宇部興産株式会社 有価証券報告書 第114期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
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宇部興産株式会社(E01002)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2020年6月26日
【事業年度】 第114期(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
【会社名】 宇部興産株式会社
【英訳名】 Ube Industries,Ltd.
【代表者の役職氏名】 代表取締役社長 泉原 雅人
【本店の所在の場所】 山口県宇部市大字小串1978番地の96
【電話番号】 宇部(0836)31-1117番
【事務連絡者氏名】 経理部 宇部経理グループリーダー 河村 勇作
【最寄りの連絡場所】 東京都港区芝浦一丁目2番1号
【電話番号】 東京(03)5419-6121番
【事務連絡者氏名】 経理部 主計グループリーダー 中野 寿一
【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
証券会員制法人福岡証券取引所
(福岡市中央区天神二丁目14番2号)
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第一部【企業情報】
第1【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
(1)連結経営指標等
回次 第110期 第111期 第112期 第113期 第114期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
(百万円) 641,750 616,563 695,574 730,157 667,892
売上高
(百万円) 39,620 33,348 50,728 47,853 35,724
経常利益
親会社株主に帰属する
(百万円) 19,111 24,185 31,680 32,499 22,976
当期純利益
(百万円) 5,445 26,377 39,218 32,031 14,442
包括利益
(百万円) 289,622 310,401 336,861 354,552 354,447
純資産額
(百万円) 679,783 709,379 742,445 740,286 727,269
総資産額
(円) 2,519.04 2,707.61 3,002.86 3,261.23 3,287.73
1株当たり純資産額
(円) 180.63 228.50 301.65 312.36 227.33
1株当たり当期純利益
潜在株式調整後1株当たり
(円) 180.10 227.78 300.63 311.36 226.61
当期純利益
(%) 39.2 40.4 42.5 44.5 45.7
自己資本比率
(%) 7.2 8.7 10.5 10.1 6.9
自己資本利益率
(倍) 11.02 10.98 10.29 7.28 7.29
株価収益率
営業活動による
(百万円) 68,628 53,418 73,386 50,462 68,489
キャッシュ・フロー
投資活動による
(百万円) △ 33,726 △ 40,829 △ 33,978 △ 42,663 △ 40,632
キャッシュ・フロー
財務活動による
(百万円) △ 31,000 △ 17,686 △ 28,559 △ 24,034 △ 18,931
キャッシュ・フロー
現金及び現金同等物の
(百万円) 41,188 35,806 48,529 32,295 40,609
期末残高
(人) 10,764 10,928 10,799 11,010 10,890
従業員数
(注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。
2.当社は、2017年10月1日付で普通株式10株につき1株の割合で株式併合を行っております。第110期の期首
に当該株式併合が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株
当たり当期純利益を算定しております。
3.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を第113期の期首
から適用しており、第112期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指
標等となっております。
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(2)提出会社の経営指標等
回次 第110期 第111期 第112期 第113期 第114期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
(百万円) 301,806 277,959 315,241 312,464 282,027
売上高
(百万円) 27,720 16,850 26,043 20,243 24,462
経常利益
(百万円) 11,727 13,968 16,886 15,871 17,032
当期純利益
(百万円) 58,434 58,434 58,434 58,434 58,434
資本金
(千株) 1,062,001 1,062,001 106,200 106,200 106,200
発行済株式総数
(百万円) 160,257 169,958 178,756 175,795 178,558
純資産額
(百万円) 471,625 475,329 488,725 466,880 468,122
総資産額
(円) 1,506.10 1,597.02 1,692.10 1,729.92 1,756.68
1株当たり純資産額
1株当たり配当額 5 6 75 80 90
(円)
(内1株当たり中間配当額)
( - ) ( - ) ( - ) ( - ) ( 45 )
(円) 110.63 131.73 160.46 152.22 168.16
1株当たり当期純利益
潜在株式調整後1株当たり
(円) 110.31 131.32 159.92 151.73 167.64
当期純利益
(%) 33.9 35.6 36.4 37.5 38.0
自己資本比率
(%) 7.5 8.5 9.7 9.0 9.6
自己資本利益率
(倍) 17.99 19.06 19.35 14.95 9.85
株価収益率
(%) 45.2 45.6 46.7 52.6 53.5
配当性向
(人) 3,693 3,612 3,555 3,298 3,329
従業員数
(%) 108.5 139.4 175.0 135.1 107.0
株主総利回り
(比較指標:配当込みTOPIX) (%) ( 89.2 ) ( 102.3 ) ( 118.5 ) ( 112.5 ) ( 101.8 )
(円) 271 293 3,530 3,500 2,519
最高株価
(339)
(円) 180 161 2,977 2,047 1,434
最低株価
(237)
(注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。
2.当社は、2017年10月1日付で普通株式10株につき1株の割合で株式併合を行っております。第110期の期首
に当該株式併合が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株
当たり当期純利益を算定しております。
3.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を第113期の期首
から適用しており、第112期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指
標等となっております。
4.最高株価及び最低株価は、東京証券取引所市場第1部におけるものです。なお、第112期の株価については
株式併合後の最高株価及び最低株価を記載しており、株式併合前の最高株価及び最低株価を括弧内に記載し
ております。
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5.株主総利回り及び比較指標の最近5年間の推移は以下のとおりです。
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2【沿革】
1897年6月 匿名組合沖ノ山炭鉱設立。
1914年1月 匿名組合宇部新川鉄工所設立。
1923年9月 宇部セメント製造㈱設立。
1933年4月 宇部窒素工業㈱設立。
1942年3月 宇部興産㈱設立(上記4社合併)。
1949年5月 東京証券取引所等上場。
1951年1月 中央研究所(現・基盤技術研究所及び医薬研究所)開設。
1951年9月 宇部化学工業㈱(現・宇部マテリアルズ㈱、連結子会社)の経営権獲得。
1952年7月 ㈱日本石灰工業所(現・宇部マテリアルズ㈱、連結子会社)の経営権獲得。
1955年7月 伊佐セメント工場新設。
1955年12月 宇部カプロラクタム工場新設。
1964年6月 ニューヨーク駐在員事務所(現・ウベ・アメリカ,インコーポレーテッド、連結子会社)、デュッセ
ルドルフ駐在員事務所(現・ウベ・ヨーロッパ,ゲー・エム・ベー・ハー、連結子会社)開設。
1964年10月 千葉石油化学工場新設。
1964年11月 苅田セメント工場新設。
1967年4月 堺工場新設。
1967年10月 宇部鉱業所閉山。
1968年9月 高分子研究所(現・先端技術研究所)開設。
1969年6月 宇部アンモニア工業㈱(現・宇部アンモニア工業㈲、連結子会社)設立。
1980年10月 沖ノ山コールセンター完成。
1982年10月 145千KW石炭専焼自家発電所完成。
1984年7月 宇部アンモニア工業㈲のテキサコ法石炭ガス化プラント完成。
1994年9月 プロドゥクトス・キミコス・デル・メディテラネオ,エスエー(PQM社)(現・ウベ・コーポレー
ション・ヨーロッパ,エスエーユー、連結子会社)の経営権獲得。
1997年4月 宇部化学工業㈱は、㈱カルシードを吸収合併し、宇部マテリアルズ㈱へ商号変更。
1997年5月 タイ・カプロラクタム,パブリック・カンパニー・リミテッド(現・ウベ・ケミカルズ・アジア,パ
ブリック・カンパニー・リミテッド、連結子会社)、ウベ・ナイロン・タイランド,リミテッド
(現・ウベ・ケミカルズ・アジア,パブリック・カンパニー・リミテッド、連結子会社)操業開始。
1997年6月 創業100周年。
1998年7月 宇部三菱セメント㈱(現・持分法適用関連会社)設立。
1999年10月 宇部興産機械㈱(現・連結子会社)設立。
2003年10月 宇部日東化成㈱(現・宇部エクシモ㈱、連結子会社)を株式交換により完全子会社化。
2004年10月 宇部丸善ポリエチレン㈱(現・持分法適用関連会社)設立。
2010年2月 タイ・カプロラクタム,パブリック・カンパニー・リミテッドとウベ・ナイロン・タイランド,リミ
テッドを合併し、合併新会社ウベ・ケミカルズ・アジア,パブリック・カンパニー・リミテッド
(現・連結子会社)を設立。
2013年8月 宇部マテリアルズ㈱(現・連結子会社)を株式交換により完全子会社化。
2013年10月 宇部アンモニア工業㈲と工場運営業務受委託契約を締結。
