富士通株式会社 有価証券報告書 第120期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
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富士通株式会社(E01766)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2020年6月22日
【事業年度】 第120期(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
【会社名】 富士通株式会社
【英訳名】 FUJITSU LIMITED
【代表者の役職氏名】 代表取締役社長 時田 隆仁
【本店の所在の場所】 神奈川県川崎市中原区上小田中四丁目1番1号
(上記は登記上の本店所在地であり、本社業務は下記「最寄りの連絡場所」
において行っております。)
【電話番号】 044(777)1111(代表)
【事務連絡者氏名】 法務・知財・内部統制推進本部 コーポレートガバナンス法務部
シニアマネージャー 桐野 哲平
【最寄りの連絡場所】 東京都港区東新橋一丁目5番2号(汐留シティセンター)
【電話番号】 03(6252)2220(代表)
【事務連絡者氏名】 法務・知財・内部統制推進本部 コーポレートガバナンス法務部
シニアマネージャー 桐野 哲平
【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
株式会社名古屋証券取引所
(名古屋市中区栄三丁目8番20号)
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第一部【企業情報】
第1【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
(1)連結経営指標等
連結会計年度 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度
(百万円) 4,739,294 4,132,972 4,098,379 3,952,437 3,857,797
売上収益
(百万円) 120,612 117,455 182,489 130,227 211,483
営業利益
(百万円) 131,822 124,162 242,488 161,785 228,564
継続事業からの税引前利益
(百万円) 90,421 95,317 177,255 110,718 160,326
当期利益
親会社の所有者に帰属する
(百万円) 86,763 88,489 169,340 104,562 160,042
当期利益
(百万円) 5,530 137,087 229,583 95,511 170,306
当期包括利益
親会社の所有者に帰属する
(百万円) 8,860 129,191 219,838 89,311 171,361
当期包括利益
(百万円) 926,240 1,019,202 1,204,902 1,253,630 1,348,435
資本合計
(百万円) 3,226,303 3,191,498 3,121,522 3,104,842 3,187,445
資産合計
1株当たり親会社所有者帰
(円) 378.37 429.80 5,283.85 5,585.35 6,197.11
属持分
親会社の所有者に帰属する
(円) 41.94 42.83 825.32 512.50 791.20
基本的1株当たり当期利益
親会社の所有者に帰属する
(円) 41.93 42.83 825.28 512.33 790.76
希薄化後1株当たり当期利
益
親会社の所有者に帰属する
(百万円) 782,782 881,292 1,087,797 1,132,055 1,240,956
持分合計
(%) 24.3 27.6 34.8 36.5 38.9
親会社所有者帰属持分比率
親会社所有者帰属持分当期
(%) 11.0 10.6 17.2 9.4 13.5
利益率
(倍) 9.94 15.90 7.93 15.58 12.33
株価収益率
営業活動によるキャッ
(百万円) 253,092 250,331 200,415 99,416 347,263
シュ・フロー
投資活動によるキャッ
(百万円) △ 164,317 △ 145,479 △ 22,578 4,142 △ 114,206
シュ・フロー
財務活動によるキャッ
(百万円) △ 67,741 △ 98,896 △ 112,496 △ 136,622 △ 193,164
シュ・フロー
現金及び現金同等物の期末
(百万円) 380,810 383,969 452,671 416,742 453,036
残高
従業員数 (人) 156,515 155,069 140,365 132,138 129,071
〔外、平均臨時雇用人員〕 〔 17,207 〕 〔 16,684 〕 〔 16,106 〕 〔 13,707 〕 〔 12,876 〕
(注)1. 当社は、国際会計基準(以下、IFRS)に準拠して連結財務諸表を作成しております。
2.売上収益は、消費税等抜きで表示しております。
3. 平均臨時雇用人員は、嘱託社員、契約社員、パートタイマー、アルバイト等の従業員を含み、派遣社員は含
めておりません。
4. 当社は、2017年11月1日に富士通テン株式会社(以下、富士通テン)の株式の一部を株式会社デンソーに譲
渡しました。これに伴い、富士通テンを非継続事業に分類し、2016年度の売上収益、営業利益及び税引前利
益を組替えて表示しております。
5.当社は、2018年10月1日を効力発生日として、普通株式10株につき1株の割合で株式併合を実施しました。当
該株式併合が2017年度期首に行われたと仮定して、1株当たり親会社所有者帰属持分、親会社の所有者に帰
属する基本的1株当たり当期利益および親会社の所有者に帰属する希薄化後1株当たり当期利益を算定して
おります。
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(2)提出会社の経営指標等
回次 第116期 第117期 第118期 第119期 第120期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
(百万円) 2,006,830 2,034,508 1,831,513 1,931,892 2,092,098
売上高
(百万円) 37,487 13,893 △ 5,444 6,102 181,342
経常損益
(百万円) 42,495 44,963 121,083 46,371 182,198
当期純損益
(百万円) 324,625 324,625 324,625 324,625 324,625
資本金
(株) 2,070,018,213 2,070,018,213 2,070,018,213 207,001,821 207,001,821
発行済株式総数
(百万円) 680,608 715,477 810,670 795,373 903,662
純資産額
(百万円) 2,098,697 2,044,166 1,932,636 1,966,461 1,941,581
総資産額
(円) 328.98 348.93 3,937.74 3,924.22 4,512.72
1株当たり純資産額
(円) 8.00 9.00 11.00 87.00 180.00
1株当たり配当額
(1株当たり中間配当額) (円) ( 4.00 ) ( 4.00 ) ( 5.00 ) ( 7.00 ) ( 80.00 )
1株当たり当期純損益金
(円) 20.54 21.76 590.13 227.28 900.73
額
潜在株式調整後1株当た
(円) 20.54 21.76 590.12 227.24 900.42
り当期純利益金額
(%) 32.4 35.0 41.9 40.4 46.5
自己資本比率
(%) 6.3 6.4 15.9 5.8 21.4
自己資本利益率
(倍) 20.30 31.30 11.10 35.14 10.83
株価収益率
(%) 38.9 41.4 18.6 66.0 20.0
配当性向
(人) 24,112 33,095 32,969 31,827 32,568
従業員数
(%) 51.8 85.2 83.4 102.7 126.5
株主総利回り
(比較指標:TOPIX(配
(%) ( 89.2 ) ( 102.3 ) ( 118.5 ) ( 112.5 ) ( 101.8 )
当込み))
868.4 720.8 927.0 8,260 12,950
(円)
最高株価
(826.5)
355.8 343.7 608.6 6,370 7,101
(円)
最低株価
(633.0)
(注)1.売上高は、消費税等抜きで表示しております。
2.当社は、2018年10月1日を効力発生日として、普通株式10株につき1株の割合で株式併合を実施しました。
当該株式併合が2017年度期首に行われたと仮定して、1株当たり純資産額、1株当たり当期純損益金額および
潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額を算定しております。
3.2018年度の1株当たり配当額87.00円は、中間配当額7.00円と期末配当額80.00円の合計となっております。
当社は、2018年10月1日を効力発生日として、普通株式10株につき1株の割合で株式併合を実施したため、中間
配当額7.00円は株式併合前の配当額、期末配当額80.00円は株式併合後の配当額となっております 。
4.最高株価および最低株価は、東京証券取引所(市場第一部)におけるものであります。なお、当社は、2018年
10月1日を効力発生日として、普通株式10株につき1株の割合で株式併合を実施したため、2018年度の株価につ
いては、株式併合後の最高株価および最低株価を記載し、( )に株式併合前の最高株価および最低株価を記載
しております。
5.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準28号 平成30年2月16日)等を2018年度期首か
ら適用しており、2017年度に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等
となっております。
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2【沿革】
年月 摘要
1935年 6月 富士電機製造㈱(現 富士電機㈱)より電話交換装置・電話機・装荷線輪の製造及び販売権を承継
し、富士通信機製造株式会社として設立
1938年11月 本店を神奈川県川崎市(中原区)上小田中に移転
1944年11月 ㈱金岩工作所(現 富士通フロンテック㈱)をグループ会社化(1988年2月東京証券取引所に上
場)
1949年 5月 東京証券取引所再開と同時に上場
1951年 5月 電子計算機の製造を開始
1953年 8月 無線通信機器の製造を開始
1954年 4月 電子デバイスの製造を開始
1957年 6月 新光電気工業㈱をグループ会社化(1984年12月東京証券取引所に上場)
1960年12月 大阪証券取引所に上場(現在、東京証券取引所に統合)
1961年10月 名古屋証券取引所に上場
1962年 5月 富士通研究所を設置(1968年11月に㈱富士通研究所として独立)
1967年 6月 富士通株式会社に商号変更
1972年 4月 富士電気化学㈱(現 FDK㈱)をグループ会社化(1969年10月東京証券取引所に上場)
日産コンピュータ㈱(現 ㈱富士通ビー・エス・シー)をグループ会社化(2000年10月に店頭登
1975年 6月
録、2004年12月にジャスダック証券取引所(現 東京証券取引所JASDAQ(スタンダード))に上場、
2018年2月当社の完全子会社化により上場廃止)
1976年 4月 フランクフルト証券取引所に上場 (2009年12月上場廃止)
1981年10月 ロンドン証券取引所に上場 (2014年1月上場廃止)
チューリッヒ、バーゼル、ジュネーブの各証券取引所(現在、各証券取引所はスイス証券取引所に
1983年 9月
統合)に上場 (2009年12月上場廃止)
日商岩井㈱との合弁により㈱エヌ・アイ・エフ(ニフティ㈱に商号変更。現 富士通クラウドテク
1986年 2月
ノロジーズ ㈱)を設立(2006年12月東京証券取引所に上場、2016年7月当社の完全子会社化により
上場廃止)
保守部門の一部を分離独立し、富士通カストマエンジニアリング㈱(現 ㈱富士通エフサス)を設
1989年 3月
立(2004年10月株式交換により完全子会社化)
1990年11月 英国ICL PLC(現 Fujitsu Services Holdings PLC)をグループ会社化
1991年 4月 携帯電話の販売を開始
10月 米国にFujitsu Network Transmission Systems, Inc.(現 Fujitsu Network Communications,
Inc.)を設立
1995年12月
富士通館林システムセンター(現 館林データセンター)開設
1997年11月
富士通明石システムセンター(現 明石データセンター)開設
