フランス相互信用連合銀行 有価証券報告書
提出書類 | 有価証券報告書 |
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提出日 | |
提出者 | フランス相互信用連合銀行 |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
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フランス相互信用連合銀行(E25741)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第 24 条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2020 年6月 29 日
【事業年度】 2019 年度(自 2019 年1月1日 至 2019 年 12 月 31 日)
【会社名】 フランス相互信用連合銀行(BFCM)
(Banque Fédérative du Crédit Mutuel)
【代表者の役職氏名】 最高経営責任者
(Chief Executive Officer)
ダニエル・バール
(Daniel Baal)
【本店の所在の場所】 フランス、ストラスブール 67000 、リュ・フレデリック-ギヨー
ム・ライフアイゼン4
(4 rue Frédéric-Guillaume Raiffeisen - 67000 Strasbourg,
France)
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 三 原 秀 哲
【代理人の住所又は所在地】 東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 JPタワー
長島・大野・常松法律事務所
【電話番号】 03-6889-7000
【事務連絡者氏名】 弁護士 高 橋 優
弁護士 大 野 匡 史
【連絡場所】 東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 JPタワー
長島・大野・常松法律事務所
【電話番号】 03-6889-7000
【縦覧に供する場所】 該当事項なし
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注
1. 本書に別段の記載がある場合を除き、本書における「ユーロ」及び「 EUR 」とは、フランス共和国を
含む特定の欧州連合加盟国の法定通貨を意味する。株式会社三菱 UFJ 銀行が提示した 2020 年5月1日
現在の対顧客電信直物売買相場の仲値は1ユーロ= 117.41 円であった。本書において記載されている
ユーロ金額の日本円への換算はかかる換算率によって便宜上なされているもので、将来の換算率を表
するものではない。
2. 本書の表の計数が四捨五入されている場合、合計は必ずしも計数の総和と一致しない。
3. 将来予測に関する記述
本書に含まれる記載は、将来予測に関する記述を含んでいる。「信じている」、「意図している」、
「予想している」、「考えている」、「見積もっている」、「予測している」、「~の可能性があ
る」、「計画している」、「~であろう」、「企図している」、「期待している」、「目的としてい
る」、「将来」及び「~に違いない」といった用語並びに類似の表現は、見通しの記載を明確にする
ことを意図しており、これらの記載は将来の事象に関する本書提出日現在の当行の予想及び仮定に基
づくものである。
これらの記載は実際の結果がかかる記載において明示又は黙示されたものと異なることとなるような
リスク、不確実性その他の要因を伴うものである。
4. 本書において以下の表現は、文脈上別の解釈を必要とする場合を除き、以下に記載する意味を有す
る。
定義
「当行」、「発行会社」又は「 BFCM 」とは、クレディ・ミュチュエル・アリアンス・フェデラル
( Crédit Mutuel Alliance Fédérale )内の持株会社である フランス相互信用連合銀行(BFCM)
( Banque Fédérative du Crédit Mutuel )のことである 。
「 BFCM グループ」とは、 BFCM 及びその子会社を意味する。 2019 年 12 月 31 日現在、 BFCM はクレディ・
ミュチュエル・アリアンス・フェデラル内の持株会社である。
「 クレディ・ミュチュエル・ グループ」とは、ネットワークを率いる中心的組織であるコンフェデラ
シオン・ナシオナル・デュ・クレディ・ミュチュエル( Confédération Nationale du Crédit
Mutuel )を形成する 18 の地域連合体である。「 クレディ・ミュチュエル・アリアンス・フェデラル 」
はその中でも最も重要なグループである。
「クレディ・ミュチュエル・アリアンス・フェデラル」(旧「クレディ・ミュチュエル・ CM11 グルー
プ」)とは、 BFCM の連結範囲並びにクレディ・ミュチュエルの地元共同銀行、クレディ・ミュチュエ
ルの 13 の連合体及びケス・フェデラル・ド・クレディ・ミュチュエル ( Caisse Fédérale de Crédit
Mutuel )で構成される相互銀行部門のことを意味する。クレディ・ミュチュエルの 13 の連合体とは:
クレディ・ミュチュエル・サントル・エスト・ユーロップ( Crédit Mutuel Centre Est Europe )、
クレディ・ミュチュエル・シュデスト( Crédit Mutuel Sud-Est )、クレディ・ミュチュエル・イル
-ド-フランス( Crédit Mutuel Î le-de-France )、クレディ・ミュチュエル・サヴォワ-モン・ブ
ラン( Crédit Mutuel Savoie-Mont Blanc )、クレディ・ミュチュエル・ミディ-アトランティック
( Crédit Mutuel Midi-Atlantique )、クレディ・ミュチュエル・ロワール-アトランティック・
エ・サントル-ウエスト( Crédit Mutuel Loire-Atlantique et Centre-Ouest )、クレディ・ミュ
チュエル・デュ・サントル( Crédit Mutuel du Centre )、クレディ・ミュチュエル・ノルマンディ
( Crédit Mutuel Normandie )、クレディ・ミュチュエル・ドフィネ-ヴィヴァレ( Crédit Mutuel
Dauphiné-Vivarais )、クレディ・ミュチュエル・メディテラネ( Crédit Mutuel Méditerranéen )、
クレディ・ミュチュエル・アンジュー( Crédit Mutuel Anjou )、クレディ・ミュチュエル・マッシ
フ・サントラル( Crédit Mutuel Massif Central )及びクレディ・ミュチュエル・アンティーユ・
ギュイヤンヌ( Crédit Mutuel Antilles-Guyane )をいう。
「 CF de CM 」とは、フランス、ストラスブールのケス・フェデラル・ド・クレディ・ミュチュエルを
意味し、 BFCM の 92.98 %を所有する。
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「 FCM 」とは、フェデラシオン・デュ・クレディ・ミュチュエル( Fédération du Crédit Mutuel )を
意味する。 FCM は連合体内の全ての CCM が加盟を義務づけられている団体であり、連合体の主要な方針
及び戦略を決定する方針決定組織であり、また CCM の代表及び支配を体系化するものである。
「 CIC 」とは、 BFCM の子会社である、クレディ・アンデュストリエル・エ・コメルシアル( Crédit
Industriel et Commercial )を意味する。
「 CCM 」とは、ケス・ド・クレディ・ミュチュエル( Caisses de Crédit Mutuel )を意味する。
「 CRCM 」とは、ケス・レジオナル・ド・クレディ・ミュチュエル (Caisse Régionale de Crédit
Mutuel) を意味する。
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第一部 【企業情報】
第1【本国における法制等の概要】
1【会社制度等の概要】
(1)【提出会社の属する国・州等における会社制度】
フランスにおいて会社が一般的に用いる有限責任会社の形態の1つは株式会社( société anonyme )で
ある。株式会社は有限責任会社であり、株主とは別個の法人格を有する。
以下は、当行に適用ある主要な規定の概略である。
元来、フランス会社法の規定は 1966 年会社法において創設された。当該法律は会社法の規定が発展す
ると共に継続的に改訂された。 1966 年会社法は 2000 年にブックⅡ( Livre Ⅱ)としてフランス商法に組み
込まれた。株式会社に関連する規定はブックⅡのタイトルⅡ及びⅢに組み込まれ、関連するフランス法
令によって随時改訂及び補完される。
株式会社の設立には定款を作成し、これに設立時の株主が署名しなければならない。定款は、株式会
社の準拠する根本規則を定めた文書である。
定款は株式会社が登記される商事裁判所書記官に提出しなければならない。株式会社の法人格は、商
事裁判所書記官( Greffe du Tribunal de Commerce )から登録証が発行されたときに取得される。
株 主
株式会社は、商業目的のために設立された、2人以上の株主(代表者を介して活動する企業であるか個
人であるかを問わず、また、フランスの者であるか外国の者であるかを問わない。)を有する会社をい
う。株式会社の株主は、会社への出資額を限度として会社の債務につき責任を負う。
株主は株式会社において最高の権限を有する。株主は、とりわけ、取締役及び法定監査人
( commissaires aux comptes )の選任、配当の宣言及び財務書類の承認を行い、会社の解散又は清算及び
株式資本の額の変更その他の定款の変更の決定を行うことができる。
株式資本
株式会社の最低株式資本の額は、 37,000 ユーロであり、設立時に全額支払うか又は設立時に少なくとも
50 %に満つるまで支払い、その後5年以内に残額を支払うことができる。株式資本は既存の株式について
全額が払い込まれている場合にのみ増資することができる。
フランス法上、株式会社の株式資本は流通株式( actions ordinaires )に分類され、例えば、優先配当
株( actions à dividende prioritaire )又は優先株式( actions de préférence )等を含む異なる種類の
株式を構成することがある。
1株当たりの最低額面金額について法律上の制約はない。一般的に最低額面金額は定款において定めら
れるが、最低資本金額を必ずしも定款に記載する必要はない。株式会社の発行する株式は、記名式又は無
記名式である。記名式であれ無記名式であれ、株式の所有は株券によってではなく、会社(記名式株式の
場合)又は金融機関(無記名株式の場合)のいずれかに開設された口座における記載によって表章され
る。
株式を譲渡するためには、株主は口座名義人(当該株式を代理して保有する会社又は(場合により)金
融機関)に譲渡指図を出さなければならない。このような譲渡に事前承認(通常は取締役会の事前承認)
を要する旨の定款上の規定がない限り、株式は自由に第三者に譲渡することができる。
一般的な原則として、一定の限られた例外があるものの、株式会社の各株式には1票の議決権が与えら
れている(ただし、無議決権優先株式及び2倍議決権株式又は一時的に議決権が剥奪されている株式を除
く。)。
フランス法上、株式は株式会社に対する関係では分割不可能である。株式の共同保有者( co-
indivisiares )は株主総会に共同保有者のうちの1人又は代理人1人を出席させる。意見が異なる場合に
は、最も真摯な共同保有者の要請により裁判所が代理人を任命することができる。
株式に付与されている議決権は定時総会時には株式の実質的保有者( usufruitier )に帰属し、臨時株主
総会時には名義権者( nu-propriétaire )に帰属する。
株式の増資又は減資
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株式会社には様々な形態の有価証券を発行する権限が与えられている(例えば、株式、異なる種類株式
及び持分証券並びに負債性証券)。
株式会社は新株式の発行又は発行済株式の額面金額の引上げのいずれかにより、資本金を増加させるこ
とができる。資本金の増加は、取締役会に当該権限及び権能を委任することができる臨時株主総会におけ
る株主の議決によってのみ行うことができる。株式は、( ▶ )現金の払込、( b )現物出資又は( ▲ )準備金
の資本組入れによりさらに発行することができる。
株式会社は、臨時株主総会に招集された株主が承認した上で、株式の額面金額の切下げ又は発行済株式
数の減少により減資することができる。株主間の平等については厳格に遵守しなければならない。同様
に、会社は、資本金の減少によって、会社の債権者に不利益を与えてはならない。
増資又は減資がなされたときには商事裁判所書記官にその通知及び改訂された定款(会社の株式資本が
更新されているもの)を届け出なければならない。
社債又はハイブリッド証券の発行
取締役会は単独で普通社債の発行を決めることができる。ただし、かかる発行を決定する権限が定款に
よって株主総会に留保されている場合はこの限りではない。
取締役会は臨時株主総会からの権限の付与に基づき、その所持人に対し転換、交換、償還、ワラント呈
示又はその他の方法で会社の資本の一部を表章する株式の引受権を一定の期間又は特定の日に付与する証
券を発行することができる。
経 営
フランス法においては、株式会社について2つの経営体制が存在する。
( ▶ )株式会社の経営は、一般的に取締役会が任命する取締役会会長( Président du Conseil )を通じて
行われる。( b )非執行監督役員会(株主によって任命された監事会であり、経営委員会( Directoire )を
選任し、理論的にはその統制をする。)による経営も選択し得る経営体制として存在するが、フランスで
はあまり採用されていない。
a. 取締役会
取締役会は株式会社の活動の方針を定め、株式会社の目的の範囲内及び株主総会に留保された権限に
従ってその実現を目指す。
目的の範囲内に含まれない場合であっても、第三者との関係では株式会社は取締役会のあらゆる行為に
拘束される。ただし、かかる第三者が悪意であることの証明がある場合はこの限りではない。
取締役は株式会社の経営の責任を負う。
取締役会は、とりわけ、以下の権限を委託されている。
・株主総会の招集
・株式会社の年次報告書、年次事業報告書及び暫定事業報告書の作成
・株式会社とその取締役の1人、最高経営責任者又は最高業務責任者の1人の間の自己取引契約の承認
・株式会社の社長及び最高経営責任者の選任並びに解任並びに報酬パッケージの制定
・取締役報酬の分配
①取締役
取締役会は3人以上(定足数の目的上、4人が望ましい。) 18 人以下の取締役により構成される。しか
し、合併の促進のため、合併された株式会社の取締役会は一時的に 18 人超(3年を期限に 24 人まで。)の
取締役で構成することも可能である。
取締役の報酬は株式会社の株主により毎年制定される一時払いにより構成される。
株式会社とその最高経営責任者、最高業務責任者の1人、取締役の1人、株主の中で 10 %超の議決権を
保有する1人又は企業株主の場合には株式会社を支配する者との間で直接又は媒体を通じて締結されたい
かなる契約も取締役会の事前の同意を得なければならない。この審査は2段階で行われる。第一に、取締
役会は契約を特定して承認しなければならない。第二に、当該契約は株式会社の監査役により作成された
特別な報告書を精査した後に株主により採決されなければならない。
前段落に記載された者が間接的に利害関係を有する契約についても同様のことが適用される。株式会社
と他の企業との間で締結された契約も株式会社の最高経営責任者、最高業務責任者又は取締役の1人が当
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該企業のオーナー、無限責任組合員、経営者、取締役若しくは監事会の1人である場合又はより一般的に
当該企業の経営に何らかの関わりがある場合、株式会社の取締役会の事前の同意を得なければならない。
取締役との特定の種類の自己取引契約は特に禁止されている。従って自己取引の承認手続は適用されな
い。取締役は以下の行為を禁止されている。
・株式会社から金銭を借りること
・株式会社から前払いを受けること
・株式会社に取締役の第三者に対する債務についての担保提供又は保証をさせること
最高経営責任者、法人の名誉代表、上記の者の配偶者あるいは直近の親族又は取締役のために間接的に
行為する者にも同様の禁止事項が適用される。
各取締役は株式会社の経営状態の確認及び評価又は意志決定プロセスの促進に必要な情報を提供するよ
う株式会社の経営陣に対して請求する権利がある。
② 取締役会会長
取締役会会長は株式会社の経営権限を有しておらず、法律上の代表権もない。これらの権限は最高経営
責任者( Directeur Général )に委ねられている。
しかし、取締役会において同一人物が両職務を兼任する旨決定した場合には、取締役会会長は最高経営
責任者の立場で株式会社の総括経営を行うことができる。
取締役会会長の役割は以下を含む。
・取締役会の職務の組織化及び指揮(会の日程調整、議題の決定、会の進行等)並びに総会への職務内
容(会の開催回数、直面した問題等)の情報提供
・株式会社の経営陣の機能の監督、特に、取締役がその役割を果たすための適所に配置されていること
の確認(取締役の知る権利の尊重、取締役の職務執行能力の管理)
取締役会会長は取締役会によって選任される。取締役会会長の任期は取締役の任期(最長で6年)を超
過してはならない。
③ 最高経営責任者( Directeur Général )及び最高業務責任者 ( D irecteur Général Délégué )
最高経営責任者( Directeur Général )及び最高業務責任者 ( D irecteur Général Délégué )は個人でな
ければならない。取締役であるか否かは問わず、取締役会によって選任される。
最高経営責任者は第三者との取引において株式会社を代表する。定款に最高経営責任者の当該行動につ
いて定めがなくその権限に制限が設けられている場合(合議体としての取締役会にのみ決定権が付与され
ている場合等)でも、株式会社は最高経営責任者の行為に拘束される。 第三者に対してはその制限を対抗
することはできない。
株式会社は複数の最高経営責任者( Directeur Général )を選任することはできない。しかし、最高業務
責任者 ( D irecteurs Généraux Délégués )であれば5人まで選任することが可能である。
取締役会は最高経営責任者( Directeur Général )をいつでも解任することができる(取締役会会長の提
案なしでも可能である。)。しかしながら、当該解任に妥当な動機がないときは損害賠償につながること
がある(ただし最高経営責任者及び取締役会会長が同一人物である場合は、妥当な理由を呈示する必要が
ない。)。
最高業務責任者は第三者に対して最高経営責任者と同等の権限を持つ。取締役会によりかかる権限につ
いての制限が決定された場合には、当該制限は第三者に対抗できない。
b. 監事会及び経営委員会
この経営体制においては、統制及び経営は2つの組織に分けられている。株主によって選任される執行
権を有さず株式会社の経営を統制する監事会( Conseil de surveillance )及び監事会において選任される
経営委員会( Directoire )である。
監事会及び経営委員会は完全に別組織であるとされ、両方のメンバーを兼任することはできない。
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この体制と上記に記載の取締役会との主要な相違点は、監事会のメンバーは株式会社の起こりうる経営
の過誤についての責任を個人的には負うことがないことである。一方、経営委員会のメンバー(株主でな
くても良い。)は経営の過誤について個人的に責任を負う。
実務上、このような体制はフランスではあまり採用されていない。
株主の権利
(イ)株主総会
株主総会とは、株式会社における最高の意志決定機関である。株主総会において、株主は取締役及
び監事会のメンバーを指名、解任又は変更する。株主総会は配当金分配決定の前提となる株式会社の
計算の承認又は却下をする監査役の選任も行う。また、株主総会は株式会社の株式資本の変更、株式
会社の定款の改訂及び株式会社の解散の承認を行う唯一の機関である。
株主総会( assemblée générale des actionnaires )は、 とりわけ、 取締役又は監事を選任し、 会社
と 会社 のシニア・エグゼクティブ又は取締役との間で締結した契約を承認し、前事業年度における会
社の業務に関する取締役会(又は経営委員会)及び監査役の報告書を受領し、かかる事業年度の計算
書類を承認するために、少なくとも年1回開催される。他の株主総会は随時招集することができ、 か
かる株主総会は 臨時株主総会( assemblée générale extraordinaire des actionnaires )といわれ、
株式会社の組織の根本的な変更により 株主による 定款変更の承認又は授権資本の変更を行う必要があ
る場合に開かれる。その他の株主総会は定時総会( assemblée générale ordinaire des
actionnaires )という。
定時総会
定時総会は、「通常」の決議、例えば、取締役の選任及び解任、監査役の選任、計算の承認、登録
事務所の移転の承認等を行う権限を有する。
定足数は株式会社の議決権がある株式数の5分の1以上( BFCM の場合4分の1以上)を有する株主
又は代理出席者により構成される。第2回目の総会(第1回目が定足数を満たさなかったため開催さ
れる。)においては定足数は存在しない。株主は定時総会に出席の株主又は代理出席者の多数決に
よって普通決議事項の決議をする。投票の棄権は反対票として扱われる。郵送による投票も可能であ
る。
臨時株主総会
臨時株主総会は株式会社の定款の改訂に繋がる決議を行う独占的権限を持つ。臨時株主総会は株式
資本による資金調達を可能にする有価証券の発行についての権限又はその権限を取締役会若しくは監
事会に委託する権限を有する。
定足数は株式会社の議決権がある株式数の4分の1以上( BFCM の場合2分の1以上)(第2回目の
総会においては5分の1以上( BFCM の場合4分の1以上))の株主及び代理出席者により構成され
る。臨時株主総会においては出席又は代理出席している株主の3分の2の賛成票が必要となる。
株主の出資額の増額は全て株主の全員から承認されなければならない。
定款により数種類の株式が定められている場合は、全株主に適法に通知された臨時株主総会の承認
がなければ数種類の株式の権利内容に変更を加えることができない。さらに関係する種類の株式を有
する株主の臨時の種類別集会により当該決議が承認されなければならない。
(ロ)議決権
いかなる株主総会においても、一般に1株当たり1票の議決権が認められている。しかしながら、
議決権のない株式や2倍議決権が与えられる株式もある。株主間契約、議決権信託、投票プール制、
撤回不能の代理権その他の株主の自由な議決権の行使を制限する措置は禁止されている。株主は、他
の株主又は配偶者に対してのみその保有する株式の議決権を行使する権限を付与する委任を与えるこ
とができる。かかる委任は、1回の株主総会についてのみ有効である。株主は議決権行使について2
つ以上の委任を受けることができる。株主が誰がどのように議決権を行使するかを特定せずに委任し
た場合、株主総会の議長がかかる株主のために議決権を行使する権限を有する。ただし、この場合は
自動的に、議長は取締役会又は経営委員会によって提案又は支持されている決議に賛成票を投じ、そ
の他全ての決議には反対票を投じたものとみなされる。
(ハ)配当
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会計年度の利益から前会計年度より繰り越された損失、法定準備金に積立てられる金額及び法律に
基づき準備金に積立てられるその他金額の合計を差引いたものが配当可能利益となる。
株主総会における決定(取締役会の提案による)に従って、配当可能利益から法定準備金への繰越
又は積立額を控除するものとする。控除後の配当可能利益の残高は配当金として株主の保有する株式
の額面金額に按分して均等に分配されるものとする。
配当は年次株主総会において株主により承認されなければならず、株主総会により前事業年度の会
社の計算書類が承認され、配当可能利益の額が決定されてはじめて行われる。かかる手続がとられな
い唯一の例外として、会社により中間配当( acomptes sur dividendes )が行われる場合がある。中間
配当は一定の場合において、随時事業年度の途中に取締役会又は経営委員会により行われる。配当決
議の日における株主は全て、原則として配当を受けることができる。
(ニ)解散及び清算
株式会社はいくつかの事由により、強制的に解散されることがある。存続期間の満了時、株式会社
が企業目的を達成した場合若しくは企業目的達成が不可能になった場合、破産手続において法律上の
清算が命じられた場合、定款における解散の規定に該当した場合又は臨時株主総会において株式会社
の解散が決議された場合である。上場株式会社は、利害関係にあるいずれかの当事者の申立により株
式会社の株主数が1年超の間7人未満であることが判明した場合、地方商事裁判所の裁判官の決定に
より強制的に解散されることもある。
さらに、実際の資本が表示資本の 50 %未満に減少した場合には、株式会社は解散するか又は株主が
株式会社に資本注入をしなければならない。
株式会社の解散が決定した場合、すぐに清算手続がとられる。
清算は、会社資本の過半数にあたる株式を有する株主により又は商事裁判所により株式会社の解散
が命じられた場合には、当該裁判所により選任された単独又は複数の清算人により行われる。清算人
は、公示手続を行い、会社の資産を整理し、会社の残債務を全て支払う。
会社の全ての負債及び優先的な受益権を有する全ての株主に対する支払が行われた後に、清算人
は、株主に対し、会社の資産を分配することができる。
清算が終了するときに、清算人は清算を承認し、会社の清算を完了させるために株主総会を招集す
る。かかる総会後、会社は法人格を喪失することとなる。
(2)【提出会社の定款等に規定する制度】
商号 : フランス相互信用連合銀行 ( BFCM )
設立の場所及び登記番号:ストラスブール TI 355 801 929
APE/NAF コード(フランス) :6419 Z
BFCM の設立年月日及び存続期間:
BFCM は 1933 年6月1日付でバンク・モゼラーヌ( Banque Mosellane )という商号で設立された。会社
の存続期間が延長された場合又は早期に解散した場合を除き、当行は 2032 年6月1日をもって解散す
る。
登録事務所、法律上の形態、当行の活動に適用される法令、設立国及び登録事務所の電話番号:
BFCM は 取締役会 を設置するフランスの株式会社( Société Anonyme à Conseil d’Administration )で
ある。金融機関及び株式会社として、当行は法定監査人として公式に登録された監査法人2社の監査を
受ける。この監査人は株主総会においてフランスの銀行委員会の承認を条件として、6年を任期として
選任される。
BFCM は株式会社に適用されるフランス商法及びフランスの金融機関に適用ある法律(大部分はフラン
スの通貨金融法に 規定 される。)に準拠する。 BFCM はフランス銀行連合の会員である。
BFCM に関連 する 法的文書は当行の登録事務所( フランス、ストラスブール 67000 、リュ・フレデリック
-ギヨーム・ライフアイゼン4、電話番号 +33 (0)3 88 14 88 14 ) で閲覧可能である。
会社の目的(定款第2条)
当行の目的は以下のとおりである。
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・その事業の範囲内において、 ケス・ド・クレディ・ミュチュエル( Caisses de Cr édit Mutuel )、
ケス・ フェデラル ・ド・クレディ・ミュチュエル・ サントル・エスト・ユーロップ ( Caisse
Fédérale de Crédit Mutuel Centre Est Europe )、 フェデラシオン・デュ・クレディ・ミュチュエ
ル・サントル・エスト・ユーロップ( Fédération du Crédit Mutuel Centre Est Europe )と共に形
成する グループの多様化する活動を組織化し、発展させること
・当行自身及び第三者のため又はフランス及びフランス国外と共同して、あらゆる銀行業務及びそれ
らに関連し付随する業務を行い、保険仲介業務及びより一般的な保険仲介分野におけるあらゆる活
動並びに 施行されている 法令に従ってなされる銀行の活動分野に含まれる一切の業務を行うこと
・新規企業立ち上げ、会社の拠出、株式若しくは株式持分の買取り若しくは引受け、合併、提携、株
式保有又はシンジケートの保証その他の方法により、フランス又はフランス国外の一切の企業の株
式を直接又は間接に取得又は管理すること
・上記記載の目的に直接若しくは間接的に則し又は銀行の事業分野に含まれる一切の金融・産業・商
業・動産及び不動産業務を全般的に遂行すること
・フランスの通貨金融法に準拠する投資サービスを提供することもその目的としている。
会計年度
当行の会計年度は各暦年の1月1日から 12 月 31 日までとする。
利益の処分(定款第 40 条)
各会計年度について法定の準備金を積み立てた後、 株主総会が承認した 財務書類に分配可能な利益が
ある場合、株主総会はかかる利益について、一つ又は複数の準備金に積み立てる(その積立金及び用途
は株主総会において決定される。)か、内部留保として利益を留保するか又はその分配を行うかの決定
をするものとする。
配当が行われる場合には、かかる分配は、まず直近の会計年度の利益から引き出されるものとする。
自由に処分できる準備金の存在を認識した後、株主総会は準備金を取り崩して行う配当を決定するこ
とができる。この場合、株主総会での決議は、取り崩される準備金を明確に特定しなければならない。
各会計年度の財務書類を承認する株主総会は、施行されている法令に従い、分配される配当の全部 又
は一部につき現金の支払又は株式の交付のいずれによるかのオプションを各株主に付与することができ
る。
取締役会は、 配当を現金の支払又は株式の交付のいずれによるかの選択権を各株主に付与して中間配
当を行うことができる。
株主総会
株主総会は取締役会が登録事務所の所在地において法律上の公告に適したものとして認知される刊行
物において通知を公告することによって招集するものとする。 かかる 招集通知は個別の文書としても複
製され、登録株式を当該公告が行われる現在において最低1ヶ月保有している株主に 普通郵便で 送付さ
れる。
株式資本は普通株式によって構成されていることから一定の例外を除き原則として各株式につき1票
の議決権が付与されている(一定の状況下において一時的に議決権が剥奪される株式を除く)。
2倍議決権は存在しない。
提出会社に関する追加の特定の規定
株主の構成
株主の承認条件(定款第 10 条の抜粋)
当行の株主は以下の者のみとする。
( 1 ) フェデラシオン・デュ・クレディ・ミュチュエル・デュ・サントル・エスト・ユーロップ
( Fédération du Crédit Mutuel du Centre Est Europe )、 ケス・フェデラル・ド・クレ
ディ・ミュチュエル ( Caisse Fédérale de Crédit Mutuel )及び保険相互会社であるアシュラ
ンス・デュ・クレディ・ミュチュエル - ヴィ( Assurances du Cr édit Mutuel - Vie )
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( 2 ) ケス・ド・クレディ・ミュチュエル( Caisses de Cr édit Mutuel )並びにその他の CF de CM の
協力及び相互組織会員
( 3 ) 1958 年 10 月 16 日付法令、第 5-1 条3号及び4号に規定される 県 別又は 県 間の地元相互金庫及び ケ
ス・サントラル・デュ・クレディ・ミュチュエル ( Caisse Centrale du Cr édit Mutuel )。上
記 ( 2 ) 及び ( 3 ) に規定され、1つ又は複数の 県 内及び 県 間の地元相互金庫によって支配され
る、 事業体の 子会社又は株主。
( 4 ) 当行の取締役
上記記載のカテゴリーのいずれにも属さない個人又は法人で引き続き当行の株式を所有する者は、個
別の地位においてその株式を保持することができる。
シャンブル・シンジカル・ド・ラ・フェデラシオン・デュ・クレディ・ミュチュエル・サントル・エ
スト・ユーロップ( Chambre Syndicale de la } édération du Crédit Mutuel Centre Est Europe )及び
ケス・フェデラル・ド・クレディ・ミュチュエル( Caisse } édérale de Crédit Mutuel )の承認を得た
場合においてのみ本条の規定を改訂することができる。
当行株式の譲渡
当行の株式は完全に譲渡可能であるが、保有株式の譲渡は上記の要件を満たした法人又は個人の間に
おいてのみ取締役会の承認を得た上で行うことができる(定款第 11 条)。
経 営
BFCM はフランス法の関連する規定を実行し、現行の定款によると BFCM は取締役会により運営され、その
経営は取締役会会長及び最高経営責任者を兼任する単一の人物に委ねることを決定した。
BFCM の定款に基づき、取締役会は最低3人で最高 18 人の取締役を構成し、その取締役は選任された日を
