日東電工株式会社 有価証券報告書 第155期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
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日東電工株式会社(E01888)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2020年6月19日
【事業年度】 第155期(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
【会社名】 日東電工株式会社
【英訳名】 NITTO DENKO CORPORATION
【代表者の役職氏名】 取締役社長 髙﨑 秀雄
【本店の所在の場所】 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号
(上記は登記上の本店所在地であり、実際の業務は下記で行っております。)
大阪市北区大深町4番20号グランフロント大阪タワーA
【電話番号】 (06)7632-2101(代表)
【事務連絡者氏名】 取締役 CFO 伊勢山 恭弘
【最寄りの連絡場所】 大阪市北区大深町4番20号グランフロント大阪タワーA
【電話番号】 (06)7632-2101(代表)
【事務連絡者氏名】 会計部長 吉山 浩明
【縦覧に供する場所】 日東電工株式会社東京支店
東京都港区港南1丁目2番70号
品川シーズンテラス
日東電工株式会社名古屋支店
名古屋市中区栄2丁目3番1号
名古屋広小路ビルヂング
株式会社東京証券取引所
東京都中央区日本橋兜町2番1号
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第一部【企業情報】
第1【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
(1)連結経営指標等
国際会計基準
回次
第151期 第152期 第153期 第154期 第155期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
(百万円) 793,054 767,710 857,376 806,495 741,018
売上収益
(百万円) 101,996 91,791 126,168 91,910 69,013
税引前当期利益
親会社の所有者に帰属する
(百万円) 81,683 63,453 87,377 66,560 47,156
当期利益
親会社の所有者に帰属する
(百万円) 44,569 63,283 83,820 62,009 35,290
当期包括利益
親会社の所有者に帰属する
(百万円) 614,425 653,772 693,278 700,443 689,446
持分
(百万円) 825,905 879,899 937,796 913,418 921,900
総資産額
1株当たり親会社所有者帰
(円) 3,785.91 4,027.57 4,328.50 4,465.70 4,479.29
属持分
(円) 495.23 390.94 538.99 423.50 301.32
基本的1株当たり当期利益
希薄化後1株当たり当期利
(円) 494.56 390.45 538.41 423.14 301.08
益
(%) 74.4 74.3 73.9 76.7 74.8
親会社所有者帰属持分比率
親会社所有者帰属持分当期
(%) 13.3 10.0 13.0 9.6 6.8
利益率
(倍) 12.6 22.0 14.8 13.7 16.0
株価収益率
営業活動によるキャッ
(百万円) 140,658 119,939 122,551 98,569 123,641
シュ・フロー
投資活動によるキャッ
(百万円) △ 57,085 △ 49,739 △ 50,215 △ 49,955 △ 59,991
シュ・フロー
財務活動によるキャッ
(百万円) △ 44,902 △ 28,884 △ 44,919 △ 58,419 △ 51,637
シュ・フロー
現金及び現金同等物の期末
(百万円) 240,891 280,343 304,709 297,682 304,922
残高
26,837 26,659 26,310 26,001 25,793
従業員数
(名)
(外、平均臨時雇用者数) ( 3,938 ) ( 2,984 ) ( 3,051 ) ( 3,045 ) ( 2,812 )
(注)1 売上収益には、消費税等は含まれておりません。
2 従業員数は、就業人員数を表示しております。
3 単位未満の数値は百万円未満を切り捨てて表示しております。
4 国際会計基準(IFRS)に基づいて連結財務諸表を作成しております。
5 第154期より、連結損益計算書の「その他の収益」に計上していた「受取ロイヤリティー」を、「売上収
益」に含めて計上することに変更したため、第153期についても当該表示方法の変更を反映した組替後の数
値を記載しております。
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(2)提出会社の経営指標等
回次 第151期 第152期 第153期 第154期 第155期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
(百万円) 485,044 476,325 524,008 490,626 470,701
売上高
(百万円) 62,568 70,332 95,679 86,621 59,356
経常利益
(百万円) 53,549 53,974 75,434 71,894 46,093
当期純利益
(百万円) 26,783 26,783 26,783 26,783 26,783
資本金
(千株) 173,758 173,758 173,758 158,758 158,758
発行済株式総数
(百万円) 387,227 418,558 449,998 466,075 464,800
純資産額
(百万円) 544,147 614,825 662,416 663,139 679,932
総資産額
(円) 2,381.43 2,573.28 2,805.35 2,966.81 3,015.27
1株当たり純資産額
140.00 150.00 160.00 180.00 200.00
1株当たり配当額
(円)
(内、1株当たり中間配当額) ( 70.00 ) ( 75.00 ) ( 80.00 ) ( 90.00 ) ( 100.00 )
(円) 324.66 332.54 465.32 457.45 294.52
1株当たり当期純利益金額
潜在株式調整後1株当たり当期
(円) 324.22 332.12 464.82 457.05 294.29
純利益金額
(%) 71.0 67.9 67.8 70.2 68.3
自己資本比率
(%) 14.0 13.4 17.4 15.7 9.9
自己資本利益率
(倍) 19.3 25.9 17.1 12.7 16.4
株価収益率
(%) 43.1 45.1 34.4 39.3 67.9
配当性向
5,093 5,164 5,269 5,423 5,592
従業員数
(名)
(外、平均臨時雇用者数) ( 890 ) ( 850 ) ( 802 ) ( 750 ) ( 699 )
(%) 79.7 110.7 105.0 80.3 70.4
株主総利回り
(比較指標:配当込みTOPIX) (%) ( 89.2 ) ( 102.3 ) ( 118.5 ) ( 112.5 ) ( 101.8 )
(円) 10,435 9,859 11,750 9,154 6,500
最高株価
(円) 5,175 5,582 7,473 5,109 4,115
最低株価
(注)1 売上高には、消費税等は含まれておりません。
2 従業員数は、就業人員数を表示しております。
3 第154期より、損益計算書の「営業外収益」に計上していた「受取ロイヤリティー」を、「売上高」に含め
て計上することに変更したため、第153期についても当該表示方法の変更を反映した組替後の数値を記載し
ております。
4 最高株価及び最低株価は東京証券取引所(市場第一部)におけるものであります。
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2【沿革】
年月 沿革
1918年10月 電気絶縁材料の国産化を目的として日東電気工業㈱を設立(東京・大崎)
1941年12月 茨木工場操業
1946年7月 本社を茨木市に移転
1946年10月 ブラックテープの製造開始、テープ事業に進出
1957年6月 ㈱新興化学工業社(現社名 日東シンコー㈱)に出資(現・連結子会社)
1961年2月 乾電池、磁気テープ部門を分離独立させ、マクセル電気工業㈱(現・マクセル㈱)として発足
1962年5月 豊橋事業所操業
1962年8月 株式を東京、大阪(現・東京)両証券取引所市場に上場
1966年10月 半導体封止材料の製造開始
1967年9月 関東事業所操業
1968年12月 Nitto Denko America, Inc.を設立
1969年10月 亀山事業所操業
1969年12月 Nitto Denko (Taiwan) Corporation設立(現・連結子会社)
1973年6月 フレキシブル回路基板の製造開始
1974年2月 Nitto Europe NV(現社名 Nitto Belgium NV)設立(現・連結子会社)
1975年4月 ㈱ニトムズ設立(現・連結子会社)
1975年4月 液晶表示用偏光フィルムの製造開始
1976年4月 高分子分離膜の製造開始
1977年3月 医療関連材料の専門工場として東北事業所操業
1980年1月 Nitto Denko (Singapore) Pte. Ltd.設立(現・連結子会社)
1983年12月 経皮吸収型テープ製剤の製造開始
1986年4月 高分子分離膜の専門工場として滋賀事業所操業
1987年11月 米国・Hydranautics買収(現・連結子会社)
1988年7月 米国・Permacel買収(現・連結子会社)
1988年9月 商号を日東電気工業㈱より日東電工㈱へ変更