1999年10月 ドイツSiemens AGとの合弁によりFujitsu Siemens Computers(Holding)B.V.(現 Fujitsu
Technology Solutions (Holding) B.V.)を設立(2009年4月株式取得により完全子会社化)
2001年 9月 ㈱高見澤電機製作所と富士通高見澤コンポーネント㈱が株式移転により富士通コンポーネント㈱を
設立、東京証券取引所に上場 (2018年11月株式併合により上場廃止)
2002年 4月 サーバ事業及びストレージシステム事業を㈱PFUと共同で会社分割し、㈱富士通ITプロダクツを設
立
2005年 3月 プラズマディスプレイモジュール事業を㈱日立製作所に譲渡
4月 液晶デバイス事業をシャープ㈱に譲渡する契約を締結
2008年 3月 LSI事業を会社分割し、富士通マイクロエレクトロニクス㈱(現 富士通セミコンダクター㈱)を
設立
10月 Fujitsu North America Holdings, Inc.を設立
Fujitsu America, Inc.をFujitsu Management Services of America, Inc.へ商号変更
2009年 4月 Fujitsu Computer Systems CorporationがFujitsu Consulting Holdings Inc.と合併し、Fujitsu
America, Inc.へ商号変更
5月 第三者割当増資の引受によりFDK㈱を連結子会社化
7月 ハードディスク記憶媒体事業を昭和電工㈱へ譲渡
10月 ハードディスクドライブ事業を㈱東芝へ譲渡
2015年 4月 個人向けプロバイダ事業を㈱ノジマへ譲渡
カーエレクトロニクス事業を㈱デンソーへ譲渡
2017年11月
携帯端末事業をポラリス・キャピタル・グループ㈱へ譲渡
2018年 3月
個人向けパソコン事業を中国Lenovo Group Limitedへ譲渡
5月
富士通コンポーネント㈱を独立系投資会社ロングリーチグループへ譲渡
2019年 1月
Ridgelinez㈱を設立
2020年 1月
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3【事業の内容】
当社及び子会社398 社(うち連結子会社391社 )は、ICT(Information and Communication Technology)分野にお
いて、各種サービスを提供するとともに、これらを支える最先端、高性能かつ高品質のプロダクト及び電子デバイス
の開発、製造、販売から保守運用までを総合的に提供する、トータルソリューションビジネスを行っております。 主
要ビジネスである「テクノロジーソリューション」については、当社が中心となって、また、「ユビキタスソリュー
ション」、「デバイスソリューション」については、当社の連結子会社である富士通アイソテック㈱や富士通セミコ
ンダクター㈱が中心となって、 グループ各社とともに最先端のテクノロジーを駆使した製品の開発、製造及び販売並
びにサービスの提供を行っております。
各セグメントの主要な製品及びサービスの内 容並びに関連会社(60社)を 含めた当社及び関係会社各社の位置付け
(2020年3月31日現在)は以下のとおりです。
〔テクノロジーソリューション〕
主要製品・サービスの内容: ・システムインテグレーション(システム構築、業務アプリケーション等)
・ コンサルティング
・フロントテクノロジー(ATM、POSシステム等)
・ アウトソーシングサービス
(データセンター、ICT運用管理、アプリケーション運用・管理、
ビジネスプロセスアウトソーシング等)
・クラウドサービス(IaaS、PaaS、SaaS等)
・ネットワークサービス(ビジネスネットワーク等)
・システムサポートサービス
( 情報システム及びネットワークの保守・監視サービス等)
・セキュリティソリューション
・各種サーバ (メインフレーム、UNIXサーバ、基幹IAサーバ、PCサーバ等)
・ ストレージシステム
・ 各種ソフトウェア(OS、ミドルウェア)
・ ネットワーク管理システム
・光伝送システム
・携帯電話基地局
取り扱う主な会社 :当社
(子会社)
富士通フロンテック㈱、㈱富士通ITプロダクツ、富士通テレコムネットワークス㈱、
㈱富士通アドバンストエンジニアリング、㈱富士通九州システムズ、
㈱富士通総研、Ridgelinez㈱、㈱富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ、
㈱富士通ビー・エス・シー、 ㈱富士通マーケティング、富士通エフ・アイ・ピー㈱、
㈱富士通エフサス、富士通ネットワークソリューションズ㈱、㈱PFU
Fujitsu Network Communications, Inc.、Fujitsu Services Holdings PLC、
Fujitsu America, Inc.、Fujitsu Australia Limited、
Fujitsu Technology Solutions (Holding) B.V.、
Fujitsu Asia Pte. Ltd. 等
〔ユビキタスソリューション〕
主要製品・サービスの内容: ・パソコン
取り扱う主な会社 :当社
(子会社)
㈱トランストロン、富士通アイソテック㈱、㈱富士通パーソナルズ
Fujitsu Technology Solutions (Holding) B.V. 等
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〔デバイスソリューション〕
主要製品・サービスの内容: ・LSI
・電子部品
(半導体パッケージ、電池等)
取り扱う主な会社 :(子会社)
富士通セミコンダクター㈱、新光電気工業㈱、FDK㈱ 等
上記の他、㈱富士通研究所が情報システム、通信システム及び電子デバイスに関する研究開発を行っております。
また、関連会社の事業の内容については以下のとおりです。
名称 事業の内容
空調機、情報通信機器及び電子デバイス製品の開発、製造及び販売並び
㈱富士通ゼネラル
にサービスの提供
富士通リース㈱
情報処理機器、通信機器等の賃貸及び販売
㈱ソシオネクスト SoCの設計、開発及び販売並びにサービスの提供
富士通コネクテッドテクノロジーズ㈱
携帯端末の開発、製造及び販売
富士通クライアントコンピューティング㈱
ノートパソコン、デスクトップパソコン等の開発、設計、製造及び販売
富士通コンポーネント㈱ 電子部品及び電子機器の開発、製造及び販売
富士通エレクトロニクス㈱
LSI及び関連ソフトウェアの設計及び開発並びに電子デバイスの販売
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当社及び関係会社の状況を事業系統図で示すとおおむね以下のとおりです(2020年3月31日現在)。
(持分法適用関連会社)
㈱富士通ゼネラル、富士通リース㈱、㈱ソシオネクスト、富士通コネクテッドテクノロジーズ㈱、
富士通クライアントコンピューティング㈱、富士通コンポーネント㈱、富士通エレクトロニクス㈱等
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4【関係会社の状況】
(1)連結子会社
2020年3月31日現在
関係内容
議決権に対
資本金
名称 住所 事業の内容 する所有割
役員の
(百万円)
営業上の取引等
合(%)
兼任等
富士通フロンテック㈱ ATM、店舗システム等の開発、製造及 製品の一部を当社へ納
東京都稲城市 8,457 53.35 あり
び販売並びにサービスの提供 入
※2
石川県かほく 各種サーバ、ストレージシステムの
㈱富士通ITプロダクツ 100 100 あり 当社製品の製造
市 開発及び製造
富士通テレコムネットワー
ネットワーク機器及びネットワーク
栃木県小山市 100 100 あり 当社製品の製造
クス㈱ システム等の製造
㈱富士通アドバンストエン ソフトウェアの設計及び開発並びに
東京都新宿区 100 100 あり 当社製品の開発
ジニアリング 運用及び保守サービスの提供
当社製品の開発、販
ソフトウェアの開発、サポート及び
㈱富士通九州システムズ 福岡市博多区 300 100 なし 売、導入サービスの提
販売
供
経営課題に関するコンサルティング 当社ビジネスモデルの
㈱富士通総研 東京都港区 200 100 あり
及び経済研究活動 検討、研究委託
Ridgelinez㈱ 東京都千代田
100 コンサルティング及び調査研究活動 100 あり -
※4 区
㈱富士通ソーシアルサイエ ソフトウェアの開発及びシステムの
川崎市中原区 450 100 あり 当社製品の開発
ンスラボラトリ 構築
ソフトウェアの開発及び販売並びに
㈱富士通ビー・エス・シー 東京都港区 あり 当社製品の開発
100 100
サービスの提供
当社製品の販売及び保
コンサルティング、システムの構築
㈱富士通マーケティング 東京都港区 12,220 並びに情報システム向け機器の販 100 あり 守並びに当社パート
売、設置工事及び保守
ナーの支援
当社顧客に対するアウ
システムインテグレーションサービ
トソーシングサービス
富士通エフ・アイ・ピー㈱ 東京都港区 100 ス、SaaSサービス及びITアウトソー 100 あり
等の提供及び当社製品
シング&クラウドサービスの提供
の販売
情報システムの構築並びに保守及び
当社製品の販売及び保
運用サービスの提供並びに情報シス
㈱富士通エフサス 川崎市中原区 あり
9,401 100
テム向け機器及びソフトウェアの販
守
売
ネットワークシステムの企画、コン
富士通ネットワークソ
当社製品の販売及び保
サルティング、設計及び施工管理並
横浜市西区 3,942 100 あり
びに運用及び保守並びにサービスの
リューションズ㈱ 守
提供
当社顧客に対する情報
情報システム及びICT関連機器の開
石川県かほく システムサービスの提
㈱PFU 15,000 発、製造及び販売並びにサービスの 100 あり
市 供並びに当社製品の販
提供
売及び保守
自動車関連エレクトロニクス製品、
製品の一部を当社へ納
㈱トランストロン 横浜市港北区 1,000 及び車載用情報機器の開発、製造及 51.00 あり
入
び販売
デスクトップパソコン及びPCサーバ
富士通アイソテック㈱ 福島県伊達市 100 の製造並びにプリンタの開発、製造 100 あり 当社製品の製造
及び販売
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パソコン、携帯電話等の販売及び
㈱富士通パーソナルズ 東京都港区 940 100 あり 当社製品の販売
サービスの提供
富士通セミコンダクター㈱ 製品の一部を当社へ納
横浜市港北区 100 LSIの設計、開発、製造及び販売 100 なし
入
新光電気工業㈱ 半導体パッケージの開発、製造及び (0.01) 製品の一部を当社へ納
長野県長野市 24,223 なし
販売 入
※2 50.05
FDK㈱ 各種電池及び電子部品の開発、製造 製品の一部を当社へ納
東京都港区 31,709 58.89 あり
及び販売 入
※2
情報システム、通信システム及び電
㈱富士通研究所 川崎市中原区 なし 研究開発の受託
5,000 100
子デバイスに関する研究開発
ネットワーク機器・システムの開 当社製品の北米におけ
千米国ドル
Fujitsu Network
米国 発、製造、販売及び工事並びに関連 100 あり る開発、製造、販売、
Communications, Inc. 240,815
するサービスの提供 工事及び保守
コンサルティング並びにシステム構
千スターリン
当社海外顧客に対する
Fujitsu Services
築、保守及び運用に関する各種サー
グ・ポンド
英国 あり 情報システムサービス
100
Holdings PLC ビスの提供並びに情報システム向け
の提供
1,598,001
機器及びソフトウェアの販売
※1
当社海外顧客に対す
る情報システムサー
コンサルティング並びにシステム構
千米国ドル ビスの提供、Fujitsu
Fujitsu America, Inc.
築、保守及び運用に関する各種サー (100)
米国 あり
North America
664 ビスの提供並びに情報システム向け 100
※3
機器及びソフトウェアの販売
Holdings, Inc.の子
会社
コンサルティング 並びに システム構
千オーストラ
当社海外顧客に対する
Fujitsu Australia
オーストラリ 築、保守及び運用に関する各種サー
リア・ドル
100 なし 情報システムサービス
ア ビスの提供並びに情報システム向け
Limited
262,799 の提供
機器及びソフトウェアの販売
当社製品の欧州におけ
コンサルティング並びにシステムの
Fujitsu Technology
る開発及び製造並びに
千ユーロ
構築、保守及び運用に関する各種
Solutions (Holding) B.V. オランダ 100 あり 当社海外顧客に対する
サービスの提供並びに情報システム
272,752
情報システムサービス
※1、※3
向け機器及びソフトウェアの販売
の提供
コンサルティング、システム構築、
千シンガポー
当社海外顧客に対する
保守及び運用に関する各種サービス
ルドル
Fujitsu Asia Pte. Ltd.
