株式会社カーチスホールディングス 有価証券報告書 第33期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
提出書類 | 有価証券報告書-第33期(平成31年4月1日-令和2年3月31日) |
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提出日 | |
提出者 | 株式会社カーチスホールディングス |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
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株式会社カーチスホールディングス(E02895)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2020年6月26日
【事業年度】 第33期(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
【会社名】 株式会社カーチスホールディングス
【英訳名】 Carchs Holdings Co.,Ltd.
【代表者の役職氏名】 取締役兼代表執行役社長 大庭 寿一
【本店の所在の場所】 東京都千代田区紀尾井町4番1号 新紀尾井町ビル2F
【電話番号】 03-3239-3100 (代表)
【事務連絡者氏名】 取締役兼執行役 長倉 統己
【最寄りの連絡場所】 東京都千代田区紀尾井町4番1号 新紀尾井町ビル2F
【電話番号】 03-3239-3185
【事務連絡者氏名】 取締役兼執行役 長倉 統己
【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
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第一部【企業情報】
第1【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
(1)連結経営指標等
回次 第29期 第30期 第31期 第32期 第33期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
(千円) 33,769,133 31,587,233 24,440,798 20,525,607 15,974,234
売上高
経常利益又は経常損失
(千円) 504,420 △ 105,901 △ 68,539 △ 137,067 69,360
(△)
親会社株主に帰属する当
期純利益又は親会社株主
(千円) 344,500 △ 342,266 △ 150,347 △ 370,943 156,114
に帰属する当期純損失
(△)
(千円) 340,072 △ 368,796 △ 167,099 △ 431,364 154,228
包括利益
純資産額 (千円) 7,500,436 6,081,481 5,834,923 5,324,239 5,598,825
(千円) 10,245,716 8,467,579 7,823,302 7,126,481 6,950,023
総資産額
(円) 315.86 295.32 283.73 261.00 263.42
1株当たり純資産額
1株当たり当期純利益金
額又は1株当たり当期純 (円) 14.43 △ 15.80 △ 7.59 △ 18.73 7.59
損失金額(△)
潜在株式調整後1株当た
(円) 14.30 - - - -
り当期純利益金額
(%) 70.7 69.1 71.8 72.5 78.3
自己資本比率
(%) 4.8 △ 5.2 △ 2.6 △ 7.2 2.9
自己資本利益率
(倍) 23.7 △ 18.2 △ 34.3 △ 12.2 28.9
株価収益率
営業活動によるキャッ
(千円) 303,189 △ 379,418 1,007,086 △ 4,316 762,669
シュ・フロー
投資活動によるキャッ
(千円) △ 514,333 580,416 △ 435,688 △ 38,165 △ 88,635
シュ・フロー
財務活動によるキャッ
(千円) △ 469,443 △ 1,144,118 △ 473,018 △ 190,787 19,792
シュ・フロー
現金及び現金同等物の期
(千円) 3,213,523 2,270,402 2,368,782 2,146,032 2,841,292
末残高
(名) 516 454 376 300 241
従業員数
(注)1 売上高には、消費税等は含まれておりません。
2 第30期、第31期及び第32期における潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額につきましては、潜在株式は
存在するものの1株当たり当期純損失金額であるため、記載しておりません。また、第33期における潜在株
式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、希薄化効果を有しないため記
載しておりません。
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(2)提出会社の経営指標等
回次 第29期 第30期 第31期 第32期 第33期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
(千円) 1,169,753 665,131 591,912 548,949 428,271
売上高
(千円) 660,266 95,854 90,375 85,639 41,205
経常利益
当期純利益又は当期純損
(千円) 612,722 △ 28,840 51,575 206,869 123,014
失(△)