1995年12月 Nitto Denko (Shanghai Songjiang) Co., Ltd.設立(現・連結子会社)
1996年2月 液晶表示関連材料の専門工場として尾道事業所操業
1999年1月 日東電工包装システム㈱(現社名 日東電工CSシステム㈱)設立(現・連結子会社)
1999年11月 Korea Nitto Optical Co., Ltd.設立(現・連結子会社)
2000年11月 Nitto Denko America Latina LTDA. 設立(現・連結子会社)
2002年8月 Nitto Denko (China) Investment Co., Ltd.設立(現・連結子会社)
2003年4月 Taiwan Nitto Optical Co., Ltd.設立(現・連結子会社)
2003年11月 Korea Optical High Tech Co., Ltd.設立(現・連結子会社)
2004年11月 Nitto Denko Fine Circuit Technology (Shenzhen) Co.,Ltd. 設立(現・連結子会社)
2004年12月 日昌㈱を株式交換により完全子会社化(現・連結子会社)
2005年7月 Shanghai Nitto Optical Co., Ltd. 設立(現・連結子会社)
2006年1月 本社機能を大阪市北区に移転
2006年10月 Shenzhen Nitto Optical Co., Ltd. 設立(現・連結子会社)
2007年7月 連結子会社である共信㈱および日東電工マテックス㈱を吸収合併
2011年2月 米国・Avecia Biotechnology, Inc.(現社名 Nitto Denko Avecia Inc.)買収(現・連結子会
社)
2012年6月 トルコ・Bento Bantcilik ve Temizlik Maddeleri Sanayi Ticaret(現社名 Nitto Bento Bantçı
lık San. ve Tic. A.S.)買収(現・連結子会社)
2012年10月 半導体用封止材事業(光半導体向け封止材事業を除く)を譲渡
2015年8月 東京にグローバルマーケティングセンターを開設
2016年3月 研究開発と人財育成を一体的に行う施設「inovas(イノヴァス)」を茨木事業所内に設立
2016年11月 臓器線維症治療薬の開発、製造および販売についてブリストル・マイヤーズ スクイブ社とグロー
バル独占ライセンス契約を締結
2017年11月 杭州錦江集団有限公司および、その関連各社と大型偏光板技術提携契約を締結
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3【事業の内容】
当社および当社の関係会社(当社、子会社95社および関連会社2社(2020年3月31日現在)により構成)において
は、インダストリアルテープ、オプトロニクス、ライフサイエンス、その他の4部門に関係する事業を主として行っ
ており、その製品は多岐にわたっております。各事業における当社および関係会社の位置付けは次のとおりでありま
す。
なお、次の4部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグ
メント情報」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
(インダストリアルテープ)
当部門においては、基盤機能材料(接合材料、保護材料、プロセス材料等)、自動車材料等を製造・販売してお
ります。
(オプトロニクス)
当部門においては、情報機能材料、プリント回路等を製造・販売しております。
(ライフサイエンス)
当部門においては、医療関連材料を製造・販売しております。
(その他)
当部門においては、高分子分離膜、その他製品を製造・販売しております。
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事業系統図
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
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4【関係会社の状況】
議決権の
資本金又は 所有(被所有)割合
主要な事業の
名称 住所 出資金 関係内容
内容
(百万円) 所有割合 被所有割合
(%) (%)
(連結子会社)
大阪市 インダストリア
(1)役員の兼任等 有
515 100.0 -
(2)資金の貸付・借入を行っている。
北区 ルテープ
日昌㈱
(3)同社製品の半製品の一部を支給。
(1)役員の兼任等 有
福井県 インダストリア
日東シンコー㈱ 482 94.7 - (2)資金の貸付・借入を行っている。
坂井市 ルテープ
(3)同社製品等の購入。
(1)役員の兼任等 有
東京都 インダストリア
㈱ニトムズ 160 100.0 - (2)資金の貸付・借入を行っている。
品川区 ルテープ
(3)同社製品の半製品の一部を支給。
(1)役員の兼任等 有
Oceanside 千米ドル 100.0
(2)資金の貸付・借入を行っていない。
その他
Hydranautics -
U.S.A. 511 (100.0) (3)北米における当社製品の販売。
(4)同社製品の半製品の一部を支給。
(1)役員の兼任等 有
Santana de
千ブラジル
Nitto Denko America
インダストリア 100.0
(2)資金の貸付・借入を行っていない。
レアル -
Parnaiba
(3)南米における当社製品の販売。
Latina LTDA. ルテープ (100.0)
68,850
Brazil
(1)役員の兼任等 有
Nitto Automotive, Kansas City
千米ドル
インダストリア 100.0
-
(2)資金の貸付・借入を行っていない。
10 ルテープ (100.0)
Inc.
U.S.A.
(1)役員の兼任等 有
インダストリア
(2) 資金の貸付・借入を行っている。
Lakewood 千米ドル
Nitto, Inc.
ルテープ 100.0 - (3) 同社製品の半製品の一部を支給。
0
U.S.A.
(4) 北米における当社製品の販売。
持株会社
(5)米州における統括機能。
(1)役員の兼任等 有
Nitto Denko Avecia
Milford 千米ドル ライフサイエン 100.0
-
(2) 資金の貸付・借入を行っていない。
U.S.A. 1 ス (100.0)
Inc.
(1)役員の兼任等 有
Leuven 千ユーロ
Nitto EMEA NV
持株会社 100.0 - (2)資金の貸付・借入を行っていない。
Belgium 212,282
(3)欧州における統括機能。
(1)役員の兼任等 有
インダストリア
Genk 千ユーロ 100.0
(2)資金の貸付・借入を行っていない。
Nitto Belgium NV
ルテープ -
28,446
Belgium (100.0)
(3)同社製品の半製品の一部を支給。
その他
(1)役員の兼任等 有
Nitto Bento Bantçılık
Istanbul 千トルコリラ インダストリア 100.0
- (2)資金の貸付・借入を行っていない。
San. ve Tic. A.S. 7,646 ルテープ
Turkey (100.0)
(1)役員の兼任等 有
Nitto Denko (Taiwan)
台湾 千新台湾ドル インダストリア
(2)資金の貸付・借入を行っていない。
100.0 -
(3)同社製品の半製品の一部を支給。
高雄市 405,497 ルテープ
Corporation
(4)台湾における当社製品の販売。
(1)役員の兼任等 有
インダストリア
Nitto Denko (Shanghai
中国 千人民元 100.0
(2)資金の貸付・借入を行っていない。
ルテープ -
Songjiang) Co., Ltd. 上海市 428,709 (100.0)
(3)同社製品の半製品の一部を支給。
その他
(1)役員の兼任等 有
インダストリア
Nitto Denko (HK) Co.,
千香港ドル
(2)資金の貸付・借入を行っている。
Hong Kong
ルテープ 100.0 -
Ltd. 13,826
(3)香港・中国における当社製品の販売。
オプトロニクス
(1)役員の兼任等 有
Shanghai Nitto
中国 千人民元 100.0
(2)資金の貸付・借入を行っていない。
オプトロニクス
-
(3)同社製品の半製品の一部を支給。
上海市
Optical Co., Ltd. 89,981 (24.5)
(4)中国における当社製品の販売。
(1)役員の兼任等 有
百万韓国
Korea Nitto Optical
韓国
(2)資金の貸付・借入を行っていない。
ウォン オプトロニクス 100.0 -
(3)同社製品の半製品の一部を支給。
Co., Ltd. 平澤市
84,365
(4)韓国における当社製品の販売。
(1)役員の兼任等 有
Nitto Denko (China)
中国 千人民元
持株会社 (2)資金の貸付・借入を行っていない。
100.0 -
上海市
Investment Co., Ltd. 925,394
(3)中国における統括機能。
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議決権の
資本金又は 所有(被所有)割合
主要な事業の
名称 住所 出資金 関係内容
内容
(百万円) 所有割合 被所有割合
(%) (%)
(1)役員の兼任等 有
Taiwan Nitto Optical
台湾 千新台湾ドル
(2)資金の貸付・借入を行っていない。
オプトロニクス 100.0 -
(3)同社製品の半製品の一部を支給。
Co., Ltd. 台中市 568,003
(4)台湾における当社製品の販売。
(1)役員の兼任等 有
Nitto Denko Fine
中国 千人民元
(2)資金の貸付・借入を行っていない。
Circuit Technology
オプトロニクス
100.0 -
(3)同社製品の半製品の一部を支給。
深セン市
210,913
(Shenzhen) Co., Ltd.