2013年10月 宇部興産機械㈱と同社子会社の宇部テクノエンジ㈱が合併。
2014年12月 アドバンスド・エレクトロライト・テクノロジーズ,エルエルシー(現・連結子会社)を持分の追加
取得により子会社化。
2016年3月 ウベ・コーポレーション・ヨーロッパ,エスエーユー (現・連結子会社) はウベ・ケミカル・ヨー
ロッパ,エスエーユーとウベ・エンジニアリング・プラスチックス,エスエーユーを合併。
2016年8月 大阪研究開発センター開設。
2017年1月 三菱重工プラスチックテクノロジー㈱(現・U-MHIプラテック㈱)を株式取得により連結子会社
化。
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3【事業の内容】
当社グループは、当社及び関係会社148社(2020年3月31日現在)から構成され、その主な事業内容と当社及び主
要な関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりです。
なお、事業区分は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報
等)」に掲げるセグメントの区分と同一です。
また、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財
務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。
化学
当社は、 ナイロン樹脂、カプロラクタム(ナイロン原料)、工業薬品、ポリブタジエン(合成ゴム)、電池材料、
ファインケミカル、ポリイミド、機能品、医薬品(原体・中間体)等の製造、販売を行っております。
宇部フィルム㈱は当社合成樹脂事業の一環として、ポリエチレン製品の製造、販売を行っております。
タイ・シンセティック・ラバーズ,カンパニー・リミテッドは当社合成ゴム事業の一環として、タイでポリブタジ
エンゴムの製造、販売を行っております。
宇部アンモニア工業㈲は石炭ガス化プロセスによるアンモニアの製造を行っており、当社は同社に原料のペトロ
コークスを供給するとともに工場運営業務を受託する一方、同社から製品の一部を購入しております。
ウベ・コーポレーション・ヨーロッパ,エスエーユーは当社化学事業の一環として、スペインでナイロン樹脂、カ
プロラクタム、硫安、ファインケミカル、その他製品の製造、販売を行っております。
ウベ・ケミカルズ・アジア,パブリック・カンパニー・リミテッドは当社化学事業の一環として、タイでナイロン
樹脂、ナイロンコンパウンド、カプロラクタム、硫安の製造、販売を行っております。
宇部エクシモ㈱は当社機能性材料事業の一環として、電子・情報通信関連製品等の製造、販売を行っております。
明和化成㈱は当社機能性樹脂事業の一環として、フェノール樹脂の製造、販売を行っております。
ウベ・ファイン・ケミカルズ・アジア,カンパニー・リミテッドは当社ファインケミカル事業の一環として、
1,6ヘキサンジオール、1,5ペンタンジオール、ポリカーボネートジオールの製造、販売を行っております。
ウベ・アドバンスド・マテリアルズ,インコーポレーテッドは当社電池材料事業の一環として、電解液事業会社の
株式を保有しております。
アドバンスド・エレクトロライト・テクノロジーズ,エルエルシーは当社電池材料事業の一環として、リチウムイ
オン二次電池向け電解液の製造、販売を目的に設立しましたが、現在は同事業を行っておりません。
宇部マクセル㈱は当社電池材料事業の一環として、リチウムイオン電池用セパレータの製造、販売を行っておりま
す。
ウベ・アメリカ,インコーポレーテッドは当社及び当社関係会社の製品を米国市場で販売しております。
宇部興産(上海)有限公司は当社及び当社関係会社の製品を中国市場で販売しております。
ウベ・ヨーロッパ, ゲー・エム・ベー・ハーは当社及び当社関係会社の製品を欧州市場で販売しております。
また、これらの連結子会社14社のほか連結子会社12社、非連結子会社9社、関連会社15社が化学事業を営んでおり
ます。
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建設資材
当社は セメント、石灰石の製造・販売、資源リサイクル事業、石炭の輸入・販売、コールセンター(石炭中継基
地)の運営及び電力卸供給事業(IPP)を含む電力供給事業を行っております。
宇部興産海運㈱は当社及び宇部三菱セメント㈱の製品の海上輸送及び荷役作業を行っております。
大協企業㈱、萩森興産㈱は生コンクリートの製造、販売を行っており、宇部三菱セメント㈱は両社に原料のセメン
トを供給しております。
宇部建設資材販売㈱、三信通商㈱は当社及び宇部三菱セメント㈱の製品の販売を行っております。両社は宇部三菱
セメント㈱からセメントの仕入を行い、関係会社に供給しております。
㈱関東宇部ホールディングスは南関東地区におけるグループ生コンクリート事業を統括しております。
宇部マテリアルズ㈱はカルシア・マグネシア、機能性無機材料の製造、販売を行っており、当社は同社に原料の石
灰石を供給しております。
宇部興産建材㈱は当社建設資材事業の一環として、建材関連製品の製造及び販売を行っております。
山石金属㈱は当社建設資材事業の一環として、金属粉末の加工販売及び受託加工を行っております。
※関連会社である宇部三菱セメント㈱は当社セメントの販売を行っております。同社は生コンクリート事業を営む当
社関係会社に原料のセメントを供給しております。
また、これらの連結子会社9社、持分法適用関連会社1社のほか連結子会社21社、非連結子会社20社、関連会社25
社が建設資材事業を営んでおります。
機械
宇部興産機械㈱は機械事業を統括するとともに成形機(ダイカストマシン、押出プレス、射出成形機)、産業機械
(窯業機、粉砕機、運搬機、除塵機、破砕機)、橋梁・鉄構の製造、販売を行っております。
ウベ・マシナリー,インコーポレーテッドは米国で油圧機器の組立、販売を行っており、また宇部興産機械㈱は同
社へ製品及び部品の販売を行っております。
㈱宇部スチールはグループ機械事業の一環として、製鋼品及び鋳造品の製造、販売を行っております。
㈱福島製作所はグループ機械事業の一環として、舶用機械及び産業機械の製造、販売を行っております。
U-MHIプラテック㈱はグループ機械事業の一環として、射出成形機、付帯機器、並びに部品の製造、販売を
行っております。
また、これらの連結子会社5社のほか連結子会社4社、非連結子会社5社が機械事業を営んでおります。
その他
当社は不動産の売買、賃貸借および管理等を行っております。
連結子会社4社、非連結子会社2社、関連会社2社がその他事業を営んでおります。
以上に述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。
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(連結子会社一覧)
化学
ラヨーン・ファーティライザー・ト
ウベ・ケミカルズ・アジア,パブ
宇部フィルム㈱ レーディング,カンパニー・リミ
リック・カンパニー・リミテッド
テッド
ウベ・コーポレーション・ヨーロッ
宇部物流サービス㈱ 明和化成㈱
パ,エスエーユー
ウベ・タイランド,カンパニー・リ ウベ・アドバンスド・マテリアル
宇部日東化成(無錫)有限公司
ミテッド ズ,インコーポレーテッド
エーイーティー・エレクトロライ
ウベ・ファイン・ケミカルズ・アジ
宇部エクシモ㈱ ト・テクノロジーズ(ズァンジアガ
ア,カンパニー・リミテッド
ン),カンパニー・リミテッド
アドバンスド・エレクトロライト・ ウベ・アメリカ,インコーポレー ウベ・ヨーロッパ,ゲー・エム・
テクノロジーズ,エルエルシー テッド ベー・ハー
ウベ・コリア,カンパニー・リミ
宇部興産(上海)有限公司
宇部マクセル㈱
テッド
台湾宇部股份有限公司 ㈱UBE科学分析センター レポール,エスエル
ウベ・ホンコン,リミテッド 宇部アンモニア工業㈲ 宇部加工テック㈱
タイ・シンセティック・ラバーズ,
宇部MC過酸化水素㈱
カンパニー・リミテッド
建設資材
宇部興産海運㈱ 大協企業㈱ 萩森興産㈱
宇部建設資材販売㈱ ㈱関東宇部ホールディングス 宇部マテリアルズ㈱
山石金属㈱ ㈲アール・コマ 一関レミコン㈱
宇部興産建材㈱ 宇部サンド工業㈱ ウベボード㈱
宇部興産セメントサービス㈱ 小澤商事㈱ 関東生コン輸送㈱
㈱関西宇部
関東宇部コンクリート工業㈱ サンヨー宇部㈱
南通宇部コンクリート有限公司
新興運輸倉庫㈱ 千葉宇部コンクリート工業㈱
㈱ニシハリマ宇部 ㈱平泉
萩森物流㈱
㈱富士宇部 ㈱北海道宇部
北海道宇部運送㈱
㈱大分宇部
三信通商㈱ 宇部興産コンサルタント㈱
機械
ウベ・マシナリー,インコーポレー
㈱宇部スチール
宇部興産機械㈱
テッド
ウベ・マシナリー・タイ,カンパ
㈱福島製作所 宇部興産機械(上海)有限公司
ニー・リミテッド
ユーエムエイチアイ・プラテック・
㈱ティーユーエレクトロニクス U-MHIプラテック㈱
アメリカ,インコーポレーテッド
その他
㈱UBEアセット&インシュアラン
㈱宇部興産総合サービス 宇部興産開発㈱
ス
㈲リベルタス興産
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4【関係会社の状況】
(その1)
議決権の
資本金
名称 住所 主要な事業の内容 所有割合 関係内容
(又は出資金)
(%)
(連結子会社)
当社合成樹脂事業の一環として、ポ
リエチレン製品の製造、販売を行っ
山口県 百万円
化学 ております。
宇部フィルム㈱ 100
山陽小野田市 379
役員の兼任等 3名
(うち当社従業員 3名)
当社合成ゴム事業の一環として、タ
タイ・シンセティック・ イでポリブタジエンゴムの製造、販
タイ 百万BAHT 74
ラバーズ,カンパニー・ 化学 売を行っております。
バンコック市
1,106 (0.9)
リミテッド 役員の兼任等 4名
(うち当社従業員 4名)
当社はアンモニア原料用ペトロコー
クスを供給するとともに工場運営業
百万円 務を受託する一方、同社から製品の
宇部アンモニア工業㈲ 山口県宇部市 化学 100
一部を購入しております。
4,000
役員の兼任等 2名
(うち当社従業員 1名)
当社化学事業の一環として、スペイ
ンでナイロン樹脂、カプロラクタ
ム、硫安、ファインケミカル、その
ウベ・コーポレーショ
スペイン 千EURO
他製品の製造、販売を行っておりま
ン・ヨーロッパ,エス 化学 100
カステリョン市
6,312
す。
エーユー
役員の兼任等 1名
(うち当社従業員 1名)
当社化学事業の一環として、タイで
ウベ・ケミカルズ・アジ ナイロン樹脂、ナイロンコンパウン
ア,パブリック・カンパ ド、カプロラクタム、硫安の製造、
タイ 百万BAHT 73.81
化学
ニー・リミテッド 販売を行っております。
バンコック市 10,739 (0.04)
役員の兼任等 6名
*1
(うち当社従業員 6名)
当社機能性材料事業の一環として、
電子・情報通信関連製品等の製造、
百万円
宇部エクシモ㈱ 東京都中央区 化学 100 販売を行っております。
2,493
役員の兼任等 2名
(うち当社従業員 2名)
当社機能性樹脂事業の一環として、
フェノール樹脂の製造、販売を行っ
明和化成㈱ 山口県宇部市 99 化学 100 ております。
役員の兼任等 3名
(うち当社従業員 3名)
当社ファインケミカル事業の一環と
して、1,6ヘキサンジオール、
