ヤマトホールディングス株式会社 有価証券報告書 第155期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
提出書類 | 有価証券報告書-第155期(平成31年4月1日-令和2年3月31日) |
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提出日 | |
提出者 | ヤマトホールディングス株式会社 |
カテゴリ | 有価証券報告書 |
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ヤマトホールディングス株式会社(E04187)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2020年6月23日
【事業年度】 第155期(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
【会社名】 ヤマトホールディングス株式会社
【英訳名】 YAMATO HOLDINGS CO., LTD.
【代表者の役職氏名】 取締役社長 長尾 裕
【本店の所在の場所】 東京都中央区銀座二丁目16番10号
【電話番号】 (03)3541-4141(大代表)
【事務連絡者氏名】 執行役員 財務戦略担当 樫本 敦司
【最寄りの連絡場所】 東京都中央区銀座二丁目16番10号
【電話番号】 (03)3541-4141(大代表)
【事務連絡者氏名】 執行役員 財務戦略担当 樫本 敦司
【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
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第一部【企業情報】
第1【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
(1)連結経営指標等
回次 第151期 第152期 第153期 第154期 第155期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
(百万円) 1,416,413 1,466,852 1,538,813 1,625,315 1,630,146
営業収益
(百万円) 69,426 34,884 36,085 54,259 40,625
経常利益
親会社株主に帰属する
(百万円) 39,424 18,053 18,231 25,682 22,324
当期純利益
(百万円) 24,482 22,916 22,772 26,987 17,285
包括利益
(百万円) 543,855 545,559 557,586 573,388 562,835
純資産額
(百万円) 1,089,436 1,114,672 1,114,870 1,123,659 1,100,739
総資産額
(円) 1,349.56 1,367.51 1,395.74 1,435.15 1,441.20
1株当たり純資産額
(円) 96.45 45.37 46.24 65.14 56.78
1株当たり当期純利益
潜在株式調整後1株当たり
(円) 95.64 - - - -
当期純利益
(%) 49.4 48.4 49.4 50.4 50.4
自己資本比率
(%) 7.1 3.4 3.3 4.6 4.0
自己資本利益率
(倍) 23.3 51.4 57.7 43.9 29.9
株価収益率
営業活動によるキャッシュ・
(百万円) 49,715 73,324 51,728 118,093 74,433
フロー
投資活動によるキャッシュ・
(百万円) △ 30,230 △ 73,999 △ 41,174 △ 54,872 △ 49,943
フロー
財務活動によるキャッシュ・
(百万円) △ 16,833 △ 18,777 △ 36,930 △ 70,947 △ 22,368
フロー
現金及び現金同等物の
(百万円) 249,261 228,926 202,863 194,650 196,662
期末残高
(人) 196,582 201,784 213,096 225,125 224,945
従業員数
(注)1.営業収益は、消費税等を含んでおりません。
2.第152期以降の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しており
ません。
3.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)を第154期の期首
から適用しており、第153期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準を遡って適用した後の指標
等となっております。
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(2)提出会社の経営指標等
回次 第151期 第152期 第153期 第154期 第155期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
(百万円) 32,236 43,963 27,384 29,445 49,864
営業収益
(百万円) 25,473 35,846 18,266 20,342 36,551
経常利益
当期純利益又は当期純損失
(百万円) 19,430 31,150 15,203 △ 5,316 16,169
(△)
(百万円) 127,234 127,234 127,234 127,234 127,234
資本金
(千株) 411,339 411,339 411,339 411,339 411,339
発行済株式総数
(百万円) 342,257 353,164 358,413 341,497 327,007
純資産額
(百万円) 522,348 518,865 538,017 536,657 524,956
総資産額
(円) 858.83 895.73 909.04 866.14 848.90
1株当たり純資産額
28.00 27.00 27.00 28.00 41.00
1株当たり配当額
(円)
(うち1株当たり中間配当額) ( 13.00 ) ( 13.00 ) ( 13.00 ) ( 14.00 ) ( 15.00 )
1株当たり当期純利益又は
(円) 47.54 78.28 38.56 △ 13.49 41.13
1株当たり当期純損失(△)
潜在株式調整後1株当たり
(円) 47.16 - - - -
当期純利益
(%) 65.5 68.1 66.6 63.6 62.3
自己資本比率
(%) 5.4 9.0 4.3 △ 1.5 4.8
自己資本利益率
(倍) 47.3 29.8 69.2 △ 211.9 41.3
株価収益率
(%) 58.9 34.5 70.0 △ 207.6 99.7
配当性向
(人) 151 199 206 244 284
従業員数
(%) 82.1 86.1 99.2 107.1 66.7
株主総利回り
(比較指標:配当込みTOPIX) (%) ( 89.2 ) ( 102.3 ) ( 118.5 ) ( 112.5 ) ( 101.8 )
(円) 2,897.0 2,661.5 2,918.0 3,559.0 2,940.0
最高株価
(円) 2,165.5 2,051.5 2,081.0 2,654.0 1,289.0
最低株価
(注)1.営業収益は、消費税等を含んでおりません。
2.第151期の1株当たり配当額28円には、宅急便40周年記念配当2円を含んでおります。
3.第152期、第153期および第155期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しな
いため記載しておりません。
4.第154期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であり、また、潜在株
式が存在しないため記載しておりません。
5. 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)を第154期の期首
から適用しており、第153期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準を遡って適用した後の指標
等となっております。
6.第155期の1株当たり配当額41円には、創業100周年記念配当10円を含んでおります。
7.最高株価および最低株価は、東京証券取引所(市場第一部)におけるものであります。
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2【沿革】
当社の前身(大和運輸株式会社)は1919年11月29日東京市京橋区において資本金10万円をもって創立されました。
1929年2月増資手続として第二大和運輸株式会社を設立し、同社は大和運輸株式会社を合併するとともに商号を大和
運輸株式会社と改称、資本金25万円で発足し現在に至っております。
1919年11月 東京市京橋区において資本金10万円、車両数4台で創立。
1929年4月 東京-横浜間に定期便を開始する。わが国最初の路線事業。
1949年5月 東京証券取引所の再開とともに株式を上場。
1950年3月 通運事業を開始。
1951年1月 C.A.T.航空会社と代理店契約を締結し、航空貨客の取扱を開始。
1952年1月 海上貨物取扱船積業務を開始。
1958年6月 美術梱包輸送業務を開始。
1958年8月 日本航空株式会社と代理店契約を締結し、国内航空貨物の取扱を開始。
1960年2月 国際航空混載貨物の取扱業務を開始。
1966年4月 一般港湾運送事業の営業を開始。
1973年1月 コンピュータ部門を分離し、ヤマトシステム開発株式会社を設立。
1976年1月 小口貨物の宅配システム「宅急便」を開始。
1981年9月 当社株式が東京証券取引所市場第一部に指定替えされる。
1982年10月 商号をヤマト運輸株式会社と改称。
1985年7月 引越を商品化した新サービスを開始。
1986年7月 ヤマトコレクトサービス株式会社(現ヤマトフィナンシャル株式会社)を設立。
1988年7月 日本初の低温管理による宅配システム「クール宅急便」を開始。
1996年12月 年末年始営業開始。365日営業となる。
1997年3月 「クロネコメール便」全国展開を開始。
1997年11月 小笠原諸島へのサービス開始により、宅急便の全国ネットワークが完成。
2003年4月 ロジスティクス事業の一部を分割し、ヤマトロジスティクス株式会社に承継。
海上フォワーディング事業、通関事業、美術品輸送事業および国際引越事業を分割し、ヤマトグロー
バルフレイト株式会社に承継。
2003年10月 引越事業を分割し、ヤマトホームコンビニエンス株式会社に承継。
自動車整備部門を分割し、ヤマトオートワークス株式会社に承継。
2004年10月 ヤマトロジスティクス株式会社、ヤマトパーセルサービス株式会社をヤマトグローバルフレイト株式
会社に吸収合併し、同社をヤマトロジスティクス株式会社に社名変更。
2005年4月 ファインクレジット株式会社(現ヤマトクレジットファイナンス株式会社)に経営参加。
2005年11月 デリバリー事業およびその他すべての事業を分割し、ヤマト運輸分割準備株式会社(現ヤマト運輸株
式会社)に承継。純粋持株会社となり、商号をヤマトホールディングス株式会社に変更。
2008年4月 ヤマト運輸株式会社のエキスプレス事業を分割し、ヤマトグローバルエキスプレス株式会社に承継。
2008年8月 ヤマトロジスティクス株式会社を、ロジスティクス事業等を行うヤマトロジスティクス株式会社、国
際物流サービス事業等を行うヤマトグローバルロジスティクスジャパン株式会社に分割。
2010年1月 シンガポールおよび 上海 において宅急便事業を開始。
2011年2月 香港において宅急便事業を開始。
2011年9月 マレーシアにおいて宅急便事業を開始。
2012年11月 沖縄国際物流ハブを活用した、海外宅急便展開地域向け「国際宅急便」の最短翌日配達を開始。
2013年8月 総合物流ターミナル「厚木ゲートウェイ」を竣工。
2013年9月 総合物流ターミナル「羽田クロノゲート」を竣工。
2015年3月 「クロネコメール便」のサービスを廃止。
2015年4月 「宅急便コンパクト」、「ネコポス」、および 新たな投函サービス「クロネコDM便」を発売。
2016年1月 マレーシア宅配大手GD EXPRESS CARRIER BHD.と業務・資本提携を締結。
2016年7月 ネオポストグループとの合弁会社Packcity Japan株式会社が、オープン型宅配ロッカー事業を開始。
2016年8月 サイアム・セメント・グループとタイ国内で宅急便サービスを提供する合弁会社の設立に合意。
2016年8月 マレーシアを本拠地とするクロスボーダー陸上幹線輸送会社OTLグループ3社の株式取得およびベト
ナム事業取得に合意。
2016年9月 総合物流ターミナル「中部ゲートウェイ」を竣工。
2016年11月 広州市に本拠地をおく国際物流事業者 広州威時沛運集団有限公司への出資に合意。
2017年11月 総合物流ターミナル「関西ゲートウェイ」の稼働を開始。
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3【事業の内容】
ヤマトグループは、ヤマトホールディングス株式会社(当社)および、子会社55社、関連会社25社により構成され
ており、デリバリー事業、BIZ-ロジ事業、ホームコンビニエンス事業、e-ビジネス事業、フィナンシャル事
業、オートワークス事業を主な事業としているほか、これらに附帯するサービス業務等を営んでおります。
事業内容と各関係会社等の当該事業における位置づけおよび報告セグメントとの関連は、次のとおりであります。
なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており
ます。これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断するこ
ととなります。
セグメントの名称 事業内容及び主要商品 主要な会社
宅急便、宅急便コンパクト、 ヤマト運輸㈱、沖縄ヤマト運輸㈱、
ネコポス、クール宅急便、 ヤマトグローバルエキスプレス㈱、
宅急便タイムサービス、国際宅急便、 エキスプレスネットワーク㈱、ヤマトダイアログ&メディア㈱、
デリバリー
ゴルフ・スキー・空港宅急便、 ヤマトコンタクトサービス㈱、 ヤマト・スタッフ・サプライ㈱、
事業
クロネコDM便、国内航空貨物輸送、時間便 雅瑪多(中国)運輸有限公司、Packcity Japan㈱、
SCG YAMATO EXPRESS CO., LTD. (合計10社)
ロジスティクス、 ヤマトロジスティクス㈱、
メディカル製品物流サービス、 ヤマトグローバルロジスティクスジャパン㈱、
メンテナンスサポートサービス、 ヤマトパッキングサービス㈱、ヤマト包装技術研究所㈱、
リコールサポートサービス、 湖南工業㈱、YAMATO TRANSPORT U.S.A.,INC.、
国際貨物一貫輸送サービス、
YAMATO TRANSPORT EUROPE B.V.、雅瑪多国際物流有限公司、
BIZ-ロジ
海外生活支援サービス
雅瑪多運輸(香港)有限公司、
事業
TAIWAN YAMATO INTERNATIONAL LOGISTICS INC.、
YAMATO TRANSPORT(S)PTE.LTD.、YAMATO TRANSPORT (M) SDN.BHD.、
広州威時沛運集団有限公司、GD EXPRESS CARRIER BHD.