含む3年間を任期とする。
取締役会に関連する適用あるフランス法の詳細については上記(1)「提出会社の属する国・州等にお
ける会社制度」を参照。
株主総会
株主総会は、以下の条件に基づき、かかる株主総会開催日の遅くとも丸3日以前に自己の名前で登録さ
れた株式を有する全ての株主により構成される。
株主総会へ参加するための証明は、フランス商法典の規定第 L.228-1 条に従い、株主総会に先立つパリ時
間の第3営業日の午前0時に、株主の名前又は株主の代理として登録されている仲介機関の名前の株式の
口座記録を当行によって管理されている記名株式の口座又は公認の仲介機関により保有されている無記名
式株式の口座に登録するという形をとる。
どの株主も、他の株主に、株主総会においてかかる株主を代表する代理権を与えることができる。法人
株主は、その法定代理人又はかかる法定代理人によりその目的のために任命された者を通して株主総会に
参加する。
株主総会は、法令の規定に従って招集及び投票される。
全ての株主総会の議題は招集通知者によって決められる。
ただし、1人以上の株主は法律で定められた条件に基づいて、決議案を議題に入れることを要請するこ
とができる。
株主総会は、法律に定めるとおり、株主が指名した取締役の辞任又は交代に関する議題を除き、議題と
して記載されていない事項について決議することはできない。
全ての株主総会は当行の登録事務所又は招集通知に明記された他の場所で開催される。
定款においてさらに厳しい定足数規則がある場合を除き、決議は法定定足数及び投票規則に基づいて株
主総会で採択される。定足数及び投票規則並びに定時総会及び臨時株主総会の権限に関する規則について
は上記「 (1)提出会社の属する国・州等における会社制度」 を参照。
定足数及び議決権の過半数の計算には、適用法に従い、ビデオ会議又は本人としての照合が可能である
遠距離通信の方法を通して株主総会に出席する株主を含むものとする。
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全ての株主総会において、取締役会会長が議長を務め、会長が欠席又は参加不可能な場合には取締役会
でその目的のために委任された取締役がこれに代わる。
株主総会において指名され、その意志のある2名が投票集計係( scrutateur )を務める。
上述の役員は総会の秘書役を任命する。かかる秘書役は株主である必要はない。
出席者リストは全ての株主総会において法に従って保持される。
株主総会の役員は、代理により出席した株主の委任状及び郵便により受領した投票用紙を出席者リスト
に添付する。
株主及び代理機関が正式に加えられた出席者リストは、総会の役員によって認証される。
全ての株主は、法律の規定に従い、郵便により投票することができる。
全ての株主総会において、出席する各株主は、法律の規定によるものを除き制限なしでかつ定款の規定
に従い、所有又は表章する株式数と同数の議決権を有する。
株主の決定は、全て法令の規定に従い、番号と署名が連続して付され、特別な帳簿に綴じられたルーズ
リーフ用紙に記載された議事録によって証憑される。
議事録の謄本又は抄本は取締役会会長、最高経営責任者、取締役の1人又はかかる株主総会の秘書役に
よって有効に認証されるものとする。
法定監査人 ( Commissaires aux Comptes )
株主総会は、法律によって定められた監査任務を有する少なくとも法定監査人2社を選出するものとす
る。
上述の法定監査人は法律によって定められた資格を有していなければならない。法定監査人は6会計年
度の任期で選出され、法律によって定められた一定の例外に基づき再選の資格も有する。
正規の法定監査人の死亡、執行不能、任務の拒否又は辞職の場合には、1人又は複数のこれに代わる法
定監査人が選出される。
2【外国為替管理制度】
フランスにおける外国投資
本書の日付現在、当行が 発行した社債(以下「 本社債 」という。) の購入若しくは取得又は当行によ
る本社債に関する利息及び償還額の送金に関して、フランスの外国為替管理規制はない。
3【課税上の取扱い】
(1)フランスにおける課税
以下は、日本における課税並びに 1995 年3月3日付の「所得に対する租税に関する二重課税の回避及
び脱税の防止のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約」(以下「租税条約」という。)
及び 2007 年1月 11 日付の議定書の目的上の日本国居住者、租税条約の利益を享受する権利を有する者及
び本社債のために日本国外の恒久的施設又は固定的拠点から行為していない者(以下「日本国居住社債
権者」という。)が本社債を取得、保有及び処分した場合の重要なフランス税効果の概要である。
以下は、発行者の株式を所有しない本社債権者に関連する可能性がある。
以下の説明は、一般的な概要である。この説明は、特定の状況にある本社債権者に関連する可能性の
あるフランス税法及び租税条約 の全ての点について記載 したものではない。
1 )本社債の利息に係る課税
利息及び本社債に 関して 発行会社に生じたその他の類似の収益の支払は、当該支払が、フランス
の一般租税法典( Code général des impôts )第 238-0A 条の意義の範囲内におけるフランス国外の協
力的でない国家又は地域( Etat ou territoire non coopératif )(以下「非協力国」という。)
(フランスの一般租税法典第 238-0A 条2 bis 2に記載される非協力国を除く。)においてなされる場
合以外は、フランスの一般租税法典第 125A Ⅲ条に規定された源泉課税の対象にはならない。当該本
社債に基づく当該支払が非協力国(フランスの一般租税法典第 238-0A 条2 bis 2に記載される非協力
国を除く。)においてなされた場合は、フランスの一般租税法典第 125A Ⅲ条に基づき 75 %の源泉課
税が適用される(ただし、一定の例外及び適用ある二重課税条約のより有利な規定に服する。)。
さらに、社債に係る利息及びその他の類似の収益は、それが非協力国において居住するか若しく
は設立された者に対して支払われ若しくは発生した場合又は当該非協力国において支払われた場合
は、フランスの一般租税法典第 238A 条に従い発行会社の課税所得から控除されない。一定の条件の
下では、控除できない利息及びその他の類似の収益はフランスの一般租税法典第 109 条以下に従っ
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て、みなし配当と位置付けられることがある。その場合、かかる控除できない利息及びその他の収
益は(ⅰ)フランス税法上の非居住者である法人への支払には 28 %(フランスの一般租税法典第
219- Ⅰ条に規定される標準的な法人税率と一致させる。)、(ⅱ)フランス税法上の非居住者であ
る個人への支払には 12.8 %及び(ⅲ)フランス国外の非協力国(フランスの一般租税法典第 238-0A
条2 bis 2に記載される非協力国は除く。)において行われる支払には 75 %の税率で、フランスの一
般租税法典第 119 の bis 2条に規定の源泉課税の対象となることがあるが、一定の例外及び適用ある
二重課税防止条約の規定のより有利な規定に服する。
上記にかかわらず、フランスの一般租税法典第 125A Ⅲ条に規定の 75 %の源泉課税及び (関連ある
利息及びその他の類似の収益が真正な取引に関するものであり、異常又は過剰な金額でない限り)
非課税所得控除のいずれも、社債の発行の主たる目的及び趣旨が非協力国における利息又はその他
の類似の収益の支払を許容するものでないことを発行会社が証明することができる場合は、特定の
社債の発行に関して適用されない(以下「免除」という。)。フランスの行政ガイドライン
( Bulletins Officiels des Finances Publiques-Impôts )( BOI-INT-DG-20-50-20140211 )に従っ
て、以下のいずれかに該当する場合は、発行会社が当該社債の発行の目的及び趣旨を証明すること
なく、当該社債の発行には免除が適用される。
(ⅰ)社債が通貨金融法( Code mon étaire et financier )の L.411.1 条の意義の範囲内における
公募により又は非協力国以外の国家における類似の募集に従って募集される場合。ここでいう
「類似の募集」とは、外国証券市場当局による又は外国証券市場当局への募集書類の登録又は提
出を必要とする募集を意味する。
(ⅱ)社債が規制市場又はフランス若しくは外国の多国間証券取引システムでの取引を承認され
ている場合。ただし、当該市場又はシステムは 非協力国には所在せず、また当該市場の運営は市
場運営者若しくは投資サービス提供者又はその他類似の外国事業体により行われているものとす
る。さらに、当該市場運営者、投資サービス提供者又は事業体は非協力国には所在しないものと
する。
(ⅲ)社債が、発行時に、通貨金融法の L.561-2 条の意義の範囲内における振替決済制度若しくは
証券決済・引渡・支払制度の運営者の決済業務又は1若しくは複数の類似の外国の振替機関若し
くは運営者の決済業務に承認されている場合。ただし、当該振替機関又は運営者は非協力国には
所在しないものとする。
本社債は、日本の金融商品取引法に基づき、日本の証券市場当局である日本国金融庁関東財務局
長に対して本社債の募集の登録を必要とする日本における公募により募集される。したがって、と
りわけこの公募により、 上記のフランスの行政ガイドラインの記載に従って本社債には免除が適用
され、本社債に関して発行会社が行う利息又はその他の類似の収益の支払は、フランスの一般租税
法典第 125A Ⅲ条に規定の源泉課税の対象にはならない。さらに、当該支払が非協力国に所在の金融
機関に開設された口座へ行われた場合又は当該支払が 非協力国に設立され若しくは居住する者に対
して発生し若しくは支払われた 場合は、当該支払はフランスの一般租税法典第 238A 条に規定の非課
税所得控除及び同法典第 119 の bis 2条に基づく源泉課税のいずれの対象にもならない。
2 )譲渡所得税
租税条約に従い、日本国の居住者である本社債権者が保有する本社債の売却又は処分から得る利
益は、フランスの租税上課税対象とならない。
3 )フランス遺産税及び 贈与税
フランスと日本が遺産税及び贈与税に関する条約を締結していないため、贈与又は日本国の居住
者である本社債権者の死亡による本社債の承継は、フランス国内法に従い、フランスの贈与又は相
続税に服することがある。本社債権者は、本社債の保有につき遺産税及び贈与税が課税されるか否
かについて自身の税務顧問に相談することが推奨される。
(2)日本における課税
日本国の居住者及び内国法人が支払いを受ける本社債の利息及び本社債の償還により支払いを受ける
金額が本社債の発行価額を超える場合の差額(以下「発行差益」という。)並びに本社債の譲渡により
生ずる譲渡益は、日本国の租税に関する現行法令の定めるところにより一般的に課税対象となる。
日本国内に恒久的施設を有しない日本国の非居住者及び外国法人が支払いを受ける本社債の利息及び
発行差益は、原則として日本国の課税対象とはならない。日本国内に恒久的施設を有しない日本国の非
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居住者及び外国法人が本社債を日本国内において譲渡した場合、かかる譲渡から生ずる譲渡益について
は、原則として日本国の租税は課されない。 非居住者又は 外国法人の納税義務は、適用される租税条約
の 規定により、限定され又は免除されることがある。
投資を検討する者は、いずれの場合においても、本社債に関する課税上の結果について自身の税務顧
問に相談すべきである。
4【法律意見】
BFCM のフランス法に関する法律顧問であるホワイト&ケース・エルエルピー(パリ事務所)より、大
要、下記の趣旨の法律意見書が提出されている。
(ⅰ) BFCM は、フランス共和国の法律に基づく株式会社( société anonyme )であり、 ストラスブール
商業・法人登記所( Registre du commerce et des sociétés )に登記されている 。
(ⅱ)本書(その訂正報告書を含む。以下同じ。)の提出は、 BFCM により適法に授権されている。
(ⅲ)「第一部 企業情報-第1 本国における法制等の概要」との標題における記載は、当該記載が
フランス共和国の法律的事項(フランス共和国における租税を含む。)の概要について言及して
いる限りにおいて、全ての主要な点において真実かつ正確である。
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第2【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
以下は経営成績の概要であり、「第一部 企業情報-第6 経理の状況-1 財務書類」に記載の当行の
連結財務情報及び個別財務情報と併せて参照すべきものである。
(1) BFCM グループ(連結ベース)
資産- IFRS
( 単位: 2019 年 2018 年 2017 年 2016 年 2015 年 2015 年
2018 年
1月1日
百万ユーロ ) 12 月 31 日 12 月 31 日 12 月 31 日 12 月 31 日 12 月 31 日 12 月 31 日
(修正再表示後 )
(修正再表示後 )
(注 1)
(注 2)
現金及び中央銀
行への預け金
64,764 55,518 55,941 55,941 59,950 9,853 9,853
純損益を通じて
公正価値で測定
する金融資産
31,819 18,287 15,704 31,275 26,927 26,392 26,392
その他の包括利
益を通じて公正
価値で測定する
金融資産( 2018
年1月1日以
降)/ 売却可能
金融資産 ( 2017
年 12 月 31 日以
前、 IAS 39 号)
30,451 27,194 26,791 92,913 96,597 100,324 100,324
償却原価で測定
する金融機関等
への貸出金及び
債権( 2018 年1
月1日以降)/
金融機関への貸
出金及び債権
( 2017 年 12 月 31
日以前)
51,675 57,322 54,129 50,311 53,138 86,879 86,879
償却原価で測定
する顧客への貸
出金及び債権
( 2018 年1月1
日以降)/ 顧客
への貸出金及び
債権 ( 2017 年 12
月 31 日以前) 250,142 244,000 223,143 224,682 213,329 190,903 190,903
未収還付税
1,029 1,111 1,164 1,164 797 596 596
繰延税金資産
1,154 1,132 1,142 911 947 916 780
未収収益及びそ
の他の資産
8,149 7,867 6,283 12,233 13,666 14,509 14,509
資産合計
569,947 535,112 492,799 493,585 491,344 458,650 458,515
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負債及び株主資本- IFRS
( 単位: 2019 年 2018 年 2018 年 2017 年 2016 年 2015 年 2015 年
1月1日
百万ユーロ ) 12 月 31 日 12 月 31 日 12 月 31 日 12 月 31 日 12 月 31 日 12 月 31 日
(修正再表示後 ) (修正再表示後 )
(注 2)
(注 1)
中央銀行から
の預り金 715 350 285 285 0 0 0
純損益を通じ
て公正価値で
測定する金融
負債 18,854 4,390 5,455 9,221 11,279 12,859 12,859
償却原価で測
定する金融機
関等に対する
債務( 2018 年
1月1日以
降)/ 金融機
関に対する負
債 ( 2017 年 12
月 31 日以前) 39,919 62,197 54,476 50,586 55,474 49,290 49,290
償却原価で測
定する顧客に
対する債務
( 2018 年1月
1日以降)/
顧客に対する
債務 ( 2017 年
12 月 31 日以
前) 217,103 193,459 183,922 184,014 178,256 162,041 162,041
償却原価で測
定する負債証
券( 2018 年1
月1日以
降)/ 負債証
券 ( 2017 年 12
月 31 日以前) 125,110 119,755 112,453 112,453 112,304 105,176 105,176
未払税金 575 373 530 530 456 389 389
繰延税金負債 1,190 958 1,121 1,180 1,163 1,018 1,018
未払費用及び 8,771
(注3)
その他の負債
8,406 5,591 9,522 9,995 11,500 11,500
保険契約に関
する負債
( 2018 年1月
1日以降)/
保険会社の責
任準備金
( 2017 年 12 月
31 日以前) 111,192 102,868 88,188 84,289 81,547 77,229 76,835
引当金 2,700 2,601 2,556 2,436 2,235 1,824 1,824
償却原価で測
定する劣後債
( 2018 年1月
1日以降) /
劣後債 ( 2017
年 12 月 31 日以
前) 8,735 7,724 8,375 8,375 7,360 6,741 6,741
株主資本合計 32,072 29,654 26,758 27,604 26,918 25,394 25,653
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負債及び株主
資本合計 569,947 535,112 492,799 493,585 491,344 458,650 458,515
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損益計算書- IFRS
( 単位: 2019 年 2018 年 2017 年 2016 年 2015 年 2015 年
百万ユーロ ) 12 月 31 日 12 月 31 日 12 月 31 日 12 月 31 日 12 月 31 日 12 月 31 日
(修正再表示後 ) (修正再表示後 )
IAS 39 号
(注 ▶) (注 2)
銀行業務純益
10,865 10,354 10,422 9,830 9,239 9,219
営業総利益/
(損失)
4,639 4,303 4,443 4,043 3,781 3,761
営業利益
3,641 3,498 3,660 3,295 3,085 3,065
税引前利益/
(損失)
3,786 3,664 3,342 2,999 3,039 3,020
法人税
-1,124 -1,224 -1,541 -1,100 -1,142 -1,120
当期純利益/
(損失)
2,663 2,440 1,823 1,943 1,875 1,877
利益/(損失)
-非支配持分
380 356 275 288 334 335
グループに帰属
する当期純利
益/(損失)
2,282 2,084 1,548 1,655 1,541 1,542
(注1)
会計原則及び会計方針
1.1 会計基準
国際会計基準の適用に関する規則( EC )第 1606 / 2002 号及び同基準の採用に関する規則( EC )第 1126 /
2008 号に基づき、連結財務書類は、 2018 年 12 月 31 日において欧州連合が採用している国際財務報告基準
( IFRS )に従って作成されている。
全体の枠組みは、欧州委員会のウェブサイトに掲載されている。
財務書類は、 Autorité des normes comptables ( ANC :フランス会計基準当局)の IFRS 要約報告書に関する
勧告第 2017 - 02 号において推奨されている書式に従って表示されている。これらは、欧州連合が採用してい
る国際会計基準と一致している。
リスク管理に関する情報は、グループの経営者報告書に記載されている。
2018 年1月1日より、グループは以下を適用している。
■ IFRS 第9号
IFRS 第9号は、 IAS 第 39 号「金融商品:認識及び測定」に置き換わるものである。これは以下について新
たな規定を定めている。
- 金融商品の分類及び測定(第1段階)、金融商品の信用リスクによる減損(第2段階)、及び
- ヘッジ会計(マクロ・ヘッジを除く)(第3段階)
IFRS 第9号に基づく分類及び測定の規定、並びに新たな減損モデルは、 2018 年1月1日現在の期首財政
状態計算書(株主資本への影響)を調整して遡及適用されており、比較数値として表示される事業年度の
修正再表示は求められない。従ってグループは、 2017 年度の数値を IFRS 第9号に従った形式に調整するこ
となく、 2018 年度財務書類を表示している。 IAS 第 39 号から IFRS 第9号へのポートフォリオの移行、及び
2018 年1月1日現在の株主資本への影響に関する説明は、財務書類に対する注記に記載されている。グ
ループは、第3段階については選択可能であることから適用していない。そのため、ヘッジ会計モデルに
ついては欧州連合が採用した IAS 第 39 号のモデルを引き続き使用している。
IFRS 第9号の導入は、金融コングロマリット指令の範疇に該当する保険部門を除いて、グループの全て
の事業に関わるものである。保険部門での導入は、欧州連合により採用され 2022 年まで延期された IFRS 第
4号の改訂が予定しているとおり、 2021 年まで適用を延期することができる。この延期を利用するために
は、多くの条件が満たされなければならず、特に、保険部門と金融コングロマリットの他の部門の間で、
両セクターで純損益を通じて公正価値で認識する金融商品を除き、認識の中止をもたらす金融商品の移転
を行わないことを含んでいる。
グループが適用した IFRS 第9号の会計原則の詳細は、注記 1.3.1 - IFRS 第9号「金融商品」に記載されて
いる。
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■ IFRS 第 15 号
この基準は、収益認識に関するいくつかの基準及び解釈指針(特に IAS 第 18 号 - 収益、 IAS 第 11 号 - 工
事契約)に置き換わるものである。この基準は、リース、保険契約又は金融商品に適用される基準の範疇
に該当する収益には影響を及ぼさない。
IFRS 第 15 号においては、収益は、財又はサービスの支配が顧客へ移転した時点で、売り手に権利がある
と見込まれる金額で認識される。
そのために、当該基準では、通常の活動から生じる収益の認識時期及び金額を事業体が決定するための
5段階モデルを定めている。
- 顧客との契約の識別
- 契約における履行義務の識別
- 取引価格の算定
- 契約における履行義務への取引価格の配分
- 事業体が履行義務を充足した時点で(又は充足されるにつれて)の収益の認識
IFRS 第 15 号の分析及びその潜在的な影響の識別が行われ、当該基準はグループに対して重大な影響を及
ぼさないと結論付けられた。
■ グループに対する影響が軽微であるその他の改訂
これらの改訂は以下に関わるものである。
- 子会社、共同支配企業、又は関連会社に対する投資が売却目的保有資産と分類された場合の IFRS
第 12 号に従った具体的な開示。
- ベンチャー・キャピタル及びプライベート・エクイティである事業体による関連会社及び共同支
配企業についての「純損益を通じた公正価値での測定」オプションの適用。 IAS 第 28 号の改訂で
は、このオプションは事業体毎に行うことができるとしている。
- 投資不動産区分への又は投資不動産区分からの振替の明確化( IAS 第 40 号)。
- 外貨建取引に関連した前払・前受対価の取扱い( IFRIC 第 22 号)。
- IFRS 第2号に基づく株式報酬取引。以下の変更が含まれる。
- 現金決済型取引の測定における権利確定条件に関する会計上の取扱い
- 源泉徴収税について純額決済要素を有する取引
- 取引の分類を現金決済型から持分決済型に変更する株式報酬取引の条件変更
1.2 連結の範囲及び方法
連結主体
グループの親会社はBanque Fédérative du Crédit Mutuelである。
連結の範囲
事業体を連結範囲に含めるか否かの判断基準は、IFRS第10号、IFRS第11号及び改訂IAS第28号により定めら
れている。
グループが支配する又は重要な影響力を及ぼすが、連結財務書類上重要ではない事業体は、連結の範囲か
ら除外される。ある事業体の財政状態計算書の合計又は純損益が、連結計算書又は下位連結計算書(レベル
別の連結の場合)の合計に占める割合が1%未満の場合、連結財務書類上重要ではないとみなされる。この
定量的基準は相対的なものにすぎず、この基準値に達しているか否かに関わらず、その事業又は予想される
動向を鑑みて戦略的投資とみなされる場合、事業体が連結グループに含まれる場合もある。
連結の範囲は、以下からなる。
■ 支配下にある事業体: グループが事業体に対するパワーを有する場合、グループが事業体への関与に
よって生じる変動リターンに対するエクスポージャーにさらされている又は変動リターンに対する権
利を有する場合、及び事業体が獲得するリターンに影響を及ぼすように事業体に対するパワーを用い
る能力を有している場合、支配しているとみなされる。グループの支配下にある事業体の財務書類
は、全部連結している。
■ 共同支配下にある事業体: 共同支配は、契約により合意された事業体に対する支配の共有であり、主
な活動に関する決定に支配を共有する当事者の全会一致の合意が求められる場合にのみ存在する。共
同支配を行使する2者以上の当事者はパートナーシップを構成し、共同支配事業又は共同支配企業の
いずれかとなる。
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- 共同支配事業とは、共同支配を行使する当事者が、当該事業体に対する持分に応じて、資産に対
する権利及び負債に基づく義務を有するパートナーシップである。これには、資産、負債、収益
及 び費用が、当該事業体に対して保有する持分割合に応じて認識されることが伴う。
- 共同支配企業とは、共同支配を行使する当事者が、共同支配企業の純資産に対する権利を有する
パートナーシップである。共同支配企業は持分法で会計処理される。
グループの共同支配下にある全ての事業体は、 IFRS 第 11 号の定義における共同支配企業である。
■ グループが重要な影響力を有する事業体: これらは、連結主体により支配されていないが、グループ
が当該事業体の財務及び営業方針の決定に関与することができる事業体である。グループが重要な影
響力を有する事業体の株式持分は、持分法を適用して会計処理されている。
プライベート・エクイティ会社が所有、あるいは共同支配又は重要な影響力を行使している持分投資は、
純損益を通じて公正価値で測定する方法により会計処理されている。
連結の方法
使用した連結方法は、以下のとおりである。
全部連結
この方法では、対象となる子会社に対して保有する株式の価額を当該子会社の資産及び負債に置き換え、
非支配株主持分を株主資本及び純利益において個別に表示する。この方法は、対象となる事業が連結主体の
事業の延長か否かを問わず、会計上の構造が異なる事業体を含め、支配下にある全ての事業体に用いられ
る。
持分法
この方法では、所有株式の価額を対象事業体の資本及び純利益に対するグループの持分に置き換える。こ
の方法は、共同支配下にあり、共同支配企業に分類される全ての事業体、又はグループが重要な影響力を及
ぼす全ての事業体に適用される。
非支配持分
非支配持分は、IFRS第10号で定義されている支配を有さない持分であり、清算時に純資産の配分を受け取
る権利を所有者に与えるパートナーシップ持分、及び子会社が発行し、グループが保有していないその他の
資本性金融商品が含まれる。
報告日
連結対象となるグループの全ての会社は、2018年12月31日を年次財務書類の決算日としている。
内部取引の消去
内部取引及び残高、並びに連結財務書類に重要な影響を及ぼす内部取引の売上から生じた利益は、消去さ
れる。
外貨建勘定の換算
外貨で表示される外国事業体の勘定については、財政状態計算書において報告日の公式為替レートで換算
される。為替レートの変動が資本金、準備金、及び利益剰余金に影響を及ぼしたことにより生じた差異は、
株主資本の個別構成項目として「為替換算調整勘定」として計上している。損益計算書においては、事業年
度の平均為替レートで換算している。その結果発生した換算による差異は、「為替換算調整勘定」として計
上している。外国事業体に対する持分の一部又は全部を清算又は処分した場合、当該金額は損益計算書を通
じて認識している。
のれん
公正価値の測定
新規事業体の支配持分の取得日において、当該事業体の資産、負債、及び営業上の偶発債務は、同日にお
ける公正価値で測定している。公正価値の調整額は、帳簿価額と公正価値の差異である。
のれん
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改訂IFRS第3号に従い、CICが新規事業体における支配持分を取得した場合、IFRSに基づく認識基準を満た
す同社の識別可能資産、負債、及び偶発債務は、取得日現在の公正価値で測定しているが、売却目的保有資
産(IFRS第5号)に分類された非流動資産はこの限りではなく、売却費用控除後の公正価値と帳簿価額の純
額 のどちらか低い方の金額で認識している。改訂IFRS第3号では、全部のれん又は部分のれんの認識が認め
られており、企業結合ごとに個別に選択できる。全部のれんの場合、非支配持分は公正価値で測定されるの
に対し、部分のれんの場合は被取得企業の資産及び負債に帰属する価値に対する持分に基づいて測定され
る。正ののれんは資産として認識し、負ののれんは、直ちに損益計算書において「のれんの価値の変動」で
認識している。
既に支配している事業体におけるグループの持分が増加/減少した場合、当該株式の取得原価/売却価格
と、取得日/売却日現在の当該株式分にあたる連結株主資本部分の差異を、株主資本で認識している。
被全部連結事業体に関連する場合、のれんは財政状態計算書の個別科目に表示し、持分法適用会社に関連
する場合は「持分法適用会社に対する投資」に表示している。
取得に関連した直接費用を含まないのれんは、改訂IFRS第3号に従い純損益で認識される。
のれんについては、グループは定期的に(少なくとも年1回)、減損テストを実施している。このテス
トは、のれんの価値が下落しているか否かを識別するように設計されている。のれんの割当先の資金生成単
位(CGU)の回収可能価額がその帳簿価額を下回っている場合、差額について減損損失が認識される。これら
の損失は損益計算書を通じて認識され、戻入れはできない。実際には、CGUの定義はグループの事業の種類に
基づいて行っている。
1.3 会計原則及び会計方針
1.3.1 IFRS 第9号「金融商品」
1.3.1.1 金融商品の分類及び測定
IFRS 第9号においては、金融資産の分類及び測定は、金融商品の事業モデル及び契約上の条件に依拠して
いる。
貸出金、債権又は取得した負債証券
資産は以下のように分類される。
■ 償却原価での測定:契約上のキャッシュ・フローの回収を目的として保有されており、その特性が
「基本」契約の特性に類似している場合。下記の「キャッシュ・フローの特性」(回収目的保有モデ
ル)の項目を参照。
■ その他包括利益を通じた公正価値での測定:契約上のキャッシュ・フローを回収することと機会があ
れば売却することの両方を目的としてその金融商品を保有しているが、売買目的で保有していない場
合で、その特性が基本契約の特性に類似しており、関連キャッシュ・フローの予測可能性が高いこと
を黙示的に示している場合(回収及び売却目的保有モデル)。
■ 純損益を通じた公正価値での測定
- (「基本」の基準を満たさない及び/又は「その他」の事業モデルに基づき管理しているため)
前述の2つの区分に該当しない場合。
- グループが純損益を通じた公正価値で測定するという取消不能の選択を当初行った場合。この選
択肢は、他の関連商品と関連した会計上のミスマッチを軽減させるために使用される。
キャッシュ・フローの特性
元本の返済と元本残高に対する利息の支払のみを表す契約上のキャッシュ・フローは、「基本」契約と整
合している。
基本契約では、利息は主に貨幣の時間価値(マイナス金利を含む)と信用リスクに対する対価を表す。利
息には、流動性リスク、資産運用管理費及び利益率も含まれる。
特に契約上のキャッシュ・フローの時期又は金額を変更する可能性のある契約条項など、全ての契約条項
を分析する必要がある。借手又は貸手が金融商品を期限前に返済するという合意に基づく選択肢は、返済額
が基本的に元本残高及び経過利息、並びに該当する場合には合理的な金額の期限前返済違約金の支払を表す
場合において、契約上のキャッシュ・フローのSPPI(元本及び利息のみの支払)の基準と整合している。
(1)
期限前返済違約金 は、例として、下記の場合において合理的であるとみなされる。
■ 返済された元本に対する比率として表示され、返済された額面金額の 10 %未満である場合
■ 融資実行日と早期返済日の間の指標金利の差異を補償する目的の算定式に従い決定された場合
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( 1 ) グループは、 EU が 2018 年3月に採用した負の補償を伴う期限前償還条項に関する IFRS 第9号
の修正を早期適用している。
契約上のキャッシュ・フローの分析では、利息に含まれる貨幣の時間価値が当該商品の契約条項によって
変化する可能性が高い場合、参照金融商品の貨幣の時間価値と比較することも必要になる場合がある。例え
ば、金融商品の利率が定期的に更改されるものの、更改の頻度と利率が決定される期間に関連がない場合
(例えば年率が毎月更改されるなど)、又は金融商品の利率が平均利率に基づいて定期的に更改される場合
などがそれにあたる。