1,5ペンタンジオール、ポリカー
ウベ・ファイン・ケミカ
タイ 百万BAHT
ルズ・アジア,カンパ 化学 100
ボネートジオールの製造、販売を
バンコック市 722
ニー・リミテッド
行っております。
役員の兼任等 3名
(うち当社従業員 3名)
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(その2)
議決権の
資本金
名称 住所 主要な事業の内容 所有割合 関係内容
(又は出資金)
(%)
当社電池材料事業の一環として、電
ウベ・アドバンスド・マ
解液事業会社の株式を保有しており
テリアルズ,インコーポ 米国 千US$
化学 100 ます。
レーテッド ミシガン州
67,672
役員の兼任等 3名
*1
(うち当社従業員 3名)
当社電池材料事業の一環として、リ
チウムイオン二次電池向け電解液の
アドバンスド・エレクト
製造、販売を目的に設立しました
米国 100
ロライト・テクノロジー
が、現在は同事業を行っておりませ
95,000 化学
ミシガン州 (100)
ズ,エルエルシー
ん。
*1
役員の兼任等 4名
(うち当社従業員 4名)
当社電池材料事業の一環として、リ
チウムイオン電池用セパレータの製
百万円
宇部マクセル㈱ 京都府乙訓郡 化学 66.01 造、販売を行っております。
2,725
役員の兼任等 3名
(うち当社従業員 3名)
当社及び当社関係会社の製品を米国
ウベ・アメリカ,イン 米国 千US$ 市場で販売しております。
化学 100
コーポレーテッド ミシガン州 役員の兼任等 2名
5,520
(うち当社従業員 2名)
当社及び当社関係会社の製品を中国
千人民元 市場で販売しております。
宇部興産(上海)有限公 中国 100
化学
司 上海市 4,017 (100) 役員の兼任等 4名
(うち当社従業員 4名)
ドイツ
ウベ・ヨーロッパ,
千EURO 100 当社及び当社関係会社の製品を欧州
デュッセルドルフ 化学
市場で販売しております。
ゲー・エム・ベー・ハー 913 (100)
市
当社及び宇部三菱セメント㈱の製品
の海上輸送及び荷役作業を行ってお
百万円
山口県宇部市 建設資材 ります。
宇部興産海運㈱ 100
665
役員の兼任等 3名
(うち当社従業員 3名)
宇部三菱セメント㈱から原料のセメ
岩手県西磐井郡 ントを供給しております。
建設資材
大協企業㈱ 34 82.60
役員の兼任等 2名
平泉町
(うち当社従業員 2名)
宇部三菱セメント㈱から原料のセメ
ントを供給しております。
萩森興産㈱ 山口県宇部市 282 建設資材 100
役員の兼任等 3名
(うち当社従業員 3名)
当社及び宇部三菱セメント㈱の製品
の販売を行っております。
100
宇部建設資材販売㈱ 東京都港区 99 建設資材
役員の兼任等 5名
(0.56)
(うち当社従業員 5名)
当社及び宇部三菱セメント㈱の製品
の販売を行っております。
三信通商㈱ 東京都港区 99 建設資材 100
役員の兼任等 3名
(うち当社従業員 3名)
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(その3)
議決権の
資本金
名称 住所 主要な事業の内容 関係内容
所有割合
(又は出資金)
(%)
南関東地区におけるグループ生コン
㈱関東宇部ホールディン 百万円 100 クリート事業を統括しております。
東京都品川区 建設資材
グス 100
(11.32)
役員の兼任等 2名
(うち当社従業員 2名)
当社から原料の石灰石を供給してお
ります。
宇部マテリアルズ㈱ 山口県宇部市 建設資材 100
役員の兼任等 2名
4,047
(うち当社従業員 2名)
当社建設資材事業の一環として、建
材関連製品の製造及び販売を行って
おります。
宇部興産建材㈱ 東京都港区 300 建設資材 100
役員の兼任等 3名
(うち当社従業員 3名)
当社建設資材事業の一環として、 金
属粉末の加工販売及び受託加工を
山石金属㈱ 千葉県野田市 50 建設資材 100 行っております。
役員の兼任等 3名
(うち当社従業員 3名)
成形機(ダイカストマシン、押出プ
レス、射出成形機)、産業機械(窯
業機、粉砕機、運搬機、除塵機、破
宇部興産機械㈱ 砕機)、橋梁・鉄構の製造、販売及
山口県宇部市 6,700 機械 100
び当社グループの機械事業を統括し
*1
ております。
役員の兼任等 4名
(うち当社従業員 4名)
米国で油圧機器の組立、販売を行っ
ウベ・マシナリー,イン 米国 千US$ 100 ており、また宇部興産機械㈱は同社
機械
コーポレーテッド 17,000 (100) へ製品及び部品の販売を行っており
ミシガン州
ます。
グループ機械事業の一環として、製
百万円 100
㈱宇部スチール 山口県宇部市 機械 鋼品及び鋳造品の製造、販売を行っ
1,000 (100)
ております。
グループ機械事業の一環として、舶
100
㈱福島製作所 福島県福島市 490 機械 用機械及び産業機械の製造、販売を
(100)
行っております。
グループ機械事業の一環として、射
出成形機、付帯機器、並びに部品の
愛知県名古屋市 85
U-MHIプラテック㈱ 450 機械 製造、販売を行っております。
中村区 (85)
役員の兼任等 3名
(うち当社従業員 3名)
その他41社
- - - - -
(持分法適用関連会社)
当社セメントの販売を行っており、
当社関係会社に原料のセメントを供
百万円
宇部三菱セメント㈱ 東京都千代田区 建設資材 給しております。
50
8,000
役員の兼任等 3名
(うち当社従業員 2名)
その他15社
- - - - -
(注)1.主要な事業の内容欄には、セグメントの名称を記載しております。
2.議決権の所有割合欄の括弧内数字は間接所有割合(内数)です。
3.*1 特定子会社に該当しております。
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5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
2020年3月31日現在
セグメントの名称 従業員数(人)
5,109
化学
3,270
建設資材
1,855
機械
374
その他
全社(共通) 282
10,890
合計
(注)1.従業員数は就業人員数です。
2.全社(共通)として、記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属してい
るものです。
(2)提出会社の状況
2020年3月31日現在
従業員数(人) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(円)
3,329 41.7 15.9 6,929,418
従業員数(人)
セグメントの名称
2,144
化学
903
建設資材
全社(共通) 282
3,329
合計
(注)1.従業員数は就業人員数です。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.全社(共通)として、記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属してい
るものです。
(3)労働組合の状況
当社グループ(当社及び連結子会社)従業員の大多数が加入する宇部興産労働組合は、会社と円満な労使関係
を維持しております。上部団体としては化学総連に加盟しております。
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第2【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
120年を超える歴史を刻む当社グループは、「共存同栄」と「有限の鉱業から無限の工業へ」を創業の精神として
受け継ぎ、時代と産業構造の変化に対応しながら、新たな技術への挑戦と自己変革を重ねて業容を拡大してまいり
ました。
今後ますます多様化・複雑化するニーズに応えながら、下記の経営理念と経営方針に基づき、未来につながる、
新たな価値を創出するための事業活動をグローバルに展開するとともに、ESG(環境・社会・コーポレートガバ
ナンス)への取り組みを一層充実し、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。
また、株主を始め顧客、取引先、従業員や地域社会等のあらゆるステークホルダー、さらには地球環境との共生
を実践し、これらに貢献する価値創出企業であり続けます。
経営理念
「技術の探求と革新の心で、未来につながる価値を創出し、社会の発展に貢献します」
経営方針
「倫理」 高い倫理観を保ち、法令及び社会規範を遵守します
「安全と安心」 地球環境保全に努め、安全・安心なものづくりを行います
「品質」 お客様と社会の信頼に応える品質をお届けします
「人」 個性と多様性を尊重し、健康で働きやすい職場をつくります
(2)経営戦略等
当社グループは、2025年のありたい姿とその方向性を「Vision UBE 2025」として描き、その達成に向けたマイル
ストーンとなる、2021年度までの3ヶ年の中期経営計画「Vision UBE 2025 ~Prime Phase~」を策定しておりま
す。2025年のありたい姿及び中期経営計画の基本方針は次のとおりです。
2025年のありたい姿「Vision UBE 2025」
「すべてのステークホルダーに価値を創出し続ける企業」
◆中期経営計画の基本方針
(ⅰ)事業の成長基盤強化
①化学セグメントを中心とした次なる成長の実現
②海外拠点の拡充と国内外グループ会社の連携進化及びグローバルな事業環境変化へのスピーディな対応
③安定的・持続的なキャッシュ・フロー創出と、成長投資の実施
④人材確保と競争力向上のため、人材と働き方の多様化を推進
⑤価値創出と業務効率化へのICT活用と関連する人材の育成
(ⅱ)経営基盤(ガバナンス)の強化
①経営の監督機能強化と意思決定の迅速化
②品質問題に対する再発防止策の確実な遂行と継続的な改善及び品質保証体制の強化
③内部統制システムの強化による適切な企業活動の実践
(ⅲ)資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献
①2021年度目標(GHG(温室効果ガス)排出量を2021年度までに2005年度比15%削減、2021年度までに環境
貢献型事業の売上高比率30%以上を目指す)の確実な達成と2030年を意識した長期目標の設定
②サプライチェーン全体での環境負荷低減
③環境負荷低減に貢献する新たな技術・製品の創出と拡大
(3)経営環境
当 連結会計年度における世界経済は、米国では緩やかな景気拡大が継続した一方、ユーロ圏経済では外需の落ち
込み等の影響を受けて成長の足踏みが継続し、中国経済は米中貿易摩擦の長期化等の影響を受けて減速しました。
また、国内経済は世界経済の減速により製造業等の輸出は弱含みで推移したものの、設備投資や個人消費などの内
需主導により緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、第4四半期には新型コロナウイルスの世界的な感染
拡大により、広範囲において経済活動が制限を受ける状況となり、世界経済の減速感と不透明感が一段と強まるこ
ととなりました。更に足元では景気は急激に悪化しており、見通しは極めて困難な状況となっております。