シンガポール 100 あり 情報システムサービス
の提供並びに情報システム向け機器
30,445 の提供
及びソフトウェアの販売
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(2)持分法適用関連会社
2020年3月31日現在
関係内容
議決権に対
資本金
する所有割
名称 住所 事業の内容
役員の
(百万円)
営業上の取引等
合(%)
兼任等
空調機、情報通信機器及び電子デバ
㈱富士通ゼネラル 当社製品の受託製造及
川崎市高津区 イス製品の開発、製造及び販売並び あり
18,089 44.10
※2 び販売
にサービスの提供
東京都千代田 情報処理機器、通信機器等の賃貸及 当社製品の賃貸及び販
富士通リース㈱ 1,000 20.00 あり
区 び販売 売
SoCの設計、開発及び販売並びにサー 製品の一部を当社へ納
㈱ソシオネクスト 横浜市港北区 30,200 40.00 なし
ビスの提供 入
富士通コネクテッドテクノ 神奈川県大和 製品の一部を当社へ納
9,196 携帯端末の開発、製造及び販売 30.00 あり
市 入
ロジーズ㈱
富士通クライアントコン ノートパソコン、デスクトップパソ 製品の一部を当社へ納
川崎市中原区 400 44.00 あり
ピューティング㈱ コン等の開発、設計、製造及び販売 入
電子部品及び電子機器の開発、製造 製品の一部を当社へ納
富士通コンポーネント㈱ 東京都品川区 50 25.0 0 なし
及び販売 入
当社子会社製品の販
LSI及び関連ソフトウェアの設計及び (30.00)
富士通エレクトロニクス㈱ 横浜市港北区 4,877 なし 売、富士通セミコンダ
開発並びに電子デバイスの販売 30.00
クター㈱の関連会社
(注)1.上記以外の連結子会社数は364社です。
2.上記以外の持分法適用関連会社数は18社です。
3.議決権に対する所有割合の欄の上段の( )内数字は間接所有割合で内数です。
4.※1の会社は特定子会社に該当します。
5.※2の会社は有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社です。
6.※3の会社は債務超過会社で、債務超過の金額は、2020年3月末時点で以下のとおりです。
Fujitsu Technology Solutions (Holding) B.V.(その連結子会社を含む) 64,578 百万円
Fujitsu America, Inc.(その連結子会社を含む) 29,505 百万円
7.※4の会社は2020年1月15日に設立し、2020年4月1日より事業を開始しました。そのため、営業上の取引等
については「-」としております。
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5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
2020年3月31日現在
従業員数(人)
セグメントの名称
111,175
テクノロジーソリューション
2,756
ユビキタスソリューション
8,903
デバイスソリューション
6,237
その他、全社共通
129,071
合計
(注)1.従業員数は就業人員(当社グループ(当社及び連結子会社)からグループ外への出向者を除き、グループ外
から当社グループへの出向者を含む。)です。
2.「その他、全社共通」には、当社グループ各社へのサービスを提供する子会社等の従業員数が含まれており
ます。
3.上表のほか、当連結会計年度(以下、当年度)における平均臨時雇用人員は12,876人です。
(2)提出会社の状況
2020年3月31日現在
従業員数(人) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(円)
32,568 43.6 19.5 8,036,835
従業員数(人)
セグメントの名称
28,765
テクノロジーソリューション
466
ユビキタスソリューション
3,337
その他、全社共通
32,568
合計
(注)1.従業員数は就業人員数(当社から当社外への出向者を除き、当社外から当社への出向者を含む。)です。
2.平均年間給与は、税込額で時間外勤務手当等及び賞与その他の臨時給与を含んでおります。なお、就業人員
数 から、当社外から当社への出向者を除いて算出しております。
3.平均年齢及び平均勤続年数は、就業人員の平均です。
4.「その他、全社共通」には、コーポレート部門等の従業員数が含まれております。
(3)労働組合の状況
当社グループには、全富士通労働組合連合会等が組織されており、同組合員数は約63,000名です。なお、春季
交渉等、同組合との主要な交渉事項については、いずれも解決しており、労使関係は引き続き安定しておりま
す。
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第2【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等
当社グループは、常に変革に挑戦し続け、快適で安心できるネットワーク社会づくりに貢献し、豊かで夢のある未来
を世界中の人々に提供することを企業理念としております。そのためには、健全な利益と成長を実現し、企業価値を持
続的に向上させることが重要と考えております。
<市場環境>
当社グループをとりまく市場環境については、従来型の基幹システムなどの既存IT市場は、今後緩やかに縮小してい
くと予測されています。一方で、レガシーシステムのリプレイスメントや、効率化のためのモダナイゼーション(注
1)への投資は堅調に増えると予測されています。さらに、AI(人工知能)やデータ活用、IoT(モノのインターネッ
ト)など、デジタル化に向けた投資は、今後急速に拡大すると想定されています。
このような状況のもと、当社グループは、ますます需要が高まる企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)
(注2)を牽引し、社会課題の解決に貢献する「DX企業」への変革を目指します。そのため、取締役会及び独立役員会
議などの場で議論を重ねて新たな経営方針を策定し、2019年9月に発表いたしました。
<経営方針概要>
今後は、AI、データ活用などのテクノロジーをベースとしたDXビジネスと、DXに必要なクラウド移行などのモダナイ
ゼーションとを合わせて「デジタル領域」とし、これを成長させていきます。
デジタル領域において、次の施策を進めてまいります。
DXビジネスを加速するため、これに特化したコンサルティング会社を設立します。経営戦略及び各業種に特化したコ
ンサル、ソリューションをベースとしたコンサルなど、様々な切り口で企画・提案を行い、社内外から最適なサービ
ス・製品を用いてテクノロジーを実装し、ワンストップで提供してまいります。
そして、DXを支えるテクノロジーとして、コンピューティング、AI、5Gネットワーク、サイバーセキュリティ、クラ
ウド、データマネジメント、IoTの7つを重点技術領域として定め、リソースを集中し強化してまいります。また、テ
クノロジーの強化に加え、ビジネス機会創出と新事業を推進するための投資を実行します。コーポレートベンチャー
キャピタルやベンチャー企業への投資、M&Aへの投資も適宜行ってまいります。
併せて、当社グループのDXを加速するため、社内プロセスや情報インフラの刷新を行い、社内改革を実行してまいり
ます。
当社グループが強い顧客基盤を持つ従来型ITビジネスについては、一層の効率化を推し進めるとともに、商談機会を
確実に獲得することで、利益を確保してまいります。
海外ビジネスについては、成長軌道に乗せるためのビジネスモデル変革に引き続き取り組んでおり、特に欧州は、
NWE(Northern & Western Europe)及びCEE(Central & Eastern Europe)の2リージョンに分け、それぞれに責任者を
置いて機動的にビジネスを展開してまいります。
また、非財務面での取り組みも強化してまいります。当社グループは、SDGs(Sustainable Development Goals)
(注3)を経営の中心に据えて取り組んでおります。これまでも責任ある企業として、世界各地域において、それぞれ
テーマに沿って活動しておりましたが、今後は、グローバルに統一したテーマのもと、活動を進めてまいります。人権
や多様な価値観、心身ともに健康であることを目指すウェルビーイング、地球環境、倫理・コンプライアンス、コミュ
ニティ活動などのカテゴリーごとに目標を定め、社会課題の解決に取り組むとともに、グローバルに持続的な成長を目
指してまいります。
上記の施策を推し進め、グローバルでの競争力を高めながら、DX企業への積極的な変革に取り組んでまいります。当
社は、急速に変化する世界のなかで創立から100年(2035年)を超えて繁栄していくため、「イノベーションによって
社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」というパーパスを制定しました。このパーパスの実現に向け
て、中期経営目標として、2022年度には、本業のテクノロジーソリューションにその他全社消去を加味した値として、
売上収益3兆5千億円、連結営業利益率10%の達成を目指してまいります。
<コンプライアンスへの取り組み>
なお、当社グループは、企業価値の維持・向上の観点から、コンプライアンスを含む内部統制体制の構築及び運用を
経営の最重要事項の一つと認識し、FUJITSU Wayの「行動規範」に則り、その徹底を図っております。コンプライアン
スに関する取り組みの一層の強化も対処すべき課題と位置づけ、今後も、継続して取り組んでまいります。
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<新型コロナウイルスへの対応>
当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、お客様、お取引先様、従業員とその家族の安全
確保・感染予防と感染拡大の防止、事業継続に向けた対応に取り組んでいます。海外を含む全拠点において、各国政府
の指示に従い、自宅勤務などの対策を適宜進めております。またお客様に対しても、Web会議システムなどを活用した
リモートでのサポートを実施しております。今後も、各国政府及び関係機関の指示に従いながら、ITを活用した最大限
の取り組みを行ってまいります。
<新型コロナウイルスによる市場環境の変化>
新型コロナウイルスの感染拡大により、世界規模で経済活動に影響が出ており、その回復の見込みはいまだ不透明な
状況にあります。外出・移動制限による個人消費の落ち込みや世界各国における貿易制限措置によるサプライチェーン
リスクの顕在化など、各産業において様々な影響が出ています。一方で、これまで対面で行われていた生活やビジネス
のシーンが、今後オンラインの場に移行すると予想されており、テレワークやオンライン教育などへのIT関連需要は拡
大すると予測されています。より人を中心にデータが複雑につながっていく中、当社はデジタルテクノロジーと多様な
業種への実績・知見を活かし、安心で利便性の高い社会づくりに貢献していきます。
(注) 1.現状の資産を活用しながら、変化対応力を備え、先進技術を素早く活用できるシステムへ変革していくこ
と。
2.デジタル技術とデータを駆使して革新的なサービスやビジネスプロセスの変革をもたらすもの。
3.2015年に国連で採択された国際社会が環境や社会、経済活動を未来に向けて持続可能とするための世界共通
の開発目標。
(2)気候変動・エネルギー問題への対応
気候変動は国・地域を超えて世界に影響を与える問題であり、グローバルに活動する当社にとって重要な課題である
と認識しています。
気候変動に伴う影響は、事業活動に様々なリスク(注1)をもたらします。例えば、近年、発生頻度・影響度が増大
した自然災害は、調達・物流・エネルギー供給網を寸断し、部品やエネルギー等調達を困難とします(物理リスク:急
性)。また、気温の長期的な変化は空調エネルギー使用量の増加を招くなど(物理リスク:慢性)、当社グループの事
業へ影響を与える可能性があります。さらに、温室効果ガス(以下、GHG)の排出規制等の様々な規制の強化が考えら
れ、これらに適合ができない場合には、企業レピュテーションが低下したり(移行リスク:評判)、省エネ製品・サー
ビスの開発が不十分な場合に規制への適合を条件とする入札に参加できなくなったりする可能性があります(移行リス
ク:市場/技術)。また、これらの規制等に適合するために必要なコストが増加する可能性があります(移行リスク:
政策・法規制)。従って、さらなる省エネの強化や、低/ゼロGHG排出エネルギーの利用の推進と、サプライチェーン管
理の強化が必要です。
一方、気候変動への対応は、当社グループのお客様においても課題であることから、気候変動の緩和と適応に貢献す
る製品やサービスの開発と提供は、お客様とともに課題克服のイノベーションを創出する機会につながります。ICTに
より多様なモノやサービスをデジタルにつなげることで、物流や交通、ものづくりなど様々な分野でエコシステムを形
成し、社会システム全体としてのエネルギーの最適利用を実現するとともに、先進テクノロジーをレジリエントな社会
インフラの構築などに活用することが可能です。
こうした背景を踏まえ、当社グループは、グローバルICT企業として、気候変動対策において果たすべき役割や実現
すべき未来の姿を明確にした2050年までの中長期環境ビジョン「FUJITSU Climate and Energy Vision」を策定しまし
た。本ビジョンは、ICTを活用し自らの「脱炭素化」にいち早く取り組むこと、及び、そこで得たノウハウと当社のデ
ジタルテクノロジーをソリューションとしてお客様・社会に提供し、ビジネスを通して気候変動の緩和と適応に貢献す
ることを狙いとしています。
本ビジョンの実現に向け、2018年に、事業で使用する電力を100%再生可能エネルギー(以下、再エネ)とすること
を目指す国際的なイニシアチブ「RE100」に加盟しました。国内外の富士通グループ拠点で消費する電力を2050年まで
に100%再エネ由来とすることを目指すと共に、エネルギーのマネジメントや貯蔵などの研究開発や技術実証に取り組
み、社会全体の再エネの普及拡大にも貢献していきます。
自らの「脱炭素化」について具体的には、2050年までに自らのCO2ゼロエミッションを掲げていますが、そのCO2削減
シナリオは、「2℃目標」(注2)達成のために科学的に根拠のある水準であると認められ、自社及びサプライチェーン
における排出削減目標(2030年目標、2050年目標[自社のみ])として、国際的なイニシアチブ「Science Based
