対象となっている。
自己資本規制の枠組
自己資本規制の枠組に基づく規制の大部分は、バーゼル銀行監督委員会(以下「バーゼル委員会」という。)によ
る国際的な自己資本基準の強化に向けた自己資本の枠組(以下「バーゼル3」という。)に基づくもので、ドッ
ド・フランク法の一部の規定も導入されている。自己資本規制の枠組に基づき、当社は、「先進的手法」を導入し
ている金融機関とされ、グローバルなシステム上重要な銀行(以下「G-SIB」という。)に指定されている。
自己資本規制の枠組には、リスク・ベースの最低自己資本要件および資本保全バッファー要件が含まれる。当該
バッファーは、普通株式等Tier1(以下「CET1」という。)の要件を満たす資本のみから構成されなければならな
い。
当社はCET1資本、Tier1資本および総自己資本比率を、標準的自己資本規則と先進的自己資本規則の両方に準拠し
て算定している。標準的自己資本規則と先進的自己資本規則に基づいて算定された各比率は、それぞれの資本要件
を満たさなければならない。
自己資本規制の枠組に基づき、当社は最小Tier1レバレッジ比率および最小補完的レバレッジ比率(以下「SLR」と
いう。)から成るレバレッジ要件、ならびにSLRバッファーも遵守する必要がある。
連結上の自己資本規制比率
リスク・ベースの自己資本規制比率: 2021 年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、リスク・ベースの自
己資本規制比率は、以下の表のとおりである。
標準的自己資本規則 先進的自己資本規則
CET1 資本比率 13.6 % 9.5 %
Tier1 資本比率 15.1 % 11.0 %
総自己資本比率
17.1 % 13.0 %
上記の表において、
・標準的自己資本規則と先進的自己資本規則の両方において、CET1資本比率要件には最小比率4.5%、Tier1資本比
率要件には最小比率6.0%、総自己資本比率要件には最小比率8.0%が含まれている。これらの要件にはまた、G-
SIBサーチャージ2.5%(手法2)およびFRBが0%に設定したカウンターシクリカル資本バッファーで構成され
る、資本保全バッファー要件も含まれている。さらに、資本保全バッファー要件には、標準的自己資本規則に基
づくストレス資本バッファー(以下「SCB」という。)6.6%、および先進的自己資本規則に基づくバッファー
2.5%が含まれている。
・G-SIBサーチャージは毎年、前年度の財務データに基づいて更新され、通常、翌年度に適用される。G-SIBサー
チャージは2つの手法を用いて算出し、そのうちより高い方が当社のリスク・ベースの自己資本要件に反映され
る。1つ目の計算(手法1)は、特に各G-SIBの規模、活動および複雑性の測定値に依拠するバーゼル委員会の
手法に基づいている。2つ目の計算(手法2)は、同様のデータを用いるが、短期ホールセール資金調達への依
拠に係る測定値を含んでいる。
当社の2021年度の「総合的な資本分析およびレビュー」の提出に基づいて、FRBは2021年10月1日から2022年9月
30日までの期間の当社のSCBを6.4%に設定した。その結果、2021年10月1日以降、当社の標準的要件は、CET1資本
比率が13.4%、Tier1資本比率が14.9%、総自己資本比率が16.9%になる。
以下の表は、リスク・ベースの自己資本比率に関する情報を表示している。
242/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
(単位:百万ドル) 標準的自己資本規則 先進的自己資本規則
2021 年6月現在
CET1 資本 $ 89,440 $ 89,440
Tier1 資本 $ 98,514 $ 98,514
Tier2 資本 $ 14,965 $ 12,747
総自己資本 $ 113,479 $ 111,261
RWA $ 621,335 $ 667,143
CET1 資本比率 14.4 % 13.4 %
Tier1 資本比率 15.9 % 14.8 %
総自己資本比率 18.3 % 16.7 %
2020 年12月現在
CET1 資本 $ 81,641 $ 81,641
Tier1 資本 $ 92,730 $ 92,730
Tier2 資本 $ 15,424 $ 13,279
総自己資本 $ 108,154 $ 106,009
RWA $ 554,162 $ 609,750
CET1 資本比率 14.7 % 13.4 %
Tier1 資本比率 16.7 % 15.2 %
総自己資本比率 19.5 % 17.4 %
上記の表において、FRBにより認められているとおり、当社は、CECLの適用による規制上の自己資本への見積影響
額を2022年1月まで一時的に延期し、その後2025年1月までに段階的に導入することを選択した。さらに、2020年
度および2021年度において、FRBが公表した規則で認められているとおり、当社は規制上の自己資本について2020
年1月1日以降の信用損失引当金の増加額の25%相当を積み増すことを選択した。この増加の影響も、3年間の移
行期間にわたって段階的に導入される。2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、CECLの全面的な影
響を反映しても、当社の自己資本比率に重大な影響はなかった。
レバレッジ比率: 以下の表は、レバレッジ要件を示したものである。
要件
Tier1 レバレッジ比率
4.0 %
SLR 5.0 %
上記の表において、SLRの要件である5%には、最小比率3%およびG-SIBに適用されるバッファー2%が含まれ
る。
以下の表は、レバレッジ比率に関する情報を示したものである。
以下で終了した3ヵ 月 間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年12月
Tier1 資本 $ 98,514 $ 92,730
平均資産合計 $ 1,358,068 $ 1,152,785
Tier1 資本からの控除額 (5,003) (4,948)
平均調整後資産合計 1,353,065 1,147,837
SLR の一時的な改定の影響額 – (202,748)
平均オフバランスシート・エクスポージャー 424,376 387,848
レバレッジ・エクスポージャー合計 $ 1,777,441 $ 1,332,937
Tier1 レバレッジ比率 7.3 % 8.1 %
SLR 5.5 % 7.0 %
上記の表において、
・平均資産合計は、CECLへの移行の影響を調整した四半期中の平均日次資産を表している。
・SLRの一時的な改定の影響額は、FRBにより認められた米国財務省証券の平均保有額と連邦準備銀行への平均預金
の除外による影響額を表していた。この一時的な改定の影響により、2020年12月に終了した3ヵ月間の当社の
SLRが約1.0パーセント・ポイント上昇した。2021年4月1日より、この除外を認める改定は失効し、その結果、
2021年6月に終了した3ヵ月間のSLRは、そのような資産の保有額を除外する一時的な改定の影響を反映しな
かった。
・平均オフバランスシート・エクスポージャーは、月次平均を表し、デリバティブ、証券金融取引、コミットメン
トおよび保証で構成される。
・Tier1レバレッジ比率は、Tier1資本を平均調整後資産合計で除したものとして定義される。
243/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
・SLRは、Tier1資本をレバレッジ・エクスポージャー合計で除したものとして算定されている。
リスク・ベースの資本比率: 以下の表は、リスク・ベースの資本に関する情報を表示している。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
普通株主資本 $ 92,687 $ 84,729
CECL への移行の影響額 1,041 1,126
のれんの控除額 (3, 657 ) (3,652)
識別可能無形資産の控除額 (504) (601)
その他の調整 (127) 39
CET1 資本 89,440 81,641
優先株式 9,203 11,203
カバード・ファンドに対する投資の控除額 (126) (106)
その他の調整 (3) (8)
Tier1 資本 $ 98,514 $ 92,730
標準的自己資本規則に基づくTier2資本および総自己資本
Tier1 資本 $ 98,514 $ 92,730
適格劣後債
12,077 12,196
下位劣後債
94 188
信用損失引当金 2,841 3,095
その他の調整 (47) (55)
標準的自己資本規則に基づくTier2資本
14,965 15,424
標準的自己資本規則に基づく総自己資本
$ 113,479 $ 108,154
先進的自己資本規則に基づくTier2資本および総自己資本
Tier1 資本 $ 98,514 $ 92,730
標準的自己資本規則に基づくTier2資本
14,965 15,424
信用損失引当金 (2,841) (3,095)
その他の調整 623 950
先進的自己資本規則に基づくTier2資本
12,747 13,279
先進的自己資本規則に基づく総自己資本
$ 111,261 $ 106,009
上記の表において、
・CECLへの移行の影響額は、2020年1月1日現在の適用の影響および規制上の自己資本について2020年1月1日以
降の信用損失引当金の増加額の25%相当を積み増したことによる影響を表している。標準的自己資本規則と先進
的自己資本規則に基づくTier2資本内の信用損失引当金にも、これらの調整の影響が反映されている。
・のれんの控除額は、2021年6月および2020年12月現在、それぞれ675百万ドルおよび680百万ドルの繰延税金負債
控除後の金額である。
・識別可能無形資産の控除額は、2021年6月および2020年12月現在、それぞれ19百万ドルおよび29百万ドルの繰延
税金負債控除後の金額である。
・カバード・ファンドに対する投資の控除額は、該当するカバード・ファンドに対する当社の投資総額を表す(経
過期間延長の対象となる投資を除く)。ボルカー・ルールの詳細については注記8を参照のこと。
・CET1資本およびTier1資本に含まれるその他の調整には、主にデリバティブ負債に係る信用評価調整、当社の確
定給付型年金制度債務の積立超過額(関連する繰延税金負債考慮後)、規則上認められない繰延税金資産、債務
評価調整ならびにその他に要求される信用リスク・ベースの控除額が含まれている。先進的自己資本規則に基づ
くTier2資本に含まれるその他の調整には、適格な信用引当金が含まれている。
・適格劣後債は、グループ・インクが発行する当初の満期が5年以上の劣後債である。Tier2資本として適格な劣
後債の残高は、5年の満期に到達した時点で減額される。当社の劣後債の詳細については、注記14を参照のこ
と。
・下位劣後債はトラストに発行された債券である。2021年6月現在、当該債務の10%がTier2資本に含まれ、90%
が規制上の自己資本から除外された。2020年12月現在、当該債務の20%がTier2資本に含まれ、80%が規制上の
自己資本から除外された。下位劣後債は、当社が購入した信託優先証券の金額により減額され、その全額が、
2022年までにTier2資本から段階的に除外される。当社の下位劣後債および信託優先証券に関する詳細について
は、注記14を参照のこと。
244/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
CET1 資本、Tier1資本およびTier2資本の変動は以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 標準的自己資本規則 先進的自己資本規則
2021 年6月に終了した6ヵ月間
CET1 資本
期首残高 $ 81,641 $ 81,641
以下の変動:
普通株主資本 7,958 7,958
CECL への移行の影響額 (85) (85)
のれんの控除額 (5) (5)
識別可能無形資産の控除額 97 97
その他の調整 (166) (166)
期末残高 $ 89,440 $ 89,440
Tier1 資本
期首残高 $ 92,730 $ 92,730
以下の変動:
CET1 資本 7,799 7,799
カバード・ファンドに対する投資の控除額 (20) (20)
優先株式 (2,000) (2,000)
その他の調整
5 5
期末残高 98,514 98,514
Tier2 資本
期首残高 15,424 13,279
以下の変動:
適格劣後債 (119) (119)
下位劣後債 (94) (94)
信用損失引当金 (254) –
その他の調整 8 (319)
期末残高 14,965 12,747
総自己資本
$ 113,479 $ 111,261
2020 年12月終了年度
CET1 資本
期首残高 $ 74,850 $ 74,850
以下の変動:
普通株主資本 5,667 5,667
CECL への移行の影響額 1,126 1,126
のれんの控除額
(123) (123)
識別可能無形資産の控除額 3 3
その他の調整 118 118
期末残高 $ 81,641 $ 81,641
Tier1 資本
期首残高 $ 85,440 $ 85,440
以下の変動:
CET1 資本 6,791 6,791
カバード・ファンドに対する投資の控除額 504 504
その他の調整
(5) (5)
期末残高 92,730 92,730
Tier2 資本
期首残高 14,925 13,473
以下の変動:
適格劣後債 (651) (651)
下位劣後債 (96) (96)
信用損失引当金 1,293 –
その他の調整 (47) 553
期末残高 15,424 13,279
総自己資本
$ 108,154 $ 106,009
リスク・ウェイト資産: RWA は標準的自己資本規則と先進的自己資本規則の両方に基づいて算定されている。
信用リスク
信用RWAは、エクスポージャーの測定に基づいて算定され、その後、標準的自己資本規則と先進的自己資本規則に
基づいてリスク・ウェイトがなされる。
・標準的自己資本規則は、主に取引相手先の区分に応じて、規定のリスク・ウェイトを使用している。デリバティ