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こうした状況に加え、地球温暖化、海洋プラスチックなどの環境問題、自然災害の増加、インフラの老朽化、少
子高齢化など持続可能な社会創出のための諸問題が山積するとともに、ICTの飛躍的な発展、新型コロナウイル
ス感染拡大によるオンライン化社会への急速なシフト、健康や安全・安心についての意識も更に一層高まるなど、
経 営環境はこれまでにないほど大きな変化の時代を迎えております。
(4)優先的に対処すべき課題等
当社グループはこれらの経営環境を踏まえ、諸問題に積極果敢に取り組み、すべてのステークホルダーに価値を
創出し続けていくために、次の3つを重要な課題として認識しております。
①事業の成長基盤の強化、とりわけ積極拡大事業を中心とした化学事業の成長
②経営基盤(ガバナンス)の強化
③資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献
① 事業の成長基盤の強化、とりわけ積極拡大事業を中心とした化学事業の成長
化学事業は当社グループの成長を牽引する中核事業であるとの認識のもと、低炭素社会に対応・貢献する安定性
と成長力を併せ持つ事業を目指しております。これを実現するために事業のスペシャリティ化を加速し、ベーシッ
クケミカルズ事業による安定的な収益確保とスペシャリティ事業の拡大による成長力の強化を図るとともに、アジ
ア、欧州に加え北米等での事業の拡大を推進します。また、環境貢献型製品・技術の更なる開発と拡販、低炭素社
会を見据えた新規ビジネスの創出を実行してまいります。
建設資材事業は、社会インフラにおいて価値あるモノを提供し続ける事業を目標に、事業基盤を強化しながら成
長戦略を推進してまいります。本年2月には、三菱マテリアル株式会社とセメント事業等の統合に関する基本合意
書を締結し、2022年4月の統合を目指して検討を進めてまいります。
機械事業は、ブランド力のある製品とサービスで顧客に貢献する事業を目標に、自動車の軽量化やEV化ニーズ
に対応した製品の開発と市場開拓、国内外の事業拠点の再編によるグローバルでの事業展開の強化、環境・資源リ
サイクル市場への参入、サービス事業の拡充を図ってまいります。
当社グループではこれらの施策を推進するにあたり、以下の4つの事業ドメインにおいて既存事業の強化と周辺
事業領域への業容拡大及び新規事業の育成に取り組んでおります。
環境・エネルギー (省資源、省エネ、新規材料)
モビリティ (自動車、鉄道、航空分野)
建築・インフラ (インフラ、住環境、スマートシティ)
ヘルスケア (食品、医薬、生活高度化)
事業ポートフォリオにおいては、経営の土台となる基盤事業で生産基盤の整備や合理化・コストダウンを中心と
した設備投資を行うことにより安定したキャッシュ・フローを創出し、これを積極拡大事業の収益拡大投資や研究
開発及び育成事業に振り向けることによりグループ全体としての成長基盤の強化につなげてまいります。
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② 経営基盤(ガバナンス)の強化
当社は、経営における監督機能と業務執行機能をより明確に分離し、取締役会による監督機能を強化するととも
に業務執行にかかる意思決定の迅速化を図るため、2019年6月に監査等委員会設置会社へ移行しました。経営の監
督機能に軸足をおく取締役会として、代表取締役社長に対する重要な業務執行の決定に関する委任範囲の更なる拡
大並びに業務執行報告の継続的な改善を進めてまいります。加えて、グループ全体における体系的リスクマネジメ
ントと内部統制システムの実効性の強化を図り、ガバナンスの更なる向上に努めてまいります。
2017年度に当社グループにおいて判明しました品質検査上の不適切行為につきましては、経営方針のひとつに
「品質:お客様と社会の信頼に応える品質をお届けします」を掲げ、役員並びに従業員の意識及び組織風土の改
革、品質管理システム・管理体制の有効性の向上、グループ会社に対する統制の強化などを継続的に改善すること
により、品質管理体制の一層の強化を図ってまいります。
③資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献
石炭を主要なエネルギー源として事業展開してきた当社グループは、自ずとエネルギー多消費型の事業構造と
なっており、この問題への対応は大きな課題であると強く認識しております。
これまで当社グループでは、2021年度までにGHG排出量を2005年度比15%削減することと、環境貢献型製
品・技術の売上高比率を30%以上にすることを目標として取り組み、その達成に目処がついております。そこ
で、より長期的な対応の方向性を明確にするため「UBEグループ環境ビジョン2050」を策定しました。当社グ
ループは2050年までにGHG排出量の80%削減を目指すとともに、当社製品・技術によりサプライチェーン全体
のGHGを削減し、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
また、2030年度までの中期目標としては、GHG排出量の2013年度比17%削減と環境貢献型製品・技術の売上
高比率50%以上を目指しております。これらを達成するために一層の省エネ推進によるエネルギー原単位改善の
継続・強化や、廃棄物のエネルギー化促進と再生可能エネルギーの利用拡大のほか、化石資源に依存する事業構造
の再構築を視野に入れた施策の検討、CO₂回収・利活用技術の開発、ビジネスの創出に取り組んでまいります。
本年5月に、当社グループは金融安定理事会(FSB)により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォー
ス(TCFD)」の提言について賛同を表明しました。TCFDの提言に基づき、気候変動が事業に与えるリスク
や機会の分析を行い、積極的な情報開示を進め、持続可能な社会への貢献に努めてまいります。
「UBEグループ環境ビジョン2050」
UBEグループは、豊かな地球環境を維持していくため、自然と調和した企業活動の推進に取り組みます。
2050年までに温室効果ガス排出量の80%削減を目指すとともに、当社製品・技術によりサプライチェーン全体
の温室効果ガスを削減し、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
気候変動に対応するためのUBEグループの中期目標(2030年度まで)
温室効果ガス排出量 17%削減(2013年度比)
環境貢献型製品・技術の売上高 連結売上高比率 50%以上
上記①から③の課題に加え、新型コロナウイルス感染拡大防止への対応については、当社グループは国内外の拠
点において各国の方針に従い、従業員の在宅勤務や時差出勤、出張自粛等の感染防止対策を講じております。各製
造拠点では、従業員やお取引先様などの安全確保と社内外への感染拡大防止を第一に、日々の生活に欠かせない製
品や社会的に必要とされる製品の供給継続に努めてまいります。
また、新型コロナウイルス感染拡大にともない想定される需要減少などへの対処として、製造原価をはじめ販売
費及び管理費などの様々なコスト削減や在庫の圧縮にも鋭意取り組んでまいります。
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(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画「Vision UBE 2025 ~Prime Phase~」においては、最終年度となる2021年度の数値目標を次のとお
り設定しております。現時点においてはこれら目標の達成は厳しい見通しですが、新型コロナウイルスの影響等も
含めて最終年度の業績を見通すことが困難であるため、数値目標の見直しは行っておりません。
<主要項目>
2021年度目標
営業利益 550億円
経常利益 580億円
<経営指標>
2021年度目標
売上高営業利益率(ROS)
7%
自己資本利益率(ROE)
10%
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2【事業等のリスク】
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられ
る主な事項を下記のとおり記載いたします。
これらの事項は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性がありますが、当社グループは、これ
らのリスク発生の可能性を認識した上で、リスクの回避・分散及び発生した場合の対応、リスクの移転、危機管理対
策等に最大限努力する方針です。
下記事項には、将来に関するものが含まれますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであ
り、また、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
(1) 各事業の経営成績に影響を与える変動要因
当社グループは、化学、建設資材、機械の事業分野で様々な製品を製造・販売しており、各事業分野において想
定されるリスクは以下の通りです。
① 化学事業
カプロラクタム、ナイロン、合成ゴムは、同業他社の生産能力増強により当該製品の供給が大幅に増加した場
合やベンゼン、ブタジエンなど主原料価格が国際的な需給バランスの変動により急激に変動した場合には、製品
と主原料の価格差(スプレッド)が著しく縮小することで業績に悪影響を与える可能性があります。なお、原料
の一部については特定の地域や供給先に依存しているため、供給先の事故などにより必要な原料を確保できない
場合があります。また、情報技術やデジタル家電関連など短期的な世代交代が起こり得る用途向けの製品では、
顧客要求にタイムリーに応じられないことによる販売量の減少や競争激化に伴う価格低下によって業績に悪影響
を与える可能性があります。
以上のようなリスクに対して(一)原料価格の変動を販売価格に反映させるフォーミュラ価格制度の適用、(二)
原材料の適正在庫の確保、(三)徹底したコストダウンと市場における製品の差別化、(四)経営資源の重点投入に
よるスペシャリティ事業の成長加速など収益基盤の強化に積極的に取り組んでおります。
② 建設資材事業
建設資材事業の主力製品であるセメントは、国内では、社会資本の整備が成熟期を迎え中長期的には需要が緩
やかに減少していくと想定し様々な収益改善対策を実行しておりますが、短期間で公共事業や民間の建設工事が
想定を超えて大きく減少する場合には、販売が減少し業績に悪影響を与える可能性があります。また、当社は、
東南アジアをはじめ各国に輸出をしておりますが、相当の生産能力を有する中国企業が輸出を始める場合、アジ
アを中心とした海外市場において需給の軟化や市況が低迷し業績に悪影響を与える可能性があります。
以上のようなリスクに対して(一)セメント製造工程での廃棄物(有償での受入)処理拡大をはじめとした収益
改善、(二)マグネシア・カルシアなど積極拡大事業の育成、(三)販売減少時の柔軟な生産体制のシミュレーショ
ンを進めております。また、当該事業分野では、すでに発表しているとおり三菱マテリアル株式会社とのセメン
ト事業等の統合に向けた検討に着手しており、収益基盤の強化を目指しております。
③ 機械事業
機械事業の主力製品は、ダイカストマシン、射出成形機、運搬機、除塵機、窯業機器、粉砕機等であり、世界
