北欧投資銀行 有価証券報告書
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北欧投資銀行(E06042)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2020 年6月23日
【会計年度(又は事業年度)】 自 2019年1月1日 至 2019年12月31日
北欧投資銀行 (Nordic Investment Bank)
【発行者の名称】
【代表者の役職氏名】 ヘンリック・ノーマン(総裁)
Henrik Normann (President)
弁護士 島崎 文彰
【事務連絡者氏名】
【住所】 東京都千代田区神田小川町一丁目7番地
小川町メセナビル4階
島崎法律事務所
【電話番号】 (03)5843-9631
【縦覧に供する場所】 該当なし
注 (1) 本書中、別段の記載がない限り、すべての金額はユーロで表示されている。「ユーロ」とは、欧州共
同体の設立条約(その後の改正を含む。)に従って単一通貨を採用した欧州連合加盟国の法定通貨を
指すものとする。2020年5月15日現在のユーロの日本円に対する対顧客電信直物売買相場の仲値は1
ユーロにつき、116.08円であった。
(2) 北欧投資銀行の会計年度は暦年である。
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第1【募集(売出)債券の状況】
募集債券
該当なし。
売出債券
上場金融商品取引
会計年度末の未 所名または登録認
債券の名称 発行年月 券面総額 償還額
償還額 可金融商品取引業
協会名
北欧投資銀行2020年4月満期
1,449,800,000 1,449,800,000
インドルピー建債券 2015年4月 - 該当なし
インドルピー インドルピー
(円貨売買型)(1)
北欧投資銀行2020年7月満期
765,600,000 765,600,000
インドルピー建債券 2015年7月 - 該当なし
インドルピー インドルピー
(円貨決済型)
北欧投資銀行2020年1月満期 95,230,000 95,230,000
2017年1月 - 該当なし
トルコリラ建債券(2) トルコリラ トルコリラ
北欧投資銀行2020年1月満期 163,060,000 163,060,000
ブラジルレアル建債券 2017年1月 ブラジル - ブラジル 該当なし
(円貨決済型)(3) レアル レアル
北欧投資銀行2020年1月満期
1,020,100,000 1,020,100,000
インドルピー建債券 2017年1月 - 該当なし
インドルピー インドルピー
(円貨決済型)(4)
北欧投資銀行2021年2月24日 5,500,000 5,500,000
満期ブラジルレアル建債券 2017年2月 ブラジル - ブラジル 該当なし
(円貨決済型)(環境債) レアル レアル
北欧投資銀行2020年5月29日
170,000,000 170,000,000
満期インド・ルピー建債券
2017年5月 - 該当なし
インド・ルピー インド・ルピー
(円貨決済型)(環境債)
(5)
北欧投資銀行2020年7月満期 373,220,000 373,220,000
2017年7月 - 該当なし
トルコリラ建債券 トルコリラ トルコリラ
北欧投資銀行2020年7月満期 290,900,000 290,900,000
2017年7月 - 該当なし
メキシコペソ建債券 メキシコペソ メキシコペソ
北欧投資銀行2020年7月満期 161,310,000 161,310,000
ブラジルレアル建債券 2017年7月 ブラジル - ブラジル 該当なし
(円貨決済型) レアル レアル
北欧投資銀行2020年7月満期
1,480,800,000 1,480,800,000
インドルピー建債券 2017年7月 - 該当なし
インドルピー インドルピー
(円貨決済型)
北欧投資銀行2020年11月満期 409,430,000 409,430,000
2017年11月 - 該当なし
トルコリラ建債券 トルコリラ トルコリラ
北欧投資銀行2020年11月満期 79,610,000 79,610,000
ブラジルレアル建債券 2017年11月 ブラジル - ブラジル 該当なし
(円貨決済型) レアル レアル
北欧投資銀行2020年11月満期
1,032,400,000 1,032,400,000
インドルピー建債券 2017年11月 - 該当なし
インドルピー インドルピー
(円貨決済型)
北欧投資銀行2020年2月満期 288,210,000 288,210,000
2018年2月 - 該当なし
トルコリラ建債券(6) トルコリラ トルコリラ
北欧投資銀行2021年2月満期 88,200,000 88,200,000
2018年2月 - 該当なし
メキシコペソ建債券 メキシコペソ メキシコペソ
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北欧投資銀行2021年2月満期 54,660,000 54,660,000
ブラジルレアル建債券 2018年2月 ブラジル - ブラジル 該当なし
(円貨決済型) レアル レアル
北欧投資銀行2021年2月満期
1,000,000,000 1,000,000,000
インドルピー建債券 2018年2月 - 該当なし
インドルピー インドルピー
(円貨決済型)
北欧投資銀行2021年9月満期 87,010,000 87,010,000
ブラジルレアル建債券 2018年9月 ブラジル - ブラジル 該当なし
(円貨決済型) レアル レアル
北欧投資銀行2021年9月満期
1,031,300,000 1,031,300,000
インドルピー建債券 2018年9月 - 該当なし
インドルピー インドルピー
(円貨決済型)
北欧投資銀行2022年2月満期 36,010,000 36,010,000
ブラジルレアル建債券 2019年3月 ブラジル - ブラジル 該当なし
(円貨決済型) レアル レアル
北欧投資銀行2022年2月満期
1,303,400,000 1,303,400,000
インドルピー建債券 2019年3月 - 該当なし
インドルピー インドルピー
(円貨決済型)
北欧投資銀行2022年12月満期 156,700,000 156,700,000
2019年12月 - 該当なし
メキシコペソ建債券 メキシコペソ メキシコペソ
北欧投資銀行2022年2月満期 27,570,000 27,570,000
ブラジルレアル建債券 2019年12月 ブラジル - ブラジル 該当なし
(円貨決済型) レアル レアル
北欧投資銀行2022年2月満期
2,120,500,000 2,120,500,000
インドルピー建債券 2019年12月 - 該当なし
インドルピー インドルピー
(円貨決済型)
注 (1) 当該会計年度終了後、この債券は2020年4月15日に満期一括償還された。
(2) 当該会計年度終了後、この債券は2020年1月30日に満期一括償還された。
(3) 当該会計年度終了後、この債券は2020年1月30日に満期一括償還された。
(4) 当該会計年度終了後、この債券は2020年1月30日に満期一括償還された。
(5) 当該会計年度終了後、この債券は2020年5月29日に満期一括償還された。
(6) 当該会計年度終了後、この債券は2020年2月26日に満期一括償還された。
当該会計年度中に、各債券の所有者の権利等に重要な影響を与える事実は発生しなかった。
当該会計年度末以降、日本において債券の募集または売出しは行われていない。
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第2【外国為替相場の推移】
本邦において売出しが行われた債券の表示通貨であるインドルピー、トルコリラ、ブラジルレアルおよび
メキシコペソと本邦通貨との間の為替相場が、国内において時事に関する事項を掲載する2以上の日刊新聞
紙に北欧投資銀行の最近5年間の会計年度において掲載されているため、記載を省略。
(1) 【最近5年間の会計年度(又は事業年度)別為替相場の推移】
該当事項なし。
(2) 【当会計年度(又は事業年度)中最近6月間の月別為替相場の推移】
該当事項なし。
(3) 【最近日の為替相場】
該当事項なし。
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第3【発行者の概況】
1【発行者が国である場合】
該当事項なし
2【発行者が地方公共団体である場合】
該当事項なし
3【発行者が国際機関又は政府関係機関等である場合】
(1) 【設立】
① 設立の目的・根拠および設立年月日
北欧投資銀行(以下「NIB」または「当行」という。)は、中期および長期の貸出および債務保証を行
うため、設立メンバーであるデンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェーおよびスウェーデン
(以下「北欧諸国」という。)によって国際金融機関として設立された。当行は、1976年8月2日に業務
を開始した。
当行の所有基盤は、デンマーク、エストニア、フィンランド、アイスランド、ラトビア、リトアニア、
ノルウェーおよびスウェーデン(以下「加盟国」という。)による批准を受けて、2005年1月1日付で効
力を生じた契約(以下「2004年契約」という。)を通じて、エストニア、ラトビアおよびリトアニアを含
むように拡大された。2005年1月1日以降、当行は、2004年契約および定款(その後の改正を含む。)
(以下「定款」という。)の規定に準拠している。加盟国が共通の遺産を受け継ぎ、お互いが地理的に近
接していることなどから、それらの国々の政府、組織、企業および個人の間では協力し合うことが伝統と
なっており、当行はこの伝統の一面を表している。下記「② 沿革」を参照。
当行は、豊かで持続可能な加盟国地域をサポートするため、北欧諸国およびバルト海諸国のために生産
性の向上および環境面の利益を促進するプロジェクトに対して融資を行う。当行の貸出金の内訳について
は、「(4)-② 通常貸出」および「(4)-③ 特別貸出プログラムに基づく貸出」を参照。当行がその貸出業
務において従っている与信方針を含む当行の使命および負託については、「(4)-① 貸出業務」を参照。
2004 年契約は、当行にその施設の不可侵性、不動産および資産の捜索・押収からの保護、判決前の保全
執行からの保護ならびに広範な免税など、国際金融機関(以下「IFI」という。)に共通の特権および免
責を規定している。詳細については、下記「③ 法的地位と特権」を参照。
当行の業務上の資金は、加盟国による払込済資本、利益剰余金および国際資本市場における借入により
賄われる。詳細については、「(2) 資本構成」、「(4)-⑦ 長期負債」および「(4)-⑧ 財務活動」を参
照。
当行の本店は、フィンランド、ヘルシンキ、ファビアニンカツ34に所在する(宛先:P.O.Box 249,
FI-00171 Helsinki, Finland)。電話番号は、+358-10-618001、インターネット上のアドレスは、
https://www.nib.int/である(かかるURLは、情報提供のみを目的とした文言の参照として言及されてい
る。当ウェブサイト上の情報が引用によって本報告書に組み込まれることはない。)。
法律上の目的
2004 年契約および定款によると、当行の目的は、サウンド・バンキング原則に従って社会経済的な配
慮をしたうえで利用可能な融資を行い、加盟国および当行から融資を受けるその他の諸国の利益となる
投資プロジェクトを実現させることである。当行は、準備金の積立てと払込済資本に対する合理的収益
を得るため、その業務活動から利益を上げることを義務づけられているが、利益の最大化を目指す主体
ではない。
定款の変更
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当行がその加盟国を適応させ、よりよく支援できるようにするため、理事会および経営陣は当行の定
款を近代化する作業を進めてきた。その結果、2019年5月24日の年次総会において統治委員会は定款の
大幅な改訂を承認した。
変更点には、当行の資本のギアリング限度をリスク・ベースの包括的な資本および流動性の管理の枠
組みに切換えることが含まれる。また、特別プロジェクト投資貸出(PIL)ファシリティおよび環境投資
貸出(MIL)ファシリティが廃止される予定である。これらのファシリティに基づく残高は、この種の新
たな貸出とともに、当行の通常貸出の一部を構成することになる。また変更には、組織のガバナンスの
改善および新しい形態の資金供給としての限定的な持分参加の選択も含まれている。
現在、定款変更について加盟国において必要な手続きが進められており、2020年後半には効力を生じ
る見込みである。
② 沿革
加盟国の協力
組織化された北欧協力
北欧諸国間の協力は、経済政策、工業技術開発、情報伝達および法制の調和を含む多岐にわたる活動
からなっている。
北欧協力の最も重要かつ正式な根拠となっているのは、1962年ヘルシンキ協定である。この協定には
北欧諸国の協力の目的が述べられており、北欧評議会に関する規定、およびその後改正され北欧閣僚評
議会に関する規定が掲げられている。
北欧評議会は、北欧諸国が共通の利害を有する問題について議会レベルで協議と議論を行う場となっ
ている。北欧閣僚評議会には、協力案件に関して北欧諸国政府に対する拘束力を有するとみなされる決
定を行う権限が与えられている。
1992 年以降、エストニア、ラトビアおよびリトアニアのバルト3国は、北欧バルト8カ国(以下
「NB8」という。)の枠組みの下で、北欧諸国と緊密に協力してきた。NB8の下で、地域の関心事および
国際問題について協議するため、北欧諸国とバルト諸国の首相および外相の間で定期的な会合がもたれ
ている。
EFTA およびEU
北欧諸国は、相互の商業取引関係を着実に広げてきた。こうした進展は、1960年の欧州自由貿易連合
(以下「EFTA」という。)の創設により促進されたもので、これにより、1960年代から1970年代にかけ
て北欧諸国間の貿易の発展の枠組みが確立された。
1973 年にデンマークが欧州共同体(欧州連合の前身)に加盟したのに続いて、他の北欧4カ国が、北
欧地域内での自由貿易の促進を目的として欧州共同体と相互自由貿易協定を結んだ。
スイスを除くEFTA加盟国および欧州連合(以下「EU」という。)は、1994年1月1日付で欧州におけ
る自由貿易圏である欧州経済領域(EEA)を創設した。
フィンランドおよびスウェーデンは1995年1月1日付でEUに加盟した。北欧諸国で現在EFTAに加盟し
ているのは、ノルウェーとアイスランドのみとなっている。1999年1月1日のユーロ導入時、北欧では
フィンランドがEUの経済通貨同盟(以下「EMU」という。)に参加した唯一の国であった。
2004 年5月1日、エストニア、ラトビアおよびリトアニアがEU加盟国となり、その後EMUの加盟国と
なった。エストニアは2011年1月1日付、ラトビアは2014年1月1日付、リトアニアは2015年1月1日
付で、それぞれEMUに加盟した。
その他の協力形態
北欧バルト諸国の協力には、国際機関における政策上の意見調整も含まれている。国連および国連貿
易開発会議で発生する問題について定期的に協議がなされている。加盟国は、国際通貨基金、国際復興
開発銀行およびその他の国際機関へ共同で代表者を送っている。
北欧投資銀行の設立について
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北欧評議会および北欧閣僚評議会での長年にわたる議論が、北欧投資銀行の設立につながった。NIBの
法的基礎をなすのが、1975年12月4日に締結された「設立契約」である。設立契約の締結国は、デン
マー ク、フィンランド、アイスランド、ノルウェーおよびスウェーデンであった。
設立契約およびNIBの定款は1976年6月1日に発効し、当行は同年8月2日に業務を開始した。
1981 年9月15日に、北欧閣僚評議会は、開発途上国向けを主とする輸出プロジェクトにおける北欧協
力の促進計画を承認した。1982年2月28日に修正されたこの決定には、この計画の重要な要素のひとつ
として、貸出および債務保証を行う共同融資(以下「プロジェクト投資貸出」という。)ファシリティ
の創設が含まれている。このファシリティは1982年7月1日に発効し、現在加盟国以外における当行の
貸出業務の主要な部分を形成している。「(5) 経理の状況」の財務書類に対する注記の注12を参照。
1996 年8月、北欧諸国の首脳は、北欧諸国に隣接する地域における環境投資に対する融資を行う特別
環境貸出ファシリティ(以下「環境投資貸出ファシリティ」という。)の設定を決定した。このファシ
リティは1997年1月25日に北欧閣僚評議会で承認され、1997年8月28日に効力を生じた。このファシリ
ティは、当行の貸出業務の一部をなし、加盟国に隣接する地域における環境の保護および国境を越えた
公害の減少を目指す投資に対する融資を行う目的で、公共・民間両部門に対する貸出および債務保証を
行う。「(5) 経理の状況」の財務書類に対する注記の注12を参照。
1997 年11月、北欧閣僚評議会は、当行ならびにその姉妹機関であるNEFCOおよびNDF(それぞれ以下に
定義する。)の法的枠組みを、その国際機関としての地位を反映させるため、改訂すべきであるとの決
定を行った。NIBに関しては、これにより1998年10月23日に1998年契約が締結される運びとなった。
1998 年10月23日、北欧諸国は新設立契約(以下「1998年契約」という。)を締結した。この1998年契
約は1999年7月18日に発効し、設立契約は同日失効した。
2003 年6月の北欧諸国の首脳による政策決定を受けて、2005年1月1日付で、エストニア、ラトビア
およびリトアニアは、原加盟国と同等の条件で当行の加盟国となった。新規加盟国は、原加盟国と同一
の権利および義務を有する。
2004 年契約は、当行を統治するための新しい組織を規定しており、これは2005年1月1日付で完全に
実施された。当行はまったく新しい機関である統治委員会を取り入れた。統治委員会は、当行のそれま
での法的枠組みにおける北欧閣僚評議会に代るもので、その役割を継承した。2004年契約は、当行の業
務を変更するものではなかった。
当行の関連当事者/姉妹機関について
1988 年5月19日、北欧閣僚評議会は、優遇的な条件で開発途上国における北欧の利益になるプロジェ
クト向けに融資するために、国際金融機関である北欧開発基金(以下「NDF」という。)の設立を決定し
た。NDFの設立に関する契約は、1988年11月3日に北欧諸国(以下「NDF加盟国」という。)によって署
名され、同基金は1989年2月1日にその業務を開始した。NDFは、独自の理事会を持ち、NDF加盟国に
よって資本基盤を供与されている独立した法人である。
1990 年3月2日に北欧閣僚評議会は、北欧諸国の環境面で利益になる東欧および中欧での投資の促進
を目的として、国際金融機関である北欧環境金融公社(以下「NEFCO」という。)の設立を決定した。
NEFCOは、独自の理事会を持ち、NEFCOの加盟国によって資本基盤を供与されている独立した法人であ
る。
NDF およびNEFCOの設立文書によると、それらの主たる事務所は当行の主たる事務所に置かれている。
さらに、NDFおよびNEFCOの定款は、北欧評議会により任命されたそれらの監査委員は同評議会が任命し
た当行の監査委員と同じメンバーであることを規定している。また、NDFおよびNEFCOの定款は、それぞ
れの理事会に与えられる権限を、適宜、各組織の総裁および/または当行に委ねることができる旨を規定
している。当行は、NDFおよびNEFCOに対して管理運営サービスを提供しており、その報酬は「⑤ 経理の
状況」の財務書類に対する注記の注8において開示されている。
③ 法的地位と特権
2004 年契約の下で、 当行は完全な法主体性を有する国際法人格の地位を有している。とりわけ当行は、
契約締結、動産および不動産の取得および処分、ならびに裁判所および他の機関における法的手続きの当
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事者となる権利を有する。2004年契約はさらに、当行が加盟国に共通の国際金融機関として、加盟国の内
外で同様の業務を行っている他の法人と同じ地位を有することを規定している。
2004 年契約はまた、とりわけ一定の免責特権に関する条項も規定している。これらの条項によると、加
盟国は、当行が事務所を設置しているか、もしくは送達受領の目的で代理人を指名している国の領域内の
管轄権ある裁判所において、または当行が明示的に管轄権を承認した場合のみ、当行に対して訴えを提起
することができる ことにつき、加盟国は同意している。ただし、訴えは、加盟国、加盟国の代理人または
加盟国に由来する請求権を有する者により、当行がこれに対して明示的同意を表明した場合のみ、提起す
ることができる。
さらに、2004年契約は、当行の財産および資産(所在地または所有者を問わない。)は、これらに対す
る司法機関または行政機関による判決または命令が確定するまで、その執行を免除される旨を規定してい
る。当行の財産および資産(所在地または所有者を問わない。)はさらに、行政または立法行為による捜
索、徴用、没収および収用を免除される。当行、その財産および資産は、また差押のような手続的制約を
も免除される。
2004 年契約は、当行の土地建物および公文書ならびに当行に帰属しまたは当行が保管するすべての文書
が不可侵である旨を規定している。
2004 年契約はまた、 当行がその義務の遂行をいかなる方法でも制限しまたは妨げるような支払制限や信
用政策措置の適用も受けないこと、ならびに当行、その収益、資産および財産が関連条項に規定されてい
るすべての課税を免除されていることも規定している。したがって、当行は、当行の正式業務に関連した
不動産および有価証券の購入および譲渡ならびに財・サービスの調達に対する課税を免除されている。当
行による貸出および借入も、一切の課税および類似の性質の賦課金を免除されている。
2010 年10月20日、 当行とフィンランド政府との間の改訂受入国協定が締結された。この協定は、国際機
関としての当行の地位を確認し、当行およびその職員に関する一定の特権および免責ならびに職員の社会
保障についてさらに規制するものである。この協定はフィンランドにおいて制定され、2011年1月16日付
で施行された。
④ 日本との関係
該当事項なし。
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(2) 【資本構成】
① 資本構成
次の表は、2019年12月31日現在の 当行の資本構成を示す。この表は、「(5) 経理の状況」に記載されて
いる2019年12月31日終了年度の財務書類およびその注記とともに読まれなければならない。
(百万ユーロ) 2019年12月31日現在の残高
資本:
授権・応募済資本金 6,142
うち払込請求可能資本金 (5,723)
払込済資本金 419
利益準備金 686
一般信用リスク基金 2,003
PIL特別信用リスク基金 427
ヘッジ準備金 19
当期利益 182
資本合計
3,735
長期負債
26,674
長期負債および資本合計
30,409
② 授権資本金
統治委員会は、 当行の理事会の提案に基づき、当行の授権資本金の増額を決定することができる。かか
る決定が効力を生じるには、通常、加盟国の議会による批准を要する。
当行の授権資本金は設立時に約510百万ユーロであったが、数回にわたって増額されており、最近では
2010年6月に統治委員会が当行の授権資本金を2,000百万ユーロ引上げて6,142百万ユーロとする決定を
行った。かかる資本増額は全加盟国による増額の承認を経て、2011年2月16日付で効力を生じた。
当該増額は、授権資本金の払込請求可能部分に割当てられた。 当行の授権資本のうち、払込済部分と払
込請求可能部分の内訳については、下記「③ 払込済資本金および払込請求可能資本金」に記載される。
当行の定款に規定するとおり、授権資本金の増額は、統治委員会が随時定める市場価格による国民総所
得(以下「GNI」という。)に基づいて加盟国間に割当てられる。1975年の当行の設立から、バルト諸国
が当行に加盟した2005年1月1日まで、GNIは、入手可能な直近2年間のデータの平均として北欧諸国の
要素価格で計算されていた。2005年1月1日以降、GNI統計はIMFの国際金融統計の公刊物を出典としてい
る。加盟国間での新たな応募済資本金の割当ては増額の都度固定され、すでに応募済の資本金に関して調
整または均等化のための支払が行われたことはない。したがって、加盟国間のGNIが数年間で変化したた
め、加盟国の授権資本金と払込済部分は同一ではない。
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2019 年12月31日現在、加盟国による 当行の授権資本金における加盟国の引受比率は以下のとおりであっ
た。
加盟国 百万ユーロ 比率
デンマーク 1,294 21.1%
エストニア 56 0.9%
フィンランド 1,088 17.7%
アイスランド 58 0.9%
ラトビア 82 1.3%
リトアニア 120 2.0%
ノルウェー 1,321 21.5%
スウェーデン 2,123 34.6%
合 計
6,142 100.0 %
2016 年、 当行の統治委員会は、払込済資本金および払込請求可能資本金における各加盟国の比率が授権
資本金の各加盟国の比率と等しくなるように、当行の授権資本金を調整および変更することを決定した。
また、かかる調整および変更は、「(4)-① 貸出業務 - 貸出の分類 - プロジェクト投資貸出」に記載す
るとおり、プロジェクト投資貸出(PIL)ファシリティおよび環境投資貸出(MIL)ファシリティに関する
法令に基づく加盟国のそれぞれの保証の比率にも関連している。各加盟国における承認手続きの完了を経
て、かかる変更は効力を生じ、実施されている。
③ 払込済資本金および払込請求可能資本金
定款は、 当行の授権資本金は払込済分と払込請求可能分からなることを規定している。当行の現在の総
授権資本金6,142百万ユーロのうち、払込済分は、当行の授権資本金総額の約6.8%に相当する419百万
ユーロであった。応募済資本金のうちの未払込分はすべて、当行の債務の返済のため理事会が必要と認め
たときには、理事会により払込請求することができることになっている。このような払込請求が按分比例
してなされなければならないとする定款の規定はないが、払込請求を行うときはまず按分比例により行わ
れることが予想される。払込請求に対し、加盟国のいずれかが払込を怠った場合でも他の加盟国はそれぞ
れの払込義務を免れることはできない。かかる払込請求に際して、いかなる加盟国も、法的には応募済資
本金のうちの払込請求可能額以上の払込をなすことを要しない。これまでそのような払込請求は行われて
いない。
2019 年12月31日現在、払込済資本金の加盟国別内訳は以下のとおりであった。
加盟国 百万ユーロ 比率
デンマーク 88
21.1 %
エストニア ▶
0.9 %
フィンランド 74
17.7 %
アイスランド ▶
0.9 %
ラトビア 6
1.3 %
リトアニア 8
2.0 %
ノルウェー 90
21.5 %
スウェーデン 145
34.6 %
合 計
419 100.0 %
当行が地域協力機関としての使命を持つことから、さらに加盟国を追加することを認める条項は2004年
契約には存在しない。加盟国が2004年契約の規定に定める通知を行うことによって脱退することは可能で
あるが、2004年契約は、脱退しようとする国が脱退のときに効力を有している当行の債務について引続き
脱退直前までと同じ範囲で責任を負うことも規定している。
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④ 準備金・基金
当行の年間純利益は、定款のもとで、利益準備金(以下「利益準備金」という。)が当行の授権資本金
の10%に達するまで同準備金へ繰入れられることになっている。その後、統治委員会は当行の理事会の提
案を受けて利益準備金、一般信用リスク基金およびPIL特別信用リスク基金への追加繰入れと加盟国に対
する配当支払との間での純利益の配分を決定する。
2019 年12月31日現在、 当行の利益準備金は、当行の授権資本の11%に相当する686百万ユーロであっ
た。NIBは、その業務における特定できないリスクのために各年度の利益の一部を一般信用リスク基金
(以下「一般信用リスク基金」という。)として毎年積立てている。2019年12月31日現在の一般信用リス
ク基金は2,003百万ユーロであった。一般信用リスク基金は、当行の貸出ポートフォリオから発生する損
失ならびに当行がその財務部の業務などの事業活動から引受けるその他のリスクをカバーするために利用
することができる。財務活動に関連するリスクには、市場リスクのほか、取引相手リスクが含まれる。こ
れについてのさらなる情報は、「(4)-① 貸出業務 - 貸出の分類 - プロジェクト投資貸出」および「(5)
経理の状況」の財務書類に対する注記の注3を参照。当行の理事会の提案に従って、統治委員会は、2019
年の利益のうち137百万ユーロを一般信用リスク基金に割当てることを決定した。
定款第8項の規定に従って、 当行は将来のプロジェクト投資貸出からの貸倒損失のためにのみ用いられ
る別個の特別信用リスク基金(以下「PIL特別信用リスク基金」という。)を設定している。2019年12月
31日現在のPIL特別信用リスク基金は427百万ユーロであった。プロジェクト投資貸出ファシリティおよび
加盟国の債務保証についてのさらなる情報は、 「(5) 経理の状況」の財務書類に対する注記の「注12:貸
出金および保証約定」および「注3:セグメント情報」を参照。
加盟条件の一部として、エストニア、ラトビアおよびリトアニアは、それぞれの応募済資本金と同じ比
率で、 当行の準備金に合計で43百万ユーロの支払を行った。
当行の理事会の提案に従って、統治委員会は、2019年の純利益から2020年に45百万ユーロを加盟国に対
して配当金として支払うことを決定した。
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(3) 【組織】
2004 年2月11日付でデンマーク、エストニア、フィンランド、アイスランド、ラトビア、リトアニア、
ノルウェーおよびスウェーデンの間で調印され、2005年1月1日付で発効した2004年契約およびこれに添
付される定款に従って、 当行は、統治委員会、理事会、監査委員会、総裁および業務遂行のために必要な
その他の職員を有することとなった。
統治委員会は、8名の統治委員をもって構成される。各加盟国は、その統治委員として指名する大臣に
よって代表される。統治委員会は、2004年契約および定款に明記する事項について責任を有する。一般
に、統治委員会は、 当行のかつての法的枠組みにおける北欧閣僚評議会に代るもので、その役割を継承し
ている。
当行の定款によると、統治委員会には以下の権限が付与されている。
・定款の改正(一定の制限に従う。)
・当行の授権資本金の増減の決定
・2004年契約および定款の規定の解釈および適用 についての問題に関する決定
・ 理事会の年次報告書および当行の監査済財務書類の承認
・監査委員会の委員2名の任命
・当行からの脱退に関する手続についての決定
・当行の清算に関する決定
こうした職務に加えて、統治委員会は、理事の報酬の承認等の良き統治ならびに理事会および総裁の行
動規範に関する一定の事項について決定することも期待されている。
2019 年12月31日現在の当行の統治委員は次のとおりであった。
統治委員
デンマーク シモン・コレラップ 産業・ビジネス・金融大臣
エストニア マルティン・ヘルメ 財務大臣
フィンランド ミカ・リンティラ 財務大臣
アイスランド ビャルニ・ベネディクトソン 財務経済大臣
ラトビア ヤニス・レイルス 財務大臣
リトアニア ヴィリュス・シャポカ 財務大臣
ノルウェー シーヴ・イェンセン 財務大臣
スウェーデン マグダレナ・アンデショーン 財務大臣
統治委員会の権限に属する事項を除き、 当行のすべての権限は理事会に属する。理事会は、各加盟国に
より任命された8名の理事をもって構成され、その任期は4年までとして更新可能である。各理事は1個
の議決権を有する。各加盟国はまた、同様の原則に従って理事代理1名を任命する。理事会の会長および
副会長は、加盟国間で2年毎の輪番制とする。
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2019 年12月31日現在の 当行の理事および理事代理は次のとおりであった。
理事
デンマーク ジュリー・ゾンネ 産業・ビジネス・金融省局長
エストニア マディス・ウーリケ 財務省顧問
フィンランド ペッカ・モレン 財務省局長
アイスランド エスター・フィンボガドッティール 財務経済省局長
(理事会副会長)
ラトビア リーガ・クラヴィーナ 財務省金融政策問題担当国務副長官
リトアニア ユルギッタ・ウジエリエネ 財務省EU国際関係局副局長
ノルウェー オーレ・K. ホブラン 財務省上席顧問
スウェーデン スヴェン・ヘーゲロン 前国務長官
(理事会会長)
理事代理
デンマーク ヘッレ・ダム・ソレンセン 産業・ビジネス・金融省首席特別顧
問
エストニア メルレ・ウィルキンソン 財務省国庫局顧問
フィンランド ペトリ・ペルトネン 経済雇用省政務次官
アイスランド ステイヌン・シグヴァルダドッティール 財務・経済省局長
ラトビア リーガ・クラヴィーナ 財務省金融資源局副局長
リトアニア ドヴィール・ヤサイティエンネ 財務省国際関係局部長
ノルウェー シンドレ・ウェメ ノルウェー銀行理事
スウェーデン ビョルン・フリチョフソン 財務省エコノミスト
上述の各理事の業務上の住所は、フィンランド、ヘルシンキ、FI-00171、私書箱249番、ファビアニン
カツ34である。
定款に従い、理事会はその権限を理事会の会議に出席する総裁に委託することができる。ただし、定款
には、総裁は理事または理事代理となることができない旨の規定がある。総裁は、各5年を超えない更新
可能な任期をもって理事会が任命する。
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2019 年12月31日現在の当行の上級経営陣およびその役職は次のとおりであった。
氏名
当行 における役職
ヘンリック・ノーマン 総裁兼最高経営責任者
トマス・ラングダール 筆頭副総裁、貸出部長
ヘイッキ・カンテル 法律顧問、法務部長
ラーシュ・エイベホルム 副総裁、財務部長
ヒルデ・キェルスベルグ 副総裁、与信・分析部長
グンナール・オック 副総裁、ビジネス・サービス部長
ビョルン・オーデル 副総裁、リスクおよびファイナンス部長、最高財務責任者
監査委員会は、当行の業務がその定款に従って確実に運営されることに責任を負っている。統治委員会
に提出される当行の財務書類を監査することも監査委員会の任務である。監査委員会は、2年までの更新
可能な任期をもって就任する10名からなる。北欧評議会ならびにエストニア、ラトビアおよびリトアニア
の各国会が、各加盟国から1名を任命し、統治委員会が正副委員長を務める2名を任命する。委員長およ
び副委員長は加盟国間で輪番制とする。
2016 年、監査委員会は、その職務範囲内の事項について補佐を行うための独立専門家としてピーター・
エングベルグ・イェンセン氏を初めて任命した。かかる任命は、監査委員会所管の権限をいっそう強化
し、監督機能を高めるために行われた。
2019 年12月31日現在、当行の監査委員会の構成員は次のとおりであった。
監査委員会委員
ラサ・カヴォリテ 財務省財務局国務副長官
監査委員会委員長 (リトアニア)
ピーター・エングベルグ・イェンセン -
監査委員会副委員長
デンマーク シュウルル・スカーレ 国会議員
エストニア アイヴァル・コック 国会議員
フィンランド ヴィレ・リードマン 国会議員
アイスランド ヴィリャルムール・アルナソン 国会議員
ラトビア ヤニス・ヴカンス 福祉省政務次官
リトアニア シギタ・スカジュヴィエーネ リトアニア国会、監査委員会事
務局長
ノルウェー マイケル・テツシュナー 国会議員
スウェーデン ヨハン・アンデルソン 国会議員
2019 年12月31日現在、当行の正規の従業員および期間契約従業員は合計229名であった。
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(4) 【業務の概況】
① 貸出業務
使命および負託
現在の定義によるNIBの使命は、生産性を高め、環境を改善するプロジェクトに対して、サウンド・バ
ンキング原則に基づいて、長期的な補完的融資を提供することにより、加盟国の持続可能な成長を促進す
ることである。NIBは、NIBが価値を付加し、他の資金源を補完することができる事業活動に対して、貸出
および債務保証の形で資金を提供することにより、この負託を果たしている。さらに、NIBは、あらゆる
融資の環境的側面の評価を行っている。当行の負託の遂行に資するプロジェクトは、環境、エネルギー、
運輸、流通および通信ならびに技術革新などの分野によくみられる。それにもかかわらず、その他の分野
においても当行が評価するところにより負託上高い評価を有するプロジェクトが承認される。NIBは、経
済の様々な分野の支援において柔軟に対応しているが、特に、金融仲介者と協調して、インフラストラク
チャーへの投資、環境改善への投資、企業部門による大規模投資、および中小企業に絡んだプロジェクト
に力を入れている。2015年、NIBの理事会は上記の負託および使命が確認された戦略プロセスを完了し
た。また、NIBの理事会は、次の分野にいっそうの重きを置くことも決定した。すなわち、中小企業
(SME)および中企業への融資、加盟国以外への貸出(長期的にはその比率を当行の貸出の約5分の1と
いう以前の水準にまで引上げる。)、北極圏融資およびバルト諸国への融資の重視である。2016年、NIB
は、その貸出業務の一環としてグリーンボンドへの投資を開始した。
加盟国外におけるNIBの貸出に関しては、受入国がNIBを国際公法に基づく法人として、また当該国の法
律に基づく権利能力を有しているものとして認識し、かつIFIとしてのNIBの地位を認識していることにつ
いての合意が一般に必要となる。当行は、借手の債務返済義務について他の国際金融機関のそれと類似し
た方針を採っている。よって、当行は、いかなるソブリン債務のリスケジュールにも関与していない。
貸出は、公的部門および民間のプロジェクトの双方を対象として行われる。関係するプロジェクトが立
地する国の政府の反対があれば、貸出もしくは債務保証は行われない。当行は、プロジェクトの適格性を
査定するためにいくつかのプロセスを利用している。当行は、負託の評価ツールならびに当行の融資が当
行の目的および使命を果たすことを保証するためのサステナビリティ方針を適用している。また、当行
は、貸出の承認に関連して統合的なデューディリジェンス手続きを有している。
貸出の分類
当行は、現在、通常貸出および特別プログラムに基づく貸出という主に2つの分類で貸出を行ってい
る。
通常貸出
当行の通常貸出の限度額は、授権資本金および積立、未割当準備金(利益剰余金および一般信用リスク
基金)の250%である。理事会の提案に従った2019年度にかかる当期利益の処分後で、当行の通常貸出の
限度額は22,467百万ユーロ(前年:22,085百万ユーロ)になる。2019年12月31日現在、通常貸出金は
18,521百万ユーロ(前年:18,463百万ユーロ)相当で、これは、当行の授権資本および積立準備金の
206.1%(前年:209.0%)に相当する。2019年12月31日現在、通常貸出に基づく保証の約定はなかった。
当行の通常貸出は、伝統的に投資貸出および地域貸出の2グループに分類されてきた。しかし、地域貸
出の重要性は低下してきた。2019年12月31日現在、投資貸出、地域貸出の約定およびグリーンボンド投資
の合計額は21,220百万ユーロ(前年:20,839百万ユーロ)であり、そのうち貸出金は18,512百万ユーロ
(前年:18,456百万ユーロ)であった。
一般に、投資貸出は、加盟国所在のプロジェクトに対して、あるいはプロジェクトに対する担保または
プロジェクトもしくは借手に担保を提供する当事者のいずれかが加盟国のいずれかの国に所在する場合に
は加盟国以外に所在するプロジェクトに対しても、認められる。また、ポーランドおよびその他一部のEU
加盟国に対する貸出も現在投資貸出として行われている。2019年12月31日現在のNIBの投資貸出約定額は
合計21,089百万ユーロ(前年:20,839百万ユーロ)で、そのうち貸出金は18,381百万ユーロ(前年:
18,455百万ユーロ)であった。貸出金の大半を占める17,923百万ユーロ(前年:17,960百万ユーロ)は、
加盟国内に所在のプロジェクトについて認められたものであった。
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2016 年、NIBは、加盟国内の企業または自治体が発行するグリーンボンド(環境債)への投資に500百万
ユーロを割当てた。このイニシアチブは、グリーンボンド市場の発展を支援し、NIBの任務基準に沿って
環 境投資に資金を提供し、この分野において優れた基準を発展させることを目的としている。2019年末現
在、NIBは、132百万ユーロ(前年:308百万ユーロ)のグリーンボンドを保有していた。
2015 年に完了した当行の貸出戦略の見直しを受けて、当行は、通常貸出において次の与信枠を設定する
ことを決定した。すなわち、北極圏地域におけるプロジェクト向け貸出として500百万ユーロを上限とす
る枠組みをもつ北極圏融資枠、中小資本会社(SMC)を含む中小企業(SME)向けの250百万ユーロの融資
枠、およびSME/SMCと従来から当行の顧客であった大企業との間の市場セグメントに存在する中資本企業
(MCC)向けの500百万ユーロの貸出枠である。
詳細情報については、「(5) 経理の状況」の財務書類に対する注記の「注12:貸出金および保証約定」
を参照。
特別貸出プログラムに基づく貸出
当行は、通常貸出のほかに、現在定款により承認された2つの特別貸出プログラムを有している。
プロジェクト投資貸出
NIB は、プロジェクト投資貸出(PIL)ファシリティに基づき、プロジェクト投資貸出および関連保証を
付与することができる。PILファシリティの授権枠は4十億ユーロである。PILおよび債務保証は、当該プ
ロジェクトが加盟国および受入国の利益になるようなアジア、ラテンアメリカ、中欧および東欧、アフリ
カならびに中東におけるプロジェクトに融資を行うことを目的としている。加盟国以外への貸出水準を、
貸出合計の5分の1とするこれまでの長期的な水準の平均に維持する戦略をとっている。これらの貸出
は、プロジェクトの長期の融資需要への対応を支援するものであり、通常の銀行実務に従って行われる。
かかる貸出は、政府向けに、または政府保証を見返りとして行うことができるが、政府の保証がなくて
も、インフラストラクチャー・プロジェクトおよびその他公的部門または民間部門のプロジェクトに対し
て行うこともできる。プロジェクトに対して、当行と各加盟国との間の関連する二国間PIL保証契約と同
様に、他の多国間および二者間機関と共同で融資を行うことができる。PILファシリティの授権枠は定款
に規定されており、現在同ファシリティは4十億ユーロに制限されている。PILファシリティは、加盟国
からの部分保証を受けている。各PILは、貸出元本および利息の90%を上限として、総額1.8十億ユーロ、
プログラム総額の45%までについて、加盟国により個別に保証が付される。理事会は、所与の時点でこの
プログラムに含まれるべき貸出および債務保証を決定する権限をもっている。理事会は、加盟国の保証履
行を請求するかどうかの決定も行う。1982年にこのプログラムが設けられて以来、かかる保証履行の請求
はなされていない。プログラムにかかる授権枠が数回にわたって増額されてきたのに伴い、保証契約は長
年にわたって改訂されてきた。PILファシリティの授権枠は、最近では3.3十億ユーロから4.0十億ユーロ
に増額されたが、これは、債務保証の限度額を1.8十億ユーロに据置いたまま、2004年7月1日に効力を
生じた。この増額に関連して、NIBは加盟国の保証履行の請求のためのガイドラインを同日付で修正する
決定をし、当行は各加盟国との間で新しい二者間保証契約を締結した。修正されたガイドラインのもと
で、関連するPIL特別信用リスク基金はファーストロス準備金として意図され、NIBはPIL特別信用リスク
基金において所与の時点で利用可能な額を上限として、個別のPILに基づいて負担する損失を100%引受け
ることになる。かかる引受を行った後にのみ、NIBは加盟国の保証履行を求める。
環境投資貸出(MIL)
2005 年1月1日以降、300百万ユーロのMILファシリティが、地域における環境の改善および国境を越え
た公害の減少のため、加盟国の近隣地域における民間および公共プロジェクトに対する融資のための貸出
および債務保証に割当てられていた。MILファシリティの仕組は、主に当行の定款ならびに当行と各加盟
国との間の関連する二国間MIL保証契約に準拠している。当行の定款によると、加盟国は支払の不履行か
ら生じる当行の損失の100%を補填することになっている。所与の時点でこのファシリティに含まれるべ
き貸出および債務保証を決定する権限は理事会にある。
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詳細情報については、「(5) 経理の状況」の財務書類に対する注記の「注12:貸出金および保証約定」
を参照。
価格設定の方針
当行の定款は、当行がサウンド・バンキング原則に従って貸出を行うことを義務づけている。よって、
当行が申入れる条件に補助金の要素はない。貸出および債務保証は、当行の資金調達コスト、一般管理費
および貸出にかかるリスクのコストを賄うように価格が設定される。また、妥当な使用資本利益率が達成
される見込みである。当行は、貸出の価格設定についてリスクに基づく価格設定ツールを用いている。
NIB による貸出は固定および変動金利の両方で実施される。いずれの場合も関連通貨による資金の増分
費用を基準にして貸出を担保する安全性とその満期により利率が決定される。
十分な流動性を維持するためにNIBを補償し、借手の貸出実行要求に応じるために、NIBは貸出約定の未
実行分に関する約定手数料の料率を定めている。当行の貸出の価格合計額には、その他の手数料も含まれ
ることがある。
リスク査定
当行の方針は、その業務がサウンド・バンキング原則に則って行われ、貸出および債務保証が市場ベー
スの市中銀行条件で付与されることを求めている。NIBの融資ガイドラインおよびリスク管理の枠内で、
当行の貸出業務は、取引相手リスクおよび差入れられた担保の価値によって分類される。その後、個々の
貸出についてリスク分類が決定される。「(5) 経理の状況」の財務書類に対する注記の「注2:リスク管
理」を参照。
定款第7項に規定する貸出全体の最大エクスポージャーのほかに、ポートフォリオ(非加盟国および産
業部門の制限)ならびに取引相手の水準について特定の制限を適用している。NIBの理事会は、原則とし
て、ひとつのプロジェクトに対して当行が行う貸出の最高額は、プロジェクトの合計費用の50%(SMEお
よび中企業への融資については、この制限は75%とする。)を超えるべきではなく、ひとつの企業グルー
プに属する借手への最高貸出金額は、通例、当行の資本合計の20%を超えるべきではない旨の決定を行っ
ている。この20%という限度は、ソブリンを取引相手とする貸出には適用がない。また、信用力の低い借
手の場合は、この20%の限度は引下げられる。
理事会は、プロジェクトのホスト国の信用状況に関連付けて国別限度額を設けることによって、PILお
よび他の非加盟国向け貸出に対するエクスポージャー(貸出実行額および貸出約定額の合計として定義さ
れる。)を制限することを決定した。
定款に基づき、当行は、為替損失に対して自らを保全し、必要に応じてその貸出および貸出保証につい
て適切な担保を取得することを義務づけられている。当行が受入れる担保の種類について特定の要件はな
い。当行は、十分な信用力のある取引相手に対しては無担保の貸出を行うことができる。かかる貸出にお
いては、当行は取引相手によるさまざまな約束(たとえば、担保制限条項およびその他の財務または非財
務の制限条項)を要求する。当行は、一般にプロジェクト・ファイナンスおよびストラクチャード・ファ
イナンス取引についてはより高い信用補完を要求する。2019年12月31日現在、当行の貸出金の21.0%(前
年:20.4%)は加盟国もしくはその地方自治体に対する直接の貸出であるかまたはこれらにより保証され
ており、さらに22.9%(前年:23.6%)はその他諸国(新興市場国を含む。)または加盟国もしくはその
地方自治体が(50%以上)保有する企業に対する直接の貸出であるかまたはこれらにより保証されてい
る。貸出金の0%(前年:1.6%)はいかなる担保も付されることなく行われており、貸出金の残りは、
担保、企業その他による保証もしくはコベナンツを通じて何らかの形の保全策が講じられている。
上記のように、定款に基づいて、NIBは為替リスクに対して自らを保全することが求められている。NIB
は、NIBが借入れたのと同じ通貨で貸出を行うこと、または先物為替リスクに対する適切な対策を施して
調達資金を他の通貨に交換することを一般的な方針としている。NIBは貸出と借入の満期のマッチングを
管理し測定するためのプロセスを実施している。これについてのさらなる情報は、「(5) 経理の状況」の
財務書類に対する注記の「注2:リスク管理」を参照。
