ユービーエス・エイ・ジー 有価証券報告書
提出書類 | 有価証券報告書 |
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提出日 | |
提出者 | ユービーエス・エイ・ジー |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
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ユービーエス・エイ・ジー(E05852)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2020年6月30日
【事業年度】 2019年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
【会社名】 ユービーエス・エイ・ジー(UBS銀行)
(UBS AG)
【代表者の役職氏名】 執行役員会プレジデント
セルジオ P. エルモッティ
(Sergio P. Ermotti, President of the Executive Board)
チーフ・ファイナンシャル・オフィサー
カート・ガードナー
(Kirt Gardner, Chief Financial Officer)
【本店の所在の場所】 スイス国 チューリッヒ市 CH-8001 バーンホフストラッセ45
(Bahnhofstrasse 45, CH-8001 Zürich, Switzerland)
スイス国 バーゼル市 CH-4051 エーシェンフォルシュタット1
(Aeschenvorstadt 1, CH-4051 Basel, Switzerland)
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 月岡 崇
【代理人の住所又は所在地】 東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 JPタワー
長島・大野・常松法律事務所
【電話番号】 03‐6889‐7000
【事務連絡者氏名】 弁護士 福原 亮輔
弁護士 星野 慶史
弁護士 横山 晃大
弁護士 並木 三恵
【連絡場所】 東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 JPタワー
長島・大野・常松法律事務所
【電話番号】 03‐6889‐7000
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【縦覧に供する場所】 該当なし
(注1) 本書において、別段の記載がある場合を除き、「提出会社」又は「当行」とはユービーエス・エイ・ジー(UBS AG)を、「UBS
AG(連結ベース)」又は「UBS AG(連結)」とはユービーエス・エイ・ジー及びその連結子会社を、「UBS」、「当グループ」
又は「UBSグループ」とはUBSグループの持株会社でありユービーエス・エイ・ジーの親会社であるユービーエス・グループ・
エイ・ジー(UBSグループAG)及びその連結子会社を指し、また、別段の記載がある場合を除き、「スイス」又は「スイス連
邦」とはスイス連邦共和国を指す。
(注2) 本書に記載されている日本円の換算は、2020年6月1日現在の株式会社三菱UFJ銀行本店の対顧客電信直物売買相場の仲値(1
スイス・フラン=112.16円又は1米ドル=107.74円)により行われている。
(注3) 2018年から、割合、絶対数の変動、変化率及び調整後の数値は、端数処理をしていない数値に基づき計算している(端数処理を
して計算されている、表に示される数値から得られる本文中の変動情報を除く。)。従前の期間については、当該数値は、表や
本文に示される端数処理後の数値に基づき計算している。2018年より前に算出された数値については、金額、フルタイム換算に
よる人数及び比率を表示する場合、四捨五入している場合がある。従って、合計の数字が一致しない場合がある。また、円貨へ
の換算は本書の中でそれに対応する数字につき所定の換算率で単純計算の上、必要な場合、四捨五入してある。従って、本書中
の同一の情報につき異なった円貨表示がなされている場合もある。
(注4) 本書の中で、事業年度とは1月1日に始まり12月31日に終わる一年を指す。
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第一部【企業情報】
第1【本国における法制等の概要】
1【会社制度等の概要】
(1)【提出会社の属する国・州等における会社制度】
当行は、アクティエンゲセルシャフト(Aktiengesellschaft) (ドイツ語) 又はソシエテ・アノニム
(Société Anonyme) (フランス語) 又はソシエタ・アノニマ(Società Anonima) (イタリア語) (一般
に「株式会社」と翻訳されている。)であり、一般にドイツ語では「AG」、又はフランス語若しくはイタ
リア語では「SA」 と略 されている。当行は、スイスで設立された他の事業組織体と同様、銀行の業務に多
くの点で影響を与えているスイス連邦法である1911年3月30日付スイス連邦債務法(改正済)、1934年11
月8日付スイス連邦銀行業及び貯蓄銀行法(改正済)(以下「連邦銀行法」という。)並びにこれに関連
する2014年4月30日付の銀行業及び貯蓄銀行に関するスイス連邦規則(改正済)、2015年6月19日付金融
市場インフラストラクチャー並びに証券及びデリバティブ取引の市場行動に関するスイス連邦法並びにこ
れに関連する2015年11月25日付金融市場インフラストラクチャー並びに証券及びデリバティブ取引の市場
行動に関するスイス連邦規則、 2018年6月15日付金融サービスに関するスイス連邦法並びにこれに関連す
る2019年11月6日付金融サービスに関するスイス連邦規則、 2012年6月1日付銀行及び証券ディーラーに
対する自己資本規制及びリスク分散に関するスイス連邦規則(改正済)、2012年11月30日付銀行流動性に
関するスイス連邦規則、2012年8月30日付銀行及び証券ディーラーの支払不能に関するスイス金融市場監
督当局の規則(改正済)、 2019年10月31日付会計に関するスイス金融市場監督当局の規則 並びに上場会社
における過剰報酬に対する2013年11月20日付スイス連邦規則(上場会社に対してのみ。)により規制され
ている。これらは、銀行に関するスイス連邦法のうち最も重要なものである。以下、株式会社として設立
された銀行に適用されるスイス連邦債務法の規定を要約する。
(a)株式会社
株式会社(Aktiengesellschaft)は、商号を有し、その予め決められた株式資本は、特定の金額(株
式)に分割されており、その債務は、会社の資産からしか支払うことができない。
(b)設立
創立総会の決議については、公正証書が用意されなければならない。当該公正証書には基本的な書類が
添付される。定款の変更、とりわけ資本の増減及び解散決議についても同様である。設立時には少なくと
も一人の株主がいることを要する。原則として、株主の国籍については制約はない。
(c)定款
定款は、とりわけ、会社の商号、会社の登記上の事務所、目的、株式資本金額、払込資本金額、株式
数、株式の額面及び種類、総会招集手続、株主の議決権、経営及び監査に関する運営機関、並びに会社に
よる対外コミュニケーションの様式に関する規定を備えていなければならない。更に上場会社の場合、定
款には、とりわけ、取締役会及び執行役員会の報酬にかかる株主の年次投票に関する規定を含めなければ
ならない。株主が現物出資を行う場合、その手続の細目は定款に規定されなければならず、また会社が有
形資産を株主又は株主の関係者から取得する又は取得しようとする場合、その手続の細目も定款に規定さ
れなければならない。これは、会社設立時に会社の設立者及びその他の者に対して特権が認められる場合
においても適用される。このような場合、定款にはかかる者の氏名並びに当該特権の正確な内容及び価値
が規定されなければならない。
会社は、本拠地とする地域の商業登記簿に登録されなければならない。特に、次の事項は商業登記簿に
登録されなければならない。すなわち、定款の日付、会社の商号、会社の登記上の事務所、会社の目的及
び定款に規定ある場合には会社の存続期間、株式資本金額、払込済資本、株式数、株式の額面及び種類、
各種類の株式に関わる譲渡制度及び優先権、現物出資の内容及びその見返りとして発行された株式、会社
の取得有形資産の内容、会社により約定された対価又は支払われた対価の内容、並びに特権の内容及び価
値。
会社は、商業登記への登記を通じてのみ法人格を取得する。登記以前に発行された株式は無効である。
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(d)免許
銀行は、連邦銀行法のもとでの免許を受けなければならない。
(e)株式
株式は記名式又は無記名式で発行される。会社は記名株式の所有者の名簿、いわゆる株主名簿を保持し
なければならない。両方の形式の株式は、定款で定められた比率で同時に発行することができる。株式の
額面は、0.01スイス・フラン以上でなければならない。
定款はまた、二つの形式の株式の間の違いについても規定することができ、優先権を有する株式につい
ても規定することができる。当該優先権は、配当、清算手取金及び新たに株式が発行される際の新株引受
権に関連する可能性がある。また、定款は利益分配若しくは参加証書について規定することができる。
株券には、とりわけ、「株式」の文字、会社の商号及び登記上の事務所の所在地、額面並びに固有の特
徴(番号又はアルファベット)について記載しなければならない。株券にはまた、異なる種類がある場合
の当該株式の種類が表示されていることが望ましい。株券は取締役会の構成員の一人以上によって署名さ
れなければならない。大量の株式発行の場合には、複写式署名の使用が認められる。会社は、印刷された
株券の代わりに株券の発行されない株式発行を選択することができ、必要な場合、2008年10月3日改正の
間接保有証券に関する連邦法に従い間接保有証券に転換することができる。株式の譲渡に関して、株式は
有価証券としての法的性格を有する。無記名株式は株券の引渡しによって譲渡され、記名株式は裏書又は
書面譲渡及び株主名簿への登録によって譲渡される。定款により譲渡制限について特別の規定を定めるこ
とができる。
(f)株主
スイス連邦債務法と定款の規定に基づく株主の基本的な権利には、平等な取扱い、議決権、株主総会に
出席する権利、株主総会で配当が決議された場合に利益配当を受ける権利、清算の場合に清算手取金の按
分比例持分を受ける権利が含まれる。ただし、定款に異なる定めがある場合を除く。株主の責任について
は、会社の債務に関して、株主が個人責任を負うことはない。株主総会は会社の最高機関である。株主総
会は、(ⅰ)定款を決定及び変更し、(ⅱ)取締役会の構成員、監査役並びに(上場会社の場合)取締役
会会長及び報酬委員会の構成員並びに株主総会のための独立代理人を選任・解任し、(ⅲ)年次報告書及
び連結会計を承認し、(ⅳ)年次会計及び可処分利益の分配に関する決議の承認、特に取締役に支払われ
る配当及び利益の持分の決定を行い、(ⅴ)(上場会社の場合)取締役会、執行役員会及び諮問委員会の
報酬にかかる投票を行うことについて、不可譲の権利を有する。定時株主総会は通常、毎事業年度終了後
6か月以内に取締役会によって招集されるが、必要であれば監査役、清算人及び社債権者の代表者によっ
ても招集される。更に、株主総会は、合計で全株式資本の10%以上を表章する1名以上の株主によっても
招集される。定款にこれより低い基準が規定されない限り、株主全体で額面総額が100万スイス・フラン
以上となる株式を代表する場合は当該株主が、提案事項を議題に入れるよう要求することができる。株主
総会を招集し、議案を議題に追加する旨の要求は書面によるものとし、また株主総会に提出される議題項
目及び提案を特定しなければならない。株主総会の招集通知は当該株主総会の20日以上前に発せられなけ
ればならない。ただし、会社の全株式を有する株主又はその代理人が会議に出席し、異議のないときは、
この限りではない。
スイス連邦債務法上、株主総会が開催されるべき場所については規定がない。定款に別段の規定がない
場合、株主総会は会社の登記上の事務所の所在地において、又は会社の主たる営業所若しくは取締役会に
よって指定された場所で開催される。
定款に別段の規定がない限り、記名株主は(株主である必要はない)第三者に書面による委任状を発行
できる。
無記名株式の場合には、その株券の所持により議決権が付与される。当該資格は、無記名株券を呈示又
は取締役会により定められたその他の方法で証明される。
(g)外国人株主
スイス連邦会社法は原則として、外国人又は非居住者の株式保有を制限していない。
(h)経営及び営業
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取締役会は少なくとも一人の構成員で構成される。会社を代表する権限を有する者が少なくとも一人は
スイスに居住していなければならない。この者は、取締役会の構成員又は執行役員でなければならない。
議決権又は財産権に関し異なる種類の株式がある場合、定款において、株式の各種類の株主が、少なく
とも一人の取締役会への代表者を選任する権利を有することを規定しなければならない。取締役会の構成
員は株主総会で選任され、解任される。定款は各取締役の在任期間について定めることができる。定款に
別段の規定がない限り、取締役会の構成員は3年を任期として選任される。いかなる場合も当該任期は6
年を超えてはならない。上場会社の場合、当該任期は1年までに制限される。欠員は株主総会によっての
み選任され補充される。
スイス連邦会社法上、取締役会は会社の最高執行機関として行為し、法令又は定款により株主総会に留
保されなかった全ての事項に関する決議案を可決することができるが、連邦銀行法では銀行に対し、事業
の範囲及び重要性の程度が大きい場合、その経営に関する機関と、その管理、監督及び統制のための機関
を別に設置することを求めている。
定款は、組織規則に基づき少なくとも一人の取締役会構成員又は第三者に会社の事業の全て又は一部を
委任する権限を取締役会に付与することができる。取締役会の少なくとも一人の構成員(又は連署が必要
ならば、二人の構成員)は、会社を代表する権限がなければならない。定款又は組織規則に別段の規定が
ない場合、取締役会の全構成員が会社を代表する権限を有している。会社を代表する権限を有する者は、
会社を代理して、会社の目的に沿った法的行為を行うことができる。会社を代表する権限を与えられた者
は、その署名を会社名に付加することによって署名する。取締役会は、移転不可で不可譲の職務を有して
おり、かかる職務とは、(ⅰ)会社全体の経営及び必要な指示の行使、(ⅱ)会社組織の決定、会計処
理、財務管理及び会社の経営上必要な範囲内での財務計画の監督、(ⅲ)会社の経営及び代表を委任され
る者の選任及び解任、(ⅳ)会社の経営を委任された者に対する法律、定款、業務規則及び指示の遵守の
観点からの全体的な監督、(ⅴ) 年次 報告書の編集、株主総会の準備、並びに採択決議の実施、並びに
(ⅵ)会社が債務超過に陥った場合の裁判所通告の実施をいう。
監査役についてみると、株主総会は一又は複数の監査役を選任する。監査役は、(ⅰ)年次決算報告書
及び、適用ある場合、連結会計が法律の条項、定款及び選択された一連の会計基準を遵守しているか否
か、(ⅱ)貸借対照表上の利益の分配に関し取締役会が株主総会に対して行った提案が法律の条項及び定
款を遵守しているか否か、並びに(ⅲ)内部統制システムが構築されているか否かを確認する。
監査役は独立していなければならない。その独立性は見かけ上又は事実上のものであってはならない。
監査役は監査結果を要約した報告書を株主総会に提出する。この報告書には、年次会計及び連結会計を
承認するべきか、承認する場合の制限の要否、あるいは否認するべきかについての勧告を記載する。
この報告書には、監査の管理者及びその専門家の資格に関する情報並びに独立要件が満たされているこ
との証拠を伴った確認についても記載する。
監査役は、会計、内部統制システム並びに監査の実施及び結果について述べた包括的な報告書を取締役
会に提出する。
監査役が法律又は定款若しくは組織規則の違反を確認した場合、監査役は取締役会に書面により通知す
る。監査役は、法律又は定款の違反が重大なものであり又は取締役会が監査役から書面による通知を受け
ても適切な対応を講じない場合、当該違反を株主総会に通知する。
明白な債務超過がある場合、監査役は取締役会が通告しない場合にはその事実を裁判所に通告する。
(i)会計
会社は、帳簿を維持する義務を有する。会計は、財務報告の基礎となる。会計では、会社の資産、財務
及び収益に関するポジションを表示するのに必要のある取引及び状況を記録する。会計は、確立された会
計方針に従っている。
(j)資本
ア.資本の増加
株式資本の増加には株主総会の決議を必要とする。通常の増資の場合、取締役会は3か月以内に増
資を行う。定款の変更により、株主総会も2年を超えない期間内に株式資本を増加することを取締役
会に対し授権することができ(授権資本)、また株主総会は、会社又はそのグループ会社の従業員及
び新規債券又は類似の債務証券の債権者に対し新株の受領権(転換権又は新株引受権)を付与するこ
とによって、条件付増資の実施を決定することができる(条件付資本)。
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イ.資本の減少
同時に新規の全額払込済資本で置き換えることなくしてなされる資本の減少に関する株主総会の決
議は、特別の監査を必要とする。その監査において全ての債権者の債権が資本減少にもかかわらず満
足されることが確認されなければならない。
株主総会の決議は、スイス官報に3回、及び定款に定める公告方法によって公告されなければなら
ない。
この公告において、会社は債権者に対し、スイス官報での3回目の公告から2か月以内に、債権者
がその有する債権が満足されるべき又は担保されるべきかを登録できる旨を通知しなければならな
い。
監査報告書を含む認証された書類は、上記の規定の遵守を証明しなければならない。
債権者に対する公告及びその債権を満足させること又はその債権に担保を付すことは、資本の減少
が損失によって生じた資本の欠損を填補する目的のためにのみ行われる場合には省略することができ
る。ただし、減少額は当該欠損額を超えない。
(2)【提出会社の定款等に規定する制度】
当行の2018年4月26日付定款(「定款」)の規定の要約は、以下の通りである。
(a)株式資本
当行の株式資本は、385,840,846.60スイス・フランであり、額面金額0.10スイス・フランの全額払込済
記名株式3,858,408,466株に分割されている。
株式資本は、当行又は当行グループ会社のうち1社が国内外の資本市場で発行する社債又は同種の金融
商品に関連して付与された転換権及び/又はワラントの任意行使又は強制行使により、一株当たり額面金
額0.10スイス・フランの全額払込済記名株式を最高380,000,000株発行することにより、38,000,000スイ
ス・フランまで増加することができる。株主の新株引受権は除外される。転換権及び/又はワラントの当
該時点での所有者は、新株を引き受ける権利を有する。転換権及び/又はワラントの条件は、取締役会が
決定する。
転換権及び/又はワラントの任意行使又は強制行使による株式の取得は、その後の株式の各譲渡と同様
に、定款第5条に規定する登録要件に服する。
転換社債、ワラント付社債又は同種の金融商品の発行については、取締役会は、当該商品が(ⅰ)国内
外の資本市場で、又は(ⅱ)1以上の金融投資家に対して発行される場合、株主の新株予約権を制限又は
除外する権限を有する。新株予約権が取締役会によって制限又は除外される場合、以下が適用される
- 当該商品は実勢の市場条件で発行され、新株は当該金融商品の関連ある条件に従って発行される。転
換権の行使期間はその発行日から最長10年であり、ワラントの行使期間はその発行日から最長7年であ
る。転換権及び/又はワラントの任意行使又は強制行使による新株の発行は、株式の時価及び/又は類似
証券の関連ある金融商品の発行時の時価を考慮した条件でなされる。
(b)株主名簿及び登録名義人
記名株式については、株主名簿が作成され、所有権者及び用益権者の氏名又は法人の名称、住所及び国
籍(法人については登記上の事務所)が記入される。全ての登録された株式保有者が下記第3段落で要求
される宣言を行った場合には、共同勘定で保有される株式を議決権付きのものとして、共同名義で株主名
簿に記載することができる。
株主が郵送先住所又は登記上の事務所を変更した場合、新住所を当行に通知しなければならない。これ
を行わない限り、全ての書面による通知は、法律上の要求に従い有効である、株主名簿に記載のある住所
宛てに送付される。
記名株式を取得した者は、要請があった場合、その名義及び勘定で当該記名株式を取得した旨明示的に
宣言することにより、議決権を有する株主として株主名簿に記入される。株式取得者がかかる宣言を行う
用意ができていない場合、取締役会は、当該株式を議決権付きのものとして記載することを拒否すること
ができる。
上記の登録制限は、新株引受権、選択権又は転換権の行使により取得する株式にも適用がある。
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取締役会は、詐欺により記入が行われた場合、影響を受ける登録された保有者又は登録名義人の事情に
関する聴聞を行った後、記入の日に遡って、当該株主名簿から議決権を有する株主としての記載を削除す
る権限を有する。影響を受ける当事者は、直ちにかかる措置の通知を受けるものとする。
取締役会は、受任者/登録名義人の登録に関する一般的規則を制定し、上記規定に沿うように必要な規
則を発するものとする。
(c)株式の形態
当行の記名株式は、次段落を条件として、(スイス連邦債務法の意味における)株券の発行されない証
券及び(間接保有証券法の意味における)間接保有証券の形態とする。
記名株式について株主名簿に記載した後、株主は、いつでも当行に対し、当該株主の保有する記名株式
に関して記載された書面の発行を請求することができる。ただし、当該株主は、株券の印刷や交付を行う
権限はない。一方、当行はいつでも記名株式の株券(単一株式を表章する株券、複数の株式を表章する株
券及び大券の券面)を印刷、交付することができる。これにより、間接保有証券として発行された記名株
式は、それぞれの保管システムから引き揚げられる可能性がある。株主の同意により、当行は、株券の発
行を取り消し、引き替えなしに株券の返還を受けることができる。
(d)当行の機関
当行の機関は、株主総会、取締役会、執行役員会及び監査役により構成される。
(e)株主総会の招集
株主総会は、当行の最高会社機関である。
株主総会は、会日より少なくとも20日前までに、取締役会又は必要に応じて監査役が招集するものとす
る。株主総会は、当行の指定する記録用の公的刊行物において単一の通知を公告することにより招集され
る。招集通知は、全ての記名株主に送付される。
株主総会の招集通知には、議題、取締役会の議案及び株主の提案、並びに取締役等の選任の場合は提案
にかかる候補者の氏名を特定するものとする。
ただし、異議がない場合に限り、全株式の株主又は当該株主に適法に授権された代理人は、上記通知手
続を経ずに、株主総会を開催する権利を有する。全株式の株主が自ら又は委任状により出席する場合に限
り、かかる会において、株主総会の権限の範囲内で、全ての事項について審議又は正当に決議を可決する
ことができる。
額面総額62,500スイス・フラン相当以上を表章する株式を保有する株主は、株主総会の審議に付すべき
事項の提案を行うことができる。ただし、当該提案は、当行の公表した期限までに、書面で、審議に付す
べき具体的な動議を示してこれを行う。
適切に議題として示された事項以外については決議を行わない。ただし、株主総会による臨時株主総会
を招集すべき旨の議事又は特別監査を行うべき旨の議事については、この限りでない。
(f)議長、集計係、議事録
取締役会の会長、又は会長に支障のある場合は副会長若しくは取締役会の指名する他の取締役が、株主
総会の議長を務め、秘書役及び必要な集計係を選任する。
議事手続について議事録を作成し、株主総会の議長及び秘書役の署名を付すことを要する。
(g)株主代理
取締役会は、株主総会における株主の参加及び代理に関する手続についての規則を制定する。
株主総会においては、株主の法定代理人又は書面による委任状に基づいて投票を行うことのできる、株
主である必要のない他の者が株主を代理することができる。
株主総会の議長は、委任状を承認するか否か決定する。
(h)定足数及び議決
株主総会における決議及び選任は、本定款及び強行法規に従うことを条件として、白紙投票及び無効投
票を除く投票された議決権の絶対多数決により議決される。
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(i)議決権
一株当り一議決権を付与される。
当行は、一株当り一代理のみを認める。
議決権及び付随的権利は、議決権を有するものとして株主名簿に記入された当事者により、当行に関す
るものに限り行使することができる。
(j)特別決議
スイス連邦債務法第704条に基づき、当行の目的の変更、特別議決権付株式の創設、授権資本又は条件
付資本の増加、及び当行の解散等の重要な決議は、議決権の3分の2以上が出席する株主総会において、
出席額面株式の絶対多数が当該決議に賛成することにより採択される。
定款の第18条を変更する決議、取締役会の構成員の4分の1以上を解任する決議、又は定款第16条第2
項を削除若しくは変更する決議には、株主総会で代表される議決権の少なくとも3分の2の賛成投票を要
する。
(k)議決及び選任の投票
株主総会の議長は、決議及び選任にかかる投票をどのような方法によって行うかを決定する。
(l)年次株主総会
年次株主総会は、毎年事業年度末から6か月以内に開催する。会日の少なくとも20日前までには、株主
が、当行の登記上の事務所において年次報告書及び監査報告書を閲覧することができるようにしなくては
ならない。
(m)臨時株主総会
臨時株主総会は、取締役会又は監査役が必要とみなすときに随時開催する。
臨時株主総会は、株主総会決議又は株式資本の少なくとも10分の1以上を代表する一若しくは複数の株
主の議題及び議案を特定した書面による請求により、招集されることを要する。
(n)株主総会の機能
株主総会は、下記の権限を有する。
ア) 定款の作成及び改正
イ) 取締役会の構成員及びその会長の選任
ウ)監査役の選任
エ) 年次報告書の承認及び貸借対照表に表示された純収益の処分の決定
オ) 取締役会及び執行役員会の構成員に対する管理事務に関する免除の付与
カ) 法律若しくは定款により株主総会に留保された全ての事項又は取締役会が株主総会の議事に付した
全ての事項についての決定
(o)取締役会
選任、任期及び資格
取締役会は、5名以上12名以下で構成する。
取締役会の構成員及びその会長は、次回の年次株主総会の終了時に満了する任期について、個別に選
任される。
任期を終了した構成員は、直ちに再任されることができる。
組織
株主総会による取締役会長の選任を除き、取締役会は取締役会自身を構成する。取締役会は、その構
成員の中から1名以上の副会長を選任する。
取締役会は、秘書役を選任するものとし、秘書役は、取締役会の構成員であることを要しない。
取締役会長が空位の場合、取締役会は、残りの任期につきその構成員の中から新しい取締役会長を選
任する。
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招集、参加
取締役会長は、業務上の必要に応じ、取締役会を招集するものとする。
取締役会は、取締役会の構成員又は執行役員会プレジデントが書面により取締役会開催を取締役会長
に請求した場合、招集される。
決議
取締役会の決議は、出席議決権の絶対多数決による。賛否同数の場合、取締役会の議長が決定票を投
じる。
定足数を構成する出席構成員数及び決議の議決方法は、取締役会が組織規則に規定する。かかる定足
数は、資本増加にかかる実施、確認及び修正決議については要求されない。
職責、権限
取締役会は、当行の経営並びに経営管理の監督及び管理に対する最終責任を担う。
取締役会は、法律又は定款により株主総会その他の会社機関に明示的に留保されていない全ての事項
についても決定を行うことができる。
当行の経営に対する最終責任は、とりわけ下記により構成される。
ア) 株主総会の議事に付する提案についての準備及び決定
イ) 業務の執行及び権限の概要決定に必要な規則、とりわけ組織規則及び内部監査に適用のある規則
の制定
ウ) 会計、財務及びリスク管理、並びに財務計画、とりわけ業務運営のための資本資源及びリスク資
本の配分に関する原則の設定
エ) 戦略及び組織規則上取締役会に留保されたその他の事項についての決定
オ) (ⅰ) 執行役員会プレジデント、(ⅱ) 組織規則が取締役会による任命を要求しているその他の執
行役員会の構成員及び (ⅲ) 内部監査エグゼクティブの任命並びに解任
カ) 取締役会の権限(スイス連邦債務法第651条第4項)内における株式資本の増加、資本の増加に
関する報告(スイス連邦債務法第652e条)並びに資本増加の確認及びその旨の定款改正についての
決定
監督、管理
業務運営の監督及び管理は、とりわけ下記の事項により構成される。
ア) 年次報告書の精査
イ) 業務の遂行過程、当行の状態、各国、契約の相手方及び市場リスクの現状及び進展、並びに業務
運営により発生する資本及び資本リスクの程度について記述する定例報告書の受理
ウ) 監査役が作成した報告書の検討
取締役会は、本定款第24条及び第25条の規定に従い、その権限の一部を一若しくは複数の取締役会構
成員又は第三者に委任することができる。権限及び機能の配分は、組織規則に規定される。
署名
取締役会構成員又はそれ以外の者が当行を正式かつ有効に代表する権利は、組織規則及び特別指令で
決定される。
報酬
取締役会は、取締役会構成員の報酬について決定する。
(p)執行役員会
構成
執行役員会は、組織規則で詳述される通り、執行役員会プレジデント及び少なくとも3名の他の構成
員により構成される。
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機能、権限
執行役員会プレジデントの指揮の下で行為する執行役員会は、当行の経営について責任を負う。執行
役員会は、連邦銀行法で規定される最高業務執行機関に相当する。執行役員会は、取締役会の決定する
戦略を実施し、取締役会の決定の執行を確保する。執行役員会は、当行の業績について責任を負う。
執行役員会及び取締役会により任命された他の管理部門の責任及び権限は、組織規則に規定されてい
る。
(q)監査役
法定の政府当局監督に従って、監査法人が監査役に任命される。
株主総会は、1年を任期として、監査役を選任することができる。監査役の権利及び職責は、法律の規
定により定められる。
株主総会は、3年の任期で、増資に必要な証明書を提供する特別監査役を任命することができる。
(r)財務諸表、利益処分、準備金
法定の財務書類は、毎年12月31日を決算日とする。
一般法定準備金の額が株式資本の20%に達するまでの間、各年の利益の少なくとも5%が当該準備金に
充当される。
残余の利益は、スイス連邦債務法及び連邦銀行法に従い、株主総会における株主の処分に委ねられる。
かかる株主は、任意準備金及び特別準備金の積立てのためにこれを使用することもできる。
株主総会は、取締役会の推薦に基づき、法律の規定に従って、準備金の使用について決定を行う。
(s)存続期間
当行の存続期間について、時間的制限はない。
(t)公告
公告は、スイス官報に掲載される。
取締役会は、他の刊行物を指定することもできる。
(u)管轄
会社関係から生じる紛争の管轄は、当行の2つの登記上の事務所とするが、株主総会決議を争うもの又
は株主総会決議若しくは取締役会決議の無効に関する訴訟は、例外的にチューリッヒの裁判所の専属的管
轄権に服する。
2【外国為替管理制度】
日本の居住者による証券投資及びスイスにおける証券投資の手取金又は利益配当の送金については為替管
理上の制限はない。適用ある法律上、連邦政府又はスイス中央銀行には、一般的な外国為替規制を導入する
権限はない。
国際連合(以下「国連」という。)による経済制裁は、最も一般的な国際的報復行為である。国連憲章に
従い、安全保障理事会は、平和を脅かす若しくは混乱させる、又は侵略行為を犯す国に対して経済的措置の
行使を命じる権限を有する。国連加盟以来、スイスは、国際公法上、当該制裁措置を行使するよう義務づけ
られている。
スイスにおいては、国際的制裁の行使に関する連邦法(通商禁止法)が、国際公法の遵守及び特に人権の
尊重を回復することを目的として、国連、OSCE(ヨーロッパ安全保障協力機構)又はスイスの最も重要な貿
易相手国により発せられる制裁を行使するため、高圧的措置を採択する法的根拠となっている。当該措置
は、連邦議会が公布する規則の様式で採択される。
銀行及びその他の金融機関は、スイス中央銀行に関する連邦法(以下「スイス中央銀行法」という。)に
基づき、スイス中央銀行が、スイスの金融市場の状況を調査し、把握できるよう、スイス中央銀行に統計資
料を提出するよう義務づけられている。
スイス中央銀行法上、スイスの銀行は、金融市場の機能を促進するため、最低限の準備金を保有するよう
義務づけられている。
スイス中央銀行は、現金の供給と分配を確保する。法律上、社債発行の特権が付与されている。
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金融政策を行う中で、スイス中央銀行は、法律上、金融制度の安定性に寄与するよう義務づけられてい
る。
スイス中央銀行は、連邦政府のための銀行でもある。
3【課税上の取扱い】
(1) 二重課税回避条約
1971年12月26日施行の所得に対する租税に関する二重課税の回避のためのスイスと日本との間の条約
(以下「条約」という。)(2010年5月21日に改正済)は、とりわけ、スイスにより課される源泉徴収税
を含む所得税及びキャピタル・ゲインにかかる税金に関して適用される。条約は、日本の居住者(個人及
び法人)に適用がある。
(2) スイスの所得税の取扱い
(a) 原則
日本の居住者は、スイスの恒久的施設を通じて商業活動又は事業活動を行わない限り、スイスの所得
税を課せられない。
(b) 社債に関する源泉徴収税
スイス国外のUBS AGの支店により発行された社債に関し支払われる利息については、手取金が常時ス
イス国外で使用される限り、スイス連邦源泉徴収税に服さない。
(c) 社債の売却益
日本の居住者がスイスの恒久的施設を通して商業活動又は事業活動を行わない限り、同人によって現
金化された社債の譲渡益はスイスにおいて課税されない。
(3) その他のスイスの税金
(a) 有価証券取引にかかる印紙税
スイス又はリヒテンシュタイン公国の居住者である銀行又はブローカー又はその他の証券ディーラー
が仲介者又は本人として、スイス印紙税法に関連するような取引に関与している場合にのみ、スイスの
有価証券取引にかかる印紙税が課される。
(b) 相続税及び贈与税
死亡者又は贈与者がスイスの居住者である場合にのみ、社債の移転はスイスの課税対象となることが
ある。
4【法律意見】
法律意見書は、エグゼクティブ・ディレクター兼リーガル・カウンセルであるケルサン・ツェン氏により
提出され、その内容は次の通りである。
(1) 当行は、スイス法に基づき適法に設立され、有効に存続する法人である。
(2) 有価証券報告書中のスイスの法令に関する記述は、真実、正確かつ誤りのないものである。
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第2【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
(1) UBS AG(連結ベース)
(単位:百万米ドル(億円))(注1)
(連結) 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
営業収益合計 31,727 28,831 30,044 30,642 29,307
(34,183) (31,063) (32,369) (33,014) (31,575)
営業費用合計 26,113 24,643 24,969 25,184 24,138
(28,134) (26,550) (26,902) (27,133) (26,006)
税引前営業利益/(損失) 5,614 4,188 5,076 5,458 5,169
(6,049) (4,512) (5,469) (5,880) (5,569)
株主に帰属する当期純利益/(損失) 6,506 3,351 758 4,107 3,965
(7,010) (3,610) (817) (4,425) (4,272)
資産合計 941,817 919,236 940,020 958,055 971,916
(1,014,714) (990,385) (1,012,778) (1,032,208) (1,047,142)
株主に帰属する持分 55,272 52,957 51,987 52,256 53,754
(59,550) (57,056) (56,011) (56,301) (57,915)
利益剰余金 22,664 21,480 22,189 23,317 23,451
(24,418) (23,143) (23,906) (25,122) (25,266)
資本金 338 338 338 338 338
(364) (364) (364) (364) (364)
資本利益率(%)(注2) 11.8 6.0 1.4 7.9 7.4
リスク加重資産 207,843 219,330 242,725 262,840 257,831
(注3) (223,930) (236,306) (261,512) (283,184) (277,787)
普通株式等Tier 1自己資本比率
(%)(注3) 15.4 14.5 14.0 13.2 13.7
ゴーイングコンサーン・ベースの自己資本比
率(%)(注3) 16.3 15.6 16.1 18.3
総損失吸収力比率(%)(注3) 29.6 31.4 31.3 33.9
レバレッジ比率分母 896,771 855,718 910,133 904,458 911,232
(注3) (966,181) (921,951) (980,577) (974,463) (981,761)
普通株式等Tier 1レバレッジ比率
(%)(注3) 3.57 3.73 3.75 3.83 3.87
ゴーイングコンサーン・ベースのレバレッジ
比率(%)(注3) 4.2 4.2 4.7 5.2
総損失吸収力レバレッジ比率
(%)(注3) 7.6 8.4 9.1 9.6
営業活動による正味キャッシュ・フロー 2,069 -19,172 -53,147 27,744 18,805
収入/(支出)(注4) (2,229) (-20,656) (-57,261) (29,891) (20,261)
投資活動による正味キャッシュ・フロー -8,739 36,655 5,444 -5,918 -1,374
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収入/(支出)(注4) (-9,415) (39,492) (5,865) (-6,376) (-1,480)
財務活動による正味キャッシュ・フロー -5,774 299 27,758 963 -24,738
収入/(支出)(注4) (-6,221) (322) (29,906) (1,038) (-26,653)
現金及び現金同等物期末残高 102,792 118,984 104,787 125,853 119,804
(110,748) (128,193) (112,898) (135,594) (129,077)
従業員数(人)(フルタイム換算) 58,131 56,208 46,009 47,643 47,005
(注1)2018年10月1日より、UBSグループAG及びUBS AGのスイス本店の機能通貨がスイス・フランから米ドルに変更され、UBS AGのロン
ドン支店の業務に使用される機能通貨も英ポンドから米ドルに変更されている。この変更に則して、2018年第4四半期の報告か
ら、UBSグループAGとUBS AGの連結財務諸表の表示通貨はスイス・フランから米ドルに変更されている。従前の期間は、この表示
通貨の変更に関し、修正再表示されている。資産、負債及び資本合計は、各貸借対照表日における決算日為替レートで米ドルに
換算され、収益及び費用は関連ある期間の平均レートで換算された。
(注2)株主に帰属する当期純利益/株主に帰属する平均持分で計算されている。
(注3)2020年1月1日現在のスイスのシステム上関連ある銀行(SRB)の枠組みに基づいている。
(注4)2015年に関して開示された米ドル額は、元々スイス・フランで公表されたキャッシュ・フローを当該年度の平均為替レートで米
ドルに換算した数値を表示している。これは、簡易的換算手法であり、IAS第21号 外国為替レート変動の影響 に従い米ドルを表示
通貨として修正再表示された数値ではない。
(2) UBS AG(単体ベース)(注)
(単位:百万スイス・フラン(億円))
2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
11,984 3,244 909 3,269 3,890
当期純利益/(損失)
(13,441) (3,638) (1,020) (3,667) (4,363)
15,263 15,111 10,297 11,853 11,962
営業収益合計
(17,119) (16,948) (11,549) (13,294) (13,417)
477,045 439,476 476,977 472,184 463,681
資産合計
(535,054) (492,916) (534,977) (529,602) (520,065)
資本合計 51,728 51,539 49,947 50,250 50,055
(資本準備金取崩/
(58,018) (57,806) (56,021) (56,360) (56,142)
配当金支払前)
386 386 386 386 386
資本金
(433) (433) (433) (433) (433)
(注)上の表のUBS AGの単体ベースの数値は、スイスGAAP(FINMA令2015/1「会計-銀行」及び改正後の銀行法)に従い表示されてい
る。
2【沿革】
当行の法律上及び商業上の名称は、ユービーエス・エイ・ジー(ユービーエス・エス・エイ/ユービーエ
ス・インク)である。当行は、スイス・ユニオン銀行(1862年設立)及びスイス銀行コーポレイション
(1872年設立)が合併しユービーエス・エイ・ジーとなった1998年6月29日に設立された。
2014年に、UBSグループの持株会社としてユービーエス・グループ・エイ・ジー(UBS Group AG)(以下
「UBSグループAG」という。)が設立された。
当グループの法人体制に関する直近の変更
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2014年、当グループは、スイスの大きすぎて潰せない規制要件並びに当グループが事業を行う他の国々に
おける再生・破綻処理規制に応じ、当グループの破綻処理の実行可能性の向上を目的とした法人体制の調整
を開始した。
当グループでは、規制要件及びその他の外部動向に応じた法人体制の更なる変更を引き続き検討してい
る。かかる変更には、EUにおける事業子会社の更なる統合及び計上を行う事業体又は商品及びサービスの配
置の調整が含まれる可能性がある。
2014年 持株会社 ・UBSグループAGが当グループの持株会社となった。
2015年 UBSの体制 ・当グループは、スイスで記帳された個人及び法人向け銀行事業並びに
ウェルス・マネジメント事業をUBS AGから新しく設立されたUBSスイ
スAGに移転した。
・UBSグループAGの直接子会社であるUBSビジネス・ソリューションズAG
は、当グループのサービス会社として設立された。
2016年 UBSの体制 ・UBSアメリカズ・ホールディングLLCを、当グループの米国子会社の中
間持株会社に指定した。
・ヨーロッパ諸国に所在するウェルス・マネジメント子会社をUBSヨー
ロッパSEに統合した。
・アセット・マネジメントの事業子会社の大部分をUBSアセット・マネ
ジメントAGに移転した。
・損失吸収AT1資本性証券及びTLAC適格非劣後無担保債務(UBSグループ
AGによる保証付)を発行する目的で、直接完全子会社としてUBSグルー
プ・ファンディング(スイス)AGを設立した。
2017年 UBSビジネス・ソ ・スイス及び英国における共通業務をUBS AGからUBSビジネス・ソ
リューションズ
リューションズAGに移転した。
・当グループは、米国における共通業務を、UBSアメリカズ・ホール
ディングLLCの完全子会社で、米国のサービス会社であるUBSビジネ
ス・ソリューションズ US LLCへ移転した。
2019年 UBSヨーロッパSE ・英国に本店を有する当グループの子会社であるUBSリミテッドをドイ
UBSグループ・ファン ツに本店を有する当グループの欧州子会社であるUBSヨーロッパSEに合
ディング(スイス)AG 併した。
・当グループは、未償還の損失吸収AT1資本性証券及びTLAC適格非劣後
無担保債務をUBSグループ・ファンディング(スイス)AGからUBSグ
ループAGに、当該会社を発行者として、移転した。
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3【事業の内容】
UBS AGは、その子会社と共に、世界中の個人顧客、機関投資家顧客及び法人顧客並びにスイスの個人顧客
に対し、金融アドバイス及びソリューションを提供している。UBS AGはスイスの銀行である。UBS AGは、UBS
グループの持株会社であるUBSグループAGの完全子会社である。UBSグループは、4つの事業部門(グローバ
ル・ウェルス・マネジメント、パーソナル&コーポレート・バンキング、アセット・マネジメント及びイン
ベストメント・バンク)及びコーポレート・センターからなるグループとして事業を行っている。コーポ
レート・センターは、2020年第1四半期からグループ・ファンクションに改称されている。
以下は、UBS AG(連結ベース)の情報ではなく、UBSグループAG(連結ベース)の情報であり、専ら参考情
報として記載している。UBSグループAG(連結ベース)の当該情報は、UBS AG(連結ベース)と大きな差異は
ないことに留意されたい。
本項には将来に関する事項が含まれているが、当該事項は2019年12月31日現在において判断したものであ
る。
協働
当グループは、グローバル・ウェルス・マネジメント、パーソナル&コーポレート・バンキング、アセッ
ト・マネジメント及びインベストメント・バンクの4つの事業部門を通じて事業を展開している。当グルー
プのグローバルな広範さと専門知識の広がりは、当グループの競合企業の中で際立つ主要な資産である。当
グループは、事業部門内及び事業部門間の両方での協力体制が当グループの成長の鍵であると考えている。
当グループは、例えば、グローバル・ウェルス・マネジメント及びインベストメント・バンク並びにグロー
バル・ファミリー・オフィスの合弁会社全体で単一の統合された資本市場グループを創出することにより、
より包括的でより良いソリューションを顧客に提供するために当グループの強みを結集することで、当グ
ループはベストな態勢となる。
当グループは、その強みを結集することで、更に成長することができる。 グループ・フランチャイズ・ア
ワード 等のイニシアチブは、従業員に対し、地域・分野間の橋渡しを構築し、当グループ全体として顧客に
サービスを提供する方法を模索することを奨励している。
グローバル・ウェルス・マネジメント
当部門は、真に世界的な最大のウェルス・マネジャーであり、投資資産2.6兆米ドルを有する。当部門の目
標は、プライベート顧客及びファミリー・オフィスに、個々のニーズに応じたアドバイス及びソリューショ
ンを提供することである。
当部門では、2018年のウェルス・マネジメントとウェルス・マネジメント・アメリカズの統合以降、継続
して、顧客へ包括的なサービスを提供し、事業運営の効率性を捉え、当部門の事業への投資を行っている。
グローバル・ウェルス・マネジメントに属する22,000人を超える従業員が、顧客の目標達成を支援してい
る。特に超富裕層セグメントにおける当部門のプレゼンスは強固であり、当部門は世界中の富裕層の過半数
に対するアクセスを有している。
日本においては、三井住友トラスト・ホールディングス株式会社(以下「三井住友トラスト・ホールディ
ングス」という。)との間で、ウェルス・マネジメントに関する包括的かつ戦略的な提携を締結した。新合
弁会社は、UBSのウェルス・マネジメントの能力と、三井住友トラスト・ホールディングスの日本最大の独立
系信託銀行としての地位を融合する。三井住友トラスト・ホールディングスは、銀行業務、不動産、資産及
び財産アドバイザリー・サービス等、幅広いサービスを提供しており、日本では顧客へのアクセスが強固で
あり、かつ知名度が高い。
グローバル・ウェルス・マネジメントの組織改編
2020年1月、当グループは、グローバル・ウェルス・マネジメントの成長計画を実現し、顧客に提供する
サービスの質と価値を高めるために、いくつかの取り組みを発表した。第一に、よりきめ細かいサービス及
びソリューションを提供するために、それぞれの顧客のニーズに基づき当部門の商品及びサービスを見直し
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た。第二に、当部門では、アドバイザーがより多くの時間を顧客に費やし、彼らのニーズや好みをよりよく
理解することを容易にし、かつ市場への対応力及びスピードを向上させるための対策を取った。当部門は、
EMEA に3つの明確な事業部門(ヨーロッパ、中央及び東ヨーロッパ、並びに中東及びアフリカ)を創設し、
これらの市場における多様な機会を今まで以上にうまく捉えることができるようにした。最後に、インベス
トメント・バンク及びアセット・マネジメントとの戦略的パートナーシップを通じて、当グループの全ての
能力を提供していく予定である。
当部門の焦点
当部門は、世界中の富裕層及び超富裕層の個人、家族及びファミリー・オフィス、並びに特定の市場の準
富裕層にサービスを提供している。当部門の組織改編により、超富裕層個人顧客に提供するグローバル・
ファミリー・オフィスの能力をより多くの顧客に提供できるようにし、合計約1,500のカバレッジを目指して
いる。
1
当部門は米国外の超富裕層セグメントでも既にマーケット・リーダーである 一方で、米国内の富裕層に
選ばれる会社になり得ると確信しており、その富裕層の多くは既にUBSと関係を有している。当部門のグロー
バルに分散化された拠点網により、最大のウェルス市場(米国)と最速で拡大するウェルス市場(アジア太
平洋地域)の両方での成長を捉えることができる。
1 グローバル・ウェルス・マネジメントのマーケット・ポジションに関する記載は、公表された投資資産及び内部の見積りに基づく
UBSの見積りである。
当部門は、運用委託契約及び貸付の浸透率を上昇させ、顧客に対する革新的なソリューションを提供し
(例えば、ストラクチャード・ソリューション、民間市場、持続可能性、テーマ別投資)、かつ業務プロセ
スの効率化により当部門のアドバイザーの生産性を向上させることに注力している。また、当部門は、緩や
かな人員削減を継続し、顧客の事業に占める当部門のシェア拡大を目指している。
当部門は、顧客のニーズにより的確に応え、効率を高めるために、顧客及び顧客アドバイザーを支えるオ
ペレーティング・プラットフォーム及びツールに投資している。2019年12月31日現在、南北アメリカ以外で
計上された投資資産の約80%が ウェルス・マネジメント・プラットフォーム によるものであったが、これ
は、当部門が当該地域のオペレーティング・プラットフォームを統合し続けているためである。当部門で
は、米国において、第三者ソフトウェア・プロバイダーであるブロードリッジ社と共同で、 ウェルス・マネ
ジメント・アメリカズ・プラットフォーム を構築しており、このプラットフォームは、2021年に運用を開始
する予定である。当部門のプラットフォームの発展は、当部門の顧客及びアドバイザーの利益のためのデジ
タル力の強化と共に進められている。
当部門の事業
当部門では、世界最大の市場及び世界最速で拡大する市場において基盤を構築することで、グローバルな
拠点網を有し、グローバルな関心及び需要を有する顧客にサービスを提供する体制を整えている。米国は当
部門の投資資産の50%超を占める最大の市場である。投資資産に基づくと、当部門はアジア太平洋地域では
1
最大、ラテン・アメリカでは2番目に大きいウェルス・マネジャーである。
1 グローバル・ウェルス・マネジメントのマーケット・ポジションに関する記載は、公表された投資資産及び内部の見積りに基づく
UBSの見積りである。
1
スイスでは、当部門は、主導的なマーケット・ポジション を維持しており、パーソナル&コーポレー
ト・バンキング部門、アセット・マネジメント部門及びインベストメント・バンク部門全体で、当グループ
の商品及びサービスの全範囲を展開することができる。
1 グローバル・ウェルス・マネジメントのマーケット・ポジションに関する記載は、公表された投資資産及び内部の見積りに基づく
UBSの見積りである。
当部門のヨーロッパにおける広範な国内拠点網により、現地に適した商品及びサービスを提供することが
可能になり、また、中央ヨーロッパ、中東及びアフリカの各地の現地事務所では、顧客との緊密さを維持す
る。
インベストメント・バンク部門及びアセット・マネジメント部門との戦略的パートナーシップを通じて、
当部門では、顧客に融資、世界の資本市場及びポートフォリオ・ソリューションを幅広く提供する。
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組織改編の一環として、超富裕層顧客関係とアドバイザーを地域別事業部門に統合し、顧客に対する迅速
さと近接性を高めた。当部門で新たに設立したグローバル・キャピタル・マーケッツのチームでは、インベ
ス トメント・プロダクト・サービス(IPS)部門とインベストメント・バンクの各チームとそれぞれの専門知
識を統合した。グローバル・キャピタル・マーケッツのチームは、顧客に対し、強化された商品及びサービ
ス、より迅速な取引実行、より競争力のある条件を提供する。
当部門の主要な競合企業は、米国外でのプレゼンスが小規模な米国の大手企業(バンク・オブ・アメリ
カ、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレー、ウェルズ・ファーゴを含む。)又は、米国でのプレゼ
ンスが小規模な地理的に多様な企業(BNPパリバ、クレディ・スイス、HSBC及びジュリアス・ベアを含む。)
である。当部門の規模、地理的プレゼンス及び分散した顧客ポートフォリオは並外れており、他のウェル
ス・マネジャーが有機的に真似るのは困難であると考えられる。
当部門が提供する商品及びサービス
当部門のウェルス・マネジメントに対する独自の取り組みは、顧客との契約を強化し、顧客が自らの最良
を追求するのを支援することを目的としている。
当部門は、統合された単一の事業部門として業務を行うことで、顧客にウェルス・マネジメントに関する
最良のソリューション、サービス及び専門知識をグローバルに提供することを目指している。当部門の専門
家は、最新意見発信、投資分析及び練られた投資戦略を顧客に提供し、彼らのためのソリューションを発展
させ、入手する。チーフ・インベストメント・オフィス(CIO)は、簡明で包括的な UBSハウス・ビュー を提
供し、これは、世代を超えて顧客の資産を保護し、成長させることを企図する投資機会を特定し、伝達す
る。地域の顧客戦略チームは、顧客のニーズ、行動及び嗜好について当部門の理解を深め、顧客のニーズに
合わせて、より良い商品及びサービスを提供することを可能にする。当部門の商品の専門家は、最も重要な
投資の運用委託契約、革新的な長期的テーマ及び持続可能な投資に関する商品及びサービスの提供を含むイ
ンベストメント・ソリューションを提供する。
顧客は、ウェルス・プランニング、投資、慈善事業、コーポレート及びバンキングの各サービス並びに
ファミリー・アドバイザリー・サービスを含む、当部門の包括的な一連の能力及び専門知識から利益を得て
いる。また、仕組金融、モーゲージ及び有価証券に基づく貸付全般にわたって、相当程度の専門知識を提供
している。
当部門は、商品及びサービスを向上させ、変化する顧客ニーズに応えるよう努めている。2019年には、ス
イスで UBSマネージ による新しい商品及びサービスを開始した。また、拡大する需要に対応するため、顧客の
民間市場における独占的機会を拡大した。当部門の持続可能な投資ソリューションは引き続き好評を博して
いる。現在、100%持続可能な投資ソリューションと固有の持続可能な投資ソリューションにおける投資資産
は、90億米ドルを超えるまでに成長している。また、持続可能な投資商品及びサービスを拡大し、BMOグロー
バル・アセット・マネジメント、ジェネレーション・インベストメント・マネジメント、KKR & Co. Inc.等
の外部パートナーと協力して、顧客に対し革新的な持続可能な開発に関連した投資機会を提供した。
当部門の顧客にサービスを提供する方法
当部門は各地域の営業所、専門のアドバイザー及び経験豊富な専門家を通じて顧客にサービスを提供す
る。当部門では、見通しの中でUBSに対する意識を高めるのを助け、アドバイザーと顧客との間の信頼関係を
強化するために、デジタルチャネルと非デジタルチャネルを組み合わせて(マーケティング・キャンペー
ン、イベント、広告、出版物及びデジタル・オンリー・ソリューションを含む。)使用している。
当部門の組織構造
当部門の事業は、地域別の事業部門である、米国及びカナダ、中南米、ヨーロッパ、中央及び東ヨーロッ
パ、中東及びアフリカ、アジア太平洋、並びにスイスから成る。当部門はまた、グローバル・ファミリー・
オフィスの顧客を対象とする事業部門を有する。これらの事業部門を支えるグローバルな能力に関する中心
機能は、CIO、グローバル・バンキング、グローバル・キャピタル・マーケッツ及びチーフ・オペレーティン
グ・オフィスである。当部門は、執行委員会、リスク委員会、運営委員会、資産・負債管理委員会によって
管理運営されている。
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パーソナル&コーポレート・バンキング
スイスにおける主導的な個人及び法人向け銀行として、当部門は、個人顧客、法人顧客及び機関投資家顧
客に対して総合的な金融商品及びサービスを提供している。当部門は、スイス国内の個人顧客及び法人顧客
向け貸付市場における主要なプレイヤーの一つであり、相当程度の貸付ポートフォリオを有している。パー
ソナル&コーポレート・バンキング部門は、当グループのスイスにおけるユニバーサル・バンクの業務提供
モデルの中核を成している。
当部門の焦点
当部門は、スイスにおける主導的な個人及び法人向け銀行であり、優れた顧客経験を提供し、テクノロ
ジーと接客を組み合わせている。
当部門では、当部門の事業分野全体に亘り、成長へのイニシアチブに関する強固なパイプを確立した。
2019年11月1日付で、新たな事業分野であるデジタル・プラットフォーム&マーケットプレイスを立ち上
げ、モーゲージに関するプラットフォームを利用した商品及びサービスを急速に拡充した。
更に、当部門では、プロセスの合理化やデジタルの新しいセルフ・サービス・ツールの導入により、効率
化を目指している。例えば、延長のためのモーゲージに関する統合されたワークフローを展開したことで、
契約の締結にかかる時間が大幅に短縮される。また、コンタクト・センター設置を更に最適化し、反復プロ
セスの自動化を進め、受領する物理的な郵便物や書類を電子化することで処理時間を短縮するデジタルの
メールルームの試用を開始した。テクノロジーは、顧客中心のオペレーティング・モデルにおいて重要な役
割を果たしており、当部門はデジタル分野でのリーダーシップの拡大を目指している。当部門の複数年に亘
るデジタル化プログラムにより、顧客経験を更に向上させることができる。当部門は、技術的なソリュー
ションにより、より焦点を絞った方法で、顧客に新しい商品を提供し、新しいクロス・セリングの機会を見
極めることを可能にしている。
業務面では、サービスの質と全体的な機動性を向上させる一方で効率性を重視し、卓越した取引実行を追
求している。当部門のデジタル変革への取り組みを拡大するため、2019年には、スイスに最初の工場よりも
規模の大きい第2のデジタル工場を開設した。これらのデジタル工場には、様々な機能全体で従業員約1,100
名が所属している。更に、イノベーションを推進し、主要な人材を引きつけるために、活発なアカデミーと
迅速なローンチ・フォーマットを導入した。
当部門の事業
当部門は、主にスイスの自国市場で事業を行っている一方で、当部門のフランクフルト、ニューヨーク、
香港、シンガポールの拠点を通じて、当部門のスイスの法人及び機関投資家顧客の国際的な事業活動の拡大
を支える能力を提供している。当グループは、法人顧客に向けた現地の銀行業務能力を海外に提供している
唯一のスイスの銀行である。
コーポレート&インスティテューショナル・クライアント事業では、当部門の主要な競合企業は、クレ
ディ・スイス、州立銀行及びグローバルに事業を展開している外国銀行である。当部門が競合している分野
としては、基本的な銀行サービス、キャッシュ・マネジメント、貿易及び輸出金融、アセット・サービシン
グ、機関投資家向けの投資アドバイス、コーポレート・ファイナンス、貸出並びに銀行の資金及び証券取引
が含まれる。
スイスのパーソナル・バンキング事業では、当部門の競合企業は、クレディ・スイス、ポストファイナン
ス、ライファイゼン、州立銀行並びにその他スイスの地域銀行及び地方銀行である。これらの伝統的な企業
に加えて、スイス市場やネオバンクに参入する国際的な企業との競争にも直面している。当部門が競合して
いる分野には、基本的な銀行業務、モーゲージ及び外国為替並びに運用委託契約及びファンドが含まれる。
当部門が提供する商品及びサービス
当部門の個人向け銀行業務の顧客は、ライフサイクルを通じた総合的な商品及びサービスと利便性の高い
デジタル・バンキングを利用できる。当部門は、支払から預金、カード、オンライン・バンキング及びモバ
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イル・バンキング、貸付(主にモーゲージ)、投資並びにリタイアメント・サービスに至るまで、幅広い基
本のバンキング商品を提供している。全体としてのサービスの範囲は当部門の UBSキークラブ 特典プログラム
に よって補完されており、これは、スイス在住の顧客に独占的で魅力的なサービスを提供する(第三者パー
トナーからの提供を含む。)。グローバル・ウェルス・マネジメント部門との緊密な連携のもと、当部門で
は主要なプライベート・バンキング及びウェルス・マネジメントの各サービスを提供している。
法人顧客及び機関投資家顧客は、特に、株式及び債券市場、シンジケート・ローン及び仕組信用商品、私
募発行、リース並びに従来型融資の利用機会を指す金融及び投資ソリューションから恩恵を受けている。当
部門のトランザクション・バンキング事業は、支払及びキャッシュ・マネジメント・サービス、貿易及び輸
出金融に関するソリューション、並びに機関投資家顧客向けのグローバルなカストディ・ソリューションを
提供している。
当部門は、資本市場及び外国為替商品、ヘッジ戦略及びトレーディング能力、並びに法人向け金融アドバ
イスを提供するのにインベストメント・バンク部門と緊密に連携している。また、アセット・マネジメント
部門と連携して、ファンド及びポートフォリオ運用ソリューションを提供している。
当部門の顧客にサービスを提供する方法
当部門は、スイスでオンライン及びモバイル・バンキングの普及率が最も高いデジタル分野の先導者とし
て認知されており、当部門の先導的な地位を更に強化するために引き続きマルチ・チャネルな販売モデルに
投資している。
当部門では、一部の拠点について、デジタル支援拠点として機能する、より小規模で機動的な支店へ転換
することにより、変化する顧客のニーズに合わせて従来の支店フォーマットを応用し、基本的な顧客ニーズ
に対するアドバイスに沿って強固なプレゼンスを現地に確保することを目指している。当部門は、革新的か
つ顧客中心の方法で、特に、目的の異なる将来の支店フォーマットを定義することにより、物理的な拠点網
の再構築を更に進めることを目指している。
加えて、当部門では、基本的な銀行サービス及び取引を提供するコンタクト・センターやデジタル・チャ
ネルを通じて、当部門の顧客に専門知識を提供し続けている。専門の顧客アドバイザーは、より個別化した
ソリューションを必要とする個人向け銀行業務の顧客にサービスを提供している。
当部門では、持続可能性に関するロードマップの一環として、商品及びサービスを大幅に拡大している。
当部門のパーソナル・バンキング顧客及び機関投資家顧客は、多くの持続可能な投資ソリューションへのア
クセスを有し、かつ当部門ではコーポレート・バンキング顧客のための革新的なアプローチを推進してい
る。例えば、スイスの上場企業のために最初のグリーンボンドを発行した。
マーケティング・キャンペーンでは、オンライン・メディア(ソーシャル・メディア及び検索エンジン広
告を含む。)、屋外広告(ポスター及びデジタル掲示板)を活用し、更に、プリント広告、テレビ広告、ラ
ジオ広告及びシネマ広告等をごく選択的に活用している。スイスの銀行業界におけるデジタル分野の先導者
としての地位に合わせて、また、当該チャネルの費用対効果を理由に、当部門はデジタル・ファースト・メ
ディア戦略を採用している。当部門のメディア向け支出の50%超がオンライン・チャネルに対するものであ
る。
当部門の組織構造
当部門の事業は、パーソナル・バンキング、コーポレート&インスティテューショナル・クライアント、
及びデジタル・プラットフォーム&マーケットプレイスから成っている。地勢的には、267の支店を有する当
部門の事業は10の地域に亘って組織されており、独自のスイス経済地域をカバーしている。当部門は執行委
員会、リスク委員会及び運営委員会によって管理運営されており、主に、UBSスイスAGを通じて事業が運営さ
れている。
アセット・マネジメント
UBSアセット・マネジメント部門は、9,030億米ドルの投資資産を有する大規模で多角的な世界的アセッ
ト・マネジャーである。当部門は、全ての主要な従来型及び代替的な資産クラスを対象に投資運用能力及び
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投資手法を提供しており、世界中の機関投資家、ホールセール仲介業者及びグローバル・ウェルス・マネジ
メントの顧客に対しアドバイザリー・サポートを提供している。
当部門の焦点
当部門の戦略は、当部門が主導的な地位を有する分野の活用に焦点を当て、更なる利益拡大及び規模の拡
大を図ることである。
顧客は投資目標を持続可能性の目的と組み合わせるソリューションをより一層求めており、サステイナブ
ル及びインパクト・インベスティングは依然として重要な分野である。当部門は、気候変動に配慮したソ
リューション等の分野で、世界クラスの能力の拡充を継続する。当部門は、商品及びサービスの革新、専用
のリサーチ、環境、社会及びガバナンス要素の投資プロセスへの統合、独自の分析手法の活用、積極的な法
人との契約を通じて、これを実行する。
当部門は、民間市場や代替的運用業務の重要性の高まりに対応して、ヘッジファンドや不動産事業をはじ
めとするこれらの分野における当部門の既存の専門知識、並びにインフラストラクチャー、プライベート・
エクイティ及び私募債全般に関する能力を強化している。
1
当部門は、アジア太平洋、ヨーロッパ及びスイス地域における上場ファンド(ETF)を含め、受賞歴 のあ
る指数連動型及びオルタナティブ・ベータ事業の開発を継続している。当部門は、拡張性の高いプラット
フォームを活用しながらカスタマイズを提供し、特に持続可能性や債券商品等の主要分野に重点を置いてい
る。2016年以降、オルタナティブ・ベータ事業は、投資資産において約85%の伸びを示している。
1 ヨーロッパを基盤とした指数連動型プレイヤーとしてはピアグループの公的報告ベースで2番目に大きく(2019年第3四半期に
UBS算出)、2019年12月現在でヨーロッパのETFプロバイダーとしては4番目に大きい(出典: ETFGI)。
地理的には、アジア太平洋地域での広範囲及び長期に亘るプレゼンスを基に、世界最速で拡大するアセッ
ト・マネジメント市場の一つである中国(オンショア及びオフショア両方)での当部門の主導的プレゼンス
及び商品に投資を行っている。
急速に進化する魅力的なホールセール・セグメントでは、顧客への継続的な浸透、販売代理店との戦略的
パートナーシップの拡大、顧客サービス提供の構築の組合せにより、市場シェアの大幅な拡大を目指す。
公開市場か民間市場かを問わず、当部門の広範で充実した能力へのアクセスを提供し、これらを組み合わ
せる当部門のインベストメント・ソリューション事業を更に成長させるため、当部門では、世界中の顧客の
ニーズを充たす優れたマルチ・アセット戦略及びホワイトラベル・ソリューションを提供することに焦点を
当てている。
また、当部門のチームが当グループ全体から最高のアイデア、ソリューション及び能力を引き出し、顧客
のために優れた運用実績と経験を提供できるように、特にグローバル・ウェルス・マネジメントとの部門横
断的な連携を引き続き強化している。
当部門の成長を支えるために、当部門は、オペレーショナル・エクセレンスに関するイニシアチブの規律
ある実行に焦点を当てている。これには、特定の活動の更なる自動化、簡素化、プロセスの最適化、オフ
ショアリング/ニアショアリングが含まれ、当部門のプラットフォームの継続的な近代化並びに当部門の分
析及びデータ能力の開発により補完されている。
2020年1月、当部門は、当部門の顧客のために商品及びサービスの規模と領域を拡大し、更に、競争の激
しい市場において、世界クラスの事業を継続的に発展させること企図して、当部門のプラットフォーム事業
の運営体制をいくつか変更することを発表した。この変更には、UBSフォンドセンターの過半数株式
(51.2%)を、ドイツ証券取引所グループの取引後のサービス・プロバイダーであるクリアストリームに売
却する計画も含まれる。この売却は、通常のクロージング条件を前提に、2020年下半期に完了する見込であ
る。また、より広範な当グループの専門知識とリソースを最大限に活用し、事業の成長を加速させるため、
当部門の革新性の高いホワイトラベルのテクノロジー・ソリューションである UBSパートナー を、パーソナ
ル&コーポレート・バンキング事業部門内のコーポレート&インスティテューショナル・クライアント・イ
ンターナショナル事業に譲渡することを決定した。 UBSパートナー は、UBSの「銀行のための銀行」顧客への
商品及びサービスの一部となる予定であり、これは、顧客に対しUBSの最善を尽くすための当グループ全体で
の協働の取り組みにおけるめざましい一歩となる。
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このような変化の中で、当部門では、顧客のための提案を大きく変更しており、これにより顧客が拡大し
たプラットフォーム能力にシームレスにアクセスするようになると同時に、当部門は戦略的優先事項の実行
に一層焦点を当てることができる。
当部門の事業
当部門は世界の主要なアセット・マネジメント市場を網羅し、南北アメリカ、ヨーロッパ、中東及びアフ
リカ、スイス、並びにアジア太平洋地域の4つの地域に現地のプレゼンスを有している。
当部門の主要な競合企業には、アムンディ、ブラックロック、DWS、ゴールドマン・サックス・アセット・
マネジメント、インベスコ、JPモルガン・アセット・マネジメント、モルガン・スタンレー・インベストメ
ント・マネジメント及びシュローダー等の幅広い能力と販売チャネルを有するグローバル企業並びに特定の
市場や資産クラスに重点を置く会社が含まれる。
当部門が提供する商品及びサービス
当部門は、異なる資産クラスについて、分離、合同又はアドバイザリー契約及び様々な法域を対象とした
登録済投資ファンドの形式で、広範囲にわたる投資運用商品及びサービスを顧客に提供している。
当部門の従来型及び代替的な能力には、株式運用業務、債券運用業務、ヘッジ・ファンド業務、不動産投
資及び民間市場業務、指標連動型及びオルタナティブ・ベータ戦略(ETFを含む。)、並びに持続可能及びイ
ンパクト投資の商品及びソリューションが含まれる。
当部門のインベストメント・ソリューション事業は、(ⅰ)リスク/リターン・スペクトラムを対象とし
た資産配分及び通貨投資運用戦略、(ⅱ)カスタマイズされたマルチ・アセット・ソリューション、アドバ
イザリー及び信託サービス、並びに(ⅲ)マルチ・マネジャー型のヘッジ・ファンド・ソリューション及び
アドバイザリー・サービスを提供する能力の広範さを利用している。
当部門の顧客にサービスを提供する方法
当部門は投資運用商品とサービスを直接、機関投資家顧客に提供している。富裕層及びリテール顧客は、
グローバル・ウェルス・マネジメント、第三者である銀行及び販売者を通じてサービスを受けている。
当部門のチームは主要な金融市場に拠点を置き、世界中の顧客に独自の視点と世界的な専門知識を提供し
ている。これにより、当部門の現地のプレゼンスと相まって、当部門のチームは、顧客と長期的な関係を構
築し、彼らの具体的なニーズを深く理解することができる。
当部門の組織構造
当部門の事業分野は、クライアント・カバレッジ、インベストメント、不動産投資&プライベート・マー
ケット、プロダクト、並びにCOO分野の5つの分野に沿って構成されている。当部門は4つの地域に亘る世界
各国を基盤とし、シカゴ、香港、ロンドン、ニューヨーク、上海、シンガポール、シドニー、東京及び
チューリッヒに9つの主たる拠点を有する。
当部門は執行委員会、リスク委員会及び運営委員会(事業部門特有の委員会に補完される。)によって管
理運営されている。
インベストメント・バンク
インベストメント・バンク部門は、機関投資家顧客、法人顧客及びウェルス・マネジメント顧客に広範な
サービスを提供することで、当該顧客が資本を調達し、事業を拡大し、成長のために投資を行い、リスクを
管理する一助となっている。当部門は、株式、外国為替、リサーチ、アドバイザリー・サービス及び資本市
場の分野における従来の強みに重点を置いており、対象となる金利事業及びクレジット事業のプラット
フォームによりこれを補完している。当部門は、当部門の効果的なリサーチ能力及び技術能力を利用し、市
場構造の発展並びに規制、技術、経済及び競争上の見通しの変化に順応するよう顧客を支援している。
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当部門は、知的資本と電子プラットフォームを利用し、市場を主導するソリューションを顧客に提供する
ことを目指している。また、当グループの貸借対照表、コスト、リスク加重資産及びレバレッジ比率分母を
規律に沿って管理しながら、グローバル・ウェルス・マネジメント、パーソナル&コーポレート・バンキン
グ 及びアセット・マネジメントにサービスを提供している。
当部門の低資本の事業モデルにより、インベストメント・バンクがデジタル、リサーチ及びバンキングの
能力を提供することを可能にし、当グループのリソースの最大3分の1を消費する。
インベストメント・バンクの構造改革
2020年1月、当部門は、顧客の進化するニーズに応え、利益ある成長とデジタル変革の機会にリソースを
更に集中させるため、インベストメント・バンクを再編した。コーポレート・クライアント・ソリューショ
ン及びインベスター・クライアント・サービスは、それぞれグローバル・バンキング及びグローバル・マー
ケッツに名称変更された。グローバル・バンキングは、グローバル・カバレッジ・モデルを採用して、2つ
のプロダクト・バーティカル(キャピタル・マーケッツ及びアドバイザリー)に移行する。グローバル・
マーケッツは、株式業務と外国為替、金利及びクレジット業務を統合し、3つのプロダクト・バーティカル
(エグゼキューション&プラットフォーム、デリバティブ&ソリューション及びファイナンシング)と3つ
の横断的分野(リスク&トレーディング、ディストリビューション及びデジタル・トランスフォーメーショ
ン)を導入している。新しいグローバル・マーケッツの構造は、事業プロセスと事業運営の整合性を促進
し、非効率性と重複を減らすために設計されている。更に、新構造により、当部門の顧客の商品横断的ニー
ズをより包括的に把握することができ、クライアント・カバレッジと販売の緊密な連携の促進が企図されて
いる。これにより、主要なリスクの監視及びリソース配分の改善が可能となる。インベストメント・バン
ク・リサーチ及びUBSエビデンス・ラボ・イノベーションは、当部門のアドバイザリー及びコンテンツの提供
の重要な部分であり続けている。
この変更は1月1日から実施され、当グループは2020年第1四半期の業績に先立ち、前の期間について修
正再表示された情報を提供する予定である。
当部門の焦点
当部門は、デジタル変革を加速させながら、低資本アドバイザリー及び取引実行事業における確実な成長
を重要な優先事項としている。グローバル・バンキングは、グローバル・カバレッジ・モデルを有してお
り、顧客の変化するニーズに応えるために、グローバルで充実した専門知識を活用していく。グローバル・
マーケッツでは、取引実行、融資及びストラクチャード・ソリューションが優れていることに対する顧客の
期待に焦点を当てている。
当部門のデジタル戦略は、優れ、かつ差別化された顧客サービスとコンテンツを提供するためにテクノロ
ジーを活用する事業が主導している。当部門は、 UBSインベストメント・バンク・イノベーション・ラボ を設
立し、コンセプトの証明を促進することで革新のスピードアップを図っている。グローバル・マーケッツで
は、デジタル・トランスフォーメーションの新しい横断的機能により、トレード・アイデアの生成、流動性
管理、価格設定ツール及びリスク管理に関するトップクラスの慣行の採用が促進される。インベストメン
ト・バンク・リサーチでは、データ駆動型の結果に注力するために、 UBSエビデンス・ラボ・イノベーション
を引き続き構築している。
当グループのバランスの取れたグローバルな範囲によって、当部門は様々な地域における成長への魅力的
な選択肢を有する。世界最大のインベストメント・バンキングの手数料プールである南北アメリカについて
は、中核となるグローバル・バンキング及びグローバル・マーケッツの各事業における市場シェアの拡大に
注力している。
アジア太平洋地域では、主に中国において予想される市場の国際化や成長からの機会を監視している。今
後は、オンショアかオフショアかを問わず、更なるグローバル・バンキングの強化により、成長を図ってい
く。また、インベストメント・バンクの事業と当グループ間の連携(統合された資本市場グループの創設、
更に外部で言えば、ブラジル銀行との合弁会社等の合弁会社の創設を含む。)は、主要な戦略的焦点であ
る。これらのイニシアチブにより、グローバルな商品を各地域に提供し、当グループの国境を越えたグロー
バルな連結性を活かし、顧客との最適な関係を共有・強化することで、成長がもたらされると考えている。
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当部門の事業
当部門の地理的にバランスの取れた事業は、グローバルな範囲を有しており、30を超える国に拠点を持
ち、主要金融ハブに主たる営業所を構えている。
競合する企業は当部門の多くの市場で活発に事業を行っているが、当部門の戦略は、当部門が競争するこ
とを選択してきた特定分野でのリーダーシップと、貸借対照表ではなく人材やテクノロジーを活用するビジ
ネスモデルに焦点を当てることで、当部門を差別化している。
当部門の主な競合企業は、モルガン・スタンレー、クレディ・スイス及びゴールドマン・サックスを含む
世界規模の大手投資銀行、並びにバンク・オブ・アメリカ、バークレイズ、シティグループ、BNPパリバ、ド
イツ銀行及びJPモルガン・チェースを含む法人向け投資銀行である。また、一定の地域や商品によっては、
ブティック型投資銀行やフィンテック企業と競合している。
当部門では、グローバル・ウェルス・マネジメント及びアセット・マネジメントとの戦略的パートナー
シップを通じて、顧客に対し、融資、世界的資本市場及びポートフォリオ・ソリューションへの幅広いアク
セスを提供する。
当部門が提供する商品及びサービス
当部門は、グローバル・バンキング事業を通じて、顧客に対し、戦略的なビジネスチャンスに関する助言
を行い、顧客の活動資金を調達することを支援している。
当部門のグローバル・マーケッツ事業は、顧客が世界中の資本市場で証券を売買及び運用し、そのリスク
と流動性を管理することを可能にしている。更に、インベストメント・バンク・リサーチ事業では、世界中
の主な金融市場及び証券について重要な洞察を顧客に提供している。これとは別に、UBSエビデンス・ラボ・
イノベーションの専門家チームは、30を超える国と50を超えるセクターに及ぶ、あらゆる規模の企業のため
の多様なトピックに関する洞察に満ちたデータセットを作成することを専門とする。当部門は、資本効率の
高いビジネスモデルに沿った新しい商品及びソリューションの開発に努めている。これらは通常、新しい技
術又は変化する市場標準に関連している。
2005年以降、当部門は、テーマ及びセクター別リサーチを提供することで顧客の持続可能な投資に対する
需要の高まりに対応してきた。また、社会的責任と影響力のある上場投資信託や指数連動債を通じたインベ
ストメント・ソリューションも提供している。それに加え、気候変動の緩和と適応に積極的に貢献している
会社に対し、資本調達及び戦略に関するアドバイザリー・サービスをグローバルに提供している。
当部門の顧客にサービスを提供する方法
当部門は、デジタル上と対面で顧客とのやり取りを行っている。グローバル・バンキングでは、顧客に質
の高いソリューションを提供するために、知的資本及び関係を活用している。グローバル・マーケッツで
は、当部門の取引実行機能、差別化されたリサーチ内容、カスタマイズされたソリューション、顧客フラン
チャイズ・モデル及びグローバルなプラットフォームを活用し、幅広い機関投資家顧客及び法人顧客を対象
としたカバレッジを拡大している。インベストメント・バンク・リサーチ事業では、当部門のマルチ・チャ
ネルのプラットフォームである UBSネオ を含め、多様な方法を駆使し、高品質で差別化されたリサーチを機関
投資家顧客に提供している。
当部門の組織構造
当部門の事業は、グローバル・バンキング、グローバル・マーケッツ及びインベストメント・バンク・リ
サーチの3つの事業部門並びにUBSエビデンス・ラボ・イノベーションで組織されている。当部門は、執行委
員会、運営委員会、リスク委員会及び資産・負債管理委員会に管理運営されている。各事業部門は商品毎に
グローバルに組織されている。
コーポレート・センター
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当グループのコーポレート・センター部門は、有効性、リスク軽減及び効率性に重点を置いて、当グルー
プにサービスを提供している。コーポレート・センター部門には、非中核事業及びレガシー・ポートフォリ
オも含まれる。
当部門の組織構造
コーポレート・センター
コーポレート・センターの主要な分野は、グループ・チーフ・オペレーティング・オフィサー(グルー
プ・テクノロジー、グループ・コーポレート・サービス、グループ・ヒューマン・リソース及びグループ・
オペレーション)、グループ財務部門、グループ・ファイナンス、グループ・リーガル、グループ・リス
ク・コントロール、グループ・コミュニケーション&ブランディング、グループ・コンプライアンス、レ
ギュレトリー&ガバナンス、 UBSインソサエティ 、並びに非中核事業及びレガシー・ポートフォリオで構成さ
れている。
近年、当グループはサポート機能を事業部門と順次合致させてきた。当グループは、これらの機能の大部
分を事業部門に完全に合致させるか、事業部門間で共有するかのいずれかで当グループを運営しており、こ
の運営においては、当該事業部門が全面的に管理する責務を負っている。事業活動とサポート機能を密接に
連携させることで、効率性を高め、説明責任と協働の企業風土の上に築かれた労働環境を整えている。
非中核事業及びレガシー・ポートフォリオ、グループ財務部門に僅かに残存する一連の活動、並びに主に
繰延税金資産及び当グループの法人体制再編プログラム関連費用に関連した一定のその他の機能費用は、引
き続き一元管理される。
当グループは、2019年第1四半期報告書以降、IFRS第8号 業務セグメント を遵守し、コーポレート・セン
ター全体のみの業績を開示しており、コーポレート・センター-サービス、グループ資産・負債管理(グ
ループALM)、非中核事業及びレガシー・ポートフォリオを個別に報告していない。また、事業運営上、グ
ループ財務部門をグループALMと統合し、これを統合された機能としてのグループ財務部門と呼んでいる。
グループ財務部門
グループ財務部門は、当グループの貸借対照表の構造的リスクを管理しており、当該リスクには、金利リ
スク、構造的な為替リスク及び担保リスク並びに当グループの流動性及び資金調達ポートフォリオに関連す
るリスクが含まれる。グループ財務部門は、全ての事業部門にサービスを提供しており、そのリスク管理は
当グループのリスク・ガバナンスの枠組みに完全に統合されている。
非中核事業及びレガシー・ポートフォリオ
非中核事業及びレガシー・ポートフォリオは、大部分が受動的な縮小ストラテジーに従い、インベストメ
ント・バンクから分離した事業のレガシー・ポジションを管理している。当該ポートフォリオは、グルー
プ・チーフ・リスク・オフィサーが委員長を務める委員会によって監督されている。当該ポートフォリオに
は、形成時に移転された事業から生じる法務問題に関するポジションも含まれる。
4【関係会社の状況】
(1) 親会社
名称: UBSグループAG(UBS Group AG)
住所: スイス国 チューリッヒ市 8001 バーンホフストラッセ45
(Bahnhofstrasse 45, 8001 Zürich, Switzerland)
資本金: 2019年12月31日現在、UBSグループAGは、各額面金額0.10スイス・フ
ランの記名株式3,859,055,395株に分割された385,905,539.50スイ
ス・フランの株式資本を有している。
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事業の内容: その定款に従い、UBSグループAGの事業目的は、あらゆる種類の企業
(特にスイス及び外国における銀行、金融、アドバイザリー、取引及
びサービス活動分野)の直接又は間接的な持分の取得、保有、管理及
び売却である。UBSグループAGは、スイス及び外国においてあらゆる
種類の企業を設立することができ、それらの企業の株式を保有し、管
理することができる。UBSグループAGは、スイス及び外国の不動産及
び建物の権利を取得し、これらに抵当権を設定し、売却する権限を有
する。UBSグループAGは、グループ会社へ貸付、保証並びにその他の
種類の融資及び担保の提供、並びに金融資本市場における借入及び投
資を行うことができる。
提出会社の議決権に対する
当該親会社の所有割合: 100.00%(2019年12月31日現在)
取締役及び役員: 2019年12月31日現在、UBSグループAGの取締役会の全構成員がUBS AG
の取締役会の構成員を兼任しており、委員会の構成員もUBSグループ
AGとUBS AGで同一であった。しかしながら、2019年におけるUBS AGの
取締役会委員会は、監査委員会、報酬委員会及びリスク委員会のみで
ある(構成員はUBSグループAGと同一)。2019年12月31日現在、レー
マン氏を除くUBSグループAGのグループ執行役員会の全構成員がUBS
AGの執行役員会の構成員を兼任している。
(2) 子会社及びその他の関係会社
本書「第6 経理の状況 1 財務書類」記載の「連結財務書類に対する注記」の注記31を参照のこ
と。
5【従業員の状況】
(1) 従業員数(2019年12月31日現在のフルタイム換算)
(人)
グローバル・ウェルス・マネジメント 22,626
パーソナル&コーポレート・バンキング 5,064
アセット・マネジメント 2,220
インベストメント・バンク 4,973
コーポレート・センター 12,121
UBS AG及びその子会社
47,005
(2) 人件費
2019年度のUBS AGの連結ベースの人件費総額は、138億100万米ドル(約1兆4,870億円)であった。
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第3【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
本項には将来に関する事項が含まれており、当該事項は2019年12月31日に終了した期間に関する財務書類
の公表日である2020年2月28日現在において経営陣が判断したものであり、本段落の直後の「見通し」、
「COVID-19のパンデミックが当グループの財務及び資本ポジションに及ぼす影響」及び「最近の動向」と題
する文章に関しては、2020年3月31日に終了した期間に関する財務書類の公表日である2020年4月28日現在
において経営陣が判断したものである。
見通し
COVID-19のパンデミック及びその封じ込めに取られた措置は、予見可能な将来のグローバル経済の見通し
を劇的に変えた。世界のGDPは、今後短期的に縮小すると予想される。パンデミックによる多くの企業の混
乱や失業の増加は、業界の信用損失費用水準の上昇につながると予想される。当グループの信用エクスポー
ジャーの過半数は、グローバル・ウェルス・マネジメント顧客に関するものか、スイス国内に関するものの
いずれかであり、クオリティが高い。当グループは、効果的な危機管理措置を展開する、実証済みのスイス
の能力は、この経済への衝撃に耐えるのに役立つと確信している。今後、予想される結果の範囲は非常に広
く、潜在的な景気回復のタイミングと形を確実に予測するには早すぎる。資産価格が下がると当グループの
経常受取報酬収入が減少し、金利が下がると受取利息純額に対する逆風となり、顧客活動水準が低下すると
取引ベース収益に影響を及ぼし、これが減少する可能性がある。当グループの戦略プランの規律のある継続
的な遂行は、これを緩和するのに役立つと予想される。当グループは、戦略プランを遂行する一方で、従業
員、顧客及び当グループが事業を行う経済を支援し、かつ当グループ全体でリスクを管理するための規律あ
る取り組みを維持することに重点を置いている。
COVID-19のパンデミックが当グループの財務及び資本ポジションに及ぼす影響
2020年第1四半期における景気の悪化、市場価格の大幅な下落及びボラティリティの増加により、当グ
ループではIFRS第9号に基づく信用の減損及び予想信用損失が増加している。当グループの予想信用損失の
増加は、主にCOVID-19等の市場の悪化による影響を受けた業種及びセクターへの一定の貸付エクスポー
ジャーによるものである。更に、信用の減損の増加は、全ての事業部門で認識され、特に、年度末に既に信
用の減損が見られたカウンターパーティ及び第1四半期中の一部の新しいデフォルトから認識された。少な
くともCOVID-19の封じ込め措置が続く限り、信用損失費用の上昇は続くと予想される。しかしながら、当グ
ループのポートフォリオの信用の質を考えれば、当グループはその全体の強みと安定を維持し、顧客を支え
続けることができると確信している。2020年第1四半期における顧客による取引高の増加により当グループ
の事業が恩恵を受けたため、信用の減損及び予想信用損失の増加が相殺されたが、ボラティリティ及び取引
高が今後も高水準で推移するかどうかは不透明である。第1四半期における当グループのリスク加重資産
(RWA)は、信用リスク及び市場リスクのRWAの増加に伴い大幅に増加した。当グループでは、RWA水準の上
昇は、クレジット・ファシリティの追加的な実行及びVaRに影響する市場ボラティリティの増加を見込ん
で、少なくとも第2四半期まで持続すると予想している。
最近の動向
配当提案の変更
UBSグループAGは、スイス金融市場監督当局(FINMA)の要請を受け、2020年4月9日の取締役会におい
て、2020年4月29日に開催する年次株主総会で株主の承認を求める2019年の配当提案を修正した。株主は、
2020年5月7日に支払われる1株当たり0.365米ドルの配当とともに、1株当たり0.365米ドルの特別配当準
備金の創設についての承認を求められる予定で、当該特別配当準備金の支払は、2020年11月19日の臨時株主
総会での株主による承認を条件とする。
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UBSはまた、2020年の最初の3ヶ月間に3億5,000万スイス・フランの株式を買い戻した後、株式買戻しプ
ログラムを一時停止した。
COVID-19に関連した規制及び法律の動向
スイス連邦参事会は、現在のCOVID-19のパンデミックによる大幅な減収に苦しむスイスの中小企業を支援
するために、当初発表された最大200億スイス・フランから最大400億スイス・フランに引き上げた融資保証
制度を確立した。影響を受けた企業は、銀行を通じて、年間売上高の最大10%までのつなぎ融資を申請する
ことができ、上限は2,000万スイス・フランである。50万スイス・フランまでの融資は、スイス政府によっ
て100%保証され、金利は0%である。50万スイス・フランから2,000万スイス・フランまでの融資の85%は
政府によって保証されており、当該融資について、政府によって保証される部分の金利は0.5%であり、残
りの部分の金利は銀行が自由に決定する。
銀行の貸付能力を支援するために、スイス連邦参事会はスイス国立銀行(SNB)の要請に応じて住宅不動
産ローンに関するカウンターシクリカル・バッファーを無効にし、他の複数の国は同様にカウンターシクリ
カル・バッファーを引き下げた。これにより、UBSの自己資本比率に影響を及ぼすことなく、UBSの普通株式
等Tier 1(CET1)自己資本要件は29ベーシス・ポイント低下した。
UBSのようにモデルに基づき市場リスクのRWAの計算を行っている銀行は、市場のボラティリティが高まっ
たことに起因して、バックテスティングの超過事象の増加を経験している。これらの超過事象は、最終的
に、銀行固有の最低自己資本規制の上昇をもたらす可能性がある。FINMAは、2020年2月1日から2020年7
月1日までの間、バックテスティングの超過事象の件数を凍結する一時的な適用免除を導入した。当グルー
プが経験したバックテスティングの超過事象の件数は市場リスクのRWAの増大をもたらさなかったと考えら
れるため、2020年3月31日現在、当グループはこの措置による恩恵を受けていなかった。
更に、FINMAは、銀行に対し、ゴーイングコンサーン・ベースの比率の計算において、中央銀行の要求払
預金をレバレッジ比率分母(LRD)から一時的に除外することを認めている。この除外は2020年7月1日ま
で適用され、延長される可能性がある。2020年3月25日以降に株主によって承認された適用ある配当又は同
様の配当は、資本配分のうちLRD相当分による救済額を減額する。
2020年3月31日現在、これらの免除により、ゴーイングコンサーン・ベースの要件における当グループの
LRDが780億米ドル一時的に減少した。これは、当グループの既存の自己資本規制に対するバッファー及びこ
の措置の一時的な性質を前提とすると、顧客又はスイス経済に資金を提供する当グループの能力に影響を及
ぼさなかった。
スイス国外の主要管轄区域の規制当局は、銀行が金融ストレスに直面している顧客と取引する場合に、金
融緩和のスタンスをとることを促すとともに、市場の流動性を支援することを目的とした措置を取ってき
た。これらの措置には、資本バッファー及び第2の柱の自己資本規制の一時的な緩和、LRDの一時的な修
正、並びに特定貸付又は融資枠の確立が含まれる。
更に、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、バーゼルⅢ規則の実施期限を1年遅らせ2023年1月1日まで
とした。アウトプット・フロアに関する付随の移行規定もまた1年延長され2028年1月1日までとなった。