ブおよび証券金融取引に係るエクスポージャーの測定は、特定の要素を考慮した個別の算定式に基づく。
・先進的自己資本規則に基づいて、当社は、ホールセールおよびリテールの信用エクスポージャーのリスク・ウェ
イトを、先進的な内部格付手法に基づいて算定する。デリバティブおよび証券金融取引に係るエクスポージャー
の測定は内部モデルを使用して算定される。
245/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
・標準的自己資本規則と先進的自己資本規則の両方に基づいて算定される信用RWAに関して、証券化および株式の
リスク・ウェイトは、個別に要求される算定式によるアプローチに基づいている。
市場リスク
標準的自己資本規則に基づく市場リスクのRWAの計算方法と先進的自己資本規則に基づく市場リスクのRWAの計算方
法は概ね一致している。市場RWAは、以下を含むエクスポージャーの測定値に基づいて算定される。
・バリュー・アット・リスク(以下「VaR」という。)は、特定の信頼水準のもとで一定期間中に市場が不利に推
移した場合に、トレーディング資産およびトレーディング負債、ならびに公正価値で会計処理される特定の投
資、ローン、その他の金融資産および金融負債に生じる価値の潜在的な損失を示すものである。
当社は、リスク管理目的と規制上の自己資本の算出の両方のために、金利、株価、為替レートおよびコモディティ
価格に関連するものを含むリスクを捉える単一のVaRモデルを使用する。しかし、リスク管理目的のために使用さ
れるVaRは、対象期間、信頼水準およびVaRが算出されるポジションの範囲の相違により、自己資本規制のために使
用されるVaR(以下「規制上のVaR」という。)とは異なる。リスク管理目的上は、期間1日、信頼水準95%のVaR
が用いられるのに対し、自己資本規制については、期間10日、信頼水準99%のVaRが市場RWAの算定に、期間1日、
信頼水準99%のVaRが規制上のVaR例外値の算定に用いられる。また、リスク管理上のVaR例外値の算定に用いる1
日の純収益(すなわち、1日の純収益を、その前営業日の終了時点に算出されたVaR指標と比較している)には日
中の取引が含まれるが、自己資本規制の枠組では、規制上のVaR例外値を算定する際に、1日の純収益から日中の
取引を除外するよう要求されている。日中の取引には売買純収益が含まれるが、それは取引の性質からプラスとな
る可能性が比較的高い。したがって、VaR例外値と1日の純収益の金額は、規制上のVaRに関して算定される数値と
リスク管理上のVaRに関して算定される数値とで差異が生じる場合がある。
計測された1日における当社のポジションの損失は、2021年6月に終了した6ヵ月間においては、期間1日、信頼
水準99%の規制上のVaRを超過せず、2020年度においては、期間1日、信頼水準99%の規制上のVaRを超過した事例
が6件あった(すべて2020年3月に発生し、FRBに認められているとおり、市場RWAの計算に用いられる当社のVaR
倍率への影響はなかった。)。
・ストレスVaRは、重要な市場ストレス時のトレーディング資産およびトレーディング負債、ならびに公正価値で
会計処理される特定の投資、ローン、その他の金融資産および金融負債の価値の潜在的な損失である。
・追加的リスクは、1年間の観測期間中の金融商品発行体のデフォルトまたは格付遷移を原因とする非証券化商品
のポジションの価値の潜在的な損失である。
・包括的リスクは、価格リスクおよびデフォルトを原因とする、当社のクレジット相関ポジションの価値の潜在的
な損失である。
・個別リスクは、市場全体の変動以外の要因によって生じうる、一定のポジションに係る損失のリスクであり、イ
ベント・リスク、債務不履行リスクおよび固有リスクを含む。標準的な測定方法は、個別リスクのRWAを決定す
るために、適用されるネッティング後に監督当局による所定のリスク加重要素を適用することにより用いられ
る。
オペレーショナル・リスク
オペレーショナルRWAは、先進的自己資本規則に基づく場合にのみ含めることが要求されている。当社は、内部リ
スク・ベースのモデルを用いてオペレーショナルRWAを数値化している。
RWA に関する情報は以下のとおりである。
(単位:百万ドル) 標準的自己資本規則 先進的自己資本規則
2021 年6月現在
信用RWA
デリバティブ $ 128,830 $ 110,132
コミットメント、保証およびローン 197,151 168,796
証券金融取引 77,787 15,363
持分投資 55,578 62,005
その他 71,705 89,350
信用RWA合計 531,051 445,646
市場RWA
規制上のVaR 15,771 15,771
ストレスVaR 51,917 51,917
追加的リスク 7,704 7,704
包括的リスク 2,164 2,164
246/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
個別リスク 12,728 12,728
市場RWA合計 90,284 90,284
オペレーショナルRWA合計 – 131,213
RWA 合計 $ 621,335 $ 667,143
2020 年12月現在
信用RWA
デリバティブ $ 120,292 $ 111,691
コミットメント、保証およびローン 176,501 151,587
証券金融取引 71,427 16,568
持分投資 46,944 49,268
その他 70,274 83,599
信用RWA合計 485,438 412,713
市場RWA
規制上のVaR 14,913 14,913
ストレスVaR 31,978 31,978
追加的リスク 7,882 7,882
包括的リスク 1,758 1,758
個別リスク 12,193 12,193
市場RWA合計 68,724 68,724
オペレーショナルRWA合計 – 128,313
RWA 合計 $ 554,162 $ 609,750
上記の表において、
・証券金融取引は、売戻条件付契約および買戻条件付契約ならびに借入有価証券担保金取引および貸付有価証券担
保金取引を示している。
・その他には、受取債権、特定の債券、現金および現金同等物ならびにその他資産が含まれる。
247/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
RWA の変動は、以下の表のとおりである。
標準的自己資本規則
(単位:百万ドル) 先進的自己資本規則
2021 年6月に終了した6ヵ月間
RWA
期首残高 $ 554,162 $ 609,750
信用RWA
以下の変動:
デリバティブ 8,538 (1,559)
コミットメント、保証およびローン 20,650 17,209
証券金融取引 6,360 (1,205)
持分投資 8,634 12,737
その他 1,431 5,751
信用RWAの変動 45,613 32,933
市場RWA
以下の変動:
規制上のVaR 858 858
ストレスVaR 19,939 19,939
追加的リスク (178) (178)
包括的リスク 406 406
個別リスク 535 535
市場RWAの変動 21,560 21,560
オペレーショナルRWAの変動 – 2,900
期末残高 $ 621,335 $ 667,143
2020 年12月終了年度
RWA
期首残高 $ 563,575 $ 544,653
信用RWA
以下の変動:
デリバティブ (614) 39,060
コミットメント、保証およびローン (3,239) 17,131
証券金融取引 5,560 2,734
持分投資 (9,870) (12,624)
その他 (5,386) 5,333
信用RWAの変動 (13,549) 51,634
市場RWA
以下の変動:
規制上のVaR 5,980 5,980
ストレスVaR 1,067 1,067
追加的リスク 3,574 3,574
包括的リスク 365 567
個別リスク (6,850) (6,850)
市場RWAの変動 4,136 4,338
オペレーショナルRWAの変動 – 9,125
期末残高 $ 554,162 $ 609,750
RWA の推移の説明
2021 年6月に終了した6ヵ月間: 2021 年6月現在の標準的自己資本規則に基づく信用RWAは2020年12月と比較して
456.1億ドル増加したが、これは主に、コミットメント、保証およびローン残高が増加したこと(貸付活動の増加
を主要因とする)、デリバティブが増加したこと(エクスポージャーの増加を主要因とする)、持分投資が増加し
たこと(利益に伴うエクスポージャーの増加を主要因とするが、売却により一部相殺されている)、および証券金
融取引が増加したこと(エクスポージャーの増加を主要因とする)を反映している。2021年6月現在の標準的自己
資本規則に基づく市場RWAは2020年12月と比較して215.6億ドル増加したが、これは主に、ストレスVaRが増加した
こと(金利に対するエクスポージャーの増加を主要因とする)を反映している。
2021 年6月現在の先進的自己資本規則に基づく信用RWAは2020年12月と比較して329.3億ドル増加したが、これは主
に、コミットメント、保証およびローン残高が増加したこと(貸付活動の増加を主要因とする)、持分投資が増加
したこと(利益に伴うエクスポージャーの増加を主要因とするが、売却により一部相殺されている)、その他の信
用RWAが増加したこと(社債、顧客およびその他に対する受取債権エクスポージャーの増加を主要因とする)を反
映している。2021年6月現在の先進的自己資本規則に基づく市場RWAは2020年12月と比較して215.6億ドル増加した
が、これは主に、ストレスVaRが増加したこと(金利に対するエクスポージャーの増加を主要因とする)を反映し
ている。
2020 年12月終了年度: 2020 年12月現在の標準的自己資本規則に基づく信用RWAは2019年12月と比較して135.5億ドル
減少したが、これは主に、株式投資が減少したこと(特定の株式ポジションの売却を主要因とする)、ならびにそ
の他投資が減少したこと(リスク測定値の変動による受取債権の減少を主要因とする)を反映している。これらの
248/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
減少は、証券金融取引の増加(資金調達エクスポージャーの増加を主要因とする)により一部相殺されている。
2020年12月現在の標準的自己資本規則に基づく市場RWAは2019年12月と比較して41.4億ドル増加したが、これは主
に、 規制上のVaRが増加したこと(市場のボラティリティの増加を主要因とする)、ならびに追加的リスクが増加
したこと(マーケット・メイキング目的で保有する株式のエクスポージャーの増加を主要因とする)を反映してい
る。これらの増加は、個別リスクの減少(特定のエクスポージャーのリスク測定値の変動を主要因とする)により
一部相殺されている。
2020 年12月現在の先進的自己資本規則に基づく信用RWAは2019年12月と比較して516.3億ドル増加したが、これは主
に、デリバティブが増加したこと(ボラティリティと取引相手先の信用リスクがより高水準であったことによる影
響を主要因とする)、ならびにコミットメント、保証およびローン残高が増加したこと(貸付活動の増加を主要因
とする)を反映している。これらの増加は、株式投資の減少(特定の株式ポジションの売却を主要因とする)によ
り一部相殺されている。2020年12月現在の先進的自己資本規則に基づく市場RWAは2019年12月と比較して43.4億ド
ル増加したが、これは主に、規制上のVaRが増加したこと(市場のボラティリティの増加を主要因とする)、なら
びに追加的リスクが増加したこと(マーケット・メイキング目的で保有する株式のエクスポージャーの増加を主要
因とする)を反映している。これらの増加は、特定のエクスポージャーのリスク測定値の変動を主要因とする個別
リスクの減少により一部相殺されている。2020年12月現在の先進的自己資本規則に基づくオペレーショナルRWAは
2019年12月と比較して91.3億ドル増加した。この増加の大部分は、訴訟および規制当局による手続きに関連したも
のであった。
銀行子会社
規制上の自己資本比率: 当社の米国における主な銀行子会社であり、FDICの保証を受けており、ニューヨーク州認
定の銀行であり、連邦準備制度の会員であるGSバンクUSAは、FRB、FDIC、ニューヨーク州金融サービス局(以下
「NYDFS」という。)および消費者金融保護局による監督および規制の対象であり、自己資本規制の枠組に基づい
て計算される自己資本規制の対象となっている。GSバンクUSAは自己資本規制の枠組に基づき先進的手法を導入し
ている金融機関とされる。
自己資本規制の枠組には、リスク・ベースの最低自己資本要件および資本保全バッファー要件(2.5%のバッ
ファーおよびカウンターシクリカル資本バッファーで構成)が含まれている。当該バッファーは、CET1の要件を満
たす資本のみから構成されなければならない。さらに、自己資本規制の枠組にはレバレッジ比率要件も含まれてい
る。
GS バンクUSAは、CET1資本、Tier1資本および総自己資本比率を標準的自己資本規則と先進的自己資本規則の双方に
基づいて算定することが求められている。標準的自己資本規則と先進的自己資本規則に基づいて算定されたリス
ク・ベースの各自己資本比率のうち、いずれか低い方が、GSバンクUSAのリスク・ベースの自己資本規制の遵守に
おける評価対象の比率となる。さらに、GSバンクUSAに適用される早期是正措置に関する規制上の枠組において、
「十分な自己資本水準」の預金受入機関とみなされる定量的要件を満たすためには、GSバンクUSAは、下表の「十
分な自己資本水準」に関する要件も満たさなければならない。GSバンクUSAの資本水準および早期是正措置による
分類も、自己資本の構成要素、リスク・ウェイトおよびその他の要素に関する監督機関による定性的判断の対象と
なっている。以下に記載のバッファーの違反を含め、自己資本規制を遵守できない場合、当該規制当局から制限を
課される可能性がある。
以下の表は、GSバンクUSAのリスク・ベースの自己資本要件、レバレッジ要件および「十分な自己資本水準」に関
する要件を示したものである。