(千円) 2,816,009 2,816,034 2,816,034 2,816,034 2,816,034
資本金
(株) 24,086,909 24,087,009 24,087,009 24,087,009 24,087,009
発行済株式総数
(千円) 5,364,399 4,285,401 4,257,519 4,385,069 4,628,440
純資産額
(千円) 6,103,868 4,978,757 4,925,274 4,907,018 5,076,638
総資産額
(円) 233.87 216.24 214.85 221.29 223.77
1株当たり純資産額
(円) 4.0 4.0 4.0 4.0 -
1株当たり配当額
(内1株当たり中間配当
(円) ( - ) ( - ) ( - ) ( - ) ( - )
額)
1株当たり当期純利益金
額又は1株当たり当期純 (円) 25.66 △ 1.33 2.60 10.44 5.98
損失金額(△)
潜在株式調整後1株当た
(円) 25.44 - - - -
り当期純利益金額
(%) 87.8 86.0 86.4 89.3 91.1
自己資本比率
(%) 11.8 △ 0.6 1.2 4.7 2.7
自己資本利益率
(倍) 13.3 △ 216.5 100.3 21.9 36.6
株価収益率
(%) 27.70 △ 25.30 153.84 38.31 -
配当性向
(名) 26 25 22 26 24
従業員数
(%) 50.9 43.5 40.1 36.0 34.6
株主総利回り
(比較指標:日経平均株
(%) ( 87.3 ) ( 98.5 ) ( 111.7 ) ( 110.5 ) ( 98.5 )
価)
(円) 699 331 317 303 497
最高株価
(円) 309 262 233 151 210
最低株価
(注)1 売上高には、消費税等は含まれておりません。
2 第30期における潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額につきましては、潜在株式は存在するものの1株
当たり当期純損失金額であるため、記載しておりません。
3 第31期、第32期及び第33期における潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額につきましては、希薄化効果
を有している潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
4 最高株価及び最低株価は、東京証券取引所(市場第二部)の市場相場を記載しております。
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2【沿革】
年月 概要
1987年12月 株式会社エイジーエイとして東京都葛飾区に設立、中古車仕入、販売業を開始。
1988年7月 事業拡大のため、商号を株式会社オートガーデンアソシエーションに変更。
1992年4月 本社を千葉県市川市に移転。
1993年12月 商号を株式会社ジャックに変更。
1994年1月 本社を東京都中央区に移転。
1994年4月 本社内にテレマーケティングセンターを設置し、電話による顧客情報の収集及び営業活動の支援開始。
1996年2月 大阪市西区に大阪本部を新設。
1996年3月 有限会社日本中古車査定センターより、「日本中古車査定センター」の商標を買取り、中古車仕入部門
を強化。
1996年9月 日本エーエム株式会社の株式1,648,000株(発行済株式の50.86%)を取得。
1997年4月 株式の額面金額を1株50,000円から1株500円に変更するため形式上の存続会社藤博株式会社(東京都中
央区所在)と4月1日を合併期日として合併。
〃 日本エーエム株式会社の第三者割当株式500,000株を取得(発行済株式の57.43%を保有)。
1999年2月 店頭登録銘柄として日本証券業協会に株式を登録。
1999年11月 東京証券取引所第二部に上場。
2000年2月 子会社として株式会社ジャックリアルエステートを設立。
2000年9月 商号をジャック・ホールディングス株式会社に変更。
〃 子会社、日本エーエム株式会社が商号を株式会社デジ・ネットに変更。
2000年10月 本社を東京都新宿区に移転。
2001年1月 子会社、株式会社デジ・ネットと1:0.25の比率で合併し、資本金14,470,425千円、発行済株式総数
13,578,500株となる。
2005年9月 株式会社ライブドアが、当社株式112,754,000株を取得、加えて伊藤忠エネクス株式会社より当社株式
7,599,600株を譲受け、その結果発行済株式の51.00%を取得し当社親会社となる。
2006年1月 商号を株式会社ライブドアオートに変更。
2006年3月 子会社、株式会社ジャックリアルエステートを吸収合併。
2006年8月 商号を株式会社カーチスに変更。
2007年1月 株式会社ソリッドアコースティックスが、当社株式120,353,700株を取得、その結果発行済株式の
51.00%を取得し当社親会社となる。
2007年2月 株式会社ソリッドアコースティックスが、当社株式13,987,800株を取得、その結果発行済株式の56.93%
を保有。
2007年4月 本社を東京都港区に移転、商号を株式会社ソリッドグループホールディングスに変更。
2007年7月 株式会社レジラの株式28,510株を取得、100%子会社化。
2007年10月 株式会社ソリッドアコースティックスの当社株式の保有数が115,028,800株(議決権比率48.74%)になっ
たことで、当社の「親会社」から「その他の関係会社」となる。
2007年11月 株式会社ソリッドアコースティックスの株式66,360株(100%)を、株式会社KG ホールディングスがQ`on