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当行による貸出の大部分は、満期が5年ないし15年である。当行の貸出の実行、分割弁済および最終期
限は、各プロジェクトの開発スケジュール、キャッシュフローの発生、最終的な残存年数およびNIBによ
る適当な資金調達の可能性によって決まる。
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② 通常貸出
通常貸出
下表は、リスク所有者のグループ本部の所在地によって国別に割当てられた、投資貸出、地域貸出およ
びグリーンボンド投資からなる通常貸出ならびに発行済保証の元本総額および分布比率を示したものであ
る。
2019 年 2018 年
(百万ユーロ) 貸出金 約定合計額 貸出金 約定合計額
デンマーク 1,185 110 1,308 -
エストニア 225 25 187 54
フィンランド 3,717 1,025 3,668 834
アイスランド 600 - 666 -
ラトビア 159 130 162 60
リトアニア 572 264 577 105
ノルウェー 4,866 393 4,590 521
スウェーデン 6,178 670 6,418 564
ベラルーシ - 16 - 20
フランス 166 - 226 -
ドイツ 29 16 21 -
ポーランド 396 - 447 -
ロシア 9 - 32 -
トルコ 13 - 18 -
その他のヨーロッパ諸国 12 - 12 -
多国籍 160 289 126 279
ボツワナ 17 - 19 -
ブラジル 80 - 104 -
中国 119 150 156 157
インド 111 20 140 20
ラオス 8 - 10 -
メキシコ - 45 2 -
フィリピン 23 - 26 -
南アフリカ - 89 1 87
チュニジア 17 - 26 -
米国 13 - 18 -
ベトナム 30 - 43 -
その他の非ヨーロッパ諸国 8 - 12 -
貸出金合計 18,713 3,242 19,017 2,700
ECLのステージ3 -78 - -78 -
ECLのステージ1および2 -41 -1 -39 -1
公正価値調整 -1 - - -
ヘッジ会計調整 207 - 167 -
合計 18,799 3,241 19,067 2,699
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③ 特別貸出プログラムに基づく貸出
プロジェクト投資貸出(PIL)
2019 年12月31日現在、当行は165件、総額962百万ユーロ(前年:936百万ユーロ)のプロジェクト投資
貸出について約定した。このうち159件、総額445百万ユーロ(前年:631百万ユーロ)が貸出金となって
いた。2019年12月31日現在、このファシリティに基づいて発行された保証はなかった。
当行の定款に従って、加盟国は、下記の金額を限度としてPILに関する支払の不履行から生じる当行の
損失を保証する。
2019 年 2018 年
(千ユーロ) 保証額 比率(%) 保証額 比率(%)
加盟国
デンマーク 379,208 21.1% 379,208 21.1%
エストニア 16,486 0.9% 16,486 0.9%
フィンランド 318,902 17.7% 318,902 17.7%
アイスランド 17,020 0.9% 17,020 0.9%
ラトビア 24,053 1.3% 24,053 1.3%
リトアニア 35,108 2.0% 35,108 2.0%
ノルウェー 387,087 21.5% 387,087 21.5%
スウェーデン 622,135 34.6% 622,135 34.6%
合 計 1,800,000 100.0 % 1,800,000 100.0 %
環境投資貸出(MIL)
2019 年12月31日現在、NIBはこのファシリティに基づき16百万ユーロ(前年:20百万ユーロ)を約定し
ており、うち貸出金は8百万ユーロ(前年:10百万ユーロ)であった。2019年12月31日現在、このファシ
リティに基づいて発行された保証はなかった。理事会は、2014年および2016年の2回にわたって、1件の
MIL貸出にかかる不払いを理由としてMIL保証の請求を決定した。保証請求に関連した支払により、保証債
務は266百万ユーロ(前年:266百万ユーロ)となっている。
下表は、MIL貸出に関連した不払いから生じた加盟国の保証損失額を示したものである。
2019 年 2018 年
(千ユーロ) 保証額 比率(%) 保証額 比率(%)
加盟国
デンマーク 56,079 21.1 % 56,079 21.1 %
エストニア 2,438 0.9 % 2,438 0.9 %
フィンランド 47,160 17.7 % 47,160 17.7 %
アイスランド 2,517 0.9 % 2,517 0.9 %
ラトビア 3,557 1.3 % 3,557 1.3 %
リトアニア 5,192 2.0 % 5,192 2.0 %
ノルウェー 57,244 21.5 % 57,244 21.5 %
スウェーデン 92,004 34.6 % 92,004 34.6 %
合 計 266,191 100.0 % 266,191 100.0 %
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④ 貸出金
当行は現在、「(5) 経理の状況」の財務書類に対する注記の「注3:セグメント情報」に詳述したとお
り、通常貸出とプロジェクト投資貸出(PIL)および環境投資貸出(MIL)からなる特別プログラムに基づ
く貸出という2つのカテゴリーの貸出を行っている。2019年12月31日現在、18,799百万ユーロ(前年:
19,065百万ユーロ)に上る581件の貸出金が残存しており、これには10百万ユーロ(前年:59百万ユー
ロ)のユーロ・ミディアム・ターム・ノート(以下「MTN」という。)が含まれていた。これらは、 ヘッジ
会計上の関係において デリバティブとの適格なヘッジ関係の一部を構成する場合を除き償却原価で計上され
ており、MTNは公正価値で認識される。
2019 年12月31日現在、減損およびヘッジ会計調整前の変動利付の貸出金は、14,666百万ユーロ(前年:
14,774百万ユーロ)で、固定利付は4,047百万ユーロ(前年:4,241百万ユーロ)であった。一般に、固定
利付の貸出金は、デリバティブ商品の利用を通じて変動利付に転換される。
2019 年
プロジェクト
(百万ユーロ) 通常貸出 投資貸出 環境投資貸出 合計
期首残高 18,425 631 10 19,065
貸出実行 2,519 22 ▶ 2,545
償却等 -1,350 -210 -4 -1,564
期限前償還 -985 -17 - -1,001
予想信用損失の増減 -4 ▶ -1 -2
換算差額 -3 8 - 6
公正価値調整 - -2 - -2
ヘッジ会計調整 52 -1 - 51
その他の増減 -308 9 - -299
期末残高 18,346 445 8 18,799
2018 年
プロジェクト
(百万ユーロ) 通常貸出 投資貸出 環境投資貸出 合計
期首残高 16,364 846 21 17,232
貸出実行 4,027 17 3 4,047
償却 -1,301 -287 -4 -1,591
期限前償還 -536 -3 -10 -550
予想信用損失の増減 15 7 - 22
換算差額 -107 18 - -89
公正価値調整 - - - -
ヘッジ会計調整 -7 -3 - -11
その他の増減 -29 35 - 6
期末残高 18,425 631 10 19,065
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下表は、12月31日現在の当行の貸出金および発行済保証の事業分野別内訳を示したものである。
2019 年 2018 年
(百万ユーロ) 金額 比率(%) 金額 比率(%)
エネルギーおよび水 5,337 28.5% 5,379 28.3%
インフラ、運輸および通信 5,773 30.8% 5,561 29.2%
工業およびサービス 5,253 28.1% 5,354 28.2%
金融機関および中小企業 2,350 12.6% 2,721 14.3%
減損およびヘッジ会計調整前合計 18,713 100.0 % 19,015 100.0 %
ECLのステージ3 -78 -78
ECLのステージ1および2 -41 -39
公正価値調整 -1 -
ヘッジ会計調整 207 167
合計 18,799 19,065
下表は、2019年12月31日現在の貸出金の償還スケジュールを示したものである。
(百万ユーロ) 2019 年 2018 年
2019年 - 1,705
2020年 1,691 1,640
2021年 1,619 1,973
2022年 2,197 2,227
2023年 2,411 2,383
2024年 2,220 1,972
2025年以降 8,576 7,115
減損およびヘッジ会計調整前合計 18,713 19,015
ECLのステージ3 -78 -78
ECLのステージ1および2 -41 -39
公正価値調整 -1 -
ヘッジ会計調整 207 167
合計 18,799 19,065
2019 年12月31日現在の貸出金の満期/価格再設定までの平均残存期間は、当行が次の金利もしくは通貨
の条件を調整する権利を有する日までの期間で計算すると4年4カ月(前年:4年5カ月)で、貸出の最
初の実行日からの実際の満期は3年から30年(前年:3年から30年)にわたっている。
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貸出金の通貨別分布
プロジェクト
(1)
通常貸出 投資貸出 貸出合計
(百万ユーロ) 2019 年 2018 年 2019 年 2018 年 2019 年 2018 年
ユーロ 7,702 7,896 152 192 7,862 8,096
米ドル 1,608 1,902 329 455 1,937 2,357
北欧通貨 8,669 8,285 17 30 8,686 8,315
197 219 29 26 228 246
その他の通貨
減損およびヘッジ会計調整
前合計 18,176 18,302 528 703 18,713 19,015
ECLのステージ3 - - -78 -78 -78 -78
ECLのステージ1および
2 -35 -31 -5 -8 -41 -39
公正価値調整 - - -1 - -1 -
ヘッジ会計調整 205 153 1 14 207 167
合計 18,346 18,425 445 631 18,799 19,065
(1) 合計額には、環境投資貸出(MIL)の8百万ユーロ(前年:10百万ユーロ)も含まれる。
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貸出金および保証の担保の種類別分布
下表は、保証約定を含む貸出金を担保の種類別に示したものである。
2019 年 2018 年
(百万ユーロ) 金額 比率(%) 金額 比率(%)
政府に対するまたは政府が保証する貸出金
加盟国に対するまたは加盟国が保証する貸
出金 265 285
その他諸国に対するまたはその他諸国が保
証する貸出金 542 653
政府に対するまたは政府が保証する貸出金合計 807 4.3% 938 4.9%
加盟国の地方自治体に対するまたは加盟国の地
方自治体が保証する貸出金 3,657 19.6% 3,572 18.9%
加盟国もしくは加盟国の地方自治体が50%以上
を有する企業に対するまたはかかる企業が保証
する貸出金 3,728 20.0% 3,821 20.2%
銀行に対するまたは銀行が保証する貸出金 2,073 11.1% 2,197 11.6%
リーエンまたはその他の不動産担保付貸出金 1,588 8.5% 1,498 7.9%
親会社保証およびその他の保証付貸出金 879 4.7% 1,034 5.5%
担保設定制限条項およびその他の条項付貸出金 5,903 31.7% 5,569 29.4%
正式な担保が付されていない貸出金 - 0.0% 0 0.0%
グリーンボンドを通じた貸出金 - 0.0% 308 1.6%
個別評価される減損後の貸出金合計 18,635 100.0 % 18,937 100.0 %
ECLのステージ1および2 -41 -39
ヘッジ会計調整 207 167
公正価値調整 -1 -
貸出金合計 18,799 19,065
12 月31日現在、約定済であるが未実行の貸出金の内訳は下表のとおりである。
(百万ユーロ) 2019 年 2018 年
通常貸出 2,708 2,384
プロジェクト投資貸出 518 297
環境投資貸出 16 20
約定済であるが未実行の貸出金合計 3,242 2,700
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⑤ 与信方針
リスク査定
当行の方針は、当行の業務がサウンド・バンキング原則に則って行われ、貸出および債務保証が市場
ベースの市中銀行条件で付与されることを求めている。詳細については、「(5) 経理の状況」の財務書類
に対する注記の「注2:リスク管理」および「注3:セグメント情報」に記載がある。
下表は、総貸出エクスポージャーおよび当行の資本合計に対する比率として計算された、2019年12月31
日現在の発行済保証を含むNIBの上位10件の非ソブリン向けエクスポージャー(貸出実行額および貸出約
定額の合計として定義される)を示すものである。
総貸出エクスポージャーに 資本合計に
順位 占める割合(%) 占める割合(%)
1 2.5% 14.6%
2 2.2% 12.8%
3 1.8% 10.6%
▶ 1.6% 9.4%
5 1.5% 8.8%
6 1.5% 8.7%
7 1.2% 7.2%
8 1.2% 7.2%
9 1.2% 7.1%
10 1.2% 6.8%
信用リスクの監視および引当方針
当行は、その貸出エクスポージャーの監視についてしっかりとしたプロセスを有している。取引相手の
返済能力、信用補完の価値、リスク分類に影響を及ぼす要因およびプロジェクトの実施を含む取引のすべ
ての条項・条件の取引相手による遵守が監視プロセスの対象となる。プロジェクト・ファイナンスおよび
ストラクチャード・ファイナンス取引は、より詳細な監視の対象となる。さらに、信用リスクが高いとみ
なされるすべての貸出およびウォッチ・リストに掲げられるすべての貸出は、より詳細かつ具体的な監視
および報告要件の対象となる。
当行は、「フォーベアランス(条件緩和)」を財務上の困難を理由として取引相手に供与する譲歩(す
なわち、そうでなければ貸手が考えないような譲歩)と定義している。フォーベアランスの承認は、貸手
に損失をもたらす方法に限定されるものではない。契約上の条項・条件の変更には、例えば、金利、元本
もしくは未収利息の減免または元本および/もしくは利息の支払日の再設定が含まれることがあり、将来
のキャッシュフローに実際の影響を及ぼす。貸出のフォーベアランスは、当行の回収機会に有利となるよ
う取引相手の債務不履行を回避するために選別的かつ意図的に付与される。フォーベアランス実施中の取
引相手はウォッチ・リストに移され、当行の減損方針の対象となる。2019年12月31日現在、フォーベアラ
ンスの影響を受けた通常貸出はなく(前年:なし)、80百万ユーロ(前年:80百万ユーロ)のプロジェク
ト投資貸出がフォーベアランスの影響を受けた。2019年12月31日および2018年12月31日現在、通常貸出に
関して計上されたステージ3の減損はなかった。2019年12月31日現在、フォーベアランスの影響を受けた
プロジェクト投資貸出に関して計上された減損は0百万ユーロ(前年:0百万ユーロ)であった。フォー
ベアランスの影響を受けた貸出の受取利息は、2019年には0百万ユーロ(前年:1百万ユーロ)であっ
た。「(5) 経理の状況」の財務書類に対する注記の「注2 リスク管理」の「信用リスクの監視」を参
照。
2016 年において、当行は、当行の不良債権の定義をバーゼル委員会の定義に沿うように調整した。2019
年および2018年12月31日現在、合計78百万ユーロの不良債権(ステージ3の貸出)が3件あり、これらは
いずれもPIL貸出であった。
当行の貸出金および「その他の資産」の貸出債権から合計121百万ユーロ(前年:119百万ユーロ)が控
除されている。個別減損損失引当金は78百万ユーロ(前年:78百万ユーロ)であり、ECLのステージ1お
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よびステージ2に分類される資産は、42百万ユーロ(前年:40百万ユーロ)であった。2019年および2018
年において、「その他の資産」の項目の債権に転換された貸出取引はなかった。
当行は、2018年1月1日以降、IFRS第9号に従い、予想信用損失モデル(ECL)を適用している。ECL
は、当初認識時からの信用の質の変化に基づいて3段階(ステージ)のモデルで構成される。モデルおよ
び関連するインプットについては、「(5) 経理の状況」の財務書類に対する注記の「注2:リスク管理」
に詳細な説明があり、また関連する会計方針については「(5) 経理の状況」の財務書類に対する注記の
「注1:会計方針」において開示されている。
ステージ1には、当初認識以降信用の質が著しく悪化していないか、または報告日現在のリスクが低い
金融資産が含まれる。これらの資産については、ECLは報告日から12カ月以内に発生しうるデフォルト事
由の確率加重結果である。
ステージ2には、当初認識時から信用の質に著しい悪化があるが、減損の客観的証拠がない金融資産が
含まれる。これらの資産については、残存期間ECLはデフォルト確率で加重された予想期間にわたるすべ
ての可能性のあるデフォルト事由から生じる。
ステージ1およびステージ2の資産は、履行資産として分類され、モデルにおける計算は各報告日に更
新される。
ステージ3には、当行の信用格付プロセスにおいて不良資産として分類された資産が含まれ、これまで
認識されていた個別評価された減損と同様に測定される。
ECL の対象となる資産には、償却原価で、または包括利益を通じた公正価値で測定される金融資産およ
び貸出約定が含まれる。
⑥ その他の活動
当行の加盟国、北部欧州環境パートナーシップおよび北部欧州輸送流通パートナーシップは、当行が運
用する信託基金を通じて技術的支援および投資補助金を加盟国に隣接する地域におけるプロジェクトに割
当てるためのチャネルとして当行を利用している。
当行は、バレンツ海および白海を含む北極圏および亜北極圏からバルト海の南岸までのヨーロッパ北東
部をカバーする北部地域における優先順位の高い環境プロジェクトに共同で融資するため、欧州連合およ
びロシアを含む資金提供国政府からプールされた交付資金を提供する北部欧州環境パートナーシップ(以
下「NDEP」という。)に参加している。NDEPは、核および非核という環境問題に特化しているが、当行の
NDEP活動は、非核部門のみに限定されている。核の問題は、全額交付金で賄われ、旧ソビエト北方艦隊が
生み出した有害廃棄物を取扱う。核以外の面では、NDEPの目的は、融資がなければ財政的に成り立ち得な
いようなプロジェクトに対するIFIからの長期貸出をてこ入れするために、資金提供者からの交付資金を
活用することである。環境プロジェクトは、いずれも主な国際的汚染源である上下水処理の改良、地方自
治体および農業固形廃棄物の管理ならびにエネルギー効率に主に関わっている。NDEPの活動は、プロジェ
クトを選別し、各プロジェクトについての主要実施代理機関を欧州復興開発銀行(以下「EBRD」とい
う。)、欧州投資銀行(以下「EIB」という。)、当行、世界銀行、NEFCOまたはドイツ復興金融公庫
(KfW)の中から任命する運営グループが主導している。パートナーシップは、プロジェクトへの十分な
融資を確保するため、資金提供国からの約束を取付ける支援基金を有している。2019年末現在、かかる基
金には、EU、ロシア連邦および11カ国の資金提供国政府からの拠出金からなる352.9百万ユーロの資金が
利用可能であった。拠出金のうち181.7百万ユーロは、非核関係プロジェクトに特に指定される。2009年
には、ベラルーシが同国北部における上下水処理施設再建への投資を募る1.0百万ユーロの約束をもって
NDEP支援基金に参加した。このことは、バルト海の生態系に好影響を及ぼすであろう。NDEPの環境プロ
ジェクトには、目下ロシア北西部およびベラルーシにおいてさまざまな実施段階にある26件のプロジェク
トが含まれており、これらのための見積投資所要額は3.3十億ユーロである。当行は現在、25百万ユーロ
のNIB融資により、ベラルーシにおける2件のNDEPプロジェクトの実施機関となっている。現在ロシア共
和国に制裁が課されているため、当行はロシアにおいて新規の貸出業務を行っていない。
北部欧州輸送および物流パートナーシップ(以下「NDPTL」という。)は、地域の輸送インフラおよび
物流プロジェクトにかかる協力および実施を促進することを目的として、2009年に設立された。NDPTLの
事務局は、当行がホスト役を務めている。プロジェクトの準備、開発および実施のための補助金を付与す
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るため、2012年後半にNDPTLの支援基金が設立され、2013年に運用が開始された。この基金は、資金提供
国3カ国の政府およびEUから拠出金を受取っている。
2006 年5月30日、 当行は、プロジェクト融資に関連した環境原則、実務および基準の一層の調和推進に
呼応して出された構想である、欧州環境原則に署名した。同原則は、プロジェクト融資に関連した環境管
理への共通のアプローチを確立することを目的としている。その文書は、EU、欧州経済領域およびEU加盟
候補国内のプロジェクトの基準となっている。当行のほかに、NEFCO、EIB、EBRDおよび欧州評議会開発銀
行がこの原則を採用している。
バルト海海洋環境保護委員会(Helcom)の加盟国により、2007年にバルト海行動計画(以下「BSAP」と
いう。)が採択された。BSAPは、2021年までにバルト海の海洋環境の良好な生態系を復活させることを目
的としている。この計画の実施を加速させるため、技術援助のために使用されるスウェーデンおよびフィ
ンランドからの助成金により、2009年にBSAP基金が設立された。当行およびNEFCOは、BSAP基金の共同管
理者である。
当行は、2001年以降、ファンド・オブ・ファンズの貸出人としてメザニン・ファンドを通じて資金を提
供してきた。当行は現在、4つのかかるファンドに参加している。
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⑦ 長期負債
当行の借入取引は、多くの場合、国際財務報告基準(IFRS)第9号に従って、ヘッジ会計について公正
価値で貸借対照表において認識される。当行の長期負債残高に関する詳細情報については、「(5) 経理の
状況」の財務書類に対する注記の「注16:証券負債および関連スワップ」を参照。
当行は、今後いつでもさまざまな通貨または通貨ユニット建の債務証券を追加発行することができる。
年末現在の当行の証券負債借入の通貨別内訳は以下のとおりである。下表はまた、関連するスワップ後
の名目ベースの借入の通貨別内訳をも示している。
スワップ契約
負債 債務/債権 正味残高
(百万ユーロ) 2019 年 2018 年 2019 年 2018 年 2019 年 2018 年
通貨
米ドル 9,417 10,084 1,755 3,055 11,173 13,139
ユーロ 4,203 3,700 6,497 5,766 10,700 9,466
英ポンド 3,128 2,624 -3,128 -2,624 - -
ノルウェー・クローネ 2,456 2,111 124 123 2,580 2,234
豪ドル 1,971 1,941 -1,971 -1,941 - -
スウェーデン・クロー
ナ 1,751 1,572 63 64 1,815 1,636
ニュージーランド・ド
ル 1,306 1,743 -1,306 -1,743 - -
香港ドル 408 163 -408 -163 - -
トルコ・リラ 388 456 -388 -456 - -
メキシコ・ペソ 237 217 -237 -217 - -
ブラジル・レアル 149 264 -149 -264 - -
インド・ルピー 142 100 -142 -100 - -
デンマーク・クローネ 133 - 1 - 134 -
日本円 113 162 -113 -162 - -
その他の通貨 175 180 -175 -180 - -
小 計 25,977 25,317 424 1,158 26,401 26,475
公正価値調整 77 - -80 - -4 -
ヘッジ会計調整 620 335 -621 -314 -1 20
合計 26,674 25,651 -277 844 26,396 26,495
⑧ 財務活動
資産負債管理
流動性管理
当行の流動性方針は、ストレス・テストに基づいており、バーゼルⅢの勧告(2010年12月にバーゼル銀
行監督委員会が公表したもの)、EU指令および格付機関が用いる格付の手法が盛り込まれている。この方
針には、当行が、厳しいストレス・シナリオにおいて、継続的な事業活動から生じる支払債務をどのくら
いの期間にわたって履行することができるかを測定するサバイバル・ホライズンが含まれる。目標は、サ
バイバル・ホライズンを少なくとも12カ月に維持することである。2019年末現在、当行はそのサバイバ
ル・ホライズンを397日(前年:428日)と計算していた。
流動性リスクを軽減するため、当行は、流動性バッファーを維持している。流動性バッファーは、主と
してユーロに投資されているが、米ドルおよび北欧通貨にも投資されている。2019年末現在、取引相手の
信用リスクを軽減するためにスワップの取引相手から受領した現金および有価証券をも含む流動性バッ
ファーは、11,707百万ユーロ(前年:10,348百万ユーロ)であった。このうち、4,666百万ユーロ(前
年:3,801百万ユーロ)は現金および短期金融市場商品として保有され(40%(前年:37%))、7,041百
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万ユーロ(前年:6,547百万ユーロ)は有価証券により保有されていた(60%(前年:63%))。厳しい
市場環境において市場価値のボラティリティおよび流動性リスクを最小限にするため、流動性バッファー
は 流動性方針に定められた質の要件を満たしていなければならない。2019年末現在、流動性バッファーの
83%(前年:89%)は質の高い流動性資産(HQLA)に投資されており、90%(前年:82%)は一または複
数の中央銀行において有価証券買戻取引(レポ)の担保として適格であり、資産の94%(前年:94%)は
当行の内部格付において上位4つのカテゴリーに属していた。また、当行は、欧州連合の資本要件規制で
規定されている流動性カバレッジ比率(LCR)要件および安定調達比率(NSFR)要件を満たしている。追
加収益を実現するという目的のもとで、流動性の一部は、長期の政府証券、カバード・ボンドおよび
「A」以上の信用格付を有する金融機関が発行した上位社債に投資されている。詳細については、「(5)
経理の状況」の財務書類に対する注記の「注2:リスク管理」を参照。
担保管理
当行は、デリバティブ取引から生じる取引相手リスクを軽減するため、取引相手から担保を受取ってい
る。当行は、スワップの取引相手に主としてユーロの現金保有による担保を差入れる必要があるため、そ
のデリバティブの取引相手とのクレジット・サポート・アグリーメントを一方向から双方向に移行した。
この双方向のアグリーメントでは、より高い流動性バッファーが求められる。これに関する詳細について
は、「(5) 経理の状況」の財務書類に対する注記の「注2:リスク管理」を参照。2019年末現在保有して
いた現金担保の金額は957百万ユーロ(前年:575百万ユーロ)であった。年度末現在の受取り担保にかか
る情報については「(5) 経理の状況」の財務書類に対する注記の「注19:担保および契約義務」を参照。
ポートフォリオ管理
当行のポートフォリオ管理は、当行の流動性のうち、より長期の有価証券に投資されている部分の管理
を扱っている。2つのポートフォリオ、すなわち、(1) 高格付の発行体が発行した償却原価で測定される
証券投資および(2)公正価値で測定される活発に運用されるポートフォリオが設定されている。ただし、
流動性リスクを軽減することが主な目的であり、環境、社会およびガバナンスの側面の一部が投資判断に
組込まれる。ポートフォリオにかかるリターンは引続き当行全体の業績に貢献しているが、利回りが極め
て低い環境にあるため貢献度は弱まりつつある。
活発に運用されるポートフォリオは、固定利付デリバティブを利用したアクティブなイールドカーブお
よびデュレーションの管理戦略ならびに証券投資を通じて当行の業績に貢献している。戦略の実施は、当
行内外のマネージャーにより行われている。当行は、資金を伴わない任務を帯びて業務を行う外部マネー
ジャー1社と契約を結んでいる。2019年末現在、外部マネージャーは、総額100百万米ドル(89百万ユー
ロ相当)を上限としてポジションをとることを認められていた。外部マネージャーには具体的なリスク限
度が設定されており、そのリスク・エクスポージャーも全体的な市場リスク限度によって把握され、制限
されている。「(5) 経理の状況」の財務書類に対する注記の「注2:リスク管理」を参照。
2019 年12月31日現在の当行の金融投資の会計処理および数量にかかる情報については、「(5) 経理の状
況」の財務書類に対する注記の「注11:債務証券」を参照。2019年12月31日現在のデリバティブ残高の数
量については、「(5) 経理の状況」の財務書類に対する注記の「注15:その他の資産」に記載する。
資金調達業務
当行の主な資金調達源は、世界の主要な金融市場における債券発行であり、当行の顧客のために都合の
良い条件で資金を調達することを目的としている。当行は、有利な市場条件を利用し、その借入業務を通
貨、満期、流動性および仕組の面で投資家の選好に合わせることを目指している。この戦略に沿って、多
様な資金調達基盤ならびに個別の取引の仕組および複雑さにかかわるリスクを考慮しつつ、可能な限り低
コストで資金を調達することを目的としている。
さらに、資金調達と貸出取引の条件が合わない可能性も考慮する。この限りにおいて、為替、金利およ
び借換えのリスクの管理を最もうまく行うため、発行手取金はデリバティブ市場において交換される。
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NIB の中長期借入の大部分は、その借入プログラムのもとで行われている。2019年末現在、当行は以下
のプログラムを活用していた。
・15十億ユーロを上限とするユーロ・ミディアム・ターム・ノート・プログラム(以下「EMTNプログラ
ム」という。)
・20十億米ドルを上限とし、米国証券取引委員会に登録されたUSミディアム・ターム・ノート・シリー
ズDプログラム(以下「米国MTNプログラム」という。)
・8十億豪ドルを現在の上限とする豪ドル・ニュージーランドドル国内ミディアム・ターム・ノート・
プログラム。
2019 年、NIBは44件の取引において、12の異なる通貨建で4,909百万ユーロ(前年:6,620百万ユーロ)
の借入を行った。この総額のうち、2,967百万ユーロ(前年:3,922百万ユーロ)は、EMTNプログラムの下
で行われた38件の取引によるものである。米国MTNプログラムのもとでは、NIBは2本の発行を行い、これ
ら2本はそれぞれ1.0十億米ドルおよび1.0十億米ドルのグローバル指標銘柄債であった。2018年には、
EMTNプログラムの下で57件、米国MTNプログラムの下で3本の取引(このうち2本はそれぞれ1.0十億米ド
ルおよび1.0十億米ドルのグローバル指標銘柄債の発行)を行った。2019年におけるNIBの借入取引の加重
平均償還年数は、2018年の5.1年に対し4.7年であった。
発行済債務証券のうち、1,854百万ユーロ(前年:1,614百万ユーロ)は変動利付、24,123百万ユーロ
(前年:23,703百万ユーロ)は固定利付であり、これは主に変動利付にスワップされる。
NIB は、NIBの環境債(以下「NEB」という。)プログラムの一環として債券を発行することができる。
NIBは、NEBの発行を通じて調達された資金がNIBの加盟国およびEU諸国における環境貸出に向けられるよ
うな内部の枠組みを構築した。貸出プロジェクトは、内部の厳格な環境基準を満たした場合に、この枠組
みに基づいて適格となる。かかる債券の元利金の支払は、単一機関としてのNIBの信用状況に基づいての
み行われ、環境貸出プロジェクトの実施状況に直接連動することはない。したがって、かかる債券は「ア
セットバック」証券を構成することも、NIBの環境貸出プロジェクトのいずれかにクレジット・リンクす
ることもない。NIBの環境債は、NIBのいずれかの債券発行プログラムの下で発行することができる。
2019 年末現在、当行のNIB環境債の発行残高は合計3,906百万ユーロ(前年:3,261百万ユーロ)であっ
た。2019年、NIBはその環境枠組みの下で総額693百万ユーロの2本のNIB環境債を発行した。その内訳
は、500百万ユーロの環境債1本と初の北欧バルト・ブルーボンド1本である。5年満期2十億スウェー
デン・クローナの北欧バルト・ブルーボンドは、水の管理および保護の分野のみにおける融資プロジェク
トである。2018年中に、当行は500百万ユーロのNIB環境債1本を市場に持ち込んだ。
2019 年および2020年については、当行理事会は、当行がそれぞれ総額7.5十億ユーロおよび7.5十億ユー
ロを上限とする中期および長期借入を行うことを承認した。
2008 年、NIBは、ユーロ・コマーシャル・ペーパー・プログラム(以下「ECPプログラム」という。)に
代えて、上限2十億ユーロの新STEP適格ECPプログラムを導入した。このプログラムに基づく借入および
EMTNプログラムに基づく短期取引による借入のほか、NIBは、マネー・マーケット・ローンおよびレポ取
引を通じて銀行間市場において短期資金を調達することができる。これらの取引は、「(5) 経理の状況」
の財務書類に対する注記の「注16:証券負債およびスワップ」に記載されたほとんどの通貨により行われ
ている。
理事会は2019年および2020年について、当行が短期資金調達を行うことを認めたが、残高は各年のいか
なる時点においても3.0十億ユーロを超えないものとされている。
NIB は、2019年および2018年の年末現在、ECPプログラムに基づくコマーシャル・ペーパーの残高はな
かった。
⑨ リスク管理
任務の実現、収益の確保およびリスク軽減のバランスを慎重に保つことは、当行のリスク負担において
重要な検討事項である。当行の設立文書は、サウンド・バンキング原則に則って貸出が行われること、そ
の状況下で十分な安全性が確保されていると考えられる場合を除き、貸出について適切な担保が得られる
こと、ならびに当行が為替差損のリスクに対して、実行可能な限りにおいて自らを保護することを義務づ
けている。当行のリスク許容度は、理事会が承認したリスク・アペタイト・ステートメント(以下
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「RAS」という。)に定義されている。RASは、当行のリスクテイク意欲を当行の法定要件、戦略的事業目
標および資本計画に整合させることを目指している。RASに記載のとおり、当行は、強固な資本および流
動 性のポジションならびに安定した収益と業務効率によって支えられ、可能な限り最高の水準でその発行
体格付を維持するよう努めている。
主なリスクである信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナル・リスクおよびコンプラ
イアンス・リスクは、財務健全性を維持し、当行の評価を脅かす可能性のある事業活動を避けることを当
行の全体目標として慎重に管理されている。その他のリスクは、実施された重要性評価に基づいて管理さ
れている。国際金融機関として、当行はいずれの国家のまたは国際的な銀行業界における自主規制の対象
にもなってない。しかしながら、当行のリスク管理の枠組みは、当行が該当する市場基準および最良慣行
として特定するもの(バーゼル銀行監督委員会の基準およびガイドラインを含む。)を実質的に遵守する
ために、定期的に見直しが行われ、変化する環境に適応している。
リスク管理に関する詳細な情報については、「(5) 経理の状況」の財務書類に対する注2を参照。
⑩ 日本との関係
該当事項なし。
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(5) 【経理の状況】
NIBの会計年度は暦年である。当行理事会の年次報告書および監査済財務書類は統治委員会に提出され、そ
の承認を求める。
NIBの財務書類は、国際会計基準審議会(IASB)が設定した国際財務報告基準(IFRS)に準拠して作成され
ている。1999年1月1日以降、NIBの勘定はユーロで表示されている。監査人は、国際会計士連盟が設定する
国際監査基準に従って監査を行っている。
2019年12月31日に終了した年度に関する監査報告書は本報告書に添付されている。
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包括利益計算書
(千ユーロ) 注 2019 年 2018 年
償却原価で保有する金融資産からの受取利息 315,241 298,371
公正価値で保有する金融資産からの受取利息 25,768 24,711
支払利息 -129,280 -99,590
利息収入純額 (3)(4) 211,729 223,492
受取手数料 (5) 9,462 13,271
支払手数料 -1,859 -2,546
手数料収入純額 7,603 10,725
金融取引純利益/損失 (6) 14,272 -23,776
為替差損益 111 -160
営業収益合計 233,715 210,281
費用
一般管理費
人件費 (7) -30,496 -28,971
その他の一般管理費 (8) -13,872 -12,321
減価償却費 (14) -6,841 -1,937
営業費用合計 -51,209 -43,228
貸倒損失控除前利益 182,506 167,053
正味貸倒損失 (9) -524 5,957
当期純利益 181,982 173,009
その他の包括利益
後に損益に振替えられない項目
公正価値ヘッジ
クロスカレンシー・ベーシス・スプレッドの評価額 15,786 6,160
その他の包括利益合計 15,786 6,160
包括利益合計 197,768 179,169
添付の注記は、本財務書類の不可分の一部である。
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財政状態計算書
(千ユーロ) 注 2019 年12月31日 2018 年12月31日
資 産
現金および現金同等物 (26) 1,428,432 4,757,905
金融投資
金融機関投資 3,588,987 9,021
債務証券 (11) 7,079,053 6,454,748
その他 7,585 15,761
10,675,625 6,479,531
貸出金 (12) 18,798,979 19,065,056
無形資産 (13) 11,753 9,205
有形固定資産 (13) 35,899 30,771
その他の資産
デリバティブ (15)(24) 1,423,391 1,068,260
その他の資産 (15) 4,175 4,520
1,427,566 1,072,781
未収利息・手数料 274,826 294,421
資産合計 32,653,078 31,709,670
(千ユーロ) 注 2019 年12月31日 2018 年12月31日
負債および資本
負 債
金融機関債務
短期金融機関債務 (19)(26) 956,732 575,394
長期金融機関債務 8,435 9,486
965,166 584,879
証券負債 (16) 26,673,647 25,651,370
その他の負債
デリバティブ (17)(24) 1,042,227 1,649,158
その他の負債 (17) 14,911 10,080
1,057,138 1,659,238
未払利息・手数料 221,805 236,629
負債合計 28,917,756 28,132,116
資本 (18) 3,735,323 3,577,554
負債および資本合計 32,653,078 31,709,670
添付の注記は、本財務書類の不可分の一部である。
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持分変動計算書
P
I
L
一 特
般 別 利
信 信 益
払 用 用 処 ヘ
込 利 リ リ 分 ッ
済 益 ス ス 可 ジ
資 準 ク ク 能 準
本 備 基 基 資 備 合
(千ユーロ)
金 金 金 金 金 金 計
2018 年1月1日現在の資本 418,602 686,325 1,694,594 445,919 210,981 -3,035 3,453,386
当期利益 - - - - 173,009 - 173,009
その他の包括利益 - - - - - 6,160 6,160
包括利益合計 0 0 0 0 173,009 6,160 179,169
所有者の資格における所有者と
の取引
利益処分 - - 155,981 - -155,981 - 0
PIL 損失の実現 - - 18,978 -18,978 - - 0
配当金 - - - - -55,000 - -55,000
2018 年12月31日現在の資本 418,602 686,325 1,869,553 426,941 173,009 3,124 3,577,554
当期利益 - - - - 181,982 - 181,982
その他の包括利益 - - - - - 15,786 15,786
包括利益合計 0 0 0 0 181,982 15,786 197,768
所有者の資格における所有者と
の取引
利益処分 - - 133,009 - -133,009 - 0
配当金 - - - - -40,000 - -40,000
2019 年12月31日現在の資本 418,602 686,325 2,002,562 426,941 181,982 18,910 3,735,323
当期利益処分案
2019 年 2018 年
(千ユーロ)
信用リスク基金繰入額
一般信用リスク基金 136,982 133,009
配当金への充当 45,000 40,000
当期利益 181,982 173,009
添付の注記は、本財務書類の不可分の一部である。
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キャッシュフロー計算書
(千ユーロ) 2019 年 2018 年
営業活動からのキャッシュフロー
当期純利益 181,982 173,009
調整:
公正価値で保有する金融資産にかかる未実現利益/損
3,226 -14,275
失
予想信用損失(ECL)非貸出業務 50 -20
有形資産および無形資産の減価償却費および評価減 6,841 1,937
未収利息・手数料(資産)の増減 19,631 -22,377
未払利息・手数料(負債)の増減 -14,830 27,117
正味貸倒損失 524 -5,957
ヘッジ会計調整 -9,243 37,523
当期利益に対するその他の調整 -3,826 7,031
調整合計 2,373 30,979
貸出金
貸出実行 -2,545,287 -4,046,710
貸出金の回収 2,814,863 2,113,670
グリーンボンド貸出の債務証券への振替 48,149 -
資本化、通貨単位の変更、指標調整等 -9,271 897
貸出金合計 308,454 -1,932,143
営業活動からのキャッシュフロー合計 492,809 -1,728,154
投資活動からのキャッシュフロー
投資および債務証券
債務証券の購入 -2,246,940 -1,891,112
貸出からグリーンボンド貸出への振替 -48,149 -
債務証券の売却および/または満期到来 1,708,959 2,048,213
金融機関投資 -3,580,102 -250
その他の金融投資 7,910 218
投資および債務証券合計 -4,158,321 157,069
その他の項目
無形資産の取得 -2,941 -3,885
有形資産の取得 -7,192 -2,421
その他の資産の増減 293 23,680
その他の項目合計 -9,839 17,373
投資活動からのキャッシュフロー合計 -4,168,161 174,443
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財務活動からのキャッシュフロー
証券負債
債券の新規発行 4,908,757 6,619,670
償還 -4,588,630 -4,924,256
証券負債合計 320,127 1,695,415
その他の項目
長期金融機関債務 -1,051 -7,842
スワップ債権の増減(公正価値の増減を除く。) -136,802 -60,891
スワップ債務の増減(公正価値の増減を除く。) -493,868 34,237
その他の負債の増減 -1,549 -2,206
配当金の支払額 -40,000 -55,000
その他の項目合計 -673,270 -91,702
財務活動からのキャッシュフロー合計 -353,143 1,603,713
現金および現金同等物の増減(純額) -4,028,495 50,002
現金および現金同等物の期首残高(純額) (26) 4,182,512 4,073,797
為替レート調整 317,683 58,714
現金および現金同等物の期末残高(純額) (26) 471,700 4,182,512
キャッシュフロー計算書に関する追加情報
受取利息 360,603 300,706
支払利息 -144,104 -72,473
添付の注記は、本財務書類の不可分の一部である。
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注1: 会計方針
報告主体 - NIBの沿革
加盟国の協力
組織化された北欧協力
北欧諸国間の協力は、経済政策、工業技術開発、情報伝達および法制の調和を含む多岐にわたる活動に及
んでいる。
北欧協力の最も重要かつ正式な根拠となっているのは、1962年ヘルシンキ協定である。この協定には北欧
諸国の協力の目的が述べられており、北欧評議会に関する規定、およびその後改正され北欧閣僚評議会に関
する規定が掲げられている。
北欧評議会は、北欧諸国が共通の利害を有する問題について議会レベルで協議と議論を行う場となってい
る。北欧閣僚評議会には、協力案件に関して北欧諸国政府に対して拘束力を有するとみなされる決定を行う
権限が与えられている。
1992年以降、エストニア、ラトビアおよびリトアニアのバルト3国は、北欧バルト8カ国(NB8)の枠組み
の下で、北欧諸国と緊密に協力してきた。NB8の下で、地域の関心事および国際問題について協議するため、
北欧諸国とバルト諸国の首相および外相の間で定期的な会合がもたれている。
EFTA およびEU
北欧諸国は、相互の商業取引関係を着実に広げてきた。この進展は、1960年の欧州自由貿易連合(以下
「EFTA」という。)の創設により促進されたもので、これにより、1960年代から1970年代にかけて北欧諸国
間の貿易の発展の枠組みが確立された。
1973年にデンマークが欧州共同体(欧州連合の前身)に加盟したのに続いて、他の北欧4カ国が、北欧地
域内での自由貿易の促進を目的として欧州共同体と相互自由貿易協定を結んだ。
スイスを除くEFTA加盟国および欧州連合(以下「EU」という。)は、1994年1月1日付で欧州における自
由貿易圏である欧州経済領域(EEA)を創設した。
フィンランドおよびスウェーデンは1995年1月1日付でEUに加盟した。北欧諸国で現在EFTAに加盟してい
るのは、ノルウェーとアイスランドのみとなっている。1999年1月1日のユーロ導入時、北欧ではフィンラ
ンドがEUの経済通貨同盟(以下「EMU」という。)に参加した唯一の国であった。
2004年5月1日付で、エストニア、ラトビアおよびリトアニアがEU加盟国となり、その後EMUの加盟国と
なった。エストニアは2011年1月1日付、ラトビアは2014年1月1日付、リトアニアは2015年1月1日付
で、それぞれEMUに加盟した。
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その他の協力形態
北欧バルト諸国の協力には、国際機関における政策上の意見調整も含まれている。国連および国連貿易開
発会議で発生する問題について定期的に協議されている。加盟国は、国際通貨基金、国際復興開発銀行およ
びその他の国際機関へ共同で代表者を送っている。
NIB 設立について
北欧評議会および北欧閣僚評議会での長年にわたる議論が、北欧投資銀行の設立につながった。NIBの法的
基礎をなすのが、1975年12月4日に締結された「設立契約」である。設立契約の締結国は、デンマーク、
フィンランド、アイスランド、ノルウェーおよびスウェーデンであった。
設立契約およびNIBの定款は1976年6月1日に発効し、NIBは同年8月2日に業務を開始した。
1981年9月15日に、北欧閣僚評議会は、開発途上国向けを主とする輸出プロジェクトにおける加盟国協力