これとは別に、BCBSと証券監督者国際機構(IOSCO)は、非中央清算デリバティブの証拠金要件に関する枠
組みの最終的な2つの実施フェーズを1年延長し、2022年9月1日までとした。これらの措置は、UBSの資
本ポジションに影響を及ぼさない。
米国では、連邦準備制度理事会、連邦預金保険公社(FDIC)及び通貨監督局(OCC)が、共同声明で、銀
行組織に対し、経済を支えるために慎重な方法で資本バッファー及び流動性バッファーを使用するよう奨励
している。更に、連邦準備制度理事会は、UBSアメリカズ・ホールディングLLCを含む銀行持株会社(BHC)
及び中間持株会社(IHC)の補完的レバレッジ比率の算定から、連邦準備銀行の米国財務省の証券及び預金
を除外することを認める一時的な変更を行っており、この一時的な変更は2021年3月31日まで効力を有す
る。
また、EU及び欧州中央銀行(ECB)は、ヨーロッパの経済を安定させるための一連の規制措置を通知し
た。これらの措置はいずれも、UBSグループに重大な影響を及ぼすことはないと予想している。
IFRS第9号及びCOVID-19 予想信用損失の会計処理
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2020年3月、国際会計基準審議会(IASB)は、企業がIFRS第9号に基づく予想信用損失にCOVID-19が及ぼ
す影響を決定する際、特に、将来のマクロ経済情勢及び信用リスクの大幅な上昇が生じているかどうかを評
価する際に、存在する重大な不確実性を考慮して、企業が適切な判断を適用すべきであることを強調した。
また、FINMA、ECB及びその他の銀行規制当局も、判断の必要性を強調する声明を発表している。
規制当局による措置及び声明の明確化にもかかわらず、経済予測の悪化は、予想信用損失の増加、ひいて
は損益計算書のボラティリティの増大をもたらしており、今後もこれが継続する可能性がある。
その他の規制及び法律の動向
ブレグジット
2020年1月31日にEUから離脱した英国は、2020年12月31日に終了する予定の移行期間に入った。今後のEU
英国間の関係についての交渉が開始され、双方は、2020年6月までに、現行のEUの金融サービス法に基づき
必要となる全ての同等性評価を完了することを目指している。しかし、交渉のペースはCOVID-19のパンデ
ミックの影響を受けている。移行期間については、英国が2020年6月30日までに延長を要求する場合、離脱
協定の条件に基づき2021年12月31日又は2022年12月31日まで延長可能である。
スイスの印紙税廃止及び源泉税法改正に関する提案
2020年1月、スイス国民議会の経済税制委員会は、スイス印紙税の段階的廃止に関する協議を開始した。
この法案は、スイスの資本市場を強化し、国内外の投資主にプラスの効果をもたらすことが期待される。ま
た、2020年4月には、スイス連邦参事会が源泉税法の改正について協議プロセスを開始し、国内法人及び外
国投資家に対して利付投資の源泉税の免除を提案した。
包括的資本分析及びレビューに関する文書の年次レビュー
当グループの米国中間持株会社であるUBSアメリカズ・ホールディングLLCは、2020年4月に、連邦準備制
度理事会の年次の包括的資本分析及びレビュー(CCAR)実施に基づく要請に従い、資本計画及びストレス予
測を提出した。当グループは、連邦準備制度理事会が2020年6月後半に資本計画の評価及び当グループの
CCARプロセスの定性的評価の結果を公表すると予想している。
その他の動向
報告された業績のみの表示
当グループでは、以前に発表したように、レガシー・コスト・プログラムの影響が段階的に解消され、全
ての財務目標が現在は報告された業績に基づいているため、2020年第1四半期以降、当グループの財務報告
書に調整後の業績を記載しなくなった。当グループは、各事業部門に関するリストラクチャリング費用及び
訴訟費用、並びに経営陣が基礎的な業績を表していないか、定期的な計上が予想されないと考える他の重要
な損益項目について、当グループの財務報告書の「当グループの業績」の項において引き続き開示してい
く。
事業部門の費用報告の合理化及びコーポレート・センターからグループ・ファンクションへの改称
当グループでは、2020年第1四半期以降、当グループの経営状況をより良く反映するため、事業部門の費
用報告を合理化した。当グループは今後、個別の営業費用ラインは提供せずに、事業部門に関する営業費用
合計のレベルで費用を開示する。当グループでは、引き続き、当グループレベルでの営業費用の詳細を提供
するとともに、各部門についての経営陣の検討及び分析において、部門毎の営業費用の変動の要因を説明し
ていく。
事業部門の費用報告の合理化は、UBSグループAG及びUBSAGの連結財務書類の「注記2 セグメント報告」に
も適用されている。
コーポレート・センターはグループ・ファンクションに改称し、グループ財務部門、当グループの非中核
事業及びレガシー・ポートフォリオ、並びに当グループに関するサービス等がこれに含まれる。なお、この
変更が事業部門又は当グループの営業収益、営業費用及び税引前利益に与える影響はない。
航空機リース事業の移転
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2020年1月1日、コーポレート・エアクラフト・ファイナンス事業は、本事業のサービスを主に受ける顧
客とより整合させるため、パーソナル&コーポレート・バンキングからグローバル・ウェルス・マネジメン
ト に移転された。コーポレート・エアクラフト・ファイナンス事業は、主に超富裕層顧客にサービスを提供
しており、この移転は、顧客及びサービスの戦略的な整合を反映している。約16億米ドルの貸出金がパーソ
ナル&コーポレート・バンキングからグローバル・ウェルス・マネジメントに移転した。この移転の結果、
年間約4,000万米ドルの受取利息純額が、パーソナル&コーポレート・バンキングではなくグローバル・
ウェルス・マネジメントで報告されると予想される。
インベストメント・バンクの構造変更
2019年9月に発表したとおり、当グループのインベストメント・バンクの構造変更は2020年1月1日に発
効した。コーポレート・クライアント・ソリューションはグローバル・バンキングに、インベスター・クラ
イアント・サービスはグローバル・マーケッツにそれぞれ改称された。グローバル・バンキングには、グ
ローバル・カバレッジ・モデルと整合性のとれた、キャピタル・マーケッツ及びアドバイザリーという2つ
のプロダクト・バーティカルがあり、法人向け貸付とそれに関連するヘッジ活動も含まれている。グローバ
ル・マーケッツは、株式業務と外国為替、金利及びクレジット業務(FRC)を統合し、エグゼキューショ
ン&プラットフォーム、デリバティブ&ソリューション及びファイナンシングの3つのプロダクト・バー
ティカルに分類している。
当グループの事業部門に関する経営陣の検討及び分析における過去の財務情報の表示は、これらの変更を
反映している。インベストメント・バンクの過去の収益合計は、これらの変更の影響を受けなかった。
グローバル・ウェルス・マネジメントの組織変更
当グループでは、2020年1月に発表したように、グローバル・ウェルス・マネジメント部門の組織変更を
実施した。2020年1月1日より、EMEAの中に、(ⅰ)ヨーロッパ、(ⅱ)中央及び東ヨーロッパ、ギリシャ
及びイスラエル、並びに(ⅲ)中東及びアフリカの3つの事業部門を構築した。当グループはまた、グロー
バル・ファミリー・オフィス能力をより多くの顧客が利用できるようにしている。
2020年第1四半期からは、事業部門に関する経営陣の検討及び分析において追加的な情報を提供してお
り、これには営業収益及び費用に関する広範な地域情報並びに貸出金及び運用委託契約の動向に関する情報
を含めている。当グループは、超富裕層顧客関係を地域と整合させており、従って、今後は超富裕層顧客関
係に関する業績指標を別個に報告しない。
IFRS第9号 金融商品 のヘッジ会計の適用
当グループは、2020年1月1日付で、当グループの全ての現行ヘッジ会計プログラムについて、貸出金に
関連するポートフォリオ金利リスクの公正価値ヘッジ(これは、IFRS第9号で許容されているとおり、IAS
第39号 金融商品:認識及び測定 に基づいて引き続き会計処理されている。)を除き、IFRS第9号 金融商品 の
ヘッジ会計の要件を適用している。2020年1月1日現在、これらの要件の適用による当グループの財務書類
への影響はなかった。
新しい指針に基づき、かつ損益計算書のボラティリティを低減するために、当グループは、ヘッジ手法の
コストを外貨べーシス・スプレッドに適用し、公正価値ヘッジ関係においてクロスカレンシー・スワップ及
び外貨債務を指定した。
当グループの戦略
当グループは、独自性があり、統合されており、かつ補完的な事業ポートフォリオ及び地理的拠点網を成
長させ活用することにより、より高い優れたリターンを推進することを目指している。
UBSは、真にグローバルな最大のウェルス・マネジャーであり、スイスにおける業界を主導する個人及び
法人向け銀行であり、焦点を絞ったインベストメント・バンク及びアセット・マネジメント部門を有する。
当グループは、優位な競争的地位を有し、魅力的な長期の成長又は収益性が見込まれる対象とする市場にお
いて、資本効率の高い事業に焦点を当てている。当グループは、強固な資本力を当グループの戦略の基礎と
考えている。
当グループは、UBS全体を一つの企業として顧客に提供するにあたり、(ⅰ)主導的な顧客基盤を強化
し、シェアを拡大すること、(ⅱ)UBSのサービス及び能力を拡大することによって成長に向けてUBSを整備
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すること、(ⅲ)効率性を高め、規模を拡大すること、並びに(ⅳ)顧客の利益のために連携を更に強化す
ることを意図している。
収益逓増の創出
当グループは、持続可能な利益増加及び責任ある資源開発に焦点を当てながら、長期的にUBSの経営管理
を行っている。魅力的なリスク調整後利益率及び持続可能な業績を実現するために、成長機会と費用及び資
本効率の両立を目指している。
2020年から2022年の期間について、当グループは7つの戦略的優先事項を掲げているが、その概要は以下
のとおりである。
優先事項1 第一に、当グループのグローバル・ウェルス・マネジメント事業の税引前利益を10~15%増
やし、当グループの主導的事業基盤を引き上げることにより税引前利益率の向上を目指す。当グループは、
よりきめ細かなサービス及びソリューションを提供するために、顧客区分を越えて当グループのカバレッジ
を調整している。当グループは、顧客との時間を増やすため顧客により近くある組織に再編し、地域のエン
パワメントを図り、市場への対応力とスピードを向上させるとともに、インベストメント・バンク及びア
セット・マネジメントとの戦略的パートナーシップの拡大を通じて当グループの全ての能力を実現する。更
に、当グループでは、効率化を進める一方で商品の拡充を進め、パートナーシップを通じて規模を活用し、
かつ生産性を高めるためにプロセスの最適化を図っている。
優先事項2 当グループのインベストメント・バンクでは、利益ある成長を促進し、資源を更に最適化す
ることにより、また連携を通じて、リターンの向上を図る。当グループは、アドバイス及び取引実行を重視
し、当グループのデジタル能力を活用する低資本事業モデルを維持していく。当グループは、他の事業部門
と共に、また外部とのパートナーシップを通じて、当グループの資源を三分の一を上限として消費しなが
ら、市場を主導するデジタル、リサーチ、バンキングの能力を顧客に届けることを目指している。
優先事項3 アセット・マネジメントでは、更なる成長、業績及び規模の拡大のために、差別化された顧
客への商品を活用することを目指す。当グループは、持続可能な投資、民間市場及びオルタナティブ等、業
界の急成長分野での当グループの強みを強固にする予定である。
優先事項4 パーソナル&コーポレート・バンキングでは、効率を高める一方で、デジタル化への取り組
み及びデジタル・サービスを強化することで、堅実な利益拡大を目指す。当グループは、アドバイザリー・
ソリューション及び商品提供の拡充と共に、スイスにおけるデジタル・サービスの主導的地位を拡大するこ
とにより、現在のマイナス金利環境の中でも増益を見込んでいる。
優先事項5 当グループは、1つの企業として、顧客に更に多くを提供したいと考えている。当グループ
の事業部門間の連携は、当グループの戦略を成功させるのに必要不可欠であり、競争上の優位性の根源であ
る。この連携により、例えば超富裕層やグローバル・ファミリー・オフィスにおいて、更なる収益成長の可
能性が生まれ、顧客のニーズにより適切に応えることが可能になる。
当グループの事業部門が連携することで、顧客により多くの価値をもたらすことができるもう一つの分野
は、持続可能な金融である。当グループは、真にグローバルな最大のウェルス・マネジャーとして、ポジ
ティブな未来を形成するための主導的な役割を担う責任があり、特定の環境的又は社会的成果の達成に向け
て資金を投入したいと願う顧客に選ばれる金融機関となることを目標としている。当グループは、意見発
信、革新及びパートナーシップを通じて、持続可能な金融の展望を描き、顧客の持続可能性に向けた取り組
みを支援している。
優先事項6 当グループでは、会社全体の効率化を推進し、成長への資金投入及びリターンの向上を目指
す。当グループでは、プロセス、プラットフォーム、当グループの組織、資金源の最適化を継続すること
が、この実現につながると考えている。
当グループは、効率性及び有効性を向上させ、成長を促し、かつ顧客により良いサービスを提供する目的
で、テクノロジーへの投資を継続する予定である。
また、当グループは、既存の外部とのパートナーシップから利益を得、選別された新たな機会を模索する
ことを企図している。
優先事項7 当グループは、配当及び株式買戻しを通じて、魅力ある資本還元プロフィールを維持してい
く予定である。当グループの資本力及び資本増加が見込まれるビジネスモデルは、株主に魅力的な資本還元
を行いながら当グループの事業を成長させることを可能にする。
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当グループは、1株あたりの通常配当を毎年0.01米ドル増額すること及び株式の買戻しを通じて余剰資本
を還元することを目指している。当グループは、株式買戻しに利用可能な余剰資本を決定するにあたり、事
業の状況及び特異的な動向を考慮している。
業績目標及び業績測定
目標及び資本に関する指針
2020年1月、当グループは業績目標の枠組みを更新し、簡素化した。当グループは、部門横断的な連携に
注力することを強調しつつ、主に事業部門よりも当グループに焦点を当てるため、目標の数を減らした。当
グループの目標は、直近の3ヶ年戦略プランが基礎となっており、この戦略プランは、当グループの戦略的
イニシアチブ、管理活動並びに特定の経済及び市場の仮定を反映している。以前公表した目標は2018年10月
に設定されたものであるため、利益率及び効率性の目標は市況見通しの変化を反映して見直されている。
以下の表は、2020年から2022年の期間についての業績目標及び資本に関する指針を記載している。当グ
ループの更新された業績目標は、報告された業績に基づいている。当グループでは、2020年第1四半期よ
り、財務報告において調整後の業績は開示しない。当グループは、リストラクチャリング費用及び訴訟費
用、並びに経営陣が基礎的な業績を表していないと考える他の重要な損益項目について、当グループの経営
陣の検討及び分析において引き続き開示していく。
変動報酬を決定する際は、目標に照らした業績が考慮される。
2020年から2022年の期間についての目標及び資本に関する指針(報告ベース)
当グループの利益率 CET1自己資本利益率(RoCET1)12~15%
費用効率 プラスの営業レバレッジ及び費用対収益比率75~78%
成長率 グローバル・ウェルス・マネジメントにおいて、税引前利益成長率10~15%
資本配分 インベスト・バンクにおいて、当グループのRWA及びLRDの最大三分の一
資本に関する指針 CET1自己資本比率~13%、CET1レバレッジ比率~3.7%
当グループを取り巻く環境
最新の市場情勢
2019年における世界経済の動向
堅調な株式市場、超低ボラティリティー及び金利変動を特徴とする1年間となり、2019年の世界経済は概
ね減速した。世界のGDPの成長率は3.1%であり、2018年に達成された成長率3.7%を大幅に下回り、金融危
機以降、最も低い成長率を示した。
米国のGDPは、米中貿易の緊張が事業投資を妨げ、2017年12月に導入された減税の追い風が弱まったこと
により、2.3%(2018年は2.9%)増加した。
貿易の緊張は、世界貿易、製造業の生産高、事業投資に米国以上に依存しているユーロ圏の成長にとっ
て、更に深刻な足かせとなった。ユーロ圏の成長率は、2018年の1.9%に比べ、2019年には1.2%に低下し
た。ドイツ経済の成長は、前年の1.5%増に対し、0.6%増にとどまった。ユーロ圏外では、スイスの成長率
も2018年の2.8%から0.8%に低下した。
中国政府は、銀行の準備預金要件を引き下げ、地方政府に追加的な財政上の余地を提供することによっ
て、関税の増加が米国への輸出に及ぼす影響を部分的に相殺しようと試みた。しかし、この刺激策は、経済
の高いレバレッジに対する懸念によって限定されたものであった。GDP成長率は、2018年の6.7%に対し、
6.1%前後に低下した。
他の主要新興国では、成長が鈍化したか、低水準で安定していた。これまで世界最大級の成長を遂げてき
たインドの経済は、2018年の6.1%に対し、5%の成長であった。消費者による信用の利用可能性を低下させ
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てきたシャドー・バンキング・セクターの問題によって、勢いは弱まった。一方、メキシコ経済は、2018年
に2%成長した後、ほぼ横ばいで推移し、ブラジルの成長率は1.3%から1.1%に低下した。
主要中央銀行は、低インフレ率が続いていたことを踏まえると、2019年にも緩和的な金融政策を維持する
ことができた。同年のユーロ圏のインフレ率は、欧州中央銀行(ECB)の目標(2%以下)を下回る1.2%前
後で推移した。ECBは、その預金金利をマイナス0.4%からマイナス0.5%に引き下げた。米国のインフレ率
は目標の1.8%に近く、当年を通じた0.75%の引き下げを許容し、1.5%から1.75%の間であった。
全ての主要な指標が上昇し、株式市場は上昇した。MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス
は、米ドルで27%のトータル・リターンをもたらした。米国のS&P500インデックスは31%のリターンとな
り、テクノロジー集約型のナスダック・コンポジットは37%のリターンとなった。中国のCSI300は、現地通
貨ベースで41%上昇した。パフォーマンスがそれ程よくなかった市場には、英国のFTSE100と香港のハンセ
ンが含まれており、両者とも現地通貨ベースで17%のリターンとなった。
また、国債を保有する投資家にとっても好調な年となった。10年物米国債の利回りは約80ベーシス・ポイ
ント低下し、1.9%となった。同じテナーのドイツ国債の利回りは40ベーシス・ポイント低下し、マイナス
0.2%となった。
2020年の経済及び市場の見通し
当グループは、2020年も低い傾向の成長率が継続し、世界経済は2019年とほぼ同じペースで拡大を続ける
と予想している。米国を中心に、活発な雇用市場に支えられている多くの国で個人消費は引き続き堅調に推
移している。当年は、米中間の「フェーズ1」貿易取引の報道とともに、両国間の緊張が緩和される可能性
があるとの指摘を受けて終了した。この合意では、予定されていた関税引き上げが撤回され、一部の現行関
税が撤廃されただけでなく、知財保護や米国による中国の金融サービス市場へのアクセス等、他の問題が生
じていた分野でも交渉が進んだ。この取引は脆弱であり、米中の競争はまもなく終わろうとしているわけで
はないが、この取引は世界経済や事業投資に対するリスクを低減させると考えられる。
英国は、2020年1月31日に欧州連合を離脱し、EUとの貿易協定に関する協議をまとめる局面となる移行期
間に入っており、当該移行期間は2020年12月31日に終了する。
市場に関する次に重要な政治的焦点は、11月の米国選挙であり、これは、より高いボラティリティーを創
出し、テクノロジー、エネルギー、金融及びヘルスケア等の主要な米国セクターに影響を及ぼす可能性があ
る。
当グループは、低迷する成長及び継続する政治リスクを背景に、中央銀行が金利引き上げに急ぐことはな
いと考えている。当グループは、経済指標の軌跡に予期せぬ転換がない限り、米国連邦準備制度理事会が来
年の利上げを行うとは考えていない。2021年までは、金利が再び上昇する可能性は低い。当グループは、ス
イス国立銀行が金利をマイナス0.75%に維持する一方で、ECBはマイナス0.6%に引き下げると予想してい
る。
中国における新型コロナウイルスすなわちCovid-19の発生及びその後の他国への拡大は、投資家の不確実
性を増大させる可能性が高い。当グループの基本的経済予測では、Covid-19の流行は抑制され、通期の経済
成長への影響は比較的限定的であるとしているが、ウイルス及び封じ込め措置は、少なくとも中国及び影響
を受けた他の国の経済活動に短期的な悪影響を及ぼす可能性が高く、世界経済にも派生的な影響を及ぼす可
能性がある。Covid-19感染数の大幅な増加、広範な国や地域での感染又は流行の長期化は、経済的悪影響を
増大させる可能性がある。
投資面では、ほとんどの主要市場の株式は、価格収益ベースで過去の平均を上回って取引されている。そ
の結果、株式市場のリターンは、更なる倍率の上昇よりも利益成長に牽引される可能性が高いと当グループ
は考えている。また、2020年の市場は、継続的な経済成長によっても支えられると考えられる。景気後退の
リスクは依然として比較的低い。Covid-19の流行による影響に対する不確実性は、成長に対するマクロ経済
リスクを大幅に増大させており、この増大したリスクは、少なくとも部分的には、最近の株式市場の減少に
反映されている。
業界の動向
当グループの業界はこの10年間、規制動向の影響を大きく受けてきたが、今日の変更の主な原動力として
テクノロジーが確実に台頭してきており、今後、当グループの商品や事業だけでなく、競争環境にも更に影
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響を与えることが予想される。同時に、当グループの業界は、市場及びマクロ経済の状況に大きく左右され
ている。
デジタル化
テクノロジーは、銀行の営業方法を変貌させており、コンピューター機能の指数関数的な進歩、顧客ニー
ズの進化及びデジタルトレンドに合わせて、この傾向は今後も続くと予想される。もはやテクノロジーへの
投資は銀行をより効率的にする手段という考えだけではない。現在、かかる投資は銀行の柔軟性を維持し、
デジタル化世界の中で競争力を有し、新しいビジネスモデルを開発する機会を創出する上で重要なものに
なっている。
当グループは、イノベーション・ラボ、デジタル・ファクトリー、フューチャー・オブ・ファイナンスに
関するイニシアチブ及びプロジェクトの協働を通じて、金融業界のエコシステムをつなぐことで、顧客体験
と業務の卓越性をもたらすデジタル・ムーブメントの最前線に留まり続けることを目指す。当グループのデ
ジタル・ジャーニーの核心は、顧客及びその進化しつつあるニーズに焦点を当てることである。新しい技術
がもたらし得るスピード、規模、安全性、透明性及び精度により、当グループは、顧客のための新しいサー
ビス及び経験を創造することができる。
当グループでは更に、ITポートフォリオにおける近代化及びモジュール化されたアプリケーション及びイ
ンフラの拡充、並びにクラウド技術の活用並びにフロントからバックオフィスまでの自動化システム及びプ
ロセスの拡充を通じて、業務効率の向上を目指している。効果的なデータ管理及び保護は当グループにとっ
て重要である。当グループのアプリケーションから生成され、キュレートされたデータは、当グループの
データ管理の枠組みのもとで保護され、当グループの顧客及び従業員の体験をより良く調整するための責任
ある人工知能の開発を支援する。
整理統合
金融サービス業界の中では、多くの地域及び事業分野は未だに極度に細分化されている。当グループで
は、継続するマージン圧迫、コスト効率に関する調査、並びにテクノロジー及び規制に関する固定費から生
じる規模の強みの増大が主要な要因となり、更なる整理統合が行われると予想している。また、多くの銀行
が、現地での買収又はパートナーシップを通じて、アジア及び新興市場等の魅力のある成長プロフィールを
有する地域に対しエクスポージャー及びアクセスの拡充を追求している。最後に、オペレーショナル・リス
ク及びコンプライアンス・リスクを軽減する目的で主力分野又は地理的拠点を更に重要視することや事業モ
デルを継続的に簡素化することが、非中核事業及び資産を更に売却する要因となる。
新たな競争相手
当グループの競争環境もまた変化している。アセット・ギャザリング事業における従来の競合他社に加
え、参入企業が価値連鎖の主要な構成要素となることを目指している。しかしながら、価値連鎖及び顧客関
係の根本的なアンバンドリング(最終的に新しい競争相手により銀行の金融仲介機能の低下がもたらされ
る。)は、まだ見られない。より長い期間で見ると、大規模なプラットフォームを有する会社の金融サービ
ス業界への参入は、その強力な顧客基盤及び顧客データへのアクセスを考慮すると、重大な競争上の驚異を
もたらす可能性があると当グループは考えている。フィンテック企業は勢いを増しているが、今日まで当グ
ループのアセット・ギャザリング事業を大きく混乱させていない。新規参入企業と既存銀行とのパートナー
シップを構築し、フィンテック企業のテクノロジーを後から取得することで、テクノロジー、コスト効率、
サービスの質の面で競合企業に優位に立つ傾向が見られる。
規制
2008年以降の規制改革アジェンダは、概ね完了している。破綻処理時の資金調達等、まだ十分な対応が行
われていない分野もあり、バーゼルⅢ資本基準の最終化等の一定の基準の実施は国レベルで継続されている
が、規制から監督へと焦点が移りつつある。これと並行して、規制当局の中には、新しい枠組みの効率性を
精査しているところもある。
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規制主導の変革は、総じてかなりの資源を消費し続けている。2020年には、特に、システム上重要な銀行
に対する追加的な流動性要件及び最終のバーゼルⅢ規則の国内の実施に焦点を当て、スイスの大きすぎて潰
せ ない枠組みの調整に関する更なる検討が見込まれる。当グループでは、ストレス・テストを含む破綻処理
に関連した改革に対する継続的取り組み、並びに行為規制及びマネーロンダリング対策への持続的注力を想
定している。更に、当グループでは、グローバルな金融サービスの様々な側面を対象としたサステナビリ
ティ関連方針の提案が急増している。また、シャドー・バンキング及びデジタル通貨等、金融の安定に影響
を及ぼす可能性のあるごく最近の課題の一部に対処するための規制上のイニシアチブも予定している。
こうした動向の多くは、保護主義の高まりを背景に生じており、クロスボーダーの金融サービスの提供に
課題をもたらしている。特に、EUへの市場アクセスに関する追加の制限は、金融の中心地としてのスイスに
大きな影響を及ぼし、UBSも影響を受ける。各国による規則の実施方法の差異及び国内へ焦点を当てる傾向
の高まりは、規制の細分化が更に進むリスクをもたらし、ひいては当グループのコスト増加や新たな金融安
定性に対するリスクをもたらす可能性がある。
しかしながら、当グループは、ビジネスモデルへの適応と規制変更の積極的な管理により、規制環境に生
じる今後の変化を吸収する強固な体制を整えていると考えている。
富の創出
2018年、第4四半期に株式市場のパフォーマンスが急激に落ち込んだため、世界の富は全体的にかろうじ
て成長した。このトレンドは、株式市場が上昇したため、2019年に部分的に反転した。現在、世界の富の半
分は南北アメリカに集中しており、次いでアジア太平洋地域(約30%)、残りはヨーロッパ、中東及びアフ
1 2
リカとなっている。 セグメント別 では、世界の富の約半分を富裕層個人顧客が有し、超富裕層個人顧客
は世界の富の約30%を保有し、残りの約20%は準富裕層が有する。今後4年間で、世界の富は毎年5~10%
1
の成長が期待される。 地域別では、富の創出は、アジア太平洋地域及び北アメリカによって推進される可
能性が高い。南北アメリカのシェアは、今後4年間、世界の富の約50%で安定的に推移すると予想され、一
方、ヨーロッパ、中東及びアフリカのシェアは、アジア太平洋地域のシェア拡大に伴い、更に減少すると予
想される。特に、世界の富における中国のシェアは2023年までに約15%に拡大すると予想されている。
1 BCGの2019年版グローバル・ウェルス・レポートに基づく。
2 BCGの2019年版グローバル・ウェルス・レポートでは、富の区分について、20百万米ドル超の富を有する個人が超富裕層、1百万
米ドルから20百万米ドルの富を有する個人が富裕層、25万米ドルから1百万米ドルの富を有する個人が準富裕層と定義している。
富の移転
人口統計学的及び社会経済的な動向を受けて、富は変動し続ける。例えば、Wealth-Xの2019年の報告書に
よると、2030年までには、15.4兆米ドルの世界の富が、500万米ドル以上の純資産を有する個人によって移
3
転されると予想されている。 加えて、今や女性は従来に比べてより多くの資産を管理している。「富裕層
効果-2019年富裕層に関する洞察」と題するUBSの2019年の報告書では、女性の富裕層は5年間で46%増
え、男性の富裕層の伸びを上回っていることが明らかになった。当グループは、 UBSウェルス・ウェイ と称
する、顧客の金融と共にある人生のあらゆる側面に対応する枠組みを用いて、進化する富の状況に対応して
いる。 UBSウェルス・ウェイ は、顧客にとって最も大切なことを見出すための問いと、その最も大切なこと
についての顧客との話し合いから始まる。当グループは、顧客の金融と共にある人生を3つの重要な戦略に
沿って組み立てることを支援する。すなわち、短期的な支出のためのキャッシュ・フローの提供を支援する
流動性の確保(Liquidity) 、長期的なニーズのための 老後への備え(Longevity) 、富の移転計画の主要な
部分である、自分以外の他の人々の生活改善を支援するニーズのための 資産承継(Legacy) である。
3 Wealth-Xが2019年に発行したジェネレーショナル・シフト:ファミリー・ウェルス・トランスファー・レポート。
受動的戦略への転換
当グループは、低コストの受動的戦略と、ハイアルファでアクティブかつ代替的な戦略との間の分離の継
続的な傾向に留意する。受動的管理は、この10年間の株式の強気相場のような株式市場の高騰の中で有利で
ある。同時に、中央銀行の金融政策は、金利を歴史的な低水準に維持しており、債券利回り及びその他の資
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産クラスに影響を及ぼしてきた。パッシブ戦略からの利益よりも長期的ハイアルファを求めている投資家
は、自身のポートフォリオを実質資産と代替資産に多様化しており、当グループもこの傾向が続くと予想し
て いる。当グループは、UBSアセット・マネジメントの投資に関する専門知識の広範さにより、資産クラス
や戦略を横断した顧客の需要に応えることができると考えている。
退職年金積立基金
この数年に亘り、年金業界は、高齢化等の重要な人口動態の変動及び史上最低金利による期待運用収益の
減少の2つの主要な困難に直面してきた。
確定給付から確定拠出年金への前進的なシフト等、当該困難に対する構造的解決策の他に、当グループは
年金基金が自らの資産分配手法を再評価していると考えている。実際、多くの年金基金は、現在、高利回り
のエクスポージャーを追求する中で、自らのポートフォリオのうち以前より高い割合を、プライベートエク
イティ、ヘッジ・ファンド、不動産及びインフラ等のオルタナティブ投資に分配している。
当グループでは、これらの基金が運用戦略及び対象とするポートフォリオの配分を決定するのに追加の支
援が必要になると思われるため、この動向はUBSにとってプラスであると捉えている。更に、当グループの
プライベート・バンキング及びウェルス・マネジメントの顧客は、財務及びリタイアメント・プランニング
に関する追加の助言を必要とすることが予想され、当グループでは、当該助言は、当グループのウェルス・
プランニング・サービスを通じて総合的に提供することができる。
規制及び法律の動向
スイス
スイス連邦参事会がG-SIBのゴーンコンサーン・ベースの自己資本に関する新たな規則を採択
2019年11月、スイス連邦参事会は、自己資本に関する規則の改正を採択し、この改正は2020年1月1日に
発効した。この改正では、グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIB)のうちスイスに拠点を有する中間
親会社について、単体ベースでのゴーンコンサーン・ベースの自己資本規制を導入した。結果として、UBS
AGは、(ⅰ)単独ベースでの第三者エクスポージャーに対するゴーンコンサーン・ベースの自己資本規制、
(ⅱ)UBS AGの連結エクスポージャーに対する当グループのゴーンコンサーン・ベースの自己資本規制の
30%に相当する追加のゴーンコンサーン・ベースの自己資本バッファー要件、及び(ⅲ)UBSの企業が発行
し、親銀行が保有するゴーンコンサーン・ベースの商品の名目価値に相当するゴーンコンサーン・ベースの
自己資本規制の対象となる。2024年までの移行期間は、バッファー要件に設けられる。
現行の見積りに基づき、また、新たな要件の段階的導入が完了すれば、UBSグループは、当グループの要
件のみを満たすのに要求されるよりも約75から100ベーシス・ポイント高いゴーンコンサーン・ベースのレ
バレッジ比率を維持することを要求されると予想している。移行期間終了時の当グループの実際の総損失吸
収自己資本要件は、当時の子会社の損失吸収力を含め、いくつかの構成要素に依存する。
また、当該改正により、2022年1月1日付で、UBSスイスAGのゴーンコンサーン・ベースの要件は当グ
ループのゴーンコンサーン・ベースの要件(リベート前)の62%に引き下げられ、当グループのゴーンコン
サーン・ベースの最低要件(リベート後)は3%から3.75%(レバレッジ比率分母に基づく。)に引き上げ
られた。
最後に、ゴーンコンサーン・ベースの要件を満たすために利用可能な商品は、満期の1年前まで適格であ
るが、適格性の最後の年における現行の50%のヘアカットは、改正された規則の下ではもはや適用されな
い。
スイス法人税改革
2019年5月、スイスの有権者は、法人税の優遇制度を廃止し、経済協力開発機構(OECD)の基準に沿った
一連の税制措置を導入するとともに、スイスの事業拠点としての競争力を維持することを目指した法人税改
革措置を可決した。この税制改革による連邦政府の変更は、州レベルでの税率引き下げやその他の変更に
よって、当該改革によって生じる増加の大部分が相殺されるため、当グループの税費用に大きな影響を与え
ることはない。連邦政府の改革は2020年1月1日に発効した。
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また、改革措置では、証券取引所に株式を上場しているスイスに所在する会社に対し、配当の50%以下に
ついては資本準備金から支払うことができ、また、償還のための株式買戻しの少なくとも50%については資
本準備金から支払わなければならず、いずれの場合も残りは利益剰余金から支払わなければならないことを
規 定している。その結果、2019年度の配当を含め、2020年1月1日以降に支払われる配当総額の少なくとも
50%は、利益剰余金から支払われ、35%のスイス源泉徴収税が課せられる。2019年12月31日現在、UBSは、
配当又は株式買戻しのいずれかによる株主への将来の配当のため、承認された資本準備金として130億スイ
ス・フランを保有していた。
また、2019年1月1日付でスイス税法が改正され、損失吸収その他Tier 1証券又は総損失吸収力(TLAC)
適格非劣後無担保債務を発行しているシステム上関連ある銀行の持株会社に適用されるようになったことに
より、UBSはもはや、UBSグループ・ファンディング(スイス)AGから当該証券を発行せず、既存の証券は、
2019年10月にUBSグループAGに移管された。
スイスの取引施設に関するEUの同等性決定
欧州委員会は、2019年6月、スイスとEUとの間の制度的枠組みに関する協定の締結に向けた進展が見られ
なかったことを理由として、スイスの取引施設の同等性に関する決定を2019年6月末を越えて延長しないこ
とを決定した。
これを受け、スイス連邦参事会は、スイス証券取引所のインフラを保護するための緊急時対策を発動し、
これは2019年7月1日付で発効した。このスイスの緊急時対策は、スイスの法人が発行した株式の取引を認
めた外国の取引施設の認定要件を導入し、EUの取引施設は相互関係の欠如により認定が取り消された。この
措置を遵守するため、EUの取引施設におけるスイス株式の取引は中止され、EUの適格な取引施設が存在しな
い場合にEU法に基づいて認められているとおり、2019年7月1日付でスイスの取引施設へと変更された。
当グループはこのシナリオに備えており、2019年7月1日現在、スイス株式の関連ある取引フローをEUか
らスイスの取引施設へと変更しており、UBSにとっての調整コストは限定的である。
スイス国立銀行によるゼロ金利免除基準の調整
2019年9月、スイス国立銀行(SNB)は、マイナス金利の免除対象となる、SNBにおける貯蓄預金の算定の
調整を発表した。免除基準は、各銀行の最小要件の20倍から25倍に引き上げられている。また、当該基準は
毎月更新される。これらの変更は、2019年11月1日に施行された。SNBは、この決定が世界的な低金利環境
がしばらく継続するとの前提に立って下されたことを表明した。SNBは、2019年12月の金融政策評価におい
て、前回公表した政策措置を変更せずに残した。UBSは、SNBに相当の貯蓄預金を維持する。免除基準算定の
調整は、UBSの受取利息純額に有益である。
スイス連邦参事会が2021年半ばまでにNSFRを発効させる意向を表明
スイスにおける安定調達比率(NSFR)要件の導入は、EU及び米国の動向に合わせて、過去2年間延長され
てきたが、2019年11月、スイス連邦参事会は、2020年初夏に関連する府令改正を採択し、2021年半ばまでに
施行する予定であると表明した。スイス連邦財務省は、今後数ヶ月間、影響のある銀行を含む関連ある利害
関係者と共同で規制文書を完成させることを義務付けられた。2017年の協議で当初提案されたように実施さ
れれば、NSFRの導入は、法人レベルでの長期資金需要の大幅な増加をもたらす可能性がある。
自動的情報交換
2019年9月、2017年1月1日付で自動的情報交換(AEI)がスイスで導入されたことにより、スイス連邦
税務当局は、75ヶ国と金融口座情報を交換した。これらの国々のうち63ヶ国では、交換は相互的であった。
12ヶ国については、スイスは情報を受領したが、相手国が機密性及びデータの機密保護に関する国際的な要
件をまだ満たしていない(ベリーズ、ブルガリア、コスタリカ、キュラソー、キプロス、モントセラット、
ルーマニア並びにセントヴィンセント及びグレナディーン諸島)か、データを受領しないことを選択した
(バーミューダ、英領ヴァージン諸島、ケイマン諸島及びタークス・カイコス諸島)かのいずれかの理由
で、スイスからは情報を提供しなかった。スイス連邦税務当局は、約3.1百万の金融口座情報をパートナー
国に送付し、約2.4百万の情報をパートナー国から受け取った。交換の対象となるのは、氏名、住所、居住
国及び税識別番号を含む識別、口座及び金融情報、並びに報告金融機関、口座残高、所得支払及びグロス
ベースの収入に関する情報である。UBSは、AEIの義務を完全に遵守するよう努めている。
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収益不動産の自主規制強化
FINMAは、2019年8月、スイス銀行協会が改定した収益不動産のモーゲージ貸付に関する自主規制を承認
した。この改正により、これらの不動産の新規及び増加したモーゲージに必要な最低資本額は、組成時の市
場価格の10%から25%に引き上げられ、モーゲージは10年(以前は15年)以内に組成時の市場価格の三分の
二まで償却することが要求される。UBSスイスAGは、2020年1月1日に施行された改正後の自主規制の対象
となる。当グループは、UBSへの全体的な影響は限定的であると予想する。
ヨーロッパ
英国のEUからの撤退に関する最新情報
最近の進展に基づき、英国とEUは、現行のEUの金融サービス法に基づく英国に対する同等性決定の付与を
含め、2020年12月31日に終了する予定の移行期間中に、将来の関係における条件を交渉する予定である。
UBSは、2019年3月、英国事業の移転とUBSリミテッドのUBSヨーロッパSE(UBS ESE)へのクロスボーダー
の合併を組み合わせた緊急時対策を実施した。
欧州委員会は、英国中央カウンターパーティ(CCP)に対する一時的同等性が、2021年1月31日まで延長
されることを確認している。必要な同等性の決定がなされずに、英国が移行期間を終了した場合、UBS ESE
の英国CCPに対するエクスポージャーを2021年1月31日の期限前にEUのCCPに移行させる必要がある。しか
し、関連する金融サービスを対象とした将来のEUと英国の関係又は同等性の決定についての合意がなけれ
ば、この業界は、EUの金融商品市場指令Ⅱ(MiFIDⅡ)に基づくデリバティブ取引や株式取引債務の運用
等、2020年に英国とEUとの間の決議を必要とする多くの市場構造の問題に直面することになる。
英国のオペレーショナル・レジリエンス要件
2019年12月、英国の規制当局(イングランド銀行、英国健全性規制機関(PRA)及び金融行為監督機構)
は、銀行及び金融市場インフラストラクチャー(FMI)に関するオペレーショナル・レジリエンスの見通し
に関する検討課題を公表した。これを補完するために、PRAは、外部委託及びサードパーティー・リスク管
理要件についても協議を行っている。
この提案では、企業及びFMIは、自らの主要な事業サービスを特定し、それぞれに影響許容度(すなわ
ち、耐えうる最大限の中断レベル)を設定する必要がある。また、企業は、厳しいが合理的なシナリオでの
影響許容度内で重要な事業サービスを提供できるかどうかを検証する必要がある。
UBSは、既存のオペレーショナル・レジリエンスの枠組みを検討課題で示された新しい方法論に適合させ
る過程にある。影響許容度は明確に定義され、シナリオは、これらの影響許容度内で当グループの統制を検
証し、事業運営を維持するように設計され、実施される。
国際
マネーロンダリング防止に関する動向
マネーロンダリング防止(AML)(それに関する国際的な連携、監督情報の共有を含む。)並びに金融活
動作業部会(FATF)の基準及び方法論の乖離がますます注視されてきた。当局もまた、AML遵守を促進する
だけでなく、悪意のある活動に対し新たな扉を開く上でテクノロジーが果たす役割が高まったことを認識し
た。これに関連して、FATFは、デジタルアイデンティティのシステムが顧客のデューデリジェンスのために
どのように使用され得るかを明確にすることを目的とする「デジタルアイデンティティに関する指針案」に
ついて協議した。FATFはまた、暗号交換について、顧客を特定し、その情報を法執行当局が入手できるよう
規定する基準を更新した。一方で、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、健全性及びAML及び対テロリスト
金融監視の間の相互作用と協力に関する指針の導入について協議した。EUでは、欧州銀行監督機構(EBA)
の規則制定及び監督機能における役割強化を含め、EUのAML規則の実施強化に焦点が当てられ、EUのAML機関
の創設に向けた議論が進められている。
スイスでは、連邦参事会が、2019年6月26日、マネーロンダリング防止法(AMLA)を改正する指針を採択
した。この提案によると、弁護士及びその他の専門家等のアドバイザーはAMLAの対象となる。更に、リス
ク・ベースの手法を用いて、金融仲介機関は、実質的所有権に関する特定の情報を検証することが求めら
れ、また、顧客プロファイルを定期的に見直して、それらが最新であるかどうかを評価することが求められ
る。米国では、米国AML法に関する様々な改正及び指針が導入され、これには、実質的所有権、情報共有、
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プライバシー保護、リスク管理及び審査の優先順位等の問題に関するものが含まれていた。APACでは、FATF
及びアジア太平洋マネーロンダリング対策グループ(APG)が日本の評価を行い、今後同地域のAML方針を牽
引 する6件の相互審査報告を採択した。
データ保護に関する動向
単一の世界的なデータ保護規制当局が存在しない中で、データ保護規制、特に、テクノロジーがデータ政
策の状況及び国際的協調をどのように変えているかについてますます注目が集まってきた。これには、銀行
がビッグデータ分析を利用する能力に関する明確性、個人に対し自身のデータの収集及び利用方法に関する
統制力を今より提供することを目的としたプライバシー及びセキュリティーの課題への取り組み、並びに国
境を越えたデータの円滑な引き渡しに関する考慮事項が含まれていた。EUでは、一般データ保護規則
(GDPR)の継続的な実施及びGDPRと他のEU法との間の不整合への取り組みに焦点が当てられた。また、EBA
はビッグデータの展開や高度な分析における主要な課題についても要点をまとめた。EUと英国間のデータ引
き渡しは、英国とEU間に妥当性の決定がなされない場合には、EUが承認した標準契約条項を使用する必要が
ある。UBSは、EUが承認した標準契約条項が全ての関連ある契約に含まれていることを確認するための精査
を2019年に完了した。スイスでは、議会において2019年を通じて連邦データ保護法の根本的な改正と近代化
に関する議論が行われ、2020年も継続される予定である。この改正に関連して、スイス連邦参事会は欧州理
事会のデータ保護協定を承認するための指針を採択した。欧州委員会は、2020年第1四半期に、EUのGDPRと
比較したスイスのデータ保護の水準について、妥当性の決定を公表すると予想されている。米国では、カリ
フォルニア州が、独自の包括的な規制枠組み(カリフォルニア州消費者プライバシー法)を採択した最初の
州となった。
ステーブルコインに対する規制上のアプローチ
ステーブルコイン全般及び特にリブラに関するプロジェクトは、引き続き大きな規制上の注目を集めてい
る。
国際水準において、G7報告書では、ステーブルコインをマネーロンダリング及び税務コンプライアンス・
リスクを生じさせる9つの重要なリスクのうちの1つであると特定した。金融安定理事会(FSB)は、ス
テーブルコインの金融安定及びシステミック・リスクへの一環として、現行の監督・規制アプローチの見直
しを公表し、2020年4月に検討課題を発表する予定である。証券監督者国際機構は、証券法がグローバルな
ステーブルコインにどのように適用されるかを検討し、個別のアプローチを推奨した。
EUでは、欧州委員会及びEU理事会が、法律、規制及び監督上の課題及びリスクが十分に特定され、対処さ
れるまで、グローバルなステーブルコインに関するイニシアチブをEUで実施すべきではないと述べた。
米国では、連邦議会がステーブルコインを証券に分類し、1933年証券法に基づきステーブルコインを規制
する法案を提出した。
スイスでは、FINMAがスイスの監督法に基づくステーブルコインの取扱いについて概説し、「実質優先」
を考慮し、原則主義の技術に関係のないアプローチを適用すると述べた。更に、FINMAは、リブラ協会から
の要請に応え、スイスの規制を適用するための最初の指示を提供し、国際的な規制上の協調の必要性を強調
した。
英国では、イングランド銀行が、英国財務省に対し、伝統的な決済チェーンに適用されるものと同等のリ
スク・ベースの手法及び基準を適用することにより、ステーブルコイン等の革新を考慮するために支払に関
する英国の規制枠組みの調整を検討するよう勧告した。
金融システムに新たに生じつつある脆弱性及びシステム上重要な金融機関(銀行及びCCP)の破綻処理の実
行可能性に関するFSBの取組み
2020年の優先課題の一環として、FSBは、金融システムに新たに生じつつある脆弱性を特定、評価及び対
処するために、動向の将来予測に関する監視を強化することを発表した。主なテーマとしては、フィンテッ
ク、グローバルなステーブルコインの規制問題、クロスボーダー決済システム、金利ベンチマーク改革、長
引く低金利環境の影響、レバレッジド・ローン及びローン担保証券をめぐる動向及び金融安定性に関する検
討事項並びに気候変動に係る金融安定性に関する事項などが挙げられる。FSBはまた、銀行及び中央カウン
ターパーティ(CCP)に関する業務上の破綻処理戦略及び計画における格差が残っていることを指摘した。
銀行については、FSBは、総損失吸収力(TLAC)のグループ内配分と事前に設定されていないリソースとの
間の適切な均衡を見出し、破綻処理を行う企業が必要とする一時的な流動性を確保することに関連する課題
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に取り組む計画である。CCPについては、FSBは、金融リソース及び秩序ある破綻処理を支援するためのツー
ルに関する取り組みを継続することにより、金融機関のレジリエンス及び破綻処理の実行可能性を一層強化
す ることを目指しており、2020年第2四半期にこれに関連する協議が行われる予定である。
複数の管轄区域に亘るバーゼルⅢの実施
スイスでは、2017年に最終化されたバーゼルⅢ規則の実施に向けた技術的な作業が、2019年下半期にスイ
ス連邦財務省とFINMAを中心に開始された。しかし、これまでのところ、いかなる提案も公表されていな
い。
欧州委員会(EC)は、バーゼルⅢの残りの要素(市場リスクの枠組み、信用リスク、オペレーショナル・
リスクへの標準的手法及びアウトプット・フロアを含む。)の実施に対するEUの取り組みについて協議し
た。ECは、2020年6月までに立法案を公表する予定である。UBSのEU管轄下の企業(主にUBSヨーロッパSE)
は、EUによる規制の範囲内にある。米国規制当局は、バーゼルⅢの残りの要素の実施に関する規則をまだ提
案していない。
UBSに関連する管轄区域の規制当局は、バーゼルⅢの最終規則のためのBCBS実施スケジュール(2022年1
月1日適用)を満たすよう取り組んでいる。しかしながら、当グループでは、移行期間に起因して施行日は
それより後になると予想している。
サステナブル・ファイナンスに関する規制動向
EUでは、2018年3月に公表されたECのサステナブル・ファイナンスに関するアクション・プランの重要な
要素について政治的合意がなされており、その中には、(ⅰ)経済活動が特定の環境目的に寄与し、他者に
害を及ぼさないかどうかを決定するサステナブル・ファイナンス分類、(ⅱ)定期報告において環境又は社
会的特性の推進及び持続可能な投資の推進についての透明性を確保することを目的とした、ポートフォリオ
管理サービスを提供する銀行に対する開示要件、(ⅲ)標準的な投資ポートフォリオの二酸化炭素排出量の
低減を目指すか、2015年のパリ協定に定められた2℃低減目標の達成に特に寄与することを目指す2種類の
ベンチマークが含まれている。
ECはまた、投資会社及び保険代理店に、投資会社が顧客に提供するアドバイスに環境、社会及びガバナン
ス(ESG)の要素及び選好を含めるよう義務付けることを目的として、MiFIDⅡ及び保険販売指令に基づく委
任行為を修正する規則案を公表した。
スイスでは、連邦参事会が、国際金融事務局(SIF)を長とするワーキング・グループを設置し、サステ
ナブル・ファイナンス分野における規制動向(ECの行動計画がスイスへ与える影響等)を確認する役割を
担った。2020年春には、この確認の結果と、サステナブル・ファイナンスに対するスイスの規制上のアプ
ローチについての提案を組み込んだ報告書が作成される予定である。UBSへの影響は、本書でなされる提言
に依拠する。
これとは別に、2019年には、金融リスクの管理に関連する複数の動向がみられた。英国健全性規制機関
(PRA)は、2019年4月に、気候変動から生じる金融リスクに対処するための銀行及び保険会社の取り組み
を強化することについての監督声明を公表した。
イングランド銀行(BoE)は、2021年隔年探索的シナリオ(BES)行使のために提案された枠組みを説明す
るディスカッション・ペーパーを公表した。BESの目的は、異なる気候シナリオに関連する物理リスク及び
移行リスクに対する、最大規模の銀行及び保険会社のレジリエンス、並びに気候関連のリスクに対するより
広範な金融制度に対するエクスポージャーのレジリエンスを検証することである。BESは、金融サイクルに
きちんと結びついておらず十分には理解されていないリスクを検討するために用いられているBoEのストレ
ス・テストの枠組みの一部である。
スイスでは、2030年までにパリ協定の削減目標を実施するため、CO2法改正案を新たに国会で採択した。
この案には、SNB及びFINMAが金融セクターにおける気候関連の金融リスクを評価することを義務付ける新し
い規定が含まれている。
香港では、香港金融管理局が、認定機関が気候及び環境関連リスクを管理する準備及び用意ができている
かを自己評価するためのグリーン及びサステナブル・バンキングに関する共通評価の枠組みを策定した。
IBORからの移行に関連した動向
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代替参照金利(ARR)の流動性及び活動は、世界の市場で進展を続けており、銀行間取引金利(IBOR)か
らの移行に伴う特定の課題の解決に向けた取組みが進められている。規制当局は、2021年末までのARRへの
移行に引き続き焦点を当てている。
SNBは、2019年6月、3ヶ月物のスイス・フランLIBORについて以前使用された誘導目標レンジに代わる
SNB政策金利を導入した。SNB政策金利は、スイス翌日物平均金利(SARON)に焦点を当てつつ、担保付短期
市場金利の金利水準を示すものである。また、SNB政策金利の導入は、SARONへの早期移行を促すことも目的
としている。
金融行為規制機構及びイングランド銀行は、2020年第1四半期以降、ポンド金利スワップをLIBORからポ
ンド翌日物平均金利(SONIA)に切り替えることを奨励している。また、銀行は、2020年第3四半期末まで
にポンドLIBORに連動する現物商品の発行を終了することを目標にする必要があり、当該レートを参照する
既存の発行済みの契約を大幅に減らすことも目標とする必要がある。
欧州中央銀行は、ユーロ市場のARRであるユーロ短期金利( € STR)を2019年10月に初めて公表した。
米国の担保付翌日物調達金利(SOFR)の流動性は、まだ発展途上にあり、主に政府が支援する企業を中心
とした少数の発行者に集中している。SOFRの平均値は2020年上半期から公表が開始される予定である。米国
商品先物取引委員会(CFTC)は、救済を提供し、市場参加者がLIBORからARRに移行する際に不利にならない
ことを保証するノーアクション・レターを発行している。
当グループはIBORに連動する契約を多数有している。ARRは、現在のところ期間構造を提供しておらず、
従って、現在のオーバーナイト以外の指数連動商品の契約条件は変更が必要になると考えられる。当グルー
プは、組織横断的、地域横断的なガバナンス体制及び変更プログラムを構築し、移行の規模と複雑さに対応
している。
米国
米国における外資系銀行に対する規制の調整
2019年10月10日、連邦準備制度理事会は、米国で主要な事業を有する外国銀行組織(FBO)に対して、一
定の資本及び流動性規制、並びに強化された健全性基準をどのように適用するかを調整する2つの提案を採
択した。最終規則に基づき、FBO及びその米国中間持株会社(IHC)は、資産合計で測定された規模及び4つ
のその他のリスク・ベースの指標(すなわち、ノンバンク資産、短期ホールセール資金調達の加重測定、オ
フバランス・シートのエクスポージャー及び管轄横断的活動)に関するスコアに基づいて、カテゴリー別に
割り当てられる。
UBSアメリカズ・ホールディングLLC(当グループのIHC)及び当グループの統合された米国事業には、当
グループのIHC及びUBS AGの米国支店が含まれ、当該会社は最終規則では「カテゴリーⅢ」の企業となって
いる。このカテゴリーでは特に、UBSアメリカズ・ホールディングLLCは継続的に、(ⅰ)年次で資本計画を
提出することを要求され、(ⅱ)包括的資本分析及びレビュー(CCAR)のプロセスを通じた分配の制限を課
され、(ⅲ)年次で監督上のストレス・テストが課され、かつ(iv)補足レバレッジ比率の対象となる。ま
た、当該会社は、新たに適用される流動性カバレッジ比率要件及び提案された安定調達比率要件の対象とな
る。「カテゴリーⅢの企業」は、企業経営ストレス・テストを毎年ではなく2年毎に行い、米国の破綻処理
計画を3年毎に提出することが求められている。
米国規制当局は、2019年7月9日、UBSアメリカズ・ホールディングLLC等のカテゴリーⅢの組織を含む特
定のカテゴリーに分類される機関について、特定の自己資本規制の遵守を簡素化するための規則を採択し
た。
ボルカー・ルールの改正
米国規制当局は、自己勘定取引に対するボルカー・ルール禁止及びカバード・ファンド活動の制限を実施
する規制の改正(2019年最終規則)を採択した。改正は2020年1月1日に発効し、その日から自発的に遵守
され、2021年1月1日から強制的に遵守される。
とりわけ、2019年最終規則は、米国のトレーディング資産及び負債の水準に基づく区分のトレーディング
業務に対する法令遵守プログラム義務を調整し、米国外の外国の銀行事業体が行う活動に適用されるボル
カー・ルール規制の免除に関する一定の条件を緩和する。当グループは、UBSが「大規模(Significant)」
のカテゴリーに該当すると予想しており、当該カテゴリーは、UBSに対し法令遵守プログラムを維持するよ
う求めるが、一定の報告要件を撤廃する。
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2020年1月30日、米国規制当局はボルカー・ルール規制の更なる改正を提案した。改正案は、銀行が、現
行の規制と比較して、カバード・ファンドを伴う追加的な活動に従事することを可能にするものである。
最終的なBEAT税規則発効
2019年12月、米国財務省及び米国内国歳入庁は、税源浸食濫用防止税(BEAT)に係る最終規則を公表し
た。BEATは、2017年に税制改革法の一環として導入され、米国企業が米国外関係当事者への支払を通じて米
国の課税所得を過度に軽減することを防ぐことを企図している。2018年12月に公表された規則案のほとんど
の特徴は、米国の支店や子会社を通じて営業する外資系銀行(UBS等)にとって有用であると考えられるも
のを含めて、大概維持されているが、最終規則には、いくつかの重要な明確化及び変更が含まれている。当
グループは、当グループの米国支店及び子会社が米国外の関連当事者に対して行う支払が、適用あるBEAT基
準値を依然として下回ると予想されることを主な理由として、予見可能な将来においてBEATに対する限定さ
れたエクスポージャーはないと引き続き予想している。
米国の最善の利益規則
SECは、個人投資家の保護を強化することを企図した規則及び解釈を採択した。この新しい規則の発効日
は2020年6月30日の予定である。この新しい規則は、ブローカー・ディーラー及び投資アドバイザーに対す
る法的要件や開示義務を、投資家の合理的な期待に沿わせることを意図しているが、一方で、選択及びコス
トの観点から、様々な投資サービス及び商品へのアクセスを維持することを目的としている。
最善の利益規則は、ブローカー・ディーラーの注意義務を現行の「適合性」要件から、新たに定義された
「最善の利益」基準に引き上げる。この基準は、リテール顧客に提供される証券取引又は証券への投資戦略
に適用され、ブローカー・ディーラーがリテール顧客の利益よりも自己の経済的利害関係を優先して推奨を
行うことができないことを明確にする。この規則はまた、新たな開示要件及び追加的なコンプライアンス・
プログラム要件を創出する。これらの変更を実施するには、UBSの米国のブローカー・ディーラーの業務及
び監督上の変更が必要となる。
米国証券取引委員会による米国証券ベースのスワップ規制の採択
SECは、2019年、証券ベースのスワップ・ディーラー(SBSD)のための多くの規則及び改正を採択した。
これには、(ⅰ)資本、証拠金及び分離に関する規定、(ⅱ)記録管理、報告及び通知に関する規定、
(ⅲ)証券ベースのスワップの非清算ポートフォリオのリスク軽減手法の適用が含まれる。SECはまた、
2019年12月に、クロスボーダーの証券ベースのスワップを規制する枠組みの拡張及び向上を企図した規則及
び解釈を採択した(2020年4月6日発効)。2019年12月の規則は、米国外のSBSDに対する登録要件について
扱っており、これには非米国SBSDに対する代替遵守を得るためのプロセスに関する指針が含まれる。当グ
ループでは、UBS AGがSBSDとして登録する必要があると予想している。証券ベースのスワップ・エンティ
ティがSECに登録し、他の証券ベースのスワップ規則(証拠金、資本金、分離、記録管理及び報告、並びに
業務行動規範に関する規定を含む。)を遵守することになる日は、2021年10月6日である。
APAC
中国による金融セクターの更なる開放
2019年7月、中国の国務院金融安定発展委員会及び国家外貨管理局が、外国の金融機関及び投資家への金
融セクターの開放を加速させるための措置を発表した。この措置には、(ⅰ)証券会社、ファンド管理会
社、先物会社に対する外資持分制限を1年前倒しの2020年に撤廃すること、(ⅱ)外国の金融機関に対し、
資産管理会社及び通貨ブローカーの設立及びこれらへの投資並びに債券市場への参加を促すこと、(ⅲ)適
格外国投資家が中国へ投資する際の要件及び割当を撤廃することが含まれる。
証券会社の持分上限の撤廃が加速することにより、UBS AGは2020年12月1日からUBSセキュリティーズ・
チャイナへの出資比率を現在の51%から100%に引き上げることが認められる見込みである。UBSアセット・
マネジメントは、2020年4月1日から、完全所有の証券投資ファンド管理会社に申請することが認められる
予定である。
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2【事業等のリスク】
本項には将来に関する事項が含まれているが、当該事項は2019年12月31日現在において判断したものであ
り、COVID-19から生じたリスクについて概説した文章に関しては、2020年3月31日に終了した期間に関する
財務書類の公表日である2020年4月28日現在において経営陣が判断したものである。
UBSに関連するリスク
以下の記載を含む一定のリスクは、UBS AGの戦略遂行の能力あるいはUBS AGの事業活動、財政状況、業績
及び見通しに影響する可能性があるものである。UBS AGのような広範囲にわたる国際的金融サービス会社
は、本質的に、複数のリスクにさらされており、その多くが事後的にのみ明らかとなる可能性のあるリスク
である。そのため、現在UBS AGが重大であると考えていないリスク又は現在認識していないリスクもまた、
UBSに悪影響を与える可能性がある。各リスク区分のうち、UBS AGが最も重大と考えるリスクから順に記載
している。
市場リスク及びマクロ経済リスク
UBS AGの経営成績及び財務状況は、COVID-19のパンデミックによる悪影響を受けており、今後も継続して悪
影響を受ける可能性がある。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの拡大及びパンデミックを封じ込めるために政府
が取った措置は、グローバル経済の状況に著しい悪影響を及ぼしており、かつ今後も継続して悪影響を及ぼ
す可能性があり、その結果、グローバル経済の重大な収縮、金融市場のボラティリティの増大、失業の増
加、信用リスク及びカウンターパーティ・リスクの増大、並びに事業の一時的な閉鎖、屋内退避命令及びリ
モート勤務プロトコルの増加等の事業運営上の課題がもたらされる。世界各国の政府及び中央銀行は、パン
デミックによる経済危機に対して、刺激策及び流動性プログラムの実施並びに金利の引き下げ等の対策を
行ってきたが、これらの対策又は今後の対策が経済の混乱に対処できるかは不明である。パンデミックが長
期化する場合又は政府及び中央銀行の対策が成功しない場合には、世界経済への悪影響が深刻になり、UBS
AGの将来の四半期における経営成績及び財務状況が悪影響を受ける可能性がある。
2020年4月現在、COVID-19のパンデミックはUBS AGの全ての事業に影響を及ぼしており、この不利な状況
が続くと、この影響は将来の四半期により大きくなる可能性が高い。この影響には、資産価格の下落、ボラ
ティリティの著しい増加、更なる低金利又はマイナス金利、信用スプレッドの拡大及び信用の低下が含まれ
ている。これらの影響は、貸出金及びコミットメントの評価の低下、信用損失引当金の増大、特定クラスの
トレーディング資産の評価の低下、並びに金利低下による受取利息純額の減少をもたらした。これらの影響
は、2020年第1四半期には、顧客取引活動の高水準によって相殺されたが、この活動水準は将来の四半期に
は持続しない可能性がある。
これらの世界的な市況が長引くか、悪化した場合、又はパンデミックが更なる市場の混乱を招く場合、
UBS AGは、顧客活動並びに顧客の商品及びサービスに対する需要の減少、貸出コミットメントの利用の増
加、顧客の債務不履行の増加、UBS AGのローン・ポートフォリオ、ローン・コミットメント及びその他の資
産における信用損失及び評価損の増加、並びにその他の金融資産の減損を経験する可能性がある。また、金
利の急激な低下は、純利息マージンを更に低下させることになる。投資資産の減少もまた、グローバル・
ウェルス・マネジメント事業及びアセット・マネジメント事業の経常受取報酬を減少させる。COVID-19のパ
ンデミックに関するこれらの要因及びその他の結果は、資本及び流動性に対する潜在的制約、資本費用の増
加、UBS AGの信用格付の変更又は格下げの可能性等、UBS AGの財務状況にマイナスの影響を及ぼす可能性が
ある。
UBS AGは従業員のかなりの人数を、接客及び取引に携わる従業員を含め、在宅勤務のソリューションに移
行してきたが、主要人員を含む従業員のかなりの人数が、パンデミックに関連する疾病、行政措置又はその
他の制限のために効果的に働くことができない場合には、パンデミックの事業への悪影響がより大きくなる
可能性がある。また、ほとんどの従業員がオフィス外で働くことになり、監督及び監視統制の維持、並びに
不正及びデータ・セキュリティーのリスクの増大を含め、UBS AGは新たな課題及びオペレーショナル・リス
クに直面している。UBS AGは、これらのリスクを管理する措置を取っているが、このような措置は、UBS AG
が現在経験している規模又は期間では検証されておらず、かかる措置が現在の前例のない事業環境では効果
的ではないかもしれないというリスクがある。
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パンデミック及び関連する経済的困難がUBS AGの事業、経営成績及び財務状況、並びにその規制資本及び
流動性比率にどの程度影響を及ぼすかは、パンデミックの範囲及び期間並びに回復期間、政府当局、中央銀
行 及びその他の第三者が今後パンデミック対応で取る措置、並びにUBS AGの顧客、カウンターパーティ、従
業員及び第三者であるサービス提供会社への影響等、非常に不確実で予測不可能な将来の動向に依存する。
詳細については、上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「最近の動向」を参照のこ
と。
金融サービス業界における業績は市場状況及びマクロ経済環境に影響される。
UBS AGの事業は、市場及びマクロ経済の状況により大きな影響を受ける。利率、信用スプレッド、証券の
価格、市場のボラティリティ及び流動性、外国為替相場、商品価格、及びその他の市場変動並びに投資家心
理に不利な変化が生じると、UBS AGの利益に、そして最終的にはその財務状況及び資本基盤に悪影響を及ぼ
すおそれがある。
市場の低迷及びマクロ経済環境の低迷は、地政学的事由、世界貿易摩擦、金融若しくは財政政策の変更、
貿易政策の変更、自然災害、疾病、市民暴動、暴力行為、戦争又はテロを含む様々な要因により生じる可能
性がある。そのような事態は、予測不能で不安定な影響を及ぼす可能性があり、金融市場は全世界的なもの
で高度な相関性があるため、地方及び地域の事象であってもその発生国にとどまらず広範に様々な影響を及
ぼす可能性がある。これらの事態はいずれも、UBS AGの事業又は財務成績に悪影響を与える可能性がある。
各国がクロスボーダーの支払い、貿易若しくはその他の為替取引に対する制限若しくは資本規制を課した
場合、又は通貨の変更(例えば、1国以上の国がユーロ圏を脱退する場合)があった場合、UBS AGは、カウ
ンターパーティの強制執行される債務不履行により損失を被るか、自己の資産を使用することができない
か、又は自己のリスクを効果的に管理することができなくなる可能性がある。
市場ボラティリティが著しい場合、事業活動及び顧客活動並びに市場取引規模の縮小は、特に、UBS AGが
2018年第4四半期にウェルス・マネジメント及びインベストメント・バンクで経験したように、取引報酬、
手数料及びマージンを生み出すUBS AGの能力に悪影響を及ぼすこととなる可能性がある。市場が低迷する
と、UBS AGが顧客のために運用する資産の規模及び評価が低下する可能性があり、これにより、グローバ
ル・ウェルス・マネジメント及びアセット・マネジメントの投資資産に基づき請求する経常的な手数料収入
並びにアセット・マネジメントでの業績ベースの手数料が減少する可能性がある。またそのような市場の低
迷により、投資対象又はトレーディング・ポジションとして計上するUBS AGの保有資産の価値が下落する可
能性がある。更に、市場の流動性又はボラティリティの低下は、トレーディングの機会を制約する可能性が
あり、これにより、取引ベースの収入が減少し、更にUBS AGのリスク管理能力が妨げられる可能性がある。
マクロ経済及び政治的展開による市場の混乱又は主要な市場参加者の破綻により、地域的に又は世界的に
危機が拡大すると、UBS AGは重大な影響を受けるおそれがある。UBS AGの戦略プランが時とともに、中国を
含む新興市場での成長と利益を生み出すUBS AGの能力にますます依存するようになっており、これによって
UBS AGが当該市場に関連したリスクにさらされる可能性は高くなる。
グローバル・ウェルス・マネジメントは、全ての主要地域から収益を得ているが、多くの同業者と比べて
アジアにより大きく集中しており、また、多くのヨーロッパの同業者とは異なり、米国で存在感を発揮して
いる。インベストメント・バンクの事業は、同業者と比べヨーロッパ及びアジアをより重視しているが、そ
のデリバティブ事業は、ウェルス・マネジメントの顧客、特にヨーロッパ及びアジアの基盤顧客に対する仕
組商品をより重視している。従って、UBS AGの業績は、他の一部の金融サービス提供業者よりも、これらの
地域及び事業での政治、経済及び市場の展開(COVID-19の流行の影響を含む。)により大きな影響を受ける
可能性がある。
経済状況が悪化した場合、顧客、取引相手及び他の金融機関に対するUBS AGの信用リスクのエクスポー
ジャーが増大する可能性がある。
信用リスクは、貸付業務、引受業務及びデリバティブに関する活動といった、UBS AGの多くの事業に必ず
付随するリスクである。経済状況又は市況が悪化すると、これらの信用エクスポージャーの減損及びデフォ
ルトが発生することとなる可能性がある。また、担保付のローン及びその他エクスポージャーの価値の下落
により損失が悪化する可能性がある。UBS AGは、そのプライム・ブローカレッジ事業、証券金融事業及びロ
ンバード貸付事業で、価値又は流動性が急速に低下する証券担保に対して相当な金額の貸付を行っている。
UBS AGのスイス・モーゲージ及び企業貸付ポートフォリオは、UBS AGの全貸付の大部分を占めている。従っ
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て、UBS AGは、スイス・フラン高及びそれによるスイスの輸出に対する影響、スイス国立銀行によるマイナ
ス金利の維持、ユーロ圏又はEU内の経済状況並びにスイスとEU又は欧州経済領域(スイスの最大の輸出市
場) との間の協定の進展を含む、スイスにおける経済の展開の悪化リスクにさらされている。更に、IFRS第
9号の予想信用損失(ECL)モデルに基づき、信用損失費用は、高水準の信用減損(ステージ3)並びに高
いECL(ステージ1及びステージ2)により、経済が低迷し始めた時に急速に増大する可能性があり、経済
の見通しが改善して初めて徐々に縮小する。ECLの大幅な増大は、規制上の資本を目的とする予想損失を上
回る可能性があり、UBS AGのCET1自己資本及び規制資本比率に悪影響を及ぼす可能性がある。
詳細については、上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「最近の動向」を参照のこ
と。
スイス及びユーロ圏の低金利及びマイナス金利は、UBS AGの受取利息純額に引き続き悪影響を与える可能性
がある。
低金利又はマイナス金利の環境が継続すると、利息マージンが更に減少し、パーソナル&コーポレート・
バンキング及びグローバル・ウェルス・マネジメント事業から生みだされる受取利息純額に悪影響が生じる
可能性がある。スイス国立銀行は、スイスの銀行が無利子を最高基準として預金を行うことを許可してお
り、この基準は最近引き上げられた。この許可がなければ適用されていたであろうマイナス金利の免除の利
用頻度が減少するか又はその利用が制限された場合、UBS AGの事業は、スイスでのマイナス金利により更に
悪影響を受ける可能性がある。
低金利及びマイナス金利はこの他、顧客の行動にも影響する可能性があり、それゆえに、UBS AGの全体的
な貸借対照表の構成に影響を及ぼす可能性がある。選択的預金手数料又は最低貸付金利の導入等、UBS AGが
これまで講じてきたか又は今後講じる可能性のある軽減措置によって、顧客預金(UBS AGの主要な資金調達
源)を失うこととなり、新規純資金流出やUBS AGのスイスでの貸付業務での市場シェアの低下がもたらさ
れ、今後更にそのような結果をもたらす可能性がある。
この他、金利変動もUBS AGの株主持分及び資本に影響を与える。特に、UBS AGのスイスの年金制度の退職
給付に係る資産及び負債の算定は、適用される割引率及び年金制度資産の価値の変動に敏感である。金利が
更に引き下げられると、割引率が引き下げられる可能性があり、結果として、対応する債務の存続期間が長
いため、年金制度の不足額が増える。この結果、これに対応してUBS AGの持分及び完全適用ベースの普通株
式等Tier 1(CET1)自己資本が減少する。
英国のEU離脱により商取引を中断させないためのUBS AGの計画が実効的でない可能性がある。
英国及びEUが移行期間末日(2020年12月31日と予定されている。)までに協定を締結できず、金融部門全
体に混乱が生じる場合、英国のEU離脱により商取引を中断させないためにUBSが採用してきた計画が実効的
でない可能性がある。
UBSは、UBS AGの事業を英国のEU脱退に備えるため、UBSリミテッド(英国を拠点とするUBSの子会社)の
UBSヨーロッパSE(ドイツを本拠地とするUBSの子会社)への吸収合併を完了した。これにより、UBSヨー
ロッパSEは、欧州中央銀行から直接監督される。英国がEUを離脱した後にUBS AGロンドン支店からサービス
を受けることができなくなる可能性があるUBSリミテッドの顧客及び他のカウンターパーティは全てUBSヨー
ロッパSEに移されている。
英国及び欧州のいずれの規制当局も、協定が締結されない場合に金融部門で生じる業務上の混乱を最小限
に抑える措置を講じている。その一例として、英国では、現在、英国に業務で入国する際にEUパスポートを
使用している企業には、現在の許可の範囲内で業務を継続することを認める臨時許可制度を実施しており、
EU当局では、英国公認の中央清算機関3機関を承認している。しかしながら、交渉の速度はCOVID-19のパン
デミックに影響を受けている。移行期間の延長は、英国が2020年6月30日より前に延長を要請する場合、EU
離脱協定の条件に基づき2021年12月31日又は2022年12月31日まで可能である。当該措置にかかわらず、英国
のEU離脱が無秩序に行われるという重大なリスクは依然として存在し、このリスクが実現した場合、金融業
界全体に深刻な混乱が生じる可能性があり、極限的な状況下では世界経済の低迷に拍車が掛かる可能性があ
る。
通貨の変動
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UBS AGは、通貨の変動によるリスクにさらされている。2018年にUBS AGの機能通貨及び表示通貨がスイ
ス・フランから米ドルに変更され、スイス・フランに関する通貨変動リスクへのUBS AGのエクスポージャー
は低下しているが、UBS AGの資産及び負債の大部分は、米ドル以外の通貨建てとなっている。更に、UBS AG
の CET1自己資本比率をヘッジするために、UBS AGのCET1自己資本には、通貨感応度につながる外貨建てエク
スポージャーを加えなければならない。そのため、資本と自己資本比率の両方を同時に完全にヘッジするこ
とは不可能である。従って、外国為替相場の変動は今後も、UBS AGの利益、貸借対照表、レバレッジ比率並
びに流動性カバレッジ比率に悪影響を及ぼすおそれがある。
規制上のリスク及び法的リスク
UBS AGの事業遂行においては重大な法的及び規制上のリスクが発生する。
50を超える国々で業務を行う世界的な金融サービス機関として、UBS AGは多数の異なる法律、税金及び規
制の体制に服しており、それには広範囲な規制上の監視も含まれ、重大な責任負担リスクにさらされてい
る。またUBS AGは、多数の請求、紛争、法的手続及び政府調査の対象となっており、現在行われているUBS
AGの事業活動により、今後そのような問題が引き続き発生すると予想している。これらの問題及びその他の
問題に対するUBS AGの財務エクスポージャーの範囲は広大であり、UBS AGが設定した引当金の水準を大幅に
上回る可能性がある。UBS AGは、これらの問題が解決された時の財務及びその他の面への影響を予想するこ
とはできない。
UBS AGは、UBS AGに対する一般公衆の認識及びUBS AGの評判に悪影響を与える可能性のある不利な暫定決
定又は判決を受ける可能性があり、それにより規制当局による健全性措置を受けることとなり、UBS AGが、
十分な防御をすることができ、最終的にはより好ましい結果が得られると考えていたとしても、その問題に
関して追加の引当金の計上を余儀なくされる可能性がある。このリスクの1例として、フランスの第1審裁
判所による総額45億ユーロの罰金及び損害賠償金の判決が挙げられる(当該判決についてUBS AG及びUBS
(フランス)S.A.は上訴しており、2020年6月に上訴裁判所にて再審理が行われる予定である。)。
規制手続の解決により、UBS AGが一定の業務を維持するために規制上の不適格の権利放棄を取得すること
が求められ、許可及び規制上の承認を制限、停止又は解除する権利が規制当局に付与され、金融市場の公益
事業に対し、UBS AGがそれらの公益事業に参加することを制限、停止又は解除することを認める可能性があ
る。そのような権利放棄を取得することを怠った場合、又は許可、承認若しくは参加が制限、停止若しくは
解除される場合、当グループに重大な悪影響が及ぶ可能性がある。
外国為替及びロンドン銀行間取引金利(LIBOR)並びにその他のベンチマーク利率に関連する政府当局と
のUBS AGの和解は、主要な法域において、規制事項に現在伴う財務リスク及び風評リスクの程度が大幅に増
加していることを際だって示している。LIBOR及び他の基準金利並びに外国為替及び貴金属に関する調査に
関連して、UBS AGは当局に対して、調査に全面的に協力したにもかかわらず、更に、米国及びスイスを含む
多くの法域における独占禁止法当局から条件付の減免又は条件付の免責を受けながら、UBS AGに対して非常
に多額の罰金及び不正利得の返還が課され、UBS AGは有罪自認を要求された。
2007年から2009年までの金融危機に起因する重大な損失以降、UBS AGは、非常に高いレベルの規制上の監
視を受けており、UBS AGの戦略上の柔軟性を制限する特定の規制措置に服している。UBS AGは、当該損失及
び2011年9月に公表された無許可取引事件に繋がった不備を修復したものと考えているが、2012年のLIBOR
に関する和解及びUBS AGの外国為替・貴金属事業に関連する問題に関する一部の規制当局との和解並びに新
たな規制上の要請の実施に必要となる広範囲にわたる取組みがUBS AGの信用及び規制当局との関係に与える
影響が原因となって、綿密な調査が継続している。
UBS AGは、UBS AGのオペレーショナル・リスクの管理、リスク統制、マネーロンダリング防止、データ管
理及びその他の枠組みを改善するために採る措置について、規制当局との話し合いを積極的に進めており、
その他にも監督当局の要求に応えられるよう努めているが、UBS AGの取組みが期待される効果をもたらすと
の保証はない。かかる経緯により、UBS AGの規制執行に関するリスクのレベルは、同業の一部の金融機関が
負担するレベルよりも大きくなる可能性がある。
規制の大幅な変更は、UBS AGの事業及び戦略プランの実行能力に悪影響を及ぼす可能性がある。
UBS AGは、再生・破綻処理計画、資本・健全性基準の変更並びに市場の新たな基準及び改定された基準及
び信認義務をはじめとする重要な新規規制要件の対象となっている。かかる取組みを調整するための規制当
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局の試みにもかかわらず、銀行規制に関し採用された措置又は提案された措置は、主要な法域によって著し
く異なるため、世界的な金融機関の事業運営が更に困難になる。また、スイスで行われている資本及び流動
性 等の問題に関する規制変更は、他の主要な法域よりも急速に進んでいることが多く、大手国際銀行に対す
るスイスの要件は、主要な金融センターの中でも最も厳しいものの一つである。これによりUBS AG等のスイ
スの銀行は、より緩い規制に従う同種の金融機関又は規制のないノンバンクの競合相手と競争する際、不利
益を被る可能性がある。
UBS AGは、追加の規制要件及び監督基準の変更の実施並びに現行法令の遵守について、今後も監督当局か
ら更に綿密な調査を受ける可能性がある。UBS AGが、ここに挙げた事項又は他の事項に関する監督当局の要
求に応えられない場合又は別の監督上の若しくは規制上の問題が発生した場合、UBS AGは規制当局から更に
綿密な調査を受けることとなり、UBS AGの戦略的柔軟性を更に制約する措置を受ける可能性がある。
破綻処理の実行可能性及び再生・破綻処理計画 : UBS AGは、その破綻処理の実行可能性を改善し他の規
制要件を満たすために、業務の大部分を子会社に移転した。その結果、莫大な実施費用、資本コスト及び資
金調達コストの増加、営業上の柔軟性の低下を招くこととなった。例えば、米国の規制要件を満たすために
UBS AGの全ての米国子会社を米国中間持株会社の傘下にし、また、破綻処理の実行可能性を改善するために
パーソナル&コーポレート・バンキング部門及びグローバル・ウェルス・マネジメント部門内のスイスで記
帳された事業の実質的に全ての業務をUBSスイスAGに移転した。
このような変更、特に子会社への事業の移転には、多大な時間と資金が必要であり、業務、資本、流動
性、資金調達及び税金の非効率性を生じさせる可能性があり、更に、当グループ内の複数の事業体と取引を
行っているカウンターパーティに対するUBS AGの信用エクスポージャー全体を増加させる。また、子会社に
おけるUBS AGの事業が現地の所要自己資本、流動性要件、安定資金需要、資本計画要件及びストレス・テス
ト要件の対象となっている。このような要件によって、影響のある子会社における自己資本規制及び流動性
要件が強化されており、これによってUBS AGの営業上の柔軟性が制限され、事業部門間の相乗作用から利益
を得る能力及び当グループに利益を分配する能力にマイナスの影響が及ぶ可能性がある。
スイスの大きすぎて潰せない(TBTF)枠組みに基づき、UBSは、経営難に陥った場合にシステム上重要な
機能を保つことができるよう、実行可能な緊急計画を整えることを要求されている。更に、UBSは、この枠
組み並びに米国、英国、EU及びUBSが事業を行う他の法域での同様の規制に基づき、重大な悪影響を及ぼす
事象が生じた場合に再建するために講じる措置又は現地国で破綻処理手続若しくは破産手続を通じて当グ
ループ若しくは事業を徐々に縮小する場合に講じる措置を詳細に示す信頼性の高い再生・破綻処理計画を作
成することを求められている。UBSが提示する再生・破綻処理計画が不十分であるか又は信用性に欠けると
関連当局に判断された場合、当該当局は、関連規則により、当該法域でのUBSの事業の範囲又は規模に制限
を課すことを認められ、破綻処理を妨げている障害を取り除くために、資本金額又は流動性金額のいずれか
高い方を保つようUBSに義務付けるか、又はUBSの法人体制若しくは事業を変更するようUBSに義務付けるこ
とができる可能性がある。2020年2月、FINMAは、スイスのSRBに関する再生・破綻処理計画及び緊急計画の
評価を公表した。FINMAは、連帯債務の更なる低減を条件として、UBSのスイス緊急計画は有効であることを
確認した。これに加え、FINMAは、UBSが重要な措置を完了し、UBSのグローバルな破綻処理の実行可能性に
関し大幅に進展したことを確認した。
資本・健全性基準 :UBS AGには、国際的に活動しているスイスのシステム上関連ある銀行(SRB)とし
て、世界で最も厳しい自己資本及び総損失吸収力(TLAC)に関する要件が課されている。更に、UBS AGの子
会社の多くは、最低所要自己資本、流動性要件及び類似の要件を遵守しなければならない。そのため、UBS
AGは、子会社の資本の大部分を出資し、子会社の流動性を高めた。これらの資金は、関連する事業体の資金
需要及び担保の必要性を満たすために利用することができるが、通常、当グループ全体での使用を目的とし
てすぐに利用できるものではない。
UBS AGは、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)が発表した資本基準の発効日が近づくにつれ、UBS AGのリス
ク加重資産(RWA)が更に増大すると予想する。しかしながら、COVID-19のパンデミックにより引き起こさ
れた経済の混乱に対応して、BCBSは、バーゼルⅢ規則の実施期限を1年遅らせ2023年1月1日までとした。
アウトプット・フロアに関する付随の移行規定もまた1年延長され2028年1月1日までとなった。これとは
別に、BCBSと証券監督者国際機構(IOSCO)は、非中央清算デリバティブの証拠金要件に関する枠組みの最
終的な2つの実施フェーズを1年延長し、2022年9月1日までとした。更に、連邦準備制度理事会は、以
前、一定の所要自己資本及び所要流動性に関して2つの議案を可決し、米国で重要な業務を行っている外国
銀行機関(FBO)に適用される健全性基準を引き上げた。当該議案に基づき、UBSアメリカズ・ホールディン
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グLLCは引き続き、包括的資本分析及びレビュー(CCAR)プロセスによる資本計画の年次評価、補足的レバ
レッジ比率、新たに適用される流動性カバレッジ比率要件及び新たな正味安定調達比率要件の対象となると
予 想される。上記の資本・流動性基準の追加引き上げにより、UBS AGが戦略的機会を追求する能力及びリス
クを分散する能力が大幅に損なわれる可能性がある。
市場規制及び信認基準 : UBS AGのウェルス・マネジメント事業及びアセット・マネジメント事業は、規
制上の監督が強化され、受託者の基準及びその他の注意基準に関する基準が変更されつつある環境の中で行
われており、運用会社又はアドバイザーと顧客との間の利益相反を軽減又は排除することが重視され、投資
マネジャー及び他の業界参加者の世界的なシステム及びプロセス全体にわたって効果的な実施が必要となっ
ている。例えば、SECは、ブローカーと投資顧問の小売顧客に対する義務の強化と明確化を目的として新た
に最善の利益規則(Regulation Best Interest)を採択した。最善の利益規則は、米国でのグローバル・
ウェルス・マネジメント事業の大部分に適用され、UBS AGは、当該規則を遵守するために、業務過程、方針
及び顧客との対話に関する条件を大幅に変更しなければならない可能性がある。
これまでUBS AGは、ドッド・フランク法に基づくボルカー・ルールに関連するコンプライアンス・監視枠
組みの実施に相当な費用を負担しており、ボルカー・ルールの活動の制限に合わせて米国内外でのUBS AGの
事業活動を変更した。2019年、米国規制当局は、自己勘定取引を禁止しカバード・ファンド活動を制限する
ボルカー・ルールの実施規則の変更(2019年最終規則)を採択した。この変更は、2020年1月1日に発効
し、2021年1月1日からその遵守が義務化される。UBS AGは、2019年最終規則により要求されたボルカー・
ルール・コンプライアンス・プログラムの運用に関する変更を実施するために短期間のうちに追加費用を負
担する可能性があるが、この変更によりUBS AGの業務に対する負担が長期的に減少する可能性がある。ま
た、UBS AGが従事する可能性のある活動の種類又は営業方法を大幅に制限する他の類似の規則の適用を受け
る可能性もある。
米国の商品先物取引委員会(CFTC)の登録スワップ・ディーラーとしてUBS AGに適用される一部の規則及
びUBS AGが証券ベースのスワップ・ディーラーとして米国証券取引委員会(SEC)に登録する場合に適用さ
れる一定の規則(スワップ・データ報告、記録保存、コンプライアンス及び監督に関連する規制を含む。)
は、世界的範囲でUBS AGに適用される。そのため、米国の規則は、米国外(スイスを含む。)でUBS AGに適
用される法的要件と重複し、又は相反する可能性もあり、UBS AGは、米国でSEC又はCFTCに登録することを
義務付けられていない企業に対して競争上不利な状況に置かれる可能性がある。
多くの場面で、UBS AGはクロスボーダーでサービスを提供している。従って、UBS AGは第三国の企業の市
場アクセスを制限する障壁に敏感である。特に、第三国の企業による欧州市場の利用に関する規制を調和さ
せるEUにおける取組みは、UBS AGがスイスからこれらの法域で事業を運営する能力に悪影響を及ぼす新しい
障壁を創出する効果を有する可能性がある。更に、多くの法域では、本国の規則との同質性の判断、代替コ
ンプライアンス及び類似する礼譲の原則に基づきクロスボーダー活動への規制を強化している。スイスとの
同質性が低いと判断された場合、UBS AGが当該法域の市場へアクセスする機会が制限される可能性があり、
UBS AGがグローバル企業として事業を行う能力にマイナスの影響を与える可能性がある。例えば、EUはスイ
スの証券取引所に対して、2019年6月30日に終了する同質性の判断期間の延長を拒否した。逆に、スイスで
は、スイスで設立された会社の発行株式をEU市場で取引することを禁止する規則が採択され、この規則が
2019年7月1日に発効した。
UBS AGは、世界規模での税務情報の自動交換がスイスで実施されると予測して金融当局がクロスボーダー
投資と会計上のアムネスティ制度を更に重視するようになったこと及びこれらの変化に対応してUBS AGが実
施してきた措置により、多年度にわたってクロスボーダーの資金流出を経験している。現地の税法又は税規
制の更なる改正及びその実施、クロスボーダーの税務情報交換体制の実施、国内でのタックス・アムネス
ティ若しくは実施プログラム又は類似の措置は、UBS AGの顧客がUBS AGと事業を行うことの可否若しくは意
思に影響を及ぼす可能性があり、更にクロスボーダーの資金流出が発生することとなる可能性がある。
UBS AGが表明した資本還元益目標は、一部には資本比率に基づいており、かかる資本比率は規制上の変更の
影響を受け、大幅に変動する可能性がある。
UBS AGは、13%前後のCET1自己資本比率及び3.7%前後のCET1レバレッジ比率を保ち、営業することを予
定している。このような比率を維持するUBS AGの能力は数多くのリスクにさらされている。かかるリスクに
は、UBS AGの財務成績、UBS AGのCET1自己資本比率の算定に悪影響を及ぼす可能性のある資本基準、方法及
び解釈の変更の影響、リスクの追加、又は資本バッファーの賦課、並びに子会社に対する所要資本、流動性
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及び類似の要件の追加適用が挙げられる。UBS AGの業績は、本書に記載される他の要因に起因する事由によ
り悪影響を受ける可能性がある。また、訴訟及び規制上のリスク並びにオペレーショナル・リスク事由等の
場 合には、突発的に多額の損失が発生する可能性がある。このようなリスクにより、株主への利益還元のた
めに利用できる資本の額が減少し、株式買い戻し計画を伴う累進的現金配当の資本還元目標を達成するUBS
AGの能力が妨げられる可能性がある。
資本基盤は、UBS AGのビジネスモデルの重要な要素である。UBS AGは、その資本基盤により、UBS AGの事
業を成長させ、規制上及び自己資本の要件の増大に対処することができる。UBS AGの資本基盤は、UBS AGの
顧客及び利害関係者に安心感を与え、UBS AGの資本還元方針の基盤を形成し、UBS AGの信用格付に寄与して
いる。UBS AGの自己資本比率は、主にRWA、レバレッジ比率の分母及び適格資本から得られている。それら
はいずれも多くの要因により変動する可能性があり、一部の要因はUBS AGの制御が及ばないものである。
UBS AGの適格資本は、純利益又はその他の包括利益に計上される損失により減少する可能性がある。適格
資本が減少する原因には他にも、のれんの水準を変化させる買収、資本に含まれている繰延税金資産に関す
る一時差異の変動、持分の価額に影響する為替の不利な動き、特定の種類のポジションに係る評価が不確実
な場合に要求される慎重を期した調整、並びにその他の包括利益に計上される特定の年金基金資産及び負債
の価額の変動又はUBS AGの確定給付債務純額の変動を計算するために使用される金利及びその他の前提の変
動等が挙げられる。
RWAは、UBS AGの事業活動、UBS AGのエクスポージャーのリスク・プロファイルにおける変化、UBS AGの
外国為替エクスポージャーの変化及び外国為替相場の変動並びに規制に左右される。例えば、市場のボラ
ティリティの高さ、信用スプレッドの拡大、不利な為替の動き、カウンターパーティ・リスクの増大、経済
環境の悪化又はオペレーショナル・リスクの増大等がRWAの増大につながる可能性がある。UBS AGは近年、
戦略を実施することによりUBS AGの市場リスク及び信用リスクのRWAを大幅に縮小させたが、オペレーショ
ナル・リスクRWA、特に訴訟、規制上及び類似の問題により生じるオペレーショナル・リスクRWAの増加並び
にRWAの算定に関する規制上の変更及びRWAの規制上の追加によりその減少の大部分が相殺された。RWA算定