の自動車販売台数の低迷や公共事業の減少など事業環境の悪化に伴い自動車メーカーや大手重工メーカーが設備
投資を控えた場合には、受注や出荷、サービス提供の減少といった影響を受ける可能性があります。また、市場
がグローバル化する中で、各国の景気の減速、貿易摩擦、競合メーカーの台頭などで販売が減少する可能性があ
ります。
以上のようなリスクに対して(一)製造・販売・アフターサービス拠点の拡充による収益拡大、(二)コストダウ
ンの強化、(三)同業他社とのアライアンスによる業容拡大や収益基盤強化に積極的に取り組んでおります。
(2) 地球環境問題
当社グループは、これまで石炭を有効活用しつつ事業の拡大を図ってきましたが、温室効果ガス(GHG)排出
規制の強化に伴い炭素税等が導入される場合、税負担が増加することでコストが増加する可能性があります。ま
た、環境意識の高まりが脱炭素社会への移行を早め、ステークホルダーから地球環境問題への対応が遅れている企
業と評価されることにより製品の販売が低迷するなど、企業価値に悪影響を与える可能性があります。さらに、地
球環境の変化により自然災害が大規模化・高頻度化する場合、製造拠点の設備被害、物流網の遮断、原材料等の入
手困難などにより生産活動に悪影響を与える可能性があります。
以上のようなリスクに対して当社グループは、地球環境問題への対応を経営の重点課題に定め、エネルギー効率
の向上やカーボンニュートラルなバイオマス燃料への置き換えなどによりGHGの発生・排出の削減に注力すると
ともに、当社グループの強みを生かした環境負荷低減に資する製品・技術の開発と普及を推し進めることにより、
脱炭素社会に貢献しております。
当社グループは、TCFD提言に賛同し、2050年度までにGHG排出量の80%削減を目指すと共に、当社製品・
技術によりサプライチェーン全体でのGHGの削減を図るなど、脱炭素社会の実現に向けて「UBEグループ環境
ビジョン2050」を策定しております。本ビジョンを達成するために、「UBEグループ中期目標」を新たに設定
し、2030年度を目標年度としてGHG排出量の削減と環境貢献型製品・技術の売上高比率の向上を定めておりま
す。
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(3) 製品品質・製造物責任
当社グループの製品は、自動車部品やデジタル家電、医薬品、家庭用品など身近なものから、社会インフラの整
備まで多くの分野で使用されます。そのため、品質に瑕疵のある製品が出荷された場合、その波及範囲は広範囲に
わたり、安全上や健康上他の問題に至らない場合であっても、当該製品の回収や顧客への損害賠償など多額の費用
が発生し、さらに社会的な信用失墜により事業活動が低迷する可能性があります。
以上のようなリスクに対して当社グループは、工程管理を確実に行うための設備の維持や適切な測定機器の設
置、作業マニュアルの整備、従業員の教育等に努め、必要十分な検査を行うことで万一の不良品流出を防止する体
制を構築するとともに、国内外を対象とした生産物賠償責任保険に加入しております。
さらに、当社グループでは、次の対策を実施して過去に判明した品質検査上の不適切事案の再発防止に努めてお
ります 。
・取締役会によるガバナンス強化(品質に関する定期的な業務報告、監査報告などによるモニタリング)
・全従業員に対する品質重視の意識の浸透(経営方針の刷新、継続的なトップメッセージの発信など)
・役員を含むグループ構成員全員を対象とした継続的な教育の実施(Eラーニング、研修会等)
・品質管理に関する内部統制強化(品質管理規程の整備、本社品質監査の実施など)
・経営資源の積極的な投入による品質保証部門の強化(人材の計画的育成・増員、システムによる自動化推進な
ど)
(4) 大規模事故(爆発・火災・漏洩事故)
当社の製造事業所、特に化学製品の工場では、多量の高圧ガスや危険物等の原材料、電気、スチーム等のエネル
ギーを使用しており、設備故障、人為的ミス、自然災害により大規模な爆発・火災・漏洩が発生する可能性があり
ます。その場合には、従業員・地域住民等の生命・財産並びに環境へ重大な影響を与えることとなり、事故対応や
復旧の費用、生産活動の停止による機会損失及び顧客・地域住民に対する補償が生じることで、業績に深刻な影響
を与える可能性があります。
以上のようなリスクに対して当社グループは、「安全はすべてに優先する」を環境安全共通の価値観として、関
連法令の遵守の徹底、設備の定期点検及び適切な維持補修、教育・経験を積んだ従業員の確保、管理マニュアルの
整備、防災訓練の定期実施、環境安全監査等により、爆発・火災・漏洩等の事故の予防に取り組んでおります。
(5) 研究開発
当社グループは、需要家のニーズに合わせた新技術・新製品をタイムリーに上市するために、あるいは次世代の
事業の創出のために探索研究を含む研究開発に取り組んでおります。研究開発は、長期間にわたることもあり、研
究開発テーマが計画どおり進まず、新製品の開発が著しく遅延したり、開発を断念した場合、あるいは医薬事業に
おいては新薬の承認見送りや承認取り消しがなされた場合には、事業における競争力が低下し業績に悪影響を与え
る可能性があります。
以 上のようなリスクに対して当社グループは、事業ポートフォリオに基づいて重点的に経営資源を投入し研究開
発成果の早期実現と精度の向上を図ることにより、積極拡大事業の強化と育成事業の伸長に取り組んでおります。
(6) 自然災害
当社グループは、国内外に製造拠点及び営業拠点を有しており、これらの施設が、想定を超えた大規模な地震、
台風、津波などの自然災害により甚大な被害を受け、製造拠点における生産停止や営業拠点の活動休止等が発生す
る可能性があります。その場合には、建物・製造設備の修理、棚卸資産の廃棄、設備の再稼働や原料調達・製品出
荷の遅延などにより、多額の費用及び機会損失が発生し業績に悪影響を与える可能性があります。
以上のようなリスクに対して当社グループは、災害発生時の対応マニュアル等の整備、建物・製造設備の計画的
な改修・強化、定期的な防災訓練、リスクマネジメント制度を活用した個別リスクの抽出と対策等を実施しており
ます。また、早期に事業復旧を図る仕組みとして、自然災害発生時における事業継続計画(BCP)を策定し、定
期的な見直しと訓練を行っております。
(7) パンデミック
新型インフルエンザやコロナウイルス等の感染症が、世界的に蔓延(パンデミック)し、製造拠点における生産
停止や営業拠点の活動休止等が発生する可能性があります。その場合には、設備の再稼働や原料調達・製品出荷の
遅延などによって多額の費用や機会損失が発生する可能性があります。
以上のようなリスクに対して当社グループは、危機対応委員会を設置して、対応マニュアルの整備と各部署・事
業所・グループ会社による「新型インフルエンザ等対応BCP」を策定し、感染予防策の徹底や感染者発生時の対
応及び業務継続の手段や対応方針を定めて、定期的な見直しを行っております。
また、危機対応委員会では、国内外におけるパンデミックの状況や政府・自治体の対応・方針、当社グループに
おける感染者発生状況などをタイムリーに情報収集し、適宜、従業員の感染防止のための行動・対応指針を発出す
るなど、事業活動への影響を最小限とする対応を実施しております。
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(8) 法令・規制
当社グループは、国内外に製造拠点や営業拠点を有し、様々な国々・地域に当社製品を供給していることから、
各国・地域における製造・営業活動に関わる法令・規制を遵守する必要があり、これらが改定された場合には、製
造設備等の改修や変更、労働環境の整備などで費用が発生する可能性があります。また、法令・規制に違反した場
合には、多額の罰金・制裁金・賠償金、従業員の収監などを受けるだけでなく、事業活動の制約や社会的信用に悪
影響を与える可能性があります。特に、セメント製造工程において原料や熱エネルギー代替として石炭灰、建設発
生土、焼却灰、汚泥、廃プラスチック等の産業廃棄物を処理しておりますが、当社及び当社の役員等が法令に違反
した場合には、法に基づく行政処分の対象となり廃棄物を処理できなくなることから、事業活動及び業績に多大な
悪影響を与える可能性があります。
以上のようなリスクに対して当社グループは、事業活動に関わる国内の主な法規制をリスト化し、当該法令等の
主幹部署と関連する部署とで法規制の改廃の情報を漏れなく共有する体制を整備すると共に、リスクマネジメント
制度において法規制に関わるリスクを洗出し、各々のリスクに対する対策を実施しております。また、全従業員を
対象にしたEラーニング・研修制度の定期実施等によって法規制の遵守とそれを堅持する企業風土を醸成しており
ます。
(9) 人材確保
当社グループは、競争の激しい市場において、製品やサービスの提供を継続し企業価値の向上を図るためには、
新規性のある製品や市場の創出、付加価値の高いビジネスモデルの構築などが必要であり、その実現のためには、
クリエイティブな人材、マネジメントに優れた人材、ハード及びソフト面の技術に関する優れた専門性を有する人
材など、能力の高い人材を獲得する必要があります。また、従業員にはOJTや教育訓練の面から、経験豊富な人
材並びに業務やプラント運転操作などのノウハウを持った人材の確保も重要になります。こうした優秀な人材の獲
得が困難となる場合や、重要な人材の社外流出が生じた場合には、企業活動に悪影響を与える可能性があります。
以上のようなリスクに対して当社グループは、経営方針に「個性と多様性の尊重と働きやすい職場環境の整備」
を掲げて、必要とする人材の確保と定着を図るために、働きがいのある職場を提供するとともに、ワーク・ライフ
バランスの充実を図り、賃金を含む待遇改善、労働時間の短縮に取り組んでおります。
(10) 金融市場
当社グループは、金融機関からの借入や社債の発行等による資金調達を行っております。主要金融市場において
著しい混乱が発生する場合、あるいは当社に対する信用格付が大幅に引き下げられるなど信用力が著しく低下した
場合には、好ましい条件で資金調達ができず、成長投資等のために必要な資金を十分に確保できない可能性があり
ます。
以上のような リスクに対して当社グループは、キャッシュフローを重視した経営を行い健全な財務体質を確保・
維持すると共に、現預金、コミットメントライン等において十分な流動性を確保しながら、返済(償還)期限の分
散、調達手段の多様化を図ることで、資金調達環境変動の影響を低減するよう取り組んでおります。
また、当社グループは、外貨建てによる原材料等の輸入や製品等の輸出に伴い、外国為替相場の変動による影響
を受ける可能性がありますが、債権債務を概ね均衡させるとともに、適宜為替予約等を実施することで、その影響
の低減に取り組んでおります。
(11) 海外事業展開に関するリスク(カントリーリスク)
当社グループは、化学製品並びに機械製品については、海外に生産、開発、サービス拠点を有しており、アジ
ア、北中南米、欧州等にて主に事業活動を展開しております。2019年度の海外売上高は、連結売上高の約30%を
占めておりますが、これらの事業活動には、海外の政治・経済情勢の悪化、戦争・紛争・テロ等に伴う社会的混
乱、進出先の外資に対する規制強化、経済・通商政策の変更、環境関連の規制強化、労働争議の発生などのリスク
を内在しており、これらが顕在化した場合は業績に悪影響を与える可能性があります。