の促進計画を承認した。1982年2月28日に修正されたこの決定には、この計画の重要な要素のひとつとし
て、貸出および債務保証を行う共同融資(以下「プロジェクト投資貸出」という。)ファシリティの創設が
含まれている。このファシリティは1982年7月1日に発効し、現在加盟国以外におけるNIBの貸出業務の主要
な部分を形成している。注12を参照のこと。
1996年8月、北欧諸国の首脳は、北欧諸国に隣接する地域における環境投資に対する融資を行う特別環境
貸出ファシリティ(以下「環境投資貸出ファシリティ」という。)の設定を決定した。このファシリティは
1997年1月25日に北欧閣僚評議会で承認され、1997年8月28日に効力を生じた。このファシリティは、NIBの
貸出業務の一部をなすもので、加盟国に隣接する地域における環境の保護および国境を越えた公害の減少を
目指す投資に対する融資を行う目的で、公共・民間両部門に対する貸出および債務保証を行う。注12を参照
のこと。
1997年11月、北欧閣僚評議会は、NIBならびにその姉妹機関であるNEFCOおよびNDF(それぞれ以下に定義す
る。)の法的枠組みを、その国際機関としての地位を反映させるため、改訂すべきであるとの決定を行っ
た。NIBに関しては、これにより1998年10月23日に1998年契約が締結される運びとなった。
1998年10月23日、北欧諸国は新設立契約(以下「1998年契約」という。)を締結した。この1998年契約は
1999年7月18日に発効し、設立契約は同日失効した。
2003年6月の北欧諸国の首脳による政策決定を受けて、2005年1月1日付で、エストニア、ラトビアおよ
びリトアニアは、原加盟国と同等の条件でNIBの加盟国となった。新規加盟国は、原加盟国と同一の権利およ
び義務を有する。
2004年契約は、当行を統治するための新しい組織を規定しており、これは2005年1月1日付で完全に実施
された。NIBはまったく新しい機関である統治委員会を取り入れた。統治委員会は、当行のそれまでの法的枠
組みにおける北欧閣僚評議会に代るもので、その役割を継承した。2004年契約は、NIBの業務を変更するもの
ではなかった。
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NIB の関連当事者/姉妹機関について
1988年5月19日、北欧閣僚評議会は、優遇的な条件での開発途上国における北欧の利益になるプロジェク
ト向けに融資するために、国際金融機関である北欧開発基金(以下「NDF」という。)の設立を決定した。
NDFの設立に関する契約は、1988年11月3日に北欧5カ国(以下「NDF加盟国」という。)によって署名さ
れ、同基金は1989年2月1日にその業務を開始した。NDFは、独自の理事会を持ち、NDF加盟国によって資本
基盤を供与されている独立した法人である。
1990年3月2日に北欧閣僚評議会は、北欧の環境面で利益になる東欧および中欧での投資の促進を目的と
して、国際金融機関である北欧環境金融公社(以下「NEFCO」という。)の設立を決定した。NEFCOは、独自
の理事会を持ち、NEFCOの加盟国によって資本基盤を供与されている独立した法人である。
NDFおよびNEFCOの設立文書によると、それらの主たる事務所はNIBの主たる事務所に置かれている。さら
に、NDFおよびNEFCOの定款は、北欧評議会により任命されたそれらの監査委員は同評議会が任命したNIBの監
査委員と同じメンバーであることを規定している。また、NDFおよびNEFCOの定款は、それぞれの理事会に与
えられる権限を、適宜、各組織の総裁および/またはNIBに委ねることができる旨を規定している。NIBは、
NDFおよびNEFCOに対して管理運営サービスを提供しており、その報酬は財務書類に対する注8において開示
されている。
NIBは、その業務資金を加盟国による払込済資本金、利益剰余金および国際資本市場における借入で賄って
いる。
当行の主たる事務所はフィンランドのヘルシンキ、ファビアニンカツ34に置かれている。
法律上の目的
2004年契約および定款によると、NIBの目的は、サウンド・バンキング原則に従って社会経済的な配慮をし
たうえで利用可能な融資を行い、加盟国および当行から融資を受けるその他の諸国の利益となる投資プロ
ジェクトを実現させることである。NIBは、準備金の積立てと払込済資本に対する合理的収益を得るため、業
務活動から利益を上げることを義務づけられているが、利益の最大化を目指す主体ではない。
法的地位
2004年契約の下で、NIBは完全な法主体性を有する国際法人格の地位を有している。とりわけNIBは、契約
締結、動産および不動産の取得および処分、ならびに裁判所および他の機関における法的手続きの当事者と
なる権利を有している。2004年契約はさらに、NIBが加盟国に共通の国際金融機関として、加盟国の内外で同
様の業務を行っている他の法人と同じ地位を有することを規定している。
2004年契約はまた、とりわけ一定の免責特権に関する条項も規定している。これらの条項によると、NIBが
事務所を設置しているか、もしくは送達受領の目的で代理人を指名している国の領域内の管轄権ある裁判所
において、またはNIBが明示的に管轄権を承認した場合のみ、NIBに対して訴えを提起することができること
につき、加盟国は同意している。ただし、訴えは、加盟国、加盟国の代理人または加盟国に由来する請求権
を有する者により、NIBがこれに対して明示的同意を表明した場合のみ、提起することができる。
さらに、2004年契約は、NIBの財産および資産(所在地または所有者を問わない。)は、これらに対する司
法機関または行政機関による判決または命令が確定するまで、その執行を免除される旨を規定している。当
行の財産および資産(所在地または所有者を問わない。)はさらに、行政または立法行為による捜索、徴
用、没収および収用を免除される。当行、その財産および資産は、差押のような手続的制約をも免除され
る。
2004年契約は、NIBの土地建物および公文書ならびに当行に帰属しまたはNIBが保管するすべての文書が不
可侵である旨を規定している。
2004年契約はまた、NIBがその義務の履行をいかなる方法でも制限しまたは妨げるような支払制限や信用政
策措置の適用も受けないこと、ならびにNIB、その収益、資産および財産が関連条項に規定されているすべて
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の課税を免除されていることも規定している。したがって、NIBは、NIBの正式業務に関連した不動産および
有価証券の購入および譲渡ならびに財・サービスの調達に対する課税を免除される。NIBによる貸出および借
入 も、一切の課税および類似の性質の賦課金を免除されている。
2010年10月20日、NIBとフィンランド政府との間の改訂受入国協定が締結された。この協定は、国際機関と
してのNIBの地位を確認し、NIBおよびその職員に関する一定の特権および免責ならびに職員の社会保障につ
いてさらに規制するものである。この協定はフィンランドにおいて制定され、2011年1月16日付で施行され
た。
会計基準
当行の財務書類は、国際会計基準審議会(以下「IASB」という。)が発表する国際財務報告基準(以下
「IFRS」という。)に基づいて作成されている。財務書類は、以下の会計方針に記載されている例外を除
き、歴史的原価主義に基づいて作成されている。
キャッシュフロー計算書は、営業利益において公正な評価、減価償却および貸倒損失といった非現金取引
の影響について調整される間接法を用いて作成されている。キャッシュフローは、営業活動からのキャッ
シュフロー、投資活動からのキャッシュフローおよび財務活動からのキャッシュフローに分類される。
キャッシュフロー項目は、財政状態計算書から直接決定することはできない。
2020年2月13日、理事会は、財務書類の公表を承認した。本財務書類は2020年5月末までに開催される予
定の年次統治委員会に承認のために提出される。
2019 年に適用された新しい会計基準
IFRS第16号「リース」により、以前よりも多くのリースを対応する使用権資産を伴う負債としてバランス
シート上で認識することにより、会計処理が大幅に変更された。この基準はIAS第17号「リース」に代わるも
のであり、2019年1月1日付で効力を生じた。ただし、当行は重要なリース契約を有していないため、この
新基準が重大な影響を及ぼすことはなかった。関連する2019年12月31日現在の「使用権」資産の帳簿価額は
3.6百万ユーロであった。
2020 年1月1日以降に開始する会計年度にかかる新基準
まだ効力を生じていないIFRSの基準および解釈で、当行に重要な影響を及ぼすことが予想されるものはな
い。
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機能通貨および表示通貨
当行の機能通貨および表示通貨はユーロであり、財務書類は別段の表示がない限り、千ユーロで表示され
ている。勘定科目の数値はすべて四捨五入されているため、個々の数値の合計は記載されている合計数値と
異なる可能性がある。また、すべての百分率は、四捨五入による誤差が生じる可能性がある。
重要な会計上の判断および見積り
IFRSに準拠した財務書類作成過程の一環として、当行の経営陣は、当行の利益、財政状態および年次報告
書に記載されたその他の情報に影響を及ぼす可能性のある一定の判断、見積りおよび仮定を行うことを求め
られる。かかる見積りは、入手可能な情報および当行経営陣の判断に基づくものである。実際の財務成績
は、評価から逸脱する可能性があり、時には大きく逸脱することがある。
当行は、資産および負債の公正価値を見積るために様々な評価モデルおよび技術を利用している。とりわ
け、借入および貸出の双方に関連するヘッジ活動のため用いられるデリバティブ商品等の複雑な金融商品の
設計に見積りが関わる場合は、かかる見積りに関する不確実性は相当高くなる。
見積りは、金利水準、為替レートおよびその他の要素等の市場データに大きく依存する。これらの見積り
に関する不確実性は、主に財政状態計算書に反映されている。NIBは、商品設計および市場データの双方に関
する公正価値の見積基準を改良するために継続的に開発を行っている。仮定および手法の改良により生じた
見積りの変更は、かかる改良が初度適用された期間に反映されている。
重要な判断および見積りは、IFRS第9号に基づく貸出金の減損テストにも適用される。
外貨換算
外国通貨で表示されている貨幣性資産および負債は決算日の為替レートにより計上される。非貨幣性資産
および負債については、取引日のユーロ・レートにより計上される。ユーロ以外の通貨により計上されてい
る収入および費用は当該日の為替レートにより日毎にユーロに換算される。
実現および未実現の為替差損益は包括利益計算書に計上される。
注27に記載のとおり、当行は、国際通貨基金(IMF)が公表するレートに基づく特別引出権(SDR)を除
き、12月31日13時(グリニッジ標準時)現在の実勢レートに基づいて有力な市場データ提供業者から得られ
た為替レートを用いている。
金融商品の認識および認識中止
金融商品は、取引日ベースで財政状態計算書に認識される。
金融資産は、金融資産からのキャッシュフローに対する契約上の権利が終了した時にその認識を中止す
る。
金融負債は、契約上特定された義務が履行、解除または終了した時に財政状態計算書から認識が中止され
る。
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分類および測定の基準
当行は金融資産を償却原価で測定されるものと公正価値で測定されるものに分類している。この分類は、
資産の契約上の特性およびその運用について採用されるビジネス・モデルの双方に依拠する。
償却原価による金融資産
投資は、以下の基準が両方とも満たされた場合にのみ「償却原価」で分類される。すなわち、契約上の
キャッシュフローを回収するために資産を保有することが当行のビジネス・モデルの目的であり、かつ金融
資産の契約上の条件により、未償還額面金額にかかる元利金の支払のみによるキャッシュフローが特定の日
に発生しなければならないこと。
公正価値による金融資産
上記2つの基準のうちいずれかが満たされない場合、資産を償却原価のカテゴリーに分類することはでき
ず、損益を通じた公正価値(FVTPL)またはその他の包括利益を通じた公正価値(FVOCI)で分類しなければ
ならない。FVOCIは、元利金の支払または売却のために保有される資産の分類に使用される。その他すべての
金融資産はFVTPLとして分類される。
適格な公正価値ヘッジ関係においてヘッジ対象項目として指定されるこれらの金融資産および金融負債に
ついては、下記のヘッジ方針を参照のこと。
公正価値の決定
流通市場で取引されるデリバティブ商品を含む金融商品の公正価値は、貸借対照表日におけるビッドまた
はオファーの価格の終値である。公正価値が活発な市場で取得できない場合、公正価値は数学的モデルの利
用を含む様々な評価手法を用いて決定される。これらモデルへのインプットは、可能な場合は観察可能な市
場から取得される。組込みデリバティブ商品による当行の借入取引等の当行の金融商品の多くは、流通市場
で取引されていない。これらは、異なる評価モデルと技術を利用して公正価値で測定されている。このプロ
セスには将来の期待キャッシュフローの決定が含まれ、これは貸借対照表日現在の価値に割引くことができ
る。これら商品の将来キャッシュフローの見積りは、市場データおよび場合によっては(特にオプションが
関係する場合)当行の取引相手の行動に関する仮定に依拠する。したがって、公正価値の見積りは変数の影
響を受ける可能性があり、市場において実現可能とはならない可能性がある。異なる市場仮定の下でも価値
は大幅に異なる可能性がある。
当行は、測定に使用されるインプットの重要性を反映した以下の公正価値ヒエラルキーを用いて、公正価
値を測定している。
レベル1 :同一の商品にかかる活発な市場における市場相場価格(未調整)。
レベル2 :観察可能なインプットに基づく評価手法(直接的には価格に基づき、間接的には価格から導か
れる。)。このカテゴリーには、次のいずれかを用いて評価される商品が含まれる。すなわち、類似の商品
にかかる活発な市場における市場相場価格、さほど活発でないと考えられる市場における同一の商品もしく
は類似の商品にかかる相場価格、またはすべての重要なインプットが市場データから直接もしくは間接的に
観察可能な場合にはその他の評価手法。
レベル3:重要な観察不能のインプットを用いた評価手法。このカテゴリーには、評価手法が観察可能な
データに基づかないインプットを含む場合および観察不能なインプットが商品の評価に重大な影響を及ぼす
場合のすべての商品が含まれる。このカテゴリーには、商品間の差異を反映するために重要な観察不能の調
整または仮定が必要とされる場合に類似の商品にかかる相場価格に基づいて評価される商品が含まれる。
当行は、公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替を、変動が生じた報告期間の末現在において認識してい
る。レベル2の評価はすべてNIBが開発したモデルを用いた外部の情報源から得られた市場データに基づいて
いる。詳細については注20を参照のこと。
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相殺
金融資産および金融負債は、相殺する法的な権利があり、純額ベースで決済する意図がある場合にのみ相
殺され、純額が認識される。
現金および現金同等物
「現金および現金同等物」は、取得および投資の日から計算される当初満期が3カ月以内の貨幣性資産お
よび投資からなる。
キャッシュフロー計算書における現金および現金同等物は、取引の契約締結時から計算される当初満期が
3カ月以内の貨幣性資産、投資および負債の純額をいう。
金融投資
財政状態計算書において金融投資として認識される項目には、金融機関投資、ボンドおよびその他の負債
証券といった債務証券への投資ならびに資本の特性を有する商品への一定の投資が含まれる。かかる投資
は、当初は取引日付で計上される。その後の会計上の処理は、投資運用のための当行のビジネス・モデルお
よびその契約上のキャッシュフローの特性の双方に依拠する。
貸出金
当行の貸出取引は、資金が借手に移転した時点で財政状態計算書に計上される。貸出金は、当初は、取引
費用を含む移転された資金に対応する公正価値で計上される。貸出金は、償却原価の分類基準を満たさず、
よって公正価値で計上される一部の仕組貸出を除き、その後は償却原価で計上される。貸出金が金利の変動
により生じる公正価値の変動に対してヘッジされている場合、ヘッジされた貸出金の帳簿価額は、ヘッジ対
象リスクの公正価値により調整される。
貸出金の減損
当行は、潜在的減損に対する引当金を見積もるため、予想信用損失(ECL)モデルを利用している。当行
は、償却原価で、または包括利益を通じた公正価値で測定された金融資産および貸出約定についてECL損失引
当金を認識している。ECLは、当初認識時からの信用の質の変化に基づいて3段階(ステージ)のモデルで構
成される。減損は、金融資産のステージ分類に応じて、12カ月または残存期間のいずれかの予想信用損失に
基づいて報告される。ステージ分類はまた、金融資産にかかる受取利息がステージ1およびステージ2の資
産については総額ベースの帳簿価額に基づいて、またステージ3の資産については減損引当金控除後の帳簿
価額に基づいて報告されているかどうかを判定する。
ステージ1には、当初認識以降信用の質が著しく悪化していないか、または報告日現在のリスクが低い金
融資産が含まれる。これらの資産については、ECLは報告日から12カ月以内に発生しうるデフォルト事由の確
率加重結果である。
ステージ2には、当初認識時から信用の質が著しく悪化しているが、減損の客観的証拠がない金融資産が
含まれる。これらの資産については、残存期間ECLはデフォルト確率で加重された予想期間にわたるすべての
可能性のあるデフォルト事由から生じる。
ステージ1およびステージ2の資産は履行資産として分類され、モデル計算は各報告日に更新される。
ステージ3には、当行の信用格付のプロセスにおいて不良資産として分類された資産が含まれる。不良資
産については、ステージ1およびステージ2の資産にかかる一般的な計算ルールに対して、個別ベースで査
定が行われる。不履行クラスに対するエクスポージャーは不良債権に分類される。以下のいずれかまたは双
方が発生した場合は、債務者に関して債務不履行が生じる。
(a) 当行が担保の実行等の措置を取ることなく、債務者がその金銭債務全額を支払う見込みがないと当行
が判断する場合。
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(b) 90日を超えて、また加盟国または当行が既存の枠組み契約を締結している国に対するソブリン向け貸
出エクスポージャーについては180日を超えて、債務者が延滞する場合。
上記(a)の基準に該当する債務者は不履行クラスD1となり、上記(b)の基準に該当する債務者は不履行クラ
スD2となる。(a)および(b)の双方の基準に該当する場合は、債務者は不履行クラスD2となる。
当行は、減損引当金を包括利益計算書に計上すべきかどうかについて査定するため、各報告日において不
良債権について見直しを行う。とりわけ、必要な引当金の水準を決定する際には、将来のキャッシュフロー
の金額および時期の見積りに経営陣の判断を要する。かかる見積りはいくつかの要因についての仮定に基づ
いて行われ、実際の結果は異なる場合があるため、結果として引当金に将来変動が生じることがある。
ECLモデルの詳細、関連するインプットおよびガバナンスについては注2に、またその結果については注10
に記載がある。
無形資産
無形資産は、主としてソフトウェア、ソフトウェア・ライセンス、および2019年にはリース取決めから生
じる使用権資産に対する投資からなる。費用を超える経済的便益を1年以上もたらす取得は、無形資産とし
て認識される。かかる投資は歴史的原価で計上され、通常3年ないし5年の見積耐用年数にわたって償却さ
れる。償却は定額法でなされる。
有形資産
財政状態計算書の有形資産に含まれているのは、土地、建物、事務所設備および当行が有するその他の有
形資産である。かかる資産は、資産の見積耐用年数に基づく減価償却費累計額を差引いた歴史的原価で計上
される。土地については減価償却はなされない。ヘルシンキに所在の当行の事務所建物は、40年にわたり定
額法で減価償却される。当行のその他の建物は、30年にわたり減価償却される。事務所設備およびその他の
有形資産の減価償却期間は、個別に評価され、決定される。減価償却期間は通常3年ないし5年である。減
価償却は定額法で計算される。
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無形・有形資産の評価減および減損
当行の資産は、毎年、減損について見直しが行われている。減損の客観的証拠が存在する場合には、資産
の回収可能価額に基づいて減損損失が決定される。
デリバティブ商品およびヘッジ会計
金利リスクおよび為替リスクを管理するために使用される当行のデリバティブ商品は、取引日ベースで、
財政状態計算書に「その他の資産」または「その他の負債」として公正価値で計上される。当行は、IFRS第
9号に定められた条件を満たす場合に、当該基準に基づきヘッジ会計を適用している。ヘッジ会計は、ヘッ
ジ対象とヘッジ手段との間の明確に文書化された関係に基づいている。ヘッジ手段と、ヘッジ対象または
ヘッジ対象により発生したキャッシュフローの価値変動との間に高い(逆)相関関係がある場合に、ヘッジ
は有効とみなされる。ヘッジ関係は、ヘッジ操作が行われた時に文書化され、ヘッジの効果は継続的に評価
される。
ヘッジ会計が適用されないデリバティブは、損益を通じた公正価値で認識される。
公正価値ヘッジ
デリバティブが、認識された資産もしくは負債または損益に影響を及ぼしうる確定約定の公正価値の変動
をヘッジするヘッジ手段として指定される場合、そのデリバティブの公正価値の変動は直ちに損益におい
て、ヘッジ対象の公正価値の変動と同一項目に認識される。現在、当行の公正価値ヘッジは、主に借入取引
および貸付取引における固定金利から変動金利へのスワップに関連している。
外貨ベーシス・スプレッド
当行はヘッジに使用された金融商品から外貨ベーシス・スプレッドを区分しており、こうして区分された
金額は「その他の包括利益」(以下「OCI」という。)に計上される。外貨ベーシス・スプレッドは、満期時
にゼロになるため、OCIに計上された金額が後に損益に振替えられることはない。
キャッシュフロー・ヘッジ
当行は現在、キャッシュフロー・ヘッジ会計を適用していない。
ヘッジ会計の中止
ヘッジ手段のデリバティブが失効し、売却され、終了しもしくは行使された場合、ヘッジが公正価値ヘッ
ジ会計の基準を満たさなくなった場合、またはヘッジの指定が取り消された場合は、ヘッジ会計は将来に向
かって中止される。実効金利法を用いたヘッジ対象に対する中止時点までの調整は、かかるヘッジ対象の再
計算された実効金利で残存期間にわたって償却し、損益に計上される。ヘッジ対象が認識中止となった場
合、未償却の公正価値は直ちに損益において認識される。
債務証書
当行の借入取引は、取引日付で財政状態計算書に計上される。借入取引は、当初は、移転した資金の公正
価値から取引費用を控除した原価で計上される。当行は、事実上すべての借入取引の公正価値をヘッジする
ためにデリバティブ商品を利用している。これらの場合、借入取引は、その後財政状態計算書に公正価値で
計上され、評価差額があるときは、包括利益計算書に計上される。
買戻契約に基づき引渡された有価証券は財政状態計算書において認識を中止しない。買戻契約に基づき受
領した現金は、財政状態計算書において「金融機関債務」として認識される。
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資本
年度末現在における当行の授権・応募済資本金は6,142百万ユーロであり、そのうち払込済資本金は419百
万ユーロである。授権資本金のうち、応募済資本金の未払込部分、すなわち請求可能資本金の払込は、当行
の理事会が当行の義務履行のため必要と認めた範囲で、当行の理事会の請求により行われる。
当行の準備金・基金は、前会計期間の利益処分により積立てられ、利益準備金、ならびに一般信用リスク
基金およびPIL特別信用リスク基金で構成される。注18を参照のこと。
適切な信用リスク基金への繰入れ後の当行の利益は、利益準備金が当行の応募済授権資本金の10%に達す
るまで当該準備金に振替えられる。その後、当行の理事会の提案に基づき、統治委員会が積立準備金と応募
済資本に対する配当金との間での利益配分を決定する。
一般信用リスク基金は、当行の業務における不特定の例外的なリスクをカバーするものである。PIL特別信
用リスク基金への繰入れは、主として、PILにかかる貸倒損失についての当行自身のリスク負担分をカバーす
るためになされる。
ヘッジ準備金は、ヘッジ会計に含まれるデリバティブの外貨ベーシス・スプレッドの未実現の価値変動で
構成される。価値変動は満期時にゼロになるため、ヘッジ準備金に計上された金額が後に損益に振替えられ
ることはない。
利息
当行の利息収入純額には、貸出、債務証券および投資にかかる未収利息ならびに金融商品の額面超過金ま
たは割引金の期間配分が含まれる。利息収入純額には、債務にかかる利息費用、スワップ手数料および実効
金利法を用いて測定される借入費用も含まれる。
手数料
貸出の実行時に受取る手数料は、貸出の実行時に収益として計上され、これは、費用発生と同時に手数料
が収益として計上されることを意味する。約定手数料は、約定済であるが未実行の貸出について請求され、
契約期間にわたり包括利益計算書に計上される。
金融取引
当行は、債務証券およびその他金融商品にかかる実現および未実現の損益の両方を「金融取引純利益」の
項目に計上する。ヘッジ会計調整も同項目に含まれている。
リース契約
2018年には、すべてのリース契約は、リース資産の所有に伴う経済価値およびリスクが貸手に属するた
め、オペレーティング・リースとして分類されていた。オペレーティング・リースに基づくリース支払は、
リース期間にわたり定額法で計上されていた。
2019年1月1日発効のIFRS第16号の適用を受けて、当行は、短期リースおよび少額資産のリースを除き、
すべてのリースについて単一の認識および測定アプローチを適用している。当行は、リース支払を行うリー
ス負債および原資産を使用する権利を示す使用権資産を認識している。負債および資産は、認識日現在では
同額である。短期リースおよび少額資産のリースは、リース期間にわたって定額法で認識される。
使用権資産
当行は、リース開始日(すなわち、原資産が使用可能となった日)に使用権資産を計上している。使用権
資産は、減価償却費累計額および減損損失を差し引いた原価で測定され、リース負債の再測定について調整
される。使用権資産の原価には、計上されたリース負債の金額、当初発生した直接費用、ならびにリース開
始日以前になされたリース支払から受取りリース・インセンティブ報奨金を差し引いた金額が含まれる。使
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用権資産は、リース期間にわたって定額法で減価償却される。使用権資産は、注13において無形資産の一部
として表示されている。
リース負債
リースの開始日に、当行は、リース期間にわたって支払うことになるリース料の現在価値で測定される
リース負債を認識する。
従業員給付
確定拠出制度
当行は、従業員の年金保障について責任を負っている。当行とフィンランド政府との受入国協定に従い、
かつ当行の年金制度の一環として、当行は、フィンランドの国家年金制度の採用を決定した。フィンランド
国家年金基金に支払われる年金制度への拠出額は、給与の百分比として計算される。フィンランド財務省は
拠出額の算出根拠を決定し、地方政府の年金機関であるKevaと協力して実際の拠出比率を決定する。注7を
参照のこと。当行の年金債務は完全に手当てされている。
当行は、正規従業員に対して民間の年金保険会社が作成した補足的な年金保険制度も提供している。この
制度は、確定拠出制度に基づいたグループ年金保険制度である。
確定拠出制度への拠出義務は、関連サービスが提供されたときに費用計上され、損益において人件費とし
て認識される。
短期従業員給付
短期従業員給付は、関連サービスが提供されたときに費用計上される。
セグメント情報
事業セグメントは、資源の分配および事業セグメントの業績の評価に対して責任を負う最高業務意思決定
者(以下「CODM」という。)への内部報告方法に沿って報告がなされている。経営陣に報告されるセグメン
ト業績には、当該セグメントに直接帰属するものと、合理的な基準に基づいて割当てられるその他の項目が
含まれる。当行は、1カ所に所在する単一の主体であるため、割当てがなされない項目はない。
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注2: リスク管理
任務の実現、収益の確保およびリスク軽減のバランスを慎重に保つことは、当行のリスク負担において重
要な検討事項である。当行の設立文書は、サウンド・バンキング原則に則って貸出が行われること、その状
況下で十分な安全性が確保されていると考えられる場合を除き、貸出について適切な担保が得られること、
ならびに当行が為替差損のリスクに対して、実行可能な限りにおいて自らを保護することを義務づけてい
る。当行のリスク許容度は、理事会が承認したリスク・アペタイト・ステートメント(以下「RAS」とい
う。)に定義されている。RASは、当行のリスクテイク 意欲を 当行 の法定要件、戦略的事業目標および資本計
画に整合させることを目指している。RASに記載のとおり、当行は、強固な資本および流動性の ポジション な
らびに安定した収益と業務効率によって支えられ、可能な限り最高の水準でその発行体格付を維持するよう
努めている。
主なリスクである 信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナル・リスクおよびコンプライ
アンス・リスク は、財務健全性を維持し、当行の評価を脅かす可能性のある活動を避けることを全体目標と
して慎重に管理されている。その他のリスクは、実施された重要性評価に基づいて管理されている。国際金
融機関として、当行はいずれの国家のまたは国際的な銀行業界の自主規制の対象にもなってない。しかしな
がら、当行のリスク管理の枠組みは、当行が該当する市場基準および最良慣行として特定するもの(バーゼ
ル銀行監督委員会の基準およびガイドラインを含む。)を実質的に遵守するために、定期的に見直しが行わ
れ、変化する状況に適応している。
当行のリスク管理の枠組みは、計測可能なリスクへのエクスポージャーを管理するための包括的な制限シ
ステムを含む、リスクの特定、測定、監視および報告のために策定されたリスク方針および手続きで構成さ
れる。当行では、効果的なリスク管理は、健全なリスク・カルチャーに基づくものであることを認識してい
る。健全なリスク・カルチャーとは、とりわけ組織におけるリスクおよびリスク管理の認識水準が高いこと
が特徴である。従業員へのリスク関連事項に関する定期的な研修は、当行のリスク管理慣行の一環である。
当行は、当行が現に晒されている、またはその可能性があるリスクをカバーするために必要とされる資本
の額および流動性を評価するために、内部自己資本充実度評価プロセス(以下「ICAAP」という。)を利用し
ている。ICAAPの評価は、年次ベースで実施される。当行は、あらゆる重大なリスクをカバーし、困難な状況
下であっても中断することなく事業を継続できることを確保するために十分な額の資本と流動性を維持して
いる。当行はまた、そのICAAPの評価におけるマクロ・プルーデンス上のリスクの影響を考慮し、必要に応じ
て資本バッファーを活用している。当行のリスク・エクスポージャーに対する将来見通しを提供するために
ストレス・テストが利用されている。
主要なリスク責任
理事会 は、当行のリスク・アペタイト・ステートメントおよび主な種類のリスクに対するエクスポー
ジャーの上限を含む主要なリスク管理方針を設定することにより、当行のリスク管理の一般的な枠組みを定
めている。理事会は、与信を承認し、資金所要額の見積りに基づいて当行が資本市場で資金調達を行うこと
を承認する。
総裁 は、理事会が設定する枠組みにおいて当行のリスク特性を管理し、当行のリスクの総量が当行の財源
およびリスクテイク意欲と一致するように確保する責任を負う。理事会は、与信委員会による実行について
与信承認権限の一部を総裁に委ねている。
以下の委員会は、総裁の補佐および助言を行っている。
執行委員会 は、総裁および上席役員で構成され、委員への任命は理事会によって確認されている。執行委
員会は、当行の財務実績、事業計画および戦略のフォローアップを含む、方針および経営問題に対処するた
めの討論の場である。同委員会は月に約2回会合を行う。
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与信委員会 は、総裁と、理事会によって任命される上席役員で構成される。同委員会は、貸出業務に関連
する与信に関する準備および意思決定ならびに財務取引相手に関する決定について責任を負う。同委員会
は、とりわけすべての与信案件を承認のために理事会に提出する前に検討する。同委員会は通常、毎週会合
を 行う。
財務委員会 は、総裁、財務部長、ファイナンス部長およびチーフ・リスク・オフィサーで構成される。同
委員会は、財務活動に関連する事項の準備および意思決定について責任を負う。同委員会は、市場リスク、
取引相手リスクおよび流動性リスクの分野における勧告と、適切な場合には意思決定を行い、また当行の借
入業務を監視し、理事会に対する財務リスク報告を監督する。同委員会は通常、毎月会合を行う。
資産負債管理委員会 (以下「ALCO」という。)は、執行委員会委員と最高リスク担当役員で構成される。
同委員会は、執行委員会とともに当行のリスク管理に全般的な責任を負う。A LCO の責務には、当行のリスク
総量ポジション、貸借対照表の推移ならびに自己資本および流動性の十分性の監視が含まれる。 ALCO はま
た、当行レベルで管理するリスクの目標および上限を設定するほか、合意されたリスク・アペタイトに対す
るオペレーショナル・リスク(情報セキュリティ・リスクを含む。)の展開および実績を監視する。同委員
会は年に約6回会合を行う。
事業技術委員会 ( 以下「 BTC 」という。 )は、当行の上級スタッフおよび経営陣をもって構成され、少なく
とも3名の一般職員、貸出部長および / または財務部長、 IT 担当の執行委員会メンバーおよび IT 部長を含む。
BTC は、技術開発について優先順位をつけ、指示をし、監視し、監督することにより、当行のエンタープライ
ズ・アーキテクチャを戦略的な目標に合わせることにつき責任を負う。
当行は、総裁の諮問機関のほかに、リスク面に重点を置く以下の内部委員会を常設している。
新商品・仕組委員会 は、リスクおよび / または管理の観点から当行が従前に実行したものと大きく異なる商
品および取引の仕組案を精査する。
腐敗対策委員会 は、当行の職員および利害関係者の中に誠実性および汚職リスクに関する意識を向上させ
るために設置された。
日々の業務において、当行は、顧客との事業取引を行うかもしくはその他により当行をリスクに晒す部門
と、リスク評価、リスク測定、リスク監視およびリスク統制を担当する部門の間で職務を分離している。
業務部門である 貸出部 および 財務部 は、当行の事業戦略を実行する責任を負う。貸出部は、当行のリスク
テイク意欲に従って、貸出の組成を行い、マンデートを履行する責任を負う。財務部は、資金調達戦略を実
行し、流動性ならびにバランスシート・リスクを管理すること(資産負債総合管理)により支援を行う。貸
出部および財務部は、その業務において引受けたすべてのリスクを日常的に管理し、リスク負担に対して適
正な利益の達成を確保する。貸出部長および財務部長は、総裁直属である。
ファイナンス部 の リスク管理ユニット は、当行の信用リスク、流動性リスク、市場リスクおよびオペレー
ショナル・リスクならびに自己資本比率の測定、管理、監視および報告を独立して行う。リスク管理ユニッ
トの長であるチーフ・リスク・オフィサーはファイナンス部長に報告し、ファイナンス部長は総裁に報告す
る。
与信・分析部 は、当行の貸出および財務活動における取引相手信用リスクを独立して評価するほか、取引
相手を監視することにつき責任を負い、与信ユニットは、与信案件が設定された制限および方針を遵守して
いることを監督する。 特別与信ユニット は、再編による債務免除や再生プロセスにより特別な注意が必要と
なる取引を管理する。与信・分析部長は総裁に報告する。
法務部 は、当行の業務および管理活動における法的リスクの最小化および軽減に責任を負い、当行の全ユ
ニットをサポートする。法務部長は総裁に報告する。
コンプライアンス部 は、組織、その業務および職員の個人的行為に関連する事項におけるコンプライアン
ス・リスクの特定、評価、監視および報告について当行を補佐する。チーフ・コンプライアンス・オフィ
サーは総裁に報告し、理事会会長および監査委員会委員長に無制限に面会することができる。
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内部監査部 は、統制、リスク管理および統治のプロセスについて独立した評価を提供する。内部監査部長
は、理事会および監査委員会に報告する。
監査委員会 は、当行の監督機関である。同委員会は当行の業務が定款に従って行われることを確保する。
監査委員会は当行の年次会計監査に責任を負い、外部監査人の報告書を統治委員会に提出する。また、監査
委員会は、当行の腐敗防止およびコンプライアンスの実行も監視する。
信用リスク
信用リスクは当行の主たる財務リスクである。信用リスクは、当行の借手およびその他の取引相手が契約
上の義務を履行できず、提供された担保では当行の請求権をカバーできないことによる損失リスクと定義さ
れる。当行の使命によると、ほとんどの信用リスクは当行の貸出業務から生じる。当行は財務活動において
も信用リスクに晒されており、この場合信用リスクは当行が流動性の投資に向ける固定利付証券や銀行間預
金などの金融資産、ならびに通貨リスクや金利リスクおよび仕組金融取引に関連するその他の市場リスクを
管理するために用いるデリバティブ商品から生じる。
信用リスク管理
当行の信用リスク管理は、(1)使命の範囲内の適切なリスク分散、(2)信用評価段階における徹底的
なリスク評価、(3)リスクに基づいた価格設定およびリスクの軽減、(4)個々の取引相手レベルおよび
ポートフォリオ・レベルでの継続的なリスクの監視、ならびに(5)好ましくないリスクの可能な範囲での
回避の原則に基づいている。
信用リスクの限度額
当行が許容できる最大信用エクスポージャー額は、理事会により設定されたエクスポージャー限度額に
よって示されている。信用エクスポージャー額は、貸出エクスポージャーおよび財務エクスポージャーの合
計額である。取引相手レベルの限度額は、当行の資本および取引相手の資本に基づいて決定される。ポート
フォリオ・レベルの限度額は、当行の資本に関連して定義される。
取引相手の限度額は、債務不履行の可能性および予想損失額に基づいて決定される。当行は、単一の取引
相手を、法的におよび / もしくは財務上連結されるまたはリスクの観点から相互に依存している取引相手また
は取引相手グループとして定義する。エクスポージャーを制限する目的上、当行は、リスクが所在する企業
(すなわち、リスク所有者)を取引相手をとみなしている。リスク所有者は、当行の請求権に対して最終的
に責任を負う企業であり、リスクが保証契約を通じて移転する場合には債務者とは異なる場合がある。保証
をリスク移転に適格とするためには、保証がエクスポージャー全体を補填し、「自己の債務に関して」、借
手の債務を担保する保証の約束でなければならない。これは、すなわち借手が期日に支払を怠った直後に、
当行が保証に基づく請求を行うことができることを意味する。
当行は、リスクの過度の集中を回避するため、大口の取引相手のエクスポージャーに対してポートフォリ
オ・レベルでの限度額を適用しており、産業および国別のエクスポージャーに対しても同様である。当行
は、加盟国における総貸出エクスポージャーに関しては限度額を設定していない。非加盟国における貸出
は、国別の限度額に従う。当行の財務活動については、すべての国におけるエクスポージャーに国別の限度
額が適用される。
原則として、当行は単一のプロジェクトに対して融資または保証として付与される最大額をプロジェクト
費用総額の 50 %に制限している。当行の加盟国における中小企業、中小資本会社および中資本会社への融資
は、プロジェクト費用総額または当行の任務に適格な融資所要額の 75 %を限度として行うことができる。
信用リスク評価
取引相手の債務返済能力は、与信承認の重要な検討事項である。取引相手の信用力評価は、取引相手に関
連する主な財務リスクおよび事業リスクを特定することに重点を置いている。この評価に基づき、デフォル
ト確率( PD )を示すリスク格付が取引相手に割り当てられる。信用リスク評価には、定量的リスク手法およ
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びモデルならびに専門家判断に基づく定性的評価の使用が含まれる。取引相手に対する PD 格付の割当てプロ
セスは、与信・分析部が行っている。
個々の予想損失( EL )格付は、取引レベルで割り当てられる。 EL 格付は、デフォルト時損失率( LGD )(す
なわち、取引相手が債務不履行に陥った場合の損失の深刻度)を考慮している。 LGD の割当てプロセスは、取
引相手の種類ならびに保証、担保、請求権の順位および取引の信用を補完するその他の要素等の取引の性質
に基づいて LGD 推計値を算出するモデルに依拠する。リスク格付は、与信委員会により承認される。
当行のリスク格付システムは、 20 等級で構成され、取引相手の債務不履行リスクおよび取引の予想損失を
識別する。また、不良債権となった取引には、 D 等級が個別に適用される。外部格付を参照して、内部等級区
分は、1から 10 の区分が投資適格グレードに相当する外部格付(それぞれ AAA から BBB- および Aaa から Baa3 )
に対応するように、スタンダード・アンド・プアーズおよびムーディーズの格付とそれぞれ関連付けられて
いる。
信用リスクの軽減
当行の定款に従って、当行の貸出における信用リスクを軽減するため、十分な信用補完が要求される。当
行による貸出は、無担保または有担保のいずれかとなる。当行は、様々な制限条項、約束、繰上返済事由お
よび債務不履行事由を貸出の文書に盛り込むことにより、無担保貸出に関連する信用リスクの軽減を模索し
ている。借手の種類ならびに貸出の期間および返済の構成によって、要件は変わってくる。
当行の貸出の一部は、担保を付されるか、または借手の親会社もしくは第三者により保証される。担保の
価値は、借手の信用力と相関関係がなく、かつ借手の事業と関係がないことが望ましく、かかる資産に関し
て機能する市場が存在しなければならない。
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2019 年末現在の当行の信用補完種類別の貸出ポートフォリオの分布は、以下に示すとおりで、詳細情報は
下記注3および注 12 に示されている。
貸出金の信用補完の種類別内訳
2019 年 12 月 31 日現在
(百万ユーロ)
財務活動においては、当行は、デリバティブおよび担保付投資に関連する取引相手の信用リスクを軽減す
るために、ネッティングおよび担保化を適用している。当行は、取引相手信用格付の最低要件を満たしてお
り、かつ国際スワップ・デリバティブ協会( ISDA )マスター契約およびクレジット・サポート・アネックス
( CSA )を締結している取引相手に限り、スワップ取引を行っている。リバース・レポ取引の形での担保付投
資は、グローバル・マスター買戻契約( GMRA )の条件に基づき行われる。
ISDA マスター契約は、取引相手の債務不履行または取引の早期解約時において契約対象となっているすべ
てのスワップ取引の単一の純額決済を認めている。ネッティングは、関係する法域において法的に有効かつ
強制履行可能とみなされる場合にのみ、当行の信用エクスポージャーの測定に適用される。 2019 年末現在、
市場価値総額は、 1,536 百万ユーロから 889 百万ユーロ( 2018 年末現在:それぞれ 1,164 百万ユーロおよび 578
百万ユーロ)となり、ネッティングによりスワップ・エクスポージャーが 647 百万ユーロ減少した。
CSA は、スワップ関連の信用リスクをさらに軽減する。スワップ・ポジションは、日々時価評価され、その
結果、合意された基準を超えるプラスのエクスポージャー(債権)が得られた場合は、現金により、または
特定の取引相手の場合は質の高い政府有価証券により担保が手当てされる。 2016 年以降、当行は、双方向の
CSA を締結しており、このことはスワップ・ポジションの市場価値がマイナスである(負債)場合には当行が
担保を差入れることを意味している。 2019 年末現在、名目価値で測定された当行のスワップの約 99.2 %は、
双方向の CSA に基づくものであった。 0.7 %近くは一方向の CSA に基づくものであり、すなわち、当行はそのス
ワップ債務について担保の差入れを要求されない。名目スワップ・エクスポージャー合計のうち残りのわず
か 0.1 %は、 CSA が締結されていない取引相手とのものであった。
2019 年末現在、当行は受入れ担保として総額 911 百万ユーロ( 2018 年: 580 百万ユーロ)を保有しており、
うち 902 百万ユーロ( 2018 年: 575 百万ユーロ)は現金、9百万ユーロ( 2018 年:5百万ユーロ)は有価証券
であった(「注 19 :担保および契約義務」を参照のこと)。当行は、 319 百万ユーロ( 2018 年: 980 百万ユー
ロ)の担保を差入れていた。
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信用リスクの監視
当行は、当行の貸出および財務活動における信用リスクの推移を継続的に監視することを非常に重視して
いる。信用リスクは、取引相手レベルおよびポートフォリオ・レベルの双方で監視される。信用リスクの監
視 に関する主な責任は、顧客との関係を担当する部門(すなわち、貸出部、財務部および特別与信ユニッ
ト)にあり、与信・分析部からのサポートを受ける。リスク管理は、ポートフォリオ・レベルでの監視を行
う。
すべての貸出エクスポージャーは、契約上のコンプライアンス、およびリスクに重大な変化をもたらす可
能性があるまたはリスクの重大な変化を示す事象 / 兆候について継続的な監視を受ける。また、貸出ポート
フォリオ全体のフォローアップが毎年行われる。毎年のフォローアップ結果は与信委員会に提出され、理事
会に報告がなされる。
財務エクスポージャーは、リスクに重大な変化をもたらす可能性があるかまたはリスクの重大な変化を示
す事象および市場のシグナルについて継続的な監視を受ける。取引相手の分析およびリスク等級の検証は、
少なくとも2年毎に行われる。フォローアップ結果は与信委員会に提出される。
債務返済能力の深刻な低下および/または財政状態に深刻な悪化の兆候がみられる場合には、取引相手は
ウォッチ・リストに掲載され、具体的なウォッチ・リスト監視を受ける。ウォッチ・リストに掲載された取
引相手は、合意された間隔で与信委員会の審査を受け、理事会に報告がなされる。信用エクスポージャーが
債務免除および再編の専門知識を必要とする場合、信用エクスポージャーは特別与信ユニットに移転され
る。同ユニットの主な目的は、不良債権に対する責任を貸出部から引継ぎ、当行が不良債権残高を全額また
は可能な限り多く回収できるよう個々のケースに十分な時間と労力を費やすことである。
ポートフォリオ・レベルでの信用リスクの監視には、とりわけ総信用リスク・エクスポージャー、信用リ
スクの集中およびリスク特性の変化の分析が含まれる。その推移は、執行委員会、 ALCO および理事会に報告
される。
現行の限度額の遵守は定期的に監視される。財務取引相手の限度額の遵守は日次ベースで監視される。例
えば、取引相手の格付の引下げによって、上限を超過するエクスポージャーが発生する可能性がある。限度
額の超過は、上級経営陣、関連する委員会および理事会に報告される。
リスクベースの価格設定
定款は、当行がサウンド・バンキング原則に従って業務を行い、準備金の積立および合理的な資本利益率
を可能にする収益を追求することを規定している。貸出および保証は、当行の資金調達費用、管理費、取引
関連リスクに係る費用および投下資本に係る費用をカバーするように価格設定される。貸出の価格設定の目
的上、当行は、貸出関連費用および引受けたリスク水準に見合う収益をすべてカバーするために、貸出に係
る必要最低限の収益の計算を可能にする価格決定ツールを用いている。内部の信用リスク格付および関連す
るリスク要因ならびに取引の仕組は、価格決定ツールの主なインプット要素である。
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信用リスク準備金
当行は、その資本中に利益準備金に加えて2つの信用リスク基金を維持している。一般信用リスク基金
は、当行の貸出および他の業務活動から生じる予期せぬ損失をカバーするために使用することができる。