(4)同社製品等の購入。
(1)役員の兼任等 有
Shenzhen Nitto
千人民元
中国
オプトロニクス 100.0 - (2)資金の貸付・借入を行っていない。
Optical Co., Ltd. 深セン市 568,925
(3)同社製品の半製品の一部を支給。
(1)役員の兼任等 有
インダストリア
Nitto (China) New
中国 千人民元 100.0
(2)資金の貸付・借入を行っていない。
ルテープ -
Materials Co., Ltd. 上海市 50,000 (100.0)
(3)中国における当社製品の販売。
その他
(1)役員の兼任等 有
Nitto Denko Vietnam
Binh Duong
千米ドル 100.0
(2)資金の貸付・借入を行っていない。
オプトロニクス -
Co., Ltd. 34,280 (12.0)
Vietnam
(3)同社製品の半製品の一部を支給。
(1)役員の兼任等 有
インダストリア
Nitto Denko
Queenstown 千米ドル
(2)資金の貸付・借入を行っている。
ルテープ 100.0 -
(3)東南アジアにおける当社製品の販売。
(Singapore) Pte. Ltd. Singapore 70,285
持株会社
(4)南アジアにおける統括機能。
(1)役員の兼任等 有
Nitto Denko Material
千タイバーツ
Ayutthaya 100.0
(2)資金の貸付・借入を行っていない。
オプトロニクス -
(3)同社製品の半製品の一部を支給。
(Thailand) Co., Ltd. 460,000
Thailand (100.0)
(4)タイにおける当社製品の販売。
(1)役員の兼任等 有
Nitto Vietnam Co.,
Hanoi 千米ドル 100.0
(2)資金の貸付・借入を行っていない。
オプトロニクス -
8,500
Vietnam (100.0)
Ltd.
(3)同社製品の半製品の一部を支給。
その他66社
持分法適用関連会社
1社
(注)1 主要な事業の内容欄には、セグメントの名称を記載しております。
2 上記子会社のうち、Nitto Denko America Latina LTDA.、Nitto Belgium NV、Nitto EMEA NV、
Nitto Denko (Shanghai Songjiang) Co., Ltd.、 Korea Nitto Optical Co., Ltd.、
Nitto Denko (China) Investment Co., Ltd.、
Nitto Denko Fine Circuit Technology (Shenzhen) Co.,Ltd.、
Shanghai Nitto Optical Co., Ltd.、Shenzhen Nitto Optical Co., Ltd.、
Nitto Denko Vietnam Co., Ltd.、 Nitto Denko (Singapore) Pte. Ltd.は特定子会社に該当します。
3 議決権の所有(被所有)割合の( )内は、間接所有で内数であります。
4 Shanghai Nitto Optical Co., Ltd.については、売上収益(連結会社相互間の内部売上収益を除く。)の連
結売上収益に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 (1)売上収益 117,498百万円
(2)当期利益 4,010百万円
(3)資本合計 19,602百万円
(4)資産合計 42,394百万円
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5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
2020年3月31日現在
インダストリ オプトロ ライフサ
その他 全社(共通) 合計
アルテープ ニクス イエンス
10,599 12,613 917 937 727
25,793
従業員数(名)
[ 1,162 ] [ 1,126 ] [ 131 ] [ 176 ] [ 217 ]
[ 2,812 ]
(注)1 従業員数は就業人員(使用人兼務役員および当社グループからグループ外への出向者を除く。)であ
り、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2 臨時従業員には、パートタイマーおよび準社員を含み、派遣社員を除いております。
(2)提出会社の状況
2020年3月31日現在
従業員数(名) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(千円)
5,592 [ 699 ] 40.4 13.4 7,270
インダストリ
オプトロニクス ライフサイエンス その他 合計
アルテープ
2,108 2,865 255 364
5,592
従業員数(名)
[ 156 ] [ 332 ] [ 60 ] [ 151 ]
[ 699 ]
(注)1 従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除く。)であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の
平均人員を外数で記載しております。
2 臨時従業員には、パートタイマーおよび準社員を含み、派遣社員を除いております。
3 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。
(3)労働組合の状況
労使関係について特に記載すべき事項はありません。
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第2【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、経営理念の核である「新しい発想でお客様の価値創造に貢献します。」というミッションのも
と、「Innovation for Customers」をブランドスローガンとして掲げ、グループ一丸となり、グローバルに成長し
続ける企業を目指します。
経営の基本戦略としては「※グローバルニッチトップ™」戦略(成長するマーケットを選択し、ニッチな分野を
対象に当社固有の差別化技術を活かして、世界№1シェアを狙う)と「※エリアニッチトップ™」戦略(エリア固
有のニーズにマッチした製品で、世界各地でのトップシェアを狙う)を掲げ、この両輪で事業の拡大を図ります。
このような方針のもと、当社グループは新しい発想でお客様の価値創造に貢献し、更なる成長に向け多くのイノ
ベーションを創出してまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、「新しい発想でお客様の価値創造に貢献します。」という経営理念に基づき、中期経営計画
を策定しております。また、売上収益、営業利益およびROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)を客観的な指標と
して採用しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
製造業を取り巻く経営環境は昨今、激変しています。自動車業界においては、電動化、自動運転、コネクテッ
ド、シェアリングなどの技術革新が急速に進んでいます。
また、エネルギー業界や情報通信業界との融合など、従来の業界の枠を越えた再編も始まろうとしています。AI
(人工知能)やIoT(Internet of Things)をはじめとするデジタル化の進展、グローバル規模での企業間の競争
激化、COVID-19の発生による世の中の変化等、外部環境は著しい変化の中にあります。なお、COVID-19が今後の経
営環境や経営戦略に与える影響については、(4)会社の対処すべき課題に記載しております。
当社グループは、2018年度に策定した中期経営計画において、ニッチトップ戦略で強みを発揮できる「情報イン
ターフェイス」「次世代モビリティ」「ライフサイエンス」の3つのフォーカス領域を明確に打ち出しました。こ
れらの領域で変化を先取りし、新たな事業を打ち立てることで事業ポートフォリオを進化させていきます。また、
成長戦略の推進と構造改革の両輪で、外部環境に影響されにくい収益基盤の構築を図ってまいります。
① 成長戦略の推進
Nittoグループの強みを発揮すべく「情報インターフェイス」「次世代モビリティ」「ライフサイエンス」を
新たな成長領域とし、これまで培ってきた技術やビジネスモデルと融合させながら、新しい事業の創出に取り組
みます。その一例として、これからデータセンター市場の成長や次世代移動通信システム(5G)の普及などによ
り、電子機器向け材料、半導体関連材料、電子プロセス材料などの需要は拡大すると見込んでいます。これまで
培ってきた粘着技術、塗工技術、高分子制御技術など応用し、早期に実績化を目指します。
② 現行事業の構造改革
インダストリアルテープ事業やオプトロニクス事業を中心に、グローバル規模での生産拠点の見直しなどを行
い、徹底した合理化を図っていくとともに、国内及び海外での事業構造改革を推進してまいります。
③ 経営基盤の強化
売上や利益の拡大にとどまらず、「安心で安全な職場環境づくり」、「事業活動に伴う環境負荷の低減」、
「お客様に喜んでいただける品質の追求」、「社会貢献活動への取組み」などの施策に引き続き取り組むこと
で、ステークホルダーの皆様へ高い価値を提供してまいります。特に、当社グループの事業や製品を通じ、SDGs
などの社会課題の解決に貢献することにより当社グループの企業価値を向上させる経営を目指します。
また2017年から2020年までの4年間、男子プロテニス協会「Association of Tennis Professionals(ATP)」
と、ATPワールドツアーのシーズン最終戦「ATPファイナルズ」において、日本企業初となるタイトルスポンサー
契約を締結しております。ブランド力向上を図り、新たな世紀におけるグローバル展開を加速していきます。
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(4)会社の対処すべき課題