以上のような リスクに対して当社グループは、海外事業展開における緊急事態に速やかに対処するため、情報の
集約や緊急時の対応などのマニュアルを整備し、専門コンサルタントを有効活用すると共に、危機対応委員会が主
体となり、必要な情報の収集及び現地の各拠点との適時、適切な情報共有を行える体制を整えております。さら
に、有事の際には対策本部を設置し、従業員の安全を最優先事項として迅速・的確な対応を図って参ります。
(12) 買収・資本提携
当社グループは、事業拡大、技術獲得、または競争力強化等を目的として、国内外において企業買収・資本提携
等を実施しております。このような買収や資本提携等においては、当初の期待を下回るシナジー効果、コスト改善
の失敗、想定外の瑕疵の発覚や債務の拡大、出資先企業の経営成績や財政状態の悪化による企業価値の低下等に
よって業績に悪影響を与える可能性があります。
以上のようなリスクに対して当社グループは、事前段階の適切な市場調査やデューデリジェンス、慎重な事業評
価と契約交渉、十分な社内審議等のプロセスを経ることで、リスクを極力低減させることに努めております。
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(13) 訴訟
当社グループは、国内外の法令遵守に努めておりますが、広範な事業活動の中で提訴・その他の法的手続きの対
象となる可能性があります。現在及び将来の事件の帰趨を予測することは困難ですが、裁判等において不利益な決
定や判決がなされる場合には、業績に悪影響を与える可能性があります。
なお、現在係争中の主な訴訟事件は次のとおりです。これらの訴訟の最終的な結果やその時期については、現時
点で予測することができません。
2008年5月以降、建設作業等従事者及びその遺族らが国及びウベボード㈱(当社連結子会社)を含む建材メー
カー40社余に対して、建設現場で使用されていた石綿含有建材の石綿粉じんを吸引して石綿関連疾患に罹患したと
して、連帯して損害を賠償するように求めて訴えを提起しています。これまでの判決において、ウベボード㈱に対
する請求はいずれも棄却されました。現在、最高裁判所の他、全国の裁判所に11件の訴訟が係属中で、その請求額
は最大で174億円です。
(注)上記の請求額は、ウベボード㈱を被告として訴えている者の請求額を合計したもので、国及び他の建材メー
カーと連帯して請求を受けているものです。
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3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当 連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及び
キャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、それに伴い、前連結会計年度の数値は変更後
のセグメント区分に基づいております。詳細は「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表
注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。
①経営成績の状況
当 社グループは当連結会計年度からスタートした3カ年の中期経営計画「Vision UBE 2025 ~Prime Phase~」
において、「事業の成長基盤強化」「経営基盤(ガバナンス)の強化」「資源・エネルギー・地球環境問題への対
応と貢献」を基本方針とし、化学セグメントを核とした次なる成長の実現を目指して、各事業課題の解決に取り組
んでまいりました。
当連結会計年度においては、米中貿易摩擦に端を発した中国経済の減速等により、化学セグメントや機械セグメ
ントで需要の減退や市況悪化の影響を受けたこと、また建設資材セグメントでは国内需要が低調に推移したことな
どにより、石炭など原燃料価格の下落はあったものの、売上高・営業利益ともに前連結会計年度を下回りました。
また、ゴルフ場事業を譲渡したことにともない、46億円の特別損失を計上しました。
な お、新型コロナウイルス感染拡大による当連結会計年度の業績への影響は軽微でした。
こ の結果、当社グループの売上高は前連結会計年度に比べ622億6千5百万円減の6,678億9千2百万
円、営業利益は105億1千8百万円減の340億3千3百万円、経常利益は121億2千9百万円減の357億
2千4百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は95億2千3百万円減の229億7千6百万円となりました。
親会社株主に帰属
項 目 売 上 高
営業利益 経常利益
する当期純利益
当連結会計年度 667,892百万円 34,033百万円 35,724百万円 22,976百万円
前連結会計年度 730,157百万円 44,551百万円 47,853百万円 32,499百万円
増 減 △62,265百万円 △10,518百万円 △12,129百万円 △9,523百万円
△8.5% △23.6% △25.3% △29.3%
増 減 率
②生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 金額(百万円) 前年同期比(%)
274,736 △8.2
化学
126,401 △1.1
建設資材
86,082 △6.4
機械
487,219 △6.1
合計
(注)1.金額は平均販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における機械の受注実績を示すと、次のとおりです。
なお、機械を除くセグメントの製品については、受注生産は行っておりません。
セグメントの名称 受注高(百万円) 前年同期比(%) 受注残高(百万円) 前年同期比(%)
49,373 △40.2 54,486 △31.4
機械
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
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c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 金額(百万円) 前年同期比(%)
286,041 △11.8
化学
303,037 △5.6
建設資材
機械 90,799 △6.6
4,576 △7.3
その他
△16,561
消去 -
667,892 △8.5
合計
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③財政状態
総資産
当 連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ、130億1千7百万円(△1 . 8%)減少し、
7,272億6千9百万円となりました。
流動資産は、現金及び預金が増加したものの、受取手形及び売掛金が減少したことなどにより117億4千3
百万円(△3.7%)減少し、3,039億5千6百万円となりました。
固 定資産は、有形固定資産が減少したことなどにより12億7千9百万円(△0.3%)減少し、4,231
億4千5百万円となりました。
繰 延資産は、社債発行費が増加したことにより5百万円増加し、1億6千8百万円となりました。
負債
当 連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ、129億1千2百万円(△3.3%)減少し、
3,728億2千2百万円となりました。有利子負債は34億1千9百万円(1.8%)増加し、1,907億
1千8百万円となりました。
流 動負債は、支払手形及び買掛金、短期借入金、1年内償還予定の社債が減少したことなどにより267億2
千7百万円(△11.8%)減少し、1,993億3千6百万円となりました。
固 定負債は、社債、長期借入金の増加などにより138億1千5百万円(8.7%)増加し、1,734億8
千6百万円となりました。
純資産
当 連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ、1億5百万円(△0.0%)減少し、3,544億
4千7百万円となりました。
株 主資本は、剰余金の配当により126億5千9百万円減少しましたが、自己株式の減少により1億5千3百
万円増加、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が229億7千6百万円増加したことなどにより1
04億7百万円(3.2%)増加し、3,320億7千万円となりました。
そ の他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定が減少したことなどにより75億3千2百万円
(△95.9%)減少し、3億2千5百万円となりました。
非 支配株主持分は、29億2千7百万円(△12.0%)減少し、214億7千9百万円となりました。
こ の結果、自己資本比率は、前連結会計年度に比べ、1.2ポイント増加し45.7%となりました。
当連結会計年度 前連結会計年度 増 減
総資産 727,269百万円 740,286百万円 △13,017百万円
負債 372,822百万円 385,734百万円 △12,912百万円
純資産 354,447百万円 354,552百万円 △105百万円
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④ キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー
営 業活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ、180億2千7百万円増の684億8千9百万円と
なりました。これは、前連結会計年度に比べ、税金等調整前当期純利益による収入は減少したものの、運転資金増
減額(売上債権、たな卸資産及び仕入債務の増減合計額)による収入の増加や法人税等の支払額が減少したことな
どによるものです 。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投 資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ、20億3千1百万円減の406億3千2百万円とな
りました。これは、前連結会計年度に比べ、投資有価証券の売却による収入が増加したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財 務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ51億3百万円減の189億3千1百万円となりまし
た。これは、配当金の支払額や宇部72カントリークラブの会員預り金の返還による支出が増加したものの、有利
子負債の増減による支出が減少したことなどによるものです。
こ の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、現金及び現金同等物に係る換算差額を含め、前
連結会計年度末に比べ、83億1千4百万円(25.7%)増の406億9百万円となりました。
当連結会計年度 前連結会計年度 増 減
営業活動によるキャッシュ・フロー 68,489百万円 50,462百万円 18,027百万円