2019 年末現在、当期利益配分前の当該基金は 2,003 百万ユーロ( 2018 年: 1,870 百万ユーロ)であった。定款
では、当行はプロジェクト投資貸出( PIL )ファシリティについて特別信用リスク基金を維持することを義務
づけられているが、これは当該貸出枠を支援する加盟国からの保証を求める前にかかる貸出に対する当行自
身のリスクをカバーするためである。 2019 年および 2018 年末現在、当期利益配分前の当該基金は 427 百万ユー
ロであった。
減損の手法
導入およびガバナンス
当行は、予想信用損失( ECL )に基づいて減損を計算し、報告している。 ECL の枠組みは、国際会計基準
審議会( IASB )が 2014 年に公表し、 2018 年1月1日付で効力を生じた国際財務報告基準の要件( IFRS 第9
号「金融商品」)に基づいている。また、適用ある場合には、バーゼル銀行監督委員会およびグローバ
ル・パブリック・ポリシー委員会( GPPC )のガイダンスに従う。 ECL の枠組みは、当行のリスク管理方針に
準拠している。執行委員会は、 ECL の枠組みを検討し、総裁がこれを承認する。与信委員会は、減損引当金
および ECL モデルに基づく計算結果を承認する。
3段階のモデル
当行は、償却原価で、または包括利益を通じた公正価値で測定された金融資産および貸出約定について
ECL 損失引当金を認識している。 ECL は、当初認識時からの信用の質の変化に基づいて3段階(ステージ)
のモデルで構成される。減損は、金融資産のステージ分類に応じて、 12 カ月または残存期間の予想信用損
失のいずれかに基づいて報告される。ステージ分類はまた、金融資産にかかる受取利息が帳簿価額総額ま
たは減損引当金控除後の帳簿価額のいずれに基づいて報告されるかを判断する。
ステージ1には、当初認識以降信用リスクの著しい増大がないか、または報告日現在のリスクが低い金
融資産が含まれる。これらの資産については、引当金額は今後 12 カ月に基づいて計算される。
ステージ2には、当初認識時から信用リスクの著しい増大があるが、減損の客観的証拠がない金融資産
が含まれる。これらの資産については、引当金額は資産の予想残存期間に基づいて計算される。信用リス
クの著しい増大とは、残存期間 PD が当初認識時と比較して 100 %増大した場合に発生したとみなされる。資
産の大幅な格下げまたはウォッチ・リスト入りといったことも、追加的トリガー事由とみなされる。
ステージ1およびステージ2の資産は、履行資産として分類される。
ステージ3には、当行の信用格付プロセスにおいて不良資産として分類された資産が含まれる。ステー
ジ1およびステージ2の資産については一括モデルが使用されるのに対して、不良資産については個別
ベースで査定が行われる。不履行クラスに対するエクスポージャーは不良債権に分類される。以下のいず
れかまたは双方が発生した場合に、債務者に関して債務不履行が生じる。
ⅰ ) 当行が担保権の実行等の措置を取らなければ、債務者がその金銭債務全額を支払う見込みがないと当
行が判断する場合。
ⅱ ) 債務者が期限を徒過するときで、これが 90 日を超える、またはソブリン向け貸出については 180 日を
超える場合。
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インプット
ECL の計算は、個々の金融資産レベルで行われ、その主な構成要素はデフォルト確率、デフォルト時損失
率、デフォルト時貸出残高およびディスカウント・ファクターである。モデルは将来を考慮したものであ
り、マクロ金融シナリオを通じて、現在および将来のマクロ経済状況がモデルに盛り込まれる。
当行のポートフォリオにおける各取引は、それに関連した内部デフォルト確率格付( PD 格付)を有して
いる。 PD 格付は、 S&P 格付機関の手法を再現することを目的とした S&P グローバル手法を元にしている。格
付は、基本的に長期的な最善の予想格付であり、保守主義の明示的なバッファーのない中立的な見積りを
もたらす。 ECL の目的上、デフォルト確率( PD )は、観察されたデフォルト・データに対するマクロ経済変
数の回帰モデルに基づいて見積もられる。 PD の期間構成は、マクロ金融シナリオを反映した各格付等級に
ついて設定されている。 PD の期間構成(最長3年)の最短期間は、マクロ金融シナリオを反映している
が、 PD の期間構成の最長期間は、長期間の平均的行動に基づく。期間構成の構築においては、完全なデ
フォルト確率と格付遷移行動の双方が考慮される。
デフォルト時損失率(以下「 LGD 」という。)は、デフォルトが発生した場合に予想される損失の大きさ
である。当行は LGD の枠組みを設定している。これは、当行のすべてのエクスポージャーについて LGD を見
積もるものである。見積りは、異なる取引相手の種類(すなわち、企業、金融機関、ソブリンならびに地
方および地域政府)ならびにプロジェクト・ファイナンスについて個別に導かれる。信用補完(担保、保
証)およびその他の取引特性は、 LGD の見積りに影響を及ぼす。取引相手の種類によって、異なるデータ
セットおよびモデル化のアプローチが用いられる。
デフォルト時貸出残高( EAD )は、デフォルト時における予想エクスポージャーを示し、割引かれた契約
上のキャッシュフローから測定される。貸出約定は、与信相当掛目モデルを用いて含まれる。ディスカウ
ント・ファクターは、契約の実効金利( EIR )に基づいて計算される。
マクロ金融シナリオ - IFRS 第9号に取って代わられた発生損失モデルとは異なり、 ECL は将来を考慮
している。現在および将来のマクロ経済状況ならびに信用環境に関する当行の見解が出発点となる。当行
内の他のすべてのマクロ予測ニーズ(例えば ICAAP およびストレス・テストなど)の基礎としても、同じ全
体的なマクロ経済的見方が使用されることに留意すべきである。当行は、一連の結果を確率加重方式で検
討する。その目的は、 ECL が経済状況に依存している状況において潜在的な非線形挙動を捉えることであ
る。マクロ金融シナリオは、ベースライン、上方および下方という3つのシナリオで構成されている。各
シナリオには発生確率が割当てられている。専門家の判断に基づき、一般的に認識されているリスクの分
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布を反映することを目的として、上下シナリオにはバランスまたはどちらかの方向の歪みを示す確率が割
り当てられる。
与信委員会は、 ECL のモデル化もしくは信用リスク格付に明示的に組み込まれない重大なシナリオまたは
事象などの追加的なファクターを反映するため、モデルに基づく ECL 減損引当金に一時的な調整をすること
ができる。
貸出金の減損会計処理方針については「注1:会計方針」に、また ECL の結果については注 10 -「予想信
用損失」にそれぞれ記載がある。
信用リスク・エクスポージャー
以下の表1から3は、 2019 年末現在の一括減損前の予想損失( EL )に基づき配分される当行の総信用リス
ク・エクスポージャーの概要を示している。総信用エクスポージャーは、貸出エクスポージャーと財務エク
スポージャーからなる。貸出エクスポージャーには、貸出金および貸出約定が含まれる(担保または他の信
用補完を考慮に入れない。)。財務エクスポージャーについては、資本市場への投資は名目価値で計上さ
れ、一方デリバティブは担保を除いた市場価値で計上される。リバース・レポ取引に対するエクスポー
ジャーは、取引の名目価値の一定の割合として計算されるため、これらは担保付投資であることを反映して
いる。
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表1 予想損失( EL )に基づく内部格付別信用リスク・エクスポージャー (百万ユーロ)
2019 年 12 月 31 日 2018 年 12 月 31 日
リスク等級 S&P 相当 貸出 財務 合計 貸出 財務 合計
1-2 AAA/AA+ 5,155 4,874 10,029 5,239 4,818 10,057
3-4 AA/AA- 1,175 2,027 3,202 1,235 1,876 3,111
5-6 A+/A 2,171 730 2,901 1,938 754 2,692
7-8 A-/BBB+ 5,903 207 6,110 5,303 131 5,434
9-10 BBB/BBB- 4,368 2 4,370 5,025 3 5,028
11-12 BB+/BB 1,220 - 1,220 1,819 - 1,819
13-14 BB/BB- 720 - 720 470 - 470
15-16 BB-/B+ 170 - 170 106 - 106
17-18 B/B- 31 - 31 32 - 32
19-20 B-/CCC 5 - 5 5 - 5
D 0 0 0 0 0 0
合計 20,917 7,840 28,757 21,174 7,581 28,755
等級 D
総額 78 0 78 78 0 78
減損 78 0 78 78 0 78
純額 0 0 0 0 0 0
当行の総信用エクスポージャーの質は 2019 年も引続き健全であった。貸出エクスポージャーは、約1%と
わずかに減少した。貸出実行額の 78 %近くは、投資適格リスク等級( EL 1-10 )の取引相手に対するもので
あった。このことは、公的部門および金融部門に対する貸出によりおおむね説明される。財務エクスポー
ジャーは、主に債券投資が増加したことにより約3%増加した。 2019 年末現在、貸出エクスポージャーの
90 %( 2018 年: 89 %)および財務エクスポージャーの 100 %( 2018 年: 100 %)は投資適格グレードに相当す
る 1-10 のリスク等級に該当した。リスク等級 D (不良債権)のエクスポージャーに変更はなかった。
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表2 信用リスク・エクスポージャーの地理的分布 (百万ユーロ)
総信用リスク・エクスポージャーの地理的分布を下表に示す。当該分布はリスク所有者の居住国に基づい
ている。
2019 年 12 月 31 日 2018 年 12 月 31 日
国/地域 貸出 財務 合計 貸出 財務 合計
デンマーク 1,295 1,350 2,644 1,308 1,350 2,659
エストニア 249 - 249 235 - 235
フィンランド 4,332 1,055 5,387 4,458 1,261 5,719
アイスランド 600 20 620 666 - 666
ラトビア 289 48 337 222 48 270
リトアニア 806 - 806 682 - 682
ノルウェー 5,151 793 5,943 5,042 385 5,428
スウェーデン 6,441 1,177 7,618 6,629 1,087 7,717
アフリカおよび中東 140 - 140 156 - 156
南北アメリカ 128 896 1,024 124 899 1,023
アジア太平洋 388 133 521 480 102 581
ヨーロッパ 652 1,862 2,514 765 1,914 2,679
複数国 449 506 954 405 535 940
合計 20,917 7,840 28,757 21,174 7,581 28,755
当行の使命に照らして、信用リスク・エクスポージャーは地理的分布の面では引続き非常に良くバランス
が取れていた。 2019 年末現在、加盟国は当行の貸出エクスポージャーの 92 %( 2018 年: 91 %)を占めてお
り、 2019 年にはラトビア( +30 %)およびリトアニア( +18 %)に対するエクスポージャーが最大の増加を示
した。加盟国以外に対する最大貸出エクスポージャーは、多国間機関、ポーランド、中国およびフランスに
対するものであった。
財務エクスポージャーのうち、 57 %( 2018 年: 55 %)は加盟国に対するものであり、多国間機関を除く
ヨーロッパの他の地域は 24 %( 2018 年: 25 %)であり、ドイツおよびオランダがその大半を占めた。ヨー
ロッパ以外に対する財務エクスポージャーの大部分は、カナダに対するものであった。
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表3 産業部門別信用リスク・エクスポージャー (百万ユーロ)
信用リスク・エクスポージャーの部門別分布は、リスク所有者の産業部門に基づいている。これらの部門
は当行が貸出業務を編成する4事業部門とは異なっている。
2019 年 12 月 31 日 2018 年 12 月 31 日
産業部門 貸出 財務 合計 貸出 財務 合計
石油・ガス 44 - 44 45 - 45
原材料 1,020 - 1,020 1,029 - 1,029
工業 3,104 - 3,104 3,220 - 3,220
一般消費財 557 - 557 653 - 653
生活必需品 1,244 - 1,244 1,154 - 1,154
ヘルスケア 663 - 663 643 - 643
金融 3,422 4,885 8,306 3,342 4,595 7,937
情報技術 579 - 579 528 - 528
電気通信サービス 332 - 332 480 - 480
公益事業 3,686 20 3,706 3,784 - 3,784
公的部門 6,264 2,935 9,199 6,295 2,986 9,281
合計 20,917 7,840 28,757 21,174 7,581 28,755
2019 年の貸出エクスポージャーの産業部門別分布は前年度と比較して引続き安定的であり、総エクスポー
ジャーのうち 79 %( 2018 年: 79 %)を公的部門、公益事業、金融部門および工業部門が占めた。
当行は、経済的資本要件および当行の資本に関連する総信用リスク・エクスポージャーにより測定される
単一の産業部門に対する最大エクスポージャーの上限を定めている。 2019 年末現在、当行はこれらの上限を
遵守していた。
表4 最大取引相手エクスポージャー(総信用リスク・エクスポージャーに対する割合)
取引相手エクスポージャーとは、連結されたグループのエクスポージャーとして定義される。すなわち所
有またはその他リスクの観点から相互に依存していることから相互に関連づけられた個々の取引相手は、1
つの取引相手とみなされる。
2019 年 12 月 31 日 2018 年 12 月 31 日
上位5取引相手 10 % 9 %
上位 10 取引相手 16 % 15 %
上位 20 取引相手 26 % 26 %
大口の単独取引相手に対するエクスポージャーおよびかかる大口エクスポージャー全体に対する限度額
は、当行の資本に応じて決定される。所定の限度額からの逸脱がある場合には、理事会の承認を得なければ
ならない。 2019 年末現在、当行は、大口エクスポージャーについて設定された限度額を遵守していた。
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市場リスク
当行は、市場リスクを、為替レート、金利、信用スプレッドおよびクロスカレンシー・ベーシス・スプ
レッドの不利な変動による評価損または期待収益減少のリスクとして定義している。
市場リスクは、主に当行の中核事業およびかかる事業活動のサポートに必要な流動性ポートフォリオから
生じる。当行の戦略は、多様な資金調達源から低コストで資金調達を行い、顧客のニーズに合った貸出を行
うことである。これにより、通貨構成、満期構成および金利の特性の面での当行の資産と負債のミスマッチ
により、為替リスクおよび構造的金利リスクが生じる。クロスカレンシー・ベーシス・リスクは、異なる通
貨での資金調達および貸出から生じる直物為替リスクを軽減するために当行が用いるヘッジ手法から生じ
る。かかるリスクは、将来のある時点の為替取引にかかる流動性チャージを反映している。
当行が流動性目的で保有する証券ポートフォリオならびにグリーンボンド投資ポートフォリオは、金利リ
スクおよび信用スプレッド・リスクに晒されている。信用スプレッド・リスクとは、ポートフォリオにおい
て保有する有価証券の発行体の信用の質に変化が認められたことによる市場価値の潜在的な低下をいう。
市場リスクの管理
当行は、当行の収益ならびに資産および負債の経済価値を保護する目的で、為替リスクおよび金利リスク
をヘッジすることにより市場リスクを管理している。為替リスクは、ほぼ完全にヘッジされている。資金調
達と貸出のミスマッチから生じる金利リスクは、適度な水準に保たれている。金利リスクおよび信用スプ
レッド・リスクに対する当行のリスク許容度は、流動性ポートフォリオの規模、質およびこれについて設定
された収益予測に関連する。
仕組金融取引の一環として、当行は、上記以外の他の市場リスク要因に関連する金融商品を用いることが
できる。これには、かかる取引がデリバティブによって完全にヘッジされていること、ならびに当行が当該
デリバティブに伴うリスクを評価および測定することができることが必要条件である。
当行の市場リスクは、財務部により管理される。リスク管理ユニットは、すべての重要な市場リスクを独
立して監視し、リスクの測定、分析、日々の監視および報告に関して、財務委員会、 ALCO および財務部をサ
ポートする。
為替リスク
表5 為替リスク (百万ユーロ)
正味オープン・ポジション 限度額合計 2019 年 12 月 31 日 2018 年 12 月 31 日
米ドル 6.00 -0.81 -0.32
デンマーク・クローネ 3.00 0.35 0.34
ノルウェー・クローネ 3.00 0.44 0.23
スウェーデン・クローナ 3.00 0.39 0.82
その他の通貨、合計 4.00 2.10 2.29
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定款は、当行は実務上可能な限り為替損失のリスクから自らを保護しなければならないと定めている。
為替リスクは、通貨ごとの正味のオープン・ポジションに基づいて測定されている。オーバーナイト・ポ
ジションを制限するために設定された限度額および 2019 年末現在の実際のエクスポージャーは、上表に示さ
れている。「注 23 :為替リスク」には、 2019 年末現在の公正価値で測定される主要通貨建の資産および負債
の純額が表示されている。
当行は、クロスカレンシー・ベーシス・スワップにより為替リスクをヘッジしているが、これにより通貨
ベースのリスクが発生する。 2019 年末現在、関連する通貨のベーシス・カーブが1ベーシス・ポイント変動
したことによる当行のスワップ・ポートフォリオの市場価値への感応度は、 1.1 百万ユーロ( 2018 年: 1.4 百
万ユーロ)であり、そのほとんどがユーロ / ドル・ベーシス、ユーロ / スウェーデン・クローナ・ベーシスお
よびユーロ / 英ポンド・ベーシスに由来している。
当行は、外貨建の将来の利息収入純額をヘッジしていない。貸出は主にユーロ、北欧通貨および米ドル建
で行われている。ユーロ以外の通貨建の利息収入が当行の将来におけるユーロ建の純利益に何らかの変動を
もたらす可能性がある。しかしながら、現在のところ、当行は、その現在のポートフォリオからの将来の
キャッシュフローの潜在的変動は、当行の資産合計および資本との関係では重要性がないと予測している。
金利リスク
表6 金利リスク (百万ユーロ)
限度額合計 2019 年 12 月 31 日 2018 年 12 月 31 日
金利の1ベーシス・ポイントの変動に対する
感応度 1.80 0.97 0.79
金利リスクの推移
(ユーロ)
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当行は、固定金利による調達資金を変動利付負債に転換するために、デリバティブを用いて金利リスクを
管理している。調達資金と条件面で一致しない固定利付貸出は、変動利付の債権に転換される。かかるヘッ
ジ手法により、各通貨による貸出と資金調達の間の金利リスクは低く維持される。したがって、当行の金利
リスクの大部分は、流動資産ポートフォリオから生じている。
当行は、金利ショックに対する当行のバランスシートの経済価値の感応度を見積ることにより金利リスク
を測定し、管理している。感応度は、金利が1ベーシス・ポイント変動した場合の利付資産と有利子負債の
現在価値への影響を定量化するベーシス・ポイント・バリュー( BPV )法を用いて測定されている。
バランスシートの合計レベルおよびポートフォリオ・レベルの双方における金利リスクに対する許容可能
なエクスポージャーについて、最大限度額が設定されている。すべての通貨を対象とする 1.8 百万ユーロ相当
の総限度額により、 BPV による金利リスクは当行資本の約 0.05 %に制限されている。さらに、ユーロ、米ドル
および北欧通貨の金利リスクに対して、個別の BPV 限度額が設定されており、その他すべての通貨に対しては
一括した限度額が適用される。
新しい財務システムの実装および 2019 年6月の運用開始の一環として、 BPV の計算が強化され、ゼロ・パー
セントの変動金利フロアやオプショナリティといった取引のあらゆる特性を適切に反映することとなった。
また、これまで変動金利商品の金利およびマージン・キャッシュフローは次回の金利改訂時までしか把握さ
れなかったのに対して、新しい枠組みでは、これらが最終満期まで考慮される。かかる変更の実施により、
金利リスクの推移のグラフにみられるように、 BPV リスクが約 200 千ユーロ増加するという影響があった。
信用スプレッド・リスク
表7 信用スプレッド・リスク (百万ユーロ)
限度額合計 2019 年 12 月 31 日 2018 年 12 月 31 日
信用スプレッドの1ベーシス・ポイントの
変動に対する感応度 2.70 2.00 1.85
信用スプレッド・リスクの推移
(ユーロ)
当行は、信用スプレッドの変動に対する市場性有価証券ポートフォリオの感応度を測定することにより、
信用スプレッド・リスクに対するエクスポージャーを管理している。感応度は、信用スプレッドが1ベーシ
ス・ポイント上昇した場合の資産の現在価値への影響を定量化する信用スプレッド・ベーシス・ポイント・
バリュー(信用スプレッド BPV )により測定される。
限度額は、当行の流動性ポートフォリオおよびグリーンボンド投資ポートフォリオにおける リスクテイク
意欲に従い、資産価値の低下を許容可能な水準に抑えるために規定されている。当行は、信用スプレッド・
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リスクに対して、全体で 2.7 百万ユーロの限度額を設定しており、様々な資産の分類に対して個別の限度額を
定めている。流動性ポートフォリオが、厳しい市場環境においてもその市場価値および流動性を確実に維持
で きるよう、ポートフォリオ中の資産は格付の最低要件およびその他の質の基準を満たさなければならな
い。
流動性リスク
流動性リスクは、支払期日の到来した支払債務を適時に履行できないことによる損失の発生リスクとして
定義される。当行は、流動性リスクを資金流動性リスクと市場流動性リスクとに分類している。資金流動性
リスクは、新規の資金調達が獲得されないことを理由にその支払債務を履行できないときに発生するもの
で、市場流動性リスクは、当行が、大きな損失なく流動性バッファーの資産を売却または現金に転換するこ
とができないときに発生する。
流動性リスク管理
当行のビジネス・モデルは、主に資産(貸出および金融投資)と負債(借入および資本)の満期のミス
マッチによる流動性リスクを発生させる。流動性ポジションおよびエクスポージャー限度額の遵守は、日々
財務部により管理され、リスク管理ユニットにより監視されている。
財務委員会および ALCO は、当行の資金調達および流動性ポジションの推移を監視し、それぞれの任務に従
い、流動性リスクに関連する事項を決定する。理事会は、当行の流動性および資金調達状況について定期的
に報告を受けている。
流動性リスク管理に適用される主要計数は、サバイバル・ホライズンである。サバイバル・ホライズン
は、厳しいストレス・シナリオにおいて、当行がどのくらいの期間にわたって支払債務を履行することがで
きるかを測定する。サバイバル・ホライズンの目標は 12 カ月であり、これは当行が、今後 12 カ月間厳しいス
トレス状況下で中断することなく、支払債務を履行し、事業の運営を継続できるということを意味する。サ
バイバル・ホライズンは、常に9カ月を超えていなければならないことが最低要件である。ストレス・シナ
リオには、特に、貸出ポートフォリオにおける支払の中断、市場での資金調達力の喪失、解約可能な資金取
引すべての早期解約、スワップ・エクスポージャーについて提供された担保および流動性バッファーにおけ
る資産価値の大幅な低下の想定が含まれる。 2019 年末現在、サバイバル・ホライズンは 397 日( 2018 年: 428
日)であった。
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また、当行は、欧州連合の資本要件規制で規定されているとおり、 S&P およびムーディーズによる可能な限
り高い発行体格付を確保し、流動性カバレッジ比率( LCR )要件および安定調達比率( NSFR )要件を満たすた
めに、十分に健全な流動性ポジションを求められている。 2019 年末現在、 LCR は約 2300 %( 2018 年: 1200 %)
であり、 NSFR は 2018 年と同様、約 160 %であった。規制対象銀行にかかる NSFR および LCR の最低要件は 100 %で
ある。
サバイバル・ホライズンの推移
(日数)
当行の流動性バッファーは、主にユーロ、米ドルおよび北欧通貨建の使途制限されていない現金、預金お
よび有価証券で構成される。厳しい市場環境においてバッファーの市場価値および流動性を確実に保全にす
るため、当行は、バッファーの構成について厳格な規則を設定している。したがって、バッファーには、 EU
の資本要件規制で規定された最低水準の適格流動資産、ならびに内部格付のカテゴリーにおいて、少なくと
も S&P の AA- およびムーディーズの Aa3 に相当する最低水準の資産が含まれなければならない。さらに、バッ
ファーは、中央銀行においてレポ担保として適格な一定水準の資産で構成されなければならない。当行は、
中央銀行のレポ・ファシリティを直接利用していないが、中継銀行を介して有価証券を回収することができ
る。
流動性バッファーの満期構成は、今後3カ月間の予想される正味キャッシュ・アウトフローが満期を迎え
た流動性バッファーへの投資によって賄われなければならないという当行の要件を満たすように構築され
る。
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表8 流動性バッファーの構成
2019 年 12 月 31 日 2018 年 12 月 31 日
百万ユーロ % 百万ユーロ %
現金および現金同等物 489 ▶ % 474 5 %
ソブリン、公的部門法人お
よび国際機関により発行ま
たは保証された有価証券 2,771 24 % 2,572 25 %
カバード・ボンド 2,660 23 % 2,456 24 %
金融機関により発行された
有価証券(カバード・ボン
ドを除く。) 1,655 14 % 1,670 16 %
企業により発行された有価
証券 46 0 % - -
担保として受領した有価証
券 4,085 35 % 3,176 31 %
流動性バッファー合計 11,707 100 % 10,348 100 %
当行の資金調達および流動性管理の主な目的は分散化である。当行は、個々の市場および資金調達源への
過度の依存を避けるために、通貨、満期、金融商品および投資家の種類の観点から、その借入を分散するこ
とに努めている。当行は、通常の指標銘柄発行を通じて、広い市場アクセスを確保することを目指してい
る。毎年の資金計画は、 12 カ月の予測流動性要件および流動性バッファーの予想規模に基づいている。資金
計画は、流動性要件の変更を反映するよう定期的に調整される。
以下のグラフは、流動資産の満期構成および当行の資金調達に係る支払額と比較した貸出金に係る毎年の
約定支払額を表している。貸出金に係る支払額は、貸出の契約上の満期まで表示される。資金調達に係る返
済額は、最初の期限前返済可能日まで表示され、関連するスワップからのキャッシュフローが考慮されてい
る。金融機関からの短期借入金は、主にスワップ取引相手から受取った現金担保および差入れ担保ならびに
スワップ取引相手に差入れた現金担保で構成される。
2019 年末現在の当行の金融資産および金融負債の満期別内訳は、注 21 に示されている。
資金調達、貸出金および流動資産の満期構成
2019 年 12 月 31 日現在
(百万ユーロ)
当行は、当行が緊急時に流動性不足に直面した場合に講じるべき対策を定めたコンティンジェンシー・プ
ランを構築している。総裁は、コンティンジェンシー・プランの発動を決定し、その後理事会に通知する。
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オペレーショナル・リスク
当行は、オペレーショナル・リスクを、技術、従業員、プロセス、業務手順または物理的取決めに起因す
る不具合により直接もしくは間接に損失を被るかまたは信用が損なわれるリスク(外的事象および法務リス
クを含む。)として定義している。
オペレーショナル・リスク管理
当行のオペレーショナル・リスク管理は、事業の継続性、情報セキュリティ、内部で使用し外部に報告す
る情報の正確性、当行職員の専門性と誠実さ、定められた規則および手続きの遵守を確保するための積極的
な方策、ならびに当行の物理的基盤および情報資産、職員およびプロセスを保護するためのセキュリティ・
アレンジメントに力を入れている。当行のオペレーショナル・リスク管理の方針は理事会が定める。かかる
方針は、当行が直面しているかまたは直面する可能性のあるオペレーショナル・リスクの特定、評価、監視
および制御についての原則の指針となっているオペレーショナル・リスク管理の枠組みによって補完され
る。
オペレーショナル・リスクの日々の管理は組織全体で行われており、主に各部門が責任を負う。リスク認
識に関する当行職員の研修が重視されている。リスクおよび統制の自己評価のプロセスでは、それぞれの専
門分野について様々な機能別にリスクが特定され、その影響が評価される。当行がその方針およびガイドラ
インを確実に遵守するために、主要リスクの特定ならびにリスク検知の質およびリスクの低減の評価に重き
が置かれている。オペレーショナル・リスクは、当行の事象報告システムから得られた結果の分析を通じて
も特定される。当期中にオペレーショナル・リスクにより発生した重大な損失はなかった。
オペレーショナル・リスク管理の優先分野には、当行の主要な業務処理におけるリスクならびに重大なオ
ペレーショナル・リスクおよびトレンドにかかる報告の展開に焦点をより一層合わせることが含まれてい
る。当行の新商品および開発プロジェクトの承認プロセスにおいて、リスクの特定および軽減は重要なス
テップである。
2019 年に、オペレーショナル・リスクの特定と分類にかかる共通言語を提供する改訂版リスク分類法の導
入により、オペレーショナル・リスク管理の枠組みが開発された。リスク管理ユニット内でチーフ情報セ
キュリティ・オフィサー( CISO )の役割を正式化し、新たな情報セキュリティ方針を採用することにより、
当行の情報セキュリティ・ガバナンスの実務は強化された。
参照レートの改革
金融危機の後、世界の規制当局は銀行間オファード・レート( IBOR )を代替金利指標またはリスク・フ
リー・レート( RFR )に置換える決定をした。この置換えプロセスは、複数の主要通貨において、その段階も
進捗のスピードもまちまちである。したがって、移行の根拠、方法および時期ならびに金融市場参加者に対
するその影響については不確実である。当行は、かかる移行の潜在的なリスクおよび影響を精査するため
ワーキング・グループを立ち上げた。当行はまた、 IBOR 改革に関連した財務報告問題に対処する国際会計基
準審議会のプロジェクトの活動の監視も行っている。
コンプライアンス・リスク
当行では、コンプライアンス・リスクは、法的もしくは規制上の制裁、重大な財務損失、または法律、規
則および基準の遵守を怠ったことによるレピュテーション喪失のリスクであると定義している。
当行は、説明責任、ガバナンス、企業の社会的責任、透明性およびビジネス倫理の分野において、国際的
なベスト・プラクティスおよび市場の基準に従うことに努めている。したがって、当行の方針は、関連する
市場基準、とりわけ当行が支持している、国際金融機関の「不正・汚職の防止及び撲滅に関する統一的枠組
み」に基づいている。
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当行自体の業務および当行職員の誠実性は、職員に期待される価値および倫理基準を定めた当行の行動規
範を通じて管理されている。行動規範は、利益相反、 贈答品、ホスピタリティ、取引制限および役得の状況
といったトピックを対象としている。
さらに当行は、汚職、不正、マネーロンダリングもしくはテロ資金供与に関連する、または潜在的にこれ
らに関連しうる当事者およびプロジェクトと取引を行うリスクを軽減することに特に力を入れており、これ
は顧客および取引相手を対象とした誠実性デューディリジェンス( IDD )に大きな努力を傾けることにより実
現される。 IDD は、違法もしくは非倫理的な行動に関与しているとの評判のある団体の誠実性リスクまたはレ
ピュテーション・リスクの指標を特定することを目的としている。
当行のプロジェクトに関連する不正、汚職、 談合またはその他の禁止行為の申立ては、申立ての予備評価
に続いて調査される。 チーフ・コンプライアンス・オフィサー室( OCCO )が調査を行い、 OCCO は総裁(職員
に関連する事案の場合)または制裁委員会(取引相手に関連する事案の場合)に対して決定のために提出さ
れる調査結果報告書を発行する。
OCCO は、誠実性リスクおよびレピュテーション・リスクに関する事項を監視および調整し、コンプライア
ンス関連事項について職員、経営陣および理事会に独立した専門的な助言を行う。チーフ・コンプライアン
ス・オフィサー( CCO )は総裁直属であり、理事会会長および監査委員会委員長に無制限に面会することがで
きる。 CCO は、理事会および監査委員会に定期的に報告を行う。
OCCO は、年に1回誠実性報告書を公表しており、これは当行のウェブサイトにおいて入手可能である。
自己資本充実度
当行の定款は、当行の通常貸出の残高が授権資本金および積立準備金の 250 %を超えてはならない旨を規定
している。この法定のギアリング限度により、当行の資本資源に関する貸出ポートフォリオのレバレッジが
制限される。法定のギアリング限度は、すべての与信エクスポージャーをそのリスク・レベルに関わらず、
計算上均等に取扱う。 2019 年末現在、法定のギアリング限度は 22,085 百万ユーロ(当期利益分配前)で、限
度の利用率は 84 %( 2018 年: 85 %)であった。
当行は、当行が現に晒されている、またはその可能性があるリスクをカバーするために必要とされる資本
の額および流動性を評価するために、内部自己資本充実度評価プロセス( ICAAP )を利用している。当行は、
あらゆる重大なリスクをカバーし、困難な状況下であっても中断することなく事業を継続できることを確保
するために十分な額の資本と流動性を維持している。当行はまた、その ICAAP の評価におけるマクロ・プルー
デンス上のリスクの影響を考慮し、必要に応じて資本バッファーを活用している。当行のリスク・エクス
ポージャーに対する将来見通しを提供するためにストレス・テストが利用されている。
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当行は、信用リスク、市場リスク、オペレーショナル・リスクおよびその他の事業リスクについて、リス
クベースの資本要件を見積もるために、内部経済資本モデリングの枠組みを利用している。これらのリスク
をカバーするために留保される経済資本は、最低経済資本要件として定義され、この金額は可能な限り高い
信用格付を実現するのに十分であるとみなされている。最低経済資本要件のほかに、当行は、マクロ・プ
ルーデンス上のリスクのための資本バッファーおよびストレス・テスト・バッファーを維持している。当行
は、ストレス状況下において、またはその他その目的を果たすために必要な場合に、資本バッファーを解放
することができる。
当行の内部信用リスク経済資本モデルは、業界で幅広く採用されているいわゆる構造モデルの応用であ
る。技術的にいうと、シミュレーション・モデルは、ランダムなデフォルト・リカバリーを備えた多変量デ
フォルトのみのガウス閾値モデルと呼ばれる。このモデルの背景にある重要な考え方は、個々の債務者の資
産の価値が取引相手の信用力によって決まる限界値を超える場合に当該債務者は債務不履行に陥るというも
のである。資産価値のモデルは、地理的、産業的および企業規模の次元を組込んだ過去の株式データに基づ
いて見積もられる。取引相手の資産が債務不履行の限界値を超える可能性は、当行の信用格付の等級区分に
基づく、内部で導出されたデフォルト推定値の確率にかかっている。最後に、デフォルト損失の実際の規模
は、取引相手のエクスポージャーとデフォルト時損失率( LGD )という2つの要素に依拠する。現在のエクス
ポージャーに対する割合でみる実際の損失はランダムであると仮定され、当行の内部 LGD の枠組みから通知さ
れる。
当行の市場リスク経済資本モデルは、経済的価値および利息収入純額リスクという視点の双方をカバーす
る金利リスク、信用スプレッド・リスク、カレンシー・ベーシス・リスクおよび為替リスクといった下位カ
テゴリーを把握するものである。当行は、市場リスクの下位カテゴリー全体にわたる市場リスク経済資本要
件の計算に様々なストレス・テストのアプローチを適用し、市場リスクに対する全体的な経済資本要件の計
算において下位カテゴリー間での分散化に利点があることを認識している。
当行のオペレーショナル・リスクに対する経済資本要件は、 EU の資本要件規則に定めるとおり、まず規制
資本要件を標準的手法を用いて計算し、次いでかかる要件を経済資本要件にかかる保守的な見積りに到達す
るまで調整することにより得られる。
以下のグラフは、 2019 年 12 月 31 日現在の経済資本に基づく当行内部で評価された無監査自己資本充実度の
概要を示すものである。
経済資本要件
2019 年 12 月 31 日現在(百万ユーロ)
2019 年 12 月 31 日現在、経済資本要件は、信用リスクについては 1,798 百万ユーロ、市場リスクについては
481 百万ユーロおよびオペレーショナル・リスクについては 101 百万ユーロであった。よって、内部で評価さ
れた無監査の最低経済資本要件は 2,380 百万ユーロであった。
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規制上のマクロ・プルーデンス商品は、 金融システムのプロシクリカリティに対抗するのに役立つように
設計されており、資本保全バッファー、カウンターシクリカル・バッファーおよびシステミック・リスク・
バッ ファーを含んでいる。当行は、 いずれの国家のまたは国際的な銀行業界における自主規制の対象にも
なってないため、これらのバッファー要件は当行には適用されない。しかし、当行は、市場の最善の慣行に
従って、その自己資本充実度の評価においてマクロ・プルーデンス上のリスクにかかる資本バッファー(資
本保全バッファーおよびカウンターシクリカル・バッファー)ならびにマクロ・ストレス・テストにかかる
資本バッファー(ストレス・テスト・バッファー)を含めることを選択している。
資本保全バッファーは、当行のリスク加重資産の固定比率( 2.5 %)であり、その額は 327 百万ユーロで
あった。カウンターシクリカル・バッファーの規模は、民間部門のエクスポージャーとリスク・エクスポー
ジャーが存在する国のカウンターシクリカル・バッファー率の加重平均として計算される。カウンターシク
リカル・バッファーは 137 百万ユーロであった。
当行はまた、厳しい 市場条件において発生する潜在的な損失に対して資本を配分する(ストレス・テス
ト・バッファー)。実施されたマクロ経済的ストレス・テストに基づき、当行は、マクロ経済的ショックに
対する資本準備金をすでに織り込んでいるマクロ・プルーデンス・バッファーに加えて潜在的なストレス・
テスト損失についても 120 百万ユーロのバッファーを割当てている。
利益の蓄積およびリスク・エクスポージャーの安定的な推移により、当行のリスクベースの自己資本ポジ
ションは 2019 年に強化された。 2019 年 12 月 31 日現在、当行の資本は 3,690 百万ユーロ( 2019 年の利益を含み、
2019 年について提案されている配当金を除く。)であり、 2,964 百万ユーロの総経済資本要件に対して 726 百
万ユーロ( 2018 年: 648 百万ユーロ)の余裕があり、最低経済資本要件に対しては 1,310 百万ユーロ( 2018
年: 1,138 百万ユーロ)の余裕があった。
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注3: セグメント情報
事業セグメント
事業セグメントは、資源の分配および事業セグメントの業績の評価に対して責任を負う最高経営意思
決定者( CODM )への内部報告方法に沿って報告がなされている。当行の CODM は総裁である。経営陣に報
告されるセグメント業績には、当該セグメントに直接帰属するものと、合理的な基準に基づいて割当て
られるその他の項目が含まれる。セグメント別報告にあたり、当行は、当行の業務を貸出業務と財務活
動の2つの主要セグメントに分類している。財務活動は、流動性管理、担保管理、ポートフォリオ管理
および資金調達業務からなる。
2019 年
ポートフォリオ
(千ユーロ) 貸出 資産・負債管理 管理 財務合計 合計
利息収入純額 153,144 29,863 28,723 58,585 211,729
受取手数料 7,405 2,057 - 2,057 9,462
支払手数料 -78 -1,563 -218 -1,781 -1,859
金融取引純収入 541 6,748 6,983 13,731 14,272
為替差損益 - 111 - 111 111
一般管理費 -28,637 -11,012 -4,719 -15,731 -44,368
減価償却費 -4,376 -1,725 -739 -2,465 -6,841
正味貸倒損失 -524 - - - -524
当期利益 / 損失 127,475 24,478 30,029 54,507 181,982
2018 年
ポートフォリオ
(千ユーロ) 貸出 資産・負債管理 管理 財務合計 合計
利息収入純額 154,032 27,277 42,182 69,459 223,492
受取手数料 12,415 856 - 856 13,271
支払手数料 -95 -1,551 -900 -2,451 -2,546
金融取引純収入 49 -8,619 -15,207 -23,826 -23,776
為替差損益 - -160 - -160 -160
一般管理費 -26,529 -10,334 -4,429 -14,762 -41,291
減価償却費 -1,261 -473 -203 -676 -1,937
正味貸倒損失 5,957 - - - 5,957
当期利益 / 損失 144,569 6,996 21,444 28,441 173,009
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地域別セグメント
下表は、借手のグループ本社所在地による借手の居住地域に基づいている。
2019 年 2018 年
利息収入純額 利息収入純額
(千ユーロ)
加盟国
デンマーク 12,689 15,869
エストニア 1,834 1,633
フィンランド 31,573 29,666
アイスランド 7,730 6,990
ラトビア 1,394 1,759
リトアニア 5,147 5,723
ノルウェー 27,696 27,138
スウェーデン 51,954 51,599
加盟国合計 140,018 140,377
加盟国以外
アフリカ 318 457
アジア 2,597 3,418
ヨーロッパおよびユーラシア 7,141 6,175
南北アメリカ 2,860 3,342
中東 208 264
加盟国以外合計 13,125 13,656
貸出からの利息収入純額の合計 153,144 154,032
貸出業務
使命および負託
現在の定義による NIB の使命は、生産性を高め、環境を改善するプロジェクトに対して、サウンド・バ
ンキング原則に基づいて、長期的な補完的融資を提供することにより、加盟国の持続可能な成長を促進
することである。 NIB は、 NIB が価値を付加し、他の資金源を補完することができる事業活動に対して、
貸出および債務保証の形で資金を提供することにより、この負託を果たしている。さらに、 NIB は、あら
ゆる融資の環境的側面の評価を行っている。当行の負託の遂行に資するプロジェクトは、環境、エネル
ギー、運輸、流通および通信ならびに技術革新などの分野によくみられる。それにもかかわらず、その
他の分野においても当行が評価するところにより負託上高い評価を有するプロジェクトが承認される。
NIB は、経済の様々な分野の支援において柔軟に対応しているが、特に、金融仲介者と協調して、インフ
ラストラクチャーへの投資、環境改善への投資、企業部門による大規模投資、および中小企業に絡んだ
プロジェクトに力を入れている。 2015 年、 NIB の理事会は戦略プロセスを完了し、これにおいて上記の負
託および使命が確認された。また、 NIB の理事会は、次の分野にいっそうの重きを置くことも決定した。
すなわち、中小企業( SME )および中企業への融資、加盟国以外への貸出(長期的にはその比率を当行の
貸出の約5分の1という以前の水準にまで引上げる。)、北極圏融資およびバルト諸国への融資の重視
である。 2016 年、 NIB は、その貸出業務の一環としてグリーンボンドへの投資を開始した。
加盟国外における NIB の貸出に関しては、受入国が NIB を国際公法に基づく法人として、また当該国の
法律に基づく権利能力を有しているものとして認識し、かつ国際金融機関( IFI )としての NIB の地位を
認識していることについての合意が一般に必要となる。当行は、借手の債務返済義務について他の国際
金融機関のそれと類似した方針を採っている。よって、当行は、いかなるソブリン債務のリスケジュー
ルにも関与していない。
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貸出は、公的部門および民間のプロジェクトの双方を対象として行われる。関係するプロジェクトが
立地する国の政府の反対があれば、貸出もしくは債務保証は行われない。当行は、プロジェクトの適格
性を査定するためにいくつかのプロセスを利用している。当行は、負託の評価ツールならびに当行の融
資 が当行の目的および使命を果たすことを保証するためのサステナビリティ方針を適用している。ま
た、当行は、貸出の承認に関連して統合的なデューディリジェンス手続きを有している。
貸出の分類
当行は、現在、通常貸出および特別プログラムに基づく貸出という主に2つの分類で貸出を行ってい
る。
通常貸出
当行の通常貸出の限度額は、授権資本金および積立、未割当準備金(利益剰余金および一般信用リス
ク基金)の 250 %である。理事会の提案に従った 2019 年度にかかる当期利益の処分後で、当行の通常貸出
の限度額は 22,467 百万ユーロ(前年: 22,085 百万ユーロ)になる。 2019 年 12 月 31 日現在、通常貸出金は
18,521 百万ユーロ(前年: 18,463 百万ユーロ)相当で、これは、当行の授権資本および積立準備金の
206.1 %(前年: 209.0 %)に相当する。 2019 年 12 月 31 日現在、通常貸出に基づく保証の約定はなかっ
た。
当行の通常貸出は、伝統的に投資貸出および地域貸出の2グループに分類されてきた。しかし、地域
貸出の重要性は低下してきた。 2019 年 12 月 31 日現在、投資貸出、地域貸出の約定およびグリーンボンド
投資の合計額は 21,220 百万ユーロ(前年: 20,839 百万ユーロ)であり、そのうち貸出金は 18,512 百万
ユーロ(前年: 18,456 百万ユーロ)であった。
一般に、投資貸出は、加盟国所在のプロジェクトに対して、あるいはプロジェクトに対する担保また
はプロジェクトもしくは借手に担保を提供する当事者のいずれかが加盟国のいずれかの国に所在する場
合には加盟国以外に所在するプロジェクトに対しても、認められる。また、ポーランドおよびその他一
部の EU 加盟国に対する貸出も現在投資貸出として行われている。 2019 年 12 月 31 日現在の NIB の投資貸出約
定額は合計 21,089 百万ユーロ(前年: 20,839 百万ユーロ)で、そのうち貸出金は 18,381 百万ユーロ(前
年: 18,455 百万ユーロ)であった。貸出金の大半を占める 17,923 百万ユーロ(前年: 17,960 百万ユー
ロ)は、加盟国内に所在のプロジェクトについて認められたものであった。
2016 年、 NIB は、加盟国内の企業または自治体が発行するグリーンボンド(環境債)への投資に 500 百