249/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
要件 「十分な自己資本水準」に関する要件
リスク・ベースの自己資本要件
CET1 資本比率 7.0 % 6.5 %
Tier1 資本比率 8.5 % 8.0 %
総自己資本比率
10.5 % 10.0 %
レバレッジ要件
Tier1 レバレッジ比率
4.0 % 5.0 %
SLR 3.0 % 6.0 %
上記の表において、
・CET1資本比率要件には最小比率4.5%、Tier1資本比率要件には最小比率6.0%、総自己資本比率要件には最小比
率8.0%が含まれている。これらの要件にはまた、バッファー2.5%およびFRBが0%に設定したカウンターシク
リカル資本バッファーで構成される資本保全バッファー要件も含まれている。
・「十分な自己資本水準」に関する要件は、レバレッジ比率について拘束力のある規制である。
以下の表は、GSバンクUSAのリスク・ベースの自己資本比率に関する情報を表示している。
(単位:百万ドル) 標準的自己資本規則 先進的自己資本規則
2021 年6月現在
CET1 資本 $ 32,593 $ 32,593
Tier1 資本 $ 32,593 $ 32,593
Tier2 資本 $ 6,148 $ 4,688
総自己資本 $ 38,741 $ 37,281
RWA $ 295,470 $ 193,398
CET1 資本比率 11.0 % 16.9 %
Tier1 資本比率 11.0 % 16.9 %
総自己資本比率 13.1 % 19.3 %
2020 年12月現在
CET1 資本 $ 30,656 $ 30,656
Tier1 資本 $ 30,656 $ 30,656
Tier2 資本 $ 6,288 $ 4,903
総自己資本 $ 36,944 $ 35,559
RWA $ 266,153 $ 165,799
CET1 資本比率 11.5 % 18.5 %
Tier1 資本比率 11.5 % 18.5 %
総自己資本比率 13.9 % 21.4 %
上記の表において、
・リスク・ベースの自己資本規則により、標準的自己資本規則または先進的自己資本規則に基づいて算定された比
率のうち、いずれか低い方がGSバンクUSAの自己資本規制の遵守における評価対象の比率となるため、GSバンク
USAには、2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても標準的自己資本規則に基づく比率が適用され
た。
・FRBに認められているとおり、GSバンクUSAは、CECLの適用による規制上の自己資本への見積影響額を2022年1月
まで一時的に延期し、その後2025年1月まで段階的に導入することを選択した。さらに、2020年度および2021年
度において、FRBが公表した規則で認められているとおり、GSバンクUSAは規制上の自己資本について2020年1月
1日以降の信用損失引当金の増加額の25%相当を積み増すことを選択した。この増加の影響も、3年間の移行期
間にわたって段階的に導入される。2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、CECLの全面的な影響
を反映しても、GSバンクUSAの標準的自己資本規則に基づくリスク・ベースの自己資本比率に重大な影響はな
かった。
・標準的および先進的自己資本規則に基づくリスク・ベースの自己資本比率は、2020年12月から2021年6月にかけ
て減少したが、これは信用RWAと市場RWAの両方が増加したことを反映しており、当期純利益およびグループ・イ
ンクからの資本拠出を反映した自己資本の増加によって一部相殺された。
250/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
以下の表は、GSバンクUSAのレバレッジ比率に関する情報を表示している。
以下で終了した3ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年12月
Tier1 資本 $ 32,593 $ 30,656
平均調整後資産合計 $ 306,095 $ 283,869
レバレッジ・エクスポージャー合計 $ 512,063 $ 343,198
Tier1 レバレッジ比率 10.6 % 10.8 %
SLR 6.4 % 8.9 %
上記の表において、
・平均調整後資産合計は、四半期中の平均日次資産をTier1資本からの控除およびCECLへの移行の影響について調
整したものを表している。
・2020年12月に終了した3ヵ月間のレバレッジ・エクスポージャー合計は、一時的な改定に基づきFRBによって認
められた米国財務省証券の平均保有額および連邦準備銀行への平均預金を除外している。この一時的な改定の影
響は、2020年12月に終了した3ヵ月間のGSバンクUSAのSLRが約2.4パーセント・ポイント上昇したことである。
2021年4月1日より、この除外を認める改定は失効し、その結果、2021年6月に終了した3ヵ月間のSLRは、そ
のような資産の保有額を除外する一時的な改定の影響を反映しなかった。
・Tier1レバレッジ比率は、Tier1資本を平均調整後資産合計で除したものとして算定されている。
・SLRは、Tier1資本をレバレッジ・エクスポージャー合計で除したものとして算定されている。
当社の米国外の主要銀行子会社であるGSIBおよびGSBEも、自己資本規制の対象である。GSIBは健全性監督機構(以
下「PRA」という。)および金融行為監督機構(以下「FCA」という。)の規制対象である。GSBEは欧州中央銀行の
直接の監督下にあり、EU単一監督メカニズムの観点から、BaFin(ドイツ連邦金融監督庁)およびドイツ連邦銀行
の監督下にもある。2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、GSIBおよびGSBEは該当する自己資本規
制を遵守していた。
その他: GS バンクUSAの預金は、法律で規定される範囲でFDICによって保証されている。FRBは、連邦準備銀行に預
金準備金を保持することをGSバンクUSAに求めている。2021年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、預
金準備率は0%であった。GSバンクUSAが連邦準備銀行に保有する預金残高は、2021年6月および2020年12月現
在、それぞれ1,330.9億ドルおよび527.1億ドルであった。
支払制限
グループ・インクは、規制上、税務上、またはその他の制約の結果、特定の子会社が保有する資金へアクセスする
能力を制限される可能性がある。これらの制限には、当該子会社が規制当局から事前承認を得ずに配当金を宣言し
支払う能力を制限する法律および規制の条項ならびに規制上のその他の制約が含まれる。例えば、GSバンクUSAが
支払うことができる配当金額は、直近収益テストおよび未配分利益テストに基づき算定された金額のどちらか低い
方に制限される。2021年7月1日のGSバンクUSAによるGSBEの買収に関連して、グループ・インクは同日にGSバン
クUSAに330億ドルの現金資本拠出を行った。当該買収以降当報告書日まで、GSバンクUSAはグループ・インクに約
330億ドルの配当を宣言し支払を行った。これは主に、買収日にGSBEが保有していた資産のその後の満期または決
済を反映している。したがって、GSバンクUSAは現在、規制当局から事前承認を得ずに追加の配当を宣言すること
はできない。
さらに、個別の規制上の資本要件が適用されない子会社は、各地方の税務上および法律上のガイドラインや(信用
格付の対象である企業の場合は)格付機関の要件を満たすために、または各子会社がそれぞれのリスクに応じて保
有すべき最低資本に関する方針を含む様々な社内方針を遵守するために、資本を維持することがある。
子会社に対するグループ・インクの持分投資は、2021年6月および2020年12月現在、それぞれ1,111.0億ドルおよ
び1,038.0億ドルであり、このうち、グループ・インクは、2021年6月および2020年12月現在、規制対象子会社の
自己資本規制要件を満たすためにこれらの子会社においてそれぞれ722.6億ドルおよび636.8億ドルの最低資本を維
持するよう求められていた。
一部の米国以外の子会社に対するグループ・インクの資本投資には外国為替リスクが伴い、このリスクのほぼすべ
ては、デリバティブと米ドル以外の通貨建ての債券との組み合わせを通じて管理される。このリスクをヘッジする
ために用いられる当社の純投資ヘッジに関する情報については、注記7を参照のこと。
251/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
注記21
普通株式1株当たり利益
基本普通株式1株当たり利益は、普通株式に係る当期純利益を流通普通株式および普通株式交付の条件として将来
の役務提供または履行条件の充足が要求されないRSU(以下総称して「基本株式」という。)の加重平均株数で除
して算出される。希薄化後普通株式1株当たり利益は、基本普通株式1株当たり利益の算定方法を基にしており、
また、普通株式交付の条件として将来の役務提供または履行条件の充足が要求されるRSUについて交付可能な普通
株式の希薄化効果を反映している。
基本および希薄化後普通株式1株当たり利益の情報は、以下の表のとおりである。
以下で終了した6ヵ月間
百万ドル(1株当たり金額を除く)
2021 年6月 2020 年6月
普通株式に係る当期純利益 $ 12,058 $ 1,320
基本株式の加重平均株数 353.6 356.8
希薄化効果のあるRSU 4.8 –
希薄化後普通株式の加重平均株数 358.4 356.8
基本普通株式1株当たり利益
$ 34.06 $ 3.66
希薄化後普通株式1株当たり利益
$ 33.64 $ 3.66
上記の表において、
・普通株式に係る当期純利益は、普通株主に帰属する当期純利益を表し、当期純利益から優先株式に係る配当金を
差し引いたものとして計算される。
・配当金または配当金相当に対して失権しない受給権を持つ権利未確定の株式報奨は、2クラスに分ける方法によ
り別のクラスの有価証券として扱われている。これらの有価証券に配分された当期純利益は、この方法での普通
株式1株当たり利益の算定において、普通株式に係る当期純利益を減少させる。この方法の適用の影響により、
2021年6月に終了した6ヵ月間において基本普通株式1株当たり利益が0.04ドル減少し、2020年6月に終了した
6ヵ月間において基本および希薄化後普通株式1株当たり利益が0.04ドル減少した。
・希薄化後普通株式1株当たり利益には、2021年6月および2020年6月に終了した6ヵ月間において、それぞれ約
0.1百万株および7.5百万株の逆希薄化効果のあるRSUは含まれていない。
252/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
注記22
関連ファンドとの取引
当社は、第三者である投資家とともに、非連結の投資ファンドを設立している。当社は通常、これらファンドの投
資運用会社となっているため、運用報酬、また特定の場合においては、アドバイザリー報酬または成功報酬をこれ
らファンドから受取る権利を有している。さらに当社は、第三者である投資家とともに、一部のファンドに対する
投資を行っている。
関連ファンドに関する情報は以下の表のとおりである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
ファンドからの報酬 $ 1,601 $ 1,725
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
ファンドに対する未収報酬 $ 932 $ 803
ファンドに対する当社持分の帳簿価額総額
$ 5,419 $ 5,068
当社は、これらのファンドにおける投資家の利回りを高めるために、定期的に、特定のマネー・マーケット・ファ
ンドに係る一部の運用報酬の放棄を決定する場合がある。2021年6月および2020年6月に終了した6ヵ月間に放棄
された運用報酬は、それぞれ266百万ドルおよび31百万ドルであった。
ボルカー・ルールでは、当社が経過期間の終了後にカバード・ファンド(ボルカー・ルールにより定義される)に
金融支援を提供することが禁じられる。一般的に、通常の営業活動において、当社はいかなるカバード・ファンド
にも任意の金融支援を追加提供するとは予想していないが、ボルカー・ルールの対象ではないファンドについては
金融支援の追加提供を選択する可能性がある。しかし、そのような支援は当社の経営成績に重要な影響を与えると
は予想していない。
2020 年3月、GSバンクUSAおよび非関連会社は、当社が運用する2つのマネー・マーケット・ファンドから譲渡性
預金証書およびコマーシャル・ペーパーを購入した。これらのファンドはボルカー・ルールのもとではカバード・
ファンドではない。GSバンクUSAによるこれらの有価証券の購入価額は18.4億ドルであり、そのうち2021年6月現
在未払いのものはなく、2020年12月現在321百万ドルが未払いであった。これらの購入は、短期信用市場の流動性
を促進し、ファンドの週次流動資産を増加させるために行われた。グループ・インクは、これらの有価証券に関連
して、GSバンクUSAに保証を提供した。グループ・インクが子会社に提供している保証の詳細については注記18を
参照のこと。
2021 年6月および2020年12月現在のいずれにおいても、当社には、ボルカー・ルールで認められる当社のファンド
のための保証債務の残高が87百万ドルあった。当社はこの保証を、ボルカー・ルールの対象ではない当社の不動産
ファンドの1つにより実行された第三者の貸手との融資契約に関連して任意で提供した。上記を除いて、2021年6
月に終了した6ヵ月間および2020年12月終了年度のいずれにおいても、当社は関連ファンドに対していかなる金融
支援の追加提供も行っていない。
さらに、通常の営業活動において、当社は関連ファンドと、とりわけ有価証券貸付、取引執行、マーケット・メイ
キング、カストディ業務、買収およびブリッジ・ファイナンスを含む他の業務に従事することもある。これらの