における変更、追加補完RWA費用又は一定のエクスポージャーに適用される乗数が課されること及び他の方
法の変更に加え、バーゼル銀行監督委員会が公表し2022年に発効する資本基準の実施によって、UBS AGの
RWAが大幅に増加する可能性がある。
レバレッジ比率は、貸借対照表志向の指標であるため、貸借対照表集約度の小さい業務に比べ、融資等の
貸借対照表集約型の業務を制限し、UBS AGが他のリスクに基づく所要自己資本を満たしたとしても、UBS AG
の事業を抑制するものとなりかねない。UBS AGのレバレッジ比率分母は、とりわけ、預金及び貸付け等の顧
客の活動水準、外国為替相場、金利及びその他市場の要因に左右される。これらの要因の多くは、全体的又
は部分的にUBS AGの制御が及ばないものである。
UBS AGの財務実績に対する税効果は税法改正及び繰延税金資産の再評価に大きく左右される。
UBS AGの実効税率は、UBS AGの業績、将来の収益性に関するUBS AGの予想及び法定税率をきわめて敏感に
反映している。UBS AGは、過年度の税務上の欠損金に基づき繰延税金資産(DTA)を認識している。これ
は、UBS AGの事業計画において報告された将来の課税所得を前提にして回収可能な範囲を示すものである。
UBS AGの業績により今後、とりわけ米国において課税所得が減少することが予想される場合は、UBS AGは、
現在、損益計算書上で認識されているDTAの全部又は一部について、想定されている償却額を超える金額の
償却を行わなければならない可能性がある。これにより、その償却が行われた年度のUBS AGの実効税率が上
昇することとなる可能性がある。逆に、UBS AGが税務上の欠損金を認識していない事業体の業績が、とりわ
け米国又は英国において改善すると予測される場合、UBS AGはDTAを追加認識する可能性がある。そして、
これによってUBS AGの実効税率は、追加のDTAが認識された年度において減少することとなり、UBS AGの実
効税率が将来上昇することとなる。また、UBS AGの実効税率は、特に米国において、将来の法定税率の引き
下げにも敏感であり、これにより、影響のある地域において、税務上の繰越欠損金等の項目から税務上の便
益が期待される値が今後縮小される可能性がある。このことは、ひいては関連するDTAの評価切り下げを引
き起こすこととなる。例えば、米国連邦会社税率が2017年第4四半期の当グループのDTAにて、米国の税制
改革法案(Tax Cuts and Jobs Act)(TCJA)により35%から21%に引き下げられることによって29億米ド
ルの正味切り下げが生じた。
UBS AGは通常、更新された事業計画を踏まえた今後の収益性の再評価に基づき、その会計年度の第4四半
期にUBS AGのDTAを再評価している。UBS AGは、DTAの回収可能性を評価する際に、UBS AGの業績及びこれま
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での予想税率の正確性並びに他の要因(残存する税務上の繰越欠損金期間及びDTAの有効期間における今後
の予測課税所得の評価を含む。)を考慮している。将来的な収益性の見積りは本質的に主観的なものであ
り、 特に将来の経済状況、市場状況及び他の状況に左右されやすく、予測は困難である。
UBS AGの過年度の業績からわかることは、DTA認識額の変化が報告済みの業績に及ぼす影響は大きいとい
うことである。UBS AGがDTAを再測定する方法を将来変更する場合、UBS AGの実効税率、特に変更が実施さ
れた年の実効税率に影響を及ぼすと考えられる。
UBS AGの通年の実効税率は、損失カバレッジされていない支店及び子会社からの利益に関する税費用の総
額が予想額と異なる場合又は損益計算書上、UBS AGが便益を受けられない税務上の繰越欠損金が支店若しく
は子会社に発生した場合に変動する可能性がある。特に、税務上、他のグループ事業体の課税所得と相殺で
きない事業体又は支店の損失で、DTAが追加で認識されることとならない損失により、UBS AGの実効税率が
引き上げられる可能性がある。更に、UBS AGが法人体制を変更した国の税法又は税務当局は、ある法人が負
担する税務上の欠損金を、新規に設立、若しくは再編成される子会社若しくは関連会社へ移転することを阻
止するか、又は移転人が従前行っていた事業に関連する税務上の欠損金を活用することに制限を課す可能性
がある。かかる事情が生じた場合で、税務上の欠損金が生じた法人においてかかる欠損金を活用する機会の
計画に制限がある場合、当該欠損金に伴うDTAは、損益計算書上で評価減を要求される可能性がある。
税法が改正されると、UBS AGの実効税率に大きな影響を及ぼす可能性があり、一定の業務の収益性にも大
きな影響を及ぼす場合がある。更に、制定法上及び規制上の変更によって、並びに裁判所及び税務当局によ
る税法の解釈方法の変更(ある法域に関連する恒久的施設の設置又はそれに類似する理論により、UBS AGが
当該法域で納税しなければならないとの主張及び不確実な税務ポジションのUBS AGによる評価の変更が含ま
れる。)によって、UBS AGが最終的に納付する金額と税効果会計の金額とが大きく食い違ってくる可能性も
ある。
詳細については、上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「最近の動向」を参照のこ
と。
基準金利の廃止又は変更により、UBS AGと顧客又は他の市場参加者との合意並びにUBS AGのシステム及びプ
ロセスの調整が必要となる可能性がある。
2013年4月より、英国金融行為規制機構(FCA)はLIBORを管理しており、他の法域の規制機関は他の銀行
間取引金利(IBOR)及び類似の基準金利の監視を強化している。また複数の法域でIBORから別の基準金利へ
の移行の取組みが行われているところである。FCAは、2021年より後はLIBORの管理又はLIBORを維持するた
めの他の措置の実施を継続しないことを2017年7月に発表し、代替参照金利(ARR)に移行するよう利用者
に促した。そのため、2021年より後にLIBORが現在と同じ基準で決定されると保証することは一切できな
い。
ARRの流動性及び活動は引き続き世界中の市場で展開され、IBORからの移行に関連する一定の問題を解決
するための取り組みが進められている。規制当局は引き続き、2021年末までにARRに移行することに注力し
ている。代替参照金利委員会(Alternative Reference Rates Committee)は、IBORを廃止した場合に過去
の契約に関して発生する法的リスクを軽減するために実施可能な法的解決策を検討している。更に、2019年
10月に、米国財務省及び内国歳入庁は、債務、デリバティブ及びその他金融契約の規定をLIBORベースの規
定からARRベースの規定へ変更することにより発生する可能性のある問題に関連する税軽減措置を定めた規
則案を発表した。欧州中央銀行は、2019年10月2日に初めて、ユーロ市場のユーロ・リスク・フリー・レー
トとして、2019年10月1日の取引活動を反映したユーロ短期金利を発表した。英ポンド・リスク・フリー参
照金利に関するイングランド銀行ワーキンググループ(Bank of England Working Group on Sterling
Risk-Free Reference Rates)は引き続き、ターム物参照金利(ポンド翌日物平均金利)の開発に協力的で
ある。
UBS AGが締結している契約のうち、IBORに関連する契約は相当数に上る。ARRは現在、期間構造を示さな
いため、現在、翌日物以外のターム物を指標としている商品の契約条件を変更する必要がある。契約には、
関連するIBORが短期的に利用できなくなった場合に代替の金利を提供することを意図とした規定が含まれて
いることもある。ただし、当該規定は、関連するIBORが永久に廃止される場合には有効でないか又は恣意的
な結果を生み出す可能性がある。更に、UBS AGの内部システム、制限及びプロセスの多くは、IBORを参照金
利として活用している。代替の参照金利への移行には多額の投資と相当な労力が必要となる。
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詳細については、上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「規制及び法律の動向」の
「IBORからの移行に関連した動向」を参照のこと。
UBSが財政困難に陥った場合、FINMAは、UBSグループAG、UBS AG又はUBSスイスAGに関して再編成手続若しく
は清算手続を開始するか又は保護措置を課す権限を有し、当該手続又は措置は、UBSの株主及び債権者に対
して重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
UBSグループAG、UBS AG又はUBSスイスAGのようなスイスの銀行及び金融グループのスイス国内の親会社に
ついて、債務超過であるか、流動性に深刻な問題があるか又は関連する期限の満了後に自己資本比率規制が
もはや達成されないとの懸念に正当な根拠がある場合、FINMAは、スイス銀行法に基づき、当該事業体に関
して広範囲な法的権限を行使することができる。当該権限には、保護措置の命令を下すこと、再編成手続を
開始すること(及び当該手続に関連してスイスでの破綻処理実施権限を行使すること)、並びに清算手続を
開始することが含まれ、当該権限はいずれも、株主及び債権者に対して重大な悪影響を及ぼす可能性がある
か、又はUBSグループAG、UBS AG若しくはUBSスイスAGによる配当金の支払い若しくは債務の返済を阻止する
可能性がある。
UBSが当該保護措置に対して異議を申し立てる能力は十分でない可能性があり、債権者及び株主は、スイ
ス法に基づき又はスイスの裁判所において、当該保護措置の賦課(支払いの繰延が義務付けられるか又は結
果として支払いが繰り延べられる措置を含む。)に対する拒否、差止めの要求、又は異議申立てを行う権利
を有さない可能性がある。
UBSグループAG、UBS AG又はUBSスイスAGに関して再編成手続が開始された場合、FINMAが行使する可能性
のある破綻処理実施権限には、(ⅰ)手続の対象事業体の資産、債務及びその他の負債の全部並びに契約を
他の事業体に移転する権限、(ⅱ)手続の対象事業体が当事者となっている契約の(a)終了又は当該契約
の終了権、当該契約に基づくネッティング権、(b)当該契約に基づく特定の種類の担保の実行若しくは処
分を行う権利、若しくは(c)当該契約に基づく請求権、負債若しくは特定の担保を譲渡する権利の行使を
最大2営業日間、停止する権限、及び/又は(ⅲ)手続の対象事業体の株主資本の一部若しくは全部の評価
減を行う権限、また当該株主資本の全部の評価減が行われた場合には、株式に転換するか又は手続の対象事
業体の資本及び他の負債性商品の評価減を行う権限が含まれる。株主及び債権者は、当該破綻処理実施権限
の行使の根拠となる破綻処理計画を拒否する権利又は当該計画の差止めを求める権利を有さない可能性があ
る。株主及び債権者は、破綻処理実施権限の行使の決定に異議を申し立てる権利又は当該決定を司法手続若
しくは行政手続若しくはその他により見直させる権利しか有さない可能性がある。
破綻処理手続の対象事業体の株式及び債務の全部又は一部の評価減が行われる場合、関連する株主及び債
権者は、その評価減の対象となる当該株式及び債務について一切支払いを受けることができない可能性があ
り、当該評価減は永続的であり、投資家はその時点で又はその後に、株式又は他の参加権を受領せず、債務
者の財産回復が見込まれる場合であっても評価増し又は他の補償を受ける権利を有さない可能性がある。
FINMAが破綻処理手続の対象事業体の債務を株式に転換するよう命令した場合、投資家が受領する有価証券
は、当初の債務よりも大幅に価値が下落している可能性があり、リスク・プロフィールも大幅に異なる可能
性があり、当該転換により既存株主の所有権も希薄化する可能性がある。更に、株式を受領する債権者は、
その後、破綻処理された事業体の倒産、清算又は解散が行われた場合、事実上、当該事業体の全債権者に劣
後する可能性があり、投資家が投資額の全部又は一部を失うリスクが増大する可能性がある。
FINMAは、再編成手続に関連する権限の行使について大きな自由裁量権を有する。更に、特定の種類の預
金等、特定の区分の債務は優遇される。そのため、スイスの再編成手続の対象事業体の債務を保有する者に
ついては、当該債務と同順位又は劣後する債務が、評価減又は株式への転換が行われていない場合であって
も、当該債務を評価減されるか又は株式に転換される可能性がある。
UBS AGの財務成績は、予測及び評価の変更並びに会計基準の変更からマイナスの影響を受ける可能性があ
る。
UBS AGは、国際財務報告基準(IFRS)に従ってUBS AGの連結財務諸表を作成している。当該会計基準を適
用する場合、連結財務諸表の作成時には不確実性の高い見積り及び予測に基づく判断を用いる必要がある。
これには、例として、金融商品の公正価値の測定、繰延税金資産の認識、のれんの減損評価、予想信用損失
並びに訴訟、規制上の問題及び類似の問題を含む偶発事象に対する引当金の見積りが挙げられる。当該判断
(その基礎となる見積りや予測を含む。)は、それまでの経験、将来の予測及びその他の要因を含んでいる
ため、現在の状況に基づき、引き続き関連性のあるものであるかを判断するために定期的に評価されてい
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る。別の予測に基づくと、報告済みの業績が異なることとなる可能性がある。予測を変更した場合又は進展
する市況を反映するために必要な変更を行わなかった場合、予測の変更事由が発生した期間の財務諸表に重
大 な影響が及ぶ可能性がある。偶発事象に対する引当金は、考えられる結果が広範囲にわたり、また、不確
実性が大きいと仮定して見積りを行わなければならない可能性がある。例えば、UBS AGのフランスでの法的
手続に関して考えられる結果は広範囲にわたるため、適切な引当金の評価に関連する不確実性が増大する。
将来の見積り及び予測が現在の見通しから外れた場合、UBS AGの財務成績にも悪影響が及ぶ可能性がある。
IFRS又はその解釈の変更によって、今後の報告済みの業績及び財務状況が、現在の予想と異なるものと
なったり、又は、会計基準を遡及適用することにより、過去の業績がこれまでに報告されたものと異なるも
のとなったりする可能性がある。かかる変更はまた、UBS AGの所要自己資本及び自己資本比率に影響を及ぼ
す可能性がある。例えば、UBS AGは2018年1月1日に発効したIFRS第9号を採用しており、これによりUBS
AGは、償却原価で計上される金融商品及びその他一定のポジションの会計処理の変更を義務付けられてお
り、信用損失を既発生損失に基づき記録するのではなく、貸出時点から予想貸倒引当金及び予想信用損失
(ECL)引当金の純額を記録するよう義務付けられた。これにより、将来認識される貸倒引当金が大幅に増
加することとなり、ECLが信用サイクルにおける変動及びUBS AGのローン・ポートフォリオの構成に応じて
変化するため、損益計算書上の変動がより大きくなる可能性がある。この影響は、経済環境が悪化すると更
に顕著に現われる可能性がある。詳細については、2019年度年次報告書(英文)の「UBS Group AG
consolidated financial statements」の「Critical accounting estimates and judgments」及び「Note 1
Summary of significant accounting policies」並びに2020年第1四半期報告書(英文)の「Note 1 Basis
of Accounting」を参照のこと。
戦略、管理及び営業に関するリスク
UBS AGは、戦略プランを継続的に実行できない可能性がある。
UBS AGは、グローバル・ウェルス・マネジメント事業及びスイスのUBS AG総合銀行に注力すべく、アセッ
ト・マネジメント及び極めて小規模でより資本効率の高いインベストメント・バンクによって補完しつつ
UBS AGの事業変革を実施し、コーポレート・センターでのリスク加重資産とレバレッジ比率分母の使用を大
幅に縮小し、大幅なコスト削減を実施してきたが、今後、UBS AGの戦略の実行を完全に達成することができ
ないか若しくはUBS AGの業績目標を達成できない又は戦略の実行や業績目標の達成に遅れが生じるリスクが
依然として存在する。マクロ経済の状況、地政学的な不確実性、規制要件の変更及びこのような規制要件を
遵守するための継続的費用により、UBS AGは、過去の目標及び計画を調整しなければならなくなり、将来に
おいても再び調整する必要が生じる可能性がある。
UBS AGは、戦略プランを達成するために、技術及びインフラストラクチャーへの多額の支出を続け、顧客
経験を改善しデジタル商品及びサービスを向上させ更に使用可能にし効率を高める予定である。UBS AGが新
技術へ投資しても、UBS AGの目標が十分に達成されないか又は顧客を惹きつけつなぎとめるUBS AGの能力が
改善されない可能性がある。更に、UBS AGがデジタル対応可能な商品及びサービスを提供する際に、バ
リューチェーンの様々な部分において、既存の競合会社と新規金融サービス提供者の両面から競争に直面す
る可能性がある。例えば、技術進歩及び電子商取引の成長により、従来は銀行しか提供していなかった商品
及びサービスを電子商取引企業及びその他の会社が提供できるようになった。またこの進歩により、金融機
関及びその他の会社が、電子証券取引、決済処理及びアルゴリズムを基にしたオンラインでの自動投資助言
といったデジタルベースの金融ソリューションを低価格で顧客に提供できるようになった。これにより、
UBS AGは、価格の引き下げを余儀なくされるか又は顧客を失うリスクを負う可能性がある。デジタル対応可
能な競争力の高い商品及びサービス並びにプロセスを開発し実行するUBS AGの能力が、UBS AGの競争力の重
要な要素となると考えられる。
またUBS AGの戦略の一環として、UBS AGの営業効率を、一部コスト管理により改善するよう努めている。
UBS AGは、UBS AGの事業目的と整合する実現可能なコスト削減機会を識別することができない可能性があ
り、コスト削減の実現が遅れるか又はUBS AGの見込みほどは実現されない可能性がある。規制上の一時的及
び永続的な費用及び業務上の要求が予想を上回った分は、費用削減額により一部減殺され、UBS AGの過去の
費用削減目標の達成が遅れ、営業効率の改善のためのUBS AGの継続的な取組みの実行が引き続き困難となる
可能性がある。
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外部委託、ニアショアリング、オフショアリング、インソーシング又は人員削減によるUBS AGの総人員の
変化は、効果的に対処しなければ、当該変化により、費用及び他の利益を達成するUBS AGの能力に影響を及
ぼす可能性があり、運営上の損失が生じることとなる可能性がある。
また、UBS AGは、有効性及び効率性に関するプログラムを実行する中で、UBS AGの競争力を維持し、UBS
AGの目標とするリターンを達成するため又は既存の若しくは新規の規制要件及び予想を遵守・実現するため
に必要な能力を偶発的に喪失したり低下させたりする意図しない結果を経験する可能性がある。
詳細については、上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「当グループの戦略」を参照
のこと。
オペレーショナル・リスクは、UBS AGの事業に影響を及ぼす。
UBS AGの事業は、異なる通貨による複数のかつ様々な市場において大量でその多くが複雑な取引を処理す
るUBS AGの能力、UBS AGが服する多くの様々な法体制及び規制体制の要件を遵守する能力、並びに無許可
の、架空の又は詐欺の取引を防止し、速やかに発見し、停止する能力に依拠している。UBS AGはまた、決済
システム、為替、情報の処理業者並びにセントラル・カウンターパーティ等、第三者が管理するシステムへ
のアクセス及びその機能にも依拠している。UBS AG又は第三者のシステムが故障すると、UBS AGに悪影響が
及ぶ可能性がある。UBS AGのオペレーショナル・リスクの管理及び統制に関するシステム及びプロセスは、
UBS AGの活動に伴うリスク(処理過程のミス、実行ミス、違法行為、無許可取引、詐欺行為、システム障
害、金融犯罪、サイバー攻撃、情報セキュリティ違反、不適切又は効果のないアクセス制御、セキュリティ
障害及び物理的防御の失敗から生じるリスクを含む。)の適切な管理の確保を支援することが企図されてい
る。UBS AGの内部統制によってこれらのリスクの特定及び是正を行えない場合又は行えないことが判明した
場合、UBS AGは、業務支障をきたし、2011年9月に公表された無許可取引事件で発生した重大な損失のよう
な多額の損失を招くおそれがある。
UBS AGは、効率の向上、エラーリスクの低減及びUBS AGの顧客体験向上の取り組みの一環として自動化を
利用している。UBS AGは、これらの目的を推し進めるためにロボット処理、機械学習及び人工知能の利用を
拡大する予定である。これらのツールの利用には、効果的な設計や試験の必要性等、当該ツール固有のリス
クが伴い、機械学習及び人工知能ツールの開発・運用に使用するデータの質により、当該ツールの機能に悪
影響が及ぶ可能性があり、エラー及びその他のオペレーショナル・リスクが発生することとなる可能性があ
る。
UBS AG及び他の金融サービス会社は、セキュリティ侵害並びにサイバー攻撃及び他の形式の攻撃にさらさ
れており、その一部は、秘密情報若しくはシステムへのアクセス権の取得、サービスの妨害又はデータの破
壊をもくろむ、的を絞った高度な攻撃である。これらの攻撃は、ウイルス又はマルウェアの導入、フィッシ
ング及び他の形態のソーシャル・エンジニアリング、分散型DoS攻撃並びにその他の手段によって試みられ
る可能性がある。これらの試みは、直接行われるか又はUBS AGの従業員、第三者サービス提供者若しくはそ
の他ユーザーの機器若しくはセキュリティパスワードを使用して行われる可能性がある。外部からの攻撃に
加え、UBS AGは、従業員等による内部方針及び手続の不遵守並びにUBS AGのデータの誤用により顧客データ
を喪失したことがある。UBS AGは、UBS AGのシステム又はデータへの脅威を予想、検出又は認識できない可
能性があり、またUBS AGの予防措置が攻撃又はセキュリティ侵害を予防するのに効果的でない可能性があ
る。UBS AGの予防措置にも関わらずセキュリティ侵害が発生した場合、特定の侵害又は攻撃を直ちに検出す
ることはできない可能性がある。特定の攻撃が検出された場合でも、その攻撃の性質と範囲を調査し評価す
るためには時間が必要である。UBS AGのシステム又はデータのセキュリティ侵害又は回避が成功した場合、
UBS AGの業務の妨害、UBS AG又はUBS AGの顧客に関する秘密情報の不正使用、UBS AGのシステムへの損害、
UBS AG又はUBS AGの顧客の金銭的損失、データ保護法及び類似の法律の違反、訴訟エクスポージャー及び
UBS AGの評判の侵害等、UBS AGに重大な悪影響が及ぶ可能性がある。
UBS AGには、EU一般データ保護規則等、複雑で頻繁に改正される、顧客データ及び個人データの保護に関
する法令が適用される。UBS AGが個人データの収集、使用及び移転を行う際に適用法令を必ず遵守するよう
にするには、相当な資源が必要となり、UBS AGの業務の実施方法に影響を与える可能性がある。UBS AGは、
適用法令を遵守しなかった場合、罰金、処罰及びその他制裁を科される可能性がある。また、UBS AGのベン
ダー若しくはその他サービス提供者又は顧客若しくはカウンターパーティが当該法令を遵守しないか又は保
護対象データをしかるべき方法で管理しなかった場合、UBS AGが上記のような処罰を受ける可能性がある。
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更に、顧客データ又はその他データを喪失又は漏洩した場合、UBS AGの評判を傷付けUBS AGの事業に悪影響
を及ぼす可能性がある。
近年の米国及びその他の国の政府による金融機関に関する政策の主要な焦点は、マネーロンダリング及び
テロの資金調達を食い止めることである。UBS AGは、UBS AGが業務を行っている多くの国の法律に基づき、
マネーロンダリング及びテロの資金調達の発見、防止及び報告並びに顧客の身元情報の確認を目的とした有
効な方針、手順及び管理を維持することを義務づけられている。UBS AGはまた、米国海外腐敗行為防止法や
英国贈収賄防止法等、腐敗行為防止及び他者による公務員への不正な支払いに関する法令にも服している。
UBS AGは、当該法令を遵守するよう設計された方針、手続き及び内部管理を実施している。しかしながら、
米国の規制当局より、UBS AGグループの米国での業務におけるマネーロンダリング防止プログラムの設計及
び運用が不十分であるとの判断を受けた。UBS AGグループは、そのプログラムに対する規制上の要件を十分
に満たすことを目的として、このような規制当局による判断に対処するための重要なプログラムを実施して
いる。マネーロンダリング、テロの資金調達又は腐敗行為を防ぐのに十分なプログラムを維持し、実施でき
なければ、またそれらの分野でのUBS AGグループのプログラムが失敗すれば、法的執行行為及びUBS AGの評
判に及ぶダメージの両面で深刻な結果を招く可能性がある。国、事業体及び個人に対して科される制裁が頻
繁に変更されたり、ますます複雑化したりすると、UBS AGグループの監視費用及び制裁要件の遵守費用が増
大し、以前には許可されていた顧客の活動が制裁の対象となっていることを適時に特定することができない
リスクが増大する。
規制要件の新設及び改正並びにUBS AGによる法人体制の変更により、UBS AGが行う規制上及びその他の報
告の分量、頻度及び複雑さは大幅に増している。規制当局は更に、UBS AGによる内部報告及びデータ統合並
びに管理報告に関する要請を大幅に増大させている。UBS AGは、当該要件を満たしたインフラを構築するた
めに多額の費用を負担しており、今後も引き続き負担する。外部報告要件を適時にかつ正確に満たさない場
合又は内部報告、データ統合及び管理報告に関する規制上の要請を満たさない場合、UBS AGは、強制措置を
受けることとなるか又はその他悪影響を受けることとなる可能性がある。
一定の種類のオペレーショナル・コントロールの弱点及び瑕疵もまた、正確かつ適時の財務報告書を作成
し公表するUBS AGの能力に悪影響を与える可能性がある。
更に、UBS AGが構築している緊急時対策にかかわらず、UBS AGの業務遂行能力は、UBS AGの業務及びUBS
AGが業務を行っている共同体を支えるインフラの混乱によって悪影響を受けることがある。これには、自然
災害、疫病の流行、市民暴動、戦争又はテロリズムによる混乱が含まれる可能性があり、またUBS AG又は
UBS AGの取引相手の第三者が利用する電力、通信、交通又はその他のサービスもかかわる可能性がある。
UBS AGは、変化する市場、規制及びその他の状況に応じてUBS AGのウェルス・マネジメント事業の変更を実
行することができない可能性がある。
近年、利益率の低い層や市場からの資金の流入が、利益率の高い層や市場、とりわけクロスボーダーの顧
客からの資金流出に取って代わりつつある。この変動は、顧客の商品選好の変化とあいまって、以前に比べ
て利益率の低い商品がUBS AGの収入のより大きな割合を占めるという結果をもたらし、グローバル・ウェル
ス・マネジメント事業部門の利益率に下向きの圧力をかけている。
上記の考察が指し示すように、UBS AGはアセット・ギャザリング事業での顧客資産の流出の可能性及び特
にグローバル・ウェルス・マネジメント事業の収益性に影響を及ぼす変化にさらされている。事業環境の変
化がUBSの収益性、貸借対照表及び資本基盤に与える影響に対処するためにUBSが実施する可能性のある構想
には、当該影響を中和させることができない可能性があり、2015年のUBSの貸借対照表及び資本最適化計画
で発生したような新たな資金の流出や顧客預金の減少が発生する可能性がある。これらの傾向や進展の悪影
響を打ち消すべくUBS AGが行う努力が成功するという保証はない。
UBS AGは、収益機会若しくは競争機会を見極め若しくは捉えることができず、又は有能な従業員を雇用し勧
誘することができない可能性がある。
金融サービス業界の特徴には、激しい競争、絶え間ない革新、制限的で細かな(時に細分化された)規制
及び統合の進行が挙げられる。UBS AGは、地方市場レベル及び個々の事業レベルでの競争、並びにその規模
及び範囲においてUBS AGに匹敵する世界的な金融機関からの競争に直面している。個々の市場に対する参入
障壁及び価格形成レベルでの障壁は、新たな手法により徐々になくなりつつある。UBS AGは、このような動
向が継続し、競争が激しくなると予想している。UBS AGが市場の動向及び展開を見極めることができず、適
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切な事業戦略を考案及び実施することによりかかる市場動向及び展開に対応せず、UBS AGのデジタル・チャ
ネル及びツール含むUBS AGの手法を十分に発展させ若しくは最新のものにせず、又は必要となる有能な人材
を 勧誘し若しくは雇用することができない場合、UBS AGの競争力及び市場における地位は、徐々に侵食され
るおそれがある。
UBS AGの従業員報酬の金額及び構成はUBS AGの業績のほかに競争的要素と規制上考慮すべき事項の影響も
受けている。
UBS AGは近年、規制当局及び株主を含む様々な利害関係者の要求に応えて、またUBS AGの職員の利益と他
の利害関係者の利益を更に一致させるために、株式報奨の平均繰延期間を引き延ばし、権利喪失規定を拡大
し、更に限定された範囲で、業績に連動した一定の報奨に対するクローバック条項を導入した。またUBS AG
は、グループ執行役員会(GEB)の構成員及び他の一定の従業員の固定報酬と変動報酬の割合の上限を個別
に導入した。
従業員報酬の金額及び構成に対する制約、繰延報酬の多さ、業務成績条件及び権利未確定報奨の喪失を引
き起こすその他の状況が、UBS AGの重要な従業員を雇用し勧誘するUBS AGの能力に悪影響を及ぼす可能性が
ある。重要な従業員の喪失及び代わりの有能な従業員を勧誘できないことは、UBS AGが自らの戦略を実行
し、UBS AGの業務及び管理環境の改善を成功させる能力を深刻に損なう可能性があり、UBS AGの業績に影響
を与える可能性がある。スイス法では、株主が毎年、取締役会(BoD)及びGEBの報酬を承認することが求め
られる。UBSの株主がGEB又はBoDに対する報酬を承認しなかった場合、経験豊かな取締役及び上級役員をつ
なぎとめるUBSの能力に悪影響を及ぼすと考えられる。
UBS AGは、UBS AGの事業において発生し得る損失の回避又は制限のための自己のリスク管理・統制プロセス
に依拠している。
統制されたリスクを取ることは、金融サービス企業の事業の重要な一部である。リスクを取る活動による
損失には避けられないものもあるが、長期的に成功するためには、取るリスクと得られるリターンとのバラ
ンスを保たなければならない。従って、通常の市況における場合だけでなく、エクスポージャーの集中が深
刻な損失を生じさせる可能性のある、より極端なストレスのある状況においてリスクが生じる場合にも、自
己のリスクを精緻に見極め、評価し、管理し、統制しなければならない。
2007年から2009年の金融危機の間に見られた通り、UBS AGは、UBS AGのリスク測定及びシステムでは予想
することのできない急激又は突発的な市場事由から発生する深刻な損失を常に回避できたわけではない。
UBS AGのリスク対策、集中リスクの統制並びに相関性を有するエクスポージャーを見極めるためにUBS AGが
リスクを統合する範囲は、金融市場が歴史的に深刻な低迷に直面した時に不適切であることが判明した。そ
の結果、UBS AGの債券トレーディング・ポジションは、特に2008年及び2009年において著しい損失を計上す
ることになった。UBS AGは、リスク管理・統制体制を大幅に変更及び強化し、UBS AGが取るリスクに関連し
て保有する資本を増加させた。しかしながら、UBS AGは、将来、例えば以下のような場合に、更なる損失を
被る可能性がある。
- 自己のポートフォリオのリスク、特にリスク集中及び相関性あるリスクを完全に見極めていなかった場
合。
- 見極めていたリスクの評価、又は不利な動向に対する対応が、時機を失しているか、不適切、不十分又
は妥当でないことが明らかになった場合。
- 市場が、その速度、方向性、深刻さ又は相関関係という点においてUBS AGの予期しない方向に動き、ゆ
えに、結果的に生じた環境においてUBS AGのリスク管理能力が悪影響を受けた場合。
- UBS AGが第三者に対する信用エクスポージャーを有しているか又は第三者の証券を保有している場合
で、その第三者が、何らかの事由により深刻な影響を受け、UBS AGのリスク評価により示された水準を
超えるデフォルト及び減損がUBS AGに発生した場合。
- カウンターパーティから提供されている担保物又はその他の担保が、カウンターパーティの不履行時点
で、債務を補填するには不十分であることが明らかになった場合。
UBS AGは、大規模なスイスのモーゲージ・ポートフォリオ等、様々な国における不動産関連のエクスポー
ジャーを有している。UBS AGは、このポートフォリオが極めて慎重に運用されていると考えているが、それ
にもかかわらず、スイスの不動産市場が著しく悪化した場合に、UBS AGが損失を被る可能性がある。UBS AG
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はまた、主にコーポレート・センターでレガシー・リスク・ポジションを保有している。多くの場合、当該
リスク・ポジションは流動性を欠いており、価値が再び悪化する可能性がある。
UBS AGはまた、顧客のためにリスクを管理している。UBS AGが顧客のために保有する資産のパフォーマン
スは、上記と同様の要因により悪影響を受ける可能性がある。顧客が損失を被った場合、又は顧客がUBS AG
において保有する資産のパフォーマンスが、顧客が投資パフォーマンスを評価するためのベンチマークに追
随しなかった場合、UBS AGは、手数料収入が減少し、投資資産が減少し、又は運用委託を解消される可能性
がある。
戦略的なイニシアチブの一環として行われる株式投資及びUBS AGにより運用される投資信託の設定時に行
われる当初資金投資等の投資ポジションもまた、市場リスク要因の影響を受ける可能性がある。かかる投資
対象は、多くの場合、流動性を持たず、一般的に、通常のトレーディング期間よりも長い保有が意図され又
は要求されるものである。かかるポジションの公正価値の下落は、UBS AGの収益にマイナスの影響を及ぼす
おそれがある。
UBS AGの財務成績、財務状況及び将来における債務の支払能力は、UBSスイスAG、UBSアメリカズ・ホール
ディングLLC、UBSヨーロッパSE及びその他の子会社から受領する調達資金、配当及びその他の分配金に影響
を受ける可能性があり、また、かかる調達資金、配当及びその他の分配金は、制限に服する可能性がある。
UBS AGの将来における債務の支払能力は、UBSスイスAG及びその他の子会社から受領する調達資金、配当
及びその他の分配金(もしあれば)の水準に影響を受ける可能性がある。当該子会社がUBS AGに直接的又は
間接的に融資又は配当を行う能力は、いくつかの要因(融資契約及び適用ある法律の要請による制限並びに
規制上、財務上又はその他の制限を含む。)に起因して制約を受ける可能性がある。特に、UBS AGの直接及
び間接の子会社(UBSスイスAG、UBSアメリカズ・ホールディングLLC及びUBSヨーロッパSEを含む。)は、配
当の支払いを制限する法令、当該子会社からUBS AGへの資金の流れを遮り若しくは抑制する権限を規制機関
に付与する法令、又はUBS AG若しくは当グループのその他の会社が当該子会社に対し行った融資若しくはそ
の他の投資を当該子会社が返済する能力に影響を及ぼす可能性がある法令に服している。例えば、米国の包
括的資本分析及びレビュー手続は、UBSの米国中間持株会社に対し、9四半期にわたる非常に厳しい仮定上
の経済シナリオ下において、同会社が最低自己資本基準を充足し続けられることを示すよう要求している。
同会社が定量的資本要件を満たすことができない場合、又は資本計画手続に対する連邦準備制度理事会の定
性的評価が低い場合、UBSの米国中間持株会社は、配当の支払や分配の実施を禁止されると予想される。こ
の様な制限及び規制措置は、UBS AGがその債務の履行のために必要とする資金の利用を妨げる可能性があ
る。また、子会社の清算又は更生の際の財産分配に参加するUBS AGの権利は、当該子会社の債権者のあらゆ
る優先債権に服する。
更にUBS AGは、随時その一定の子会社の支払債務の一部について保証を行う可能性がある。これらの保証
により、UBS AGは、自らの債務の弁済に充てる流動性が必要となる時期に、子会社又はその債権者若しくは
取引先に対して多額の資金又は資産を提供することを求められる可能性がある。
UBS AGの評判は、UBS AGの成功にとって重要なものである。
UBS AGの評判はUBS AGの戦略プラン、事業及び将来性の成功に不可欠なものである。評判のダメージを覆
すことは困難で、その改善には時間がかかる傾向にあり、測定が難しい。金融危機の間の非常に大きな損
失、UBS AGのクロスボーダーのプライベート・バンキング・サービスに関する調査、LIBOR関連の問題及び
外国為替に関する問題に係る犯罪解決並びにその他の問題はUBS AGの評判に深刻なダメージを与えた。こう
した事象による評判へのダメージは、UBS AGの資産受入れ事業全般にわたって顧客及び顧客の資産が減少し
たことの大きな要因であると考えられる。評判を傷つける新たな事象が発生した場合、UBS AGの経営実績及
び財務状態、更に事業戦略目標及び財務目標の達成能力に重大な悪影響を与える可能性がある。
流動性リスク及び資金調達リスク
流動性及び資金調達管理はUBS AGの継続的な事業遂行に不可欠である。
UBS AGの事業の実行可能性は、資金調達源の利用可能性に依拠しており、その成功は、全ての市場状況に
おいてUBS AGの資産ベースを効果的に補強することが可能となる時期、額、期間及び利率にて資金を獲得す
る能力に依拠している。かかる資金源は通常安定しているが、将来、特に一般的な市場の混乱又は信用スプ
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レッドの拡大により変化する可能性はあり、資金調達費用にも影響が及ぶ可能性がある。UBS AGの流動性及
び資金需要の大部分は、小口預金及び大口預金並びに短期金融商品の通常発行を含む、短期かつ無担保の資
金 源を活用して充足される。短期の資金調達の利用可能性における変化は突然起こる可能性がある。
更に、より厳格な所要自己資本及び所要流動性並びに資金需要は、担保付資金源及び安定的な資金源とし
ての預金双方の競争を増し、資金調達コストの増大へ結びつくと思われる。所要自己資本の一部として損失
を吸収するための負債の追加、最低限のTLACをUBS AGの持株会社及び子会社に保つという規制要件、並びに
破綻処理当局がTLAC及びその他債務をベイル・インする権限及び当該権限の行使方法が不確定であることに
より、UBS AGの資金調達費用が増加するであろうし、UBS AGの事業に他の変更がなければ、必要とされる資
金調達総額が増加する可能性がある。
UBS AGの信用格付の引下げは、有価証券及びその他債務の市場価値に悪影響を及ぼす可能性があり、特に
ホールセール無担保資金源からの資金調達に関し資金調達費用を増加させる可能性があり、特定の資金調達
の利用可能性に影響が及ぶ可能性がある。更に、2012年6月のムーディーズによるUBS AGの長期債務の格付
の引下げに関連して経験したように、格付の引下げの際には、取引契約に基づき追加担保の差入又は追加現
金の支払いを要求されることもあり得る。UBS AGの信用格付もまた、UBS AGの強固な資本基盤及び評判とと
もに、顧客及びカウンターパーティの信頼の維持に貢献するものであり、格付の変更はUBS AGの一部の事業
の業績に影響を与える可能性がある。
UBS AGは、見込まれるストレス時の短期的な純資金流出に備えた優良流動資産の流動性カバレッジ比率及
びその他類似の流動性要件及び資金調達要件により、高い水準を流動性全体について維持することが義務付
けられ、又は受取利息及び支払利息を最適化するUBS AGの能力が制限される可能性があり、特定の事業の魅
力を損ない、UBS AGの利益を生み出す全般的な能力が低下する可能性がある。流動性カバレッジ比率及び安
定調達比率の要件はいずれも、UBS AGが短期的な資金に過度に依存しないこと及びUBS AGの非流動資産のた
めの長期資金調達が十分であることを徹底することを意図しており、その算定は、市場全体及び企業に特有
のストレスのある状況において、資金流出の相対的な可能性及び流出額並びに利用可能な追加的資金調達の
資金源について前提を置いている。実際のストレス状況下においてUBS AGの資金流出額がこの前提額を超え
ないという保証はない。
リスク管理及び統制
当グループの事業活動から生じるリスクの概要
当グループの事業活動の規模は、当グループの事業のリスクをカバーするために利用可能な資本、当グ
ループの自己資本比率、レバレッジ比率及び流動性比率への貢献を通じた当グループの貸借対照表上の資産
及び簿外資産の規模、並びに当グループのリスク選好に依存している。
2019年度における当グループの全体的な信用リスク・プロフィールは概ね変化のないままであり、当グ
ループは引き続き概ね低い水準で市場リスクを管理した。
オペレーショナル・レジリエンス、コンダクト・リスク及び金融犯罪の防止は引き続き注力すべきテーマ
となっている。
リスク区分
当グループは、その事業部門及びコーポレート・センターのリスク・エクスポージャーを下表の概要の通
り区分する。
リスクの定義
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当グ
ループ
のリス
リスクの ク選好
独立の監視者
管理者 の枠組
みによ
る捕捉
の有無
主要リスク:当グループの事業が利益の創出のために負担することのできるリスク
信用リスク: 顧客又はカウンターパーティのUBSに対する契約上の義務の不履 経営幹部 リスク・コン ○
行により損失を被るリスク。これには、決済リスク及び融資引受リスクが含ま トロール部門
れる。
決済リスク: 当グループが最初に対価を受領できると確実に判断できないう
ちに自らの義務を履行しなければならない価値の交換(例えば、有価証券対
現金)を伴う取引において発生する損失を被るリスク。
融資引受リスク: 再販を目的とした資金調達取引の保有期間中に発生する損
失を被るリスク。
市場リスク(トレーディング及び非トレーディング): 市場変数の悪化により 経営幹部 リスク・コン ○
損失を被るリスク。市場変数には、金利、為替相場、株価、信用スプレッド及 グループ トロール部門
び商品価格(貴金属価格を含む。)等の観測可能な変数、並びにボラティリ 財務部門
ティ及び相関性等の観測不能であるか間接的にのみ観測可能な変数が含まれ
る。市場リスクには、発行体リスク及び投資リスクが含まれる。
発行体リスク: 取引可能な有価証券又は発行体を参照するデリバティブを通
じて当グループがさらされている発行体に影響を与える信用事象に起因する
公正価値の変動により損失を被るリスク。
投資リスク: 金融投資として保有するポジションに関連する発行体リスク。
カントリー・リスク: 各国特有の事象に起因する損失を被るリスク。これに 経営幹部 リスク・コン ○
は、ある国の監督機関が債務の支払いを防止又は制限するトランスファー・リ トロール部門
スク、及びある国特有の政治動向又はマクロ経済動向によって生じるシステ
ミック・リスク事象が含まれる。
付随リスク:当グループの事業がその運営に付随してさらされているリスク
流動性リスク: 当行が、当グループの日常業務及び財政状態のいずれにも影響 グループ リスク・コン ○
を及ぼすことなく、予想内及び予想外の現行及び予測キャッシュ・フロー及び 財務部門 トロール部門
担保ニーズの両方を効率的に満たすことができないリスク。
資金調達リスク: 当行が、実際の又は提案されたコミットメントの資金調達の
ために、継続的に市場において無担保ベースで(又は担保付きベースででも)
容認できる価格により資金を借り入れることができないリスク、すなわち、
UBSの資金調達能力が当グループの現行の事業及び望ましい戦略を支援するた
めに十分ではないリスク。
構造的為替リスク: 米ドル以外の通貨建ての資本金を換算する際にマイナスの グループ リスク・コン ○
影響を与える外国為替レートの変動による当グループの資本金の減少リスク。 財務部門 トロール部門
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オペレーショナル・リスク: 不適切な又は機能しない社内手続、人為的ミス及 経営幹部 グループ・コ ○
びシステム故障又は外的要因により生じる(意図的、偶発的又は自然発生的) ンプライアン
リスクであって、UBS、その顧客又はUBSが事業を営む市場に影響(財務上か非 ス、レギュレ
財務上かを問わない。)を与えるもの。該当する事象は、直接的な財務上の損 トリー&ガバ
失である場合もあれば、業務停止による収益の喪失といった間接的な形をとる ナンス部門
場合もある。また、これらにより当グループの評判や当グループの事業基盤が (GCRG)
毀損する虞があり、かかる場合はより長期にわたり財務上の影響を及ぼす。
法的リスク: (ⅰ)適用ある法令及び規則の違反の責任を問われるリスク、 法務部門
(ⅱ)契約上又はその他の法律上の義務の違反の責任を問われるリスク、
(ⅲ)UBSの利益保護のために契約上の権利又は契約外の権利を適切に行使
若しくは保護することができない又は行使若しくは保護することを怠るリス
ク(上記のいずれかに関する請求の当事者となるリスク、及びかかる一切の
請求に関連して弁護士・依頼者間の秘匿特権を失うリスクを含む。)、
(ⅳ)法務チームを適切に開発、監督し、これにリソースを割り当てること
ができない、又は事業の法的リスク及びその他の事項について助言する外部
の弁護士を適切に監督できないリスク、並びに(ⅴ)一切の潜在的又は懸念
される、あるいは実際に開始された訴訟及び法的手続(民事、刑事、仲裁及
び規制上の手続、並びに/又は訴訟リスク若しくは訴訟の提起若しくはその
懸念に発展しうる一切の紛争若しくは調査を含む。)に適切に対応できない
リスクに起因して生じる、財務上又は風評上の影響。
コンダクト・リスク: 当グループ又はその職員の行為が顧客又はカウンター GCRG
パーティに不当に影響を与え、金融システムの完全性を害し、又は効果的な
競争を阻害して消費者に損害が及ぶリスク。
コンプライアンス・リスク: 適用ある法令及び規則並びに当グループ自身の GCRG
内部基準を遵守しないことにより当グループが負うリスク。
金融犯罪リスク: UBSが犯罪活動(内部及び外部からの窃盗及び詐欺、マ GCRG
ネーロンダリング、贈賄並びに汚職を含む。)を発見できず、制裁措置及び
禁止命令を遵守できず、又はこれらの事項に関わる関連当局からの要請に対
し報告し若しくは対応することができないリスク。
サイバーセキュリティ及び情報セキュリティ・リスク: データ窃盗、詐欺又 経営幹部 GCRG
はサービス妨害を目的とした当グループの情報システムに対する外部又は内 グループ・テク
部からの攻撃により重大な影響が及ぶリスク。サイバー攻撃とは、サイバー ノロジー部門
脅威が侵害行為又は犯罪活動として顕現化したものであり、財務上、規制上
又は風評上の損害又は損失を引き起こす。
年金リスク: 確定給付型年金基金が保有する資産の公正価値の減少、並びに/ 人事部門 リスク・コン ○
又は数理計算上の仮定(例えば、割引率、平均余命、支給年金の増加率等)の トロール部門
変更及び/若しくは制度設計の変更に起因する確定給付型年金債務の価値の変 及び財務部門
動に伴う拠出状態の悪化により当グループの資本にマイナスの影響が及ぶリス
ク。
環境・社会リスク: UBSが深刻な環境被害又は人権侵害を引き起こし若しくは 経営幹部 リスク・コン ○
これに加担する顧客を支援し、又は同様のサプライヤーから調達するリスク。 トロール部門
UBSの事業活動及びUBSの従業員(若しくはUBSの代わりに業務を行う請負業
者)が関連する環境及び人権規制の範囲内で事業を行わない場合にも環境・社
会リスクが発生しうる。環境・社会リスク(人権及び気候関連リスクを含
む。)によりUBSに財務上及び風評上の悪影響が生じる可能性がある。
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モデル・リスク: 誤りのあるモデル又は正しく使用されなかったモデルから発 モデルの所有者 リスク・コン ○
信された情報及び報告に基づく意思決定により、財務的損失又は非財務的影響 トロール部門
(例えば、業績の不振、戦略的判断の誤り、当グループの評判の毀損等)が発
生し、これにより望ましくない結果がもたらされるリスク。モデル・リスク
は、入力情報、方法論、適用方法又は使用方法等、様々な要因により発生しう
る。
ビジネス・リスク:当グループが事業を行っている商業的、戦略的及び経済的環境から生じるリスク
ビジネス・リスク: 費用の減少によっても相殺されなかったことにより、取引 経営幹部 財務部門 ○
高及び/又はマージンが予想より低くなったことに伴い、利益に潜在的な悪影
響が及ぶリスク。
風評リスク
風評リスク: 顧客、株主、スタッフ及び一般社会等、当グループの利害関係者 全ての事業及び 全てのコント
の観点からの当グループの評判が毀損するリスク。 機能 ロール機能
トップリスク及び新たに発生するリスク
下記に開示されるトップリスク及び新たに発生するリスクは、1年以内に実現する可能性があり、当グ
ループに重大な影響を与える可能性があると現在当グループが考えるリスクを反映したものである。投資家
は、これらのリスク及び当グループの戦略を遂行する能力に影響を与え、また、当グループの事業活動、財
政状態、業績及び将来の事業の見通しに影響を与えうると当グループが考えるその他の重要なリスクが詳述
されている本書の「リスク要因」の項目に記載された全ての情報を慎重に検討すべきである。
- 当グループは、多くのマクロ経済問題や一般的な市場の動向の影響を受けている。本書の「リスク要
因」の「市場リスク及びマクロ経済リスク」に記載される通り、これらの外部圧力は、当グループの事
業活動及び関連する財務成績(主に利益幅及び収益の縮小、資産の減損及びその他の評価調整を通し
て)に重大な悪影響をもたらす可能性がある。従ってこれらのマクロ経済的要因は、当グループの継続
的なリスク管理活動のストレス・テストのシナリオ開発において検討の対象となる。
- 中国におけるCovid-19(新型コロナウイルス感染症)の発生及びその後の他の国々への拡大は、少なく
とも、中国及びその他の感染国における経済活動に短期的に悪影響を及ぼし、それに伴い世界経済に影
響が及ぶ可能性が高い。Covid-19の感染者数の大幅な増加、多くの国々及び地域における感染、又は流
行の長期化により、経済への悪影響が増大することもあり得る。これらの悪影響は、市場の不振、信用
リスクの増大又はオペレーショナル・レジリエンスへのマイナスの影響により顕在化する可能性があ
る。
- 当グループは、当グループの事業に関連する大幅な規制変更にさらされており、かかる変更は、本書の
「リスク要因」の「規制上のリスク及び法的リスク」において詳述される通り、当グループの事業に重
大な悪影響を及ぼす可能性がある。
- 当グループは、世界的な金融サービス機関として、多数の異なる法律、税金及び規制の体制並びに広範
囲な規制上の監視に服している。本書の「リスク要因」の「規制上のリスク及び法的リスク」に記載さ
れる通り、当グループは重大な責任負担リスクにさらされており、また、様々な請求、紛争、法的手続
及び政府の調査の対象にもなっている。
- サイバー脅威の進化に対応できないことは、多くの業界が直面する最も重要なリスクの1つである。サ
イバー脅威とは、データ窃盗及びデータ漏洩、サービス妨害並びにサイバー詐欺等であり、そのいずれ
もが当グループの事業に極めて甚大な影響を及ぼす可能性をはらんでいる。また、当グループの事業は
いずれも運営が複雑であるため、当グループは絶えずプロセス誤差、実行の失敗、システム障害及び不
正行為等のオペレーショナル・レジリエンス・シナリオにさらされている。
- コンダクト・リスクは当グループの事業に本質的に内在するリスクである。顧客にとって公正な結果を
実現すること、市場の健全性を守ること、及び最高水準の従業員行為を育成することが当グループに
とって極めて重要である。コンダクト・リスクの管理は当グループのオペレーショナル・リスク対応策
の中心的な部分である。
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- マネーロンダリング、テロ資金供与、制裁措置違反、詐欺、贈賄及び汚職を含む金融犯罪は、重大なリ
スクとなっている。規制当局の期待と関心の高まりは人やシステムへの投資を余儀なくさせ、また一方
で、金融犯罪の特定と防止は最先端の技術や日々変動する地政学的リスクにより更に複雑になってい
る。 詳細については、本項の「オペレーショナル・リスク」及び本書の「リスク要因」の「戦略、管理
及び営業に関するリスク」を参照のこと。
リスク・ガバナンス
当グループのリスク・ガバナンスの枠組みは、3つの防衛線に沿って運営されている。
第1の防衛線である経営幹部は自身のリスク・エクスポージャーを担い、リスクを管理する効果的なプロ
セスとシステム(強固かつ包括的な内部統制と書面手続を含む。)を維持することを求められる。経営幹部
はまた、統制上の脆弱性及び不十分なプロセスを特定するための適切な監督権及び審査手続を備えている。
第2の防衛線を構成する統制機能は事業から独立しており、グループCEOに直接報告を行う。統制機能は
独立した立場でリスクを監督し、これにはリスク選好の設定及び適用ある法令の不遵守の防止が含まれる。
第3の防衛線であるグループ内部監査部門は取締役会の監査委員会に報告を行う。この部門は、ガバナン
ス、リスク管理及び統制環境の全体的な効果を評価する(第1の防衛線及び第2の防衛線の目標達成状況の
審査を含む。)。
取締役会 (BoD)は、当グループのリスク管理及び統制の枠組み(当グループ及び事業部門の全体的なリ
スク選好を含む。)の承認について責任を負う。BoDはBoDリスク委員会により支援されており、同委員会
は、当グループのリスク・プロフィール及びBoDが承認したリスク対応策の実施を監視及び監督し、当グ
ループのリスク選好の方法論を承認する。企業風土・責任委員会は、責任ある持続可能な行動に関する当グ
ループの評判を維持及び向上させるというBoDの職責をBoDが遂行するための支援を提供する。同委員会は、
UBSの社会貢献及び企業風土に関する利害関係者の関心事項及び期待を審査する。監査委員会は、BoDが財務
報告及び財務報告に関する内部統制、外部及び内部監査機能の有効性並びに内部告発手続の有効性に関する
監督義務を遂行するのを支援する。
グループ執行委員会 (GEB)は、当グループにおけるリスク管理及び統制の確立及び実施全般について責
任を負う。同委員会は、当グループ全体のリスク・プロフィールを管理する。
グループ・チーフ・エグゼクティブ・オフィサー (グループCEO)は、当グループの経営及び業績につい
て責任及び説明責任を負い、取引、ポジション及びエクスポージャーに関するリスク権限を有し、また各事
業部門及びコーポレート・センター内においてBoDにより承認されたリスク制限の配分を行う。
事業部門の社長 は、その事業部門の成功、リスク、業績及び価値について責任を負う。当該責任には、事
業部門に特化した財源及びリスク選好の統制及び管理を行うことが含まれる。
地域別の社長 は、担当地域におけるUBSの戦略の実施を推進し、また、実在の又は潜在的に重大な規制上
又は評判上の懸念に発展しうる活動及び問題をGEBに報告する権限を有する。
グループ・チーフ・リスク・オフィサー (グループCRO)は、信用リスク、市場リスク、カントリー・リ
スク、流動性リスク、資金調達リスク、モデル・リスク及び環境・社会リスクに関する当グループのリスク
管理及び統制の枠組み(リスクに関する原則及びリスク選好を含む。)を構築する責任を負う。これには、
リスクの測定及び集約、ポートフォリオ管理及びリスク報告が含まれる。グループCROは、リスク制限の設
定並びに信用リスク及び市場リスクに係る取引及びエクスポージャーの承認について責任を負う。リスク・
コントロール部門も当グループ内で使用される全てのモデルに関するモデル・リスク管理及び統制の中核的
機能である。リスク統制プロセスは、方針と権限の枠組みによってサポートされる。 事業部門のCRO は、そ
の事業部門内のリスク管理及び統制の枠組みの実行及び執行について責任を負う。 地域別のチーフ・リス
ク・オフィサー は、独立した立場で担当地域のリスクを監督する。
グループ・チーフ・コンプライアンス及びガバナンス・オフィサー は、コンプライアンス・リスク及びコ
ンダクト・リスク等の全てのオペレーショナル・リスク並びにサイバーセキュリティ及び情報セキュリ
ティ・リスクが、効果的な統制の枠組みによって支えられる、当グループのリスク選好に従って特定され、
負担され、管理されるよう確保する責任を負う。
グループ・チーフ・ファイナンシャル・オフィサー (グループCFO)は、当グループ及び事業部門の財務
実績の透明性及び評価について、並びに規制上及び財務上の報告要件、コーポレート・ガバナンスの基準及
び高い質と適時性を維持するための全社的なベストプラクティスに従った当グループの財務会計、統制、予
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想、計画及び報告手続について責任を負う。その他の職責としては、UBSの税務管理並びに資金業務及び資
本管理(資金調達リスク、流動性リスク及びUBSの法定自己資本比率を含む。)等が挙げられる。
グループ・ジェネラル・カウンセル (グループGC)は、当グループの法務の管理、当グループ又はその事
業に影響を与える法的問題の効果的かつ適時の評価の徹底並びに全ての訴訟問題の管理及び報告について責
任を負う。
グループ内部監査部門 (GIA)は、独立した立場で戦略及びリスク選好を決定するプロセスの有効性並び
に承認された戦略の全般的な遵守状況、ガバナンス・プロセスの有効性並びにリスク管理の有効性(法律上
及び規制上の要件、内部方針、設立関係書類並びに契約の遵守を含む。)を当グループ、事業部門及び地域
レベルで評価する。GIA部門長は、BoDの会長に報告する。また、GIAはBoD監査委員会に対して職務上の報告
系統を有する。
以上の役割及び責任の一部については、当グループの一定の重要な法人においても、同様の体制が敷かれ
ている。当該 法人のリスク・オフィサー は、当グループのリスク管理及び統制の枠組みを補完する法人統制
枠組みの一環として、当グループの一定の重要な法人に関する主要リスク及び付随リスクを独立した立場で
監督し統制する責任を負う。
リスク選好の枠組み
当グループは、一組の補完的な定性的及び定量的リスク選好ステートメントによる、全ての財務的及び非
財務的リスク・タイプを対象とする、グループレベルにおける明確なリスク選好を有する。このリスク選好
については、毎年見直し及び再調整が行われ、承認を受けるためにBoDに提出される。
当グループのリスク選好は当グループの総合的水準により定義され、当グループが引き受ける意思を有す
るリスク又は回避することを意図するリスクの種類を反映している。リスク選好は、グループレベルで定義
される一組の補完的な定性的及び定量的リスク選好ステートメントによって決められ、当グループ、事業部
門別及び法人別の方針、制限及び権限を通じて当グループの全ての事業部門及び法人に適用される。UBS
は、スイスにおいて最大の真にグローバルなウェルス・マネジャーであるとともに、主導的な個人及び法人
向け銀行であり、その中心部門は投資銀行部門及び資産運用部門である。当グループは、FINMA及び関連す
る規則による連結監督の対象となっており、当該規則により、特に、資本、流動性、リスク集中及び内部組
織に関する最低限の基準の要件が課されている。当グループのリスク選好は、組織のあらゆるレベルにおけ
るリスクの負担が当グループの戦略上の優先事項、当グループの資本及び流動性計画、当グループの柱とな
るもの、原則及び行動様式並びに最低限の規制要件に従っているよう確保することを目的として、毎年見直
され、再調整される。リスク選好ステートメントは、当グループの組織を通じた強固なリスク統制の企業風
土を維持するために必要不可欠な基盤である。下記の「リスク選好の枠組み」の図はかかる枠組みの主要要
素を示している。かかる要素の詳細については本項に記載の通りである。
定性的ステートメントは、当グループが望ましいリスク統制の企業風土を維持するよう確保することを目
的としている。定量的リスク選好の目標は、発生しうる経済的又は地政学的な重大有害事象の影響に対する
当グループの弾力性を向上させるよう設定されている。これらのリスク選好の目標は、当グループの最低資
本及び最小レバレッジ比率、当グループの支払能力、利益、流動性及び資金調達を対象としており、また、
年次事業計画プロセスの一環として行われるものも含め、定期的な見直しが行われている。
これらの目標は、オペレーショナル・リスク選好の目標により補完されている。オペレーショナル・リス
ク選好の目標は、当グループのオペレーショナル・リスクの区分ごとに設定されている(例えば、市場行
為、窃盗、詐欺、情報守秘義務及び技術リスク)。当グループレベル及び事業部門レベルにおいて、標準化
された財務上の当グループ全体のオペレーショナル・リスク選好が定められている。既定のリスク耐性(当
グループの営業収益に対する割合により表現される。)を超過するオペレーショナル・リスク事象は、当グ
ループ全体の上申制度に従い、適宜それぞれの事業部門別の社長又はより上層に上申されなければならな
い。
定量的リスク選好の目標は、ポートフォリオ・レベルで設定された一連の包括的なリスク制限により支え
られている。これらは当グループ全体、個々の事業部門若しくは事業内、法人レベル又は資産クラスに適用
することができる。これらの追加的な定量的統制は典型的にはボトムアップの体制を採り、特定のポート
フォリオを監視し、潜在的なリスク集中を特定するよう設定されている。
あらゆる製品及び事業を通じて集約されたリスク測定を内容とするリスク報告は、当グループのポート
フォリオ内の様々なリスクの規模、類型及び感応度に対する識見を提供し、これにより既定の限度への遵守
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を確保することを目的としている。リスク・オフィサー、上級役員及びBoDは、かかる情報を用いて当グ
ループのリスク・プロフィール及びポートフォリオの実績を把握する。
リスク選好の目標の状況は毎月評価され、BoD及びGEBに報告される。当グループのリスク選好は長い時間
の中で変更されることがある。そのため、とりわけ当グループの年次事業計画プロセスとの関連で、ポート
フォリオ制限や関連ある承認権限に定期的な見直し及び修正が行われる。
当グループのリスク選好の枠組みは単一の包括的な方針によって決定され、2013年に公表された金融安定
理事会の「効率的なリスク選好の枠組みに係る原則」に準拠している。
リスク選好の枠組み
リスク原則及びリスク統制の企業風土
当グループは、強固なリスク統制の企業風土を維持することに焦点を当てている。かかる企業風土は、今
日の高度に複雑化した営業環境において成功を収めるために不可欠な条件であり、また、持続可能な競争上
の優位性の根源である。あらゆる意思決定の中枢において堅実かつ厳格なリスクの負担を実施することによ
り、当グループは比類ない顧客満足を実現し、利害関係者の長期価値を創出し、そしてUBSを就労の場とし
て世界で最も魅力ある会社の1つにするという目標の達成を目指している。
当グループのリスク選好の枠組みは、当グループの柱となるもの、原則及び行動様式、当グループのリス
ク管理及び統制の原則、当グループの行動倫理規範並びに当グループの包括的報奨の原則に示される、当グ
ループのリスク統制の企業風土のあらゆる重要な要素を組み合わせている。これらは合わせて、当グループ
による意思決定を当グループの戦略、原則及びリスク選好と連携させることを目指している。これらはリス
ク認識を促進し、適切なリスクの負担をもたらし、強固なリスク管理及び統制プロセスを確立するための確
固たる基盤を提供する一助となる。これらの原則は、あらゆるレベルの従業員を対象とする一連の施策によ
り支援されており、これにはリーダーシップに対するUBSハウス・ビューが含まれる。リーダーシップに対
するUBSハウス・ビューとは、リーダーに対する期待値を明文化し、UBS全体で一貫したリーダーシップの基
準を設定するものである。また、これらの施策には当グループの優れた監督の原則が含まれ、当該原則は、
監督責任(具体的には、責任を取ること、自分の業務を把握し整理すること、自分の従業員を知り、彼らが
何をしているのかを知ること、良好なリスク統制の企業風土を整えること、問題に対応し、解決すること)
について、管理責任者及び従業員に対する明確な期待値を設定している。
リスク管理及び統制の原則
財務の健全性の保護 評判の保護 経営幹部の説明責任 独立した統制 リスクの開示
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全てのリスク・タイプ リスク、パフォーマン 経営陣の説明責任を維 事業のリスク管理の有 上級役員、BoD、投資
において、当グループ ス及び報酬に対する全 持し、これにより経営 効性を監視し、事業の 家、規制当局、信用格
のリスク・エクスポー 体的かつ総合的見解に 幹部は、リスク・コン リスク引受を監督する 付機関及びその他の利
ジャーを管理し、個別 より特徴づけられる健 トロール部門とは対照 独立のリスク統制機 害関係者に対する適切
のエクスポージャー・ 全なリスク統制の企業 的に、当グループが負 能。 な水準の包括性及び透
レベル、特定のポート 風土並びに当グループ 担するあらゆるリスク 明性を有するリスクの
フォリオ・レベル及び の行動倫理規範を始め に対し責任を負い、ま 開示。
会社全体のレベルで、 とする基準及び原則の た、バランスのとれた
潜在的なリスク集中を 完全な遵守を通じて、 リスクと利益の提供を
回避することにより、 評判を保護する。 目的として、全てのリ
UBSの財務の健全性を保 スク・エクスポー
護する。 ジャーを継続的かつ積
極的に管理する責任を
負う。
当グループの従業員が安心して懸念を表明することのできる環境を支援するため、当グループは内部告発
の方針と手続を設けている。これらは、法律、規制、規則及びその他の法律要件、当グループの行動倫理規
範、方針又は関連ある専門基準に係る違反の疑いについて、個人が(公然と又は匿名で)上申することので
きる複数のルートを提供する。当グループのプログラムは、内部告発された懸念事項が調査され、適切かつ
一貫した措置が確実に執られるよう設計されている。当グループは、職員及び法人の代表者に継続的に提供
される研修とコミュニケーション(新たな規制要件に関するものを含む。)に尽力している。
また、当グループには、マネーロンダリング防止及びオペレーショナル・リスクを含む、幅広い法令遵守
及びリスク関連のテーマを取り扱う必修の研修プログラムがある。更に、専門的な研修(例えば、トレー
ディング分野の従業員に対する信用リスクや市場リスクの研修)が従業員の具体的役割と責務に応じて提供
されている。既定の期限以内に満足のいくレベルで必修の研修会を修了できなかった場合は、懲戒等の処分
の対象となる。コンダクト・リスクの枠組みを内包する当グループのオペレーショナル・リスク対応策は、
金融、規制及び風評リスク並びに顧客及び市場に対するリスクを特定及び管理することを目的としている。
更に、当グループは、持続可能な開発目標及び低炭素経済への移行を支援する投資に資本を注入すること
を希望する顧客に選択される金融機関を目指している。当グループの包括的な環境・社会リスクの枠組み
は、顧客及びサプレイヤーとの関係を規定し、当グループ全体にわたり全ての活動に適用され、業界の最高
基準を満たしており、経営実務及び統制原則に組み込まれている。また、当グループは、炭素関連資産に関
するリスク選好を制限することにより、当グループの資産を気候変動リスクから守ろうとしている。
定量的リスク選好の目標
当グループは、一連の定量的リスク選好の目標を通して、リスク・エクスポージャー合計を当グループの
資本及び事業計画に基づき、当グループが望むリスク許容度内に確実に収めることを目指している。各目標
に係るリスク許容度の個別定義により、厳しいストレス事象下においても当グループの営業基盤を守り、最
低限の規制上の要件を上回るために当グループが資本、利益、資金調達及び流動性を十分確保することが求
められる。リスク選好の目標は、年次事業計画プロセスの一環として評価され、BoDの承認を受ける。リス
ク・エクスポージャーとリスク許容度との比較は、当グループの事業戦略及びリスク・プロフィールへの潜
在的な調整に係る経営判断において重要な留意事項である。
当グループは、年次事業計画プロセスを通して、当グループの事業戦略を見直し、当グループの事業及び
活動の結果としてリスク・プロフィールを評価し、当グループのリスク・プロフィールのストレス・テスト
を行う。当グループは、グループレベルの深刻なストレス事象の影響を評価するために、シナリオに基づく
ストレス・テストと統計的なリスク測定法の両方を利用している。これらの相補的な枠組みは、全ての重要
な主要リスク及び付随リスク並びに当グループの事業部門及びコーポレート・センターの全てにわたるビジ
ネス・リスクに対するエクスポージャーを捕捉している。
当グループのリスク許容度は、当グループの最新の3ヶ年戦略計画に従った当グループの業績目標及び資
本に関する指針に裏打ちされている。当グループは、厳しいストレス事象の場合のリスク許容度を判断する
際に、収益見通しの減少及び費用の減少(例えば、変動報酬の見越計上の戻入)を反映させるためにビジネ
ス・リスクの戦略計画による収益見通しを調整する。当グループはまた、繰延税金資産、年金制度資産及び
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負債並びに株主に対する投資利益の見越計上額に対するストレスの影響を考慮するため、当グループの資本
を調整する。
下記図表は、2019年度における当グループの定量的リスク選好の目標の概要を示している。2020年度につ
いて、当グループは、ストレス後最低CET1自己資本比率目標及び最小レバレッジ比率目標をぞれぞれ10%及
び2.5%から9%及び2.7%に調整した。新たな目標の主な要因は、ストレス測定に対する様々な継続的な強
化で、その多くは、根本的なリスクが同量であれば結果がより高い数値になる。また、当グループは、規制
上のシナリオにより合致するように、3年間につきそれぞれ7.5%及び2.2%のストレス後最低自己資本比率
目標及び最小レバレッジ比率目標も導入した。
リスク選好の目標により、当グループのリスク許容度を前提とした、当グループ全体で許容しうるリス
ク・エクスポージャーの合計が定められる。許容しうる最大リスク・エクスポージャーは、事業及びポート
フォリオにつながる、一連の包括的なリスクの制限、トリガー及び目標により支えられている。これらの制
限、トリガー及び目標は、当グループのリスクが全体として最大許容限度のリスク・エクスポージャーを下
回ることを確実にすることを目的としている。
事業部門レベルのリスク選好ステートメントは、当グループ全体のリスク選好から導かれるものである。
事業部門レベルのリスク選好ステートメントはまた、当該部門における特定の活動及びリスクに関連した、
当該部門特有の目標により構成されることがある。リスク選好ステートメントはまた、特定の法人について
も設定される。このような目標は、当グループ全体のリスク選好の枠組みに準拠していることを要し、当該
法人及び当グループの規制に従い承認される。これらの目標には、関連ある法人の特定の性質、規模、複雑
性及び適用ある法令を反映した差異が生じることがある。
2019年度の定量的リスク選好の目的
IFRS第9号適用後のリスク選好
2018年のIFRS第9号に基づく予想信用損失(ECL)の枠組みの導入により、ローン、ローン・コミットメ
ント、保証及び特定の取消可能な融資枠から発生する信用リスクの会計処理方法が根本的に変更された。信
用サイクル及び当グループのローン・ポートフォリオ構成の動向に応じてECLが変動するため、ECLの枠組み
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により、信用損失費用のボラティリティが増加することがある。その影響は、悪化する経済環境においてよ
り顕著になる可能性がある。
信用損失の認識時期を早めなければならないことがストレスのある状況における当グループのリスク・エ
クスポージャーに及ぼす影響は、当グループの見積りにおいて考慮されている。当グループは、IFRS第9号
がより長期間にわたって変化する経済状況下で適用されるにつれて、ECLの性質についての理解が深まると
予想しており、将来、当グループのリスク・エクスポージャーを更に調整する可能性がある。
当グループは、最新の情報及びIFRS第9号に基づくECLの枠組みが当グループの支払能力の目標に及ぼす
影響に基づき、当グループのリスク選好及び管理業務並びにIFRS第9号適用後の取引の価格設定及び組成の
戦略を変更していない。
内部リスク報告体制
リスクの包括的かつ透明性のある報告体制は、当グループのリスク・ガバナンスの枠組みに定める統制・
監督責任の中核をなすものであり、当グループのリスク管理及び統制の原則の要件である。従ってリスク
は、当該リスクの範囲及び変動性並びに様々な政府機関、規制当局及びリスク権限保有者からの要請に応じ
た頻度及び詳細さで報告される。
グループ・リスク報告書は、グループレベルのリスクに関する総合的意見(当グループのリスク選好の目
標の状況及び当グループ全体のストレス・テストの結果を含む。)と併せて、事業部門及びコーポレート・
センターの主要リスク及び付随リスクの動向に関する詳細な定性的及び定量的概説を月次ベースで提供す
る。グループ・リスク報告書はBoDリスク委員会及びGEB並びにリスク・コントロール部門、グループ内部監
査部門、財務部門及び法務部門の上級メンバーに対し内部的に配布される。更に、グループ・リスク報告書
の抜粋が、BoDに提供されている。リスク報告は、当グループの重要なグループ事業体(強化されたコーポ
レート・ガバナンス基準の対象となる事業体)についても作成される。
部門別の精細なリスク報告は、それぞれの事業部門のチーフ・リスク・オフィサー及び事業部門の社長に
提供される。毎月行われるこの報告は、事業部門別及びコーポレート・センターの市場リスク及び信用リス
クに関する大小様々な日次又は週次報告により補完され、これによりリスク・オフィサー及び上級役員は当
グループのリスク・プロフィールを監視し統制することが可能となる。
主要リスク及び付随リスクを対象範囲とする当グループの内部リスク報告体制は、社外への情報開示や規
制上の報告においても使用されているリスク・データ及び測定システムにより支援されている。リスク・コ
ントロール部門内の専門の部署がリスクの測定、分析及び報告並びにリスク関連データの質及び完全性の監
督について責任を負っている。当グループのリスク・データ及び測定システムは、リスク・ベース監査の手
法に従い、グループ内部監査部門による定期的な見直しが行われる。
リスク測定
当グループは、ポートフォリオのリスク及び潜在的リスク集中の定量化について、様々な方法論や測定法
を適用している。標準的な測定法において完全に反映されないリスクは、追加の統制(特定の取引の事前承
認及び特別なリスク制限の適用を含む場合がある。)の対象とされる。通常、リスクの定量化モデルは統制
機能内の専任部門により確立され、独立した検証の対象となる。
モデルには承認が必要とされ、また、規制要件及び内部方針に従い定期的な見直しを行い、当該モデルが
想定通りに機能し、現実の事象や価値と同等の実績を残し、また、ベスト・プラクティスに基づくアプロー
チ及び最新の学術的発展を反映するものであるか否かの検証が行われる。当グループの検証は、当該モデル
が満足のいく水準で機能しているか否か、追加的な分析を要するか否か、及びモデルが再調整又は再開発を
要するか否かの評価を行う。評価結果及び結論は、関連あるガバナンス機関及び(義務づけられている場合
は)規制当局に開示される。
生産環境でモデルの質及びパフォーマンスを評価するために進行しているプロセスは、2つの要素によっ
て構成される。すなわち、モデル・リスク管理&統制部門(MRMC)が独立の立場でモデルの目的適合性を評
価するモデル検証と、モデルの出力及びその適用に関する正確性及び適切性を確認するための定期的な手続
であり、モデルの開発者により実施され、MRMCにより見直されるモデル確認である。
ストレス・テスト
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当グループは、ストレス・テストを行うことで極端だが妥当なマクロ経済的及び地政学的ストレス事象か
ら生じ得る損失を推定している。ストレス・テストにより、潜在的な脆弱性及びリスク集中を特定し、その
理 解を深め、管理することができる。ストレス・テストは、当グループ全体、事業部門、法人及びポート
フォリオの各レベルにおける上限値の枠組みにおいて重要な役割を果たしている。ストレス・テストの結果
は定期的にBoD、BoDリスク委員会及びGEBに報告される。上記「リスク選好の枠組み」に記載した通り、ス
トレス・テストは、統計損失測定と併せて、当グループのリスク選好及び事業計画プロセスにおいて中心的
な役割を果たしている。
当グループのストレス・テストの枠組みは、以下の3つの柱を包含している:すなわち①総合ストレス・
テスト、②広範囲にわたるポートフォリオ別及びリスク・タイプ別のストレス・テスト、③リバース・スト
レス・テストである。
当グループの 総合ストレス・テスト(CST) の枠組みは、シナリオに基づくものであり、多くの潜在的な
世界規模のシステミックな事象から生じ得る当グループ全体の損失の総額を定量化することを目指してい
る。当該枠組みは、上記「リスク区分」に示されている通り、全ての重要な主要リスク及び付随リスク、並
びにビジネス・リスクを捕捉する。シナリオは、将来を見通したものであり、かつ様々な深刻度に合わせて
調整されたマクロ経済的及び地政学的ストレス事象を包含している。当グループは、各シナリオを当該シナ
リオにおける市場指標及び経済的変数の予測展開を通じて適用する。その上で当グループは、その結果当グ
ループの主要リスク、付随リスク及びビジネス・リスクに生じる影響を評価し、シナリオが生じた場合に発
生する全体的な損失及び資本への影響を推定する。BoDリスク委員会は、少なくとも年に1回、通常のCST報
告を行うため、並びに当グループのリスク選好の枠組みにおける最低資本額、収益及びレバレッジ比率目標
に対するリスク・エクスポージャーを監視するために、中心シナリオとして使用される最も関連の深いシナ
リオを承認する(これは、必須の想定シナリオとして知られている。)。これらの結果は、毎月、BoDリス
ク委員会、BoD、GEB及びFINMAに報告される。
当グループは、FINMA及び当グループの法人の規制当局に対し、その要件に従って詳細なストレス損失分
析を提供している。例えば、当グループは、CSTに加えて、FINMAが定めた損失可能性分析(LPA)、米国連
邦準備制度理事会の定めによるUBSアメリカズ・ホールディングLLCに関する包括的資本分析及びレビュー
(CCAR)並びに欧州中央銀行の定めによるUBSヨーロッパSEに関する包括的評価ストレス・テストを行って
いる。
全社的ストレス委員会(ESC)は、当グループ全体のストレス測定に使用される想定及びシナリオの一貫
性と妥当性を確保する責任を負う。これらの責任の一環として、ESCは、一連のストレス・シナリオが、マ
クロ経済的及び地政学的環境における現在及び潜在的な動向、当グループの現在及び計画されている事業活
動、並びに当グループのポートフォリオにおける現実の又は潜在的なリスク集中及び脆弱性を充分に反映す
るよう確保することを目指す。ESCは、少なくとも四半期毎に会議を開き、かかる会議はリスク・コント
ロール部門の当グループ代表者、事業部門の代表者及び法人の代表者で構成されている。その責任を実行す
る際、ESCはシンクタンクからのインプットを考慮する。このシンクタンクは、各事業部門、リスク・コン
トロール部門及び経済研究部門の上級代表者の一団であり、当グループの収益性に重大な影響を与える可能
性のある潜在的なストレス・シナリオを特定するために四半期毎に会議を開いて現在及び将来の市場環境に
ついて精査する。この結果、FINMAから命じられているシナリオとは別に一連の内部ストレス・シナリオが
開発され、時間をかけて改良されることになる。
各シナリオは、幅広いマクロ経済的な変数を捕捉する。これには、国内総生産(GDP)、株価、金利、為
替レート、商品価格、不動産価格及び失業率が含まれる。当グループは、各シナリオにおけるこれらのマク
ロ経済的変数及び市場変数の想定される変動を、当グループのポートフォリオの主要なリスク要因に負荷を
かけるために使用する。例えば、GDPの成長率の低下と金利上昇は、当グループが貸出を行った企業の収益
を減少させる可能性があり、デフォルト確率、デフォルト時損失率及びデフォルト時エクスポージャーに係
る信用リスク・パラメーターの変化につながり、その結果、ストレス・シナリオにおいて予想信用損失が上
昇する。また、当グループは、費用の減少を控除した後の受取報酬、受取利息及びトレーディング収益の減
少により生じるビジネス・リスクも捕捉する。これらの影響は、損益、その他の包括利益、RWA、LRD、そし
て最終的には当グループの資本及びレバレッジ比率に係るシナリオの見積影響総額を計算するために、全て
の重要なリスク・タイプ及び全ての事業を通して測定される。マクロ経済的変数の変動の仮定は、現在及び
予想される将来の市況の変化を考慮して定期的に更新される。
2019年度中、CSTの必須の想定シナリオは社内の 深刻なユーロ圏危機シナリオ であった。このシナリオ
は、ユーロ圏の危機を特徴とし、複数の周辺ヨーロッパ諸国の経済軌道に対する信頼が失われるため、当該
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諸国の債券利回りが急上昇し、その結果、最終的に、当該諸国は市場アクセスを失うというものである。ギ
リシャがユーロ圏から外れるため、資本規制、財政援助及び債務再編等の緊急措置が必要となる。続いて起
こ る世界的な景気減速と市場の混乱において、中国はハード・ランディングに陥り、このことが更に世界的
成長の足を引っ張る。政策上余地のある主要先進経済国の中央銀行は、経済成長を促進し、市場の信頼性を
回復するために金利をゼロに切り下げるが、深刻な世界的不況の回避には至らない。
CSTリスク・エクスポージャーは、当該年度を通じて概ね安定的であり、月次変動の大部分は、主にイン
ベストメント・バンクにおける一時的な融資引受エクスポージャー量の変動に起因していた。
当グループは、CSTの枠組みの一環として、2019年度を通じて新たに4つのストレス・シナリオを定期的
に監視した。
- 大手金融機関破綻シナリオ は、世界的な大手金融機関の破綻を反映して金融市場が新たに混乱し、長引
く金融デレバレッジや世界各国における活動の著しい低迷へとつながる状況を表している。
- 米国通貨危機シナリオ は、米国への信頼が喪失し、多国籍ポートフォリオの米ドル建て資産以外への再
配置につながり、米ドルの急激な大暴落を引き起こす状況を表している。当該シナリオでは、米国は不
況に後戻りし、他の先進工業国もこれと同パターンを辿り、インフレ懸念から全体的に高い金利水準に
つながる。
- 世界恐慌シナリオ は、甚大かつ長期のユーロ圏危機を表している。当該シナリオでは、複数の周辺国が
デフォルトに陥り、ユーロ圏から脱退し、先進経済が長期的な景気低迷へと引きずり込まれる。
- 世界的金利スティープ化シナリオ は、長期債の無秩序な投げ売り及びイールド・カーブの急速なス
ティープ化をもたらす市場センチメントの突然の変動を表し、かかる変動は金融市場における流動性の
欠如により更に深刻化する。これにより日本ではソブリン危機が発生し、世界的景気後退に発展する。
当グループは、2020年度のCSTの枠組みにおける必須のストレス・シナリオを更新し、 グローバル危機シ
ナリオ と改名した。このシナリオは、ユーロ圏危機をその中核に据えたままであるが、保護貿易主義等、世
界経済を脅かすリスクをより重視している。また、ユーロ圏、スイス及び日本の中央銀行が、より有効な金
融刺激策として政策金利を更に引き下げてマイナスにすることが想定されている。中国のハード・ランディ
ングは引き続き当該シナリオにおいても採用されている。
ポートフォリオ別ストレス・テスト は、特定のポートフォリオのリスクに合わせて作成された測定法であ
る。当グループのポートフォリオのストレス損失測定は、過去の事象のデータに基づいているが、将来の見
通しに関する要素も含んでいる。例えば、当グループの流動性調整ストレス指標における予想市場変動は、
過去事象の分析に基づく市場動向の変遷、及び過去事象をモデルにしていない既定のシナリオの検討を含む
将来分析の組み合わせを用いることにより得られる。ポートフォリオ別ストレス・テストの結果は、明示的
にリスク負担を統制するために制限を受ける可能性、又は脆弱性を特定するために制限なく監視される可能
性がある。
リバース・ストレス・テスト は、定義されたストレス結果(例えば、特定の損失額、風評被害、流動性不
足又は法定自己資本比率の違反)からスタートし、かかる結果をもたらすような経済的又は財務的シナリオ
を特定するために逆算する。そのため、リバース・ストレス・テストは、通常考えられる範囲を超える「仮
定」の結果を想定することによってシナリオに基づくストレス・テストを補完し、それにより深刻度及び妥
当性に関する前提について潜在的に異議を唱えることが意図されている。
加えて当グループは、金利の増減の影響やイールド・カーブ構造の変更も定期的に分析している。
更に、グループ財務部門は、様々なシナリオ下において当グループが適切なバランスの流動性・資金調達
ポジションを維持することを可能にする最適な資産負債構造を決定するためにストレス・テストを行う。こ
れらのシナリオは、上記で概説したものとは異なる。なぜなら、CSTの枠組みにおいて用いられるシナリオ
が損益及び資本に対する影響に焦点を当てているのに対し、これらのシナリオは流動性及び資金調達ストレ
スをもたらす可能性のある特定の状況に焦点を当てているからである。
統計的測定
当グループは、シナリオに基づくCSTによる測定に加え、統計的手法を用いてリスクを算出及び合算する
ことを可能とする統計的ストレス測定の枠組みを採用し、選択された信頼水準におけるストレス事象を導き
出している。
当グループは、この枠組みを、過去の市場変動の実績及び当グループの実際のリスク・エクスポー
ジャーの組み合わせに基づき、また収益及び費用への影響を考慮した上で、潜在的利益の分布を導き出すた
めに用いる。これにより当グループは、95%の信頼水準で利益の潜在的不足額(すなわち予測利益からの乖
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離)を測定し、1年の期間について評価するアーニング・アット・リスク(EaR)を定めている。EaRは、当
グループのリスク選好の枠組みにおける利益目標の評価に用いられる。
当グループは、その他の包括利益により実現した損益の影響を含めることにより、EaR測定を拡張して、
CET1自己資本に対するストレス事象の潜在的な影響の分布を導き出している。この分布から、当グループは
95%の信頼水準でキャピタル・アット・リスク(CaR)バッファーの測定法を確立し、これを当グループの
資本及びレバレッジ比率のリスク選好目標の評価に利用しており、また、99.9%の信頼水準でCaRソルベン
シーの測定法を確立し、これを当グループの支払能力のリスク選好目標の評価に利用している。
当グループはまた、CaRソルベンシーの測定法を、事業部門及びコーポレート・センターのリスク・ベー
ス資本(RBC)に対する寄与度の抽出の根拠として用いる。RBCは当グループの持分帰属枠組みの構成要素で
ある。RBCは、不測の損失を吸収し、なおかつ引き続き債権者に対する支払を完済できるために必要となる
資本を推定するため、極端なストレス事象による資本の潜在的な減損を99.9%の信頼水準で測定する。
ポートフォリオ及びポジションの制限
当グループ全体のストレス指標及び統計的指標は、より精細なポートフォリオ及びポジションの制限、
トリガー及び目標により補完されている。これらの測定法を組み合わせることにより、当グループの事業部
門及びコーポレート・センター並びに重要な法人に、その事業から生じる重要なリスクに関連するものとし
て適用される、包括的統制の枠組みが提供される。
当グループは、各種のエクスポージャーに対して、ポートフォリオのレベルで、統計的測定法及びスト
レスベースの測定法(当グループの貸出金残高に対するバリュー・アット・リスク、流動性調整ストレス、
ローン引受制限、経済価値感応度及びポートフォリオ・デフォルト・シミュレーション等)を用いて、制限
を適用している。これらは、受取利息純額感応度、売却可能ポートフォリオの時価評価による損失、並びに
資本及び資本比率に対する為替変動の影響に関する、一連の統制により補完されている。
ポートフォリオ測定法は、ポジション・レベルでの統制により補足されている。ポジション統制に関す
るリスク測定法は、市場リスクへの感応度及びカウンターパーティ・レベルでの信用リスク・エクスポー
ジャーに基づいている。市場リスクへの感応度には、株式指数、為替レート及び金利といった市場一般のリ
スク要因の変動への感応度と、発行体の信用スプレッド又はデフォルト・リスクの変動といった発行体個別
の要素への感応度が含まれる。当グループは、インベストメント・バンク及びコーポレート・センターに対
する、多数の市場リスク統制を日々監視している。カウンターパーティ測定法は、担保及び法的強制力を有
するネッティング契約を考慮した、各カウンターパーティの現在のエクスポージャー及び将来における潜在
的なエクスポージャーを捕捉するものである。
リスク集中
リスク集中は、(ⅰ)ポジションが一群の相関要因の変更による影響を受ける場合又は一群のポジションが
同じリスク要因若しくは一群の相関要因の変更による影響を受ける場合、また(ⅱ)エクスポージャーが、広
範囲であるが妥当と思われる厳しい状況において、多大な損失をもたらす可能性がある場合に起こる。リス
ク集中の発生しうるカテゴリーには、カウンターパーティ、産業、法人、国又は地理的地域、製品及び事業
が含まれる。
リスク集中の特定は、今後の展開の可能性が正確に予測できないことや、また年度ごとに変動する可能性
があることから、判断を要する。当グループにリスク集中があるか否か判断する場合、当グループは、多数
の要素を個別にも全体としても考慮する。かかる要素には、ポジション及び当グループのカウンターパー
ティの共有の特徴、ポジション又は一群のポジションの規模、リスク要因の変更に対するポジション又は一
群のポジションの感応度並びに当該要因のボラティリティ及び相関性が含まれる。同様に当グループの評価
の際に重視すべき事項は、ポジションの取引市場の流動性並びにヘッジ又はその他の潜在的リスクの軽減要
素の利用可能性及び効果である。ヘッジ商品の価格は、常にポジションのヘッジにより変動するわけではな
く、この不一致はベーシス・リスクといわれる。更に、それ自体重大な(すなわち、影響の大きな単一の損
失又は合計すると影響の大きな複数の損失を発生させる可能性がある)単一の問題又は互いに関連して大き
な影響をもたらしうる複数の関連する問題からオペレーショナル・リスクの集中が生じる可能性がある。
リスク集中は、リスク・コントロール部門による監督強化の対象となり、利用できる方法により当該リ
スクが削減されるか又は軽減されるか否かを判断するために評価される。特に、厳しい環境で生じた相関関
係が当グループのリスクモデルにより予測される相関関係と大きく異なる場合、重大な損失が、資産クラ
ス、ポジション及びヘッジにおいて発生する可能性がある。
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信用リスク
主な動向
2019年度の正味信用損失費用の合計は7,800万米ドルであったが、これは主に、パーソナル&コーポレー
ト・バンキング及び(それより程度は下回るものの)インベストメント・バンク及びグローバル・ウェル
ス・マネジメントを中心とした信用減損(ステージ3)ポジションに関連する1億米ドルの正味信用損失費
用を反映しており、2,200万米ドルのステージ1及び2ポジションからの予想信用損失(ECL)費用の引当金
における正味戻入によって一部相殺されている。
当グループの貸出金エクスポージャーの約半分を占めるスイスの貸付ポートフォリオの業績は引き続き良
好であった。当グループは、スイスの貸付ポートフォリオを慎重に管理することを目指し、カウンターパー
ティに影響を与えかねないスイス経済の悪化の兆候に引き続き警戒している。
インベストメント・バンクにおいて、当グループのレバレッジド・ローン引受業務のリスクを分配する全
体的な能力は引き続き健全であった。
信用リスクの主要な発生源
- 当グループの貸付エクスポージャーの相当部分は、主に居住用不動産及び収益をもたらす不動産を担保
としたモーゲージ・ローン並びに企業向け貸出金を提供するスイス国内のビジネスから生じているた
め、スイス経済の実績に左右される。
- インベストメント・バンクにおける当グループの信用エクスポージャーは、主に貸付、デリバティブ取
引及び証券金融取引から生じている。デリバティブ取引及び証券金融取引の大部分は、投資適格とされ
ている。融資引受活動は低率となることがあり、一時的に集中的なエクスポージャーをもたらす。
- 当グループのウェルス・マネジメント事業の大部分は、証券担保貸付(ロンバード)及びモーゲージ貸
付を行っている。
- コーポレート・センターにおける非中核事業及びレガシー・ポートフォリオにおける信用リスクの大部
分は、現金担保に基づいて実行されたデリバティブ取引及び証券化されたポジションに関連する。
測定、監視及び管理の手法の概要
- 各カウンターパーティとの取引から生じる信用リスクは、デフォルト確率、デフォルト時エクスポー
ジャー及びデフォルト時損失率の当グループの推定値に基づいて測定される。当グループは、個々のカ
ウンターパーティ及び関連するカウンターパーティのグループについて、バンキング商品及び取引商品
を対象とする制限及び決済金額の制限を設けている。リスク統制権限は、リスク・エクスポージャーの
金額、内部の信用格付及び潜在的な損失に基づき、BoDによって承認され、グループ最高責任者、グ
ループ・チーフ・リスク・オフィサー及び部門毎のチーフ・リスク・オフィサーに委任される。
- これらの制限は、債務の未払額だけでなく、偶発的なコミットメント及び取引商品に関する潜在的な将
来のエクスポージャーにも適用されるものである。
- インベストメント・バンクに関する当グループの監視、測定及び制限の枠組みは、償還期限までの保有
を意図するエクスポージャー(取得保有エクスポージャー)と、分配又はリスク移転がなされるまでの
間の短期的保有を意図するエクスポージャー(一時的エクスポージャー)を区別している。
- 当グループはまた、当グループ全体及び事業部門のレベルでのポートフォリオの信用リスク測定値(予
想損失、統計的損失、及びストレス損失)を得るため、また、これらのレベル毎にポートフォリオの制
限を設けるためにモデルを使用している。
- 顧客が同種の事業活動に従事している場合や、同一の地理的地域に拠点を置いている場合、又は顧客の