米中貿易摩擦等の地政学的なリスク、COVID-19発生に端を発する世界的な景気の下振れ懸念、また、COVID-19発
生に伴う世の中の変化など、当社グループは対処すべき課題の多い環境下におかれています。このような環境下
で、当社グループは、社内外の様々な技術や情報を融合させることで新たな価値を創出していきます。また、創業
からの当社グループの強みである、新技術開発・新用途開拓を追求することで新需要を創造する「三新活動」にあ
らためて力を入れて取り組み、顧客の価値創造に貢献してまいります。
また、2020年1月27日付「当社連結子会社社員の不正行為に関するお知らせ」で公表いたしました、当社の連結
子会社である上海日東光学有限公司の現地購買担当社員らによる不正取引につきまして、当社は、外部専門家を加
えた社内調査委員会(委員長:神崎正巳常勤監査役)を設置して、調査を実施し、同年4月27日付で最終報告書を
受領しています(同日付「当社連結子会社社員の不正行為に係る社内調査結果等に関するお知らせ」にて、社内調
査委員会の構成、調査結果の概要および今後の対応を公表しております)。今後は、その調査結果を踏まえて抜本
的な防止策の策定と内部管理体制の強化に取り組んでまいります。なお、社内調査委員会からは、当該連結子会社
内における類似案件は検出されず、また、他にリスクの高い拠点はないとの報告を受けています。
セグメント別においては、それぞれ次の取組みを重点的に実施します。
・インダストリアルテープ
基盤機能材料では、既存事業での最適な生産体制の見直しや生産性改革を実行し、競争力を向上していきま
す。また、5Gの普及やデータセンター市場が牽引役となり、電子材料、半導体プロセス材料、電子プロセス材
料などの需要拡大を見込まれる分野で新製品の創出に努めてまいります。なお、COVID-19の影響としてお客様の
在庫状況に大きな変動が生じる可能性があります。トランスポーテーション事業では、COVID-19の影響により自
動車生産台数の長期的低迷が想定されるなか、グローバルで供給体制の見直しや合理化の徹底、現行製品の統廃
合等により、既存製品の競争力を強化し収益性を改善していきます。また、自動車の電動化、自動運転、コネク
テッド、シェアリングといった変化に対するカーエレクトロニクス関連や航空機など自動車以外のモビリティ分
野での新たな製品の創出を進め、さらなる事業成長を目指します。
・オプトロニクス
情報機能材料では、ディスプレイ市場がコモディティとハイエンドに2極化してきています。その中で、業界
トップの技術力に磨きをかけ、新たなディスプレイの変化に応えていきます。また、製品ライフサイクルマネジ
メントの強化と合理化を徹底し、事業基盤の強化と高収益事業の拡大を目指します。プリント回路においては、
ハードディスクドライブ (HDD) 用途でのシェア拡大と合理化を徹底し、高収益性を目指します。また、これま
で培った高精度回路形成技術をスマートフォンやその他用途における新たな需要に対して展開していくととも
に、生産設備の拡張を進めるなど、今後の事業の柱に成長させていく取り組みをさらに強化していきます。な
お、COVID-19の影響拡大等を背景としたテレワークの浸透や通信環境の変化に伴うニーズの高まりが想定されま
す。こうした変化を着実に捉え、迅速な対応を図っていきます。
・ ライフサイエンス
後期臨床テーマ増や新薬承認を追い風に、核酸医薬市場では今後の市場拡大が見込まれています。その中で、
製造技術開発力を強化し受託製造のシェアを拡大していくとともに、創薬では、肺線維症および難治性のがん治
療薬領域で研究開発と治験を推進し、新たな事業の柱として育てていきます。また、2019年9月に大日本住友製
薬株式会社様より販売が開始された非定型抗精神病薬の「ロナセン®テープ」の販売ルートの拡大や安定供給の
ための協力を進めて参ります。なお、COVID-19の影響拡大に伴い治験活動が延期される可能性があります。
・その他
メンブレンでは、生産プロセスの自動化を始めとする合理化を進めるとともに事業基盤の強化を進めてまいり
ます。エネルギーや環境分野でも新たな事業成長を目指し、収益性向上に向けて取り組んでいきます。新規事業
では、プラスチック光ケーブルを始め、開発中案件の一刻も早い量産化を目指します。
※「グローバルニッチトップ / Global Niche Top」「エリアニッチトップ / Area Niche Top」は、当社の登録商
標です。
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2【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が投資者の判断に重要な影響を
及ぼす可能性があると認識した主要なリスクは以下のとおりであります。事業に関わるリスクを「事業リスク」と
し、その他当社グループ全般に及ぼすリスクを「業務リスク」として記載しています。
(1)事業リスク
a.事業環境
当社グループは、総合部材メーカーであるため、最終顧客の市場の影響を受けます。当社グループの部材が組
み込まれた製品の競争力低下や価格下落など、さらに、当社グループの努力のみで対応できない市場の変化は、
業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、ポートフォリオの変革や市場情報のキャッチアップ
などを行い、リスクの平準化に取り組んでいます。
b.海外取引・為替リスク
当社グループは、グローバルな事業展開を行っており、海外売上収益比率は7割を超えています。進出国にお
いて電力供給や輸送の停止、人件費の上昇、雇用関係の悪化や労働争議などのリスクがあります。また、戦争、
政情の激変によるテロ、クーデター等の発生などによる世界経済の急変は、当社グループの業績に影響を及ぼす
可能性があります。
さらに、想定を超えた為替レートの変動や金融不安、保護主義の台頭や安全保障上の貿易規制も、当社グルー
プの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは本社にてグループ内資金をタイムリーに把握する
とともに、各エリアに資金統括拠点を設置して、為替リスクヘッジなどに取り組んでいます。
c.顧客の財務状況
当社グループが、売上債権を有する顧客において、事業環境の大きな変化により財務上重大な問題が発生する
可能性があります。特に、変化の激しいエレクトロニクスやライフサイエンス分野における債権の大きい顧客で
貸倒れが発生した場合、回収不能額が多額となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社
グループでは、債権管理部署を設け、顧客について十分な信用調査のうえ、取引を行っています。
d.原材料確保
当社グループは、一部の原材料を特定の購入先に依存しています。その購入先が自然災害や事故、倒産などの
止むを得ない事情により、原材料供給を減少したり停止した場合、需給バランスがくずれ、必要な原材料の確保
ができなかったり、コストが上昇するなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グルー
プでは、原材料調達先を複数にするなど、主要原材料が確保できなくなるリスクを低減するよう取り組んでいま
す。
e.研究開発
当社グループが事業展開する業界は市場変化が激しく、その変化の予測は容易ではありません。他社の新技術
や新製品により、当社グループ製品が突然予期せぬ陳腐化を起こすこともあります。このような状況が生じた場
合、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、特定の事業の動向に左右されないよう三新
活動を起点とした新技術・新製品の研究・開発や、その設備への投資に取り組んでいます。また、知的財産マネ
ジメントの強化を図り、参入障壁を創っています。
各セグメントの事業リスクは、次のとおりです。
f.インダストリアルテープ事業
当社グループが事業展開しているスマートフォン向け両面テープや電子部品用テープといったエレクトロニク
ス分野や、電気自動車用部品といった次世代モビリティー分野は、製品の進化も早く、国や地域による需要の違
いもあります。特定の分野で需要が急増した場合には、原材料メーカーの生産能力が追い付かず、材料が入手困
難となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは原材料調達先を複数にする
よう取り組んでいます。
また、汎用テープ分野では、市場の成熟により製品サイクルが長期化し、競合の参入により、当社グループの
TM
業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、国や地域に密着したANT(エリアニッチトップ )戦
略を実施し、マーケティングを含めたエリア権限を強化することで、国や地域に即した製品創出を進めていま
す。
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g.オプトロニクス事業
当社グループにおいて、情報機能材料は中核事業です。この市場では多くの企業による厳しい競争が続いてい
ます。また、当社グループの部材が組み込まれた製品や技術の陳腐化、市場の成熟による売り上げの低下、競合
の参入による収益性の圧迫などが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。一方で需要が急増
し、原材料メーカーの生産能力が追い付かず、材料が入手困難になった場合、当社グループの業績に影響を及ぼ
す可能性があります。当社グループでは、業界をリードする大手企業の新たなニーズを把握し、製品開発と市場
投入に努めるとともに、原材料調達先を複数にするよう取り組んでいます。
h.ライフサイエンス事業
当社グループは、新たな事業分野としてライフサイエンス事業への取り組みを強化しています。当事業は各国
の法令に従い、事業を行っています。各国の新たな法令や規制の制定、または法令・規制の大幅な変更等による
要求事項が当社グループの想定を超えた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。各国の医療政策の変更に