その他34社 (合計48社)
家財・家電の集配・セッティングサービス、
ヤマトホームコンビニエンス㈱
ホームコンビニ
引越・生活関連サービス、
エンス事業
物品販売事業
(合計1社)
システムの開発、
ヤマトシステム開発㈱、ヤマトWebソリューションズ㈱
システムパッケージの販売、
e-ビジネス その他1社
事業 物流情報サービス、
情報セキュリティサービス
(合計3社)
宅急便コレクト、 ヤマトフィナンシャル㈱、ヤマトクレジットファイナンス㈱、
フィナンシャル ネット総合決済サービス、 ヤマトリース㈱※
事業 企業間流通決済サービス、 その他1社
総合リースサービス
(合計4社)
車両整備事業、 ヤマトオートワークス㈱、ヤマトオートワークス岩手㈱、
オートワークス 燃料販売、 ヤマトオートワークス北信越㈱、
事業 損害保険代理店業 ヤマトオートワークス四国㈱、ヤマトオートワークス沖縄㈱
(合計5社)
JITBOXチャーター便、 ヤマトホールディングス㈱、雅瑪多管理(中国)有限公司、
シェアードサービス 雅瑪多(香港)有限公司、YAMATO ASIA PTE.LTD.、
ボックスチャーター㈱、 ヤマトボックスチャーター㈱、
その他
ヤマトマネージメントサービス㈱、ヤマトマルチチャーター㈱、
神戸ヤマト運輸㈱
その他1社 (合計10社)
※ ヤマトリース株式会社は、2020年4月1日付で、当社が保有する株式の一部を譲渡したことに伴い、子会社から関連
会社になっております。
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以上の企業集団の状況について事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
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4【関係会社の状況】
議決権の
資本金
名称 住所 事業の内容 所有割合
関係内容
(百万円)
(%)
(連結子会社)
役員の兼任 当社役員2名
資金の貸付2,864百万円を
資金の援助
行っている。
※1 東京都
ヤマト運輸㈱ 50,000 デリバリー事業 100
営業上の取引 なし
※2 中央区
設備の賃貸借 施設を賃借している。
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
沖縄県
デリバリー事業 営業上の取引 なし
沖縄ヤマト運輸㈱ 50 100
糸満市
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
ヤマトグローバル 東京都
1,000 デリバリー事業 100 営業上の取引 なし
エキスプレス㈱ 港区
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
エキスプレス 東京都
112 デリバリー事業 67 営業上の取引 なし
ネットワーク㈱ 港区
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
ヤマトダイアログ
東京都
100 デリバリー事業 51 営業上の取引 なし
&メディア㈱ 中央区
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
ヤマト コンタクト
東京都
20 デリバリー事業 100 営業上の取引 なし
サービス ㈱ 豊島区
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の貸付317百万円を
資金の援助
行っている。
ヤマト・スタッフ 東京都
150 デリバリー事業 100
営業上の取引 なし
中央区
・サプライ㈱
設備の賃貸借 施設を賃貸している。
その他 なし
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議決権の
資本金
名称 住所 事業の内容 所有割合
関係内容
(百万円)
(%)
役員の兼任 当社役員1名
資金の貸付2,449百万円
資金の援助
を行っている。
雅瑪多(中国)運輸 上海 百万RMB 100
デリバリー事業
営業上の取引 なし
有限公司 中国 550 (100)
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 当社役員2名
資金の援助 なし
東京都
ヤマトロジスティクス㈱ 1,000 BIZ-ロジ事業 100 営業上の取引 なし
中央区
設備の賃貸借 施設を賃貸している。
その他 なし
役員の兼任 当社役員1名
資金の援助 なし
ヤマトグローバル
東京都
ロジスティクス 1,880 BIZ-ロジ事業 100 営業上の取引 なし
中央区
ジャパン㈱
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
ヤマトパッキング 東京都
80 BIZ-ロジ事業 100 営業上の取引 なし
サービス㈱ 江東区
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
東京都
ヤマト包装技術研究所㈱ 20 BIZ-ロジ事業 100 営業上の取引 なし
大田区
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
浜松市
湖南工業㈱ 20 BIZ-ロジ事業 100 営業上の取引 なし
南区
(100)
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
カリフォルニ
YAMATO TRANSPORT ア 百万US$
BIZ-ロジ事業 100 営業上の取引 なし
アメリカ合衆
▶
U.S.A.,INC.
国
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
スキポールラ
YAMATO TRANSPORT
百万EURO
イク BIZ-ロジ事業 営業上の取引 なし
100
EUROPE B.V. 8
オランダ
設備の賃貸借 なし
その他 なし
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議決権の
資本金
所有割合
名称 住所 事業の内容
関係内容
(百万円)
(%)
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
上海 百万RMB 100
雅瑪多国際物流有限公司 BIZ-ロジ事業 営業上の取引 なし
中国 120 (100)
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 当社役員1名
資金の援助 なし
雅瑪多運輸(香港) 百万HK$ 100
香港 BIZ-ロジ事業 営業上の取引 なし
有限公司 760 (100)
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 当社役員1名
資金の援助 なし
TAIWAN YAMATO
台北 百万NT$ 100
INTERNATIONAL BIZ-ロジ事業 営業上の取引 なし
台湾
21 (100)
LOGISTICS INC.
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
YAMATO TRANSPORT(S)
百万S$ 100
シンガポール BIZ-ロジ事業 営業上の取引 なし
34 (100)
PTE.LTD.
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
YAMATO TRANSPORT(M) 60
セランゴール 百万RM
BIZ-ロジ事業 営業上の取引 なし
マレーシア
71
SDN.BHD. (60)
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 当社役員2名
資金の貸付13,927百万円
資金の援助
を行っている。
ヤマトホーム 東京都 ホームコンビニエン
480 100
営業上の取引 なし
コンビニエンス㈱ 中央区 ス事業
設備の賃貸借 施設を賃貸している。
その他 なし
役員の兼任 当社役員2名
資金の援助 なし
ヤマトシステム 東京都 当社のシステムの運営管
e-ビジネス事業 営業上の取引
1,800 100
江東区 理を委託している。
開発㈱
設備の賃貸借 施設を賃貸している。
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
ヤマトWeb 東京都 100
30 e-ビジネス事業 営業上の取引 なし
ソリューションズ㈱ 江東区 (100)
設備の賃貸借 なし
その他 なし
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議決権の
資本金
所有割合
名称 住所 事業の内容
関係内容
(百万円)
(%)
役員の兼任 当社役員2名
資金の援助 なし
東京都
ヤマトフィナンシャル㈱ 1,000 フィナンシャル事業 100 営業上の取引 なし
中央区
設備の賃貸借 施設を賃貸している。
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の貸付12,961百万円
資金の援助
を行っている。
ヤマトクレジット 東京都
500 フィナンシャル事業 70
営業上の取引 なし
豊島区
ファイナンス㈱
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 当社役員1名
資金の貸付94,272百万円
資金の援助
を行っている。
東京都
ヤマトリース㈱ 30 フィナンシャル事業 100
営業上の取引 なし
豊島区
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 当社役員1名
資金の援助 なし
東京都
営業上の取引 なし
ヤマトオートワークス㈱ 30 オートワークス事業 100
中央区
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
ヤマトオートワークス 岩手県 95
オートワークス事業 営業上の取引 なし
1
岩手㈱ 北上市 (95)
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
ヤマトオートワークス 新潟市 95
30 オートワークス事業 営業上の取引 なし
北信越㈱ 西区 (95)
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
ヤマトオートワークス 香川県 100
1 オートワークス事業 営業上の取引 なし
四国㈱ 仲多度郡 (100)
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
ヤマトオートワークス
沖縄県 100
営業上の取引 なし
30 オートワークス事業
沖縄㈱ 糸満市
(100)
設備の賃貸借 なし
その他 なし
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議決権の
資本金
所有割合
名称 住所 事業の内容
関係内容
(百万円)
(%)
役員の兼任 当社役員1名
資金の援助 なし
雅瑪多管理(中国) 上海 百万RMB
その他 100 営業上の取引 なし
有限公司 中国 50
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
雅瑪多(香港)有限公司
百万HK$
香港 その他 100 営業上の取引 なし
※1 970
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 当社役員2名
資金の貸付3,806百万円
資金の援助
を行っている。
YAMATO ASIA PTE.LTD.