ファンドに関する当社の投資コミットメントについての詳細は注記18を参照のこと。
253/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
注記23
受取利息および支払利息
利息は、契約上の金利に基づいて商品の存続期間にわたり発生主義で計上される。
受取利息および支払利息の内訳は以下の表のとおりである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
銀行預金 $ 4 $ 223
担保付契約 (431) 518
トレーディング資産 2,323 2,830
投資 885 792
ローン 2,515 2,538
その他受取利息
697 883
受取利息合計 5,993 7,784
預金 659 1,477
担保付借入金 8 520
トレーディング負債 745 586
短期借入金 318 299
長期借入金 1,634 2,236
その他支払利息
(482) 409
支払利息合計 2,882 5,527
受取利息純額 $ 3,111 $ 2,257
上記の表において、
・担保付契約には、借入有価証券担保金に係る支払リベートおよび受取利息が含まれる。
・ローンは、取得原価と公正価値のいずれか低い方の金額で会計処理される売却目的保有貸付金に係る利息を除
く。当該利息は、その他受取利息に含まれている。
・その他受取利息には、顧客の借方残高、その他の利付資産および取得原価と公正価値のいずれか低い方の金額で
会計処理される売却目的保有貸付金の受取利息が含まれている。
・担保付借入金は、買戻条件付有価証券および貸付有価証券担保金で構成される。
・長短借入金は、有担保借入金および無担保借入金の両方を含んでいる。
・その他支払利息には、その他有利子負債に係る受取リベートおよび顧客の預金残高に係る支払利息が含まれる。
注記24
法人税等
法人税等
法人税等は資産負債法を用いて引当計上されており、資産および負債の財務報告上と税務上との一時差異につい
て、繰延税金資産および負債が認識される。当社では、法人税に関連する支払利息を法人税等に、法人税課徴金を
その他費用に計上している。
繰延税金
繰延税金は、資産および負債の財務報告上と税務上との一時差異による正味の税効果を反映する。これらの一時差
異により、将来の事業年度における課税対象の金額または損金算入の金額が生じ、そうした一時差異の解消が予想
される事業年度に適用予定の税率および法令に基づいて測定される。実現の可能性が比較的高い金額まで繰延税金
資産を減少させるために、主に様々な税務管轄地域における損失の利用可能性に関して、評価性引当金が設定され
る。税金資産はその他資産に含まれ、税金負債はその他負債に含まれる。
未認識の税務上の効果
当社は、税務当局による調査においてテクニカル・メリットに基づきタックス・ポジションが認容される可能性が
比較的高い場合のみ、当該ポジションを連結財務書類上で認識する。この基準を満たすタックス・ポジションは、
調査解決時に実現する可能性が比較的高い減額効果の最大値で測定される。納税申告書におけるポジションと連結
財務書類上で認識された金額の差額に対して負債が計上される。
当局による税務調査
254/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
当社は、米国内国歳入庁(以下「IRS」という。)ならびに当社が重要な事業を行っている英国、日本、香港およ
びニューヨーク等米国内の各州におけるその他の税務当局による調査の対象となっている。調査対象となる課税年
度 は税務管轄により異なる。当社は、これらの税務調査の完了が当社の財政状態に重要な影響を与えるとは予想し
ていないが、特定の会計期間の経営成績によっては、かかる経営成績に重要な影響を与える可能性もある。
主要な税務管轄において引き続き調査対象となっている最も古い課税年度は、以下の表のとおりである。
税務管轄 2021 年6月現在
米国連邦
2011 年度
ニューヨーク州およびニューヨーク市 2015 年度
英国 2017 年度
日本 2015 年度
香港 2015 年度
当社は、2013年度から2021年度の各課税年度について、IRSのコンプライアンス・アシュアランス・プロセス・プ
ログラムへの参加を認められた。このプログラムにより、当社はIRSと協力して、納税申告書の提出前に米国連邦
税に関する潜在的な問題点を識別し、解決することが可能になる。2011年度から2017年度の課税年度に関する現地
調査は完了し、最終的な解決が実効税率に重要な影響を与えることはないと予想される。2018課税年度および2019
課税年度は引き続き申告後審査を受ける可能性がある。ニューヨーク州およびニューヨーク市の2015年度から2018
年度に関する調査は2021年度上半期に開始された。
上表の年度以降の全年度は税務当局による調査が未完了となっている。当社は、当社が設定した未認識の税務上の
効果に係る負債は追加査定額の可能性に対して十分な金額であると考えている。
注記25
事業セグメント
当社は当社の事業活動について4部門の事業セグメントで報告を行っている。投資銀行業務、グローバル・マー
ケッツ業務、資産運用業務、ならびに個人および富裕層向け金融業務である。当社の事業セグメントの情報につい
ては注記1を参照のこと。
当社のセグメント内の人件費は、特に当社全体の業績および各事業の業績を反映している。そのため、当社の事業
の1セグメントにおける税引前の利幅は、当社の他の事業セグメントの業績によって重要な影響を受ける可能性が
ある。
当社は、資産(グローバル・コア流動資産および現金、顧客向け担保付融資ならびにその他資産を含む)、収益お
よび費用を4つの事業セグメントに配分している。事業セグメントの統合的な性質上、一部の資産、収益および費
用を配分する際に見積りや判断が行われる。配分のプロセスは、セグメントの業績に対する経営陣の現在の見解に
基づいている。
普通株主資本および優先株式の配当は、関連する自己資本規制に従ってセグメントの活動を支えるために必要な資
本の見積額に基づいて各セグメントに配分される。
各セグメントの当期純利益は、各セグメントの税引前利益に全社的な税率を適用して算出している。
経営陣は、この配分が連結上の普通株式に係る当期純利益、平均普通株主資本利益率および資産合計に対する各セ
グメントの割合を合理的に示していると判断している。セグメント間の取引は特定の条件または第三者と同等の相
場に基づいている。
255/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
セグメント別の業績
以下の表は、当社のセグメント別の業績の概要を示したものである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
投資銀行業務
受取利息以外の収益 $ 7,156 $ 4,710
受取利息純額 224 131
純収益合計 7,380 4,841
信用損失引当金繰入額 (270) 1,441
営業費用 3,818 3,873
税引前当期純利益/(損失) $ 3,832 $ (473)
当期純利益/(損失) $ 3,111 $ (285)
普通株式に係る当期純利益/(損失) $ 3,072 $ (319)
平均普通株式 $ 10,078 $ 11,141
平均普通株主資本利益率 61.0 % (5.7) %
グローバル・マーケッツ業務
受取利息以外の収益 $ 11,178 $ 11,199
受取利息純額 1,303 1,140
純収益合計 12,481 12,339
信用損失引当金繰入額 (6) 251
営業費用 7,558 8,026
税引前当期純利益 $ 4,929 $ 4,062
当期純利益 $ 4,002 $ 2,442
普通株式に係る当期純利益 $ 3,851 $ 2,269
平均普通株式 $ 42,741 $ 40,970
平均普通株主資本利益率 18.0 % 11.1 %
資産運用業務
受取利息以外の収益 $ 9,445 $ 1,909
受取利息純額 301 96
純収益合計 9,746 2,005
信用損失引当金繰入額 (12) 350
営業費用 3,833 2,530
税引前当期純利益/(損失) $ 5,925 $ (875)
当期純利益/(損失) $ 4,810 $ (526)
普通株式に係る当期純利益/(損失) $ 4,757 $ (566)
平均普通株式 $ 25,092 $ 20,371
平均普通株主資本利益率 37.9 % (5.6) %
個人および富裕層向け金融業務
受取利息以外の収益 $ 2,202 $ 1,963
受取利息純額 1,283 890
純収益合計 3,485 2,853
信用損失引当金繰入額 126 485
営業費用 2,868 2,443
税引前当期純利益/(損失) $ 491 $ (75)
当期純利益/(損失) $ 399 $ (45)
普通株式に係る当期純利益/(損失) $ 378 $ (64)
平均普通株式 $ 10,335 $ 7,271
平均普通株主資本利益率 7.3 % (1.8) %
合計
受取利息以外の収益 $ 29,981 $ 19,781
受取利息純額 3,111 2,257
純収益合計 33,092 22,038
信用損失引当金繰入額 (162) 2,527
営業費用 18,077 16,872
税引前当期純利益 $ 15,177 $ 2,639
当期純利益 $ 12,322 $ 1,586
普通株式に係る当期純利益 $ 12,058 $ 1,320
平均普通株式 $ 88,246 $ 79,753
平均普通株主資本利益率 27.3 % 3.3 %
256/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
上記の表において、
・各セグメントに直接関連する収益および費用は税引前当期純利益の算定に含まれる。
・当社のセグメントの純収益には、特定のポジションから生じた現金または資金需要に関連する、当該ポジション
への受取利息および支払利息の配分が含まれる。受取利息純額は、経営陣がセグメント業績を評価する方法と整
合するように、セグメントの純収益に含まれる。
・ 営業費用合計には、訴訟および規制当局による手続に対する正味引当金が、 2020 年度上半期において 31.4 億ドル
含まれ、主に投資銀行業務およびグローバル・マーケッツ業務に反映されていた。
・特定のセグメントに直接配分できない間接費は、セグメントの直接費に基づき比例配分される。
・2021年度上半期における当社のセグメント間の普通株式の配分は、SCB規則の影響および当社のSCBの6.6%(標
準的手法に基づき2020年10月1日発効)を組み込むように当社の帰属株主資本の枠組(2021年1月1日発効)の
更新を反映したものである。上記の平均普通株式残高には、このような影響、ならびに2021年度上半期に発生し
た当社の各セグメントにおける保有資産の規模および構成の変化が組み込まれている。2021年10月1日に発効す
る当社のSCBの更新についての詳細は注記20を参照のこと。
セグメント別の減価償却費は、以下の表のとおりである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
投資銀行業務 $ 94 $ 82
グローバル・マーケッツ業務 362 280
資産運用業務 386 383
個人および富裕層向け金融業務 176 191
合計
$ 1,018 $ 936
セグメント別資産
セグメント別の資産は、以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
投資銀行業務 $ 145,836 $ 116,242
グローバル・マーケッツ業務 1,025,631 844,606
資産運用業務 96,605 95,751
個人および富裕層向け金融業務 119,850 106,429
合計 $ 1,387,922 $ 1,163,028
セグメント別のローン総額およびローンの種類、ならびにセグメント別のローン貸倒引当金は以下の表のとおりで
ある。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
投資銀行業務
企業向け $ 25,087 $ 27,866
ローン(総額) 25,087 27,866
ローン貸倒引当金 (951) (1,322)
ローン 24,136 26,544
グローバル・マーケッツ業務
企業向け 15,292 13,248
不動産 23,008 16,915
その他 5,182 3,499
ローン(総額) 43,482 33,662
ローン貸倒引当金 (442) (448)
ローン 43,040 33,214
資産運用業務
企業向け 7,435 7,545
不動産 8,678 9,125
その他 704 675
ローン(総額) 16,817 17,345
ローン貸倒引当金 (749) (787)
ローン 16,068 16,558
個人および富裕層向け金融業務
富裕層向け金融業務 39,955 33,023
割賦払い 3,257 3,823
クレジットカード 5,210 4,270
ローン(総額) 48,422 41,116
ローン貸倒引当金 (1,129) (1,317)
ローン 47,293 39,799
257/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
合計
ローン(総額) 133,808 119,989
ローン貸倒引当金 (3,271) (3,874)
ローン $ 130,537 $ 116,115
ローンの詳細については注記9を参照のこと。
地域別情報
国際金融市場は密接に関連しているため、当社では全社的な収益性に基づいて業務を管理している。当社の業務の
大部分は、顧客のニーズに円滑に対応するために国境を越えた連携を必要とするため、収益性を地域別に配分する
方法は、見積りおよび経営陣の判断に左右される。地域別の業績は通常、以下のように配分される。
・投資銀行業務:顧客および投資銀行チームの所在地。
・グローバル・マーケッツ業務:FICCおよび株式の仲介については、マーケット・メイキングを行うデスクの所在
地、FICCおよび株式による資金調達(プライム・ブローカレッジ業務による資金調達を除く)についてはデスク
の所在地、プライム・ブローカレッジ業務による資金調達については対象証券の発行市場の所在地。