Limited に譲渡したことで、当社の「親会社等の主要株主である筆頭株主」が異動。
2007年12月 株式会社ケン・エンタープライズが、公開買付により当社株式114,409,200株を取得、議決権割合
48.48%を保有する当社の「その他の関係会社」及び主要株主となる。
〃 株式会社ケン・エンタープライズが、当社株式3,700,000株を追加取得、議決権割合50.05%を保有する当
社の親会社となる。
2008年6月 株式会社ケン・エンタープライズの会社分割(新設分割)により、株式会社ガルガンチュア・アセッ
ト・マネジメントが当社の親会社となる。
2008年8月 商号を株式会社カーチスに変更。
〃 子会社レジラの商号を株式会社日本中古車査定センターに変更。
2008年11月 株式会社ガルガンチュア・アセット・マネジメントと株式会社MAGねっとの合併(吸収合併)によ
り、株式会社MAGねっとが当社の親会社となる。
2008年12月 新設分割し、純粋持株体制へと移行し、商号を株式会社カーチスホールディングスに変更。
2009年1月 株式会社T・ZONEコールセンター(現:株式会社カーチスコールセンター)の株式1,300株を取得、
100%子会社化。
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年月 概要
2009年2月 日本振興銀行株式会社が、当社株式118,100,000株を取得、議決権割合50.13%を保有する当社の親会社
となる。
2009年5月 株式会社カーチスリンク(現:株式会社カーチス)を設立。
〃 株式会社タカトクの第三者割当増資を引受け、株式1,700株(発行済株式の51.05%)を取得、子会社
化。
2009年6月 親会社の日本振興銀行株式会社がその他の関係会社及び主要株主となる。
2010年1月 日本振興銀行株式会社がレスポワール投資事業有限責任組合に当社株式を譲渡したことにより、その他
の関係会社及び主要株主が異動。
2010年2月 委員会設置会社に移行。
2011年10月 株式会社タカトクの株式1,460株を追加取得したことにより、発行済株式数の94.89%を保有。
2012年9月 KABホールディングス合同会社が、当社株式を56,749,700株を取得し、議決権割合24.05%を保有する
当社のその他の関係会社及び主要株主となる。
2013年2月 株式会社カーチスを存続会社とし、株式会社カーチス倶楽部を消滅会社とする吸収合併を実施。
2013年8月 CI(コーポレート・アイデンティティ)を刷新し、新コンセプトでの店舗展開を開始。
2014年4月 株式会社アーバン(現:株式会社カーチス九州販売)の第三者割当増資を100%減資ののち全株式を引受
け、完全子会社化。
2014年7月 株式会社アガスタの株式を3,000株(発行済株式の50.00%)を取得し、持分法適用関連会社化。
2014年11月 株式会社アガスタの第三者割当増資を引受け、保有株式が6,001株(発行済株式の66.67%)となり、連
結子会社化。
2016年4月 株式会社カーチスを存続会社とし、株式会社カーチスコールセンターを消滅会社とする吸収合併を実
施。
2018年4月 株式会社カーチスを存続会社とし、株式会社カーチス九州販売を消滅会社とする吸収合併を実施。
2020年1月
青島新華錦汽車貿易有限公司との合弁会社である青島新馳汽車有限公司を設立。(出資比率33.34%)
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3【事業の内容】
当社グループは当社と連結子会社3社及び関連会社1社より構成されており、その主な事業内容は、中古車の買取、
販売、輸出及び自動車部品の販売等を行う自動車関連事業であります。
当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付け、並びに当社グループを構成している主な各
会社間の取引の概要は以下の図のとおりであります。
なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、
これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなり
ます。
[事業系統図]
(注)青島新馳汽車有限公司は、2020年1月7日付で設立され、当社の持分法適用関連会社となっております。
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4【関係会社の状況】
(1)連結子会社
資本金又は
議決権の所有割合
名称 住所 出資金 主要な事業の内容 関係内容
(%)
(百万円)
特定子会社
株式会社カーチス(注1)(注2) 東京都千代田区 自動車関連事業
100 100.0
役員の兼務あり
自動車部品・用品の仕入
株式会社タカトク 東京都江戸川区 自動車関連事業
93 94.9
役員の兼務あり
自動車輸出
株式会社アガスタ 東京都千代田区 自動車関連事業
100 66.7
役員の兼務あり
(注)1 売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が100分の10を超えていますが、当
連結会計年度におけるセグメント情報の売上高に占める当該連結子会社の売上高(セグメント間の内部売上
高又は振替高を含む)の割合が100分の90を超えているため、主要な損益情報等の記載を省略しています。
2 特定子会社に該当しております。
(2)持分法適用の関連会社
資本金又は
議決権の被所有割合
出資金
名称 住所 主要な事業の内容 関係内容
(%)
(百万円)
中華人民共和国 中古車および関連
青島新馳汽車有限公司 役員の兼務あり
33.34