百万S$
シンガポール その他 100
営業上の取引 なし
※1 352
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
東京都
ボックスチャーター㈱ 230 その他 57 営業上の取引 なし
千代田区
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
ヤマトボックス
東京都
400 その他 100 営業上の取引 なし
チャーター㈱ 中央区
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 当社役員1名
資金の援助 なし
ヤマトマネージメント 東京都 会計業務、人事業務を
100 その他 100 営業上の取引
サービス㈱ 中央区 委託している。
設備の賃貸借 施設を賃貸している。
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
ヤマトマルチ 京都市
96 その他 100 営業上の取引 なし
チャーター㈱ 伏見区
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
神戸市
その他 営業上の取引 なし
神戸ヤマト運輸㈱ 20 100
中央区
設備の賃貸借 なし
その他 なし
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議決権の
資本金
所有割合
名称 住所 事業の内容
関係内容
(百万円)
(%)
(持分法適用関連会社)
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
東京都 49
Packcity Japan㈱
1,500 デリバリー事業
営業上の取引 なし
千代田区 (49)
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の貸付409百万円を
資金の援助
行っている。
SCG YAMATO EXPRESS
バンコク 百万BAHT 35
デリバリー事業
営業上の取引 なし
CO., LTD. タイ 633 (35)
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 当社役員1名
資金の援助 なし
広州威時沛運集団 広州 百万RMB 39.3
BIZ-ロジ事業 営業上の取引 なし
有限公司 中国
64 (39.3)
設備の賃貸借 なし
その他 なし
役員の兼任 なし
資金の援助 なし
GD EXPRESS CARRIER
セランゴール 百万RM 22.8
BIZ-ロジ事業 営業上の取引 なし
マレーシア
337 (22.8)
BHD.
設備の賃貸借 なし
その他 なし
その他15社
※1.ヤマト運輸株式会社、雅瑪多(香港)有限公司およびYAMATO ASIA PTE.LTD.は、特定子会社に該当しておりま
す。
※2.ヤマト運輸株式会社については、営業収益(連結会社相互間の内部営業収益を除く。)の連結営業収益に占め
る割合が10%を超えております。しかし、当該会社の営業収益(セグメント間の内部売上高又は振替高を含
む。)が、セグメント情報におけるデリバリー事業の営業収益の90%超であるため、主要な損益情報等の記載
を省略しております。
(注) 議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。
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5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
2020年3月31日現在
従業員数(人)
セグメントの名称
202,770
デリバリー事業
8,181
BIZ-ロジ事業
4,790
ホームコンビニエンス事業
3,495
e-ビジネス事業
799
フィナンシャル事業
2,211
オートワークス事業
2,699
その他
224,945
合計
(2)提出会社の状況
2020年3月31日現在
従業員数(人) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(円)
284 40.2 14.0 9,709,629
(注)1.平均年間給与(税込)には基準外手当および賞与を含んでおります。
2.当社の従業員数は、「(1)連結会社の状況」のその他に含まれております。
(3)労働組合の状況
ヤマトグループには、ヤマト運輸労働組合等が組織されております。なお、労使関係について、特に記載すべき
事項はありません。
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第2【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。
(1) 経営方針
ヤマトグループは、社会的インフラとしての宅急便ネットワークの高度化、より便利で快適な生活関連サービス
の創造、革新的な物流システムの開発を通じて、豊かな社会の実現に貢献することを経営理念に掲げ、生活利便の
向上に役立つ商品・サービスを開発してまいりました。
今後も、社会インフラの一員として社会の課題に正面から向き合い、お客様、社会のニーズに応える「新たな物
流のエコシステム」を創出することで、豊かな社会の創造に持続的に貢献してまいります。また、生産性の向上を
図るなど効率化を推進し、収益力の強化に努めることで、安定した経営を目指してまいります。
(2) 経営環境、経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
今後の経済情勢については、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い大幅に悪化しており、今後の感染
拡大ペースや収束時期が不透明な中、内外経済環境の回復が見通せない状況にあります。
一方、物流業界においては、消費スタイルの急速な変化によりEC市場が拡大する中、新型コロナウイルス感染
症の拡大に伴う世界的な製造業の生産活動や貿易の停滞、移動の制限によるインバウンド需要の急激な減少、サー
ビス業を中心とした営業自粛など経済活動全般が縮小しており、今後の経営環境への影響が不透明な状況にありま
す。
このような状況下、ヤマトグループはお客様、社員の安全を最優先に、宅急便をはじめとする物流サービスの継
続に取り組んでまいります。また、2020年1月、前中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」の成果と課題、外
的環境の変化を踏まえ、今後のヤマトグループにおける中長期の経営のグランドデザインとして経営構造改革プラ
ン「YAMATO NEXT100」を策定しました。宅急便のデジタルトランスフォーメーション、ECエコシステムの確立、
法人向け物流事業の強化に向けた3つの事業構造改革と、グループ経営体制の刷新、データ・ドリブン経営への転
換、サステナビリティの取り組みの3つの基盤構造改革からなる当プランを着実に実行し、持続的な成長を目指し
てまいります。
2021年4月には、現在の機能単位から、リテール・地域法人・グローバル法人・ECの4事業本部と、4つの機
能本部からなる経営体制へ移行し、中長期的(2024年3月期)に、営業収益2兆円、営業利益1,200億円以上、R
OE10%以上をターゲットとします。なお、主要経営指標等を含む詳細な中期経営計画については、2022年3月期
からの3か年計画として検討を進めてまいります。
①3つの事業構造改革
ⅰ.「宅急便」のデジタルトランスフォーメーション
デジタル化とロボティクスの導入で、「宅急便」を当社の安定的な収益基盤にするとともに、セールスドラ
イバーがお客様との接点により多くの時間を費やせる環境を構築し、お客様との関係を強化します。
徹底したデータ分析とAIの活用で、需要と業務量予測の精度を向上し、予測に基づく人員配置・配車・配
送ルートの改善など、輸配送工程とオペレーション全体の最適化、標準化によって、集配の生産性を向上しま
す。
さらに、従来の仕分けプロセスを革新する独自のソーティング・システムの導入で、ネットワーク全体の仕
分け生産性を4割向上させるなど、取扱個数の増減だけに影響されない、安定的な収益構造に改めます。
ⅱ.ECエコシステムの確立
今後も進展が予想される「産業のEC化」に特化した物流サービスの創出に取り組みます。
既に、2020年4月より、EC事業者、物流事業者と協業し、一部の地域でEC向け新配送サービスを開始し
ており、外部の配送リソースとヤマトの拠点やデジタル基盤を融合し、まとめ配達や配達距離の短縮化、オー
プンロッカーや取扱店受け取り、安心な指定場所配達などを通じて、EC事業者、購入者、運び手のそれぞれ
のニーズに応える、EC向けラストマイルサービスの最適解を導き出し、全国への展開を目指します。
また、あらゆる商取引のEC化に対応する統合受発注、輸配送、在庫管理、決済、返品などを一括管理でき
るオープンなデジタル・プラットフォームを構築し、2021年4月からの提供を目指します。
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ⅲ.法人向け物流事業の強化
グループに点在する専門人材、流通機能やソーティング・システムなどの物流機能、物流拠点を結ぶ幹線
ネットワークなど、法人向けの経営資源を結集し、お客様の立場に立ったアカウントマネジメントを推進しま
す。
そのためのデータ基盤として「Yamato Digital Platform」(以下、YDP)を構築し、精度の高いリアル
タイムの情報を軸とした法人向け物流ソリューションの提案力を強化し、製造業や流通業など、販売物流や静
脈物流に課題を持つ法人企業の生産・調達から納品・検品、請求・支払に至るサプライチェーン全体を最適化
するソリューションの開発に注力します。
ヤマトグループでは、すでにヘルスケア業界や農産品流通において、こうしたソリューションを提供してい
ますが、さらに強みである多頻度小口配送とデータ基盤を統合し、各業界、業種に幅広く提供することで新た
な成長を目指します。
②3つの基盤構造改革
ⅰ.グループ経営体制の刷新
現在の機能単位の部分最適を、顧客セグメント単位の全体最適な組織に変革し、経営のスピードをより速め
るため、2021年4月、当社の100%子会社であるヤマト運輸株式会社が、グループ会社7社を吸収合併および
吸収分割することにより、純粋持株会社の当社のもと、リテール・地域法人・グローバル法人・ECの4事業
本部と、4つの機能本部を構築します。
輸送・プラットフォーム・ITの各機能本部は、ネットワーク・拠点・車両を含めた輸配送工程の全体最適
化、YDP・クロネコメンバーズなどのプラットフォームの進化、ITの強化とIT人材の開発など、事業本
部の競争優位の源泉となる各機能の開発と運営を担います。また、プロフェッショナルサービス機能本部は、
再編で重複する業務の統廃合を受け、管理間接業務や調達業務を集約するとともに、徹底した業務の標準化、
効率化を進めます。
ⅱ.データ・ドリブン経営への転換
今後4年間で約1,000億円をデジタル分野に投資するとともに、社内外のデジタル・IT人材を結集し、
2021年4月には300人規模の新デジタル組織を立ち上げます。
新組織立ち上げに向け、2021年3月期は下記の5つのアクションを実行します。
〔1〕データ・ドリブン経営による予測に基づいた意思決定と施策の実施
〔2〕アカウントマネジメントの強化に向けた法人顧客データの統合
〔3〕流動のリアルタイム把握によるサービスレベルの向上
〔4〕稼働の見える化、原価の見える化によるリソース配置の最適化、高度化
〔5〕最先端のテクノロジーを取り入れたYDPの構築、および基幹システム刷新への着手
また、2020年4月1日に設立したCVCファンド(コーポレートベンチャーキャピタルファンド)である
「KURONEKO Innovation Fund」等を活用し、オープンイノベーションを加速してまいります。
ⅲ.サステナビリティの取り組み ~環境と社会を組み込んだ経営~
ヤマトグループは、持続可能な未来を切り拓く将来の姿として「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」、
「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」の2つのビジョンを掲げ、人や資