・資産運用業務(株式投資ならびに貸付業務および債券投資を除く)についてはセールス・チームの所在地、株式
投資については投資対象の所在地、貸付業務および債券投資については顧客の所在地。
・個人および富裕層向け金融業務:富裕層向け金融業務については、セールス・チームの所在地、個人向け金融業
務については顧客の所在地。
地域別の純収益合計および税引前当期純利益は、以下の表のとおりである。
以下で終了した6ヵ月間
(単位:百万ドル)
2021 年6月 2020 年6月
南北アメリカ $ 20,782 63 % $ 13,460 61 %
EMEA 8,191 25 % 5,561 25 %
アジア 4,119 12 % 3,017 14 %
純収益合計 $ 33,092 100 % $ 22,038 100 %
南北アメリカ $ 9,480 62 % $ 2,404 91 %
EMEA 4,090 27 % 1,002 38 %
アジア 1,607 11 % (767) (29) %
税引前当期純利益合計 $ 15,177 100 % $ 2,639 100 %
上記の表において、
・2020年度上半期のアジアの税引前当期純利益は、訴訟および規制当局による手続に対する正味引当金の影響を受
けた。
・南北アメリカの金額は、ほぼすべてが米国に帰属するものであった。
・アジアにはオーストラリアおよびニュージーランドが含まれる。
注記26
信用の集中
当社の信用リスクの集中は、そのマーケット・メイキング、顧客取引の円滑化、投資、引受け、貸付および担保付
取引、ならびに資金管理活動から生じ、経済、業種または政治的な要因の変動の影響を受ける可能性がある。これ
らの事業活動により、当社は様々な業界や取引相手先に対するエクスポージャーにさらされ、また、当社に特定の
中央銀行、取引相手先、債務者もしくは発行体(ソブリン発行体を含む)、または特定の清算機関もしくは取引所
に対する信用リスクの集中が生じることがある。当社は、積極的にエクスポージャーをモニターし、適切と判断す
る取引相手先から担保を取得することにより、信用リスクの軽減に努めている。
当社は、信用リスクを決定する際に当社が検討するリスク軽減策を考慮した上で、当社に対する債務額に基づき信
用エクスポージャーを測定し、モニターする。かかるリスク軽減策には、ネッティングおよび担保の取決め、なら
びに信用デリバティブ、先物および先渡契約などの経済的ヘッジが含まれる。ネッティングおよび担保契約によ
り、当社は、かかる取引相手先と受取債権と支払債務を相殺すること、および(または)一括前払でもしくは条件
付で担保を受取ることができる。
トレーディング現物商品および投資における信用の集中は以下の表のとおりである。
258/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
米国政府債および政府機関債
$ 144,443 $ 187,009
資産合計に対する割合 10.4 % 16.1 %
米国以外の政府債および政府機関債
$ 70,370 $ 59,580
資産合計に対する割合 5.1 % 5.1 %
また、2021年6月および2020年12月現在、当社には、中央銀行に保有する預金残高(現金および現金同等物に含ま
れる)がそれぞれ2,022.0億ドルおよび1,166.3億ドルあり、そのうちそれぞれ1,330.9億ドルおよび527.1億ドルは
連邦準備銀行に保有している。
2021 年6月および2020年12月現在、当社は他のいずれの取引相手先についても資産合計の2%を超える信用エクス
ポージャーを有していなかった。
デリバティブ資産に関連して当社に差入れられた担保は主に現金で、当社または第三者の保管機関で保管される。
売戻条件付契約および借入有価証券取引に関連して当社に差入れられた担保は、主に米国政府債および政府機関債
ならびに米国以外の政府債および政府機関債である。担保付契約および担保付借入金の詳細については注記11を参
照のこと。
売戻条件付契約および借入有価証券取引を担保する米国政府債および政府機関債ならびに米国以外の政府債および
政府機関債は、以下の表のとおりである。
(単位:百万ドル) 2021 年6月現在 2020 年12月現在
米国政府債および政府機関債 $ 86,093 $ 60,158
米国以外の政府債および政府機関債
$ 92,458 $ 68,001
上記の表において、
・米国以外の政府債および政府機関債は主に、英国および日本の政府発行債券で構成されている。
・このような取引に係る当社の一義的な信用エクスポージャーは取引相手先に対するものであるため、当社は、取
引相手先の債務不履行の場合にのみ、担保の発行体に対するリスクにさらされることになる。
注記27
訴訟事件等
当社は、当社の業務を遂行する上で生じた事項に関する様々な司法手続、行政手続、仲裁手続(以下に記載するも
のを含む)に関与している。これらの手続の多くは初期段階にあり、またこれらの訴訟の多くは金額を特定しない
損害賠償を求めるものである。
ASC 450に基づき、「将来の事象が発生する蓋然性はほとんどないよりは高いが、ほとんど確実よりは低い」場
合、その事象は「合理的な範囲で生じる可能性がある」となり、「将来の事象が発生する蓋然性はごくわずか」の
場合、その事象は「ほとんどない」となる。したがって、当社が合理的な範囲で生じる可能性がある損失の範囲を
見積もることが可能な訴訟についての合理的な範囲で生じる可能性がある損失の範囲の上限への参照は、損失リス
クがごくわずかより高いと当社が考える訴訟についての損失の範囲の上限を意味する。
以下に記載の案件に関しては、(ⅰ)実際のまたは潜在的な原告らがある特定の金額の金銭的損害賠償を請求して
いる場合、(ⅱ)当社が有価証券の募集または売出しにおける購入者から訴訟を提起されている、または提起され
るおそれがある場合で、本来判決によって命じられた金額を全額支払うべきであると当社として考える当事者が、
当社に対して補償を行っていない場合、または(ⅲ)購入者が当社に有価証券の買戻しを要求している場合に、経
営陣は合理的な範囲で生じる可能性のある損失の範囲を見積もることができている。経営陣は、合理的な範囲で生
じる可能性がある損失の範囲の上限を、(a)(ⅰ)の場合には請求されている金銭的損害賠償の金額、(b)
(ⅱ)の場合にはかかる募集または売出しにおいて当社が販売した有価証券の当初の販売価格と、訴訟開始前にお
いてかかる有価証券のそれ以降に見積もられた最低価格との差額、(c)(ⅲ)の場合には購入者が有価証券に対
して支払った価格から、2021年6月現在の当該有価証券の見積価値があればその金額を控除した額に基づき見積っ
ており、(ⅰ)、(ⅱ)および(ⅲ)のいずれの場合も、その種の特定の案件に関連すると考えられるその他の要
因を考慮している。これらの案件および以下に記載のその他の案件で、経営陣が合理的な範囲で生じる可能性のあ
る損失合計の範囲を見積もることができたものについて、期末現在、当社は、合理的な範囲で生じる可能性がある
損失合計の範囲の上限はこれらの案件に対する引当金総額を約18億ドル超過していると見積っている。
経営陣は、上記の見積りに含まれている以外の案件について、合理的な範囲で生じる可能性がある損失の範囲を見
積ることは一般に不可能であり、それには、(i)実際のまたは潜在的な原告らがある特定の金額の金銭的賠償額
259/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
を請求していない場合(経営陣が適正な賠償額を算定できる場合を除く)、(ii)案件が初期段階にある場合、
(iii)案件が規制当局による調査または検査の対象である場合(経営陣が適正な金額を算定できる場合を除
く)、 (iv)集団訴訟が認定される可能性または集団の最終的な規模に関して不確実性がある場合、(v)係属中
の上訴または申立の結果に関して不確実性がある場合、(vi)解決すべき重要な事実関係の問題がある場合、およ
び(または)(vii)新しく法律上の問題が提示されている場合が含まれる。例えば、以下の「規制当局の調査お
よび検査ならびに関連訴訟」に記載の調査および検査に関する当社の潜在的な負債は概ね、合理的な範囲で生じる
可能性がある損失に係る経営陣の見積りには含まれていない。しかし、現在入手可能な情報に基づき、かかるその
他の案件の結果は、特定期間の当社の経営成績によっては部分的に経営成績に重要となる可能性があるが、当社の
財政状態に重要な悪影響を及ぼすことはないと経営陣は考えている。モーゲージ関連の偶発事象の詳細については
注記18を参照のこと。
1MDB関連訴訟
2012 年度から2013年度の期間において、当社の子会社は、約65億ドルの1MDBの債券のアレンジャーまたは購入者と
しての役務を担った。
2018 年11月1日、米国司法省(以下「DOJ」という。)は、当社の元常務取締役のティム・ライスナーによる犯罪情
報および有罪答弁、ならびに元常務取締役のウン・チョンファに対する起訴について開示した。2018年8月28日、
ライスナーは、共謀してマネーロンダリングを行い、米国海外腐敗行為防止法(以下「FCPA」という。)の贈収賄
防止規定および会計処理・内部統制規定に違反したとして、ニューヨーク州東部地区連邦地方裁判所から有罪判決
を受けた。ウンは、共謀してマネーロンダリングを行い、またFCPAの贈収賄防止規定および会計処理・内部統制規
定に違反したとして起訴された。2019年5月6日、ウンはDOJの刑事責任に関する起訴に対して無罪を主張した。
2020 年8月18日、当社は、当社が関与するマレーシアにおける刑事訴訟および規制上の手続を解決するため、マ
レーシア政府と和解に合意したことを発表した。この合意には、1MDBに関連して世界中の政府当局が差し押さえ
た資産からマレーシア政府が少なくとも14億ドルの資産と収入を受け取ることの保証が含まれている。
2020 年10月22日、当社は、政府および規制当局による1MDBに関連する調査について、DOJ、SEC、FRB、NYDFS、
FCA、PRA、シンガポール司法長官室、シンガポール商務省、シンガポール金融管理局、および香港証券先物委員会
との間で和解に達したことを発表した。グループ・インクは、DOJとの間で3年間の訴追延期合意を締結した。こ
の合意により、当社に対してなされている提訴(共謀してFCPAに違反したという1件の訴因)は、当社が当該合意
の条件を遵守すれば、後に取り下げられることになる。さらに、GSマレーシアは、共謀してFCPAに違反したという
1件に対して有罪を認め、2021年6月9日に判決が下された。2021年5月に、米国労働省は、適格プロフェッショ
ナル・アセット・マネジャー(以下「QPAM」という。)としての地位を維持するため、5年間の適用除外を当社に
認めた。
当社は、2018年11月以降、とりわけ1MDBへの当社の関与および当社のコンプライアンス手続に関連して、会計帳
簿に関するデラウェア州一般会社法第220条に基づき、株主を主張する者から複数の請求を受領している。2019年
12月13日、株主を主張する者が、とりわけ1MDBへの当社の関与および当社のコンプライアンス手続に関連する会
計帳簿を求める訴訟をデラウェア州衡平法裁判所において提起した。当事者らは、会計帳簿に関する請求が解決さ
れるまで訴訟を停止することに合意した。
2019 年2月19日、グループ・インクならびに当社の当時の取締役および元会長兼最高経営責任者を相手取り、1
MDBに関連する株主代表訴訟を意図した訴訟がニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に提起された。2020年11月
13日に提出された第二修正訴状では、一部の現職および元の取締役がインサイダー取引を行ったとする申立に関連
したものを含む信任義務違反、不当利得、ならびにグループ・インクの普通株式の買い戻しおよび委任状勧誘に関
連するものを含む証券取引法の詐欺防止規定の違反が行われたとの訴えがなされており、金額を特定しない損害賠
償、不当利得の返還および差止による救済を求めている。2021年1月15日、被告らは当該訴訟の却下を求める申立
を行った。
また、2019年3月以降、当社は、3名の株主から、1MDBおよび関連する内部統制に対する監視と情報公開に基づ
いて、一部の現職および元の取締役および執行役員に対する調査および申立の追及を行うよう請求を受けている。
2019年6月、取締役会はこの請求を検討する特別委員会を任命し、2021年1月、取締役会はこれを否決した。2021
年6月、当社は3名の株主と和解に達した。当初の3件の請求を拒否した取締役会の決定を受け、当社は株主を主
張する者から2件(そのうち1件は、2019年12月にデラウェア州衡平法裁判所に会計帳簿訴訟を提起した株主を主
張する者)の追加請求を受けた。追加請求では、同社の特定の現職および元の取締役および執行役員を含む他の当
260/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
事者らに対して、1MDB(および要求のうちの1件については、その他の事項)に関連する調査および申立の追及を
行うことを求めていた。
2018 年12月20日、グループ・インクならびに当社の特定の元の役員を相手取り、1MDBについてのグループ・イン
クの開示および公式声明に関して証券取引法の詐欺防止規定に違反したとして、金額を特定しない損害賠償を求
め、集団訴訟を意図した証券訴訟がニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に提起された。2019年10月28日、原告
らは第二修正訴状を提出した。2021年6月28日、裁判所は、個人の被告らのうち1名に対する申立を却下したが、
当社および残りの個人の被告らに関して却下を求める被告らの申立を退けた。
モーゲージ関連案件
2010 年4月以降、集団訴訟を意図した数多くの証券訴訟が、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に提起されて
おり、とりわけ、債務担保証券市場における当社の業務および当社の利益相反の管理に関するグループ・インクの
情報公開の適切性に疑問を呈している。