金融資産の割引前の契約上のキャッシュ・フローと参照金融商品の割引前のキャッシュ・フローの差異が
重大であるか又は重大になる可能性がある場合、その金融資産は基本的とはみなされない。
場合に応じて、分析は定性分析又は定量分析のいずれかとなる。差異が重要であるか否かは、各事業年度
について、及び金融商品の残存期間にわたり累積的に評価される。定量分析では、合理的に起こりうると考
えられる一連のシナリオを考慮に入れる。このため、グループは 2000 年にまで遡った利回り曲線を用いてい
る。
さらに、証券化については、保有者間において支払に優先順位があり、トランシェの形式で信用リスクの
集中が見られる場合に、個別の分析が行われる。この場合、分析において、グループが投資を行ったトラン
シェ及び基礎となる金融商品の契約上の特性、並びに基礎となる金融商品の信用リスクに関連したトラン
シェの信用リスクの検証を行う必要がある。
注意点:
■ 組込デリバティブは区分して認識されなくなった。つまり、ハイブリッド商品全体が非基本的とみな
され、純損益を通じた公正価値で認識されることになった。
■ UCITS ファンド又は集団投資事業( UCI )の受益証券は基本的金融商品ではないため、純損益を通じて
公正価値で認識される。
事業モデル
事業モデルは、キャッシュ・フロー及び収益を創出するための金融商品の管理方法を表す。これは、単純
に経営者の意図ではなく、観察可能な事実に基づくものである。事業モデルは事業体レベルで又は金融商品
別に評価されるのではなく、金融資産グループが集合的に管理される方法を反映したより高いレベルでの集
合的な評価である。事業モデルは当初認識時に決定され、モデルが変更された場合(例外的な場合)に再評
価されることがある。
モデルを決定するためには、以下を含む全ての利用可能な情報が考慮されなければならない。
■ 事業の業績を意思決定者に報告する方法
■ 管理者に対する報酬の算定方法
■ 過去期間における売却の頻度、時期及び金額
■ 売却の理由
■ 将来の売却の予測
■ リスクの評価方法
「回収目的保有」事業モデルについては、当該基準において許容される売却の例が明示的に定められてい
る。
■ 信用リスクの増大に関連する場合
■ 満期間近、及び額面に近い価額である場合
■ 例外的な場合(流動性ストレスに関連するなど)
こうした「許容された」売却は、ポートフォリオにおいて行われる売却のうち重要性があり頻繁に行われ
る特性の分析には含まれない。頻繁及び/又は重要性がある売却はこの事業モデルには整合しない。さら
に、規制又は財務フレームワークの変更に関連する売却は、当該売却が「頻度が低い」ものであることを示
すため、案件ごとに文書化される。
その他の売却については、有価証券ポートフォリオの満期に基づいて基準値が定義されており、例えば満
期の平均が8年の場合2%となっている(グループは貸出金を売却しない)。
グループは主に、金融資産からの契約上のキャッシュ・フローの回収に基づきモデルを開発しており、こ
れは特に顧客融資に適用される。
また、金融資産からの契約上のキャッシュ・フローの回収及びその資産の売却に基づくモデル、並びにそ
の他の金融資産、特に売買目的保有の金融資産のモデルに従って金融資産を管理している。
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グループ内では、「回収及び売却目的保有」モデルは、主として自己勘定のキャッシュ・マネジメント及
び流動性ポートフォリオの管理に適用される。
売買目的保有金融資産は、当初取得時において短期間で売却する意図で取得した有価証券のほか、一括管
理され、かつ、短期的な利益確定について最近の実際の傾向を示す証拠がある有価証券ポートフォリオの一
部である有価証券により構成される。
償却原価で測定する金融資産
主に以下のものが含まれる。
■ 現金勘定、預金並びに中央銀行及び金融機関との間の要求払貸出金及び借入金から成る現金及び現金
同等物
■ 純損益を通じて公正価値で測定しない金融機関へのその他の貸出金及び顧客への貸出金(直接付与又
はシンジケート・ローンの持分)
■ グループが保有する有価証券の一部
この区分に分類される金融資産は通常、支払純額である公正価値で当初認識される。実行した貸出金に適
用する金利は、大多数の競合行が適用する金利に合わせて常に調整されるため、市場金利を示すとみなされ
る。
その後の報告日において、資産は実効金利法を用いて償却原価で測定される。実効金利とは、金融商品の
見積存続期間にわたり将来の現金支払額又は受取額を金融資産又は負債の正味帳簿価額まで正確に割引く利
率である。実効金利は、貸出金の将来の損失を考慮に入れない見積キャッシュ・フローを考慮に入れてお
り、利息として取り扱われる支払手数料又は受取手数料、並びに直接関連する取引費用、全てのプレミアム
及びディスカウントが含まれる。
有価証券については、償却原価はプレミアム及びディスカウントの償却並びに重要な場合には取得コスト
を考慮に入れている。有価証券の売買は決済日に認識される。
受取利息は、損益計算書の「受取利息及び類似収益」において計上される。
貸出金の設定に直接関連し、利息の構成要素として扱われる受取手数料又は支払手数料は、実効金利法を
用いて貸出期間にわたって認識され、損益計算書において利息項目として計上される。
貸出金の商業上の再交渉に関連する受取手数料は、一期間を超えて認識される。
債務者が直面する財務上の困難により貸出金が条件緩和された場合には、契約の更改につながる。欧州銀
行監督機構によるこの概念の定義を受けて、グループはこの概念を会計上の定義と健全性の定義が一致する
ように、情報システムに組み込んだ。
償却原価で測定される資産の公正価値は、各報告期間の期末の財務書類の注記で開示しており、債務者固
有の発行体の費用を加味し、かつゼロ・クーポンの利回り曲線を用いて見積った将来キャッシュ・フローの
正味現在価値に相当する。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
グループは貸出金を売却しないため、この区分には有価証券のみが含まれる。これらは、取得時、決済日
及びその後処分されるまでの報告日に、財政状態計算書において公正価値で認識される。公正価値の変動
は、未収収益を除き、株主資本の個別勘定「未実現又は繰延損益」に表示している。株主資本におけるこれ
らの未実現損益は、処分又は減損の場合にのみ損益計算書において認識される(注記1.3.1.7「金融資産及び
負債の認識の中止」及び注記1.3.1.8「信用リスクの測定」を参照)。
未収収益又は受取収益は、実効金利法を用いて損益計算書の「受取利息及び類似収益」において認識され
る。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
これらは、当初認識時及びその後処分されるまでの報告日に、財政状態計算書において公正価値で認識さ
れる(注記1.3.1.7「金融資産及び負債の認識の中止」を参照)。公正価値の変動は、損益計算書の「純損益
を通じて公正価値で測定する金融商品に係る純損益」において認識される。
2018年1月1日より、純損益を通じて公正価値で測定する金融商品に係る受取収益又は未収収益は、損益
計算書において受取利息もしくは支払利息で認識される。従来は、この利息は「純損益を通じて公正価値で
測定する金融商品に係る純損益」で認識されていた。この変更は、短期活動計画(STE)の一環として、欧州
中央銀行(ECB)へ提出された規制報告書との整合性を保ち、受取利息及び支払利息について明確化するため
導入された。
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純損益を通じて公正価値で測定する有価証券の売買は、決済日に認識する。取引日から決済日までの間の
公正価値の変動は、純損益において認識される。
取得した資本性金融商品
取得した資本性金融商品(とりわけ株式)は以下のように分類される。
■ 純損益を通じた公正価値での測定
■ その他の包括利益を通じた公正価値での測定(グループが当初認識時に取消不能の選択をした場合)
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
株式及びその他の資本性金融商品は、取得時及びその後処分されるまでの報告日に、財政状態計算書にお
いて公正価値で認識される。公正価値の変動は、株主資本の個別勘定「未実現又は繰延損益」に表示してい
る。株主資本に計上されたこれらの未実現損益又は繰延損益は、売却されたとしても損益計算書において認
識されることはない(項目1.3.1.7「金融資産及び負債の認識の中止」を参照)。変動収益証券に係る受取配
当金のみが損益計算書の「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に係る純損益」において
認識される。
有価証券の売買は決済日に認識される。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
資本性金融商品は、純損益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品と同じ方法で認識される。
1.3.1.2 金融負債の分類及び測定
金融負債は以下の2つの区分の1つに分類される。
■ 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
- 認識当初からヘッジ手段として適格でない公正価値がマイナスであるデリバティブを含む、売買
目的で発生した金融負債。
- グループが純損益を通じた公正価値での測定に当初分類した非デリバティブ金融負債(公正価値
オプション)。これには、以下のものが含まれる。
- 1つ又は複数の分離可能な組込デリバティブを含む金融商品
- 公正価値オプションを適用しなければ、会計上の取扱いが他の関連する金融商品に適用される
会計上の取扱いと合致しなくなる金融商品
- 公正価値で測定及び管理される金融資産のプールに属する金融商品
純損益を通じて公正価値で測定することを任意に指定された債務に関わる自己の信用リスクから生じる公
正価値の変動の認識は、組替えられることのない資本の未実現又は繰延損益において認識される。グループ
は自己の信用リスクについて問題をほとんど認識していない。
■ 償却原価で測定する金融負債
償却原価で測定する金融負債は、その他の非デリバティブ金融負債で構成される。これらには、顧客及び
金融機関等に対する債務、負債証券(譲渡性預金証書、銀行間商品、社債等)並びに純損益を通じて公正価
値で測定することを選択されていない期限付又は無期限の劣後債が含まれる。
劣後債は、債務者の資産を清算する場合、他の債権者による請求が終了した後でなければ返済されること
がないため、他の負債証券から分離されている。負債証券には、サパンⅡ法によって組成された非上位優先
負債証券が含まれる。
これらの負債は財政状態計算書において公正価値で当初認識され、その後の報告日に実効金利法を用いて
償却原価で測定される。発行済証券の当初の公正価値は、発行価額から取引費用(該当する場合)を差し引
いた金額である。
規制貯蓄契約
償却原価で測定する金融負債には、「comptes épargne logement」(CEL - 住宅購入者貯蓄勘定)及び
「plans épargne logement」(PEL - 住宅購入者貯蓄制度)があり、これらは規制対象となっているフラン
スの貯蓄商品で、顧客(自然人)が利用することができる。これらの商品は利付き貯蓄の段階を経ると、次
の段階において住宅ローンを利用できる権利を取得できる。これらは、販売金融機関に次の2種類の義務を
もたらす。
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■ 預け入れられた金額に対して固定金利で利息を支払う義務( PEL 口座の場合のみ。 CEL 口座に対する利
息は物価スライド制の算定式に基づき定期的に更改されるため、変動金利の利息として取り扱われ
る)
■ 顧客に所定の条件で貸出金を供与する義務( PEL と CEL の両方)
これらの義務による費用は、行動様式に関する統計及び市場データに基づいて見積られている。類似であ
るものの金利面での規制のない商品の個人顧客に提示される金利と関連して、当該商品に係る潜在的に不利
な条件に関連する将来費用に対応するため、財政状態計算書の負債の部で引当金が計上されている。このよ
うなアプローチは、類似の特性を持つ規制対象の PEL 及び CEL 貯蓄商品の組成に基づき管理されている。収益
への影響は、顧客に対する支払利息に算入している。
1.3.1.3 負債と株主資本との区別
IFRIC 解釈指針第2号に従い、当該事業体が償還を拒否できる無条件の権利を有している場合、又は償還を
禁止するか若しくは強く制限する法律又は法令に基づく規定がある場合、株主の株式は株主資本となる。既
存の法律又は法令を踏まえ、クレディ・ミュチュエル・グループの連結主体を構成する事業体が発行した株
式は、株主資本で認識している。
グループが発行したその他の金融商品は、グループが当該金融商品の保有者に対して金銭を提供するとい
う契約債務がある場合、グループの勘定において負債性金融商品に分類される。これは、グループが発行す
る劣後証券にあてはまる。
1.3.1.4 外貨取引
現地通貨以外の外貨建資産及び負債は、決算日の実勢為替レートで換算している。
貨幣性金融資産又は負債
この項目の換算から生じる外国為替差損益は、損益計算書の「純損益を通じて公正価値で測定する金融商
品に係る純損益」に計上している。
非貨幣性金融資産又は負債
こうした換算から生じる外国為替差損益は、純損益を通じて公正価値で測定される場合には「純損益を通
じて公正価値で測定する金融商品に係る純損益」として認識され、又はその他の包括利益を通じて公正価値
で測定する金融資産である場合には「未実現又は繰延損益」として包括利益計算書で認識される。
1.3.1.5 デリバティブ及びヘッジ会計
IFRS 第9号は、初度適用時に、事業体がヘッジ会計に関する新たな規定を適用するか、若しくは IAS 第 39 号
の規定を維持するか選択することを認めている。
グループは、 IAS 第 39 号の規定を引き続き適用することを選択した。ただし、改訂 IFRS 第7号に従い、財務
書類の注記又は経営報告書において、リスク管理及びヘッジ会計が財務書類に与える影響に関する追加情報
を提供している。
さらに、金融資産又は金融負債のポートフォリオに係る金利リスクの公正価値ヘッジに関する IAS 第 39 号の
規定は、欧州連合で採択されているとおり、引き続き適用する。
デリバティブは、以下の3つの特性を備えた金融商品である。
■ 基礎となる項目(金利、為替レート、株価、指数、コモディティ価格、信用格付等)の変動とともに
その価額が変動すること
■ 初期費用が少額であるか若しくは皆無であること
■ 決済が将来の特定の日に行われること
クレディ・ミュチュエル・グループは、基本的に公正価値ヒエラルキーのレベル2に分類される単純な主
に金利に関するデリバティブ金融商品(スワップやバニラ・オプション)の取引を行っている。
全てのデリバティブは金融資産又は金融負債において公正価値で計上される。全てのデリバティブは、
ヘッジ手段として分類され得る場合を除いて売買目的商品として当初認識される。
デリバティブの公正価値の算定
店頭デリバティブ、スワップ、金利先渡契約、キャップ、フロア、バニラ・オプションの大半は、利回り
曲線などの観測可能な市場データに基づき、一般的に認められている標準的なモデル(割引キャッシュ・フ
ロー法、ブラック・ショールズ・モデル、補間法)を用いて評価されている。これらのモデルによって得ら
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れた評価は、当該金融商品又はパラメータに伴う流動性リスク及び信用リスク、特定の市況下でモデルに関
連する動的な運用戦略に伴う特定の追加費用を相殺するための固有のリスク・プレミアム、並びに店頭デリ
バ ティブのプラスの公正価値に係るカウンターパーティー・リスクを考慮して調整される。またカウンター
パーティー・リスクには、店頭デリバティブのマイナスの公正価値で表示される自己リスクも含まれる。
評価の調整を決定する際には、各リスク・ファクターを個別に検討している。様々なリスク、パラメータ
又はモデルの分散効果は考慮されていない。多くの場合、各リスク・ファクターについてはポートフォリ
オ・アプローチが最も一般的に用いられている。
デリバティブは、公正価値がプラスの場合は資産側に、公正価値がマイナスの場合は負債側に認識され
る。
デリバティブの分類とヘッジ会計
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産又は金融負債に分類されるデリバティブ
当初認識時に、IFRSに基づいてヘッジ手段として指定されていないデリバティブは全て、1つ又は複数の
リスクをヘッジする目的で契約を締結したものであっても、「純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
又は金融負債」に分類される。
組込デリバティブ
組込デリバティブは、主契約から分離させた場合において、デリバティブの定義を満たすハイブリッド金
融商品の構成要素である。特に、単独のデリバティブと同様に、一定のキャッシュ・フローを変動させる効
果がある。
組込デリバティブは、以下の条件の全てが充足された場合にのみ、主契約から分離され、純損益を通じて
公正価値で測定するデリバティブ金融商品として個別に認識される。
■ デリバティブの定義を満たすこと
■ ハイブリッド金融商品が主契約である組込デリバティブが、純損益を通じて公正価値で測定されない
こと
■ デリバティブの経済的特徴及び関連するリスクが、主契約の経済的特徴及び関連するリスクと密接に
関連しているとみなされないこと
■ 組込デリバティブの個別測定は、有益な情報を提供するのに十分な信頼性があること
IFRS 第9号における金融商品は、金融負債に組み込まれたデリバティブのみを主契約から分離し、個別に
認識することが可能である。
認識
実現及び未実現損益は、損益計算書の「純損益を通じて公正価値で測定する金融商品に係る純損益」にお
いて認識される。
ヘッジ会計
ヘッジ対象のリスク
グループの勘定において、グループはミクロ・ヘッジ、又は広義のマクロ・ヘッジを通じた金利リスクの
みを認識している。
ミクロ・ヘッジは、事業体の資産及び負債に係り発生するリスクの部分的なヘッジである。ミクロ・ヘッ
ジは、1つ又は複数の資産又は負債に対して、事業体がデリバティブを通じてある種のリスクの不利な変動
のリスクに対応するため、個別に適用される。
マクロ・ヘッジの目的は、グループの資産及び負債の全てに対する不利な変動、特に金利の変動に関して
対応することである。
金利リスクの全体的な管理は、負債に対する資産の裏付けを通じて、又はトレーディング目的デリバティ
ブの認識を通じてヘッジされる可能性があるその他のリスクの全て(為替リスク、信用リスク等)の管理と
ともに、経営報告書において記載されている。
ミクロ・ヘッジは、通常、固定金利金融商品を変動金利金融商品へ置き換えることを目的として、特にア
セット・スワップを通じて行われる。
3種類のヘッジ関係が認められている。ヘッジ関係は、ヘッジ対象のリスクの性質に基づいて選択され
る。
■ 公正価値ヘッジは、金融資産又は金融負債の公正価値の変動に対するエクスポージャーのヘッジであ
る。
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■ キャッシュ・フロー・ヘッジは、金融資産又は金融負債、確定契約若しくは先渡取引に伴うキャッ
シュ・フローの変動性に対するエクスポージャーのヘッジである。
■ 外貨建て純投資のヘッジは、キャッシュ・フロー・ヘッジと同様に認識される。グループはこのヘッ
ジ手法を用いていない。
ヘッジ手段のデリバティブは、会計上のヘッジ手段としての指定を受けるためには IAS 第 39 号に規定される
基準を満たさなければならない。特に、
■ ヘッジ手段とヘッジ対象は、どちらもヘッジ会計に適格でなければならない。
■ ヘッジ対象とヘッジ手段との関係は、ヘッジ関係の開始時に直ちに正式に文書化しなければならな
い。この文書には、経営者が決定したリスク管理目的、ヘッジ対象のリスクの特性、基礎となる戦
略、及びヘッジの有効性の評価方法を記載する。
■ ヘッジ関係の開始時、その後の残存期間を通じて、少なくとも決算日ごとにヘッジの有効性が実証さ
れなければならない。ヘッジ手段の価値の変動又は損益のヘッジ対象の価値の変動又は損益に対する
比率は、 80 %から 125 %の範囲内でなければならない。
該当する場合においては、ヘッジ会計は非遡及的に中止される。
識別された金融資産又は負債の公正価値ヘッジ
公正価値ヘッジ関係の場合、デリバティブは「純損益を通じて公正価値で測定する金融商品に係る純損
益」において純損益を通じて公正価値で再測定され、それとは対照的に、ヘッジ対象はヘッジ対象リスクを
反映するべく再測定される。この規則は、ヘッジ対象が償却原価で認識される場合、又は「その他の包括利
益を通じて公正価値で測定する金融資産」に分類される負債性金融商品である場合にも適用される。ヘッジ
手段とヘッジ対象のリスク部分の公正価値の変動は、相互に部分的又は完全に相殺され、ヘッジの非有効部
分のみが純損益に認識される。これは、以下に起因する可能性がある。
■ 「カウンターパーティー・リスク」構成要素がデリバティブの価額に組み込まれたこと。
■ ヘッジ対象とヘッジ間の評価曲線の差異。実務上、スワップは有担保である場合は OIS 曲線を用い
て、無担保である場合は BOR 曲線を用いて評価される。ヘッジ対象は BOR 曲線を用いて評価される。
デリバティブ金融商品の再割引にあたる部分は、損益計算書の受取利息もしくは支払利息において認識さ
れる。ヘッジ対象に関する受取利息又は支払利息にも、同様の取扱いが適用される。
ヘッジ関係が崩れた場合、又はヘッジの有効性の基準を満たさなくなった場合、ヘッジ会計の適用は非遡
及的に中止される。ヘッジ手段のデリバティブは、「純損益を通じて公正価値で測定する金融資産又は金融
負債」に振り替えられ、この区分に適用される原則に従って会計処理される。その後、ヘッジ対象の帳簿価
額は、公正価値の変動を反映させるための調整が加えられなくなる。ヘッジ対象として当初識別された金利
商品の場合、再測定調整額はヘッジ対象の残存期間にわたって償却される。期限前償還等の理由で財政状態
計算書におけるヘッジ対象の認識が中止された場合、調整累計額は直ちに損益計算書において認識される。
マクロ・ヘッジ・デリバティブ
グループは、マクロ・ヘッジ取引の会計処理に関し、欧州委員会が提供する選択肢を利用する。実際、欧
州連合がIAS第39号に対して行った変更(カーブ・アウト)により、顧客の要求払預金をヘッジ対象の固定金
利負債のポートフォリオに含めることが可能となり、アンダーヘッジの場合に非有効と測定されることはな
い。要求払預金については、資産負債総合管理の目的で定義された取崩し規則に基づいて含まれている。
固定金利の金融資産又は負債のそれぞれのポートフォリオについて、ヘッジ手段のデリバティブの満期ス
ケジュールとヘッジ対象の満期スケジュールとを照合し、オーバーヘッジがないことを確認する。
公正価値マクロ・ヘッジ・デリバティブの会計処理は、公正価値ヘッジ・デリバティブの会計処理と同様
である。
ヘッジ対象ポートフォリオの公正価値の変動は、財政状態計算書の「金利リスク・ヘッジ対象ポートフォ
リオの再測定による調整」に計上され、反対勘定は損益計算書の項目に認識される。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジ関係の場合、デリバティブは財政状態計算書において公正価値で再測定さ
れ、有効部分は株主資本に認識される。非有効とみなされた部分は損益計算書の「純損益を通じて公正価値
で測定する金融商品に係る純損益」において認識される。
株主資本に認識される金額は、ヘッジ対象に起因するキャッシュ・フローが純損益に影響を及ぼすのと同
時に、受取利息もしくは支払利息において純損益に分類変更される。
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ヘッジ対象は、その会計上の区分に固有の規定に従って引き続き認識される。ヘッジ関係が崩れた場合、
又は有効性の基準を満たさなくなった場合、ヘッジ会計の適用は中止される。ヘッジ手段のデリバティブの
再測定を受けて株主資本に計上された累積額は、ヘッジ対象取引が純損益に影響を及ぼすまで、又は同取引
の 実施が見込まれなくなるまで、引き続き株主資本において認識される。その後、これらの金額は純損益に
振替えられる。
ヘッジ対象が存在しなくなった場合、株式資本に計上された累積額は直ちに純損益に振替えられる。
1.3.1.6 金融保証及びファイナンス・コミットメント
金融保証は、特定の債務者が負債性金融商品に関して期日に弁済を履行できなかった結果として発生した
損失に対して、保有者に補償として特定の支払を行うことを定めている場合、保険契約と同等とみなされ
る。
現行の基準が改定されるまでの間、 IFRS 第4号に基づき、これらの金融保証は引き続きフランスの会計原
則を用いて測定され、すなわちオフ・バランス項目として取り扱われる。従って、これらの保証は、資源の
流出の可能性が高い場合には負債に対する引当金の対象となる。
それに対して、金融変数(価格、信用格付、指数等)又は非金融変数の変動に応じた支払を定めている金
融保証は、変数が一方の契約当事者固有のものではないことを条件に、 IFRS 第9号の適用対象とされる。そ
のため、これらの保証はデリバティブとして会計処理している。
IFRS 第9号の趣旨においてデリバティブとみなされないファイナンス・コミットメントは、財政状態計算
書に表示されない。しかしながら、引当金は IFRS 第9号の要件に従って計上される。
1.3.1.7 金融資産及び負債の認識の中止
グループは、金融資産(又は類似資産グループ)のキャッシュ・フローに対する契約上の権利が満了した
際(商業上の再交渉の場合)、又はグループが金融資産のキャッシュ・フローを受取る契約上の権利並びに
資産の所有に係るリスク及び経済価値の大半を移転した際に、当該資産の全部又は一部の認識を中止する。
認識が中止される場合においては、
■ 償却原価で測定する金融資産若しくは金融負債、又は純損益を通じて公正価値で測定する金融資産若
しくは金融負債:処分損益は、資産又は負債の帳簿価額と対価の受取額又は支払額との差額に相当す
る金額で損益計算書において認識される。
■ その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品:過去に株式資本において認識されて
いた未実現損益は、処分に係るキャピタル・ゲイン又はキャピタル・ロスとともに損益計算書におい
て認識される。
■ その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品:過去にその他の包括利益において認
識されていた未実現損益、並びに処分に係るキャピタル・ゲイン及びキャピタル・ロスは、損益計算
書に計上することなく、連結剰余金において認識される。
グループは、契約上の義務が消滅、解除、又は満了した場合、金融負債の認識を中止する。金融負債は、
契約条件が大幅に変更された場合や、契約条件が実質的に異なっている金融商品を貸手と交換した場合に
も、認識を中止することがある。
1.3.1.8 信用リスクの測定
IFRS 第9号の減損モデルは「予想損失」アプローチに基づいている。一方、 IAS 第 39 号の減損モデルでは、
「発生信用損失」に基づいているため、金融危機の際には信用損失の会計処理が遅れ、認識される信用損失
額が過少となるリスクがあると考えられた。
IFRS 第9号のモデルにおいては、個別には減損の客観的証拠が存在しない金融資産も、観測された損失及
び合理的かつ正当な将来のキャッシュ・フロー予測に基づき減損される。
従って、 IFRS 第9号に基づく減損モデルは、償却原価で又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定す
る全ての負債性金融商品並びにファイナンス・コミットメント及び金融保証に適用される。これらは以下の
3つに分類される。
■ ステージ1-格付の引下げがない正常債権:金融資産の当初認識以降に信用リスクが著しく増大して
いない場合は、当初認識時より 12 ヶ月間の予想信用損失(今後 12 ヶ月間のデフォルト・リスクに起
因)に基づき引き当てる。
■ ステージ2-格付が引下げられた正常債権:当初認識以降に信用リスクが著しく増大した場合は、全
期間の予想信用損失(金融商品の残存期間全体にわたるデフォルト・リスクに起因)に基づき引き当
てる。
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■ ステージ3-不良債権:貸出の実行後に生じた事象に関連して減損の客観的証拠がある金融資産で構
成される区分。この区分は、現在 IAS 第 39 号に基づき個別に減損した現在の残高の範囲に相当する。
ステージ1及び2の場合、受取利息の算定の基礎は減損前の資産の価値総額であり、ステージ3の場合は
減損後の正味価値である。
ガバナンス
コンパートメントの割当、将来予測的なシナリオ及びパラメータ算定法に対するモデルは、減損算定に対
する方法論的基礎を構成する。こうしたモデルは、グループの上層部において承認され、関連するポート
フォリオに従って全ての事業体に適用される。手法、シナリオの加重、パラメータの算定又は引当金の算定
の条件の方法論的基礎全体及びその後の修正は、クレディ・ミュチュエル・グループの統治機関における承
認が必要である。
こうした統治機関は、内部統制に関する2014年11月3日付フランス法令第10条に定義された監事会及び取
締役会により構成されている。クレディ・ミュチュエル・グループが分散化した組織構造となっている特徴
を踏まえ、監事会及び取締役会は全国レベルと地方レベルの2つのレベルに分けられている。
クレディ・ミュチュエル・グループ全体にわたり適用されている補完性原理は、プロジェクトごと及び資
産の減損の算出方法の継続的な実施の双方において、全国レベルと地方レベルの間での役割の分担を統括し
ている。
■ 全国レベルにおいては、バーゼル III ワーキング・グループが地方グループに適用すべき全国的な手
順、モデル及び方法の承認を行う。
■ 地方レベルにおいては、地方グループが、それぞれの取締役会及び監督会の責任及び統制において、
その組織内での IFRS 第9号における引当金の算定を担っている。
ステージ1とステージ2の境界の定義
グループは、規制目的のために開発されたモデルを使用しており、従って、そのモデルに従い貸出金残高
を分別している。
■ 低デフォルト・ポートフォリオ( LDP )(格付モデルは専門家の評価に基づく):大口口座、銀行、
地方自治体、ソブリン、特定融資。これらのポートフォリオは、営業貸付金、短期営業貸付金、当座
預金口座等の商品で構成される。
■ 高デフォルト・ポートフォリオ( HDP )(デフォルト・データが統計的な格付モデルの開発に十分で
あるもの):一般企業、小売業。これらのポートフォリオには、住宅ローン、消費者金融、リボルビ
ング・ローン、当座預金口座等の商品が含まれる。
ステージ1からステージ2への貸出金の振替を伴う信用リスクの著しい増大であるかどうかは、以下に
よって測定される。
■ 全ての合理的で裏付けのある情報を考慮に入れる。
■ 報告日の金融商品のデフォルト・リスクを、当初認識日のデフォルト・リスクと比較する。
グループにおいては、これには借手レベルでのリスクの測定が含まれており、カウンターパーティーの格
付システムがグループ全体に共通するものとなる。内部手法の対象となるグループのカウンターパーティー
は全て、かかるシステムによって評価される。当該システムは、以下に基づく。
■ 統計的アルゴリズム、すなわち代表的及び予測的なリスク変数を用いた1つ又は複数のモデルに基づ
く「マス・レーティング」( HDP )
■ 専門家によって開発された格付グリッド (LDP)
当初認識以降に生じるリスクの変動は、契約ごとに測定される。ステージ3とは異なり、顧客の契約をス
テージ2に振り替える場合、全ての残高又は関連当事者の残高の振替を伴うわけではない(すなわち危機の
伝播が発生しない)。
グループは、定性的及び定量的基準の双方においてステージ2の分類の基準を満たさなくなった正常債権
エクスポージャーを直ちにステージ1に振替えることに留意が必要である。
グループは、 12 カ月後のデフォルト確率と満期までのデフォルト確率の間に重要な相関が存在することを
実証している。これにより、当該基準によって認められているように、当初認識以降のリスク変化の合理的
な近似として、 12 カ月間の信用リスクを用いることができる。
定量的基準
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LDPポートフォリオでは、境界は、組成時の格付と報告日の格付を関連付ける割当マトリクスに基づいてい
る。従って、貸出金の格付のリスクが高いほど、リスクの重大な悪化に対するグループの相対的許容値は小
さくなる。
HDPポートフォリオでは、境界利回り曲線は、組成時のデフォルト確率と報告日のデフォルト確率を関連付
けている。グループは、当該基準が提案する運用上の簡便法(報告日において低リスクの貸出金残高をス
テージ1に維持することを認めている)を使用していない。
定性的基準
この定量的データに加え、グループは、不払又は30日超遅延している支払、条件緩和された貸出金という
概念などの定性的な基準を用いている。
定性的基準のみに基づく方法は、標準的手法の下において健全性準拠目的で分類され、格付システムを持
たない事業体又は小規模なポートフォリオに対して使用される。
ステージ1及び2-予想信用損失の計算
予想信用損失は、当該エクスポージャーにデフォルト確率(PD)とデフォルト時損失率(LGD)を乗じて測
定される。オフ・バランスシートの金額は、貸出実行の確率に基づいて財政状態計算書上の相当額に換算さ
れる。ステージ1では1年以内のデフォルト確率、ステージ2では満期までのデフォルト確率曲線(1年か