源、情報を高度につなぎ、輸送をより効率化させることで、環境や生活、経済によりよい物流の実現を目指し
ます。
そして、フェアな事業や多様なパートナーとの共創により、リーディングカンパニーとして社会課題を解決
していきます。2050年CO 2 実質排出ゼロ(自社の排出:Scope1(直接排出)とScope2(電気等の使用に伴
う間接排出))に挑戦し、低炭素車両の導入や再エネ利用等を進めていきます。また、持続可能な資源の利
用、スマートモビリティ、働きやすい職場づくりを通じたディーセント・ワーク(働きがいのある、人間らし
い仕事)達成への貢献、人権・ダイバーシティの尊重、健全でレジリエンス(強靭)なサプライチェーンマネ
ジメントなどに注力していきます。
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(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
ヤマトグループは、社会インフラの一員として社会の課題に正面から向き合い、お客様、社会のニーズに応える
「新たな物流のエコシステム」を創出することで、豊かな社会の創造に持続的な貢献を果たしていくため、中長期
の経営のグランドデザインである経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」に基づき、以下の課題に取り組んでまい
ります。
① 新型コロナウイルス感染症の拡大に対応し、お客様に安心して宅急便をご利用いただくため、社員の衛生管
理に最大限留意するとともに、非対面での荷物のお届けへの対応や接客時の感染防止対策の実施、ホーム
ページなどを活用した情報発信などに取り組んでおります。引き続き、お客様、社員の安全を最優先に、宅
急便をはじめとする物流サービスの継続に努めてまいります。
② お客様、社会のニーズに正面から向き合う経営をさらに強化するため、2021年4月にグループ経営体制を刷
新し、従来の機能単位の組織を、リテール・地域法人・グローバル法人・ECの4つの顧客セグメント単位
の組織に再編するとともに、経営と事業の距離を縮め意思決定の迅速化を図ることで、お客様の立場で考え
スピーディーに応える経営を目指してまいります。また、グループ経営の健全性を高めるため、引き続き、
商品・サービスの審査および内部通報に関する運用状況のモニタリングや社員への倫理教育など、グループ
ガバナンスの強化に取り組んでまいります。
③ 第一線の社員がお客様にしっかりと向き合う「全員経営」を推進するため、データ・ドリブン経営への転換
に取り組んでまいります。宅急便をより安定的な収益基盤にするとともに、セールスドライバーがお客様へ
のサービス提供により多くの時間を費やすことができる環境を構築するため、宅急便のデジタルトランス
フォーメーションを推進してまいります。データ分析とAIの活用により、需要と業務量予測の精度を向上
し、輸配送工程とオペレーション全体を最適化、標準化し、集配および幹線輸送の生産性を向上させるとと
もに、デジタル化とロボティクスの導入により従来の仕分けプロセスを革新するソーティング・システムを
導入し、物流ネットワーク全体の仕分け生産性の向上を目指してまいります。
④ 社会のニーズに応え、EC市場の高い成長力を取り込むECエコシステムの確立に向けて、「産業のEC
化」に特化した物流サービスの創出に取り組んでまいります。EC事業者や物流事業者との共創により、外
部の配送リソースとヤマトグループの拠点やデジタル基盤を融合し、EC事業者、購入者、運び手のそれぞ
れのニーズに応えるEC向け配送サービスを提供するとともに、受発注、輸配送、在庫管理、決済、返品な
どを一括管理するオープンなデジタル・プラットフォームを構築してまいります。
⑤ 新たな成長の実現に向けて法人向け物流事業を強化するため、グループ各社に点在する専門人材、流通機能
や物流機能、物流拠点を結ぶ幹線ネットワークなど、法人向けの経営資源を結集し、お客様の立場に立った
アカウントマネジメントを推進するとともに、引き続き、グローバル関連事業のマネジメント強化に取り組
んでまいります。また、データ基盤を構築し、精度の高いリアルタイムの情報を活用した法人向け物流ソ
リューションの提案力を強化し、法人顧客のサプライチェーン全体を最適化するソリューションの開発に取
り組んでまいります。
⑥ 持続的な成長と持続可能な社会の発展を両立するため、サステナビリティの取組みを推進し、環境と社会を
組み込んだ経営を実践してまいります。持続可能な未来を切り拓く将来の姿として掲げた「つなぐ、未来を
届ける、グリーン物流」、「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」という
2つのビジョンの下、人や資源、情報を高度につなぎ、輸送をより効率化させることで、環境や生活、経済
によりよい物流の実現を目指してまいります。
⑦ 社員が働きやすさと働きがいを持ち、イキイキと働くことができる労働環境を実現し、社員満足を高めると
ともに多様な人材から選ばれる会社となるため、引き続き、魅力ある人事制度の構築や、社員の自主・自律
が評価され、イキイキと働くことができる評価制度の導入、教育体系の再構築などに取り組んでまいりま
す。
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2【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、ヤマトグループの経営成績等に重要な
影響を与えると認識している主要なリスクについて、経営への影響と顕在化する可能性の観点から重要なものを、事
業環境及びそれに対応した戦略に係るリスクと、事業運営に係るリスクに分類して、以下のように取り纏めておりま
す。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものでありま
す。
(1) 事業環境及びそれに対応した戦略に係るリスク
①市場・競争環境の変化によるリスク
ヤマトグループを取り巻く事業環境は大きく急速に変化しています。産業のEC化を背景に小口貨物が増加する
とともに、お客様の期待やニーズが多様化しており、従来の消費・産業構造に適応していた宅急便だけではこれら
の環境変化に対応できない可能性があります。また、市場構造の変化に伴い、物流事業者との競争の激化のみなら
ず、自社物流化を進めるECプラットフォーマーとの戦略的な関係性がより重要となるなど、競争環境も変化して
います。ヤマトグループの連結営業収益に占めるデリバリー事業の構成比は当連結会計年度において約8割を占め
ており、特にデリバリー事業が市場・競争環境の変化に適切に対応できない場合、ヤマトグループの経営成績等に
影響を与える可能性があります。また、持続可能な社会の発展に向けた企業の関わりや課題解決がより重要となっ
ており、持続可能性を伴わない企業活動を行う場合、お客様の支持が低下することや地域社会との関係が悪化する
こと、優秀な人材確保が困難になること、資金調達コストが上昇することなどにより、中長期的に、ヤマトグルー
プの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、2020年1月に中長期の経営のグランドデザインである経営構造
改革プラン「YAMATO NEXT100」を策定しました。宅急便を中心とした経営構造を変革し、「お客様・社会のニーズ
に正面から向き合う経営のさらなる強化」、「データ・ドリブン経営への転換」、「共創により物流のエコシステ
ムを創出する経営への転換」という3つの基本戦略に基づき、様々な取組みを推進しております。また、ヤマトグ
ループは、当プランにおいて、「サステナビリティの取組み~環境と社会を組み込んだ経営~」を基盤構造改革の
一つとして位置づけ、持続可能な未来を切り拓く将来の姿として掲げた「つなぐ、未来を届ける、グリーン物
流」、「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」という2つのビジョンの下、人や
資源、情報を高度につなぎ、輸送をより効率化させることで、環境や生活、経済によりよい物流の実現を目指し、
特定した重要課題に対する取組みを推進しています。
②労働人口の減少によるリスク
ヤマトグループの展開する事業は労働集約型の事業が多く、労働力としての質の高い人材の確保、適正な要員配
置が必要不可欠です。国内の労働人口の減少により労働需給がさらに逼迫し人材を十分に確保できない場合や、人
材獲得競争の激化によりコストが大幅に増加した場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があり
ます。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、社員が働きやすさと働きがいを持ち、イキイキと働くことがで
きる労働環境を実現し、社員満足を高めるとともに多様な人材から選ばれる会社となるため、魅力ある人事制度の
構築や、社員の自主・自律が評価されイキイキと働くことができる評価制度の導入、教育体系の再構築などを推進
しています。また、宅急便のデジタルトランスフォーメーションを推進し、輸配送工程とオペレーション全体の最
適化、標準化や、集配および幹線輸送の生産性向上に向けて、データ分析とAIの活用による需要と業務量予測の
精度向上に取り組むとともに、物流ネットワーク全体の仕分け生産性向上に向けた、デジタル化とロボティクスの
導入による仕分けプロセスの革新などを推進しております。
③テクノロジーの進化に係るリスク
ヤマトグループが事業を展開する物流業界において、AI・IoT・ビッグデータ等の活用によるリソースの最
適化や、ロボティクスの活用による倉庫業務の自動化、ドローン・自動運転の活用による幹線輸送やラストワンマ
イルの変革等、テクノロジーの進化に伴う様々な変化が生じています。短中期的に見込まれる新たなビジネスモデ
ルの出現に対してヤマトグループが適切に対応できない場合や、技術トレンドの誤った理解および先端テクノロ
ジーの導入手法に不備が発生した場合、期待通りの投資効果を得られず、ヤマトグループの経営成績等に影響を与
える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、データ・ドリブン経営への転換を推進し、社内外のデジタル・
IT人材を結集して先端テクノロジーの導入を進める専門組織を立ち上げるとともに、デジタル分野への直接投資
やCVCファンドを通じて、ヤマトグループの脅威となりうるテクノロジーや事業モデルの早期察知、およびオー
プンイノベーションによる新たな成長モデルの創出に取り組んでいます。
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④情報セキュリティに係るリスク
ヤマトグループは、営業上の機密情報に加え、物流業務や情報処理の受託等を通じて多くの個人情報・顧客情報
を保有しています。サイバー攻撃や管理の不徹底等により情報が外部に漏洩した場合やデータ喪失が発生した場
合、社会的信用の低下や損害賠償請求の発生、さらには推進しているデータ戦略に疑念が生じることなどにより、
ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、サイバー攻撃の高度化・巧妙化を想定した上で、組織的・人的
な対策と多層防御による技術的対策に取り組んでいます。
⑤地域の過疎化によるリスク
ヤマトグループの主な市場である日本国内は、総人口が減少するとともに、地域生活、地域経済において様々な
課題が発生しています。過疎化や高齢化が進む地域では、配送効率の低下や集配を担う人材不足が顕在化してお
り、今後、地域経済が縮小することにより地域社会インフラの衰退などの問題が深刻化する場合や、そのような地
域における収益性が低下することで、中長期的な観点で全国をきめ細かくカバーする物流ネットワークの維持が困
難になる場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」に基づきグループ経営
体制を刷新します。そして、地域法人事業を担当する部門が主体となり、自治体を含めた地域のステークホルダー
と連携の上、地域のインフラとしてのサプライチェーンを再構築し、地域社会の持続可能性に貢献する取組みを推
進していきます。