2011 年7月25日に提出された併合修正訴状において、グループ・インク、ならびにグループ・インクおよびその関
連会社の特定の現職および元の役員および従業員が被告となっており、一般的に、証券取引法セクション10(b)
および20(a)に違反しているとの申立がなされており、金銭的損害賠償が求められている。被告らは略式判決を
求める申立を行った。2020年4月7日、第二巡回控訴裁判所は、地方裁判所による2018年8月14日の集団認定の許
可を支持した。2021年6月21日、米国最高裁判所は、第二巡回控訴裁判所の判決を無効にし、この案件についてさ
らに手続きを行うよう差し戻した。
2019 年7月25日および2020年5月29日、17億ドルの有価証券を発行した2件の住宅ローン担保証券化信託の受託者
である米国銀行全国協会によって、ゴールドマン・サックス・モーゲージ・カンパニーおよびGSモーゲージ・セ
キュリティーズ・コープに対する訴状がニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に提出された。訴状では概ね、信
託のモーゲージ・ローンが適用される表明および保証を遵守できなかったとの訴えがなされており、特定の履行、
またはその代替として、補償的損害賠償およびその他の救済を求めている。2020年11月23日、裁判所は、第一の訴
訟において、当該訴状の却下を求める被告らの申立を一部認め、一部を否認し、第二の訴訟においては、当該訴状
の却下を求める被告らの申立を否認した。2021年1月14日、両方の訴訟において、修正訴状が提出された。
261/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
通貨関連訴訟
GS&Co. およびグループ・インクは、2018年11月7日にニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に提起された訴訟の
被告に含まれており、また、GSI、GSIB、ゴールドマン・サックス・グループ・UKリミテッドおよびGSバンクUSA
は、2020年11月11日にイングランド・ウェールズ高等裁判所に提起された訴訟の被告に含まれている。いずれの訴
訟も、GS&Co.およびグループ・インクを含めて和解に達した集団訴訟からの離脱を選択した外国為替商品の直接購
入者の一部によって提起されたものである。2020年8月3日に提出された連邦地方裁判所訴訟における第三修正訴
状では概ね、被告らが共謀して外国為替市場を操作したとする申立に関連して、連邦反トラスト法および州コモ
ン・ローに違反したとの訴えがなされており、宣言的救済および差止による救済ならびに金額を特定しない補償的
損害賠償、懲罰的損害賠償、3倍損害賠償、およびその他の損害賠償を求めている。英国の訴訟における申立は、
2003年から2013年にかけての英国およびEUの競争法違反に関するものであり、為替レートおよびビッド/オ
ファー・スプレッドの操作、商業上の機密情報の被告間での交換、ならびに共謀取引が行われたとの訴えがなされ
ている。
バンコ・エスピリト・サントS.A.およびオーク・ファイナンス
2015 年2月以降、GSIは、835百万ドルのファシリティ契約(以下「ファシリティ」という。)をノボ・バンコに譲
渡しないという2014年12月のポルトガル銀行(以下「BoP」という。)の決定に対して、イングランド商業裁判所
にノボ・バンコS.A.(以下「ノボ・バンコ」という。)を、ポルトガルの行政裁判所にBoPを提訴した。このファ
シリティは、バンコ・エスピリト・サントS.A.(以下「BES」という。)の破綻前に、GSIが組成し、ファシリティ
に関連して設立された特別目的会社であるオーク・ファイナンス・ルクセンブルクS.A.(以下「オーク・ファイナ
ンス」という。)とBESの間で締結されたものである。2018年7月、イングランド最高裁判所は、イングランドの裁
判所がGSIの訴訟を管轄していないという判決を下した。2018年7月、BESの清算委員会は、BESが差し迫った破綻の
リスクにさらされていることをGSIが知っていたとの主張を含め、GSIがファシリティ延長に際して不誠実に行動し
たと訴え、ファシリティに関連してGSIに支払った54百万ドルおよびオーク・ファイナンスに支払った50百万ドル
の返還を求める決定を公表した。GSIはまた、清算委員会が求めた104百万ドルの条件付請求を含む、BESの破綻に
関連する損失に対する補償を求めて、ポルトガル国家に対して申立を行っている。
ファイナンシャル・アドバイザリー業務
グループ・インクおよびその関連会社の一部は、当社のファイナンシャル・アドバイザリー業務に関連して、顧客
および第三者との様々な民事訴訟、仲裁手続ならびにその他の争議の当事者となることがある。これらの請求では
概ね、とりわけ補償的損害賠償を求めているが、懲罰的損害賠償を求めている場合もあり、また一部の場合におい
ては当社が利益相反について適切な開示または処理を行わなかったとの訴えがなされている。
引受訴訟
当社の関連会社は、有価証券の募集または売出しに関連する複数の訴訟の被告に含まれている。以下に記載のもの
を含むこれらの訴訟において、原告らは、連邦および州の証券法、また場合によってはその他の適用される法律に
基づき集団訴訟または個別請求を申立てており、原告らが購入した有価証券の募集または売出しに関する勧誘書類
に重要な不実記載および記載の欠如があると主張し、金額を特定しない補償的損害賠償および取消による損害賠償
を求めている。当該訴訟の一部では、追加的な主張がなされている。
アルティス・USA・インク : GS&Co. は、他の引受会社とともに、2017年6月の21.5億ドルのアルティス・USA・イン
ク(以下「アルティス」という。)の株式公開に関連して、2018年6月以降にクイーンズ郡のニューヨーク州上位
裁判所およびニューヨーク州東部地区連邦地方裁判所において係争中の集団訴訟を意図した証券訴訟の被告となっ
ている。引受会社の他に、アルティスならびにその役員および取締役の一部も被告に含まれている。GS&Co.は募集
総額約368百万ドルの普通株式12,280,042株を引受けた。2020年6月26日、裁判所は州裁判所訴訟の修正訴状を却
下し、2020年9月4日、原告らは併合修正訴状を提出する許可を求める申立を行った。2020年10月7日、地方裁判
所訴訟の原告らは第二修正訴状を提出した。2021年2月16日、当事者らは原則的和解に達した。当該原則的和解の
条件の下で、当社は和解金の拠出を要求されていない。
アルナイラム・ファーマシューティカルズ・インク : GS&Co. は、他の引受会社とともに、2017年11月の805百万ド
ルのアルナイラム・ファーマシューティカルズ・インク(以下「アルナイラム」という。)の普通株式の株式公開
に関連して、2019年9月12日にニューヨーク郡のニューヨーク州上位裁判所に提起された集団訴訟を意図した証券
訴訟の被告となっている。引受会社の他に、アルナイラムならびにその役員および取締役の一部も被告に含まれて
いる。GS&Co.は募集総額約322百万ドルの普通株式2,576,000株を引受けた。2020年10月30日、裁判所は、2019年11
月7日に提出された修正訴状の却下を求める被告らの申立を否認した。2021年2月22日、原告らは集団認定の申立
を行った。2021年4月29日、ニューヨーク州第1司法管轄局の上位裁判所控訴部は、修正訴状の却下を求める被告
262/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
らの申立をニューヨーク州上位裁判所が否認したことに対する被告らの控訴を退けた。ただし、アルナイラムの役
員および取締役に対する原告らの申立の1件については、この限りではない。
ウーバー・テクノロジーズ・インク: GS&Co. は、他の引受会社とともに、2019年5月の81億ドルのウーバー・テク
ノロジーズ・インク(以下「ウーバー」という。)の株式公開に関連して、2019年9月以降にサンフランシスコ郡
のカリフォルニア州上位裁判所およびカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に提起された複数の集団訴訟を意
図した証券訴訟の被告となっている。引受会社の他に、ウーバーならびにその役員および取締役の一部も被告に含
まれている。GS&Co.は募集総額約16億ドルの普通株式35,864,408株を引受けた。2020年11月16日、州裁判所訴訟の
裁判所は、2020年2月11日に提出された併合修正訴状の却下を求める被告らの申立を認め、2020年12月16日、原告
らは控訴した。2020年8月7日、地方裁判所訴訟の却下を求める被告らの申立は否認された。2020年9月25日、地
方裁判所訴訟の原告らは集団認定の申立を行った。2020年12月5日、州裁判所訴訟の原告らは地方裁判所に訴状を
提出し、当該訴状は2021年1月25日に既存の地方裁判所訴訟と併合された。2021年5月14日、原告らは地方裁判所
に第二修正訴状を提出し、2021年6月28日、被告らは第二修正訴状の却下を求める申立を提出した。
ベネトア・マテリアルズ・ピーエルシー: GS&Co. は、他の引受会社とともに、ベネトア・マテリアルズ・ピーエル
シー(以下「ベネトア」という。)の2017年8月の522百万ドルの株式公開および2017年12月の534百万ドルの株式
売出しに関連して、2019年2月以降に提起された、ダラス郡のテキサス州地方裁判所、ニューヨーク郡のニュー
ヨーク州上位裁判所およびテキサス州南部地区連邦地方裁判所の集団訴訟を意図した証券訴訟の被告となってい
る。引受会社の他に、ベネトア、その役員および取締役の一部、ならびに株主の一部も被告に含まれている。
GS&Co.は2017年8月の株式公開において募集総額約127百万ドルの普通株式6,351,347株および2017年12月の株式売
出しにおいて募集総額約127百万ドルの普通株式5,625,768株を引受けた。2020年1月21日、テキサス州控訴裁判所
はテキサス州地方裁判所の判決を無効にし、人的裁判管轄権の欠如を理由にテキサス州裁判所訴訟において、
GS&Co.を含む引受会社である被告らに対する申立を却下した。2021年3月22日、ニューヨーク州裁判所訴訟の却下
を求める被告らの申立が認められ、原告らは上訴申立書を提出した。2021年7月7日、連邦訴訟の裁判所は、併合
訴状の却下を求める被告らの申立を一部認め、一部否認した。
エックスピー・インク: GS&Co. は、他の引受会社とともに、2019年12月の23億ドルのエックスピー・インク(以下
「エックスピー」という。)の株式公開に関連して、2020年3月19日以降に提起されたニューヨーク郡のニュー
ヨーク州上位裁判所およびニューヨーク州東部地区連邦地方裁判所において係争中の集団訴訟を意図した証券訴訟
の被告となっている。引受会社の他に、エックスピー、その役員および取締役の一部、ならびに株主の一部も被告
に含まれている。GS&Co.は2019年12月の株式公開において、募集総額約522百万ドルの普通株式19,326,218株を引
受けた。2020年8月5日、連邦裁判所訴訟を支持して州裁判所訴訟の停止を求める被告らの申立は否認された。
2021年2月8日、州裁判所は州裁判所訴訟の却下を求める被告らの申立を認め、2021年3月7日、地方裁判所は連
邦裁判所訴訟の却下を求める被告らの申立を認めた。2021年4月7日、地方裁判所訴訟の原告らは第二巡回控訴裁
判所に控訴した。
ゴーヘルス・インク: GS&Co. は、他の引受会社とともに、2020年7月の914百万ドルのゴーヘルス・インク(以下
「ゴーヘルス」という。)の株式公開に関連して、イリノイ州北部地区連邦地方裁判所において2020年9月21日以
降に提起され併合された、集団訴訟を意図した証券訴訟の被告となっている。引受会社の他に、ゴーヘルス、その
役員および取締役の一部、ならびに株主の一部も被告に含まれている。GS&Co.は募集総額約242百万ドルの普通株
式11,540,550株を引受けた。2021年2月25日、原告らは併合訴状を提出した。2021年4月26日、被告らは併合訴状
の却下を求める申立を提出した。
ルート・インク: GS&Co. は、他の引受会社とともに、2020年10月の724百万ドルのルート・インク(以下「ルー
ト」という。)の普通株式の株式公開に関連して、2021年3月25日にオハイオ州南部地区連邦地方裁判所に提起さ
れた集団訴訟を意図した証券訴訟の被告となっている。引受会社の他に、ルートならびにその役員および取締役の
一部も被告に含まれている。GS&Co.は募集総額約254百万ドルの普通株式9,406,891株を引受けた。2021年5月12
日、原告らは自主的に申立を取り下げたが、再訴は可能である。
アレイ・テクノロジーズ・インク: GS&Co. は、他の引受会社とともに、アレイ・テクノロジーズ・インク(以下
「アレイ」という。)の2020年10月の12億ドルの普通株式の株式公開、2020年12月の13億ドルの普通株式の売出し
および2021年3月の993百万ドルの普通株式の売出しに関連して、2021年5月14日にニューヨーク州南部地区連邦
地方裁判所に提起された集団訴訟を意図した証券訴訟の被告となっている。引受会社の他に、アレイならびにその
役員および取締役の一部も被告に含まれている。GS&Co.は3件の株式公開および株式売出しにおいて、募集総額約
877百万ドルの普通株式31,912,213株を引受けた。
263/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
コンテクストロジック・インク: GS&Co. は、他の引受会社とともに、2020年12月の11億ドルのコンテクストロジッ
ク・インク(以下「コンテクストロジック」という。)の普通株式の株式公開に関連して、それぞれ2021年5月17
日および2021年5月25日にカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に提起された2件の集団訴訟を意図した証券
訴 訟の被告となっている。引受会社の他に、コンテクストロジックならびにその役員および取締役の一部も被告に
含まれている。GS&Co.は募集総額約388百万ドルの普通株式16,169,000株を引受けた。