万ユーロを割当てた。このイニシアチブは、グリーンボンド市場の発展を支援し、 NIB の任務基準に沿っ
て環境投資に資金を提供し、この分野において優れた基準を発展させることを目的としている。 2019 年
末現在、 NIB は、公正価値で 132 百万ユーロ(前年: 308 百万ユーロ)のグリーンボンドを保有していた。
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2015 年に完了した当行の貸出戦略の見直しを受けて、当行は、通常貸出において次の与信枠を設定す
ることを決定した。すなわち、北極圏地域におけるプロジェクト向け貸出として 500 百万ユーロを上限と
する枠組みをもつ北極圏融資枠、中小資本会社( SMC )を含む中小企業( SME )向けの 250 百万ユーロの融
資枠、および SME/SMC と従来から当行の顧客であった大企業との間の市場セグメントに存在する中資本企
業( MCC )向けの 500 百万ユーロの貸出枠である。
詳細情報については、「注 12 :貸出金および保証約定」を参照のこと。
特別貸出プログラムに基づく貸出
当行は、通常貸出のほかに、現在定款により承認された2つの特別貸出プログラムを有している。
プロジェクト投資貸出
NIB は、プロジェクト投資貸出( PIL )ファシリティに基づき、プロジェクト投資貸出および関連保証
を付与することができる。 PIL ファシリティの授権枠は4十億ユーロである。 PIL および債務保証は、当
該プロジェクトが加盟国および受入国の利益になるようなアジア、ラテンアメリカ、中欧および東欧、
アフリカならびに中東におけるプロジェクトに融資を行うことを目的としている。加盟国以外への貸出
水準を、貸出合計の5分の1とするこれまでの長期的な水準の平均に維持する戦略をとっている。これ
らの貸出は、プロジェクトの長期の融資需要への対応を支援するものであり、通常の銀行実務に従って
行われる。かかる貸出は、政府向けに、または政府保証を見返りとして行うことができるが、政府の保
証がなくても、インフラストラクチャー・プロジェクトおよびその他公的部門または民間部門のプロ
ジェクトに対して行うこともできる。プロジェクトに対して、当行と各加盟国との間の関連する二者間
PIL 保証契約と同様に、他の多国間および二国間機関と共同で融資を行うことができる。 PIL ファシリ
ティの授権枠は定款に規定されており、現在同ファシリティは4十億ユーロに制限されている。 PIL ファ
シリティは、加盟国からの部分保証を受けている。各 PIL は、貸出元本および利息の 90 %を上限として、
総額 1.8 十億ユーロ、プログラム総額の 45 %までについて、加盟国により個別に保証が付される。理事会
は、所与の時点でこのプログラムに含まれるべき貸出および債務保証を決定する権限をもっている。理
事会は、加盟国の保証履行を請求するかどうかの決定も行う。 1982 年にこのプログラムが設けられて以
来、かかる保証履行の請求はなされていない。プログラムにかかる授権枠が数回にわたって増額されて
きたのに伴い、保証契約は長年にわたって改訂されてきた。 PIL ファシリティの授権枠は、最近では 3.3
十億ユーロから 4.0 十億ユーロに増額されたが、これは、債務保証の限度額を 1.8 十億ユーロに据置いた
まま、 2004 年7月1日に効力を生じた。この増額に関連して、 NIB は加盟国の保証履行の請求のためのガ
イドラインを同日付で修正する決定をし、当行は各加盟国との間で新しい二者間保証契約を締結した。
修正されたガイドラインのもとで、関連する PIL 特別信用リスク基金はファーストロス準備金として意図
され、 NIB は PIL 特別信用リスク基金において所与の時点で利用可能な額を上限として、個別の PIL に基づ
いて負担する損失を 100 %引受けることになる。かかる引受を行った後にのみ、 NIB は加盟国の保証履行
を求める。
2019 年 12 月 31 日現在、当行は 165 件、総額 962 百万ユーロ(前年: 936 百万ユーロ)のプロジェクト投資
貸出について約定した。このうち 159 件、総額 445 百万ユーロ(前年: 631 百万ユーロ)が貸出金となって
いた。 2019 年 12 月 31 日現在、このファシリティに基づいて発行された保証はなかった。
詳細情報については、「注 12 :貸出金および保証約定」を参照のこと。
環境投資貸出( MIL )
2005 年1月1日以降、 300 百万ユーロの MIL ファシリティが、地域における環境の改善および国境を越
えた公害の減少のため、加盟国に隣接する地域における民間および公共プロジェクトに対する融資のた
めの貸出および債務保証に割当てられてきた。 MIL ファシリティの仕組は、主に当行の定款および当行と
各加盟国との間の関連する二者間 MIL 保証契約に準拠している。当行の定款によると、加盟国は支払の不
履行から生じる当行の損失の 100 %を補填することになっている。所与の時点でこのファシリティに含ま
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れるべき貸出および債務保証を決定する権限は理事会にある。 2019 年 12 月 31 日現在、 NIB はこのファシリ
ティに基づき 16 百万ユーロ(前年: 20 百万ユーロ)を約定しており、うち貸出金は8百万ユーロ(前
年: 10 百万ユーロ)であった。 2019 年 12 月 31 日現在、このファシリティに基づいて発行された保証はな
かった。理事会は、 2014 年および 2016 年の2回にわたって、1件の MIL 貸出にかかる不払いを理由として
MIL 保証の請求を決定した。保証請求に関連した支払により、保証債務は 266 百万ユーロ(前年: 266 百万
ユーロ)となっている。
詳細情報については、「注 12 :貸出金および保証約定」を参照のこと。
価格設定の方針
当行の定款は、当行がサウンド・バンキング原則に従って貸出を行うことを義務づけている。よっ
て、当行が申入れる条件に補助金の要素はない。貸出および債務保証は、当行の資金調達コスト、一般
管理費および貸出にかかるリスクのコストを賄うように価格が設定される。また、妥当な使用資本利益
率が達成される見込みである。当行は、貸出の価格設定についてリスクに基づく価格設定ツールを用い
ている。
NIB による貸出は固定および変動金利の両方で実施される。いずれの場合も関連通貨による資金の増分
費用を基準にして貸出を担保する安全性とその満期により利率が決定される。
十分な流動性を維持するために NIB を補償し、借手の貸出実行要求に応じるために、 NIB は貸出約定の
未実行分に関する約定手数料の料率を定めている。当行の貸出の価格合計額には、その他の手数料も含
まれることがある。
リスク査定
当行の方針は、その業務がサウンド・バンキング原則に則って行われ、貸出および債務保証が市場
ベースの市中銀行条件で付与されることを求めている。 NIB の融資ガイドラインおよびリスク管理の枠内
で、当行の貸出業務は、取引相手リスクおよび差入れられた担保の価値によって分類される。その後、
個々の貸出についてリスク分類が決定される。「注2:リスク管理」を参照のこと。
定款第7項に規定する貸出全体の最大エクスポージャーのほかに、ポートフォリオ(非加盟国および
産業部門の制限)ならびに取引相手の水準について特定の制限を適用している。 NIB の理事会は、原則と
して、ひとつのプロジェクトに対して当行が行う貸出の最高額は、プロジェクトの合計費用の 50 %( SME
および中企業への融資については、この制限は 75 %とする。)を超えるべきではなく、ひとつの企業グ
ループに属する借手への最高貸出金額は、通例、当行の資本合計の 20 %を超えるべきではない旨の決定
を行っている。この 20 %という限度は、ソブリンを取引相手とする貸出には適用がない。また、信用力
の低い借手の場合は、この 20 %の限度は引下げられる。
理事会は、プロジェクトのホスト国の信用状況に関連付けて国別限度額を設けることによって、 PIL お
よび他の非加盟国向け貸出に対するエクスポージャー(貸出実行額および貸出約定額の合計として定義
される。)を制限することを決定した。
定款に基づき、当行は、為替損失に対して自らを保全し、必要に応じてその貸出および貸出保証につ
いて適切な担保を取得することを義務づけられている。当行が受入れる担保の種類について特定の要件
はない。当行は、十分な信用力のある取引相手に対しては無担保の貸出を行うことができる。かかる貸
出においては、当行は取引相手によるさまざまな約束(たとえば、担保制限条項およびその他の財務ま
たは非財務の制限条項)を要求する。当行は、一般にプロジェクト・ファイナンスおよびストラク
チャード・ファイナンス取引についてはより高い信用補完を要求する。 2019 年 12 月 31 日現在、当行の貸
出金の 21.0 %(前年: 20.4 %)は加盟国もしくはその地方自治体に対する直接の貸出であるかまたはこ
れらにより保証されており、さらに 22.9 %(前年: 23.6 %)はその他諸国(新興市場国を含む。)また
は加盟国もしくはその地方自治体が( 50 %以上)保有する企業に対する直接の貸出であるかまたはこれ
らにより保証されている。貸出金の0%(前年: 1.6 %)はいかなる担保も付されることなく行われてお
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り、貸出金の残りは、担保、企業その他による保証もしくはコベナンツを通じて何らかの形の保全策が
講じられている。
上記のように、定款に基づいて、 NIB は為替リスクに対して自らを保全することが求められている。
NIB は、 NIB が借入れたのと同じ通貨で貸出を行うこと、または先物為替リスクに対する適切な対策を施
して調達資金を他の通貨に交換することを一般的な方針としている。 NIB は貸出と借入の満期のマッチン
グを管理し測定するためのプロセスを実施している。これについてのさらなる情報は、「注2:リスク
管理」を参照のこと。
当行による貸出の大部分は、満期が5年ないし 15 年である。当行の貸出の実行、分割弁済および最終
期限は、各プロジェクトの開発スケジュール、キャッシュフローの発生、最終的な残存年数および NIB に
よる適当な資金調達の可能性によって決まる。
財務活動
資産負債管理
流動性管理
当行の流動性方針は、ストレス・テストに基づいており、バーゼルⅢの勧告( 2010 年 12 月にバーゼル
銀行監督委員会が公表したもの)、 EU 指令および格付機関が用いる格付の手法が盛り込まれている。こ
の方針には、当行が、厳しいストレス・シナリオにおいて、継続的な事業活動から生じる支払債務をど
のくらいの期間にわたって履行することができるかを測定するサバイバル・ホライズンが含まれる。目
標は、サバイバル・ホライズンを少なくとも 12 カ月に維持することである。 2019 年末現在、当行はその
サバイバル・ホライズンを 397 日(前年: 428 日)と計算していた。
流動性リスクを軽減するため、当行は、流動性バッファーを維持している。流動性バッファーは、主
としてユーロに投資されているが、米ドルおよび北欧通貨にも投資されている。 2019 年末現在、取引相
手の信用リスクを軽減するためにスワップの取引相手から受領した現金および有価証券をも含む流動性
バッファーは、 11,707 百万ユーロ(前年: 10,348 百万ユーロ)であった。このうち、 4,666 百万ユーロ
(前年: 3,801 百万ユーロ)は現金および短期金融市場商品として保有され( 40 %(前年: 37 %))、
7,041 百万ユーロ(前年: 6,547 百万ユーロ)は有価証券により保有されていた( 60 %(前年:
63 %))。厳しい市場環境において市場価値のボラティリティおよび流動性リスクを最小限にするた
め、流動性バッファーは流動性方針に定められた質の要件を満たしていなければならない。 2019 年末現
在、流動性バッファーの 83 %(前年: 89 %)は質の高い流動性資産( HQLA )に投資されており、 90 %
(前年: 82 %)は一または複数の中央銀行において有価証券買戻取引(レポ)の担保として適格であ
り、資産の 94 %(前年: 94 %)は当行の内部格付において上位4つのカテゴリーに属していた。また、
当行は、欧州連合の資本要件規制で規定されている流動性カバレッジ比率( LCR )要件および安定調達比
率( NSFR )要件を満たしている。追加収益を実現するという目的のもとで、流動性の一部は、長期の政
府証券、カバード・ボンドおよび「 A 」以上の信用格付を有する金融機関が発行した上位社債に投資され
ている。詳細については、「注2:リスク管理」を参照のこと。
担保管理
当行は、デリバティブ取引から生じる取引相手リスクを軽減するため、取引相手から担保を受取って
いる。当行は、スワップの取引相手に主としてユーロの現金保有による担保を差入れる必要があるた
め、そのデリバティブの取引相手とのクレジット・サポート・アグリーメントを一方向から双方向に移
行した。この双方向のアグリーメントでは、より高い流動性バッファーが求められる。これに関する詳
細については、「注2:リスク管理」を参照のこと。 2019 年末現在保有していた現金担保の金額は 957 百
万ユーロ(前年: 575 百万ユーロ)であった。年度末現在の受取り担保にかかる情報については「注 19 :
担保および契約義務」を参照されたい。
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ポートフォリオ管理
当行のポートフォリオ管理は、当行の流動性のうち、より長期の有価証券に投資されている部分の管
理を扱っている。2つのポートフォリオ、すなわち、 (1) 高格付の発行体が発行した償却原価で測定され
る 証券投資および (2) 公正価値で測定される活発に運用されるポートフォリオが設定されている。ただ
し、流動性リスクを軽減することが主な目的であり、環境、社会およびガバナンスの側面の一部が投資
判断に組込まれる。ポートフォリオにかかるリターンは引続き当行全体の業績に貢献しているが、利回
りが極めて低い環境にあるため貢献度は弱まりつつある。
活発に運用されるポートフォリオは、固定利付デリバティブを利用したアクティブなイールドカーブ
およびデュレーションの管理戦略ならびに証券投資を通じて当行の業績に貢献している。戦略の実施
は、当行内外のマネージャーにより行われている。当行は、資金を伴わない任務を帯びて業務を行う外
部マネージャー1社と契約を結んでいる。 2019 年末現在、外部マネージャーは、総額 100 百万米ドル( 89
百万ユーロ相当)を上限としてポジションをとることを認められていた。外部マネージャーには具体的
なリスク限度が設定されており、そのリスク・エクスポージャーも全体的な市場リスク限度によって把
握され、制限されている。「注2:リスク管理」を参照のこと。
2019 年 12 月 31 日現在の当行の金融投資の会計処理および数量にかかる情報については、「注 11 :債務
証券」を参照されたい。 2019 年 12 月 31 日現在のデリバティブ残高の数量については、「注 15 :その他の
資産」に記載する。
資金調達業務
当行の主な資金調達源は、世界の主要な金融市場における債券発行であり、当行の顧客のために都合
の良い条件で資金を調達することを目的としている。当行は、有利な市場条件を利用し、その借入業務
を通貨、満期、流動性および仕組の面で投資家の選好に合わせることを目指している。この戦略に沿っ
て、多様な資金調達基盤ならびに個別の取引の仕組および複雑さにかかわるリスクを考慮しつつ、可能
な限り低コストで資金を調達することを目的としている。
さらに、資金調達と貸出取引の条件が合わない可能性も考慮する。この限りにおいて、為替、金利お
よび借換えのリスクの管理を最もうまく行うために、発行手取金はデリバティブ市場において交換され
る。
NIB の中長期借入の大部分は、その借入プログラムのもとで行われている。 2019 年末現在、当行は以下
のプログラムを活用していた。
・ 15 十億ユーロを上限とするユーロ・ミディアム・ターム・ノート・プログラム(以下「 EMTN プログ
ラム」という。)
・ 20 十億米ドルを上限とし、米国証券取引委員会に登録された US ミディアム・ターム・ノート・シ
リーズDプログラム(以下「米国 MTN プログラム」という。)
・8十億豪ドルを現在の上限とする豪ドル・ニュージーランドドル国内ミディアム・ターム・ノー
ト・プログラム。
2019 年、 NIB は 44 件の取引において、 12 の異なる通貨建で 4,909 百万ユーロ(前年: 6,620 百万ユーロ)
の借入を行った。この総額のうち、 2,967 百万ユーロ(前年: 3,922 百万ユーロ)は、 EMTN プログラムの
下で行われた 38 件の取引によるものである。米国 MTN プログラムのもとでは、 NIB は2本の発行を行い、
これら2本はそれぞれ 1.0 十億米ドルおよび 1.0 十億米ドルのグローバル指標銘柄債であった。 2018 年に
は、 EMTN プログラムの下で 57 件、米国 MTN プログラムの下で3本の取引(このうち2本はそれぞれ 1.0 十
億米ドルおよび 1.0 十億米ドルのグローバル指標銘柄債の発行)を行った。 2019 年における NIB の借入取
引の加重平均償還年数は、 2018 年の 5.1 年に対し 4.7 年であった。
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発行済債務証券のうち、 1,854 百万ユーロ(前年: 1,614 百万ユーロ)は変動利付、 24,123 百万ユーロ
(前年: 23,703 百万ユーロ)は固定利付であり、これは主に変動利付にスワップされる。
NIB は、 NIB の環境債(以下「 NEB 」という。)プログラムの一環として債券を発行することができる。
NIB は、 NEB の発行を通じて調達された資金が NIB の加盟国および EU 諸国における環境貸出に向けられる
ような内部の枠組みを構築した。貸出プロジェクトは、内部の厳格な環境基準を満たした場合に、この
枠組みに基づいて適格となる。かかる債券の元利金の支払は、単一機関としての NIB の信用状況に基づ
いてのみ行われ、環境貸出プロジェクトの実施状況に直接連動することはない。したがって、かかる債
券は「アセットバック」証券を構成することも、 NIB の環境貸出プロジェクトのいずれかにクレジッ
ト・リンクすることもない。 NIB の環境債は、 NIB のいずれかの債券発行プログラムの下で発行すること
ができる。
2019 年末現在、当行の NIB 環境債の発行残高は合計 3,906 百万ユーロ(前年: 3,261 百万ユーロ)であっ
た。 2019 年、 NIB はその環境債の枠組みの下で総額 693 百万ユーロの2本の NIB 環境債を発行した。その
内訳は、 500 百万ユーロの環境債1本と初の北欧バルト・ブルーボンド1本である。5年満期2十億ス
ウェーデン・クローナの北欧バルト・ブルーボンドは、水の管理および保護の分野のみにおける融資プ
ロジェクトである。 2018 年中に、当行は 500 百万ユーロの NIB 環境債1本を市場に持ち込んだ。
2019 年および 2020 年については、当行理事会は、当行がそれぞれ総額 7.5 十億ユーロおよび 7.5 十億
ユーロを上限とする中期および長期借入を行うことを承認した。
2008 年、 NIB は、ユーロ・コマーシャル・ペーパー・プログラム(以下「 ECP プログラム」という。)
に代えて、上限2十億ユーロの新 STEP 適格 ECP プログラムを導入した。このプログラムに基づく借入お
よび EMTN プログラムに基づく短期取引による借入のほか、 NIB は、マネー・マーケット・ローンおよび
レポ取引を通じて銀行間市場において短期資金を調達することができる。これらの取引は、「注 16 :証
券負債およびスワップ」に記載されたほとんどの通貨により行われている。
理事会は、 2019 年および 2020 年について、当行が短期資金調達を行うことを認めたが、残高は各年の
いかなる時点においても 3.0 十億ユーロを超えないものとされている。
NIB は、 2019 年および 2018 年の年末現在、 ECP プログラムに基づくコマーシャル・ペーパーの残高はな
かった。
注4: 利息収入純額
(千ユーロ) 2019 年 2018 年
受取利息
現金および現金同等物 -2,725 -6,686
満期が6カ月を超える金融機関投資 -12,872 -98
債務証券 60,757 60,913
貸出金 295,726 268,953
その他の受取利息 123 -
受取利息合計 341,009 323,082
うち、償却原価で測定される金融資産からの受取利息 315,241 298,371
支払利息
短期金融機関債務 3,199 455
長期金融機関債務 50 72
短期買戻契約 - 345
証券負債 -558,100 -578,171
スワップ契約およびその他の支払利息(純額) 425,572 477,708
支払利息合計 -129,280 -99,590
うち、償却原価で測定される金融負債からの支払利息 -312,116 -286,705
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利息収入純額 211,729 223,492
受取利息および支払利息には、「注 25 :関連当事者の開示」に記載のとおり、関連当事者に関する金
額が含まれている。
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注5: 受取手数料
(千ユーロ) 2019 年 2018 年
約定手数料 2,278 2,963
貸出実行手数料 4,298 9,496
期限前返済手数料 2,683 499
証券貸出手数料 203 313
受取手数料合計 9,462 13,271
注6: 金融取引純利益
(千ユーロ) 2019 年 2018 年
公正価値で測定される金融商品(実現損益) 2,715 7,163
公正価値で測定される金融商品(未実現損益) 2,240 6,484
償却原価で測定される金融商品(実現損益) 73 100
ヘッジ会計調整(公正価値ヘッジの未実現損益) 9,243 -37,523
金融取引純利益 14,272 -23,776
注7: 人件費
正味人件費
(千ユーロ) 2019 年 2018 年
給与およびその他の報酬 27,062 25,486
社会保障費および従業員保険 2,448 2,453
年金 8,830 8,120
理事会および監査委員会報酬 144 144
その他の人件費 2,500 2,590
総人件費 40,984 38,792
フィンランド政府との協定に基づく受入国払戻金(下記参照) -10,487 -9,822
正味人件費 30,496 28,971
従業員
2019 年 2018 年
12 月 31 日現在の従業員数 229 224
従業員の平均年齢 46 46
平均勤続期間(年) 11 11
12 月 31 日現在の性別による内訳
全従業員 229 224
女性 99 94
男性 130 130
上表の従業員数には、すべての契約職員が含まれる。正規雇用者および4年以上の期間契約雇用者は
202 名( 2018 年: 199 名)であった。交替契約、4年未満の期間契約および臨時契約による雇用者は 27 名
( 2018 年: 25 名)であった。
理事会、監査委員会、総裁および執行委員会の報酬
理事会および監査委員会の報酬は、統治委員会で決定される。報酬は、固定年次報酬および会議出席
手当からなる。理事会および監査委員会のメンバーはまた、当行の出張規定に基づいて旅費および宿泊
費の払戻しならびに日当を受領する権利を有する。
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理事会は、当行総裁の任命および報酬に関する決定を行う。原則として、総裁は1回につき5年の固
定期間契約で任命されるが、現行契約を延長することもできる。現在の総裁の契約は、 2012 年4月1日
に 開始し、 2017 年3月 31 日に満了となったが、かかる契約は 2021 年3月 31 日まで延長されている。総裁
は、執行委員会の委員の雇用について決定する。執行委員会の委員は、通常任期を特定せずに雇用さ
れ、通知期間は6カ月である。総裁は、理事会から、就業規則および財務計画の範囲内で報酬に関する
決定を行うことを授権されている。執行委員の報酬には、固定基本給および通常の課税付加給付(原則
として管理職の職員すべてに対して一律)が含まれる。
当行は、優秀かつ特別な業績については給与の3カ月分を上限として業績賞与を支払うことができ、
業績賞与が付与された場合は、下表に表示される。当行の業績賞与の最大金額は、合計で従業員給与費
用の3%である。
下表には、理事会および監査委員会に支払われた報酬ならびに総裁および執行委員会の課税所得が含
まれている。
(千ユーロ) 2019 年 2018 年
理事会(報酬および出席手当)
会長 17 16
その他の理事および理事代理( 15 名) 103 96
監査委員会
委員長 5 7
その他の委員(9名) 19 25
総裁 820 817
執行委員会委員(6名) 2,769 2,716
12 月 31 日現在の性別による内訳 2019 年 2018 年
理事会
女性 ▶ ▶
男性 ▶ ▶
監査委員会
女性 2 2
男性 8 8
執行委員会(総裁を含む。)
女性 1 1
男性 6 6
年金債務
当行は、従業員のために年金保障を手配する責任を負っている。フィンランドの公的部門年金制度
(以下「 JuEL 年金」という。)が年金給付の基礎となっている。 JuEL 年金は、従業員の年間課税所得お
よび適用ある年齢連動型年金増加率に基づいて計算される。雇用主による 2019 年の年金拠出金は年金保
険料支払対象所得の 16.46 %であった。従業員による年金拠出金は従業員の年齢に応じて 6.75 %または
8.25 %であった。当行は正規職員のためにかかる拠出金を支払っており、この部分は従業員給付として
課税されている。この年金は、確定拠出制度として会計処理されている。
当行は、 JuEL 年金の他に、すべての正規職員のために補足的団体年金保険に加入している。保険料
( 6.5 %)は従業員の課税所得を基準として計算され、通常、 63 歳まで支払われる。補足的年金保険につ
いても、確定拠出制度として会計処理されている。
総裁にかかる雇用主年金拠出金は 200,051 ユーロ(前年: 236,825 ユーロ)であった。執行委員会委員
に関してこれに対応する金額は、それぞれ 964,083 ユーロ(前年: 905,313 ユーロ)で、このうち
294,398 ユーロ(前年: 287,748 ユーロ)は補足的年金保険料であった。
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理事会および監査委員会のメンバーは、 NIB の年金制度に適格ではない。
従業員融資
従業員融資は、当行に1年以上雇用されている正規職員に提供することができる。従業員融資は、当
行による推薦を条件として商業銀行から提供される。
現在、最大融資額は 200,000 ユーロである。従業員は、融資について、フィンランド財務省が設定する
貸出基準金利または 0.25 %のいずれか高い金利を支払う。総裁および執行委員会委員を含む当行の全従
業員に同一の金利および諸条件が適用される。
2019 年および 2018 年 12 月 31 日現在、総裁または執行委員会委員に付与された従業員融資残高はなかっ
た。
海外派遣者に対する付加給付
当行に雇用されることのみを目的としてフィンランドに移住する専門職員(執行委員会委員を含
む。)は、海外派遣手当および配偶者/家族手当等の一定の海外派遣給付を受給する権利を有する。さ
らに当行は、通常は一軒家または集合住宅を当行名義で賃借することにより、住宅を見つけることなど
について海外派遣者を支援する。当該従業員は、賃料の一部(少なくともフィンランド国税委員会が年
毎に定める住宅給付の課税額に相当する金額)を当行に払戻す。
受入国払戻し
フィンランド共和国政府と当行との受入国協定に従い、当行の従業員の給与に係る前納源泉所得税額
および給与に係る徴収後の確定税額は、当行に返戻されるものとする。返戻金は、当行が加盟国間で分
配することができる剰余金に寄与する。
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注8: その他の一般管理費
(千ユーロ) 2019 年 2018 年
情報技術 9,282 7,521
事務所費用 2,478 2,039
旅費 980 1,082
通信およびマーケティング 452 433
その他の一般管理費 2,515 2,871
費用償還( NDF 、 NEFCO )(注 25 ) -1,530 -1,296
賃貸料およびその他の収入 -304 -330
合計 13,872 12,321
監査人報酬 2019 年 2018 年
監査報酬 201 140
その他の監査関連サービス報酬 129 110
非監査関連サービス報酬 62 551
報酬合計 391 802
監査法人ローテーション方針に従い、当行は、 2017 年に提案依頼の手続きを実施し、これを経てアー
ンスト・アンド・ヤングを 2018 会計年度以降にかかる外部監査人として任命した。
注9: 正味貸倒損失
(千ユーロ) 2019 年 2018 年
正常債権にかかる予想信用損失の増減 -2,179 8,426
不良債権にかかる予想信用損失の増減 1,655 -2,469
実現損失をカバーする引当金の減少 - -18,978
実現貸倒損失 - 18,978
正味貸倒損失 -524 5,957
注 12 「貸出金および保証約定」も参照のこと。
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注 10 : 予想信用損失
与信方針
リスク査定
当行の方針は、当行の業務がサウンド・バンキング原則に則って行われ、貸出および債務保証が市場
ベースの市中銀行条件で付与されることを求めている。詳細については、「注2:リスク管理」および
「注3:セグメント情報」に記載がある。
下表は、総貸出エクスポージャーおよび当行の資本合計に対する比率として計算された、 2019 年 12 月
31 日現在の発行済保証を含む NIB の上位 10 件の非ソブリン向け貸出エクスポージャー(貸出実行額および
貸出約定額の合計として定義される。)を示すものである。
総貸出エクスポージャーに 資本合計に
順位 占める割合(%) 占める割合(%)
1 2.5 % 14.6 %
2 2.2 % 12.8 %
3 1.8 % 10.6 %
▶ 1.6 % 9.4 %
5 1.5 % 8.8 %
6 1.5 % 8.7 %
7 1.2 % 7.2 %
8 1.2 % 7.2 %
9 1.2 % 7.1 %
10 1.2 % 6.8 %
信用リスクの監視および引当方針
当行は、その貸出エクスポージャーの監視についてしっかりとしたプロセスを有している。取引相手
の返済能力、信用補完の価値、リスク分類に影響を及ぼす要因およびプロジェクトの実施を含む取引の
すべての条項・条件の取引相手による遵守が監視プロセスの対象となる。プロジェクト・ファイナンス
およびストラクチャード・ファイナンス取引は、より詳細な監視の対象となる。さらに、信用リスクが
高いとみなされるすべての貸出およびウォッチ・リストに掲げられるすべての貸出は、より詳細かつ具
体的な監視および報告要件の対象となる。
当行は、「フォーベアランス(条件緩和)」を財務上の困難を理由として取引相手に供与する譲歩
(すなわち、そうでなければ貸手が考えないような譲歩)と定義している。フォーベアランスの承認
は、貸手に損失をもたらす方法に限定されるものではない。契約上の条項・条件の変更には、例えば、
金利、元本もしくは未収利息の減免または元本および/もしくは利息の支払日の再設定が含まれること
があり、将来のキャッシュフローに実際の影響を及ぼす。貸出金のフォーベアランスは、当行の回収機
会に有利となるよう取引相手の債務不履行を回避するために選別的かつ意図的に付与される。フォーベ
アランス実施中の取引相手はウォッチ・リストに移され、当行の減損方針の対象となる。 2019 年 12 月 31
日現在、フォーベアランスの影響を受けた通常貸出はなく(前年:なし)、 80 百万ユーロ(前年: 80 百
万ユーロ)のプロジェクト投資貸出がフォーベアランスの影響を受けた。 2019 年 12 月 31 日および 2018 年
12 月 31 日現在、通常貸出に関して計上されたステージ3の減損はなかった。 2019 年 12 月 31 日現在、
フォーベアランスの影響を受けたプロジェクト投資貸出に関して計上された減損は0百万ユーロ(前
年:0百万ユーロ)であった。フォーベアランスの影響を受けた貸出の受取利息は、 2019 年には0百万
ユーロ(前年:1百万ユーロ)であった。「注2 リスク管理」の「信用リスクの監視」を参照のこ
と。
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2016 年において、当行は、当行の不良債権の定義をバーゼル委員会の定義に沿うように調整した。
2019 年および 2018 年 12 月 31 日現在、合計 78 百万ユーロの不良債権(ステージ3の貸出)が3件あり、こ
れらはいずれも PIL 貸出であった。
当行の貸出金および「その他の資産」の貸出債権から合計 121 百万ユーロ(前年: 119 百万ユーロ)が
控除されている。個別減損損失引当金は 78 百万ユーロ(前年: 78 百万ユーロ)であり、 ECL のステージ1
およびステージ2に分類される資産は、 42 百万ユーロ(前年: 40 百万ユーロ)であった。 2019 年および
2018 年において、「その他の資産」の項目の債権に転換された貸出取引はなかった。
当行は、 2018 年1月1日以降、 IFRS 第9号に従い、予想信用損失モデル( ECL )を適用している。 ECL
は、当初認識時からの信用の質の変化に基づいて3段階(ステージ)のモデルで構成される。モデルお
よび関連するインプットについては、「注2:リスク管理」に詳細な説明があり、また関連する会計方
針については「注1:会計方針」において開示されている。
ステージ1には、当初認識以降信用の質が著しく悪化していないか、または報告日現在のリスクが低
い金融資産が含まれる。これらの資産については、 ECL は報告日から 12 カ月以内に発生しうるデフォルト
事由の確率加重結果である。
ステージ2には、当初認識時から信用の質に著しい悪化があるが、減損の客観的証拠がない金融資産
が含まれる。これらの資産については、残存期間 ECL はデフォルト確率で加重された予想期間にわたるす
べての可能性のあるデフォルト事由から生じる。
ステージ1およびステージ2の資産は、履行資産として分類され、モデルにおける計算は各報告日に
更新される。
ステージ3には、当行の信用格付プロセスにおいて不良資産として分類された資産が含まれ、これま
で認識されていた個別評価された減損と同様に測定される。
ECL の対象となる資産には、償却原価で、または包括利益を通じた公正価値で測定される金融資産およ
び貸出約定が含まれる。
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予想信用損失の対象となる資産
(百万ユーロ) ステージ1 ステージ2 ステージ3 合計
2018 年1月1日現在の
エクスポージャー 21,763 853 100 22,716
ステージ1への振替 -144 0
144 -
ステージ2への振替 -80 80 - 0
ステージ3への振替 - - - 0
組成または購入された新たな資
産 6,101 ▶ - 6,106
償却および返済 -4,575 -263 - -4,838
為替調整およびその他の増減 - - 6 6
実現損失 - - -26 -26
2018 年 12 月 31 日現在の
エクスポージャー 23,353 531 80 23,964
ステージ1への振替 212 -212 - 0
ステージ2への振替 -67 67 - 0
ステージ3への振替 - - - 0
組成または購入された新たな資
産 7,290 21 - 7,311
償却および返済 -6,789 -201 - -6,990
為替調整およびその他の増減 -5 2 - -3
2019 年 12 月 31 日現在の
エクスポージャー 23,994 208 80 24,282
2019 年 2018 年
12 月 31 日 12 月 31 日
貸出金 18,705 18,699
貸出の約定 3,242 2,680
償却原価で保有する資金運用資
産 2,335 2,585
エクスポージャー合計 24,282 23,964
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予想信用損失引当金
(百万ユーロ) ステージ1 ステージ2 ステージ3 合計
2018 年1月1日現在の残高 25 23 93 142
ステージ1への振替 -5 0
5 -
ステージ2への振替 -1 1 - 0
ステージ3への振替 - - - 0
組成または購入された新たな資産 8 0 - 8
償却および返済 -7 -4 - -10
既存資産に対する再測定の影響 -4 -2 2 -4
為替調整およびその他の増減 - - ▶ ▶
損益計算書上の変動の純額
1 -9 6 -2
実現損失 - - -19 -19
2018 年 12 月 31 日現在の残高
26 14 80 120
ステージ1への振替 5 -5 0 0
ステージ2への振替 0 0 0 0
ステージ3への振替 0 0 0 0
組成または購入された新たな資産 7 2 0 10
償却および返済 -5 -4 0 -9
既存資産に対する再測定の影響 -4 6 -2 0
為替調整およびその他の増減 0 0 2 2
損益計算書上の変動の純額 2 0 0 2
実現損失 - - - 0
2019 年 12 月 31 日現在の残高 29 14 80 122
予想信用損失 2019 年 2018 年
(百万ユーロ) 12 月 31 日 12 月 31 日
貸出金 119 117
その他の債権 2 2
貸出の約定 1 1
金融投資 0 0
合計 122 120
損益計算書上の予想信用損失 2019 年 2018 年
(百万ユーロ) 12 月 31 日 12 月 31 日
財務活動の業績純額 0 0
貸倒損失純額(注9) -1 6
為替差損益 -2 -4
損益計算書において認識された
利益合計 -2 2
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注 11 : 債務証券
債務証券は以下の取引相手により発行されたものである。
(百万ユーロ) 2019 年 2018 年
政府 819 816
公的機関 1,896 1,692
その他 4,365 3,946
合計 7,079 6,455
当行の債券ポートフォリオの内訳は以下のとおりである。
帳簿価額 公正価値
(百万ユーロ) 2019 年 2018 年 2019 年 2018 年
公正価値で保有 5,126 4,233 5,126 4,233
償却原価で保有 1,953 2,221 2,009 2,276
合計 7,079 6,455 7,135 6,509
これらの債務証券のうち、 5,038 百万ユーロ(前年: 4,651 百万ユーロ)は固定利付で、 2,041 百万ユー
ロ(前年: 1,804 百万ユーロ)は変動利付である。 2019 年 12 月 31 日現在、債務証券合計のうち 132 百万
ユーロはグリーンボンド貸出であった。公正価値は、「注 20 :金融商品の公正価値」に開示されてい
る。
注 12 : 貸出金および保証約定
当行は現在、「注3:セグメント情報」に詳述したとおり、通常貸出とプロジェクト投資貸出( PIL )
および環境投資貸出( MIL )からなる特別プログラムに基づく貸出という2つのカテゴリーの貸出を行っ
ている。 2019 年 12 月 31 日現在、 18,799 百万ユーロ(前年: 19,065 百万ユーロ)に上る 581 件の貸出金が残
存しており、これには 10 百万ユーロ(前年: 59 百万ユーロ)のミディアム・ターム・ノート( MTN )が含
まれていた。これらは、ヘッジ会計上の関係においてデリバティブとの適格なヘッジ関係の一部を構成
する場合を除き償却原価で計上されており、 MTN は公正価値で認識される。
2019 年 12 月 31 日現在、減損およびヘッジ会計調整前の変動利付の貸出金は、 14,666 百万ユーロ(前
年: 14,774 百万ユーロ)で、固定利付は 4,047 百万ユーロ(前年: 4,241 百万ユーロ)であった。一般
に、固定利付の貸出金は、デリバティブ商品の利用を通じて変動利付に転換される。
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有価証券報告書
2019 年
プロジェクト
(百万ユーロ) 通常貸出 投資貸出 環境投資貸出 合計
期首残高 18,425 631 10 19,065
貸出実行 2,519 22 ▶ 2,545
償却等 -1,350 -210 -4 -1,564
期限前償還 -985 -17 - -1,001
予想信用損失の増減 -4 ▶ -1 -2
換算差額 -3 8 - 6
公正価値調整 - -2 - -2
ヘッジ会計調整 52 -1 - 51
その他の増減 -308 9 - -299
期末残高 18,346 445 8 18,799
2018 年
プロジェクト
(百万ユーロ) 通常貸出 投資貸出 環境投資貸出 合計
期首残高 16,364 846 21 17,232
貸出実行 4,027 17 3 4,047
償却 -1,301 -287 -4 -1,591
期限前償還 -536 -3 -10 -550
予想信用損失の増減 15 7 - 22
換算差額 -107 18 - -89
公正価値調整 - - - -
ヘッジ会計調整 -7 -3 - -11
その他の増減 -29 35 - 6
期末残高 18,425 631 10 19,065
下表は、 12 月 31 日現在の当行の貸出金および発行済保証の事業分野別内訳を示したものである。
2019 年 2018 年
(百万ユーロ) 金額 比率(%) 金額 比率(%)
エネルギーおよび水 5,337 28.5 % 5,379 28.3 %
インフラ、運輸および通信 5,773 30.8 % 5,561 29.2 %
工業およびサービス 5,253 28.1 % 5,354 28.2 %
金融機関および中小企業 2,350 12.6 % 2,721 14.3 %
減損およびヘッジ会計調整前合
計 18,713 100.0 % 19,015 100.0 %
ECL のステージ3 -78 -78
ECL のステージ1および2 -41 -39
公正価値調整 -1 -
ヘッジ会計調整 207 167
合計 18,799 19,065
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下表は、 12 月 31 日現在の貸出金の償還スケジュールを示したものである。
(百万ユーロ) 2019 年 2018 年
2019 年 - 1,705
2020 年 1,691 1,640
2021 年 1,619 1,973
2022 年 2,197 2,227
2023 年 2,411 2,383
2024 年 2,220 1,972
2025 年以降 8,576 7,115
減損およびヘッジ会計調整前合計 18,713 19,015
ECL のステージ3 -78 -78
ECL のステージ1および2 -41 -39
公正価値調整 -1 -
ヘッジ会計調整 207 167
合計 18,799 19,065
2019 年 12 月 31 日現在の貸出金の満期 / 価格再設定までの平均残存期間は、当行が次の金利もしくは通貨
の条件を調整する権利を有する日までの期間で計算すると4年4カ月(前年:4年5カ月)で、貸出の
最初の実行日からの実際の満期は3年から 30 年(前年:3年から 30 年)にわたっている。
貸出金の通貨別分布
プロジェクト
(1)
通常貸出 投資貸出 貸出合計
(百万ユーロ) 2019 年 2018 年 2019 年 2018 年 2019 年 2018 年
ユーロ 7,702 7,896 152 192 7,862 8,096
米ドル 1,608 1,902 329 455 1,937 2,357
北欧通貨 8,669 8,285 17 30 8,686 8,315
197 219 29 26 228 246
その他の通貨
減損およびヘッジ会計調整
前合計 18,176 18,302 528 703 18,713 19,015
ECL のステージ3 - - -78 -78 -78 -78
ECL のステージ1および
2 -35 -31 -5 -8 -41 -39
公正価値調整 - - -1 - -1 -
ヘッジ会計調整 205 153 1 14 207 167
合計 18,346 18,425 445 631 18,799 19,065
(1) 合計額には、環境投資貸出( MIL )の8百万ユーロ(前年: 10 百万ユーロ)も含まれる。
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貸出金および保証の担保の種類別分布
下表は、保証約定を含む貸出金を担保の種類別に示したものである。
2019 年 2018 年
(百万ユーロ) 金額 比率(%) 金額 比率(%)
政府に対するまたは政府が保証する貸出金
加盟国に対するまたは加盟国が保証する貸
出金 265 285
その他諸国に対するまたはその他諸国が保
証する貸出金 542 653
政府に対するまたは政府が保証する貸出金合
計 807 4.3 % 938 4.9 %
加盟国の地方自治体に対するまたは加盟国の
地方自治体が保証する貸出金 3,657 19.6 % 3,572 18.9 %
加盟国もしくは加盟国の地方自治体が 50 %以
上を有する企業に対するまたはかかる企業が
保証する貸出金 3,728 20.0 % 3,821 20.2 %
銀行に対するまたは銀行が保証する貸出金 2,073 11.1 % 2,197 11.6 %
リーエンまたはその他の不動産担保付貸出金 1,588 8.5 % 1,498 7.9 %
親会社保証およびその他の保証付貸出金 879 4.7 % 1,034 5.5 %
担保設定制限条項およびその他の条項付貸出
金 5,903 31.7 % 5,569 29.4 %
正式な担保が付されていない貸出金 - 0.0 % 0 0.0 %
グリーンボンドを通じた貸出金 - 0.0 % 308 1.6 %
個別評価される減損後の貸出金合計 18,635 100.0 % 18,937 100.0 %
ECL のステージ1および2 -41 -39
ヘッジ会計調整 207 167
公正価値調整 -1 -
貸出金合計 18,799 19,065
12 月 31 日現在、約定済であるが未実行の貸出金の内訳は下表のとおりである。
(百万ユーロ) 2019 年 2018 年
通常貸出 2,708 2,384
プロジェクト投資貸出 518 297
環境投資貸出 16 20
約定済であるが未実行の貸出金合計 3,242 2,700
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下表は、リスク所有者のグループ本部の所在地によって国別に割当てられた、 12 月 31 日現在の投資貸
出、地域貸出およびグリーンボンド投資からなる通常貸出ならびに発行済保証の元本総額および分布比
率を示したものである。
2019 年 2018 年
(百万ユーロ) 貸出金 約定合計額 貸出金 約定合計額
デンマーク 1,185 110 1,308 -
エストニア 225 25 187 54
フィンランド 3,717 1,025 3,668 834
アイスランド 600 - 666 -
ラトビア 159 130 162 60
リトアニア 572 264 577 105
ノルウェー 4,866 393 4,590 521
スウェーデン 6,178 670 6,418 564
ベラルーシ - 16 - 20
フランス 166 - 226 -
ドイツ 29 16 21 -
ポーランド 396 - 447 -
ロシア 9 - 32 -
トルコ 13 - 18 -
その他のヨーロッパ諸国 12 - 12 -
多国籍 160 289 126 279
ボツワナ 17 - 19 -
ブラジル 80 - 104 -
中国 119 150 156 157
インド 111 20 140 20
ラオス 8 - 10 -
メキシコ - 45 2 -
フィリピン 23 - 26 -
南アフリカ - 89 1 87
チュニジア 17 - 26 -
米国 13 - 18 -
ベトナム 30 - 43 -
その他の非ヨーロッパ諸国 8 - 12 -
貸出金合計 18,713 3,242 19,017 2,700
ECL のステージ3 -78 - -78 -
ECL のステージ1および2 -41 -1 -39 -1
公正価値調整 -1 - - -
ヘッジ会計調整 207 - 167 -
合計 18,799 3,241 19,067 2,699
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注 13 : 有形資産および無形資産
無形資産 無形資産
(百万ユーロ) 2019 年 2018 年
期首取得価額 19 15
当期中の取得 7 ▶