よる大幅な薬価の引き下げや急激なジェネリック薬の推奨、顧客が進めている臨床試験の中止などの場合も業績
に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、マーケティング・開発から製品化に至るまで関連法令・
規制の遵守に努め、さらに事業活動を特定の領域・分野に限定しないことでリスクを低減するよう取り組んでい
ます。
i.その他
当社グループのその他の領域にはメンブレン事業と未だ十分な売上が上がっていない新規事業が入ります。
メンブレン事業は、エネルギー分野の水処理や海水淡水化等のプラントに部材を供給しています。急激な受注
に対して、原材料メーカーの生産能力が追い付かず材料が入手困難になった場合や成長が期待される市場での事
業拡大が見込めない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。メンブレン事業では、原材料
調達先を複数にするよう努め、さらに生産プロセスの自動化をはじめとする合理化や排水処理等の多様化による
事業基盤の強化に取り組んでいます。
また、新規事業は、計画通りに立ち上がらない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、定期的に当該市場や顧客の状況と当社グループの状況の整合を図りながら、適切な事業推進
に努めています。
(2)業務リスク
a.製品安全
当社グループは、国際的品質管理システム・化学物質管理システムに従い中間材料を中心とする製品を製造
し、顧客に納入しています。しかし、これにより製品の欠陥による賠償リスクを完全に排除することは困難で
す。また、生産物賠償責任保険の適用を超える賠償などが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可
能性があります。当社グループでは、このシステムを正しく運用しているか、基準を満たしているかについて、
第三者審査機関による審査を毎年受けています(マネジメントシステム認証制度)。これにより、社会的信頼の獲
得、第三者の視点による問題点の発見、継続的改善が実行されるよう取り組んでいます。
b.環境
当社グループは、環境に関連する法令規則の厳格化やCDP(シー・ディー・ピー(旧カーボン・ディスクロー
ジャー・プロジェクト))、RE100(アールイー100(100% Renewable Electricity))等の気候変動対策への
機運が高まる中、これらを重視する顧客からの要望に応えられないことにより、当社グループの業績に影響を及
ぼす可能性があります。特に、当社グループは化学製品やプラスチックなどを多く使用しています。これらに関
する環境規制が強化されることで、既存製品の販売が困難になることや、予期せぬ事故や自然災害により不測の
環境汚染が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、環境に配慮
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した誠実な行動を環境基本方針に掲げ、社会的責任の観点から、CO 排出削減、トルエンの大気排出削減、廃棄
物の排出量低減に取り組んでいます。
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c.情報管理
当社グループにとって、情報システムは事業活動のあらゆる側面において非常に重要な役割を担っており、
年々複雑化・高度化しています。一方、サイバーテロは巧妙化するなど人為的リスクが高まっています。当社グ
ループで情報システムに障害が発生した場合や、過失、故意を問わず、技術情報、顧客情報、取引情報、個人情
報などの情報流出や不正使用が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グ
ループは、サイバーテロ等に対して、ハード・ソフト両面で様々な情報セキュリティ対策を実施しています。ま
た、情報流出や不正使用などの過失防止のため、毎年、全社員への情報セキュリティの重要性を説く教育やシス
テムの堅牢性を高めるなど様々な取り組みをしています。
d.法規制の変化とコンプライアンス
当社グループは、グローバルな事業展開を行っています。法令・税制・規制の強化や大幅な変更、解釈の相
違、商習慣の相違などにより、当社グループの活動が制限され、新たなコストが発生し、当社グループの業績に
影響を及ぼす可能性があります。また、役員・従業員がコンプライアンス上の問題を発生させた場合も、業績に
影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、すべての活動において、各国の法規制の遵守に努めるとと
もに、「Nittoグループビジネス行動ガイドライン」の小冊子を16言語に翻訳し、グループ全社員へ配布した
り、「CSRワークショップ」を実施するなどの取組みにより、コンプライアンスの徹底に努めています。
e.事故・災害
当社グループの本社や日本国内にある主要拠点は、地震の発生リスクが高く、発生した場合、地震や津波によ
り、主要拠点や施設が被災する可能性があります。これに加えて、電力・ガスなどインフラ被害が発生し、その
結果広範囲にわたるサプライチェーンの分断が起これば、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、
人命に深刻な影響を及ぼす感染症が大流行となった場合、操業停止、輸送ルートの寸断や情報伝達の遅延が起こ
る可能性があります。そのために、当社グループもしくは顧客、サプライヤーに大きな被害が生じ、受注や供給
が長期間にわたって滞り、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、「安全をすべてに
優先する」方針のもとで、事故や災害に備え、事業機能停止を防止する対策として事業継続計画(BCP)、およ
び経営機能が麻痺した場合に指揮命令系統を早期に復旧するための事業継続マネジメント(BCM)に取り組んで
います。
(補足事項:COVID-19への対応について)
2019年12月末にWHOへ報告があった新型コロナウィルスによる感染症は、当社グループが事業を展開する国に
も大きな影響を与えています。当社グループ内で予想を超える罹患者が発生したり、各国の政府の指示で操業を
止める、あるいは、サプライヤーや顧客がこの感染症に大きく影響を受けた場合、業績に影響を及ぼす可能性が
あります。当社グループでは、役職員に対する感染予防の励行、防疫用品のグローバル間での融通を通じて、当
社グループで罹患者が発生しないよう努めています。また、罹患者が発生した場合においても拡大防止手順を定
めています。当該手順に基づき拠点を停止せざるをえない事態になった場合や政府の指示で操業を停止した場合
も、当該拠点以外で代替生産するとともに、当該拠点が早期に復旧できるよう事業継続計画を策定しています。
f.M&A
当社グループは、企業価値向上に向けた技術の獲得や新たな事業領域への進出、事業の成長を加速させる上で
有効な手段となる場合は、必要に応じて、M&Aや業務提携、戦略的投資を実施しております。しかしながら、市
場環境や競争環境の著しい変化などにより、当初想定していた成果やシナジーが得られない、買収した事業が計
画通り展開することができない等の場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループ
では、他社との協業に際し、市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の経営状況、市場での優位性などを十分に考
慮し、判断を行っております。
g.知的財産権
当社グループは、市場競争力を高める目的から多くの知的財産権を保有し、維持、管理しています。しかし、
第三者から無効とされる可能性、特定の地域で十分な保護が得られない可能性、模倣される可能性、訴訟を受け
る可能性などがあり、知的財産権による保護が大きく損なわれた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能
性があります。当社グループでは知的財産本部と事業部が一体となり、他社の知的財産権に抵触していないか注
意を払う一方で、当社グループの知的財産権に抵触する製品が市場に出回っている場合には摘発する活動を進め
ています。
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h.人財確保
当社グループの事業活動を推進するためには、研究・開発・製造・販売・管理など様々な分野において人財の
確保と育成が必要です。合わせて急激な事業環境の変化に対応するためにダイバーシティの推進が必要です。人
財の継続的な獲得と流出の防止ができない場合、当社グループの将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、インターンシップへの取組みの強化や、各種公募型研修やワークショップを実施し、様々な
分野の人財の採用と育成に取り組んでいます。
i.労働環境
当社グループは、グローバルな事業展開を行っています。サプライチェーン上で、児童労働、強制労働、外国
人労働者への差別等、種々の人権に係る問題が生じ、これをすみやかに発見・是正ができなかった場合、当社グ
ループの社会的な信用が低下し、顧客からの取引が停止することにより、業績に大きな影響を及ぼす可能性があ
ります。さらに、それに伴う事業からの撤退等も業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、関連する
様々な法令規則やOECD多国籍企業行動指針やILO国際労働基準といった国際的なイニシアチブ等による規制が大
幅に強化された場合、これらに適応するため、多額の対策費用が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可
能性があります。当社グループでは、社会の持続可能な発展のため、Nittoグループ人権基本方針に則り、事業
部と専門部署が一体となって、サプライチェーンにおける人権デューデリジェンスに取り組んでいます。主要サ