ディディ・グローバル・インク: ゴールドマン・サックス(アジア)エルエルシーは、他の引受会社とともに、
2021年6月の44億ドルのディディ・グローバル・インク(以下「ディディ」という。)の米国預託株式(以下
「ADS」という。)の株式公開に関連して、2021年7月6日にニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所およびカリ
フォルニア州中部地区連邦地方裁判所に提起された2件の集団訴訟を意図した証券訴訟の被告となっている)。引
受会社の他に、ディディならびにその役員および取締役の一部も被告に含まれている。ゴールドマン・サックス
(アジア)エルエルシーは募集総額約15億ドルのADS104,554,000株を引受けた。2021年7月9日、カリフォルニア
州地方裁判所訴訟の原告らは修正訴状を提出した。
投資運用業務
グループ・インクおよびその関連会社の一部は、当社の投資運用業務により被ったとされる損失に関連して、顧客
との様々な民事訴訟、仲裁手続およびその他の争議の当事者となっている。これらの請求は概ね、とりわけ補償ま
たはその他の補償的損害賠償、また一部の場合においては懲罰的損害賠償を求めている。
有価証券貸付反トラスト訴訟
グループ・インクおよびGS&Co.は、有価証券貸付の実務に関連して、2017年8月以降にニューヨーク州南部地区連
邦地方裁判所に提起された集団訴訟を意図した反トラスト訴訟および3件の個別訴訟の被告に含まれている。訴状
では概ね、被告らが共謀して有価証券貸付取引用電子プラットフォームの開発を妨害したとする申立に関連して、
連邦および州の反トラスト法、ならびに州コモン・ローに基づく訴えがなされている。個別訴状では、取引関係の
不法な妨害に対する訴えおよび取引実務に関する州法に基づく訴えもなされており、第二および第三の個別訴訟に
おいては、州コモン・ローに基づく不当利得に対する訴えもなされている。訴状では、宣言的救済および差止によ
る救済、ならびに金額を特定しない補償的損害賠償、3倍損害賠償、懲罰的損害賠償およびその他の損害賠償を求
めている。2018年1月26日、グループ・インクは、集団訴訟を意図した訴訟から任意で免訴された。2018年9月27
日、集団訴訟の却下を求める被告らの申立は否認された。2018年12月21日、被告らは第二の個別訴訟の却下を求め
る申立を行った。2019年6月、第三の個別訴訟は第二の個別訴訟に併合された。その併合後、裁判所は、第二の個
別訴訟の却下を求める係争中の申立は、新たに併合された案件にも適用されると命じた。2019年8月7日、第一の
個別訴訟の却下を求める被告らの申立が認められた。2021年2月22日、集団訴訟を意図した訴訟の原告らは集団認
定の申立を行った。
金利スワップ反トラスト訴訟
グループ・インク、GS&Co.、GSI、GSバンクUSAおよびゴールドマン・サックス・ファイナンシャル・マーケッツ・
エルピーは、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所において2015年11月に提起され併合された、金利スワップ取
引に関する集団訴訟を意図した反トラスト訴訟の被告に含まれている。同じゴールドマン・サックス企業が、ス
ワップ執行ファシリティの3名の運営者およびその関連会社の一部によって、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁
判所において、それぞれ2016年4月および2018年6月に開始された金利スワップ取引に関する2件の反トラスト訴
訟の被告となっている。これらの訴訟は公判前手続のために併合されている。訴状では概ね、被告らが共謀して金
利スワップの取引所における売買を妨害したとする申立に関連して、連邦反トラスト法および州コモン・ローに基
づく訴えがなされている。個別訴訟の訴状では、州反トラスト法に基づく訴えもなされている。訴状では、宣言的
救済および差止による救済ならびに金額を特定しない3倍損害賠償が求められている。被告らは集団訴訟および第
一の個別訴訟の却下を求める申立を行い、地方裁判所は、第一の個別訴訟において原告らが主張した州のコモン・
ローに基づく請求を却下し、集団訴訟を意図した訴訟における州のコモン・ローに基づく請求および両訴訟におけ
る反トラスト法に基づく請求を2013年から2016年の期間に限定した。2018年11月20日、裁判所は、第二の個別訴訟
の却下を求める被告らの申立を一部認め、一部否認し、不当利得および不法な妨害に対する州コモン・ローに基づ
く請求を却下したが、連邦および州の反トラスト法に基づく請求の却下を否認した。2019年3月13日、裁判所は、
2008年から2012年の行為に関連する主張を追加するよう訴状の修正を求める集団訴訟を意図した訴訟の原告らの申
立を否認したが、2013年から2016年に関連する限定的な主張の追加を求める申立は認めた。この主張は、原告らに
より、2019年3月22日に提出された第4併合修正訴状に追加された。2019年3月7日、集団訴訟を意図した訴訟の
原告らは集団認定の申立を行った。
264/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
変動金利要求払債反トラスト訴訟
GS&Co. は、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所において2019年2月以降に個別に提起され併合された、変動金
利要求払債(以下「VRDO」という。)に関連する集団訴訟を意図した訴訟の被告に含まれている。2019年5月31日
に提出された併合修正訴状では概ね、被告らが共謀してVRDOの市場を操作したとする申立に関連して、連邦反トラ
スト法および州コモン・ローに基づく訴えがなされている。訴状では、宣言的救済および差止による救済、ならび
に金額を特定しない補償的損害賠償、3倍損害賠償およびその他の損害賠償を求めている。2020年11月2日、裁判
所は、却下を求める被告らの申立を一部認め、一部否認し、GS&Co.に対する州コモン・ローに基づく請求を却下し
たが、連邦反トラスト法に基づく請求の却下を否認した。
GS&Co. はまた、2021年6月2日にニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に提起された関連する集団訴訟を意図し
た訴訟の被告らにも含まれている。訴状では、2019年5月31日に提出された併合修正訴状で主張されていたのと同
じくVRDOの市場において共謀したとされ、被告らに対して、連邦反トラスト法、州法および州コモン・ローに基づ
く訴えがなされている。訴状では、宣言的救済および差止による救済、ならびに金額を特定しない補償的損害賠
償、3倍損害賠償およびその他の損害賠償を求めている。2021年7月26日、2019年5月31日訴訟の原告らは、2件
の訴訟を併合する修正訴状の提出許可を求めた。
コモディティ関連訴訟
GSI は、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所において2014年11月25日以降に提起され直近で2017年5月15日に
修正された、プラチナおよびパラジウムの取引に関連する集団訴訟を意図した複数の訴訟の被告に含まれている。
修正訴状では概ね、被告らが共謀して現物のプラチナおよびパラジウムのベンチマーク価格を操作したとする申立
に関連して、連邦反トラスト法および商品取引法に違反したとの訴えがなされ、宣言的救済および差止による救
済、ならびに金額を特定しない3倍損害賠償を求めている。2020年3月29日、同裁判所は、却下および再審理を求
める被告らの申立を認め、すべての請求を却下した。2020年4月27日、原告らは第二巡回控訴裁判所に控訴した。
GS&Co. 、GSI、J.アロン・アンド・カンパニー、および2014年度第4四半期に売却されたが以前はグループ・イン
クの連結子会社であったメトロ・インターナショナル・トレード・サービシズ(以下「メトロ」という。)は、
ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所において2013年8月1日以降に提起され併合された、複数の集団訴訟を意
図した訴訟および個別訴訟の被告となっている。訴状では概ね、アルミニウムの保管およびアルミニウム取引に関
連して、連邦反トラスト法および州法に違反したとする訴えがなされている。訴状では、宣言的救済、差止による
救済およびその他の衡平法上の救済、ならびに3倍損害賠償を含む金額を特定しない損害賠償を求めている。2016
年12月、地方裁判所は却下を求める被告らの申立を認め、2019年8月27日、第二巡回裁判所は、地方裁判所の却下
を無効にし、この案件についてさらに手続きを行うよう地方裁判所に差し戻した。2020年7月23日、地方裁判所は
集団訴訟の原告らの集団認定を求める申立を否認し、2020年12月16日、第二巡回裁判所は当該否認に対する控訴の
許可を退けた。2021年2月17日、地方裁判所は、個別訴訟の原告らの大半による請求に関して、略式判決を求める
被告らの申立を認めた。2021年4月14日、原告らは第二巡回控訴裁判所に控訴した。
グループ・インク、GS&Co.、GSI、J.アロン・アンド・カンパニーおよびメトロは、2020年2月27日にイングラン
ド・ウェールズ高等裁判所、商事財産裁判所に提起された訴訟の被告に含まれている。申立の詳細は、アルミニウ
ムの保管および取引に関連して英国およびEUの競争法に違反したとする申立に基づいて、金額を特定しない補償的
および懲罰的損害賠償を求めている。2021年5月21日、当事者らは和解に合意した。当社は、和解のための当社の
拠出金全額を支払済みである。2021年6月4日、当社に対するすべての訴訟は取り下げられた。
メトロの売却に関連して、当社は、当社が所有していた間のメトロの事業行為について発生した訴訟手続または規
制当局による手続に対する潜在的負債に対する補償を含め、取得者に補償を提供することに合意した。
米国債関連訴訟
GS&Co. は、他のプライマリー・ディーラーとともに、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所において2015年7月
以降に提起され併合された、米国債の市場に関連する複数の集団訴訟を意図した訴訟の被告に含まれている。
GS&Co.はまた、他のプライマリー・ディーラーとともに、2017年8月25日にニューヨーク州南部地区連邦地方裁判
所に提起された同様の個別訴訟の被告にも含まれている。2017年12月29日に提出された併合集団訴訟の訴状では概
ね、被告らが共謀して米国債の発行日取引の市場およびオークションを操作したとする申立に関連して、連邦反ト
ラスト法に違反したとの訴え、またGS&Co.を含む一部の被告らが共謀して、入札プロセスにおける競争を妨害する
ために電子取引プラットフォーム上での米国債の売買を妨害したとの訴えがなされている。個別訴状では、商品取
引法に違反して、同様に共謀して発行日取引の市場およびオークションならびに関連する先物およびオプションを
操作したとの訴えがなされている。訴状では、宣言的救済および差止による救済、金額を特定しない3倍損害賠償
265/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
ならびに補償を求めている。2021年3月31日、却下を求める被告らの申立が認められた。2021年5月14日、原告ら
は修正訴状を提出した。2021年6月14日、被告らは修正訴状の却下を求める申立を提出した。
社債反トラスト訴訟
グループ・インクおよびGS&Co.は、他のディーラーとともに、単元未満社債の流通市場に関連して、2020年4月21
日にニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に提起された集団訴訟を意図した訴訟の被告に含まれている。2020年
10月29日に提出された修正併合訴状では、単元未満社債の流通市場における被告らによる反競争的とされる行為に
関連して、連邦反トラスト法に基づく訴えがなされ、宣言的救済および差止による救済、ならびに3倍損害賠償お
よび懲罰的損害賠償を含む金額を特定しない損害賠償が求められている。2020年12月15日、被告らは却下の申立を
行った。
クレジット・デフォルト・スワップ反トラスト訴訟
グループ・インク、GS&Co.およびGSIは、クレジット・デフォルト・スワップの決済に関連して、2021年6月30日
にニューメキシコ地区連邦地方裁判所に提起された集団訴訟を意図した反トラスト訴訟の被告に含まれている。訴
状では概ね、被告らが共謀して決済のためのクレジット・デフォルト・スワップの評価に使用するベンチマーク価
格を操作したとする主張に関連して、連邦反トラスト法および商品取引法に基づく訴えがなされている。訴状では
また、州コモン・ローに基づく不正利得に対する訴えがなされている。訴状では、宣言的救済および差止による救
済、ならびに金額を特定しない3倍損害賠償およびその他の損害賠償を求めている。
雇用関連案件
2010 年9月15日、3名の女性元従業員により集団訴訟を意図した訴訟1件がニューヨーク州南部地区連邦地方裁判
所に提起された。訴状およびその後日の修正では、グループ・インクおよびGS&Co.が報酬、昇進および業績評価に
関して女性従業員を体系的に差別しているとの訴えがなされている。訴状では、2002年7月以降にグループ・イン
クおよびGS&Co.によって特定の地域において特定のレベルで雇用された全女性従業員から構成される集団であるこ
とを主張しており、連邦およびニューヨーク市の差別に関する法律に基づく訴えがなされている。訴状では、集団
訴訟の認定、差止による救済、ならびに金額を特定しない補償的、懲罰的およびその他の損害賠償を求めている。
2018 年3月30日、地方裁判所は原告らの差別的影響および取扱いにかかる請求について、損害賠償の集団として認
定した。2018年9月4日、第二巡回控訴裁判所は、地方裁判所による集団認定の決定に関する中間審理を求める被
告らの申立を否認し、その後、再審理を求める被告らの申立を否認した。2018年9月27日、原告らは、差止による