契約上の義務の履行能力が経済的、政治的又はその他の条件の変化により同様の影響を受ける等、類似
した経済的特徴を有している場合には、信用リスクの集中が発生する可能性がある。信用リスク集中を
避けるため、当グループは、セクター・エクスポージャー、カントリー・リスク、及び特定の商品のエ
クスポージャーについて、ポートフォリオ及びサブ・ポートフォリオのレベルのリスク集中を制約する
制限及び/又はオペレーショナル・コントロールを設けている。
当グループの信用リスク・プロフィール
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本項に詳述するエクスポージャーは、IFRSのECL測定要件と一定の事項において相違する信用リスクに関
する当グループ経営陣の内部見解に基づくものである。
当グループは、内部で信用リスク・エクスポージャーをバンキング商品及び取引商品の2つに大別してい
る。バンキング商品は、実行済融資、保証及び貸出コミットメント、銀行預け金、中央銀行預け金並びに償
却原価によるその他の金融資産から成る。取引商品は、店頭デリバティブ、取引所取引デリバティブ並びに
有価証券貸借取引、レポ契約及びリバース・レポ契約で構成される証券金融取引から成る。
バンキング商品
5,150億米ドルのバンキング商品に係るグロス・エクスポージャーは、ECLのグロス・エクスポージャー
6,700億米ドルに相当し、これには償却原価で測定されるその他の金融資産を含むが、現金、有価証券ファ
イナンス取引による債権、デリバティブ商品に係る差入担保金、その他の包括利益を通じて公正価値で測定
される金融資産(FVOCI)、取消不可能な既存ローンの延長の確約、無条件で取消可能なコミットメントラ
イン並びに将来開始されるリバース・レポ契約及び有価証券借入契約は含まれない。
2019年12月31日現在のバンキング商品に係るグロス・エクスポージャーの総額は、前年度末の5,180億米
ドルに対し、5,150億米ドルであった。
グローバル・ウェルス・マネジメント
グローバル・ウェルス・マネジメントのバンキング商品に係るグロス・エクスポージャーは、2,400億米
ドルから僅かに減少して、2,390億米ドルとなった。
当グループのグローバル・ウェルス・マネジメントの貸出金ポートフォリオは、主に有価証券(ロンバー
ド・ローン)及び居住用不動産により担保されている。ロンバード・ローンの大部分(96%)は当グループ
の内部の信用格付に基づき投資適格とされる高い質を有し、通常は平均デュレーション3~6ヶ月の短期的
性質を持つ。更に、ロンバード・ローンは、担保の質が低下し又は証拠金請求が満たされない場合は、直ち
に解約され得る。
EMEA及びアジア太平洋地域の不動産によって担保されるモーゲージ・ローン・ポートフォリオは、65億米
ドルから減少して、64億米ドルとなった。当該ポートフォリオは、年度を通じ総合的に高い質を保った。
グローバル・ウェルス・マネジメント(南北アメリカ地域)において、居住用不動産により担保された貸
出金のポートフォリオは主に、米国において提供される住宅モーゲージ・ローンで構成される。グロス・エ
クスポージャーは、143億米ドルから増加して172億米ドルとなった。当該ポートフォリオは、2018年12月31
日現在の58.7%(比較値は修正されている。)に対して、貸出対総額(LTV)比率の平均が59.1%という総
合的に高い質を保った。当グループは、2009年にモーゲージ・ローン・プログラムを開始してから、軽微な
信用損失しか経験していない。当該ポートフォリオが最も集中している上位5地域は、カリフォルニア
(27%)、ニューヨーク(14%)、フロリダ(10%)、テキサス(5%)及びニュージャージー(4%)で
あった。
パーソナル&コーポレート・バンキング
パーソナル&コーポレート・バンキングのバンキング商品に係るグロス・エクスポージャー(グループ財
務部門から再配分されたエクスポージャーは除く。)は、部分的にスイス・フランの上昇により、1,570億
米ドル(1,550億スイス・フラン)から1,630億米ドル(1,580億スイス・フラン)に増加した。バンキング
商品に係るネット・エクスポージャーは、1,570億米ドル(1,540億スイス・フラン)に対し、1,620億米ド
ル(1,570億スイス・フラン)であった。2018年度と同様に、そのうち約63%が投資適格であると格付けさ
れた。2018年度と同様に、そのエクスポージャーのおよそ50%が0%から25%の最も低いデフォルト時損失
率(LGD)のカテゴリーに区分された。パーソナル&コーポレート・バンキングの貸出金ポートフォリオの
総額の規模は、30億米ドル(10億スイス・フラン)増加して1,370億米ドル(1,320億スイス・フラン)と
なった。2019年12月31日現在、このポートフォリオの93%が居住用及び商業用不動産を主とする担保により
保証されている。無担保の総額のうち、79%は企業であるカウンターパーティへのキャッシュ・フローに基
づく貸出に関するものであり、5%は政府機関への貸付に関するものであった。当グループの内部の信用格
付に基づき、無担保貸付ポートフォリオの46%(2018年度は47%)が投資適格であると格付けされた。
2019年のバンキング商品の信用損失費用は低いまま維持された。
当グループのスイスの企業向けバンキング商品のポートフォリオは、2018年度の270億米ドル(270億スイ
ス・フラン)に対し、260億米ドル(260億スイス・フラン)であった。このポートフォリオは多国籍企業又
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は国内企業であるカウンターパーティに対する貸出金、保証及びローン・コミットメントで構成されてい
る。特に中小企業ポートフォリオは多様な業界にわたっている。しかし、これらの企業は、自国の国内経済
及 び輸出(特に欧州連合(EU)と米国間)の相手国の経済に依存する。加えて、ユーロ/スイス・フラン間
の為替相場の展開は、スイスの法人顧客にとって重大なリスク・ファクターとなっている。
返済遅延率は、企業向け貸出金ポートフォリオについては、2018年度末の0.3%に対し、0.5%であった。
スイスのモーゲージ・ローン・ポートフォリオ
居住用及び商業用不動産を担保とするスイスのモーゲージ・ローン・ポートフォリオは、引き続き当グ
ループの最大の貸付ポートフォリオである。合計1,460億米ドル(1,410億スイス・フラン)であったこれら
のモーゲージ・ローンは、主にパーソナル&コーポレート・バンキングが組成するが、グローバル・ウェル
ス・マネジメント(スイス地域)が組成するものもある。これらのモーゲージ・ローンのうち1,330億米ド
ル(1,290億スイス・フラン)については、借り手に対する完全償還請求権を伴う、借り手が占有又は賃貸
に出している居住用不動産に関連している。この1,330億米ドル(1,290億スイス・フラン)のうち、970億
米ドル(940億スイス・フラン)が、借り手が占有する不動産に関連しており、平均LTV率は、2018年12月31
日現在の56%に対し、54%であった。この部分につき新たに組成されたローンの平均LTVは、2018年度の
66%に対し、65%であった。スイスの住宅モーゲージ・ローン・ポートフォリオの残りの360億米ドル(350
億スイス・フラン)は、借り手が賃貸に出している物件に関連し、当該ポートフォリオの平均LTVは、2018
年12月31日現在で55%であったのに対し、54%であった。借り手が賃貸に出している物件向けに新たに組成
されたスイス住宅モーゲージ・ローンの平均LTVは、2018年度の57%と比較して、58%であった。
スイス住宅モーゲージ・ローンの総額の99%超は、たとえ担保に付与される価値が20%低下したとして
も、継続して担保不動産によりカバーされ、また、98%は、たとえ担保に付与される価値が30%低下したと
しても、担保不動産によるカバーが維持される。
アセット・マネジメント
2019年12月31日現在のアセット・マネジメントのバンキング商品に係るグロス・エクスポージャーは、
2018年12月31日現在の28億米ドルに対し、29億米ドルであった。バンキング商品は、主に、中央銀行預け金
残高並びに(それより程度は下回るものの)個別のアセット・マネジメントの法人が保有する銀行の現金、
流動資産及び債権に関係している。
インベストメント・バンク
インベストメント・バンクの融資業務の大部分は、企業及びその他のノンバンクに関連している。当該事
業は幅広い業種をまたいでいるが、北米に集中している。
2019年12月31日現在のインベストメント・バンクのバンキング商品に係る(中央銀行預け金残高及びグ
ループ財務部門の再配分を含む)グロス・エクスポージャーは、2018年12月31日現在の600億米ドルに対
し、480億米ドルであった。2019年12月31日現在のインベストメント・バンクのバンキング商品に係る(中
央銀行預け金残高及びグループ財務部門の再配分を含まない)グロス・エクスポージャーは、主に保証及び
ローン・コミットメントの削減により、400億米ドルから320億米ドルに減少した。当グループの内部格付に
基づき、かかるグロス・エクスポージャーの54%は、投資適格であると分類された。バンキング商品に係る
グロス・エクスポージャーの圧倒的大部分は、LGDの推定値が50%を下回っている。
当グループの融資引受事業のリスクを分配するための総合的な能力は引き続き健全であった。2019年度末
の一時的な融資引受エクスポージャーの総額は48億米ドルであり、前年度末から25億米ドル増加した。融資
引受エクスポージャーは、取引目的保有に分類されており、その公正価値は2019年度末の市況を反映してい
る。
コーポレート・センター
コーポレート・センターのバンキング商品(主に資金業務に関連して生じる。)に係るグロス・エクス
ポージャーは、20億米ドル増加して310億米ドルとなった。
取引商品
インベストメント・バンク、非中核事業及びレガシー・ポートフォリオ並びにグループ財務部門において
組成する店頭(OTC)デリバティブ、取引所取引デリバティブ(ETD)エクスポージャー及び有価証券ファイ
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ナンス取引(SFT)等の取引商品から生じるカウンターパーティの信用リスクは、通常、清算ベースで管理
される。これは市場の動きが当グループのポジションの清算に要する期間にわたってエクスポージャー及び
関 連する担保に与える潜在的影響を考慮している。インベストメント・バンクでは、各カウンターパーティ
の将来の潜在的エクスポージャーに対して、限度が適用される。この限度の規模は、クレジット・リスク・
コントロールによるカウンターパーティの信用度に関する見解によって決定される。更に、特定のクラス又
は区分の担保に対する全体的なエクスポージャーを管理するために、ポートフォリオ・レベルで限度の枠組
みが適用される。かかるポートフォリオの限度は監視され、上級役員に報告される。
OTCデリバティブは、実務的に可能な場合には中央清算機関(CCP)を通じて行われる。CCPが利用されな
い場合には、当グループは、合意による取引を行うための方針及び手続きを明確に定めている。取引は、典
型的には国際スワップデリバティブ協会(ISDA)又は類似の機関の二者間のマスター・ネッティング契約に
基づいて行われ、債務不履行の場合には、適用ある法律に従い、通常は取引の清算及びネッティング決済が
認められる。更に当グループは、主要な市場参加者であるほとんどのカウンターパーティについては、相互
担保差入契約を使用し、当該契約の下では、エクスポージャーが所定の水準を上回った場合には、いずれの
当事者も、現金又は市場性のある有価証券の形で担保を提供するよう要求される可能性がある。この担保
は、典型的には、高格付の国債又は適用ある規則が許容する担保で構成される。一定のカウンターパーティ
に関しては、計算された清算エクスポージャーの一部又は全部をカバーするために、当初証拠金が取られ
る。これは、取引の市場価値の変動を確定する変動証拠金に追加して取られるものである。非清算OTCデリ
バティブのマージンを規定する規則は進展を続けている。当該規則は、概して、マージンに従った二者間デ
リバティブ取引の範囲を拡大している。加えて、当該規則により、二者間取引対象の一定のカウンターパー
ティから受領し、当該カウンターパーティに配置される初回マージンの額が、過去に要求されていた額より
高くなる。これらの変更により、結果的に清算リスクが長期的に低くなる。
マスター・ネッティング契約の影響後の取引商品により生じる信用リスク(信用評価調整及びヘッジ前)
は、2019年12月31日現在、60億米ドル増加して480億米ドルとなった。OTCデリバティブは170億米ドルを占
め、また、SFTからのエクスポージャーは210億米ドル、ETDエクスポージャーは100億米ドルであった。OTC
デリバティブに係るエクスポージャーは、通常、法的強制力を有するネッティング契約の適用並びに現金及
び担保として保有される市場性のある有価証券の控除後の借方の再調達価額純額として測定される。SFTエ
クスポージャーは、受領担保を勘案のうえ計上され、ETDエクスポージャーは、委託証拠金請求が考慮され
ている。
取引商品エクスポージャー総額の大部分は、インベストメント・バンク、非中核事業及びレガシー・ポー
トフォリオ並びにグループ財務部門におけるものであり、2018年12月31日現在の総額が310億米ドルであっ
たのに対し、380億米ドルであった。取引商品に関するカウンターパーティ・リスクは、カウンターパー
ティのレベルで管理されるため、インベストメント・バンク並びに非中核事業及びレガシー・ポートフォリ
オ並びにグループ財務部門におけるエクスポージャーとの間で更に分割されることはない。取引商品エクス
ポージャーは、インベストメント・バンク並びに非中核事業及びレガシー・ポートフォリオにおけるOTCデ
リバティブに係るグロス・エクスポージャー100億米ドルを含むが、これは前年から4億米ドル増加した。
2019年度中、SFTエクスポージャーは、主に取引関係及び差し入れられた担保の増加により、50億米ドル増
加して210億米ドルとなった。ETDエクスポージャーは20億米ドル増加して80億米ドルとなった。
信用リスクの軽減
当グループは、エクスポージャーに対する担保設定及びクレジット・ヘッジの活用により、ポートフォリ
オに内在する信用リスクを積極的に管理している。
不動産を担保とする貸付
当グループは、スイスのモーゲージ・ローンを組成又は変更する際の与信決定をサポートする標準的なフ
ロントからバックオフィスまでのプロセスの一環としてスコアリング・モデルを使用している。収益総額に
応じた支払能力の計算及び貸出対総額比率(LTV)がこのモデルにおける二つの重要な要素である。
支払能力の計算については、利息支払、最低償却費要件、発生する可能性がある物件の維持費及び物件が
賃貸されることが予想される場合の賃料収入が考慮される。利息支払については、予め定められた枠組みが
用いられ、ローンの全期間中に金利が著しく上昇する可能性を考慮して見積もられる。金利は年5%に設定
されている。
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借り手が占有する居住用不動産に関して標準的な承認プロセスにおいて許容されるLTVの上限は、80%で
ある。休暇用物件及び高級物件については、この上限が60%に下がる。その他の不動産に関して標準的承認
プロセスにおいて許容されるLTVの上限の範囲は、不動産の種類、不動産の築年数及び必要となる改修工事
の 規模に応じて30%から80%である。
UBSは、内部で算出される評価、購入価格及び場合によっては更なる外部評価から決定された最低評価に
従って各物件の評価をしている。
当グループは、所有者が占有している居住用不動産(ORP)及び収益をもたらす不動産について、代表的
な外部のベンダーによって提供される不動産の評価を得るためのモデルを二つ別々に使用している。当グ
ループは、ORPについては、回帰モデル(ヘドニック・モデル)を使用して各不動産の性質の詳細を不動産
取引のデータベースと比較し、不動産の現在価値を見積もる。モデルによって得られた価値に加えて、ORP
の評価は、地域特有の不動産価格指数を用いて、ローンの全期間を通じて四半期毎に更新される。当該価格
指数は、外部のベンダーから提供され、内部検証及び他の外部ベンダー2社をベンチマークとする比較検証
が行われる。当グループは、全てのORPに関して指数に連動させたLTVを計算するために四半期毎にこれらの
評価を使用し、よりリスクの高い貸出金を特定するためにその他のリスク測定値(格付マイグレーション及
び行動情報等)とともに検討し、特定されたリスクの高い貸出金は、顧客アドバイザー及びクレジット・オ
フィサーによって個別に見直され、必要とみなされる場合には対応策がとられる。
収益をもたらす不動産については、資本還元モデルを使用して、様々な特質に基づいたキャップレートを
用いて将来継続する収入の見積りを割り引くことにより不動産の評価を決定する。これらの特質は、市場及
び所在場所のデータ(空室率等)、ベンチマーク(管理費について等)その他の標準的に入力される一定の
パラメーター(不動産の条件等)等、地域的特質及び不動産に固有の特質を考慮する。不動産からの賃料収
入は最低でも3年に一度見直されるが、賃料収入額や空室率の著しい変動によっては、中期における再評価
が行われることがある。
これらのモデルに関して市場の動向を考慮するために、外部のベンダーは、定期的にパラメーターの更新
及び/又は各モデルの構造の改良を行う。モデルの変更及びパラメーターの更新は、当グループの内部で開
発されたモデルと同じ検証手続の対象となる。
当グループは、貸出金のアフォーダビリティ及び担保の充分性を考慮に入れて、当グループのグローバ
ル・ウェルス・マネジメント(南北アメリカ地域)のモーゲージ・ローンの審査ガイドラインを同様に適用
する。あらゆる種類のモーゲージに関する標準的な承認プロセスにおけるLTVの上限は、80%である。住宅
モーゲージや投資不動産といったさまざまな種類のモーゲージのLTVは、関連するリスク要因(不動産の種
類、貸出金の規模、貸付目的等)に基づいて階層化されている。LTVの上限は45%という低率である。更
に、不動産や借り手の特徴に基づいて、返済負担率、FICOクレジットスコア、法定の顧客の準備金といった
その他の信用リスクの測定基準が適用される。
グローバル・ウェルス・マネジメント(南北アメリカ地域)のモーゲージ・ローン・ポートフォリオに
は、リスク限度の枠組みが適用される。LTVの各区分、地域の集中、ポートフォリオの成長、及びIOローン
等のリスクの高いモーゲージ・セグメントにおけるエクスポージャーを管理するために、限度が設定されて
いる。これらの限度は、専門的な信用リスク監視チームにより監視され、上級役員に報告される。この限度
の枠組みを、不動産貸付業務を管理するために確立された不動産貸付方針と手続の枠組みが補完している。
モーゲージの引受及び書類提出要件の順守を監視するために、品質保証及び品質管理プログラムが実施され
ている。
ロンバード貸付
ロンバード・ローンは、市場性のある有価証券、保証及びその他の形式の担保の差入を担保とする。担保
として適格とされる金融資産の主なものには、流動性があり活発に取引される譲渡可能有価証券(社債及び
株式等)並びに承認された仕組商品等その他の譲渡可能有価証券で一定の価格が入手可能であって当該有価
証券の発行体により市場が提供されているものが含まれる。またこれより頻度は低いが、より流動性の低い
担保も提供されている。
当グループは、差し入れられた担保のリスクを反映し、「貸付価値」を得るためにディスカウント(ヘア
カット)を用いる。市場性のある有価証券に関するヘアカットは、一定の清算期間及び信頼水準において起
こりうる市場価格の変化をカバーするために計算される。適用されるヘアカットは担保の質に関する見解に
応じて変化する。担保の流動性が低くなり又は変動性が高くなれば、通常、ヘアカットはより高くなる。仕
組商品、一部の社債及び償還期限の長い商品といった、流動性が低い金融商品に関しては、流動性の高い金
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融商品と比較して想定清算期間はより長くなることがあり、又はカウンターパーティのデフォルト時におけ
る当該資産の回収の見込みが評価されることから、ヘアカットはより高くなる。現金、生命保険契約、保証
及 び信用状に関しては、ヘアカットは商品又は顧客毎に決定される。
更に当グループは、カウンターパーティ・レベルで、またカウンターパーティにまたがる部門レベルで差
し入れられた担保物全体にわたり、集中リスク及び相関リスクを検討する。更に、当グループは、当グルー
プ全体を範囲とする集中度の再検討を行う。単一の有価証券、発行体若しくは発行体グループ、産業分野、
国、地域又は通貨に担保が集中することによって、リスクの増加及び流動性の減少が生じる場合がある。そ
の場合、それに従って担保の貸付価値、証拠金請求及び清算の水準が調整される。
エクスポージャーと担保の価値は、信用エクスポージャーが設定されたリスク耐性の範囲にとどまり続け
るよう確保する目的で、毎日監視される。貸付価値がエクスポージャーを下回ると不足が生じる。不足が所
定のトリガーレベルを超過する場合、証拠金請求が実行され、追加の担保提供、エクスポージャーの削減又
はエクスポージャーを合意された担保の貸付価値に合わせるためのその他の行為の実施を顧客に要求する。
不足の範囲が拡大し、かつ更に上のトリガーレベルを超過する場合、又は要求された期間内に不足が修正さ
れない場合、清算が実行され、当該清算を通じて、担保の現金化、デリバティブのオープンポジションの清
算及び保証の支払請求が実行される。
更に当グループは、担保により保証されたエクスポージャーのストレス・テストを実施して、担保の価値
を減少させる若しくは取引商品のエクスポージャーを増加させる、又はその両方となるような市場事象をシ
ミュレーションする。一定の区分のカウンターパーティに関しては、かかる計算されたストレス・エクス
ポージャーの限度が適用され、カウンターパーティ・レベルで管理される。更に、一定の事業又は担保の種
類に適用されるポートフォリオ限度がある。
クレジット・ヘッジ
当グループは、シングルネームのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)、クレジット・インデック
スCDS、オーダーメードによるプロテクション及びその他の金融商品を用いて、インベストメント・バンク
並びに非中核事業及びレガシー・ポートフォリオの信用リスクを積極的に管理する。これは特定のカウン
ターパーティ、セクター又はポートフォリオからのリスク集中並びに(カウンターパーティの信用リスクの
場合は)信用評価調整(CVA)の変動から生じる損益への影響を低減することを目的とする。
当グループは、リスクを軽減するために、クレジット・ヘッジの考慮について厳格なガイドラインを維持
している。例えば、当グループはカウンターパーティの限度額に対するエクスポージャーを監視する際、カ
ウンターパーティのエクスポージャーを軽減するために、通常、プロキシー・ヘッジ(相関性があるが異な
る銘柄に対する信用プロテクション)又はインデックスCDS等の特定の信用リスク軽減策を適用していな
い。信用プロテクションを購入することにより、プロテクション提供者に関する信用エクスポージャーが発
生する。当グループは、信用プロテクション提供者に対するエクスポージャーを監視及び制限し、当グルー
プはまたクレジット・ヘッジの有効性を、関連するカウンターパーティに対する当グループ全体の信用エク
スポージャーの一部として監視している。かかるカウンターパーティとの取引には、通常、担保が差し入れ
られる。これには、貸付ポートフォリオをヘッジするために購入された信用プロテクションに関しては、購
入された信用プロテクションの満期と関連する貸付金の満期との間のミスマッチの監視が含まれる。このよ
うなミスマッチはベーシス・リスクに繋がり、信用プロテクションの有効性を低減させる可能性がある。ミ
スマッチはクレジット・オフィサーに定期的に報告され、必要とみなされたときには軽減措置が講じられ
る。
決済リスクの軽減
当グループは、決済リスクを軽減するために、カウンターパーティとの多国間協定及び二者間協定(ペイ
メントネッティング等)を利用して、実際の決済高を減少させている。
当グループの決済リスクの最も重要な発生源は、外国為替取引である。当グループは、同時決済ベースで
取引を決済するための多国間枠組みを提供する業界機関である多通貨同時決済(CLS)のメンバーであり、
外国為替関連の決済リスクは取引量に比較して大幅に削減されている。しかし、決済前の外国為替相場の変
動に起因する外国為替取引に係る信用リスクは、CLSのメンバーであること及びその他の手段による決済リ
スクの緩和によって完全には排除されず、OTCデリバティブ商品の信用リスク管理全体の一部として管理さ
れる。
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信用リスクモデル
バーゼルⅢ-A-IRB信用リスクモデル
当グループは、現在のポートフォリオに潜在する将来の信用損失を見積もるための手段及びモデルを開発
してきた。
各カウンターパーティへのエクスポージャーは、一般に認められた三つのパラメーターに基づいて測定さ
れる。すなわち、デフォルト確率(PD)、デフォルト時エクスポージャー(EAD)及びデフォルト時損失率
(LGD)である。これら三つのパラメーターによって一定の信用枠に対する予想損失を得る。かかるパラ
メーターは、信用リスクの内部測定の多くについて基礎となるものであり、また、自己資本比率測定及び規
格に関する国際統一基準を規定するバーゼルⅢ枠組みの先進的内部格付(A-IRB)手法に従って規制上の資
本を計算する際の重要な入力情報である。当グループはまた、ポートフォリオの信用リスク測定値(予想損
失、統計的損失、及びストレス損失)を得るためにモデルを使用する。
デフォルト確率
デフォルト確率(PD)は、カウンターパーティが今後12ヶ月の間に契約上の義務の不履行を起こす可能性
を予測するものである。PDは、信用リスクの測定のために用いられ、信用リスクの承認権限を定める際の重
要な入力情報である。リスク加重資産(RWA)の計算においては、バーゼルⅢ枠組みに基づいて要求される
3ベーシス・ポイントのPDフロアが、銀行、企業及びリテールのエクスポージャーに適用される。更に、当
グループは、スイスの実住型モーゲージに対しては8ベーシス・ポイントのPDフロアを、ロンバード・ロー
ンに対しては4ベーシス・ポイントのPDフロアを適用する。
PDは、様々な区分のカウンターパーティに合わせた評価ツールを用いて評価される。当グループの多くの
法人顧客及び不動産抵当貸付金のPDは、債務者の重要な特質に基づき統計的に開発されたスコアカードを用
いて決定される。入手可能な場合には、大企業のカウンターパーティのPDを得るために市場データも用いら
れる。デフォルト確率の低いポートフォリオについては、入手可能な場合には、関連する外部のデフォル
ト・データを考慮にいれて格付ツールを開発する。ロンバード・ローンに対する当グループの格付手法にお
いては、担保証券の価値の潜在的変化を考慮したマートン型の過去のリターン・ベース・モデルのシミュ
レーションが用いられる。これらの区分は更に、各カウンターパーティ間のデフォルト確率の一貫性ある評
価を確保するために策定された、当グループ内部の信用格付スケール(マスタースケール)に調整される。
当グループのマスタースケールは、当グループが様々な評価ツールを用いて明確なクラス分け(各クラスに
はデフォルト確率の範囲が組み込まれる。)に基づいて決定した1年間のデフォルト確率を表したものであ
る。カウンターパーティは、当グループによるPDの評価の変動に伴い、評価クラス間を移動する。
デフォルト時エクスポージャー
デフォルト時エクスポージャー(EAD)は、発生する可能性があるデフォルト発生時にカウンターパー
ティが支払うべき予想金額を表したものである。EADは、カウンターパーティに対するカレント・エクス
ポージャー及びその潜在的な将来の動向から求められる。
オンバランス・シートの貸出金のEADは、その名目価額である。オフバランス・シートの未実行のコミッ
トメントについては、オンバランス・シートの予想額を得るために信用変換係数(CCF)が適用される。か
かるCCFは、過去の観測実績に基づいている。規制ガイドラインを遵守するため、当グループは個別に観測
されたCCF値の下限をCCFモデルにおいてゼロとした。すなわち、当グループは、実行されたEADはデフォル
トから1年前の実行額を下回らないと予測している。
取引商品については、シナリオ及び統計的技法を用いて様々な時点における潜在的なエクスポージャーの
増減範囲をモデリングして、EADを求めている。他社が当グループに又は当グループが他社に支払う純額
が、当グループのポジションの清算に要するであろう潜在的期間における市場動向の影響を考慮した上で評
価される。ETDのEADは、委託証拠金請求を勘案して算出される。与信限度に対する各カウンターパーティの
エクスポージャーを測定する場合、当グループは、高い信頼水準で測定された最大期待エクスポージャーを
考慮に入れている。ただし、ポートフォリオ・リスクを測定するために異なるカウンターパーティへのエク
スポージャーを合算する際には、一定の全期間(通常1年間)における各カウンターパーティへの期待エク
スポージャー(同じモデルにより算定されたもの)を使用している。
カウンターパーティの信用度に影響を与える要因と、当グループの取引商品のエクスポージャーの潜在的
な将来価値に影響を与える要因との間に実質的な相関関係がある場合(誤方向(ウロング・ウェイ)リス
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ク)には、当グループは当該エクスポージャーを評価しており、またかかるリスクを軽減する特別な管理方
法を定めている。
デフォルト時損失率
デフォルト時損失率(LGD)は、デフォルトがある場合に起こり得る損失の度合いである。状況の悪化を
考慮するLGDの推定値には、元本及び利息の損失、並びにその他の金額(ワークアウト期間中の減損ポジ
ションの負担費用を含むワークアウト費用等)等の回収の可能性が低いものが算入される。当グループは、
デフォルトが発生したカウンターパーティに対する債権の回収可能性(カウンターパーティの種類及び担保
又は保証による信用軽減に依拠)に基づいて、LGDを算定する。当グループの推定値は、社内の損失データ
及び外部の情報(入手可能な場合)で裏付けを行っている。市場性のある有価証券や担保不動産等の担保が
ある場合には、貸出対総額比率も典型的にLGD算定の重要なパラメーターとなる。デフォルト確率の低い
ポートフォリオについては、入手可能な場合には、関連する外部のデフォルト・データを考慮にいれて格付
手段を開発する。RWAの計算においては、規制LGDの10%の下限が居住用不動産により担保されたエクスポー
ジャーに適用される。更に、当グループはグローバル・ウェルス・マネジメント(南北アメリカ地域以外)
のロンバード・ローンにLGDの30%の下限を、グローバル・ウェルス・マネジメント(南北アメリカ地域)
のロンバード・ローンにLGDの25%の下限を適用した。その他の全てのLGDは、5%の下限に従うものとす
る。
予想損失
信用損失は事業運営に内在する費用であり、その発生は不規則で金額は大きく変動する。当グループは、
現在のポートフォリオに潜在する将来の信用損失を数値化するため、予想損失の概念を使用している。一定
の信用枠に係る予想損失は、上記の三つの構成要素(すなわちPD、EAD及びLGD)の商品である。ポートフォ
リオ全体の信用損失は、各カウンターパーティの予想損失額を合算して算出する。
規制上及び内部のリスク管理の目的上、予想損失(EL)は統計的評価基準の一つであり、ポジションの減
損により発生が期待される平均年間費用を見積もるために使用されている。予想損失は当グループの全ポー
トフォリオの信用リスクを定量化するための基準である。当グループは、ある1年間における当グループの
信用ポートフォリオ毎の損失プロフィールを特定の信頼水準で測定するため、統計的モデリング手法を使用
している。この損失配分の平均値が予想損失である。ELは当グループのポートフォリオのリスク水準を示す
ものであり、長期的には変動する可能性がある。幾つかのパラメーターは、RWAの決定に際して内部格付を
ベースとした手法を適用する銀行に対する規制上の要件を満たすために保守的な基準で予測されるべきであ
る。
IFRS第9号-ECL信用リスクモデル
IFRS第9号の予想信用損失(ECL)のコンセプトは、当グループの標準的な信用リスクモデルと幾つかの
重要な点で異なっている。以下のECLの定義は、一般的に当グループの標準的な信用リスクモデルに由来す
る。
デフォルト確率
PDは、一定の期間におけるデフォルトの可能性である。12ヶ月PDとは今後12ヶ月の間に決定されるデフォ
ルトの可能性であり、全期間PDは、金融商品の残存する全期間に係るデフォルトの可能性である。全期間PD
の算出は、through-the-cycle PD及びシナリオ予測から得られた一連の12ヶ月のpoint-in-time PDに基づい
ている。このモデリングは、地域、産業及び顧客セグメント別であり、マクロ経済的シナリオ依存性及び顧
客特有の情報を考慮している。シナリオ毎に累積的な全期間PDを得るため、一連の12ヶ月のpoint-in-time
PDは、以前の期間からの想定デフォルト事由を考慮に入れ、限界point-in-time PDに変換される。
デフォルト時エクスポージャー
EADは、金融商品の残存期間中に生じる潜在的デフォルト時の信用リスクに対するエクスポージャーの予
測である。これは、有効な利率でディスカウントされた予定返済、利息の支払い及び利子を考慮した、デ
フォルト時のキャッシュ・フローの残高を示している。将来の融資枠からの引き出しは、これまでの引き出
し及びデフォルト・パターン並びに各ポートフォリオの特性を反映したCCFを通じて考慮される。ECL特有の
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CCFは、バーゼル基準特有の制限、すなわち、保守主義を除去した後に、顧客セグメント及び商品特有パ
ターンを獲得するため、そして、デフォルト前の12ヶ月間に焦点を当てるためモデル化された。
デフォルト時損失率
LGDは、金融商品の残存期間中に生じる潜在的デフォルト時の損失の予測である。LGDの決定には、担保及
びその他の信用強化からの予想将来キャッシュ・フロー、又は無担保債権に係る破産手続きからの予定支
払、また、適用ある場合、担保を実現するまでの時間及び債権の優先順位を考慮に入れる。LGDは、一般
に、関連するEADの割合と言われている。
予想信用損失
予想信用損失(ECL)は、有効な利率でディスカウントされた契約上のキャッシュ・フローとUBSが受領す
ると予想するキャッシュ・フローとの間の差異を示している。ECL要件の範囲内のローン・コミットメント
及びその他のクレジット・ファシリティについては、予想キャッシュ不足は予想将来引き出しを考慮するこ
とにより決定される。平均的なthrough-the-cycle予想年間損失に焦点を合わせるのではなく、その目的
は、現在の状況及び将来の展望(point-in-time基準)に基づきポートフォリオに内在する損失額を予測す
ることであり、かかる予想には、過度の費用及び努力を除く全ての入手可能な情報を含める必要があり、経
済状況の変化とその信用損失に対する影響との間に認識される非線形が存在する場合には、複数のシナリオ
に取り組む必要がある。信用リスクモデルの観点から、ECLのパラメーターは、通常、規制上のバーゼルⅢ
のELのために評価された要素から算出される。
バーゼルⅢのEL及びIFRS第9号のECLの比較
適用に応じ、予測プロセス及びその結果において数多くの主要な違いが存在する。とりわけ、IFRS第9号
のECLパラメーターが典型的なpoint-in-timeであり現在の経済状況及び将来の展望を反映している一方、規
制上のバーゼルⅢのELパラメーターはthrough-the-cycle/悪化時の予測であり、これには保守主義のマー
ジンが含まれる可能性がある。
予想(信用)損失の見積りは、減損が生じた貸出金及びオフバランス・シートのエクスポージャーに起因
する 信用損失費用 への年間費用の予測ではない。バーゼルⅢのELは、そのthrough-the-cycle/悪化時の視
点から、特に現在の経済状況から影響を受けやすいわけではない。一方、ECLは、point-in-timeの経済状況
に基づいているが、様々なシナリオの平均として、IFRS第9号が義務付ける計上日時点の帳簿の満期日構成
及び特定のステージ分類に応じた期間について測定される。よって、四半期又は暦年について測定された
point-in-time信用損失費用の予測は対象とならない。
信用リスクモデルの更なる主要な点
ストレス損失
当グループは、統計的モデリング手法をシナリオに基づくストレス損失評価基準によって補完する。スト
レス・テストは、主な信用リスク・パラメーターの大幅な悪化が仮定された、当グループのポートフォリオ
に対する極端であるが妥当と思われる事象に関する潜在的影響を監視するために、定期的に実施される。当
グループが適切であるとみなす場合には、これを基準に制限を適用している。
ストレス・シナリオ及び方法論は、ポートフォリオの性質に適応し、地域毎に着目された世界的なシステ
ミック事象にわたり、保有期間によって異なる。例えば、当グループの融資引受ポートフォリオについて
は、当グループは、ローン・シンジケーションの市場の凍結、市況の著しい悪化及び信用度の悪化が同時に
発生するような世界的な市場事象を適用する。同様に、ロンバード貸付については、全ての担保の流動性及
び潜在的な集中を考慮して、あらゆる担保及びエクスポージャーについてのポジションに瞬時に影響するよ
うな市場の衝撃に相当する範囲内でのシナリオを適用する。当グループのスイスにおけるモーゲージ貸付事
業のポートフォリオ別のストレス・テストは、複数年にわたる事象を反映する。国際的なホールセール及び
カウンターパーティに関する企業の信用リスクの包括的なストレス・テストでは、1年間の世界的なストレ
ス事象を用い、単一のカウンターパーティへのエクスポージャーの集中を考慮する。
信用リスクモデルの確認
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当グループのモデル確認の手法には、ポートフォリオにおける構造的な変化及びバック・テスティングの
結果の監視等の量的な方法、並びにモデルのパフォーマンス及び信頼性を示す実践的な指標としての、モデ
ルの出力に関するユーザーからのフィードバック等の質的な評価の両方が含まれる。
ポートフォリオの構造の重大な変化によって、モデルの理論的健全性が無効になる場合がある。そのた
め、当グループは、ポートフォリオの推移を定期的に分析してポートフォリオの構造の変化及び信用度を特
定する。これには、重要な特徴の変化、ポートフォリオ集中測定の変化、及びRWAにおける変化の分析が含
まれる。
バック・テスティング
当グループはエクスポージャー・モデルのパフォーマンスをバック・テスティングとベンチマーキングに
よって監視しており、これらによって、当グループの内部実績及び外部から観察された実績に基づいて、モ
デル結果が実際の結果と比較される。OTCデリバティブ、ETD商品等の取引商品についての信用エクスポー
ジャー・モデルを予測する当グループの能力を評価するため、当グループは、異なる予測期間において予測
された将来のエクスポージャー分布と実現した価値とを統計的に比較する。
PDについては、当グループは統計的モデリングを用いてデフォルトの数値の予測分布を導き出す。当該分
布と観察されたデフォルトの数を比較することによって、モデルの保守主義における統計的な信頼水準とと
もに平均的なデフォルト率の上限及び下限を導き出す。ポートフォリオの平均PDが当該範囲の外にある場合
には、原則的に評価ツールが再調整される。
LGDについては、バック・テスティングは、観察されたLGDと予測されたLGDの間の平均差がゼロであるか
否かにつき、統計的に検査される。検査に不合格となる場合は、当グループの予測したLGDが低すぎるとい
う証拠となる。このような場合、相違が予測から外れたものであるときには、モデルは再調整される。
企業のカウンターパーティに対する未実行の貸付枠に関するEADの算出において用いられるクレジット・
コンバージョン・ファクター(CCF)は、貸付枠の契約上のいくつかの要因に依存する。当グループは、予
測引出金額とデフォルトが発生したカウンターパーティについて観察された当該貸付枠の過去の利用状況を
比較する。統計的に重大な逸脱が観察される場合には、関連するCCFは再定義される。
当年度におけるモデル及びモデル・パラメーターの変更
当グループは、モデルを改良して市場の推移及び入手可能な新しいデータを反映させる取組みを継続して
おり、その一環として、2019年度中に幾つかのモデルの更新を行った。
パーソナル&コーポレート・バンキング及びグローバル・ウェルス・マネジメントにおいて、2017年に実
施されたスイス住宅モーゲージ・ローンの修正モデルのPD及びLGDの変更に関連したRWAの増加の導入を完了
した。EADについては、グローバル・ウェルス・マネジメントにおけるゼロ・バランス証券担保貸付に係る
CCF及びマージン貸出が5%から15%になった。
インベストメント・バンクにおいては、専門家の判断で格付けされた重要性レベル及びエクスポージャー
の低い選別ポートフォリオは、RWA算出のための標準的手法に移行された。
必要な場合には、モデル及びモデル・パラメーターの変更は、導入の前にスイス金融市場監督当局
(FINMA)によって承認がなされた。
将来の信用リスクに関連した規制上の資本開発
2017年12月、バーゼル銀行監督委員会は、バーゼルⅢ枠組みの完成を発表したが、現在当グループは、当
初伝えられた有効日である2022年1月1日より後にFINMAがこれを国内法令に取り入れることを予想してい
る。更新された枠組みにより、内部格付(IRB)手法に対して多くの修正がなされた。すなわち、(i)特定の
資産クラス(大規模と中規模の法人顧客、銀行及びその他の金融機関を含む。)に対する先進的内部格付
(A-IRB)手法を使用する可能性を除去すること、(ii)IRB手法において、PD及びLGDといった特定のモデルへ
のインプットに下限を設けること、並びに(iii)(例えばLGDに対し、)RWAのばらつきを縮小する様々な要
件を導入することである。
公表された枠組みには、国家の裁量に従う多くの要件が含まれている。加えて、信用評価調整(CVA)の枠
組みへの修正が公表されたが、これには先進的信用評価調整(A-CVA)手法の削除が含まれる。UBSは、適用目
的についてより具体的な話し合い及び市場リスクに備えた自己資本体制へのスムーズな移行の準備を行うた
めにFINMAとの緊密な対話を継続する。
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ディストレス資産に対する信用方針
不履行
規制上の定義に従って、当グループは、(i)90日を超えて延滞している場合、(ii)再建手続の対象とな
り、カウンターパーティのデフォルトを回避すべく金利、劣後、テナー等に関する優遇条件が認められた場
合(条件緩和)、又は(iii)カウンターパーティが、期限の到来した支払をカバーする十分な担保が存在し
ていた若しくは担保に対する償還請求権なくしては完全に支払債務が充足されないとするその他の証拠が
あったとしても、形式を問わず破産/強制清算手続の対象となる場合、不履行債権として計上する。
デフォルト及び信用減損
UBSは、リスクのモデリングの目的で、資産の分類及びその債務者のPDの決定に際し、デフォルトの単独
の定義を適用する。デフォルトの定義は、量的かつ質的基準に基づいている。カウンターパーティは、遅く
とも、利息、元本又は手数料の重大な支払が90日又はパーソナル&コーポレート・バンキングのプライベー
ト顧客及びコマーシャル顧客並びにグローバル・ウェルス・マネジメント(スイス地域)のプライベート顧
客に対する貸出金に関連する特定のエクスポージャーについては180日を超えて延滞している場合に、デ
フォルト状態であると分類される。UBSは、90日間という基準の厳密な適用が内在する信用リスクを正確に
反映しないであろうことを示す、治癒レートの分析に基づき後者のポートフォリオに適したデフォルトの認
識に関して通常の90日間の想定を考慮しない。カウンターパーティはまた、破産、倒産手続若しくは強制清
算が開始した場合、優先的な条件(条件緩和)で債務が再構築された場合、又は担保に対する償還請求権な
くしては完全に支払債務が充足されないとするその他の証拠がある場合に、デフォルト状態であると分類さ
れる。後者は、これまでに全ての契約上の支払が期限の到来時になされたとしても、適用される可能性があ
る。カウンターパーティに対する1つの債権がデフォルト状態である場合、通常、カウンターパーティに対
する全ての債権がデフォルト状態であるとして扱われる。
カウンターパーティがデフォルト状態であると分類された場合、金融商品は信用に減損が生じていると分
類され、及び/又はその金融商品が購入済若しくは組成済信用減損である(POCI)と認識される。金融商品
は、かかる金融商品が発行体のリスク事由の後に帳簿価額の大幅な割引がなされて購入された場合又はデ
フォルト状態であるカウンターパーティにより組成された場合、POCIである。金融資産がデフォルト状態で
ある/信用が減損している(POCIは除く。)と分類されると、ステージ3の金融商品として計上され、全て
の延滞額が是正され、追加的な支払が期日になされ、ポジションが信用の再構築中であると分類されず、そ
して信用の回復を示す一般的な証拠がない限り、引き続き当該分類となる。ステージ1又は2への移行が実
施される前に3ヶ月の観察期間が適用される。しかし、多くの金融商品はより長い期間、ステージ3に分類
され続ける。
条件緩和(信用の再構築)
支払のデフォルトが差し迫っている場合又は既にデフォルトが生じた場合、当グループは、経済的に困難
な状況にある借り手に対し、通常の業務の過程において別段では検討しない優遇税率の提案、支払期日の延
長、返済計画の変更、債券/株式スワップ、劣後化等の譲歩を承認する可能性がある。条件緩和措置が行わ
れる場合、各ケースで個別に検討され、エクスポージャーは、通常、デフォルト状態であると分類される。
条件緩和の分類は、貸出金が回収若しくは償却されるまで、償却若しくは優先的な条件に代わる非優先的な
条件が承認されるまで、又はカウンターパーティが再建し、かつ優先的な条件がもはや当グループのリスク
耐性の範囲を超えなくなるまで継続する。
支払のデフォルトが差し迫っているという証拠がない場合又は条件の変更が当グループの通常のリスク耐
性の範囲内である場合の契約上の調整は、条件緩和されたとはみなされない。
損失履歴統計
カウンターパーティにデフォルトが発生した場合、金融商品は信用に減損が生じたものと分類される。こ
れには、(例えば、保有する担保を通じて完全に戻入れ可能となると予定されているため)損失が生じてい
ない又は引当金が計上されていない信用に減損が生じたエクスポージャーも含まれている。
信用に減損が生じている銀行及び顧客への貸出金及び前払金は、2019年12月31日現在、23億米ドルであ
り、2018年12月31日と比較して変動はなかった。
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信用に減損が生じているエクスポージャーの大部分は、当グループのスイス国内事業における貸出金及び
前払金に関連している。銀行及び顧客に対する信用に減損が生じている貸出金及び前払金が、銀行及び顧客
に対する貸出金及び前払金の総額に占める割合は0.7%であり、2018年12月31日と比較して変動はなかっ
た。
市場リスク
主な動向
当グループは引き続きテール・リスクの管理に注力し、その結果、市場リスクは低い水準で維持された。
平均的な管理上のバリュー・アット・リスク(VaR)(保有期間1日、信頼水準95%)は、主にインベスト
メント・バンクの株式業務の影響を受け、前年度の1,200万米ドルから1,100万米ドルに減少した。250営業
日中のマイナスのバック・テスティングの超過事象の件数は当年度末までに2件から0件に減少した。市場
リスクRWAの算定に用いるFINMAのVaR乗数は、2019年12月31日現在、3から変化はなかった。
市場リスクの主な原因
市場リスクは、当グループのトレーディング業務及び非トレーディング業務の両方から発生する。
- トレーディング市場リスクは、主に、当グループのインベストメント・バンクにおける発行市場での債
券及び株式の引受、マーケット・メイキング及びクライアント主導の証券及びデリバティブ取引に関連
して、並びにコーポレート・センターの非中核事業及びレガシー・ポートフォリオにおける残存ポジ
ション及びグローバル・ウェルス・マネジメントにおける当グループの地方債トレーディング業務に関
連して、発生する。
- 非トレーディング市場リスクは、その大部分は、資金業務に加え、当グループのウェルス・マネジメン
ト業務における当グループのパーソナル・バンキング及び貸付、スイスにおけるパーソナル及びコーポ
レート・バンキング業務並びにインベストメント・バンキングの貸付業務に関連する金利リスク及び為
替リスクの形で発生する。
- グループ財務部門は、金利リスク及び構造的為替リスク管理の過程における市場リスク並びに当グルー
プの流動性及び資金調達プロフィール(適格流動資産を含む。)の市場リスクを仮定する。
- 株式及び債券投資もまた、当グループの確定給付年金制度等の従業員給付が一部の側面においてそうで
あるように、市場リスクを発生させる可能性がある。
測定、監視及び管理手法の概要
- 市場リスク制限は、市場リスクの性質及び重大性を反映させながら、当グループ、事業部門、グループ
財務部門並びに非中核事業及びレガシー・ポートフォリオごとに、様々な業務分野において細かく設定
される。
- 管理上のVaRは、市場リスクの枠組みに基づいたエクスポージャーを測定する。これには、トレーディ
ング市場リスク及び非トレーディング市場リスクの一部が含まれる。VaRに含まれない非トレーディン
グについても、後述のマーケット&トレジャリー・リスク・コントロール部門に管理されるリスクの記
載において説明されている。
- 当グループの主要なポートフォリオの市場リスク測定法は、流動性調整ストレス(LAS)損失及びVaRで
ある。これらは、双方ともに当グループの全ての事業部門について共通で、かつ、取締役会(BoD)が
承認した制限に服している。
- かかる測定法は、一般的及び特定の市場リスク要因に係る集中度及び細かい制限によって補完される。
当グループのトレーディング業務は、複合された市場リスク制限に服する。これらの制限では、市場の
流動性及びボラティリティ、利用可能な業務遂行能力、及び評価の不透明さの程度を、また当グループ
のシングルネーム・エクスポージャーについては発行体の信用度を考慮している。
- トレーディング市場リスクは、ポートフォリオのレベルで、統合ベースで管理される。リスク要因の感
応度は、新規取引、取引の終了又は市場レベルの変動によって変化するため、リスク要因は限度を超え
ないように動的に再ヘッジされる。従って、トレーディング・ポートフォリオにおいて、当グループは
通常、特定のポジションとそれに関連するヘッジを区別しない。
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- 発行体リスクは、ジャンプ・トゥ・ゼロ測定法に基づき、事業部門レベルで適用される制限によって管
理される。ジャンプ・トゥ・ゼロ測定法とは、当グループの最大デフォルト・エクスポージャー(債務
不履行事由の場合の損失の回復はゼロと仮定する。)を測定するものである。
- 非トレーディング為替リスクは、グループ財務部門が管理する連結資本業務を除き、市場リスク制限に
基づいて管理される。
当グループのマーケット&トレジャリー・リスク・コントロール部門の役割は、資金業務関連のリスク負
担の許容度を定める全体的なリスクの枠組みを当グループ全体に適用することである。この枠組みの重要な
要素は、BoDが定める、全体にわたる経済価値感応度の限度である。この限度は、バーゼルⅢ普通株式等
Tier 1(CET1)自己資本に連動しており、金利リスク、為替リスク及び信用スプレッドから発生するリスク
を考慮する。更に、受取利息純額の金利リスクの変動に対する感応度は、市場予想金利に基づき受取利息純
額の見通し及び変動性を分析するために、当グループのチーフ・エグゼクティブ・オフィサーが定める目標
に対して監視される。この限度はまた、当グループのCET1自己資本及びCET1自己資本比率における為替変動
の影響のバランスを取るために、BoDによって定められる。非トレーディング金利及び為替リスクは、当グ
ループ全体の統計的及びストレス・テスト基準に含まれ、当グループのリスク選好の枠組みに含められる。
株式及び債券投資は、業務管理及びリスク管理部門による新規投資の事前承認並びに定期的な監視及び報
告等の広範なリスク管理に服する。これらも、当グループ全体の統計的及びストレス・テスト基準に含ま
れ、当グループのリスク選好の枠組みに含められる。
市場リスク・ストレス損失
下記に説明するVaRに加えて、当グループは、当グループの市場リスクを、非統計的な測定法及びこれに
付随する限界という包括的な枠組みを通じて測定し、管理する。これには、極端ではあるが生じうる事象が
発生した場合に生じる損失が当グループのリスク選好を超えないようにするために当グループが継続的に評
価をする、広範囲に及ぶ一連のストレス・テスト及びシナリオ分析が含まれる。
流動性調整ストレス
当グループ全体の市場リスクに係るストレス損失を測定する当グループの主な手法は、LASである。LASの
枠組みは、一定のストレス・シナリオのもとで発生しうる経済的損失をとらえることを狙いとする。これ
は、一部は、下記に説明するように、管理及び規制上のVaRに用いられる標準的な1日間及び10日間の保有
期間という仮定を、流動性調整保有期間に置き替えることによって達成される。その次に、特定のシナリオ
により得られた流動性調整保有期間にわたり、予想市場動向に基づいてポジションにショックをかける。
LASに用いられる保有期間は、ストレス環境における主要なリスク要因各々におけるポジションのリスク
を減少又はヘッジするのにかかる時間を反映して調整されるが、その際、当該ポジション限度を最大限まで
利用するものと仮定する。当グループは、危険の認定及びそれに対する反応は必ずしも即時ではないという
事実を反映して、観測された流動性レベルを問わず、最低保有期間も適用する。
予想市場動向は、過去の事由の分析に基づく過去の市場行動と、過去に発生したことのない、決められた
シナリオを考慮した将来予測に関する分析を組み合わせて導き出される。
LASに基づく限度は、当グループ、事業部門、グループ財務部門並びに非中核事業及びレガシー・ポート
フォリオ、事業領域及びサブ・ポートフォリオといった、多くのレベルで利用される。更に、LASは、当グ
ループの総合ストレス・テストの枠組みの中核的な市場リスク要素を構成し、それゆえに当グループの全体
的なリスク許容度の枠組みにとって不可欠である。
バリュー・アット・リスク
VaRの定義
VaRは市場リスクの統計的測定法であり、設定された信頼水準において、定められた期間(保有期間)に
わたり、潜在的に発生しうる市場リスクによる損失を表す。この測定法では、定められた期間中に当グルー
プのトレーディング・ポジションに変更がないことを前提としている。
当グループはVaRを、日次ベースで算出する。VaRを導き出すための損益の分配は、当グループ内部で開発
されたVaRモデルによって生成される。当該VaRモデルでは、当グループのトレーディング・ポジションの感
応度が高いリスク要因の保有期間にわたるリターンをシミュレーションし、その後、かかるリスク要因のリ
ターンが当該トレーディング・ポジションに与える損益を数値化する。一般金利、為替及びコモディティの
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リスク要因の区分に関連するリスク要因のリターンは、過去5年間を考慮に入れて、純粋なヒストリカル・
シミュレーション法に基づいて決定される。株価や信用スプレッドといった特定の発行体ベースのリスク要
因 に係るリスク要因のリターンは、ファクター・モデル手法を用いて、システマティック要素、残差要素、
及び発行体固有の要素に分解される。システマティック・リターンは、ヒストリカル・シミュレーションに
基づいて、残差リターンは、モンテカルロ・シミュレーションに基づいて算定される。VaRモデルの損益分
配は、当グループが常にシステマティック・リスク及び残差リスクを捕捉するような方法で、システマ
ティック・リターンと残差リターンの合計から導き出される。リスク要因間の相関は、ヒストリカル・シ
ミュレーション法を通して黙示的に捕捉される。リスク要因のリターンのモデリングにおいて、当グループ
は、リスク要因のヒストリカルな時系列変動の定常性資産を考慮する。あるリスク要因の区分内のリスク要
因の定常性資産に応じて、当グループは、絶対リターン又は対数リターンを用いて、当該リスク要因のリ
ターンをモデル化する。リスク要因のリターンの分配は、隔週ベースで更新される。
当グループのVaRモデルは十分な再評価能力を持つものではないが、当グループは、当グループのフロン
トオフィス・システムから十分な再評価グリッド及び感応度を得ており、これによって重要な非線型損益の
影響を捕捉することが可能となっている。
当グループは、信頼水準及び保有期間の違いを考慮するが、内部管理及び市場リスクに係るリスク加重資
産(RWA)の決定の両方の目的に単一のVaRモデルを使用する。内部管理上は、当グループはリスク限度を設
定し、保有期間を1日、信頼水準を95%としてVaRを用い、当グループのトレーディング業務に関連するリ
スクを考慮する方法に合わせて、リスク・エクスポージャーを測定する。バーゼルⅢ基準に基づく市場リス
クに係る規制資本を実証するために使用される市場リスクの規制上の測定では、信頼水準を99%、保有期間
を10日とする測定が義務づけられている。保有期間を10日とするVaRの計算において、当グループは10日間
のリスク要因のリターンを採用し、それによって全ての観測値が均等に加重される。
また、母集団は、管理上と規制上のVaRとでは若干異なる。規制上のVaR中の母集団は、規制上のVaRに含
める所要要件を満たしている。管理上のVaRは、ポジションのより広い母集団を含む。規制上のVaRは、例え
ば、証券化ポートフォリオからの信用スプレッドを除外し、それらは規制上、証券化アプローチに基づいて
扱われる。
当グループは、市場リスクRWAの計算においては、ストレスのかかったVaR(SVaR)も用いる。SVaRでは、
規制上のVaRと同じ手法を広く採用し、同じ母集団、保有期間(10日間)及び信頼水準(99%)を用いて計
算される。しかしながら、規制上のVaRとは違って、SVaRにおいて対象とする過去のデータ・セットは5年
間に限定されていないが、代わりに、2007年1月1日から現在までの期間に及ぶ。SVaRを導き出すには、
2007年1月1日から現在までの期間に該当する1年単位の見直し全てに渡って、現在のグループ・ポート
フォリオに関する10日間の保有期間の最大VaRを求める。SVaRは毎週計算される。
当年度の管理上のVaR
当グループは引き続き管理上のVaRを低い水準で管理し、VaRの平均値は前年度の1,200万米ドルから1,100
万米ドルに減少した。
VaRの限界
実際に実現した市場リスク損失は、様々な理由により、当グループのVaRが示唆する損失と異なることが
ある。
- VaR測定は、指定された信頼水準に基づいて行われ、かかる信頼水準を超える潜在的な損失を示すこと
はできない。
- 規制上のVaR測定における保有期間を内部管理目的では1日、規制上のVaRにおいては10日とした場合、
指定期間内に決済又はヘッジできないポジションの市場リスクを完全にとらえることはできない。
- 一定の場合のVaRの算出では、ポジション及びポートフォリオの価値に係るリスク要因の変動による影
響を概算することとなる。これは、VaRモデルに含まれるリスク要因の数がやむを得ず制限されるため
である。
- 極端な市場変動の影響については、非線型リスク感応度並びに実際のボラティリティ及び相関レベルが
VaRの算出で用いた前提と異なりうることから、概算に誤りが生じる可能性がある。
- 過去5年間を対象とすることによって、過去5年未満の期間を対象とした観測よりも、市場ボラティリ
ティの急激な上昇がVaRの増加に適時に反映されない傾向があるが、かかる上昇は、より長期において
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は当グループのVaRに影響を与える。同様に、ボラティリティが上昇した期間の後に市場が安定する
と、VaR予想は、過去の観測期間の長さに影響された期間については、更に保守的にとどまる。
SVaRには、上記のVaRで述べたのと同じ限界があるが、1年間のデータ・セットを使用することにより、
VaRにおいて5年間のデータ・セットが使われる場合の平準化の効果を回避し、過去5年間を対象とせず、
より長期の過去の潜在的損失事由について規定する。従って、著しいストレスにさらされた2007年から2009
年の期間は、管理上及び規制上のVaRが対象とする過去5年の期間には含まれていないが、SVaRではこの
データ・セットを利用し続けることができる。この手法は、市場リスクに係る自己資本規制の景気循環増幅
効果を削減することをねらいとしている。
当グループは、いかなる測定法も、単独ではポジション又はポートフォリオに伴うリスクの全体を網羅す
ることはできないことを認識している。そのため、当グループはリスクの識別及び測定の実質的な完全性を
確保しようとする総体的な枠組みを構築するために、重複する特性及び補足的な特性の双方を有する一連の
多様な測定基準を用いている。統計的なリスク総額の測定として、VaRは、流動性調整ストレス及び総合ス
トレス・テスティングの枠組みを補完する。
当グループは、当グループのVaRモデルでは完全にとらえることができない潜在的リスクを認識し、数値
化するための枠組みも有している。当グループは、これらのリスクを、VaRに含まれないリスクと呼んでい
る。この枠組みは、規制資本におけるこれらの潜在的リスクを実証するために用いられ、規制上のVaRとス
トレスVaRの倍数として算出される。
VaRのバック・テスティング
VaRのバック・テスティングは、ある1日の推定VaRを、かかる日の実際の損益(P&L)と比較する業績測
定プロセスである。当グループは、規制上のVaRに含まれる母集団に対し、信頼水準99%及び保有期間1日
としてバック・テスティング上のVaRを計算する。UBSにおいて、99%VaRはP&L分配の下端部分に対応するリ
スク測定法と定義付けられているため、信頼水準99%としたバック・テスティング上のVaRはマイナスの数
値となる。同種同士の比較を提供するため、バック・テスティング上の収益は、評価性引当金、報酬及び手
数料等の非トレーディング収益並びに日中取引の収益を除いて計算される。バック・テスティング上の収益
が前日のバック・テスティング上のVaRを下回る場合に、バック・テスティングの超過事象が発生する。
統計的に、信頼水準を99%とすると、年間2件又は3件のバック・テスティングの超過事象が予期され
る。超過事象が4件を超える場合は、期間を延ばしても超過事象が少なすぎる場合と同様、VaRモデルが適
切に機能していないことを意味する可能性がある。しかしながら、上記のVaRの限界で述べたように、過去
5年間と比較して市場ボラティリティの急激な増減によって、超過事象の回数がそれぞれ増減することがあ
る。従って、UBSグループレベルでのバック・テスティングの超過事象は、バック・テスティング上の超過
利益と同様に調査対象となり、その結果は事業グループの上級役員、グループ・チーフ・リスク・オフィ
サー及びグループ・チーフ・マーケット&トレジャリー・リスク・オフィサーに対して報告される。バッ
ク・テスティングの超過事象は、内部監査人及び社外監査人、並びに関連する規制機関にも報告される。
実際のトレーディング収益には、バック・テスティング上の収益に加え、日中取引の収益が含まれてい
る。
250営業日中のバック・テスティングの超過事象の件数は当年度末までに2件から0件に減少した。市場
リスクRWAの算定に用いるFINMAのVaR乗数は、2019年12月31日現在、3から変化はなかった。
VaRモデルの確認
上記で述べられた規制目的上のバック・テスティングに加え、当グループは内部モデル確定の目的でバッ
ク・テスティングを延長している。これにはモデルのパフォーマンスが末端部分だけでなく、損益全体並び
に事業部門内及びコーポレート・センターのヒエラルキー内の複数レベルにわたるものであるかの確認も含
まれる。
2019年度のVaRモデルの推移
当グループは2019年度中にVaRモデルに重要な変更を加えていない。
将来的な市場リスクに関連する自己資本の展望
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2019年1月、バーゼル銀行監督委員会は、市場リスクに係る最低自己資本要件の最終的な規則(トレー
ディング勘定の抜本的見直し)を公表した。スイスにおけるバーゼルⅢの採用のタイムラインによれば、新
しい基準は早くとも2023年1月1日に施行される見込みである。
改正後の市場リスクの枠組みには、(ⅰ)モデル承認及びパフォーマンス測定プロセスの変更を含む、内
部モデルに基づく手法の変更、(ⅱ)内部モデルに基づく手法の信頼できるフォールバックとなることを目
指した標準的手法の変更及び(ⅲ)トレーディング勘定とバンキング勘定との境界の変更が含まれる。UBS
は、適用目的についてより具体的な話し合い及び市場リスクに備えた自己資本体制へのスムーズな移行のた
めにFINMAとの緊密な対話を継続する。
バンキング勘定における金利リスク
当グループにおけるバンキング勘定の金利リスクの開示に関する変更
バーゼル銀行監督委員会による2016年の基準に基づき、FINMAは、バンキング勘定の金利リスク(IRRBB)
の計測、管理、モニタリング及び統制のための最低基準に定める通達「2019/2金利リスク-銀行」の改正を
公表した。この通達は2019年1月に発効し、強化された第3の柱に基づく開示は、当グループの2019年6月
30日の第3の柱に関する報告から初めて適用された。
当グループは、当グループの財務報告書におけるIRRBBの開示について新しい第3の柱に基づく開示要件
との整合性を取った。特に、資本の経済的価値(EVE)感応度は、通達においてFINMAが定義する6つの規制
金利ショック・シナリオに基づき評価される。これは通貨別であり、下限は設けられていない。
バンキング勘定における金利リスクの発生源
IRRBBは、 銀行貸出金及び前渡金、顧客貸出金及び前渡金、公正価値で測定されるトレーディング目的保
有でない金融資産、償却原価で計上される金融資産、顧客預金、償却原価で測定される社債、 及びデリバ
ティブ(キャッシュ・フロー・ヘッジ会計のために利用されたデリバティブを含む。)の貸借対照表のポジ
ションから発生する。かかるポジションは、会計処理によっては、その他の包括利益(OCI)又は損益計算
書に影響を与える可能性がある。
当グループで最大のバンキング勘定の金利エクスポージャーは、当グループのグローバル・ウェルス・マ
ネジメント部門及びパーソナル&コーポレート・バンキング部門における顧客預金及び融資商品から発生す
る。固有の金利リスクは、コーポレート・センターで集中的に管理するため、通常グローバル・ウェルス・
マネジメント部門及びパーソナル&コーポレート・バンキング部門からグループ財務部門に移転される。こ
れにより、異なる発生源からの金利リスクとのネッティングも可能にしながら、発生源となる事業にコマー
シャル・マージン及びボリュームの管理を託すことができる。残余金利リスクは、主に金利スワップでヘッ
ジされ、その大部分にはヘッジ会計が適用される。 公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金
融資産 として分類された短期エクスポージャー及び高品質流動資産は時価ベースで計上されるデリバティブ
でヘッジされる。長期固定利付債は、公正価値のヘッジ会計関係で指定される金利スワップでヘッジされ
る。
リスクマネジメント及びガバナンス
IRRBBはいくつかの測定基準を用いて測定されており、その中で最も関連性のあるものは下記の通りであ
る:
- 会計処理に関係なく、将来のキャッシュ・フローの現在価値の変化として計算される、イールド・
カーブの平行移動に対する金利感応度。これらは、バリュー・アット・リスクやストレス・シナリ
オ(EVE感応度を含む。)のような統計的及びストレスに基づく測定の主要なリスク要因でもあり、
毎日測定及び報告される。EVE感応度とは、通貨間のネッティング後、規制上最も不利益な金利シナ
リオから生じるエクスポージャーのことである。規制上の手法に加えて、当グループは、株式、の
れん、不動産及びその他Tier 1(AT1)資本性商品を含む、内部的なEVE感応度測定基準を適用す
る。
- 受取利息純額(NII)感応度は、設定期間の範囲におけるNIIの変化をNIIのベースラインと比較して
評価する。NIIのベースラインは、全ての通貨の金利が、そのマーケット・インプライド先物レート
に従って展開し、一定の業務取扱残高があり、かつ特定の管理上の行動はないという前提で内部的
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に計算される。内部NII感応度は中央銀行に保有されている現金からの拠出を含み、第3の柱の開示
要求とは異なり、月次で測定及び報告される。
当グループは、EVE感応度を当グループが設定したリスク限度内に抑えつつ、NIIの変動を低減することを
目的として、IRRBBを積極的に運用している。
EVE感応度及びNII感応度は、連結ベース及び重要な法人レベルの両方において、限界及びトリガーと照ら
し合わせて監視されている。また、平行及び非平行の金利シナリオ並びに特定の経済シナリオを組み合わ
せ、ストレス状況下におけるEVE感応度及びNII感応度を評価する。
グループ資産・負債管理委員会(ALCO)の下部組織であるバンキング勘定の金利リスク戦略委員会及び法
人レベルのALCO(関連ある場合。)は、IRRBBの運営に対する独立した監督機能を果たしている。IRRBBはま
た、本グループの内部監査及びモデルガバナンスに服する。
主要なモデルの仮定
EVE感応度の算出に用いた顧客預金及び融資商品のキャッシュ・フローは、コマーシャル・マージン及び
その他のスプレッド部分を除外し、営業日毎に集計され、リスクフリーレートを用いて割引かれている。当
グループの外部の発行は、UBSのシニア債カーブを用いて割引かれ、資本性商品は最初の早期償還日までに
モデル化される。NII感応度は、貸借対照表の構成と業務取引高が一定である仮定の下、1年間の期間で計
算され、組込金利オプションのフロア効果を考慮している。
満期のない預金及び貸出金の平均的なリプライシングの満期は、商品マージンを保護するように設計され
た複製ポートフォリオ戦略によって決定される。最適な複製ポートフォリオは、実社会の市場金利モデル
を、シミュレーション並びに歴史的に調整された顧客金利及び取引高のモデルに適用することによって、通
貨固有及び商品固有の細かな水準で決定される。
当グループは、UBSバンクUSAの米国モーゲージ・ローン並びにUBSアメリカズ・ホールディングLLC(連
結)の様々な流動性ポートフォリオに保有されるエージェンシー・モーゲージ証券(MBS)の繰り上げ返済
率を予測するために、計量経済の繰り上げ返済モデルを用いている。これらの繰り上げ返済率は、様々なマ
クロ経済シナリオのもとで、モーゲージ・ローン残高及びMBS残高の両方を予測するのに用いられる。繰り
上げ返済モデルは、リスク管理や規制上のストレス・テスト等、様々な目的に利用されている。スイスの抵
当権と固定期間預金は、繰り上げ返済と期限前償還の罰則により、通常、同様のオプション性を持たない。
株主資本及びCET1自己資本に係る金利更改の効果
公正価値で保有する商品について、金利更改は、損益計算上又はOCIを通じてのいずれかにおいて即時に
公正価値の損益をもたらす。概して、金利の上昇は、当グループの公正価値で保有する長期資産の価値を即
時に減少させることとなるが、当グループは、かかる減少は当グループの中核のバンキング商品に係る受取
利息純額(NII)の増加によって時間をかけて相殺されるものと考えている。
償却原価で計上される資産及び負債については、金利更改によって金融商品の帳簿価格に変化が生じるこ
とはないが、受取利息及び損益計算書に計上される費用には影響を与える可能性がある。
会計処理が異なるだけでなく、当グループのバンキング勘定ポジションは、イールド・カーブ上の異なる
ポジションに対する感応度も異なる。例えば、当グループの債券のポートフォリオ(償却原価又は公正価値
で計上されるかにかかわらない。)及び金利スワップ(キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されている
か、経済的ヘッジとして取引されているかにかかわらない。)は、全体として、長期デュレーションの金利
の変化により敏感であるが、当グループの預金及び当グループのNIIに帰属する貸出金の重要な部分は、短
期金利の方により敏感である。これらの要因は、イールド・カーブが平行に移動できず、例えば当初は急勾
配を示し、その後に時間をかけてフラット化する可能性があるため、重要である。
上記の会計処理及びイールド・カーブ感応度により、レートの上昇を示すシナリオにおいて、当グループ
は、OCIにおいて認識される公正価値の損失の結果、当初、株主資本の減少を認識するものと予期してい
る。このことは、金利の上昇がとりわけイールド・カーブのショート・エンドの方(短期の方)に影響を及
ぼしていくと同時に、NIIの増加によって時間をかけて埋め合わせがなされる。CET1自己資本への影響は、
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定された金利スワップ上の損益が規制資本目的において認識されない
ため、はっきり言えない。公正価値での測定を指定された商品についての公正価値の損失は、経済的ヘッジ
により相殺されることが予想される。
受取利息純額の感応度
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2019年度末において、グローバル・ウェルス・マネジメント部門及びパーソナル&コーポレート・バンキ
ング部門の受取利息純額の感応度は下記のシナリオの下に評価された。
- ネガティブ金利:イールド・カーブが100ベーシス・ポイントマイナスの平行移動(ゼロ・フロアの
適用なし)を示し、その結果、マイナス又は更なるマイナスとなる可能性がある。
- ブル・フラットナー金利:全ての通貨におけるイールド・カーブが長期金利の場合に急降下する(短
期金利の場合は小幅な降下):3ヶ月未満の満期については-70ベーシス・ポイント、3年満期に
ついては-100ベーシス・ポイント、そして10年以上の満期については-130ベーシス・ポイントで
ある。
- ブル・スティープナー金利:全ての通貨におけるイールド・カーブが短期金利の場合に急降下する
(長期金利の場合は小幅な降下):3ヶ月未満の満期については-130ベーシス・ポイント、3年満
期については-100ベーシス・ポイント、そして10年以上の満期については-70ベーシス・ポイント
である。
― ベア・スティープナー金利:全ての通貨におけるイールド・カーブが長期金利の場合に急上昇する
(短期金利の場合は小幅な上昇):3ヶ月未満の満期については+70ベーシス・ポイント、3年満
期については+100ベーシス・ポイント、そして10年以上の満期については+130ベーシス・ポイン
トである。
- ベア・フラットナ-金利:全ての通貨におけるイールド・カーブが短期金利の場合に急上昇する(長
期金利の場合は小幅な上昇):3ヶ月未満の満期については+130ベーシス・ポイント、3年満期に
ついては+100ベーシス・ポイント、そして10年以上の満期については+70ベーシス・ポイントであ
る。
- 平行移動+100ベーシス・ポイント:全てのイールド・カーブが100ベーシス・ポイントプラスの平行
移動を示した。
- 安定したレート:全てのレートが現状の水準を維持する。
安定したレートのシナリオを除き、全てのシナリオにおいて衝撃の直後はそれぞれのシナリオの市場イン
プライド・フォワード・レートに沿って金利が変動する。
分析の結果は、NIIのベースラインと比較された。NIIのベースラインは、全ての通貨の金利が、その市場
インプライド・フォワード・レートに従い、一定の業務取扱残高及び特定の管理活動はないという仮定の下
で変化する前提で計算される。1年の期間で計算されたシナリオのうち最も不利益なシナリオは「ブル・ス
ティープナー金利」であり、NIIベースラインへの影響値は、約9%の悪化であった一方、最も有益なシナ
リオは「ベア・フラットナー金利」で、NIIベースラインを約10%改善させた。上記のシナリオ分析に加
え、当グループは、一定の業務取扱残高及び構造の下で変化する前提で計算される定義された基準値レベル
と比較した、瞬時の-200及び+200の平行移動ショックに対するNII感応度も観察している。
2019年12月31日現在、NIIのベースラインは-200の平行移動ショックの下では約16%低くなったと考えら
れ、他方で+200の平行移動ショックの下では約23%高くなったと考えられる。
特にスイス・フランの持続する低金利及びマイナス金利環境から当グループのNIIの水準を守るため、当
グループは、当グループの金利連動商品のプライシングの適切な追加調整と共に、グローバル・ウェルス・
マネジメント業務及びパーソナル&コーポレート・バンキング部門の預金ベースを通じた融資業務の自己資
金調達に依拠する。かかる貸借対照表の平衡を例えば、当グループのモーゲージ・ローン又は預金のいずれ
かが当グループのピアに対しても魅力のない価格設定等で失った場合、持続する低金利又はマイナス金利環
境下において、当グループのNIIの減少を招く可能性がある。当グループは一定の業務取扱高を仮定してい
るため、これらのリスクは上記の金利シナリオには反映されていない。
更に、低金利又はマイナス金利環境が持続又は悪化した場合、当グループのNIIに更なる圧力がかかり、
当グループは、スイス・フランの適格流動資産ポートフォリオを維持するための追加費用が必要となる可能
性がある。例えば、当グループの預託者に費用の一部を転嫁する等の方法で当グループの現金保有高に関す
る高額な費用は相殺できないため、スイス国立銀行の銀行向け預金免税限度の引き下げにより当グループの
受取利息純額が減少する可能性がある。ユーロの金利が著しく低下して更にマイナスになった場合も同様
に、当グループの流動性費用も増加し、ユーロ建ての貸出金及び預金から発生した当グループのNIIが圧力
を受けることになる。全体的な経済及び市場状況により、大幅なマイナス金利又はマイナス金利の持続は、
当グループのグローバル・ウェルス・マネジメント業務及びパーソナル&コーポレート・バンキング部門の
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顧客の負債の返済及び当グループに預金として預ける金額のうちの、余分な金額を減少させる原因にもな
る。これにより潜在的な業務取扱高が減少し、当グループのNIIも共に低下する。
預金の純減少による、受取利息純額の影響は、マイナスのイールド流動性ポートフォリオの減少により相
殺され、又は代替的な資金調達を要求するため、通貨、通貨の金利水準並びに貸借対照表の状況を含む、
様々な要因に依拠する。代替的な資金調達の場合、費用も代替資金調達の期間及び性質、かかる資金調達が
ホールセール市場において調達されるのか、他通貨建ての利用可能な資金とのスワップで調達されるのか
等、様々な要因に大きく依拠する。他方、過剰な預金ポジションの原因となる不均衡に対しては、マイナス
のイールドにおいての追加の投資が必要となるが、当グループの過剰預金残高処理の構造上、十分に相殺で
きない可能性がある。
経済価値感応度
バンキング勘定における金利リスクは異常値の銀行を特定するために、Tier 1資本の15%の規制上の基準
に従う。エクスポージャーは、FINMAの6つの金利シナリオのうち、最もネガティブなシナリオにおけるバ
ンキング勘定の現在価値の理論的な変化として算定される。
2019年12月31日現在、当グループのバンキング勘定のイールド・カーブにおける+1ベーシス・ポイント
の平行移動に対する金利感応度は、約マイナス2,510万米ドルであった。報告された金利感応度からは、
FINMAの第3の柱の開示要件に基づきAT1資本性商品が除外され、また、スイス・フランではベーシス・ポイ
ントあたり約400万米ドル、米ドルではベーシス・ポイントあたり約1,500万米ドルのモデル化された感応度
を有する当グループの資本、のれん及び不動産が除外されている。
EVEに関するFINMAの6つの金利シナリオのうち最も不利益なシナリオは、株式の経済価値にマイナス50億
米ドルの変化をもたらす平行上昇シナリオであった。これはTier 1資本の15%の規制上の異常値テストを大
きく下回る、Tier 1自己資本の9.6%の試算減である。2019年12月31日現在のTier 1自己資本に対する平行
上昇シナリオの即時的な効果は、1.3%の低下、すなわち7億米ドルの減少である。これは、損益を通じた
公正価値で測定される当グループのバンキング勘定の一部及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定さ
れる金融資産から生じている。しかし、このシナリオは受取利息純額にプラスの効果をもたらしたであろ
う。
その他の市場リスク・エクスポージャー
自己の信用
当グループは、公正価値での測定を指定された金融負債の評価に反映される当グループの自己の信用の変
化にさらされている。この評価においては、当グループの自己の信用に係るリスクは市場参加者によって考
慮される。当グループはまた、自己のクレジットをデリバティブの価値に組み入れるために負債評価調整
(DVA)を見積もる。
構造的為替リスク
連結では、海外事業において保有されている資産及び負債は、財務諸表日付における最終の為替レートに
より米ドルに換算される。外国為替変動による、米ドル以外の資産及び負債の価値の変動(米ドル換算)は
OCIにおいて認識され、それゆえに株主資本及びCET1自己資本に影響を及ぼす。
グループ財務部門は、資産及び負債の組み合わせによる資金調達並びに純投資ヘッジを含め、この為替エ
クスポージャーを管理する戦略を採用している。
株式投資
2019年12月31日付で国際財務報告基準(IFRS)に基づき、トレーディング勘定に含まれない株式投資は、
公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金融資産 又は 関連会社投資 に分類される場合がある。
当グループは、様々な目的で、様々な事業体への直接投資及び上場・非上場会社の持分の取得を行う。こ
れには、当グループの事業活動を支えるために保有されるその他の投資(取引所会員及び決済機関メンバー
シップ等)が含まれる。当グループは、当グループが管理するファンドについては、当該ファンドの設定時
に資金を提供若しくは当初資金を投入する目的又は当グループの利益と投資家の利益が合致していることを
証明する目的で投資を行うこともある。当グループは、自ら顧客に販売したファンドから証券及び受益証券
を購入し、また契約要件により購入することもある。
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株式投資の公正価値は、各投資固有の要因の影響を受ける傾向にある。株式投資は、通常、中長期での保
有が意図され、ロックアップ契約に従うことがある。これらの理由により、当グループは、通常、これらの
エ クスポージャーを、トレーディング活動に適用される市場リスク測定を利用して管理しないが、これらの
株式投資は、経営幹部及びリスク・コントロール部門による新規投資の事前承認、ポートフォリオ及び集中
度の制限等の様々な範囲の統制並びに定期的な監視及び報告の対象とされる。また、これらは、当グループ
全体の統計的及びストレス・テスト基準にも含まれ、当グループのリスク選好の枠組みに含められる。
2019年12月31日現在、当グループは、合計24億米ドルの株式投資を行っており、うち13億米ドルは 公正価
値で測定されるトレーディング目的保有でない金融資産 に分類され、11億米ドルは 関連会社投資 に分類され
た。これは概して前年度から変化がなかった。
債券投資
2019年12月31日現在、 OCIを通じて公正価値で測定される金融資産 に分類される債券投資は公正価値で測
定され、公正価値における変動は 資本 を通じて計上され、主として法律上、規制上、又は流動性を理由とし
て保有されるマネー・マーケット商品及び債務証券に広く分類することができる。
OCIを通じて公正価値で測定される金融資産 に分類された負債性商品に適用されるリスク統制の枠組み
は、商品の性質と保有目的により異なる。当グループのエクスポージャーは、市場リスク制限に組み入れら
れ、又は特別な監視を受ける可能性及び金利の感応度分析を受ける可能性がある。これらはまた、当グルー
プ全体の統計的及びストレス・テスト基準に含まれ、当グループのリスク選好の枠組みに含められる。
OCIを通じて公正価値で測定される金融資産 に分類された債券投資は、2019年12月31日現在、公正価値で
63億米ドルであった。これに対し、2018年12月31日現在は、公正価値で67億米ドルであった。
年金リスク
当グループは、過去及び現在の従業員向けに年金制度を多数提供しているが、その一部はIFRSに基づき確
定給付年金制度として定義されている。これらの確定給付年金制度は当グループのIFRS資本及びCET1自己資
本に重大な影響を及ぼす可能性がある。
今後、予想年金支払額を満たすため、各制度は従業員及び雇用者による拠出を様々な資産に投資する。年
金制度の資金状況はこれらの資産の公正価値と年金制度加入者に対する予想年金支払額の現在の価値との
差、すなわち確定給付債務である。
年金リスクは、確定給付年金制度の資金状況が悪化した場合に当グループのIFRS資産及び/又はCET1自己
資本に悪影響を与えるリスクである。かかるリスクは制度資産又は投資収益の価値の低下、確定給付債務の
増加若しくは上記の組み合わせで発生する。
制度資産の公正価値に影響を与える重要なリスク要因には、とりわけ、株式市場収益、金利、債券利回り
及び不動産価格が含まれる。予想年金支払額の現在価値に影響を与える重要なリスク要因には、高水準の債
券利回り、金利、インフレ率及び平均寿命が含まれる。
年金リスクは、当グループ全体の統計的及びストレス・テスト基準に含まれ、当グループのリスク選好の
枠組みに含められる。潜在的な影響は、従って、ストレス後の当グループのCET1自己資本の計算において確
認することができる。
UBS自己株式エクスポージャー
グループ財務部門は、従業員株式報酬及び出資持分に関連する将来の株式交付義務のヘッジを目的とし
て、UBSグループAG株式を保有している。更に、インベストメント・バンク部門は、主にUBSグループAG株式
及び関連するデリバティブのマーケット・メーカーとして、また一定の発行済みの仕組債証券をヘッジする
ために、少数のUBSグループAG株式を保有している。
当グループは、2018年3月に株式買戻しプログラムを開始した。当グループは、スイスの規則に従って、
2021年3月までに株式買戻しプログラムを通じてUBSグループAG株式を最大で総額20億スイス・フラン買戻
す可能性がある。2019年度中、当グループは総額8億スイス・フラン(8億600万米ドル)の株式を取得し
た。2018年度及び2019年度に買戻しされた株式に係る対価の総額は15億5,000万スイス・フラン(15億6,700
万米ドル)であった。当グループの資本還元方針に従い、当グループは現在のプログラムを完了した後、追
加の買戻しプログラムを設定する予定である。株式買戻しプログラムを通じて取得する株式は、資本金減少
の目的で買戻しされる。UBSグループAG株式の株主が取消を承認するまでの間、株式買戻しプログラムを通
じて取得された株式はグループ財務部門にて管理される。
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カントリー・リスク
カントリー・リスク対応策
カントリー・リスクには、国家の法域内で起こる当該国特有の全ての事象が含まれ、当該リスクはUBSの
エクスポージャーの減損を招く可能性がある。カントリー・リスクは、財政的責任を履行する政府の能力及
び意欲に関係するソブリン・リスク、発行体若しくはカウンターパーティが中央銀行の外国為替振替におけ
る一時停止を受けて外貨を取得できない場合に生じるトランスファー・リスク、又は「その他の」カント
リー・リスクの形を取ることがある。「その他の」カントリー・リスクは、一方では増加した複数のカウン
ターパーティ及び発行体のデフォルト・リスク(システミック・リスク)により、また他方で、政治の安定
又は制度的枠組み及び法的枠組みに影響を及ぼす負のショック等の国家の状況に影響を及ぼしうる事象によ
り生じる。当グループは安定したリスク統制の枠組みを維持しており、かかる枠組みを通して当グループ
は、当グループがエクスポージャーを有する全ての国のリスク・プロフィールを評価する。
当グループは各外国に対して、当該国家が自身の外貨建ての金融債務につき債務不履行となる可能性を示
すソブリン格付を付与する。当グループの格付は、本項の「デフォルト確率」の項に記載される、統計的に
導出されたデフォルト確率により表示される。こうした内部の分析に基づき、当グループは送金事象が発生
する確率も明確にし、「その他の」カントリー・リスクの側面を各国に所在する事業体のカウンターパー
ティ格付の分析にどのように組み込むべきかということに関して規則を制定する。
外国に対する当グループのリスク・エクスポージャーにおいては、それらの国々に与えられた信用格付が
考慮されている。カントリー・リスク・シーリング(すなわち、エクスポージャー合計の上限)は、該当す
る外国のカウンターパーティ又は証券及び金融商品の発行体に対する当グループのエクスポージャーに適用
される。当グループは、あるカウンターパーティについて、カントリー・リスク・シーリングがなければエ
クスポージャーを引き受けられる場合でも、信用供与、取引商品の取引、及び証券ポジションを、カント
リー・リスク・シーリングに基づいて制限することがある。
カントリー・リスクの内部測定及び統制のため、当グループは、国家の危機の発生前、発生中、及び発生
後に生じる市場の混乱について、その財務上の影響も検討する。市場の混乱は、ある国の債券・株式市場若
しくはその他の資産市場の大幅な悪化、又は通貨の急落という形をとる場合がある。当グループは、国家の
深刻な危機による潜在的な財務上の影響額を評価するために、ストレス・テストを使用している。これに
は、総合ストレス・テストのための妥当なストレス・シナリオの開発、危機事由が発生する可能性がある国
の特定、潜在的損失額の算定、並びに関連信用取引の種類に応じた回収率及び影響を受けた国の経済的な重
要性に関して仮定を行うことが含まれる。
当グループの市場リスクに対するエクスポージャーは、総合ストレス・テストにも使用される主要なグ
ローバル・シナリオをカバーする標準ストレス・テストの対象でもあり、当該テストにおいて当グループ
は、全ての関連する国々における株式指数、金利及び為替レートに対して市場にショックを与える要因を適
用し、金融商品の潜在的流動性を考察する。
カントリー・リスク・エクスポージャー
カントリー・リスク・エクスポージャーの測定
カントリー・リスクのプレゼンテーションは、当グループ内部のリスク見解に基づく。当グループ内部の
リスク見解において、エクスポージャーの測定基準は、当グループが自身のエクスポージャーを分類してい
る商品カテゴリーに基づく。本項の「当グループの信用リスク・プロフィール」の項において定義されてい
るバンキング商品及び取引商品へのエクスポージャーの分類に加えて、当グループは、社債や株式等の有価
証券に関する発行体リスクの他に、デリバティブ・ポジションに係る原参照資産に関するリスクをトレー
ディング滞留資産内に分類している。後者のリスクには、当グループが売買する信用プロテクション、販売
開始前のローン又は証券引受コミットメント及びシンジケーション向けの単一株式マージン貸出に関連する
ものが含まれる。
当グループは純額でトレーディング滞留資産を管理することから、同一の原発行体のロング・ポジション
の価値をショート・ポジションとネットしている。しかしながら、ネット・エクスポージャーは、表示され
た数値においては発行体ごとにゼロまで低下する。そのため、当グループは一定のヘッジ及び発行体全体の
ショート・ポジションの潜在的相殺利益を認識しない。
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有価証券報告書
当グループは、ヘッジ前エクスポージャーとしてカントリー・エクスポージャーを報告する際には、マス
ター・ネッティング契約のリスク軽減効果及び現金又は多様な市場性のある有価証券のポートフォリオの形
で 保有された担保(これらは、基準となるエクスポージャーの正値から控除される。)を除き、予想回収金
額を認識しない。バンキング商品及び取引商品において、信用プロテクションのリスク軽減効果は、ヘッジ
後エクスポージャーを決定する際に、想定ベースで考慮に入れられる。
カントリー・リスク・エクスポージャーの分配
通常、エクスポージャーは、契約上のカウンターパーティ又は証券の発行体の居住地である国に対して示
される。資産又は収益源といった経済的財産を主に異なる国に有するカウンターパーティに関して、エクス
ポージャーは、かかる発行体のリスク所在地に分配される。
これは例えば、金融オフショア・センターに設立された法人で、その主要な資産及び収益が居住地である
国の外に流れている場合である。当グループが第三者保証又は担保を保有するエクスポージャーについても
同様の原則が適用される。このような場合、原有価証券の保証人若しくは発行体いずれかの居住地である国
に対するエクスポージャー、又は担保資産がある国に対するエクスポージャーを報告する。
当グループは、その法人の居住地以外の国にある銀行の支店に対するバンキング商品エクスポージャーに
は特別なアプローチを適用する。このような場合、エクスポージャーは、そのカウンターパーティの居住地
である国に対して全額記録され、追加で支店がある国に対して全額記録される。
デリバティブの場合、当グループは、カウンターパーティの居住地である国に対する、再調達価額-借方
(PRV)に付随するカウンターパーティ・リスクを(取引商品において)示す。更に、原参照資産の価値の
瞬間的なゼロまでの低下(回復を想定しない。)に付随するリスクは、参照資産の発行体の居住地である国
に対して(トレーディング滞留資産において)示される。このアプローチにより、当グループは、デリバ
ティブから生じるカウンターパーティ及び該当する場合には発行体の双方のリスク要因を把握することがで
き、またこのアプローチは、シングルネームのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)及びその他のク
レジット・デリバティブを含む全てのデリバティブに包括的に適用される。
基本的な例として、その居住地がX国であるカウンターパーティから購入した名目価値100のCDSプロテク
ションで、かつその居住地がY国である発行体の債務を参照するCDSプロテクションが20のPRVを有する場
合、当グループは、(ⅰ)(取引商品における)X国に対するCDSの公正価値(20)、及び(ⅱ)(トレー
ディング滞留資産における)Y国に対するCDSのヘッジ利益(名目価値-公正価値)(100-20=80)を記録
する。購入したプロテクションの例においては、80のヘッジ利益は、同一の発行体により参照資産として保
有及び発行される有価証券から生じるエクスポージャーと相殺され、発行体ごとにゼロまで低下する。売却