Targets initiative(SBTi)」(注3)に承認されています。今後、SBTiの「1.5℃目標」の承認取得を目指します。ま
た、長期目標の達成に向け策定した、GHG排出削減や再生可能エネルギー使用量等を含む短期目標「第8期富士通グルー
プ環境行動計画(2020年目標)」において、設備の省エネ対策、製造プロセスの見直しによる効率化、オフィス空調温
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度の適正化等により、2018年度の温室効果ガス排出量削減目標を達成しました。2018年度の温室効果ガス排出量は、直
接排出(Scope1)が147千トン、間接排出(Scope2)が808千トンでした。
こうした気候変動に係るリスクと機会に関する具体的な方針や目標の管理は、代表取締役社長を主宰とし、グループ
全体に関わる環境を含むサステナビリティ関連事項の提案・決定・指示を行う委員会である「サステナビリティ経営委
員会」において実施され、経営会議での最終決定の後に取締役会に報告されます。さらに、取締役会の監督の下、全社
レベルのリスクマネジメント体制において各部門でのリスク分析結果を踏まえ統合的に気候変動関連のリスク分析と対
応が行われます。リスク管理のプロセスにおいては、最初に識別・評価を行い、発生頻度やインパクトから優先順位付
けした上で、関連する委員会等で回避・軽減・移転・保有などの対策を決定し、進捗管理を行います。重要リスクにつ
いては定期的に取締役会に報告しています。
当社は、2019年4月にTCFD(注4)による気候変動情報開示への提言に賛同を表明し、比較可能性や一貫性に配慮した
開示に努めています。
最新の情報と詳細は、当社ウェブサイトをご参照ください。
(注)1.気候関連財務情報開示タスクフォース(注4参照)では、気候変動関連リスクを、 (1) 低炭素経済への移行に
関連した「移行リスク」と、 (2) 気候変動の物理的影響に関連した「物理リスク」に分類。移行リスクに
は、「政策及び法規制のリスク」、「技術のリスク」、「市場のリスク」、「評判上のリスク」が含まれ、
物理リスクには、異常気象の激化などによる「急性リスク」と長期的な気温上昇などによる「慢性リスク」
が含まれます。
2.「産業革命前からの平均気温上昇を2℃未満に抑える」という目標。国連気候変動枠組条約第21回締約国会
議において、2020年以降の温暖化対策の国際的枠組みとして採択され、2016年11月にパリ協定において発効
されました。
3.2015年に国連グローバルコンパクト、WRI(世界資源研究所)などの団体が共同で設立したイニシアチブ。
産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑えるために、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標の
設定を企業に働きかけています。
4.気候関連財務情報開示タスクフォース。気候変動に係る金融市場の不安定化リスクを低減するため、G20の
要請で金融安定理事会が設立。2017年6月に、気候変動がもたらすリスク、及び機会についての情報企業・
団体等が自主的に把握、開示することを推奨する提言を発表しました。
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2【事業等のリスク】
当社グループは、当社グループの事業その他におけるリスクを適切に把握し、対応することを経営における重要な
課題と位置づけ、取締役会が決定した「内部統制体制の整備に関する基本方針」に基づき、取締役会に直属するリス
クマネジメント及びコンプライアンスにかかる最高決定機関として、「リスク・コンプライアンス委員会」を設置し
ています。リスク・コンプライアンス委員会は、これらのリスクを認識・評価した上で、リスクの回避・軽減・移
転・保有を判断、実行し、認識・評価された結果については取締役会で報告を行い、各リスクに対する回避・軽減・
移転・保有などの対策状況を確認したうえで、さらなる対策の策定、見直しなどを実施するとともに、万一発生した
場合には影響の極小化に努めております(重要リスクのリスクマネジメントプロセス)。
また、リスク・コンプライアンス委員会は国内外の各部門や各グループ会社へリスク・コンプライアンス責任者を
配置するとともに、これらの組織が相互に連携を図りながら、潜在リスクの発生予防と顕在化したリスクへの対応の
両面から、グループ全体でリスクマネジメント及びコンプライアンスを推進する体制を構築しております。
なお、以下の内容は、当社グループの全てのリスクを網羅するものではありません。本項においては、将来に関
する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日(2020年6月22日)現在において当社グループが
判断したものです。
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Ⅰ.経営方針・経営戦略等との関連性
当社は経営目標の達成に向けて「経営方針及び対処すべき課題」に記載された様々な施策を進めてまいりますが、
これらの施策に直接影響を与える可能性のある主なリスクとその対策は、以下の(1)~(5)、(8)、(11)、(13)におい
て、経営方針・経営戦略との関連性も考慮して記述しております。
Ⅱ.当社グループの事業活動におけるリスク
(1)経済や金融市場の動向に関するリスク
①主要市場における景気動向
当社グループは、日本国内及び世界各国で、政府等の公共機関や企業等に、ICTを活用したサービス、サーバやス
トレージ等の製品、ネットワーク製品、コンサル人材等を提供しております。これらの事業の売上及び損益は、景気
動向及び各市場における急激な需給バランスの変化に大きく左右されます。特に、当社グループの主要市場である、
日本、欧州、北米、オセアニア、中国を含むアジアにおける景気動向及び急激な需給バランスの変化は、当社グルー
プの事業に大きな影響を与えます。また、こうした市場の変化に対応するため、当社グループでは継続的に構造改革
を行っておりますが、急激な変化が発生した場合には、構造改革の規模が想定以上に大きくなることがあり、それに
伴う一時的な費用の発生が増大することがあります。
②為替動向と金利変動及び資本市場の動向
当社グループは、海外での事業拡大を進めております。そのため、為替変動に関する情報収集及び当社グループ内
での共有等を行っておりますが、為替の急激な変動は、海外ビジネスの売上及び損益に影響し、海外に提供する製品
やサービスの価格競争力の低下等を招くおそれがあり、また、海外からの部材等の輸入や製品等の輸出に大きな影響
を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループが海外に保有する資産・負債等についても、為替変動により資産
等が目減り、または負債等が増大する可能性があります。
当社グループの有利子負債の中には金利変動の影響を受けるものが含まれています。従って、金利上昇によって支
払金利や調達コストが増加することがあります。
また、国内外の株式市場の動向は、当社グループの保有する他社株式の評価額及び年金資産の運用状況に大きく影
響を及ぼします。従って、株式市場が低迷した場合、年金資産の目減りにより会社負担が増大したり、保有株式の評
価減が発生したりするおそれがあります。
(2)お客様に関するリスク
当社グループのビジネスは、日本政府、自治体、各国政府等の公共機関、情報通信事業、金融業、製造業、流通
業、ヘルスケア産業等のお客様との取引割合が高くなっております。当社グループは、市場動向、技術動向、お客様
の状況の変化を注視しておりますが、お客様の政策・方針や、業界の経営環境、市況変化、業界再編の動き等は、お
客様のICT投資動向の変化につながり、お客様のICT投資計画やその見直し及びお客様の製品やサービスの売れ行き等
は、当社グループの製品やサービスの需要や価格に大きな影響があります。また、海外ビジネスにおいては、各国に
おける政府系のプロジェクトが重要な事業となっています。そのため、当該政府のICT投資計画の見直しや抑制があっ
た場合、当社グループの売上及び損益に影響を与えます。
新型コロナウイルス感染症は世界中の様々な業種のお客様に大きな影響を及ぼしており、これによりお客様のICT
投資が抑制されることも予想され、当社グループの売上及び損益に影響を与える可能性があります。その一方で、新
型コロナウイルス感染症収束後のニューノーマル(新しい常態・常識)の世界へ移行していく動きが高まっており、
その実現のためにお客様に新たな需要が生じることも考えられます。当社は、多様な業種への実績、理解とデジタル
テクノロジーを活用し、人とデータを中心とした新たな生活様式を築いていく役割を果たしたいと考えています。
なお、当社グループは、お客様のかけがえのないパートナーとなり、ICTのライフサイクルにわたるソリューショ
ンを提供し、お客様と長期的な信頼関係を築くことを目指しており、お客様との関係継続が事業の安定にとって重要
です。お客様との信頼関係が継続できない場合もしくは、取引または契約関係が継続できない場合、当社グループの
売上及び損益に影響を与えます。
(3)競合・業界に関するリスク
市況の変化や競争激化、技術革新等は、製品やサービスの価格下落につながる可能性があります。当社グループ
は、技術の進歩や競争激化等による当社製品・サービスの低価格化を想定し、お客様のニーズや他社状況を把握し
て、競争力のある製品・サービスのラインナップを拡充することで販売拡大に努めるとともに、コストダウンに取り
組んでおりますが、価格下落が当社グループの想定を上回るリスクや、調達価格の変動等により、当社グループが十
分なコストダウンや販売拡大を実現できないリスクがあります。
そのような場合、当社グループの売上及び損益に影響があります。
また、ICT業界では、既存の競合他社に加え、異業種を含めた新規参入者との競争も激しくなっています。現在、
当社グループが競争優位性を持っている分野でも、新規参入業者を含めた競合他社との競争に晒され、将来の事業に
おいて優位性を確保できないリスクがあります。ICT業界では技術の進歩が大変早く、新製品や新技術は急速に陳腐化
します。競争力維持のためには、先端技術の開発を続けることが必要です。当社グループは技術やサービスの優位性
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を確保する努力を最大限行いますが、これらの技術開発競争で他社に優位性を奪われた場合、シェアや利益率が低下
し、当社グループの売上及び損益に影響を及ぼします。
(4)投資判断、事業再編に関するリスク
ICT業界においては、競争力維持のため、多額の研究開発投資、設備投資及び事業買収・売却、事業再編等が必要
な場合があります。当社グループは、今後も必要な施策を実行してまいりますが、これらの実施の成否は、当社グ
ループの経営成績に大きな影響を及ぼします。当社グループでは、投資や事業再編にあたって、市場動向やお客様の
ニーズ、当社技術の優位性、買収先の業績、当社グループの事業ポートフォリオ等を勘案して決定しておりますが、
当社グループが有望と考えた市場や技術、または買収先が、実際には想定ほど成長しなかったり、需給悪化や価格下
落が予想以上に早く起きたりする可能性があります。また、当社グループでは、投資効率を検討し、所要変動に応じ
て投資を複数段階に分けて行ったり、事前にお客様と提携したりと、リスクを軽減する努力をしておりますが、常に
投資から十分なリターンを得られるとは限りません。
(5)調達先・提携等に関するリスク
①調達に関わるリスク
当社グループが提供する製品やサービスは、最先端の技術を使用しており、一部の部品、原材料等については、安
定的な調達が困難であったり、供給が滞った場合の代替の調達先を確保できなかったりするリスクがあります。ま
た、大量に調達が必要な部品、原材料等について、必要な量を調達できないリスクがあります。さらにお取引先にお
いて、自然災害、感染症の流行、事故、経営状況の悪化等により、当社グループに対する部品、原材料等の安定的な
提供が困難になるリスクがあります。当社グループは、調達のマルチソース化、お取引先への事業継続マネジメント
(BCM:Business Continuity Management)の働きかけや支援の強化並びに適正な在庫の確保といった取り組みによっ
てサプライチェーンの維持の努力をしておりますが、それでも部品、原材料等の確保が十分に行えなかった場合、製
品及びサービスの提供が遅れ、お客様への納期遅延や機会損失等が発生する可能性があります。調達部品等について
は、為替動向や需給逼迫等により調達価格が当初見込みを上回り、製品及びサービスの利益率の悪化や、値上げによ
る売上の減少が起きる可能性があります。また、できる限り品質確保に努めておりますが、購入部品の不良を完全に
防げるとは限りません。購入部品に不良があった場合、納期遅延や、製品不良が発生し、機会損失、修理回収費用、
不良品廃却費用、お客様への賠償責任等が発生する可能性があります。
②提携、アライアンス、技術供与に関するリスク
当社グループは、グローバルなICTビジネス環境における競争力強化のため、業務提携、技術提携、合弁等の形
で、多くの会社と共同で活動を行っており、引き続きこのような活動を前向きに活用する予定です。しかし、提携、
合併に伴うリスクの事前の評価に関わらず、経営、財務、あるいは、その他の要因により、協力関係を成立、また
は、継続できない場合や、これらの協力関係から十分な成果を得られない場合も考えられ、そのような場合には、当
社グループの事業に影響を及ぼすことがあります。また、当社グループの製品やサービスは、他社の許諾を受けて使
用している多くの特許や技術、ソフトウェア、商標等を前提としておりますが、これらの技術等について、今後も当
社グループが許容できる条件で、他社からの供与や使用許諾を受けられるとは限りません。
(6)公的規制、政策、税務に関するリスク
当社グループの事業活動は、グローバルに展開しているため、各国・各地域の数々の公的規制、政策動向、税務法
制、運用等の影響を受けます。具体的には、事業展開する各国において、政府の政策、事業及び投資の許可、輸出入
に関する制限等のさまざまな規制並びに、独占禁止、知的財産権、消費者、環境・リサイクル、労働条件、派遣・下
請、租税等に関する法令の適用を受けております。当社グループは、各国・各地域における政策の動向を注視してお