プライヤーにはアンケート等を実施し、リスクの抽出に努めています。
j.確定給付負債
当社グループの確定給付負債は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回りなどに基づ
き計算されており、年金資産の時価の変動、金利動向、退職金や年金制度の変更などにより、認識および計上さ
れる債務に影響を及ぼし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、市場変動
の影響を受ける年金資産の運用は、年金ALM(アセットライアビリティマネジメント)分析等も踏まえた長期的
な政策的資産構成割合を定め資産の分散投資を行う事に加え、下方リスクも考慮した安定的なリターン獲得を目
指しています。その執行には、財務、人事担当責任者及び資産運用経験者を基金理事として任用し、外部コンサ
ルタントも起用することで、適切な運用および管理体制を構築しております。また、一部で確定拠出年金を導入
することで追加拠出リスクを低減するなど、退職金や年金制度変更の検討においては、退職給付債務への影響を
十分に考慮して行っております。
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3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
経営成績等の状況の概要
(1)財政状態
当連結会計年度末(以下「当期末」という。)の資産合計は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)
に比べ8,481百万円増加し、921,900百万円となりました。流動資産は5,479百万円減少の576,056百万円、非流動
資産は13,960百万円増加の345,843百万円となりました。
流動資産の減少は、現金及び現金同等物が7,240百万円増加したこと、売上債権及びその他の債権が15,294百
万円減少したこと、その他の金融資産が2,229百万円増加したこと等によるものであります。
非流動資産の増加は、使用権資産が前期末に比べ16,266百万円増加したこと、その他の非流動資産が4,085百
万円増加したこと等によるものであります。使用権資産の増加は、IFRS第16号「リース」の適用によるものであ
ります。
当期末の負債合計は、前期末に比べ19,464百万円増加し、231,696百万円となりました。流動負債は3,416百万
円増加の161,895百万円、非流動負債は16,047百万円増加の69,800百万円となりました。
流動負債の増加は、仕入債務及びその他の債務が6,076百万円減少したこと、未払法人所得税等が4,962百万円
増加したこと、その他の金融負債が2,440百万円増加したこと、その他の流動負債が2,448百万円増加したこと等
によるものであります。
非流動負債の増加は、その他の金融負債が18,473百万円増加したこと、確定給付負債が2,048百万円減少した
こと等によるものであります。
当期末の資本合計は、前期末に比べ10,983百万円減少し、690,204百万円となりました。
これは、利益剰余金が、親会社の所有者に帰属する当期利益、配当金等により前期末に比べ21,496百万円増加
したこと、自己株式が16,424百万円増加したこと、その他の資本の構成要素が16,020百万円減少したこと等によ
るものであります。
(2)経営成績
当連結会計年度における経済環境は、米中貿易摩擦のみならず経済の先行きに対する不確実性が高まり、世界
経済全体にマイナスの影響を与えました。米州においてはGDP成長率の鈍化がみられ、欧州においては英国のEU
離脱問題もあり需要は低調に推移しました。中国においては対米を中心とした輸出入の減少や製造業における景
況感の低下が見られました。当社グループの主要な市場においては、自動車市場において生産台数の減少が顕著
となりました。スマートフォンも同様に生産台数は伸長しなかったものの、ディスプレイにおける新たな変化が
見られました。また、年度末にかけてCOVID-19が拡大し、世界の各エリア・地域における外出規制や物流の停滞
などによる実体経済への影響が深刻化しました。これらへの対応として、Nittoグループでは従業員の安全を最
優先にテレワークなどを推進し、各国政府の要請に応じた形での対応を図っています。生産においては、中国エ
リアで一時的に稼働を停止したものの、春節以降、順次再開を進めました。一方、米州、EMEA、アジアの一部の
現地法人では稼働が停止した状況が継続しました。なお、当連結会計年度においては、COVID-19による経営成績
への影響は限定的でした。
以上の結果、売上収益は前連結会計年度と比較し、 8.1%減(以下の比較はこれに同じ)の741,018百万円とな
りました。また、営業利益は24.8%減の69,733百万円、税引前当期利益は24.9%減の69,013百万円、当期利益は
29.1%減の47,224百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は29.2%減の47,156百万円となりました。
セグメント別の経営成績
① インダストリアルテープ
基盤機能材料では、エレクトロニクスの市場が低迷し、スマートフォン用途、電子部品の製造工程で使用さ
れる材料の需要が伸びませんでした。一方、半導体市況が低調ななかで、製造工程で使用される関連材料は堅
調に推移しました。また、新たな地域への拡販に対応するため、トルコのグループ会社で製造開発しているお
むつ用部材の生産体制を強化しました。当部材は市場エリアの拡張と成人用途への展開を見込んでおります。
また、「有機溶剤フリーの両面接着テープ」に対する需要が堅調であり、引き続き、モノ作りにおける環境へ
の貢献を進めてまいります。
トランスポーテーション事業は、欧米や中国をはじめ世界の主要な自動車市場において生産台数が減少し需
要が低調に推移しました。加えて、年度末にかけてCOVID-19の影響により、欧米やアジアにおいてグループの
工場での稼働が停止となるなどの影響が出ました。
以上の結果、売上収益は 317,921 百万円( 10.5%減 )、営業利益は 20,752 百万円( 33.2%減 )となりまし
た。
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② オプトロニクス
情報機能材料は、スマートフォンに関して、生産台数の伸長は見られませんでしたが、ディスプレイの大型
化に伴う光学フィルムの異形加工に対応しました。その結果、当用途の経営成績は前連結会計年度に比して好
調に推移しました。TV市場は、パネルメーカーの供給能力の拡大にともない、需給バランスが大きく変化して
おります。このような環境のなか、当用途では高付加価値領域へ注力いたしました。なお、汎用偏光板の技術
供与によるロイヤリティ収益は、前連結会計年度にその一部を計上しましたが、新たな収益は翌連結会計年度
以降において実現する見通しです。
プリント回路では、HDDの生産台数がパーソナルコンピューター用途をはじめ低調に推移したものの、デー
タセンター用途の高容量化にともない、需要が回復基調で推移しました。HDD以外の用途では、ワイヤレス充
電システムで補聴器用部材の生産が始まりました。今後も、高精度基板の新たな用途の開拓に取り組んでまい
ります。
なお、COVID-19による当セグメントへの影響は、一時的に中国での生産を停止するといった影響が生じたも
のの限定的でした。
以上の結果、売上収益は 398,942 百万円( 7.2%減 )、営業利益は 57,067 百万円( 7.9%減 )となりました。
③ ライフサイエンス
前連結会計年度に、核酸医薬の受託製造において、お客様の新薬開発停止による最終の収益を計上しており
ます。これにより、当連結会計年度の経営成績は前年同期に及びませんが、順調に成長する核酸医薬市場の
ニーズに応えて、売上収益は回復傾向にあります。また、経皮吸収型テープ製剤においては、大日本住友製薬
株式会社様と共同開発を進めてきた、非定型抗精神病薬「ロナセン®テープ」が寄与しました。
核酸医薬の創薬においては、引き続き、肺線維症および難治性のがん治療薬での治験に取り組んでおりま
す。
以上の結果、売上収益は 27,129 百万円( 9.4%減 )、営業損失は 2,546 百万円(前年同期は営業利益1,920百
万円)となりました。
④ その他
メンブレンでは、海水淡水化と環境対策に向けた各種産業用途の需要が堅調でした。また、エネルギー分野
において油田採掘注入水用新規ナノフィルトレーション膜の需要が伸長しました。なお、当セグメントには未
だ十分な売上収益を伴っていない新規事業が含まれております。
以上の結果、売上収益は 26,943 百万円( 2.3%増 )、営業損失は 2,782 百万円(前年同期は営業損失1,970百
万円)となりました。
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(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は 304,922 百万円となり、前連結会
計年度末より 7,240百万円増加 しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりでありま
す。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は123,641百万円(前連結会計年度は98,569百万円の増加)となりました。
これは主に、 税引前 当期利益69,013百万円、減価償却費及び償却費49,390百万円による増加、法人税等の支
払額又は還付額13,332百万円による減少の結果であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は59,991百万円(前連結会計年度は49,955百万円の減少)となりました。
これは主に、有形固定資産及び無形資産の取得による支出59,797百万円による減少の結果であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は51,637百万円(前連結会計年度は58,419百万円の減少)となりました。