したプロテクションの場合、同一の発行体により参照資産として保有及び発行される有価証券から生じるエ
クスポージャーに加えて、80のリスク・エクスポージャーとして反映される。資産のバスケットを参照資産
とするデリバティブの場合、各参照事業体に対する発行体リスクは、当該事業体により発行された対応する
参照資産の価値が瞬間的にゼロまで低下することを前提として、デリバティブの公正価値における予想変動
として計算される。エクスポージャーはその後、発行体ごとにゼロを下限とするものの、発行体の居住する
国ごとに合計される。
ユーロ圏主要国に対するエクスポージャー
周縁のヨーロッパ諸国に対する当グループのエクスポージャーは引き続き限定的であるが、当グループ
は、ユーロ圏における不利な展開の影響拡大の可能性について依然として警戒している。本項の「ストレ
ス・テスト」の項で述べた通り、ユーロ圏の危機は、依然として、 グローバル危機シナリオ という総合スト
レス・テストのための新たな必須の想定シナリオの中核的な部分であり、当グループのリスク選好の枠組み
における最低自己資本、利益及びレバレッジ比率の達成目標に対するリスク・エクスポージャーの定期的な
監視において最重要項目とされている。
CDSは当グループのトレーディング事業に関連して主に売買されているが、当グループのリスク・エクス
ポージャーの一部(特定のユーロ圏諸国に関連するリスク・エクスポージャーを含む。)をヘッジするため
にも使われている。2019年12月31日現在において、マスター・ネッティング契約のリスク軽減効果を考慮に
入れることなく、当グループは、ギリシャ、イタリア、アイルランド、ポルトガル及びスペイン(GIIPS)
に居住の発行体に関する名目元本総額60億米ドルのシングルネームCDSプロテクションを購入し、これらの
同じ国々について名目元本総額70億米ドルのシングルネームCDSプロテクションを売却した。純額では、マ
スター・ネッティング契約のリスク軽減効果を考慮に入れて、これは名目元本総額10億米ドルの購入及び名
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目元本総額20億米ドルの売却に相当する。購入されたプロテクション総額は全て、投資適格カウンターパー
ティ(当グループの内部の格付に基づく。)から購入したもので、担保付であった。かかるプロテクション
の 大半はユーロ圏外に居住の金融機関から購入したものであった。GIIPSに居住のカウンターパーティから
購入したプロテクション総額は5,000万米ドルであり、参照法人として同国に居住のカウンターパーティか
ら購入したプロテクションはゼロであった。
契約上、支払は一定のシナリオ下においてのみ行われるので、信用破綻防止のためにCDSを保有すること
により、必ずしもプロテクションの買手が損失から守られるわけではない。デフォルト・リスクのヘッジと
しての当グループのCDSプロテクションの有効性は、CDSが引き受けられた契約条項を含む多くの要因の影響
を受ける。通常、CDS条項により定義された信用事象(とりわけ、債務不履行、再編又は破産を含むことが
ある。)の発生によってのみ、購入された信用プロテクション契約に基づく支払が生じる。ソブリン債に係
るCDS契約では、契約拒絶も債務不履行事由とみなされうる。信用事象が発生したか否かの判断は、CDS条項
並びに当該事象を取り巻く事実及び状況に基づき、関連ある国際スワップデリバティブ協会(ISDA)の決定
委員会(多様なISDA加盟法人により構成される。)が下す。
新興市場国に対するエクスポージャー
ソブリン格付区分に基づけば、2019年12月31日現在の当グループの新興市場国へのエクスポージャーのう
ち、79%(2018年12月31日現在は84%)は投資適格であった。
当グループの中国に対する直接的な正味のエクスポージャーは、トレーディング勘定を中心に、前年比で
16億米ドル減少し、47億米ドルであった。トレーディング滞留資産(公正価値で測定される。)は、引き続
き当グループの中国に対するエクスポージャーの大部分を占めている。
オペレーショナル・リスク
主な動向
引き続きUBS及び金融業界全般にとってのリスクに関する主なテーマは、オペレーショナル・レジリエン
ス、行為規制及び金融犯罪である。
オペレーショナル・レジリエンスは依然として当グループの主要な関心事である。当グループの規制当局
は最近、協議文書を発表し、この問題に焦点を当てたワーキング・グループを設立し、当業界は今後数年の
新たな規制に対し準備を行っている。当グループは、事業の状況の変化、混乱及びストレス・シナリオに対
する予測、準備及び対応を通じて、日常業務の実効性を維持する能力を継続的に向上させている。サイバー
セキュリティ、テクノロジー、データ保護、サードパーティー・リスク管理及び事業継続管理は、オペレー
ショナル・レジリエンスの重要な要素である。当グループのサイバーセキュリティの目的は、国際基準に
従って定められており、当グループのデータ保護及びプライバシーに関する基準は、適用される規制及び基
準に合致するように設計されている。当グループは、刻々と変化すると共にますます巧妙になっているサイ
バー攻撃からUBSを防御する予防的検出策への投資を継続している。当グループは、(ⅰ)サイバー攻撃の
脅威及びデータ損失の特定及び対応の迅速化、(ⅱ)従業員の研修及び行動、並びに(ⅲ)アプリケーショ
ン及びインフラの安全性(脆弱性管理を含む。)を重視している。
全ての地域及び事業部門にて、サードパーティー・リスク管理のためのグローバルな方針と改善されたリ
スク・ベースの対応策を発展させ、展開してきた。UBSは、2019年度には、事業継続又はオペレーショナ
ル・レジリエンスに係る重大な事象の影響を受けておらず、局所的事象が発生した場合も、事業継続手続に
より、従業員の安全性を確保し、大きな混乱もなく事業活動を継続することができた。
顧客にとって公正な結果を実現すること、市場の健全性を守ること、及び最高水準の従業員行為を育成す
ることが当グループにとって極めて重要である。コンダクト・リスクの管理は当グループのオペレーショナ
ル・リスク対応策の中心的な部分である。当グループは、引き続き、当グループの活動中にコンダクト・リ
スク対応策を効果的に定着させること、管理情報を充実させること、及び強固な企業風土を育む機運を維持
することを重視し続けている。行為規制に関連する管理情報は、事業及び地域のガバナンスの段階において
検討され、従業員の行為、顧客及び市場に関する指標を提供する。従業員の行為は、毎年の報酬に係る手続
において主要な検討事項となっている。当グループのインセンティブ制度においては、行為規制に関連する
行動と量的実績が明確に区別されており、そのため、財務目標に対する達成度は、当グループの従業員の実
績評価を決定する唯一の要因ではない。更に、当グループは、引き続き、「優れた監督の原則」等の行動イ
ニシアチブを遂行し、必修の法令遵守及びリスク研修を提供している。
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低金利並びにスイスのFidleg、米国の最善の利益規則及びEUの金融商品市場指令Ⅱ(MiFIDⅡ)等の主要
な法改正プログラムが引き続き業界に大きな影響を与え、地理的連携ベースでプロセスを統制するための調
整 が要求されるため、適合性リスク、製品の選択、部門間のサービスの提供、アドバイスの質及び価格の透
明性も、引き続きUBS及び当業界全体において重視が強まる分野である。当グループは、その適合性、製品
及び利益相反統制の枠組みを定期的に監視して、かかる枠組みが当グループによる適用法令及び規制上の要
請の遵守を促進するために合理的な設計になっているかどうか評価する。
技術革新や地政学的情勢により事業を行う複雑さが増し、規制当局が高い関心を持ち続けているため、金
融犯罪(マネーロンダリング、テロ資金調達、制裁違反、詐欺及び贈収賄を含む。)は引き続き大きなリス
クとなっている。当グループにとって、依然として、効果的な金融犯罪防止プログラムが不可欠である。マ
ネーロンダリングや金融詐欺の技術はますます巧妙になっている一方で、地政学的な不安定さのために制裁
の状況がより複雑になっている。仮想通貨や関連する活動又は投資等、新たなリスクが顕在化している。
米国の通貨監督局は、2018年5月に、このリスク・カテゴリーに関連する、当グループに対する排除措置
命令を出した。これを受けて、当グループは、全ての米国法人にわたる米国関連の銀行秘密法/マネーロン
ダリング防止(AML)問題の持続可能な改善を保証するための包括的なプログラムを開始した。UBSは2019年
に大幅な改善策を実施しており、2020年も引き続きこれらの施策を実施する見込みである。
当グループはまた、AML、顧客確認(KYC)及びグローバルな規模での制裁の分野において、増加するリス
ク・プロフィールと規制当局の期待に対応するために、戦略的な強化にも注力してきた。これには、金融犯
罪防止プログラムの一環として引き続き当グループの検出機能及び基幹システムに対する重要な投資が含ま
れる。当グループは、金融犯罪に対抗するために新たな技術を探究し、潜在的に疑わしい取引を特定するた
めに自己学習システムを利用することにより、より洗練されたルールに基づく監視を実施している。更に、
当グループは、情報の共有を強化し、金融犯罪の検出を向上させるために、公共部門の株主とのAMLにおけ
る官民協力体制(法の執行を含む。)に積極的に参加を続ける。
クロスボーダー・リスクは、財政透明性に対する強い重視により、依然として、世界中の金融機関につい
て規制当局が注目している分野である。世界経済の変化と、税務当局が恒久的施設(PE)に関する主張の際
に要求を強めるようになっているという政治的圧力の結果として、PEに関連するリスクが増大している。こ
れには、現在及び将来の潜在的な法的概念の遡及適用が含まれる。当グループは、当局にとってのこの最近
の注力分野に対応するためにさらなる措置が必要かどうか、また、そのような措置とは何かを、積極的に評
価している。
2018年度及び2019年度において、当グループは、リスク・テーマの体系的なレビューを実施し、持続可能
な改善を推進するプログラムを開始した。これにより、オペレーショナル・リスクの問題のポートフォリオ
全体が減少し、新たに発見された不備の数が減少した。この傾向は、オペレーショナル・リスクの問題を特
定し、オーナーシップに対する説明責任を果たし、根本的な原因の解決に焦点を当てるための、より全体論
的なアプローチを示している。
オペレーショナル・リスク対応策
オペレーショナル・リスクは当グループの事業に固有の部分である。損失は、不適切な若しくは不十分な
社内手続、人員及びシステム又は外的原因により生じうる。オペレーショナル・リスクの定義には、コンダ
クト・リスクとコンプライアンス・リスクの両方が含まれる。UBSは、リスクと利益の一致の取れたバラン
スを実現するために、オペレーショナル・リスクの特定、管理、評価及び軽減を支援する当グループ全体の
枠組みを定義している。
オペレーショナル・リスク対応策は、UBSにおけるオペレーショナル・リスクを管理及び統制するための
要件を定めている。当該対応策は以下の柱に基づいている。
- オペレーショナル・リスク分類による固有リスクの分類(当グループの事業活動や外部要因の結果と
して生じうる重大なオペレーショナル・リスクの領域を定義する。)
- 統制評価プロセスによる統制の設計及び運営効果に対する評価
- 特定された統制上の不備についての積極的かつ持続的な改善
- 定量的指標及び基準値並びに定性的基準によるオペレーショナル・リスク選好の決定(オペレーショ
ナル・リスク事象に対する当グループ及び事業部門レベルの財務オペレーショナル・リスク選好ス
テートメントを含む。)、リスク選好に対するリスク・エクスポージャーの評価
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- リスク評価プロセスを通じた固有リスク及び残存リスクの評価並びに特定された不備に対処するため
に追加的な改善計画が必要かどうかの評価
部門の長及び説明義務を有する法人の経営幹部は、各分野におけるオペレーショナル・リスク管理の有効
性と、フロントからバックオフィスまでの統制環境の頑健性についての責任を負う。グループ部門長は、グ
ループ部門内の統制環境及びオペレーショナル・リスク管理について徹底した完全性と有効性を確認するこ
とにより、この責任の遂行において、当グループ法人の部門長及び説明義務を有する法人の経営幹部を支援
する責任を負う。全体としては、部門の長、グループ部門長及び説明義務を有する法人の経営幹部が、オペ
レーショナル・リスク対応策の実施を担当する。
コンプライアンス及びオペレーショナル・リスク・コントロール部門(C&ORC)は、当グループ全体にお
けるオペレーショナル・リスク管理の妥当性について独立した客観的視点を提供し、かつ当グループのオペ
レーショナル・リスクが確実に当グループのリスク選好に従って理解され、支配され、管理されるようにす
る責任を負う。C&ORCは、グループ・コンプライアンス、レギュレトリー&ガバナンス(GCRG)部門内に置
かれ、グループ執行役員会の構成員であるグループ・チーフ・コンプライアンス及びガバナンス・オフィ
サーの監督下にある。C&ORCは、オペレーショナル・リスクのみならず、コンプライアンス及びコンダクト
のトピックの両方を対象とする統合部門である。オペレーショナル・リスク対応策は、オペレーショナル・
リスクを管理し評価するための共通の基礎を形成するが、当グループに適用される法令、規則及び規制を当
グループが遵守していることを確かに説明するために、追加的なC&ORC活動を行っている。
2019年には、当グループは、オペレーショナル・リスク対応策を更に改善することにより、事業部が日常
的にリスクを管理するために使用する主要なツールとして当該対応策を更に組み込むための、統制上の不備
を持続的に改善するためのプロセス、UBSの各法人のリスク管理プロセス及び上級役員報告ツールを強化し
た。
当グループの全ての部門は、それぞれ内部統制の設計及び業務効率の評価を定期的に行うことを義務づけ
られている。これらの評価のアウトプットは、サーベンス・オクスリー法第404条(SOX法第404条)により
義務づけられる財務報告に対する内部統制手段の評価及びテストのベースともなる。
内部統制プロセス及びリスク評価プロセス中に確認される重大な統制上の不備は、オペレーショナル・リ
スクの要約として報告されなければならず、持続可能な改善策が策定及び実施される必要がある。これらの
統制上の不備は上級役員レベルの所有者に割り当てられ、改善の進行度が、かかる各管理責任者の年間実績
測定及び経営目的に反映される。発生源を問わず、最も重要な統制上の不備に優先順位を付け、総リスク・
エクスポージャーを測定する一助として、外部監査と同様に、共通の格付方法が3つの防衛線の全てにわ
たって採用される。
先進的計測手法モデル
上記に詳述したオペレーショナル・リスク対応策は、オペレーショナル・リスクに関する規制資本の算定
の基盤となるものであり、これにより当グループは、事業部門に対する関連するオペレーショナル・リスク
資本割当手法の一環として、オペレーショナル・リスクの定量化及び効果的なリスクの軽減管理インセン
ティブの確定が可能となる。
当グループは、FINMAの要件に従い、先進的計測手法(AMA)を利用して、当グループのオペレーショナ
ル・リスクのエクスポージャーを測定し、オペレーショナル・リスクに係る規制資本を計算している。
UBSスイスAGについては事業体独自のAMAモデルが適用されているが、規制対象事業体については、現地の
規制当局の承認を得た上で、規制資本に関して基本的指数又は標準的手法が採用されている。また、事業体
独自の自己資本充実度に関する評価プロセスのために、当グループのAMAの方法論が利用されている。
現在、当該モデルには15種類のAMA測定単位(UoM)が含まれており、かかるUoMは当グループのオペレー
ショナル・リスク分類法と可能な限り綿密に連動している。各モデル測定単位につき、頻度と重要度の分布
が較正される。そして、頻度と重要度の両方につきモデル化された分布関数を利用して、年間損失分布が作
成される。その結果として得られる、全UoMにわたる全体的な年間オペレーショナル・リスク損失分布の
99.9%の分位が、必要規制資本を決定する。現在、当グループは、AMAモデルにおいて保険又はその他のリ
スク移転メカニズムを通じた軽減を反映していない。
AMAモデルの較正及び審査
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データ駆動の頻度と重要度の分布を較正する際に重要な前提は、過去の損失が将来の事象の合理的な代替
物になるということである。AMAの手法は、規制上の要請に合わせて、モデルの較正のために、過去の内部
損失及びより広い業界が被った外部損失の両方を利用する。
過去の損失により駆動される当初のモデルのアウトプットは、事業戦略の変更及び統制の枠組みの拡充等
の内部要因だけでなく、新たな規制、地政学的変化、不安定な市場及び経済情勢等、急速に変化する外部の
事情を反映するために、審査され、調整される。その結果得られたベースラインのデータ駆動の頻度と重要
度の分布は、対象分野の専門家によって審査され、必要に応じて、損失を予測することを目的として、事業
環境及び内部統制要因に関する定性的情報の検討並びに専門家の判断に基づいて調整される。
リスク感応度を維持するために、当グループのモデルは、定期的に審査されており、少なくとも年1回、
再較正される。再較正又は方法論の変更の結果として規制資本が変更される場合には、かかる変更は、開示
目的のための利用に先立ち、承認を得るためにFINMAに提出される。
AMAモデルのガバナンス
当グループ及び法人に特有のAMAモデルは、当グループのモデルに係るリスク管理の枠組みに合わせて、
モデル・リスク管理&統制部門(MRMC)によって行われる独立の検証を受ける。
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
本項には将来に関する事項が含まれているが、当該事項は2019年12月31日現在において判断したものであ
る。
UBS AG(連結)総損失吸収力及びレバレッジ比率情報
ゴーイングコンサーン及びゴーンコンサーン・ベースの要件及び情報
UBSは、スイス連邦銀行法に基づくシステム上関連ある銀行(SRB)と考えられ、UBSグループAG及びUBS
AGは両者とも、連結ベースで、スイスSRBに適用あるバーゼルⅢの枠組みに基づく規制に服している。
UBS AG(連結)に適用あるスイスSRBの枠組み及び要件は、UBSグループAG(連結)に適用ある同枠組み及
び要件と一致する。
UBS AGは、単体ベースでゴーイングコンサーン・ベースの要件に服している。UBS AG(単体)についての
資本及びその他の規制情報は、www.ubs.com/investorsに掲載される「Holding company and significant
regulated subsidiaries and sub-groups」(英文)、並びにwww.ubs.com/investorsに掲載される「Pillar
3 disclosures」から入手可能な2019年12月31日付第3の柱に関する報告(英文)に記載されている。
下記の表は、UBS AG(連結)に関する2019年12月31日現在のリスク加重資産(RWA)及びレバレッジ比率
分母(LRD)に基づく要件及び情報を記載している。
スイスSRBに基づくゴーイングコンサーン及びゴーンコンサーン・ベースの要件及び情報
移行規定を含むスイスSRB 2020年1月1日現在のスイスSRB
2019年12月31日現在 RWA LRD RWA LRD
単位:百万米ドル、
別掲されている場合を除く % % % %
ゴーイングコンサーン・ベースの所要
自己資本
ゴーイングコンサーン・ベースの総自
1 2 2
己資本 13.71 35,353 4.50 41,005 14.25 36,745 4.88 44,423
普通株式等Tier 1自己資本
9.81 25,297 3.20 29,159 9.95 25,658 3.38 30,754
内、最低自己資本 4.90 12,634 1.70 15,491 4.50 11,602 1.50 13,668
内、バッファー自己資本 4.60 11,860 1.50 13,668 5.14 13,253 1.88 17,086
内、カウンターシクリカル・
バッファー 0.31 803 0.31 803
最大その他Tier 1自己資本
3.90 10,055 1.30 11,846 4.30 11,087 1.50 13,668
内、その他Tier 1自己資本
3.10 7,993 1.30 11,846 3.50 9,024 1.50 13,668
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内、その他Tier 1バッファー自己
資本 0.80 2,063 0.80 2,063
ゴーイングコンサーン・ベースの適格
自己資本
ゴーイングコンサーン・ベースの総自
己資本 20.33 52,405 5.75 52,405 18.32 47,237 5.18 47,237
普通株式等Tier 1自己資本
13.68 35,280 3.87 35,280 13.68 35,280 3.87 35,280
3
損失吸収その他Tier 1総自己資本
6.64 17,126 1.88 17,126 4.64 11,958 1.31 11,958
内、高トリガーの損失吸収その他
Tier 1自己資本
4.64 11,958 1.31 11,958 4.64 11,958 1.31 11,958
内、低トリガーの損失吸収Tier 2
自己資本 2.00 5,168 0.57 5,168
ゴーンコンサーン・ベースの所要自己
資本
ゴーンコンサーン・ベースの総損失吸
収力 9.51 24,531 3.27 29,786 10.33 26,644 3.70 33,715
内、基盤要件 10.52 27,124 3.63 33,032 12.86 33,157 4.50 41,005
内、市場シェア及びLRDに関するそ
4
の他の要件 0.81 2,088 0.28 2,563 1.08 2,785 0.38 3,417
内、要件に係る適用ある控除 (1.82) (4,681) (0.64) (5,809) (3.61) (9,297) (1.18) (10,707)
内、付与されたリベート(最大リ
(1.82)
ベートの42.5%相当) (4,681) (0.64) (5,809) (2.27) (5,851) (0.80) (7,261)
内、低トリガーのTier 2資本性証
券の使用に関する低減 (1.34) (3,446) (0.38) (3,446)
ゴーンコンサーン・ベースの適格自己
資本
ゴーンコンサーン・ベースの総損失吸
収力 13.57 35,000 3.84 35,000 15.58 40,168 4.41 40,168
Tier 1総自己資本
0.94 2,415 0.26 2,415 0.94 2,415 0.26 2,415
内、低トリガーの損失吸収その他
Tier 1自己資本
0.94 2,415 0.26 2,415 0.94 2,415 0.26 2,415
Tier 2総自己資本
0.88 2,263 0.25 2,263 2.88 7,431 0.82 7,431
内、低トリガーの損失吸収Tier 2
3
自己資本 0.67 1,724 0.19 1,724 2.67 6,892 0.76 6,892
内、非バーゼルⅢ適格Tier 2自己
資本 0.21 540 0.06 540 0.21 540 0.06 540
TLAC適格非劣後無担保債務 11.76 30,322 3.33 30,322 11.76 30,322 3.33 30,322
総損失吸収力
所要総損失吸収力 23.23 59,884 7.77 70,791 24.59 63,389 8.57 78,138
適格総損失吸収力 33.90 87,405 9.59 87,405 33.90 87,405 9.59 87,405
リスク加重資産/レバレッジ比率分母
リスク加重資産 257,831 257,831
レバレッジ比率分母 911,232 911,232
1 2 3
適用ある追加額が、RWAについて0.54%含まれる。 適用ある追加額が、RWAについて1.08%及びLRDについて0.375%含まれる。 (ⅰ)
満期償還日若しくは最初の早期償還日、又は(ⅱ)2019年12月31日のいずれか早い方の日まで、ゴーイングコンサーン・ベースの要件を
満たす目的で、スイスSRBの枠組みの移行規則に基づく未償還の低トリガーの損失吸収Tier 2資本性証券が含まれる。未償還の低トリガー
の損失吸収Tier 2資本性証券は、それらの満期の5年前から開始する分割償還に服し、償還される金額はゴーンコンサーン・ベースの総
損失吸収力としての適格を有する。この表に反映されている通り、ゴーンコンサーン・ベースの要件を満たすのに利用可能な証券は、適
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格が終了する年に適用された50%のヘアカットを伴い、満期償還日の1年前まで適格を有する。2019年11月に公表され、2020年1月1日
に発効した改正後の自己資本に関する規則に基づき、現行の50%のヘアカットは、もはや適用されない。詳細については、本書の「規制
4
及 び法律の動向」の項を参照されたい。 市場シェアに関するより低い追加額要件が2019年第4四半期に適用され、移行規則に基づくとそ
の内0.27%がRWAに、0.09%がLRDに適用され、2020年1月1日現在の最終規則に基づくと0.36%がRWAに、0.125%がLRDに適用された。
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スイスSRBに基づくゴーイングコンサーン及びゴーンコンサーン・ベースの情報
移行規定を含む 2020年1月1日
スイスSRB 現在のスイスSRB
2019年12月31日 2018年12月31日 2019年12月31日 2018年12月31日
単位:百万米ドル、別載されている場合を除く 現在 現在 現在 現在
ゴーイングコンサーン・ベースの適格自己資本
ゴーイングコンサーン・ベースの総自己資本 52,405 48,421 47,237 42,413
Tier 1総自己資本
47,237 42,413 47,237 42,413
普通株式等Tier 1自己資本
35,280 34,608 35,280 34,608
損失吸収その他Tier 1総自己資本
11,958 7,805 11,958 7,805
11,958 7,805 11,958 7,805
内、高トリガーの損失吸収その他Tier 1自己資本
Tier 2総自己資本
5,168 6,008
1
5,168 6,008
内、低トリガーの損失吸収Tier 2自己資本
2
ゴーンコンサーン・ベースの適格自己資本
ゴーンコンサーン・ベースの総損失吸収力 35,000 33,830 40,168 39,837
Tier 1総自己資本
2,415 2,378 2,415 2,378
3
内、低トリガーの損失吸収その他Tier 1自己資本 2,415 2,378 2,415 2,378
Tier 2総自己資本
2,263 1,464 7,431 7,471
1
1,724 771 6,892 6,779
内、低トリガーの損失吸収Tier 2自己資本
4
540 693 540 693
内、非バーゼルⅢ適格Tier 2自己資本
TLAC適格非劣後無担保債務 30,322 29,988 30,322 29,988
総損失吸収力
総損失吸収力 87,405 82,251 87,405 82,251
リスク加重資産/レバレッジ比率分母
リスク加重資産 257,831 262,840 257,831 262,840
レバレッジ比率分母 911,232 904,458 911,232 904,458
自己資本及び損失吸収力比率(%)
ゴーイングコンサーン・ベースの自己資本比率 20.3 18.4 18.3 16.1
13.7 13.2 13.7 13.2
内、普通株式等Tier 1自己資本比率
ゴーンコンサーン・ベースの損失吸収力比率 13.6 12.9 15.6 15.2
総損失吸収力比率 33.9 31.3 33.9 31.3
レバレッジ比率(%)
ゴーイングコンサーン・ベースのレバレッジ比率 5.8 5.4 5.2 4.7
3.87 3.83 3.87 3.83
内、普通株式等Tier 1レバレッジ比率
ゴーンコンサーン・ベースのレバレッジ比率 3.8 3.7 4.4 4.4
総損失吸収力レバレッジ比率 9.6 9.1 9.6 9.1
1
スイスSRBの枠組みの移行規則に基づき、未償還の低トリガーの損失吸収Tier 2資本性証券は、それらの満期の5年前から開始する分割
2
償還に服し、償還される金額はゴーンコンサーン・ベースの総損失吸収力としての適格を有する。 この表に反映されている通り、ゴーン
コンサーン・ベースの要件を満たすのに利用可能な証券は、適格が終了する年に適用された50%のヘアカットを伴い、満期償還日の1年
前まで適格を有する。2019年11月に公表され、2020年1月1日に発効した改正後の自己資本に関する規則に基づき、現行の50%のヘア
3
カットは、もはや適用されない。詳細については、本書の「規制及び法律の動向」の項を参照されたい。 関連ある資本性証券は、新しい
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4
スイスSRBの枠組みが実施された後に発行されたため、ゴーンコンサーン・ベースの損失吸収力としての適格を有する。 非バーゼルⅢ適
格Tier 2資本性証券は、ゴーンコンサーン・ベースの証券としての適格を有する。
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2020年1月1日以降適用になるスイスSRB規則に基づくUBSグループAG対UBS AG連結損失吸収力及びレバレッ
ジ比率情報
2019年12月31日現在、UBS AG(連結)のゴーイングコンサーン・ベースの自己資本は、UBSグループAG
(連結)の当該数値を47億米ドル下回った。これは、その他Tier 1(AT1)自己資本が43億米ドル下回り、
かつ普通株式等Tier 1(CET1)自己資本が3億米ドル下回ったことを反映している。UBS AG(連結)のゴー
ンコンサーン・ベースの損失吸収力は、低トリガーの損失吸収AT1自己資本に起因して24億米ドル上回っ
た。
CET1自己資本における3億米ドルの差異は、主に、株主に対する資本還元の異なる見越計上額及びUBSグ
ループAG(連結)とUBS AG(連結)との間の持分の差異によるものであったが、UBSグループAGレベルでの
報酬関連資本計上額により一部相殺された。
ゴーイングコンサーン・ベースの損失吸収AT1自己資本における43億米ドルの差異は、UBSグループAGレベ
ルで発行された損失吸収AT1自己資本証券(2014年から2018年の業績年度について適格従業員に付与された
高トリガーの損失吸収繰延条件付資本制度(DCCP)報奨20億米ドルを含む。)に関連している。
ゴーンコンサーン・ベースの低トリガーのAT1自己資本における24億米ドルの差異は、新しいスイスSRBの
枠組みが実施された後にUBS AGが発行した2つの資本性証券に関連しているため、ゴーイングコンサーン・
ベースの自己資本の中では認識されていないが、ゴーンコンサーン・ベースの損失吸収力としての適格を有
する。UBSグループAGによる低トリガーのAT1自己資本の発行は、全て、新しいスイスSRBの枠組みの実施前
に行われたため、ゴーイングコンサーン・ベースの自己資本としての適格を有する。
従業員報酬制度に関連したUBSグループAG(連結)とUBS AG(連結)の自己資本の差異は、UBS AG及びそ
の子会社の従業員が対象となるサービスを遂行し、当該サービスが結果的にUBS AG及びその子会社の勘定に
計上される限度において、逆になる。かかる逆転は、通常、従業員報酬制度のサービス期間に亘り発生す
る。
レバレッジ比率の枠組みは、UBS AG(連結)とUBSグループAG(連結)で一致している。2019年12月31日
現在、UBS AG(連結)に関するゴーイングコンサーン・ベースのレバレッジ比率は、UBSグループAG(連
結)よりも0.5パーセント・ポイント下回った。これは主に、UBS AG(連結)のゴーイングコンサーン・
ベースの自己資本が47億米ドル下回ったことによる。
スイスSRBに基づく普通株式等Tier 1自己資本に対するIFRS資本の調整(UBSグループAG(連結)対UBS AG(連
結))
2019年12月31日現在
UBS AG
UBSグループ
単位:百万米ドル AG(連結) (連結) 差異
IFRS資本合計 54,707 53,928 779
非支配株主持分に帰属する持分 (174) (174) 0
確定給付制度、税引後 (9) (9) 0
税務上の繰越欠損金として認識された繰延税金資産 (6,121) (6,121) 0
一時差異に関する繰延税金資産、基準値超過分 (221) (226) 6
のれん、税引後 (6,178) (6,178) 0
無形資産、税引後 (195) (195) 0
報酬関連構成要素(当期純利益に認識されない分) (1,717) (1,717)
引当金を除く先進的内部格付ポートフォリオに係る予想損失 (495) (495) 0
キャッシュ・フロー・ヘッジからの未実現(利益)/損失、税引後 (1,260) (1,260) 0
貸借対照表日に存在する公正価値で測定される金融負債の(利益)/
損失に係る自己の信用、税引後 48 48 0
プルーデンス評価調整 (104) (104) 0
株主に対する提案済配当金計上 (2,628) (3,848) 1,220
その他 (72) (86) 14
普通株式等Tier 1自己資本合計
35,582 35,280 302
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スイスSRBに基づくゴーイングコンサーン及びゴーンコンサーン・ベースの情報(UBSグループAG(連結)対UBS
AG(連結))
2019年12月31日現在 移行規定を含むスイスSRB 2020年1月1日現在のスイスSRB
UBS AG UBS AG
単位:百万米ドル、 UBSグループAG UBSグループAG
別載されている場合を除く (連結) (連結) 差異 (連結) (連結) 差異
ゴーイングコンサーン・ベースの適格自己資本
ゴーイングコンサーン・ベースの総自己資本 57,056 52,405 4,650 51,888 47,237 4,650
Tier 1総自己資本 4,650
51,888 47,237 4,650 51,888 47,237
普通株式等Tier 1自己資本 302
35,582 35,280 302 35,582 35,280
損失吸収その他Tier 1総自己資本
16,306 11,958 4,348 16,306 11,958 4,348
内、高トリガーの損失吸収その他Tier 1自己
13,892 11,958 1,935 13,892 11,958 1,935
資本
内、低トリガーの損失吸収その他Tier 1自己
2,414 2,414 2,414 2,414
資本
Tier 2総自己資本
5,168 5,168 0
1
5,168 5,168 0
内、低トリガーの損失吸収Tier 2自己資本
2
ゴーンコンサーン・ベースの適格自己資本
ゴーンコンサーン・ベースの総損失吸収力 32,585 35,000 (2,415) 37,753 40,168 (2,415)
Tier 1総自己資本 2,415 (2,415)
2,415 (2,415)
内、低トリガーの損失吸収その他Tier 1自己資
3 3
2,415 (2,415) 2,415 (2,415)
本
Tier 2総自己資本 7,431 0
2,263 2,263 0 7,431
1
6,892 0
1,724 1,724 0 6,892
内、低トリガーの損失吸収Tier 2自己資本
540 540 0 540 540 0
内、非バーゼルⅢ適格Tier 2自己資本
TLAC適格非劣後無担保債務 30,322 30,322 0 30,322 30,322 0
総損失吸収力
総損失吸収力 89,641 87,405 2,235 89,641 87,405 2,235
リスク加重資産/レバレッジ比率分母
リスク加重資産 259,208 257,831 1,376 259,208 257,831 1,376
レバレッジ比率分母 911,325 911,232 94 911,325 911,232 94
自己資本及び損失吸収力比率(%)
ゴーイングコンサーン・ベースの自己資本比率 22.0 20.3 1.7 20.0 18.3 1.7
13.7 13.7 0.0 13.7 13.7 0.0
内、普通株式等Tier 1自己資本比率
ゴーンコンサーン・ベースの損失吸収力比率 12.6 13.6 (1.0) 14.6 15.6 (1.0)
総損失吸収力比率 34.6 33.9 0.7 34.6 33.9 0.7
レバレッジ比率(%)
ゴーイングコンサーン・ベースのレバレッジ比率 6.3 5.8 0.5 5.7 5.2 0.5
3.90 3.87 0.03 3.90 3.87 0.03
内、普通株式等Tier 1レバレッジ比率
ゴーンコンサーン・ベースのレバレッジ比率 3.6 3.8 (0.3) 4.1 4.4 (0.3)
総損失吸収力レバレッジ比率 9.8 9.6 0.2 9.8 9.6 0.2
1
スイスSRBの枠組みの移行規則に基づき、未償還の低トリガーの損失吸収Tier 2資本性証券は、それらの満期の5年前から開始する分割
2
償還に服し、償還される金額はゴーンコンサーン・ベースの総損失吸収力としての適格を有する。 この表に反映されている通り、ゴーン
コンサーン・ベースの要件を満たすのに利用可能な証券は、適格が終了する年に適用された50%のヘアカットを伴い、満期償還日の1年
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前まで適格を有する。2019年11月に公表され、2020年1月1日に発効した改正後の自己資本に関する規則に基づき、現行の50%のヘア
3
カットは、もはや適用されない。詳細については、本書の「規制及び法律の動向」の項を参照されたい。 関連ある資本性証券は、新しい
ス イスSRBの枠組みが実施された後に発行されたため、ゴーンコンサーン・ベースの損失吸収力としての適格を有する。
UBS AGのセグメント報告に関する情報については、本書「第6 経理の状況 1 財務書類」記載の「連
結財務書類に対する注記」の注記2を参照のこと。また、本書「第6 経理の状況 1 財務書類」の「参
考情報」に含まれる「UBS AG(連結)主要な数値」の表を参照されたい。
以下に記載される情報は、別途記載がない限り、UBS AG(連結ベース)の情報ではなく、UBSグループAG
(連結ベース)の情報であり、専ら参考情報として記載している。UBS AGの財務情報(連結ベース)はUBS
グループAG(連結ベース)の財務情報と大きな差異はないことに留意されたい。UBSグループAG(連結ベー
ス)とUBS AG(連結ベース)との間における、主要な財務情報の差異については、本書「第6 経理の状
況 1 財務書類」の「参考情報」に含まれる「UBSグループAG(連結)とUBS AG(連結)の比較」を参照
されたい。
UBSグループの業績
2018年度と2019年度の比較
業績
株主に帰属する当期純利益は、2019年度において43億400万米ドルであった。これには純税金費用12億
6,700万米ドルが含まれていた。2018年度における株主に帰属する当期純利益は45億1,600万米ドルであった
が、これには純税金費用14億6,800万米ドルが含まれていた。
税引前利益は4億1,400万米ドル(7%)減少して55億7,700万米ドルとなったが、これは営業収益の減少
を反映したものであり、営業費用の減少により一部相殺されている。営業収益は13億2,400万米ドル(4%)
減少し、288億8,900万米ドルとなったが、これは受取利息純額及び純損益を通じて公正価値で測定される金
融商品に係るその他の収益純額の6億6,500万米ドルの減少、受取報酬及び手数料純額の4億8,200万米ドル
の減少並びにその他の収益の2億1,600万米ドルの減少を反映したものである。営業費用は、9億1,000万米
ドル(4%)減少して233億1,200万米ドルとなった。これは、主に一般管理費の15億900万米ドルの減少に牽
引されたものであったが、主として賃借料の5億3,300万米ドルの減少並びに訴訟、規制上及び類似の問題に
関する費用の4億9,200万米ドルの減少を反映していた。これは、有形固定資産及びソフトウェアの減価償却
費及び減損の5億3,700万米ドルの増加並びにのれん及び無形資産の償却費及び減損の1億1,000万米ドルの
増加により一部相殺されている。
当グループは、国際財務報告基準(IFRS)に基づく業績報告に加え、経営陣が当グループ事業の基礎的な
業績を表すものではないと判断する項目を除外した調整後の業績を報告している。かかる調整後の業績は、
米国証券取引委員会(SEC)規則により定義される非GAAPの金融基準に基づくものである。かかる調整には、
2017年度末に完了した当グループの21億スイス・フランのコスト削減プログラム(以下「レガシー・コス
ト・プログラム」という。)に関連するリストラクチャリング費用及び新たなリストラクチャリングのイニ
シアチブに関連する費用が含まれている。2019年度通期において、当グループは、レガシー・コスト・プロ
グラムに関連したリストラクチャリング費用のランオフとして2億500万米ドルを計上したが、現在のところ
2020年度以降はゼロになると見込んでいる。更に当グループは、2019年度第4四半期に、インベストメン
ト・バンクにおける計画された構造改革に関連して7,900万米ドルのリストラクチャリング費用を計上した。
当グループは、当グループ全体での追加のコスト削減措置に関連して、2020年度に約2億米ドルのリストラ
クチャリング費用を計上する見込みであり、この費用の大部分は当年度上半期に計上される。
当グループは、2020年1月に、報告された業績に基づき更新済みの当グループの業績目標とともに、当グ
ループの業績目標の体系を更新して簡素化した。2020年度第1四半期から当グループでは調整後の業績を開
示しない。ただし、リストラクチャリング及び訴訟費用並びに経営陣が事業の基礎的な業績を表すものでは
ないと判断するその他の重要な損益項目については引き続き開示する。
2019年度の調整後の業績を決定するにあたり、当グループは、2億8,400万米ドルのリストラクチャリング
費用純額、のれんの減損に関する1億1,000万米ドルの損失、3,500万米ドルの為替差損純額及び売却目的保
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有不動産に再分類された不動産の再評価に関連する2,900万米ドルの損失を除外した。2018年度については、
当グループは、関連会社投資に関連する利得4億6,000万米ドル、不動産売却益3,100万米ドル、子会社及び
事 業の売却益2,500万米ドル、UBSセキュリティーズ・チャイナの株式保有の増加に関連する再評価による損
失2億7,000万米ドル、スイスの年金制度の変更に関連する利得2億4,100万米ドル、並びにリストラクチャ
リング費用の純額5億6,100万米ドルを除外した。
かかる調整後ベースで、税引前利益は僅かに減少して、60億3,500万米ドルとなった。
営業収益
営業収益合計は、13億2,400万米ドル(4%)減少して、288億8,900万米ドルとなった。調整後ベースで、
営業収益合計は、10億1,300万米ドル(3%)減少して289億5,300万米ドルとなった。
受取利息純額及び純損益を通じて公正価値で測定される金融商品に係るその他の収益純額
受取利息純額及び純損益を通じて公正価値で測定される金融商品に係るその他の収益純額の合計は、6億
6,500万米ドル減少して、113億4,300万米ドルとなった。これは、主に、インベストメント・バンク及びグ
ローバル・ウェルス・マネジメントにおける純収益の減少によるものであった。
グローバル・ウェルス・マネジメント
グローバル・ウェルス・マネジメントにおける受取利息純額は、1億5,400万米ドル減少して、39億4,700
万米ドルとなった。これは、主に、マージンの縮小及び低マージン商品への移行により貸付及び預金からの
収益が減少したことを反映したものであった。こうした効果は、持分投資収益の増加により一部相殺されて
いる。
外国為替及びその他の仲介業務からの取引ベース収益は、1,800万米ドル増加して9億6,600万米ドルと
なったが、これは主に顧客活動が活発化したことに牽引された外国為替取引からの収益増加によるもので
あった。
パーソナル&コーポレート・バンキング
パーソナル&コーポレート・バンキングにおける受取利息純額は、5,700万米ドル減少して、19億9,200万
米ドルとなった。これは、主に、総損失吸収力に寄与する長期債務の資金調達費用の増加、及びバンキング
勘定受取利息の減少を反映したものであったが、預金からの収益の増加により一部相殺されている。
外国為替及びその他の仲介業務からの取引ベース収益は、4,100万米ドル増加して4億4,300万米ドルと
なったが、これは主に外国為替取引からの純収益の増加によるものであった。
インベストメント・バンク
インベストメント・バンクにおける受取利息純額及び純損益を通じて公正価値で測定される金融商品に係
るその他の収益純額は、5億6,700万米ドル減少して41億8,900万米ドルとなった。これは、主にレバレッジ
ド・ファイナンス収益の減少を反映し、かつ2018年度には当グループの株式資本市場業務及びリスク管理業
務のポートフォリオ全体において取引からの利得が増加したことから、コーポレート・クライアント・ソ
リューションが3億3,500万米ドル減少したことによるものである。更に、当グループの株式業務における1
億9,800万米ドルの収益減少は、プライム・ブローカレッジの顧客残高の減少及びマージンの縮小並びに株式
業務の全商品ラインにおいて顧客活動が鈍化したことによるものであった。
コーポレート・センター
コーポレート・センターにおける受取利息純額及び純損益を通じて公正価値で測定される金融商品に係る
その他の収益純額は、3,200万米ドル増加した。これは、ヘッジ会計の非有効部分、会計上の非対称性による
収益及び受取利息純額の増加により、資金業務関連収益純額が4億2,100万米ドル増加したことを反映してい
る。これは、2019年度第1四半期に採用されたIFRS第16号「リース」を適用した結果として認識されたリー
ス負債に関連した1億2,200万米ドルの追加の支払利息、及び主に金利の上昇に牽引された資産に関連する資
金調達費用の約1億3,000万米ドルの増加により、リテインド・サービスにおいて収益が2億5,200万米ドル
減少したことよって一部相殺されている。加えて、非中核事業及びレガシー・ポートフォリオにおける収益
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は1億3,700万米ドル減少したが、これは主にオークション・レート証券の評価益の増加が2018年度に含まれ
ていたことによる。
信用損失費用/戻入
正味信用損失費用の合計は、前年度の1億1,800万米ドルに対して2019年度には7,800万米ドルとなった。
これは、主にパーソナル&コーポレート・バンキング及び(それより程度は下回るものの)インベストメン
ト・バンク及びグローバル・ウェルス・マネジメントを中心とした信用減損(ステージ3)ポジションに関
連する正味信用損失費用1億米ドルを反映しており、ステージ1及びステージ2ポジションからの予想信用
損失費用引当金の取崩純額2,200万米ドルにより一部相殺されている。
受取報酬及び手数料純額
受取報酬及び手数料純額は、前年度の178億9,500万米ドルに対して、174億1,300万米ドルとなった。
仲介報酬純額は、2019年度上半期を通じて顧客活動が鈍化したことを主たる原因として、主にインベスト
メント・バンク及びグローバル・ウェルス・マネジメントにおいて2億6,700万米ドル減少した。
投資信託報酬並びにポートフォリオの運用及び関連業務報酬は、グローバル・ウェルス・マネジメントに
牽引されて、1億9,600万米ドル減少した。その大部分は、2019年度第1四半期の平均投資資産の減少並びに
マージンの縮小及び低マージン商品への移行を反映したものである。こうした効果は、平均投資資産の増加
による効果を反映したアセット・マネジメントにおける8,200万米ドルの増加、及び前向きな市場環境におい
て運用実績が好調であったことを反映した実績報酬の増加により一部相殺されている。
引受報酬は、公募による収益が減少したことにより、主にインベストメント・バンクのコーポレート・ク
ライアント・ソリューション業務において7,000万米ドル減少した。
その他の収益
その他の収益は、報告ベースで、前年度の4億2,800万米ドルに対して、2億1,200万米ドルとなった。
2019年度には、3,500万米ドルの為替差損純額及び売却保有目的の不動産として再分類された不動産の再評価
に関連した2,900万米ドルの損失が含まれた。前年度には、SIXペイメント・サービスのワールドラインへの
売却に関連した、当グループによるSIXの株式所有についての評価益4億6,000万米ドル、当グループによる
UBSセキュリティーズ・チャイナの株式所有の増加に関連した再評価に係る損失2億7,000万米ドル、不動産
の売却益3,100万米ドル及び子会社の売却益2,500万米ドルが含まれた。これらの項目を除くと、主に訴訟上
の請求の和解、レガシー証券のポジションに関連した利得及びデフォルト・カウンターパーティ・ポジショ
ンについての請求に関連した収益により、調整後のその他の収益は9,400万米ドル増加した。
営業費用
営業費用合計は、9億1,000万米ドル(4%)減少して、233億1,200万米ドルとなった。調整後ベースでの
営業費用合計は、9億8,500万米ドル(4%)減少して、229億1,800万米ドルとなった。
人件費
人件費は、報告ベースで4,800万米ドル減少して、160億8,400万米ドルとなった。これは、主に、変動報酬
の減少、外部委託費用の減少及びその他の人件費の減少を反映しているが、2018年度にはスイスの年金制度
変更に関連する2億4,100万米ドルの利得が含まれていたことにより年金及びその他の退職後給付制度に関す
る費用が増加したこと並びに給与コストが増加したことによって大幅に相殺された。調整後ベースで、人件
費は2億600万米ドル減少して、158億8,100万米ドルとなったが、主に前述した変動報酬の減少によるもので
あった。
支払給与は、7,000万米ドル増加して65億1,800万米ドルとなったが、これは主に特定の活動の第三者供給
業者から当グループのビジネス・ソリューションズ・センターへの継続的なインソーシング及び規制要件に
対応するための人員の増加によるものであった。こうした増加は、グローバル・ウェルス・マネジメントに
おける支払給与の減少によって一部相殺された。調整後ベースでの支払給与は、1億7,000万米ドル増加して
64億4,300万米ドルとなったが、これは主に前述したインソーシングの効果を反映している。
変動報酬費用合計は、2億3,700万米ドル減少し、調整後の変動報酬費用合計は2億6,100万米ドル減少し
た。これは、主に、当年度の報奨に関する費用が減少したことを反映している。
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ファイナンシャル・アドバイザー報酬は40億4,300万米ドルと概ね安定していた。
その他の人件費は、9,900万米ドル減少し、調整後のその他の人件費は1億300万米ドル減少した。これ
は、主に、医療保険及び採用活動費の減少によるものであった。
一般管理費
一般管理費は、15億900万米ドル減少して、52億8,800万米ドルとなった。これは、前年度に、主に当グ
ループのクロスボーダー・ウェルス・マネジメント事業に関連した引当金の増加、並びにIT及びその他の
サービスの外部委託関連費用の2億6,900万米ドルの減少並びに専門家報酬の1億3,300万米ドルの減少が含
まれたことにより、訴訟、規制上及び類似の問題に関連した費用が4億9,200万米ドル減少したことによるも
のであった。
賃借料は、主に、2019年1月1日付IFRS第16号「リース」が適用された結果として5億3,300万米ドル減少
した。この減少は、いずれもIFRS第16号の適用に直接的に起因するリース不動産の減価償却費の増加4億
8,400万米ドル及びリース負債に関する支払利息の増加1億2,200万米ドルによる相殺分を上回っていた。
2019年度におけるIFRS第16号の適用による通期の影響は、税引前利益の約6,000万米ドルの純減であったが、
これは営業収益及び営業費用がそれぞれ約1億2,000万米ドル及び6,000万米ドル減少したことを反映してい
る。
2019年度の英国及びドイツの銀行税の純費用は4,100万米ドルであり、これは前年度関連の繰入額3,100万
米ドルを含んでいる。2018年度の英国とドイツの銀行税の純費用は5,800万米ドルであり、これは前年度関連
の繰入額4,500万米ドルを含んでいる。
調整後ベースでは、一般管理費は、13億5,600万米ドル減少して、52億1,600万米ドルであった。これは大
部分が、前述した訴訟、規制上及び類似の問題に関連した費用、IT及びその他のサービスの外部委託費用並
びに専門家報酬の減少によるものであった。
当グループは、本業界では訴訟、規制上及び類似の事項に関連する費用が近い将来においても引き続き増
加すると考えられる状況での経営が続き、当グループは今後も多数の重要な請求及び規制事項の対象となる
と考えている。当該事項の結果、解決する時期、及び解決することにより当グループの将来の事業、財務成
績又は財政状態が受ける潜在的な影響を予測するのは極めて困難である。
減価償却費、償却費及び減損
有形固定資産及びソフトウェアの減価償却費及び減損は、報告ベースでは、5億3,700万米ドル増加し、17
億6,500万米ドルであり、調整後ベースでは、5億7,700万米ドル増加し、17億5,500万米ドルであった。これ
は主に、前述したIFRS第16号が適用された結果として減価償却費が4億8,400万米ドル増加したことによるも
のであった。
のれん及び無形資産の償却費及び減損は、報告ベースでは1億1,000万米ドル増加して1億7,500万米ドル
となった。これは、2019年第4四半期のインベストメント・バンクにおける1億1,000万米ドルののれんの減
損によるものであった。この項目を除くと、これらの費用はほぼ横ばいであった。
税金
当グループは法人所得税費用として、2018年度の14億6,800万米ドルに対して、2019年度においては12億
6,700万米ドル(実効税率22.7%に相当)を計上した。
これには、スイスにおける税金費用純額6億3,000万米ドルとスイス外における税金費用純額6億3,700万
米ドルが含まれている。
スイスにおける税金費用には、スイスの子会社が稼得した課税所得に関連する3億6,500万米ドルの当期税
金費用が含まれている。また、2億6,500万米ドルの繰延税金費用が含まれており、これは主に、控除可能な
一時差異に関連して過去に認識された繰延税金資産(DTA)の償却を反映していた。
スイス外における税金費用には、スイス外の子会社及び支店が稼得した課税所得に関連する4億2,600万米
ドルの当期税金費用が含まれている。また、2億1,100万米ドルの繰延税金費用が含まれており、これらは主
に税務上の繰越欠損金及び控除可能な一時差異に関連して過去に認識されたDTAの償却(UBSアメリカズ・イ
ンクにおける米国税務上の欠損金に係るDTAの償却を含む。)を反映している4億7,100万米ドルの費用を含
んでいた。これらは、当年度のUBS AGからUBSアメリカズ・インクに対する不動産資産の拠出から生じた追加
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的なDTAの認識に関する2億6,000万米ドルの便益により一部相殺されている。追加的なDTAの認識は、過去の
一定の不動産費用を資本に計上するために2018年第4四半期に実施された選択に関連していた。
2020年の通期税率は、繰延税金資産の再評価による潜在的影響を除いて、約25%であると見込んでいる。
株主に帰属する包括利益合計
2019年度の株主に帰属する包括利益合計は、当期純利益43億400万米ドル及びその他の包括利益(OCI)
(税引後)7億8,500万米ドルを反映して、50億8,900万米ドルとなった。
キャッシュ・フロー・ヘッジに関連するOCIは、プラス11億4,300万米ドルであった。これは、関連する米
ドル長期金利の低下により米ドルのヘッジ手段のデリバティブに関する未実現利得純額が増加したことを主
に反映していた。2018年度のキャッシュ・フロー・ヘッジに関連するOCIは、マイナス2億6,900万米ドルで
あった。
OCIを通じて公正価値で測定される金融資産に関連するOCIは、前年度のマイナス4,500万米ドルに対して、
プラス1億1,700万米ドルであり、主に2019年度における関連する米ドル長期金利の下落後の未実現利得純額
を反映したものであった。
2019年度の為替換算に関連するOCIは、プラス1億400万米ドルであった。これは、主に、米ドルに対する
スイス・フラン高及び英ポンド高並びに合計3,800万米ドルの純損失の損益計算書への再分類によるもので
あった。こうした効果は、ユーロ安により一部相殺された。2018年度の為替換算に関連するOCIは、マイナス
5億4,100万米ドルであった。
公正価値での測定を指定された金融負債に関する自己の信用に関連するOCIは、前年度のプラス5億900万
米ドルに対し、マイナス3億9,200万米ドルであり、これは主に、2019年度の信用スプレッドの縮小を反映し
ていた。
確定給付制度のOCI(税引後)は、前年度にプラス5,600万米ドルであったのに対し、マイナス1億8,600万
米ドルとなった。英国の確定給付制度に関する税引前OCIの合計はマイナス7,800万米ドルであった。これ
は、主に適用される割引率の低下による5億5,200万米ドルの損失に牽引された確定給付債務(DBO)の再評
価によるOCI損失3億6,100万米ドルを反映しており、予想年金増加率の低下による1億3,200万米ドルの利得
により一部相殺されている。これは、制度資産に対するプラスの利益による2億8,400万米ドルのOCI利益に
よって一部相殺されている。
スイスの確定給付制度に関連した税引前OCIの合計は、マイナス2,200万米ドルであった。これは、DBOの再
評価による17億2,800万米ドル及びIFRSの資産計上額の天井効果の増加による3億5,300万米ドルの損失を反
映しているが、制度資産に対するプラスの利益による20億5,900万米ドルの利得によりほぼ完全に相殺されて
いる。17億2,800万米ドルのDBOの再評価による損失は、適用割引率の減少による18億8,700万米ドルの損失及
び2億8,400万米ドルの経験損失(事前の保険統計上の仮定と実際の数値との差から生じる影響を反映してい
る。)によるものであった。こうした損失は、退職貯蓄に対する予想給付利率の低下による2億4,300万米ド
ル及び保険統計上の仮定のその他の変更による1億9,900万米ドルの利得により一部相殺されている。
金利動向感応度
2019年12月31日現在、当グループは、イールド・カーブが+100ベーシス・ポイント平行移動することによ
り、グローバル・ウェルス・マネジメント及びパーソナル&コーポレート・バンキングにおいて年間の受取
利息純額が合計で約6億米ドル増加する可能性があると見積もっている。イールド・カーブが-100ベーシ
ス・ポイント平行移動した場合には、年間の受取利息純額は合計で約6億米ドル減少する可能性がある。
これらの見積りは、全通貨で同様であり、かつ、当グループのバンキング勘定に適用されるインプライ
ド・フォワード・レートに関連する、金利の即時変動についての仮定シナリオに基づいている。更に、当該
見積りは、貸借対照表の規模及び構造に変動がないこと、外国為替レートが一定であること並びに特定の管
理活動が存在しないことを前提としている。
主要な数値
以下に当グループの主要な数値の概要を示す。資本管理に関する主要な数値の詳細情報は、UBSグループAG
及びUBS AGの2019年度年次報告書(英文)の「Capital management」の項を参照のこと。
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調整後の費用対収益比率
調整後の費用対収益比率は、前年度の79.5%に対して78.9%であった。これは、調整後の営業費用の減少
を反映しており、調整後の営業収益の減少によって相殺されている。
普通株式等Tier 1自己資本
普通株式等Tier 1(CET1)自己資本は、15億米ドル増加して、356億米ドルとなった。これは、主に、56億
米ドルの税引前営業利益によるもので、株主に対する投資利益の見越計上額26億米ドル、当グループの株式
買戻しプログラムによる効果8億米ドル及び当期税金費用8億米ドルにより一部相殺されている。
CET1自己資本利益率
当グループのCET1自己資本利益率(RoCET1)は、前年度に13.1%であったのに対し、12.4%となったが、
これは株主に帰属する当期純利益の2億米ドルの減少及び平均CET1自己資本の4億米ドルの増加によるもの
であった。
リスク加重資産
リスク加重資産(RWA)は、45億米ドル減少し、2,592億米ドルであった。これは、資産規模及びその他の
動向による80億米ドルの減少並びに7億米ドルの規制の追加を反映しており、方法論及び方針の変更に係る
20億米ドル、12億米ドルのモデルの更新並びに9億米ドルの為替効果によって一部相殺された。
普通株式等Tier 1自己資本比率
当グループのCET1自己資本比率は、0.8パーセンテージ・ポイント上昇して13.7%となった。これは、CET1
自己資本の15億米ドルの増加及びRWAの45億米ドルの減少を反映していた。
レバレッジ比率分母
レバレッジ比率分母(LRD)は、70億米ドル増加して9,110億米ドルであった。この増加は、50億米ドルの
為替効果及び40億米ドルの方針変更によるもので、資産規模及びその他の動向の20億米ドルの減少により一
部相殺されている。
普通株式等Tier 1レバレッジ比率
当グループのCET1レバレッジ比率は、3.77%から3.90%(2019年12月31日現在)に上昇した。これは、前
述したCET1自己資本の増加を反映しており、LRDの70億米ドルの増加によって一部相殺された。
ゴーイングコンサーン・ベースのレバレッジ比率
当グループのゴーイングコンサーン・ベースのレバレッジ比率は、5.1%から5.7%に上昇した。これは、
当グループのゴーイングコンサーン・ベースの資本の56億米ドルの増加を反映しており、前述したLRDの増加
によって一部相殺された。
従業員
2019年12月31日現在の当グループの従業員数(フルタイム換算)は、68,601名となった。2018年12月31日
現在と比べて1,713名の純増は、主に、特定の活動を引き続き第三者供給業者から当グループのビジネス・ソ
リューションズ・センターにインソーシングした(これにより、外部委託人員が約2,200名減少した。)結果
として、コーポレート・センターにおいて2,583名増加したことによるものであった。これは、コスト管理イ
ニシアチブの影響及びアドバイザー・ポートフォリオの見直しを反映して、グローバル・ウェルス・マネジ
メントにおいて944名減少したことにより一部相殺されている。
新規純資金及び投資資産
経営陣による新規純資金及び投資資産の検討及び分析については、本書「グローバル・ウェルス・マネジ
メント」及び「アセット・マネジメント」の項に記載されている。
季節的な特性
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当グループの収益には、特にインベストメント・バンクとグローバル・ウェルス・マネジメントに関し
て、季節的な特性が表れる場合がある。これらの事業部門は通常、第1四半期に顧客活動が最も活発とな
り、その他の時期(特に夏期数ヶ月間及び年末休暇の時期)には鈍化する。
新規純資金は、年1回の所得税の支払(米国においては第2四半期に集中している。)に影響を受ける可
能性がある。
グローバル・ウェルス・マネジメント
2018年度と2019年度の比較
業績
税引前利益は、1億4,300万米ドル(4%)増加し、33億9,700万米ドルとなった。2018年度のSIXペイメ
ント・サービスのワールドラインへの売却に関連する、当グループによるSIXの株式所有についての評価益
1億100万米ドル、前年度の当グループのスイスの年金制度に関連した貸方計上6,600万米ドル、及びリスト
ラクチャリング費用を除くと、調整後の税引前利益は、1億2,000万米ドル(4%)増加し、34億6,600万米
ドルであった。これらは営業費用の減少を反映したものであったが、営業収益の減少により一部相殺されて
いる。
営業収益には、詳細な顧客区分の見直しによって、60億米ドルの業務取扱高がグローバル・ウェルス・
マネジメントからパーソナル&コーポレート・バンキングに移動したことにより、パーソナル&コーポレー
ト・バンキングから受領した手数料7,500万米ドルが含まれている。
営業収益
営業収益合計は、4億3,200万米ドル(3%)減少し、163億5,300万米ドルとなった。前述した当グルー
プによるSIXの株式所有についての評価益を除くと、調整後の営業収益合計は、3億3,100万米ドル(2%)
減少した。これは主に、経常受取報酬純額及び受取利息純額の減少によるものであったが、取引ベース収益
及びその他の収益の増加により一部相殺されている。
受取利息純額は1億5,400万米ドル減少し、39億4,700万米ドルとなった。これは主に、預金及び貸出マー
ジンの減少によるものであったが、持分投資の収益の増加により、一部相殺されている。
経常受取報酬純額は3億1,900万米ドル減少し、92億5,800万米ドルとなった。これは、マージンの縮小及
び低マージン商品への移行を反映したものであったが、運用委託契約の浸透率の上昇により一部相殺されて
いる。
取引ベース収益は8,800万米ドル増加して30億5,900万米ドルとなった。その大部分は、前述したパーソナ
ル&コーポレート・バンキングから受領した手数料によるものであった。
その他の収益は、4,100万米ドル減少して1億1,000万米ドルとなった。前述した当グループによるSIXの
株式所有についての評価益を除くと、調整後のその他の収益は6,000万米ドル増加した。これは、南北アメ
リカの流動性ポートフォリオのリポジショニングに関連する利得及びレガシー証券のポジションに関連する
利得を主因とするものであった。
営業費用
営業費用合計は前年度から5億7,600万米ドル(4%)減少し、129億5,500万米ドルとなった。調整後の
営業費用は、4億5,100万米ドル(3%)減少し、128億8,700万米ドルとなった。
人件費は、6,200万米ドル減少して76億2,100万米ドルとなった。前述した当グループのスイスの年金制度
の変更に関連した貸方計上及びリストラクチャリング費用を除くと、調整後の人件費は9,300万米ドル減少
した。これは主に、変動報酬の減少及び従業員水準の低下によるものであった。
一般管理費は、5億700万米ドル減少して12億1,700万米ドルとなった。リストラクチャリング費用を除い
た調整後の一般管理費は、4億9,200万米ドル減少した。その大部分は、訴訟、規制上及び類似の問題に対
する引当金に関する費用の減少によるものである。
コーポレート・センター及びその他の事業部門に対する/からの業務費用純額は、1,400万米ドル減少し
て40億5,600万米ドルとなった。リストラクチャリング費用を除くと、調整後の業務費用純額は、1億2,600
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万米ドル増加し、39億8,800万米ドルとなった。これは主に、規制上のプロジェクトの費用及びIT開発費用
の増加によるものである。
税引前利益成長率
2019年度の税引前利益成長率は、前年度の1.1%に対して4.4%となった。調整後ベースでは、税引前利益
成長率は、前年度のマイナス12.1%に対してプラス3.6%となり、期間を通じて当部門の目標範囲である
10%から15%の範囲を下回った。
費用対収益比率
費用対収益比率は、前年度の80.5%に対して79.1%に下落した。調整後ベースでは、費用対収益比率は、
79.9%から78.7%に下落し、当部門の2019年度の目標である75%前後を上回った。
新規純資金
新規純資金流入額は、前年度247億米ドルであったのに対して、316億米ドルとなった。これは年換算新規
純資金増加率が、前年度1.0%であったのに対して1.4%となり、当部門の2019年度の目標範囲である2%か
ら4%の範囲を下回ったことを反映している。
投資資産
投資資産は、3,750億米ドル増加して、2兆6,350億米ドルとなった。これは主に、市場でのプラスの業績
3,360億米ドル、新規純資金流入額320億米ドル、及びプラスの為替換算の影響60億米ドルによるものであっ
た。運用委託契約の浸透率は、33.6%から34.3%にまで上昇している。
従業員
グローバル・ウェルス・マネジメント部門の雇用人数は、2018年12月31日現在の23,618名に対して、944
名減少して、2019年12月31日現在22,674名(フルタイム換算)だった。アドバイザーの数は、600名減少し
て10,077名であった。この減少は、費用管理イニシアチブ及びアドバイザーのポートフォリオの見直しの効
果を反映したものであった。
パーソナル&コーポレート・バンキング
2018年度と2019年度の比較
業績
税引前利益は、3億2,700万スイス・フラン(19%)減少し、14億3,300万スイス・フランとなった。調
整後の税引前利益は、3,700万スイス・フラン(3%)増加し、14億5,000万スイス・フランとなったが、こ
れは営業費用の減少と営業収益の減少を反映したものであった。この数字は、前年のSIXペイメント・サー
ビスのワールドラインへの売却に関連する、当グループによるSIXの株式保有についての評価益3億5,900万
スイス・フラン、2018年度の当グループのスイスの年金制度の変更に関連した貸方計上、及びリストラク
チャリング費用を除いたものであった。
営業収益には、詳細な顧客区分の見直しによって、60億スイス・フランの業務取扱高がグローバル・
ウェルス・マネジメントからパーソナル&コーポレート・バンキングに移動したことにより、グローバル・
ウェルス・マネジメントに支払われた手数料7,300万スイス・フランが含まれている。
営業収益
営業収益合計は、3億8,200万スイス・フラン(9%)減少し、36億9,200万スイス・フランとなった。前
述した当グループによるSIXの株式所有についての評価益を除くと、調整後の営業収益は2,300万スイス・フ
ラン減少した。これは主に、取引ベース収益の減少及び受取利息純額の減少を反映したものであるが、信用
損失費用の減少及び経常受取報酬純額の増加により一部相殺された。
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受取利息純額は2,300万スイス・フラン減少し、19億8,000万スイス・フランとなったが、これは主に、総
損失吸収力に寄与する長期債務の資金調達費用の増加及びバンキング勘定受取利息の減少によるものであ
る。これは、預金からの収益の増加により一部相殺された。
経常受取報酬純額は、主に一体としての商品からの報酬の増加を反映して、900万スイス・フラン増加し
て、6億3,400万スイス・フランとなった。
取引ベース収益は、4,100万スイス・フラン減少し、10億4,100万スイス・フランとなったが、これは主
に、前述したグローバル・ウェルス・マネジメントに支払われた手数料を反映したものであるが、クレジッ
トカード及び外国為替取引からの収益の増加により一部相殺されている。
その他の収益は3億5,900万スイス・フラン減少し、6,000万スイス・フランとなった。前述した当グルー
プによるSIXの株式所有についての評価益を除くと、調整後のその他の収益は安定を維持した。
正味信用損失費用は、前年度に5,500万スイス・フランであったのに対し、2,200万スイス・フランとなっ
た。これは、主要な経済インプットデータが引き続き好調に推移したことに続き、貸出金残高の水準にやや
改善がみられたこと、及びステージ3の正味信用損失が、前年度5,500万スイス・フランであったのに対し
て4,400万スイス・フランとなったことを主因として、ステージ1及び2の正味信用損失戻入が、2018年度
に0百万スイス・フランであったのに対し、2,300万スイス・フランとなったことを反映している。
営業費用
営業費用は5,400万スイス・フラン減少し、22億5,900万スイス・フランとなった。2018年度における当グ
ループのスイスの年金制度の変更に関連した3,500万スイス・フランの貸方計上とリストラクチャリング費
用を除くと、調整後の営業費用合計は、6,000万スイス・フラン減少して22億4,200万スイス・フランとなっ
たが、これは訴訟、規制上及び類似の問題に対する引当金の費用の4,000万スイス・フランの減少と、コー
ポレート・センター及びその他の事業部門に対する/からの業務費用純額の3,600万スイス・フランの減少
を主に反映している。
人件費は6,400万スイス・フラン増加し、8億5,000万スイス・フランとなった。前述した2018年度におけ
る当グループのスイスの年金制度の変更に関連した貸方計上を除くと、調整後の人件費は3,300万スイス・
フラン増加した。これは主に、変動報酬の増加を反映したものである。
一般管理費は、5,700万スイス・フラン減少し、2億2,200万スイス・フランとなった。これは主に、訴
訟、規制上及び類似の問題に対する引当金の費用の4,000万スイス・フランの減少を反映したものであっ
た。
コーポレート・センター及びその他の事業部門に対する/からの業務費用純額は、6,100万スイス・フラ
ン減少して、11億7,300万スイス・フランとなった。調整後の業務費用純額は、3,600万スイス・フラン減少
して11億5,600万スイス・フランとなった。これは主に、規制上のプロジェクト及び不動産に関連する費用
が減少したことを反映したものであった。
税引前利益成長率
2019年度の税引前利益成長率は、前年度のプラス21.6%に対してマイナス18.6%となった。これは主に、
前述した2018年度の当グループによるSIXの株式所有についての評価益によるものであった。調整後ベース
では、税引前利益成長率は、前年度のマイナス8.8%に対してプラス2.6%となり、期間を通じて当部門の目
標範囲である3%から5%の範囲を僅かに下回った。
費用対収益比率
費用対収益比率は、56.0%から60.8%に上昇したが、これは主に前述した2018年度の当グループによる
SIXの株式所有についての評価益によるものであった。調整後ベースでは、費用対収益比率は、61.1%から
60.4%に下落し、当部門の2019年度の目標である59%前後を僅かに上回った。
純利息マージン
純利息マージンは、受取利息純額が減少し平均貸出金残高が増加したため、報告ベースと調整後ベースの
両者において、前年度153ベーシス・ポイントであったのに対し、150ベーシス・ポイントとなった。
従業員
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有価証券報告書
2018年12月31日現在のパーソナル&コーポレート・バンキング部門の従業員は5,183名であったのに対
し、2019年12月31日現在では35名減の5,148名(フルタイム換算)であった。
アセット・マネジメント
2018年度と2019年度の比較
業績
税引前利益は、1億600万米ドル(25%)増加して5億3,200万米ドルであった。2018年第1四半期におけ
るスイスの年金制度の変更に関連した1,000万米ドルの貸方計上及びリストラクチャリング費用を除くと、
調整後の税引前利益は、8,300万米ドル(17%)増加して5億6,500万米ドルとなった。これは、営業収益の
増加及び安定した営業費用を反映している。
営業収益
営業収益合計は、8,600万米ドル(5%)増加して19億3,800万米ドルとなった。
運用手数料純額は、600万米ドル増加して17億7,800万米ドルとなった。これは、平均投資資産の増加によ
る効果を反映したものであったが、継続的にマージンが圧縮されたことにより一部相殺された。
実績報酬は、主に株式業務及びヘッジ・ファンド業務における実績報酬の増加により、8,000万米ドル増
加して1億6,000万米ドルとなった。これは、前向きな市場環境において運用実績が好調であったことを反
映したものであった。
営業費用
営業費用合計は2,000万米ドル(1%)減少して14億600万米ドルとなったが、調整後の営業費用合計は、
ほぼ横ばいの13億7,300万米ドルとなった。
人件費は、1,900万米ドル増加して7億2,200万米ドルとなった。前述した2018年第1四半期における当グ
ループのスイスの年金制度の変更に関連した貸方計上及び人件費に関連するリストラクチャリング費用を除
いた調整後の人件費は、2,600万米ドル増加して7億1,600万米ドルとなった。これは、変動報酬費用の増加
によるものであった。
一般管理費は、500万米ドル減少して1億9,700万米ドルとなった。調整後の一般管理費は、ほぼ横ばいの
1億9,000万米ドルとなった。
コーポレート・センター及びその他の事業部門に対する/からの業務費用純額は、3,200万米ドル減少し
て4億8,600万米ドルとなった。調整後のコーポレート・センター及びその他の事業部門からの業務費用純
額は、1,900万米ドル減少して4億6,600万米ドルとなり、これは主に市場データ・サービス費がグループ・
オペレーション部門からアセット・マネジメント部門に移動したことによるものであったが、グループ・テ
クノロジー部門からの費用の増加により一部相殺されている。
税引前利益成長率
2019年度の税引前利益成長率は、報告ベースで前年度のマイナス24.3%に対してプラス24.9%となった。
調整後ベースでは、税引前利益成長率は、前年度のマイナス0.8%に対してプラス17.1%となり、期間を通
じて当部門の目標である10%前後を上回った。
費用対収益比率
費用対収益比率は、前年度の77.0%に対し、72.6%となった。調整後ベースでは、費用対収益比率は、前
年度に74.0%であったのに対して70.8%となり、当部門の2019年度の目標である72%前後を下回った。
新規純資金
新規純資金は、前年度は322億米ドルの流入額であったのに対し、178億米ドルとなった。マネー・マー
ケット・フローを除く新規純資金は、前年度は247億米ドルの流入額であったのに対し、126億米ドルとなっ
た。これは主に、当部門の第三者のホールセール及びUBSのウェルス・マネジメント事業チャネルによるも
のであった。マネー・マーケット・フローを除く新規純資金増加率は、前年度のプラス3.5%からプラス
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1.8%となり、当部門の2019年度の目標範囲である3%から5%の範囲を下回った。純資金流入は、主に
ヨーロッパ及びスイスからもたらされた。
投資資産
投資資産は、7,810億米ドルから9,030億米ドルに増加した。これは主に、市場でのプラスの業績1,010億
米ドル、新規純資金流入額180億米ドル、及び為替換算のプラスの影響30億米ドルによるものであった。
従業員
2018年12月31日現在のアセット・マネジメント部門の従業員は2,301名であったのに対し、2019年12月31
日現在では17名減少して2,284名(フルタイム換算)であった。
運用実績
2019年度は、ほとんどのリスク資産が堅調なパフォーマンスを示した。米国連邦準備制度理事会は2019年
度初めに方針を大幅に転換したが、この転換は低迷したバリュエーションが大幅な上昇に転じるきっかけと
なり、市場を年度末にかけて支えた。
2019年度については、当部門のアクティブな従来型ファンドの79%がベンチマークを上回り、69%が同等
のグループの中央値を上回った。2018年度が厳しい年であったにもかかわらず、長期実績は引き続き好調で
あり、5年にわたって、85%がベンチマークを上回り、82%が同等のグループの中央値を上回った。
インベストメント・バンク
2018年度と2019年度の比較
業績
税引前利益は、7億200万米ドル(47%)減少して7億8,400万米ドルとなった。リストラクチャリング
費用及びのれんの減損損失を除くと、調整後の税引前利益は、6億1,300万米ドル(37%)減少して10億
6,100万米ドルとなった。これは営業収益の減少によるものであったが、営業費用の減少により一部相殺さ
れている。
営業収益
営業収益合計は、7億7,200万米ドル(10%)減少して72億6,900万米ドルであった。前年度の数字には約
1億米ドルの純収益が含まれていたが、これは、UBS金利連動社債を評価するのに使用した資金調達カーブ
の可観測性の向上及び評価の見直しによる、以前繰り延べられその後認識されたDay1利益、並びに、機能通
貨及び表示通貨を変更したことに関連する当グループの通貨エクスポージャーのリバランシングに関する、
グループ財務部門からの収益5,300万米ドルで主に構成されている。これらの項目を除くと、営業収益合計
は8%の減少であった。正味信用損失費用は、前年度に3,800万米ドルであったのに対し、3,000万米ドルで
あった。
事業部門別の営業収益
コーポレート・クライアント・ソリューション
コーポレート・クライアント・ソリューションの収益は、3億5,400万米ドル(13%)減少して22億6,700
万米ドルであったが、これは全収益ラインにわたって収益が減少したことによるものである。
アドバイザリー業務の収益は、1,000万米ドル(1%)減少して7億700万米ドルであった。これは、合併
及び買収取引からの収益が減少(グローバル手数料プールは10%減少)したことを反映している。公募取引
からの収益の減少は、プライベート取引からの収益の増加によって一部相殺されている。
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株式資本市場業務の収益は、主にプライベート取引からの収益が減少したことにより、堅調だった前年度
の7億8,500万米ドルから20%減少して、6億3,100万米ドルとなった。公募業務からの収益も減少し、グ
ローバル手数料プールの減少は5%であった。
債券資本市場業務の収益は、前年度の7億6,900万米ドルから15%減少して6億5,200万米ドルとなった。
これは主に、レバレッジド・ファイナンス業務の収益の減少(グローバル手数料プールは14%減少)を反映
している。
金融ソリューション業務の収益は、顧客活動水準の低下を反映して、前年度の2億7,800万米ドルから
3%減少して2億7,000万米ドルとなった。
リスク管理収益は、その大部分が2018年度に解消された小規模なローン・ポートフォリオからの利得の減
少を主因として、また条件変更負債ポジションに関する利得の減少により、7,200万米ドルから90%減少し
て700万米ドルとなった。
インベスター・クライアント・サービス
インベスター・クライアント・サービスの収益は、4億2,600万米ドル(8%)減少して50億3,200万米ド
ルとなった。これは、株式業務並びに外国為替、金利及びクレジット業務の収益が減少したことを反映した
ものであった。
株式業務
株式業務の収益は、全商品ラインにわたる収益の減少により、3億9,700万米ドル(10%)減少して34億
5,300万米ドルとなった。
現物株式業務の収益は、市場取扱量の減少を主に反映して、前年度の12億5,800万米ドルから減少して11
億6,900万米ドルとなった。
デリバティブ収益は、前年度の10億4,100万米ドルから減少して8億5,100万米ドルとなった。これは堅調
であった前年度と、顧客活動水準の鈍化を反映したものであった。
金融サービスの収益は、前年度の16億1,000万米ドルから減少して14億5,200万米ドルとなった。これは主
に、プライム・ブローカレッジによるものであった。
外国為替、金利及びクレジット業務
外国為替、金利及びクレジット業務の収益は、前年度の16億900万米ドルから2%減少して15億7,900万米
ドルとなった。これは、前述した以前繰り延べられたDay1利益で主に構成される約1億米ドルの純収益を含
む、2018年第2四半期の数字を主因とするものであった。外国為替、金利及びクレジット業務における収益
の比較もまた、前述したグループ財務部門からの収益5,300万米ドルを含む、2018年第4四半期の数字に影
響されている。これらの項目を除くと、外国為替、金利及びクレジット業務における収益は、金利及びクレ
ジット業務における収益の増加を反映して9%増加した。これは主に、より発展的な取引環境における顧客
活動水準の上昇によるものであったが、ボラティリティ水準及び顧客活動水準の低下を反映した外国為替取
引収入の減少により一部相殺されている。
営業費用
営業費用合計は、6,900万米ドル(1%)減少して64億8,500万米ドルとなり、調整後の営業費用は、1億
5,900万米ドル(3%)減少して62億800万米ドルとなった。
人件費は29億4,100万米ドルから27億4,800万米ドルに減少し、調整後の人件費は、29億3,000万米ドルか
ら26億6,400万米ドルに減少した。これは主に、変動報酬費用の減少を反映したものである。
一般管理費は、6億5,100万米ドルから増加して6億8,800万米ドルとなり、調整後ベースでは、6億
4,000万米ドルから増加して6億8,200万米ドルとなった。このほとんどは、訴訟、規制上及び類似の問題に
対する引当金の正味戻入6,400万米ドルを含む前年度の数字によるものである。
コーポレート・センター及びその他の事業部門に対する/からの業務費用純額は、29億4,200万米ドルか
ら減少して29億2,600万米ドルとなった。リストラクチャリング費用を除く調整後の業務費用純額は、27億
7,600万米ドルから28億4,900万米ドルに増加した。これは主に、IT開発費用並びにソフトウェア及びコンプ
ライアンス費用の償却費の増加によるものであった。
のれん及び無形資産の償却費及び減損は、1億300万米ドル増加して1億1,500万米ドルとなった。のれん
の減損損失1億1,000万米ドルを除くと、調整後ベースでは、のれん及び無形資産の償却費及び減損は700万
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米ドル減少し、600万米ドルとなった。当グループが今後もインベストメント・バンクを再編成し、収益的
成長を推進する数々の施策を実施していくにあたり、当グループはIAS第36号「資産の減損」により、予測
キャッ シュフローの範囲及びのれんの回収可能性を判断する時点で存在するマクロ経済的要素の不確実性を
考慮するよう求められている。この評価減の結果、インベストメント・バンクののれんは現在ゼロとなって
いる。
費用対収益比率
費用対収益比率は、81.1%から88.9%に増加した。調整後ベースでは、費用対収益比率は78.8%から
85.1%に増加し、当部門の2019年度の目標範囲である78%前後を上回った。
帰属資本利益率
2019年度の帰属資本利益率は6.4%であり、調整後ベースでは8.6%となり、期間を通じて当部門の目標で
ある15%前後を下回った。
リスク加重資産
リスク加重資産(RWA)は、2019年12月31日現在、120億米ドル減少して、810億米ドルであった。これ
は、規制上及びストレスVaRの平均的な水準の下落を反映した市場リスクのRWAの減少によるものである。
レバレッジ比率分母
レバレッジ比率分母(LRD)は、2019年12月31日現在、100億米ドル増加して、2,930億米ドルであった。
これは、市場の高騰を反映したトレーディング・ポートフォリオ資産の増加によるものであったが、デリバ
ティブ及び有価証券ファイナンス取引のエクスポージャーの減少により一部相殺されている。
従業員
2019年12月31日現在のインベストメント・バンク部門の従業員は、2018年12月31日現在の5,205名から126
名増加し、5,331名(フルタイム換算)であった。これは主に、ドキュメンテーション・センター及びクラ
イアントハブのインベストメント・バンク部門への連結化によるものであった。
コーポレート・センター
2018年度と2019年度の比較
業績
コーポレート・センターは、前年度に9億7,100万米ドルの税引前損失を計上したのに対し、5億7,700万
米ドルの税引前損失を計上した。調整後の税引前損失は、前年度に8億8,500万米ドルであったのに対し、
5億1,500万米ドルであった。これは、2018年におけるUBSセキュリティーズ・チャイナの株式保有の増加に
関連する再測定による損失、スイスの年金制度の変更に関連する前年度の貸方計上、及びその他の調整項目
を除外している。
グループ財務部門
グループ財務部門の業績は、前年度に4億4,500万米ドルの損失であったのに対し、6,900万米ドルの損失
であった。調整後の税引前損失は、前年度に4億4,300万米ドルであったのに対し、3,300万米ドルであっ
た。これは、2019年の為替差損純額及びリストラクチャリング費用を除外している。
グループ財務部門には、会計上の非対称性から生じた収益が含まれており、かかる収益は、前年度にマイ
ナス7,700万米ドルであったのに対し、プラス1億300万米ドルであった。集約化されたグループ財務部門の
リスク管理サービスに関連した収益は、前年度にマイナス3億2,000万米ドルであったのに対し、マイナス
1億6,800万米ドルであった。ヘッジ会計の非有効性に関する収益は、前年度のプラス2,500万米ドルに対
し、プラス1億1,800万米ドルであった。調整後の営業費用は、前年度の8,100万米ドルから、9,300万米ド
ルに増加した。
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非中核事業及びレガシー・ポートフォリオ
非中核事業及びレガシー・ポートフォリオの業績は、前年度に1億2,800万米ドルの損失であったのに対
し、8,400万米ドルの損失であった。この改善結果は主に、訴訟引当金の戻入並びに事業部門及びその他
コーポレート・センターの業務からの業務費用純額の減少による営業費用の減少に起因していた。営業収益
純額は、2018年度にはオークション・レート証券の評価益の増加が含まれていたことを主因として、減少し
た。これは、訴訟上の請求の和解に関連した利益及びデフォルト・カウンターパーティ・ポジションについ
ての請求に関連した収益により一部相殺されている。
リテインド・サービス
リテインド・サービスの業績は、前年度に3億9,800万米ドルの損失であったのに対し、4億2,400万米ド
ルの損失であった。2018年度には、不動産売却益、子会社及び事業の売却益、並びにUBSセキュリティー
ズ・チャイナの株式保有の増加に関連する再測定による損失が含まれていたのに対し、2019年度には、売却
目的で保有する不動産に再分類される不動産の再測定からの損失が含まれていた。前述した調整項目及びリ
ストラクチャリング費用を除くと、調整後の業績は、前年度にマイナス3億1,700万米ドルであったのに対
し、マイナス4億米ドルであった。これは、金利の上昇を反映した繰延税金資産に関連した資金調達費用の
増加を主因としていた。
従業員
コーポレート・センターの雇用人数は、2018年12月31日現在から2,583名増加して、2019年12月31日現在
33,164名(フルタイム換算)であった。この増加は主に、特定の活動を引き続き第三者供給業者から当グ
ループのビジネス・ソリューションズ・センターにインソーシングしたことにより、外部委託人員が約
2,200名減少したことに起因していた。
財務管理
貸借対照表、流動性及び資金調達管理
戦略、目標及びガバナンス
当グループでは、貸借対照表の構造的リスクを管理している。当該リスクには、金利リスク(例えば、株
式投資、グローバル・ウェルス・マネジメント及びパーソナル&コーポレート・バンキングからのバンキン
グ勘定に関するエクスポージャー)、構造的為替リスク及び担保リスク、並びに当グループの流動性及び資
金調達ポートフォリオに関連したリスクが含まれる。
当グループによる貸借対照表、流動性及び資金調達ポジションの管理は、現在及び将来の行政上の規制も
考慮に入れつつ、市況の広範な範囲にわたって当グループの基盤の価値を最適化するという全体の目標に貢
献している。当グループは、通常時及びストレス時における当該ポジションを監視するのに多くの手法を用
いている。特に、当グループでは、行動調整を当グループの貸借対照表に適用するのに、ストレス・シナリ
オを使用しており、これら内部のストレス・モデルから生じる結果を外部の手法(主に、流動性カバレッジ
比率及び安定調達比率)を用いて較正する。当グループの流動性及び資金調達戦略は、グループ財務部門が
提案し、グループ執行役員会の委員会であるグループ資産・負債委員会(グループALCO)が承認し、更に取
締役会(BoD)のリスク委員会が監視する。
本項では、規制要件、当グループのガバナンス構造、当グループの貸借対照表、当グループの流動性及び
資金調達源を含む流動性及び資金調達管理、当グループの緊急時対策並びにストレス・テストの実施につい
てより詳細な情報を記載する。本項で開示する残高は、別途記載する場合を除き、年度末のポジションを表
している。期間内残高は、通常の事業の過程で変動し、年度末のポジションから乖離する可能性がある。
グループ財務部門は、流動性及び資金調達戦略の実施及び遂行を監督及び監視し、方針、制限、トリガー
及び目標の遵守に関し責任を有している。これにより、当グループの適格流動資産を含む現金及び担保両方
の厳重な管理が可能になり、当グループによるホールセール現物市場への通常のアクセスがグループ財務部
門に集中する。更に、ある危機により緊急時資金調達策の実施が必要になる場合でも、グループ財務部門
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は、関連ある事業分野の代表者と共に、流動性創出の調整に責任を有する。グループ財務部門は、少なくと
も月に一度の頻度で、グループALCO及びBoDのリスク委員会に対し、資金調達状況及び集中リスクを含む当
グ ループの全体的な流動性及び資金調達ポジションについて報告を行う。
流動性及び資金調達の制限、トリガー及び目標は、当グループ並びに(適切である場合は)事業体及び事
業部門レベルで設定されており、BoD、グループALCO、グループ・チーフ・ファイナンシャル・オフィ
サー、グループ財務部門及び事業部門により、現在の及び予測される事業戦略及びリスク許容度を考慮し
て、少なくとも1年に1度、見直し及び再確認が行われる。当グループの制限及び目標の枠組みの原則は、
事業基盤を最大化及び維持し、資産及び負債構造の適切なバランスを維持することを企図している。構造的
な制限、トリガー及び目標は、貸借対照表の構造及び構成に焦点を当てている。一方で、補足的な制限、ト
リガー及び目標は、資金調達源の利用、多様化及び配分を推進することを企図している。この枠組みを補完
及び支援するために、グループ財務部門は、現在の流動性状況を反映する早期警戒指標に関し市場を監視す
る。これらの流動性状況の指標は、潜在的な脅威に関しグローバル及び地域の両方の状況を評価することに
当グループレベルで使用される。マーケット&トレジャリー・リスク・コントロール部門は、流動性及び資
金調達リスクに対し、独立した監視を行っている。
資産及び流動性管理
当グループの流動性リスク管理においては、当グループの事業が容認し難い損失若しくはリスク又は長引
く損害を負うことなく、支払期限が到来した時点で当グループの全ての負債を充足するための健全な流動性
ポジションを維持すること、並びに一般的なストレス時の市場環境において会社特有の流動性危機に対応す
るための十分な時間及び財務の柔軟性を提供することを目指している。
当グループの流動資産は、市場の悪化、事業運営上の事由又はその他の会社特有の事由により生じる資金