りますが、これらの政策や規制等の強化や変更は、対応コストの増加や仮に違反が認定された場合の制裁金等の負担
により、当社グループの損益に影響を与えます。また、当社グループがソリューションを提供する分野には、通信、
医療、工事、個人情報の取扱い等、公的規制を受ける領域があります。これらの市場における規制の動向が当社グ
ループの事業へ影響を与える可能性があります。
(7)自然災害や突発的事象発生のリスク
①自然災害、感染症、火災等によるリスク
当社グループでは、防災に関する強固な連携体制の構築と事業継続対応能力強化を図るため、全社防災組織を編成
し、様々な訓練を実施しております。また、過去の地震における対応を教訓として、事業所における耐震・浸水対策
や定期点検の取り組みについても強化しております。さらに、地震や大規模な水害、火山の噴火等の自然災害、新型
インフルエンザ、新型コロナウイルス等の感染症の流行、火災・爆発等の発生時にも、重要な事業を継続し、企業と
しての社会的責任を遂行するとともに、お客様が必要とする高性能・高品質の製品やサービスを安定的に供給するた
めに、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)を策定し、その継続的な見直し及び改善を実施する事業継続
マネジメント(BCM)を推進しております。
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しかしながら、近年、世界的な気候変動により、台風、水害、大雪等の自然災害の発生頻度や影響度は高まってお
ります。また、首都直下、南海トラフ等における巨大地震、感染症のパンデミック、火山噴火等の不測の事態は、十
分 に影響度を検討して策定したBCPにおいても、被害想定を超えた規模で発生する可能性があり得ると考えられます。
当社グループは、防災対策やBCMを今後も継続して推進してまいりますが、このような事態が発生した場合、事業所の
機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへの被害
等により、お客様へのサービス提供や製品出荷等の停止など、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性
があります。
世界的に感染が拡大し、大きな影響を与えている新型コロナウイルス感染症について、当社グループでは、お客
様、お取引先様、従業員とその家族の安全確保と感染拡大の防止を最優先としつつ、お客様への製品・サービス提供
の継続、及び感染拡大により生じる様々な社会課題の解決に資する取り組みを進めております。具体的には、従業員
に対する在宅勤務や時差出勤の推奨、社内会議や当社主催のイベントのウェブ会議やウェブ配信への切り替えを実施
しております。また、これまでお客様先で行っておりました、システム開発、運用、保守業務等についても、テレ
ワーク等のリモート対応への切り替えや、お客様先での作業が必須になる場合はソーシャルディスタンスの確保、定
期的な換気などをお願いさせていただいております。国内外の政府当局、お客様と連携した諸施策の実行などによ
り、重要な事業を継続維持し、社会的責任を遂行することを目指しております。しかしながら、当社グループ、委託
先またはお客様先の感染者の発生、部材メーカーからの部品供給の不足・遅れ、国内外の政府当局の今後の施策に
よっては、製品・サービスの持続的な提供に影響を与える可能性があります。また、今後、経済活動の低迷を起点と
した市況変化によっては、当社グループのビジネス領域における市場動向やお客様のICT投資動向にも変化をもたら
し、当社グループの事業に影響が出てくる可能性があります。
②紛争・テロ・政情不安等に関するリスク
当社グループが事業活動を展開する国や地域において、紛争やテロ、デモ、ストライキ、政情不安等が発生した場
合、当社の事業に大きな影響を与えるリスクがあります。
(8)財務に関するリスク
外部の格付け機関が当社グループに対して発行する格付け(CSR・サステナビリティ関連の格付けを含む)は、資
金調達や企業レピュテーションに大きな影響を及ぼすとともに、お客様と取引する際の信用情報として使われること
があります。当社グループでは、流動性の確保、資金調達計画の策定、金融市場動向の分析等、資金調達に関するリ
スクへの対応を行っていますが、収益計画の未達や財務状況の悪化等の理由によりこれらの格付けが引き下げられた
場合、当社グループの資金調達に影響を与えるほか、入札等、取引参加において不利になる可能性があります。
また、当社グループでは、与信管理に関する情報の共有及び外部機関の信用不安情報の共有と動向監視、債権保全
に関するアドバイス・指示及び注意喚起の実施等、与信管理に関するリスクへの対応を行っていますが、取引先の経
営悪化や経済情勢の悪化等の信用不安により売掛債権の回収に影響を及ぼす可能性があります。
(9)製品やサービスの欠陥や瑕疵に関するリスク
当社グループでは、FUJITSU Wayにおいて、品質を事業活動の根幹に関わる事項として捉え、快適で安心できる
ネットワーク社会を支えるために、その維持・向上に日々たゆまず取り組んでおります。
システムの受託開発については、品質管理の全社ルールを定め、ソフトウェアのモジュール化、開発の標準化、セ
キュリティ監査等による品質向上に努めておりますが、納入後に瑕疵等が発生する可能性があります。また、お客様
要求の高度化、システムの複雑化が進み、開発難度がますます高まっており、同時に競争の激化による価格低下圧力
が格段に強まっております。これらに対し、お客様との契約のあり方を見直すとともに、営業・SEのビジネスプロセ
スの標準化を進め、商談発生時からプロジェクトの進行を通じてリスク管理を行い、納期遅延や不採算プロジェクト
の発生を抑制しております。併せて損失の引当ても適時に実施しております。しかしながら、これらによっても、納
期遅延や不採算プロジェクトが発生する可能性があります。
また、製品・サービスの運用・保守業務については、安定稼動のため、お客様と協働での点検や品質、契約、ルー
ル等を改善する活動を継続的に行っておりますが、瑕疵等が発生する可能性があります。
さらに、製品の設計・開発・製造については、品質管理の全社ルールを定め、関連法規の順守・最新基準への適
合、品質の向上及び外部購入品の品質管理を進めておりますが、当社製品において、欠陥や瑕疵等が発生する可能性
があります。
このような製品及びサービスの欠陥、瑕疵等が発生した場合、製品回収や補修、システムリカバリー作業や、お客
様への補償、機会損失等が当社グループの売上及び損益に影響を及ぼします。また、万一欠陥、瑕疵等への対応にお
ける判断誤りや組織的な不正があった場合、企業レピュテーションは低下し、当社グループの損益への影響を拡大さ
せる可能性があります。
(10)コンプライアンスに関するリスク
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当社グループは、FUJITSU Wayにおいて、当社グループの従業員として厳守すべきことを行動規範として定め、ま
た、これを詳細化して個々の従業員が行動する際のガイドライン(GBS: Global Business Standards)をグループで
統一的に運用するなど、社内ルールの浸透と徹底、規範遵守の企業風土の醸成と、そのための社内体制や仕組みの構
築 を推進しています。しかしながら、このような施策を講じても、コンプライアンス上のリスクを完全に排除するこ
とはできない可能性があり、国内外の関連法令、規制などに抵触する事態が発生した場合には、当社グループの社会
的な信用が低下し、あるいは、多額の課徴金や損害賠償が請求されるなど、当社グループの事業に影響を及ぼす可能
性があります。
(11)知的財産に関するリスク
当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してまいりましたが、当社グループ独自の技術と
ノウハウの一部は、特定の地域では法的な制約のために知的財産としての十分な保護が受けられない場合がありま
す。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使って類似製品等を製造、販売するのを効果的に防止できない可
能性があります。また、他社が類似、もしくはより優れた技術を開発した場合、当社グループの知的財産の価値が低
下する可能性があります。また、当社グループでは他社の知的財産を侵害することのないよう、社内規程の整備や製
品出荷前の他社知的財産調査の徹底等を行っておりますが、当社グループの製品やサービスまたは技術について、他
社の知的財産を侵害しているとされ、使用料支払いや設計変更費用等が当社グループの損益に影響を及ぼす可能性が
あります。また、当社グループは従来、従業員の発明に対して職務発明補償・報奨を積極的に行い、今後も法令等に
基づいた職務発明補償・報奨を実施いたしますが、補償・報奨評価に対して発明者から訴訟を提起されるリスクがあ
ります。
(12)セキュリティに関するリスク
①情報セキュリティに関するリスク
お客様、お取引先、または当社グループの機密情報や個人情報の保護については、社内規程の制定、従業員への教
育、情報インフラの整備、業務委託先も含めた指導等の対策を実施しておりますが、情報漏洩を完全に防げるとは限
りません。万が一、情報漏洩が起きた場合、当社グループの信用は低下し、お客様の情報を漏洩した場合には、法的
責任が発生するおそれがあります。
②サイバーセキュリティに関するリスク
当社グループの重要な事業活動基盤の一つである社内ネットワークにつきましては、安定した運用を行うための万
全の体制を構築し、セキュリティ対策を実施しておりますが、コンピュータウイルスの侵入や不正アクセス等のサイ
バー攻撃による社内ネットワークやシステムの運用停止や情報漏洩等を完全に防げるとは限りません。その結果、当
社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
③物理セキュリティに関するリスク
当社グループは、保有または賃借している事業所等において、セキュリティゲート・ドア・カメラ等による入退室
の制限と管理により、重要情報の漏洩の防止対策等を図っておりますが、物理的な破壊による業務停止や情報漏洩等
を完全に防げるとは限りません。
(13)人材に関するリスク
当社グループの成長と利益は、人材に大きく依存します。従って、経営者、優秀な技術者等、必要とする人材を採
用及び育成し、並びに流出を防止することは当社グループにとって重要となります。当社グループではジョブ型人事
制度や高度人材処遇制度などの新しい人材制度改革の導入などにより、優秀な人材が集まり活躍しやすい環境を整備
しておりますが、優秀な人材を採用または育成することができない場合や、人材の流出を防止できない場合、当社グ
ループの成長や利益に影響を及ぼす可能性があります。
また、従業員との間で労働契約の終了に関する合意が円滑になされない場合や法令に基づく適切な労務管理ができ
ないこと等により従業員に重大な労働災害が発生した場合には、人事部門、法務部門を中心に対処する体制を整備し
ておりますが、労務問題によって企業レピュテーションの毀損や紛争につながる可能性があります。
(14)当社グループの施設・システムに関するリスク
当社グループでは、国内外に事業所、工場、データセンターなど様々な施設を保有または賃借しております。いず
れの施設についても、各国の建築基準その他の規制を遵守し、また独自に安全基準を設けるなどしておりますが、地
震、大規模な水害、火災、放射能汚染等の災害や感染症、テロ、デモ、ストライキ、施工品質の不足、運用ミスなど
が発生した場合、生産ラインの停止等、施設・システムの運用が停止することにより、当社グループの事業に影響を
及ぼす可能性があります。
(15)環境・気候変動に関するリスク
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当社グループでは、FUJITSU Wayにおいて社会に貢献し地球環境を守ることを企業指針の一つに掲げ、環境保全を
経営の最重要事項の一つと位置付けて、環境負荷の低減や環境汚染の発生防止等に努めておりますが、事業活動を通
じ て環境汚染等が発生する可能性があります。また、当社グループ工場跡地において、土壌や地下水の調査及び浄化
活動を行っていますが、今後新たな汚染が判明する可能性があります。このような環境汚染が発生または判明した場
合、当社グループの社会的な信用低下や、浄化処理等の対策費用発生等により損益に影響を及ぼします。
また、近年の気候変動により発生頻度・影響度が増大した自然災害は、調達・物流・エネルギー供給網を寸断し、
気温の長期的な変化は空調エネルギー使用量の増加を招くなど、当社グループの事業へ影響を与える可能性がありま
す。さらに、気候変動に対しては温室効果ガスの排出規制等の様々な規制の強化が考えられ、これらの規制等に適合
ができない場合には、企業レピュテーションが低下したり、規制への適合を条件とする入札に参加できなくなったり
する可能性があります。また、これらの規制等に適合するために必要なコストが増加する可能性があります。
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3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要、経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度における当社及び連結子会社並びに持分法適用会社(以下、当社グループ)の経営成績、財政状態
及びキャッシュ・フローの状況の概要、経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分
析・検討内容は次の通りです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在
において判断したものです。
文中において、当連結会計年度は当年度、前連結会計年度は前年度と、省略して記載しています。
① 当社グループの課題及び取り組み
当社グループは、IT企業からDX企業への変革を目指し、DXビジネスおよびDXビジネスに向けたモダナイゼーション
やデータの分析・可視化、システム運用の効率化などを含む「デジタル領域」を成長ドライバーと位置付け、市場の
成長を取り込んで事業を拡大します。同時に、企業の業務の中核部分に関わる大規模な基幹システムの構築や、その
運用サービスの提供を中心とする「従来型IT領域」に関しても、これまで築いてきた国内の強固な顧客基盤を軸に事