これは主に、リース負債の返済による支出4,735百万円、自己株式の増加額16,701百万円、配当金の支払額
29,820百万円による減少の結果であります。
なお当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移は以下のとおりであります。
2017年3月期 2018年3月期 2019年3月期 2020年3月期
親会社所有者帰属持分比率(%) 74.3 73.9 76.7 74.8
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率
158.7 136.3 99.9 80.6
(%)
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) 0.0 0.0 0.0 0.2
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) 311.2 292.1 275.8 190.1
(注)1 各指標はいずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。
親会社所有者帰属持分比率(%) 親会社所有者帰属持分÷総資産
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%) 株式時価総額÷総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) 有利子負債÷キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) キャッシュ・フロー÷利払い
2 株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4 有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を
対象としております。
5 2020年3月期よりIFRS第16号「リース」を適用しております。これに伴い、新たにリース負債が計上され
るとともに、リース料の一部を支払利息として計上しております。
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生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 金額(百万円) 前年同期比(%)
インダストリアルテープ 216,124 87.4
オプトロニクス 362,797 90.1
ライフサイエンス 24,377 90.3
その他 26,347 106.4
合計 629,648 89.7
(注)1 金額は、売価換算値によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 当連結会計年度において、プロセス材料の帰属をオプトロニクスからインダストリアルテープの基盤機能材
料へ変更しました。前年同期比は、当該変更を反映した前連結会計年度の数値に基づき算定しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当社グループは、おおむね需要動向から見た見込み生産を行い、それ以外の製品については一部受注生産を行っ
ておりますが、受注生産高の売上高に占める割合の重要性が乏しいため、記載を省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 金額(百万円) 前年同期比(%)
インダストリアルテープ 302,678 90.1
オプトロニクス 390,905 92.8
ライフサイエンス 22,638 89.8
24,795 102.7
その他
合計 741,018 91.9
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対応する割合は、販売実績が総販売実績の100分の10以上の相手
が無いため記載を省略しております。
3 当連結会計年度において、プロセス材料の帰属をオプトロニクスからインダストリアルテープの基盤機能材
料へ変更しました。前年同期比は、当該変更を反映した前連結会計年度の数値に基づき算定しております。
4 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
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経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度(以下「当期」という。)は、売上収益は前連結会計年度(以下「前期」という。)と比べて
8.1%減の741,018百万円となりました。これは情報機能材料、トランスポーテーション等の売上収益が減少したこ
と等によるものです。
売上原価は、前期比8.1%減の519,090百万円となりました。売上収益に対する売上原価の比率は、前期比0.1
ポイント増の 70.1%となりました。
販売費及び一般管理費は、前期比7.6%減の111,368百万円となりました。売上収益に対する販売費及び一般管理
費の比率は、前期より増減なく15.0%となりました。研究開発費は、前期比5.5%増の33,765百万円となりまし
た。売上収益に対する研究開発費の比率は、前期より0.6ポイント増加し4.6%となりました。
以上の結果、営業利益は前期比24.8%減の69,733百万円となりました。
税引前当期利益は前期比24.9%減の69,013百万円となりました。
法人所得税費用は、前期の25,293百万円から、当期は21,788百万円となり、税効果会計適用後の法人税等の負担
率は31.6%(前期は27.5%)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期比29.2%減の47,156百万円となりました。基本的1株当たり当期利
益は、前期比28.9%減の301円32銭となりました。
当社グループでは、2018年度から2020年度までの3か年を対象期間とする中期経営計画「Jitsugen-2020」でグ
ループ全体の業績目標として、2020年度に売上収益1,000,000百万円、営業利益175,000百万円を掲げておりました
が、経営環境が大きく変化し、前提条件の見直しが必要となりました。当初掲げた業績目標は達成したい水準とし
て据え置くものの、成長戦略の推進と構造改革の両輪で、外部環境に影響されにくい収益基盤の構築を図ってまい
ります。又、資本コストを意識した経営を推進し、持続的にROE10%以上を目指していきます。
なお、経営成績の概況およびセグメント別の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の
状況の概要」に記載しております。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、変化の激しい事業環境下においても継続的に企業価値を向上させていくために、資金の使途を
①設備投資、②配当、③M&A、④自社株買いと順位付けし、経営の目安としています。
当社グループの資金の源泉は、主として自己資金であり、トレジャリーマネジメントシステムを活用し、グルー
プ内資金をタイムリーに漏れなく把握すると共に、各エリアに設置した資金統括拠点へ配当やキャッシュ・プーリ
ングを活用して集約し、資金効率の向上に努めています。
なお、当連結会計年度末の連結借入金総額は前連結会計年度末に比べ357百万円減少し、90百万円となりまし
た。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は 304,922百万円となっております。
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等
(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針の要約 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記
載しております。
COVID-19の影響については、直近の受注動向や生産状況をもとに現時点で見通すことのできる需要を織り込んで
見積り及び判断を行っております。
なお、需要の予測については上期後半にかけて影響が徐々に軽減し、需要が回復すると仮定しております。
4【経営上の重要な契約等】
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
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5【研究開発活動】
当社グループ(当社および当社の関係会社)における研究開発は、新規事業の創出と“グローバルニッチトップ”
(GNT)、“エリアニッチトップ”(ANT)製品の開発という方針を掲げ、さまざまな産業分野での市場ニーズを捉
え、それをNittoグループの全技術で解決することを目指しています。「粘着技術」「塗工技術」「高分子機能制御
技術」「高分子分析・評価技術」の4つのコア・テクノロジーをベースに様々な技術を組み合わせて新たな価値を提
供しています。
全社技術部門は、研究開発本部、新規事業本部、核酸医薬開発本部の3つの本部を軸としており、これらと知的財
産本部とプロセス技術本部が密接に連携し、将来の事業とそれを支える技術を育成しています。さらに、部門内にイ
ノベーションマーケティングセンターを設置し、早い段階から市場を見据えた取り組みを行っています。
研究開発拠点として、大阪府茨木市の“inovas”(イノヴァス)を中核に、海外に日東電工テクニカル(米国-
オーシャンサイド)、日東バイオファーマ(米国-サンディエゴ)、日東電工アジアテクニカルセンター(シンガ
ポール)、日東(青島)研究院(中国-青島)を配置しています。
全社技術部門では、オープンイノベーションに積極的に取り組み、様々な新製品・新技術開発を加速しています。
特に情報通信領域において高速大容量通信を変革するプラスチック光ファイバーケーブルの開発では、外部技術と