利用可能性又は資金需要のボラティリティ(予測できるか否かを問わない。)に応じて適切な分散化(発行
者、満期までの期間及びその他のリスク特性)水準を維持するために制限、トリガー及び目標値を使用して
管理されている。流動資産のポートフォリオは、取締役会のリスク選好度並びに当グループ及び子会社の関
連ある流動性要件内で事業が行えるよう管理されている。
貸借対照表上の資産
当グループ
2019年12月31日現在の貸借対照表上の資産は、2018年12月31日から140億米ドル増加して合計9,720億米ド
ルとなった。これは主に、トレーディング・ポートフォリオ資産の増加並びにユニットリンク型投資契約非
金融資産及び金融資産の増加によるものであった。これらの影響額は、償却原価で測定される有価証券ファ
イナンス取引の減少、償却原価及び公正価値で測定されるその他の金融資産の減少、並びにデリバティブ及
びデリバティブに係る差入担保金の減少により一部相殺されている。
2019年12月31日現在のデリバティブ及びデリバティブに係る差入担保金を除く資産合計は、180億米ドル
増加して8,270億米ドルとなった。為替効果を除くと、デリバティブ及びデリバティブに係る差入担保金を
除く資産合計は、130億米ドル増加した。
トレーディング・ポートフォリオ資産は、インベストメント・バンクの株式業務を中心に230億米ドル増
加した。これは主に、市場主導の動向及び顧客活動に起因するヘッジ要件の増加を反映していた。
ユニットリンク型投資契約非金融資産及び金融資産は、90億米ドル増加した。これは、市場主導の動向及
び新規純資金流入額を主に反映して、アセット・マネジメントにおいてユニットリンク型投資契約をヘッジ
するために保有される資産が関連ある負債の増加を伴い60億米ドル増加したことを主因とする。加えて、
IFRS第16号の適用により、2019年1月1日付で使用権資産が認識された後、30億米ドル増加した。
償却原価で測定される有価証券ファイナンス取引による債権は、110億米ドル減少した。これは、事業部
門による資金調達消費高の増加及び担保供給要求の減少によるものであった。
償却原価及び公正価値で測定されるその他の金融資産は、50億米ドル減少した。これは主に、適格流動資
産(HQLA)ポートフォリオ内における負債証券から現金及び中央銀行預け金への移動によるものであった。
デリバティブ及びデリバティブに係る差入担保金は、50億米ドル減少した。これは主に、グローバル・
ウェルス・マネジメント及びインベストメント・バンクの株式業務において顧客活動水準が低下したことに
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よるものであった。これは、市場主導の動向を主に反映して、インベストメント・バンクの外国為替、金利
及びクレジット業務における増加により一部相殺されていた。
コーポレート・センターから事業部門への費用及び資源配分の変更
2019年1月1日より、UBSは、コーポレート・センターから事業部門への貸借対照表の資源の配分を増加
させた。過年度の情報は修正再表示された。2018年12月31日現在、この修正再表示により資産合計がグロー
バル・ウェルス・マネジメントで1,140億米ドル、パーソナル&コーポレート・バンキングで620億米ドル、
アセット・マネジメントで40億米ドル、インベストメント・バンクで440億米ドル増加し、コーポレート・
センターにおいては2,230億米ドルの対応する減少があった。
これらの変更は、当グループの報告済みの業績又は財政状態に影響を及ぼしていない。
インベストメント・バンク
インベストメント・バンクの資産合計は、市場主導の動向及び顧客活動に起因するヘッジ要件の増加を主
に反映して、トレーディング・ポートフォリオ資産が230億米ドル増加したことにより、140億米ドル増加し
て3,160億米ドルとなった。この増加は、HQLA要件が80億米ドル減少したことにより一部相殺されていた。
グローバル・ウェルス・マネジメント
グローバル・ウェルス・マネジメントの資産合計は、HQLA要件が70億米ドル減少したことを主に反映し
て、40億米ドル減少して3,100億米ドルとなった。これは、モーゲージ及びロンバード・ローンが増加した
結果、貸付資産が30億米ドル増加したことにより一部相殺されていた。
パーソナル&コーポレート・バンキング
パーソナル&コーポレート・バンキングの資産合計は、90億米ドル増加して2,090億米ドルとなった。こ
れは主に、HQLA要件が50億米ドル増加したこと並びに為替効果及びモーゲージ・ローンの増加を反映して貸
付資産が30億米ドル増加したことによるものであった。
アセット・マネジメント
アセット・マネジメントの資産合計は、市場主導の動向及び新規純資金流入に起因するユニットリンク型
投資契約金融資産の増加並びにそれに対応する負債の増加を反映して、60億米ドル増加して350億米ドルと
なった。
コーポレート・センター
コーポレート・センターの資産合計は、110億米ドル減少して1,030億米ドルとなった。これは主に、短期
借入金の償還に充てるためグループ財務部門で減少が見られたことを反映していた。
適格流動資産
適格流動資産(HQLA)は、グループ財務部門の管理下にある、抵当などの制約がない低リスクの資産であ
り、流動性ニーズを満たすために、容易にかつ即時に、価値をほとんど又は全く損なうことなく現金に転換
することができる。当グループのHQLAは、主に、流動性カバレッジ比率(LCR)の枠組みでレベル1の適格
を有する資産(現金、中央銀行準備金及び政府債を含む。)で構成されている。当グループのHQLAは、UBS
AG及びその子会社が保有しており、特定の管轄区域における資金調達及び担保ニーズを満たす目的で利用可
能な金額が含まれる可能性があるが、当グループ全体で利用する準備はまだ整っていない。当該制限の主な
原因は、現地の規制要件(現地の流動性カバレッジ比率及び大口エクスポージャー要件を含む。)である。
実質的な制限を受ける資金は、関連あるHQLAを保有する子会社に関するアウトフローの仮定を超過する範囲
で、当グループのHQLAの算出から除外されている。これに基づき、2019年度第4四半期については、280億
米ドルの資産が当グループの日次平均HQLAから除外されていた。現地の流動性要件を超えて保有され、その
他の制限を受けない金額は、通常、当グループ内で移転することができる。
HQLAの加重流動性価値合計は、70億米ドル減少して1,660億米ドルとなった。
流動性カバレッジ比率
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流動性カバレッジ比率は、関連ある規制当局が定義する通り、重要な流動性ストレス・シナリオからの予
想された純資金流出を凌ぐのに十分なHQLAが利用可能かを比較することにより、銀行の流動性プロフィール
の短期レジリエンスを測定する。
バーゼル銀行監督委員会の基準では、下限100%のLCRが求められている。UBSは、当グループの総LCRをス
イス金融市場監督当局(FINMA)から通知された通り、最低110%に維持することが求められており、スイ
ス・フラン建てのLCRでは、最低100%に維持することが求められている。加えて、UBS AG及びUBSスイスAG
ともに、単体ベースの最低流動性カバレッジ比率要件に服している。財務上のストレス時においては、
FINMAは、銀行が自らのHQLAを利用し、LCRが一時的に最低基準を下回ることを許容する。当グループは、ス
トレス時のHQLA及び予想された純資金流出との間のあらゆる通貨のミスマッチを管理するために、全ての主
要通貨建てのLCRを監視している。
2019年度第4四半期の当グループの日次平均LCRは、2018年度第4四半期が136%であったのに対し、
134%となり、FINMAにより通達された当グループの最低LCRである110%を依然として上回った。
このLCRの低下は、事業部門による資金調達消費高の増加及び発行済社債の減少が預金残高の増加及び
ヨーロッパ企業において譲渡制限が課された資産の減少により一部相殺されたことを主因として、HQLAが減
少したことを主に反映していた。更に、有価証券ファイナンス取引の純減を主因として、純資金流出は減少
したが、顧客預金の増加に起因する流出額の増加により一部相殺されている。
資産の担保差入
下記の表では、担保権が設定された資産、担保権が設定されていない資産及び担保差入が不可の資産につ
いて、オンバランス・シート及びオフバランス・シートの資産の内訳を記載している。
担保権が設定された資産 とは、既存の負債に対し担保として差し入れられている資産又はそうでなければ
追加の資金調達を担保するのに利用不可の資産を表している。後者に分類されるのは、顧客資産分離規則に
基づき保護された資産、ユニットリンク型投資契約金融資産、現地の明確な最低資産維持要件を遵守するた
めに特定の管轄地域で保有される資産、並びに一定の投資ファンド及びその他のストラクチャード・エン
ティティ等のバンクラプシー・リモートの連結会社で保有される資産である。
担保差入が不可の資産 とは、担保権が設定されていない資産であるが、その性質上、資金調達の担保又は
担保需要の充足に利用することができないと考えられている資産を表している。当該資産には、担保付ト
レーディング資産、デリバティブ金融資産、デリバティブに係る差入担保金、繰延税金資産、のれん及び無
形資産並びにその他の資産が含まれている。
その他の全ての資産は、 担保権が設定されていない資産 で表示されている。当グループ及び/又は法人レ
ベルでの資金調達を担保するのに常に利用可能であると考えられている資産は、別に示されており、通常の
事業の過程で常に実現可能な現金及び証券から成る。当該資産には、当グループのHQLA及びトレーディン
グ・ポートフォリオの担保権が設定されていないポジションが含まれる。法人レベルでの資金調達を担保す
るのに利用可能であると考えられている担保権が設定されていない資産は、当グループ全体が利用可能な資
産の総額を制限する規制に服する可能性がある。その他の担保権が設定されていない資産で、当グループ及
び/又は法人レベルでの資金調達を担保するのに常に利用可能であるとは考えられていない資産は、貸出金
及び銀行預け金から構成される。
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2019年12月31日現在の資産の担保差入
担保権が設定された 担保権が設定されていない
資産 資産
当グループ及
その他の点で び/又は法人レ
制限され、資 ベルでの資金調
金調達の担保 達の担保に利用
に利用不可の 可能な現金及び その他の実現 担保差入が不可 当グループ資産
単位:百万米ドル 差入担保資産 資産 証券 可能な資産 の資産 合計(IFRS)
オンバランス・シートの資産
現金及び中央銀行預け金 107,068 107,068
銀行貸出金及び前渡金 3,131 9,316 12,447
有価証券ファイナンス取引による債権 84,245 84,245
内、借入有価証券に係る担保金 9,507 9,507
内、リバース・レポ契約 74,738 74,738
デリバティブに係る差入担保金 2,986 20,303 23,289
顧客貸出金及び前渡金 18,399 620 303,306 4,460 326,786
内、モーゲージ・ローン 18,399 159,749 178,149
償却原価で測定されるその他の金融資産 1,212 377 12,863 1,444 7,085 22,980
償却原価で測定される金融資産合計 19,611 7,114 119,931 314,066 116,092 576,815
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融資 127,514
1
産 56,415 242 68,886 1,971
内、トレーディング資産-短期国債/長期国債 2,700 ▶ 8,760 11,464
内、トレーディング資産-モーゲージ担保証券 365 365
内、トレーディング資産-その他の資産担保証券 2 145 147
内、トレーディング資産-その他の債券 1,947 42 5,925 7,914
内、トレーディング資産-投資信託受益証券 2,671 96 6,100 8,867
内、トレーディング資産-エクイティ証券 49,096 100 47,590 96,786
内、貸出金 1,971 1,971
デリバティブ金融商品 121,841 121,841
ブローカレッジ債権 18,007 18,007
内、顧客ブローカレッジ 4,877 4,877
内、プライム・ブローカレッジ 13,131 13,131
公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない
金融資産 188 29,676 34,401 13,082 6,598 83,944
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産合計 56,604 29,917 103,286 15,053 146,446 351,307
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融
資産 176 6,169 6,345
関連会社投資 1,051 1,051
有形固定資産及びソフトウェア 12,804 12,804
のれん及び無形資産 6,469 6,469
繰延税金資産 9,537 9,537
その他の非金融資産 2 4,597 3,256 7,856
非金融資産合計 2 4,597 13,855 19,262 37,717
オンバランス・シート合計 76,215 37,210 233,984 342,974 281,801 972,183
担保権が設定された 担保権が設定されていない
資産 資産
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当グループ及
その他の点で び/又は法人レ
制限され、資 ベルでの資金調
金調達の担保 達の担保に利用
に利用不可の 可能な現金及び その他の実現 担保差入が不可 当グループ資産
単位:百万米ドル 差入担保資産 資産 証券 可能な資産 の資産 合計(IFRS)
オフバランス・シートの資産
担保として認められた有価証券の公正価値 350,477 7,003 112,040 6,206 475,726
内、担保としてのマネー・マーケット・ペーパー 6,857 248 3,502 10,606
198,540 290,591
内、担保としてのその他の負債性商品 5,914 86,138
140,312 162,830
内、担保としてのエクイティ証券 833 21,685
内、担保としての投資信託受益証券 4,750 8 716 5,474
内、その他 18 6,206 6,224
2019年12月31日現在のオンバランス・シート及びオ
フバランス・シートの資産合計 426,691 44,213 346,024 349,180 281,801
内、適格流動資産 178,641
1
取引相手先により売却又は再担保差入されている可能性のある差入担保資産412億8,500万米ドルを含む。
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2018年12月31日現在の資産の担保差入
担保権が設定された 担保権が設定されていない
資産 資産
当グループ及
その他の点で び/又は法人レ
制限され、資 ベルでの資金調
金調達の担保 達の担保に利用
に利用不可の 可能な現金及び その他の実現 担保差入が不可 当グループ資産
単位:百万米ドル 差入担保資産 資産 証券 可能な資産 の資産 合計(IFRS)
オンバランス・シートの資産
現金及び中央銀行預け金 108,370 108,370
銀行貸出金及び前渡金 5,140 11,703 25 16,868
有価証券ファイナンス取引による債権 95,349 95,349
内、借入有価証券に係る担保金 13,061 13,061
内、リバース・レポ契約 82,288 82,288
デリバティブに係る差入担保金 3,205 20,397 23,602
顧客貸出金及び前渡金 18,804 935 294,307 6,306 320,352
内、モーゲージ・ローン 18,804 151,301 170,105
償却原価で測定されるその他の金融資産 197 13,446 1,091 7,828 22,563
償却原価で測定される金融資産合計 18,804 9,477 121,816 307,101 129,905 587,104
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融資 104,370
1
産 43,292 3,589 53,924 3,566
内、トレーディング資産-短期国債/長期国債 4,776 6,385 11,161
内、トレーディング資産-モーゲージ担保証券 258 258
内、トレーディング資産-その他の資産担保証券 134 134
内、トレーディング資産-その他の債券 1,660 187 4,921 6,768
内、トレーディング資産-投資信託受益証券 3,541 898 5,277 9,716
内、トレーディング資産-エクイティ証券 33,315 2,504 36,949 72,768
内、貸出金 3,566 3,566
デリバティブ金融商品 126,210 126,210
ブローカレッジ債権 16,840 16,840
内、顧客ブローカレッジ 4,384 4,384
内、プライム・ブローカレッジ 12,457 12,457
公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない
金融資産 23,514 39,186 9,826 10,163 82,690
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産合計 43,292 27,104 93,110 13,392 153,213 330,110
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融
資産 171 6,495 6,667
関連会社投資 1,099 1,099
有形固定資産及びソフトウェア 9,348 9,348
のれん及び無形資産 6,647 6,647
繰延税金資産 10,105 10,105
その他の非金融資産 6 4,298 3,106 7,410
非金融資産合計 6 4,298 10,447 19,858 34,608
オンバランス・シート合計 62,096 36,758 225,719 330,940 302,976 958,489
担保権が設定された 担保権が設定されていない
資産 資産
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当グループ及
その他の点で び/又は法人レ
制限され、資 ベルでの資金調
金調達の担保 達の担保に利用
に利用不可の 可能な現金及び その他の実現 担保差入が不可 当グループ資産
単位:百万米ドル 差入担保資産 資産 証券 可能な資産 の資産 合計(IFRS)
オフバランス・シートの資産
担保として認められた有価証券の公正価値 356,745 14,954 109,310 2,678 483,688
内、担保としてのマネー・マーケット・ペーパー 10,110 390 3,922 14,421
211,156 310,148
内、担保としてのその他の負債性商品 11,204 87,788
130,853 150,807
内、担保としてのエクイティ証券 3,356 16,598
内、担保としての投資信託受益証券 4,621 ▶ 1,003 5,628
内、その他 5 2,678 2,683
2018年12月31日現在のオンバランス・シート及びオ
フバランス・シートの資産合計 418,841 51,712 335,029 333,618 302,976
内、適格流動資産 184,361
1
取引相手先により売却又は再担保差入されている可能性のある差入担保資産321億2,100万米ドルを含む。
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ストレス・テスト
当グループは、様々なシナリオの下、適切にバランスのとれた流動性及び資金調達ポジションの維持を可
能にする最適な資産及び負債構造を決定するためにストレス・テストを実施している。流動性危機シナリオ
分析及び緊急時資金調達計画は、流動性管理プロセスを支援し、流動性の不足が突然発生する可能性を吸収
する即時の是正措置を確実に実行することを目指している。
当グループでは、当グループの事業の全構成部門に影響するストレス事由が当グループによる市場へのア
クセスに及ぼしうる影響を考慮することを含め、ストレス時の市況を包括する2つの主要な潜在的シナリオ
に基づき当グループの流動性エクスポージャーを設計する。当該モデル及びその仮定は、最新の事業及び市
場の動向を組み込むために定期的に見直される。当グループでは、強固で実行可能な試験済みの緊急時対策
を維持するのに使用される仮定を継続的に改良する。
ストレス時のシナリオ
流動性危機は無数の原因が考えられるため、ストレス時のシナリオは、全ての市場、通貨及び商品におけ
る潜在的なストレスの影響を包括するが、概して会社固有のものではない。満期を迎えるホールセール資金
調達を置き換える能力の欠如に加えて、当該シナリオは、当グループの長期信用格付の2段階引き下げ及び
短期格付の同等の引き下げに対応する、他の点では安定している顧客預金及び流動性アウトフローの緩やか
な減少を仮定する。
当グループでは、ストレス・シナリオが組み込まれ、かつ、流動性を欠いている資産に利用可能な長期資
金調達の規模を測定する現金資本モデルを使用する。資産のうち、流動性を欠いた部分は、担保付資金調達
取引において担保として使用される場合の資産の帳簿価額とその有効な現金価額との間の差異である。流動
性を欠いている資産を支える現金資本として使用された長期資金調達は、満期までの期間が1年以上残って
いる無担保の資金調達、株主持分及びコア預金(これは、1年以上の実際上の満期を有するとみなされる当
グループの顧客預金の一部である。)で構成される。
総合シナリオ
総合シナリオは、会社固有の危機が市場混乱事由と組み合わさった極度のストレス事由を表す。このシナ
リオは、(ⅰ)主に催告により期限が到来した、他の点では安定している顧客預金に関する重大なアウトフ
ロー、(ⅱ)満期を迎える無担保ホールセール資金調達の更新又は借換を行う能力の欠如、(ⅲ)並外れて
大規模なローン・コミットメントの実行、(ⅳ)トレーディング資産からの流動性を創出する能力の低下、
(ⅴ)当グループの長期信用格付の3段階引き下げ及び短期格付の同等の引き下げに対応する流動性アウト
フロー、(ⅵ)デリバティブ・ポジションを解消する又は追加担保を差し入れる契約上の債務の発生、
(ⅶ)デリバティブの市場価値の不利な動向に起因する追加の担保要件を仮定する。この総合シナリオは、
当該シナリオに基づく潜在的な資金流出を予測するのに日次で管理されており、継続的なリスク管理活動の
一部として評価されている。
緊急時資金調達計画
当グループの緊急時資金調達計画は、当グループのグローバルな危機管理の枠組みの不可欠な要素であ
り、様々な種類の危機事由に対応している。この緊急時資金調達計画には、ストレスを受けた環境下での緊
急資金調達源の評価、流動性状況の指標、並びに緊急時の手続が含まれる。当グループの資金調達の多様性
及びグローバルな範囲は、危機が発生した際、当グループの流動性ポジションを保持するのを助けている。
当グループは、全ての重要な、既知の及び予想されたキャッシュ・フロー、並びに、要請があれば追加的な
資金調達を行うのに使用することができるグレードの高い担保の水準及び利用可能性を定期的に評価及びテ
ストしている。当グループの緊急時資金調達源には、当グループのHQLAポートフォリオ、複数の主要な中央
銀行による利用可能で未使用の流動性ファシリティ、トレーディング・ポートフォリオ流動資産の緊急低減
及びその他の利用可能な管理活動が含まれる。
負債及び資金調達管理
グループ財務部門は、当グループが、バランスの良い分散した負債の構造を確実に維持することを目指
し、集中リスクを含む資金調達状況を定期的に監視している。当グループにおける資金調達管理は、確実か
つ費用効率のよい方法で当グループの事業の資金を調達する、最適な資産負債構造の構築を目指したもので
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あり、当グループの資金調達業務は、市況が困難な時期において継続中の事業活動を支援するために必要と
なる、安定的な資金調達の金額を考慮したうえで、当グループの貸借対照表の全体的な流動性及び資金調達
プ ロフィールの分析を行うことによって計画されている。
UBSグループAGの資金調達戦略は、資金調達計画の中で毎年設定され、資金調達管理方針の統制枠組みに
基づき四半期毎に見直される。資金調達計画は、グループ財務部門が策定し、グループALCOが承認してい
る。資金調達計画を実行する際には、グループ財務部門は、通貨、市場及び満期までの期間の分散等の要素
を考慮する。具体的な商品タイプに関しては、資金調達計画に定義された資金調達取引の運営取引実行は、
事業部門に委譲される(例えば、インベストメント・バンクに対する仕組債)。上記に拘わらず、グループ
財務部門はあらゆる種類の商品に対して総括的な責任と監督義務を負っている。
グループ財務部門は、集中度の上限、加重平均の満期の下限及び金額を含む資金調達創出のための制
限、トリガー及び目標を提案、設定及び監督する。資金調達の多様性は、商品の種類、単一カウンターパー
ティ・エクスポージャー(全体に占める割合)、満期構成、及び負債構成に対する特定の資金調達源の総合
的寄与度に焦点を当てて、継続的に監視されている。
当グループの事業活動により生じる資産及び負債のポートフォリオは、市場、商品、期間及び通貨に関
して高度に多様化している。これにより、当グループのそれぞれの資金源へのエクスポージャーが減少し、
また幅広い投資機会を得ることができ、流動性リスクも減少する。
グローバル・ウェルス・マネジメント及びパーソナル&コーポレート・バンキングは、重要で費用効率
的、かつ確実な資金源を提供している。これには、中核預金及びスイス・カバード・ボンドが含まれてお
り、スイス・カバード・ボンドは長期の資金調達を行うために、当グループのスイス住宅モーゲージのポー
トフォリオの一部を(差入担保として)使用している。加えて、当グループには、非劣後無担保債務及び仕
組債、並びに短期債を発行するための、短期、中期及び長期の資金調達プログラムがいくつか存在する。こ
のプログラムにより、ヨーロッパ、米国及びアジア太平洋地域の市場で活発に取引する機関投資家及び個人
投資家は、UBSの債券への投資をカスタマイズすることができる。こうした幅広い商品ラインナップ及び資
金源は、当グループの全世界に亘る事業活動範囲と相俟って、当社の資金調達の安定性を下支えしている。
貸借対照表上の負債
負債合計は、120億米ドル増加して、2019年12月31日現在で9,170億米ドルとなった。これは主に、顧客
預金、非金融負債及びユニットリンク型投資契約に関連する金融負債並びに既発の長期債が増加したことに
よる。これらの影響額は、短期借入金及び償却原価で計上される有価証券ファイナンス取引の減少により一
部相殺されている。デリバティブ及びデリバティブに係る受入担保金を除く負債合計は、140億米ドル増加
して、2019年12月31日現在で7,650億米ドルとなった。為替効果を除くと、デリバティブ及びデリバティブ
に係る受入担保金を除く負債合計は、120億米ドル増加した。
顧客預金は、スイス及びアジア太平洋地域を中心に、280億米ドル増加した。2019年12月31日現在、ロー
ン残高に対する顧客預金の比率は、137%(2018年12月31日現在では131%)であった。
非金融負債及びユニットリンク型投資契約に関連する金融負債は、ユニットリンク型投資契約が増加
し、関連資産がそれに応じて増加したことに起因して、60億米ドル増加した。
既発の長期債は、50億米ドル増加した。これは、市場主導の動向を主に反映して、公正価値での測定を
指定された既発の債務が100億米ドル増加したことによるものであったが、償却原価で保有される長期債が
50億米ドル減少したことにより一部相殺された。前述した減少は、97億米ドル相当の非劣後無担保債務の満
期到来及び早期償還、並びに11億米ドル相当のカバード・ボンドの満期到来を主因としていた。前述した満
期到来の事例は、38億米ドル相当の米ドル建て、スイス・フラン建て、オーストラリア・ドル建て及びシン
ガポール・ドル建ての高トリガー損失吸収その他Tier 1(AT1)資本性証券の発行、並びに当グループの総
損失吸収力(TLAC)に寄与するスイス・フラン建て及び米ドル建ての非劣後無担保債務の19億米ドル相当の
発行により一部相殺されている。
2020年の事業年度中、18億米ドル相当のTLAC適格ベンチマーク証券が満期を迎える予定であり、13億米
ドル相当のAT1資本性証券が2020年2月に早期償還された。UBSは、2020年のゴーイングコンサーン及びゴー
ンコンサーン・ベースの資本要件を既に遵守しており、早期償還可能な資本性証券のリファイナンス及び潜
在的な発行の増加に関して合理的かつ臨機応変に対応する予定である。
短期借入金は、220億米ドル減少した。これは主に、コマーシャル・ペーパー及び譲渡性預金の正味償還
額を反映していた。
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デリバティブ及びデリバティブに係る受入担保金は、前述したデリバティブ資産及び差入担保金の増加
に沿って、20億米ドル減少した。
安定調達比率
安定調達比率(NSFR)の枠組みは、短期のホールセール資金調達への過度の依存を制限し、全てのオン
バランス・シート及びオフバランス・シートの項目を通じて資金調達リスクの評価を改善し、かつ資金調達
の安全性を促進することを意図したものである。NSFRは、利用可能な安定調達額(ASF)及び所要安定調達
額(RSF)の2つの要素から成り立っている。ASFは、1年を通じて利用可能であると期待される、資本及び
負債の部分である。RSFは、満期日、資産に対する負担及びその他の性質、並びに、オフバランス・シート
のエクスポージャーにより資金調達流動性の必要が偶発的に生じる可能性に基づく、資産の安定調達要件に
ついての基準である。バーゼル銀行監督委員会(BCBS)のNSFR規制の枠組みは、2018年以降、この比率が
100%以上であることを求めている。
当グループは、プロフォーマ・ベースの予想NSFRを、FINMAの現行の指針に基づいて報告しており、スイ
スにおけるBCBSのNSFRの開示基準が最終的に実施された場合には、これに従ってNSFRを調整する。当グルー
プのプロフォーマ・ベースの予想NSFRの計算は、NSFRの規制の効果についての解釈及び予想を含んでいる。
当該計算は、スイスでNSFRの規則の制定が完了し、規制の解釈が進展し、新たなモデルとこれに関連する制
度が強化されると、引き続き再構成される。スイスにおけるNSFRの枠組みの導入がEU及び米国における進展
に合わせて過去2年間遅延したが、その後、スイス連邦参事会は、2020年の初夏に関連府令の改正を採択
し、2021年半ばまでに発効させることを決定した。スイス連邦財務省は、今後数ヶ月で、利害関係者(業界
からの利害関係者を含む。)と連帯して、必要になる規制上の文言を最終化する権限を付与されている。
2019年12月31日現在、当グループのプロフォーマ・ベースの予想NSFRは111%であり、2018年12月31日の
数値から1パーセント・ポイント上昇した。これは主に、預金の増加を主因とする利用可能な安定調達の
190億米ドルの増加を反映したものであった。この影響は、トレーディング資産の増加及び計算の改良を主
因とする所要安定調達額の160億米ドルの増加によりその大部分が相殺された。
内部資金調達及び資金移動の価格設定
当グループは、全ての支店及び子会社における流動性管理につき、統合された流動性及び資金調達の枠
組みを利用しており、当グループの主要な流動性の高い資産は、完全連結の事業体間でやりとりされてい
る。グループ財務部門は、余剰資金を生み出している事業体から、融資を必要とする事業体に資金を流すこ
とにより、内部の資金調達需要を満たしている。ただし、移動制限がある状況はこの限りではない。
資金調達費用及びその便益は、当グループの流動性及び資金調達のリスク管理の枠組みに従って、当グ
ループの事業部門に配分されている。グループ財務部門が管理する、当グループの内部資金調達の価格設定
制度は、各事業部門の資産及び計画された活動を支援するための適切な負債構造を提供することを意図した
ものである。資金移動の価格設定の仕組みは、流動性及び資金調達リスクを発生させている活動に資金調達
及び流動性費用を配分することを目指したものであり、黒字事業から資金不足の事業への資金の移動を取り
扱っている。資金調達は、各事業の資産構成、流動性及び確実な外部資金調達を反映した比率及び期間で、
事業間で内部移動又は配分されており、主要な子会社については、各子会社毎に行われている。当グループ
は、内部資金移動の価格設定の仕組みを定期的に見直し、当グループの流動性及び資金調達管理の目的達成
を促進するために適切な強化を行っている。
信用格付
信用格付は、特にホールセール無担保資金源からの資金調達に関し、資金調達の費用及び利用可能性に
影響を与える可能性がある。当グループの信用格付は、当グループの一部の事業の業績並びに顧客及びカウ
ンターパーティの信頼水準にも影響を与える可能性がある。格付機関は、信用度を評価し、信用格付を設定
するにあたり、幅広い要素を考慮する。かかる要素には、会社の戦略、商況、営業基盤の価値、利益の安定
性及び質、自己資本比率、リスク・プロフィール及びリスク管理、流動性管理、資金源の分散化、資産の品
質並びにコーポレート・ガバナンスが含まれる。信用格付は、格付機関の意見を反映したものであり、随時
変更される場合がある。
当グループの流動性要件及び資金調達要件を評価するにあたり、当グループは、UBSの長期の格付の引き
下げ及びこれに伴う短期の格付の引き下げにより生じうる影響を考慮している。
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当グループの格付が引き下げられた場合、格付によるトリガー条項により、店頭(OTC)デリバティブの
ポジションに関連する契約上の義務及びその他の義務に基づき、即時の現金決済が行われる可能性、又はカ
ウンターパーティに対する追加担保の差入の必要が生じる可能性がある。2019年12月31日現在の当グループ
の 信用格付に基づき、長期の信用格付に1段階、2段階又は3段階の引き下げが行われた場合、当該契約上
の義務につき、それぞれ0億米ドル、5億米ドル及び9億米ドルが必要となる。そのうち、追加担保の差入
に関連する部分は、それぞれ0億米ドル、3億米ドル及び6億米ドルである。
2019年に、UBSグループAG及びUBS AGの依頼格付に関する主要な格付アクションが1回行われた。2019年
11月21日、格付投資情報センター(R&I)は、UBSグループAGの発行体格付をAからA+に引き上げ、見通しを
ポジティブから安定的に見直した。
資本
2019年12月31日現在の株主に帰属する持分は、16億500万米ドル増加し、545億3,300万米ドルとなった。
株主に帰属する包括利益合計は、当期純利益43億400万米ドル及びプラスのその他の包括利益(OCI)7億
8,500万米ドルを反映して、プラス50億8,900万米ドルとなった。OCIは、キャッシュ・フロー・ヘッジのプ
ラスのOCI11億4,300万米ドル、OCIを通じて公正価値で測定される金融資産に関連するプラスのOCI1億
1,700万米ドル及び為替換算調整のプラスのOCI1億400万米ドルで構成されていたが、自己の信用に関連し
たマイナスのOCI3億9,200万米ドル及び確定給付制度のマイナスのOCI1億8,600万米ドルにより一部相殺さ
れている。
資本剰余金は、27億7,900万米ドル減少したが、これは、UBSグループAGの資本準備金からの株主に対する
25億4,400万米ドルの配当金支払及び株式報酬制度に基づく自己株式の受渡しによる8億8,600万米ドルの減
少を主因としているが、損益計算書における繰延株式報酬の償却による6億1,900万米ドルの増加により一
部相殺されている。
自己株式に係る正味の活動により、株主に帰属する持分は、6億9,500万米ドル減少した。これは主に、
当グループの株式買戻しプログラムに基づく2019年の株式買戻し8億600万米ドルによるものであったが、
従業員株式報酬に関する自己株式の正味処分により一部相殺された。
IFRIC第23号 法人所得税の処理に関する不確実性 を適用した影響により、株主に帰属する持分は、1,100万
米ドル減少した。
非支配株主持分に帰属する持分は、200万米ドル減少し、1億7,400万米ドルとなった。
資産及び負債の満期分析
以下の表は、貸借対照表の日付現在の残余満期別の、オンバランス及びオフバランスの資産及び負債の分
析を示している。負債の契約上の満期は、帳簿価額及び支払を要求される可能性のある最も早い日に基づい
ている。資産の契約上の満期は、帳簿価格に基づいており、償還条項による影響を含んでいる。次の表にお
ける帳簿価額での負債の表示は、本書「第6 経理の状況 1 財務書類」記載の「連結財務書類に対する
注記」の「注27 金融負債の満期別分析」とは異なっている。同項においては、当該負債は、国際財務報告
基準の求めるところに従い、割引前ベースで表示されている。
デリバティブ金融商品並びに公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融資産及び負債は、それぞ
れの契約上の満期が1ヶ月を大幅に超える可能性に留意しつつ、 1ヶ月以内に期限到来 の項目に振り分けら
れている。
(公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金融資産の中で表示される)ユニットリンク型投
資契約をヘッジする目的で保有される資産は、(公正価値での測定を指定されたその他の金融負債の中で表
示される)ユニットリンク型投資契約に基づく関連支払金額に設定された満期に沿って、 1ヶ月以内に期限
到来 の項目に振り分けられている。
契約上の満期のないその他の金融資産及び負債(エクイティ証券等)は、 無期限/該当なし のタイムバ
ケットに振り分けられている。日付なし又は無期限の商品は、当該商品のカウンターパーティが権利を有す
る契約上の通知期間に基づいて分類されている。契約上の通知期間が存在しない場合は、日付なし又は無期
限の契約は、 無期限/該当なし のタイムバケットに振り分けられている。
契約上の満期のない非金融資産及び負債は、概ね 無期限/該当なし のタイムバケットに振り分けられてい
る。
ローン・コミットメントは、最も早く到来する実行可能日に基づき分類されている。
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資産及び負債の満期分析
1ヶ月超 3ヶ月超 6ヶ月超 9ヶ月超 2年超
1ヶ月以 3ヶ月以 6ヶ月以 9ヶ月以 12ヶ月以 1年超2 5年以内
内に期限 内に期限 内に期限 内に期限 内に期限 年以内に に期限 期限 無期限/
単位:十億米ドル 到来 到来 到来 到来 到来 期限到来 到来 5年超 該当なし 合計
資産
現金及び中央銀行預け金 107.0 0.1 107.1
銀行貸出金及び前渡金 11.2 0.6 0.2 0.2 0.1 0.0 0.2 0.0 12.4
有価証券ファイナンス取引による債権 57.2 16.8 4.3 4.0 1.0 0.8 0.2 84.2
デリバティブに係る差入担保金 23.3 23.3
顧客貸出金及び前渡金 118.9 36.7 14.0 8.3 9.1 27.1 60.6 52.0 326.8
償却原価で測定されるその他の金融資産 5.1 0.6 0.4 0.7 0.6 1.9 5.9 7.8 23.0
償却原価で測定される金融資産合計 322.6 54.8 18.9 13.2 10.7 29.7 66.8 60.0 576.8
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金
融資産 127.5 127.5
内、取引相手先により売却又は再担保差入され
ている可能性のある差入担保資産 41.3 41.3
デリバティブ金融商品 121.8 121.8
ブローカレッジ債権 18.0 18.0
公正価値で測定されるトレーディング目的保有で
ない金融資産 36.6 4.8 5.2 2.8 4.7 15.2 11.4 1.9 1.3 83.9
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産合
計 303.9 4.8 5.2 2.8 4.7 15.2 11.4 1.9 1.3 351.3
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される
金融資産 0.2 0.1 0.3 0.2 0.3 0.4 0.2 4.7 0.0 6.3
関連会社投資 1.1 1.1
有形固定資産及びソフトウェア 12.8 12.8
のれん及び無形資産 6.5 6.5
繰延税金資産 9.5 9.5
その他の非金融資産 6.6 1.3 0.0 7.9
2019年12月31日現在の資産合計 633.4 59.8 24.4 16.2 15.7 45.3 79.6 66.6 31.2 972.2
2018年12月31日現在の資産合計 626.5 63.0 24.2 17.0 18.9 37.4 80.6 62.2 28.6 958.5
負債
銀行預り金 5.3 0.3 0.1 0.2 0.1 0.3 0.2 0.0 6.6
有価証券ファイナンス取引による債務 7.4 0.1 0.3 0.0 7.8
デリバティブに係る受入担保金 31.4 31.4
顧客預金 422.9 16.0 4.3 0.9 1.8 1.1 1.2 0.0 448.3
償却原価で測定される社債 4.3 4.4 13.8 8.6 6.5 9.9 28.4 20.3 14.3 110.5
償却原価で測定されるその他の金融負債 5.8 0.1 0.1 0.1 0.1 0.5 1.2 1.8 9.7
償却原価で測定される金融負債合計 477.2 21.0 18.6 9.9 8.6 11.7 30.9 22.1 14.3 614.3
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金
融負債 30.6 30.6
デリバティブ金融商品 120.9 120.9
公正価値での測定を指定されたブローカレッジ債
務 37.2 37.2
公正価値での測定を指定された社債 20.4 17.3 3.9 4.1 2.1 10.2 2.0 6.7 66.8
公正価値での測定を指定されたその他の金融負債 34.1 0.4 0.2 0.2 0.0 0.0 0.4 0.6 35.9
純損益を通じて公正価値で測定される金融負債合
計 243.2 17.7 4.1 4.4 2.1 10.3 2.3 7.3 291.5
引当金 3.0 3.0
その他の非金融負債 3.7 2.6 2.5 8.8
2019年12月31日現在の負債合計 727.1 41.2 22.7 14.3 10.7 22.0 33.3 29.4 16.8 917.5
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2018年12月31日現在の負債合計 699.7 41.4 28.6 17.6 11.7 23.6 37.7 32.7 12.5 905.4
保証、コミットメント及び先日付スタートの取引
ローン・コミットメント 33.1 0.5 0.2 0.1 0.0 0.0 0.0 33.9
保証 19.1 19.1
リバース・レポ契約 21.9 0.0 21.9
有価証券借入契約
2019年12月31日現在の合計 74.1 0.5 0.2 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 74.9
2018年12月31日現在の合計 63.0 0.3 0.2 0.1 0.2 0.0 0.0 0.0 63.6
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オフバランス・シート
オフバランス取引
当グループは、通常の業務過程において、国際財務報告基準に準拠して、契約上の最大エクスポージャー
の全部又は一部が当グループの貸借対照表に計上されない取引を行っている。当該取引には、デリバティブ
商品、保証及び類似の取引、並びに非連結会社の購入持分及び留保持分の一部が含まれ、これは顧客の特定
のニーズを充足するため、又は当グループの支配下にない事業体を通じた投資の機会を顧客に提供するため
のヘッジ活動やマーケット・メイキング等の複数の理由によるものである。
当グループが、かかる取引を通じて、債務を負担し又は資産に対する権利を取得した場合、当グループは
これらを貸借対照表に計上する。貸借対照表上で認識される金額は、一定の場合、当該取引に内在する潜在
的な利得又は損失の全額を表示していないことに留意する必要がある。
以下は、様々な異なるオフバランス取引についての詳細な情報である。オフバランス・シートについての
追加情報は、主に本書「第6 経理の状況 1 財務書類」記載の「連結財務書類に対する注記」の注記
10、11、21、23、24i、26、31及び34、並びに www.ubs.com/investors に公表されている「Pillar 3
disclosures」の2019年12月31日付第3の柱に関する報告(英文)において提供されている。
オフバランス・シートの2019年度における変動
先日付スタートのリバース・レポ契約は、レポ市場における先日付スタートの取引に関連した顧客活動
水準の上昇を主に反映して、130億米ドル増加した。先日付スタートのレポ契約は80億米ドルで横ばいであ
り、保証もまた、160億米ドルで横ばいであった。ローン・コミットメントは、10億米ドル減少した。これ
は主に、当該年度中に実行、取消又はシンジケートされたコミットメントに起因するインベストメント・バ
ンクのコーポレート・クライアント・ソリューション事業における減少を反映していた。無条件に取消可能
な信用枠は、20億米ドル減少した。
リスク開示(当グループによるオフバランス・ビークルへの関与を含む。)
当グループのエクスポージャー(オフバランス・ビークルへのエクスポージャーを含む。)に関連する
包括的な信用リスク、市場リスク及び流動性リスクの情報については、上記「2 事業等のリスク」の「リ
スク管理及び統制」の項を参照されたい。
非連結投資信託へのサポート
2019年度、当グループは、非連結投資信託に対して資金面又はその他の実質的なサポートを提供しなかっ
た。グループにかかる契約上の義務はなく、またサポートを提供する意思もない。
保証及び類似取引
当グループは、通常の業務過程において、様々な保証、信用供与コミットメント、顧客支援のためのスタ
ンドバイ信用状及びその他の信用状、先日付スタートの取引のコミットメント、債券発行ファシリティ並び
にリボルビング引受ファシリティを発行する。関連するプレミアムを除き、通常、かかる保証及び類似義務
は、潜在的な損失又は予想信用損失を埋め合わせる引当金が要求されない限り、オフバランス・シートの項
目として維持される。
保証は、一定の条件を充足することを条件に、当グループの顧客が第三者に対する義務を履行しなかった
場合に当グループが支払を行う旨の取消不能の保証を表章する。保証及び類似商品からのネット・エクス
ポージャー(総価値からサブ・パーティシペーションを差し引く。)は、2018年12月31日現在で170億米ド
ルであったのに対し、2019年12月31日現在では165億米ドルとなった。保証の発行による手数料収入が2019
年度及び2018年度の収益全体に占める割合は多くはなかった。
当グループはまた、当グループの顧客の流動性需要を確保する目的で利用できる信用枠により信用供与コ
ミットメントを行う。未使用の信用枠の大部分は1ヶ月から5年を満期とする。無条件に取消可能な信用枠
は、通常、オープンエンド型である。顧客が義務を履行しなかった場合、当グループの信用リスクのエクス
ポージャーは、かかる商品の契約金額を上限とする。かかるリスクは、融資の供与に伴うリスクに類似して
おり、それと同一のリスク管理及び統制の枠組みに服する。当グループは、予想信用損失測定の範囲内の
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ローン・コミットメント、保証及びその他のクレジット・ファシリティに関連して、2018年度については
1,200万米ドルの正味信用損失費用を計上したのに対し、2019年度については600万米ドルの正味信用損失戻
入 を計上した。保証及びローン・コミットメントに関して認識された引当金は、2018年12月31日現在では1
億1,600万米ドルであったが、2019年12月31日現在では1億1,400万米ドルとなった。
一定の債務について、当グループは、保証及びローン・コミットメントから発生する様々なリスクを軽減
するため、一部でサブ・パーティシペーションを行う。サブ・パーティシペーションとは、債務者により債
務が履行されなかった場合に損失の一部を負担する旨、及び該当する場合にはクレジット・ファシリティの
一部の資金を調達する旨の第三者による同意である。当グループは、債務者との間で契約関係を有し、サ
ブ・パーティシペーション参加者は、間接的な関係のみを有する。当グループは、債務者と同等又はそれ以
上の信用格付を有すると当グループが認める銀行との間でのみサブ・パーティシペーション契約を締結す
る。
更に、当グループは、通常の業務過程で、第三者に対し表明、保証及び補償を提供する。
決済機関及び取引所の会員
当グループは、様々な証券取引所、デリバティブ取引所及び決済機関の会員である。かかる会員資格の一
部に関し、当グループは、他の不履行会員の金融債務の一部の支払を余儀なくされ、又はその他追加の金融
債務にさらされる可能性がある。会員規則は変更されるものの、債務は、通常、取引所又は決済機関がその
リソースを使い果たした場合にのみ発生する。当グループは、かかる債務により重大な損失が発生する可能
性はほとんどないと考えている。
預金保険
スイスの銀行法及び預金保険制度は、スイスの銀行及び証券ディーラーに対し、スイスの銀行又は証券
ディーラーが破産した場合の優先顧客預金として60億スイス・フランを上限とする金額を共同で保証するよ
う求めている。FINMAは、当グループが預金保険制度に納付する保険料は、9億スイス・フランになると見
積もっている。
当グループは、ドイツ銀行協会の預金保護基金の構成員として、UBSヨーロッパSEがその債務を履行でき
なくなる場合に、(預託者毎に2019年12月31日までは100,000ユーロ超2億3,500万ユーロ未満の金額、2020
年1月1日以降は100,000ユーロ超1億7,600万ユーロ未満の金額に対し)一定の非機関預金の対象範囲に関
連した補償を当該基金に提供するよう求められている。
前述した預金保険の要件は、偶発的な支払債務を表しており、当グループを追加のリスクにさらす。2019
年12月31日現在、当グループは、かかる債務により重大な損失が発生する可能性はほとんどないと考えてい
る。
契約債務
2019年12月31日現在の長期債務は、1,690億米ドルであり、公正価値での測定を指定された社債(680億米
ドル)及び償却原価で測定される既発の長期債(1,010億米ドル)で構成されており、将来の利息の概算及
び割引前の元本支払額を表している。
長期債務合計の半数超が固定利付であった。2019年12月31日現在の金利スワップの名目価額は、650億米
ドルであった。公正価値での測定を指定された社債は主に仕組債で構成されており、大部分が経済的にヘッ
ジされているが、かかる商品をヘッジするために用いられた金利スワップの支払金額及び/又は支払時期を
見積もることは、各々の負債に内在する金利リスクが一般的にポートフォリオ・レベルで管理されているた
め、難しいと考えられる。
(当グループが退職する従業員に対する契約上で合意した給与の支払を要求される)通知期間中の従業員
債務は、購入債務に含まれない。
通貨管理
戦略、目的及びガバナンス
グループ財務部門は、(ⅰ)米ドル以外の通貨建ての資産及び負債の同一通貨での資金調達及び投資、
(ⅱ)米ドル以外の通貨建ての利益及び損失のセルダウン、並びに(ⅲ)貸借対照表における構造的不均衡
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の影響を更に軽減するための米ドル以外の通貨建ての予想利益及び損失の選択的ヘッジという、為替リスク
の管理における3つの主要分野に注力している。報告を行う事業体の機能通貨以外の通貨建ての取引から生
じ る非トレーディング為替リスクは、市場リスク制限に基づいて管理されている。グループ財務部門が行う
活動には、当グループ連結レベルでの構造的な通貨構成の管理が含まれる。
米ドル以外の通貨建ての資産及び負債への同一通貨での資金調達及び投資
貸借対照表上の通貨関連項目及びその他の投資においては、当グループは、実務的かつ効率的な場合に
限り、資金調達の目的において、当グループの資産及び負債の通貨を一致させる原則に従っている。これに
より、米ドル以外の通貨建ての資産及び負債からの為替差益及び差損の発生を回避できる。
純投資額のヘッジ会計は、普通株式等Tier 1(CET1)自己資本及びCET1自己資本比率の両者に対する為替
変動の影響を均衡させるために、米ドル以外の通貨建ての中核投資に適用されている。
米ドル以外の通貨建ての利益及び損失のセルダウン
UBS AGの外国の子会社及び支店の損益計算書の項目で、米ドル以外を機能通貨とするものは、平均為替
レートを用いて米ドルに換算される。外国通貨で計上済みの利益の換算による利益の変動を減少させるため
に、グループ財務部門は、UBS AG及びその支店で発生した利益及び損失を集約し、かかる利益又は損失を米
ドルに換算して売買している。当グループの外国の子会社は、同様のセルダウン処理を月次で行い、機能通
貨に交換している。機能通貨が米ドル以外の通貨である外国子会社の利益剰余金は統合され、当グループの
純投資額のヘッジ会計プログラムの一環として管理されている。
米ドル以外の通貨建ての予想利益及び損失のヘッジ
グループALCOは、為替レートが悪化する可能性に備えて、予想される将来の外国為替建て利益及び損失
を保護するべく、ヘッジ取引を行うよう、随時グループ財務部門に指示する場合がある。こうした取引は将
来の利益をヘッジすることを意図したものではあるが、未決済の通貨ポジションとして計上され、バ
リュー・アット・リスクの内部市場リスク制限及びストレス損失制限に服する。
配当
2018年10月1日よりUBSグループAGの機能通貨を米ドルへ変更した後、配当宣言通貨を機能通貨に合わせ
るため、2019年を通じて配当金が米ドルで計上された。これにより、2019年度の配当を皮切りに、UBSグ
ループAGは今後、米ドル建ての配当を公表する予定である。SIX(ISIN: CH0244767585)を通じて株式を保
有している株主は、配当落ち日前日に公表され、小数第5位まで算出される為替相場に基づいて、スイス・
フランで配当を受け取る予定である。DTC(ISIN: CH0244767585、CUSIP: H42097107)を通じて株式を保有
する株主は、米ドルで配当が支払われる。
キャッシュ・フロー
グローバルな金融機関である当グループのキャッシュ・フローは複雑であり、当グループの純利益及び純
資産と殆ど関係がない場合がある。従って、当グループの流動性ポジションを評価する際、従来のキャッ
シュ・フロー分析は、本項の他の箇所に記載された、流動性、資金調達及び資本管理の枠組み及び方法と比
較して意義がないと当グループは考えている。
現金及び現金同等物
2019年12月31日現在の現金及び現金同等物の合計は、財務及び投資活動による純資金流出に起因して、
2018年12月31日現在から62億米ドル減少し、1,199億米ドルとなったが、営業活動による純資金流入により
一部相殺されている。
営業活動
2019年度の営業活動による純資金流入は、197億米ドルであった。営業活動による正味キャッシュ・フ
ロー(営業活動に係る資産及び負債の変動並びに支払税金控除前)は、143億米ドルの流入であった。営業
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活動に係る資産及び負債の変動は、54億米ドルの純資金流入をもたらした。これは主に、顧客預金に関連し
た232億米ドルの純資金流入及び有価証券ファイナンス取引からの87億米ドルの純資金流入に起因してい
た。 これらの流入額は、公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融資産及び負債並びにデリバティ
ブ金融商品からの188億米ドルの純資金流出並びに銀行貸出金及び前渡金からの43億米ドルの純資金流出並
びに顧客に対する貸付残高からの31億米ドルの純資金流出により一部相殺されている。
2018年度の営業活動による純資金流入は、289億米ドルであった。営業活動による正味キャッシュ・フ
ロー(営業活動に係る資産及び負債の変動並びに支払税金控除前)は、2億米ドルの流出であった。営業活
動に係る資産及び負債の変動は、291億米ドルの純資金流入をもたらした。これは主に、ブローカレッジ債
権及び債務に関連した114億米ドルの純資金流入、公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金
融資産並びにその他の金融資産及び負債からの111億米ドルの純資金流入、公正価値で測定されるトレー
ディング目的保有金融資産及び負債並びにデリバティブ金融商品からの111億米ドルの流入、並びに顧客預
金からの91億米ドルの流入に起因していた。これらの流入額は、有価証券ファイナンス取引からの112億米
ドルの純資金流出及び顧客に対する貸付残高からの52億米ドルの純資金流出により一部相殺されている。
投資活動
2019年度においては、投資活動の結果、純資金流出は16億米ドルとなり、これは主に、その他の包括利益
を通じて公正価値で測定される金融資産の購入による34億米ドルの純資金流出並びに有形固定資産及びソフ
トウェアの購入による16億米ドルの純資金流出に関連するものであった。これらの流出額は、その他の包括
利益を通じて公正価値で測定される金融資産の処分及び償還による39億米ドルの純資金流入額により一部相
殺されている。
2018年度においては、投資活動の結果、純資金流出は61億米ドルとなった。これは主に、償却原価で測定
される負債証券の買入れ及び償還からの38億米ドルの純資金流出に関連していた。
財務活動
2019年度においては、財務活動の結果、純資金流出は256億米ドルとなり、これは主に、短期債の正味返
済額171億米ドル及び長期債の正味返済額38億米ドルによるものであり、これには公正価値での測定を指定
された社債が含まれている。これに加えて、株主への配当金分配25億米ドル及び自己株式取得に用いられた
純資金16億米ドルも当該純資金流出の一因となった。
2018年度においては、財務活動の結果、純資金流入は2億米ドルとなり、これは主に、長期債の正味発行
額163億米ドルによるものであり、これには公正価値での測定を指定された社債が含まれているが、短期債
の正味返済額122億米ドル、株主への配当金分配24億米ドル及び自己株式取得に用いられた現金純額14億米
ドルにより一部相殺されている。
重要な会計上の見積り及び判断
当グループは、国際会計基準審議会(IASB)が公表した国際財務報告基準(IFRS)に準拠した財務書類を
作成するにあたり、判断を適用し、見積り及び仮定を行っており、この判断、見積り及び仮定にはそれらが
なされた時点で重大な不確実性を含んでいる可能性がある。当グループは、これらの見積り及び仮定のう
ち、過去の経験、将来の予測及びその他の関連する要素を含んだものについて、現在の状況に基づいて継続
的な関連性を判断するために定期的に再評価し、必要に応じて更新している。見積り及び仮定の変更が財務
書類に重大な影響を与える可能性がある。更に、実際の結果が当グループの見積りと大きく異なる可能性が
あり、これにより、当グループの予想又は備えを超えて、当グループに多大な損失がもたらされる可能性が
ある。
高度な判断を伴う主な分野並びに見積り及び仮定が連結財務書類にとって重要な分野には、以下の事項が
含まれる。
- 公正価値測定
- 予想信用損失測定
- 金融商品を分類する際のビジネスモデル及び一定の契約上の特徴の評価
- 年金及びその他の退職給付制度
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- 法人所得税
- のれん
- 引当金及び偶発債務
- ストラクチャード・エンティティの連結
- 機能通貨の決定及び2018年12月31日に終了した年度について表示通貨の変更に伴う修正再表示を行う
ことが実務的である最も早い日の評価
当グループは、当グループが行った判断、見積り及び仮定は、その状況下で適切であり、当グループの財
務書類は、IFRSに準拠して、2019年12月31日現在のUBSの財務ポジション並びに2019年の経営成績及び
キャッシュ・フロー(比較情報を含む。)を全ての重要な点において適正に表示しているものと考えてい
る。
4【経営上の重要な契約等】
本書「第6 経理の状況 1 財務書類」記載の「連結財務書類に対する注記」の注記32を参照のこと。
5【研究開発活動】
該当事項なし。
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第4【設備の状況】
1【設備投資等の概要】
下記「2 主要な設備の状況」を参照のこと。
2【主要な設備の状況】
2019年12月31日現在、UBS AGは全世界の約772の事業及びバンキングに関する拠点で事業を行っている。
そのうち、約37%がスイスに、45%が南北アメリカに、10%がスイス以外のヨーロッパ、中東及びアフリカ
に、8%がアジア太平洋地域に所在する。スイスに所在する事業及びバンキングに関する拠点のうち、26%
はUBS AGが直接保有し、残りは、UBS AGのスイス国外の事業所の大部分と同様に、商業リースによるもので
ある。当該設備は、継続的に保守及び改良が行われており、現在の業務及び予想される業務に適切かつ適当
であるものとみなされる。
本書「第6 経理の状況 1 財務書類」記載の「連結財務書類に対する注記」の注記15を参照のこと。
3【設備の新設、除却等の計画】
該当事項なし。
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第5【提出会社の状況】
1【株式等の状況】
当行の普通株式は、1株当たりの額面0.10スイス・フランの記名株式であり、全額払込済みである。
(1)【株式の総数等】(2019年12月31日現在)
①【株式の総数】
授 権 株 数 (株) 発 行 済 株 式 総 数 (株) 未 発 行 株 式 数 (株)
記 名 式 記 名 式 記 名 式
4,238,408,466 3,858,408,466 380,000,000
(注) 上記記名株式は額面金額0.10スイス・フランである。
資本の額(2019年12月31日現在/財務書類に基づく)
額 面 価 額 資 本 金
スイス・フラン 株 式 数 スイス・フラン (百万円)
発行済払込済株式資本 0.10 3,858,408,466 385,840,846.60 (43,276)
②【発行済株式】
上場金融商品取引所名又は
記名・無記名の別及び
種 類 発行数(株) 登録認可金融商品取引業協 内容
額面・無額面の別
会名
記名式額面株式
普通株式 3,858,408,466 該当なし (注)
(額面金額0.10スイス・フラン)
(注) 株式1株につき1議決権を有する。
(2)【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当事項なし。
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(3)【発行済株式総数及び資本金の推移】(2019年12月31日現在)
株式資本の変動
(単位:スイス・フラン(百万円))
発行済株式総数 発行済株式総数
年 月 日 資本金増減額 資本金残高 摘 要
増減数(数) 残高(株)
2014年12月31日 - 3,844,560,913 - 384,456,091
(43,121)
2015年12月31日 13,847,553 3,858,408,466 1,384,755 385,840,847 2015年5月に任意の株式
配当を行った際、条件付
(155) (43,276)
株式資本からUBS AGの新
株を発行
2016年12月31日 0 3,858,408,466 0 385,840,847
(43,276)
2017年12月31日 0 3,858,408,466 0 385,840,847
(43,276)
2018年12月31日 0 3,858,408,466 0 385,840,847
(43,276)
2019年12月31日 0 3,858,408,466 0 385,840,847
(43,276)
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(4)【所有者別状況】
UBSグループAGは、2019年12月31日現在UBS AG株式の100.00%を所有している。よって、2019年12月31日
現在、UBSグループAGがUBS AGの唯一の主要株主であった。
(5)【大株主の状況】
2019年12月31日現在
発行済株式総数に
氏名又は名称 住所 所有株式数 対する所有
株式数の割合
スイス国 チューリッヒ市 CH-8001
UBSグループAG 3,858,408,466 100.00%
バーンホフストラッセ45
2【配当政策】
配当支払を行うか否かの決定及び当行が払う配当の水準は、年次の利益及び当行に投入される資本水
準を含む様々な要因に依拠する。
3【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
UBSグループAGは、スイス証券取引所のコーポレート・ガバナンス情報に関する準則を含むスイスの法律
上及び規制上のコーポレート・ガバナンスに関する全ての関連ある要件、並びに経営陣への報酬について
の別紙を含むスイス連邦コーポレート・ガバナンス・ベスト・プラクティス規範に規定される基準に服し
ており、これらを遵守している。
また、UBSグループAGは、その株式をニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場している外国会社として、
外国民間証券発行者に適用ある全ての関連あるコーポレート・ガバナンスの基準を遵守している。
スイス連邦債務法第716b条並びにUBSグループAGの定款第25条及び第27条に基づき、取締役会(BoD)が
承認するUBSグループAGの組織規則は、当グループのコーポレート・ガバナンスの主要な指針である。
実務上可能な範囲でUBSグループAGとUBS AGのガバナンス体制は足並みを揃えたものとなっている。UBS
AGは、スイスの法律上及び規制上のコーポレート・ガバナンスに関する全ての関連ある要件を遵守してい
る。UBS AGはまた、NYSEに負債証券を上場している外国民間証券発行者として関連するNYSEのコーポレー
ト・ガバナンス基準を遵守している。本項における記載は、別途違いが明記される場合を除き、また、株
式上場会社だけに関連する記載はUBSグループAGにのみ適用あるという点を除き、UBSグループAG及びUBS
AGの両方に関するものである。これは、米国証券取引委員会の規則及びNYSEの上場基準に沿ったものであ
る。
米国上場会社に関するコーポレート・ガバナンス基準との相違
NYSEのコーポレート・ガバナンスに関する上場基準に従って、外国民間証券発行者は、自身のコーポ
レート・ガバナンスの慣行と米国内の企業が服する慣行との重要な相違点を開示する義務を負う。この相
違点については、以下に記載する。
独立監査人に関する監査委員会の責任
UBSグループAG及びUBS AGの監査委員会は、独立監査人の報酬、維持及び監督に責任を負っている。監査
委員会は、社外監査人の実績と能力を評価し、その指名、再指名又は解任をBoDの全構成員に対して提案す
る。スイス連邦債務法に規定される通り、BoDは、当該提案を年次株主総会(AGM)で株主の投票に付す。
NYSEの基準の下では、監査委員会は独立監査人の指名についても責任を負っている。
リスク委員会によるリスク評価及びリスク管理方針の検討
UBSグループAGとUBS AGの関連ある組織規則に従って、リスク委員会は監査委員会に代わってBoDを代表
してUBSグループAG及びUBS AGのリスク原則とリスク許容度を監督する。リスク委員会は、UBSグループAG
及びUBS AGによる当該リスク原則の厳守と、事業部門及び管理部門がリスク管理及び統制において適切な
システムを維持しているかについて、監視する義務を負う。
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内部監査機能の監督
取締役会会長及び監査委員会は、内部監査機能に関し、監督する責任及び権限を共有する。NYSEの基準
の下では、監査委員会だけが内部監査機能を監督する。
UBSグループAGの上級役員の業績評価に対する報酬委員会の責任
スイス法に従い、UBSグループAG及びUBS AGの報酬委員会は、BoDと共に、BoDに対する報酬総額の最高限
度額、グループ執行役員会(GEB)に対する固定報酬総額の最高限度額及びGEBに対する変動報酬総額につ
いてAGMにて株主の承認を求める。AGMにて株主は報酬委員会の構成員を選任する。NYSEの基準の下では、
報酬委員会は、上級役員の業績を評価し、一つの委員会として又は他の独立性を有する取締役と共に、そ
の報酬について決定及び承認する責任を有する。
監査委員会と報酬委員会の議決権代理行使に係る参考資料
NYSE上場基準により、上記の委員会は各々の報告書を株主に直接提出するよう義務付けられる可能性が
ある。しかしながら、スイス連邦法上、株主宛てに作成するUBSグループAGの報告書(上記の委員会からの
報告書を含む。)は全て、BoDに提出され、BoDにより承認されており、BoDは、株主に対して最終的な責任
を負っている。
株式報酬制度に対する株主の議決権
NYSEの基準の下では、あらゆる株式報酬制度の創設及び重要な変更について、株主の承認が必要となる
が、スイス法の下では、BoDは報酬制度を承認する権限を有する。株式ベースの報酬制度により増資が必要
となった場合に限り株主の承認が必須である。ただし、当該制度に係る株式が市場で調達される場合、株
主の承認は必要とされない。
グループの構成
事業グループの構成
2019年12月31日現在、当グループの運営組織は、グローバル・ウェルス・マネジメント、パーソナル&
コーポレート・バンキング、アセット・マネジメント及びインベストメント・バンクの各事業部門、並び
にコーポレート・センターで構成されている。
当グループの上場会社及び非上場会社
当グループには、数多くの連結法人が含まれているが、そのうち、UBSグループAGの株式だけが上場して
いる。
UBSグループAGの登録上の事務所は、スイス国 チューリッヒ市 CH-8001 バーンホフストラッセ45に所在
する。UBSグループAGの株式は、スイス証券取引所(ISIN:CH0244767585)及びNYSE(CUSIP:H42097107)
に上場している。
取締役会
UBSグループAGの取締役会(BoD)は、取締役会会長の指揮の下にあり、定款(AoA)に規定されている通
り6名から12名の構成員から成る。
BoDは、グループ・チーフ・エグゼクティブ・オフィサー(グループCEO)の推薦に基づき当グループの
戦略を決定し、かつ適用法令遵守の監督に責任を有するのみならず、当グループ及びその経営に関する全
般的な指揮、監督及び統制に責任を有する。BoDは、UBSグループAG及びその子会社全体を監督し、かつUBS
グループAG及びその子会社がさらされている主要なリスクを考慮した上で、当グループに関する有効な事
業運営及び監督を提供するために当グループの明確なガバナンス枠組みを確立する責任を有する。BoDは、
健全で効果的な統制に関する枠組みの中で、当グループを成功に導き、かつ持続的な株主価値を創出する
ことに関し最終的な責任を有する。更に、公表される全ての財務書類を承認し、かつグループ執行役員会
(GEB)の全構成員の指名及び解任を行う。
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UBS AGのBoDは、取締役会会長の指揮の下、執行役員会プレジデントの推薦に基づきUBS AGの戦略を決定
し、かつその経営を最終的に監督する。UBS AGのBoDは、当グループが設定するパラメーターに基づきUBS
AGの成功に対する最終的な責任を遂行する。
取締役会の構成員
2019年5月2日のAGMにおいて、デイヴィッド・シドウェル、ジェレミー・アンダーソン、レト・フラン
チオーニ、フレッド・フュ、ジュリー G. リチャードソン、イザベル・ロミー、ロバート W. スカリー、
ビアトリス・ウェーダー・ディ・マウロ及びディーター・ウェマーがBoDの構成員として再任された。ミ
シェル・デマレー及びアン F. ゴッドビアは、両者とも2009年からBoDに所属し、上限である10年の任期に
到達したことにより退任したため、再任に向けて立候補することはなかった。デマレー氏及びゴッドビア
氏の経歴については、 www.ubs.com/investors の「Annual reporting」にて入手可能なUBSグループAGの
2018年度年次報告書(英文)の227頁及び228頁に記載されている。ウィリアム C. ダッドリー及びジャ
ネット・ウォンは初めて選任された。同時に、アクセル A. ウェーバーが取締役会会長に再任され、ジュ
リー G. リチャードソン、ディーター・ウェマー、レト・フランチオーニ及びフレッド・フュが報酬委員
会の構成員に選任された。更に、ADBアルトルファー・デュス・ウント・バイルシュタイン・アーゲー
(ADB Altorfer Duss & Beilstein AG)が独立議決権行使代理人に選任された。上記選任後、BoDは、デイ
ヴィッド・シドウェルを取締役会副会長及びUBSグループAGの上級独立取締役に指名した。
2020年1月10日、BoDはナタリー・ラチョウ及びマーク・ヒューズが次の年次株主総会でUBSグループAG
及びUBS AGの取締役候補者として指名される予定である旨発表した。ナタリー・ラチョウは、ルーヴィ
エ・アソシエの上級顧問であり、マーク・ヒューズは、2018年までロイヤル・バンク・オブ・カナダのグ
ループ・チーフ・リスク・オフィサーであった。デイヴィッド・シドウェル及びイザベル・ロミーは、そ
れぞれ12年及び8年のBoDの任期を完了することになるため、再任に向けて立候補する予定はない。
UBSグループAGのAoAの第31条は、BoDの構成員がUBSグループ以外で受ける委任の数を、上場会社につい
ては4の取締役委任まで、非上場会社については5の追加委任までに制限している。UBSが支配している会
社又はUBSを支配している会社についての委任はこの制限の適用外である。更に、BoDの構成員は、UBSの要
請により10を超えて委任を受けることはできず、かつ組合、慈善団体、財団、信託会社及び従業員福利財
団について10を超えて委任を受けることはできない。2019年12月31日現在、BoDのいずれの構成員も、AoA
の第31条に規定される上限を超えていなかった。
BoDのいずれの構成員も当グループにおいて運営管理業務を現在又は過去3年の間に遂行しておらず、
よって、BoDの全構成員は非執行取締役である。
UBSグループAGのBoDの全構成員がUBS AGのBoDの構成員を兼任しており、委員会の構成員もUBSグループ
AGとUBS AGで同一である。上級独立取締役の職務はUBSグループAGのみに関係する。
2019年、UBS AGのBoDは監査委員会、報酬委員会及びリスク委員会の3つの恒常的委員会を有していた。
前述の恒常的委員会に加え、UBSグループAGは、企業風土・責任委員会及びガバナンス・指名委員会を有し
ていた。
役員の選任及び任期
株主は、BoDの提案を受けて、毎年、BoDの各構成員を個別に選任し、また、取締役会会長及び報酬委員
会の構成員を選任する。
組織規則に規定される通り、BoDの構成員は、通常、最低3年間就任することが予定されている。BoDの
いずれの構成員も、10回を超えて連続して任期を務めることができない。ただし、例外的な状況におい
て、BoDはかかる制限を延長することができる。
組織原則及び組織構成
AGMの後に、BoDは、1名又は複数名の副会長、上級独立取締役、取締役会委員会の構成員(株主に選任
された報酬委員会の構成員を除く。)及び各委員会の委員長を指名するために開催される。かかる会にお
いて、BoDは、BoD及びその委員会の秘書役として行為するグループ会社秘書役を指名する。
定款及び組織規則によれば、BoDは、業務上必要な頻度で、ただし少なくとも年6回以上、開催されなけ
ればならない。2019年度中、BoDの会議(電話会議も含む。)は全部で23回開催され、うち15回はGEBの構
成員も出席した。BoDの会議(電話会議も含む。)の平均出席率は、98%であった。グループCEOは、GEBの
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構成員も出席したBoDの会議に加え、GEBが出席せずに開催されたBoDの一部の会議に出席した。上記会議及
び電話会議の平均開催時間は145分であった。2019年度について、合同の会議の頻度及び長さはUBSグルー
プ AGとUBS AGで同じであった。加えて、8回の特別電話会議が開催され、そのうち2回はGEBの構成員が出
席しない会議であった。更に、二日間の危機管理及びシミュレーション演習が開催された。
BoDの各会議において、各委員会の委員長は、当該委員会が現在行っている活動及び当該委員会の重要な
問題についての進捗報告をBoDに対して行う。
法人のガバナンスの重要性が高まっていることを受けて、UBS AG単独のBoDの会議が開催された。2019年
度中、UBS AGの会議は執行役員会の構成員も出席して4回開催された。単独の会議は、法人のガバナンス
及びUBS AGに関連するその他の議題について協議及び合意するために、定期的に開催されている。更に、
当グループでは、UBSグループAGとその主要なグループ企業の間で連携及び情報交換を強化した。当グルー
プのBoDと主要なグループ企業全社の取締役会との間の合同会議を導入した。加えて、企業ガバナンスが強
化するため、当グループと主要なグループ企業の取締役会の独立構成員が全員参加した二日間の年次ワー
クショップの3回目が開催された。
業績の評価
BoDの有効性に関する外部評価は、2018年末に開始され、2019年5月に完了した。この外部審査は、3年
毎に独立した外部評価を実施するという定期的なスケジュールに沿って委託されたものである。独立した
外部評価が行われない各年については、BoDのレベルで徹底した自己評価が行われ、一方で委員会も毎年自
己評価を実施している。社外審査の一環として、BoDの全構成員、グループCEO、選出されたGEB構成員、グ
ループ内部監査部門長、主任監査パートナーがインタビューを受けた。また、外部評価人は、オブザー
バーとしてBoDの会議及び選定された委員会会議に出席し、ガバナンス関連の文書を検討した。
徹底した外部評価の結果、BoD及びその委員会は、ベスト・プラクティスに沿って、かつ、ヨーロッパの
主導的同業他社と比較してもトップクラスで、有効に運営されていると結論づけられた。最終報告書は、
重要な問題は提起しなかったが、BoDの検討事項として幾つかの提言を行った。これらの提言により、BoD
の議題に若干の調整が加えられ、2019年/2020年についてのBoDの優先事項を明確化するための情報源にも
なった。BoDに関し、特に重点が置かれた分野は、戦略、成長及び価値創出、並びに後継者育成計画であっ
た。更に、引き続き、規制、リスク及び法的問題の監視、並びにデジタル変革に特別な重点が置かれた。
環境、社会及びガバナンスのテーマ、特に持続可能性及び文化的価値の継続的な重視は、その他の重要な
優先事項であった。
BoDの委員会
後記の各委員会はBoDの責務の遂行を支援している。各委員会及び各委員会規程については、
www.ubs.com/governanceに公表されている組織規則に記載されている。当該委員会は、業務上必要な頻度
で開催されるが、監査委員会、リスク委員会及び報酬委員会については、少なくとも年4回以上、企業風
土・責任委員会及びガバナンス・指名委員会については、少なくとも年2回以上開催される。共通の利害
に関わる議題又は複数の委員会に影響する議題については、合同委員会で話し合いが行われる。監査委員
会及びリスク委員会の合同委員会は少なくとも年4回以上開催される。
2019年度中、UBSグループAGに関する合同委員会は合計10回(UBS AGに関する合同委員会は合計9回)開
催された。リスク委員会は、報酬委員会と合同で1回、企業風土・責任委員会と合同で1回、監査委員会
と合同で8回開催された。
取締役会
GEBが出席しなかった GEBが出席した会議及び
2019年の構成員 主要な責務
3 4
会議の出席状況 電話会議の出席状況
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取締役会は、健全で効果的な統制に関
取締役会会長
する枠組みの中で、当グループを成功
アクセル A. ウェーバー
8/8 100% 15/15 100%
に導き、かつ持続的な株主価値を創出
することに関し最終的な責任を有す
1
ミシェル・デマレー 2/2 100% 5/5 100%
る。BoDは、グループCEOの推薦に基づ
き、当グループの戦略並びに必要とな
デイヴィッド・シドウェル 8/8 100% 15/15 100%
る財源及び人的資源を決定し、株主及
ジェレミー・アンダーソン 8/8 100% 15/15 100%
びその他の利害関係者に対する義務を
確実に満たすよう当グループの価値及
2
ウィリアム C. ダッドリー
6/6 100% 8/10 80%
び基準を設定する。
レト・フランチオーニ 8/8 100% 15/15 100%
1
アン F. ゴッドビア
2/2 100% 5/5 100%
フレッド・フュ 7/8 88% 13/15 87%
ジュリー G. リチャードソン
8/8 100% 15/15 100%
イザベル・ロミー 8/8 100% 15/15 100%
ロバート W. スカリー
8/8 100% 15/15 100%
ビアトリス・ウェーダー・
ディ・マウロ 8/8 100% 15/15 100%
ディーター・ウェマー 8/8 100% 15/15 100%
2
ジャネット・ウォン 6/6 100% 10/10 100%
1
ミシェル・デマレー及びアン F. ゴッドビアは、2019年度AGMにおいて再任に向けて立候補することはなかった。上記は2019年度AGMま
2
でに開催された全会議に対する出席状況を示している。 ウィリアム C. ダッドリー及びジャネット・ウォンは2019年度AGMにて取締役会
3
に選任された。上記は選任後に開催された全会議に対する出席状況を示している。 上記以外にも2019年度に2回の臨時電話会議が開催
4
された。 上記以外にも2019年度に6回の臨時電話会議が開催された。
監査委員会
監査委員会は、2019年度を通じて、その全員が独立性を堅持しているとBoDが判断する5名のBoDの構成
員で構成された。監査委員会の構成員は、委員会全体として、その全職務を履行するのに必要な能力及び
スキルを有する必要があり、かつ、財務に精通し、バンキング及びリスク管理に関する経験を有していな
ければならない。
監査委員会は、それ自体が監査業務を行うのではなく、UBSグループAG及びUBS AGの年次財務書類の監査
及び四半期財務書類の審査を行う責任を担う社外監査人であるアーンスト・アンド・ヤング・リミテッド
による監査を監視する。
特に、監査委員会は、BoDに承認を促す又は監査委員会が適切と考える調整を提案する前に、UBSグルー
プAG及びUBS AGの財務書類並びに財務業績に関する発表の健全性を監視し、それらに含まれる財務報告上
の重要な判断を審査する。
監査委員会は、社外監査人及び主席監査パートナーとの関係を監視し、それらの適格性、専門知識、有
効性、独立性及び業務の遂行状況を評価し、社外監査人の指名、再指名又は解任及び主席監査パートナー
のローテーションについてのBoDの判断をサポートする。その結果を受けて、BoDは、当該提案を株主の承
認を求めてAGMに提出する。
2019年度中、監査委員会は8回の会議と8回の電話会議を行い、出席率は98%であった。これらの会議
及び電話会議の平均開催時間はそれぞれ約150分であった。2019年度について、会議の頻度及び長さはUBS
グループAGとUBS AGで同じであった。監査委員会の全ての会議及び電話会議にグループ・チーフ・ファイ
ナンシャル・オフィサー並びにグループ・コントローラー及びチーフ・アカウンティング・オフィサーが
出席していた。2019年度中、監査委員会委員長及び監査委員会は、主要な監督当局と定期的に会談した。
監査委員会の全委員は、会計又は関連ある財務管理の専門知識を有し、2002年米国サーベンス・オクス
リー法により制定された規則に従い、少なくとも1名の委員が財務専門家としての資格を有している。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)のコーポレート・ガバナンスに関する上場基準及び米国証券取引所法規
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則10A-3では、監査委員会の構成員についてBoDの他の構成員より厳格な独立性の要件を設定している。
2019年度を通じて、監査委員会の全構成員は、当グループの独立性の基準を充足しており、更に、BoDの構
成 員としての自身の権能以外で当グループを構成するいかなる法人からもコンサルティング報酬、アドバ
イザリー報酬又は補償費を直接的にも間接的にも受領しておらず、発行済み資本の5%超のUBSグループAG
株式を直接的にも間接的にも保有しておらず、その他の公開会社2社超の監査委員会に所属していないと
いう点で、前述した要件を充たしていた。
監査委員会
会議及び電話会議の
2019年の構成員 主要な責務
出席状況
監査委員会は、財務報告及び財務報告上の内部統制、社外監査及び
ジェレミー・アンダーソン
内部監査機能の有効性、並びに内部告発の有効性に関連する監督責
(委員長) 16/16 100%
任を果たすことで、取締役会を支援する役割を有する。
1
経営陣は、財務書類の作成、表示及び健全性に対して責任を有し、
ミシェル・デマレー 8/8 100%
他方では社外監査人は財務書類の監査に責任を有する。監査委員会
1 の責任は、監督及び審査である。
アン F. ゴッドビア
8/8 100%
イザベル・ロミー 16/16 100%
ビアトリス・ウェーダー・
ディ・マウロ 14/16 88%
2
ディーター・ウェマー 8/8 100%
2
ジャネット・ウォン 8/8 100%
1
ミシェル・デマレー及びアン F. ゴッドビアは、2019年度AGMにおいて再任に向けて立候補することはなかった。上記は2019年度AGMま
2
でに開催された全会議に対する出席状況を示している。 ディーター・ウェマー及びジャネット・ウォンは、2019年度AGM後、当該委員会
の委員となった。上記は選任後に開催された全会議に対する出席状況を示している。
報酬委員会
報酬委員会は、2019年度を通じて、下記の表に記載された4名の独立性を有するBoDの構成員で構成され
た。報酬委員会は、当該表に記載された主要な責務に加え、2019年度年次報告書に記載された報酬開示情
報を審査する。
2019年度中、報酬委員会は6回の会議と2回の電話会議を行い、出席率は97%であった。各会議及び電
話会議の平均開催時間は約135分であった。全ての会議に取締役会会長が同席し、ほとんどの会議にグルー
プCEO及び外部アドバイザーが同席した。2019年度中、報酬委員会委員長は主要な監督当局と定期的に会談
した。
報酬委員会
会議及び電話会議の
2019年の構成員 主要な責務
出席状況
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報酬委員会は、以下の事項に責任を有する。
アン F. ゴッドビア
(ⅰ)報酬及び福利厚生に関するガイドラインを策定するという取締
1
(委員長) 2/2 100%
役会の責務を支援すること。
(ⅱ)取締役会会長及び独立性を有しない取締役会の構成員の報酬総
ジュリー G. リチャードソン
額を承認すること。
(委員長) 8/8 100%
(ⅲ)取締役会会長と共に、グループCEOの財務及び非財務成績目標を
決定すること、並びにグループCEOの推薦に基づき、他のGEB構成員の
1
ミシェル・デマレー 2/2 100%
財務及び非財務成績目標を精査すること。
(ⅳ)取締役会会長と相談の上、グループCEOの業績を合意された目標
2
レト・フランチオーニ 6/6 100%
に照らして評価すること、並びにGEB構成員の各々の業績評価につい
て、取締役会に報告すること。
2
フレッド・フュ 5/6 83%
(ⅴ)取締役会会長と共に、取締役会の承認を求めて、独立性を有す
る取締役会の構成員及びグループCEOの個々の報酬総額を提案するこ
ディーター・ウェマー 8/8 100%
と。
(ⅵ)グループCEOの推薦に基づき、GEB構成員の個々の報酬総額を取
締役会に承認を求めて提案すること。
1
ミシェル・デマレー及びアン F. ゴッドビアは、2019年度AGMにおいて再任に向けて立候補することはなかった。上記は2019年度AGMま
2
でに開催された全会議に対する出席状況を示している。 レト・フランチオーニ及びフレッド・フュは、2019年度AGMにて当該委員会の委
員に選任された。上記は選任後に開催された全会議に対する出席状況を示している。
企業風土・責任委員会
企業風土・責任委員会は、2019年度を通じて、下記の表に記載された委員長と3名の独立性を有するBoD
の構成員で構成された。グループCEO並びにUBSインソサエティの責任者は企業風土・責任委員会の固定ゲ
ストであり、上級地域担当者(会長又は社長)は1回の会議にゲストとして出席した。2019年度中、6回
の会議が開催され、平均出席率は96%であった。各会議の平均開催時間は約100分であった。
企業風土・責任委員会
2019年の構成員 会議の出席状況 主要な責務
企業風土・責任委員会は、責任ある、かつ持続可能な企業行動につい
アクセル A. ウェーバー
て当グループの評判を守りかつ向上させるという取締役会の責務を支
(委員長) 6/6 100%
援する。企業風土・責任委員会の役割は、当該委員会が社会的傾向及
び変革の動向を監視及びレビューし、当グループのためにそれらの潜
ジェレミー・アンダーソン 6/6 100%
在的関連性を評価するという点で、将来予測に関するものである。
1
この評価の実施において、当該委員会は、UBSの社会的実績及び企業風
ウィリアム C. ダッドリー
3/4 75%
土の発展に関する利害関係者の懸念及び期待をレビューする。また、
2
企業風土・責任委員会の役割には、当グループ内の企業風土及び企業
レト・フランチオーニ 2/2 100%
責任に関するプログラム及びイニシアチブの現状及び実施状況を監視
ビアトリス・ウェーダー・
することが含まれている。
ディ・マウロ 6/6 100%
1
ウィリアム C. ダッドリーは、2019年度AGMの後、当該委員会の構成員となった。上記は選任後に開催された全会議に対する出席状況を
2
示している。 レト・フランチオーニは、2019年度AGMの後、当該委員会の構成員ではなくなり、代わりに報酬委員会の構成員に選任され
た。上記は2019年度AGMまでに開催された全会議に対する出席状況を示している。
ガバナンス・指名委員会
ガバナンス・指名委員会は、2019年度中、下記の表に記載された委員長と3名の独立性を有する構成員
で構成された。AGMの後は、4名の独立性を有する構成員で構成された。2019年度中、9回の会議が行わ
れ、出席率は100%であった。各会議の平均開催時間は約130分であり、加えて3回の臨時の電話会議が開
催された。全ての会議にグループCEOが出席した。
ガバナンス・指名委員会
2019年の構成員 会議の出席状況 主要な責務
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ガバナンス・指名委員会は、取締役会が、当グループ全体のコーポ
アクセル A. ウェーバー
レート・ガバナンスに関するベスト・プラクティスを確立する責務を
(委員長) 9/9 100%
遂行するのを支援する役割を果たし、これには、取締役会の評価の実
施、取締役会及びGEBの新しい構成員を指名するプロセス並びに取締役
1
ジェレミー・アンダーソン 6/6 100%
会の年次の業績評価プロセスを確立並びに維持する責務が含まれる。
2
3/3 100%
ミシェル・デマレー
1
6/6 100%
ジュリー G. リチャードソン
イザベル・ロミー 9/9 100%
デイヴィッド・シドウェル 9/9 100%
1
ジェレミー・アンダーソン及びジュリー G. リチャードソンは、2019年度AGMの後、当該委員会の構成員となった。上記は選任後に開催
2
された全会議に対する出席状況を示している。 ミシェル・デマレーは、2019年度AGMにおいて再任に向けて立候補することはなかった。
上記は2019年度AGMまでに開催された全会議に対する出席状況を示している。
リスク委員会
リスク委員会は、2019年度中、下記の表に記載された5名の独立性を有するBoDの構成員で構成された。
2019年度中、リスク委員会は9回の会議と6回の電話会議を行い、出席率は100%であった。各会議及び電
話会議の平均開催時間は約190分であった。2019年度について、会議の頻度及び長さはUBSグループAGとUBS
AGで同じであった。通常、会議及び電話会議にはグループCEO、グループCFO、グループ・チーフ・リス
ク・オフィサー及びグループ・ジェネラル・カウンセルが同席した。2019年度中、リスク委員会委員長及
びリスク委員会は、主要な監督当局と定期的に会談した。
リスク委員会
会議及び電話会議の
2019年の構成員 主要な責務
出席状況
リスク委員会は、取締役会が以下の分野で適切なリスク管理及び統
デイヴィッド・シドウェル
制の枠組みを設定及び管理する責務を履行するのを監督し、支援す
(委員長) 15/15 100%
る。
1
(ⅰ)信用リスク、市場リスク及びトレジャリー・リスク、並びに
ウィリアム C. ダッドリー
11/11 100%
法的リスク、コンプライアンス・リスク及びオペレーショナル・リ
スク(コンダクト・リスクを含む。)を含むリスク管理及び統制
レト・フランチオーニ 15/15 100%
(ⅱ)資金調達、流動性及び持分帰属を含む貸借対照表、財務及び
ジュリー G. リチャードソン 15/15
100%
資本管理
リスク委員会は、当グループの評判に関する上記リスクの潜在的な
ロバート W. スカリー 15/15
100%
影響を精査する。
2
4/4 100%
ディーター・ウェマー
1
ウィリアム C. ダッドリーは、2019年度AGMの後、当該委員会の構成員となった。上記は選任後に開催された全会議に対する出席状況を
2
示している。 ディーター・ウェマーは、2019年度AGMの後、当該委員会の構成員ではなくなり、代わりに監査委員会の構成員となった。
上記は2019年度AGMまでに開催された全会議に対する出席状況を示している。
臨時で開催される委員会
特別委員会及び戦略委員会は、固定の構成員を有し、必要に応じて会議を開催する2つの臨時委員会で
ある。
特別委員会は4人のBoD構成員から成り、主要な訴訟及び調査の問題に関する活動を監督し、経営陣の各
提案を精査し、BoDに決議を求めるための提言を提出することを主な目的としている。2019年については、
2019年2月の第1回判決の後、フランスのクロスボーダー案件が焦点となった。ジェレミー・アンダーソ
ンが特別委員会の委員長を務め、ジュリー G. リチャードソン、デイヴィッド・シドウェル、アクセル A.