ら10年)が使用される。
これらのパラメータは、健全性準拠目的のモデルと同一の基準であり、算定式はIFRS第9号に適合してい
る。それらは、各ステージへの貸出金の割当と予想損失の算定の両方に使用される。
デフォルト確率
以下に基づいて計算される。
■ 高デフォルト・ポートフォリオについては、 IRB-A アプローチで承認されたモデル
■ 低デフォルト・ポートフォリオについては、 1981 年まで遡る履歴に基づく外部測定によるデフォルト
の確率
デフォルト時損失率
以下に基づいて計算される。
■ 高デフォルト・ポートフォリオについては、長期間にわたって観察され、契約の利率によって割引か
れ、商品の種類及び保証の種類に従い区分された回収フロー
■ 低デフォルト・ポートフォリオについては、固定比率(ソブリンの場合 60 %、その他の場合 40 %)
換算係数
リボルビング・ローンを含む全ての商品について、換算係数はオフ・バランスシート・エクスポージャー
を財政状態計算書上の相当額に換算する際に用いられ、主に健全性準拠目的のモデルに基づいている。
将来予測的な側面
予想信用損失を計算する際、当該基準は、将来予測的な情報を含む、合理的かつ正当な情報を考慮するこ
とを求めている。将来予測的な側面の作成には、景気の動向を予測し、その予測をリスク・パラメータと関
連付ける必要がある。この将来予測的な側面は、グループ・レベルにおいて決定され、全てのパラメータに
適用される。
高デフォルト・ポートフォリオについては、デフォルト確率に含まれる将来予測的な側面は、今後5年間
の景気サイクルの変化に関するグループの見解に基づき加重される3つのシナリオ(楽観的、中立的、悲観
的)を考慮に入れている。グループは主に、経済協力開発機構(OECD)から入手できるマクロ経済データ
(GDP、失業率、インフレ率、短期及び長期金利等)に依拠している。将来予測アプローチは、シナリオでは
捉えられなかった要素を含むように調整されるが、その理由として以下の点が挙げられる。
■ シナリオでは捉えられなかった要素は最近のものであり、報告日の数週間前に発生したものであるた
め。
■ シナリオに含めることができないため:例として、リスク・パラメータに確実に重大な影響を及ぼ
し、一定の仮定を設定することによってその影響を測定することができる規制の変更が挙げられる。
1年超の満期に関する将来予測的な側面は、1年の満期に関する将来予測的な側面から導いている。
将来予測的な側面には、現状に近い期間に観測された情報を取入れることによって、 LGD にも含まれる。
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低デフォルト・ポートフォリオについては、将来予測的な情報は、大口口座や銀行モデルに組込まれてい
るが、地方自治体、ソブリン、特定融資モデルには組込まれていない。このアプローチは、高デフォルト・
ポー トフォリオに用いられるものと類似している。
ステージ3-不良債権
貸出金又は貸出金グループの実行後に損失を生じる可能性がある1つ又は複数の事象が起こったことによ
り減損の客観的証拠が存在する場合、減損が認識される。貸出金には、各決算日に契約ごとに分析が実施さ
れる。減損額は、帳簿価額と、担保又はその他の保証を考慮しつつ当初の貸出金の金利で現在価値に割り引
いた見積将来キャッシュ・フローとの差異に等しい。変動金利の場合、最新の契約上の金利が計上に用いら
れる。
組成された信用減損金融資産
組成された信用減損金融資産とは、当初認識時又は取得日においてカウンターパーティーが債務不履行と
なっている契約である。借手が報告日において債務不履行となっている場合、契約はステージ3に分類され
る。債務不履行となっていない場合には、正常債権に分類され、「組成された信用減損資産」の区分に識別
され、ステージ2のエクスポージャーに用いるのと同じ手法、すなわち契約の満期までの残存期間にわたっ
て予想される損失に基づき引当金が計上される。
認識
減損費用及び引当金は、「カウンターパーティー・リスク費用」に計上される。減損繰入及び引当金の戻
入については、リスク変動に関連する部分は「カウンターパーティー・リスク費用」に、時間の経過に関連
する部分は利息純額に計上される。貸出金及び債権の場合、減損は資産から控除され、ファイナンス・コ
ミットメント及び保証コミットメントの場合、引当金は負債の「引当金」に計上される(注記1.3.1.6「金融
保証及びファイナンス・コミットメント」及び1.3.3.2「引当金」を参照)。その他の包括利益を通じて公正
価値で測定する資産の場合、「カウンターパーティー・リスク費用」において認識された減損に見合った額
が「未実現損益又は繰延損益」において計上される。
貸倒損失は直接償却され、それに対応する減損及び引当金は戻入れられる。
1.3.1.9 金融商品の公正価値の決定
公正価値とは、独立当事者間取引において知識のある自発的な当事者の間で資産が売却される金額、又は
負債が移転される金額である。
金融商品の当初認識時の公正価値は一般に、取引価格である。
この公正価値は、事後測定において算定される必要がある。適用される算定方法は、当該商品が取引されて
いる市場が活発であるとみなされるか否かによって異なる。
活発な市場で取引される金融商品
金融商品が活発な市場で取引される場合、その公正価値は相場価格を参考にして決定される。これは相場
価格が公正価値についての可能な限り最善の見積りであるからである。金融商品は、相場価格が(取引所、
ディーラー、ブローカー、又は価格情報サービスから)容易かつ定期的に入手可能であり、それらの価格が
独立当事者間取引に基づき定期的に発生している実際の市場取引を表す場合に、活発な市場で取引されてい
るとみなされる。
活発な市場で取引されていない金融商品
観察可能な市場データは、それらが評価日における独立当事者間取引の実態を反映しており、上記の価値
を大幅に調整する必要がない場合に用いられる。そうでない場合は、グループは観察不能な時価評価モデル
のデータを使用する。
観察可能なデータを入手できない場合、又は市場価格の調整において観察不能なデータを使用する必要が
ある場合、事業体は、市場が考慮に入れるリスクに連動した調整など、将来キャッシュ・フロー及び割引率
に関する内部の仮定を用いることがある。これらの評価調整によって、特に、モデルが考慮に入れていない
リスク、並びに商品又はパラメータに関連する流動性リスク、及び一定の市場環境下でのモデルに関連した
動的管理戦略の結果生じた一定の追加的な費用を相殺するために指定された特定のリスク・プレミアムを組
み込むことが可能となる。
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評価の調整を決定する際には、各リスク・ファクターを個別に検討している。様々なリスク、パラメー
タ、モデルの分散効果は考慮されていない。多くの場合、各リスク・ファクターについてはポートフォリ
オ・アプローチが用いられている。
いずれの場合においても、グループが行う調整は、判断に基づいており合理的かつ適切である。
公正価値のヒエラルキー
金融商品の公正価値測定には、3つのレベルのヒエラルキーが使用される。
■ レベル1:活発な市場における同一の資産又は負債の相場価格。特に、少なくとも3社の参加者によ
る相場価格のある負債証券、及び組織化された市場の相場価格があるデリバティブに関係する。
■ レベル2:当該資産又は負債について直接的(すなわち価格)又は間接的に(すなわち価格から導き
出されるデータ)観察可能で、レベル1の相場価格以外のデータ。レベル2は特に、報告期間末に観
察される市場金利に基づく利回り曲線を用いて公正価値が通常決定される金利スワップを含んでい
る。
■ レベル3:観察可能な市場データではない資産又は負債に関するデータ(観察不能なデータ)。この
区分の主な構成要素は、ベンチャー・キャピタル事業体等で保有する非連結会社への投資、又は資本
市場活動において、単独の参加者による相場価格しかない負債証券及び主に観察不能なパラメータを
用いるデリバティブである。当該商品は、全体として検討される公正価値に重要な最も低いレベルの
インプットと同一のヒエラルキーのレベルに分類される。レベル3で測定される商品の多様性と数量
を踏まえると、パラメータの変動に対する公正価値の感応度は重要ではない。
1.3.2 保険事業
コングロマリット指令の範疇に該当する保険部門は、欧州連合が採択した改訂 IFRS 第4号が予定している
とおり、 IFRS 第9号の適用の 2022 年までの延期による便益を受けている。従って、保険部門の金融商品は、
引き続き IAS 第 39 号に従って評価及び認識される。表示に関しては、グループは、 IAS 第 39 号及び IFRS 第9号
に基づき特定の勘定科目において金融商品を表示することになる ANC の勧告 2017-02 を厳格に適用するのでは
なく、 IAS 第 39 号における全ての金融商品を資産又は負債の専用の勘定科目にまとめることができる「 IFRS 参
照」方式を採用することを選択した。このため、保険部門の金融商品は全て、資産の部の「保険事業による
短期投資及び責任準備金の再保険会社負担分」及び負債の部の「保険契約に関連する負債」(保険契約の責
任準備金を含む。)にまとめられる。投資不動産も分類変更による影響を受ける。金融商品及び責任準備金
が損益計算書に与える影響は、「保険事業に係る純利益」に含まれる。その他の資産/負債及び損益計算書
の項目は「銀行及び保険」の合同仕訳において算入している。該当する場合は、 IFRS 第7号により求められ
る開示は、保険事業について別途行われる。
2017 年 11 月3日付で採択された規則に従い、グループは、保険部門とコングロマリットのその他の部門と
の間で、両部門の純損益を通じて公正価値で測定されたもの以外には、金融商品の認識の中止をもたらす振
替を行わないことを確認している。
保険契約の締結により発生する資産及び負債に固有の会計原則及び評価規則は、 IFRS 第4号に従い定めら
れている。これは、発行済又は引受済の再保険契約、及び裁量権のある有配当条項付財務契約にも適用され
る。
上記で概述している場合を除いて、保険会社が保有するその他の資産及び発行する負債はグループの全て
の資産及び負債に共通する規則に従う。
1.3.2.1 保険事業-金融商品
IAS 第 39 号に基づき、保険会社の金融商品は以下のいずれかに分類される。
■ 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産/負債
■ 売却可能金融資産
■ 満期保有目的金融資産
■ 貸出金及び債権
■ 償却原価で測定する金融負債
これらは、資産の部の「保険事業による短期投資及び責任準備金の再保険会社負担分」及び負債の部の
「保険契約に関連する負債」にまとめられる。
これらの区分のうちどれに分類するかは、経営者の意思を反映しており、金融商品の認識ルールを決定す
る。
これらの金融商品の公正価値は、注記 1.3.1.9 に概述された一般原則に従って測定される。
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純損益を通じて公正価値で測定する金融資産及び負債
分類基準
金融商品は、実際の売買の意図又は公正価値オプションの使用のいずれかによって、この区分に分類され
る。
a) 売買目的金融商品
売買目的で保有される有価証券は、当初取得時において短期間で売却する意図で取得した有価証券のほ
か、一括管理され、かつ、短期的な利益確定について最近の実際の傾向を示す証拠がある有価証券ポート
フォリオの一部である有価証券により構成される。
b) 公正価値オプションに基づき会計処理する金融商品
金融商品は、以下の場合において、当初認識時に純損益を通じて公正価値で測定するという分類について
取消不能の選択をすることができる。
a. 1つ又は複数の分離可能な組込デリバティブを含む金融商品
b. 公正価値オプションを適用しなければ、会計上の取扱いが他の関連する金融商品に適用される会計上の
取扱いと合致しなくなる金融商品
c. 公正価値で測定及び管理される金融資産のプールに属する金融商品
このオプションは、特に、負債の処理と一致させるために、保険事業のユニットリンク型保険契約に関連
して使用される。
評価の基準及び収益及び費用の認識
「純損益を通じて公正価値で測定する金融資産」に分類される資産は、財政状態計算書に公正価値で計上
された時点、及びその後処分されるまでの報告日において、認識される。これらの資産に係る公正価値の変
動及び受取収益又は未収収益は、損益計算書の「保険事業に係る純利益」において認識される。
売却可能金融資産
分類基準
売却可能金融資産には、「貸出金及び債権」、「満期保有目的金融資産」、「純損益を通じて公正価値で
測定する金融資産」のいずれにも分類されていない金融資産が含まれる。
評価の基準及び収益及び費用の認識
売却可能金融資産は、取得時及びその後処分されるまでの報告日に、財政状態計算書において公正価値で
認識される。公正価値の変動は、未収収益を除き、株主資本の個別勘定「未実現又は繰延損益」に表示して
いる。株主資本における未実現損益は、処分時又は一時的でない減損が発生した場合に限り、損益計算書に
認識される。処分時においては、従来には株主資本に認識されていたこれらの未実現損益は、処分に係る
キャピタル・ゲイン及びキャピタル・ロスとともに損益計算書に認識される。
確定利付証券から発生した未収収益又は受取収益は、実効金利法を用いて純損益に認識され、変動収益証
券からの受取配当金と同様に、「保険事業に係る純利益」に表示される。
減損及び信用リスク
a) 株式及びその他の資本性金融商品に特有の一時的でない減損
変動収益証券のうち売却可能金融資産に係る減損は、公正価値が取得原価と比べて長期的又は著しく下落
した場合に認識される。
変動収益証券の場合、グループは、その取得原価に比して少なくとも 50 %、又は連続 36 ヶ月間超の期間に
わたる当該証券の価値の下落は、減損の兆候と見なしている。このような金融商品は項目毎に分析してい
る。上記基準に該当しないものの、近い将来における投資額回収が合理的に期待できないと経営者が考えて
いる金融商品のレビューを行う際にも、その判断が用いられる。損失は、損益計算書の「保険事業に係る純
利益」において認識される。
その後生じた価値の下落も損益計算書に認識される。
損益計算書に計上された株式又はその他の資本性金融商品の長期的な減損は、当該商品が財政状態計算書
に計上されている限り、戻入れることができない。その後に価値が上昇した場合、株主資本の「未実現又は
繰延損益」において認識される。
b) 信用リスクによる減損
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確定利付証券のうち売却可能金融資産(具体的には社債)に係る減損損失は、「カウンターパーティー・
リスク費用」において認識される。実際、これらの確定利付金融商品は、単なる金利の上昇により損失が生
じ た際の減損が認められないため、信用リスクが存在する場合にのみ減損される。減損が生じた場合、株主
資本における未実現損失の累積額は全額が純損益に認識されなければならない。これらの減損は戻入可能で
あり、減損の認識後に発生した事象に関連したその後の評価において、発行会社の信用状態が改善した場合
も、損益計算書の「カウンターパーティー・リスク費用」において計上される。
満期保有目的金融資産
分類基準
この区分には、支払額が算定可能又は確定利付で、事業体が満期まで保有する意図及び能力を有している
有価証券が含まれる。
この区分の有価証券に対して行われる金利リスク・ヘッジは、 IAS 第 39 号に定義されるヘッジ会計に適格と
はなっていない。
さらに、このポートフォリオ内の有価証券の処分又は振替の可能性は、非常に限定的となっており、 IAS 第
39 号の規定により、グループ・レベルにおいて「売却可能金融資産」のポートフォリオ全体の格付が引き下
げられ、2年間この区分への分類が禁じられる。
評価の基準及び収益及び費用の認識
この区分に分類された有価証券は、公正価値で当初認識され、その後、実効金利法に従って償却原価で評
価される。この実効金利法には、プレミアム及びディスカウント並びに重大な場合には取得コストの償却が
組み込まれている。
これらの有価証券の受取利息は、損益計算書の「保険事業に係る純利益」に表示される。
信用リスク
減損は、当初認識後に損失を発生させる可能性がある1つ又は複数の事象が起こったこと(実際の信用リ
スク)により、当該資産の減損の客観的証拠がある場合に認識される。各決算日に有価証券ごとに分析が行
われる。減損は、帳簿価額と保証を含む将来キャッシュ・フローを当初の利率で割り引いた現在価値を比較
することによって評価され、損益計算書の「カウンターパーティー・リスク費用」において認識される。減
損の認識後に発生した事象に関連したその後の評価は、損益計算書の「カウンターパーティー・リスク費
用」に計上される。
貸出金及び債権
分類基準
貸出金及び債権とは、活発な市場での相場価格はないが、支払額が算定可能又は確定利付の金融資産で、
取得又は供与の時点では売却する意思のない金融資産である。貸出金及び債権は、財政状態計算書において
公正価値で当初認識され、これは一般的に融資実行額の純額に等しい。こうした貸出残高は、その後の決算
日において実効金利法を用いて償却原価で評価される(公正価値オプション法を用いて認識されるものを除
く)。
信用リスク
減損は、当初認識後に損失を発生させる可能性がある1つ又は複数の事象が起こったこと(実際の信用リ
スク)により、当該資産の減損の客観的証拠がある場合に認識される。減損は、帳簿価額と保証を含む将来
キャッシュ・フローを実効金利で割り引いた現在価値を比較することによって評価され、損益計算書の「カ
ウンターパーティー・リスク費用」において認識される。減損の認識後に発生した事象に関連したその後の
評価は、損益計算書の「カウンターパーティー・リスク費用」に計上される。
償却原価で測定する金融負債
これらには、顧客及び金融機関等に対する債務、負債証券(譲渡性預金証書、銀行間商品、社債等)並び
に純損益を通じて公正価値で測定することを選択されていない期限付又は無期限の劣後債が含まれる。
これらの負債は財政状態計算書において公正価値で当初認識され、その後の報告日に実効金利法を用いて
償却原価で測定される。発行済証券の当初の公正価値は、発行価額から取引費用(該当する場合)を差し引
いた金額である。
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1.3.2.2 保険事業-非金融資産
投資不動産及びその他の固定資産は、本報告書記載の会計処理方法に従っている。
1.3.2.3 保険事業-非金融負債
保険契約者及び受益者に対する契約債務を示す保険負債は、「保険契約の責任準備金」に含まれている。
これらはフランスの基準に従った評価、認識、連結を継続している。
生命保険契約に関する責任準備金は、主に数理的準備金(一般的に、契約の解約払戻金に対応)で構成さ
れている。対象となるリスクは主として、(債務者の保険に関する)死亡、障害、就労不能である。
ユニットリンク型保険契約の責任準備金は、当該契約を裏付ける資産の実現可能価額に基づき、報告日に
評価される。
損害保険準備金は、未経過保険料(契約済保険料のうち今後の期間に関連する部分)及び未払保険金に対
応する。
裁量権のある有配当条項から便益を受ける保険契約は、「シャドウ・アカウンティング」の対象となる。
その結果として生じる繰延配当に対する引当金は、保険契約者帰属分のキャピタル・ゲイン及びキャピタ
ル・ロスを示す。繰延配当に対するこれらの引当金は、事業体毎に資産又は負債に計上し、連結範囲内の事
業体間で相殺することはない。資産の部では、これらは個別の勘定科目として計上される。
報告日において、これらの契約に対して認識された負債十分性テスト(繰延保険契約獲得コスト、取得
ポートフォリオ証券などのその他の関連する資産又は負債の控除後)が実施される。認識された負債が、同
日現在の見積将来キャッシュ・フローをヘッジするのに十分であるか検証される。責任準備金の不足が認識
された場合は、当該期間に純損益で認識する(その後、必要に応じて戻入れられる場合もある)。
1.3.3 非金融商品
1.3.3.1 リース契約
リース契約は、貸手が所定の期間につき1回又は一連の支払と交換に資産の使用権を借手に供与する契約
である。
ファイナンス・リースは、資産の所有に付随するリスク及び便益の実質的にほぼ全てが移転するリース契
約である。所有権は、最終的に移転される場合とされない場合がある。
オペレーティング・リースとは、ファイナンス・リース以外のリースをいう。
ファイナンス・リース取引の貸手による会計処理
IAS第17号に従い、グループ外の会社とのファイナンス・リース取引は、財務会計上の金額で連結財政状態
計算書に計上している。
貸手側の勘定においては、取引の経済的実体の分析により:
■ 借手に対する債権を認識しリース料の支払いに応じて減額させる。
■ リース料支払いを利息及び元本返済(財務償却といわれるもの)に分ける。
■ 以下の差額に等しい純額の未実現準備金を認識する。
- 正味残高:事業年度末の元本残高及び未払利息から成る借手の債務
- リース資産の正味帳簿価額
- 繰延税金引当金
金融債権に関連する信用リスクは、 IFRS 第9号に基づき測定及び認識される(注記 1.3.1.8. 「信用リスク
の測定」を参照)。
ファイナンス・リース取引の借手による会計処理
IAS第17号に従い、対象となる固定資産は資産として財政状態計算書に計上され、金融機関からの借入金は
負債として計上される。リース料支払いは、支払利息と元本返済に分けて表示している。
1.3.3.2 引当金
引当金の繰入及び戻入は、対応する収益科目又は費用科目の種類に応じて分類される。
過去の事象から生じた債務の決済に、経済的便益を表す経営資源の流出が必要となる可能性が高く、債務
の金額を正確に見積もることができる場合に、引当金を認識している。引当金額を決定するため、必要に応
じてこの債務の現在価値の純額を算定している。
グループが設定する引当金には、特に以下のものが含まれている。
■ オペレーショナル・リスク
■ 社会的責任
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■ 契約したコミットメントの実行リスク
■ 訴訟リスク及び保証コミットメント
■ 税務リスク
■ 住宅購入者貯蓄契約に関するリスク
1.3.3.3 従業員給付
該当する場合、従業員に対する債務に関する引当金は、「引当金」において認識される。この引当金の変
動は、株主資本において未実現損益又は繰延損益として認識される数理計算上の利益(損失)に起因する部
分を除き、損益計算書において「一般営業費(従業員給付費用)」として認識される。
確定給付制度における退職後給付
確定給付制度における退職後給付には、グループが従業員に約束した給付を提供する正式な又は黙示的な
義務を負っている年金制度、早期退職制度及び付加年金制度がある。
こうした債務は、制度給付を算定するための契約上の算式を適用して受給権を勤務期間に対して配分する
予測単位積増方式を用いて算定される。当該受給権は、以下のような人口動態及び財務上の仮定を用いて現
在価値に割り引かれる。
■ 割引率:契約期間と合致する民間借入金の長期金利を参照して決定
■ 昇給率:年齢層、管理職・非管理職の区分、地域特性に従って評価
■ インフレ率:様々な満期のフランス国債利回りとインフレ連動フランス国債利回りとを比較して見積
り
■ 従業員退職率:事業年度末時点で在籍している終身雇用従業員数合計に占める退職者及び解雇者数の
割合の過去3年間の平均に基づき、年齢層別に決定
■ 退職時年齢:常勤雇用の実際の開始日又はその推定日及び年金改革法に定められた仮定( 67 歳が上
限)を用いて、個別に見積り
■ 死亡率: INSEE (フランス国立統計経済研究所)の TH/TF 00-02 生命表に準拠
これらの仮定の変更により生じた差額、及び過去の仮定と実際の結果との相違による差額は、数理計算上
の損益となる。制度資産がある場合には、当該資産は公正価値で評価され、その予想利回りは損益に影響を
与える。実際の利回りと予想利回りとの差異も、数理計算上の損益となる。
数理計算上の損益は、未実現又は繰延損益として株主資本で認識される。制度の縮小又は制度の清算が行
われた場合には契約債務が変動し、当該変動は当該事業年度の損益において認識される。
年金基金制度に基づく付加年金
1993 年9月 13 日付のフランス銀行協会( AFB )の段階的協定により、金融機関の年金制度が変更され、 1994
年1月1日以降、全ての銀行はフランス国営年金制度の Arrco 及び Agirc に加入している。グループ傘下の銀
行が拠出を行う4つの年金基金も統合された。これらの基金は、積立金に加えて、必要な場合には関連する
銀行が支払う年次拠出を増加させて(今後 10 年間の平均追加拠出率は、人件費の4%を上限とする)、段階
的協定に基づく様々な費用の支払いを確保している。統合後の年金基金は、 2009 年に IGRS (フランス付加年
金運用機関)に転換された。 IGRS では資産の不足は生じていない。
確定給付制度におけるその他の退職後給付
特別制度を含め、退職給付金及び付加年金について、引当金が計上されている。これらの引当金は、在職
中の全従業員が取得した権利に基づき、特に被連結事業体の従業員退職率及び退職時に受益者に支払われる
将来の給与の見積りに、必要に応じて社会保障拠出金を加算したものに基づいて、評価される。グループ傘
下のフランスの銀行の退職給付金は、クレディ・ミュチュエル・グループの保険会社で完全連結子会社の ACM
Vie が最低 60 %保有する保険契約によってカバーされている。
確定拠出制度に基づく退職後給付
グループの事業体は、グループから独立している組織が運営している様々な年金制度に拠出しているが、
特に基金の資産が契約に対応するには不十分であることが明らかになった場合において、グループの事業体
は公にも黙示的にも追加的な支払義務を負っていない。
こうした制度はグループの契約債務にはあたらないため、引当金を設定していない。費用は、拠出金を支
払う必要がある事業年度に認識される。
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長期給付
長期給付は、退職後給付及び解雇給付とは別に、従業員が対象となる勤務を提供した期間終了後 12 ヶ月超
経過した後に支払われる見込みの給付で、長期勤続報酬などが含まれる。
その他の長期給付に関するグループの契約債務は、予測単位積増方式を用いて測定されている。ただし、
数理計算上の損益については、直ちに損益において認識している。
長期勤続報酬に関する債務は保険契約でカバーされている場合があり、この契約債務のうちヘッジされて
いない部分に対してのみ引当金が設定されている。
従業員に対する付加年金制度
強制加入の年金制度に加えて、グループの集団協定によりカバーされている事業体の従業員は、 ACM Vie
SA が提供する確定拠出付加年金制度による給付も受けている。
退職手当
退職手当は、雇用契約が通常の退職年齢以前に終了した場合、又は従業員が補償と引き換えにグループを
自発的に退職する決断をした場合に、グループが支給する給付である。報告日から 12 ヶ月超経過した後に支
払われる見込みの場合は、関連する引当金は現在価値に割り引かれる。
短期給付
短期給付は、事業年度末後 12 ヶ月以内に支払われる見込みの給付であり、給与、社会保障拠出金及び一定
の賞与などの退職手当以外のものを含む。
これらの短期給付に対する費用は、これらの給付に対する権利が供与される勤務が事業に対して提供された
事業年度において認識される。
1.3.3.4 固定資産
財政状態計算書に計上されている固定資産は、有形固定資産及び無形資産、並びに投資不動産を含んでい
る。営業用資産は、サービス提供目的及び経営管理目的に使用される。投資不動産は、賃貸料もしくはキャ
ピタル・ゲイン、又はこれら双方を稼得する目的で保有する不動産資産で構成されている。取得原価法は、
営業用不動産及び投資不動産の双方を認識するため使用される。
固定資産は、取得原価に、固定資産を事業の用に供し使用できるようにするために必要となる直接帰属費
用を加算した金額で、当初認識される。当初認識以降、固定資産は過年度の減価償却後原価、すなわち取得
原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を差し引いた額で評価される。
固定資産が、定期的な取替の対象となる可能性がある、使途が異なる、又は経済的便益の獲得頻度が異な
る複数の要素で構成されている場合は、各構成要素を当初から個別に認識し、それぞれの構成要素に適した
方法に従って減価償却している。この構成要素に基づくアプローチは、営業用不動産及び投資不動産に採用
されている。
固定資産の減価償却可能額又は償却可能額は、残存価額から処分費用を控除して算定される。固定資産の
耐用年数は、一般に経済耐用年数と等しいため、残存価額は認識されていない。
固定資産は、当該資産の見積耐用年数にわたって、事業体が当該資産による経済的便益を消費すると見込
まれる比率で減価償却及び償却が行われる。耐用年数が不確定である無形資産は、償却の対象ではない。
営業用資産に対する減価償却費及び償却費は、損益計算書の「有形固定資産及び無形資産の減価償却費、
償却費、及び引当金に対する繰入 / 戻入」において認識している。
投資不動産に関する減価償却費は、損益計算書の「その他の活動に係る費用」において認識している。
使用されている償却期間の範囲は、以下のとおりである。
有形固定資産
■ 土地及びネットワーク設備 : 15-30 年
■ 建物 - 建造物 : 20-80 年(当該建物の種類により異なる)
■ 建物 - 設備 : 10-40 年
■ 設備及び備品 : 5 -15 年
■ 事務機器及び什器 : 5 -10 年
■ 保安設備 : 3 -10 年
■ 車両及び運搬具 : 3 - 5年
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■ コンピュータ機器 : 3 - 5年
無形資産:
■ 購入又は自社開発ソフトウェア : 1 -10 年
■ 買収事業ののれん : 9 -10 年(顧客契約ポートフォリオを取得し
た場合)
減価償却可能な有形固定資産は、報告日において減損の兆候がある場合には、減価償却テストの対象とな
る。賃貸借権などの償却不能な固定資産は、年1回減損テストを行う。
減損の兆候がある場合、資産の回収可能価額と帳簿価額の純額を比較している。価値の損失が発生した場
合には、減損損失が損益計算書で認識され、資産の減価償却可能額が非遡及的に調整される。見積回収可能
価額が変動した場合、又は減損の兆候がなくなった場合、減損損失は戻入れられる。減損引当金の戻入後の
帳簿価額は、減損が認識されなかった場合に算出されていたはずの帳簿価額(純額)を上回ってはならな
い。
営業用固定資産の減価償却費は、損益計算書の「 有形固定資産及び無形資産の減価償却費、償却費、及び
引当金に対する繰入 / 戻入 」において認識している。
投資不動産に係る減損費用及び戻入は、損益計算書においてそれぞれ「その他の活動に係る費用」及び
「その他の活動に係る収益」において認識している。
営業用固定資産の処分に係る損益は、損益計算書の「その他の資産に係る損益」の項目に計上している。
投資不動産の処分に係る損益は、損益計算書の「その他の活動に係る収益」又は「その他の活動に係る費
用」の項目に計上している。
1.3.3.5 手数料及び契約手数料
サービスに関連する手数料及び契約手数料は、関連するサービスの種類に応じて、収益及び費用として計
上している。
貸出金の供与に直接関連する手数料及び契約手数料は、実効金利法を用いて貸出期間を通じて認識され
る。
継続的に提供されているサービスの対価として支払われる手数料及び契約手数料は、サービスが提供され
る期間を通じて認識される。
重要なサービスの対価として支払われる手数料及び契約手数料は、サービス履行時に全額、損益計算書に
計上される。
追加的な利息とみなされる手数料及び契約手数料は、実効金利の不可分の一部である。従って、こうした
手数料及び契約手数料は受取利息と支払利息のいずれかとして認識される。
1.3.3.6 法人税
法人税費用には、対象となる期間における収益に関連して支払うべき当期及び繰延の両方での全ての税金
が含まれる。
未払法人税は、適用される税法に従って算定している。
繰延税金
IAS第12号により求められているとおり、連結財政状態計算書に計上されている資産・負債の帳簿価額とそ
の課税価額との間の一時差異に関しては、のれんを除き、繰延税金を認識している。
繰延税金は、事業年度末時点で既知の、その後数年において適用される法人税率を適用して、負債法を用
いて計算される。
繰延税金負債を控除した繰延税金資産は、回収可能性が高い場合に限り認識される。当期税金及び繰延税
金は、株主資本で認識されている未実現又は繰延損益に関する繰延税金(繰延税金は株主資本に直接計上さ
れる)を除き、収益又は費用として認識される。
繰延税金資産及び負債は、同一の事業体又は同一の税務グループ内において発生しており、同一の税務管
轄対象であり、かつ相殺を行う法的権限がある場合において、相殺される。
繰延税金については割引計算を行っていない。
1.3.3.7 国が負担する一部の貸出金に係る利息
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農業・農村セクター及び住宅購入に対する支援措置に従い、グループ傘下の一部事業体は、フランス政府
が定める低金利貸出金を供与している。その結果、こうした事業体は、顧客から受け取る金利と所定の指標
金 利との間の金利差に等しい補助金を政府から受け取っている。そのため、これらの補助金の便益を受ける
貸出金については、割引計算を行っていない。
こうした補償メカニズムに関する取決めは、フランス政府が定期的に見直しを行っている。
政府から受け取った補助金は、IAS第20号に従って、「受取利息及び類似収益」において認識し、対応する
貸出金の残存期間にわたり分割計上される。
1.3.3.8 売却目的保有非流動資産及び非継続事業