業規模を維持するとともに、さらなる収益性の強化を図る方針です。このような事業方針のもと、当社グループは
2022年度にコア事業のテクノロジーソリューション(*1)で売上収益3兆5,000億円、営業利益率10%の達成を中期経営
目標として掲げています。
(*1:「テクノロジーソリューション」に「その他及び消去又は全社」を加味した値)
テクノロジーソリューション(*1)の2019年度は年初時点で、売上収益3兆1,500億円、営業利益1,450億円、営業利
益率4.6%を計画していました(*2)。結果は、売上収益3兆1,632億円、営業利益1,878億円、営業利益率5.9%といず
れも計画を上回ることができました(*2)。テクノロジーソリューションへの経営資源の集中を進める事でコア事業の
売上収益は確実に伸長し、採算性を改善することができました。キャッシュやバランスシートの観点でも健全な財務
基盤の構築を進めており、事業環境変化への対応力は確実に強化されています。2019年度は、中期経営目標達成に向
けた初年度として、順調なスタートを切ることができました。
(*2:ビジネスモデル変革費用などの特殊事項を除く本業ベース)
収益性向上を実現するためのメインエンジンは、国内サービスだと考えています。盤石な顧客基盤を維持・強化し
一層のシェア拡大を図ると同時に、コスト削減も進めています。サービスデリバリーの競争力をさらに高めるカギは
オフショア開発拠点であるグローバルデリバリーセンター(以下、GDC)です。GDCの活用を通じ、サービスビジネス
の開発・運用コストの削減をさらに進めると同時に、当社グループのナレッジを集約することで、単なるローコスト
開発センターではなく、付加価値を提供するグローバルビジネスの要として高度化を進めています。2022年までに2
万人体制まで拡大し、GDCの業務範囲についても、従来のアプリケーション開発から、設計・運用フェーズを含むIT
システムのライフサイクル全般に拡大する取り組みを進めています。また、従来システムエンジニアが行っていた開
発や運用に関わる作業も見直し、プロセスのテンプレート化を進めるほか、AI(Artificial Intelligence)やRPA
(Robotic Process Automation)の活用による自動化を推進しています。
ネットワークビジネスでは、DXのインフラを支える5G(第5世代移動通信システム)に注力し、基地局制御装置およ
び無線装置についてはいち早く国内通信キャリア向けの供給を開始するとともに、5Gソリューションの実証のための
お客様やパートナーとのコラボレーションラボを自社施設内に構築しました。
社内改革も進めています。グローバル視点で人材活用が可能な体制に変更するため、国・組織を超えたクロスボー
ダーな成長機会を提供するジョブ型人事制度を導入するとともに、市場価値に照らして柔軟に報酬設計を行うことで
専門性の高い人材を獲得する高度人材処遇制度についても拡充を図っています。
収益性の改善が課題となっている海外のインフラサービスビジネスにおいては、効率的なデリバリーを行うため、
GDCを核に欧州のサービスデリバリー体制を一本化しました。また、欧州及び北米地域ではビジネスモデル改革を実
施しました。欧州では、サービスの展開に必要なパソコンやサーバ等を製造するドイツのアウグスブルグ工場につい
て、その機能を外部の製造受託会社へ移管するなど2020年9月の生産終了に向けて手続きを進めるとともに、採算性
の低い国・地域からの撤退をほぼ完了しました。北米では採算性の低いプロダクトビジネスからの撤退や、リテール
ビジネスでのグループ内の重複を解消し、サービスビジネスを強化して収益性を高める決定を行いました。
デジタル領域での成長を担う新たなフォーメーションとして、お客様のDXを実現する「Ridgelinez株式会社(以
下、リッジラインズ)」を設立しました。リッジラインズは、お客様が抱える経営課題や事業課題など、本質的・根
源的な課題解決にお客様視点で取り組むとともに、国内外の幅広い企業とのパートナーアライアンスにより、当社グ
ループの製品やサービスにとどまらない最適なテクノロジーによるDXを支援します。
また、当社グループの中長期戦略の策定・実行を支援するシンクタンクとして、「株式会社富士通フューチャース
タディーズ・センター(以下、FFSC)」を設立しました。FFSCは、当社グループが最先端のサービスをお客様に提供し
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ながらグローバルに成長するために必要な国際情勢や先端テクノロジーの動向を横断的に調査・分析し、当社グルー
プの中長期戦略の策定・実行を支援します。
さらに、当社グループが得意とする日本市場に根差したビジネスを強化するため、全国の自治体、医療 機関、
教育機関ならびに民需分野の準大手、中堅・中小企業をターゲットとして、お客様が抱えるICTの高度化や地域の社
会課題を解決し、国内市場で圧倒的な地位を確立するための新会社を発足します。
新型コロナウイルス感染症により、2019年度は、売上収益で約160億円、営業利益で約50億円のマイナス影響があ
りました。主として、ものづくりやデリバリーに関して、テクノロジーソリューションに含まれるネットワーク事業
やシステムプロダクト事業の部材調達に支障が生じたほか、アジアにおいて物流停滞等による納品遅延が発生しまし
た。
新型コロナウイルス感染症の収束時期は不透明な状況にありますが、グローバルな経済活動は2020年度後半以降緩
やかに回復するものと想定しています。一方、当社グループの経営成績等に与える影響額につきましては、新型コロ
ナウイルス感染症の影響が各国・地域や業種・業態によって異なるため、現時点で合理的に見積もることは困難であ
ると考えています。
当社グループは、約5千億円の水準の手元流動性を有し、追加の資金調達余力も含めると、緊急の資金需要に対応
するのに十分な支払能力を有しています。また、自己資本比率は約40%と、十分な自己資本を有しています。これら
健全な財務基盤により、新型コロナウイルス感染症に対し短期的にも中長期的にも資金繰り等の大きな問題はないと
考えています。
② 経営成績
<要約連結損益計算書> (億円)
前年度 当年度
前年度比 増減率
(自 2018年4月 1日 (自 2019年4月 1日
(%)
至 2019年3月31日) 至 2020年3月31日)
39,524 38,577 △946 △2.4
売上収益
△28,798 △27,484 1,314 △4.6
売上原価
10,725 11,093 367 3.4
売上総利益
△9,333 △8,646 686 △7.4
販売費及び一般管理費
△89 △331 △241 270.0
その他の損益
1,302 2,114 812 62.4
営業利益
89 22 △66 △74.4
金融損益
226 147 △78 △34.6
持分法による投資利益
1,617 2,285 667 41.3
税引前利益
△510 △682 △171 33.6
法人所得税費用
61 2 △58 △95.4
非支配持分に帰属する当期利益
1,045 1,600 554 53.1
親会社の所有者に帰属する当期利益
(ご参考)財務指標 (億円)
前年度 当年度 前年度比
27.1% 28.8% 1.7%
売上総利益率
3.3% 5.5% 2.2%
営業利益率
ROE (注1) 9.4% 13.5% 4.1%
(注1)ROE :親会社の所有者に帰属する当期利益÷{(期首の親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)
+期末の親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本))÷2}
(ご参考)期中平均レート
前年度 当年度 前年度比
米国ドル/円 111円 109円 △2円
ユーロ/円 128円 121円 △7円
英国ポンド/円 146円 138円 △8円
ユーロ/米国ドル 1.16ドル 1.11ドル △0.05ドル
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(ⅰ)売上収益
当年度の売上収益は3兆8,577億円と、前年度から946億円、2.4%の減収となりました。デバイス事業における再編
で半導体三重工場が連結対象外となったことなど再編による減収影響が約1,820億円、ドル、ユーロ、ポンドが円高
に推移したことによる減収影響が477億円ありました。これらを除く実ビジネスベースでは、1,352億円、3.6%の増収
となりました。当社のコア事業であるテクノロジーソリューションが、国内サービスを中心に前年度第4四半期から
の好調を1年間継続し増収となりました。製造や流通分野で引き続き伸長し、自治体やヘルスケア分野も好調に推移
したほか、官公庁向け等の大型商談も前年を上回る水準となりました。また、大型メインフレーム関連の商談が増加
したほか、5Gビジネスの本格化に伴う携帯電話基地局や光伝送網の増強によりネットワークビジネスが増収となりま
した。パソコンビジネスにおいてもWindows7のサポート期限終了に伴う買い替え需要などに支えられて増収となりま
した。
当年度の米国ドル、ユーロ及び英国ポンドの平均為替レートはそれぞれ109円、121円、138円と、前年度に比べて
ドルが2円、ユーロが7円、英国ポンドが8円の円高となりました。為替レートの変動により前年度比で477億円の売上
収益の減少影響がありました。米国ドルで74億円、ユーロで257億円、英国ポンドで145億円の影響がありました。
海外売上比率は31.8%と、前年度比4.5ポイント低下しました。為替が円高に推移したことに加え、欧州で採算性の
低い拠点を閉鎖した影響がありました。
(ⅱ)売上原価、販売費及び一般管理費、その他の損益並びに営業利益
当年度の売上原価は2兆7,484億円で、売上総利益は1兆1,093億円、売上総利益率は前年度から1.7ポイント上昇
し、28.8%になりました。
販売費及び一般管理費は8,646億円と、前年度比で686億円減少しました。前年度末に実施したリソースシフトによ
る固定費削減効果で約200億円、半導体事業の販売子会社や製造子会社が連結除外になった影響で約270億円減少しま
した。販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費については1,233億円と、前年度比で116億円減少しました。次世
代スーパーコンピュータ「富岳」の開発が終了し量産体制に移行した影響がありました。研究開発費の売上収益に対
する比率は3.2%となりました。
その他の損益は331億円の損失と、前年度比で241億円悪化しました。事業再編等に関する一時的な損益として137
億円の損失を計上しました。ビジネスモデル変革費用234億円を計上する一方で事業譲渡に関する利益として96億円
を計上しました。ビジネスモデル変革費用の主な内訳は、電子部品事業やシステムプロダクト事業の生産体制効率化
など国内工場の再編に関する費用が152億円、北米事業におけるサービスビジネスの強化やプロダクト事業からの撤
退、リテール事業の再編などに関する費用が82億円です。事業譲渡に関する利益には、前年度のパソコン事業譲渡に
関するアーンアウト条項による利益や三重工場の譲渡に関連する利益などが含まれています。この他、その他損益に
は有形固定資産などの減損損失を計上しています。システムプロダクト事業の国内工場再編及び北米事業の再編は、
当年度に方針を決定し損失引当を行いました。実際の構造改革は2020年度に実行し、効果は2021年度以降に享受出来
る計画です。また、欧州のビジネスモデル変革は計画通り進めています。低採算国からの撤退やアウグスブルグ工場
の閉鎖等、各プログラムを2020年度上期に完了するよう進めており、効果についてはそれ以降に享受する計画です。
この結果、営業利益は2,114億円と、前年度比で812億円の増益となりました。営業利益率は5.5%と、前年度から
2.2%の上昇です。営業利益率が5%を超えたのは、1995年度以来となります。ビジネスモデル変革費用などの特殊事項
を除くベースでは、前年度から849億円の増益です。国内ビジネスの増収効果で375億円、採算性改善で324億円、費
用効率化等で150億円の増益となりました。ソリューション/SIでの開発効率化や国内のインフラサービスでの保守、
運用サポートの効率化、システムプロダクトやユビキタスでのキーデバイスの価格低下によるコストダウン効果を中
心に採算性改善が進みました。また、為替のマイナス影響がありましたが、間接人員のリソースシフトによる固定費
圧縮効果が寄与しました。
為替レートの変動による営業利益への影響は前年度比で約38億円のマイナスと軽微でした。円高によりパソコンや
サーバなどのプロダクト製品における米国ドル建部材の調達コストが低下しましたが、電子部品における米国ドル建
の輸出売上が減少し、為替変動による影響はほぼ相殺されました。当年度の為替レートが1円円高に変動した場合の
営業利益への影響額は、米国ドルが約12億円のプラス、ユーロが約1億円のマイナス、英国ポンドが影響無しとなり
ました。また、一部の欧州拠点では、米国ドルに対しユーロが変動した場合、米国ドル建の部材調達コストが変動す
る影響があります。当年度のユーロ/米国ドルの為替レートは1.11と、前年度に比べて0.05ユーロ安となりました。
為替変動による損益影響は限定的でした。
当年度の新型コロナウイルスに関連した事業への影響額は、売上収益で約160億円のマイナス、営業利益で約50億
円のマイナス影響が生じました。ネットワーク中心に、システムプラットフォームの部材調達に支障が生じたことに
加え、アジアにおいても物流停滞等による納品遅延が発生しました。
(ⅲ)金融損益、持分法による投資利益及び税引前利益
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金融収益と金融費用をあわせた金融損益は22億円の利益と、前年度比で66億円の悪化となりました。持分法による
投資利益は147億円と、前年度比で78億円の悪化です。前年度に計上したパソコン事業の譲渡に関する一時的な利益
116 億円の反動による影響がありました。
税引前利益は2,285億円と、営業利益の増益などにより前年度比で667億円の増益となりました。
(ⅳ)法人所得税費用、当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益
当期利益は1,603億円と、前年度比で496億円の増益となりました。当期利益のうち、親会社の所有者に帰属する当
期利益は1,600億円の利益で前年度から554億円の増益、非支配持分に帰属する金額は2億円の利益で前年度から58億