投資活動によるキャッシュ・フロー △40,632百万円 △42,663百万円 2,031百万円
財務活動によるキャッシュ・フロー △18,931百万円 △24,034百万円 5,103百万円
(2)経 営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①財 政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析、検討内容
中期経営計画の初年度にあたる当連結会計年度の業績は、前連結会計年度に比べ売上高はすべてのセグメントで減
少するとともに、営業利益は建設資材セグメントを除き減少となりました。特に化学セグメントでは中国経済の減速
等によるナイロン・ラクタムの市況下落の影響が大きく売上高、営業利益とも大幅な減少となりました。
<売上高>
当連結会計年度 前連結会計年度 増 減 増減率
化学 286,041百万円 324,269百万円 △38,228百万円 △11.8%
建設資材 303,037百万円 321,004百万円 △17,967百万円 △5.6%
機械 90,799百万円 97,264百万円 △6,465百万円 △6.6%
その他 4,576百万円 4,935百万円 △359百万円 △7.3%
調整額 △16,561百万円 △17,315百万円 754百万円 -
合計 667,892百万円 730,157百万円 △62,265百万円 △8.5%
<営業利益>
当連結会計年度 前連結会計年度 増 減 増減率
化学 14,531百万円 24,606百万円 △10,075百万円 △40.9%
建設資材 14,567百万円 14,492百万円 75百万円 0.5%
機械 4,940百万円 5,410百万円 △470百万円 △8.7%
その他 597百万円 804百万円 △207百万円 △25.7%
調整額 △602百万円 △761百万円 159百万円 -
合計 34,033百万円 44,551百万円 △10,518百万円 △23.6%
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各セグメントの主要製品の状況は次のとおりです。
化学セグメント
主要な事業内容
ナイロン樹脂、カプロラクタム(ナイロン原料)、工業薬品、ポリブタジエン(合成ゴム)、電池材料、ファインケ
ミカル、ポリイミド、機能品、医薬品(原体・中間体)等の製造・販売
強み
・ナイロン・カプロラクタムチェーン、合成ゴムなどのベーシックケミカルズとポリイミド、電池材料、高機能コー
ティングなどのスペシャリティケミカルズを併せ持ち、幅広い製品群を保有。
・日本(宇部・堺・千葉)・スペイン・タイの世界三極体制によるグローバルネットワークを構築。
・多様化するニーズに対応できる高い技術開発力とモノづくり力を持ち、顧客に対してソリューションを提供。
◆ナイロン樹脂
ナイロン樹脂については、グローバルでの重合能力最適化、コンポジット事業拡大によるスペシャリティ事業へ
の転換を図るとともに、プラスチックを取り巻く環境問題への対応に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、国内市場では食品包装フィルム用途・自動車用途ともに前連結会計年度並みで推移
しましたが、中国をはじめ海外市場では需給が軟化し、出荷が弱含みで推移するとともに市況も大きく悪化しまし
た。
足元においては、食品包装フィルム用途は需要が堅調に推移していますが、自動車販売の落ち込みにより自動車
用途は需要が減少し競争が激化しております。なお、本年4月に北米での事業拡大を目指しコンパウンド会社を買
収しました。
今後については、重合能力最適化による収益性追求を図るとともに、リサイクル(マテリアル、ケミカル)、バ
イオ原料、軽量化、薄肉化など市場トレンドを見据えたマーケティングの推進、景気回復後のV字回復・成長に向
けたグローバル営業活動の強化と事業基盤強化のためのコストダウンを実施してまいります。
◆カプロラクタム・硫安
ナイロン原料のカプロラクタムは、フル操業を維持しコストダウンを図るとともに、収益改善投資を推進してお
ります。
当連結会計年度においては、米中貿易摩擦による中国市場での需要減退の影響を受け、販売が弱含みで推移する
とともに、原料価格の低下を上回って製品価格が下落しました。一方、フェノール法アノン設備は操業安定により
製法転換メリットを計画通り実現することができました。また、能力増強した大粒硫安設備も安定操業が可能とな
りました。
足元においては、米中貿易摩擦に加え新型コロナウイルス感染拡大の影響でカプロラクタム需要が減少し、市況
は低迷しております。一方で硫安需要は総じて安定しており、ロックダウンにより懸念された海外顧客への販売影
響は限定的となっています。
カプロラクタムは今後もフル操業を維持しコストダウンを推進するとともに、収益改善投資を継続してまいりま
す。硫安については高加価値品の大粒硫安の本格的な増産と、更なる増産・増販に向けた三極(日本・タイ・スペ
イン)での営業・開発の連携強化を進めてまいります。
◆ファインケミカル、工業薬品
ファインケミカルについては、北米での事業拡大を目指しC1ケミカルチェーン(DMC、PCD)の生産拠点
確立について、拠点の絞り込みとFSを実施し、検討を進めております。
当連結会計年度においては、ファインケミカルは需要が概ね堅調に推移したものの、競争激化に伴い一部製品の
販売数量が減少しました。工業薬品は、隔年で実施するアンモニア工場の定期修理がなかったこともあり、出荷が
増加しました。宇部藤曲工場においては日本液炭株式会社が同工場内に新設する液化炭酸工場に対し、2021年から
原料炭酸ガスの供給を開始いたします。積極拡大事業の高機能コーティング材料は、水系・無溶剤系ポリウレタン
コーティング市場が拡大しており当社グループとしてもそれに対応し事業のグローバル展開を加速してまいりま
す。
◆ポリブタジエン(合成ゴム)
ポリブタジエンについては、「UBEPOL」ブランドを活かし日本、タイ、マレーシアの3極一体でアジアNo.1を
目指すとともに、戦略顧客とともに新規グレードを開発し、事業のスペシャリティ化を推進しております。
当連結会計年度においては、3拠点(日本・タイ・マレーシア)を活用したグローバルマーケティングは進展し
たものの、生産面の不調により能力を最大限に活用できませんでした。販売価格は、原料のブタジエン価格の下落
の影響を受け低下しました。足元では新型コロナウイルス感染拡大の影響によりタイヤ向け需要が急減しておりま
す。
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◆ポリイミド
ポリイミドについては、フィルムに加えてワニスを主力製品に育成するとともに、生産能力増強とコストダウン
を推進しております。
当連結会計年度においては、ディスプレイ向けCOFフィルムの販売数量が堅調に推移するとともに、中国市場
での有機ELパネル向けワニスの需要拡大もあり、販売は好調に推移しました。また、原料となるBPDAは、生
産設備のボトルネックを解消し増産を行いました。
今後については、引き続きフィルム、ワニスの事業拡大に注力するとともに、電子回路基板市場以外の用途での
拡販にも注力してまいります。
◆セパレータ
セパレータについては、宇部マクセル株式会社での無塗布・塗布型セパレータの一体運営により一層の効率化を
推進するとともに、車載用途を軸とした増加需要の獲得に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、車載向けを中心に市場の成長が足踏みする中で、同業他社との競争が激化し、出荷
は減少しました。中国経済の悪化、足元での新型コロナウイルス感染拡大等による自動車需要の急減を受け、コス
ト低減要求は一層高まっております。
今後については、機能重視の顧客との関係強化を図るとともに、景気回復時に需要を着実に獲得できるよう営業
及び開発活動を一層強化してまいります。
◆医薬
医薬については、基礎研究における研究領域の拡大、計算化学による探索サイクルの迅速化・効率化、少量・高
活性に対応する工場群への再編、新市場が勃興している核酸医薬の原薬製造受託の事業化に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、受託医薬品及び自社医薬品ともに顧客である製薬会社の販売が好調に推移したこと
により出荷は増加しました。また、高活性に対応した第五医薬品工場の建設にも着手いたしました。
今後については、創薬パイプラインのテーマに優先順位を付け早期のステージ移行に注力するとともに、高活性
品受託案件のマーケティング強化を実施してまいります。
新型コロナウイルス感染症に効果が期待されるアビガン錠については、今後、その原薬主骨格を成す重要な中間
体の製造及び供給を行ってまいります。
建設資材セグメント
主要な事業内容
セメント、生コン、建材関連製品、石灰石、カルシア・マグネシア、機能性無機材料等の製造・販売。資源リサイクル
事業。石炭の輸入、販売、コールセンター(石炭中継基地)の運営および電力卸供給事業(IPP)を含む電力供給事
業
強み
・ 幅広い製品事業をグループ全体で担うことにより、グループ・シナジーを最大限に活用。
・ 競争力のある石炭・電力を安定供給できる体制と大型港湾設備等の充実したインフラを保有。
・ 多種多様な廃棄物を利用し、省資源化できる高い技術力を保有。
◆セメント・生コン
セメント・生コンについては、継続的に販売価格の是正に取り組むとともに、高効率設備の導入、熱エネルギー
代替廃棄物利用拡大による省エネ、省コストを推進しております。
当連結会計年度においては、セメントの国内需要が1990年以降最低となる4,100万トンとなるなか、首都圏を中
心に需要の端境期にあることに加え、自然災害や工事延期等の影響もあり出荷は低調に推移しました。一方で、石
炭をはじめとする原料価格低下が全般的なコストダウンに寄与しております。伊佐セメント工場では、発電に伴う
化石燃料の使用を抑えCO₂排出削減に効果のある排熱発電設備が稼働を開始いたしました。
◆カルシア・マグネシア、エネルギー
カルシア・マグネシア製品は、鉄鋼・電力向けマグネシアなどの価格改定効果等があるものの、粗鋼生産量が10
年ぶりに1億トンを割り込むなど需要低迷により出荷が減少しました。また、エネルギー事業も石炭市況の下落に
より販売価格が低下し、販売数量も減少しました。木質バイオマス炭化燃料(トレファイドペレット)実証設備は
計画通り稼働を開始しております。
今後について、カルシア・マグネシア製品は宇部マテリアルズ株式会社の宇部工場リニューアルにより高付加価
値化を図ってまいります。エネルギー事業はIPPでのバイオマス燃料の使用拡大を進めるとともに、トレファイ
ドペレットの海外生産も検討してまいります。
なお、建設資材事業については競争力の維持・強化と更なる発展を図るため、三菱マテリアル株式会社とセメン
ト事業等の統合に関する基本合意書を本年2月に締結しました。2022年4月の統合を目指し検討を進めてまいりま
す。
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機械セグメント
主要な事業内容
成形機(ダイカストマシン、押出プレス、射出成形機)、産業機械(窯業機、粉砕機、運搬機、除塵機、破砕機)、
橋梁・鉄構、製鋼品(ビレット、鋳造品)
強み