非流動資産、又は非流動資産群は、売却可能でかつその売却が今後12ヶ月以内に行われる可能性が非常に
高い場合、売却目的保有として分類される。
関連する資産及び負債は、財政状態計算書の「売却目的保有非流動資産」及び「売却目的保有非流動資産
関連の負債」の2つの別個の勘定科目で表示される。これらは、帳簿価額又は公正価値から売却費用を差し
引いた額のどちらか低い方の金額で認識し、減価償却又は償却は行われない。
これらの資産及び負債に係る減損損失は損益計算書において認識される。
非継続事業は、売却目的で保有する又は既に中止されている事業、若しくは転売のみを目的に取得した子
会社で構成される。非継続事業関連の損益は、全て損益計算書の「売買目的保有非流動資産及び非継続事業
に係る税引後利益/損失」に別掲される。
1.3.4 財務書類の作成に際して使用した判断及び見積り
グループの財務書類の作成にあたっては、必要な測定を行うために仮定の使用が必要であり、こうした仮
定が将来その通りになるかどうかについてはリスク及び不確実性が伴う。
こうした仮定の将来の結果は、特に以下を含む複数の要因に影響を受ける。
■ 国内外市場の活動
■ 金利及び外国為替レートの変動
■ 一部の事業セクターや国における経済的及び政治的状況
■ 規制及び法制度の変更
仮定の策定が必要となる会計上の見積は、主に以下の測定に際して用いられる。
■ 活発な市場での相場価格がない金融商品の公正価値-強制取引の定義及び観測可能なデータの定義に
は判断の行使が必要となる
■ 年金制度及びその他の将来の従業員給付
■ 資産の減損、特に予想信用損失
■ 引当金
■ 無形資産及びのれんの減損
■ 繰延税金資産
1.4 欧州連合が採用しているが未適用の基準及び解釈指針
IFRS第16号 - リース
2016 年初めに発行され、 EU が 2017 年 10 月 31 日に採用したこの新基準は、 2019 年1月1日より発効する。
IFRS 第 16 号は、 IAS 第 17 号及びリース会計関連の解釈指針に置き換わるものである。
IFRS 第 16 号では、契約がリースとして認められるためには、資産が特定され、借手が当該資産の使用権を
支配していなければならないと規定している。
貸手にとっては、採用された規定は現行の IAS 第 17 号の規定から実質的に変わっていないため、予想される
影響は限定的である。
借手については、オペレーティング・リースとファイナンス・リースは単一のモデルに基づいて計上さ
れ、以下の項目が認識される。
■ リース期間にわたりリース物件を使用する権利を表す資産
■ リース料の支払義務に関連した負債との相殺
■ 定額法による資産の減価償却費及び定率法を使用した損益計算書上の支払利息
ただし、現行の IAS 第 17 号に従って、オペレーティング・リースについては、借手の財政状態計算書に計上
される金額はなく、リース料の支払いは営業費用において表示されることを付記する。
2018 年度に、グループはこの基準の適用による影響、初度適用に関連する実務的詳細、及び情報システム
上での導入についての分析を継続した。グループは以下を選択した。
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■ 現行の全てのリースにリースの新たな定義を適用すること。従って、一部の機器については、代替可
能であることから、 IFRS 第 16 号の適用範囲から除外されることになる(特にコンピューター機器。た
だ し、一部の重要なリースは資産計上される)。
■ 初度適用時において、修正遡及適用アプローチ及び関連する単純化された測定方法を用いること。
2019 年1月1日現在において株主資本に対する影響は見込まれていない。
■ 短期及び少額( 5,000 ユーロ以下)の場合は例外とすること。
■ 繰延税金を考慮するか否かについて明確な規範がないため、グループは IAS 第 12 号の例外規定を適用
することを決定した。そのため、この点について IASB による将来の改訂があるまで繰延税金を認識し
ない。
グループはまた、不動産リースと機器リース( IT 、車両、船舶など)の全てについて、見直しを行った。
グループは、主に不動産リースについては、(自動的に更新されないリースに対する)初度適用時におい
て、その残存耐用年数及び賃貸料に適用される対応する増分借入利率(税金は除く)を用いて、資産計上す
ることになる。さらに、グループは ANC の商用リースに係る方向性に従い、この種の新たなリースを9年間に
わたり資産計上することになる。
IFRIC 第 23 号 - 法人所得税の税務処理に関する不確実性
2017 年6月7日に公表された IFRIC 解釈指針「 IFRIC 第 23 号 - 法人所得税の税務処理に関する不確実性」
は、 2019 年1月1日に発効した。
この規定は、税務当局が以下を行うという仮定に基づいている。
■ 報告された全ての金額を監査する。
■ 必要となる全ての文書及び情報の閲覧が可能である。
事業体は、事業体が選択したポジションを税務当局が容認するか否かについての可能性を評価せねばなら
ず、課税所得、繰延損失、未使用税額控除及び税率についての妥当な結論を導かねばならない。税務ポジ
ションに不確実性がある場合(すなわち事業体が選択したポジションを税務当局が容認しない可能性が高い
場合)、未払金額は、最も可能性が高い金額、又は支払予定額若しくは受取予定額に対する最良の見積りを
反映する方法に従った予想金額に基づき評価される。
現段階においては、グループは IFRIC 第 23 号の適用範囲は法人税に限定されており、現行の慣例に対する変
更が伴うものではないと考えている。現在、リスクは税務調整がなされた際に認識している。こうした調整
は、当該事業体自身、関連事業体、又は第三者事業体に関係することがある。
1.5 欧州連合が未採用の基準及び解釈指針
主に関連するものは、 IFRS 第 17 号 - 保険契約である。
IFRS第17号 - 保険契約
2022 年から、 IFRS 第 17 号は IFRS 第4号に置き換わる予定である。 IFRS 第4号は、保険契約及び同基準の適
用対象となるその他の契約について、保険会社が各国の会計方針を継続適用することを認めており、当該セ
クターの事業体の財務書類を比較することは困難である。
IFRS 第 17 号の目的は、様々な種類の保険契約の認識を一致させ、それらを保険会社のコミットメントの将
来の評価額に基づいて評価することである。これには、ソルベンシーⅡと同様に、複雑なモデル及びコンセ
プトの更なる活用が必要である。財務報告においても大幅な変更を行われなければならない。
フランスの金融機関を含めた様々なステークホルダーにより指摘された数々の複雑な問題を踏まえ( 25 項
目が IASB により提示されている)、理事会は当該基準の実施を 2022 年1月1日まで 1 年間延期することを決定
した。繰延オプションを選択した保険事業体(グループはこれに該当する)に対する IFRS 第9号の適用も、
同日まで延期されている。
(注2)
会計処理の参照フレームワーク
国際会計基準の適用に関する規則( EC )第 1606 / 2002 号及び同基準の採用に関する規則( EC )第 1126 /
2008 号に基づき、当期の連結財務書類は、 2016 年 12 月 31 日において欧州連合が採用している国際財務報告基
準( IFRS )に従って作成されている。これらの基準には、同日現在採用されていた国際会計基準( IAS )第1
号から第 41 号、 IFRS 第1号から第8号、第 10 号から第 13 号、並びに解釈指針委員会( SIC )及び国際財務報告
解釈指針委員会( IFRIC )解釈指針が含まれている。これらの基準は、欧州委員会のウェブサイトに掲載され
ている。欧州連合が採用していない基準は、適用していない。
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財務書類は、フランス会計基準当局の IFRS 財務書類に関する勧告第 2013 - 04 号において推奨されている書
式に従って表示されている。これらは、欧州連合が採用している国際会計基準と一致している。
2016年1月1日から適用されている基準及び解釈指針
欧州連合が採用している改訂は、財務書類に重要な影響を及ぼしていない。これは、主に以下に関するも
のである
- IAS 第1号-財務諸表の表示:関係会社持分の相対的な重要性に重点が置かれ、純利益及び株主資本で直
接認識される損益の2つの項目について示されている(「リサイクル可能な(純損益に振替えられる可能
性のある)」持分と「リサイクル不能な(純損益に振替えられることのない)」持分の区別)。
- IFRS 第2号-株式に基づく報酬:変更は「権利確定条件」の概念に関することで、現在は「業績条件」又
は「勤務条件」として定義されている。
- IFRS 第3号-企業結合:負債性若しくは持分証券としての結合における条件付対価は、 IAS 第 32 号の適用
により生じる。持分証券でないアーンアウトは、各報告日における公正価値で測定されなければならず、
公正価値の変動は純損益において認識されなければならない。
- IFRS 第7号-金融商品:サービシング契約が譲渡資産への継続的な関与を表している場合の開示。
- IFRS 第8号-事業セグメント:セグメントが集約される場合の開示。
- IAS 第 24 号-関連当事者についての開示:定義の拡大(管理企業を含む)、注記における追加の開示。
- IAS 第 28 号/ IFRS 第 10 号/ IFRS 第 12 号:一定の状況において、関連会社及びジョイント・ベンチャーに対
する持分を事業体毎に純損益を通じた公正価値で測定することができる選択肢。
IFRS 第9号 - 金融商品
IFRS 第9号は、 IAS 第 39 号「金融商品:認識及び測定」に取って代わる。これは以下について新たな規則を
定めている。
- 金融商品の分類及び測定(第1段階)
- 金融資産の信用リスク減損(第2段階)
- ヘッジ会計(マクロ・ヘッジを除く)(第3段階)
当該基準は、 2018 年1月1日から強制適用される。分類及び測定、また IFRS 第9号に基づく新たな減損モ
デルは、初度適用日の期首貸借対照表を調整して、遡及的に適用される。比較数値として表示される会計期
間の修正再表示は求められていない。従ってグループは、 2018 年度財務書類を、 IFRS 第9号に従った形式
で、 2017 年度の比較数値なしで表示することになる。2つの基準の間でのポートフォリオの移行、及び株主
資本への影響に関する説明は、注記に記載される。
2015 年度第2四半期にグループはある取組みに着手した。現在プロジェクトの段階ではあるが、その取組
みのために様々な関係部門(財務、リスク、 IT など)がコンフェデラシオンの財務管理部門が管理する「国
内連結」運営委員会を中心に編成された。このプロジェクトのために、様々な段階や商品(クレジット、有
価証券、デリバティブ)に基づき、いくつかの作業グループが設けられており、コンフェデラシオン・ナシ
オナル・デュ・クレディ・ミュチュエル(以下「 CNCM 」という。)のリスク部門の責任の下で、減損モデル
に取組んでいる。必要な IT の開発及び修正は 2016 年度 に 着手し、 2017 年度も継続する予定であった。
この取組みは、保険を含むグループの関連業務の全てを対象としている。 2016 年9月に公表された IFRS 第
4号の修正によって、これらの事業体については IFRS 第9号の初度適用の繰り延べ、又は調整が認められ
る。ただし、現時点では繰延アプローチは、銀行及び保険サービスを提供する金融機関(バンカシュアラン
ス)には適用されない。当該基準の導入予定を踏まえ、この問題に関する議論は国際レベル、欧州レベルで
続いているものの、グループの保険事業体は 2018 年1月1日に IFRS 第9号を適用することとする。
段階別の情報は、以下に示されている。
第1段階 - 分類及び測定
IFRS 第9号では、金融資産の分類及び測定は、事業モデル、並びに当該商品の契約上の特性によって決ま
り、ある特定の金融資産については、 IAS 第 39 号に基づく分類及び測定とは異なる場合がある。
取得した貸出金、債権、負債証券は以下のように分類される。
- 償却原価。事業モデルが、契約上のキャッシュ・フローを回収するために商品を保有する場合、かつ
キャッシュ・フローが元本及び利息の支払いのみである場合( SPPI テストを用いた分析)。
- 株主資本を通じた公正価値。事業モデルが、契約上のキャッシュ・フローを回収するため、及び機会が生
じた時には資産を売却するために商品を保有する場合、かつキャッシュ・フローが元本及び利息の支払い
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のみである場合。これらの商品が売却される場合、過去に株主資本に認識されていた未実現損益は、現在
の IAS 第 39 号に基づくケースで売却可能( AFS )資産に分類されているものと同様に、純損益に認識され
る。
- 純損益を通じた公正価値。上記の2つの分類に該当しない場合、あるいは会計上のミスマッチを削減する
ために、グループがオプションを行使してそれらの商品を純損益を通じた公正価値に分類した場合。
取得した資本性金融商品(主に株式)は以下のように分類される。
- 純損益を通じた公正価値
- 株主資本を通じた公正価値オプションの使用。これらの商品が売却される場合、 AFS 資産に認識される場
合の現在の慣行とは異なり、過去に株主資本に認識されていた未実現損益は純損益に振り替えられない。
配当のみ、純損益に認識される。
注意点:
- 金融資産に組み込まれているデリバティブを、主契約と別に認識することはできなくなった。
- 金融資産・負債の認識の中止に関する IAS 第 39 号の規定は、 IFRS 第9号において変更されていない。
- 同じことは、金融負債に関する引当金にも当てはまる。ただし、公正価値オプションにより、純損益を通
じた公正価値を選択した金融負債について、自己の信用リスクによる公正価値の変動を認識する場合は除
く。それらは、純損益ではなく、株主資本に未実現損益又は繰延損益として認識しなければならない。グ
ループが自己の信用リスクの問題によって受ける影響は軽微である。
2016 年中にグループでは以下を目的とする作業を実施した。
- 金利及び異なる契約条項の両方について、商品のマッピングを完成させること。
- リスクがある(平均、相関の低下)と識別された金利に関する SPPI テストを定義、開始すること。
- 全国及び地域レベルで、様々な商品について商品の特性とその事業モデルの両方を文書化する取組みを開
始すること。
現時点では、これらは主に UCITS 及び不動産ファンド( OPCIs )の受益証券並びに特定の転換社債又は仕組
債であり、純損益を通じた公正価値に再分類されることになる。これらの再分類の影響は小さいとみられ
る。特定のクレジット及び証券化トランシェについては、作業が完了に向かっている。
第2段階 - 減損
IFRS 第9号の信用リスク減損に関する項目は、 IAS 第 39 号の発生信用損失モデルに関する批判的意見、すな
わち信用損失の会計処理が遅れ、認識される信用損失が過少な金額になるという意見に対応したものであ
る。
これにより、発生信用損失に対する引当は、予想信用損失に対する引当に取って代わられることになる。
個別ベースで客観的な減損の兆候がない金融資産について、減損引当金は、観察された過去の損失だけでな
く、妥当かつ正当な予想キャッシュ・フローに基づいて認識されることになる。
この信用リスクに対するより将来予測的なアプローチは、 IAS 第 39 号における同様の性質をもつ金融資産
ポートフォリオの集合的ベースの引当金が認識される際に、すでにある程度反映されている。
従って、 IFRS 第9号に基づく新たな減損モデルは、償却原価若しくは株主資本を通じた公正価値で測定さ
れる全ての負債性金融商品に適用されることになる。これは以下の3つに分類される。
- グループ1:当初認識後、信用リスクの著しい増大が観察されていない場合は、金融資産の当初認識時に
おける 12 ヶ月間の予想貸倒損失引当金(今後 12 ヶ月間のデフォルト・リスクに起因)
- グループ2:当初認識後、信用リスクの著しい増大が観察された場合は、金融商品の残存期間にわたる予
想貸倒損失引当金(商品の残存期間全体のデフォルト・リスクに起因)
- グループ3:ローンの契約後に生じた事象の結果として減損の客観的証拠がある減損金融資産で構成され
るカテゴリー。このカテゴリーは、現在 IAS 第 39 号に基づき個別に減損した残高の範囲に相当する。
信用リスクの大幅な増加は、以下によって評価される。
- 全ての合理的で裏付けのある情報を考慮にいれる。
- 報告日の金融商品のデフォルト・リスクを、当初認識日のデフォルト・リスクと比較する。
グループ・レベルでは、これは借り手レベルでのリスクの測定に反映されている。一方、リスクの変動は
各契約レベルで測定されている。
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2016 年中にグループ内で実施された作業では、主にグループ1と2の境界線の明確化に焦点が当てられ
た。
- 基準に基づいて認められているとおり、グループは、健全性目的で開発されたモデル、並びに 12 ヶ月間の
デフォルト・リスクの測定(デフォルト率又はデフォルト・スコアで表示)に依拠する。
- これらの定量的データは、 30 日超遅延している支払、条件緩和債権などの定性的な基準と組み合わされ
る。
- 標準的なアプローチに基づいて健全性を保って分類されており、格付けシステムを持たない事業体や小規
模なポートフォリオには、比較的複雑でない手法が用いられる。
これらのパラメータに、将来予測的な情報を考慮に入れる方法について、協議が進められている。
現時点では、グループは定量的な影響を合理的に測定することはできないが、 IFRS 第9号のグループ1、
2に基づく減損レベルは、現在 IAS 第 39 号に基づいて計上されている集合的ベースの引当金を大幅に上回ると
考えている。
第3段階 - ヘッジ会計
IFRS 第9号は、初度適用時に、事業体が新たなヘッジ会計規定を適用するか、若しくは IAS 第 39 号の規定を
維持するか選択することを認めている。
Crédit Mutuel グループは、現行の規定を維持することとした。ただし、改訂 IFRS 第7号に従い、リスク管
理、及びヘッジ会計が財務書類に及ぼす影響について、注記中に追加情報を記載する。
さらに、金融資産・負債のポートフォリオに係る金利リスクの公正価値ヘッジに関する IAS 第 39 号の規定
は、欧州連合で採用されているとおり、引き続き適用する。
IFRS 第 15 号 - 顧客との契約から生じる収益
この基準は、収益の認識に関するいくつかの基準及び解釈( IAS 第 18 号収益、 IAS 第 11 号工事契約など)に
代わるものである。ただし、リース、保険契約、金融商品からの収益には影響を及ぼさない。
契約から生じる収益の認識は、売り手に権利があると見込まれる金額について、資産(又はサービス)の
支配の顧客への移転を反映しなければならない。そのために、基準では、収益の認識時期及び金額を決定す
るための5段階モデルを定めている。
- 顧客との契約の特定
- 契約における履行義務の特定
- 取引価格の決定
- 契約における履行義務への取引価格の配分
- 事業体が履行義務を遂行した際の収益の認識
この基準は、 2018 年1月1日以降に開始する会計年度から強制適用される。
2016 年度にグループは、この基準の分析及びその潜在的な影響の初期評価を実施した。この作業は、 CM グ
ループの様々な企業と、必要に応じて特定の子会社が参加する CNCM の専任の作業グループによって行われ
た。
分析対象となった主な事業ライン/商品は、パッケージ型銀行商品、資産運用(運用報酬)、電話、 IT 関
連業務である。
現時点では、影響は限定的であると見込まれる。
欧州連合が未採用の基準及び解釈指針
主なものは以下のとおりである。
- IFRS 第 16 号 - リース。欧州連合の採用を前提として、適用日は 2019 年1月1日に設定されている。
- IFRS 第9号に関連する IFRS 第4号の改訂(適用日は 2018 年1月1日に設定)
IFRS 第 16 号 - リース
この基準は IAS 第 17 号、及びリースの認識に関する解釈に代わるものである。
IFRS 第 16 号では、リースの定義は、第一に資産の特定、次に借手によるこの資産を使用する権利の支配に
係るものである。
貸手の立場からは、採用された規定は、現行の IAS 第 17 号から実質的に変更されていないため、予想される
影響は限定的である。
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借手は、オペレーティング・リースについて以下のものを認識しなければならない。
- 固定資産:リース資産の使用権を表す資産
- 負債、リース期間中のリースの支払い義務を表す負債
- 損益計算書、定額法による資産の償却に関連する費用。保険数理的に算出された金融負債に係る支払利息
と区別する
ただし、現行の IAS 第 17 号では、貸借対照表に計上されている金額はなく、リース費用は営業費用に含まれ
ていることを付記する。
グループは、この基準の影響を分析する作業を開始し、特に不動産及び設備の両方( IT 、車両、船舶な
ど)についてリースの特定に着手している。
ACM の資本組み入れ準備金の会計処理方法の変更
資本組み入れ準備金は、債券処分に係るキャピタル・ゲインによって調達され、債券でキャピタル・ロス
が認識される場合にのみ取り崩される準備金である。
フランス法におけるソルベンシーⅡへの移行を受けて、 グループ・デ・ザシュランス・デュ・クレディ・
ミュチュエル (以下「 GACM 」という。)は資本組み入れ準備金から保険契約者への支払いをモデル化した。
この準備金は、最終的には大部分が保険契約者のものであり、資本組み入れ準備金のうち繰り延べられる利
益分配相当額を負債持分として修正再表示することにより、グループの IFRS 連結財務書類は、 IFRS 第4号へ
の準拠性が高くなる。
IAS 第8号によれば、参加契約の保有者の資本組み入れ準備金に対する将来の権利の認識に係るこの新たな
方法の意図的な採用は、会計方針の変更を表している。
IFRS 資本へのマイナスの影響は、 2015 年度期首には 257 百万ユーロ、 2015 年度期末には 259 百万ユーロで、
参加契約を表すポートフォリオの資本組み入れ準備金残高の約 95 %に相当する。
2015 年度の IFRS 基準の利益への影響は、繰延税金控除後でマイナス1百万ユーロであった。
これらの変更のため、グループは 2015 年 12 月 31 日現在の修正再表示後の財務書類を作成した。
2015年 2015年
百万ユーロ 12月31日 12月31日
公表 修正再表示 修正再表示後
資産
繰延税金資産 780 136 916
負債
保険会社の責任準備金 76,835 394 77,229
株主資本 25,653 -259 25,394
株主資本 - グループ帰属分 21,843 -186 21,657
連結剰余金 12,816 -185 12,631
当期純利益 1,542 -1 1,541
株主資本 - 非支配持分 3,810 -72 3,738
負債合計 458,515 136 458,650
連結損益計算書
その他の活動に係る損失 -11,137 20 -11,118
法人税 -1,120 -22 -1,142
税引後当期純利益 1,877 -2 1,875
非支配持分 335 -1 334
非支配持分控除後当期純利益 1,542 -1 1,541
(注3)
会計原則及び会計方針
3.1 会計基準
国際会計基準の適用に関する規則( EC )第 1606 / 2002 号及び同基準の採用に関する規則( EC )第 1126 /
2008 号に基づき、連結財務書類は、 2019 年 12 月 31 日において欧州連合が採用している国際財務報告基準
( IFRS )に従って作成されている。
全体の枠組みは、以下の欧州委員会のウェブサイトに掲載されている。
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https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/company-reporting-and-auditing/company-
reporting/financial-reporting_en#ifrs-financial-statements
財務書類は、 ANC の IFRS 要約報告書に関する勧告第 2017 - 02 号において推奨されている書式に従って表示さ
れている。これらは、欧州連合が採用している国際会計基準と一致している。
リスク管理に関する情報は、グループの経営者報告書に記載されている。
2019 年1月1日より、グループは以下の基準を適用している。
IFRS 第 16 号
IAS 第 17 号及びリース会計関連の解釈指針に置き換わるものとして、欧州連合が 2017 年 10 月 31 日に採用し
た。
IFRS 第 16 号では、契約がリースとして認められるためには、資産が特定され、借手が当該資産の使用権を
支配していなければならないと規定している。
貸手にとっては、採用された規定は従来の基準である IAS 第 17 号の規定と実質的に変わっていない。
借手については、オペレーティング・リースとファイナンス・リースは単一のモデルに基づいて計上され、
以下の項目が認識される。
■ リース期間にわたり、リース物件を使用する権利を表す資産
■ リース料の支払義務に関連する負債との相殺
■ 定額法による資産の減価償却費及び定率法を使用した損益計算書上の支払利息
ただし、 IAS 第 17 号に従う場合、オペレーティング・リースについては、借手の財政状態計算書に計上され
る金額はなく、リース料の支払いは営業費用として表示されることを付記する。
初度適用として、グループは以下を選択した。
■ 以下を維持すること
- 現行の全てのリースにリースの新たな定義を適用すること。従って、契約の範囲は従来と変わら
ない。
- 簡便的な遡及アプローチ及び関連する単純化された測定方法を選択すること。特に、 2019 年1月
1日において自動更新の対象となる契約(リース3 / 6 / 9など)は、短期契約の例外により除外
される。
- IAS 第 37 号の適用により、金銭的持分に関する契約の引当額に相当する使用権を償却すること。
■ 初度適用日において、期間が 12 ヶ月未満のリース契約及び少額契約( 5,000 ユーロ以下)の場合は、
基準が提案する例外を選択すること。
グループは、初度適用日において、使用権の評価にあたり当初直接コストを除外することも選択した。
グループは、主に不動産リースについては、(自動的に更新されないリースに対する)初度適用時におい
て、その残存耐用年数及び賃貸料に適用される対応する増分借入利率(税金は除く)を用いて、資産計上す
ることになる。
2019 年1月1日現在における影響額は以下のとおりである(単位:百万ユーロ)。
資産 2019 年1月1日現在
使用権-不動産 619
使用権-その他 2
負債 2019 年1月1日現在
リース債務-不動産 620
リース債務-その他 2
使用権は、有形固定資産及びその他の負債でリース債務として認識される。簡便的な遡及アプローチを使
用している。基準で認められているとおり、グループは、使用権がリース債務と同等であり、株主資本に影
響を与えないように、調整変数(当初直接コストなど)を除外することを選択した(ただし、現地基準適用
後の Cofidis Portugal (百万ユーロ)を除く)。
契約の履行可能期間の決定に関して、 国際財務報告解釈指針委員会(IFRIC) は 2019 年 12 月に最終決定を公
表した。これに基づき、グループは、商用リース3 / 6 / 9と自動更新の契約に採用されている現行の仮定に
対するこの決定の影響を、できる限り迅速に分析する。この決定により、上記契約の履行可能期間を見直す
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結果となり、リース債務と関連する使用権の金額が変更される可能性がある。現段階において、データには
公開できるほどの十分な信頼性がない。
IFRIC 第 23 号 - 法人所得税の税務処理に関する不確実性
2017 年6月7日に公表された IFRIC 解釈指針「 IFRIC 第 23 号 - 法人所得税の税務処理に関する不確実性」
は、 2019 年1月1日に発効した。
この規定は、税務当局が以下を行うという仮定に基づいている。
■ 報告された全ての金額を監査する。
■ 必要となる全ての文書及び情報の閲覧が可能である。
事業体は、事業体が選択したポジションを税務当局が容認するか否かについての可能性を評価しなければ
ならず、課税所得、繰延損失、未使用税額控除及び税率についての妥当な結論を導かなければならない。税
務ポジションに不確実性がある場合(すなわち、事業体が選択したポジションを税務当局が容認しない可能
性が高い場合)、未払金額は、最も可能性が高い金額、又は支払予定額若しくは受取予定額に対する最良の
見積りを反映する方法に従った予想金額に基づき評価される。
グループは、この規定の範囲は、法人所得税(当期/繰延)に限定されており、従来の慣例に対する変更
が伴うものではないと予想している。現在のところ、リスクは税務調整が行われる際に認識される。こうし
た調整は、当該事業体自身、関連事業体、又は第三者事業体に関係することがある。
財政状態計算書における影響( 当期税金債務に係る 引当金の分類変更)は、 「第一部 企業情報-第6
経理の状況-1 財務書類-連結財務書類の注記 20 -引当金及び偶発債務」 に明記されている。
金利指標改革に関する IAS 第 39 号、 IFRS 第9号及び IFRS 7号の改訂
IBOR 金利の改革は、銀行の申告データと大幅に減少している基礎となる取引量に基づく、指標及び銀行間
取引金利の算出方法において見られる欠点への対応の一環として行われている。
欧州では、 2016 年に公表され、 2018 年の初めから適用されるベンチマーク規制( BMR )がある。この改革の
主な要素は、市場で使用される指標の信頼性を保証及び改善するために、実際の取引に基づいて金利を算出
することに基づいている。
2018 年1月1日から作成された指標は、現時点で BMR 規制に準拠し、規制当局により確認されている。現行
の指標は、 2021 年 12 月 31 日まで引き続き使用できる。いずれは、前のベンチマーク指標( LIBOR 、 EONIA 、
EURIBOR など)は、新規制に準拠していなければ使用できなくなる。
円滑な移行を確保するために、グループは、法務、商業、組織、ツール、財務/会計領域における影響を
リストアップしている。
そのため、 2019 年第1四半期からプロジェクトモードで作業を開始した。
会計面に関して、グループは、財務情報におけるベンチマーク金利改革の影響について、 IASB が実施した
全ての作業を観察しており、これは2つの段階に分けられる。
■ 第1段階、改革の準備期間:既存のヘッジ関係における潜在的影響への対応(将来の指標に関して不
確実性があるため)
■ 第2段階、新指標の定義直後の移行期間:特に、ヘッジ関係の認識中止と文書化に関連する質問への
対応(特に非有効部分)
2020 年1月 16 日の欧州連合による採用を受けて、グループは、 IASB が公表した IAS 第 39 号、 IFRS 第9号及び
IFRS 第7号の改訂の早期適用を採用することを決定した。これにより、以下までは、既存のヘッジ関係をこ
の例外的かつ一時的な状況で維持することができる。
■ 新指標の選択及びこの変更の発効日に関して、 IBOR 金利の改革により生じる不確実性が解消されるま
で、又は
■ 改革とは無関係の理由によりヘッジが認識中止されるまで。
グループは、 EONIA 金利(契約における ESTER への切り替え日とスプレッド又は調整などの移行手順)、
EURIBOR 金利(このベンチマーク指標で指標付けされた金融商品の契約上の変更がされるまで)及び LIBOR 金
利(置き換える金利の不確実性)には、それぞれ不確実性が残るものと考えている。
第2段階に関して、クレディ・ミュチュエル・グループは、金利改革の影響に関する質問への対応につい
ての、 IASB からの以下のおおよそのタイムテーブルに注目している。
■ 金融資産及び負債の分類と評価について
■ ヘッジ関係の指定と第1段階の例外の終了について
■ IAS 第 19 号、 IFRS 第 16 号及び IFRS 第 17 号への影響について
■ 提供される追加情報について
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そして、利害関係者は、以下の IASB が公表したディスカッションペーパーでの情報提供を受けている。
■ IBOR 改革での負債性金融商品の修正における重要な(又は重要でない)特徴の評価、及び認識の中止
における会計上の影響に関連する問題
■ ヘッジ会計について予想される IFRS 第9号及び IAS 第 39 号の改訂(ヘッジ文書、非有効部分の測定)
グループに影響のない 2019 年のその他の改訂
IAS 第 28 号の改訂
この改訂は、持分法が適用されない関連会社又は共同支配企業の「その他の持分」に相当する全ての金融
商品が対象であり、関連会社及び共同支配企業に対する純投資の一部を構成する長期金融資産が含まれる。
(例えば、これらの事業体に対する貸出金など)。この認識は、以下の2つのステップで行われる。
■ IFRS 第9号(金融資産の償却に関する規定を含む)に従って、金融商品を認識する。
■ 次に、 IAS 第 28 号の規定を適用し、持分価値が既にゼロに減額されている場合は、持分法適用会社の
累積損失額の計上により、帳簿価額が減額される可能性がある。
この改訂の最初の適用時においては、発行体は、比較情報を修正再表示せずに、 2019 年期首の株主資本で
影響額を認識することができる。報告日時点において、グループではこの改訂の範囲に該当するケースを特