円の悪化となりました。法人所得税費用は682億円と、課税所得の増加により前年度比で171億円増加しました。税引
前利益の利益額に対する税負担率は、前年度の31.6%から当年度は29.9%となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益を親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)で除して算定したROEは13.5%と
なりました。親会社の所有者に帰属する当期利益の増加により、前年度比4.1ポイント上昇しました。
当年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は1,600億円となりました。2019年度の利益及びキャッシュ・フロー
の拡大など財務状況の改善を踏まえ、事業環境なども総合的に勘案し、株主還元の充実と資本効率の向上を図るた
め、当年度の1株あたり年間配当は180円と前年度から年間で30円増額(*)するとともに、500億円の自己株式取得枠を
設定し299億円取得しました。この結果、配当に自己株式取得を加えた総還元性向は41.5%となりました。
(*:2018年10月1日付で当社普通株式10株につき1株の割合で株式併合を行っています。前年度からの増配額は、
当該株式併合の影響を考慮した金額を記載しています。)
(ⅴ)税引後その他の包括利益及び当期包括利益
税引後その他の包括利益は99億円のプラスとなりました。当期利益と税引後その他の包括利益をあわせた当期包
括利益は1,703億円のプラスとなりました。当期包括利益のうち、親会社の所有者に帰属する当期包括利益は1,713
億円のプラス、非支配持分に帰属する当期包括利益は10億円のマイナスとなりました。
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(ⅵ)セグメント情報
当社グループは、経営組織の形態、製品・サービスの特性及び販売市場の類似性に基づき、複数の事業セグメント
を集約した上で、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューショ
ン」の3つを報告セグメントとしています。また、報告セグメントに含まれない事業セグメントとして、次世代スー
パーコンピュータ事業、次世代クラウド事業、当社グループ会社向け情報システム開発・ファシリティサービス事業
等を「その他」の区分に含めて表示しています。
当年度のセグメント別の売上収益(セグメント間の内部売上収益を含む)及び営業利益は以下のとおりです。
(億円)
前年度 当年度
増減率
前年度比
(自 2018年4月 1日 (自 2019年4月 1日
(%)
至 2019年3月31日) 至 2020年3月31日)
テクノロジーソリューション
31,237 31,632 395 1.3
売上収益
1,879 2,485 605 32.2
営業利益
(営業利益率) (6.0%) (7.9%) (1.9%)
ユビキタスソリューション
5,099 5,478 379 7.4
売上収益
△204 311 516 -
営業利益
(営業利益率) (△4.0%) (5.7%) (9.7%)
デバイスソリューション
4,870 3,170 △1,699 △34.9
売上収益
45 △34 △79 -
営業利益
(営業利益率) (0.9%) (△1.1%) (△2.0%)
その他及び消去又は全社
△1,682 △1,703 △21 -
売上収益
△417 △647 △229 -
営業利益
連結
39,524 38,577 △946 △2.4
売上収益
1,302 2,114 812 62.4
営業利益
(営業利益率) (3.3%) (5.5%) (2.2%)
増減率 (%)
前年度 当年度 前年度比
(ご参考)テクノロジーソリューション(*1)
31,237 31,632 395 1.3
売上収益
営業利益(*2) 1,375 1,878 503 36.7
(営業利益率) (4.4%) (5.9%) (1.5%)
(*1:「テクノロジーソリューション」に「その他及び消去又は全社」を加味した値)
(*2:ビジネスモデル変革費用などの特殊事項を除く本業ベース)
a テクノロジーソリューション
「テクノロジーソリューション」は、ソフトウェア・サービス・プロダクトが一体となった総合的なサービスをお
客様に最適な形で提供しています。ITシステムのコンサルティング、構築などを行うソリューション/SI、アウト
ソーシング(情報システムの一括運用管理)などを中心とするインフラサービス、ICTの基盤となるサーバやスト
レージシステムなどのシステムプロダクトと携帯電話基地局や光伝送システムなどの通信インフラを提供するネット
ワークプロダクトにより構成されています。
売上収益は3兆1,632億円と、前年度比1.3%の増収となりました。為替の影響を除くと2.5%の増収です。国内は6.9%
の増収となりました。ソリューション/SIで製造や流通分野が継続的に伸長していることに加え、自治体やヘルスケ
ア分野が好調に推移したほか、官公庁向け等の大型商談も前年を上回る水準となりました。前年度に続き過去最高の
売上を更新しました。システムプロダクトでは、大型メインフレーム関連の商談が増加したことに加え、次世代スー
パーコンピュータ「富岳」の出荷開始により増収となりました。ネットワークプロダクトでは、5Gの本格化に伴い携
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帯電話基地局や光伝送網の増強に対する商談が増加しました。一方、海外は10.5%の減収となりました。欧州で採算
性の低い国・地域からの撤退を進めた影響があったほか、アメリカやオセアニアにおいてインフラサービスが低調に
推 移しました。また、英国ポンドやユーロの為替の円高影響もありました。
営業利益は2,485億円と、前年度比で605億円の増益となりました。国内のソリューション/SIやシステムプロダク
トの増収効果に加え、インフラサービスで保守部品コストの低減や運用サポート業務の共通化を進め採算性を改善し
たほか、システムプロダクトでキーデバイスの価格低下によるコストダウン効果があったことなどにより増益となり
ました。当年度は、北米事業でポートフォリオを見直しサービスビジネスを強化するとともに、国内ではシステムプ
ロダクトの工場再編を行い生産体制の効率化を進め、ビジネスモデル変革費用137億円を計上しました。前年度から
は336億円の負担減です。
b ユビキタスソリューション
「ユビキタスソリューション」は、「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」(テクノロジーの
力で実現される、より安全で、豊かな、持続可能な社会)において、人や組織の行動パターンから生み出される様々
な情報や知識を収集・活用するユビキタスウェアとして、パソコンのほか、モビリティIoT/ヒューマンセントリック
IoTなどにより構成されています。
売上収益は5,478億円と、前年度比7.4%の増収となりました。国内は13.5%の増収です。パソコンの販売がWindows7
のサポート期限終了の影響で増収となりました。上半期は、消費増税の影響もあり増収となり、この反動で下半期は
前年から減収となることを見込んでいましたが、下半期トータルでも、前年を上回りました。一方、海外は6.7%の減
収です。ユーロに対し円高が進行した影響などがありました。
営業利益は311億円と、前年度比で516億円の増益となりました。パソコン事業の増収効果に加え、コスト面でもメ
モリ等のキーデバイスの価格低下により採算性が改善したほか、前年度に計上したビジネスモデル変革費用の反動影
響もありました。
c デバイスソリューション
「デバイスソリューション」は、LSIのほか、半導体パッケージ、電池をはじめとする電子部品により構成されて
います。
売上収益は3,170億円と、前年度比34.9%の減収となりました。LSI事業の再編影響がありました。前年度の第4四半
期に販売子会社を譲渡したことに加え、当年度の第3四半期に三重工場をユナイテッド・マイクロエレクトロニク
ス・コーポレーションに譲渡した影響などで約1,750億円の減収となりました。これによりLSI事業の再編はほぼ完了
です。これらの再編影響を除くと、電子部品の所要増加により前年度から増収となりました。
営業利益は34億円の損失、前年度比で79億円の悪化となりました。当年度は、電子部品事業の再編関係で、ビジネ
スモデル変革費用100億円を計上したことにより営業赤字となりましたが、この影響を除くと、電子部品の所要増に
より前年度比で32億円の増益です。
d その他及び消去又は全社
「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、次世代スーパーコンピュータ事業、次世
代クラウド事業、当社グループ会社向け情報システム開発・ファシリティサービス事業等が含まれています。また、
事業セグメントとして識別されないものは、基礎的試験研究やIT戦略投資などの戦略費用及び親会社におけるグルー
プ経営に係る共通費用です。
営業利益は647億円の損失と、前年度比で229億円の悪化となりました。前年度に計上した年金制度変更利益がなく
なった影響などで悪化しました。この影響を除くと、間接人員のリソースシフトによる固定費削減効果や間接経費の
圧縮などにより損益が改善しました。先行投資に係る負担についても、投資から回収フェーズへ移行したプロジェク
トがあると共に、プロジェクト毎の採算管理の強化を進め改善しました。なお、前年度のパソコン事業譲渡に関する
アーンアウト条項による利益や三重工場の譲渡に関連する利益など事業譲渡に関する利益96億円は当該セグメントで
計上しています。
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(ⅶ)所在地別の損益情報
当社グループは、成長市場である海外における売上収益の拡大と収益力向上を経営上の重要な課題の1つであると
考えています。所在地別の損益情報は当社グループの事業管理において重要な項目であるとともに、株主、投資家の
皆様に当社グループの損益概況をご理解頂くための有益な情報であると考えています。
(億円)
前年度 当年度
増減率
前年度比
(自 2018年4月 1日 (自 2019年4月 1日
(%)
至 2019年3月31日) 至 2020年3月31日)
日本
29,727 30,139 412 1.4
売上収益
2,103 2,758 655 31.1
営業利益
(営業利益率) (7.1%) (9.2%) (2.1%)
EMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ)
7,929 7,017 △911 △11.5
売上収益
△439 211 651 ―
営業利益
(営業利益率) (△5.5%) (3.0%) (8.5%)
アメリカ
売上収益 2,479 2,011 △468 △18.9
△48 △179 △130 ―
営業利益
(営業利益率) (△2.0%) (△8.9%) (△6.9%)
アジア
2,704 1,800 △903 △33.4
売上収益
39 23 △16 △41.1
営業利益
(営業利益率) (1.5%) (1.3%) (△0.2%)
オセアニア
870 752 △118 △13.6
売上収益
28 20 △8 △28.4
営業利益
(営業利益率) (3.3%) (2.7%) (△0.6%)
消去又は全社
△4,186 △3,143 1,042 ―
売上収益
△381 △720 △338 ―
営業利益
連結
39,524 38,577 △946 △2.4
売上収益
1,302 2,114 812 62.4
営業利益
(営業利益率) (3.3%) (5.5%) (2.2%)
a 日本
売上収益は3兆139億円と、前年度比で1.4%の増収となりました。LSI事業再編による減収影響はありましたが、ソ
リューション/SIで製造、流通分野や公共系の大型商談が前年に引き続き好調を維持するとともに、パソコン事業が
伸長し増収となりました。営業利益は2,758億円と、前年度比で655億円の増益となりました。ソリューション/SIや
パソコン事業の増収効果に加え、インフラサービスやシステムプロダクトで採算性の改善が進みました。
b EMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ)
売上収益は7,017億円と、前年度比11.5%の減収となりました。欧州再編に伴う採算性の低い国・地域からの撤退に
より減収となったほか、ユーロ及び英国ポンドに対して円高が進行した影響がありました。営業利益は211億円と、
前年度比で651億円の好転です。前年度に計上したドイツの製造工場の閉鎖や低採算国からの撤退、間接部門の見直
しなどのビジネスモデル変革費用の反動による好転です。ビジネスモデル変革は予定通り進めており、その効果は
2020年度後半から現れ、本格的に享受するのは2021年度以降となる予定です。欧州については、サービスビジネスに
強い英国・アイルランドを中心とした北欧・西欧(NWE)と、従来のハードウェア販売を柱としたビジネスからサービ
スへの移行を進めているドイツを中心とした中央・東欧(CEE)の2つの区域に分け、それぞれに責任者を置き機動的に
ビジネスを展開する体制としました。
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c アメリカ
売上収益は2,011億円と、前年度比18.9%の減収となりました。サービスビジネスやプロダクト事業が低調に推移し
ました。営業利益は179億円の損失と、前年度比で130億円の悪化です。北米では事業のポートフォリオを見直し、プ
ロダクト事業からの撤退やリテール事業でのグループ内の重複を整理することにより、サービスビジネスの収益性を
高める決定を行いました。実際の構造改革は2020年度に実行し、効果は2021年度以降に享受出来る計画です。
d アジア
売上収益は1,800億円と、前年度比33.4%の減収となりました。LSIや電子部品などが減収となりました。営業利益
は23億円と、前年度比で16億円の減益となりました。減収影響によります。
e オセアニア
売上収益は 752億円と、前年度比13.6%の減収となりました。インフラサービスなどが減収となりました。営業
利益は20億円と、前年度比で8億円の減益となりました。減収影響によります。
③ 財政状態
<要約連結財政状態計算書> (億円)
前年度末 当年度末 前年度末比
(2019年3月31日) (2020年3月31日)