当期中の売却 / 処分 -
期末取得価額 26 19
期首償却費累計額 9 9
当期償却費 5 -
当期中の売却 / 処分に係る償却費累計額 - -
期末償却費累計額 14 9
正味帳簿価額 12 9
無形資産はソフトウェアの開発費からなり、 2019 年からは IFRS 第 16 号の採用により生じた使用権資産
も含まれる。 2019 年および 2018 年の追加額は、新たに統合された財務営業部門、事務部門、リスクおよ
び会計 IT ソリューション( FOBORA )に主に関連している。 2019 年の追加額には、 IFRS 第 16 号の採用によ
る4百万ユーロの影響も含まれる。
2019 年
事務所設備
およびその他の
(百万ユーロ) 建物 有形資産 合計
有形資産
期首取得価額 34 29 62
当期中の取得 6 1 7
当期中の売却 / 処分 - - 0
期末取得価額 40 30 70
期首減価償却費累計額 13 18 32
当期減価償却費 2 1 2
当期中の売却 / 処分に係る減価償却費累計額 - - 0
期末減価償却費累計額 15 19 34
正味帳簿価額 25 11 36
各期末日において、当行の資産は資産の減損の兆候があるかどうかを判断するための査定を受ける。
2019 年 12 月 31 日現在、無形資産または有形資産の減損を示す兆候はなかった。
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2018 年
事務所設備
およびその他の
(百万ユーロ) 建物 有形資産 合計
有形資産
期首取得価額 34 26 60
当期中の取得 - 2 2
当期中の売却 / 処分 - - 0
期末取得価額 34 29 62
期首減価償却費累計額 13 17 30
当期減価償却費 1 1 2
当期中の売却 / 処分に係る減価償却費累計額 - - 0
期末減価償却費累計額 13 18 32
正味帳簿価額 20 10 31
注 14 : 減価償却費
(千ユーロ) 2019 年 2018 年
無形資産(注 13 ) 4,753 0
有形資産(注 13 ) 2,088 1,937
建物 1,586 1,393
事務所設備 502 543
合計 6,841 1,937
無形資産および有形資産の減価償却費の増加は、当行の新しい財務 IT システムおよび先ごろ改装され
た施設の減価償却を開始したことに関連している。
注 15 : その他の資産
(百万ユーロ) 2019 年 2018 年
変動金利での金利スワップ 7,902 7,018
固定金利での金利スワップ 17,184 16,516
変動金利での通貨スワップ 10,720 11,711
固定金利での通貨スワップ 7,127 7,236
合計(名目金額) 42,934 42,481
デリバティブ毎の名目金額のネッティング -42,145 -41,830
デリバティブ債権(純額) 789 651
ヘッジ会計調整およびヘッジ手段でない
デリバティブの公正価値の変動 635 417
デリバティブ商品 1,423 1,068
破綻した取引相手に対する債権 - -
その他 ▶ 5
合計 1,428 1,073
デリバティブは、契約毎に財政状態計算書に公正価値で計上される。よって、正味公正価値がプラス
であるスワップ契約は、財政状態計算書上「その他の資産」の項目に計上され、マイナスのスワップ契
約は「その他の負債」の項目に計上される。
下表は、 12 月 31 日現在の担保差引後のデリバティブ商品に対するエクスポージャー(純額)を示すも
のである。
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(百万ユーロ) 2019 年 2018 年
財政状態計算書上のデリバティブ商品 1,423 1,068
取引相手によるネッティング -657 -558
取引相手毎のデリバティブ商品(純額) 766 510
取引相手毎の未収利息(純額) 128 64
担保差引前のエクスポージャー(純額) 894 574
受入担保 -847 -525
エクスポージャー(純額) 47 49
「リスク管理-信用リスク、デリバティブ」も参照のこと。
注 16 : 証券負債および関連スワップ
(百万ユーロ) 2019 年 2018 年
期首残高 25,651 24,000
新規発行 4,909 6,620
償却 -4,240 -4,722
コールおよび買戻し -520 -185
その他 2 -17
為替変動 340 -7
FVTPL による債務にかかる公正価値調整 2 -
ヘッジ会計調整 528 -37
期末残高 26,674 25,651
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年末現在の当行の証券負債借入の通貨別内訳は以下のとおりである。下表はまた、スワップ後の名目
ベースの借入の通貨別内訳をも示している。
スワップ契約
負債 債務/債権 正味残高
(百万ユーロ) 2019 年 2018 年 2019 年 2018 年 2019 年 2018 年
通貨
米ドル 9,417 10,084 1,755 3,055 11,173 13,139
ユーロ 4,203 3,700 6,497 5,766 10,700 9,466
英ポンド 3,128 2,624 -3,128 -2,624 - -
ノルウェー・クローネ 2,456 2,111 124 123 2,580 2,234
豪ドル 1,971 1,941 -1,971 -1,941 - -
スウェーデン・クロー
ナ 1,751 1,572 63 64 1,815 1,636
ニュージーランド・ド
ル 1,306 1,743 -1,306 -1,743 - -
香港ドル 408 163 -408 -163 - -
トルコ・リラ 388 456 -388 -456 - -
メキシコ・ペソ 237 217 -237 -217 - -
ブラジル・レアル 149 264 -149 -264 - -
インド・ルピー 142 100 -142 -100 - -
デンマーク・クローネ 133 - 1 - 134 -
日本円 113 162 -113 -162 - -
その他の通貨 175 180 -175 -180 - -
小 計 25,977 25,317 424 1,158 26,401 26,475
公正価値調整 77 - -80 - -4 -
ヘッジ会計調整 620 335 -621 -314 -1 20
合計 26,674 25,651 -277 844 26,396 26,495
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注 17 : その他の負債
(百万ユーロ) 2019 年 2018 年
変動金利での金利スワップ 18,756 17,644
固定金利での金利スワップ 6,320 5,980
変動金利での通貨スワップ 17,064 18,843
固定金利での通貨スワップ 891 743
合計(名目金額) 43,032 43,210
デリバティブ毎の名目金額のネッティング -42,145 -41,819
デリバティブ債務(純額) 887 1,391
ヘッジ会計調整およびヘッジ手段でない
デリバティブの公正価値の変動 155 258
デリバティブ商品 1,042 1,649
その他 15 10
合計 1,057 1,659
デリバティブは、契約毎に財政状態計算書に公正価値で計上される。よって、正味公正価値がプラス
のスワップ契約は財政状態計算書上「その他の資産」の項目に計上され、マイナスのスワップ契約は
「その他の負債」の項目に計上される。
担保差引後のデリバティブ商品に対するエクスポージャー(純額)
(百万ユーロ) 2019 年 2018 年
財政状態計算書上のデリバティブ商品 1,042 1,649
取引相手によるネッティング -657 -558
取引相手毎のデリバティブ商品(純額) 385 1,091
取引相手毎の未払利息(純額) -48 -112
担保差引前のエクスポージャー(純額) 337 980
差入担保 -302 -983
エクスポージャー(純額) 35 -4
「リスク管理-信用リスク、デリバティブ」も参照のこと。
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注 18 : 資本および準備金
下表は、 12 月 31 日現在の当行の資本構成を示すものである。
(百万ユーロ) 2019 年 12 月 31 日現在残高 2018 年 12 月 31 日現在残高
資本:
授権・応募済資本金
6,142 6,142
-5,723 -5,723
うち払込請求可能資本金
払込済資本金
419 419
利益準備金 686 686
一般信用リスク基金 2,003 1,870
PIL 特別信用リスク基金 427 427
ヘッジ準備金 19 3
当期利益 182 173
資本合計
3,735 3,578
長期負債 26,674 25,651
長期負債および資本合計 30,409 29,229
加盟国は当行の授権資本金を次のとおり引受けている。
(百万ユーロ) 2019 年 比率(%) 2018 年 比率(%)
加盟国
デンマーク 21.1 % 21.1 %
1,294 1,294
エストニア 56 0.9 % 56 0.9 %
フィンランド 1,088 17.7 % 1,088 17.7 %
アイスランド 58 0.9 % 58 0.9 %
ラトビア 82 1.3 % 82 1.3 %
リトアニア 120 2.0 % 120 2.0 %
ノルウェー 1,321 21.5 % 1,321 21.5 %
スウェーデン 2,123 34.6 % 2,123 34.6 %
合 計 6,142 100.0 % 6,142 100.0 %
払込済資本金の加盟国別内訳 は以下のとおりである。
(百万ユーロ) 2019 年 比率(%) 2018 年 比率(%)
加盟国
デンマーク 88 21.1 % 88 21.1 %
エストニア ▶ 0.9 % ▶ 0.9 %
フィンランド 74 17.7 % 74 17.7 %
アイスランド ▶ 0.9 % ▶ 0.9 %
ラトビア 6 1.3 % 6 1.3 %
リトアニア 8 2.0 % 8 2.0 %
ノルウェー 90 21.5 % 90 21.5 %
スウェーデン 145 34.6 % 145 34.6 %
合 計 419 100.0 % 419 100.0 %
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授権資本金
統治委員会は、 NIB の理事会の提案に基づき、当行の授権資本金の増額を決定することができる。かか
る決定が効力を生じるには、通常、加盟国の議会による批准を要する。
当行の授権資本金は設立時に約 510 百万ユーロであったが、数回にわたって増額されており、最近では
2010 年6月に統治委員会が当行の授権資本金を 2,000 百万ユーロ引上げて 6,142 百万ユーロとする決定を
行った。かかる資本増額は全加盟国による増額の承認を経て、 2011 年2月 16 日付で効力を生じた。当該増
額は、授権資本金の払込請求可能部分に割当てられた。 NIB の授権資本のうち、払込済部分と払込請求可
能部分の内訳については、下記「払込済資本金および払込請求可能資本金」に記載される。
NIB の定款に規定するとおり、授権資本金の増額は、統治委員会が随時定める市場価格による国民総所
得( GNI )に基づいて加盟国間に割当てられる。 1975 年の NIB の設立からバルト諸国が NIB に加盟した 2005
年1月1日まで、国民総所得( GNI )は、入手可能な直近2年間のデータの平均として北欧諸国の要素価
格で計算されていた。 2005 年1月1日以降、 GNI 統計は国際通貨基金の国際金融統計の公刊物を出典とし
ている。加盟国間での新たな応募済資本金の割当ては増額の都度固定され、すでに応募済の資本金に関し
て調整または均等化のための支払が行われたことはない。したがって、加盟国間の GNI が数年間で変化し
たため、加盟国の授権資本金と払込済部分は同一ではない。
2016 年、 NIB の統治委員会は、払込済資本金および払込請求可能資本金における各加盟国の比率が授権
資本金の各加盟国の比率と等しくなるように、当行の授権資本金を調整および変更することを決定した。
また、かかる調整および変更は、本注記において詳述するプロジェクト投資貸出( PIL )ファシリティお
よび環境投資貸出( MIL )ファシリティに関する法令に基づく加盟国それぞれの保証の比率にも関連して
いる。各加盟国における承認手続きの完了を経て、かかる変更は効力を生じ、実施されている。
払込済資本金および払込請求可能資本金
定款は、 NIB の授権資本金は払込済分と払込請求可能分からなることを規定している。 NIB の現在の総授
権資本金 6,142 百万ユーロのうち、払込済分は、当行の授権資本金総額の約 6.8 %に相当する 419 百万ユー
ロであった。応募済資本金のうちの未払込分はすべて、当行の債務の返済のため理事会が必要と認めた限
りにおいて、理事会により払込請求することができることになっている。このような払込請求が按分比例
してなされなければならないとする定款の規定はないが、払込請求を行うときはまず按分比例により行わ
れることが予想される。払込請求に対し、加盟国のいずれかが払込を怠った場合でも他の加盟国はそれぞ
れの払込義務を免れることはできない。かかる払込請求に際して、いかなる加盟国も、法的には応募済資
本金のうちの払込請求可能額以上の払込をなすことを要しない。これまでそのような払込請求は行われて
いない。
NIB が地域協力機関としての使命を帯びていることから、さらに加盟国を追加することを認める条項は
2004 年契約に存しない。加盟国が 2004 年契約の規定に定める通知を行うことによって脱退することは可能
であるが、 2004 年契約は、脱退しようとする国が脱退のときに効力を有している NIB の債務について引続
き脱退直前までと同じ範囲で責任を負うことも規定している。
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準備金
NIB の年間純利益は、定款のもとで、利益準備金(以下「利益準備金」という。)が当行の授権資本金
の 10 %に達するまで同準備金に繰入れられることになっている。その後、統治委員会は NIB の理事会の提
案を受けて利益準備金、一般信用リスク基金および PIL 特別信用リスク基金への追加繰入れと加盟国に対
する配当支払との間での純利益の配分を決定する。
2019 年 12 月 31 日現在、 NIB の利益準備金は、当行の授権資本の 11 %に相当する 686 百万ユーロであった。
NIB は、その業務における特定できないリスクのために各年度の利益の一部を一般信用リスク基金(以下
「一般信用リスク基金」という。)として毎年積立てている。 2019 年 12 月 31 日現在の一般信用リスク基金
は 2,003 百万ユーロであった。一般信用リスク基金は、 NIB の貸出ポートフォリオから発生する損失ならび
に NIB がその財務部の業務などの事業活動から引受けるその他のリスクをカバーするために利用すること
ができる。財務活動に関連するリスクには、市場リスクのほか、取引相手リスクが含まれる。これについ
てのさらなる情報は、注2の「リスク管理」を参照のこと。 NIB の理事会は、 2019 年の利益のうち 137 百万
ユーロを一般信用リスク基金に割当てることを統治委員会に提案した。
定款第8項の規定に従って、当行は将来のプロジェクト投資貸出からの貸倒損失のためにのみ用いられ
る別個の特別信用リスク基金(以下「 PIL 特別信用リスク基金」という。)を設定している。 2019 年 12 月
31 日現在の PIL 特別信用リスク基金は 427 百万ユーロであった。プロジェクト投資貸出ファシリティについ
てのさらなる情報は、「注 12 :貸出金および保証約定」および「注3:セグメント情報」を参照のこと。
加盟条件の一部として、エストニア、ラトビアおよびリトアニアは、それぞれの応募済資本金と同じ比
率で、 NIB の準備金に合計で 43 百万ユーロの支払を行った。
NIB の理事会は、 2019 年の純利益から 2020 年に 45 百万ユーロを加盟国に対して配当金として支払うこと
を統治委員会に提案した。
貸倒損失に対する加盟国の保証
当行の定款に従って、加盟国は、下記の金額を限度として PIL 貸出に関する支払の不履行から生じる当
行の損失を保証する。
2019 年 2018 年
(千ユーロ) 保証額 比率(%) 保証額 比率(%)
加盟国
デンマーク 379,208 21.1 % 379,208 21.1 %
エストニア 16,486 0.9 % 16,486 0.9 %
フィンランド 318,902 17.7 % 318,902 17.7 %
アイスランド 17,020 0.9 % 17,020 0.9 %
ラトビア 24,053 1.3 % 24,053 1.3 %
リトアニア 35,108 2.0 % 35,108 2.0 %
ノルウェー 387,087 21.5 % 387,087 21.5 %
スウェーデン 622,135 34.6 % 622,135 34.6 %
合 計 1,800,000 100.0 % 1,800,000 100.0 %
下表は、 MIL 貸出に関連した支払の不履行から生じた加盟国の保証損失額を示したものである。
2019 年 2018 年
(千ユーロ) 保証額 比率(%) 保証額 比率(%)
加盟国
デンマーク 56,079 21.1 % 56,079 21.1 %
エストニア 2,438 0.9 % 2,438 0.9 %
フィンランド 47,160 17.7 % 47,160 17.7 %
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アイスランド 2,517 0.9 % 2,517 0.9 %
ラトビア 3,557 1.3 % 3,557 1.3 %
リトアニア 5,192 2.0 % 5,192 2.0 %
ノルウェー 57,244 21.5 % 57,244 21.5 %
スウェーデン 92,004 34.6 % 92,004 34.6 %
合 計 266,191 100.0 % 266,191 100.0 %
注 19 : 担保および契約義務
(百万ユーロ) 2019 年 2018 年
保証状発行(名目金額)(注 12 ) - -
約定済であるが未実行の貸出(注 12 ) 3,242 2,700
借入約定 - -
(1)
従業員融資にかかる差入れ担保 - -
(1)
買戻契約にかかる担保差入れ証券 - -
金融投資における償還請求可能な契約義務 2 2
(2)(3)
担保付投資にかかる受入れ担保 4,072 3,150
(1)(4)
担保付投資にかかる差入れ担保 26 7
デリバティブ・エクスポージャーに関連した担保総額
(2)(5)
受入担保 911 580
(1)(4)
差入担保 319 979
(1) 帳簿価額
(2) 公正価値
(3) 現金 18 百万ユーロ(前年:0百万ユーロ)および有価証券 4,053 百万ユーロ(前年: 3,150 百万ユーロ)の受
入れを含む。
(4) 現金担保
(5) 現金 902 百万ユーロ(前年: 575 百万ユーロ)および有価証券9百万ユーロ(前年:4百万ユーロ)の受入れ
を含む。
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借手としての当行
12 月 31 日現在、解約不能リースの将来最低リース料支払額は以下のとおりである。
(千ユーロ) 2019 年 2018 年
1年以内 1,106 955
1年超2年以内 999 719
2年超3年以内 671 676
3年超4年以内 646 664
4年超5年以内 646 664
5年超 323 995
合計 4,391 4,673
貸手としての当行
12 月 31 日現在、解約不能リースの将来最低リース料受取額は以下のとおりである。
(千ユーロ) 2019 年 2018 年
1年以内 622 613
1年超2年以内 410 261
2年超3年以内 410 261
3年超4年以内 410 261
4年超5年以内 410 261
5年超 205 391
合計 2,466 2,046
当行は、注 25 に記載のとおり関連当事者に事務所スペースを転貸している。
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注 20 : 金融商品の公正価値
金融商品の分類
損益を通じた
ヘッジ目的の
公正価値
(百万ユーロ) 償却原価( AC ) ( FVTPL ) デリバティブ 合計
金融資産
現金および現金同等物 835 594 - 1,428
金融機関金融投資 9 3,580 - 3,589
債務証券 1,953 5,126 - 7,079
その他の金融投資 - 8 - 8
貸出金 18,772 27 - 18,799
デリバティブ - 708 715 1,423
2019 年 12 月 31 日現在 21,569 10,042 715 32,326
金融負債
短期金融機関債務 957 - - 957
長期金融機関債務 8 - - 8
発行済債務証券 25,842 831 - 26,674
デリバティブ - 172 870 1,042
2019 年 12 月 31 日現在 26,807 1,003 870 28,681
損益を通じた
ヘッジ目的の
公正価値
(百万ユーロ) 償却原価( AC ) ( FVTPL ) デリバティブ 合計
金融資産
現金および現金同等物 1,441 3,316 - 4,758
金融機関金融投資 9 - - 9
債務証券 2,221 4,233 - 6,455
その他の金融投資 - 16 - 16
貸出金 18,757 308 - 19,065
デリバティブ - 556 513 1,068
2018 年 12 月 31 日現在 22,428 8,430 513 31,371
金融負債
短期金融機関債務 575 - - 575
長期金融機関債務 9 - - 9
発行済債務証券 25,651 - - 25,651
デリバティブ - 151 1,498 1,650
2018 年 12 月 31 日現在 26,236 151 1,498 27,885
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金融商品の公正価値
2019 年 2018 年
(百万ユーロ) 帳簿価額 公正価値 帳簿価額 公正価値
金融資産
現金および現金同等物 1,428 1,428 4,758 4,758
金融機関金融投資 3,589 3,589 9 9
債務証券 7,079 7,135 6,455 6,509
その他の金融投資 8 8 16 16
貸出金 18,799 18,985 19,065 19,059
デリバティブ 1,423 1,423 1,068 1,068
合計 32,326 32,568 31,371 31,419
金融負債
短期金融機関債務 957 957 575 575
長期金融機関債務 8 8 9 9
発行済債務証券合計 26,674 26,670 25,651 25,651
デリバティブ 1,042 1,042 1,649 1,649
合計 28,681 28,678 27,885 27,886
期末現在の金融商品に係る公正価値測定水準
下表は、期末現在の金融商品の公正価値を、公正価値測定の分類先である公正価値ヒエラルキーのレ
ベル別に分析している。「会計方針-公正価値の決定」を参照のこと。
2019 年 2018 年
(百万ユーロ) レベル1 レベル2 レベル3 レベル1 レベル2 レベル3
金融資産
現金および現金同等
物 953 476 - 3,397 1,361 -
金融機関金融投資 - 3,589 - - 9 -
債務証券 7,114 - 21 6,497 - 12
その他の金融投資 - - 8 - - 16
貸出金 - 18,957 27 308 18,751 -
デリバティブ - 1,359 64 - 1,068 -
合計 8,067 24,381 119 10,202 21,190 27
金融負債
短期金融機関債務 - 957 - - 575 -
長期金融機関債務 - 8 - - 9 -
買戻し契約 - - - - - -
発行済債務証券合計 - 25,470 1,200 - 25,651 -
デリバティブ - 749 294 - 1,649 -
合計 - 27,184 1,494 - 27,886 -
2019 年 12 月 31 日現在の計上された信用評価調整(以下「 CVA 」という。)は-2百万ユーロであった
が、債務評価調整(以下「 DVA 」という。)は1百万ユーロであった。 2018 年 12 月 31 日現在の計上され
た CVA は-9百万ユーロであったが、 DVA は2百万ユーロであった。破綻した財務取引相手に対する債権
は公正価値で測定される。破綻した貸出取引相手に対する債権は取得原価で測定され、減損損失が差し
引かれる。
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レベル3に区分される公正価値の変動
金融資産
公正価値で
公正価値で 保有する
保有する その他の デリバティブ レベル3
(百万ユーロ) 債務証券 金融投資 貸出金 資産 資産合計
2017 年 12 月 31 日 15 16 - - 31
満期到来取引 - - - - 0
売却済み取引 - - - - 0
受領済み債権 - - - - 0
償却債権 - - - - 0
公正価値の変動 -3 - - - -3
2018 年 12 月 31 日 12 16 0 0 28
レベル3に振替えられ
た金融商品 12 - 27 64 103
満期到来取引 - - - - 0
償却 -3 - - - -3
売却済み取引 - -8 - - -8
受領済み債権 - - - - 0
償却債権 - - - - 0
公正価値の変動 - - - - 0
2019 年 12 月 31 日 21 8 27 64 119
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金融負債
(百万ユーロ) 発行済債務証券 デリバティブ負債 レベル3負債合計
2017 年 12 月 31 日 - - -
満期到来取引 - - -
売却済み取引 - - -
受領済み債権 - - -
償却債権 - - -
公正価値の変動 - - -
2018 年 12 月 31 日 0 0 0
レベル3に振替えられた
金融商品 1,200 294 1,494
満期到来取引 - - 0
償却 - - 0
売却済み取引 - - 0
受領済み債権 - - 0
償却債権 - - 0
公正価値の変動 - - 0
2019 年 12 月 31 日 1,200 294 1,494
2019 年に、当行はレベル区分の解釈を再評価した。仕組貸出および資金調達取引の一部は、流動性の
低い通貨で計上された取引と同様にレベル2からレベル3に振替えられた。当行は、観察不能な価格設
定パラメータ / 価格調整については、仕組取引の価格設定に係る実用的なアプローチを採用している。
すべての相関関係はゼロと仮定され、平均回帰パラメータはすべての金利曲線について 0.05 と仮定され
る。このアプローチが選ばれたのは、これらのパラメータを必要とする仕組取引の数が非常に少なく、
評価額合計に対するその影響が重要でないためである。ただし、相対的にみると、パラメータが別々に
選択された場合、個別の取引の現在価値の変動は大きくなりうる。上記の例外は、平均回帰パラメータ
を歴史的市場データから見積もるためにモデルが設定されているゼロクーポン・コーラブル債券および
スワップである。平均回帰パラメータの推定値は通常 0.03 に近似する。
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注 21 : 金融資産および負債の満期構成
下表は、元利金のフローを含む金融資産および負債の満期分析を示している。貸出金に関しては、契
約上の最終満期までの割引前キャッシュフローが表示されている。借入金残高およびコール・オプショ
ン付デリバティブに関しては、発生しうる最初の解除日までのキャッシュフローが表示されている。
キャッシュフローは、金利スワップについては純額ベースで、その他すべてのスワップについては総額
ベースで表示されている。金利キャッシュフローは、決算日の実勢金利に基づき予測されている。注 15
および注 17 ならびに「リスク管理-流動性リスク」を参照のこと。
2019 年
契約上の 3カ月超
キャッシュ 3カ月 6カ月 6カ月超 1年超
(百万ユーロ)
帳簿価額 フロー 以内 以内 1年以内 5年以内 5年超
資産
現金および現金同等物 1,428 1,427 1,427 - - - -
金融投資
金融機関投資 3,580 3,571 3,230 342 - - -
債務証券 7,079 7,262 294 396 554 5,534 483
その他 8 7 - - - - 7
貸出金 18,799 20,366 563 444 938 9,296 9,125
その他の資産
デリバティブ債権 12,951 14,879 1,517 632 424 10,097 2,209
デリバティブ債務 -11,528 -12,942 -1,398 -512 -279 -8,914 -1,840
資産合計 32,317 34,572 5,634 1,302 1,638 16,013 9,985
負債
金融機関債務
短期 957 957 957 - - - -
8 8 - 8 - - -
長期
965 965 957 8 0 0 0
証券負債 26,674 27,983 1,208 1,033 2,578 18,368 4,796
その他の負債
デリバティブ債権 -8,137 -9,073 -3,342 -177 -778 -3,644 -1,133
デリバティブ債務 9,179 9,826 3,501 162 820 4,061 1,282
負債合計 28,681 29,701 2,324 1,027 2,619 18,786
4,945
当期純額 3,310 276 -982 -2,773 5,039
約定済であるが未実行の
貸出 3,242
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2018 年
契約上の 3カ月超
キャッシュ 3カ月 6カ月 6カ月超 1年超
(百万ユーロ)
帳簿価額 フロー 以内 以内 1年以内 5年以内 5年超
資産
現金および現金同等物 4,758 4,753 4,603 150 - - -
金融投資
金融機関投資 - - - - - - -
債務証券 6,455 6,620 683 430 483 4,394 630
その他 16 13 - - - - 13
貸出金 19,065 20,638 392 597 975 9,020 9,655
その他の資産
デリバティブ債権 32,349 10,727 267 790 1,027 6,037 2,606
デリバティブ債務 -31,281 -9,071 -156 -624 -834 -5,242 -2,214
資産合計 31,362 33,681 5,790 1,343 1,651 14,208 10,689
負債
金融機関債務
短期 575 576 576 - - - -
9 9 - 9 - - -
長期
585 585 576 9 0 0 0
証券負債 25,651 27,537 2,737 1,134 1,403 16,371 5,892
その他の負債
デリバティブ債権 -10,550 -11,205 -1,471 -243 -480 -7,257 -1,753
デリバティブ債務 12,199 11,978 1,582 338 530 7,511 2,016
負債合計 27,885 28,895 3,423 1,240 1,453 16,624
6,155
当期純額 2,367 103 198 -2,416 4,534
約定済であるが未実行の
貸出 2,700
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注 22 : 金利リスク
金利リスクは、市場金利の変動が当行の有利子資産および負債の価値ならびに包括利益計算書に計上
される受取利息に与え得る影響である。下表は、当行の金利エクスポージャーの度合いに関する情報を
示している。資産および負債は、満期または金利調整日までの期間により決められた区分で分類されて
いる。各期間区分における資産と負債の間に差異(ギャップ)があると、当行は金利の変動に敏感にな
る。「注2:リスク管理」を参照のこと。
2019 年
3カ月超
3カ月 6カ月 6カ月超 1年超 5年超
(百万ユーロ) 以内 以内 1年以内 5年以内 10 年以内 10 年超 未定 合計
資産
現金および現金同等物 1,428 - - - - - - 1,428
金融投資
金融機関投資 - 3,580 - - - - 9 3,589
債務証券 2,200 230 265 3,923 434 - 27 7,079
- - - - - - 8 8
その他
2,200 3,810 265 3,923 434 0 44 10,676
貸出金 8,445 6,195 137 2,295 1,110 443 174 18,799
無形資産 - - - - - - 12 12
有形資産 - - - - - - 36 36
その他の資産
(1)
デリバティブ債権 17,082 3,018 2,375 16,384 3,139 926 678 43,602
その他の資産 - - - - - - ▶ ▶
未収利息・手数料 - - - - - - 275 275
資産合計 29,156 13,023 2,777 22,601 4,683 1,369 1,223 74,832
負債および資本
負債
金融機関債務
短期 957 - - - - - - 957
- 8 - - - - - 8
長期
957 8 0 0 0 0 0 965
証券負債 2,139 1,025 2,375 16,360 3,153 925 696 26,674
その他の負債
(1)
デリバティブ債務 31,162 3,002 60 5,102 2,205 1,463 226 43,221
その他の負債 - - - - - - 15 15
未払利息・手数料 - - - - - - 222 222
負債合計 34,258 4,035 2,435 21,463 5,358 2,388 1,159 71,097
資本 - - - - - - 3,735 3,735
負債および資本合計 34,258 4,035 2,435 21,463 5,358 2,388 4,895 74,832
当期純額 -5,102 8,988 342 1,139 -675 -1,019 -3,672 0
当期累積純額 -5,102 3,886 4,228 5,366 4,691 3,672 0
保証約定 - - - - - - - -
( 1) スワップはネッティングされていない。
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2018 年
3カ月超
3カ月 6カ月 6カ月超 1年超 5年超
(百万ユーロ) 以内 以内 1年以内 5年以内 10 年以内 10 年超 未定 合計
資産
現金および現金同等物 4,608 150 - - - - - 4,758
金融投資
金融機関投資 - - - - - - 9 9
債務証券 2,194 314 267 3,055 618 - 7 6,455
- - - - - - 16 16
その他
2,194 314 267 3,055 618 0 32 6,480
貸出金 8,099 6,743 179 2,219 1,218 478 129 19,065
無形資産 - - - - - - 9 9
有形資産 - - - - - - 31 31
その他の資産
(1)
デリバティブ債権 18,870 3,238 948 14,440 4,113 871 418 42,899
その他の資産 - - - - - - 5 5
未収利息・手数料 - - - - - - 294 294
資産合計 33,771 10,445 1,393 19,714 5,950 1,350 917 73,540
負債および資本
負債
金融機関債務
短期 575 - - - - - - 575
- 9 - - - - - 9
長期
575 9 0 0 0 0 0 585
証券負債 3,728 1,260 899 14,445 4,078 907 335 25,651
その他の負債
(1)
デリバティブ債務 33,393 3,541 334 3,194 1,708 1,040 269 43,480
その他の負債 - - - - - - 10 10
未払利息・手数料 - - - - - - 237 237
負債合計 37,697 4,811 1,233 17,638 5,786 1,947 851 69,963
資本 - - - - - - 3,578 3,578
負債および資本合計 37,697 4,811 1,233 17,638 5,786 1,947 4,428 73,540
当期純額 -3,926 5,635 160 2,076 164 -598 -3,511 0
当期累積純額 -3,926 1,709 1,869 3,945 4,109 3,511 0
保証約定 - - - - - - - -
( 1) スワップはネッティングされていない。
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注 23 : 為替リスク
当行の業務は、ほとんどがユーロ建および米ドル建である。下表は、主要通貨建の資産と負債の差額
を示している。「注2:リスク管理」も参照のこと。
2019 年 12 月 31 日現在の通貨ポジションの純額:
公正価値
調整およ
スウェー ノル デンマー
びスワッ
デン・ ウェー・ ク・ その他の
プのネッ
ユーロ 米ドル クローナ クローネ クローネ 通貨 ティング 合計
(百万ユーロ)
資産
現金および現金同等物 1,205 19 - - 202 2 - 1,428
金融投資
金融機関投資 2,909 - - - 680 - - 3,589
債務証券 4,056 1,138 342 714 802 - 27 7,079
8 - - - - - - 8
その他の金融投資
6,973 1,138 342 714 1,482 0 27 10,676
貸出金 7,821 1,858 3,889 4,005 793 228 205 18,799
無形資産 12 - - - - - - 12
有形固定資産 36 - - - - - - 36
その他の資産
デリバティブ -7,181 6,455 -2,483 -2,265 -2,412 7,788 1,521 1,423
-56 - - - 60 - - ▶
その他の資産
-7,237 6,455 -2,483 -2,265 -2,352 7,788 1,521 1,428
未収利息・手数料 63 74 14 29 8 87 - 275
資産合計 8,873 9,544 1,762 2,483 132 8,105 1,754 32,653
負債および資本
負債
金融機関債務
短期金融機関債務 957 - - - - - - 957
8 - - - - - - 8
長期金融機関債務
965 0 0 0 0 0 0 965
証券負債 4,203 9,417 1,751 2,456 133 8,016 696 26,674
その他の負債
デリバティブ - - - - - - 1,042 1,042
-45 60 - - - - - 15
その他の負債
-45 60 0 0 0 0 1,042 1,057
未払利息・手数料 32 68 11 26 -1 87 0 222
負債合計 5,155 9,545 1,762 2,482 132 8,103 1,739 28,918
資本 3,534 0 0 0 0 0 19 3,553
負債および資本
合計 8,690 9,545 1,762 2,482 132 8,103 1,757 32,471
2019 年 12 月 31 日現在の
資産と負債の差額 183 -1 0 0 0 2 -3 182
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2018 年 12 月 31 日現在の通貨ポジションの純額:
公正価値
調整およ
スウェー ノル デンマー
びスワッ
デン・ ウェー・ ク・ その他の
プのネッ
ユーロ 米ドル クローナ クローネ クローネ 通貨 ティング 合計
(百万ユーロ)
資産
現金および現金同等物 3,286 332 1 1 1,138 2 - 4,758
金融投資
金融機関投資 9 - - - - - - 9
債務証券 4,486 931 142 178 718 - - 6,455
16 - - - - - - 16
その他の金融投資
4,510 931 142 178 718 0 0 6,480
貸出金 8,058 2,279 3,874 3,617 824 246 167 19,065
無形資産 9 - - - - - - 9
有形固定資産 31 - - - - - - 31
その他の資産
デリバティブ -8,070 6,546 -2,447 -1,687 -2,685 7,603 1,808 1,068
▶ 1 0 0 - 0 - 5
その他の資産
-8,066 6,547 -2,447 -1,687 -2,685 7,603 1,808 1,073
未収利息・手数料 59 92 12 27 7 93 3 294
資産合計 7,886 10,181 1,582 2,136 1 7,944 1,978 31,710
負債および資本
負債
金融機関債務
短期金融機関債務 575 - - - - - - 575
9 - - - - - - 9
長期金融機関債務
585 0 0 0 0 0 0 585
証券負債 3,700 10,084 1,572 2,111 - 7,849 335 25,651
その他の負債
デリバティブ - - - - - - 1,649 1,649
10 - - - - - - 10
その他の負債
10 0 0 0 0 0 1,649 1,659
未払利息・手数料 24 86 9 24 -2 93 3 237
負債合計 4,319 10,171 1,581 2,135 -2 7,942 1,987 28,132
資本 3,401 0 0 0 0 0 3 3,405
負債および資本
合計 7,720 10,171 1,581 2,135 -2 7,942 1,990 31,537
2018 年 12 月 31 日現在の
資産と負債の差額 166 11 2 1 ▶ 2 -12 173
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注 24 : リスク管理目的で保有するデリバティブおよびヘッジ会計
デリバティブ
2019 年 12 月 31 日 2018 年 12 月 31 日
公正価値 公正価値
(百万ユーロ) 名目金額 プラス マイナス 名目金額 プラス マイナス
金利スワップ 3,847 36 47 2,808 1 11
クロスカレンシー・
スワップ 10,406 672 89 11,195 554 140
3,321 1 36 2,840 1 -
通貨スワップ
ヘッジ会計に使用され
ないデリバティブ 17,574 708 172 16,843 556 151
公正価値ヘッジ 28,671 715 870 28,453 513 1,498
デリバティブ合計 46,245 1,423 1,042 45,296 1,068 1,649
公正価値ヘッジ
ヘッジ対象
帳簿価額に含まれる
帳簿価額 ヘッジ調整の累積額
2019 年
ヘッジの非
有効性を認
識するため
に使用され
る公正価値
(百万ユーロ) 名目金額 資産 負債 の変動 資産 負債
貸出金 4,038 4,245 - 51 207 -
発行済債券 24,634 - 25,253 -528 - 620
合計 28,672 4,245 25,253 -477 207 620
帳簿価額に含まれる
帳簿価額 ヘッジ調整の累積額
2018 年
ヘッジの非
有効性を認
識するため
に使用され
る公正価値
(百万ユーロ) 名目金額 資産 負債 の変動 資産 負債
貸出金 4,120 4,287 - -11 167 -
発行済債券 24,334 - 24,669 37 - 335
合計 28,454 4,287 24,669 26 167 335
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ヘッジ会計に使用されるデリバティブ
帳簿価額
2019 年
ヘッジの非
有効性を認 その他の包
損益にお
識するため 括利益にお
いて認識
に使用され いて認識さ
される
る公正価値 れるヘッジ
(百万ユーロ) 名目金額 資産 負債 の変動 非有効性 の費用
貸出金をヘッジする
スワップ 4,037 13 215 -48 3 1
発行済債券をヘッジす
る
スワップ 24,634 703 656 535 7 15
合計 28,671 715 870 486 9 16
帳簿価額
2018 年
ヘッジの非
有効性を認 その他の包
損益にお
識するため 括利益にお
いて認識
に使用され いて認識さ
される
る公正価値 れるヘッジ
(百万ユーロ) 名目金額 資産 負債 の変動 非有効性 の費用
貸出金をヘッジする
スワップ 4,118 28 169 13 2 0
発行済債券をヘッジす
る
スワップ 24,334 485 1,329 -77 -40 6
合計 28,453 513 1,498 -63 -38 6
当行は、為替相場、金利、信用スプレッドおよびクロスカレンシー・ベーシス・スプレッドの変動か
ら生じる市場リスクに晒されている。当行は、「注2:リスク管理」に記載したように、こうしたリス
クを軽減するため、多くのヘッジ戦略をとっているが、以下に記載するようにいくつかの戦略について
のみヘッジ会計を適用している。
ヘッジ会計
当行は、固定利付の資金調達および貸出取引の公正価値の変動に対するエクスポージャーをヘッジす
るため、金利スワップおよびクロスカレンシー・スワップを利用している。当行は、そのリスク管理方
針の下でオープン・ポジションを持つことを認められておらず、よってすべての固定利付取引について
バック・ツー・バック・スワップが行われる。その結果、ヘッジ対象項目およびヘッジ手段である商品
の重要な条件は厳密に一致しており、ヘッジ手段である商品の満期は基礎をなすヘッジ対象項目の満期
と一致している。金融資産および負債の満期にかかる詳細情報については、「注 21 :金融資産および負
債の満期構成」を参照のこと。重要な条件の定性的評価に加えて、当行は、ヘッジ対象リスクの公正価
値の変動を関連するヘッジ手段の公正価値の変動と比較することによって、ヘッジの有効性を評価す
る。非有効部分は、包括利益計算書において「金融取引純利益 / 損失」の科目に計上される。
注 25 : 関連当事者の開示
北欧開発基金および北欧環境金融公社
北欧開発基金( NDF )および北欧環境金融公社( NEFCO )の設立文書によると、それらの主たる事務所
は北欧投資銀行( NIB )の主たる事務所に置かれている。さらに、 NDF および NEFCO の定款は、北欧評議
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会により任命されたこれらの監査委員が同評議会が任命した NIB の監査委員と同じメンバーであること
を規定している。また、 NDF および NEFCO の定款は、それぞれの理事会に与えられる権限を、適宜、各組
織 の総裁および / または NIB に委ねることができることを規定している。
当行は、 NDF および NEFCO に管理サービスを提供しており、その報酬は注8において開示されている。
下表は、 NDF および NEFCO ならびにこれらが管理する信託基金に対する債務残高ならびに当年度中に支払
われた利息を示している。これらの機関に対する支払利息は、通常の商業レートによる。
関連当事者 関連当事者
に対する債権 に対する債務
関連当事者から 関連当事者への
(千ユーロ) の貸出手数料 支払利息 12 月 31 日現在 12 月 31 日現在
2019 年 127 -50 11 8,511
2018 年 131 -72 181 9,459
賃貸収入( NDF,NEFCO )
(千ユーロ) NDF NEFCO
2019 年 148 270
2018 年 147 268
主要経営陣
当行は、理事会、監査委員会および執行委員会のメンバーを主要経営陣と認識している。当行と主要
経営陣の間の取引はない。関連する報告期間の主要経営陣に対する報酬に関する情報については、注7
に記載されている。
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注 26 : キャッシュフロー計算書
12 月 31 日現在の現金および現金同等物(純額)の変動の詳細
(千ユーロ) 2019 年 2018 年
(1)
現金および銀行預け金 350,921 80,200
(2)
短期金融機関投資 575,804 1,511,493
(3)
501,707 3,166,213
有担保投資
1,428,432 4,757,905
現金および現金同等物
(4)
短期金融機関債務 -956,732 -575,394
(5)
買戻契約 - -
短期債務 - -
471,700 4,182,512
現金および現金同等物(純額)
現金および現金同等物(純額)の変動 -3,710,812 108,715
(1) 12 月 31 日現在先物契約に必要な当初委託証拠金 188 千ユーロ(前年: 584 千ユーロ)を含む。