定していない。
IAS 第 19 号の改訂
この改訂は、勤務費用及び利息純額の算定における制度改訂、縮小又は清算による影響が対象である。制
度改訂後、縮小後又は清算後の期間における勤務費用及び利息純額は、これらの事象の認識時に採用した数
理計算上の仮定を基に算定されることになる。報告日時点において、グループではこの改訂の範囲に該当す
るケースを認識していない。
IAS 第 12 号の改訂
この改訂では、資本に分類される金融商品における配当の分配に係る税効果は、純利益/(損失)として
認識されなければならないと明記されている。会計上、配当は株主資本から差し引かれる。税務上は、クー
ポンが控除可能な負債性金融商品である。
ただし、配当に係る税金の影響は、発生元の事象や取引により、その他の包括利益、又は株主資本に分類
される場合がある。
グループでは、無期限の証券を資本ではなく負債性金融商品として認識している。現在までのところ、グ
ループはこの改訂による影響を受けていない。
IAS 第1号及び IAS 第8号の改訂
この改訂は、「重要性がある」の定義を明確にし、これを IFRS の概念フレームワーク及び IFRS 基準に一致
させている。欧州で採用される場合、その省略、誤表示又は覆い隠した時に、会計主体の提供する財務情報
を含む財務書類の一般的な利用において、主要な利用者が、当該財務書類に基づいて行う意思決定に影響を
与えることが合理的に予想される場合には、情報は重要性がある(すなわち、相対的に重要である)。
3.2 連結の範囲及び方法
連結主体
グループの親会社は Banque Fédérative du Crédit Mutuel である。
連結の範囲
事業体を連結範囲に含めるか否かの判断基準は、 IFRS 第 10 号、 IFRS 第 11 号及び改訂 IAS 第 28 号により定めら
れている。
グループが支配する又は重要な影響力を及ぼすが、連結財務書類上重要ではない事業体は、連結の範囲か
ら除外される。ある事業体の財政状態計算書の合計又は純損益が、連結計算書又は下位連結計算書(レベル
別の連結の場合)の合計に占める割合が1%未満の場合、連結財務書類上重要ではないとみなされる。この
定量的基準は相対的なものにすぎず、この基準値に達しているか否かに関わらず、その事業又は予想される
動向を鑑みて戦略的投資とみなされる場合、事業体が連結グループに含まれる場合もある。
連結の範囲は、以下からなる。
■ 支配下にある事業体: グループが事業体に対するパワーを有する場合、グループが事業体への関与に
よって生じる変動リターンに対するエクスポージャーにさらされている又は変動リターンに対する権
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利を有する場合、及び事業体が獲得するリターンに影響を及ぼすように事業体に対するパワーを用い
る能力を有している場合、支配しているとみなされる。グループの支配下にある事業体の財務書類
は、 全部連結している。
■ 共同支配下にある事業体: 共同支配は、契約により合意された事業体に対する支配の共有であり、主
な活動に関する決定に支配を共有する当事者の全会一致の合意が求められる場合にのみ存在する。共
同支配を行使する2者以上の当事者はパートナーシップを構成し、共同支配事業又は共同支配企業の
いずれかとなる。
- 共同支配事業とは、共同支配を行使する当事者が、当該事業体に対する持分に応じて、資産に対
する権利及び負債に基づく義務を有するパートナーシップである。これには、資産、負債、収益
及び費用が、当該事業体に対して保有する持分割合に応じて認識されることが伴う。
- 共同支配企業とは、共同支配を行使する当事者が、共同支配企業の純資産に対する権利を有する
パートナーシップである。共同支配企業は持分法で会計処理される。
グループの共同支配下にある全ての事業体は、 IFRS 第 11 号の定義における共同支配企業である。
■ グループが重要な影響力を有する事業体: これらは、連結主体により支配されていないが、グループ
が当該事業体の財務及び営業方針の決定に関与することができる事業体である。グループが重要な影
響力を有する事業体の株式持分は、持分法を適用して会計処理されている。
プライベート・エクイティ会社が所有、あるいは共同支配又は重要な影響力を行使している投資は、純損
益を通じて公正価値で認識する方法により会計処理されている。
連結の方法
使用した連結方法は、以下のとおりである。
全部連結
この方法では、対象となる子会社に対して保有する株式の価額を当該子会社の資産及び負債に置き換え、
非支配株主持分を株主資本及び純利益において個別に表示する。この方法は、対象となる事業が連結主体の
事業の延長か否かを問わず、会計上の構造が異なる事業体を含め、支配下にある全ての事業体に用いられ
る。
持分法
この方法では、所有株式の価額を、対象事業体のうちグループに帰属する資本及び純利益に置き換える。
この方法は、共同支配下にあり、共同支配企業に分類される全ての事業体、又はグループが重要な影響力を
及ぼす全ての事業体に適用される。
非支配持分
非支配持分は、 IFRS 第 10 号で定義されている支配を有さない持分であり、清算時に純資産の配分を受け取
る権利を所有者に与えるパートナーシップ持分、及び子会社が発行し、グループが保有していないその他の
資本性金融商品が含まれる。
報告日
グループの全ての連結会社の報告日は、 12 月 31 日である。
内部取引の消去
内部取引及び残高、並びに連結財務書類に重要な影響を及ぼす内部取引の売上から生じた利益は、消去さ
れる。
外貨建勘定の換算
外貨で表示される外国事業体の勘定については、財政状態計算書において報告日の公式為替レートで換算
される。為替レートの変動が資本金、準備金、及び利益剰余金に影響を及ぼしたことにより生じた差異は、
株主資本の個別構成項目として「為替換算調整勘定」として計上している。外国子会社の損益計算書におい
ては、事業年度の平均為替レートでユーロに換算している。その結果発生した換算による差異は、「為替換
算調整勘定」として計上している。外国事業体に対する持分の一部又は全部を清算又は処分した場合、当該
金額は損益計算書を通じて認識している。
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のれん
公正価値の測定
新規事業体の支配持分の取得日において、当該事業体の資産、負債、及び営業上の偶発債務は、同日にお
ける公正価値で測定している。公正価値の調整額は、帳簿価額と公正価値の差額である。
のれん
改訂 IFRS 第3号に従い、 CIC が新規事業体における支配持分を取得した場合、 IFRS に基づく認識基準を満た
す同社の識別可能資産、負債、及び偶発債務は、取得日現在の公正価値で測定しているが、売却目的保有資
産( IFRS 第5号)に分類された非流動資産はこの限りではなく、売却費用控除後の公正価値と帳簿価額の純
額のどちらか低い方の金額で認識している。 のれんは、譲渡の対価及び非支配持分の金額から、識別可能な
取得資産及び引受債務として(通常は公正価値で)認識した正味金額を控除した金額と一致する。 改訂 IFRS
第3号では、全部のれん又は部分のれんの認識が認められており、企業結合ごとに個別に選択できる。全部
のれんの場合、非支配持分は公正価値で測定されるのに対し、部分のれんの場合は被取得企業の資産及び負
債に帰属する価値に対する持分に基づいて測定される。正ののれんは資産として認識し、負ののれんは、直
ちに損益計算書において「のれんの価値の変動」で認識している。
既に支配している事業体におけるグループの持分が増加/減少した場合、当該株式の取得原価/売却価格
と、取得日/売却日現在の当該株式分にあたる連結株主資本部分の差異を、株主資本で認識している。
被全部連結事業体に関連する場合、のれんは財政状態計算書の個別科目に表示し、持分法適用会社に関連
する場合は「持分法適用会社に対する投資」に表示している。
取得に関連した直接費用を含まないのれんは、改訂 IFRS 第3号に従い純損益で認識される。
のれんについては、グループは定期的に(少なくとも年1回)、減損テストを実施している。このテスト
は、のれんの価値が下落しているか否かを識別するように設計されている。 企業結合に伴うのれんは、企業
結合により生み出されるシナジーからの利益を得る可能性のある資金生成単位(CGU)又はCGUグループに配
分される。CGU又はCGUグループからの回収可能価額は、使用価値、又は売却費用控除後の公正価値のいずれ
か高い金額となる。使用価値は見積将来キャッシュ・フローに関して測定し、貨幣の時間価値の現在の市場
評価、及び資産又はCGUに固有のリスクを反映した金利で割り引く。 のれんの割当先の CGU の回収可能価額が
帳簿価額を下回っている場合、差額について減損損失が認識される。これらの損失は損益計算書を通じて認
識され、戻入れはできない。実際には、 CGU の定義はグループの事業の種類に基づいて行っている。
関連会社又は共同支配企業に関するのれんは、持分法を適用する帳簿価額に含まれる。この場合、持分法
適用の評価とは別に減損テストを実施しない。回収可能価額(すなわち、使用価値、又は売却費用控除後の
公正価値のいずれか高い金額)が帳簿価額を下回った場合、価値の減損を認識し、特定の資産には配分され
ない。この減損損失の戻入れは、後日、持分法を適用する回収可能価額の範囲内で、増加額が認識される。
3.3 会計原則及び会計方針
3.3.1 IFRS 第9号「金融商品」
3.3.1.1 金融商品の分類及び測定
IFRS 第9号においては、金融資産の分類及び測定は、金融商品の事業モデル及び契約上の条件に依拠して
いる。
貸出金、債権及び取得した負債証券
資産は以下のように分類される。
■ 償却原価での測定:契約上のキャッシュ・フローの回収を目的として保有されており、その特性が
「基本」契約の特性に類似している場合。下記の「キャッシュ・フローの特性」(回収目的保有モデ
ル)の項目を参照。
■ その他の包括利益を通じた公正価値での測定:契約上のキャッシュ・フローの回収と機会があれば売
却することの両方を目的としてその金融商品を保有しているが、売買目的で保有していない場合で、
その特性が基本契約の特性に類似しており、関連キャッシュ・フローの予測可能性が高いことを黙示
的に示している場合(回収及び売却目的保有モデル)。
■ 純損益を通じた公正価値での測定
- (「基本」の基準を満たさない及び/又は「その他」の事業モデルに基づき管理しているため)
前述の2つの区分に該当しない場合。
- グループが純損益を通じて公正価値で測定するという取消不能の選択を当初行った場合。この選
択肢は、他の関連商品と関連した会計上のミスマッチを軽減させるために使用される。
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キャッシュ・フローの特性
元本の返済と元本残高に対する利息の支払のみを表す契約上のキャッシュ・フローは、「基本」契約と整
合している。
基本契約では、利息は主に貨幣の時間価値(マイナス金利を含む)と信用リスクに対する対価を表す。利
息には、流動性リスク、資産運用管理費及び利益率も含まれる。
特に契約上のキャッシュ・フローの時期又は金額を変更する可能性のある契約条項など、全ての契約条項
を分析する必要がある。借手又は貸手が金融商品を期限前に返済するという合意に基づく選択肢は、返済額
が基本的に元本残高及び経過利息、並びに該当する場合には合理的な金額の期限前返済違約金の支払を表す
場合において、契約上のキャッシュ・フローの SPPI (元本及び利息のみの支払)の基準と整合している。
(1)
期限前返済違約金 は、例として、下記の場合において合理的であるとみなされる。
■ 返済された元本に対する比率として表示され、返済された額面金額の 10 %未満である場合
■ 融資実行日と早期返済日の間の指標金利の差異を補償する目的の算定式に従い決定された場合
契約上のキャッシュ・フローの分析では、利息に含まれる貨幣の時間価値が当該商品の契約条項によって
変化する可能性が高い場合、参照金融商品の貨幣の時間価値と比較することも必要になる場合がある。例え
ば、金融商品の利率が定期的に更改されるものの、更改の頻度と利率が決定される期間に関連がない場合
(例えば、年率が毎月更改されるなど)、又は金融商品の利率が平均利率に基づいて定期的に更改される場
合などがそれにあたる。
金融資産の割引前の契約上のキャッシュ・フローと参照金融商品の割引前のキャッシュ・フローの差異が
重大であるか又は重大になる可能性がある場合、その金融資産は基本的とはみなされない。
場合に応じて、分析は定性分析又は定量分析のいずれかとなる。差異が重要であるか否かは、各事業年度
について、及び金融商品の残存期間にわたり累積的に評価される。定量分析では、合理的に起こりうると考
えられる一連のシナリオを考慮に入れる。このため、グループは 2000 年にまで遡った利回り曲線を用いてい
る。
さらに、証券化については、保有者間において支払に優先順位があり、トランシェの形式で信用リスクの
集中が見られる場合に、個別の分析が行われる。この場合、分析において、グループが投資を行ったトラン
シェ及び基礎となる金融商品の契約上の特性、並びに基礎となる金融商品の信用リスクに関連したトラン
シェの信用リスクの検証を行う必要がある。
注意点:
■ 組込デリバティブは区分して認識されなくなった。つまり、ハイブリッド商品全体が非基本的とみな
され、純損益を通じた公正価値で認識されることになった。
■ UCITS ファンド又は集団投資事業( UCI )の受益証券は基本的金融商品ではないため、純損益を通じて
公正価値で認識される。
( 1 ) グループは、欧州連合が 2018 年3月に採用した負の補償を伴う期限前償還条項に関する IFRS
第9号の修正を早期適用している。
事業モデル
事業モデルは、キャッシュ・フロー及び収益を創出するための金融商品の管理方法を表す。これは、単純
に経営者の意図ではなく、観察可能な事実に基づくものである。事業モデルは事業体レベルで又は金融商品
別に評価されるのではなく、金融資産グループが集合的に管理される方法を反映したより高いレベルでの集
合的な評価である。事業モデルは当初認識時に決定され、モデルが変更された場合(例外的な場合)に再評
価されることがある。
モデルを決定するためには、以下を含む全ての利用可能な情報が考慮されなければならない。
■ 事業の業績を意思決定者に報告する方法
■ 管理者に対する報酬の算定方法
■ 過去期間における売却の頻度、時期及び金額
■ 売却の理由
■ 将来の売却の予測
■ リスクの評価方法
「回収目的保有」事業モデルについては、当該基準において許容される売却の例が明示的に定められてい
る。
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■ 信用リスクの増大に関連する場合
■ 満期間近、及び額面に近い価額である場合
■ 例外的な場合(流動性ストレスに関連するなど)
こうした「許容された」売却は、ポートフォリオにおいて行われる売却のうち重要性があり頻繁に行われ
る特性の分析には含まれない。頻繁及び/又は重要性がある売却はこの事業モデルには整合しない。さら
に、規制又は財務フレームワークの変更に関連する売却は、当該売却が「頻度が低い」ものであることを示
すため、案件ごとに文書化される。
その他の売却については、有価証券ポートフォリオの満期に基づいて基準値が定義されており、例えば満
期の平均が8年の場合2%となっている(グループは貸出金を売却しない)。
グループは主に、金融資産からの契約上のキャッシュ・フローの回収に基づきモデルを開発しており、こ
れは特に顧客融資に適用される。
また、金融資産からの契約上のキャッシュ・フローの回収及びその資産の売却に基づくモデル、並びにそ
の他の金融資産、特に売買目的保有の金融資産のモデルに従って金融資産を管理している。
グループ内では、「回収及び売却目的保有」モデルは、主として自己勘定のキャッシュ・マネジメント及
び流動性ポートフォリオの管理に適用される。
売買目的保有金融資産は、当初取得時において短期間で売却する意図で取得した有価証券のほか、一括管
理され、かつ、短期的な利益確定について最近の実際の傾向を示す証拠がある有価証券ポートフォリオの一
部である有価証券により構成される。
償却原価で測定する金融資産
主に以下のものが含まれる。
■ 現金勘定、預金並びに中央銀行及び金融機関との間の要求払貸出金及び借入金からなる現金及び現金
同等物
■ 純損益を通じて公正価値で測定しない金融機関へのその他の貸出金及び顧客への貸出金(直接付与又
はシンジケート・ローンの持分)
■ グループが保有する有価証券の一部
この区分に分類される金融資産は通常、支払純額である公正価値で当初認識される。実行した貸出金に適
用する金利は、大多数の競合行が適用する金利に合わせて常に調整されるため、市場金利を示すとみなされ
る。
その後の報告日において、資産は実効金利法を用いて償却原価で測定される。実効金利とは、金融商品の
見積存続期間にわたり将来の現金支払額又は受取額を金融資産又は負債の正味帳簿価額まで正確に割引く利
率である。実効金利は、貸出金の将来の損失を考慮に入れない見積キャッシュ・フローを考慮に入れてお
り、利息として取り扱われる支払手数料又は受取手数料、並びに直接関連する取引費用、全てのプレミアム
及びディスカウントが含まれる。
有価証券については、償却原価はプレミアム及びディスカウントの償却並びに重要な場合には取得コスト
を考慮に入れている。有価証券の売買は決済日に認識される。
受取利息は、損益計算書の「受取利息及び類似収益」において計上される。
貸出金の設定に直接関連し、利息の構成要素として扱われる受取手数料又は支払手数料は、実効金利法を
用いて貸出期間にわたって認識され、損益計算書において利息項目として計上される。
貸出金の商業上の再交渉に関連する受取手数料は、 複数会計期間にわたり 認識される。
債務者が直面する財務上の困難により貸出金が条件緩和された場合には、契約の更改につながる。欧州銀行
監督機構によるこの概念の定義を受けて、グループはこの概念を会計上の定義と健全性の定義が一致するよ
うに、情報システムに組み込んだ。
償却原価で測定される資産の公正価値は、各報告期間の期末の財務書類の注記で開示しており、債務者固
有の発行体の費用を加味し、かつゼロ・クーポンの利回り曲線を用いて見積った将来キャッシュ・フローの
正味現在価値に相当する。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
グループは貸出金を売却しないため、この区分には有価証券のみが含まれる。これらは、取得時、決済日
及びその後処分されるまでの報告日に、財政状態計算書において公正価値で認識される。公正価値の変動
は、未収収益を除き、株主資本の個別勘定「未実現又は繰延損益」に表示している。株主資本におけるこれ
らの未実現損益は、処分又は持続的な減損の場合にのみ損益計算書において認識される(注記 3.3.1.7 「金融
資産及び負債の認識の中止」及び注記 3.3.1.8 「信用リスクの測定」を参照)。
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未収収益又は受取収益は、実効金利法を用いて損益計算書の「受取利息及び類似収益」において認識され
る。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
これらの資産は、当初認識時及びその後処分されるまでの報告日に、財政状態計算書において公正価値で
認識される(注記 3.3.1.7 「金融資産及び負債の認識の中止」を参照)。公正価値の変動は、損益計算書の
「純損益を通じて公正価値で測定する金融商品に係る純損益」において認識される。
2018 年度以降、純損益を通じて公正価値で測定する金融商品に係る受取収益又は未収収益は、損益計算書
において受取利息もしくは支払利息で認識される。この利息は従来、「純損益を通じて公正価値で測定する
金融商品に係る純損益」の項目に表示されていた。この変更は、短期活動計画( STE )の一環として、欧州中
央銀行( ECB )へ提出された規制報告書との整合性を保ち、受取利息及び支払利息について明確化するため導
入された。
2019年に、売買目的金融商品に係る受取利息及び支払利息をより適切に反映させるために、グループはま
た、純損益を通じて公正価値で測定する金融商品の一部に係る受取利息及び支払利息を銀行業務純益におい
て認識及び表示する方法に見直し、特に以下のような修正再表示を行った。(ⅰ)スワップ取引に係るレッ
グの貸借において全体を相殺して利息を計上すること、(ⅱ)ヘッジ手段のデリバティブからの利息を
「ヘッジ手段のデリバティブに係る収益及び費用」区分に分類変更すること。この結果、こうした定義を使
用して表示された2019年12月31日における受取利息及び支払利息との比較可能性の目的から、2018年12月31
日現在で公表された数値は、 「第一部 企業情報-第6 経理の状況-1 財務書類-連結財務書類の 注記
24 -受取利息及び支払利息」 で修正再表示された。
純損益を通じて公正価値で測定する有価証券の売買は、決済日に認識する。取引日から決済日までの間の
公正価値の変動は、純損益において認識される。
取得した資本性金融商品
取得した資本性金融商品(とりわけ株式)は、以下のように分類される。
■ 純損益を通じた公正価値での測定
■ 任意で、その他のリサイクルされない包括利益を通じた公正価値での測定(売買目的で保有されない
場合に、当初認識時に取消不能の選択をした場合)
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
株式及びその他の資本性金融商品は、取得時及びその後処分されるまでの報告日に、財政状態計算書にお
いて公正価値で認識される。公正価値の変動は、株主資本の個別勘定「未実現又は繰延損益」に表示してい
る。株主資本に計上されたこれらの未実現損益又は繰延損益は、売却されたとしても損益計算書において認
識されることはない(注記 3.3.1.7 「金融資産及び負債の認識の中止」を参照)。変動利付証券に係る受取配
当金のみが損益計算書の「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に係る純損益」において
認識される。 有価証券の売買は決済日に認識される。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
資本性金融商品は、純損益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品と同じ方法で認識される。
3.3.1.2 金融負債の分類及び測定
金融負債は以下の2つの区分の1つに分類される。
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
■ 認識当初からヘッジ手段として適格でない公正価値がマイナスであるデリバティブを含む、売買目的
で発生した金融負債。
■ グループが純損益を通じた公正価値での測定に当初分類した非デリバティブ金融負債(公正価値オプ
ション)。これには、以下のものが含まれる。
- 1つ又は複数の分離可能な組込デリバティブを含む金融商品
- 公正価値オプションを適用しなければ、会計上の取扱いが他の関連する金融商品に適用 される会
計上の取扱いと合致しなくなる金融商品
- 公正価値で測定及び管理される金融商品のプールに属する金融商品
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純損益を通じて公正価値で測定することを任意に指定された債務に関わる自己の信用リスクから生じる公
正価値の変動の認識は、組替えられることのない資本の未実現又は繰延損益において認識される。グループ
は自己の信用リスクについて問題をほとんど認識していない。
償却原価で測定する金融負債
償却原価で測定する金融負債は、その他の非デリバティブ金融負債で構成される。これらには、顧客及び
金融機関等に対する債務、負債証券(譲渡性預金証書、銀行間商品、社債等)並びに純損益を通じて公正価
値で測定することを選択されていない期限付又は無期限の劣後債が含まれる。
劣後債は、債務者の資産を清算する場合、他の債権者による請求が終了した後でなければ返済されること
がないため、他の負債証券から分離されている。負債証券には、サパン 2 法によって組成された非上位優先
負債証券が含まれる。
これらの負債は財政状態計算書において公正価値で当初認識され、その後の報告日に実効金利法を用いて
償却原価で測定される。発行済証券の当初の公正価値は、発行価額から取引費用(該当する場合)を差し引
いた金額である。
規制貯蓄契約
償却原価で測定する金融負債には、「 comptes épargne logement 」( CEL - 住宅購入者貯蓄勘定)及び
「 plans épargne logement 」( PEL - 住宅購入者貯蓄制度)があり、これらは規制対象となっているフラン
スの貯蓄商品で、顧客(自然人)が利用することができる。 最初の貯蓄の段階で、 口座名義人は、これらの
口座に振り込まれた金額に係る利息を受け取り、その後、モーゲージ・ローンの権利を取得する(第2段
階)。これらは、販売金融機関に以下の2種類の義務をもたらす。
■ 預け入れられた金額に対して固定金利で利息を支払う義務( PEL 口座の場合のみ。 CEL 口座に対する利
息は物価スライド制の算定式に基づき定期的に更改されるため、変動金利の利息として取り扱われ
る。)
■ 顧客に所定の条件で貸出金を供与する義務( PEL と CEL の両方)
これらの義務による費用は、行動様式に関する統計及び市場データに基づいて見積られている。類似であ
るものの報酬面での規制のない商品の個人顧客に提示される金利と比較して、当該商品に係る潜在的に不利
な条件に関連する将来費用に対応するため、財政状態計算書の負債の部で引当金が計上されている。このア
プローチは、類似の特性を持つ規制対象の PEL 及び CEL 貯蓄商品の組成に基づき実施されている。利益への影
響は、顧客に対する支払利息として認識される。
3.3.1.3 負債と資本との区別
IFRIC 解釈指針第2号に従い、当該事業体が償還を拒否できる無条件の権利を有している場合、又は償還を
禁止するか若しくは強く制限する法律又は法令に基づく規定がある場合、株主の株式は株主資本となる。既
存の法律又は法令を踏まえ、クレディ・ミュチュエル・グループの連結主体を構成する事業体が発行した株
式は、株主資本で認識している。
グループが発行したその他の金融商品は、グループが当該金融商品の保有者に対して金銭を提供するとい
う契約債務がある場合、グループの勘定において負債性金融商品に分類される。これは、グループが発行す
る劣後証券にあてはまる。
3.3.1.4 外貨取引
現地通貨以外の外貨建資産及び負債は、決算日の実勢為替レートで換算される。
貨幣性金融資産又は負債
この項目の換算から生じる外国為替差損益は、損益計算書の「純損益を通じて公正価値で測定する金融商
品に係る純損益」に計上している。
非貨幣性金融資産又は負債
こうした換算から生じる外国為替差損益は、純損益を通じて公正価値で測定される場合には「純損益を通
じて公正価値で測定する金融商品に係る純損益」として認識され、又はその他の包括利益を通じて公正価値
で測定する金融資産である場合には「未実現又は繰延損益」として包括利益計算書で認識される。
3.3.1.5 デリバティブ及びヘッジ会計
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IFRS 第9号は、初度適用時に、事業体がヘッジ会計に関する新たな規定を適用するか、若しくは IAS 第 39 号
の規定を維持するか選択することを認めている。
グループは、 IAS 第 39 号の規定を引き続き適用することを選択した。ただし、改訂 IFRS 第7号に従い、財務書
類の注記又は経営者報告書において、リスク管理及びヘッジ会計が財務書類に与える影響に関する追加情報
を提供している。
さらに、金融資産又は金融負債のポートフォリオに係る金利リスクの公正価値ヘッジに関する IAS 第 39 号の
規定は、欧州連合で採用されているとおり、引き続き適用する。
デリバティブは、以下の3つの特性を備えた金融商品である。
■ 基礎となる項目(金利、為替レート、株価、指数、コモディティ価格、信用格付など)の変動ととも
にその価額が変動すること
■ 初期費用が少額であるか若しくは皆無であること
■ 決済が将来の特定の日に行われること
クレディ・ミュチュエル・グループは、基本的に公正価値ヒエラルキーのレベル2に分類される単純な主
に金利に関するデリバティブ金融商品(スワップやバニラ・オプション)の取引を行っている。
全てのデリバティブは金融資産又は金融負債において公正価値で計上される。全てのデリバティブは、ヘッ
ジ手段として分類され得る場合を除いて売買目的商品として当初認識される。
デリバティブの公正価値の算定
店頭デリバティブ、スワップ、金利先渡契約、キャップ、フロア、バニラ・オプションの大半は、利回り
曲線などの観察可能な市場データに基づき、一般的に認められている標準的なモデル(割引キャッシュ・フ
ロー法、ブラック・ショールズ・モデル、補間法)を用いて評価されている。これらのモデルによって得ら
れた評価は、当該金融商品又はパラメータに伴う流動性リスク及び信用リスク、特定の市況下でモデルに関
連する動的な運用戦略に伴う特定の追加費用を相殺するための固有のリスク・プレミアム、並びに店頭デリ
バティブのプラスの公正価値に係るカウンターパーティー・リスクを考慮して調整される。またカウンター
パーティー・リスクには、店頭デリバティブのマイナスの公正価値で表示される自己リスクも含まれる。
評価調整を決定する際には、各リスク・ファクターを個別に検討している。様々なリスク、パラメータ又
はモデルの分散効果は考慮されていない。多くの場合、各リスク・ファクターについてはポートフォリオ・
アプローチが最も一般的に用いられている。
デリバティブは、公正価値がプラスの場合は金融資産として、公正価値がマイナスの場合は金融負債とし
て認識される。
デリバティブの分類とヘッジ会計
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産又は金融負債に分類されるデリバティブ
当初認識時に、 IFRS に基づいてヘッジ手段として指定されていないデリバティブは全て、1つ又は複数の
リスクをヘッジする目的で契約を締結したものであっても、「純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
又は金融負債」に分類される。
- 組込デリバティブ
組込デリバティブは、主契約から分離させた場合において、デリバティブの定義を満たすハイブリッド金
融商品の構成要素である。特に、単独のデリバティブと同様に、一定のキャッシュ・フローを変動させる効
果がある。
組込デリバティブは、以下の条件の全てが充足された場合にのみ、主契約から分離され、純損益を通じて公
正価値で測定するデリバティブ金融商品として個別に認識される。
■ デリバティブの定義を満たすこと
■ ハイブリッド金融商品が主契約である組込デリバティブが、純損益を通じて公正価値で測定されない
こと
■ デリバティブの経済的特徴及び関連するリスクが、主契約の経済的特徴及び関連するリスクと密接に
関連しているとみなされないこと
■ 組込デリバティブの個別測定は、有益な情報を提供するのに十分な信頼性があること
IFRS 第9号における金融商品は、金融負債に組み込まれたデリバティブのみを主契約から分離し、個別に
認識することが可能である。
- 認識
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実現及び未実現損益は、損益計算書の「純損益を通じて公正価値で測定する金融商品に係る純損益」におい
て認識される。
ヘッジ会計
- ヘッジ対象のリスク
グループの勘定において、グループはミクロ・ヘッジ、又は広義のマクロ・ヘッジを通じた金利リスクの
みを認識している。
ミクロ・ヘッジは、事業体の資産及び負債において発生するリスクの部分的なヘッジである。ミクロ・
ヘッジは、1つ又は複数の資産又は負債に対して、事業体がデリバティブを通じてある種のリスクの不利な
変動のリスクに対応するため、個別に適用される。
マクロ・ヘッジの目的は、グループの資産及び負債の全てに対する不利な変動、特に金利の変動に関して
対応することである。
金利リスクの全体的な管理は、負債に対する資産の裏付けを通じて、又はトレーディング目的デリバティ
ブの認識を通じてヘッジされる可能性があるその他のリスクの全て(為替リスク、信用リスク等)の管理と
ともに、経営者報告書において記載されている。
ミクロ・ヘッジは、通常、固定金利金融商品を変動金利金融商品へ置き換えることを目的として、特にア
セット・スワップを通じて行われる。
3種類のヘッジ関係が認められている。ヘッジ関係は、ヘッジ対象のリスクの性質に基づいて選択され
る。
■ 公正価値ヘッジは、金融資産又は金融負債の公正価値の変動に対するエクスポージャーのヘッジであ
る。
■ キャッシュ・フロー・ヘッジは、金融資産又は金融負債、確定契約若しくは先渡取引に伴うキャッ
シュ・フローの変動性に対するエクスポージャーのヘッジである。
■ 外貨建て純投資のヘッジは、キャッシュ・フロー・ヘッジと同様に認識される。グループはこのヘッ
ジ手法を用いていない。
ヘッジ手段のデリバティブは、会計上のヘッジ手段としての指定を受けるためには IAS 第 39 号に規定される
基準を満たさなければならない。特に、
■ ヘッジ手段とヘッジ対象は、どちらもヘッジ会計に適格でなければならない。
■ ヘッジ対象とヘッジ手段との関係は、ヘッジ関係の開始時に直ちに正式に文書化しなければならな
い。この文書には、経営者が決定したリスク管理目的、ヘッジ対象のリスクの特性、基礎となる戦
略、及びヘッジの有効性の評価方法を記載する。
■ ヘッジ関係の開始時、その後の残存期間を通じて、少なくとも決算日ごとにヘッジの有効性が実証さ
れなければならない。ヘッジ手段の価値の変動又は損益のヘッジ対象の価値の変動又は損益に対する
比率は、 80 %から 125 %の範囲内でなければならない。