100
青島市 部品の輸出
(注) 青島新馳汽車有限公司は、当連結会計年度において新たに設立したため、持分法適用の関連会社に含めておりま
す。
(3)その他の関係会社
資本金又は
議決権の被所有割合
名称 住所 出資金 主要な事業の内容 関係内容
(%)
(百万円)
有価証券の保有
43.5
株式会社レダグループホールディ 及び管理
東京都千代田区 役員の兼務あり
100
ングス 経営コンサルタン
(4.2)
ト
(注) 議決権の被所有割合欄の( )内は、間接被所有割合の内数であります。
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
(2020年3月31日現在)
従業員数(名)
セグメントの名称
217
自動車関連事業
全社(共通) 24
241
合計
(注)1 従業員数は就業人員数(当社グループからグループ外部への出向者を除く)であります。
2 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない本社部門に所属している
従業員数であります。
3 従業員数が前事業年度末に比べ59名減少したのは、経営の合理化によるものであります。
(2)提出会社の状況
(2020年3月31日現在)
従業員数(名) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(千円)
24 41.4 5.6 4,667
(注)1 従業員数は就業人員数であります。
2 平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。
(3)労働組合の状況
組合は結成されておりませんが、労使関係は円滑に推移しております。
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第2【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社及び当社グループは、お客様の価値観を尊重し、迅速且つ適切なサービス提供を心掛け、常に顧客満足を追
求しております。また、地域に密着し、環境保護に取り組みながら、地域社会・経済の発展に貢献する企業活動を
推進しております。
また、社名である「CARCHS」には、「人と人をクルマ(CAR)で繋ぐ架け橋(ARCH)」でありたいという思いを
込めており、当社を含むグループ会社の従業員一人ひとりが、常に消費者に、より質の良い商品・サービスを提供
するための「架け橋」でありたいと考えて行動することが、企業価値及び株主価値の向上に繋がり、顧客、株主及
び従業員の利益に資するという認識の下、経営に取り組んでまいります。
(2)目標とする経営指標
当社および当社グループは、事業の継続的な発展に注力し、売上高、営業利益、売上高営業利益率の向上を指標
として安定的な成長と株主価値を高める努力を続けてまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
①オートオークション販売依存のビジネスモデルから脱却し、お客様から仕入れた良質な車両を次のお客様へ直接
小売販売する『買取直販』をより推進してまいります。
②多様化するお客様のニーズに対応するため、レンタカー事業や他社との提携によるカーリース事業の開始、ま
た、決済手段のひとつとして仮想通貨決済を導入するなど、新しい商品・サービスを提供していきます。
③カーチス倶楽部事業を通じて、カーチス倶楽部会員様との連携を深め、お互いの利益向上と自動車関連事業にお
ける多様な機能を備えたカーライフのトータルソリューションカンパニーへの成長を目指します。
④中古車輸出事業を運営する株式会社アガスタを通じて、新興国を中心に世界的な中古車流通網を構築し、輸出先
諸国での知名度向上、シェア拡大を図り、積極的に海外輸出事業の拡大を推進します。
⑤AIなどの最新技術を取り入れて業務の効率化を進めてまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、さらなる成長を実現するため、次の課題に重点的に取り組んでまいります。
①顧客ファーストの追求
当社グループは、『顧客ファースト』を掲げており、オートオークション依存のビジネスモデルから脱却し、
利益率の高い小売販売にシフトしている状況であります。お客様のニーズが多様化しているなかで、ローン、
リース、レンタカー、メンテナンスパッケージ、車検パック、保険、仮想通貨決済など、当社グループ全社を挙
げて様々なサービスを拡充し、価値のある商品、質の高いサービスを提供することで、お客様からの信頼と支持
をいただけるよう取り組んでまいります。
②関係性の強化
大型販売センターへ良質な商品を供給すべく買取店との連携強化を図り、「買取直販」の営業施策を進めてお
ります。さらに、AIを含めた最新技術を取り入れて査定業務等の効率化を進め、生産性の向上を図ってまいり
ます。
また、お車を売りたいお客様と買いたいお客様を直接結びつけることによって乗り換えの要望に対応し、イン
ターネットでの販売を拡大していきます。
さらに、カーチス倶楽部会員との連携及び会員同士の関係性を深め、WIN-WINの関係を強化することにより取
引の拡大を図ってまいります。
③店舗数の拡大
新規出店及びM&Aなどにより、店舗数の拡大を図り、売上の向上に取り組んでまいります。
④海外事業戦略の拡大
中国に設立した合弁会社の事業を具体的に発展させていくとともに、国内大手輸出業者との関係性をより深め
ていくことにより、世界的規模で中古車を取り扱うグローバルインターネットプラットフォーム
「PicknBuy24.com」をさらに強化し、アジアからヨーロッパなど全世界へ向けた事業展開を目指してまいりま
す。
⑤コーポレート・ガバナンス体制の強化