(2) うち、 335,580 千ユーロ(前年: 986,462 千ユーロ)は担保として差入れた現金。
(3) 有担保投資に対する担保 3,235 千ユーロ(前年: 8,691 千ユーロ)差引後のエクスポージャー(純額)
(4) うち、 956,732 千ユーロ(前年: 575,394 千ユーロ)は担保として受領した現金。
(5) 買戻契約にかかる担保0千ユーロ(前年:0千ユーロ)差引後のエクスポージャー(純額)。
2019 年、当行は現金および現金同等物の定義を満期6カ月から3カ月に変更し、その結果、金融機関
投資への多額の分類替えが生じた。
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注 27 : 換算レート
2019 年 12 月 31 日現在の 2018 年 12 月 31 日現在の
ユーロ・レート ユーロ・レート
DKK デンマーク・クローネ 7.47168 7.46741
ISK アイスランド・クローナ 135.9166 133.2286
NOK ノルウェー・クローネ 9.86548 9.94588
SEK スウェーデン・クローナ 10.4486 10.24248
ARS アルゼンチン・ペソ 67.2591 43.15096
AUD 豪ドル 1.60055 1.62258
BRL ブラジル・レアル 4.51487 4.44621
CAD カナダ・ドル 1.46065 1.56026
CHF スイス・フラン 1.08476 1.12721
CZK チェコ・コルナ 25.408 25.737
GBP 英ポンド 0.85118 0.89483
HKD 香港ドル 8.74545 8.972
INR インド・ルピー 80.0878 79.873
JPY 日本円 121.915 125.9135
MXN メキシコ・ペソ 21.2228 22.52335
NZD ニュージーランド・ドル 1.66584 1.70695
PLN ポーランド・ズロチ 4.2564 4.30095
RON ルーマニア・レウ 4.7824 4.6636
RUB ロシア・ルーブル 69.9658 79.809
SDR 特別引出権 0.8091 0.82356
SGD シンガポール・ドル 1.5111 1.5598
TRY トルコ・リラ 6.68259 6.0581
TWD 新台湾ドル 33.64388 35.03638
USD 米ドル 1.12319 1.14557
ZAR 南アフリカ・ランド 15.79295 16.45655
当行は、国際通貨基金( IMF )が公表するレートに基づく特別引出権( SDR )を除き、 12 月 31 日 13 時
(グリニッジ標準時)現在の実勢レートに基づいて有力な市場データ提供業者から得られた為替レート
を用いている。
注 28 : 貸借対照表日後の事象
開示または本財務書類の調整を要する貸借対照表日後のその他の重要な事象はなかった。
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(6) 【その他】
NIB の債務の元利金支払に関して債務不履行が発生したことはない。
後発事象
最近の新型コロナウイルスの急速な感染拡大によって、金融市場は大きな動きを経験している。こうし
た市場の動向の結果、金利リスクをヘッジするために、また流動性ポートフォリオにおいて当行が保有し
ている金融商品に含み損が生じている。これらの含み損はそれらが計上されている会計年度における当行
の純利益に影響を及ぼすことになる。
金利ヘッジにかかる含み損は、主に当行の資金調達および貸出取引に内在する金利スプレッドの拡大か
ら生じるものである。当行が固定金利で資金を調達するか、または借手に固定金利の貸出を提供する場
合、当行は結果として生じる金利リスクをスワップを利用してヘッジする。スワップでは、固定金利が
IBORs(例えば、LIBOR、EURIBOR、STIBOR、NIBORなど)と呼ばれる短期金融市場の変動金利またはこうし
た参照レートに徐々に代わりつつあるレートにスワップされる。当行が業界の最善の実務であると考える
ものに沿って、これらのスワップの評価は、OIS(翌日物金利スワップ)と呼ばれるリスクフリーの割引率
に基づいてなされる。リスクフリーのレート(OISレート)と当該各スワップに適用ある関連IBORとの間の
スプレッドが拡大すると、当行の帳簿上に含み損が生じる。これらの取引がその市場価値に基づいて売却
されるのではなく、契約終了時まで実行されるなど、当行がこれらの取引を満期まで保有する限り、かか
る取引は額面金額で満期を迎えるため、かかる損失は実現しないことに留意すべきである。当行の流動性
ポートフォリオ中の資産にかかる含み損は、信用スプレッドの拡大により生じるものである。当行は、固
定利付および変動利付の質の高い債券に投資を行う高流動性ポートフォリオを維持している。信用スプ
レッドが拡大すると、債券について評価がマイナスになる。現在経験しているような金融混乱の時期に
は、すべての信用スプレッドが上昇する傾向にあり、これがまた当行の質の高い債券に影響を及ぼしてい
る。債券が現在の市場価値に基づいて売却されないなど、当行が債券を満期まで保有する限り、債券は額
面金額で満期を迎えるため、評価損は回復することに留意すべきである。
新型コロナウイルスの感染拡大が継続しているため、当行およびその顧客に対する事業面および経済面
の影響の完全な範囲と期間について予測することは困難である。しかし、当行は、こうした課題に対応す
るために十分な資本と態勢を備えていると考えている。2020年3月20日現在、当行がその金融商品につい
て同日までに計上した未実現損失は、当行が2020年通期について予算計上した利益(金融商品にかかる未
実現損益を除く。)を下回っており、これまでのところ当行の計画に沿った展開となっている。
(7) 【発行者の属する国等の概況】
該当事項なし
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Auditor's report
To the Control Committee of Nordic Investment Bank
Report on the Audit of the Financial Statements
Opinion
We have audited the financial statements of Nordic Investment We are independent of the Bank in accordance with the
Bank (the Bank) which comprise the statement of financial International Ethics Standards Board of Accountants' Code of
position as at 31 December 2019, and the statement of Ethics for Professional Accountants (IESBA Code) together with
comprehensive income, statement of changes in equity and the ethical requirements that are relevant to our audit of the
statement of cash flows for the year then ended, and notes to financial statements, and we have fulfilled our other ethical
the financial statements, including a summary of significant responsibilities in accordance with these requirements and the
accounting policies and excluding economic capital IESBA code.
requirements.
We believe that the audit evidence we have obtained is
In our opinion the financial statements present fairly, in all
sufficient and appropriate to provide a basis for our opinion
material respects, the Nordic Investment Bank's financial
position as at 31 December 2019 and its financial performance
and its cash flows for the year then ended in accordance with
International Financial Reporting Standards (IFRS).
Basis for Opinion
We conducted our audit in accordance with International
Standards on Auditing (ISAs). Our responsibilities under those
standards are further described in the Auditor's Responsibilities
for the Audit of Financial Statements section of our report.
Key Audit Matters
designed to respond to our assessment of the risks of material
Key audit matters are those matters that, in our professional
misstatement of the financial statements. The results of our audit
judgment, were of most significance in our audit of the financial
procedures, including the procedures performed to address the
statements of the current period. These matters were addressed
matters below, provide the basis for our audit opinion on the
in the context of our audit of the financial statements as a whole,
accompanying financial statements.
and in forming our opinion thereon, and we do not provide a
separate opinion on these matters.
We have fulfilled the responsibilities described in the Auditor's
responsibilities for the audit of the financial statements section
of our report, including in relation to these matters. Accordingly,
our audit included the performance of procedures
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Fair value measurement of fin a ncial Inst ruments
Description How our audit addressed this key audit matter
Our audit procedures over financial instruments included,
We refer to the Bank's accounting policies in Note 1
among others:
"Determination of fair value" and, "Significant accounting
judgements and estimates" and the notes 11, 15, 17 and 20.
• gaining on understanding of the processes and controls put
As a result of the Bank's business model, a significant portion of
in place by the Bank to identify, measure and recognize
the Bank's balance sheet comprise of financial instruments
financial instruments
valued at fair value, these financial instruments consist of bonds
and derivatives.
• testing the general IT controls, including the handling of
The Bank has financial instruments where no market price is
authorisation and uses access regarding the most significant
available, and in these cases, fair value is determined using
valuation models based on market data. These financial
systems u sed for valuing financial instruments at year end
instruments are categorised as level 2 in the IFRS fair value
valuation hierarchy. The Bank also has financial instruments for
• testing the valuation of financial instruments at fair value by
which the fair value measurement has been determined using
comparing the values recorded to independently obtained
valuation models where the value is affected by input data that
market prices on input data on a sample basis
cannot be verified by external market data. These financial
instruments are categorised as level 3 in the IFRS fair value
• including valuation specialists in our audit team to carry out
valuation hierarchy.
independent valuations on a sample basis for various types
The Bank has financial assets and financial liabilities
categorised as level 2 totalling EUR 24 381 million and EUR 27
of financial instruments across the entire fair value hierarchy
184 million respectively. Financial assets and liabilities
of financial assets and liabilities
categorised as level 3 totalled EUR 119 million and EUR 1 494
million respectively.
• examining the assumptions, methodologies and models used
The measurement of financial instruments includes
by the Bank to estimate value of complex derivative
assessments made by the Ban k, since valuation models are
used. The valuation of these financial instruments is therefore
• financial instruments using internal models and/or
deemed to be a key audit matter.
unobservable data.
• compared the assumptions made with appropriate
benchmarks and price sources and examined any significant
deviations
• assessing the Bank's disclosures with presentation
requirements in applicable accounting standards.
Hedge accounting
Description How our audit addressed this key audit matter
We refer to the Bank's accounting policies in Note 1 "Derivative Our audit procedures over hedge accounting included, among
others:
instruments and hedge accounting" and the notes 2, 20, and 24
The Bank enters into derivative financial instruments to manage
• gaining on understanding of the processes and controls put
its exposure to interest rate and foreign currency risk. Interest
in place by the Bank to identify, measure and recognize
rate related derivatives are identified as hedging instruments in
fair value hedge accounting relationships. Since hedge hedge accounting relationships
accounting is applied, such gains and losses arising from fair
value changes on the derivatives are recognized in profit and • inspecting, on a sample basis, the Bank's hedge
loss. Derivatives to which hedge accounting is not applied is
documentation and contracts
recorded at fair value through profit and loss. The hedged
interest rate risk of the borrowing and lending transactions that
• including specialists in our audit team to carry out
are identified as hedged item is valued at fair value. At
independent valuations on a sample basis for fair value
December 31, 2019 the Bank has EUR 4 245 million of loans
identified as hedged instruments, and EUR 25 253 million of
hedges
borrowing. The hedging derivatives have fair values of EUR 202
million for assets of which EUR 1 million is recognized in OCI
• assessing the Bank' disclosures with presentation
and EUR 47 million for liabilities of which EUR 15 million is
requirements in applicable accounting standards.
recognized in OCI.
The application of hedge accounting is deemed to be a key
audit matter as the large number of contracts necessitates a
system to record and track each contract and consideration of
hedge effectiveness can involve a significant degree of both
complexity and management judgement and are subject to an
inherent risk of error.
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Granting of loans and provisioning for loan losses
Description How our audit addressed this key audit matter
We refer to the Bank's accounting policies in Note 1 Our audit procedures on granting of loans and provisioning for
"Impairment of loans" and "Significant accounting judgements loan losses included among others :
and estimates" and the notes 9, 10 and12.
• gaining on understanding of the processes and controls put
Loans outstanding represent EUR 18 799 million (58%) of total
in place by the Bank to grant new loans and to identify,
assets of the Bank and impairment of loans EUR 122 million.
measure and recognize impairment of loans
The impairment requirements are based on an expected credit
loss (ECL) model. The Bank is required to recognise an
• testing the design and efficiency of key controls in both the
allowance for either 12-month or lifetime ECLs, depending on
credit process and credit decisio ns, credit review rating
whether there has been a significant increase in credit risk since
initial recognition.
classification as well as identifying and determining credits for
The calculation of expected credit loss is a complex process
which provisions should be made
which included calculations reflecting a probability-weighted
outcome, the time value of money and the best available
• testing the general IT controls, including the handling of
forward-looking information. Further, the model incorporates
authorisation and uses access regarding these systems
forward-looking information through the inclusion of
macroeconomic factors and can include management
• evaluating the key input variables and assumptions in the
judgement and estimates.
ECL model and where relevant, compared data and
Since the outstanding loans are material and the credit risk
assumptions to external benchmark
represents the largest risk for the Bank and the related
impairment are subject to judgement and estimates, we have
• testing the mathematical accuracy of the model
assessed the granting of loans and provisioning of loan losses
as a key audit matter.
• inspecting the key governance meetings including Credit
Committee and Board to ensure that there are governance
controls in place and
• assessing the Bank' disclosures with presentation
requirements in applicable accounting standards.
Other Information than the annual accounts Responsibilities of the Board of Directors and the President for
the Financial Statements
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Th e Board of Directors and the President are responsible for The Board of Directors and the President are responsible for the
the other information. The other information comprises preparation and fair presentation of the financial statements
information included in the report of the Board of Directors, in accordance with International Financial Reporting
economic capital requirements on page 49 in the financial Standards (IFRSs), and for such internal control as they
statements, in the Operating and financial review and in the determine is necessary to enable the preparation of financial
Annual Report, but does not include the financial statements statements that are free from material misstatement, whether
and our auditor's report thereon. We have obtained the report of due to fraud or error.
the Board of Directors and the Operating and financial review
In preparing the financial statements, the Board of Directors
prior to the date of this auditor's report, and the Annual Report is
and the President are responsible for assessing the Bank's
expected to be made available to us after that date.
ability to continue as going concern, disclosing, as applicable,
Our opinion on the financial statements does not cover the matters relating to going concern and using the going concern
other information. basis of accounting unless management either intends to
liquidate the Bank or to cease operations, or has no realistic
In connection with our audit of the financial statements, our
alternative but to do so.
responsibility is to read the other information identified above
and, in doing so, consider whether the other information is Those charged with governance are responsible for overseeing
materially inconsistent with the financial statements or our the Bank's financial reporting process.
knowledge obtained in the audit, or otherwise appears to be
Auditor's responsibility for the Audit of Financial Statements
materially misstated.
In our opinion, the information in the report of the Board of
Our objectives are to obtain reasonable assurance on whether
Directors and in the Operating and financial review is consistent
the financial statements as a whole are free from material
with the information in the financial statements.
misstatement, whether due to fraud or error, and to issue an
auditor's report that includes our opinion. Reasonable assurance
If, based on the work we have performed on the other
is a high level of assurance, but is not a guarantee that an audit
information that we obtained prior to the date of this auditor's
conducted in accordance with ISA's will always detect a material
report, we conclude that there is a material misstatement of this
misstatement when it exists. Misstatements can arise from fraud
other information, we are required to report that fact. We have
or error and are considered material if, individually or in
nothing to report in this regard.
aggregate, they could reasonably be expected
based on the audit evidence obtained up to the date of our
auditor's report. However, future events or conditions may
to influence the economic decisions of users taken on the basis
cause the Bank to cease to continue as a going concern.
of the financial statements.
As part of an audit in accordance with ISA's, we exercise
• Evaluate the overall presentation, structure and content of
professional judgment and maintain professional skepticism
the financial statements, including the disclosures, and
throughout the audit. We also:
whether the financial statements represent the underlying
• Identify and assess the risks of material misstatement of the
transactions and events so in a manner that achieves fair
financial statements, whether due to fraud or error, design
presentation.
and perform audit procedures responsive to those risks, and
We communicate with those charged with governance
obtain audit evidence that is sufficient and appropriate to
regarding, among other matters, the planned scope and timing
provide a basis for our opinion. The risk of not detecting a
of the audit and significant audit findings, including any
significant deficiencies in internal control that we identif y during
material misstatement resulting from fraud is higher than for
our audit.
one resulting from error, as fraud may involve collusion,
We also provide those charged with governance with a
forgery, intentional omissions, misrepresentations, or the
statement that we have complied with relevant ethical
override of internal control.
requirements regarding independence, and to communicate
with them all relationships and other matters that may
• Obtain an understanding of internal control relevant to the
reasonably be thought to bear on our independence, and
where applicable, related safeguards.
audit in order to design audit procedures that are appropriate
From the matters communicated with those charged with
in the circumstances, but not for the purpose of expressing
governanc e, we determine those matters that were of most
an opinion on the effectiveness of the Bank's internal control.
significance in the audit of the financial statements of the
current period and are therefore the key audit matters. We
• Evaluate the appropriateness of accounting policies used and
describe these matters in our auditor's report unless law or
the reasonableness of accounting estimates and related
regulation precludes public disclosure about the matter or
when, in extremely rare circumstances, we determine that a
disclosures made by management.
matter should not be communicated in our report because the
adverse consequences of doing so would reasonably be
• Conclude on the appropriateness of the Board of Directors'
expected to outweigh the public interest benefits of such
and the President's use of the going concern basis of
communication.
accounting and based on the audit evidence obtained,
whether a material uncertainty exists related to events or
conditions that may cast significant doubt on the Bank's
ability to continue as a going concern. If we conclude that a
material uncertainty exists, we are required to draw attention
in our auditor's report to the related disclosures in the
financial statements or, if such disclosures are inadequate, to
modify our opinion. Our conclusions are
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Report on other requirements
Helsinki, 14 February 2020
Opinion
Ernst & Young ABAuthorized
Ernst & Young Oy
In addition to our audit of the financial statements, we have
PublicAccountant Firm
Authorized Public
also audited the administration of the Board of Directors and
Account Firm
the President of Nordic Investment Bank for the year 2019 in
accordance with the Terms of the Engagement. In our opinion
the administration of the Board of Directors and the President,
in all material aspects, complied with the Statutes of the Bank.
Mona Alfredsson
Basis for opinion
Authorized Public Accountant
Terhi Mäkinen
Authorized Public Accountant
We conducted the audit in accordance with generally
accepted auditing standards. Our responsibilities under those
standards are further described in the Auditor's
Responsibilities section. We are independent of the Bank in
accordance w ith professional ethics for accountants and have
otherwise fulfilled our ethical responsibilities in accordance
with these requirements.
We believe that the audit evidence we have obtained is
sufficient and appropriate to provide a basis for our opinions.
Responsibilities of the Board of Directors and the President
All the powers of the Bank are vested in the Board of Directors
except as what is vested in the Board of Governors provid ed
for in Section 14 of the Statutes. The Board of Directors may
delegate these powers to the President to the extent
considered appropriate.
The President is responsible for the conduct of the current
operations of the bank and shall follow the guidelines and
instructions given by the Board of Directors.
Auditor's responsibility
Our objective concerning the audit of whether the Board of
Director's and the President's administration have complied
with the Statutes of the bank, is to obtain audit evidence to
assess with a reasonable degree of assurance whether any
member of the Board of Directors or the President in any
material respect has acted in contravention of the Statutes.
Reasonable assurance is a high level of assurance but is not
a guarantee that an audit conducted in accordance with
International Standards on Auditing will always detect actions
or omissions that can give rise to liability to the Bank.
As part of an audit in accordance with International Standards
on Auditing, we exercise professional judgment and maintain
professional skepticism throughout the audit. The examination
of the administration is based primarily on the audit of the
accounts. Additional audit procedures performed are based on
our professional judgment with starting point in risk and
materiality. This means that we focus the examination on such
actions, areas and relationships that are material for the
operations and where deviations and violations would have
particular importance for the Bank's situation. We examine
and test decisions undertaken, support for decisions, actions
taken and other circumstances that are relevant to our
opinion.
Auditor's appointment
Ernst & Young Oy and Ernst & Young AB have been
appointed auditors by the Control Committee since the
financial year 2018. The undersigned auditors have acted as
responsible auditors since financial year 2018.