⑥コンプライアンスに係るリスク
ヤマトグループは、コンプライアンスを最優先とした経営を推進しています。しかしながら、商品・サービスや
労働・安全、サプライチェーン全体におけるコンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、
各種法令に抵触する事態が発生した場合、ヤマトグループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した事象
に対する追加的な費用の発生等により、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、グループ経営の健全性を高めるため、商品管理規程に基づく商
品管理プロセスの適切な運用や、社員への倫理教育の実施、内部通報制度及び協力会社・パートナーに対するアン
ケートを通じた不適正事案の早期発見と適切な対応など、グループガバナンスの強化に取り組んでいます。また、
経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」に基づきグループ経営体制を刷新し、経営と第一線の距離を縮め、意思疎
通の緊密化と意思決定の迅速化を図ることで、健全な企業風土の醸成に努めていきます。
(2) 事業運営に係るリスク
①感染症に係るリスク
ヤマトグループの展開する事業は労働集約型の事業が多く、社員の安全と健康を前提に事業を運営しておりま
す。予期せぬ感染症の流行等が発生した場合、社員の罹患等による人材の不足や、衛生用品の供与等に係る費用の
発生、さらには事業継続が困難になることなどによりヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性がありま
す。また、現在進行中の新型コロナウイルス感染症の影響により、世界的な製造業の生産活動や貿易の停滞、移動
の制限によるインバウンド需要の急激な減少、サービス業を中心とした営業自粛など経済活動全般が縮小してお
り、収束まで長期間を要する場合、法人顧客との取引減少等により経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、お客様に安心して宅急便をご利用いただくため、社員の衛生管
理に最大限留意するとともに、非対面での荷物のお届けへの対応や接客時の感染防止対策の実施、ホームページな
どを活用した情報発信などに取り組み、お客様、社員の安全を最優先に、宅急便をはじめとする物流サービスの継
続に努めています。
②お客様の期待に沿わないサービス提供によるリスク
ヤマトグループは、これまで宅急便をはじめとした質の高いサービスの提供によりお客様の支持を得てまいりま
した。しかしながら、産業のEC化が急進展するとともに、お客様の期待やニーズが多様化しており、これらの変
化に適切に対応できない場合、お客様の支持が低下することなどによりヤマトグループの経営成績等に影響を与え
る可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、2021年4月にグループ経営体制を刷新し、従来の機能単位の組
織を、リテール・地域法人・グローバル法人・ECの4つの顧客セグメント単位に再編することで、お客様のニー
ズに向き合うとともに、CX(顧客体験)戦略の策定を推進しています。また、宅急便のデジタルトランスフォー
メーションを推進し、セールスドライバーがお客様へのサービス提供により多くの時間を費やせる環境を構築して
います。
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③M&A及び資本業務提携に係るリスク
ヤマトグループは、持続的成長に向けて、クロスボーダー物流の拡大に対応するため、海外物流事業者等との資
本業務提携等を実施してきました。しかしながら、事業環境や競争状況の変化により期待する成果が得られない場
合や、予期せぬ事業上の問題が発生する場合、経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、出資案件について、フィージビリティスタディの結果等を踏ま
え目指すべきビジネスモデルを十分に検討した上で判断するとともに、出資後は、定期的なモニタリングを継続実
施しています。
④災害、停電等に係るリスク
ヤマトグループは、車両による荷物の輸送が主要な業務であり、社員の安全と健康、車両や施設の保全と燃料、
電気の安定供給等を前提に事業を運営しております。予期せぬ大規模自然災害や停電等が発生した場合、社員の被
災等による人材の不足、車両・情報機器・施設等の損壊・水没、停電・断水や燃料・備品の供給不足等による事業
停止、および車両、施設等の修理・買替費用等の発生により、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性
があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、社会的インフラを担う企業グループとして、不測の事態におい
ても安定したサービス提供が継続できるよう、事業継続計画(BCP)を策定しています。また、2011年に発生し
た東日本大震災等の経験を踏まえ、様々な緊急事態を想定し、グループ全体で危機管理体制の強化を図っていま
す。そして、BCP訓練や施設の水害リスク評価等を行うとともに、発災後の対応や予期せぬ災害に備えて集配停
止・保全作業等に係るマニュアルの継続的な見直しなどに取り組んでいます。
⑤重大交通事故・労働災害に係るリスク
ヤマトグループは、デリバリー事業を中心に公道を使用して車両により営業活動を行っており、重大交通事故を
発生させてしまった場合は、社会的信用が低下するとともに、行政処分による車両の使用停止や、「違反点数制
度」による事業所の営業停止、事業許可の取り消し等が行われ、事業の中断や中止の可能性があります。また、社
員等の労働安全を損なう重大な労働災害を発生させてしまった場合も、ヤマトグループの経営成績等に影響を与え
る可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、人命の尊重を最優先に、運輸安全マネジメントの推進や安全確
保のためのルールの策定・遵守と設備・システムの整備、社員への安全意識の浸透、労働安全の確保などに取り組
んでいます。
⑥国際情勢等の影響によるリスク
ヤマトグループが営業活動を行っている地域や、主要な取引先が営業活動を行っている地域がテロ・戦争等の国
際紛争や貿易摩擦の影響を被った場合、サプライチェーンの寸断等による物流の停滞や社員の避難等により、ヤマ
トグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、ヤマトグループは、デリバリー事業をはじめと
して、車両による荷物の輸送を主要な事業としており、軽油等燃料が常時安定的かつ適正に供給されることは事業
を行う上で不可欠であります。国際情勢等の影響により供給に制約が発生した場合や、燃料価格が高騰した場合、
ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、陸海空の多様な輸送手段を用いてお客様のニーズに対応すると
ともに、モーダルシフト、低公害車の導入、台車集配の推進等、使用燃料を抑制する施策を推進しています。
⑦金融市場の影響によるリスク
ヤマトグループは、事業継続および事業成長に対する投資計画に照らし、必要資金についてはグループ資金を活
用するとともに、金融機関からの借入および社債発行により対応しております。今後の国内外の経済情勢により、
金融市場が機能不全となった場合や、金融機関の貸出先選別により、資金調達が困難になる可能性や、金利上昇に
より支払利息が増大する可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、キャッシュ創出状況、保有現預金や自己資本比率水準等の財務の健全性を維持・強
化するとともに、資金調達先および時期の適度な分散を図ってまいります。
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⑧環境規制に係るリスク
ヤマトグループは、事業を行うにあたり多数の車両を使用しております。気候変動をはじめとした地球規模の環
境問題がさらに深刻化し、温室効果ガス(GHG)の排出規制や削減義務が強化される場合、デリバリー事業を中
心に、低炭素車両の導入や設備改修などの費用が増加し、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があ
ります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、「企業姿勢」に「環境保全の推進」を定め、事業を通じた環境
課題の解決に取り組んでいます。特に気候変動のリスクや機会は、事業の成長に深く関わる重要な事項であるとの
認識を持ち、CO 2 排出量削減の目標を設定した上で、エネルギー消費量の監視や原因分析を行い、省エネ施策を
講じるとともに、ハイブリッド自動車や電気自動車などの低炭素車両へのシフト、市街地の集配において電動アシ
スト自転車や台車などを多用することなどにより、積極的にGHGの削減を進めています。また、事業の環境負荷
を減らすだけではなくCO 2 排出量削減に資するサービスの在り方を追求するなど、気候変動の影響を緩和させる
取組みと適応していくための取組みを進めております。
⑨労務関連法制に係るリスク
ヤマトグループの展開する事業は労働集約型の事業が多く、労働力としての質の高い人材の確保、適正な要員配
置が必要不可欠です。労働や社会保険等に係る法令や制度等が改正された場合、対応するための費用の大幅な増加
などにより、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、法制度に適切に対応した労働環境や人事制度を整備するととも
に、宅急便のデジタルトランスフォーメーションなどによる生産性の向上に取り組んでいます。
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3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるヤマトグループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のと
おりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものでありま
す。
① 財政状態及び経営成績の状況
ⅰ.財政状態
総資産は1兆1,007億39百万円となり、前連結会計年度に比べ229億20百万円減少しました。
負債は5,379億4百万円となり、前連結会計年度に比べ123億66百万円減少しました。
純資産は5,628億35百万円となり、前連結会計年度に比べ105億53百万円減少しました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度における経済環境は、第3四半期までは企業業績が底堅さを維持し緩やかな回復基調が続いて
いたものの、2020年1月以降は世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い大幅に悪化しており、今後の感
染拡大ペースや収束時期が不透明な中、内外経済環境の回復が見通せない状況にあります。
一方、物流業界においては、消費スタイルの急速な変化によりEC市場が拡大する中、第3四半期までは国内
労働需給の逼迫や消費増税の影響による個人消費の低迷などにより厳しい経営環境が継続していたことに加え、
2020年1月以降は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う世界的な製造業の生産活動や貿易の停滞、移動の制
限によるインバウンド需要の急激な減少、サービス業を中心とした営業自粛など経済活動全般が縮小しており、
今後の経営環境への影響が不透明な状況にあります。
このような状況下、ヤマトグループは高品質なサービスを提供し続けるため、「働き方改革」を経営の中心に
据え、「デリバリー事業の構造改革」、「非連続成長を実現するための収益・事業構造改革」、「持続的に成長
していくためのグループ経営構造改革」の3つの改革を柱とする中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」に