ウェーバーが構成員であった。グループCEOは、常に同席していた。2019年度中は、半日ワークショップ、
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2回の会議及び3回の電話会議が行われた。会議の頻度及び長さはUBSグループAGとUBS AGで同じであっ
た。
戦略委員会は、4名のBoD構成員から成り、戦略的検討事項の評価に関する経営陣及びBoDの支援並びに
BoD及びGEBのための年次戦略会議の企画支援を主な目的としている。当該委員会は、BoDの決議のための提
言を提出する。アクセル A. ウェーバーが戦略委員会の委員長を務め、フレッド・フュ、ロバート W. ス
カリー及びディーター・ウェマーが構成員であった。グループCEO、グループCFO、戦略担当責任者は常に
同席していた。2019年度中には2回の会議と6回の電話会議が行われた。会議の頻度及び長さはUBSグルー
プAGとUBS AGで同じであった。
取締役会会長の役割及び責務
アクセル A. ウェーバーは、常勤の取締役会会長として、雇用契約に基づき任務を遂行している。
取締役会会長は、BoD内の業務の調整、BoDの招集及び議案の設定を行う。取締役会会長は、全ての株主
総会において議長を務め、委員会の委員長と協働してBoDの全委員会の業務の調整を行う。取締役会会長
は、グループCEOとともに、株主との間、並びに政府官僚、業務監査機関及び公的機関を含む他の利害関係
者との間の効率的なコミュニケーションに責任を有する。この他にも、グループCEO及び他のGEB構成員と
の緊密な業務上の関係の確立及び維持並びに適宜行われる助言とサポートの提供(当グループの柱となる
もの、原則及び行動様式に基づく、主な優先事項としての当グループの企業風土の変更に関する継続的サ
ポートを含む。)に責任を有する。
2019年度中、取締役会会長は、UBSが活発に事業を行う全ての主要な地域において、主要な監督当局と定
期的に会談した。その他の地域における重要な監督当局との会合は臨時に又は必要に応じて予定された。
副会長及び上級独立取締役の役割及び責務
BoDは、副会長1名以上と上級独立取締役1名を指名する。BoDが複数の副会長を指名する場合、副会長
のうち1名は、独立性を有していなければならない。副会長と上級独立取締役は、取締役会会長の責務と
権限に関し支援を行い、助言する。両者は、取締役会会長とガバナンス・指名委員会と連携して、当グ
ループ、取締役会及び委員会内のバランスの取れたリーダーシップ及び統制のみならずグループ全体の良
好なコーポレート・ガバナンスを促進する。副会長兼上級独立取締役としてデイヴィッド・シドウェルが
指名された。副会長は、取締役会会長が一時的に欠席の場合にBoDの会議を主導する義務を負っており、実
際に主導してきた。副会長は、ガバナンス・指名委員会と共に、取締役会会長を継続して監視し、年次の
評価を行う任務を有する。更に、内部又は外部の利害関係者との会議で取締役会会長の代わりにUBSを代表
する。上級独立取締役は、独立性を有するBoDの構成員間のコミュニケーション及び情報の流れを実現及び
支援する。上級独立取締役は、独立性を有するBoDの構成員による取締役会会長が出席しない会議を、少な
くとも年2回計画し、開催する。2019年度には、UBSグループAG及びUBS AGに関する独立性を有するBoDの
会議が2回開催され、平均出席率は77%で、平均開催時間は約160分であった。上級独立取締役は、独立性
を有するBoDの構成員が提起する問題点と懸念事項を取締役会会長に伝達し、独立性を有するBoDの構成員
との協議を希望する株主及び利害関係者の窓口となる。
独立性を有する取締役会の構成員との間の重要なビジネス関係
UBSグループAG及びUBS AGは、グローバルに展開する金融サービスのプロバイダー及びスイスに拠点を置
く大手銀行として、UBSグループAG及びUBS AGのBoDの構成員が経営に関与している又は独立性を有する取
締役会の役員を兼務している会社を含む多くの大企業との間でビジネス上の関係を有している。ガバナン
ス・指名委員会は、それぞれの状況毎に、当グループの事業とかかる企業との間の関係が、UBSグループAG
及びUBS AGのBoDの構成員の独立した判断を表明する能力を危うくする可能性がないか判断する。
組織規則により、UBSグループAGのBoDの構成員の4分の3及びUBS AGのBoDの構成員の3分の1が独立性
を有していなければならない。この目的上、独立性は、FINMA通達2017/1「コーポレート・ガバナンス-銀
行」及びNYSE規則を適用して判断される。
2019年度にUBSグループAG及びUBS AGのBoDは、前述した基準を満たした独立性を有しているとみなされ
る取締役の割合に関して組織規則の基準を満たした。UBSグループAG及びUBS AGの取締役会会長はUBSグ
ループAGで常勤していることから、独立性を有しているとはみなされない。他のBoDの構成員はいずれも、
UBS又はその子会社に関連する重要なビジネス上の関係を有していない。
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UBSグループAGの独立性を有するBoDの構成員との間の関係及び取引は全て、通常の業務の範囲内で行わ
れ、関係を有していない者との間における類似の取引についてその時点で適用される条件と同じ条件で行
わ れる。BoDの構成員が関係する会社との間の関係及び取引は全て公正に行われる。
チェック・アンド・バランス機能 - 取締役会とグループ執行役員会
UBSグループAG及びUBS AGは、スイス連邦銀行法により要求される、厳格な二重役員会構造の下で経営さ
れている。BoDとGEBの間の職務分掌は組織規則に明確に定義されている。BoDはグループCEOの推薦に基づ
き当グループの戦略を決定し、経営を最終的に監視しており、グループCEOが率いるGEBは、事業運営に対
する最終的な責任を担っている。取締役会会長とグループCEOには異なる2名の人間が就任しており、権限
の分離に結びついている。こうした構造により、互いのチェック・アンド・バランス機能が保たれ、グ
ループCEOの指揮の下GEBにその責任が委ねられた当グループの日常の事業運営から、BoDの組織としての独
立性が維持されている。BoDとGEBの構成員は、同時に他方の構成員とはならない。
GEBの監督及び管理はBoDが担っている。BoD及びGEBの各組織の権限及び責任は、定款及び組織規則
(「別紙B-主要な承認権限」を含む。)に準拠している。
取締役会の技能、専門性及び研修
BoDは、当グループの事業の内容及び範囲を反映する様々なセクター出身の、幅広い技能、学歴、経験及
び専門性を有する構成員から成る。採用における必要性を視野に入れて、ガバナンス・指名委員会は、当
グループの事業エクスポージャー、リスク・プロフィール、戦略及び地理的範囲を考慮に入れながら、BoD
に最も関連すると考えられる能力の不足を特定するためのツールとして、能力及び経験マトリクスを使用
している。
BoDの構成員は、以下の9カテゴリーのうち、自らの4つの主要な能力について評価すること、及び保有
するシニア・ポジションにおける経験を示す2つのカテゴリーのうち1つを評価することを当グループか
ら求められた。
主要な能力
・ バンキング(ウェルス・マネジメント、アセット・マネジメント、個人及び法人向け銀行事業、並び
に保険)
・ 投資銀行、資本市場
・ 財務、監査、会計
・ リスク管理
・ 報酬を含む人事管理
・ 法務、コンプライアンス
・ テクノロジー、サイバー・セキュリティ
・ 規制当局、中央銀行
・ 環境、社会及びガバナンス(ESG)
主導的役割を担った経験
・ チーフ・エグゼクティブ・オフィサー又は会長としての経験
・ 執行役員会で主導的役割を担った経験(例えば、上場会社のチーフ・ファイナンシャル・オフィ
サー、チーフ・リスク・オフィサー又はチーフ・オペレーティング・オフィサーとしての経験)
ガバナンス・指名委員会は、BoDがその責務を履行するのに最も関連する経験及び能力を変わらず保有し
ていることを確認するために上記カテゴリー及び評価を毎年見直している。
2019年度については、11カテゴリーの全ての能力がBoDで示された。特に、水準の高い経験及び専門性
は、以下の分野で確認された。
・ 金融サービス
・ 財務、監査、会計
・ リスク管理
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更に、12名のBoDの構成員のうち9名が、会長、CEO又はその他の執行役員会レベルの主導的役割を担う
役職を務めた経験があるか、あるいは現在務めている。
加えて、BoDの構成員にとって、教育は依然として重要な優先事項であった。新しいBoDの構成員のため
の包括的導入プログラムのみならず、継続的な研修及び項目別の深い掘り下げはBoDの議題に組み込まれて
いる。
後継者育成計画
後継者育成計画は、BoDとGEBの両方にとって、主要な責務の一つである。全ての部門や地域において、
当グループの従業員の自己啓発と当グループ内の移動性を促進するために、包括的な人材育成及び後継者
育成計画が実施されている。BoD及びGEBの構成員に関する雇用プロセスでは、技能、経歴、経験及び専門
性等の広範な要素を考慮する一方で、多様性の考慮に関する当グループのアプローチは、非財務報告に関
するEU指令の意義の範囲内における多様性の方針を構成せず、かつ、スイス法はUBSに対しかかる方針を維
持するよう求めていない。
GEBとそれ以下の管理者層のための後継者育成計画は、グループCEOの主導のもとに管理される。BoDは、
GEBの後継者育成計画を審査し、承認する。
BoDのために、取締役会長は、体系的な後継者育成計画プロセスを主導する。
当グループの戦略と事業環境は、BoDに必要な主要競争力を定義することで、新しいBoDの構成員の後継
者育成計画プロセスにおける主要な推進力となっている。ガバナンス・指名委員会は、既存のBoDの構成員
の多様性と任期を考慮に入れて、検索のための雇用プロフィールを定義する。外部ソースと内部ソースの
両方が、適した候補者の特定に寄与する。取締役会会長及びガバナンス・指名委員会の構成員は、候補者
と面談し、BoDの全構成員の支持を得た上で、承認を受けるため推薦がAGMに提出される。新しいBoDの構成
員は、新しい役割において効率的に統合され、成果を出すことができるよう策定された、徹底したオリエ
ンテーションプロセスに従う。この後継者育成計画プロセスの結果、BoDの構成は、世界的大手金融サービ
ス会社の要件に沿っている。
グループ執行役員会に関する情報共有及び管理ツール
BoDは、GEBが行う活動について、様々な方法(取締役会会長、グループCEO及びGEBの構成員との間の定
例会を含む。)で報告を受けている。また、グループCEOやその他のGEBの構成員は、全ての重要事項につ
いてBoDの構成員に報告を行うためBoDの会議に出席する。更に、BoDは、財務、資本、資金調達、流動性、
規制、コンプライアンス及び法律の動向並びにその年の残りの期間についての計画及び予測に対する実績
について記載する包括的な報告書を定期的に受領する。重要な動向については、BoDの構成員はGEBから会
議の合間にも情報の更新を受ける。これに加え、取締役会会長はGEBの会議の会議資料及び議事録を受領す
る。
BoDの構成員は、その職務を全うするために必要とされる当グループに関する事項についての情報を、
BoDの他の構成員又はGEBの構成員に対して求めることができる。かかる要求がBoDの会議以外の場でなされ
た場合、かかる要求は、グループ会社秘書役経由で、取締役会会長に対して行われなければならない。
BoDは、そのガバナンスに関する責務の履行について、グループ内部監査部門(GIA)に支援を受けてお
り、当部門は、財務上及び営業上の情報の信用性並びに法律上、規制上及び法定上の要件の遵守プロセス
の有効性を評価する。
GIA部門長は、直接、取締役会会長に報告を行う。更に、GIAは、組織規則に規定された責任に従い監査
委員会への機能的なレポートラインを有している。監査委員会は、GIA部門長及びGIAの有効性、独立性及
び業績を監視及び評価し、GIAの該当年度に関する監査計画及び目標について承認し、かつ、GIAによる当
該目標の履行を監視する。
また、監査委員会は、GIA部門長と定期的に連絡をとる。GIAは、四半期毎の報告を行い、その中で、主
要な監査結果及び重要な課題、個別の監査結果に基づく管理の課題及び傾向、継続的なリスク評価並びに
保証結果についての広範な概観を提供する。当該報告書は、取締役会会長、監査委員会及びリスク委員会
の委員、GEB並びにその他の利害関係者に提出される。更に、GIAは年次の活動報告を行っており、この中
で、GIAの活動、プロセス、監査計画及び資金調達需要並びにGIAに影響するその他の重要な動向について
評価を行っている。当該活動報告は、取締役会会長と監査委員会に提出され、GIAの有効性についての評価
のための要素となる。
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グループ執行役員会
取締役会(BoD)は、事業運営をグループ執行役員会(GEB)に委ねている。
グループ執行役員会の責務、権限及び組織原則
グループCEOの指揮の下、GEBは13名の構成員から成る。GEBは、当グループ及びその事業を運営する経営
管理上の責任を担っており、BoDが承認した当グループ、各事業部門及び当グループの各機能の戦略の展開
及び実施につき、全責任を担う。GEBは、当グループのリスク・カウンセルでもあり、リスク管理及びリス
ク統制の原則の実施を確立し監督する全責任、並びにBoD及びリスク委員会が決定した当グループのリス
ク・プロフィールを管理する全責任を担っている。
UBS AGでも、その執行役員会に事業運営が委ねられており、執行役員会は、執行役員会プレジデントの
主導の下、UBS AG及びその事業に対し経営管理責任を有している。UBSスイスAGの社長であるアクセル P.
レーマンを除くGEBの全構成員がUBS AGの執行役員会の構成員を兼任している。
GEBは、2019年度に、UBSグループAG及びUBS AGに関し29回の会議を開催した。その内、5回は戦略に関
するワークショップで、7回はリスク改善の監督に焦点を当てた補完的会議であった。更に、UBS AGに関
し、執行役員会の単独の会議を4回開催した。
グループ執行役員会の構成員
2019年8月29日、当グループは、スーニ・ハーフォード及びイクバル・カーンがGEBに加わる旨を発表し
た。当グループのアセット・マネジメントのインベストメント担当責任者であったスーニ・ハーフォード
は、ウルリッヒ・ケルナーの役職であるアセット・マネジメント社長を引き継ぎ、クレディ・スイスの業
務執行役員会構成員であったイクバル・カーンは、マーチン・ブレッシングの役職であるグローバル・
ウェルス・マネジメント共同社長を引き継ぐことになった。また、トム・ナラティル、マーチン・ブレッ
シング及びウルリッヒ・ケルナーは、GEBを退会した。マーチン・ブレッシング及びウルリッヒ・ケルナー
の経歴については、 www.ubs.com/annualreport にて入手可能なUBSグループAGの2018年度年次報告書(英
文)の240頁及び242頁に記載されている。グループ・チーフ・オペレーティング・オフィサーであるサ
ビーン・ケラーブッセが、UBSヨーロッパ、中東及びアフリカ社長も務めることになった。これらの変更
は、2019年10月1日に有効になった。
2020年2月19日、取締役会は、2020年11月1日付でセルジオ P. エルモッティの後任となる新しいグ
ループCEOにラルフ・ハマースを任命した。ハマース氏は2020年9月1日付でグループ執行役員会の構成員
として、UBSに加わる予定である。
スイス法に沿って、UBSグループAGの定款第36条はGEBの構成員がUBSグループ以外で受ける委任の数を、
上場会社については1の取締役委任まで、非上場会社については5の追加委任までに制限している。UBSが
支配している会社又はUBSを支配している会社についての委任はこの制限の適用外である。更に、GEBの構
成員は、当該会社の要請により同時に10を超えて委任を受けることはできず、かつ組合、慈善団体、財
団、信託会社及び従業員福利財団について8を超えて委任を受けることはできない。2019年12月31日現
在、GEBのいずれの構成員も、前述した上限を超えていなかった。
グループ資産・負債委員会の責務及び権限
GEBによって設置されたグループ資産・負債委員会(グループALCO)は、当グループの戦略、規制上の義
務並びに株主及びその他の利害関係者の利益に沿った当グループの資産及び負債の使用を促す責務に基づ
き、GEBをサポートする責任を担っている。グループALCOは、資本管理、資本配分、資金調達及び流動性リ
スクの枠組みを提案し、かつ、BoDに対し承認を求めて当グループのための上限及び目標値を提案する。グ
ループALCOは、当グループ、その事業部門及びコーポレート・センターの貸借対照表の管理を監督する。
組織規則には、GEBのいずれの権限がグループALCOに委譲されたかが追加で規定されている。2019年度に、
グループALCOはUBSグループAGに関する会議を10回開催した。同期間に、UBS AG及び当グループの戦略及び
規制上の要件に沿ってUBS AGの資産及び負債の管理に責任を有する委員会である、UBS AGの資産・負債委
員会の会議は、10回開催された。
経営契約
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UBSグループAG及びUBS AGは、その経営について、当グループに属さない会社又は自然人と契約を締結し
ていない。
(2)【役員の状況】(提出日現在。ただし、株式所有数については2019年12月31日現在)
UBS AGの役員のうち、17名が男性で6名が女性であった(女性の比率は26.1%)。
(ⅰ) 取締役会
所有株式数
氏名 役職名 生年月日 主要略歴 任期
(普通株式)
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アクセル A. ウェーバー 取締役会会長 1957年3月8日 アクセル A.ウェーバーは 1年 0株
(Axel A. Weber) 2012年の年次株主総会にてUBS
AGの取締役に選出され、2014
年にはUBSグループAGの取締役
に選出された。同氏は、UBS
AGとUBSグループAGの両方の取
締役会会長である。同氏は、
2012年よりガバナンス・指名
委員会の委員長を務めてお
り、2013年に企業風土・責任
委員会の委員長に就任した。
同氏は2004年から2011年にド
イツ連邦銀行総裁を務めてお
り、その間、他にも欧州中央
銀行政策理事会理事、国際決
済銀行取締役会のメンバー、
国際通貨基金のドイツ代表総
務及びG7とG20の蔵相・中央銀
行総裁のメンバーを務めてい
た。また、2011年には欧州シ
ステミックリスク理事会運営
委員会のメンバー、2010年か
ら2011年には金融安定理事会
運営員会のメンバーを務め
た。また2002年から2004年に
はドイツ政府経済諮問委員会
委員であった。ウェーバー氏
の学術方面での経歴として
は、ケルン、フランクフル
ト・アム・マイン、ボン及び
シカゴの大学での国際経済
学、金融経済学及び経済理論
の教授職が挙げられる。同氏
はコンスタンツ大学で経済学
の修士号を取得し、ジーゲン
大学で経済学の博士号を取得
しており、同大学では大学教
員資格も取得している。ま
た、デュースブルク=エッセ
ン大学及びコンスタンツ大学
で名誉博士号を取得してい
る。
職務:スイス銀行協会の理
事、アヴニール・スイス評議
会のメンバー、スイス財務審
議会の理事、国際金融協会の
理事長、ヨーロピアン・ファ
イナンシャル・サービシズ・
ラウンドテーブルのメン
バー、欧州銀行グループのメ
ンバー、中国銀行保険監督管
理委員会及び中国証券監督管
理委員会の国際諮問委員会メ
ンバー、シンガポール金融管
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理局国際諮問委員会のメン
バー、グループ・オブ・サー
ティ(ワシントンDC)のメン
バー、DIWベルリン評議会の議
長、チューリッヒ大学経済学
部の諮問委員会のメンバー、
三極委員会委員
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ジェレミー・ 取締役会副会長 1958年6月8日 ジェレミー・アンダーソン 1年 0株
アンダーソン 監査委員会委員長 は、2018年の年次株主総会に
(Jeremy Anderson) てUBS AG及びUBSグループAGの
取締役に選出された。同氏は
2018年から取締役会副会長兼
上級独立取締役、監査委員会
の委員長であり、2019年から
ガバナンス・指名委員会の委
員も務めている。同氏は2010
年から2017年までKPMGイン
ターナショナルでグローバ
ル・ファイナンシャル・サー
ビシズの会長を務めた。同氏
は30年以上も顧問の立場でバ
ンキング及び保険業界に従事
しており、戦略、監査及びリ
スク管理、テクノロジーに対
応するための変革、合併及び
銀行の再編を含む広範なト
ピックを任務としてきた。ア
ンダーソン氏は、2014年の
KPMGのグローバル・フィン
テック・ネットワーク設立時
の出資者であり、ヨーロッ
パ、米国及びアジアにおいて
フィンテック関連イベントに
定期的に参加している。同氏
は、2004年にKPMGインターナ
ショナルに入社し、2006年か
ら2011年までKPMGヨーロッパ
のファイナンシャル・サービ
シズの責任者であり、2008年
から2011年までKPMGヨーロッ
パのクライアント・アンド・
マーケットの責任者でもあっ
た。2004年から2008年に同氏
は英国ファイナンシャル・
サービシズ・プラクティスの
責任者であった。その前は、
同氏はアトス・オリジンのグ
ループ取締役会の構成員であ
り、2002年にアトスがKPMGコ
ンサルティング英国事業を取
得した後はその英国事業の責
任者でもあった。この職務で
英国においてアトスのコンサ
ルティング、システム統合及
びIT外部委託の各サービスを
管理した。アンダーソン氏は
1985年にKPMGの英国コンサル
ティング事業に加わり、2000
年から2002年までCEOとして会
社を主導し、それ以前は、そ
の金融サービス事業のパート
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ナーであった。同氏は、1980
年にトライアド・コンピュー
ティング・システムズでソフ
トウェア開発者としてキャリ
アを開始した。アンダーソン
氏は、ユニヴァーシティ・カ
レッジ・ロンドンで経済学の
学士号を取得した。
職務:プルーデンシャル・
ピーエルシーの取締役、英国
のプロダクティビティ・リー
ダーシップ・グループの理
事、キングハム・ヒル・トラ
ストの理事、セントへレンズ
のビショップスゲイトの理事
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ウィリアム C. リスク委員会委員 1953年1月1日 ウィリアム C. ダッドリー 1年 0株
ダッドリー は、2019年の年次株主総会に
(William C. Dudley) てUBS AG及びUBSグループAGの
取締役に選出された。同氏
は、2019年より企業風土・責
任委員会委員及びリスク委員
会委員を務めており、2020年
にガバナンス・指名委員会委
員になった。現在、ダッド
リー氏は、プリンストン大学
の経済政策研究のためのグリ
ズウォルド・センターのシニ
ア研究員を務めている。同氏
は、2009年から2018年まで
ニューヨーク連邦準備銀行
(NY Fed)のCEOであった。こ
の間、同氏の重点分野には、
金融業界における文化的行動
並びに社会及びガバナンスに
関するテーマが含まれてい
た。CEOとして、同氏は副会長
及び連邦公開市場委員会の常
任委員を務めた。それ以前
は、ダッドリー氏は2007年か
ら2009年までNY Fedでマー
ケッツ・グループの執行副社
長兼マーケッツ・グループの
責任者を務めた。NY Fedの前
は、ダッドリー氏は、1986年
にゴールドマン・サックスに
入社し、上級管理の役職を複
数務めた。同氏は、パート
ナー及びマネージング・ディ
レクターを務め、10年に亘り
米国チーフ・エコノミストで
あった。2012年、ダッドリー
氏は国際決済銀行(BIS)のグ
ローバル・フィナンシャル・
システムに関する委員会の委
員長に任命された。それ以前
は、2009年から2012年までBIS
の支払・決済システムに関す
る旧委員会の委員長を務めて
いた。同氏は、2009年から
2018年までBISの取締役であっ
た。同氏は、ニュー・カレッ
ジ・オブ・フロリダの学士号
を有しており、1982年にカリ
フォルニア大学バークレー校
で経済学の博士号を取得し
た。
職務:トレリアント・エルエ
ルシーの取締役、グループ・
オブ・サーティーのメン
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バー、外交問題評議会のメン
バー、ブレトンウッズ委員会
の諮問委員会のメンバー
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レト・フランチオーニ 報酬委員会委員 1955年8月18日 レト・フランチオーニは、 1年 0株
(Reto Francioni) リスク委員会委員 2013年の年次株主総会にてUBS
AGの取締役に選出され、2014
年にはUBSグループAGの取締役
に選出された。同氏は、2015
年よりリスク委員会委員、
2019年より報酬委員会委員を
務めている。また、2005年か
ら2015年にはドイツ証券取引
所のCEOに就任していた。2006
年より、同氏はバーゼル大学
にてフィナンシャル・マー
ケット・リサーチの教授とし
て教鞭をとっている。2002年
から2005年には、フランチ
オーニ氏は、監督委員会委員
長及びチューリッヒのSWXグ
ループの社長を務めており、
業界内のデジタル化の中心に
携わった。フランチオーニ氏
は、2000年から2002年まで、
ニュルンベルクのコンソース
AGの共同CEO兼取締役会代表を
務め、1993年から2000年ま
で、ドイツ証券取引所で様々
な管理職を経験しており、そ
のうち1999年から2000年にCEO
代理に就任していた。そこで
は、ドイツ証券取引所をテク
ノロジーにおける世界的主導
者とする抜本的な変革を主導
した。1992年から1993年に、
バーゼルのホフマン・ラ・ロ
シュのコーポレート・ファイ
ナンス部門に勤務しており、
それ以前はトルパルティー
テ・ボース協会の執行役員を
数年勤めていた。1985年から
1988年、同氏はクレディ・ス
イスに勤務し、株式営業及び
法務を担当していた。同氏の
職務経歴は、スイス・ユニオ
ン銀行の商業部門に所属した
1981年からスタートしてい
る。フランチオーニ氏は、
1981年にチューリッヒ大学に
て法律の学位を修めており、
1987年に同大学にて博士号を
取得している。
職務:コカコーラ・エイチ
ビーシー・アーゲーの取締役
(上級独立非執行取締役、指
名委員会委員長)、スイス・
インターナショナル・エアラ
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イン・アーゲーの取締役会
長、メテク・イノベーショ
ン・パートナーズ・アーゲー
の取締役、myTAMAR社の執行役
員兼メンバー
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フレッド・フュ リスク委員会委員 1963年6月1日 フレッド・フュは、2018年の 1年 0株
(Fred Hu) 年次株主総会にてUBS AG及び
UBSグループAGの取締役に選出
された。同氏は2020年よりガ
バナンス・指名委員会及びリ
スク委員会の委員を務めてい
る。同氏は2010年から中国に
拠点を置くグローバル投資会
社であるプリマヴェーラ・
キャピタル・グループの会長
であった。長年に亘る大手テ
クノロジー企業に対する多く
の投資を通じて、同氏はモバ
イル・インターネット、デジ
タル化及びサイバー・セキュ
リティの分野で卓越した知識
を得てきた。プリマヴェーラ
の設立前は、フュ氏は1997年
から2010年までゴールドマ
ン・サックスで様々な管理職
を務め、会社が当該地域で事
業基盤を構築するのに活躍し
た。同氏は、2008年から2010
年にグレーター・チャイナの
パートナー及び会長であり、
2004年から2008年までインベ
ストメント・バンキング・
チャイナのパートナー及び共
同責任者であった。その前
は、ゴールドマン・サックス
の主席エコノミストの役職を
有していた。1991年から1996
年まで、同氏はワシントンDC
の国際通貨基金でエコノミス
トを務め、その後は清華大学
で国立経済研究センターの共
同理事及び教授であった。
フュ氏は清華大学のエンジニ
アリング科学の修士号を取得
しており、ハーバード大学か
ら経済学の修士号及び博士号
を取得している。
職務:ヤム・チャイナ・ホー
ルディングスの非執行取締役
会長(指名・ガバナンス委員
会委員長)、ICBCの取締役、
香港証券取引所の取締役、
チャイナ・アセット・マネジ
メントの取締役、民生金融租
賃の取締役、チャイナ・メ
ディカル・ボードの理事、香
港に所在する中国インターナ
ショナル・スクールの理事、
ネイチャー・コンサーヴァン
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シーのアジア太平洋カウンセ
ルの共同議長、チャイナ・ベ
ンチャー・キャピタル及びプ
ライベート・エクイティ・ア
ソシエーション・リミテッド
の執行委員会の取締役及びメ
ンバー、外交問題評議会の世
界諮問委員会のメンバー
マーク・ヒューズ リスク委員会委員 1958年4月1日 マーク・ヒューズは、2020年 1年 0株
(Mark Hughes) 長 の年次株主総会にてUBS AG及
びUBSグループAGの取締役に選
出された。同氏は2020年から
企業風土・責任委員会委員及
びリスク委員会の委員長を務
めている。ヒューズ氏は、
2014年から2018年までロイヤ
ル・バンク・オブ・カナダ
(RBC)のグループ・チーフ・
リスク・オフィサーを務め
た。同氏は1981年にRBCに入社
し、カナダ、米国及び英国で
同銀行にキャリアの全てを費
やした。同氏はキャピタル・
マーケッツ部門のチーフ・オ
ペレーティング・オフィサー
(2008年から2013年)及びグ
ローバル・クレジット部門責
任者(2001年から2008年)
等、様々な要職を務めた。
ヒューズ氏は20年以上に亘り
RBCの子会社の取締役を務め
た。ヒューズ氏は、英国にお
いて、マンチェスター・ビジ
ネス・スクールからMBA(金融
学)を、リーズ大学から法学
士を取得した。
職務:グローバル・リスク・イ
ンスティテュートの理事長、
リーズ大学の外部講師、マッ
キンゼー・アンド・カンパ
ニーの上級顧問
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ナタリー・ラチョウ リスク委員会委員 1957年4月7日 ナタリー・ラチョウは2020年 1年 0株
(Nathalie Rachou) の年次株主総会にてUBS AG及
びUBSグループAGの取締役に選
出された。同氏は2020年から
リスク委員会委員を務めてい
る。ラチョウ氏は、2015年か
ら2020年4月まで、クラータ
ン・アソシエ(従前のルヴィ
エ・アソシエ)の上級顧問で
あった。1999年、同氏はロン
ドンに拠点を置く資産管理会
社であるトピアリー・ファイ
ナンス社を設立し、2014年に
ルヴィエ・アソシエと合併す
るまでCEOを務めた。1978年か
ら1999年まで、ラチョウ氏
は、バンク・インドスエズ及
びクレディ・アグリコル・イ
ンドスエズにおいて、資本市
場における役職及びバンク・
インドスエズの仲介子会社の
チーフ・オペレーティング・
オフィサー等、複数の役職を
務めた。ラチョウ氏は、パリ
のHECにて経営学で修士号を取
得し、インシアードからエグ
ゼクティブMBAを取得してい
る。
職務:ユーロネクストN.V.取締
役、ヴェオリア・エンバイロ
ンメントSA理事
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ジュリー G. 報酬委員会委員長 1963年4月10日 ジュリー G. リチャードソン 1年 0株
リスク委員会委員
リチャードソン は、2017年の年次株主総会に
(Julie G. Richardson) てUBS AG及びUBSグループAGの
取締役に選出された。同氏は
2018年より報酬委員会の委員
を、2019年より同委員会の委
員長を務めている。同氏はま
た、2017年よりリスク委員会
の委員を、2019年からはガバ
ナンス・指名委員会の委員を
務めている。リチャードソン
氏は、2003年から2012年まで
プロビデンス・エクイティ・
パートナーズのパートナー兼
ニューヨーク支店長を務めて
いた。同社は、メディア、通
信、教育及び情報企業への株
式投資に特化した世界的な未
公開株式企業である。同氏
は、2014年まで合同会社の上
級顧問を務め、1998年から
2003年にJPモルガン・チェー
スの投資銀行部門の副会長兼
同社のグローバル・テレコ
ミュニケーションズ・メディ
ア・アンド・テクノロジー・
グループ長の任に就いてい
た。同氏は、その職歴を通じ
て、2015年からのデジタルに
関する知識管理会社の取締役
であった期間を含め、既存と
新規両方のテクノロジー企業
に多大な時間を費やしてき
た。同氏は卒業後、1986年に
メリル・リンチで勤務を開始
し、1998年まで勤務してお
り、同社の最終役職はメディ
ア・コミュニケーション投資
銀行業務本部長であった。リ
チャードソン氏は、ウィスコ
ンシン大学マディソン校に
て、経営学の学士号を取得し
ている。
職務:イェクストの取締役
(監査委員会委員長)、ベ
リート・インクの取締役(報
酬委員会委員長)、データ
ドッグの取締役(監査委員会
委員長)
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ビアトリス・ 監査委員会委員 1965年8月3日 ビアトリス・ウェーダー・ 1年 0株
ウェーダー・ディ・ ディ・マウロは、2012年の年
マウロ 次株主総会にてUBS AGの取締
(Beatrice Weder di
役に選出され、2014年にUBSグ
Mauro) ループAGの取締役に選出され
た。2012年より監査委員会委
員、2017年より企業風土・責
任委員会委員を務めている。
また、2013年から2017年まで
リスク委員会委員であった。
2019年より、ウェーダー・
ディ・マウロ氏は、ジュネー
ブ国際開発高等研究所
(IHEID)の国際経済学の教授
であり、2018年からロンドン
の経済政策研究センターのセ
ンター長を務めている。同氏
は、2016年からシンガポール
のインシアードで、新興市場
研究所の研究教授及び特別研
究員である。2001年から2018
年まで、ヨハネス・グーテン
ベルク大学マインツの国際マ
クロ経済学の教授に就任して
おり、2004年から2012年ま
で、ドイツ政府経済諮問委員
会委員であった。同氏は、ワ
シントンDCの国際通貨基金
(IMF)、マサチューセッツ州
ケンブリッジの全米経済研究
所、東京の国際連合大学にて
客員のポジションを有してい
た。これ以前は、ワシントン
DCのIMF及び世界銀行でエコノ
ミストして勤務していた。同
氏は、バーゼル大学にて経済
学の博士号及び大学職員資格
を取得している。ウェー
ダー・ディ・マウロ氏は、
2005年以降、開発金融、医
薬、科学技術及び保険分野で
の世界的なリーディングカン
パニーの独立取締役を務めて
きた。
職務:ロバート・ボッシュ
GmbHの諮問委員会委員、ボン
バルディア・インクの取締
役、インターナショナル・セ
ンター・フォア・マネタ
リー・アンド・バンキング・
スタディーズ(ICMB)の基金
委員会のメンバー、仏独経済
専門家会議のメンバー
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ディーター・ウェマー 監査委員会委員 1957年2月27日 ディーター・ウェマー氏は、 1年 0株
(Dieter Wemmer) 報酬委員会委員 2016年の年次株主総会にてUBS
AG及びUBSグループAGの取締役
に選出され、2018年より報酬
委員会委員を務めている。
2019年に監査委員会委員にな
り、2020年にガバナンス・指
名委員会委員になった。ウェ
マー氏は、2013年から2017年
までアリアンツSEのチーフ・
ファイナンシャル・オフィ
サー(CFO)であった。同氏は
2012年にアリアンツSEに理事
会理事として入社し、フラン
ス、ベネルクス、イタリア、
ギリシア及びトルコでの保険
業務並びにコンピテンス・セ
ンター「グローバル・プロパ
ティ&カジュアルティ」を担
当していた。同氏は、2007年
から2011年にチューリッヒ・
インシュアランス・グループ
のCFOを務め、2010年から2011
年にチューリッヒのヨーロッ
パ地区会長に就任していた。
これ以前、2004年から2007年
にウェマー氏はヨーロッパ損
害保険業務のCEOを務め、更に
チューリッヒのグループ執行
委員会の委員を務めていた。
同氏は、チューリッヒ・グ
ループ内で、2003年から2004
年にヨーロッパ損害保険業務
の最高執行責任者、1999年か
ら2003年にM&A業務部長及び
1997年から1999年に財政管理
部長を務めるなど、様々な管
理職に就任している。ウェ
マー氏は、ケルン大学にて修
士課程を修了し1985年に数学
の博士号を取得後、1986年に
ケルンにてチューリッヒ・グ
ループ内に入社したことから
保険事業での経歴をスタート
している。
職務:エルステッドの取締役
(監査及びリスク委員会委員
長)、コーポレート・ガバナ
ンスのベルリン・センターの
メンバー
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ジャネット・ウォン 監査委員会委員 1960年3月10日 ジャネット・ウォンは、2019 1年 0株
(Jeanette Wong) 報酬委員会委員 年の年次株主総会にてUBS AG
及びUBSグループAGの取締役に
選出された。同氏は2019年よ
り監査委員会委員を務めてい
る。2020年に同氏は報酬委員
会委員及び企業風土・責任委
員会委員になった。ウォン氏
は、2008年から2019年3月ま
でシンガポールを拠点とする
DBSグループで機関投資家向け
銀行業務担当のグループ役員
であり、この中で、コーポ
レート・バンキング、グロー
バル・トランザクション・
サービス、ストラテジック・
アドバイザリー及びマー
ジャー&アクイジッション等
に携わった。それ以前は、
2003年から2008年までDBSグ
ループのチーフ・ファイナン
シャル・オフィサーを務め
た。ウォン氏は、シンガポー
ルの金融業界で30年よりも長
く、様々な上級役員の役職に
ついてきた。同氏は1982年に
パリバ銀行及びシティバンク
で勤務を開始し、その後JPモ
ルガンにて16年に亘り同社の
アジア及び新興市場事業を構
築するのを助けた。同氏はシ
カゴ大学でMBAを取得し、シン
ガポール国立大学で経営学学
士号を取得した。
職務:エシロール・ルックス
オティカの取締役、ジュロ
ン・タウン・コーポレーショ
ンの取締役、PSAインターナ
ショナルの取締役、FFMCホー
ルディングス・ピーティー
イー・リミテッド及びフラト
ン・ファンド・マネジメン
ト・カンパニー・リミテッド
の取締役、NUSビジネス・ス
クールの経営諮問委員会のメ
ンバー、シカゴ大学ブース・
スクール・オブ・ビジネスの
グローバル・アドバイザ
リー・ボード・アジアのメン
バー、セキュリティー・イン
ダストリー・カウンセルのメ
ンバー、シンガポール国立大
学の理事会のメンバー
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(ⅱ)執行役員会
所有株式数
氏名 役職名 生年月日 主要略歴 任期
(普通株式)
セルジオ P. エルモッティ 執行役員会プレ 1960年5月11日 2011年~ 執行役員及び執 定め 0株
ジデント 行役員会プレジデント なし
(Sergio P. Ermotti)
クリスチャン・ブルーム チーフ・リス 1969年9月21日 2016年~ 執行役員及び 定め 0株
(Christian Bluhm) ク・オフィサー チーフ・リスク・オフィ なし
サー
マーカス U. ディートヘルム ジェネラル・カ 1957年10月22日 2008年~ 執行役員及び 定め 0株
ウンセル ジェネラル・カウンセル なし
(Markus U. Diethelm)
カート・ガードナー チーフ・ファイ 1959年8月16日 2016年~ 執行役員及び 定め 0株
(Kirt Gardner) ナンシャル・オ チーフ・ファイナンシャ なし
フィサー ル・オフィサー
スーニ・ハーフォード アセット・マネ 1962年4月27日 2019年~ 執行役員及びア 定め 0株
(Suni Harford) ジメント社長 セット・マネジメント社長 なし
ロバート・カロフスキー インベストメン 1967年5月28日 2018年~ 執行役員及びイ 定め 0株
(Robert Karofsky) ト・バンク共同 ンベストメント・バンク共 なし
社長 同社長
サビーン・ケラーブッセ チーフ・オペ 1965年7月19日 2016年~ 執行役員 定め 0株
(Sabine Keller-Busse) レーティング・ 2018年~ チーフ・オペ なし
オフィサー並び レーティング・オフィサー
にUBSヨーロッ
パ、中東及びア
フリカ社長
イクバル・カーン グローバル・ 1976年1月13日 2019年~ 執行役員及びグ 定め 0株
(Iqbal Khan) ウェルス・マネ ローバル・ウェルス・マネ なし
ジメント共同社 ジメント共同社長
長
エドモンド・コー UBSアジア太平洋 1960年4月22日 2019年~ 執行役員及びUBS 定め 0株
(Edmund Koh) 地域社長 アジア太平洋地域社長 なし
トム・ナラティル グローバル・ 1961年12月1日 2011年~ 執行役員 定め 0株
(Tom Naratil) ウェルス・マネ 2018年~ グローバル・ なし
ジメント共同社 ウェルス・マネジメント共
長兼UBSアメリカ 同社長及びUBSアメリカズ社
ズ社長 長
ピエーロ・ノヴェッリ インベストメン 1965年5月10日 2018年~ 執行役員及びイ 定め 0株
(Piero Novelli) ト・バンク共同 ンベストメント・バンク共 なし
社長 同社長
マルクス・ロナー チーフ・コンプ 1965年12月3日 2018年~ 執行役員並びに 定め 0株
(Markus Ronner) ライアンス及び チーフ・コンプライアンス なし
ガバナンス・オ 及びガバナンス・オフィ
フィサー サー
役員の報酬
本書「第6 経理の状況 1 財務書類」記載の「連結財務書類に対する注記」の注記35を参照のこと。
(3)【監査の状況】
(ⅰ) 監査人
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有価証券報告書
監査委員会の詳細については、上記「(1) コーポレート・ガバナンスの概要」の「監査委員会」の項
を参照のこと。
社外監査人
最初に任命
氏名及び社名 住所又は所在地 略歴
された年
社外監査人 バーゼル UBS AG及び当グループの監査人 1998年
アーンスト・アンド・ヤング・リミテッド
(Ernst & Young Ltd.)
社外監査人 チューリッヒ 特別監査人 2006年
BDOアーゲー
(BDO AG)
監査人
監査はコーポレート・ガバナンスにおいて不可欠な要素である。社外監査人は、その独立性を保持する
一方で、グループ内部監査部門と密接に協力して業務を行っている。監査委員会、そして最終的には取締
役会(BoD)が監査業務の有効性を監督している。
社外独立監査人
2019年度の年次株主総会(AGM)において、アーンスト・アンド・ヤング・リミテッド(EY)が当グルー
プの監査人として1年の任期で再選された。EYは、法律、規制上の要請及び定款に基づく、実質的に全て
の監査業務を引き受けている。2015年以降、当グループの財務監査の責任者であるEYの主要パートナー
は、マリーロール・ドラリュである。5年毎のローテーション要件により、同氏は2020年にボブ・ジェイ
コブと交代する予定である。2016年以降、財務書類監査について共同で署名するパートナーは、イラ S.
フィトリンであり、任期は最長7年である。2015年以降、パトリック・シュヴァラーがスイス金融市場監
督当局(FINMA)に対する主要監査人であり、以前に別な任務で当グループの監査業務に携わっていたため
任期は最長6年である。ダニエル・マーチンは2019年以降FINMA監査について共同で署名するパートナーで
あり、任期は最長7年である。
2019年度中、監査委員会は社外監査人と8回の会議及び3回の電話会議を行った。監査委員会は、社外
監査人の業績、有効性及び独立性について、年次ベースで評価する。この評価は、上級役員に対するイン
タビュー及び当グループ全体の利害関係者からの調査フィードバックに基づいている。評価基準には、
サービス提供の質、監査チームの質及び能力、監査の一環として付加される価値、洞察力、並びにEYとの
全体的な関係性が含まれる。監査委員会は、自己分析及び評価結果に基づき、EYの監査は有効であったと
結論づけた。
潜在的増資に関する特別監査人
2018年5月3日のAGMにおいて、BDO AGが3年の任期で特別監査人に再選された。特別監査人は、増資計
画に関し、他の監査人とは別個に監査意見書を提出する。
社外独立監査人に支払われた報酬
EYに支払われた報酬(費用を含む。)は、下記の表に記載されている。加えて、UBSの投資ファンド(そ
の多くは独立したファンドの役員会又は受託者を有する。)のために実施されたサービスの対価として、
EYは、2019年度に3,020万米ドル(2018年度は3,030万米ドル)を受領した。
監査業務には、適用ある法律及び一般に認められた監査基準に従い当グループの監査を実施するのに必
要となる全ての業務、並びに慣例的に監査人だけが提供することができるその他の保証業務が含まれる。
これには、法定上及び規制上の監査、監査証明業務並びに規制当局に提出する書類のレビューが含まれ
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る。2019年度に監査業務に分類された追加業務には、FINMAの要請に応じて委任された複数の業務が含まれ
ていた。
監査関連業務は、監査人が従来実施する保証業務及びその関連業務で構成され、財務報告に関連する証
明業務、内部統制レビュー及び業績基準レビュー並びに財務会計及び報告基準に関する相談が含まれる。
税務関連業務には、EYの税務部門に所属する専門スタッフが行う業務、並びに当グループの事業にかか
る税務コンプライアンス及び税務相談が含まれる。
「その他」の業務とは、技術的なITセキュリティ管理のレビュー及び評価を含む認可された業務であ
る。
社外独立監査人に支払われた報酬
UBSグループAG及びその子会社(UBS AGを含む。)は、社外独立監査人に対し、以下の報酬(費用を含
む。)を支払った。
単位:千米ドル 2019年12月31日 2018年12月31日
監査業務
グローバルな監査報酬 52,448 54,716
監査業務に分類された追加業務(法令で要求された業務であり、規制当局に指示された経
常外の性質を有する業務を含む。) 12,808 16,595
1
監査業務合計 65,255 71,310
非監査業務
監査関連報酬 8,722 8,711
内、保証及び証明業務 4,155 5,390
内、統制及び業績に関する報告書 4,314 3,261
内、財務会計及び報告基準に関する相談 253 60
税務関連報酬 1,966 1,212
その他の報酬 2,291 536
1
非監査業務合計 12,978 10,459
1
2019年12月31日現在のUBSグループAG(連結)に関する監査業務及び非監査業務の報酬合計は78,234千米ドル(2018年12月31日現在
では81,770千米ドル)であり、その内51,926千米ドル(2018年12月31日現在では56,493千米ドル)がUBS AG(連結)に関するもので
あった。
事前承認手続
EYの独立性を確保するために、EYが提供した全ての業務は、監査委員会によって事前承認を受けなけれ
ばならない。特定の委任に対する事前承認、又は、限定され、かつ明確に定義された業務の種類及び規模
を認可する一括事前承認の様式で行う事前承認のいずれかが可能である。
監査委員会では、事前承認を行う権限を委員長に委任している。グループ・チーフ・ファイナンシャ
ル・オフィサー並びにグループ・コントローラー及びチーフ・アカウンティング・オフィサーは、監査委
員会委員長に対し、EYの業務に関する一切の提案を提出し、承認を求める(合意された事前承認が実施さ
れている場合を除く。)。監査委員会は、四半期毎の会議において、委員長が付与した承認及び一括事前
承認で承認された業務について報告を受ける。
グループ内部監査部門
グループ内部監査部門(GIA)は、当グループのための内部監査業務を実施しており、2019年には、平均
539名(フルタイム換算)の従業員が本業務に携わった。当該部門は独立した、客観性のある部門であり、
当グループが戦略、事業運営、財務及びコンプライアンス上の目的を達成するのを支援し、また、BoDがガ
バナンスに関する責任を履行するのも支援している。
UBSの目的達成を支援するため、GIAは、独立して、客観的に、かつ体系的に以下の事項を評価する。
(ⅰ)当グループのリスク及び統制に関する企業風土の健全性
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(ⅱ)財務上及び事業運営上の情報の信用性及び完全性(すなわち、事業活動が適切、正確かつ完全に記
録されているか、並びに基礎データ及びモデルの質を含む。)
(ⅲ)以下の事項の企図、事業運営上の有効性及び持続可能性
・ 戦略及びリスク選好を決定するプロセス並びに承認された戦略の全体的な遵守状況
・ ガバナンス・プロセス
・ リスクが適切に認識され、管理されているかを含むリスク管理
・ 内部統制(特に、負ったリスクに見合っているか)
・ 改善活動
・ 法律上及び規制上の要件、社内方針並びに当グループの設立関係書類及び契約の遵守プロセス
重要事項を含む監査報告書は、グループCEO、関連あるGEBの構成員及びその他の責任を担う経営陣に提
出される。取締役会会長、監査委員会及びリスク委員会もまた、当該事項の報告を定期的に受ける。
更に、GIAは、中度から重度の影響を有する問題が確実に修正されていることを精査する。この責務はあ
らゆる出所(最初の防衛戦である経営幹部、第二の防衛戦である統制機能、第三の防衛戦であるGIA、社外
監査人及び規制当局)で確認された問題に適用される。GIAはまた、主要な統制の問題に関する調査につい
てリスク統制部門並びに内部及び外部の法律顧問と緊密に連携する。
GIAの経営陣からの独立性を最大化するために、GIA部門長は、取締役会会長及び監査委員会に報告を行
い、監査委員会は、GIAの独立性及び実績だけでなく、GIAが業務を実施するのに十分な資質を有している
かを年次ベースで評価する。監査委員会の評価では、GIAは、その任務を遂行し、監査目的を達成するのに
十分な資質を有している。GIAの役割、地位、責任及び責務は、www.ubs.com/governanceに公表されている
組織規則及びグループ内部監査部門のための規約に規定されている。グループ内部監査部門のための規約
は、UBS AGの内部監査部門にも適用される。GIAは、全ての勘定、帳簿、記録、制度、財産及び従業員に対
し無制限のアクセスを有しており、監査を行う責務を果たすのに必要となる一切の情報及びデータの提供
を受けなければならない。また、GIAは、監査委員会の要請があった場合、又はその他のBoDの構成員、委
員会若しくはグループCEOが監査委員会と相談した上で要請した場合、特別監査を実施する。
GIAは社外監査人と協調し、緊密に協力することで、その業務の効率性を高めている。
社外監査人を選定した理由に関する追加情報については、上記「(1) コーポレート・ガバナンスの概
要」の「独立監査人に関する監査委員会の責任」も参照のこと。
(ⅱ) 監査報酬の内容等
①外国監査公認会計士等に対する報酬の内容
千米ドル(百万円)
前連結会計年度(注2) 当連結会計年度(注3)
区分
監査証明業務に 非監査業務に 監査証明業務に 非監査業務に
基づく報酬 基づく報酬 基づく報酬 基づく報酬
71,310 10,459 65,255 12,978
UBSグループ(注1)
(7,683) (1,127) (7,031) (1,398)
(注1)上記の表に記載されているのはUBSグループの金額である。
(注2)UBSグループAG(連結)に関する監査証明業務及び非監査業務に基づく報酬の合計81,770千米ドルのうち、
56,493千米ドルがUBS AG(連結)に関するものであった。
(注3)UBSグループAG(連結)に関する監査証明業務及び非監査業務に基づく報酬の合計78,234千米ドルのうち、
51,926千米ドルがUBS AG(連結)に関するものであった。
社外監査人に対する報酬の詳細については、上記「(ⅰ)監査人」の「社外独立監査人に支払われた
報酬」を参照のこと。
②その他重要な報酬の内容
上記に加え、UBSの投資ファンド(その多くは独立したファンドの役員会又は受託者を有する。)のた
めに実施されたサービスの対価として、アーンスト・アンド・ヤング・リミテッドに対し、2019年度に
3,020万米ドル(32億5,400万円)(2018年度は3,030万米ドル(32億6,500万円))が支払われた。
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(注)上記金額はUBSグループについての金額であるが、その大部分はUBS AGとその連結子会社に関連している。
③外国監査公認会計士等の提出会社に対する非監査業務の内容
非監査業務の詳細については、上記「(ⅰ)監査人」の項を参照のこと。
④監査報酬の決定方針
監査委員会が社外監査人の委任契約書(監査の範囲並びに予定されている監査業務に関する報酬及び
条件を含む。)の承認に責任を有している。
(4)【役員の報酬等】
該当事項なし。
(5)【株式の保有状況】
該当事項なし。
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第6 【経理の状況】
(a) 本書記載の当行及び子会社の連結財務書類は、スイスにおいて公表された「UBSグループAG及びUBS AGの
2019年度年次報告書」と題された原文(英文)に含まれている国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)
に従って作成された2019年12月31日終了事業年度の原文(英文)の当行及び子会社の連結財務書類(以下
「原文の連結財務書類」という。)の日本語訳(以下「邦文の連結財務書類」という。)である。また、本
書記載の当行の個別財務書類は、スイスにおいて公表された「UBS AGの2019年度個別財務情報及び規制情
報」と題された原文(英文)に含まれているスイスGAAP(FINMA令2015/1及びスイス銀行法)に従って作成さ
れた2019年12月31日終了事業年度の原文(英文)の当行の財務書類(以下「原文の個別財務書類」とい
う。)の日本語訳(以下「邦文の個別財務書類」という。)である。当行及び子会社の連結財務書類及び当
行の個別財務書類は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)
(以下「財務諸表等規則」という。)第131条第1項の規定が適用されている。
なお、連結財務書類及び個別財務書類において採用される会計処理の原則及び手続のうち日本で一般に公正
妥当と認められているものと相違するもので重要なものは、財務諸表等規則の規定に準拠して、それぞれ第
6の4.「Ⅰ.連結財務書類:IFRSと日本における会計原則及び会計慣行の主な相違」及び「Ⅱ.個別財務書
類:スイスと日本における会計原則及び会計慣行の主な相違」に説明されている。
(b) 原文の連結財務書類及び個別財務書類は、外国監査法人等(「公認会計士法」(昭和23年法律第103号)第
1条の3第7項に規定されている外国監査法人等をいう。)であるアーンスト・アンド・ヤング・エル
ティーディー(スイスにおける法定監査人)から、「金融商品取引法」(昭和23年法律第25号)第193条の2
第1項第1号に規定されている監査証明に相当すると認められる証明を受けている。その監査報告書の原文
及び訳文は本書に掲載されている。
(c) 邦文の連結財務書類及び個別財務書類には、財務諸表等規則の規定に従って、原文の連結財務書類及び個
別財務書類中のスイス・フラン及び米ドル表示の金額の主要なものについて円換算額が併記されている。日
本円への換算には1スイス・フラン=112.16円、1米ドル=107.74円(2020年6月1日現在の三菱UFJ銀行
における対顧客電信直物売買相場の仲値)の換算レートが使用されている。億円未満の端数は四捨五入され
ている。
(d) 円換算額並びに第6の1.の末尾の参考情報及び第6の2.から4.までに関する記載は、原文の連結財務書
類及び個別財務書類には含まれておらず、当該事項における原文の連結財務書類及び個別財務書類への参照
事項を除き、上記(b)の監査の対象に含まれていない。
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財務報告に係る内部統制に関する経営者の報告書
財務報告に係る内部統制に関する経営者の責任
UBS AGの取締役会及び経営者は、財務報告に対して適切な内部統制を確立し、維持する責任を負ってい
る。財務報告に係るUBS AGの内部統制は、IASBが公表するIFRSに準拠して公表された財務書類が作成さ
れ、かつ適正に表示されていることについて、合理的な保証を提供するために整備されている。
財務報告に係るUBS AGの内部統制には、次の方針及び手続が含まれる。
- 資産の取引及び処分を、合理的な詳細さで正確かつ公正に反映する記録の維持に関する方針及び手続
- 財務書類を作成し適正に表示できるよう、諸取引が記録されること、並びに会社の収入と支出は、UBS
AGの経営者の承認によってはじめて実行されることについて、合理的な保証を提供する方針及び手続
- 財務書類に重要な影響を及ぼす可能性がある会社の資産について未承認の取得、使用または処分を防
止、あるいは適時に発見することについて合理的な保証を提供する方針及び手続
固有の限界により、財務報告に係る内部統制は虚偽表示を防止または発見できない可能性がある。ま
た、将来の期間に対する有効性の評価の予測は、状況の変化のため統制が不十分になるかもしれないリス
ク、あるいは方針や手続への遵守の程度が低下しているかもしれないリスクにさらされている。
2019年12月31日現在の財務報告に係る内部統制に関する経営者の評価
UBS AGの経営者は、トレッドウェイ委員会支援組織委員会(COSO)が「内部統制-統合的枠組み」
(2013年版フレームワーク)で定めている基準に基づき、2019年12月31日現在の財務報告に係るUBS AGの
内部統制の有効性を評価した。この評価に基づき、経営者は、2019年12月31日現在、財務報告に係るUBS
AGの内部統制は有効であったと考える。
2019年12月31日現在の財務報告に係るUBS AGの内部統制の有効性は、UBS AGの独立登録会計事務所であ
るアーンスト・アンド・ヤング・エルティーディーが監査し、485ページから486ページ(訳者注:原文の
ページ)に掲載されている監査報告書で記載されている通り、2019年12月31日現在の財務報告に係るUBS
AGの内部統制の有効性について、無限定意見が表明されている。
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1【財務書類】
UBS AG連結財務書類
主要財務書類
監査済
損益計算書
終了事業年度
注記
単位:百万米ドル
2019年12月31日 2018年12月31日 2017年12月31日
償却原価及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品に
3 10,703 10,121 10,437
係る受取利息
償却原価で測定される金融商品に係る支払利息 3 (7,303) (6,494) (5,468)
純損益を通じて公正価値で測定される金融商品に係る受取利息 3 4,718 4,666 2,281
純損益を通じて公正価値で測定される金融商品に係る支払利息 3 (3,703) (3,322) (1,228)
受取利息純額 3 4,415 4,971 6,021
純損益を通じて公正価値で測定される金融商品に係るその他の収益純額 3 6,833 6,953 5,640
信用損失(費用)/戻入 23 (78) (117) (131)
受取報酬及び手数料 ▶ 19,156 19,632 19,390
支払報酬及び手数料 ▶ (1,696) (1,703) (1,840)
受取報酬及び手数料純額 ▶ 17,460 17,930 17,550
その他の収益 5 677 905 965
営業収益合計 29,307 30,642 30,044
人件費 6 13,801 13,992 14,952
一般管理費 7 8,586 10,075 9,001
有形固定資産及びソフトウェアの減価償却費及び減損 15 1,576 1,052 945
のれん及び無形資産の償却費及び減損 16 175 65 71
営業費用合計 24,138 25,184 24,969
税引前営業利益/(損失) 5,169 5,458 5,076
税金費用/(税務上の便益) 8 1,198 1,345 4,242
当期純利益/(損失) 3,971 4,113 834
優先証券保有者に帰属する当期純利益/(損失) 0 0 73
非支配株主持分に帰属する当期純利益/(損失) 6 7 ▶
株主に帰属する当期純利益/(損失) 3,965 4,107 758
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損益計算書(続き)
終了事業年度
注記
単位:億円
2019年12月31日 2018年12月31日 2017年12月31日
償却原価及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品に
11,531 10,904 11,245
3
係る受取利息
償却原価で測定される金融商品に係る支払利息 3 (7,868) (6,997) (5,891)
5,083 5,027 2,458
純損益を通じて公正価値で測定される金融商品に係る受取利息 3
純損益を通じて公正価値で測定される金融商品に係る支払利息 3 (3,990) (3,579) (1,323)
4,757 5,356 6,487
受取利息純額 3
7,362 7,491 6,077
純損益を通じて公正価値で測定される金融商品に係るその他の収益純額 3
信用損失(費用)/戻入 23 (84) (126) (141)
20,639 21,152 20,891
受取報酬及び手数料 ▶
支払報酬及び手数料 ▶ (1,827) (1,835) (1,982)
18,811 19,318 18,908
受取報酬及び手数料純額 ▶
729 975 1,040
その他の収益 5
31,575 33,014 32,369
営業収益合計
14,869 15,075 16,109
人件費 6
9,251 10,855 9,698
一般管理費 7
1,698 1,133 1,018
有形固定資産及びソフトウェアの減価償却費及び減損 15
189 70 76
のれん及び無形資産の償却費及び減損 16
26,006 27,133 26,902
営業費用合計
5,569 5,880 5,469
税引前営業利益/(損失)
1,291 1,449 4,570
税金費用/(税務上の便益) 8
4,278 4,431 899
当期純利益/(損失)
0 0 79
優先証券保有者に帰属する当期純利益/(損失)
6 8 ▶
非支配株主持分に帰属する当期純利益/(損失)
4,272 4,425 817
株主に帰属する当期純利益/(損失)
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包括利益計算書
終了事業年度
単位:百万米ドル 2019年12月31日 2018年12月31日 2017年12月31日
株主に帰属する包括利益
当期純利益/(損失) 3,965 4,107 758
損益計算書に振り替えられる可能性のあるその他の包括利益
為替換算調整
在外営業活動体の純資産に関連する為替換算調整の変動、税効果前 199 (701) 1,553
純投資のヘッジとして指定されたヘッジ手段の公正価値の変動の有効部分、税効果前 (144) 181 (55)
損益計算書に振り替えられた在外営業活動体に係る為替換算調整差額 52 ▶ 32
損益計算書に振り替えられた純投資のヘッジとして指定されたヘッジ手段の公正価値
(14) 2 (6)
の変動の有効部分
為替換算調整に関連する法人所得税(純投資のヘッジによる影響を含む) (1) (2) (2)
為替換算調整、税効果後小計 92 (515) 1,522
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産
未実現利得/(損失)純額、税効果前 189 (56) 96
資本から損益計算書に振り替えられた減損損失 0 0 15
資本から損益計算書に振り替えられた実現利得 (33) 0 (209)
資本から損益計算書に振り替えられた実現損失 2 0 14
未実現利得/(損失)純額に関連する法人所得税 (41) 12 (6)
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産、税効果後小計 117 (45) (91)
金利リスクのキャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値の変動の有効
1,571 (42) 45
部分、税効果前
資本から損益計算書に振り替えられた(利得)/損失純額 (175) (294) (843)
キャッシュ・フロー・ヘッジに関連する法人所得税 (253) 67 163
キャッシュ・フロー・ヘッジ、税効果後小計 1,143 (269) (635)
損益計算書に振り替えられる可能性のあるその他の包括利益、税効果後合計 1,351 (829) 797
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益
確定給付制度
確定給付制度に係る利得/(損失)、税効果前 (129) (70) 308
確定給付制度に関連する法人所得税 (41) 245 6
確定給付制度、税効果後小計 (170) 175 314
公正価値での測定を指定された金融負債に係る自己の信用
公正価値での測定を指定された金融負債に係る自己の信用による利得/(損失)、税効
(400) 517 (315)
果前
公正価値での測定を指定された金融負債に係る自己の信用に関連する法人所得税 8 (8) (2)
公正価値での測定を指定された金融負債に係る自己の信用、税効果後小計 (392) 509 (317)
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益、税効果後合計 (562) 684 (3)
その他の包括利益合計 789 (145) 794
株主に帰属する包括利益合計 4,754 3,961 1,552
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有価証券報告書
包括利益計算書(続き)
終了事業年度
単位:百万米ドル 2019年12月31日 2018年12月31日 2017年12月31日
優先証券保有者に帰属する包括利益
当期純利益/(損失) 0 0 73
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益
為替換算調整の変動、税効果前 0 0 247
為替換算調整の変動に関連する法人所得税 0 0 0
為替換算調整、税効果後小計 0 0 247
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益、税効果後合計 0 0 247
優先証券保有者に帰属する包括利益合計 0 0 320
非支配株主持分に帰属する包括利益
当期純利益/(損失) 6 7 ▶
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益
為替換算調整の変動、税効果前 (4) (1) 2
為替換算調整の変動に関連する法人所得税 0 0 0
為替換算調整、税効果後小計 (4) (1) 2
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益、税効果後合計 (4) (1) 2
非支配株主持分に帰属する包括利益合計 2 5 6
包括利益合計
当期純利益/(損失) 3,971 4,113 834
その他の包括利益 785 (147) 1,044
内、損益計算書に振り替えられる可能性のあるその他の包括利益 1,351 (829) 797
内、損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益 (566) 682 247
包括利益合計 4,756 3,967 1,878
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有価証券報告書
包括利益計算書(続き)
終了事業年度
単位:億円 2019年12月31日 2018年12月31日 2017年12月31日
株主に帰属する包括利益
4,272 4,425 817
当期純利益/(損失)
損益計算書に振り替えられる可能性のあるその他の包括利益
為替換算調整
214 1,673
在外営業活動体の純資産に関連する為替換算調整の変動、税効果前 (755)
195
純投資のヘッジとして指定されたヘッジ手段の公正価値の変動の有効部分、税効果前 (155) (59)
56 ▶ 34
損益計算書に振り替えられた在外営業活動体に係る為替換算調整差額
損益計算書に振り替えられた純投資のヘッジとして指定されたヘッジ手段の公正価値
2
(15) (6)
の変動の有効部分
為替換算調整に関連する法人所得税(純投資のヘッジによる影響を含む) (1) (2) (2)
為替換算調整、税効果後小計 99 (555) 1,640
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産
未実現利得/(損失)純額、税効果前 204 (60) 103
0 0 16
資本から損益計算書に振り替えられた減損損失
0
資本から損益計算書に振り替えられた実現利得 (36) (225)
2 0 15
資本から損益計算書に振り替えられた実現損失
13
未実現利得/(損失)純額に関連する法人所得税 (44) (6)
126
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産、税効果後小計 (48) (98)
金利リスクのキャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値の変動の有効
1,693 48
(45)
部分、税効果前
資本から損益計算書に振り替えられた(利得)/損失純額 (189) (317) (908)
72 176
キャッシュ・フロー・ヘッジに関連する法人所得税 (273)
1,231
キャッシュ・フロー・ヘッジ、税効果後小計 (290) (684)
1,456 859
損益計算書に振り替えられる可能性のあるその他の包括利益、税効果後合計 (893)
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益
確定給付制度
332
確定給付制度に係る利得/(損失)、税効果前 (139) (75)
264 6
確定給付制度に関連する法人所得税 (44)
189 338
確定給付制度、税効果後小計 (183)
公正価値での測定を指定された金融負債に係る自己の信用
公正価値での測定を指定された金融負債に係る自己の信用による利得
557
(431) (339)
/(損失)、税効果前
9
公正価値での測定を指定された金融負債に係る自己の信用に関連する法人所得税 (9) (2)
548
公正価値での測定を指定された金融負債に係る自己の信用、税効果後小計 (422) (342)
737
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益、税効果後合計 (605) (3)
850 855
その他の包括利益合計 (156)
5,122 4,268 1,672
株主に帰属する包括利益合計
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終了事業年度
単位:億円 2019年12月31日 2018年12月31日 2017年12月31日
優先証券保有者に帰属する包括利益
0 0 79
当期純利益/(損失)
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益
0 0 266
為替換算調整の変動、税効果前
0 0 0
為替換算調整の変動に関連する法人所得税
0 0 266
為替換算調整、税効果後小計
0 0 266
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益、税効果後合計
0 0 345
優先証券保有者に帰属する包括利益合計
非支配株主持分に帰属する包括利益
6 8 ▶
当期純利益/(損失)
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益
2
為替換算調整の変動、税効果前 (4) (1)
0 0 0
為替換算調整の変動に関連する法人所得税
2
為替換算調整、税効果後小計 (4) (1)
2
損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益、税効果後合計 (4) (1)
2 5 6
非支配株主持分に帰属する包括利益合計
包括利益合計
4,278 4,431 899
当期純利益/(損失)
846 1,125
その他の包括利益 (158)
1,456 859
内、損益計算書に振り替えられる可能性のあるその他の包括利益 (893)
735 266
内、損益計算書に振り替えられることのないその他の包括利益 (610)
包括利益合計 5,124 4,274 2,023
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貸借対照表
2019年 2018年
単位:百万米ドル 注記 12月31日現在 12月31日現在
資産
現金及び中央銀行預け金 107,068 108,370
銀行貸出金及び前渡金 10 12,379 16,642
10, 25
有価証券ファイナンス取引による債権 84,245 95,349
10, 25
デリバティブに係る差入担保金 23,289 23,603
顧客貸出金及び前渡金 10 327,992 321,482
10, 17a
償却原価で測定されるその他の金融資産 23,012 22,637
償却原価で測定される金融資産合計 577,985 588,084
12, 24
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融資産 127,695 104,513
内、取引相手先により売却又は再担保差入されている可能性のある差入担保資産 41,285 32,121
デリバティブ金融商品 11, 24, 25 121,843 126,212
ブローカレッジ債権 24 18,007 16,840
13, 24
公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金融資産 83,636 82,387
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産合計 351,181 329,953
14, 24
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産 6,345 6,667
関連会社投資 31b 1,051 1,099
有形固定資産及びソフトウェア 15 11,826 8,479
のれん及び無形資産 16 6,469 6,647
繰延税金資産 8 9,513 10,066
その他の非金融資産 17b 7,547 7,062
資産合計 971,916 958,055
負債
銀行預り金 18 6,570 10,962
有価証券ファイナンス取引による債務 25 7,778 10,296
デリバティブに係る受入担保金 25 31,416 28,906
顧客預金 18a 450,591 421,986
UBSグループAG及びその子会社からの資金調達 18b 47,866 41,202
償却原価で測定される社債 20 62,835 91,245
償却原価で測定されるその他の金融負債 22a 10,373 7,576
償却原価で測定される金融負債合計 617,429 612,174
12, 24
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融負債 30,591 28,949
11, 24, 25
デリバティブ金融商品 120,880 125,723
公正価値での測定を指定されたブローカレッジ債務 24 37,233 38,420
公正価値での測定を指定された社債 19, 24 66,592 57,031
22b, 24
公正価値での測定を指定されたその他の金融負債 36,157 33,594
純損益を通じて公正価値で測定される金融負債合計 291,452 283,717
引当金 21a 2,938 3,457
その他の非金融負債 22c 6,168 6,275
負債合計 917,988 905,624
資本
資本金 338 338
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資本剰余金 24,659 24,655
利益剰余金 23,451 23,317
資本に直接認識されたその他の包括利益、税効果後 5,306 3,946
株主に帰属する持分 53,754 52,256
非支配株主持分に帰属する持分 174 176
資本合計 53,928 52,432
負債及び資本合計 971,916 958,055
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貸借対照表(続き)
2019年 2018年
単位:億円 注記 12月31日現在 12月31日現在
資産
115,355 116,758
現金及び中央銀行預け金
13,337 17,930
銀行貸出金及び前渡金 10
10, 25 90,766 102,729
有価証券ファイナンス取引による債権
10, 25 25,092 25,430
デリバティブに係る差入担保金
353,379 346,365
顧客貸出金及び前渡金 10
10, 17a 24,793 24,389
償却原価で測定されるその他の金融資産
622,721 633,602
償却原価で測定される金融資産合計
12, 24 137,579 112,602
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融資産
内、取引相手先により売却又は再担保差入されている可能性のある差入担保資産 44,480 34,607
11, 24, 25 131,274 135,981
デリバティブ金融商品
19,401 18,143
ブローカレッジ債権 24
13, 24 90,109 88,764
公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金融資産
378,362 355,491
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産合計
14, 24 6,836 7,183
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産
1,132 1,184
関連会社投資 31b
12,741 9,135
有形固定資産及びソフトウェア 15
6,970 7,161
のれん及び無形資産 16
10,249 10,845
繰延税金資産 8
8,131 7,609
その他の非金融資産 17b
1,047,142 1,032,208
資産合計
負債
7,079 11,810
銀行預り金 18
8,380 11,093
有価証券ファイナンス取引による債務 25
33,848 31,143
デリバティブに係る受入担保金 25
485,467 454,648
顧客預金 18a
51,571 44,391
UBSグループAG及びその子会社からの資金調達 18b
67,698 98,307
償却原価で測定される社債 20
11,176 8,162
償却原価で測定されるその他の金融負債 22a
665,218 659,556
償却原価で測定される金融負債合計
12, 24 32,959 31,190
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融負債
11, 24, 25 130,236 135,454
デリバティブ金融商品
40,115 41,394
公正価値での測定を指定されたブローカレッジ債務 24
19, 24 71,746 61,445
公正価値での測定を指定された社債
22b, 24 38,956 36,194
公正価値での測定を指定されたその他の金融負債
314,010 305,677
純損益を通じて公正価値で測定される金融負債合計
3,165 3,725
引当金 21a
6,645 6,761
その他の非金融負債 22c
989,040 975,719
負債合計
資本
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有価証券報告書
364 364
資本金
26,568 26,563
資本剰余金
25,266 25,122
利益剰余金
5,717 4,251
資本に直接認識されたその他の包括利益、税効果後
57,915 56,301
株主に帰属する持分
187 190
非支配株主持分に帰属する持分
58,102 56,490
資本合計
1,047,142 1,032,208
負債及び資本合計
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有価証券報告書
持分変動計算書
内、その他の包括
資本に直接
利益を通じて 内、
認識された
内、 公正価値で キャッシュ・ 株主に 優先
その他の包括利益、
資本 利益 為替 測定される フロー・ 帰属する 証券 非支配
(1)
単位:百万米ドル 資本金 剰余金 剰余金 税効果後 換算調整 金融資産 ヘッジ 持分合計 保有者 株主持分 資本合計
2017年1月1日現在残高 338 27,154 21,480 3,985 2,933 96 955 52,957 631 39 53,627
株式発行 0 0
株式発行及びワラント行使に係るプレミアム 6 6 6
(税金費用)/税務上の便益 16 16 16
配当金 (2,219) (2,219) (73) (4) (2,297)
優先証券 0 (878) (878)
利益剰余金に直接認識された為替換算調整の影響額 (46) 46 7 39 0 0
新規連結/(連結除外)及びその他の増加/(減少) (324) (324) 18 (306)
当期の包括利益合計 755 797 1,522 (91) (635) 1,552 320 6 1,878
内、当期純利益/(損失) 758 758 73 ▶ 834
内、損益計算書に振り替えられる可能性のあるその他
797 1,522 (91) (635) 797 797
の包括利益(OCI)、税効果後
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
314 314 314
税効果後-確定給付制度
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
(317) (317) (317)
税効果後-自己の信用
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
0 247 2 250
税効果後-為替換算調整
2017年12月31日現在残高 338 24,633 22,189 4,828 4,455 13 360 51,987 0 59 52,046
IFRS第9号の適用による影響額 (518) (74) (74) (591) (591)
IFRS第15号の適用による影響額 (25) (25) (25)
IFRS第9号及びIFRS第15号適用後の2018年1月1日現在
338 24,633 21,646 4,754 4,455 (61) 360 51,370 0 59 51,429
残高
株式発行 0 0
株式発行及びワラント行使に係るプレミアム 34 34 34
(税金費用)/税務上の便益 (5) (5) (5)
配当金 (3,098) (3,098) (10) (3,108)
利益剰余金に直接認識された為替換算調整の影響額 (21) 21 3 18 0 0
新規連結/(連結除外)及びその他の増加/(減少) (7) (7) 122 115
当期の包括利益合計 4,790 (829) (515) (45) (269) 3,961 0 5 3,967
内、当期純利益/(損失) 4,107 4,107 7 4,113
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有価証券報告書
内、損益計算書に振り替えられる可能性のあるその他
(829) (515) (45) (269) (829) (829)
の包括利益(OCI)、税効果後
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
175 175 175
税効果後-確定給付制度
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
509 509 509
税効果後-自己の信用
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
0 (1) (1)
税効果後-為替換算調整
2018年12月31日現在残高 338 24,655 23,317 3,946 3,940 (103) 109 52,256 0 176 52,432
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有価証券報告書
持分変動計算書(続き)
内、その他の包括
資本に直接
利益を通じて 内、
認識された
内、 公正価値で キャッシュ・ 株主に 優先
その他の包括利益、
資本 利益 為替 測定される フロー・ 帰属する 証券 非支配
(1)
単位:百万米ドル 資本金 剰余金 剰余金 税効果後 換算調整 金融資産 ヘッジ 持分合計 保有者 株主持分 資本合計
2018年12月31日現在残高 338 24,655 23,317 3,946 3,940 (103) 109 52,256 0 176 52,432
IFRIC第23号の適用による影響額 (11) (11) (11)
IFRIC第23号適用後の2019年1月1日現在残高 338 24,655 23,306 3,946 3,940 (103) 109 52,245 0 176 52,421
株式発行 0 0
株式発行及びワラント行使に係るプレミアム 0 0 0
(税金費用)/税務上の便益 11 11 11
配当金 (3,250) (3,250) (8) (3,258)
利益剰余金に直接認識された為替換算調整の影響額 (9) 9 0 9 0 0
新規連結/(連結除外)及びその他の増加/(減少) (7) (7) 5 (3)
当期の包括利益合計 3,403 1,351 92 117 1,143 4,754 0 2 4,756
内、当期純利益/(損失) 3,965 3,965 6 3,971
内、損益計算書に振り替えられる可能性のあるその他
1,351 92 117 1,143 1,351 1,351
の包括利益(OCI)、税効果後
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
(170) (170) (170)
税効果後-確定給付制度
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
(392) (392) (392)
税効果後-自己の信用
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
0 (4) (4)
税効果後-為替換算調整
2019年12月31日現在残高 338 24,659 23,451 5,306 4,032 14 1,260 53,754 0 174 53,928
(1)
利益剰余金に直接計上されている確定給付制度及び自己の信用を除く。
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持分変動計算書(続き)
内、その他の包括
資本に直接
利益を通じて 内、
認識された
内、 公正価値で キャッシュ・ 株主に 優先
その他の包括利益、
資本 利益 為替 測定される フロー・ 帰属する 証券 非支配
(1)
単位:億円 資本金 剰余金 剰余金 税効果後 換算調整 金融資産 ヘッジ 持分合計 保有者 株主持分 資本合計
364 29,256 23,143 4,293 3,160 103 1,029 57,056 680 42 57,778
2017年1月1日現在残高
0 0
株式発行
6 6 6
株式発行及びワラント行使に係るプレミアム
17 17 17
(税金費用)/税務上の便益
配当金 (2,391) (2,391) (79) (4) (2,475)
0
優先証券 (946) (946)
50 8 42 0 0
利益剰余金に直接認識された為替換算調整の影響額 (50)
19
新規連結/(連結除外)及びその他の増加/(減少) (349) (349) (330)
813 859 1,640 1,672 345 6 2,023
当期の包括利益合計 (98) (684)
817 817 79 ▶ 899
内、当期純利益/(損失)
内、損益計算書に振り替えられる可能性のあるその他
859 1,640 859 859
(98) (684)
の包括利益(OCI)、税効果後
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
338 338 338
税効果後-確定給付制度
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
(342) (342) (342)
税効果後-自己の信用
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
0 266 2 269
税効果後-為替換算調整
364 26,540 23,906 5,202 4,800 14 388 56,011 0 64 56,074
2017年12月31日現在残高
IFRS第9号の適用による影響額 (558) (80) (80) (637) (637)
IFRS第15号の適用による影響額 (27) (27) (27)
IFRS第9号及びIFRS第15号適用後の2018年1月1日現在
364 26,540 23,321 5,122 4,800 388 55,346 0 64 55,410
(66)
残高
0 0
株式発行
37 37 37
株式発行及びワラント行使に係るプレミアム
(税金費用)/税務上の便益 (5) (5) (5)
配当金 (3,338) (3,338) (11) (3,349)
23 3 19 0 0
利益剰余金に直接認識された為替換算調整の影響額 (23)
131 124
新規連結/(連結除外)及びその他の増加/(減少) (8) (8)
5,161 4,268 0 5 4,274
当期の包括利益合計 (893) (555) (48) (290)
4,425 4,425 8 4,431
内、当期純利益/(損失)
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有価証券報告書
内、損益計算書に振り替えられる可能性のあるその他
(893) (555) (48) (290) (893) (893)
の包括利益(OCI)、税効果後
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
189 189 189
税効果後-確定給付制度
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
548 548 548
税効果後-自己の信用
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
0
(1) (1)
税効果後-為替換算調整
364 26,563 25,122 4,251 4,245 117 56,301 0 190 56,490
2018年12月31日現在残高 (111)
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持分変動計算書(続き)
内、その他の包括
資本に直接
利益を通じて 内、
認識された
内、 公正価値で キャッシュ・ 株主に 優先
その他の包括利益、
資本 利益 為替 測定される フロー・ 帰属する 証券 非支配
(1)
単位:億円 資本金 剰余金 剰余金 税効果後 換算調整 金融資産 ヘッジ 持分合計 保有者 株主持分 資本合計
364 26,563 25,122 4,251 4,245 117 56,301 0 190 56,490
2018年12月31日現在残高 (111)
IFRIC第23号の適用による影響額 (12) (12) (12)
364 26,563 25,110 4,251 4,245 117 56,289 0 190 56,478
IFRIC第23号適用後の2019年1月1日現在残高 (111)
0 0
株式発行
0 0 0
株式発行及びワラント行使に係るプレミアム
12 12 12
(税金費用)/税務上の便益
配当金 (3,502) (3,502) (9) (3,510)
10 0 10 0 0
利益剰余金に直接認識された為替換算調整の影響額 (10)
5
新規連結/(連結除外)及びその他の増加/(減少) (8) (8) (3)
3,666 1,456 99 126 1,231 5,122 0 2 5,124
当期の包括利益合計
4,272 4,272 6 4,278
内、当期純利益/(損失)
内、損益計算書に振り替えられる可能性のあるその他
1,456 99 126 1,231 1,456 1,456
の包括利益(OCI)、税効果後
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
(183) (183) (183)
税効果後-確定給付制度
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
(422) (422) (422)
税効果後-自己の信用
内、損益計算書に振り替えられることのないOCI、
0
(4) (4)
税効果後-為替換算調整
364 26,568 25,266 5,717 4,344 15 1,358 57,915 0 187 58,102
2019年12月31日現在残高
(1)
利益剰余金に直接計上されている確定給付制度及び自己の信用を除く。
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UBS AGの発行済株式
2019年12月31日現在、UBS AGが発行した株式は合計3,858,408,466株(2018年12月31日現在:3,858,408,466
株)であり、全てUBSグループAGが保有していた。
条件付資本金
2019年12月31日現在、社債又は同様の金融商品の発行に関連して付与された転換権及びワラントのために、
名目価値が1株当たり0.10スイス・フランの最大380,000,000株の全額払込済登録株式に相当する最大
38,000,000スイス・フランの条件付資本を使用することが可能であった。
授権株式
2019年12月31日現在、UBS AGは、発行可能な授権株式を保有していなかった。
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キャッシュ・フロー計算書
終了事業年度
単位:百万米ドル
2019年12月31日 2018年12月31日 2017年12月31日
営業活動によるキャッシュ・フロー収入/(支出)
当期純利益/(損失) 3,971 4,113 834
当期純利益に含まれている非資金項目及びその他の調整:
有形固定資産及びソフトウェアの減価償却費及び減損 1,576 1,052 945
のれんの減損 110 0 0
無形資産の償却費及び減損 65 65 71
信用損失費用/(戻入) 78 117 131
関連会社/共同支配企業持分純利益及び関連会社の減損 (45) (528) (69)
繰延税金費用/(税務上の便益) 460 374 3,398
投資活動から生じた純損失/(利得) 220 (49) (198)
財務活動から生じた純損失/(利得) 6,506 (4,829) 2,763
その他の調整純額 862 (1,092) (1,077)
営業活動に係る資産及び負債の変動純額:
銀行貸出金及び前渡金/銀行預り金 (4,336) 3,504 (3,236)
有価証券ファイナンス取引 8,678 (11,230) (111)
デリバティブに係る担保金 2,842 (1,449) (2,454)
顧客貸出金及び前渡金 (3,205) (4,152) (15,661)
顧客預金 23,399 7,931 (12,073)
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融資産及び金融負債並びに
(18,873) 11,093 (23,560)
デリバティブ金融商品
ブローカレッジ債権及びブローカレッジ債務 (2,347) 11,432
公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金融資産、その他の
126 10,902 (1,801)
金融資産及びその他の金融負債
引当金、その他の非金融資産及びその他の非金融負債 (537) 1,377 (29)
支払税金、還付金控除後 (741) (888) (1,021)
営業活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出) 18,805 27,744 (53,147)
投資活動によるキャッシュ・フロー収入/(支出)
子会社、関連会社及び無形資産取得 (26) (287) (106)
(1)
114 137 339
子会社、関連会社及び無形資産処分