当社は、経営の最重要課題の一つとして、コーポレート・ガバナンス体制の強化に取り組んでおり、コーポ
レート・ガバナンスに関する基本的な考え方とその枠組み、運営に係る方針を明確にしております。
体制強化の一環として、当社は経営監督機能と業務執行機能を分離させる指名委員会等設置会社を採用してお
ります。また、当社グループとして、各社の意思決定から店舗のオペレーションに至るまで、コンプライアンス
部および内部監査部にて、各種法令・規程等の遵守状況について指導・監査を実施しております。
さらに、取締役兼代表執行役社長直轄の内部監査部と、社内取締役が委員長を務め過半数を社外取締役で構成
する監査委員会が連携することによって、より高いレベルでのコーポレート・ガバナンスが実現できる体制を構
築してまいります。
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2【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成
績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおり
であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経済情勢等に関するリスク
日本その他の主要国において景気後退等による経済不振は、企業業績の悪化や輸出の減少を通して、消費者需
要に影響を及ぼす可能性があります。低迷する経済情勢の下では、消費者が買い控えを行い、又は低価格帯商品
を志向する可能性があります。加えて、新型コロナウィルス感染症等の状況により、外出自粛等による客数の減
少や、営業活動の短縮があった場合等、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
(2)法令等の遵守に関するリスク
①当社グループは、日本・韓国を含むアジア、オセアニア、その他当社グループが事業を行う地域において、
様々な法令による規制を受けています。よって、日本法及び外国法における年式規制、排ガス規制等を遵守す
る必要があります。当社グループが事業に関係のある法令等に違反した場合、当社グループの信用が失われる
だけでなく、厳格な罰則又は多額の損害を伴う規制上の処分又は私法上の訴訟提起が行われる可能性がありま
す。更に、当該法令等の内容の改正や解釈の変更がなされた場合、コンプライアンス体制構築に係る費用が増
加する可能性があります。
②当社グループの主力事業である中古自動車業界は、古物営業法に基づき、古物商として各都道府県の公安委員
会から許可を受け、中古自動車の販売・買取を行っております。また、自動車の登録、保険の加入、税金、リ
サイクル料等についても種々の法規制を受けております。今後これらの規制の改廃や新たな法的規制が設けら
れる場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③当社グループの店舗に併設された一部のサービス整備工場を除いて、道路運送車両法に基づき認証及び指定工
場の認可を得ておりますが、同法の改正や陸運支局の指導等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能
性があります。
(3)為替の変動に関するリスク
当社グループは、車両を海外へ販売する際に、主に米ドルを中心とした、日本円以外の通貨建てで行っており
ますので、為替変動リスクが当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)仕入リスク
当社グループは、中古自動車を一般ユーザーから直接買取り、自社大型展示場等で直接販売するという、『買
取直販』を主要なビジネスモデルとしており、自社で仕入れた中古自動車の販売収益が全体の収益の大半を占め
るため、中古車市場が急激に縮小した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)自然災害リスク
当社グループは、火災や地震等の災害が発生した場合の対応として、緊急対応マニュアル等危機管理の対応策
を有しておりますが、大規模地震など予期を超える天災が発生した時、事業所の閉鎖・休業をすることとなった
場合に、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)情報セキュリティに係るリスク
当社グループは、セキュリティ対策等システムの適切な管理を行っておりますが、情報が漏洩した場合は、顧
客や市場からの信頼が失われ、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、不正アクセス等により各種
システムが正常に稼動しなくなった場合にも影響が予想されます。
(7)従業員に関するリスク
当社グループは、ワークライフバランスの推進や各種教育制度、人材マネジメント制度の整備を図ってまいり
ました。当社グループが持続的に成長するためには、有能な従業員を継続して雇用し、かつ、育成することでさ
らなる能力向上を図ることが必要となります。また、新たな従業員を雇用し、教育することで、その技術及び能
力を育成しなければなりません。
こうした中、従業員の雇用に関する競争の激化によって十分な採用人数が確保できず、あるいは不十分な労務
管理によって従業員の健康阻害等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
上記のほか、新型コロナウイルス感染症に対して、緊急事態宣言等が発令された場合に、当社グループ店舗は
営業時間の短縮等を行っております。当社グループは、お客様及び従業員の安全と健康を最優先に考え、感染防