基づき、ヤマトグループが持続的に成長していくための経営基盤の強化に取り組むとともに、新型コロナウイル
ス感染症の拡大に対応し、お客様、社員の安全を最優先に、宅急便をはじめとする物流サービスの継続に取り組
みました。
デリバリー事業においては、収益力の回復に向けて、プライシングの適正化や新規顧客への営業を推進すると
ともに、コストコントロールの強化に取り組みました。また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う需要と物
流の変化に応えるべく、社会的インフラである宅急便ネットワークの安定稼働に取り組みました。
ノンデリバリー事業においては、グループ各社の強みを活かした既存サービスの拡充に取り組むとともに、グ
ループ全体でアカウントマネジメントを強化し、お客様の課題解決に当たるソリューション営業を積極的に推進
しました。
当連結会計年度の連結業績は以下のとおりとなりました。
伸率(%)
区分 前連結会計年度 当連結会計年度 増減
営 業 収 益 (百万円) 1,625,315 1,630,146 4,831 0.3
営 業 利 益 (百万円) 58,345 44,701 △13,644 △23.4
経 常 利 益 (百万円) 54,259 40,625 △13,633 △25.1
親会社株主に帰属する当期純利益 (百万円) 25,682 22,324 △3,358 △13.1
上記のとおり、営業収益は1兆6,301億46百万円となり、前連結会計年度に比べ48億31百万円の増収となりまし
た。これは主に、デリバリー事業の構造改革を推進した中で、宅急便単価が上昇したことによるものです。営業
費用は1兆5,854億45百万円となり、前連結会計年度に比べ184億75百万円増加しました。これは主に、集配体制
の構築に向けて増員などを進めたことで、委託費は減少したものの、人件費が増加したことなどによるもので
す。
この結果、営業利益は447億1百万円となり、前連結会計年度に比べ136億44百万円の減益となりました。
経常利益は、海外関連会社に係るのれんの減損を持分法による投資損失として計上したことなどにより406億25
百万円となりました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は223億24百万円となり、前連結会計年度に比べ33億58百万円
の減益となりました。
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<ヤマトグループ全体としての取組み>
イ.ヤマトグループは、グループの原点である「全員経営」を実践するため、「働き方改革」を最優先課題と
し、ヤマト運輸株式会社の「働き方改革室」、グループ各社の「働き方創造委員会」を中心に、社員がより
「働きやすさ」と「働きがい」を持ち、イキイキと働ける労働環境の整備に全社一丸で取り組みました。ま
た、各事業が一体となって付加価値の高い事業モデルを創出し、日本経済の成長戦略と、国際競争力の強化
に貢献する「バリュー・ネットワーキング」構想を推進するとともに、事業の創出・成長の基盤となる健全
な企業風土の醸成に取り組みました。
ロ.健全な企業風土の醸成に向けて、引き続き輸送体制の整備やデジタルテクノロジーの活用による業務量の見
える化など、業務の効率性・信頼性を向上させる施策を推進するとともに、安全施策や環境施策、地域活性
化に向けた取組み、グループガバナンスの抜本的かつ包括的な再構築など、持続的成長に向けたESGの取
組みを積極的に推進しました。
ハ.「バリュー・ネットワーキング」構想の更なる進化に向け、ヤマトグループのネットワークを活かした高付
加価値モデルの創出に取り組みました。国内外のお客様の様々なニーズに対応するために、既存のラストワ
ンマイルネットワークに加え、「羽田クロノゲート」、「沖縄国際物流ハブ」、関東・中部・関西の主要都
市を繋ぐ各ゲートウェイなどの革新的なネットワーク基盤を効果的に活用するとともに、グループ全体でア
カウントマネジメントの強化に取り組みました。
ニ.グローバル市場に対しては、クロスボーダー物流の拡大に対応するため、日本・東アジア・東南アジア・欧
州・米州の5極間の連携と各地域の機能強化を推進するとともに、グローバル関連事業のマネジメント強化
に取り組みました。また、既にヤマトグループ8社が取得した小口保冷配送サービスに関する国際規格の認
証を活用し、高付加価値なクロスボーダー・ネットワークの構築を積極的に推進しました。
ホ.EC市場を中心としたお客様の利便性向上を図るため、オープン型宅配便ロッカーネットワークの構築を積
極的に推進するなど、手軽に荷物の受け取りと発送ができる環境の整備に取り組むとともに、自動運転技術
の活用など、次世代物流サービスの開発に取り組みました。また、深刻化する労働力不足などの社会的課題
や、益々拡大するEC市場に対応するため、物流全体におけるデジタル化の推進による集配、作業、事務の
効率化や、輸送効率を高めネットワーク全体を最適化するための幹線ネットワークの構造改革にも取り組み
ました。
へ. 持続的に成長していくためのグループ経営構造改革を推進し、今後のヤマトグループにおける中長期の経営
のグランドデザインとして経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を策定するとともに、顧客接点の強化、
生産性の向上に向けた宅急便のデジタルトランスフォーメーションや、ECエコシステムの確立に向けた大
手EC事業者様との協業による物流サービス構築の取組みなどを推進しました。
<事業フォーメーション別の概況>
○デリバリー事業
宅急便、クロネコDM便の取扱数量は以下のとおりです。
区分 前連結会計年度 当連結会計年度 増減 伸率(%)
宅 急 便 (百万個) 1,803 1,799 △3 △0.2
1,211
ク ロ ネ コ DM 便 (百万冊) 987 △224 △18.5
イ.デリバリー事業は、お客様にとって一番身近なインフラとなり、豊かな社会の実現に貢献するために、宅急
便を中心とした事業の展開に取り組んでいます。
ロ.消費スタイルの急速な変化によりEC市場が拡大する中、第3四半期までは国内労働需給の逼迫や消費増税
の影響による個人消費の低迷などにより厳しい経営環境が継続していた状況の下、収益力の回復に向けて、
プライシングの適正化や新規顧客への営業を推進するとともに、コストコントロールの強化に取り組みまし
た。また、物流全体におけるデジタル化の推進による集配、作業、事務の効率化や、輸送効率を高めネット
ワーク全体を最適化するための幹線ネットワークの構造改革にも取り組みました。2020年1月以降は、新型
コロナウイルス感染症の拡大に伴う世界的な製造業の生産活動や貿易の停滞、移動の制限によるインバウン
ド需要の急激な減少、サービス業を中心とした営業自粛など経済活動全般が縮小している状況下、需要と物
流の変化に応えるべく、社会的インフラである宅急便ネットワークの安定稼働に取り組みました。
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ハ.成長が続くEC市場に対しては、お客様のライフスタイルの変化により多様化するニーズに合わせて、小さ
な荷物を手軽に送ることができる「宅急便コンパクト」、「ネコポス」の拡販を進めるとともに、複数のフ
リマサイトと連携し、発送窓口の拡大を推進しました。当連結会計年度においては、引き続きフリマサイト
やEC事業者様と連携し、個人のお客様が商品をコンビニエンスストアやオープン型宅配便ロッカー(PU
DOステーション)から簡単に発送できる環境や、お客様が商品を購入した場合に、受け取り場所として宅
急便センターやコンビニエンスストア、PUDOステーションを指定できる環境を整備し、利便性の向上を
図りました。また、個人のお客様については、宅急便の発送手続きをスマートフォンで完結でき、オンライ
ン決済や匿名配送などを利用できるサービスの拡販を推進しました。
ニ.法人のお客様については、お客様の経営課題を的確に把握し、その課題に沿ったソリューション提案を積極
的に推進しました。当連結会計年度においては、グループ連携のもと引き続きアカウントマネジメントを強
化し、グループの経営資源を活用した付加価値の高い提案を行い、収益性の向上に取り組みました。
ホ.地域の課題解決に向けて、複数の自治体や企業と連携し、買い物困難者の支援、高齢者の見守り支援など、
住民へのサービス向上に取り組みました。また、観光支援や地域産品の販路拡大支援など、地元産業の活性
化につながる取組みを推進しました。
ヘ.営業収益は、デリバリー事業の構造改革を推進した中で、宅急便単価が上昇したことなどにより1兆3,100億
67百万円となり、前連結会計年度に比べ1.0%増加しました。営業利益は、委託費は減少したものの、人件費
が増加したことなどにより272億49百万円となり、前連結会計年度に比べ33.2%減少しました。
○BIZ-ロジ事業
イ.BIZ-ロジ事業は、宅急便ネットワークをはじめとした経営資源に、ロジスティクス機能、メンテナン
ス・リコール対応機能、医療機器の洗浄機能、国際輸送機能などを組み合わせることにより、お客様に革新
的な物流システムを提供しています。
ロ.EC向けサービスとしては、受発注対応から在庫の可視化、スピード出荷などの多様なサービスをワンス
トップで提供しています。また、医療機器関連事業者様に向けたサービスとしては、配送だけでなく、病院
から返却された手術用工具の洗浄、メンテナンス、再貸出までトータルにサポートし、お客様の物流改革を
支援しています。当連結会計年度においては、既存のお客様を中心にサービスの拡販を推進しました。
ハ.営業収益は、EC向けサービスにおけるプライシング適正化による一部顧客の取扱い減少などにより1,439億
34百万円となり、前連結会計年度に比べ2.4%減少しました。営業利益は物流拠点の見直しによる効率化など
により49億75百万円となり、前連結会計年度に比べ49.5%増加しました。
○ホームコンビニエンス事業
イ.ホームコンビニエンス事業は、法人のお客様の社員向けに提供している引越サービスに不適切な請求があっ
た事態を受けて、引き続き、引越事業の抜本的な見直し、商品設計の見直しなど再発防止に取り組んでいま
す。当連結会計年度においては、個人のお客様向けに新たな単身者向け引越サービス「わたしの引越」の提
供を開始し、品質向上と提供エリアの拡大に取り組みました。
ロ.営業収益は、引越サービス休止による影響に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大などにより引越需要が
減少したことなどにより278億5百万円となり、前連結会計年度に比べ16.8%減少しました。利益面において
は、営業損失が100億61百万円となりました。
○e-ビジネス事業
イ.e-ビジネス事業は、お客様の業務プロセスの効率化や潜在的な課題の解決に向けて、情報機能に物流機
能、決済機能を融合させたソリューションプラットフォームビジネスを積極的に展開しています。また、グ
ループの事業成長を加速させるため、従来のITにとどまらず、AIやIoTなどを用いた新技術の活用を
推進しています。
ロ.お客様の業務効率化に向けたサービスとして、金融業界向けには、お手続き時の本人確認書類や必要書類
を、スマホやパソコンなどWeb上にアップロードすることで、契約者様が安全・簡単に書類提出できる
「証明書類Web取得サービス」を提供しています。当連結会計年度においては、中古品の買取やECの返品で
必要となる企業から個人への支払いを、個人が希望する電子マネー等でキャッシュレスに受け取ることがで
きる「マルチバリューチャージサービス」の拡販を推進しました。
ハ.営業収益は、消費税率引上げに伴うキャッシュレス・ポイント還元事業に関するシステム構築などの業務受
託や、PCなどIT資産の機器調達から資産管理までトータルでサポートする「IT資産運用最適化サービ
ス」の拡販が進んだことなどにより305億79百万円となり、前連結会計年度に比べ15.0%増加しました。営業
利益は106億68百万円となり、前連結会計年度に比べ22.1%増加しました。
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○フィナンシャル事業
イ.フィナンシャル事業は、通販商品の代金回収、企業間の決済、および車両のリースなど、お客様の様々な