救済および宣言的救済のために集団認定を求めないことを地方裁判所に伝えた。2020年3月26日、地方裁判所の下
級判事は、雇用関係の紛争を仲裁により解決することに合意したグループ・インクおよび(または)GS&Co.との特
定の合意の当事者である集団のメンバーに関し、仲裁強制の申立を一部認めた。2020年4月16日、原告らは下級判
事の命令に異議を申し立て、被告らは地方裁判所判事が下級判事の命令の一部を覆した場合の条件付異議を申し立
てた。
規制当局の調査および検査ならびに関連訴訟
グループ・インクおよびその関連会社の一部は、以下の当社の事業および業務に関する様々な事項について、様々
な政府および規制機関ならびに自主規制機関による多数のその他の調査および検査、訴訟ならびに株主の要求の対
象となっており、いくつかの案件では、召喚状を受領し、文書および情報の提供要請を受けている。
・有価証券の募集または売出しのプロセスおよび引受実務
・当社の投資運用サービスおよびファイナンシャル・アドバイザリー・サービス
・利益相反
・市場調査の独立性、ならびに市場調査アナリストおよび投資銀行の社員を含む他の会社の社員ならびに第三者と
の関係性を含む、市場調査の実務慣行
・政府が関連する資金調達およびその他の事項、ならびに地方債に関わる取引(これには、州および地方自治体で
ある顧客に関するウォールクロス手続および利益相反の開示、地方自治体による募集に関連した地方自治体のデ
リバティブ商品の売買および構築、政治献金に関する規則、地方自治体向けのアドバイザリー・サービス、なら
びにクレジット・デフォルト・スワップ取引が地方自治体である発行体に与え得る影響が含まれる)
・消費者向け貸付、ならびに住宅用モーゲージ貸付、サービシングおよび証券化、および関連する消費者法の遵守
・社債、国債、為替、コモディティおよびその他の金融商品の募集または売出し、オークション、販売、取引およ
び決済、関連する販売ならびにその他の連絡および活動、ならびに当該活動に関連する当社の監督および統制
266/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
(これには、対象となる空売りに関する規則の遵守、アルゴリズム、高頻度および定量的取引、当社の米国の代
替的取引システム(ダークプール)、先物取引、オプション取引、発行日取引、取引報告、テクノロジー・シス
テ ムおよび統制、有価証券貸付の実務慣行、プライム・ブローカレッジ業務、信用デリバティブおよび金利ス
ワップの取引および決済、コモディティ取引および金属の貯蔵、私募の実務慣行、有価証券の割当および取引、
ならびに為替レートなどのベンチマーク・レートの設定に関連する取引業務および連絡が含まれる)
・FCPAの遵守
・当社の雇用および報酬の実務慣行
・当社のリスク管理および統制システム
・インサイダー取引、企業および政府の動向に関する重要な非公開情報の悪用および流布の可能性、ならびに当社
のインサイダー取引の統制および情報障壁の有効性
当社は、かかるすべての政府および規制当局による調査および検査に協力している。
267/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
2【その他】
(1) 決算日後の状況
本書第一部第6 1「中間財務書類-(6)連結財務書類に対する注記(未監査)」において開示されている事
項を除き、該当なし。
(2) 訴訟
以下は、当社が2021年8月4日に米国証券取引委員会(「SEC」)に提出した様式10-Qによる2021年6月に
終了した四半期に係るクォータリー・レポートの抄訳である。
上記に加えて、2021年6月30日提出の有価証券報告書第一部第6 3「その他-(2) 訴訟」参照。
以下は、当社が2021年2月22日にSECに提出した様式10-Kによる2020年度アニュアル・レポートの抄訳であ
る、2021年6月30日提出の有価証券報告書第一部第6 3「その他-(2) 訴訟-(a)」に記載の事項を補完し、
修正するものである。
当社はその事業活動に伴い発生する様々な事項について、司法上、規制上および仲裁に関する多数の手続の
当事者となっている。これらの手続の多くは、初期の段階にあり、またこれらの案件の多くにおいて、金額未
確定の損害賠償が請求されている。当社は、合理的な範囲で生じる可能性がある損失合計の範囲の上限につ
き、その範囲を見積もることができる案件については見積りを行っており、現時点で入手可能な情報に基づく
限り、合理的な範囲で生じる可能性がある損失を見積もることができていない案件の結果が総体として当社の
財務状態に重大な悪影響を及ぼすことはないが、特定期間の当社の業績に重要な意味を持つ可能性があると考
えている。現在進行中の訴訟および調査の範囲に鑑みると、当社の訴訟費用は引き続き高額に留まる可能性が
ある。本書第一部第3 3(3)「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析-見積りの活
用」参照。合理的に生じる可能性がある当社の損失合計の見積り、ならびに当社の司法上、規制上および裁判
上の手続に関する情報については、本書第一部第6 1「中間財務書類-(6)連結財務書類に対する注記(未
監査)」注記18および27参照。
268/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
3【米国と日本における会計原則及び会計慣行の主要な相違】
本書記載の中間財務書類は米国において一般に公正妥当と認められている会計原則(米国会計基準)に準拠し
て作成されている。従って、日本において一般に公正妥当と認められている会計原則(日本会計基準)と相違す
る場合がある。2021年6月30日時点における、主たる相違点は次のとおりである。
(a) のれん
米国会計基準においては、買収価額が被買収企業の買収時における識別可能な無形資産を含む純資産の公正価値を
超える額はのれんとして計上される。のれんの減損の有無は、年に一度、または減損の兆候がある場合にはそれよ
り多い頻度で検討される。まず報告単位の公正価値が帳簿価額を下回っている可能性が比較的高いかどうかを判断
するために、定性的要因が評価される。もし定性的評価の結果だけで最終的な判断を下せない場合には、定量的に
のれんの減損の有無をテストする。
日本会計基準においては、のれんは、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたり、定額法その他の合理的な方法によ
り規則的に償却されている。ただし、のれんの金額に重要性が乏しい場合には、当該のれんが生じた事業年度の費
用として処理することができる。
(b) 変動持分事業体の連結
米国会計基準においては、変動持分事業体(以下「VIE」という。)の連結の規定が存在する。VIEとは、議決権持
分を通じて支配される事業体の性質のうち1つ以上を欠いている事業体のことである。企業が保有する変動持分を
通じて、(ⅰ)VIEの経済的成果に最も重大な影響を与えるVIEの活動を指図する権限、および(ⅱ)VIEにとって
潜在的に重大となる可能性のあるVIEの損失を負担する義務または利益を受取る権利、の両方を当該企業に有して
いる場合、VIEにおける支配的な財務上の持分が存在する。支配的な財務上の持分を有する第一受益者である企業
は、当該VIEを連結する。
日本会計基準においては、企業の連結財務諸表に子会社を含めるという判断は、(1)企業が子会社の議決権の過半
数を所有することにより実質的な支配権を有している、(2)企業が子会社の議決権の半数以下しか所有していなく
ても、子会社の財務方針および経営方針に参加する、もしくは子会社の取締役会を代表し当該子会社の代わりに重
要な契約を締結する等の実質的支配を有している、のいずれかの場合に行われる。
(c) 保証人の会計
米国会計基準においては、特定の保証提供時にその保証の下で引き受けた債務の公正価値で負債を認識することが
要求されている。また、保証の内容および将来の潜在的支払額の最大値を含む追加的開示が要求されている。
日本会計基準においては、特定の状況下において、債務保証の会計処理および開示が要求されている。
269/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
(d) 公正価値測定
米国会計基準においては、公正価値とは出口価格のことであり、測定日における市場参加者の通常の取引で、資産
の売却により受領するあるいは負債の移転により支払われるであろう価額を表していることを明確にしている。金
融資産はビッド価格で評価され、金融負債はオファー価格で評価される。公正価値の測定において取引費用は算入
されない。
日本会計基準においては、時価は、市場において形成されている取引価格、気配もしくは指標その他の相場(以下
「市場価格」という。)に基づく公正な評価額と定義されている。市場価格がない場合には合理的に算定された価
額を公正な評価額とする。
(e) 公正価値オプション
米国会計基準においては、他の会計基準では公正価値で会計処理されない金融資産、金融負債および確定契約で、
要件を満たしたものを商品毎に公正価値で測定するオプション(つまり公正価値オプション)を提供している。公
正価値オプションを使用する選択は、企業が金融資産または金融負債を最初に認識する時点、または確定契約の締
結時といった特定の選択日に行うことができる。公正価値のその後の変動は損益に計上されることになる。ただ
し、公正価値オプションを適用した金融負債については、自己の信用スプレッド に起因する金融負債の公正価値の
変動 は税効果を反映した純額がその他 の 包括利益として 表示される 。
日本会計基準においては、金融資産および金融負債のための公正価値オプションに関する上記のような会計基準は
設定されていない。
(f) 特定の契約に関連した相殺処理
米国会計基準においては、デリバティブは、強制力のあるネッティング契約または類似契約(以下総称して「ネッ
ティング契約」という。)に基づき相殺の法的権利が存在する場合、取引相手ごとの純額ベースで表示される。さ
らに、デリバティブは、強制力のあるネッティング契約に基づき取引が行われた場合、強制力のある信用補完契約
に基づき受入れ、または差入れた現金担保控除後の金額で表示される。期間と通貨が同じ証券金融取引は、かかる
取引が一定の決済基準を満たし、ネッティング契約の対象である場合には、取引相手ごとの純額ベースで表示され
る。
日本会計基準においては、デリバティブと現金担保の相殺表示は認められていない。また、一定の決済基準を満た
す証券金融取引の相殺表示を許容する特定の会計基準はない。
(g) 未認識の税務上の便益
米国会計基準においては、税務当局による調査でテクニカル・メリットに基づいてタックス・ポジションが認容さ
れる可能性が比較的高い場合のみ、当該ポジションを財務書類上認識している。この基準を満たしたポジション
は、調査解決時に実現する可能性が比較的高い減額効果の最大値で測定される。税申告金額についてのポジション
と財務書類上で認識された金額の差額に対して負債が計上される。
日本会計基準においては、法人所得税の不確実性に関する上記のような会計基準はない。
270/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
(h) リース会計
米国基準においては、リース期間が1年を超えるリース取引について、貸借対照表上、リース期間に渡り資産を使
用する権利を表す使用権資産及び支払い義務を表すリース負債を認識する。オペレーティング・リースの使用権資
産はまず、オペレーティング・リース負債の金額に基づき算定され、当初直接費用、リースインセンティブ、リー
ス開始時もしくは開始前に支払ったリース料を調整して算定される。当該金額はリース期間に渡り償却される。
日本会計基準においては、オペレーティング・リース取引はオフバランス処理が行われ、リース料は、リース期間
に渡り定額法で認識される。少額リース資産については、簡便法が適用され、オペレーティング・リース取引に準
じて会計処理することができる。
(i) 金融資産の減損
米国会計基準においては、償却原価で測定される金融資産及びローン・コミットメント等は、予測信用損失モデル
により減損損失を認識する。予想信用損失の測定は、過去の実績、現在の状況並びに回収可能性に影響を与える将
来予測に基づいて行われる。
日本会計基準においては、貸付金等の債権の評価は、債務者区分により貸倒見積高を算定し、有価証券については
時価または実質価額が著しく下落した場合に、減損損失が認識される。
271/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
第7【外国為替相場の推移】
当社の2021年度上半期における日本円と米ドルの為替相場は、2紙以上の日本の日刊新聞に掲載されているた
め本項の記載は省略する。
272/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
第8【提出会社の参考情報】
当社は、当事業年度開始日から本半期報告書提出日までの間に下記の書類を関東財務局長に提出した。
(1) 臨時報告書およびその添付書類(企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第1号に基づくも
の)(2021年5月18日提出)
(2) 2019年11月14日提出の発行登録書およびその添付書類に対する訂正発行登録書(2021年5月18日提出)
(3) 有価証券報告書およびその添付書類(2021年6月30日提出)
(4) 2019年11月14日提出の発行登録書およびその添付書類に対する訂正発行登録書(2021年6月30日提出)
(5) 臨時報告書およびその添付書類(企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第1号に基づくも
の)(2021年8月23日提出)
(6) 2019年11月14日提出の発行登録書およびその添付書類に対する訂正発行登録書(2021年8月23日提出)
273/274
EDINET提出書類
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク(E05858)
半期報告書
第二部【提出会社の保証会社等の情報】
該当なし。
274/274