・ 自動車や電力・セメント・製鉄等の基幹産業に多数の納入実績があり、顧客から高い評価。
・ 国内外の多くの拠点を軸に、開発からアフターサービスまで全てにわたり顧客のニーズに対応。
・ 大型の加工設備と熟練した技術・技能者を確保。
◆成形機
成形機については、自動車の軽量化、EV化ニーズに対応した製品開発と市場開拓を推進するとともに、グロー
バルでの事業展開を強化し、併せてサービス事業の拡充にも取り組んでおります。
当連結会計年度においては、米中貿易摩擦に端を発した景気減速が世界的に設備投資へと波及し、厳しい受注環
境が続きました。こうした状況のなか、成形機は出荷が減少するとともに、資材費、外注加工費などの上昇の影響
も大きく受けました。一方、サービス事業は堅調でした。自動車軽量化に対応するための装置・プロセスは開発が
進展しております。
◆産業機械、製鋼品
産業機械は、環境貢献・資源リサイクル機器の開発やアライアンスによる新たな収益源の創出とともに、海外・
他社製品でのサービス強化による収益拡大を推進しております。製鋼品は、量を追求しない最適生産体制を構築し
ベストプロダクトミックスによる収益改善に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、厳しい受注環境が続く中、産業機械の出荷は微減となりましたが、製鋼品は採算
が改善しました。株式会社日立プラントメカニクスから化学機器製品とそのアフターサービス事業を継承するこ
とを決定しました。
② 経 営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
中期経営計画の初年度にあたる2019年度については米中貿易摩擦に端を発した中国経済の減速等により目標未達と
なりました。2020年度については新型コロナウイルスの影響等に関して一定の前提をおいて業績を予想しておりま
す。最終年度の原計画の目標達成についても現時点においては厳しい状況にありますが、新型コロナウイルスの影響
も含めて最終年度の業績を見通すことは困難であるため数値目標の見直しは行っておりません。
<主要項目・経営指標>
2019年度 2019年度 2020年度 2020年度 2021年度
実績 目標 予想 (原計画) (原計画)
営業利益 340億円 470億円 260億円 490億円 550億円
経常利益 357億円 470億円 235億円 510億円 580億円
売上高営業利益率(ROS) 5.1% 6.2% 4.2% - 7%
自己資本利益率(ROE) 6.9% 9.1% 4.2% - 10%
(注)2020年度の予想につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は明確には想定できませんが、以下の
前提(当初計画に対する売上影響)をおいて業績を予想しております。
化学:
・食品・医薬品等の生活必需品や半導体向けは影響なし
・自動車関連向け及びその他産業向けはマイナス影響があり、第2四半期から第3四半期が最大で、年間平
均10~15%の下振れ
建設資材:
・建設工事の停滞等により建設資材関連で年間平均5%の下振れ
・エネルギー関連は影響なし
機械:
・自動車関連を中心に設備投資案件の延期・中断が第2四半期まで継続し、年間10%強の下振れ
上記の3セグメントの合計で、年間460億円程度の売上高の下振れ影響を織り込んでおります。一方、これら
を踏まえた様々なコスト削減策による効果も予想には織り込んでおります。
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③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
(財務の基本方針)
当社グループは、財務構造の健全化及び資金の効率的調達・運用を基本方針として財務活動を行っておりま
す。資金調達については、自己資金のほか、金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパー、社債等の発行等に
より行っております。資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、緊急時の資金調達手段の確保等を
目的として、一部の取引銀行とコミットメントライン契約を締結しております。
(キャッシュ・フロー及び流動性の状況)
2 019年度においては運転資金の圧縮や主に維持更新投資での実施時期の最適化などに取り組み、営業活動による
キャッシュ・フローは684億円のキャッシュ・イン、投資活動によるキャッシュ・フローは406億円のキャッ
シュ・アウトとなり、フリー・キャッシュ・フローは計画を上回る278億円を確保しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払134億円、宇部72カントリークラブ会員預り金の返還
による支出59億円、有利子負債の増減による収入15億円など189億円のキャッシュ・アウトとなり、期末に
おける現金及び現金同等物は406億円となりました。
資金の使途については、2019年度は設備投資に476億円、M&Aを含む投融資に22億円、研究開発には12
8億円の合計627億円を支出しております。このうち、積極拡大事業への支出は201億円(32%)であり、
基盤事業、育成事業はそれぞれ395億円(63%)、31億円(5%)でありました。積極拡大事業への資金投
入の割合は前中期経営計画期間(2016年度から2018年度)が26%でしたので着実に増加しております。2020年度
においては全体として設備投資に470億円、M&Aを含む投融資に30億円、研究開発に140億円を計画して
おります。
セグメント別の設備投資、M&Aを含む投融資においては、化学セグメントが50%を超えており、当社グループ
の成長を牽引するセグメントとして今後とも経営資源を重点配分してまいります。
(ポートフォリオ別投資使途)
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(セグメント別設備投資・投融資)
(資本政策)
新型コロナウイルスの影響による金融環境の悪化に備え、期末には手元資金を厚めに確保したこともあり、有利
子負債残高は若干増加しましたが、D/Eレシオは前連結会計年度末並みの0.57倍となり、自己資本比率は4
5.7%に若干改善いたしました。
2020年度は、新型コロナウイルスの影響により、世界経済や事業環境の先行きが極めて見通しづらい状況になっ
ております。こうした状況を踏まえ、従来以上にキャッシュ・フローを重視しながら財務規律を堅持してまいりま
すが、一方で、将来の成長や事業構造改革、地球環境問題への対応のための投資は滞らせることなく、積極的に実
施してまいります。事業拡大の投資判断においては、資本コストを意識し、原則としてこれを上回るリターンの実
現を目指し、経営資源配分などにおいてROIC(投下資本利益率)をより意識するなど、資本効率の向上を図り
ながら持続的成長と企業価値向上を目指します。
当社では、株主還元の基本的な考え方として、安定的かつ持続的な配当を目指しております。これをより明確に
表すために、DOE(株主資本配当率)をKPIとして採り入れ、2.5%以上をターゲットとして掲げるととも
に、中期経営計画期間での連結総還元性向を30%以上にすることと併せて株主還元の方針としています。
今後も上記方針のもと、成長投資や内部留保とのバランスをとりながら、株主還元のさらなる拡充を目指してま
いります。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されてお
ります。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、並び
に報告年度における収益・費用の数値に影響を与える将来に関する見積り及び仮定が必要であり、過去の実績やその
他の様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、こ
れらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のと
おりです。
①繰延税金資産
当社グループが計上している繰延税金資産は、将来減算一時差異等に関するものであり、定期的に回収可能性の評
価のための見積りを実施しております。繰延税金資産の回収可能性は、主に将来の課税所得の見積りによるところが
大きく、課税所得の予測は将来の市場動向や事業活動の状況により変化いたします。課税所得の予測が変更され、繰
延税金資産の一部ないし全部が回収できないと判断される場合、繰延税金資産を取り崩す可能性があります。
②固定資産の減損
収益性の悪化が継続している事業に係る固定資産については、定期的に回収可能価額を見積り、回収可能性の評価
のための見積りを実施しております。回収可能価額の見積りには当該固定資産が生成すると見込まれる将来キャッ
シュ・フローを使用いたしますが、将来キャッシュ・フローの予測は将来の市場動向や事業活動の状況により変化い
たします。将来キャッシュ・フローの予測が変更され、回収不能と判断される場合、減損損失を計上する可能性があ
ります。
新型コロナウイルス感染症の影響に関して、今後の広がり方や収束時期等を予測することは困難ですが、一定の仮
定(化学セグメントでは、食品・医薬品等の生活必需品や半導体向けは影響なし。自動車関連向け及びその他産業向
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けはマイナス影響があり、第2四半期から第3四半期が最大で、売上高が年間平均10%~15%の下振れ。建設資
材セグメントでは、建設工事の停滞等により建設資材関連で売上高が年間平均5%の下振れ。エネルギー関連は影響
な し。機械セグメントでは、自動車関連を中心に設備投資案件の延期・中断が第2四半期まで継続し、売上高が年間
10%強の下振れ。)のもと、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。
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4【経営上の重要な契約等】
(1)技術援助契約
契約会社名 相手先 契約締結年月日 契約内容 有効期間
松下電工株式会社 2004年4月21日 2層フレキシブル銅張積層板 終期の定めなし
(現パナソニック株 製造技術のライセンス契約
式会社)
エスユーマテリアル 2011年9月23日 次世代ディスプレイ基板材料 終期の定めなし
ス,カンパニー・リ 用のポリイミドに関するライ
ミテッド センス契約
アドバンスド・エレ 2011年12月7日 リチウムイオン電池用電解液 契約締結から10年間ま
クトロライト・テク に関するライセンス契約 たは特許及びノウハウ
ノロジーズ,エルエ の有効期間満了のいず
ルシー れか遅い日まで
常熟宇菱電池材料有 2018年1月1日 リチウムイオン2次電池用電 終期の定めなし
限公司 解液に関するライセンス契約
宇部マクセル株式会社 2019年1月1日 リチウムイオン電池用セパ 終期の定めなし
レータに関するライセンス契
約
ハイケム株式会社 2012年6月22日 DMO(ジメチルオキサレー 実施料支払期間満了ま
ト)及びMEG(モノエチレ で
ングリコール)の触媒製造技
術に関するライセンス契約
黔希煤化工投資有限 2010年11月10日
公司
錫林郭勒蘇尼特