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独立監査人の報告書
北欧投資銀行監査委員会御中
財務書類の監査に係る報告書
意見
私どもは、 2019 年 12 月 31 日現在の財政状態計算書、同日に終了した年度の包括利益計算書、持分変動計算書および
キャッシュフロー計算書ならびに重要な会計方針の要約を含み、経済資本要件を除いた注記により構成される、北欧投資
銀行(以下「当行」という。)の財務書類について監査を行った。
私どもの意見によれば、財務書類は、 2019 年 12 月 31 日現在の北欧投資銀行の財政状態ならびに同日に終了した年度にお
ける財務実績およびキャッシュフローを、国際財務報告基準( IFRS )に準拠して、すべての重要な点において適正に表示
している。
意見の基礎
私どもは、国際監査基準( ISA )に準拠して監査を行った。かかる基準に基づく私どもの責任については、本報告書の
「 財務書類の監査にかかる監査人の責任 」の項に詳述されている。
私どもは、国際会計士倫理基準審議会の定める職業会計士の倫理規程( IESBA 規程)ならびに私どもによる財務書類の
監査に関連する倫理要件に従って、当行から独立しており、私どもは、かかる要件および IESBA 規程に従って私どものそ
の他の倫理的責任を果たしている。
私どもは、私どもの入手した監査証拠が私どもの意見に関する基礎を与えるために十分かつ適切であると確信してい
る。
監査上の主要な検討事項
監査上の主要な検討事項とは、私どもの専門家としての判断において、当期の財務書類の監査において最も重要である
と判断された事項をいう。かかる事項は、財務書類全体の監査において、またこれにかかる監査意見の形成において対処
されており、私どもは当該事項に対して個別の意見を表明するものではない。
私どもは、かかる事項に関するものを含め、私どもの報告書の「 財務書類の監査にかかる監査人の責任 」の項に記載の
責任を果たした。したがって、私どもの監査には、財務書類の重大な虚偽表示のリスクに関する私どもの評価に対応する
ように設計された手順の実行が含まれていた。以下の事項に対処するために実施された手続きを含む私どもの監査手続き
の結果は、添付の財務書類に対する私どもの監査意見の基礎を提供している。
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金融商品の公正価値測定
内容
注記1の「公正価値の決定」および「重要な会計上の判断および見積り」に記載の当行の会計方針ならびに注記 11 、
15 、 17 および 20 について
当行のビジネス・モデルによって、当行のバランス・シートの大部分は公正価値で評価される金融商品からなってお
り、かかる金融商品は、債券およびデリバティブにより構成される。
当行は、市場価格が得られない金融商品を有しており、その場合、市場データに基づく評価モデルを用いて公正価値
が決定される。これらの金融商品は、 IFRS の公正価値評価ヒエラルキーのレベル2として分類される。当行はまた、公
正価値測定が評価モデルを用いて決定されるいくつかの金融商品を有しており、この場合評価額が外部の市場データに
よって検証することができない入力データの影響を受ける。これらの金融商品は、 IFRS の公正価値評価ヒエラルキーの
レベル3として分類される。
当行は、それぞれ総額 24,381 百万ユーロおよび 27,184 百万ユーロの、レベル2に分類される金融資産および金融負債
を有している。レベル3に分類される金融資産は、それぞれ合計 119 百万ユーロおよび 1,494 百万ユーロであった。
評価モデルが用いられるため、金融商品の測定には当行による評価が含まれる。したがって、これらの金融商品の評
価は監査上の主要な検討事項とみなされる。
かかる監査上の主要な検討事項の対処方法
金融商品にかかる私どもの監査手続きは、とりわけ、以下を含んでいる。
・金融商品を特定し、測定し、認識するために当行が実施しているプロセスおよび統制を理解すること。
・年度末現在の金融商品を評価するために用いられる最も重要なシステムについてその承認の取扱いおよびアクセ
スの使用を含む IT 全般統制をテストすること。
・入力データについて独立して得られた市場価格に記録された値をサンプルベースで比較することにより、公正価
値による金融商品の評価をテストすること。
・金融資産および金融負債の公正価値ヒエラルキー全体にわたって、様々な種類の金融商品についてサンプルベー
スで独立した評価を実施するために、私どもの監査チームに評価専門家を含めること。
・内部モデルおよび/または観察不能なデータを用いて複雑なデリバティブ金融商品の価値を見積るために当行が
使用している仮定、方法論およびモデルを検討すること。
・適切なベンチマークを使用して行われた仮定と価格情報源を比較し、大幅な乖離がないかを検討すること。
・適用ある会計基準における表示要件を用いて当行の開示を評価すること。
ヘッジ会計
内容
注記1の「デリバティブ商品およびヘッジ会計」に記載の当行の会計方針ならびに注記2、 20 および 24 について
当行は、金利および為替リスクに対するエクスポージャーを管理するためにデリバティブ金融商品を締結している。
金利関連デリバティブは、公正価値ヘッジ会計関係においてヘッジ手段として識別されている。ヘッジ会計が適用され
ているため、デリバティブの公正価値の変動から生じる損益は損益において認識される。ヘッジ会計が適用されないデ
リバティブは、損益を通じて公正価値で計上される。ヘッジ対象として識別されている借入および貸付取引のヘッジさ
れた金利リスクは公正価値で評価される。 2019 年 12 月 31 日現在、当行は、ヘッジ手段として識別された 4,245 百万ユー
ロの貸出金および 25,253 ユーロの借入金を有している。ヘッジ・デリバティブの公正価値は、資産については 202 百万
ユーロで、このうち1百万ユーロは OCI において認識されており、デリバティブ負債については 47 百万ユーロで、この
うち 15 百万ユーロが OCI において認識されている。
数多くの契約が各契約を記録し、追跡するためのシステムを必要とし、ヘッジの有効性の検討には相当な複雑さと経
営陣の判断の双方を伴う可能性があり、かつ誤謬という固有リスクがあるため、ヘッジ会計の適用は監査上の主要な検
討事項とみなされる。
かかる監査上の主要な検討事項の対処方法
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ヘッジ会計にかかる私どもの監査手続きは、とりわけ、以下を含んでいる。
・ヘッジ会計関係を特定し、測定し、認識するために当行が実施しているプロセスおよび統制を理解すること。
・サンプルベースで、当行のヘッジ文書および契約を精査すること。
・公正価値ヘッジのためにサンプルベースで独立した評価を実施するために、私どもの監査チームに専門家を含む
こと。
・適用ある会計基準における表示要件を用いて当行の開示を評価すること。
貸出の付与および貸倒引当金
内容
注記1の「貸出の減損」および「重要な会計上の判断および見積り」に記載の当行の会計方針ならびに注記9、 10 およ
び 12 について
貸出金は、当行の資産合計の 58 %に相当する 18,799 百万ユーロであり、貸出の減損は 122 百万ユーロである。
減損要件は、予想信用損失( ECL )モデルに基づいている。当行は、当初の認識以降信用リスクが大きく拡大したか
どうかによって、 12 カ月または残存期間の ECL のいずれかについて引当金を認識することを義務づけられる。
予想信用損失の計算は、確率加重成果、貨幣の時間価値および入手可能な将来に関する最善の情報を反映する計算を
含む複雑なプロセスである。また、このモデルには、マクロ経済ファクターを含めることにより将来に関する情報が盛
り込まれ、経営陣の判断および見積りが含まれることがある。
貸出金は多額であり、信用リスクは当行にとって最大のリスクを示しており、関連する減損は判断および見積りの対
象であるため、私どもは貸出の付与および貸倒引当金を監査上の主要な検討事項として評価した。
かかる監査上の主要な検討事項の対処方法
貸出の付与および貸倒引当金にかかる私どもの監査手続きは、とりわけ、以下を含んでいる。
・新規の貸出を付与し、貸出の減損を特定し、測定し、認識するために当行が実施しているプロセスおよび統制を
理解すること。
・与信のプロセスおよび与信の決定の双方、与信の審査格付分類、ならびに引当金を設定すべき与信の識別および
決定における主要な統制の設計および効率性をテストすること。
・これらのシステムについてその承認の取扱いおよびアクセスの使用を含む IT 全般統制をテストすること。
・ ECL モデルにおける主要な入力変数および仮定を評価し、適宜データおよび仮定を外部のベンチマークと比較する
こと。
・モデルの数学的精度をテストすること。
・ガバナンス統制が実施されていることを確認するため、与信委員会および理事会を含む主要なガバナンス会議を
視察すること。
・適用ある会計基準における表示要件を用いて当行の開示を評価すること。
年次会計以外の情報
理事会および総裁は、その他の情報について責任を負う。その他の情報とは、理事会報告書、財務書類の 49 ページに記
載の経済資本要件、営業および財務レビューならびに年次報告書に記載される情報からなるが、財務書類およびそれに関
する私どもの報告書は含まない。私どもは、監査報告書の日付に先立って理事会報告書ならびに営業および財務レビュー
を入手したが、年次報告書については当該日以降に入手できる見込みである。
財務書類にかかる私どもの意見は、その他の情報を対象としていない。
財務書類に関する私どもの監査については、上記で特定されたその他の情報を読むこと、またそれにおいてその他の情
報が財務書類または監査において得られた私どもの知識と著しく整合性を欠いているか、またはその他重大な虚偽記載が
あるかどうかについて検討することが私どもの責任である。
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私どもの意見では、理事会報告書ならびに営業および財務レビューにおける情報は、財務書類中の情報と合致してい
る。
仮に、私どもが本監査報告書の日付より前に入手したその他の情報について行った作業に基づいて、かかるその他の情
報に重大な虚偽記載があると判断する場合には、私どもはかかる事実の報告を求められる。私どもがこれに関して報告す
べき事項はない。
財務書類に対する理事会および総裁の責任
理事会および総裁は、国際財務報告基準( IFRS )に従って財務書類の作成および公正な表示について、また不正または
過失によるかに拘わらず、重大な虚偽記載がない財務書類の作成を可能にするために彼らが必要と判断する内部統制につ
いて責任を負っている。
財務書類の作成において、理事会および総裁は、当行を清算する意図もしくは業務を停止する意図がなく、またはそう
せざるを得ない代替手段が現に存在しない限り、継続企業として存続する当行の能力の評価、(適用ある場合)継続企業
の前提にかかる事項の開示、ならびに会計の継続企業基準の適用について、責任を負う。
統治責任者は、当行の財務報告プロセスの監視について責任を負う。
財務書類の監査にかかる監査人の責任
私どもは、不正または過失によるかに拘わらず、財務書類全体に重大な虚偽記載がないかどうかについての合理的な確
証を得ること、ならびに私どもの意見を含む監査報告書を発行することを目的としている。合理的な確証とは、確度の高
い保証であるが、 ISA に従って実施された監査が存在する重大な虚偽記載を常に発見できることを保証するものではな
い。虚偽記載は、不正または過失から生じる可能性があり、個別にまたは全体として、財務書類の基礎として利用者が用
いる経済的判断に影響を及ぼすことが合理的に予想されうる場合は、重大であるとみなされる。
ISA に従った監査の一環として、私どもは、監査全体を通じて職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持
している。私どもはまた、
・ 不正または過失によるかに拘わらず、財務書類の重大な虚偽記載に関するリスクを特定し、評価し、かかるリスク
に対応した監査手続きを計画し、実行し、私どもの意見に関する基礎を与えるために十分かつ適切な監査証拠を得
る。不正には、共謀、偽造、意図的な省略、虚偽表示または内部統制の無視が絡むことがあるため、不正の結果と
しての重大な虚偽記載が発見されないリスクは、過失によるものより高い。
・ 状況に応じて適切な監査手続きを計画するために、監査に関連する内部統制について理解する。ただし、当行の内
部統制の有効性にかかる意見を述べることを目的とするものではない。
・ 用いられた会計方針の適正性および経営陣による会計上の見積りおよび関連する開示の妥当性を評価する。
・ 理事会および総裁による会計の継続企業基準の利用の適正性、ならびに得られた監査証拠に基づいて、継続企業と
して存続する当行の能力について重大な疑いを掛けうる事象または状況に関連して重大な不確実性があるか否かに
ついて、結論付ける。私どもが重大な不確実性があると判断した場合、私どもは、その監査報告書において財務書
類中の関連する開示事項に注意喚起することを求められ、かかる開示が十分でない場合には、意見の修正を求めら
れる。私どもの判断は、監査報告書の日付までに得られた監査証拠に基づくものである。ただし、将来の事象また
は状況によって当行が継続企業として存続しなくなる可能性がある。
・ 公正な表示を実現する方法で、開示事項を含む財務書類の全体の表示、構成および内容、ならびに財務書類が基礎
となる取引および事象を表示しているかどうかを評価する。
私どもは、とりわけ計画された監査の範囲および時期ならびに私どもが監査中に特定した内部統制の重大な不備を含む
重要な監査上の発見について、統治責任者に報告を行っている。
私どもはまた、独立性に関する関連する倫理要件を私どもが遵守している旨を統治責任者に表明し、私どもの独立性を
損なうと合理的に考えられるすべての関係およびその他の事項ならびに適用ある場合には関連するセーフガードについて
統治責任者に報告している。
統治責任者への報告事項から、私どもは当期の財務書類の監査において最も重要であり、よって監査上の主要な検討事
項となる事項を決定する。私どもは、当該事項についての公表が法令により禁止されない限り、または極めて稀なケース
ではあるが、開示することの悪影響が当該報告の公益性を上回ると合理的に考えられるために私どもが当該事項を報告書
にすべきでないと判断する場合を除き、かかる事項を監査報告書に記載する。
その他の要件にかかる報告
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意見
財務書類の監査のほか、私どもは、契約条件に従って、 2019 年にかかる北欧投資銀行の理事会および総裁による業務の
執行についても監査を行った。私どもの意見では、理事会および総裁による業務の執行はすべての重要な点において当行
の定款に準拠して行われていた。
意見の基礎
私どもは、一般に認められた監査基準に従って監査を実施した。かかる基準に基づく私どもの責任については、本報告
書の「 監査人の責任 」の項に詳述されている。私どもは、会計士の職業倫理に従って、当行から独立しており、かかる要
件に従って私どものその他の倫理的責任を果たしている。
私どもは、私どもの入手した監査証拠が私どもの意見に関する基礎を与えるために十分かつ適切であると確信してい
る。
理事会および総裁の責任
当行のすべての権限は、定款第 14 条に定める統治委員会に付与されているものを除き、理事会に付与されている。理事
会は、適切とみなされる範囲で、これらの権限を総裁に委任することができる。
総裁は、当行の現在の業務遂行について責任を有し、理事会から与えられた指針および指示に従うものとする。
監査人の責任
理事会および総裁による業務執行が当行の定款を遵守しているかどうかの監査に関する私どもの目的は、重要な点で理
事会の構成員または総裁が定款に違反して行動したかどうかを合理的な範囲の確証をもって評価するための監査証拠を入
手することである。
合理的な確証とは、確度の高い保証であるが、国際監査基準に従って実施された監査が当行に対する責任を生じさせう
る行為または不作為を常に発見できることを保証するものではない。
国際監査基準に従った監査の一環として、私どもは、監査全体を通じて職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑
心を保持している。業務執行の審査は主に会計監査に基づいている。実施された追加の監査手続きは、リスクおよび重要
性を出発点とした私どもの専門家としての判断に基づいている。これは、業務にとって重要であり、その乖離および違反
が当行の状況にとって特に重要となりうる行為、分野および関係性についての精査に私どもが重点を置いていることを意
味している。私どもは、行われた決定、決定に対する支持、取られた行動、および私どもの意見に関連したその他の状況
について精査・検証する。
監査人の任命
アーンスト・アンド・ヤング OY およびアーンスト・アンド・ヤング AB は、 2018 会計年度以降監査委員会により監査人
として任命されてきた。下記に署名する監査人は、 2018 会計年度以降担当監査人として行為してきた。
2020 年2月 14 日、ヘルシンキ
アーンスト・アンド・ヤング Oy アーンスト・アンド・ヤング AB
公認会計士事務所 公認会計士事務所
(署 名) (署 名)
Terhi M äkinen Mona Alfredsson
公認会計士
公認会計士
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EY
Building a better
working world
Auditor's report
To the Control Committee of Nordic Investment Bank
Report on the Audit of the Financial Statements
Opinion
We have audited the financial statements of Nordic Investment Bank (the Bank) which comprise the statement of financial position as
at 31 December 2018, and the statement of comprehensive income, statement of changes in equity and statement of cash flows for
the year then ended, and notes to the financial statements, including a summary of significant accounting policies.
In our opinion the financial statements present fairly, in all material respects, the Nordic Investment Bank's financial position as at 31
December 2018 and its financial performance and its cash flows for the year then ended in accordance with International Financial
Reporting Standards (IFRS).
Basis for Opinion
We conducted our audit in accordance with International Standards on Auditing (ISAs).Our responsibilities underthose standards are
further described in the Auditor's Responsibilities for the Audit of Financial Statements section of our report.
We are independent of the Bank in accordance with the International EthicsStandards Board of Accountants' Code of Ethics
for Professional Accountants (IESBA Code) together with the ethical requirements that are relevant to our audit of the
financial statements, and we have fulfilled our other ethical responsibilities in accordance withthese requirements and the
IESBA code.
We believe that the audit evidence we have obtained is sufficient and appropriate to provide a basis for our opinion.
Other matter
The audit of the financial statements for 2017 was performed by another auditor who submitted an auditor' s report dated 9
March 2018, with unmodified opinions in the Report on the Audit of the Financial State ments.
Key Audit Matters
Key audit matters are those matters that, in our professional judgment, were of most significance in our audit of the financial
statements of the current period. These matters were addressed in the context of our audit of the financial statements as a whole, and
in forming our opinion thereon, and we do not provide a separate opinion on these matters.
We havefulfilled the responsibilities described in the Auditor's responsibilities for the audit of the financial statements section of our
report, including in relation to these matters. Accordingly, our audit included the performance of procedures
designed to respond to our assessment of the risks of material misstatement of the financial statements. The results of our
audit procedures, including the procedures performed to address the matters below, provide the basis for our audit opinion
on the accompanying financial statements.
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Fair value measurement of financial instruments
How our audit addressed this key audit matter
Description
Our audit procedures over financial instruments included, among
We refer to the Bank's accounting policies in Note 1
others:
"Determination of fair value" and, "Significant accounting
• gaining on understanding of the processes and controls put
judgements and estimates" and the notes 10, 14, 16 and 19.
in place by the Bank to identify, measure and recognize
As a result of the Bank's business model, a significant portion
financial instruments
of the Bank's balance sheet comprise of financial instruments
valued at fair value, these financial instruments consist of
• testing the valuation of financial instruments at fair value by
financial bonds and derivatives.
comparing the values recorded to independently obtained
The Bank has financial instruments where no market price is
available, and in these cases, fair value is determined using
market prices on a sample basis
valuation models based on market data. These financial
instruments are categorised as level 2 in the IFRS fair value • including valuation specialists in our audit team to carry out
valuation hierarchy. The Bank also has some financial
independent valuations on a sample basis for various
instruments for which the fair value measurement has been
types of derivative financial instruments across the entire
determined using valuation models where the value is affected
by input data that cannot be verified by external market data.
fair value hierarchy of fin ancial assets and liabilities
These financial instruments are categorised as level 3 in the
• examining the assumptions, methodologies and models
IFRS fair value valuation hierarchy.
used by the Bank to estimate value of complex derivative
The Bank has financial assets and financial liabilities
categorised as level 2 totalling EUR 21 190 million and EUR
financial instruments using internal models and/or
unobservable data.
27 886 million respectively. Financial assets categorised as
level 3 totalled EUR 27 million.
• compared the assumptions made with appropriate
The measurement of financial instruments includes
benchmarks and price sources and examined any
assessments made by the Bank, since valuation models are
used. The valuation of these financial instruments is therefore
significant deviations
deemed to be a key audit matter.
• assessing the Bank's disclosures with presentation
requirements in applicable accounting standards.
Hedge accounting
Description How our audit addressed this key audit matter
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Our audit procedures over hedge accounting included, among
We refer to the Bank's accounting policies in Note 1
others:
"Derivative instruments and hedge accounting" and the notes
• gaining on understanding of the processes and controls put
2, 19, and 23.
in place by the Bank to identify, measure and recognize
The Bank enters into derivative financial instruments to
hedge accounting relationships
manage its exposure to interest rate and foreign currency risk.
Interest rate related derivatives are identified as hedging
• engaged our internal hedging specialists in order to assess
instruments in fair value hedge accounting relationships.
Since hedge accounting is applied, such gains and losses
the Bank's hedging policy and risk management
arising from fair value changes on the derivatives are
procedures
recognized in profit and loss. Derivatives to which hedge
accounting is not applied is recorded at fair value through
• inspecting, on a sample basis, the Bank's hedge
profit and loss. The hedged interest rate risk of the borrowing
documentation and contracts
and lending transactions that are identified as hedged item is
valued at fair value. At December 31, 2018 the Bank has EUR
• including specialists in our audit team to carry out
4 287 million of loans identified as hedged instruments, and
EUR 24 669 of borrowing. The hedging derivatives have fair
independent valuations on a sample basis for fair value
values of EUR 141 million for assets of which EUR 2 million is
hedges
recognized in OCI and EUR 844 million for derivative liabilities
of which EUR 33 million is recognized in OCI.
• assessing the Bank' disclosures with presentation
The application of hedge accounting is deemed to be a key
requirements in applicable accounting standards
audit matter as the large number of contracts necessitates a
system to record and track each contract and consideration of
hedge effectiveness can involve a significant degree of both
complexity and management judgement and are subject to an
inherent risk of error.
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Granting of loans and provisioning for loan losses
Description How our audit addressed this key audit matter
Our audit procedures on granting of loans and provisioning for
We refer to the Bank's accounting policies in Note 1 "Impairment"
loan losses included among others:
and "Significant accounting judgements and estimates" and the
• gaining on understanding of the processes and controls put
notes 9, and 11.
in place by the Bank to grant new loans and to identify,
Loans outstanding represent EUR 19 065 million (60%) of total
measure and recognize impairment of loans
assets of the Bank and impairment of loans EUR 119 million.
The new impairment requirements are based on an expected
• testing the design and efficiency of key controls in both the
credit loss (ECL) model. The Bank is required to recognise an
credit process and credit decisions, credit review rating
allowance for either 12-month or lifetime ECLs, depending on
whether there has been a significant increase in credit risk since classification as well as identifying and determining credits
initial recognition.
for which provisions should be made.
The calculation of expected credit loss is a complex process which
• testing the general IT controls, including the handling of
included calculations reflecting a probability-weighted outcome, the
time value of money and the best available forward-looking
authorisation and uses access regarding these systems.
information. Further, the model incorporates forward-looking
information through the inclusion of macroeconomic factors and
• evaluating the key input variables and assumptions in the
can include management judgement and estimates.
ECL model and where relevant, compared data and
Since the outstanding loans are material and the credit risk
assumptions to external benchmark
represents the largest risk for the Bank and the related impairment
are subject to judgement and estimates, we have assessed the
• testing the mathematical accuracy of the model
granting of loans and provisioning of loan losses as a key audit
matter.
• inspecting the key governance meetings including Credit
Committee and Board to ensure that there are governance
controls in place and
• assessing the Bank' disclosures with presentation
requirements in applicable accounting standards.
Other Information than the annual accounts
The Board of Directors and the President are responsible for the other information. The other information comprises information
included in the reportof the Board of Directors, in the Operating and financial review and in the Annual Report, but does not include
the financial statements and our auditor's report thereon. We have obtained the report of the Board of Directors and the Operating and
financial review prior to the date of this auditor's report,and the AnnualReport is expected to be made available to us after that date.
Our opinion on the financial statements does not cover the other information.
In connection with our audit of the financial statements, our responsibility is to read the other information identified above and, in doing
so, consider whether the other information is materially inconsistent with the financial statements or our knowledge obtained in the
audit, or otherwise appears to be materially misstated.
In our opinion, the information in the report of the Board of Directors and in the Operating and financial review is consistent with the
information in the financial statements.
If, based on the work we have performed on the other information that we obtained prior to the date of this auditor's report, we
conclude that there is a material misstatement of this other information, we are required to report that fact. We have nothing to report
in this regard.
Responsibilities of the Board of Directors and the President for the Financial Statements
The Boardof Directors and the Pres ident are responsible for the preparation and fair presentation of the financial statements in
accordance with International Financial Reporting Standards (IFRSs),and for such internal controlas
they determine is necessary to enable the preparation of financial statements that are free from materialmisstatement,
whether due to fraud orerror.
In preparing the financial statements, the Board of Directors and the President are responsible for assessing the Bank's
ability to continue as going concern,disclosing, as applicable, matters relatingto going concernand using the going concern
basis of accounting unless management either intends to liquidate the Bank or to cease operations, or has no realistic
alternative but to do so.
Those charged with governance are responsible for overseeing the Bank's financial reporting process.
Auditor's responsibility for the Audit of Financial
Statements
Our objectives are to obtainreasonable assurance on whether the financial statements as a whole are free from material
misstatement, whether due to fraud or error, and to issue an auditor's report that includes our opinion. Reasonable
assurance is a high level of assurance, but is not a guarantee that an audit conducted in accordance with ISA's will always
detect a material misstatement when it exists. Misstatements can arise from fraud or error and are considered material if,
individually or in aggregate, they could reasonably be expected to influence the economic decisionsof users takenon the
basis of the financial statements.
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As part of an audit in accordance with ISA's, we exercise professional judgment and maintain professional skepticism
throughout the audit. We also:
- Identify and assess the risks of material misstatement of the financial statements, whether due to fraud or error, design
and perform audit procedures responsive to those risks, and obtain audit evidence that is sufficient and appropriate to
provide a basis for our opinion. The risk of
I
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not detectinga material misstatement resulting from fraud is higher than for one resulting from error, as fraud may involve
collusion, forgery, intentional omissions, misrepresentations, or the override of internal control.
- Obtain an understanding of internal controlrelevant to the audit in order to design audit procedures that are appropriate in the
circumstances, but not for the purpose of expressing an opinion on the effectiveness of the Bank's internal control.
- Evaluate the appropriateness of accounting policies used and the reasonableness of accounting estimates and related
disclosures made by management.
- Conclude on the appropriateness of the Board of Directors' and the President's use of the going concern basis of accounting and
based on the audit evidence obtained, whether a material uncertainty exists related to events or conditions that may cast
significant doubt on the Bank's ability to continue as a going concern. If we conclude that a material uncertainty exists, we are
required to draw attention in our auditor's report to the related disclosures in the financial statements or, if such disclosures are
inadequate, to modify our opinion. Our conclusions are based on the audit evidence obtained up to the date of our auditor's
report. However, future events or conditions may cause the Bank to cease to continue as a going concern.
- Evaluate the overall presentation, structure and contentof the financial statements, including the disclosures, and
whether the financial statements represent the underlying transactions and events so in a manner that achieves fair
presentation.
We communicate with those charged with governance regarding, among other matters, the planned scope and timing of the
audit and significant audit findings, including any significant deficiencies in internal control that we identify during our audit.
We also provide those charged with governance with a statement that we have complied with relevant ethical requirements
regarding independence, and to communicate with them all relationships and other matters that may reasonably be thought
to bear on our independence, and where applicable, relatedsafeguards.
From the matters communicated with those charged with governance, we determine those matters that were of most
significance in the audit of the financial statements of the current period and are therefore the key audit matters. We describe
these matters in our auditor's report unless law or regulation precludes public disclosure about the matter or when, in
extremely rare circumstances, we determine that a matter should not be communicated in our reportbecause the adverse
consequences of doing so would reasonably be expected to outweigh the public interest benefits of such communication.
Report on other requirements
Opinion
In addition to our audit of the financial statements, we have also audited the administration of the Board of Directors and the President
of Nordic Investment Bank for the year 2018 in accordance with the Terms of the Engagement. In our opinion the administration of the
Board of Directors and the President, in all material aspects,complied with the Statutes of the Bank.
Basis for opinion
We conducted the audit in accordance withgenerally accepted auditing standards. Our responsibilities underthose standards are
furtherdescribed in the Auditor's Responsibilities section. We are independent of the Bank in accordance with professional ethics for
accountants and have otherwise fulfilled our ethical responsibilities in accordance with these requirements.
We believe that the audit evidence we have obtained is sufficient and appropriate to provide a basis for our opinions.
Responsibilities of the Board of Directors and the President
All the powers of the Bank are vestedin the Boardof Directors except as what is vested in the Board of Governors provided for in
Section 14 of the Statutes. The Board of Directors may delegate these powers to the President to the extent considered appropriate.
The President is responsible for the conduct of the current operations of the bank and shall follow the guidelines and instructions
given by the Board of Directors.
Auditor's responsibility
Our objective concerning the audit of whether the Board of Director's and the President's administration have complied
with the Statutes of the bank, is to obtain audit evidence to assess with a reasonable degree of assurance whether any
member of the Board of Directors or the President in any
material respect has acted in contravention of the Statutes.
Reasonable assurance is a highlevel of assurance, but is not a guarantee that an audit conducted in accordance with
International Standardson Auditing will always detectactions or omissions that can give rise to liability to the Bank.
As part of an audit in accordance withInternational Standards on Auditing, we exercise professional judgment and maintain
professional skepticism throughout the audit.The examination of the administration is based primarily on the audit of the
accounts. Additional audit procedures performed are based on our professional judgment with starting point in risk and
materiality. This meansthat we focus the examination on such actions, areas and relationships that are material for the
operations and where deviations and violations would have particular importance for the Bank's situation. We examine and
testdecisions undertaken, supportfor decisions, actionstaken and other circumstances that are relevant to our opinion.
Auditors representing EY have beenappointed auditors by the Control Committee since the financial year 2018. The
undersigned auditors have acted as responsible auditorssince financial year 2018.
Helsinki, 15 February 2019
Ernst & Young Oy Ernst & Young AB
Authorized Public Authorized Public
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Accountant Firm AccountantFirm
Terhi Mäkinen Mona Alfredsson Authorized Public Authorized Public
Accountant
Accountant
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独立監査人の報告書
北欧投資銀行監査委員会御中
財務書類に係る独立監査人の報告書
意見
私どもは、 2018 年 12 月 31 日現在の財政状態計算書、同日に終了した年度の包括利益計算書、持分変動計算書および
キャッシュフロー計算書ならびに重要な会計方針の要約を含む注記により構成される、北欧投資銀行(以下「当行」とい
う。)の財務書類について監査を行った。
私どもの意見によれば、財務書類は、 2018 年 12 月 31 日現在の北欧投資銀行の財政状態ならびに同日に終了した年度にお
ける財務実績およびキャッシュフローを、国際財務報告基準( IFRS )に準拠して、すべての重要な点において適正に表示
している。
意見の基礎
私どもは、国際監査基準( ISA )に準拠して監査を行った。かかる基準に基づく私どもの責任については、本報告書の
「 財務書類の監査にかかる監査人の責任 」の項に詳述されている。
私どもは、国際会計士倫理基準審議会の定める職業会計士の倫理規程( IESBA 規程)ならびに私どもによる財務書類の
監査に関連する倫理要件に従って、当行から独立しており、私どもは、かかる要件および IESBA 規程に従って私どものそ
の他の倫理的責任を果たしている。
私どもは、私どもの入手した監査証拠が私どもの意見に関する基礎を与えるために十分かつ適切であると確信してい
る。
その他の事項
2017 年にかかる財務書類の監査は、他の監査人によって実施されており、かかる監査人は財務書類の監査報告書におい
て無限定意見とともに 2018 年3月9日付の監査報告書を提出している。
監査上の主要な事項
監査上の主要な事項とは、私どもの専門家としての判断において、当期の財務書類の監査において最も重要であると判
断された事項をいう。かかる事項は、財務書類全体の監査において、またこれにかかる監査意見の形成において対処され
ており、私どもは当該事項に対して個別の意見を表明するものではない。
私どもは、かかる 事項に関するものを含め、私どもの報告書の「 財務書類の監査にかかる監査人の責任 」の項に記載の
責任を果たした。したがって、私どもの監査には、財務書類の重要な虚偽表示のリスクに関する私どもの評価に対応する
ように設計された手順の実行が含まれていた。以下の事項に対処するために実施された手続きを含む私どもの監査手続き
の結果は、添付の財務書類に対する私どもの監査意見の基礎を提供している。
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金融商品の公正価値測定
内容 かかる監査上の重要事項における対処方法
注記1の「公正価値の決定」および「重要な会計上 金融商品にかかる私どもの監査手続きは、とりわけ、以下
の判断および見積り」に記載の当行の会計方針なら を含んでいる。
びに注記 10 、 14 、 16 および 19 について
・金融商品を特定し、測定し、認識するために当行が実
当行のビジネス・モデルによって、当行のバラン 施しているプロセスおよび統制を理解すること。
ス・シートの大部分は公正価値で評価される金融商
・独立して得られた 市場価格に記録された値をサンプル
品からなっており、かかる金融商品は、金融債およ
ベースで比較することにより、公正価値による金融商
びデリバティブにより構成される。
品の評価をテストすること。
当行は、市場価格が得られない金融商品を有してお
・金融資産および金融負債の公正価値階層全体にわたっ
り、その場合、市場データに基づく評価モデルを用
て、様々な種類のデリバティブ金融商品についてサン
いて公正価値が決定される。これらの金融商品は、
プルベースで独立した評価を実施するために、私ども
IFRS の公正価値評価階層のレベル2として分類され
の監査チームに評価専門家を含めること。
る。当行はまた、評価額が外部の市場データによっ
・内部モデルおよび/または観察不能なデータを用いて
て検証することができない入力データの影響を受け
複雑なデリバティブ金融商品の価値を見積るために当
る場合に公正価値測定が評価モデルを用いて決定さ
行が使用している仮定、方法論およびモデルを検討す
れるいくつかの金融商品を有している。これらの金
ること。
融商品は、 IFRS の公正価値評価階層のレベル3とし
・適切なベンチマークと価格情報源を使用して行われた
て分類される。
仮定を比較し、大幅な乖離がないかを検討すること。
当行は、それぞれ総額 21,190 百万ユーロおよび
・適用ある会計基準における表示要件を用いて当行の開
27,886 百万ユーロの、レベル2に分類される金融資
示を評価すること。
産および金融負債を有している。レベル3に分類さ
れる金融資産は合計 27 百万ユーロである。
評価モデルが用いられるため、金融商品の測定には
当行による評価が含まれる。したがって、これらの
金融商品の評価は監査上の主要な事項とみなされ
る。
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ヘッジ会計
内容 かかる監査上の重要事項における対処方法
注記1の「デリバティブ商品およびヘッジ会計」に ヘッジ会計にかかる私どもの監査手続きは、とりわけ、
記載の当行の会計方針ならびに注記2、 19 および 23 以下を含んでいる。
について
・ヘッジ会計関係を特定し、測定し、認識するために当
当行は、金利および為替リスクに対するエクスポー 行が実施しているプロセスおよび統制を理解するこ
ジャーを管理するためにデリバティブ金融商品を締 と。
結している。金利関連デリバティブは、公正価値
・ 当行のヘッジ方針およびリスク管理手続きを評価する
ヘッジ会計関係においてヘッジ手段として識別され
ために、私どもの内部ヘッジ専門家を関与させるこ
ている。ヘッジ会計が適用されているため、デリバ
と。
ティブの公正価値の変動から生じる損益は損益にお
・サンプルベースで、当行のヘッジ文書および契約を精
いて認識される。ヘッジ会計が適用されないデリバ
査すること。
ティブは、損益を通じて公正価値で計上される。
・公正価値ヘッジのためにサンプルベースで独立した評
ヘッジ対象として識別されている借入および貸付取
価を実施するために、私どもの監査チームに専門家を
引のヘッジされた金利リスクは公正価値で評価され
含むこと。
る。 2018 年 12 月 31 日現在、当行は、ヘッジ手段とし
て識別された 4,287 百万ユーロの貸出金および 24,669
・適用ある会計基準における表示要件を用いて当行の開
ユーロの借入金を有している。ヘッジ・デリバティ
示を評価すること。
ブの公正価値は、資産については 141 百万ユーロで、
このうち2百万ユーロは OCI において認識されてお
り、デリバティブ負債については 844 百万ユーロで、
このうち 33 百万ユーロが OCI において認識されてい
る。
ヘッジ会計の適用は、数多くの契約が各契約を記録
し、追跡するためのシステムを必要とし、ヘッジの
有効性の検討には相当な複雑さと経営陣の判断の双
方を伴う可能性があり、かつ誤謬という固有リスク
があるため、監査上の主要な事項とみなされる。
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貸出の付与および貸倒引当金
内容 かかる監査上の重要事項における対処方法
注記1の「減損」および「重要な会計上の判断およ 貸出の付与および貸倒引当金にかかる私どもの手続き
び見積り」に記載の当行の会計方針ならびに注記9 は、とりわけ、以下を含んでいる。
および 11 について
・新規の貸出を付与し、減損損失を特定し、測定し、認
貸出金は、当行の資産合計の 60 %に相当する 19,065 識するために当行が実施しているプロセスおよび統制
百万ユーロであり、貸出の減損は 119 百万ユーロであ を理解すること。
る。
・ 与信のプロセスおよび与信の決定の双方、与信の審査
新たな減損要件は、予想信用損失( ECL )モデルに基 格付分類、ならびに引当金を設定すべき与信の識別お
づいている。当行は、 当初の認識以降信用リスクが よび決定における主要な統制の設計および効率性をテ
大きく拡大したかどうかによって、 12 カ月または全 ストすること。
期間の ECL のいずれかについて引当金を認識すること
・ 承認の取扱いおよびこれらのシステムに関するアクセ
を義務づけられる。
スの使用を含む全般的な IT 統制をテストすること 。
予想信用損失の計算は、確率加重成果、貨幣の時間
・ ECL モデルにおける主要な入力変数および仮定を評価
価値および入手可能な将来に関する最善の情報を反
し、適宜データおよび仮定を外部のベンチマークと比
映する計算を含む複雑なプロセスである。また、こ
較すること。
のモデルには、マクロ経済ファクターを含めること
・モデルの数学的精度をテストすること。
により将来に関する情報が盛り込まれ、経営陣の判
・ガバナンス統制が実施されていることを確認するた
断および見積りが含まれることがある。
め、与信委員会および理事会を含む主要なガバナンス
貸出金は多額であり、信用リスクは当行にとって最
会議を視察すること。
大のリスクを示しており、関連する減損は判断およ
・適用ある会計基準における表示要件を用いて当行の開
び見積りの対象であるため、私どもは貸出の付与お
示を評価すること。
よび貸倒引当金を監査上の主要な事項として評価し
た。
年次会計 以外の情報
理事会および総裁は、その他の情報について責任を負う。その他の情報とは、理事会報告書、営業および財務レビュー
ならびに年次報告書に記載される情報からなるが、財務書類およびそれに関する私どもの報告書は含まない。私どもは、
監査報告書の日付に先立って理事会報告書ならびに営業および財務レビューを入手したが、年次報告書については当該日
以降に入手できる見込みである。
財務書類にかかる私どもの意見は、その他の情報を対象としていない。
財務書類に関する私どもの監査については、上記で特定されたその他の情報を読むこと、またそれにおいてその他の情
報が財務書類または監査において得られた私どもの知識と著しく整合性を欠いているか、またはその他重大な虚偽記載が
あるかどうかについて検討することが私どもの責任である。
私どもの意見では、理事会報告書ならびに営業および財務レビューにおける情報は、財務書類中の情報と合致してい
る。
仮に、私どもが本監査報告書の日付より前に入手したその他の情報について行った作業に基づいて、かかるその他の情
報に重大な虚偽記載があると判断する場合には、私どもはかかる事実の報告を求められる。私どもがこれに関して報告す
べき事項はない。
財務書類に対する理事会および総裁の責任
理事会および総裁は、国際財務報告基準( IFRS )に従って財務書類の作成および公正な表示について、また不正または
過失によるかに拘わらず、重大な虚偽記載がない財務書類の作成を可能にするために彼らが必要と判断する内部統制につ
いて責任を負っている。
財務書類の作成において、理事会および総裁は、当行を清算する意図もしくは業務を停止する意図がなく、またはそう
せざるを得ない代替手段が現に存在しない限り、継続企業として存続する当行の能力の評価、(適用ある場合)継続企業
の前提にかかる事項の開示、ならびに会計の継続企業基準の適用について、責任を負う。
統治責任者は、当行の財務報告プロセスの監視について責任を負う。
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財務書類の監査にかかる監査人の責任
私どもは、不正または過失によるかに拘わらず、財務書類全体に重大な虚偽記載がないかどうかについての合理的な確
証を得ること、ならびに私どもの意見を含む監査報告書を発行することを目的としている。合理的な確証とは、確度の高
い保証であるが、 ISA に従って実施された監査が存在する重大な虚偽記載を常に発見できることを保証するものではな
い。虚偽記載は、不正または過失から生じる可能性があり、個別にまたは全体として、財務書類の基礎として利用者が用
いる経済的判断に影響を及ぼすことが合理的に予想されうる場合は、重大であるとみなされる。
ISA に従った監査の一環として、私どもは、監査全体を通じて職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持
している。私どもはまた、
・ 不正または過失によるかに拘わらず、財務書類の重大な虚偽記載に関するリスクを特定し、評価し、かかるリスク
に対応した監査手続きを計画し、実行し、私どもの意見に関する基礎を与えるために十分かつ適切な監査証拠を得
る。不正には、共謀、偽造、意図的な省略、虚偽表示または内部統制の無視が絡むことがあるため、不正の結果と
しての重大な虚偽記載が発見されないリスクは、過失によるものより高い。
・ 状況に応じて適切な監査手続きを計画するために、監査に関連する内部統制について理解する。ただし、当行の内
部統制の有効性にかかる意見を述べることを目的とするものではない。
・ 用いられた会計方針の適正性および経営陣による会計上の見積りおよび関連する開示の妥当性を評価する。
・ 理事会および総裁による会計の継続企業基準の利用の適正性、ならびに得られた監査証拠に基づいて、継続企業と
して存続する当行の能力について重大な疑いを掛けうる事象または状況に関連して重大な不確実性があるか否かに
ついて、結論付ける。私どもが重大な不確実性があると判断した場合、私どもは、その監査報告書において財務書
類中の関連する開示事項に注意喚起することを求められ、かかる開示が十分でない場合には、意見の修正を求めら
れる。私どもの判断は、監査報告書の日付までに得られた監査証拠に基づくものである。ただし、将来の事象また
は状況によって当行が継続企業として存続しなくなる可能性がある。
・ 公正な表示が実現する方法で、開示事項を含む財務書類の全体の表示、構成および内容、ならびに財務書類が基礎
となる取引および事象を表示しているかどうかを評価する。
私どもは、とりわけ計画された監査の範囲および時期ならびに私どもが監査中に特定した内部統制の重大な不備を含む
重要な監査上の発見について、統治責任者に報告を行っている。
私どもはまた、独立性に関する関連する倫理要件を私どもが遵守している旨を統治責任者に表明し、私どもの独立性を
損なうと合理的に考えられるすべての関係およびその他の事項ならびに適用ある場合には関連するセーフガードについて
統治責任者に報告している。
統治責任者への報告事項から、私どもは当期の財務書類の監査において最も重要であり、よって監査上の主要な事項と
なる事項を決定する。私どもは、当該事項についての公表が法令により禁止されない限り、または極めて稀なケースでは
あるが、開示することの悪影響が当該報告の公益性を上回ると合理的に考えられるために私どもが当該事項を報告書にす
べきでないと判断する場合を除き、かかる事項を監査報告書に記載する。
その他の要件にかかる報告
意見
財務書類の監査のほか、私どもは、契約条件に従って、 2018 年にかかる北欧投資銀行の理事会および総裁による業務の
執行についても監査を行った。私どもの意見では、理事会および総裁による業務の執行はすべての重要な点において定款
に準拠して行われていた。
意見の基礎
私どもは、一般に 認められた監査基準に従って監査を実施した。かかる基準に基づく私どもの責任 については、本報告
書の「 監査人の責任 」の項に詳述されている。私ども は、会計士の職業倫理に従って、当行から独立しており、かかる要
件に従って私どもの その他の倫理的責任を果たしている。
私どもは、私どもの入手した監査証拠が私どもの意見に関する基礎を与えるために十分かつ適切であると確信してい
る。
理事会および総裁の責任
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EDINET提出書類
北欧投資銀行(E06042)
有価証券報告書
当行のすべての権限は、定款第 14 条に定める統治委員会に付与されているものを除き、理事会に付与されている。理事
会は、適切とみなされる範囲で、これらの権限を総裁に委任することができる。
総裁は、当行 の現在の業務遂行について責任を有し、理事会から与えられた指針および指示に従うものとする。
監査人の責任
理事会および総裁による業務執行が当行の定款を遵守しているかどうかの監査に関する私どもの目的は、 重要な点で理
事会の構成員または総裁が定款に違反して行動したかどうかを合理的な範囲の確証をもって評価するための監査証拠を入
手することである。
合理的な確証とは、 確度の高い保証であるが、 ISA に従って実施された監査が当行に対する責任を生じさせうる行為ま
たは不作為を常に発見できることを保証するものではない。
ISA に従った監査の一環として、私どもは、監査全体を通じて職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持
している。業務執行 の審査は主に会計監査に基づいている。実施された追加の監査手続きは、リスクおよび重要性を出発
点とした私どもの専門家としての判断に基づいている。これは、業務にとって重要であり、その乖離および違反が当行の
状況にとって特に重要となりうる行為、分野および関係性についての精査に私どもが重点を置いていることを意味してい
る。私どもは、行われた決定、決定に対する支持、取られた行動、および私どもの意見に関連したその他の状況について
精査・検証する。
EY を代表する監査人は、 2018 会計年度以降監査委員会により監査人として任命されてきた。下記に署名する監査人は、
2018 会計年度以降担当監査人として行為してきた。
2019 年2月 15 日、ヘルシンキ
アーンスト・アンド・ヤング Oy アーンスト・アンド・ヤング Oy
公認会計士事務所 公認会計士事務所
(署 名) (署 名)
Terhi M äkinen Mona Alfredsson
公認会計士
公認会計士
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