Nittoが保有する光学材料の設計技術を融合し、20年度の量産開始に向け大きく進展しました。
また、ライフサイエンス領域においては、ドラッグデリバリー技術を強みにして核酸医薬開発の新しい展開を進め
ています。当連結会計年度、地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンターの研究所内に新規核酸医薬品
の開発を目的とした共同研究部(名称:Nitto核酸創薬共同研究部)を設立し、難治がん・希少がんの新規分子標的
治療法及びがん免疫療法をになう核酸医薬品の創薬研究に着手しました。
これらの技術を戦略的な特許出願やモノづくりで支えながら、着実に事業につなげていきます。
当連結会計年度の研究開発部門の人員は、当社単体で917名、グループ全体で1,512名です。また、当社グループの
研究開発費の総額は 33,765 百万円です。このうち、各事業セグメントに直接関連しない全社技術部門の研究開発費は
6,203百万円です。
セグメント別の研究開発活動成果は下記のとおりです。
(1)インダストリアルテープ
粘着テープ製造工程での有機溶剤削減やバイオマス材料の利用促進などの検討を進めています。環境配慮型製品と
して「有機溶剤フリーの両面接着テープ」で、2019年度の第46回環境賞の優良賞を頂きました。(国立環境研究所・
日刊工業新聞社共催、環境省後援)
引き続きESG、SDGsを見据えたサステナブルな環境配慮型の製品開発に注力していきます。
半導体分野において、ウェハ表面の凹凸を埋め込むプロセステープを新規に開発しました。半導体製造プロセスの
高度化に伴い、必要とされるプロセステープの特性進化は必須であり、継続的に新製品開発を進めていきます。
フッ素系の機能性材料を用いた製品の用途拡大を進めており、半導体や電子部品、モバイル機器分野に新たな機能
を付与した製品の開発に注力していきます。
トランスポーテ―ション分野では、自動車・鉄道車両・航空機などの輸送機の性能向上に貢献する新製品の開発を
推進しています。電動車両の急速な市場拡大や電装部品の搭載数増加を見据えて、モーター用絶縁材料や電装部品用
の内圧調整材料の製品拡充が進みました。また自動運転市場の本格的な到来に備えて、レーダー用電波吸収材料の展
開を進めています。さらにCASE関連市場での新規事業創出のために、全社次世代モビリティ推進センターとのコン
バージェンスで新たな価値創造に取り組んでいます。
当連結会計年度における研究開発費の金額は 7,110 百万円です。
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(2)オプトロニクス
大型ディスプレイ用途関連では、PID(パブリックインフォメーションディスプレイ)、モニター、ノートPC、タブ
レットなど液晶ディスプレイ(LCD)やOLED-TVに代表されるように有機ELディスプレイ(OLED)の大型化への対応に加
え、それぞれの要望に応えられる製品開発を行っています。モバイルディスプレイ用途関係では、OLEDの表示品位の
向上に加え薄型要望とフレキシブル化が進んでおり、これまで以上の光学性能を有し、かつ薄型や折り曲げ可能な偏
光板の製品開発を行っています。
自動車業界では自動運転化技術の発展に伴い、車内のディスプレイ数の増加および大型化が見込まれています。車
載用途では用いられる偏光板に高耐熱・低収縮が求められるため、その要望に応える製品を開発しています。加えて
High-End向けの車内の内装デザインの自由度を高める曲面・異形状ディスプレイで用いられる偏光板製品に必要な
性能を有する製品開発にも注力しています。
さらに、偏光板以外のディスプレイ周辺光学材料としてディスプレイ層間充填粘着剤、OLED工程材などの開発にも
注力し、ディスプレイとそれを組み込む機器のお客様への価値提供を行っています。
プリント回路製品は、感光性ポリイミドおよびセミアディティブ法による回路形成技術を応用した高精度基板を、
ハードディスク(HDD)とは異なる新市場へ展開を進めています。当連結会計年度、補聴器用ワイヤレス充電システ
ムやスマートフォン用部品などに採用され、売上に寄与し始めておりますが、さらに新しい要望に応えるべく、製品
開発に注力しています。
当連結会計年度における研究開発費の金額は 9,918 百万円です。
(3)ライフサイエンス
医薬品関連では、非定型抗精神薬が2019年6月に審査当局からの承認を受け、商業レベルの製造を開始しました。
9月より大日本住友製薬株式会社様より日本国内市場への販売が開始されました。
医療衛生材料関連では社内他事業部門との協業に加え、社外協業体制を強化して、新領域での事業開発と、新しい
市場及び地域への展開を推進しています。
当連結会計年度における研究開発費の金額は 4,221 百万円です。
(4)その他
世界的な水環境の変化として、排水・廃液をゼロ化(ZLD;Zero Liquid Discharge)して再利用する動きが進んで
います。逆浸透膜製造工場である滋賀事業所にて排水・廃液を再利用する技術検証を行い、2019年度には再利用用途
向けの新製品群を市場投入しました。今後も社会的ニーズにあわせた製品開発を進めるとともに分離技術で水資源の
再利用化の促進に貢献していきます。
当連結会計年度における研究開発費の金額は 6,312百万円です。
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第3【設備の状況】
1【設備投資等の概要】
当連結会計年度における当社グループ(当社および当社の関係会社)の設備投資は、総額 58,930 百万円を実施しま
した。
インダストリアルテープにおいては、粘着テープの生産性向上とモノ作りにおける環境への貢献を進めるため
15,261 百万円を実施しました。
オプトロニクスにおいては、光学フィルムの生産性向上、プリント回路における高精度基板の生産体制構築など、
30,257 百万円を実施しました。
ライフサイエンスにおいては、主に核酸医薬の生産体制整備のため、 1,937 百万円を実施しました。
その他においては、メンブレン(高分子分離膜)の生産性向上のため、2,258百万円を実施しました。
なお、各セグメントに直接関連しない設備投資は9,216百万円であります。
2【主要な設備の状況】
当社グループ(当社および当社の関係会社)における主要な設備は、次のとおりであります。
(1)提出会社
2020年3月31日現在
帳簿価額(百万円)
従業
事業所名
セグメントの名称 設備の内容 機械装置 員数
(所在地) 建物及び 土地
及び運搬 使用権資産 その他 合計
(名)
構築物 (面積㎡)
具
東北事業所 医療関連材料製 1,104 154
ライフサイエンス 3,801 807 0 251 5,964
造設備
(宮城県大崎市) (383,973) [47]
関東事業所 インダストリアル テープ関連製品 1,155 307
5,051 5,587 102 524 12,421
(埼玉県深谷市) テープ 製造設備 (69,920) [14]
豊橋事業所 インダストリアル テープ関連製品 6,039 1,488
16,582 18,066 199 1,305 42,193
(愛知県豊橋市) テープ 製造設備
(336,812) [164]
電子部品材料製
亀山事業所 造設備 79 943
オプトロニクス 18,572 12,930 32 983 32,598
情報機能材料製
(三重県亀山市) (133,119) [150]
造設備
膜・モジュール
滋賀事業所 その他 製造設備 1,580 208
4,130 2,321 89 192 8,313
(滋賀県草津市) オプトロニクス 情報機能材料製
(74,303) [130]
造設備
尾道事業所 情報機能材料製 3,575 1,558
オプトロニクス 22,173 13,435 23 494 39,702
造設備
(広島県尾道市) (182,528) [158]
インダストリアル
テープ
茨木事業所 239 432
オプトロニクス 研 究開発設備 11,663 1,713 0 1,286 14,902
(大阪府茨木市) (24,777) [12]
ライフサイエンス
その他
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(2)子会社
2020年3月31日現在
帳簿価額(百万円)
従業
会社名
セグメントの名称 設備の内容 員数
機械装置
(所在地) 土地 使用権資産
建物及び
及び運搬 その他 合計 (名)
構築物 (面積㎡) (面積㎡)
具
(国内子会社)
日東シンコー㈱
インダストリアル テープ関連製品 282 21 223
(福井県坂井市) 2,098 1,223 413 4,039
テープ 製造設備 (43,232) (-) [143]
日昌株式会社
(宮城県大崎市 インダストリアル テープ関連製品 569 331 314
1,682 693 258 3,535
滋賀県栗東市) テープ 製造設備
(10,770) (-) [66]
(海外子会社)
Nitto, Inc.
インダストリアル テープ関連製品 154 1,667 741
1,519 2,449 326 6,118
テープ 製造設備
(Lakewood U.S.A.) (135,789) (-) [62]
Hydranautics 膜・モジュール 293 508 380
その他
559 2,600 130 4,092
(Oceanside U.S.A.)
製造設備 (60,297) (-) [25]
Nitto Denko Avecia
医療関連材料製 437 137 399
Inc. ライフサイエンス 4,499 3,527 181 8,783
造設備
(107,241) (-) [21]
(Milford U.S.A.)
Nitto Belgium NV
インダストリアル テープ関連製品 127 390 503
568 4,181 91 5,359
(Genk Belgium) テープ 製造設備 (202,644) (-) [6]
Nitto Bento Bantçıl
ık San. ve Tic. A.
インダストリアル テープ関連製品 250 352 457
709 1,694 23 3,031
テープ 製造設備