資産
流動資産 19,593 18,911 △682
11,454 12,963 1,508
非流動資産
31,048 31,874 826
資産合計
負債
13,649 13,656 7
流動負債
4,863 4,734 △129
非流動負債
18,512 18,390 △122
負債合計
資本
11,320 12,409 1,089
自己資本
1,215 1,074 △140
非支配持分
12,536 13,484 948
資本合計
31,048 31,874 826
負債及び資本合計
4,166 4,518 351
現金及び現金同等物
3,162 4,055 893
有利子負債
△1,004 △462 541
ネット有利子負債
(注)自己資本 :親会社の所有者に帰属する持分合計
有利子負債 :社債、借入金及びリース債務
ネット有利子負債 :有利子負債-現金及び現金同等物
(ご参考)財務指標
前年度末 当年度末
前年度末比
(2019年3月31日) (2020年3月31日)
36.5% 38.9% 2.4%
自己資本比率
D/Eレシオ 0.28倍 0.33倍 0.05倍
ネットD/Eレシオ △0.09倍 △0.04倍 △0.05倍
(注)自己資本比率 :親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)÷資産合計
D/Eレシオ :有利子負債÷親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)
ネットD/Eレシオ :(有利子負債-現金及び現金同等物)÷親会社の所有者に帰属する持分合計
(自己資本)
当年度末の資産合計は3兆1,874億円と、前年度末から826億円増加しました。流動資産は1兆8,911億円と、前年度
末から682億円減少しました。三重工場の売却により売却目的で保有する資産が減少したほか、売上債権の回収が進
みました。現金及び現金同等物は4,518億円と、前年度末から351億円増加しました。棚卸資産は2,380億円と、前年
度末から120億円増加し、資産効率を示す月当たり回転数は1.13回と、前年度末から0.09ポイント悪化しました。
2014年に着手した開発が完了し製造を開始した富岳の棚卸資産が増加した影響です。非流動資産は1兆2,963億円と、
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前年度末から1,508億円増加しました。有形固定資産の増加は1,310億円です。主に、当年度よりIFRS第16号「リー
ス」(以下、IFRS第16号)を適用し、従来は支払時に費用処理されオフバランスとなっていたオペレーティング・リー
ス について、リース開始日に、リース期間に応じた使用権資産を計上した影響で増加しました。
負債合計は1兆8,390億円と、前年度末から122億円減少しました。流動負債は1兆3,656億円と、前年度末から7億円
増加しました。非流動負債は4,734億円と、前年度末から129億円減少しました。流動負債及び非流動負債の社債、借
入金及びリース債務をあわせた有利子負債は4,055億円と、前年度末から893億円増加しました。社債を一部償還した
ほか借入金の返済を進めましたが、IFRS第16号の適用によりリース債務が増加した影響がありました。D/Eレシオは
0.33倍と、前年度末より0.05ポイント上昇しました。有利子負債から現金及び現金同等物を控除したネット有利子負
債残高は462億円のマイナスとネットキャッシュのポジションを維持しました。
資本合計は1兆3,484億円と、前年度末から948億円増加しました。利益剰余金は7,359億円と、前年度末から1,590
億円増加しました。親会社の所有者に帰属する当期利益1,600億円を計上したことなどによります。その他の資本の
構成要素は23億円と前年度末から223億円減少しました。為替が円高に推移したことにより在外子会社の換算差額が
減少した影響や、持ち合い株式の売却を進めた影響がありました。また、自己株式は596億円のマイナスです。株主
還元施策として2020年1月に発表した総額500億円の自己株式取得枠のうち299億円を当年度に取得した影響がありま
した。これらの結果、親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)は1兆2,409億円となりました。親会社所有者
帰属持分比率(自己資本比率)は38.9%と、前年度末から2.4ポイント上昇しました。当社は、社会インフラを支える
企業の一つとしてふさわしい財務健全性の確保を目指し、ここ数年、体質強化を進めてまいりました。当期利益の積
み上げに加え、市況変動の影響を小さくすべく、年金制度の変更や政策保有株式の譲渡なども進め、財務安全性を好
転させることが出来ました。
連結財政状態計算書に計上されないオフバランスの負債は、IAS第16号(有形固定資産)及びIAS第38号(無形資
産)に規定される資産の取得に関する契約上のコミットメントが776億円です。
確定給付型退職給付制度の状況 (億円)
前年度末 当年度末
前年度末比
(2019年3月31日) (2020年3月31日)
△16,118 △14,558 1,559
a.確定給付制度債務
15,026 13,910 △1,115
b.年金資産
c.積立状況 (a)+(b) △1,092 △648 443
従業員の確定給付型退職給付制度の退職給付債務は1兆4,558億円と、前年度末から1,559億円減少し、年金資産は1
兆3,910億円と、前年度末から1,115億円減少しました。この結果、確定給付型退職給付制度の積立状況(退職給付債
務から年金資産を控除した金額)は648億円の不足と、前年度末から443億円改善しました。国内制度の積立状況は、
年度末の株価下落により年金資産が減少し前年度末から248億円悪化しました。海外制度の積立状況は、年度末の金
利下落に伴う債券価格の上昇で年金資産が増加したほか、インフレ率の低下により退職給付債務が減少した結果前年
度末から691億円改善しました。
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④ キャッシュ・フロー
<要約連結キャッシュ・フロー計算書> (億円)
前年度 当年度
前年度比
(自 2018年4月 1日 (自 2019年4月 1日
至 2019年3月31日) 至 2020年3月31日)
994 3,472 2,478
Ⅰ営業活動によるキャッシュ・フロー
41 △1,142 △1,183
Ⅱ投資活動によるキャッシュ・フロー
1,035 2,330 1,294
Ⅰ+Ⅱフリー・キャッシュ・フロー
△1,366 △1,931 △565
Ⅲ財務活動によるキャッシュ・フロー
4,167 4,530 362
Ⅳ現金及び現金同等物の期末残高
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは3,472億円のプラスと、前年度から2,478億円の収入増となりまし
た。当年度よりIFRS第16号「リース」を適用した影響が578億円含まれていますが、それを除くベースでも、本業が
好調で税引前利益が増加したほか、売掛債権の回収が進み、前年度から好転しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは1,142億円のマイナスと、前年度から1,183億円の支出増となりました。政策
保有株式については引き続き計画通り売却を進め投資有価証券の売却による収入191億円を計上したほか、三重工場
の売却等による収入が405億円ありました。前年度は、有価証券売却による収入779億円があったほか、ビジネスモデ
ル変革に伴う事業譲渡収入、貸付金の回収による収入437億円がありました。また、当年度は、データセンターやク
ラウドサービス設備、半導体パッケージの製造設備、ソフトウェア等の資産の取得に1,329億円を支出したことによ
り、有形固定資産及び無形資産取得のための支出が前年度比で123億円増加したほか、定期預金などの短期投資に337
億円を支出しました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは2,330億円のプラス
と、前年度から1,294億円の収入増となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは1,931億円のマイナスと、前年度からは565億円の支出増となりました。社債
の償還や借入金の返済を進めたほか、自己株式の取得による支出がありました。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は前年度末から362億円増加し、4,530億円となりました。
当社グループは、これまでコア事業であるテクノロジーソリューション事業へ経営資源を集中するとともに財務体
質の強化に努めてまいりました。今後、DX企業へと変革を加速していくにあたり、健全な財務基盤をベースとした上
で、事業の成長につながる戦略的な投資と、安定的な株主還元にバランスよくキャッシュを配分し、持続的に企業価
値を向上させることを目指しています。
キャッシュ・フローの創出については、コア事業の持続的な成長と収益力の向上によりその創出力を強化するとと
もに、現在保有している政策保有株式やノンコア事業などの資産のリサイクルを進めます。
獲得したキャッシュは、財務健全性の確保、戦略的な成長投資、安定的な株主還元にバランスよく配分します。
まず、財務の健全性については、現時点で一定水準の確保ができたと考えており、今後、資産効率を高める取り組
みを引き続き進めることで更なる向上を図ります。
戦略的な成長投資については、持続的な事業の成長と収益力の向上に直結するものであり、これを積極的に進めま
す。AIやDXなどのデジタル領域での成長を実現するために、サービス・オファリング投資、M&A等によるコンサル
ティングサービスの拡充、有力パートナーとのアライアンス、ベンチャー投資などを行います。また、社内DXを加速
するために、高度専門人材の獲得や社内システムの強化、サステナビリティ、ESGなど自らの変革を促す投資を行い
ます。
株主還元については、これまで4期連続の増配を実施してまいりましたが、今後も事業と利益の成長ステージに見
合った配当を安定的に実施していく事を目指します。また、財務の健全性を担保し資金需要なども勘案した上で機動
的な自社株買いも実施します。
当年度末の現金及び現金同等物は4,518億円です。当社グループは、緊急の資金需要に対応するため、月商の数カ
月分を目安に十分な手元流動性を確保しています。これまで複数の金融機関との間で締結していたコミットメントラ
イン契約については、ビジネスモデル変革に伴い継続的にキャッシュを創出する財務体質が整いつつある他、流動性
の高い短期投資も一定額保有しており、十分な手元流動性があることから、契約を解除しました。
当社は、グローバルに資本市場から資金調達するため、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(以下、ムー
ディーズ)、スタンダード&プアーズ(以下、S&P)及び株式会社格付投資情報センター(以下、R&I)から債券格付
けを取得しています。当年度末現在における格付け(長期/短期)は前年度末から変更なく、ムーディーズ:A3(長
期)、S&P:BBB+(長期)、R&I :A(長期)/a-1(短期)です。
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当社グループは、事業や国・地域毎の特性やリスクを加味し、株主資本コストと借入コストの加重平均として資金
調達コストを算定し、これに基づいて各事業における投資意思決定や回収可能性の判断を行っています。当社グルー
プ は、今後ますます需要が高まるDXビジネスに経営資源を集中し、中長期的に安定して高い収益性を獲得していくこ
とによって、資金調達コストより高いリターンをあげることができると考えています。
⑤ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、当社グループの経営管理においては、セグメントご
とに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。なお、当年度におけるセグメントごと
の販売実績は、(1)②(vi)セグメント情報にて記載しております。
⑥ 重要な会計方針及び見積り
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営陣は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用に影
響を与える判断、見積り及び仮定を必要としておりますが、実際の結果と異なる場合があります。また、見積り及
びその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した連
結会計期間及び影響を受ける将来の連結会計期間において認識されます。連結財務諸表の金額に重要な影響を与え
る見積り及び判断については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う
判断」をご参照ください。
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4【経営上の重要な契約等】
(1) 技術提携契約
相手方 国名 契約製品 契約内容 契約期間
1998年6月5日から
Intel Corporation
米国 半導体装置 特許実施権交換
関係特許の有効期間中
2008年6月5日から
Intel Corporation
米国 半導体装置 特許実施権交換
関係特許の有効期間中
International Business Machines
2015年12月18日から
米国 情報処理組織 特許実施権交換
関係特許の有効期間中
Corporation
1997年9月16日から
Microsoft Corporation
米国 ソフトウェア 特許実施権交換
関係特許の有効期間中
(注)上記の契約は、すべて当社を契約会社としたものです。
(2) 合弁契約及びその他の契約
契約会社名 相手方 国名 契約内容
2017年11月2日、グローバル市場に向けたPC及び
PC関連製品の研究開発、設計、製造及び販売に
Lenovo Group Limited、
富士通株式会社
中国、 関する戦略的な提携について、富士通クライア
Lenovo International
合弁契約
(当社)
オランダ ントコンピューティング株式会社を合弁会社と
Co