止の取組みを実施したうえで、営業を継続しております。今後、感染拡大等の状況が進行した場合、個人消費の
低迷や来店客の減少等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
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3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」とい
う)の状況の概要 、及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次
のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況及び分析
当連結会計年度(2019年4月1日から2020年3月31日)におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善が続く
なかで、緩やかな回復基調が続いておりましたが、消費税増税後の新型コロナウイルス感染症の拡大による消費マ
インドの冷え込みなどから、景気の先行きにつきましては、依然として不透明な状況にあります。
当社グループが属する自動車業界におきましては、新車登録台数(軽自動車含む)は、417万台(乗用のみ、貨
物・バス等除く)となり、前期比4.4%減少となりました。中古車登録台数(軽自動車含む)は、582万台(乗用の
み、貨物・バス等除く)となり、前期比で0.01%の減少となりました(出典:一般社団法人日本自動車販売協会連
合会、一般社団法人全国軽自動車協会連合会)。
このような環境の中で当社グループは、第1の営業の柱であるBtoC取引については、期初より『顧客ファース
ト』を掲げ、顧客より良質車両の仕入強化を図り、顧客へ良質な中古車を直接販売する「買取直販」を重視した営
業施策を徹底したこと、また、多様化する顧客ニーズに対応するため、「ピッカピ・カー」のカーチスを目指し、
新たに洗浄サービス、さらに、購入後のアフターメンテナンスを充実するための保証・メンテナンスの見直しなど
を図り、付帯収益の向上に寄与しました。また、インターネット販売にも力を注いでまいります。第2の柱である
BtoB取引については、約1万2千社のお取引先業者で組成するカーチス倶楽部との紐帯強化を図り、質の良い車
両の拡販を行いました。また、新規の国内有力業者との取引にも注力し、大手中古輸出企業との業務提携を含む新
規取引に注力し、様々な売上構造改革を進めた結果、売上総利益率が21.1%と前期比で0.7%改善いたしました。
一方で、2019年10月以降の消費税増税の影響や新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛などによる来店
者数の減少、消費マインドの冷え込みに加えて、急激なオークション相場の下落などの外部悪化要因の影響を受
け、販売台数は当初の予想を下回り、売上高は15,974百万円に留まったものの営業利益56百万円(前期は営業損失
159百万円)、経常利益69百万円(前期は経常損失137百万円)を計上することとなりました。
また、保有する遊休地などの固定資産売却益を特別利益として118百万円計上したことなどにより、親会社株主
に帰属する当期純利益は156百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失370百万円)となり、利益面では、3
期連続赤字からの脱却を果たし大幅な改善となりました。
② 資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、設備投資などの長期資金需要と車両仕入のほか、販売費及び一般管理費
等の運転資金需要であります。
事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることを財 務方針としており
ます。設備投資などの長期資金需要に対しては、内部留保、長期借入債務により対応しております。また、 運転資
金需要には短期借入債務により対応しております。借入債務については、主に金融機関からの借入れに よって調達
しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ695百万円増加し、残高は2,841百万
円となりました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益は213百万円となり、たな卸資産の減少762百万円、前渡金の減少201百万円、売上
債権の減少183百万円等の増加要因と、未払金の減少218百万円、仕入債務の減少100百万円等の減少要因によ
り、762百万円の収入となりました(前期は4百万円の支出)。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の売却による収入174百万円、敷金及び保証金の回収による収入31百万円の増加要因と、無形
固定資産の取得による支出236百万円等の減少要因により、88百万円の支出となりました(前期は38百万円の
支出)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
自己株式の処分による収入199百万円の増加要因と、長期借入金の返済による支出100百万円、配当金の支払
額78百万円等の減少要因により、19百万円の収入となりました(前期は190百万円の支出)。
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④ 受注及び販売の実績
a.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 仕入高(千円) 前年同期比(%)