有形固定資産及びソフトウェア購入 (1,401) (1,473) (1,532)
有形固定資産及びソフトウェア処分 11 114 210
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の購入 (3,424) (1,999) (8,626)
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の処分及び償還 3,913 1,361 15,250
償却原価で測定される社債の(購入)/償還純額 (562) (3,770)
満期保有目的金融資産の(購入)/償還純額 (91)
投資活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出) (1,374) (5,918) 5,444
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キャッシュ・フロー計算書(続き)
終了事業年度
単位:百万米ドル
2019年12月31日 2018年12月31日 2017年12月31日
財務活動によるキャッシュ・フロー収入/(支出)
短期借入債務発行/(償還)純額 (17,149) (12,245) 24,500
UBS株式に係る配当金の支払 (3,250) (3,098) (2,219)
(2)
(496)
リース負債の償還
公正価値での測定を指定された社債を含む長期借入債務発行 59,199 54,726 40,270
公正価値での測定を指定された社債を含む長期借入債務償還 (68,883) (44,344) (45,187)
UBSグループAG及びその子会社からの資金調達 5,848 5,956 11,180
配当金の支払及び優先証券の償還 (782)
非支配株主持分の変動純額 (8) (31) (5)
財務活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出) (24,738) 963 27,758
キャッシュ・フロー合計
現金及び現金同等物期首残高 125,853 104,787 118,984
営業、投資及び財務活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出) (7,307) 22,789 (19,944)
現金及び現金同等物に係る為替変動による影響 1,258 (1,722) 5,749
(3)
119,804 125,853 104,787
現金及び現金同等物期末残高
(4)
106,957 108,268 89,968
内、現金及び中央銀行預け金
内、銀行貸出金及び前渡金 11,317 15,452 12,726
(5)
1,530 2,133 2,093
内、マネー・マーケット・ペーパー
追加情報
営業活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出)は以下を含む:
(6)
15,344 14,666 12,721
現金による利息受取額
(6)
10,800 9,372 6,748
現金による利息支払額
(7)
3,145 2,322 1,828
現金による株式投資、投資信託受益証券及び関連会社に係る配当
(1) (2)
関連会社からの受取配当金を含む。 2019年1月1日のIFRS第16号の適用により、過年度に営業活動に分類されていたリース負債の
(3)
元本部分に係る現金支払額は財務活動に組替えられている。 現金及び現金同等物のうち、2019年12月31日、2018年12月31日及び2017年
12月31日現在、それぞれ3,192百万米ドル、5,245百万米ドル及び2,497百万米ドル(主として「銀行貸出金及び前渡金」に反映されてい
る。)が使用制限のあるものである。詳細については、2019年度年次報告書の「連結財務書類」のセクションの「注記26 制限付金融資産
(4) (5)
及び譲渡金融資産」を参照。 当初の満期が3ヶ月以内の残高のみを含む。 マネー・マーケット・ペーパーは、貸借対照表上では、
「公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融資産」(2019年12月31日現在:235百万米ドル、2018年12月31日現在:366百万米ド
ル、2017年12月31日現在:135百万米ドル)、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産」(2019年12月31日現在:24百万
米ドル、2018年12月31日現在:8百万米ドル、2017年12月31日現在:17百万米ドル)、「公正価値で測定されるトレーディング目的保有で
ない金融資産」(2019年12月31日現在:920百万米ドル、2018年12月31日現在:1,556百万米ドル、2017年12月31日現在:1,941百万米ドル)
及び「償却原価で測定されるその他の金融資産」(2019年12月31日現在:351百万米ドル、2018年12月31日現在:204百万米ドル、2017年12
(6)
月31日現在:0百万米ドル)に含まれる。 現金による利息受取額及び利息支払額は、「償却原価/その他の包括利益を通じて公正価値
で測定される金融商品に係る利息の合計」(2018年12月31日現在:利息受取額10,013百万米ドル及び利息支払額6,549百万米ドル、2017年
12月31日現在:利息受取額10,469百万米ドル及び利息支払額5,485百万米ドル)並びに「純損益を通じて公正価値で測定される金融商品に
係る利息(2018年12月31日現在: 利息受取額4,653百万米ドル及び利息支払額2,823百万米ドル、2017年12月31日現在:利息受取額2,252百
(7)
万米ドル及び利息支払額1,264百万米ドル)を表すように修正再表示された。 投資活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出)
に計上された関連会社からの受取配当金を含む。
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有価証券報告書
キャッシュ・フロー計算書(続き)
終了事業年度
単位:億円
2019年12月31日 2018年12月31日 2017年12月31日
営業活動によるキャッシュ・フロー収入/(支出)
4,278 4,431 899
当期純利益/(損失)
当期純利益に含まれている非資金項目及びその他の調整:
1,698 1,133 1,018
有形固定資産及びソフトウェアの減価償却費及び減損
119 0 0
のれんの減損
70 70 76
無形資産の償却費及び減損
84 126 141
信用損失費用/(戻入)
関連会社/共同支配企業持分純利益及び関連会社の減損 (48) (569) (74)
496 403 3,661
繰延税金費用/(税務上の便益)
237
投資活動から生じた純損失/(利得) (53) (213)
7,010 2,977
財務活動から生じた純損失/(利得) (5,203)
929
その他の調整純額 (1,177) (1,160)
営業活動に係る資産及び負債の変動純額:
3,775
銀行貸出金及び前渡金/銀行預り金 (4,672) (3,486)
9,350
有価証券ファイナンス取引 (12,099) (120)
3,062
デリバティブに係る担保金 (1,561) (2,644)
顧客貸出金及び前渡金 (3,453) (4,473) (16,873)
25,210 8,545
顧客預金 (13,007)
公正価値で測定されるトレーディング目的保有金融資産及び金融負債並びに
11,952
(20,334) (25,384)
デリバティブ金融商品
12,317
ブローカレッジ債権及びブローカレッジ債務 (2,529)
公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金融資産、その他の
136 11,746
(1,940)
金融資産及びその他の金融負債
1,484
引当金、その他の非金融資産及びその他の非金融負債 (579) (31)
支払税金、還付金控除後 (798) (957) (1,100)
20,261 29,891
営業活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出) (57,261)
投資活動によるキャッシュ・フロー収入/(支出)
子会社、関連会社及び無形資産取得 (28) (309) (114)
(1)
123 148 365
子会社、関連会社及び無形資産処分
有形固定資産及びソフトウェア購入 (1,509) (1,587) (1,651)
12 123 226
有形固定資産及びソフトウェア処分
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の購入 (3,689) (2,154) (9,294)
4,216 1,466 16,430
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の処分及び償還
償却原価で測定される社債の(購入)/償還純額 (605) (4,062)
満期保有目的金融資産の(購入)/償還純額 (98)
5,865
投資活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出) (1,480) (6,376)
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キャッシュ・フロー計算書(続き)
終了事業年度
単位:億円
2019年12月31日 2018年12月31日 2017年12月31日
財務活動によるキャッシュ・フロー収入/(支出)
短期借入債務発行/(償還)純額 (18,476) (13,193) 26,396
UBS株式に係る配当金の支払 (3,502) (3,338) (2,391)
(2)
(534)
リース負債の償還
63,781 58,962 43,387
公正価値での測定を指定された社債を含む長期借入債務発行
公正価値での測定を指定された社債を含む長期借入債務償還 (74,215) (47,776) (48,684)
6,301 6,417 12,045
UBSグループAG及びその子会社からの資金調達
配当金の支払及び優先証券の償還 (843)
非支配株主持分の変動純額 (9) (33) (5)
1,038 29,906
財務活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出) (26,653)
キャッシュ・フロー合計
135,594 112,898 128,193
現金及び現金同等物期首残高
24,553
営業、投資及び財務活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出) (7,873) (21,488)
1,355 6,194
現金及び現金同等物に係る為替変動による影響 (1,855)
(3)
129,077 135,594 112,898
現金及び現金同等物期末残高
(4)
115,235 116,648 96,932
内、現金及び中央銀行預け金
12,193 16,648 13,711
内、銀行貸出金及び前渡金
(5)
1,648 2,298 2,255
内、マネー・マーケット・ペーパー
追加情報
営業活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出)は以下を含む:
(6)
16,532 15,801 13,706
現金による利息受取額
(6)
11,636 10,097 7,270
現金による利息支払額
(7)
3,388 2,502 1,969
現金による株式投資、投資信託受益証券及び関連会社に係る配当
(1) (2)
関連会社からの受取配当金を含む。 2019年1月1日のIFRS第16号の適用により、過年度に営業活動に分類されていたリース負債の
(3)
元本部分に係る現金支払額は財務活動に組替えられている。 現金及び現金同等物のうち、2019年12月31日、2018年12月31日及び2017年
12月31日現在、それぞれ3,439億円、5,651億円及び2,690億円(主として「銀行貸出金及び前渡金」に反映されている。)が使用制限のあ
るものである。詳細については、2019年度年次報告書の「連結財務書類」のセクションの「注記26 制限付金融資産及び譲渡金融資産」を
(4) (5)
参照。 当初の満期が3ヶ月以内の残高のみを含む。 マネー・マーケット・ペーパーは、貸借対照表上では、「公正価値で測定され
るトレーディング目的保有金融資産」(2019年12月31日現在:253億円、2018年12月31日現在:394億円、2017年12月31日現在:145億円)、
「その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産」(2019年12月31日現在:26億円、2018年12月31日現在:9億円、2017年12月
31日現在:18億円)、「公正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金融資産」(2019年12月31日現在:991億円、2018年12月31日
現在:1,676億円、2017年12月31日現在:2,091億円)及び「償却原価で測定されるその他の金融資産」(2019年12月31日現在:378億円、
(6)
2018年12月31日現在:220億円、2017年12月31日現在:0億円)に含まれる。 現金による利息受取額及び利息支払額は、「償却原価/そ
の他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品に係る利息の合計」(2018年12月31日現在:利息受取額10,788億円及び利息支払額
7,056億円、2017年12月31日現在:利息受取額11,279億円及び利息支払額5,910億円)並びに「純損益を通じて公正価値で測定される金融商
品に係る利息(2018年12月31日現在: 利息受取額5,013億円及び利息支払額3,042億円、2017年12月31日現在:利息受取額2,426億円及び利
(7)
息支払額1,362億円)を表すように修正再表示された。 投資活動による正味キャッシュ・フロー収入/(支出)に計上された関連会社
からの受取配当金を含む。
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財務活動により生じた負債の変動
店頭(OTC) UBSグループAG及
償却原価で測定 公正価値での測
負債性 びその子会社から
される 定を指定された
(2) (3)
単位:百万米ドル
発行済社債 内、短期 内、長期 発行済社債 金融商品 の資金調達 合計
2018年1月1日現在残高 107,458 52,270 55,187 50,782 4,428 35,648 198,316
キャッシュ・フロー (13,358) (12,245) (1,113) 13,332 (1,838) 5,956 4,092
非資金項目の変動 (2,855) (1,000) (1,854) (7,083) (140) (402) (10,481)
内、為替換算 (2,624) (1,000) (1,623) 309 (59) (289) (2,663)
内、公正価値の変動 (7,392) (82) 0 (7,475)
(1) (1)
内、その他 (231) 0 0 0 (344)
(231) (113)
2018年12月31日現在残高 91,245 39,025 52,220 57,031 2,450 41,202 191,928
キャッシュ・フロー (28,355) (17,149) (11,206) 1,947 (425) 5,848 (20,985)
非資金項目の変動 (55) (39) (16) 7,614 (3) 1,033 8,588
内、為替換算 (346) (39) (307) 210 (6) (128) (270)
内、公正価値の変動 7,404 3 17 7,424
(1) (1)
内、その他 291 0 0 0 1,434
291 1,144
2019年12月31日現在残高 62,835 21,837 40,998 66,592 2,022 48,083 179,531
(1) (2)
長期債務に係る公正価値ヘッジの影響を含む。詳細については、注記1aのjの項及び注記20を参照。 貸借対照表の公正価値での測
(3)
定を指定されたその他の金融負債に含まれる。 償却原価及び公正価値で測定されるUBSグループAG及びその子会社からの資金調達を含
む。
店頭(OTC) UBSグループAG及
償却原価で測定 公正価値での測
負債性 びその子会社から
される 定を指定された
(2) (3)
単位:億円
発行済社債 内、短期 内、長期 発行済社債 金融商品 の資金調達 合計
115,775 56,316 59,458 54,713 4,771 38,407 213,666
2018年1月1日現在残高
14,364 6,417 4,409
キャッシュ・フロー (14,392) (13,193) (1,199) (1,980)
非資金項目の変動 (3,076) (1,077) (1,997) (7,631) (151) (433) (11,292)
333
内、為替換算 (2,827) (1,077) (1,749) (64) (311) (2,869)
0
内、公正価値の変動 (7,964) (88) (8,054)
(1) (1)
0 0 0
内、その他 (249) (371)
(249) (122)
98,307 42,046 56,262 61,445 2,640 44,391 206,783
2018年12月31日現在残高
2,098 6,301
キャッシュ・フロー (30,550) (18,476) (12,073) (458) (22,609)
8,203 1,113 9,253
非資金項目の変動 (59) (42) (17) (3)
226
内、為替換算 (373) (42) (331) (6) (138) (291)
7,977 3 18 7,999
内、公正価値の変動
(1) (1)
314 0 0 0 1,545
内、その他
314 1,233
67,698 23,527 71,746 2,179 193,427
2019年12月31日現在残高 44,171 51,805
(1) (2)
長期債務に係る公正価値ヘッジの影響を含む。詳細については、注記1aのjの項及び注記20を参照。 貸借対照表の公正価値での測
(3)
定を指定されたその他の金融負債に含まれる。 償却原価及び公正価値で測定されるUBSグループAG及びその子会社からの資金調達を含
む。
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連結財務書類に対する注記
注記1 重要な会計方針の概要
a)重要な会計方針
本注記では、ユービーエス・エイ・ジー及びその子会社(以下「UBS AG」という。)の連結財務書類(以下
「当財務書類」という。)の作成に適用された重要な会計方針を説明している。2020年2月27日、取締役会に
より当財務書類の発行が承認された。
会計の基礎
当財務書類は、国際会計基準審議会(以下「IASB」という。)が発行する国際財務報告基準(以下「IFRS」
という。)に準拠して作成されており、UBS AGの本部、ロンドン支店及び米国を拠点とする事業の機能通貨で
もある米ドルで表示されている。
当財務書類の一部である当年次報告書の「リスク、財務及び資本管理」のセクション(訳者注:UBS AGの年
次報告書の「Risk, treasury and capital management」のセクション。以下同じ。)に記載された監査済とし
て表示されている開示は、当財務書類の不可欠な一部を成している。これらの開示は、IFRS第7号 「金融商
品:開示」 及びIAS第1号 「財務諸表の表示」 の下での規定に関連しており、本セクションには繰り返して記載
されていない。
本注記に記載された会計方針は、注記1bに別途記載のある場合を除き、表示された2019年度、2018年度及び
2017年度に継続適用されている。ただし、IFRS第9号 「金融商品」 (2018年1月1日より適用)、IFRS第15号
「顧客との契約から生じる収益」 (2018年1月1日より適用)、IFRS第16号 「リース」 (2019年1月1日より
適用)を適用している。本注記では、2019年12月31日終了事業年度に適用された方針と異なる2018年度及び
2017年度に適用される、又は2017年度のみに適用される方針は、「比較対象期間の方針」として特定されてい
る。
重要な会計上の見積り及び判断
当財務書類をIFRSに準拠して作成するに当たり、経営者は判断を行い、見積りや仮定をする必要がある。そ
れらは報告された資産、負債、収益及び費用の額並びに偶発資産及び偶発負債の開示に影響を与えており、判
断や見積り、仮定を行った時、重要な不確実性を伴うことがある。これらの見積りや仮定は、入手可能な最善
の情報に基づいている。UBS AGは、定期的に見積りや仮定を再評価し、現在の状況に照らして引き続き妥当性
を有するか判断するとともに、必要に応じて改定している。当該評価には、過去の実績や将来の予想、その他
の要因が含まれている。かかる見積りや仮定に変更が生じた場合、当財務書類に重要な影響を及ぼす可能性が
ある。さらに、実際の結果は、UBS AGの見積りと著しく異なることがあり、予想を上回る損失又は引当金計上
額を超えた損失が発生する恐れがある。
以下は、見積りに不確実性が存在し、重要な判断が必要とされ、当財務書類の認識金額に重要な影響を与え
る領域である。
-金融商品の公正価値測定(本注記の3fの項及び注記24を参照)
-予想信用損失の測定(本注記の3gの項及び注記23を参照)
-金融商品を分類する際の事業モデル及び特定の契約上の特徴に関する評価(本注記の3bの項を参照)
-年金及びその他の退職後給付制度(本注記の7の項及び注記29を参照)
-法人所得税(本注記の8の項及び注記8を参照)
-のれん(本注記の11の項及び注記16を参照)
-引当金及び偶発負債(本注記の12の項及び注記21を参照)
-ストラクチャード・エンティティの連結(本注記の1の項及び注記31を参照)
-2018年12月31日終了事業年度における機能通貨の決定及び表示通貨の変更に伴う修正再表示を行うために実
務上可能な最も古い日の評価(本注記の13の項を参照)
1)連結
a.連結原則
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当財務書類は、UBS AG及びその子会社の財務書類から成り、単一の経済実体として表示されており、会社間
の取引及び残高は消去されている。UBS AGは、(ⅰ)事業体の関連性のある活動に対するパワーを有している
場 合、(ⅱ)変動リターンに対するエクスポージャーを有している場合、及び(ⅲ)そのパワーを自らのリ
ターンに影響を及ぼすように行使する能力を有している場合に事業体を支配しているとされ、当該事業体(支
配するストラクチャード・エンティティ(以下「SE」という。)を含む。)を全て連結している。
議決権により事業体を支配する場合は通常、議決権の過半数を直接保有することで支配しているとみなされ
る。
その他のケースでは、支配の評価はより複雑であり、より広範な判断を求められる。UBS AGが変動性にさら
される事業体の持分を有している場合、当該事業体のリターンの変動性に影響を与えることが可能な、当該事
業体の関連性のある活動に対するパワーがUBS AGにあるかどうかの検討が行われる。全ての事実と状況を考慮
してUBS AGが別の事業体にパワーを有しているか、すなわち、事業体の関連性のある活動に関する意思決定を
行う必要がある場合に当該活動を指図する現時点での能力を有しているかを判断する。事業体の目的や設計、
コールの権利、プットの権利又は清算権等の契約上の取決め、並びに潜在的な意思決定権などの要因は、この
評価を行う際に全て検討される。UBS AGが関連性のある活動に対するパワーを有している場合は、当該パワー
を通じて、自らのリターンに影響を及ぼす能力を有しているかさらに評価を行うが、これは、パワーを本人と
して保有しているのか、あるいは代理人として保有しているのかを評価することにより行う。検討事項は、
(ⅰ)意思決定権限の範囲、(ⅱ)他の当事者が保有する権利(解任権や他の参加権を含む。)、(ⅲ)事業
体の変動性の合計と比較した変動性(報酬を含む。)に対するエクスポージャー、並びに当該エクスポー
ジャーの他の投資家との相違である。これらの要因の検討後、UBS AGがそのパワーを自らのリターンに影響を
及ぼすように行使することができるとの結論に至った場合、事業体は連結される。
SEを含む子会社は、支配を獲得した日から連結され、支配が終了した日に連結対象から除外される。支配又
は支配の喪失は、事実や状況が、支配の存在を認めるのに必要であった要素のうち1つ以上に変更があること
を示す場合に再評価される。
→ 詳細については、注記31を参照。
b.ストラクチャード・エンティティ
UBS AGは、顧客が特定のリスク特性を取得したり、当該リスクにさらされたりすること、資金を供給するこ
と又は信用リスクの売買を行うことを可能にするなど、様々な理由でSEを組成するための出資を行い、出資し
ていないSEとの相互関係を有している。SEとは、事業体を誰が支配しているかの判定に際し、議決権又は類似
の権利が決定的な要因にならないように事業体が設計されている場合に該当する。このような事業体は通常、
限定的な十分に明確化された目的を有しており、これまで特別目的事業体と呼ばれていた事業体や一部の投資
信託が含まれる。UBS AGは、事業体の活動の性質及び他の当事者(投資家や独立した役員を含む。)に付与さ
れた議決権又は類似の権利の実体を考慮して、事業体がSEであるかを評価する。UBS AGは、事業体を清算する
能力や意思決定者を解任する能力等の権利を、その保有者が理由なく当該権利を行使する実質的能力を有して
いる場合に、議決権に類似するとみなしている。このような権利がない場合又はこのような権利の存在が十分
に確認できない場合に、当該事業体はSEとみなされる。
UBS AGが関与しているSEの種類は以下の通りである。
- 証券化ストラクチャード・エンティティ は、SEが保有する資産を裏付けとして投資家に証券を発行するため
に設立される。これにより(ⅰ)証券化のエクスポージャーに伴う重大な信用リスクが第三者に移転され、
(ⅱ)バーゼルⅢの証券化定義に準拠した証券化ビークルが発行した2つ以上のリスク・ポジション又はト
ランシェが存在することになる。証券化事業体は全てSEに分類される。
- 顧客投資ストラクチャード・エンティティ は、SEが発行した債券を(大部分が期限付きで)購入することに
より、顧客が主として特定の資産又はリスク・エクスポージャーに投資するために設立される。当該SEは、
UBS AGからの移転により又は外部市場取引を通じて資産を調達することがある。場合によっては、UBS AGは
SEとデリバティブ契約を締結し、事業体のキャッシュ・フローを投資家の意図する投資目的に一致させた
り、希望する他のリスク・エクスポージャーを導入したりすることがある。一定の場合には、特定のリスク
をヘッジするか、又は資産担保による資金調達への参加を行うために、UBS AGは第三者がスポンサーとなっ
ているSEへの関与を有することがある。
- 投資信託ストラクチャード・エンティティ は、共同の投資目的を有し、投資運用会社によりパッシブ運用
(従って、意思決定者が変動性に実質的な影響を及ぼさない。)又はアクティブ運用され、投資家又はその
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支配機関に実質的な議決権又は類似の権利がないものである。UBS AGは多数のファンドを組成し、そのスポ
ンサーになっていることから、変動管理報酬を受けること及び/又は直接投資を通じて当該ファンドへの関
与 を有する場合がある。さらにUBS AGは、発行済仕組商品をヘッジするために、第三者が組成し、スポン
サーとなっている多数のファンド(取引所取引ファンドやヘッジ・ファンドを含む。)に対する持分を有し
ている。
SEを連結しないが、UBS AGがSEに関与している場合やスポンサーとなっている場合は、当該関与やスポン
サー活動の性質に関する追加の開示を行っている。
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重要な会計上の見積り及び判断
個々の事業体について、上記の連結原則に従って連結の評価を行っている。支配の評価は複雑な場合があ
り、重要な判断を必要とする。UBS AGの関与の性質や程度は各事業体に独自のものであるため、連結結果は事
業体ごとに異なる。同一種類に属していても、連結される事業体もあれば、連結されない事業体もある。連結
の評価を実施するにあたり、投資先の性質及び活動等、関連のある全ての事実及び状況、並びに議決権及び類
似の権利の実態を考慮する。
→ 詳細については、注記31を参照。
2)セグメント報告
UBS AGの事業は、世界的規模で4つの事業部門、すなわちグローバル・ウェルス・マネジメント、パーソナ
ル&コーポレート・バンキング、アセット・マネジメント及びインベストメント・バンクで構成されている。
これら4つの事業部門は、コーポレート・センターによるサポートを受けており、。セグメント報告の目的
上、報告セグメントとしての要件を満たしている。これら4つの事業部門は、コーポレート・センターととも
に当グループの経営上の構造を反映している。内部の経営者向け報告において、4つの事業部門及びコーポ
レート・センターに関する財務情報は、区分表示されている。
2018年度までは、UBS AGの事業は、世界的規模で5つの事業部門、すなわちウェルス・マネジメント、ウェ
ルス・マネジメント・アメリカズ、パーソナル&コーポレート・バンキング、アセット・マネジメント及びイ
ンベストメント・バンクで構成され、これらの全ての事業部門がコーポレート・センターによるサポートを受
けていた。この5つの事業部門は、セグメント報告の目的上、報告セグメントとしての要件を満たし、また、
コーポレート・センターとともに当グループの経営上の構造を反映していた。コーポレート・センター-非中
核業務及びレガシー・ポートフォリオは、コーポレート・センター内の独立した報告単位として管理及び報告
されていた。内部の経営者向け報告において、5つの事業部門及びコーポレート・センターに関する財務情報
は、区分表示されていた。
2018年度より、UBS AGは、ウェルス・マネジメントとウェルス・マネジメント・アメリカズの両事業部門を
単一のグローバル・ウェルス・マネジメント事業部門に統合した。グローバル・ウェルス・マネジメントは統
合ベースで管理され、単一の業績目標、統合された業務計画及び管理体制を有している。これに合わせて、グ
ローバル・ウェルス・マネジメントの業績は、内部の経営者向け報告において統合ベースで表示され、評価さ
れている。従って、2018年度より、グローバル・ウェルス・マネジメントは、セグメント報告の目的上、事業
セグメント及び報告セグメントとしての要件を満たし、パーソナル&コーポレート・バンキング、アセット・
マネジメント、インベストメント・バンク及びコーポレート・センターと共に当財務書類に表示されている。
UBS AGの事業セグメント及びそれに対応する報告セグメントの構成の変更に伴い、過年度に報告されたセグメ
ント情報は修正再表示されている。当該変更は、認識されたのれんを含め、従前のセグメントに重要な影響を
及ぼさない。
→ 詳細については、本注記の11の項及び注記16を参照。
2019年度より、UBS AGは、グループ・トレジャリー部門の活動をグループ資産・負債管理(以下「グループ
ALM」という。)と統合して、統合後の部門名をグループ・トレジャリーとした。また、UBS AGは、コーポレー
ト・センター全体に関する業績のみを開示し、コーポレート・センターに含まれるサービス業務、グループ・
トレジャリー並びに非中核業務及びレガシー・ポートフォリオの各部門の業績については、これらの部門の規
模及び資源の消費が大幅に縮小したことを踏まえて、これらの業績を個別には開示しない。過年度の情報は、
修正再表示される。
経営者向け報告用の会計方針及びサービス・レベルに関する合意を含むUBS AGの社内の会計方針は、各報告
セグメントに直接帰属する収益及び費用を決定する。報告セグメント間の取引は内部で合意済みの価格で実施
され、各報告セグメントの業績に反映されている。収益分配契約は、複数の報告セグメントが一連の価値の創
出に関与する場合、外部顧客収益を報告セグメント配分するために使用される。手数料は、対応する顧客関係
に基づいて報告セグメントに貸方計上される。UBS AGのセグメント間収益の合計は、当該収益の大部分が収益
分配契約により事業部門全体にわたって配分されるため、重要ではない。UBS AGの連結持分の運用から稼得し
た受取利息は、平均有形帰属持分及び通貨構成に基づいて報告セグメントに配分される。報告セグメントの資
産及び負債は、コーポレート・センターを通じて資金供給され、同部門により投資されて、利息差額純額が各
報告セグメントの業績に反映される。
セグメントの資産は第三者の観点に基づいており、当該資産の額には連結会社間残高は含まれていない。こ
の観点は経営者への内部報告と一致している。コーポレート・センターによって中央管理されている一部の資
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産は、対応する費用又は収益の配分とは異なる基準で各セグメントに配分される場合がある。例えば、コーポ
レート・センターに計上されている一部の資産は、これらの資産に関連する費用又は収益は全体又は部分的に
各 事業セグメントに配分されている。同様に、一部の資産は各事業部門に報告されているが、対応する費用又
は収益は、全体又は部分的にコーポレート・センターに配分されている。
セグメント報告目的で開示されている非流動資産とは、回収されるまで報告日から12ヶ月超と見込まれる資
産を表している。ただし、金融商品、繰延税金資産及び退職後給付は含まれない。
→ 詳細については、注記1b及び2を参照。
3)金融商品
a.認識
UBS AGは、UBS AGが金融商品に関する契約条項の当事者になった時点で当該商品を認識している。UBS AGは
金融商品の通常の売買全てに決済日基準会計を適用している。
UBS AGが譲受人となる取引において、非デリバティブ金融資産の譲渡が譲渡人による認識中止の基準を満た
さない場合、UBS AGは譲渡された商品を自己の資産として認識しない。
UBS AGはまた、信託に基づく役割を果たしているため、個人、信託、退職給付制度及びその他の機関の代理
として資産の保有又は売却を行う。当該資産は、資産の定義及び認識に関する基準が満たされていない場合、
UBS AGの貸借対照表に認識されないことから、関連収益は当財務書類に含まれていない。
デリバティブの清算及び執行サービスに関連する顧客現金残高は、契約上の取決め、規制又は慣行を通じ
て、UBS AGが顧客現金残高から便益を得ず、もしくは顧客現金残高を管理しない場合には貸借対照表に認識さ
れない。
b.分類、測定及び表示
全ての金融商品は当初認識時に、公正価値で測定される。その後に償却原価又はその他の包括利益を通じて
公正価値(以下「FVOCI」という。)で測定される金融商品については、当初の公正価値が、直接帰属する取引
費用に応じて調整される。
(1)
2018年1月1日より適用される方針
金融資産は、当初認識時に、償却原価で測定される金融資産、FVOCIで測定される金融資産又は純損益を通じ
て公正価値(以下「FVTPL」という。)で測定される金融資産として分類される。
負債性金融商品は、以下の両条件を満たす場合、償却原価で測定される。
-契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有するという目的を有する事業モデルの中で
保有されていること
-金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に係る利息の支払いのみ(以下「SPPI」という。)である
キャッシュ・フローが生じること
負債性金融商品は、以下のいずれの条件も満たす場合、FVOCIで測定される。
-契約上のキャッシュ・フローの回収と金融資産の売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で
保有されていること
-金融資産の契約条件により、元本残高に対するSPPIに該当するキャッシュ・フローが生じること
その他全ての金融資産はFVTPLで測定される。当該金融資産は、トレーディング目的保有金融資産、公正価値
での測定を義務付けられた金融資産及びデリバティブから成る。ただし、当該金融商品がヘッジ関係に指定さ
れている場合を除く。その場合、IAS第39号のヘッジ会計の要求事項が引き続き適用される。
(1)
本セクションにおける会計方針は、IFRS第9号の発効日である2018年1月1日から適用される。
事業モデルの評価
UBS AGは、特定の事業目的を達成するために経営者が決定した金融資産の管理方法を考慮に入れて、事業モ
デルの目的が金融資産の保有と契約上のキャッシュ・フローの回収であるかなど、事業モデルの性質を判断し
ている。
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トレーディング目的で保有する金融資産又は公正価値ベースで管理する金融資産は、関連する事業モデルが
契約上のキャッシュ・フローの回収のため又は契約上のキャッシュ・フローの回収と売却のために金融資産を
保有するという目的のいずれも有していない限り、FVTPLで測定される。
UBS AGは、満期まで保有することを目的とするほか、他の当事者への売却又はサブ・パーティシペーション
を目的として貸出を実行する。これにより、リスクと経済価値のほぼ全てが移転し、当該貸出金又はその一部
の認識が中止されることになる。UBS AGは、満期保有目的の貸付活動と売却又はサブ・パーティシペーション
目的の貸付活動は2つの別個の事業モデルであると考えている。前者の金融資産は、契約上のキャッシュ・フ
ローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルにおいて保有されるとみなされ、後者
の金融資産は、トレーディング・ポートフォリオに含まれるとみなされる。場合によっては、貸出金又は貸出
金の一部について売却又はサブ・パーティシペーションが行われるのか、実行時に特定できないことがあり、
また一部の貸出金は、例えばクレジット・デリバティブの利用により、公正価値ベースで管理されることがあ
る。これらの金融資産は、FVTPLでの測定が義務付けられる。
重要な会計上の見積り及び判断
UBS AGは、事業モデルを評価するための適切なレベルを決定するにあたり、判断を行っている。評価は通
常、商品レベル(リテール・モーゲージや商業用モーゲージなど)で実施される。評価がより細分化されたレ
ベル(地域別の貸出金ポートフォリオなど)で行われる場合もあり、必要に応じて事業戦略に基づき細分類され
る。また、金融資産の評価方法及びUBS AGの主要経営者への報告方法、業績に影響を与えるリスク、並びに経
営者の報酬体系を踏まえ、詳細な評価が実施される。さらに、UBS AGは、金融商品の売却が事業モデルの評価
に与える影響を測定する際にも判断を行う。特に、売却が事業モデルの目的に合致しているか、及びその程度
について評価を行う。
契約上のキャッシュ・フローの特性
契約上のキャッシュ・フローがSPPIに該当するか否かを評価する際、UBS AGは、金融商品の契約条件に当該
金融商品の契約期間を通じて発生する契約上のキャッシュ・フローの時期又は金額を変更する可能性がある条
項が含まれているか否かを検討する。このような条項は、金融商品がSPPI基準を満たすか否かの判断に影響を
及ぼす可能性がある。
例えば、UBS AGはパーソナル&コーポレート・バンキング内で、一般的に期限前償還が発生した場合に当事
者いずれかへの補償を定めた条項を含むプライベート・モーゲージ契約及び法人向け貸出金のポートフォリオ
を保有している。UBS AGが支払う又は支払いを受ける補償額は、市場金利の変動による影響を反映している。
UBS AGでは、市場金利の変動を補償額に含めることが契約の期限前解約に照らして妥当であると判断してお
り、契約上のキャッシュ・フローはSPPIに該当することになる。
重要な会計上の見積り及び判断
UBS AGは、金利更改頻度やノンリコース特性など、特定の契約上の特徴が将来のキャッシュ・フローに重要
な影響を及ぼすか、また、貸付契約の期限前解約に伴う補償支払額又は補償受取額がSPPIに該当しないキャッ
シュ・フローをもたらすかどうかを検討するにあたって、判断を行っている。全ての関連性のある事実及び状
況を綿密に分析及び評価した上で、金融商品の契約上のキャッシュ・フローが元本及び利息の支払であるかど
うかの結論を下す。
当初の認識後、UBS AGは、金融資産及び金融負債を、次の表に記載の通り、IFRS第9号に従って分類、測定
及び表示する。
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2018年1月1日以降の金融資産の分類、測定及び表示
金融資産の分類 含まれる重要項目 測定及び表示
償却原価で測定 この分類に含まれる資産は以下の通りである。 実効金利(以下「EIR」という。)法による償却
原価から予想信用損失(以下「ECL」という。)
-現金及び中央銀行預け金
に係る引当金(詳細については、本注記の3c及
-銀行貸出金及び前渡金
び3gの項を参照)を控除した価額で測定され
-借入有価証券に係る担保金
る。
-リバース・レポ契約に係る債権
以下の項目は、損益計算書に認識される。
-デリバティブに係る差入担保金
-本注記の3cの項に従って会計処理される受取
-住宅モーゲージ及び商業用モーゲージ 利息
-法人向け貸出金 -ECL及び戻入額
-担保付貸出金(ロンバード・ローン及び無担保貸出金 -為替差損益
を含む。)
貸出の実行、借換及び条件緩和並びにローン・
-ファイナンシャル・アドバイザーに対する貸出金 コミットメント(UBS AGが特定の貸付関係を結
ぶ可能性が高い場合)に係るアップフロント・
-適格流動資産(以下「HQLA」という。)として保有す
フィー及び直接費用は繰り延べられ、EIR法に
る負債性証券
より貸出期間にわたって償却される。
償却原価で測定される金融資産の認識が中止さ
れる場合、利得又は損失は損益計算書に認識さ
れる。
中央清算機関を通じて清算される取引所取引デ
リバティブ(以下「ETD」という。)及び一部の
店頭(以下「OTC」という。)デリバティブで、
日次で決済される、又は実質的に純額ベースで
日次で決済される(本注記の3d及び3iの項を参
照)ものは、 デリバティブに係る差入担保金 と
して表示される。
FVOCIで FVOCIで この分類に含まれる主な資産は、負債性証券及びHQLA 公正価値で測定され、未実現利得及び損失は、
として保有する特定の資産担保証券である。 当該投資の認識が中止されるまで(売却、回収
測定 測定される
又は処分される時点まで)、税効果後の金額で
負債性金融
その他の包括利益 に計上される。認識中止の時
商品
点で、 その他の包括利益の 累積残高は損益計算
書に振り替えられ、 その他の収益 に計上され
る。
以下の項目は、損益計算書に認識される。
-本注記の3cの項に従って会計処理される受取
利息
-ECL及び戻入額
-為替差損益
損益計算書への認識額は、償却原価で測定され
る金融資産の場合と同じ基準で決定される。
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FVTPLで トレーディン トレーディング目的保有金融資産には、以下が含まれ 公正価値で測定され、公正価値の変動は純損益
測定 グ目的保有 る。 に認識される。
-正の再構築コストを有する全てのデリバティブ(指定 公正価値の変動、当初の取引費用、配当金並び
された有効なヘッジ手段のデリバティブを除く。)、 に売却又は償還により実現した利得及び損失
及び は、 純損益を通じて公正価値で測定される金融
資産に係るその他の収益純額 に認識される。た
-主として短期的に売却又は買戻しを行う目的で取得し
だし、デリバティブ以外の金融商品に係る受取
たその他の金融資産、又はまとめて管理され、かつ、
利息及び受取配当金(詳細については、本注記の
最近における実際の短期的な利益獲得のパターンの証
3cの項及び注記1bを参照)、ヘッジ会計における
拠がある、識別された金融商品のポートフォリオの一
ヘッジ関係の特定の種類においてヘッジ手段と
部であるその他の金融資産。この区分に含まれる例と
して指定されたデリバティブに係る受取利息、
して、負債性金融商品(有価証券、マネー・マーケッ
並びに一部の短期及び長期外国為替契約に係る
ト・ペーパー並びに売買された法人向け貸出金及び銀
フォワードポイントは例外で、 受取利息純額 に
行貸出金)及び資本性金融商品が挙げられる。
計上される。
FVTPLでの 金融資産は、以下に該当する場合、FVTPLでの測定が義
デリバティブ資産(指定された有効なヘッジ手
測定が義務付 務付けられる。
段のデリバティブを含む。)は通常、 デリバ
けられる
-契約上のキャッシュ・フローの回収又はキャッシュ・
ティブ金融商品 として表示される。ただし、日
資産-
フローの回収と売却のために資産を保有することを目
次で決済されるとみなされる、又は実質的に純
その他
的とする事業モデルにおいて保有されていないこと、
額ベースで日次で決済されるとみなされる取引
及び/又は
所で取引されるデリバティブ金融商品又はOTC清
算のデリバティブは例外で、 デリバティブに係
-契約条件により、SPPIに該当しないキャッシュ・フ
る差入担保金 に表示される。
ローが生じること、及び/又は
指定された有効なヘッジ手段のデリバティブに
-トレーディング目的保有でないこと
係る公正価値の変動の表示方法は、ヘッジ関係
以下の資産は、FVTPLでの測定が義務付けられる。
の種類によって異なる(詳細については、本注記
-一部の仕組ローン、一部の商業用貸出金、リバース・
の3jの項を参照)。
レポ契約に基づく債権及び有価証券借入契約に係る担
トレーディング目的保有金融資産(デリバティブ
保金で、公正価値ベースで管理するもの
以外)は、 公正価値で測定されるトレーディング
-貸出金のうち、公正価値ベースで管理するもので、ク
目的保有金融資産 として表示される。
レジット・デリバティブでヘッジされているもの
純損益を通じて公正価値での測定を義務付けら
-HQLAとして保有する一部の負債性証券で、公正価値
れるその他の金融資産は、 公正価値で測定され
ベースで管理するもの
るトレーディング目的保有でない金融資産 とし
-一部の保有投資信託及び現金決済型従業員報酬制度の
て表示されるが、 ブローカレッジ債権 は例外
履行義務をヘッジするために保有する資産。当該資産
で、UBS AGの貸借対照表上、独立した項目とし
は投資信託に対する持分であることから、入口価格と
て表示される。
出口価格が当該信託の資産の公正価値に基づいている
ため、契約上のキャッシュ・フローはSPPIの基準を満
たさない。
-ブローカレッジ債権(残高全体が単一の計算単位とし
て会計処理されるが、利息は個別の構成要素に対して
計算されるため、契約上のキャッシュ・フローはSPPI
の基準を満たさない。)
-オークション・レート証券(金利がレバレッジを含む
利率に更改される可能性があるため、契約上のキャッ
シュ・フローはSPPIの基準を満たさない。)
-資本性金融商品、及び
-ユニットリンク型投資契約に基づき保有する資産
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金融負債の分類、測定及び表示
金融負債の分類 含まれる重要項目 測定及び表示
償却原価で測定 この分類に含まれる負債は、以下の通りである。 EIR法による償却原価で測定される。
-要求払預金及び定期預金 債務の発行及び組成に関するアップフロント・
フィー及び直接費用は繰り延べられ、EIR法に
-リテール貯蓄/預金
より債務の契約期間にわたって償却される。
-リバース・レポ契約に基づく債務
償却原価で測定される金融負債の認識が中止さ
-貸付有価証券に係る担保金
れた場合、利得及び損失は損益計算書に認識さ
-仕組債以外の固定利付債券
れる。
-劣後債
償却原価が適用される負債は貸借対照表上、主
-譲渡性預金、カバード・ボンド に 銀行預り金 、 顧客預金 、 有価証券ファイナン
ス取引による債務 、 償却原価で測定される社債
-UBSグループAG及びその子会社からの資金調達に係
並びに UBSグループAG及びその子会社からの資
る債務、並びに
金調達 として表示される。
-デリバティブに係る受入担保金
中央清算機関を通じて清算されるETD及び一部
のOTCデリバティブで、日次で決済される、又
は実質的に純額ベースで日次で決済されるとみ
なされるもの(詳細については、本注記の3d及
び3iの項を参照)から生じる金額は、 デリバ
ティブに係る受入担保金 として表示される。
純損益を トレーディン トレーディング目的保有金融負債には、以下が含まれ FVTPLで測定に分類される金融負債の測定に
通じて公正 グ目的保有 る。 は、FVTPLに測定に分類される金融資産の場合
価値で測定 と同じ原則が適用される。ただし、金融負債の
-負の再構築コストを有する全てのデリバティブ(一
公正価値の変動額のうち、UBS AGの自己の信用
部のローン・コミットメントを含む。)(指定された
の変動に帰属する部分は、OCIに表示される。
有効なヘッジ手段のデリバティブを除く。)、及び
FVTPLで測定される金融負債は、 公正価値で測
-UBS AGが第三者に売却したが、保有していない負債
定されるトレーディング目的保有金融負債 及び
性金融商品及び資本性金融商品等の金融商品を引渡
公正価値での測定を指定されたその他の金融負
す義務(ショート・ポジション)
債 としてそれぞれ表示されるが、 ブローカレッ
ジ債務 及び 社債 は例外で、UBS AGの貸借対照表
FVTPLでの UBS AGでは、以下の金融負債を「FVTPLでの測定を指
上、区分表示される。
測定を指定
定」としている。
デリバティブ負債(指定された有効なヘッジ手
-主として株価連動型債券、クレジット・リンク債、
段のデリバティブを含む。)は通常、 デリバ
金利連動型債券を含む発行済混合負債性金融商品
ティブ金融商品 として表示される。ただし、日
-公正価値に基づき管理する発行済負債性金融商品
次で決済されるとみなされる、又は実質的に純
-レポ契約に基づく一部の債務及び有価証券貸付契約
額ベースで日次で決済されるとみなされる取引
に係る担保金で、関連するリバース・レポ契約及び
所で取引されているデリバティブ金融商品及び
借入有価証券に係る担保金と一緒に管理するもの
OTC決済デリバティブは例外で、 デリバティブ
(2018年1月1日以降)
に係る受入担保金 に表示される。
-キャッシュ・フローがFVTPLで測定される金融資産
区分処理された組込デリバティブは公正価値で
に連動し、会計上のミスマッチを排除するユニット
測定されるが、償却原価で測定される主契約と
リンク型投資契約に係る未払額(2018年1月1日以
貸借対照表上同じ項目に表示される。
降)
指定された有効なヘッジ手段であるデリバティ
-ブローカレッジ債権に関連して発生し、測定方法に
ブも公正価値で測定される。公正価値の変動の
一貫性を持たせるためにFVTPLで測定されるブロー
表示方法はヘッジ関係の種類によって異なる
カレッジ債務(2018年1月1日以降)
(詳細については、本注記の3jの項を参照)。
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比較対象期間の方針| 2018年1月1日より前に適用されていた方針
2018年1月1日より前は、当初認識時に、UBS AGは、金融資産及び金融負債をIAS第39号「 金融商品:分類及
び測定 」に従って分類、測定及び表示していた。金融負債に関する分類、測定及び表示に係る要求事項は、実
質的にIFRS第9号において保持されており、「2018年1月1日以降の金融商品の分類、測定及び表示」の表に
詳細が記載されている。以下の表は、2018年1月1日より前の金融商品の分類、測定及び表示の詳細を記載し
ている。
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2018年1月1日より前の金融資産の分類、測定及び表示
(1)
金融資産の分類 含まれる重要項目
測定及び表示
トレーディング トレーディング目的保有金融資産には、以下が 公正価値で測定され、公正価値の変動は純損益に認識される。
含まれる。
目的 公正価値の変動、当初の取引費用並びに売却又は償還により実
-正の再構築コストを有する全てのデリバティ 現した利得及び損失は、 純損益を通じて公正価値で測定される
ブ(指定された有効なヘッジ手段のデリバ 金融資産に係るその他の収益純額(2019年1月1日より前:金
ティブを除く。)、及び 融商品の公正価値の変動に係るその他の収益純額) に認識され
る。ただし、デリバティブ以外の金融商品に係る受取利息及び
-主として短期的に売却又は買戻しを行う目的
受取配当金(本注記の3cの項を参照)、ヘッジ会計における
で取得したその他の金融資産、又はまとめて
ヘッジ関係の特定の種類においてヘッジ手段として指定された
管理され、かつ、最近における実際の短期的
デリバティブに係る受取利息並びに一部の短期外国為替契約に
な利益獲得のパターンの証拠がある、識別さ
係るフォワード・ポイントは例外で、 受取利息純額 に計上され
れた金融商品のポートフォリオの一部である
る。
その他の金融資産。この区分に含まれる例と
して、負債性金融商品(有価証券、マネー・
デリバティブ資産は通常、 デリバティブ金融商品 として表示さ
マーケット・ペーパー並びに売買された法人
れる。
向け貸出金及び銀行貸出金)、資本性金融商
区分処理された組込デリバティブは公正価値で測定されるが、
品、及びユニットリンク型投資契約に基づい
償却原価で測定される主契約と貸借対照表上同じ項目に表示さ
て保有する金融資産が挙げられる。
れる。
純損益を通じて公 金融資産は当初の認識時のみ、純損益を通じて
指定された有効なヘッジ手段のデリバティブに係る公正価値の
正価値での測定を 公正価値で測定されるものとして指定できる。
変動の表示方法は、ヘッジ関係の種類によって異なる(詳細に
指定 この指定は取消不能である。
ついては本注記の3jの項を参照)。
以下の基準のいずれかを満たす場合のみ、公正
トレーディング目的保有金融資産(デリバティブ以外)は、 公
価値オプションを適用することができる。
正価値で測定されるトレーディング目的保有金融資産 として表
示される。
-当該金融商品が実質的な組込デリバティブを
含む混合金融商品であること。
純損益を通じて公正価値での測定を指定された金融資産は、 公
正価値で測定されるトレーディング目的保有でない金融資産 と
-公正価値に基づいてリスクを管理し、経営幹
して表示される。
部にもそのように報告されるポートフォリに
組入れられている金融商品であること。
-公正価値オプションの適用がなければ発生す
ると思われる会計上のミスマッチを排除する
か、又は大幅に低減する場合。
UBS AGは以下の金融資産を、純損益を通じて公
正価値で測定されるものとして指定している。
-公正価値で管理される一部の仕組ローン、リ
バース・レポ契約及び有価証券借入契約
-主にクレジット・デリバティブでヘッジされ
た貸出金。こうした商品は、会計上のミス
マッチを排除するため、公正価値での測定が
指定される。
-適格流動資産(以下「HQLA」という。)とし
て保有し、コーポレート・センター-グルー
プ・トレジャリーが公正価値に基づいて管理
している負債証券、及び
-現金決済型従業員報酬制度に係る履行義務を
ヘッジするために保有する資産。当該資産
は、公正価値に基づいて測定される負債があ
るために生じる会計上のミスマッチの排除を
目的として、公正価値での測定が指定されて
いる。
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貸出金及び債権 支払額が固定であるか又は決定可能なデリバ 実効金利法による償却原価から貸倒引当金(本注記の3c及び3g
(償却原価) ティブ以外の金融資産で、活発な市場における の項を参照)を控除した価額で測定される。
相場価格がなく、信用の悪化以外の理由でUBS 貸出の実行、借換又は条件緩和並びにローン・コミットメント
に係るアップフロント・フィー及び直接費用は繰り延べられ、
AGが当初の純投資のほぼ全額を回収できない可
実効金利法を用いて貸出期間にわたって償却される。
能性のある資産でないもの。この分類に含まれ
る資産は以下の通りである。
貸出金及び債権は、貸借対照表に、主として 現金及び中央銀行
預け金、銀行貸出金及び前渡金、顧客貸出金及び前渡金、有価
-現金及び中央銀行預け金
証券ファイナンス取引による債権 及び デリバティブに係る差入
-デリバティブに係る差入担保金
担保金 として表示される。
-住宅モーゲージ及び商業用モーゲージ
中央清算機関を通じて清算される取引所取引デリバティブ(以
-担保付貸出金(リバース・レポ契約、有価証
下「ETD」という。)及び一部の店頭(以下「OTC」という。)
券借入に基づく債権及びロンバード・ローン
デリバティブで、日次で決済される、又は相殺の要件を満たす
を含む。)並びに無担保貸出金
(本注記の3d及び3iの項を参照)とされるものは、 デリバティ
-コーポレート・センター-非中核業務及びレ
ブに係る差入担保金 として表示される。
ガシー・ポートフォリオ内で保有される一部
の有価証券
-営業債権及びリース債権
売却可能 売却可能として分類される金融資産は、トレー 公正価値で測定され、未実現利得及び損失は、当該投資が売
ディング目的保有、純損益を通じて公正価値で 却、回収もしくは処分されるまで、又は減損していると判断さ
の測定を指定、又は貸出金及び債権に分類され れるまで、税効果後の金額で その他の包括利益 に計上される
ていないデリバティブ以外の金融資産である。 (本注記の3gの項を参照)。売却の時点で、 その他の包括利益
この分類には主にHQLAとして保有し、かつ、 の累積残高は損益計算書に振り替えられ、 その他の収益 に計上
コーポレート・センター-グループ・トレジャ される。
リーが管理する負債証券、コーポレート・セン
受取利息及び受取配当金は、本注記の3cの項に準拠して損益計
ター-グループ・トレジャリーが管理する一部
算書に認識される。為替換算損益の取扱いに係る詳細について
の資産担保証券、並びに保有投資信託及び戦略
は本注記の13の項を参照。
的かつ商業的な株式投資が含まれる。
満期保有目的 支払額が固定であるか又は決定可能なデリバ 実効金利法による償却原価から貸倒引当金(本注記の3c及び3g
ティブ以外の金融資産で、UBS AGが満期まで保 の項を参照)を控除した価額で測定される。
有する積極的な意思と能力を有するもの。
この分類には主にHQLAとして保有し、コーポ
レート・センター-グループ・トレジャリーが
管理している負債証券が含まれる。
(1)
本表における表示区分は、比較可能性を促進するために、IFRS第9号への移行時に実施したUBS AGの貸借対照表上の表示に対する遡及
的修正を反映している。
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c.受取利息及び支払利息
受取利息及び支払利息は、実効金利(以下「EIR」という。)法を適用して損益計算書に認識される。金融商
品(信用減損金融商品を除く。)のEIRを算定するにあたって、UBS AGは、当該商品の全ての契約条件を考慮し
て将来キャッシュ・フローを見積るが、予想信用損失は考慮しない。
受取利息及び支払利息を算定するにあたり、金融資産の帳簿価額総額(金融資産が信用減損している場合を
除く。)又は金融負債の償却原価(2018年1月1日より前:金融資産又は金融負債の償却原価)にEIRが適用さ
れる。ただし、金融資産が当初認識後に信用減損した場合は、予想信用損失引当金調整後の帳簿価額総額を表
す、当該金融商品の償却原価にEIRを適用して受取利息が算定される。さらに、当初認識時に信用減損していた
金融資産に係る受取利息については、信用調整後のEIRを当該金融資産の償却原価に適用して算定される。
融資の利用が見込まれるローン・コミットメントの手数料を含むアップフロント・フィー及び直接費用は、
償却原価で測定される金融商品又はFVOCI(2018年1月1日より前:売却可能に分類される金融商品)の当初の
測定に含まれる。従って、こうした手数料や費用は、当該金融商品の存続期間にわたって、EIRの一部として認
識される。
融資の利用が見込まれないローン・コミットメントに係る手数料、及びUBS AGが保有していないシンジケー
ト・ローン部分の手数料又はUBS AGが同等のリスクについて他の参加者と同じ実効利回りで保有しているシン
ジケート・ローン部分の手数料は、 受取報酬及び手数料純額 に含まれている。
→ 詳細については、本注記の4の項を参照。
損益計算書上の利息の表示
2018年1月1日より、償却原価で測定される金融商品及びFVOCIで測定される金融資産(2018年1月1日より
前:売却可能に分類される金融商品)に係る受取利息及び支払利息は、 償却原価で測定される金融商品に係る
受取利息 及び その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品に係る受取利息 並びに 償却原価で測定
される金融商品に係る支払利息 として区分表示されている。
また、UBS AGでは、損益計算書上、一部の短期外国為替契約及び長期外国為替契約に係るフォワード・ポイ
ントを含む、FVTPLで測定される金融商品(デリバティブを除く。)に係る受取利息及び支払利息についても、
純損益を通じて公正価値で測定される金融商品に係る受取利息 (又は 支払利息 )として区分表示している。さ
らに、有効なヘッジ関係においてヘッジ手段として指定されたデリバティブに係る受取利息及び支払利息は、
各ヘッジ対象の受取利息及び支払利息と一致するように表示されている。
デリバティブを除く金融資産に係る受取利息は、プラスの場合は 受取利息 、マイナスの場合は 支払利息 に含
まれる。これは、金融資産に生じるマイナスの受取利息が収益の定義を満たさないことによるものである。同
様に、デリバティブを除く金融負債に係る支払利息は、マイナス金利の場合を除き、 支払利息 に含まれる。金
利がマイナスの場合は、 受取利息 に含まれる。
→ 詳細については、本注記の3jの項及び注記3を参照。
d.認識の中止
金融資産
UBS AGは、金融資産からのキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利が消滅した場合、あるいは通常、売
却により譲渡され、その結果、購入者が当該資産のリスクと経済価値の実質的に全て又は当該資産を売却もし
くは担保に差し入れる実践的な能力に伴うリスクと経済価値の重要な部分にさらされる場合、貸借対照表にお
いて金融資産又は金融資産の一部の認識を中止する。
UBS AGが(ⅰ)金融資産のキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡した場合、又は(ⅱ)当該資
産のキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利は留保するが、1社以上の事業体に当該キャッシュ・フロー
を支払う契約上の義務を引き受けている場合に、金融資産は、譲渡されているとみなされる。
金融資産が担保として差し入れられているか、又は類似の取決めの下にある場合には、取引相手が担保差入
資産のキャッシュ・フローに対する契約上の権利を受け取っていれば(例えば、当該資産の売却又は再担保差
入を行う取引相手の権利により裏付けられる場合等)、当該金融資産は譲渡されているとみなされる。金融資
産の担保差入先である取引相手がキャッシュ・フローに対する契約上の権利を受け取っていない場合、認識中
止の目的上、UBS AGは、当該資産は譲渡されていないとみなす。
金融資産の所有に伴う実質的に全てのリスク及び経済価値を留保も譲渡もしない取引においては、UBS AG
は、当該金融資産への支配が移転された場合にその資産の認識を中止するものとし、譲渡に伴い留保される権
利及び義務は、それぞれ資産及び負債として認識されている。金融資産に対する支配が留保される譲渡の場
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合、UBS AGは、継続的関与の程度に応じて当該資産を継続的に認識し、その程度は譲渡後、UBS AGが譲渡資産
価値の変動の影響を受ける程度により決定される。
一部の店頭(以下「OTC」という。)デリバティブ契約及び中央清算機関及び取引所を通じて清算される取引
所取引の先物とオプション契約の大部分は、日々の証拠金決済プロセスによって日次で決済されるとみなされ
る。これは、変動証拠金の支払いや受取が、デリバティブ契約の法的又は経済的な決済を表すためであり、そ
の結果、関連する再調達価額-借方及び再調達価額-貸方の認識が中止されることになる。
→ 詳細については、本注記の3hの項及び注記25を参照。
金融負債
UBS AGでは、金融負債が消滅する場合、すなわち、契約中に特定された債務が免責されたか、取消された
か、又は失効した時に、貸借対照表における当該金融負債の認識を中止している。既存の金融負債が同一の貸
手からの著しく異なる条件による新たな金融負債と交換された場合、又は既存の負債の条件が大幅に変更され
た場合に、そのような交換又は変更は、従前の負債の認識の中止及び新しい負債の認識となる。それぞれの帳
簿価額の差異は、損益計算書に認識される。
e.有価証券貸借及びレポ/リバース・レポ取引
有価証券貸借取引及びレポ/リバース・レポ取引は、通常、担保付で締結される。こうした取引において
は、通常UBS AGは、有価証券又は現金の担保と引き換えに、持分証券及び負債証券を貸借する。
このような取引は、譲渡した/受領した有価証券について貸借対照表上、認識の中止も認識も行わない有担
保ファイナンス取引として処理される。転売及び再担保差入をする権利を有する譲渡した/受領した有価証券
は、個別に開示される。
リバース・レポ契約及び有価証券借入契約の場合、現金差入額は認識が中止され、経過利息を含めた対応す
る受取債権は、貸借対照表上、UBS AGの返金を受ける権利を表す 有価証券ファイナンス取引による債権 として
計上される。同様にレポ契約及び有価証券貸付契約の場合、現金受取額が認識され、経過利息を含めた対応す
る義務は、 有価証券ファイナンス取引による債務 として計上される。さらに、リバース・レポ取引又は有価証
券借入取引で受け取った有価証券の引渡しにより決済される有価証券の売却では、通常それを機にトレーディ
ング負債が認識される。
同一の取引相手、満期、通貨及び証券集中保管機関を有するレポ取引及びリバース・レポ取引は通常、本注
記の3iの項に記載した相殺の要件を満たすことを条件として、相殺して表示される。
→ 詳細については、注記26及び25を参照。
f.金融商品の公正価値
UBS AGは、資産及び負債の大部分を公正価値で会計処理している。公正価値とは、測定日において、主要な
市場、又は主要な市場がない場合は、最も有利な市場における市場参加者間の秩序ある取引で、資産の売却に
より受け取る、又は負債の移転により支払うであろう価格である。
公正価値で測定される金融商品は全て、公正価値ヒエラルキーの3つのレベルのうちの1つのレベルに分類
される。レベル1の金融商品は、活発な市場における相場価格から公正価値を算出できるものである。レベル
2の金融商品は、評価技法を用いて公正価値を算出しなければならないもので、全ての重要なインプットが観
察可能な市場データであるか、又はそのデータに基づいている場合である。レベル3の金融商品は、観察可能
な市場データに基づかない重要なインプットを用いた評価手法によってしか公正価値の算出ができないもので
ある。
重要な会計上の見積り及び判断
金融商品の公正価値評価における評価技法の使用、モデルの仮定条件及び観察不能な市場インプットの見積
りは、重要な判断を必要とし、特定のポジションに計上される利得又は損失の金額に影響を及ぼす可能性があ
る。観察不能なインプットに大きく依存する評価技法は、全て観察可能なインプットに基づく評価技法と比べ
て、本質的により高度な判断が必要となる。
公正価値の算定に用いられる評価技法(モデルを含む。)は、当該評価技法を作成した者から独立した適格
な人員による定期的な見直し及び検証を受ける。モデルは、アウトプットが観察可能な市場データをできる限
り反映するように調整される。また、UBS AGは、入手可能な場合、観察可能なインプットを観察不能なイン
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プットに優先して使用する。適切なモデルや、観察可能なデータを容易に入手できないインプットの選択には
判断が要求される。
公正価値の測定に対するUBS AGのガバナンスの枠組みについては、注記24bに記載されている。
見積りの作成や仮定の選択に伴う主観性の度合い及び経営者の判断の程度は、専門的かつ高度なモデルを使
用して評価される金融商品や、パラメーターのインプットの一部又は全ての観察可能な水準が低く(レベル3
の金融商品)、市場参加者が公正価値を見積る際に考慮するものとされる要因(取引解消費用、信用エクス
ポージャー、モデルに起因する評価の不確実性、資金調達の費用と便益、取引制限及び注記24dに記載のその他
の要因)を反映するよう調整することが必要となる場合がある金融商品においてより重要な意味を有する。UBS
AGは、レベル3金融商品の重要な観察不能なインプットを、注記24gの合理的に可能な代替的仮定へ変更するこ
とから生じると推定される影響の感応度分析を行っている。
→ 詳細については、注記24を参照。
g.予想信用損失に係る評価性引当金及び負債性引当金
(1)
2018年1月1日より適用される方針
予想信用損失(以下「ECL」という。)は、償却原価で測定される金融資産、FVOCIで測定される金融資産、
報酬債権及びリース債権、金融保証並びにローン・コミットメントについて認識される。ECLはまた、リボルビ
ング取消可能信用枠(UBS AGのクレジット・カード限度額及びスイスの市場で法人顧客及び商業顧客向けとし
て一般的なマスター信用枠を含む。)の未実行部分にも認識される。UBS AGでは、両者は「その他の信用枠」
と呼ばれ、顧客は要求払残高を引き出すことが認められており(スイスのマスター信用枠でも、ターム商品が可
能である。)、UBS AGはいつでも終了することができる。こうしたその他の信用枠は取消可能であるが、UBS AG
が信用リスクの軽減措置を講じる前に、顧客は資金を引き出すことができるため、UBS AGは信用リスクにさら
されている。
(1)
本セクションにおける会計方針は、IFRS第9号の発効日である2018年1月1日から適用される。
予想信用損失の認識
ECLは、契約上のキャッシュ・フローとUBS AGが受け取ると予想するキャッシュ・フローの差額を、EIRによ
り割り引いたものである。ECLの適用範囲に含まれるコミットメント及びその他の信用枠については、将来の予
想実行額を考慮して、キャッシュ・フロー不足見込額が算定される。
ECLは、以下に基づき認識される。
-最大12ヶ月間のECLは当初の認識時から認識される。当該ECLは、報告日後12ヶ月以内にデフォルトが発生
した場合に生じる残存期間の資金不足部分を、デフォルトの発生リスクで加重したものである。この区分
の金融商品はステージ1の金融商品と呼ばれる。満期までの残存期間が12ヶ月に満たない金融商品のECL
は、12ヶ月より短い当該期間について算定される。
-金融商品の当初の認識後に信用リスクの著しい増加(「以下「SICR」という。」が認められる場合には、
全期間ECLが認識される。当該ECLは、金融商品の予想残存期間にわたって起こり得る全てのデフォルト事
由から生じる残存期間のキャッシュ・フロー不足を、当該デフォルトの発生リスクで加重したものであ
る。この区分の金融商品はステージ2の金融商品と呼ばれる。SICRが観察されなくなった場合は、当該金
融商品はステージ1に戻る。
-信用減損金融商品については、全期間ECLが常に認識され、ステージ3の金融商品と呼ばれる。IFRS第9号
の下で金融商品が信用減損しているか否かの判定は、一つ又は複数の損失事象の発生に基づく。全期間ECL
は通常、選択した回収戦略を基に、予想キャッシュ・フローを見積ることにより導出される。信用減損エ
クスポージャーには、損失が発生していないポジションや引当金が認識されていないポジションが含まれ
ることがあるが、これは例えば、当該ポジションが担保により全額回収可能であると予想されるためであ
る。
-購入した又は組成した信用減損(以下「POCI」という。)についても、当初の認識以降の全期間ECLの変動
が認識される。POCI金融資産は当初、公正価値で認識され、その後に生じる受取利息は、信用調整後のEIR
に基づいて認識される。POCI金融商品には、大幅な条件緩和後に新たに認識されたものが含まれ、認識の
中止まで別の区分にとどまる。
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UBS AGは、信用リスクの著しい増加が発生したか否かに関係なく、リース債権や報酬債権に全期間ECLを認識
することが可能な低信用リスク向けの簡便法を適用していない。その代りに、UBS AGはリース債権及び報酬債
権を標準的なECLの計算に組み込んでいる。
金融資産の全部又は一部が回収不能になった又は免除されたと判断された場合に、償却が行われる。償却に
より、債権の元本が減額され、過年度に設定した評価性引当金が取り崩される。過年度の償却額の一部又は全
額が回収されると、 信用損失(費用)/戻入 に貸方計上される。償却及び部分償却は認識中止事由/部分的認
識中止事由を表す。
ECLは純損益に認識され、対応するECLに係る評価性引当金は、償却原価で測定される金融資産の帳簿価額の
減少として貸借対照表に計上される。OCIを通じて公正価値で測定される金融資産については、帳簿価額は減額
されないが、累計額がOCIに認識される。オフバランス・シートの金融商品及びその他の信用枠については、
ECLに係る負債性引当金が 引当金 に計上される。ECLは、損益計算書の 信用損失(費用)/戻入 に認識される。
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デフォルト及び信用減損
UBS AGは、リスクのモデル化の目的上、資産を分類し、債務者のデフォルト確率を決定する際に、単一のデ
フォルトの定義を適用する。デフォルトの定義は、定量的及び定性的な基準に基づいている。取引相手先が、
利息、元本又は報酬の重大な支払いを90日以上(パーソナル&コーポレート・バンキングの個人顧客及び商業
顧客並びにグローバル・ウェルス・マネジメント・リージョン・スイスの個人顧客に関連する一部のエクス
ポージャーに関しては180日以上)延滞した場合に、取引相手先はデフォルトとして分類される。UBS AGは、90
日基準を厳格に適用することが固有の信用リスクを正確に反映しないことを実証したキュア・レートの分析に
基づき、後者のポートフォリオについては、一般的な90日というデフォルト認識の推定が適切でないと考えて
いる。また、破産、倒産手続きもしくは強制清算が開始された場合、債務が優遇条件(支払猶予)で条件緩和
された場合、又は担保に頼らないと支払義務が完全には履行されないというその他の証拠がある場合も、取引
相手先はデフォルトとして分類される。最後のケースでは、現時点まで、全ての契約上の支払いが期日に行わ
れていたとしても、デフォルトとされることがある。取引相手先がデフォルトに陥った場合、一般的に、当該
取引相手先に対する債権全てがデフォルトとして扱われる。
取引相手先がデフォルトに陥った場合、及び/又は金融商品がPOCIと識別された場合、当該金融商品は信用
減損に分類される。金融商品が、発行体のリスク事由発生後に帳簿価額から大幅に割り引かれた価額で購入さ
れた場合や、金融商品がデフォルトに陥った取引相手先で組成されたものである場合に、金融商品はPOCIとさ
れる。金融資産がデフォルト/信用減損(POCIである場合を除く。)に分類されると、ステージ3の金融商品
として報告され、過去の延滞額が全て精算され、また、その後の支払いも期限内に行われ、ポジションが信用
の再構築に分類されず、さらに信用回復の一般的な証拠が存在しない限り、当該金融資産の分類はそのまま変
更されない。ステージ1又は2に戻ることができるまで、3ヶ月の猶予期間が適用される。しかし、大部分の
金融商品がより長い期間ステージ3にとどまる。
予想信用損失の測定
IFRS第9号のECLは、報告日から最大12ヶ月間又は金融商品の残存期間を通じて生じるデフォルト事由に起因
する損失予想に基づいた偏りのない、確率加重された見積りを反映している。個々に、偏りがなく、確率加重
されたECLの計算に使用される手法は、以下の主要な要素の組合せに基づいている。すなわち、デフォルト確率
(以下「PD」という。)、デフォルト時損失率(以下「LGD」という。)及びデフォルト時エクスポージャー
(以下「EAD」という。)である。一般的に、パラメーターは、個々の金融資産レベルで決定される。スイスの
クレジットカード・エクスポージャー及び個人口座の当座借越並びにグローバル・ウェルス・マネジメント・
リージョン・アメリカズのファイナンシャル・アドバイザーに対する特定の貸出金については、ポートフォリ
オの重要性に基づき、ポートフォリオ全体の平均PD及び平均LGDを導出するポートフォリオ・アプローチが適用
される。主要なポートフォリオのECLを計算するのに使用されるPD及びLGDは、ポイント・イン・タイム(以下
「PIT」という。)に基づいており、現在の状況と予想される周期的変動の両方を考慮する。各金融商品又は金
融商品のグループに対し、信用リスク・エクスポージャーの各期間を考慮して、当該金融商品のPD、LGD及び
EADの各プロファイルから成る時系列パラメーターが作成される。重要性のあるポートフォリオについては、PD
とLGDは4つの異なるシナリオについて算定されるが、EADの予測はシナリオに依存しないものとして取り扱わ
れる。
ECL関連のパラメーターを決定する目的で、UBS AGは、バーゼルⅢの枠組み及び第2の柱のストレス損失モデ
ルに基づいて予想損失(以下「EL」という。)及びリスク加重資産を決定する際にも使用される、第1の柱の
内部格付(IRB)モデルを活用している。これらのモデルに調整が加えられ、新しいIFRS第9号関連モデルが開発
された。当該モデルは、関連するポートフォリオの複雑性、構造及びリスク特性を検討するとともに、ECLの計
算に使用されるPDとLGDは、対応するバーゼルⅢのサイクル(以下「TTC」という。)パラメーターとは対照的
に、PITベースのパラメーターに基づいているという事実も考慮に入れている。予想信用損失の測定に関連する
全てのモデルが既存のモデル検証及び監視プロセスの対象となる。バーゼルⅢの目的における取引相手先の内
部格付けの割り当てやデフォルト確率の決定は、IFRS第9号によるECLの計算によって影響を受けない。
デフォルト確率(PD) :PDは、特定の期間にわたるデフォルトの確率を示すものである。12ヶ月PDは今後12ヶ
月間のデフォルトの確率を表し、全期間PDは金融商品の残存期間にわたるデフォルトの確率を表す。全期間PD
の計算は、TTC PDとシナリオ予測から導出された一連の12ヶ月PIT PDに基づいている。このモデルは、地域、
業界及び顧客セグメントに固有のものであり、マクロ経済のシナリオに依存する情報と顧客固有情報の両方を
検討する。シナリオごとの累積全期間PDを導出するために、一連の12ヶ月PIT PDは、以前の期間からのあらゆ
るデフォルト事由の予想を考慮に入れて、マージナルPIT PDに変換される。
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デフォルト時損失率(LGD) :LGDは、金融商品の存続期間中に潜在的なデフォルトが発生した時点での損失推
定値を示すものである。LGDの算定は、担保及びその他の信用補完による見積将来キャッシュ・フロー、又は無
担 保債権に係る破産手続きからの予想支払額、並びに、該当する場合、担保の実現までの期間及び債権の優先
順位を考慮に入れて行われる。LGDは通常、EADに対する割合で表される。
デフォルト時エクスポージャー(EAD) :EADは、金融商品の存続期間中に潜在的なデフォルトが発生した時点
での信用リスクに対するエクスポージャーの推定値を示すものである。このEADは、予想される返済、利払い及
び未収計上を考慮し、EIRで割り引いたデフォルト時の残存キャッシュ・フローを表す。融資枠の将来の実行
は、過去の貸出実行及びデフォルトのパターン並びに各ポートフォリオの特性を反映した信用変換係数(以下
「CCF」という。)によって検討される。ECL特有のCCFは、バーゼルⅢ基準特有の要素(すなわち保守主義)を
排除した上で、顧客セグメントと製品固有のパターンを捕捉し、デフォルト前の12ヶ月の期間に重点を置くよ
うにモデル化されている。
予想信用損失の見積り
シナリオの数及びシナリオ加重の見積り
確率加重されたECLの算定には、特にマクロ経済的要因に関する仮定の見積りに対する非線形的影響をモデル
化するために、多様で関連性のある一連の将来の経済状況を評価する必要がある。
UBS AGは、この要求事項に対応するため、ECLの算定に、アップサイド、ベースライン、マイルド・ダウンサ
イド及びシビア・ダウンサイドという4つの異なる経済シナリオを使用している。各シナリオは、独自のシナ
リオ説明で表される。当該シナリオ説明は、主要ポートフォリオの経済リスクへのエクスポージャーを考慮す
ると、関連性のあるものであり、このシナリオ説明に応じて、一貫性のあるマクロ経済的変数が決定される。
これらの変数は、トレンドを上回る経済成長から深刻な経済不況まで多岐にわたる。ベースライン・シナリオ
は、UBS AGの事業計画を策定するために使用された経済及び市場の仮定と整合している。シナリオ加重評価プ
ロセスにインプットを提供するために計量経済モデルが用いられ、過去に観測されたGDP成長率のトレンドの成
長率からの乖離が代表的なものである場合には、各シナリオに使用されたGDP予測が具現化する可能性の最初の
兆候を示す。このようなGDPの過去の推移に係る分析には基礎となる経済的又は政治的な要因が含まれないた
め、経営者は、モデル・アウトプットを、現状及び将来の予測と関連付け、最終的なシナリオ加重を決定する
ために重要な判断を行う。算定した加重は、選択された特定の説明が関連するマクロ経済的変数と合わせて具
現化する確率ではなく、それぞれのマクロ経済状況が発生する確率の構成要素となる。
マクロ経済的要因及びその他の要因
シナリオ決定の一環としてモデル化されるマクロ経済的要因、市場の要因及びその他の要因の範囲は広く、
主要な要因の特定を裏付けるために過去の情報が用いられる。予測期間が長くなるにつれて、情報を得られる
可能性が低下し、判断の度合いが増大する。景気サイクルの影響を受けるPD及びLGDを算定するために、UBS AG
は、関連性のある経済的要因を3年間にわたって予測し、より長期の予測については、その後一定の期間をか
けて、景気サイクルに対して中立なPD及びLGDに戻した。
ECLの計算に関連のある要因は、エクスポージャーの種類によって異なり、信用サイクル指標モデルの開発過
程において、専門家による判断と密接に連携して決定されている。一部の変数は、モーゲージ・ローンに対す
る住宅価格指数のように、特定の種類のエクスポージャーにのみ関連していることがあるが、他の変数は、全
てのエクスポージャーのECLの計算に重要な関連性を有している。通常、地域や顧客セグメントの特性が勘案さ
れ、UBS AGの主要なECL関連ポートフォリオを考慮してスイスと米国に特に重点が置かれている。
以下の将来予測に関するマクロ経済的変数が、UBS AGにおけるECLの計算において最も関連性のある要因であ
る。
-借り手の業績に重要な影響を及ぼすGDP成長率
-不動産担保評価に重要な影響を及ぼす住宅価格指数
-個人顧客の契約上の義務の履行能力に重要な影響を及ぼす失業率
-取引相手先の債務返済能力に重要な影響を及ぼす金利
-企業の業績、個人顧客の購買力及び経済的安定性に全体的に関連している消費者物価指数
-当行の法人格付ツールの重要な要素の一つである株式指数
ECLの計算に使用される将来予測に関するマクロ経済の仮定は、UBS AGのエコノミスト、リスク手法担当者及
び信用リスク担当者によって開発されている。仮定とシナリオは、シナリオ委員会と運営委員会による検証及
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び承認を受けており、事業計画の策定過程を含め、将来予測に関する情報がUBS AG全体で一貫して使用される
ことを目的とするものである。ECLのインプットは、少なくとも四半期ごとにその妥当性についてテストと再評
価 が行われ、必要に応じて適切な調整が加えられる。
シナリオの策定、レビュー・プロセス及びガバナンス
特定の説明、ECL見積り上の加重並びに主要なマクロ経済的要因及びその他の要因を含め、シナリオ選択の全
ての側面が、正式なガバナンス及び承認プロセスの対象となっている。
グループ・リスク・コントロールに所属するエコノミストのチームは、幅広い専門家(特に、リスク専門家
及びその他の社内エコノミスト)が関与する確立されたリスク識別及び評価プロセスを通じて入手した情報を
考慮して、基本的な分析を実施する。そのうえで、発生可能性の高い重要なリスクが、シナリオ選定プロセス
に反映される。説明を策定した後、ケースの深刻度及び相互依存性と整合する重要なマクロ経済的要因が決定
される。
シナリオ、その加重並びに重要なマクロ経済的要因及びその他の要因は、各部署のシニア・クレジット・オ
フィサー及びグループ・リスク・コントロールの代表者から構成されるシナリオ委員会の委員による重要な評
価の対象となっている。レビューの重要な側面は、選定されたシナリオが関連するポートフォリオの脆弱性を
どの程度反映しているか、選定されたシナリオのPIT PD及びLGDの値への変換が信用リスク担当者の期待に合致
しているか、また、特定の信用リスクに係る懸念に体系的に対応することができず、ステージへの割当及びECL
に係る評価性引当金について専門家に基づくオーバーレイが求められるようなエクスポージャーが存在する
か、という点である。これは、将来予測に関する情報がUBS AG全体で一貫して使用されること、及び事業計画
プロセスとの整合性も確保する。
運営委員会は、グループ・コントローラー及びチーフ・アカウンティング・オフィサー並びにリスク・チー
フ・オペレーティング・オフィサー及びグループ・チーフ・リスク・モデル・オフィサーが共同で議長を務め
ており、各部門のチーフ・リスク・オフィサー、各部門のチーフ・ファイナンシャル・オフィサー、並びに
コーポレート・センターを代表してリスク及び財務のシニア担当者から構成されている。これらのメンバー
は、シナリオ委員会からの提案をレビューし、最終的なシナリオ及び要因の選択、並びにポートフォリオにお
ける特定のリスク要素に関連する、又は特定された改善されていない技術上の欠陥(モデル更新、データの品
質等)が原因の一時的な問題に対応するために必要となり得る専門家に基づくオーバーレイを承認する。
UBS AGのモデル・ガバナンス・フレームワークにおける最高の機関であるグループ・モデル・ガバナンス委
員会が、運営委員会による決定を承認する。
ECL測定期間
全期間ECLの算定期間は、UBS AGが信用リスクにさらされる最大契約期間に基づいており、契約上の期間延
長、解約及び期限前償還のオプションを考慮に入れている。取消不能のローン・コミットメント及び金融保証
契約の測定期間は、UBS AGが信用供与義務を負う最大契約期間を表している。
さらに、一部の金融商品には、UBS AGがリスク軽減措置を講じる前に顧客が資金を引き出すことができるた
め、契約解除権が存在していても、UBS AGの信用リスクに対するエクスポージャーが契約通知期間に限定され
ないことになる要求払貸出金及び取消可能な未使用コミットメントの両方が含まれる。このような場合、UBS
AGは、信用リスクにさらされる期間を推定する必要がある。こうした状況は、UBS AGのクレジット・カード限
度額にも当てはまる。UBS AGのクレジット・カード限度額は、契約上の満期日が定められておらず、要求に応
じて償還可能で、使用部分と未使用部分が一つの単位として管理される。UBS AGのクレジット・カード限度額
から生じるエクスポージャーは重要ではなく、ポートフォリオ・レベルで管理されており、残高が期限を超過
した時点でクレジット・アクションが発生する。UBS AGが信用リスクにさらされている期間の代替として、ク
レジット・カード限度額には7年のECL測定期間が適用され、ステージ1の残高については、12ヶ月で上限が設
定されている。
スイスの企業向け市場において一般的なマスター・クレジット契約にも、要求払貸出金及び取消可能な未実
行コミットメントが含まれている。中小企業向け融資枠では、リスクに基づくモニタリング(以下「RbM」とい
う。)手法が実施されている。これは、継続的に更新されるリスク指標の組合せに基づいて、個々の融資枠レベ
ルで、マイナスのトレンドをリスク事象として重視するものである。リスク事象が生じると、リスク担当者に
よる追加のクレジット・レビューが行われ、情報に基づいた信用判断を行うことができる。大企業向け融資枠
はRbMの対象とならないが、少なくとも年1回、正式なクレジット・レビューによって見直される。UBS AGはこ
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うした信用リスクの管理実務を評価し、RbM手法と正式なクレジット・レビューの両方を、融資枠の再組成とな
る実質的なクレジット・レビューとみなしている。その後、UBS AGが信用リスクにさらされる期間の適切な代
替 として、両方の種類の融資枠に報告日から12ヶ月の測定期間が用いられ、SICRを評価するためのルックバッ
ク期間としても常に各報告日からの12ヶ月が用いられる。
信用リスクの著しい増加
ECLの対象となる金融商品は、継続的にモニタリングされている。最大12ヶ月ECLを引き続き認識することが
適切であるかを判断するため、金融商品の当初認識以降にSICRが発生しているかどうかが評価される。評価基
準は、定量的な要因と定性的な要因の両方を含む。UBS AGは、報告日に信用リスクが低い金融商品については
SICRテストは要求されないという簡便法を使用しない。
UBS AGは主に、2つの異なる日付で算定された、金融商品の年間の将来予測とシナリオ加重後の全期間PDを
比較することにより、金融商品のデフォルト・リスクの変化を定量的に評価している。ここでいう2つの異な
る日付とは、以下を指す。
-報告日
-金融商品の開始日
いずれの場合も、各PDは金融商品の残存期間、すなわち報告日から満期日までの期間について算定される。
UBS AGの定量的モデルに基づき、信用リスクの増加が設定基準値を超えると、SICRが発生したと見なされ、当
該金融商品はステージ2に移行されるとともに、全期間ECLが認識される。
適用される基準値は、借り手の当初の信用の質によって異なる。取引相手先の信用の質が良好であるため、
契約開始時のデフォルト確率が低い金融商品のSICR基準値は、契約開始時のデフォルト確率が高い金融商品よ
りも高い水準に設定される。このことは、当初のデフォルト確率が低い金融商品では、当初のPDが高い金融商
品と比べて、SICRを発生させるのに比較的大きな信用の質の低下が必要となることを意味する。PDの変化に基
づくSICRの評価は、個々の金融資産レベルで行われる。以下の「SICR基準値」の表には、同じPD値の乗数を含
む金融商品の格付けの引き下げで表される年換算の残存期間PIT PDの乗数であるSICRトリガーと、対応する金
融商品の組成時の格付けについての大まかな概要が記載されている。この簡易表示は、当報告書の「リスク管
理及び統制」セクション(訳者注:UBS AGの年次報告書の「Risk management and control」のセクション)の
「信用リスク」にある「UBS AGの内部格付スケール及び外部格付けへのマッピング」で開示されている内部格
付けと整合している。適用される実際のSICR基準値は、表に示された各値間に補間されるより細分化されたレ
ベルで定義される。
SICR基準値
金融商品の組成時の内部格付け 格付けの引き下げ/SICRトリガー
0 - 3
3
▶ - 8
2
9 - 13
1
→ 銀行の内部格付システムに関する詳細については、当報告書の「リスク管理及び統制」セクション(訳
者注:UBS AGの年次報告書の「Risk management and control」のセクション)を参照。
デフォルト確率に基づくSICRの評価に関係なく、契約上の支払いを30日を超えて延滞すると、金融商品の信
用リスクが著しく増加したとみなされる。一部の重要性の低いポートフォリオ(特にスイスのクレジットカー
ド・ポートフォリオやグローバル・ウェルス・マネジメント・リージョン・アメリカズにおけるファイナン
シャル・アドバイザーに対する貸出金など)では、この30日延滞基準がSICRの主たる指標として用いられる。
金融商品が30日延滞基準によりステージ2に移行された場合、ステージ1への再移行が可能となるまでの期間
は最低6ヶ月であるが、パーソナル&コーポレート・バンキング事業部門及びグローバル・ウェルス・マネジ
メント・リージョン・スイス事業部門の金融商品で、延滞期間が90日と180日の間のものであり、かつステージ
3に分類変更されていないものについては、ステージ1への再移行が可能となるまでの期間は1年間となる。
さらに、個々の取引相手先固有の指標、信用リスクに関する外部市場の指標又は全般的な経済状況に基づ
き、取引相手先は、ウォッチリストに加えられることがある。当該リストは、SICRの二次的な定性的指標、す
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なわちステージ2への移行のため使用されるものである。また、例外管理も適用され、同一の信用リスク特性
を共有するエクスポージャーに対し、他の方法では十分に反映されない特定の状況を考慮の上、個別に又は一
括 して調整を行うことができる。当初の認識以降、SICRがデフォルト確率の変動又はウォッチリスク項目以外
の基準で判定されている金融商品は、ステージ2のトリガー事由解消後少なくとも6ヶ月間、ステージ2にと
どまる。
通常、全般的なSICR判定プロセスは、ロンバード・ローン、有価証券ファイナンス取引及びその他一部の資
産に基づく貸出取引には適用されないが、これは、厳格な証拠金の要求事項(数日以内に担保の引渡しを義務
付ける場合が多い)に即した日次のモニタリング・プロセスを含むリスク管理実務が採用されていることによ
る。マージン・コールが満たされない場合、ポジションは手仕舞いされ、ステージ3のポジションに分類され
る。例外的な状況では、特定の事実を考慮の上、個別の調整やステージ2への移行を行う場合がある。
信用リスク担当者は、金融商品のステージへの割当に関して、信用リスクが増加した貸出金については、会
計目的におけるSICRの識別は、内部の信用リスク管理プロセスと一部の側面において異なっていることを反映
するよう確保する責任がある。この主な理由は、ECL会計の要求事項は金融商品固有のものであるため、借り手
が異なるステージに割り当てられる複数のエクスポージャーを有する可能性があり、また、満期が到来するス
テージ2の貸出金は、契約更改時における実際の信用リスクに関係なく、契約更改時にステージ1に移行す
る。リスク・ベース・アプローチにおいては、包括的な取引相手先の信用評価及び所与の日付におけるリスク
の絶対水準に基づき、必要となるリスク軽減措置が決定される。
→ 詳細については、当報告書の「リスク管理及び統制」セクション(訳者注:原文の「Risk management
and control」のセクション)を参照。
重要な会計上の見積り及び判断
ECLの計算には、経営者による重要な判断並びにその時点で重要な不確実性を伴う見積り及び仮定が必要とな
る。これらの見積りや仮定が変更されると、ECLの認識時期及び金額に重大な変更をもたらす可能性がある。
信用リスクの著しい増加の決定
IFRS第9号には、SICRの構成要素に関する定義は含まれていない。UBS AGでは、当初の認識以降にSICRが発
生したか否かの評価を、合理的かつ裏付け可能な、将来予測に関する定性的情報及び定量的情報に基づいて
行っており、経営者の重要な判断が含まれる。判定基準をより厳格にすると、ステージ2に移行する金融商品
の数が大幅に増加する可能性がある。SICR手法並びに四半期ごとに行われる可能性のある変更及び決定を検討
し、その正当性を確認するためにIFRS第9号運営委員会が設置されている。
シナリオ、シナリオ加重及びマクロ経済的要因
ECLは、UBS AGが起こり得る結果の範囲を評価することによって算定した、偏りのない、確率加重された金額
を反映している。経営者は、将来予測に関するシナリオを選択し、適用される各加重の適合性を判断する。各
シナリオは、マクロ経済的要因、市場の要因及びその他の要因による将来の経済状況についての経営者の仮定
に基づいている。シナリオや加重の変更、それに伴う一連のマクロ経済的変数と、予測期間における当該変数
に係る仮定の変動は、ECLに重要な影響を与えるものとされる。運営委員会に加えて、IFRS第9号シナリオ委員
会が設置され、シナリオ選択と加重の導出及び検討、並びにその選択と加重についての正当性の確認を行って
いる。
ECL測定期間
全期間ECLは通常、取引の契約上の満期に基づいて算定され、ECLに重要な影響を与える。従って、ECLの計算
は、事業上の意思決定によって生じる契約上の満期の延長、消費者行動及びステージ2のポジションの数の増
加に敏感である。さらに、クレジット・カードの限度額及びスイスの償還可能なマスター・クレジットの枠に
ついては、UBS AGが、信用リスクにさらされる期間を決定しなければならないため、判断が必要となる。クレ
ジット・カードの限度額には7年(ステージ1のポジションについては最大12ヶ月)、マスター・クレジットの
枠については12ヶ月の期間が適用されている。
モデル化及び経営者による調整
ECLを計算するために多くの複雑なモデルが開発又は改良され、経営者による追加の調整が必要とされてい
る。取引相手先の内部格付けの変更、新規又は改訂後のモデル及びデータの変更は、ECLに重要な影響を及ぼす
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可能性がある。これらのモデルは、独立した検証の保証を目的とした、UBS AGのモデル検証統制部門によって
管理され、グループ・モデル・ガバナンス委員会(以下「GMGB」という。)による承認を受ける。経営者によ
る 調整は、IFRS第9号運営委員会により承認され、GMGBにより承認される。
UBS AGは、シナリオ選定、シナリオ加重及びSICRトリガー・ポイントのECL測定への影響に関する感応度分析
を、注記23gで提供している。
比較対象期間の会計方針