ニーズにお応えする決済・金融サービスを展開しています。
ロ.決済サービスに関しては、主力商品である「宅急便コレクト」の提供に加えて、ネット総合決済サービス
「クロネコwebコレクト」や「クロネコ代金後払いサービス」、電子マネー決済機能の利用拡大を推進してい
ます。当連結会計年度においては、今後も拡大が見込まれるEC市場に対して、事業者様が新規参入するた
めに必要なショッピングカート機能、決済、配送をワンストップで支援できる「らくうるカート」の拡販に
取り組みました。また、「クロネコ代金後払いサービス」については、購入者様に払込票を郵送する従来の
「払込票タイプ」に加え、商品受け取り後にスマートフォンの画面上で多様な決済方法を選択できる「スマ
ホタイプ」の拡販に取り組みました。
ハ.営業収益は、「クロネコwebコレクト」や「クロネコ代金後払いサービス」の利用が増加しているものの、決
済ニーズの変化による代引き市場の縮小などに伴い、「宅急便コレクト」の取扱いが減少したことなどによ
り770億72百万円となり、前連結会計年度に比べ3.6%減少しました。営業利益は63億22百万円となり、前連
結会計年度にリース事業において計上した在庫評価損の反動等により、前連結会計年度に比べ1.3%増加しま
した。
○オートワークス事業
イ.オートワークス事業は、物流事業者様へ「車両整備における利便性の向上」、「整備費用の削減」という価
値を提供するとともに、「物流施設、設備機器の維持保全・職場環境改善」やこれらの資産を対象に「お客
様のリスクマネジメントに繋がる最適な保険提案」という機能を付加することで、お客様の資産稼働率を高
めるサービスを展開しています。
ロ.当連結会計年度においては、お客様との定期的なコミュニケーションによるメンテナンスサービスの拡販に
取り組み、利用が拡大しました。
ハ.営業収益は、燃料販売量が減少したことなどにより249億22百万円となり、前連結会計年度に比べ4.1%減少
しました。営業利益は42億95百万円となり、前連結会計年度に比べ3.1%減少しました。
○その他
イ.「JITBOXチャーター便」は、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送を通じて、お
客様に「適時納品」や「多頻度適量納品」という付加価値を提供しています。当連結会計年度においては、
既存のサービスが好調であったことにより、利用が着実に拡大しました。
ロ.営業利益は、ヤマトホールディングス株式会社がグループ各社から受け取る配当金などを除いて18億93百万
円となり、前連結会計年度に比べ14.7%減少しました。
<ESGの取組み>
イ.ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、安全に対する様々な取組みを実施しており、輸送を主な事業
とするグループ各社を中心に、安全管理規程の策定および管理体制の構築、年度計画の策定など、運輸安全
マネジメントに取り組んでいます。当連結会計年度においては、グループ全体で安全意識の向上を図るた
め、海外を含めたグループ全体で「交通事故ゼロ運動」を実施するとともに、ヤマト運輸株式会社が「第9
回全国安全大会」を開催し、安全意識や運転技術の向上に取り組みました。また、子どもたちに交通安全の
大切さを伝える「こども交通安全教室」を1998年より継続して全国の保育所・幼稚園・小学校などで開催し
ており、累計参加人数は約340万人となりました。
ロ.ヤマトグループは、社会的インフラとしてお客様をはじめ社会の信頼に応えていくために、コンプライアン
ス経営を推進し、労働時間管理ルールの見直しや社員の新しい働き方を創造するなど、社員が「働きやす
さ」と「働きがい」を持ち、イキイキと働ける労働環境の整備を進め、「働き方改革」に全社を挙げて取り
組みました。その結果、総労働時間の短縮や年次有給休暇の取得率向上などが進むとともに、社員の働く意
識も改善しました。
ハ.ヤマトグループは、グループ経営の健全性を高めるため、当社に設置した「グループガバナンス改革室」が
中心となり、グループガバナンスの抜本的かつ包括的な再構築に取り組みました。当連結会計年度において
は、グループ全体の倫理観の醸成、更なる理念の浸透および業務での実践を促進するため、企業理念を構成
する企業姿勢、社員行動指針の一部改訂を行い、全社員への倫理教育を推進するとともに、グループ全体の
商品審査体制の強化やグループ各社でコンプライアンス強化を担当する人材の育成などに取り組みました。
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ニ.ヤマトグループは、気候変動や大気汚染、資源減少、生物多様性の損失などが、持続可能な社会の実現に
とって重要な課題であることを認識しています。気候変動への対策としては、CO 2 の排出がより少ない車
両へのシフトや小型商用EVトラックの導入、自動車を使わない集配などに取り組んでいます。当連結会計
年度においては、主要都市間の幹線輸送の効率化によるCO 2 排出量の低減および長距離輸送を担うドライ
バーの負担軽減に資する「スーパーフルトレーラSF25」の運行区間を、従来の関東(神奈川県)・関西(大
阪府)間から九州(福岡県)まで伸長しました。また、次世代を担う子どもたちへの環境教育をサポートす
る「クロネコヤマト環境教室」を2005年より継続して全国各地で開催しており、累計参加人数は約25万人と
なりました。
ホ.ヤマトグループは、より持続的な社会的価値の創造に向けて、社会と価値を共有するCSV(クリエーティ
ング・シェアード・バリュー=共有価値の創造)という概念に基づいた取組みを推進しています。当連結会
計年度においては、過疎化や高齢化が進む中山間地域等のバス・鉄道路線網の維持と物流の効率化による地
域住民の生活サービス向上を目的とする「客貨混載」を推進しました。また、訪日外国人など増加する観光
客の利便性向上と地域経済の活性化に向けて、手荷物預かりや宿泊施設への手荷物当日配送などを拡大し、
手ぶら観光サービスの取組みを推進しました。ライフステージの変化が進む都市郊外部においては、拠点を
活用した地域コミュニティの活性化や、買い物・家事代行などくらしのサポートサービスを提供すること
で、地域住民が快適に生活できる町づくりを支援する取組みを推進しました。全国各地で高齢者の見守り支
援や観光支援、地域産品の販路拡大支援など、ヤマトグループの経営資源を活用した地域活性化や課題解決
に行政と連携して取り組み、案件数の累計は検討段階のものを含め1,102件となりました。
ヘ.ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、公益財団法人ヤマト福祉財団を中心に、
障がい者が自主的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パ
ン製造・販売を営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、クロネコDM便の委託配達を通じた働く場
の提供、就労に必要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継
続的に行っています。
ト.ヤマトグループは「サステナビリティの取組み~環境と社会を組み込んだ経営~」を、2020年1月に策定し
た中長期の経営のグランドデザインである経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」における基盤構造改革の
一つとして位置づけました。持続可能な未来を切り拓く将来の姿として掲げた「つなぐ、未来を届ける、グ
リーン物流」、「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」という2つのビ
ジョンの下、人や資源、情報を高度につなぎ、輸送をより効率化させることで、環境や生活、経済によりよ
い物流の実現を目指し、特定した重要課題に対する取組みを推進していきます。
② キャッシュ・フローの状況
○営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは744億33百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ436億60百万円減少
しました。これは主に、税金等調整前当期純利益が445億81百万円となり、収入が76億76百万円減少したこと、
仕入債務の増減額が155億40百万円減少したこと、および法人税等の支払額が162億89百万円増加したことによる
ものであります。
○投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは499億43百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ49億28百万円減少
しました。これは主に、有形固定資産の売却による収入が89億27百万円、投資有価証券の売却による収入が18億
97百万円増加した一方で、有形固定資産の取得による支出が67億94百万円増加したことによるものであります。
○財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは223億68百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が485億78百万
円減少しました。これは主に、前連結会計年度の社債の償還による支出100億円が当連結会計年度において発生
しなかったこと、および借入金の収支による収入が561億42百万円増加した一方で、自己株式の取得による支出
が156億87百万円増加したことによるものであります。
以上により、当連結会計年度における現金及び現金同等物は1,966億62百万円となり、前連結会計年度末に比
べ20億12百万円増加しました。
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③ 生産、受注及び販売の実績
セグメントごとの事業別営業収益は次のとおりであります。
なお、ヤマトグループは、貨物運送事業を中心とするサービスを主要な商品としているため、生産および受注の実
績は記載を省略しております。
前連結会計年度 当連結会計年度
ントの名称 (自 2018年4月1日 (自 2019年4月1日
セグメ
比 較
至 2019年3月31日) 至 2020年3月31日)
増減率
(%)
金額 構成比 金額 構成比
事業
(百万円) (%) (百万円) (%)
宅急便 1,199,084 73.8 1,217,572 74.7 1.5
クロネコDM便 73,062 4.5 64,104 3.9 △12.3
エキスプレス 41,615 2.6 41,608 2.6 △0.0
デリバリー
事業
その他 100,698 6.2 97,496 6.0 △3.2
内部売上消去 △117,237 △7.2 △110,713 △6.8 △5.6
計 1,297,222 79.8 1,310,067 80.4 1.0
ロジスティクス ※1 6.2
101,012 99,414 6.1 △1.6
2.6
貿易物流サービス 41,829 41,796 2.6 △0.1
BIZ-ロジ
その他 ※1 1.9
31,568 31,669 1.9 0.3
事業
内部売上消去 △26,973 △1.7 △28,946 △1.8 7.3
計 147,437 9.1 143,934 8.8 △2.4
ホームコンビニエンス
2.8
46,040 39,210 2.4 △14.8
※2
ホームコンビニ
内部売上消去 △12,636 △0.8 △11,404 △0.7 △9.7
エンス事業
計 33,404 2.1 27,805 1.7 △16.8
カードソリューション 9,373 0.6 11,529 0.7 23.0
ITオペレーティング 7,470 0.5 8,138 0.5 8.9
e-通販
5,844 0.4 6,190 0.4 5.9
e-ビジネス
ソリューション
事業
その他 50,827 3.1 53,309 3.3 4.9
内部売上消去 △46,922 △2.9 △48,589 △3.0 3.6
計 26,592 1.6 30,579 1.9 15.0
ペイメント 32,162 2.0 29,448 1.8 △8.4
リース 40,181 2.5 40,306 2.5 0.3