自動車関連事業 12,583,800 △22.8
合計 12,583,800 △22.8
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当社グループは、単一セグメントとなっております。
b.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 販売高(千円) 前年同期比(%)
自動車関連事業 15,974,234 △22.2
合計 15,974,234 △22.2
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当社グループは、単一セグメントとなっております。
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(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成してお
ります。この連結財務諸表の作成に当たり、棚卸資産、有形・無形固定資産、投資有価証券、各引当金等の計上に
関しては、一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠した当社グループ会計方針及び見積り基準に基づき計
上しております。
② 経営成績の分析
経営成績の状況については、「第2 事業の状況 / 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フ
ローの状況分析 / (1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
当社グループの経営に影響を与える要因としては、若年層の車離れや少子化などの市場動向があり、また、消費
税増税後の新型コロナウイルス感染症の拡大による消費マインドの冷え込みなどから、国内における中古車販売は
依然として厳しい状況が続くと予想しております。
当社グループは、これまでオートオークション販売に依存しておりましたが、『脱・オートオークション』の方
針のもと、利益率追求のビジネスモデルへの転換を図っております。それに伴い、従来のビジネスモデルであった
オートオークション販売が減少し、売上高が減少したものと認識しております。しかしながら、利益率の高い『買
取直販』を推し進めることにより、特に下期においては利益率が改善しております。
また、多様化するお客様のニーズに対応するために、他の企業と提携することにより、レンタカー、カーリー
ス、仮想通貨決済など、様々なサービスを開始しております。さらに、不採算店舗の統廃合やコストの見直し等に
より、生産性の向上を図ってまいりました。
③ 財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は5,175百万円(前連結会計年度末は5,647百万円)となり、472百万
円減少いたしました。主な要因といたしましては、商品の減少763百万円、受取手形及び売掛金の減少183百万円、
現金及び預金の増加695百万円などによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、1,774百万円(前連結会計年度末は1,478百万円)となり、296百
万円増加いたしました。主な要因といたしましては、ソフトウエア仮勘定の増加395百万円などによるものであり
ます。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、1,086百万円(前連結会計年度末は1,408百万円)となり、322百
万円減少いたしました。主な要因といたしましては、支払手形及び買掛金の減少100百万円、前受金の減少85百万
円、未払金の減少56百万円などによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、264百万円(前連結会計年度末は393百万円)となり、128百万円
減少いたしました。主な要因といたしましては、長期借入金の減少100百万円などによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は5,598百万円(前連結会計年度末は5,324百万円)となり、274百万円
増加いたしました。主な要因といたしましては、自己株式の処分等による増加276百万円、親会社株主に帰属する
当期純利益156百万円の計上、剰余金の配当79百万円があったことなどによるものであります。
この結果、自己資本比率は78.3%(前連結会計年度末72.5%)となりました。
なお、詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照願います。
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4【経営上の重要な契約等】
合弁会社設立に関する合弁契約締結
当社は、2019年12月18日開催の取締役会決議に基づき、青島新華錦汽車貿易有限公司との合弁会社(持分法適
用関連会社)の設立に関する合弁契約を締結いたしました。
Ⅰ 設立の目的
中国に自動車及び関連部品の物流事業及び輸出事業を行う拠点を構築することにより、今後、合弁会社を経由
して、中央アジア、EU方面への物流・輸出などの事業について本格的に進めていくとともに、当社が培ってきた日
本での自動車流通や査定技術のノウハウにより中国国内での中古車市場における事業展開を目指してまいります。
Ⅱ 合弁会社の概要
(1)名称 青島新馳汽車有限公司
(英語名:Qingdao SinTi Automobile Co., Ltd.)
(2)所在地 中国(山東)自由貿易試験区青島片区前湾保税港区北京路45号総合