該当する場合においては、ヘッジ会計は非遡及的に中止される。
- 識別された金融資産又は負債の公正価値ヘッジ
公正価値ヘッジ関係の場合、デリバティブは「純損益を通じて公正価値で測定する金融商品に係る純損
益」において純損益を通じて公正価値で再測定され、それとは対照的に、ヘッジ対象はヘッジ対象リスクを
反映するべく再測定される。この規則は、ヘッジ対象が償却原価で認識される場合、又は「その他の包括利
益を通じて公正価値で測定する金融資産」に分類される負債性金融商品である場合にも適用される。ヘッジ
手段とヘッジ対象のリスク部分の公正価値の変動は、相互に部分的又は完全に相殺され、ヘッジの非有効部
分のみが純損益に認識される。これは、以下に起因する可能性がある。
■ 「カウンターパーティー・リスク」構成要素がデリバティブの価額に組み込まれたこと。
■ ヘッジ対象とヘッジ手段の間の価値曲線の差異。実際は、スワップは、有担保である場合は OIS 曲線
を用いて、無担保である場合は BOR 曲線を用いて評価される。ヘッジ対象は BOR 曲線を用いて評価され
る。
デリバティブ金融商品の再割引にあたる部分は、損益計算書の受取利息もしくは支払利息において認識さ
れる。ヘッジ対象に関する受取利息又は支払利息にも、同様の取扱いが適用される。
ヘッジ関係が崩れた場合、又はヘッジの有効性の基準を満たさなくなった場合、ヘッジ会計の適用は非遡
及的に中止される。ヘッジ手段のデリバティブは、「純損益を通じて公正価値で測定する金融資産又は金融
負債」に振り替えられ、この区分に適用される原則に従って会計処理される。その後、ヘッジ対象の帳簿価
額に、公正価値の変動を反映させるための調整が加えられなくなる。ヘッジ対象として当初識別された金利
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商品の場合、再測定調整額はヘッジ対象の残存期間にわたって償却される。期限前償還等の理由で財政状態
計算書におけるヘッジ対象の認識が中止された場合、調整累計額は直ちに損益計算書において認識される。
- マクロ・ヘッジ・デリバティブ
グループは、マクロ・ヘッジ取引の会計処理に関し、欧州委員会が提供する選択肢を利用する。実際、欧
州連合が IAS 第 39 号に対して行った変更(カーブ・アウト)により、顧客の要求払預金をヘッジ対象の固定金
利負債のポートフォリオに含めることが可能となり、アンダーヘッジの場合に非有効と測定されることはな
い。要求払預金については、資産負債総合管理の目的で定義された取崩し規則に基づいて含まれている。
固定金利の金融資産又は負債のそれぞれのポートフォリオについて、ヘッジ手段のデリバティブの満期ス
ケジュールとヘッジ対象の満期スケジュールとを照合し、オーバーヘッジがないことを確認する。
公正価値マクロ・ヘッジ・デリバティブの会計処理は、公正価値ヘッジ・デリバティブの会計処理と同様で
ある。
ヘッジ対象ポートフォリオの公正価値の変動は、財政状態計算書の「金利リスク・ヘッジ対象ポートフォ
リオの再測定による調整」に計上され、反対勘定は損益計算書の項目に認識される。
- キャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジ関係の場合、デリバティブは財政状態計算書において公正価値で再測定さ
れ、有効部分は株主資本に認識される。非有効とみなされた部分は損益計算書の「純損益を通じて公正価値
で測定する金融商品に係る純損益」において認識される。
株主資本に認識される金額は、ヘッジ対象に起因するキャッシュ・フローが純損益に影響を及ぼすのと
同時に、受取利息もしくは支払利息において純損益に分類変更される。
ヘッジ対象は、その会計上の区分に固有の規定に従って引き続き認識される。ヘッジ関係が崩れた場合、
又は有効性の基準を満たさなくなった場合、ヘッジ会計の適用は中止される。ヘッジ手段のデリバティブの
再測定を受けて株主資本に計上された累積額は、ヘッジ対象取引が純損益に影響を及ぼすまで、又は同取引
の実施が見込まれなくなるまで、引き続き株主資本において認識される。その後、これらの金額は純損益に
振替えられる。
ヘッジ対象が存在しなくなった場合、株主資本に計上された累積額は直ちに純損益に振替えられる。
3.3.1.6 金融保証及びファイナンス・コミットメント
金融保証は、特定の債務者が負債性金融商品に関して期日に弁済を履行できなかった結果として発生した
損失に対して、保有者に補償として特定の支払を行うことを定めている場合、保険契約と同等とみなされ
る。
現行の基準が改定されるまでの間、 IFRS 第4号に基づき、これらの金融保証は引き続きフランスの会計原
則を用いて測定され、すなわちオフ・バランス項目として取り扱われる。従って、これらの保証は、資源の
流出の可能性が高い場合には負債に対する引当金の対象となる。
それに対して、金融変数(価格、信用格付、指数等)又は非金融変数の変動に応じた支払を定めている金
融保証は、変数が一方の契約当事者固有のものではないことを条件に、 IFRS 第9号の適用対象とされる。そ
のため、これらの保証はデリバティブとして会計処理している。
IFRS 第9号の趣旨においてデリバティブとみなされないファイナンス・コミットメントは、財政状態計算
書に表示されない。しかしながら、引当金は IFRS 第9号の要件に従って計上される。
3.3.1.7 金融資産及び負債の認識の中止
グループは、金融資産(又は類似資産グループ)のキャッシュ・フローに対する契約上の権利が満了した際
(商業上の再交渉の場合)、又はグループが金融資産のキャッシュ・フローを受取る契約上の権利並びに資
産の所有に係るリスク及び経済価値の大半を移転した際に、当該資産の全部又は一部の認識を中止する。
認識が中止される場合においては、
■ 償却原価で測定する金融資産若しくは金融負債、又は純損益を通じて公正価値で測定する金融資産若
しくは金融負債:処分損益は、資産又は負債の帳簿価額と対価の受取額又は支払額との差額に相当す
る金額で損益計算書において認識される。
■ その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品:過去に株主資本において認識されて
いた未実現損益は、処分に係るキャピタル・ゲイン又はキャピタル・ロスとともに損益計算書に計上
される。
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■ その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品:過去にその他の包括利益において認
識されていた未実現損益、並びに処分に係るキャピタル・ゲイン及びキャピタル・ロスは、損益計算
書に計上することなく、連結剰余金において認識される。
グループは、契約上の義務が消滅、解除、又は満了した場合、金融負債の認識を中止する。金融負債は、
契約条件が大幅に変更された場合や、契約条件が実質的に異なっている金融商品を貸手と交換した場合に
も、認識を中止することがある。
3.3.1.8 信用リスクの測定
IFRS 第9号の減損モデルは「予想損失」アプローチに基づいている。一方、 IAS 第 39 号の減損モデルでは、
「発生信用損失」に基づいているため、金融危機の際には信用損失の会計処理が遅れ、認識される信用損失
額が過少となるリスクがあると考えられた。
IFRS 第9号のモデルにおいては、個別には減損の客観的証拠が存在しない金融資産も、観察された損失及
び合理的かつ正当な将来のキャッシュ・フロー予測に基づき減損される。
従って、 IFRS 第9号の減損モデルは、償却原価で又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する全て
の負債性金融商品、並びにファイナンス・コミットメント及び金融保証に適用される。これらは以下の3つ
に分類される。
■ ステージ1-格付の引下げがない正常債権:金融資産の当初認識以降に信用リスクが著しく増大して
いない場合は、当初認識時より 12 ヶ月間の予想信用損失(今後 12 ヶ月間のデフォルト・リスクに起
因)に基づき引き当てる。
■ ステージ2-格付が引下げられた正常債権:当初認識以降に信用リスクが著しく増大した場合は、全
期間の予想信用損失(金融商品の残存期間全体にわたるデフォルト・リスクに起因)に基づき引き当
てる。
■ ステージ3-不良債権:貸出の実行後に生じた事象に関連して減損の客観的証拠がある金融資産で構
成される区分。この区分の範囲は、 IAS 第 39 号に基づき個別に減損した貸出金の範囲と同一である。
ステージ1及び2の場合、受取利息の算定の基礎は減損前の資産の価値総額であり、ステージ3の場合は
減損後の正味価値である。
ガバナンス
コンパートメントの割当、将来予測的なシナリオ及びパラメータ算定法に対するモデルは、減損算定に対
する方法論的基礎を構成する。こうしたモデルは、グループの上層部において承認され、関連するポート
フォリオに従って全ての事業体に適用される。手法、シナリオの加重、パラメータの算定又は引当金の算定
の条件の方法論的基礎全体及びその後の修正は、クレディ・ミュチュエル・グループの統治機関における承
認が必要である。
こうした統治機関は、内部統制に関する 2014 年 11 月3日付フランス法令第 10 条に定義された監事会及び取
締役会により構成されている。クレディ・ミュチュエル・グループが分散化した組織構造となっている特徴
を踏まえ、監事会及び取締役会は全国レベルと地方レベルの2つのレベルに分けられている。
クレディ・ミュチュエル・グループ全体にわたり適用されている補完性原理は、プロジェクトごと及び資
産の減損の算出方法の継続的な実施の双方において、全国レベルと地方レベルの間での役割の分担を統括し
ている。
■ 全国レベルにおいては、バーゼルⅢワーキング・グループが地方グループに適用すべき全国的な手
順、モデル及び方法の承認を行う。
■ 地方レベルにおいては、地方グループが、それぞれの取締役会及び監事会の責任及び統制において、
その組織内での IFRS 第9号における引当金の算定を担っている。
ステージ1と2の境界の定義
グループは健全性準拠目的のために開発されたモデルを使用しており、従って、貸出金残高と同様の内訳
を適用している。
■ 低デフォルト・ポートフォリオ( LDP )(格付モデルは専門家の評価に基づく):大口口座、銀行、
地方自治体、ソブリン、特定融資。これらのポートフォリオは、営業貸付金、短期営業貸付金、当座
預金口座等の商品で構成される。
■ 高デフォルト・ポートフォリオ( HDP )(デフォルト・データが統計的な格付モデルの開発に十分で
あるもの):一般企業、小売業。これらのポートフォリオには、住宅ローン、消費者金融、リボルビ
ング・ローン、当座預金口座等の商品が含まれる。
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ステージ1からステージ2への貸出金の振替を伴う信用リスクの著しい増大であるかどうかは、以下に
よって評価される。
■ 全ての合理的で裏付けのある情報を考慮に入れる。
■ 報告日の金融商品のデフォルト・リスクを、当初認識日のデフォルト・リスクと比較する。
グループにおいては、これには借手レベルでのリスクの測定が含まれており、カウンターパーティーの格
付システムがグループ全体に共通するものとなる。内部手法の対象となるグループのカウンターパーティー
は全て、かかるシステムによって評価される。当該システムは、以下に基づく。
■ 統計的アルゴリズム、すなわち代表的及び予測的なリスク変数を用いた1つ又は複数のモデルに基づ
く「マス・レーティング」( HDP )
■ 専門家によって開発された格付グリッド (LDP)
当初認識以降に生じるリスクの変動は、各契約ベースで測定される。ステージ3とは異なり、顧客の契約
をステージ2に振替える場合、全ての顧客の貸出金残高又は関連当事者の残高の振替を伴うわけではない
(波及の欠如)。
グループは、定性的及び定量的基準の双方においてステージ2の分類の基準を満たさなくなった正常債権
エクスポージャーを直ちにステージ1に振替えることに留意が必要である。
グループは、 12 ヶ月後のデフォルト確率と満期までのデフォルト確率の間に重要な相関が存在することを
実証している。これにより、当該基準によって認められているように、当初認識以降のリスク変化の合理的
な近似として、 12 ヶ月間の信用リスクを用いることができる。
定量的基準
LDP ポートフォリオでは、境界は、組成時の内部格付と報告日の内部格付を関連付ける割当マトリクスに基
づいている。従って、貸出金の格付のリスクが高いほど、リスクの重大な悪化に対するグループの相対的許
容値は小さくなる。
HDP ポートフォリオでは、連続的かつ成長する境界曲線は、組成時のデフォルト確率と報告日のデフォルト
確率を関連付けている。グループは、当該基準が提供する運用上の簡便法(報告日において低リスクの貸出
金残高をステージ1に維持することを認めている)を使用していない。
定性的基準
こうした定量的基準に加え、グループは、不払又は 30 日超遅延している割賦支払、条件緩和された貸出金
という事実などの定性的な基準を用いている。
定性的基準のみに基づく方法は、標準的手法の下において健全性準拠目的で分類され、格付システムを持
たない事業体又は小規模なポートフォリオに対して使用される。
ステージ1及び2-予想信用損失の計算
予想信用損失は、契約利率に基づく貸出金残高にデフォルト確率( PD )とデフォルト時損失率( LGD )を乗
じて測定される。オフ・バランスシート・エクスポージャーは、貸出実行の可能性に基づいて財政状態計算
書上の相当額に換算される。ステージ1では1年間のデフォルト確率、ステージ2では満期までのデフォル
ト確率(1年から 10 年の曲線)が使用される。
これらのパラメータは、健全性準拠目的のモデルと同一の数値に基づいており、また IFRS 第9号の要件に
適合している。それらは、各ステージへの貸出金の割当と予想損失の算定の両方に使用される。
デフォルト確率
以下に基づいて計算される。
■ 高デフォルト・ポートフォリオについては、 IRB-A アプローチで承認されたモデル
■ 低デフォルト・ポートフォリオについては、 1981 年まで遡る履歴に基づく外部測定によるデフォルト
確率
デフォルト時損失率
以下に基づいて計算される。
■ 高デフォルト・ポートフォリオについては、長期間にわたって観察され、契約の利率によって割り引
かれ、商品の種類及び保証の種類に従い区分された回収フロー
■ 低デフォルト・ポートフォリオについては、固定比率(ソブリンの場合 60 %、その他の場合 40 %)
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換算係数
リボルビング・ローンを含む全ての商品について、換算係数はオフ・バランスシート・エクスポージャー
を財政状態計算書上の相当額に換算する際に用いられ、主に健全性準拠目的のモデルに基づいている。
将来予測的な情報
予想信用損失を計算する際、当該基準は、将来予測的な情報を含む、合理的かつ正当な情報を考慮するこ
とを求めている。将来予測的な情報の作成には、景気の動向を予測し、その予測される動向をリスク・パラ
メータと関連付ける必要がある。この将来予測的な情報は、グループ・レベルにおいて決定され、全てのパ
ラメータに適用される。
高デフォルト・ポートフォリオについては、デフォルト確率に含まれる将来予測的な情報は、今後5年間
の景気サイクルの変化に関するグループの見解に基づき加重される3つのシナリオ(楽観的、中立的、悲観
的)を考慮に入れている。グループは主に、経済協力開発機構( OECD )から入手できるマクロ経済データ
( GDP 、失業率、インフレ率、短期及び長期金利等)に依拠している。将来予測アプローチは、シナリオでは
捉えられなかった要素を含むように調整されるが、その理由として以下の点が挙げられる。
■ シナリオでは捉えられなかった要素は最近のものであり、報告日の数週間前に発生したものであるた
め。
■ シナリオに含めることができないため:例として、リスク・パラメータに確実に重要な影響を及ぼ
し、一定の仮定を設定することによってその影響を測定することができる規制の変更が挙げられる。
1年超の様々な期間における将来予測的な情報は、主に、1年間の情報から導かれる。
将来予測的な情報には、現状に近い期間に観察された情報を取り入れることによって、 LGD にも含まれる。
低デフォルト・ポートフォリオについては、将来予測的な情報は、大口口座や銀行モデルに組込まれてい
るが、地方自治体、ソブリン、特定融資モデルには組込まれていない。このアプローチは、高デフォルト・
ポートフォリオに用いられるものと類似している。
ステージ3-不良債権
貸出金 又は貸出金グループの実行後に損失を生じさせる可能性が高い事象が発生した結果、客観的証拠が
存在する場合、減損が計上される。 減損額は、帳簿価額と、担保又はその他の保証を考慮しつつ当初の貸出
金の金利で現在価値に割り引いた見積将来キャッシュ・フローとの差額に等しい。変動金利の場合、最新の
契約上の金利が計上に用いられる。
2019 年 11 月以降、クレディ・ミュチュエル・グループは、 EBA の指針と適用できる重要性基準値の概念に関
する規制の技術的基準に従って、健全性準拠目的におけるデフォルトの新たな定義を適用している。
この新たな定義の導入に関連する主な展開は、以下のとおりである。
■ デフォルト分析は、現在、借手レベルで日常業務の中で行われており、契約レベルでは行わ れて
いない。
■ 延滞日数は、借手(債務者)、又は共通のコミットメントを持つ借手グループ(共同債務者)のレベ
ルで評価される。
■ デフォルトは、 90 日間連続での延滞が、借手/借手グループのレベルで確認される際に発生する。日
数のカウントは、絶対的な重要性基準値(リテールは 100 ユーロ、コーポレートは 500 ユーロ)と相対
的な重要性基準値(延滞しているバランスシート・コミットメントの1%超)が同時に交差する時点
で始まる。借手の延滞は、これらの2つの基準値の一方が下方向に交差すると直ちにリセットされ
る。
■ デフォルトの波及する範囲は、借手の全ての債権、及び共同債権に参加している借手の全ての個別コ
ミットメントにまで及ぶ。
■ 試験期間は、最短で、条件緩和されていない資産が「正常」ステージに戻る前の3ヶ月間である。
クレディ・ミュチュエル・グループは、 EBA により提案された2ステップのアプローチに従って、 IRB 事業
体にデフォルトの新たな定義を使用することを選択した。
■ ステップ1-監督当局に自己評価と承認要請を提示することからなる。使用の承認は 2019 年 10 月にグ
ループが取得した。
■ ステップ2-システムにデフォルトの新たな定義を導入し、該当する場合、新たなデフォルトに対す
る 12 ヶ月の観察期間の後にモデルを再調整することからなる。
グループは、 EBA により求められるデフォルトの新たな定義は、会計上、減損の客観的証拠を示すものであ
ると考えている。そのためグループは、会計上のデフォルト(ステージ3)の定義と健全性準拠目的におけ
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るデフォルトの定義を一致させた。この変更は見積りの変更となり、変更となる期間において、重要でない
影響は利益/(損失)に計上される。
組成された信用減損金融資産
組成された信用減損金融資産とは、当初認識時又は取得日においてカウンターパーティーが債務不履行と
なっている契約である。借手が報告日において債務不履行となっている場合、契約はステージ3に分類され
る。債務不履行となっていない場合には、正常債権に分類され、「組成された信用減損資産」の区分に識別
されて、ステージ2のエクスポージャーに用いるのと同じ手法、すなわち契約の満期までの残存期間にわ
たって予想される損失に基づき引当金が計上される。
認識
減損費用及び引当金は、「 カウンターパーティー・リスク費用 」に計上される。減損繰入及び引当金の戻
入は、リスク変動に関連する部分は「 カウンターパーティー・リスク費用 」に、時間の経過に関連する部分
は利息純額に計上される。貸出金及び債権の場合、減損は資産から控除され、ファイナンス・コミットメン
ト及び保証コミットメントの場合、引当金は負債の「引当金」に計上される(注記 3.3.1.6 「金融保証及び
ファイナンス・コミットメント」及び注記 3.3.3.2 「引当金」を参照)。その他の包括利益を通じて公正価値
で測定する資産の場合、「 カウンターパーティー・リスク費用 」において認識された減損に見合った額が
「未実現又は繰延損益」において計上される。 減損損失は直接償却され、それに対応する減損及び引当金は
戻し入れられる。
3.3.1.9 金融商品の公正価値の決定
公正価値とは、独立当事者間取引において知識のある自発的な当事者の間で資産が売却される金額、又は
負債が移転される金額である。
金融商品の当初認識時の公正価値は一般に、取引価格である。
この公正価値は、事後測定において算定される必要がある。適用される算定方法は、当該商品が取引され
ている市場が活発であるとみなされるか否かによって異なる。
活発な市場で取引される金融商品
金融商品が活発な市場で取引される場合、その公正価値は相場価格を参考にして決定される。これは相場
価格が公正価値についての可能な限り最善の見積りであるからである。金融商品は、相場価格が(取引所、
ディーラー、ブローカー、又は価格情報サービスから)容易かつ定期的に入手可能であり、それらの価格が
独立当事者間取引に基づき定期的に発生している実際の市場取引を表す場合に、活発な市場で取引されてい
るとみなされる。
活発な市場で取引されていない金融商品
観察可能な市場データは、それらが評価日における独立当事者間取引の実態を反映しており、上記の価値
を大幅に調整する必要がない場合に用いられる。そうでない場合は、グループは観察不能な時価評価モデル
のデータを使用する。
観察可能なデータを入手できない場合、又は市場価格の調整において観察不能なデータを使用する必要が
ある場合、事業体は、市場が考慮に入れるリスクに連動した調整など、将来キャッシュ・フロー及び割引率
に関する内部の仮定を用いることがある。これらの評価調整によって、特に、モデルが考慮に入れていない
リスク、並びに商品又はパラメータに関連する流動性リスク、及び一定の市場環境下でのモデルに関連した
動的管理戦略の結果生じた一定の追加的な費用を相殺するために指定された特定のリスク・プレミアムを組
み込むことが可能となる。
評価調整を決定する際には、各リスク・ファクターを個別に検討している。様々なリスク、パラメータ、
モデルの分散効果は考慮されていない。多くの場合、各リスク・ファクターについてはポートフォリオ・ア
プローチが用いられている。
いずれの場合においても、グループが行う調整は判断に基づいており、合理的かつ適切である。
公正価値のヒエラルキー
金融商品の公正価値測定には、3つのレベルのヒエラルキーが使用される。
■ レベル1:活発な市場における同一の資産又は負債の相場価格。特に、少なくとも3社の参加者によ
る相場価格のある負債証券、及び組織化された市場の相場価格があるデリバティブに関係する。
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■ レベル2:当該資産又は負債について直接的(すなわち価格)又は間接的に(すなわち価格から導き
出されるデータ)観察可能で、レベル1の相場価格以外のデータ。レベル2は特に、報告期間末に観
察 される市場金利に基づく利回り曲線を用いて公正価値が通常決定される金利スワップを含んでい
る。
■ レベル3:観察可能な市場データではない資産又は負債に関するデータ(観察不能なデータ)。この
区分の主な構成要素は、ベンチャー・キャピタル事業体等で保有する非連結会社への投資、又は資本
市場活動において、単独の参加者による相場価格しかない負債証券及び主に観察不能なパラメータを
用いるデリバティブである。当該商品は、全体として検討される公正価値に重要な最も低いレベルの
インプットと同一のヒエラルキーのレベルに分類される。レベル3で測定される商品の多様性と数量
を踏まえると、パラメータの変動に対する公正価値の感応度は重要ではない。
3.3.2 保険事業
コングロマリット指令の範疇に該当する保険部門は、欧州連合が採用した改訂 IFRS 第4号が予定している
とおり、 IFRS 第9号の適用の 2022 年までの延期による便益を受けている。従って、保険部門の金融商品は、
引き続き IAS 第 39 号に従って評価及び認識される。表示に関しては、グループは、 IAS 第 39 号及び IFRS 第9号
に基づき特定の勘定科目において金融商品を表示することになる ANC の勧告 2017-02 を厳格に適用するのでは
なく、 IAS 第 39 号における全ての金融商品を資産又は負債の専用の勘定科目にまとめることができる「 IFRS 参
照」方式を採用することを選択した。このため、保険部門の金融商品は全て、資産の部の「保険事業による
短期投資及び責任準備金の再保険会社負担分」及び負債の部の「保険契約に関する負債」(保険契約の責任
準備金を含む。)にまとめられる。投資不動産も分類変更による影響を受ける。金融商品及び責任準備金が
損益計算書に与える影響は、「保険事業に係る純利益」に含まれる。その他の資産/負債及び損益計算書の
項目は「銀行及び保険」の合同仕訳に含まれている。該当する場合は、 IFRS 第7号により求められる開示
は、保険事業について別途行われる。
2017 年 11 月3日付で採用された規則に従い、グループは、保険部門とコングロマリットのその他の部門と
の間で、両部門の純損益を通じて公正価値で測定されたもの以外には、金融商品の認識の中止をもたらす振
替を行わないことを確認している。
保険契約の締結により発生する資産及び負債に固有の会計原則及び評価規則は、 IFRS 第4号に従い定めら
れている。これは、発行済又は引受済の再保険契約、及び裁量権のある有配当条項付財務契約にも適用され
る。
上記で記載している場合を除いて、保険会社が保有するその他の資産及び発行する負債はグループの全て
の資産及び負債に共通する規則に従う。
3.3.2.1 保険事業-金融商品
IAS 第 39 号に基づき、保険会社の金融商品は以下のいずれかに分類される。
■ 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産/負債
■ 売却可能金融資産
■ 満期保有目的金融資産
■ 貸出金及び債権
■ 償却原価で測定する金融負債
これらは、資産の部の「保険事業による短期投資及び責任準備金の再保険会社負担分」及び負債の部の
「保険契約に関する負債」にまとめられる。
これらの区分のうちどれに分類するかは、経営者の意思を反映しており、金融商品の認識ルールを決定す
る。
これらの金融商品の公正価値は、注記 3.3.1.9 に概述された一般原則に従って測定される。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産及び負債
分類基準
金融商品は、実際の売買の意図又は公正価値オプションの使用のいずれかによって、この区分に分類され
る。
a) 売買目的金融商品
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売買目的で保有される有価証券は、当初取得時において短期間で売却する意図で取得した有価証券のほ
か、一括管理され、かつ、短期的な利益確定について最近の実際の傾向を示す証拠がある有価証券ポート
フォリオの一部である有価証券により構成される。
b) 公正価値オプションを適用する金融商品
金融商品は、以下の場合において、当初認識時に純損益を通じて公正価値で測定するという分類について
取消不能の選択をすることができる。
a. 1つ又は複数の分離可能な組込デリバティブを含む金融商品
b. 公正価値オプションを適用しなければ、会計上の取扱いが他の関連する金融商品に適用される会
計上の取扱いと合致しなくなる金融商品
c. 公正価値で測定及び管理される金融資産のプールに属する金融商品
このオプションは、特に、負債の処理と一致させるために、保険事業のユニットリンク型保険契約に関連
して使用される。
評価の基準及び収益及び費用の認識
「純損益を通じて公正価値で測定する金融資産」に分類される資産は、財政状態計算書に公正価値で計上
された時点、及びその後処分されるまでの決算日において、認識される。これらの資産に係る公正価値の変
動及び受取収益又は未収収益は、損益計算書の「保険事業に係る純利益」において認識される。
売却可能金融資産
分類基準
売却可能金融資産には、「貸出金及び債権」、「満期保有目的金融資産」、「純損益を通じて公正価値で
測定する金融資産」のいずれにも分類されていない金融資産が含まれる。
評価の基準及び収益及び費用の認識
売却可能金融資産は、取得時及びその後処分されるまでの報告日に、財政状態計算書において公正価値で
認識される。公正価値の変動は、未収収益を除き、株主資本の個別勘定「未実現又は繰延損益」に表示して
いる。株主資本における未実現損益は、処分時又は一時的でない減損が発生した場合に限り、損益計算書に
認識される。処分時においては、従来は株主資本に認識されていたこれらの未実現損益は、処分に係るキャ
ピタル・ゲイン及びキャピタル・ロスとともに損益計算書に認識される。
確定利付証券から発生した未収収益又は受取収益は、実効金利法を用いて純損益に認識され、変動利付証
券からの受取配当金と同様に、「保険事業に係る純利益」に表示される。
減損及び信用リスク
a) 株式及びその他の資本性金融商品に特有の一時的でない減損
変動利付証券のうち売却可能金融資産に係る減損は、公正価値が取得原価と比べて長期的又は著しく下落
した場合に認識される。
変動利付証券の場合、グループは、その取得原価に比して少なくとも 50 %、又は連続 36 ヶ月間超の期間に
わたる当該証券の価値の下落は、減損の兆候と見なしている。このような金融商品は項目毎に分析してい
る。上記基準に該当しないものの、近い将来における投資額回収が合理的に期待できないと経営者が考えて
いる金融商品のレビューを行う際にも、その判断が用いられる。損失は、損益計算書の「保険事業に係る純
利益」において認識される。
その後生じた価値の下落も損益計算書において認識される。
損益計算書に計上された株式又はその他の資本性金融商品の長期的な減損は、当該商品が財政状態計算書
に計上されている限り、戻し入れることができない。その後に価値が上昇した場合、株主資本の「未実現又
は繰延損益」において認識される。
b) 信用リスクによる減損
確定利付証券のうち売却可能金融資産(具体的には社債)に係る減損損失は、「カウンターパーティー・
リスク費用」において認識される。実際、これらの確定利付金融商品は、単なる金利の上昇により損失が生
じた際の減損が認められないため、信用リスクが存在する場合にのみ減損される。減損が生じた場合、株主
資本における未実現損失の累積額は全額が純損益に認識されなければならない。これらの減損は戻入可能で
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あり、減損の認識後に発生した事象に関連したその後の評価において、発行会社の信用状態が改善した場合
も、損益計算書の「カウンターパーティー・リスク費用」において計上される。
満期保有目的金融資産
分類基準
この区分には、支払額が算定可能又は確定利付で、事業体が満期まで保有する意図及び能力を有している
有価証券が含まれる。
この区分の有価証券に対して行われる金利リスク・ヘッジは、 IAS 第 39 号に定義されるヘッジ会計に適格と
はなっていない。
さらに、このポートフォリオ内の有価証券の処分又は振替の可能性は、非常に限定的となっており、 IAS 第
39 号の規定により、グループ・レベルにおいて「売却可能金融資産」のポートフォリオ全体の格付が引き下
げられ、2年間この区分への分類が禁じられる。
評価の基準及び収益及び費用の認識
この区分に分類された有価証券は、公正価値で当初認識され、その後、実効金利法に従って償却原価で評
価される。この実効金利法には、プレミアム及びディスカウント並びに重大な場合には取得コストの償却が
組み込まれている。
これらの有価証券の受取利息は、損益計算書の「保険事業に係る純利益」に表示される。
信用リスク
減損は、当初認識後に損失を発生させる可能性がある1つ又は複数の事象が起こったこと(実際の信用リ
スク)により、当該資産の減損の客観的証拠がある場合に認識される。各決算日に有価証券ごとに分析が行
われる。減損は、帳簿価額と保証を含む将来キャッシュ・フローを当初の金利で割り引いた現在価値を比較
することによって評価され、損益計算書の「カウンターパーティー・リスク費用」において認識される。減
損の認識後に発生した事象に関連したその後の評価も、損益計算書の「カウンターパーティー・リスク費
用」に計上される。
貸出金及び債権
分類基準
貸出金及び債権とは、活発な市場での相場価格はないが、支払額が算定可能又は確定利付の金融資産で、
取得又は供与の時点では売却する意思のない金融資産である。貸出金及び債権は、財政状態計算書において
公正価値で当初認識され、これは一般的に融資実行額の純額に等しい。こうした貸出残高は、その後の決算
日において実効金利法を用いて償却原価で評価される(公正価値オプション法を用いて認識されるものを除
く)。
信用リスク
減損は、当初認識後に損失を発生させる可能性がある1つ又は複数の事象が起こったこと(実際の信用リ
スク)により、当該資産の減損の客観的証拠がある場合に認識される。減損は、帳簿価額と保証を含む将来
キャッシュ・フローを実効金利で割り引いた現在価値を比較することによって評価され、損益計算書の「カ
ウンターパーティー・リスク費用」において認識される。減損の認識後に発生した事象に関連したその後の
評価も、損益計算書の「カウンターパーティー・リスク費用」に計上される。
償却原価で測定する金融負債
これらには、顧客及び金融機関等に対する債務、負債証券(譲渡性預金証書、銀行間商品、社債等)並び
に純損益を通じて公正価値で測定することを選択されていない期限付又は無期限の劣後債が含まれる。
これらの負債は財政状態計算書において公正価値で当初認識され、その後の報告日に実効金利法を用いて