クレジット
3,479 0.2 3,344 0.2 △3.9
フィナンシャル
ファイナンス
事業
その他 7,056 0.4 6,848 0.4 △2.9
内部売上消去 △2,913 △0.2 △2,875 △0.2 △1.3
計 79,966 4.9 77,072 4.7 △3.6
トラック
50,486 3.1 49,806 3.1 △1.3
ソリューション
その他 9,620 0.6 8,734 0.5 △9.2
オートワークス
事業
内部売上消去 △34,121 △2.1 △33,618 △2.1 △1.5
計 25,985 1.6 24,922 1.5 △4.1
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前連結会計年度 当連結会計年度
ントの名称 (自 2018年4月1日 (自 2019年4月1日
セグメ
比 較
至 2019年3月31日) 至 2020年3月31日)
増減率
(%)
金額 構成比 金額 構成比
事業
(百万円) (%) (百万円) (%)
JITBOX
12,609 0.8 13,373 0.8 6.1
チャーター便
その他 51,651 3.2 71,724 4.4 38.9
その他
内部売上消去 △49,556 △3.0 △69,334 △4.3 39.9
計 14,705 0.9 15,763 1.0 7.2
合 計 1,625,315 100.0 1,630,146 100.0 0.3
各事業の機能強化および経営効率化などを目的として、主に次のとおり事業区分を変更し、あわせて前連結会計年度の
数値を組み替えて表示しております。
※1.BIZ-ロジ事業において、当連結会計年度より、次のとおり事業区分を変更しております。
・プロダクツロジスティクスをその他に含めて表示しております。
・販売物流サービス、マルチメンテナンス、テクニカルネットワーク、e-ロジソリューションの4事業および
その他に含めていたメディカルロジスティクス、ドキュメンツロジスティクス、e-オンデマンドソリュー
ション、セットアップ・ロジソリューションの4事業を、ロジスティクスとして表示しております。
含めて表示しております。
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(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるヤマトグループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりでありま
す。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものでありま
す。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ⅰ.財政状態
総資産は1兆1,007億39百万円となり、前連結会計年度に比べ229億20百万円減少しました。これは主に、持分法
による投資損失の計上や、時価評価や売却などにより投資有価証券が137億2百万円減少したこと、およびフィナ
ンシャル事業等において受取手形及び売掛金が61億78百万円減少したことなどによるものであります。
負債は5,379億4百万円となり、前連結会計年度に比べ123億66百万円減少しました。これは主に、デリバリー事
業等において固定資産購入に係る債務が129億57百万円減少したこと、およびフィナンシャル事業等において支払
手形及び買掛金が118億56百万円減少した一方で、借入金が92億円増加したことによるものであります。
純資産は5,628億35百万円となり、前連結会計年度に比べ105億53百万円減少しました。これは主に、親会社株主
に帰属する当期純利益が223億24百万円となったこと、剰余金の配当を114億33百万円実施したことに加え、自己株
式を156億85百万円取得したことによるものであります。
以上により、自己資本比率は前連結会計年度と同一の50.4%となりました。
ⅱ.経営成績
営業収益は1兆6,301億46百万円となり、前連結会計年度に比べ48億31百万円の増収となりました。これは主
に、デリバリー事業の構造改革を推進した中で、宅急便単価が上昇したことによるものです。営業費用は1兆
5,854億45百万円となり、前連結会計年度に比べ184億75百万円増加しました。これは主に、集配体制の構築に向け
て増員などを進めたことで、委託費は減少したものの、人件費が増加したことなどによるものです。
この結果、営業利益は447億1百万円となり、前連結会計年度に比べ136億44百万円の減益となりました。
経常利益は、海外関連会社に係るのれんの減損を持分法による投資損失として計上したことなどにより406億25
百万円となりました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は223億24百万円となり、前連結会計年度に比べ33億58百万円
の減益となりました。
1株当たり当期純利益は56.78円となり、前連結会計年度に比べ8.36円減少しました。
○デリバリー事業
営業収益は、デリバリー事業の構造改革を推進した中で、宅急便単価が上昇したことなどにより1兆3,100億67
百万円となり、前連結会計年度に比べ1.0%増加しました。営業利益は、委託費は減少したものの、人件費が増加
したことなどにより272億49百万円となり、前連結会計年度に比べ33.2%減少しました。
○BIZ-ロジ事業
営業収益は、EC向けサービスにおけるプライシング適正化による一部顧客の取扱い減少などにより1,439億34
百万円となり、前連結会計年度に比べ2.4%減少しました。営業利益は物流拠点の見直しによる効率化などにより
49億75百万円となり、前連結会計年度に比べ49.5%増加しました。
○ホームコンビニエンス事業
営業収益は、引越サービス休止による影響に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大などにより引越需要が減少
したことなどにより278億5百万円となり、前連結会計年度に比べ16.8%減少しました。利益面においては、営業
損失が100億61百万円となりました。
○e-ビジネス事業
営業収益は、消費税率引上げに伴うキャッシュレス・ポイント還元事業に関するシステム構築などの業務受託
や、PCなどIT資産の機器調達から資産管理までトータルでサポートする「IT資産運用最適化サービス」の拡販
が進んだことなどにより305億79百万円となり、前連結会計年度に比べ15.0%増加しました。営業利益は106億68百
万円となり、前連結会計年度に比べ22.1%増加しました。
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○フィナンシャル事業
営業収益は、「クロネコwebコレクト」や「クロネコ代金後払いサービス」の利用が増加しているものの、決済
ニーズの変化による代引き市場の縮小などに伴い、「宅急便コレクト」の取扱いが減少したことなどにより770億
72百万円となり、前連結会計年度に比べ3.6%減少しました。営業利益は63億22百万円となり、前連結会計年度に
リース事業において計上した在庫評価損の反動等により、前連結会計年度に比べ1.3%増加しました。
○オートワークス事業
営業収益は、燃料販売量が減少したことなどにより249億22百万円となり、前連結会計年度に比べ4.1%減少しま
した。営業利益は42億95百万円となり、前連結会計年度に比べ3.1%減少しました。
○その他
営業利益は、ヤマトホールディングス株式会社がグループ各社から受け取る配当金などを除いて18億93百万円と
なり、前連結会計年度に比べ14.7%減少しました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
ⅰ.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財
政状態、経営成績及びキッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状
況」に記載のとおりであります。
ⅱ.資本の財源及び資金の流動性
ヤマトグループは、ネットワーク構築、デジタル・イノベーション関連などの事業継続および事業成長に対する
投資計画に照らし、キャッシュ創出状況、保有現預金や自己資本比率水準等の財務の健全性と効率性を意識しなが
ら、必要資金についてはグループ資金を活用するとともに、金融機関からの借入および社債発行により対応してお
ります。また、フィナンシャル事業においては、信用購入あっせん業を行っており、運転資金については主にグ
ループ資金を活用し対応しております。
なお、財務の健全性の観点から自己資本比率は50%前後を意識し、格付け水準(R&I格付投資情報センター/
AA-)の維持に努めてまいります。株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性
向30%、総還元性向50%を目安とし実施してまいります。
③ 目標とする指標の達成状況等
ヤマトグループは、高品質なサービスを提供し続けるため、「働き方改革」を経営の中心に据え、「デリバリー
事業の構造改革」、「非連続成長を実現するための収益・事業構造改革」、「持続的に成長していくためのグルー
プ経営構造改革」の3つの改革を柱とする中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」に基づき、ヤマトグループ
が持続的に成長していくための経営基盤の強化に取り組んでまいりました。
最終年度となる2020年3月期において、連結営業収益1兆6,700億円、連結営業利益720億円(連結営業利益率
4.3%)、ROE7.7%を目標としておりましたが、実績は連結営業収益1兆6,301億46百万円、連結営業利益447億
1百万円(連結営業利益率2.7%)、ROE4.0%となりました。
「働き方改革」については、総労働時間の改善やワークライフバランスを推進するなど、社員が働きやすく、働
きがいのある環境整備を実施し、社員の働き方意識調査の結果も上昇するなど、着実に進捗しました。また、「デ
リバリー事業の構造改革」では、プライシングの適正化や、タッチポイント拡充による集配効率向上など収益性向
上に向けた土台を構築したことなど、経営基盤強化に一定の成果があったと評価しております。
2021年3月期以降については、2020年1月に策定した今後のヤマトグループにおける中長期の経営のグランドデ
ザインである経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を着実に遂行し、持続的な成長を目指してまいります。
④ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
ヤマトグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成さ
れております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計
上の見積りを行っております。
重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)
連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
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4【経営上の重要な契約等】
当社は、2020年1月23日開催の取締役会において、2021年4月1日付で、ヤマト運輸株式会社など連結子会社8社
を吸収合併および吸収分割して、当社を純粋持株会社制から事業会社とする経営体制の再編を実施することを決議い
たしました。
一方、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響等による諸手続きの遅延などの課題を回避するため、2020年5月15
日開催の取締役会において、吸収合併および吸収分割の内容を変更し、当社は当該組織再編の当事者からは除外し、
当社の連結子会社であるヤマト運輸株式会社と、ヤマトロジスティクス株式会社、ヤマトグローバルロジスティクス
ジャパン株式会社を含む連結子会社7社の間で吸収合併および吸収分割する再編とすることを決議いたしました。