償却原価で測定される。発行済証券の当初の公正価値は、発行価額から取引費用(該当する場合)を差し引
いた金額である。
3.3.2.2 保険事業-非金融資産
投資不動産及びその他の固定資産は、本報告書記載の会計処理方法に従っている。
3.3.2.3 保険事業-非金融負債
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保険契約者及び受益者に対する契約債務を示す保険負債は、「保険契約の責任準備金」に含まれている。
これらはフランスの基準に従った評価、認識、連結を継続している。
生命保険契約に関する責任準備金は、主に数理的準備金(一般的に、契約の解約払戻金に対応)で構成さ
れている。対象となるリスクは主として、(債務者の保険に関する)死亡、障害、就労不能である。
ユニットリンク型保険契約の責任準備金は、当該契約を裏付ける資産の実現可能価額に基づき、報告日に
評価される。
損害保険準備金は、未経過保険料(契約済保険料のうち今後の会計年度に関連する部分)及び未払保険金
に対応する。
裁量権のある有配当条項から便益を受ける保険契約は、「シャドウ・アカウンティング」の対象となる。
その結果として生じる繰延配当に対する引当金は、保険契約者帰属分のキャピタル・ゲイン及びキャピタ
ル・ロスを示す。繰延配当に対するこれらの引当金は、事業体毎に資産又は負債に計上し、連結範囲内の事
業体間で相殺することはない。資産の部では、これらは個別の勘定科目として計上される。
報告日において、これらの契約に対して認識された負債十分性テスト(繰延保険契約獲得コスト、取得
ポートフォリオ証券などのその他の関連する資産又は負債の控除後)が実施される。認識された負債が、同
日現在の見積将来キャッシュ・フローをヘッジするのに十分であるか検証される。責任準備金の不足が認識
された場合は、当該期間に純損益で認識する(その後、必要に応じて戻し入れられる場合もある)。
3.3.3 非金融商品
3.3.3.1 リース契約
リース契約とは、貸手が所定の期間につき1回又は一連の支払と交換に資産の使用権を借手に供与する契
約である。
ファイナンス・リースは、資産の所有に付随するリスク及び便益の実質的にほぼ全てが移転するリース契
約である。所有権は、最終的に移転される場合とされない場合がある。
オペレーティング・リースとは、ファイナンス・リース以外のリースをいう。
ファイナンス・リース - 貸手の会計処理
IFRS 第 16 号に従い、グループ外の会社とのファイナンス・リース取引は、財務会計上の金額で連結財政状
態計算書に計上している。ファイナンス・リース取引は、リース資産の所有に付随するほぼ全てのリスク及
び便益を借手に移転する。
よって、取引の経済的実体の分析により:
■ 財政状態計算書から除外するリース資産を認識する。
■ ファイナンス・リース契約に基づいて受領する賃料と、貸手への返済が保証されていない残存価値に
よる増加分の黙示的な契約利率での現在価値について、「償却原価で測定する金融資産」としての債
権を認識する。
■ ファイナンス・リース取引の存続期間を通じて存在する時点の差異に従って、繰延税金を認識する。
■ リース取引からの純利益を金利マージン純額で認識する。これは、残存期間のエクスポージャーに対
する一定の定期的な利益率を表している。
金融債権に関連する信用リスクは、 IFRS 第9号に基づき測定及び認識される(注記 3.3.1.8. 「信用リスク
の測定」を参照)。
ファイナンス・リース - 借手の会計処理
IFRS 第 16 号に従い、固定資産は、「その他の負債」の負債と相殺して、財政状態計算書に計上される。
リース料は、支払利息と元本返済に分けて表示している。
3.3.3.2 引当金
引当金の繰入及び戻入は、対応する収益科目又は費用科目の種類に応じて分類される。
過去の事象から生じた債務の決済に、経済的便益を表す経営資源の流出が必要となる可能性が高く、債務
の金額を正確に見積もることができる場合に、引当金を認識している。引当金額を決定するため、必要に応
じてこの債務の現在価値の純額を算定している。
グループが設定する引当金には、特に以下のものが含まれている。
■ オペレーショナル・リスク
■ 社会的責任
■ 契約したコミットメントの実行リスク
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■ 訴訟リスク及び保証コミットメント
■ 税務リスク
■ 住宅購入者貯蓄契約に関するリスク
3.3.3.3 従業員給付
該当する場合、従業員に対する債務に関する引当金は、「引当金」において認識される。この引当金の変
動は、株主資本において未実現損益又は繰延損益として認識される数理計算上の損益に起因する部分を除
き、損益計算書において「一般営業費(従業員給付費用)」として認識される。
確定給付制度における退職後給付
確定給付制度における退職後給付には 、グループが従業員に約束した給付を提供する正式な又は黙示的な
義務を負っている年金制度、早期退職制度及び付加年金制度からなる。
こうした債務は、制度給付を算定するための契約上の算式を適用して受給権を勤務期間に対して配分する
予測単位積増方式を用いて算定される。当該受給権は、以下のような人口動態及び財務上の仮定を用いて現
在価値に割り引かれる。
■ 割引率:契約期間と合致する民間借入金の長期金利を参照して決定
■ 昇給率:年齢層、管理職・非管理職の区分、地域特性に従って評価
■ インフレ率:様々な満期のフランス国債利回りとインフレ連動フランス国債利回りとを比較して見積
り
■ 従業員退職率:年度末時点の終身雇用従業員数に占める退職者及び解雇者数の割合の過去3年間の平
均を使用し、年齢層別に決定
■ 退職時年齢:常勤雇用の実際の開始日又はその推定日及び年金改革法に定められた仮定( 67 歳が上
限)を用いて、個別に見積り
■ 死亡率: INSEE (フランス国立統計経済研究所)の TH/TF 00-02 生命表に準拠
これらの仮定の変更により生じた差額、及び過去の仮定と実際の結果との相違による差額は、数理計算上
の損益となる。制度資産がある場合には、当該資産は公正価値で評価され、その予想利回りは損益に影響を
与える。実際の利回りと予想利回りとの差異も、数理計算上の損益となる。
数理計算上の損益は、未実現又は繰延損益として株主資本で認識される。制度の縮小又は制度の清算が行
われた場合には契約債務が変動し、当該変動は当該事業年度の損益として認識される。
年金基金制度に基づく付加年金
1993 年9月 13 日付のフランス銀行協会( AFB )の暫定合意により、金融機関の年金制度が改正され、 1994 年
1月1日以降、銀行はフランス国営年金制度の ARRCO 及び AGRIC に加入している。グループ傘下の銀行が拠出
を行う4つの年金基金も統合された。これらの基金は、暫定合意により規定されている様々な給付金の支払
いを行う。基金の資産がこれらの給付債務を充足するのに十分でない場合、銀行は追加の拠出が求められ
る。今後 10 年間の平均拠出率は、人件費の4%を上限とする。統合後の年金基金は、 2009 年に IGRS (フラン
ス付加年金運用機関)に転換された。 IGRS では資産の不足は生じていない。
確定給付制度におけるその他の退職後給付
特別制度を含め、退職給付金及び付加年金について、引当金が計上されている。これらの引当金は、在職
中の全従業員が取得した権利に基づき、特に被連結事業体の従業員退職率及び退職時に受益者に支払われる
将来の給与の見積りに、必要に応じて社会保障拠出金を加算したものに基づいて、評価される。フランスで
は、フランスの銀行ネットワークにおける退職給付金の最低 60 %が、クレディ・ミュチュエル・グループの
保険会社で完全連結子会社の ACM Vie の保険によってカバーされている。
確定拠出制度に基づく退職後給付
グループの事業体は、グループから独立している組織が運営している様々な年金制度に拠出しているが、
特に基金の資産が契約に対応するには不十分である場合に、グループの事業体は公にも黙示的にも追加的な
支払義務を負っていない。
こうした制度はグループの契約債務にはあたらないため、引当金を設定していない。費用は、拠出金を支
払う必要がある事業年度に認識される。
長期給付
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長期給付は、退職後給付及び退職手当とは別に、従業員が対象となる勤務を提供した事業年度の終了後
12 ヶ月超経過した後に支払われる見込みの給付で、長期勤続報酬などが含まれる。その他の長期給付に関す
る グループの契約債務は、予測単位積増方式を用いて測定されている。ただし、数理計算上の損益について
は、直ちに純損益において認識している。
長期勤続報酬に関する債務は保険契約でカバーされている場合があり、この契約債務のうちヘッジされて
いない部分に対してのみ引当金が設定されている。
従業員に対する付加年金制度
強制加入の年金制度に加えて、グループの集団協定によりカバーされている事業体の従業員は、 ACM Vie
SA が提供する確定拠出付加年金制度による給付も受けている。
退職手当
退職手当は、雇用契約が通常の退職年齢以前に終了した場合、又は従業員が補償と引き換えにグループを
自発的に退職する決断をした場合に、グループが支給する給付である。報告日から 12 ヶ月超経過した後に支
払われる見込みの場合は、関連する引当金は現在価値に割り引かれる。
短期給付
短期給付は、 報告日後 12 ヶ月以内に支払われる給付であり、 給与、社会保障拠出金及び一定の賞与などの
退職手当以外のものを含む。
これらの短期給付に対する費用は、これらの給付に対する権利が供与される勤務が事業に対して提供され
た事業年度において認識される。
3.3.3.4 非流動資産
グループが保有する非流動資産
財政状態計算書に計上されている固定資産は、有形固定資産及び無形資産、並びに投資不動産を含んでい
る。営業用資産は、サービス提供目的及び経営管理目的に使用される。投資不動産は、賃貸料もしくはキャ
ピタル・ゲイン、又はこれら双方を稼得する目的で保有する不動産資産で構成されている。取得原価法は、
営業用不動産及び投資不動産の双方を認識するため使用される。
固定資産は、取得原価に、固定資産を事業の用に供し使用できるようにするために必要となる直接帰属費
用を加算した金額で、当初認識される。当初認識以降、過年度の減価償却後原価、すなわち、取得原価から
減価償却累計額及び減損損失累計額を差し引いた額で評価される。
非流動資産が、定期的な取替の対象となる可能性が高く、使途が異なる、又は経済的便益の獲得頻度が異
なる複数の要素で構成されている場合は、各構成要素を当初から個別に認識し、それぞれの償却スケジュー
ルに従って減価償却している。この構成要素に基づくアプローチは、営業用不動産及び投資不動産に採用さ
れている。
非流動資産の減価償却可能額又は償却可能額は、残存価額から処分費用を控除して算定される。非流動資
産の耐用年数は、一般に経済耐用年数と等しいため、残存価額は認識されていない。
非流動資産は、当該資産の見積耐用年数にわたって、事業体が当該資産による経済的便益を消費すると見
込まれる比率で減価償却及び償却が行われる。耐用年数が不確定である無形資産は、償却の対象ではない。
営業用資産に対する減価償却費及び償却費は、損益計算書の「有形固定資産及び無形資産の減価償却費、
償却費、及び引当金の変動」において認識している。
投資不動産に関する減価償却費は、損益計算書の「その他の活動に係る費用」において認識している。
使用されている償却期間の範囲は、以下のとおりである。
有形固定資産:
■ 土地及びネットワーク設備 : 15-30 年
■ 建物 - 建造物 : 20-80 年(当該建物の種類により異なる)
■ 建物 - 設備 : 10-40 年
■ 設備及び備品 : 5 -15 年
■ 事務機器及び什器 : 5 -10 年
■ 保安設備 : 3 -10 年
■ 車両及び運搬具 : 3 - 5年
■ コンピュータ機器 : 3 - 5年
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無形資産:
■ 購入又は自社開発ソフトウェア : 1 -10 年
■ 買収事業ののれん : 9 -10 年(顧客契約ポートフォリオを取得した場
合)
減価償却及び償却可能な資産は、報告日において減損の兆候を示す証拠がある場合には、減損テストを行
う。賃貸借権などの償却不能な非流動資産は、年1回減損テストを行う。
減損の兆候がある場合、資産の回収可能価額と帳簿価額の純額を比較している。価値の損失が発生した場
合には、減損損失が損益計算書で認識され、資産の減価償却可能額が非遡及的に調整される。見積回収可能
価額が変動した場合、又は減損の兆候がなくなった場合、減損損失は戻し入れられる。減損引当金の戻入後
の帳簿価額は、減損が認識されなかった場合に算出されていたはずの帳簿価額(純額)を上回ってはならな
い。
営業用資産に係る減損費用及び戻入は、損益計算書の「有形固定資産及び無形資産の減価償却費、償却
費、及び引当金の変動」において認識している。
投資不動産に係る減損費用及び戻入は、損益計算書においてそれぞれ「その他の活動に係る費用」及び
「その他の活動に係る収益」において認識している。
営業用資産の処分に係るキャピタル・ゲイン又はロスは、損益計算書の「その他の資産の処分に係る純利
益/(損失)」の項目に計上している。
投資不動産の処分に係る損益は、損益計算書の「その他の活動に係る収益」又は「その他の活動に係る費
用」の項目に計上している。
グループが借手である非流動資産
契約がリースとして認められるためには、資産が特定され、借手が当該資産の使用権を支配していなけれ
ばならないと規定している。
借手については、オペレーティング・リースとファイナンス・リースは単一のモデルに基づいて計上さ
れ、以下の項目が認識される。
■ リース期間にわたり、リース物件を使用する権利を表す資産
■ リース料の支払義務に関連する負債との相殺
■ 定額法による資産の減価償却費及び定率法を使用した損益計算書上の支払利息
グループでは、自動的に更新される契約 (解約の事前通知期間は6ヶ月) を除き、主に不動産契約を積極
的に行っている。基準に従って、自動車車両については、ローカルにおいて重要である場合のみ修正再表示
され、コンピュータやセキュリティ機器については、代替可能な性質を理由として、対象から除外されてい
る。限られたごく一部の IT 契約のみが重要であり、適用対象とみなされている。
その他の原資産は、短期、又は少額( 5,000 ユーロ以下)の例外により、除外されている。グループには、
無形資産や投資不動産の認識を生じさせるようなリースは存在しない。
従って、使用権は、「有形固定資産」、リース債務は「その他の負債」として計上されている。借地権
は、自動的に更新されない契約に関係する場合は、有形固定資産として分類変更される。使用権とリース債
務は、課税と控除の時点の差異の純額に対して繰延税金資産又は負債の対象となる。
損益計算書においては、利息費用は「金利マージン」に表示し、一方、減価償却費及び償却費は一般営業
費として表示されている。
グループでは、以下を用いてリース債務を算定している。
■ 契約期間:グループは契約条項に準拠し、 ANC の商用リースに係るポジションに従い、このような種
類の新たなリースは9年間にわたり資産計上される。実際、会計上は、リース期間の更新オプション
はなく、そのため、契約が履行可能な期間は、グループのロケーションの選択を考慮して、通常9年
となる。
■ 割引率:選択された期間に対応する債務の限界利子率であり、グループのリファイナンスにより引下
げられる可能性がある。
■ リース料(税抜き):グループにおける変動リース料による影響は極めて限定的である。
3.3.3.5 手数料
サービスに関連する手数料及び契約手数料は、関連するサービスの種類に応じて、収益及び費用として計
上している。追加的な利息とみなされる手数料は、実効金利の不可分の一部である。従って、こうした手数
料及び契約手数料は受取利息と支払利息のいずれかとして認識される。
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貸出金の供与に直接関連する手数料及び契約手数料は、実効金利法を用いて貸出期間を通じて認識され
る。
継続的に提供されているサービスの対価として支払われる手数料及び契約手数料は、サービスが提供され
る期間を通じて認識される。
重要なサービスの対価として支払われる手数料及び契約手数料は、サービス履行時に全額、損益計算書に
計上される。
3.3.3.6 法人税
法人税費用には、対象となる期間における収益に関連して支払うべき当期及び繰延の両方での全ての税金
が含まれる。
未払法人税は、適用される税法に従って算定している。
繰延税金
IAS 第 12 号により求められているとおり、連結財政状態計算書に計上されている資産・負債の帳簿価額とそ
の課税価額との間の一時差異に関しては、のれんを除き、繰延税金を認識している。
繰延税金は、事業年度末時点で既知の、その後数年度において適用される法人税率を適用して、負債法を
用いて計算される。
繰延税金負債を控除した繰延税金資産は、回収可能性が高い場合に限り認識される。当期税金及び繰延税
金は、株主資本で認識されている未実現又は繰延損益に関する繰延税金(繰延税金は株主資本に直接計上さ
れる)を除き、収益又は費用として認識される。
繰延税金資産及び負債は、同一の事業体又は同一の税務グループ内において発生しており、同一の税務管
轄対象であり、かつ相殺を行う法的権限がある場合において、相殺される。
繰延税金については割引計算を行っていない。
3.3.3.7 国が負担する一部の貸出金に係る利息
農業・農村セクター及び住宅購入に対する支援措置に従い、グループ傘下の一部事業体は、フランス政府
が定める低金利貸出金を供与している。その結果、こうした事業体は、顧客から受け取る金利と所定の指標
金利との間の金利差に等しい補助金を政府から受け取っている。そのため、これらの補助金の便益を受ける
貸出金については、割引計算を行っていない。
こうした補償メカニズムに関する取決めは、フランス政府が定期的に見直しを行っている。
政府から受け取った補助金は、 IAS 第 20 号に従って、「受取利息及び類似収益」において認識し、対応する
貸出金の残存期間にわたり分割計上される。
3.3.3.8 売却目的保有に分類される非流動資産及び非継続事業
非流動資産、又は非流動資産グループは、売却可能でかつその売却が今後 12 ヶ月以内に行われる可能性が
非常に高い場合、売却目的保有として分類される。
関連する資産及び負債は、財政状態計算書の「売却目的保有非流動資産」及び「売却目的保有非流動資産
関連の負債」に別々に表示される。これらは、帳簿価額又は公正価値から売却費用を差し引いた額のどちら
か低い方の金額で認識し、減価償却又は償却は行われない。
これらの資産及び負債に係る減損損失は損益計算書において認識される。
非継続事業は、売却目的で保有する又は既に中止されている事業、若しくは転売のみを目的に取得した子
会社で構成される。非継続事業関連の損益は、全て損益計算書の「売買目的保有非流動資産及び非継続事業
に係る税引後利益/(損失)」に別掲される。
3.3.4 財務書類の作成に際して使用した判断及び見積り
グループの財務書類の作成にあたっては、必要な測定を行うために仮定の使用が必要であり、こうした仮
定が将来そのとおりになるかどうかについてはリスク及び不確実性が伴う。
こうした仮定の将来の結果は、特に以下を含む複数の要因に影響を受ける。
■ 国内外市場の活動
■ 金利及び外国為替レートの変動
■ 一部の事業セクターや国における経済的及び政治的状況
■ 規制及び法制度の変更
仮定の策定が必要となる会計上の見積りは、主に以下の測定に際して用いられる。
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■ 活発な市場での相場価格がない金融商品の公正価値、強制取引の定義及び観察可能なデータの定義に
は判断の行使が必要となる。
■ 年金制度及びその他の将来の従業員給付
■ 資産の減損、特に予想信用損失
■ 引当金
■ 無形資産及びのれんの減損
■ 繰延税金資産
3.4 子会社及び関連会社に関する情報
グループに関連する当事者は、クレディ・ミュチュエル・グループ全体レベルでの連結会社であり、コン
フェデラシオン・ナシオナル・デュ・クレディ・ミュチュエルに関係する他の事業所や持分法適用会社もこ
れに含まれる。
グループとその子会社及び関連会社との間で行われる取引は、こうした取引が実行される時点での、通常
の市場条件下で行われている。
連結会社のリストは 「第一部 企業情報-第6 経理の状況-1 財務書類-連結財務書類の 注記3 -連
結の範囲」 に記載されている。グループの全部連結会社間で行われた取引及び期末に存在する残高は連結
上、全て消去されるため、これらの相互取引に関するデータは、グループが共同支配をする、又は重大な影
響力により、持分法の適用により連結される会社の場合のみ添付の表に含まれる。
3.5 欧州連合が未採用の基準及び解釈指針
IFRS 第 17 号 - 保険契約
IFRS 第 17 号は、 IFRS 第4号に置き換わる予定であるが、 IFRS 第4号は、同基準の適用範囲において、保険
契約及びその他の契約について、各国の会計方針を継続して適用することを認めている。これにより、セク
ターにおける財務書類の企業間比較ができない。適用日は、当初、 2021 年を予定していたが、 2019 年6月末
に開始された協議の修正案を受けて、少なくとも1年間延期される見通しである。適用延期を選択する保険
会社( GCM が該当)における IFRS 第9号の適用もまた、同日まで延期される見通しである。
IFRS 第 17 号の目的は、様々な種類の保険契約の認識を一致させ、それらを保険会社のコミットメントの将
来の評価額に基づいて評価することである。これには、ソルベンシーⅡと同様に、複雑なモデル及びコンセ
プトの更なる活用が必要である。財務報告においても大幅な変更を行われなければならない。
フランスの銀行保険会社を含む様々な利害関係者により取り上げられた多くの複雑な問題( 25 項目が IASB
により提示されている)にもかかわらず、取締役会は、 IFRS 第 17 号の改訂に関連するサーベイレポートに含
まれる主題を限定した。これは、特に以下に関連する。
■ 初度適用の手順(発効日と IFRS 第9号適用の一時的免除、移行措置の変更と移行の簡便化)
■ 保険の構成要素を含むクレジットカード、又は融資契約
■ 契約獲得手数料に関連するキャッシュ・フローの予想される回収
■ 投資リターンサービス及び投資関連サービスを含む契約の将来マージン(契約上のサービス・マージ
ン/ CSM )の利益/(損失)に対する償却率
■ 保有する再保険契約の基礎となる保険契約に係る損失の回収
■ 保有する(又は処分する)再保険契約に対するリスク軽減に関連する選択の適用可能性
■ 契約の「ポートフォリオ」グリッドに応じた保険資産及び負債の、財政状態計算書での表示
一方、保険契約の集約レベルに関連する規定の見直しは却下された。その他の軽微な改訂は、 IFRS の年次
改善を通じて承認される可能性がある。
IASB の最終改訂の公表は 2020 年半ばに予定されている。
最後に、 IFRS 第 17 号の初度適用の延期は、利害関係者が行ったロビー活動と欧州レベルでのこの基準の採
用プロセスを踏まえると、さらに1年延長される可能性がある(すなわち、 2023 年1月1日まで)。
グループの保険部門は、 IFRS 第 17 号の規定の導入に向けた分析と準備の作業を続けている。
グループはまた、主要な財務書類に関する IASB の調査に従って、コングロマリットレベルでの財務コミュ
ニケーションに関する調査を開始した。
この注記では、百万ユーロ単位で表示している。
(注4)
2019 年に、売買目的金融商品に係る受取利息及び支払利息をより適切に反映させるために、 BFCM グループ
はまた、純損益を通じて公正価値で測定する金融商品の一部に係る受取利息及び支払利息を銀行業務純益に
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おいて認識及び表示する方法に見直し、特に以下のような修正再表示を行った:(ⅰ)スワップ取引に係る
レッグの貸借において全体を相殺して利息を計上すること、(ⅱ)ヘッジ手段のデリバティブからの利息を
「ヘッ ジ手段のデリバティブに係る収益及び費用」区分に分類変更すること。グループはまた、ファイナン
ス・リースからの受取利息の表示を見直した。これは現在、純受取利息として表示されている。それは、従
来「受取利息及び支払利息」に表示されていた。
そのため、 2019 年 12 月 31 日における受取利息及び支払利息との比較を確保するため、 2018 年 12 月 31 日現在
で報告された数値は、こうした定義に従って、財務書類及び 「第一部 企業情報-第6 経理の状況-1
財務書類-連結財務書類の 注記 24 -受取利息及び支払利息」 で修正再表示されている。
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(2) BFCM (非連結ベース)
最近の5会計年度の財務成績-フランスの GAAP
12 月 31 日現在/ 12 月 31 日終了年度
(単位:ユーロ) 2019 年 2018 年 2017 年 2016 年 2015 年
1 . 事業年度終了時における資本金
a) 資本金 1,688,529,500 1,688,529,500 1,688,529,500 1,688,529,500 1,688,529,500
b) 発行済普通株式数 3 )
(
33,770,590
33,770,590 33,770,590 33,770,590 33,770,590
c) 株式の額面価額 50 50 50 50 50
2 . 経営成績
a) 銀行業務純益、有価証券
ポートフォリオからの収
益及びその他の収益 1,998,597,812 1,105,048,350 593,256,096 466,909,336 505,953,887
b) 税金、従業員持株制度に
係る費用、減価償却費、
償却費及び引当金繰入額
控除前の利益/(損失) 1,866,736,070 1,606,289,203 451,465,440 903,621,214 410,762,894
c) 法人税 141,415 1,955,240 -476,291 250,800 -35,214,634
d) 従業員持株制度に係る当
事業年度の費用 164,089 112,693 130,512 97,960 65,752
e) 税金、従業員持株制度に
係る費用、減価償却費、
償却費及び引当金繰入額
控除後の利益/(損失) 2,003,541,913 991,617,935 -162,400,326 269,287,298 342,644,532
f) 分配利益 (4 )
300,558,251 130,016,772 81,049,416 130,016,772 140,147,949
3 . 一株当たり利益
a) 税金及び従業員持株制度
に係る費用控除後・減価
償却費、償却費及び引当
金繰入額控除前の利益/
(損失) 55.27 47.50 13.38 26.75 13.20
b) 税金、従業員持株制度に
係る費用、減価償却費、
償却費及び引当金繰入額
控除後の利益/(損失) 59.33 29.36 -4.81 7.97 10.15
c) 一株当たり配当(通年) (4 )
3.85 4.15
8.90 3.85 2.40
4.従業員
a) 当事業年度に雇用した従
業員数の平均 69 67 68 32 24
b) 当事業年度の給与費用 7,815,575 7,933,548 8,148,625 6,111,275 5,325,581
c) 当事業年度に支払われた
従業員給付(社会保障、
社会給付制度) 3,521,612 3,528,052 3,665,237 2,672,813 2,256,273
5.資産合計 191,956,782,781 188,490,814,107 183,552,875,930 183,938,934,385 180,201,960,679
(注1) 上記の法人税の金額には、当期税金と関連する引当金の変動が含まれている。かかる変動は 2001 年度
から適用された CRC ( Comité de la Réglementation Comptable 、フランス会計規則委員会)規則第
2000-03 号に規定された原則の適用に起因する。
(注2) 上記「3 . 一株当たり利益」における数値以外の数値の小数点以下は、四捨五入されている。
(注3) 2015 年7月 31 日の増資後、 33,770,590 株は事業年度を通して配当受給権を有する。
(注4) 2017 年に支払われた配当は、準備金から控除された。
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2【沿革】
BFCM はクレディ・ミュチュエル・アリアンス・フェデラル内の持株会社である。
BFCM は BFCM の子会社を保有し、その活動を調整している。
当該子会社は金融、保険、エレクトロニック・バンキング及び情報技術分野で活動を行ってい
る。
BFCM はクレディ・ミュチュエル・アリアンス・フェデラルのために中心的な金融機能を果たして
いる。
BFCM は支払処理、貸付け及び金融工学を用いた取引の分野でサービスを提供することにより
大企業及び地方自治体との金融関係の管理を担っている。
CF de CM は BFCM の資本の 92.98 % を保有している。
BFCM の沿革
1877 年: ライフアイゼン( Raiffeisen )氏がケス・ド・ラ・レナニ( Caisses de la
Rhénanie )連合を創設した。その任務は金庫( Caisses )の管理、金庫に対する助言
及び金庫の代理である。
1919 年: BFCM の事業が創設された。
1933 年: 6月1日、 BFCM が「バンク・モゼラーヌ( Banque Mosellane )」の商号で会社として
法人化された。
1958 年: バンク・モゼラーヌがその商号を「バンク・サントラル・デ・ケス・ド・ロレーヌ
( Banque Centrale des Caisses de Lorraine )」に変更した。
1966 年: 「バンク・サントラル・デ・ケス・ド・ロレーヌ」がその商号を「バンク・デュ・ク
レディ・ミュチュエル・ロラン( Banque du Crédit Mutuel Lorrain )」又は
「 BCML 」に変更した。
1998 年: BFCM が 20 億ユーロの対価で CIC の資本の 67 %を取得した。
2001 年: グルーパマ( Groupama )が所有していた残りの CIC の株式 23 %の持分を BFCM が取得し
た。
2007 年: 4月、 BFCM はグループの様々な会社が所有していた株式を 73 百万ユーロで買い取るこ
とにより、グループ・レピュブリカン・ロラン( Groupe Républicain Lorrain )の
100 %の持分を取得した。
6月 15 日、 BFCM は子会社「 CM-CIC カバード・ボンズ」の設立を発表した。当該子会社
により 150 億ユーロ相当の EMTN プログラムが設定された。
2008 年: 6月5日、 BFCM はバンコ・ポプラル・エスパニョール・グループ( Banco Popular
Español Group )のフランス子会社の株式の 100 %を取得した。
6月 27 日、 BFCM はフランス・エスト( France Est )経由でエスト・レピュブリカン
( Est Républicain )の過半数持分を取得した。
(注)フランス・エストがエスト・レピュブリカンの支配的持分を取得する際に実施
された増資は、 2008 年 12 月 23 日付のナンシー控訴裁判所の判決により無効となった
が、その後 2010 年6月 29 日付の大審院の判決により是認された。
11 月 18 日、 BFCM はコフィディ・パルティシパシオン( Cofidis Participations )の支
配的持分の取得を目的として、契約を締結した。
12 月5日、 BFCM はシティバンク・ドイチュラント( Citibank Deutschland )の 100 %
の持分を取得した。
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2009 年: 3月 23 日、 BFCM グループ及び3・スイス・アンテルナシオナル( 3 Suisses
International )(以下「3・スイス」という。)は、コフィディ・パルティシパシ
オンの支配的持分の取得が完了した旨発表した。
この取引は、 BFCM がその株式の 67 %を所有していた、 BFCM と3・スイスの共同所有の
持株会社が、コフィディ・パルティシパシオンの株式の 51 %を取得したことにより成
立した。この契約の条件に基づいて、 BFCM は 2016 年度までに、いずれかの当事者の主
導で、コフィディ・パルティシパシオンの株式資本及び議決権の持分を 67 %に増加さ
せる。
2010 年: グループはフランス及びその近隣国(バンコ・ポプラルでの支店網の創設により特に
スペイン)における支店網を強化し、活動範囲を拡大した。
2011 年: クレディ・ミュチュエル・ロワール - アトランティック・エ・サントル-ウエスト、
クレディ・ミュチュエル・サントル、クレディ・ミュチュエル・ノルマンディ、クレ
ディ・ミュチュエル・ドフィネ - ヴィヴァレ 及びクレディ・ミュチュエル・メディテ
ラネ の連合体が CF de CM に加入し、加盟連合体数が 10 となった。
グループは、マス・マーケットの小売業者との提携を強化した。技術的な能力の高さ
に支えられて、グループは金融商品を市場で売買するためにカジノ( Casino )とパー
トナーシップを締結した。よってバンク・カジノは、グループ及びカジノが共同で折
半出資している。
2012 年: FCM アンジュー( Anjou )が CF de CM に加入し、加盟連合体数が 11 となった。
5月 10 日、バンク・ド・レコノミー・デュ・コメルス・エ・ド・ラ・モネティック
( Banque de